地方行政委員会 第14号
- 発言数
- 219 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1985/05/30
会議録
○高鳥委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、住民基本台帳法の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤万吉君。
○加藤(万)委員 きょうは住民基本台帳にかかわる審議でありますが、今問題になっております外国人登録法の問題、これは、いわば外国人登録は外国人にとってみれば住民基本台帳に匹敵する問題でありますから、冒頭この問題を二、三御質問申し上げておきたいと思います。 外国人登録については、外交問題から始まりまして、在日朝鮮人、韓国人に対する我が国の取り扱いの問題としても大変広い範囲にわたって問題視されていることは、大臣御案内のとおりであります。実はこの問題まで討議する考えは持っておりませんが、過日五月十三日に、法務省の入管局長名をもちまして「外国人登録事務の適正な運用について」の通達が出されました。この通達内容は当委員会、特に事務的、実務的に取り扱う各市町村、地方団体にとりましては大変重要な、しかも関係の深い問題でありますから、この問題に限ってひとつきょうは質問をしておきたい、こう思うのであります。 けさほど新聞を拝見いたしましたら、これは朝日でありますが、この十三日の通達以降初めて、大阪府の豊中市と大阪市の生野区で二十九日、在日韓国人の三人の人の押捺拒否の問題が出ました。この三人に対しまして豊中市と生野区は、指紋を拒否した者には外国人登録証を交付しないとする法務省の新しい通達に反して、従来どおりの手続で外人登録証を渡した。その中で豊中市の下村輝雄という市長さんでありますが、「通達はまだ十分検討していないし、市としては現行制度の見直しと改正を強く要望している」という談話を発表し、生野区の登録課長は、「まだ、府の説明をきいたばかりで、中身について十分検討できていない。この段階では従来通りのやり方をするしかない」という見解で今回の外国人登録に対する証明書を発行した、こう談話が載っておるのであります。なお、同じ紙面でありますが、この指紋押捺に対して院の中でも各野党が見直しを迫るという、やや論説的記事を掲げているのであります。 もう大臣御案内のように、これは事外交問題にまで発展する課題でありますから、私が内容について申し上げる必要性のないほどでありますが、一体、今回の通達で出されている平面指紋方式、あるいは無色の薬液の使用等の改正を行った、これが今日これほどまでに起きている外人登録に対する国際的な世論、国内的な世論に耐えられる通達でございましょうか。率直に申し上げて、私は、この通達の内容に盛られている程度では、後でも申し上げますけれども、今日起きている登録、押捺問題に対する国際世論、なかんずく犯罪的要素を持った日本のやや人権的な侵害と指摘されている部面に耐え得られる通達ではない、こう実は言わざるを得ないのであります。 そこで、極めて限定してお話を聞きますが、まず、これは行政局長にお伺いした方がよろしいのでしょうか。今度の通達、十三日に出ているわけですが、その中で指紋の照合をしなさい、こう出ています。従来、私も指紋押捺をしました写しを見せていただきましたが、黒色で回転式の指紋であります。今度は平面指紋方式で、しかも無色の薬液でやると、この照合が今の地方団体の窓口でできるでしょうか。ひとつ御答弁いただきたいと思うのです。
○大林政府委員 外国人登録をめぐります過去のいろいろな問題、経緯を踏まえまして、法務省において新しいやり方を考えられ、現在周知徹底を図っておられると伺っておりますが、私ども、市町村の窓口ができるだけ混乱しないような御指導を法務省当局にお願いをしておるわけであります。 ただ、この事務自体が、市町村の窓口で行ってはおりますけれども、法務省の一〇〇%の機関委任事務という性格のものでございますので、そういう御質問の技術的な面につきましては、残念でございますがお答えする立場にないということを御了解いただきたいと思います。
○加藤(万)委員 それでは、これは入管局長が通達をされたわけですから、法務省入管局の方からひとつ御答弁いただきましょうか。
○黒木説明員 このたび、私どもが大部分の外国人に押してもらっております指紋につきましては、なるべくその心理的負担を減らそうという趣旨で、先ほどお話ございました、従来回転させながら押す指紋の方式を平面指紋にするという政令の改正をいたしました。それから、今お尋ねのありました、従来、指を黒いインクで汚すということについて大変不満の強うございました点を改めまして、無色の液をつけまして指紋を押しますと黒く指紋が浮き出てくるという方式をとりまして、そういう外国人の心理的負担を少しでも解消しようという配慮をしたわけでございます。 市町村の職員でこの指紋の照合ができるかどうかというお尋ねでございますけれども、確かに指紋というのは非常に詳細な鑑定までをしようということになりますと、これは大変技術的なものが必要になろうかと思いますけれども、私ども各市町村にお願いしておりますのは、遅滞、市町村でまず写真による人物の確認ということをしてもらっておるわけでございますが、この写真だけでの人物の確認といいますのはあいまいな点がございますので、それに重ねて、指紋の紋様を肉眼で見ていただきまして、同じか違っているかということを確認していただくということにしておりまして、これは従来からもそのような事務を市町村にお願いしている、こういうことでございます。 それで、指紋の照合はさっき申しましたように、難しく考えますと大変難しい問題でございますけれども、私も指紋に関しては全くの素人でございますが、通常私が見ましても、この指紋とこの指紋が全く同じであるかどうかという科学的な判定は別といたしまして、ほぼ同じ人物、同じ指紋であるかどうかということはわかるわけでございます。市町村の職員に対してもその程度の照合はお願いするということで今日まで来ておりますし、今後もそのように指導をしてまいりたいというふうに思っております。
○加藤(万)委員 課長、あなた無色の指紋というのを実験されたことがありますか。いいですか、今回の場合は黒色じゃないんですよ。無色ですよ。私も実は指紋をとられたことがあります。そのときは朱でとられた。無色の場合、何か化学反応をさせなければ指紋照合はきちっとできないと私は思うのです。あるいは最近のことですから、大変すばらしい電子機械がありますから、それにすすっと通せば従来の指紋の照合は不可能ではないですね。 そういう設備といいましょうか、そういうものなしに指紋の照合をやれということは、おっしゃるように、私はほとんど顔写真の照合だろうと思うのですね。特に、例えばある時点で、犯罪的捜査のために外国人に対する同一人物の確認のために指紋照合が必要だという場合に指紋を取り出しまして照合する、これが一般的じゃないんですか。いわんや、この六月段階では大して登録の更新はありませんけれども、七月段階、八月、九月になりますと、何万、何十万という単位ですね、可能でしょうか、実際問題として。そこだけ答弁していただきましょうか。
○黒木説明員 ちょっと先ほどの説明が足らなかったかと思いますが、今度私どもが採用しました方式は、従来は指に墨を塗りましてそれを紙の上に押す、こういうことで指紋を採取する方法をとっておったわけでございますが、今度は紙の方に実は薬品がしみ込ましてございまして、手につけました無色の液というのも一種の薬品であるわけでございます。それで、その薬品と薬品が化学反応を起こしまして、手は無色でございますから何も汚れはつかないのでございますけれども、紙の上には黒い指紋の印影が出てくる、こういう方式でございまして、私どもこれを採用いたしますには大変苦労もいたし、最近はそういう化学を利用した方式がいろいろあるものでございますから、そういった中で一番簡単な、なおかつ鮮明な指紋が写るという方式を実はこのたび採用したということでございます。 したがいまして、市町村の職員につきましては、従前と同じように残された記録の紙の上には黒い指紋が残っておるわけでございますし、私どもの実験した限りでは、従前よりもむしろ指紋がはっきり写るという点がございますので、照合する職員にとりましても大変照合がしやすくなったのではないかというふうに思っております。
○加藤(万)委員 法務省で実験されている画面も私テレビで拝見をいたしました。私のところのテレビはそう悪くはないテレビだと思いますけれども、率直に申しまして、あの範囲で見る限りは大変不鮮明。例えば、最近ポラロイドのような方式でできるものがあるのかなということは後で実は考えたことで、その場において、仮に一分あるいは三十秒の間程度で化学反応というものが指紋の場合可能なんだろうか、率直に言って疑問に思いました。いずれにしても、先ほど生野区の例を申し上げましたが、私は、そういうことも含めて今日窓口では大変混乱をしておることは間違いないというふうに実は思うわけであります。そもそも指紋をとるということ自身に大変大きな問題があるわけですから、とりあえず私は、技術論として指紋の照合が、何十万という人を扱う窓口として、その場合極めて不可能に近いという状況だけをこの際申し上げておきたいと思うのです。 二つ目の問題は、この押捺をしない意向の者に対するさまざまなこれまた取り扱いです。 一カ月以内に説得をして、三カ月以内になお説得を続けでやりなさい。そして、この期間の者を予定期間指定者、こうする。それから、それでも押捺をしない意向の者に対しては保証人二名の同一人物の確認によってやる。この人たちが証明書の交付を受ける場合には指紋不押捺者と朱記した登録証明書を発行する。このままの執行の適用者については通常の登録済み証明書を発行する。さらに、そういうものがだめだった場合には、これまでの期間告発はしないが、それが終わった段階で告発をする。いわば段階的に押捺をしない者に対する——報復という言葉は私は余り使いたくない言葉ですけれども、予定期間指定者としてまず記載をする。その次には、保証人二名によった場合には指紋不押捺者として朱で証明書に記載をする。 どうなんですか、外国人登録をする時期に来た人で指紋押捺をしない意向の者については、居住証明を発行する、いわゆる外国人登録証明書の発行については幾通りかの証明書を発行するのですか。まず全然応じない者、それから保証人が二名で押捺しない者、それから三カ月間のいわゆる予定期間指定者という者、それぞれの段階に分けて朱で書き、ときには予定期間指定者という名前をつけているかどうかわかりませんけれども、そういう証明書を発行する。さらに、その間いずれの事態にも指紋押捺をしないという者については告発をする、同時に外国人登録済み証明書を発行しない。こういうことになるのでしょうか。
○黒木説明員 まず、今の御質問にお答えする前に、現在どうなっているかということを御説明したいと思います。 現在といいますか、この通達発出前の取り扱いでございますと、指紋押捺を拒否する人につきましては、事実上の説得は行いますけれども、その時点で登録証明書を交付し、なおかつ通達の上では直ちに告発をする、こういうふうな取り扱いにしておったわけでございます。ところが、市町村の一部では、この説得をするという趣旨の上から告発が現実に行われないというような部分もございました。 そういったことを踏まえまして、今後指紋押捺をしない、したくないという意思を表明した人に対しましては、制度的にまず説得をしてみようじゃないかということで、ほぼ一カ月ぐらいの期間を置いて三カ月間説得を続けてみる。その間はもちろん本人が指紋を押しておりませんし、人物の同一人性の確認ができないために登録証明書は渡さない。渡さない間、今申しました三カ月間の説得をする。それで、三カ月間説得しましてなお本人が翻意しない、引き続き指紋を押さないということを申す場合には、人物の確認は本来指紋でしなければならないのですけれども、どうしても押さない人から無理やり指紋を押させるわけにはまいりませんので、その時点で同一市町村内に住む保証人を二人立てさせまして、この人物は間違いなくだれさんであるということを陳述してもらいまして、これによって、指紋ほど確実性はないのですけれども、指紋にかわるべき確認がほほできたということで登録証明書を渡す。しかし、その時点では明らかに指紋不押捺という罰則に当たる行為をしているわけでございますから、その時点で告発をするということでございまして、一面におきましては、従来の直ちに告発しろという取り扱いを弾力的に運用するという面があるわけでございます。 それから、登録証明書について今御説明したわけでございますが、今度は、外国人の場合登録されていることが、いろいろな役所に対する書類を提出する際とか社会生活の上で、その登録している事実を証明してくれという願い出があるわけでございます。これは住民登録で申しますと住民票の写しに相当するといいますか、それにかわるような効果を持つわけでございますが、こういったものを欲しいという外国人がかなりあるわけでございますが、今申しました最初の説得をしている三カ月間、この間は人物の確認ができていないために、まだ登録証明書を渡さないと先ほど申し上げたわけでございます。ということは、市町村が持っております外国人登録原票というものはまだ本人について十分な確認がされていない、記録がまだあいまいな状態であるということでございますと、このあいまいな状態の記録について、対外的にこの人はこういう人でありますという証明をすることはいささか問題があろうということで、この三カ月間に限りましては登録済み証明書は交付しない、こういう取り扱いをしているわけでございます。 ただ、それでもやはりこの期間に証明が必要であるということで、どうしても証明が欲しいという方が出てきました場合には、現在の状況については未確認でございますから証明するわけにいかないけれども、押捺をしないと申し立てた日以前、いわば一月ないし二月以前の過去の事実につきましては、私どもの方で登録されておるということが明らかでございますから、そういった過去の部分については証明するのもいいのではないか。ただ、現状がどうかという証明については、先ほど申しましたように人物の確認が必ずしも完全に行われていないから、これについては証明書を出すことは差し控えた方がいいだろう、こういう取り扱いを指示したような次第でございます。
○加藤(万)委員 しばしば出てくる同一人物の確認ですね。ここが特に在日朝鮮人、在日韓国人の場合には、我が国との歴史的な経過で問題になるわけです。私どもでも、例えば私が加藤万吉であるということを証明するものはなかなかないのですね。せんだって私の友人が市営住宅に入るときに、あなたは加藤万吉であるということを証明しなさい、なかなか証明するものないですよ。例えば米穀通帳がありますか。今ごろは持っている人はほとんどございません。無職である場合、通勤定期がございません。日本人ですら同一人物の確認性というのはなかなか難しい。 私は同一人物の確認性という問題も、終戦当時の御案内のように米飯登録して米の横流しをしたとか、そういういわゆるやや犯罪に結びつくという条件から生まれた押捺あるいは同一人物の確認というその発想からくるものが、昭和六十年度に至った今日までなお必要かといいますと、特に、かつては日本人として扱った韓国、朝鮮のそれぞれの在日朝鮮人については、まさにそれは歴史的な経過として、確認の必要性というものは、犯罪的立場を抜きにするならばもう必要がない、私はそう思っているのです。この論争は本来の論争でありませんから、私どもの見解とは異なることだけ申し上げておきます。 さて、そこで警察庁にひとつお聞きをします。 今日この段階でどういう人間かという確認は難しいけれども、社会生活を営む上で必要な場合には、以前の証明書は交付します。社会生活を営む上においてという中にはいろいろあると思うのですが、先般も風営法で議論がいろいろあったところです。第三国人の営業関係は非常に多いということ等もありました。風営法にいたしましてもあるいは運転免許証、自治体でいえば国民健康保険、年金それぞれに対する証明、この場合はどうでしょうか。以前の証明書をもって今日例えば住居者としての確認、いわゆる住居の公証確認を求めるということはよろしいですか。警察庁と自治省と両方にお聞きしましょうか。
○中山政府委員 警備業法、風営適正化法等で、外国人登録証明書の写しを添付することを申請の際には求めております。登録証明書の交付予定期間の指定書が交付されている者が、切りかえ前の外国人登録証明書の写しを持ってきた場合、これは同一人性の確認が完全になされているものではないのでありますが、一応有効なものとして取り扱う方向で検討しているところでございます。
○大林政府委員 いろいろな面での証明書の効用をどう考えるか、これはそれぞれの担当の省庁においてお考えになればそれでよろしいかと存じます。
○加藤(万)委員 わかりました。 そこで、今三カ月を過ぎた場合には告発するという話です。私はそもそも告発しなければならないというこの通達が、一体法務省の入管局長の名で出されるものかどうか実は疑問を持っているのです。刑事訴訟法上の告発という行為に対して、入管局長が告発しなければならない。それからなお、今現にあるものについては必ず告発する、こう通達で出しているわけですね。この告発についても、告発当事者は一体だれになるのですか。いわゆる指紋押捺をしない、したがってその告発をする当事者は、現在の場合に機関委任事務ですから各地方自治体の首長になっているわけです。まさか入管局、法務省が直接告発するわけじゃない。その告発者のところが、先ほどの生野の例あるいは川崎の例を見ましても、今日の条件の中では実際問題として窓口で告発はできないということになりますと、この通達自身は、実際は窓口においては告発の要件を満たさないことになるのじゃないでしょうか。 そこで、告発ができないから勢い外国人として押捺をしない者は犯罪者であるという見方をせざるを得ない、そこで川崎における臨港署の警察による逮捕、検挙ということに発展をするというふうに思うのですが、こういうプロセスになりますか。告発をする者はだれでしょうか。 同時に、各地方自治体の長が機関委任事務としてそれをやらない、あるいは今日の状況の中ではとても告発するような状況にはない、今のさまざまな世論攻勢あるいは外交的に外務省もいろいろやっているようですけれども、そういう状況等から見て。さらに今度の通達内容では、先ほど読み上げましたような状況で実際問題として窓口で説得をする条件を満たしていない、たえられるものではないという観点からまいりますと、告発をする側としては直ちに告発することはできない、こういうことですが、この辺の見解は法務省どうでしょうか。
○黒木説明員 お尋ねの前半部分と申しますか、まず告発の点でございますが、外国人登録事務は本来国の事務でございます。しかし、外国人の利便等を考えまして、その事務はそれぞれの外国人が居住しております市町村で行うのが一番外国人のためになるであろうということで、その事務は市町村にお願いするということで機関委任事務ということになっております。ただ、告発につきましては、これは私どもがお願いしました外国人登録事務そのものではございませんで、その事務を処理する過程で起こってくる法違反に対して告発するという行為になりますと、これはむしろ機関委任事務の範囲外であろうと考えております。 しかしながら、先ほど先生御発言の中にありましたように、そうであるならばなぜ法務省の入管局長がそういうことを指示するのか、こういうことになるわけでございますが、その機関委任事務に関連して起こる事項について、私どもの方で告発をするようにということを市町村に対して指導することは許されているというふうに考えております。
○加藤(万)委員 それだけで時間をとるわけにはまいりませんから、おっしゃったように告発することの指導は入管局でできる。しかし、この文章で見る限りは「未だ、告発されていない者については、原則として再度説得し、これに応じないときは必ず告発するものとする。」ですよ。これは指導じゃないでしょう、助言じゃないでしょう、「するものとする。」ですから。しかも「必ず」という前文をつけて通達を出されているに至っては、まさに告発の条件は満たしているのだから告発をしなければいけませんよ、刑事訴訟法上の告発を入管局長名でやるということになりませんか。私はそういうふうに思うのです。大変法律上の争いのあるところでしょう。 そこで、これだけに時間をとるわけにはまいりませんから、今の具体的な事例としてお聞きしました川崎の臨港署の李さん逮捕の問題、逮捕して直ちに釈放いたしました。いろいろな国内の世論その他もあったんでしょう。強い要請を私どもも行いました。この通達が出される前に、この委員会でも同僚の五十嵐委員が、恐らく現行の押捺に関する改正は行われるのでしょう、行います、いつごろですか、それはまだ明示はできませんけれども改正を行います、こういう御答弁でした。その過程に実は臨港署の逮捕、検挙があったわけですね。私はまさにいたずらに紛争を拡大したという気がしてならないのです。火に油を注いたような形ですね。次に出るべき我が国の外国人登録に対する取り扱いの改正あるいは法の改正を私ども期待したのでありますけれども、その改正を待っても時間的に決して不可能ではなかったと思うのですね。 私はこの逮捕、検挙したという動機は、警察庁那辺にあるのか、あるいは検察庁どの辺にあるのか、今のところ推しはかる以外はないわけですけれども、どうなんでしょう。今逮捕されまして釈放されました。いよいよこれからは検察の手にわたるわけですが、これは起訴されるんですか。いかがでしょうか。
○柴田(善)政府委員 お尋ねの件は、韓国国籍を有しまして川崎に居住されております李相鎬被疑者に対する外国人登録法違反事件でございます。 容疑の内容でございますが、被疑者が昭和五十七年、三年ほど前になりますが、八月に川崎市長に対しまして外国人登録法に定められました外国人登録証明書の切りかえ申請に際しまして、法で定められております外国人登録証明書などに指紋を押捺することを拒否されたというものでございます。 本件につきましては所轄警察署が任意捜査を継続してまいったところでございますけれども、李被疑者は再三の呼び出しにもかかわりませず出頭の意思が全く認められないということから強制捜査の必要があるという判断をいたしまして、逮捕状の発行を経まして五月八日に逮捕をいたしたものでございます。 被疑者は、検察庁に送致されました段階で被疑事実を認めたということ並びに今後の出頭要請に応じるという確約をしたということから、身柄拘束の必要性がないということで釈放されたと承知をいたしております。 起訴の点に関しましては現在私どもの手を離れておるわけでございますが、検察庁におきまして捜査を継続されているところでございます。処分につきましては検察庁でしかるべき御判断があるものと考えております。
○原田説明員 お答え申し上げます。 警察の段階での捜査、検察庁に対する送致の状況はただいま警察当局からお答えがあったとおりでございます。検察庁におきましては今月十日、横浜地方検察庁でございますが、身柄とともに事件の送致を受けまして本人の取り調べ等所要の捜査を行いまして、その段階で今後の捜査に当たり、被疑者を留置しておく必要はないという判断のもとに釈放いたしたと承知しております。今後さらに必要な捜査を遂げまして、諸般の状況も踏まえた上で最終処分が決定されることになると承知しております。
○加藤(万)委員 今度の通達によれば、これからは三カ月の期間を経て必ず告発する、告発しなければならない。告発する要件が各地方自治体で整いませんと、勢い今言いましたような犯罪の要件として逮捕状、同時に逮捕、さらに起訴するか否か。事が外交問題にかかわる問題でありますから、検察庁も今のところは慎重を期しておられるのでありましょうけれども、国際的に見ましても押捺問題は人権問題ではないか。いわゆる犯罪捜査を基軸にした発想、そこに我が国の外国人登録の押捺問題の一番根源がある。それが国際的には人権宣言に抵触する問題ではないかという指摘さえ受けているわけであります。 それがさらに今言ったような形で、ずっと今の押捺をしない者の経過などを見ましても、どうも懲罰主義、朱で書くとか、登録済み証明書を出さないとか、いわゆる報復あるいは懲罰主義的な要素、よく言われるところの刑罰主義的な要件を重視した外国人登録の方向性というものをどうしても私はぬぐい去ることはできません。結果的にはそういうものが積み重なって、最終的にとてもではないけれども窓口業務で何十万人という人はできません、こういう状況下にあるわけです。したがって、基本的なことも含めまして、窓口で行う地方自治体あるいはその職員も含めて理解と協力を得なければ、この問題はさらに火を注ぐような形に発展するのではないか。 外国人の場合には御案内のように日本の選挙権があるわけじゃありません。あるいはこうした機会に法律の改正を求めるということもその発言の場がないわけです。もし日本人の私どもとしてそういう人権的なそしりを受けないような条件づくりをしませんと、我が国が常に、朝鮮半島における過去の侵略的な経過、歴史的な経過、さらにそれに上塗りをするようなそういう条件の中に在日朝鮮人、韓国人の人を追い込めてしまう、あるいはそういう視野で国際的な指摘を受ける、こういうことを私は憂うのであります。 大臣、これは大臣に答弁をというところでございますけれども、何といってもやるのは最終的には窓口でございます。窓口は、先ほど申し上げたような形で大変説得がしにくい。むしろ日本人的な感覚から見ても、この押捺の取り扱いについては、どうも我が国の側に取り扱い上の非があるのではないかということが潜在的にあると私は思うのです。そのことが先ほどの生野区の課長さんあるいは市長さんの発言に出ていると思うのです。したがって、行政局長がお扱いになるのでしょうけれども、取り扱いについては、今言ったような視点を含めてぜひ再検討される必要があろうかと思うのです。入管局の通達をめぐりましても、ここ三カ月間の問題ですから、この通達そのものを実施をする上のより一層の協議の場がなければならないと思うのですが、ひとつ大臣の見解をお聞きしておきたいと思うのです。
