商工委員会 第3号
- 発言数
- 242 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1985/02/22
会議録
○粕谷委員長 これより会議を開きます。 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥田幹生君。
○奥田(幹)委員 一昨日村田大臣と金子長官の所信表明の演説並びにあいさつを伺ったわけでございますが、ここにございます政策、両大臣の考え方、こういうものを伺いますまでに、私は通産省の基本的なスタンスについて伺ってみたいと思うわけでございます。 つまり、通産省が発足しましたのは昭和二十四年の五月、既に三十六年経過をしておるわけでございます。最初のころは、戦後の混乱から我が国経済を軌道に乗せるためにいろいろな苦労があったと思いますが、一九六〇年代に入りましてから、つまりこれは昭和三十五年からの十年でございますが、主として貿易の自由化あるいは保護政策の抑制、こういうものに取り組んでこられた。そうして、七〇年代に入りますと、知識の集約化あるいは付加価値を上げる問題、それから八〇年代に入りましてからはいわゆる省エネ、情報化、技術開発、こういうような問題に通産省は取り組んでこられて、それはそれなりに成果を上げてこられておる、私はこういうように評価をするものでございますけれども、一方では何か硬直性あるいは形骸化している向きもあるんではなかろうかというように考えるわけでございます。 その中で一つの例を取り出しますと、審議会とかあるいは何々局長さんの諮問機関、こういうものが非常にたくさんございます。私は、こういうものがお役人の隠れみのになっておるとは申しません。とりわけ諮問機関というようなものは、私的な諮問機関でございますね、これは役所の課長さんとか、あるいは参事官とか、こういうような方の御意見とはまた違った世論を背景としたいろいろな御意見が出されておるようでございまして、そういう中から一定の結論を見出して、そうして局長さんに答申をなさる。答申が出ますと、任意の機関でございますからそれはそれでもう機関は解散をしてしまう。かなり有効に機能しておるというように評価をするのでございますけれども、審議会でございますね、この点で形骸化しておる向きがあるんじゃなかろうか。非常に恐縮でございますけれども、例えば分野調整の審議会、これは中小企業庁に設けられておるんですけれども、仄聞をしますと、年一回、しかもメンバーが八年、十年ずっと同じお方が続いてやっておられる。何か形式的、義務的にしか機能しておらぬ、こういうように伺っておりますので、もしそれが事実といたしましたら、こういうものはもっと機能するように、時代に不要になりましたものはもう廃止していいんじゃなかろうか、こういうようにも思うわけでございます。いかがなものでございますか。 次には役所間の人事交流についてでございます。これは採用時から通産省に配属されますと、もう定年を迎えられるまでその省で御勤務をいただく。それはそれなりにいいんでございますけれども、例えば去年の春先のVAN戦争あるいは今回のIPAあるいは円滑化法案、こういうようなものをおまとめいただきまするときに、役所と役所の間の縄張り争いで調整が非常に難しかった。十五日に閣議決定されるのが十九日にずれ込んだというようなことも、ことしに入ってもございました。そういう縄張り争いをなくするためには、昔の内務省の復活ということでは決してございませんけれども、一つのポジションで採用を一括いたしまして、そうしてAとBさんは通産省、CとDさんは大蔵省、こういうような形で配属をして、二年ないし三年たちますとまたそれの交流をしていく、こういうようなことをいたしますと、お互いに相手の職場の理解ができてまいりまして縄張り争いというようなものもなくなってくるのじゃなかろうか。そうしますと弊害として考えられますのが、同族意識がなくなりますから活力が失われる、こういう心配もあるのですけれども、何か醜い縄張り争いというようなものはもう少し解消するような手だてがないものかどうか、お尋ねをいたします。 それから今、通産省ざっと一万二千五百人の職員がいらっしゃるそうでございます。その中でおよそ二百人が在外公館あるいはジェトロ、こういうところに出向をされておる。海外の視野を広めていただくのに非常にいいことだと私は思いますが、二年半ですか三年サイクルで交流なさる。帰ってこられたときに、海外で会得されましたいろいろな体験と知識、こういうものを、非常にとうといものでございますから、御本人に限らず一般の通産省の職員の皆さん方にまでわかるようにきちんと報告なさるようなことが好ましいのじゃなかろうか。そういうことをおやりになっておられるのかどうか。通産省にも広報課というのがございますけれども、そういう広報課が例えば庁内の機関誌等々で帰国報告になるようなもの、体験談、そういうようなものを掲載して広く紹介なさっておるのかどうか、こういうことについてもお尋ねをいたします。 さらに、この間、現地時間で十八日の十五時三十四分、カタール東方のペルシャ湾上でクウェート籍のコンテナ船がイラン機と見られる空軍機のロケット攻撃を浴びた、コンテナ船は炎上して死傷者を出した、乗組員二十五人は全部日本人で、藤村さんという四十九歳の方が亡くなられた、こういうショッキングな事件が起きました・ そこでお尋ねをいたしたいのは、外国船籍に労務提供しております日本人の概数、それから生命の保障はどうなっておるのかということでございます。次いで、外国船籍でペルシャ湾から我が日本へ輸入をしております原油はあるのかどうか、その場合日本人の労務提供があるのか、あるとすればどの程度の人数か、こういうことについてもお尋ねをいたします。 また、こういう危険水域は、危険なだけにやはり給料も高いと思うのです。船の保険料も高いと思うのです。しかし、とうとい人命が、たとえ大事でございましても、海運業の犠牲になることは許されないと私は思うのです。そういう立場から船主協会と海員組合双方はこの問題でどういう話し合いをしておられるのか。けさの新聞によりますと、外航船には携帯無線を積みなさい、運輸省はそういう指導をなさっておるという記事を拝見いたしましたけれども、それ以外にも指導されておる問題がございましたらお示しを願いたい。まずこの辺からお伺いいたします。
○児玉政府委員 奥田先生お尋ねの件の第一点と第二点につきまして私の方からお答えをさせていただきたいと思います。 まず、現在通産省で持っております審議会が形骸化しているものがあるのではないかというお尋ねでございます。 御承知のように、通産省の担当しております行政は近年極めて複雑多岐にわたり、かつ非常に専門的な事柄が多くなっているわけでございまして、そういった局面で審議会の場におきまして広く関係者の意見を聞きながらそれを行政に適切に反映させていくということは大変重要なことでございまして、むしろ審議会の役割は今後もますます重要になってくるのではないかと思うわけでございます。そういった点から、その審議会が効率よく活動していくということにつきましては私どもも常々非常に関心を持っているところでございまして、審議会の活動状況につきましては常時チェックをしながらその適切な運営を図っておるところでございます。 たまたま、先生今御指摘をいただきました中小企業の分野調整審議会でございますが、この審議会は中小企業分野における紛争事例につきまして、具体的な事例に即して委員の皆さんに議論をしていただくというための審議会でございます。大体一年に一回ずつ会合を開いて、その年の紛争事例についての検討、審議をいたしておるわけでございます。ちなみに今年は、今年度でございますけれども、来る三月七日に分野調整審議会については開催を予定いたしておりまして、私どもといたしましては、この審議会もただいま申し上げましたような分野調整に関する紛争事例についての調査、審議、検討ということで重要な役割を果たしておるのではないかと認識をいたしております。 それから第二点の、VANとかIPAといった問題につきましての各省間の争いでございます。 この問題につきましてはいろいろな見方があるわけでございますが、私どもの認識は時代の変遷、特に非常に急速な技術進歩の中で、現在各省のそれぞれの役割分担が決まっておるわけでございますけれども、この決まった役割分担がなかなか現実の動きについていけないところがあるわけでございます。情報化の問題一つとりましても、私どもの目から見ますと、オンラインあるいはネットワークの情報化というものは通産省としてこれは責任を持って遂行しなければならない行政分野であると思うわけでございますが、一方、郵政省の方から見ますと、電気通信というような観点から、これまた非常に責任を持って担当しなければならない行政分野ということになってまいるわけでございます。したがってそういう場面で行政のあり方をどう考えるかというふうなことで議論に対立が生ずることが間々あるということでございます。 ただ御指摘のように、そういう議論が余りに行き過ぎになるのはこれまた問題でもございますし、それぞれそういう非常に調整を要するいわば接点のようなところに立ちます行政官といたしましては、できるだけ幅の広い知識と、それから高い視野が要求されるわけでございます。そういうことからいいますと、やはり現在の行政組織、現在の人事採用の仕組みを前提といたしました場合、各省間の人事交流というのは非常に重要でございまして、私どもも各省との交流を広く進めているところでございます。ちなみに、ただいま話題になりました郵政省との関係につきましても、通産省では郵政省から一名受け入れているところでございまして、今後ともこういった形での人事交流を積極的に進め、できるだけ高い次元、幅の広い見識のもとに行政を効率的に進めてまいりたいと思っております。
○黒田(真)政府委員 第三番目の海外勤務者の勤務の体験等がいかに生かされているかという御質問でございますが、先生おっしゃられましたように、現在、二百名弱の職員が在外公館、ジェトロその他の機関に出向をして、二年なり三年の期間をそれぞれその地で過ごしておるわけでございます。 現在、私ども通商産業行政におきましては、大変国際的なかかわり合いが多いわけでございまして、それぞれの地におきまして、私どもから出向いたしました者は、それぞれの機関の方々と御協力をしながら、日常的業務として情報を送ってきているということがまずあるわけでございます。さらに、それらの職員が一時帰国、あるいは最終的に勤務を終えて帰国をするというようなことがあります場合には、できるだけその体験を生かしてもらおうということで、省内の関係の各会議に報告をしてもらうということを大体常としております。また、これはやや個人差がございますが、文筆の立つ人たちはこれらの体験をまとめて当省の機関誌等に載せるというような形で、それぞれの個人が体得いたしました経験というものはその人たちの日常の仕事の中で生かされているとともに、できるだけその体験を多くの同僚に分かち合うということで、いろいろな発表の機会を設けているということを御報告できると思います。
○小和田説明員 二月十八日にペルシャ湾で攻撃されましたクウェート籍のコンテナ船に関する御質問について、順次お答えいたします。 まず、外国船に日本人がいわゆる労務提供している実績はどのくらいあるかという御質問でございますけれども、二月二十一日現在で私どもが調査した数字によりますと、そういう船が九十八隻ございます。船員の数では約二千四百人になっております。 それから、こういう船に派遣されている船員の安全対策でございますけれども、特にペルシャ湾につきましては、紛争が始まった当初から、関係者を集めましていろいろな安全上の対策を検討し、その周知徹底を図っているわけでありますが、その際に、関係者で決めた安全対策は、今申し上げましたような外国船に乗っている日本人を含めて十分実施できるようにという配慮をしているわけでございます。 ただ、外国船に日本人が乗っている場合に二通りございまして、一つは、外国船を日本の船会社が借りまして自分の責任で動かしている、用船して運航している、そういうケースでございまして、この場合は今申し上げた安全対策の実施について問題はございませんが、船員を派遣して外国の船会社が自分の責任でその船を動かしている、こういう場合には、安全対策上、特に運航スケジュール等については向こうの船会社が全部責任なり権限を持っておりますために、若干その安全対策の点で実施できない部分が出てくる可能性がございます。今回の事件にかんがみまして、外国船に労務提供として船員を派遣する場合には、日本人が乗っている日本船と同様の安全対策が図られるように、派遣する方の船会社が十分相手船社に申し入れをするように指導いたしました。 それから二番目に、外国船でペルシャ湾から日本に原油を輸入している実績でございますけれども、外国船による輸入実績は、ペルシャ湾から我が国に輸入しております原油の輸入量、輸送量の約五一%ほどでございます。この中には、先ほど申し上げましたように、外国の船を日本の船会社が借りて動かしている場合、外国用船と申しますが、そういうものと、それから、船員を向こうに派遣して外国の船会社が油を日本に運んでくる場合、その二通りございますけれども、合わせまして、外国船で日本に輸入されている原油は、ペルシャ湾関係全体の原油輸入量の約五一%でございます。 それから、人命尊重に関しましてどういう話し合いなり対策を従来やってきているか、あるいは現在やっているかでございますけれども、ペルシャ湾の紛争勃発当時から関係者で安全対策をいろいろ講じてきておりまして、その後、紛争の状況、推移を見まして、その安全対策に適宜追加事項あるいは注意の範囲を拡大するといったようなことを行ってきておるわけでございますけれども、二月十八日の事件が、従来私どもが危険と考えていた水域の外で起きた、攻撃された事件であるということも含めまして、現在、労使を中心として安全対策の見直しを至急にやっているところであります。 とりあえずの措置といたしまして、外国籍の船については、東経五十四度から西といいますと湾の内側になりますが、そこには、外国籍の船で日本人が乗り組んでいるものは立ち入りをしばらくストップするという措置をとっております。それから、今回の事件が発生してから報告が入るまでに多少時間がかかっているというようなこともございまして、そういう反省のもとに、通信連絡体制の再検討等を含めて、現在、関係者の間で協議中でございます。
○奥田(幹)委員 お尋ねしたいことがたくさんございますので、同じ問題について私は再質問はいたしません。 そこで、今お話しになりました各省庁との必要な場合の人事交流について、これは特に情報化が進んでまいりますと、新しい問題が次々とこれからも出てこようと思います。たびたびVAN戦争のようなことをやっておりますと、これははたから見ておりましても余りいい感じはいたしませんので、十分心していただきたいと思います。 それから、今の運輸省の御答弁でございますけれども、五一%とかなりあるのですね。それで、日本の船の場合と同じような方法を船主を通じてお願いをする、要請をするということでございましたが、これは、一つまかり間違えば人命が失われてしまうということになってしまいますから、徹底してやっていただくようにお願いをいたしておきます。 次は、金子長官は見えておりませんが、時間の都合もございますので、経済見通しについてお伺いをいたします。 我が国の経済は、久しぶりに五十九年度五%台の実質成長を回復したと言われております。けれども一面、地域でございますとかあるいは業種によりましてばらつきがございます。消費支出は依然として伸び悩んでおります。企業倒産もふえてきております。それから、この景気の回復が、アメリカの急激な景気拡大による輸出の増加にもよっておるわけでございます。 そこで、経企庁の六十年度の経済見通しを先日の本会議で長官から伺いました。実質成長四・六%、このうち内需が四・一で外需によるものが〇・五。内需中心の順調な成長を目指しておられるわけでございます。これは非常に望ましいことでございまして、これからの政府の努力を大いに期待いたしますけれども、実際問題、経企庁がお考えになっておるような方向になっていくのであろうかどうか、いささか疑問がないわけではございません。内需と外需のウエートの置き方、あるいは消費支出、設備投資の見方、経常収支の黒字幅の見方、これらについて非常に厳しい見方をしておるところもございます。また、内需の拡大につきまして、行財政改革との関係から政策的には限界があるのではなかろうかと、非常に心配する向きもございます。 そこで、政府は、この見通しのような内需中心の成長をどのようにして達成されようとしておるのか、その筋道と御決意のほどをお伺いいたします。加えて、経常収支の黒字は三百四十億ドル程度、五十九年度並みで、それ以上拡大しないとされておりますけれども、民間機関の予測では、これを大幅に上回って四百六十億ドル前後にもなるのじゃなかろうかと見ておるところもあります。いずれにしましても、この経常収支の黒字幅は外需依存の経済成長を象徴的に示しておるものでございまして、五十九年度並みでそれ以上拡大しないということでは済まされないのじゃないかと私は思いますけれども、経企庁のお考えはどうでございましょうか。いろいろの事情を総合しまして、黒字幅の妥当な姿をどのようにお考えになっておるか、あわせてお尋ねをいたします。
○中西政府委員 せっかく奥田先生からの御質問でございますが、金子長官は予算委員会に出席をいたしておりまして、お答えできません。役者不足でございますが、私から三点、御質問に対してのお答えをさせていただきたいと思います。 まず第一の、経済見通し実質成長率四・六%、またそれを内需中心でやっていくんだ、それはできるのか、こういう御質問でございます。 経済企画庁といたしましては、五十九年度も、後半うれしい番狂わせがございまして上方修正をいたしたところでございますが、あと余すところ一カ月少々、五・三%の経済成長率はほぼ達成できるであろう、そのような見方は変えておりません。できると思っております。そこで、これを受けまして六十年度も四・六%という高い経済成長率を維持できるであろうと、順調な経済の拡大を見込んでいるわけでございます。また、その内容も、アメリカの方の経済もいささかソフトランディングというような状況になってきておりますので、外需から内需中心に移っていくであろう、そんなふうに見ております。ですから、御指摘のとおり、六十年度の経済見通しの姿は望ましいものである、そんなふうに見ているわけでございます。 六十年度の具体的な経済動向のポイントを申し上げますと、先ほどもちょっと申し上げましたが、アメリカの景気の鈍化に伴いまして、どうしても輸出の伸びが緩やかなものになっていくであろう。そういう見地から、成長率に対する外需の寄与度はどうしても低下していかざるを得ない、そんなふうに考えております。また、個人消費は、所得が今順調に増加をいたしておりまして、また消費マインドにも明るさも出てきておりますから、前年度よりはその伸びを伸ばすことができるであろう、そんなふうに読んでおります。さらにまた設備投資も、輸出関連は鈍化はしていくだろうと思いますが、技術関連の投資が引き続き活発に推移していくでありましょうし、個人消費の着実な増加に伴って卸業あるいは小売業などサービス関連の方にも波及していくことを期待しているわけでございまして、引き続き堅調に推移する、そういうふうに見込んでおります。 以上申し上げたようなことから、内需は全体として順調に増加して、六十年度の実質成長率は四・六%、ごろ合わせをいたしますと、よろしい経済見通し、こんなふうに見ておるわけでございます。 以上が、第一の御質問に対する見解でございます。 それでは、その達成はどんな筋道でやっていくのか、決意のほどを聞きたい、こういうお尋ねでございました。 マクロに申し上げますと、今後の経済運営は物価の安定基調を何が何でも堅持しなければなりません。そういうことを配意しつつ、我が国経済の潜在的な活力を生かして、内需中心の経済の持続的拡大を図って、貿易の拡大均衡に努めていく、こういうことが言えるかと思います。 このために、今総理も言われておることでございますが、各種規制の緩和ですね。とにかく民間活力が最大限に生かされるために、伸びやかに民間の力が発揮されるために、そういう環境の整備を図っていくということが非常に大事な前提条件ではないか。そういうことにまず全力を挙げていくと同時に、景気動向に即応して適正かつ機動的な財政面また金融面での政策も断行していかなければならぬ、そんなふうに考えておるところでございます。政府も、昨年の予算編成、あるいは税制調査会等におきましても、六十年度の予算においてはいろいろな工夫を講じておるわけでございます。 例えば、一般公共事業費も前年度を上回る水準を確保いたしましたことも御承知のとおりでございますし、また基盤技術の研究開発の促進、あるいはまた中小企業の技術基盤の強化のための税制上の措置を講ずることといたしておることも御案内のとおりでございます。例えば税制面では基盤技術研究開発促進税制、これは六十年度から向こう三年間行うわけでございますが、対象は、新素材とかバイオテクノロジー、先端エレクトロニクス技術、そういう分野を対象にいたしております。またもう一つは中小企業技術基盤強化税制、これもやはり六十年度から向こう三年間、中小企業者の試験研究のために必要な費用で、試験研究にかかる原材料費とか人件費とかそういう経費を見ていこう、そういうふうな内容の税制でございます。前者は初年度百三十億ぐらい、後者は初年度百億、平年度で百四十億ぐらい減税される見込みでございます。 そういうふうなものとか、あるいはまたデレギュレーションの推進に関しては、都市計画とか建築規制の見直し、国有地等の有効活用、線引きの見直し、こういうものもやっていこう。あるいはまた電気通信事業分野への新規参入の認可、第二電電、こういうのも考えよう。あるいはまた新しい事業実施体制の確立として、今度関西空港がいよいよスタートしたわけでございますが、この特殊会社方式の導入だとか、あるいは日本万国博覧会協会に見られるような整備財団方式だとか、こういうふうな制度もこれからどんどん活用していこう、こういうふうなこととか、あるいはまた、過日行革審では「民間活力の発揮推進のための行政改革の在り方」と題する報告書を取りまとめたところでございますが、今後規制緩和分科会等において、特に金融だとかあるいは運輸、そういう分野に関して規制緩和を具体的に審議していく、こういう方針も決まったところでございます。こういうことで、内需中心の成長は十分達成していける、そのように考えているところでございます。 また三番目の最後の御質問、経常収支、来年度も三百四十億ドルと言っておるが、民間では四百とも四百六十億ドルにもなるかもしれぬ、そういう予測もあるではないか、そこら辺は大丈夫か、こんな御質問でございます。端的に申し上げますと、輸出に関しましては、アメリカ経済、五十九年度は非常に急成長を遂げたわけですが、御案内のとおり六十年度からいささかスローダウンが予想されるわけでございます。欧州通貨に対しましては円高基調で推移しているわけでございますが、これは結局輸出にはブレーキ役として働くわけでございます。そういうこともございますし、あるいは先ほど原油のお話も奥田先生なさっておられましたが、原油価格も非常に弱含み傾向でずっと推移してきておりますから、OPEC地域への輸出の伸び悩みということも十分考えられると思います。輸出の面では、大まかに申し上げましてそんな感じでございます。 他方輸入に関しましては、国内需要の着実な拡大を反映して引き続き堅調な伸びを示すものと見込んでおりますから、五十九年度並みの三百四十億ドル程度になるのではないか。これは内外の諸情勢を十分勘案して考えてみると、まあまあ妥当な数字ではないか。三百四十億ドルというのは妥当である、そのように経企庁では見ておるわけでございます。 現在、全体としては景気は拡大を続けておりまして、来年度の経済運営においても国内民間需要を中心とした景気の持続的拡大を図ることを基本としているわけでございますから、その結果、実質成長率の内外需別寄与度は、五十九年度は内需四%、外需一・三%、合計、実質GNP成長率が五・三%になったのに対しまして、昭和六十年度は内需が四・一%、外需が〇・五%、実質GNP成長率が四・六%、内需中心の経済成長率である、こういうふうに見込んでいるわけでございます。 以上、粗雑でございましたが、長官にかわりまして経企庁の見解を申し上げた次第でございます。
○奥田(幹)委員 四・六%、よろしいというお話でございまして、政務次官、今その裏づけになる説明もいろいろしていただいたわけでございます。ただし、いささか懸念いたしますのは民活ですね。内需を底上げいたしますための民活については、後ほど中小企業問題のところでも若干触れようと思いますが、政府がいろいろの施策を講じてくださって、それが果たして期待どおりに機能するのかどうかということをちょっと私は疑問に思っておるわけでございますが、時間の関係で先へ進みたいと思います。 次は、技術開発の問題についてお尋ねをいたします。 こういう資源のない我が国でございますから、二十一世紀に向けては技術立国でいかなければならぬと言われております。そこで政府は先端技術開発における国の役割についてどういう認識をしておられるかということが一点。 次には、研究費全体に占めます政府の負担割合、我が国が二五%程度でございますけれども、欧米諸国は四三%から五八%、このうち軍事研究費を除きましても三〇%から四六%、我が国の水準よりも高うございます。しかも欧米諸国は特に最近技術開発の予算をふやしてきております。我が国も先端技術開発、基盤技術開発の重要性から見まして十分な技術開発の予算を確保する必要があると思います。そこでまず政府ベースと民活に分けて新年度の予算をお示し願いたいわけでございます。まずその辺まで御答弁をお願いします。
○福川政府委員 今御指摘のとおりに新素材、エレクトロニクス、バイオテクノロジーといった二十一世紀に向けての技術革新の胎動期にあるわけでございまして、欧米諸国はまさに国を挙げて技術開発に取り組んでおります。我が国としても時期を失することなくこの研究開発に積極的に取り組んでいかなければならないと考えております。 私どもとしては、政府としてまず三つくらいの役割を考えております。一つは基礎研究あるいは応用研究、特にこれから自主技術を開発していくということになりますとこの点が非常に重要でございますが、その基礎研究、応用研究を中心にいたしまして国の技術開発をまず進めていくということでございます。私どもでは工業技術院傘下の試験所等の研究開発を進めてまいりたいと考えております。二番目は民間企業が基礎研究、応用研究を行うように民間活力を最大限に発揮できるような環境条件の整備を図るという点でございます。それから三番目には、国際的な協力、国際研究協力を一層進めていこうということで、この三点を技術開発政策の重点に置いて対応をいたしたいと考えております。 次に予算の点でございますが、私どもの省庁に関するもので申しますと、昭和六十年度の予算案には千八百三十二億円、前年度に比べまして六・八%増の技術開発関係予算を計上いたしております。そのうちに国立の試験研究所におきます先駆的な技術分野の研究開発に必要な経費として約四百五十億円、それから国が民間活力を活用して行います次世代産業基盤技術研究開発、大型プロジェクト等の委託研究に必要な経費、あるいはまた民間の技術開発の促進を図るための補助金などといたしまして千三百八十二億円を計上いたしております。さらにこのほか、今国会にも提案を申しております民間の基礎研究、応用研究に資するために基盤技術研究促進センターについて産業投資特別会計から百億円の出融資を行う、こういうことを考えておる次第でございます。私どもとしては、御指摘のとおり技術開発、この点については政策に最重点を置いて対応してまいる考えでございます。
○奥田(幹)委員 去年の八月に産業構造審議会の企画小委員会、稲葉先生が小委員長をなさっておりますが、この小委員会の中間報告の中に「技術開発が公共的性格を有することも考慮しつつ今後財源確保のあり方を検討すること」、こういうように提言をしておられますが、財政が非常に制約されております中で、今後技術開発予算を全体予算の中でどのように位置づけをされていかれるのか。 それから、今申し上げました産構審の情報産業部会基本政策小委員会が先月の二十一日提言をされております。資料をいただいておるのですが、ソフトウエア技術者の拡大は年間伸び率一三%、現状をほっておくと五年後にはソフトウエア技術者が六十万人も不足してくる、ソフトウエア生産の効率化、高度化に全力を挙げなさい、情報処理技術者の育成を急ぎなさい、こういうことでございます。この提言を受けられて、いわゆるIPA、情報処理振興事業協会等に関する法律の一部改正を提案されていると私は思っております。 このシグマ計画は、まさに私もこれは当面の急務だと思うわけでございます。ソフトウエア生産工業化システム構築事業の総事業費二百五十億円、五カ年計画、そして初年度は三十億円となっておりますけれども、この計画によりますと、六十一年が七十億円、六十二年と六十三年がそれぞれ八十億円、そうして最後の六十四年度が四十億円、こういうふうになっておるわけでございますね。これの必要資金、初年度は確保できたけれども、来年からは倍以上にふえてまいります。 そこで、この必要資金が大蔵省との間で大蔵省の内意が得られておるのかどうか、非常に財政が厳しゅうございますから、その見通しについてお伺いしたいのと、あわせて、これは民間の出資、出捐金あるいは金融機関からの借入金、これも初年度は必要としておりますから、恐らく二年度、三年度、四年度ずっとこういう出資、出捐金、借入金も必要になってくるのじゃなかろうかと思いますが、これらもあわせてお考えを承りたいと思います。 時間の関係で進みますけれども、我が国のエレクトロニクス、メカトロニクスの進展に大きな役割を果たしてまいりました機械情報産業振興法、これがこの六月で期限切れとなってしまいます。今後これをどうされるのか、円滑化法案との関係においても御説明をお願いいたします。
○福川政府委員 技術開発予算を今後財政制約の中でどう位置づけるのかという点につきまして、産業構造審議会の答申との関連でお尋ねでございました。 この答申におきましては、やはり国の予算を十分確保すべしということで、先ほど委員の御指摘のとおりに、諸外国の財政の充実に対比いたしますと、もっと日本も努力をしなければならない、こういう観点でございました。技術開発が非常に公共投資の性格を有するわけでございます。このときの答申はまだ予算の要求段階のときでの答申でございまして、その後、産業投資特別会計からこの基盤技術研究促進センターについての予算措置が講ぜられることになったわけでありますが、なお、今後そのほかにも技術開発はいろいろと進めていかなければならない点が多々ございます。それが非常に産業全体に及ぼすという意味で公共的な性格を要しますし、次世代に効果を及ぼすという意味では投資的な性格を有するわけでございまして、この答申を受けまして、今後の予算の成立あるいは今後の技術開発の展開等を見まして、今後必要な財源の確保を図ってまいりますように、私どもとしても十分努力してまいりたいと考えております。
○木下政府委員 御質問のシグマ計画についてでございますが、今御質問にありましたように、通産省といたしましては、五年間で二百五十億円の事業規模でこの計画を推進したいというふうに考えております。 初年度は三十億円の予算で、そのうち二十億円を産投会計から出資してもらうということになっておりまして、あとは民間からの出資、出捐あるいは借り入れということで措置していきたいと考えております。来年度以降の点につきましては、私どもの五年間で二百五十億円必要だという計画につきましては、十分大蔵省に説明し、協議いたしておるところでございますが、予算の性格上、それぞれの金額については確定しているものではございませんで、今後、大蔵省と協議を続けていく必要があるということでもございます。 通産省といたしましては、本計画の重要性にかんがみまして、次年度以降の予算の確保に最大限の努力をしたいと考えておりますし、また民間からの出資あるいは借り入れ等につきましても、民間、企業の協力を得て、その確保に努めてまいりたいと考えております。 それから、特定機械情報産業法につきましては、本年六月末で期限切れになるわけでございますが、この法律の取り扱いにつきましては、私どもとしては、おおむね目的を達成したのではないかというふうに考えておりまして、現行の機械情報産業振興法の政策的フレームワークのまま存続させる意義は乏しくなってきているのではないかというふうに考えております。 ただ、今回この国会に御提案申し上げております基盤技術研究円滑化法との関係でございますけれども、この法律は、民間において行われます基盤技術に関する試験研究等を助成するという内容の目的のものでございまして、機械情報産業振興法が考えておりました特定機械情報産業の生産技術の向上というのとは、振興のやり方が異なるということで目的が違うので、特に私どもは両法の間に関係があるとは考えておりません。
○奥田(幹)委員 大臣が御出席いただきましたので、今度は貿易に関する問題について、大臣にお尋ねをいたします。 先日、九日から京都で四極通商会議が開かれました。新聞では「新ラウンドの進め方について「一九八六年開始を目指し、その準備のため八五年のできるだけ早い時期にガットの高級事務レベル会合を開催する」との考えで一致こういうように報道をされておるわけでございます。まことに私も時宜を得た会議であったと思いますが、これについて通産大臣の率直な感想をお伺いいたしたいし、また、これに関連いたしまして見逃すことのできないのが、正月早々の日米首脳会談とその後の推移についてでございます。 先月末、アメリカから四人の代表が日本にやってきました。通商代表部スミス、商務省、国務省、農務省、それぞれ四つの分野でこれから詰めていくということになっておりますが、その詰めの作業はどうなっておるのか、こういうことについてお伺いいたします。
○村田国務大臣 奥田委員に、お答え申し上げます。 まず、二月九日から十一日まで行われました四極貿易大臣会議でございます。これは御指摘のように奥田委員のお地元でもございます京都で主催をされまして、アメリカのブロック通商代表、カナダのケルハー貿易大臣、ECのドクレルク代表、それから私、日本で開催されました関係で私が議長を務めたわけでございますが、非常に実のある討論が行われまして、十一日の決定では、今お示しのように新ラウンドに向けての交渉開始をことしのできるだけ早い時期に、いわゆる高級事務レベル会合を開こうということが決定をしたわけでございます。 このことは初めてでありまして、その後、中曽根総理とブロック代表とが、あるいはドクレルク代表とが東京で会っておられますが、中曽根総理も非常にこの決定を多とされまして、ぜひ今度のボン・サミットではその話をさらに進めていきたいということであります。基本的には、今世界的に起こっております保護主義のおくれた体制、保護主義の体制というものを排しまして、自由に開かれた貿易体制を開いていきたい、新ラウンドをぜひ目指して、できるだけ多くの国の参加を得ていきたい。これは中曽根総理、レーガン大統領の年来の御主張の線に沿ったものだと思います。私もその線に沿って外務大臣あるいは大蔵大臣等と連絡をとりながら新ラウンドに向けて懸命の努力をしていきたいと思っております。 それからもう一つは、ことし一月早々にロサンゼルスで開かれました中曽根・レーガン会談のフォロー問題でありますが、これでは御承知のように、エレクトロニクスであるとかあるいは医療機器であるとか木材等の四品目が特別に指定をされたわけであります。したがって、奥田委員のお示しになりました、代表の方々が日本に来られまして、事務次官クラスの非常に密度の高い話し合いが行われておりますことは御承知のとおり。その会合の始まるのに先立ちまして、私やまた担当の大臣が、特に中曽根総理から、この会合は極めて重要であるからひとつ対処をするようにという御指示もあったわけでございます。これは今非常に真剣に検討をされておりますが、まだ結論に到達しておりません。しかし、この問題については、ブロック代表と私と京都でお会いしたときにも、このフォローアップが極めて大切であるという御指摘があり、またブロック代表から中曽根総理にもその御要望がなされたところでありまして、総理のもとでいろいろな緊密な御相談をしながら今対応が急がれておるところでございます。 そのほかに、最近の新聞その他の伝えられますように、自動車の日本から対米の輸出自主規制の問題、それから昨年十二月に一応大筋においては決着をいたしました鉄鋼の問題のさらに詰め、これも今アメリカで行われておりまして、そういった日米貿易についての非常に重要な問題が今並行して進められておるところでございまして、私どももこれに真剣に対応をいたしております。 これを要するに、新ラウンドについての展開は、これからボン・サミット、そしてことし、来年に向けての強力な推進をしてまいりますし、貿易摩擦の問題につきましては、今個々に申し上げたようないろいろな問題点に沿って私ども努力をしていく覚悟でございます。
○奥田(幹)委員 次に、私は同じ貿易の問題の中で、通信機器についてお尋ねをいたしたいと思うわけです。 通関統計資料によりますと、去年の対米貿易収支が三百三十一億ドル、このうちの半分が自動車。自動車問題は今アメリカの政府と議会との間でいろいろ微妙な段階を迎えておりますので、ここでの質問を、私は刺激することを避けたいので、差し控えたいと思います。 それで、問題は通信機器であります。 通信機械工業会、この調査によりますと、五十九年の総売り上げが一兆六千億円。この一兆六千億円のうち国内での販売が一兆一千億円。輸出は五千億円。しかも、この五千億円の中でアメリカに対しては二千億から二千二百億円というのですね。三百三十一億ドル分の中で見ますと、これは非常にわずかでございます。このわずかなものがなぜねらい撃ちされなければならぬのかということです。 この工業会に聞きますと、日本の品物は非常によろしい、値段もそこそこ、したがってアメリカでは喜んで買っていただける。ところが、アメリカから日本へ輸出してまいります品物はなかなかすぐに使うことのできない、例えば二百二十ボルト、こっちは百ボルトでなければ使えないのをアメリカはそのままのものを持ってくるというのですね。そんなもの、使おうにも使いようがない。こういうようなことについてまだまだアメリカは業界が勉強不足だから、ひとつ私の工業会の方でも専務理事を派遣して、もっと向こうの業界が勉強してくれるように注文をつけます。今行っているそうです。やはり通産省としましても、そういうような向こうでのPRが必要じゃなかろうかというように私は思うのですが、これについてお考えを伺います。 時間が来たそうでございますから、エネルギーと中小企業はお尋ねの時間がなくなってしまいましたが、最後に一言だけ、中小企業についてお尋ねをいたしたい。 中小企業の分野におきましても、高度情報化社会、これは避けることができません。対応策を十分に考えなければ時代おくれになってしまいます。したがって、技術力の向上あるいは情報化への対応、人材養成、こういうものを考えてもらっておりまして、先ほど中西政務次官もいろいろおっしゃいましたとおりの政策はまさに画期的なものであって、私はその積極性は高く評価するものでございますけれども、何といいましても中小企業界は創造的な技術力が不足しております。資金も十分ございません。人材もございません。適切な助言が第一に不足をいたしております。 こういうような問題を抱えておる中で、今国会に提出が予定されております中小企業技術開発促進法がどれだけ問題の解決に役立っていくのか、私ども、中小企業の将来を非常に心配しております者が、このたびのいろいろな施策によりましてどの程度期待いたしていいのかどうかというようなこと。 それから、倒産防止につきましても、幸い五十六、五十七年はわずかでございましたけれども減っております。五十八年が一万九千件、五十九年は何と二万件を超えたわけですね。こういうようなことで、三つの政府機関がいろいろこれまでの制度の手直しをされ、何とか盛り立てていきたいとお考えいただいておるわけでございますが、この手直し程度で十分に倒産が防げるのかどうか、これについてもお伺いをいたしておきたいと思います。
