社会労働委員会 第26号
- 発言数
- 281 件
- 登壇者
- 36 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1985/06/20
会議録
○戸井田委員長 これより会議を開きます。 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河野正君。
○河野(正)委員 大変時間が制約されておりますので、私どもの御質問も簡明率直に申し上げますので、お答えする方もひとつぜひそういう方向でお答えをいただきたいと思います。 そこで、問題が二、三点あるわけですが、まず第一番に取り上げてまいりたいのは、例の北九州病院の問題でございます。 なぜこれに私が着目したかといいますと、要するに今の医療というものは非常に公共性というものが強調されておる、したがって、今の医療というのは自由主義経済の中の統制経済、それは医療の公共性ということを特に中心としておるということに端を発すると思うわけですが、そういう意味では、今度の北九州病院の問題は、どうも世間で言われておりますような医療産業、要するに医の公共性というものを無視するというような方向で今回の不祥事件が発生をしておるというふうに考えるわけです。 まずこの点は大臣からお答えいただきたいと思うわけですが、要するに今の医療というものは公共性が中心にならなければならぬのですね。しかし、今世間で言われておりますのは医療産業、いろんな企業が医療の中に介入していく、近くはアメリカあたりからもそういう医療産業というものが攻勢を加えていく、こういうことも言わておるわけです。そういう意味で、医療に対しまする基本的な理念というものがどういうことであるのか、まずもってひとつ大臣からこの点だけはお聞きいたしておきたい、こう思います。
○増岡国務大臣 医療の持つ公共性ということに着目いたします際には、したがって医療が利益追求のみの場になるというようなことはもちろん望ましいことではございませんし、そのようなことはできるだけ排除していかなければならないというふうに考えております。
○河野(正)委員 そこで、私がお尋ねする基本的な理由というのはそこにあるわけですが、そういう意味で今度の北九州病院の事件というものは、ある意味ではそういう面を象徴的にあらわしておる事件ではなかろうか、こう思うわけでございます。 そこでまず、いろいろマスコミでも取り上げておるわけですが、北九州病院の事件がどういう状態に今日あるのか、ひとつその辺の概況を御報告願いたい、こう思います。
○幸田政府委員 北九州老人病院の経過と概要でございますが、五月二十七日に北九州病院の関係者二人が逮捕されました。その直接の容疑は、五十七年八月ないし昭和六十年四月から基準看護料を看護婦を水増しをいたしまして請求をいたしておりまして、その関係の詐欺と詐欺未遂の容疑でございます。その後、六月三日に北九州病院グループの理事長も逮捕されるに至っておるわけでございますが、私ども厚生省といたしましては、福岡県に対しまして事件の全容について早急に把握をし報告をするように命じておりますが、現在、基準看護に係る関係書類につきましては県警当局に押収をされておりますので、なかなか事実関係を明確にできないという状況でございます。 県といたしましても、六月七日に立入調査を実施いたしたのでございますが、私ども関係資料の提供を県警本部から求めまして、早急に監査を実施いたしまして、その内容を確認いたしました上で厳正な措置を講じてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
○吉崎政府委員 医療法関係でございますけれども、一つは医師等の名義借りが行われておるのではないか、こういうことであります。もう一つは、医療法人として大学等に寄付をいたしておりますが、これが適正であるかどうか、こういうことでございます。 前段の方につきましては、ことしの初めに福岡県が立入検査を実施いたしました際に報告されました医師等の数に比べまして、実際に勤務している医師等の数がかなり下回っておる、これが確認をされております。 それから後段等につきましては、ただいま保険局長からお答えをいたしましたように、全貌が必ずしもまだ明らかになっておりません。幾多の困難もございますけれども、県に実態の解明を急ぐように指示をしておるところでございまして、その結果を待って厳正に措置してまいる所存でございます。
○河野(正)委員 マスコミの報道するところでは、不正請求大体五十億、こういうようなあらあら状況の報道がなされておるわけです。警察が今捜査中であるのでどうであるこうであるというような御議論ございますけれども、しかし水増し請求というものが大体五十億というような報道もなされておるわけですから、どの程度厚生省としては把握しておられるのか、これは一応参考のために承っておきたいと思います。
○幸田政府委員 先ほど申し上げましたように、県警当局に関係資料を押収をされておりますことで、私ども実情を十分に把握し切っている状況ではございません。 で、現在までのところ、県警当局から私どもが通報を受けております詐欺及び詐欺未遂という金額につきましては、五十九年七月診療分、それから五十九年八月診療分、これは両方とも詐欺でございますが、六十年四月診療分は詐欺未遂ということで、合わせまして七千百万円というのが私どもに来ている数字でございます。御指摘のとおり、数十億に上るのではないかという新聞報道もございます。仮に北九州老人病院一病院だけとりまして、基準看護の金額は一月分にいたしまして大体二千七百万円程度、一年間にいたしまして三億有余に上ると思いますが、それがどの期間にわたっているかということによりまして金額が変わってまいるかと思います。いずれにいたしましても、早急に実情を把握するように福岡県に厳正な対応を求めている最中でございます。
○河野(正)委員 そこで、私どもが問題にいたしておりますのは、この北九州病院が北九州、大分と、それぞれ七病院、三診療所ということで点在しておるわけです。そしてもう一つ、医療の公共性というよりも利潤追求ということもあるであろう、医療産業という性格を持ってあろうということ。御承知のように西日本産業衛生会、こういった関連企業が十二社もある。病院経営にこういう関連企業が十二社もあるということはいかがなものであろうか。これ一つ取り上げてまいりましても、どうも医の公共性というのは全然尊重されていない、全くの産業だというふうな印象を持つわけですが、この実態はどうなっておるのか。
○吉崎政府委員 御指摘のございましたように、大体三つのグループに考えてよろしいかと存じます。 一つは、医療法人北九州病院でございまして、北九州津屋崎病院、北九州老人病院ほか二病院一診療所。それから、財団法人西日本産業衛生会のグループがございまして、附属医療機関が北九州中央病院ほか五病院、診療所。それから、附属施設といたしまして検査センター、環境測定センター、給食センターなど八つの施設。それから、もう一つが北九州病院厚生年金基金でございます。 そのほかに、御指摘にもございました関連会社が進和興産、北進産業、進和グリーン、扇メディカル、こういうものがございます。
○河野(正)委員 本来、医療というものは、医療行為を行うということが主体でなければならぬことは当然でございますが、それが、今申し上げますように関連企業が十二社もあるということが指摘されておるわけですね。一体、この北九州病院というものは医療を本体にしておるのか、医療を通じて利潤追求を図っていくべき産業的な性格を持っているのか、この点非常に疑問のあるところで、日本の今の医療行政というものが非常に厳しいわけですから、したがって、この点についても非常に大きな関心を持たなければならぬ。特に、最近では一般的な医療機関というものは経営が厳しい。その点をついて、マンション業者が医療に手を出すとか、あるいは近くはアメリカあたりからも医療産業が日本にシェアを持つとか、そういうことが議論されておるわけですね。 そうしますというと、一般の開業医もそうですけれども、いろいろ不平不満というものがある。ですけれども、医というものは公共性をとうとばなければならぬ、そういうことで、医療費の問題その他についてもまじめな連中はいろいろ不平不満がある、だけれども、やはり医の公共性というものを十二分に考えておるから辛抱してきたと思うのですね。ところが、残念ながら今度の北九州病院というものは、そういった意味では非常に特徴的な存在であった、こう思うわけでございます。 したがって、これはこの際きちっとしてもらわないと、医療を通じて国民の健康を守る、あるいは疾病の予防を図る、そういうような医療本来の使命感よりも、むしろ医療を通じて利潤を追求していこう、こういう風潮というものがだんだん拡大されるような見通しがあると私は思う。そういう意味で、ひとつもう一度、この点は大臣から見解を承っておきたいと思う。
○増岡国務大臣 御指摘のように、医療の公共性ということ、あるいはまたそのことによって国民からの信頼を得ておるわけでございますから、それを損なうような今回の事態はまことに遺憾なことでございます。したがいまして、今後は医療に対する国民の信頼を回復するためにも、二度とこのようなことがないように指導の徹底を図ってまいりたいと思います。実は昨日、直接医療機関を監督しております各都道府県の担当官に対しても、その指示を下したところでございます。
○河野(正)委員 そこで、時間もございませんけれども、具体的な問題についてお尋ねをしてまいりたいと思いますのは、先ほど吉崎局長もちょっとお触れになりましたけれども、医療法の基準があるわけですね。その中の医師の充足、これは一般の病院も鋭意努力をしておるわけです。しかし、医師の充足が非常に困難な事情にあることは医療監査その他で厚生省も大体御承知のとおりだと思うのです。 ところが、そういう中で、きょうは文部省もおいでいただいておるわけですが、広島あるいは長崎あるいは九大、そういった国立大学——私立大学ももちろんございますが、そういった大学が金に左右されて、そして医師を送り込む。特に今、医師過剰時代とはいいながら都市集中ですから、地域に医師を導入することが非常に難しいという事情もあります。そこにつけ込んでと言えばちょっと語弊がありますけれども、各大学が医師を送り込むについては、かなりの研究費あるいは助成金を要望しておる。中には強要されたという発言も北九州病院の幹部の中から吐露されておる、そういうことが警察で述べられておるというようなことも言われておるわけです。 こういうような点に対して、先ほどから申し上げましたような、まじめな連中は非常に苦労しておるのに金に物を言わせてどんどん医師を導入するというようなことで、医療の現在のあり方に対して非常に混乱を招く原因を大学がつくっておる。特に私が申し上げたいのは、国立大学がつくっておるというところに問題があると思うのです。この点について文部省はどういうふうにお考えになっておるのか、実情とあわせてひとつ御見解を承りたいと思う。
○佐藤説明員 文部省といたしましては、新聞に報道がなされまして後、各大学に早急に事実関係を調査するようにという指示を出しました。関係大学においてそれぞれ調査委員会を設けまして現在調査中でございますが、大学に所属する研究者、職員の方にはただいままでの調査のところでは名義貸しの事実はないという報告が来ておりますが、研究助成を受けておりまして、その一部に不適切な経理のやり方があったというような報告が来ているわけでございます。こういったことは国民の大学病院、国立大学に対する信頼を損なうものだということで、私ども極めて遺憾なことだと考えておりますが、大学と民間病院の協力関係というのは、これは地域医療に貢献するという観点あるいは私どもの大学の職員がそれによって幅広い経験を積むという観点から意義があることはあるわけでございます。 しかしながら、国民の疑惑を招くというような不適切なことがあってはいけないわけでございまして、所定の手続にのっとってきちんとやるようにというふうに私どもといたしましても指導をしてまいっておるわけでございますが、今後とも、特に外部資金の受け入れにつきましては厳正な手続の履行という点を含めて、また、綱紀の粛正につきましても改めて強く指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
○河野(正)委員 大学が地域医療に貢献するという意味で民間病院に派遣されるという点については、私は異論はないのです。ただ問題は、それに金が絡まっておるものですから……。金も純粋に研究のための金であればいいけれども、今度の北九州病院の幹部の警察での発言によれば、半ば強制的に要求されたというような発言もあるわけですね。これはとんでもないことである。 それといま一つは、派遣する場合には文部大臣の許可が要るということも承っておるわけですが、この点は文部大臣として許可をされたそれぞれの医師が派遣されておったのかどうかですね。
○佐藤説明員 派遣につきましては、これは大学の判断で行われることでございますけれども、本人が行きたいという希望がなければもちろんできないわけでございますが、教授等がそれに合意を与えて、結局、学長が辞職を承認するという形で手続が行われているということでございまして、文部大臣の方に直接上がってくるということではございません。
○河野(正)委員 そこで、先ほどから申し上げますように、基本的に、私どもは大学から人材を派遣することによって地域医療に大いに貢献をするという点については、医学の進歩、地域医療のためにも好ましいことですから、そこをいろいろ申し上げようとはいたしませんが、本人の意思もありましょうけれども金が絡んで派遣をされる、それからまた、医師を派遣するについては研究費を半ば強制的に強要する、そういう事実があったというようにも承っております。 そういうことで、やはりそういった意味での綱紀粛正、この点を今後も十二分に実施してもらわぬと、やはり今度のような事件が後を絶たぬのではなかろうか。特に医療産業とも考えられるような医療機関というものは、金に目をくれずそういうことをやる、それにまた大学側が惑わされるということはあってはならぬ点であろうと思うのです。そういう意味で、今後そういう点について極力強力な指導をやっていただきたい、こういうように思いますので、そこで一点だけ答えてください。
○佐藤説明員 先生の御指摘、御指示を踏まえまして、私どもとしてもこれまでよりも一層厳しく厳正に指導してまいりたい、こう思っております。
○河野(正)委員 そこで、これはまた厚生省に戻りますが、医療費抑制ということで、最近の新聞、朝開いてみますと、いかにして医療費を抑制するかというような具体案が毎日毎日出ておりますわ。きょうも出ておるようです。そういう状況の中で、実は新聞でも報道されておりますが、社会保険出張所め職員が、あるいは福祉事務所の職員がゴルフコンペに招かれたり、あるいは会食をしたりというようなことで、この北九州病院の今度の不祥事件に若干かかわりを持っておるのじゃなかろうかというような疑惑もあるわけですが、その点は公明正大でございましょうか。
○朝本政府委員 新聞で社会保険の職員がこの病院関係者とゴルフをやったという報道につきまして、私どもとしては、直ちに県の方へ照会をいたしまして事実の調査を進めているわけでございます。新聞報道のとおり、五月の連休に社会保険の職員が先輩に誘われましてゴルフに行ったところ、逮捕されたこの北九州病院グループの理事長も参加していたという事実があったようでございます。 説明によりますと、同じ年齢層の社会保険の職員がプライベートな趣旨で集まった、こういうふうに聞いておりますけれども、私どもとしては、やはり職務上関係のある病院関係者とゴルフ場で一緒になったというのは甚だ遺憾なことであるというふうに存じておりまして、なお、趣旨その他詳細に調査をした上で、処分の必要があれば厳正な処分をいたしたい、こういうふうに考えております。
○河野(正)委員 医療財政というものが非常に厳しくなる。そこで、そのために今非常に大きな圧迫を受けておりますのは、何といっても一般の医療機関だと思うのです。 それと同時に、もう一つは、やはりいろいろ監督が強化されて、そのために医師が診療行為の中で萎縮する、この点は見逃してならぬと私は思うのです。これをやりたいが、こういうことをやると監査にかかわるのじゃなかろうか、あるいはまた減点されるんじゃなかろうかというふうな意味で、これは良識的な場合を申し上げておるわけですが、良識的な医師が診療行為の中で萎縮するという面も決して無視はできぬと私は思うのです。 いずれにいたしましても、医療情勢というものが非常に厳しくなった、そこで監督強化でだんだん厳しくなった。であるだけに、やはりこの監督官庁は姿勢を正してもらわなきゃならぬと思うのです。たまたま今度そういう保険に関連するような職員が会食するとか、あるいはゴルフに行ったとかいうふうなことを指摘されておるわけですね。こういうことは絶対あってはならぬと私は思いますので、今後とも厳重な指導を行っていただきたい、こういうふうに思います。 時間がございませんので、最後に一つお尋ねをしておきたいと思いますのは、方針として、保険医取り消しもあり得るというのが今日の厚生省の判断のようでございます。そうしますと、今三千ベッドからあるわけですから、この三千ベッドに収容されておる患者が、保険医が停止されたならば一体自分たちはどうなるかというような不安もあると私は思うのです。そういう点もございますので、そういう点も十分配慮しながら、けじめをつけるものは早くけじめをつける、そして将来はこれでいくんだという方針を打ち出してもらわなきゃいかぬと思うのですね。そういう意味で、その点に対しましては、これは大臣から聞いておきましょう。
○増岡国務大臣 今回のことにつきまして、警察当局により取り調べを受けるという事態が生じておることはまことに遺憾なことでございます。この措置につきましては厳正に対処していかなければならないと思いますけれども、先生御指摘の入院患者のことにつきましてもやはり十分な配慮をせざるを得ない、そういう心境でおります。
○河野(正)委員 次に移ります。 昨年の四月十二日、それから本年の三月七日、例の業務行政について、にせ薬が後を絶たないというふうなことで、厚生省に対しましてひとつ厳重に指導をしてもらいたい、こういう要望を両委員会で行ったわけですが、依然としてそういうにせ薬を含む業務行政の怠慢というものが後を絶たない、こういう状況でございます。 そこで、現在このにせ薬問題が一体どのような状況であるのか、きょう警察庁をお呼びしておりますので、警察庁の方からあらかじめ御報告願って、その後具体的には質問を続けてまいりたい、こういうように思います。
○上野説明員 警察としまして未承認医薬品の製造販売事件としまして過去三年間に取り扱いました件数でいきますと、昭和五十七年が検挙が百三十七件、百五十六名、五十八年は二百件、百八十九名、五十九年は百六十三件、百七十四名という人数になっております。全般的に見まして、最近このいわゆるにせ薬というのが次第にふえております。 昔からいろいろな形の未承認医薬品というのはあったのですが、最近のような健康食品ブームあるいは健康で長生きしたいという気持ちの人が多くなってきますと、そういう気持ちにかこつけて不当に薬を売る者が、特にまがいものを高く売りつけるとか、あるいは体に有害な副作用の強いものとか、あるいはその薬を例えばがんの患者が本物の薬と間違えて正規の正当な治療を受ける機会を逸してしまったとか、そういうような事案が非常にふえてきておりますので、今後取り締まりを厳しく行っていきたいと考えている次第でございます。
○河野(正)委員 今警察庁から報告されましたように、にせ薬事件というものが後を絶たない。しかも、薬というものは生命関連商品ですから、国民の命に関係をするという重大な問題でございます。それがなかなか後を絶たない。そこで、私もそういうことを危惧いたしまして、先ほど申し上げましたように昨年の四月十二日、そして本年の三月七日と両委員会の中でこの問題を取り上げてみたわけですが、その際、厚生省としては、もう今後そういうことが起こらぬように厳重にひとつ注意を払っていきたい、また指導も強化していきたい、こういうふうな御答弁をいただいておるわけです。実はそういう御答弁をいただいておるけれども、決してこの不祥事件というものは後を絶たないという状況にございます。 そこで、実は今まで私も、スリムエース事件、これはやせ薬ですね、それからクレスチン、今警察庁から話がありましたいわゆるがんの制圧剤、こういうものを具体的に挙げて取り上げてきたわけですが、ところが残念ながら、その後もこのにせ薬事件というものが出てまいっております。私どもは警察権を持っておるわけじゃありませんから、一つ一つ摘発して調査するわけにはまいりません。が、例えばハイセボン、これは一日一粒で背が伸びるという、これが大体二十万入ぐらいがこのハイセボンを買って飲んでおるだろう、こういうふうに言われております。大体十億円ぐらいの利益を上げたのじゃなかろうか、こういうふうに言われております。 それから、いま一つ具体的に申し上げますというとアスコンプ、これは胃潰瘍、胃炎の治療薬でございますけれども、日本ケミファが製造販売をいたしておるメーカー品、これがまた五十八年ごろから現金問屋にこのにせ薬が流れている。日本ケミファが出したアスコンプのにせ薬が現金問屋に流れている。そして、愛知や神戸、静岡、茨城、千葉、こういった各方面の公立病院、公的医療機関にこれが流れておる。それで、大体四億ぐらい出回っておる、こういう状況が出ておるわけです。これは警察庁が摘発したわけです。こういうように注意を喚起しても、喚起しても喚起しても依然として出てくる。 先ほど警察庁の報告でも、この三カ年間統計を見てまいりましても、一向減ってはおらぬわけです。むしろ五十七年から見ますというと、ふえておるという状況もございます。これに対して厚生省としては十分指導をしておる、指導をしますというお約束だったわけですけれども、一向それが解消できない。これらについてどういうふうにお考えになっているのか、ひとつこの際、見解を承っておきたいと思います。
○小林(功)政府委員 業務行政の点からお答え申し上げますが、ただいまお話しございましたように、医薬品というものは、言うまでもなく人間の生命、身体に直接影響する重要な品物でございますので、品質がいい医薬品が出回る、悪い医薬品が出回らないようにということが大切でございまして、そういう意味では平素薬事監視で努力をしているつもりでございますが、それにもかかわらず、このような事件が幾つか出てくるというのは大変遺憾でございます。 前回も先生にお答え申し上げましたように、いろいろの措置を考えておりますけれども、まずこの五月に関係業者に対しまして、医薬品の販売において、取引の相手方が薬事法上の許可を有していることを確認すること、あるいは必要に応じまして取り扱い医薬品の試験検査を行う、そういうことによって不良不正な医薬品が流通しないよう医薬品の管理を徹底するようにということを文書で通達したのが一つでございます。 それから、にせ薬事件が発生する問屋、これは非常に特殊な問屋でございますので、そこら辺も前回もお答え申し上げましたけれども、その取引価格等から見て品質に疑問を抱かせるような、そういった医薬品の取り扱い業者については、特に重点的な監査をやろうということで、これも既に都道府県に指示をいたしまして、いわゆる現金問屋でございますか、これに対しましては厳重な監査をするという指示をしております。 また、それらも反映したのでございましょうが、いわゆる現金問屋関係の団体におきましても、いわば自粛ムードと申しますか、自主的に取引の改善を図るという動きが出てまいっておりまして、具体的には東京、大阪の同業界におきましては、取扱品について仕入れ先、製造番号、日時などを記帳するということが一つ。それから許可証等によって仕入れ先の身元確認を行うこと。第三に、流通する医薬品の試験検査を定期的に実施する。こういったことを団体内部で自主的に申し合わせしまして、これから実施するということを報告してきております。 そういうことで、いろいろ行政側も、それから業界の方も良質の医薬品の流通といった意味の努力を続けておるところでございます。
○河野(正)委員 今お答えを承りましたけれども、どうも聞いてみると、厚生省の指導のやり方に誤りがあるような気がするのですね。それはどういうことかといいますと、今もお答え願いましたように、現金問屋に対して通達を出した。ところが、現金問屋というのは正規のルートじゃありませんから、やはり何か事があったならば、それで利潤を稼いでいこうという欲もあるわけです。それからクレスチンのにせ薬、クレスチンは三共のメーカー商品ですけれども、もう外装も見た目が一つも変わらぬ。それからまた、先ほど申し上げましたアスコンプにいたしましても、全然外見は本物と変わらぬ。ただそれが余計出回ったものですから、結局つくったメーカーが発見するわけですね。 アスコンプのごときも、日本ケミファがあんまり出回っておるので調査したら、日本ケミファが生産をした六倍ぐらいが出回っておる。それでこれはおかしいぞということで今度のにせ薬事件が発覚をした。これは先ほど申し上げましたがんの制圧剤クレスチンについても同じでございます。これは三共が余りたくさん出回っておるものだから、よく調査したところが、にせ薬が出回っておる。全部メーカー自身がこういうものを発見しておる。厚生省じゃないですよ。ところが、厚生省は、現金問屋に対して、自粛しなさい、厳重にチェックしなさい。私は、それよりむしろ現金問屋と取引しておる医療機関に対して厳重に注意しなければこの問題は後を絶たぬと思うのですよ。 しかも前回の委員会で、国立病院だけでも約四十病院くらいが現金問屋と取引しておる、こういうことでしょう。これは施設の約二割近い病院の数ですよ。それが現金問屋と取引しておる。そういうものに対して、取引はならぬという指導はできぬでしょうけれども、要するにさわらぬ神にたたりなしという言葉がございますが、そういうところは敬遠していくというような指導をしなければ、現金問屋だけに通達を出したってそれは余り効力ないですよ。むしろ厚生省は、国立病院というのは厚生省が抱えている直属の医療機関ですから、そこに対してもう少し厳重なチェックを行うような指導をしなければこのにせ薬の不祥事件というものは後を絶たぬのじゃなかろうか。そういう意味では今の厚生省の指導には誤りがあると思うのです。 とにかく自分たちの直接監督がいける国立病院あるいは公的医療機関、そういうところに対して直接皆さん方が強力なチェックを行わなければこの事件というのは後を絶たぬと思うのです。そういう意味で、私は、今の厚生省の指導の仕方には根本的に誤りがある、この誤りを正してもらわぬとこういう議論はいつまでたってもこの委員会で取り上げなければならぬということになりますから、私の発言に対して反省をしながらひとつ御答弁いただきたいと思います。
○大池政府委員 御指摘のとおり、医薬品は直接生命、健康に関与するものでございますので、その安全性、有効性、よい品質が確保されなければならぬことは当然のことでもございますし、私どももその点は強く認識しているところでございます。国立病院、療養所におきましても、良質な医薬品を確保すると同時に、これを安く仕入れるという努力も半面必要なことはまだ言うまでもございません。こういった絡み合いの中におきまして、良質の医薬品を確保するという観点からは薬事法上あるいは会計法上の資格審査も済ませた業者から仕入れる、その際にも製造番号がふぞろいとか、あるいは製造日時が著しく経過して期間が短いとか、こういったような医薬品を取り扱う業者からは購入しないというような指導を行っているところでございます。 また、先般三月、全国の医療機関に向かいまして医薬品を購入するに当たっての確認行為の徹底を図るというような文書が出たわけでございますけれども、国立病院、療養所に対しましても同じ趣旨のことを四月九日の文書をもって強く指導しているところでございます。また、同じことを全国会議、フロック会議あるいは個別の指導と、あらゆる面を通じましてその指導の一層の徹底を図ってまいる所存でございます。
○河野(正)委員 しからば、こういう問題を提起されて、そして行政指導をやって、国立病院なら国立病院の現金問屋との取引関係というものが幾らか減少してきましたか。どうでしょうか。
○大池政府委員 私どもの考え方としましては、現金問屋というような形態というよりも、むしろ良質の医薬品の確保ということを中心に考えておるわけでございますが、そういう問屋との取引の数が特にふえているとか減っているとかということでは承知しておりません。大体同じぐらいの数で推移していると考えております。
○河野(正)委員 それじゃ答えにならぬじゃないですか。指導したならばできるだけそういうところを避けていく、やめるというわけにはいかぬでしょう、避けていくというのが当然じゃないでしょうか。それが依然として注意してもせぬでも同じように国立病院が現金問屋と取引しておるということでは、国立病院そのものも何ら反省がないじゃないですか。やはり注意しなければならぬということになれば注意することによって取引関係というのが縮小されていかなければならぬ、そう思いますよ。その点、どうでしょうか、
