社会労働委員会 第24号
- 発言数
- 389 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1985/06/06
会議録
○戸井田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、児童手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池端清一君。
○池端委員 この児童手当法の一部を改正する法律案が国会に提出されたのは、いつでございますか。
○小島政府委員 四月十九日でございます。
○池端委員 四月十九日といいますと、会期延長の問題はどうなっておりましたか、その時点で。
○小島政府委員 まだ会期延長の御議決はなかったかと記憶しております。
○池端委員 会期延長の議決はなかった。今百二通常国会の会期は、当初いつまででございましたか。
○小島政府委員 四月二十九日であったかと記憶しております。
○池端委員 四月二十九日が会期末、この法案の提出は四月十九日、会期末まで十日しかないですよ。あと十日というぎりぎりの段階で、これほど重要な法案が出されてくる。私は本当に理解に苦しむのですが、なぜおくれたのか、なぜ会期末ぎりぎりになって法案が提出されたのか、その理由を明らかにしていただきたいと思います。
○増岡国務大臣 この児童手当制度の改革につきましては、当初私どもといたしましては、政府内部で検討中の法案であるという登録をいたしておったわけでございます。しかし、この改正案の取りまとめにつきましていろいろな御議論がございました。 初期の段階におきましては、内容が固まっておりませんでしたのでございますけれども、ようやく成案を得ましたので、大変おくればせで申しわけないということでございますけれども、しかし、また一面、この制度の円滑な推進を図るためには、ぜひともできるだけ早い機会に御審議をいただきたいということで御提案申し上げたところでございますので、御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○池端委員 政府・与党内部でどういう事情があったか知りませんが、我々の全く関知するところではございません。しかし、会期末まであと十日というところになってこれだけの重要法案を出すということは、私は国会軽視だと思うのですよ。しかも、理事会等でも言われておりましたように、本年二月一日、内閣官房から出されました「内閣提出予定法律案・条約要旨調」、この中には提出予定法案にはなっておらない。もちろん、法案の提出を検討中というのには入っていますけれども、当初内閣官房から出されたものについても含まれておらないのであります。それが十日前に出される。要するに、提案することに意義があり、こういうふうな姿勢で出されてきたのでありましようか。
○小島政府委員 今大臣から御答弁申し上げましたように、大変提案がおくれましたことについては遺憾であり、申しわけないことだと思っております。が、かねてから児童手当制度については抜本的見直しが法律の規定におきましても要請されておりまして、今国会におきましても、何とか今国会に御提案申し上げるように我々は努めておるところだという御答弁も申し上げたところでございますし、この制度を速やかに改革いたしまして将来の発展につなげてまいりたい、こう考えておりますので、大変遅くなりましたが、御提案申し上げ、御審議をお願いしたところでございますので、よろしくお願いしたいと考えております。
○池端委員 この問題についての中央児童福祉審議会の意見具申は、既に昨年の十二月の段階で出されておるわけですよ。もうこれについての審議会の意見も出されておる。しかるに、この法案が延び延びになって四月中旬ということは、余りにも怠慢だと私は思うのですよ。御迷惑をかけた、申しわけない、私はこういうことで済まされない、国会軽視の問題があるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、重ねてお聞きしたいと思います。
○小島政府委員 御指摘のように、関係審議会でございます中央児童福祉審議会から昨年十二月に御意見をいただいております。が、その中身につきましては、基本的な方向をお示しいただきまして、具体的な支給期間、対象児童の範囲、あるいは額等については、政府部内の選択に任されたところが多うございます。 これらの取り扱いをめぐりましてさまざまな議論がございまして、これは政府の責任じゃないかと御指摘を受ければそのとおりでございますが、取りまとめにやっぱり時間を要しましたし、また、この制度の今後の方向等も含めましていろいろ御議論いただきましたので、大変時間がかかったということでございますので、その間の事情を御理解いただければと考えております。
○池端委員 私は、しつこいようですけれども申し上げたいのですが、特にこの法案、今度国会に出してまいりましたが、これが今度の国会で成立しないと、いわゆる特例給付が来年の五月でなくなってしまうのだ、ですから制度が後退してしまうのだ、こういうキャンペーンを今展開されておる。会期末ぎりぎりになって、皆さん方の責任でこうやって国会に出してきておきながら、今になってから、これが成立しないと来年五月以降は制度がなくなってしまう、これは大問題なんだ、だからどうしても今度の国会で成立させてもらわなければ困る、こういう言い方は全く、言葉は悪いけれども、盗人たけだけしいと私は思うのです。皆さん方の怠慢を、何か我々国会にその責任を転嫁する、こんなやり方が許されていいか。 従来からも、法案提出の態度に問題がある。我々社会党もかねてから主張しておりましたように、年金のときには、あの百年の大計を定める年金改定案と二%のスライド分を抱き合わせて、二%の物価スライドが欲しければ本体を通せと言わんばかりのやり方をしてきた。幸い、良識を持って去年の十二月分離することにはいたしましたけれども、どうも法案の提出の仕方に私は問題があるのではないか。これが欲しかったらこれを通せ、四の五の言うなというような姿勢が私はうかがわれてしようがないのです。その点、いかがですか。
○小島政府委員 現在の行革特例法の特例措置から今度の改正案に対する速やかな移行を期するためには、何とか今国会で御審議を煩わし、御議決いただきたいという気持ちは率直に持っております。ただ、もうこれがなくなるから何とかと、そのような受け取り方をされるような御説明を申し上げたとすれば、それは確かに言葉が足りなかった、あるいは行き過ぎたという面があったかと思いますが、何とか本制度の今後に向かっての円滑な運用を担保したい、十分確保したいという気持ちからのことでございますので、その辺はお許しいただければと考えております。
○池端委員 これ以上申し上げても、これは見解の相違で平行線をたどるのみでございますから、もうこれ以上は追及しませんけれども、もっと国会を、言うならば国民を大事にしてもらいたい。国会の審議が十分に行われるような、やはりそういう態度というものをぜひ堅持をしてもらいたい。行政府の都合でこういうやり方をやるということは極めて不当きわまりない、私はこう思いますから、その点を強く申し上げておきたいと思います。 次に、今度の国会には別途、国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案が提出をされまして、既にこれは成立を見たところでございます。この中で児童手当に係る特例措置の適用期限が一年延長されておりますね。来年五月までというふうになっております。この改正案では——というのはこの児童手当法の改正案では、さらにこれを昭和六十一年六月から昭和六十六年の五月まで五年間延長、こういう提案がなされているわけですね。この同一国会、同一会期内においてこのような期間延長の二つの相異なる提案がなされる、それが決定をするということになれば、一事不再議の原則に反するのではなかろうか、私はこういうふうに考えるのでありますが、この点についてはどうですか。
○小島政府委員 先生御指摘のとおり、行革特例法絡みの延長措置として、現行制度によります特例措置の一年延長をお願いし、先般御可決いただいたところでございます。今般御提案申し上げます改正案は、その給付の体系を従前の体系から大幅に切りかえると同時に、しかしながら、現在財政再建期間中でございますので、そういう事情も考慮いたしまして、従前の特例法によります所得制限と同じような所得制限を組み込まざるを得ないという状況を勘案し、特例期間中に係る特例給付を従前の特例給付に準じたような形で組み込ましていただいておりますが、この取り扱いは特例法の期限切れとなります来年の六月以降の取り扱いでございますので、確かに同じような要件について二本の法案が出ているわけでございますけれども、先生御懸念いただいておりますような一事不再議というようなものには当たらないものと考えております。
○池端委員 私は、もしそれ、さらに五年延長するというのであれば、補助金一括法案の中でその問題を出すべきではなかったか、こう思うのですよ。片っ方で一年延長して、さらにこの法案で五年延長、二つの提案が同一国会になされるということは私はどうも理解できない。法制局どうですか。
○工藤政府委員 お答え申し上げます。 ただいまの御質問の一事不再議の原則でございますけれども、これはもう先生御承知のとおり、会期の定めのある合議体におきまして、その同一の会期内においては、いわゆる審議の円滑な運営というものを図りますために、一度議決、決定をした事項については特別の事情がない限り重ねて審議することは許されない、こういうふうな原則でございまして、合議体の内部におきます一つの条理上の原則、こういうことだと思います。国会の議事運営におきましても、これは私どもの方から殊さら申し上げることではございませんけれども、憲法あるいは国会法にそういった明文の規定はございませんけれども、この原則が一つの慣例として成り立っているように私は伺っております。 ところで、ただいま御質問の件でございますが、今回提案しております児童手当法の一部改正におきまして、特例給付を確かに六十一年六月から六十六年五月までのいわゆる五年間行うことにしてございます。それとこの前のいわゆる補助金一括法におきましての一年間の延長、こういうことの絡みであろうかと思うわけでございますが、ただいま厚生省の方からもお答えございましたように、いわゆる補助金一括法におきまして一年延長しました部分につきましては、現行の児童手当法を前提といたしまして、その上で特例措置を当初三年間、その後この国会において一年間延長した、こういうことだと思っております。 それに対しまして、今回の特例給付、見出しとして同じ特例給付という名称を使っておりますので、あるいはそういう御懸念が出たのかもしれないとは思うのでございますが、今回のはただいま厚生省の方がらのお答えございましたように、いわゆる今回の新しい児童手当の中身を前提としまして、それに対してのいわゆる特例給付と申しますか、でございますし、しかも今回の特例給付といいますか、今回の児童手当法の改正が出てまいりましたのも、いわゆる行革関連特例法でその十二条におきまして「児童手当制度については、」「その全般に関して速やかに検討が加えられた上、当該特例措置の適用期限を目途として必要な措置が講ぜられるべきものとする。」こういう規定をも受けまして今回の制度が成り立っているわけでございます。 そういう意味で、六十一年の六月以後の特例給付につきまして、同じ特例給付という用語を条文の見出しに使ってはおりますけれども、今のような現行行われております特例給付の単純延長ということではございませんで、よって立つ基盤が異なると申しますか、そういうことでございますので、先ほど申し上げました一事不再議の原則、これには抵触しないもの、かように考えております。