○黒田(真)政府委員 通信機器の関係が日米間で一つのイシューになっておることは御指摘のとおりでございます。 それは金額的には余り大したことはないではないかということでございますが、特に我が国からの輸出が相当な勢いでふえているのに対して、アメリカ自身が実は強いと考えている通信機器の対日輸出が必ずしも伸展していないというところに、彼らの側の問題意識があると思います。 一つ、これには背景がございまして、アメリカの通信機器というものが、御案内のようにAT&Tという非常に巨大な会社が分割をされて地方の電話会社が独立した。そして、独立したことによって、従来関係会社から買っていた機器を自由に調達できるようになったということで、日本あるいはその他の近隣の国々から非常に大量に輸出されるようになったということがあろうかと思います。他方、日本の場合も今度は電気通信事業が自由化される、電電公社が民営化されるということでありますので、アメリカ側としてはそういった機会がアメリカ製品にとっての参入の非常に大きな機会になるはずである、そういう期待でこれが非常に注目をされておると思います。 私どもといたしましては、ぜひそこら辺で十分な市場アクセスというものが図られているということを示す必要があると思っておりますが、その次にまいりますのは、アメリカ自身の努力でございまして、日本の市場に適合した製品を持ってこない限りは、こちらが窓を広げて待っていても入ってこないという点につきましては、先生御指摘のとおりでございます。この点等については我々としては十分に相手方に指摘をする必要があると思っておりますが、同時に、やはり入り得る環境をつくっておくということはまた必要だろうと思っております。
○石井政府委員 第一の、中小企業の技術開発への取り組みに対応し、技術開発促進臨時措置法等によって、果たして中小企業がこれまで余り取り組んでいなかった技術開発あるいは情報化への対応に誤りなきを期し得るかという点につきましては、確かに御指摘のようにこれまで技術革新成果を導入するという形での、どちらかといいますと中小企業は技術革新、技術開発に対して受け身の姿勢に終始しておったと言えるかと思います。しかし、先ほど奥田先生御指摘のように、周辺環境が変わり、また技術革新のスピードが大変な勢いで進んでおるわけでございまして、同時にそういう技術革新の最近の特性からいたしますと、中小企業自身がその技術開発の中に参画をしていきませんと産業技術のバランスある発展が期しにくいという事態でございますので、私ども技術開発促進臨時措置法を御提案申し上げまして、その中で国の指針を設定し、また国及び公設諸機関の助言等によって総力を挙げて中小企業の技術開発を支援していく態勢をとりたいというふうに考えておるところでございます。 また、情報化につきましても、多分に迷いがございます。中小企業のコンピューター導入比率といいますのは、大企業が八〇%に対しましてまだ三割に達しておりません。情報力格差が当然に経営ガ格差に結びつく時代でございますので、この情報化に対しても積極的な姿勢で臨んでもらうようにいろいろ対応策を考えておるわけでございますが、ところが情報化いたす場合にそれぞれの企業の事業規模あるいは情報化のアウトプットの効率性、こういったものがございまして、中小企業の情報化へのハンディがございます。したがって、全体の流れの中で中小企業が技術革新に支えられた情報化技術の進展あるいはそれの消化しやすさの進展、こういったものをにらみまして、それぞれの中小企業のいわば経営の戦力になるような形で情報化が取り込めるように、私どもソフト面あるいはハード面で指導体制を強化していきたいというふうに思っておるわけでございます。 それから、倒産関連におきまして金融面あるいは諸制度の配慮で十分かという点でございますが、政府関係三機関、特に一つの例で、中小企業金融公庫の例で申し上げますと、五十九年度の貸付計画に対しまして六十年度は六%マイナスで編成をいたしております。しかし、中小企業金融公庫の場合でございますと五〇%は代理貸しという市中金融機関を通じた金融体系をとっておるわけでございますが、この代理貸しの分野で年々二〇%以上減少が見られております。これは資金的に非常に緩慢な関係でそういう資金需要が出てこないわけでございますので、私どもは五十九年度の推定実績、貸付実績からして一〇%アップの段階で来年度の計画をつくったわけでございまして、そういう意味におきましては必要な資金量はある程度確保できている、また六十年度の情勢の進展に応じて機動的にその貸付規模の弾力的対応をしていこうというふうに考えておりますので、その意味におきまして政府関係三機関の倒産対策貸し付け等の枠につきましては十分確保できているというふうに考えておるところでございます。
○奥田(幹)委員 中小企業につきましては、あとまだ尋ねたいことがあるのですが、後日に譲ることにいたします。 なお金子大臣、せっかくお見えいただきましたのに時間の関係で大変どうも失礼いたしました。 時間が超過いたしましたことをおわびいたしまして、これで質問を終わります。ありがとうございました。
○粕谷委員長 これにて奥田幹生君の質疑は終わりました。 続いて、質疑の申し出のあります渡辺嘉藏君の質疑に入らせていただきます。渡辺嘉藏君。
○渡辺(嘉)委員 商工行政全般にわたって質問いたしたいと思います。 昨年、私はこの委員会でも御指摘を申し上げたわけですが、五十九年度は中小企業を主体とする倒産が増加するのではないか、またその兆候が各所にある、だから十分対応してもらいたい、こういうお願いをしたわけですが、実績は既に御案内のとおりで、昨年、暦年で二万八百四十一件、三兆六千億の倒産実績が出たことは御案内のとおりで、これが過去最高であるわけですが、ことしに入りましても一月、二月、大体千五、六百件の横ばい状態にある。しかし、手形決済期の来るこの三月は前年を上回るであろう、前年千九百件余でございますが、これを上回るであろうとそれぞれの機関は推測をいたしておるわけです。 輸出主導型で今日の景気が回復したと言われ、維持されておる今日です。輸出主導によるために、輸出関連は大企業が約三〇%、中小企業は残念ながらその輸出関連で恩恵を受けられるのは約一四%と、こう言われておるわけです。八六%の中小企業は内需依存の企業であるだけに、今日の実情からこれまた非常に日当たりの悪い行政の立場にあることは否定できない、こう思うわけでございます。三月期をまさに迎えようとし、これから春にかけて倒産が増大すると言われております。あわせてアメリカ経済がもし落ち込んだ場合には、これらまた外需に依存していた中小企業も含めて危機に直面すると想定されるわけですが、まず冒頭にこの点についての当面の対策を承りたい、こう思うのと、それに対する予測ですね、これをひとつお聞かせいただきたいと思います。
○村田国務大臣 渡辺委員にお答えを申し上げます。 中小企業問題、これは通産省の抱えております行政の中でも最も重要な行政であると認識をいたしております。一例を挙げますと、中小企業の事業所は六百二十三万カ所、全体の事業所の九九・四%、また中小企業に従事いたします人口は家族を含めれば実に七千八百万人、全国民の六七%に当たるわけでありまして、まさに中小企業こそ我が国経済の活力の源泉であり、我が国社会の安定の基盤である、こういう認識を私は持っておりまして、これについての対応は極めて重要であるということでございます。 今渡辺委員が、例えば対米貿易との関連、そしてまた中小企業の倒産件数の増大、いろいろそういった重要な問題点について御指摘になられたわけでありまして、まさに御指摘のように、昭和五十九年の中小企業の倒産というのは歴史的に見ても非常に大きなものがあり、件数もそしてまた倒産に関連をいたします金額も大きかったわけでございます。したがって、例えば対米貿易等の問題でいろいろなひずみその他が生ずるのではないかという危惧については、私も実はその憂いを一にしておるということを申し上げます。 そして大きく見てまいりますと、大量的に見てまいりますと、いわゆる技術革新であるとか、それから情報化であるとか、そういう新しい時代の進展というものが中小企業の経営に直撃のいろいろな打撃を与えておる。したがって、非常に経験年数の少ない、また底の浅い中小企業が倒れるという単純な現象ではなしに、八年、九年、十年という相当の経験年数を経た中小企業が倒産をしている事例が多い。これを考えてみますと、まさに時代の技術革新あるいは情報化、そういったものに対応していくように中小企業が即応していくのでなければこれは大変な危機が訪れるということでございまして、大きく申しますと中小企業の技術革新、情報化への対応ということが言うなれば一丁目一番地である、これが一番大事であるという認識を持っておりまして、技術力の向上、情報化への対応、人材養成の強化、こういったことを主題に置きまして中小企業行政をしておりますし、また中小企業の経営基盤の安定という意味では、委員御指摘になりました金融の充実であるとか倒産防止対策についての各般の措置を講ずるとか下請中小企業対策の充実であるとか、あるいは官公需が中小企業にできるだけたくさん発注されるようにするとか、いろいろな配慮をしておるところでございます。
○渡辺(嘉)委員 今の中小企業対策のまず一覧を聞いていたわけですが、倒産の大部分、九五%は手形決済による倒産なんですね。手形期日は大体三月、それから春から五月、六月と来るわけですから、これの対応を誤ると私は昨年以上に出る心配をしておるということと、いま一つは、中小公庫その他いろいろな融資が減っておる。これは選別融資の厳しくなった実情、金融機関の経営そのものも含めまして、そういうものがこういうところでしわ寄せがあらわれておるということも見逃し得ないのですから、これについての御答弁と、これがアメリカ経済の動向にもかなり大きな連動をいたしますので、その点で経済企画庁にあわせて聞きたいわけです。 先日のレーガン大統領の八六年度の予算教書を読んでみますると、その中で今日のドル高と外国資本の流入についてはアメリカ経済への信認の高まり、世界の投資家のドルヘの期待を示している。この信認は負債ではなくて資産である。すなわち借金も財産だ、こういう論理を展開しておられるわけですが、まず中小企業庁長官としては、アメリカのレーガン大統領の言うとおり借金も財産だというふうにお考えですか。
○金子国務大臣 今の大統領の予算教書の問題でございまするけれども、ドル高は御承知のとおり高金利が原因でございまするが、一方において財政赤字が現在二千二百二十二億ドルにも達しておる状況でございますので、これをある程度カットしてもらわないとなかなか金利を下げるわけにいかぬわけでございますが、この点につきましては、八六年度で約五百十億程度の削減を提言しております。これは八六年度にそのとおりできるかどうかは別にいたしまして、一応アメリカ政府としては非常な努力をしておることは事実でございます。また、経常収支も一千億程度現在赤字が見込まれておりますが、やはりこれはドル高や他国を上回るアメリカ景気の拡大を反映しておるわけでございまして、ある意味においては非常なアメリカ経済に対する自信を表明しておるわけでございますし、同時に世界各国が経済的に強いアメリカ、政治的にも強いアメリカということで、ドルに対する信認が非常に高いということは事実であると思います。 中小企業の倒産の問題その他につきましては、中小企業庁の方からお答えさせていただきます。
○石井政府委員 御指摘のように、年度末ということは企業倒産の動向の一つの節目をなすことは御指摘のとおりでございます。金融自由化が進む中で、現状では国内的に資金がマクロとしては緩慢の状況にございますけれども、しかし一方で、民間金融機関の場合におきましても資金調達コストは高まっていかざるを得ない状況で、言うならば選別融資と申しますか、いわば一般民間金融機関の動きを見てみます限りにおいて、貸付金額は増大しながら貸付件数はふえてないというのが実情でございまして、これを選別融資の傾向の強化だと見ることもできるわけでございます。そういう意味におきまして、そういった民間金融機関の動向につきまして我々十分な配慮をすると同時に、今後の中小企業金融三機関におきます倒産対策貸し付けの弾力的な運用、倒産特例保証の迅速な発動及び倒産防止共済によりまず貸付金の迅速な貸し付け、こういったような諸対策を実施してまいりたいと考えております。
○渡辺(嘉)委員 中小企業問題はまた後から触れていきたいと思います。 そこで、経済企画庁にもう一遍承りたいわけですが、レーガン大統領の言うとおり借金も財産だという考え方は一時日本でもあったわけですが、こういうことは果たしてそういうふうに受け取っていいのか。そして、そういうことで経済的に強いアメリカ、だから外国が信認しておるんだ、こういうふうに我々は受け取っていいのかどうか。それを肯定するとすれば、我々の考え方も変えなげればならぬわけですね、日本経済の取り組みそのものも。そこで、今御指摘のとおりで、アメリカ経済は表面的にはいい数字がずっと出ておるわけです。けさも出たばかりですね。六・八を六・九に上方修正したのです。これは〇・一ですけれども、そういうことに対しては言うまでもなく、今おっしゃったように財政赤字と経常赤字合わせて三千億以上のものが二本の竹馬の上に乗ったアメリカの景気回復指数である。これに対してピーターソン元商務長官は、これは非常に危険なことなんだ、アメリカは今消費中毒にかかっておる、こういう表現をいたしております。あるいはまた、レスター・サローはドル暴落説を展開しておるわけですが、今年度中にアメリカの収支が債務国に転落するであろうということは教書も言っておるし、あらゆる人も言っておるわけですが、アメリカが債務国に転落した場合にはどういうことが起こると予想されるのか。いま一つは民間の設備投資その他が十、十一、十二は落ち込んでおるわけですね。ただし、民需の関係で上がっておるわけなんですから、そういうような意味からこれに対する見通し、対応を承りたい。時間が貴重ですから、私も簡単に質問しますので、お答えの方も簡単明快にお願いしたいと思うのです。
○金子国務大臣 赤字もまた財産なりというのは大統領の政治的な発言と私どもは受けとめておるわけでございまして、一日も早く高金利を是正してもらうために財政赤字の削減をやってもらいたいという気持ちを持っておるわけでございまして、特に、この高金利の是正につきましては、私どもといたしましては、政府首脳、事あるごとに申し入れをいたしておりますし、特に五月のボン・サミットの主要な課題の一つがこの問題と私どもも心得ておるわけでございます。一日も早く高金利が是正されて、世界経済がこれで振り回されることのないように私どもは努力していかなければいかぬと考えておるわけでございまして、お話しのようにアメリカがだんだん債務国になっておることは事実でございますが、そのためにすぐ世界経済に大きく影響を及ぼすというようなことは私どもは考えておりません。特に、新年度の経済も、去年は急成長いたしましたから、それが一遍にしぼむんじゃないかという悲観説も一部ございましたけれども、大体今の見通しては四%前後にソフトランディングするんじゃなかろうか、最小限の影響で世界経済も推移するのではなかろうかと考えておる次第でございます。
○渡辺(嘉)委員 国債依存度はGNP対比で四〇%台なら健全なんだ、こういう考え方がかなり展開されておるわけですね。アメリカは今、八五年度末でGNPに対して約四九%になろうとしているわけですね。日本は御承知のとおりまだ四〇%にいっておらぬわけなんですね。三〇%台なんですね。この点について経済企画庁としては肯定されるのかどうか。 それからいま一つは、アメリカの連邦銀行の中でも二つの考え方があると言われておるわけですね。今のままの拡大基調を続けていくという考え方と、いや、むしろ引き締めるべきだ、こういう考え方とある、こういうように承っておるわけですが、これらについての知っておられる範囲で御説明をいただきたいと思います。
○金子国務大臣 フェデラル・リザーブ・バンクのボルカー総裁の発言中の解釈につきましては、実はまだ正確な報告がないんです。微調整をある程度金融政策としてやらなきゃいかぬというのか、その程度の意味なのかと私どもは受け取っておるわけでございます。 さらに細かい点につきましては、政府委員から説明をさせます。
○赤羽政府委員 二つの問題を提起されましたけれども、まず第一の問題、国債依存度の問題についてお答えを申し上げます。 国債依存度が四〇%以下であればそれは健全性を損なわない、こういったような議論があるということでありますけれども、これはやはりそうした四〇%というものがずっと続くのか、あるいは急速に四〇%に近づき、かつそれが超えて大きくなるのか、こういうことでも事情が違うと思います。いろいろ学説がございまして、利回りと名目成長率が同じくらい、以下であれば、これ以上国債依存度は高まらない、こういったような説もございます、しかし、それらは現在の財政の実態というのに照らして考えますと、なかなか現在の三〇%台のものがそれで四〇%以下で安定するというような状況というのには非常な努力が必要である、こういうことだと思いますので、単純にそういったような説に基づいて現在のような状況というものを肯定するわけにはまいらない、こういうふうに考えます。
○横溝政府委員 御質問の二番目の、アメリカの連邦準備制度の内部でアメリカ経済について楽観論、悲観論があるようだけれどもどうかという御質問でございましたが、大臣から微調整という御答弁がありました。基本的にはそういうことでございますが、若干補足させていただきます。 おとといの夕刻、日本時間では夕刻だったと思いますが、アメリカの上院の銀行委員会でボルカー連銀議長が証言を行いましたが、ここで連銀議長としてのアメリカ経済の見方あるいは連銀としての金融政策運営の考え方を述べたわけでございますけれども、経済の見方につきましては、今議論になっております二月の初めに予算教書でアメリカ政府がアメリカ政府の見方を出しましたけれども、それと大きな違いはございません。大体ことしにおいて政府は歴年で三・九、第四・四半期で四%でございますけれども、連銀も三・五ないし四%、物価上昇率も大体政府と同じような見方を連銀としては出しております。 ただ注目されますのは、昨年秋の金融緩和政策は一応終わったということも言っておりまして、その点につきましては、これも委員御承知と思いますが、昨年の七−九月にアメリカのGNPの成長率が一・六%と非常に落ち込んだりしまして、それに対して秋にやや緩和ぎみの政策を連銀はとったわけですけれども、十−十二の実績がきょうもまた改定値が出ておりましたが、四・九ですか、かなり高くなっておるということもあって、一応緩和政策はやめて今後は自然体でいく。やや微調整といいますか、という感じかと思いますけれども、基本的にそう大きな悲観的な見方はないと考えております。
○渡辺(嘉)委員 時間がありませんので多くを触れませんが、私は選挙前に行ったあの緩和策が十、十一、十二を押し上げたと見ております。選挙後には、今微調整とおっしゃいましたけれども、私はかなりのことをやらないと、二本の竹馬の上に乗ったアメリカ経済は、借金は財産だというようなこんな理論はいつまでも通らぬ、こう思っておりますので、この点について改めて触れておきますことと、それから、これが今度日本経済の見通しにどう影響してくるかということですが、八五年のGNP、日本は六・一%を考えておられるわけです。これの大きな寄与率は言うまでもなく個人の消費支出に置いてあるわけですが、これが民間の消費支出を昨年度の五・二%からことしは六・九%に引き上げよう。金額にして約十二兆円ですが、この六・九%に引き上げるにはしからば各個人はどのような消費支出動向にあるか、これを見てみますると、五十七年に比べて五十八年は一人当たりの消費支出二十七万二千円。約六千円ほどふえておるわけですね。これは二%ちょっとなんですよ。そうすると、六・九%前年より多く見ておる。しかしながら各個人の家計を見てみますると、二%ちょっとしかふえておらない、こういう乖離現象があるわけですが、果たしてこれが、今見ていらっしゃるそういう経済指標に可能性をもたらすいろんな諸条件があるかどうか、これを承りたい。
○金子国務大臣 御質問の点でございますけれども、国民所得統計速報を見ておりますると、五十九年の四−六月期が前年名目比で〇・八%増、七−九月期が一・二%増というようなことで、緩やかではございますが増加いたしております。大体景気の回復効果が家計部門に波及いたしますのにはある程度のタイムラグがあることは事実でございますけれども、今回はちょっとこれが長めになっておるのではなかろうかと私どもは考えておるわけでございます。 今後につきましては、冬のボーナスが去年に比べますと大分上回っております。その関係で一般の消費も、例えばデパートの売り上げにいたしましても、レジャー関係にいたしましても相当伸びておりますし、特に企業収益の改善が全般的に進んでまいりますにつれまして、もちろん地域、産業によってのばらつきはございまするけれども、雇用者所得もだんだんと増加してまいりまして、五十九年度の五・九%から六十年度は六・八%程度に伸びるのではなかろうかと私どもは見ておるわけでございます。さらに物価が非常に安定しておりますから、この安定基調の上に消費者マインドの明るさというものが増してくるのではなかろうか。したがって、六十年度は名目六・九%程度の伸びを見ることは間違いないと私どもは考えておるような次第でございます。 〔委員長退席、渡辺(秀)委員長代理着席〕
○渡辺(嘉)委員 六・九%、自信を持っておる、こういう御答弁ですが、私はこれは非常に危険だ、こう見ておるわけです。しかしながら、そうあらなければならぬとも思っておるのですね。これはやはり賃金の問題、春闘、人勧その他いろいろなことも積み上げてこなければならぬわけですが、私はそういうためには、経済企画庁は六・九を維持するためにあらゆる政策でひとつ頑張っていただきたい、こう思っておるわけです。 しからば今度、企業設備についてはどうかということですが、企業設備につきましても八・三%の成長を見込んでいらっしゃるわけです。先日の日経新聞を読んでおりましたら、八百八十八社の調査結果が出ておりました。これによりますと五十九年度の企業設備の実績は七・二%であった。これに対して電力の三兆四千億を含めましても六十年度の見込み計画は四・九という答えが出ておったわけですね。これはみんな御案内のとおりだと思うのです。電力を含んで四・九%というのが日経の調査結果なんですが、そうすると先ほどの個人の消費支出とあわせてこの企業の設備投資の増加、果たしてこれが経済企画庁が想定しておる八・三%、いけるのかどうか、この点を承りたい。
○金子国務大臣 今の設備投資でございますけれども、御承知のとおり昨年は輸出産業に引きずられまして輸出関連産業を中心にずっと伸びてきたわけでございますが、ことしは輸出と関係のない方面も大分伸び出した。特に技術革新が今どんどん進んでおるものですから、そういう方面の関係産業の設備投資が相当活発に行われるのではなかろうかと我々は見込んでおるわけでございます。しかも、それは製造業だけではなくて非製造業にも現実の問題として漸次及んでおりますので、新しい六十年度におきましては、今お示しのございましたような八・三%の予測はこれまた確実に達成できるのではなかろうかということで見込みを出しておるような次第でございます。
○渡辺(嘉)委員 先ほど少し触れられましたが、私も触れたのですが、ドル高の問題、そして円安の問題です。昨年度の平均のレートが二百三十七円五十二銭と私は記憶しておるわけですが、今日二百六十円で来ておるわけですね。そうすると二百四十円程度でずっといろいろな積算を各企業しておったのですよ。ところが、今度二百六十円でずっとここしばらく動いておるわけですね、二百五十円から二百六十円。そうするとこれによって卸売物価は、昨年は〇・三、ことしは一・一、こう見ておられるわけですが、これの修正の必要はないかどうか、これをまず承りたい。
○金子国務大臣 円安になりますと一応原則的にはそれが卸売物価にはね返ることになるわけでございますが、幸いと申しますか国際商品価格が一般的に低落しておりますこと、特に石油関係の消費が落ちておるものですから、今のところはさしたる影響は卸売物価に与えておりません。しかし、二百六十円台が長く続くとあるいは幾らか影響は避けられない。これは国民生活に、また消費者物価の上昇ということではね返りますから、私どもといたしましては、御承知のとおりの先般のG5、ワシントンで開かれました関係大蔵大臣の会議におきましても、協調的な介入につきましては今まではアメリカがとかく渋りがちだったのですが、アメリカがむしろ率先してやろうじゃないかというようなことを言い、日本、イギリス、フランス、西ドイツも一緒に歩調を合わせて通貨の安定に努力をいたしておりますので、御承知のとおり、その後少し動きは鈍ってきておりますけれども、今後も円の安定のためには最大の努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
○渡辺(嘉)委員 ドル高・円安によって今のところ円安インフレ的なことは心配しておらぬ、こういうことですが、私はむしろこれは心配すべきことだと見ておるのです。特に十二、一、二、これの円安の動きを見ておれば、〇・三%の卸売物価の上昇ですよというようなわけにはいかぬと僕は思うのです。これは直すような意思がないらしいのですが、ここで問題は、むしろそういう点直すなら直していかないと全体が狂いはしないかということと、ドル高に対して先ほどおっしゃったようにボン・サミットで強く言うとおっしゃいましたが、私はこれは断固としてアメリカの今のようなやり方に対しては、ドル高による日本経済の恩恵も一部的には否定はしませんけれども、しかしそういう甘いことでやっておったのではかえって危険が、早く調整すればよかったものが、おくれるほどソフトランディングというような甘いことは言っておれぬと思うのですね。こういうような意味で、ドル高に対しては日本の立場を強く主張して円の安定を図ってもらわなければならぬ、こう思っておりますので、この点を再度御質問するとともに、これと関連して今の輸出依存の景気回復ということは、これはまだまだ非常に危険な要素がある、やはり民需の拡大が基本だ、こういうふうに考えておるわけですが、そう考えますと、公共事業で経済の波及効果が中小企業を含めて上がってくるのは半年から八カ月ぐらいの間に上がってくる、こう言われておるのですね。輸出関連ですと余りその波及効果というものが国内民需に、全体に広がらない、こういうことが言われておるわけですが、私もそうだと思うのです。 そういうような意味から、この際輸出に頼り切ったそういうものでなくて、日本そのものが公共事業等をもっと増額して、そうして先ほどの、国債依存率が三〇%台なんですから、アメリカは四九でもう今に五〇近くになるのですから、それでも堂々とやっておるとするならば、日本も思い切った民需の拡大政策をとらなければならぬのじゃないか。公共事業その他もふやさなければならぬのじゃないか、こういう点についての見解を承りたい。
○金子国務大臣 前段の御意見は全く私も同感でございまして、できるだけドル高、アメリカの高金利を抑えるような働きかけを今後も強力にやってまいるつもりでおります。特に四つの品目につきまして今高級レベルの会議が日米間で行われておりますが、その際にも今のような指摘が日本側からもやかましく言われておることは御承知のとおりでございます。 卸売物価がある程度上がるのじゃないか、見通しを直す必要がないかというような御指摘につきましては、今のところはさしたるあれはございませんし、今後の私どもの努力によって何とか見通しどおり、多少の幅はございますけれども、国民生活に対する大きな影響はないように持っていかなければいかぬ、またいきたい。しかし、そのためには、先ほど来お話のございましたような為替の今後の動きにつきましては、十分慎重に見守りながら必要な対策を講じてまいるつもりでございます。 それから、内需振興についてもっと積極的にやれというお話、これも私は全く同感なんですが、御承知のとおりの大変厳しい財政情勢でございまして、全くサラ金の財政を繰り返しているような状況でございますので、減税も所得税中心に思い切ってやりたいのですが、それがなかなかできない。公共事業は、おかげさまで新年度は一般会計の事業量を去年よりも少しふやすことにいたしました。しかし、とにかく今地方でやらなければならぬ公共事業は、もう上下水道を初めたくさん残っておるわけです、お互いの生活環境の整備が。今後、財政事情が許す限りそういう方面に積極的にやってまいりたいと考えております。 もう一つは、民間活力の導入でございまするけれども、いろんな規制がかかり過ぎておる面が多うございますので、それを思い切って取り払って、例えば都市再開発にいたしましても、あるいは住宅建設につきましても、思い切って民間が伸び伸びと活動できるような環境づくりを今しっかりやりたいということで、これはまた河本調査室でやっておられますけれども、私どももともどもに努力している最中であることを申し上げておきます。
○渡辺(嘉)委員 そういう中で中小企業の予算を見てみますと、三年連続低下を続けてきておるわけですね。具体的な数字は時間がありませんので申しませんが、これはもう御案内のとおりです。本年度は二千二百八十億ですが、産投会計から百二十億入っておりまするので、これを引きますと二千百六十一億、五十七年度のそれに比較いたしますと八六%に実額で低下をいたしておるわけですね。私の計算によると、農業のそういうものに匹敵するものは約一兆五千億あるわけですが、農業対象者は約五百万人と言われておりますので、そういう計算をいたしますと、中小企業は三千五百万人が大体対象と想定されますと、比較いたしますと五〇対一という比率になるのですね。私は、農業振興のためには農業対策はこれはこれでいい、その反面、中小企業が余りにも少ないのじゃないかと思う。 先ほどおっしゃったように、八千万人近い人々に影響を与える中小企業対策なんですね。これはもうもっと頑張って中小企業対策をやっていただかなければならぬ。そして、今度は初めて財投からの予算も減少をいたしておるわけですが、これでは中小企業は振興どころか保護育成そのものも難しいように、個々のことはまた後で言いますけれども、総論的にそう思うわけですが、中小企業庁はどうお考えですか。
○石井政府委員 おしかりをいただきまして、私ども、十分全力を挙げてやったつもりでございますが、御期待に沿えませんで申しわけないと思います。 ただ、六十年度予算につきましては、御指摘のように、これまで一般会計で見ておりました商工組合中央金庫及び中小企業金融公庫に対する出資金を産業投資特別会計で計上いたしてございますので、その意味で、それを合わせますと、大蔵省及び労働省及び通産省の全体の中小企業対策費はほぼ横ばいで維持できたのではなかろうかというふうに思っておるところでございます。 それで、先ほど御指摘のように、農業と比較して余りにも少ないではないかという御指摘でございますが、私は、やはり中小企業は事業活動を行っておるわけでございますので、あくまで事業活動の健全な発展、そのための環境整備に重点を置くのが中小企業対策ではなかろうかというふうに思っております。個々の中小企業者は、補助金というのはある意味において麻薬的な効果があるんだというような言い方をされる方もおります。私どもはそういう意味で、環境整備に中小企業対策費の重点を置く、それから、同時に事業遂行に必要な資金につきましては、財投資金による供給を政府関係三機関を通じて行うということで取り組んでまいっておるわけでございます。 その財投も減っておるじゃないかという御指摘でございますが、これは先ほど申し上げました、現在の金融の実態がマクロとしては非常に緩慢な状況にございまして、例えば中小企業金融公庫の代理貸し金融、これはもう年間大幅な減少を見ておるわけでございます。そういう実態に合わせまして、実需に合った貸付計画を作成するという方針で、例えば中小企業金融公庫であれば、対前年度六%マイナスということで組んだわけでございますが、五十九年度の推定貸付実績からいたしますと、ほぼ一〇%アップの計画を組み入れたものというふうに考えておるわけです。 同時に、私ども、なぜこういった財投についてナーバスになるかと申しますと、財投資金というのは、それぞれの金融機関にとりましてコストが発生するわけでございます。必要な資金だけを確保すれば運用部資金に対する金利コストを払う必要がないわけでございますので、そういった政府関係金融機関の経営基盤という観点からも私どもは考え合わせまして、必要な最低限というよりも、一〇%のアップを見ておるわけでございますので、私ども、必要な貸付規模は維持できたのではないかというふうに見ておるところでございます。
○渡辺(嘉)委員 今、総体的に中小企業庁長官からお答えをいただいたわけですが、今日、中小企業の現場へ行きますと、景気がいいとか調子がいいというような、そんな生易しいものじゃないのですよ。あるいはまた、大企業のいわゆる積算した下請支払い工賃なんというものは、八時間労働では合わないのです。十時間なり十二時間労働。それから賃金は、大企業の大体四七、八から六〇ぐらいまでの間で賃金を抑えておらなかったら合わない工賃が来ておるのです。これが実態なんですよ。 だから、そういう環境整備をするというなら、本当に工賃が同じ賃金のもとで算定できるような、そういう具体策を講じなければならぬと思いますが、時間がありませんので、そういう点につきましてはまた別の委員会で触れますけれども、どうかひとつ中小企業予算の獲得には、前年度よりこうだったというのではなしに、前年度、私はあれは少なかった、おかしいと思っておるのですから、だから、そういうような意味で、増加に今後も御努力をいただきたい。 そこで、今度は中小企業予算の中で一、二御質問いたしますが、中小企業団体に対する補助金が三百九十五億から四〇九億、十四億ふえておる、これはいいことだと思うのですね。中小企業対策費としては千四百八十二億ですから、その中で占める比率は約二八%、かなりのウエートを占めた補助金が出ておりますが、これは商工会、商工会議所の経営指導員八千四百人初め、補助員の四千人、あるいはまた商工会の事務局長設置費が千六百八十カ所、そして、小規模企業振興委員一万四千五百人、合わせて約三万人を対象にしてこれが出てくるわけですが、これを実態を見ておりますと、いろいろちょっと合点のいかない点もあることは事実なんです。そういうような意味で、この補助金を受けておられる職員並びに事務局は、立派にやっていらっしゃるところもありますが、ちょっと考えさせられるところもあります。 そこでまず、これが本当に振興に役立っておるような検査体制をとっておるかどうか、それから、この組織がややもすると政治的に偏向した活動も見受けられることは否定できないと思うのですが、こういう点については、どういうような指導をしていらっしゃいますか。 〔渡辺(秀)委員長代理退席、委員長着席〕
○石井政府委員 先生の御指摘は、商工会及びその連合会あるいは商工会議所にかかわる小規模改善事業についての御指摘かと思います。 私どもは、指導員あるいは事務局長、こういうものにつきましては補助対象といたしましてその整備を図っておるわけでございますが、これはあくまでも経営改善普及事業にふさわしい人材を登用いたしまして、その配置を行うという趣旨で進めておるわけでございます。特に商工会、商工会議所というのは、地元の経済実態に即して、それぞれの小規模経営者の指導、診断に当たるわけでございますので、そういった人材を幅広く登用するということで今後も整備を進めていきたいというふうに思っております。特に事務局長につきましては、そういったことに加えまして、これは指導員全体を管理してまいる意味で、管理能力の問題もございます。そういうふさわしい人材を私ども整備をしていく予定にいたしておるわけでございます。 これらにつきましては、商工会の組織等に関する法律に基づきまして、毎年度、その決算、それから事業計画その他について私どもは監督をいたしております。こういったものの十分な監査を今後とも続けてまいりたいというふうに思っております。 それから、ややもすると政治的な偏向活動をしておるではないかという御指摘が、ございますが、商工会法の第六条だったかと思います、今ちょっと記憶ございませんが、「これを特定の政党のために利用してはならない。」という規定がございます。我々は、こういうことにつきまして、選挙のたびにこういう規定についての注意喚起を図って、そういうことのないような指導をしてまいりますし、今後もしてまいるつもりでございます。
○渡辺(嘉)委員 今事務局長の話が出たわけですが、商工会事務局長設置費という項目があって、これは御案内のとおり、千六百七十カ所から千六百八十カ所にふやし、そして三百万円を三百十万円に、一商工会当たり、簡単に言えば一人当たりですが、ふやしていらっしゃるわけです。この事務局長を私はいろいろ見ておるわけですが、ややもすると天下りその他が非常に多いわけですけれども、しからば、この事務局長は自治体、公務員等からどれだけ就任し、その他政治家だとか、あるいはまた警察関係者だとかいろいろな関係者がおられるわけですが、この三百十万円、千六百八十カ所に渡しておる事務局長の前歴の色分けを、この際明らかにしてもらいたい。
○石井政府委員 御指摘の事務局長につきまして、これは商工会の地域の実情に即した、先ほど申し上げましたような業務の実情に即した実力を持った人間を登用するということでやっておりまして、詳細にわたってその出身について把握をいたしてございませんが、大ざっぱに申しますと、まず第一は経営指導員から事務局長になる方、第二のカテゴリーが地方自治体職員から事務局長になる方、第三のカテゴリーでその他とございますが、大体同じような比率、ほぼ三分の一ずつの比率で構成されているのではなかろうかというふうに見ております。
○渡辺(嘉)委員 どうかひとつ、商工会は貴重な金で運営されていくわけですから、商工会議所を含めて今後の指導をぜひお願いをしておきたい。今はこの程度で終わります。 そこで、官公需の問題です、先ほども中小企業対策で官公需の振興を図りたい、こうおっしゃったわけですが、五十七年度は目標に対して実績は、三七・二%が三七%と低下したわけです、五十八年度は全体計画で十兆一千億、これが実績は十兆二千七百億と一〇一%に増加したのです。ところが中小企業の官公需のその中に占める比率は三兆七千六百億の目標が三兆七千三百億と逆に、全体としては一〇一%にふえたのに、中小企業の官公受注は九九%に落ち込んでおるのです。では五十九年度の実績はどういうような見通しを持っていらっしゃるかということと、いま一つは、六十年度は今度はどういう見通しを持ってこの官公需を中小企業に増大させるか、こういう点について承りたい。 もう一つは、今度電電、専売等が民営に移管したわけですね。そうすると、国等の官公需、こうなっておりますから当然抜けると思うのですね。これは抜けるのか抜けないのか。抜けた場合でも、これだけは確保する、こういう考え方なのか。そしてまた、民営に移ってもこれに対しては今まで同様に指導していく、国が三分の一資本金を持っておるわけですから、そういう考え方でいらっしゃるのか、ひとつ御説明をいただきたい。