○古屋国務大臣 今加藤先生のお話を聞いておりまして、この問題が非常に重要な問題であるということは私もよく認識を、恐らく先生もそういう考えで、私もそういう考えであります。 外国人登録は、警察庁というよりもむしろ法務省の立場でこういうことが行われておりますので、今の御意見等につきましては、私も法務大臣に、とにかくそういうことがありますということは閣議等の席において注意を申し上げておきたいと思います。 ただ、私が個人的にいろいろ問題としております考え方を申しますと、警察の現在の立場では、外国人の適正管理ということでこういうことが必要であるということが一般認識でございますが、お話のおじいちゃん時代から日本に住んでいる者あるいは戦前から日本に来た人、こういう人をそうでない方とどういうふうに区別できるだろうか。つまり前進的に考える場合の検討事項として、どうしたら区別できるだろうか。あるいは外国人一般に適用していることをこういうことで除外するにはどういう点に注意すべきであろうか。あるいは御承知のように国際上相互主義ということを言われております。そういう場合はどういうふうにやろうか、そういう事務的問題がいろいろあると思うのです。そういうような点も十分に検討しなければならぬ。 私は前に長いこと外国人の、韓国人のといいますか、国内処遇の問題におきまして、党でいろいろやらせていただきまして、金融の問題だとか就職の問題だとか、あるいは学校の先生として入る問題だとかいろいろの問題を扱ってきたのでございますが、福祉関係においては、日本におきましては今度の法律改正で大体同様になるという状況になっておることは先生も御承知と思います。そういうような経過を考えながら、今申し上げたような諸点を十分連絡いたしまして、この問題につきましては、関係省の事務当局の最高レベル会議で今検討を続けておるところでございますから、そういう点もよく考えながら、こういう問題は大所高所に立って検討を進めていかなければならないし、また、そういう点でほかっておくわけにもいかないので、そういう点も考えながら、法務大臣に対しましても今のような御意見につきましては私も十分連絡してまいりたいと思っております。
○加藤(万)委員 それじゃ大所高所から、高級の事務レベルのところでぜひ話を詰めてもらいたいと思うのです。 これは国家公安委員長である大臣に私はお願いをしておきたいのですが、臨港署の逮捕の状況も、私はなぜ待てなかったかと思っているのですよ、本当のところを言って。当委員会でもあれだけ議論があって、やがて改正の方向が出ますという段階で何も火に油を注ぐことはないのです。せんだって、この問題に対しては大阪府警のテレビインタビューがありましたね。日本に帰化すればいいんじゃないかとか、嫌な者は出ていけばいいんじゃないかなんという、まさに非常識ですよ。 私は、最近二世、三世の人と話し合う機会が大変多いのです。大臣の場合は御年齢が高いからどうしても一世の人とのつき合いが多いかもしれませんけれども、二世、三世の人になってきますとほとんど日本人的な感覚ですよ。もちろん言葉の中になまりはありません。ですから、彼らにしてみれば外国人としていること自身、実はおかしいなといったものを持っているのです。しかし、民族的には韓国籍、朝鮮籍をそれぞれ持っているわけですから、その点はあるにしても、日常生活や感情や、その中に生きているものはほとんど日本人的感覚ですよ。そこに、日本人と差別される指紋押捺問題に対して忌避反応が出るのは当たり前のことなんですね。この歴史的事実をよく踏んまえさせる教育をしてほしいと私は思うのです。ましてや、そういう人間は日本に帰化すればいいだとか、嫌なら日本から出ていけばいいじゃないかなんという言葉は、私はまさに教養を疑うのですね。ぜひ国家公安委員長としても御留意をいただきたい、こう思います。 法務省の方、警察庁の方、どうぞ、いいです。 さて、それでは本題に入りますが、この住民基本台帳の法案を検討しておりまして、今日の社会情勢、議論をしておりまして、これはひとり住民基本台帳だけでは問題は解決しないなどいう実感を実は持ったのです。と申しますのは、今日この改正に至る背景が、この趣旨にも述べられておりますように、住民基本台帳が持っている個人の情報の公的な所有という問題をめぐりまして、どこまでを公開すべきか非公開にすべきかというまさにプライバシーの保護の限界を示す法概念までこの内容に実は含まれているからなんです。本来ならば、この法案の個別条項に対して、技術論的にあるいは法律条項的におかしいとかおかしくないとかという議論をすべきでしょうけれども、この住民基本台帳法案を見れば見るほど、実は今日の情報化社会において公的に所有する個人の情報というものがどこまで公開をされるべきかされるべきでないかという、まさに法概念の基本的な部分を通らずして本法に対する賛否を決めることはできない、決めかねる、こういう観点で実は問題をとらえざるを得なかったのであります。 そこで、第一に私は質問をいたしますが、戸籍法は閲覧は禁止、そして交付についてはそれぞれ制限条項を設けて行う、そういう制度に法改正後なりました。この住民基本台帳に関する研究会の報告もずっと読んでみますと、おおむね戸籍法に盛られているような条項にすべきだという一つの流れといいましょうか、に読み取れるわけであります。どうでしょうか。戸籍法は身分にかかわる公証の制度です。住民基本台帳法は住居に関する公証の制度であります。私は、この制度の公開制という問題については、戸籍法のいわゆる非公開制と同じ次元で問題見詰めるべきではないか、そういう法概念を頭の中に置きながら、部分的な一件審査的な要素として法改正に当たるべきではないか、こう思っているのですが、法案を提起した省側の基本的な態度をひとつお聞きをしたいと思うのです。
○大林政府委員 今回の住民基本台帳制度の改正に関連する事柄といたしましては、確かに御指摘のように、昭和五十一年の戸籍法の改正によりまして、戸籍簿の閲覧については全面廃止をし、戸籍の写しの交付につきまして一定の制約を設けておるという先例がございます。 今回、研究会でいろいろ御討議をいただきまして、戸籍法の扱いとの関連をも頭に置きながら御論議をしていただいたわけでありますが、戸籍の住民の利用状況と住民基本台帳の利用状況というものが、その性格によって相当違ってまいっております。戸籍の利用状況に比較いたしまして、住民基本台帳の利用は範囲も数も非常に莫大なものになっており、それだけ国民の実生活に非常に密接な関連があるという実態があるわけであります。 そういう観点から、戸籍につきましては閲覧を禁止しておるけれども、住民基本台帳について、これを全面的に閲覧禁止に踏み切るというのは社会生活の便宜等から考えまして適当ではないであろう。とりあえず現在、住民基本台帳の閲覧あるいは抄本の交付について、いろいろプライバシー関係で問題になっております面に局限をして制約をする手法が一番適当ではないだろうか、こういう結論に研究会においても達していただいたわけでありまして、そういった線に沿いまして、今回の改正案の御審議をお願いした次第であります。
○加藤(万)委員 行政局長、そうしますと、今度は公開の見直しを行っているわけですね。公開の見直しを行っているということは、従来公の機関が持っている個人情報については非公開にしなければならない部分が含まれておるというように判断してよろしいのですか。
○大林政府委員 住民基本台帳に記載されております事項といたしまして、住所、氏名、生年月日、本籍あるいは続き柄、その他いろいろ法定事項がございます。こういった法定事項自体が一般的にこれは秘密の事項であるというふうには従来も考えてきておりませんし、現在も一般的にそれが秘密の事項であるとはなかなか考えにくいだろう。ただその記載の事項につきまして、場合によりあるいはその使用目的によりました場合に非常にプライバシー的な批判というものが起こってくる、こういう理解でございます。
○加藤(万)委員 行政局長、そこが極めて大事なんですよ。一般的に秘密の事項でないと実は考えています、しかし、個別的には秘密の事項があるというふうに思われるので、その分については請求者の目的によって制限を加えるというのが本法のあり方なんですね。しかし、どうですか、戸籍法は一般的に秘密にするべき事項が多過ぎる、もう秘密にすべき事項だという発想、とらえ方ではないんでしょうか。ですから、一般論としては閲覧を禁止する、しかもその交付に当たっては弁護士以下それぞれ公的な機関、本人はもちろんですけれども、そこに限定をして交付する、そういう制度になっているんですね。 私は身分の公証、住居の公証に法律上の差といいましょうか、それはないと思うのですね。したがっておっしゃるように、いや一般論としては公開であって、しかし内容的には今日の情報化社会でいろいろなことに利用され、あるいは時にはプライバシーにかかわる問題があるから、この部分については制限するというその発想は、どうも研究会答申から見て、本来非公開が目的だけれども、請求者の請求した目的によって公開をするのですという発想にすべきだと思うのですね。どうでしょう。 きょうは総務庁に来ていただいています。プライバシー問題のいろいろな研究を加藤教授を中心にしてやっておられるわけですが、公的に所有する諸資料、特に個人の情報、これを公開にすべきか、一般公開という中でとらえるべきか、それとも公開ではない、いわゆる今日の変わってきた社会情勢からいけば非公開にする中で目的によって公開をする、そういう方向に持っていくべきか、いろいろ議論があると思うのですが、最近審議会ですか、加藤教授がやっている委員会ですけれども、それの答申がなされ、それを受けて、法の概念として公に持っている個人情報に対する見解というものが答申の中にも含まれているやに聞いているのですが、その後の扱いとしてどういうように扱おうとされておるのでしょうか、御意見があったらひとつ。
○藤澤説明員 お答えいたします。 総務庁、旧行政管理庁の時代に、先生がおっしゃいますように、加藤研究会を開催いたしまして、この問題について研究検討を続けております。ただ、現在御審議いただいておりますこの住民基本台帳という問題と関連いたしましてお答えを申し上げますならば、私ども現段階でお答えできることは、やはり行政機関の保有する個人データというものが、今おっしゃいますように原則公開あるいは逆に非公開であるかということは、現段階で考えられるのは、それぞれの制度の創設の背景であるとか、その保護法益であるとか、あるいはそれぞれの制度の中で持っております個人に関するデータ、これはまたそれぞれ違うわけでございまして、そういうところから、一般的にどちらかとずばりと決めつけることは現段階では非常に困難ではないかと考えております。 ただ言えますことは、今回のこの改正の御趣旨にも、ただいまも御説明とお答え等がなされておりますけれども、おっしゃいますように情報化社会が進展してくるというようなことで、個人に関するデータも従来の取り扱いから社会の進歩に応じた取り扱い、配慮が必要になってくるというようなことで、事項によりましてはむやみに公開されてはいけないというようなものもあるということは考えられるのではないか、こういう考え方をしております。
○加藤(万)委員 今各地で公開条例がいろいろつくられておりますね。公開条例の中で個人のプライバシーにかかわる問題に対するいろいろな制限を加えたり、あるいは非公開にすべきだ。例えば神奈川県条例などを見ますと、「個人に関する情報であって、特定の個人が識別され、又は識別され得るもの。ただし、次に掲げる情報を除く。」と書いてありまして、次に、法令で定めるものを除くと、こう書いてあるのですね。すなわち今までの法律である限りは、現行の法律である限りは住民基本台帳の閲覧については率直にいって制限がないわけです。自治省の通達、指導要領では一応の制限をやっていますけれども、制限はないわけですね。地方で公開条例をつくりますと、今言った個人に関するプライバシーについてはこういう制限がありますよ。しかし、法令に定むるもの、すなわち上位法令として公開をしなければならぬという問題については、条例で制限を加えることは現実問題としてできませんからそこは除きます、こう書いてあるのですね。個人情報の個人が識別される、ないしは識別されることによって不利益をこうむるというようなところは大体除こう、にもかかわらず上位法令で定まっている部分は除く、こうなりますと実は穴があくわけですね。 そこで、個人情報の公開の統一性という問題を論議をする場合には、どうしても国が個人情報にかかわる一定の公開、非公開の原則的な立場といいましょうか、原則論をきちっと出しませんと、地方によっては大変混乱をする。今総務庁の方も一件ごとに問題を、こう言っておるわけです。しかしどうなんですか。最近プライバシー法として一括して、全体のプライバシーにかかわる問題はこういう制限をすべきではないかという一つの流れといいましょうか、あるのではないでしょうか。消費者の面、いろいろな面がありますけれども、個人にかかわる情報についてはプライバシー法で一定の枠組みをつくって、その中におけるさまざまな個別法令に対して云々、こういうことがある。そういう流れがあるということは、いわば個人情報に対しては、原則的な立場としては、今日の社会情勢から見れば、非公開の制度を相当取り入れなければ個人のプライバシーにかかわる問題が出ますよということを暗に象徴しているのではないでしょうか。このプライバシー法を全体でつくろうという動きがあるという話を聞いていますが、先ほどの加藤教授の委員会の答申を受けて、総務庁ではそういう方向性あるいはそういう検討をされているのですか。
○藤澤説明員 お答え申し上げます。 先生がおっしゃいますように、個人データ保護対策につきましては、従来から行政機関の保有する個人データを対象といたしまして、総務庁を中心に政府内部でいろいろ検討等はやってきておるわけでございます。臨調答申でも個人データ保護というものにつきましてはお取り上げになっておりまして、政府もこの問題については臨調答申の趣旨を踏まえまして、現在政府内に設けました行政情報システム各省庁連絡会議等の場を通じまして、法的措置を含め制度的方策について政府としての方針を取りまとめるべく検討を行っているところでございます。
○加藤(万)委員 行政局長、私は非常に大事だと思うのです。各地方団体ごとに公に持っている個人情報は一体公開が原則なのか、非公開が原則なのか。法概念としては一体どこを起点にして地方条例を定めるべきかという基礎的条件整備というものが国の段階でも相当必要だと思います。今まだ検討中ということでありますから、自治省も大きなかかわり合いを持つという観点から、その委員会あるいは総務庁が出してくる方向性について関心と意見をぜひ提言するようにしてほしいと思います。 今度の法案の内容について二、三触れていきます。 個人情報に対して、住民基本台帳を請求者側の目的によっては一定の制限をする、市町村長にその権限を与えてやる、これは一歩前進であることは間違いないと思うのです。省令あるいは政令で定めるといろいろ法律になっておりますから多くは聞きませんが、おおむねどういう場合に制限をされるのですか。あるいは逆に言えば、どういうものは公開性を持つのですか。
○大林政府委員 今回、閲覧あるいは写しの交付につきまして制約を設けておりますのは、不当な目的という概念で押さえております。この不当な目的というのが、極めて範囲が不明確である、確かにそういった御疑問があろうかと思います。現在私どもの方で不当な目的というのは、いろいろケースがあろうかと思いますけれども、みだりに続き柄を探りまくるとか、あるいは出生地を探ってそれを公表して、公表された人のプライバシーあるいは名誉を著しく傷つけるようなケースに一応限定をして、不当な目的ということで閲覧あるいは抄本の交付の制約ということにしておるわけであります。できますことならば、そういったはっきりした言葉を法律に掲げればということもいろいろ考えたわけでありますけれども、結局は、すべての不当なケースというものを包括した適当な法律用語がなかなか難しいということで、法制局とも最終的には不当な目的ということで統一して、そのときそのときの具体的なケースを積み上げながら、そういう具体的なケースを一つの実例として今後とも検討していこうではないかということになったわけであります。
○加藤(万)委員 確かに不当な目的というところは、いただきました政令、省令を見ましても、極めてあいまいですよ。これは後で申し上げますが、磁気テープの民間委託の問題、同時に民間委託されたところが磁気テープに打たれている住民票を公開するような場合、「不当な」という言葉があるのですが、「不当な」ではなくて、私は原則的に民間委託される磁気テープについては公開すべきでない、いかなる状況にあっても、自治体の機関あるいは責任を持つ機関を通さずして公開すべき問題ではないと思うのです。したがって、「不当な」という上の言葉をつけるのではなくて、使用してはならないというきちっとした法律用語に変えるべきだ、こう実は思っておるわけです。これは後で、磁気テープのときに御答弁いただきたいと思うのです。 そこで、こうこうこういうものについては公開してはいけませんよ、同時に、こうこうこういうものと言われる住民基本台帳に載っている個人の情報について、今度はアプローチすることができますね、コントロールすることができます。例えば、私は今まで所得はこれしかありませんでしたが今度はこうなりましたということも、事によっては記載されているかもしれない、それは修正ができます、訂正ができますというアプローチの方法ができました。いわゆる個人情報を私加藤が、例えば私の所属する茅ケ崎なら茅ケ崎の市役所にある住民台帳が間違っていた場合にはそれはアプローチすることができる、こういう法律になりました。 それでは、加藤万吉という者の個人情報を請求した側に対する公開はできないのでしょうか。例えば、氏名はわかりませんけれども、たまたま愛知先生が隣にいらっしゃるから、Aという人が加藤万吉の個人情報をとりに来ました、閲覧に来ました。私は、たまたまそれを友人から知りました。大変不愉快です。何のために愛知先生は加藤万吉の個人情報をとりに来たのでしょうか、ついては愛知先生が閲覧の申請、あるいは住民票の写しの交付をしたその目的を知らせてほしいということに対する公開制はありませんか。
○大林政府委員 確かに本人が、自分自身に対する情報を第三者が探りに来るということがわかりました場合には、自分のことが公表されておるんだから、自分のことを調べに来た人の情報は当然知りおくべき立場に立ってもいいではないかという御議論は、非常にわかりやすいお話であろうと思います。ただ、そういうことを制度的に法律に位置づけるかどうかということになりました場合には、第三者が御本人の個人情報を求めに来た理由というものがまたはっきりしないといけないわけであります。今回は台帳の閲覧あるいは抄本の交付につきまして、そういった理由をできるだけ書面で具体的に書いてもらうという方策にいたしておるわけであります。 それでは、そういった第三者が請求した理由が具体的に本人にわかるというような場合に、今度は第三者のプライバシーというものをどう考えたらいいのであろうかという一つの問題があります。同時に、事務的にそういう体制に立ちますためには、そういった第三者の請求書といったものを相当程度整理いたしまして、すぐ索引できるようなシステムにする必要もあるわけでございます。事務的にもかなりな負担になるであろうという気がしないでもありません。ただ、基本的には御本人の問題と第三者のプライバシーの問題、この二つの相対立する問題をどう考えたらいいのかということについては、正直まだ私ども結論を持っておらないわけでありまして、現在の段階では、これを制度的におっしゃるような御意見として法律上位置づけるというところには踏み込みかねておるわけであります。
○加藤(万)委員 横浜でこの件で訴訟が起きておることは御存じのとおりですね。横浜で請求者の公開に対して区長がお断りしました。市長も請求者の目的あるいは請求者の氏名をお断りしました。それは個人情報に対する区、市のいわば公開制に対する職権の乱用という言葉は悪いのですが、そういうことで、本来公開すべきだということで今訴訟が起きておるのです。 私は、市や区役所がそういうことを一体どういう立場で拒否されたのだろうかという根拠がわかりませんでした。法律上は書いてないから公開はしませんということでお断りしたんだろうと思っておったのです。ところが、これは東京都総務局行政部が五十九年七月に出した資料ですが、これによりますと、「法が規定する閲覧等の対象は、住民票及び戸籍の附票(除票については、昭和四十二年十月四日自治振第百五十号で準ずる取扱いとしている。)についてであり、申請書は含まれていない。従って申請書の閲覧は、法の規定するものでなく、その取扱いは、一般の個人データと同様に扱うべきものである」云々と書いてありまして、「申請者及び対象者のプライバシーの侵害等につながるおそれがあるからである。」と書いてある。すなわち申請書、いわゆる個人票の閲覧ないしは抄本を交付してほしいという申請書については、その対象者、いわゆる申請者のプライバシーの侵害、申請者にもプライバシーがあるというのです。 私が神奈川県条例ができたときに、そういう議論があったのですかと聞いたら、ありますと、いわゆる第三者のプライバシーという問題も実はあるのです。したがって、第三者の保護をする以上は、当然先ほどの例でいきますと加藤に対するプライバシーの保護もしなければなりません。行政局長が言うように、申請者に対しては法的にも今検討中で、これからどうしたらいいかなかなか難しいところですというお話でした。これもやらないかわりにこっちもやらない、こっちも公開するかわりにこっちも公開します。今のこの法案でいけば、氏名、年齢あるいは男女の別は一般的に公開しますということになりますね。同じように申請者の側も氏名、年齢、男女の別は公開します、こうなればつり合いがとれるのです。個人の住民基本台帳に対するアプローチが、その面の修正ができると同時に、自分の情報が社会的に公開されるコントロールもそういう部面ですべきだと私は思うのです。 これだけ各都道府県で、公開条例の過程で申請書に対する取り扱いがいろいろ出ているにもかかわらず、なぜ今度の法案の中に盛り込まれなかったのですか。盛り込まれてないとするならばその取り扱いについては、今昭和四十二年のものに準じて云々とありますから、私はその通達、資料を今手元に持っておりませんから東京都のこの示達で話をしているわけですけれども、それ自身を改正される用意がありますか。二つの問題についてお答えいただきたい。
○大林政府委員 先ほど申し上げましたような経緯で、今回制度的にはそこまで踏み切っておらないわけであります。おっしゃいますように、本人のプライバシーと第三者のプライバシーが均衡がとれればいいじゃないかということはまことにそのとおりであります。 ただ、現在私ども一つ疑問点として残っておりますのが、確かに氏名、生年月日、住所、こういったものは見せる、そうすると、それだけに限って申請者の名前を出してもいいではないかというのは確かにごもっともでありますが、同時に、申請をいたします場合には、申請書に閲覧の具体的な理由を書いてもらうということになるわけでありまして、その具体的な理由には当人同士の債権、債務の問題その他、むしろ今度は第三者のプライバシーにかかわるのではないかというようなものも含まれてくるケースがかなりあるんじゃないだろうか、そのあたりのことが具体的な一つの決断にまで至らなかった原因であります。 この情報公開とそれからプライバシーとの関連、これは非常に難しい問題でありまして、先ほど来御意見にもありますように、総務庁を中心にして勉強はいたしておりますけれども、なおかつ個々具体の場合にどう二つの要請に対処していくのかということにつきましてはなかなか一般的な哲学ができておらないのが現状であります。お示しの現在訴訟提起中のケース、こういったものについて、裁判所の方で具体的なケースとして情報公開とプライバシーとの関連ということでどういう判決が出るかということをも注目しながらさらに勉強させていただきたいと思います。