○池端委員 きのうからもいろいろ法制局からそういう見解を聞きましたが、私はどうも理解できないのです。同じ期限の延長であってもその中身が違う、よって立つ基盤が違うのだから、単純な期間延長ではないのだから一事不再議には当たらないというのでしょうね。それでは、もしこのいわゆる補助金一括法案が不成立に終わった場合には、この今提案されている児童手当法案はどういうことになるのですか。
○小島政府委員 仮に不成立に終わった場合でも、我々いろいろ検討した結果がこれが最善だと考えておりますので、現在御提案申し上げているような形のものとして提案申し上げたい、こういうつもりで取りまとめの作業をしたことには変わりはなかったと思っております。 ただ、一回特例給付が切れたという事実があった場合に、関係方面から現在どおりのような枠組みで特例給付を組み込んでおくことについて、いろいろ御同意を得られたかどうかについては必ずしも確信を持てないという状態でございますが、我々としてはこういう方向での提案に最善の努力を果たすはずだったと思っております。
○池端委員 この児童手当法改正案は、いわゆる補助金一括法案が成立したという前提に立って出されておるのでないですか。違うのですか。接続というものを考えているのでしょう。
○小島政府委員 先ほど法制局の方からお話しのありましたように、行革特例法の十二条におきまして特例措置の期限切れまでに抜本的な検討を行えという御指摘も受けておりますので、その期間に間に合わせるようにということで検討を進めていたわけでございますが、そこまではとても間に合うような状態ではなかった。とりあえず特例措置の方はそのまま延長願っておきまして、その後に続く措置としてこの法案を考えたことは事実でございます。
○池端委員 そういうことが事実であれば、仮に補助金一括法案が不成立に終わる、あるいは修正をされるということになれば、この児童手当法案は欠陥法案として処理せざるを得ないのではないか、こう思うのですが、どうですか。
○小島政府委員 現行制度から改正制度への移行措置が円滑にいくかどうかという問題は別にいたしまして、特例法の規定が一年延長にならなければ今年六月からは特例給付のないような形で現行制度が実施されておるわけでございます。したがって、そこは欠陥となるかという、これはいろいろ見解もあろうかと思いますが、それからさらに現在御提案申し上げているような改正の内容に引き継ぐためには確かにちょっと出たり入ったりというような円滑さを欠くという問題が生じて、制度の運用が円滑にいかないという面が出てくる問題もあったかと思います。
○池端委員 私は、やはり法律案というものは国民に十分理解しやすい内容でなければならないと思うんですよ。もう複雑多岐にわたってあなた方が職人芸で法案をつくる、そういう名人芸の気質を持っているかもしれないけれども、それでは国民はわからないんですよ。複雑にしていろいろなものを積み重ねている、こういうやり方はやっぱりやめてもらいたいのです。事柄は国民の暮らしにかかわる問題であります。簡単明瞭、単純直裁、どういうふうに国民に対する権利義務の関係が明らかになるのかという、そういう法律案にしなければならない。知らしむべからずよらしむべしという発想がもしあるとすれば、これは大変な問題だと思うのですが、大臣、その辺の見解をお聞きしたいと思うのです。
○増岡国務大臣 私どもは今先生が御指摘のような気持ちは全く持っておりません。やはり内容というものはできるだけわかりやすくするということが本筋だというように思います。ただ、過去のいろいろな経緯やらあるいは制度を段階的に実施する面もございます。そういう面からの立法技術上の制約もあっておわかりにくい面があるということ等も認めざるを得ないと思いますけれども、しかし、御指摘のようにできるだけわかりやすい制度にするということを今後も本旨としてやってまいりたいと思います。
○池端委員 今もお話しありましたように、違法でないかもしれないけれども妥当を欠くという、私もまたそうだと思うのです。法制局もやはり法案についてはもっときめ細かな審査をお願いをしたい。どうも専門家だから名人かたぎでこういうふうにやっているんではないかと私は思いますけれども、しかし、国民にはどうしても理解しがたい、こういうふうに思うのですよ。だから、私はあえて法制局にも苦言を呈しておきますけれども、もっと国民にわかりやすいそういう法案にするという努力を今後とも精いっぱいしてもらいたい。厚生省並びに法制局にそのことを強く申し上げておきます。 次に、財界などを中心にして児童手当制度の問題についていろいろな議論があるわけでございますね。これは高度経済成長時代の遺産であるというようなことや、ばらまき福祉の典型である、あるいは児童の養育というものは親の責任分野に属する問題であって、社会的扶養という概念を年金と対置して児童についても必然的なものにするのは我が国の社会の状況になじまないのではないかといったような、百家争鳴とも言うべき議論があるわけであります。そうした制度の見直しが今日までいろいろ言われておった。 これは、かつて中央児童福祉審議会が意見具申しておるように、すべての児童は社会の子であり、社会全体が連帯して育てていくべきものである、こういう立場を私もとっておるわけでございますが、こういうような一部に言われているばらまき福祉の典型であるとか高度経済成長時代の遺物であるとかというような議論に対しては、どういうふうな御見解を厚生省としてはお持ちなのか、お伺いをしたいと思います。
○増岡国務大臣 御指摘のような批判があることは承知をいたしております。しかし、私どもは今後の我が国の社会というものを考えてみますと、高齢化社会を迎えるに当たって世代間の連帯というものも当然必要であります。したがって、そういう意味合いから、子供は家庭の子供であると同時に社会の子であるという認識を持っていただかなければならないというふうに思っておるわけでございます。そのことが幾分国民すべてに御理解をいただいていないという現状もあろうかと思いますから、今後も国民の御理解を求めながら制度の拡充に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○池端委員 それでは改正案の具体的中身に入っていくわけでございますが、その前に、諸外国における児童手当実施の状況について二、三承っておきたいと思います。 この改正案によりますと、支給対象を従来の第三子から第二子に拡大する、こういうことになっておりますが、諸外国における児童手当支給の状況、特に第一子、第二子、第三子等についての支給の動向はどういうふうになっているか、お尋ねをしたいと思います。
○小島政府委員 現在把握しているところによりますと、児童手当制度を実施している国は六十六カ国というふうにつかんでおります。そのうち大多数の国々は第一子からを支給対象としております。第一子からを支給対象としている国は、イギリス、スウェーデンなど五十八カ国で、大多数を占めております。また、今度我が国でこの改正をしようとしておりますように、第二子以降を対象としている国はフランスを初め四カ国でございます。また、現行制度のように第三子以降を対象としている国は我が国を含め三カ国でございます。なお、ソ連は現在でもまだ第四子以降を対象としているというふうに承知しております。
○池端委員 現在児童手当制度を実施している国六十六カ国のうちその大部分、すなわち五十八カ国が第一子から支給をしている、こういうことでございますね。先進諸国ではただ一カ国、アメリカはまだ児童手当の制度はないようでありますが、我が国は残念ながら第三子からと、非常におくれた四カ国のうちの一つに数えられる、こういう状況ですね。 それでは次に、今度も所得制限があるわけですが、このように我が国のような所得制限を設けている国はございますか。
○小島政府委員 現在まで把握している状況では、その程度等については必ずしも明確ではございませんが、スイスなど七カ国が所得制限を実施しているというふうに承知しております。
○池端委員 所得制限を設けている国は六十六カ国中七カ国である、こういうことですね。 支給金額、我が国も今度は第二子と第三子以降と差をつけているわけでございますが、支給金額に差をつけている国はございますか。
○小島政府委員 支給金額につきましては、おおむね多くの国が第一子、第二子あるいは第三子というふうに支給金額に差をつけておりまして、子供の生まれた順番が後になるほど、子供の数が多くなればなるほど手当額が累増していくというのが一般的な傾向かと承知しております。
○池端委員 児童の年齢についてはどのような扱いになっておりますか。
○小島政府委員 これも諸外国いろいろまちまちでございます。フランス、イギリス、西ドイツなど主要国はおおむね十六歳未満の児童を対象としておりますが、ドイツ等におきましては在学中の者については支給期間を延長するというような措置もとられておるところもございます。
○池端委員 今諸外国六十六カ国の例についてお聞きをしたわけでありますが、そのお話を聞きましても、我が国の児童手当制度の実施状況、残念ながら必ずしも非常にすぐれた状況にあるとは言えない、こう思うのですね。 特に、先ほどもちょっと触れましたけれども、昭和五十五年九月に出されました中央児童福祉審議会の意見具申におきましても、支給対象の範囲はその意義からして当然第一子からすべきである、こういうふうに具申がなされておりますね。しかるに、今度の改正案は第一子にまで拡大するという内容になっておらない、こういう矛盾というものがやはり出てきておるわけでございますが、この中央児童福祉審議会の五十五年の意見具申についてはどのように理解をし、今後はどういう立場をとっていくつもりなのか、その辺の見解をお聞かせ願いたいと思います。
