大蔵委員会 第7号
- 発言数
- 306 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1985/02/26
会議録
○越智委員長 これより会議を開きます。 法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案及び入場税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野口幸一君。
○野口委員 大臣、連日御苦労さんでございます。 本題に入りますまでに、大臣にクイズを与えるわけではありませんが、税の関係では総括責任者でございますから……。 税という文字を考えてみますと、のぎへんに「兌」という字を書いてありますが、この「税」の語源について御存じであればひとつお答えをいただきたい。
○竹下国務大臣 語源について、不敏にしてその知識の持ち合わせがございません。
○野口委員 うそだと思うのです。お答えにならないで私に言わせてやろうというお気持ちかもわかりませんが、税という字を考えてみますと、税ののぎへんは実はアワが豊かに実って穂が垂れている姿、これがのぎへんの語源だそうでありますが、大体穀物をあらわすということであります。右の方の「ソ」を書いて「兄」あるいは「ハ」を書いて「兄」という字を書きますのは、音では「ダ」と読むそうでありますが、これは象形文字では人間が衣服を脱ぐ、脱衣をするという形から出てきている字だそうであります。そういう意味からいきまして、税という字は収奪を意味する、こういうことであろう。あるいはまた小作料という意味が含まれている。ただ、「兌」という字の左側にりっしんべんをつけますと「悦」になるわけでありますが、心を開くということは喜びになる、こういう意味に通ずるのだそうであります。 私は何もこんなことを大臣におこがましく申し上げる必要はないわけでありますが、私がこんなことを考えましたのは、実は過般の予算委員会で総理大臣が非常にたくさんの形容詞をお使いになりまして、いわゆる大型間接税の導入問題についてお話しになっております。「私は」というのはこれは総理でありますが、「かねてから、多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかけるようなやり方でやることはしないと申し上げていることは御指摘のとおりであります。」こういう言葉であります。 ここでひっかかるのは、消費税というのと後ほど出てまいります付加価値税との関係でありますが、これは別といたしまして、多段階、包括的、網羅的、普遍的という大規模な消費税という言葉でありますけれども、この四つの言葉にあらわされますのを除いたいわゆる消費税というのはあり得ましょうか。その辺をお答えいただきたい。
○竹下国務大臣 総理がおっしゃっているのは、総理のお答えにもございますように、言ってみれば感覚的に述べた、こういうことであります。 多段階というものでない消費税といえば、単段階というのはあり得るということかな、これは私もまさに文字からくる印象で申し上げております。 それから網羅、包括、これは例外なく、こういうことだそうでございますが、考えようによると、例外なく投網をかけると一網打尽、一網打尽ということになると、その投網の目によって逃げる魚もあればひっかかる魚もあるというので、なかなか解釈の難しいところでございます。したがって、あくまでも感覚的にお述べになったものというふうに理解をした方がいいのかな。 ただ、総理の答弁でもおっしゃっておりますように、かつて昭和二十三年当時、民主党青年将校中曽根康弘の時代だったそうでありますが、そのときに試みんとした取引高税と昭和五十四年に大平内閣のときに税調等から答申をいただいたいわゆる一般消費税(仮称)、そういうものを念頭には置いておったということでございますので、中曽根総理も、私も含めて税法の学者ではございませんので、感覚的なとらまえ方でおっしゃったんだな、ぎりぎり議論してみれば、いや、これは網羅とは若干違いますとか包括とは違いますとかいう議論もできないわけではございませんでしょうが、言われた趣旨は感覚的なとらまえ方でおっしゃったのではないかな、こんな感じがしております。
○野口委員 感覚的に物をおっしゃったかどうかは別といたしまして、少なくとも議事録にもきちっと載っておる言葉でございまして、私ども、そう簡単にその言葉を感覚的に物を言ったからというような形で片づけるわけにはまいらないと思うのであります。 包括という言葉をひもといてみますと、事柄を合わせて一つにひっくくること、いわゆる論点を包括して述べるという言葉がございますが、つまりひっくるめるということ、すべてをまとめるということでございます。 普遍的ということは、言うまでもなく、広く行き渡り、すべてのものに共通であるということ、網羅的というのは、「網」というのは魚をとる網の意味だそうでありまして、「羅」というのは鳥をとる網のことだそうであります。「網」、「羅」を両方合わせますと、すべての魚鳥をとらえる、残らず何もかもとってしまう、こういう意味になるわけでございます。 そういたしますと、包括的、普遍的、網羅的、多段階――先ほど大臣は、単段階なら許されると。それは、多段階ということはそうでありましょう。そうすると、多段階におけるその普遍的、網羅的かつ包括的といいますか、その消費税はやらない、こうおっしゃっているわけでありますが、それの意味は、私が今申し上げた意味と大臣、同意でございますか。
○竹下国務大臣 税でございますから、消費に着目するか、所得に着目するか、資産に着目するか、いわゆる消費の持つ担税力に着目をする消費税というものは、もちろんこれは否定するところではなかろうというふうに思っております。 ただ、今おっしゃいましたように、漢和辞典を引いてみても、あるいはどんな字引を引いてみても、厳密に包括、普遍、網羅というものを税法上のどの税目に当てはめていくかということになると、これは難しい問題だな。だから、多段階で、しかも一切の例外のないものというのは、現実問題として私はあり得ないんじゃないかな、こういう感じもいたしますので、したがって、やはり感覚的にとらまえて表現された言葉だ、こういうふうに言わざるを得ないではないかな、こんな感じでございます。
○野口委員 そういたしますと、結局大蔵大臣としては、総理大臣が言われたこの言葉の内容から見て、これは感覚的な言葉であって、そのとおりではない、そのようなことを考えればいわゆる税としては取るべきすべというものはないではないか、とまでは極言はしておられませんが、それに等しい状況になる、こうお考えですか。
○竹下国務大臣 多段階で、かつ包括、普遍、網羅ということになりますと、そういうすべてを具備した税というのは一体あるだろうかな。事実、いわゆる一般消費税(仮称)にしましても、ちゃんといわゆる税制の適用範囲でございますとか、そういうところにはまさに例外があるわけですから、よく言われます、エブリ・ルール・ハズ・エクセプションズあるいはゼア・イズ・ノー・ルール・ウィズアウト・サム・エクセプションズという、何か子供のころ習った、例外のない規則はない、あるいは規則にはすべて例外があるという、あの格言と両方合わせて読むとちょうどいいのかな、こういう感じを持っております。
○野口委員 ただ、総理もさるものでありまして、最終的には、消費税としては投網をかけるやり方はしない、こういう言い方をしておられる。そこで、付加価値税と消費税というものとはどのような差がございますか。
○梅澤政府委員 いろいろ学者の中での議論の紹介ということでお答え申し上げたいわけでございますけれども、普通、付加価値税という場合に所得型の付加価値税とそれから消費型の付加価値税がございますから、いわゆる付加価値税と言った場合、すべてが税目として消費税であるとは限らないと思います。
○野口委員 だから、その意味ではここに抜け道がございまして、消費型付加価値税は消費税に通ずる、所得型付加価値税ならばこれは抜け道が生じてきておるということになりますならば、このお答えから感じますと、税務当局もいわば所得型付加価値税、EC型付加価値税というのは導入にやぶさかではない、あるいはまたそういうことはあり得べきことだ、こういうお考えですか。
○竹下国務大臣 所得型付加価値税というのは、一遍、年金財源の問題として社会保障制度審議会からそういう答申をもらっておることがございますが、これにも大変な議論のあるところでございます。だから、いわゆる五類型として提示しました中のEC型付加価値税というものは、全く所得型ではなく、いわゆる消費であります。
○野口委員 新聞によりますと、「税論議は言葉遊び」という囲み記事がございまして、「首相答弁突き放す大蔵」と、こういうサブタイトルがついておりますが、先ほども大臣がお答えになりましたように、普遍的、網羅的あるいはまた包括的と言われているような消費税の導入はしたくないという言葉を裏返すように、そんなことを言ったら取るような税金はないのじゃないかというようなことで、またこの大型間接税の論議が、そういった言葉の遊びではなくて、実際上今後の検討課題として、どのような範囲がいわゆるEC型付加価値税に当てはまるのかあるいはまたそれに当てはまらないのか、あるいは日本型と言われる付加価値税をどういうような形で、基準で考えているのかというようなことを本当に考えなくてはならないと思うのであります。そういうようなことから考えますと、今言われている大型間接税という構想は、一体どのような形であるべきだと税務当局はお考えでございますか。
○竹下国務大臣 まず、本当は大型間接税という言葉もひとり歩きした言葉であります。大型間接税というものに別に定義があるわけでもない。その類型を出せと言われたときに、従来権威あると言えば政府税調等でございましょうが、そこで使われた言葉の中に、いわゆる「課税ベースの広い間接税」という言葉が、言葉として使われております。しかしこれも議論すると、どの辺までが広いのか狭いのか、大型、中型、小型と同じような議論になるわけでございますけれども、税の議論をするときに一般論として使われておるのは「課税ベースの広い」という言葉であって、大型という言葉は、率直に言って、いつの間にかこれは国民次元にひとり歩きした言葉であるな。言葉の論議は不毛の論議と言われてもなりませんが、そんな感じも私自身いたしております。したがって、いま少し学問的には梅澤博士の方からお答えをさせます。 〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕
○梅澤政府委員 先般の予算委員会で大内議員の御質問に対しまして、矢野議員に対する総理答弁の補足をされておるのですが、その冒頭に、ただいま大蔵大臣の御答弁もございましたように、大型間接税というのは、税制上の厳密な用語でもないし、学問的定義もはっきりしない。ただ、総理が昨年の国会からずっと繰り返して言ってこられたことを整理いたしますと、先ほど来委員がおっしゃっている多段階、包括的、網羅的、普遍的かつ大規模なものという定義をされておるわけでございますが、これも繰り返し委員会で総理が御答弁になっておりますように、また先ほど大臣がお話しになりましたように、いわば政治家としての感覚的な印象を率直に述べたものだと言っておられるわけでございます。 したがいまして、課税ベースの広い間接税について今後どうなるかということは、税制当局として今何ら予断を持っていませんから、例えば、全く仮定の話でございますけれども、税制調査会で広範な議論をされて、その段階で各種の政府の政策との整合性も考えながら、かつ、総理なり大蔵大臣がおっしゃっておられるようなそういうものに該当するかどうかというのは個別的な議論を経て具体的にそこで決めるんだ、そういう立場は留保されておるということでございまして、先ほど来のいろいろな定義だけでどうもいろいろな議論が具体的に進展するというふうな、そもそも性格を持ってないというふうに私どもは率直に考えております。
○野口委員 私も、言葉の遊びをしようとは思っていませんが、余りにも予算委員会で答弁のやりとりを聞いておりますると、このことばかりが動いておりまして、実質的にそれでは一歩踏み込んで、考えられる間接税とは我が国においてはこのような形のものだ、税務当局としては、つまり専門家の主税局長としては、これは仮定の問題でありまするが、仮に間接税というものを今後考えていくとするならばこういう形のものがいわば考えられるというような立場の提言はございませんか。
○梅澤政府委員 これは五十四年の十二月に国会の御決議がございまして、ちょうどそれから一年ぐらい後でございますけれども、政府の税制調査会の五十五年の答申というのが出ております。その中に、国会決議があった、そういった事情も十分念頭に置いて、それで今後諸外国の立法例、沿革等にかんがみ、課税ベースの広い間接税を検討する必要があるという提言が行われておりますけれども、その後、税制調査会は今日に至るまで、いわゆる課税ベースの広い間接税について具体的な審議は一切行われておりません。税制当局としても、導入というようなものを目途にしてそういった具体的な検討を一切行っておりません。したがいまして、ただいまの委員のどういうものを考えているのかということ、これは全く白紙の状態であるというふうにお答えせざるを得ないと思います。
○野口委員 それでは、大臣がお述べになっている、導入が否定されたのは一般消費税であってEC型の付加価値税ではないという言葉をお吐きになっていらっしゃいますが、それはどういう意味ですか。
○竹下国務大臣 あれは昭和五十四年でございましたが、本委員会で専門家がお集まりになって議論をいたしましたときに、私も大蔵大臣になったばかりのときでございました。とにかく決議文をつくりますときに私の念頭にあったものは、まかり間違っていわば消費一般にかかる税制そのものが否定されるような文案、文章になっちゃいかぬなという気持ちは私にありました。そこで、いろいろな議論を詰めた結果、国民の理解を得るに至らなかったいわゆる一般消費税(仮称)というものも、税制上はあり得る姿だが、国民の理解を得るに至らなかったからその手法はとらないというふうに、あの決議を長い時間かかって収れんしていただいて、できたあの決議文案でございます。 したがってぎりぎり厳密に言えば、国民の理解を得られなかったものは何であったかと言えばあの当時構想として発表したいわゆる一般消費税(仮称)であったということからいえば、論理的にあのスタイル以外のものは全部除外されるという論理は、突き詰めてやればできないことはないけれども、それは余りにも乱暴だな、私自身の考え方は。やはり政治というものの背景に置かれた議論でございますから、政治家というのは非常に広い範囲から物を見ますので、ぎりぎりあの文案だけで議論するのはいかがか。議論をすれば、否定をされたものは、理解を得られなかったものはあの案であったから、あれ以外は全部いいんだという議論にまで進めていくのはいささか乱暴だなという感じはございますが、厳密にあの議論の過程を振り返ればそういう論理も全く成り立たないわけではない。しかし、好んですべきものではないようなというふうに思っております。
○野口委員 それでは、大臣が言っておられる言葉じりをまたつかまえて失礼ですが、いわゆる直間比率の改定問題に関係いたしまして、まず増税ありき、つまりまずそういう発想で物を考えてはいかぬのだ、こういう御答弁がございました。 まず何を考えなければならないのか。大臣、まず増税、つまり今日の財政事情から考えて何とか財源を余計ふやしたいという気持ちの発想からそういうものを考えてはいけないのだと言われておりますが、それではまず何を考えるのか。
○竹下国務大臣 異例のことながらと断って六十年度税制のあり方についての御答申をいただいた税調の答申の流れを読んでみますと、要するに財源問題のために税を見直せという流れではなく、やはりシャウプ勧告以来、シャウプ勧告にはもちろんいいことが書いてありますが、いろいろなゆがみが生じてきておる、だから抜本的に見直したらどうだ。 だから、これも言葉の問題になりますが、まず増税ありきなんということでやってはいかぬ。だから、まず白紙ありきという言葉もちょっとございませんから、税制調査会の流れでは、まずゆがみありきと言うのかな、あるいは公正、公平をもう一遍念頭に置いて見直してみろというようなことがあの御提言の趣旨ではないかな、こういう感じがしております。
○野口委員 私も、その最後のところでおっしゃった、まず公平、公正でなくてはならぬ、そういうところから見直すべきである。いわゆるシャウプ勧告以来の税制を改めていくという立場に立って、まず増収というものを念頭に置かないということであればまことに結構なことであります。そしてそのことで考えるならば、まずやはり公平という問題を考えなくてはならない。 先ほどもちょっと申し上げましたように、税というのを国民はみんな、納めるというのが普通の言葉であってしかるべきものが、取られるというような感覚でおりますのは、そういった納税義務というものに対する国民の理解がまだまだ不十分なのと、それからやはり不公平感というものがぬぐい去られていないところに存在すると思いますから、少なくとも公平であるということをまず取り上げてもらわなければならぬと思うのであります。 この公平ということは、いろいろな立場の公平論があるわけなんでありますが、少なくとも応能負担の原則、これは全く貫かなければならない税の本命だと思うのですが、いかがでしょうか。
○竹下国務大臣 シャウプ勧告もいわゆる応能主義。これは、応能主義における公平とは何ぞやといったら、同じ能力のある者が同じだけ払う、そして差のある者は差をつけて払うという二つが、何か垂直的公平と水平的公平と言うんだそうでございますが、その中に応能主義というものが存在する。一方、さはさりながら、応益主義というものも現実問題としてはあり得るという感じも持っております。
○野口委員 現在の税制全般を眺めてみますと、今大臣が御答弁になった、あるいはまた私が申し上げましたような状況に必ずしも合致をしていないと思いますが、それこそ包括的にといいますか全体的に眺めてみて、今大臣が言われたように税制全体がそのような状況にある、いわゆる公平になっている、不公平というものは一切ないと思っておられるのか、不公平はある意味において今日の税制においては存在をしていると考えておられるか、いかがでございましょうか。
○竹下国務大臣 国権の最高機関たる国会において議決をした法律を執行しておる立場にあるわけです。そうすると、いわばクロヨンという言葉があることは私も承知しておりますが、初めから今我々の法律に基づいてやっておることには不公平がございますと言うことは、執行当局としては、そういう言葉がありそういう風潮を知っておっても、いわゆる不公平がございますということは非常に断定できない立場にあると思います、法律に基づいて徴税義務を行うわけでございますから。 しかし現実的には、応能主義のところで御議論になった同じ能力、すなわち同じ収入があったのが、各種控除とか特別措置とかそうしたものにおいてでこぼこができれば、それもある意味においては不公平ということの範疇に入るかもしれません。社会的な必要とか経済社会の環境の変化等から、感覚的に不公平感がなくても厳密に言えばそれも不公平であるかもしらぬということもあろうかと思いますが、もろもろのそういう基本のシャウプ税制に上積みされた中にいろいろな変化が生じて、それが不公平感を助長しておると申しましょうか、そういうことには、私も毎度ちまたの意見を聞くときにも素直にそんな感じは持っております。
○野口委員 いわゆる行政の担当の責任者としては、みずからは今やっていることが不公平だとは言い切れないけれども、言の内外に不公平が存在するということをお認めのようでございます。 私も、今日の税制が国民の皆さん方がおっしゃっているように不公平であるということについては同感でございまして、少なくともシャウプの勧告の内容の柱であります応能負担の原則が正確に貫かれているとは考えられない。すなわち、大臣もおっしゃいましたように、水平的公平あるいはまた垂直的な公平、加えまして内容的公平、例えば所得にいたしましても、汗を流した形で取得した収入と、いわば寝ていて所得が生じたと言っては失礼かもわかりませんが、利子・配当等におけるところの所得というのは、同じお金でありましても内容的には違います。しかも、税の対応の中では御案内のように分離課税が認められておりまして、その税率が低いということになってまいりますと、これは内容的にも不公平ではある、こういうようなことも言えるわけであります。また、基礎控除あるいは扶養控除等のあり方を考えてみましても、現在の文化的にしての最低の生活を保障するという条項から考えて出しておられますところの扶養の関係から考えましても、この控除額そのものにも不公平が生じている。 今さら憲法を持ち出す必要はありませんけれども、憲法十四条、二十五条、二十九条、十三条等々の精神をよく考えてみますと、応能負担の原則は今日の税制においては貫かれていないと私は思うのでありますけれども、大臣の所見はいかがです。
○竹下国務大臣 この応能負担という原則は存在をしておる。しかし間々、このいわゆる応能負担からくる水平的公正あるいは垂直的公正の中で、制度の上でもいろいろな例外が存在しておる。あるいは、所得というものはもともと完全な捕捉が非常に難しいものでございますから、したがって、そこにいわゆるでこぼことでも申しますか、そういう状態が存在しておる。だから応能主義そのものは、例えば累進税率というものが存在する限りにおいては、制度上はある意味において応能主義はそれなりに貫かれておる、こういう感じでもって見ております。
○野口委員 それはそれといたしまして、それでは先ほどの議論に戻りまして、直間比率の改定問題がやかましく言われております。アメリカは八〇対二〇ですか、やがて九〇対一〇になりかけようとしておる直間比率の状況でございます。 この直間比率を改定していかなければならない、あるいはまたしようとする、その意義はどこにあるのですか。その意味というものはどこに存在するのですか。
○竹下国務大臣 そこのところでまた、先ほど申し述べましたいわゆる大型間接税と同じように、直間比率を見直すべきであるという言葉がございますのは、臨調で一つそういう言葉が使われておりまして、元来直間比率というのはあらかじめ定められるものではなく、結果として出るものが直間比率であるから、今度の税調の答申を見ましても、直接税、間接税といわず税全体と、こういう表現になっておりますから、税体系の見直しというような言葉が本当は税制上は――一遍臨調で使われておりますから、余り臨調さんに対して、あなたの言葉遣いは間違いだとは言えませんけれども、元来は税体系の見直しとでも言うべきものであって、直間比率というものはやっぱり結果として出るものだから、初めに比率――これも私がよく使う言葉でございますが、何々ありき、初めに直間の比率ありきという見方ではないという方が正しいんじゃないかなと思っております。
○野口委員 では、仮に今現在、日本の直間比率が直接税七〇、間接税三〇ということにいたしまして、それを是正して、結果的にという言葉をお使いになりましたから結果的にでも結構ですが、結果的に五〇、五〇にするということによって出てくるメリットというのは何ですか。
○竹下国務大臣 日本経済の歩みを過去にさかのぼってみますと、いわば全体的に所得が低かったという場合は結果的に間接税の方が多くて、特に酒税なんていうのは大変なウエートを占めておった時代があるわけでございますから、そういう時代もやっぱり経済、社会環境の変化によって違ってくる面もあるのだなという一つの見方があると思います。 したがって、七、三を五、五にすればより選択の自由のある税制、そしてある意味においては応益――消費に担税力を求めるならばそれなりに公平な分野がふえてまいりますが、間接税というのは一つの逆進性というものもこれは否定できませんし、だから五分五分にした場合どういうことになるか。制度の上から見れば、かなり幅の広い間接税、課税ベースの広い間接税を採用しないことには五分五分にはなかなかできないんじゃないかな、こんな感じがいたします。
○野口委員 私は、どうも真意が語られていないような気がするのです。今間接税、まあ物品税もそうなんですけれども、税額が明示されておりません。したがって、たばこは今まで税ではありませんが、来年度から消費税になるわけですが、例えば二百円のたばこを吸っておっても、その半分以上がいわゆる国庫納付金あるいは税といいましょうか、であるということを国民が知らないままに消費をしている。三百十五円のビールの大瓶を一本飲んでも、その半分ぐらいが税金であるということも余り感じないで消費をしている。つまり痛税感を感じないものに移行させていくということは、国民の中にあって税をいわば明示しないうちに取得をしていこう、取りやすくしていこう、もっと言葉を悪くするならば、だましていこうといった方が税が取りやすいのじゃないだろうか。少なくとも、明示されている所得税よりも明示されないような形で取っていく間接税の方が取りやすいのじゃないだろうか、こういう考え方がひそかにあるのではないだろうか。 もう一つは、先ほどのEC型付加価値税でありませんけれども、インボイスの問題が出てまいりますが、このことによって、業者のいわゆる所得の捕捉がより正確になることによって所得税そのものの増収も図れるのではないか。つまり、間接税を導入することによって起こり得るまず増収ありきということ、頭にはないとおっしゃっていますが、そこらのところに私は真意が存在するのではないかと思うのであります。 したがって、今日のこの直間比率の改定という問題が、まず増収ありきではないとは言われておりまするけれども、それは全くいわば表向きの話であって、増収を考えない大蔵大臣というのはないわけでありますから、ましてや今国家財政が非常に窮乏のときにありまして、増収を図らない税制改定なんというようなことは恐らく頭の中にあったらおかしいのであります。むしろ何とかして増収を図らなければならぬとお考えになるのが当然であると思うのであります。ところが、今回の税制改正に当たっては、まずは増収というものを念頭に置いてはならないのだと言われますから、それでは公平というところにあるのですか、こういうことになりますと、それを乗り越えていきますと、今のように結局間接税を導入することによって、裏からといいまするか、別の意味におけるところのいわば増益部分というものを隠しておられるのではないだろうか、そこのところまで私どもは追及せざるを得ないと思うのであります。 これは大臣もそうでありますが、主税局長もあわせて御回答をいただきたいと思います。
○竹下国務大臣 税制調査会で議論していただきますと、それはやはり税体系のあり方で、そこに率が入ったり金額が入ったりする議論ではなかろうと思っております。したがって、その中で、されば毎年毎年の国民に対する公的支出とでも申しましょうかサービス、それに対応する財政措置を今度は図らなければいかぬわけですから、だから体系が整備される答申の後に、増収措置とかいうようなものはそのときどきの歳出のミニマムに対応して議論さるべきものではないかな、こんな感じで私は見ております。 ただ、私が幾らか意見が一致しますのは、私はいつも感じますのは、今たばこのお話、これは野口さん専門でございますが、確かに一円上げさせていただいて、こんちくしょうと言う人は比較的少のうございました。それで二千七百億増収になる。あのときにも感じましたが、間接的というのは、いわばだんだんなれてまいりますと、いわゆる痛税感が比較的薄いから、したがって監視の眼が薄らいでくる。そこで、歳出増に安易に歳入の増を、そっちで図ってまいりますと、これは少し言葉の言い過ぎになりますが、フランス病とかあるいはイギリス病とか、かつて七つの海を支配したイギリスも一人当たり所得では日本の後塵を既に拝してしまっておるのですから、そういうのはある意味においては痛税感の欠如と、もう一つは勤労意欲の低下もあるのでございましょうが、そんなものが要因になっておるのじゃないかなという感じがいたしますので、痛税感の問題というのは学問的理論ではないにしましても、私はいつも頭に置いていかなければならぬ課題だな。 それからもう一つは、あれはたしか答申にもあったと思いますが、いわゆるインボイスでもって多段階の間接税がまかり通った場合、いわば個々の段階の方の所得が捕捉しやすくなるという、間接的効用とでも申しますかメリットとでも申しますか、そういうものが存在しておるということは、それは結果としてはあり得ることだという理解は私にもございます。 要は、やはり一つには納税者の意識の問題もあるのかな、いわゆるセールスタックス、小売段階の課税が当たり前になっておる国は、おい、まけろなんと言うこともございませんし、その辺も確かに、同じ先進国で知能、知識水準が一番高い日本でありましても、そういう慣習みたいなものは、なれた国となれない国とにはかなり相違があるな、まけてもらえるものだとかまけろと要求するとか、そういうことの全くない国も存在するなということを、時として私も感じております。 今は政治家の感じの論議でございまして、今度は、学問的な説明は梅澤さんからひとつ……。
○梅澤政府委員 六十年の税制調査会の答申、これはしばしば大蔵大臣の財政演説にも引用いただいているわけでございますけれども、現行の税制について、税体系のゆがみとかあるいは複雑化という懸念が示されておるわけでございます。 実はこの考え方の背景にありましたのは、その前の年、五十八年の十一月に税制調査会が答申をおまとめになっておりますが、その基本的な背景にある考え方と申しますのは、少し長くなりますけれども、社会経済構造の変化ということで、大体四つくらいの点を指摘しておられると思うのです。 一つは、我が国の所得水準が非常に上がってきた、同時に、所得の平準化が進行しているという事実が一つ。 それから第二点は、産業・就業構造の変化に伴いまして、給与所得者の数が非常にふえてきているというのが第二点。 第三点は、やはり所得水準の上昇、生活水準の上昇に伴いまして、消費の多様化、均質化、サービス化という情勢が進行してきておる。 第四番目は、これは非常に大事な点だと思うのでございますけれども、特に昭和五十年代以降、財政の歳出面での所得再配分機能というのが非常に拡大しておる。 こういう状況変化の中で、現行税制の持つ問題点は一体何かということなんでございますが、これについても幾つか摘記されておるわけでございますが、一つは、主としてこれは所得税にかかわる問題かと思いますが、現行の我が国の所得税の再配分機能、これでいいのかどうかという問題。それから税制の所得再配分機能が、制度として完備しておりましてもいわゆる所得の捕捉による不公平、これも単に執行だけの問題ではなくて、これは五十九年の税制改正でもお願いいたし良したけれども、要するに制度的にもそういう所得の捕捉がきちんと行われるような工夫が必要ではないか。それからまた、課税ベースの浸食、いわゆるエロージョンの問題でございまして、これは具体的には租税特別措置の扱いとかいう問題が提起されております。それから現在の消費社会の構造変化に伴いまして、現行の個別消費税では相対的に課税ベースが縮小するという問題を国民全体としてどう考えるべきか。こういった問題が指摘されておるわけでございます。 したがいまして、税制の今後の見直しの問題は、もちろん税制調査会あるいは広く国民の間で御議論を賜るわけでございますけれども、その着眼点は、大臣がしばしば申し上げておられますように、単なる増収目的という議論ではなくて、税制全体の公平、公正あるいは簡素といったような観点からどういう税制がいいのかという議論をしていただく、そこがやはり着眼であろうと思います。 それからもう一つ、ただいま直接税、間接税で負担感の問題を御提起いただいたわけでございますが、この問題についても過去税制調査会でいろいろ議論をされております。基本的にはやはり、所得税の負担感というものがタックスペイヤーの国政全体に対する監視機能といいますか、財政民主主義の観点から非常に好ましいということ、これは税制調査会の考え方なりいろいろな学説を見てもこの点は評価されなければならないという問題があるわけでございますが、同時に、負担感が余り過重になりますと、これは税制全般に対する国民の信頼が薄れるというもう一つの側面もあるわけでございます。 したがいまして、やはり税制というのは、いろいろな税目の組み合わせの中で、非常に抽象的な表現で恐縮でございますけれども、その国、社会あるいは国民の公平感とかいうものにマッチするような税体系を究極的には国民に選んでいただくということでございまして、税制当局が例えば直間比率をアプリオリに何対何にするのがいいとか、何対何にした場合に負担感がどうというような議論のアプローチではないというふうに私どもは常々考えておるわけでございます。
○野口委員 梅澤博士がおっしゃるのですから、それは素直にお聞きをいたします。私どもと違いましてこの道何十年のベテランでございますから、いろいろな意味からおっしゃっていられるど思いますが、しかし国民の素直な感情からいいますと、先ほども申し上げましたように、直間比率の改定によって間接税が増加をしていくという傾向にありますと、やはり何といいましても痛税感というものが喪失をしまして、言葉は悪いですが、いわばだまされた形の中で税金が取られていくという部分が増加をするのではないだろうか。 では今、物品税から物品税に課税がございますが、物品税の税額をその物に表示をしていない理由はどういうところにあるのですか。
○梅澤政府委員 御指摘のように、現行の物品税法の第四十二条に委員が今おっしゃいましたような区分表示をするという規定があるわけでございます。これは沿革的に十分御案内のことかと思いますけれども、昭和二十六年にこの制度ができました。そのときに、アメリカの関税法が輸出価格もしくは当該物品の輸出国における国内市場価格いずれか高い額を課税標準とする、その場合の国内市場価格というのはあくまで税引き後の生の市場価格という点を我が国としては明確にしなければならないだろうということで、この規定が入った経緯がございます。 ただその後、率直に言いましてこの規定は死文化しておるわけでございますが、これは幾つかの問題がございまして、まず、物品税は一種物品と二種物品がございますけれども、特に蔵出し段階で課税される物品につきましては同じ商品といえども課税標準はまちまちでございます。つまり、業者の建て値とおりが課税標準になるのではなくて、例えばリベートを控除するとか運賃を控除する、それからまた取引先によって、特になかんずく特販機関のような場合はいろいろ課税標準が変わってまいりますから、同じ物品についても負担している税額というのはまちまちでございますから、そういうものを製造業者に事務負担として課するというのは取引そのものが非常に複雑になってまいりますから問題であるという点とか、それから一番重要な点は、特に庫出税の対象になります物品につきましては、そこで税額を明示いたしますと、実は中間マージンが世の中に明らかになるということになりますと販売政策上いろいろな支障がある、つまりこれもある意味では取引に対して税が要らざる干渉をするという側面も出てくるわけでございます。 〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕 それから今度は小売段階になりますと、これは実際にこの二十六年の規定ができました当時、あるデパートが区分表示をやって、ところが消費者の方からその税額はまけろという値引きの問題が起こってきて、非常にトラブルが起こったというふうな経緯がございます。 したがいまして、現在の我が国の個別物品税の体系の中では、この区分表示をするという問題は、そういった取引に対するいろいろな干渉あるいは製造業者とか小売業者の事務負担を考えますと、必ずしも区分表示をするのがいいのかどうかというのは私どもは従来から問題であると考えております。
○野口委員 それは中身の問題はおっしゃるような点もあるだろうと思うのですが、消費者の立場からいいますと、ある意味では痛税感を認識をしてもらうという意味においても、これはそういった間接税であってもある意味の表示、せめては税率部分についてでも表示なさるのが国民に対してのいわば親切であり、そして少なくとも税に対する認識というものを高めていく上においても必要な部分ではないだろうかと私は思うのです。 たまたま私は新幹線の「ひかり」に乗りまして、食堂車に行きまして物を食べますと飲食税があるわけですが、あれは二千円ですか、千九百八十円までのものが多いんですね。なるべくならば一食千九百八十円までぐらいで食べますと税金がかからないということで、たまたまそれを超えて飲食いたしますと税金がかかる。ああ、一〇%かかったなということで、次から千九百八十円以内で食べよう、千九百九十円以内で食べようとかいうようなことを考えるのは凡人ではありますが、そこに税金がかかっているなということについての認識がある。 ところが、先ほども言いましたように、たばことか酒とかいうものについては、このうち何%が税金ですよということについて表示がない。ということは、いわゆる痛税感を喪失させて、そしてだまし取るという言葉は悪いですが、そういったところにねらいがあるのかなというように思わざるを得ない。ましてや直間比率の改定というような言葉の中で、そういうところにねらいがあるとするならばゆゆしき問題だ、こういうように思わざるを得ない。 ましてや、先ほども言いましたように、そのことによっていわば逆に業者の中におけるところの所得の捕捉が容易になるという立場の、裏における問題が実は本音であって、直間の比率のいわばプラス部分、メリット部分といいますか、その部分はそこには存在するんだというようなことで考えておられるとするならば、私は大変な間違いといいまするか、国民に対する大変な欺瞞であると言わなければならぬと思うのであります。しかしこのことは、後ほど同僚議員なりあるいはまた機会を得て間接税のあり方等については議論をするといたしまして、この問題につきましてはここで一応ピリオドを打ちまして、他の問題に移ってまいりたいと思っております。 そこで、実はこれは雑誌を読ませていただきまして出てきた問題でございますが、法人、なかんずく宗教法人は、東京国税局の調べによりますと非常に大型な脱税をしていたということがわかったということでございます。この実態についてひとつお述べをいただきたいと思います。
○冨尾政府委員 お答えいたします。 先生の御指摘の宗教法人に対する東京国税局の調査の状況でございますけれども、東京国税局におきまして昭和五十八年の一月から十二月まで、五十八年一年間に宗教法人に対して調査を実施した件数が合計で三百七件ございますが、このうちの九一・九%に当たります二百八十二件につきまして給与の点を中心とした被疑が発見をされまして、加算税を含めて約六億円を追徴しているという事実がございます。 なお、全国的な計数でございますが、これは調査時点の関係で若干のずれがございますが、五十八年七月から五十九年六月までの一年間の計数でございますが、全国で宗教法人に対します調査の件数は約二千二百件でございまして、このうち問題、被疑がありましたのが約千五百件、追徴税額は加算税を含めまして十四億円、こういう状況でございます。
○野口委員 この雑誌「潮」に載っております文面をちょっと読ませていただきますと、「東京国税局が一年がかりで宗教法人を税務調査した結果、なんと調査した宗教法人の九割以上からヤミ給与が見つかり、総額は二十五億円以上。」云々とあります。また、「神奈川県のある名刹の住職(63歳)は二重帳簿を作成して戒名料や葬儀・法要のお布施を表帳簿に記載せずに、五年間に一億六千五百万円のヤミ給与をふところに入れたあげく、三十八歳と三十三歳の二人の愛人に月々五十五万円のお手当を渡していた。」こういう記事なんでありますけれども、これは単なる記事として読み過ごすには余りにもずさん過ぎるのではないだろうか。 国税当局は恐らく、先ほど御報告がございましたが、全国的にもおやりになっているようでありますけれども、少なくとも現行法において、いわば捕捉率の上昇も含めましてもう少し現行法上の歳入を増加させる方向は存在するのではないだろうか。この一事を見ても考えられるわけでありますけれども、この点国税当局は、捕捉を今後さらに向上させることによって収入を上げ得る可能性の追求の課題について、どのようにお考えですか。この辺が限度だと思っておられますか、それとも、まだまだ存在し得ると思っておられますか。
