商工委員会エネルギー・基礎素材及び鉱物資源問題小委員会 第1号
- 発言数
- 8 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1985/06/05
会議録
○渡辺小委員長 これより商工委員会エネルギー、基礎素材及び鉱物資源問題小委員会を開会いたします。 この際、一言ごあいさつ申し上げます。 前国会に引き続き、私がエネルギー、基礎素材及び鉱物資源問題小委員長に選任されました。小委員各位の格別の御協力をよろしくお願い申し上げます。 エネルギー、基礎素材及び鉱物資源問題に関する件について調査を進めます。 本日は、特に最近の資源エネルギー情勢及び基礎素材産業の現状について政府から説明を聴取いたしたいと思います。 まず、最近の資源エネルギー情勢について政府から説明を聴取いたします。柴田資源エネルギー庁長官。
○柴田(益)政府委員 それでは、お手元にお配りしてございます「最近の資源エネルギー情勢について」という資料に基づきまして説明させていただきたいと思います。 この資料、最初の日次に出ておりますように、石油を中心とした最近のエネルギー情勢と、もう一つ、資源関係では、最近問題になっておりますレアメタルの現状を中心にまとめてございます。あと、資源エネルギー政策の体系、予算等は御参考までに後半の部分に添付してございます。 まず一ページから、「国際石油情勢」でございます。御案内のことが多いと思いますが、一応数字を整理してございますので、御説明させていただきます。 一ページの最初の参考資料1にある表に出ていますように、自由世界の石油需要は、第二次石油ショック後の一九八〇年から八三年まで四年連続して減少してまいりました。八〇年には前年度比で五・二%、以下四・〇、三・六、一・七とそれぞれマイナスしてまいりまして、ざっと一五%程度、八三年は減ってまいりました。昨年度、一九八四年で二%ぐらい、若干回復するということでございまして、第二次石油ショックのときも、自由世界の石油需要の絶対数は一九七九年で五千二百万バレルだったわけですが、五年後の八四年には四千六百万バレルというような落ち込んだ数字になっておるわけでございます。 こういうような需要の落ち込みに対応しまして、参考資料2、後段の表でございますが、世界の原油生産の状況を逐年書いてございます。世界の生産も四年連続減少でございまして、需要の低下に対応いたしまして、八〇年、八一年、八二年、八三年、そこの一番目の欄にございますように生産も減少しておりまして、八四年、昨年二・三%、若干の回復という状態でございます。 一九七九年、第二次石油ショック当時六千三百万バレルという全世界の生産数量があったわけでございますが、これが、一九八四年、五年後には五千四百万バレル、ざっと一千万バレル生産が落ち込んでおります。その落ち込みは、その表の中ほどにございますOPECにしわ寄せされているわけでございまして、OPECは、一九七九年当時三千百万バレル、自由世界を一〇〇といたしまして全体の六三%のシェアを占めておりましたけれども、一九八四年、昨年はOPECの生産は、一番右側の方にありますが、千七百万バレルということで、自由世界に占める生産のシェアも四四%、非常にシェアが落ち込んでおります。そういう意味で、OPECの市場支配力は急速に低下しつつあるということが言えようかと思います。OPECとそれから北海原油を中心とする非OPEC、その非OPECの中には中国等の共産圏も入ってまいりますが、そういうところとアメリカのメジャーと、三者三すくみで今市場支配が行われているというような状態かと思います。 その次、二ページでございますが、価格動向の推移を書いてございます。 ごらんいただくとおわかりになりますように、昨年来、価格は非常に弱含みでございまして、その二ページのところに数字の入った表が整理して書いてございます。御案内のように、一番左側の方がアラビアン・ライトで、公式販売価格は、上にちょっと数字が出ていますが、GSP二十八ドルでございますが、ことしの五月の第三週は二十六ドル九十ということで、これはスポット価格の推移でございますけれども、スポット価格がGSPを一ドル以上下回っております。 それからアラビアン・ヘビーも、GSPは二十六ドル五十でございますが、五月の第三週は二十五ドル三十と、これも一ドル以上落ち込んでいるということでございます。 それから北海原油のブレンドでございますが、GSPは二十八ドル六十五でございますが、ことし五月の第三週は二十六ドル三十五と、これも二ドル以上落ち込んでいるということでございます。 