○増岡国務大臣 五十五年度の中央児童福祉審議会の意見具申といたしましては、児童手当制度全体につきまして長期的な観点からお考えをお示しいただいたものと思っておるわけでございます。したがいまして、基本的にはそういう方向というものを頭に入れながらやっていかなければならない。ただ、そのときどきのいろいろの条件というものも勘案もしなければならないという立場でございます。
○池端委員 政府のいろいろな資料を読んでみますると、今回の改革は、今も大臣が若干触れられておりますけれども、将来の拡充を目指して行われるものである、こういうふうに言っておりますね。将来は拡充する、当面はこういう措置でやっていくんだ、こう言われておりますが、それでは将来の具体的な拡充の展望といいますか、青写真といいますか、そういうものをひとつ示していただきたいと思います。
○小島政府委員 今大臣からもお話しいただきましたように、終局的にはやはり五十五年答申というものを基本線に踏まえながら将来の制度のあり方をちゃんと追求していくべきだと考えております。しかしながら、現在、制度を取り巻く財政状況は極めて厳しゅうございますし、また、これは五十一年でございますが、世論調査の結果におきましても、本制度に関します国民の御理解または評価は必ずしも積極的なものと言い切れない面がございます。 したがって、要すれば、今後この制度を諸外国の制度のように本来あるべき姿ということに拡充してまいりますためには、やはり相当の財源を必要といたします。これらにつきましては、その財源の調達方法の問題も含めまして広く国民の御理解ということが必要になろうと考えておりますので、今後、もし御可決いただければ、この改正案によりましてより一般化した制度の円滑な施行に努めるとともに、さらにこの制度に対する必要性というものについての国民の御認識、御理解を深めることを通じながら、できるだけ早期に改革試案を策定して、また世論の御批判を仰いで案を固めてまいりたい、こう考えております。
○池端委員 重ねて確認をいたしますが、小島局長は昨年十二月六日の私の本委員会における質問でお答えになりましたが、基本的には第一子から考えるべきであろう、こう言っております。 具体的に聞きますが、それでは厚生省の考え方としては、基本方向としては第一子から全児童に対して所得制限なしに、そして義務教育終了時まで支給する、こういう基本的立場に立っている、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○小島政府委員 持に児童の健全育成、養育を担当しております厚生省といたしましては、児童手当の本来あるべき姿というのは五十五年答申にお示し願ったのが基本的な姿だと思っておりますので、そういう方向を目指しつつ、できるだけ国民の御理解を得て、できるだけ早くそういう方向に到達できるように今後とも努めてまいりたいと考えております。
○池端委員 一応積極的な姿勢は私は評価するにやぶさかではないのです。ただ、ちょっとひっかかるのは、義務教育終了時までという、これは審議会の意見具申もそういう条項がありますから、それを踏まえていると思うのですけれども、一体児童というのはどういうふうに考えるべきか、児童手当法あるいは児童福祉法に言う児童とはどういうふうに規定をされておりますか。
○小島政府委員 児童福祉法に言う児童は十八歳未満の児童でございます。いろいろ少年法とか何か取り扱いが違いますけれども、やはり制度の本来の趣旨、目的から、児童の範囲というものもそれにふさわしいような形で考えていく必要があろう、基本的には児童福祉法上の児童の定義が我々の行政上の中核的な位置を占めた概念となっております。
○池端委員 そうであるならば、私は、十八歳未満の者は全員対象とすべきだ、こういうふうに押さえるのが厚生省としては正しいのではないか。ちなみに学校教育法では、児童というのは小学校在学中の者、生徒というのは中学校、高校在学中の者をいう。それぞれ法律によって取り扱いは違いますけれども、児童福祉法なり児童手当法に児童の概念規定が明確にされている。それは十八歳未満だとはっきり言われているのだから、そういう立場をとるべきではないかと思うのですが、どうですか。
○小島政府委員 その御意見、極めて傾聴に値するものだと考えております。ただ、本制度が四十七年に発足いたしましたが、そのときにも児童福祉審議会等で随分御議論があったようでございます。 そこで、例えばこれは子供が自立するまでという期間に考えるべきではないか。そういたしますと、先生御指摘のように、せめて高校卒業までとか十八歳までという御意見が出てくるのは当然でございますが、ただ、その当時中卒で勤める方もいらっしゃる、そのバランスを考えれば、当面やはり中卒まで、義務教育終了時までということが妥当ではなかろうかという御判断で御意見をいただきまして、それをもとに中学校卒業までという現行の扱いになっていたかと記憶しております。 したがいまして、この点につきましては、その後の高校進学の状況等々も踏まえまして十分また御論議をいただくに値する問題ではなかろうかと考えております。
○池端委員 今度の法案には、附則四条で今後の見直しの規定も含まれておりますが、私はやはり、今私が触れた点、さらにまた局長がさっき答弁されておりますように、諸外国の例、私は何も外国のを完全に模倣せよというふうに申し上げているわけではないのですが、例えば、フランスでは十六歳未満を対象にして、しかし就学中は二十歳まで。イギリスでは十六歳未満であるけれども、高等教育以外の全日制教育を受けている場合には十八歳までを対象とする。スウェーデンではこれまた十六歳未満であるけれども、普通教育在学中は終了まで延長する。西ドイツにおいても十六歳未満が対象であるけれども、就学中は実に二十七歳までと、非常に適用を拡大をしているわけですね。 こういうような諸外国の例等も十分尊重され、検討され、さらに児童手当法なり福祉法のこの規定からいって、十分この辺についても今後検討してもらいたい、こう思うのですが、いかがですか。
○小島政府委員 御指摘のように、支給対象児童を第何子から始めるかと同様に、支給期間をどこまでにするかというのは、基本的な、極めて中核的な問題でございますので、今後の検討に当たりましては、十分その点についても検討するということで進めてまいりたいと考えております。
○池端委員 今度の改正案で、実は支給対象を第三子から第二子にまで広げる、こういうふうに、一応この面だけを見れば前進面だと言える面もあります。しかし、支給対象期間を現行の義務教育終了時から義務教育就学時に引き下げる、こういうふうな内容になっているのですね。私は率直に言って、制度の大幅な後退であると言わざるを得ない。 きのう我が党はこの問題についていろいろ意見を交換しましたが、その中で出たことは、いみじくも、これは児童手当ではない、乳幼児手当である、乳幼児手当にこれは変質をした、名前は児童手当だけれども、それは乳幼児手当に変質させた改悪である、こういうふうに我が党内では意見もございました。私もまさにそのとおりだと思うのでございます。この点についてどのようにお考えになっておられるか。
○小島政府委員 確かに、支給期間という面だけに着目いたしますれば、御指摘のような御批判も出ること、もっともだと思っております。 ただ今回は、従来いろいろ国民的な評価の低かった児童手当制度につきまして、できるだけ本来のあるべき姿を目指したいということで、第一義的に、支給対象児童の範囲を第三子以降という限られた世帯を対象とするものから、広く児童を養育する家庭の九割以上を対象に取り入れることのできます第二子以降を対象とする制度に組み込みましたために、これとの兼ね合いにおきまして支給期間をいわば大幅に短縮しなくてはならなかったということでございますので、制度全体の優先順位といたしまして、支給対象児童の範囲の拡大をとるか、支給期間のある程度の確保をとるかという選択の問題でございましたが、一応、本来のあるべき姿というものを目指し、また国民の十分な御理解を得ていくためにも、支給対象児童の拡大というものが第一義的に今回の改正に必要な事項ではなかろうかと考えましてこのような改正案を提案させていただいたわけでございますので、御理解をいただければと考えております。
○池端委員 支給期間を義務教育就学時までに引き下げたという理由ですね、いかなる理由によるものか、これを明らかにしてもらいたいと思います。
○小島政府委員 まず、支給対象児童の範囲を拡大いたしますれば、現在財源上の制約もございまして、やはり支給期間というのは大幅に切り込まざるを得ないという状況がございます。そうすると、どの期間に支給するのが一番合理的かということを考えたわけでございますが、第一義的には就学前までが児童の養育というものについてもっぱらその家庭が責任を負っている時期でございます。公的に余りまとまったお手伝いをしていない。義務教育に入りますれば、形は違いますけれども、義務教育の公費負担というようなことでございまして、広い意味での養育、その育成にある程度国も関与している。取り残された期間が、就学前の期間がそういう意味での配慮をした施策のない時期ではなかろうかというのが第一点でございます。 それから第二には、やはり就学前という子供たちを育てていらっしゃる家庭の状況を見ますと、非常に若い年齢層の両親でございます。しかも小さな子供がいらっしゃるという場合には共稼ぎということもなかなか困難な状況にあります。事実、小さな子供さん、学校に入る前のお子様を育てていらっしゃるようなお母様方は、小学生とか中学生を持っていらっしゃるお母様方に比べまして就労率が低くなっております。そのような家庭の状況も考え合わせまして、義務教育につなげるような形で、義務教育が始まるまでの間支給するということが当面妥当ではなかろうかということを考えまして、この期間を選択させていただいたわけでございます。
○池端委員 サラリーマン世帯、自営業者世帯ともに可処分所得の絶対額が低い時期であるというようなこと、審議会の意見の中にも出ておりましたね。そういうようなこともあるかと思うのですが、いろいろ私も調べました。 週刊社会保障の四月二十二日号に、日本社会事業大学の横山和彦教授が述べられております。これは国民生活白書をもとにして述べられておるわけであります。その中でこういう表現も使われております。「総領」——総領の甚六の総領ですが、「総領の十五は貧乏の峠、末子の十五は栄華の峠」、まあそういう表現が果たして妥当かどうかは別として、そういうふうに載っておりましたから事実を申し上げますけれども、必ずしも末っ子の十五は栄華の峠になるかどうかは疑問だとしても、国民生活白書の実態からいうと、むしろ世帯主の年齢が四十代後半、それから五十代前半の時期に実支出はピークを迎えているということになりますれば、今度の改正案はむしろ支給期間としては余裕度の高い時期で、改正案は生活の実態とミスマッチであることが明らかである、こういうふうに言われておるわけですね。 確かに局長の言われるような面も一面の真実であるかと私は思いますが、また国民生活白書が具体的に示していることもまた一面の事実ではないか、こう思うのですが、この辺の調整をどういうふうに考えておりますか。