○冨尾政府委員 私ども税務の執行を担当させていただいている者としては、基本的には先ほど大臣がおっしゃいましたように、適正、公平な課税の実現ということを目指しているわけでございまして、基本的には現在、申告納税制度のもとにあるわけでございます。この中で大多数の納税者の方々は誠実に申告しておられるというふうに考えておりまして、巷間言われるほどの不公平とかそういうようなことは、所得の捕捉面におきましてもそれほどのものはないというふうに考えてございます。 ただ、私どもが税務調査を行った結果を見ますと、一部に過少申告を行っているような不誠実な納税者があることもまた事実でございまして、従来から税務調査の充実に努めているところでございます。今後も、このような納税者に対しまする資料、情報の収集であるとか、こういう納税者を的確に見つけ出すということを徹底いたしまして、より充実をした税務調査を行ってまいりたい、これによりまして負担の公平を図ってまいりたいというのが私どもとしては最も大きな努力目標であるというふうに理解いたしております。
○野口委員 先ほどからも話が出ておりますように、税制の改正という問題が俎上に上っておりますけれども、現行法上でもまだまだ努力をすることによって、あるいはまた手だてを加えることによって税収を増加させることは可能である、この一事を見ましても私はそういうことを感ずるわけでありますけれども、何か世よ言われているクロヨンだとかいうものが存在し得るという肯定はなかなか当局はおやりにならないで、大体の納税者は正しい申告をしておられる、こう言って見過ごしておられるような節が間々見られるわけでございます。しかし、こういった単なる一、二点の問題が、これは部分的な問題として出てきているのならば私は余り言いませんけれども、少なくともこれに類するものが全国的にあるのではないだろうか、こういうような推察をするわけでありまして、一層の捕捉の向上について努力をしていただかなくてはならぬということをまずひとつ御要求申し上げておくところでございます。 それに反しまして、実はこういう問題がございます。これはまた別の問題でありますが、確定申告をめぐる問題で、現在確定申告の場合に昭和四十七年の確定申告からいわゆる事前調査、そして昭和四十九年の確定申告から呼び出しというものを廃止をして、申告納税制度という立場でいわば申告者に対して、あなた方が言われるように申告者は正確に申告しているという意味での、そういった呼び出しとか引きつけとかいうような言葉が使われておりますが、そういうようなものはやらないようにしようという方針をお出しになったということになっておりますが、それは正しゅうございますか。
○冨尾政府委員 所得税の確定申告の私どもとしての取り組み方につきましてこれまで若干の変遷のあったことは事実でございますが、基本的には納税者に適正な正しい申告をしていただくということが私ども税務としては一番の問題でございますので、従来から、できるだけ申告の前に納税者の実態を税務当局としても把握しておきたいというところから、いろいろな御照会であるとか、それから事前にいろいろな状況をお尋ねするという意味での簡易な調査はいたしてございます。 また、毎年の申告の状況を見ますと、税務調査を行った翌年の申告はどうもはかばかしくないという方が意外とございますし、また私どもの方でいろいろな資料等がございまして、土地をお売りになったとかなんとかでことしは所得はおありになるだろうというような方もございます。そういう方に対しまして適正な申告をお願いいたしたい、御相談があればということで、私どもとしては税務署の方においでを願って御相談させていただくということもやっております。 ただ、これはあくまでも基本的には納税者の適正な申告をしていただくお手伝いとしての御指導の意味での相談でございますので、そういう意味で私どもとしては、何よりも納税者の方々に適正な申告をしていただくという趣旨から、いろいろと納税相談期の前後ないしは確定申告期に当たりましていろいろと納税者との間で接触を持っている、このような状況でございます。
○野口委員 国税庁か公表していらっしゃいます現在の「税務運営指針」によりますと、「納税者自身による自発的な申告の慣行を定着させるように努める。」こう書いてありまして、そのことについては結構なんでありまするが、しかし一方では、部分的なことだろうとは思うのでありますけれども、予見というか、悪質者に対してはそういう形で臨まれるということもある程度わからないわけではありませんけれども、一般的にこういうようなことが書かれている。新聞でありますが、これはゆゆしき問題だなと思うのであります。 昨年の三月九日付の中日新聞に名古屋の国税局長が、確定申告最終日に申告に来る者は大体悪質な者が多い、だから調査の対象にするんだ、こういうことを新聞に発表しておられる。御存じですか。
○冨尾政府委員 昨年の中日新聞に先生御指摘のような話が出ておったことについて私詳細には承知しておりませんが、私どもの一般的なあれといたしましては、現在の確定申告期の場合の納税者の税務署への御相談に来る割合を申しますと、三月十五日の締め切り直前の五日間くらいの間に実は半数以上の納税者の方々が御相談においでになって、大変な混雑をするのが私どもの実態でございます。私どもとしては、御相談にお見えになるのでしたら、できるだけ早いうちに早目の御相談、早目の御申告をお願いいたしますということを前々から実はお願いしているわけでございまして、税務署の相談窓口が非常に込んでいる時期を避けてひとつ御相談においでいただきたいというのが恐らくは真意であろうと私は考えておりまして、そういうことをストレートに国税局長が申し上げるということはあり得ないことだと私は理解しております。
○野口委員 これは名古屋国税局長足立さんの言葉であります。「ある国税局の調査によると、最終日に不正申告をする割合が多い。忙しい〝どさくさ〟なら分からないだろうと、不正申告するのだと思う。このため、こうしたことのないよう、最終日の申告について、税務調査の対象に加えることも考えたい。」こういうことを言っているのです。こういうことを言うことは、ちょっと不見識だと思うのです。 私も実は大体十五日か十四日くらいのぎりぎりしか申告できないのです。だから、そういうのも中にはいるかもわからぬですけれども、最終日に申告する者はどさくさに紛れて不正申告する者が多い、だから税務調査の対象に加える、そんな不遜なことを言われるということは、前段の申告者を信用するんだ、正しい申告をしていらっしゃるんだと言っておることと裏腹な関係にあるんじゃないですか。これはいかがですか。
○冨尾政府委員 そこまでの内容については私詳細は存じておりませんが、先ほど申し上げましたように、三月十日を過ぎ、十五日の直前になりまして御申告に見える方もたくさんございます。それらの方を含めまして私は先ほどから申し上げているわけでございまして、特定の日、三月十四日とか十五日の御申告の方がどうこうというような分析も私どもはしておりませんし、あくまでも適正な申告をしていただくということでお願いしているし、そのためのお手伝いをさせていただくにはすいている時期にいらっしゃっていただいた方が私どもとしてはありがたい、そういうことを申し上げているんだというふうに基本的に理解しております。
○野口委員 こういったスキャンダルを取り上げてこの委員会で申し上げるのは余り好きじゃありませんから、これ以上申し上げませんけれども、少なくとも税務当局が確定申告者を信用して、またその方々の真意を特に参酌して、ある意味においては事前に調査なさることもままあるだろうと思いますけれども、全体の中で三月十日から十五日が多いから、そのどさくさに紛れて悪いことをする者がいるんだということで、十五日の日に申告に来た者は次の調査の対象にするんだというようなことを公言するようなことだけは、例え思っておられても控えてもらわなければならぬだろうと思うのです。そういうことを聞きますと、実は私もぎくっとした。私も調査の対象になるな、去年は三月十五日に申告を持っていったからということで、こういう不遜なことをたまたま名古屋で国税局長が新聞に発表なさっておるわけでありまして、私は今後慎んでもらいたいことだと思うのであります。その点、もう一言次長からいただきます。
○冨尾政府委員 私どもとしては、申告納税制度のもとで課税の実現を図りますには、やはり何よりも納税者の方々に正しい申告をしていただくことが一番大事なことでございます。そのために、ただいま全国の税務署で私ども五万の職員が総力を挙げて納税者に対します確定申告の御相談のお相手をさせていただいておる状況でございます。そういう意味で、私どもとしては、納税者のそういうお気持ちを大事に信頼をしながら正しい申告をしていただくお手伝いを引き続きやらせていただきたいという気持ちでございます。御理解を賜りたいと思います。
○野口委員 今後ともよろしく御指導をいただきたいと思います。 観点を変えまして、源泉所得税の関係で少しく申し上げたいと思います。 昨年、源泉徴収義務者が源泉徴収をいたしました税金を翌月の十日に支払う、その間に存在する金額の所属は一体どこのものなのかという質問をいたしました。納税者、納税義務者あるいは国、この三者のうち一体どこなんだということを申し上げたところ、お答えがございませんで、一年間勉強させていただきたい、こういう御返事でございました。 勉強されました結果、どこに所属をするものかお答えいただきたい。
○梅澤政府委員 たしか昨年の分科会で委員からそういう御指摘がございまして、ただいまおっしゃいましたように、政府委員がそういうお答えをしております。 この問題につきましては、その後私ども部内でいろいろ議論もいたしましたが、現在の源泉徴収制度と申しますのは、ただいま委員が御指摘のように翌月の十日までに源泉徴収義務者が納付する。ただ、零細な事業所の場合は年に二回ということになっておるわけでございます。この期間というのは、結局従業員に給与を支払われまして源泉徴収を行われるわけですが、その税額を精査していただきまして翌月十日までに徴収高計算書を添えて納付していただくという、いわば事務に必要な期間ということでこの期間は定められておるというふうに考えるべきだろう。 ところで問題は、それは他人の税金を預かったわけだから、その間にいろいろな運用益がある、この問題は、委員の御指摘では、もしそれがそうだとすれば本来源泉徴収された人に還元すべきではないのか、そうでないとすれば国に全部吸収すべきであろう、そういうふうな角度の問題の御指摘だったと思うのでございますが、つらつら考えますと、まず物理的な問題といたしまして、その月々の当該源泉徴収額の預かり金によって一体ネットどれだけの利益があったかということを確定して、それを徴収義務者から個々の従業員に還元するというのは恐らく物理的には不可能であろうと考えられます。 それともう一つは、仮にそういうもので利益が上がったとすれば、これは結局は源泉徴収義務者の所得として課税標準の中に入って、その部分についての税金が納められておるわけでございます。そういった点も考慮しなければならない。 それからもう一つ、この源泉徴収制度につきましては従来からいろいろな訴訟がございます。給与所得者からの有名な大島訴訟のようなものもございますし、源泉徴収義務者自身から、国がこういう一方的な義務を課するのは憲法違反だというふうな先年の訴訟もございました。そのときの裁判所の判示は、やはり源泉徴収義務というのは税の合理的かつ効率的な制度として、いわば憲法論からいえば公共福祉のために一方的に源泉徴収義務者に国の税の徴収義務を一部事務負担をしていただいておることになるわけですが、それは公共福祉の観点からは受忍されるべきであろうという判定も出ておるわけでございます。源泉徴収義務者の立場から見ればやはり国の事務を一部代行しておられるような立場にもございますので、仮にそういうものがあったとしても、それは全部源泉徴収義務者の不当利得のようなものになっておるからどちらかに吸収すべきだという議論には必ずしもなかなかまいらないのではないか。 同時に、現在所得税法でも、源泉徴収義務はあくまでも他人の税金を預かったという考え方に立っておりますから、逋脱とか不納付の場合の罰則は、例えば単純無申告の場合よりも罰則も重くしておるわけでございます。 そういったいろいろな制度のバランスから見て大変興味の深い問題の御指摘であると私ども考えたわけでございますけれども、一年間議論してまいりました結果は、ただいま私が申し上げたようなことになろうかと思うわけでございます。御理解を賜りたいと思います。
○野口委員 それでは、そういう結論に達せられたことはまた別といたしまして、徴収義務者のもとで徴収した日から納付した日までの間、猶予期間におけるところの生ずる金利、いわば収益と申しますかは、一体どのぐらいになるということを計算されましたか。
○冨尾政府委員 毎月の給与の際に徴収いたします源泉所得税につきまして、翌月十日までこれを預かっておって、翌月十日に支払うということでございますが、基本的に、では企業で一体どういうような分布で毎月の給与が支払われているかということにつきまして、私どもとしては実は確たるデータを持ち合わせておりません。したがいまして、会社によりまして、また企業によりまして給与の支給日等がまちまちであるというところから、この辺をどのように推計をするかなかなか難しいことでございますので、私どもとしても、現在どの程度こういう形での運用益的なものが企業に発生しているのか、その辺について正確な数字は持ち合わせてございません。
○野口委員 先ほど局長がお答えになりました、源泉所得税を六月と十二月に分けて納入しているいわゆる中小零細企業というのは、全体の何%ですか。
○冨尾政府委員 源泉徴収義務者の数で申し上げますと、全体の約七五%程度というふうに理解いたしております。
○野口委員 私は、私自身の調査でございますが、給与支払い日、一日から十四日まで大体六%、十五日から二十一日まで一六・四%、二十二日から二十八日まで七三・四%、二十九日以降に支払われているもの四%、大体こういう大ざっぱな数字でありまするけれども、出てきております。 賞与の支払い日は、六月と十二月でありますが、大体十日、二十日、二十五日と、ゴトービといいますか、そういう日に支払われております。 今七十何%が二回に分けて納められているということでありまするが、それを考えませんで、実は本年度の源泉徴収税額を仮に基礎といたしまして勘定いたしますと、本年度の源泉徴収予定額は十二兆三千六百億円となっておりますから、仮にこれを月に割りますと毎月一兆三百億円、仮にですよ、これは全く単純に十二分の一をしますと一兆三百億円、こうなるわけです。 この一兆三百億円を仮に普通預金、利息一分五厘の利率で入れますと、〇・〇〇〇〇四一一%掛けますと、一日に四千二百三十三万円生じることになりまして、これが先ほども申し上げました給与の平均日から納税の義務であるところの翌月の十日というのを平均いたしますと約二十日間というのが出てまいりまして、二十日を勘定いたしますと、その金額は八億四千六百六十万円、年間にいたしまして百一億五千九百二十万円、こんな多額のものが納税義務者と言われる方々の手元にいわゆる単純計算をいたしまして残るわけであります。 恐らく、先ほどもちょっと申し上げた、去年も申し上げたと思うのですが、仮に十一日の給料日としておられるところがあるといたしますと、これは知っておるところがあるんですけれども、一カ月間源泉徴収額そのものが運用できるわけであります。ずうっとそのままいけるわけであります。相当な収益を上げることができる。仮に十一日の月給日ということになりますと、翌月の十日ですから、丸一月、三十日間運用できることになるわけでありまして、私は、主税局長がおっしゃるように、確かに徴収義務者が国の仕事を分掌していらっしゃるということについて、その部分についてのお礼というか何といいますか、そういう立場という部分もお考えの中に存在するというのもわからないわけではありませんけれども、少なくともそれはそれとして、もしもそうであるとするならば、別の方向で支払う方法を考えられるか、あるいはそれは国のためだから黙っていてくれという、我慢をしてくれというように指導をされるか別といたしましても、少なくとも単純に計算いたして百億円以上の金が源泉徴収義務者のもとに残るというこの矛盾はどうしても黙っていられないのであります。ましてやこれを定額貯金、貯蓄といいまするか定期預金に回しますと、平均いたしまして約四分五厘、これの約三倍になりまして約三百億円の金が徴収義務者の手元に収益として残る。これは全く仮定の話であります。ましてや、先ほどの話でありませんが、六月と十二月に分けて納入してもらっておるというところもあるわけでありまするが、その部分は一切勘定いたしておりません。 また、源泉所得税の税収の推移を見ますと、七月は前月の大体三倍弱ですが、一月の場合は前月の約四倍近く。五十八年でいきますと、六月は六千九百二十四億九千七百万円ですね。ところが七月は一兆六千九百十九億五千三百万円となりまして、約三倍近いですね。この間は三倍近い金が寝んねしているということになります。十二月の場合は、これは期末手当が入るわけですが、翌月の分までといいますと約四倍になりまして、十二月の七千四百七十九億七千九百万が、一月の場合は二兆七千二億八千万円、こういうようになっておるわけであります。そこまで詳細に私は勘定いたしてはおりません。そんなことをしないで、年間の源泉徴収額を単純に十二で割りましても、いわゆる運用益を勘定いたしますと、源泉徴収義務者の中で百億から、回し方によっては三百億という金が残るではないか。これは全く不当収入であると言わなければならないと思うのでありますが、国税当局の再度の御答弁をいただきたいと思います。
○梅澤政府委員 先ほども申し上げましたように、委員の御指摘、非常に興味深い御指摘であろうと私ども考えておるわけでございますが、先ほども申し上げたわけでございますけれども、ただいまの委員の御計算、あるいはそういう金額になりますのか、源泉徴収税額のうち給与にかかわるものは大体全体の七割でございます。それから一月分丸々滞留するというよりも、考えれば平均十五日というふうに考えるべきであろうと思いますが、いずれにしろ、それを運用したとすれば応分の利益が源泉徴収義務者の方に発生するという事実は否定できないと思います。 これも先ほども申し上げましたが、そのうちそれが所得を構成するものであるとすれば、国税、地方税を含めまして大体五二%強が実効税率でございますから、国庫なり地方の税収としてそれは吸収されておるわけでございます。残りの部分を一体どう考えるのかという問題になろうかと思いますけれども、これも先ほど申し上げましたことの繰り返しになるわけでございますけれども、結局ある意味では委員がおっしゃいますように、そういう源泉徴収義務者に結果としての受益が発生しておるということは事実でございますが、一方側面から見ますと、源泉徴収義務者にその期間滞留しておるというのは、好きこのんで源泉徴収義務者のところに滞留しておるわけではございませんで、国の事務をお願いしておるその事務処理をしていただく期間、いわば結果として滞留しておる。そういった受益と公共のための負担のバランスを一体どう考えるか。 大変興味の深い御指摘ではございますけれども、私どもといたしましては、現行の源泉徴収制度を円滑に運用していただいている一つの源泉徴収義務者の国に対する広い意味での御協力もあるわけでございますので、その辺の問題も勘案しながら検討すべき問題ではないかというふうに考えます。
○野口委員 時間が参りましたのでこれでやめさしていただきますが、私は去年からも申し上げておりますが、少なくともこの金額が一億や二億の金ではなくて、数百億円の金になってくるということになりますならば、これは還元しろということもさることながら、こういったいわば源泉徴収義務者のもとで生じた受益の額というものは、何らかの形でやはり国が徴収をするということができないということならば、これはもちろん先ほども言いましたように納税義務者に返してやってほしい。それは、形の上では一人当たりにすれば些少な金額になるでありましょうから、これは厚生施設とかいろいろな形の中で還元してやる方法もあるだろうと思うのであります。 いずれにしても、今とられている制度では、悪用すれば非常に多額の運用益を生ずることになり、そしてまた、今度の税改正によりますならば、さらにある部分においては一月の十日の納入が一月の二十日になる、こういう制度の改正の法案が入っているわけであります。そうなりますと先ほどから申し上げておりますように、徴収義務者にそれぞれ御苦労をいただいているということはわかってはおりますけれども、それに対する国の処置は別の方法でとられるべきであり、税が納められてそれが国庫に入るまでの間においてそういった運用益があるということについては、何らかの措置をとるべきだというのが私の持論であります。重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。
○越智委員長 伊藤茂君。
○伊藤(茂)委員 正月の早々でしたか、新聞を読んでみましたら、竹下さんの似顔絵が載っておりまして、ちらっと見ましたら、うまい言葉が載っておりました。何か大蔵省での年頭訓示だそうでありますが、「「意味も明りょうに、国民の理解を求めていく」――竹下蔵相は七日、大蔵省での年頭訓示の中で、国会答弁が「言語明りょう、意味不明」といわれていることに対し、自戒の念を込めてこう話った。」大変結構なことだと思います。ぜひそういうことでお願いをいたします。 最初に、政府税調のことで二、三伺いたいと思います。 総理の答弁、大蔵大臣の答弁、予算委員会などの経過を伺っておりますと、予断を交えず政府税調に御報告し、御審議をいただくという表現になっているわけであります。通り言葉のようにそれが繰り返されております。何か聞いておりますと、あたかも税調が最高決定機関で、ひがみじゃありませんが、国会はその予備討論の場がというような気もするようなほど実は言われているわけでありまして、私は、当然のことでありますけれども、専門行政諮問機関としての政府税調、これはもう非常に大事だと思います。それから政府・大蔵省は、これは憲法を言うまでもなく、行政の責任を持っているわけであります。また議会も、議会人としても、また国政の最高機関としても立派な役割を果たさなければならない。いい意味でそれぞれが立派な役割を果たすというのがあるべき姿であろうと思います。 ですから、行政の最高責任を持つ政府・大蔵省、やはり長期のビジョンなりあるいは税制の考え方なりというようなものをきちんと持って、言うならば政府税調をまた使っていくとかいうぐらいの立場があるのが当然だと思います。政府税調の方も、優秀な方々にいい議論をしていただきます。私ども議会も、できたらこういう法案審議だけではなくて、前には税制特別小委員会とかという例もございましたが、やはり法案のこういう政府に対する質問だけではなくて、さまざまな形でやはり国民の総意を代表したブロダクティブな活動をしていくというようなことも私は必要なことであり、望ましいことではないだろうかというふうに実は思うわけであります。 そういうことから考えますと、非常に実は不安であります。税調の現状を見ましても、今シャウプ以来の抜本的見直しとか戦後総決算が総理の言わっしゃる一つの重要な柱であるとか言われております。まさに重要なときでありますが、シャウプ使節団などの御活動の経過なども、記録を読んでおりますと、非常に有能な方々が誠実に懸命に努力をして各界と接触し、地方を懸命に走り回り、そうして学問的にもやはり筋の通ったさまざまの努力をなさったというふうに聞いております。当時はGHQの権力であります。ですから、政府税調を含めたそういうあり方というものが、少なくともこの大きな転換期でありますから、シャウプのとき以上に、当時の権力という言い方はしません、今は国民合意を求める誠実な努力を懸命にしなければならないという段階ではないだろうかと思うわけでありますが、現実は、失礼ですから新聞、評論その他で言われている言葉は引用いたしませんけれども、自民党税調、党税調の方からは軽視をされて、軽く見られているというのか、そういう面が多々あると私は思います。党税調の方が政府税調で決めたことと違う答申をして、そちらの方が政府に採用されるということも何遍もあったわけであります。十年前の医師課税の問題、あるいは数年前のグリーンカード、そして今度の利子課税問題、細かいことではなくて大きな問題でそういう状態があるというふうなことになっております。 私はそういうのを考えますと、任命するのは総理になっておりますけれども、大蔵省が大きな責任を持っているわけでありまして、これからの大きな課題、そしてまた今の状況などを考えまして、この延長線でやって何か国民全体に信頼感と合意の求められることになるのかなという疑問を非常に持たざるを得ないわけであります。税調自身でのさまざまの御努力もあるでありましょう。しかし、任命してそれを動かし、そして時節にふさわしいように御活動いただくのは政府の責任であろうと思います。そういう意味でどうお考えになるのか。 さらに言いますと、何か新聞報道を見ておりますと、四月には諮問をして抜本的な見直しの問題などを総会で議論し、特別部会で詰めていくとか、さまざまなスケジュールまで出されております。 〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕 四月に審議を開始して総会論議をやって、六月から部会討議に入って十月をめどにいたしまして中間報告を出してもらうとか出されておりますが、あり方の問題と動かし方についてどのようなお考えと期待を持っておられますか。
○竹下国務大臣 税制改革で問題が提起されております税制全般にわたりますところの見直しは、国の基本であります税制の根本にかかわる問題でありますだけに、国民各層、各方面で大いに議論をしていただいて、最終的には国民の合意と選択によって決められるべきものでありましょう。したがって、国民の代表であります、国権の最高機関である国会においてこの問題について責任ある議論がなされていくということ、これは大変結構なことだと思います。政府としては、税制改正の問題については、まず内閣総理大臣の諮問を受けて税制に関する基本的事項を調査審議することを目的として設置されております税制調査会において幅広く審議していただいて、その答申を踏まえて改正作業を進める、そういう手法をとっておるわけであります。 そこで、税制調査会というのは非常に専門家的な方の色彩の多いところでございますが、現在の国民の選択と合意というようなこと、その世論などを一番肌で感じていらっしゃるのが、私もその一人でございますが、選挙によって選ばれたところの国会ということではないかなと。そうなりますと、その国会の議論というものをまず政府税調にかなり正確にこれを伝えていく。そこで御審議をいただいて、そして、その答申に基づいて政府が検討作業の進め方、答申に基づいてどれを選択するかというのは、これはまた政府の責任だと思うんです。だから、そういう段階を通って進めていくということになりますので、私も、例えば大蔵大臣が出かけて、おれはこういう税制改正をしたいと思うが、税制調査会の先生方ひとつ議論してみてくれということの以前に、やはり各界各層の代表としてお集まりになっている国会の意見を報告して、そして、それに基づいて議論していただいて、最終的にどれを取り上げるかというところにやっぱり政府としての判断が必要になってくると思うわけであります。したがって、私も、その手法の方がより民主的なのではないかなと。 したがって、どっちかといいますと、現実問題として見ますと、予算委員会ではそういう総括的な議論が行われて、そして本委員会へ参りますと、法案というものも抱えながら、総括と具体を交えた、より掘り下げた議論が行われていく、それらを総合して報告するというのが一番いいんじゃないだろうかと。しかし、この提出しておりますところの法案そのものについては、やっぱり提出した限りにおいては政府に責任がありますから、これは予見も、まあ決断したものでございますからそういうことを交えた議論をし、中長期的な将来の問題については可能な限り正確にその意見を伝えていくというのが最も民主的なあり方なのかな、こんな感じを私自身も持っておるところであります。 そこで、まあ今度は大改正と、こういうことになりますと、新聞紙上なんかに、諮問の時期は四月だそうだとかいろんな予測の記事が出てまいりますが、私も非常に注意しておりますのは、四月といって今断定する時期ではまだないじゃないかな。中曽根総理の言葉をかりれば、できるだけ早くと、こう言っておるわけですが、やはり国会の論議等を見定めてから諮問した方がいいんじゃないかなと。今度は、三年に一遍国税、地方税のあり方についてという諮問の中で、従来はあうんの呼吸でやってもらっておったものを、正式に文書にして諮問しようという構えでございますから、そういう意味においてはその国会の論議等を完全に見定めた時期というものがいい、しかし、可能な限り早いがいい。そうしますと、あとは結局従来の経験に徴して各新聞記者の諸君が、まあ、三年に一遍は本格中間答申出るんだから、それじゃ年度に間に合わすつもりなら中間報告になるんじゃないかとかいうのは、まだ全く予断の外にある問題だ、こんな感じがしておるところでございます。
○伊藤(茂)委員 私が申し上げたのは、新聞の論調を見ましても、今の税調の状況に多くの国民の信頼感は集まっていないと思います。あるいはまた党税調と政府税調の関係から見ましても、中身のいい悪いは私ども個別に判断はございますけれども、尊重されていないと思います。それが現状であります。 やっていただいている方にもお気の毒でしょう。やはりやっていただくからには、税調の長い伝統があるわけですから、東畑さんの時代もあり、中山伊知郎さんの時代もあり、それぞれ大きな役割を果たしてきたわけでありますが、それ以上に大事なときであります。ですから、今の仕組みで御満足かどうかというと大臣お答えにくいでしょうから、今の仕組みでただ転がしていけばいいということだけじゃないと思います。税調も、私は諮問者の総理大臣に答申のペーパーを出せばいいというものじゃないと思います。シャウプのとき以上のさまざまな活動をして国民合意を形成するというものがなければならぬと思います。そういうことを考えてあげて、しかも任命をし、お願いをするというのが政府としての今日の重大時局に当たってのとるべき態度ではないだろうか。そのお考えがないわけじゃないと私は思いますけれども、いかがでございましょうか。
○竹下国務大臣 これは十分な御論議をいただくような、自主的にどういう進め方をされますかは税調にお預けするといたしましても、私はそういう構えで対応すべきものであるという考え方は持っております。 で、政府税調と党税調の問題、私も、私の経験からいたしまして今伊藤さん御指摘なさいましたような問題点が過去にもございました。まあ現在もございます。が、これは政党政治でございますので、いわば税調の答申というものがやや理論的背景をより余計加えた形で出てきて、それの採択に際しての現状認識の違いというようなものが党税調あたりからは出てくる。そうすると、採用する側になりますと政党内閣でございますからそういう傾向があるということは私も認めますが、しかしながら、それによって税調の先生方が、それは自分らの意見が取り上げられなかった場合における甚だけしからぬとかという議論はあるところでございますけれども、まあやむを得ないというふうな事後追認をしていただいておるというのが、これまた現実の運営の問題であります。 ただ、私も今伊藤さんのお話を聞きながら、我と我が身に言い聞かせなければいかぬのは、マンネリになった形で、税調そのものはマンネリでなくても、その取り次ぎをする我々がマンネリになっておってはいかぬなということは、今のお話を聞きながら私も自戒したところであります。
○伊藤(茂)委員 この大事なときにふさわしいような税調の活動であり、またシステムであり、構成であるというようなことをぜひ考えるべきではないだろうかというふうに私は思います。それは税調に対する礼儀でもございましょうし、政府としての責任だろうと思うわけでありまして、御検討を願いたいと思います。 これは大臣よりも梅澤さんの方に伺った方がいいと思いますが、二つあります。 一つは、何かきょうの新聞を見たら、ある新聞の一面トップに出ておりましたが、六十一年、六十二年、二段階であるとか、何月がどうであるとかというようなのが報道されております。これは私ども、中身の問題はこれからといたしまして、どういう進行過程でこの抜本的見直し作業が進んでいくのだろうか、あるいは税調の事務局を担当されている主税局にしてもお考えを持っているんだろうか。前から新聞には随分たびたび出てまいりまして、見るわけでありますが、何か今までの国会の大臣の御答弁では六十一年にでもらしい御発言があったとか、いや、そうでないとか、いろいろと実はあるわけであります。それらを展望して、大まかな展望として四月なら四月、国会の予算審議が終わった後諮問をされましたら、どのような心構えをもって考えておられますか。
○梅澤政府委員 先ほどの大臣の御答弁に尽きると思うわけでございますけれども、大臣もしばしばおっしゃっておりますように、国会の審議を見きわめた段階で、いずれ私どもに大臣から御指示があろうかと思います。したがいまして、今日の段階で税制調査会にどういう形でいつの時期にいわゆる改めた諮問が行われて、実際の審議がいつから始まるかというのは、これは行政府だけの判断ではもちろんいけませんわけで、国会の御審議の状況とか、そういう時間的経過なども見きわめなければならない問題だと考えます。 それから、この後どういう段取りで審議が行われ、一つの結論あるいは中間まとめのようなものが行われるのかということでございますけれども、これも先ほど大臣からお話がございましたように、私ども税制当局としてこの問題についても現段階で一切の予断を持って申し上げられる状況ではございません。すべて国会の御審議を見きわめながら、私ども事務当局としては、大臣の最高の御指示があるまで国会の御審議の状況を私ども肌身に外しまして、いずれ税制調査会の御審議が始まりました段階で誠意を持って努力をするということになろうかと思います。
○伊藤(茂)委員 どこかには本音の話を流すけれども、正式の場では言わないという感じがいたします。 主税局長にもう一つ伺いますが、しかほどさように焦点となっている政府税調というのは、どういう法律でできているんだろうかと改めて見てみました。何かこれは法律ではございませんで、総理府本府組織令、政令でできている。その内容はどうかと見てみましたら、任務とするところは、「内閣総理大臣の諮問に応じて、租税制度に関する基本的事項を調査審議し、」これは中期税制なんかに当たるのですかね、「及び当該諮問に関連する事項について、内閣総理大臣に意見を述べること。」こういうことですね。 また、内容でちょっと不思議に思いましたのは、幹事会という規定がこの中にございまして、幹事会というのは余り新聞で聞いたことがないのですが、メンバーは何かと見てみましたら、大蔵省からは官房長、主計局長、主税局長、国税庁次長、ほかは全部各官庁の官房長など、ほとんどが官房長のメンバーで、十数名か二十名ぐらい任命されております。こういうものが何か規定にございますけれども、これが動いたらフリーに、まさに政府の意図どおりに動かすみたいな感じを持たざるを得ないわけでありますが、この幹事会というのは二十五人ですね。一体これは動いているのですか、それからやっていないのですか、また、どういう意味合いになるのでしょうか。 それからもう一つは、私も事務局は有能なる大蔵省主税局と思っておりましたら、その規定では、「内閣総理大臣官房審議室において大蔵省主税局」などの「協力を得て処理する。」ですから、中心は総理大臣官房審議室になっているわけですね。ですから、そういう庶務、事務局などの責任者というのはだれになっているのですか。
○梅澤政府委員 御質問が二点ございましたが、仰せのとおり、組織令で「幹事二十五人以内を置く。」という規定がございますが、税制調査会の従来からの運用をありのままに申し上げますと、この幹事会なるものがいわゆるコミッティーのような形で常時活動しておられるという形にはなっておりません。ただ、各省からの幹事さんがこれに参加されるという考え方でございますので、税制調査会で総会の御審議がございます場合には、この幹事官庁の御本人なり担当者が必ずこの審議に、原則としてこの税調は非公開になっておりますけれども、幹事官庁に必ず出ていただいておる。そういう格好で、税制調査会の審議の状況がそれぞれ幹事官庁にフィードバックするという形で従来運用されておるわけでございます。 それから第二点の庶務でございますが、これはそもそも総理大臣の諮問機関として設置されました沿革は、推測いたしますに、この税制調査会は国税、地方税全般の事務を審議されるわけでございますので、したがいまして大蔵省、自治省の所管にまたがるという観点から総理大臣の諮問機関とされたということでございます。したがいまして、当然のことながら庶務は総理府の審議室に置かれるということになっておりますが、私どもはその総理府の審議室と十分連絡をとりながら、日常の総会とかあるいは特別部会、作業部会等の運営に当たりましては、大蔵省主税局、自治省税務局が個々の問題については庶務をお引き受けしておるというのが実態でございます。
○伊藤(茂)委員 細かいことを言うつもりはございませんけれども、いずれにしても、政府税調とかいろいろなものがマンネリでやって、惰性でやって惨めなことになる、国民の信頼はない、これは税制調査会の皆さんがどうこうという意味じゃなくて、国民にとっての不幸であると思いますから、そういう意味では、マンネリであってはならぬみたいな趣旨のことを大臣言われましたが、ぜひ任命する側で今日の時代にふさわしい構造がどうあるべきかということをお考えになるべきであろうと思いますし、要望しておきたいと思います。やはり開かれた民主的なシステムでなければならぬと思いますし、今こそ各界の意見を十分聞いて合意を形成する努力を懸命に払うべきであろうと思うわけであります。 次に入りますが、今まで大蔵大臣からもまた総理大臣からも、不公平、不公正、ひずみとかゆがみとかいうことがいろいろ言われております。その中身ですが、何十項目も御指摘をとは申しませんから、重点と考えられる今日の直さなければならないひずみとかゆがみとか、そういうものは何であろうか。これはどうお考えですか。
○梅澤政府委員 これは先ほど野口委員の御質問にもお答えしたわけでございますけれども、六十年の答申に税体系のゆがみあるいは複雑化の懸念を示されておるわけですが、その背景になります考え方は五十八年十一月の中期答申ということを申し上げました。社会経済構造の変化ということで四点申し上げたわけでございますが、その構造変化の中で我が国の現行税制を一体どう考えるのかということでございまして、税制調査会の中期答申を主として申し上げますと、所得再配分機能をどう考えるか。これは、端的に言えば現在の累進構造を含めた所得税制のあり方を一体どう考えるのかという問題が一つ提起されております。 それからもう一つは、これはいわゆる所得課税に宿命的につきまとう問題でございますけれども、所得の捕捉の問題でございまして、税制調査会の答申では、まず申告所得税につきましては、やはり制度面、執行面でのより公平、より公正なあり方について工夫をする必要がある。 それから、法人課税につきましては、いわゆる赤字法人の問題が指摘をされております。 それから、税制全般、これはあらゆる税目について言えるわけでございますが、課税ベースの浸食というのは結果的には不公平を招く問題でございます。課税ベースの浸食問題は各国の税制でもいろいろ議論されておりますが、我が国の例で申し上げますれば、租税特別措置のあり方を一体どう考えるのか。租税特別措置は、税の公平をある程度犠牲にいたしましてもう一つの政策目標を追求するということでございますが、この政策目的と片方における税の公平の要請というものを考えました場合に、政策税制、全般的に否定されるべきものではないわけでございますけれども、租税特別措置の租税政策が余り安易に利用されますと、それは結果的に課税ベースの浸食という形で税の不公平を招くという問題がございます。 それから、間接諸税につきましては、これも先ほど申し上げましたけれども、現在の消費の態様ということから考えました場合、我が国の現在の個別消費税の体系のもとでは、従量税率の問題も含めまして相対的にこれも課税ベースが縮小するという問題が提起されております。これは直ちに新しい間接税の問題ということではございませんで、五十九年、六十年答申を通じまして税制調査会が言っておられますのは、現行の個別消費税の中でも、なるべく課税範囲を現在の消費の態様に合うように絶えず見直さなければならないといったような問題が指摘されておるわけでございます。