○加藤(万)委員 局長、私どもは具体的な哲学がないからここで論議しているのですよ、混乱しているから。先ほど総務庁にも申し上げましたように、そこの視点はしっかりしませんと、全体の法体系の中で大変地方自治体、機関委任事務を受けているところ、あるいはこれは固有事務ですけれども、固有の事務を受けているところは混乱しますよ。したがって、全体の法概念としてどうすべきかということを双務的な公開制という問題も含めて検討されるべきが至当ではないか、こう実は申し上げているわけであります。ひとつぜひ御検討いただきたいと思うのです。 理由をいろいろ書くから、こう言いますけれども、実際問題として住民票の請求というのは六千万件でしょう。六千万件を超えるものを一々理由を見て——私は正確な数字、今ここにちょっとメモがなくて困っているのですが、大体興信所それから銀行あるいは金融機関、私的金融機関、そういうものが一括して求める。またはサラ金の場合、住民票を取り寄せてこの人間はどこをどう歩いているかをやるとか、酒田なんかに例がありましたね、それによって住民一覧表みたいなものをつくるとかいう。そういうものが三千万件ぐらいあった、こう聞いているのですね。正確な数字はまたいずれ資料としてお願いしたいと思うのですけれども、実際問題として目的別に判断できませんよ、窓口では。 そうしますと、勢いおっしゃるような内容も含めて、閲覧も、あるいは時には住民票の写しの交付も、窓口ではこれ以上の業務能力としては無理ですということで出す、その結果としてそういうプライバシー問題が公にされて困る条件というものは幾つか出てくると私は思うのですね。それだけに私は、どこまで公開すべきかという、いわば大きな法概念の線引きをいい意味でされることが必要だろう、こういうことを申し上げておきます。 今現実に横浜の事件が起きているわけですが、局長は裁判の成り行きを少し見る、こう言っておりましたが、一番御存じでしょうけれども、この場合の市長に対する裁決の取り消しの請求が出ているわけですね。仮処分を求める請求、訴えが出ているわけです。それで今横浜市が大変困っているわけです。法概念からいけばこれは公開すべきだ、先ほど何回も申し上げましたように。しかし、請求者の公開はできません。この法律に基づいて執行する限りはそういう観点になるわけですね。これは裁判で争っているわけです。どうでしょう、行政局長、この裁判を恐らく承知されておると思うのですが、この裁判の進行に対する見解をひとつ、あなたの行政局長という立場から、行政上例えば横浜市がとっている今日の対応の仕方、これが現行法律の体系の中ではやむを得ない方向だというように思いますか。
○大林政府委員 確かに本人あるいは第三者をめぐるプライバシー問題の一つの具体的な例として、訴訟という形でお示しの事件が審理されておるわけであります。このプライバシーの衝突の問題を、そういった具体的なケースで裁判所がどう判断するかということが今後のまた行政指導の参考になるという意味で注目をしておる、こうお答え申し上げたわけであります。 個々具体の情報公開なり、プライバシーあるいはそれぞれのプライバシー同士の衝突をどう制度的にあるいは運用の面で解決していくかということになりますと、基本的な哲学がなかなか難しいものでありますから、結局具体的なその都度その都度の裁判例、実例というものを積み上げていく、言うなれば、現在の段階はこういった問題は残念ながらまだ試行錯誤の段階というふうに私ども認識せざるを得ないわけであります。そういう意味で裁判の成り行きを注目しておるところであります。
○加藤(万)委員 試行錯誤する時間が長ければ長いほど、各所で起きる可能性があるわけです。 私は何回も申し上げるようですけれども、いわゆる上位法令によって窓口が訴訟を受けるなどというばかなことはさせたくないのですね。住民票を交付するかしないかという問題は固有の事務ですから、これについてはどうということはありませんけれども、しかし法令、それから来る通達、それによって各地方の自治体が訴えられるというような状況はできる限り避けるべきであり、同時にまた早急に解消すべき問題だと思うのですね。試行錯誤だけでは実は困るので、先ほども申し上げましたけれども、総務庁の藤澤さん、ぜひひとつ早急に今までまとめられた問題をずっと整理して、先ほど哲学なんて難しい言葉が出ましたけれども、一つの法概念をまとめることが必要だと私は思うのです。でなければ窓口は、条例をつくる過程でもあるいはこういう問題を通しても必ず問題が提起をされる。試行錯誤でなくてなるべく早急に結論が出ることを私は期待をし、また要請をしておきたい、こう思います。 そこで次に、今度これに磁気テープをもって調製をすることができるという法律になりました。現実に住民票について、それぞれの自治体で磁気テープを利用しているところもあることは私、承知をしております。どうでしょう、磁気テープにインプットした場合には、目で見る住民基本台帳というのはなくしてもよろしいのでしょうか。あるいは備えつけをしなければならないものでしょうか。
○大林政府委員 今回、磁気テープで住民台帳を作成する、つまり磁気テープ自体を住民台帳と法律上位置づける、こういう改正をいたしたわけであります。 これは現実の問題といたしまして、実際の運用がもう磁気テープで運用されておるという実態を踏まえた改正にいたしたわけであります。結局は、磁気テープで住民情報をその都度収録するというのが時間的にも一番正確である。台帳、つまり紙でそういったものを整理するということにつきましては、やはりある程度の時間的な誤差というものも出てまいります。と同時に、やはり実際の運用から見てみますと、必ずしも住民台帳の閲覧について住民台帳そのものを見せなければならないケースというものもそうないだろう、むしろ住民台帳の抄本的なものを事実上市町村で用意をいたしまして、こういったものを閲覧の用に供しておるという実態もございます。 したがいまして、一応磁気テープそのものを住民台帳として位置づけたわけでありますけれども、場合によりましては住民台帳そのものが閲覧の必要があるというようなケースもあるかと思います。そういった場合には、さらに住民台帳を磁気テープから別途つくるという必要が出てくるかもわかりませんけれども、今後の私どもの指導といたしましては、住民台帳そのものをわざわざつくるというよりは、抄本なりそれにかわるべきもの、できるだけそういったもので閲覧の用に供してまいりたい、これも一つの事務の合理化というふうに考えておるわけであります。
○加藤(万)委員 OAシステムが発展しますと、公文書のいわゆるシステム化、電子化というものが進むと思うのですね。今度の場合、ずばり言えば今の局長の答弁は、磁気テープにインプットされた場合には住民基本台帳は備えつける必要はないということでしょう。公文書という場合には、我々の観念が少し古いのかもしれませんけれども、可視できるもの、目で見れるもの、これが一般的には公文書として社会通念上は位置づけられておりますね。磁気テープというのは御案内のように目で見ることはできません、磁気に真空の状態の中でインプットしているわけですから。ましてや、それが民間に保管されておるということになりますと、あとはもう端末で引き出す以外にはないのですから、これからの公文書は可視的なものでなくてもよろしい、こういうように理解してよろしいですか。
○大林政府委員 情報化時代の進展に伴いまして、既に磁気テープそのものを帳簿である、あるいは台帳であるという位置づけをしておるケースが、特許とか商標とか自動車の登録とかいろいろな面でふえておるわけであります。もちろん現実に行政事務として必要な場合には、その磁気テープに収録されておる情報をその都度可視的なものに転換いたしましてこれを利用するわけでありますけれども、制度といたしまして磁気テープそのものを住民台帳として位置づけることによりまして、現実の運用と法律の制度というものの整合性を図ったわけであります。 〔委員長退席、平林委員長代理着席〕
○加藤(万)委員 先ほども申し上げましたように、身分を公証するものは戸籍謄本です。それから住居を公証するものは住民基本台帳です。運転免許証とか自動車車両番号とか、これはインプットは可能でしょう。社会的に身分を公証するもの、住居を公証するものが磁気テープにインプットされておるからそれでよろしい、公文書として社会通念上通用するという発想はどうもいただけないですね。 局長も御存じでしょうけれども、電話の料金の請求なんかもインプットされたもので我々の家庭に参りますね。何十万、何百万という番号がつきまして、そして番号によってその人の氏名がわかる。あの氏名がほとんど片仮名、平仮名なんですね。御承知のように日本の字というのはなかなか難しいのです。私なんかもよく間違えられるのですが、国会の私のテーブルのこの名刺がありますけれども、最近直してくれましたが、当初これはちょっと違うかなと思った。万吉の「吉」(きち)という字は「吉」(よし)ではないのです。「吉」は下が短いのです。ところが、皆さん、書くときには吉日の「吉」というのは大体下を長く書かれるのです、書く人があります。あれは豊臣秀吉の「吉」でして、万吉の「吉」ではないのです。「吉」と「吉」じゃ大分違いますからね。財産相続の場合なんかこの問題が起きてくるのです。 そういうことになってきますと、可視できるもの、いわゆる手で書いて紙に残したものと、今日のOA、オフィスオートメーションシステムの科学の限界というものはどんどん進んでいますから今の時期でどうかという判断しかできませんけれども、大変危険な要素を持ってくると思うのですよ、特に日本語の場合には。したがって、公文書としてインプットされたものがすべてそれで調製できますという発想は、やはり公文書としては住民基本台帳というものをきちんと備えつけた上で、そして住民票を請求する、何千万とあるわけですから、そういうものに対してはインプットされたものから端末で出してやる、こういう式はわかりますけれども、それ自身の台帳が磁気テープに備えつけられたものをもって代替できるという発想は、私はどうも納得ができません。私は、この磁気テープの科学的な技術的な条件というのがどんどん日に増して進歩していますから、その見合いもあるでしょうけれども、当面は可視できる公文書というものを備えつけられるべきではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
○大林政府委員 この磁気テープを制度上は住民台帳とみなすという措置をとりましたのも、現実の市町村の電算の運用の増加状況から、従来から地方団体自体からそういった意味の御要望が実は多くあったわけであります。 〔平林委員長代理退席、委員長着席〕 もちろんそういった磁気テープを住民台帳とみなしましても、先ほど申し上げましたように現実の住民の利用あるいは行政事務の必要、そういったものにおきましては必ず可視的な台帳的なあるいは帳簿的なものが必要になるわけでありますから、閲覧等におきましても、必要な限りのそういった可視的な文書というものは作成をして便宜に供するということになるわけであります。
○加藤(万)委員 今の点については大変慎重に扱わなければなりませんから、今皆さんにもお願いをして、本法を執行する場合の責任ある条件整備というものをぜひ私は意見として述べ、同時にまた、当委員会でもそういう意見を採択されるように後でお願いしておきたい、こう思うのです。 磁気テープが民間に保管されますね。先ほど私は「不当な」、こういう問題について御提言しました。どうですか、御意見を聞かしてください。
○大林政府委員 磁気テープを民間に委託してこれを管理させておるという団体もまた相当数ふえてまいっております。したがいまして、民間にそういう事務を委託した場合に、その委託された民間の当局者が住民台帳を不当に利用する、あるいはみだりに住民台帳の事項を外に漏らすということになりますと、これは大変な問題になりますので、あわせて民間に委託する場合に、訓示規定ではございますけれども、外に出さないような、不当な目的に使わないような義務規定というものをつくったわけであります。もちろん民間に委託するにいたしましても、その管理自体の責任は委託元の市町村にあるわけでありますので、市町村の方で民間の業者に委託する際に契約書において、その磁気テープの保管あるいは使用等につきましては厳格な条件をつけるように従来から指導しておるわけでありまして、今回の改正を契機といたしまして、一層の厳重な管理について契約条項等に盛り込むように指導して、遺憾のないようにいたしたいと思っているところであります。
○加藤(万)委員 これは大事ですから、大臣、答弁をいただきたいのです。 今この法律が通りますと、磁気テープはいわば法律的にも認知をされたということになるわけです。この法律だけとは言いませんけれども、これから各地方団体が使うであろうOA機器は、お金に直して大体一千億を超えるだろう、一千億以上の機械が発注されるだろうと世上言われているのです。この法律が通りますれば、私はこれは大変な勢いで進むと思うのです。とにかく住民票が六千七百万件もあるものが端末で引き出せるのですから、恐らくそういう方向へ行くでしょう。そして何カ町村かが合同で民間委託をされる、あるところのメーカーに委託をされるという場合もあるでしょう。 これは奈良県の市で起きた、当該市は言いませんけれども、住民票の中に固定資産税がインプットされておるのですね。御案内でしょうけれども、同和事業の固定資産税は減免措置があるわけです。インプットされていますから、それが一緒に出てきちゃったわけです。戸籍法のときにも一番問題になったのは部落の問題でした。差別の問題。特に戸籍の問題は、今度の場合には附票については大変厳格な法律規制を行うというふうにしてありますけれども、磁気テープがそういう形で区分をして、端末で引き出すことが不可能な場合もあり得るわけです。最近の技術では大分そこはなくなったようです。私も、この質問をするに当たって技術者に聞いてまいりました。いや、加藤さん、そういうことはもう大体なくなりましたよ。しかし、インプットする側が固定資産税やさまざまな税の対象もそこに一緒に繰り込んでしまうということになりますと、そういう事例がないわけではないわけです。また現にあったわけです。 私は、今民間に委託をされる磁気テープの不当な使用目的、行政局長は訓示規定、訓示的な要素を持っているというお話ですが、本来不当に使われるというよりも使っちゃいけないというふうにすべきだと思うのです。特に、興信所とかさまざまなところで、先ほど言いましたように、年間何千万件という住民票やそういうものの交付の依頼がある場合には、それはいろいろ目的があるでしょう。税の問題もあるでしょう。あるいは今の、販売するために個人の住所が欲しいんだというものもあるでしょう。特に、サラ金が追っかけていくということもあるでしょうが、中には地名年鑑に見られたように、何か差別の条件として探り出すという用に供されないとは限らない。しかもそれが目で見れないところに保管してあるわけですから、相当厳重な管理運営、あるいはもしも漏らした場合、それに対する懲罰規定ですね、私は懲罰までいっていいと思うのですけれども、こういうものを設けるべきだと思うのです。 恐らくこの法律が通った。後に政令あるいは省令、通達が出されると思うのですが、実はこの部分については省令をいただきましたけれども、政令を出す場合、道路運送法だとか特許法だとか、それに見合った管理をするとしか私のところでは説明がなかったのです。これじゃいけないと私は思うのです。いかがでしょう。大臣の見解を聞きたいと思うのです。
○大林政府委員 事務的に先にお答え申し上げたいと思います。 確かにおっしゃるとおりでありまして、この磁気テープを業者に保管を委託する場合には、いろいろな危ないケースが考えられるわけであります。電算の進歩に伴いまして、いろいろな行政庁でいろいろな書類がそれに打ち込まれておるわけでありますけれども、昭和五十年代に入りまして、事務次官会議等でその磁気テープの扱いについての厳重な管理の申し合わせもございます。また、これを受けまして自治省といたしましても都道府県に対して、情報管理という面で、その磁気テープを委託する場合、委託先の保管方法といったものについて厳重な指導をしてまいっておるわけであります。今度の改正におきまして一応制度的な手当てはいたしておりますけれども、その具体的な指導につきましては、政令あるいは省令、規則、さらには通達におきまして極めて具体的な細かい指示を考えて、都道府県あるいは市町村に対して指導をしてまいるつもりであります。
○古屋国務大臣 今局長も答えましたように、やはり秘密の保護という点も一面にあるわけでございますから、せっかく磁気にしましてもそれが乱用されるといいますか、管理の面をきちっとしなければならぬということはお話のとおりであると思っております。そういう意味におきまして、これが通過させていただきました暁におきましては、何らかの法的措置あるいは通達、そういうものによりまして、今お話しのような点、不当な目的に使われないように管理をいかに厳重にするかということにつきましては、今のお話の御趣旨を十分体しまして、自治省として適切な処置をいたしてまいりたいと思っておるところであります。
○加藤(万)委員 行政局長は訓示規定としてというふうにおっしゃいましたが、ぜひそこは訓示規定ではなくて、大臣の御答弁のように、管理とその保管の責任、同時に、責任を持つ以上は、それを不当な目的で流用された者に対する処罰とまでは言いませんけれども、省令、政令における何らかの規制をきちっとつけ加えられる、加えて通達を出されるということを私は要求をしておきたいと思うのです。 安田先生の時間がなくなってしまいましたが、最後に私の方でいま一つだけお願いしたいのです。 住民票を選挙管理委員会に提出しますね。氏名、年齢、それから男女の別、一般的にはその程度のようですが、従来の住民票に記載されているようなことは全部選挙管理委員会には通知をされるのですか。また、請求があれば出されるのですか。これはいかがでしょう。
○大林政府委員 御案内のように、選挙人名簿は選挙権行使のためにつくっておるわけでありますが、ただそれは、住民基本台帳を基礎として選挙人名簿をつくる、こういうことになっております。したがいまして、転出入等住民の異動がありました場合には、住民台帳サイドの方でこれを受け付けますと、住民台帳の記載事項の中で選挙権の行使のために必要な、例えばいつ転入したか、住所期間がどうであるかということがわかりますようなもの、あるいは任所、氏名、そういった必要な事項について選挙管理委員会の方に連絡をする、こういう事務手続になっております。
○加藤(万)委員 実は、きょうは記載事項の内容についても質疑をして明らかにしたい点があったのです。例えば内縁の妻を住民票では未届け、こう書きます。あるいは非嫡出子については戸籍謄本と書き方が違います。したがって、その住民票の写しをそのまま選挙管理委員会へ出し、選挙管理委員会は選挙人名簿として一般公開するわけです。そうしますと、本来目的条項では、これは非公開にしますよということが、市町村長の権限を越えたところでは崩壊する可能性があるわけですね。選挙管理委員会がこの名簿を受け取った際に、本法の改正と同時に、やはり何らかの規制をされるべき条件整備が必要ではないかと私は思ったのですが、いかがでしょうか。選挙管理委員会が受け取った住民票、いわば選挙人名簿を作成するための住民票の公開について、自治省と選挙管理委員会との間で何らかの話し合いというのはあったのですか。
○大林政府委員 選挙管理委員会の方で閲覧に供します選挙人名簿は、選挙人名簿の抄本を使うということになっておりまして、選挙人名簿の抄本は、住所、氏名、生年月日というものに限定をされておるところでございます。(加藤(万)委員「男女の別はありませんか」と呼ぶ)男女の別もございます。そういった問題で選挙管理委員会あるいは選挙人名簿が悪用されるということは直接には考えられないわけでありますけれども、しかし、場合によりましては選挙人名簿の方を、住民台帳が制約されるために悪用されるということが考えられないではありません。したがいまして、今回の法改正によりまして、第十五条の第三項で、選挙管理委員会におきましても住民台帳と同じような管理をするような義務規定を置いたわけであります。
○加藤(万)委員 選挙管理委員会でこの管理をするための義務行為を本法で規定づけをしたわけですが、選挙管理委員会の規則としては、具体的な選挙人名簿の閲覧時に対するそういう話し合いといいましょうか、自治省と選挙管理委員会、あるいは選挙管理委員会事務局というのですか、そことの話し合いがなされたものですか、私、そこの方を聞きたいのです。
○大林政府委員 選挙管理委員会当局におきましても、こういった住民台帳の閲覧にまつわる問題というものは従来から厳しく受けとめておりまして、選挙人名簿の抄本の閲覧を通じてまた差別事件が起きるから、何とか取り扱いを考えてほしいという要望が従来からも出ておりました。したがいまして、今回の改正に伴いまして市町村、都道府県、指導通達を出しますときには、選挙管理委員会においてもこういった義務規定ができたのだから、選挙管理委員会の内部手続として十分な整備をするように指導するつもりであります。
○加藤(万)委員 これは行政局長に聞くのは少し筋違いかもしれませんけれども、今国会で選挙法の改正、六・六案が大変問題になっておるところです。国勢調査を基礎にしていろいろ定数の問題を検討しようということが出ています。選挙人名簿は、いわば投票時における選挙人の確認であります。 例えば私は、住民票から来る選挙人名簿と、それから国勢調査によるその地域の人口とは大分違うと思うのですね。今、国会で各党がいろいろ論議されている国勢調査による人口によって議員の比例配分というのは、大変微妙なところが最近員数の面であるようでして、どうなんでしょうか、選挙人名簿が基礎になって行われるべきものでしょうか。あるいは国勢調査に上る人口の増減というものを基礎にやって、従来この定数是正などが国会で議論になるときに、どっちの単位を主として取り上げて選挙法の改正の有権者の確定をしたものでしょうか。
○大林政府委員 従来、定数是正のたびごとに、国勢調査人口を基礎とするのか、あるいはその都度その都度の有権者数を基礎とするのかということについては、その都度議論がございました。お話しのように、実際に選挙をするのは有権者であって、未成年者は選挙権がないのだから、未成年者を加えた人口を基礎にするのはおかしいじゃないか、こういう議論もございます。これはまた、学界においても両論昔からあったわけであります。ただ、考え方といたしますれば、現在、明治以来国勢調査を基準にしておる。諸外国においてもほとんどが人口を基準にし、有権者を基準にしておるところは極めて少ないという事情も踏まえまして、今日まで国勢調査を基準にしておるわけであります。 理屈を申しますと、確かに選挙権の行使というのは有権者が行使をする、したがって、有権者を基礎にして定数の計算をするのがいいじゃないかという理論もありましょうけれども、一方、議員の先生方は憲法上はやはり国民全体の代表者である、したがって何も有権者だけの代表ではない、年少者のことも考えてお仕事をされる。つまり国民全体の代表ということを考える場合には、やはり国勢調査ということにした方がいいんじゃないかという説の方が従来は強かったということであろうと思います。