○小島政府委員 確かに、家計調査等を見てみますと、特にその子供を養育している家庭の生活の意識と申しますかにつきましては、子供が高校生あるいは大学生のころが一番きついというような指摘は、先生お示しのとおりでございます。ただ、我々といたしましては、今後子供の問題を考えていく場合に、本当に家庭と社会とが協力して子供の養育方法を考えていく、あるいは子供の数の問題も含めて社会的に関心を持っていただきたいということを考えました場合に、やはり支給期間としては生まれた直後から始めるのが制度として一番妥当ではなかろうか、こう考えておりまして、これを優先させた。また、審議会もそのような意見でございました。 確かに、御指摘のように生活状態の圧迫感と申しますか、教育費等を中心といたしまして高校あるいは大学と行くほど家計負担は大きくなってくるという意識があるようでございますが、それにつきましては、所得の絶対額はふえている、一方、出も激しい、こういうことだと思います。しかし、強いて言わせていただければ、その子供が、特に大学ということになりますと、それ自体ある程度の自活の道という努力の道もあるわけでございますし、やはり一番家庭の養育責任の重い学齢時に達するまでという期間にまずは重点的に社会の手を差し伸べるというのが妥当性があるのではなかろうかと考えておるところでございます。
○池端委員 先ほども申し上げましたが、第二子に拡大をした面がございますけれども、就学前の児童に絞り込むということになっているわけですね。 そこで、具体的な数字でお尋ねをしたいのですが、私どもは、先ほども申し上げましたように十八歳未満のすべての児童を対象にすべきだ、こういう立場に立っておりますから、十八歳未満の児童数は現在幾らか、そのうち第二子以降の児童数は何名か、そのうち就学前の児童はどのくらいあるか、そして今回の所得制限をクリアするといいますか、いわゆる対象児童数は何名か、具体的な数字で示してもらいたいと思います。
○小島政府委員 これは六十年度の推計でございますが、十八歳未満の総児童数と申しますか、総人口は三千百六十六万と考えております。うち第二子以降が千七百七十一万、約五五%程度かと思っております。その第二子のうちの就学前の子供というものは五百六十六万というふうに考えております。 この制度で、現在御提案申し上げているような所得制限を実施いたしまして対象となりますのは、この六十年度を基盤とした推計によりますと、新制度で厚生省所管の児童手当制度で実施いたします分が四百四万。それから、ほかに共済組合関係がございます。これは我々と別建てでやっておりますもので五十万。合わせて四百五十四万程度になるのではなかろうかというふうに推計いたします。したがいまして、五百六十六万人のうち四百五十四万人が御提案申し上げているような新制度の支給対象児になる。この支給対象児童の対象年齢児に占める割合といたしましては、約八〇%程度になるのではないかというふうに考えております。
○池端委員 都合のいい数字だけを取り出して八〇%程度、こう言いますが、これはやはり、さっきも私が言いましたように、対象は十八歳未満の児童を基本に置いて、その比較において考えていかなければならない。ところが、三千百六十六万人、そして実際にその対象になるのは四百五十四万人、こういうことですから、ざっと計算して七分の一ですね。先ほども話をしましたが、これが本当に児童手当などと呼べるような性格のものであろうか。本来三千百六十六万人が対象になるべきものが、七分の一しか対象になっていない。余りにもお粗末な制度ではないかと重ねて申し上げたくなるのでありますが、その点、いかがですか。
○小島政府委員 現行制度あるいは御提案申し上げている改正案にいたしましても、御指摘のように児童のカバー率は極めて低うございます。したがって、そういう意味で、我々としてもこれはもうこれで十分完結したような制度であるというような認識は持っておりません。したがいまして、御提案申し上げている改正案の附則の四条におきましても、引き続きこの制度の改革については検討を加えるべき旨を明示しているところでございますので、我々、今後ともあるべき姿を目指して十分な努力をしてまいりたいと考えております。
○池端委員 厚生省のいろいろな説明資料によりますと、今回の改革では現行財源を満度にまで活用して改革を行うものである、これによって制度の後退はない、こう胸を張っておるわけですね。給付の総額と制度の支給規模はむしろ大きくなっている、こう言っておりますけれども、それでは具体的に支給総額はどのように拡大することになるのか、数字をもってお示しを願いたいと思います。
○小島政府委員 これは例えば現行制度の六十年度予算と、御提案申し上げているような新制度が六十年度に完全に実施された場合、完結した場合という形で対比してみますと、六十年度、現行の制度で厚生省が担当しておりますものは、支給対象児童数が二百十九万人、それから給付費総額が千五百十三億円という規模でございます。御提案申し上げているような新制度の改正案が六十年度で完全に実施されたという姿で考えてみますと、支給対象児童は四百四万人、このほかに共済組合分が五十万人加わる。先ほど申し上げたとおりでございますが、給付費総額は千五百八十二億と、まあ現行制度の規模は維持できる、当面、給付額だけを見ますと上回っているという状態でございます。
○池端委員 単年度ではなくて、もう少し長期の展望を示してもらいたい。
○小島政府委員 御提案申し上げておりますものは、六十一年度から六十二年度、六十三年度に完全な姿になる、こういう形でございますので、六十一年度、六十二年度は経過措置的なことになっておりますが、具体的に申し上げますと、新制度をもし発足させていただきますれば、満年度計算で六十一年度、第一年度目は、給付費総額は千六百十八億、支給対象児童数は三百二十一万程度になろうか、こう考えております。第二年度目、昭和六十二年度になりますと、給付費総額は千五百五十九億、幾らか減ってまいります。それから六十三年度は、給付対象児童数が三百八十七万、給付費総額は千五百二十七億というような姿になろうかと考えております。
○池端委員 国庫負担は今後どういうふうに推移していくのか、少なくとも昭和六十五年度ぐらいまでは明示してもらいたい。
○小島政府委員 国庫負担の額につきましては、六十年度、現行制度での予算額が六百一億でございますが、六十一年度は五百八十一億、六十二年度、五百四十六億、それから六十三年度は五百三十四億、六十四年度は五百三十億、六十五年度は五百二十五億程度になろうかと計算しております。これは出生数の減少等ということを人口推計を織り込んだ数字をもとにしてはじいた数字でございます。
○池端委員 昭和六十一年度においては約二十億、六十二年度においては約五十五億、六十三年度においては六十七億、六十四年度においては七十一億、六十五年度においては七十六億、六十年度予算に比して減少しているわけですね。あなた方が言っているように、現行財源を満度にまで活用して改革を行うものであるというのとは大分違っているんじゃないですか。どうですか。羊頭を掲げて狗肉を売るのたぐいじゃないですかな。そういうPRを盛んにしている。ところが実際に国庫負担はやはり案の定減少している、軽減されている。全部そうですね。年金もそうだった、健保もそうだった。また今度は児童手当ですね。 こういう状況からいって、あなた方が言っている現行財源を満度にまで活用して改革を行うんだということは、これは欺蘭であると私は言わざるを得ないと思うのですが、どうですか。
○小島政府委員 これは確かにこういう国庫補助の動きだけごらんいただけば、そういう御批判も出ようかと考えております。ただ、現行制度のままにおきましても、最近の児童の出生数の減少経過を踏まえまして、給付規模あるいは国庫補助額は減少の傾向をたどっておりました。これは制度そのものの姿形は現行制度を満席まで活用した形と言っても決して過言でないと思います。ただ、今後の児童数の減少傾向等を反映いたしまして、給付面におきましては国庫補助等が、推計値ではございますが、現在考えられているような出生数の減少傾向が毎年続くといたしますと、このような姿形になるということで、これはまさしく推計の域を出ません。 さらにつけ加えさせていただきたいのですが、先ほど申し上げましたように、支給対象児童の範囲を大幅に拡大いたします。倍増近くなるわけでございますので、そういたしますと、事務費が本来はかさんでまいります。そういう面をあわせ考えますと、国庫負担というものを浮かすための改革だというような御非難は決して当たらないかと考えております。我々が新しい制度を現行制度の枠内でそれを最大限に活用して組んだということについては、詭弁という御批判は極めて心外と存ずる次第でございます。
○池端委員 事務費等がふえるというのは、制度が変われば事務費がふえるのは当たり前なんで、事務費も含めればそう変わらぬというのは、やはり私は詭弁としか言わざるを得ない、こう思うのですよ。局長、あえて私は反論いたしますけれども、そう申し上げておきます。やはり国庫負担減らしですよ。こういう状況が数字の中ではっきり出ているではないですか。そういう点から、この点についてはこの案には我々としてはどうしても賛成でき得ないということを申し上げておきたいと思うのです。 そこで、先ほどもちょっと触れましたが、附則四条で制度の見直し規定が設けられております。そこで再確認の意味でお尋ねをしますが、今後の制度検討の基本的な視点、これはどこに置いているか。それは、先ほど答弁があったように、支給範囲については当然第一子からであり——我々は異論があります。十八歳未満の全児童に支給すべきだというふうに私は考えておりますが、少なくとも義務教育終了前の者を支給対象児童と考えている、こういう基本的視点に立っている。 もう一つは、手当額の水準も、この意見具申にありますように児童養育費の一部を軽減するという意味を持っているものであるから、「ある程度価値ある額」、こういうふうになっていますね。極めて抽象的な表現であります。この「価値ある額」でなければならないというふうに理解しているのか。 三番目には、所得制限については原則として行わない、こういう方向で今後検討するんだ、こういう基本的な視点であるというふうに理解してよろしいか。改めてお尋ねをしておきたいと思います。
○小島政府委員 我々の目指す方向としては、先生今お示しいただいたとおりでございます。