○伊藤(茂)委員 四、五点指摘がございましたが、そのほかにこういう問題はどうでしょう。 戦後の税収構造を見てみますと、例えば法人税、所得税の比率という問題がございます。一九六〇年ごろには、所得税と法人税の税額の比は大体所得税一〇に対して法人税が一四・七、一九六五年あたりに大体一〇対一〇、最近は大体所得税一〇に対して法人税の方が八ぐらいの傾向になっております。言うならば、所得税と法人税の関係が逆転するという関係がこの二十年くらいに出てきて、非常に特徴的な状況があると思います。 これは私は二つ理由があると思います。一つは、国民所得というか、GNPの中における雇用者所得の増、それから企業の方は収益に対する課税ですから、景気の髪もございますけれども、そちらの方の大きさというものが一つあると私は思います。同時にもう一つは、さっき冒頭におっしゃったこととも関連がありますけれども、やはり名目で累進という所得税の構造、それから法人の方は、利益が上がった場合、利益に対する課税という構造がある。 〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕 私は後者の方が相当大きなウエートをもってそうなってきたんではないだろうか。 この間ちょっと読んでおりましたら、その辺の比率について、例えば昭和五十年を一〇〇として、所得税全体の伸びは六十年度二二六、それから所得税の中身についても源泉分は三一二、申告が二〇五などという数字を読みましたけれども、そういう法人税と所得税というものの考え方ということもひとつ検討されるべきではないだろうか。 不公平、不公正、ひずみ、ゆがみという世の中の概念にきちっと皆さん方が当てはめるようにお考えかどうか知りませんが、そういうことも御検討されるべきじゃないだろうかと思いますが、いかがでしょう。
○梅澤政府委員 国税収入に占めます所得税なり法人税の構造変化の問題でございますが、ただいま委員が御指摘になりましたのは正確な御指摘だろうと私は思います。 昭和三十年代は大体直接税が五割台の水準、四十年代に入りますと六割前後、五十年代に入りまして現在の七割ということになってきておりまして、その内訳を見ますと、これは委員が御指摘になっているとおりでございまして、所得税なり法人税のウエートが構造的に高まってきておる。それは一つは、これも委員御指摘になったところでございますけれども、三十年代後半からの我が国の経済成長を反映いたしまして、それから産業構造の変化に伴いまして全般的に所得水準が上昇する、同時に就業構造の変化によりまして給与所得者の数がふえるということで、その期間、適宜課税最低限の引き上げ等の見直しが行われているわけでございますけれども、納税義務者のすそ野が広くなってきている。文字どおり、基幹的な重みをその期間を通じて所得税が担ってきたという傾向でございます。 この構成の割合というのはあくまで構成比でございますので、間接税との相対関係で決まるわけでございますけれども、間接諸税につきましては、これは常々指摘がございますように、我が国の現在の間接税の体系というのは、流通税も含めまして、基本的には個別的な消費税、それから従量税率を持っているものが非常に多いということで、適宜この見直しを行っていきませんと、時がたつにつれまして相対的にこの比重が落ちていく、そういう構造になっておることは御指摘のとおりでございます。
○伊藤(茂)委員 さまざま税法上あるいは理論的な規定もあると思いますけれども、世間の一つの常識からいって、会社の払う税金とサラリーマンの払う税金とでも申しましょうか、まあ表現が科学的かどうか知りませんけれども、二十年のうちに逆転した。私は労働組合の方に言うんですよ。団体交渉するときに、あなた方会社よりも我々働く者の方が多額の税金を納め、社会のためにサービスしているんだ、ですから、全く同等以上の発言権を持ってやったらいいじゃないかと冷やかすんですけれども、こういうふうに過去二十年ぐらいのうちに逆転する大きな変化がある。やはり常識でいって、こういうものは一〇対一〇とかいうぐらいの比率であるのがむしろ世間の納得というものなんじゃないだろうかという気がいたしますが、これは理論的に答えてもらう話ではなくて、あり方の問題。 それから、それにも関連があるのですが、法人税の二年間一・三ですね、中小の方は一・〇というのがございますが、これは期限が二年間ですから、もうすぐ、ことしで終わりになるわけでありますけれども、これの取り扱いはどうなさいますか。昨年のときにはその時点でというふうな御答弁であったわけでございますが、一年近づいてまいりましたから。 それから、何か今までの御答弁でもほかの委員会の御答弁でも、所得税の累進構造なども是正をしなければならぬ、同時に法人税についても軽減措置が必要であろうというふうな報道が時々なされるわけでございますが、この一・三%の取り扱いの問題と、それから所得減税と抱き合わせになると思いますが所得減税と、それから法人税も同じように扱うというふうな問題意識を持たれるのかどうか。
○梅澤政府委員 所得税の税収構造に占めるウエートが高まってきておるという御議論でございますが、反面また、こういう指摘もあるわけでございます。我が国の国税の税収構造から見ますと法人税の割合が三割というのは、先進国の中では一番高いわけでございます。大体先進諸国は一けたのところが多い。一つは会社法の制度が違いますから、これが高い、低いという議論はできませんけれども、そういう御指摘もございます。 それからもう一つ、所得税のウエートが高まってきたというのは、これは先ほども申し上げましたけれども、やはり高度成長期を通じて所得水準の向上に伴いましてすそ野が広がった。例えばまたこの期間ジニ係数なんかを見ましても、所得の平準化が先進国の中で我が国は一番進行しておると言われておる国でございますので、家計部門と企業部門と比べました場合に、所得課税について家計部門に我が国の税制が偏り過ぎておるという指摘は、必ずしも私どもはそういうふうには一概には言えないのではないかというふうに考えております。 それから五十九年度改正で二年間の時限措置としてお願いいたしました法人税率の引き上げの問題でございますけれども、これは委員もう十分経緯を御案内のように、五十九年度の所得減税の財源としてこれをお願いをしたわけでございますが、その結果、これも事実の問題として、現在の法人税の実効税率の水準は戦後一番高い水準に来ておるわけでございます。したがいまして、やはり実効税率の水準が余り先進諸国とかけ離れたものになるのは好ましくないというのが従来の一貫した私どもの認識でございますし、税制調査会の考え方でもございますので、五十九年度の税制改正に当たりましては、所得減税のいわば財源という観点から、時限措置として二年間というふうにお願いしたわけでございます。 しからば、六十一年度以降どうするかという問題でございます。当然期限が到来するわけでございますが、これは六十一年度の予算編成、税制改正全般の中で、しかも財政事情をこれ以上悪化させるわけにもいかないということが基本でございますので、そういった点を勘案して改めて検討するということになろうかと思います。 最後の問題は、政治的な問題でもございますので、大臣から御答弁があるかと思います。
○竹下国務大臣 確かに予算委員会あるいは参議院の本会議でございましたか、総理の口から、私も所得税の減税はしたいあるいは法人税というものの軽減も図りたい、しかしながら、なかんずく所得税において赤字公債を財源とするようなのは避けなければいかぬ、そういう気持ちは持っておる、しかし今度の税制体系の見直しというのは、いわば所得税を減税するための財源として何か考えろとかいうことではないという趣旨の御発言がございました。私も税当局でございますから、大蔵大臣でございますから、その辺を考えまして、総理大臣というのはそういう自分の気持ちというものが答弁の中に堂々と出てもいいんだな、私は大蔵大臣でございますから、この省を預かっておるということになると税調にいささかでも予見を与えてはならぬのかな、こんな感じを持って非常に慎重に配慮しております。その立場になったときはまた別でございますが、その可能性があるという意味で申したわけではございません。
○伊藤(茂)委員 主税局長、去年の議論のときでも減税財源で二つの柱があった。片方法人税の方は時限二年間、片方酒などは恒久法で上がる、おかしいじゃないですかという意見を私ども大体言ったはずなんですが、二年でやめる可能性を相当お考えになりますか。
○梅澤政府委員 これは、先ほども申し上げましたように、六十一年度の予算編成の段階で財政運営全体の中で判断されるべき問題でございまして、税制当局の技術的な問題として対処できる問題ではない。一般論として申し上げまして、税制の期限が到来することは事実でございますけれども、これを六十一年度にはもうやめるとか引き続き継続する、あるいはもう少し引き上げをお願いする、そういった問題につきましては六十一年度以降の財政状況なども見定めながら判断すべき問題ということで、現段階ではお答えしにくい問題でございます。
○伊藤(茂)委員 公式の場では言いにくいが、新聞には流しているということでしょうか。 大臣、ちょっと伺いますが、先ほど主税局長から不公平、不公正、ひずみ、ゆがみの例を伺いました。直間比率というのも、そのゆがみの中の一つにお考えになりますか。
○竹下国務大臣 これは私考えますのに、直間というのはずっと経過を追って今のような比率に結果としてなっておるわけでございますが、それがいわばひずみの一つではないかという意見があることも事実でございます。したがって、私も答弁の限界として今考えておりますのは、それもひずみの一つであるという意見があることは承知しておりますと言うにとどめて、これがひずみでありますと言うには、やはり税調の論議そのものの推移を見てからでないと断定できないな、こんな感じがしております。
○伊藤(茂)委員 非常に慎重でございますが、角度を変えて申しましょう。 政府税調、党税調の答申がございます。肝心なことが冒頭にそれぞれ書いてございます。 政府税調の方は「極めて異例」と書かれているわけでございますが、「既存税制の枠内での部分的な手直しにとどまる限り、所得、資産、消費等の間で適切な税負担のバランスを図るという観点からは税体系に歪みを生じさせ、また、税制を一層複雑化させることとなる。」から、「直接税、間接税を通じた税制全般にわたる本格的な改革を検討すべき時期にきている」と表現されております。 党税調の方は、「当面する厳しい財政事情に顧みれば、課税の公平性、中立性を維持しつつ必要な税収を安定的に確保することは喫緊の課題である。」「税体系のあり方の問題について、直間比率その他の問題を含め、抜本的な見直しを早急に進める必要がある。」党税調の方は、財政ピンチであります、税収をふやさなければなりません、これが大事であります、直間比率の抜本的見直しもする必要がある、消費税の導入、これは非常に正直に表現されている。 ニュアンスの表現が違いますし、ちょっと税制に対する構え方が違うんだろうと思いますね。大臣はどっちの方ですか。
○竹下国務大臣 もとより党税調でそうした答申が出たこともよく承知しておりますが、どれを採用するか、今後税調に諮問してから最終的にこちらが決断をしなければならぬということでございますから、当面は政府税調に対する私の姿勢としては、あの政府税調の御指摘どおり、そういう意見がたくさんあったからそういう御指摘があっておるわけですから、そこで先ほど申しましたような答弁の限界を心得ておった方がいいのかな、こういうふうに自分に言い聞かせておるということであります。
○伊藤(茂)委員 主税局長に伺いますが、直接税、間接税の考え方の問題。 ある雑誌の座談会を読んでおりましたら、税調会長代理の金子さんが、「直接税のほうが民主的だと思いますね。」という御室言をなさっております。前の国税庁長官の福田さんが、「消費のところを物価という選択できる形で納めるほうがむしろ国家権力に対しては民主的である」、そういう考え方もありますというような発言がございます。 私は、今後さまざまな税制の変動があるでありましょうけれども、日本の伝統、今までの長い歴史的経緯からいいましても国民の意識からいいましても、直接税中心という形は崩すべきではないと思いますが……。
○竹下国務大臣 これは私も、シャウプ勧告以来所得税というのはやはり基幹税であるという認識は持ち続けるべきではないかな、それが我が国に定着しておる。それを広く直接税という表現でも、それは何ら差し支えのないことではないか。そういう基幹的役割を果たしておるということは、精神的に基幹的役割を果たしたと思います。 それは、古くは所得がそう上がってない時期でございますから、まだ酒、たばこにも大変嗜好性の強いという認識のときには――私も今でも忘れませんが、昭和三十三年に国会へ出て、ここの場で初めて質問をさせていただきました。それは酒税の問題でございました。そのときにお答えいただいたのは、時の政務次官山中貞則先生。その二人で問答しましたときに、やはり現在の環境から見て直接税というものが基幹税としての性格を持っておるが、間接税の主要部分たる酒とたばこも消費税、税と計算をして、合わせたものがおおむね三〇%弱というのは一つの目安だ、こういうお話がございまして、なるほどなと思って非常に印象に残っております。 時代は移り変わり、高度経済成長のもとにその賃金水準は上がり、かつこれが平準化し、だんだんその比率がすべての間接税を合わせて今のような二七%ぐらいですか、そういう比率にまでなったわけでございますから、いわばこれこそまさに経済社会の環境の変化というものだな、こんな認識で今見ておるところでございます。
○伊藤(茂)委員 主税局長に伺いますが、今、大臣の方からも直間の変化ということについてのお話がございました。戦後の数字を見てみましても、昭和二十年ごろに直の方が五五、間の方が四五、昭和四十年ぐらいにほぼ六、四、五十年ごろから七、三、それで今日に至っているという状況がございます。大臣が言われた点もあると思いますが、専門家の方から見てこういう特徴的な戦後の変化、しかもシャウプ以来の変化ですから、こういうものをどう解釈をなさるのか。 それから、こういう状態の中で今後の社会の中で望ましい一つのあり方といいますか、国民から御負担いただくという場合に、何か細かい税制じゃなくて、マクロの観点からどんなお考えをお持ちですか。
○梅澤政府委員 直接税と間接税の国税収入に占めます割合の構成変化、ただいま委員が御指摘になりましたとおりであります。その背景にありますものは、やはり特に昭和三十年代後半からの我が国の経済産業構造の変化、所得分布なり所得水準の変化というものが背景にあるというふうに考えてしかるべきであろうと思うわけでございます。 問題は、非常に単純化して申し上げますと、企業の部門と家計の部門に一体税負担をどういうふうに配分していくかという問題が基本にあるわけでございますが、この点につきまして、総体として我が国の現在の税体系の中で直接税、間接税を通じまして家計部門の税負担に偏っておるというふうなことは言えないのではないか。先ほど国税収入に占めます法人税のウエートの御議論を紹介したわけでございますけれども、一般的にそういうことは言えないだろう。 ただ問題は、家計部門にどういう形で税負担が配分されるか。それはあくまで基幹税たる所得税を中心に行われるべきであるということは、先ほど来大臣が仰せになったとおりでございますけれども、一方、昨今税制調査会等の答申で指摘されておりますのは、そういう所得水準なり生活水準の向上に伴いまして消費の態様が非常に変わってきておりますから、そういったものに対応するような間接税体系のあり方、これは必ずしも直接新しい間接税の議論に結びつくわけではございませんけれども、やはりそれは我が国の税体系が現在抱えている大きな問題の一つであろうということでございます。 しかし、これは税制当局が一方的に所得税がどれぐらい、間接税がどれぐらいというふうに決めるべき問題ではございませんで、各国の税体系を見ましても、所得税と各種消費税、各国まちまちで運営をしておるわけでございまして、結局はその国の経済社会なり国民の選択、あるいは価値判断と言ってもいいかもわかりませんけれども、そういったものに究極的には求められるべき問題であろうということでございまして、釈迦に説法でございますけれども、ある有名な財政学者の教科書にもございますけれども、租税政策というのはサイエンスじゃなくてアートだ。そのアートというのは、私どもの解釈なりに言いますと、それは国民の選択なり歴史的文化的事情も背景にありましたそういった国民のニーズをどういうふうにまとめていくかということでございまして、こうあるべきであるということを税制当局として言うべきでもないし、またいろんな議論が行われない前に先取りして結論が出せる問題でもないというふうに考えております。
○伊藤(茂)委員 さっき主税局長がゆがみ、ひずみの例として挙げられた中に、課税ベースの浸食という問題がございます。それから、さまざまの政策税制のあり方みたいなことのお話もありました。私は、そういう面も当然ございますし、それから法的には租税特別措置でないけれども、我々から見れば事実上の企業優遇だというふうに指摘をしてまいりました問題があるわけであります。 退職手当積立金の問題もあります。それからさまざまの引当金、今度も貸倒引当金が出ておりますけれども、さまざまな引当金などの問題がありまして、それらのことは検討点として党税調の検討課題にも上っている。主税局の方でも何遍か話題として言われましたこともございますし、政府税調でも毎年同じように検討課題に上っておるというようなことになるわけでありますが、そういう部面ですね。これは法律としては租税特別措置、いわゆる政策税制ではないとされているけれども、世間の実態としてはそういう目で見られているという問題があるわけであります。 前から検討課題にはなっているけれども、また政府税調にも提起をして議論をしたけれども、財界が厳しく意見をつけるという経過もたどってきたわけでありまして、主税局長、年末には何遍かやけ酒を飲むことがあるのじゃないかと思いますけれども、それらの観点も私ども大事であろうと思いますが、どうお考えですか。 〔委員長退席、中川(秀)委員長代理着席〕
○梅澤政府委員 課税ベースの浸食というような観点から税制を論じます場合に、ただいま委員が御指摘になったのは私どもも正確な区分であろうと考えております。 一つは、租税特別措置に代表されますように、税負担の公平というものをある程度犠牲にして、別の政策目的を追求する。これ自身は別の政策目的をいわば優先させているわけでございますから、その政策を国民全体にとって公平よりも優先させるかどうかという角度の問題でございます。ただ、この租税特別措置の運用が安易に流れますとそれだけ公平を損なうわけでありまして、その観点から、これは特に五十年代に入りまして税制調査会の一貫した方針あるいは私ども税制当局の一貫した方針といたしまして、なるべく企業関係の租税特別措置について整理合理化を進める、新しい政策要請が出てきた場合にはスクラップ・アンド・ビルドの原則を追求する。 それからもう一つ、これはさまざまな議論があるわけでございますけれども、六十年度の答申で指摘されておりますのは、所得税の分野におきましても、個人貯蓄の六割を占める貯蓄が課税の対象外に置かれておる。これは実質上は租税特別措置でございまして、その意味では課税ベースの浸食ということになるわけでございますけれども、この辺の問題は、やはりそういった公平の要請と、もう一つは国民の貯蓄に対する考え方、そういったものの選択の問題であろうと思います。 もう一つの分野は、これは引当金等に典型的にあらわれておりますように、一定の法定の繰り入れ率、考え方は所得の正確な計算を行うという建前から決められておるものでございますけれども、そういった繰り入れ率につきましては、やはり企業経理の実態とかあるいは経済の実態から見まして、これも絶えず適正な水準に持っていくための努力をしなければならない。退職給与引当金と貸倒引当金につきまして、政府税調の答申でも、累年適正な見直しを行うという姿勢は一貫をいたしておるわけであります。ただ私ども、これを不公平税制という議論で行われますことは、租税特別措置の問題と非常に性質が違うわけでございますので、そのことを絶えず申し上げておるわけでございますが、繰り入れ率につきましても適正な水準に絶えず持っていく努力をするということによって税制全体が公平、公正なものになっていくということは、おっしゃるとおりだと思います。
○伊藤(茂)委員 ゆがみ、ひずみの問題に関連して、もう一つ主税局長に伺いたいのですが、金融資産の課税の問題、金融課税の問題、もう一つは富裕税の問題であります。 私は思うのですが、大臣のお好きな言葉で、熟年こじきに独身貴族ということを随分言われましたが、竹下大臣の言葉が流行語になるにはちょっと変わってまいりまして、去年の夏あたりからはマル金、マルビというのが実は流行語になっているわけであります。私は両面いろんな現象があるだろうと思います。マル金、マルビという言葉が流行語になる背景には、一億総中流というふうな雰囲気で来たけれども、じっと最近考えてみたら、あああっちはマル金でおれはマルビだというふうなことが、いろんなことが出てきて、そういう社会現象が出てきて流行語になったんではないだろうかというふうな気がいたします。 それは所得収入の面もあるのかもしれませんが、やっぱり資産とか金融資産とかそういう面の認識がむしろ大きな背景になっているのではないだろうかというようなことを実は思うわけでありまして、そういう意味では、これはゆがみ、ひずみという範疇でとらえるべきなのかどうかということは概念の規定の仕方はあるでありましょう。しかし、そういう社会状況、それから財確法でも議論しなきゃならぬと思いますが、大量国債発行時代における所得階層の二極分化というと大げさかもしれませんが、階層分化的な状況などもこれから社会問題になる可能性があるというわけでありまして、そういう面から考えますと、応能負担の原則にも対応するわけでありますが、一つは金融資産収益にきちんと課税をする。もう一つは富裕税の問題、これはシャウプ勧告にもあったわけでありますけれども、把握の仕方、やり方が非常に難しいということで議論が続いているということでありますけれども、これは資産再評価を一遍全部やってみてというような革命的なことではなくても、いろいろなことがあり得るんじゃないだろうか。 要するに、昨年夏以来、マル金、マルビなんという言葉が流行語になって、考えてみると、さまざまなそういう要素も社会的に生まれてきている、拡大する危険性もあるというような状況でございますから、そういうようなことも検討されるべきじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○梅澤政府委員 二つ、問題の御指摘がございました。 金融資産収益に対する課税の問題でございますけれども、これは個人の段階では利子・配当の課税を一体どう考えるのかという議論でございます。 五十八年の中期答申と六十年度の答申でも触れられておりますように、現在の総合課税を原則として源泉分離選択と併置する。現状はこれを変更する考え方を税制調査会もとってないわけでございますが、この問題につきましては、私の公平という観点と、もう一つは今後におきます金融市場の自由化、国際化という観点から見た場合のマーケットに対する税制のあり方をどう考えるのかということで、大変大きな問題であろうと思います。今後の検討課題の一番大きい問題の一つであると私どもも考えておるわけでございますが、この点については、なお税制調査会等でも御議論をしていただきたいと考えております。 もう一つ、金融資産収益につきましては、いわゆる公益法人等の課税をどうするかという問題も提起されておりますが、この問題は六十年度の税制改正では結論を得られませんでした。と申しますのは、公益法人、これは学校法人、宗教法人その他、あるいは年金を主にやっている法人とかいろいろございまして、それぞれ公益法人の態様によって金融資産収益が当該公益法人の公益活動に持つ意味が非常にまちまちでございますので、なかなか一概の結論は出しにくいという事情がございました。これは今後の検討課題であると思います。 もう一点のいわゆる富裕税の問題でございますけれども、我が国ではシャウプのときに富裕税というふうに訳したわけでございますけれども、これはネットワース・タックスということで、経常的な財産税、むしろ所得税の補完税として位置づけられておる税目でございます。我が国の場合も富裕税は実情に沿わないということで廃止されまして、あのとき同時に、たしか所得税の最高税率を五五%から六五%に上げておる。したがいまして、一般論として言えば、ネツトワース・タックスというのは所得税の補完税であろう。したがいまして、執行上非常にその捕捉が難しいということで実施上不公平を招くという議論と、もう一つ、これも税制調査会でいろいろ議論を今までもしてもらっておりますけれども、諸外国の今までの例を見ましても、所得税の最高税率が余り高いと、経常的財産税の補完的機能の範囲が非常に狭められるという問題がございます。したがいまして、今後の問題につきましては、所得税制全般の見直しの中で一体そういうものが必要なのかどうかという点も含めて議論をされるべき問題と思います。
○伊藤(茂)委員 私ども、不公平、不公正、ひずみ、ゆがみの詳しい実態がどう御認識なのかわからぬのですが、いろいろ論点は浮かんできたような気がいたします。これをどのように考えるべきかということは議論したいと思います。 大臣がお出かけになるようなので、順序を変えまして、二つ、大臣にお伺いをさしていただきたいと思います。一つはお気持ちの問題でありまして、一つは政策的な問題であります。 そのお気持ちの方をまず伺いますが、税制改革と財政再建ということに関してでございますけれども、これは一般論で言ってもしようがありませんで、六十五年赤字公債脱却という目標を掲げているわけなんです。もうそう長い期間ではないわけてあります。この期間の中に一体どうできるのかという問題を実は解かなければ、一般論を論じてもしようがないだろうと私は思います。 それで、お気持ちの方なんですが、大臣も政治家として重要な局面にあられるのでありますけれども、この間どこかで、総理、総裁になりたい人が立候補されるということは自由だけれども、国家の財政を再建するための処方せんを持ち合わせていない者はだめだという話をちょっと聞きましたが、どんなお気持ちでございますか。大蔵大臣ですから。
○竹下国務大臣 これはいろいろな手法があると思うのでありますが、私いつも考えますのは、日本人が世界で一番知識水準、あるいは学歴もそうでございますが、賢い国民である場合、いわば財政再建の手法というものを特定の一個人が、例えば私が出して、国民の皆さん方がそれについてきてくださいという手法は、これだけ水準の高い国民というもので構成される我が国においてはむしろ余りとるべき問題ではないじゃないかな、時間をかけながら国民のコンセンサスを求めて、言ってみれば一歩というよりも半歩ぐらい進めるところまでに到達したいものだな、こんな感じを持っておるところであります。したがって、処方せんというものも、みずからこのようなということではなくして、国民の議論の積み重ねの中でおのずからできていくという姿が最も好ましいんじゃないかな、こんな感じがしております。
○伊藤(茂)委員 ちなみに申し上げますと、ただいま申し上げました言葉は、昨年九月十日、箱根プリンスホテル国際会議場における十年ぶりの木曜クラブ研修会、百十一人お集まりになったそうでありますけれども、その間における田中角榮氏の言われた言葉であります。大臣の言葉、大変興味深く伺いました。 それから政策の方でございますが、さっき申し上げましたように、六十五年ということを一つのターゲットにして税制改革、財政再建が議論されなければ私は意味ないと思います、抽象的全般論をやっても。ところが、税制改革をやりましょう、税調にも御努力いただきましょう、それをやるときには増収は考えません、プラス・マイナス・ゼロの税制改革でありますという、何かお話もございます。一面では、負担増は避けられないという御意見もございます。スタートのときにはプラス・マイナス・ゼロの税制改革で、それからやっていくというふうなお話もございます。 しかし、六十五年赤字公債脱却と申しますと、これから六十一年、二年、三年、四年、五年と五回の編成ですし、それから、税制の抜本に返ってやりましょう、その答申も大体六十二年というお話のようであります。そうしますと、四回か三回か知りませんが、予算編成をするという中でこれは終わってしまう。いかがですか。そのプラス・マイナス・ゼロの税制改革というものを目指す、あるいは若干余分に見て、それを財政改革に役立たしていただくという意見もございます。それから、この際やはり大規模な増収を目指すことをやらなければ、これは財政再建はあり得ない、小学校、中学校の子供でもわかるというふうに言われている与党の幹部もございますが、その辺の心構えはどうお考えですか。
○竹下国務大臣 やはり税制改革そのものは、制度、施策の根本にさかのぼって税制そのものを見直すわけでありますから、その場合はまず増収ありきじゃなくて結構だと私は思っております。だから、その結果に基づいて、どういう組み合わせにして、そこに率が決まるとか、いろんな問題はそのときどきの財政事情によって変化していくことではなかろうかというふうに考えております。 だが、六十五年赤字公債脱却、とにもかくにも、もうこれ以上絞れないだろうと言われながらも三年連続一般歳出マイナス予算、それはツケ回しという批判もありましょう、帳じり合わせという批判もございましょう。もっとも帳じりが合わなきゃ予算は組めませんので、そういう批判も受けながら今日までやってきたわけでございますので、したがって、もう増収措置を何か講ずることによって財政再建をしようと考えた途端に、歳出削減に対する切れ味が全くなくなってしまうのじゃないかという自問自答をしながら、今日に及んでおるということであります。
○伊藤(茂)委員 続けて、ちょっと主税局長に伺います。 先ほど、同僚の野口委員からも話がございましたが、EC型付加価値税なるものについての議論がいろいろとあるわけであります。私はけげんな気持ちがいたします。一般消費税、否定された一般消費税ですね、あれを考えるとき、政府税調でもさまざまな御議論があり、当委員会でもたくさんの議論がございました。そして、税調の方からは「一般消費税大綱」とかあるいは解説を含めました報告とか出ているわけであります。 私はその経過を振り返って思うのでありますが、そのときの内容を見ますと、日本ではEC型付加価値税は非常に難しい、したがって、変形した形で一般消費税にするんだというふうなことに実はなっているわけであります。御承知のとおりであります。 〔中川(秀)委員長代理退席、委員長着席〕 改めてそのときの文書を読み上げる必要もないと思いますけれども、ある長期税制の答申の中には、一般消費税についてはEC型の付加価値税が参考になるけれども、違う点がある、例えば我が国ではそういう付加価値税的なものをいずれも歴史的にも持っていない、そういう意味ではEC諸国に見られない困難な問題がある、ヨーロッパの諸国で実施されている付加価値税はそれぞれ、フランスなんかでは前からございましたですね、経済構造それから取引慣行を前提として決められている面がある、そのまま我が国に適用する場合には非常に無理が起きる、また、日本では中小企業者が非常に多いという経済実態、取引の実態にもなじまないなどなどございまして、特に我が国では、過去において、昭和二十三年九月に実施された取引高税が定着しなかった経緯などなど挙げられまして、そうして、EC型付加価値税ではできない、日本ではこれはそぐわないから一般消費税を考えだというのが経過でございまして、その辺のことは当委員会でも議事録に残っているでございましょうが、当時の大臣や主税局長が何遍も繰り返し実はお話しになった経過であります。 予算委員会以来の経過を新聞で見ますと、大蔵省の方は検討項目にEC型付加価値税が外されては絶対困ると。また新聞では、EC型付加価値税が本命であるというふうな意見が実はございます。考えますと、それでは大蔵省が今まで言ったことをどう転換をされたんですか。あるいは、日本ではだめだと言われたものを、今度はいいと言って持ち出すんですか。そんなことを非常に疑問を持って感ずるわけでありますが、従来の説明と違ったんですか、違わないんですか。どんなお考えをお持ちですか。
○梅澤政府委員 当委員会でしばしば申し上げさせていただいておりますように、今後の税体系、特に新しい間接税の問題について、私ども税制当局として一切現時点におきまして予断を持っておるわけではございませんので、その点はまずお断りを申し上げなければならないと思います。 ただいま御質問の点でございますが、事実の経緯としては委員の御指摘になったとおりであろうと思います。五十四年度の「一般消費税大綱」においてまとめられましたあの新しい税目というのは、当時の税制調査会での審議の過程におきまして、我が国の取引慣行とかあるいは零細な中小企業者の存在等を十分念頭に入れて、日本に適した新しい消費税として提案された経緯があることはそのとおりでございます。 ただ、この問題につきましては、五十四年の十二月に国会の御決議がございまして、先ほども申し上げましたとおり、その後、一年後に税制調査会の答申が出ておるわけでございますが、今の委員の御質問に関連いたしまして、非常に大事なところでございますので、ちょっとその部分だけ読ませていただきますと、「昭和五十四年度の税制改正に際してとりまとめた一般消費税大綱については、昭和五十四年末、国会決議が行われ、また、各方面から批判や指摘が寄せられている。こうした諸点については十分配意し、今後、新たな観点から、諸外国の立法例や沿革等も参酌しつつ、課税ベースの広い間接税について我が国の経済取引の実情に即した仕組みを具体的に検討していくことが必要とされよう。」ということでございまして、五十五年のこの中期答申、ただいまお読みいたしましたように、もう一度税制調査会としては実は検討課題としながら、この問題についての白紙の状態に戻っているという状況にございます。ただ、国会の御決議なりそのときのいろんな批判については十分念頭に入れる必要があるということでございます。 で、この答申が出ました以降現在まで、税制調査会で課税ベースの広い間接税についての具体的な審議は一切行われておりません。税制当局といたしましても、具体的には検討しておりませんので、大蔵省としての考え方が変わったとかいう問題ではございませんで、もう一度この五十五年の答申の原点に返りまして、もし議論されるとすれば新たな観点から議論されるべき問題であろう、一般論としてそういうふうに申し上げられるかと思います。
○伊藤(茂)委員 この辺の経過の問題は、当委員会のみならず、衆参の本会議を含めました大変な議論の経過があったわけでありまして、白紙に返ってとか五十五年の原点に戻ってとかいうお話でありますけれども、私は大蔵省のとってきた説明あるいは姿勢、作業としてはまことに納得のいかない感じがいたしますが、また別途議論をしていきたいと思います。 主税局長にまた次に伺いますが、公平、公正、簡素、選択とございます。まあ言葉は非常に標語だと私は思いますけれども、全部お伺いする時間がございませんので、二つ伺いたいと思います。 簡素という場合に、何か総理も、アメリカ財務省改革提案、去年九月でしたか、も、興味ある参考というお話もあったようでありますが、十四段階を思い切って三段階にというわけであります。そういうものに近いようなことを適切とお考えかどうか。 私は、今の構造で申しますと、日本の生活実態からいって、年収五百万から一千万、一千二百万ぐらいが大臣の言われる熟年こじきに当たる一番大変なときであろう、その辺のことは勘案しなければならぬと思います。しかし、今の日本の状況のもとで、最高を下げる最低を上げるという措置はいかがかという気がいたします。それから、法人税の税率の方も五段階から一律ということになるわけでありますが、日本でも一律というようなことがあるかどうか、この簡素という問題に関係をして。 それから、この簡素に関係をして言うならば、総合所得の把握、総合課税が前提となって初めてフラットというものが、税率を下げるということが作用するのだと私は思いますが、日本の場合にはそうじゃありません。例えば便法として利子・配当源泉の現在の税率を五〇まで上げるとかというようなこともあると思いますが、さもなければ簡素あるいは税率のフラットという問題は考えられないんじゃないかと思います。 それからもう一つは選択の問題でありまして、この間NHKのテレビで藤尾政調会長などのお話を伺っておりましたら、どういうことか、百万円の自動車にはかからない、三百万円の自動車にはかかると言われました。非常にわかりやすいような話でございますけれども、そんなことはあり得ないわけでありまして、現在の物品税を見ましても、この選択という一般用語の原理が作用するような状況にはありません。生活必需品に幅広くかかっているという状態であります。また、昨年も問題にいたしましたが、政府税調答申の中にも、物品税の本来の趣旨に立ち返り、幅広く課税対象を広げて云々、サービスも含めてというふうな文章がございます。これは選択という概念とおよそ対立、対置する実は概念であります。 そういうことを考えますと、簡素という問題の取り扱い方及び選択というものが一体どういうふうにあり得ることなのかどうか、非常に疑問を感ずるわけでありますが、いかがですか。
○梅澤政府委員 まず簡素という問題でございますが、これは委員の御指摘のとおりだろうと思います。簡素というのは非常に広い意味でございまして、いろいろな租税原則の学説があるわけでございますけれども、簡単に言えば、要するに税制が複雑になるということは納税者に非常にわかりにくいという問題と、もう一つは、えてしてそういった場合に税務行政の恣意性の範囲を広げるという問題もあるわけでございまして、わかりやすくて、しかも執行の手順も複雑にならないようなという基本的な考え方が、簡素の考え方であろうと思います。 そこで、所得税の税率構造との関連での問題の御指摘でございますけれども、所得税の税率構造をいかに設定すべきかというのは、まさに所得税の所得再配分機能をどう考えるのかということが第一義的に重要な視点でございます。ただその場合に、刻みの数が非常に多い場合、国民の合意が得られればその刻みの数がかなり少なくなるという意味での簡素化の側面は否定はできないと思いますけれども、基本は再配分機能。 それからもう一つは選択の考え方でございますけれども、総理が言っておられるのは、まず国民の選択という極めて常識的な言葉でおっしゃっておると思いますが、ただ、間接税の選択性ということがえてして言われる場合もございます。その場合は、むしろ学者の間の議論では、毎年毎年のいわば国民の生産物に寄与した部分でとらえるのが所得課税であるとすれば、得られた生産物から何を取り出すかという点に着目すれば消費課税になるだろう。そこはやはり貯蓄を選択するか、消費を選択するかという選択の問題があるわけでございますね。だから、そういった議論もあるということだけを御紹介申し上げておきます。
○伊藤(茂)委員 この辺の議論はまたやる機会があると思いますから……。 勉強家の政務次官に一つだけ、さっき大臣に伺おうと思ったのですが、時間がなかったものですから。 今、公平、公正、簡素、選択、製造元は総理でしたかと思いましたが、お話がございました。私どももいろいろと詰めてみたいと思いますが、それと、私はこう思うのですね。このほかにも、例えば応能負担という原則もあると思います。 現在の税調その他全体の体制から見れば、私は民主主義というのが少なくとも十分やはり前提として考えられるべきであろうと思います。国税庁の福田前長官がいつも言っておりましたが、税のベースは国民の信頼である、信頼なき税制は崩壊する、そして、日本では徴兵、徴税の国家から、戦争に負けて、そして民主化が行われたけれども、これはマッカーサーのおかげでありまして、今秋に対する関心が渦巻いている、これは、西洋的な本来の意味での税ということから、あるいは社会に対する個人の負担ということからスタートをした、そういう意味での本来の近代国家を形成する歴史的な時期であろうと言われておりますが、私も実はそんな感じがいたします。民主的ということを考えます。 私は、いろいろなスローガンや標語があっていいと思います。同時に今度は、アメリカの財務省の報告にいたしましても、公平、簡素、経済成長のための、みたいなことがあったと思いますが、やはり考えますと、税についての国民の御理解をいただくためには、そういう狭い税制の中での仕組みのプリンシプルの概念だけではなくて、これからの社会、大きく変動します、そしてまた、これからの社会目標、福祉を初めさまざまの社会ニーズが求められます、それに対するあるべき、納得すべき国民の負担、政策的な展望、あるいは理念といいますか、そういうものがあって初めて国民的な合意が形成されるということではないだろうかと思うわけでありまして、まじめな政務次官、いかがですか。