○大池政府委員 先ほども御答弁申し上げたとおりでございますが、品質管理という観点に立ちまして問題をはらんでいるような業者は取り扱わないようにという注意も徹底しておりますし、また医薬品等につきましての新たな業者の参入に際しましては、直接職員が赴く等その品質管理につきましての業者の取り組みぶりを確認した上でこれを取り入れるというようなことも行っているところであります。
○河野(正)委員 とにかくそういうふうな指導をしたのにもかかわらず今度の日本ケミファのアスコンプ、これが依然として愛知あるいは静岡、茨城、千葉といったところの公的な病院で使われておる。こういう報道がなされておるわけでしょう。そうすると、あなたの方で指導したというけれども、指導の成果というのは全然上がってないということでしょう。少なくともそういうことで自粛していくということになれば、その後、こういう公的医療機関がアスコンプ、要するに胃潰瘍のにせ薬を使うということはないわけじゃないでしょうか。 過去は過去であっても、その後は逐次減少しなければならぬ。少なくとも公的医療機関というものはにせ薬をつかまされるということはない。にせ薬をつかんだ原因というものは現金問屋と取引しておるからでしょう。ここにもそう書いてあるんです。現金問屋から流れていると書いてあるんです。全然反省がないじゃないですか。また厚生省の威令というものは全然行われていないじゃないですか、 この点は、私どもこの業務行政に対してとにかくここでほこ先を曲げるということはできませんよ。大臣にひとつこの点について明確な反省を含んだ御見解を承っておきたいと思います。
○増岡国務大臣 一連のにせ薬事件がありました後に、厚生省から各都道府県の主管部局長あてに三月二十八日に注意を喚起するための文書を発送いたしておるわけでございます。それに基づきまして四月九日に国立病院、国立療養所等につきましてまた別途その趣旨の徹底方の文書をもって注意をいたしておるところでございます。 したがって、これまでもそういう努力をしてきた結果が、にせ薬事件に巻き込まれることがゼロでなかったということについては反省をいたしておりますけれども、その後この三月、四月という注意によりまして、なおその上今後も医療機関にやはり安い物を買うなというわけにはまいりませんと思いますけれども、安全有効であり安い物をという購入についての才覚、分別をしっかりしてもらうように指導してまいりたいと思っております。
○河野(正)委員 もう時間がありませんので、多くを申し上げられませんが、この問題が提起された以降は少なくとも公的医療機関が現金問屋との関係を薄めていくということは当然だと思うのですよ。それをやらぬから、またぞろ現金問屋から買うてにせ薬をつかまされる、こういう結果が出ておるわけでしょう。にせ薬を飲まされて金を取られて、一番困るのは国民なんです。ですから、今のような通達を出したけれども思うような成果が上がらなかったということでは納得できませんよ。だから、そういった現金問屋と公的医療機関との関係をゼロにすることは難しいでしょう、でしょうけれども、少なくともできるだけとにかく自粛しなさい、厳重なチェックをしなさいという指導をもっともっと強化しなければこの問題は後を絶たぬと思うのです。 その証拠には、厳重に通達を出した、指導したと言うけれども、後を絶たぬ。また起こっておるでしょう。ですから、少なくとも厚生省、特に国立病院が率先垂範しなければいかぬと私は思うのです。この点、さらにこういった問題が起こらぬように厳重にチェックする、あるいは強力な指導をするということをお約束いただきたいと思うのです。大臣どうでしょうか。
○増岡国務大臣 御指摘のようなにせ薬事件がありました後、通達を出しておるわけでございまして、その後は、時間的な期間も短うございますけれども、そういう事件に巻き込まれていないわけでございますが、今後も御趣旨を体して十分注意をしてまいりたいと思います。
○河野(正)委員 時間がございませんから、最後の問題に移りたいと思います。それはいわゆる体外受精問題でございます。 聞くところによりますと、埼玉県の越谷市立病院で体外受精が行われた。これはどうも内容的に人体実験じゃないかあるいは医療法違反、医師法違反じゃないかという指摘もあるようでございます。この間の事情を厚生省はどう承っておられますか、まず御見解を承りたいと思います。
○吉崎政府委員 越谷市立病院のことにつきまして、埼玉県の報告によりますと、農学修士である衛生検査技師の資格を有する者が、医師が受精に適するものと決定した卵子——卵子を取り出すのは医師がやっておるわけでございますが、それを培養液に移しかえてこれを精子の培養液に入れる、そういうことを行ったということでございます。 そこで、この医師以外の者が今申し上げたようなこと、精子、卵子の取り扱いにどこまで関与できるか、これもなかなか難しい。精子や卵子が人に当たるかどうか、人の命はどこからかというふうな大変難しい判断を必要とするのでありまして、現在のところ一致した見解は得られていないという現状でございます。ではございますけれども、人間の生命にかかわることでございますので、適法かどうか、これはまた別でございますが、医療の常識といたしまして倫理の関係もございますので、関係者におかれては慎重な配慮を払っていただきたいと考えておるものでございます。
○河野(正)委員 体外受精の問題、世界的にもいろいろ議論がなされておるところでございますが、問題は、今局長からお答えございましたように、医師でない農学修士の職員がこの問題にタッチしておる。そこが問題なんです。ですから、体外受精をやる点については問題ないわけですが、そういう非常に人道的な行為をする過程の中でいわゆる医師でない者が介入することはいささかモラルの問題もあります。 と同時に医師法違反。というのは、埼玉越谷の市立病院では、昨年六月ごろから不妊症患者を対象としてやってきておるわけです。ですから、研究というより治療の一環としてやってきたというふうに言われておるわけです。そうすると、畜産学専攻の農学修士が治療の中で介入する点は医療行為に相当するわけですから、これは医師法違反じゃないかということで問題になっておるわけです。 動物実験とかそういう実験とは異なって、治療の一環としてやる医療行為の中で医師以外の人が参加することは問題ではないか、こういう指摘ですね。医療行為の中で医師以外の者が参加をすることについては、今局長からも慎重を期さなければならぬという話がありましたが、この点もう一度見解を承っておきたい。
○吉崎政府委員 越谷市立病院の場合には、東北大学等で行われました体外受精とはちょっと違っておりまして、受精卵を子宮に戻すのではないのでございます。そこで、先ほど申し上げましたように、精子と卵子を取り扱っておるのでございまして、これが生命の始まりをどういうふうに考えるか、関係者の間でもなかなか一致した見解が得られておらない。これが実情なのでございます。 そこで、お話にもございましたけれども、そうではありますが、人の子の生命に関することでございますから、関係者におかれては慎重な配慮をしていただきたいと考えておるものでございます。
○河野(正)委員 専門家の間でも、今局長がおっしゃったようにいろいろ問題があるところがあります。この畜産学専攻の農学修士は主として動物に携わっているわけですから、同じ卵・精子にしても動物と人間は違うぞ、したがって、そういう農学修士が参加をすることは不適当だ、こういう意見もございます。 それから、もともと基本的に、こういう不妊症患者を対象とする治療行為の研究の中で畜産学を専攻した農学修士が参加することは問題だ、こういった一つの医療行為に対しては医学全体の知識を持った医師でなければ参加すべきでない、そういう意見もございます。 それからいま一つは、これは病院側にいささか利用されるかもわかりませんけれども、諸外国ではトレーニングをやった技術者が参加をする状況もあるということがございますけれども、国内的な専門家の意見によりますと、大部分が不適当だと言われておるようです。したがって、この問題に関しては畜産学専攻の検査技師が参加することは、一般的な専門家の意見を総合すると、不適当だと言い切れるかどうかわかりませんけれども、これは当然医療法あるいは医師法違反の疑いも考えられるという見解があることも事実なんですね。したがって、この問題に対しては慎重の上にも慎重を期さなければならぬ、こういうふうに思うわけです。 ところが、この市民運動の中でいろいろなやりとりが行われておるわけですが、その中の公開質問の中に、病院側が出した見解の中にこういうことがあるのですよ。これは私はいささかどうかと思うのですが、この問題を提示した団体に対して、むしろ私どもは病院側に慎重な態度をとらすべきじゃないか、こう思っておるわけですが、ところが病院側が、「今後、事実を認識した伝聞についてより一層慎重さを持って受けとめられるように希望する。」と書いてあるのです。文句を言う方に対してもう少し慎重にやれ、こういうことが公開質問の回答の中に示されておるわけです。 そうしますと、これは厚生省の方針と全く違っておる。厚生省はそういう疑いのあるものは慎重を期さなければならぬので、十分慎重な態度で臨むべきだということでしょう。ところが、この病院側は開き直っておるわけですよ。そういう事実については、むしろ指摘をした団体側がもっと慎重な態度をとってほしい、これは全く厚生省のおっしゃることと裏腹です。これに対して厚生省はどうお考えですか。
○吉崎政府委員 お話しのございました公開質問、ちょっと私承知をいたしておりませんが、先ほど来申し上げておるとおりでございますけれども、社団法人日本産科婦人科学会の「ヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究に関する見解」、これは研究についてでございますが、こういう見解というのがございます。先ほども申し上げましたように、「ヒト精子・卵子・受精卵を」、今回の場合には受精卵は入っておりませんで、ヒトの精子と卵子についてのみでありますけれども、「取り扱う責任者は、原則として医師とし、研究協力者は、その研究の重要性を充分認識したものがこれにあたる。」こういう見解を出しておりますが、今回の件に際しまして、先生からもお話がございましたが、いろいろな関係者の見解も報道されております。ではございますが、何といいましても、人の問題でございますので、関係者、関係機関は慎重な配慮を持っていただきたいと考えるものであります。
○河野(正)委員 時間がございませんから、健康政策局長に御質問したいと思いますが、この越谷病院の公開質問に対しまする回答、これは局長はまだ知らぬとおっしゃるが、これは回答があることは事実ですから、この事実に基づいて申し上げておるわけです。「当院産科婦人科では、不妊症の治療の一環として精子、卵子母体注入法を実施をしております。」その一環としてやられたわけですね。ですから、一般の研究とはやや違うという印象を持たざるを得ない。 ですから、治療ですから、その治療に、今申し上げたような医師でない農学修士が参加をするということは、これは適当ではなかろう。トレーニングを積んだ技術者が参加をすることについてはよろしいんだという社会の中での意見があることも事実ですが、しかし、国内の大部分の意見というものは、「原則として」と先ほど局長おっしゃったが、学会でもそれは「原則として」ということは、原則以外ということは好ましくないということでしょう。やむを得ない場合に、そういう方々の協力を得る。それはやはり助言ですね。そういうことに対して、動物実験ではどうなのかということで、農学修士の意見を聞く、助言を受けるというようなことは、これはあり得ると思うのですね。 しかし、参加するということはいささかどうであろうかということと、先ほど申し上げますように、病院側がむしろ開き直って、厚生省は今述べられましたように慎重を期してもらいたいというのだけれども、むしろこれを問題にする方に対して、あなた方は慎重に行動しなさい、こういう開き直った回答をやっておるわけですね。これでは、このまま放置すれば、これは厚生省がいかに今のような立派な答弁をされても、私はそのとおりに実施されないと思うのです。下の方に伝達しないと思うのです。 ですから、厚生省が本気でこういう問題については慎重を期すべきだ、医師以外が参加することについてはいろいろ疑惑を招くので、これは将来、そういう方針、基準というものが一致すればいいですね、しかし、今いろいろな議論のあるところですから、しかし、こういう問題はやはりそれなりに慎重を期すべきだ、こういう意味でお答えをいただいたわけですけれども、現地の病院は、今申し上げますように、むしろ問題にする方に、おまえたちは慎重に行動せい、こういう開き直った回答をやっておるわけですからね。 これはやはり、よほど厚生省が指導していただかないとうまくいかぬと思うのです。この点は、ひとつ大臣から御見解を承っておきたいと思います。
○増岡国務大臣 ただいまのお話は、科学と生命と倫理の接点にある問題でございまして、統一見解のようなものができていないというところに問題が生ずるかと思います。したがって、そういう際には、先生御指摘のように、あるいはまた健康政策局長から申し上げましたように、できるだけ間違いのないように慎重な姿勢で臨むのが当然だと思います。 病院側が団体に対してどういうことを申しておるのか私も知りませんけれども、もしそのようなことがあるとすれば、これからもいろいろ指導してまいらなければならないというふうに思います。
○河野(正)委員 最後ですが、いま申し上げますように、これは生命の問題というものは大変重大な問題でございます。そして今後こういう方面の学会のいろいろな意見あるいは技術の進歩というものがあり得るわけですから、特に私はここでそういう見解というものが一致するまで、あるいは基準ができるまでは慎重にやるべきだということでやっていただかぬと、これはもう今からこういう問題が各所で起こってくると思うのですよ。それだけ、私はこういう問題についていろいろ世間から人体実験じゃないかとか、あるいは人道上も問題じゃないかとかというようないろいろな意見があるわけですから、そういう問題に対して学会がどういう方針を出すのか、あるいはどういう基準を出すのか、そういう時点まではやはりある程度歯どめをしておかぬと、これは野方図にやられたらかなわぬと思うのです。 そういう意味で、ひとつ歯どめのためにも、大臣、今お答えいただいたが、重大な決意を持って御指導をいただきたい。というのは、私があえて言葉を重ねましたのは、病院側が、これは公開質問ですから、公開質問の中でそういうことを問題にする方がもう少し慎重にせいと、開き直ったような姿勢があるということに問題がありますので、私は、重ねて大臣からひとつ十分な指導をやるんだというふうにお答えいただきたい。
○増岡国務大臣 御指摘の御趣旨にのっとりまして、慎重にやるように指導いたしたいと思います。
○河野(正)委員 終わります。
○戸井田委員長 多賀谷眞稔君。
○多賀谷委員 カネミ油症事件について質問したいと思います。 既に昭和四十三年にPCBによりますこの油症患者が出ましてから、昭和四十三年ですから十七年たっておるわけであります。その間、被害を届けた者が一万三千名、認定をされた患者が千八百を超える状態であります。そういう中で相次いで訴訟が提起されております。 最初は福岡民事、これは国を被告としておりませんので、今のところ直接国には関係ありませんが、要するに第一陣として七百五十名、第二陣として三百五十名、第三陣七十名、そのほかにまだこの訴訟をしていない八六百七十名を数えておるわけであります。 そこで、六月十四日、すなわち第二陣の高裁の結審をしました直後に、裁判長は国、それから鐘淵化学会社に対して和解の勧告をしておるわけですね。それについてどういう態度で臨まれたか、その理由は何であったか、これをお聞かせ願いたい。
○竹中政府委員 お話しのとおりに、六月十四日に福岡高裁におきまして和解につきましての意向打診が行われたわけでございます。その際、国側から高裁の和解の打診には応じられないという旨の御返事をいたしたわけでございます。 それにつきましては、六月三日であったと記憶をいたしておりますが、事前に高裁から和解についてどうかというふうな意向打診らしいものがございまして、それを受けまして、法務、農林水産、厚生の三省で検討をいたしたわけでございます。その結果、カネミ油症事件の判決につきましては、行政の根幹にかかわる非常に大きな問題を含んでおるわけでございまして、上級審の判断を仰ぐことを確認いたしました本年二月二十二日の三大臣協議の時点から現在まで状況の変化が認められないということでございますので、先ほど申し上げましたように、高裁の和解の打診には応じられないことを御返事いたしたわけでございます。
○多賀谷委員 三省で協議をしたと言うが、だれが協議したのですか。
○竹中政府委員 具体的には私ども事務方が何度も会って相談をいたしたわけでございます。もちろん、それぞれ各省におきまして大臣に上げまして、大臣の御指示をいただきましてそういう判断をいたしたわけでございます。
○多賀谷委員 大臣はいつお聞きになったのですか、三省で決定して、そして拒否をするという返事をするということを。
○増岡国務大臣 六月三日に高裁より和解の意向打診らしきものがあったということでございまして、その後六月十二日に法務大臣から私に対しての意思確認が求められたわけでございます。恐らくもちろん農水大臣にもそのようなことをなさったかと思いますけれども、その結果、そのときの話では二月二十二日の三大臣協議の時点以来の状況の変化がないということで合意をいたしたわけでございます。
○多賀谷委員 状況の変化がないということじゃないでしょう。判決は出ていないのですよ。判決が出ていないで、今、白紙で話をしたらどうですかと言っておるのでしょう。二陣の判決が出てお話しになったら、状況の変化はない、第三陣と同じじゃないですかということが言えるかもしれないが、まだ判決が出ていない。判決が出ているのは第一陣の高裁と第三陣の地裁です。それはおのおの上訴並びに控訴しておる、こういうことでしょう。今、第二陣の高裁の判事は、まさにひとつやったらどうですかと言っている。国の責任の結論は出ていないのですよ。情勢が大きく変化しておるのですよ。 少なくとも第三陣の判決後の協議とは違っているでしょう。これが同じだという考え方はどういう考え方か。そこに和解というのがあるのですよ。第二陣の判決が出た、上訴しますかというならば、いや第三陣もやったから上訴しようということになるでしょうが、今、和解なんですよ。判決は出ていない、非常に事情は違うじゃありませんか。情勢の変化がないとは考えられない。情勢は大いに変化している。
○竹中政府委員 先ほど申し上げましたように、二月に第三陣の一審判決がございまして、その際に三大臣で協議をしていただいたわけでございます。その時点におきまして、やはり第三陣一審の、第一陣の二審も同じでございますけれども、判決につきましては非常に重要な問題が含まれておるので、やはり上告をいたしまして上級審である程度はっきりした判断をしていただきたい、こういうことで上告をいたしたわけでございまして、現在時点におきましても、上級審である程度はっきりした御判断をいただきたいという点につきましては、政府の、私どもの考え方は変わっておりませんし、第三陣一審以降特段の事情変化があったということではございませんので、先ほど御説明いたしましたようなことでお断りをいたしたわけでございます。
○多賀谷委員 大いに事情の変化があっているじゃないですか。まだ結審をしたばかりですよ。判決は出ていないのです。ですから、二陣の判決が出たら、いや三陣とも違わないし、第一陣の高裁判決とも違わないから、それはもう今までどおりやりましょうというならわかるけれども、結審をしてまだ判決が出ていないのですね。そのときにひとつ和解したらどうですかというのは、国の責任についていろいろ法律上明確にしたくないという判事の気持ちがあるのでしょう。一つは、被害者がもう十七年にもなるのだから早く救済しなければ、本人に救済にならないという気持ちがあるのでしょう。そういう高度の社会的な判断によって和解をしたらどうですかというのに対して、情勢の変化がないというのは余りにも事務当局、官僚の考え方じゃないですか。私は、大臣としてはおかしいと思うのです。少なくとも大臣は、白紙ですから、和解したらどうですかというのに、ではひとつ和解に乗ろうという話をなぜされないのか。 厚生省は、今度の事件で今訴訟で追及されておるのは、責任を問われておるのはむしろ農林省だからというのでのほほんとしておるのじゃないですか。食品衛生の責任は厚生省ですよ。本当に患者の気持ちに立って、そうして法務省を説得し、農林省を説得して、大蔵省を説得してやるのが厚生大臣の役目じゃないですか。一体だれが責任を持つのですか。今、一番発言しておるのは農林省でしょう、自分の方に火の粉がかぶってきておるから。ですから、そういうものじゃないと思うのです。和解というものはそういうものじゃないのです。私は、高裁の判決が出て、上訴するかどうかについて我々が上訴するなど言うならば事情は変わってないということが言えるけれども、まだ和解の段階で、事情が変わってないなんて許せない。 しかも事務当局で先に話をして、あとは大臣に通知しただけでしょう。社会的判断をする場がないのです。法務大臣が大臣に、こうしました、協議もしてない、別々に通告した。協議をしたのは事務当局だけ。大臣、一体どう思っているか。厚生省の局長はどういうふうに考えたのですか。第一、局長が出たのですか。
○竹中政府委員 事件発生以来十七年という大変長い期間がかかっておりまして、その間、患者さんが大変苦しんでおられる事情につきましては私どもとしても十分認識をいたしておりますし、裁判とは別に、厚生省としてとり得る措置はできるだけとってまいってきておるつもりでございます。 ただ、先ほど来申し上げておりますように、患者さんのためにいろいろ手を尽くすと同時に、一方で、今後の行政の根幹にかかわるような大きな問題を含んだ従来の判決でございますので、そのことはそのこととして、患者さんのためにいろいろ努力をすること等はする、それと同時に、裁判につきましては先ほど来申し上げておりますようなことで進めてまいりたいと思っておるわけでございます。
○多賀谷委員 裁判は公平ですから、私は余り先入観念を持ちたくないのです。しかし、御存じのように、この裁判長は法務省の元訟務局長です。しかも三陣もこの人の部にかかっておる。二陣、三陣は蓑田裁判長のもとで行われている。国の立場もよく知っている元訟務局長が和解したらどうか、こう言っているのです。私は余り元の経歴を言いたくないのです。言いたくないけれども、国の立場も最もよく理解している人が言っているのですよ、そのことは極めて重大な問題である。法務省の訟務局長で、そういうものを担当した方ですよ。その人が言っているということ。 そうして、まだ治療方法も十分ないというので、先般も高知市におられた米穀商の夫婦が徳島の山中で心申されたでしょう。大臣は、昨日は患者原告団の方に会っていただいて、いろいろ苦衷を聞かれたはずですよ。厚生省だって、厚生省の責任を問うような証言がなされておるのです。この証言を裁判官は取り上げていなかったから私はあえて言おうとは思わなかったけれども、厚生省がのほほんとしている。厚生省の元国立予防衛生研究所におられた俣野景典、今は徳島の大学がどこかの教授をされているこの人が証言に立たれたわけです。この人が勉強しておったのには、一九五七年に百万羽の鶏が死んでおるというアメリカの論文を見た。そこで、二百万羽の鶏の被害があり、四十万羽変死しておるというダーク油事件を聞いて、これは大変だということで、時間がありませんし経過は御存じのとおりですから、農林省に問い合わせた、研究をしたいからと。油はもう捨ててしまった。 そこで、厚生省の本省の環境衛生局の食品衛生課の課長補佐に、これはやがて食用油にも関係する、ぜひ監視しておく必要があるんじゃないか、こう言った。ところが、いや、そういうものは事件が起きてからやるべきだ、こう言っておるのですよ。これは証言に立っておる、名前まで法廷でちゃんと言っておるわけです。もしそのときやっておれば、事件は発生しておったろうけれども早くとめておれば患者はずっと少なかったであろうということを言っておる。その課長補佐が後になって、やはり事件は出ましたね、こう言っておるのです。それは法廷で証言をされたのですよ。 ですから、厚生省はのほほんとしておるけれども、厚生省も早く手を打っておったらこれだけの拡大をしてないのです。こういうような問題があるにもかかわらず、厚生省は、問題は農林省だから、農林省が今追及されておるんだから、全部農林省に任したような形で合議に参加しておる。厚生大臣も、本来自分がやらなければならない任務を放棄しておる、私はこれは許せないと思うのです。これは農林省だけではなくて今度は厚生省に来るかもしれませんよ。連絡不十分だ。厚生省だってこういう経緯をたどっているのですよ。同じ系統の油、しかもPCBを使って脱臭したその残った油の一部を、御存じのように油をとった後のぬかの飼料に入れておるでしょう。これでダーク油事件が起こったのです。ですから、両方が十分注意しておればこんな問題は起こっていないのです。 一体、大臣はどう考えるのか。厚生省一般がカネミに関しては全く冷たい、人ごとのように思っておる。そうでないのですよ。食糧の監督官庁は厚生省です。大臣の答弁をお願いしたい。
○竹中政府委員 大臣の御答弁の前に、俣野証言等でございますが、今、先生おっしゃいましたように、俣野証言が裁判の過程にあったことについては十分認識をいたしております。その後、その審理を踏まえました最終的な判決には特に俣野証言については取り上げられていない。ただ、現在の段階で判決におきまして専ら農水省に責めがあるということでございますけれども、私ども自身といたしましても、従来の経過もございますし、食品衛生の問題でもございますので、従来から患者さんのために治療研究、各種の検診あるいは世帯更生資金の貸し付け等々、厚生省としてなし得る目いっぱいの仕事はしていきたいということで、その点につきましては今後とも変わるとこるはないわけでございます。そういう意味で、決して農水省だけにどうこうというつもりは毛頭ないわけでございます。
○増岡国務大臣 ただいま局長からお話し申し上げましたように、被害者の方々に対しましては、長年大変な御苦労をなさったわけでございますので、心から同情申し上げますとともに、研究治療の面ではできる限りのことを今後ともやらなければならないと思っておるわけでございます。 ただ、裁判の面につきましては農水省の責任が問われておるわけでございまして、そのことについても行政の根幹にかかわる大きな問題を含んでおるということで係属いたしておるわけでございますので、私どもといたしましては、残された問題といたしまして患者の救済の面、研究治療の面でまだ足らざる面があろうかと思いますが、その面で努力をさせていただきたいと思います。
○多賀谷委員 大臣、和解というのは責任を問うているわけではないのですよ。和解というのを間違っておるのではないかね。和解というのは責任を問うのではないのですよ。話し合いのテーブルに着いて話し合いをしなさいという民事なんです。それを大臣は皆官僚任せにしておる。官僚は縄張り根性ばかり出しておる。これでは日本の政治はうまくいきませんよ。これは厚生大臣がおやりになることだと私は思います。 質問を終わります。
○戸井田委員長 村山富市君。
○村山(富)委員 私は、第百一国会で中高層ビルの水の問題、水道の問題について質問を申し上げましたが、特に最近の状況を見ておりましても水質検査や安全対策が必ずしもうまくいってないのではないかというような気がいたすわけでございます。 もう時間がございませんから詳しく申しませんけれども、先般御質問申し上げましたような事項について、その後、厚生省はどのように対応されてこられたのか、その点の経緯について御説明を願いたいと思います。
○山村説明員 昨年いろいろ御心配をいただきまして、その後、種々の施策を講じてまいりました。 具体的に申し上げますと、一つは簡易専用水道の検査の受検率が低いという点につきましては、ビル、マンション等の設置者がなおまだ十分認識していないという背景におきまして、国民に制度の周知を図るということを昨年及びこの六月からの水道週間におきましてもパンフレットを配布する等によって指導してまいりました。また、各都道府県に対しましても担当者会議の際に、簡易専用水道の管理、監視、監督、指導、立ち入り等について指導してまいったところでございます。また、既に七十九の指定検査機関がございますが、これらも末端の手足となって検査率向上に働くよう指導してまいったところでございます。 問題の二十トン未満の規制外の小規模受水槽に対する対応でございますが、従前から都道府県が条例をつくる等によって二十トン以上の大規模なものに準じた規制あるいは要綱等による指導をやってきておるようでございますが、それにさらにメスを入れる意味で施設の実態調査を昨年七月に都道府県に対して依頼をいたしました。総数の把握とともに都道府県の条例、要綱等の制定の状況あるいはその検査を受けた小規模受水槽の管理の状況の把握、そういったことをやってまいりました。さらにそれを背景といたしまして、現在、規制対象範囲の拡大について鋭意検討を進めているところでございます。