最近の現地からの情報等総合しますと、このGSPがこのまま維持できるかどうか、さらにこの七月のOPEC総会で下がるかどうかが注目されているところでございます。一口で申しまして、石油価格が非常に軟化傾向であり、ずっと下がってきているということかと思います。 以上が価格動向でございます。 三ページでございますが、「我が国のエネルギー需給動向」でございます。 以上のような世界の石油を中心とした需給動向を反映しまして、日本もその例外でないわけでございます。 我が国のエネルギー需給の推移を見ますと、参考資料4にありますように、一番上の欄の一次エネルギー総供給量、原油換算百万キロリッターでございますけれども、五十五年、五十六年、五十七年、三年連続して一次エネルギー全体の供給が減ってまいりまして、それから国内最終需要、これも五十五年、五十六年、五十七年、三年連続減ってきております。一昨年になるわけですが、五十八年度で、猛暑、厳冬という季節的要因もありますし、それから景気も全般的に回復しまして、一昨年は供給面では六・六%、需要面で五・三%と回復いたしました。 GNP原単位、一億円当たりのGNPを生産するために必要なエネルギー量でございますが、原油換算のキロリッターで表示しております。これも五十五年からずっと減ってまいりましたけれども、五十八年は百九十四キロリッターということで若干上がってしまいました。使用量が若干戻ったわけでございますが、これは景気の回復で需要が増加するときはこういう状態が起きます。そういうように五十八年に若干持ち直したということでございます。 五十九年度は今集計中でございますが、五十八年度に比べて若干の増加、特に電力を中心として若干の増加があるというふうに推定されております。 それから、参考資料の5でございますが、エネルギー供給構造の推移でございまして、四十八年をベースにして五十四年以降逐年の供給構造の推移を数字で示してございますが、一番下の五十八年度で見ていただきますと、一次エネルギー総供給量が四億一千四百万キロリッター、そのうち石油が二億五千六百万キロリッターでございます。代替エネルギーが一億五千八百万キロリッター、石油依存度が六二%でございます。 第一次石油ショック当時、石油に対する依存度が七八%ございました。油づけであったわけでございますけれども、一次ショック、二次ショックを経まして、おかげさまで総合エネルギー対策を推進してまいりまして、石油依存度の低下を図ってまいったわけでございますが、五十八年度は六二%ということでございます。長期的にはこれを五割以下にするということで今努力しているところでございます。 代替エネルギーの中では原子力が非常にふえてきているわけでございまして、石油換算で四十八年当時はたった三百万キロリッターしかなかったものが、五十八年度は三千万キロリッターということでございます。 次に、四ページでございますが、「主要先進国のエネルギー供給構造比較」でございます。 これは八三年の数字でございますが、主要先進国のエネルギー供給構造を比較しますと、まず日本の場合、一次エネルギーの輸入依存度が非常に高い。これは上から二行目でございますが、八二%と非常に高いわけでございます。アメリカは一次エネルギーの輸入依存度は一二%であり、ドイツは五〇%、フランスは六三%、イギリスは逆にエネルギーの輸出国になっております。 それから、石油依存度も日本の場合、非常に高いわけでございますが、一番特徴的なことは輸入原油のホルムズ依存度でございまして、下から二行目でございますが、輸入原油のホルムズ依存度が日本の場合は六二・八%、米国の場合は一二・三%、西独一九・九%、フランス三八・五%というような状態でございます。さらに、一番下の欄で一次エネルギーの中東依存度、これでいきますと日本は中東にエネルギーを依存しているのが三五・三%でございますが、アメリカはたった一・二%ということでございまして、あるいはドイツも五・三%。やはりイラン・イラクの紛争というものについてアメリカはエネルギー上はそう心配していない、その影響から既に脱却してしまったということであるわけでございますが、日本の場合はイラン・イラク紛争、中東情勢が日本のエネルギー情勢に非常に響いてくるということが言えようかと思います。 それから、四番目が「今後のエネルギー需給見通し」でございますが、御参考までにIEAの世界の石油需給の表を掲げてございます。