商工委員会 第14号
- 発言数
- 224 件
- 登壇者
- 28 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1985/04/19
会議録
○粕谷委員長 これより会議を開きます。 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜西鉄雄君。
○浜西委員 中小企業問題について後ほど具体的に私の方からお尋ねいたしますが、総括的な問題として、中小企業の高度化の問題などいろいろ先般来論議をしておるところですが、まず商工業の九〇%を占めるという中小企業に対して何回となく今まで大臣の所信をお伺いしたところですけれども、やはりこの際、今から後の質問と関連がありますので、我が国経済に及ぼすこの中小企業をどのように受けとめておられるか、考えておられるか、基本的な考え方についてお答えをお願いいたします。
○村田国務大臣 実は、本日の閣議におきまして中小企業白書を閣議決定をしていただきました。御承知のように、中小企業白書は中小企業基本法に基づいて政府が毎年国会に提出するものでありますが、この内容は非常に重要であると思いますので、この際これを申し上げて、中小企業施策についての私の考え方としたいと思います。 今日、我が国の中小企業は需要の多様化、高度化、技術革新、情報化の進展などの需給両面での大きな環境変化に直面をしておりまして、この中で中小企業がその存立基盤の維持発展を図っていくためには、環境変化の行方を的確に見通しながら、技術、情報、人材という知的経営資源を積極的に活用して、柔軟かつ機動的に対応していくことが、重要で必要不可欠でございます。その意味で、中小企業が知的経営資源の活用に積極的に取り組み、我が国経済社会の創造的発展の原動力になるようにという期待を込めて、今回の中小企業白書には「変革の時代に挑む中小企業の課題」「技術・情報・人材」という副題をつけた次第でございます。 御承知のように、中小企業はまさに我が国経済の活力の源泉であり、我が国社会の安定基盤でもあります。国民生活の一番隅々まで浸透しておるのが中小企業だと思いますが、そういった意味で中小企業の振興を図っていくことが極めて重要でございまして、先ほど来申し上げておるような厳しい環境の中にある中小企業に対し、政府としては中小企業の技術力の向上、情報化への対応、人材養成の強化などの施策の一層の充実を図りまして、厳しい環境変化に積極的に対応し得る創意と活力ある中小企業の育成を図ってまいりたい、そういう気持ちで中小企業の振興を図りたい、このように思っております。
○浜西委員 白書の内容など、今大臣はその考え方を述べられました。そういった知的資源というものをこれからも大事にしながら日本経済の活力の中心としての役割、大変結構なことでありますが、そういった技術力向上など今からまだまだ力を入れていくべき面もありますが、その前に現在ただいまの状態で中小企業が果たして活力ある運営がなされておるかというと、一例をちょっと挙げますけれども、問題になる部分がある。 これはちょっと一例ですが、文房具の卸のような商社の場合、現行法によれば交際費四百万円を超えれば課税対象になる、それで商社ですからテーブルを挟んでいろいろ商談をしていくというそのものが、コーヒーを飲んだり食事をしたりということもあるでしょう、それが一つの営業活動であるわけです。つまりそういった意味では必要経費というもので見るべきじゃないか、そういう意見がたくさん上がってきておるのもあります。それから相続税の問題にしたって、持ち株つまり保有株に対しても課税対象になっておるとかそういう問題について、まだまだ税制上の問題として大蔵省とこれからも努力しながらその税制をもっと緩和してやるということも、活力を生み出す大事な側面であるということをこの際つけ加えておきたいと思いますが、本日は具体的に起こっておる深刻な倒産問題について私は質問したいと思って、この問題を今からお尋ねします。 きのう実は物持委員会の方でアルミ産業の問題について、つまり内需拡大あるいはこれからの国際競争などに関連をしてアルミ産業がどのような形になっておるのかという質問をしたわけです。ここで細々しく言う必要はありませんけれども、世界的に不況だということ、二百五十万トンの生産力を持っておるということ、そのうちの七十万トンが圧延式というか、つまり形材の仕事をやっておるわけですけれども、その形材、圧延業に属する山陽アルミというのが私の地元山口県の厚狭郡山陽町にあるわけでございますが、これが三月に工場閉鎖ということで、現在地元新聞では連日この問題が取り上げられておるわけです。このことについて通産省はどの程度知っておるのか、まず概要についてお尋ねしておきます。
○野々内政府委員 山陽アルミ株式会社の経営が行き詰まっております経緯につきまして私どもの承知しておる範囲で御説明したいと思います。 御承知のように、サッシとかエクステリアというようなものの材料になっておりますアルミ形材を製造いたしておりますアルミ押し出し業界でございますが、企業数が非常に多いということと、需要分野でございます建設関係の需要の伸びが鈍化しているということで非常に激しい過当競争のもとにありまして、また経営体質も非常に脆弱であるという弱点がございます。この状況で山陽アルミ株式会社は、過剰人員という問題もございまして生産性も低いということで、非常に弱い企業体質を持っていたわけでございます。このために五十五年度以降常に赤字決算を出しておりまして、六十年の二月末では累積損失が三億四千三百万円ということで、資本金の五千万円に比較いたしますとその七倍に近いような非常に大きな累損を抱えることになったと聞いております。こういう状況の悪化に加えまして、ことしの三月にこの会社の最も大きな取引先で、取引高の半分近く、重要な位置を占めております株式会社ウエエダというのが倒産いたしまして、これに伴いましてその債権が五億四千五百万円ございまして、これが回収不能になるという大きな問題が発生いたしました。このために累損が一挙に八億八千万円というような、資本金に比べますと十八倍に近いような巨額に達することになりまして、この会社の事業経営が困難になったと聞いております。
○浜西委員 こういった倒産ということで従業員が途端に生活権を奪われるわけですが、労働省は今回の問題についてどの程度知っておるのか、それをちょっと聞いておきたいと思う。
○廣見説明員 私どもの方も、今お話がございましたように、この会社が主たる取引先、取引商社が倒産したことによりまして膨大な累積赤字を抱えることになったということで経営内容が非常に悪化した、そういうことに伴いまして三月二十日に工場閉鎖をしたいという通告が労働組合の方にあったと聞いております。これに対しまして、組合の方はいろいろ打つ手もあるではないかというようなことを中心といたしまして、この企業がそもそも誘致企業ということできていることもあり社会的責任を果たすべきだということ、あるいは従業員のほとんど九割が地元出身の方でございますし、また平均年齢が非常に高いこともあって再就職が困難だということなど主張されまして、工場閉鎖に反対することになり、これを中心といたしまして労使紛争に至っている。概略このように私ども承知いたしております。
○浜西委員 そこで、この種のことについては企業誘致をした側、地元山陽町当局も大変心配しており、さらに山口県の段階でも誘致をした側に責任の一端があるというふうに私は理解しておりますが、とりあえず現地では四月十五日に臨時会を開いて、つまり山陽町議会を開いていろいろ決議したようであります。 ただ、この決議がどの程度効力を発するかはこれからの問題でありますが、つまりこれは長い間労働協約があって、三回にわたってずっと結ばれておるし、その途中途中で歴史的な紆余曲折があって、その労働協約をつくるについては立会人として古河アルミの総務部長も入っておるし、山口県の商工労働部長も入っておる、もちろん山陽町もこれに入ってそういう立会のもとにこれからの操業、労使安定、そういう取り決めをやっておる。その中で問題なのは、倒産をするような場合とかという重大な変更があるときには両者間が、十分事前に説明をしてこの取り扱いを決めることになっておるにもかかわらず、大変急な話で足元から鳥が飛び立つように、さあ解雇いたしますよ、希望者を募ります、希望がだめな場合には一定の日にちが来たならば直ちに全員解雇。これは具体的に言った方がいいと思うのですが、退職届を出しなさいという日にちからわずか十二日後に全員解雇というふうな非常にせっかちな、つまり一方的なやり方をやっておるわけです。 今まで私はこの種のことをいろいろ耳にしておりますが、こんなせっかちな一方的なやり方は大変遺憾だと思っておるわけです。労働省としては、こういった場合にもっと行政指導として十分労使が話し合う、そして再建なら再建についてのめども十分話し合って、しかる後に一定の結論を出す、そういう手法をとるべきだと私は思うのです。その点、労働省はどう考えておるか、簡単でいいですから説明してください。
○廣見説明員 ただいま先生お尋ねの件でございますが、私どもといたしましては従来のケース、例えば判例その他のケースにいろいろと注目しておるところでございますが、この件等を含めまして具体的な個々の問題につきましては、必ずしも個別具体的な形でいろいろと、例えば労使紛争がある場合にそれに入っていく、直接的に御指導するというような形、直接的にはそういう立場にはないだろうと思っております。具体的な労使紛争等のケース、工場閉鎖等に伴っても確かにいろいろのケースが従来も発生しておるわけでございますが、このようなケースは、通常、当事者がなかなか話し合いができないということであれば労働委員会等に持ち込まれてくるというケースが多いわけでございます。 ただ、もちろん労使紛争の解決はあくまで労使労事者の方々の意思疎通が最も重要なことである、そういうことで話し合いを積み重ねていくことによって最終的な解決が図られるのだというふうに私どもは考えておりまして、いかなる労使紛争につきましても当事者のできる限りの意思疎通によって円満な解決が図られるように私どもは期待しておるところでございます。
○浜西委員 それじゃ労働省はこの問題についてもっと具体的に、現地で粘り強く労使が十分話し合うようにさらに指導を強化してください。これは言っておきますから。きょうただいま、さらに強化するように、十分話し合えという指導の強化ですね。 そこで、通産省に私の方からお尋ねするのですが、このような場合、具体的に言った方がいいと思うのですが、現地では従業員が会社の操業継続は可能だということを言っておるのですね。つまり不渡りを、三月中には出るだろう、あるいは出すということがうわさされ、会社もそう言っておる。しかし、三月中には不渡りは出なかった。四月に入っても操業しておる。そういう状態の中で、ざっと試算をしてみると現在の運転資金が四億九千六百万円ほど何とか都合つけば継続できるわけでありますから、そういうふうなめどがある場合に、通産省として親会社の古河アルミにそういったことを具体的に働きかけて、今さっき大臣が、過当競争時代あるいは経営弱体の話もありました。そういったことにこれからてこ入れしなくてはならぬという、その方針に基づいて、具体的には今私が言ったような親会社の古河アルミにそういうことを指導する、現地で百人に上る人たちが路頭に迷うわけですから。しかも誘致企業であるということ。県も町当局もこれに対してはかなりの犠牲を払って、言ってみればいろいろなおぜん立てをして誘致に都合のいいような、会社側に随分優遇措置をしているわけですから、このままいきなりなくなるということでは、せっかく町民の税金でもっていろいろな施設をこしらえ、優遇をしたのに何にもならぬわけでありますから、そういったことを考えてそういう手だてをやるべきだ、そういうことを今後もやってもらいたいと思う。 それができない場合は本委員会に親会社の古河の社長に参考人として来てもらって、当局が、つまり通産省が直接そういうことができなければこの委員会で私は直接その点の打診をし、質問をし、お願いをするという場にしたいと思いますが、どちらの方法でも結構であります。もっと具体的にこの問題について対処すべきと思うが、その点についてお答えをお願いします。
○野々内政府委員 第一の、まず資金繰りの問題があろうかと思いますが、当面五億程度の金が四月末までには必要になるわけでございます。四月末に倒産というものを回避いたしますためにはその割引手形を買い戻すとか支払い手形の決済をするというようなことで、必要な資金としまして五億程度が必要かと思っておりますが、そのうちにも古河アルミの債権が相当ございますので、もし古河アルミが四月末に参ります期限のある債権について猶予するということでございますと、一億数千万から二億数千万ぐらいのお金があれば四月末は一応倒産回避されるということであろうかと思っております。ただ問題は、一時的な問題だけでは基本的な解決になりませんので、また五月以降も支払い手形の決済というような大幅な資金需要が顕在化してまいりますので、山陽アルミの倒産問題というものが依然として原因はなくなっていないということになろうかと思っております。 他方、親会社の古河アルミでございますが、圧延業界全体が非常に状態が悪うございまして、五十八年度の実績でも既に経常損失が五十一億円に達しております。累損が百三十七億円ということで古河アルミ自体が非常に厳しい経営状況にございますので、山陽アルミの経営の状況、これの回復の見込みが十分立たない状態では、古河アルミが自分の大幅な累損を抱えてなおかつ山陽アルミまで面倒を見るということになりますと、これは親会社の古河アルミ自体の問題にもなってまいりますので、なかなか難しいのではないかなというふうに思います。 商工委員会に古河アルミの方にお見えいただくのが適当かどうかにつきましては、別途委員長とも御相談をせぬといかぬと思いますけれども、こういう親会社の状況から見ますと、この山陽アルミに対して、より継続的かつ大幅な支援を要求するということはなかなか難しいのではないかというような感触がいたします。
○浜西委員 親会社との関係は今の御答弁で大体わかりましたが、それでもなおかつ何とか操業継続ということで現地では知恵を絞りながらお互いが今やっておるわけです。したがって、もし仮に話がうまくいかない場合には、従業員が一つの会社を経営するということになれば、現在までの債務の関係がかなりありますから、これを一口に言えば棚上げにして新しい出発ができるような現地での知恵、もしそういう話がまとまった場合には、通産省としてもこれに最大限の力なり知恵をかすのかどうか、その点についてお答え願います。
○野々内政府委員 私どもといたしましても、何とか会社が倒産を回避し、あるいは労使間で円満な話し合いがつくということを心から期待いたしております。大体債務が今二十億円くらいかと思っておりますが、当然債権者との話し合いもあると思いますけれども、そういういろんな問題が何とか円満に、信頼関係に立って話し合いが行われるということを期待いたしておりまして、そういうもののために、私どもとしてもできる限りのお手伝いをさせていただければありがたいと思っております。
○浜西委員 時間がありませんから端的に言います。 そこで、この問題の解決を少しでもいい方向へ促進するために、私がさっきからここで質問し主張しておるようなことを考慮に入れて、通産省は親会社の古河へ乗り込んでいって直接解決に向かって努力するように、もう一遍足を運んでもらうようにここでお願いしておきますが、それはよろしゅうございますか。
○野々内政府委員 先生のお気持ちも十分わかりますが、何分にも企業経営の問題あるいは債務の処理の問題でございますので、私どもとしてもお手伝いの限界があろうかと思います。しかし、本日こういう御議論が行われ、先生から御要望のあった点につきましても、古河アルミ、親会社の方に伝えまして、できるだけの措置をとるようにいたしたいと思っております。
○浜西委員 それでは労働省に。 こういう場合に最悪な状態が一応想定されるわけです。全く見込みの立たなくなる場合もあるだろうし、何とかぜい肉を切り捨てて、あるいは資産処分をしながら細々としてでも操業再開できるかもわかりませんし、先のことはわかりません、これからの努力次第。わかりませんが、最悪の場合、労働省として、労働者の生活権あるいは労働権、そういういろいろな権利を守るために打つ手というか、どのようなものがあるか。今まで大体この種のことについてどのような手を打ってきたのか、それをちょっと御説明ください。
○坂根説明員 山陽アルミの件でございますけれども、先ほど来お話がありましたように、解雇通告をめぐりまして労使交渉が行われているという現段階におきましては、御指摘の、組合によります再建というのがどのような形をとるのか必ずしも明らかでございませんが、一般的に言えば、工場の再建そのものにつきまして援助対策ということは労働省としては特段持っていないわけでございます。 しかし、いずれにしましても、労働省といたしましても、山口県あるいは公共職業安定所、そういう関係機関とも連絡をとりながら情報把握に努めまして、仮に離職者が出るというようなことになりました場合には、再就職の援助のための各種の対策をとる等によりまして雇用の安定に努めたい、こういうように思っております。
○浜西委員 持ち時間がだんだん少なくなりますのでちょっと焦っておるのですが、私も実は現地へ行って工場の様子も見、敷地の広さも見てまいりまして、あそこには雇用促進住宅が三十戸、これは独身ですね、それから家族用が六戸ですか建っており、そういう一つの条件の中で形成されておるわけです。だから立地条件は大変いいわけです。そして、国道沿いから二百メーター以上あるか三百メーター以内だと思いますが、幅が七メーターの大変いい道路も町当局が提供しておるわけでありますから、それら総体を含めて二万五千坪、これを時価に直せば、休遊地もあるわけですから、いろいろあの手この手で処分をし整理をすれば、多少縮小されても可能性はあるわけですから、今後とも通産省はそのような立場で古河にも物を言ってもらい、現地のそれこそ誘致側である山口県当局それから山陽町当局に対しても、せっかく決意をし、そういう腹を固めておるわけでありますから、それにこたえ得るような措置をしてもらいたいと思います。 一つ参考に言っておきますが、操業可能だという一つの見通しの中に、本来販路を持たないで、形材をつくっておったわけですが、これが大阪のウエエダという販売専門の会社にそれを卸しておった。その会社がいかれてしまったわけですから、いかれるぞということは大体想像がついて、途中でみずから販路を求める努力をした結果、かなりの部分みずからの販路をこしらえてきたわけですから、したがって、さらにもう少し努力すれば、ウエエダのような中間的に物を動かす販売ルートに乗せなくても、みずからが販売ルートをこしらえるだけの実績を既につくってきておるし、これからもその努力次第によっては可能性は開けておるわけでありますから、そういったこともひとつ参考に頭に入れてもらって、短兵急な結論を出すのではなくて、もっとじっくり分析をし、古河にもその立場で努力してもらうようにぜひお願いしておきたいと思います。 そこで、大臣に最後に私がお伺いするのは、結局この種の中小企業、本当に体質的にも弱い、そして過当競争の中で弱い者は淘汰されていくという運命にあろうかと思うけれども、そういう中小企業で、たまたま今回はテクノポリス構想の地域の中にある工場なんです。華々しくテクノポリスというものをうたいとげて先端産業の方向を志向しながら、あらゆる近代科学を集めて新しい一つの工業形成をなしていく、商業形成をなしていくということ、私はテクノポリスは大変結構なことであると思うのです。そういう華々しいったい文句で今それに取っかかっておる最中に、たまたまその地域内で、それこそ百人程度の従業員の企業でありますけれども、中小企業が倒産していくということはどうもちぐはぐで、通産全体の行政としてもこれを無視するわけにはいかないと思うのです。 だから、そういう意味で考えてみると、結局口では中小企業のことを、必要だ、育てなければならぬ、我が国経済の、言ってみれば商工業の九〇%を占める大事なところなんだと言っておきながら、肝心なところは専任大臣がおらない、それぞれの手続にしても何にしても各省庁にまたがって、非常に中小企業者としてもやりにくい状態のままずっと置かれておるわけです。 したがって、この際、そういうふうに中小企業は九〇%を占めるわけですから、これの主管省がないというのは大体おかしな話であって、主管大臣を置いて、中小企業省というものをきちっとつくって、そこで、今私が言っておるようにいろいろなことの見きわめをし、不況となればそれにどうてこ入れするか、そういうあらゆる手を打てるような省があるべきだ。これが一番今回の根源にあるのではないか。口では言うけれども主管する省がないために結局は事が起こって初めて何とかしなければならぬというふうに、先手を打つことのできる機能がない、そういう機能を発揮するところがないところに問題があると思うのです。この種の関係について私は中小企業大臣を置くべきだと思いますが、その点いかがですか。
○村田国務大臣 浜西委員の先ほど来の御質疑を承っておりました。特に具体的にアルミ圧延業の例を挙げられまして、こういった一般的には好況の中にあっても不況である、そしてまたテクノ地域というようなこれから浮揚する地域にあって特別なこういう例があるじゃないか、中小企業というものについて、政府は全体の九〇%を占めておると言っておるけれども、特別のそういったきめの細かい配慮をすべきではないかという御意見は、全くよくわかるわけでございます。 私は就任の際にも申し上げましたように、通産大臣は中小企業大臣でなければならぬ、またそういう気持ちで常に頑張るということを申し上げておるわけでございます。先ほども申し上げましたように、こういった技術革新あるいは情報化の進む中におきまして、言うなれば中小企業の中では、非常に苦しんでいらっしゃる、倒産も多い、こういった状態も事実あるわけでございますが、しかし自由主義経済体制の中で、ひとつ中小企業自体の体質をしっかりと改善をしていただき、そして、みずからの力によってこの経済社会の中で生き抜いていただきたい。また同時に、政府も中小企業全般に対するきめの細かい配慮をしてまいりまして、中小企業の振興は即国民生活の向上につながるわけでありますから、そういう気持ちでやってまいりたいということを特に強調させていただきたいのでございます。 中小企業大臣を設置せよという御主張も、理解はできるところでありますが、現在の状況下では、私は通産大臣自身が中小企業大臣として努力を懸命にすることによっておっしゃる主張に対して十分カバーできる、このような決意でおりますので、よろしくお願い申し上げます。
○浜西委員 時間が来ましたから、これで終わります。 ありがとうございました。
○粕谷委員長 浜西鉄雄君の質疑はこれで終わりました。 続いて、水田稔君の質疑に入ります。水田君。
○水田委員 私は、レジャークラブの会員権の問題についてお伺いをしたいと思うわけです。 けさの新聞にも出ておりましたが、例の金の現物を売って預かり証を出して、実際には金を返さないということで、全国で問題を起こしておる豊田商事の子会社である鹿島商事のいわゆるゴルフ会員権で、これはまさに詐欺まがいというよりは強奪のような形で会員権というのは使われている。 あるいはまた、ことしに入っても十億円の金を集めて池袋のレジャークラブが倒産してしまう、まさに紙切れになってしまう。そういう多くの会員権という形のものが詐欺まがいの商法としてまかり通っている。 そういう中で、例えば別荘の利用権というようなものもまたそういう会員権としてたくさん売られておるわけです。これは調べてみますと、契約の約款の中に権利なりあるいは担保、そういうものもないわけで、トラブルがたくさん至るところで起こっておる。 例えば豊田商事について言えば、岡山でいわゆる訴訟を起こした人たちが事務所の差し押さえをやったら、机といすしかなかった。金を預かっていますというが、金はないわけですね。そういうようなことがざらにあるわけです。 そういうことで、通産省の方でも消費者保護という立場からいろいろ苦情の持ち込まれることもあるし、調査もされておられると思いますが、そういう点がどの程度現実に起こってきて、またそれに対する対応策としてこれまでどういうことをやってこられたのか、まずお伺いしたいと思います。
○矢橋政府委員 五十九年度に入りましてからの状況でございますが、四月以降ことしの一月までの間に、私ども通産省の消費者相談室に持ち込まれましたレジャー会員権販売に関連をいたしますところの消費者相談事例数は、二十九件でございます。実はその間、全体の相談事例は七千八百件を上回っておりましたので、比率としてはもちろん小さいわけでございますが、しかし最近多くなってきておることは事実でございます。 それで、対策につきましては、従来から私ども本省と各通商産業局に消費者相談室というものを設けているわけでございますが、そこに消費者の苦情相談が寄せられました場合には、その相談に応じまして助言指導を行っているということ、それからまた、被害の未然防止のための消費者に対するPRを行っているということが主な対策でございます。 いずれにいたしましても、レジャー会員権取引につきましては、商品売買と異なりましてさまざまな形態が存在し、また非常に複雑な実態があるものが多いわけでございますので、その実態を十分把握いたしまして、それを踏まえた上で対応をしてまいらなければならない、かように考えておるところでございます。
○水田委員 商売をやる人というのは大変法律の専門家を抱えて、法に触れない、あるいはすれすれのところをやるわけですね。そして消費者の方はそれほどの知識のない人。人間だれしも欲がありますからね、そういう点ではつられるということがある。そういう点で、そういう相談に乗りながら、いわゆる法の不備といいますか、すれすれのところを抜けていく者に対して、何らかの対応策を講じなければならぬというようなことで検討なさったことはないのでしょうか。 これは新聞報道だけを見ても、単にレジャークラブの会員権だけではなくて、これまでに多くの被害者が出ておることは事実なんですね。だから金の先物取引では法律改正もやった、あるいは訪問販売の場合も問題が起こるということで法の改正もやる、そういう取り組みをしてきておるわけですが、これまでそういうたくさんな相談を受けながら、それに対して何らかの法的な措置を検討すべきではないだろうかという、そういうお考えはこれまでの間出てないわけですか。