○村田国務大臣 官公需の中小企業向け発注比率を高めるべきではないかという問題ですが、この問題は私は冒頭にも申し上げましたが、官公需については、従来から中小企業者の受注機会を多くするということで最大限の努力をしておりまして、昭和五十九年度の国等の契約の方針の中では、今数字を委員がお示しになりましたが、中小企業向け契約目標を金額で三兆七千億円、比率で三七・四%ということで、その確実な達成に目下努力をしておるところでございます。 これは、私も実はかつて愛知県でいろいろ官公需担当の部長をやっておったことがございまして、何としても中小企業向けの、あるいは地元産業向けの発注を多くしたいということで努力した自分自身の経験がありますから、特に実感を持って申し上げられるわけでございますが、官公需の中には、大規模工事、それから高性能技術を要する物品、そういったようなものがございまして、中小企業に対する発注がなかなか難しいものがあるわけでございます。したがって、そういう中小企業向けの発注比率を一挙に大幅に引き上げるということが実は非常に困難な事情がございます。 しかしながら、政府としては、今後とも中小企業者の発注機会の増大に最大限の努力をするという決意でございまして、逐年的に見てみますと、例えば昭和四十一年度の実績は二五・九%だったのですが、昭和五十年になりますと三二・六%になっておりまして、昭和五十九年度の目標数値は三七・四%ということでありますから、したがって、これは逐年的には相当上がってきております。それからまた、例えば都道府県や市町村の発注工事については当然これよりももっとずっとふやせるわけでございまして、そういった点も自治省等と連絡をとりながら、また公共事業の発注官庁でございます建設省や農林水産省とも連絡をとりながら上げてまいるように努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。これは大変重要な点でございまして、御指摘をいただきましたことを感謝申し上げます。 また、電電関係は政府委員から申し上げます。
○石井政府委員 補足的に。第一点は、六十年度目標をどうするつもりかということでございますが、私どもは、予算が成立しました段階において、五十九年度の実績あるいはその目標等を踏まえまして、各省庁と十分に協議をして策定をいたしたいというふうに考えております。 それから、第二の、電電公社及び専売公社の扱いでございますが、御承知のように、それぞれの法律によりまして官公需確保の法律の適用除外とされたわけでございます。したがいまして、形式的には両機関とも今後は官公需確保法の適用対象ではなくなるわけでございます。ちなみに申しますと、電電公社は非常に難しい機器を扱っているせいか官公需比率が二七%程度でございますが、一方、専売公社の場合には五二・三%の中小企業からの調達の実績がございます。そういう意味におきましては、今後の中小企業の官公需確保を、一応民間企業になりましたものの、政府が監督をする機関でございますので、大蔵省あるいは郵政省とそれぞれ協議をいたしまして、今後の具体的な取り扱いについて御相談をしてまいりたい。これはそれぞれの法律改正案を策定する段階におきまして各省庁とそういう話し合いで進めておりますので、今後それを実行に移してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
○渡辺(嘉)委員 大臣並びに長官からそれぞれ御答弁いただきましてありがとうございました。 ただ、五十九年度も三七・四%を目標にしておるとおっしゃるわけでありがたいのですが、前年度は三七・三%の目標が三六・四%に落ち込んだわけですから、そういうことのないように、ぜひ目を光らし気を配っておやりをいただきたい、こうお願いをいたします。 それから次に、民間の石油の備蓄購入資金及び利子補給の件について承りますが、それぞれの予算がどんどん削られた中でこの分だけが、この分だけじゃありません。これもふえた中の一つなんですね。御案内のとおりですから多く触れませんが、融資比率を六五%から七〇、それから利子補給は五・五から六・一%、額にして利子補給は四百三十九億が五百十一億、七十二億の増加をいたしておるわけですね。この際、こういう利子補給をしておるところ、それから融資をしておる先、具体的に明らかにしていただきたい。
○柴田(益)政府委員 今の御質問、ちょっと予定になかったようでございまして、手元に資料がございませんが、この民間備蓄に対する助成につきましては、先生御指摘のように融資比率あるいは低利融資ということを今やっておりまして、来年度もその強化をお願いをしておるところでございます。 その相手先別については、企業の取引関係のこともあろうかと思いますので、内部でよく検討させていただきたいと思います。
○渡辺(嘉)委員 この点につきましては時間がないので余り触れませんけれども、これはこの際明らかにして、どこへどれだけの補助金が行くんだ、これは国民に公表すべきことだと私は思うのです。特に、この政治連盟があるわけですが、石油政治連盟の政治資金の流れを見ておりますと、五十七年の七千二百万、実に莫大な政治献金が流れておる。そして五十八年度は一億一千三百万とこれまた五割もふえておるわけですね。こういうところから見ましても、私は一々細かいことは言いません、一覧表はありますけれども言いませんが、国民の税金で、すべて切り詰められておる中で補助金がこういうふうにふえるわけです。実に七十二億もふえていくわけなんです。そして原油は値下がりしておるわけなんです。こういうところから、これを明らかにし、そして厳正な執行をやってもらいたいと思います。 それからいま一つは、今度通産省が目玉商品に——目玉商品というのは失礼かもしれませんが、していらっしゃる基盤技術研究促進センターの設置なのですけれども、これにつきまして、まあ御案内ですから多く触れませんが、電電株式会社の三分の一の保有株の配当によって百二十億のうちの六十億を賄なう、こういうことなのですが、これは一般会計から出して、そして全体的な基盤技術の促進を図る、これは大事なことだと思います。ただ、その場合に発起人が十五人、学識経験者から出れることになっております。あるいはまた役員が出てきます。そして評議員が二十人出てまいります、そういう場合に、通産、郵政、その他いろいろ出ていらっしゃるわけですが、民間から自主的に出す、こういうことですが、しからば今度は流れの中から見て電電株式会社の中から役員が出てくる、こういうことがあってもいいんじゃないか、またあることの方が好ましいのじゃないか、こう見ておるわけですが、通産はどうですか。
○村田国務大臣 渡辺委員にお答えいたします。 基盤技術研究促進センターの件でございますが、実は基盤技術というのは御指摘のように通産省の一丁目一番地ということで、六十年度に向けての重要施策で、現在法律案が国会に上程をされたところでございます。ただ、この役員その他の構成はこれからの相談事項でございまして、まだ具体的にどこがどうといったような話を聞いておりません。したがいまして、今委員が御質問の点も承っておくということであろうかと思います。
○福川政府委員 ただいま大臣がお答え申し上げましたように国会に法律を提出いたしたところでございます。その国会に提出いたしました法案によりますれば、現在のところ十五人以上が発起人になるということでございます。その発起人の中に電電公社あるいは新電電が入るべきか否か、こういうことでございます。これは私どもといたしましては、先ほど御指摘のように新電電の株式で政府保有が義務づけられます分は三分の一相当、これは産業投資特別会計に属するということで今国会にお諮りをいたしておると承知をいたしております。いずれにいたしましても配当は六十一年度以降から出てくるということでございまして、六十年度は先ほどお話しのように産業投資特別会計のほかに開発銀行あるいは民間からの出資で設立をいたすことになっております。 発起人につきましては、私どもの方で提出いたしましたところによりますと、基盤技術についての学識経験を有する者十五人以上ということにいたしておるわけでございます。したがって、これは基盤技術について学識経験があるか否かということが要件でございまして、電電公社の職員であるか否かということについては別個の問題であるというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても、センターの発起人は民間の自主的な判断によって組織されるべきものでございます。いずれにいたしましても今後法律の御審議の上で、さらにそれが成立いたしました暁において民間の自主的な御判断によってこれが設立に向けて発起人が選ばれていく、かように理解をいたしております。
○渡辺(嘉)委員 先ほど私が質問した石油備蓄の問題については答弁がまだないのですが……。それから、今おっしゃったことですが、そうすると、もしそういう希望があれば電電社員は入っても構わない、そういうように理解していいわけですね。それから、石油備蓄の答弁を、質問の通告がなかったとおっしゃったけれども、僕はきのうこれは細かく皆さん方の方から聞いておるんだから、当然予想していらっしゃると思うのです。一々みんな言わなかったら用意しておらぬというようなことはちょっとおかしいと思うのですがね、きのうじっくりやっているんだから。
○柴田(益)政府委員 先生の御要請の民間備蓄助成に対する補助金交付の一覧表について出せないかというお話でございますが、それにつきましては内部でよく検討させていただきまして、委員長あるいは委員会理事とも相談いたしましてお返事いたしたい、そういうふうに考えております。
○福川政府委員 先ほど申しましたように、発起人につきましては基盤技術についての学識経験を有する者というふうに私どもは考えておるわけでございます。その範囲の中で民間で自主的にお決めいただくということであると思っております。
○渡辺(嘉)委員 時間がありませんので公取関係それから商工中金関係、これは割愛して別な機会に申し上げます。 せっかく来ていただいて恐縮でしたが、以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○粕谷委員長 渡辺嘉藏君の質疑は終わりました。 続いて奥野一雄君の質疑に入ります。奥野一雄君。
○奥野(一)委員 最初に通産大臣の方にお尋ねをいたしたいと思います。 去年も小此木通産大臣の方にお尋ねをしたわけでありますけれども、一般的に通産省というのはどうも国民の受ける印象といいますか、あるいはまた小規模零細企業者、そういう方々からは、どうも大企業寄りでないか、こういうふうに思われている、こういう面をお尋ねをしたわけでありますが、小此木大臣は、いやそんなことはないんだ、通産省の予算は石特の繰入額を除けば半分は中小企業関係の予算だし、いろんな保護政策などをとっている、こういうお答えをされているわけであります。 確かに中小企業庁を初めといたしまして、関係者の努力には敬意を表したいというふうに思うわけでありますが、しかし、それでもなお小規模零細企業者の場合には腹の底からなるほどとうなずけない、こういうものがあるというふうに思われるわけであります。 〔委員長退席、渡辺(秀)委員長代理着席〕 例えば、リッカーなどの倒産に関しましては、通産省は相当な肩入れをされております。これはもちろんリッカーの倒産ということの与える社会的な影響あるいは利用者などに対する影響、そういう面から考えれば、確かにそのとおりだ、こう思っておるわけでありますし、それはまた必要なことだとは思うわけであります。しかし、一零細企業者にとってみますというと、さてそれでは自分が倒産をする場合にどんな救いの手があったのか、こういうことからいきますと、やはりすとんと胸に落ちないという面があるだろう、こう思っておるわけであります。 大臣の所信表明の中でも、変革期に対応した中小企業政策の展開ということで、それぞれの諸対策が述べられているわけであります。日本の企業の場合には九〇%以上が中小企業でありますし、そのうちの大半というものがこの小規模零細企業だと思っているわけであります。そうだとすれば、大臣は、中小企業というのは我が国経済の活力の源泉である、また社会の安定の基盤である、こう述べておられるわけでありますけれども、その中小企業を支えているものは小規模零細企業者だというふうに私は思っているわけでありますが、きょうは時間的な関係から、細部についてはお尋ねをするということができませんので、これはいずれかの機会に譲るということにいたしまして、通産大臣には以下三点についてお尋ねをしていきたいというふうに思っております。 時間がありませんから、全部一括して質問を申し上げたいと思います。 一つは、今申しましたこういう小規模零細企業対策について、どのような態度でその政策を進めていこうとしているのか、大臣の決意のほどをまずはお尋ねをしておきたいと思うわけであります。 第二点は、これは相当以前から本当に中小企業行政というものを進めようとするならば、この際、中小企業省をつくったらどうだ、こういう声もあるわけでありますけれども、大臣はどう考えておられるか。今まで検討されたことがあるか。ないとするならば、これからまた検討するというお気持ちがあるか、これをひとつまたお尋ねをしておきたいと思います。 それから三番目は、所信表明の中で、今後の通商産業政策の課題、これを冒頭に掲げられまして、「当面の経済運営におきまして、内需を中心とした景気の着実な拡大を図り、持続的な経済成長の達成を図っていくために、引き続き、適切かつ機動的な経済運営に努める」こう述べておられるわけであります。経済見通しにつきましては、後ほど経企庁の長官の方にお尋ねをいたしますけれども、通産大臣には一つだけお聞きをしたいと思っているわけであります。 「内需を中心とした」と言われておりますが、この内需とは一体何を指すのか。これは先ほど渡辺議員の方からも質問があったのでありますが、従来と同じように設備投資中心ということであれば、小規模零細企業というのは私は救われない、こう思っているわけであります。例えば最近の北海道の経済状況が発表になっておるわけでありますが、昨年の企業倒産は、件数あるいは負債額とも過去最高、そして、その原因の一つとして輸出主導型の景気上昇のため、内需を中心とする業種で倒産が見られた、こうなっているわけであります。国民の購買力すなわち個人消費支出、これをふやしていくということを中心にした内需でなければ本当の意味での景気の拡大とか、あるいは持続的な経済成長の達成というものは図られないのではないか、こう思っているわけでありますが、この点についての見解をお尋ねしたい。 以上、三点をまず。 〔渡辺(秀)委員長代理退席、委員長着席〕
○村田国務大臣 中小企業の基本の問題について、奥野委員から非常に重要な三点、御質問をいただきました。以下、順を追って申し上げます。 まず、基本的な態度でありますが、中小企業は六百二十三万事業所、全事業所の九九・四%であります。また、中小企業人口は七千八百万人、全国民の六七%であります。委員御指摘のように、中小企業こそ我が国経済の活力の源泉であり、我が国社会の安定の基盤であるという基本的認識は全く同じでありますし、また具体的に言えば、私どもが毎日生活している町並み、これは全部といっていいくらい中小企業の町並みでありますし、また、我々国民が生まれ出てきた母体はほとんど農業であり、中小企業である。そういった意味で、私ども国民一人一人の血肉の中に中小企業というものが息づいておる。私はそういった基本的な認識でございまして、したがって、中小企業の振興なくして国民生活の安定はあり得ない、国民の活力はあり得ない、こういう認識のもとに努力をいたすわけでございます。 通産省は、今、委員の御指摘では、大企業偏重であって、中小企業のことに対する配慮が乏しいというような感覚があるのではないかとおっしゃいましたが、私は全く違うのでございまして、通産省こそ中小企業省であらねばならぬ、そういう認識のもとに中小企業行政を進めていかなければならない、そういう根本的な認識に立っておるわけでございます。 それにしては中小企業の予算が少ないじゃないかという御指摘はいつもいただくわけでございますが、しかし、これは歴年で見てみますと、なるほど昭和六十年度予算は二千百六十二億円が中小企業対策費ということで、前年よりやや減っておるわけでございますけれども、その内実を見てみますと、実質的には商工組合中央金庫の出資だとか中小企業金融公庫の出資だとか、その歳出をいたします会計が移ったというようなことになっておりまして、ことしは実質減っておらないわけでございます。そして内実では非常にきめの細かい配慮をしておるということを見ていただきたいと思いますし、私は真に中小企業の味方であり、中小企業をこそ発展させなければならないという前提に立って出発をし、今後頑張っていく決意であります。 したがって、中小企業省の設置の問題について奥野委員から御質問がありました。これは従来からその御指摘は各方面からあるわけでございますが、私は申し上げましたように、通産大臣は中小企業大臣であるという認識で務めてまいりますので、現在は通産省の中に中小企業庁があり、中小企業庁長官がきょうも参っておりますが、この中小企業行政のお世話をするという立場でございますが、通産省全体としての大きな認識の上に立って中小企業行政を進めていく決意でございます。 それから内需振興の三番目の問題でございますが、これはけさほど来いろいろな議論があり、また、経済企画庁長官からも卓抜したお答えが出ておるわけでございますが、いわゆる内需の振興というのは、御承知のように、私は大きく言って三つぐらいであろうかと思っておるのです。それは何かと言えば、まず民間設備投資の増大という問題であります。それからもう一つは、公共事業の施行ということであります。それからもう一つは、最近非常にウエートを増してきております住宅建設等、そういった大きな三つくらいの要素がかみ合って内需の振興というものに結びつくものである、こういう認識を持っておりまして、事実、昭和六十年度の国が決定をいたしました経済対策の中でも、実質四・六%の経済成長の中で内需にその四・一%を依存するという高いウエートを置いておるわけでありまして、したがって、これは貿易を中心とする依存型という考え方とは違うわけでございます。そういった意味で、内需振興をこれからしっかり進めていかなければならないと思いますし、また、公共事業等についても必要な配慮が六十年度では相当なされておると思っております。 通産省サイドで申し上げますと、技術開発基盤の構築を図るということで基盤技術研究促進センターを創設するとともに、基盤技術研究開発促進税制、それから中小企業を対象とする中小企業技術基盤強化税制等を創設する方針でございまして、これは関係方によって御検討いただくことになっております。こういったことで基盤技術開発、中小企業振興のための設備投資が促進をされるわけでございますし、さらに高度情報化社会実現に向けての総合的な政策の推進によっても内需を振興していこうということで、言うなれば時代が非常に大きく進もうとしております。 まあいろいろ平たく申しますと、第三の産業革命であるというような御指摘がございますが、いずれにいたしましても、世界的に繰り広げられたいわゆる近代国家の産業革命というものは今から二百数十年前であったわけでございますが、今はエレクトロニクスであるとか、あるいは技術革新、情報化社会ということに向けて第三の波と申しますか、新しい産業革命あるいは脱工業化社会という新しい時代の到来であろうかと思います。そういう時代の要請に向けて国の経済、財政運営も、また、内需の振興もなされていくべきである、こういう基本的な考え方に立っております。
○奥野(一)委員 今それぞれお答えいただきましたけれども、私は、通産省という役所、確かに大臣がお答えになりましたように、いやいや通産省というのは中小企業に対しては一生懸命やっているし、中小企業大臣というつもりだ、こういうことでございますけれども、非常に難しいと思っておりますのは、通産省の場合に非常に範囲が広いわけですね。特に、最近のような情勢の中ででありますと、国際的な関係というものも非常に大きくなってきている、あるいはまた、大きな企業の問題も大変重要になってきているわけですね、これはエネルギー問題も含めたり、あるいは今度新たな情報社会というようなことで、そちらの方もある。だから、そういう問題についてはいろいろな面で対策なんかが講じられていくわけですけれども、先ほど大臣が言われましたように、中小企業というのは我々の生活の中に溶け込んで、町並みそのものが中小企業で形成をされている。中小企業というより小規模経営者ということになるわけだ。そちらの方に手厚い対策をやるということは、私は、現行の体制では非常に難しいだろう、そういう意欲があっても難しいだろうと思っておるのですね。 その証拠には、倒産件数というものは相変わらず減らない。もちろん倒産の理由というのは放漫経営とかいろいろなものがあると思いますけれども、実際にはやはりなかなかそこまで対策が及ばないんだということだと思うのです。例えば倒産の統計なんかを見ましても一千万円以上の金額でないと統計上にのってこない。その陰に隠れた倒産というのは一体どのくらいあるのかということは実際的確に把握できないという状況もあるわけですね。本来なら私はむしろそういう面の調査だってやってもらいたい。そうすれば実態というのがもっと明らかになる。しかし、それは現行の状況の中ではなかなかできないわけでしょう。そういう面から、確かに通産省全体の中で、あるいは中小企業庁などが一生懸命にやっておられるということはわかりますけれども、なかなか難しいことだ。お答えにはならなかったのですけれども、私はやはり検討していくべきだろう、もしそれは中小企業省ということにならないにしても、それだったらそっちの方の対策はどうしていくのか、そういう面の検討というものはこれからも進められていくべきだろう、こう思っているわけであります。その間、中小企業の小規模企業対策などについて具体的に若干のお答えがございました。 先ほどお断りいたしましたように、きょうは時間が相当制約をされておりまして、細部の方に入りますと時間がオーバーになってしまいますから、そっちの方はまた次の委員会の際に譲らしていただきまして、大臣に対する質問は一応終わらしていただきます。 次に、経済企画庁の方に経済見通しと経済運営の基本的態度について若干の項目についてお尋ねをしていきたいと思います。 これは昨年も私、聞いておったわけでありますが、経済企画庁が立てられます経済見通し並びに経済運営の基本的態度ということは、一体国全体の経済政策なり財政政策の中でどんな役割を果たしているのだろうか、非常に私は疑問に思っているわけであります。単に見通しを立てるというだけであれば、わざわざ政府が見通しを立てる必要があるのか、こう思っているくらいであります。もう既に六十年度の経済見通しにつきましては、私の知っている範囲内では二十六くらいの機関がそれぞれの見解を発表しているわけであります。ですから私は、政府が経済見通しを立て、そしてまた経済運営の基本的態度を決められるということは、それなりのやはり理由があるし、それなりの役割があるというふうに思っているわけです。問題はやはり経済運営の基本的な態度、こういうところにウエートがかかってくるのではないか、そのことが本来重要なのではないか、こう思っているわけであります。 そうだとすれば、まず第一にお尋ねをしておかなければならないのは予算編成とのかかわりでございます。長官は大蔵大臣も経験をされておられるわけでありますから十分御案内だと思うわけでありますが、財政政策と経済政策というのは密接不可分の関係にあるだろう、こう思っているわけであります。ですから経企庁としては予算編成に対して何らかの役割を果たしてきたのだろう、こう思っているわけでありますが、一体六十年度の予算編成の中でどんな役割を果たしてきたのか、この点をまず一つはお尋ねを申し上げたいわけであります。 時間の関係から、ちょっと二、三問続けてまいります。 六十年度の予算というものを見ますと、政府の方では赤字財政を解決をするためにマイナスシーリング——ことしはマイナスシーリングという言葉は使っておりませんが、そういうことで一般歳出の伸び率はゼロに抑えたんだ、こういうことを発表しているわけでありますけれども、これは私どもから見ますと、とんでもない話だ、六十年度予算というのは単なるつじつまを合わせただけの予算ではないか、粉飾予算だというふうに言っても過言ではないのではないか、こう思われるわけであります。これは、例として申し上げますと、例えば六十年度の一般歳出におきましては三億三千六百万円減額になっている、前年度より減っている、こうなっているわけであります。伸び率ゼロだ。しかし、中身を検討してみますと、例えば道路整備特別会計、この道路財源、本来ならこれは一般会計を通すべきものを、一千百十億円は一般会計を通さない。歳出をそれだけ抑える効果を出しているわけであります。こういうからくりがなされていたり、あるいは住宅金融公庫への利子補給金の繰り延べ、あるいは政管健保補助金九百四十億円の削減、国民年金の国庫負担の削減、あるいは厚生年金等の国庫負担の削減、こういうような措置をやっているわけですね。そういうようなものが本来なら一般会計に計上されるべき金額、大体八千七百億円ぐらいになっているわけでありまして、こういうようなものを考えてみますと、一体予算というのはどういう形でできてきたのか。これは一般の国民は発表されたものより見ないわけでありますから、そうすると国の方は行政改革だとか、あるいはまた赤字財政の克服ということに力を入れているのだな、歳出が伸びていない、こういう判断をするわけでありますけれども、今申し上げましたように、これは全くのやりくりをやって伸び率ゼロに抑えた、そういう予算にすぎないのではないか、こう思われてならないわけであります。こういうような予算の組み方について経済企画庁としては何か御見解を持っておられないのだろうか。これがまず一つお尋ねをしたい点であります。 関連がありますから、次の方に入りますけれども、特に予算を編成する場合に、重要な政策というものについては内部でもってしっかり議論をして、予算というものはもちろん単年度で終わりますけれども、全体の経済運営とか財政運営というものはやはりある程度何年か先のものも見なければならないだろう、そういう面で重要な政策ということについては予算を組む必要があると思っているわけです。しかし、実際にどうかということを検討してみますと、予算委員会の中でも随分問題になりました例の整備新幹線の予算のつけ方、先行きの見通しが全くわからないという中で頭だけ出したような格好になっているわけです。それからまた、道路財源の問題なんかについてもそのとおりでありますし、あるいはまた公共事業費などについても一割補助率をカットして、そのことによって事業量総体を膨らましていくというやり方、こういうやり方が日本の経済運営あるいは財政政策という面から見て妥当なやり方であるのかどうか、こういう点について経企庁としての見解がございましたら、ひとつお示しをいただきたいと思うのです。
○金子国務大臣 奥野先生御指摘の中期の展望の物の考え方でございまするけれども、一九八〇年代において大体どんな経緯で日本経済が推移することが望ましいか、その中期的な展望を表にいたしておるわけでございまして、例えば対象期間中の経済成長率あるいは物価、完全失業率等について数字を並べ立てておるわけでございますが、御承知のとおり、非常に経済の動きが激しいここ数年でございますので、的確にそれでは毎年毎年どんなふうになるかということを数字的に計量的にはっきり出せない点に大きな悩みがあるわけでございまして、やや抽象的な文言が多いのはそういう点からだというふうに御了承いただきたいと思うのでございます。 それから、物の考え方を予算編成にどう反映さしておるかという点については、これは申すまでもないことでございますが、常に大蔵大臣と密接な連絡をとりまして、大体こういう状況で今後ずっと持っていかなければならぬから、こういう点を目標にしてお互いに努力しようじゃないかというようなことを打ち合わせしながら経済の見通し作業を立て、あるいは経済運営方針も決めておるわけでございまして、大蔵省もこの点につきましては少しも異存があるわけではないわけでございます。 ただ、お話しのように具体的な財政再建の問題につきましては、正直言って財政がぎりぎりの限界まで今追い込まれておりますので、私もかつて大蔵大臣をやったことがございますだけに竹下大蔵大臣の御苦労のほどが身にしみてわかるわけでございますが、いろいろなやりくりをやってやっとことしの予算編成ができ上がった、そういうところではなかろうか。今予算委員会で御審議をいただいておるのでございますが、いろいろ問題はあろうかと思いますけれども、中期の経済展望あるいは本年度の経済見通し、経済政策の線に沿って極力努力をしておられることは事実でございますし、また本年度の経済運営について特に重点を置かなければいかぬとして取り上げております五つの問題、例えば物価の問題にいたしましても、行財政改革の強力な推進等にいたしましても、それぞれの面で真剣に取り上げていただいていることは御承知のとおりでございます。
○奥野(一)委員 じゃ、もう少し端的に聞きましょう。 先ほど指摘をいたしましたように、私は、国の予算というものは単に単年度だけでもって予算が組まれるということでなくて、例えば後年度に財政負担などがかかわってくるという問題については、それなりの対策の中で当然予算というものは組まれてくるべきものでないか、これが一つです。それからもう一つは、国家財政というのは何も政府の財政でございませんので、国民全体が国の予算というのはどうなんだということを的確に知るという必要がある、また、政府としては国民に対してそういう予算というものについては知らせる義務がある、こう思うのですね。 ところが、先ほど申し上げましたように、六十年度のこの予算というのは形の上ではマイナスという格好になっている。そのことで、いや国の方もこれだけ赤字財政克服のために努力をしているんだという姿を見せているわけでしょう。ところが、実際はそれじゃどうなんだ、こうなると、ほとんどはそれは後送り、こういう格好になっているわけですね。そういうことであれば、その後送りされていった先ほどうなるのだということまで一緒に示してやらないと、これは不親切だということになるのじゃないですか。 ですから私は、予算をつくるというのはもちろん今大蔵省が担当しているわけですけれども、じゃ経済企画庁というのは一体何の役割を果たしているんだ、経済見通しとか経済運営の基本的態度というのは一体何の役割を果たしているんだということに疑問を持つわけなんです。一つのそういう経済見通しなり経済運営の基本的態度ということにのっとって予算というものは組まれていく、あるいは執行されていく、こういう形になるのが妥当ではないかと思っているのですね。今は予算編成というのは大蔵省が主導権を持っているという格好になっていますが、本来であれば経済企画庁あたりがもっと大きな発言力を持ったっていいじゃないか。そういう中で経済運営というものと一緒にやっていかなければ財政再建だってそう簡単にできる筋合いのものではないというのが私の考えなんです。 そういう立場からすれば、六十年度のこの予算というのは一体経済企画庁として全く満足している予算のつくり方であるのか、これが一つですね。先ほど申し上げましたように、後送りというようなことがたくさん含まれている。それからまた、重要な政策についての徹底的な詰めがないままに予算が組まれている。この二点について経済企画庁としては一体どんな考え方を持っているか、こういうことです。
○金子国務大臣 先ほど来お話し申し上げておりますように、大蔵省の予算原案と、それから経済見通し並びに経済運営は同時に閣議において決定されたものでございまして、その間にそごはないと思います。 ただ、財政上のやりくりとして物によっては今御指摘のようなやりくりをある程度せざるを得ない、これは正直言って大変残念なことでございますけれども、財政自体が単年度主義だものですから、やっぱりある程度二年、三年を含んだ財政計画をはっきり出せるような状況になりますと姿は変わってこようかと思うのでございまするが、今の財政再建がまだ単なる財政の再建の試算を出しておる程度にすぎないわけでございまして、どの案でどういう手順で何年がかりで片づける、それができますと私どもの方としては、それじゃこの点はこうしろよ、これはこういうふうに我々見ようというようなことで、あるいはここまでいくと大変後に影響するとかいろいろなことが言えるわけですが、目下大蔵省自体が財政問題について苦慮している最中でございます。いろいろこういった問題につきましては予算委員会でも本年度取り上げられております。それが具体的に固まりつつございますので、その段階においてまた私どもは大いに協力をし、知恵も出して、これからの見通しをしっかり立ててまいりたいと考えておる次第でございます。
○奥野(一)委員 時間の関係からちょっと先へ進ませてもらいますが、経済見通しというのは一つの見通しですね。私は日本の経済というものを考えた場合に、単なる見通しというもののほかに、日本の経済にとってはこういう姿が望ましいというのが当然出てくると思うのですね。せんだって例えば予算委員会で問題になりました「八〇年代経済社会の展望と指針」ですか、これがそれに当たるのかどうか、この辺ちょっとお聞かせいただきたい。
○金子国務大臣 お話しのことは「八〇年代の展望と指針」のことだろうと思いますが、それはまさしく今御指摘のように、我々としてはこういう姿でやりたいということで、これは政府部内で知恵を出し合って、数字的にはとても固められるような状況ではなかったようでございまするけれども、少なくとも先ほど来申しましたような経済成長率は名目、実質それぞれ何%でこの期間上げていこう、あるいは完全失業率はこれぐらいに落としましょうとか、あるいは物価はこの程度の安定的な推移でいけるように努力しましょうという目標値を掲げたものと御承知いただいて結構だと思います。
○奥野(一)委員 これも予算委員会でも資料を出せとか出さないとかと随分もめたようでございますけれども、しかも企画庁の幹部の皆さん方の方では、従来の経済計画と違い数字を極力入れないものにしたのだから困るよ、こう嘆いておられたという新聞の記事もあるわけでございますけれども、私は、国が経済運営を行っていく場合、一番最初に申し上げましたように単なる見通しだったら何も経済企画庁がわざわざそんなものを出す必要はないだろうと言ったのですが、問題は、そういう見通しは一方で立てながら、一方においては当然日本経済にとってはこういう姿が本来好ましい、だからそれに近づけるためのいろいろな努力というものをやっていく責務というのがあると思うのですね。到達するしないは別問題だと思うのです。 しかし、当然、見通しを立て、あるいは望ましい姿というものを想定して、それに向かって努力することが非常に大事だと思っているわけですね。だから、これは去年もそういうふうに言って随分お尋ねをしておったわけですが、ただ肝心のそういうものが資料として出てこないということになったら問題だと思うのですね。やはりそういうものは資料としてどんどん我々の方へも出していただいて、そして全体が望ましい目標に向かって力を合わせて進むということでなければ日本経済を再建していくということにはならないのではないでしょうか。これはぜひ我々の方にもその資料を提出していただきたい。これは要請をしておきたいと思っております。今この問題についてはそんなに長く触れる気はございませんので、そういうことで出しておられる、つくっておられるということであれば、それに向かって全体が進めるような体制、協力し合って進めるような体制というものを経済企画庁としてはつくっていただきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。 次に、「六十年度の経済運営の基本的態度」の具体的な問題について若干お尋ねしておきたいと思います。 一つは、「国内民間需要を中心とした景気の持続的拡大を図る」「雇用の安定を図る」と言っているわけですが、これは先ほど通産大臣の方にもお尋ねいたしました。国内民間需要の主なものは民間設備投資、個人消費支出、住宅投資、こういうものに分かれているわけでありますが、そのうちの民間設備投資について若干お尋ねしておきます。 いろいろな調査機関の予測によりますと、最低は住友信託銀行の四・三%、最高は国民経済研究協会の一一・九%、政府は八・五%、こういう見通しを立てているわけであります。これはアメリカの経済との関係が出てくるわけでありまして、輸出の鈍化がこれから予測されていくわけでありますが、それがどんな影響を我が国に及ぼしてくるのか、その見方によっていろいろな差が出てきているのだろうと思われるわけであります。一つは、最近の設備投資の伸長というのは輸出依存ないしは輸出に誘発されたものだと見るか、あるいは国民経済研究協会などが言っておりますように、輸出に誘発はされたけれども半導体とか電子部品、さらにこれらを使った生産財や事務通信機器など技術進歩を背景にした独立投資の性格を持ってきたと見るかでこの予測の開きが出てくるわけでありますが、ちょうど政府は中間的な数字を示しているわけでありますけれども、一体、政府としてはこの輸出の鈍化という影響をどういうふうな立場で見られているのか、その点お示しいただきたい。
○金子国務大臣 昨年の設備投資の増加は輸出産業を中心に伸びたものと言っていいかと思うのでございますが、ある程度アメリカ経済が鈍化することによって輸出関連の設備投資が減ることは避けられないと思うのです。ただ、どの程度内需の設備投資でそれをカバーできるかの点で見通しが各機関で変わってくることは全く御指摘のとおりでございますけれども、私どもが見ておりますところでは、輸出産業に関連する設備投資が伸びるだけではなくて、昨年の半ば以降、新しい技術関連の国内産業がどんどん設備投資をふやしておる。それは製造業だけではなくて、非製造業、サービス業まで及んでおる。そういった点も総合勘案して、この程度は伸びるだろうという数字を今出しておるような状況でございます。
○赤羽政府委員 大臣のお答えに補足して簡単に申し上げます。 六十年度の設備投資の見方につきましては、委員御指摘のように二つの見方がございます。これまでの日本経済におきます設備投資の好調、これは事実としてあるわけですけれども、それをどういうふうに見るのか。一つは輸出によって誘発された面が非常に大きいというふうに見る見方と、それからそういう見方は確かにそういう面はあるけれども、主として新しい技術革新に導かれたものという見方があるわけでございます。 私ども政府の見方といたしますと、第二の方の見方に偏っているということでございます。ただ、輸出によって誘発された部分があることは事実でございますから、五十九年度から六十年度にかけましては若干の伸び率のスローダウンはある。しかし、基本的には新しい技術革新に導かれているという点において堅調が続くという理解でございます。
○奥野(一)委員 時間がだんだん迫ってきていますから急ぎますが、これは後でもちょっとこの点については触れますけれども、個人消費支出の関係で、これは重要項目の中では最大のシェアを占めているわけですが、五十九年度の実績見通しが三・一%、今度六十年度は四・一%と見込んでいるわけですが、その要因は何だとお考えになっているか。これは簡単に、後でこの問題についてはまだ最後に触れますけれども、今その点だけちょっとお尋ねしておきます。