○村山(富)委員 五十二年にこの法律が改正されまして、今お話がございましたように、二十トン以上のものについては一応検査を義務づけておる。ところが二十トン以下のものについては、ある意味では野放しになっておる。これは各市等で条例で、今お話があったように特殊にやっているところがあるかもしれませんけれども、しかし全体的にはやはり野放しになっておる、 これは大分市の水道労働組合やあるいは兵庫県の水道に携わっている職員の皆さんがそれなりにいろいろな調査をしている。その調査の実態等についても把握をされていると思うのですけれども、やはりその調査の中身を見ましても、水を使っておる住民の方々は、例えば貯水しているタンクや水が流れている管がきれいなのかなと考えたことがありますか、いろいろ新聞で出ているようなことを聞いたりテレビで見たりすると水を使う面で怖いような気がしますとか、あるいは現在では水槽も新しいから水もきれいたし、においもないので安心して使えます、今後ともに水槽をきれいに清掃してほしいと、いろいろ多く申しませんけれども、やはり水を使う側の皆さんからの意見が出ているわけですね。これはやはりそういう不安があるからだと思うのですけれども、今お話がありましたように、十トン以上の水槽についても同じような検査を定期的にする必要があるのではないか。 私は先般も申し上げたように思うのですけれども、特に最近NHKのテレビや日経新聞等に報道されておりましたけれども、政府もようやく制度の改正を検討しておるというふうに聞いておるわけですが、できればその改正の内容と改正の時期等について明らかであれば御説明をいただきたいと思うのです。
○山村説明員 先生御指摘のように、大分市等の労働組合あるいは住民の方々の協力で二十トン以下の小規模のものについての実態調査等、直接そういった方々からも話を承っておりますし、先ほどちょっと申し上げましたように、昨年の七月からの厚生省としての実態調査におきましても、二十トン以上よりもむしろ悪いというような実情を把握いたしております。それが直ちに水質飲料不適で病人が出るとかいうような状況ではないというふうに二十トン以上の実績からも推察をいたしておりますが、これらについては何らかの手を打っていく必要があるということで、先ほど申し上げましたように、対象範囲の拡大について、つまり二十トン以下どこまで規制対象にしていくかということについて鋭意検討をいたしております。 今秋をめどに政令の改正を行いたいという方向で作業を進めており、具体的には恐らく来年度施行というようなことを念頭に置いて準備をしているところでございます。
○村山(富)委員 大臣、今質問しておる問題は、中高層のビル、住宅が今ふえていますね、そしてその中高層の住宅に住んでおる人たちの水というのは、一応受水槽に水をためてそれをポンプでくみ上げて上に置いて、そして各家庭に配水している。したがって、その受水槽やら等々の水をためるところの中の清掃というもの、水質検査というもの、これは常時やらないと、濁っていくとかあるいは汚物が入るとか、いろいろな原因で安心して水が飲めないというような状況が生まれてくるわけです。 今、二十トン以上の水については、お話がありましたように今日でも一応検査が義務づけられておる。しかし二十トン以下については野放しになっておる。こういう状況で、いろいろな不安を感じておる方が多いわけです。したがって、これは事故があってからではもう遅いわけですから、事前に十分手を打っておく必要があるというふうに思いますので、今部長からお話がございましたような考え方で大臣も取り組んでもらえますね。
○増岡国務大臣 御指摘のように、水というものは人間の生命に最も大事なものでございますし、感染症その他の原因にもなるわけでございますので、小規模なものでもできるだけ管理を徹底していただくような措置を講じなければならないと思いますので、できるだけ早く段階的に拡大をしてまいりたいと思います。
○村山(富)委員 仮に二十トンからどの程度拡大するかは別にして、十トンくらいまで拡大する、こうした場合に、相当施設がふえますね、その施設がふえてまいりますと、それに対する検査機関等の対応は現状ではやはり難しいのではないかというふうなことも考えられるわけでありますが、そうした問題についてどのようにお考えになっておりますか、御説明をお聞きしたいと思うのです。
○山村説明員 御指摘の対象範囲の拡大に伴って検査機関の充実が必要と考えております。 現在、七十九の指定検査機関、それによりまして約九〇%カバーし、その他一〇%は地方公共団体、保健所、衛生研究所等が行っておるところでございますが、実態調査等によりますと、仮に十五トンまで下げますと現在の機能の約四〇%ぐらいふやす必要がある。あるいは十トンまで下げますと一〇〇%以上、つまり倍以上の業務量になってまいりますので、検査体制の強化が必要と考えております。したがいまして、先般の担当者会議におきましても、せっかく集まった機会でありますので、そういう状況を示しまして、検査体制の見直し等所要の措置を準備するよう既に指示をいたしたところでございます。
○村山(富)委員 これはひとつ早急に政令なりを改正して、やはり今の住民の不安にこたえられるような責任ある対策というものを十分積極的に考えて取り組んでいただきたいということを強く要望いたしまして、この問題については質問を終わります。 あと中間施設の問題について質問するようにしておったのですけれども、ことしの一月に社会保障制度審議会から建議が老人福祉のあり方についてありましたね。その問題に関連をしてお考えを承っておきたいと思うのですけれども、特に最近障害者等を含めた福祉の施設については、これは国際的にも一般化している考え方だと思うのですが、ノーマリゼーションの思想が蔓延化しておる。 これは厚生省の白書を見ましても、最近の動向として「障害を除去、軽減するリハビリテーションが進歩し、障害者の残存能力をできるだけ活用できるようにするための補装具等が開発されるなど諸々の技術が発展してきたこと、道路や公共施設など生活環境が次第に整備されてきたこと、このような条件整備に対し社会的資源を利用することについての国民の理解・認識が深まってきたこと等家庭や地域での生活を可能とする前提条件が整ってくるに伴って「ノーマライゼーション」の考え方が、次第に当然のこととして受けいれられるようになってきた面もあろう。」こういう考え方から、これから施設をつくる場合にはこういう考え方を前提にして考えていく必要があるというふうに言われておると思うのですけれども、ただ厚生省が今中間施設等について検討されておるようでありますが、例えば老人の介護等について、その老人の障害の程度に応じて区別をするというような考え方でなくて、介護を要するすべての老人を対象に、この考え方で施設というものを考える必要があるのではないかというように思うのですが、その点はどうでしょうか。
○吉崎政府委員 ごもっともな御意見だと存じます。 私どもといたしましては、お年寄り対策がこれから非常に大きな課題である。第一政策は、もとの日医会長の武見さんが言われましたように健やかに老いることであると思います。ですけれども、これは幾ら頑張りましても、残念ながら今日の我が国の医学の状況ではどうしても介護と医療を必要とする方々が出てくることは避けられない、そうしてその数もふえるだろうと存じます。 そこで第二政策は、ただいまお話のありましたようなことを基調といたしまして、家庭を中心に考えていくのが適切ではなかろうか。しかし、それでもなおかつやはり施設でもって介護と医療ともに必要な方々の量もふえるだろう。こういう全体を見ましてお年寄り対策をどういうふうに進めていくべきか、そういう観点から、昨年の秋から中間施設の検討を始めておるわけでございます。本年度に入りましてからは懇談会に多角的な御検討をいただいておるというところが現状でございます。
○村山(富)委員 今、検討しておる段階ですから、具体的に固まった考え方はまだないのではないかと思いますから、質問してもちょっと無理があると思うのですけれども、ただ、病院と特養施設の中間あるいはそういう施設と家庭との中間というようなことがそれぞれ考えられると思うのです。しかし、やはりさっきから申し上げておるような考え方からすれば、できるだけ家庭を中心として身近に施設が活用されていくということが必要ではないかと思うのですけれども、そういう考え方に対するウエートはどっちに重くかかっていくのかということはわかりませんか。
○吉崎政府委員 お話にもございましたように、今多角的に御検討いただいておるところでございますけれども、非常に大きな課題でございますので、できるところから、そして緊急を要するところから取り組むべきであると私どもといたしては考えておるところでございます。 そこで、一つは、やはり先ほど申し上げました分類でいけば第二政策の家庭を中心とした、施設と家庭との中間、そうしてお話のありましたようなお年寄りのノーマリゼーションを図っていく、これが確かに一つの重点であります。 もう一つは、病院と特養の中間といいますよりか、まあ老人ホームと病院の中間といいましょうか、介護と医療をあわせ行うことができるような、これがお年寄りには大変必要ではなかろうかと考えておるのでございます。
○村山(富)委員 厚生省が出しておる厚生白書の中にいみじくも指摘してありますように、今日では障害者が何%かいるのが通常の社会であり、障害者が家庭においてまたはそれに近い状態で生活することが望ましく、施設自体も地域社会に根差したものであるべきである、こういう考え方がありますね。私は、今局長が言いましたように、病院と施設の介護と医療とを同時に要するようなお年寄り、あるいは施設と家庭との中間に存在するような施設といったようなものを考える場合に、やはりこの考え方が根底にあってすべての施設が考えられる、中間施設が議論されるということでなければ義と思うのですよ。 それはなぜかといいますと、日本の家庭の家族が障害者なりお年寄りの面倒を見る、また、お年寄りもできるだけ身近なところで家族から見てもらいたい、こういう気持ちがあるでしょうから、そういう気持ちを大切にすることが大事だし、それがまた一人の社会人として生きる前提の条件だ、社会的条件だということを考えた場合に、私はそういう考え方が大事ではないかというように思いますが、もう時間がございませんから申しませんけれども、ただ、最後に、そういう検討を中心にしていただく、いつごろまでにその結論を出すような考え方なのか、それをお聞きしたいと思います。
○吉崎政府委員 お話、まことにごもっとものことだと存じます。 そこで、先ほども申し上げましたけれども、できるところからできるだけ早く着手すべきであるという基本的な姿勢でございまして、中間的な御意見をできたら八月のごく初めのころまでにはいただきたい、そして最終的には本年中におまとめをいただけたら大変幸いである、このように懇談会にはお願いをいたしております。
○村山(富)委員 きょうはもう時間がなくて議論もできませんから残念ですけれども、いずれまた構想ができましたら大いに議論をさせていただきたいというふうに思います。 終わります。
○戸井田委員長 塩田晋君。
○塩田委員 まず最初に国民医療費の動向につきましてお伺いをいたします。 昨年の健康保険法の大改正に当たりましては、国民医療費が毎年このところ一兆円ずつふえてきておる、十五兆円を突破しようとしているという中で国民医療費のあり方等につきまして随分審議、議論されたところでございます。その上に立ちまして昨年の法改正によりまして十月一日から我々が反対いたしました健康保険の本人自己負担一割、これを実施されましたが、その影響等がどう出て、今後どのような推移をたどろうとしておると見ておられるかについて、最近の状況から御説明をいただきたいと思います。
○幸田政府委員 昨年の制度改正後の医療費の伸びの問題でございますけれども、医療保険全体で申し上げまして、昨年、昭和五十九年度、年度間では三・九%の医療費の増加でございました。そして五十九年四月から九月まで、制度改正前でございますが、これが五・二%でございます。それから制度改正後の五十九年十月から本年三月までの医療保険の医療費の伸びは二・五%でございまして、これを年度間で平均いたしますと三・九%ということに相なるわけでございます。 そこで、特に医療保険の中で月を追って申し上げますと、五十九年の十月、制度改正直後でございますが、このときには四・一%の増、十一月が一・四%の増、十二月が〇・一%の増ということで十二月が底でございまして、本年に入りまして一月には二・三%の増、二月は一・六%の増でございますが、昨年がたまたまうるう年でございますので、この辺を勘案いたしますと、昨年の十二月を底にいたしまして上昇傾向にあるのではないかと思っておりますが、本年三月は五・五%の増でございます。特にその中でも被用者保険に比べまして国民健康保険あるいは老人保健の伸びが著しい、こういう状況でございます。
○塩田委員 今、対前年比あるいは対前年同期比の増額の率を御説明いただいたわけでございますが、この根っこになる総額は幾らでございますか。
○幸田政府委員 私ども、五十七年までは年度の実績値を持っておりますが、昭和五十七年度が十三兆八千六百億でございます。五十八年度は推計値でございますが、五十八年度の推計値としては十四兆四千八百億でございます。五十九年度も推計値でございますが、十四兆九千億でございます。それから六十年度でございますが、同じく推計値で十五兆七千二百億円というふうに推計をいたしております。
○塩田委員 その医療費に対する国庫負担の額、またそのうち医療保険に対する国庫負担の額はどのように推移しておりますか。五十六、七年から御説明願います。
○幸田政府委員 医療費に対する国庫負担でございますが、五十七年度は四兆二千億でございます。五十八年度が四兆四千億、五十九年度は四兆二千億、六十年度は三兆九千億、正確には三兆八千九百億、こういう国庫負担の推移でございます。そういったことで、国庫負担の医療費に占めます割合は、五十七年度が三五・六%、五十八年度が三四・三%、五十九年度が若干下がりまして三二・一%ということでございます。
○塩田委員 そういたしますと、昭和五十六年度から五十七年度にかけましては約一兆円ふえており、また、五十七年度から五十八年度、これは見込みでございますけれども、約六千億円ふえ、五十八年度から五十九年度、これも見込みでございますが五千億円ふえ、また六十年度には診療報酬の改定等の影響も出ておるかと思うのですが、あるいはまた今御説明もございました国保あるいは老人保健の最近における対前年同期比が非常に膨らんできておるという状況等もあってかと思いますが、六十年度はこれが八千億円ほどふえる、こういう国民医療費の動向であると認められるわけでございます。 そういたしまして、国庫負担につきましては、四兆二千億から三兆八千九百億というふうに五十七年から六十年にかけまして抑制が行われる、こういうことになるわけでございますね。 そうしますと、我々が反対いたしました健保の本人一割負担の効果はどのように評価をしておられますか。 〔委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕
○幸田政府委員 一割負担の影響でございますが、比較的国民の間に理解をされまして、かなりコスト意識といいますかそういった面で御理解をいただいたのではないかと私ども思っておりますが、いずれにいたしましても、制度改正後まだ半年の実績しかわかっておりません。そういったことで、もう少しこの推移を見てみたいというのが率直な気持ちでございます。
○塩田委員 国民医療費総額につきましての増加の勢いというものはかなりおさまったとしても、まだ毎年数千億円の増加が行われておる。しかし、国庫負担につきましてはかなり抑制が働き、むしろ減少に転じておるということが言えると思います。 これの原因ですね。片や先ほど申し上げましたように、診療報酬の改定によって増加する要因がありますが、片や国保あるいは老人保健は、先ほど言われましたように一〇%を超える最近の対前年増加が見られるわけでございますが、被用者保険の本人あるいは家族につきましては最近の推移はどのようでございますか。
○幸田政府委員 被用者保険の本人でございますが、医療費総額で対前年度比でございますが、昭和五十九年制度改正後、昨年の十月から本年の三月までの平均をいたしましてマイナス一〇・五%、それから家族は逆に四・四%の増、こういう状況でございます。
○塩田委員 昨年非常に議論になりましたのはこの点であったわけでございます。まさにこのような効果といいますか影響は、この半年の間に、他はふえておるのに、一割負担をしている被用者保険の本人分は一〇%以上も、一〇・五%も減ったというところに大きくあらわれていると思います。昨年、長瀬係数はどのようにきくかきかないかとかいろいろ議論いたしましたが、こういったところにあらわれておると思いますが、本人あるいは家族につきまして受診率の推移はどうでございますか。
○幸田政府委員 政府管掌健康保険の数字でございますが、本人の受診率は、昨年十月からことしの三月まで対前年同月比でマイナス七・一%でございます。それから家族は、同じ期間につきまして同様に対前年同月比で〇・一%の増、こうなっております。
○塩田委員 やはりこの一割負担がかなり受診率に響いて、その結果、医療費が一〇%を超える減になっておる、こういう結果がこの半年ではございますけれども出たと思います。 なお、ことしの三月一日から診療報酬の改定がございましたが、これの影響はどういうふうに見ておられますか。どの程度きいていると見ておられますか。
○幸田政府委員 本年三月の医療費改定は三・三%の引き上げでございますが、薬価基準の引き下げがございまして、実質的には一・二%の増加ということに相なっております。
○塩田委員 それが被用者保険の本人あるいは家族の医療費に全体的にどう響いているか。どのように評価していますか。
○幸田政府委員 実は三月から医療費の改定並びに薬価基準の引き下げを実施いたしたのでございますが、私ども、現在三月診療分しか数字が判明しておりませんので、その影響がどうであるかということを一カ月だけで判断するのはなかなか難しいと思っておりますが、いろいろなことを総合いたしまして、今申し上げました一・二%程度の医療費の増加ということが実際にあったのではないか。 国民健康保険で申し上げますと、三月分は対前年同月比一〇・四%の増加でございますが、その一・二%を差し引きますと九・二%の増加。それから老人保健につきましても一二・二%でございますが、医療費改定の影響はもちろん含まれているものと考えています。 それから被用者保険でございますが、家族は三月分八・〇%の増加でございますが、この中には今申し上げました一・二%の増加というものが含まれていると思います。それから、本人につきましては九・〇%の減でございますが、今申し上げました一・二の医療費改定の影響というものを考慮する必要があるのではないかと思っておりますが、いずれにいたしましても、いろいろな病気、例えば風邪が流行したかどうか、いろいろな要素がございますし、一カ月分だけの数字ではなかなか的確な判断は難しいものと考えております。
○塩田委員 今、国民医療費の趨勢につきまして、最近の情勢から今後の動向、推移につきまして御説明をいただいたわけでございますが、制度改正あるいはまた診療報酬の改定等に伴う相当いろいろな要因が重なって、今後の推移につきましてはかなり見通しが難しい状況ではあると思いますが、先ほど言われました昭和六十年度全体の十五兆七千二百億円、そして国庫負担の三兆八千九百億円、これらのうち医療保険に対するものといたしましては二兆四千億だと思いますが、こういった推計、これは昨年末だと思うのですが、今説明ございましたいろいろな要因を加えて、また出てまいりました最近の情勢から見て、この六十年度あるいは六十一年度、どのように推移していくとお考えでございますか、お伺いいたします。
○幸田政府委員 六十年度の医療費の推計は、本年の三月までの医療費実績しかございませんので、かなり難しいものでございます。私ども、予算で見積もりました今お話しの十五兆七千二百億という数字を上回るかどうか、あるいは下回るか、いろいろな見方があると思いますが、私どもが一番注意をしなければならないと考えておりますのが、国民健康保険と老人保健におきますかなりの増加率でございます。 仮に国民健康保険なり老人保健の医療費の増加率が本年三月と同じような趨勢を六十年度中たどるということになりますと、私どもが見込んだ国民医療費の推計十五兆七千二百億円を上回るということに相なると思います。もちろん国庫負担につきましても、医療費の増高に伴いまして、特に国民健康保険と老人保健は国庫負担が集中的に行われている分野でございますから、それを上回るということになりかねないという危惧の念を私どもは持っておりますが、いずれにしましても、的確な状況はもう少し事態の推移を見ないと申し上げられないというのが実情でございます。 したがいまして、六十一年度の国民医療費につきましても、もうしばらく医療費の動向を見きわめた上でどういう姿になるのか考えていきたい、こう考えているところでございます。
○塩田委員 厚生省当局のお考えはわかりました。ただ、もう昭和六十年どころか、六十一年度の予算の編成作業に事務当局は既にかかっておられると思うのですね。そうしますと、ここ一、二カ月たちましても、あと一、二カ月の数字が出てくるだけで、六十一年度につきましても、一、二カ月待ってもなかなか見通せるような根拠になる資料は出てこないと思うのですね。しかし、その中で、来年度予算はいや応なしに編成しなければならぬという情勢になりますから、そういった動向を見きわめ、六十一年度についてはここ一、二カ月のうちに、六十一年度予算の編成についての基礎資料としてこういったことをやはりしっかりと推計される必要があると思うのです。その際に、今言われましたような、昨年の暮れ推計したものよりも上回る可能性がある、こういうことでございます。 最後に申し上げますけれども、国民健保につきまして、予算の見込み違いから市町村が非常に困っているということが起こっているわけです。そういったことを考えますと、これはよほど的確に推計をして、それをもとに六十一年度予算編成をしていただかないといけないということでございますので、もう相当な見通しを持って臨んでおられるかと思います。ただまだ作業中のようでございますから、その点しっかりとひとつ見通しを根拠を持って推計されて、しっかりとした予算要求をされますように、ひとつ要望をいたしておきます。 続きまして、今問題にいたしました診療報酬の改定でございますが、その主なる点、要点だけひとつ簡単に説明をしてください。 〔浜田(卓)委員長代理退席、丹羽(雄)委員 長代理着席〕
○幸田政府委員 本年三月の診療報酬改定の主な点を申し上げますと、方向といたしましては、技術料の重視ということ、あるいはプライマリーケアの推進、在宅医療の促進といったような、いずれにいたしましても診療報酬の合理化を目指したものでございます。 具体的な内容を申し上げますと、一つは、病院、診療所のそれぞれ持っております機能の充実を図りますために、病院につきましてはその入院機能、診療所につきましてはその外来機能を重点的に評価をいたしました。それから技術料重視の観点から、最新の医療技術の進歩に即応いたしまして診断、治療の効率を高める、例えばNMRの導入でございますとか、レーザー光線のような新しい技術の導入を図りました。それから三番目、やはり技術重視の観点から、特に手術の再評価、引き上げを行いまして、診療行為間のアンバランスの是正を図ったのでございます。 その他、在宅酸素療法等の導入でございますとか幾つかのものがございますが、主なものを申し上げますと、以上のとおりでございます。
○塩田委員 今言われました病院あるいは診療所の機能強化、これは非常に結構でございます。特に、技術重視の観点から、手術の再評価をしていただく。平均一四%のアップといったことは非常に結構なことでございます。そしてまた、新しい医療技術につきましても、保険の中に算定してもらうということも行われておるわけでございますが、これも結構でございますが、今後ともこういった方向で診療報酬の検討をして、適時適切に改定をしていただぎたいということを要望いたします。 特に、歯科医療につきましては、受診者の保険外の負担がかなりございます。そしてまた、新技術もどんどん広がっていっておりますから、急速に技術が進歩しておりますので、そういったものも保険の中に取り入れてもらうように、まだまだ足らないという医療界からの要望がありますから、こういったものをもっと大胆に新技術についても及ぼしてもらうということを要望したいのでございます。この点、いかがでございますか。
○幸田政府委員 新しい技術の導入の問題につきましては、中医協でも非常に御熱心に御審議をいただいております。安全性、有効性はもちろんのこと、国民が利用いたします。ある程度普及をしていると認められる新技術につきましては、できる限り医療保険の分野に導入をするというのが中医協のお考えでございまして、ただいまの御趣旨に沿いまして今後も努力をしてまいりたいと思っております。
○塩田委員 次に、歯科技工の関係でございますが、これにつきましても、日本歯科技工士会からのかねてからの要望でございます技工料の明示といったこともありますが、これは歯科医師会との関係もあろうかと思います。こういったところは普及度合いの問題もありますが、できるだけ当事者間で、厚生省はもちろん当事者としまして入って話し合いをよく進めていただいて、ひとつ多年の懸案をできるだけうまく調整をし、要望が実現できるようにということを思うのでございますが、この点、いかがでございますか。
○幸田政府委員 歯科技工料の問題につきましては、歯科医師みずからが行う場合あるいは病院、診療所の中で歯科技工士が行う場合あるいは歯科技工所といたしまして外注をいたします場合とか、いろいろなケースがございますけれども、いずれにいたしましても、歯科医師会と歯科技工士会が十分に話し合いをいたしまして、その上で適正なものを設定をしていくということが必要なわけでございます。私どももそういった方向に沿いまして関係者間の話し合いを進めてまいりたい、こういうことで努力をいたしているところでございます。
○塩田委員 ぜひとも関係者で話を進めていただきまして、適正な状況が料金の上でも行われますように、これはいろいろな条件があろうと思いますが、やはり歯科技工士さんの委託の関係とか、あるいは自分で独立してやっておられる場合とか、あるいは外注といいますか委託技工といった形と、いろいろございますから、そういったものの状況の推移を刻々御勘案いただいて関係者で十分にひとつ話し合いを進めていただくということで、よろしく対処をしていただきたいということをお願いしておきます。 次に、柔道整復師の関係でございますが、整復師の診療報酬といいますか、この関係は今度の診療報酬の改定とあわせましてどのような措置をとられましたか、お伺いいたします。
○幸田政府委員 柔道整復の施術料につきましては、診療報酬の改定に合わせまして本年六月から三・一%の引き上げを図ったところでございます。柔道整復の施術料につきましては、大体診療報酬の改定との見合いにおきまして、例えば整形外科の対応する技術料の引き上げ等を勘案しながら決めていく、こういうことになっておりまして、今回もそういった措置を行ったところでございます。
○塩田委員 六月一日にもう既に実施になったわけでございますね。何%のアップであり、また、今後どのような方針で臨まれるか、いろいろ要望が出ておることは御存じだと思いますが、どのように対処をしていかれる方針か、お伺いいたします。
○幸田政府委員 本年六月一日から三・一%の引き上げを図っております。今回改正の内容は、ただいま申し上げましたいわば医家並びのスライド的な部分のほかに、新しく再検料を新設をいたしましたのが特色でございまして、これは関係者の要望に沿ったものであると考えておりますが、柔道整復師の施術料につきましては、大体診療報酬の改定を勘案しながらその都度決定をしていく、こういうことになっておりまして、今後ともそういった方針で臨んでいきたいと思っております。
○塩田委員 新設されましたのは今言われました再検料だけでございますか。指導管理料とか、そういったものはございませんか。ほかにありましたら……。
○幸田政府委員 再検料の新設と同時に、従来は温罨法しか認めておりませんでしたが、冷罨法も認めるようにしたのが新しい項目でございます。
○塩田委員 従来に対しまして新しいものを積極的に認めていただいたことは評価するわけでございます。今後ともそういった積極的な方向、態度で、なお要望がある事項につきましても前向きで御検討をお願い申し上げます。 最後にお伺いいたします。 老人保健の改正の動きが出ておりますけれども、今どのようになっておりますか、お伺いいたします。