○矢橋政府委員 相談のありました事例を見てみますと、ひっきょう、詐欺という名に値するような事例がかなりあるわけでございます。それで私ども行政法で対処いたします場合には、契約内容の明確化等それなりにもちろん手はあるわけでございますけれども、それでどこまで本質的な解決ができるかということにつきましては、疑問の面もあると思います。 ただ、いずれにいたしましても、普通の商品の売買と異なりまして、取引の内容、形態が非常に複雑でございますので、私どもといたしましては、まずそういった会員権トラブルを含めまして、役務取引全体につきましての実態把握と、それから対策につなげるための有為なといいますか的確な分類分け、それをまずやる必要がある、そしてそれに基づきまして有効とおぼしき対策を検討する、こういったことが必要だと考えておるわけでございまして、事態は深刻であることは承知しております。 そこで、昨年十一月でございますけれども、私ども産業政策局の中に役務取引等適正化研究会というものを設けたわけでございます。これは座長には東京経済大学の中村孝士教授にお願いをいたしまして、その中に三つの分科会を設けたわけでございます。一つの分科会は、今御指摘の会員制クラブの問題を議論する分科会でございます。これにつきましては、しばらく時間がかかりますけれども、今までに寄せられた苦情相談等をもとにいたしまして、実態把握と適切な分類分けを行い、そしてその後に対策を検討するという段取りにしているわけでございます。 このように、私ども放置しているわけじゃございませんが、何せ役務取引あるいは会員制クラブの問題等々、単なる商品の売買と違いまして非常に話が複雑でございますので、まず勉強から始めている、こういう段階でございます。
○水田委員 専門官庁がこれから勉強していくということですね。消費者というのはそういう点ではいろいろな仕事を人生を通じてやってくるわけですが、やってきたことについては専門ですけれども、これだけ多様な、それぞれが専門家を集めて法律すれすれのもうけをやっている、そういう中に巻き込まれる危険性というのは大変強いわけですね。 ですからそういう点から言えば、約款の問題なり、あるいは今いろいろなことをやられている、こういう契約をする場合にはこういう点は注意しなければなりませんという、いわゆる消費者に対する啓蒙、教育というのは、これは消費者行政の中で大変大きな役割を占めておると思う。そういう点はどういうぐあいにやられたのか。例えばそのために国は、具体的にどれだけの金をかけてどういうことをやってこられたのか、お答えいただきたいと思うのです。
○矢橋政府委員 ただいま御指摘の会員制クラブの問題を含めまして、取引をめぐる消費者保護という見地から、私ども、消費者に対するPRをかなり精力的に行っているつもりでございます。 と申しますのは、昭和五十八年度におきまして、約八千件の消費者相談を受けているわけでございますが、そのうち七〇%が契約にまつわる相談でございます。以前は、品質とか性能とか、あるいは表示、計量、安全性といったものが、消費者相談のマジョリティーを占めていたわけでございますが、最近はそれが逆転をいたしまして、契約関係が七割になってきたということでございます。その七割のもの全部が悪徳商法というわけじゃございませんけれども、その中に悪徳商法が目立っていることも事実でございますし、また特に老人等がねらわれやすいという事態もあります。 それで私ども、契約関係をめぐる消費者に対するPRというものについてはかなり努力をしているつもりでございます。例えばテレビで申しますと「ご存知ですか奥さま」という番組、パンフレットで申しますと「かしこい消費生活へのしおり」というものを毎回万の単位で発行いたしまして、これを通産局、地方公共団体、消費者団体あるいは各地の消費者相談窓口に配付するといったことをしているわけでございます。そのほか新聞、ラジオ、講演会その他いろいろな方法を使いまして、PRに努めているわけでございます。 ただ、率直に申し上げますと、次々と新手の手口が出てまいりまして、先取りしてPRするということも実際問題なかなかできませんので、そこのところが問題といえば問題でございます。その点につきましては私ども今後とも十分なウォッチを続けていきまして、間髪を入れずに対策が講ぜられるようにしたいと考えております。 それからもう一つ、一定の地域、ある特定の商品あるいはある特定の形態につきまして集中して被害が起こる場合が多うございます。特に、先ほどお挙げになりました会社の例もそうかと思いますけれども、特定の企業につきまして問題が起こることが多うございます。そこで、訪問販売の形式をとるそういった消費トラブルにつきましては、トラブルの公表制度というものを行いたい、このように考えているわけでございまして、ほぼ成案を得ましたので、なるべく早くそれを実施に移したいと考えておるところでございます。
○水田委員 答弁は簡単にお願いしたいのです。 今お伺いしたのは、消費者に対してどういうPR、啓蒙をやっているか、予算はどれだけ使っておるか——予算を幾ら使っているとも言っていないのです。それが十分であればこれだけの被害者が国内で出るわけがないのですね。法律上の対策は一面検討していくにしても、現実に被害が出ないような方法、消費者に対する約款の問題についての教育が日本ではおくれていることがこういう問題を起こしているわけです。後の質問に入りますから答弁はよろしいですが、そういう点が欠けておることが今日の事態を巻き起こしている、こういうぐあいに私は申し上げておきたいわけです。 そこで、さっきのいろいろな苦情申し立てがあった中で、きょうお伺いしたいのは、蓼科ソサエティクラブの会員権の問題です。これは、どういう、どの程度の相談があり、それに対してどういう助言をし、指導をされたのか、その内容をお伺いしたいと思います。
○矢橋政府委員 先ほど、今年度に入りましてから会員権トラブルの相談が二十九件あると申し上げましたけれども、そのうちただいま先生御指摘の案件についての相談は五件ございます。 その例でございますが、購入提携先がT百貨店ということで信用し、F社とレジャー会員権の契約をしたが、施設内容が悪く、セールスマンの話と違うので解約したいが、会社側は三千口達成後でないと解約できないと言う。それから、譲り渡し自由ということでF社よりレジャー会員権を購入したが、譲渡しようとしたところ、会社側はあっせんできないと断られた、セールストークと実際の話が違うが法的保護はないか、こういった相談でございます。
○水田委員 その相談に対してどういう指導助言をされたかということが答弁漏れですから、答えてください。答弁は簡潔に要点だけ言っていただきたいと思います。
○矢橋政府委員 当事者間で話し合うようにあっせんをいたしておりますが、全部が解決したかどうかはちょっと承知をしておりません。
○水田委員 当事者間での話ということですが、簡単につくのであれば千人近い人が——こんなけしからぬ話はない。 そして今審議官はTという頭文字を言われましたけれども、これは私も信用しておるのです。高島屋という大手の百貨店が提携販売で売ったわけです。委員長に御了解いただいて、審議官にちょっとこれを見ていただきたいと思うのです。——この会員権の販売をしておるのは富士コンサル株式会社という会社なんです。それをごらんになってもどこにもその名前は出てないわけです。 内容的に言いますと、昭和四十八年から売り出したけれども、その名前では売れなかったわけです。五十年に高島屋が提携販売を始めてからそういう文書が、恐らく高島屋の顧客名簿に基づいてあるレベル以上のところへダイレクトメールでたくさん送られたわけでしょう。そしてこんな立派なパンフが行くわけです。夢のようなあれですね。そして金を払って契約しますと、株券と同じような立派なものが——これもごらんいただいて結構ですが、委員長、許可をいただきたいと思います。こういうものが来るわけです。そしてこの説明の中には、二年たったらこの会員権の売買は自由でお世話します、最終募集価格が一口四百万円の予定、二年後譲渡自由、こう書いてある。こういうのを渡しておるわけですね。しかし、契約の中には何にも書いてないわけです。実際に利用しようとしますと、これは夏のわずかな期間しか使えないわけですから、たくさんの会員がおりますとなかなか予約がとれない、あるいは設備が大変不備な点がある、そして利用料は大変高いというようなことなどから、たくさんの人から不満が出たわけです。 一つは、こういう大手の百貨店が前面に出ておるわけですね。これは賢い消費者になれといったところで、人間というのはテレビで宣伝されたこととか長い歴史を持った会社だとか、そういうものを信用しがちなんですね。今ごらんになった文書を消費者が受け取ったときに、これは高島屋が責任を持って売っておるのだなとだれしも受け取ります。私も受け取ります。審議官、あなたがごらんになってその点はどうですか。そこには富士コンサル株式会社はどこにも出てないです。
○矢橋政府委員 その点については先生仰せのとおりかと思います。
○水田委員 もう一つは、これは恐らく法人登記も何もしてない任意の団体ですが、会員権にはレジャークラブ蓼科ソサエティクラブとなっている。この中を見ますと、理事長から理事までずっとおるわけです。理事長はあの有名な黒川紀章さんです。さらに理事の中には、有名な、臨教審の中で活躍しておる中曽根総理のブレーンである学習院大学の香山健一、これも審議官に見ていただきたい。これだけのことをすれば普通の人はだれでも信用するでしょう。審議官、どうですか。高島屋というものがそういう書類を出して販売する、そしてこのクラブはそういう方々が理事会を構成してやっておるんだ、そういう宣伝がされればだれしもが信用するのは当然でしょう。いかがですか。
○矢橋政府委員 仰せのとおりかと思います。
○水田委員 今会員権をごらんいただいたのですから、その会員権によってこのレジャークラブの会員になった人がどういう権利があり、またセールスマンの言葉によりますと、これから大変値が上がる、というのは、周囲を国定公園に囲まれて、ほかには全くもうこれから開発できないところなんだ。最初は百三十万から販売を初めて、最終が四百万。今二百八十万で売っておるわけですね。そして三千口全部売れたら譲渡しましょう、こう言う。ところが、その隣に伊藤忠からさらに買いまして三千口別のクラブの会員権を売っておるわけです。それは二百三十万円なんです。そして、その新しいクラブの人は、ビジターの料金千五百円払えば今の蓼科ソサエティの施設は使えるわけですね。同じところにあって、片一方の方が施設が新しいだけいいんです。それが二百三十万円で片一方は二百八十万なら買う者はおらぬですね。そしてこれは三千口売れたか売れぬかというのはだれも確認しようがないのです。そういう形で会員権が売られておる。 審議官、その会員権でどういう権利、あるいは相手方、富士コンサルという会社に義務があるのか、どういうぐあいにお感じになりますか、お答えいただきたいと思います。この会員権で、株券のように裏には名義の書きかえのあれもちゃんと入っています。いかがでしょうか。
○矢橋政府委員 会員の権利といたしまして、施設を優先的に使用する権利、それから預託金についての権利が生ずるものと思いますが、実は私、契約書の現物を見ておりませんので、一般的には恐らくそういうことであろう、このように感じて申し上げたわけでございます。
○水田委員 そこへ、これは百五十万とか百七十万で買った会員権を渡したのです。その会員権でどういう権利義務があるのですか。そういうものが百何十万とか今二百八十万で売買されておる。そういう商行為がまかり通っておる今の状態に対して、消費者行政を担当する部門としてはどういうぐあいにお感じになるのですか。
○矢橋政府委員 施設の優先利用権と預託金の返還請求権を消費者が持つという内容であると考えております。
○水田委員 あなた、預託と二つに分けていますね。結局言ってみると、予約もとれない、施設はぼろ、金はたくさん取られる、だからこんなものは値打ちがないということで、それなら引き取ってくれ、こう言うと、それだけでいつでも半分は取られてしまうのです。そうでしょう。そういう商法がまかり通っておる。もう一つは、その引き取りさえしない、そういう商法がまかり通っておる。 高島屋がそれにかんでおるわけです。一〇%のマージンを取っておるのですよ。だから皆さんは、高島屋の顧客名簿、全部とは言いませんが大半がそれによって、さっきそこへお渡ししているように高島屋としか思えないでしょう。それが売ったもので、会員権を送ってきたら初めて富士コンサルが出ておる。そして高島屋へ言っていったら、うちは知らぬと言う。販売提携で売っただけですから責任は向こうに言ってくださいと言っておる。そういう商法が許されるのかどうか。 それで通産省は、さっき言ったように当事者同士で話をしてください。富士コンサルは出てこぬですよ。それで消費者行政をきちっとやっておると言えるのですか。
○矢橋政府委員 この件につきましては昭和五十八年五月に東京地方裁判所に対して民事訴訟が提起され、現在裁判の進行中という状況でございます。 したがいまして、私どもといたしましても具体的な取引の内容についての介入と申しますか、これが甚だしにくい状況になっていることは御理解いただきたいと思うわけでございますが、一般的に、訴訟中ではございますけれども、あっせんにはなお努力したいと思うわけでございますし、またそのときソサエティクラブだけでなくて高島屋に対してもそのようにしたいと考えております。
○水田委員 私はあっせんしてくれとまだ言ってない、そんなことは。あっせんしたけれども全然進んでないから裁判にもなっているわけですね。こういう商法がまかり通っておる、大手の百貨店の名によってやられておる、あるいは有名人がそういうことにかんでおる、そしてこういうトラブルが起こる。 もう一つは、いいですか、今は何百万という会員権が売れておるわけですね、次の分が。どこまで売れているかわかりませんよ。それが売れてしまったときに、今、年会費を二万円取っているわけです、そして一年間に一割ぐらいしか実際は運用できないわけですね。山の中で冬は行かれぬですよ、季候の悪いときに行く者はおらぬ。そうすると常識的に考えて、これは会員権の販売が満杯になったときにはインチキをやってまた販売の口数をふやすことをやれば別ですよ。切れたときにはそれは資金がショートしますよ。その場合には、私は高島屋にも言ったのです、その場合にはこの会員権はまさに紙切れ一枚になりますよ、そういう責任はどう考えるのですかと話したのです。そういうぐあいに思いませんか。 だから、そういう商法がまかり通っておることについて、すぐあっせんとかなんとかじゃなくて、法律的には一体どうなんだろう、約款の問題についてもう少し法的に考えることはないのだろうか、あるいは具体的な措置をやるべきじゃないか、そういう考え方が出てきてもいいと思うのです。さっき一般的にたくさん来ておる中に二十九件ですというような話では、本当の意味での豊田商事や鹿島商事やあるいは倒産したレジャークラブのようなそういう問題が無数に起こっている中で、消費者行政を担当する通産省の担当セクションとしては怠慢だと私は思うのですよ。いかがですか。
○矢橋政府委員 約款等の適正化の問題につきましては、昨年の春国民生活審議会の答申も出ておるわけでございます。終局的にはその線に沿って具体策を考えることになると思うわけでございますが、先ほど申し上げましたように、目下この問題についていかに対処すべきかを役務取引等適正化研究会において鋭意検討中でございますので、その結果を踏まえて適切な措置を検討してまいりたい、かように考えるわけでございます。
○水田委員 それでは今そういう答弁がありましたから申し上げますが、消費者約款の適正化について、これは昨年の四月十八日に国民生活審議会から消費者約款の適正化の報告が経済企画庁長官に出されておるわけです。 これは幾つかの項目を挙げて報告をされておるわけですが、その中にはゴルフクラブは入っているわけです。しかし今矢橋審議官が言われたように、この答申に基づいてというのは、別荘の利用権という会員権、レジャークラブの会員権の問題はこの中に入ってないわけです。 一つは、だからその中に入ってないものをこの答申に基づいて通産省としてはそれも含めてやるというならそういうぐあいにお答えいただきたい。 それからもう一つは、経済企画庁は、今お聞きいただきましたように、この報告の中に載っておるいろいろな問題が、それぞれ約款のことで問題が起こってきたものがたくさんあります。そういう中でこの報告に基づいての検討もされておると思うのですが、今申し上げたようなレジャークラブの会員権の問題についても含めて御検討なさるお考えがあるかどうか。経済企画庁のお考えと通産省のお考えと両方をお聞かせいただきたいと思います。
○矢橋政府委員 ただいま先生がお挙げになりました昭和五十九年四月十八日の国民生活審議会の答申の中では、具体的に会員制クラブの問題については言及はしておりません。ただ、約款の適正化に向かっての基本原則をうたっているわけでございます。そして、この原則をも踏まえながら、これの具体化については役務取引等適正化研究会の検討をまって検討を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○及川政府委員 最近サービス化の進展に伴ってレジャー関係の会員制クラブ等について約款取引が非常にふえてきており、トラブルも多いわけでございますから、その他の約款も含めて国民生活審議会では十二の業種について検討を行って個別に答申をいただくとともに、七つの基本原則をいただいております。その七つの基本原則とは、「消費者にとって重要な事項は約款に規定すること」とか「事業者と消費者との責任配分等について公平性を確保すること」、あるいは解釈に幅が生じないようにし、解釈に疑義があるときは事業者側に不利になるようにそれは解釈すること等々、七つの「基本的考え方」を示しております。この「基本的考え方」に従って各省が適切に約款適正化のための御指導をいただくように、この報告をいただいて各省にお願いをしているところでございまして、経済企画庁といたしましては、さらに国民生活審議会の消費者政策部会で、それ以外の業種の約款についても引き続き検討いたしたいと思っているところでございます。御指摘のレジャークラブ等についてもその中で検討させていただいきたいと思っております。
○水田委員 そこで、先ほど矢橋審議官から御答弁ありましたように、今の行政サイドでやれることは、やはりこれだけの問題が、今見ていただいた資料をごらんいただいても、まさにこれは大手百貨店の信用そして有名人の信用というものをフルに使ったそういう——私は詐欺とは言いません、現に動いておるわけですから。しかし、少なくとも将来にわたっては無価値になるかもしれない会員権を堂々と販売しておるということでは問題があると思いますので、先ほど御答弁ありましたように十分な指導なり調整を行っていただきたい、こういうぐあいに思います。 もう一つ、それに関連して公正取引委員会においでをいただいていると思うのですが、本来信用を大事とする大手百貨店がこのようなことをするとは私は今まで思ってなかったし、会員の皆さんも、会員権買われた皆さんもそう思っておると思うのですね。内容からいうと、これは会員権に担保もなければどういう権利があるのか明確でないようなもの、そういうものが売られる、そういう商法をやる、そのこと自体が自分の信用を利用したいわゆる不公正な取引じゃないかと思うのですが、その点はどうも今の法律上の不公正には当たらぬようなことも聞くわけですが、少なくとも利用が十分できない。今三千を二千六百と言って、まあ二千六百人、そして新しい別のクラブの会員権を売って、それもビジターで利用さすという形ですから相当な数の人間がおる。年間を通じてならともかくも、年間限られた日数しか使えない場所にあるわけですから、そういう点からいうと、予約をしようとしても実際にはなかなか予約がとれない、あるいは設備が不備な、中には例えば水が出ないというような建物があったりする。欠陥商品だと思うのですが、そういう点ではやはり不公正な取引としての調査など行われてしかるべきではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○利部政府委員 御質問の具体的な事件につきましては、私の方で広告、宣伝等の内容についてまだ調査しておりませんので、景品表示法の不当表示に当たるかどうか具体的には判断できませんけれども、一般的に申し上げますと、そういう広告、宣伝、訪問販売なんかの場合はそのセールスマンがどういう説明をしたかにもよりますけれども、そういうことから一般消費者が受ける印象と事実とが違った場合には景品表示法に違反する不当表示になる問題でございます。広告のときに、これだけのサービスが提供できると言ってそれが現実には提供できなかった場合、それから将来こういうことが確実に履行できるかのように言ってそうでなかったような場合には、不当表示になる問題でございます。 それからまた、御指摘のように複数の企業が提携して販売宣伝を行う場合に、特にその一方が非常に一般消費者に信用のある事業者であった場合の表示、広告の不当表示との関係での責任の問題というのは、景品表示法の運用の上でも重要な問題であるように思います。今後この種の事件に対する景表法の運用の観点からも事情を聴取してみたいと考えております。
○水田委員 ぜひお願いしたいと思います。 それからもう一つは、先ほど来申し上げますように、一つはこれは別荘そのものとか土地であれば宅建業法の規制を受けるわけですね。全くないわけです。 それからごらんいただいたように、その会員権を見る限り会員の権利内容は契約上全く不明確でありますね。そしてもしもというときの担保は何にもない。それから消費者が聞くのは、契約も何もないわけですから、会員権だけですから、セールスマンの言うこと、そしてこういうパンフレットに書いてあること、契約じゃないわけですね。私はここに持っておりますが、営業マン用マニュアル、これを持って売っていたんですね。これは先ほど来私が申し上げたことを、恐らくこれはもっと輪をかけて言っておるだろうと思うのですね。 しかもそれが高島屋という信用でずっとやられてきた。ところが実際には高島屋に使えないし、二年たったら引き取る、自由販売ができるということで言いましても、うちは売っただけだからそういう責任は全くない、こう言って相手にしないということなんです。 これは販売提携というのは、デパートの売り方というのは、仕入れて、その会社が販売員をそこへ送って売るとか、売れなかったものは返品で皆返すとか、そういう点では力がありますから中小に対しては大分力を持っておるでしょうが、そういう中にも提携販売というのがあるかもしれませんね。本当に仕入れて売るのと両方あるだろうと思うのです。そういう中で販売提携というのは一体法律的にはどういうことになるのか、全く責任のないものなのか。これは好意で、困っておられるからお世話しましょう、仲へ立ってやっただけというのと違って、一〇%のマージン取ってもうけが上がっておるわけですね。しかし問題が起こったら私は全く責任がありませんということが一体許されるんだろうか、法律上の問題とそれから道義的な問題と両方ありますが。 それからそういうことに対する例えば訪問販売法とかあるいは宅建業法だったら、そういう点、明確なものがあるわけですね。これは全くないわけですね。ですから、そういう点では何らかの、いわゆる今度ローンを組む者についても抗弁権を認めるというような法律改正もやりましたけれども、この場合は全くそういうものがないわけですね。だからそういう点は一体どういうぐあいに見るべきなのか、あるいはどういうぐあいに消費者行政を担当する通産省としては指導されるのか、まさに責任内容が明らかでないところに問題が起こる、こういうことになるんだろうと思うのです。その点についてどういうぐあいにお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
○矢橋政府委員 いわゆる販売提携という言葉でございますが、これは法律上の言葉ではなくて事実上使われている言葉ということでございまして、具体的にはいろいろな法律関係があり得るのではないかと思うわけでございます。したがいまして、一般的に言うことはなかなかできませんで、やはりどうしても個別ケースに応じましてケース・バイ・ケースで判断せざるを得ないのではないかと考えておるわけでございます。 そして本件の場合には、高島屋側は、これはいわゆる媒介代理商だという主張をしているようでございます。 ただ問題は、先ほどのダイレクトメールのはがき等からもわかりますように、消費者が高島屋の信用において購入したという購入動機になっていることは事実であろうと思うわけでございますので、その法律上の問題とは別に、高島屋がいわゆる自分ののれんというものをどう考えるかといった判断の余地はなおある、可能性があると私は思っているわけでございます。 そこいらの問題もあわせまして、全体について現に訴訟になって裁判中ということでございますので、明確なお答えはその判決の中において決められる、こう思っておるわけでございます。
○水田委員 裁判のことは、私は触れようと思いません。 私は事実を申し上げて、そういう高島屋の信用で売られたもので、その販売提携というのは、これは一般論でいいですよ、ほかでも起こり得るわけですね。こういう会員権が提携販売ということで売られた場合の責任を、いわゆる提携した側の責任を明らかにしないと、今後同じようなことが起こるわけですね。だから、そういう一般論を含めて、この問題で、先ほどこれは助言もする、指導もするというようなことを言われたのですが、それはまあそれでいいのですが、裁判とは関係なしに、一つの事例としてこういう事態がほかにも起こってくる。そういう中で、提携販売というものは提携した側というのはどういう責任があるかということを明らかにしないと、これは今後も同じような問題が起こってくるだろうと思うのです。その点は一般論で結構ですからお答えいただきたいと思います。