○中村(正三郎)政府委員 今、大変広範な難しい御質問をいただいたわけでございますが、今先生御指摘のように、税制改正を行うに当たっては税制全般にわたる改革、公平、公正、簡素、選択というような立場に立って幅広い視野から検討する必要があるということは当然でございますが、今先生御指摘のように常に社会経済情勢の変化に対応していくべきものでございまして、そのときどきの社会の目標とかニーズとか、そういったものに即応していく必要があるというのは伊藤委員御指摘のとおりだと思うわけでございます。まさにそういった意味におきまして、税制の見直しは公平、公正、簡素、選択という観点に立って、幅広い視野から検討するべきであろう、全く同感でございます。 いずれにいたしましても、税体系のあり方いかんということは、究極的には国民の合意と選択によって決められるべき問題でありまして、今後、先ほど伊藤委員からいろいろ御意見がございましたが、税制調査会を中心として、国民各界各層の広範な御議論を踏まえて幅広く検討していくべき問題だと思います。 また、その過程におきましても、大臣も御答弁しておりますように、この委員会におきまして出ましたいろいろな御議論を税調に伝え、また税調で御討議をいただいて答申をいただく、こういうことになってまいると思うわけでございます。
○伊藤(茂)委員 あとわずかな時間ですから、一つだけ主税局長にお伺いして終わりたいと思いますが、酒税の問題であります。 昨年、酒税法を改正いたしましてこの一年間、暑い暑い夏でございましたが、しょうちゅうは売れたが、ビールもウイスキーも売れない。税収は非常に悪い。私は補正後の税収にまでも至らないのではないだろうかというふうに思いますが、惨たんたる状況になっているわけであります。 簡単なことと判断と、二つ伺いたいのですが、簡単な方は、去年の質疑のときに、たしか梅澤主税局長はビールについて、税金が上がっても消費は二、三%は伸びると思いますという御答弁を実はなさったように私は記憶をいたしております。どのように責任をおとりになりますか。 もう一つは、これは六十一年度には酒税を何とかしなければならぬという問題意識になっているようであります。で、しょうちゅうを上げるという話があるわけであります。私は、やはり昨年の審議のときに申し上げた私どもの意見、それから附帯決議にも表現をされておりますように、酒類間あるいは種別の税負担の格差の是正、やり方の検討ということもございますし、とにかく税率を上げて値段が上がったので減ったという面も趣味、嗜好と同時に相当大きなウエートがあるわけでありますから、とにかく、みずから法律を変え負担を上げて、売れなくなって大蔵省も困るということですね。こういうことにならぬような検討をなさるべきではないだろうかと思いますが、ビールの責任と今度のあり方と、いかがお考えですか。
○梅澤政府委員 決して弁解という意味でお受け取りいただきませんように。 事実を申し上げますと、五十九年度の酒税の税負担の引き上げに当たりまして、ちょうど作業をいたしましたのが、当時九月末までの課税実績を私どもも業界も把握をいたしておりました。もちろん、十月の値上げの改定前のかけ込みもあったわけでございますけれども、当時、四月から九月で一三%程度の伸びを示しておったわけでございます。もちろん、税負担の引き上げにつきましては、私どもこの政策をとります場合に、税制当局の単なる独断だけではいけませんで、もちろん業界として税負担の引き上げに賛成なさったわけではございませんけれども、業界の方たちとも需要の見通し等をいろいろ協議いたしまして、ビールにつきまして五十九年度当初予算対前年度化四・三%の見込みを計上したわけでございます。ところが、これは結果論でございますけれども、その後顕著なことは、五十八年の十一月以降現在言われておりますしょうちゅう類等へのいわば需要のシフトという現象があらわれてまいりました。結果的に見まして私どもの見通しが誤ったという事実は、補正減額でお願いをいたしましたのでその とおりでございます。 ただ、現在起こっております状況が、一九七〇年代、特に前半にアメリカでバーボンとかスコッチからジンとかウオッカに大きなシフトが起こりましたそういった状況の兆候であるのかどうかと いうのは、まだ即断はできませんけれども、今後ともよほど慎重に見守る必要がある。今回の経験をよき教訓として、私どもは謙虚な気持ちで対応しなければならないと考えております。 それからもう一つ、今後の酒税の税率、特に紋別、酒類間の格差問題をどう考えるか。これはただいま申しましたような消費の状況を今しばらく推移を見ませんと、それこそ即断を許されない問題でございますけれども、基本的には五十八年の十一月の御答申にもございますように、我が国の現在の酒税の税率構造の中では、やはり紋別、酒類間の負担の格差の縮小という方向で将来の検討課題としては考えなければならないだろう。ただ、六十一年度以降具体的にどうするかというふうな問題について、私ども具体的な結論は一切まだ持っておりません。
○伊藤(茂)委員 終わります。
○越智委員長 午後三時二十分より再開することとし、休憩いたします。 午後一時二十二分休憩 ――――◇――――― 午後三時四十七分開議
○越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。宮地正介君。
○宮地委員 きょうは二月二十六日で、二・二六事件の意義ある日で、また、うかがい知るところによりますと大蔵大臣のお誕生日であるようでございます。心からお祝いを申し上げたいと思います。 最初に、昨二十五日に四党共同の予算修正案を政府に提出をしたわけでございますが、これについては、今自民党内部におきましても、財源難ということで大変厳しい対応が検討されているようでございますが、当の大蔵大臣として、まずこの予算修正案について精査をされましたかどうか、その点について伺いたいと思います。
○竹下国務大臣 自分なりには中身を大体理解させていただいたところでございます。 私どもの立場で申しますならば、まず公債減額に努めよう、そして一般歳出前年伸び率マイナスでいこう。財政状態の厳しい中でぎりぎりの努力をしてつくった予算でございますので、提出しておる限りにおきましては、現状において最善のものである。したがって、いよいよ審議を重ね、御理解をいただいて、ぜひ賛成していただきたい。私どもの公式な答弁はそうならざるを得ません。
○宮地委員 今回の共同修正案につきまして、特に一つは所得税減税約五千五百億円。中身につきましても、これはいわゆる基礎控除、配偶者控除、扶養控除、これを現在の三十三万円から二万円を引き上げ三十五万円、また給与所得控除一律四万円の引き上げ、これによりまして夫婦の課税最低限を、標準世帯で現行の二百三十五万七千円から二百五十四万七千円。この程度の所得税減税、これは特に昭和五十二年にいわゆる課税最低限の引き上げを行い、昨年さらに行いました。しかし、その間の物価の高騰、また可処分所得の実際の状況というものを見たときに、まだ現実的には物価の高騰に見合った課税最低限の引き上げなどが行われていないのが状況であろうと思います。そういう点でこの程度の所得税減税というもの、住民税減税というものは、国民生活を守るという立場よりも、より一歩向上するという立場からも、当然六十年度予算の中におきましても、厳しい財源ではございますが、断行すべきである。 また、第二の柱でございます政策減税、これにつきましても三千五百九十億、単身赴任減税、教育減税あるいは福祉減税、老齢者年金減税など、これまたサラリーマンの皆さんあるいは国民の、特に最近の家計の中に占める教育の比率あるいはお年寄りの皆さんなどの福祉、こういうことを考えましても、この程度の政策減税も決して無理ではない。合わせて約一兆一千百六十六億円のこの減税というもの、これは国民のニーズにかなったものとして、単に財政当局の財務的な対応ということよりも、私は大蔵大臣としての、政治家としてのお立場からも、さらにこの国民のニーズにこたえた予算修正には、誠実に、前向きに検討すべきである。ただ財源がないからだめだ、こういう考え方は余りにも国民に対して不誠実ではないか、こういう考えを持っているわけでございますが、大臣の所見を改めて伺いたいと思います。
○竹下国務大臣 これは単なる財務的処置とおっしゃいましたが、予算編成に至りますまでには、いわゆる政府・与党一体の協議をたびたび重ねました上で、現状において最善のものであるという形で提示するわけでございますから、今日私どもの立場からいたしますならば、最善のものとして提出申し上げておりますので、速やかに議了いただくように御協力をいただきたいというのが、私どもは限度いっぱいのお答えではなかろうかと思います。 なお、所得税のいわゆる課税最低限、そして政策減税、両方にわたっての御意見でございますが、これは御意見は御意見として承らせていただきますが、何分政府税調でも指摘されておりますように、今動いておる、五十九年で動いております税制というものが、昨年の国会で全く久方ぶりの本格的所得減税というものが行われたばかりでございますので、今それをさらに行うところの財政的な余地はないと思考せざるを得ない、こういう税調からの答申もいただいております。私どもとしては、現状においてそのようなお答えの範囲を逸脱したお答えは、やはり政治家であろうと何であろうと、最善のものとして提案しておるさなかでございますから、宮地さんのおっしゃった方がよろしゅうございましたから考えを変えましたというわけには、これはまいりません。
○宮地委員 私は、最善の策というのはベストという意味だと思う。しかし、ベストということよりもベターの予算ではないか。それは精神的、また現在の大蔵大臣としてのお立場からはそう言わざるを得ない、それはおわかりでございますが、これだけの四党の修正案というものは、やはり我々としても慎重に、またかつ、現在の国民のニーズにこたえた中で検討に検討を加えて、今回の政府の出された予算の中においては、この程度は最低国民のニーズにこたえる道としてやはり修正をすべきである、こういう主張でございまして、ここで議論しても結論は出ないと思いますが、私は、今後のこの問題についての検討はいろいろされると思いますが、やはり大蔵当局としても、野党の出されたこの修正の内容については、ぜひ慎重にまた的確に御検討をしていただきたい。このことをあわせて要請をしておきたいと思います。 そこで、今回の予算委員会などを通じまして、一つの税論議としての問題について、少しお話を進めさせていただきたいと思います。 特に、私は今回いろいろ大蔵大臣、中曽根総理の大型間接税導入問題についての議論を伺っておりますと、政府は早ければ昭和六十一年度、遅くとも昭和六十二年度には、あめとむちの方式によって税制の改正をしよう、こういうふうにどうも意図しているのではないか。それはどういうことかといいますと、いわゆるEC型付加価値税、態様の問題については後で申し上げますが、ともかくそうしたEC型付加価値税による大型間接税の導入、そしてそれを一つの財源として所得税減税あるいは法人税減税、こういったいわゆる思い切った法人税、所得税の税制の洗い直しをしよう。そして将来的には大型間接税を中心にして歳入増を図っていく。ちまたで聞こえるところによりますと、どうも五%程度のEC型付加価値税の導入で、五兆円程度の財源をもとに、所得税の減税あるいは法人税の減税を考えているのではないか。それも所得税の方は累進税率の頭の方の七〇%のところを若干落とすとか、下のいわゆる一〇%のところを少し底上げするとか、あるいは中高年層のところでカーブを緩やかにするとか、その際課税最低限を引き上げて、五十二年以来の可処分所得の実質減あるいは物価の動向、こういうものに対する調整をするとか、こういったことで、最初はとんとんの財源にして、以後その間接税の税率を引き上げていく。いわゆる見返り財源による法人税、所得税の減税をする。こういう抱き合わせ的な税制改正、税の洗い直しをするのではないかという感じが、どうも予算委員会などの議論を通じて聞こえてくるわけでございますが、その真意とするところは果たしてどこにあるのか、また、そういった方向を真剣に今検討されているのか、考えているのか、この辺について大臣の所見を伺いたいと思います。
○竹下国務大臣 確かに予算審議等に当たりまして、後年度負担推計をしながら、これだけの要調整額が要りますとかいうような説明書を出しながら、一方で税制抜本的見直しということを言いますと、どうしてもその二つをあわせた議論に進みがちでございます。したがいまして、今宮地さんおっしゃいましたように、いわば間接税増収を図って所得税減税をして、あるいは法人税の若干の手直しをして、それにプラス間接税は福祉目的税でやるんじゃないかというような論理を構築しながら御質問を受けた向きも確かにございます。が、このたびの税制の抜本見直しというのは、いわゆるそういう一つの善意、悪意は別として、作意とかスケジュールを持って行うということではなく、まずその前に、この税調答申の趣旨を踏まえまして、今日までいろいろ生じたゆがみ等を、税負担の公平化、適正化を推進する観点から、広範な角度から議論をして、それを正確に税調にお伝えして議論をしていただこうということでございますので、今おっしゃいましたような、そういうことを私どもにもよく質問がございましたが、そういう政策意図をまず初めに持っておって、それで世論をリードしようとかあるいは国会等で問答しようとかいう考え方ではございません。
○宮地委員 そうしますと、特に具体的に少しお伺いしたいのですが、我が党の矢野書記長が、この大型間接税問題について、予算委員会で質問させていただきました。そしてその結果政府見解が出てきたわけでございますが、この政府見解の中で言う「包括的、網羅的」という意味は、「例外なく」というふうに解釈していいのか、まずその点について伺いたいと思います。
○竹下国務大臣 確かに、総合的にいろいろな字引きを引っ張って見てみますと「例外なく」ということになるわけでございますが、それを答えた途端に私も、「すべて例外のない規則はない」とか、あるいは「あらゆる規則は例外を含む」とかいう格言がございますので、その格言もあり、全くパーフェクトに例外がないというようなことでは説明ができないな、やはりある種の感覚、フィーリング、ちょっとフィーリングという表現は必ずしも適当ではありませんが、そういう感覚を持っておっしゃった言葉だと事実理解をしていただいた方が無難じゃないかな、こんな感じがしております。
○宮地委員 主税局長に伺いたいと思うのですが、ヨーロッパ諸国等の付加価値税の制度、これは態様がいろいろあることは存じ上げておりますが、この付加価値税制度、所得税あるいは消費税、私は今消費税の方なんですが、いろいろ態様があるにしても、その体系といいますか骨組みというのはやはり変わらない、こう思っているのですが、その点についてはどういう認識を持っておりますか。
○梅澤政府委員 一般に言われておりますのは、EC型付加価値税という場合には、各取引段階の事業者に売り上げを課税標準として課税を行う。その場合に、前段階の税額の累積を排除するために、インボイスの方式でその前段階の税額控除を行う消費税であるというふうに言われております。
○宮地委員 各国のEC型付加価値税の内容は、項目別には若干異なりますけれども、私が言いたいのは、例えば免税点の水準、これはまず一つはっきりしているわけですね。これは例えばイギリスなんかの場合には、課税取引高が一万ポンド以下のものは免税、あるいは西ドイツの場合には課税取引高が一万二千マルク以下のものは免税、こういうふうにまず免税点の水準がぴしっとされる。そしてその次に、今度は非課税の範囲というものがまた明確になってくるわけですね。 ここで例えばイギリスなんかの場合は、食料品だとか新聞、雑誌、書籍、電力、燃料、医薬品など、そういうものはいわゆる前段階税額控除が認められるものとしてゼロ税率にしてある。しかし、医療とか教育とか金融とか保険、こういうものは、今のお話の前段階税額控除が認められないものとして免税。同じ非課税の範囲でも、中身がそのように二つに分かれておる。大体これは各国とも同じです。西ドイツなんかの場合は輸出等がゼロ税率。しかし、今お話しの医療や教育、放送、金融、これは免税。要するに非課税の範囲を次にきちっと設定する。今度はその上にいわゆる税率を掛けるわけですね。その税率の場合は大体標準税率。大体イギリスの場合八%、西ドイツは一二%、あるいはベルギーは一六%、こういう標準税率。日本の場合、一般消費税(仮称)の場合は五%ぐらいから検討してましたね。そしてさらにこの税率の中に、今度は標準税率と軽減税率。イギリスの場合はこれはない。フランスの場合には七%、食料品とか新聞とか。さらにその上に割り増し税率というのをまた考えるわけですね。これがイギリスの場合は一二・五%、家庭用器具とかラジオとかテレビとかこういうものですね。 今申し上げたように、大体EC型付加価値税の制度、各国の中身をずっと精査し、調査してみますと、まず免税点の水準というのをきちっとして、次に非課税の範囲というものを二通りの今言った区分に分けて、そしてさらに税率を今の標準税率、軽減税率、割り増し税率と、大体そういう組み立てで一つのEC型付加価値税というのはでき上がっている。これはこのように理解してよろしいですか。
○梅澤政府委員 おおむね御指摘のとおりかと思います。
○宮地委員 そして日本の場合はちょうど一般消費税(仮称)、あの試案ができたときには、日本の流通機構は非常に複雑である、ヨーロッパみたいに製造、ディーラー、小売とこういう三段階じゃありませんから、インボイス方式というのは非常に厳しいからというので、恐らくこれはカットしたんじゃないか。そういう感じがするわけですが、こういうふうに見てきたとき、この政府見解で言われる、「EC型付加価値税といってもいろいろの態様が考えられることも御理解願いたい」、ここのところでEC型付加価値税の問題について体をかわしているわけですね。 私は、この態様が考えられるといっても、今言ったような一つのそうした骨組みの中身の、例えば税率の問題とか、あるいは食料品とか新聞だとかあるいはテレビだとか自動車だとか、それをどこに当てはめていくかというこの態様はいろいろ各国違う、しかし骨組みそのものは各国ともそう変わらない。これを日本にどういうふうに当てはめるかということで、一般消費税(仮称)はいろいろ議論し、検討され、大平内閣のときに国会に出されてきた、総選挙で破れましたが。今回皆さんがこのEC型付加価値税というものを研究されている、検討されているということは、国民は承知なんですね。だけれども研究、検討するいわゆる一つの骨組みというもの、体系というかそういうものは、私はそんなに変わるものじゃない、こう理解しているわけですが、その点については大蔵省としてはどういう理解をされていますか。
○梅澤政府委員 委員の御質問は、先般来の予算委員会におきます総理の御発言との関連の御指摘かと思いますけれども、先ほど来御議論になっておりますように、多段階、包括的、網羅的、普遍的かつ大規模というふうに総理はおっしゃっているわけでございますが、同時にあの中で、EC型付加価値税といってもさまざまな態様があるので、それをすべて否定する趣旨ではないというお断りもされておるわけでございます。 そこで、EC型付加価値税のいろいろな態様といいますのは、現在の実定法の制度としてできておりますのは、ただいま委員がおっしゃいましたように、EC各国でやっております付加価値税というのはそれぞれの国によりまして、免税点あるいは課税範囲、税率、文字どおりいろいろな態様があるわけでございますし、理論的に考えましてもいろいろな態様が考えられるということを総理はおっしゃっておられると私どもは考えておるわけでございます。 ただ、これは冒頭大臣もおっしゃいましたように、それから総理もお断りしておられるのですけれども、総理がおっしゃっているのは、税制上の厳密な用語と申しますか、学問的定義としておっしゃっているのではなくて、率直な感じを、いわばインプレッションをああいう言葉として言われたということでございます。 これも先般の予算委員会で、小倉税制調査会長がこの点に即しましての御質問に対しまして、仮に仮定の問題として今後税制調査会でそういう議論をする場合にも、具体的な議論の過程の中で、これが総理のおっしゃっている趣旨に反するのか反しないのかといった方向で議論されるべき性格のものでございまして、現時点で、総理がおっしゃいましたいろいろな定義は、具体的な税制の議論に直ちには結びつかないのじゃないか。まず具体的な税制の論議という過程があって、その段階で最終的に政府としてどういう判断をするか、国会にどういうものをお出し申し上げるかという、その場合の判断基準を、いわば極めて抽象的におっしゃっているのだろうというふうに私どもは理解しておりますし、そういうふうに御答弁申し上げておるわけでございます。
○宮地委員 大蔵省としては、特に一般消費税(仮称)がああいう形でだめになった。私は中身をいろいろ精査してみますと、各国のものとも比較対照して見てまいりまして、これからもし大蔵省がEC型付加価値税を研究あるいは検討するにしても、その一つの骨組み、体系というものは、この一般消費税(仮称)あるいは今各国のやっているこうしたものの域を出ないであろう。恐らくその中で国民の議論、ニーズというものを考えながら日本的なものをつくっていくのではないか。過去の実績の上から見ても、また今までの各国の状況を見ても想像にかたくないわけですね。 その点について、何か言葉じりというか、国民を愚弄するというか、歯に物の挟まったようおわけのわからないことを言って逃げている。こんな感じで、さらにその上に悪いのが、大平さんのときはもう一般消費税(仮称)でどうだと勝負してきたわけですね。ところが今回の場合は、それをまず一つの財源として、今度は所得税減税や法人税減税と、あめの方をちらつかせて、あめとむちを一緒にしてどうだという感じが見え見えになっているのです。その点、大蔵大臣、もっと国民にわかりやすく、的確に、このように調査研究をしたい、そして政府税調にも物申していきたい、その辺、ある程度国民にわかりやすい発言が今大事ではないか。中曽根総理の言葉のテクニックに国民がだまされているんじゃないか。また、政府はそれに酔っているんじゃないか。こんな感じがするのですが、大蔵大臣としての見解を伺いたいと思います。
○竹下国務大臣 宮地さんが感じとしてそういう感じをお持ちになることは、私は別に否定しようとも思っておりませんが、本当のところ大平さんは、いわゆる一般消費税(仮称)というのは国会には提案はされておりません。が、五十四年度税制のあり方というので答申に出てきたわけでありますね。それが選挙のときにかまびすしく議論された。大平さんがおっしゃっておった言葉で印象に残っておりますのは、自分は財政家として税金の先取りをしたという趣旨のことをおっしゃっておりました。五十年度予算のとき、大平先生が大蔵大臣でございますから、恐らく初めて赤字公債を発行したという意味でございましょう。その前にアーウーもついておりましたので正確には覚えておりませんが、そういう趣旨のことをおっしゃっておりました。それで、日本国民というのはいろいろ理解してくれると思ったのになあという趣旨の御発言でございました。それが頭にもありましたから、国会決議で、いわゆる一般消費税(仮称)というのは国民の理解を得るに至らなかったという書き方にしてちょうだいしたわけでございます。したがって、別にその答申が出る前に、政府がいわゆる一般消費税(仮称)のようなものを考えてくれといって諮問したわけじゃ、あの場合もございません。 ですから、諮問するに至っては、今のような御意見が出ます。そういうのを正確に報告して、専門家の分野でそれの議論をしていただいて、そこでいずれを選択するかということは、国民のコンセンサスが那辺にあるかを考えながら、これは政府の責任でやらなければいかぬわけでございますから、日本人というのはこれだけ知識水準も高いときに、我かく思う、いかに思うかという手法はとらぬ方が、より民主的ではないかな。それを、にこにこしながら竹下だますんじゃないかとかというふうに仮にとられたとすれば、これは私の不徳と、また顔づくりその他が悪いということになりますけれども、本当にまじめに考えて、僕はある意味における民主主義、財政民主主義も含めて、やはり可能な限り、おれについてこいというのではなくして、国民の側から出された議論、その代表的なものが国会でございますから、それらの問答を中心に、専門家さんにこなしていただいたものをどう選択していくかという手法の方が、日本の国に適すような気がいつもしております。
○宮地委員 この政府見解の中で、最後にこういうことを言っているわけですね。EC型付加価値税といってもいろいろの態様は考えられるが、多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模の消費税を投網をかけるようなやり方はとらないという立場なので、これに該当すると考えられるようなものは、中曽根内閣としてはとりたくないと考えている、ここまで断言しているわけですね。 私は、何が言いたいかというと、EC型付加価値税というのは、先ほど御説明したように骨組み、体系というのはどこも大体同じなんですね、当てはめるその中身の問題だけで。ここまで中曽根内閣でとらないと言う以上は、これはもうごまかしがきかないということなんですよ。要するに、EC型付加価値税そのものは、またそれに類似する体系的骨組みの同質のものは、中曽根内閣の時代にはとらない、これは国民に公約した、こう普通我々は、常識のある国民であればそう受けとめざるを得ないわけですよ。ところがそれを、何やかんやとナマズをつかむように逃げまくる、そこが今の政府・内閣はひきょうだと私は思う。大蔵大臣も、この中曽根内閣の言っている総理の政府見解というものは、本当にこのように受けとめて、大蔵当局もこういう決意で対応するのかとうか。ここのところの真相、真意を私は伺いたい。
○竹下国務大臣 その前段でございましたか、もとよりEC型付加価値税というものは、これは多段階であるという限りにおいてはそのとおりでございますという趣旨のものがあった。たしかそういうふうに書いておいたつもりでございます。でございますから、今素直に宮地さんがお読みになったとおりで、そういうものと理解されるようなものはとりたくないと思っておるというのは、私は総理の真意であると思うのであります。 しかし、それはいわゆるEC型付加価値税であるのかどうかという議論になればまた別でございますけれども、確かに、多段階までは別としまして、網羅、包括、普遍、大規模、投網と、少し言い過ぎていたような感じがしないわけでもございません。だから、私もフィーリングなんてきょう答弁しましたら、梅澤さんがインプレッションと言いましたので、また二つ言葉をつくったんじゃ、インプレッションとは何ぞや、フィーリングとは何ぞやということになりかねないから、少し数が多過ぎたという感じはいたしますけれども、まさに政治的感覚として、そういうふうに受けとめられるようなものはやりたくないという総理の考え方はそのとおりであろう。私どもも中曽根内閣の大蔵大臣でございますから、そのことはよく承知しております。ただ、税制調査会に対して、可能な限りフリーハンドのもとで御審議いただくというのは、常日ごろ私が申しておるところでもございます。その辺も御理解をいただきたい。ナマズのように逃げないで、とっつかまるように、つかまるようにということで、これから接触していきたいと思います。
○宮地委員 大蔵大臣、しつこいようですけれども、多段階方式による課税方式によるものは、大型間接税と言われるものとしては取引高税とEC型付加価値税と、それの日本版の一般消費税(仮称)の三つのものしかないんですよ。そして、もうこの政府見解では「EC型付加価値税といっても」といっても、それじゃこのEC型付加価値税をこれは否定しているのか否定していないのか、ポイントはここのところなんですね。体系、骨組みは全くほとんど各国とも同じ。「態様」という、ここのところでいわゆるナマズのように逃げているわけです。ここのところは、本当にEC型付加価値税の体系あるいは骨組みの、そうした多段階的な課税方式は、日本は今後、中曽根内閣としてはとらないんだ、こう理解してよろしいんですか。
○竹下国務大臣 やはり六類型というのを出しましたよね。あの類型の出し方も、今になってみれば、もう少し考えて出せばよかったなという気がせぬでもないわけでございますけれども、あの類型の出し方ですと、確かに多段階の中は三つに分かれて、それで今おっしゃいましたように、体系は似ておりますが、態様はそれは違います。違うといったところで、インボイスの問題を除けば、あとは税率か範囲か、そして免税点か、この三つでございまして、それは私も承知しておりますが、やはり私どもがあそこで類型としてお出ししたEC型付加価値税というものは、もうとらないというものではないだろう。やはりまだ、いろいろな対応の仕方というのもあるんじゃないか、学問的範疇の中にはあるんじゃないか。しかし、それも余り言いますと、あれ、それを考えているんじゃないかという予見になってもいけませんので、非常に慎み深く、言葉を選びながら、(「ナマズだ」と呼ぶ者あり)ナマズでないようにお答えをしております。 では、ちょっと行ってきます。また帰ってきますから。
○宮地委員 またナマズに逃げられたような感じがいたします。 じゃ、続いて事務当局に伺っていきたいと思うのですが、EC型付加価値税を各国が導入したとき、やはり経済にいろいろと変化、変動、こういうものが起きていることは、皆さん御承知のとおりですね。特に物価の問題としては、いろいろそのときの経済状況が過熱ぎみであったとは言われても、やはりオランダの例は、これはひとつ注意しなければならない、こう思うのですね。特に日本の場合は流通機構が非常に複雑で、やはり即価格に転嫁されますから、ヨーロッパの国などに比べて消費者物価へのはね返りは大きいだろう、私はこういうふうな感じを持っておるわけでございますが、このオランダの例を含めて、EC型付加価値税の導入と、日本経済に与えるそうしたまず物価への影響はどうなんだろう。 それからもう一つは、やはりデフレ効果というものを引き出してくると思いますね。特に家計に非常にデフレ的な効果、現象を強める、こういうふうに言われているのですが、まずこの二点について、事務当局としてはどういうふうに研究されているか、日本経済に当てはめてちょっと御説明いただきたいと思います。
○梅澤政府委員 最初にお断り申し上げなければならないわけでございますけれども、EC型付加価値税を具体的に検討しているとか、その導入の際の諸条件をいろいろ研究しているということはなおさらないわけでございます。ただ、せっかくの御質問でございますので……。 五十四年の「一般消費税大綱」がまとめられますまでの過程において、当時税制調査会で、今委員が御指摘になりましたような角度からの検討が行われております。 〔委員長退席、熊谷委員長代理着席〕 そのときに、物価の問題につきましては、先ほどお話がございましたEC諸国の経験から見ますと、国によって導入前後で物価の状況が非常に違うという歴史的な事実もございます。これは主としてその導入のときの経済条件あるいは物価条件、諸情勢というものを十分見きわめる必要があるというふうな議論が、当時税制調査会で行われたかと記憶をいたしております。 それからデフレ効果の問題でございますが、これは今問題になっております消費税の問題に限りませず、一般に税負担の増加は印デフレ効果を持つわけでございます。したがいまして、総体として経済にどういう影響を与えるかというのは、そういう租税政策をとりました場合に、その局面の税負担だけに着目するのではなくて、他の諸税が一体どういう体系になっておるか、あるいはその結果財政支出面でそれがどういうふうに需要効果としてはね返ってくるかといった、総合的な分析が必要であろうというふうな議論も当時行われております。
○宮地委員 特に物価についての影響は、私はやはりEC諸国の場合よりも日本の方がはね返りが非常に強いだろうと思うのです。特にオランダなんかの場合には、導入して三カ月ぐらいして物価凍結令を出す。当時のやはりインフレの過熱という条件があったにせよ、そういう例がある。他の国においては、大体導入したときの物価の状況というのは、そんなに強い変化はないように思われます。 そこで、特にデフレ効果の問題については、御存じかと思いますけれども、最近住友信託が、税率五%の付加価値税を導入したとき、GNPが大体三年ぐらいで約〇・八%から一%ぐらい実質成長率が落ち込むんじゃないか、こういうデータを出しています。この資料については御存じですか。
○梅澤政府委員 原資料に当たりまして目を通したわけではございません。新聞報道等によって承知はいたしております。
○宮地委員 住友信託銀行調査部が、もし六十一年度に税率五%の付加価値税を導入した場合、税収規模約八兆三千億ぐらいになるだろう、そういう中で、特にVATのケースとしてGNPの減少がどうなるか。こういうデータによりますと、六十一年度が〇・一落ちる、六十二年度は一・三%落ち込む、六十三年度はマイナスの〇・六%ぐらい落ちるだろう、これはならしますと大体〇・八%くらい。日本経済の現在の実情あるいは流通機構などを参考にしたこうしたデータ。民間の機関でも、EC型付加価値税というものを導入した場合の経済への影響を大変懸念しているわけですね。 こうした問題についても、当然大蔵当局としても研究されていると思うのです。そういう点で、EC諸国の経済環境と日本の経済環境、流通機構、そうした諸条件が非常に違いますので、こうした問題を研究調査していく場合にも、的確に実情に合わしてやりませんと、これは将来大変な問題を起こすのではないか。そういう点で、特に物価引き上げの大変な影響の問題、あるいは経済の基本であるデフレ現象への配慮、こういうものも十分気をつけなければならないのではないか。ぜひ研究の段階の中でこうした問題も十分に研究、検討をしていくべきである、こう私は強調しておきたいと思うのです。 それからもう一つ、いわゆる大型間接税の導入を機会に直間比率の見直しをしよう、こういう直間比率見直し論が今出ておりますけれども、私はここで、大型間接税を導入しても日本の直間比率はそんなに変わりませんよという感じを指摘しておきたい。特に、例えばこのEC諸国がEC型付加価値税を導入したとき、果たしてヨーロッパの国々において直間比率がどの程度変化を来したのか。その点について皆さんの方で御研究をされていれば、ちょっと御説明いただきたいと思います。
○梅澤政府委員 突然の御質問でございますので、的確なお答えが申し上げられるかどうかということでございますが、これも先ほど申し上げました五十四年の一般消費税の議論を税制調査会で御議論になったときに、そういったデータに基づいての御議論があったように記憶をいたしております。 概括的にいえば、ECが統一的に足並みをそろえてこの税制を導入し始めましたのは一九六〇年代から七〇年代にかけてでございますけれども、多くの国におきましてその前身となる、これは取引高税であったり仕入れ税であったり、いろいろな前身となる税目を持っておった国もございますので、委員がおっしゃるように、導入直前と直後でいわゆる直間比率が非常に大きな変動を示さなかった国も幾つかあるように私ども記憶いたしております。
○宮地委員 現にイギリスなんかも、今直間比率は大体六対四、直接税が大体五七・二%、間接税が四二・八。西ドイツは大体とんとん。フランスあたりは逆に四、六になっていますね。アメリカなんかの場合は逆に九対一ぐらい、八八対一二ぐらい。こういう状況ですから、直間比率の見直し見直しといって、大型間接税導入が何かにしきの御旗のように思われていますが、私はそう影響ない。それよりもむしろ、国税庁あるいは大蔵省は、日本は直接税が非常に高いということを誇りにして今まで行政指導してきた、今になって急に直間比率を変えて間接税をふやそう、こういう議論の方が逆に無理があるんではないか。これは大蔵省としては行政指導の転換とも私は受けとめられる、こういう感じがしているのですが、この辺についてはどういうふうに理解をし、この直間比率見直し論を強調されているんでしょうか。
○梅澤政府委員 これは政府の税制調査会の答申にはたびたび書かれておる事柄でございますし、私ども大蔵省税制当局として一貫して持っている認識でございますけれども、私どもは直間比率をアプリオリに決めて、それで税制改革を検討する必要があるということを申し上げたこともございませんし、そういう手法をとることは、私どもは手順としても適当でない。各税目につきまして、あるべき税制についての検討が行われた結果として、直接税と間接税がどういうプロポーションになるのかという過程をたどるべき問題だろうと考えておるわけでございます。 なおかつ、一番最近時点の税制調査会の中期答申をごらんになってもわかりますように、私どもの考え方といたしましては、我が国の税体系において所得税は基幹的地位を占めるものである、所得再配分、公平あるいは財政民主主義というような観点から非常に大事な税目であるという考え方は一貫して変わっていないわけでございます。
○宮地委員 主税局長は、税務行政当局の方からはそういう見方ですが、現場、例えば青色申告会とか法人会とか商工会あるいは税理士会とか、その現場に直接タッチしているのは国税庁ですね。国税庁は考え方として、そうしたところに今まで直接税に対しての指導というものはどういうふうにされてこられましたか。 私が現場でいろいろ伺うには、日本の税制の中においても直接税というのは最高にすばらしいものなんだ、この直接税の制度がある限り、日本の財政は非常に安定していくんだということで、逆に激励をし、直接税を賛嘆して、今まで税務の行政指導を、そうした青色申告会とか法人会とか税理士会、そういうところにしてきたんじゃないか、こう思うのですけれども、国税庁、この辺について現場としてはどういうふうにお考えですか。
○冨尾政府委員 私どもとして直間比率の問題を直接云々する立場にございませんが、執行に当たります立場といたしましては、従来から所得税、その中でも特に申告所得税につきましては、やはりその持っておる意味合いからいたしまして、執行上特に配慮すべきもの、また私どもとしても、最も公平確保に力を入れるべき税目であるということで、いわば課税の公平行政の中で、納税者が日ごろいろいろな面で一番税に対するお感じをお持ちの税目でございますので、それに重点を置いて私どもお話をし、執行し、そういうことでそれを一番重点的にやってきたことは確かに事実でございます。
○宮地委員 その辺が主税当局と現場との違いだと私は思うのです。直接税というものに対する基本的な指導というもののまた現場の受けとめ方、これは主税当局とやはり違いがある。特に、今この段階で直間比率の見直しを、税調が云々というふうに言っておりますが、なぜそこで思い切って方向転換しなければならないのか。また、こうした間接税を導入するということで、実際にそうした現場の中小企業の人たちがどれだけ今後大変な思いをするか。こういうこともぜひ研究の段階で十二分に御検討いただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。 もう一つ、やはり大事なことは、こうした間接税というものは逆進性が強い。これは言われておりますが、特に低所得者ほど、非常にずしりと重みがくる。これについては大蔵省の方としても、先日資料を国会に提出しているようでございますが、あなた方の資料によっても、この所得階層別の税負担率、五十七年分、これについても、間接税、年収二百四十七万の方がその負担率が一・九五、中間層の四百二十五万の人では一・四四、高所得者の八百四十六万の人は一・〇七、こういうことで、間接税でも高所得者と低所得者では約二倍ぐらい負担率が違う。特にその中身を見ましても、酒税の場合は低所得者〇・五四、中間層〇・四二、高額の八百四十六万の方は〇・二六、これも約二倍、たばこに至っては五倍ぐらい、こういう逆進性もはっきりしているわけですね。 そういうことから見ましても、皆さんのつくったデータでも、この大型間接税というものを導入するということは、さらに逆進性が強まり、低所得者ほど大変に負担が大きくなる。このこともわかってはいますが、現実問題として、研究していく場合には当然こうした問題も検討していくべきである、こう思いますが、主税局長、この点についてはどういうふうにお考えをお持ちですか。