○池端委員 それでは、次に移行措置についてお尋ねをしたいと思います。 四月十八日の社会保障制度審議会の答申、この委員会の中にも審議会のメンバーの方がいらっしゃるわけでございますが、その審議会の答申を見ますると、「その経過措置は急激に失するきらいがあり、低所得層に対する影響が大きいので、緩和を図る工夫が望まれる。」という答申が実はなされているわけですね。ところが、その次の日、翌日に法案が提出されているのですね。見ると、どうも答申尊重の形跡がない。そのままストレートに国会に出してきた。答申は全く無視されているように思えるのですが、この点はいかがですか。
○小島政府委員 答申を受けまして、移行措置については、さらに我々も十分いろいろな案を検討した結果の移行措置でございました。しかし、御指摘を受けましたので再度検討を加えましたが、これ以上に移行措置の緩和を図るということになりますと、金と財源の枠内でございますので、非常に新制度の完全な実施がおくれる。一方、我々としてはさらに抜本的な見直しという宿題も抱えておるわけでございますので、できるだけ早く新制度の実施を図ってまいりたいということと、さらに移行措置を刻みますと新制度の拡大がなかなかできない。例えば、二歳未満を翌年四歳未満にするんじゃなくて例えば三歳未満という段階を置くことが可能かどうかというようなこともいろいろ検討はいたしてみましたが、そういたしますと受給者の幅が全然拡大しないという問題もございまして、新制度に対する国民の期待と申しますか、制度が実施されれば我々もまた対象となるというような御期待の面も考えますると、御意見はいただきましたが、やはり御提案申し上げているような移行措置が妥当ではなかろうかという判断のもとに原案どおりの法律案を提案さしていただいた次第でございます。
○池端委員 権威ある社会保障制度審議会のそういう貴重な御意見にはやはり耳を傾けるべきであると思うのです。何のための審議会なんですか。そういうような姿勢にやはり問題があるというふうに私は思うのです。例えば移行措置の問題ですね、昭和六十一年度、初年度においては低所得者に対する二千円の割り増し支給といいますか加算、これが一挙に廃止になりますね。さらに、移行措置初年度においては第三子以降の支給期間に手をつけないけれども、二年度目には小学校三年生まで支給という一挙に六年の引き下げですね。下げ幅が非常に大きいですね。また、第二子については、二歳未満から今言われたように四歳未満と二年しか引き上げない、こういう状況。これなんかはやはり三二年間の移行措置では非常に急激過ぎるのではないか。我々は原案については認められないけれども、少なくともこういった激変についてはもっと緩和の措置をとるべきではないか、こういうふうに思うのですが、どうですか。再考の余地はありませんか。
○小島政府委員 審議会の御意見でも御指摘いただいた事項でございますし、我々としても十分検討いたしましたが、やはり制度の円滑な切りかえをやっていく——三子以降で対象にならない方々、それから新たに二子で入っていただく方々、その給付費のバランスも考えながらの措置でございます。我々としては、制度審の御意見をいただきましたが、こういう形が一番妥当ではなかろうかと考えております。また十分御審議、御意見をいただくことになろうかと思いますけれども、我々としては移行措置としていろいろな観点から検討いたしましても、御提案申し上げるものが最善のものと考えております。
○池端委員 私は非常に急激な変化だと思うのです。やはり期待権というようなものもございますから、これらについてはもっと激変緩和の措置がとられるよう強く再考してもらいたいということを要求しておきます。 次に、人口問題でございます。ちょっとお尋ねをしたいと思うのですが、御承知のように我が国は本格的な高齢化社会を迎えようとしております。類例のないスピードだ。中曽根総理は、高齢化社会という言葉を今後使わないようにしよう、長寿社会というふうに言おうというようなことを言っているそうですが、私は、確かに高齢化社会の中で長寿というものも一つの要因ではありますけれども、そればかりではないんで、科学的な用語の使い方としては長寿社会というのにはちょっと問題があるような気がしますが、私は今ここでその議論をするつもりはございません。率直に言って、今日まで高齢者についての関心は非常にあったけれども、これを支える児童の面については必ずしも十分な手だてが行われておらなかったのではないか、こういうふうに思えるわけでございます。 特に近年における出生数の減少というものは憂慮すべき状況にあるのではないか、私はこう思うのです。昭和二十五年に二百三十四万人であったものが昭和四十年には百八十二万人、昭和四十五年には百九十二万人、それに対して昭和五十年代に入ると百五十万人を割るというところまで来ておるわけであります。一九八三年の合計特殊出生率は御承知のように一・八〇、こういう状況でございまして、迫りくる高齢化社会を支えるのが今の子供であり、これから生まれてくる子供であるということであれば、やはりその子供たちを社会全体で連帯して育てていくということも重要でありますし、人口問題についても真剣に考えるべきではないかと私は思うのです。どうも担当するのがはっきりしておらぬようでありますけれども、この人口問題についてどういうふうに今後取り組んでいくつもりなのか、その決意をひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
○増岡国務大臣 最近出生の数が減少しておるということは、日本の国の将来を考えますと、国民全体としても重大な関心を持たなければならない問題であると考えております。単に先進各国共通してそういう傾向にあるということだけでは済まされないわけでございますので、全国民的な理解と協力をいただかなければならないというふうに思うわけでございます。したがって、私どもがこの児童手当をそういう問題としてとらえなければならない時期も近づいておるように思います。 現在のところでは、そこまで、一歩前進ということまで申し上げかねる程度の改正でございますけれども、現在のところは、一たんお生まれになった子供さんが素質いっぱいを伸ばしていただくためのお手伝いをしておるという状況でございます。将来は国民の理解をいただきまして、関心を高めるためにも我々も努力をしていかなければならないというふうに考えております。
○池端委員 人口問題は改めてまた機会を設けていろいろディスカッションしていきたい、こう思っております。 次に、児童福祉事業の問題についてお尋ねをしたいと思うのですが、昭和五十三年度から児童手当の支給を補完する意味で福祉施設の設置ということが行われてきておりますが、児童福祉事業の概要について明らかにしていただきたいと思います。
○小島政府委員 五十二年度の法改正でございますか、児童手当制度の中にも福祉施設という制度を入れていただきまして、単に手当の支給のみならず、大臣もお話しいただきましたような健全育成施策というものをさらに推進してまいりたいということで、福祉施設事業を実施しております。 例えば六十年度における事業の内容を申し上げますと、まず事業内保育所、保育施設の整備等についての給付でございますとか、それから特に都市部におきますかぎっ子対策等を中心に考えております児童センター関係の助成、あるいは現在進めております青山の国立総合児童センターの整備という事業のほか、さまざまな研修事業等を実施させていただいておるところでございます。
○池端委員 今お話しありました青山ですか、総合福祉施設ですか、こどもの城と、こう言うのだそうですけれども、国際児童年を契機にしてこの建築が進められているというふうに聞いておるわけです。総工費が三百五十億、敷地代を含めるともっとそれ以上の大変なものだと思うのですね。三百五十億の金を投資して十一月にはオープンだ、こういうのでありますけれども、これはどういうような活用の仕方をするつもりなんでしょうか。
○小島政府委員 これはいわば児童センターの中核機関という位置づけでございますが、中身といたしましては、子供たちの芸術、文化あるいは科学、体育の活動、そういうものを伸ばす場として、最新の設備あるいは工夫を凝らしての児童の積極的な活動を助長する魅力ある場として、そこでいろいろな実験的な施策を行いながら、児童センター等一般の施設にその成果を移してまいりたい、こんなふうに考えておりますが、一つには、そのようなものを中心といたしました児童の健全育成、いろいろなさまざまな素質を伸ばすような諸活動、体育、文化、芸術というような活動の拠点といたしたい。 それからもう一つは、何と申しましても今後核家族というようなことにつきまして、家庭におきます子供の養育の問題等、たまたま不安を抱いている向きも多くなってまいりますし、現にさまざまな問題が生じておりますので、そういうような発達クリニックあるいはトレーニングセンターとしての役割を果たしながら、家庭からの相談に応じたり、そこでお母さん方の十分な指導訓練も行えるような活動を考えていきたい。そういう二つの柱を中心に考えております。
○池端委員 この財政難の時代に数百億の投資でこどもの城を建設するというのでありますから、これはやはりその趣旨、その目的に沿うように積極的な活用がなされるように、宝の持ちぐされというようなことにならないように十分配慮していただきたいということを申し上げておきたいと思います。 なお、この制度創設以来十四年間ですか、積立金が四百五十億ほどあるというふうに聞いているのですけれども、この積立金は今後どういうふうに活用するおつもりなのか、ちょっとお伺いをしておきたいと思います。
○小島政府委員 積立金総額は丸めまして現在四百二十五億くらいまだ手持ちがございます。これは御指摘のようにどういうふうに使ってもいいという金ではございませんで、本来、給付費の変動等に備えるための費用でございます。したがいまして、これは事業主の拠出金、サラリーマンの子弟を対象といたしました給付費財源に充てられる分の余剰という性格のものでございます。が、これは本質的にやはり制度の円滑な運用を図るための給付費財源として予備費的にと申しますか、ある程度のものは保有しなくてはならぬ。ただ、これはどんどんふえていっていいというものではございませんで、必要財源ということで積立金の状況を見ながら拠出率の変動をどう考えるかというようなことになろうかと考えております。