これは一昨年、八三年五月に発表した、最新時点でのIEAの長期的な需給見通してございまして、我々もこれを政策の参考にしているわけでございますけれども、今はだぶついておりますが、五年後の一九九〇年になりますと、一番下の欄に「超過需要」という欄がございまして、一ないしマイナス一と書いてございますが、プラスの場合は需要が超過する、それだけ不足するということでございまして、一九九〇年、今から五年後には世界の石油需給は百万バレル不足、二〇〇〇年には八百万バレルないし四百万バレルの不足ということで、中長期的には石油需給はまた逼迫化してくるということでございます。 その主たる原因は、上の方の欄の中で、世界の石油需要、やはりOPECと非OPECの発展途上国の石油需要が非常にふえてくるということでございます。OECDはもう既に先進国でもございまして、今後石油需要はそれほどふえませんが、非OPECの発展途上国の需要が非常にふえてくる、それが需給に影響してくるということでございます。 次に五ページでございますが、我が国の長期エネルギー需給見通しが掲げてございます。これも昨年のこの小委員会で説明してございますので、御参考までにということで、内容は省略させていただきます。 以上がエネルギーの需給状況でございます。 六ページ以降がレアメタルでございまして、レアメタルに入らせていただきたいと思います。 まず、「レアメタルの需要と供給の現状」でございますが、需要面を見ますと、「クロム、コバルト等のレアメタルは、各産業、国民生活の全般において重要な役割を担っている。」ということで、参考資料9に国内消費量の大きいレアメタル七鉱種の主な用途を掲げてございます。ニッケル、クロム、タングステン、コバルト、モリブデン、マンガン、バナジウム。そこに書いてございますように、各種の特殊鋼、耐熱合金等として自動車、工作機械、ジェットエンジンあるいはVTR、電池、そういうものに不可欠な資源であるわけでございます。 以上の七鉱種は、従来から重要なものとして言われているわけですが、下の②にあります新しいレアメタル、これが最近重要性が非常に注目されているわけでございまして、ガリウム、ニオブ、レアアースというのが書いてございますが、こういうものは「超」SI、レーザー発光等の開発に必要不可欠な超電導性機能、半導体性機能等の新機能を生み出すためにこということで、こういうものに必要なレアメタルでございます。 ガリウムにつきましては将来二〇〇〇年の需要は現在の百倍に達するであろう、ニオブの場合は、そこに書いてございますように核磁気共鳴医療器とかリニアモーターカー等々に使われます。現在の四十倍の需要。レアアースにつきましてはレーザー発光素子等の用途に用いられますが、現在の六倍の需要というような形で需要予測が行われておりまして、この確保が大きな問題になってきたわけでございます。 こういう需要の将来の伸びに対しまして、七ページ、供給の現状が書いてございます。一口に申しまして非常に不安定である、経済的に不安定というよりもむしろ政治的に不安定であるということでございまして、参考資料11にありますように、このレアメタルの主要生産国はソ連とかあるいは南アフリカ、ザイール等々でございまして、東西関係あるいは南北問題、人種問題ということで政治的に不安定な地域が中心になっているわけでございます。 しかも、こういう鉱種につきましては、一番右側にございますように、いずれも我が国の輸入依存度は一〇〇%近い輸入依存度を示しているということでございます。ただ、この中でレアアースにつきましては、一番下の欄にございますようにアメリカとかオーストラリアということで先進国が中心で、割合に安定しておりますが、それ以外のものは不安定だということが言えようかと思います。 こういうことで、レアメタルの安定供給対策としまして、七ページの一番下でございますけれども、まず備蓄を始めているわけでございまして、この七鉱種のレアメタルについては五十八年十月から備蓄を開始しております。 備蓄のやり方といたしましては、八ページの一番上でございますが、国家備蓄、共同備蓄、民間備蓄の三形態で行っております。国家備蓄は全部国の費用で行う、共同備蓄は民間と国と両方の費用負担で行う、民間備蓄は民間の費用で行うということでございまして、現在は備蓄目標が、上から四行目に書いてございますが、六十二年度末までに国内消費量の六十日分ということで、内訳が国家備蓄が二十五日分、共同備蓄が二十五日分、民間備蓄が十日分という目標でやっておりまして、おかげさまで予算等もついてまいりまして、六十年度、本年度末には二十一・六日分の備蓄ができる予定になっております。 また、こういうふうにレアメタルにつきましては、当面、備蓄をすると同時に、探鉱開発、技術開発を進めているわけでございまして、八ページの後段にございますように、レアメタルの探鉱開発につきましては、国内の賦存状況調査、これは六十年度からそういう予算をつけております。