○水田政府委員 御案内のとおり、老人保健の医療給付費の七割というものは各保険者からの拠出金で賄うわけでございますが、立法時の経過でこの拠出金の算定の仕方が暫定的な形になっておりまして、附則で三年後に見直すということが定められておりまして、そのための見直しの作業に取りかかっているわけでございますが、この問題なかなか利害が錯綜し、また国民生活に影響を与えるところも多くございますので、老人保健審議会でできるだけ関係者のコンセンサスを事前に得るという形で現在鋭意御検討をしていただいておりまして、七月の中旬ぐらいに何らかの形の御提言をいただけるのではないかと考えておりますので、私どもとしましてはその御提言を待って改正内容を固めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
○塩田委員 これは、今公式には厚生省からはそのような状況であるということしか言えないのかと思いますが、新聞等を見ますと、定額制できておる自己負担ですね、これを定率制に直すという議論がなされておると思われる節があるわけでございまして、団連ですか、関係の方面からいち早く反対の意向が表明されている。こういったところを見ますと、かなり具体的な問題について論議されているのじゃないかと思いますが、いかがでございますか。
○水田政府委員 この見直しの機会に老人保健制度の制度の運営の長期的安定を私どもも期してまいりたいと考えておりまして、そういう意味で私どもいろいろ研究していることは事実でございますが、この問題につきましては、例えば健保連は御案内のとおり先日定率導入ということを決議されておりますようでございますし、日歯の方は反対というようなことで大変利害が錯綜している問題でございますので、私ども、先ほど申し上げましたように、あくまでも老人保健審議会の提言を待ってこの問題は慎重の上にも慎重に対処してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○塩田委員 この問題は非常に慎重を要する問題でございまして、また改めて時間をとって議論をしたいと思います。 最後に、大臣並びに局長にお伺いいたしますが、大臣、医師もそうでございますが、特に歯科医師、それから歯科技工士につきまして、養成機関の定員の抑制あるいは場合によっては削減、将来を見通しての数の抑制をやることを強く要望してきたわけでございます。これについては、何しろ先のことでございますけれども、今手を打たないと、先ではもうどうしようもないときには手おくれになりますので、思い切って文部省とも十分に協議した上で手を打たれるべきだと思いますが、どのようにお考えでございますかお伺いいたします。 それと、もう時間がありませんので、もう一問最後に申し上げます。 退職者医療制度につきましては、昨年の健保論議のときに、四千四百万の国民健保から四百万が退職者医療に移るということを説明を受けておりました。これが最近の実績では二百六十万、六割強というような状況で、予算の見込みと大きく違っております。それが予算の上で違うと、各市町村になりますと影響はもうそれどころじゃないんですね。小さい町になりますと、この影響が大きく出たところは保険料のかなりの急激な改定をしなければならぬという問題が出て、市町村ともに非常に困っておるという状況があらわれております。これらにつきまして厚生省としてどのように対処をしていかれるのかお伺いいたしまして、質問を終わります。
○増岡国務大臣 歯科医並びに技工士の数の問題でございますけれども、歯科医の問題につきましては既に文部省と協議を始めておるところでございます。文部省においても対策をお考えいただいております。 なお、技工士につきましては、歯科医の増加よりも技工士の方がむしろ多いというのが現状ではなかろうかというように考えております。したがいまして、これはただ単に学校、いわゆる文部省に話をしさえすれば済むという問題でもなかろうと思います。全国に歯科医師会が経営しておられる養成所もあるようでございますから、そういう方面にも働きかけまして適正な水準に抑えていかなければならないというふうに考えておるところでございます。 また、退職者医療の問題につきましては、御指摘のような数字の差が出ておるわけでございまして、加入者の把握に鋭意努力したわけでありますけれども、目的まで至っていないことは事実でございますので、現在市町村国保財政への影響について調査中でございます。この調査の結果を待って、当面、財政調整交付金の制度がございますので、それを真に財政難に直面している市町村には優先的に配分する等適切な措置をとってまいりたいと思います。また、今後の全面的な対策につきましても、国保財政の長期的安定化のために関連制度を含めまして幅広い観点から検討してまいる所存でございます。
○塩田委員 今御答弁ございました問題につきまして強力に対処をしていただきますように強く要請をいたしまして、終わります。ありがとうございました。
○丹羽(雄)委員長代理 小沢和秋君。
○小沢(和)委員 最初に、カネミの問題についてお尋ねをいたします。 先ほども質問がありましたけれども、私もこのカネミの事件が起こりました地元でありますから、被害者の人たちの苦しみというのをずっと見てきております。それだけに、今回の和解を拒否するという国の態度は甚だ遺憾だと思っております。これで被害者の救済はまた大幅におくれるということになるわけであります。 まずお尋ねをしたいと思いますのは、三省で協議をして和解を拒否するという態度を決めたというふうに言われたわけでありますけれども、では厚生省としてはその三省の協議にどういうような考え方で臨まれたのか、これが先ほどのお話ではもう一つはっきりしませんので、改めてお尋ねします。
○竹中政府委員 カネミの問題につきましては、常に三省が集まりまして検討をいたしておるわけでございますが、今回の和解の問題につきましては、先ほども申し上げましたようなことで、二月二十二日以降特段の状況の変化がない、したがって和解の打診には応じられない、これは三省共通の考え方でございます。
○小沢(和)委員 被害者を救済するために一番積極的に対処しなければならないはずの厚生省も同じ考え方であったというふうに言われたのでは、私も唖然とせざるを得ないわけであります。 私は、今回の和解の提案というのは国にとっても大変実益のある話じゃないかと思うのです。既に幾つかの判決でも国の責任を認めるようになってきた。これは私が考えてみましても、いわゆるダーク油、これは直接は鶏の飼料でありますけれども、問題の中毒を引き起こした食用油と一体の形で取り出される油でありますから、このダーク油でそういう大事件が起こったということになれば、当然食用油の方は大丈夫だろうかということで、そちらに連絡をとるということはもうごく常識的なこととしてすべきだったということが言えるというのは私もかねがねから言ってきたことです。 ただ、国の立場からすれば、農林省の畜産の問題を担当する者が直接国家公務員として法的に見てそういうことまで義務づけられるのかどうかという点でさっきから言われている難しい問題があるというお話だったんだろうと思うのですけれども、そうだとすれば、和解ということはそういうことについてぎりぎり決着をつけずに済むという点では、これは国の側にも実益があるわけでしょう。それからまた患者、被害者の側にしてみれば、それで速やかに救済が進んでいくということになれば、これも実益がある。 だから、私は国もこの話に大いに乗ってよかったのじゃないかというふうに思うのですが、なぜ乗らなかったのか、全く理解に苦しむわけです。もう一度お尋ねします。
○竹中政府委員 先ほど来申し上げておりますように、確かに患者さんの救済問題というのは大きな問題でございますけれども、一方で、既に出ております一陣二審あるいは三陣一審の判決は行政の根幹にかかわる大きな問題でございますので、私どもとしては上級審の判断を仰ぎたいということでございます、 それから和解に応じたらどうかという仰せでございますが、私どもといたしましては、やはり国にある程度責めがあるというのが前提にあってその上で和解に応ずるかどうかという話が出てくると考えておるわけでございまして、国に責任がないという場合に国が和解に応じるという結論を見出すのは非常に難しいと思っております。
○小沢(和)委員 さっき私が事実関係を指摘したように、だれが考えてみても、これは食用油に危険が及ばないかということは当然すぐわかる話なんですよ。だから、現にその農林省の担当者もそのことは考えたし、厚生省の側でもそのことに気がついた人がおったということはさっきも触れられているのですよ。だから、それぐらい常識的に見れば当たり前のことなんですよ。それを全く責任がないと今でも思い込んでいるというふうに言われたのでは、私はいよいよ厚生省の担当者の姿勢を疑わざるを得ません。 そこで、大臣にその点についてもう一度私お尋ねしたいと思うのです。先ほどのお話では、このことは直接には事務担当者の間で話し合って、大臣は報告は受けたようですけれども、大臣自身が直接詳しくはタッチされていなかったようにお伺いしたわけです。そうだとすると、大臣としても、和解は、たとえ結審をした後であったって和解するという気になればできる性質のものでもありますし、今から私は大臣にもう一遍そこのところをぜひ考えてほしいというふうに思うけれども、どうか。 それから、もう一つ事のついでにお尋ねいたしますけれども、先ほど大臣は治療研究などについても万全を期していきたいというお話なんですが、十数年たつ間に大体今同じようなことの繰り返しという状況になってきつつあるように私、見受けるわけです。このところでもう一遍今までやってきた治療などについても総点検して、何とか抜本的な治療法が開発できないものかどうか。ここで取り組みを真剣にやり直してみるというようなことが必要な時期でないかというように考えるのですが、この二点、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○増岡国務大臣 被害者の方々には大変お気の毒でありますし、御苦労なさったことには同情申し上げておるわけであります。ただ、裁判となりますと、やはり政府側は行政の根幹にかかわる大きな問題を含んでおるということで上級審の判断を仰ぐことを確認いたしておるわけでございますので、したがって、和解といえどもそれに多少流れが変わるということでは承服いたしがたいということであろうと思います。そういう意味では、既に二月に三大臣協議をいたしておるわけでございますので、その線に沿って事務当局で話し合い、法務大臣からも私に打診があったわけでございます。 なお、患者に対する治療研究のことでございます。これはこれまでも真剣に努力をしてきたわけでございまして、いろいろ診断基準でありますとか治療指針とか数次にわたって発表もいたしておるわけでございます。特に昨年は追跡研究班と治療研究班とを一体化いたしました。その結果、本年五月には生活指針も含めた治療指針ということで作成をいたしたわけでございます。これはやはり研究治療をいたすわけでありますけれども、症状に、あるいはほかの病気でもそうでありますが、比較的簡単に解決する問題とそうでない難しい病気とがあるわけでございます。そのような難しい場合には全身的な検診を図ることによって外堀からも埋めていこうという考え方もあろうかと思うわけでございます。そういう意味での生活指針を含めた治療指針を作成いたしたわけでございます。今後も治療研究の一層の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
○小沢(和)委員 ではその問題はそれぐらいにいたしまして、第二に、共同作業所の問題についてお尋ねをしたいと思います。 今度の国会でもこのことについては多数の請願が寄せられているわけでありますけれども、まず最初にお尋ねしたいと思いますのは、いわゆる社会福祉法人などの認可基準に満たない小規模障害者作業所が全国でどれぐらいあるか、実態調査をしておられるか、お尋ねします。
○正木政府委員 身体障害者、精神薄弱者等の小規模施設の実態でございますが、これは若干古いのでございますが、昭和五十六年の調査でございますと六百三十八という数字が出ておりますが、これは小規模作業所でいわゆる無認可施設でありますために正確な実態把握というのはなかなか難しいのでございますが、現時点におきましては千カ所程度に及んでいるのではないかというふうに私ども承知をいたしております。
○小沢(和)委員 私どもが昭和五十九年に自治体がどれくらい小規模障害者作業所に補助を出しているかというのを調べてみますと、千百十カ所というふうになります。全国で見れば年に六、七十カ所くらいはどんどんふえているということになるわけであります。何でこんなにこの作業所がふえていっているのかということですね。私どもは考えてみまするに、養護学校が義務化されて障害児がすべて就学できるようになりましてもう七年になります。養護学校を卒業する者がどんどん出てくるようになっているわけですが、問題はその後の進路が保証されていないということですね。 東京都の例をとってみますと、昭和五十年から五十九年の十年間の卒業生が五千三百人ですが、そのうち就職できた者は千八百五十八人、三五%にすぎませんで、他は授産施設や訓練校などへ行っておりますけれども、どこへも行きようがなく在宅となっている障害者が四百七十名もいるわけであります。こういう人たちが自立のためやむにやまれぬ気持ちから何か社会的に意義のある仕事をして生活費の一部でも稼ぎたいということでやっているのがこの小規模共同作業所だと思います。だから、私は、今のように養護学校の卒業生がどんどん出てきて進路保証がないという状態が続く限り、この小規模共同作業所に対するニーズというのは増大していく一方じゃなかろうか、これをどうしても緊急に助成をしていくという道を真剣に開かなければならないのじゃなかろうか、こう考えますけれども、いかがでしょうか。
○正木政府委員 小規模作業所というものが増加傾向にあるということは先生御指摘のとおりでありますが、この背景には、身体障害者、精薄者関係の施設、これは逐年整備充実を図ってきておるわけであります。特に身体障害者、精薄者の場合に、そういったハンディキャップを持つ方々が地域や家庭で暮らしながら働けるような施設、こういうニーズが非常に高まっておるということで、五十二年度から、先生御案内のように、デーサービス事業を実施する、それから五十四年度からは適所形態の身体障害者授産施設等も整備をしてきておるわけでありますが、現実になおまだ不足しておるということは率直に認めなければならないと思います。 身体障害者対策を考える場合には、やはり社会参加ということで雇用の促進というものを一方で図っていかなければならない。労働行政とのかかわり合いも出てくるわけですが……。それから、その施設におきまして授産機能を果たしていく。それから、これも先生御案内のように、身体障害者福祉工場というものもだんだん整備をされてきておりますが、まだまだなかなかニーズに完全に適合するまでにはいってないというところがあると思います。そういう面で施設の整備というものをこれからも進めていかなければならない。 ただ、小規模作業所につきましては、これはいろいろ問題がございますのは、やはり身体障害者の施設というのはハンディキャップを持った方々を指導して適切な処遇をするわけですが、処遇という面を考えた場合に、やはり何といっても施設が安定的に運営されていかなければならない。それから、障害者のニーズに即した処遇というものが果たせるように職員の配置もきちっとやる、それから設備構造基準もきちっとやるということになりますと、やはりどうしても一定規模というものが必要になってくるということで、身体障害者の適所授産施設でいいますと、二十人以上ということになっております。 なるほど、小規模作業所についても非常に熱心にやっておられる事例があるということも承知をしておるわけでございますが、にわかにその基準を下げて、そして五人でも十人でもいいじゃないかというふうになかなか踏み切れない面がございます。やはり助成ということを考えますと、公的に認知といいますか、認可されたものを対象にしていくという基本方針はどうしても守っていかなければならない。さはさりながら、そういった小規模作業所のニーズにこたえるためにはどうしていくのか。やはり既存の施設に統合するとか、あるいは市町村におきますデーサービス事業をもっと力強く進めていくとか、そういった行政の対応をしていかなければならないというふうに私ども考えておるわけでございます。
○小沢(和)委員 障害者の人たちはみんな適所するのもなかなか困難な肉体的なハンディキャップを持っているわけですよ。だから、どうしても通える人たちが集まってくるというと、小規模にならざるを得ないわけです。ですから、今政府がやっておりますように、施設の最低基準の充足と法人格の取得による条件整備ということにこだわる限り、私は助成がなかなか進まないのじゃないかと思うのです。 その点で、一つの提案でもありますけれども、例えば比較的近くの、同一自治体なら同一自治体の中で幾つかの小規模作業所を一つというふうにみなす、そして法人の認可をするなどというようなことが考えられないか。あるいは、今デーサービス事業のこともちょっと触れられましたけれども、こういう交付要綱の枠をもうちょっと広げていくというようなことも考えられないかというような点はどうでしょうか。
○正木政府委員 先ほど申しましたように、やはり施設の対象者に対して適切な処遇をするということになりますと、やはり適所授産施設でいいますと職員の配置、七人ということになっております。それは生活指導員も職業指導員も、それから嘱託のお医者さんも必要であるということで、やはり対象者に対して安全適切な処遇、それから職員に対する労働条件というものも考えていかなければならないということで、やはりそういった基準を守っていただくということが必要だと思います。 そういった意味で、いろいろあります。その施設が、全部一緒にやりましょうということでその基準を満たすような——私どももただ単に机上で基準というものを考えているわけではなくて、やはり障害者に対する適切な処遇という観点から基準を設けておるわけでございますから、いろいろな施設が合体をして、一つの設置主体として発展していくということはまたあり得ると思います。 それからデーサービス事業でございますが、このデーサービス事業も市町村が実施をしておるわけで、広く住民の障害者に門戸を開いてやっていくということでありますので、その市町村がみずから実施するか、あるいは市町村が社会福祉法人等の経営基盤の安定したところに委託をするか、それはそれぞれの事情に応じて適切な対応というものをしていかなければならないというふうに私ども思っております。
○小沢(和)委員 それでは、もうそれもその程度できょうは終わります。 最後に大臣に、老人保健法の一部負担に定率制を導入する問題についてお尋ねします。 これもさっき質問がありまして、若干の答弁もなされました。先ほどの答弁では、七月中に提言を得られると思うというお話でしたけれども、同時にいろいろ利害が錯綜しているということも認められました。実際、いろいろ意見が対立したままだというような状況も聞いております。そこで私は、来年度の予算要求にこれを盛り込まなくちゃというようなことで無理押しをすることがないように、こういうような利害が錯綜するものについては十分に意見を出させて慎重に対処をしていただきたい。 私どもとしては、こういう定率導入というような、今の老人負担を一挙に三倍にするような弱い者いじめはやめてもらいたいというふうに考えてはいるわけですけれども、少なくとも慎重に対処をしてもらいたいというふうに考えますが、大臣の所見をお尋ねして終わります。
○増岡国務大臣 御指摘のように、利害関係をまさに含む問題でございますので、老人保健審議会におきまして幅広い観点から御検討をいただきたいというふうに思っておるわけでございまして、私どもといたしましては、その御提言を待っておるというのが基本的な姿勢でございます。 ただ、私どもといたしましては、老人の所得水準が低いということを十分配慮しなければならないということも認識いたしておるわけでございます。したがって、必要な医療の受診が極度に抑制されるというようなことのないように慎重な検討を加えなければならないというふうに思っております。
○小沢(和)委員 終わります。
○丹羽(雄)委員長代理 菅直人君。
○菅委員 本国会の大分押し詰まった段階での一般質問ということで、あるいはこの国会では最後の質問になろうかと思いますが、老人福祉の問題、特に在宅の老人の介護の問題に焦点を絞って、きょうは幾つか大臣にお尋ねをしたいと思います。 私、最近——私自身の経験でも、もう大分以前になりますが、二十年ぐらい前に祖母が亡くなるときに、何年間か寝たきりに近い形になりまして、そのときには、私で言えば母親が、その一、二年の間というものはほとんど外に長時間出ることもできない、そういう状況の中で大変苦労をしていたのを覚えております。また最近、いろいろな地域で婦人の人たちと話しますと、ある意味では教育問題と並んでといいましょうか、場合によってはもっと深刻な形で自分の父母あるいは御主人のお父さん、お母さんの面倒を見るというのが特に寝たきりに近い形になったときには大変な負担になっている。もちろんそういうことをやらなければいけないというか、やっておられる人ほど逆にその大変さを抱えておられる、そんな感じがするわけです。そういう中で、最近社会保障制度審議会から「老人福祉の在り方について」という建議が出されているようですが、私もずっと目を通してみて、少なくとも問題指摘としては、そういった問題についてもかなりの指摘がなされている。 まず大臣にお尋ねしたいのは、この社会保障制度審議会の答申、「老人福祉の在り方について」ということし一月二十四日の答申をどのように受けとめて、そしてどのように厚生省として対応されようとしているのか、その基本的な考え方をまずお尋ねしたいと思います。
○増岡国務大臣 今後の老人対策につきましては、私は在宅老人の施策を拡充していくことが一番肝心であろうと思います。これまでは施設に入所していただくということの政策が中心でございましたから、その結果、在宅と入所者との間の格差といいますか、そういうものが出ておるわけでございます。しかし、本来お年寄りの方々はやはり家族と一緒に、住みなれた土地で顔見知りの人と一緒に暮らすということが一番幸せであろうかというふうに思うわけでございますから、そのための対策を進めなければならないと思います。 これまでも家庭奉仕員の派遣事業でありますとか、ショートステーでありますとか、デーサービス、訪問指導事業等、少しずつ前進をいたしておるわけでございます。この家庭奉仕員、ショートステー、デーサービス、この三つをうまくかみ合わせることによって、介護者の負担が幾分かでも軽くはならないかというふうに思っておるわけでございまして、その中でもショートステーでありますとかデーサービス等を今後の具体的な問題としては大きく取り上げなければならない問題であろうというふうに考えております。
○菅委員 問題の認識については、大臣もこの答申の趣旨あるいは私の考え方などとも共通していることをおっしゃったように思いますが、もうちょっと具体的に、この答申の中に「自宅で介護を受ける老人については、施設で処遇を受ける老人との均衡を失しないよう、適切な財政的措置が検討されるべきである。」こう書いてあるわけですが、こういった面については具体的にどんなことをお考えですか。
○正木政府委員 確かに先生のおっしゃいました制度審議会の意見があるわけでございますが、この点については、かねがねほかからも御意見のある点でございます。従来、ともすれば老人福祉対策についても施設重点ということで進んでまいったわけでありますが、大臣も言われましたように、施設処遇というものも大事であるけれども、やはり在宅における介護のバックアップというものをこれから大いに進めていかなければならない、今以上に進めていかなければならないという気持ちを持っております。その際に、施設に入所している方と、いわゆる在宅老人との間で補助金の面においても格差がある、これも事実でございます。 今後の社会福祉のあり方というものを全面的に検討するべき時期に来ておるわけでございますが、在宅福祉と施設福祉との整合性と申しますか、有機的な連携といった面については、今後の国と地方の役割分担といったものを考える際にも、一つの重要なテーマとして検討を進めていかなければならないというふうに私どもは思っております。
○菅委員 財政的な措置についてお聞きしたのですが、その点はちょっとはっきりしませんでしたが、短い時間ですので、その問題も含めて検討されるというふうに理解をしておきたいと思います。 実は、最近社民連としてそういういろいろな方と話をする中で、この在宅福祉を中心とした仕組みをつくっていく上で、例えば、今、特別養護老人ホームに寮母さんというのがおられる。あるいは自治体からホームヘルパーという形で、あるいは家庭奉仕員という形で来てくださる場合もある。あるいは保健所の保健婦という制度もある。幾つかの制度や資格があるわけですが、実際には、保健婦さんはちゃんとした国家資格だと思いますが、寮母さんとかホームヘルパーと言われる人たちは、特に資格といってもほとんどない。あるいは若干の研修期間を自治体が設けるように指導しているという例がある程度だというふうに理解しているわけです。 そういう中にあって、もう少し老人を介護するという仕事を一つの資格として積極的に認める、そのことが、ある意味では老人に対するサービスの質を向上させるということになると同時に、ある場合には、例えば家庭で自分の肉親の老後をみとった方がその経験を生かして、たとえ短時間でもそういうことについてお手伝いしようというときに、自分は資格を持っているから、毎日は無理だけれども、週のうち二日ぐらいだったらお手伝いをしてもいい、多少有料の場合、完全なボランティアの場合、いろいろ事例があり得ると思います。そういうことの積極的な誘導といいましょうか、奨励という意味からも、例えば老人弁護士といったような資格を設けたらどうかということを提案をしてきているのですけれども、これについて厚生省としてどのようにお考えか、伺いたいと思います。
○正木政府委員 先生のお話しの点につきましては、今国会におきまして江田先生からも御意見のあったところでございます。確かに施設における寮母さん、それから在宅の方々に対するホームヘルパー、こういう方々が非常に重要な役割を果たしている、その方々の資質の向上というものを図っていかなければならないということはおっしゃるとおりであります。 そこで、その場合に資格として位置づけるかどうかということになりますと、なかなか検討すべき点があろうかと思います。と申しますのは、ホームヘルパーで申しますと、あるいは寮母さんで申しますと、どういったお仕事をされるかというと、食事のお世話であるとかあるいは下のお世話であるとか、衣服の着脱のお世話であるとか、あるいは相談に応ずるとか、要するに家庭における介護をそういった方々によってなし遂げていくということであります。そういうことで、いわゆる資格制度を設ける、横断的な専門資格を設けることがそれになじむかどうかというのは、確かに検討すべき問題ではありますが、今直ちにそういたしますと言うことはなかなか、いま少し検討しなければならないというふうに思っております。 現在のホームヘルパーについて申しますと、そうは言ってもいろいろな知識は必要でありますので、ホームヘルパーになります場合には、現在、七十時間の研修を受けるということになっております。それから年に一回研修を受けるということで、これは相談のいろいろなテクニックの問題もありますし、それからいろいろなお世話の仕方のテクニックもありますので、現時点におきましては、そういう研修制度の充実、資質の向上を図ることを重点として進めておるわけでございます。 確かに、そういったような御提案もありますので、そういう資格制度になじむかどうかなお問題があろうかと思いますけれども、一つの検討課題として、私どもも十分研究を進めてまいりたいと思っております。
○菅委員 例えば子供を育てる場合、自分の子供の場合は、もちろん別に資格があって母親になるわけじゃないのですが、大勢集めた場合はちゃんと保母さんという資格がありますね。そういうふうに、特に自分の肉親以外の人に対してある程度サービスを行う場合に、ちょうど子供に対する保母さんに当たるような要素もあると思うのです。 それからもう一つは、答申の中にも出ていますけれども、今の日本の老人福祉の制度は、いわゆる老人福祉制度と医療制度とが実際にはかなりオーバーラップをして対応している。そういう場合に、医療制度の中では医師、看護婦はもちろんのこと、いろいろなメディカルスタッフというものが一つの資格制度の中で位置づけられている。しかし、先ほどの特養なんかの場合の寮母さんというものはほとんどそういうものがない。しかし、実際のサービスの中身はかなり共通をしている。 最近、厚生省は中間施設の議論をいろいろされておるようで、これはまたこれとしていろいろな問題点を含めて議論があるところですけれども、どちらにしても、かなり広範囲に、在宅を含めてこういう介護が必要な老人がこれからますますふえていくことは間違いないわけでありまして、そういう中にあって、今も検討課題だとはおっしゃいましたけれども、もう少し積極的に、メディカルスタッフとも若干違うけれども、ある程度最低限の知識を持ち、あるいはある種の経験を持った人を、これは資格によって抑え込むというのではなくて、逆に積極的にそういう能力を活用するという意味からも十分考え得る制度ではないだろうか、このように考えます。この点は、先ほど局長の方から検討課題だとおっしゃいましたので、ぜひ今私が申し上げたところも十分勘案をしていただいて、前向きに検討していただきたい。お願いを申し上げておきたいと思います。 〔丹羽(雄)委員長代理退席、委員長着席〕 最後に、在宅の老人介護について、先ほど家庭奉仕員あるいはショートステー、デーサービス、いろいろなことを考えているというふうにおっしゃいましたけれども、大臣に、今後のこの在宅における老人介護問題について、先ほどの問題も含めて言えば、ソフトの面とハードの面があると思いますけれども、財政的な問題あるいは今申し上げたようなソフトの問題でどんなことを、あるいはどういう時期にどういう手当てをなされようとしているのか、まだはっきりした計画がないかもしれませんが、そういう点をもう一遍重ねてお尋ねをしておきたいと思います。