○加藤(万)委員 選挙人名簿は有権者、いわゆる満二十歳以上のところでやりますけれども、住民票そのものは全人口把握をするわけですから、私は、選挙法の問題はできる限り実態に近い形で選挙を行うということが一番いいんじゃないかという私見は持っています。ただ、おっしゃられるように、有権者による云々という説もありますから、これはそうこだわりません。 ただ、私が言いたいことは、大臣、もう時間がありませんから総体的なことを私は申し上げますが、まず第一に、この住民基本台帳の問題を議論すれば、あるいは研究すればするほど、今日の情報化社会というものに対応する公に持っている個人情報の公開制という問題が、原則的に法の概念として確立をしませんとどうにもならない。いわば個別に一件審査でやっていく条件はもう過ぎてきました。したがって、概念としてどうあるべきかということを、戸籍法はこうです、住民基本台帳はこうです、特許法の方はこうです。せんだって法人登記の方が法務委員会で通りましたけれども、私はあのときも、あのコンピューターの使用について、さていいんだろうかなという実は疑問を持ったぐらいなんです。各法ごとにこの公開制の問題についての、公に持っている情報の公開制という課題について大変線引きが難しくなっている。いわんやそれを受けて、地方自治体で情報公開条例をつくった場合の条件はなおさらのことである。より以上すそ野が広がるわけですから、より以上そこには格差と断層が生まれている。したがって、できる限りその整備を早急にひとつ内閣としてやってほしい。それが一つです。 それから、公開をする場合にはやはり双務的なもの、今横浜で起きているような、片方は公開しますけれども片方は公開しませんということによって地方自治体が裁判所に出頭せざるを得ない、いわゆる固有の事務でありますから、そういう条件は上位法の中では絶対与えてはいけないと思うのです。個別の条例ならば、そこは県議会その他で直すことはできます。しかし、上位法令で来た場合には、地方自治体では、そこの修正をする権限は議会としては持ってないわけですから、したがって、この二つの面を含めてひとつ御検討いただきたいというのが第一です。 それから第二には、今幾つか私は、この法令に基づきまして事例を挙げました。大臣もそうだろうと思うのですが、紙に落としてない公文書というのは、どうも私どもの年齢以上になりますと率直に言ってなじみません。磁気テープに入っているものが公文書として今日活用される、このことについてどうなんだろうかという率直な疑問があると私は思うのです。調製をするというだけで、近代的なこのOAシステムの中だけに行政機関としての公文書が繰り込まれたことを、黙って腕をこまねいて認証してよろしいのだろうか。これはやはりひとつ研究をする材料ではないかと思うのです。 第三には、これが民間に委託になるということによって起きる問題です。さまざまな問題、いわゆる目的条項も含め、あるいはその他も含めて、実際問題として一々の住民票請求の請求者のチェックができないとなれば、民間に委託されたその個人情報というものが、端末によってはもうどこでもとれるのですから、キーと番号さえわかれば今とれるという時代なんです。そういう科学的な進歩の時代における保管と責任というものはどうあるべきかという問題も、この中に、この背景には大きな課題としてある、私はその四点ぐらいに絞ってきょうは御質問をし、同時にまた意見の交換をさせていただいたつもりでいます。どうかひとつその辺を配慮した上で、本法の取り扱い、政令、省令にゆだねる部面をひとつしっかりと大臣の目を通して施行をお願いしたい、こう思うのです。最後に大臣の御意見をひとつお聞きしたいと思うのです。
○古屋国務大臣 今のOA化の時代というもの、お話しになりましたように、私のような年ではなかなかOA化の流れに対応できないようなところもあるわけでございますが、しかし、お話しの点につきましては、これから今後の政令あるいは省令、そういう問題につきまして、あるいは通達の問題につきまして、今のような四点につきましてはひとつ慎重に私どもも目を通しまして、御留意の点につきましては適切に対処するように努力をしてまいりたいと思っております。
○高鳥委員長 午後一時より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時一分休憩 ————◇————— 午後一時開議
○高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。小谷輝二君。
○小谷委員 最初に、第二臨調で最終答申の中に指摘されております情報公開の流れ、また同時にプライバシー保護、こういう二つの時代的要求といいますか、重大な現在の時の流れというものがあるわけですけれども、専門家の間におきましてもいろいろ論議が尽くされておるところでありますが、ここで大臣に最初に、要するに知る権利、また知られたくない、守るべき権利といいますか、この二つの論議を踏まえて大臣はどのような御認識を持っていらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。
○古屋国務大臣 情報公開とプライバシー保護の関係につきましては、今日まで情報公開の制度を取り入れた地方自治体におきましても、そういう個人の保護ということについてはある程度除いておるようなところが多いようでございます。情報公開という制度は、いろいろの住民のニーズにかなっためにも私は当然情報公開していかなければならないと思うのでありますが、ただ、その反面におきまして、個人のプライバシーの保護、特に業として、例えば出版あるいは名簿づくりを業としているような方からそういうような保護をすることは極めて必要であると私は考えております。 そういう意味におきまして、プライバシーの保護というのは、そういう方からもどうしても守っていかなければならないという基本認識についてはいろいろ議論のあるところでありますが、個人の人権の立場、それが不当に利用されないようにということで、そういう限界に立ちまして私は情報公開というのは条件つきで認められるべきであり、その条件はやはり厳重に守っていかなければならないという観点でございます。
○小谷委員 さきに戸籍法、これが五十一年に、プライバシー保護という見地からこの閲覧が廃止されております。また、戸籍謄本、抄本、この交付につきましてもプライバシー保護という見地から制限をするという改正がなされておるわけでございますが、今回の住民基本台帳法の改正の理由も、五十一年の戸籍法の改正のときと全く同じプライバシー保護という見地から改正されたものである、このように思うわけでございます。既に五十一年当時でも、住民基本台帳についてもプライバシーの侵害にかかわる問題があるのではないか、このような状況もあり、論議もあった、このように思うわけでございますが、それにもかかわりませずおおむね九年おくれて現在まで改正されなかった。これは何かそれなりの理由か特別なわけがあったんではないか、このように思うわけでございますが、この点はいかがでしょうか。
○大林政府委員 お話しのように、昭和五十一年に戸籍法で戸籍の閲覧が禁止をされました。その時点では戸籍と住民台帳と比較いたしますと、その利用度というものが格段に違うわけでありまして、戸籍の閲覧を禁止いたしましても、住民台帳の閲覧が残る限りは特段の支障はないと法務当局が考えられたわけであります。 並行いたしまして、私どもとしましても、戸籍に取り扱いを準じて住民台帳の閲覧の制約を設けるべきかどうかいろいろ検討したわけでありますが、先ほど申し上げましたように、戸籍の利用度と住民台帳の利用度が格段に違う、世間の、社会の利用度というものが非常に大きいものでありますので、いきなり戸籍と並行して住民台帳で閲覧を禁止してしまうのもいかがなものかということで、むしろ法の運用、つまり行政指導ということで、不当な目的については閲覧を制約するようにという指導を今日まで実は続けてきたわけであります。 ただ、その後いろいろな住民台帳を利用した遺憾な事例も見受けられ、なおかつ法律で全面公開をしておるのに、行政指導で一部制約をするということにつきまして、市町村の窓口での対応がなかなか難しい。相手に粘られますとなかなか、制度はこうなっておるのにどうして見せないのだ、こういう混乱がだんだん起こってきたわけであります。ごく最近になりまして、市町村の方からも、何とかこの際制度自体を見直してもらいたいという要望も相当出てまいりました。私どももこの十年間の客観情勢を見ながら、今回の制度改正に踏み切った次第でございます。
○小谷委員 地方自治体におきましても、情報公開、この動きについては非常に意欲的でありまして、特に五十七年に山形県の金山町、ここで情報公開条例というのが制定されておりますし、それ以来情報公開という機運は各自治体にもかなり広がってまいりまして、自治省の調べでは、昨年末現在で、既に情報公開条例が制定されておる自治体は五都道府県、十八市町村、要綱等で公開を実施しておるところが一県、一市、あと県並びに市町村におきましても、五百十六市町村が情報公開条例を現在検討中である、このように言われているわけでございますが、あわせてこの機会に、情報の公開という時代の流れ、この動き等について、それぞれ自治体が独自に特色を盛り込んだものが随分あるようでございまして、これはこのままほっておいていいのかどうか、特に問題なしと言い切れるのかどうかという問題も起こってくるのではなかろうか、このように思われます。 そこで、現在の情報公開の現状と今後の問題点について、まず自治省の考え方というものをこの際ただしておきたいと思いますので、この点よろしく——。
○大林政府委員 山形県の金山町を嚆矢としまして、次第次第に情報公開条例を制定する団体がふえてきております。しかも、都道府県におきましてもなお検討中という作業に取りかかっておる団体がほとんど、市町村におきましてもだんだんそういった傾向がふえてまいっております。 第二臨調の答申にもありますように、今後行政に対する住民の参加という観点から、あるいは行政に対する住民の理解という観点から情報の公開は大変必要である、したがって国においても統一的な情報公開システムについて、地方団体の状況も参考としながら十分に研究をしていくべきだ、こういう答申が行われております。現在総務庁を中心にして関係各省でいろいろな会議で勉強を始めておるわけであります。 問題は、今後情報公開というものをどう進めていくかにつきましては、一つには、それぞれの市町村の情報公開を行いますための体制の整備というものが前提となってくると思います。 〔委員長退席、平林委員長代理着席〕 書類の整理、索引あるいは公開をする施設、そういったかなり投資的な面も用意する必要もございましょう。同時に、あわせて情報公開条例の中でどういうことを規定していくのか、どういう規定の仕方が一番その地域の情報公開にマッチするのかという問題があるわけであります。現在のところ、地方団体におきまして、その地域地域の住民の感情、こういったものも勘案しながら、独自の情報公開条例を制定しております。 大きく分けますと、文書を公開するにいたしましても、決裁前の文書まで含めてやるのか、あるいは決裁後、完結した文書にするのか、あるいは実施機関としては執行機関のほかに議会というものが入った方がいいのか悪いのかとか、請求権者の範囲はその住民に限った方がいいのか、必ずしも住民に限らない方がいいのか、そういった根本的な問題について、いろいろ各地域において独自の規定を設けております。 なお、私どもとしましても、今後情報公開そのものの推進ということについては努力をしてまいりたいと考えておりますが、現在は御案内のように、情報公開をどういう形でやるべきかという一つの定型的な考え方というものが、国としてもまだ固まっておりません。むしろ現在は、地域の住民の協調あるいは職員の協力、こういったものの熟成の度合いに応じて条例が定められておる段階でありまして、各地の市町村からの御相談がありました場合に、大体既成の条例の内容あるいはそれについての問題点というものを参考にしていただくように申し上げておるところでありまして、現在のところは、市町村の地域に応じた自主的な条例というものを推進してまいっておるわけであります。
○小谷委員 住民基本台帳の記載事項、これがプライバシーに関するものなのかどうか、またこれが法的に保護をされるべき性格のものかどうか、この論議が、この種の判例としては唯一の判例とされております山形県の鶴岡市、ここで住民台帳のコンピューター処理を業者に委託した、これが住民から、これではプライバシーが守られないではないかという訴えに対して二審判決があったわけであります。この種の判例としては珍しい判例でありますけれども、昭和四十九年三月二十五日の判決で次のように述べております。非常に難しい言い回しのようですが、「法的救済の対象たるプライバシーとは、私生活上の事実又は私生活上の事実らしく受け取られる恐れのある事柄で、一般の人々に未だ知られていなくしかも一般人の感受性を基準にして、その私人の立場に立った場合、公開を欲しないであろうと認められるもののことをいい、基本台帳の記載事項は、一般的にはほとんどこのプライバシーには属さないものといえる」、こういうややこしい言い回しで、「台帳の公開は、居住関係の公証等により、住民の利便を増進し、あわせて国・地方団体の行政の合理化に資するという制度目的に適合するための、いわば公共の福祉による立場から是認されたものだから、プライバシー保護も、このような公共の福祉による制約を受けるものである」、こういうことですね。 結局、山形地裁の判決では、基本台帳の公開の制限そのものは、これは慎重に扱うべきであって、むしろ公開が原則である、しかもプライバシーの侵害ということにならない、こういう意味の判決があったわけでありますけれども、この判決と今回の法改正と、この兼ね合いはどのようにお考えになっておられますか。
○大林政府委員 御指摘の判決、先ほどおっしゃいましたとおりでありますけれども、判決の中におきましては、住民台帳の記載事項がプライバシーに属するか属さないかに関しましては、一般的には法的に保護すべきプライバシーには該当しない、こうしておりますが、例えば戸籍の表示でありますとか世帯主との続き柄等については、地域的な事情、生活状況等によってはみだりに公開されることを欲しないプライバシーに該当する場合もあり得る、こういうことを言っております。つまり、原則的にはプライバシーには該当しないだろうけれども、場合あるいは地域によってはプライバシーに該当する場合もある、こういうことであろうと思います。 今度の法律改正におきましても、この住民基本台帳の記載事項がプライバシーに属するか属しないか、公開をすべきかすべからざるかの判断におきましては、この判決を直接受けたわけでもございませんけれども、やはり従来のいきさつから考えまして、一般的に住民台帳の記載事項が公開に適しないというふうには考えておりません。ただ、戸籍の表示でありますとか世帯主との続き柄、これを利用する側の不当な目的があらわれるというような場合には、これはやはりプライバシーに該当する場合もあるということで、不当な目的で利用される場合の制約を制度上設けた、結果論といたしましては、この山形地裁の判決の考え方とほぼ同じ考え方に立っておるわけであります。
○小谷委員 地方自治体におきましては、行政の情報の公開とあわせて情報のコンピューター化というのがかなり進んでおるわけでございますが、あわせて、先ほど大臣からもいろいろ話がありましたプライバシー保護の対策、これも地域の市民の要求に応じ、ニーズに合ったように保護もしていかなければならぬということで、プライバシー保護対策というものもかなり進んでおります。 コンピューターの処理、これをやっておる自治体がもうほとんどで、全都道府県が一〇〇%コンピューター化しておるわけでございます。市町村でも八六%ぐらい、あと共同利用等もあるわけでございまして、コンピューターによるところの処理に伴うプライバシー保護、この現状、先ほどは情報公開の問題点、これをお尋ねしたわけですけれども、今度は、要するにコンピューター処理化されておる現状の中でのプライバシー保護、この問題についてかなり今問題があろうかと思います。非常にプライバシー保護の立場から懸念されておるという問題もかなり起こっております。この点についてはどのようにお考えでしょうか。
○大林政府委員 プライバシー保護に関する条例を市町村、都道府県で制定を始めました軌機というのは、やはり電算機の導入の普及ということにあると思います。 御案内のように、昭和四十年代後半でございましたか、一時国民背番号制というようなことが大変な批判の的になったわけでありまして、その後プライバシーの必要性ということがやかましく言われると同時に、電算で処理されるデータがむやみやたらに外部に漏れるということに対する危機感というものが相当世間に蔓延をしてきたわけでありまして、これが地方団体においてプライバシー保護条例が非常にふえてきた直接の原因であろうと思います。国といたしましても、こういった電算処理に伴いますデータのうちで、特に漏えい、滅失あるいは棄損のおそれがある、そういうものを防止する必要があるということから、昭和五十一年に「電子計算機処理データ保護管理準則」というものを各省の事務次官会議で定めまして、それに基づいて現在各省が連絡会議等において検討を行っておるところであります。 自治省といたしましても、各地方団体の電算機の普及に応じまして、先ほどの事務次官会議の準則の趣旨に即した的確な保護管理を図るよう、通達で今日まで地方団体を指導してまいったわけでありますが、近年さらに情報が高度化いたし、さらに今後も電算機を利用する団体がふえてまいるであろうという状況にかんがみまして、本年度、学識経験者等で構成をいたします地方公共団体のデータプライバシー保護対策のあり方に関する研究会というものを省内に設置したところであります。今後こういった研究会での研究成果、あるいは総務庁などで研究をされます検討の動向を踏まえまして、指導の徹底を図ってまいりたいと考えております。
○小谷委員 今日まで、住民基本台帳を改正されるまでに、プライバシー保護という立場から、原則公開というものから一部制限を加えるということで、現行法の中で自治省の局長通達ということで一部制限する措置がとられてきたやに承っております。その大要はどんなものだったのか、御説明いただきたい。
○大林政府委員 住民台帳をめぐりまして、市町村の窓口で好ましくない事柄が起こりましたり、あるいは混乱が起こってまいりましたことに備えまして、既に昭和五十六年ごろから数回にわたりまして、指導通達で閲覧についての取り扱いを指導し続けてきたわけであります。 その指導の内容は、現行の住民基本台帳法に閲覧を制約する一つの事由として、正当な理由がある場合には制約できるんだ、こういう根拠条文があるわけでありますので、今回の法律改正でお願いしておりますような不当な差別的事象につながるとかいうような場合を想定いたしまして、そういったような動機による請求については拒否できるという指導をしてきたわけであります。その場合に、できるだけ請求の具体的な理由を書いてほしい、こういう要求を市町村側から請求者にするように指導してきたわけであります。実際問題として、冒頭に申し上げましたように、これもあくまで行政指導でありますので、法律制度自体が全面公開となっておる前提のもとで、指導にも限界が来たというのが市町村の窓口の実態でありますために、従来の指導を法律改正によって制度上位置づけたというのが今回の改正でございます。
○小谷委員 要するに、今まで自治省の行政局長の通達ということで指導してきたけれども、通達ではプライバシー保護ということにはつながらなかったということで今度の法改正が図られた、こういうふうに認識していいわけですか。
○大林政府委員 そういうことであります。
○小谷委員 それでは今度は、改正される「住民基本台帳の閲覧」に関する法第十一条第二項、ここで「前項の請求は、」すなわち閲覧の請求は、「請求事由その他自治省令で定める事項を明らかにしてしなければならない。ただし、自治省令で定める場合には、この限りでない。」このように規定されているわけでございます。この点につきまして大体五つぐらいに分けてお尋ねしたいと思います。 まず第一点は、「請求事由その他自治省令で定める事項」、これは請求者の住所、氏名、職業などを考えておられるのか。要するに、省令で定める事項というのは具体的にどういうものなのか、御説明願いたいと思います。
○大林政府委員 閲覧請求の手続として今後省令で定める予定をしておりますのは、閲覧をする場合には閲覧を請求する理由を書いていただくと同時にい今おっしゃいましたような請求者の氏名、住所あるいはどの範囲を閲覧したいかという閲覧の請求範囲、こういったものを省令で規定をいたしたいと考えております。
○小谷委員 それでは第十一条の第四項、「請求が不当な目的によることが明らかなとき」は、これらの「請求を拒むことができる。」これは現行法での運用はそれぞれ決めてやっておるわけでございますが、不当な目的使用が明らかな場合、また、それの相当な理由、これを閲覧申請書類で判断ができるのかどうか。これは現行の運用と全く同じように、明らかに本人、親族であることを確かめるため身分証明書の提示を求めるとか、また、尋問によって確認するとか方法はあろうかと思いますけれども、ほかに新たな何かを考えておられるのか。この点はいかがですか。
○大林政府委員 おっしゃるとおりに、不当な目的の判断基準が非常に難しいわけであります。私どもも、研究会でいろいろ学識経験者にお願いをしまして御意見も伺い、あるいは法制局においてもいろいろ立法技術を考えたわけでありますけれども、どうしても閲覧を制約すべき場合の具体的なケースというのを法律用語として個別に書くことがなかなか難しい。結局は一括をいたしまして、最後には不当な目的というものでくくらざるを得ない。したがいまして、制度的には不当な目的ということで押さえるわけでありますが、考えておりますことは、住民票の続き柄の記載等によって嫡出でない子であることなど、いわゆる他人に知られたくないと思われる事項をみだりに探索し、あるいはこれを公表するとか、そういうプライバシーの侵害につながる場合あるいは差別的事象につながる場合、公開の制約をすべきであるというふうな考え方を持っております。 ただ、それをどういうぐあいに判定をするかという問題になるわけでありまして、結局請求をする場合の請求書に請求の理由をできるだけ具体的に書いてもらう、その具体的な記述の中から窓口で判断をしていただくという以外に現在のところは方法はないわけであります。幸いにしまして、五十一年の戸籍法の改正以来、法務省の方におきまして、戸籍簿の抄本の交付につきまして、やはり不当な目的の場合にはこれを制約いたしております。この十年間の法務省における不当な目的の判定あるいは請求理由の書かせ方、こういったものの具体的な事例をいろいろ集めまして、市町村を指導してまいりたいと考えております。
○小谷委員 第二項のただし書きで、自治省令で定める場合は請求理由を明らかにしなくてもよい。その自治省令で、本人のほか、国、地方の公務員、それから弁護士、司法書士、行政書士が職務上請求をする場合を考えておられるようでございますが、これはたとえこのような弁護士、司法書士、行政書士であったとしても、使用目的はあるはずなんですから、請求理由と使用目的をちゃんと述べさせ、記載さすのが本当ではないかという意見があるわけでございますが、この点はいかがですか。
○大林政府委員 今後、請求理由を書かなくてもいい範囲といたしまして、国、地方の公務員でありますとか弁護士その他行政書士、司法書士等、法律に基づいて一定の仕事を公的に行っておられる方々、こういった方々の職務上の請求におきましては、請求事由まで明らかにすることは必要でないだろう。むしろこういう方々は、職務上の請求である限りは不当目的に使うということは一般的には考えられない。さらに、もしも不当目的に使ったという話になりますと、それぞれの弁護士法なり行政書士法なりの規律によりまして、職務上の守秘義務違反ということにもなるわけであります。 ただ、こういった方々でも、果たして職務のためなのか、全くの私用なのかということは確かに判定をする必要があるわけでありまして、請求理由というよりも職務のためかどうかは明らかにしていただく、こういう予定をいたしております。
○小谷委員 これは、先ほど御説明あった自治省の現行法での通達の中で、「プライバシーの侵害又は差別的事象につながるおそれがあると認められるとき」は請求に応じなくてもいい、こういうふうな自治省通達が出ておるわけですけれども、その通達に基づいて定めたものでございますが、大阪府下の市町村では「住民基本台帳事務取扱要綱」、これを定めております。これには閲覧項目を住所、性別、氏名、生年月日に限定をするということ、それから基本的人権、プライバシー保護に留意し、閲覧目的以外に使用しない旨の誓約書をとること、それから、申請書に申請人の住所、氏名、使用目的等を記載させること、それから申請理由、目的を明らかにしない請求の場合はさらに啓発に努める、このような運用でのプライバシー侵害、基本的人権の侵害の防止ということを行っておるわけでございます。 また、住民票の写しの交付につきましても、弁護士、司法書士、行政書士等からの職務上の請求の場合であっても、提出先とか使用目的とかというものを記載するように協力を求めて、そして現在この要綱に基づいて既に実施しておるわけでございます。これにはそれぞれ行政書士、司法書士等もみんな従って現在行われておるわけでございますが、この制度が今度の法改正によって後退することになるわけです、実質上、現場におきましては。こういうことになるわけでございますが、この点についてはいかがでしょうか。