○金子国務大臣 これは昨年の暮れから相当の消費の増加傾向が見られております。ただ、それが今度は景気回復の段階につきましては、タイムラグの関係でずっと後の方に寄せられてきておる。それが年末から年始にかけての相当大きな消費、例えば百貨店ですとかの売り上げ増になったり、あるいはレジャー関係、海外旅行関係等の大きな数字になったりしておるような状況でございます。しかも企業収益がだんだん伸びてまいっておりますから、雇用者所得も去年に比べますと相当ふえてきております。新年度は六・八%程度の高めの伸びを示すことになろうかと思うわけでございますが、特に物価が追っついておるということが消費者に対する非常に大きな心理的影響を与えておりますので、今後着実に個人消費が伸びると私どもは考えておる次第でございます。
○奥野(一)委員 この点はまた後でも触れます。ちょっと私は違った見解を持っていますから、それは後で申し上げたいと思います。 次に、雇用安定を図るということについてお尋ねをしておきたいのですが、私は最近の国の雇用対策を見ておりますとどうも真意がわからない。この「経済運営の基本的態度」なんかの中には大変いいことを言葉としては書いているわけであります。もちろん労働省なんかでもいろいろな努力をしているわけでありますけれども、さて、そういうようなことを片っ方でやっておきながら片っ方においては政府の方でむしろ雇用を悪化させるようなことを盛んにやっているわけですね。今、財政再建という名のもとに行政改革がどんどん進められていっているわけです。もちろん一遍に生首が飛ぶというようなことではございませんけれども、林野関係にすれば今度五年くらいで一万五千人くらいを減らす、あるいは国鉄でありますと余剰人員だということで三万人以上の人を減らす、再建監理委員会の案でありますとさらに十何万か減らすということになるわけであります。確かにこれは一遍に生首が飛ぶというような措置ではございませんけれども、実際には将来そういう雇用の関係については悪化をしていくということが一面においてはやられているわけでございます。そういう点から見ますと、ここで述べております「雇用の安定」というのは一体何を尺度にして雇用安定というふうに言われるのか、この辺のところを一つはお示しいただきたい。 もう一つは、就業人口の推移から判断しますと、就業人口がふえた分だけが就業者数のふえている分になっている程度でないか、特別新たにふえるという見通しになっていないのじゃないか、こう思われるわけですが、その点、私の間違いであれば御指摘をいただきたいと思います。 それから同じく雇用問題の三番目では、「労働力需給構造の変化に対応しつつ、失業の予防、再就職の促進等の雇用対策を推進する。」こう述べているわけでありますが、具体的にどういう施策をとろうとしているのか、この辺もひとつお尋ねをしたい。 それから雇用の四番目は、有効求人倍率から見ますと地域格差が大変大きいわけであります。全国の状況から見ますと、例えば北海道なんかの場合はひどい状況です。全国は〇・六五ぐらいです。北海道は〇・二二、こういうような状況があるわけですが、そういう地域格差を解消するためにどういう具体策を持っておられるのか、その辺のところも一緒に御見解をいただきたいと思います。
○金子国務大臣 第六次の定員削減計画におきまして相当の圧縮、縮減措置が講じられることになっておりますけれども、これは奥野先生も御指摘のとおり、真に必要な人員につきましては新規の増員も認めることにしておりますし、また、するに当たっても強制的な解雇をやるんじゃない、生首を切るわけじゃない。強制的な解雇をしないで、それぞれの省庁の実情に応じた、退職者の不補充などの方法によって円滑な対応に努めることにしておることは御承知のとおりでございます。 一方やはり大事なことは、民間需要を中心にした景気を拡大することによって、そういった余剰人員を抱え込めるような環境づくりをしっかりやっていく必要がございますので、そういった面における環境づくりに、けさほど来いろいろ申し上げていることでございますけれども、例えばいろんな規制緩和措置をやって民間の活力を大いに伸ばしていただけるような方策を別途講じておるような次第でございます。 それから地方の、特に北海道等につきましていろんな問題があることは私どもも心を痛めておる次第でございますけれども、例えば本年度ですか、やりましたように、公共事業の前倒しをしっかり新年度においてもやっていくとか、いろんな手は使っていかなければいかぬと思っておる次第でございます。 それから、今の個々の数字の問題につきましては、政府委員の方から細かく説明をいたさせます。
○赤羽政府委員 お答えいたします。 労働力人口の伸びに見合っただけしか就業者が伸びないのではないかという御質問でございますけれども、私どもの見通しにおきましては、労働力人口の伸びを一・〇%、それに対しまして就業者数の伸びは一・一%、ごくわずかではございますけれども、伸びが高まる。その結果、完全失業率につきましても〇・一程度の低下というものを見込んでおります。 これまでのところ、実績の推移を見てみましても、昨年の第四・四半期、暦年の第四・四半期、年度の第三・四半期ごろになりまして求人倍率等も、これは全国平均の数字でございますけれども、かなり顕著によくなってきている、こういう状況でございまして、基本的な方向としては労働情勢改善の方向、こういうことでございます。ただ、労働力人口の伸びと就業者総数の伸びというのがそれほど大きく違ってはいないという点につきましては、御指摘のとおりでございます。ただ就業者の方が伸びが高い、こういうことでございます。
○奥野(一)委員 もう時間が切迫をしてきましたので、例えば政府の行政改革なんか、これは一遍に生首が飛ぶということではない。しかし国鉄なんかの場合でありますと、肩たたきで早くやめてくれとか、そういうのも全部入っているわけであります。政府の方でもってやられたことが、どこがしわ寄せを受けて苦労するかと言えば、地域なんですよ。それぞれの地域が大変な苦労をしているということになるわけですね。それも先ほど言いましたように、地域格差が非常に大きいわけです。北海道の場合には〇・二二程度、こういう形になっているわけですね。これは政府直接ではありませんが、例えば昨年函館ドックが大変難しい問題になって退職者が相当出たわけでありますけれども、四百八十一人出たうち、現在までわずか七十九人より再就職できていないという状況があるわけです。下請関係の場合は、百三十四人離職をしてたった六人より再就職ができていない、こういう現実が地域の中ではあるわけです。だから、地域の方にこれからいろんな迷惑がかかってくるということは申し上げておかなければいけないと思うのです。 さてそこで、時間がありませんので、以下の点はこの次に聞くことにいたしたいと思います。例えば内需型と言っているその寄与率についての内訳、あるいは輸出と海外からの所得が二分の一以下になるという理由とか、五十九年度見通しがなぜ狂ったのか、こういう点などについては、いずれ次回にお尋ねをしたいと思います。 最後に、この点をちょっとお尋ねしておきたいと思いますのは、貿易黒字四百四十億ドルと見込まれているわけでありますが、これはこれからの海外貿易摩擦あるいは経済摩擦などに大変大きな問題になっていくのではないか、こう考えられるわけですが、これはどういう見通しを持っておられるかということです。 特に、二月四日にアメリカで発表になりました八六年度の予算の解説を見ておりますというと、アメリカの経済もなかなか大変だ。ある方々なんかは、アメリカはいずれ債務国に転落するのではないか、こういうことも言っておりますし、あるいは、大変巨額な赤字財政の上に築かれたアメリカの景気回復は、いつまでも長く続くはずがない、こういうことも言っているわけです。そういうことになってきますと、アメリカの方では今度は向こうの輸出ということを大変強調してくるということが考えられる。こういうことを考えていきますと、四百四十億ドルと見込まれる貿易黒字ということについては何らかの形で考えていかなければならないのではないか。その考える段階というのは、これからの六十年度の経済運営の中で非常に大きな問題になってくるのではないか。 かいつまんで申し上げますと、六十年度の経済運営というのは、今まで安定成長期に入ってからもう三年目になるわけですが、この間企業の成長というものは、全般ではありませんが確かに見込まれて、日本の経済が幾らかでも上向きかげんといいますか安定成長になってきた、だから、これからはやはり家計の成長というふうに転換をしていくべきではないか。いわゆる個人消費支出、アメリカのきょう新聞に発表になったものも、景気が盛り返したのは個人消費が支えているんだということを言っているわけです。だから、日本経済を考えてみた場合だって、これからは個人消費というものを拡大していくというふうに転換をしていくべきだろう。そこにやはり六十年度の経済運営は重点を置いていかなければならないのではないか、こう思っているわけでありますが、その点についてお尋ねをしたい。 それから、時間が来ているものですから大変申しわけありませんが、経済企画庁というものの役割の中には、私は、例えば各省庁でいろいろな違いがある場合に、それを調整するといいますか、そういう機能があると思うのです。例えば通産が出しておりますニューメディアコミュニティー、郵政が出しておりますテレトピア、地域の中では混乱してしまっているところもあるわけなので、そういうものについては何らかの調整をすべきでないか。それについての考えもちょっとお尋ねしておきたいと思います。
○金子国務大臣 今のを最後の方から申し上げますが、各省にまたがる仕事につきましては経済企画庁で総合調整の仕事を引き受けておるのでございますが、今御指摘のありましたテレトピア等につきましては、これは通産省と郵政省で話し合いが目下進んでおるというふうに伺っております。 それから、行く行くは外需依存に偏らない、国内消費をうんと伸ばすべきだという御意見に対しましては、私どもも全く賛成でございまして、一日も早く一本立ちできる日本経済に組みかえられるような方向に持っていく努力をしなければならぬと考えておるのでございます。特に、対米黒字をどうやって減らすかという厄介な問題を今引き受けておりまして、これはもう各省挙げていろいろ努力をしていただいておるのでございますが、特に、一月から向こう側の担当者が日本へ参りまして、今月もまた向こうからやってくるわけでございますけれども、四つの分科会に分かれて、それぞれ担当の省庁との間に話し合いが持たれておりますので、これはある程度思い切った措置を講じてもらいたいと考えておる次第でございますが、一番大きなやり方は、世界各国が保護主義をとり出しましたら、日本のような経済構造の国としては先行きが暗くなるわけでございますので、世界経済が小さくなる、パイが小さくなるだけでございますから、やはり保護主義だけはぜひ阻止する必要がございます。そういう意味におきまして、この市場開放の策もある程度大きく踏み出さなければいかぬというふうに考えまして、昨年の十二月の関税の引き下げ前倒しをやったような次第でございまして、あらゆる機会をつかまえて、そういう方向には政府を挙げて努力をしておる点を申し上げておきたいと存じます。
○粕谷委員長 これにて奥野一雄君の質疑は終わりました。 続いて、和田貞夫君の質疑に入ります。
○和田(貞)委員 二月二十日の商工常任委員会におきまして、通商産業大臣並びに経済企画庁長官の所信の表明があったわけですが、金子経済企画庁長官のあいさつの中でも、我が国経済は一昨年春以降着実な上昇を続けているとして、今後の経済運営の基本の第一に、国内民間需要を中心とした景気の持続的拡大を図り、雇用の安定を確保するとしておられるのであります。 また、村田通商産業大臣の所信表明演説にも、変革期に対応した中小企業政策の展開として、中小企業の技術革新、情報化の進展への対応とともに、中小企業の経営基盤の安定を挙げられて、金融、税制面での対策、倒産防止対策、下請企業対策、官公需対策、組織化対策等々を積極的に推進すると述べておられるわけです。 しかし、現下の中小零細企業の実態というものは極めて深刻でございます。日本の総人口の七〇%が中小企業関係者で占めておるということを考えたときに、本当に今こそかゆいところに手が届くような中小企業対策が緊要であろう、こういうように思うわけであります。 そこで、一体今中小零細企業の実態というものを大臣としてどういうように受けとめ、把握しておられるのか。そしてまた、五十八年度に続いて五十九年度の中小企業の倒産件数の見通し、その主なる要因はどこにあるのか、何が原因になっておるというように把握しておられるのか、この点について一言お答えいただきたいと思います。
○村田国務大臣 和田委員にお答え申し上げます。 中小企業の実態というものが、現在のように経済的に見て全般的に順調に進んでおると言われるときにおきましても、その経営そのものが非常に厳しい面があるという御指摘はまさにそのとおりでございます。 委員も御指摘になりましたように、日本の場合は中小企業の事業所は六百二十三万、全体の九九%を超えておりまして、中小企業人口は家族を含めれば七千八百万人、まさに全国民の六七%という大きな数字を占めておるわけでございます。したがって、中小企業こそ我が国経済の活力の源泉でなければならない、また、中小企業こそ我が国社会の安定の基盤であるということが言えるわけでありまして、通産行政というのは中小企業行政こそ最も重要な行政の一環であろう、こういうふうな認識で対応をしておりますが、倒産の状況というものを見てみますると、こういった経済状況であるにもかかわらず非常に厳しい。例えば昭和五十九年は二万八百四十一件、それが倒産の実数でありますが、そのうち資本金一億円未満のいわゆる中小零細企業というのが二万七百七十三を占めておるわけであります。また、金額にいたしましても、やはり中小企業が圧倒的に多いという状況でございまして、こういった現実には厳粛に対応していかなければならないと思っております。 それはどういうことかといえば、中小企業の施策というものを、一体どうしてこういうふうに倒産件数が多いのかということを考えていってみますると、やはり経済社会の進展というものに企業の経営が追っついていけないという実態が非常にあるのではないか。しかも現在は変革期でありますから、そういった変革期に対応できないで倒産に追い込まれてしまうという企業が非常に多い、こういうふうに見ておるわけでございます。 したがって、根本的には中小企業の技術革新、情報化への対応ということで、技術力の向上でございますとか、情報化への迅速な対応でございますとか、人材養成の強化でありますとか、そういう基本的な対応力を示していくような中小企業への施策が必要である。また、中小企業の経営基盤の安定のためには、中小企業金融の充実、倒産防止対策の充実あるいは下請中小企業対策の充実、また午前中にも御質問がございました官公需対策の推進等を総合的に組み合わせまして、中小企業の今後の要請に対応してまいりたい、こういうような基本的な認識で対応いたしておるところでございます。 〔委員長退席、渡辺(秀)委員長代理着席〕
○和田(貞)委員 今も大臣お述べになりましたように、中小零細企業の経済基盤というのは極めて脆弱であるわけです。それがために、金融面の行き詰まりで倒産していくもの、あるいは取引先企業の連鎖反応で倒産していくもの、あるいは元請企業が下請工賃等を、余りにももうけ主義に立って労働者の賃金にも見合わぬような安い工賃で押しつけていく、そういうところから倒産をしていくもの、極めて多面にわたると思うのです。 しかし最近、極めてけしからぬ話でありますが、親会社が子会社に対して計画的に倒産に追い込んでいく、それによって倒産をしていくという中小企業がある。あるいは労働組合がどうも邪魔になる、基本的にはその労働組合をぶっつぶしてしまおう、いろいろと理由はつけてまいりますが、根本的には労働組合をつぶすという、それを主たる目的として親会社がこれを倒産に追い込んでいく、こういう例が極めて悪質な例でありますが、現実の問題としてふえつつあるというようにも私は言いたいわけであります。そのようなことを大臣としてお知りになっておられるのがどうか、ひとつお答え願いたい。
○村田国務大臣 今、和田委員御指摘になりました事実、そういった件数はまだ具体的にはつまびらかにいたしておりません。
○和田(貞)委員 具体的にひとつ大臣聞いてもらいたいと思うのですが、例えば先ほど大臣がお述べになった五十九年の中小企業の倒産件数の中の一つです。 大阪に帝国ダイカストという会社があったわけです。これがミネベア株式会社、よく話題になっておる会社でありますが、これがいわば悪い言葉で言うならば、これを乗っ取ったわけです。そして、どうも労働組合が邪魔になる、こういうことから大阪の松原市というところにこの企業が、これはもう戦前からあった企業です。その企業を、これがわざわざ群馬県の松井田地区へ工場を移すというのですね。そしてこの松原工場を閉鎖するという、決して首を切るということは言ってない。一体、大阪に住まいを持つ多くの労働者が、現実の問題として群馬県の松井田地区に通勤できるかどうか。あるいは転勤をさせるとしても、やはり子供もありますし、家族もあるわけですから、これはどうすることもできない。結果的にはこういう嫌みを押しつけて、そして遂に昨年の暮れにこの企業が閉鎖してしまった、せざるを得ないということになった一つの例であります。 先ほど申し上げましたように、明らかにこれは、そこに存在する、企業に存在する労働組合が邪魔になって、その労働組合をつぶすためにやった行為であるというように言わざるを得ないわけです。まあおかげさまで最終的には労使が話し合いを通じて円満に再就職の場をつくったり、あるいはみずから労働組合が再就職の場を見つけていったりして解決したのですが、こういう例があるわけです。 そういうようなことを今、大臣御存じないというように言われたのですが、これはもう極めて一例であります。全国的にこういう例がちまたにある。私は、単に先ほど申し上げましたように、資金面で枯渇したとか、あるいは経営面能力が不足しておったためだとか、あるいは大臣も言われたように技術革新に対応できないような脆弱な基盤であるがためだということじゃなくて、こういうことを十分頭に入れて中小企業の倒産防止のために努力をしてもらいたいと思うのですが、どうですか。 〔渡辺(秀)委員長代理退席、委員長着席〕
○村田国務大臣 今、和田委員御指摘のような事態、よく踏まえて今後対処してまいりたいと思います。
○和田(貞)委員 私は、次の例といたしまして、これは最近起こったわけですが、これも大阪の一つの企業であります。 きょうは警察の方が来てもらっておると思うのですが、来ておられますか。——大臣、ひとつ聞いてもらいたいと思いますけれども、去る二日の未明、大阪の堺市にある空油圧機器メーカーの丸二工業株式会社という会社、この会社の山根敏彦という社長が、大阪の西区にある、この丸二工業株式会社の親会社の、大証二部上場の商社の五味屋株式会社の真ん前でみずから命を絶った。そしてその社長の手には、親会社の仕打ちに対する抗議文を手にしておった。いわば抗議の死であったというように言いたいわけでありますが、そういう事件があったわけです。後でいろいろとお話をいたしますが、その事件の概要について、ひとつこの機会に警察庁の方から報告を求めます。
○藤原説明員 ただいま御指摘の事件は、本年二月二日、午前三時前でございますが、堺市に所在いたします丸二工業株式会社の代表取締役が、大阪市西区の立売堀三丁目六番、五味屋株式会社、これは親会社と言われておりますが、この会社の前の路上で刺身包丁を左胸に刺しまして倒れているのが発見されたわけでございます。病院に早速収容いたしましたが、心臓損傷により死亡した事案でございます。 先ほども御指摘がありました封筒入りの抗議文といったものを持っておったといったような現場の状況、それから前後の言動から自殺と認めたものでございますが、そういった点で、この遺書等から会社の経営不振を苦にしたというふうに承知いたしております。
○和田(貞)委員 大臣、今お聞きになったように、みずからが親会社に対するところの抗議文を持って抗議の死を遂げたわけです。 その抗議文の内容は、五味屋株式会社代表取締役津室暢夫あてに、 丸二工業株式会社再建に関する覚書 この覚書というのがあるのです。 丸二工業株式会社再建に関する覚書を踏みにじり丸二工業株式会社を倒産に追い込んだ五味屋株式会社に死をもって抗議する。 こういう抗議文。 そしてあわせて、亡くなられたこの山根社長が同時に、持っておられた中に、その抗議文とともに、丸二工業株式会社従業員各位殿ということで、次のような文書が入っております。 自分の力不足のために各位に多大な迷惑をかけることになりました。深くおわび申し上げます。 今後は高橋氏 この高橋氏というのは丸二工業株式会社の労働組合の委員長です。 高橋氏を中心に全員力を合わせて生活の道を切り開いてください。 あわせて、この事態に導いた五味屋株式会社への抗議活動に、私の行為を起爆剤としていただきたい。 生前の各位の御交誼に感謝いたします。こういう内容の従業員に当てた文書。 そしてまた、お得意様各位殿ということで、お得意さんにも心配をされて、 今般丸二工業株式会社倒産により各位に多大な損害を与えましたこと、深くおわびいたします。 この結果に導いた五味屋株式会社に対しては身をもって抗議いたします。 これにて責任を免れるとは思いませんが、心中お察しの上、御理解賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。 生前の御交誼に深く感謝いたします。 あわせて、仕入れ先各位にも文書が書かれておる。 今般丸二工業株式会社倒産により各位に多大な損害を与えましたこと、深くおわび申し上げます。 この結果に導いた五味屋株式会社には身をもって抗議いたします。 これにて責任を免れるとは思いませんが、心中お察しの上、御理解賜りますよう伏してお願い申し上げます。 今後は丸二従業員とともに五味屋株式会社からの債権確保に御努力賜りますようお願い申し上げます。 生前の御交誼に深く感謝いたします。 こういう抗議文とともに、お得意さんあるいは仕入れ先あるいは従業員に訴える文書とともに自害をしておる。 こういう、まさに親会社が子会社をもう切り捨ててしまう。これも私から言わすならば、そこに存在する労働組合つぶしであるというように私は言いたいわけでありますが、今お聞きになられて、大臣、そういうような私の考え方というのは御理解いただけますか。
○村田国務大臣 今、和田委員から事実関係についての大変痛ましい事件の御報告をいただいたわけでございますが、私、まだ事実をつまびらかにしておりませんので、担当の局長からとりあえず答弁をさせていただきたいと思います。
○木下政府委員 まことに痛ましい事件でございますが、昨日質問通告をいただきましてから今まで鋭意調べておりますけれども、調べた結果では、おっしゃいましたように、昨一月末に資金援助を打ち切られてこの会社が倒産したということによって、この社長さんが自殺をなさったというような経緯のように伺っております。
○和田(貞)委員 私はこの機会に、この例を今後に及ぼさないように、こういうところから中小企業に対する対策というものを、親会社の指導等によって再びこういうような悲惨な倒産に追い込まれる中小企業がないように、ひとつ通産省なり中小企業庁が立ててもらいたいという意味で、私はこの内容についてさらにつまびらかにさしていただきたいと思うわけであります。 今も申し上げましたように、これはもう明らかに、親会社の五味屋株式会社が計画的に倒産に追い込んだというように見るべきだと私は思うのです。 この五味屋株式会社は、すでに御案内のとおり、資本金八億円、従業員五百四十名、大証の二部上場の商社です。それから、この丸二工業株式会社というのは、資本金が四千三百万円で、従業員が八十二名。これはもっとたくさんおったのですけれども合理化に次ぐ合理化を重ねて今八十二名になっておるのですが、この五味屋株式会社と丸二工業株式会社というのは単に取引先の関係にあるということじゃないわけです。実にこの関係は昭和三十八年にさかのぼるわけです。 昭和三十八年に、今申し上げております丸二工業株式会社というのは倒産しておるのです。この倒産の再建のために五味屋株式会社が当時の大高正文という総務部長を管財人に送り込んで、更生会社になって再建をしておるわけです。昭和四十四年に更生手続が終了いたしましたが、その後も五味屋株式会社の役員が丸二工業株式会社の役員を兼務して出向、派遣しております。昭和五十年六月までは丸二工業株式会社の取締役五名中二名が五味屋株式会社から派遣をされておるのです。五十三年の七月には九名中三名が五味屋株式会社から派遣されておりますし、さらに代表取締役二名中二名が五味屋株式会社の者である。五十九年、去年の六月までは取締役六名中四名までがこれまた五味屋株式会社の派遣役員です。うち代表取締役一名でありますが、社長ですが、その一名も五味屋の役員が兼ねておるわけです。そこで、丸二工業株式会社の昭和五十二年ころまでの株の保有は、五味屋株式会社が七〇%を掌握、保有しておる。そして、丸二工業株式会社で生産をした商品の販売につきましても、丸二工業株式会社自体がその約三分の一を販売しておりますが、あとの三分の二は五味屋株式会社並びに五味屋株式会社の一〇〇%出資の丸二販売という販売会社が販売面を担当しておる、こういう間柄であるわけです。 したがいまして、ちょうど五十四年に、こういう関係にあるにもかかわらず五味屋株式会社は丸二工業の従業員とは、いわば丸二工業の中に存在をしております丸二工業労働組合とは関係がないということで、労使の紛争がございました。そして五十七年まで裁判が続きまして、五十七年七月十五日に大阪地方裁判所におきまして、五味屋株式会社と丸二工業株式会社はいわゆる親子関係にある、こういうふうに認定をいたしまして、五味屋株式会社の経営者は丸二工業株式会社の従業員に対して使用者性を有することをこれまた認定をしておるわけです。この大阪地方裁判所の判決というものは、大阪高等裁判所も最高裁判所もこの点について肯定をしておるという事実があるわけです。 そういうような関係で、大阪地裁の判決を受けた後に、丸二工業の再建に当たりまして、丸二工業株式会社それから丸二工業の労働組合、正確に言うならば総評・全国金属労働組合丸二工業支部というわけですが、それと五味屋株式会社、この三者が協力をして丸二工業株式会社の再建のために積極的に努力をしようという覚書、これは協定と言われておるわけですけれども、五十八年の六月一日にその協定が結ばれたわけであります。その協定が結ばれてちょうど一年たちまして、五十九年の七月になりまして、先ほども申し上げましたように今までずっと、昭和四十四年から親会社の五味屋株式会社が代表権を得た役員までを含めて子会社に派遣をして会社の運営に当たっておったのですが、五十九年の七月になりまして急遽五味屋株式会社から派遣をしておりました役員を引き揚げてしまって、丸二工業株式会社の内部から亡くなられた山根敏彦という社長にかわっておるわけです。それから七カ月たって今日の事態になっておるのですから、先ほど申し上げましたように、これは全く計画的に丸二工業株式会社という子会社を親会社がつぶす段取りをつけてきたというように私は言わざるを得ないわけなんです。今、私は少々長くしゃべりましたけれども、その経緯についてどのようにお感じになりますか。
○木下政府委員 今、委員のおっしゃいましたことにつきましては、現在調査中でありますのでつまびらかではございませんが、私どもが聞いておりますところでは、従来七〇%程度の株を持っていたものが現在は持ち株の比率も下がってきているという状況だと聞いております。ただ、昨年の七月に役員を引き揚げるに至った経緯につきましては、調査中でありますので、私どものところではその理由がはっきりわかっておりません。
○和田(貞)委員 長官、確かに現在は七〇%保有しておらない。しかし、五十二年の時点で五味屋株式会社が株を七〇%保有しておったのを、それ以降親会社と子会社との連結決算を回避するために、今の社長の前の社長あるいは五味屋株式会社の社長以外の役員に分散しているのですよ。だからその株を集めたら、もちろんこの五味屋株式会社を既にやめられた方もありますけれども、合わせれば同じことなんです。ただそういうように捜査をしたにすぎないわけです。だから、調査されるならそこまで調査してもらわないと、現在こうだからということじゃない、あるいは今申し上げたように株式の保有だけじゃない。取引の関係からも、ただ取引をしているというだけじゃなくて、子会社で生産をした商品を三分の二まで引き受けて販売しているのですから。あるいは先ほど申し上げた裁判所の判決からいっても、裁判所自体が、親子の関係にある、親子の関係の会社であるというように言っておるのですから、これは今の、今どうだということで恐らく調査をしているといったところで、そこへ聞いておるのだと思うのですが、これは五味屋株式会社に聞いたら調査にならぬですよ。極めて客観的な事実を私は報告しているのですから、私はその客観的な事実の上に立って、しかも裁判所が判決を下した、その認定したことを基礎にして、しかも五十九年の七月までは親会社から役員を送り込んできたのを急に引き揚げてしまって、そして子会社から社長を内部登用しているというところからどうも臭いんじゃないですか。
○木下政府委員 過去におきまして裁判所がそのような、直接支配している会社という判決をされたということがあったのかもしれませんが、現在の状況がそれに当たるかどうかは、私ども調べてみなくちゃわかりませんが、また、現在の状況についても裁判所の判定をいただく必要があるのではないかと考えております。
○和田(貞)委員 それでは、裁判所の判定だけじゃなくて現在の事情を言いましょう。 今申し上げたように、昨年の七月に内部から登用された社長中心に、これは全くの労使一体になりまして、そして親会社の五味屋株式会社と三者で丸二工業株式会社を再建しようということで覚書を結んでいるのですから、それに基づいてそれぞれが頑張ろうということを約束しておるのですから、まさに内部登用された山根社長を中心に労使が一体になりまして再建を進めてきたわけであります。極めてその間、約七カ月の間でございましたけれども、順調に業績が伸びておるのであります。 先ほどもちょっと申し上げましたように、丸二工業株式会社が独自で営業活動をやっておるのですが、その営業力も実に伸びまして、この七カ月の間に売上高が、丸二工業独自の分が四一%増加しているのです。ところが、全体としては売上高が一一%の増加になっておるのだけれども、それは明らかに親会社の五味屋の営業力によるものであって、むしろ五味屋が担当している営業活動による売上高が一九%減っているのです。あるいは資金のやりくりをしなくちゃなりませんので、丸二工業株式会社は直接銀行の方で融資を受けるのはいわゆる労務費用、それからその他一部でありまして、あとは毎月毎月親会社の方に子会社が行きまして、そして不足分を融資を受けるということを七カ月間繰り返していっているわけです。 そういう中で、この間に労務費用も、全く三年間いわゆる賃金ストップ、労働組合みずからがそれで辛抱しようということで三年間は労務費は全然上がっておらぬです。そしてやめていけば、後の労働力不足も文句を言わないで補充をしない、無補充方針を貫いてきておるわけでありますから、固定費がこの間極めて下がってきている、そういうように子会社の丸二工業株式会社は労使一体になって努力しておる。ところが今申し上げましたように、親会社の方は、自分が担当する販売力によって売上高は減らしてしまっておるというようなことで、子会社から言うならば全くけしからぬ話を繰り返しておるわけであります。 ところが、去年の暮れごろになってどうもおかしい。先ほど申し上げましたように、亡くなりました内部登用の社長は、そういうふうに一生懸命先に期待を持って努力しておるにもかかわらず、三者で決めました覚書についてどうも親会社が守ってくれるような気配がない、どうもややこしい、こういうことで昨年の暮れ十二月二十九日に子会社の丸二工業株式会社から親会社の五味屋株式会社に対しまして、この三者によるところの協定書の趣旨をもう一度確認するために協議をしようじゃないかということを申し入れておる。 ところが、一月九日になりましてこれは親会社が拒否をしてきておる。さらに一月十日に同じように協議をしようじゃないかということを子会社が親会社に申し入れておるわけでありますが、これまた一月十一日、あくる日に拒否をしておる。一月十六日にまた繰り返しておるわけでありますけれども、これも二日置きまして一月十八日にまた親会社が拒否をする。最終的には一月二十三日にこれまた申し入れておるわけであります。 こういうことをやりながら、片方では三者共同の一つの柱になっております労働組合も、また同じように労働組合は労働組合なりに労使の関係性が強いというように裁判所も認めておるわけでありますから、その上に立ちまして団体交渉を五味屋株式会社に労働組合が申し入れておるわけでありますが、これまた拒否を繰り返しておる。一月十日に申し入れまして、一月十一日に団体交渉拒否。一月十六日に団体交渉の申し入れに対しまして、これまた拒否。二月六日に申し入れましたが、これまた二月七日付で書留速達で団体交渉拒否の通告を受けておる。上部団体の全国金属労働組合の大阪地方本部、あるいは堺地区協議会、それに丸二工業支部、三者でこれまた五味屋株式会社に団体交渉を申し入れましたけれども、これも二月十三日付で内容証明で団体交渉には応じられない、こういう回答を持ってきておるわけであります。 子会社は子会社なりに、労働組合は労働組合なりに、そういう関係の中で努力をし、そして協議をしようじゃないか、話し合いをしようじゃないかというように言っても、一向耳をかさないという全くけしからぬ態度を繰り返しておるというのがこの親会社五味屋株式会社の実態なんです。そういう調査を私はやってほしい。
○木下政府委員 委員が今最後の点でおっしゃいました団体交渉の件でございますが、総評・全国金属労働組合丸二工業支部は再三、五味屋株式会社に対して団体交渉を要請しておったようでございますが、それを受けないということで、二月十二日に大阪地方労働委員会に組合の方から提訴をされたというふうに伺っております。それ以外の点につきましては、今おっしゃいました点を含めまして詳しく調査をさしていただきたいと思います。
○和田(貞)委員 時間がありませんので、これは極めて事態は緊急性を要する問題がありますので、通産省だけじゃなくて大蔵省の銀行局並びに労働省の方にもお願いしておきたいと私は思うわけであります。 今先ほどからお話を申し上げておりますように、丸二工業株式会社は二月二日の社長死亡後、代表者がおらぬわけです。しかも、社長が亡くなりましたから五人の役員しかおりませんが、この五人の役員の中で四人が親会社の五味屋株式会社に非常勤でおるわけです。だから、子会社の丸二工業株式会社におります一人の役員が役員会をやろうじゃないかと言っても、いや忙しいとか用事があるとか私用だとかいうことで全くこれに応じないというのが現状なんです、したがいまして、代表者が存在しない。会社としてこれからどういう対策を立てようか、どういうようにしようかという方針も一切打ち出せないという事情であるわけですから、今最後に言われましたけれども、これは労働省の所管であるにもかかわらず通産省の方が言いましたけれども、地方労働委員会に労働組合が提訴しておるからそれを見守るというのじゃなくて、急を要する問題でありますから、そういうような意味でこれからの子会社の丸二工業株式会社を、親会社の五味屋株式会社を含めてどういうようにするんだという方策を位置づけるために、ひとつ緊急な行政指導をお願いしたいわけであります。 それから、もちろん丸二工業株式会社自体の問題がありますけれども、先ほど申し上げましたように、親会社としての五味屋株式会社に強く行政指導をやってもらいたいということをつけ加えておきますが、労働省の方にお願いしたいのは、やはり善後策を協議するために労働組合と団体交渉をどうしてもやらす必要があると思うのです。今通産省の方が言いましたけれども、また同じようなことで、あなたの方が同じような答弁をするということは私は聞き入れる耳はございません。従来からの慣行に従うて団体交渉の申し入れをしておるにもかかわらず、繰り返し繰り返しそのことを拒否をしておるから、ついに地方労働委員会への提訴になったわけですから、そのことはそのこととして、やはり団体交渉が持てるように努力をしてもらいたいというふうに私は労働省に要請したいわけですが、後でひとつ御答弁をお聞かせ願いたいと思います。 もう一つ、私は通産省も聞いてもらいたいんですが、先ほど計画的な子会社への倒産を余儀なくさしてきたというこの背景に、一番大事なことは三和銀行がその背景にあるというように私は言いたいわけであります。なぜならば、先ほど申し上げましたような、計画を立てて倒産に追い込んだというその中で、さらに現在の五味屋株式会社の津室暢夫という社長は、これは五十八年の十二月に五味屋株式会社の社長に就任しておる。同じく五味屋株式会社の常務取締役の池内という人も五十八年の十二月に常務取締役に就任しておる。平取でございますが、同じく三和銀行から出向しておりました者が守屋という男でございますが、これまた五十九年の十二月に取締役に就任をしておるわけです。これは、この背後にまさに三和銀行という銀行があるというように私は指摘したいわけでありますが、大蔵省の方からその見解についての御答弁をお願いしたいと思います。
○松野説明員 御指摘のように五味屋株式会社のメーンバンクは三和銀行でございまして、今御指摘のような役員が三和銀行から退職あるいは出向ベースで派遣されております。私ども、金融機関と企業との間の取引につきましては、基本的に両当事者の自主的な判断に任せるべきであって、行政が関与すべきではないというふうに考えております。銀行が各企業に人を派遣するケースというのはいろいろございまして、人材を要求されるという場合あるいは銀行が預金者保護の観点から債権保全上企業の実態を把握するために人を派遣するというようなケースもございます。ケースによっていろいろ考え方もあろうと思いますが、基本的には私ども、民間金融機関といたしましては、やはり預金者の保護の観点から債権保全を図るということが義務として金融機関に課されておりますものですから、そういう観点から人を派遣して企業に必要な助言を与えるということは、銀行の公共性ということから申しまして許されるべきことであろうし、現にそういう事例が非常に多いというふうに理解しております。
○廣見説明員 この件につきましては、本当に痛ましい事件であるというふうに感じております。ただ、今先生からいろいろと御説明のございました団体交渉にりきましてでございますが、御案内のとおり団体交渉そのものは、その雇用する労働者と使用者が行う、こういうことになっておりまして、まさにその使用者性をめぐって一つの見解の対立が実際上ある、かような形になっているというふうに理解しております。 先生が御指摘なさいましたように、一度、刑事事件ではございますが、既に判決も出たこともあるようでございます。ただ、現時点で見てみますと、先ほど通産省の局長の方からもお話ございましたように、既に今月の十二日で労働委員会の方に団体交渉についての救済を求める、団体交渉をするようにという救済命令を求める旨の申し立てがなされております。私ども従来いろんなケースを見てみますと、親会社と子会社の間で使用者性があるのかないのか、この件につきましてはなかなか難しい問題がございまして、判例あるいは労働委員会の命令を見てみましても、使用者性を認めたもの、それから否定したもの、ケースがそれぞれに分かれておるわけでございます。使用者性そのものということになってまいりますと、労働関係の観点から見ますと、通常は現実に雇用関係があるかないかという観点から見ることになりますので、それぞれ働いておられるその労働の実態に着目して、どのように使用者が指揮をしているかというようなことなどが重要な観点になってまいります。 そういうようなことで、いずれにいたしましてもかなりケースとしては分かれているケースでございますし、今般大阪府の地方労働委員会の方に申し立てがなされているということもございますので、私どもといたしましては、やはり権限ある行政機関の労働委員会に出されておりますので、そういう段階ということでございますので、私どもとしては積極的なこの労働委員会に対する影響ということを与えないように、通常積極的な行為は差し控えるという形でやってまいっておりますので、私どもといたしましては、この労働委員会の動きというものを見守っていく必要があるのではなかろうか、かように考えている次第でございます。