○正木政府委員 老人福祉対策といたしましては、この制度審議会の意見にもありますように、要援護老人対策と、それから特に重介護を要する老人に対する対策とあるわけでございますが、なかんずく先生御指摘の寝たきり老人とか痴呆性老人といったものに対する対策が非常に重要である、また数もふえてきておるということであります。一つには、施設を整備をしていくということで、特別養護老人ホームについては現在千五百カ所余り、十一万人の方をお世話をしておりますが、これもなお整備をしていかなければならないという面があります。 それから、今議論されております中間施設の問題、これにどう対応していくかというのもこれからの一つの課題であると思います。 それから、在宅福祉の関係につきましては、先ほど大臣がホームヘルパー、ショートステー、デーサービス、こういう三つの柱をということを言われておるわけでございますが、私どもとしてはこの三つがやはり重点である。 ホームヘルパーについて申しますと、六十年度予算で二万一千六百十三人というところまで来たわけでございますが、市町村の実施状況というものもいろいろ格差がございまして、そういうことを見詰めながら、なお増員をこれからも粘り強く続けていかなければならないだろう。それから一方におきまして、ホームヘルパーを受け入れる側といいますか、その家庭に対するPRといったものも進めていかなければならない。 それから、デーサービス事業ということで、これはいわば家庭と施設との中間にあって、家庭の介護をバックアップする施設ということでありますが、これもだんだん伸びてまいっておりますが、これからの在宅福祉というものを進めていくためには、デーサービス事業の充実について予算面でもいろいろ研究を重ね、取り組んでいかなければならないというふうに思っております。
○菅委員 それでは、これで質問を終わります。 ————◇—————
○戸井田委員長 稲垣実男君外四名提出、下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。稲垣実男君。 ————————————— 下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合 理化に関する特別措置法の一部を改正する法 律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○稲垣議員 ただいま議題となりました下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。 御承知のとおり、昭和五十年には、一般廃棄物処理業者等が下水道の整備等により受ける著しい影響を緩和するため、下水道の整備等に伴う一般廃棄物処理業等の合理化に関する特別措置法が制定され今日に至ったわけでありますが、これまでこの法律に基づく合理化事業計画を定めた市町村はなく、一部の市町村において、転廃業を余儀なくされる一般廃棄物処理業者等に対し、事実上の措置として、交付金の交付等を行っているという実情にあります。 このため、本案は、市町村におけるこれまでの事実上の措置が、合理化事業計画に基づくものとして、実施しやすくなるよう、同計画に定める事項として、業務の縮小または廃止を余儀なくされる一般廃棄物処理業等を行う者に対する資金上の措置に関する事項を加えようとするものであります。 以上が、本案の提案理由及び内容であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
○戸井田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後一時五分休憩 ————◇————— 午後一時四十三分開議
○戸井田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹村泰子君。
○竹村委員 季節労働者問題についてお伺いしたいと思います。 まず、季節労働者に対する認識の点でありますけれども、北海道には季節労働者と言われている人が三十万から三十二万おります。この数は北海道の就労人口二百八万八千人の約一五%を占めている。家族を含めますと実に百万人、北海道人口五百六十万人ですから、その五分の一が季節労働者に相当するということも言えると思います。その七割が建設業に従事しており、そのほか製造、水産加工業などに働いている。労働省ではよく御存じのとおりです。 しかも、北海道の季節労働者は東北などの出稼ぎ労働者とは異なり、そのほとんどが初めからこの道で労働している専業労働者であります。最近は若干炭鉱とか農漁業、一般企業からの離職者も参入してきておりますけれども、四月から五月にかけて雇用関係を結び、そして十一月、十二月ごろに解雇される、こういうことを毎年繰り返しているわけであります。しかも同じ企業に就業しているという者が六〇%を超えているという非常に特殊な状況にあるわけです。 私、季節労務者のことを外で話しますと、ああ出稼ぎのことですかとよく言われるのですけれども、出稼ぎ労働者とは違う、そういった特殊な事情があるわけです。一般の労働者の問題には絶対あらわれてこない就労期間、年間何日間働けるか、この問題こそが季節労働者を季節労働者たらしめる根本的な基礎的なゆえんであるということは、きょうは大臣お留守ですけれども、政務次官も十分御存じであろうと思います。どうお思いになっておられますか、総論的に。
○加藤(孝)政府委員 北海道の季節労働者の問題につきましては、通年雇用という形でこういう季節労働からの一般通年雇用化へということを目指していくべきものが基本である、こう考えておるわけでございます。そのために、こういう通年雇用奨励金制度を初めといたしまして、通年雇用を目指して北海道の関係者とも今までいろいろ努力をしてきたわけでございます。 その一環といたしまして、そういう通年雇用化が実現するまでの間の施策といたしまして、五十二年以来積寒給付金制度というようなものもやりながら、そういう基盤形成までの、いわば失業期間中の給付金制度も運営をしてまいったということでございます。今後は、北海道における特に建設工事の通年施工なくしては通年雇用もあり得ないという基本に立ちまして、やはり通年施工を目指して関係各省あるいは関係業界が努力をしていかなければならぬだろう、こういう基本的な認識に基づいての努力を今後私どももさらに一層強めていきたい、こんなふうに考えておるところでございます。
○竹村委員 今、通年雇用のことが出ましたけれども、私ちょっと小耳に挟んだところによりますと、きょうは労働大臣がILOに御出席のためお留守で大変残念ですけれども、大臣が北海道においでになった際に、何か通年雇用、通年施工の方向で考えたい、ただし、建設省そのほかの関係省庁とも横の連絡をとり合わなければならないけれども、そちらの方向で考えたいと言っておられるようなんですが、この事実はいかがですか。また、横の連絡をとって相談をされましたかどうか、教えてください。
○浜野政府委員 お答えいたします。 今、先生の御発言のとおり、四月、北海道で知事さんから大臣に要望事項がございました。大臣も、その後十分努力するという御返事をしたと思います。 その後の経過でございますが、労働省を窓口といたしまして、北海道の季節労働者対策連絡会議を設置いたしました。北海道開発庁、農林水産省、運輸省、労働省、建設省、北海道庁でございます。今月、六月七日ですか、第一回の話し合いをいたしました。そして、今先生が言われたとおりの、冬場における北海道の季節労働者対策を今後率直に検討してできるだけの効率ある対策をとりたい、労働省としても今後ともこういう関係の行政機関並びに北海道のこれからの積極的な御発言をいただきながら運営していきたいと考えております。よろしくどうぞ御理解願います。
○竹村委員 この連絡会議はこれからも何回かお開きになる予定でしょうか。
○浜野政府委員 これは随時検討、努力をしていくつもりでございます。
○竹村委員 私はここに、北海道季節労働者組合協議会、略して道季労と言っておりますけれども、ここで発行しております「季節労働者白書」、第一巻は一九八一年九月、第二巻は一九八四年一月に出しております。これはもう労働省の皆さんあるいは政務次官、十分ごらんくださっていると思いますけれども、内容は、その季節労働者個々の実態調査のアンケートを実施して、集計し、分析したものであります。私は今回の質問に先立ちまして、これを改めてもう一度読み返しまして、非常に驚きもし、また残念に思うのですけれども、このような労働者が今日存在しているということ、しかも三年後の調査でも、本年ただいまも何も前進がない、むしろ後退しているというこの事実ですね。 就労期間を平均しましても、一年間に七・七カ月、二百三十六日。一カ月就労日、男子二十六・四日、女子二十五・四日。一日の就労時間平均が、男子が九・六時間、女子が八・九時間、一般就労者の十一カ月分の就労時間を七・七カ月分で消化している。非常なオーバーワークです。しかし最近は、この就労期間が確保できず、七カ月とか六カ月とか、ぎりぎりの状態にあるわけです。御存じのように、地方予算の一割カットなどによって、執行がおくれている、そういうことがありまして、春先の仕事が遅い。そういうことで、もう七カ月、六カ月、あるいはもっと五カ月とか、ぎりぎりの状態にあるわけです。年末までも仕事がなくて、五十日の資格が危ぶまれる仲間が八四年度の段階でも激増しております。ことしももっとひどい状況になると思います。そういう人たちが今八千名ぐらい、季節労働者が雇用保険の資格がない状態となっているわけですね。 公共事業に多くを依存する建設業界でありますから、国、道、市町村の発注事業を季節的に配分させることが改善の早道であると思うのですけれども、雇用確保についての対策、どのように立てておられますでしょうか。
○加藤(孝)政府委員 この発注の時期がおくれるということが、これがまた、先生御指摘のようなそういうオーバーワーク、あるいはまた非常に詰めた労働に追い込まれるというような点もあるわけでございますし、あるいはまた、先生御指摘ございましたようなこういう保険の資格がつかないというような問題もあるわけでございます。そういう意味で、私どもは、公共事業発注官庁に対しまして、できる限り早期発注というものを毎年懸命にお願いをしておるということで、この早期発注問題を雇用問題にもかかわる重大な問題であるという認識のもとにお願いをしておることでごさいます。 それからもう一つ、先ほど申し上げましたように、北海道で確かに冬場に工事が割高になるとか、あるいはまた工事が難しくなるという事情はございますが、しかし、やはり北欧三国などでも冬期の施工というものは現に行われておるわけでございます。そういう意味におきましても、北海道の建設関係業界、そしてまた発注の諸官庁というところにおきましても、ぜひこの冬期施工というものに一歩でも二歩でも踏み込んでいただきたいということもございまして、先ほど政務次官からお答え申し上げましたような、そういう関係各省の連絡会議を今度設けまして、そこで大いに具体的な冬期施工というものへの踏み出しをしていきたい、こんなふうに考えて、大臣の北海道発言を受けましてのそういう会議もスタートさせた、こういうようなことでございます。
○竹村委員 先ほどの政務次官からお答えがありました連絡会議ですか、その点を十分にしっかりと主張していただきたいと私からもお願い申し上げたいと思います。 このような就労期間で一カ年の生活資金を稼ぎ出さなければならない。この年収が何と男子百七十四万円、女子八十九万円というのが現実であります。これは雇用保険法特例一時金支給額平均を逆算してみても明らかなことなんですね。もちろん一般に言われているボーナス、燃料手当、越冬手当などは全く支給されていない。 それから私は、女子の低賃金について、これは女子差別撤廃条約などでも指摘されておりますけれども、やはりここでも女子の賃金は非常に低い。仕事が違うとおっしゃるかもしれないけれども、大体建設業において男性が十二万五千円もらっているところは六万五千円である。これはかなり前からそうですね。五十二年度においても、百九十七万円もらっているところでも九十七万円であるというふうに半分あるいは半分に近い低賃金である。この年収に雇用保険法特例一時金が平均二十四万から二十五万ぐらいですか、国の冬期職業講習受講給付金、これを八万四千円ぐらいとしまして、それを合計しても年収が二百万円前後なんですね。 ちなみに北海道の生活保護世帯の費用が最高で二百四万円、最低で百六十六・八万円ということですから、いかに低い水準で暮らしておられるかということがおわかりと思いますけれども、一生懸命汗を流して働いて生活保護世帯並みの状態あるいはそれ以下の状態というこの現実なのであります。 労働条件の改善などについて労働省は具体的にどのように考えておられますか。
○寺園政府委員 賃金実態をお引きになりながらの労働条件の問題についての御指摘でございますけれども、賃金について申し上げますと、例えば最低賃金法などの法令に違反しない限り、やはり賃金というのは労使間の話し合いで決定すべきものだと思うわけでございます。その原則につきましては、季節労働者についても同様に考えるべきではないかというふうに私どもは思っておるところでございます。 しかし、冒頭から先生御指摘がございます季節労働者が多く就労しておられます建設業におきましては、賃金等の労働条件が必ずしも明確でない場合がございます。これらにつきましては、雇い入れ通知書の交付という制度を導入いたしまして、就業場所でありますとか、就業時間、それから賃金等につきまして明確にするという制度を導入をいたしておるところでございます。これらの制度を初め労働条件明確化のための監督指導については、従来から取り組んでまいっておりますし、今後とも力を入れてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○竹村委員 社会保障なんかも、雇用保険と労災には加入しているけれども、厚生年金、健康保険はほとんど加入していない。大部分手前持ちの国民年金、国民健康保険なのであります。健康保険法の改正に伴ってますますこの傾向が多くなってきている。それから労働条件は、最近の雇用不安の中で雇用主側の考え方一つで決定される。嫌なら雇わないよという横暴な事業主もあるわけです。 そこでお尋ねいたしますけれども、冬期雇用安定奨励金制度の利用状況と今後の対策についてちょっとお伺いしたいのです。この冬期雇用安定奨励金というのは、労働省の方では原則としていつからいつまで支給をすると考えておられますか。
○加藤説明員 現在の冬期雇用安定奨励金制度につきましては、制度といたしましては三年間ということで、六十年度までの時限措置ということになっております。
○竹村委員 そうではないのです。私がお聞きしたのは、いつの時点からいつの時点まで冬期雇用促進奨励金を支給されますかとお聞きしているのです。
○加藤説明員 この冬期雇用安定奨励金につきましては、四月一日から六月十日までということになっておりまして、この間に申請に基づきまして支給するということになっております。
○竹村委員 例えば離職時に約定書を交わした時点ということにはなっていないのですよね。申請に応じてということですね。その辺はどうですか。考え直せませんか。
○加藤説明員 この制度は、冬期に一定期間以上就労することとあわせまして翌春の雇用予約をするということが前提になっておりますので、その雇用予約の結果が確定しておるかどうかということを判断して支給する仕組みになっておりますので、支給時期が四月一日以降ということになっておるわけでございます。
○竹村委員 それから事業主に対しての積極的な利用、活用に対する具体策についてお伺いしたいと思います。
○加藤説明員 私ども、この冬期雇用安定奨励金制度、先ほどの季節労働者対策の大きな柱でもございますので、積極的な活用ということを心がけておりますが、まだまだ現状必ずしも十分活用されておらないという実情がございますので、私どもとしては積極的に活用する方向で今後とも御指導申し上げてまいりたいと考えております。
○竹村委員 十分に行政指導をしていただきたいと思いますが、よろしいですね。 それでは次の質問ですが、こうした悪条件の中での季節労働にも高齢化の波が押し寄せているわけです。五十歳以上の人が六三%を占めている。それから一般企業よりもこれが加速的に進展しています。五十歳台の人が三三%、六十歳台の人が三〇%、四十歳台の人が一七%、合計八〇%という数字が高齢者であるということなんですね。 そこでお伺いしますけれども、高齢化対策についてどう考えておられますでしょうか。
○加藤(孝)政府委員 御指摘のように、冬期の季節労働者の離職者の方々は、中高年齢層が非常に多いわけでございます。そういう意味におきまして、この制度に基づいて行います職業講習につきましても、中高年齢層向きの講習科目に重点を置いておりまして、中高年の安全就労対策あるいはまた健康管理対策、そういったようなことを講習科目の中に入れまして、中高年の方々の健康あるいは安全就労への配慮をいたしておるところでございます。
○竹村委員 講習課題とか健康、安全に対する講習の中での受講とか、高齢化対策で考えておられるのはそういうことだけですか。
○加藤(孝)政府委員 特に高齢者対策といたしまして、私ども一般の高齢者対策というものについて、例えば現在高齢者の定年延長の問題であるとか、あるいはまた定年延長だけではなくて、高齢者の再就職の奨励制度であるとか、こういうものは一般対策ということで進めておるわけでございます。特に季節労働者だけの高齢者対策というものを特別にやっておるわけではございませんが、そういう高齢者の雇用の問題はこれからますます重要な課題でございますので、その一環として高齢者対策について今申し上げましたようなことを重点に進めておるところでございます。
○竹村委員 季節労働者だけの高齢化対策というふうにお聞きするとあるいはまだそこまでお考えに至っていないかとも思いますけれども、総括的にいって、高齢化社会を今迎えているわけですけれども、労働省の雇用政策といいますか、非常に大きなことですから一口には言えないかもしれませんけれども、ちょっとここであわせて聞いておきたいと思うのです。
○加藤(孝)政府委員 今後日本の高齢化社会への進展ははっきり推計がされるところでございますし、また現に高齢化が進んでおる、人生八十年時代を迎えておる、こういう事情にございまして、なお六十まで、あるいはまた六十を過ぎても働きたいという方々はますます増加をしておるわけでございます。そして今後日本の社会が高齢化社会になっていく中においても、基本的に、高齢化社会なるがゆえに活力のない社会では困る。やはり活力ある高齢化社会というものを目指していかなければならないであろう、そのためには高齢者の方々のそれぞれ希望に合った雇用なり就業の場を確保していくということを大きな柱としてどうしても考えていかなければならないであろう、こう考えておるところでございます。 今行政措置といたしまして、今まで五十五歳定年制が日本の一般的な雇用慣行でございましたけれども、この定年を少なくとも六十歳までとにかく延ばしてくださいという行政指導を強力に進め、またそのための定年延長奨励金というようなものも給付しながら進めておるところでございます。現状におきましてはこの六十歳定年制が五二%にまでなっておりまして、五十五歳定年制は今や二〇%台に下がってきた、こういうことでございまして、六十歳定年制が今や日本の主流になりつつある。さらにまた近く六十歳定年制を実現することを予定しております企業を含めますと六五%の企業が六十歳定年制になる。あるいはまた大企業でございますと既にそういう予定を含めますと九三%の企業が六十歳定年制を決めておる、あるいはまた予定しておる、こんなところまで来ておるわけでございます。 しかし問題は、それでは六十でいいかということになりますと、なお健康で働きたいという高齢者も非常に多いわけでございます。今後は六十歳定年だけではなくて六十歳から六十五歳、いわゆる六十歳台前半層の方々への雇用就業の場をさらに拡大していかなければならない、こういう基本的な考え方でおるわけでございまして、またそのための雇用助成制度も今設けて推進をいたしておるところでございます。 しかし、今後の二十一世紀を展望いたしました場合に、こういう高齢者の雇用就業についての本格的な対策というものをやはり樹立する必要があるだろうということで、昨年の末から雇用審議会あるいはまた中央職業安定審議会におきまして、定年延長の法制化問題を含めまして今後の高齢化対策の基本的なあり方についての御審議、御論議をいただいておるところでございます。そういった御論議を踏まえまして、できるだけ早い時期に高齢者の総合的な雇用対策立法というものを我々も考えていかなければならぬ、こんなことで今鋭意検討作業を続けておるという段階でございます。
○竹村委員 少しもとに戻りますけれども、「季節労働者白書」の第二巻には集中的に四月、五月の就労状況について調査をした結果が出ているわけです。男性が四月稼働したのが十・五日、賃金が八万二千四十四円、五月稼働が十六・九日、賃金が十二万八千六百四十九円、女性が四月稼働が七・一日、賃金が三万三千七百二十九円、五月稼働が十五・七日、賃金が七万三千五百五十四円となっております。 なぜ四月、五月の就労状況を申し上げたかと申しますと、季節労働者にとってこの時期が非常に重要な時期なんですね。前にも申し上げましたとおり、年収百七十四万円を確保できるかどうか、四月就労から十一月離職まで、五月就労から十二月離職まで、この八カ月が少しでも減ろうものならたちまち暮らしに影響が出てくるわけです。そればかりではなく、離職時に一カ月十一日以上六カ月の稼働がないと雇用保険法特例一時金すら危ぶまれるからであります。ですから、春先の就労が非常に重要なわけなんです。 特例一時金受給資格がないということは、自動的に冬期雇用奨励金制度同じく職業講習受講給付金も受けられないことになる、一時金の平均二十四万円プラス受講給付金八万四千円の三十二万四千円がふいになってしまう、こういうことになるわけです。これは冬期間の四カ月の生活費でありますし、三十二万四千円が低い年収からなくなるということになると大変なことになります。だから、必死になって就労先を探すのですけれども、これらの状態を悪用して、五十五歳以上は雇用しないとか賃金についても大幅にダウンするとか、文句の多い人は雇わない、そういう選別雇用が行われているという実態があるんです。労働省はこのことを御存じでしょうか。
○加藤(孝)政府委員 そういう話は組合の関係者から伺ったことがございます。
○竹村委員 冬期職業講習助成金及び受講給付金制度の改善についてお伺いしたいのですけれども、例えば助成金及び受講給付金の金額の引き上げについてはどう思っておられますか。
○加藤(孝)政府委員 この金額の引き上げ問題につきましては、私ども関係労働組合の皆さん方あるいは関係諸先生方からも絶えず要請を受けておるところでございまして、それなりに毎年努力をいたしてきておるところでございます。 ただ、ほかにもいろいろ類似の関連する給付金制度があるわけでございまして、そういう各種の給付金制度とのバランスというものもございますので、これだけを突出した形での引き上げはなかなか難しい。そういう意味におきまして雇用関係のいろいろな給付金の全体の水準を引き上げる、そういう中で積寒給付金関係の引き上げも考えていく、努力をしていく、こういう性格のものと考えておりまして、今後とも努力していきたいと考えております。
○竹村委員 先ほども申しましたように、生活保護世帯よりも低い水準で暮らしておられる、一生懸命働いて、冬期間は仕事がない、そういう状況で暮らしておられるわけですから、今のお答えのように今後もぜひ努力していただきたいと切にお願いいたします。 それから、この制度の適用業種の拡大について、例えばゴルフ場のキャディーさん、北海道の場合はゴルフ場は冬閉めてしまいますから。それから水産加工場に働く人とか、冬期間閉鎖される観光地が北海道にはあるわけです。そういう方々への適用業種の拡大についてどう思っておられますか。
○加藤(孝)政府委員 この適用業種の拡大の問題につきましても、北海道の関係労働組合の皆さん、あるいは関係者の方々からいろいろ御要請をいただいておるところではございますが、この制度そのものが通年雇用化の促進のための制度でございます。通年雇用の可能性のない業種については、こういうものを永続的に払うものとしてあるわけではないわけでございます。そういう意味で、通年雇用化の可能性のないものについて適用対象を広げるということは制度そのものを大きく変えるという話でございますので、これについては私どもも残念ながら広げるということはお断りを申し上げておるということでございます。
○竹村委員 ゴルフ場などを通年雇用にはできないからということですか。しかし、水産加工場とか、中には適用できる業種もあると思うのです。全く閉めてしまうところはおっしゃるとおりかもしれませんけれども、その辺の適用業種の拡大についても門前払いをしないで少し柔軟に考えていただきたいと思います。 それから、冬期雇用安定奨励金、冬期職業講習助成金制度は六十年度をもって一応終わることになっていますね。六十一年三月までですか。私が今るる申し上げましたとおり、非常に厳しい状況の中におられる北海道の季節労働者の方々の状況を踏まえて、さらに延長、改善のお考えはありませんか。
○加藤(孝)政府委員 冬期雇用安定奨励金制度あるいは冬期職業講習助成金制度は季節労働者の生活の安定のために一定の基盤整備が進むまでの暫定措置ということで五十八年度から六十年度までのものとして設けられておるものでございまして、先生おっしゃるように、これが雇用の安定のために一つの大きな役割を果たしておることは事実でございます。六十一年度以降この制度をどうしていくかということにつきましては、制度として六十年度で一応終わりという扱いでございますので、今後この制度の創設の経緯あるいはまた北海道関係の自治体、それからまた事業主の工事の通年施工への努力、こういったようなもの等をいろいろ勘案しながら、十分検討させていただきまして、この制度の果たしておる役割を十分配慮しながらひとつ誠意を持って検討、対応をさせていただきたい、こう思っております。
○竹村委員 きょうは大臣がお留守ですから、それ以上のお答えは要求しても無理と思いますけれども、今局長おっしゃいましたように、北海道の状況は決してよくなっていない、むしろ悪くなっている。しかも景気が停滞している。そして春先の発注が非常におくれている。そういうことから季節労働者の方たちの状態はどんどん悪くなっていっている。そこでこの冬期雇用奨励金及び職業講習助成金を六十年度でもって打ち切られたら、本当にどうやって生きていっていいかわからないという人たちが何千人、何万人単位で出てきてしまいます。これは労働省としても大変な大きな問題だと思いますので、十分に誠意を持ってお考えいただきますようにお願いして、私の質問は終わらせていただきます。
○戸井田委員長 多賀谷眞稔君。
○多賀谷委員 六十一年の通常国会に出される法案、さらに六十一年度予算要求に関連する法案について二、三質問をしておきたいと思います。 第一に、中小企業退職金共済の問題でありますけれども、これも長い間ベースのアップもなく来たわけです。これは私自身も昭和三十四年に制度が創設されるときには若干タッチしたわけですが、その後は余りタッチをしていないわけですけれども、今日退職金が年金時代に変わるというような状態、あるいはやはり依然として大企業と中小企業の格差がむしろ最近では拡大をしておるという状態の中で、一体、中小企業の退職金はどうなっておるだろうか、こういう意味でお聞かせ願いたい、かように思うわけです。 いろいろ検討されておるそうですが、今中小企業退職金共済法はどういう改正の方向、あるいは内容の充実についてどういう検討がなされておるのか、またいつごろまでに結論を出されるのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