○大林政府委員 従来、地方団体におきまして独自に閲覧の制約あるいは条件というものをつくっておられるわけであります。私どもは今までの通達、指導におきまして盛り込みました内容を今回制度的に基礎づけるという観点から改正をお願いしておるわけであります。もちろん今後運用によりましていろいろ考え得ることがあると思います。ただ、やはり公務員でありますとか、公的な法律に基づいて仕事をされておる、その職務上の義務に違反するというような場合には、それぞれの法律で厳重な制裁措置があるというような範囲におきましては、具体的な理由まで制度的に要求するというのはいかがなものであろうかということを考えました。 したがいまして、ただそれが私的なものか職務のものかということぐらいは、これははっきりさせないといけない、あるいは必要な場合には誓約書ぐらいはとる必要はあるであろうとは思います。ただ、制度的にそこまで規定をするということでなくて、その運用につきましては通達等によって補充をしてまいりたいと考えておるわけであります。
○小谷委員 そこで、弁護士、司法書士または行政書士、これが職務上の閲覧または写しの交付を受けたとします。これが例えば差別事象につながるようなことに使われたりした場合、これは罰則規定の適用はどのようにかかってくるのか、ここらはいかがですか。
○大林政府委員 そういった公的な仕事に携わる方々が不当な目的で住民台帳の閲覧をした、あるいはみだりに外部に出したというようなことになりました場合には、弁護士でありますと弁護士法、あるいは行政書士でありますれば行政書士法の誠実に業務を行うべき旨の責務規定違反ということになりますし、同時に守秘義務規定違反ということにも相なります。それぞれの法律におきましてそれぞれの会における制裁処分、こういったものもございますし、それぞれの法律のそういう制裁措置にゆだねる、こういうつもりでございます。
○小谷委員 これは、不正に使用されたということで一般の場合は罰則規定がなされるわけですし、また偽りの使用目的ということになれば、それはそれなりの偽りの目的でした罰則規定に該当するわけですけれども、この場合、使用する目的を書かなくともいいわけですから偽りということにもならない。したがって罰則の当てはめようがない。職務といってもどこまでが職務上で、例えばこういう人たちは商売ですから、依頼された人の目的等がどんな目的であるのかということも、これは判断するのは大変なことではなかろうかと思うのです。したがって、住民票の写しの交付を受ける場合にはそれなりの使用目的を、何かに使用するということはあるわけですから、少なくとも使用目的はきちっとさすべきではないか。そうでないと法の目的、プライバシー保護ということにはならないんではないか、このような抜け穴があれば。しかもこの法改正の罰則規定の当てはめようもないということになるわけですが、この点はいかがでしょうか。
○大林政府委員 確かにそういう御意見があろうと思います。それは公務員であろうが弁護士であろうが、そういった公的な仕事に携わる方々であっても、やはり故意にそれを悪用されるというようなことはあると思います。あると思うのでありますけれども、そういった方々については、性悪説的な立場というよりは、それぞれの法律で規制をされておる公的な色彩の強い立場の方々でありますので、この際は性善説的な立場に立って、それぞれの法律の分野における制裁措置というものにゆだねた方が適当ではなかろうかと考えておる次第であります。
○小谷委員 さらにこれは、例えば当初の目的が業務上のいろいろな仕事の目的であったとしても、それ以外の目的にさらに利用される場合だって、これは差別事象につながる問題だって起こってくるわけです。この点の判断はできますか、どうですか。
○大林政府委員 その閲覧をする時点では不当目的はなかった、しかしその後気が変わってと申しますか、不当な目的に使われること、これは往々にして考えられるわけであります。ただ、そういう段階まで法律で把握するということはなかなか難しゅうございます。そういった不祥事というものが起こりました場合には、やはり今後は地方団体の方でそういった不祥事の連絡をとり合って、そういった方々の閲覧については厳しい態度で出るというような事実上の対応ということにならざるを得ないのではないだろうかと思うわけであります。
○小谷委員 それでは、現行法で自治省が、要するにこれは地方の問題についてされておる通達で、五項目に分けて一番最後に「差別的事象につながるおそれがあると認められるとき」、こういうときには請求に応じなくてもいい、こういうふうな通達が出ているわけです。 〔平林委員長代理退席、委員長着席〕 ここらがこの一点でぼやけてしまうわけですし、なおかつ弁護士法とか司法書士法とかいう住民台帳法以外に守秘義務とかいろいろな形のものであるとしても、どこまでがこれで歯どめがかけられるのか、これは問題だと思うのですよ。実際上歯どめをかけられますか。
○大林政府委員 確かに事務的には、窓口で閲覧請求に対しまして不当なおそれがあるかないかを判断するというのは、現実問題としてはなかなか難しいわけであります。ただ、従前は制度自体が全面公開ということになっておりましたために、できるだけ歯どめをかけるような努力をしようと思いましても、制度的な制約というものがございますからなかなか無理がある。そこで、少なくとも今回の改正によりまして、従来の指導というものと法律の仕組み、制度の考え方というものが一致をするようにという最小限度の改正を今回行ったわけであります。 窓口におきます不当な目的による使用をするかしないかという判断自体の難しさは、今後も確かに続こうと思いますけれども、これは先ほど申し上げましたような法務省におきます戸籍抄本の交付の際の不当な目的による制約のチェック例、こういったものを具体的に集めまして、一つの実例として市町村に便宜上流すということを現在考えておるわけであります。個々の具体的な実例の積み重ねによって、この制度の趣旨を生かしていく以外にはないのではないだろうかと考えておるわけであります。
○小谷委員 そこで、全国に数ある行政機関の現場の窓口で、この法が施行された後に、現在の要綱によってみんな協力してやっておる段階で、今度の法改正でそれが崩れて、そして法改正で我々は、例えば弁護士さんとか行政書士、こういう方たちが、法律上明確に除外されている、にもかかわらず、なぜそれに使用目的とかを明確にしなければならないのだ。例えば行政指導要綱をそのまま運用面でしたとしましても、要するに後退した今度の法律改正でむしろ混乱を起こすのじゃないか、こういう懸念すらあるのですよ、ここらはどうなんですか。例えば指導要綱でそのようにして今までどおりやったとしても、それに従わなかったとしても、今度の法改正の罰則規定に全く当てはまりませんね。よほど混乱を起こすおそれがある、このように懸念される、この点いかがですか。
○大林政府委員 そういう点も考えまして、一般人並みに扱うべきか、それとも少し特例を設けるべきか、いろいろ考えたわけでありますけれども、先ほど申し上げましたような経緯で、さらには制度的に現在ある程度定着をしております戸籍関係、戸籍簿の抄本のチェック、つまり戸籍簿の抄本につきましても、抄本交付の請求の場合には一定の条件をつけておるわけでありますが、戸籍法におきましても、そういった公的な仕事をしておる方については例外扱いをしておる、そういった制度的な並びということも考えたわけであります。
○小谷委員 ことしの三月の二十日に大阪府は、部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例、こういう条例を制定いたしました。要するに興信所条例と言われるものでございますが、これは全国に先がけて制定されたわけでございます。これは興信所だとかまた探偵社、ここらの身元調査、そこで部落差別を助長するおそれのあるもの、これを厳しく規制する。プライバシー保護を目的とする今回の法改正と全く趣旨は同じ目的を持つものでございますが、この興信所条例について自治省はどのように評価されておられますか。
○大林政府委員 今回の大阪府の興信所条例につきましては、大阪府におきます大阪府下の部落差別事象の発生の防止という目的で制定されたものと承知をいたしております。 こういった条例の内容につきましては、私どもも御相談を受ける場合には、現行の法律体系との整合性から見ていろいろ御相談に乗るわけでありますけれども、こういった条例自身は、それぞれの地方団体におきます特殊性というものに基づいて、自主的におつくりになっておるものだと認識をしておるわけであります。
○小谷委員 本改正案の第十二条第五項、ここで第一項の住民票の写し等の交付、この「請求をしようとする者は、郵便により、同項の住民票の写し又は住民票記載事項証明書の送付を求めることができる。」このようになっておるわけでございますが、現在サラ金業者によるところの住民票の写しを郵便請求している件数というのは激増しておりまして、市町村の窓口の業務に非常に支障を来しておるという実情が明らかになっております。 例えば大阪府で実態調査の結果は、五十九年六月に行っておりますけれども、郵便請求全体のうち、サラ金業者の債権取り立てその他営利を目的としたものが八〇%です。五十七年度から五十八年度、この一年間の増加率というのは、個人請求のものが二一%増加しておりますけれども、サラ金等の営利を目的としたものが四七%増加している。このように郵便によるところの営利を目的にした請求が激増しつつある。今後もますますこの種の請求が激増するのではなかろうか、こういう状況でございます。これは将来問題が起こるのではないかと思いますが、自治省のお考えはいかがでしょうか。
○大林政府委員 今回の改正によりまして、閲覧あるいは住民票の写しの交付請求をする場合に、相手方の営業のいかんによってこれを規制するということはなかなか難しいと考えております。したがいまして、当面は不当な目的いかんということだけで押さえておるわけであります。ただ、おっしゃいますように、サラ金業者等あるいは金融機関といったものからの写しの交付請求がふえてきておるということは私どもも認識をしております。 そこで、今後いろいろ指導の段階におきまして、むやみやたら家族の住民票の写しまで交付請求をするような場合には、やはり家族まで債権債務関係はないのでありますからそういうものは除きまして、あくまで債権債務に関係のあるものに限定をするような指導をすることも考えております。さらに今回の法律の施行状況を見ながら、そういった具体的な取り扱いについても改めて運用面の検討をいたしてまいりたいと考えております。
○小谷委員 大阪の島本町という自治体で制定されておりますプライバシー保護条例がございます。ここでは個人情報の収集の禁止、それから目的外使用の禁止、他の行政機関とのコンピューターの結合の禁止、外部委託の際のプライバシー保護等々について細かく規制されたものでございますが、自己情報の閲覧、訂正請求権、ここまでかなり大幅に盛り込んだものです。これらの内容と今回提案されております改正案と比べまして、プライバシー保護を同じように標榜しておるものでございますけれども、非常に立ちおくれが目立つように思われてなりません。そこで、自治体のこのような条例も一通りは研究されておられると思いますけれども、自己情報のコントロール権、これを保障する改正案というのが今まさに必要ではなかろうか、このように思うわけでございますが、この点はいかがでしょうか。
○大林政府委員 確かにプライバシーの保護一般の問題ということになりますと、現在既に百数十団体でプライバシー保護条例をつくっておりますように、データの収集、これを勝手気ままに行わない、あるいはその使用目的は明らかにして使用する、さらには他の機関との端末連結の禁止等々がそれぞれ条例に盛り込まれております。 これは恐らくはかってのOECDの勧告なり、これを受けました行政管理庁の意見書といったものを参考にして策定をされたのであろうと思います。つまりプライバシーそのものを一体どう考え、全般的にどう扱うかという場合には確かにそういった配慮が必要になるわけでありますが、事今回の住民基本台帳の取り扱い自体について考えます場合に、住民からの届け出、これを住民票として作成するわけでありますが、住民票に関する限りは、結局は場合によって不当な目的に使われることへの制約以外は、個人情報ではございますが、一般的にプライバシー保護の対象になるようなものは今回の改正措置以外はないんではないだろうか、こう考えておるわけであります。
○小谷委員 最後に大臣にお尋ねしたいわけでございますが、プライバシー保護の措置が条例、規則等でかなり今手厚く措置されていくという状況にございます。そこで例えば大阪の八尾市の条例を見てみましても、電算機処理を民間の業者に委託しておるわけでございますが、この条例の中に市の職員と同じ秘密漏えいの禁止、しかもその責務、これに対して個人的秘密とされるデータを漏らした場合には業者に対しても明確な罰則を課す、ここまで条例で盛り込んでおるわけであります。 このような情勢の中で、情報の公開とあわせてプライバシー保護、高度情報化社会を迎えていくに当たりまして大切なことは、申し上げましたように、あわせてプライバシー保護ということもより大切になってまいるわけでございます。特に行政の最先端で携わる自治体の対応もさることながら、その責任も重くなってまいります。さらにその指導的立場にある自治大臣としても、ここらの考え方を将来どのように展望され、どのように対応していこうとされるのか、最後にお尋ねをいたしまして質問を終わりたいと思います。
○古屋国務大臣 今までの先生の御質問、私も非常に関心を持ってお聞きしたのでございますが、やはりプライバシー保護という問題は、情報公開という原則と同時に、一方においては私は大きな柱でなければならぬと思っております。そういう意味におきまして、今回基本台帳法の改正をいたしましたのは、住民意識の変化とかあるいは情報社会の進展というものに対応して、基本台帳制度における住民に関する記録の一層適切な管理というようなことを目的とするために市町村長の責任を明らかにいたしまして、台帳の閲覧等の制度の合理的な改正を図るなどの措置を講じておるのでありますが、やはりその基本は、私が先ほど申し上げましたが、プライバシーに対する国民の不安というものは相当強いものがございます。したがいまして、私は、プライバシーの保護はあらゆる場合に忘れてはならない大切なものと考えております。 そういう意味で、今後改正法の趣旨、内容につきましては十分周知徹底を図りまして、市町村における住民に対する記録が適正に管理されますように、先ほども申し上げましたような適切な管理ということをいたしましてプライバシーの保護は十分に守ってまいらなければならないと思い、そういうような措置を講じてまいる所存でございます。
○小谷委員 終わります。
○高鳥委員長 岡田正勝君。
○岡田(正)委員 冒頭に、本案とは直接の関係はないのかもしれませんが、今やプライバシーを守るということは、この法案の大臣の提案理由の説明の中にも一言触れてあることでありますからそれについて申し上げますが、プライバシーとは一体何でございますか。
○大林政府委員 プライバシーという言葉が出ましたのは、おおむね昭和四十年代に入ってからというふうな記憶を持っておるわけであります。それぞれの学者によりましても、確とした定義は現在の段階でもなおかつ定着をしておるとは思いませんが、かつてのプライバシー関連の判例の中身から考えました場合には、自分の私的な事項で人に知られたくないもの、あるいはひとりにしておいてもらいたい権利と申しますか、こういったものが従来プライバシーの権利と言われておった一般的な内容であろうと思います。 ごく最近は、それぞれ各方面の研究の結果、そういった消極的な色彩のある面だけでなくて、自分の情報を自分で管理するんだという積極的な面もプライバシーの概念の中に含めるべきだという御意見もだんだん高まっておる、そういった状況であろうと思います。
○岡田(正)委員 次にお尋ねしますが、今回の法律案の中では、基本台帳にかわって磁気テープを使用してよろしいということになるわけですね。そこで、この磁気テープそのものは、保管の問題に入るかと思いますけれども、例えば磁気が弱ってくる、あるいはいつの間にか磁気が消えておった、あるいはテープそのものが間延びをしちゃって、これは変な例えでございますけれども、我々の演説の録音をとっておりましても、何年かたちますと全然役に立たない、一つもわけがわからぬ、こういう事例が数多くあるのでありますが、ここで言う磁気テープというのは、我々素人が知っておるような磁気テープじゃない、特殊な実にすごく立派なものであるという意味の磁気テープでございますか。磁気が弱くなったり消えてしまったり、あるいは損傷したり欠落をしたり間延びをしたり、そんなことは絶対にありません、こういうものでございますか。
○大林政府委員 私どもも余り技術的な面については詳しくはないわけでありますけれども、現在各公共団体で使用されている磁気テープと総称されておりますものにもいろいろなものがあるようであります。具体的には磁気テープのほか、磁気ディスクとか磁気ドラムとか光ディスクとか、最近の技術進展に伴いまして大変立派なものができておるようでありまして、御指摘のような事故は通常は起こらないというふうに聞いております。
○岡田(正)委員 問題は、これは住民の基本的な台帳でございますから、この磁気テープがあれば無理に他に台帳をもう一そろいつくる必要はないよというところまで踏み切っておる問題でありますので、そういう事故は一般的には起こらぬと思いますというような答弁でこの法律を通していいのでしょうか。
○大林政府委員 もちろん御指摘のとおりでありまして、従来からこういった電算関係のデータの保管管理につきましては、事務次官会議等の申し合わせによりまして、それぞれの部門においてデータ保護管理者という責任者を置く、あるいは具体的な取り扱いは別途の委員会にかけて決める、さらにはその保管あるいは運用、そのテープ全般につきまして保護管理者の責任のもとで担当者を決めて、そういった事故、棄損の防止に努めておるところでありまして、今後ますますその重要性はふえてまいるものであろうと思います。
○岡田(正)委員 午前中の加藤委員の質問の中にもあったかと思いますが、住民の基本台帳といえば、私ども素人はよくわかりませんけれども、ここで言う磁気テープに保管をされるものはすべて漢字でございましょうね。片仮名ではないですね。
○大林政府委員 電算にもその水準でまだいろいろなものがあるわけでありますが、住民基本台帳法で、磁気テープそのものを住民台帳とみなすという場合の磁気テープは、おっしゃるように漢字として出てくるものでなければなりません。
○岡田(正)委員 ということになりますと、手間を省くあるいは少ないスペースで多くの資料を収集できるというように非常に利便があるわけでありますから、将来に向かって各地方自治団体が恐らくこの漢字のいわゆる磁気テープに切りかえていかれる趨勢になると思うのです。その場合、三千三百二十五の団体のうち漢字で磁気テープをとっていないところが一体どのくらいあって、それを漢字の磁気テープにかえていくように設備をすることになりますと全国で一体あとどのくらいの費用がかかるものですか。
○大林政府委員 現在住民記録を電算処理しております市町村のうちで、漢字オンラインシステムで処理しているものが二百五団体ございます。全体の千三百七十八団体の数からいたしました場合には、漢字オンラインシステムで処理しているものはなお二百五団体にとどまっております。 そこで、今後こういった住民台帳とみなされるようなオンラインシステムに切りかえるためにどのくらいの費用がかかるかというのは、現在まだ積算をいたしておりませんので、また後日調査をいたしてお答えをいたしたいと思います。
○岡田(正)委員 ちょっと物足りませんが、突然の質問ですからいたし方ないと思います。 それでは次に、先般来何人かの委員がいろいろと心配をしておっしゃっておられた中に、テープの委託をした業者の管理の責任、保管の責任、こういうものは一体どうなるのだろうか、この法律案にありますとおりに、五千円から五万円までの過料みたいなものでおしまいでございますか。
○大林政府委員 電算を委託する場合には、先ほど来引き合いに出ております五十一年の事務次官会議によって決まりました取り扱い準則、これに沿って自治省通達が各地方団体に従来流されてまいっておりますけれども、その中に電算データの委託をした場合の管理準則というものも盛り込まれております。できるだけ具体的に、厳重に、個々の地方団体が業者に委託する場合に、委託契約の中に必要な事項を盛り込むようにいたしております。現実に、委託契約の中で、大体そういった準則に基づいた内容が盛り込まれておりまして、もしも事故あるいは不祥事等が起こりました場合の契約解除の問題であるとか、あるいは損害賠償の問題であるとか、そういう条項も契約の中に盛り込まれておるところであります。
○岡田(正)委員 ちょっとくどいようでありますが、もう一遍お尋ねします。 業者委託の場合の管理の徹底ということについては、昭和五十一年の各省次官会議で一応決まっておるし、データの管理基準等もあるのでそう心配はないと思う、もし間違いが起これば契約解除をするというようなことで処理したいと思うというようなお話でありますが、具体的には、間違いを起こした業者というのは、契約解除だけで終わりですか。それ以上何もしようとはしないのですか。
○大林政府委員 間違いの種類にもよるかと思いますけれども、地方団体との契約の内容に違反をして地方団体に損害をかけるというような事態になりますと、まず民事問題ということになろうかと思います。場合によりましてはそれが刑事問題に発展することがあるかもわかりませんけれども、契約条項の内容としては、契約解除の条件、損害賠償規定、こういったものが中心になると存じます。もちろん事務次官会議において決まった準則、これを従来指導通達の形で流しておりますけれども、今後の電算の増加状況というものにかんがみまして、自治省といたしましても、改めて今年度こういったデータ保護に関する、プライバシーを含めました研究会を省内で設けたところでありますので、そういった議論の結論を踏まえて、さらに委託等におきます取り扱いの厳重化を図ってまいりたいと考えておるところであります。
○岡田(正)委員 くれぐれもひとつ留意をしていただきたいと思います。 さて、本論に入りますが、全国の自治体の中で、プライバシー保護条例を制定している自治団体の数と、その主な内容はどのようなものでありますか。
○大林政府委員 現在、地方団体におきまして、電算機処理に係るプライバシー保護に関する条例を設けておりますのが、昨年の四月一日現在で百七十七市町村、それから二、一部事務組合ということになっております。 その内容としましては、それぞれの団体によってさまざまではありますけれども、大体共通する主なものといたしまして、データ収集の制限、データの保護措置、データを提供する場合の提供制限、処理状況等の公表、それから個人秘密の保護、その他運営の適切性、さらには本人からの訂正、変更請求、全般の運用におきます審議会等の設置、こういったものが内容として規定されております。
○岡田(正)委員 情報公開条例を制定している自治体の数はどのくらいありますか。
○大林政府委員 これは本年の三月末現在で、条例の制定出体数が二十四団体、五都府県、十九市区町村という乙とになっておりまして、さらに要綱によって制度化しております団体数が三団体、県で二つ、市で一つ、合計いたしますと二十七団体でございます。
○岡田(正)委員 その両方の条例を制定している自治体はどのくらいありますか。それから、その場合プライバシー保護と情報の公開との境界線を一体どこに引いて調整をなさっておるのか教えてください。
○大林政府委員 情報公開条例の制定とプライバシー保護条例の制定と両方をつくっております団体は、やや調査時点が一年ほど食い違いますけれども、現在の段階では、両方の条例を制定している団体は五団体と承知をいたしております。 そこで問題は、プライバシー保護条例と、情報公開条例の中のプライバシー保護との調整関連の問題が出てくるわけであります。情報公開条例とプライバシー保護条例のこの二つの条例は、これらの団体のプライバシー保護条例ができましたときと、情報公開条例が制定されましたときというのがかなり格差がございます。したがいまして、情報公開条例の中に規定をしております個人情報の保護の文言と、それからプライバシー保護条例におきます個人の保護の文言というのは、言葉の上では少し範囲が違ったような感じを受けるケースが少なくありません。プライバシー保護条例というものの方が、昭和五十年に最初にもうできたくらいで歴史が古うございます。また団体数も多うございます。だから恐らくはプライバシー保護条例の方が先行をいたし、個人情報の外部へ出ることにつきましてはかなり幅広く抑えようとしたという傾向がございます。その後数年たちまして、昭和五十年代の半ばぐらいから情報公開条例というものが世の中に出てまいりました。 そこで、情報公開条例の中では、一応情報公開という理念のもとに個人情報というものをどう扱うかという観点に立って考えるものでありますから、どうしても個人情報を全部秘密にするという考え方はなかなか出てこない。一応原則的には個人情報は守るべきものであるけれども、しかし公益上必要であるとか、あるいはその他必要な場合には例外をつくるというような規定の仕方になってきたんだろうと思います。これがそれぞれの条例の出発点が違う、あるいは背景が違うことから多少文言上のちぐはぐが出た原因であろうと私ども推測いたしておるわけでありますが、いずれにしましても、その運用の面におきましては両者の整合性は図られるべきであろうと考えております。