○池端委員 時間も大分経過してまいりましたので、結論的に申し上げますけれども、先ほど来から言っておりますように、今度の制度改正は改正というよりも改悪というべきではないか。児童手当という名前を冠してはおりますけれども、乳幼児手当であると言わざるを得ないと思う。その言葉に端的に表明されておるような改悪だというふうに私は思うのです。したがって、我々としてはこの問題については政府が再考することを強く求めたいと思います。 最後に、近年社会保障の問題が極めて憂慮すべき状況になってきておりますが、まず第一段階では一九八〇年代前半の医療保険制度の改悪の問題、第二段階では年金改悪、第三段階では児童扶養手当、児童手当の改悪の問題、そして第四にはその総仕上げとして福祉補助金の見直し、そして地方と受益者にこれを一方的に転嫁するというような動きがいろいろ報道等にもあるわけでございます。来るところまで来たか、もう容易ならざる事態である、大変な福祉切り捨てだ、こう言わざるを得ない状況を今迎えようとしております。 八月には概算要求も行われるわけでありますが、この福祉補助金の問題について現在どのような検討状況にあるのか。言われるような心配すべき事態になるのかどうか。そのことを食いとめるのが私は大臣の重要な役割だと思うのですけれども、この福祉補助金の見直しの検討状況について最後にお尋ねをしたいと思うのです。
○増岡国務大臣 補助金のことにつきましては六十年度限りということでございまして、その後どうするかということにつきまして国と地方との役割分担と費用負担の見直しをしようということでございまして、五月二十四日の閣議口頭了解をもちまして五月二十七日に第一回の関係閣僚会議が開かれました。なお、国会の御審議等を通じまして自治体の代表と学識経験者を加えて検討をしろということでございましたので、その補助金問題検討会を五月三十一日に第一回を開催し、検討を始めたところでございます。 今後のスケジュールについてはこれからの問題でございますけれども、私といたしましては、そういう折衝の過程で六十一年度予算というものは相当厳しい、しかし、それに対処する厚生大臣の所管といたしましては実質的な福祉の水準が下がることのないように、個々の問題はいろいろございますが、全体としてかたい決意で臨まなければならぬというふうに考えておるところでございます。
○池端委員 この社会労働委員会では今日まで大変重要な法案を審議してきたわけでありますが、前向きの法案というよりもむしろ後ろ向きの法案に我々は精力を費やされてきた、こう思うのですね。審議の労をいとうものではございませんが、やはりもっと積極的な福祉の増進と社会保障をもっと確立するという観点からの社労委の論議であってほしいと私は思うのですね。そういう意味において、また福祉が後退をする、補助金のカット、そして地方と受益者にそれが転嫁されるというような事態を生まないためにも、ひとつ今後、大臣初め政府関係者の皆さんの特段の努力を強く要請申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
○戸井田委員長 午後零時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時二十七分休憩 ————◇————— 午後零時三十八分開講
○丹羽(雄)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。河野正君。
○河野(正)委員 児童手当を含めてでございますが、最近の一連の福祉政策、健保もございます、共済もございます、あるいは児童扶養手当、それぞれあったわけですが、こうした一連の福祉政策を通じて感じますのは、御案内のように、憲法では二十五条で社会福祉の増進に努力しなければならぬ、努力義務というものが明記されておる。あるいはまた、十四条では、御案内のように、法のもとに平等でなければならぬ、その他いろいろございますが、そういう政治の基本というものは日本国憲法にあるわけですから、そういったことから今日までの一連の政府が提案してまいりました福祉政策を見てまいりまするというと、これはもう恐らくこの憲法の二つの条項から見てまいりましても、必ずしもこの憲法の方針に沿ったものと言うわけにはまいらぬだろうと思うのです。 そういうような点から、きょう特にお伺いをしておきたいと思いますのは、やはり社会福祉政策に対する政府の取り組みといいますか、姿勢といいますか、ひとつこの辺で歯どめをかけておかぬと、なし崩しで日本の福祉政策というものがどんどん後退するということになろうかと思うので、一応そういう基本的な方針について大臣から承って、具体的な問題点に入ってまいりたいと思います。
○増岡国務大臣 私は、憲法云々もそうでありますけれども、古来から政治の目的というものは国民の福祉を守ることであるということが東洋での哲学だというふうに思っておるわけでございます。なお、先生御指摘のような、憲法自体にもいろいろ定められておるわけでございますので、当然そのときどきにおきましてできる限りのことはやっていかなければならないというふうに考えております。
○河野(正)委員 お互いに見解というものがあると思うのですが、お互いに見解はあっても、やはり基本となるものは、日本の政治というものは憲法の精神にのっとってはかられるべきだと思うわけです。でございますから、憲法は別としてできるだけ努力するということではやはり問題が多いわけでございます。憲法の趣旨に沿うていくけれども、財政事情が厳しいとか、こういうことであるとかいうようなことで多少そういった問題がゆがめられたとしても、基本となるものは、大きな根底に流れるものは、やはり憲法の精神でなければならぬ。 そういう点から見てまいりますと、こういう福祉制度については諸般の事情からこうだ、こういう福祉政策については諸般の事情からこうだということがあっても、大筋は憲法の精神にのっとってはかられていかなければならないと私は思うわけです。ですから、そういった点、大臣のお答えは少し納得のいかぬ面がございます。でございますから、できるだけ努力するということは、その根底に流れるものは憲法の精神である、こういうことにならなければならぬと思うのです。憲法の方針に従ってやるけれども、こういう事情のためにこうなった、ですから、憲法の精神は別としてと、こういうお答えになりますと、私どもちょっと抵抗を感じざるを得ない。 そこで、恐らく今度の国会の社会労働委員会では児童手当が最終的な福祉政策の法案であろうと思いますので、ここでひとつ締めくくりとして、将来に対しまする大臣の決意を明確に承っておきたいと思います。もう一度お答えいただきたい。
○増岡国務大臣 先ほど申し上げたのは、古来から伝わる政治哲学の話を申し上げ、その後でなお憲法にもそれぞれ定めてあるということがございますので、その趣旨に沿ってそのときどきにできる限りのことはやらなければならぬ、そういうふうに申し上げたわけでございます。
○河野(正)委員 児童手当も含めて、基本的にはそういう方針で努力願わなければ、ある意味においては憲法の方針にももとるわけですから、そういうことで過去の健保にいたしましても、年金にいたしましても、児童扶養手当にいたしましても、そういったことについて今ここでいろいろ論議はいたしませんが、少なくとも、福祉政策というものは大臣が最高責任者ですから、憲法の精神にのっとって今後の政策立案に当たっていただかなければならぬ、こういうことを希望意見として申し上げておきます。 そこで、そういった基本理念に基づいて、果たして今度の児童手当というものが満足すべきであるかどうかについては非常に大きな問題があるわけでございます。午前中にも討議が行われておりますから多少重複する点があると思いますけれども、できるだけ重複を避けてお尋ねをしながら、私どもがこいねがう福祉政策の充実向上のためにひとつぜひ御努力を願いたいと思います。 今度の児童手当の提案理由の中でも明らかにされておりますように、児童手当は御承知のように昭和四十七年一月から実施をされたところであります。目的は、一つは、家庭における生活の安定、これは所得保障という建前、いま一つの目的は、次代の社会を担う児童の健全な育成及び資質の向上、これが児童福祉の精神であります。こういうことに資するためにこの児童手当制度というものを発足させた、そういうことに相なるわけでございます。 そこで幾ばくかの手当を出せばよろしいということではないわけであって、手当を出す以上は、今から逐次やってまいりますけれども、基本的には家庭における生活の安定、いま一つは次代の社会を担う児童の健全な育成及び資質の向上に沿うだけの裏づけというものが法案の中に盛り込まれていかなければならぬということは当然だと思うわけです。 そこで、今度の児童手当制度の改正というものが、今明記されました二つの方針に沿っておるのかどうか。努力したということでございましょうけれども、完全に沿っておるのかどうか。完全に沿うことが望ましいのですから、そういった意味で基本的な御見解を承りたい。
○小島政府委員 今回御提案申し上げております改正案は、現在の財政事情あるいは児童手当制度に対する国民の御認識というものを前提にいたしました当面の改善策でございまして、支給期間あるいは手当の額等につきまして、法律の目的から見て十分なものかという御指摘でございますが、これは本来の趣旨から我々としても必ずしも十分であるとは考えておりません。したがいまして、御提案申し上げている改正の附則の第四条でも、さらに費用負担、財源の確保の問題も含めて検討を続け、さらに改善を図るべき旨の規定が置かれている、このように承知しております。
○河野(正)委員 この児童手当制度が発足して本年で十四年を迎えるわけでございます。この十四カ年という長い経過でございますから、今局長からも、財政事情あるいは国民の認識というお答えもございましたが、どうもこの制度の維持についての理解と認識というものは必ずしも十分ではないというようなことが取りざたされておるわけですね。ということは、ある意味においては、児童手当をもらうことは進歩であるけれども、それが十分でない、あるいはまた、後でいろいろ申し上げますけれども、制限がされるとか、したがって、極端に言いますと、余り魅力がない、そういうことが結局国民の理解と認識というものにつながっていかぬのではなかろうかと思うわけであります。そういったいろいろな問題点をまだ残しておるわけです。そういうことで、ある意味においてはこの制度が十分機能しないというようなことにも通じておると思うのです。 そういった意味で、今局長からもちょっとお触れになったが、余り魅力がないんですね。そういうことで国民がこの制度に対して大きな関心を持つということに立ち至っておらぬのではなかろうか。いわゆる理解と認識というものが欠けるという結果になるのではなかろうか。しかも、そのために機能というものが必ずしも十分に発揮されないというようなことになっておるのではなかろうかと思うわけでございます。そういった反省すべき点は反省をしながら、さっきおっしゃったように、抜本的改正を論議していかなければならぬということでございますが、やはり過去の反省から今後の論議というものが発展をするわけでございますから、こういったこの制度に対します意義について国民の理解と認識が必ずしも十分でないということに対してどういうふうに受けとめておられるのか、この点を承っておきたい。