それから海外につきましては海外探鉱成功払い融資、成功すれば返してもらうけれども失敗すればしようがない、これは石油の探鉱についてもそういう制度をとっておりますが、そういう制度をこれも六十年度から発足させております。 それ以外に、レアメタルの技術開発といたしまして、レアメタルの探査技術開発あるいはレアメタル高度分離精製技術開発あるいは未利用レアメタル有効活用研究協力、そういう技術開発にも努めて、安定供給に支障を来さないよう努力しておるところでございます。 以上がこの資料のレアメタルの概要でございます。 九ページ以降は、現在我々が行っておりますエネルギー政策の体系について整理したものであり、あるいは予算でありますので、説明は省略させていただきます。 以上でございます。
○渡辺小委員長 御苦労さまでした。 次に、基礎素材産業の現状について政府から説明を聴取いたします。矢橋大臣官房審議官。
○矢橋政府委員 お手元の資料に即しまして、特定産業構造改善臨時措置法の施行状況につきまして総括的に御報告申し上げます。 本法は五十八年五月以来施行させていただいているわけでございますが、同法の対象となる特定産業といたしましてこれまでに二十六業種を指定しております。具体的には二枚目、三枚目に表がございますけれども、そのような二十六業種を指定しているところでございます。 これらの特定産業につきましては、構造改善の指針となるべき構造改善基本計画が策定されているわけでございますが、各業種におきましてはこれに従いまして、まず第一には過剰供給能力削減のための過剰設備の処理を行っているところでございます。目標量は業種によってもちろん異なりますが、平均処理目標率は二三%となっているわけでございます。二番目には、生産、流通等の共同化など事業の集約化を推進しております。三番目には、原燃料コストの低減、製品改良等活性化のための設備投資、四番目には技術開発の推進、こういった内容を含む構造改善をそれぞれ実施しているわけでございます。 これらの状況を若干具体的に御説明申し上げます。 二番でございますが、産構法が施行されましてちょうど二年を経過するわけでございますが、この間の構造改善の進捗状況を見ますと、それぞれ構造改善基本計画に定められた所期の目標の達成に向けて、総じて着実に構造改善に努めてきているものと評価できるのではないかと考えているところでございます。 まず、構造改善の第一の柱でございますところの過剰設備の処理でございますけれども、中には構造改善基本計画が告示されてから日の浅い業種もございますので、進捗状況は業種によってさまざまでございます。例えば、今年に入って告示をいたしましたフェロクロムとかフェロニッケルとかあるいはスチレンといったものはまだゼロでございます。他方、アンモニア、フェロシリコン、塩ビ管、合繊四業種等は既に終了しております。 そういうふうに業種によってさまざまでございますが、六十年三月末時点で単純平均いたしますと、処理目標量に対しまして五八%、約六割が処理済みとなっております。 なお、そこには書き漏らしておりますが、指示カルテルが行われております業種は七業種ございます。 二番目に、事業の集約化でございますが、現在までに十二業種につきまして三十件の事業提携計画の承認を行っております。その主な例がそこに書いてあるわけでございますが、ポリオレフィン及び塩化ビニール樹脂におけるそれぞれ四共販会社を核とする生産、流通面の合理化、セメントにおける五共同事業会社を核とする生産、流通面の合理化、湿式燐酸及び化成肥料における合併、生産集中などでございまして、いずれも事業提携を活用し、個別企業の枠を超えた合理化に取り組んでいるところでございます。 このほか活性化のための設備投資、例えばアンモニアの原料転換とか、アルミの共同火力の石炭転換といったようなものがその例でございますが、そういった活性化のための設備投資や技術開発についても積極的な取り組みが見られるところでございます。技術開発につきましては、表の中にもございますように、例えばフェロクロムの溶融還元法、ポリエステル長繊維の高効率合繊製造技術等々でございます。 これら構造改善に取り組んでおります各業種の現況でございますけれども、まず五十九年度上期の生産状況は、内需の堅調などもありましてかなりの業種において増加が見られております。過剰設備の処理とも相まちまして稼働率の向上が見られているところでございます。五十九年度下期につきましてはまだ統計は出そろっておりませんけれども、これと同じ趨勢にあるものと考えております。 五十九年度の収益動向はおおむね改善の方向にございますが、多くの業種におきましては、いまだ経常損益ベースでの赤字を解消するまでには至っていないものと見込んでおります。 今後の見通してございますが、例えば石油化学について見ますと、低廉な天然ガスを原料とするカナダ、サウジアラビアからの石化製品の輸入が本格化するなど、各特定産業においては楽観を許さない事態も予想されます。引き続き基本計画に即して構造改善目標の達成に向けて努力する必要があると考えているところでございます。 簡単でございますが、以上をもちまして御報告とさせていただきます。