○寺園政府委員 中小企業退職金共済制度につきましては、労働省といたしましてはかねてから五年目ごとの検討ということでやってまいりました。昭和六十年度に中退法の改正を図るべく検討を進めてまいったところでございますけれども、国庫補助を含みます中小企業退職金制度の基本的なあり方につきまして、経済社会情勢の変化あるいは今後の財政経済の実態や見通しなどを踏まえましてさらに検討を深めることが必要ではないかという結論に達しまして、昨年に引き続きまして中小企業退職金共済審議会に検討をお願いをしておるところでございます。 審議会におかれましては、小委員会を設置していただきまして、現在鋭意検討を続けてきていただいておるところでございますが、私どもといたしましては、昭和六十一年度を目途に法改正を図りたいというふうに考えておるところでございます。その内容につきましては、審議会において現在検討が進められておるという段階でございます。
○多賀谷委員 現実に法律が発足いたしまして、もうかなりになるわけですけれども、今大体中小企業退職金共済の方から支払われております金額、これは何年ぐらい勤めたら幾らぐらいもらっているのかというのが一つと、現在平均で支給額はどのぐらいであるのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
○寺園政府委員 一般の中小企業退職金共済制度におきまして退職金を受領されます方の平均の掛金年数は六・六年でございます。退職金の平均支給額は三十七万八千円ということでございます。なおこれは昭和五十八年度の数字でございます。
○多賀谷委員 モデルは。何年で何ぼというモデルがあるでしょう。
○渡邊説明員 現在中退に加入しております労働者の平均的な掛金月額は五千円弱というふうになっておりますが、五千円の掛金で三十年掛けまして五百八十万円くらいの退職金ということになっております。
○多賀谷委員 この最高は幾らまでにしていますか。掛金の最高。そしてそれが三十年のモデル。それから最低は幾らまでにしていますか、ランク。
○渡邊説明員 現在、掛金月額は千二百円から一万六千円のランクになっております。 最高の一万六千円を三十年掛けますと、千八百三十四万三千六百円の退職金ということになります。 最低の千二百円の掛金ですと、三十年で百五十一万六千円ということになっております。
○多賀谷委員 後からでも結構ですけれども、平均は五千円弱というのはわかりましたけれども、千二百円あるいは三千円とか、そういう一万六千円を掛けているのはどのくらいか、後からこの表を出していただきたい、こういうように思います。 何にいたしましても、まだ三十七万円しかもらってない。三十七万円の退職金というと、皆さん想像がつくと思うのです。ほんの涙金という形、これが中小企業の残念ながら実態である。 この中小企業退職金共済は過去勤務についても一応通算するように制度はできているわけですから、過去の分も支払いしますよと言えば制度的には入ってくるわけでしょう。ですから、それが十分になされていないということを残念に思うのです。 それからその次に、建設とか酒造とか林業、これにはいわゆる特別の制度があるわけですが、そこで建設業の退職共済というのはどういう状態になっているかお聞かせ願いたい。
○寺園政府委員 建設業関係の現状でございますが、共済契約者の数は昭和五十九年で十一万五千人でございます。被共済者、約百五十二万人ということでございます。 なお平均の支給額でございますが、建退につきましては掛金の納付年数、これも一般と同じように約六・六年でございまして、金額といたしまして約二十七万円ということでございます。
○多賀谷委員 建設省、見えていますか。建設省は公共事業を出すときに、当然社会保険料とか退職共済とか、そういうものは現場の管理費の中に入っておるはずですが、今現場管理費の中に入っている主なもの並びに建設業の退職金の共済というのは大体幾ら組んでおるのか、これをお知らせ願いたい。
○岩井説明員 建設省直轄土木工事の施行に当たって工事を管理するために必要な経費、これにつきましては予定価格の構成上、現場管理費として計上しております。その現場管理費は十三項目ございますが、労務管理費、租税公課、地代、保険料、従業員給与、手当、退職金、それから法定福利費、福利厚生費など十二項目から成っております。 現場管理費の積算に当たりましては、昭和五十六年度に通達いたしました土木請負工事費積算基準に基づきまして所要額を適切に積算するということでやっております。 なお、その中で建設業退職金制度への払込金がどうなっておるか、こういう御質問でございますが、建設業退職金制度に基づく事業主負担額につきましては、予定価格構成上、現場管理費の中の先ほど言いました法定福利費の中に組み入れております。その相当額は公共工事請負工事諸経費等実態調査、実態調査るるやっておりますが、実態調査に基づく各工事ごとの負担実績に基づいて算出しております。現在建退共掛金が組まれておる現場管理費は、昭和五十六年に決めたものでございますけれども、これによりますと、建退共掛金は純工事費に対しましておおむね千分の三程度見込まれております。
○多賀谷委員 純工事費に対して千分の三程度でありますね。しからば一体退職共済については積算の基礎は大体幾らで見ているのですか。
○岩井説明員 一人当たり一日百八十円ということで見ております。
○多賀谷委員 それは中小企業一般の退職共済並びに建設業の平均の掛金のどのぐらいに当たりますか。これは労働省の方が知っておられるでしょう。
○寺園政府委員 建設業の退職金共済制度の掛金につきましては定款で定められておりますが、日額百八十円一本でございます。
○多賀谷委員 その百八十円というのは、一般の中小企業の退職共済の平均よりも少ないのですね。というのは、六・六で、今までの期間が同じならば、金額が違うでしょう。それで平均は五千円弱だ、こうおっしゃった。そうすると、百八十円にすると、大体六年六カ月、こういうことをおっしゃったのですから、金額が一方は三十七万円、一方は二十七万円、ですから平均よりも少ないのですかということになるでしょう。
○寺園政府委員 建退制度につきましては日額百八十円の証紙を張ることになるわけでございますけれども、二十一枚、二十一日で一月計算ということになります。百八十円に二十一日を掛けますと三千七百円余りでございますので、一般の中退制度の五千円に比較いたしますと掛金額は少ないということでございます。
○多賀谷委員 これも一つ問題点だと思うのですね。 それからもう一つの問題は、この六十一年度から新しく実施するといたしますと、その五年間に一体どれぐらい賃金が上がっておるのか、全国の退職金の平均がどのくらい上がっておるのかというのは、今算出がなかなか難しいのですよ。というのは、一般企業は退職金が年金に変わりつつありますから、なかなかその計算が難しい。正確には出ませんね。ですから、公務員の退職金の算定もその年金に変わる部分を除いて要するに算定している。そうしないと、民間の方は退職金も上げないで年々年金に変わりつつありますから、公務員と一般の退職金のバランスが必ずしも実勢だけでは比較できないという問題がある。企業年金にどんどん変わっていますからね。 ですから、公務員の方は逆に、民間が事実上はこう退職金が上がるであろうが、それが年金に移っているという分まで算定して公務員の退職金は算定されておる。ですから、そういう点を考えると、まず、賃金はどのくらい上がっておるのか、あなた方はどのくらい上げようとしておるのか、あなた方は審議会とおっしゃるけれども、原案は五年間でどのぐらい上げようとしておるのか、これは一般の退職共済並びに建設退職共済はどう考えておるのか、これをお聞かせ願いたい。
○寺園政府委員 前回の法改正は五十五年でございます。そのときに計算上用いました賃金は五十三年と五年前とを比較いたしております。したがいまして、五十三年と五年後の五十八年を比較いたしますと、一般におきましても、また建設におきましても約二五%賃金はアップをいたしております。審議会で具体的に議論をされますときには、そのあたりが一つの指標として考えられるということであろうかと思いますが、先ほども申し上げましたように、建設業退職金共済につきましては、審議会といいますよりは、法律では幅を決めておりまして、その幅の中で特定業種退職金共済組合が定款で定めるということになっておりますので、直接的な審議会マターからは外れるのではないかというふうに考えております。
○多賀谷委員 現実に平均の退職金を見ましても非常に低いわけですから、私は一般民間の賃金の引き上げ率と同じようにしてもらいたい。というのは、僕は、日本の公共事業と労働対策のあり方というものに疑問を持っているのですよ。要するに今不景気だ。ですから、公共事業を内需拡大でやらなければならぬ、こう言うけれども、一体それによって労働者の失業者はどのくらい吸収できるのかと言ったら、いつか私が予算委員会で質問したのですけれども、だれも計算した者はいない。 外国はそういうシステムじゃないのですよ。今不景気であるから、これだけの失業者がおるから、その失業者を吸収するために公共事業をこれだけ増します。日本の場合は人間を考えぬで物を考える。鉄は幾らぐらいふえるだろう、セメントがどれぐらいふえるだろう、この計算はできるのですよ、日本の場合は。ところが、人間をどれだけ吸収するかという計算が全然できてないのです。 それから公業事業のあり方に私は疑問を持つというのですけれども、諸外国では、殊に自由経済のアメリカにおいても公共事業を算定する場合に、いろいろ算定しますけれども、労務費、これを実行しなければ契約解除する。要するに全体的な労務行政の推進力は公共事業だと考えているのですよ。ですから、最初最低賃金制をつくるときでも労働基準法をつくるときでも、まず公共事業で最低賃金を確立し、労働時間を確立する。そうして、それをやってしまって、それを民間に及ぼすんですよ。 日本はそういう役目を公共事業はしていないのです。日本はただ会計上安ければいいという物の考え方だ。ですから、安く受注する方がいい。もちろんダムやその他の建設工事にはローラインというものを引いて、それ以下であれば工事がずさんになるからというのでとめる。その最低はありますけれども、公共事業が労務対策の推進であるという考え方が全然ないのですね。私はその点が非常に欠陥であると思うのです。 ですから、公共事業を発注する場合に、建設業に初めから入れておるなら、それを実行さすべきですよ。ここで入れておるいろいろな社会保険だとか、あるいは定款ではあるけれども、退職共済というものは、少なくとも労務費の中に入っているのだから、管理費の中へ入れておるのだから、これだけはやっぱり実行さす。単価に入っているのですから自由ではありませんよ。やっぱりそういう毅然たる態度でやらないと、建設業なんというのはいつまでも下請から下請へ移って一つも恵まれないことになる、こういうように思うのです。浜野さん、我々はちょうどお父さんの時代から非常に仲がよくて知っておるのですけれども、そういう日本の公共事業のあり方というものを殊に労働省は検討してもらいたいですね。安ければいいというただ会計法上だけの問題じゃない、かように思いますが、どうですか。
○浜野政府委員 私としては、先生御指摘のとおり、中身はバランスの問題だと思います。スタートは公共事業が物だけでなく人を中心としてできるだけ効率の高い運営をすべきだ、これは全く同感でございます。今先生御指摘のように、あくまでも人間中心、そういう考えで国も行政もやっていきたい、そのように考えております。
○多賀谷委員 そこで、単価をせっかく見られておるのに実施をしてない建設業というのはかなり多いのですか。しかも公共事業の仕事をしておるのに、この退職共済に入ってない建設業者というのはかなりおりますか。
○林説明員 建設省といたしましても、建設業退職金共済制度への加入が労働者の福祉のために必要だと考えておりまして、いろいろな指導をいたしております。 まず、一般的な指導でございますが、建設業界に対しまして建退共に積極的に加入することとあわせまして、証紙の購入あるいは証紙の手帳への貼付を行うことを通達によって指導しております。それからまた、元請下請合理化指導要綱というのがございますが、これによりまして下請業者が建退共に加入するように指導いたしております。 それから、お尋ねの所管工事の発注に当たりまして、まず請負業者の選定に当たりまして建退共の加入状況を考慮いたしております。それから、実際に工事を受注した請負業者に対しまして、掛金を払った領収書ともいうべき掛金収納書を提出していただいて確認をいたしております。 それから、下請に対する指導に対しましても、工事を受注いたしました元請に対して下請契約を締結する際に、下請代金額に掛金相当額を算入することとかあるいは証紙を現物交付するような指導もいたしておりまして、これからこういうことを徹底いたしまして、加入の促進と証紙の貼付の励行を指導したいというふうに考えております。
○多賀谷委員 第一には、中小企業一般の共済と同じようにぜひアップをしてもらいたい、かように思います。それから、そのとおりを単価に組み入れてもらいたい、そうしてそれが実効のあるような処置をぜひとってもらいたい、こういうことをお願いをしておきたいと思います。 そこで、この退職共済というのはポータブル、要するに携帯退職金ですか、どうですか。その点は解決しているのですか。要するに、Aという中小企業で働いて、そこを退職してBに行く、そういう場合は、Bも加入者であるという場合はつなぐんですか、通算されるんですか、どうですか。
○寺園政府委員 特定業種退職金共済制度はいわば業界退職金でございますので、雇用される事業主が違いましても通算されるわけでございますけれども、一般の退職金制度は、原則といたしまして同一企業に勤務する期間、その期間の納付月数に応じて退職金を支給するという制度でございます。したがいまして、異なる企業間の通算というのは原則としてはできない制度になっております。
○多賀谷委員 そうすると、原則というのは、個人が、いや私は退職金結構です、続いて通算していただきたい、こう言えばできるんですか。
○渡邊説明員 今局長の方から御答弁申し上げましたように、一般の中退制度におきましては、個人が希望しましても、原則としては通算ができない仕組みになっております。ただし、例外としまして、自己都合でない退職、例えば会社が倒産しましたとか人員整理でやめざるを得ないとか、そういった場合には労働大臣の認定を受けて通算をすることができるというふうになっております。
○多賀谷委員 零細ですから賃金も安いですし、本人ももらいたいという人もあると私は思いますが、やはりそういう制度があれば通算をするというような指導が必要ではないか。この点も本人の選択によっては通算できるというように、ひとつ審議会の課題にしてもらいたい、私はこういうように思います。 私は今三点ほどお願いをしたのですが、まず業界の指導をやられる建設省、アップができるのかどうか、あるいは十分な監査ができるかどうか。——建設省、もういませんか。じゃあ、この点は次官からも十分に指導するようにおっしゃっていただきたいと思います。 そこで、資産の運用についてですけれども、新聞を見たわけですが、確かに中小企業退職共済の利回りが非常に低いですね。今利回りがどのくらいになっておるのか。それから、これから金融の自由化とともに利回りが非常に重要な要素になってくる。殊にまだ成熟しておりませんから、これが成熟するとある程度の金額になるわけですから、その活用をどうするかというのは極めて大きい問題だと思うのです。ですから、これについては労働省としてはどういうお考えがあるのかという点、これをお聞かせ願いたい。 と同時に、この退職金が将来年金に移る可能性があるんですか、どうですか。そういうものは一切ない、やっぱり退職金だということで、言うならば厚生年金基金のような形で、企業年金を中小企業退職共済の中で移行するということが考えられるのかどうか。この二点についてお聞かせ願いたい。
○寺園政府委員 現在中小企業退職金共済事業団の全資産の運用の利回りは約七・四五%程度で資産を運用をいたしておるところでございます。御承知のように、中退制度は掛金とそれからその掛金を運用して得ます運用益とで給付をするということでございますので、高い運用益を得るということは給付水準を上げるという一つの大きな要素になるわけでございます。 そういう意味で、資産の運用をより弾力化し、運用益を上げていくということにつきましては私ども大きな関心を寄せておるところでございますが、一方、国の機関としてやるわけでございますから、その運用に当たって安全性、確実性というものも十分確保していかなければいけない。あるいは現在までの運用先との関係等もございます。それらをひっくるめまして、現在、審議会では、強い関心のもとにこの資産の運用問題についても御検討をいただいておるという段階でございます。 それから、年金化の話でございますが、昨年の審議会の建議の一つには、単に一時金として一時に払うだけではなくて、これを分割払いをすることによって年金的な支給の方法というものを検討してみたらどうであるかという建議が行われたところでございます。その後、私どもいろいろ検討いたしておりますが、税制上との絡みの問題等もございまして、種々困難な問題がございますけれども、一つの検討課題ではあろうという認識を持っております。
○多賀谷委員 今の段階では余りにも金額が少ないものですから、なかなかどうとも言えないわけですけれども、私は、同じような基金で本当にアンバランスだなと思うのは、厚生年金基金ですよ。これは要するに、企業年金を持っている大企業がやるわけですね。厚生年金基金は、二千六百万人ぐらいの厚生年金の加入者のうちで、適格年金等入れますと約千三百万人、ちょうど半数いる。この利回りが八・五三%なのですよ。言うならば企業年金のない中小企業の労働者は、七・一%ぐらいの厚生年金の運用利率。日本経済には大変貢献しておるわけですね、財投に入れておる。ところが、大きな企業は大部分を厚生年金基金でやっておるわけです。厚生年金基金は八・五三。どうも私は矛盾しておると思うのですね。これは運用は、株を買ってもいい、不動産を買ってもいい、それから外貨建ての証券を買ってもいい、こういうふうになっておるのです。 どうも日本の政治というのは、実にそういう点が不公平なような、言うならば零細とまでいきませんけれども、低い賃金の労働者から集めたものは全部財投、それは低い金利だ。ところが、企業年金を持っておるところの企業は、厚生年金基金というのは割合に高い利回りだ、こういう非常に矛盾したものを持っている。これは厚生省の管轄の話ですけれども、やはり中小企業退職共済も同じ、そういう感じを持つのですがね。これはひとつ次官、かなり政治的な問題です。でありますから、やはり利回りがいいような運用を今後しないと、一方の方は金融自由化だとこう言っておるのに、一方の方は、零細の方は依然として財投に奉仕するということでは、日本の政治はうまくいかないのじゃないか、こう思いますから、これはひとつ次官と、それから局長から御答弁を願いたい、こういうように思います。
○寺園政府委員 今の中小企業退職金共済制度は、国からの補助を得ながら実施をしておる制度でございます。そういう観点から、中小企業退職金共済事業団に納付されました掛金の運用先につきましても、一定の制約と申しますか、運用先が限られておるという事情があるわけでございます。先ほども申し上げましたように、現在、中小企業退職金共済制度につきましては、国庫補助のあり方を含めまして、基本的なあり方について検討いたしておるところでございますので、そういう絡みを含めながら、この資産運用の弾力化という問題については検討してまいりたいと思っておりますし、また、審議会といたしましても、そのような問題意識のもとに審議をしていただいておるという状況でございます。
○多賀谷委員 国の補助金と言えば、これは厚生年金基金も同じですよ。厚生年金基金というのはずるいので、インフレになるとかそういうものは今までの厚生年金でやる、そして比例部分のどんどん伸びていく部分は厚生年金基金でやります、こういうことをやっている。ですから、企業家も労働者も、国庫補助金をもらっておることは同じです。ですから、国庫補助金を出しておるから国の言うことを聞かなければならぬという。厚生年金基金というのは、そういうようなシステムになってない。みんな国庫補助金をもらっておるのですよ、これは。もらっておってそういうことをやっておるわけです。ですから、そういう点を余り遠慮しないで、十分主張してもらいたい。 そこで、労災保険法の改正について、今、長い間審議がされておりますけれども、ポイントはどういう点で改正に臨まれようとしておるか、私も随分意見があるのですけれども、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○浜野政府委員 労災保険制度については、先生も熟知されておられますように、労災保険審議会内部に設けておられます労災保険基本問題懇談会において、現在、制度全般について検討されております。 検討項目については、いろいろとございますが、大体四つの柱を中心にしております。この懇談会では、五十四年度の労災保険審議会の建議において今後引き続き検討すべきとされております。その四つの柱、大体の項目の中の大きな柱でございますが、一つ目は、主要先進国間の水準等がどうなっているか、この水準と現在我が国の給付水準とのバランスをどう見るか、そしてその結果要否を決めたい。それから二番目には、我が国の年功賃金体系、これは大きな運営の形になっておりますが、この体系と保険給付への反映の形をどう絞っていくか。それから三番目には、不服申し立て審査制度のあり方を今後ほどのように変えていくか。四番目には、労働福祉事業のあり方等の事項を中心に、労使双方から率直な提案をいただき、そしてこういうことも四つ合わして大きな検討課題としていきたいと思っております。 現在、制度の改善について具体的な検討が行われております。今後、この懇談会の結論が得られれば、労働省としても立法措置を含めた所要の措置を速やかに講じていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○多賀谷委員 西欧の水準、それから厚生年金等との調整問題、その他いろいろおっしゃいましたけれども、この間新聞をちょっと見ましたら、高額受給者の対策についてと、どうも労働省は、この前の雇用保険でもそうですが、物の考え方が逆なんですね。同じことを言うにも、逆に言うのだな。 五年前の大論議は、若いときに大きな事故に遭った。若いときは賃金が低い。だから、それが一生続くのはおかしいじゃないかという議論から出発しておるのですよ。ところが、今度は、高齢者は高額者が多い、こういう部分で何とか抑えようという、そういう出発点が、そもそも労働行政に携わる者としては、私は慎むべきものじゃないかと思うのですね。あるいはそう考えてないにしても、そういう発表をしておる。 今、本当言うと、僕は余り改正してもらいたくないのですよ。とにかく臨調行革の今真っただ中だからね。だから、いいものがなかなかできないんだよ。今のだんだん補助金を削るというような、補助金はないにしても、経営者の方も今苦しいぞと、こう言う。何にいたしましても、観点はやはり、この前非常に論議がありまして、結局実を結ばなかった。若いときに大きな事故に遭った、だから、ほんの駆け出しの場合で非常に低賃金が一生続く、ところが、いわば働き盛りといいますか、そういうところで高い給与をもらっている人が事故に遭っても同じ率で上がっていく、これはバランスをとらなければならぬ、こういう発想だったでしょう。今はむしろ高額受給者がおるからそれを何とか削らなければいかぬと言う。ですから、この発想の視点というのがどうも労働省らしくない、僕はこういうふうに思うのですが、時間が余りありませんから、これはいずれゆっくり論議をしていきたい。 それから、この間から私が言っておりますように、厚生年金の調整のことを考える必要はないのですよ、あなたの方は。あなたの方は労災ですから、全額出して厚生年金が調整を考えればいいのであって、これは私はこの席では何回か言っておりますから申し上げませんが、本来は厚生年金と労災保険の調整は、やはり基準法のように労災が先に出て、そして優先支払いをして、その調整を厚生年金がどうするかという、公務員と同じようにすべきではないか。ちょっと逆になっておるのですよ。次官、この点は国家公務員と基準法は今の労災保険と道なんです。それは私が年来主張しておるところですからきょうは申し上げませんが、ですから、その調整のことを言う必要はないじゃないか、こう私は言っておる。 それから、ひとつ非常に注意しなければならぬ問題は、裁判というのがあります。ですから、あなた方の方が額を低くすると、訴訟すると金額が上回るという可能性はあるのですよ。労災保険が本当の補償をしていないという認定を裁判所がすれば、慰謝料だけでなくて補償金の要求をしますよ。それはこの間法律をつくったじゃないかというけれども、現実にしてくる。ですから、正当な損害補償をしておかないと今度は裁判で負ける。負けるというのは経営者の方が負ける。経営者も余り目先のことばかり考えておると、これは今度は逆に補償に足る金額ではないと裁判所が判断をすれば補償金額の方が上回っていくから、結局は同じことになる、こういう問題もやはりあるわけです。ですから、低くすればいいという問題じゃないのです、これは。人間の命とか健康の問題はだんだん評価が高くなるのが、これはもう世界の趨勢ですから、そういう点を注意をしていただきたい、こういうように思います。これはいずれまた質問をする機会があると思います。 そこで、去年から私はこの前の国会で二つの点を質問をしておきました。それは六月十九日であります。 一つは、もうたびたび出てくるだろうと思いますけれども、重度の障害者、長い間病気をする、そうして亡くなる、そういった場合、労災の対象になっている病気によって直接亡くなったのではなくて、他の事故、病気によって亡くなったという場合の遺族年金ですね。これは何か浜野政務次官はどこかで答弁をされたようですけれども、あるいは局長も何かメモを出したようですけれども、一体その後、審議会において十分検討してもらいますという望月前局長の答弁でしたが、どういうように審議会で論議をされておるのか、これをお聞かせ願いたい。
○寺園政府委員 先生御承知のとおり、労災保険の給付は業務上または通勤途上の災害により死亡または疾病をこうむったということを支給事由としてその費用を使用者の負担によって補償を行おうとするものでございます。したがいまして、長期療養中の者が死亡した場合に、その死因のいかんにかかわらず遺族に対して給付を行うということは、労災保険の性格から見て種々難しい問題があるということで、現在までそのような給付はなされておらないところでございます。しかし、各方面からこの問題についての御指摘、御要望がございます。先ほど政務次官がお答え申し上げましたように、現在、制度全般につきまして基本問題懇談会で議論をお願いいたしておりますけれども、その中の一つとして現在基本懇で御議論をお願いをし、結論を出していただきたいというふうに思っておるところでございます。
○多賀谷委員 これは今議論をしようと思いませんが、相当因果関係があるかどうかという問題もあるのですけれども、これは寺園局長がお話しになったのか、作成をされたのか、手紙をお出しになったのかわかりませんけれども、御存じのように「大塚守一氏からの要望について」という話ですけれども、これはここでも何回か彼の名前は出ておるわけです。そこで、今お話しになったように、率直に言って死因の違う場合には遺族補償給付については難しいと思います。 しかし、高齢の妻が残されるというようなケースについて考えると気の毒でありますので、「何とか援護措置を考えていく必要があると思います。」ということをどこかで答弁をしておるのか、さらに読みますと、「御要望のことにつきましては、実現に向けて難しい点もあるようですが、受給者の方々の実情は十分理解できますので、労働省として積極的に取り組むよう浜野労働政務次官にもお伝えしておきました。」こういう名前まで出ておるのですが、次官御存じでしょうが、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○寺園政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、その問題は基本懇で御議論をいただいておるところでございますけれども、私どもとしては非常に強い問題意識を持っておるということでひとつ御理解をいただきたいというふうに思います。
○多賀谷委員 次官は。
○浜野政府委員 先生、この問題は大塚さんから個人的にお手紙をいただきまして、どういうふうに考えておるか、こういうことだと、私の方から局長に、こういうお手紙をいただいている、できるだけの検討をした上の御返事を出していただきたい、中身については、今局長言われたように現在検討中の中でやっていきたい、そのように考えております。