○岡田(正)委員 次に、本法の改正によりまして、住民基本台帳の閲覧の請求が制限される場合はどのようなケースでありますか。
○大林政府委員 今回の改正によりまして住民台帳の閲覧につきましては、一応原則的には公開の原則は崩しておりませんけれども、請求者にその請求事由などを明らかにしていただくということをまず第一番に要求をいたしております。 そこで、請求事由によりまして、市町村長は、請求が不当な目的によることが明らかなとき、または閲覧によって知り得た事項を不当な目的に使用されるおそれがあるなどの請求を拒むに足りる相当な理由があるときには請求を拒否できる、こうしたわけであります。 不当な目的という場合がどういう場合かということになるわけでありますが、結局具体的には、他人の住民票の記載事項を知るということが社会通念上から考えまして相当と認められる必要性もない、合理性もない、にもかかわらずその記載事項を探索する、あるいはみだりに暴露するというようなケースであります。例えば住民票の続き柄の記載によりまして嫡出でない子であることなど、本人には知られたくないと思われる事項をみだりに探索行為をするというような場合、あるいは本籍の記載を手がかりといたしまして同和地区出身であるかいなかを調査する、それが差別的事象につながるような場合、これが一番典型的な例でございます。 あと具体的なケースにおいてどう具体的に対応するか、これは実は現在私どもこの十年来の戸籍の抄本の交付の扱い、これが今回の改正と同じような扱いが行われておりますので、そういった実例を集めまして地方団体に示し、さらに今後具体的な実例の運用によってできるだけ適正な運用を図りたいと考えておるところであります。
○岡田(正)委員 不当な目的に使用される場合というのは、各委員からもそれぞれの御指摘がありましたけれども、非常に簡単な言葉ですが、中身は今申されるとおりなかなか説明がしにくい。だから十年来の戸籍法の実際の運用の実例をいろいろと取捨選択をして、各団体にそれをお示ししたい、具体例としてお示しをしたいということでありますが、それはそれで結構だと思いますけれども、一体これはいつごろ各地方団体に通達がされるのでありますか。
○大林政府委員 今回御審議をいただきまして成立させていただきますれば、この法律の附則によって一年以内に施行する、こうなっておりますので、それまでにそういった準備を整えたいと考えております。
○岡田(正)委員 民間業者などは閲覧の請求は全く禁止されるのでありますか。あるいは許可される場合もあるとするならば、どのような条件で、どのようなケースの場合を言うのでありますか。
○大林政府委員 今回の改正も、一応閲覧につきましても原則公開という建前は崩しておりません。したがいまして、今回の改正によりまして閲覧の請求を制約いたしておりますのは、相手方、つまり請求者側のいかんによる区別はいたしておりませんで、専ら不当な目的に出た要求であるかどうかということだけで処理をいたしております。したがいまして、民間業者でも不当な目的の請求と認められない限りは閲覧ができる、こういうことであります。
○岡田(正)委員 そこでちょっと気になるのですが、今のような御答弁でありますと、情報は公開の原則であるから原則公開ですよ、請求者を区別して、あなたはだめ、あなたはよろしい、こういうようなことはしませんよ、そこで区別をするとしたら、不当な目的に使われる可能性のある場合にこれを拒否する、こういうことでありますが、それぞれ市町村の窓口におきまして不当な目的に使用されると判断できるでしょうか。 例えばサラ金業者なんかでも、会社の看板を一目見て、これはサラ金だとわかるような看板をつけるところはもう余りないです。どこの会社がさっぱりわからぬ。何か貿易会社のような感じのする名前をつけておって中身はサラ金というようなところもたくさんあるわけでありまして、そういうところがいわゆる請求の内容としては、例えば縁組のためというようなことでその家の家族一同の実態を知りたいというようなことを請求してきたとしますね。今私、具体的に言うのですよ。私がサラ金業者とします。あなたが市役所の窓口の職員です。私は実は息子の結婚のために、相手のお嬢さんだけでは困るので、相手の家の中の人すべてがどういうお方がおられるのか、どのくらいの年ごろなのかというようなことについてすべてを知りたいのでひとつ教えていただきたい、こう言ったらどうします。
○大林政府委員 業者によりましては、先ほど例示に出されましたような例えばサラ金業者、こういう方が閲覧をしたい、ついてはそれはどういう理由ですか、結局請求目的を具体的に出してもらうわけであります。そうすると債権の保全のためだとかいうことになると思います。そういうことでありますのなら、債権債務というのは、サラ金業者と債務を負った住民票に載っておる本人個人の問題でしょうから、本人個人の閲覧あるいは抄本の交付については、これは結構ですよ、こうなるわけでありまして、それ以外の範囲については合理性がないというような取り扱いになると思います。
○岡田(正)委員 今あなた市役所の窓口におるのですよ。私サラ金業者ですよ。サラ金業者は、金を貸すだけが業者のすべてではありませんね、社会人としての生活もあるわけです。そこに子供があれば結婚問題で心配もしなければいけません。たまたまそこの家のお嬢さんとうちのせがれが結婚をしたいと思うのだ、その場合に、向こうの家族が、どれだけの人が、どういう年齢層の方がいらっしゃるのか、そんなことが全然わからぬじゃ困るので、一応そのすべてをいただきたい、こうやって平身低頭請求理由を明確に書いて持ってきたら、あなた拒否できますか。
○大林政府委員 今のような債権の追求というようなケース以外、仰せのような趣旨の請求ということになりますと、今回の改正によりましても、これを不当な目的として閲覧を拒否することはできません。
○岡田(正)委員 そうすると窓口の職員は、そのサラ金業者、看板は立派な看板でありますが、同じ町だから、本当はど厚かましいサラ金業者だということをよく知っているわけです。あの餓鬼来やがったと思っているわけです。大抵これはほかの方に、金の取り立てにこれを使うに違いないと自分は思っている。思っているけれども、請求事由を書く欄には婚約のためとか、そういうようなことを書かれたらどうしようもないでしょう。どうしようもなかったら、それは出してしまってから後で不当なことに使った、けしからぬと言ってサラ金業者の看板を取り上げますか。これは取り上げられませんね。法律が違う。そうすると、そういう厚かましいことをやった人に対する罰則は幾らですか。
○大林政府委員 請求事由において虚偽の請求事由を示す、こういったことになりますれば、法律の第四十四条によりまして五万円以下の過料ということになります。
○岡田(正)委員 サラ金だけを取り上げては形がいびつになりますから本当は遠慮をしなければならぬと思うのでありますが、サラ金業者にとにかく徹底的に家族全部が追い回されて、そしてどうにもならぬで、今サラ金業者に対する規制は随分厳しいものがありますけれども、あの手この手でいじめ抜いて、ついには一家が自殺をしなければならぬところに追い込まれたという例はいっぱいあるわけです。その材料はどこから仕入れるかといったら市役所から仕入れてくるわけです。サラ金業者にとりましては、五万円より少ない借金を追い回すために市役所に行くとは思えませんね。五万円くらいの過料を払ったって何ということはありゃあせん。五万円、先に納めますからどうぞということになるかもしれぬ。そういうことがあってはならぬので、それをどうしたら防げるんだろうかというのが今回の法改正の第一番の目的じゃなかったのでしょうか。サラ金業者に追っかけ回される、そして非常に悲惨な結末をたどっておる、あるいは同和の問題でありますけれども、住民年鑑をつくってこっそり売り渡してみたり、あるいはまだ来るのかといってうんざりするほどダイレクトメールが飛び込んできたり、こういうことがあるからこそ、住民には公開が原則であるけれども、制限を一部しなければならぬなというのが今度の法改正の一番大きいポイントじゃなかったのですか。それ以外に理由がありますか。私はほかに考えられぬのですが、いかがですか。
○大林政府委員 今回の改正をいたします場合にいろいろ各有識者の意見も聞いたわけであります。研究会でもいろいろな議論が出ました。今回の制約に当たりましては、できれば方法として、まず相手方を限定するということが一番はっきりするわけであります。そこで、何とか先ほどの御論議の関連で相手方の限定ができないかという研究をしていただいたわけであります。 大体閲覧が可能な相手方というのは、代表的なものは国または地方の公務員であるとかいろいろな公的団体、あるいは世論調査であるとかいうものがすぐ頭に浮かんでくるわけでありますが、それならどこで限界としてしまうかその限界線がなかなか難しいわけであります。単に営業のためということだけでこれをオミットすることは、現在の実際の社会生活では無理だろう。そこで、すぐサラ金問題が検討の材料として頭に浮かんでくるわけでありますけれども、このサラ金問題という社会問題を今回の住民台帳の制約という手段でどうこうするには、住民台帳法における限界があるんじゃないだろうか。やはりサラ金業についての社会的な問題というのは、サラ金を規制するサラ金自体の制度でこれを見直す、あるいは反省するということをしていただかなければ結局は決着はつかぬであろう。冒頭に申しましたように、相手方で何とか限定できないかという作業はしてみたのでありますが、結局のところは限界線が定まらない、やむを得ずもう一つの方法としての目的面における制約という手段を選ばざるを得なかったというのが経緯であります。
○岡田(正)委員 今座っております間につくづくと反省をいたしました。一言おわびを申し上げておきますが、つい私は夢中になるとかっとする方でありますので、市役所の窓口の職員が、あれはおれがよく知っておるサラ金の餓鬼だということを言いましたが、適当ではありませんね。この言葉は取り消しをしなければなりません。謹んで委員長にお断り申し上げておきます。サラ金の人たち、こういうふうに訂正をしておきます。 次に入らせていただきます。 各自治体が保有する個人情報として、住民基本台帳以外にどのようなものがあるんでしょうか。
○大林政府委員 各自治体の個人情報全部を私ども網羅しておるわけではありませんけれども、税とか社会福祉とか教育関係の事務処理、これが相当大きなウエートを占めております。具体的には戸籍、選挙人名簿、学齢簿、課税台帳、その他国民健康保険被保険者台帳、国民年金の被保険者台帳、さらに児童手当台帳、まだまだあると思いますけれども、思い浮かぶものはこういったものでございます。
○岡田(正)委員 コンピューター化されました個人情報や手書きの文書あるいは写真、磁気テープなどに記録された個人情報についても閲覧請求の制限の対象となるのかどうか。これは本法案とは一切関係ありませんということなのでしょうか。ならないとするならば、かかる個人情報を今後ほどのように保護をしていかれる方針であるか、お聞かせをいただきたいと思います。
○大林政府委員 今回の改正は住民基本台帳の閲覧請求ということでありますので、御指摘の手書き文書、写真、磁気テープその他、住民台帳と関係のないものについては対象にいたしておりません。 ただ、こういった一般的な個人情報の保護につきましては、今後プライバシー保護全般のあり方という問題で政府全体の課題としてとらえて検討していかなければならない問題であります。法的措置を含めて、今後制度的な方策に関する具体的な検討を行い、政府全体としての方針を取りまとめる必要があるわけでありまして、現在総務庁を中心とする各省庁の連絡会議において検討が進められておるところであります。自治省におきましても、別途省内にそのための研究会を本年度設置したところでありまして、今後とも研究を続けてまいる態勢に入っておるわけであります。
○岡田(正)委員 福岡県の春日市のプライバシー保護条例の例を見ますと、市が個人情報を収集する際にも厳しい制限を課しております。プライバシー保護の視点からすれば、個人情報の利用面だけではなくて収集の面においても制限が必要であると考えられますが、これらについて自治省はどのように考えておられますか。
○大林政府委員 確かにプライバシー保護を図る上で、個人情報の公表だけではなしに、まず出発点の収集の面におきまして規制が必要であることは御指摘のとおりであります。これは昭和五十五年のOECDの理事会勧告でも、あるいは昭和五十七年当時の行政管理庁の研究会の報告においても既に指摘されておるところであります。ただ、その具体的な方策としましては、個人情報の種類によってどう制限をするのか、収集目的によって制限をどうつけるのか、あるいは収集方法によって制限を設けるのか、いろいろな方法が考えられるわけでありまして、こういった収集の保護、収集の制限の問題につきましても、プライバシー保護の一つの重要な出発点として研究をしてまいる予定をしております。
○岡田(正)委員 自治省とされましては、個人情報の総合的な保護を図るためにプライバシー保護条例の制定を各自治体に呼びかける方針でございますか。
○大林政府委員 既にプライバシー保護、電算処理に伴います問題としまして、五十一年の電算処理データ保護管理準則、事務次官会議で定められた内容のほか、これに基づいた通達を流しておるところであります。今後も先ほど来の御意見を踏まえ、情報処理の高度化に伴うデータプライバシーの保護対策を新たな見地から研究してまいるつもりであります。その成果を得まして、さらに地方団体に対し適切な指導を行ってまいりたいと考えております。
○岡田(正)委員 ちょっと具体的になりますが、地方自治体に働く職員の給与や手当、退職手当の支給実態を住民に公表することはプライバシー保護の範疇に入ると思っておられますか。それとも納税者が税の使い道を知るという意味におきまして情報公開の対象となると考えていらっしゃいますか、いずれですか。
○中島(忠)政府委員 非常に難しい問題だと思いますが、一般にプライバシーとは何かと言われたときによく言われますのは、個人の思想の問題であるとか宗教の問題であるとか、自分の体に障害を持つというような健康の問題、そういうものがプライバシーの具体的な事項としてよく挙げられます。そういうように挙げられる事項の中の一つに、収入に関する事項というのが挙がっております。したがいまして、個人個人の収入に関する事項というのは通常プライバシーに属する事項だと考えていいのではないかと思います。 ただ、プライバシーに属する事項ならばすべて公開の対象外になるのだろうか、こういう議論もしてみる必要があるだろう。そのときに、どういうときに公開になるのかといいますと、先生の方がよく御存じで多言を要しないと思いますが、例えて言いますと、住民の健康を守るとか安全を守るとか、あるいはまた財産を守るとか、それに類似するような重要な公共的な利益を守る必要がある場合には、プライバシー保護と公共の利益とのどちらを優先するんだという接点といいますか、先生は先ほど境界線という言葉を使われましたが、その境界線の問題があるだろうというふうに思います。 そこで、先生が具体的にお挙げになりました給与等個人情報に関することにつきましては、私たちはそんなに深く考えて、先生に自信を持って御答弁できるような自信はございませんけれども、例えて言いますと、内部における取り扱い基準等を定めておきまして、一応それによって運用していく。さらに判断が難しいときには、内部に審査会といいますか、そういうような審議する機関を設けておいて、そこで議論していただいて個人のプライバシーの保護と、実現しようとする公益との関係というものを議論して決めていくというような取り扱いが現実には妥当じゃないだろうかというふうに思いますが、いずれにいたしましても、一般的に申し上げますと、収入に関する事項は通常プライバシーだというふうに現在言われているというふうに私たち理解をいたしております。
○岡田(正)委員 よくわかりました。 そうすると、今ここで確認をさせておいていただきたいと思いますが、従来から別に確たる取り決めがあるわけじゃありませんけれども、プライバシーといえば個人の思想、宗教、健康状態あるいは収入に関するもの、人に知られたくないもの、そういうものが入るんではないでしょうかというお話からいろいろ推量してまいりますと、個々の職員の名前をつけて給与等の実態を公開することはプライバシー保護に反するというふうに考えていらっしゃいますか。
○中島(忠)政府委員 一般的に申し上げますと、私たちとしてはそういう事項をやはりお勧めはできないだろうと思います。 ただ、そういう事項を公表するといいますか、公表する目的は何かというサイドからもう一度考えてみる必要があるんじゃないだろうか。個人情報を公開するといいますか、行政情報を公開するというのは、一つの目的といたしまして、行政の運用とか政策決定をチェックするといいますか、そこに対して発言をする、そういうような目的で恐らく公開ということが議論されるんでしょうから、私たちの方から申し上げさせていただきますと、そういうためならばもう少し、先生が今お挙げになりました個人ごとの名前をあえて公表するという以外にも知恵の出しようというのがあるんだろうというふうに思います。 したがいまして、先生が先ほどお話しになりました税金の使い道だからというような、短絡的と言うと語弊があるかもわかりませんけれども、そういうような観点からだけではなくして、もう少しいろいろなサイドから考えて、どうすれば公開することによって実現しようとする行政目的が実現できるんだろうか、その方法はいかなる方法がメニューとしてあるんだろうかということを考えてみた方がいいんじゃないだろうかというふうに思います。
○岡田(正)委員 なかなかこれは難しい問題だと思うのでありますが、私の悪い癖でありまして、くどいようでありますが、もう一度お尋ねをいたしますが、地方自治の基本が住民自治であって、地方自治体の職員の究極の雇用者は地域住民であるということになれば、自治体の予算にかかわる給与等の公開をすることはプライバシーの問題ではなく、住民にこれを公開すべきではないかと思うのでありますが、いかがでありますか。
○中島(忠)政府委員 先生が今お話しになられましたように、地方自治というのは住民自治、住民のための自治であるというようなことは私たちもよく認識しておるつもりでございますし、そういう観点に立って物を考えていかなければならないというふうに思います。したがいまして、給与の問題につきましても、できるだけ住民に実態を知っていただく、そして住民が納得し、理解し、その上で給与が支給されるというのが本来のあり方でございますし、私たちもそういう観点から地方団体を指導していかなければならない、そういう観点から皆さんに御理解をいただかなければならないというふうに思います。 そのように考えつつも、先ほどからいろいろ御議論がございますように、プライバシーの保護というのも、これまた非常に重要な要素でございます。そのプライバシーの保護というものも考えながら、どういうような観点からこの給与の公表というのを進めていくのがいいだろうかということでございますけれども、具体的に先生がお挙げになりましたように、一般的に申し上げますと、個人の名前を出してそれぞれ給与とか退職手当というものを公表するのはやはりプライバシーの保護との関係において問題なしとしない。私たちの立場から申し上げますと、やはりお勧めはできないだろうというふうに思います。したがいまして、そういう行政目的を達成するためにはそれ以外の方法についてもみんなで知恵を絞って考えていって、同じ行政目的を達成することを考えてみたらどうだろうかというのが今の私の考え方でございます。
○岡田(正)委員 ひとつ十分にお考えください。 次に、特殊勤務手当の多くや、わたりや通し号俸などの不適正な給料表の運用は、地方公務員法の給与支給の原則、あるいは勤務条件の条例制定主義に明らかに反する行為ではないかと思います。当然これらは公開の対象にすべきではないかと思っておりますが、いかがでありますか。
○中島(忠)政府委員 先生が今お挙げになりましたわたりの実態であるとか、あるいはまた給料表そのものが通し号俸になっておるとかいうようなことは給与の制度、運用に関する一般的な事項でございますので、これは情報公開条例というものがございますし、もしそういうものがございましたら、その条例に基づいて請求がされると、これは公開すべきものだというふうに考えます。
○岡田(正)委員 自治省は、給与、手当、退職金などの実態の公表について、自治体に対してどのような指導を行っておられますか。
○中島(忠)政府委員 先生が今お挙げになりました事項につきましては、まず私たちといたしましては、それぞれの議会で予算を審議していただいておりますけれども、その予算を審議するときに十分資料を提供して御審議願わなければならないというので、予算に関する説明書というのがございます。その説明書の事項の一つに給与費明細書というのがございますけれども、その給与費明細書の中で、それぞれの地方団体の給与に関する実態というのが明らかになるように法令で定めるようにいたしておりますので、それをごらんいただければ、まず地方議会議員さんはそれぞれの地方団体の給与の実態というのがわかるように、私たちはそういう法令をつくっておるつもりでございます。 それをより実態に合わせるために、また昨年来いろいろ議論がございましたので、昨年の八月にそれを改正いたしまして地方団体の方に流しておりますので、地方団体はそれでまず給与に関する実態を地方議会議員さんに見ていただいておるというふうに理解しております。 そうした地方議会関係に対する公表といいますか、実態の通知、連絡ということに加えまして、住民にも給与の実態というものを知っていただく必要があるというので、私たちかねがね地方団体の方に通知を流しまして、その通知に従いましてそれぞれの地方団体で給与の実態を住民に理解していただくように努力をいたしておりますが、その努力をいたしておる趣旨というのは、先ほど私が説明申し上げましたように、住民自治といいますか、納税者にその実態を知っていただく、その理解と納得の上で給与というものが支給されなければならないという考え方に基づいてそういうような努力をいたしているわけでございます。
○岡田(正)委員 今お答えがありましたように、自治省は昨年のたしか八月だと思いますが、地方公務員の給与公表に当たっては詳しい資料をつけるように給与費明細書の様式の改定を通知されておられますが、その実施状況は一体どのようになっておりますか。きちっと守られておりますか。
○中島(忠)政府委員 給与費明細書と申し上げますのは、地方自治法に基づいてそれがつくられるわけでございますし、その地方自治法に基づきまして地方自治法施行規則に基づいて定めておるものでございます。したがいまして、それに反するような、それと異なったようなものをつくって議会に提出するということは法令に違反するということになりますので、そのようなことを地方団体が行っているとはまず考えられません。
○岡田(正)委員 時間が参りましたのでこれをもって終わらせていただきますが、いずれにいたしましても、この法律は昭和四十二年に創設されたものが今回非常に意義の深い改正が行われるわけでございまして、一足先に戸籍法が五十一年にプライバシー保護のために改正をされております。今回の分は、私は口が悪いから言わせていただきますが、後追いで改正をするような感じが否めません。いずれにいたしましても、これは個人の基本的な人権の問題が深くかかわってくる問題でありますだけに、十分遺漏のないよう政令あるいは省令等において万全を期していただきますよう心から大臣に希望をいたしまして終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○高鳥委員長 経塚幸夫君。