○和田(貞)委員 時間が来ましたので締めくくりたいと思いますけれども、労働省の方も、これは地労委は取り下げるということもあり得るわけですが、五味屋株式会社自体も、過去の裁判所が認定をした雇用性があるということを認めておるのですよ。そして、しかも丸二工業株式会社の再建のために五味屋株式会社も含めて協定を結んで、その協定というのは丸二工業株式会社がなくなる寸前まで、その精神は生かして努力をやりますということを死ぬ寸前まで文書で繰り返しているのですよ。そういう中で、今現在雇用性があるかないかというようなことを疑問視する労働省の姿勢を私は疑いたいわけであります。なおひとつ努力してもらいたいと思います。 さらに、今次のこの計画倒産に追い込んだ親会社の五味屋株式会社の背景に三和銀行があるということを私は申し述べましたけれども、三和銀行というのはこれ以外にも、既に銀行局の方にも私の方から別のことで申し上げておりますけれども、例えば、大阪にある大成建設株式会社と、そして地域の株式会社大井との間に開発事業について協定を結んだ、その協定がいまだに守られておらないということにつきましても三和銀行が口出ししておるというようなことから、株式会社大井が今日なお非常に苦労しておるというような実態はあなた方の方が把握しておるわけでありますから、この三和銀行というのは極めて悪質な銀行である、民間金融機関であるということを十分頭に入れながら、通産省に協力してもらって大蔵省の方もひとつ行政指導方をよろしくお願いしたいと思うのです。 中小企業庁を含めまして通産省、こういうように労働組合つぶしを目的に、あるいは子会社を手放しにするために計画的に親会社が倒産に追い込むという例があるということを十分御理解いただきまして、今後の中小企業対策につきましては、本当に文字どおりかゆいところに手の届くような中小企業対策というものを立ててもらいたいというように私は最後に意見を申し上げたいと思いますが、最後にひとつ大臣の方から、その点についての決意のほどを聞かしてもらいたいと思います。
○村田国務大臣 大阪で起こりました最近の事件につきまして、事実関係をいろいろと御説明をいただき、また先生の御意見も承りました。御指摘に従いまして、事実関係を調べまして対処させていただきたいと存じます。
○和田(貞)委員 終わります。
○粕谷委員長 和田貞夫君の質疑は終わりました。 次に、長田武士君の質疑に入ります。長田武士君。
○長田委員 初めに、貿易摩擦問題について通産大臣にお尋ねをいたします。 二月十日から、連休にもかかわりませず、村田通産大臣は京都での四極通商会議で御活躍になり、新ラウンドの問題などで成果を得られたと伺っております。しかし、貿易摩擦の問題に関しまして言えば、五十九年度における我が国の貿易黒字が四百四十億ドル、これを通関統計で見てまいりますと、輸出超過が三百三十七億ドルとなっておりまして、そのうちアメリカに対する輸出超過分が三百十一億ドルです。輸出超過分のほとんどがアメリカに対してのものであるということは明らかであります。 既に、中曽根総理はことし正月の日米首脳会談で、総理自身が一つ一つの個別の問題を詰められまして、市場開放を進める旨の約束をされたということも報道されております。帰国後閣議でも、市場開放についてはステップ・バイ・ステップではなくてストライド・バイ・ストライドでやっていく旨の発言をされたということも報道されております。 〔委員長退席、渡辺(秀)委員長代理着席〕 我が国といたしましては、毎年毎年対外経済対策を小刻みに出すのではなくて、できる問題とできない問題、こういう問題をもっとはっきりしなくてはいけない、そうして、どうしてできないのか、どういう理由でできないのかということもアメリカ側に態度を鮮明にする必要があるだろう、私はそのように考えるわけであります。 我が国の関税については世界一低いということを言われておりまして、私たちも胸を張るところでありますけれども、部分的には非常に理屈が通らないところがあるのですね。例えば、農産物に対しては非常に関税が高いとか、さらに、鶏肉、骨なしの鶏肉の場合においては骨つきよりももっと高いとか、そういう傾向が非常にありまして、アメリカとしてもちょっと理解できないのじゃないかなという感じがいたしております。また、今回の日米間の問題に対しまして、先般当委員会におきまして、基準・認証制度の緩和措置、これを審議いたしました。しかしなおかつ、医薬品とか医療機器、これについては外国の検査データをぜひ受け入れてほしいという要請も来ているようであります。 アメリカでは既に昨年十月、八四年包括関税通商法案が上下両院で可決をされております。これによりまして、従来の通商法にもありました貿易相手国の不正貿易慣行くの対抗措置がさらに強化された。そうしてさらに対象品目が、鉄鋼、自動車、農産物であったものが、サービス貿易、さらには高度技術貿易、それに投資などが追加されておるわけであります。また、この法案可決によりまして、不公正、不平等な行政政策、慣習があると判断したときは報復措置がとれるようにしたり、相殺関税やダンピング提訴も現行法よりも容易にできるようになったということであります。そのほか、輸入課徴金をかけるという論議もアメリカでは非常に根強いということも聞いておるわけであります。 そういう点を含めまして、四極通商会議に通産大臣は出席されましたが、そういう問題についての感触ですね、忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○村田国務大臣 長田委員から御指摘をいただきました四極通商会議、そしてまた最近の特に日米貿易関係等をめぐる重要な問題についてお答え申し上げたいと思います。 まず、ことしの貿易をめぐる環境でございますが、御指摘がございましたように、一月早々に中曽根総理とレーガン大統領との会談がアメリカで行われたわけでございます。ここでは、特にエレクトロニクスであるとかあるいは医薬品、医療機器、木材等々非常に重要な四品目についての御指摘があったわけでございまして、それを受けて高級事務レベル会議がまず東京で催された。これは、現在も非常に真剣に交渉が続けられておることは御高承のとおりでございます。 それから、最近の新聞あるいはテレビで伝えられますところは、例のことしの三月に期限が切れます自動車対米輸出規制の問題が、継続されるのか、あるいはこれで中止になるのかという問題、それからまた、現在ワシントンで継続をされて行われております鉄鋼の輸出自主規制の問題、そういう具体的な問題があります。それから、二月九日から十一日、その間において京都で四極貿易大臣会議が開かれたわけでありまして、これはアメリカのブロック通商代表それからカナダのケレハー貿易大臣、それからECのドクレルク代表、それに私ということで、四貿易大臣の会合となったわけであります。ちょうどそういったいろいろな貿易の問題が世界的に話題になっておりますときでございましただけに非常に注目をされたわけでございますが、その四極通商会議では、御承知のとおり一番大きな事件としては一九八六年から新ラウンドに取りかかるということで、ことしのうちの最も早い時期に高級事務レベル会議を開こうということが合意をされました、これは非常に重要な問題であると思っておりますが、特にブロック・アメリカ通商代表あるいはドクレルクEC代表は上京されまして、中曽根総理ともさしでお話をされて、私もその場に立ち会ったわけでございますが、お帰りになったわけであります。その後、例えばブロック代表が自動車の輸出規制問題やいろいろな問題についていろいろな機会で発言をしておられるのは御承知のとおりであります。 こういった一連の経緯の中で、私どもはまず、大局的には世界的に起こっております保護主義という非常に根強い、廃止すべき、排撃すべき傾向を抑えなければならぬ、そして自由主義経済体制に沿って世界の新ラウンドを東京ラウンドに引き続いて来年から起こさなければならないということで今対応をしておるところでございます。 したがって、全般的に申しますと、私は昨年十一月一日に通産大臣に就任いたしましたその日に中曽根総理から新ラウンドを進めるように、それからまた貿易摩擦にしっかりと対応をするようにという御指示をいただいたところでございますが、その二つの大きなテーマに従って私自身も励んでおりますし、また政府部内におきましては中曽根総理の御指示のもとにいわゆる貿易のM7、いわゆる七相会議、これがその後拡大されたわけでございますが、対外貿易のための閣僚会議、そして対米では中曽根・レーガン会談を受けて安倍・シュルツ会談が行われたわけでございまして、統括は安倍外務大臣にやっていただいて、貿易は通産省やあるいは農林水産省やいろいろなところで対応をしていくという体制を目下進めておるところであり、これによって、現在世界の経済は好転をしておるところでございますけれども、一番いい時期でございますので、新ラウンドの交渉に向けてダイナミックに、しかも組織的に進んでまいる決意でございます。
○長田委員 関連いたしまして金子経企庁長官にお尋ねをいたします。 アメリカの貿易赤字の要因につきましてアメリカの通商代表部が分析をいたしております。これによりますと、アメリカの貿易赤字の原因といたしまして、一つはドル高による要因が約半分である。第二にはアメリカの急速な経済成長による要因が四分の一ある。第三には途上国の累積債務から受ける要因が四分の一というような分析をいたしております。 そこで、もしそうであるとするならば、ドル高の要因であるアメリカの財政赤字、これにつきましては、アメリカ自身に解決を迫らない限りこの問題は根本的に解決できないのであろう、私はそのように考えておりますが、長官のお考えはどうでしょうか。
○金子国務大臣 今、長田委員から御指摘のございましたとおり、貿易摩擦の背景となっておる貿易収支の関係から申しましても、ドルの独歩高が一つの原因となっておりますが、そのドル高の原因として挙げなければいかぬのはやはりアメリカの高金利、これはアメリカの経済の拡大傾向あるいはアメリカへの信認の増大が挙げられておるのが普通でございます。 高金利の是正につきましては、事あるたびに我が政府からもいろいろ申し入れをしておりますし、特に近く行われるボン・サミットにおきましても、高金利の是正につきましては各国とも強く申し入れるような動きになっていることは御承知のとおりでございます、そういうことにつきまして私どもも、アメリカの高金利が世界全体の経済を攪乱する大きな要因になっておるものですから、できるだけ努力をしようという気持ちでやっておることを申し上げておきたいと思います。
○長田委員 昨年の当委員会だったと思いますが、私は、アメリカの貿易収支のインバランスの解消に役立てるためにアラスカ原油をアメリカから輸入できるような交渉をしたらどうかという提案をいたしました。その当時アメリカの議会では、米国産の原油の輸出につきましては消極的な意見が非常に多かったわけでありまして、我が国といたしましてはそのような提案、交渉というのはちょっとやりにくいというような状況にあったようでございます。しかし、そのような問題が今回の四極通商会議で話題になったということを私聞いておりますが、具体的にはどうだったのでしょうか、通産大臣。
○村田国務大臣 今、長田委員御指摘のアラスカ原油の輸出解禁の問題は、実はかねてからの懸案でありまして、中曽根総理がレーガン大統領にもお話しになられたことでございます。したがって私は、二月九日、十日、十一日の四極貿易大臣会議に臨みます前に、この問題は極めて重要であるということで総理の御意見も承りまして臨んだわけでございます。そして、これはもちろん四極全体の問題であるよりも対米問題でありますから、ブロックさんと二月十日にさして話しましたときに、その中の重要な議題としてアラスカ原油の輸出解禁をしてほしい、これについてはアメリカの国内法によって現在は外へ出さないということになっているが、もしこれが解禁になれば日米の貿易インバランス問題にも非常にプラスになることは確実であるし、また日本としては中東に余りにも石油を重く頼り過ぎておるという現状からも、アメリカにそれを一部引き受けていただければありがたいし、さらにまた輸送費の問題も、中東から運ぶよりはアラスカから運ぶ方が割安であるといういろいろな利点がございまして、このことについて特に熱心にブロック代表にお話をしてみました。 ブロック代表のお答えはこういうことであります。サンキュウ、こういう言葉で始まりました。ありがとうございます。今、村田大臣の御指摘になった問題は中曽根総理の御希望でもあるということも聞いておるし、私はぜひ村田大臣のおっしゃったことをアメリカ議会によく話してみたいと思います。こういう回答でございました。したがって、現在はアメリカ議会がどういうさいころを振ってくださるか、ぜひひとつ対日輸出ということで踏み切っていただければ、いろいろな条件はございますが、この問題は前向きになってくるということを期待しておる状態でございます。 〔渡辺(秀)委員長代理退席、浦野委員長代理着席〕
○長田委員 どうかひとつその問題につきましては粘り強い交渉をやっていただきたいと考えております。 次に、日本車の対米輸出規制の問題についてお尋ねをいたします。 アメリカ政府は二月十九日の貿易政策委員会と通商問題閣僚会議の合同会議におきまして、三月末に切れますところの日本車の対米輸出規制について撤廃の意向を明らかにいたしました。そうしてこの方針を大統領に勧告するという報道がなされておるわけであります。アメリカ側の考え方といたしましては、日本政府の自主性にゆだねるというようなことが非常に強調されておるようであります。ところが、先日の四極通商会議では、この問題は通信機器の輸入を我が国がどの程度開放するかによって自動車の自主規制を撤廃するかどうかを決めよう、このように一部で報じられておるわけであります。そうして通産省は、このアメリカの大統領に対する勧告案の決定があってから何らかの新たな歯どめを検討するようなことも実は報道されておるわけであります。 そこで私は、自主規制を今後とも日本として続けるべきなのか、あるいは撤廃ということでいくのか、この点について通産省のお考えをお尋ねをいたします。
○村田国務大臣 日本車の対米輸出規制問題、これは非常に重要な問題でございます。今、長田委員が御指摘になりましたように、二月十九日、ブロックさんを議長といたします貿易政策委員会、いわゆるTPC、それから通商問題閣僚協議会、これはボルドリッジ商務長官が議長であります、いわゆるCCCTの合同会議を開いた。そして、これにはレーガン大統領は出席をされなかったが、三月末で期限切れとなる日本車の対米輸出規制問題について協議をした。会議の内容は一切明らかにされていないが、米政府筋によると、米政府としては三月末で撤廃するとの立場をとるべきであるとの点で基本的に一致し、その旨を盛り込んだ勧告案を近くレーガン大統領に提出することを決めた、こういうふうに新聞は報じております。 それから、私のところに二月二十二日午前十時レーガン大統領の記者会見のニュースが、まだ入ってきたばかりでございますが、そのニュースによりますと、レーガン大統領は、この問題についての決定ということをこの記者会見では何も言われてなかったようであります。自主規制は日本の自主的措置である。CCCTは間もなく自分に勧告してくると思うが、まだ受けていない。この問題については、日本との間で行われているネゴシエーション、コミュニケーションのコンテクストの関係で決定されるのだ、こういう非常な慎重な対応をしておられるということが、これは先ほど入った情報でございます。 日本の自動車業界はどうかと申しますと、昨年十一月に私が日本の自動車業界の代表と懇談をいたしました。その席上では、対米自動車自主規制の問題は、来年の三月にはぜひ撤廃をしてほしいという強い要望が出されたところでございます。私はこの御要望に対して、皆様方のそういう御要望はよく理解することができます、この問題はまだ期限がございますので慎重に対応いたします、こういうお答えがしてございます。 そして、二月十日のブロックさんと私との会談では、この問題について全く話が出なかったと言うと、これは全くのうそになりますので率直に申し上げますが、ブロック代表に私がこの自動車規制問題は日本は態度は未決定である、ぎりぎりの段階で決断したいが、ブロック大使のお考え方は、こういうふうな水の向け方をいたしました。ブロックさんもこの答えは非常に慎重な対応で、まだ何も決めていないということを言っておられたところでございます。 こういった一連のことは、総理にも私が御報告を申し上げておりまして、そしてそれ以後まだ三月末までには一カ月余りあるわけでございまして、アメリカのマスコミ等の伝えるところによれば、先般の大統領に意見を申し上げる委員会での会合は先ほど申し上げたとおりでありますけれども、それに対する決定その他はまだ何もない、現在そういった状況であるということを御報告申し上げます。
○長田委員 そうしますと、ダンフォース上院議員とか、きのうあたりは自主規制を解除すべきではない、このようなことを大分声高に議会でも唱えているようであります。 私は、基本的に申し上げまして、集中豪雨的な輸出が非常にアメリカを困らせるというような過去の経緯がございましたから、これは何らかの歯どめが必要であろうという感じもいたします。しかし、我が国が自主規制をしておる問題が、アメリカがこれに対してどうのこうの言うことに対しても、私はちょっとどうかなという感じも実はしますけれども、この点についてはやはり秩序ある輸出というものも必要であろうというふうに考えております。その点については歯どめ策か何かは考えていらっしゃいますか。
○村田国務大臣 自動車対米輸出規制を行いました数年前と現在との自動車産業を取り囲む状況は、非常に変わっておると思います。 御承知のように、自動車産業は日本とアメリカとが世界の一位を争っておる産業でございまして、そういった意味で、アメリカ自動車業界も規制を始めました数年前に比べれば、はるかに好況の状態にあるわけでございますが、この問題は関係するところ極めて重大でございますので、現在の段階ではこれ以上申し上げることを差し控えさせていただきたいと存じます。
○長田委員 もう一つ鉄鋼のアメリカへの輸出につきましても、八四年包括通商法で、輸出国の自主規制につきまして、大統領の交渉の権限が付与されておるようですね。自由貿易を唱えますアメリカが、いつまでもこうした保護主義を必要とすることは、アメリカの主導による国際管理貿易といった色合いが強くなるんじゃないかというようなことを、私は非常に危惧をするわけであります。そうなってきますと、勢い貿易というのは縮小均衡に行ってしまうということを懸念をいたしております。 これについては、アメリカの国際通商評議会の推計によりますと、非産油途上国の全輸出の三〇%から四〇%ぐらい既に輸入側からの管理貿易的な制約を受けておる、こういうことも言われております。通信機器の開放問題と自動車の自主規制解除の問題をワンパッケージにしてくる姿勢には、私たちは非常に納得ができないものがあるわけであります。 それにも増しまして、アメリカ主導による管理貿易的色合いが強まる傾向、この点について、私たちは非常に疑問を持たざるを得ません。この点について、経企庁長官と通産大臣に、簡単で結構ですからお答えをいただきたいと思います。
○村田国務大臣 まず、鉄鋼の輸出規制の問題について申し上げます。 これは今、長田委員御指摘になりましたように、レーガン大統領再選前にこの問題にお触れになって、期限が一応昨年の十二月中旬ということでございました。したがいまして、十一月に私、通産大臣に就任しまして間もなく、中曽根総理とこの問題についてお打ち合わせをいたしましたところ、できるだけ早く解決するのがいいね、こういう御指示をいただいたのであります。その後、間もなく私の親書を携えまして、通産省の若杉審議官がブロック代表に会いに参りました。そして非常に真剣な検討をアメリカで行いまして、五・八%という日本の一応の規制が決まったわけでございます。 ただし、これは六カテゴリーということで、その六カテゴリーの下がどのくらいにするかとか、そういう細目の決定は行われないで、十二月の一応の全体の総枠規制が行われました。日本がアメリカの鉄鋼産業のことを考え、そしてアメリカの鉄鋼産業に協力してこの数値を世界で一番早く決めたということは、非常に好感をされたわけでありますが、引き続いて韓国その他の国々も決定を見たわけでございます。しかし、その線に沿ったサブカテゴリーあるいは時期をいつからにするか、また期間をいつにするかという細目は決定になっておりませんで、先般、向こうから日本に参りまして交渉した際は、話し合い不調、その後、日本側で堀田審議官が参りまして、既に先週から熱心な協議を続けておりますが、まだ妥結に至っておりません。そういったことで、鉄鋼交渉も自動車問題等々と並んで非常に重要な段階に来ておる状態でございます。 いずれにいたしましても、全体のそういった貿易問題、日米の関係をできるだけスムーズにしていくということが大切でありまして、その間、二月十日の村田・ブロック会談におきましても、六項目について非常に真剣な打ち合わせをやりました。そして、まだそれらは妥結に至っておりませんけれども、ひとつぜひ日米通商交渉を円滑にし、そしてそれは御指摘になったような保護主義を排して新ラウンドに結びつけるのだ、自由主義経済体制をしっかりと世界に向かって示していくんだという方向で努力を続けてまいる所存でございます。
○金子国務大臣 今、通産大臣から自動車、鉄鋼についてのそれぞれの具体的なお話がございましたから、その点は私どもつけ加えることはございませんけれども、経企庁の立場といたしましては、あくまで自由貿易主義を堅持しなければいかぬ、世界的に保護貿易主義の声が上がろうとしておりますから、どうやってこれを抑えていくかということに重点を置いて、いろいろな施策を展開しておる次第でございますが、部分的などしゃ降り的な輸出によって相手を困らせることは極力避けなきゃならぬけれども、しかしながら保護貿易に走らせるようなことは極力避けまして、日本の国是としての自由貿易の立場を守りたいというのが私どもの立場でございます。
○長田委員 今回の日米摩擦については、一つは通信機器、衛星の分野、第二番目にはエレクトロニクスの分野、第三番目には医薬、医療機器の分野、四つ目には木材の分野、こういうふうに四つに分かれておるわけでありますけれども、それぞれ次官クラスで個別折衝が行われる。先ほど通産大臣がおっしゃったとおりであります。 しかし、これに加えて石炭を買ってもらいたいということで、第五の分野が浮上してきておるような報道がされております。石炭の問題につきましては、私たちも商工委員会でアメリカに参ったときも、石炭を買え、石炭を買えということを耳にたこができるほど聞かされました。しかし、通産大臣御案内のとおり、現在オーストラリア石炭よりもトン当たりアメリカの石炭は十ドルぐらい高いのですね。こうなりますと、日本としては非常に採算がとれないという状況にあります。一方、中曽根総理も一月、オーストラリアに参りまして、オーストラリアからの輸入を減らすようなことはしないという約束をしてきております。こういう点について、私は、貿易摩擦の一つの、第五の問題といたしまして、石炭をアメリカから買うということになりますと、これを利用しております業者等は非常にコストの高い石炭を使わなくちゃならない、こういう状況になりますので、この点は慎重にやっていただきたい、このように思いますが、どうでしょうか。
○村田国務大臣 これは長田委員本当によく御承知でございます。 まさに石油の場合はアラスカ石油をぜひ買わしてもらいたいということで強く申し入れておるのでございますが、石炭の輸入の場合は、米国炭、オーストラリア炭、比較をいたしてみますと、御指摘のような事情がございます。そして、まさにこれは貿易でございますから、商業ベースの問題でございまして、値段が高くてもいいというものではございません。したがいまして、今御指摘になりました点は、米国炭について十分踏まえて対応する所存でございます。
○長田委員 通産大臣、まだ時間はよろしゅうございますか。(村田国務大臣「もうちょっとしたら予算委員会に行かせてもらいます」と呼ぶ) それでは、通産大臣に一点だけお尋ねしたいのでありますけれども、次に、石油の国家備蓄の問題であります。 我が国の石油備蓄水準は、昨年十一月現在では、民間備蓄が九十八日、五千三百二十一万キロリッター、国家備蓄が三十一日分、千六百六十三万キロリッター、合わせますと六千九百八十四万キロリッター、合計で百二十九日分ということになっております。 このうち国家備蓄について、政府は昭和六十三年度までに三千万キロリッターの目標を設定いたしまして、六十年度においても三百万キロリッターの積み増しを行うことに予算が組まれております。既に五十三年において三千万キロリッターの目標を設定した際には、これは昭和六十三年ごろには我が国の石油消費量を一日当たり百万キロリッターと見込んでおり、その三十日分ということであったと私は記憶しておるのですけれども、これには間違いないでしょうか。
○村田国務大臣 大変重要な問題を御質問いただきました。 石油備蓄量の問題は今長田委員の御指摘のとおりでございまして、私の手元にあります資料ではちょっとだけ数字が違うのですが、民間備蓄が昨年末に九十六日分で五千二百七万キロリッター、それから国家備蓄が三十一日分で千六百六十三万キロリッター、合計が百二十七日分で六千八百七十万キロリッター、こういうことになっております。ただし、これはIEA方式で計算をいたしますと、百二十七日分でなく百十日分というふうになるわけでございます。 この備蓄量は一体多いのか少ないのかということでございますけれども、IEAの調査では、アメリカは御承知のように三百十日分でございます。日本は先ほどIEA式で計算すれば百十日分、それからIEA式でなくて日本の資料でいけば百二十七日分ということになりますが、御承知のように日本はホルムズ海峡依存度がもう抜群に高い。中東から輸入いたします石油が七割でございますが、ホルムズ海峡依存度が六五・三%ということでありまして、これはアメリカや西ドイツやその他の国々に比べれば、はるかに石油を輸入する状況が一方に偏っておるというところでございます。 しかも、アメリカのように国内に原油が存するのではなくて、国内から産出する原油というのは日本はほとんどゼロであります。しかも、こういった石油の日本にとっての重要度というものは、これはもう申し上げるまでもないのでございまして、一次エネルギーの石油依存度は、日本は六割を優に超しておる状況で、アメリカの四割、西ドイツの四二%に比べて、はるかに高いわけでございますので、石油備蓄量は今、国の算定で百二十七日分、IEA方式で百十日分というのは最低ぎりぎりの線であって、何としても三千万キロリッターに達するまで、ぜひひとつ毎年国家備蓄というものを、予算を計上し、そしてさらに増していかなければならない、こういう基本認識でございます。
○長田委員 通産大臣、私まだ質問してないことをべらべら言わない方がいいんじゃないですか。そんな質問してないんですよ。 私は、国家備蓄の基本的な考え方というのは、六十三年度までに三千万キロリッターの目標を設定しました、これは間違いありませんね。それで、六十年度においても三百万キロリッターの積み増しをするということは間違いありませんね。(村田国務大臣「間違いございません」と呼ぶ)それで、五十三年にこの三千万キロリッターの目標を設定したときに、一日使用量が百万キロリッターと見込んで、その三十日分で三千万キロリッターだという設定をしたのですね。こういうことも間違いないでしょう。どうですか。私、それを聞いただけなんです。
○柴田(益)政府委員 長田先生御指摘のとおりでございまして、五十三年度当時三千万キロリッターの国家備蓄を決定した際には、昭和六十年度で一日百万キロリッターということで計算しておったのでございますが、五十八年度では一日の消費量が相当減ってまいりまして、現在では五十四万キロリッターに落ちておるという事実はそのとおりでございます。
○長田委員 そのように答えていただければ、私も非常に納得できるのですけれども、ホルムズ海峡の依存度がどうのこうのなんて、私はそういうことは質問しておりません。 しかしながら、今長官がおっしゃったとおり、我が国の一日当たりの石油消費量というのは、五十六万ですか、五十四万くらいじゃないですか。五十四万キロリッターでございますから、この三十日分という計画が、千六百六十三万キロリッターというのは、既に三十日分を確保していますね。当初の目標というのは百万という予定をしておりましたけれども、既にもう五十四万ぐらいしか消費がありませんから、こういう意味では、三十日分の備蓄というのは既に達成しておるということであります。 レーガン大統領も、先日、国家備蓄の目標の半分を達成したところで、備蓄の積み増しをやめようという提案をされたやに私も聞いております。 この点については、将来の備蓄の構想といいますか、私は、備蓄はあればあるほどいいと思います。思いますけれども、金のかかることですから、この点についてはある程度、財政事情もよく考慮した上で判断しないといけないという意味で私は申し上げるのです。
○柴田(益)政府委員 先生の御趣旨は我々もよく理解できるところでございます。御指摘のとおり、五十三年度の時点におきましては、三千万キロリッターの国家備蓄をする、そのときの想定は、先ほど申しましたように、六十年度で一日百万キロリッター消費ということで、三十日分ということで計算したわけでございますけれども、五十八年度では既に五十四万キロリッターの消費に減っておりますので、三十日を既にオーバーしているかと思いますが、この計算でまいりますと、三十日分ではなくて三千万キロリッターが五十二日分に相当する、二十二日分ふえてしまうということになります。しかしながら、この五十二日分と民間備蓄九十日分を足しましても百四十二日でございまして、IEA方式でまいりますとデッドストック約一割を除きますので、百四十二日分から一割をカットしなければならない。ところがIEAの加盟国の平均の備蓄日教は百六十八日でございまして、予定どおりこの三千万キロやりましても、まだまだIEAの百六十八にはとても到達できないというような事実もございまして、この件につきましては五十八年度に総合エネルギー調査会でいろいろ御議論いただいたわけでございますけれども、そういうようなIEA加盟国平均よりもまだ低いとか、あるいは先般八三年のIEAの対日審査で、もっと備蓄をやったらどうかという御指摘も受けておりますし、昨年のIEAの理事会でも、平均より下回るところはさらに努力をしなさいというような意見も出されておるところでございます。 他方、アメリカの方は戦略備蓄をある程度中止するというような政府の決定はございますけれども、今後これは議会で議論されるということで、最終的にどうなるか、まだ議会の議論次第だろうと思っておりますが、そのアメリカにおきましては、御案内のように、IEAベースで三百十日の備蓄がございます。日本のざっと三倍近い備蓄がございます。そういうことで、日本といたしましては、確かに石油の消費量は減っておりますけれども、六十三年度三千万キロリッターの国家備蓄はぜひ確保したい、そういうふうに考えている次第でございます。
○長田委員 そうしますと、長官、当初は、三十日分、三千万キロリッターを備蓄しようということで、そういう方針で臨んだと思いますね、消費量が減りましたので四十何日分ということになりますけれども、そういうことは変更になったのですか。備蓄の日数の増加というのは変更になったのですか。
○柴田(益)政府委員 当初、五十三年度に三千万キロリッターで見込みました百二十日、民間備蓄九十日を入れまして百二十日ということは現在では百四十二日ということで、計算上は変更になったということが言えるかと思います。
○長田委員 私は、決して備蓄してはいけないということを言っておりません。四十八年第一次、第二次オイルショック以後、日本の資源のない惨めさというのは嫌というほど知りました。そういう点では、決して私は備蓄をやってはいけないということを言っているのではないのです。しかし、実際問題、この備蓄には相当な膨大なお金がかかるのですね。そういう意味で、去年石油税の引き上げを行いました。これは、やはり安全保障の上から必要だというようなことで石油税を値上げしたわけであります。御案内のとおり、三・五%から四・七%、一・二%石油税を上げました。さらにLNG、それからLPGも一・二%という新税を設定いたしたわけでございます。そうなりますと、去年平年度では千三百四十億円という増収を図ったわけであります。「増税なき財政再建」というのは中曽根総理の看板であります、公約であります。それをあえて破ってまでこの備蓄をしなくちゃいけない、資源エネルギーの安全保障をしなくちゃいけないということで、私は必要なのかなということを実は考えざるを得ないのです。五十八年十一月には総合エネルギー調査会が長期需給見通しを出した際にも、これからはセキュリティーの問題もさることながら、コストの問題を重視したエネルギー政策を推進すべきであるということを提言いたしております。ですから私は、この点について当然見直されなければならないかなという感じもいたしますけれども、この点についてはどうでしょうか。
○柴田(益)政府委員 御指摘のとおり先般石油税を一・二%程度値上げしたわけでございますけれども、エネルギー政策をやっていく場合にコストを十分考えてこれを進めるべきだというのは全くそのとおりでございまして、全般的にエネルギー政策もセキュリティーの観点だけでなくて、コストの面も勘案していろいろ今整理をしているところでございますけれども、しかしながら、備蓄につきましては三千万キロリッターということは一応決まった方針でございますし、IEAとの比較におきましてもまだまだ日本は低いし、先ほど大臣が申しましたようにホルムズ海峡依存度も六五%近いということで非常に脆弱な石油の供給構造になっておりますので、そういうエネルギーコストの見直しということの中ではありますけれども、国家備蓄の三千万キロリッターは既定方針どおりぜひ進めたい、そういう考え方で進めている次第でございまして、御理解賜りたいと思います。
○長田委員 これまで国家備蓄に投入いたしました金額と三千万キロリッターの目標達成に要する経費並びに目標達成後における備蓄維持管理費といいますか、これについて明確に金額をひとつお答えいただけませんか。
○柴田(益)政府委員 正確な数字はちょっと手元にございませんのであれでございますけれども、今まで国家備蓄に数年計上してまいりました予算は一兆円を若干上回る程度だろうと思います。それから六十三年度ないし六十五年度、この施設ができますのは今のところ六十五年度目標で今一生懸命やっておりますが、三千万キロリッター自体は六十三年度に民間タンクの借り上げとかそういう便法で三千万は積む予定でございますけれども、今六カ所でやっております国家備蓄基地は六十五年度目標でございまして、若干そこにずれが参りますが、基地が全部できました六十五年度三千万キロリッターを国家備蓄で基地で入れた場合には、ざっとした計算といたしましては施設費で約一兆五千億円、中へ入れます油が三千万キロリッターで、キロリッター大体五万円でございますので一兆五千億、合わせて三兆円という経費が投入されるということで、その後年々利子その他維持管理費等々で三兆円を維持するための費用がかかるという計算になろうかと思います。
○長田委員 長官、大体一兆なんて言わないで、数字のことはいま少し詳しく言ってくださいよ。
○畠山政府委員 全体の金額につきましてはただいま長官がお答え申し上げたとおりでございますが、今まで使いました金額につきまして、六十年度予算までの累計で、備蓄の原油購入資金の方で約八千億円、それから建設資金の方で六千億円、合計約一兆四千億円でございます。
○長田委員 ランニングコストは。
○畠山政府委員 国家備蓄のランニングコストでございますか。これはいろいろ考え方がございますけれども、国が、公団が結局会社をつくりまして、その会社から借り入れるわけで、備蓄タンクを借り入れることになっておりますけれども、それでその借り入れの費用ということでございますると、時点にもよりますが、キロリットル当たり三千九百円とか、そういう数字でございます。
○長田委員 そうしますと、長官のおっしゃった数字と石油部長のおっしゃった数字が随分、片方は一兆で片方は五千億でしょう。何でそんなに違うのですか。
○畠山政府委員 長官が申し上げましたのは多分五十九年度末までの合計であったかと思いますが、私、六十年度予算までの合計を申し上げましたものですから一兆四千億でございます。それで長官の方は約一兆円くらい、こういうことであったわけでございます。
○長田委員 それでは私から細かい数字を申し上げます。原油購入資金、これは五十八年度まで約五千八百九億円、五十九年度以降が約七千九百億円——約というようにつけておいてください。それから備蓄基地建設資金、五十八年度までに三千六百六十二億円、五十九年度以降約一兆七百億円。それから備蓄維持費、これは借入金に対する利子、備蓄基地の借入料等が含まれております、これが大体四千億円、こういうふうな膨大な金額が実は備蓄には現在までかかっているということであります。 私は、今申し上げましたとおり、備蓄については、日本はエネルギーのない国でございますから、条件が許せば積み増しをする、ふやしていくということは当然だろうと考えます。しかし、税金を上げてみたりあるいは我々の税金を大量に使ってみたり、こういうような無理をして、今需給がだぶついております、そういう意味において非常に金のかかるこのような備蓄というのを積み増しする必要があるのかどうか。世界の趨勢からいってもこれはちょっと考えなくちゃならない問題だろうと実は指摘をしたいのであります。この点につきましてもう一度ひとつ明確な答弁をいただきたいと思います。
○柴田(益)政府委員 先生御指摘のとおり、確かに備蓄につきましては非常に金がかかるわけでございます。しかしながら、これはエネルギーの安定供給確保という立場から必要な費用ではないか、そういうふうに理解しているわけでございます。 石油ショック当時を思い起こしてみますと、第一次石油ショックのときにはランニングストック以上の備蓄がなくて国民経済が非常に混乱いたしました。第二次石油ショックの昭和五十三、四年のときには民間備蓄が九十日近くございまして、そのために我々エネルギー政策を展開する上で非常に余裕があったし、国民の皆さんも落ちついて行動されたわけでございます、そういう意味におきまして、我々といたしましては、この三千万キロリットルをやってもなおかつIEA加盟国より低いという状況あるいはホルムズ海峡依存度が非常に高いという状況、こういう状況で、国民の皆さんに安心してエネルギーを使っていただくためには、この三千万キロリットルというものはコストがかかりますけれども、ぜひやっていきたい、そういうふうに考えているところでございます。