○渡辺小委員長 御苦労さまでした。 次に、主要基礎素材産業の現状について政府から説明を聴取いたします。野々内基礎産業局長。
○野々内政府委員 基礎産業局長でございます。 お手元に「主要基礎素材産業の現状」という横長の資料がお配りいたしてございますので、これに基づきまして、鉄鋼、石油化学、アルミという主要な素材産業につきまして最近の事情を御説明させていただきます。 まず鉄鋼でございますが、粗鋼生産は、五十九年度はやや回復ぎみでございまして、右の備考にございますように、一億六百四十六万トンの生産が行われました。最近鉄鋼は引き続き不況でございまして、五十七、五十八暦年が一億トン割れでございましたので、三年ぶりに一億トンを超える状態でございます。 輸出は大体三千万トン程度で、横ばいか微増という状態でございます。国内が公共事業、土木関係が落ち込んでおりますが、機械、設備投資がふえているということで、国内の鋼材消費は緩やかな伸びでございます。 輸出は、従来アメリカ向けがトップでございましたが、後ほど御説明申し上げますように、アメリカ向けは自主規制を本年から行いますのでかなり落ち込んでおりまして、現在では三千万トン中九百万トン近いものが中国向けでございまして、中国が我が国にとりましての鉄鋼の第一のマーケットになったという状態でございます。ただ、アメリカ向けはかなり値の高いものが売れておりますので、量といたしましては中国向けで伸びてはおりますが、収益への寄与から申しますとマイナスであるという状態でございます。 問題は輸入でございまして、近年鋼材輸入が相当増加をいたしております。備考②にございますように、普通鋼鋼材で見ますと、五十七年度百九十万トンから五十八年度三百二十四万トン、急増いたしております。五十九年度三百一万トンで若干落ちついておりますが、これは為替が円安になったという事情及び国内における競合商品の値が下がっているということで、輸入をしてもメリットがないという状態で落ちております。 相手国といたしましては、韓国、台湾、ブラジル、これが御三家と言っております大口でございますが、そのほかルーマニア等の東欧圏、あるいはヨーロッパですとギリシャ、スペインなどからの輸入もございます。 我が国は製品の輸入が少ないということで諸外国から非難を受けておりますが、この日本の鋼材輸入の中は厚板、ホットコイルに集中いたしておりまして、国内の総消費の三割近いものがこの二つの品目で輸入されております。アメリカは日本が韓国からの輸入を制限しているのではないかという非難をいたしておりますが、韓国のアメリカ向けの輸出は半分が石油用のパイプでございまして、御承知のように我が国では石油の掘削が非常に少のうございまして、そういう需要がないというのがその原因でございます。 こういう事情をOECDにおける鉄鋼委員会その他に説明をいたしまして了解を求めておりますが、また円高にでもなりますと再び輸入が増大をする、特に厚板、ホットコイルを中心として輸入がふえるというおそれがございます。 次に、対米鉄鋼輸出自主規制問題でございますが、昨年の九月にアメリカは、大統領決定によりまして、輸入鋼材の国内消費に占める比率を一八・五%まで減らすということを決定いたしました。昨年末の段階では三〇%近いシェアにまでふえております。その後交渉いたしておりまして、昨年末に日本のシェアを五・八%に規制をする、昨年の日本のシェアが六・七%でございましたので、比率といたしましては〇・九%の減になります。 それから、中身としましては、六つのカテゴリー、それからその中に七つのサブカテゴリーを置くということでシェアの上限を設定をするということで、ことしの五月十四日に交換公文に署名をいたしております。 それで、六月一日、先週の土曜日から、アメリカ向けの鉄鋼輸出につきましては輸出入取引法に基づく取引承認制に移行をいたしております。