○矢橋政府委員 その点につきましては、例えば割賦購入あっせんについて販売業者とあっせん業者の間に抗弁権を接続したというようなことが考えられないかということであろうと思うわけでございますが、(水田委員「それには限りません」と呼ぶ)その問題も含めまして、役務取引等適正化研究会の中でいろいろ事例を分類分けいたしまして、的確な分類の上でそれぞれのケースに応じた措置を一括考えたい、こう思っております。具体的にまだ今のところ案はございません。
○水田委員 そこへ会員権なり資料をお渡ししましたね。その売っている本当の会社は富士コンサル株式会社というものですね。これは法的なことは別にして、そういう商法がまかり通る。そしてその会員権を見る限り、担保もあるいは利用者の権利も保証のない、そういうものだということは、それならお認めになるわけですね。そういう前提でこれからの対処をしていただく、こういうことでよろしいですか。
○矢橋政府委員 その点は、いわゆる会員制レジャークラブだけでなくて、例えばゴルフ場そのものについても一般的にあり得ることでございまして、実はそこが、こういった取引の大きな問題点になっているところでございます。したがいまして、繰り返しで申し上げて恐縮でございますが、先ほど申し上げたようなことでこれから検討しなくてはいけないというふうに考えている次第でございます。
○水田委員 検討ではなくて、私はそのものずばりで、それは一般論でいいです、高島屋と断定しなくてもいいです。そういう形で信用ある会社が売ったということについては、それを見る限りはどうですか。余り好ましい商法とは考えられませんね。
○矢橋政府委員 先ほど先生からお見せをいただきましたこのダイレクトメールを見ますと、高島屋の名前でのダイレクトメールでございまして、消費者が高島屋の信用ということを購入動機の一つにしたということは推定されます。 ただ、すべてのPRについてこのようであったかということにつきましてはちょっとわかりませんし、何分にもこれは、既にこの件そのものについて裁判になっているわけでございますから、私どもとしては、この件については裁判所の判断を見ることが必要であろうと思うわけでございます。
○水田委員 裁判で争うことは裁判でと言っているのです。 審議官もいわば消費者なんです。私も消費者なんです。そういうものを見たときに、それを信用して買って後でトラブルが起こる、実態は起こっている、それを行政としてどう判断してやるかということが私の質問であって、裁判所の裁判官の判断に私どもは関与しようとは全く思っていないのです。そういう立場でごらんになったらいい。ただし、裁判がどうなるかわかりませんよ、裁判官が判断するのですから。 だから、あなたも消費者として、そういうものを渡されて、専門家として、その会員権でどういう権利があり、どういう担保があるかというのは、おかしいということをお感じにならなかったらこの問題についてどういう指導をするといったってできぬでしょう。そのことをお伺いしているのですよ。
○矢橋政府委員 このはがきに関する限り、高島屋の信用が物をいっているということは考えられるところでございます。 それから会員権につきましては、富士コンサル株式会社の名前で発行されているわけでございまして、そういった問題はないかと思います。
○水田委員 私の質問に対するのは違うのです。会員権の、いわゆる利用者の権利あるいは担保あるいはその買い戻しとか、全く入っていないですよ。それはその会員権のことで、会社の名前を言っているのじゃないのです。契約までは高島屋でやるのです。会員権を送ってきたら富士コンサルになるということなんです。 それと、会員権そのものがどれだけの利用権を保証し、どういう担保を持っているか、それは全く不明確じゃないですか、そういうものじゃないので、その点をどう考えるのですか、こう聞いているのですからね。
○矢橋政府委員 この会員証には、具体的な権利義務の関係が書いてありません。ただ、会則の中で、一定の範囲において権利義務が明示されていると承知をしております。
○水田委員 売買のときには、そういうものは全くないのですよ。金を払って契約をしたら、その会員権とクラブのさっき言った手帳、それを送ってくるわけですよ。だから、それは本当の意味の契約じゃないわけですね。そういうことが行われておるということだけ申し上げておきます。 時間がありませんから、最後に大臣に。 ずっと聞いていただきましたように、これは何もこの問題だけじゃないのですね。冒頭申し上げましたように、とにかく、ある程度法の網をくぐりながら大もうけをしようというのは、まあ詐欺とは言いませんけれども詐欺まがいなり、この鹿島商事なんというのはまさに強奪のような形ですね。だから警察が直に手を入れる。こういう問題というのは、例えば、金の先物取引を規制すれば今度は海外取引に逃げる、あるいはまた、現物だと言って現物を渡さずに券を渡してとにかく取り上げるという形、そういう問題がたくさん出てきておるわけです。 そういう点で私は、一つは、言葉で賢い消費者と言ったってそんなことは、さっき幾ら予算を使っているんだと言ったらお答えがなかったけれども、やっておるが、私自身が、じゃ政府が本当に、消費者が約款問題でこういう問題が起きるからという、そういうPRを肌で感じたことはないのですね。恐らく一億二千万の国民のうちで、そういうことに関心のあるごく一部の人はあるかもしれぬが、大半の消費者はその点については無知である。そういう点では、消費者に対する約款上の問題点が余りにも多いことをもう少し金と人をつぎ込んでやっていいのではないか。また同じようなことを言いますけれども、貿易摩擦でアメリカからもっと買ってくれと言って、きのうも電車に乗ったら見ましたが、中曽根総理のあれに幾ら使ったか知りませんけれども、あんなことをやるなら、国内のこういう被害者が出るものにもっと金を使ってやっていただいていいという気がするわけです。 それから、今いろいろ論議しましたように、約款上の問題というのは法的な整備ができなければどうも難しいような感じがいたします。そういう点についで、所管大臣である通産大臣として、こういったレジャークラブの会員権だけでなくて、もろもろのそういうまがい商法もあります、そういったものに対処する決意のほどを伺いたいと思います。
○村田国務大臣 先ほど来水田委員の御質疑をこちらでつぶさに承っておりまして、これは率直に申し上げて、消費者保護という立場から行政の中でも一番難しい分野の問題ではないかということを特に痛感しておったわけでございます。マルチ商法あるいは訪問販売、金の取引、海外先物取引等いろいろなケースがございまして、私もそれなりにそういった問題をいろいろと勉強させていただいております。また、レジャーの会員権の取引の問題も最近は非常に問題になってきておりまして、予算委員会等でもいろいろな御質問をいただいておるところでございますが、特にきょうは具体的な事例を挙げて水田委員に御質問をしていただいたわけでございますから、非常に迫力もございますし、承っておって大変参考になりました。 ただ率直に申し上げて、自由主義経済体制というそういう前提からいけば、こういうぎりぎりのところのいろいろな商品取引というものがよくある。これを何としても一億二千万の消費者の方々の被害が少なくなるようにやらなければいけないというところで、先ほど来通産省のみならず経済企画庁、それからまた公正取引委員会からも苦心の答弁があったわけでございますが、私どもとしては、こういうことについてポスターを何十万枚も刷っておるものもございますし、通産省へ入っておいでになりましてもすぐにポスターが目におつきになると思いますが、いろいろな形で、ポスターやリーフレットやチラシ、多いものは、訪問販売等については四十数万部も刷っております。中曽根総理の、外国の製品を買ってくださいという、これも極めて大事なお願いですが、こういったことにも力を入れておるわけでございまして、自由主義経済の限界の問題であるということはよく御承知の上で水田委員御質問でございますので、私どもも本当に消費者の立場を保護するという意味で、例えば毎日私どものところには宿舎にもいろいろな通知が舞い込みますし、新聞の中にもいろいろな広告が折り込まれておりますが、私自身も心して相当の部局とこの問題に対応していくようにいたしたいと思います。
○水田委員 今大臣から答弁いただきましたように大変大事な問題ですから、十分対応できるような措置をお願いいたしまして、質問を終わります。
○粕谷委員長 これをもちまして水田稔君の質疑は終わりました。 続きまして、渡辺嘉藏君の質疑に入ります。渡辺君。
○渡辺(嘉)委員 公正取引委員会にまず質問いたしますが、この問題は我が党の先輩の上坂先生その他多くの方から既に質疑がなされておるわけですが、今日、訪問販売化粧品業界が著しい成長の反面で激しい販売合戦を展開しておることは御案内のとおりです。加えて、昨今は全般的な売れ行きの不振等のあおりで売り込み競争等も激化をたどっておるわけですが、これらのひずみが販売システムに反映をして、時には弱者にしわ寄せされると思われる疑いもあるわけでございます。 そこで、公正取引委員会が昨今この訪問販売化粧品業界の調査を行われたことがあるかどうか、まず承りたいと思います。
○利部政府委員 お答えいたします。 昭和五十八年から五十九年にかけて訪販化粧品業界の取引の実態等について調査いたしました。
○渡辺(嘉)委員 そこで、調査された結果について過日、五十九年十一月二十九日付で公正取引委員会の文書となって出たわけですか。そういうふうに確認してよろしいですか。
○利部政府委員 この調査の結果、昨年、昭和五十九年十一月に当公正取引委員会事務局から訪販化粧品工業協会に対しまして「訪問販売化粧品の取引に関する独占禁止法上の考え方」というメモを示しまして、改善を要望したところでございます。
○渡辺(嘉)委員 では、この改善を要望されました業者はどことどこか明らかにしてください。
○利部政府委員 お答えいたします。 要望の相手方は訪販化粧品工業協会でございます。要望して指導をします際に、調査の結果、契約で定められた取引条項について問題になるものは個別の指摘をした企業もございます。(渡辺(嘉)委員「それじゃわからぬですよ。どことどこをどういうふうに……」と呼ぶ)企業の名前は、訪販化粧品業の大手であるポーラ、フルベール、メナード、ノエビア、オッペン、御木本、シャンソン、エイボン、シーボン、ヤクルトでございます。特に指摘したのはそういうところでございます。ただ、これに限って特に問題があるというわけではございませんで、訪販化粧品の取引条件全体について問題点を指摘し、例示的にこれらの企業にも指摘したわけでございます。
○渡辺(嘉)委員 ちょっと失礼ですけれども、今聞き漏らした点があるかなと思ったのですが、私が公取からいただいたメモと今の名前とちょっと違っておるのですが、もう一遍きちっと言ってください。
○利部政府委員 企業名はポーラ、フルベール、メナード、ノエビア、オッペン、御木本、シャンソン、エイボン、シーボン、ヤクルトでございます。
○渡辺(嘉)委員 私が承ったときには、今おっしゃった十社のうちでエイボン、シーボン、ヤクルト、シャンソン等四社については一応問題はなかった、あとの六社にあった、こういうふうに承ったのですが、そうじゃないのですか。
○利部政府委員 正確には御質問のとおりでございます。特に今度の要望では、不当な点をとがめて指摘するというよりは改善の要望に力を入れましたので、調査の対象にした大手のところには、調査に協力をしてもらっていますのでその説明をした。それが今申し上げました十社でありまして、具体的に契約の条項について指摘をいたしましたのが六社でございます。正確にはおっしゃるとおりでございます。
○渡辺(嘉)委員 じゃ、それでわかりました。 そこで、六社に行われたこの「考え方」という文書ですね。これは「所要の改善を行う必要がある。」と締めくくってあるわけですが、これは行政指導なのか、それとも単なるメモなのか。これはどうなんですか。
○利部政府委員 独占禁止法上問題があるので問題点を指摘したわけでございますが、違反事件とか違反被疑事件として措置をしたのではなくて、独占禁止法上問題にならないように公正な取引条件にするよう改善を指導したものでございますから、そういう意味では行政指導でございます。
○渡辺(嘉)委員 そういう行政指導、まくら言葉があったわけですが、そういう行政指導だ。 それなら、そこで調査をせられた結果、指摘をせられたわけですが、この化粧品会社、元ですね、それから営業店、営業所とも言います、それからセールスマン、この三者の関係があるわけです。これは化粧品会社から見ると、雇用の関係か委託契約の関係か、あるいはまた営業所同士が双務契約に基づく普通のいわゆる売買取引の関係なのか。これをちょっと明らかにしてください。
○利部政府委員 指導した企業につきましては、雇用契約の関係にあるものはございませんでした。取引契約の形態だというふうに認められるものでございました。
○渡辺(嘉)委員 それでは、今の御指摘になった六社ともそういうふうに理解していいわけですね。
○利部政府委員 おっしゃるとおりでございます。
○渡辺(嘉)委員 それでは、まずセールスの関係、これも委託契約、こういうふうに理解をして質問していいわけですね。セールスも営業店もみんな事業主なんだ、こういうふうに理解して質問します。 そうすると、まず、ここで御指摘になった累進的、過大な売上歩合等、こういうことは慎めということで第三項が出ておるわけですが、この売上歩合過大というのは、一定の売り上げは一、それに対しては今度は一・二にする、一・三にする、一・五にする、こういうように上がってくるわけですが、これはどこまでを過大というふうに判断されますか。
○利部政府委員 その用語、「考え方」をまとめましたときにその点を指摘しました趣旨は、訪販化粧品がとかく、かつてのいわゆるマルチ商法まがいではないか、化粧品の訪問販売そのものが事業目的というよりは、営業所なりセールスマンなりの募集による利益を主目的としているのではないか、そういう疑いを持ちましたので、仮に訪問販売化粧品業の形をとっていても著しく累進的、過大な歩合を営業所なりセールスの募集に対して提供するようなことになりますと、正常な訪販化粧品業ではなくてマルチまがい商法と見られることになりますということを指摘するのが主目的でありましたので、著しく累進的、過大というものを数値でどこまでというふうには考えておりませんでした。 したがいまして、今、どの数値的基準であれば著しく累進的、過大かということは言えないところでございますが、営業所なり販社なりが、化粧品の販売による利益と、それから営業所なりセールスを募集したことに対する報酬といいますかその歩合と、どちらが多いか等を総合的に勘案して判断しなければいけないことだと考えております。
○渡辺(嘉)委員 ちょっと、はっきりしたことが答弁として出てこないので、これでは実際運営する方も困るのですよ。ある一定の判例を例示して、物事は数字によって多いか少ないかをお互いに判断するわけなんです。それを文章表現だけでしたのでは、今度業界も困るのですよ。そしてまた、受ける感じによっては、それが高いと思う人もあるし、安いと思う人もあるし、過大だと思う人もあるし、適当だと思う人もある。こういう点、私は明らかに一つの例示的なものはしてやらなきゃいけないと思うのです。そうすることによってお互いがルールも守り得るのじゃないか。 そこで、では、第四の「取引上の地位の不当利用」ということも出てくるわけですが、仮に今まで三七%の歩合をもらっていた、これが今度は一方的に三五%になったとすれば、これはこの第四の項目に当てはまりますか。
○利部政府委員 当初そういう契約関係に入るときにどういう条件を示していたかによると思います。そういうことで一概には不当と決めつけることはできないと思いますが、合理的な理由がないのに一方的に引き下げた歩合を強要するような場合には、優越的地位の乱用に当たるおそれがあると考えております。
○渡辺(嘉)委員 当然、委託契約ですから、歩合は幾ら、こういうことでお互いに契約していくわけですね。それが今度一方的に、もうからぬからといって三七を三五に下げれば、これは理由ははっきりしています。もうからぬからです。だからその歩合を下げたんです。だから、こういうところはやはりきちっと見て、そして行政指導する場合には指導していただかないと、隔靴掻痒の感を免れないと思うのです。 次に、それぞれの化粧品会社がその販売代金の支払い方法としてクレジットを使用しておるわけですね。そのクレジットの会社に対しましては、お客さんから一〇%程度の利息をもらって商品に上乗せして売るわけです。そのほかに今度は化粧品会社がセールスマンから、そのクレジットの手数料という名目で三・八%または二・九%等を徴収しておるわけですが、これはいいかどうかです。
○利部政府委員 そのセールスが、自分も販売業者であるという立場で自分の商品の販売促進を図るために自発的にクレジットによる販売を利用した、それに伴って自分がクレジットの手数料を負担したというような場合ですと、問題にならないと思いますが、当初の条件に反して、販社等との取引条件に反してそういうことを強要されますと、問題になる余地があると思います。
○渡辺(嘉)委員 この点は、これは化粧品販売の会社がクレジット契約を結んでクレジット会社とやったんですよ。ですから、セールスが自主的に、自発的に各人が適当にやったんじゃないんです。だから、当然これは会社が負担すべき手数料なんです。これをセールスに持たせる。要するに歩合から差っ引いて歩合を与えた。これは明らかに不当だと私は思うのです。こういう点はやはり指導の中で直してもらいたい。 これは時間がありませんから一緒に答弁いただきますが、その次に、今度は、化粧品会社の営業店に対しての関係は、委託取引の関係ですね。委託取引の関係でありながら、買い取り制度がそのシステムの中で必然的に散見できるのです。委託販売契約の中に当然買い取り制度というものはないはずなんです。ところが、これが仕組みの中であるのですね。もしあった場合にはどうですか。
○利部政府委員 訪販化粧品に関する取引契約の条項の言葉では、委託とか代行とかさまざまな何種類かの言葉を使っておりますが、独占禁止法上の問題を判断する場合には、企業がどういう言葉を使ったかではなくて、実質的に売り手側といいますか、その取引の一方、他方との条件がどうなっているかによって判断いたしますので、一般の売買と同視すべき内容であれば委託と称しておろうと代行と称しておろうと売買に準ずるものとして独占禁止法を適用するということになります。
○渡辺(嘉)委員 もしも委託契約と言いながら買い取りのそういう制度があるとするならば、仕組みとしては一応ないようになっているのです。ところが、それを一定の選択表の中で選択して注文する場合に、今度はそのときに注文したものでお客さんが断わったものだから売れなかった、だから当然返したい、返品したい。ところが、返品をしたら将来その注文をしてもそれに応じませんよ、選択してもその品物を渡しませんよ、いわゆるそのポイント基準がいろいろあるのですよ。それから継続基準もあるのです。いろいろな基準があるのです。その基準に対して、もし返品をすると後で、いろいろな選択表に基づく選択注文といいますか、商品の委託を希望したときに、今度はこの品物が来なくなっちゃう。そこで、お客さんが断った品物を嫌でも買い取っておかなければいけないわけですよ、この販売店で。これは明らかに再販制度にひっかかるのじゃないか、こう思うのですが、この点はどうですか。
○利部政府委員 おっしゃるように、委託であれば、メーカーといいますか本舗の方が、自分の商品ですからセールスの方が返すと言えば受け取らなければいけないものであって、それをいろいろ理由をつけて受け取らないというのは買い切りと同じわけですから、委託の場合と買い切りの場合とでは当然条件が違ってくるはずです。それを同じように扱うというのは不当なことだと思います。その点は、この訪販化粧品に対して当公正取引委員会が要望したときの重要な指摘の一つでございました。
○渡辺(嘉)委員 それでは、ここにも書いてあるようにこの行政指導に基づいて「所要の改善を行う必要がある。」と、こう締めくくっておられるのですから、当然これは追跡調査をして改善したかどうか、これは確認しなければいかぬと思うのですが、おやりになりますか。
○利部政府委員 そういうやや抽象的な、一般的な言葉で要望いたしましたのは、要望した当時、各社の各訪問化粧品販売業者の取引契約の内容が相当区々でございましたし、意味があいまいでございました。それをまずはっきりさせる必要がある、その上でないと当、不当の判断がしにくい点もございましたので、まずそれをはっきりさせたかったわけでございます。そのために、現在訪販化粧品業界の中でこの問題について検討をする組織をつくるように指導いたしまして、そこで研究させておりますが、それだけにまつわけではなくて、しかるべき期間に改善がされない場合にはそれを改善を実行させる措置を考えていきたいと思っております。
○渡辺(嘉)委員 じゃその改善措置を期待して、この質問は一応終わります。 次に、通産に対して、公営競技場、そしてその通産の担当していらっしゃる競輪の事業について質問をいたします。 今日までにこの公営競技が地方財政に寄与してきたところ、あるいはまた一号交付金、二号交付金等で機械技術振興、スポーツ、教育あるいはまた福祉、医療、文化等に大きく寄与してきたことは、これはもうどなたも御案内のとおりです。そして、これの競技場の開催地とそのほかの都市の均衡を図るための均てん化もまた行われてきたわけです。しかし、これが今日売り上げが低下をいたしまして、いろいろな問題を含んできたわけです。 そこで、時間がありませんので直接単刀直入に質問いたしますが、まず開催日数の問題です。競輪場においての開催日数は一回六日間、年間十二回、トータル七十二日間と、こう決めてあるわけですね。 これに対して各競技場を見てみますと、モーターボートの場合には、これには一回が十二日から十四日、年十二回、二十四の競技場で四十四の団体で現在四千二百二十四日までできるようになっております。実施は四千二百十二日間やっております。一場平均が百七十五日です。 競馬の場合には、一回が六日間、年に二十一回から十二回、一場に対して十二回から二十一回までの幅があります。それがために二千三百七十六日、二十一場、三十二団体ですから、一場が百十三日開催をしております。 競輪場は先ほど申し上げたように一場七十二日、こういうアンバランスがあるわけなんですが、地方財政に寄与してきたこと、並びに一、二号交付金がそれぞれの分野で寄与してきたこと、並びに一月に六日間しか働けないという労働者の不安定な雇用状態がこれはいろいろな面でしわ寄せが出ておるわけですから、矛盾等が起きておるわけですから、この際、競輪の開催日数につきましても、地域の実情その他を十分勘案しながら、この機会にこれをモーターボート、競馬等に近い状態にまで引き延ばしたらどうだろうか。 今日、一時言われたほど競輪等が、ばくち的な色彩よりもスポーツあるいはまたオリンピックにさえ採用されておる競輪事業、サイクリング、自転車の業界の振興発展、いろいろな分野でスポーツを含めて国民の各層になじんできたのです。そういうようなことから、あとはそれをばくち的に身上をしまうようなことのないように利用者の自省も促しながら運営することによって、この競輪事業というものが所期の目的としたいろいろな貢献をより果たすために、今の売り上げ低下の中での対応として開催日数を延長することは、この際必要ではなかろうか、こう思うのですが、どうですか。
○木下政府委員 競輪の開催日数につきましては、一カ所の開催日数がほかのところより低いというような点については先生御指摘のとおりでございます。ただ、公営競技の開催日数は、五十四年に開催された公営競技問題懇談会の答申におきまして、「慎重に検討すべきであり、みだりに拡大しないようにすること。」とうたわれているということもございます。通産省といたしましては基本的にこの考え方に沿って開催日数を決定してきておるわけでございますが、最近は科技博の協賛競輪とか施設改善競輪というような形で開催日数が増加しているのが現状でございます。 開催日数の増加の問題については、先生も今御指摘がございましたけれども、隣接した競輪場がある場合には他の競輪場と競合するというような問題もありますので、そういう競合を避けるための日程調整等の難しい問題を抱えているということでございますが、今後とも普通開催に加えまして、今申し上げましたような目的競輪の実施について十分取り組んでまいりたいと考えております。
○渡辺(嘉)委員 科学博のために五十七年から開催日数をその目的のためにふやされたわけですね。総日数で大体四百五十三日ふやされまして、それによる増収が約四十億、そのうちの二十億を科学博に回してあと二十億は地方財政に回っておるわけです。こういう実績等から判断して、今のような目的に基づいて開催日数を延長することだけでなくて、この際一回六日と決めてあるものを延長して九日以内というふうにしておいて、あとは通産省と地元開催団体と調整しながらこれを運営することによって一般的な開催日数そのものをふやす、目的があるときはその目的に合わせてふやす、こういうふうにきちっと二段構えでした方が私はいいのではないか、あいまいなことですと地方団体の方も困っておるわけです。この際明確にこれの御答弁をいただけませんか。
○木下政府委員 競輪の収益全体を上げますためには入場者数をふやす必要があるわけでございますが、そのためには環境をよくする必要があるということで施設改善競輪というのを今でもやっております。施設改善競輪の収入はその施設の改善のために使われるということでそれがどんどんプラスの方向に行くわけでございますので、そういう種類の競輪を今後とも十分ふやすようにしていきたいと考えておりますが、今一律に六日のものを延ばすという点についての御質問がございましたけれども、これは従来からの閣議決定等の問題もありますので、そういう点を関係方面とも相談しながら検討させていただきたいと思います。