○梅澤政府委員 私ども毎年提出させていただいておるわけでございますが、本国会への、五十七年分の家計調査からの各世帯分類ごとの税負担、なかんずく間接税の問題につきましてのデータは、ただいま委員が御指摘になったとおりでございます。なかんずく酒税、たばこ専売益金、四月以降はたばこ消費税でございますが、これの逆進性が顕著であるということは明らかな事実であろうと思います。 たびたび引用を繰り返して申し上げて恐縮でございますが、このいわゆる間接税の逆進性の問題につきましても、五十四年当時、税制調査会でさまざまな角度から議論をされております。そのときの議論は、大体二つぐらいに論点が集約されると思います。一つは、先ほど来御議論になっておりますように、課税対象から除外する品目をいろいろ工夫することによって、消費税が持っている一般的な逆進性の傾向は緩和されるという問題意識。もう一つは、税負担の逆進性というのは、結局は所得の再配分の効果の問題でございますが、この問題を考えるときには、個々の税目を取り上げていきますといろいろな傾向を持っておりますけれども、直接税も含めた税体系全体の中で、一体所得再配分効果がどうなっているか。もっと議論を広げますと、歳出面での所得再配分がどう行われているか、そういった角度からの議論が必要であろう。当時税制調査会ではそういう議論が行われております。
○宮地委員 時間が限られておりますので、次に所得税法の関係について二、三伺っていきたいと思います。 先ほども少し申し上げましたが、私は、現在の二百三十五万七千円の課税最低限、これは経済の実情に見合って、予算の修正の問題にかかわらず引き上げをやるべきである。特に昭和五十二年度二百一万五千円が五十九年度二百三十五万七千円、約一七%アップいたしました。しかし、この七年間に消費者物価上昇率というのは二七・二%も上がっているのです。まだ可処分所得から見ましても約一〇%近い差があるわけでございまして、この物価上昇率の一〇%の幅というものが、まだ国民の可処分所得のところに残存している。本来ならば六十年度の課税最低限を二百五十五万八千五百円、約一〇%アップします、その辺までやっても、国民の経済環境に見合った課税最低限の引き上げは当然やるべきである。 たまたま今回の予算修正で、要求が二百五十四万八千円ですから、ちょうど数字的に近くにきているわけでございますが、さらに六十年度のこれからの経済の状況などを見ていったとき、国民の皆さんの課税最低限というもの、夫婦子供二人の標準家族を指標にして今言っているわけですが、当然そうしたところに配慮して税制改正をやるべきではなかったか。この点について、今回何ら触れられてない。改正に出てこない。私は非常に残念な思いをするわけでありますが、この点については主税局長、どういうように検討されたのか伺いたいと思います。
○梅澤政府委員 所得税につきましては、五十九年の所得税法の改正で数年ぶりに人的控除の引き上げ、それから税率構造の見直しという、いわば本格的な手法での減税を実施する法案を提出申し上げ、国会で成立させていただいたわけでございますが、この結論に達しますまで、五十八年来、これも税制調査会でいろいろ御議論を賜りました。その御議論の成果が五十八年十一月の中期答申に示されておるわけでございますけれども、基本的な考え方といたしましては、我が国の所得税の負担の割合は、国際比較で見る限り必ずしも高い水準にはないということでございますけれども、所得税というのが、名目所得に対しまして累進税率で税負担を求めるということでございますので、特に中堅所得階層の負担感が非常に重いということになりますと、これは税制全般に対する国民の理解、信頼という観点から好ましくない。したがいまして、税制調査会の考え方としては、所得税につきましては数年に一度基本的な見直しが必要である、そういう作業として五十九年改正が行われたというふうに御理解を賜りたいわけでございます。 そこで、課税最低限の水準でございますけれども、二百三十五万七千円、それ以前が二百一万五千円でございました。五十九年改正では、二百一万五千円の方が五十九年までの物価上昇に見合う収入の増があったと仮定いたしました場合に、新しい改正後の所得税法で、これは住民税も含めまして計算をいたしますと、可処分所得はほぼその物価上昇率に見合うという水準でございますが、課税最低限そのものは物価スライドはいたしておりません。 ただ、この点についても御理解を賜らなければなりませんのは、基礎控除のほかに扶養控除、配偶者控除、これは特にいろいろな議論があるわけですけれども、同じ額で引き上げたという点と、もう一つは、税率構造を見直す中で、中堅所得階層で多人数世帯のゆとりが少ないという事実に着目して、限られた財源の中でいわば最善の方法をとらせていただいたと私どもは考えておるわけでございます。 六十年度につきましても、税制調査会で御議論を賜りました。これにつきましては、昨年暮れの答申にも書いてございますけれども、五十九年に本格的な所得税制の見直しを行ったばかりであり、また現在の財政事情から見ると、六十年度にもう一度所得減税を行う余地は残念ながらないというふうなお答えをいただいておるわけでございます。
○宮地委員 そこで、今後やはり課税最低限の問題について、例えばアメリカ合衆国の議会は、史上初めて所得税率、基礎控除額及び課税最低限、ゼロブラッケット類、これをインフレーション指数に基づいて調整することを新税法によって定めた。一九八五年から始まる予定のこの調整は、労働省の消費者物価指数の変動に基づいて行われる。こういう新方式がアメリカなんかでもいよいよ導入されてくるわけです。この点について日本としても十分研究する余地があると思うのですが、この点はいかがでしょうか。
○梅澤政府委員 所得税のインデクセーションの問題は、従来長い時間をかけて議論のあるところでございます。税制調査会での正面からの御議論は、必ずしも精密な御議論はいただいてないわけでございますが、諸外国でインデクセーションのシステムを持っておる税制もございますし、ただいま御指摘のありましたように、アメリカのインデクセーションはことしから発動されるということでございます。 ただ、先ほども申しましたように、私どもの考え方としては、やはりインデクセーションという方式よりも、むしろ適当なインターバルを置いて所得税制を見直すという手法が、我が国にとっては現実的であろうと申しますのは、諸外国の例を見ましても、インデクセーション法制を定めながら完全実施していない年がある国もございますし、たしか私どもの記憶では、オーストラリアは一九八二年にむしろやめております。我が国の場合、そのインデクセーションの適否については、税制だけの立場ではなくて、財政全体で一体どう考えるのか。特に我が国のように、これから構造的に老齢化していく段階で、社会保障給付の需要が非常に拡大してまいると予想されます。また同時に、歳出項目自体の中に物価スライド的な要因を持ったものがいっぱいあるわけでございますから、したがいまして、仮に折衷と言うとちょっと語弊がございますけれども、そういう所得税制を我が国にインプットした場合に、財政の構造的なひずみを生じさせるのかどうか、そういった観点からの検討も、私どもはやはり時間をかけてやる必要があると考えております。
○宮地委員 それから、現在ちょうど確定申告の期間の最中でございますが、一つ医療費控除の中で予防医学の推進という立場が非常に配慮されてないのですね。最近非常に成人病もふえてきている昨今でございますので、人間ドックの健康診断、これを医療費控除の対象にすべきである。 確かに、病院に行って、おまえは血圧が高い、糖尿だと言われると、それに伴っての検査は全部医療費がきくんですね。ところが、初めから病院に行って人間ドックに入って診査を受ける、その人間ドックだとそれはだめだ。この辺非常に、経過措置によって実際対象外になる場合と対象にされるのと、この人間ドックなどの予防医学の推進という立場からも、この健康診断に伴う費用は医療費控除にすべきである、私はこう思います。まずこの点についての見解が一つ。 それから生命保険料の控除、最高五万円。これは保険料が十万円以上の場合は大体五万円で頭なんですね。ところが、今実際に生命保険に加入している状態というのは、そんな状況じゃないことはもう皆さん御存じのとおりですね。今世帯の年間払込保険料というのは、十二万から十八万未満が一四・四%、十八万から二十四万、一二・六%、二十四万から三十万が九・九、三十万から三十六万、八・三。実際に六万から十二万とか、六万円未満とか、その辺は一一・一%、八・二%とわずかなんですね。生命保険の今の払い込みの実態から見て、この最高五万円という控除、これはもう少し実態に即して十万円ぐらいまで引き上げてもいいんじゃないか、私はこういう感じがしております。この点についてどう検討されておるか。それからもう一つ、損害保険料控除の三千円。これもやはり実態に余りそぐわない。 そういう点で、もう少し国民生活の実態に即した形に、人間ドックの医療費控除の問題あるいは生命保険料控除、損害保険料控除、この辺もやはりきめ細かく見直すべきである、引き上げるべきである、私はこう思うのですが、その点についていかがでしょう。
○冨尾政府委員 まず私の方から人間ドックの関係を申し上げたいと思いますが、これにつきましては先生御案内のとおり、医療費控除の対象は病気の診療または治療に要する費用ということで現在法定されておりますので、この規定によります限りは、病気の治療でございません、単なる健康診断でございます人間ドックの費用を医療費控除にするということは、現行法上はできない、こういう扱いでございますので、この辺御了承いただきたいと思います。
○梅澤政府委員 生命保険料控除と損害保険料控除の問題でございますけれども、現在の控除水準は、ただいま委員が御指摘になりましたとおりでございます。これらの控除は、言うまでもございませんけれども、各個人の方々が万一の不幸に備えて自助努力をされるのを、税制上政策的に奨励するという観点といいますか、趣旨を持った税制でございますけれども、この問題につきましては、先生の御認識にあるいはやや逆らう点があるのかもわかりませんが、一昨年の十一月の中期答申では、この制度は非常に長い歴史を持った制度でございますけれども、現在の状況を見ますと、加入率ももうかなりの水準に来ておるのと、加入率そのものがほぼ長期間定着、安定化しておるという点から考えますと、いわゆる政策税制の整理合理化という観点から見るなれば、むしろこの種の控除はなるべくやめて、基礎的な人的控除に吸収していくというのが税制本来のあり方ではなかろうかというふうな問題も指摘されております。ただ、五十九年の所得税法の改正に当たりましては、この制度は非常に長い歴史を持って定着しておりますので、いましばらくは現状のままでいくという考え方に立っておるわけでございます。
○宮地委員 人間ドックについてはどうですか。現状のことはわかっているんだから、そちらは今後検討はどうですか。
○梅澤政府委員 国税庁がただいまの実態を御説明を申し上げましたけれども、その考え方は私どもも同じでございまして、医療費控除というのは、そういう不時の出費で家計の担税力の非常な減殺要因になる、したがいまして、一定の足切り限度を超えるものにつきましてはやはり医療費の控除としてやるということでございますが、いわゆる厳密な意味での医療費でない問題、委員のお立場からいいますと、予防医学とか保健管理とかいう面にも税制の配慮を拡大すべきであろうという御主張かと思いますけれども、現在の医療費控除は、例えば雑損控除等と同じでございまして、やはり不時の出費に備える、その場合の家計の担税力に着目するという観点でございますので、私ども今にわかに医療費控除の中にそういう予防医学とか保健管理的な費用までを含めるという観点で検討はいたしておりません。
○宮地委員 医療費控除にしても生命保険料控除、損害保険控除にしても、私が言いたいのは、やはり国民生活の実態に合う形で検討すべきは検討していく、そういう姿勢というものが大事ではないか、この点を私は強く要求しておきます。 〔熊谷委員長代理退席、委員長着席〕 そこで、時間がありませんので国税庁に伺いますが、特に国税職員のこれからの質の向上といいますか、職員の教育の問題、そういった問題についてお伺いをしたいと思います。 聞くところによりますと、特に昭和四年生、五年生、六年生、この辺でお生まれになった職員の方がここ四、五年の間に大量に退職をする一つの大きな山に差しかかっている。私の手元にあるデータですと、昭和四年生まれの方が今二千名程度いらっしゃるそうで、この方々は昭和六十四年の三月三十一日に退職年次を迎える。昭和五年の方は二千二百人、昭和六年の方は二千三百人。昭和六十四年、六十五年、六十六年と、二千名を超える大量の方が定年退職を迎えるわけでございますが、これに対して今度は新規採用という問題が当然出てくるわけですね。これに対してどういうふうに今から対応策を考えられておるのか、この点について伺いたいと思います。
○冨尾政府委員 国税庁の職員構成につきましては、ただいま先生御指摘のように、五十歳台、特に昭和の一けた生まれの職員が相当数のウエートを占めておりますので、これがここ数年のうちに定年によりまして退官、退職するという状況が想定されます。したがいまして、私どもとしては、この補充を新しく採用した職員でやる必要があるわけでございますけれども、このためには、まず税務職員の研修を徹底して行うということが前提でございます。 現在、職員の採用形態といたしましては、高校を卒業した者を採用いたしまして、これを税務大学校の普通科で一年三カ月研修をさせる制度と、それから、大卒を国税専門官という形で採用いたしまして、これを三カ月の研修の後に一線に配属するという二つの方法をとっておりますけれども、特にこの中で、私どもとしては、税務大学校普通科の研修につきましては、国税庁の職員としての自覚を身につけさせるとともに、必要な知識、技能を習得させるということで、特にこれを重視をし、教育には非常に力を入れております。 私どもとしては、こういう部内研修の充実には今後とも一層配意してまいりまして、国税庁職員の資質の向上、調査能力の拡充という点から、一層この辺につきまして配意してまいりたいと思っておりますが、ただ、この研修期間等につきましては、いろいろと私どもとしても予算、定員の面がございますが、採用した職員に部内研修でできるだけ充実した研修をし、優秀な能力をつけて第一線に配属するということで、今後とも優秀な人材の採用、研修の充実ということで、私どもとしても、経験者が退職した穴をできるだけ早く新しい職員に埋めてもらうように、そういう意味で採用、研修ともに力を入れてまいりたいというふうに考えております。
○宮地委員 特に税務職員の場合、調査と指導、これが税務行政を支える両輪ですね。ところが、最近は調査の方は一生懸命、どんどんいわゆる実調率を高めるということで頑張っていますけれども、どうも納税者の指導ということになると非常に手が回らない、こういうのが実態のようでして、調査優先の感が強い。やはり納税者に対しての指導、これも大事であろう、善良な納税者を育成するためにも、職員のそうした指導というものも大事であろう。 それから、今お話がありましたが、高等学校を卒業しますと、税務大学校に入学する。四月に入学して翌年の六月に卒業する、そして職場に出ていく。やはり今の日本の大学進学率というものは非常に高いわけですね。これから毎年二千名を超える方を採用する。特にことしなどは二千五百人ぐらい採用が検討されているようですけれども、やはり量よりも質という観点から見ますと、税務大学校の教育、カリキュラムといいますか、教育の時間、内容、これも充実していかなきゃならない。そこで、いろいろ問題はあろうにしても、税務大学校に入学した方、こういう方が卒業されたときに、ある程度社会的に認知のできる資格もやはり検討すべきじゃないか。例えば、二年制ぐらいの教育期間を設けて、卒業した場合には短大の資格ぐらいを与えるとか、そうした配慮もやはり必要ではないか。それがさらに質のいい高等学校卒業生を採用する一つのまたきっかけにもなるのではないか。いろいろ学校教育法の問題とか文部省との関係ということで事務的な問題があるにせよ、質のいい、そして将来に希望の持てるそうした税務職員を採用していくには、やはりそうした方向性というものも必要ではないか。この点について、ちょっと大臣から少し御意見を伺いたいと思います。
○冨尾政府委員 大臣にお答えいただきます前に、ちょっと私から補足をして御説明をさしていただきます。 先生御指摘のように、高校卒業者を対象といたします税務大学校の普通科研修は、現在一年三カ月でございます。職員の資質の向上という観点から申し上げますと、部内研修ではございますが、それの期間をさらに延長し、その内容を充実するということは、その面では確かに私どもとしても好ましいことでございますけれども、このように普通科の研修期間を延長し、その内容を充実するということにつきましては、これに伴います予算、定員等の面の制約がございまして、にわかには難しい面がございます。 また、先生御指摘のような短期大学卒の資格を付与することにつきましては、部内研修という面もございますので、学校教育法上いろいろ問題があるということを承知しております。したがいまして、なかなかその実現は難しいということでございますけれども、私どもとしては、職員の資質の向上、調査能力の拡充という面からは、部内職員を鍛えるという意味で研修の充実は大事でございます。この面で十分な配意を引き続きやらしていただきたいというふうに思っております。
○竹下国務大臣 いわゆる資質の向上、能力の充実、これは大事なことでございます。私もかつて文教委員会におったことがありますので、学校教育法の問題点があるということは、税務大学校にかかわらず、政府の大学校というのはそういう問題といつも出くわす問題でございます。いずれにせよ、資質の向上と能力の充実というのは必要なことでございますが、先ほど言いましたように、毎年毎年苦労しますいわゆる定員の問題とかいう問題にも影響のある問題でございますので、まじめな議論としてちょうだいして、部内で勉強さしていただきます。
○宮地委員 これも質のいい方を採用するにかかわる重要な問題であろうと私は思いますので、ぜひこの税務大学校の短大資格の問題についても、今後十分検討していただきたいと思います。 さらに、最近海外における進出日本企業の海外取引による海外所得の申告漏れといいますか脱税、こういう問題が非常にふえているようでございます。先日、国税庁は十四カ国の資料を入手したようでございますが、時間もありませんので、簡単にどういう状態になっているのか、まず報告していただきたいと思います。
○冨尾政府委員 国税庁といたしましては、租税条約を締結しております国のうち、三十三カ国との間で資料の交換規定を利用いたしまして、課税資料、特に利子・配当とか、それからコミッションとか、こういうようなものにつきましての資料を相互に交換をするということでやっているわけでございます。現在この制度は、かなり各国の御協力も得、また日本としても、国際的な協力の観点から交換に力を尽くしておりまして、昭和五十八年で見ますと、日本として外国からそういう資料をいただいた枚数が約一万件ございます。大部分が今申し上げました海外における利子または配当にかかわるものでございますが、そのほかに、いろんな報酬、年金等の資料もございまして、これを私どもとしては活用させていただいて、海外所得も含めた適正な課税に努めているところでございます。
○宮地委員 大臣に、予算委員会の関係があるので、一問だけ伺っておきたいんですが、実は、そうした海外取引による海外における日本の進出企業のいろいろな脱税が非常に年々ふえているようですね。その一つの情報収集として、国税庁としては、今までシカゴだとか香港だとかニューヨークに、外務省に出向させて、駐在員を置いて、それも外務省のもとになりますと、これはもう調査権ありませんから、情報の収集などだけ。やむを得ず、今までは出張で調査権を持って、ちょっと一週間かそこら行って帰ってくる。六十年度予算で、これが六カ月ぐらい長期出張できるような形になってきたようでございまして、まあ、東京、大阪国税局には国際調査課とか、あるいは関信、名古屋、東京、大阪などには国際調査専門官、こういうものを設置して努力をされているようですが、海外に、そうした不正な所得、申告漏れ、こういうようなものについての対応策として、国税庁の出先機関というものを、やはりいよいよ設置を検討すべき時期に来ているんではないか。例えば出張所みたいなもので、外務省とは切り離したところできちっと対応できるような、こういう問題について今のような出張扱いで、まあ、入れかわり立ちかわり行くという、そして、向こうにアパートかなんか借りて、そこから調査をする、こういうやり方よりも、やはりきちっとした機関を設置して、そうした脱税行為などをする企業の対策を検討すべきではないか。この点については、いろいろ外務省との調整もあるようでございますので、ぜひ大臣もその点に留意され、検討してはどうかと、こう思いますが、その点についていかがでしょう。
○村本政府委員 お答えを申し上げます。 先生ただいま御指摘のように、海外取引が活発化している、また、企業進出が非常に盛んになっているというようなことから、私ども、先ほど情報交換の話もございましたけれども、調査官の派遣等も年間三、四十名というような規模で、鋭意そういった事態に対応する施策を講じているところでございます。また、今お話がございましたように、そうした短期のものをもう少し長くしていく、そういうようなことも考えております。ただ、その辺につきましては、なお具体的なやり方等につきましては、外務省等とも現在いろいろ協議をしているというところでございます。 さらに進んで、こういった事態で、それを国税事務所といったような形でするのはいかがかというような御指摘がございました。確かに私ども国税当局としては、そういうことも一つの方向であろうかと思いますが、問題は海外に絡む問題でございます。外国政府との関係もございますし、また、それとの窓口になっている外務省等の御意向等もございます。具体的にどうするかというようなことは、今後そうした各方面の意向等も調整をしつつ、またこれから国際化の進展に対応して考えてまいりたいというふうに思っているところでございます。
○竹下国務大臣 今お答えがあったとおりでございますが、包括的に――包括的にと言うと、また、網羅的にじゃ……。その意味のあれではなしに、おっしゃった意味を包括して検討させていただきたいと思います。
○宮地委員 この点について、きょうは外務省来ておりますから、ちょっと外務省から所見を伺っておきたいと思います。
○松浦説明員 外務省といたしましては、先生が先ほどから御指摘のような問題意識は十分持っておりまして、したがいまして、国税庁の海外におきます調査につきましても、従来からできる限り協力してきております。例えば、先生御指摘の短期の出張につきましてはいろいろ御協力申し上げてきておりますし、今後それが長期化されるということであれば、また従来同様御協力をしたいと思っております。 しかしながら、先生がちょっとお話しになりました、長期出張を制度的な国税庁の出先機関にするということになりますと、いろいろ問題点が相手国政府との関係で生じてまいります。何分にも、相手国の主権の及ぶ地域でのことでございますので、従来からの短期出張、それから今後の長期出張に当たりましても、基本的には相手国政府の了解のもとに活動するわけでございまして、従来からそういう際に相手国政府は二点条件をつけております。一つは任意に行う、つまり関係企業が同意をするということと、それからもう一つは相互主義、日本でも同様な必要が生ずれば、相手国政府が同様な調査を行うという二つの条件をつけております。 いずれにいたしましても、先生が御指摘のような独立の機関にするということに関しましては、いろいろ外務省としては問題点があると思っておりますが、長期の出張ということでございますので、できる限り協力したい、こういうふうに思っております。
○宮地委員 外務省としても、現在の海外取引による脱税の実態が非常に巧妙になってきておりますので、そうした対策の一環としての国税庁の海外出張所設置などの問題に絡めまして、ぜひ御協力をしてあげていただきたい。外務省はどうしても一元化問題にとらわれる嫌いがなきにしもあらずでございますので、どうかその辺、よろしく御検討をしていただきたい、このように強く要望をしておきたいと思います。 それでは、時間を少し、二十五分までいただきましたので、最後に、国税庁の方でことしから還付センターですね、これは特に名古屋国税局管内などで納税者の皆さんの便宜を図るということで、昨年私大蔵委員会でお願いをし、ことしから実現をされ、ぼちぼち還付センターを設置して対応しているようでございますが、この点について、今の状況を御説明いただきたいと思います。
○冨尾政府委員 ただいま五十九年分の確定申告の最中でございますが、ことしもまた相当大勢の還付申告に見える方も予想されますので、本年から実は国税庁の税務大学校の方の普通科の研修生を中心といたしまして、還付センターを、大阪と名古屋の両国税局の管内に、特にターミナルのところに設けまして、還付の方々の還付申告の御便宜を図るということで、本年度からの新しい施策として実施することとしていますが、それぞれの両国税局からの報告によりますと、かなりの利用が見込まれているということでございます。
○宮地委員 来年はもう少し積極的に拡大する用意があるかどうか、その点についていかがでしょう。
○冨尾政府委員 何分ことしからの制度でございます。また、動員いたしますのはまだ勉強中の普通科の研修生で、高校を卒業したばかりの若い職員でございます。うまくいくかどうか、実は若干の心配もございます。そういう意味で、ことしの状況を見まして、これをさらに他の国税局に広げるかどうかも含めまして、納税者の便宜を図ることも片っ方では大事でございますので、その辺を勘案しながら検討させていただきたいと思います。
○宮地委員 最後に、時間もありませんので、マル優制度の問題で少し伺っておきたいのですが、グリーンカード制が今回廃止になるわけでございます。限度管理の方式に、このグリーンカードにかわって、今度マル優カードというものを検討したらどうかな、こう思うのですが、この点については当局として検討されたことはありますか。
○梅澤政府委員 これは今委員がおっしゃいました、まさにマル優カードと申しますか、非課税貯蓄カードという問題が税制調査会でも検討の対象になりました。いろいろな御議論があったわけですけれども、結局六十年改正では、ただいま御審議いただいておりますように、生年月日の入った一定の公的書類によって本人確認を行う、郵貯の課税を強化するという方向に落ちついたわけでございますが、この非課税貯蓄カードの問題につきましては、やはり一番問題になりましたのはコストベネフィットの問題であろうと思います。かなり精緻な体系をもって、かなりのお金をかける必要があるという問題がございます。 それからもう一つ、税制調査会での御議論を見ておりますと、やはりグリーンカードがあれだけ世の中にいろいろな波紋を投げかけた問題でありますから、仮に非課税貯蓄に限定した場合でも、そのカードがどういうふうに我が国社会に受け取られるか、その点について性急な結論を出すのはよほど慎重でなければならないだろう。そういった御議論もございまして、結局非課税貯蓄カードというのは、今回の税制改正では見送られたわけでございます。
○宮地委員 さらに、これから高齢化社会が非常に進展していくわけですね。そこで、シルバー預金という構想で、現行のマル優三百万を少し、五百万ぐらいに引き上げる、こういうことも検討してはどうか、こういう意見も青色申告会などから非常に強いのですが、この点についてはどういうふうに検討されてまいりましたか。
○梅澤政府委員 本来、非課税貯蓄制度の存在意義をどう考えるかというのは非常に議論があるところでございますが、税制調査会での議論の流れを御紹介申し上げますと、やはり個人貯蓄の六割までが非課税になっておるという事態については、税の公平という観点等から見て問題があるだろうということで、むしろ低率分離課税という提案が行われたわけでございます。この点につきましては、従来いわゆる一定の高年齢の方に非課税貯蓄の枠を広げるという議論がありますことは、つとに私ども承知をいたしておりますけれども、現時点での税制当局の見解ということになりますと、私どもはそういう提案についてはかなり問題があると考えております。
○宮地委員 かなりと、余り強気にならないで、シルバー預金構想という、皆さんもいずれお年寄りの仲間に入ってくるわけですから、ぜひこの問題は温かい目で対応していただきたい。私は強く要望しておきます。 最後に、マル優の不正防止のために、磁気テープによって名寄せ管理、こういうものを機械化して今後対応していく。今までグリーンカードのときのいわゆるコンピューターシステムなどは、既に朝霞の方で他の面で運用されているようでございますが、ことしの予算で、マル優名寄せの問題の機械化で約一億円くらい予算化されておる。そういう中で磁気テープの問題は、今後検討課題の一つであろうかと思うのですが、この点についてはどういう研究をされておりますか。
○冨尾政府委員 いわゆるマル優の問題につきましては、現在の改正法の中で、本人確認につきましてはより厳格な適用ということが考えられておりますので、これをどのように名寄せをし、きちんとしたマル優制度を運用するかということは、今後の課題になるというふうに私ども考えております。したがいまして、非課税貯蓄の限度管理のシステムということを今後検討してまいらなければいかぬと思っておりますが、御承知のとおり、現在でも毎年三千万枚以上の非課税貯蓄申告書が出ておる状況でございますので、これらを的確に名寄せする場合の方法としては、先生御指摘のように、磁気テープ等を使ってコンピューターを活用した名寄せシステムなども有力な方法だというふうに考えておりますので、これらを中心にいたしまして、私どもとしても関係の機関と御協議をいたしながら、具体的な案につきまして、できるだけ早く方向を得ていきたいというふうに考えて、現在検討しておるところでございます。
○宮地委員 時間が参りましたので終わります。どうもありがとうございました。
○越智委員長 米沢隆君。
○米沢委員 私はまず最初に、租税特別措置法の改正法案に関連いたしまして、利子・配当課税の問題をお尋ねいたします。 現行の利子・配当課税のあり方については、不公平税制の典型的なものとしてとらえられ、その是正はかねてから強く求められていたところでありますが、今回、六十年度税制改正においては、少額貯蓄非課税制度の限度額管理の厳正化ということで一応の決着を見て、本改正案が提出されております。政府税調、自民党税調の議論の経緯からいたしまして、少なからず問題を残したという感が否めませんが、私は以下数点について当局の見解を確認しておきたいと思います。 言うまでもなく、この利子・配当税制の是正については、利子・配当課税の課税制度、すなわち総合課税を原則として源泉分離選択課税と確定申告不要の制度の特例を認めるという現行制度、これをどうするかという問題、それからいわゆる非課税貯蓄制度をどうするか、この二つの問題があるわけでありますが、税務当局としては、現行利子・配当課税の現状につき、どのような問題点ありと認識されてきたのか、まずこの点について御見解を賜りたいと思います。
○梅澤政府委員 利子・配当課税の問題は、ただいま委員が御指摘になりましたように、いわゆる課税貯蓄の課税のあり方の問題と非課税貯蓄制度をどう考えるかという二つに分けられるということ、御指摘のとおりだと思います。そこで、この問題につきましては、五十五年の所得税法の改正をお願いいたしまして、いわゆるグリーンカードで課税貯蓄については完全総合課税を目指す。非課税貯蓄制度につきましては、このカードで厳正な名寄せをやって限度管理を的確にやるということでございました。ところが、御案内のような経緯で、税制調査会でまた改めて五十七年、八年と御議論をいただきまして、今回御提案申し上げておるわけでございます。 ただ、そのグリーンカードの経緯等に伴いまして、税制調査会の中でもいろいろな意見、新しい意見と申しますか、そういった新しい角度からの議論が行われたということを、私どもは非常に印象強く持っておるわけでございます。つまり、従来の税制調査会の基本的な考え方は、大部分の委員の方は、利子・配当は総合課税というのが公平の観点から最も望ましいということでございましたけれども、一昨年からの議論の過程の中では、グリーンカードの経緯にもかんがみ、かつ、昨今における金融市場の自由化、国際化というふうなことを展望した場合に、今はとにかく総合課税原則、源泉分離選択という現状を追認しつつ、将来これをどういう方向に持っていくかという場合に、一律分離課税的な意見も少なからず表明されまして、これは答申の記録にもとどめてございます。 したがいまして、私どもは利子・配当課税の特に課税貯蓄のあり方について、いわゆる総合課税があるいは分離選択が、分離選択の税率をどうするのか、あるいは完全総合よりもむしろ全部分離所得税的な物の考え方へ持っていくのか、今ちょうどその議論の分岐点に来ているような印象を持っております。したがいまして、この問題については、改めて今後税制の抜本改革が御議論になる際に、国民全体の中でも広範な御議論を賜りまして、税制調査会で改めて将来の方向づけをいただくべき問題ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。 ただ、六十年度改正におきましては、とは申しましても現状そのまま放置するということでもいけませんので、記名、無記名を通じまして、課税貯蓄につきまして本人確認をきちんとするという内容の提案を現在申し上げておるわけでございます。 非課税貯蓄制度につきましては、これも税制調査会の今の議論の流れからいいまして、問題の提起をされる角度が二つあろうかと思います。 一つは、利子は本来総合課税であるべきであるという論拠に立ちますと、個人貯蓄の六割もがいわば課税ベースの浸食ということで課税の外に置かれておるというのは、かえって所得税の公平に反するのではないかという意味での見直し論。もう一つは、将来を展望した場合に、利子については一律分離課税であるとするならば、非課税貯蓄とか課税貯蓄という垣根は設けずに、一律的に利子に何らかの課税方式を考えるという方向での御議論が提起されておるわけでございます。 ただ、六十年度につきましては、種々の議論の経緯を経まして、ただいま御審議いただいておりますように、本人確認を厳格にするとともに、郵便貯金についての課税の適正化を図るという内容でただいま御提案申し上げておるわけでございます。
○米沢委員 今いろいろと問題点についてお述べをいただきましたが、税務当局としては、現段階においてどのような改革の方向がベターだという御意見を持っておられるのか。その点いかがですか。
○梅澤政府委員 現在御審議を賜っております非課税貯蓄制度の現状について、これは税務調査の実際等から見ましても、乱用といいますか、不正利用が行われるという事実は否定できないわけでございますので、現状を一歩でも二歩でも改善するという意味でただいま御提案申し上げておるわけでございますけれども、将来これを一体どう持っていくかということにつきましては、非課税貯蓄制度そのものをどう考えるのか。仮にその存続を認めるとした場合に、完全な限度管理という点につきましては、今後技術的な側面も含めまして我々もっと勉強して、その方法論を詰めていく問題は多々あろうかというふうなのが率直な感じでございます。
○米沢委員 今の議論と関連するわけでありますが、政府税調は御案内のとおり、「なお一部に異論はあるものの、この際、一定額の元本から生ずる利子の低率分離課税方式を導入することが望ましい」という答申を出しておられましたが、自民党税調の段階では、結局限度管理の厳正化だけが残ったわけであります。この間どういう経緯があったのでしょうか。
○梅澤政府委員 ただいま御指摘になりましたように、税制調査会の答申では低率分離課税の方式、それから郵便貯金につきましては源泉徴収、税務監査という問題が提案されたわけでございます。この提案を受けまして、当然のことながら私どもといたしましてはそれをいわば六十年度税制改正のドラフトとしてまとめまして、税制改正作業で各局面で議論をしたわけでございます。政府部内でも関係省庁、具体的には私ども大蔵省の中にも銀行局がございますし、それから郵政省、農林省、それぞれ金融機関を持っておられる官庁との政府部内の協議もございます。それから毎年度の税制改正の当然の作業手続として、自由民主党の税制調査会での御議論もいただきました。 結局、得られました成案は、ただいま御提案申し上げている内容のものでございますけれども、率直に申しまして、やはり非課税貯蓄制度というのは、民間のマル優、郵貯も含めまして我が国に非常に長く定着した制度でございます。したがいまして、これを一挙に課税するという問題については、いろいろな異論があったことは事実でございます。非課税貯蓄制度そのものを存置すべきであるという議論もございましょうし、今にわかに大変革を行うということは、やはりいろいろな混乱が起こるのではないかというふうな現実的な配慮をする見解もございましょう。そういった各種の議論を経まして、結局与党である自民党税制調査会で御決定をいただきましたものに沿いまして、ただいま御提案申し上げているところでございます。
○米沢委員 この利子・配当課税につきましては、総合課税の原則を維持すべきであるが、完全な総合課税への移行は利子・配当課税の特異性等にかんがみいろいろと問題も多く、結局所得税の累進性をゆがめるものであるとの批判はあるにしても、源泉分離選択課税制度を併置することは実質的な公平を確保する見地からやむを得ないというのが大方の意見であるように聞いておりますが、問題は、この利子・配当所得を有する高額所得者が源泉分離課税を選択しないでいながら、その利子・配当につき確定申告をせず、したがって総合課税を受けないでいるという場合が極めて多いのではないか、そう思うのでありますが、現状とその対策はどうなっておりますか。今回の改正でそれは是正されますか、お尋ねをいたします。
○冨尾政府委員 先生の御質問は、高額所得者が総合課税の選択をし、二〇%の源泉徴収を利子・配当について受けながら申告しないという状況についてどうだという御質問だと思いますが、これにつきましては、私どもとしてそのような計数を取りまとめてのものがございません。ただ、利子及び配当所得につきましては、先生御承知のとおり、総合課税ということにいたしますと原則として支払い調書が提出されることになっておりますので、この支払い調書と申告書を突き合わせるということを通じまして、基本的には適正な課税ができるということで、私どもその方向で処理をいたしております。
○米沢委員 それは現実にやられておるわけですね。
○冨尾政府委員 私どもとしては、各金融機関等から送られてまいります支払い調書につきましては仕分けをいたしまして、申告書との突き合わせ等をして課税処理の適正化に努めております。
○米沢委員 今度のこの改正法案が出された後は、昨今いろいろと議論されております税制改正との関連で、この利子・配当課税をどうするかという問題に移るわけでありますが、先般来の質問において、税制の全般的見直しの中でも引き続きこの利子・配当課税のあり方は検討対象にするというような答弁がなされておりますが、実際低率分離課税方式の導入とか非課税貯蓄制度の是非等々、この一年間かけていろいろ議論されて今日の提案になったわけでありまして、ことしまたこの問題を新たな問題としてとらえて議論するということは、昨年議論したのだからことしはどうもというように、ちょっと後退するのではないかな、こう思うのです。税務当局としては、この問題については今度の税制の全般的な見直しの中でかなり積極的に、再度議論をするという姿勢でおるのかどうか。それとも、一応はここでさたやみにして、後ほどまたこの議論を再燃させるという姿勢なのか。その点についてお尋ねいたします。