この輸出商品に当たりましては、国内のメーカーに対しましては、輸出入取引法五条の三によりまして、輸出向けの国内販売につきまして生産業者協定を締結させ、それに通産省から販売数量を品種別に指示をいたしております。これによりましてアメリカの独禁法から適用が除外されるという状態になっております。 八四年の我が国からアメリカ向けの鉄鋼輸出はショートトンで六百六十万トンでございまして、これが五・八%になりますと、多分五百三十万トン前後になるのではないかと思います。したがいまして、ショートトンで百三十万トン程度の減少になります。我が国の総輸出が三千万トン強でございますので、ロングトンで言いますと百万トン強のものが減るということになります。 ことしの中国の景気状況いかんによりましてはかなり中国でカバーされるかと思いますが、中国も最近外貨事情等問題がありそうな情報もございますので、ことしの鉄鋼の輸出というものは余り楽観を許さないのではないかと考えます。 次に、二枚目をごらんいただきたいと思いますが、石油化学でございます。 業況は、五十八年の後半以降アメリカの景気の回復を背景といたしまして、日本向けの輸入が減少ぎみでございます。また国内の需要が増加しているということで、業況は回復ぎみでございます。 この備考①にございますように、五十九年にエチレンで四百三十九万トンの生産が行われました。一九%の増ということで、現在エチレンの設備はフル操業という状態でございます。この原因は、何といいましてもアメリカの景気を中心とします世界の景気回復によりまして、日本の輸入が減り輸出がふえるという状態でございます。 備考②にありますように、エチレン換算の輸入量は五十九年が四十二万トンでございますが、輸出が四十一万トンで、現在石油化学製品につきましては輸出入がほぼバランスをいたしております。従来は圧倒的に日本の輸出が多かったわけですが、輸出が減り輸入がふえるという状態で、ことしはほぼバランスをいたしております。しかし、この内容の方の②にございますように、本年に入りましてサウジアラビア、カナダ等の新規プラントが本格的に稼働を始めまして、これが世界の輸出市場あるいは我が国に対してどういう影響があるかというのが大きな問題になっております。 備考の③にございますように、カナダは昨年稼働いたしまして、エチレンが六十八万トンでございます。サウジアラビアは六十年五月完成ということで、百六十万トンでございます。そのほかにまだシンガポールが稼働を始めておりまして、これら三つのプラントから日本に入ってまいります量、これは今後の取引いかんによりますが、製品で六十万トン近いものが入ってくる可能性がある、あるいは日本がそれを他のマーケットに売るという可能性がございます。 そういたしますと、現在我が国に入っております約四十万トンの石油製品にプラスしてこの六十万トン程度、我が国が輸入しあるいは他のマーケットで販売をするという必要が生ずるわけでございますので、現在の石油化学のよい状況というのはつかの間の状況ではないかという危惧がございます。 ③にございますように、今後はむしろ非価格競争力の強化に努め、あるいは積極的な市場開拓、特に技術開発が必要ではないかと考えております。今後は大量生産の汎用品から技術力を駆使いたしましたファインケミカルヘというふうに、各企業の経営も移行していくのではないかと考えます。 この(2)にございますように、中国との石油化学協力が最近クローズアップされてまいっております。本年一月基礎局から審議官が中国に参りまして、石油化学の協力について議論をいたしておりまして、五月末にこの③にありますように第一回日中石油化学協力実務レベル協議が行われました。これは東京で行われましたが、先方との協議で中心を要員研修――技術研修でございますが、それから樹脂研究所の設立あるいは改善、この二点を中心として今後協力を進めたいということになっておりまして、現在康世恩国務委員が日本にお見えになっておりますが、昨日も村田通産大臣との会談におきましてこの問題を確認いたしております。 研修につきましては先方は二年間延べ二百人の研修を希望いたしておりますし、樹脂研究所につきましては北京の近くにございます燕山のコンビナートの研究所をぜひよいものにしたいということを言っておりますので、七月に日本からミッションを派遣をいたしまして、このあたりの詰めを行いたいと考えております。 中国のプラスチックの消費量は現在年間一人当たり約二キログラムでございます。日本は五十四キログラムでございまして、日本は中国の二十七倍の消費をいたしております。もし中国がこの二キログラムを十キログラムまでふやしますと、それだけで樹脂の需要量が一千万トン増加をするということでございます。