○経塚委員 まず最初に、総務庁にお尋ねをいたします。 総務庁の方で、本日の委員会での質疑に対しまして、個人情報が公開か非公開か、いずれが原則かという問いに対して、一般的に決めるのは非常に困難だ、こういうようにお答えになったと思うのですが、これは私はむしろ逆じゃないか、原則公開か非公開か、一般的には極めて明らかな問題じゃないか。情報の中には、御承知のように行政情報、個人情報、民間情報、三つの種類があると思われますが、行政情報は原則公開、個人情報は原則非公開、これは極めて明々白々な事実だと思うのでありますが、その点はどうですか。
○藤澤説明員 お答え申し上げます。 ただいま個人情報ということでお尋ねでございますけれども、現行の我が国におきます制度といたしましては、一般原則というような立て方ではなくて、現在の制度はそれぞれの法律あるいは制度によりまして、それぞれのデータにつきましてあるいは公開であるとか、あるいは非公開であるとかいうようなことを個別に定めていくという方式をとっているわけでございます。 それで、今お尋ねのように、個人情報という概念といいますか全般的なとらえ方をいたしまして、そういう基本原則をすぱっと立てることができるかどうかということになりますけれども、この点につきましては、けさほども御答弁申し上げたところでございますが、補足いたしますと、さきに私どもの前身でございます行政管理庁の時代に、加藤一郎先生を煩わせましていろいろ御研究いただいたこともございます。先ほど自治省の方からもいろいろ収集の問題のところで個人データの規制といいますか、そのことが出ておりましたけれども、加藤研究会のときも、データ自体の性質から公開、非公開というようなことをきちっと割り切るのはなかなか難しい。そういう方法も確かにあるわけでございますけれども、それを制度的に確立するのは非常に難しい。 それはどうしてであるかといいますと、ただいまも御議論ございましたけれども、プライバシーの内容といいますか、あるいはそれを侵害するというような形態が必ずしもはっきりしていないということがありますし、そのほか今まさに問題になるようなセンシティブなデータといいますか、そういうものが加藤研究会におかれましても、時代であるとか場所あるいは個人等によりましてやはり異なる、相対的といいますか主観的な要素も多々あるものでございますから、これを制度的に、例えば法律なら法律の面で特定して、そこを概括的、一般的に決めつけるというのは今の段階では非常に難しいというような御研究のこともございまして、先ほどそういうふうに申し上げたわけでございます。
○経塚委員 そうしますと、これは個人的な研究機関とはいえ、プライバシー保護研究会が出されました大前提になる基本原則と、今の総務庁の見解と明らかに違うわけですね。基本原則としては「個人データシステムの規律を目的とする制度的な対応としては、以下に掲げるプライバシー保護の基本原則に立脚した新たな法律を制定する必要がある。」これは研究会の報告です。個人データに関してはプライバシー保護の基本原則、そして以下収集制限の原則など五原則がうたわれておりますけれども、これの基本は、個人データは原則非公開、その上に立った五原則じゃないのですか。OECDの理事会でもそういう観点からの勧告でしょう。 それから、先ほど来からもいろいろ論議されておりましたが、プライバシー保護条例あるいは情報公開条例の中で、プライバシーについての位置づけは全部原則非公開、各市町村の条例は。国際的にもOECDは個人情報については原則非公開。市町村のつくられております条例も原則非公開。それで、あなたの方の私的な研究会とはいえ研究会の報告も、基本的には個人データについては原則非公開。にもかかわらず、今なお総務庁は一般原則としても個人情報については明確にできないという立場なんですか。
○藤澤説明員 先ほど私、若干御説明が不足したかと思いますが、個人にかかわるデータにつきまして、それが適切な管理といいますか適切な保護がなされなければならないということについては、考え方としてはそのとおりでございます。
○経塚委員 私は個人情報、原則公開か非公開か、その見解を聞いているのですよ。これは事改めて研究をする余地のある問題じゃないわけでしょう。個人情報については公開が原則か非公開が原則がいまだに明確な答弁ができないというようなことになりますと、国際的にもこれは恥ずかしいし、各市町村で条例化しておるところに対しても、一体国の見解はまだそんなところをうろうろしておるのかということになるわけです。ここの基本点を聞いておるのですよ。個人情報、原則公開か非公開か、これは明々白々じゃないか、これをお尋ねしているのです。再度その点どうですか。
○藤澤説明員 お答え申し上げます。 先ほどお答えしましたものを前提にいたしまして、おっしゃいますように、個人に関する情報が事項によりましてむやみやたらに公開されるようなことがあってはならないもの、それはそのとおりでございます。
○経塚委員 自治省にお尋ねをいたしますが、個人の情報というものはむやみに公開されることがあってはならないということは非公開が原則だと考えておりますが、自治省の方の従来の見解は、これは四十二年、五十五国会ですが、衆議院地方行政委員会、長野行政局長の答弁でございますが、住民基本台帳の問題について、秘密でも何でもない、これはあらゆる人が利用できる、こう答えておりますね。それから「プライバシーに関するような問題については、この住民票の記載事項にはないわけであります。」これが五十七年の全国連合戸籍事務協議会の回答の中では、時代の趨勢の反映でもあると思うのですが、「現行住民基本台帳の公開制度のあり方については再検討の時期を迎えているものと考えるが、プライバシーの範囲をどうするか。情報公開要請との関係、円滑な事務処理、総合的に検討を進める。」これは五十七年の回答なんですね。 今回のこの改正に当たって、総合的に検討をされた上に立っての改正だと思うのですが、五十五国会の法制定当時のこの見解は根本的に変えられるということなんですか、それともそうではないということなのですか。どうも両方にとれるような、原則公開だと言ってみたりというようなこともありますので、その点はいかがですか。
○大林政府委員 確かに、住民基本台帳法を制定しました時点におきましては、住民台帳に記録されておる事項に関する限りこれは秘密には属しないという考え方で制度が発足したものと私どもも承知をいたしております。 その後、昭和四十年代、五十年代にかけまして、プライバシーの意識というのが社会の中で相当高まってきたのはまた時代の趨勢でありました。その後の趨勢を見てみますと、住民台帳の記載事項の中でも、項目によりましては、またその使い方によりましては非常に個人のプライバシーの侵害になる、こういう感じを世間が受けてきたという変化もまた事実であります。そういう変化に立って今回の改正をお願いいたしておるわけでありまして、住民基本台帳に記録されておる個人情報が全般として個人情報として秘匿すべきものだという立場には立っておりません。場合により、部分によっては秘匿すべきものが出てきた、こういう認識であります。
○経塚委員 場合により、部分によっては秘匿しなければならないものが出てきた、基本台帳に記載されておるものすべてが個人情報とは考えない、余計私は理解に苦しむのですが、そうしますと、それじゃ一体個人情報とはどんなものを指して個人情報というふうに考えておるのですか。さらに、住民基本台帳に記載されておるものすべてが個人情報でないということになりますと、住民基本台帳に記載をされておりますどの部分がいわゆる個人情報であって、どの部分が項目でいきますと個人情報ではないとお考えなんですか。
○大林政府委員 個人情報というのは、個人として特定できる情報すべてをいうわけであります。名前から始まって、住所も性別も全部それぞれの個人の一つの情報ということになりましょう。と同時に、住民基本台帳に載っかっておらないような個人情報もたくさんあるわけであります。体の病気の経歴がどうであるとか、あるいは職業の経歴がどうであるとか、収入、財産がどうであるとか、思想、信条がどうであるとか、いろいろな方面の個人情報というものが考えられるわけであります。 そういうものを全部ひっくるめて情報公開の時代の趨勢の中でも保護されるべきだということが言われておるわけでありますけれども、それだけたくさんある個人情報の中で、住民基本台帳の中に登録すべきものとされておる情報に限って申しますと、特に全般として考えてすべてを個人情報として保護する性質のものではないだろう。ただ、先ほど申し上げましたように、その使い方によっては個人のプライバシーを侵害するというようなケースが出てくる、それを防止するための改正である、こういう認識でございます。
○経塚委員 局長の答弁自身が矛盾しておりはしませんか。個人情報というのは、今の答弁の中の一部にもあったように、個人を識別し得るものが個人情報なんでしょう。個人を識別し得るもの、これが個人情報なんです。そうすると、住民基本台帳に記載されております内容というものはすべて個人を識別し得るものなんでしょう。また、そのために住民基本台帳制度ができているんでしょう。だから、住民基本台帳のこの項目は個人情報であるけれども、この項目は個人情報ではないということはできないわけです。そもそも住民基本台帳に記載されておることは、個人を識別し得るという性格のものである以上は個人情報であるのと違いますか。 今度の改正は、朝からいろいろ論議されておりますけれども、やはり基本原則をどこに踏まえるかという、よって立つ姿勢が明確にされておらないから法文上もいろいろ矛盾が出てくる。一方では公開であるかのように見えて、一方では非公開であるかのように見える。いわばこういう二足のわらじを履いたような性格になってきておる。だから住民基本台帳の性格についても、個人情報の部分もあればそうでない部分もあるという答弁になってくる。個人を識別し得るものがすべて個人情報であるということで割り切れば、住民基本台帳自体が個人情報に当たるわけです。個人情報に当たるということであれば、これはあくまでも個人が管理すべき性格のもの、行政情報は国民の情報でありますから、これは国民にすべて公開すべきであるという原則に立脚しなければならない、こういう観点が必要になってくるわけであります。 原則問題の論議はまた機会を改めるといたしまして、以下逐条的にちょっとお尋ねしていきたいと思うのであります。 まず、一条の「目的」でありますが、「記録の適正な管理」というのも、先ほどの基本原則がちょっと明確でないところから来たあいまいな表現だと思うのですが、この内容は一体何を指しておるわけですか。
○大林政府委員 住民台帳の「適正な管理」ということの内容といたしましては、従来から住民台帳は市町村の住民に関する記録を適正に保護、管理することが目的とされておりますので、具体的には住民基本台帳の作成、管理あるいは住民記録の正確性の維持あるいは各種届け出の義務化、こういったものも住民基本台帳の適正な管理のための要件と考えられておったわけでありますけれども、さらに今回、住民基本台帳の閲覧あるいは住民票の写しの交付等におきます合理的な制限、住民基本台帳の閲覧等を利用する者の責務を盛り込む、あるいは選挙管理委員会等におきましても、今回の改正に応ずる適正な取り扱いの責務等を入れましたことを含めまして、この適正な管理の内容と考えておるところであります。
○経塚委員 これはいわば目的なんですからね。目的の条項での解説なんですから、そうすると、「適正な管理」とは何を目的にするのかということの内容がなければならぬじゃないですか。今局長が説明されたのは、いわゆる管理の形態、方法等々についてなんですよ。どんな法律でも第一条は目的を明文化するわけでありますから、そうすると、ここで「適正な管理」というのは一体何の目的のための適正な管理なのか。適正な管理というのは何らかの目的を達成するための一つの手段、方法ですよ。だからこの目的は、後に続く文面を見れば、基本的人権の擁護だとかいうような言葉も出てくるわけでありますが、むしろ基本的な人権の擁護、個人情報の保護、これが目的じゃないんですか。その点はどうなんですか。
○大林政府委員 今回新たに規定をいたしました個人情報の保護という観点からする基本的人権の保護、もちろんこれも一つの目的であります。それから、従来から目的として掲げられておりました住民基本台帳の住民の利便に資するという目的、正確性の保持という目的、こういったものが今後とも住民基本台帳法の目的であろうと思います。
○経塚委員 個人情報の保護、基本的人権の保護、これが一つの目的という解釈、ここに私はまたあいまいさがあると思うのです。それは目的のすべてでなければならぬと思うのですよ。これはある市の条例でありますが、その目的、第一条、市民の個人的秘密を守ることを目的とする、こういうことで管理条例がつくられているのですね。何でこういう明白な規定ができないのか、これは私は最初に申し上げました法令上の一つの矛盾の反映だと考えております。 その次の問題についてお尋ねをしたいと思いますが、十一条の閲覧問題です。 これも御答弁の中で、あくまでも請求者によって区別はしないんだ、どういう人が請求してきたかによって区別はしないんだ、不当な目的かそうでないかによって判断をする、こういう御答弁でしたね。ところが、一方では省令でもって、地方公共団体の職員それから弁護士、行政書士など職務上の必要で請求をされる場合については、請求の事由は明らかにしなくてもよろしい、こうなっておるわけですね。これも矛盾しやしませんか。一般住民の場合は、例えば例に取り上げられております債権の取り立てについて住民基本台帳を閲覧したい、そうすると局長の答弁では、家族までも知らせない、あくまでも債務者本人についてだけ知らせる。言葉をかえて言えば、それ以外はいわゆる不当な目的ということになるというふうに解釈できるわけでありますが、しかし、これが先ほど言いました、仮に例を挙げていきますと、いわゆる弁護士等の場合はその制約がないわけなのでしょう、事由を挙げる必要がないわけでありますから。それとも制約があるのですか。
○大林政府委員 弁護士、公務員等、公的な活動をされる方に特例を設けましたのは、あくまで不当な目的ということが認定される場合には、これは請求の拒否ということになりますが、その不当な目的を判定する材料として、請求の事由というものを具体的に書いていただくというのがまず前提であります。ただ、その公的な活動をされておられる方が、職務上の必要から閲覧あるいは抄本の交付を請求される場合には、そういう範囲の方々にまで具体的な請求の事由を書いていただくまでの必要はないだろう。ただ職務上ということがわかればそれでいいのではないだろうか。現在戸籍法の取り扱いがそうなっておるので、ひとつ手続を合わせた方が合理的であろう、こう考えたわけであります。
○経塚委員 私は、それは矛盾しておらしまへんかと聞いておるのですよ。弁護士以外の一般住民が債権の取り立てで請求した場合は債務者しか知らしてもらえない。あるいは逆に言えば知らせない。しかし、弁護士の場合は職務上ということで、いわば債務者以外の場合も知り得るわけです。そうすると、不当な目的というのは一体どういうことになるのか。請求者によって区別はしないと言いながら、明らかにこれは区別されている結果になるのじゃないですか。それは矛盾とは違うのですか。私は、明らかにこれは矛盾だと思うのですよ。 あくまでも請求者によって区分をしない、目的によって不当であるかないかの判断をするということになれば、債務者以外の者を知ろうとした場合に、それは不当な目的に該当するから、相手がだれであろうと知らせない、こういうことになれば、これは一般原則としてだれかれであろうと通用することになりますけれども、請求者によって区別はしないと言いながら、あくまでも目的によって区別をするだけだと言いながら、内容としてはこういう矛盾が出てくるじゃないですか。その点はどうですかとお聞きしているのですよ。
○大林政府委員 結局は、今後省令で定めようといたします公的な職務上の必要という方々につきましては、そういった簡易な手続を考えておるわけであります。 問題は、先ほど来ちょっと御答弁を申し上げておるわけでありますけれども、閲覧の制約というものを対象者で限定するか、あるいは目的で限定するか、この二つの手段があるわけであります。一番いいのは、一番窓口でわかりやすいのは、対象者で区別をするのが一番いいわけであります。学識経験者を集めた研究会におきましても、まずそこから議論が始まったわけでありまして、まず国や公務員あるいは弁護士等の公的活動をされる方については、これはもう全面公開ていいだろう。しかし、あとどこで拒否というものを限界づけるか、ここではたと行き詰まったわけでありまして、結局は、相手方によって区別をするということはなかなか難しい。したがって、原則は目的によって区別をせざるを得ないけれども、少なくとも公的な活動分野については、それはやはり戸籍法の例もあることだから信頼をしていこうではないかということになったために、今の御質問のような次第になるわけであります。
○経塚委員 何ぼお答えいただいても、やっぱり矛盾しておりますな、これは。一般の住民の場合は、債務者以外の者を知ろうとすれば不当な目的になり、弁護士などは職務上だと言えば不当な目的にはならないという解釈なんでしょう、結局は。そうと違うのですか。
○大林政府委員 要は、そういった公の職務上の目的に対する信頼ということになろうと思います。
○経塚委員 これはやっぱり何と言っても、そこの点は矛盾がありますよ。 時間の関係もございますので、次の問題に入ります。 これは選挙人名簿の閲覧だけでは解決つかない問題なのでお尋ねをしておきたいと思うのですが、四月十九日、大阪高裁で、滋賀県虎姫町の町会議員選挙に当たりまして大量の架空転入、通称票の移動というものでありますが、これが行われたことに対する判決が出ましたね。架空転入の事実を認め、しかも選挙そのものが無効、選挙やり直しという判決でございますが、一般の住民が、この架空転入の疑いがあるのではないかということで、選挙人名簿では前住所がわかりません。したがいまして、これは基本台帳の閲覧か住民票しかないわけであります。こういうような場合は、これは不当な目的ということに当たりますか、当たりませんか。正当な目的と解されますか。
○大林政府委員 御指摘のようなケースは、不当な目的には該当いたしません。
○経塚委員 正当な目的で閲覧できる。 それから次に、国会議員など公職にある者についての台帳の閲覧問題でありますが、これも五十六年四月十六日、いわゆる刑法二百三十条ノ二第一項、名誉棄損罪の免責条項の解釈、これは月刊ペン事件をめぐりまして最高裁判決が出ております。この中で、私生活上の行状でも、社会に及ぼす影響の程度いかんによっては、公共の利害に関する事実に当たる場合もある、こういう判断なんですね。したがいまして、国会議員だとかあるいは総理、各大臣等々もそうでございますが、こういうような人々についてのいわゆる基本台帳の閲覧については、最高裁の判例にもありますように、プライバシーの保護は守るべきは原則ではございますが、これは特別に制限をすべきではない。必要があれば、いわゆる公益上の立場にあると考えられる人については自由に閲覧ができる、こう解釈していいと思うのですが、その点はどうですか。
○大林政府委員 政治家の住民台帳の閲覧請求につきましても、結局請求者の方が、今回の法律改正で前提としておりますような不当な目的に出ておるということであれば、それは拒否の対象になろうと思います。よく政治家のプライバシーということで、名誉棄損などの法制上の相違を御指摘になるわけでありますが、一般論としては、一般人と比べて政治家のプライバシーの範囲というものがどうしても狭く感じられがちという事実はございましょうけれども、住民基本台帳の閲覧に関する限りは、これは国会議員であろうが一般の方々であろうが同じ取り扱いであろうと思います。
○経塚委員 いや、私がお尋ねをしておりますのは、この判例を引用いたしましたのは、国会議員などのいわゆる公益上の立場にある人については、いわゆる個人のプライバシーというものについてはもう当然一定の制約を受けてくる、だから住民基本台帳の閲覧を要求された場合は、こういう立場にある人のものについてはいたずらに制限すべきではない、これがこの月刊ペン事件での五十六年四月十六日の最高裁判例からも明らかだ、こう言っているのです。これも一般市民と同じようだから、その目的のいかんによってはどんどん制限をしていくんだ、こういう考えなんですか。
○大林政府委員 要は、今回の不当な目的の中身が何であるかということになるわけでありますが、現在のところ不当な目的の中身というのは、いたずらに続き柄あるいは出身、そういったものを調べてみだりに公表する、あるいは探りまくる、こういう基本的人権を侵害するようなケースを典型的な不当な目的という押さえ方をしておるわけでありまして、その意味におきましては同じ取り扱いをすべきであろうと考えておるわけであります。
○経塚委員 公益上の立場にあるということをもって、いわゆる住民基本台帳の閲覧を特別に制限をするということ自体、それは逆な立場からいえばいろいろ問題があると思いますが、むしろ逆に公益上の立場にあればこそ、一般の私人には適用されるべきプライバシー保護についても大幅に緩和をされて、そして公開すべきものは公開をすべきである、これが私はこの判例の趣旨だと思うのですよ。これは意見として付しておきます。 それから、三十六条の委託を受けて行う場合でありますが、これは罰則は結局はないわけですね。
○大林政府委員 罰則は設けておりません。
○経塚委員 それはおかしいんじゃないですか。一般公務員の場合は守秘義務の罰則規定ももちろんございますし、そうでない場合も、職務に従事しておる場合の秘密を漏らしてはならないということで罰則の適用を受けるわけです。むしろ受託の場合こそ問題じゃないのですか。どうですか。
○大林政府委員 結局、今回不当な目的による閲覧制限あるいは抄本の交付請求の制限、これに違反をするような場合になぜ罰則を設けなかったかという問題と実は連動するわけであります。いろいろ考え、研究はしたわけでありますが、何さまいわゆるプライバシーというものの概念がなかなかはっきりしない。今回の改正におきましても、住民台帳に記録されておる登録事項の中で、例えば本籍であるとかあるいは例えば続き柄であるとかという項目について、その使い方により、目的によって不当な場合が出てくるであろう、こういう考え方であります。 したがいまして、極めて構成要件というものがはっきりしない、具体的でない、そういった具体的でない構成要件について罰則を設けることは立法技術上は極めて困難であるという結論に達しまして、罰則までは設けなかったわけであります。
○経塚委員 今日、電算化がほぼ九〇%台で、しかも電子計算化されている中で、情報を委託しておるのが六六%、六割を超えているわけでしょう。それでそういう受託業者に対しては何の罰則規定もないというのは、これはざざ漏りやおまへんか、こんなやったら。先ほどの答弁にもございましたが、その場合には契約解除等々、これは後の祭りですよ。ボタンを一つ押せばすべての情報が知り得るような情報化時代、電子計算化、端末機化、それで六六%までが受託されている、その情報の収集それから保存については。ところが、この受託業者に対する何の罰則規定もない。これで果たして最初にうたっております人権の保護がどこまで達せられるのか、極めて疑問であります。 そこで続いてお尋ねいたしますが、新たに電子計算機の処理についての基準を設けるということでありますが、これは五十一年一月二十九日の引き合いに出されております「データの保護について」という範囲では、私は極めて不十分だと思うのですよ。各市などでつくっております電算機のいわゆる管理条例の内容を見ますと、事務処理の範囲をどうするか、さらに収集の制限、記録の制限、外部への提供の禁止、それから処理状況の公表、それから本人の開示請求等、個人がその情報を訂正する権利、こういうようなものがうたわれておるのがほとんどの条例の内容になっておる、こういう傾向が一般化しつつあるというふうに解釈できるわけです。先ほどの受託業者に対しましても、罰則規定が一般公務員、従事しておる公務員と同じように課せられておるわけですね。だから、やってやれないことはないわけですよ。 私はちょっと途中で申し上げましたけれども、国際的なOECDの勧告から見てもおくれておる、市町村の条例の内容から見てもおくれておる、国がひとりおくれおくれて、個人の情報についての個々の基本姿勢も確立されないままきておる。したがいまして、そういう上に立って出されました五十一年一月二十九日の「電子計算機処理に係るデータの保護について」は極めて不十分だ。今各市でつくられておりますような、いわば研究会の五原則、OECDの八原則の観点に立った基準をつくられる予定なのかどうなのか、その点はどうですか。
○大林政府委員 五十一年につくりました次官会議申し合わせの準則、これが現在の電算運用状況にマッチしておるかどうか、問題なしと私どももしておりません。今回の改正に伴いまして、私ども、省内独自に今後の電算データの保護についての研究会を設けまして、この住民基本台帳の改正を機に新しい基準というものを考えまして、指導をしてまいりたいと考えております。