○渡辺(嘉)委員 この点はいろいろな今までの流れもありますけれども、今の時代の変化というものもありますから、ぜひ前向きにこれに取り組んでいただきたい。大臣もこの点については実情も知って、また今まで運動の中で非常に前向きに取り組んでいらっしゃった経歴もあるわけですから、この点を含めまして後から一緒に御答弁をいただきたいと思っております。そのことによって一月に六日しか働けない労働者が今度は八日働ける、九日働けるということで安定してくるのです。そうすると賃金とかいろいろな問題もある意味において解決してくるのです。こういう意味でぜひこれはお願いしたい。 それから二つ目には、今度は一号、二号の交付金の問題ですが、一号は機械技術の向上、二号が体育、福祉その他医療の向上のために使われておる。このことは御案内のとおりですが、これが少なくとも四百億近く三百九十億ぐらいあるのです。これを通産大臣の認可で配分しておられるわけですが、これは予算外の予算のような形で配分しているわけです。この際これをきちっとどの事業にどれだけ五十八年度配分した、五十九年度は後からでもいいのですが、きちっとこれを出していただくことが——今まで出していただいた資料は何々ほか何件、何億とくるのでちっともわからぬのです。これは予算外予算と同じことなんです。税金と同じような意味合いを持っておるわけですから、この際これを明確に資料として出していただきたい。これが一つ。 それから、この一号交付金、二号交付金を今までの実態から調べますと、昭和二十九年から一号交付金が始まったのです。二号交付金は昭和三十七年から始まったのです。これに対して売り上げは、昭和二十九年に比較いたしますと昭和五十八年は三十年の間に十九倍に上がりました。施行者の収益は二十九年を一に対して十二倍にしか上がらなかった。ところが、一号交付金は二十九年を一に対して三十倍になったのです。要するに、物価も上がっているのに売り上げにそのまま同じ比率で掛けますから売り上げが十九倍で一号交付金だけが三十倍。二号交付金は同じようなやり方をいたしますと三十七年を一にして売り上げは八・九倍、施行者収入は三・八倍、二号交付金の納付額だけは二十三・六倍となったのです。 中には収益よりも一号交付金、二号交付金の方が多い団体、一号交付金、二号交付金を何億も出しておる団体がある。しかし、そこの地方団体は赤字だ。仮に一つの例をとりますと、八千万の赤字を抱いたところが一号、二号の交付金だけは三億も納めでおるという矛盾が出てきている。この間の物価の変動は一対四ないし五なんです。 こういう矛盾があるわけですが、この交付金については、公営競技問題懇談会が吉口座長のもとで総理府総務長官に対して答申をいたしております。「交付金の比率を定めた各競技実施法の別表については、その制定以来改訂されたことがないので、各競技の売上金額の増加状況等を考慮して改訂を図ること。なお、その際、施行者収益の改善に資する方向で交付金の比率を調整することについても検討すること。」という答申をしておるわけです。ところが、この答申は守られておらない。ですから、昭和二十九年に決めた徴収比率、六千万円売り上げを上げたらどう、二億売り上げを上げたらどう——三十七年に決めたのもそのままなんです。 ところが、今やどの団体を見ても一開催二億以下のところはございませんので、全部最高の二億以上に対して徴収される状態になっておりますので、この際、この一号交付金、二号交付金の徴収の比率を定めております別表一、別表二を見直しするのが当然妥当なことではなかろうかと思いますが、どうですか。
○木下政府委員 一号交付金及び二号交付金の配分につきましては、いずれも通産省の指導監督のもと、大臣認可の業務方法書に基づいて行われておるわけでございまして、案件ごとの配分につきましては必要に応じ関係省庁と十分御相談し、さらに通産大臣の諮問機関である車両競技審議会のチェックを受けており、その内容は公表しておるわけでございます。また、交付を決定した後におきましても振興会が確実に調査し督査するというようなことで適正かつ効率的な事業が行われるようにチェックしているわけでございますので、したがって、この交付金による補助事業は公正かつ厳正に行われていると我々は考えております。 それから交付金の額について、一号交付金と二号交付金について見直すべきではないかというような御質問でございますけれども、今申し上げましたように交付金自身は機械工業の振興、公益事業の振興を図るという、競輪の収益を全国的な視野で広く社会還元をするという観点から重要な競輪開催の目的ともなっているわけでございますので、今後その必要性もますます増大しているというようなことでございます。今先生御指摘になりましたように、現在施行者側で事業が非常に苦しくなっているところは確かにございますけれども、これは先ほどから先生御指摘ございましたように、最近入場者数が減ったために収入が非常に減ってきた。そして収入が減ったのに対してコストが上がってきているというようなことでそういうような状況が起こってきているという面が非常に強うございますので、経営努力、ファンサービス、施設等の改善を行って入場者数をふやすというようなことをやることによってその点に対処していきたいと考えております。 交付金の改定の問題につきましては、今申し上げましたような点を踏まえまして、関係省庁とも十分協議しつつ多方面から慎重に検討していくことが必要な問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。
○渡辺(嘉)委員 一号交付金、二号交付金の支出等についても厳正公平、そしてもう公表しておる、こういうことです。公表しておるなら、国会議員の立場で僕たちが出せ、こう言った。あるいはまた委員会でも出せと言ったのです。ところが出ないのです。何々外何件、何億と出るだけなんです。ではこの際きちっと、一般に公表しておるものなら各議員に、委員会に出していただきたい、このことはきちっとお願いしておきます。 それから今の多方面にわたっていろいろ慎重に検討と、こんな答弁はちょっともわからぬですよ、やるのやらやらぬのやら。物価も変動しておるのですし、いろいろな中身はもう赤字でも、出さざるを得ない今の状態なんですよ。そうすると赤字でも均てん化の必要があるかどうか、ここまで来たらもうないですよ。この際これは当然見直さなければいかぬと思うのですが、先ほどの問題も含めて大臣どうですか。
○村田国務大臣 競輪事業につきましての渡辺委員の御質問をずっと承っておりました。御指摘のように、私自身もこの問題につきましてはいろいろ勉強させていただいておるわけでございます。委員がよく御承知のように、最近は売り上げも減少しておる、そしてまた入場者数も減少しておる。したがって収益も大変減っておるという全般的な状況がございまして、競輪その他一般にいわゆる公営競技の今後の問題につきましては、低成長下で大変様相が変わってきておることは委員と全く同感でございます。したがって、競輪場の施設だとか周辺環境の整備を図るための施設改善競輪の実施だとか、場外車券売り場の設置基準を見直すだとか、のみ行為を取り締まるだとか、各般にわたっての相当にきめの細かい配慮を、これは超党派でも考えていただいておりますし、それから私、通産省に参りましてからもいろいろと勉強させていただいておる。 全般的には、先ほど個々の問題について木下局長からお答えを申し上げたような事情でございますが、交付金の問題につきましては、率直に申し上げまして委員が御指摘のような事情がございます。車券の売上高や施行者純収入が委員のおっしゃるように順次減ってきておるという状況のもとで従来どおりやっておるのは不合理ではないかというような指摘もございますが、私どもとしては何とか収益の改善を図りながら、また協力すべき面は協力しなければならないということでいろいろ検討しておるところでございます。実は自治省などでは逆にもう少し交付金の率を上げてくれというような申し入れもございまして、その辺の各省間の対応等いろいろ問題がございますので、委員の御指摘の点もよく含めて今後検討させていただきたい、このように思っております。
○渡辺(嘉)委員 時間がありませんのでどんどん飛ばしますが、ひとつ大臣も、大臣の前からの持論があるのですから、思い切ってやっていただきたい。 次に、のみ行為の問題ですが、競輪場の中で——競輪ばかりじゃないですが、公営競技場の中でのみ行為が横行しておるわけです。これに対して滋賀県大津市等では条例を改正して、暴力団あるいはのみ行為の常習者等は排除する、そういう措置を講じてこれは非常に成績がよかった、こう言われておるわけです。また事実そうなったわけです。この際、全施行団体で、競技場で一斉にぴしっとこれをやることが必要ではないか。このことによって、のみ行為の撲滅とともに暴力団の資金源を断つことができると思うのですが、通産省はこれを全国にどういうような指導をされるつもりですか。時間がないので簡単にちょっと……。
○木下政府委員 先生御指摘のように、最近におきましても暴力団の抗争事件等が競輪場で起こったというようなことで、そういう背景もございますので、のみ行為につきましては、通産省としまして全公営競技が足並みをそろえ一層強力にそういう行為が行われ、暴力団等を排除することが必要だというふうに考えておりまして、そのため各施行者が定める自転車競走実施規則のモデルを定めた通達があるわけでございますが、それを改正いたしまして、のみ屋や暴力団等の入場拒否等の根拠規定をはっきりさせる、それについてまた警察当局の御協力も得られるようにしたいというふうなことを考えております。 それと同時に、五月二日に全国の全公営競技の施行者による、公営競技から暴力団・のみ屋等を追放する緊急大会というのが東京で開催されて、一致団結して公営競技場から暴力団員、のみ屋等を完全に一掃することを決議することといたしておりますので、そういう一致団結した行動に対して通産省としても最大限の支持をしていきたいと考えております。
○渡辺(嘉)委員 御無理をいただいて警察庁からも来ていただいたわけですが、警察庁は、こういうふうに通産省の方で支持をして、そして暴力団を入り口で排除する、あるいはまたのみ常習者を排除する、こうすれば、そこでトラブルの危険があるわけです。善良なお客さんに迷惑をかけてもいけません。あるいはまた従事員その他に被害があってもいかぬわけですから、それがために警察庁も、こういう通産と施行者側の方針に対応して当然警察力によってそれのトラブルを排除し、そしてそれの厳正な遂行のできるような対応を考えていただかないと実行不可能なんですが、警察庁の見解はどうです。
○横尾説明員 お答えをいたします。 暴力団の排除につきましては、施行者の暴力団排除の意識の高揚、それから施行者の自主警備体制の充実が前提でございますが、今後ますます施行者と連携を強めまして積極的に暴力団の排除をする所存でございます。
○渡辺(嘉)委員 ひとつ警察力のバックアップによって、ぜひこれが実行可能なように対応をお願いしたい。 それから、今も出ました自衛警備の問題につきましても、自衛警備だからといって素人を大勢集めたって危険ですから、そういう場合には警察官のOB等で自衛警備に協力できる人があれば、そういうところへも協力してもらう。こういうような配慮もひとつぜひ警察庁にお願いしておきたいと思います。それで、答弁いただけますか。
○横尾説明員 従来とも各競輪場等につきましては警察も相当出動いたしまして警備をやっておるわけでございます。ただいまの先生のお話、警察のOBの問題でございますが、施行者にそういうような御希望がございますれば、各県警に申し入れていただきますれば、退職者につきましてはそれぞれ就職の希望がいろいろあるわけでございますが、そういうことで一概に言えませんけれども、前向きに承りたいと思います。
○渡辺(嘉)委員 時間がありませんので後の問題は別な機会といたしまして、次に大店法のことで一点聞いておきたいと思います。 大店法の中のいろいろな問題が上坂委員あるいはまたその他先輩から出ておるわけで、私もこの問題は何回もやったわけですが、一つ静岡の問題で聞いておきたいと思うのです。 静岡で、一つは昨年の六月二十日で任期が切れる商調協委員がそのまま継続をいたしまして、任期は二年なんですけれども、六月二十日から五カ月間小刻みで延長した。これはいろいろ問題があるので好ましくないと私は思っておるのですが、これの法理論のやりとりはまた別の機会にいたします。 ただ、問題は、静岡の場合には六月二十日に切れる、それがために六月十四日に商工会議所の常議員会を開いて五カ月延長を決めた。私の質問主意書にもそう御答弁をいただいた。六月十四日のその常議員会の議事録を調べますると、とりあえず今のままにしておかぬと後がわからぬからこれでいきたい、ただし委員の中にはやめたいという者がある、だからやめたいという者があったら後でまた選任をして、常議員会で御承認をいただいて就任をしてもらいます、こういうことを議事録できちっとうたってある。そういうことで六月十四日に延長をした。ところが、六月十八日に商業者委員六人はその運営の不当をなじって辞任をした。そして六月二十日に任期満了になった。そこで商工会議所は、七月十七日には学識経験者一人を追加し、八月十一日には勝手に商業者委員六人を決めた。そして八月十三日に正式商調協を開いて、そこで面積等を含めて四点の問題を決めた。八月十八日にその商調協はこれを会議所の会頭に答申し、八月二十日、会議所は常議員会を開いて、それを大店審に答申することを決めた。御承知のとおりです。 ただし、問題は、商業者委員六人を選任するのに八月二十日の常議員会でやられた。ということは、八月十三日の正式商調協には正式にまだ決まっておらない商業者委員六人が出席して決めたということなんです。これは明らかに無効ではないか。 いま一つは、その商業者委員の中には河村一郎という方がいる。これは河村株式会社の社長ですが、この方は今度出店をいたしまする伝馬町の中に入っておるユニーとの商取引は一一・九%やっておる。これは専属的な取引ではないから利害関係はないからいいのだということで通産は承認をされたそうですね。ところが、この承認をされた、一一・九%の取引高だからいいという河村商店は、これは大きな企業で二十七億の取引をやっています。だから一一・九%でも三億二千万円なんです。そこらの中小企業が十ぐらい寄ったぐらいの取引をユニーとやっておるのです。出店業者とやっておるのです。今後ヨーカ堂が出てくる、キミサワが出てくる。今までは一・一%、一・一%程度の取引ですが、これが出店してくれば当然そこの取引はまたぼっとふえる。少なくともこの関係出店者と総トータル三億八千万の取引をしておる河村一郎さんが、商業者委員として商調協の中へ入ったのです。この点から見れば、一千万や二千万ならともかく、三億八千万といえば先ほど申し上げたように中小企業なら十ぐらい寄ったほどの店ですから、だから比率の問題じゃない、額からきたら当然これは商業者委員としての適格な資格者でない、こう思うのです。あなたの方では率からいけば心配ない、五〇%ぐらいまではいいんだ、こういう御答弁ですが、そういう頭だけで考えたのでなくて実態から見たら、当然排除されるべき委員なんです。 大店法について今静岡で起きておるこの矛盾あるいはまた不適当なやり方から見て、商調協で八月十三日に決めて八月二十日に答申したこの中身は明らかに無効だと思うのですが、どうですか。
○矢橋政府委員 二つの御質問をいただきました。順次申し上げたいと思います。 まず最初の、静岡商工会議所の商調協委員の任命手続の日取りの問題でございます。このことにつきまして、私どもは手続にずれはないと考えているわけでございます。 具体的に申し上げますと、先生も御指摘になりましたように、商調協委員につきましては、五十九年六月二十日の任期満了に先立ちまして、六月十四日に開催されました商工会議所常議員会において、全委員の任期を同年十一月三十日まで延長することが承認されたわけでございます。その後、商業者委員六名、これは商業者委員としては全員でございますが、六月十八日に辞任をいたしました。このため、七月十七日の常議員会におきまして、欠員となっている委員の人選については会頭に一任する旨承認されたところでございます。八月十日に商業者委員候補者六名が内定いたしましたことから、八月十一日、会頭より東京通商産業局に協議があり、局は県と協議し、これを了承したわけでございます。 なお、補充の人選につきましては、七月十七日の常議員会で会頭に一任されていたところでございますが、八月二十日に開催された常議員会に報告をされたということでございます。つまり、七月十七日の段階で会頭一任という手続がとられているという経過でございます。 それから、二番目の商調協委員のいわゆる利害関係の問題でございます。これは「商業活動調整協議会の運用について」という五十九年の産業政策局長通達におきまして、商調協委員が当該商調協で調査審議する大規模小売店舗に入居する大型小売業者への専属的納入業者等、特定の案件について特別な利害関係を有することが判明した場合には、商工会議所等の長は当該委員をその案件の調査審議に参加させないものとするという旨を規定をいたしておるわけでございます。 先生が御指摘になりました河村さんの場合には、ここで言う専属的納入業者ではないということで、通達に言う特別な利害関係を有する者には該当しないというふうに考えた次第でございます。
○渡辺(嘉)委員 時間が超過をいたしておりますので、これ以上言いませんが、そういう紋切り型のことではだめなんですよ。なぜかというと、あれだけのトラブルを起こして商業者委員を選ぶというんです。だから、選んで後で承認を受ける。これを七月のときに会頭一任だというような、そういうことで通産がそれでいいというようなことは、商業者委員を含めて商調協の委員の選任には余りにも無責任なやり方だと言われてもしようがないでしょう、わからぬのですから。そういうやり方で、後で追認を受ければいいのだということで、この数年間の大事な問題を文書だけで形式だけでやろうとするところに、通産の行政の誤りが出るのですよ。こういう点はびしっと改めていただかないと、この大店紛争はまだまだ各地で起きるということ、この点をきちっと申し上げておくことと、今御答弁いただいたように、一一・九%だからいいのだとかいうことでなしに、三億八千万ですよ、そんなもの中小企業から見たら十ぐらいが一〇〇%寄ったのと一緒なんですよ。そういう額においても基準を設けておかないとざるだということ、ざる抜け法案だということ、この点をひとつ申し上げておきますので、答弁をいただくとまた余計超過しますので、びしっと申し上げて私の質問を終わります。よろしくお願いします。
○粕谷委員長 これをもちまして渡辺嘉藏君の質疑は終わりました。 午後一時五十分から委員会を再開することとし、この際、本会議のため暫時休憩いたします。 午後零時三十分休憩 ————◇————— 午後二時一分開議
○渡辺(秀)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。木内良明君。
○木内委員 今日までの我が国の経済発展を支え、流通全般にわたる基幹たる位置の一角を占めつつ、国民生活に密接なかかわりを有する揮発油等の安定的な供給を行うことを社会的使命として進んできた我が国の揮発油販売業は今、経済環境の変化と揮発油需要の停滞の中で厳しい経営を余儀なくされているのが実態であります。環境的要因によってみずからの必死の経営努力にもかかわらずその経営基盤が揺らぎ、窮状を呈するこの業界に対しましては、業界みずからの努力もさることながら、行政面からの対応と環境づくりによって健全な活性化が図られなければならない、こう私は考えるわけであります。申し上げたような点も踏まえて、揮発油販売業界の果たしてきた役割と現状についての大臣の認識をまずお聞きしたいと思います。
○村田国務大臣 木内委員にお答え申し上げます。 揮発油販売業は石油産業と消費者を結ぶ接点にありまして、国民生活に必要不可欠な揮発油の安定供給を通じ、地域社会はもとより、国民経済上極めて大きな役割を果たしてきているものと評価をいたしております。しかしながら、近年の揮発油販売業の経営状況は揮発油需要の基調変化と過当競争の進行の中で悪化しておるものと承知をいたしております。通産省といたしましては、揮発油販売業が構造改善などを通じ安定的な発展を遂げ、今後とも揮発油の安定供給の上で重要な役割を果たしていくことを心から期待をいたしております。
○木内委員 通産大臣からこの業界の果たしてきた役割についての認識に関する明確な答弁がありました。 そこで、具体的な問題に入るわけでありますけれども、石油流通ビジョン研究会によります最終報告が先月の二十五日まとめられています。業界の体質改善のための中小企業団体の組織に関する法律に基づく不況カルテルの実施についての検討に関する提案、あるいは業界における構造改善のための近代化計画の作成について言及がなされているなど、新たな対応における重要な内容である、このように認識をしています。まず概要について簡単に御報告願います。
○柴田(益)政府委員 石油流通ビジョン研究会は、今後も揮発油販売業の長期的、安定的発展への方途を探るため、揮発油販売業と元売企業の参加を得まして昨年四月から検討を進めてきたところでございますが、ただいま先生仰せのとおり、ことし三月にその検討結果がまとまった次第でございます。 この報告は三つの課題について報告しておるわけでございまして、一つは「揮発油販売業を巡る環境変化とその課題」、二つ目が「揮発油販売業の構造改善と新展開」、三つ目が「それに対応する行政のあり方」、この三つの課題について報告を行ったところであります。 この報告において指摘している点でございますが、まず第一は、揮発油需要動向の基調変化等が構造的なものであることということを指摘しております。御案内のように揮発油の需要の伸びが非常に低下しておりますが、その点の構造変化、そういうものを指摘しております。 二番目に、こういうような構造変化のもとで揮発油販売業は近代化、効率化、事業の多角化を行うべきであると同時に、事業の集約化等構造改善を積極的に進めて、自律的で活力のある流通業を志向すべきことということを指摘しております。 三番目には、揮発油販売業は石油元売企業間の過当競争の影響を強く受けているということからいたしまして、石油元売企業の厳しい自覚と自制を求めております。 それから四番目には、行政の過度の介入を避けつつも構造改善等の所要の指導、支援を行い、早急に自律的産業秩序の形成を図ることが必要である。 こういう報告でございまして、当省といたしましても、この研究会における意見を十分に尊重して揮発油販売業の構造改善を支援してまいる所存であります。
○木内委員 このビジョン研究会の最終報告がまとめられたことによって実は新たな対応を業界、あるいはまた今政府答弁にもありましたけれども、過度の介入は避けながらも、しかし政府としての重要な対策というものもまた考えられなければならない、こう思うわけであります。 現在ガソリンスタンドは全国で五万九千軒、そのうち赤字給油所が全給油所に対して、数で言いますと、五十四年度で二一・八%であったものが五十八年度統計では四九・六%とふえているわけでありまして、石油流通ビジョン研究会の報告にも、こうした全国のスタンドのうち約半数が赤字であるという現実は極めて異常な事態である、こういうふうに指摘をされているわけであります。 この背景といたしましていろいろあるわけでありますが、一側面として、揮発油の需要の大幅増があった高度成長期には、販売量の拡大によって経費の増大を賄い、経営の安定が図られてきたわけでありますけれども、最近の需要動向の変化の中で一給油所当たりの揮発油月間販売量が第二次石油危機以降ほぼ五十キロリットルで横ばいに推移をしている。少なくとも現状では、販売量の拡大によって経営の安定、発展を確保し得ない状況になってきているわけです。 この報告書の中で、需要動向の基調変化とまた過当競争の進行で、ガソリン需要が第一次石油危機までは年率一〇%、第二次石油危機までも五%程度の増加があったわけですが、その後は二%程度の伸びにとどまっているわけであります。今後のガソリン需要動向について確たる見通しを立てることが重要である、こういうふうに思います。 今二点について申し上げたわけでありますが、まず約半数の給油所が赤字であるという異常な事態に対する認識、それから今後の需要動向の見通しについてそれぞれ答弁を願います。
○柴田(益)政府委員 五万九千ありますスタンドの経営が大半赤字であるという先生の御指摘は、まことにそのとおりでございまして、五十八年度の給油所の赤字は四九・六%に達しているわけでございますし、営業利益率も五十七年度、五十八年度マイナスになっている現状にございます。御指摘のとおりでございます。 またガソリンの需要動向でございますが、先生のお話にもございましたように、第一次石油ショック前におきましては年率一二・二で伸びてまいりました。第一次石油ショックから第二次石油ショック、この期間におきましては、年率四%の伸びに落ちました。第二次石油ショック以降、現在では年率一・一%という低い伸びになってまいりました。今後もガソリン需要の伸びは大きく期待できないというふうに見ておりますし、六十年度上期の運用指針におきましても、去る石油審議会で御審議いただきまして、〇・五%の伸びという状態を見込んでおる次第でございます。
○木内委員 いずれにしても、需要動向の見込みについては極めて低い数字を挙げておられるわけであります。特に今の半数の赤字給油所という異常事態に対して、まず大臣の率直な認識を伺いたい。
○村田国務大臣 揮発油販売業は、五十八年度について赤字企業の割合が四九・六%にも上りました。業界平均の営業利益率もマイナス〇・六%となるなど、経営が非常に厳しいということはよく承知をしております。これは揮発油需要の停滞、揮発油販売業者や石油元売企業の拡販姿勢、不合理な取引債行等による過当競争の激化によるものというふうに理解をいたしております。
○木内委員 今の大臣の答弁にありましたように、理解もあり、さらにまたこの問題の深刻さについての認識もあるわけでありまして、ビジョン研究会の最終報告が出た今、ともどもに私たちも知恵を出し合いながら、この業界の発展に尽くさなければならないという決意をまず私は吐露したいわけであります。 通産省としては、中小企業近代化促進法に基づく指定業種として昭和五十二年から設備、経営管理等の近代化を実施、指導され、また五十八年からは特定業種に指定をされ、今日に至るという経緯があったわけであります。揮発油販売業の業界については、こうした措置により相当の効果を今日まで上げてきているという一面の評価があるわけでありまして、今申し上げた構造改善の進展の中でこれまでの措置との相乗効果というものがいかに図られていくのか、この点についての見通しをまずお聞かせいただきたい。