○小島政府委員 いろいろな御議論の末、社会保障制度としては一番おくれて四十七年にこの制度を発足させていただいたわけでございますが、制度発足当初から現在まで、三人以上子供を養育しているごく限られた家庭を支給対象にして制度が出発したというところにこの制度が一般的な大きな関心を呼ばなかった一つの原因があるのではなかろうか、あるいは児童手当制度本来の趣旨、目的というものが三番目の子供以降ということでは正しく御理解願えない面があったのではなかろうかというふうに第一に考えております。 手当の額、いろいろ御議論があると思いますが、制度発足当初、あるいは世論調査をやりました五十一年当時必ずしも低い額ではなかったというふうに考えておりますが、にもかかわらず、必ずしも我々が考えておりましたと申しますか、児童手当の必要性を御主張なさいました方々も共通して考えておりました役割とか意義どおりの評価を受けなかったというのは、一つには支給対象家庭の範囲を余りにも限定する結果になっていたためだというふうに考えておりますので、この際、本当にこれについて国民の御認識をいただくためには、支給対象の家庭を児童手当制度本来の趣旨にのっとって拡大してまいらなければならぬというのが今回の改正の第一の考え方でございます。
○河野(正)委員 今お答え願ったように、社会保障制度の上で児童手当制度が非常におくれて発足したということですから、おくれて発足しただけに問題点が多いといいますか、そういうことだろうと思います。それは積極的な努力をして、追いつけ追い越せじゃないけれども、かなり急速に充実した制度にしてもらわなければならぬと思うわけです。 もう一つは、現在我が国では都市化現象、工業化社会への移行あるいは核家族化の進行等、社会構造の変化という状況を背景として、例えば年金制度が逐次改善され充実される、そういう経過をたどってきたと思うわけでございます。このことは、自分の親の面倒は自分で見るといった親子の一対一の私的対応ではもう解決することはできない、また児童にとっては、子供の養育は親の責任分野だから私的に扶養したらどうかという建前では今日の状況を克服することはできないというのが今日の実情だと思うのです。でございますから、年金制度を初めとしていろいろな制度がどんどん社会のニーズに対応して充実発展をしてきた。 ところが、児童手当はおくれて発足したというハンディもあるし、また、今申し上げましたように、一方では年金制度その他がいろいろな社会構造の変化に基づいて非常に改善されてきたということですから、そういった意味では、この児童の扶養についても、高齢化のいわゆる年金制度と同じような積極的な配慮というものが当然なされなければならぬ。そういうふうにしなければ、追いつけ追い越せではないけれどもおくれて発足したというハンディがあるし、非常に水準が低いという問題があります。 そういった意味から、具体的には後で申し上げますけれども、よほど積極的な姿勢を示していただかなければ私どもの期待、あるいは社会のニーズに対応することができぬのじゃなかろうかと思うわけですが、その辺はいかがでしょうか。お答え願いたいと思います。
○小島政府委員 確かに、遅く発足いたしまして、発足直後のオイルショックというような我が国の経済情勢のさま変わりというような厳しい条件のもとでこの改善を図っていかなければならぬという中で、必ずしも十分な手当額の引き上げ等々もできなかったという御指摘もあるいは的を射ていると言わざるを得ないのではないかと考えております。高齢化社会を迎えつつありまして、年金の充実というようなことは非常に国民的関心を呼び、また非常な問題となりましたが、残念ながら年金に対するような当面の問題としての関心を呼ぶに至らなかったというのがこの児童手当の現在までの姿であったろうと思います。 ただ、御指摘のように今後の高齢化社会ということを考えます場合には、やはり世代間の連帯を基礎とした生活の安定ということを考えてまいらなければならぬ時代に到達していると考えておりますので、そういう面からは次代を担う子供につきましては、単に家庭の責任のみでなくて社会的にもその養育に協力するという体制を組み込むことが今後の社会を考える場合にはますます重要になってくるのではなかろうかと考えております。
○河野(正)委員 今後の政府の努力を私どもは強く期待したいと思うし、またそうやっていただかなければ、羊頭狗肉じゃないけれどもせっかくの児童手当制度というものが国民の期待から外れてしまうことになるわけですから、一応そういった状況に対します所信を承ったわけでございます。 そこで、引き続いてお尋ねをしたいと思いますのは、今日、日本では平均寿命が急速に延びてきた。高齢者人口が増加する反面、出生率、生まれてくる方の数が予想以上に減少してきた。そういうことで、これから私どもも人口政策その他についてもう少し深く突っ込んでお尋ねをしてまいりたいと思うわけです。 高齢者はふえてくる、出生数は減ってくる。出生力の指標である合計特殊出生率で見ましても、現在人口の置きかえ水準の二・一を大きく下回る一・八、こういうふうにだんだん落ち込んでくる。これは西ドイツのごときは非常に顕著なものがございます。今の状況で参りますと、昭和九十年には生産年齢世代二十ないし六十四歳が、高齢者を六十五歳以上として、二・六人で一人の老人を養わなければならぬという非常に重い負担が生じてくるわけでございます。そういうように合計特殊出生率が人口の置きかえ水準として期待される二・一よりも大幅に下回るということは日本の将来にとりましても非常に大きな影響を持つわけでございます。そういう意味で、今後こうした日本の人口対策に対してどういう配慮を行っていくべきだろうか。この辺を一度お聞きして、それにまつわる点については後ほど具体的にお答えをいただきたいと思いますが、一応そういった現況についての御見解を承りたいと思います。
○小島政府委員 御指摘のように、お示しの合計特殊出生率の状況を見ますと、三十年代大変大きかった数字が低くなってきましたが、昭和四十年代を通じましては大体置きかえ水準前後のところで安定していたかと思われますが、五十年代に入りましてから、先生御指摘のようにそれを割り込んでまいってきております。将来を考えました場合、このような出生率の落ち込みというのはやはり高齢化社会を一層深刻なものと申しますか、促進するという問題も出てまいってくることでございまして、将来安定的な我が国社会の発展、国民生活の安定というものを考えた場合に、やはりこれは一つの大きな問題ではなかろうかという認識を持っております。 ただ、子供の数という問題については、なかなか直接的な施策というものは難しい問題も、これは先生御承知のとおりあろうかと思いますが、やはり今後は今まで以上に子供の本当に健やかな育成ということは、子供の数の問題を含めまして国民全体がもっと大きな関心を払わなくてはならぬ問題であろう。今までその辺はちょっとなおざりにされ過ぎているのではないかという感じを持っております。 したがいまして、政府といたしましては、我が国の人口構造というようなことについての問題点、動きというようなものについて十分国民に資料を提供いたしまして、一緒に今後どうするかということを考えていただく材料で十分考えて、国民全体として今後将来の我が国をどういうふうに考えるかということを考えてまいらなければならぬと思っておりますが、同時に、こういう状況でございますので、ますます家庭における養育基盤というものが不安のないような施策というものを充実していく必要があろう、こう考えております。
○河野(正)委員 戦前では、戦争ですから産めよふやせよということで人口対策も非常にわかりやすい。しかし、戦後は、特に高度成長期以後は出産数が減る、それからまた若干死亡率も減っておるようでございますが、しかしながら、一体どういう施策をとれば先ほど申し上げましたように置きかえ水準の二・一に到達するのか。これはやはり何か具体的な対策を立てなければ、先ほどから話がありましたように、四十五年まではそうでもなかったが、五十年以来はずっと下がり続けておる。五十七年に比べればちょっと上がったということでございますけれども、それでも大したことじゃない。こういう状況であるわけで、やはり私ども、それなら一体人口政策というものはどういう政策をとれば将来とも日本が今日の国民総生産といいますか、そういうものに対応できるのか。 〔丹羽(雄)委員長代理退席、稲垣委員長代理着席〕 どうも今まで私どもが知る範囲では、これだというような方針がないような気がしますね。例えば戦前は、先ほど言いましたけれども、産めよふやせよでわかりやすい。そういうように今出生率が落ちてきたが、それに対してどういう方針をとったらよろしいのだ、こういう指標というものが、今局長の方もいろいろ議論をしてという話がありましたが、やはりこれは、さあ出生率を高めよと言ってもすぐ高まるものではありませんので、ここで方針というものが打ち出されなければ、今申し上げますような状況にマッチしないのではないか、こういうふうに思うわけですが、どうも私どもがいろいろ仄聞する限りは、なかなかそう定まったものはないような気がする。この点、どうでしょうか。
○小島政府委員 確かに先生御指摘のように、明確な対応策というものがなかなか見出しがたい状況でございます。 諸外国の例を見ましても、先進諸国どこでも人口の減少傾向ということに大きな悩みを持っている。それでいろいろな施策、それに関連づけられた施策も実施されておりますが、必ずしも十分な効果を発揮するというところまでいっていないような状況も見受けられます。 要はやはり、今後の社会ということにつきましては、家庭ということだけではなくて、社会全体の中の家庭、さらに次の世代というようなことを考えながら、全体との協力の中で自分の生活設計もしていくというような、個々の社会に生きる者としての自覚といいますか、そういうものをみんなが持ってもらうようなことを考えてまいらなくてはならぬだろう。 したがいまして、子供につきましても本当に自分だけの、両親だけの子供でないということと同時に、その養育責任についても両親だけに任せるのじゃなくて、社会全体として応分の協力をするという体制を確立しながら、そういう形で子供のある家庭も子供のない家庭もそう生活に不安感とか何かがないというような状況をつくっていくのがやはり必要ではなかろうかと考えております。