○経塚委員 総務庁の方にお尋ねいたしますが、この個人研究会——個人研究会といったら言い過ぎかもわかりませんが、私的な研究会の報告として「プライバシー保護の基本原則に立脚した新たな法律を制定する必要がある。」こういう報告が出されておるわけでありますが、情報公開法それからプライバシー保護法、この法制定の準備はどうなっておりますか。
○藤澤説明員 お答え申し上げます。 先生からも御指摘ありますように、行政機関の保有する個人データの保護については、申すまでもなく国民の権利、利益の擁護というようなこと、あるいは行政運営の一層の効率化あるいは合理化というような観点から、非椎に重要な問題であるということは私ども十分認識しているところでございます。また、情報公開の問題についても、これも重要な問題であるということは十分認識しているわけでございます。 いずれの課題につきましても、臨調答申、最終答申でございますが、これを踏まえまして、政府といたしましても、行革大綱の中でその検討の推進ということについて盛り込まれております。これに基づきまして、私どもも政府部内におきまして、先ほども出ておりました行政情報システム各省庁連絡会議の場等におきまして検討を進めているところでございます。また、学識経験者等のお知恵等も参考にしながら、御協力も得ながらこの問題に取り組んでおるところでございます。 ただ、ただいまいろいろな点で出てまいりましたように、この二つの課題というものが我が国の現行の諸制度といいますか従来からの立て方といいますか、そういうところから見ますと非常に新しい分野の問題であるということはもちろんでございますし、そのほか、御指摘のような広範なといいますかいろいろな分野といいますか、そういうところの関連領域というものが広うございます。そういう意味では、言い方によりますけれども、非常にまたすそ野が広いといいますか、国民生活あるいはそういう権利、利益というようなものについていろいろな影響を及ぼすところも非常に大きゅうございまして、慎重な配慮と手順が要請されるというように私ども考えております。そういうことで、現在政府部内におきましてこの問題について検討をしているということでございます。
○経塚委員 時間が参りましたので、最後に大臣の方へ一言お尋ねをしておきたいと思うのです。 これはいろいろ論議されておりますように、根本的に個人情報については公開か非公開なのかという基本姿勢、それに基づくいわゆるプライバシー保護法が制定化されておらないというところからいろいろな矛盾も出てきておるわけであります。申し上げましたように、OECDの理事会からはもう既に勧告が出されて、二十四カ国中プライバシー保護法が制定化されておりますのは十一カ国、一方ではまた情報公開制度も既に確立されております。 したがいまして、私は一日も早く、一方では行政財産は国民の財産であり、国民の知る権利を保障するという立場から情報公開法を制定し、一方は、個人情報は個人が管理すべきものでありますから非公開を原則にプライバシー保護法を制定する、これが急がれなければならないと考えているのですが、その点について大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
○古屋国務大臣 情報公開の制度とプライバシーの問題は、先ほどからお答えしているところでございますが、やはりこの問題は適正な管理ということで、その適正な管理のやり方は省令、政令あるいはまた通達だと考えておりますが、そういう問題につきまして広い意味で適正な管理をするということを基本といたしまして、具体的には十分皆さんの御期待に添うように私も考えてまいりたいと思っております。
○経塚委員 私がお尋ねしたのは立法化の問題をお尋ねしたわけでございますが、時間が来ましたのでこれで終わらせていただきます。
○高鳥委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○高鳥委員長 これより討論に入ります。 討論の申し出がありますので、これを許します。加藤万吉君。
○加藤(万)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました住民基本台帳法の一部を改正する法律案につきまして、以下述べる諸点に十分な運用上の留意をすることを含め、賛成の討論を行うものであります。 本法律案は、国民のプライバシー保護及び地方自治に関し重大な内容を含んでおります。 現行の住民基本台帳制度の問題の第一は、行政が法に基づき収集した個人情報を本人の意思にかかわらず不特定多数の者に対して行政みずからが公開していること。 第二に、本籍、世帯主との続柄等の記載についてみだりに公開されるべきではないとする意見が強まっていること。 第三に、台帳の閲覧により住民名簿を作成し販売する試みのような遺憾な事件の発生や、ダイレクトメール発送等の営利目的のための利用のような、制度設定の趣旨の範囲を超えるような利用法が増加していること等が指摘をされ、また、現行法が窓口トラブルの原因となったり、あるいはプライバシーの侵害の判定が困難であるとの指摘もなされているところであります。 以上のような指摘を踏まえて立案された本案でありますが、改正案を検討いたしますると、第一には、行政における個人情報の適正な管理が国民のコンセンサスを得つつ適正化が図られるべきところ、本案は政令、省令委任が多く、国民は法を読んでも、何が保護され、何が公開されるか不明である点が指摘をされます。これは、本法の持つ性格上致命的な欠陥であるばかりか、今後の高度情報化社会においては情報の中央集中、個人管理の強化をも招きかねず、国民総背番号制への端緒となりかねないとの声も聞かれます。 第二に、本法は、適正な管理の名のもとに磁気テープ、ディスク等による調製を明文化し、さらに調製、管理の民間委託における記録の保護規定を定めておりますが、これも委託の促進、誘導となり、集中と情報の保護に関する歯どめをみずから外し、国民みずから関知せぬ間に個人情報がさまざまな目的に使用されかねない事態を誘発する危険性があります。 第三に、本案が、個人情報の保護をうたいつつ、保護規定について極めてあいまいかつ緩やかな点が指摘をされます。本案においては、請求者に対し請求事由、氏名等を求め、また、不当な目的の場合は請求を拒否できるとし、また、写しの交付に当たっては住民票記載事項証明書をも交付できるとし、自治省の指導、通知によって実効性を確保していきたいとしておりますが、これは前述の報告書に比べましても極めてあいまいかつ不十分な制限であり、窓口における混乱は避けられません。また、さきの証明書は、大都市においては早急な実施は困難との指摘もあります。さらに、戸籍の附票の写しの交付についても、その制限は極めて緩やかかつあいまいなものになっております。 研究会報告は、例えば住民票の閲覧については、請求できる者、閲覧対象事項及び使用目的の限定が必要とし、具体的には、請求者については、本人や家族、公職またはこれに準ずる者、世論調査等に利用するため、不特定多数の情報を求める場合であっても必要性が客観的に認められ、かつ知り得た情報を適正に管理、保護されると認められる者として、そして閲覧の対象については住所、氏名、生年月日、姓別に限定するとしております。また、写しの交付についても、戸籍の謄抄本の交付制限と同様の措置が必要としております。さらに報告は、住民や民間企業の職員等、一般私人であっても、台帳の公開によって知り得た個人情報をみだりに他に漏らしてはならないとする責務を法令上明確化すべきという積極的な内容も盛り込んでおります。 以上のように報告と本案は大きな開きを持っており、本案は個人情報の管理に対する中央支配、集中を促すとともに、その責任は窓口業務を担う市町村に負わせるものとなっていることは明らかであり、政府、自治省の個人情報保護に対する及び腰の姿勢をはっきりと示しているものであります。また、請求者に公開が認められるなら、公開された側にも請求者を知る権利を認めるべきではないでしょうか。可視性を持たないものを台帳と呼べるか、あるいは続柄、本籍地等を現住所や性別、年齢、生年月日と同様の扱いをしてよいのか等の疑問も指摘をされ、進んだ保護行政を行っている自治体にかえって水を差すおそれがあると心配する声も聞かれます。 私どもは、今や個人情報の保護については、法でその具体的担保措置を含め明示し、何人も差別を招くような、またプライバシーにかかわる情報は保持せず、提供せず、使用せずの原則を行政、民間、個人を問わず確立すべきであると考えます。また、情報の調製、管理については、その保護の観点から慎重であるべきであり、したがって、少なくともその委託については、国民が信頼するに足る保護制度の確立なくしてはみだりに進めるべきではないと考える次第であります。 これまで述べてきましたとおり、本改正案は極めて問題が多く、政府は研究会報告を忠実に踏まえ、本案を再検討すべきであると考えているところであります。自治省案は「不当な目的」による請求を制限し、また、そのチェックについて前進を図ろうとするものであり、その点においては評価をいたします。しかし、同時に、今後の運用とさらなる制度改善について、研究会報告、また、私どもの主張の裏づけとなっている多くの国民の声を踏まえ、十分な検討をすることを要求いたします。 以上、本改正案が一定の評価はできるものの、不十分かつ問題点も多いことを指摘いたしまして、我が党は本案に対する態度につきましては、本法を端緒として個人情報保護行政が進むことを期待し、その運用とさらなる制度改善について留保しつつ賛成をするものであります。 以上であります。(拍手)
○高鳥委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○高鳥委員長 これより採決に入ります。 住民基本台帳法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○高鳥委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○高鳥委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同を代表して、臼井日出男君外四名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者より趣旨の説明を求めます。安田修三君。
○安田委員 私は、この際、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の五党を代表し、住民基本台帳法の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。 住民基本台帳法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について善処すべきである。 一 政令及び省令の制定並びに法の運用に当たっては、関係諸団体の意見を尊重し、地方公共団体の窓口業務に混乱と支障を来すことのないよう特段の配慮を払うとともに、基本的人権の保護について行政機関、法人及び個人を問わずその周知徹底を推進すること。 二 住民基本台帳の閲覧、住民票の写しの交付及び戸籍の附票の写しの交付については、正当な目的によるものについて支障が生じないようにするほか、不当な目的による請求のチエック及び請求者本人の確認を厳密に行う等厳正な運用を図るとともに、個人情報の保護の観点からそのあり方についてさらに検討を進めること。 三 住民票の写しの交付については、住民票記載事項証明書の活用に努めるよう地方公共団体に対し徹底すること。 四 市町村が住民記録の電算処理を市町村以外のものに委託する場合において、データ保護及びコンピュータ・セキュリティの確保等について遺漏を生ずることがないよう、適正な管理のあり方についての指針の設定等その対策を早急に講ずるとともに、国民が信頼するに足りる制度の確立を図ること。 右決議する。 以上であります。 何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。(拍手)
○高鳥委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○高鳥委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。 この際、古屋自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。古屋自治大臣。
○古屋国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。 —————————————
○高鳥委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○高鳥委員長 次に、地方自治に関する件について調査を進めます。 この際、行政書士法の一部を改正する法律案起草の件及び住居表示に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。 両件につきましては、理事会において協議が調いましたので、委員長において、お手元に配付してあります行政書士法の一部を改正する法律案の起草案及び住居表示に関する法律の一部を改正する法律案の起草案をそれぞれ取りまとめた次第であります。 この際、私から両起草案の趣旨及び内容について御報告申し上げます。 まず、行政書士法の一部を改正する法律案起草の趣旨について御説明いたします。 御承知のように、昭和二十六年第十回国会における行政書士法の制定により、行政書士の地位は確立されたのでありますが、その後、国民に直接関連する行政分野の多様化、高度化等に伴い、行政書士の果たすべき役割は著しく増大しております。 これに対応して行政書士法の改正も幾たびか行われてきたところでありますが、最近の行政書士法の施行状況を見ますと、行政書士の業務のより適正な運営に資するためには、登録事務の一元化、登録の拒否及び取り消し、資格審査会の設置、行政書士の受ける報酬、自治大臣の援助等について、速やかに法改正を行う必要があると考えられるのであります。 次に、その内容について御説明いたします。 第一は、昭和五十七年第九十七回国会の改正で、行政書士試験が国家試験に改められたことにかんがみ、行政書士となる資格の認定の全国的な統一を図る等のため、現行法では、都道府県の行政書士会が行っている行政書士名簿の登録を、日本行政書士会連合会が一元的に行うこととし、これに伴い、所要の規定を整備することとしております。 第二は、行政書士に対する社会的信用の確保に資するため、行政書士の登録の申請をした者が心身の故障により行政書士の業務を行うことができない者または行政書士の職責に照らし行政書士としての適格性を欠く者であるときは、登録を拒否しなければならないこととしております。また、あわせて、行政書士の登録を受けた者が偽りその他不正の手段により登録を受けたことが判明したときは、当該登録を取り消さなければならないこととし、登録の取り消しを受けた者は、当該処分を受けた日から二年間は行政書士となる資格を有しないこととしております。 第三は、登録に関する処分の公正を確保するため、日本行政書士会連合会に会長及び委員四名をもって組織する資格審査会を置き、登録の拒否、取り消しまたは抹消について必要な審査を行わせることとしております。 第四は、現行法では行政書士の受ける報酬は、行政書士会の会則で定める額を超えてはならないとされておりますが、行政書士制度の成熟した今日においては、このような規制を存置することは適当でなく、また、類似の制度との均衡をも考慮して、これを削除することとしております。 第五は、行政書士の資質の向上を図るため、自治大臣は、講習会の開催、資料の提供その他必要な援助を行うよう努めることとする規定を設けることとしております。 このほか、本法の施行に伴う経過措置等所要の規定を整備することとしております。 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。 次に、住居表示に関する法律の一部を改正する法律案起草の趣旨について御説明いたします。 御承知のように、住居表示に関する法律は、昭和三十七年の第四十回国会で制定されましたが、当初におきましては、住居表示の実施に当たり、その合理化を追及する余り、従来の町の区域を全面的に改編したり、また町名を全面的に変更したりしたため、由緒ある町名が消滅し、批判を招くような事例が少なくない状況でありました。 このような事態を改善するため、昭和四十二年の第五十五回国会において、住居表示の実施に当たっては、できるだけ従来の町または字の区域及び名称を尊重するとともに、住民の意思を尊重しつつ慎重に行うよう手続を整備する改正が行われたのであります。 しかしながら、その後の住居表示の実施状況を見ましても、なお一部の市町村におきましては、町名について従来の名称と縁もゆかりもない名称をつける等必ずしも適正とは言いがたい事例も見受けられるところであります。 そこで、本案は、このような状況を踏まえ、町名等はそれ自体が地域の歴史、伝統、文化を承継するものであることにかんがみ、住居表示の実施に当たって旧来の町名等がより一層尊重されるよう、町名等を定めるときは従来の名称に準拠することを基本とするとともに、住居表示の実施に伴い変更された由緒ある町名等の継承のための措置を講じようとするものであります。 次に、その内容について御説明いたします。 第一は、街区方式による住居表示を実施する場合において、町または字の名称を新たに定めるときは、できるだけ従来の名称に準拠するとともに、読みやすく、かつ、簡明なものにしなければならないとしている現行第五条後段の規定を削除し、同条第二項を設け、まず、新たな町または字の区域を定めた場合には、当該町または字の名称は、できるだけ従来の名称に準拠して定めなければならないことを基本とし、これによりがたいときに限って、できるだけ読みやすく、かつ、簡明なものにしなければならないこととしております。 第二は、由緒ある町または字の名称で、住居表示の実施に伴い変更されたものについて、その継承を図るため、市町村は標識の設置、資料の収集その他必要な措置を講ずるように努めなければならないこととするとともに、その事務について、自治大臣または都道府県知事は、市町村に対し、報告を求め、または技術的な援助もしくは助言をするととができることとしております。 このほか、本法の施行に伴う経過措置等所要の規定を整備することとしております。 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。 ————————————— 行政書士法の一部を改正する法律案 住居表示に関する法律の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○高鳥委員長 お諮りいたします。 行政書士法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○高鳥委員長 起立総員。よって、さよう決しました。 次に、住居表示に関する法律の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○高鳥委員長 起立総員。よって、さよう決しました。 なお、両法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○高鳥委員長 この際、町名等の保存及び継承に関する件について決議をいたしたいと存じます。 本件につきましては、理事会におきまして協議が調い、お手元に配付してあります案文がまとまりましたので、私から趣旨及び内容について御説明申し上げます。 まず、その趣旨についてでありますが、先ほど、住居表示に関する法律の一部を改正する法律案が、委員会提出法律案として決定されましたが、これにあわせて、従来の町名等の保存及び由緒ある旧町名等の継承を図るため、政府に対して、適切な措置を講ずるよう要請する必要があると考えられますので、この決議案を提出した次第であります。 その内容につきましては、案文の朗読により、説明にかえさせていただきます。 町名等の保存及び継承に関する件(案)政府は、町名等の保存及び継承に関し、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一 将来にわたって、旧来の町名等をできる限り消失せしめないように、市町村に対して適切な指導をすること。 二 既に消失した町名等の復活については、これが社会的、経済的に大きな影響を与えることにかんがみ、その安定性を確保する必要があるが、市町村において総合的に勘案の上、旧町名等を復活させようとする場合には、地方自治法第二百六十条の規定によって可能であるので、その旨の周知を図ること。 三 市町村が由緒ある旧町名等の継承を図るため、標識の設置、資料の収集その他必要な措置を講じた場合においては、当該市町村に対する適切な財政措置について配慮すること。 右決議する。 お諮りいたします。 ただいま読み上げました案文を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○高鳥委員長 起立総員。よって、町名等の保存及び継承に関する件を本委員会の決議とするに決しました。 この際、古屋自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。古屋自治大臣。
○古屋国務大臣 ただいまの決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。
○高鳥委員長 お諮りいたします。 ただいまの本決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○高鳥委員長 内閣提出、昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。古屋自治大臣。 ————————————— 昭和四十二年度以後における地方公務員等共済 組合法の年金の額の改定等に関する法律等の 一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○古屋国務大臣 ただいま議題となりました昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 この法律案は、地方公務員の退職年金等について、別途本国会において御審議をいただいております恩給法等の一部を改正する法律案による改正内容に準じてその額の引き上げ等を行うとともに、掛金及び給付額の算定の基礎となる給料の最高限度額の引き上げ等を行うほか、地方団体関係団体の職員の年金制度についてのこれらに準ずる所要の措置及び地方議会議員の退職年金等についての増額改定措置を講じようとするものであります。 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。 第一に、地方公務員共済組合制度の改正に関する事項についてであります。 まず、その一は、恩給における措置に倣い、地方公務員等共済組合法に基づく退職年金等について、その年金の額の算定の基礎となった給料を昭和五十九年度の公務員給与の改善内容に準じて増額することにより、年金額を昭和六十年四月分以後平均三・四%程度増額する措置を講ずることとしております。 その二は、恩給における最低保障額等の改善に伴い、長期在職者に係る退職年金等並びに公務による障害年金及び遺族年金の最低保障額を引き上げることとしております。 その三は、昭和六十年四月分以後の掛金及び給付額の算定の基礎となる給料の最高限度額を公務員給与の改善内容を考慮し四十六万円に引き上げることとしております。 第二は、その他の年金制度の改正に関する事項であります。 すなわち、地方団体関係団体の職員の年金制度について、地方公務員共済組合制度の改正措置に準じて所要の措置を講ずるとともに、地方議会議員共済会が支給する退職年金等について、その額の増額改定を行うこととしております。 以上が昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案の提案理由及び内容であります。 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○高鳥委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 次回は、明三十一日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時五十八分散会 ————◇—————