○柴田(益)政府委員 今のお話にございましたように、揮発油販売業は五十年九月に中小企業近代化促進法に基づく指定業種に指定されました。五十二年四月に中小企業近代化計画を定めまして、五十六年度まで五年間にわたりまして設備等の近代化を行ってきたところでございます。この設備の近代化につきましては、品質検査機とかあるいはPOS端末機、ポイント・オブ・セールス端末機などの設備の普及につきましては、ほぼ所期の目標を達成しておりまして、総額一千億円程度の近代化資金の投資を行ってきているわけでございます。 しかしながら、先ほどのお話に出ていましたように、ガソリンの需要が非常に停滞してまいりまして、片方で販売競争の激化とかあるいは経費の増大、そういう問題がございまして、個別企業の近代化だけでは足りないということで、業界全体の構造改善が必要だということで、五十八年十一月に近代化促進法に基づく特定業種に指定したところでございまして、今具体的な内容について業界において検討中という段階でございます。
○木内委員 これまでの行政措置に加えまして、今お話のあった構造改善の実施の問題でありますが、この実施については、揮発油業界において今知恵を絞り、また衆知を集めながらその対応に努力をしている、こういう現状であります。この計画の内容等につきましては、今後明らかになってくるわけでありますけれども、通産省として、この業界が立てる実施計画について、いかなる形でバックアップをしていくのか、具体的に今考えておられる内容について説明願いたい。
○柴田(益)政府委員 スタンドの構造改善事業の内容については、今業界の方で詰めているところでございますけれども、考えられるのはやはり共同化が中心でございまして、共同給油所の建設とか計算事務の合理化とか、あるいは共同福利厚生施設の設置とか、そういう共同化を中心とした事業が出てくるのだろうというふうに我々は予測しておるわけでございますけれども、そういうものに対しまして、通産省といたしましては政策的に中小企業事業団による低利融資をぜひ行いたいと思いますし、あるいは税制上の優遇措置、これは国税の面では割り増し償却とか、地方税の面では事業所税の非課税とか、そういう税制上の優遇措置、こういうものを中心にして支援してまいりたいというふうに思っております。 それから同時に、取引慣行につきましても、これは既に指導通達を出しておるところでございます。事後調整の廃止とか転籍勧誘の自粛とかいうような、合理的な取引債行確立のための指導方針を出しておりますが、こういうものもあわせて活用してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○木内委員 今長官の方から、いわゆるバックアップをいかにしてまいるかという点についての答弁がるるあったわけであります。業界自体が構造改善のために傾けなければならない情熱、これも当然今集約されているわけであります。加えて、行政面からのバックアップというものが各部面にわたって必要になってくると思われます。例えば構造改善に向けての必要な内容として、経営基盤強化のための近代化、効率化の推進がどうしても不可欠である、これは当然であります。 このため、実行しなければならない諸課題があるわけでありますけれども、業界だけではどうしても手が届かないという部分があるわけで、ここに行政の力をかさなければならないと思ううちの一つに、実は省力化、合理化のための設備の近代化が挙げられます。現行規制十キロリットル以下になっている地下タンク容量の拡大、これは輸送の合理化を図る上から必要である。さらにまた、作業の効率化、労働条件の改善を図るため、現行では空地面積の三分の一以下になっているキャノピー面積の制限の緩和あるいは多角化、立体化のための一面開放型屋内給油取扱所の認可並びに上階用途規制の緩和等々、関連法規の整備が必要であります。当然これは通産省だけではできないわけでありまして、消防庁との連係プレーによって推進されていかなければ、幾ら業界が頑張ってもかけ声だけで実を結ばない結果になってしまうということを懸念しているわけであります。この点につきましては、エネ庁の方でも今相当検討を進められ、あわせて消防庁と関連法規の整備についての検討もまたされているというふうに聞いているわけですが、今後通産省としてどういう対応を政府部内で行っていかれるか、また、その状況についても確認をしておきたいと思います。
○畠山政府委員 今お尋ねのございましたキャノピー面積の拡大でございますとか、それからタンク容量の拡大でございますとか、そういうことは御指摘にもございましたように消防法の規制の緩和という問題と関連をいたしております。 そこで私ども、先ほどの御質問にも出ました、この間の石油流通ビジョン研究会の答申をまとめる際にも、既に内々消防庁と御相談を開始いたしたところでございまして、消防庁では今給油所にかかわる防災規制について研究体制をとっておられるようでございますので、今後その状況を伺いながら、よく御相談してまいりたいというふうに思っております。
○木内委員 今、検討体制をとっているということの答弁があり、またこれに対応するということでありましたけれども、この法律の規制の緩和を考えずに構造改善というのは立ち行かない事情もありますので、ぜひ積極的に通産省としても業界の健全化を図る意味から対応をさらに願いたい、もう一回決意の答弁をお願いします。
○柴田(益)政府委員 経営の多角化のためにいろいろ設備の近代化をしなければならない、あるいは取り扱い商品を拡大する、あるいは上屋根面積を拡大するとか、いろいろ必要でございまして、消防法とどうしても関係が出てまいります。できるだけ消防庁の方に強力に折衝してまいりたい、そういうふうに考えておるところでございます。
○木内委員 長官の、強力に折衝を続けるということでございますので、ぜひ期待をいたします。 昨年十一月「揮発油販売業における合理的な取引債行の確立のための指針」が出ています。この指針は、独立した中小企業者である揮発油販売業者の経営のあり方、また適正な諸活動への対応、さらには石油元売企業は責任を持ってこれをバックアップすべきことを指導しているわけであります。 しかしながら、昨年末から本年初頭にかけまして、ガソリン市場が著しく混乱をし、中小零細企業である揮発油販売業は塗炭の苦しみにあえいでいる。特に、昨年末から本年初頭にかけてのこうした混乱の現状をどう認識しておられますか。
○柴田(益)政府委員 昨年末以来、やはりスタンド業界で過当競争が行われておりまして、一度昨年の九月に円安等ということを理由にいたしまして元売仕切り価格の引き上げが行われたわけでございまして、ある程度是正されたわけでございますけれども、その後十一月以降、またガソリンの市中価格が下がってまいりまして、特に昨年末は非常に下がったわけでございます。 その後、業界自身も努力されまして、二月中旬ごろには、そこを底といたしまして、現在若干の回復が見られたところでございますけれども、やはり我々、合理的取引慣行のための基準としての四つの方針を示しているわけでございますけれども、まだまだ業界自身に過当競争があるというのがその原因だろう、そういうふうに我々も認識しているところでございます。
○木内委員 今業界自身という発言がありましたけれども、実はこの元売の問題もやはり指摘しなければならないわけであります。 元売におきましては、シェア拡大競争のために事後調整という、よく本委員会でも指摘をされるわけでありますけれども、前近代的な取引慣行を続けてきて、加えて一部では、積極的にスタンドの引き抜きを行ったり、過当競争をあおり立ててきたという実感があるわけでありまして、最終報告が出、また昨年にはこの指針が発表されている。今こそやはり基本的なそうした問題点に指摘のメスを入れ、新たな展開の中での解決を図っていかなければならない、今はそういうタイミングである、こういうふうに私は認識しているわけであります。 特に、この指針の中では、事後調整の廃止が揮発油販売業者にとって自律的、自主的な経営を進めていく上で不可欠としているわけでありまして、私はこの指摘を極めて重要であると考えています。 実際には必ずしもこれが定着しておらない、市場の混乱を生じているという指摘もあるわけでありまして、この点について、通産省の見解をお聞きします。
○柴田(益)政府委員 ただいま先生御指摘の点については、まことにそのとおりであると我々も認識しているわけでございまして、ぜひこの事後調整については元売を強力に指導いたしまして、できるだけなくす方向に持っていきたい、そういうふうに考えているところでございます。
○木内委員 こうした指針は、経営の基本理念とも言えるものでありまして、揮発油販売業者、石油元売企業、さらに行政が協力しつつ守り育てていかなければならないものである、これは当然のことだというふうに思います。また、これに関連して、石油流通ビジョン研究会報告の中でも、合理的取引慣行の形成のため法的な措置として、中小企業団体法に基づくいわゆる不況カルテルの活用も提案されているわけでありまして、業界でも検討が進められているというふうに聞いておりますけれども、私は、通産省としてもこれに前向きに取り組んでいくべきではないか、こういうふうに思いますが、どうですか。
○畠山政府委員 今の御指摘の中小企業団体法に基づきます調整規程につきましては、まだ正式な当省に対します申請は出ておりませんけれども、昨年の石油審議会報告には、中小企業団体法等の関連法規の活用を図りながら自主的な努力を行い、適正な取引慣行の形成を図ることが求められる、という御指摘もございまして、したがいまして、今御指摘のように正式な申請がございますれば、この石油審議会の報告の趣旨も踏まえまして、法律上の認可のための要件が満たされているかどうか、積極的に検討してまいりたいと存じております。
○木内委員 最後に、揮発油販売業界の問題につきまして、大臣にお聞きします。 石油流通ビジョン研究会の報告にもあるように「揮発油販売業における合理的な取引慣行の確立のための指針」について一層の定着と実施を図り、揮発油販売業者が国民生活に必要不可欠な揮発油の安定供給を図り得る基盤を確立するよう、行政としてもいろいろな面にわたっての支援をしていくべきである、こういうふうに考えますが、この問題は引き続いて私は本委員会で重大な関心を持って取り上げていくつもりでありますけれども、きょうのところはまずこの問題の最後の質疑として、大臣の御決意を伺いたいと思います。
○村田国務大臣 木内委員の先ほど来の御質疑を承っておりました。 仕切り価格の事後調整、給油所の転籍勧誘、採算割れ廉売等の不合理な取引慣行は、末端の揮発油販売業者の自己経営責任の確立を阻害いたしますし、過当競争を激化させる要因となってきたものと承知をいたしております。 合理的な取引慣行は、石油元売企業等がみずから育てていくべきものでございますが、最近における過当競争の激化の中で、昨年十一月に策定し、石油元売企業、揮発油販売業者の自覚を促している「揮発油販売業における合理的な取引慣行の確立のための指針」の趣旨が十分な定着を見ているとは言いがたい、通産省としては引き続き合理的な取引慣行の確立について、指導の徹底を図っていく方針でございます。
○木内委員 次に、新聞販売業界の抱える諸課題について、質疑を行います。 今日の日本の新聞は、その独自の個別配達制度をもって世界に類例を見ない購読者への幅広い情報提供を可能にして、その歴史を刻んでおります。そういう長い歴史を持っているわけであります。我が国の報道機関中、一つの雄たる新聞のよって来る発展を支えてきたのが実は新聞販売店の存在であります。その経営に多大な努力を傾注してまいりました中小企業者たる新聞販売店は、またその経営のあり方というものは、産業構造や経済環境等の変化の中で今大きな曲がり角を迎えていると私は認識いたしております。まず初めに大臣に、これら新聞販売店の果たしてきた役割について、またその実態についてどう評価するか、お尋ねいたします。
○村田国務大臣 新聞販売店は、戸別配達制度を通じまして、多数の国民にとって欠かせぬ生活情報源である新聞を山間僻地などの読者に至るまで容易に接し得るよう正確かつ迅速な配達を実施してきているものであります。こうしたことから、新聞販売業はすぐれて文化性及び公共性の高い事業であり、社会に大きく貢献しているものと認識をいたしております。今後とも新聞販売業の持つ社会的、公共的役割は増大こそすれ変わらないものであると考えております。
○木内委員 今大臣から、新聞販売店の役割については極めて文化性、公共性の高い仕事であるという認識の答弁がありました。まずその答弁を多とするものであります。 そこで新聞販売業界の実情について聞くわけでありますけれども、販売店数、従業員数の年次別の推移がどうなってきているか、さらに一店当たりの従業員数の平均などについて公式統計に基づくものがあれば、まず御報告願いたいと思います。
○矢橋政府委員 公式統計といたしましては商業統計というものがございます。ただし、これは最近のものが昭和五十七年の統計でございまして若干古い年次でございます。これについて申し上げますと、昭和五十七年の新聞販売店数は二万一千四百十八店でございました。なお、社団法人日本新聞協会調べの、一年後つまり五十八年の店の数は二万三千六十五店でございました。 従業員規模別の状況でございますが、これを五十七年の商業統計で見ますと、従業員十人未満が全体の四二・四%、十人以上三十人未満が四三・四%、三十人以上五十人未満が九・三%、五十人以上が四・九%となっておりまして、比較的小規模な姿になっております。 それから、商業統計は三年に一度調査が行われるわけでございますが、それによりまして過去の推移を見ますと、先ほど昭和五十七年に二万一千四百十八店と申し上げましたが、五十一年は一万七千二百二、五十四年は一万八千五百八十、そして五十七年が二万一千四百十八でございますので、若干増加の傾向にございます。そして、詳細は省略いたしますけれども、やや大規模化の方向に向かっておるということが統計上出ております。つまり、小規模のもののウエートよりも大規模のもののウエートの方が若干ふえているという傾向にあることは事実でございます。
○木内委員 今答弁で大規模化の傾向という話がありました。しかし、全体の我が国の産業構造から見るならば、今答弁にあったように十人未満が四二・四%、十人以上三十人未満が四三・四%、その大半は、全体から見ると小規模零細である、こういう認識をしたいと思います。その点どうですか。
○矢橋政府委員 先生仰せのとおりでございます。私、大規模化の傾向にあると申し上げましたけれども、全体が非常に小さい中で、かすかに、やや大きくなりつつあるかな、そんな感じでございます。
○木内委員 そういうことであるならば納得ができるわけであります。すなわち、旧来の経営規模に比べて多少大きくなる傾向がある、しかし産業という視点から見れば、企業論から言えば極めて小さい、そういう認識です。 これに関連して、この新聞販売店に対する事業税の問題についてお聞きするわけであります。 日切れ法案たる地方税法が今国会で審議されて、その推移がこれあるわけでありますけれども、この中で新聞業、一般放送事業等七業種に対する事業税の非課税措置の廃止が盛り込まれているわけであります。税負担の公平確保という観点からもさらに慎重な対応が必要であることは論をまたないわけでありますけれども、ここで私が指摘したいのは、大手事業ないしはこれに準ずる事業規模、こうした企業が横並びの七事業の中で、先ほど指摘しましたように、この新聞販売店といいますのは極めて規模が小さいわけであります。そういう実情の中で零細企業たる新聞販売店に対しまして同率の課税措置が行われることについての問題の指摘をしたいわけであります。新聞販売業界ではこの問題を極めて重視いたしまして、昨年の三月以来全国的に約二十万の署名を集め、関係各方面に陳情、要請行動を行うなど、実情を訴える活動を展開してきたわけでありますけれども、この間の経緯についてはどう掌握されていますか。
○矢橋政府委員 昨年末の六十年度の税制改正検討に際しまして事業税の非課税措置の廃止の問題が持ち上がりました。そこでいろいろと政府部内で検討が行われ、その間、これは政府部内のことで恐縮でございますが、当省からも当然意見は申し述べたわけでございますが、総合判断の結果、最終的には廃止が決定をされた、ただし三年間に限って特別控除を設けることによって決着を見た、こういう経緯でございまして、税制全般の扱いの中での結論でございますので、現時点において私どもコメントはできない立場でございます。
○木内委員 今の答弁の中で、政府部内での議論の経緯の中で言及されたという話がありました。これは先ほど私が申し上げた新聞販売業界の零細性といいますか、零細企業、極めて小規模であるということで、七事業種の中でのこの業界の特殊性について言及をしたと受けとめていいですか。
○矢橋政府委員 これは言ってみれば部内の水面下の話でございますが、新聞関連事業の特殊性、その中での新聞販売業の置かれた状況についても当然言及はしております。
○木内委員 私も、よくそこまで答弁されたという感じがあるのですね。新聞関連事業ということで言及をされた。ニュアンスとして、この横並び、大規模、それに準ずる事業規模の中で新聞販売業界が小規模であるということについての認識を十分踏まえた上でのそういう議論の経過があったというふうに受けとめたいと思います。 一つは小規模性ということ、一面では新聞販売店の持つ公共性という特性があるわけであります。この公共性という観点から言えば、私たち国民は戸別配達制度というものの恩典をまことに当然のこととして享受しているわけでありますけれども、風雨にかかわらず、あるいは具体的に言いますと、家族の不幸など不測の事態があったとしても、社会的使命と役割の上から早朝からの配達にその職責を果たすべく頑張っておられる、こういう実態というものは、形態こそ違え、例えば今回事業税免除の対象となった医師に対する扱いなどと比べましても極めて公共性、責任性の高いものであるという認識を実はしたいわけであります。 加えて、先ほど来申し上げておりますように、事業税の規模からいえば七業種中零細な経営実態、今回事業税免除となったこうしたケースをも勘案して、新たな検討により再度免除すべきであるという意見も実は関係者の中であるかというふうに聞いております。そうして、新聞販売店の経営の安定化、ひいては経営悪化によりあるいは廃止を余儀なくされるかもしれないという戸別配達制度の存続のためにも、先ほど適用期間の延長という話がありましたけれども、政府部内の議論の経過もあったわけで、今後の推移の中ではさらに免除というものが検討され得ないか、このことをまずお聞きするわけであります。
○矢橋政府委員 これは六十年度の措置として決まったばかりというタイミングでございますし、先ほども申し上げましたように、単なる廃止でなくて経過措置も含んだものでございます。しかも経過期間がまだ三年間ある、こういう事情にございますので、これは先のことはわかりませんけれども、常識的に言えば、しばらくは新たな措置という話は一般的に言えば出にくいケースではないだろうか、これは私個人の感じで恐縮でございますが、率直に申し上げました。
○木内委員 この前、ある販売業者の方にこの問題についていろいろ御意見を承る機会があったわけでありまして、この際、いろいろ業界の置かれた実態等についてきめ細かな心情を吐露されました。こうした事業税の面で特例的な配慮というものが今後の推移の中で、今そういう答弁はありましたけれども、もし加えられることになれば、この業務の現場では公共性が評価され、また社会的に果たしている役割に対する評価が与えられたということでなお頑張れる。同時に、場合によっては存続の危機に瀕するような戸別配達制度も十分に維持ができるんだというようなことがございました。実態に即した措置というものを今後の中長期的な検討の中でぜひ行っていただきたい、このことをお願いします。 それから、休刊日の問題でありますけれども、現在新聞社は一、二、三、五、六、八、九、十一月と年八回の休刊日を設けています。一方、これに対して全国の販売店は、休刊日の増設を毎年要請、陳情していると聞いているわけであります。労務管理上、また他業種が今一般的に週休二日制への積極的な導入対応を行おうとしているこの社会状況というものがあるわけでありますけれども、こういう社会環境の中で、私は新聞販売店の皆さんが抱える切実な願いだと思うのです。販売店における雇用の吸収力の問題、あるいは業務そのものにおけるより快適な環境の形成という意味からも重要な課題であると思うわけでありまして、きょうは労働省の方にも来ていただいていますけれども、いかがでしょうか。
○畠中説明員 ただいま先生から御指摘のございました休刊日の問題につきましては、販売員の労働条件の向上という観点から見ました場合には、新聞販売店における労働者の休日の確保という問題になろうかと思うわけでございますけれども、この休日の件につきましては、やはり御指摘のように大きな問題があるというところから、従来から重点対象といたしまして監督指導等を実施してまいったわけでございます。また、それとともに日本新聞協会に対しましても販売店における労務管理の改善についての申し入れを行うなどの働きかけをやってまいったところでございます。 その結果、同協会では例えば代配要員の配置による週休制の導入についての具体的な実施例を付したパンフレットを作成して、そして下部に配付するということを行うなど、販売店主に対する指導を実施しているというふうに承知しておるところでございます。労働省といたしましては、労働者の休日の確保につきまして今後とも個別の販売店あるいは業界に対しまして強く指導を行ってまいりたいと考えておる次第でございます。
○木内委員 労働省の方から代配要員の確保あるいはそういった実態等についての言及がありました。そういったものがスムーズに行われて確保がされて財政的に余裕があれば何にも実は問題がないわけでありまして、これは後ほど若干触れるところでありますけれども、今財政的な面も含めて経営基盤というものが非常に危うきに瀕している、こういう実態があるわけであります。これはむしろ新聞販売店の業界だけの努力では全くどうにもならない問題でありまして、今答弁のありました業界あるいは関係方面に対する対応を今後ともひとつ続けていただきたいというふうにこの場で要望いたします。 同時に、申し上げた休日の増設ということにつきましては、昨年在京六社は先ほど年八回の休刊日を言ったわけでありますけれども、十月における休日一日の増設に同意をした、しかし他地域の諸要件等の事情でこれは実施に至らなかった経緯があると聞いているわけでありますけれども、これはどういう事情でしたか。
○畠中説明員 先生御指摘のとおり昨年新聞協会におきまして休刊日の増設が検討されたということを伺っておりますけれども、私どもの聞いておるところによりますと、他地域の新聞が合意しなかったというよりは、どうも他の例えば広告だとか販売等の各部門それから協会の中における販売部門との間での合意を得られずに見送られたと仄聞しておるところでございます。 しかし、労働省といたしましては、先ほども申し上げましたように、新聞販売店の労働者の休日の確保につきましては引き続き強力な指導を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
○木内委員 昨年来の動きについてはわかりました。実際に休日の増設ということは業界の要望として強いわけでありまして、もう一歩のところで何とかいくのじゃないか、こういう感じを実は今の答弁で持つわけです。今の答弁の中にあったように、何点かについてのクリアが行われれば実施も可能であるという感じを持ったわけです。実際の見通しはどうでしょう。
○畠中説明員 この問題につきましては従来から長年にわたりまして取り上げられてまいりました問題でございます。新聞が持っておる公共性という非常に大きな制約がございまして、私ども非常に強く指導を進めてまいってはおりますけれども、その歩みは先生御指摘のように遅々たるものであったわけでございますけれども、しかし私どもの監督指導結果等を見ましても、遅々たる歩みの中でそれなりに徐々に進展してきでおるわけでございます。そういう意味で私ども、いろいろとただいま先生からいただきました御示唆等を踏まえまして、今後ともその線に沿いまして強力に指導を進めでまいりたいというふうに考えております。
○木内委員 ぜひひとつおっしゃったとおりの強力な今後の対応をお願いしたい、こういうふうに思います。 今いろいろ申し上げました休刊日の増設に対するネックがあるわけでありますけれども、この問題と新聞の定価凍結の相関関係を指摘する向きもあるわけであります。すなわち、新聞定価は五年間据え置かれておりまして、限定された価格総量のもとで販売店の手数料が、諸物価の高騰が続く中で実質的には圧縮をされてしまう、拡大されておらない、こうした点もこれあり、財政的な、経済的な面へのしわ寄せがあって週休実施が困難であるという、これが大きな障害になっているということも考えられるわけであります。発行本社の協力と連携の緊密化を図ることによって、この実現に向けて労働省は強力な指導を行うべきである、こういうふうにも考えるわけです。これは手数料等の関係もあるわけでありまして、今の点、もし労働省の方で答弁があればまず願いたいと思うし、それから何度も申し上げるように、この週休実施については販売店は強く要望しているわけでありまして、財政収支の厳しさというものがどうしても横たわっている。こうした問題における新聞社と販売店の間における手数料等の扱いの実態についても十分な掌握をしていただかなくてはならない 一つは、流通一般論としてどうあるべきかということを通産省の方にお聞きしたい。販売手数料の適正化等新聞販売の正常化推進について、業界にも強くまた長くこれを求める声があるというふうに聞いているわけでありますけれども、この点についての通産省の見解を伺います。
○畠中説明員 労働省が販売手数料そのものの問題につきまして口を出すというのは若干問題かと思うわけでございますけれども、ただ、ただいま先生御指摘のございましたように、発刊本社の対応が労働者の休日の確保その他の労働条件の向上のために非常に大きな影響を持っておるという認識は私ども共有いたしております。したがいまして、その発刊本社で構成する新聞協会等を通じまして、その点での指導を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○矢橋政府委員 販売手数料の引き上げなどの問題を含みました新聞販売の適正化の推進の問題につきましては、従来から新聞販売店の経営者の間あるいはその団体でありますところの社団法人日本新聞販売協会などにおいてそれを求める声があることは承知をしております。 ただ、いずれにせよ発行本社と販売店とは非常に密接な相互依存関係にあるわけでございます。そうした関係の上に立って、社会的なメディアとして重要な機能を果たしているという状況にあるわけでございます。したがいまして、両者がこうした緊密な相互依存関係を十分認識し合って、販売手数料等の問題につきましても当事者間の話し合いによりまして円満に解決されることを期待している次第でございます。