○長田委員 石油及び石油代替エネルギー勘定、この総額が六十年度の予算で四千七百億円ですね。これで見ますと、ランニングコストだけでも四千億円かかるという将来の展望になりますけれども、こうなりますと、財政問題で早晩見直す時期が来るように私は思います。将来の問題ですから、そのときまた論議しましょう。 もし仮に政府として三千万キロリットルの備蓄がどうしても必要だということになりますれば、現在民間の石油企業が持っております遊休タンク、これは一千万から一千五百万キロリットルの遊休タンクを持っておるということでございまして、こういうものを借り入れてあげれば石油企業も助かるし、また資本投下の金額についても非常に軽減される、一挙両得だというふうに考えております。国内でタンクが充足しているにもかかわらず、このような新しい巨大なタンク群を建設するということは一体どうなのか、税金のむだ遣いになりはしないか、そういうことを私は心配いたしております。また、環境や防災上の面からも問題が出てくるだろう、このように考えているわけであります。これについてのお考えはどうでしょうか。
○畠山政府委員 御指摘のとおり民間のタンクが余っておりまして、私どもの調査では千六百万キロリットルくらい確かに余裕分があるわけでございます。そこで、おっしゃいますように国家備蓄のために民間のタンクを借り上げております。現在のところ、今年度末で九百五十万キロリットル分は民間のタンクの借り上げによってしのいでおるということでございます。無論これは暫定的な措置でございまして、国家備蓄の基地ができてまいりますと、だんだんそれにかわっていくということでございますけれども、現在の千七百五十万キロリットルのうちの九百五十万キロリットルというのは民間の余剰タンクの活用によってやらしていただいておる、そういう状況でございます。
○長田委員 民間のタンクも余っておる状況でございますから、どうかひとつそこらのことも十分勘案して対応していただきたい、このように考えております。 次に、ガソリンスタンド問題及びそれに関連する問題についてお尋ねをいたします。 昭和五十二年五月に揮発油販売業法が施行されてもう既に八年になろうといたしておるわけであります。言うまでもなくこの法律は、ガソリンスタンドの数が非常にふえました、そのためにガソリンスタンドの業者の皆さんが大変経営に苦労された、そういうようなことで過当競争を防止していこう、そして経営の安定を図ろうというのがこの法律の趣旨でございました。またこの法律は、当委員会におきまして審議の経過から「揮発油販売業者の登録制の実施により、石油元売業者の揮発油販売業者に対する系列化が促進されないよう配慮するとともに、新規参入業者、特にノーマーク業者が不当に排除されることのないよう十分留意すること。」という附帯決議が付されたわけであります。ところが今日、スタンドの市場の実態というのは、この法律の本旨とは全くかけ離れた状況となっておるのも実情でございます。 と申しますのは、元売各社のシェア争いが非常に激化いたしておりまして、昨年の秋からその熾烈さはますます激しくなっておるわけであります。そういう意味で市場は混乱をきわめておりまして、中小企業でありますスタンドの業者の皆さんは大半が赤字経営であるというのが実情であるようであります。そこで、エネルギー庁の行った給油所の実態調査で、ガソリンスタンドの赤字の状態、経営が赤字になっておるところ、そういうものは全体のどのぐらいあるのでしょうか。
○畠山政府委員 私どもの実態調査での給油所の赤字の企業の割合でございますけれども、五十八年度で四九・六%でございます。
○長田委員 四九・六%というと大体五〇%。日本ではスタンドが五万九千軒と言われておりますけれども、このスタンドの業者の約五〇%の皆さんが経営が赤字であるというのが、この実態調査の結果であります。私は、我が国の経済あるいは産業活動あるいは国民生活にとりましても動脈とも言えます石油産業がこのような瀕死の状態である、これについては、エネルギー問題全体から考えましても非常に大きな問題だろうと考えております。そこで、このような状態に対しまして、エネルギー庁といたしましてどのような対策を講じられたのか、その対策についてお聞かせをいただきたいと思います。
○畠山政府委員 揮発油販売業に対しまして私どもが講じておる対策は大きく分けて三つございまして、一つは、先ほど御指摘の揮発油販売業法の的確な運用ということでございます。それから二つ目は、五十二年度から五十六年度にかけまして近促法、中小企業近代化促進法に基づく指定業種に揮発油販売業を指定して、さらにこれを五十八年にその特定業種に指定をいたしました。現在その構造改善を中心とした計画の策定作業中でございます。それから三つ目が、昨年十一月にございました石油審議会の御了承も得まして「揮発油販売業における合理的な取引慣行の確立のための指針」というものを策定をいたしまして、事後調整の廃止でございますとか、過剰なインセンティブを伴う転籍勧誘の防止でございますとか、そういったことについても施策を講じているところでございます。
○長田委員 五十二年五月の揮発油販売業法、これは法が施行されましたけれども、それ以前と現在とは、私は現在の方が悪いのじゃないかという感じがしますけれども、どうですか。
○畠山政府委員 恐縮でございますが、その五十二年以前の数字というのが、法律ができてからこの実態調査をとっているということもございまして手元にございませんけれども、ただ法律のできてからだけの数字で見ましても、全給油所に対する赤字給油所の割合はふえておりまして、例えば五十四年度は二一・八%であったものが、先ほど申し上げましたように五十八年度四九・六%でございますから、御指摘のようにだんだん経営状況が苦しくなっておるだろうというふうに考えております。
○長田委員 一方ガソリンの乱売ぶりも非常に目に余るものがあります。兵庫県の姫路市における一リッター百二十四円を初めといたしまして、京都−大阪間の国道一号線では一リッター百二十六円から百二十九円、首都圏においても埼玉県南部の県道大宮から栗橋線ではリッター当たり百三十二円の看板があります。それから、百三十二円から百三十五円までの価格の表示というのはありますね。また町田市でも先日、リッター当たり百三十二円という看板が出ておりました。ところが、東京都心にずっと入ってまいりますと、こうした価格もリッター当たり百五十五円から百六十円ぐらいの看板が実は出ております。同じガソリンでなぜこうも価格が違うのかという、我々消費者にとっては非常に理解できない三十円の格差というのがあるのですね。それは、私は元売が石油を輸入する段階の問題なのか、原油価格の問題なのか、あるいは輸送段階におけるところの問題があるのか、あるいは精製段階に対しての問題があるのか、この流通過程の三段階がありますけれども、原因はどこら辺にあるのでしょうか。
○畠山政府委員 御指摘のように、場所によりまして給油所のガソリンの販売価格が大きく異なるというのは事実でございます。これは、私どもは、市場環境それから給油所の置かれた立地条件それから給油所の営業方針、そういったものによって一般的に差がああということであろうかと思っておりまして、御指摘の原油の価格差によって違うというようなことは当面、現在の価格差では見られないのではないかなというふうに思っております。ただ、御指摘の埼玉ですとか千葉ですとか神奈川ですとか、あるいは関西の一部でございますとか、そういったところはガソリンの市況の下落が激しいわけでございますけれども、そこは振興住宅地であったりいたしまして非常に需要増加が期待されるということと、高速が走ったとか道路がよくなったとかそんなようなことで非常に石油元売企業なり、それから販売業者間で拡販と申しますか、販売量の拡大を志向して激しい競争を行っておるというようなことから一部そういう地域で値段が安くなるということで、そうじゃない地域では普通に売られるというような現象であろうかと考えております。
○長田委員 これはスタンド側から考えてみますと、例えば隣り合ってずっとスタンドが林立しておりまして片方が百三十二円で売った、私の店では百五十円で仕切られているから百五十円でしか売らないということになりますと、全然お客さんはスタンドには来ないのですね。もうせっぱ詰まって隣が百三十二円になったらうちは百三十一円にしよう、もう赤字覚悟で看板を出す、最後は元売に泣きつく、これしか手がないようなんですね。 そういうようなことで、先ほどちょっと話が出ました事後調整の問題があります。五十七年の秋だと思ったけれども、通産省は元売各社に対しまして、次々に呼びまして事後調整をやめるように、こういう行政指導をしていますね。その結果ガソリンの値段が全国一律百五十円ぐらいに統一されました。ところがその後これが崩れまして、最近ではまた賛助金だとかあるいは奨励金とかいう名目で事後調整をしているようなことを私は聞いております。この事後調整の問題は現在どのような状況なんでしょうか。そうでないとどうしてもスタンドは経営できませんからね、事後調整をやってもらわないと。
○畠山政府委員 事後調整でございますけれども、御指摘のとおり、五十八年でございますが、五十八年の秋に私どもでなるべくやめたらどうかということを申し上げまして、それから昨年にも、先ほどちょっと申し上げましたように、いわゆる公正競争ルールの確立ということで事後調整の廃止を呼びかけたわけでございます。最近もまた、その指導を徹底いたしておるわけでございますが、最近非常に過当競争が激しくなってまいりまして、特約店なんかの中にはやはり仕切り価格の事後調整に対する期待があるのじゃないかというふうに言われておりまして、引き続き私どもといたしましては、その廃止につき指導の徹底をしてまいりたいというふうに考えております。
○長田委員 そしてまたエネルギー庁は五十九年十一月二十九日に、行き過ぎた販売競争を防止するため、仕切り価格の事後調整の廃止を盛り込んだ四項目、この通達を出しております。出しておりますけれども、その後一向に効き目がないというのが私は実情だろうと思うわけであります。さらに、この事後調整は元売各社のシェア争いの一つになっているやに私は聞いておりますけれども、こういう点は非常に重要な問題であります。この点ひとつ見解を伺いたいと思いますが、どうでしょうか。
○畠山政府委員 今御指摘がございましたように、五十九年十一月に「揮発油販売業における合理的な取引慣行の確立のための指針」ということで、事後調整の問題を含めまして四項目について指導方針を明らかにしたわけでございます。ところが、その後揮発油の価格はどうなったかということでございますが、おっしゃるように下落傾向がある。それで、先ほど申し上げましたように事後調整への期待がどうもあると思わざるを得ないという状況であることはそのとおりでございまして、したがいまして、私どもとしても引き続きこの指針の徹底に努めてまいりたいと思っておりますが、ただ、これは何といっても基本的には民間の取引の問題でございます。ですから私どもも、役所が強権的にお願いするというような筋合いのものでもございませんので、ぜひこういう前近代的な取引慣行、仕切り価格がはっきりしなくなるわけでございますので前近代的な取引慣行でございますので、ぜひその辺を自覚をしてもらって、そして民間の取引としてきっちりした取引をやっていただきたいというふうに考えているわけでございます。
○長田委員 そういう意味で、スタンドが多過ぎるという原因もあると私は思いますけれども、やはり元売が、スタンドも十分経営できるようなモラルがないとこれはうまくいかないような感じがいたしております。どうかひとつ元売に対してはしっかり行政指導をやっていただきたいと思っております。 次に、元売の集約化、業務提携についてお尋ねをいたします。 日本石油と三菱石油など、我が国の石油元売十三社、これが七グループに集約されたことによりまして、これまで心配されてきました業界の過当競争是正と体質の強化が一歩進む点は私も評価をいたします。しかし問題は、こうした業務提携と消費者の利益あるいはスタンド業者の利益をどう両立させるかに私は大きな問題があるだろうというふうに考えております。消費者の一部には、集約化によって高い製品を買わされるのではないかというような心配をする向きも実はあります。また、元売の集約化によりまして、スタンドに対しまして影響も心配が出てきておる状況でございます。特にスタンドの場合の影響といたしまして、地域格差の問題さらには仕切り価格に価格差は生じないのかどうかという点がございます。 さらに集約化への影響という意味でお聞きしたいのでありますけれども、元売が集約化を進める場合、販売機能の充実という観点から、他系列から引き抜きを行っているやに私は聞いておりますけれども、そういう事実があるのかどうか、この点はどうでしょうか。
○畠山政府委員 元売の集約化に伴って他系列からスタンドの引き抜きがあるかどうかという御指摘でございますけれども、元売の集約化自体は昨年いろいろありまして、ようやく十一月くらいから本格的にスタートをしたという状況でございます。緒についたばかりという状況でございます。 御指摘の、他系列からのスタンドの引き抜きというのは実はあるわけでございますけれども、ただ、これは元売の集約化に伴ってそういうことが起きたのかというとどうもそうではなくて、それとは別の原因で恐らくたくさん他系列からの引き抜きということがあるのであろう、それが過剰なインセンティブによって引き抜かれるとよくないものですから、それにつきましては先ほど御指摘の、去年の十一月の指針の中で、過剰なインセンティブによる他系列からの引き抜きというものはよしてくださいということを業界にお願いしているところでございます。
○長田委員 元売のシェア争いとスタンドの経営悪化、このような問題から、ただいま申し上げたとおり、他系列から引き抜きや移籍の問題、こういう問題は相当あるようなんですね。 例えば東京などのように、ガソリン需要の多い地域では、ガソリンスタンドの権利を買い取るために一億円である、こういうようなことも実は言われております。また、移籍した場合は移籍料が支払われまして、赤字経営のスタンドがその場しのぎをやっておるということも実は聞いておるわけでありますけれども、こういう点は実態はどうなんでしょうか。
○畠山政府委員 元売の企業間での激しいシェア競争の結果、転籍料等過剰なインセンティブによる給油所の転籍勧誘があるのじゃないかということでございますけれども、そういう例があるというふうに私どもも聞いてはおります。聞いてはおりますが、その額とかそういう実態については、恐縮ですが把握をいたしておりません。
○長田委員 この点につきまして公正取引委員会にお尋ねをいたします。 公正取引委員会は、昭和五十六年、卸、小売を中心とした石油製品の流通実態について調査をされたわけであります。その中でやはり公取の場合、移籍料でなくて転籍料と言うのですね、転籍料のことを調べられたと思いますけれども、その実態について明らかにしていただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 当時の調査でございますけれども、当時の調査の結果をちょっと御披露いたしますと、系列下におさめよう、そのための手段として、仕切り価格の割引、資金の融資、転籍料の支払い等の有利な条件の提示があるということを指摘いたしまして、このような動きは、外資系元売に多いと言われている。一般に、石油販売業者に対して支払われる転籍料は一給油所当たり六百万円ないし一千八百万円程度と言われている、こういうことでございました。
○長田委員 このようにして、昭和五十六年ですから大分値段も上がっているのじゃないかという感じがいたしております。そういう点で、どうかひとつ、このような混乱状況の中で行政指導が今大事なときでありますから、しっかり指導していただきたい、このように考えております。 それから、通産省は昭和五十八年十二月に、日本エネルギー経済研究所の向坂正男会長を団長といたしまして、石油流通調査団を西ドイツ、フランス、アメリカなど欧米四カ国に派遣をいたしました。そして、ガソリンスタンド業界の実態などを調査して、その報告をまとめられたということを、私聞いております。 これによりますと、一つはセルフサービススタンドの設置をすべきである、第二番目にはコンビニエンスストアの併設なども考えるべきである、第三番目には不採算スタンドの統合化などの提言をしておるようでありますけれども、これらをどのように評価しておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○畠山政府委員 御指摘の欧米石油流通調査団の御報告の中にいろいろ今おっしゃったセルフの話とかがあるわけでございますけれども、私どもも資源エネルギー庁長官が有識者を集めて懇談を行っておりますけれども、その懇談の結果まとまりました中間の御意見によりますと、セルフの点につきましては、これは進めていったらいいけれども日本の風土に合うかどうか、その辺をよく検討しなくちゃいかぬというような御意見がございました。 それから、コンビニエンスストアというのは要するに給油所が多角化するという一つの形態でございますけれども、これは先ほどの懇談会、ビジョン研究会と申しておりますけれども、そのビジョン研究会で今具体的にコンビニエンスストアの問題も含めまして多角化の方向をどうやっていったらいいかということで、検討を進めているところであります。 それから不採算のスタンドの統合という問題も、流通ビジョン研究会の中で多角化とあわせまして、経営の集約化という問題の一環として検討することになるのだろうと考えております。
○長田委員 昨年六月に石油審議会の石油部会小委員会は、その報告の中で、ガソリンスタンドの登録制度を中心に揮発油販売業法とその運用のあり方について、同法存廃の必要性を含めて幅広く検討すべきであるというふうに報告をいたしております。 こうした中で、通産省はガソリンスタンドについて、また中小企業団体の組織に関する法律の不況カルテルを適用して、乱売防止をしよう、そういう動きがあるやに聞いております。政府規制はできるだけやめるべきだというのが私の考えてありますし、そこで通産省がこのようなことを考えておるということについては私もいささか疑問を持っております。この点については今通産省はどう考えておりましょうか。 また、公取は仮にもそのような申請があった場合認めるつもりがあるのかどうか、この点をお尋ねいたします。
○畠山政府委員 先ほど来のお話にございますような過当競争による混乱を背景といたしまして、揮発油販売業界におきましては中小企業団体法に基づきます調整規程、いわゆる不況カルテルでございますが、その申請について検討を行っていると私ども伺っております。ただ、これは中小企業団体法に基づきまして業界側が検討しておられる問題でございまして、私どもがそれを規制するとか、そういうことではないわけでございます。そういう検討を行っているということを聞いておりまして、正式な申請は現在のところ出されておりません。
○高橋(元)政府委員 石油商業組合が中団法に基づきます安定事業を行った事例がございます。これは昭和三十八年から四十九年だったわけでございますけれども、その中で、正札販売でありますとか不当廉売の禁止でありますとかサービスの制限、そのほか幾つかの事項を含めて十一年間やったわけでございますけれども、当時の事例を思い起こしてみますと、この安定事業というものに端を発しまして、カルテル多発の弊害が著しく見られたわけでございます。そういうことで、こういう安定事業をやめるということで通産省との間でも話がつきまして、四十九年でこれをやめてしまったわけであります。まだ通産省から中団法に基づく石油小売業の不況カルテルの申請についてのお話を伺っておりませんけれども、仮に将来そういうことができてきました場合には中団法及び独禁法の趣旨に照らして厳正に対処するということを考えております。
○長田委員 公取委員長、認める方向ですか、認めない方向ですか。
○高橋(元)政府委員 これは具体的に伺った場合に、その具体的な条件その他の内容を伺った上の判断ということになろうと思いますけれども、石油の安定供給と同時に、石油は最も国民の目に触れる、消費者個人の目に触れる物資でございますから、そういう意味で、価格について非常にナーバスな国民の意向も十分考えていかなければならないと考えております。
○長田委員 次に、ガソリンの輸入問題についてお尋ねをいたします。 昨年一月に京都にあるサワラビ石油というガソリンスタンドが中心になりまして、全国の約百二十のスタンドが石油自主輸入の会という会を設立しまして、シンガポールからガソリンを輸入しようと計画いたしたわけでございます。また、昨年十二月には神奈川県にあるライオンズ石油というガソリンスタンドが同様にシンガポールから石油を輸入したわけでありますけれども、通産省の強い指導と金融停止の通知を受けまして輸入を断念いたしました。ガソリンなどの製品輸入については昨年六月の石油審の報告では、エネルギーコストを低減するためと製品供給の安定のために製品輸入を漸進的に拡大するということを述べておるわけであります。去る二月五日の新聞報道によりますと、外務省は石油製品の輸入を制限することはガット違反であるということを通産省に申し入れたということが報道されておりますけれども、この概要について御説明をいただきたいと思います。
○畠山政府委員 新聞に、外務省から通産省に対しまして、勧告はガット違反ではないかといった申し入れがあったということは確かに載っておりましたけれども、あの申し入れの事実は文書によっても口頭によってもございません。 それから、ガソリンの輸入の中止というのは今回は勧告措置に基づくものでございまして、相手側の自主的判断によるものでございますから、これはガット協定に違反しないと考えておりまして、これは外務省との見解も相違がない、その限りでガット協定に違反しないということを安倍外務大臣も予算委員会でお答えになっておるということでございます。
○長田委員 また、日本経済新聞には一月二十三日、条件つきではあるが、ガソリンの輸入を認める方針であると通産省は述べておるということでありますが、この点は本当なんですか。
○柴田(益)政府委員 ガソリンの輸入につきましての現在の通産省の方針を述べさせていただきたいと思います。 御案内のように、石油は我が国一次エネルギー供給の六割以上を占める重要物資でございまして、経済の安全保障に非常にかかわる物資でございます。また、御案内のように、石油のほぼ全量を海外に依存せざるを得ない状況でございまして、我が国需要構造に適した石油製品の安定供給を確保するため、原油を輸入して国内で精製するいわゆる消費地精製方式を我が国ではとっておりまして、これは日本だけではございませんで、欧米もそういう方式をとっているところであります。我が国の石油製品輸入比率は近年増加してまいりまして、五十八年度では約一五%になっておりまして、これは英仏とほぼ同様な形、アメリカの倍程度の輸入水準でございまして、日本だけが輸入を閉ざしているという状況にはないわけであります。 この消費地精製方式の今後の方向といたしましては、昨年六月の石油審議会報告にも述べられておりますとおり、今後ともこれを基本としつつ、中長期的には必要な条件の整備を図って、漸進的に極力国際化の方向を目指すということにいたしておるわけでございます。このため三月中旬、五十九年度内にも石油審議会の中に特別の小委員会を設けまして、そこで漸進的な国際化のための基盤整備、制度改革その他の問題について検討を開始していただくということを考えておりまして、これが現在でも通産省の基本的な立場でございます。 〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕
○長田委員 次に、六十年度の経済見通しと経済運営の基本的態度について経済企画庁長官にお尋ねいたします。 昭和六十年度においても物価の安定が経済運営の重要な柱となっておることは御承知のとおりであります。思えば昭和四十八年の第一次石油ショック以来、不況とインフレ、つまりスタグフレーションによって世界経済は長い間悩まされたわけでありますが、第二次石油ショックを克服いたしまして物価が落ちついたと思う間もなく三年という長い不況に突入いたしました。そして、五十八年の二月を底といたしまして景気が回復したと言われておりますが、国民の感覚から考えてまいりますと、どうも景気がよくなった実感がわいてこないのもまた実情でございます。 それは第一に、実質賃金が伸びてないことが指摘されるのじゃないかと私は考えます。ある程度賃金が上がりましても税金はふえる、さらに社会保険もふえてしまう。可処分所得においてはほとんど変わりがないというのがどうも実態であります。 第二番目には、企業倒産が去年は史上最高と言われておりまして、一千万円以上の倒産が二万八百四十一件、負債総額は三兆六千四百億円という史上最高を記録いたしております。 第三には、景気が回復したと言われておりますけれども、もう既にそれから二年になろうとしておりますけれども、どうしても地域別の格差が出てきております。さらには業種間の格差も、これはどうにもならない実態でございまして、そういう点では全体の景気の回復は企業間の回復あるいは業種間の回復、さらには地域間というふうに非常にまだらでございます。そういう意味で、先ほどちょっと申し上げましたけれども、中小企業の倒産は衣食住関係の倒産が非常に多い。依然として生活部門がぱっとしてないというのが実情だろうと思います。 第四番目には、景気が回復しつつあると言われておりますけれども、依然として失業率は高いということであります。二・七%で百六十万人。特にこの失業者の中には若い世代の人が多いということも特徴でございます。 このような状況ですから、勤労者、国民には一向に景気回復的な実感がわいてこないのではないかと私は考えるわけであります。一部の輸出型産業やエレクトロニクスの分野においては賃金もふえる、あるいは所得もふえる、そういうことも言えるとは思いますけれども、全体的に見ますと、この点もちょっと疑わしいというふうに考えざるを得ないと思います。例えば住宅が伸びたということはこの間報道されておりますけれども、この住宅産業についても民間アパートは建てかえが主力でございまして、依然として個人の住宅の建設は進んでないというのが実情でございます。 こうした中で政府は六十年度の経済の成長率は名目では六・一%、実質では四・六%の経済成長を達成したいという目標でございますけれども、実際問題、公共事業は五十五年以降抑えに抑えられておりまして、今回も公共事業は前年度からなおマイナスでございます。こうなりますと、経企庁長官、幾ら内需振興と言いましても、これは経済的にはいろいろな要件を勘案しますと、結論から申し上げて、外需依存になってしまう、これは間違いなくそうなるだろうというふうに私は心配をしております。その意味で六十年度は本当に内需を中心とした景気回復基調に日本経済が大きく変わっていくのか、再びまた外需依存になってしまうのか、ひとつここらの長官の決意といいますか見通しといいますか、お聞かせをいただきたいと思います。
○金子国務大臣 今お話しの国民の実感としての景気感、これは御指摘のとおりだと思います。特に最近の景気は価格景気ではございませんので数量景気、つまり物の値段が上がって景気がよくなる感じじゃなくて、物の回転がふえて、いわば薄利多売でもうけるような式でないとなかなかいかないような、価格の安定したもとにおける経済の拡大でございますので、特にそういう感じが深いかと思うのでございます。また、地域、産業におけるそれぞれの格差も今すぐなかなか是正できないのが現実の姿でございます。 一番私どもとして望ましいと思いますことは、思い切って所得減税、特に所得税の累進度が高うございますから、何とかやらないかという話も内部的にいろいろやったわけでございますけれども、御承知のような財政が破局的なところまで追い込まれておる、公共事業もなかなか伸ばせないということでございましたけれども、少なくとも基幹的な技術産業に対する刺激を与える意味においての投資減税を昨年に引き続いて中小企業等についても思い切ってやる。これは金額は大したことございませんけれども、去年やっておりますからそれと合わせてことしもやろうとか、あるいは一般会計における公共事業の枠を多少でもふやす。これは初めはもっと減らすということだったんですが、まあ、やるのが精いっぱいのところでございましたが、私どもといたしましては、今御指摘のとおりいつまでも外需依存の日本経済であってはいけませんので、輸出を伸ばすことは結構でございますけれども、内需振興の見地から、たびたび申し上げておることでございますけれども、民間の活力がもっと伸び伸びと伸ばせるようなデレギュレーションと申しますか、不要な規制の緩和を思い切ってこの際やりたい。 レーガン大統領が第一期に初めて当選いたしましたときに、まさにそれをやって一つの大きな成果を上げたわけでございますので、いろいろな面において、例えば住宅産業が振るわない一つの原因は宅地についていろいろな規制が各省から課せられておる問題がございます。また、都市計画等についてもいろいろな規制がございます。そういったものを一つずつ取っ払うとか、あるいは例えば電電を民営化したために第二電電もでき、またいろいろな企業がその事業に参画しようというようなことになっておりますが、これは一遍になかなか効果は上がりませんけれども、私どもとしては民間活力が盛り上がるような環境づくりだけはタイムテーブルをつくって一つずつしっかりやっていかなきゃいかぬということで、今河本大臣を中心にいたしまして仕事を進めていただいておるような次第でございます。 可処分所得がなかなか伸びないぞという御指摘もございましたけれども、私ども最近の状況を見ておりますると、去年の九月、十月ぐらいからだんだんと可処分所得が伸びてまいっておる状況でございまして、特に年末のボーナス等もふえておりますので、一般の消費がだんだんと盛り上がってきておる。ただ、今度の景気回復段階をじっと見ておりますると、タイムラグがなかなかかかっているんです。すぐ消費に火がつくというような状況でなかったことは事実でございまするけれども、最近の消費の状況、住宅産業の状況、特に輸出に関連する設備投資だけじゃなくて、輸出に関係のない設備投資が製造業のみならずサービス産業、観光産業等にもだんだんと末広がりに伸びておる点考えますると、まあ今度の目標は十分達成できるんじゃなかろうか、また達成させなければいかぬと私どもは考えておる次第でございます。
○長田委員 長官、そういう意味では私は内需の拡大の具体的な方途というのがもう少し鮮明になりませんと、どうも外需依存的なそういう傾向に方向が行ってしまうということを危惧いたしまして、申し上げたわけであります。 もう一点長官にお尋ねしたいのでありますけれども、ドルが外国通貨に対しまして非常に全面的に強いということが続いておるわけであります。内需を拡大して国際収支の黒字を減らそうというときにこうした状況というのは、アメリカの対外赤字を拡大させることと、我が国などの黒字を増大させる原因にもなっているように私は思うのですね。しかし先日発表されましたアメリカ大統領経済諮問委員会の経済報告を見てまいりますと、ドル高がアメリカの物価を安定させ、生産や投資も増大させて生産性の向上に役立ち、アメリカ経済に大いに貢献したと、ドル高の恩恵を強調いたしております。これはドル高を容認しているだけではなくて、ドル高とアメリカの財政赤字、高金利とは関係がないと言っているわけでありますから、こうしたアメリカの見解と貿易摩擦との関係につきまして長官のお考えはどうでしょうか。
○金子国務大臣 そういう指摘をしておりまするけれども、私どもはやっぱり、アメリカの財政赤字が高金利を呼び、それがまた輸入超過によって物価を安定さしておることは事実でございますが、同時にそれが対外経済摩擦と申しますか、日本から言えば対外経済摩擦を激化さしておるゆえんでございますので、我々といたしましては、できるだけやっぱり向こうの財政赤字を圧縮してもらって高金利を下げてもらいたい、率直なところそういう気持ちを強く持っておるわけでございまして、特に高金利の是正につきましては、事あるごとに政府首脳の間での話し合いの間に話が取り上げられております。また来るべき五月のボン・サミットにおきましてもこれは一つの大きな政治課題になろうかと思っている次第でございまして、できるだけ高金利の是正を私どもは迫っていく必要があると考えております。 それからもう一つの問題でございます財政赤字の是正の点につきましては、ついしばらく前に出ましたアメリカの大統領教書におきまして、五百十億ドルでございますか再来年度になりますけれども、赤字を圧縮するということをしたいということを発表いたしておりますので、これは国会との関係でどういうことになるかわかりませんけれども、少なくとも大統領府自身といたしましてはその努力をしておること自体は間違いないというふうに考えておる次第でございます。
○長田委員 それでは、あとまだ大分質問が残っておりますけれども次回に回すことにいたしまして、最後に長官、このままドル高が続きますと、私は輸入インフレ的な様相が将来出てくるのじゃないかということを非常に心配いたしております。この点についてのお考え方と、さらに野党が四党でもって減税のすり合わせの作業を始めました。二十五日になるか二十六日になるかわかりませんけれども、一兆円規模の所得減税を政府に要求をしたい、提案をしたい、このように考えておるわけであります。先ほどから論議いたしました内需振興策としてやはり減税がタイムリーな政策であろう、このように考えておりますけれども、減税についての長官の忌憚のない御意見、必要性についてお述べをいただければ大変ありがたいと思っております。
○金子国務大臣 第一点の為替レートが依然円安が続いた場合に国内の物価にどういう影響を与えるかという点でございますが、今二百六十円台しばらく続いておりますけれども、これは余り長く続きますと一つは卸売物価に影響いたしまして、それが消費者物価にはね返るというような悪循環をもたらすのでありますが、ただ、幸いと今、国際商品価格が下がっておりますし、油の輸入も減っておりますから、すぐ端的に卸売物価にはね返るようなことはございません。今まだその心配はないのですが、私どもといたしましては、日本経済が行儀が悪いとかできが悪いとかいうことではございませんので、案外早い機会に円レートが戻ることを望んでおる次第でございます。 それから、そのためにはやはり国際的な協調で為替レートに介入する必要がございますものですから、先般行われましたG5と申しますか、各先進国の大蔵大臣の間の会合におきましても、アメリカを中心にある程度為替の安定を図るために協調的な介入をやろうじゃないかという話が行われ、またそれが効果を上げていることは御承知のとおりでございます。 それから第二の減税の問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように、本年度の問題といたしましては正直言って財源がないわけでございますので、ことしは身がわり財源何か出せと言われてもそれは大蔵省簡単にいかぬと思うのであります。ただ、将来の問題として、やはり所得税の累進度が非常にきつくなっておりますから、特に日本の社会をしょっていただいている中堅層の負担が急に重くなっておりますので、これは思い切って引き下げる、また対外競争力の関係からいっても、法人税もある程度引き下げて間接税にある程度振りかえをやるというようなことを行く行くは考えていく必要があるのじゃなかろうかということで、今各党間でいろいろな議論が行われていることは御承知のとおりでございます。
○長田委員 終わります。
○粕谷委員長 これをもちまして長田武士君の質疑は終わりました。 次に、青山丘君の質疑に入ります。青山丘君。
○青山委員 長官を初め皆さん朝からの質疑で大変お疲れだと思いますけれども、いま少し質疑を続けさせていただきたいと思います。 まず経済企画庁長官にお尋ねをいたします。 政府の昭和六十年度の経済見通し、これは我が国のGNPが名目で六・一%、実質で四・六%、そのうちの内需外需のバランスは、内需が四・一%で外需が〇・五%、まきに内需主導型の性格が非常に強い。こういう形でことし予算が進められてきておりますが、しかし、こうした好ましい見通しにもかかわらず、決定当時からいろいろとマスコミ等で取り上げられてきました。その一つは、例えば名目成長率六・一%、これがまず決定をされて、それから各需要項目が逐次算定されていったのではないか、こういうような点であります。 そこで、今回のこの見通しが実質的に決定されました昨年の暮れ、当時の経済情勢を見てまいりますと、設備投資などの内需は緩やかに増加を続けておりまして、各経済指標も大体前期比増、こういうことを示しておりました。比較的明るい状況の中でこの見通しが立てられたわけであります。しかしアメリカの経済情勢は、もう既にこの段階で民需が若干落ち込んでスローダウンが見られた。そして六十年度後半からは低成長になるのではないかという見通しの中で政府の見通しが立てられたわけであります。 我が国は内需に九割近くを依存した六・一%の成長でありますが、そういう状況の中で、さてこの達成は少し無理ではないか、GNPの構成項目の伸び率から見てみましても、いささか無理があるように思われております。この点が第一点。 それからもう一つは、今回こういういささか高い成長率になってきたのは、防衛費のGNP一%枠、これを守っていくためにいささか高い成長率になったのではないか等々の疑問が投げかけられておりました。私は本来名目六・一%、実質四・六%、これが達成されれば大変結構なことで、昨年四・一%の経済見通しが出されたときに、これが達成されれば大変よい、それよりも、むしろ一・二%の上方修正という形で五・三%が達成されそうだ、こういうことはとってもいいことだと思うのであります。しかし今年の場合に、さてその六・一%、私はいささか疑問があるのではないかと思いますが、経済成長率算定の経過について、まず御説明をいただきたいと思います。
○金子国務大臣 お話しのとおり、昨年の見通しを作成する当時、アメリカの経済の先行きがどうなるかをどういうふうに考えるか、これがやはり一つの山だったと思うのでございます。アメリカの経済が大きくスローダウンしますと、世界経済全体にもちろん大きな影響を与えますし、日本経済は当然のことでございます。しかし、これは各国の専門家の見通しから見ましても、そうシャボン玉のように新年度になってアメリカ経済がしぼんでしまうという見方はごく少数でございまして、大部分は七%程度から三%台に軟着陸するんではなかろうかという見通しをとっておりました。私どもの経済企画庁としての立場もやはり多数説に従って、極めて安全率の高い三%台の軟着陸を見たわけでございますが、現に御承知のとおりきのうかおとといか、十月−十二月の成長率は相当伸びておりますし、まあここら辺がいいところじゃないかと考えておるわけでございます。 それから六・一%も、正直言ってこれは企画庁として極めて安全を見込んだ数字を出さなければいかぬわけでございまするけれども、十幾つかの国内の各専門の調査機関の大体真ん中どころへ来ておるわけでございまして、決して無理な数値ではないのではなかろうか。ただ、五十九年度のように対外貿易に大きく依存するわけにはいかぬ、やはりだんだんと内需に移行せざるを得ないということでこの数値を出したわけでございまして、初めに六・一という結論が出て適当に数字を積み上げたとかそういうことじゃなくて、それぞれの部門について細かい算定をやりながら今の六・一を出したわけでございまして、必要があれば担当の政府委員から説明をいたさせます。