○多賀谷委員 「積極的に取り組むよう浜野労働政務次官にもお伝えしておきました。」こうありますから、期待をしておるわけですね。 それから、もう一つの問題がありました例の介護料の問題ですね。これは、恩給には増加非公死扶助料というのがあるわけです。これについていろいろ論議がなされておるわけですけれども、日本の最高の一級の障害者は八六%ですか、八七%ですね。ところが、今各国の実情のお話がありましたが、フランスが一四〇%、その他の国も相当出しておるわけですね。 そこで、やはり介護料というのは、ちょっと考えなければならぬが、今から女子の職場進出で、この人たちが勤めておったならば介護者が相当年金ももらえるだろうし、給料ももらえるだろうというのが、三万数千円の介護料では余りにもかわいそうではないか、こういうように思うのです。これは、一般の公害もそうですが、それからいろいろな関連する場合の介護料と同じだという必要はないんじゃないか。というのは、労災の診療報酬というのは御存じのように一般の健康保険の診療報酬と違うのですからね。 なぜ違うかというのですよ。その点は、やはり労災という場合は企業側の責任で事故が起こったというのが労災保険ですから、横並びにしなければならぬという理屈は必ずしもないんじゃないか。本来、全額企業が補償しなければならぬ問題ですから、介護料も実態に応じて、やはりその人が勤めておったらどうだろうということも含めて出してあげたらいいのではないか。公害がこれだけだからそれに合わさなければいかぬというのは、それは公平なようだけれども、今全部の制度がそういうふうになっていないんですよ。 やはり労災保険というのは、御存じのように、労災でけがをしてごらんなさい、自賠責と同じようにすぐ実費で取られているでしょう。ですから、やはりそういう制度にしてもいいのではないか、こういうように私は思うのです。この点も、どうも一律でなければいかぬという理屈も立たないんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
○松本説明員 今の介護料の問題につきましては、先生もよく御存じのように、公害健康被害補償法でありますとか、あるいは原爆被爆者の問題でありますとか、その辺の類似の制度とのバランス、そういったものを考慮して決めているわけでございまして、労災保険だけを動かすのは非常に難しいわけでございます。 ただ、労災保険の傷病補償年金あるいは障害補償年金につきましては、三級の障害者をいわば永久的な完全労働不能、つまり労働力ゼロに相当するものと考えておりまして支給率を決めております。 したがいまして、より重度の第一級、第二級障害者につきましては、いわばそれ以上の支給率を支給しているわけでございまして、その部分はある意味では労働力ゼロではなくて、いわば他人の労働を必要とするということから支給率を高くしているわけでございますので、その分がいわば介護料といいますか、介護に要する費用を見ておるというふうに考えておるわけでございます。
○多賀谷委員 しかし、そういう理屈は通らないですね。それは介護料があるんだと言うけれども、三級と一級と言うが、精神的打撃も大きいですよ。それを三級と同じ、あるいは介護料を見ているという議論をすると、では精神的打撃はどこで見るんだ、こうなるのですよ。ですから、当然慰謝料は別だという議論に発展するのですよ。精神的な損失は全然見てない。それは一級と三級と同じだ、労働力の喪失は同じだ、あとは介護料、そんな理屈、通りませんよ。労働力の喪失だけを見るんじゃないんですから。 ですから、その差は介護料だということにはならない。この差はむしろ精神的な問題、損失ですよ。ですから、これは理屈はいろいろつくのでしょうけれども、そういう面から見ても、これはやはり経営者の責任なんですから、それを十分考えて経営者の責任で——厚生年金の障害年金とは違うのですよ。経営者の責任ですから、経営者の責任で本当に補償ができるように介護料を認めるべきではないか。 これはあなた方、全くしゃくし定規な役人の解釈ですよ。そういうのは通らぬと私は思うのですよ。一級も三級も労働力の喪失は同じである、だからその出た部分は介護料が入っているんだ、そういうことは考えられない。その理論を徹底的にいくと、幾らでも議論ができるのですよ。ですから、やはり実際に即応した補償をしてもらいたい、こういうように要望しておきます。審議会にもかけて——この点は審議会の先生よりも、あなた方が、いや、あれはだめです、いろいろなほかの制度もそうなっているんですから、こう言うと、では、それを飛び越えてやろうかというのは非常に少ない。ですから、その点はあなた方が、これは違うのだ。労災というのと厚生年金の障害というのと基本的に違うのですよ。その点を十分考えて、そして罹災者に余り重圧のかからないようにしてもらいたい、こういうように思います。 そこで、もう時間がありませんが、実は私は高炉ガスのがんの問題について質問したかったのですが、これは今から残った時間ではとても無理です。ですから、これは別の機会にいたしたいと思うのです。 そこで、例の失対打ち切りと言われる失業者対策の問題についてお聞かせ願いたい。 今、失対打ち切りの話が出ておりますけれども、高齢者をどうするかという問題と、それから社会問題としてどうしたらいいかという問題、こういう問題をやはり総合的に考える必要があるんじゃないか、こういうように僕は思うのですね。ニコヨンと言われた二百四十円のときはカロリー計算をしてもどうしても働かすのが無理だというくらいの賃金だったのですよ。ある市長が言いましたよ。本来、あれで働けというのは無理だよ、カロリー計算したって何したって働くだけのカロリーがないのですから、あれで屋外に働かすというのは無理だよという話を僕は覚えておるのです。 それは別として、今日、失対事業に入ったために厚生年金の受給者がいないのですね。ですから、六十五歳以上でほうり出したら一体どうして生活するのだろうか、それをまず考えてやらなければこの問題は解決にならない。それは生活保護にいくかどうするか、そういう問題になるのですね。一番いい人で十年年金ですよ。それか五年年金。それも六十からもらっておりますから半額ですね。多くは一万五千円しかない。以上はないのです。一万五千円が大部分である。制度が発足してから御存じのようにもう既に長くたっておりますから、その間厚生年金に入っていないわけですから、厚生年金の受給者というのはほとんど皆無である。もし厚生年金の受給者がおったとすれば、それは遺族年金である、本人の年金ではない、こういうように考えるわけですが、失対事業から見ていろいろ論議があるだろうけれども、一体本人たちの生活が立つように考えるのかどうか、これをまずお聞かせ願いたい。
○小野政府委員 先生御案内のように、五十五年の制度研究報告で、失対事業は基本的に終えんを図るべき段階に来ている、ただ、直ちに終息させるには問題があるので、なお暫定的に事業を行うということで御指摘を受けているわけでございます。事業を行うにしても労働政策としての事業を適正に維持運営するような内容のものが必要である、こういう御指摘を受けているところでございます。 一方、失対については五年ごとに制度について調査研究しろという法律上の規定もございますので、先日五人の先生方に調査研究を委嘱して今始まったところでございますので、前回の基本的な考え方を踏まえながら今検討の過程にあるわけでございます。私どもといたしましては、その結果をもらいまして適切な処置を講じてまいりたいと今の段階で考えておる次第でございます。
○多賀谷委員 私は長い間これらの問題にタッチしてきたのですが、最初の時期はかなり疑問を持っていました。ところが、率直に言うと、今日最もいい事業だと私は思っているのですよ。まず健康的ですよ。そして経費がかからない。日本経済全体から見ると、あの人たちが生活保護にかかるとすれば一体どのくらいの費用が要るか。こういう日本の財政全体から見ると、本人がやめるというのなら別として、これはやはり、今まで過去に言われたように、決して不健康な仕事じゃない。むしろ将来ある程度こういうことが逆に日本の雇用対策にもなるのかなという感じを持っています。 それから、一体その人たちの生活をどうしてやるのかということをまず考えないで、ただ追い出せ追い出せ、六十五歳になったらとか七十になったらとかいうのは私は間違いだと思う。ですから、それにはどれだけの退職金をやるのだ、それはやめたい人もあるでしょうから、そういうものをやはり考えてやって、そうして処置をすべきである。 もう六十五以上は労働省の仕事じゃない、あれは厚生省だというには、厚生省は一万五千円以上は出していない、こういうことですから、あなた方は先輩がこんなものをやっておるからしりぬぐいをおれらがしなければならぬと思わないで、ひとつ今からこれをどうして進めていくかというものを検討してもらいたい。 最後に一言答弁を願って終わりたいと思います。
○小野政府委員 お言葉を返すようでございますが、基本的に失業対策事業というのは一時的な労働力の維持と生活の保全の場でございますので、現在の失対事業を考えた場合に、三分の二の補助金を出しながら事業を運営していく、それは労働政策の限界に来ているのではないかと思いますし、前回の報告書でもやはり引退者のことについてパート的な仕事への紹介あるいはシルバー人材センターへのあっせん等安定機関として講ずべき施策についても御指摘を受けているところでございます。そういうような御指摘も十分尊重しながら今後対応してまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○多賀谷委員 次官、最後に答弁を、今の問題。
○浜野政府委員 この問題については、今担当者から述べられましたような考えではございますが、先生の御指摘の趣旨をよく理解して私としても頑張っていきます。
○多賀谷委員 ありがとうございました。
○戸井田委員長 塩田晋君。
○塩田委員 最近における日本経済の動向を反映いたしまして雇用失業情勢がどのように推移しているかにつきまして御説明をお願い申し上げます。
○加藤(孝)政府委員 最近の雇用失業情勢を概観してみますと、景気が拡大を続けております中で緩やかな改善を示してきております。 内容を見ますと、求人が高水準で推移をする、一方、求職者の方が落ちついた動きをしておりまして余りふえないというような状況でございまして、五十八年の半ばごろには〇・五九、こういうようなことで〇・六を割っておりました有効求人倍率が現在〇・六八あるいは〇・六九、こういうようなところまで回復をしてきております。また、完全失業者につきましても、このところ前年水準を下回っておりまして、ことしの四月には百五十七万人ということで前年比十一万人の城となっておりますし、また完全失業率も二・四%、こういうことで、二・五%を割るような数字が出ております。雇用者につきましても、製造業あるいはサービス業を中心に増加を続けております。こんなような状況を踏まえまして、私どもとしては、今後の求人倍率というものにつきましても、五十九年度実績が〇・六六、こうなっておりましたものが、六十年度見通しといたしましては求人倍率〇・七二くらいのところに回復をしていくのではないか、こんなような見通しをいたしておるところでございます。 しかしながら、今後中長期的に見ました場合に、労働市場においては、御存じのように高齢化の進展あるいはまた女子の職場進出、産業構造の転換等のいろいろな構造変化が進んでおるわけでございまして、こういった関係の指標につきましてはなかなか楽観を許さないものがございます。例えば失業率で見ましても、五十九年の失業率が二・七%ということでございますが、五十五歳以上ということになりますと三・三%の失業率、さらにまた六十歳から六十四歳層、こういうことになりますと四・七%の失業率、こういうような状況にございます。それからまた、若年者の離転職といいますか、そういうような関係がいろいろ進んでおりまして、十五歳から二十四歳層、こういうようなところでは五十九年で四・九%という非常に高い失業率にもなっておるわけでございます。 さらにまた、女子の職場進出の背景を受けまして、男子の失業率が五十九年で二・七%であるのに対して女子の失業率が二・八、女子の方が男子の失業率を上回るような状況も出てきておる、こういうようなことでございますし、さらにまた、今後こういう技術革新の進展の中で、こういう求人の要求する技能とそれからまた求職者の持っておる技能というものとのいわばミスマッチ、乖離がいろいろ進みまして、せっかくの求人がありながらなかなか結合が進まないというような問題もひとつ大きな今後の我々の課題として取り組んでいかなければならぬ、こんなふうに考えておるところでございます。
○塩田委員 今、雇用失業情勢につきまして概略を御説明いただいたわけでございますが、総じて眺めてみますと、一時低迷を続けておりました雇用失業情勢も何とか好転の方向に向かっておる、しかし、そう大幅に改善されるような状況にはない、同じような状況が高原状態で続いておるという状況ではないかと思います。 つきましては、いろいろ問題の御指摘がございましたように、失業者の中にも、また雇用労働者の中にも、各層別に見ますといろいろな問題をはらんでいるということでございます。特にさきの国会から今国会にかけまして審議され、また成立を見ました男女雇用機会均等法、この影響が来年からどのように出てくるか。男女間の失業率あるいは雇用求人状況につきましての違いがあるということを言われましたけれども、これがなおどのような形で有効に働くかという問題が出てこようかと思います。 また、技術革新の進展に伴う特に産業の情報化によりまして、特にその分野で多く見られますところのソフト労働者に大きく関連する問題といたしまして、今国会で成立いたしました労働者派遣事業法、これがどのように雇用労働市場に響いていくか。従来の我が国の雇用労働慣行、またそれをもとにしてでき上がっている労働市場が大きくこれらの要因によって変化する、その影響を受けるということが考えられるわけでございまして、これらのことを勘案しながら雇用失業情勢の推移を十分に把握をして、これらに適切に対処をしていただきたいと思います。 ただいま私が指摘を申し上げました点、また局長がお答えになりましたいろいろな雇用失業情勢の中での問題点、これに対してどのような適切な対処をしようとしておられますか、お伺いいたします。
○加藤(孝)政府委員 今後の雇用失業情勢を見ました場合に、問題点として申し上げました第一は、高齢化の進展でございます。 高齢化の進展に対しましては、現在六十歳までの定年延長というものを懸命に行政努力をいたしておりまして、これまで日本の雇用慣行としては五十五歳定年制というものが主流でございましたが、現在は五十五歳定年制は二九%程度まで落ちまして、逆に六十歳定年制が五二%というところまでまいっております。また、近く六十歳定年制をやるというところまで含めますと、六五%の企業が六十歳定年制というようなところまでまいっておりまして、そういう意味で、今や六十歳定年制が日本の主流になってきておるということは言えるかと思うわけでございます。さらに、こういう定年延長の法制化問題というものを現在雇用審議会において御論議をいただいておる段階でございまして、この審議結果を待ちましてまた必要な措置をとってまいりたい、こう考えております。 さらにまた、六十歳から六十五歳という層につきましても、健康でなお働き続けたいという方が多数おられるわけでございまして、そういう方々につきましての雇用の継続、あるいはまた再就職、こういう面につきましても助成措置を講じまして、今六十歳台前半層の雇用問題ということを大きく事業主あるいは国民一般に呼びかけをしていくというようなことを進めておるところでございまして、こういった点につきましても、今後こういう雇用審議会あるいは中職審での御論議を踏まえて必要な措置を進めていきたいと思っております。さらにまた、そういう六十歳台前半層、あるいはまたそれ以降の方につきまして、いわゆるシルバー人材センターというような形で、今全国二百三、四十の市におきまして高齢者の任意就業の場の確保ということでの一つのシステムを進めておるところでございます。 また次の、高齢化対策に続く問題としまして、女子の職場進出の問題でございます。これにつきましては、御指摘ございましたように、今後男女雇用均等法の施行というものと相まちまして、やはり女子の職場進出というものは一層進むであろうということは基本的に考えられるところでございまして、そのために、この均等法の中でもございますように、育児休業の制度の問題であるとかあるいはまた再就職の促進の制度であるとか、こういったようなものの活用の中で女子の職場進出あるいはまた職場の確保というものについての努力をしていかなければならぬ、こう思っておりますし、あるいはまたパートバンクというような形での女子のパート労働の機会の確保、そういったものについてもさらに取り組みを進めていかなければならぬ、こう考えております。 それからまた今後の技術革新の進展に伴います雇用の問題でございますが、これについては、現状においては技術革新、ME化といったもの、これがむしろ経済の発展につながる、こういうような形において、マクロとしては雇用はむしろこのME化が拡大をしてきている、こういう事情にはございますが、ミクロ的に見れば、もちろんこれは大きな省力化効果を持つものでございますので、導入された職場職場での配置転換の問題あるいは再訓練の問題というものについては的確な対応が必要である、こういうことでございますし、さらにまた、技術革新の進展に対応いたしまして、これが失業を増大をしないように、あるいはまた技術革新というものがむしろ労働者の労働条件の向上、福祉の向上につながるような形での導入が図られるべきものであるとか、さらにはまた、技術革新の導入によって労働者がそれにちゃんと適応できるように、職業訓練等能力開発というものを進めていく。あるいはまた、この導入について、円滑な導入を図るために産業、職場レベルにおける労使の意思疎通というものを積極的に図っていく。さらにはまた国際的な観点からの対応を進めていく。 こういうようなことで、いわゆるME化五原則というもののいわば国民的コンセンサスにこれを高めていくというためのまた努力というものを進めていくということで、現在いろいろな国際シンポジウムであるとか、あるいはまた地域レベルの産業別労使会議であるとかというようなもののコンセンサスづくりをそういう形で進めるべく努力をいたしておる。 こういうようなことが現段階での対策の主なるものでございます。
○塩田委員 ただいま加藤職安局長から詳細に御説明がございました。我が国の高齢化社会への対応、また女子の職場進出に対する雇用対策あるいは技術革新、ME化に伴う失業防止、あるいは労使の意思疎通、国際化の問題等々各般にわたってその対策を御説明いただいたわけでございます。 私は、この問題に加えまして、特に先ほど情勢の中で説明がございました若年労働者の定着率が非常に低くなっておる、逆に流動化が進んでおる、離職率が高くなっておる。この問題につきましては、まだまだ諸外国に比べては低い段階ではございますけれども、我が国の特徴は若い労働力がほとんど失業することなく、むしろ一時は人手不足で金の卵と言われておった状況の中で、若年労働者というものが完全雇用だというところに大きな特徴があったと思うのです。 その点から見ますと、先ほどの御説明のような状況あるいは兆候があらわれているということは注目すべきことだと思うのです。したがいまして、これらの若年労働者層に対する定着対策、なぜそうなのか、求人求職に合わないのはなぜなのか、あるいは、どうして早期に離職をして、そんなにして転職をしていくのか、こういったことはよく調査されまして適切な手を打たれることが必要だと思います。 私は、日本の現在の社会が政治を含めまして安定した社会であるという一番の根本は、完全雇用政策、これも完全雇用というところまでにはなかなか言い切れないところがありますが、ほぼそれに近いところに、労働省を初めとして国民的努力、労使の努力によりまして、地道ではありますけれども、これが雇用の面において非常に適切にいっている。諸外国から比べて、この点が日本の安定社会をもたらす最も大きな力になっておるものだと思いまして、この面について、皆さん方の御努力に対しまして敬意を表しますとともに、しかし、今あらわれようとしているそういった問題、将来危険になるかもわからない状況につきましては、早目にその状況をつかみ、そして適切な対策を早期にやっていくことによって、現在まで来ました安定した社会、そして繁栄する経済、こういったものを支えていかなければならない、このように思いますので、ひとつ手抜かりのないよう今後ともよろしくお願いを申し上げます。 続きまして、労働時間の短縮と連続休暇の推進の問題でございます。 これにつきましては、御承知のとおりことしの四月四日、国会におきまして各党、特に与野党五党でもっていわゆる時短懇を発足いたしまして、これらの問題をどのようにして有効に推進するか、精力的に協議を重ねてきたところでございます。ゴールデンウイークを前にいたしまして、四月二十五日には、御承知のとおり政府に対しまして、連続休暇の促進を図るための企業なりあるいは都道府県、政府関係機関に対しましての趣旨徹底の働きかけをしたところでございますし、また五月九日におきましては、関係各党の幹事長・書記長会談で合意されました連休等休日の増加の問題については、法的措置を含めてその実現を図るように努める、こういう申し合わせがありまして、この線に沿いまして、自民党からは丹羽雄哉議員、また日本社会党からは阿部未喜男議員、公明党からは大橋敏雄議員、民社党から私、塩田晋、そして社会民主連合からは菅直人議員が出まして、参議院の大坪健一郎議員を座長といたしまして鋭意協議を重ねてまいりました。 そして、この五党の間でまとまりましたのは、労働者福祉の観点から、また内需拡大という当面の要請、経済の持続的成長のためにはそれが必要だという観点から、また貿易摩擦の解消という観点から、そしてまたいわゆるワークシェアリングという形で雇用機会を確保していくという観点から、労働時間の短縮あるいは休日の増加というものは避けて通れない国際的あるいは国内的傾向である、このように把握をし、これに対する適切な措置をすべきであるという結論に達しました。 しかも、家族がそろってゆとりのある生活をする、こういう観点から、五月の連休を実現する、ゴールデンウイークは花と緑と太陽の週間として大型連休を実現するという方向に向かって議論を重ねてきたところでございますが、とりあえず祝日と祝日に挟まれた平日の五月四日については法制化によって休日として、そして三連休を実現するということを合意したところでございます。実際には、六十二年以降有効に働く法的措置をしようとして、今各党でその法制化に向かいまして取り扱いを鋭意協議して、きょうも与野党の政調・政審会長会議が行われる、また、せんだっても国対委員長会議が行われておる、こういう状況で具体的に進んできておるわけでございます。 今後、このような方向で関係方面挙げて一層努力をする必要がある、週休二日制を含めた労働時間の短縮、また年次有給休暇の完全消化といったことをなお一層進めていく必要があると思います。例えば、夏には一定期間連続した休暇を思い切ってとるといったことを含めまして、政府が率先してこういった措置をとり、積極的な行政指導あるいはまた閣議決定等によって国民全般に行き渡るように時間短縮を進めていく、休日増加を進めていく必要があると思いますが、これにつきましてどのように労働省は対処しようとしておられますか、お伺いいたします。
○寺園政府委員 先生るるお述べになりましたように、いわゆる時短懇におきまして各会派の責任者により協議がなされ、塩田先生を初め各先生方、大変御熱心に御協議をいただき合意を見られたということは、私ども、かねてから時間短縮を進めておる者といたしまして大変意義深いものと受け取っておるところでございます。 かねてから私どもが申し上げておりますように、時間短縮を進めていくに当たりましては、当事者であります労使だけではなくて、国民全体の労働時間問題についての意識というものが時間短縮を進めていく上に大きな要素になるというふうに思っておるわけでございますけれども、国権の最高機関であり、世論を代表されます国会におきまして、お述べになりましたような合意が見られたということは大変意義深く、また、私どもがこれから行政を進めていくに当たりまして大きなよりどころと申しますか、よすがになるものだというふうに考えておるところでございます。 今後、週休二日制の普及促進、年次有給休暇の計画的な消化、あるいは恒常的にあります所定外労働時間の短縮などを柱にして、業種業態に応じ、きめの細かな行政を展開してまいりたいというふうに考えております。それの一つの材料といたしまして、本日、中央労働基準審議会において御了承を得ました「労働時間短縮の展望と指針」を近く地方に通達をいたし、それを柱にしながら今後の行政を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
○塩田委員 世界の大勢でございますし、大国としての、先進国の仲間入りをした日本として恥ずかしくない労働時間短縮をぜひとも強力に労働省が主導権を持って積極的に進めていただきたいと思います。 それから、内需の拡大に関連いたしまして、これは賃金の問題でございます。 賃金というものは、もちろん労使間の話し合いで決めていくべきものであり、また、そのように行われてきているところでございますが、賃金は低ければ低いほどいいというような考え方に立たないで、やはり適正な賃金、しかももう少し上向きの賃金を実現しないと、国内需要の増加あるいはまた経済バランスからいいましても、あるいは貿易摩擦の問題からいいましても、この問題は重要なことでございますので、コストが少なければいい、合理化の方向で賃金にしわ寄せをして賃金が安ければ安いほどいいんだという考え方に立たないように、これは労使間の問題ではございますけれども、私はそのように痛感しておるわけでございます。 そこで、仲裁裁定につきましても、出されました仲裁裁定、また公務員につきましての人事院勧告、これらのものは完全に実施すべきものである。公務員の労働基本権制限についての代償措置でありますから、こういったものを政府が値切るようなことのないように、ひとつ政務次官、政府部内におきまして関係のところと十分に連携を密にされまして、完全実施を実現していただきます、しかも早期にやっていただきますように、これは要望いたしておきます。 続きまして、労災保険の関係でございますが、この診療報酬の関係につきましては今までにもいろいろと要望し、また実現をしていっていただいておるところでございます。特にその中で柔道整復施術料金の改定につきまして、今までにも改善方を求めてまいりました。また、これに応じて改善をしてきていただいておるというところでございます。 先ほど当社会労働委員会におきまして、厚生省の関係で質問をいたしましたところ、厚生省の関係の健保につきましては、診療報酬の改定は三月一日から実施されて三・三%の診療報酬の改定が行われております。また、柔道整復師の関係におきましても、厚生省関係は三・一%の増額で六月一日から実施がされたところであり、またこの増額とあわせまして、従来のものよりも、再検料とかあるいは冷罨法等につきましての新設が行われたところでございます。これは先ほど厚生省当局から答弁があったところでございますが、労働省の労災の関係におきましても、従来もやってきていただいておりますが、健保の標準報酬の改定に準拠いたしまして柔整の関係につきましてもできるだけ御努力をいただきたい、このことを要望いたします。 続きまして、最後に地方事務官制についてでございますが、かねてから問題となっております地方事務官制のあり方につきまして、その後情勢の変化があったのかどうか。労働省としてはこの問題にどのように対処しようとしておられますか、お尋ねをいたします。
○小粥政府委員 地方事務官制度の問題につきましては、先生御承知のとおり臨時行政調査会の答申をいただきましてから、その趣旨にのっとって地方事務官制度の廃止、さらに労働省の地方支分部局の再編統合といった内容を織り込みました法案をさきの通常国会に提出をさしていただきましたが、廃案になりましたので、今国会に再提出をさしていただいております。 その意味では、法案提出時点以降、特に事態は変わったということはないわけでございますが、昨年の国会に提出して以来、廃案あるいは再提出という形を繰り返しておりますので、該当する職員等の心理的な問題とか、あるいは今後の庁舎の、いわゆる地方労働局をつくるという構想になっておりますので、その辺の庁舎の確保の対応をどういうふうに進めていったらいいかということを従来考えて進めてきておりますけれども、そういうものにそごを来さないように、今後ともさらに何とか法案の成立をお願いして、その実効を期していきたいというふうに考えておるところでございます。
○寺園政府委員 労災保険におきます柔道整復師の施術料金につきましては、健保におきます料金に準拠して従来改定を行ってきたところでございます。今般六月一日をもちまして健保の関係が改正されましたことに伴いまして、労災保険におきましても改定すべく現在改定作業を進めておるところでございます。
○塩田委員 いつからその関係は実施されますか、予定を……。
○寺園政府委員 実施時期は七月一日を予定いたしております。
○塩田委員 ありがとうございました。よろしくお願いします。
○戸井田委員長 小沢和秋君。