○木内委員 今正常化について若干話がありましたけれども、この正常化の問題について公正取引委員会等の今日までのいろいろな対応努力があって、一定の成果があったことを評価をするものであります。 関連してサービスの点について聞きます。特殊指定の商品としての新聞ということで「新聞業における景品類の提供に関する事項の制限」、これは告示ですね。これによりまして景品類の提供が制限されているわけであります。今日、新聞販売店ではその扱い部数が減少傾向にありまして、実際に厳しい経営状態の中ではありますけれども、こうした遵法精神を踏まえつつ経営基盤の確立を何とか図らなくてはいけないと努力をしているわけであります。いわばこういった点でいえば企業としての一面が当然これはあるわけでありまして、そこで、そうした企業という視点に立つならば、ある程度のいい意味での競争またはセールスのときにおけるサービスというものについて必要なのではないかという意見があります。 これは全く皆無ということになってしまうといかがかという意見が業界にあります。「商慣習に照らして適当と認められる」という文言のもとに何項目かにわたってこの告示が発せられているわけでありますけれども、極端なセールス時における景品の提供等、これはこれまでもたびたび議論をされてきておりますように、当然問題視されなければいけませんけれども、しかしながら、現実的にどの程度のものがこの規則に照らして容認される範囲なのか、むしろこれを明確にし、あわせて弾力的な見解というものが出されて、この中で適正な競争というものが行われていくことも一つは必要なのではないかという意見もあります。公正取引委員会の方から答弁願います。この点どうでしょうか。
○利部政府委員 ただいま先生の御質問の趣旨、当公正取引委員会として考えてみますと、仮にそういうような検討を新聞の業界なりあるいは私どもの方なりでできるような事態になることは非常に望ましいことだと思いますが、現状におきましては、現在の景品の規制をほんの少しでも緩めるという気配が見えますと、それだけでせっかく鎮静化の方向に向かいつつあるむだな拡材競争が再発して、そのために販売店の経営をさらに危うくするような事態も十分予想されますので、理想としてはおっしゃるようなとおりだと思いますけれども、現状では緩めるという議論はする時期ではないというふうに考えております。 現在の新聞の正常な商慣習として許容されている景品類といいますのは非常に限られております。これは御指摘のは新聞業の特殊指定あるいは景品表示法に基づく景品の制限でございますが、それに対応いたしまして新聞業界で景品の規制のための公正競争規約というのをつくっておりますけれども、その公正競争規約の題名が景品の禁止に関する公正競争規約というふうに非常に異例な呼び方をしているぐらいで、新聞の場合には景品は全面禁止に近いような規制になっております。現在許容されておりますのは五つの類型がありまして、一つは、何か新聞の購読者のところで火事があったなどという場合に例えばバケツをお見舞いに持っていくとか、そういうようなものは当然といいますか、禁止する必要はなかろうということで、差し支えないことになっております。それから、新聞に類似する付録、新聞に挟まれてくる印刷物がありますが、そういうもので一定限度のもの。それから、新聞の購読者に限定しないで広く一般に提供する場合、時々新聞社なりあるいは販売店の団体なりが社会福祉的な意味もあって寄付等をすることもございますけれども、そういうものはもちろん差し支えないというふうになっております。それから、新聞の配達の際に、月末とか月の初め、購読開始の月の初めなんかに、なれるために数日間ただで配ってしまうなんという場合がある、そういうものは構わないというような、非常に当たり前のような場合に限って許容することにしておりまして、他は原則は一切だめということで貫いておりますのが建前なんでございますけれども、現状は御存じのとおりでありまして、それがやっと鎮静化の方向に向きつつある、そういう状況でございます。
○木内委員 今公取の取引部長の方から、前提として、そういったものがまた議論されるような土壌といいますか環境ができることが望ましいし、むしろ業界の健全な発展と安定化のためにというスタンスでの発言がありました。ただ、個々の企業においてそういう意見もあったということで聞いておいていただきたい、こういうふうに思います。 〔渡辺(秀)委員長代理退席、田原委員長代理着席〕 次に、婦人の早朝就業の問題であります。 昨年六月関係団体が実施いたしました「女子従業員の就労状況についての調査」というのがあります。この中の設問で、「このたび、男女雇用機会均等法案が国会に提出されましたが、その中で、女子の早朝就業」、この場合「深夜業」という表現になっておりますけれども、「禁止規定の取り扱いについて意見が分かれているようです。あなたは、新聞販売店の女子従業員について、こうした制限を撤廃するかまたは大幅に緩和することを希望しますか」こういう設問の中で、実は私も非常にいろいろ資料を見てみまして、その大事な側面を知ることができたわけでありますけれども、この早朝の配達等の業務に携わっている婦人就業者の場合、実は、みずから現在の時間帯に納得をする、むしろそれどころか、この時間帯によって与えられる恩典といいますか、報酬等の面での内容というものをみずからよく理解をして積極的にこの仕事に取り組んでいる、こういう実態があるわけであります。 例えば、「希望する」と答えた中でどういう意見があるか。多い意見は、「読者が希望する朝刊配達時刻は午前六時以前が多いので、その要求に応ずるために、配達開始時刻を早める必要がある。」これは恐らく仕事の上での使命感だというふうに思います。それから、「できるだけ多くの部数を配達して、収入を増したい。」さらに、「現在の業務が健康及び福祉に有害であるとは思わない。」それぞれがアンケートに対する回答者の答えてあります。また、いろいろな意見を書く欄には、種々これを何とかさらに働きやすい環境をという希望の上から、例えば、「四時から配達すれば倍の収入が得れるのに法律で出来ないというのは逆差別で職業選択の自由と生活権をおびやかしている。」のではないか等々の意見が寄せられているわけであります。 いわゆる雇用機会均等法案におきまして、労働基準法の改正ということがあるわけであります。その改正労働基準法案におきましては、早朝就業は原則禁止という考え方を維持しつつも、若干適用除外業種等をふやすということで今その検討、対応が進められているというふうに聞いているわけであります。今申し上げたような実態も勘案し、その検討状況がどうなっているか、労働省に聞きます。
○畠中説明員 先生御指摘のとおり、現在、今国会におきまして御検討をいただいております男女雇用機会均等法案によります労働基準法の改正におきまして、業務の性質上深夜業が必要とされる業務として命令で定める業務については、女子についても深夜業を認めるということになっておるわけでございます。 私どもが深夜業と言っておりますのは、午後十時から午前五時までの業務でございます。したがいまして、女子が早朝五時以前に新聞配達をするということになりますと、現行の労働基準法におきましては禁止されておりますので、法律違反ということになるわけでございますけれども、先生がただいま御紹介されましたアンケートの中における御婦人方の御要望、あるいは私どもがいろいろな形で聞いております要望、例えば、主人や子供が朝出かけていくときまでに帰って、そして一緒に朝の食事をしたいというような非常に切実な要望もございます。そういうものを踏まえましてこのような労働基準法の改正規定が現在男女雇用機会均等法案の中に盛り込まれておるわけでございますけれども、この法案の審議会における審議に際しまして、この女子の早朝配達の問題につきましては検討の対象とされた経緯がございます。 今後、もしこの男女雇用機会均等法案が法律として成立した暁には、それに基づく具体的な命令を定めるということになるわけでございますけれども、審議会におけるその命令の審議に際しましてはこのような経緯があったということを踏まえて十分に検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○木内委員 私が申し上げましたように、家庭を抱え、育児の仕事があり、非常に厳しい状況の中で働く意欲にこたえる、それでいてまた非常に報酬があり社会性があるということで魅力を感じて就労意欲を持っている婦人が多いわけでありますので、その点を踏まえてぜひ前向きの検討をお願いしたい、こういうふうに思います。法律は何もしゃくし定規にいくものではなくて、むしろそういう実情に即した法律というものが必要でありますし、また運用というものも重要である、こういうふうに考えるわけであります。 同じく関連する問題でありますけれども、青少年による新聞配達の問題です。 これは明治以来の新聞の歴史の中で、言ってみれば、強固な心身の鍛錬なども含めまして、成長過程にある青少年の資質の向上に極めて役立ってきたという事実があります。また、これは我が国だけでなくてアメリカなどでも、良家の子弟なんかが健康上あるいは自主的勤労意欲のなせるものとして新聞配達を希望する者も非常に多いわけでありまして、各種団体がこれを表彰するケースなどもあるというふうに聞いているわけであります。ところが我が国では、最近の傾向として、教育関係者の間から教育水準の向上という視点もあり、生徒の新聞配達に教師が反対する傾向がある、こういうふうに聞いているわけでありますけれども、この実情と、それから青少年が新聞配達に従事することに対する認識を伺いたい、こういうふうに思います。
○並木説明員 先生御指摘のように、青少年が学びながら働くということは、みずからの資質の向上と能力の開発を図るという意味で重要なことであるというふうに考えております。またそればかりでなくて、社会的見地からも大切なことであるというふうに考えております。労働省といたしましてはこのような認識から、新聞配達等で働きながら学ぶ青少年につきましては、その就業時間に支障を来さないように事業主等に御指導しているところでございます。
○木内委員 残念ながら私の時間が参りましたけれども、大臣もきょうの質疑をお聞きいただいて新聞販売業界がいろいろな面で今曲がり角を迎え、同時にまたいろいろな課題を抱えているという実態を理解していただいたというふうに思いますし、また新聞販売店の業界の健全な発展、経営の安定にぜひとも前向きに取り組んでいただきたい、このことを要望いたしますとともに、最後に御決意を賜りたい、こういうふうに思います。
○村田国務大臣 素朴な認識を最初に申し上げますが、私は九段の議員宿舎におりまして毎日数紙をとっておるわけです。五時台にA紙とB紙が来る、六時台にC紙が来る、七時を過ぎてD紙とE紙が来る、そういったようなものを毎日朝から読んでおりますと、新聞の販売、新聞の配達ということが社会に果たすメカニズムと申しますか、そういうことを私はいつも身近に経験しております。この新聞はどういう特色があるとか、そういうことも毎日のことでありますが、数紙を読み比べて、業界紙その他を読み比べていろいろ私なりの批判をしておるわけでありますが、新聞のいわば公器としての性格、それから新聞業及び新聞販売業はともに公共性の高い業種でございます。したがって、通産省のスタッフから、きょう先生が御指摘になられたような問題点も今までいろいろ聞いておったところでございますが、全般を非常によく整理して御質疑をいただいて、業界のためにも大変なプラスだと思います。基本的には当業界の自主努力による面が多いわけでございますけれども、通産省としても公正取引委員会、労働省など関係機関とも協力をしながら、委員御指摘のいろいろな御希望について尽力をしてまいりたいと存じます。
○木内委員 以上で終わります。
○田原委員長代理 伊藤英成君。
○伊藤(英)委員 まず最初に、今回の対外経済対策のうちの合板等の関税問題について御質問をいたします。 林業、木材関連産業は、御承知のとおりに経営の安定と雇用確保のため懸命の努力を続けておりますけれども、住宅建設の長期低迷や国際環境の悪化により従業員数がこの五年間で十万人に減少するなど、大変厳しい状況下にあります。今般の対外経済対策によって合板等の関税引き下げが実施されますと、企業倒産の多発、失業の発生、地域経済への悪影響が心配されるところであります。また、この産業は将来を展望して近代化を進めていかなければなりませんが、何分にも関税引き下げを一気に実施いたしますといわゆるソフトランディングができなくなります。そのあたりをどのように考えられているかを林野庁にお伺いをいたします。
○脇元説明員 お答えいたします。 合板関税の引き下げを行いますと、先生御指摘のように国産合板の競争力が大変低下している現状でございまして、しかも現在深刻な不況下にございます合板業界等に大変大きな影響を与えることが考えられます。合板関税の引き下げは、森林・林業及び木材産業の活力を回復させるための対策の進捗状況を見つつ、おおむね三年目から前向きに取り組むこととしておりますが、その具体的な内容は、対策の進捗状況を見つつ判断をしてまいりたいというふうに考えております。
○伊藤(英)委員 ただいまの認識によりますと、いずれにいたしましても林業並びに木材関連産業の近代化並びに産業振興のためにいろいろな財政援助政策を講じていかなければなりませんが、もうちょっと具体的に、どういう対策をすべきだと考えておられるか、お伺いをいたします。 特に、この産業は自己資金ゼロの零細中小企業がほとんどであり、しかも競争が激しい、流通が閉鎖的である、あるいは針葉樹を使用できる技術開発ができていない、広葉樹原木の確保ができにくくなっている等々のさまざまな問題を抱えていますので、特に雇用問題も含めて広範囲な対策を考えていかなければならぬ、こういうふうに思いますけれども、林野庁と労働省にあわせてお伺いをいたします。
○脇元説明員 現在の森林・林業が置かれております厳しい現状を見ますと、ただ単に合板業界の体質改善のみならず、中長期の視点に立ちまして木材産業全般あるいは林業を通じた対策を進める必要があるというふうに考えているところでございます。このために、森林・林業及び木材産業の活力を回復させるという観点から、まず第一は何といいましても木材需要の拡大、それから二つ目は木材産業の体質の強化、三つ目に間伐保育と森林・林業の活性化対策等を中心に財政金融その他の所要の措置を当面五カ年にわたり特に講じることとしておりまして、具体的な内容につきましては、現在鋭意検討中でございます。
○坂根説明員 合板の関係の問題でございますが、先ほど林野庁の方から答弁がございましたように、国内対策につきましては、具体的内容につきましては今後検討されるということになっておりまして、雇用に及ぼす影響につきましては、現段階では具体的に把握できないという状況にございます。 そこで労働省としてどう考えるかということでございますが、関係省庁とも緊密に連絡をとりながら、関連業界における雇用面への影響につきまして詳しく今後調べていきまして、必要な対策を適切な時期にとりたい、こういうふうに考えております。
○伊藤(英)委員 今のお話ですと、林野庁にいたしましても、労働省にいたしましても、これからの影響についてはともに非常に大きなものを予想されているわけでありまして、その具体的な対策はこれから検討をされるということのようであります。 そういう意味では、今すぐ、いつからというのはなかなか難しいのかもしれません。どうか早急に、その影響の大きいことを十分に認識されて検討され実施していただきたい。必要なものはもう六十年度の補正予算においてもすぐに展開をするとかいうふうにぜひしていただきたいと思います。 そしてもう一つ、今言われましたように、具体的な対策は検討中ということでありますけれども、関連業界はもちろんでありますけれども、雇用問題という重大な問題を抱えているわけなんで、どうか労働組合サイドの御意見も聞いて具体的な対策にぜひ生かしていただきたいと思います。その辺を要望しておきまして、この問題については終わります。 それから次に、対外経済政策の決定過程について御質問をいたします。 いわゆる対外経済政策を考えるに当たっては、情報収集から対応策を打ち出すまでの過程に非常に問題があるのではないか、私はこういうふうに思うわけであります。今のままですと、日本の国益を守ることにならないんじゃないだろうか、そういうような危惧の念さえ私は抱くわけであります。 私は、実は一九七九年から八二年までの三年間はアメリカで生活をいたしました。そして、つい先月、三月十七日から二十八日まで訪米をする機会を与えられまして、その間に約一週間はワシントンにずっとおりましたけれども、アメリカの政府関係者あるいは議員それから労働組合の人たち、それから世論調査の会社のトップともお会いしたりして、日米問題についていろいろ議論をしてきたわけでありますけれども、そうしたことを踏まえて幾つかお伺いをしたい、こういうふうに思います。 それは情勢把握の体制についてでありますけれども、米国の方々と議論をしておりますと、出てくる問題は、日本政府の対応が必ずしもアメリカの政府の要求する事項と合致しないのではないかということであります。アメリカの政府が要求してないことで対応策がとられたといたしましても、それは米国としては評価もできないでしょうし、むしろ逆に米国内で混乱を招くことになるだろう、こう思うのですね。それは、諸外国の政治経済を初めとする諸情勢の把握に問題があるのじゃないんだろうか、こういうことであります。 例えば米国の情勢の把握について考えますと、政府やあるいは議員の動向把握だけにもしも必死になっておるといたしますと、それは非常に問題なんじゃないんだろうか。よもやそういうことじゃないんだろうと思いますけれども、そんな気もいたします。もっと重要なのは、そういう議員やあるいは議会の動向のベースとなっているかもしれない経済や産業あるいは社会の動向把握について手を抜いてしまうということになるとすれば、それはまた非常に重大な問題というふうに思うのです。 そういたしますと、もちろん、さっき申し上げたような格好にいったといたしますと、いわゆるクールな、冷静な判断ができなくなってしまうだろう、こういうふうに思うのです。これが当然日本の今までの対外経済政策に対する諸外国の評価にもあらわれているんだろう。この間の、大来先生の出されました対外経済問題諮問委員会のレポートにおいてもこのことが指摘されていると私は思うわけであります。 我が国では、外務省を中心として通産省やあるいは経企庁が諸外国の情勢把握を担当する責任部署であろうと私は思いますけれども、それぞれがどういう役割を持ってどのようにやっているかということにつきまして、外務省、経済企画庁それから通産省にお伺いをいたします。
○七尾説明員 お答えいたします。 対外経済対策等の策定に当たりまして、御指摘のとおり、まず出発点は、先方政府あるいは業界、広くアメリカ、ヨーロッパ各国の要望等の正確な情勢把握でございます。もとより人数は他の諸外国に比べまして若干遜色はございますが、例えばワシントンの大使館を例にとりますと、大使以下書記官に至るまで、できるだけ幅広く、単に行政府あるいは議会のみに限りませず、場合によってはコンサルタント、新聞記者あるいは論説、学界、それから年に定期的にやりますし、最近のような情勢を踏まえて緊急にやります世論調査、そういった形を通じましてできるだけ的確に先方の方の要望を客観的に把握するという形で努力しておるわけでございます。既に完璧であるということを申し上げておるわけではございませんが、できるだけ最善を尽くしておる。 大使館の内部の構成としましては、ワシントン大使館の場合では、外務省に加えまして関係経済官庁、最近は郵政省、厚生省あたりも含めまして大きな班を構成しておりまして、その辺で有機的、機動的に活動を展開しておる。特にイースター前のアメリカ議会等に対しては、百人以上に上るいろいろな議員の方にもアプローチしたりというような活動をしておる現状でございます。
○赤羽政府委員 お答え申し上げます。 経済企画庁といたしましても、各種の一次データの収集ということはやっていないわけではございませんけれども、むしろ経済企画庁としての任務は、この収集されました一次データの分析をし、それに対してどのような有効な対策を考えるのか、その上で関係各省との間の調整を行う、その上で対策をまとめる、こういうところに主眼があるのではないか、こういうふうに考えております。 もとより、的確な情勢の把握がなければそれに対して適切な対策を企画立案することはできないわけでございますから、私どもといたしましてもそれぞれアンテナを張っております。今外務省の方からのお答えもございましたように、在米大使館に私どもから参事官を送り込んでおりますし、それ以外にもいろいろなマスコミのデータその他を分析する、こういったようなことをやっておるわけでございます。
○黒田(真)政府委員 ただいま外務省あるいは経済企画庁からお答えがございましたが、私どもといたしましても、在外公館、特にアメリカの場合にはワシントンの大使館あるいは各地の総領事館にも出向しておりますし、あるいは我々が出向した者に加えて、先ほどの外務省からの御説明もありました皆さんの集めてこられたものが公電の形で刻々私どもに提供されております。それに加えて、ジェトロ、日本貿易振興会もいろいろなアンテナを張って状況の把握に努めるというようなことで、特にアメリカの場合には、先生御指摘のとおりに大変多面的、重層的な構造のように思われますので、そういった多岐にわたる考え方というものを的確にとらえて、その上に立って所要の政策を立案実行していくことに意を用いているつもりでございます。
○伊藤(英)委員 それではもっと具体的に、今回の自動車輸出自主規制継続の問題について説明していただきたいと思うのです。通産省としてはどういう情報を収集して、分析して最終的に判断をしたのか、また、規制を継続することに反対をした方も中にいらっしゃると思いますけれども、最終的な判断の過程でどういう議論があったのかについてお伺いいたします。
○木下政府委員 三月の初めにレーガン大統領が、日本からの自動車の輸出について規制の延長を求めない、同時に日本の市場開放努力について最大の努力を期待するというような声明を発表したわけでございますが、その当時から、アメリカにおきます自動車の販売状況あるいはアメリカにおける自動車会社の利益の状況等々は、ずっと私ども把握しておったわけでございます。したがいまして、レーガン大統領のそういう意向が表明された後、村田通商大臣の方からはそういう意向に対して歓迎の意を表されたわけでございますけれども、それ以降、アメリカの市場の動向、日本の各社の対米向け輸出の計画、そういうものをいろいろ積み上げまして、それからまた、アメリカにおける政府あるいは議会、各方面のそれまでの意見あるいはそれ以降の反応等も見て最終的に、三月末に、日本側独自の判断で、規制をあと一年過渡的措置として続けるということを決めさせていただいたわけでございます。
○伊藤(英)委員 規制継続をしない方がいいのではないかというような意見は、通産省内あるいは他省にはなかったのでしょうか。
○木下政府委員 日本の中には当然のことながら、業界の中にはいろいろ意見がございました。ただ私どもとしては、判断する要素といたしまして、昨年のアメリカにおける自動車の販売が急速に伸びまして、日本から百八十五万台というレベルで輸出規制をしておったために日本車の在庫が非常に落ちていた。通常であれば五十日か六十日分あるべき在庫が二月、三月末には二十日分くらいに落ちていたということもございますし、これはお聞きかと思いますが、日本車に対するディーラーからのプレミアムをつけた販売等も行われておりまして、異常に逼迫した状況になっておったわけでございます。 そのような状況がありますし、それに加えまして、規制撤廃の話と同時に、あるいは従来からの契約もあったわけでございますが、アメリカのメーカーから日本のメーカーに対する注文がいろいろありまして、その注文の数字も相当の量に上っていた。それから、基本的に日本車に対する根強い需要がアメリカの中にある。そういうようなことを背景といたしまして、各社の八五年度における輸出の計画を積み上げますと二百七十万台を超えるような数字になったわけでございます。 百八十五万台のレベルから一遍にそのような輸出が行われる、特に規制が解かれた直後にどっという形で出ていくということになると、せっかく自由化されたマーケットがまた混乱を起こすおそれがあるという感じがいたしまして、アメリカ側としては規制を求めないということだったわけですが、私どもとしては、アメリカの市場が安定的な形で推移するということ、したがって、それによって日本からの自動車の輸出が混乱を起こすことがないようにした方がベターだ、もし混乱を起こしたことによって、また再び輸入制限運動の動き等が出てきたらまずいというようなことも考えまして、通産省としては自主的な形での規制の延長を決めたわけでございます。 したがいまして、当然、その過程において業界の中等においては、できるだけ輸出したいというところは、自由な方が望ましいという声もあったわけでございます。
○伊藤(英)委員 再度お聞きいたしますけれども、通産省内とかあるいは外務省とか、そういう省内には輸出自主規制の継続をしない方がいいんではないかというような意見は余りなかったということなんでしょうか。
○村田国務大臣 伊藤委員にお答え申し上げましょう。非常に重要な問題でございます。 二百三十万台を超えない範囲で対米輸出自主規制をするという決定は、通産省では私がいたしました。そしてまた当然のことながら、総理の御意向また外務大臣の御意向も承っております。行政機関の意思形成過程においてはいろいろな議論があることは当然でございますが、私どもはこの決定が全く正しかったと今信じておりますし、またこの決定を変える意思は毛頭ございません。要するに、日米両国の親善そして日米貿易問題のあすを考えて私どもの決定は正しかった、アメリカは必ず理解をしてくれる、こういう信念で進んでおるところでございます。