○青山委員 いいです。 内需主導型は私は結構だと思うし、六・一%の見通しがそれほど高いものではない、十分実現の可能性があるし、むしろ上方修正しなければならない事態が来る。これは、外需に頼らないで内需主導でそういう形ができてくれば結構でありますが、ただ、どうしても内需主導型でやっていこうと思いますと、個人消費が伸びていくのかどうかということになってくると思います。 政府が六十年度の民間消費を名目六・九%と見通しを立てております。その根拠としては、雇用者の所得が伸びていくであろう、五十九年度に比べて一%は伸びていく、こういうように見ておられるようです。政策的には「物価の安定等を基礎として拡大を続けこと説明しておるわけですけれども、今回の政府見通し、これが内需に依存しているものですから。その内需の六割は民間消費に左右されるわけであります。そうなってきますと、この民間消費、個人消費の伸びが実は、経済見通しが五十九年度、今年度は上方修正されたにもかかわらず、個人消費は下方修正また下方修正、こういう状況であります。これが根拠になっていてさて本当に大丈夫か、こういう疑問を持つのはごく当たり前であろうと思うのです。その辺の御見解はいかがでしょうか。
○金子国務大臣 御承知のとおり、昨年所得税、地方税の総額で一兆円を超える減税をやりました。しかし、案外家計部門における財布のひもがかたいのに実は私どもはいささか戸惑いを感じたわけでございまして、八月くらいまでは、可処分所得がふえておるはずにかかわらずなかなか消費が伸びていない。やはり教育費の問題やら先行きの経済の問題、老後の問題、いろいろお考えになって財布のひもを締めておられたんだろうと思うのでございまするけれども、本格的な景気回復の段階に入りまして、しかもだんだんと雇用者所得も伸びてきておるというようなことから、暮れから正月にかけて相当消費も伸びてきておりますので、その点は相当さま変わりしてきておるのじゃなかろうか。 今後も雇用者所得につきましては、お話もございましたように、五十九年度の五・九%程度から六・八%程度へ伸びるものと私どもは見ておるわけでございます。特に、先ほどもちょっと触れたのですが、物価が安定して先行きの物価の心配はないぞということが一つ大きな要因にもなりまするし、設備投資が輸出関連のものだけではなくて内需中心のものとサービス関連のものにまでどんどん伸びてくることによって事実収益もふえてきておるというようなことから、私どもは、消費は着実に伸びつつあるというふうに考えておる次第でございます。
○青山委員 消費が確実に伸びていく、そういう見通しのようですけれども、さて、個人消費の拡大に関連して、去年の十二月に公表されておりますOECDのエコノミック・アウトルック三十六、このアウトルックによりますと、一九八五年の我が国の家計所得の伸びは前年を一%は上回るであろうと、おっしゃったような見通しも出ております。ところが、同時に、これは八四年に実施された所得税減税以上の規模の減税がもし八五年に実施されないときは、実質の所得の伸び、可処分所得の伸びは家計所得の伸びについていかない、家計所得の伸びほど伸びないであろうというような指摘をしております。 六十年度の経済見通しによりますと、前年度を一・七%も個人消費は伸びると期待しておるわけですけれども、さて、家計所得が伸びていくのかどうか。そして大幅減税も、先ほどのやりとりですと、しない、財源もない、こういうような政府の方針で、これから消費も伸びていくという見通しの根拠があるかどうか、その辺を御説明いただきたいと思います。
○赤羽政府委員 六十年度の消費の見通しに関連をいたしまして、家計所得の伸びにつきまして御説明申し上げます。 OECDが見通しておるという点を最初に御引用になりましたけれども、OECDの見方は、大体実質で四%ぐらいの消費が実現できるだろう、その前提として、いわゆる雇用者所得に当たるものが六と四分の三%、ほぼ私ども政府の見通しと同じ程度の伸びになる、こういうふうに見ておるわけでございます。 ただ、可処分所得、税引き後の所得ということになりますと若干下がる、それは、減税がなかりせばそうなるということを言っております。これは、現在の所得税というのが累進構造になっておりますので、減税がなされない限り所得の伸びよりは所得税の伸びの方が大きい、したがいまして、所得税控除後の可処分所得の伸びが低くなるということはそのとおりでございます。 それにもかかわらず、私どもの数字におきまして、消費の伸びが五十九年度を上回るという点でございますけれども、これは幾つかの要因がございます。一つは、雇用者の伸びが高まる、あるいは就業者の伸びが高まるということでございます。雇用者の総数の伸びというのは、一・五%という五十九年度に対しまして一・八%ということで雇用者がふえる。就業者ということで申しましても、〇・九%が一・〇%、こういうことで数がふえるという要因がございます。勤労者世帯の一世帯当たりの所得あるいは一人当たりの所得ということで申しますと、所得税減税がありませんと可処分所得の伸びは税引き前所得の伸びを下回るということでありますけれども、税引き前所得の伸びが高まるという点がそこにつけ加わる、こう考えております。 さらには、これは勤労者の場合でありますけれども、昨年のお米が非常に豊作である、こういったようなことがございまして農家関係の消費もふえる、こういったような要因も考慮に入っております。さらにもう一つの点におきましては、消費性向、これが若干ではありますけれども上昇する。それによって可処分所得の伸びが税引き前所得の伸びを下回る点を相殺をする、こういったようなことを考えているわけでございます。最近の勤労者世帯の所得の状況を見てみましても、去年の冬のボーナスというのは前年に比べまして五・二%、五十八年の冬のボーナスは二・七%ということでございましたから、二・五ポイント、ボーナスの支給率が上がる、伸びが高まる、こういったようなことがございまして、昨年の後半というよりはむしろ下半期から来年度にかけて勤労者世帯の所得というのも徐々に伸び率を高めていくだろう、こういうふうに考えておるわけでございます。 そういうことで、締めまして六・八%の雇用者所得、それに農家の所得なども考慮に入れまして、消費は五十九年度よりも六十年度の方が高い伸びになるであろう、こう見ているわけでございます。
○青山委員 もう一つの問題は、できれば後でちょっと触れたいと思うが、対米ドルレートの算定方法です。 昭和六十年度の経済見通しにおける円レートを計算してみますと、おおむね二百四十三円程度、五十九年度の計算値は二百四十円程度で、若干円安のレートの計算になっております。ただしかし、これまでの円レートの算定方法が非常に機械的、数字的な算定方法でありまして、やはりそこには過去の貴重な経験値、あるいは見通しを立てたプラスアルファの数値も加味しながら出されていくのが最も妥当ではないか、こういうふうに思います。御承知のように、日本は今や非常に大きな経済大国になって、ことしじゅうには総支出一万ドルを超すような経済大国になってきているわけです。国のこの円レートの算定方法が、余りにも算術的、機械的に過ぎないか、いささか経験値を加えた、幅があるものであってもいいと思うのです。現に、今日あたり二百六十円を超しているような状況を見ますと、どうも算定方法が過去の方式にこだわり過ぎではないかというような気がするのです。これが一点です。 それから、先ほども少し出ておりましたけれども、最近の円レートの動向を見できますと、アメリカが比較的景気がいい、こういう状態が続いて円安が続いてきますと、輸入物価が上がってくる、国内の消費力も下がっていく、国内の企業の収益も鈍化していく、我が国経済全体に相当な影響をもたらす、こういうふうに思いますが、この点についての御見解もあわせてひとついただきたいと思います。
○金子国務大臣 円レートの算定の方式につきましては、技術的な問題が絡みますので、担当の政府委員から説明をしてもらいます。 それから、円が下がると国内の物価に影響を及ぼし、消費に影響を及ぼしはせぬかという点でございますが、これは御承知のとおり、いつまでも二百六十円台がずっと続くようなことになりますと卸売物価に響くわけでございますけれども、国際商品価格が今のところ少し下がりぎみでございますし、油の入り方も減ってきておるものですから、端的にすぐ卸売物価に響いておるような状況ではございません。多少響いたといってもまだ極めて軽微なところでございますが、私どもといたしましては、この点だけは、物価に関する問題でございますから、為替の動きを慎重に見守って対処していかなければいかぬと考えておるような次第でございます。 特に、ドル高の対策は、これはアメリカの高金利にひっかき回されておるわけでございますから、先般ワシントンで開かれましたG5の会議におきましても、各国からそれぞれ協調介入をやって、ある程度為替レートの安定を図ろうというような動きがございましたが、今後も、これは単独で日本だけでやれといってもなかなか簡単にいかぬ問題でございますので、関係先進国の間で協調的な安定策を講ずるように努力をしていくつもりでございます。
○赤羽政府委員 見通しの作業前提となります為替レートの置き方につきましての御意見がございました。現在やっておりますことは、政府の経済見通しをつくります場合の作業時点直前約一カ月ぐらいの平均を計算をいたしまして、それを作業前提として置くということをやっておるわけでございます。これは為替レートの予測ということではなくて、作業をする場合の前提である、こういうことでありますけれども、確かに先生御指摘のような、機械的、単純に過ぎる、こういう点はございます。 ただ、それではどのようなレートの置き方をしたらいいのかということになるわけでございますし、先生が先ほど若干示唆されました幅を持たせるということも一つの案かとは思いますけれども、これまでの円レートの動きというのを見てみますと、過去数年さかのぼってみますと、昭和五十三年十月三十一日の百七十五円何十銭から、五十七年十一月一日の二百七十八円十銭、こういうことで百円以上も動いておるわけでございます。ですから、ある程度の狭い幅でおさまるというようなことであればまた話は別でございますけれども、非常に大きく変動するものである、こういう点が問題になると思います。そういうことで的確なレートというものを変動相場制のもとで、しかも大幅に変動する変動相場制のもとで幅を持たしてみるというアイデアも余り改善にはならない、こういうふうに思っております。 それとともに、五十九年度から六十年度にかけての見通しとの関係、経済の情勢との相対関係で申しますと、現在のような作業前提が非常に大きな問題を起こす、こういうふうには考えておりません。と申しますのは、現在の為替レートは円安であると言いますけれども、その実体はドル高ということでございます。ドルというのは国際市場におきます基準通貨でございますから、ドルが高くなるということは国際市場におけるドルの購買力がふえる、こういうことになります。そうでありますと、例えばアメリカ以外の一次産品の生産者にいたしますと、多少ドル建てで価格を下げてみても自国通貨の手取りがふえる、こういうことで喜んで増産をする、こういうことがございます。そういうこともありまして、国際商品市況が下がっておる。したがって、ドル高と国際商品市況の低下を掛け合わせますと、それほど輸入物価の見通しというものがそごをするということはない、こういったような意味もありまして、現在のプラクティス、これは国際的にも共通してとられているやり方でございますけれども、それほど実態的に問題はない、こう考えております。
○青山委員 次に、ガソリンの輸入問題について若干お尋ねをいたします。 さきにライオンズ石油のガソリンの輸入問題が新聞紙上を相当にぎわして、私どもも関心を示したところでありますが、その経緯を若干御説明いただきたい。また、通産省資源エネルギー庁のとられてきた措置。それから、今回のこの取引について石油業者を通じたりあるいは取引銀行を通じて兵糧攻めみたいな報道もなされておりまして、どうしてこのような措置をとられたのか、若干御説明いただきたいと思います。
○村田国務大臣 資源エネルギー庁長官も参っておりますが、私から大略のことを申し上げましょう。 まずライオンズ石油株式会社佐藤太治社長のガソリン輸入でございますが、昨年の十二月三日に同社が石油輸入業開始等の関係書類を持参して通産省に参りました。本件については、国内の石油製品の安定的かつ低廉な供給に重大な支障を生ずるおそれがあるということで、昨年の十二月二十四日に石油審議会に諮問の上、十二月二十七日、通商産業大臣の勧告を行ったわけでございます。同社の輸入計画の中止を求めたわけでございますが、ことしに入りまして一月八日、同社から通産省に対しまして、勧告を受諾しガソリンの輸入を中止する旨の連絡があったわけでございます。なお、その際、同社から今回の貨物の買い取り先のあっせんについて善処方の要請がありまして、当省としては貨物が到着した事態を踏まえて例外的措置としてあっせんを行った、こういうのが一連の経緯でございまして、ライオンズ石油の佐藤太治社長と円満に協議を進めてそういった措置になった、こういうのが一連の経過でございます。 これは背景がございまして、日本の石油業界の供給につきましては、いわゆる連産品方式ということで、ガソリンあるいは軽油あるいは重油、灯油等いろいろな種別がございますが、原油を輸入いたしまして、それらの連産品を消費地精製方式で日本で精製するわけでございます。それをスポットものとして一つだけ、今回の場合のように輸入をするということにいたしますと、そういった消費地精製方式、連産品方式という日本の石油業界、また政府のとっております今までの方針に非常に相反する結果になるわけでございまして、その点を円満裏に話し合いをし、御納得をいただいたということでございます。
○青山委員 通産省がとってこられた態度について、誤解しないでいただきたいのですが、私、クレームをつけるわけでもありません。ただ疑問な点を若干お尋ねをしていきたい、こういうつもりですから。これはよくわかるのです。ただ不明な点、少しお尋ねしたいと思いますのは、石油審議会でも中長期的には国際化の方向で進めていかなければいけないんだというようなことを昨年六月言っているわけですね。こういう事態が出てきたら、今回はまずいということになると、石油審議会の本音が一体どこにあるのか。つまり石油の安定的な供給の問題、それから国内産業としての国内企業を発展させていく、この二つの柱と絡み合わせていくのにはなかなか難しい判断であろうと思うが、何となく理解しにくい。その辺の御見解、いかがでしょうか。
○柴田(益)政府委員 御指摘のとおり昨年六月の石油審議会では消費地精製方式の国際化を少し検討すべきだというような答申をいただいているわけでございます。そういう意味で消費地精製方式の国際化というのは一つの既定方針でございまして、ライオンズ石油にかかわらず我々は検討するポジションにあったわけでございます。 ただ、この答申でも述べられておりますけれども、消費地精製方式の国際化、具体的には石油製品輸入の漸進的拡大あるいは石油製品輸出の弾力化等々がその内容になろうかと思いますけれども、これは諸条件の整備を待って長期的観点から行えということでございまして、国際石油精製市場なり国内のこれを担っておる元売、精製あるいは流通業界にしてもまだ整備すべき点がいろいろあるというようなことでございますし、先ほど大臣申しましたように石油は連産品でございますので、その辺の価格、数量に対する影響もいろいろ出てまいります。そういう意味で、これらを勘案した諸条件の整備を待って、中長期的にこの国際化を進めていくという基本的ポジションでございまして、ライオンズ石油のようにアトランダムに、思いつきでちょっと入ってくるということについてはちょっと待っていただきたい、そういうことでございます。
○青山委員 ただ、今回の措置に対してはIEAの事務局長が新聞でああいう発言をしており批判をしている。シンガポール政府なんか非常に激しく非難をしている。たまたま貿易摩擦が深刻な状況であるだけに、自由貿易を標榜して今日まで努力してこられたその旗頭の通産省がこういう措置をとられることが、いかにも日本の市場の閉鎖性を内外に口実を与えてしまったというような印象を感じるわけです。それは非常にまずかった。そういう点から貿管令を改正していこうというような考え方を持っておられるのかどうか。 それからもう一つは、外国の方の批判だけではなくて、国内では外務省がガット違反のおそれありというような発言もあったように新聞では見ておるのですが、その辺の真相はどうなんでしょうか。
○畠山政府委員 まず第一点の貿管令を改正するつもりであるのかどうかということでございますけれども、貿管令によって措置する必要があるかどうかという問題でございますが、この間とりました措置は、石油業法の規定に通産大臣が計画変更の勧告をすることができるというのが十二条にございまして、それに基づいてやった措置でございまして、これは貿管令でやりますと相手方の意向にかかわりませぬ強権的な措置になりますけれども、石油業法の場合は相手方の同意を前提とする勧告というソフトな措置でございますので、当面これでいくということで考えてございます。 それから、外務省からこの勧告はガット違反じゃないかということで申し入れがあったのかどうかという点でございますが、そういう申し入れがあったことは文書でも口頭でもございません。それから、安倍外務大臣は、今回のケースの事実関係については、通産省から相手方が自主的に判断して輸入を見合わせたものというふうに聞いているので、そういうものであればガット上問題にするには当たらないという答弁を予算委員会でなすっているところでございます。
○青山委員 連産品ということで安いガソリンが入れば、どうしてもガソリンが抑え込まれてくる。そうすると他の油種にはね返ってきて灯油等の値上がりがあるかもしれない。ところが世間では灯油も安いのが入れば灯油も輸入すればいいではないかと言う。それをただ単に思いつきの言い方だと言わないで、実はそういう考え方が出てくるかもしれないというのは、やがて今産油国が相当の製油施設、設備をどんどん増強して原油の輸出と抱き合わせで製品の輸出もやろう、こういうことで日本に迫ってきたときに、その対応策というのを考えておられるのかどうか、こういう事態に対する考え方も持っておられなければいけない、その辺はいかがでしょうか。
○畠山政府委員 灯油が値上がりすれば灯油も輸入すればいいじゃないかという御指摘の点でございますが、実は我が国の灯油というのは消費側の要求が厳しいこともございまして、規格が非常に厳しくなってございます。 実は、一昨年でございましたか、その前でございましたか、灯油の緊急輸入というのをやったことがございますが、実はこれは灯油を輸入したのではございませんで、ジェット燃料油を輸入いたしまして、そして本来日本の国内でジェット燃料油をつくろうと思っていた分を灯油に回して、規格に合う灯油をつくったということでございまして、我が国の厳しい、硫黄分が少ないとか、そういうことでございますけれども、そういった我が国の家庭にきっちり合った灯油というのはなかなか世界の製品市場で見つからないというのが実情でございます。 それから、産油国の製品輸出という御指摘がございましたけれども、産油国、確かにヤンブーでございますとか、そういったところで輸出専門の製品輸出会社をつくりまして、今市場開拓をやっておられるところでございます。やっておられるところでございますが、販売には非常に難しい問題がございまして、といいますのは、そこへ産油国が供給する原油の価格を幾らにするのかというところが非常に難しゅうございます。原油価格を高くGSPどおりにいたしますると、出てくる製品も大体同じような値段ということになりますので、それから安くすると今度はダンピングで輸入国側から訴えられる、あるいはその安い原油を自分たちにもくれという要求を受けるというようなことがございまして、産油国の製品輸出という問題も今後どういう展開になりますか、御指摘のような抱き合わせというのは、原油の供給が逼迫しておりますときには確かに一つのアイデアであったわけでございますが、今のところは少し抱き合わせを強制できるような市場条件でもございませんので、もう少し様子を見てまいりたいと思っております。 ただ、先ほど長官が申し上げましたように、製品輸入全般の問題につきましては、今度、冒頭に御指摘のこの前の石油審議会の答申がございますので、製品輸入の問題を含めまして、消費地精製方式の国際化の問題を小委員会を設けて討議をしていくということになっているわけでございます。
○青山委員 国内の石油企業以外の業者、一般の企業が採算が合う、それから技術的にもそういうノーハウを我が社が持っている、石油業者ではない、石油企業ではない、そういう企業が出てきたときに、一体ガソリンの輸入というのは届け出をしてきた場合にどうされるのか。 それから、もし輸入を認められる場合は、石油の元売業者に限る、こういう考え方なのか、あるいはまた、そういう場合にこの石油業法の改正を考えておられるのかどうか。 時間がないからもうちょっとお尋ねしたい。 今回のこういう問題で、石油業法の問題点が相当出てきております。石油業法の附則第四条で、情勢の大きな変化が来た場合に法律の新しい検討が規定されておるわけですが、そういう情勢の変化をどのように受けとめておられるか。
○畠山政府委員 第一点、石油企業以外のノーハウのある企業などが輸入をしたらどうなのか、それから第二点の石油の元売業だけに輸入を認めることに限るのかというような御指摘でございましたけれども、いずれにしましても、先ほど申しましたように消費地精製方式の漸進的な国際化というのは、今後この石油部会の小委員会を設けまして、そこで検討いたしますので、そのガソリンの問題をそこで含めるかどうかということも含めまして、その小委員会で御議論をしていただきたいと思っておるところでございます。ただ、その同じ石油審議会の答申の中に「広い意味での供給責任の下に、石油企業の自主的判断に基づき国内精製と製品輸入の弾力的な選択・組合せを確保すること、」という答申がございますものですから、こういったことを参考にしながら御議論の展開を待っていきたいと思っているわけでございます。 それから、石油業法の第四条で、情勢の変化があったら再検討をしろということがあるではないかという御指摘でございまして、これは私ども時々その情勢の変化があったかどうかということで検討を確かにいたしております。申すまでもなく、でき上がったのは三十七年でございますから、その後、石油危機を経験いたしまして、確かにいろんなふうに情勢は変化いたしたわけでございます。いたしたわけでございますが、昨年の石油審議会で特にその点について精力的に検討いたしたわけでございますけれども、現在の石油業法のああいった生産計画の届け出、輸入計画の届け出、それに対する勧告、設備規制、そういった比較的ソフトな運用はそれなりに機能を果たしておる。まあもう少し一段とその運用についてソフト化を図っていったらどうかという御意見をいただいているところでございまして、それからもう一つは、先ほどの精製方式の漸進的な国際化ということをやれという二つの御指摘をいただいておりまして、当面そういった方向で検討してまいりたいと思っておるところでございます。
○青山委員 この問題で最後に一点だけ。 政府は、こうしたガソリンの需要の伸びを考えまして、新しくガソリンの生産設備を日量十五万バレル増設、こういう方針を持っておられるようで、これを各社に配分していこう、こういう段階のようでありますが、こうした輸入問題と絡め合わせて政府の御方針を聞かせてください。
○畠山政府委員 石油業法に基づきまして石油供給計画というのができ上がっておりますが、今有効なのは、五十九年度から六十三年度までの五年間の供給計画でございます。 その中のガソリンの需要量を見ますと、今御指摘のように、六十三年度末で十五万ばかり不足をするということなものでございますから、そのためのガソリン製造設備の認可を行っていこうということでございまして、これは今輸入問題とのかかわり合いという御指摘がございましたけれども、国際的に見ますと、日本はその二次設備の比率が非常に低うございます。それで、したがって一滴の原油からガソリンができる割合が低いということになっておるものですから、なるべくそれを高めていくということは非常に必要なわけでございまして、そんなことからも十五万バレル全体ということじゃなかろうと思いますが、供給計画というのは毎年、毎年見直しますものですから、全体ということじゃなくて。きょうもこの石油問題、石油審議会のそのための小委員会をやっておりまして、御議論をいただいておるところでございます。
○青山委員 石油の安定供給と産業の発展、この二つの柱の中で、国際化の新しい情勢の中でひとつぜひ道を誤ることなく進めていっていただきたいと思います。 大臣、通告しないで突然お尋ねして大変恐縮ですけれども、もう二、三日前から自動車の対アメリカ輸出自主規制問題がアメリカでもぼんぼんと新しいニュースが入ってまいりまして、実は私どもはちょっと心配をしておるのです。おとといは通商関係閣僚会議で、これまでの自主規制の継続を求めることはしないというようなことが内定されたようであります。そんなニュースは恐らくもうよくごらんいただいておるところですが、きょうの日経新聞ですと、レーガン大統領は、日本の市場開放姿勢と絡めて結論を出す、こんなようなことを言っておるわけですが、これは私は少し的が外れておるように思うのですね。日本側の通産大臣のこれからの方針、抱負、ひとつぜひこの段階で聞かしていただきたい、こう思います。
○村田国務大臣 青山委員にお答えを申し上げます。 自動車輸出の自主規制問題につきましては、委員御指摘のようにこの一両日非常にいろいろなニュースが出てきております。フランクに客観的な情勢を申し上げますと、実はことしの三月で自主規制問題の一応期限が参るわけでございます。私は通産大臣に就任いたしました十一月に自動車業界と懇談をいたしまして、代表の方々といろいろとお話し合いをいたしました。その際に、この自主規制問題については業界の代表的な意見として、この自主規制を八五年三月以降続けるべきではないという強い御要望がございました。私は、こういった自動車業界の御要望につきましてはよく理解できるところでありまして、これを承ったわけでございます。 それならば、通産省としてあるいは政府としてどういう方針を決めておるかということになろうかと思いますが、実は二月九、十、十一日と四極貿易大臣会議を京都で催したわけでございます。日本側がお世話役でございますから私が議長ということで進行役になったわけでございますが、四極会議の場でそれがすぐ問題になったわけではありません。ただ、アメリカのUSTRブロック通商代表と私とのバイラテラルの会談では、二人だけの間でお話が出ました。そして、私は率直に、自動車の輸出自主規制問題については、日本政府はまだ何も方針を打ち出していない、まだ期限もあることであるから今後慎重に対応をするということを、意見を申し上げ、そしてブロック代表もほぼ同じような御意見であるということを承ったわけでございます。 それ以後、委員御指摘のように、アメリカの関係閣僚会議で、自主規制については、これはもう解除してはどうかという結論が出た旨の情報が伝えられております。そして、それがレーガン大統領に恐らく勧告が出されるであろうとか、いろいろな憶測がされておるわけでございますが、私ども公式には、レーガン大統領がこれについてのどういうコメントをなさったかということを新聞紙上以外では実はまだ承知をいたしておりません。したがって、まだ三月末には期限のあることであり、この自動車輸出問題は日本の国益、また日米貿易にとって極めて重要でございますので、通産大臣としてあるいは日本政府としてのコメント等は一切まだ申し上げずにいるというのが現在の状況でございます。
○青山委員 ただ、私は、この四つの市場開放交渉と絡ましていくというのはいささかどうか、大臣は恐らく絡ませて考えておられるから、今申し上げる段階ではない、こういうふうにおっしゃっているんだろうと思うのですね。 やはり基本的には、この自動車は、かつてのようなあの集中豪雨的な輸出は自粛すべきだけれども、自主規制は当然今年度いっぱいである。本来去年の今ごろで終わる、そうした約束であったのですから。それを日本側の好意でさらに一年間延長された。そしてその間にはアメリカの景気はうんとよくなって、そして大型車の需要が回復し、損益分岐点もぐっと下がって物すごい利益を上げている。こういうような背景の中で自動車問題を考えたときには、私は、もう当然ことしは自主規制は撤廃されるものだ、恐らくポスト自主規制、こういうことで自主規制がなくなった後の段階をきっと考えておられると思うのです。 ただ、私は、日本の通産大臣として一つの方針を示していただきたい。他の市場開放問題と絡み合わせてこれを取引に使うというようなのは少し筋が違う、こういうふうに思いまして、方針をいま一度ぜひお聞かせいただきたい。
○村田国務大臣 青山委員にお答え申し上げます。 非常に重要な問題でございますからゆっくりと申し上げますが、まず第一に、米国政府が自動車自主規制問題について結論を出していない、私は今こういう認識をしております。そして、自動車の対米輸出自主規制の撤廃と例えば電気通信に係る我が国の市場開放問題とをリンクさせて処理していこうという考え方が米側にあるかどうか、これは私は、米側から示されたことはない、こういうふうに了解をいたしております。 そして、それならば、来月末で期限切れとなる対米自主規制をめぐる問題について通産大臣はどうかということでありますが、我が国自動車業界の撤廃要望というのは、昨年十一月の自動車業界との懇談会の際にしっかりと承ったところでございます。諸般の情勢を十分に見きわめた上で慎重に対処してまいる、こういう所存で現在おるわけでございます。これによって御承知をいただきたいと思います。
○青山委員 予定をしたものがまだ随分あります。ところが、もう時間もなくなってきましたので、本当にごく切り詰めてお尋ねいたしますので、ひとつぜひ的確に御答弁をいただきたい。 中小企業庁長官の方から御答弁いただきますでしょうか。 中小企業の技術振興対策というのは非常に重要なことで、最近技術革新、こういうことになってきておりますが、大企業はそれに対応する力を持っていますけれども、中小企業はなかなかそういうわけにいかない。中小企業が我が国の経済に果たしてきた役割を十分御理解いただいておるところで、この中小企業の技術振興のための方策についてひとつぜひお考えを明らかにしていただきたい。 それから、中小企業信用保険制度について一つお尋ねします。 特別小口保険の限度額については五十五年に二百五十万円から三百万円に引き上げられて現在に至っております。従来、特別小口については、同じく無担保無保証人であるところから、いわゆるマル経資金と同様に扱われてきておりますが、現在マル経資金の貸付限度額は四百万円、それに比べて百万円の差がある。両制度とも対象企業が、従業員数五人以下、商業、サービス業では二人以下、そういうことで、その公平を期す見地からマル経と同じ額まで特別小口の貸付限度額を引き上げるべきではないか、こういうふうに考えます。いかがでしょうか。まず、この二つ、一人ずつ……。
○石井政府委員 第一点の技術振興方策いかんということでございますが、これまで中小企業が技術革新について、どちらかといいますと受け身に終始してきた。ところが、最近の技術革新の特性を踏まえますと、技術の細分化傾向あるいは複合化傾向が進んでおりまして、産業全体のバランスある発展を期待していくためには、中小企業の技術開発への積極的参画ということが期待されるわけでございます。また同時に、それは国民経済的のみならず、中小企業が市場構造の変化に対応して経営基盤を確立するというためにも必要でございます。そういう観点から、特に六十年度におきましては、中小企業技術基盤強化税制を創設いたしまして中小企業の研究開発意欲を大きく刷新するというような方策をとると同時に、例えば産地組合が組合員の共通して抱えております共通技術課題を解決するための技術高度化対策事業といいますか、そういうものの推進を図る等の思い切った技術開発への参画を促進する方策をとりたいというふうに考えております。 そういったものを背景といたしまして、今国会に中小企業技術開発促進臨時措置法案を御提出する予定で今準備を進めておりますが、そういった法律案及び税法あるいは予算上の措置によりまして、できるだけ中小企業の技術振興を促進してまいりたいというふうに考えております。 それから、第二点の小口保険の問題でございます。確かに、これまでの限度額の引き上げのテンポから見ますと、もうそろそろ期限に来ておるのではないかというのが先生の御指摘かと思いますが、ただ、これは運用実績を見てみますと、大体平均で百二十一万円というのが付保額でございます。これがほとんどここ最近三年ほど変わっておりませんので、特にそれが限度額によって小口保険の利用が圧迫されているという実情にあるのだろうかという点が一つの問題点ではないかと思います。あわせて、それでは二百五十万円まででどの程度借りているかといいますと、大体九割強が二百五十万円以下でございます。そういった平均的な付保額の推移あるいは九割強が二百五十万円以下であるというような実態を勘案いたしますと、一応現段階におきます小規模事業者の資金需要に対しましては現行の限度額で何とか対応できているのではないかというふうに考えておりまして、今後のそういった小口保険の需要動向をよく見きわめた上で検討をさしていただきたいというふうに思っております。
○青山委員 技術振興の問題、それから融資問題は改めてまたひとつゆっくり時間かけてやらしていただきます。 中小企業の人材の育成、この問題と中小企業大学校のあり方について若干お尋ねいたしたい。 高度情報化社会、技術革新の進展、こういう状況の中で中小企業の経営も高度かつ複雑なものとなってきております。経済の変化の方向を的確につかんで適切に対処するためには、情報の迅速な把握と正確な判断が必要であることは御承知のとおり。新しい技術を取り入れ、開発をして、活用していく、そういう必要があることも御理解いただいておる。そのためには、中小企業で働く人の果たす役割というのも極めて大きい。経営者のすぐれた識見と判断力及び従業員の柔軟な適応能力がともに重要となってきております。 そこで、中小企業者の資質、能力向上のためにこれからもどのような施策を講じていかれるのか、これが第一点。第二点は、現在東京、関西にそれぞれ中小企業大学校が開設されて、人材養成のための研修事業が行われております。それぞれの特徴はどのようになっておるのか、その事業内容とその成果についてどのように評価をしておられますか。それから昭和六十年度から東海ブロック校として愛知県の瀬戸市に中小企業大学校建設のための土地の取得等、建設の具体化を図ることとなっておりますが、地元では熱いまなざしで関心を示しております。今後、開校までの具体的なスケジュールはどのようになっていくのか、研修事業内容等はどのように実施しようとしておられるのか、この点が一つ。 東海地区においては、今後地域経済を躍進させるための方策としてファインセラミックス産業の育成、それから東海環状テクノベルト構想の具体化、これらが挙げられております。地域の中小企業がこれらの構想に的確に対応していくために、従来にも増して中小企業者の資質、能力の向上が図られる必要があります。今回、東海地区におけるこの中小企業大学校東海校の研修事業に実は期待をしておるわけですが、そのために、これまでの東京校、関西校の分校というような考え方ではない、地元の産業の発展に寄与するというような特殊性を持たしたもの、そういう事業内容を検討しておられるのかどうか、お尋ねいたします。
○石井政府委員 少数精鋭で事業を推進してまいります中小企業にとりましては、経営者及び従業員の資質の向上というのは経営の成否を左右するものであります。その意味で極めて重要な人材育成というのが、中小企業という規模からくるハンディキャップにおいて十分行われてないということから、中小企業庁といたしましては、これまでそれを補完すべく中小企業大学校及び地方校の整備を図りまして、高度かつ実践的な研修の推進、それから地方公共団体等に対しまして補助事業を行いまして、各地方公共団体における研修、講習事業の実施、こういったことで中小企業の人材育成を図ってまいっておるわけでございますが、私ども、こういったこれまでの施策を、さらに中小企業大学校の場合には地方校の整備を図ることによってさらに推進をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。 そこで、第二の東京校あるいは関西校でどういうような内容あるいは特性のある研修が行われたかということでございますが、東京校におきましては特に中小企業団体の指導を担当している職員に対します各種研修、これと中小企業の経営者、管理者、技術者に対します経営技術に関する高度かつ実践的な研修を全寮制をベースにして行っておるということでございまして、その特色を簡単に申し上げれば、中小企業診断士の養成コースという、これは一年コースでございますが、これと同時に、本格的な技術研修コースを持っておるということが東京校の特色かというふうに理解をいたしております。また、関西校におきましては五十五年以来、中小企業の経営者、管理者、後継者に対します経営技術に関する研修を、これも東京校と同様、泊まり込みのシステムで各種研修方法、実習を通じて実施をしてきておるわけでございまして、この特性を挙げますと、関西の地域特性を反映いたしまして、例えばファッション産業向けのコースを設けておる、あるいは国際科コースを設ける、こういったようなことで特色を出しておるわけでございます。 こういった研修効果がどうであろうかというお尋ねでございますが、これまで中小企業診断士養成というのはもう既に二十年実施をいたしておりまして、既に第一期の診断士はいわば中堅クラスとして指導に当たっておりますし、また、後継者研修を終えた方々はいわば地域のリーダーというような役割を既に営んでいるわけでございます。同時に、それら卒業生が相互に連携をとりながら、言うならば異業種交流を広域的に実施しているという意味の、私ども初期には期待しておらなかった効果も上がっておるというふうに理解をいたしております。 それから、東海ブロック校でございますが、私ども、これは東京なり関西の分校という意味じゃなくて、あくまで各地域ごとの地方校として整備をしたいというふうに考えております。六十年度、御承知のように土地の取得及び基本設計費について予算計上をし、要求をいたしておるわけでございます。まだ東海ブロックについての整備計画というものを具体的に確定したわけではございませんが、通常、土地取得から開校に至るまでほぼ四年程度かかります。したがって東海校につきましては六十四年度くらいに開校にこぎつけ得るというふうに考えておるわけでございますが、地元の協力を得て私ども具体的な計画をつくり、スケジュールどおりの推進をこれから図ってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。 それで、先ほど御指摘のような中部圏といいますか、東海地域におきます今後の産業の発展の方向を踏まえて研修内容も決められるべきではないかということについては、私ども、具体的に開校をする段階になりましたら東海ブロックにおきます地方推進協議会を設定したいと思っております。そこに、関係する産業界の代表の方々あるいは各地方公共団体あるいは学識経験者、こういう方々に参加していただきまして、具体的なカリキュラム等の作成も行うようなことを考えてまいりたいと思っておりますので、そういった形でそれぞれ地域の特性あるいは地域の中小企業のニーズを反映した授業内容を組んでいく、そういう方針で今後臨んでいきたいと思っております。