○小沢(和)委員 きょうは国鉄の問題を中心にしてお尋ねをいたします。 七月に予定されております国鉄の民営・分割の答申を強行するための職場での地ならしが今激しく行われております。私も、あちこちで問題が起こっていると聞いたので、国鉄の職場を調査してみたわけでありますけれども、こういう民営・分割に反対して闘う国労や全勤労などをたたきつぶして、何でも当局の思うとおりになるような職場の状態をつくり上げようと、不当労働行為やあるいは労働基準法違反などがやりたいほうだいにやられているという印象を受けました。 まず、労働省にその点でお尋ねをしたいのでありますが、組合が幾つかある場合に、当局がその所属の違いによって処遇を差別することは均等待遇を定めた労働基準法の第三条違反、あるいは同時に労組法第七条で禁止されている不当労働行為違反になるのではないかというふうに考えますが、見解をお尋ねいたします。 〔委員長退席、丹羽(雄)委員長代理着席〕
○菊地説明員 基準法第三条では、御承知のように均等待遇の規定が罰則をもって規定されておりまして、その中に信条を理由としてという条項がございます。したがいまして、御指摘のようなことがあるといたしますれば、第一二条の問題ということは出てくるかと存じます。
○小沢(和)委員 そこで、まず東京とその周辺の幾つかの職場を例にしてお尋ねをしたいと思います。 新鶴見とか東京などの各機関区あるいは三鷹とか池袋などの各電車区には、御存じのとおり国労と勤労の組合員がいるわけであります。その列車や電車の乗務割りつけ、いわゆる交番をめぐって重大な差別が起こっているわけであります。当局は五月から、これまで長年やってきた乗務の割りつけのやり方を大きく変えたわけであります。どういうふうに変えたかというと、今まではこういう乗務員ができるだけ公平に乗務の機会を得られるようにするために、大体順番で交番とそれから予備に割りつけられてきたわけでありますけれども、この五月から当局が勤務成績などを加味した運用を行うということにして、事実上当局のおめがねにかなわないというと乗務ができないというような事態になって、中には三カ月ずっと乗務している人もおれば、今度は三カ月ずっとおろされっ放しという人もいる、こういうような不公平な事態が生まれているわけであります。一体どういうような成績査定を行っているのか、その内容を示していただきたい。
○葛西説明員 乗務割の交番の決定につきましては、従来より単純な機械的なローテーションという形はとっておりません。我々の方では、これは各管理局の権限になっておりますし、管理局は各現場にその権限を行使させておるわけでありますが、現場ごとに要員の需給状態等を勘案する、また勤務成績あるいは健康状態、もろもろの状況を総合的に勘案いたしまして、効率のいい勤務が遂行できるように交番を決めております。 その場合、勤務成績等につきましては、個々人にわたって詳細に把握するように本社から指導しておりますが、個々の勤務の成績の把握の形態、様式等につきましては、これは管理局の権限に任されておりまして、具体的な各項目等については全国一律という形にはなっておりませんので、ここでお答えできないということでございます。
○小沢(和)委員 五月から新しい考え方に立ってやるということは、もうどの機関区とか電車区などでも掲示して、こういうようなのはプラスの要素として数えますとか、はっきりやっているわけでしょう。今のあなたの話では、何かほとんど別に変化はないというようにしか聞こえないわけですが、この変化が非常に重大な意味を持っているから、私はその内容を出しなさいと言うのですよ。それは全国一律でないというふうに言うけれども、私は東京を今問題にしているわけですよ。だから、この三局の関係の具体的な、どういう成績の査定を五月からやるようになったかということを明らかにしてください。
○葛西説明員 先ほど申し上げたのは、本質的に交番を組む考え方の基本が変わったということではないということでありまして、具体的に言いますと、実態面で変化が出てきております。それは、大量の余剰人員を抱えているという状況になったわけでありまして、従来、要員需給の状態が欠員である場合あるいはとんとんである場合、もろもろの状況に基づきまして、その状況に適した要員の運用というものを考えなければならないというのは当然のことでありますが、今回は六〇・三のダイヤ改正等合理化が進捗したことに伴い、乗務員の余剰人員が非常にふえたわけでございます。 そういたしますと、当然のことでありますが、その中で乗務をさせる者、それから予備に回す者、いろいろな形で選別をしなければならないという状況が出てまいります。そういう場合に、先ほど申し上げましたように、勤務成績というものを当然一つの大きな要素として、最も効率のよい勤務を遂行できるような交番を組んでいくということを申し上げたわけであります。
○小沢(和)委員 それでは答弁になりませんけれども、では、私の方はもう一歩立ち入ってお伺いするけれども、二十項目ぐらい勤務成績のチェックの項目があるというふうに私聞いているのです。そのトップに、労働組合などが例えば国鉄の分割・民営化反対というようなワッペンをつけるように指示している、そういうワッペンをつけているかどうかというようなことが第一の項目に挙がっている。あるいは上司に対する態度というようなことが第二番目に挙がっておる。こういうようなことを聞くのですけれども、そのとおりですか。
○葛西説明員 先ほど申し上げましたように、個々の勤務成績の把握の方法、様式等につきましては、これは各管理局あるいは現場によりまして一律に決まっておるわけではございません。ただ、今御指摘ありましたワッペンの問題あるいは上司に対する態度というものは、当然勤務成績把握の重要な要素になるということは、私もそのとおりだと思いますから、そういう意味でその項目が入っておるということはむしろ当然であるというふうに考えております。
○小沢(和)委員 だから、そういう項目で査定をするとどういうような結果が生まれてくるかということです。これはあなた方の方もよくおわかりでしょうけれども、国鉄労働組合などは、そういうワッペンを組合員につけなさいと言って指示しているわけですから、それがイの一番に査定をされるということになれば、初めから国労の組合員は非常に不利になって、おろされる人がいっぱい出てくるということにこれはならざるを得ないわけですね。 私が新鶴見機関区で調べたところでは、機関士がEL、DL合わせて百五十二名、内、国労五十名、勤労百二名。ところが予備に回された人数はといえば、国労二十七名、勤労十二名で、予備では圧倒的に国労が多いということになる。ここだけでなく、ほかの機関区や電車区なども私調べてみたけれども、例外なしにこういうような状況になっている。これは明らかに組合の所属による差別が歴然どここに出てきているのじゃないですか、こういう成績査定項目を設けることによってですね。
○葛西説明員 まず国鉄職員が勤務につく場合、定められた正しい服装をしてつくことが当然であるというふうに我々は考えておりますし、そうでなければならないというふうに理解しております。したがいまして、これは組合の所属による問題ではなくて、職員個々の勤務につく姿勢として、ワッペンをつけてはいけないという指示に逆らってワッペンをつければ、この点についての勤務の評価にマイナスがつくというのは当然であります。また、交番を作成する場合につきましては、もろもろの要素を総合的に勘案しているわけでありまして、決して組合の所属によって交番をつくっているわけではないということを御理解いただきたいと存じます。
○小沢(和)委員 組合の所属によって差別をしているのではないというふうにあなたおっしゃるけれども、一方の組合がこういうワッペンをつけるという方針をとっているときに、そのワッペンをつけているかどうかということが成績査定のトップに来るような、そういうチェックリストを適用したら、その国労の組合員の人たちが決定的に不利に扱われるということは明らかじゃないですか。あなたの方は服装が正しいかどうかというふうに言われたけれども、ワッペンなどというのは小さいものですよ。ここにワッペンをつけるということが、あなた方が指示している勤務の内容を具体的に遂行していく上で、それが一体何の影響があるわけですか。 ワッペンをつけているために現に列車がおくれたとかいうような何か影響が出てきているのですか。こういう何の影響もないような問題を持ち出してあなた方が勤務の査定の尺度にして乗せない。乗せないということはどういうことかといったら、今の場合収入に七万、八万という決定的な差がつくということにもこれはつながっているんですよ。そういうような過酷な、しかも何カ月も乗せられない。ワッペンというのはそういう状態を引き起こさなければならないような問題なんですか。
○葛西説明員 先ほどから御説明申し上げましたように、交番に乗せるか乗せないかの決定は、もろもろの要素を加味した勤務評価、勤務成績プラス要員需給、健康状態あるいは年齢、経験といったものを総合的に評価して決めておるわけでありまして、ワッペンがついているから直ちに乗せないというふうに直線的に結びついているものではございません。ただ、ワッペンにつきましては、これは国鉄の就業規則にも定めてございますが、総裁の命ずる正しい服装をもって勤務につくということは就業規則のまず第一の基本でございます。ほかにもいろいろございますが、その一つの要素でありますので、そういう問題について勤務成績評価の要素としてこれを加味していくのは当然であると考えております。
○小沢(和)委員 私は、ワッペンをつけるなどという勤務に何の差し支えもないような問題をさえ一切許さぬということによって、職場の中で労働組合の活動そのものを完全にあなた方が踏みつぶしてしまうという姿勢をむき出しにしているんだと思うのです。私の地元の北九州地方でもそういうような状況があるんですが、特に東京とその周辺は激しいですね。私、あちこちの職場を見て回ってみたけれども、川崎駅などでは、ワッペンをつけている労働者を一々駅長室に呼びつけて、駅長や助役が多数で取り巻いてワッペンを外せ外せと言って長時間つるし上げるというような状況も生まれている。 それから、隅田川客貨車区というところからも私に声がかかったので、私は行ってみたのです。そうしたら、東京北局の日高運転部長という人が先日来てこういうあいさつをしたと言って、テープを起こした全文を私ここでいただいているのですが、これを見ますと、そこの職場は「仕事の面では必ずしもそう下位にあるというふうには私は思っておりません。」つまり仕事では悪いと思っていないけれども、この部長が問題にしているのは、この前来たときもリボンをつけていた、今度も今来たら胸のポケットにこういうようなものが差さっている、これは労働組合の人権侵害、不当労働行為等の点検、摘発メモ帳なんです。こういうようなものを胸につけているような労働者はやがて過員問題をどうするかということが問題になっていくときにかばってあげませんよということも露骨に言って脅迫しているわけですね。 私は、こういう労働組合が行う職場の就労には何ら関係のないような単なる意思表示のものを衣服に着用することさえこういう異常な攻撃をするということは、全く不当労働行為だとしか考えられないわけでありますけれども、労働省のこの点についての見解はいかがですか。
○谷口(隆)政府委員 リボンとかワッペンの着用がどうかという問題でございますが、一般的には労働者は就業時間中は使用者の指揮命令に従いまして契約の本旨にのっとって労務を提供すべき義務を負っているわけでございまして、いわゆるリボンとかワッペンの就業時間内の着用は職務専念義務に矛盾、抵触する、組合活動として行います場合はそういう職務専念義務に矛盾、抵触する組合活動と考えられるわけでございまして、正当な組合活動ではないというふうに解されるわけでございます。
○小沢(和)委員 このリボンの問題について直接基礎になるような条文というのはないわけですよ。あなたが言っておられるのは恐らく判例などにはそういう判例があるという話でしょう。逆に別のことを言っている判例だって、あるいは中労委や地労委の命令だってあるんですよ。だから、私はそのどちらをとるかということについても労働省としても真に中立の立場から判断をしていただきたいと思うのです。 それで、きょうはこのことを特にやろうと思っているわけではありませんから、私、このことはこれ以上は触れませんけれども、もう一つ申し上げたいと思いますのは、このような団結権の侵害と並んで今回のダイヤの改正で大変な労働強化があらわれているということであります。これは愛知県の稲沢機関区の例でありますけれども、一人一日平均乗務キロ数が五十九年のダイヤ改正では百十九・一キロだったのを今回の改正では一挙に百六十八・二キロに上げたわけであります。この結果、私たちのところには、これでは食事やトイレの時間がないというような訴えが寄せられております。 特に私が大変だと思うのは、寝る時間が十分に保障されていない。そのために睡魔との闘いに必死になっている。「いすから立ち、体を動かし、大声で喚呼する、窓を開いて外気を入れる、顔を外に出して外気に触れる、ガム、あめ、茶をかむ、なめる、飲むなどしても、なお睡魔が襲ってくるのです。職場では、これから夏になったらもっとひどくなるぞと話し合っています。」こういうような訴えが寄せられておりますけれども、多数の乗客の生命を預かる乗務員にこういうような危険な労働条件を押しつけているということは私は許されないのじゃないかと思うのです。即刻改善すべきじゃありませんか。
○小西説明員 ただいま御指摘ありましたように、言うまでもなく動力車乗務員については多くの生命と財産を預っているということで、そういう職種であることを我々は強く認識しております。その作業負担に当然留意し、休養の確保等に務めることも重要だと思っております。したがいまして、今回の勤務の改正に当たりましても、新しい勤務制度ですけれども、仕業、交番作成に当たりまして労働組合と十分に協議いたしまして協約をつくり、それを基準といたしまして一勤務労働時間の減と深夜乗務の制限、それから在宅休養時間の確保、これらのものを考慮しまして乗務員の作業負担なり休養の確保というものを十分とるように努めてやってまいっております。
○小沢(和)委員 十分そういうことを配慮しているというふうに言うけれども、今のような訴えが現に出てきているんです。私の地元の直方車掌区からも、同じように今度のダイヤ改正によって食事も満足にとれないという訴えがやはり来ているんですよ。それで私は、九州総局にこういう訴えが来ているというふうに言ったら何と言ったかというと、いや、休憩時間はなくても何とかなっていると思います、こういう話ですね。何とかならないから我々のところに言ってきているのに、何とかなっているだろうと思いますということで調べもしないというようなことでは、私はいかぬと思うのです。 今までは労働組合などとこの点で話し合いが行われて、そういう苦情などが起こらないようにした上でいわゆる乗務の決定が行われていたけれども、今度はそういうことを余りやってないから、こういう問題がいろいろ起こっているのじゃないですか。だから、今からでもこういう特に苦情が出ているようなものについては調査をして、手直しをするというようなことも含めて真剣に対処しないと、場合によっては大変な危険と結びついているわけですから、その点、私は特にお願いしたいのですが、どうでしょうか。
○葛西説明員 今回のダイヤ改正につきましては、約一年にわたりまして政策の協議から労働条件の協議を各組合といたしまして、組合と十分話をし、合意を得た上で実施いたしております。したがいまして、今お話しございましたように、組合との話し合いがなかったのではないかということは……(小沢(和)委員「いや、十分なですよ」と呼ぶ)合意を得ておりますので、当然十分な話し合いをしたものであると私どもは考えております。 また、勤務につきましては、これは昨年の三月三十一日に新しい勤務に改正いたしたわけでございますが、これも組合と十分な協議を重ね、これは五十七年に提案して五十九年に妥結いたしましたので、九二年の協議期間を経て協定化したものであります。それをもとに新しい規程をつくったわけでありますが、この勤務を適用してなお民鉄との勤務の効率の差はまだ幾分か残っておるというのが実態でありまして、決して過酷な勤務になってはいないと確信いたしております。 〔丹羽(雄)委員長代理退席、稲垣委員長代理着席〕
○小沢(和)委員 いや、あなた方はそう思っているでしょう。初めからそんな危険なものだと思いながら組むはずはないのですよ。ただ、実際に実施する中で、今までそういう苦情や陳情が我々のところに来たことないのです。それが今度来るから、特にそういうふうに言っているのですから、あなた方の方でもその点、実態がそういうことがあれば十分考えたいということでやってもらいたいと思うのです。 それで、もう一つこの機会に申し上げたいと思いますのは、一方で余剰人員がいると言いながら、今度は実乗務率を引き上げたりあるいは一部の労働者に非常に厳しい労働強化を押しつけて、そういうところには時間外賃金まで支払うようにしている。そしてさらにたくさんの人が余ったというふうに言っている。そういうふうに人がいるなら、そんな無理をして特定の人たちに超過勤務手当を払ってまで勤務が集中するようなダイヤを組むのではなくて、みんなが公平に仕事をやって、そして一人でも過員がないようにということを配慮するのが当然じゃないかと私は思うのです。この点はどうですか。
○葛西説明員 国鉄の再建といいますか、今後の経営を考える場合に、効率のよい勤務体制を一刻も早くつくるというのは至上の命題であると考えております。したがいまして、動力車乗務員につきましても、私鉄の勤務に比べて非常にレベルが低いというふうにずっと御指摘を受けてきたわけでございますが、一歩でもこれに近づけるということを進めてまいったわけであります。そして、一方で余剰が出た場合には、この活用あるいは派遣等による調整を考えていくということで、トータルの効率をよくしていくというのが正しい道であると考えております。 〔稲垣委員長代理退席、丹羽(雄)委員長代理着席〕
○小沢(和)委員 初めに基準法違反もいろいろ出ているというふうに申し上げましたので、その実例も一つ取り上げてみたいと思うのです。 これは福岡県の直方気動車区の労働者が本年三月五日に直方労基署に申告した事件でありますけれども、仕事の終了直前に、故障した車両に乗り込んで修理をするように指示を受けまして超過勤務をしたわけです。修理が終わって気動車区に帰ってくるまでに約三時間の残業をしたわけですけれども、実際の修理に要した時間しか残業と認めず、一時間しか支払われなかった。これでは、帰る時間を全く超過勤務と認めないのはけしからぬということで労基署に申告がなされたものでありますけれども、この点、どのような指導が行われたでしょうか。
○菊地説明員 御指摘の点は、場所から次の場所へ移る移動時間が使用者の指揮命令下に入っている、つまり、指定された経路、手段をとれということになっておれば、労働時間として評価されると考えております。 御指摘の点につきましては、本社の見解を踏まえて対処するとの報告を受けているところでありまして、今後国鉄内の検討を督促して早急に改善を図っていきたい、かように考えているところであります。
○小沢(和)委員 早急に改善を図るということですから、私は見守っておきたいと思います。 それで、時間も参りましたので、最後にもう一問だけしたいのですが、私が今度国鉄の職場調査に入って、さっきもいろいろ申し上げましたけれども、こういう中で当局の側から、おい、こらとか、おまえあほかとか、呼び捨てにされたとか、そういう種類の話を随分聞かされたのです。労働者も人であり、あなた方もちゃんと一人前の人格として取り扱うように日ごろ現場の第一線の監督者を指導しているとは思うのですけれども、こういう話をいろいろ聞かされると疑問に思うから、その点どういうような指導をしているか、どう呼ぶべきだとあなた方お考えか、その点、一言お尋ねして終わります。
○葛西説明員 いろいろな情勢の中で多少厳しい言葉も出るケースはあり得るとはと思いますが、私、具体的にどういう呼び方か、(小沢「和」委員「今、具体的に言ったじゃないか」と呼ぶ)コンテキストがわかりませんと、どういう脈絡の中でそういう言葉が使われたのかはちょっとわからないところがありますが、おまえはばかかというような言葉は、めったに使われることはないと私どもは確信をしております。(小沢(和)委員「いや、現に使われたから、そういうふうに言っているのですよ」と呼ぶ)コンテキスト、どういう状況だったのかというのがちょっとわかりかねますので、妥当であるか妥当でないかの判断はここではしかねますが、通常のケースにおいておまえばかかということは言われるべきではないと思いますし、言ってもいないと考えております。
○小沢(和)委員 やめようと思ったけれども、そういうようなことが言われることは、どういうような状況のもとでも、上司が職員をつかまえてそんなことを言うのは私はおかしいと思うのですよ。だから、それは指導するということぐらい約束してくださいよ。
○葛西説明員 妥当でない言葉を使わないようには当然指導すべきだと思いますし、そのようにいたしてきております。
○小沢(和)委員 じゃ、終わります。
○丹羽(雄)委員長代理 菅直人君。
○菅委員 きょうは、午前中の厚生省への質問、そして午後の労働省への質問ということで最終バッターになっておりますが、定年制の問題について幾つか労働省の姿勢をお聞きしたいと思います。 まず、この間、定年の延長に向けていろいろな議論がなされあるいは施策がなされていると理解しておりますが、現在、労働省として定年の延長に向けて具体的にどのような施策をとっているのか、まずお伺いしたいと思います。
○加藤(孝)政府委員 現在、昭和六十年六十歳定年の一般化、こういうことを目標に行政指導を続けてきたわけでございます。そのために、一人当たり、大企業は三十万、中小企業は四十万の定年延長奨励金というものを設けまして、そういう六十歳定年延長を図るところに対しての助成をしてきたわけでございます。こういう行政指導、さらに加えまして、労働省のいわゆる本省レベルにおきましても、この定年延長をテーマといたしまして、労使の業種別の会合を持つとか、あるいはまた、各都道府県レベルでは、やはりその地域のレベルでのそういう会合等を持ちまして、知事あるいはまた労働関係部長というようなのを先頭にいろいろ定年延長についての呼びかけ等を進めてきたわけでございます。 その結果、五十九年の一月現在におきまして、六十歳定年制というのを採用しておりますのが五二%、また、近く定年を六十歳にするというところを含めますと、六五%の企業において六十歳定年制というものが実現をされつつあるというような状況にございます。
○菅委員 我々としては、六十五歳定年制を目指して努力をすべきであろうし、あるいは法制化も含めて考えていく必要があると思っておるわけですけれども、今の局長の話で、六十歳定年制が近く六五%程度定着をするであろう、そういう状況の報告がありましたが、さらに今後、この六十歳定年制の一般化の目標が、一応ことし、六十年ということですから、今後の目標、次の段階の設定等については、労働省としてはどんなふうに考えられておりますか。
○加藤(孝)政府委員 六十歳定年制というものについての努力をしてきておるわけでございますが、やはりこの六十歳定年制というものについて法制化をするかどうか、こういうことで、現在雇用審議会において御論議をいただいておるわけでございまして、その検討結果を受けまして必要な措置を進めていきたい、こんなふうに考えておるわけでございます。 また、六十歳定年を過ぎた方につきましても、なお健康で働きたいという方々ももちろん多数おられるわけでございますので、今後は六十歳から六十五歳、いわゆる六十歳台前半層の方々の雇用就業の場の確保というものが一つ大きな重要課題であると考えておるわけでございまして、そのために、現在六十歳台前半層についての雇用の延長あるいはまた再就職というようなことにつきましての助成、さらにはまた、体力、能力は人によって違いますので、あるいは一日交代の勤務であるとか、あるいはまたパート的な勤務であるとか、こういうような方につきましても、助成制度をつくるというようなことでの行政措置を今進めておるところでございますが、一挙に先生おっしゃるような六十五歳定年というのには、いろいろまだ企業側の事情等々問題があるわけでございますが、基本的には、こういう六十五歳までというものについて、さらに雇用就業の場の一層の拡大を今後図っていかなければならぬ。 そのためにどうすべきかということについても、先ほど申し上げました雇用審議会あるいはまた中央職業安定審議会でも御審議を願っておるところでございまして、この六十歳定年制の問題、そしてまた、六十五歳までの雇用就業の問題等を含めまして、できるだけ早い機会に、その審議結果を待って法制化を含む必要な対策を進めていきたい、こんなふうに考えております。
○菅委員 六十歳台前半層というものの雇用の延長あるいは再就職、今局長がまさに言われたとおり、この六十歳台前半層に対して積極的な雇用機会を提供するということが、今後ますます重要になってくると私も認識をしているわけですが、そういう場合に、先ほどの六十歳までへの定年制のための奨励金などいろいろと財源措置が、さらに今度は六十歳以降のいわゆる六十歳台前半層の雇用機会をつくっていくためにも必要かと思われるわけですが、そうした高齢者雇用助成の財源確保のために、現在のところ雇用保険、それと労災保険というものを労働省が所管をされているわけですが、そうしたものを一元的に運用して、そうした雇用機会創出のための施策に向けての新たな給付を行うべきじゃないかというふうに考えるのですが、それについてはどのように考えられていますか。
○寺園政府委員 先生御承知のとおり、雇用保険は労働者が失業いたしました場合に必要な給付を行いますとともに、失業の予防、雇用機会の増大等を図りますために、雇用安定事業等のいわゆる四事業を実施しているところでございます。 これに対しまして労災保険は業務災害や通勤災害に対する補償を中心といたしまして、被災労働者や遺族に対する援護等を労働福祉事業として実施をいたしておるところでございます。 このように雇用保険と労災保険はそれぞれ別個、独自の保険目的に沿って実施をされているものでありますので、労働者にかかわる保険制度という点では共通性がございますけれども、その保険の仕組みあるいは財源負担等の面においてかなり差異がございます。したがいまして、この両保険の会計を一本化するということにつきましては、制度的にいろいろ大きな問題があり、困難な問題があるというふうに考えておるところでございます。
○菅委員 確かに制度の趣旨がそれぞれ独立した目的を持っているわけですから、それなりの問題点はあろうと思いますが、いわゆる雇用機会を確保していくという側面においては、雇用保険はもちろんですけれども、労災の場合も、それに広い意味では関連をした施策もあるいは既に含まれているかとも思いますし、そういう点では効率的な運用という意味を含めて、そういった方向もひとつ検討に値するのではないかと思っておりますので、今後の検討をお願いをしておきたいと思います。 次に、この高齢者の雇用対策について、例えば近く閣僚会議などができるというふうに報道されているようですが、そういった閣僚会議あるいはそういう会議の中で議論をした上で高齢者対策基本法あるいは高齢者雇用対策基本法といったようなものの制定なども、これは今後の問題として十分検討されるべきではないかと思いますが、それらについては労働省としてはどういうふうに考えられていますか。
○加藤(孝)政府委員 今後二十一世紀へ向けての高齢化社会の進展を考えます場合に、やはり活力ある高齢化社会というものを考えていかなければならないであろう。その場合、やはり高齢者の方々の雇用就業の場を確保していくことが非常に大きな課題、意味のあることであると考えておるわけでございます。そういう意味におきまして、今後の高齢者対策、例えば厚生省サイドのいろいろ政策もあると思いますが、私ども労働省のサイドといたしましては、ぜひとも二十一世紀へ向けての高齢者対策の一つの基本といたしまして、今後高齢者の雇用対策について総合的な対策というものを樹立すべく取り組んでいかなければならぬ。その場合、もちろん法的な措置等もあわせて検討していかなければならぬと考えておるわけでございまして、現在既に総理大臣の諮問機関であり、また労働大臣の諮問機関である雇用審議会、それからまた労働大臣の諮問機関である中央職業安定審議会、この両審議会におきましてこのテーマに積極的にお取り組みをいただいておるということでございます。
○菅委員 時間もあとわずかになってきましたけれども、とにかく二十一世紀に向けて、労働大臣は、人生は一世紀時代を迎えると言われておりますけれども、百歳まで生きれるかどうかは別としても、ちょうどそのころには六十五歳以降の老齢年齢が大変比率の中でも大きくなっていくし、それだけに六十歳から六十五歳、あるいは六十五歳からさらに七十歳、七十五歳と、元気で意欲のある人には雇用機会を十分確保することは、そういった長い目で見ても、大変必要なことだと思いますので、今後も労働省の政策の中で、これまでもかなり重要な位置づけで取り組まれてきたと思いますが、これから先一層この点についてウエートを置いて取り組んでいただくことを私の方からもお願いいたしまして、きょうの質問を終わりたいと思います。
○丹羽(雄)委員長代理 次回は、来る二十四日月曜日正午理事会、午後二時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時四十二分散会 ————◇—————