○伊藤(英)委員 なぜ私がそういうことをお聞きしたかといいますと、新聞等にも通産省の中の問題あるいは外務省の問題につきましても一部報道されたりいたしました。私は、こういう重大な問題はいろいろな意見があるということははっきり出ていい、こう思うのです。それは通産省の中だってもちろん同じことだと思うのですね。 大来先生のレポートの中に出ていますが、いわゆる政策決定の透明さということが言われたりしております。これも今言った意思決定の過程がいろいろ出されることはいいことなんじゃないだろうか、こう思うのです。現に一九八一年に自動車の自主規制を一番最初にやるときに、アメリカのキャビネットの中で例えばだれが本当にあれに賛成し、反対したかということはばんばん新聞等にも報道されました。そして最後には大統領がどういうことを考えてあの決断を下したかということまで新聞に出たりいたしました。今回のような状況ですと、日本でも、何もかも何となく出さない、みんな何となく一致してやりましたよというようなことでなくていいんではないだろうか、そうした政策決定の透明さをもっと出した方がいいんではないか、こういうふうに思ったからあえて何度もお伺いしたわけであります。 そうすると、先ほどのお話ですと、米国のだれからも頼まれもしませんでしたよ、私たちが自主的に決定をいたしましたよ、こういうことであります。そして各メーカーの状況を見てもなかなか大変になりそうだと判断をした、それからアメリカの市場もこういうことだと言われました。しかし、アメリカの現在の市場というのは、先ほど局長が言われたような状況ではないと私は思っております。そういうことでありますけれども、少なくとも今言われたことからいたしますと、アメリカの現在の自動車産業が、ビッグスリーで、昨年ですと百億ドルの、史上空前の利益を上げております。そして一役員でも今や四億円のボーナスを支給されるというような状況があらわれたりしているわけですね。 〔田原委員長代理退席、委員長着席〕 よもやその産業を救うためだ、こういうふうには思いませんけれども、今回の措置の本当の目的というのは先ほど言ったとおりでありますか、あるいはもっと本当はこうですということがあるのでしょうか。
○村田国務大臣 きょうの伊藤委員の御質問を伺っておりまして、御意図は本当によくわかるのです。外国の情報をとるとり方はどうであるかとか、あるいは意思形成過程の問題において通産省や外務省やそういったところのコンセンサスは十分であったかとか、伊藤委員は専門家でいらっしゃいますし、またアメリカにも行っていらっしゃって自動車の問題を十二分に研究しておられますから、委員の御質問の趣旨はよくわかります。 ただ、私がこういった公式の席上で、今すべて決定をいたした後になりまして、実はこういう反対もありましたとか、そういった意思形成過程をこの場で申し上げることは適当でない、こういうふうに思っておりまして、もちろんこれは将来というものはX、Y、Zがあるわけでありますから、そういう不特定の係数を含めながら、我々がアメリカの情報また日本の業界の情報等をいろいろと勘案をした上で決定をした、また十一月に、私は就任後比較的早い機会に自動車業界の方々にお集まりをいただいて懇談会をいたしたところでございます。 そのときに、たしか豊田章一郎社長であったかと思いますが、業界の御要望を集約して言われました。また、石原会長からもお話がございました。そういったことは全部踏まえまして、そしてアメリカの日本車の在庫、それからキャプティプインポート、それからまた大手業界、中小業界、そういった業界のいろいろな対応も、先ほど来木下局長から申し上げでおりますように、あるいは外務省その他関係のいろいろな御意見も承ったり、そして総理の御感触も承りながら今回の決定をさせていただきました。 この決定の要点は、一年限りのものであるということ、そしてまた日米自動車業界さらにアメリカの実際に自動車をお使いになる消費者の方々、そういったいろいろの要素を勘案した上で方程式の答えはきちっと出した、こういうつもりでおるわけでございまして、ぜひ御理解を賜って御協力をいただきたいと存じます。
○伊藤(英)委員 大臣からそのように、それこそ私の気持ちも察していろいろと丁寧にお話をしてくださいまして、ありがとうございました。 そうでありますけれども、もうちょっと私の考え方をこの件に関して述べさせていただきたいと思うのです。 実は私は後から御意見をお伺いいたしますが、こんなふうに思うのです。今回の規制継続の意味というのはやはりわからないなということなんです。それは、今回の自動車問題に関する限り、基本的にこういう問題があるんじゃないか。その一つは、この本来の規制の趣旨、これはもちろん一九八一年のときに通産省がこういうためにやりますよというふうに出しました、その趣旨がなくなったにもかかわらず規制を実施しようとしたんだな、第二には、米国から要求されないことを実施しようとしたんだな、それから第三には日米の政府間の約束を日本政府みずからが守らずに実施しようとしたんじゃないのだろうかということだと思うのです。だからこそ私は、アメリカの政府は今回の場合には評価をしなかった、少なくともスピークス副報道官も言っているのは、大統領は失望しているというふうに述べたと伝えられております。少なくとも今回のこの措置について積極的な評価はしなかったということだと思うのです。 私の聞いている範囲では、今申し上げたように、日本が、頼んでもいないことをしたので米国内では混乱も起きているということでありますし、第一には、今申し上げましたように政府も評価をしていない、あるいは政府あるいは議会、業界関係者からもいろんな意味での批判が出ている、そしてまた、とりわけ政府関係者からは、これまでの日米通商関係を無意味なものに、あるいは非生産的なものにするばかりでなくて、日本の市場開放への姿勢に疑いを持たざるを得なくなったという批判が出ているということも私は聞きました。私が先般、三月にアメリカに行きましたときにも、政府や議会関係の方からもいろいろお話を聞きましたけれども、自動車の規制を継続してほしいと言われたことは私は一度もありませんでした。それは一度もありません。むしろ自動車に関しては規制継続を求めなくなっているという環境であった、少なくとも自動車の規制継続を求めるような環境はなくなった時点、その時点はそういうことであった、私はこう思うのです。 それは先ほど大臣が言われましたけれども、レーガン大統領の声明が出て、それで一応この問題は決着したということだと思うのです。そういう意味で自動車問題は、あの時点にああいう内容でああいう形のものをすることは外交上のミスであったのではないだろうか、私はこういうふうに思うのです。だから、そういう意味で中曽根総理もこの間発言された内容でも、ミスだと言われればミステークであったのではないかというような発言をされたり、あるいはほかの場でミスカルキュレーションだというような発言をされたということも報道されております。 そういう意味では、こういう問題は今後のために、先ほど自動車業界の方にお会いになった話もいろいろされましたけれども、私は一業界の話ではないと思うのです。これからの日本の外交という問題を考えたときにどういうふうにやっていかなければいけないのだろうかという点で重大な問題だと思うから、そういう意味でお聞きしたわけでありますけれども、今の点でまた御意見がございますれば、お聞きしたいと思います。
○村田国務大臣 中曽根総理の御発言は四月十二日の本会議の緊急質疑で私もその場におって承りました。これは日本側が集中豪雨的な輸出を避けるという意図から決定したことが米側に十分に理解されず、市場開放を回避するためではないかと誤解されたという点をとらえて、ミステークと言えばミスであった、こういうふうに発言されているものと私は理解しております。決定自体が誤りであったということではないと理解をしております。このことは総理が、同時に誤解を受けたことは残念であり、その誤解を解くように今懸命なる努力をしているところであると述べておられることからもうかがわれると思うのでございまして、四月早々にシグールさんが大統領特使として日本に来られて中曽根総理とお会いになったときに、自動車のことは一言も出なかった。そしてまた今伊藤委員が御指摘になりました大統領府の見解というのは三月末に発表されたものでありまして、それ以後においては、失望したというような発言は全くなかったと聞いております。したがって、いろいろなことを総合的に判断をすれば、現在日米貿易摩擦の問題は一月に始まる中曽根・レーガン会談、そしてまた四分野の日米協議というものの中から、雰囲気としては非常に厳しい雰囲気が出てまいりました。しかし、これは中曽根総理が言明しておられますように、もし放置しておけばもっともっとひどい状態になったかもしれないものが、四分野ということで集約をせられて、日米関係が雨降って地固まるという形になればこれは一番いいことである、私も総理のこの御意図を全く体しておりまして、日米関係はこの五月のサミットあるいは六月、七月の、けさ決定をいたしました対外閣僚対策会議等の決定によって必ずよい方に向かって進むであろう、こういうふうに信じております。 何分にも両国の経済事情が違いますし、また景気の動向も違いますし、自由主義経済体制でありますから甲論乙駁、それはいろいろあっていいのでありますが、自動車問題につきましては日本とアメリカとが世界のトップ産業としてまさにトップを争っている段階でございます。しかし、先ほど来木下政府委員からいろいろお答え申し上げましたように、今このままで放置しておけば、業界からの要望等を累積すれば二百七十万台を超すキャプティブインポートの需要やそういったものをいろいろ考えてみますと、どしゃ降り輸出が起こることも考えられるのであって、そういういろいろ与えられた与件の中から方程式を解くとすれば、今回の方程式の解き方は正しかった、こういうふうな信念で進んでおるところでございます。
○伊藤(英)委員 私はシグール特使にも向こうでもお会いいたしましたけれども、何度も何度も同じことを、三月末に言って、不満を云々というようなことは多分私はされないだろうという気もいたします。それから、その二百七十万台云々、こう言われますけれども、つい最近も自工会の会長も、新聞の対談を私は読んだのでありますけれども、現実にほそういうふうにはいかないという話もいろいろされたりしております。私もそれはそうだろうという、これはアメリカの現在の市場はそんなふうに動いていると思うのです。今月、四月ですね、今月に入りましてもあそこの生産はずっと落ちたりしておりますけれども、そんなふうにアメリカの需要は動いてはいないだろう、こう思います。 この問題についではもうこれでおきますけれども、いずれにいたしましても、総理自身、先ほど言われた言われ方もありますが、総理自身もそれなりの表現の仕方はしております。私もこれは大臣にも既に前にちょっとお話もしたこともありますけれども、他の閣僚の方にもお会いしてお話ししたことがございます。その方々も、ある意味では率直に御自分の意見を話してくださったんだ、私はこう思いますけれども、それなりのいろいろな意見をお持ちでございました。それはやはりそれぐらいの意味が今回の問題はあるからだ、私はこう思うのですね。そういう意味で、ぜひそんなことも踏まえて進めていただきたいな、こう思います。 今の問題にちょっと関連いたしますけれども、いわゆる情勢分析をするときにという意味で、あるいは現在の日米あるいはアメリカを中心とした世界というものを見るときの一つの見方としてちょっと私はこんなふうに思うのです。また御意見を伺いたいのですが、御承知のとおりにアメリカの八四年の貿易収支の赤字というのは、アメリカの統計で見ますと千二百三十億ドルの赤字であります。その赤字のうちで対日本でいきますと、日本の占める割合が二九・八%でありました。非OPEC発展途上国が三三・一%を占めておりました。そして、八一年から八四年まで、三百九十七億ドルから千二百三十三億ドルにアメリカの赤字がふえました。そして、その赤字幅の拡大状況を見ますと、御承知のとおりに非OPEC発展途上国が三百七十七億ドルと、最大であります。ECが二百二十億ドルふえました。そして、日本が百八十九億ドルでありました。なぜこういうふうになったんだろうかという赤字の拡大の要因ですね。こういうものはやはりよく考えなきゃいけないんじゃないんだろうか。もちろんこれは十分に認識されているというふうに思います。 さらに、これをもうちょっと産業別というか品目別に見てみるといたしましょう。私はこう思うのですね。アメリカの産業上、いわゆる外貨を稼ぐ、競争力のあった産業というのはそれなりに幾つかあった。エレクトロニクスにしてもコンピューターにしても航空機にしても、あるいは農産物にいたしましても化学にしても機械にしても、そういうものがアメリカの強さを示してドルを稼いでおりました。それはここ数年を見てみますと、あるものはずっと黒字幅が減ってまいりました。本当にここ数年でずっと減ってまいりました。あるものは赤字にまで転落いたしました。そういう状況になっているんです。 なぜそうなったんだろうか。これは私つい最近見ましたビジネスウイークにずっと物すごく細かく書いてある。特集号を組んでおる。このビジネスウイークに、三月十一日号「アメリカズ・ハイテク・クライシス」、こう書いてあります。ここにずっとアメリカの状況が書いてある。ハイテク分野におきましてもアメリカの対外収支が、本当にここ三、四年間で赤字に転落をいたしました。大来先生の書いてあるあの中にも出ておりますけれども、ドル高が、この三、四年間に六〇%から六五%ぐらい上がったんですね。 そういう意味で、さっきのビジネスウイークにもはっきりと書いてありますけれども、なぜそういうふうになってきたんだろうか。アメリカの個別の産業の変化を、この理由としてドル高の影響が一番大きいんだ。そしてアメリカの産業の生産性が低くなってきたんだ。だから、さっきのビジネスウイークの中にも一つの例として出ております。世界最大のIBMがそのパーソナルコンピューターの生産コストが八百六十ドルする。そのうちの八〇%、六百二十五ドルが海外に依存をしております。内容は韓国、シンガポール、日本から入っていくことによって八百六十ドルを形成をしておる、こういうふうに書いてあります。 そういうふうにいたしますと、米国の現在の貿易収支の赤字の主な要因というのは何なんだろう。それは私は三つだと思うのです。一つはドル高であり、ドル高によって輸出競争力が急激に低下をしてきたということでしょうし、そして、それによってあるいは他の要因によって米国企業の多国籍企業化及びそこからの部品の調達ということであるでしょうし、第三には諸外国への米国の輸出努力不足ということが効いている、私はこれが最大のものだと思うのです。だから米国自身もそれを知っているからこそ、自由貿易主義の立場から日本に対しては日本市場の開放策を求めていると私は思うのです。そして日本には輸入品を受け入れやすくするためにどうしてください、あるいはまた日本の輸出マインドを弱めるために内需拡大策を求めているんだ、こう思うのです。 そういう意味で今、私の理解が正しいのかどうか、そしてその上に立って、米国が日本に求めている真の対応策というのは何なんだろうかということをまず外務省にお伺いいたします。
○七尾説明員 御指摘の点、一々ごもっともな点、私どもも日ごろ分析しておる点とまさにミートしている点が幾つかございます。 〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕 従来から種々の場を通じまして、日米間の貿易委員会等でアメリカ等から出てまいりますリクエストを見ておりますと、いわゆる摩擦的な具体的、個別的案件というものが多かったわけです。ただ本年へ入りまして特に私ども注目しておりますのは、個別の問題も引き続き言ってきておりますけれども、やはり日本の経済政策体系あるいは社会制度そのもの、国際的な貿易社会でのパートナーたり得るかといったような、かなり見方によっては漠とした、見方によってはかなり体質論といいますか性格論といいますか、そういったところに疑問を投げかけてきておるといったような特徴が指摘できるかと思います。場合によっては日本はもう少しその力に見合って国際的責任を果たしてほしい。これは単に物の売り買いという貿易を超えた広い意味で言っておるかと思います。 特に今般安倍大臣がワシントンに参りましてシュルツ長官とお会いした際も、いわゆる貯蓄、投資のバランスの問題あるいは日本の経済活動水準の問題、そういった問題を、アメリカ自身も努力するから日本もヨーロッパと並ぶ形で努力してくれぬかといったような話も出てきておりまして、アメリカ一カ国とりましても要求内容がかなり広範多岐になってきておるのと、加えまして内容面において変質が見られるというあたりを実は今、検討分析を急いでおるところでございます。
○村田国務大臣 先ほど伊藤委員の御指摘になりましたビジネスウイーク誌等いろいろ参照いたしまして、御指摘の点は、今外務省のお答えがありましたように、非常に当たっている点、それからまたいろいろ議論の余地のある点もあろうかと思いますが、確かにドル高、円安、そしてまたアメリカの高金利その他こういった問題は、アメリカの大統領自身が教書の中で述べておりますように、アメリカの対日輸入等が非常に大きい主要な原因であるという点、私は全く同感なんです。だから、この日本の黒字というのは日本だけが原因があるのではない、アメリカにも大きな原因がある、そういう相互的なものをよく考えていかないといけないだろうということで、コンピューターやパソコンなどについての御指摘も、数字がまさに符合をしておると思うのです。 それで、先ほどの御答弁をちょっと補足したいと思いますのは、米国に日本の自動車輸出規制の発表がされました三月末におきましても、先ほど来大統領府と申し上げましたが、米大統領府が伝えるところによればという報道でありまして、直接米国の大統領あるいはその他の方から私に対し、あるいは総理に対してそういう御意見があったということは全く聞いていないのでございます。それから、最近では、たしかきょうの新聞でありましたか、自動車業界の日本の会長が、今度通産省のとった措置は非常に理解できるという趣旨の御発言をされておるのを見ました。 そういった意味におきましても、伊藤委員は専門家でいらっしゃいますので、いろいろ緻密な議論を組み立てておいていただいておりますが、ぜひそのお考えの中に私が御答弁申し上げたことも考慮に入れていただいて、半年たち一年たって、あのときの日本の通産省の決定はやはりよかった、こういうふうに思っていただけることを希望しております。
○伊藤(英)委員 経済企画庁長官にも、先ほどの私の意見についてどういうふうに思われるか、特に、米国が日本に求めている真の対応策をお願いをいたします。
○金子国務大臣 伊藤さんのお話、全く同感でございます。 急速に対米黒字が累積いたしましたのは、一昨年と昨年の対米輸出の日本の貿易額を比べてみますと、ドル高で去年急激に伸びております。その根本原因はやはり赤字財政なんです。赤字財政が高金利を呼び、またドル高を呼んで、そしてこういう状況になってきたわけでございますが、日本としてあえて言わせてもらえば、黒字は日本だけのものではなくて西ドイツもあるしカナダもあるじゃないか、台湾もあるじゃないか、こう言いたいのですが、しかし、率直に言って、アメリカの産業界の立場からいえば、日本が稼いだ金を還流させてアメリカの国際収支の赤を支えているということは、これはもう完全に目をつぶって、何とかひとつ助けてくれよ、こういう気持ちだろうと思うのです。 特に、アメリカがいら立ちを覚えておりますのは、関税については、これはほとんど去年の暮れにやりました東京ラウンドによる関税の前倒しによりまして、アメリカ、ECよりも日本の方が低くなるわけでございますので、しかも、今度また新ラウンドをやろうというようなことでございますから、むしろやはり非関税障壁、いろいろな目に見えざるアンフェアな、不透明な取り扱いをされている面が多いぞという気持ちがいら立ちをあおっているのではなかろうかという感じが私はいたしますので、今度の新しい対外経済対策を取り上げました際にも、そういった問題を逐一取り上げまして、基準・認証の問題からすべて取り上げて、急速にこれを片づけたいという気持ちでやっていることを申し上げておきます。
○伊藤(英)委員 ありがとうございました。 今の経済企画庁長官の話に関連して最後にお伺いしたいのですけれども、自動車の問題に戻りまして、私は、今回の日本政府の決定というのは、今後の世界貿易の枠組みというものを考えていくときに、やはり問題だなということを申し上げたいのです。 それは、今まさに企画庁長官がおっしゃられましたように、日本がみずからのリーダーシップを発揮してその新ラウンドの促進を図ろうとしているわけですね。にもかかわらず、日米間というバイラテラルで貿易問題をとらえるということ、今回そういうふうにとらえているわけですね。第二は、日米の自動車産業をいわば麻薬中毒にかけようとしているというようなことになりかねない問題なんですね。そういうことはやはり国際的には受け入れられるものではないのだろう。そして、こういう行動が日本が世界から孤立してしまうことにもなりかねないものになっていくのだろうと思うのです。それで、日本が孤立しないためにも新ラウンドを推進しようとしているわけですね。これは今長官がおっしゃられたとおりであります。 だから、日本政府がいつまでも国際的に受け入れられない対応策を講じても、だれも日本の言うことを聞いてくれることにはならないだろう。そういう意味で、これからまさに日本がリーダーシップをとって進めていこうとするその新ラウンドの意義を考えて、この自動車の自主規制というのを今後どういうふうにされていくかということについて、大臣から見解をお伺いしたいと思うのです。
○村田国務大臣 非常に締めくくりとしていい御質問をいただいたと思います。 私は、今伊藤委員のおっしゃったように、自由開放体制の推進、そして新ラウンドの推進ということが、今の日本に、あるいはアメリカにも、あるいは世界にも課せられた最高の答えだろうと思います。その意義については全く同感でございます。 それでは、自動車の自主輸出規制はガットの精神にもとるじゃないかという御質問にもなろうかと思いますが、私は、この自動車の輸出規制というのは一九八五年限り、もうこれで終わりでございます、したがって、来年からは完全な自由化に向かっていくような前提でしたわけでございまして、そういった意味で、その心は、先ほど来申し上げておりますように、日米親善のためにも、また、アメリカの消費者あるいは日本の自動車業界全体を考えてみまして、まさにこの措置が今としては与えられた一番正しい措置であると信じて行ったものでございます。 これは、その決定の背後には、このままにしておけばどしゃ降り輸出になるという可能性が余りにも強いと見たからでございまして、したがって、こういった措置が正しかったか正しくなかったかということは、私は、正しかったと信じ、また今後もそのつもりでやっていくつもりでございますが、要は、その答えは歴史が出してくれる以外に仕方がありません。 民主主義でありますから、いろいろな議論があっていいのでございますが、そういったことで、両国の国民、両国の自動車業界すべてにとっていいものだ、一年限りの措置だ、こういうふうにしておりまして、究極的には、新ラウンドの推進、自由開放体制というものに向かってすべての動きが向けられているということを申し上げ、そして、五月のサミットには、そういった措置に沿った線が打ち出されることを心から希望しておるのであります。
○伊藤(英)委員 ありがとうございました。 時間がなくなりましたけれども、実は、きのう私も大来先生ともちょうどお話をする機会がありまして、いろいろな話もしたりしていたのですが、それはともかくといたしまして、いずれにしても、私自身も、いわゆる自由貿易体制を維持していくことが、日本とアメリカあるいはアジア・太平洋あるいは世界の発展のために必要不可欠、絶対そのために進めていかなければいけない、こういうふうに思うのですね。そういう意味でぜひよろしくお願いしたいと思います。 そして同時に、最初の方で情勢分析の仕方等について私なりの意見を申し上げたつもりでありますけれども、これはもう各それぞれの関係する役所の方々はもちろん、皆さん方が十分に御認識のはずでありますが、表面だけとか、よもやそんなことはないと思いますけれども、どうか、いわゆる政治の表面だけを追うというようなことはないようにしていただいて、あるいは産業なり経済なり、そういう個々のものがどんなふうに動いているのだろうか、そういうことを踏まえてぜひ分析もしていただきたい。それと同時に、例えば経済企画庁にしても外務省にしても、あるいは通産省にしても、それぞれの役所が、いわゆる縦割り行政の弊害が出て十分な情勢分析の上に判断ができないということのないように、よろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。
○浦野委員長代理 以上で伊藤英成君の質疑は終了しました。 続いて、工藤晃君の質疑に入ります。工藤晃君。
○工藤(晃)委員 私も自動車問題を中心に大臣に質問したいと思います。 今までの答弁でもおおよそのところ理解できた点もあますけれども、もう一度念のため伺いますと、ことしの自動車の対米輸出自主規制というのは日本政府の独自の判断でやられたということですが、これはこれまでの自主規制のやり方と何か違う点があるのか、これが一点。 それからもう一つ、量的に二百三十万台ということですが、これは各社の大体の割り当てというのをやるのかどうかということと、それから従来、そうして今度も、この各社の割り当てをやるときはどこがやるのか、通産省がやるのか、業界がやるのか、あるいはその両者なのか、どういう基準でやるのか、まずその辺から伺いたいと思います。