○梅澤政府委員 この利子・配当課税につきましては、先ほど来御議論がございますように、総合課税を原則としながら源泉分離選択制度なり申告不要制度が併置されておる。それからもう一つ、非課税貯蓄制度という制度があるわけでございます。 この問題につきましては、要するに公平の論議あるいは国民の零細な貯蓄を優遇すべきであるというふうな観点からの論議、各種の論議があるわけでございますが、集約するところは、やはり所得税制の中で利子・配当課税をどう位置づけるかというものと密接に関連してくるわけでございます。源泉分離選択制度の税率についても、三五%が高過ぎるという議論もあれば、低過ぎるという議論もあるわけでございます。これも例えば所得税の累進構造、なかんずく最高税率との水準でそこら辺の見直しが行われた場合は、当然その関連において議論される議論でございます。 したがいまして、私どもが申し上げておりますのは、今後直接税、間接税を通じて税制全般の御議論があるわけでございましょうから、その中で基幹税たる所得税についても突っ込んだ検討が行われるのでございましょう。そうするとすれば、利子・配当課税の問題は当然その関連で問題として起こってくるだろうという予測を持つわけでございます。しかし、それがどうあるべきかについて私どもは予断を持っていないわけでございまして、それはこれからの税制調査会などにおける御議論なり御検討の課題であろうというふうに考えておるわけでございます。
○米沢委員 この利子・配当課税の適正化に当たりましては、郵便貯金と民間貯蓄など各種金融資産間の取扱量の権衡を失することのないよう十分留意することが今回強く求められておりました。 特にその中で、政府税調においても全員一致の認識で示されたのが、いわゆる郵貯と民間貯蓄の間で税制上のイコールフッティングを図る観点から、郵貯に対しても民間貯蓄同様源泉徴収義務の導入及び税務当局による監査を行うことが必要不可欠であるという意見であったと思います。今回の改正案では、郵便貯金についても、預け入れ限度オーバー分と、本人確認の証印のない郵貯の利子は課税対象となり、支払い利子額等が税務署に通知されることになっておりますが、課税の実効の上がる措置は講じられるのかどうか。特に、課税対象でありましても、源泉徴収されないために、架空名義等の郵便貯金等については全く課税されずに、不正利用を助長することにもなりかねないのではないかという意見もありますが、この点とういうふうな決着をし、源泉徴収義務の導入と税務調査の導入はどう実現したのか、お答えいただきたいと思います。
○梅澤政府委員 民間のいわゆるマル優と言われるものと郵便貯金との税制上のイコールフッティングの御議論は、ただいま仰せのとおりであろうと思います。 そこで、六十年度税制改正の検討に当たりましては、私どもといたしましては、税制調査会の答申にもございますように、源泉徴収と税務監査を郵便貯金制度の中にも導入していただくという方向で問題を提起いたしました。ただ、郵便貯金は非常に長い歴史を持った制度でございますし、実は大正九年から非課税になっておる制度でございます。したがいまして、これも先ほどの問題と関連があるわけでございますけれども、一挙にその制度の改革を図るという点については種々の御議論がございまして、結局、源泉徴収問題につきましては郵政省なり国税庁、大蔵省が今後名寄せの技術的なシステムをもうしばらく時間をかけて勉強する、それまでこの問題は送るという結論に、結果としてなったわけでございます。 さらばといって、これは現状のままでは参りませんので、したがって、ただいま御提案申し上げている法案の中におきましては、まず郵便貯金について、入り口での本人確認は民間のマル優と全く同じ扱いでしていただく。それから本人確認の証印のないもの、これも民間のマル優と同じように課税対象にする。それから限度を超えました場合には、従来でございますと、郵貯の場合は預入者の故意、重過失という主観的要件が入っておったわけでございますけれども、今回の改正では、そういう主観的要件の有無にかかわらず、限度管理オーバーという客観的事実によって課税対象になるという税制の仕組みにしてございます。 最後の出口のところで、源泉徴収義務なり税務監査というのは将来の問題として残されたわけではございますけれども、郵政官署が確認の証印のないもの、あるいは限度オーバー、つまり課税対象になる利子を支払った場合には、郵政官署から税務官署に通知をいただく。そういう格好で、出口の点での課税の適正化を図るという措置を講じさせていただきたいと考えておるわけでございまして、その意味では、完全とは申せませんけれども、現状よりも一歩二歩の改善は期待できるのではないかと私どもは考えておるわけでございます。
○米沢委員 大正九年から非課税であるという郵貯の歴史、全くそのとおりであろうと思いますが、今シャウプ税制勧告以来の大税制改革をやろうとする時期に、そのような歴史があるからといって、これをあいまいに残すことはいかがなものであろうか、そんな感じがいたします。 特にこの点に関しまして、非課税貯蓄に関する自民党五役調停が昨年の十二月十九日に調印といいましょうか、協定が結ばれておりますが、これを読んでも、非常にわかりにくいのです。例えば一番最初の、「非課税貯蓄の限度額管理については、これを厳正に行う」、これはこのとおりですね。二番目に、「非課税貯蓄の限度額管理のシステムについては、大蔵、郵政両省において、実効のあがる案について検討する」。これも、実効の上がる案について検討しようという意思は見えますけれども、一体だれが、実効の上がるものだと判定をするのか。あるいはまた、いろいろ議論した結果、実効の上がる案ができない場合には、ずるずると最終的には利子課税に源泉徴収義務を負わせることが実態的にはできないということを生ずるのではないか。あるいはまた四番目の、「所得隠し等のいわゆる非課税貯蓄の悪質利用を防止するため、郵便貯金につき現在行われている税務調査に関し一層の改善を図る」とありますが、今お答えのように、通知があったら税務調査ができるというのか、通知がなくても税務調査ができるような風穴があけられておるのか、このあたりがどうもはっきりいたしません。その点、どういうふうに理解したらよろしいでしょうか。大蔵省と、郵政省にもお答えいただきたいと思います。
○梅澤政府委員 いわゆる五役調停の内容なるものは、ただいま委員がおっしゃったとおりの内容のものでございます。 問題は二つあろうかと思いますけれども、一つは、ここにも書いてございますように、大蔵、郵政両省間で実効の上がるいわば技術的な研究を進めるということでございまして、六十年度でもそれぞれ予算措置も講じられております。したがいまして、これがどれくらいの時間を要しますか、本日の時点で申し上げられないわけでございますけれども、とにかく両省間でそういう研究、お互いに情報交換をしながら研究をする、そういう研究の成果というものは、改めて政府の税調なり党の税調で議論される場面がある、それまでの間、源泉徴収義務の問題も先に送られておると私どもは理解をしております。 それから、税務調査の件でございます。これは先ほど申しましたように、新たに郵政官署から通知はいただきますけれども、いわゆる税務当局の郵政官署に対する所得税法上の質問検査権の行使は、従来と全く同じでございます。その点、質問検査権の行使につきまして、今回制度の改正はございません。
○山口説明員 御説明を申し上げます。 ただいま先生御指摘のいわゆる五役調停でございますが、これにつきまして、私どもといたしましてその内容につきましてコメントを申し上げるということは、なかなか難しい立場にあるわけでございます。 ただ、そこの中に書かれておりますのは、今先生が御指摘なされましたように、郵便貯金への税務調査とその前提である源泉徴収義務につきましては、マル優とか特別マル優あるいは郵便貯金の非課税貯蓄全体の限度額管理のシステムについて、大蔵、郵政両省間で実効の上がる案を検討し、実施し、その実効が見きわめられた後の問題ということになっているわけでございます。私ども郵政省といたしましては、いずれにいたしましても民間金融機関あるいは国税庁と相携えまして、不正利用を完全に排除するいわゆる限度管理システムを開発いたしまして、不正利用の存在を前提とした税務調査というものが不要となる、そういう形になるような努力を続けることが、課せられた任務ではないかというふうに受けとめておる次第でございます。 重要なことは、非課税貯蓄制度全般に対する国民の信頼を確保していくということでございまして、限度管理の厳正化を図っていく、そのことが大変重要なことだというふうに理解しておりまして、今後郵政省といたしましても、民間のマル優等と相携えまして一層厳格化に努めていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
○米沢委員 郵便貯金は、いわゆる官業ということで、限度管理につきましても郵政省自身の手にゆだねられておるわけでありますが、もしこれが的確に行われておるとするならば、この議論はそう重要なものではないと思います。しかし、お聞きしますところ、その実態は不正貯蓄が少なからず存在するであろう、こう言われておる中でございますから、やはりこの利子課税についての源泉徴収義務というものは、今日的に大変重要な意味を持っておると思います。 そういう意味で、この実効あるシステムをつくるということが、今から協議の中でただだらだらと行われて一向に結論が出ないということであれば、この不正貯金の利子等についてはいわゆる野放しになるという可能性があるわけでして、本来ならば、このような実効ある措置をとるというのは、時間的な限度を切って、例えば今年じゅうにすべて決着するような方法をとるべきであった。それがこの中にはありませんので、できれば大蔵でも郵政省でも、そのような決意を込めて、限度管理のシステムを開発するという、そのあたりがこの場ではっきりと示されるべきではないか、こう思います。どうでしょうか。
○梅澤政府委員 それはまさに委員の御指摘のとおりであると私どもも考えております。考えておりますが、この限度管理システムを郵政省なり国税庁で今後研究するということは、内容的に非常に技術的な側面もございます。それから、一定のタイムスケジュールと申しますかリードタイムのようなものが事柄の性質上必要でございますので、今日時点におきましてことしじゅうにというふうに申し上げられる段階にないということは、私ども非常に申しわけなく思うわけでございますけれども、これは政府全体の責任として、なるべく早くこの研究に誠実に取り組むということは当然の御指摘かと思います。
○山口説明員 御説明申し上げます。 先ほど来、今回の改正についていろいろ御指摘がございましたけれども、私ども今回の所得税法改正というものは、限度額管理の厳正化ということにつきましては非常に役に立つものであるというふうに考えております。 一つは、本人確認につきましても、従来私どものところでは、面識者というふうな場合には資料の提示を要しない、ただそれを記録にとっておくというふうな形で対応しておりましたけれども、今回は、仮にお隣にお住まいで面識者であっても、いわゆる公的証明資料というものを求めるという形をとっておりまして、そういった意味では、入り口の本人確認というものの厳正化が期せられるということがございます。 それからまた、入り口を入ってきた後、今度は中での限度管理でございますけれども、限度管理につきまして、今回生年月日というものをとっていただけるというふうなことでございます。私ども、現在既にオンラインで全国名寄せをやっておりまして、従来は住所、氏名というものを要素にしてやっておりましたが、これに生年月日という不変の要素が加わるということでございますので、そういった意味では、これを活用したシステムというのは大変有効なものであると考えております。先ほど申しましたように、民間のマル優の枠管理等とも大変共通する手法というのはあろうかと思いますので、国税庁からもそういったアイデアを教えていただき、あるいは私どもの持っているノーハウというふうなものもお互いに情報交換をしながら、実を上げていくように努めてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。 〔委員長退席、中川(秀)委員長代理着席〕
○米沢委員 この限度額管理のシステムにつきましては、先ほどから申しておりますように、早急に実効の上がる御検討をされ、そして最終的には、その後生ずる利子課税については的確に源泉徴収義務が履行されるという状態ができますように、強く要請をいたしておきます。 それから次は、新方式の実施前に預入された預貯金の取り扱いの問題でございます。 御案内のとおり、経過措置では、既存分につきましても六十一年一月一日以降、旧申告書等によって新たに預け入れする場合には公的書類による本人確認が必要とされておりますが、新たな預け入れがない場合には洗いかえは不要とされておると思います。そこで、これによって駆け込み預入が予想されるというのであります。特に預入期間の差、定額郵便貯金は十年、期日指定定期預金は三年等によりまして、ことしじゅうに郵便貯金への資金シフトが発生する懸念があるということを銀行側は言っております。そういう意味では、グリーンカードの二の舞を避けるためにも、実効の上がる資金シフト防止策を講ずべきである。その具体的な方策としては、民間預貯金の既存分の本人確認、洗いかえにつきましては、既存の民間預貯金の本人確認時期を弾力化するなど十分な配慮を行ってくれというような要望があるのですが、その点とういうふうに受けとめて処理されますか。
○梅澤政府委員 今回の制度改正によりまして、考え方としては、既往分は一切御破算にしてやり直すという方法もあるわけでございますが、これはやはり相当大きな混乱を伴う問題でありますほかに、やはり預金者の大変な負担になるだろう。したがいまして、今回の既往分の洗いかえの基本的な考え方は、民間のマル優でございますと、六十一年一月一日以前に設定された申告書によってお客様が窓口に来られる、その時点で確認をさせてもらう。郵便貯金につきましても、六十一年一月一日以前に交付された通帳で現実にお客様が来られたときに、そこをつかまえてやる。いわばお客様の立場とか、あるいは今平穏に行われておりますものについての混乱が起こらないように、現実的な方策として、今回の既往分に対する本人確認といいますか洗い直しの制度を設けるということにしておりまして、具体的に個々の扱いにつきましては郵政省、それから私どもの方は銀行局を通じまして、各種金融機関の御意見も承りながら、無理のないように、しかし適正なやり方をとるということで、細目に至るまでの作業を今詰めているところでございます。 ただいま委員がおっしゃいましたように、グリーンカードのようなシフトが起こるのではないかという意見が一部にあるという御指摘でございますけれども、私どもが承知しておる範囲では、全銀協の山田会長も、今回の場合はああいうシフトは起こらないというふうに評価をしておられるということもございますし、なるべく――なるべくじゃございません、そういうことは起こり得ないと私どもは考えておりますけれども、なお細目に至る点につきましても十分慎重に、入念に、それぞれ関係者と議論を詰めまして成案を得たいと考えております。
○米沢委員 今回の改正におきましては、郵貯と民間との間で実質的なアンバランスが生じないようにしようというのが大前提でありますから、この本人確認あるいは洗いかえ等におきましても、郵貯と民間預金との取り扱いが実質的に同じになるように、ぜひ細かな配慮をしていただきたいということを申し上げたいと思います。 以上で利子・配当課税についての質問は終わります。 次は――大臣が来てませんから休みましょうか。
○中川(秀)委員長代理 審議をお続けください。
○米沢委員 政府税制調査会並びに自民党税制調査会が、昨年来の六十年度税制改正答申におきまして、「既存税制の部分的な手直しにとどまらず、」「直接税、間接税を通じた税制全般にわたる本格的な改革を検討すべき時期にきている」として現行税制の行き詰まりを指摘をされ、さかのぼっては五十八年末の中期答申の提言を受ける形で、今回中曽根総理並びに大蔵大臣は、今国会冒頭の所信表明演説の中で、税制全般にわたる抜本的見直しを検討することを表明されました。それをきっかけに、今国会はさながら税制改革国会のような様相を呈しております。 この税制改革問題につきましては、既に今日までいろいろと論戦の中で何回となく取り上げられて、政府の考えていらっしゃる税制改革の方向もおぼろげながら明らかになりつつありますが、私はその重要性にかんがみ、改めて若干の問題点、不明の点について、この場をかりて質問をさせていただきたいと思っております。 まず第一に、今回の税制改革の端緒ともなりましたさきの答申におきまして、政府税調、自民党税調をして「既存税制の部分的な手直しにとどまらず、」「税制全般にわたる本格的な改革を検討すべき」と言わしめた背景には、一体どのような事情があったというふうに理解をされておりますか。そして、大臣が今回税制改革に思い当たられた動機には一体何があったのか。これが第一点。 第二点は、税制改革の必要性を言われるのでありますから、その前提として現行税制の問題点があるはずでありますが、改革を迫られている現行税制のひずみ、ゆがみ、公平でないもの、公正でないものとは一体どのようなものを指して言うのか。この二点についてお答えをいただきたいと思います。もう何回も御答弁なさっておりますから口がくたびれると思いますが、よろしくお願い申し上げます。
○竹下国務大臣 背景と動機ということでございますが、やっぱり一昨年来税制論議が国会等でも非常に活発になって、それが昨年の国会、現行動いておる税制でございますが、その所得税減税というようなものにつながってきたという、この一つの背景がございます。 それからいま一つは、税は公共サービスを賄う財源の基本でありますから、これを国民がどのように負担するか。すなわち、いかなる税体系が望ましいか。これは時代時代の社会経済情勢等の変化に即応して考えていかなきゃならぬ。その時代時代の社会情勢の変化というものが、国会の論議等を通じて一昨年来大変高まってきたという認識をいたしております。したがって動機の中に、現行税制では増収がもう期待できないというような動機が先行しておったわけではございません。 それから、いわゆるひずみ、ゆがみという問題、あるいは不公平、不公正という問題でございますが、これは、そういう議論の中で出てまいりますことの検討課題として、税調の答申も、ことし、六十年度税制に当たってというもの、それから五十九年度税制、その前の五十八年度の終わりに一緒に出していただいた中期答申、あれがやっぱり私どもの根底にあることは事実であります。それからもう一つは、五十四年の決議、それから五十五年度税制、そしてあの決議が行われた初めてのところの税調で反省を含めた答申がありましたが、あれも背景にあることは事実でございます。 検討課題としてそれらを点検してみますと、やっぱり一つは所得課税の所得再配分機能のあり方、それから二番目が所得自身の捕捉の問題、それから三番目が課税ベースの浸食の問題、それから四番目が間接税の課税ベースや税率構造のような点、これらがその中にはことごとくと言っていいぐらい指摘されておるわけでございます。したがって、そういうことを踏まえて、税調さんがそのあり方を幅広い角度から抜本的に見直さなけりゃならぬと言っておられるというような点がその背景にあったことと、ひずみ、ゆがみ等の問題点ではなかったではなかろうかというふうな認識を私はいたしております。
○米沢委員 今のような議論は、従来までの国会におきましても、あるいはまた税制調査会におきましても、るる議論があったところでございますが、なぜその改革の着手が今なのか。その点いかがですか。
○竹下国務大臣 やっぱりその問題につきましても、税調の答申の趣旨を踏まえるということになりますと、まさに機熟せりという表現はいささか穏当を欠くかもしれませんが、「既存税制の枠内での部分的な手直しにとどまる限り、所得、資産、消費等の間で適切な税負担のバランスを図るという観点からは税体系に歪みを生じさせ、また、税制を一層複雑化させることとなる。」そういう前提において、異例のことながら、「本格的な改革を検討すべき時期にきている」という御指摘というのが、このタイミングの背景に大きく作用したものではなかろうかという認識でございます。
○米沢委員 この税制改革あるいは税制の全般的見直しを表明された今日の時期が時期だけに、また六十年度予算編成過程に聞かれた、もう「増税なき財政再建」は不可能だというような自民党首脳の発言や、あるいはまた公共事業推進派の動き等が私どもの脳裏に残っているだけに、政府の行おうとされる税制の見直しは、イコール財政再建のための税制改革ではないか、イコールそれは増税を意味するのではないかと国民が考えるのは当然でありまして、予算委員会におきましても、また大蔵委員会等におきましても、たびたび問題になったところであります。 しかし政府は、政府が意図している今回の税制改革は、財政再建のためや増税策のためにやるのではないとか、「増税なき財政再建」というのは看板はおろさないとか、明確に答弁をなさりながら、一方では、初めに増税ありきではないとか、「増税なき財政再建」とは理念として守るものだとか、また既にこの国会で大型間接税の導入を柱とする税制改革構想が既定方針のごとくにひとり歩きをしておる観がありますが、その場合、もし大型間接税を導入するとしても、その出発点においては租税負担率はとんとんだろうとか、後で増税をやったとしても、何とでも言いわけのききそうな、巧妙で、思わせぶりな、そして当初からなし崩し増税を念頭に置かれたかのごとき答弁が次から次に出てきております。その上、中曽根首相と竹下大臣の答弁のずれも大変多過ぎます。 これまでの質疑を聞いて総括させていただくならば、これほどわかりにくい問答はございません。これで国民の選択を求めるなんて言ったって、求められた方が目を白黒させるんじゃないか、こう思うのでございます。大臣は、巧妙な答弁術で事が思惑どおり進んでいることで喜んでいらっしゃるかもしれませんが、それは私は無責任なものだと断定せざるを得ないのでございます。シャウプ以来の大改革をやろうとするからには、政府はあらゆる機会に、国民に対して税制改革の理念と方向を明らかにする努力をすべきではないでしょうか。一体なぜこのようなまやかし的答弁が次から次となされるのか、本当のところは何を言いたいのか、その点をお答えいただきたい。
○竹下国務大臣 やっぱり税制見直しは、私より偉い人といいますか、総理の言っている言葉が一番適切じゃないかな。我が国の税制については、社会経済情勢の変化により、種々の問題が指摘されるようになってきており、国民各層における広範な論議を踏まえながら、公平、公正、簡素、選択という観点に立って、幅広い視野から税制全般にわたる改革を検討する必要がある、こういうふうに総理が述べておりますので、私は、これが一番端的な表現ではないかな。それに、もとより、先ほど申し述べました税制調査会の六十年度答申というものもございます。 私、いつも思いますのは、税について私程度の者、と言っては表現の適切さを欠くかもしれませんが、国民をリードしていくというのは、これはなかなか難しい問題じゃないか。むしろわからぬような問答の中で国民が一つの方向を模索し、そしてそれが反映されてきて、それを最終的に国民のコンセンサスがどこにあるかという選択をするというのが、税はいささかなりとも痛みを感ずるものでありますだけに、手法としては適切ではなかろうか。これは若干竹下流でもございましょうが、そんな感じがしております。 それから、自分の言葉が――私は文言は割にいい言葉を使いますし、アーウーもございませんけれども、後から答弁書を読んでみると、確かに、時に意味不明なことを言っているなという反省は、絶えずみずからに言い聞かしておるところでございます。できるだけわかりやすく言おうと思いながら、これは能力の欠如とでも申しましょう。
○米沢委員 それでは改めて、今回の税制の見直しは何のためにやるのか、その目的、理念、方向性というものをはっきりとわかりやすく御説明をいただきたいと思います。
○竹下国務大臣 これはやっぱり社会経済情勢の変化によって、種々の問題が指摘されるようになってきておる、そこで、国民各層における広範な論議を踏まえながら、公平、公正、簡素、選択、そういう点に立って、幅広い視野から税制全般を改革する、検討をする時期だという判断をしたということであろうと思っております。非常に抽象的ですが、総理の自分の言葉として出された「公平、公正、簡素、選択」というのは、網羅、包括、普遍よりは、何といいますか非常にいい言葉だったな、こう思っております。
○米沢委員 とは言いながらも、先ほどから申し上げておりますように、今までの御答弁の中に見え隠れするものは、税制の全般にわたる見直しの目的には、税制本来のあるべき姿を追求しようという気持ちもわからぬわけではありませんが、同時に、場合によってはこれを機会に増税、増収という新しい措置をとらしていただくこともあり得るという点を留保しておきたいというような答弁になっておるような気がしてなりません。本当はそれが大臣の本音ではないのでしょうか。もしそうだとするならば、もっとそのことをはっきり言うべきであろうと思います。同時に、今までの質疑の答弁の中で、増収含みの話が突出しておるように見受けられるところに問題があるんではないか、私はこう思うのでございますが、いかがでしょうか。
○竹下国務大臣 確かに私どもは抜本改正ということでこれに取りかかろうということにしたことは事実であります。しかしながら、その税体系というものが議論された場合、そこにはあるいは組み合わせ等によって増収になる場合も、これはいわゆる経済成長に伴う自然増収以外でも皆無とはもちろん言いません。あり得ることだと思いますが、私が特にみずからにも言い聞かしておりますのは、この六十年度予算を編成したときに、私自身も周囲の、今米沢さんが例示なさいましたようないろいろな歳出圧力の中で、何だがもう搾り取るものがないような印象を受けたことも、これは否定できないと思うのであります。 それで、二十九日でございますか、概算要求が済んでほっとしてそんな感じがいたしましたと同時に、みずからの身に言い聞かしたのは、待て待て、これでいわば要調整額等、将来の変化はございますにしても、これを増収措置によって、あるいは増税によって埋めればいいという考え方になったときに、歳出削減の切れ味はもうなくなってしまうんじゃないかという自己反省をいたしましてから、特に意識して私はその「増税なき財政再建」というものの理念は堅持していかなければならぬということを自分にも言い聞かすようにしておるところでございます。
○米沢委員 重ねて申し上げて大変恐縮でございますが、「増税なき財政再建」は、六十年度予算編成でほぼ限界に来ておると言う方がいらっしゃいますし、今大臣も、そういう気持ちになったこともあるという告白をなさいました。そういう意味では、当局の考えていらっしゃることは、今後も歳出削減を断行して制度改革を進めていくためには、「増税なき」の看板はおろすわけにはいかないが、歳出削減のみで財政再建を図ることは不可能に近く、またそれを長期にわたって続ける場合には、財政構造及び税制のゆがみを拡大し、財政の役割の大幅な低下を招くことにもなる。したがって、今回の税制の見直しにおいて何よりも大事なことは、できれば増税含みの財政再建への転換、税収の増加を図ることも重要は目的の一つであるというふうに思っていらっしゃることが本当は本音ではないか、そんな感じがするのでございます。どうでしょうか。
○竹下国務大臣 我が国のいわゆる単年度予算主義の中では、毎年毎年国民の受益する部分とでも申しますかサービス、それの対価としての財源というのを考えることは当然のことでございますけれども、私はやっぱり税制改正というものがなされて、そこで結果として出てくるものは、いわゆる税の安定的な収入とでも申しますか、そういうことは好ましいことであるというふうには、これは一般論としては思っております。しかし、いずれにしても税制というのだけは――税制のみにかかわらずではございますが、いかに理論的に非の打ちどころのない仕組み、制度、施策であっても、国民の理解と協力を求めなければ実行に移すことはできないわけでございますから、それだけに極めて自意識が出ないように、むしろ国民の国政への、あるいは間接的、ときには新聞の投書なんかになれば直接的とでも言えるでありましょうが、そういう参加の中に方途を見出していくという方法の方が、やはり現実的ではないかという感じがしております。 またもとの議論に戻って、わかりにくいことを言っておると言われることをあえて意識しつつお答えしたわけであります。
○米沢委員 今回の税制改革が増収含みである、そう言うのではないかという質問に対して、イエスと言えば、それは増税反対だとか、ならば行革はどうした、歳出削減はどうした、「増税なき財政再建」はどうしたということになるでしょうし、そんなことはないと言えば、みずから増税、増収への糧道を断つことになりかねない、困ったことだ、さてさてというのが偽らざる大臣の心境ではないかな、そう思うのです。 そこで、それならば再度確認さしていただきますが、「増税なき財政再建」から増税含みの、あるいは増税による財政再建への転回もないというふうに確認さしてもらっていいですね。 〔中川(秀)委員長代理退席、委員長着席〕
○竹下国務大臣 やはり「増税なき財政再建」は理念としては、これはギブアップ、旗をおろしていない。中曽根さんの言葉をかりれば、そのかんぬきを外さない、同じことでございます。
○米沢委員 特に国民が、政府の思想は増税志向ではないかと敏感になっておる最大の理由は、やはり目下の厳しい財政事情、とりわけいろいろと努力をなさっておるにもかかわらず、遅々として進まない財政改革の現状を知っているからではないか、そういうふうに思います。 さきに政府が提出されました「財政の中期展望」あるいは「中期的な財政事情の仮定計算例」等を見ましても、今後歳出規模の抑制を図り、国債発行の減額を図った上で、六十一年度に歳入不足が三兆七千三百億円、六十二年度で四兆八千六百億円、六十三年で五兆六千七百億円と、ますます歳入不足は拡大していくという姿を見ますと、今後国民が公共サービスの向上を望むならば、それに見合った財政負担が必要なんですよと、言外に大型間接税導入、増税やむなしという財政再建の道筋が鮮明に描かれておるような気がしてなりません。だから、それは国民の選択だとおっしゃるのでしょうが、それならば政府が責任を持って国民にわかるように財政再建の具体的な方策を示す、抽象的な考え方を示すだけではなくて、その考えに基づいて精査し、そこには政府そのものの考え方が入っておってもおかしくないと私は思うのですね。そのような財政再建の具体的方策を示して国民の判断を仰ぐべきではないか、そのように我々は考えるのです。 したがって、この際政府としては、財政再建の達成を図るために、今後のあるべき財政指標の目標値や政府の政策選択を具体的に盛り込んだローリングシステムによる財政計画を早急に策定し、国民に示すべきだ。これは我が民社党の各委員からうるさいほどに言っておる問題でございますが、再度大臣の御見解を求めておきたいと思います。それが私は財政再建について政府の責任を明確にすることだと思うのですが、いかがですか。
○竹下国務大臣 確かに、終始いわゆる財政計画というようなもので明らかにしていくべきである、こういう御要請のあることは私も十分承知しております。これについて、実際問題、時間がかかっております。私自身といたしましても、毎年同じような、結果として昨年度出した試算よりは、今年はこれだけのものが節減されたとか、それはわかってきますけれども、将来にわたっての手法としては、同じ前提に置いた試算なり「仮定計算例」しか出していないわけであります。 その中で、そういう抽象的なことから出た試算に対して、一つ一つ色塗りをしていくとでも申しましょうか、それが少しでもできないか。そうすると、結果として今色塗りができたものとしては何であったろうかなと思うと、去年のいわゆる健保法の改正からくるものがやはりことしの削減にもつながっていく、そういうこと。それから、強いて言うならば、今度また法律案でお願いしております電電の株が国債整理基金に直入されるような仕組みそのもの、そういうものが幾らがこの仮定計算の向こう側に出てくる要因ではあるが、それを定量的な数値としてはめ込むというのには、やはりまだ時間がかかるな。それだから、同じような手法だけで国会で問答をしておりますから、人がかわらぬ方がいいというので私が引き続いてやっているんじゃないかという自己撞着とでも申しますか、そんな感じも持ちながら米沢さんと議論をしておる、こういうことでございます。
○米沢委員 私は、この政府が出される「中期展望」にいたしましても「仮定計算例」にいたしましても、確かにやってみなければ先はわからないという不確定要素があるのは事実でございますが、全然政府の意思がない、当局の意思がない、そういうものを出されても判断のしようがない。政府の意思がないままにその数字を読めば、最終的には増税に行き着くということになるような気がしてならぬのですけれどもね。私は、そういう意味で、財政計画等はもっと政府として責任を持って目標値を示すなり、こうしていくんだという意思を入れて、その意思に従って逆に行政努力にハッパがかかるような態勢に追い込んでいく、それがやはり政治の責任というものではないかなと思うのです。大臣、いかがですか。
○竹下国務大臣 今回提出した試算、全く同じ手法、先ほど申したとおりでございますが、やはり中期的に見た財政事情を示す一つのわかりやすい試算であるという考え方の上に立っていただいて、そしてさまざまな角度から検討していただく、そのたたき台、基礎資料であるというふうに認識をいただけたらなと思っております。 さらに一歩進めて、このような収支差額を残したものではなく、それを埋めるための具体的方策を織り込んだ試算というものを、私もその点模索してみたり悩んでみたりいたしまして、いろいろ重ねてみましたけれども、やはり昨年と同様の「中期展望」や「仮定計算例」をお示しするにとどまったわけであります。それは、いろいろな努力を行い、制度改正等をいたしますものがその試算の後ろには見えてくるわけですが、それが定量的なものとしてその中へ示されるにはまだ至っていないなという感じがいたしております。したがって、試算を基礎的な資料としていただいて、その後ろにあるものはもろもろの制度改正の法律審議等の中でさらに議論を詰めさしていただくならば、それなりの前進した姿というものが幾らかでも理解していけるではなかろうかな、こういう感じがいたすわけであります。 そこのところ、やはり申し上げましたように、いま少しいろいろな議論が交わされる中で、国民の合意が那辺にあるかということを見出していく努力が必要ではないか。だから、議論の積み重ねが濃密になればなるほど、負担するのも国民、受益するのも国民といった観点から次第にコンセンサスが生まれてくる。受益者国民、負担する者国民という論理は、また米沢さんの論理の展開からいえば、いわば増税というものをむしろ国民にわからしていくための手法ではないかというとらまえ方。そういうとらまえ方をなさる方もいらっしゃるということは、私も決して否定するものではございませんが、より濃密な議論、あと何年続ければいいのか、六十五年まで続けていって同じようなことを言っておって、結局ならなかったなんというようなことになってもいけないなと思いながら、本当に悩み多き毎日でございます。
○米沢委員 私たちは昨年、臨時教育審議会設置法というのをつくりまして、既存の中央教育審議会とは別に、内閣総理大臣の諮問機関として臨時教育審議会を設置することにいたしました。私は、財政再建につきましてもそれと同様に、現在のその緊急性にかんがみて、既存の財政制度審議会とは別に、各界を代表する者をもって構成する総理大臣直属の臨時的な調査審議機関を設置して、これを財政再建に関する国民的な討議の場とし、財政再建の問題を多角的に、かつ深く掘り下げて建設的に議論をしてもらった上で、財政再建の道筋と手順を明確にしてもらおう、そして総理大臣にそれを提言するというようなことも、今のお話を聞いておりますと、国民的なコンセンサスをつくるためには大事なことではないかな、こう思うのですが、そういうような手法をとる気持ちはいささかもありませんか。
○竹下国務大臣 一つはいわゆる臨調、そしてそれが行革審。行革審のテーマといたしましては、臨調で指摘した事項のフォローアップでありつつも、当然年々の予算編成とかあるいは財政改革に対する提言というようなものも、中に幾らかは含まれておるというのが現状でございます。 それからいま一つは、税制の面から、何といいますか臨時税調みたいなものをつくったらどうだという議論もかつてはございましたが、この問題は、総理大臣の諮問機関で政府税調というものが存在しておる限りにおいて、中教審と臨時教育審議会とのあり方とは若干違うなというふうに、私もどちらかといえば消極的といいますか、否定的でございました。 一方今度は、大蔵省に今財政審というのがございます。この財政制度審議会が、各界を代表する有識者の方々に加わっていただいて熱心な議論をいただいておりますので、これが適当ではないかなというふうに思っております。一方、簡素合理化という点からいたしましても、屋上屋を重ねるということはいかがであろうかという考え方があることはもとよりでございますが、財政審などというのは、適切な一つの機関だなというふうに思っておるところでございます。 ただ、これにいたしましても、国会でどういう扱いをなさるかは私の論評する範囲外でございますけれども、例えば予算委員会で、いわゆる国会の中に財政改革の小委員会みたいなものを設けたらどうだとかいうような議論がなされておるというようなこと。どういう計らいになりますか知りませんけれども、そういうのも、一つの環境というものができつつある証左がそういう提案として出たのかなというような感じも持っておりますだけに、私どもが平素つき合っておるというか、大変熱心な審議をしていただいております財政審などを、もっと活用しなければならぬなという意識は持っております。
○米沢委員 御承知のとおり、昭和三十年に、赤字の地方公共団体の財政の再建を促進し、その財政の健全性を確保するためにということで、地方財政再建促進特別措置法というものが制定された経緯があります。そして、その財政再建計画の策定等によって事態の打開を図るということがなされました。私は、国の財政の状況を見ておりますと、今や国の段階でも、このような特別立法を制定するような時期に来ておるのじゃないかなとさえ思っておるのですが、大臣の意識はどうですか。
○竹下国務大臣 あの当時、ちょうど私は田舎の県会議員をしておりまして、ああいう特別立法でできた。それに対しては、いわゆる昭和二十年代におきますところの国も地方ももとより、敗戦直後、そう力があるわけではございませんでしたけれども、どちらかといえば国にすべてが偏っておったという税源配分等ではなかったか。それからいたしまして、地方自治のふなれも若干あったと思います。ところによってはかなりの財政赤字等が出て、それもかつてのいわゆるインフレ期待感みたいなものから放漫に流れ過ぎたという嫌いがあって、あの特別立法がなされたと思うわけであります。 したがって、それぞれコンディショナリティーを付して、自治省なりあるいは県なり市町村に対してはサーべーランスみたいなのを行いながらやってきたというような感じでございますので、特別立法というのも一つの考え方でございますが、あの際地方自治体に対応したという環境とは、今は随分違うのじゃないか。そういう議論は、国会の中でいろいろ議論される中でいろいろな立法が出てくるわけでありますので、例えば行革特例法のごときもそれの範疇に属する一つの行為だったかな、こういう感じを持っております。今度それを一括してまたお願いすることになっておるわけでありますが、それも一つの行為だったかなという感じがいたしております。
○米沢委員 いろいろと議論をやっておりますが、依然として財政再建の道筋は私にはわかりませんし、一体どうなるかという不安は、国民にとってやはり大きなものだろうと思います。先ほどから言っておりますように、今度の税制改革というのがひょっとしたら増税路線に道を開くことになるのじゃないかなという、そういう気持ちで見ておるのじゃないか、私はそういう感じがしてならぬわけでございます。 それならば、逆に大臣に聞きたいのは、安易に増税に踏み込まないというような増税なしの担保を、国民は一体どこに求めたらいいのでしょうか。はっきりお答えいただきたいと思うのです。