中国側は特にこの石油化学製品のダウンストリームの設備の改良について日本の協力を求めております。例えば農業用のポリエチレンフィルムというようなことを考えておりますので、今後積極的に協力をしてまいりたいと思っております。 それから、OECDの工業委員会の中に、石油化学に関する専門家会合が行われておりまして、五月二十三、二十四日にこれの第一回会合が行われまして、世界の石油化学をめぐる情勢につきまして先進国の中で情報交換をいたしております。私どもとしましては、今後こういう会合を定期的に開くことによって世界の石油情勢について間違いのない判断をするという手段にいたしたいと思っております。まだ必ずしも先進国間では足並みがそろっておりませんが、今後そういう方向で働きかけていきたいと思っております。 それから、五月十三、十四日の両日、京都におきまして化学と化学工業に関する国際シンポジウムが開催されまして、千二、三百名が学界、業界、官界から参加いたしております。ノーベル賞をもらわれました福井博士あるいは英国のサー・ジョージ・ポーターなどがお見えになりまして、化学の将来についての議論が行われております。若い研究者の方たちが大変喜んでおりまして、今後ともこういう会合はぜひ続けていただきたいということでございます。 それからその次のページでございますが、アルミニウムは基礎素材産業の中でも残念ながら特に業況の悪い状態でございます。製錬業につきましては地金の市況が大変悪うございまして、今トン当たり大体三十二万円ぐらいでございます。四十数万円ないとなかなか採算がとれない状態でございますが、非常に低い業態でございます。これはアルミの需要自体は毎年二、三%伸びておりますが、供給が過剰であるということで、特にLDCにおきまして国家企業、あるいは先進国の一部にも国家企業がございますが、こういうものがコストを無視して生産をし出荷をするという状態のために、どうしても需給がバランスいたしませんで、値段が低くなっております。 アメリカではかなり撤退をいたしておりまして、既に百万トン近い工場の閉鎖が行われておりますが、まだ残念ながらバランスをする状態に至っておりません。我が国もアルミニウムの輸入がどんどんふえておりまして、五十九年度は百二十八万トンでございます。新地金の需要が大体百七十六万トン、生産二十九万トンと考えますと、八割以上が輸入になってしまったという状態でございます。現在アルミの関税は、日本が九%、製品が一一・五、アメリカがゼロ、二・六、ECがアルミの塊が六%で板が一〇%という状態でございまして、今後このあたりが市場開放の絡みで問題になる可能性がございます。 こういう状況を踏まえまして、(2)にございますように、昨年十二月の産業構造審議会の答申で、現在ございます七十万トンの製錬設備を三十五万トンに削減をするということで、現在構造改善の途中でございます。また圧延業につきましては、需要は伸びてはおりませんが、過当競争のために相当程度の赤字になっております。このあたりは何とか安定的にいたしたいということで、近く需給協議会を発足させたいと考えております。 それから次に、前向き対策の一つを申し上げたいと思いますが、新素材でございます。 最近、各素材メーカーが新素材に取り組んでおりますが、昨年の四月に基礎新素材研究会を設置し、その中間報告を受けて六十年度予算の要求をし、成立をいたしておりますが、現在この新しくできた素材につきまして安心して使えるような試験・評価機能というものを整備する必要があるということで、セラミックにつきましては既に名古屋で設立の動きになっております。金属につきましては現在大阪が中心になりまして試験・評価センターの設立準備中でございます。プラスチック複合材料につきましては東京で化学業界が中心になりまして設立の動きがございます。今後、私どもとしましては、この三つの試験・評価センターを育て、安心して使える新素材というものを発展させたいと思っております。 この備考のところにございますのは、新素材のうち新たに政府として促進することになりました予算が書いてございますが、省略をいたします。 最後のページは、主要な基礎素材につきまして最近の生産量、価格推移の表でございますが、説明を省略させていただきます。 以上でございます。
○渡辺小委員長 御苦労さまでした。 以上をもちまして政府からの報告聴取は終わりました。 これより懇談に入ります。 〔午後一時四十六分懇談に入る〕 〔午後一時五十四分懇談を終わる〕
○渡辺小委員長 それでは、これにて懇談を終わります。 本日は、これにて散会いたします。 午後一時五十五分散会