○青山委員 最近は本当に技術革新が目覚ましく進んでまいりまして、エレクトロニクス、ファインセラミックス、バイオテクノロジー、こうした技術革新に対応する力は大企業に比べて中小企業はやはりまだまだ劣る。そうした意味で、中小企業者の研修、また、人材を養成していく場としてこの中小企業大学校東海校の建設が待たれております。ぜひ今述べられたようなスケジュールをひとつしっかりと進めてくださいますように特にお願いをして、質問を終わります。
○粕谷委員長 青山丘君の質問は終わりました。 次に、工藤晃君の質疑に入ります。工藤晃君。
○工藤(晃)委員 初めに経済見通しについて伺いたいと思います。 金子長官が演説の中で、内外経済の現状で、世界経済はアメリカの景気拡大等に導かれ、全体として景気回復基調にあると述べられました。ただ、今のアメリカ経済の拡張にはかなり異常な点が指摘されており、その一つは貿易収支の非常に大きい赤字であり、あるいはまた財政の非常に大きな赤字である。そういうときに、まず最初に事実関係について伺いたいわけでありますが、日本の貿易収支の黒字のうち対米黒字の分がかなり大きいのではないか、何%くらいであろうか、それから日本の輸出額のうち対米輸出額、この割合も相当大きいのではないか、これらは最近の実績値でどうなっているのか。逆にアメリカの側で貿易収支の赤字が拡大しておりますが、対日赤字分がかなり大きいのではないか、それは何%ぐらいであるか、まず、これは事実の問題としてお答え願いたいと思います。
○金子国務大臣 ただいまの御質問は数字に関する問題でございますので、政府委員から答えさせます。
○赤羽政府委員 最近の我が国の貿易の黒字それから輸出に占めるアメリカの割合でございますけれども、まず我が国の貿易黒字全体に占めます割合は、通関ベースで見ました、我が国の側から見ましたもので申しますと、五十九年度に入りまして、四月から六十年の一月までの十カ月間、比率で申しますと九九%ということで、ほとんどすべてが対米収支差の黒字であるということでございます。 それから、輸出に占めるアメリカの割合というのは、今年度に入りましてからは三六%ということでございます。五十八年度が三一%でございましたから、若干ながら上昇しているということでございます。 それから、アメリカの側から見ました対日赤字といいますのは、ちょっと資料がないのですけれども、向こうの数字で申しますと三百六十八億ドルの赤字ということでございまして、たしか千二百億ドルぐらいのうち三百六十八億ドル、こういうふうに記憶しております。
○工藤(晃)委員 ついでにもう少し伺いますが、アメリカの今の景気の拡大が続く中で、さっき言ったような財政の赤字、貿易収支の赤字があるわけですが、私の見たところでは最近では、最近といってもしばらく前になりますが、年率八百億ドル規模の資本流入がアメリカであるということですね。そうすると、アメリカの貯蓄と投資のアンバランス、これが物すごく大きいわけですが、それが資本流入で埋められているという見方がされているわけです。同時に、日本の昨年度あたりの長期資本収支、出ていくのはとてつもなく大きいわけですね。それで例えば本邦資本の流出は五百六十九億ドル、昨年そういうふうになっているわけでありますが、これはアメリカの長期資本収支の、いわば外から入ってくる分の大体どのくらいの割合になってくるだろうか、その辺について述べてください。
○赤羽政府委員 資本収支におきまして、その地域別配分ということになりますと、現在五十八年の数字が判明しておるだけでございまして、五十九年の数字はまだ集計されておりません。そこで、五十八年の長期資本収支に占める対米長期資本収支を見ますと、対世界、日本の世界に対する長期資本の赤字が百七十七億ドルでありますけれども、そのうち対米の赤字は五十五億ドル、こういうことになっております。長期資本収支の中には直接投資といったようなものがございますけれども、これは発展途上国あるいはヨーロッパ諸国にも出ておりますし、また国際機関に対する出資金、拠出金のようなものも入っているわけでございまして、この百七十七億ドルの大部分がアメリカ向けということではありません。そういうことで約三割が五十八年の実績でございます。 五十九年はもう少しふえておるだろうと推測はいたしますけれども、統計がまとまっておりません、あと一年くらいかかるそうでございます。
○工藤(晃)委員 今挙げられたいろいろなデータから見ましても、例えば昨年の四月からことしの一月ですか、十カ月実績値で日本の黒字の九九%までがアメリカの黒字であるという異常な事態になっていて、また輸出のうち三十何%というのは過去の歴史から見ても非常に高いですね。ですからやはり日本の景気の側から見れば、アメリカへの輸出に物すごく引っ張られておる。そしてまた、その黒字が日本の黒字の大部分を占めるという、その意味でいうと日本の景気回復も非常にアメリカの景気回復に依存度をかえって強めているということがあるかと思うと、片一方ではアメリカの方はそれこそ年率八百億ドルといったようなベースで外国から資本を入れて、それで辛うじて拡張を続けていて、そしてそのうち、さっき日本の、本邦の資本流出が八四年のうち幾らがアメリカかというお答えが得られなかったわけですが、少なくとも本邦資本が五百六十九億ドルにも異常にふえたのは、かなりがアメリカにいったと見ざるを得ないわけですね。ですから、アメリカの拡張も日本からの資本流入に支えられているということなんです。 もう少し、その話に入る前に、なぜ日本からこんなに異常な資本流出、五百六十九億ドルも出てきたのか、それは一体どういう原因なのか、背景なのか、答えていただきたいと思います。
○金子国務大臣 やはり日本からの資本流出の一番大きな原因はアメリカの高金利だろうと思います。大きな財政赤字を抱え、しかも設備投資が非常に進んでおりますから、どうしても金利が高くならざるを得ない、そういう段階におきまして国債の差額が今日でもなお四・八%ぐらい、五%近い状況でございまするから、勢い米国に流出するような状況になっているのが一番大きな原因と考えていいと思います。
○工藤(晃)委員 こうして見ますと、今のアメリカの景気回復、それから日本も景気回復といいますけれども、かなりいろいろ問題を抱えておりまして、実は私、昨年OECD事務局を訪ねたとき、意見交換した中でもそういう問題がいっぱい出てくるわけでありますけれども、つまりアメリカとしてはこんなに大きな赤字を国際収支で、財政で出しながら続けられるのは、外国からどんどん物すごい勢いで資本が入ってきておる。そして、アメリカの国際的な投資のポジションを見ても急速にプラスが減ってきていて、そして間もなく、それこそ債務国に陥るのではないかという見方もされるようになってきた。これはいつか私もよくわかりません。もちろん、政府としてどういう見方をしているか後で伺いたいわけでありますが、しかし結論として言うならば、そういうふうに債務国になるような状態になってまで、アメリカがいつまででも長期資本をどんどん吸収し続けることはできないと見るのが常識だと思うわけなんですが、その辺はいかがでしょうか。
○金子国務大臣 アメリカでも一番の最近の状況のもとになっております財政赤字の削減の意見が出ておりまして、先般発表されました大統領教書でも五百十億ドルでございますか、これは八六年に実現して赤字の削減をやりたいというふうに発表しておりますが、現実にそういうことでアメリカ自身も今日のような状況をいつまでも続けるわけにはいかぬという気持ちになっておるというふうに私どもは見ております。
○工藤(晃)委員 アメリカはそう見ていると言いますけれども、実際、レーガン大統領が出した予算などを見ると依然として非常に大きな軍事費などが出されてきているわけでありますが、一口で言って非常に巨額の借金経済、負債経済、そういうものは、問題を後へ回すことはできるけれども、必ず行き詰まるということは、例えば発展途上国の累積債務問題だとか、我が国の財政の破綻問題だとか出てきて、アメリカだけが例外で、こういう借金に次ぐ借金で拡張を続けられるわけはないわけでありますから、そしていつか行き詰まったときやはり日本が一番影響を受けるということは、さっきの冒頭の幾つかの資料で私は明らかだろうと思います。 そういうことで私、最後に金子長官にも伺いたいわけでありますが、やはりアメリカの財政節度を正しくさせる、もっと赤字を減らせということは日本政府としてもっと積極的に言うべきではないか。ただし、そのことはある程度言うとしても、実際これは広く指摘されているように、私たち見ているように、アメリカの軍事費をどんどんふやしながら財政の赤字、財政節度をよくするということはこれはあり得ないことなので、そういうことまで踏み込んでやはり日本政府としても言うべきではないか、こういうことを考えますし、私自身はOECD事務総長にもそのことを強く言ってきたわけでありますが、その辺いかがでしょうか。
○金子国務大臣 今日の世界経済がアメリカの高金利政策に引きずり回されておるような状況でございますので、アメリカの高金利対策をしっかりやってもらうことがやはり世界経済を安定化させる一番大きなもとになるだろうと思います。 そういう意味におきまして、今対外経済摩擦等でしょっちゅう向こうからもやってきますし、こちらからも行っておりますが、その際に出ますのも今お話しのような問題、次の五月にボンで行われる予定のサミットでの政治課題の一つも、アメリカの高金利をもう少ししっかり考えていけよということで、これは世界各国の主要国が歩調をそろえてそういう主張を力強くやっていくことが一番大事なことであろうかと考えます。
○工藤(晃)委員 今私は、アメリカの軍拡経済も含めてもう少し批判してはどうかと言って、その点については御答弁いただけなかったわけでありますが、この問題はまたいずれ後に回すこととしまして、特に中小企業対策について通産大臣に伺いたいと思います。 中小企業の倒産が大きいということが東京商工リサーチのいろいろな統計などに出てきております。それで、先ほど来これもいろいろ指摘されてきたと思いますが、やはり不況型の倒産が大きい、連鎖倒産と合わせますと七四%ぐらいがそういう不況型、連鎖倒産型のものになっている。 そこで伺いたいのは、景気拡大と言われながらなぜ中小企業の倒産はこのように大きいのかという問題です。いかがでしょうか、通産大臣。
○村田国務大臣 工藤委員に申し上げます。 確かに景気としての全体の動きは上昇しておるわけでございますが、中小企業の倒産というのは減っていない、むしろ、そうではなくてふえておるということでございます。これは、中小企業の倒産を調べてみますと、まさに時代の変化に応じていろいろ企業の間で栄枯盛衰ということが起こっておる。そういった意味で技術革新であるとか新しい情報化の波であるとか、そういったものに対応し切れなくなった企業の倒産というものが見られるわけでありまして、私どもは中小企業の倒産の実態を見てみますと、二年、三年というような経営の底の浅い企業が倒産をしているだけではなしに、九年、十年という相当の経験のある企業が倒産をしている。これは非常に深刻な事態であるという受けとめ方をしておるわけでございます。 したがって、これはやはり新しい時代の波というものに洗われて中小企業がそれに対応し得なくなっておるケースが多い。これについては技術力の向上であるとか情報化への対応であるとか人材養成の強化であるとか、こういった中小企業の技術革新、情報化への対応といった問題と同時に、中小企業の経営基盤を安定させなければいけない。金融あるいは倒産防止対策の充実、下請中小企業対策の充実、官公需対策の推進といったような各般の状況で中小企業の経営の問題に対応していかなければならない、そういう真剣な受けとめ方をしておる所存でございます。
○工藤(晃)委員 今の、なぜ大きいかというときに、いろんな時代の新しい動きに対応できなかったという面をかなり強調されたと思うのですが、もちろんそういう点は私も否定しませんが、少なくともこういう資料で見る限り、例えば昨年の二万件を超える倒産のうち、繊維が千五百六十件、食料品が千二百九十件、建設が六千三百五十五件、不動産、建て売り住宅が六百五十八件、計九千八百六十三件、一万件近くで四七・三%を占めるということを見ると、これはいわゆる衣食住倒産ですね。やはり大衆の消費がなかなか伸びない、冷え込んでいるという関係から出てきたものがあるわけなので、そういう点からいうと、ただ技術革新の問題はもちろん重要でありますけれども、その面だけではない、かなりの部分、約半分は衣食住倒産であるということを踏まえた中小企業対策でないといけないのではないでしょうか。 そういうことで、予算問題でもう一点伺いますけれども、そういうときに、一方では勤労者の暮らしの安定を図り、消費を伸ばす対策と同時に中小企業対策をその面から強化しなければいけないというときに、どうも逆になっているんじゃないか。というのは、全体として中小企業対策費が二千百六十二億円というのは前年より五・七%も減っている。五十六年度の四年前と比べると一三・六%、これは五十六年度が二千五百億円でありましたからね。一三・六%、最大限の減少であります。 よく我が党は言うわけでありますが、臨調、行政改革始まって、五十六年度と比べると軍事費は三一%くらいふえているのに暮らしの予算が減っているではないかというときに、中小企業予算は非常に代表的である。これに加えて、これは通産大臣にはちょっと耳が痛いかもしれませんが、中小企業対策予算は、通産省計上分、大蔵省計上分、労働省計上分あるけれども、通産省計上分の減り方が一番大きいということですね。これは村田通産大臣がきょうも言われましたように、私は中小企業大臣のつもりでやっておるという言動に比べて余りにも違うのではないか。なぜ中小企業予算はこのように減っていくのか。もちろん予算の問題ですから大臣一人の責任だとは私思いませんけれども、やはり中小企業予算がどんどん削られるというところに非常に危惧を感じますので、なぜそういうことになるのか。
○村田国務大臣 工藤委員の御指摘の点は、質問として御理解をすることができます。予算委員会でも他の委員から御質問があったのでございますが、昭和五十六年度が二千五百億円、六十年度が二千百六十二億円で、その間一三・六%も減っているではないか、その間例えばエネルギー予算はふえているではないかという御指摘があったと記憶しておりますが、もう少し長期的に見てみますと、中小企業基本法が制定をされた昭和三十八年度の中小企業対策費、これが一般会計総予算額に占めておる比率が〇・四二%でございます。昭和六十年度の一般会計総予算額五十二兆四千九百九十六億円の中で御指摘の二千百六十二億円が占めておる予算比率が〇・四一%でございます。ほとんどふえてもいないし減ってもいないということでございますが、しかし、さらに子細に内容を見てみますと、例えば中小企業高度化資金の出資金というような項目につきましては、ピーク時に近い五十三年ごろには六百五十億円も出しておる。ところが六十年は二百七十億円で済んでおる。ということは、それは資金の累積額がだんだんふえておるので現在ではもう二千億円というような額になっておって、五十三年度のピーク時に比べれば二分の一以下の予算計上で済んでおるということでありますし、また、単純に五十九年度予算と六十年度予算と比較してみましても、委員御指摘のように、なるほど一般会計は表面づらは減っているわけでございますが、実際には産投会計として、商工組合の中央金庫出資金の百億円だとか中小企業金融公庫の二十億円だとかいうようなものは一般会計外で支出をしておりますので、実際の予算は中小企業予算として減っていないということがあるわけでございます。 そういった具体的な内容を見ていただきますと、中小企業にかけておる政府の施策費というのは決して減っていない、そして、これからはきめの細かい充実した予算の実施によって中小企業の振興を図っていくという私どもの意気込みというものも察していただきたいと存ずるわけでございます。
○工藤(晃)委員 中小企業基本法当時からさかのぼって言われましたけれども、その当時が〇・四二%で今度が〇・四一%ですから、中小企業基本法をつくって今度は中小企業対策を積極的にやるのだというのが一体どこにあらわれたか。一時は〇・六%くらいまでいったんです。四捨五入ということはありますが、〇・六だと四捨五入すると一%になるけれども、〇・四だとゼロになってしまうのです。だから相当低落しているのです。 今、産投会計のお話ありましたけれども、これは大臣見ていただきたいのですが、産投会計からの出資残高で、六十年度予算合わせて言いますと、輸銀とか開銀とか北東公庫、率直に言って大企業が使うことが多い、これは六九・八%、商工中金、中小保険公庫、これは大体二・一%くらい、やはり大きな差があるわけですね。だから何をやったか、積極的にやっているということをそのまま受け取るわけにはいかないわけでありますが、次の問題に移ります。 それは中小企業信用補完制度で、先ほども質問があったと思います。これについても、予算は大蔵省が計上するものですから、通産省は少し責任が軽いように思われては困るわけですが、これも五十七年度六百二十五億円から六十年度四百三十億円へ、百九十五億円減で、三一%減になっているわけであります。 そこで、私はいろいろ調査しましたけれども、今どういう問題が起きているかといいますと、公庫予算の削減に伴って信用保証協会の選別保証が強まっている、そのため中小金融機関の中小企業に対する金融もかなり狭められている。また、信用保証協会の保証を使った各都道府県の無担保無保証人融資制度が大きな影響を受けている。そのきっかけになったのは、五十六年九月十六日、中小企業庁長官と銀行局長連名の通達である。この通達は私手元に持ってきております。要するに各都道府県知事殿、これもあります。各信用保証協会会長殿もあります。この中に、例えば保証の適正化のための審査体制の強化とか、あるいは回収を高めるために特別保証制度の創設について慎重に対処せよといってこれを引き締めている、予算の面でも引き締める、通達の上でも引き締める。 こういうことからどういうことが起きているかといいますと、これは最近のことですが、例えば神奈川県では零細業者向けの簡易保証の融資制度に、昨年中小企業庁の強い指導で新たな条件がつけられたと聞いたわけであります。例えば二年連続の赤字法人は融資対象にしない、あるいはまた個人の場合、銀行与信取引のある場合に限るということなんですが、このほか、いろいろ各県で聞いておりますけれども、これでは先ほど言いました不況の中で倒産に苦しむ中小企業者にとってはひどいのじゃないだろうか。そもそも予算が減らされているということが問題でありますが、それに加えてこういう通達を出して、もっともっと選別しろというようなことだとか、自治体が窓口になっているそういう制度を余り運用できなくするようなことを中小企業庁の方からやるというのは私は全くけしからぬことだと思いますが、こういう通達の見直しを含めてやはり信用補完制度を改善すべきだと思いますが、いかがでしょうか。これは中小企業庁長官、お願いします。
○石井政府委員 お答えする前に中小企業対策費について一言御理解を得たいと思います。(工藤(晃)委員「もう時間がないからいいよ」と呼ぶ)一言だけ申し上げます。 労働省、大蔵省は一つの費目についての予算計上でございますが、通産省の中小企業対策費は数十項目からのきめ細かな予算から成っているわけでございまして、この再編合理化によりまして今日的ニーズに合った予算は確保していると私ども考えておるところでございます。 それから信用保証協会の問題でございますが、近年の保証承諾額の低迷ということは御指摘のとおりでございますが、これは五十七、八年度において見られた事象でございまして、例えば五十九年度、特に第三・四半期に入ってみますと、対前年比伸び率は六・四%、非常に高い月では一〇%を超えております。特に今年に入りまして、まだ速報ベースでございますが、一月の保証実績は対前年比一六・一%アップでございます。その意味におきまして、低迷した信用保証承諾の実績というのは中小企業における景気低迷に伴う資金需要の冷え込みを反映したものでございまして、最近時点におきます資金ニーズの高まりに応じて保証承諾実績もふえているということで御理解をいただきたいと思います。 それから、先ほどの保険収支改善通達の件でございますが、これはこれまで保険公庫の保険収支の大幅な赤字が長期にわたりますことは信用補完制度そのものの運営上非常に望ましくないわけでございます。そういった観点から長期的な展望のもとに立ちまして、本制度にかかわる保険公庫、保証協会、地方公共団体、各種金融機関それぞれの立場がございますが、十分な意思の疎通を行いまして、それぞれの立場において講ずべき措置を定めたわけでございます。 本制度の趣旨はあくまでも意欲ある中小企業の信用補完ということでございまして、これによって物的担保力に乏しい意欲のある中小企業が資金調達に支障を生ずるに至っているという事態はないと私ども考えておるわけでございます。
○工藤(晃)委員 中小企業庁長官、私の聞かないことを答えて、それで後の答弁は余りかみ合ったことを答弁しない。これはまことに遺憾であります。委員長よろしく願います。 さて私が聞いたのは、これほど倒産が激しくなってきて、中小企業にとってわらをもつかむ思いでいるとき、担保力の弱い業者が信用保証協会の窓口で断られるという例が多い。それがネックになって実際は制度融資があっても借りられないということがあるし、神奈川県については具体的に大変厳しいことを言って、二年連続の赤字法人は融資対象にしないとか、例えばこういうことを具体的にやってきている。こういうことはやめるべきじゃないかと言っているわけであります。 その点でもう一点つけ加えておきますが、これは通産大臣も聞いていただきたいのですが、中小企業信用保険公庫月報、先ほどいただいたばかりの中にも出てきます。これは福島県信用保証協会会長がお答えになっていることでありますが、特に折笠さんという会長が言われていることは、特に今これに加えて金融自由化ということが起きている、金融自由化ということになると金融機関の中の選別が今非常に激しくなってくる、当然、中小企業を対象とする中小金融機関の存立も危うくされるような状態になってくる、もう既に日銀の方では銀行倒産に対応するいろいろな対策が検討され始めているというときですね。こういうときに金融自由化になってくると「保証協会は今後審査体制を強化していくことが必要となってくるし、これはやむをえない」のではないかということを言っているわけです。中小企業庁の方がそういう通達を出す、それに加えて金融自由化の波ということで審査体制をますます強化したら、一体、中小企業の金融はどうなっていくのかということからも、これまでの政策を再検討をするべきである。これは通産大臣、お答えいただきたいと思います。
○石井政府委員 私ども金融機関に対しまして特に要望しております点も御勘案いただきたいと思います。融資保証承諾があるものについて安易な金融を行うことによって問題を起こすことのないように、事前調査及びその後の債権管理の充実あるいは信用保証協会におきます期中管理の徹底を図るということで診断指導の業務をあわせて行うことによりまして中小企業の健全な発展を図ろうということでございます。 重ねて申し上げますが、私どもこういった信用補完制度、過去三千億の赤字をどう対応していくか、これをこのまま赤字を野方図に伸ばしていく場合には信用補完制度そのものが根幹から揺るがされるわけでございますので、そういった実態を踏まえながらそれぞれの機関で審査の適正化等を図っておるわけでございます。
○工藤(晃)委員 私は今のような答弁を仮に認めてしまいますと、それこそ健全なる中小企業を育成するといいながら健全でないと言って選別されるのは次々と倒産を見過ごす政策を中小企業庁がおとりになるということになりますから認めるわけにいきませんが、このことばかりやっておられないので、日米軍事技術協力の問題に移りたいと思います。 この問題も聞かなければいけないことがたくさんありますけれども、端を発したのは中曽根内閣になってから五十八年一月十四日の対米武器技術供与に関する閣議了解がありまして、十一月八日対米武器技術供与の交換公文ということになりまして、国会でも随分この問題が論議になったと思います。結局、この立場は第一にアメリカに対しては武器技術の供与ということは武器輸出三原則の例外であるということにされたということと、二つ目にあの中に出てくる武器技術ということと武器技術以外の防衛分野技術という二つの選別がありまして、英語で言うと、ミリタリーテクノロジーとディフェンス・リレーテッド・テクノロジーということにされまして、後者の方は無制限にアメリカにいってもいいんだ、共同開発してもいいんだということになってきたわけであります。そこでJMTC、武器技術共同委員会というのがつくられたわけでありますが、この中には通産省は入っておりますが、これまでどういう活動をしましたか。具体的にどういう武器技術の輸出を認めましたか。あるいはここでは共同研究開発の何か具体的な事例についていろいろ討議が行われたのでしょうか。
○村岡政府委員 JMTCについてのお尋ねでございますが、この武器技術共同委員会、昨年十一月六日第一回の会合を開催いたしました。御存じのように通産省からも一人代表が出ることになっておりますが、私が相務めた次第でございます。この十一月六日の会合におきましては関係者の顔合わせということが主眼でございまして、そのほか若干武器技術共同委員会の運営方法についての議論を行いました。現在武器技術共同委員会はこの一回開催されただけでございますが、この委員会におきましては具体的な武器技術の供与要請ということは行われておりません。
○工藤(晃)委員 じゃ、続いて聞きますが、その後略称アメリカのカリー委員会と言われているものの報告が昨年発表されまして、そして明らかになったことでありますが、アメリカにとって関心があるのは日本の汎用技術である。日本における現在の狭義の防衛技術リストには米国にとり興味の対象となるものは少ない。日本の汎用技術の多く、特にプロセス及び製造に関する技術は米国の防衛計画に貢献するであろう、こういうことが書いてあります。そして、特に関心があるのは十六であるというのがここに出てまいりました。これはガリウム砒素素子、マイクロ波集積回路、光ファイバー、これは全部読みますと時間がかかりますから、これは御存じだと思いますから。これらの十六ということにしております。そうすると、こういう問題が出てきたんですが、アメリカにとって——アメリカにとってというのは、アメリカの軍需産業の代表が直接来たわけでありますから、彼らにとって一番関心のあるのは、いわゆる日本で言っておる武器技術じゃない。もっと汎用的な技術である、こういうことになってくると、さっき見ましたJMTCというのは武器技術を扱うんだけれども、実際向こうが一番求めているものはJMTCも通じないようで移転し得るもの、こういう認識で政府は今後進めていくのかということが一つあります。 それから二つ目の問題として、さっきの交換公文の中では、さっき言った武器技術とそれ以外の防衛分野技術、これはディフェンス・リレーテッド・テクノロジーというものとあったんですが、さらにこのカリー委員会になると、汎用、デュアルユースという言葉が出てきまして、ミリタリーとディフェンス・リレーテッドとデュアルユースと三種類出てきたんですが、さらに広がってきたような感じなんですが、実際どういう関連になるか、これが二つ目の質問です。 そして、三つ目に、特に十六項目に関して言うと、これは通産省がこれまでも、これからも全力を挙げて研究開発を促進していく分野にほとんどなるのではないでしょうかということです。答弁願います。
○村岡政府委員 三点御質問ございましたが、最初の二つの点について申し上げたいと思います。 まず第一点の汎用技術については規制しないのかという御懸念でございます。私ども、この武器技術という定義は、御存じのように武器三原則等に準じて対外供与を規制しているわけでございますが、この場合の武器技術と申しますのは、技術の内容から見まして専ら武器の設計、製造、使用にかかわる技術と客観的に判断できますものを武器技術としておるわけでございます。このようにいたしておる理由は、第一に汎用技術まで国際的な交流を規制いたします場合は、非常に広範な技術分野について規制の網をかぶせなければならないということに相なるわけでございます。技術の交流というのは、御存じのように経済発展とか、あるいは福祉の向上というものに非常に重要な関係を持っておるものでございますので、また同時に国民の自由に対しても厳しい規制を広くかけるということは私ども考えていないところでございます。 第二に、また汎用技術といいますのは、対外供与の段階で仕向け国において何に用いられるかという用途をチェックするということは、現実に客観的に判断することは極めて困難でございます。したがいまして私どもは、武器技術というものに特化いたしまして、規制の公正さ、実効性との観点から武器技術の規制を行っているところでございます。 第二の質問の、三つのカテゴリーはどう理解すべきか、こういうことでございますが、武器技術にプラス汎用技術のうち武器にも用い得る技術、これを加えたものが先生御指摘のディフェンス・リレーテッド・テクノロジーでございます。
○木下政府委員 三番目の御質問の、十六分野についての技術が日本にとってどういう意味があるかということでございますが、防衛技術審議会の報告書に……(工藤(晃)委員「日本にとってじゃない。通産省が力を入れているものじゃありませんかと言っているのです」と呼ぶ)防衛技術審議会がまとめました十六分野の技術は、通産省が力を入れて今後進めるべきだと考えております重要な技術分野に入るものが大部分でございます。
○工藤(晃)委員 その答弁で結構でございます。 それで、もう一つ出てきたのが日米諮問委員会報告の中で、これは防衛の項目の中に出てくるんだな、「第二章 防衛問題」。「技術が新しい防衛システムの開発に決定的な貢献をしうる時代においては、日米両国は世界の二大技術大国として、両国の防衛政策責任者が決める優先順位にしたがい、また、民間企業間の個々の取決めに応じて、研究・開発協力を積極的に推進していくべきである。」特に「日本の強みである最先端技術のエレクトロニクス、テレコミュニケーション、維持・生産技術などを、米国の技術であるシステム・エンジニアリングやソフトウエアと組み合わせることは意義深いことである。」ということになってきました。こういう方針を通産大臣はやはり全くそのとおりと思ってやられるのかどうかということがあるわけですが、ここでそれに加えて「両国の防衛政策責任者が決める優先順位」というのがどこで決まるのですかね。それが一点であります。 そしてまた、それに従って「研究・開発協力を積極的に進める」というのは一体どういう方式で進めるのかということが二点目であります。 そしてまた、こういうことになりますと、我が国で通産省が今推進している先端技術の主要部分というのは、ややともすると防衛政策責任者がどこかで優先順位を決めて、これはアメリカのペンタゴンでしょうね。それから防衛庁。それで決めて、それに基づいて研究開発を進めるというと、通産省として進めてきた先端技術の研究開発がそれにやはり影響を受けたり巻き込まれたりする。何よりも恐れているのは、国の予算を非常に多額使っていって、それから開発途上にある、これから開発されていくいろいろな新しい技術が丸々アメリカの軍需産業だとかペンタゴンに行ってしまって、アメリカの今の核軍拡に利用されていくというようなことがあってはならないと思うのですが、こういう体制になってくるとそういうことにならざるを得ないのではないか。その点を伺います。これは簡潔にお願いしたいと思います、通産大臣。
○木下政府委員 どういう分野の技術をその防衛分野において優先順位をつけていくかどうかということにつきましては、アメリカはともかくとして、日本としてこういう分野に優先順位をつけて、それでアメリカと協力していこうという考え方は全くございませんで、むしろ武器技術供与の問題につきましては、アメリカから供与依頼があったときにそれを供与するかどうかを個別に判断する問題だというふうに考えております。 それから、現在通産省で進めております技術開発政策は当然のことながら民生分野における技術開発を進め、それによって産業、経済の発展に資するということでやっておるわけでございまして、そういう分野の技術が軍事的分野にも使い得る可能性があるということでアメリカの防衛関係者もそれについて関心を持っているということかもしれませんが、それはアメリカにおける技術の全体の水準についても同じことが言えることかと思います。
○工藤(晃)委員 そうなりますと、ともかく今の先端技術というものがこの交換公文に基づき、さらに日米諮問委員会の報告が示すようなことがもつと積極的に進められるようになると、どんどんそのままアメリカの軍需産業に行ってしまうということになるし、今の答弁はそれを裏書きしていると私は思わざるを得ないのです。 そこで、もう時間もありませんから最後に一つだけ。 これは大臣に御答弁願いたいわけでありますが、私はこの問題で二つの意見を持っています。それは武器輸出三原則ということをつくったときの武器の定義ということですね、これは見直すべきである。非常に狭い。というのは、さっき言ったようにミリタリーからディフェンス・リレーテッドからデュアルユースというようにどんどん広がって、一番関心があるのはこのデュアルユースの汎用というところになってきているわけですね。だけれども、武器三原則の精神は何かというと、憲法に定められている平和主義に基づいて戦争に科学は使わない、あるいは技術を使わない、あるいは軍需産業をそういう形にしないということになるわけでありますが、今のミサイルにしろ戦闘機にしろ、コストのうちの六割から七割は大体電子機器でしょう。それで今の兵器とかいわゆる武器の体系の性能、協力者を決定するのはまさに汎用的な技術なんですね。今、昔の三八歩兵銃の時代じゃないのですから。そうすると、そこのいわゆる汎用ということを含めて明らかにアメリカの国防省に行くというような技術まで抑えなければ武器輸出三原則の精神が貫かれない。 もちろんこれはさっき言ったような日米交換公文で穴をあけてしまったわけでありますが、その問題とは別に、武器輸出三原則と言う以上、武器というものの定義そのものをもっと広げなければいけないということが一つと、それから二つ目に、日本国の憲法の理念ということを貫くとすると、原子力には基本法で平和利用ということがある。それから宇宙は、事業団法でともかく平和利用があり、国会決議もある。しかし一般の、いわゆる今のハイテクというものについてはそういうものがないけれども、実際は今一番心配なのは、エレクトロニクスにしろバイオテクにしろ、これが戦争に使われるという危険でありますので、そういう広く今の科学技術の平和利用を貫くということを国是にしていかなければいけないと私は思うわけでありますが、以上の二点についての大臣の御答弁を求めて私の質問は終わります。
○村岡政府委員 武器三原則の方でございますが、先生御指摘のとおり、これは平和国家としての理念に立脚いたしまして国際紛争の助長を回避するというために設けられたものでございます。したがいまして、これにより規制しておりますのは武器そのものでございますし、また武器そのもので十分であろうと思っております。 なお、汎用技術というものがいろいろ武器にも活用されるというのは先生御指摘のとおりでございますが、やはり武器に用いられる技術というものは、それなりにその耐久性とか精度とか、いろいろな意味におきまして通常の民生用のものとはかなり異なった性能、精度というものが要求されるものでございます。私どもがまさに規制したいと思っているものはそのようなもの、つまり武器に専ら用いられる技術ということであろうかと思います。
○工藤(晃)委員 私、大臣の答弁を求めております。
○村田国務大臣 工藤委員にお答え申し上げます。 ただいま政府委員からお答え申し上げましたとおりでございまして、武器輸出三原則あるいは今までの国会審議等を踏まえまして防衛庁あるいは外務省、関係当局とよく相談をしてまいりたいと存じます。
○粕谷委員長 これをもちまして工藤君の質疑は終わりました。 ————◇—————
○粕谷委員長 次に、内閣提出、中小企業倒産防止共済法の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより趣旨の説明を聴取いたします。村田通産大臣。 ————————————— 中小企業倒産防止共済法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○村田国務大臣 中小企業倒産防止共済法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。 昭和五十二年四月に発足した中小企業倒産防止共済制度は、中小企業の連鎖倒産を防止するため、取引先企業の倒産により売掛金等の回収が困難となった共済契約者に対し、その積み立てた掛金の十倍の範囲内で、共済金を簡易迅速に貸し付ける制度であります。 最近の中小企業を取り巻く経営環境には依然として厳しいものがあり、その中で倒産件数が高水準で推移しております。このため、中小企業の実情に即した制度の改善を行い、共済契約者の利便の増進及び利用者の増加を図ることにより、中小企業の連鎖倒産の防止を積極的に図ることが必要となっております。 かかる観点から、今般、中小企業倒産防止共済法の改正を提案することとした次第であります。 次に、本法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。 第一は、共済金の貸し付け限度額を引き上げることであります。 最近の中小企業者の取引先企業の倒産により生ずる回収困難額の実情にかんがみ、共済金の貸し付け限度額を二千百万円から三千二百万円に引き上げることとし、このため、共済契約者が積み立てることができる掛金総額の限度を二百十万円から三百二十万円に引き上げることとしております。また、掛金月額の限度を五万円から八万円に引き上げ、より早期に掛金の積み立てを行い得ることとしております。 第二に、共済契約者が臨時に事業資金の調達が必要となった場合に、積み立てた掛金の範囲内で簡易迅速に貸し付けを受けられる貸し付け制度を創設し、解約の防止と加入促進を図ることとしております。 第三に、共済契約者相互間の公平性を確保し、制度の運営体制の整備を図る観点から、解約手当金の取り扱い及び掛金滞納者に関する共済金の算定方法等について所要の規定の整備を行うこととしております。 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上御賛同くださいますようお願いいたします。
○粕谷委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 —————————————
○粕谷委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本案審査中、必要に応じ中小企業事業団当局より参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○粕谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、参考人の人選及び日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○粕谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は、来る二十六日火曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時二十九分散会 ————◇—————