○竹下国務大臣 これはなかなか難しい問題でございます。「増税なき財政再建」、これは先ほど申しましたように、我々として、理念としてこれを堅持していく、こういうことになるわけでありますが、この担保をどうするかという問題につきましては、結局それは形の上で担保があらわれてくるというものではないではないか。結局、あくまでも理念として持ち続けるということ、たびたび国会等でその主張をすることがまさに担保そのものではないかというふうに私は思うわけであります。 ただ、これを言います場合に多少いつでもひっかかりますのは、いわゆる特例債の借りかえはいたしませんとずっと言い続けて、昨年借りかえに踏み切ったということは、ちょっと心にひっかかるところでございますけれども、今形の上にあらわれた担保というものはなかなか難しい。やはりてことして、理念として、あるいは中曽根総理の言葉をかりればかんぬきとして、旗をおろさないでおくということが、国民の皆さん方自身に与える担保ではないか。そして、その担保があっても、より強力なサービスを受けなければならぬという世論というものが出たとすれば、これはまた受益者も国民、負担するのも国民という原点に後戻りした議論がもう一遍なされてくるんじゃないかな、こんな感じがしております。
○米沢委員 私は、国民が求める「増税なき」の担保は、増税なきということを財政再建に組み込んで国民に示すことだ、そう思うんですが、いかがですか。
○竹下国務大臣 その議論を進めていきますと、今度はいわゆる経済成長率の見方、そしてその経済成長率をもたらすために財政がいかに出勤するか、こういう議論にまたなっていくわけでございますだけに、なかなかそこのところが難しい問題だというふうに思っております。
○米沢委員 平行線ですから、この議論は尽きませんので、ちょっと先に進みたいと思うのですが、先ほど私は、税制改革の目的、理念、その方向性等についてお伺いをしましたが、余りはっきりわかるようなお答えはなかったような感じがします。しかし、その答弁の中で、現行税制が我が国経済社会の大きな変化に対応できずに多くのゆがみが生じておるというようなことだとか、あるいは今後の経済社会の変化に対してもこのままの税制では到底対応できないとか、あるいは現在の税制のゆがみ等を是正して新しい社会に対応できるような税制にするんだとか、いろいろとお話があったかと記憶いたしております。私はその話を聞きながら、確かに税制を、中曽根さん流に言えば公平、公正、簡素、国民の選択とか、社会に適応するような税制体系に持っていくとか、いろいろ言われておりますが、物を内容的に分析をしますと、三つのポイントがあってしかるべきだと思うのですね。 一つは、これから先の税制改革は、やはり社会の変化に対応したといいましょうか、これから経済がソフト化する、サービス化する、そういうものに対応できるような税制を開発することだ、これが一つのポイントですね。もう一つは、従来の不公平税制を是正するための視点ですね。もう一つは、将来の財政を眺めたときに、これからも高齢化社会等がやってきて行政需要がふえていくだろう。そういうものに対応する、いわゆる財政再建プラス財政の将来の需要に対応する税制改革、この三つですね。社会経済の変化に対応する視点、現在の社会的な不公平税制を是正するという視点、それから財政再建並びに財政需要のふえていく傾向の中でどう税制が対応できるのか、この三つの視点が、視点としてはきちっとあってしかるべきであり、またそれ以外にないと私は思うのですが、大臣の御見解はいかがですか。
○竹下国務大臣 いわゆる経済の変化の中で大きな要素は、サービス化、ソフト化の問題が一つはございます。それに対応するためにはどういう税制がいいか、こういうこともあろうかと思いますが、サービス化、ソフト化、そういうもののほかに、経済社会の変化の中で、二番目におっしゃいました、かつては政策税制として意義あったものが、あるいは現実には不公平感をあおるようなものになっておるとすれば、それはなくしていかなければいかぬというような意味で、経済社会の変化とその不公平是正あるいは公平な、公平適正な税制とでも申しましょうか、それとは非常につながった面が多いのじゃないかなと思っております。 それから三番目の、財政需要に応じたという問題は、これこそ一つ一つの施策の中で積み上げていかなければならぬ課題じゃなかろうかな。例えば、私は国共審だけが担当でございますけれども、国家公務員共済等の御議論を聞いておりましても、確かに高齢化社会が、これは好むと好まざるとにかかわらず訪れてくる現実に対処して、中長期の仕組みを今つくっておかなければならぬ、こういう意見が、これは関係者のその立場、立場によらず、共通な問題意識として議論されておる。そうすると、それの一つの中長期の方向も示していかなければいかぬ。そうすると、今一つの改革のはしりともなりました健康保険法等の問題でも、中長期の医療問題に対する問題が緒にはついた。そういう中長期の政策の中で、いわゆる財政需要というもの、現行の制度、施策そのままの延長線ではなく、中長期の見通しの中における改正を含めた財政需要というものとの見合いで税制を考えていくということはあり得ることでありますが、やはりまずは中長期の財政需要のナショナルミニマムとか、そういう議論から展開していかなければならぬ問題が多いなという印象はいつでも持っておるところでございます。
○米沢委員 先ほどから何回も言っておりますが、私は現在の厳しい財政事情、目下財政再建の途上にありますが、そういう中で今から税制改革が行われるというのでございますから、目下の財政再建と税制改革は無関係であるはずがない。無関係であるというならはっきり言ってもらいたいと思うのですが、無関係であるはずがないと思うのです。国民が知りたいのは、一言で言うならば、今回の税制改革と財政再建との関係はいかにということだと私は思うのです。 思い出しますと、昭和五十年代に入りましてから深刻化し始めた財政赤字の増大を背景に、政府税調が例の五十二年十月の答申において、新税による増収策の採用やむなしということで、財政再建の重要な決め手として提起されたのがいわゆる一般消費税構想でありました。その後、五十三年十二月に「一般消費税大綱」が公表され、政府も昭和五十四年度税制改正の要綱において、この新税を五十五年度中に実現し得るよう諸般の準備を進めようとされましたけれども、残念ながら御承知のような状況の中でつぶれてしまったという経緯がございます。しかし、かつて一般消費税の導入が提起されたあの時点と今日の比較において、我が国財政の内包するさまざまな困難性は果たして好転しているのかどうか、当局の判断はいかがですか。特例公債発行額、公債依存度、特例公債依存度、公債残高、公債残高のGNP比率、国債費、一般会計に占める国債費の割合等々、総合的に勘案されて、あの当時と今日とで国の財政は好転しておりますか。
○竹下国務大臣 これは、今御指摘なすったそれぞれの数値からいいますならば、予算規模もふえてはおりますものの、財政という立場から見た場合に、これだけの公債残高を抱え、そして、予算の額では一等賞であります社会保障も、利払い費が超してしまっておるということについては、私は、好転しておるというふうには言えないではなかろうかというふうに思うわけであります。 やはり五十年というのは、私もよく思うのでございますが、昭和三十九年、ちょうど私が内閣官房副長官を拝命しましたときに、初めて国鉄が、わずかでございましたけれども赤字になりました。それから、オリンピックという世界的――日本がまさに先進国になったような感じがございました。IMFの総会も東京でございました。 ところが、三十九年、オリンピックに集中した嫌いもあったでございましょうか、四十年に一応戦後最大の不況というようなことで、三千億の、たしか初めての国債発行をいたしました。ところが、それはまことに効果があったと思うわけであります。したがって、そのときも、いわゆる総予算に対して比率はどの辺が妥当かという議論が随分国会でなされたわけでありますが、その後十年間でおよそ九兆七千億ぐらいの建設公債が発行されまして、五十年から赤字公債を含め、今日のような状態になったわけであります。 その要因はどこにあるかといえば、やっぱり四十八年の暮れからのいわゆる――昭和四十六年、私が官房長官のときにドルショックというものがありました。あれは私は、日本は巧みに切り抜けたような気がしておりますが、四十八年の暮れからの第一次石油ショック、それから引き続いて第二次石油ショックというものが、財政状況をより悪くしてきた要因ではないか。だから、いわば世界の中では一番早くそれらのショックを切り抜けた日本経済と言われておりますが、市場経済主義を見守りながら、その安定基調に、みんながこれが普通だという意識転換を行ったときに、財政改革というものがちょうど調和をされてやっていくとしたならば、私は、もちろん公債残高を多く抱えた財政というものでございますから、かつてとは大変異質な財政にはなっておりますものの、財政改革というのは可能であるという考え方に立っておるわけであります。
○米沢委員 私は、その当時と今日を比べてみて、相対的には難しくなっているとは言えても、決して好転しているとは言えない、ますます厳しさは増大していくのではないか、そういう気持ちで見ております。例の五十六年七月の臨調答申におきましても、「増税なき財政再建」の基本方針が打ち出されて、当面は歳出削減でいこうということになって、新税導入は当面の緊急課題としては表向きには消えたように思われておりましたが、私は、彼我の差を考えたときに、依然として新税導入は日本財政の重要な政策課題であるということは、何ら変化はないんじゃないかというのが常識的な見方ではないかなと、こう思うのです。そしてそれが、今回税制改革の大義名分のもとに頭をもたげるのではないかなというのが国民の不安ではないか、そう思うわけでございます。 したがって私は、この議論を総括的にお答えいただきたいと思うのでありますが、大型間接税の導入が公然と語られております今回の税制改革は、財政改革とはどういうような結びつきがあり、どのような関係があるのか。無関係というならば無関係で結構、関係があるとするならば、どういうところで結びついているのか。今までの問答を総括する意味で、大臣から責任のある答弁をいただきたい、こう思います。
○竹下国務大臣 やはり税制改革の問題は、いわば税調の異例のことながらという前提を置いた答申で見れば、これは税体系そのものの見直しであって、いわゆる財政再建と直には結びついていない、こういうふうに私は思います。ただ、この議論を展開するに際し、各種特別措置とかもろもろの集積のいろんなゆがみ、ひずみの中で、安定的な税収の確保というところから軌道が外れたではないかという一つの考え方は、これは財政改革と無縁ではないというふうに私は思っております。 ただ、気をつけて言っているつもりでございますが、米沢さんの論理というのは、それなりに、国民がそういう論理で理解するのも一つのあり方だと私は思うのであります。負担するのも国民、受益者も国民でございますから、そういう理解の仕方も一つのあり方だとは思うのでありますが、私どもがまず「増税なき財政再建」という理念を捨てて、いわば、まあ少し陳腐な言葉になり過ぎましたけれども、初めに新税導入ありきという考え方で取り組むべきものではないというふうに思います。 あの五十二年からのことを振り返っておっしゃっていただきましたが、あの当時そうであったと私も思います。なぜならば、それがございましただけに、あの租税負担率の二十六カ二分の一とか、あるいは公共事業の二百四十兆とか、ああいう七カ年計画にいろんな数値を入れましたですよね。あれは私も参画いたしましたが、あれの反省からして、私どもはこの数値を入れない、定性的なものだけで議論していただいておるということになるわけでございます。 まあ長く述べましたが、いわば財政改革が初めにあって税制改革が出たものではなく、税制改革というのはあくまでも純粋性の中で出たものではあるが、しかし安定的税収の確保というようなことがいろいろなひずみ、ゆがみの中で議論されたという背景は、これは否定できないじゃないかな、こういう感じでございます。
○米沢委員 それではもう時間が来ましたが、最後に、先ほど私が言いました、税制改革の視点は三つある。一つはやはり経済社会の変化に対応する税制という視点、財政改革という視点、そして不公平税制の是正という視点。 最初の、経済の変化に対応する視点ですね。御案内のとおり、経済がソフト化するとかサービス化すると言っておりまして、それに対応する税制は非常に不備だというふうに考えております。したがって、そういうものに対応する今回の税制改革のいわゆる視点みたいなものは、一体どういうような形で意識がなされておるのか。 それからもう一つは、経済が複雑になり、広域化し、そしてサービス化すると同時に、徴税体制がついていかないという部分が多々あるのではないかと思います。特に電算機を使った脱税等々、ブラックボックスの中に入ってしまったら全然わからない。そういうものに対応する方法論もいまだ確立されていない。そのあたりも、次の税制改革の中では大きなポイントになるべきだと思いますが、その点は当局としてはどういうような認識をされて、次の政府税調での議論の中にほうり込んでおこうとされるのか、その点を最後に聞かせていただいて、まずは矛をおさめたいと思います。
○竹下国務大臣 これは後から主税局長からもお答えをお願いしたいところでありますが、経済のソフト化、サービス化の進展によって社会経済の構造が大きく変化しておるということは御指摘のとおりです。で、こうした動向と税制との関係については、五十八年度の税調の中期答申のあの文が割に正確だなという感じがいたしておるところでございます。それを詳細に読んでしまいますと、また物品、サービス等に係る課税ベースの拡大等について検討を続けることとすべきであるというふうな、最終的な答申の文言になるわけでございますが、それは税調の答申を素直に披瀝しただけでございます。 それで、特にこうなりますと、いわゆるサービスとかソフト産業の名で呼ばれておりますのは、私もソフトノミックスの会合に、大蔵省で毎月一遍出ますけれども、集まっていらっしゃる人は全部わかって議論していらっしゃる、聞いている私一人がわからないままに、しかし一生懸命聞いているというような感じがいたします。店舗、設備等の規模も比較的小さくて、そして消長も激しいし、しかも最先端技術を駆使しておられる。目に見えない情報やサービスの話を聞いておりますと、これは大変だなという気持ちはありますが、これのいわゆる徴税体制というようなことになりますと、まさに私の能力の限界を超す話でございますので、事務当局からお答えをさすことをお許しをいただきたいと思います。
○梅澤政府委員 経済社会あるいは取引の進展に応じまして税制が的確でなければならない、全く御指摘のとおりでございまして、税制調査会の御議論でも、先ほど大臣がその一端に触れられましたように、消費に対応する税制の問題としては間接税体系の問題があるわけでございますが、そのほかに、今委員が御指摘になりましたのは、いわば企業課税の面でどういう対応を考えるかというサイドからの問題の御指摘もあったように思います。 この問題につきましては、公平という観点からいいますと、所得課税である法人企業課税につきましても、やはりその所得の捕捉をきちんとやっていかなければいけない。特に電計で会計処理が行われるような状況でございますので、これは現実に執行の場面で、国税庁がいろいろなノーハウを勉強しておる事実がございます。 ただ、税制面でそういう所得捕捉に関連して、特に経済のソフト化に応じてどういう局面が問題になるのかということは、まだ具体的に税制調査会等でも御議論になっておりませんけれども、そういった経済のソフト化全体も含めまして、これは先ほども別の委員に申し上げたかと思いますけれども、要するに赤字法人に対する問題を一体どう考えるのか。例えば所得課税だけで対応していくのか、あるいはいかないのかといった点とか、そのほか政策税制の面では、むしろこれは政策の範囲を広げるという意味で、例えば五十八年に行いましたいわゆるメカトロ税制等では、我が国では初めて税制上リース産業を対象にするとか、そういった方面での対応等もいろいろ問題になってくると思います。 いずれにしても、大変広範な問題があるわけでございますので、委員の御指摘になりました点も十分留意しながら、私どももせっかく勉強していかなければならないと考えております。
○米沢委員 終わります。
○越智委員長 蓑輪幸代君。
○簑輪委員 もう午後七時も回りましたけれども、ぜひとも御丁寧に答弁をいただきたいとお願いをしておきます。 まず最初に、予算委員会や当大蔵委員会でも既に何度も論議になっております税制の抜本見直しに関連するところですけれども、中曽根総理は、シャウプ税制以来のねじり、よじりあるいはさまざまなひずみ、そういうものが出てきて、どうしてもこれは公平、公正、簡素、それから選択、そういうようなプリンシプルに基づいて総括的に見直しをやりたいというふうに述べておられます。 大臣にお尋ねいたしますけれども、シャウプ税制以来のというふうに言われておりますけれども、このシャウプ税制の基本原則といいますか、一体どういうふうに考えておられるのか、まず最初にそれをお答えいただきたいと思います。
○竹下国務大臣 これは、昭和二十四年にシャウプさんたちがいらっしゃいまして、そして、二十五年からということになるわけでございますが、このシャウプ税制の基本的理念というのは、公平と財政民主主義であろうというふうに思っております。したがって、まずそういう観点に立って、包括的な課税ベースと所得再配分機能を基本とする所得税を日本の税体系の中心に置くという考え方にあると考えられますので、その考え方は――僕は基幹税などと言いましたが、そんな言葉があるかどうかは別ですけれども、今日においても税制の基本的な考え方として評価されておるものを含んでおるということは、私は事実であろうと思います。ただ、まだ日本の経済が未熟なときでございますから、基幹税の比率が大変高かったというわけではございませんけれども、考え方の基幹においては存在しておったというふうに思うわけでございます。
○簑輪委員 その基本的なシャウプ勧告の骨子ですけれども、そういう物の考え方は今日もなお大事なものである、あるいは尊重すべきものであるというふうにお考えでしょうか。
○竹下国務大臣 私は、それは今日も評価してしかるべきだと思っておりますし、基幹税という言葉は勝手に使いましたが、税の言葉としてもあるそうでございますから、そういう考えは変わっておりません。
○簑輪委員 シャウプ税制の基本的な考え方から見て、今日の税制というのがそれから大きく外れて、何ともかんとも仕方がなく、抜本的な税制改正を行わなければどうにもならないというような現状にあるものとお考えかどうか、それをお伺いしたいと思います。
○竹下国務大臣 それが、あの当時の一人当たり所得が、何ぼでございますか、要するに恐らくアメリカの十分の一以下ぐらいのときでございますね、十二分の一ぐらいになりますか、そういう時代でございますから、その後の経済情勢の推移によりましていろいろな問題が起きておることは事実でございます。それはふなれな点もあったかもしれません。いろいろな政策税制をやれば、仮にその必要がなくなっても、既得権としてそれが惰性で残っていくとかいうような時代もあったかと思いますが、中曽根総理――今の蓑輪さんのお言葉をおかりしますと、ねじり、よじり、ひずみ――よじりと言われたかどうかわかりませんが、よく言葉をお使いになりますから、まあこの種の言葉をお使いになったと。そういうものは、私は、確かに問題点として今日大体きたなという感じはいたしております。
○簑輪委員 ねじり、よじり、ひずみというふうに言われる具体的な中身の問題ですね。何か非常に印象的に言われておりまして、税制の中で果たしてそれは何を意味するものなのかということが、総理のあれでは全然明確ではないのですが、同じ内閣で税を専門としておられる大蔵大臣としては、このねじり、よじり、ひずみというものが何かということは具体的に十分御承知のことと思いますので、それを明らかにしていただきたいと思います。 〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕
○竹下国務大臣 何をゆがみと考えるか、こういうことになりますと、それはさまざまな見方もあろうと思いますが、どうしても私どもとしては税調答申で議論されたことが一番土台になるわけでございます。 そういたしますと、検討課題として指摘されておりますのを正確に申し上げてみると、所得再配分機能だな。「所得水準の平準化の動向等にかんがみ、中堅所得階層の負担の緩和にも配慮しつつ、全体として、若干なだらかな累進構造とする方向で見直しを行うことが適当である。」というのも、言葉ではございますが、一言で言えば所得再配分機能の問題が一つだな。 それから次の二番目はやっぱり所得の捕捉です。これは「所得課税については、これまで、執行面で把握差が生じやすく実質的公平確保の面で問題があるとの批判が少なからず見受けられ、」まあクロヨンだとか、ああいう言葉ができたのもそういう感じからかもしれません。「とりわけ、個人が稼得した所得に対して直接に負担を求める所得税」「においては、制度及び執行の両面にわたり実質的公平確保のための工夫が強く要請されてきている」のが、所得の捕捉という言葉の中に入ると思います。それから法人の場合でいきますと、「全法人の約五〇%が赤字申告を打っている。これらの法人についても公共サービスを享受していること等から何らかの」応能的じゃなく「応益的負担を求めてもよいのではないか」というような意見、これが二番目のいわゆる所得の捕捉の個人の分と法人の分ということが言えるのじゃないでしょうか。 それから、課税ベースの浸食として抽象的に言われておりますのは、これも二つに分けますといわゆる租税特別措置でございます。「特定の政策目的を実現するため税負担の公平その他の税制の基本原則をある程度犠牲にして」講ずるわけでございます。そのときには政策税制として一つの仕組みを犠牲にするわけでございますから、したがって、これは常時見詰めて基本原則との調和を図るようにしなさいよという指摘でございます。 それから、課税ベースの浸食としての次の二番目の問題は、いわゆる非課税貯蓄残高の総額がとにかく個人貯蓄の六割を占めておる。利子・配当のあり方等はやはり大変重要な問題ですよという指摘があります。 それから四番目に、間接税の課税ベースと税率構造、こういうのが指摘されております。これも一、二に分けて申しますと「我が国の間接税は、酒、たばこ、自動車、揮発油等の特定の物品に対する課税が大宗を占めており、しかも、従量税率によるものが多いため、消費態様の変化や物価の上昇に伴って課税ベースの相対的縮小や税負担水準の低下が生じやすく、また、サービスについては近年その消費が急増しているが、国税としてはほとんど課税対象になっていないという問題がある。」すなわち消費に着目した税の問題でございます。 それからもう一つ、その課税ベースと税率構造の問題の二番目は、酒税について、「近年、所得水準の上昇、平準化等を背景に酒類消費が多様化、均質化するに伴い、これまでのいわゆる「高級酒」、「大衆酒」といった分け方のもつ意味は弱まり、現実にも、低価格酒の伸びが相対的に大きくなる傾向がみられる。このような事情等を考慮すれば、」「税負担格差の縮小を図ることが適当である。」これは五十九年度税制でもやらせてもらったわけでございますが、そういう指摘もやはり正確に記録に残った指摘でございます。 その上に、今度は若干また感覚的に申し上げますけれども、フィーリングでございますかインプレッションでございますかは別といたしまして、我が国の税体系が、結果的ではございますが、近年直接税に偏り過ぎているのではないかといった指摘も確かにございます。 いずれにいたしましても、このような問題点ないしは検討課題についてどう対処していくかを含めて、我が国税制のあり方というものは、究極的には国民の選択によって決められるべき問題でありますが、今は税制調査会から指摘されたことを申し上げましたから、私の予見ではございませんが、税調等を中心にこの国会の論議等を参考にしながら、幅広い角度から検討されていく課題だ。少し長くなりましたが、ゆがみの例は、どれがねじりでどれがよじりでどれがひずみか、どれがゆがみかということになるとわかりませんが、抽象的に今のようなことを申し上げたわけであります。
○簑輪委員 税調の指摘に基づきまして随分長く御答弁いただきましたけれども、一つはフィーリングの方で、結果的に直接税に偏り過ぎているということではなかろうかということをお述べになりましたが、それは直接税についての減税が行われなかったというようなことも中には含まれているわけでございまして、それは減税をして是正すべきことを怠ってきたということも言えるだろうというふうに思います。ゆがみ、ねじり、ひずみその他ありますが、税調がいろいろと問題を指摘をしたということだけではなくて、大臣として見直す際の基準として、総理が指摘されております公平、公正、簡素、選択というのは、不公平を公平にする、それから不公正を公正にするというようなねらいがあるわけで、今御指摘になりましたことがそれらにそれぞれに割り振りされていくようなものであるのかどうか、そして割り振りするとすれば、公平、公正、簡素、選択というのはどういうふうになるのか、簡単にお答えいただきたいと思います。
○竹下国務大臣 これはなかなか簡単というわけにもいかぬわけでございますけれども、一番簡単な分から言いますと、やはり簡素が簡単でございますよね。これはだれが見てもそうでございます。簡素の逆の言葉は煩雑とか複雑とか、まあ簡素が簡単でございます。これはだれにでもわかるようなということでございます。 それから公平と公正は、実体としては一緒だと思うのですが、公平というのは、いつも申しますように、水平的公平と垂直的公平とありまして、水平的公平とは、業種が違っても、同じ能力のあるものは同じだけタックスをペイする。垂直的というのは応能主義、余計所得のあるものは余計負担するという、水平、垂直的な公平にやや倫理観をつけたものが公正という意味じゃないかなというふうに思います。 選択というのは、これは最終的には国民が選択する問題でございますから、これも割合にわかりやすい。ただ、間々その選択ということにつきましていろいろな議論がありますが、最初、ははあ、選択というのは、要するに分離課税と総合課税との選択かというふうに受け取られがちでございますが、これは国民が総合的に選択する。だから、公正、公平は今少し長く説明しまして、簡素だけが一番短く説明したわけでございますが、選択するに当たっては、やはり公平で公正で簡素なものを選択するだろうというふうに思われるわけでございます。
○簑輪委員 ちょっとわかったようなわからぬような話なんですけれども、一つは、簡素ということで何かねらっておられるのは、例えば竹下大蔵大臣が二月二十二日の予算委員会で述べられておりますように、なだらかな累進税率にするべきだという方向が出ていて、税率の刻みを減らす方向を是認してもよいという答弁をされているようで。すけれども、そういう税率の刻みを少なくして、これをなだらかにするということが簡素ということに考えられているのかどうか。 それから、選択というのは、国民の選択にゆだねるというような意味なのか、よくわからないのですが、例えば間接税などは選択性があるというふうに言われたりしているので、その間接税を拡大するというねらいを持って選択ということが言われているのではないかというふうに思ったりもするのですが、その辺はいかがでしょうか。
○竹下国務大臣 私が所得再配分機能の問題のところの中期答申で、平準化の動向にかんがみて中堅所得層云々で「全体として、若干なだらかな累進構造とする方向」ということを言いましたら、それは具体的に言えば刻みが少なくなることかとかいうことに対して、そういう認識も、その辺まではわかりませんと言うわけにもいきませんし、税調でそうおっしゃっているのは、そういう理解の仕方ではなかろうかというふうに私も思ったから、そう答えたわけでございます。 それから選択という意味は、先ほど申しましたいわゆる分離課税とどっちを選択するかとか、あるいは間接税は高ければ買わなくてもいいというのですか、要するに、自分に選択の意思が働くという意味の選択ではございません。その選択の自由というのは、いつでも間接税の場合には言われる言葉ですが、あくまでも国民全体の選択ということでございます。
○簑輪委員 結局、いろいろ述べられておりますが、すべて課税ベースの広いサービスに課税をする大型間接税の方向性を目指して述べられているように、私どもの方には受け取れるのですけれども、そういう方向性が余りに露骨に見える中で、形の上であれこれ美辞麗句を並べられましても、実際問題として国民にとっては、このような税制の改革というものは決して国民負担が解消するという方向ではなくて、むしろ国民負担は強まるという形になる懸念がますます明らかになってきていると思うのですね。こういう税の見直しという方向を目指されると、結局は所得の再配分機能を大事にすると言われながらも、その再配分機能というのはどんどん弱まっていってしまって、そして大衆課税が強まっていくというふうに受け取らざるを得ないと私は思います。やはりこうした税のあり方を論議するに当たって、真に公平であるとか、それから所得の再配分機能、応能負担、そういうような原則がきちんと守られているかどうかという点は常に見直されていかなければならないことであって、今ここでそれを口実にしながら、税制の大改革と称して大型間接税導入の布石を図るというのはいかがかと私は思うわけです。その辺のところの大臣の御感想を伺っておきたいと思います。
○竹下国務大臣 大型間接税という言葉は本当はひとり歩きした言葉でございまして、整理した言葉は、「課税ベースの広い」――そうなると、広いと狭いはどの範囲か、一尺は狭くて二尺は広いかということになるとまた答弁に窮しますけれども、大型間接税と言うよりは、やはり税の世界で使われている課税ベースの広いと言った方がいいかなというふうに思っております。が、ここで税制改革の論議をしておりますが、最終的には、それこそ国民の選択に帰する問題であるわけでございますので、私はいつも申しますように、ある種の方向を自分の頭の中に描いて、そういう方向に世論をリードしていくというほどうぬぼれてはいないつもりであります。国民の皆様、その国民の代表である蓑輪様の御意見等についても十分耳を傾けて、また正確に税調等に報告するというようなスタンスは守っていかないといけないと、みずからに言い聞かしておるところであります。
○簑輪委員 論議の中で直間比率の是正というのがございますけれども、これも非常にあいまいな論議といえばあいまいな論議だと私は思うのですね。前にも大臣とも論議をしたことがございますけれども、これはあるべき直間比率というものが存在するわけではなくて、結果として計算してみたらこういう割合になっていたというようなものだということは、もうさんざん言われてきたことだと思うのです。まして直接税とはいっても、所得税と法人税とは性格も違うし役割も違う、そして法人税というものは、さらにその税がまた国民に転嫁されるという問題をも包含しているということもあわせますと、直間比率というふうな言葉で言ってみても、そのこと自体に何の意味があるだろうかというふうにも言わざるを得ません。圧倒的な資産所得の部分について言うならば、所得税の課税ベースからは脱落しているということもありまして、結局のところこの直間比率というものは、大型間接税導入の誘導論議でしかないのではないか、大臣がそれに加担をして進められることはいかがかと思うのですが……。
○竹下国務大臣 蓑輪様と若干違いますのは、私はいわゆる自由主義経済理論あるいは市場経済ということを前提に置いているわけですから、資産所得というものは、やはりそれが所得を得たときに課税さるべきものであるという基本概念がありますし、それから法人というものに対する物の考え方としては、私は資本主義経済を是認する前提の上に立ちますから、それは蓑輪さんと根底が若干違う。若干ではない、相当に違うのじゃないかと思うのであります。しかし、蓑輪さんは現実論議として税制の論議をなすっていますから、それは見解の相違ですと一遍に突っぱねてしまうような考えは、私には毛頭ございません。 しかし、直間比率という言葉も、本当は税制調査会じゃなく、臨調の答申に一つだけ使ってあるんですよ。それも私は、何で使われたかなと本当は思いながら拳々服膺しておりますけれども、本来はあの議論の持ち方は違うなというのは、いつでも私の持論みたいに申し上げているところでありますが、そういうことを表面に出すことによってまた世論をリードしていこう、それほどうぬぼれておりませんから、国民の声に一生懸命で耳を傾けるという姿勢は持ち続けなければいかぬと思っております。
○簑輪委員 この税の改革と称しての増税、そして国民負担の増加ということについては断じて認められないということを申し上げて、次に移りたいと思います。 私は、昨年十二月の大蔵委員会でも申し上げた単身赴任問題を少しお尋ねしたいと思います。 そのときにも申し上げましたように、これは欧米先進諸国ではほとんどない話で、結局実に日本的な悲惨な問題だということです。単身赴任ということで二重生活、あるいは人によっては三重生活を余儀なくされて、経済的負担というのが家計を非常に圧迫しているわけですし、それだけではなくて、異常な生活のもとで肉体的、精神的な健康破壊も大変激しくなっております。夫婦のきずな、親子のきずなといったものの破壊なども大変深刻でありまして、家庭崩壊という悲劇もあちこちで私も聞いており、本当に悲鳴が上がっているという状態もあります。単身赴任をする本人も、その家族にとっても、これはもう大変な打撃であることは言うまでもないことです。 この問題について、まず労働省として単身赴任というものをどのように受けとめ、どのように対処し、今後どのように進めていくつもりか、それを最初にお伺いしたいと思います。
○逆瀬川説明員 御指摘の単身赴任がかなりの数に上っておりまして、単身赴任者本人の問題もありますし、留守家族の問題もあるということは、労働省として十分承知いたしております。特に経済的な負担が大きいということもございますので、労働省といたしましては、六十年度の税制改正要望に当たりまして、大蔵省に対して要望をしたわけでございます。帰宅旅費でありますとか別居手当についての減税措置でございますけれども、これにつきましては税体系上の二、三の問題が指摘されておりまして、御承知のように政府税調の答申がございまして今日のようになっているわけでございます。 できるだけ経済的な負担を軽減したいという気持ちは持っておりますけれども、御指摘いただいたような問題もございますので、労働省としては引き続き検討を重ねてまいりたいと思っております。
○簑輪委員 労働省からそういう要望が出されて、労働者の福祉あるいは労働条件の向上というような観点を踏まえ、税制改正での要望ということをしたわけです。税調の答申もございますけれども、あえて減税問題といいますか、単身赴任手当及び帰宅旅費等の措置について、今回はこういうふうな措置ということでございますけれども、今後の問題としてこれを検討していくという姿勢について、大蔵大臣の答弁をいただきたいと思います。
○竹下国務大臣 去年から我々ののどに若干つかえているのは、パート減税と内職の問題、それから単身赴任減税の問題がその次ぐらいになるのかな。随分勉強しまして、それに似たようなものがありますのが、小笠原業務手当あるいは極地観測手当、極地の方は単身でございましょうから。それから、これは昔、人間性回復手当というような言葉を使われておりましたが、海員学校等実習授業手当という遠洋航海のときなんかの話でございます。これがいわゆる特殊勤務手当。公務員の特殊勤務手当の内訳をずっと見ますと三十八あります。 それから、国家公務員の受ける手当は十一ございまして、扶養手当から調査手当、住居手当、通勤手当、初任給調整手当、特殊勤務手当、特地勤務手当等、筑波研究学園都市移転手当、超過勤務手当等、期末手当・勤勉手当、寒冷地手当。ところが、その手当に類するものは所得ではございますから、したがって、そこでつかえてしまうわけです。そうすると、結局今の場合、勉強します、検討しなきゃなりませんが、結果からするといわゆる雇用問題になるんじゃないか。 今度はまた、そういう手当を出していらっしゃる企業、単身赴任がゆえに出していらっしゃる企業でも、いろいろなものを出していらっしゃるのです。私も見ますと、いわゆる赴任地における住宅手当の優遇措置でありますとか一時帰宅旅費の支給、帰宅のための特別休暇の普及、家族が訪問する場合の旅費の支給、訪問した家族への宿泊施設の提供、それはたくさんある。それが企業によって全部ばらばらでございます。そこで、結局その基準をつくることも、他の手当に波及するから問題は難しい。 これは私の不勉強の中で一つの考えとして、奥さんに会いに、奥さんじゃなく、だんなに会いにでもいいですが、帰ってこられますのがいわゆる一般の出張旅費だったら、これは別に税とは関係ございませんね。そういう工夫等があるか知らぬが、どうしてもそれは雇用問題の範疇に入ってしまう。だから勉強しましょうや。が、本当に難しい問題であるという事実認識だけはしていただきませんと、勢いフィーリングだけで、これも網羅、包括と同じようにフィーリングだけで進んでいくと、税体系そのものがまたゆがみ、ねじれ、よじれになっちゃいけませんので。私ども、民度の低い――民度が低いわけじゃありません、出稼ぎの多い地帯でございますと、出稼ぎには全くそれはございません。だから、フィーリングだけで議論をするわけにいきませんものですから、これからも勉強を一緒にしていかなければならぬ課題だな。公務員、もちろんございませんしね。ということでございます。
○簑輪委員 勉強するというお言葉をいただきましたので、必ず約束を守っていただきますように。 続いて今の問題でお尋ねしたいと思いますけれども、今大臣はいろいろな手当のいかん、その他施策がさまざまでというようなこともおっしゃいましたけれども、そういう手当の支給いかんにかかわらず、施策の差異にもかかわらず、それぞれが単身赴任をしている、あるいは別居しているというような事実に伴って一律に、例えば月額五万円、年額六十万円の特別控除とか、帰宅交通費の実費の控除というようなことで対処すれば、これは不平等とかそういうことにはならないのではないかと思いますが、そんな点も勘案して検討していただくことをお願いをしておきたいと思っております。 それから、労働省に引き続き申し上げたいのですけれども、労働省について今施策をお尋ねしましたところ、六十年度の税制改正に当たって大蔵省に要望したということだけをおっしゃったわけですけれども、これは労働省としてはいかにも無責任な、他力本願な態度であると私は厳しく指摘をしておかなければいけないと思います。労働省という役所は、労働省設置法にもきちんと書かれておりますように、労働者の福祉を守る、労働条件の向上を図るというための役所であります。そのために、単身赴任という現実に着目して、労働省としてなすべきことがさまざまあるはずなんですね。それをしないで、税制で、他力本願で事を済まそうとする姿勢はまことに怠慢で、私は許せないものだというふうに思っております。 そこで、この単身赴任問題について、それでもこれくらいはやっておりますという話がありましたらお答えいただきたいと思います。
○逆瀬川説明員 労働省といたしましては、先ほどもお答えいたしましたように、この問題については真剣に取り組んでいるわけでございますが、一つは、来年度において労働者の家族福祉対策を推進するための調査研究を実施する予定にいたしております。また、単身赴任者を含めまして労働者の健康対策につきまして、従来から定期健康診断の実施を初め健康管理の徹底を図ってきたところでございますが、六十年度予算におきましては勤労者の心身両面にわたる健康対策につきまして、健康相談あるいは保健指導のための指導者の養成をいたしたいと考えております。
○簑輪委員 労働省はこの単身赴任を、しようがないものだ、当然のことだということで善後策を講じるという姿勢であっては決してならないと思うのですね。私は、やはり労働省が企業に対して、この際単身赴任というものをなくすべきだという姿勢を堅持して対処することを基本的な姿勢として確立しなければならないと思っています。労働省がやるべき仕事、企業に対して要求すべき事柄というのは多々あるはずだと思います。例えば、今さまざま問題に出ておるのは、転勤の早期内示とか、赴任期間の短期限定とか、本人及び家族の同意原則などを確立する方向とか、具体的個別の要求が出ているさまざまに対処してやっていかなければならない。もちろん、それをしていく方向で今調査に取り組むということで承れるならば、それをぜひ調査の上推進していただきたいと思いますが、よろしいですか。