○木下政府委員 今回の決定は、先ほども御説明申し上げましたが、アメリカ政府が規制延長を求めないという決定を下したのに対し、我が国として独自の判断で決定したものでございます。従来、過去四年間にわたって自主規制をやっておりましたが、そのときには、最初の三年間は毎年百六十八万台、それから一九八四年度においては百八十五万台ということで、台数についてアメリカと話し合いをした上で、アメリカ側の規制をしてほしいという要請に基づいて日本側の輸出規制をやってきたわけでございます。 ただ、今回、この四月から二百三十万台というレベルで自主的な規制をいたしますが、アメリカの独禁法の問題等もございますので、規制のやり方は通産省が各社ごとに数字を指示して、もしその指示したものに従わなかった場合には、輸出貿易管理令による直接的な規制もあり得るという形でやることも考えておりまして、そこの部分についてだけは従来と同じでございます。 それで二百三十万台をどういうふうに分けるのかという点については、現在通産省で検討中でございまして、まだ何ら決まっておりません。 それから、決めますのは通産省が決めるわけでございます。 〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕
○工藤(晃)委員 通産省が決めるということははっきりしました。 それで、今度各社への割り当てで、四月十四日のある新聞に伝えられているものの中には、特に三菱自動車、それからいすゞと鈴木自動車など、三菱はクライスラー、あとの二社はGMとの提携で供給契約車の輸出は一挙に二倍くらいするということも伝えられておりますが、そういうことも勘案しながら割り当てをするのでしょうか。
○木下政府委員 二百三十万台のレベルを決定するに当たりましては、先ほど申し上げましたけれども、日本車の在庫の状況とか日本車に対する根強い需要の状況、あるいはアメリカの各社から注文が日本の数社に出ているというような事情を勘案して全体のレベルは決めたわけでございます。ただ、各社ごとの配分につきましては、各社ごとの事情を考慮いたしまして公平を旨とした配分を行っていきたいということでございまして、新聞等に一部報道されている点は、全く新聞のスペキュレーションでございます。
○工藤(晃)委員 さて、今、日米の貿易摩擦が問題になっているのでこういうことも聞くわけでありますが、米国向けの車の価格は一台当たり幾らかという統計は、別に今すぐ聞くわけではありませんが、「財界観測」に載った野村総研の調査によりますと、千CC以上だと八二年の価格で百三十四万円となっております。ドル二百五十円で五千三百六十米ドルになります。そうすると、さっき言いました百八十五万台から二百三十万台というと、ともかく四十五万台はふえるということになりますね。そうすると今の価格でも二十四億一千二百万ドル、八二年価格ですから今もう少し高くとってもいい、恐らく三十億ドル前後になりますね。今、日米間の貿易のインバランスが問題になって三百数十億ドルというときに、ともかく結果としては、意図は別として、意図というのは、ぼっておけばもっとふえるからもっとひどくなるんだという、それは別として、政府が今度決めた二百三十万台というのでも、結果的には対米輸出を三十億ドルくらいふやしてしまうんじゃないかということになりますね。 そういうこととの関連で、これは通産省でも企画庁でもいいですからお答え願いたいのですが、米国側が今四分野で、もっと米国から輸入しろといって分野ごとにいろいろ検討しているわけです。通信機器、エレクトロニクス、木材製品、それから医療関係ですね。それで、一月十九日にアメリカ側として、これを日本側がやるとアメリカから日本への輸出が年間百億ドルふえるだろう、そういう試算を行ったということが伝えられた。そうして大来さんも、最近ある新聞に四分野で大体百億ドルふえるだろうという予測を述べている、こうありました。つらつらおもんぱかると、総理が国民一人当たり百ドル外国製品を買ったらどうだというのは、大体人口一億で掛けますと、今もう少しふえて一億一千万ですね、大体当たるわけなんですね。だから大体百億ドルというねらいがあるみたいなんですが、四分野ごとに大体どういう試算をしているのか、政府としてどのようにつかんでいるのか。これは通産省でも企画庁でも、どちらでも結構です。
○赤羽政府委員 四分野百億ドルという話につきましては、先生今御指摘のように一月三十日の新聞にも出ておりますし、先日の大来さんの日経新聞の「経済教室」のところにも出ております。 まず大来さんのお話の方から申し上げますと、このように言われている、そういう数字が流布しているということでございまして、大来先生がこの数字を信じているわけではない。これは、先ほども大来先生にお会いしましたときに確認をいたしました。商工委員会で質問が出るけれども、あなた自身がそのように信じているのかと言いましたのに対しまして、そのように申されておられました。 一月三十日の新聞に出ましたのは、これは本年一月末に日米の四分野協議ということでアメリカから次官級の偉い方々がたくさん来日されましたけれども、その際にウォリス国務次官がそういう数字をおっしゃった、こういうことが報道されたわけでございます。ウォリス次官にも私ども直接にその数字の根拠を伺いましたけれども、ウォリス次官もその根拠についてはっきりはしないけれどもそのような試算があるということを申されておりました。これにつきまして、外務省当局も直接国務省にこの根拠について照会をした、こういう電報が入っておりますけれども、いずれも余り根拠がはっきりしないということでございます。私自身が聞きました話では、アメリカのこの四分野のECに対する輸出、ECの需要総額に対するシェアというものが仮に日本にも実現するとすればそれぐらいの数字になる、こういったような話は聞いたことがございます。しかし、これにつきましても、私どもとして確認のできるような根拠のある数字であるとは思っておりません。 そういうことでございまして、余り根拠のある数字だというふうには理解をしていない次第でございます。
○工藤(晃)委員 根拠がない数字だと思いますが、総理みずからが国民一人百ドルというような高い高い目標を出したので、余りにも符合するから聞いたわけです。 これは一月二十日の日経が伝えていることだと、この百億ドルというけれども、大部分は通信機器分野であろう、特に、例の通信衛星が入っていますからね。それで、木材製品については関税引き下げを行っていくと最終的に年間約十億ドルであろうということですね。私は、先ほどのここでの答弁も伺って、日本の木材関係の業界が今非常に不況である、それから林業も大変苦しい、森林を守らなければいけない、これは大問題になっている。四分野の一つで、結局、じゃアメリカがそれで輸出しても、せいぜいアメリカ側も大体十億ドルぐらいしか見てないということが仮に正しいとすると、今度の通産省の措置で、自動章が二十四億ドルとか三十億ドルぐっとふえてしまう、しかし向こうが木材に攻め込んでくるので、十億ドルというと、十億ドル、アメリカ側が改善されても、あとそれの三倍ぐらいが打ち消されてしまうわけですね、日本の自動車の輸出増で。 こういうことを考えますと、私は非常に矛盾を感じるわけなんですね。というのは、日本の今の輸出の先頭に立っている自動車産業、その中心にいるのは大きな企業なんですが、その輸出が伸びる方向というのはこういう形で、自主規制にしろ自由化するにしろ、ともかく伸びていくことが続けられ、その結果として日米の貿易の不均衡が非常に拡大すると、代償として合板だとかに代表されるように、林業関係で、日本の林業をやっておる人やあるいは中小企業関係が犠牲になるというのは非常に矛盾を感じる。自動車を三十億ドルふやして、それで関税を一生懸命下げていって、そして林業に打撃を与えながら、林業関係で十億ドル輸入するというやり方自体、私は非常に矛盾を感じるのですが、大臣はそう思われませんか。
○村田国務大臣 自動章と四分野と数字の上で連動して御指摘になりますと、そういった工藤委員の御指摘、御質問になるのでございましょうけれども、自動車の場合の選択は、自主規制を継続するか、あるいは自主規制を全く撤廃するかということでございます。その場合に、全く撤廃をしてしまえば二百七十万台とかそういったような数字がいろいろ出てきた。また事実、アメリカでも自主規制是か否かという議論が出たときに、恐らくほうっておけば二百六、七十万台にいくであろうという予測が非常に多かったと聞いております。したがって、もし自主規制を全くやめてしまうということになれば、もっと貿易の黒字がふえる可能性の方がずっと強かったということになるのでございまして、自動車の犠牲において四分野云々というのは、数字の面で言えるだけのことであって、実際問題としては必然的関係はない、こういうふうに考えておるのでございます。 また、中曽根総理の一人百ドルというのは、私は本会議の答弁で伺いましたが、これは例えとして非常にうまいお例えであって、一人百ドルぐらいは買ってくださいよという呼びかけが、ある意味では国民に非常にアピールをしておる、こういうふうに私は信じておるのでございます。したがって、通産省においても、製品輸入の拡大ということで今キャンペーンをし、そしてまた関係の業界等にも具体的にお願いをしよう、こういうことになっておるわけでございますので、ぜひ御理解を賜りまして、製品輸入もしていただきたいと存じます。
○工藤(晃)委員 総理の国民一人百ドルが国民にどれだけアピールしているか、私はどうも逆の話ばかりよく聞いておりますが、これはこれ以上議論しませんけれども。 これはもうよく知られていることですが、日本のアメリカへの自動章の輸出の自主規制が始まって以来、アメリカでの自動車価格は非常に上昇した。これはアメリカの自工会の調べによると、規制前年の一九八〇年を一〇〇として八三年が、アメリカにおける自動章の価格は一四二・一、消費者物価指数、これはアメリカの指数ですが、一二〇・九を大きく上回った。それからまたアメリカのITC、国際貿易委員会も、自主規制で米国内の自動車販売価格が大きく上昇し、アメリカの国内消費者が八一年から八四年に百五十七億ドル余分に払った。それでアメリカのビッグスリーが空前の大利益というのは先ほども御指摘があったと思いますが、恐らくここらあたりが、アメリカ側で大統領がもうこれ以上規制を続けないと言った原因にもなっているんだろうと思います。 多くの調査によりますと、今、日本の自動車業界は、アメリカに一台輸出すると五十万円ぐらい利益が上がる、それで自動車会社の利益のほとんどは今アメリカ市場で得られているというふうに伝えられております。そうすると、一台五十万円の利益としますと、百八十五万台だと九千二百五十億円、今度の二百三十万台にしますと約二千二百五十億円の追加ボーナスが出まして、一兆一千五百億円にもなる、こういうことなんですが、この辺は通産省はつかんでおられますか、また、どう見ておりますか。
○木下政府委員 過去四年間の規制期間中にアメリカにおいて乗用車の需要が急速に伸びましたために、日本卓に対してプレミアムがついて売られた、それどころか、アメリカの一部の車種についてまでプレミアムがついたというようなことが言われておったわけでございます。そういうことも背景といたしまして、レーガン大統領としては日本に規制の延長を求めないという決定を下したのだと思いますけれども、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、自由貿易を実現するための過渡的措置として、今年一年限りそのような規制を延長しようということだったわけでございます。二百三十万台のレベルになれば、当然そのレベルを考えたときには、そのような輸出をすることによって、アメリカ側が規制を撤廃しようとした実質的な効果と同じような効果を上げて消費者価格が下がるというような効果を見込み、かつ、集中豪雨的なものを防ごうということでそのレベルを決めたわけでございます。 過去において、今先生おっしゃいますように、日本車が売られている際、アメリカのITCのレポート等によって、消費者としては相当の負担をしていたということはよく言われております。日本から輸出される車についても、非常に輸出が制限されておりましたので、採算のいい車種を出していくというようなことで、企業としては、数量が抑えられているから一台当たりでできるだけ有利な形でやっていきたいという気持ちはあったと思いますが、個々の車種について、また個々の企業についてどのくらいの収益を確保していたのかということは、ちょっと私どもとしては算定できないわけでございます。 それで、今年度は大幅に輸出台数がふえるということでございますから、そのふえた台数がそのまま利益となってはね返ってくるというようなことになるとは私ども考えておりません。
○工藤(晃)委員 相当高価格の車をどんどん出したということは認められたと思いますけれども、これは野村総研の調査などでもその辺は大変詳しくやっておって、私もおもしろく見たわけですが、野村総研では、大体一台四十万円という線で見ている。最近のエコノミストの調査によると五十万円から六十万円。ともかく割り当てで確実にそれだけ利益が入ってきて、それが各社の、トヨタにしろ日産にしろ、毎期の利益のかなりの部分を占める、これは非常にはっきりとした、一目でわかるような状況になっていることは明らかなわけです。 私、これは随分前から言ってきたのですが、日米の自動車戦争、これは結局カルテルみたいになってきているのじゃないか。今言った割り当てが結局日本の輸出カルテル的な機能を果たしている。だから、業界がやったような格好をするといろいろ都合が悪いからというので政府の割り当てということになったんだろうと思いますけれども、しかし結果において、アメリカ市場でのカルテル的なものができてきていて、その結果の高価格ではないかという分析を私はしておりますが、大臣はどうでしょうか。
○村田国務大臣 私は、工藤委員の御質問をいつもこちらで拝聴いたしておりまして、前提が非常に違うのでございますね。カルテル的な発想というものは私どもには全くないわけでございます。そういう現実の分析というのが正しいのかどうなのかということをよくまた教えていただいて勉強したいと思っておりますが、私は現在そういうふうには考えておりません。
○工藤(晃)委員 カルテル論議はこれだけにいたしまして、通産省として、小型車で日米のコストの比較というのをやられたことがありますか。しかも、それは大ざっぱな比較でなしに、人件費がどうでとか、物品費がどうであるとか、そういうのはありますか。もしやっていたら知らせてほしいし、やっていなければやっていないという事実について言ってほしいと思います。
○木下政府委員 通産省といたしましてコスト比較をしたことはございません。ただ、アメリカの資料については、先ほども申し上げましたが、ITCのレポートとか商務省のレポートで、日本車とアメリカ車との間にコストの差があるというレポートはございます。ただ、これは円とドルとの為替レートの関係がございまして、今のように比較的に円が安い状況になっているというようなものを反映してそれだけ大きな差が出ているという結果が出ていると思いますけれども、円が例えば大幅に上がってくるというようなことになりますと、こういう差は一遍に消えてくるような性質のものだと思います。
○工藤(晃)委員 レートによって一遍に消えるかどうか大変疑問もありますので再度伺うわけですが、野村総研といえば政府と関係も深いNIRAなんかで大変重要な役割をしている。そういう意味でもあえてこの調査を使うわけですが、この「財界観測」の八四年六月のレポートに、アメリカのアナリストに頼んだ調査があります。それで見ますと、小型車について「日米コスト比較一九八〇年」で、賃金率の差が、アメリカ一〇〇に対して日本が五三・五、労働生産性の差は日本の方が三・二倍です。したがって人件費の差がどう出るかというと、アメリカが九百四十四ドルに対して日本が百五十九ドルで、アメリカの一六・八%。七百八十五ドルも日本の方が低くなるわけです。そのほかの、物品費、これは恐らく部品や何かを仕入れた価格、それから在庫の金利、保証費、ここでアメリカが三千九十七ドルに対して日本が二千四百三十二ドルということになっている。これは、いわゆるかんばん方式で部品費をかなり低く抑えていく、それから同時に、在庫を持ちませんから当然在庫金利も低い。それから生産管理、品質管理が日本は非常に進んでいるということで保証費が少なくて済む。今言った費目で日本の方が六百六十五ドルまた安くなる。そのほか輸送費、税の公課、エネルギー費、設備費等々でまた日本の方がかなり安い。アメリカが四千七百五十六ドル、日本が三千二十六ドルで千七百三十ドルという差があるわけです。 こうやってみますと、確かにレートの問題もありますけれども、さっき言った労働生産性の差の問題だとか、それから賃金率の差の問題だとか、あるいは物品費とか在庫金利だとか保証費、この格差などは大きく、続くのじゃないかと思うのですね。ですから私が政府に要望したいのは、通産省としても、日米の自動車の問題というときに、アメリカ側が調査するというだけじゃなしに、日本側としても実際にコスト上どこにどれだけの違いがあるのかということははっきりつかむ必要があるんじゃないか、大臣、どうでしょうか。
○木下政府委員 先生御承知のように、日本の自動車産業の生産性は非常に高うございます。ロボット等自動化機器を非常に早期に導入いたしまして生産性が非常に高くなっているという状況で、日本の車が世界的にも価格、品質面で非常に有利な状況になっているのは確かでございます。 ただ、アメリカの場合に、賃金の問題のお話がございましたが、御承知のように、アメリカの自動車労働組合の賃金というのは、アメリカの産業の中でも際立って高い賃金でございます。日本の場合でも日本の自動車産業の賃金はほかの産業に比べると比較的高い分野になっていると思います。それで、その高いアメリカの労働賃金を払いながら工場の機械化等はむしろ日本よりおくれていたということでアメリカ側は日本に対し自主規制を求めてきたわけでございますが、ただ、アメリカの自動車産業はその四年間に非常に熱心に合理化努力をやりまして、新しい機械を導入するということでアメリカの労働生産性等も際立って上がってきていると言われております。 ただ、今のところはまだ為替レート等の問題がございますので、我が方の車の方がコスト的に安いであろうことは確かでございますが、そういう点は私どもとして十分いろいろな資料を分析しながら今後の施策を進めていきたいと考えております。
○工藤(晃)委員 そういう点で私がさっき挙げたような点についての調査検討はしなければいけないと思いますが、大臣、どうでしょうか。もう大臣の番ですよ。
○村田国務大臣 今、木下局長から御答弁申し上げたとおりでございますが、そういった必要性は同感でございます。
○工藤(晃)委員 率直に言いまして、日本の労働条件それから下請の単価をどんどん毎年のように平気で抑えていくような、下げさせるようなやり方が続く限り、大きな意味での労働条件格差が残って世界じゅうの貿易問題で日本が非難を浴びるし、また国内的に言えば、そのことが勤労者の消費だとか内需だとかを広げるのを妨げていると思っているわけであります。今の貿易摩擦問題について、私はかなりの部分についてアメリカの重要な責任をいろいろ指摘しているわけでありますが、同時に日本について言いますと、改めて労働時間の問題だとか休憩時間の問題だとか交代制の問題だとか下請制度の問題だとか、そういうことを見直さなければならない時期にある、繰り返し言うことでありますが、きょうこの場でも言って次の質問に移りたいと思うのです。 三菱自工がクライスラーと組んでアメリカでの生産をやることになりました。乗用者の生産です。そうしますと、これで大体本田、日産、トヨタ、東洋工業、三菱と、それらの乗用車のアメリカでの生産が始まるように見られるのですが、大体年間何万台ぐらいの生産体制に向かおうとしておりますか。
○木下政府委員 先日、三菱自動車がアメリカでの生産計画を発表いたしましたが、今先生おっしゃったような会社の計画によって生産開始するのは一九八七年とか八八年ごろでございますが、そのころになりますと、現在の計画を足しますと、百万台をちょっと超えるぐらいの数字になると思います。
○工藤(晃)委員 これはアメリカ市場での問題ですが、イギリスでの日産の生産ということもありますし、こういう傾向が急に広がるだろうと思います。その点で、ヨーロッパでの自動章の現地生産については通産省はどういう見通しを持っておられますか。
○木下政府委員 ヨーロッパにおきましても、イギリスに日産自動車、本田の両社が進出計画を持っておるわけですが、まだ本田の場合には具体的に最終的に話が決まってないようでございますけれども、それ以外には今のところ具体的な計画は聞いておりません。
○工藤(晃)委員 私が関心を持っておりますのは、よく日本の自動車の製造価格の六、七割は部品の調達であると言われでおりますけれども、現地で、これらの国での、これらの国というのはアメリカとかイギリスですが、現地生産になると、部品とか資材の調達は日本からの輸出が主なのですか、それとも現地調達が主になっていくのですか。
○木下政府委員 現地生産を始めました直後は相当部分の部品を日本から輸出しているということでございますので、現在アメリカで生産しております車の生産のために日本からの部品の輸出が大分ふえておるというのが現状でございます。ただ、徐々に現地生産化がそういうものでも進んでいくし、また現地の部品を調達する率も徐々に高まっていくというのが通例だと思います。
○工藤(晃)委員 それで伺いたいのですが、通産省としては、現地生産が行われれば輸出がその分減るであろう、摩擦防止にも役立つであろうというお考えだと思うのですが、同時に日本の経済社会から見ますと、例えばアメリカで百万台生産体制に入る、それで部品も資材も現地調違するということを前提にして試算すると、日本の雇用にどういう影響を及ぼすか、こういう検討はされたことがありますか。
○木下政府委員 日本の企業の力がつき、それから輸出が大幅に伸びてきた過程におきましては、次第に各種の分野において現地生産が進んでいくというのは趨勢でございます。ただ、全体として見れば、そのような趨勢、現地生産が進むことによりまして相手国経済へ積極的に寄与していくということで、相手国との間の経済関係の改善に非常に役立つわけでございまして、そういう面でのプラスの効果が非常に大きいと思います。 それで、今御指摘の日本の雇用、部品生産等に与える影響についての御指摘でございますけれども、基本的には既存の国内生産分を外国に移すということよりも、外国における我が国の企業の製品に対する需要の高まりに応じて、その高まった部分の一部を現地で生産するということだと思いますので、国内の下請企業及び国内の雇用に悪影響が及ぶおそれはないと考えております。
○工藤(晃)委員 それは一つ仮定を置いた答弁だと思うのですが、自動車の生産というのは世界的に見るとこの十年間ぐらい余りふえてないわけです。日本がシェアをどんどんふやしていっている関係で、これがいつまで続くともだれも信じていないと思います。 そういう点で、簡単なことですが、私の手元の日産自動車の自動車工業ハンドブックなんかから、今自動車に関連しているところでどれだけ働いているかといいますと、自動車工業それから自動車車体工業、自動車部品工業合わせて約七十万人です。それから資材部門、鉄綱、非鉄金属、タイヤ、チューブ、ガラス、銅製品、これは自工会の試算で五十七万人ですから百二十七万人で、一九八二年一千七十三万台つくるのにいわゆる自動車工業、メーカーでは十九万人ですが、部品を含めると七十万人くらいになって、さらに資材関係を含めると百二十七万人ということになりますから、仮に百万台の生産が海外に移ったとすると自動車メーカーの方からいえば一万八千人くらいで大したことないようでありますけれども、これも大したことあるのですが、部品なんかを含めると六万五千人になって、さらに資材なんか含めると十二万八千四百人、十二万近い。今、ただでさえ製造業分野ではロボット化などでともかく雇用がふえておりません、減る傾向です。そういうところにもってきて、ただ無条件で海外生産がいいのだということをやっていくと相当はね返りが考えられます、それは世界市場が広がっているときと今違いますから。そういうことで通産省としても、ただアメリカでの現地生産が始まるからいいということでなしに、部品の中小業者とかそこで働いている労働者とか関連分野だとか、総合的に見て雇用問題も一つ視覚に入れる必要があると思いますが、大臣どうでしょうか。
○村田国務大臣 御指摘のように、自動車産業は住宅産業と同じように非常に広がりの広い分野でございます。その意味で、部品その他いろいろ含めてみますと、工藤委員が御指摘になられましたように、雇用の問題あるいは資材調達の問題その他いろいろな要素があると思いますので、そういった点は、これは自由主義経済体制でありますから業界の自主努力を大いに主体とするわけでございますが、通産省といたしましてもよく検討しなければならないと思います。
○工藤(晃)委員 時間がやってきたということですが、もっともっといろいろ伺いたいことはあります。しかし、日米経済問題というのは、日米間の経済の構造がどうなっているかという問題ももっと冷静に分析していかないと、ただ向こうが非難をした、こちらがあわてて対応するという繰り返しで、過去にも八〇年代に入ってからたしか六回措置をして今度は七回目ですか、だけれども赤字の拡大はふえるばかりということを続けてきたわけです。だから向こうにも冷静にさせる必要があるし、日本政府も冷静に分析しなければいけない。そういう意味でいうと、私も大変不思議なのは、アメリカ大統領がことし経済報告を出したときに、経済諮問委員会の報告の中で、八〇年から八四年アメリカの貿易収支は八百五十億ドル悪化した、しかし、それはアメリカの成長が他の競争的な工業国との成長と比べて、先行した分が恐らく四分の一だろう、それからドルが強くなったことによるものが六百億ドルないし七百億ドルであるということからいうと、言ってみると、アメリカ側の要因がほとんどだということを、アメリカの大統領報告と同時に発表された経済諮問委員会の報告も述べているくらいで、アメリカ側でも冷静に分析すればそういう答えが出てくるわけなんで、そういう点で今の政府の対応に対して既にいろいろ我が党として批判を出してきましたけれども、もっと冷静に対処し、とりわけ労働者の条件の問題を重視するようにしていただきたい、希望を述べまして、質問を終わります。
○粕谷委員長 これにて工藤晃君の質疑は終わりました。 次回は、来る二十四日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時四十九分散会