○逆瀬川説明員 労働省といたしましても、転勤に際しましては、基本的には家族帯同で転勤をすることが望ましいというふうに考えているわけでございます。そうできない事情があるということもまた事実でございますので、基本的には労使の自主的な話し合っていろいろな問題解決に当たっていただきたいと思っておりますけれども、労働省としても調査研究を進めまして、必要な施策を講じてまいりたいと考えております。
○簑輪委員 日本の労働問題について、長時間労働とか女性の低賃金とかいうことがかなり非難されておりますけれども、さらにまたこの単身赴任というものも恐るべき実態だということで、欧米からは非難の目をもって見られているわけです。日経新聞に出ていたものでは、日本は共稼ぎ夫婦を会社が勝手に引き裂いて知らぬ顔する野蛮な国だ、我が国はそんな非人道的なことはできない、夫婦抱き合わせで移動させるために、企業はどれだけ犠牲を払っているかと述べている記事もありましたし、またアメリカの国務省では、外交官同士のカップルは、事情が許す限り同じ任地に勤務させるという人事の基本方針があるということなんですね。一見するとなかなか困難なようなことでも、それは努力をすればできることだということなんです。現に欧米諸国ではそういう夫婦、親子がともに暮らすという当たり前のことを実施していくために、並み並みならぬ努力を払っているということから考えてみましても、日本は企業が一方的に辞令を出して、家族の都合など一切構わず、家族の犠牲を当然としてやってきている。この現状を変えていくために、労働省、ぜひ全力を挙げて取り組んでいただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。 労働省、結構です。 次に、租税特別措置についてお尋ねいたします。最初に、企業関係租税特別措置による減収状況についてお尋ねしたいと思います。 租税特別措置による減収の法人税収に占める割合を、昭和五十年から昭和六十年まで、どのような推移なのか、お答えいただきたいと思います。
○梅澤政府委員 租税特別措置の中での、企業関係の減収額につきましては、六十年度分につきましては先般国会に提出申し上げましたが、四千六十億円でございまして、法人税収に占めます割合が三・二%でございます。 お尋ねは、これは五十年度からどういうふうになっておるかということかと存じますけれども、五十年度が五%、五十一年が五・一%でございますが、五十一年度から、企業関係の租税特別措置の整理合理化を本格的に推進してまいりました。したがって、翌年度の五十二年度から――五十二年度は三・九%でございますけれども、五十四年まで、この五%の水準が四%の水準にまで下がっております。それから、五十五年度、五十六年度は、当初予算の対比で見ますと二・七、二・四といささか低くなってございますが、これは実績税収で見ますと三%弱ということでございます。五十八年度に入りまして、このパーセンテージがまた若干上がりまして、三・一%に上がっております。これはちょうど五十八年、五十九年、中小企業の設備投資を促進するという観点から、機械設備に対します増加部分について三〇%の特別償却制度を導入いたしました。この関係でややはね上がっておるわけでございます。ただし、先ほども申し上げましたように、五十年代を通じまして漸減する傾向にあるというふうに申し上げられるかと思います。
○簑輪委員 五十七年を底にして、多少増加傾向にあるということで、新たな政策税制ということでの減収ということが心配されるわけなんですね。今回は基盤技術研究開発促進税制というものが新設されるということでございますが、この税制は、新素材、バイオテクノロジー、先端エレクトロニクス技術、高性能ロボット、先端生産加工技術、極限環境技術及び革新的プロセス技術の六技術が対象となっているということです。 これらの対象を利用しようとする企業は主として大企業ではなかろうかというふうに思いますが、同時に、この税制は今までの増加試験研究費の税額控除と重複適用が認められているということです。これとは別に、昨年創設されておりますエネルギー利用効率化等促進税制による税額控除ということもあるわけで、これらをすべて適用し、最高の税額控除を受けた場合、一体どれくらいの税額控除が受けられることになるのでしょうか。
○梅澤政府委員 ただいま御審議を賜っております六十年度税制改正で基盤技術税制として御提案申し上げております内容は、ただいま御指摘になりましたとおりでございます。 お尋ねは、この税額控除を適用します場合の限度額のお尋ねかと思いますけれども、まず基盤技術の関係は、国のハイテクノロジーを推進するという施策にかんがみまして、従前ございます増加試験研究費に加えてこれを認めるという措置が講ぜられておりますので、この分の限度額が増加試験研究費の場合は一〇%でございますが、今回それに五%上乗せをしておりまして、一五%ということでございます。それからエネルギー関係の、昨年といいますか五十九年度税制でやらせていただきました分の限度額が二〇%でございます。 ただ、お断り申し上げなければなりませんのは、これは単純に一五%と二〇%と足しまして三五%というふうなことは若干誤解を招く面がございます。と申しますのは、一つは、この一五%なり二〇%は相互に融通して使えるわけではございませんで、ハイテクノロジー関係あるいはエネルギーの効率化税制、それぞれに区分して限度額が設けられておるということと、もう一つは、適用対象資産が両方の税制では重複を排除いたしております。両方使えるようにはなっておりません。したがいまして、これを単純に足すという場合に非常に誤解を招きますので、その点御理解を賜りたいことと、これはあくまで限度額でございますので、実際は適用対象資産について、それぞれ所定のパーセンテージを掛けた税額控除なりが認められるわけでございまして、それはあくまで限度額であるということでございます。
○簑輪委員 それぞれの税制を利用して現実にこの税額を計算して、さて税額控除を受けようというときに、こちらの税制、それからもう一つの税制というような適用をしていきますと、別個に税額控除が受けられて、その結果三五%の税額控除ということは可能ではありませんか。
○梅澤政府委員 今委員がおっしゃいましたように、全く別個の適用対象資産でフルに使うとすれば、もちろんそれが限度額になるわけでございます。 ただ、これは大企業だけではございませんで、中小企業なんかもどんどん御活用願うという税制でございますので、念のため申し上げておきます。
○簑輪委員 だから最高三五%という可能性もあるということで、今主税局長が中小企業も利用できるということでございますが、現実にこれが利用されるのはほとんど大企業ではなかろうか。そうすれば、十分負担能力のある企業にこのような特別の税額控除という恩典を与えていくのは、いささか大企業優遇税制ではなかろうかというふうに私ども思わざるを得ません。研究開発段階ではリスクが大きいために、このような促進税制が必要だなどと言われておりますけれども、開発をしましてその成果を実用化するという段階になりますと、それはもう先端技術でございますので、極めて大きい独占的な利潤を確保することができるということも考えてみますときに、非常に問題があろうかというふうに思います。 中小企業の問題について少しお尋ねしますが、試験研究費全体に占める中小企業の割合というものは一体どういうふうになっておるか、中小企業庁の方……。
○前田説明員 五十七年度の数字で申し上げますと、我が国全体の試験研究費の支出額が四兆円程度ありまして、そのうち中小法人の支出が二千三百億円程度であります。
○簑輪委員 これは約五・七%ぐらいになるわけですね。それで、これは過去五年ぐらいの推移はわかりますか。
○前田説明員 ただいま手元に数字を持っておりませんが、年度によりまして五%あるいは一〇%を超えることはないというふうに承知しております。
○簑輪委員 私どもがいただいている数字では、五十三年九・一%、五十四年八・一%、五十五年七・四%、五十六年七・一%、五十七年五・七%と毎年着実に減っているわけですね。結局、資本力が弱くて内部蓄積も少ない中小企業では、技術開発の余力も少ないし、利用という点でもなかなか進まないという実態をここであらわしていると思うのです。したがって、こういう中小企業に対してこそ国が援助の手を差し伸べるということを進めなければならないと思います。今回、中小企業技術基盤強化のための税制ということで新設されるわけですけれども、これはこれまでの増加試験研究費の税額控除制度が、過去最高の試験研究費を上回る部分に対してだけ適用されるという制度であったために、中小企業の技術開発は実際一回だけしか適用されないというような状況であって、余り利用が進まなかった。そこで、今回は根っこから対象としていくということで、中小企業者に利用しやすいものにしようとするものだと伺っておりますが、そういうものなのでしょうか。
○前田説明員 新しく提案を申し上げております税制につきましては、中小企業者の期待も大変高いのは事実であります。ただ、これの創設を希望するに至りました理由は、大きく言って二つあろうかと思います。 一つは、我が国にとりまして、今後中小企業者が技術開発に大変重要な役割を果たしていかなければならないという認識であります。中小企業者は、先端技術の分野でも、大企業といわば分業のような形で、それを根っこからいろんな場合に支えておるわけであります。また、先端技術を使った製品を使いましてみずからの活路を開拓して、新しい事業を起こしていく上でも、技術開発に取り組んでいかなければならないというのが第一点であります。 第二点は、中小企業の経営基盤が脆弱であるがゆえに、どうしてもこういうリスクの高いところには、幾ら必要性が高いと思いつつもなかなか出ていかない、行きにくいというふうな状況もまたあるわけでありまして、そこにはやはりインセンティブが必要になろうかと考えるわけであります。こうした限界的な意味での中小企業の技術開発支出を抜本的に底上げする必要があるというふうな認識のもとに、この制度の創設をお願いしているような次第であります。
○簑輪委員 中小企業の場合はそういうことで、今回の税制はいささか中小企業の研究開発に役立つだろうと私は思うのですけれども、先ほど申し上げました基盤技術研究開発促進税制と増加試験研究費の税額控除が重複適用できるということで、これが重複適用できるほどの実力を持つ企業というのは、中小企業の場合はなかなかそうとも言えないのではなかろうかと私どもは思うわけです。そういう意味でいうならば、やはり不公平な税制を拡大することにもなろうかと思いますし、特に税額控除というのは補助金に近い性格を持っていて、免税と同様負担公平の原則に抵触する程度が非常に大きいというふうに国税庁の文書にも指摘されているわけです。そういうときに税額控除をこのように拡大していくということは、到底、政策税制ということで許される範囲ではないのではないかと私どもは思います。 この点については、政策税制の名で新たな特別措置が次々と導入されてくるわけですけれども、これには、政策目的が正当かどうかとか、あるいは目的達成のために有効かどうかとか、それからさらに、公平を阻害するマイナス面との比較考量はどうかとか、いろいろ判断のメルクマールがあると思いますけれども、その点から見てこれはいささか外れているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○梅澤政府委員 政府税制を点検する場合の視点は、ただいま委員がおっしゃったとおりであると思います。 ただいま御提案申し上げておりますこの基盤技術関連の税制でございますけれども、ただいまおっしゃいましたように、これは税額控除、絶対免税ということでございますから、税制上の措置としてはインセンティブ効果の非常に強いものでございます。その反面、公平というものを犠牲にしてこの政策を実施するわけでございますから、この種のものについて十分慎重でなければならないという点はまさにそのとおりでございます。 ただ、技術開発の推進という点につきましては、やはり現在我が国の一つの大きな重要施策になっております。そういった観点から、税制当局といたしましても、極力対象を圧縮し、真に効果が期待できるものについて、通産当局と十分入念にその対象資産のえり分けも行っております。 それから、今回の措置も三年間の時限措置にしております。 それからもう一つ、六十年度の政策税制の設定に当たりましては、既存の租税特別措置の整理合理化を推進する、スクラップ・アンド・ビルドの原則を貫いております。そういった点も御理解を賜りたいと思います。
○簑輪委員 こういう政策税制の名で、大企業恩典措置がどんどんと導入されていくことがあってはならないということを強く申し上げておきたいと思います。 次に、所得税の問題で、自家労賃に関連してお尋ねしたいと思います。 主税局長は、所得税の課税最低限についてこのように述べておられます。標準的な生活費と最低生活費の間のどこかに課税最低限というのが設定されるということが、現時点の我が国における課税最低限の求め方であろう、ただ計量的に、ではその最低生活費と標準生活費の間に具体的にどういう基準があるかということは、結局は財政状況、諸般の事情により、そのときどきに位置づけが政策的に決定される、このように述べておられるわけですね。これは、給与所得に関連して述べられたものなのでしょうか。そして事業所得については、こういった考え方を取り入れるということはできないものなのでしょうか。
○梅澤政府委員 先ほど引用になりました私のお答えは、これは昭和三十年代、四十年代を通じての税制調査会の審議なり考え方を集約すると、大体そういう方向に来ておるということで御説明を申し上げました。 課税最低限といいます場合に、いわゆる最低生活費とかあるいは標準生活費との関連で議論されます場合に、私どもはやはり給与所得者を念頭に置いた課税最低限ということでいつも申し上げておるわけでございます。給与所得者の課税最低限の場合は、基礎的な人的控除と給与所得控除のいわば合成されたものとして表示されておるわけでございますが、そういったものを念頭に置いて議論していることは事実でございます。
○簑輪委員 事業所得について、このような考え方を取り入れることはできないものなんでしょうか。
○梅澤政府委員 課税最低限は、主要な構成要素は基礎的な人的控除でございますけれども、先ほど申しましたように、給与所得に一般に適用されます給与所得控除を合成したものとして我々は観念をしているわけでございます。この点につきましては、諸外国、例えばイギリスとかアメリカ等におきましても、課税最低限の基準と、いわゆるポバティーラインと言われるものとか、あるいは日本でいえば生活保護基準でございますが、それとの関係は直接結びつけて、むしろ逆転しているような場合もございます。したがって私ども、事業所得者だけの課税最低限という議論になりますと、基礎的人的控除の合計プラス社会保険料ということになろうかと思いますけれども、そのレベルで議論いたしますと、課税最低限の考え方、特に最低生活費との関連で非常に混乱が起こるものでございますから、我々は、従来給与所得者に適用されるべき課税最低限というレベルで議論をさせていただいておるわけでございます。
○簑輪委員 税の問題について、最低生活費非課税の原則ということが言われたわけでございますが、先ほど来のお話でも、事業所得の課税最低限ということは言わないような方向にお聞きしておりましたが、現実には、事業所得の場合に最低これだけは絶対に税金がかからないという金額をはじき出すことはできるわけですね。そして、それは五十九年度のベースで夫婦子供二人の標準世帯で百五十四万六千円、こういう計算になります。社会保険料控除も込みでこういうことになるわけですけれども、こういうふうに見ますと、生活保護基準は昭和五十九年度で百九十九万五千二百四十円で、これより低い。そうしますと、生活保護よりも低い水準から税金がかかるということになっているわけで、これはいささか不当ではないかというふうに思わざるを得ませんが、これはどうなんでしょうか。
○梅澤政府委員 先ほど来、最低生活費との関連でいわゆる課税最低限の議論に混乱が起こるので、給与所得者の場合の課税最低限を念頭に置いて議論させていただいておるというのは、まさにその点でございまして、理屈の問題といたしましては、生活保護基準に定めている最低生活費といいますものは、結局その年の個人の所得、資産も含めましたいわば総合的な経済力というものを動員して、なおかつ国が定めた最低生活費に達しないという部分について国が給付をするという一つの制度であるわけでございます。一方、所得税におきます課税最低限あるいは担税力の問題といいますのは、実はその年に発生する所得、しかもその中には帰属家賃とか課税ベースに包含されてないものもあるわけでございます。したがいまして、こちらの貧困ラインを所得再配分という国の制度によって保障する水準の場合に、議論する水準とその背後にある経済力の問題と、こちらの担税力を捕捉する場合の範囲というのは全然レベルが違うということでございます。 ただ、大部分労働に依存しております給与所得者の課税最低限を考える場合には、やはり生活保護基準というのは一つの判断の材料にはなってもよろしいということでございますけれども、恐らく委員がおっしゃるのは、そういうことで事業所得者の場合、単純に人的控除と社会保険料だけを計算いたしますと生活保護基準に満たないから、現在の人的控除、現時点では三十三万円でございますが、これは最低生活費に食い込んでいるのではないかという御議論だろうと思うのですけれども、私どもはそれはとれないというふうに申し上げているわけでございます。
○簑輪委員 ですから、現実には事業所得の場合に、生活保護基準以下の所得にも税金がかかるということは間違いないわけですね。
○梅澤政府委員 理論的には、そういうことはあり得ると思います。
○簑輪委員 それは不当なわけですけれども、続いて進みます。 事業を営む者の実態は、生活保護基準と比べてみてうんと裕福であって、背後に経済力があるんだというふうには必ずしも言えないケースも多々あるわけでございます。 これに関連して一つお尋ねしたいと思いますのは、専従者控除の問題です。専従者控除が昨年の税制改正で四十五万円ということで定められたわけですけれども、この数字のよって立つ基準、根拠は一体何なんでしょうか。
○梅澤政府委員 この白色専従者控除の制度は非常に長い歴史があるわけでございますけれども、四十八年までは、当時の議論等を振り返ってみますと、農家の家内労働の報酬というのが一つの検討の材料にされ、かつ、その他の人的控除のバランスを考えるということで、当時の配偶者控除と扶養控除の大体中間ぐらいに位置づけられておったわけでございます。ところが四十九年度に現在と同じ姿になりました。基礎控除それから配偶者控除、扶養控除が同じ額になりまして、このときに大幅に引き上げられたわけでございます。それで五十九年の税制改正で、これは五十年来四十万円で据え置かれておったものでございますから、四十五万円、五万円引き上げさせていただいた。過去の経緯はそういうことでございます。
○簑輪委員 経緯はわかるのですが、なぜ四十五万円なのかということについてわからないわけです。
○梅澤政府委員 これは白色専従者控除だけには限りませんで、先ほど御指摘になりました例えば人的控除、こういったものの水準につきましても、これはちょうどシャウプ勧告に書いてあるのですけれども、一体何が正確な基準であるかというのは求められない。つまり税体系のバランスの中でそれが著しくゆがめられているかどうかという議論でございまして、四十五万円はこういう算定基礎に立ちましてつくりましたというものではございません。ただ、先ほど申しましたように、四十九年以来の所得税制の考え方から見ますれば、人約三控除のバランスを考えながら、しかもそれを上回る水準で設定されておる。 白色の専従者控除は、これは御指摘するまでもございませんけれども、もちろん家族事業に従事しているという実態がありますれば、給与の支払いの有無にかかわらず、三控除にかえてこの控除が認められるわけでございますから、やはり人的な三控除とおのずからバランスがある、その中でできるだけの配慮が行われておるというふうに御理解賜りたいと思うわけでございます。
○簑輪委員 四十八年までの算定の基準に農家の家族労働報酬の実態を考慮していたというふうに述べられましたけれども、農家の家族労働報酬の実態を参考にして計算してみるという方法でやってみるのも意味があるかと思うのですね。五十七年の農家経済調査報告及び農村物価賃金報告をもとに計算をしてみますと、家族一人当たりの年間労働報酬は、〇・五ヘクタールから一ヘクタールの経営規模で八十八万三千円、一ヘクタールから一・五ヘクタール経営規模で八十七万八千円、一・五ヘクタールから二ヘクタールの規模で九十二万五千円、二ヘクタール以上の規模で九十五万三千円。三十七年に税制改正に関する臨時答申で計算されている根拠と並べて考えてみるのも意味があるかというふうに思うのです。三十九年のときには大体そういう計算をして、それぞれ出された数値をならしたようなもので、専従者控除は当時九万円にするがよかろうというふうに出されております。その当時から比べますと報酬の方も約十倍になっているわけですけれども、そういう点から考えてみますと、この数字で大まかに計算してみますと専従者控除九十万円でもおかしくないのではなかろうか。くしくもパート減税で計算されております九十万の非課税限度額とほぼ並ぶわけです。 かねてから私が業者婦人の実態等を明らかにしながら、専従者の控除はせめて百二十万円までは、そしてそれはなかなか難しいということであるならば、何としてもパートの非課税限度額と並ぶのも当然ではないかということを要求してきました。ちょうど数字の面でもこういう計算の結果が出てきているわけですけれども、こういうふうな考慮の仕方というものをやってみるということはお考えにもならなかったのでしょうか。
○梅澤政府委員 今委員がおっしゃいましたのは、一つの物の考え方であろうかと思います。ただ、農家経済調査では、恐らくそれは、自家労賃を評価している数字だろうと思うのですね。 そこで、税制の中に控除としてこれを持ってきます場合に、例えば今青色申告者の場合でございますと、はっきりとした給与の支給の実体があり、それが同種企業とのバランスから見て著しく不当でないという場合は、これは経費として認められておる。諸外国の税制を見ましても、自家労賃、特に家族従業員の場合はやはりリーズナブルな基準というもので、過大なものについては否認をするというのが大方の例のようでございます。フランスのような場合でございますと、財産が共有でございますとそもそもそういうものが認められないということで、やはり家庭内労働についての労賃の評価というのは非常に問題があるわけです。 特に一昨年の税制調査会でこの議論もしていただきました。そのときにやはり、専従者給与の場合もそうでございますけれども、文字どおり給与所得として扱われるわけでございますね。だから、一般のサラリーマンの場合と同じように給与所得控除が適用される。そういうことになりますと、ここの部分はかなりリーズナブルと申しますか、きちんとしたものにしておきませんと、結局同じ世帯の所得を分割して累進効果を緩和するという傾向もなきにしもあらずということもあるわけでございまして、そういった意味では、今の白色専従者控除というのはいろいろな変遷をたどってきておりますけれども、私ども、四十五万の水準というのは、やはりほかの人的控除とのバランスから見て妥当な水準ではなかろうかというふうに考えております。
○簑輪委員 全く働かずに、ただ配偶者でいるというだけで三十三万の配偶者控除を受け、朝から晩まで長時間労働、そして時には夫よりも長時間働いて経営に貢献する妻が、専従者控除としてわずか四十五万。この不合理というものは、ぬぐいがたい不信にまで今高まっているというふうに言えると思います。業者婦人の皆さん方は、休暇もなく、労働基準法の適用もなく、そういう労働の中でこういう税制について強い不満を持っております。ぜひその点についても十分認識していただくことを求めたいと思います。 続いて事業所得というもののとらえ方の問題ですが、昭和四十八年の当時の高木主税局長は、事業所得はいわば資産と勤労との合体として、混然一体として得られる所得であるというふうに述べておられますが、こういう認識は現在もなお維持してよろしいのでしょうか。
○梅澤政府委員 そのとおり考えております。
○簑輪委員 事業所得としてあらわれているものについては、資産から生まれるもの、勤労から生まれるものと二種類ある、そしてそれが混然一体というところにこの微妙な表現があるわけですけれども、この勤労から生まれる所得であるということを絶対に否定できない内容を持っているわけなんです。 この事業所得の扱い方について諸外国のケースを、できましたらわかる範囲で結構ですが、お尋ねしたいと思います。事業主の労働についてどのように扱われているのか、家族専従者について、配偶者の場合、子供の場合どういうふうに扱われているのか、わかる範囲で結構ですので、お答えいただきたいと思います。
○梅澤政府委員 まず最初に事業主の方でございますけれども、事業所得の中から勤労部分を取り出して、我が国の言葉で言えば給与所得として扱うという制度は、各国どこにもございません。我が国は御案内のとおり、みなし法人課税を選択されますと、事業主報酬ということで、一定の限度で経費、それから給与所得として扱われるという制度がございます。 それから家族従業員の場合でございますが、これも先ほどちょっと触れさせていただきましたけれども、基本原則は、これはアメリカとかイギリスは比較的似ておるのですが、リーズナブルでネセサリーというのは、これはアメリカの一般の事業経費の認定基準でございます。したがいまして、例えば給与が高過ぎる場合は、当然歳入庁はこれを過大給与として否認するということが制度上留保されております。 それからイギリスの場合は、日本語で言えば必要不可欠、そういうことを言っておりますけれども、これもやはりアメリカの基準とかなり似ておると思います。この場合も、例えば子供への報酬が過大であると認められる場合には否認されるという、これは行政事例じゃなくて判例もあるようでございます。 西ドイツにつきましてはもう少しきちんと書いてございまして、租税法的にも承認される妥当な契約がなされることと、我が国でいえばそれほど厳密ではないのかもしれませんけれども、青色申告者の場合は事業と家計を分離して給与支払いの実体がある、そういうふうなことを言っているのだろうと思います。 フランスの場合でございますが、フランスの場合も一般原則として特別に特記はしておりませんけれども、先ほど申しました特に配偶者につきましては、財産を共有している場合には、当該配偶者に対しては一切そういう給与を認めない。 各国いろいろやり方はございますけれども、やはり家族内の労働に対する報酬については、かなりきちんとしたルールで処理をされているようでございます。
○簑輪委員 私もまだ十分に承知しているわけじやありませんけれども、ちょっと聞きましたところでは、子供の場合には比較的無条件で認められるという国々が多いというふうに伺っているわけですね。それで、我が国の場合は子供の場合も、よそへアルバイトに行って勤めたならば、それは労働の対価として認められるけれども、親孝行にも親を助けて懸命に働けば、それは四十五万の専従者控除しか認められないというようなことで、税制の面から、家庭で、家族でみんなが力を合わせて働くというのを否定して、よそへ働きに行った方がよいということを言っているような感じさえするわけですね。だから、この際やはり、家族の中における労働の実態というものが税制の面でも正しく反映させられるようにしなければ、青年の労働という点でも展望が持てないのではないかというふうに思います。 こういう点は子供だけではありませんで、配偶者の場合でも同じですね。よそへ働きに行けば、それはパートであれば九十万まで非課税、そして自宅で夫を助けて働けば、それはわずか四十五万の専従者控除しか認められない。こういうことは税制上非常に許されないことだ。どうしてもそれぞれの自家労賃というものを正しく評価して、勤労に対する税は勤労者として支払い、そして事業から生まれるもの、資産から生まれるものはそれにふさわしい税を払うという形にするのが合理的な税制ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○梅澤政府委員 先ほども申し上げましたように、それから御紹介申し上げました各国の例を見ましても、やはり家族内の労働に対する所得税制上の扱いといたしましては、一方では契約といったものを要請しておったり、一般的な合理的な基準、しかも実際に給与の支払いの実体を伴わなければならない。しかも過大な水準のものは認めないというのが基本的なやり方なんだろうと思います。 我が国の場合は、これは委員に毎回しかられるわけでございますけれども、我が国の税制では、やはり事業と家計を分離していただきまして、青色申告をやっていただきまして、実際に給与が妥当に支払われれば、それは、その勤労部分につきましては給与所得として扱うという制度になっているわけでございます。
○簑輪委員 すぐ、青色へいけばこうなるのだからという話になるわけですけれども、今は白の税制の問題を論議しておるわけで、そこで公平、公正でなければならないということを申し上げたいと思うのです。 今の税制でいきますと、夫が全事業を掌握して、事業所得、そして税を払う。妻はそれに対する従属的な立場にあって、一人前の評価をされない。実際問題としては労働は対等、あるいはそれ以上にやっていながら、それが税の面で全く考慮されない。この不合理を再三指摘しているわけです。したがって、例えば夫婦共同で事業を営むということもありましょうし、きょうだいで事業を営む、あるいは友人同士で営むということもありましょう。そうした場合に、それぞれが税の主体として申告をし、それぞれに納税するということがあっても当然ではないでしょうか。その点についてはいかがでしょうか。
○冨尾政府委員 我が国の現在の所得税法のもとでは、事業所得につきましては、その申告をすべき者というのは、その事業から生ずる所得の帰属者ということで、通常はその事業の経営者というふうに私どもは考えております。 先生の御質問の家族労働の場合でございますけれども、家族が一体となって事業を営んでいる場合には、私どもとしては、一般的にはその生計を主宰いたしております者が中心となって、他の親族はこれを助けて働くというのが実態だと思いますので、そのような場合には、その主宰者が事業の経営者ということで申告していだだくということになると考えております。 ただ、そういう場合でありましても、中に場合によりまして非常に独立性の高い自由職業の方、例えば医師ないしは弁護士というような方がいらっしゃる場合もございます。このような場合には、今申し上げましたような普通の場合の家族労働と趣を異にするということになろうかと思います。したがいまして、このような場合には、それぞれの方が独立して事業を営んでいるという実体を備えられ、かつ、おのおのの事業に伴います収支であるとかいろいろな資産の利用形態が区分されているというような形で明らかに分別がつく場合には、別々に申告することができるというふうに考えておりますが、そうでない場合には、家族労働の場合には事業を主宰される方に申告をしていただくというのが基本的な考え方だというふうに思っております。
○簑輪委員 結局、医師だの弁護士だのという資格を持ったり事業を営んでいる者についてはそういう独立した申告が許されるけれども、その他の事業の場合には、仰せだれかが一人のあるじであって、あとはそれの補助者というふうにされてしまうというのはいかがかと思うのですね。医師や弁護士ももちろんのことながら、あるいはその他の事業でも、独立した人格で共同して事業を営むということはあり得るわけで、それぞれが権利の主体として、そして責任の主体として尊重されるべきだというふうに思います。それが夫婦である場合も、相互に共同経営者として経営をより発展させ、そしてその利潤を相互に分割するなどして独立に税の申告ができるのも当たり前のことではないか。個人として尊重されるという基本的な原則からいっても、税の面でそれが反映されないのは、真の平等というものを志向する観点からも許されないことではないかというふうに私は思うのです。 そうすると、現行税制のもとでは、そういう申告というのは許されないことになるわけでしょうか。夫婦が事業を共同で営んでいる場合に、それぞれが事業主体として申告をするということはできないことでしょうか。
○冨尾政府委員 現行の税制のもとでは、先生が今御指摘のような事例につきましては、通常、収支が混然一体となって、まさに一体として事業が経営されているわけでございますので、その場合には、その事業を主宰されておられる方がまとめて申告をしていただくというのが現在の仕組みでございます。
○簑輪委員 夫婦が力を合わせて事業を営むというのは、決して税を回避するためにやるわけではなく、それぞれが持っている能力を最大限に発揮して、そして事業を営む。その結果、それぞれが申告をし、例えば所得を折半してそれに課税するということがあったっておかしくないと私は思うのですね。 そうしますと、現行税制でそれができないというふうにおっしゃるのならば、新たな税制を考えなければならないということになるのでしょうか。主税局長、どうなんでしょう。
○梅澤政府委員 大変難しい、また議論の多い問題の御提起だと思うわけでございますが、我が国の場合は、課税単位として稼得者単位をとっております。したがいまして、先ほど国税庁から御説明申し上げましたように、その事業の実態を見て分別できない――それは財産の帰属からいろいろな態様があると思いますけれども、そういう場合には、その事業を主宰している人が課税単位となって、その奥様等の問題は、あるいは配偶者控除なり白色専従者控除なり青色専従者給与という体系で処理をされて、それはそれなりに合理的な制度だと私どもは思っております。 ただ、委員がおっしゃいますのは、むしろその主婦の税制上における位置としての問題となりますと、例えば課税単位の問題に発展してまいります。そうなりますと、これは事業をやっている方だけじゃなくて、一般のサラリーマンの主婦の労働を税制上どう考えるかという問題、非常に広範な問題を含んでおりますが、従来、課税単位につきましては各国ともいろいろな変遷をたどってきておりまして、二分二乗でやっているところもあればN分N乗をやっているところもございますし、分割しないところ、いろいろございますが、我が国の戦後とられました稼得者単位の課税単位は、それなりに定着もしておりますし、非常にわかりやすいという面もございまして、税制調査会では、課税単位について今直ちにこれを検討すべきであるという熟した議論にまでは至っていないのが現状でございます。
○簑輪委員 問題はやはり事業所得についてですね。結局、事業主の勤労に伴う所得というものが、税法上明確に位置づけられないというところからくると思うのです。配偶者の問題も子供の問題も、自家労賃としてこれを制度上正しく位置づけるということを私は強く求めたいと思います。特に、今後ますます社会が発展し、男女も対等平等に職場に進出し、そして働く婦人もどんどんふえる今日、そういう平等の条件が税の上でも整わないということになりますと、不公平感はますます拡大するということを強く指摘しておきたいと思います。 そこで、中小企業庁にお伺いします。中小企業者のうちで白の専従者控除を受けている者というのはどれくらいありますか。
○前田説明員 その数字は、申しわけありませんが、手元に用意しておりません。
○簑輪委員 国税庁はわかりますか。
○冨尾政府委員 白色専従者控除の利用状況については、私どもデータを持っております。それによりますと、一番新しいデータは昭和五十八年分でございますが、納税者数が百六十三万人、利用人員が五十万人でございます。利用割合が三一%。それから、控除された専従者の数が六十一万人でございまして、利用者一人当たり、つまり申告をされておられる方一人当たり専従者が一・二人、その金額が合計で四十八万七千円というのが私どものデータでございます。
○簑輪委員 今までの論議を中小企業庁として聞いておられまして、中小零細業者が大変厳しい経済状況のもとで苦労をして努力しておられるわけですけれども、中小企業対策として、税制の面でももっと改善するように求めるというのが、中小企業庁の姿勢としてあっていいのじゃないかと私は思うのですけれども、税制面での中小企業庁としての大蔵省に対する要望というのはどうなんでしょうか。
○前田説明員 我が国で中小企業が占めます比率というものは、事業所の数でいいまして九九%、従業者数で八一%ということで、我が国経済に大変重きをなしておるわけでございまして、あらゆる経済政策を考える上で、この中小企業に与える影響あるいは中小企業の状況というものを十分考えていく必要があるわけであります。このために、中小企業庁では、零細企業を含めまして中小企業者の要望を踏まえ、また他方で財政事情にも配慮しながら、必要な政策の実現努力をしているところであります。 先生御指摘の本件につきましても、中小企業団体の要望や、また先ほど来の御議論にありますとおりの税の体系等も踏まえまして、今後とも中小企業基本法第二十五条に定めます租税負担の適正化といった観点から、引き続き検討してまいりたいと考えております。
○簑輪委員 税制の要望を行うに当たっても、中小企業の実態を正しく踏まえた上でしなければならないというふうに思います。特に専従者控除の問題について申し上げますならば、四十五万が適切かどうかという問題も含めまして、業者婦人がいかに大変厳しい状況の中で懸命に頑張っているかということを、国も把握する必要があるというふうに思います。そこで、共同経営者として、あるいはさらにまた重要な戦力としての業者婦人の実態というものをぜひ調査をし、その要望等も含めて把握していただくようにお願いをしたいと思います。 時間もありませんので、あと一点だけあわせて御質問し、お答えをいただきます。 工業統計の方ですけれども、これは従業員一人から三大規模の企業については三年に一回しか調査しない、そういうすそ切りが昭和五十六年度から行われているわけですね。ほぼ一〇〇%を小零細企業で占める地場産業を、地域経済の担い手として政府みずからが強調しておきながら、実際問題としてこの零細企業の調査を行わないということになりますと、それが施策の面でも不十分な反映ということになるわけで、こうした工業統計のすそ切りというのは、理由は財政難であって、そのお金が二億円惜しいために切ってしまったということだと、本末転倒だというふうに思います。ぜひこのすそ切りをやめて、この実態調査をするように求めたい。あわせてさっきの業者婦人の実態調査とこの零細規模の実態調査をまとめて御回答いただきます。
○堀内説明員 御説明申し上げます。 工業統計調査につきましては、ただいま先生御指摘いただきましたとおり、昭和五十六年の調査以来、特定年次につきましては原則として従業者規模四人以上の事業所を対象として調査を実施してまいっております。しかしながら、従業者一-三大規模の事業所でございましても、極めて事業性の高い事業所あるいは政策的必要性等を勘案いたしまして、特定の業種につきましては、ただいまお話のございましたすそ切り年におきましても調査の対象といたしております。また、すそ切り年に調査対象とはなりません、従業者数が一-三大規模の事業所分の統計データにつきましても、合理的お推計方法を開発いたしまして、所要の補充を行ってきておるわけでございます。 さらに、工業統計データの重要性にかんがみまして、元号末尾がゼロ及び五の年並びにこれらの中間年でございます元号末尾が三及び八の年につきましては、一-三大規模の事業所分も含めまして全数調査を実施することとしております。したがいまして、本年も全数調査を行うべく、所要の準備を進めておる次第でございます。 以上のとおり、小規模企業政策を実施する上で、私ども統計を供給する立場の者としまして、遺漏のないよう万全を期しておるところでございます。 以上でございます。
○堀之内委員長代理 蓑輪君、時間ですから。
○簑輪委員 業者婦人の実態調査の点については……。
○前田説明員 中小企業団体中央会、商工会連合会等、中小企業者の声を十分反映し得る多くの団体がございますので、それらの方々の声も十分聞きつつ、適正に対処してまいりたいというふうに考えております。
○簑輪委員 時間が参りましたので終わりますけれども、私が申し上げました業者婦人の実態調査というのは、特にやっぱり意識してやっていただかなければならない、このことを強く申し上げておいて終わります。
○堀之内委員長代理 次回は、明二十七日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後八時三十六分散会