○河野(正)委員 例えば発展途上国あたりでは労働力が要るものですから、そこでやはり子供を重視するということで、これも人口政策、わかりやすいですね。しかし日本の場合は、今言いますように置きかえ水準を大幅に下回って、将来どうなるだろうか。ヨーロッパでもそういう傾向があると思いますが、ヨーロッパはヨーロッパ、日本は日本ですから。 ですから、一体どういう方策があるだろうかということで私どもも憂慮をいたしているわけですが、中には、技術革新が急速に伸びてきたからそれは要らぬのじゃというような議論があることも承知しておりますけれども、それは仮定のものですから、やはりそういった意味で一体人口政策が今日本にとってどうあるべきかということは早急に煮詰めて方針が打ち出されなければならぬのじゃないか、こういうふうに思いますが、それは今申し上げますとおりでございますから、そこで私は、それにまつわる二、三の具体的な例を申し上げてみたいと思うのです。 その一つは、日本では、これは恐らく医療局であろうと思うのですが、妊娠中絶が年間六十万件というふうに非常に多いわけですね。それがだんだんと結局増加する傾向にある。現状、妊娠中絶が年間六十万件である。それがまただんだんに増加しつつある、そういう傾向にあるわけです。これも人口政策の一つとして、大筋の問題ではありませんけれども、それにまつわる問題として当然こういった問題に対してどう対応するか。人工妊娠中絶六十万ということは、六十万の子供がふえないということですからね。そういう意味で、この人工妊娠中絶六十万件という極めて膨大な数字を示しておるわけですが、こういう問題もやはり児童をふやしていくという意味において関心のあるべき問題だろうと思うのですね。こういう事態に対してひとつ大池さんのところ、どういうようにお考えであるか承っておきたいと思います。
○大池政府委員 人工妊娠中絶は医学的に母体保護等の理由からやむを得ない場合に行われるものでございますけれども、先生御指摘のように、こういった中絶ということは好ましいことではございません。必要な場合にのみ行われるということが大切なことであろうと思います。 ただ、中絶は届け出が義務づけられておるところでございますが、長期的に経過を見ますと、昭和三十年には百十七万件余の届け出がございましたけれども、その後ずっと減少を続けておるわけでございまして、最近の統計、昭和五十八年におきましては、五十六万七千五百三十九件ということで、この期間に半減という状況でございます。 このようなことでございまして、必ずしも人工妊娠中絶が形をとって人口の増減に影響を与えているというふうにも見えないわけでございますが、大切な側面であろうと思います。
○河野(正)委員 今お答えをいただきました三十年代が百十七万件、五十八年になるというと五十六万件ということですけれども、これは届けられた数であって、実態はそういうものじゃないと思うのですよ。特にピルの問題がありますね。新しいところでは御承知のようにプレグランディンという新薬の問題がありますね。そういう避妊薬というものが勝手に使われるという状況にあることは皆さん御承知だと思うのです。そういった問題は主として道義的な面ですね、生命の尊重といいますか、そういった面からいろいろ言われておりますけれども、今局長からお答えになった半数程度に減っておる、これはどの新聞を見てもふえる傾向にあると書いてあるのです。ですから、客観的にはやはりふえておるというふうに判断するのが適当でなかろうかと思います。 でございますから、これが人口に云々というふうにおっしゃるけれども、やはり国として確たる人口政策が打ち出されぬ限りは、それにまつわるいろいろな問題に対してある程度検討を加えながら人口政策に寄与する責任があると私は思うのです。そういう意味では、今の妊娠中絶状況というものは重大な問題をはらんでおるのではなかろうかというように思うわけですが、半減したというようなお答えでは、ちょっとだれが聞いても納得できぬのではないでしょうか。どうでしょう、その点。
○大池政府委員 私どもはそれぞれの人工妊娠中絶に当たられる指定医師の届け出義務の励行ということを期待しているわけでございまして、また行政の方で把握できるのはその届け出という仕組みによってでございます。したがいまして、その届け出の数は先ほど申し上げましたような傾向でずっと推移しておるということが一つございます。それから、先生御指摘の点は、年齢別に子細に分けてみますと、大方の年齢層では全体のトータルと同様な減少傾向を示しておるのでございますが、若い年齢層で御指摘のような一部増加が見られる、これはゆゆしい問題であるというような御指摘、御意見等は耳にしておるところでございます。
○河野(正)委員 そういうことじゃなくて、例えば厚生省の優生保護統計によりましても、十代の中絶というものが八年連続してふえてきておる、これは厚生省の統計でしょう。そして昨年のごときは千人中六・一人が経験者である、厚生省でこういう発表をなさっておるのです。ですから、そういうことを聞いておるのではなくて、あなたの方で発表してあるのだから、そして私は年代順のものは持ちませんけれども、少なくとも十代については八年間連続して増加しておると書いてあるのです。ですから、三十年から五十八年と比較すると半減しておるなんといったって、厚生省の統計によっても私どもはそういうふうに判断するわけにはいかぬと思うのです。 だから、その辺はもう申し上げないけれども、局長の勉強不足というのか資料の収集が悪かったというのか、私どもはそういう数字を踏まえて申し上げておるわけですから、少なくとも届け出られたもの、役所ですから、行政ですから、それで物を言うのが一番いいことはわかっていますけれども、しかしそれでは現状に合わないのですね。やはり現状に合わすためには現状というものを十分把握、認識していただくということが必要ではないでしょうか。一般のマスコミとかその他の評論を見ますと、私が言うようなことになっているのです。そして厚生省の優生保護統計によっても、先ほど言いましたように八年間引き続いてふえていると書いてある。それは十代ですから、いや二十代は減っていますよ、三十代は減っていますよという資料はございませんからわかりませんけれども、十代については八年間ふえてきておる。しかも昨年は千人について六・一人が経験者だ、こういう憂慮すべき点まで報告されているわけです。 ですから、これはかなり重大な問題だぞという意味で踏まえていただかぬと、先ほどおっしゃったような数字だけ示して、それは本当の役所的な発想であって、現状にマッチせぬも甚だしいと思わざるを得ぬと思うのですが、局長、いかがでしようか。
○大池政府委員 もともと人工妊娠中絶というのはやむを得ない手段でございまして、それ以前にきちっとした性教育の問題でございますとか性道徳の問題でございますとか家族計画の問題でございますとか、そういったようなことが背景に当然配慮されなければならない、その点についてはそれぞれの所管する行政部門において教育面、指導面その他で努力を重ねてきているところと考えておるわけでございます。
○河野(正)委員 先ほど示された数字がやむを得ざる理由によっての数字なんですよ。ところが、一般的にはやむを得ざる以外にいろいろな問題がたくさんあるわけですね。そういうものを踏まえて今後の行政というものを考えてもらわぬと、ただ数字でそう出てきたから、それを金科玉条のごとく行政を進められたら、行政というものが実情から非常にかけ離れてしまうと思うのですよ。 それはここであなたたちと論争しても始まらぬわけですが、一般的な声というものは大体私の言うような声が大きいと思うし、それからまた、先ほど申し上げますように、政府が発表した一例もこの八年連続してふえておると書いてあるのです。でございますから、半減したというような認識はこの際改めていだだかなければならぬじゃなかろうか、こういうふうに思います。 そこで、これは議論のあるところですけれども、かつてピルの問題がありました。それからまた一番簡単なのはプレグランディンという膣剤が出てきたのです。それで非常に容易に実施される。そういうことで、またぞろそういう傾向がずっと上り坂になるんじゃなかろうか。これはいろいろマスコミでも取り上げられたところでございますが、そういうプレグランディン等が許可されて、それ以降そういう傾向はどういう傾向をたどりつつあるのか、それがわかっておればお聞かせいただきたい、こういうように思います。
○大池政府委員 プレグランディンにつきましては、先生御承知のとおり使用され始めましたのは昨年夏ごろからと存じますが、それ以後の影響を判断する統計等がまだ得られておりませんので、その点については直接の資料を持ち合わせておりません。 ただ、プレグランディンにつきましては、これが用いられるに当たりましての論議もいろいろ踏まえまして、これを使用する医師は優生保護法の指定医師に限られる、それからまた、それを扱うに当たっては厳重な取り扱いをするという考え方に立ちまして種々の仕組みがとられているところでございます。厚生省は日本医師会、日本母性保護医協会とも密接な御相談を申し上げまして、昨年の使用開始に先立って当局、薬務局連名で指導通知も発してその辺の乱用の起こらないようなそういう指導を実施している最中でございます。
○河野(正)委員 今おっしゃったように、こういう問題は優生保護法の規制があるわけですから、そういう立場で善処するということでしょうが、私どもはこういう側面があるので非常に乱用されておるんじゃなかろうかという気がするわけですが、それはプレグランディンをつくりましたメーカーの株価が物すごく上がっているのです。いろいろ差しさわりがあるから名前は申し上げませんけれども、その企業というものが急成長しまして、そして五十円の株価が実は二万円を超しておる、そういう話も巷間伝えられておる。ですから、優生保護法の規制によって指導をしてもらうことも必要だが、やはりかなり乱用されておる。これは非常に簡単ですね、膣剤ですから、膣に入れるわけですから簡単です。そういう事例もございますので、やはり優生保護法の適用等も厳正にしてもらわなければなりませんが、かなり乱用されておるのじゃなかろうかという気もいたします。 それは私も別に警察力があるわけじゃありませんからわかりませんが、そういう逸話もあるわけですから、ひとつ今後十分配慮しながら指導をお願いしたい、こういうふうに要望をいたしておきます。人口政策については基本というものがきちんと示されておらぬから、私が自分で気づいた幾らかのまつわる問題だけをここで取り上げておるわけですから、そういうふうに御理解いただきたいと思うのです。 いま一つは、これも医療局長になると思いますが、今学童の突然死、これはぽっくり病とも俗説言われておるわけですが、こういうような状況が最近は非常に多くなっている。それが日本の人口対策まで関連するかどうかは別として、一応こういうことも我々は重視をしなければならぬ。 そこで、これはある統計ですけれども、心臓検診をやったら、七千四百四十三人を検診対象にしたら、管理しなければならぬ、そういう必要があるという学童が八百四十四人出た。これはかなりの数ですね。これは全国的にどういうことになっているか私はわかりませんが、あるデータを見ますと、そういうことが報告されておる。その中身は、とにかく八百四十四名の中で二百七名は心臓そのものに変化がある。それから、七百九名は心電図で検診をしたらば変化が出た。特に、今ぽっくり病と言いましたが、急死ですね、これと一番関係の深い特発性心筋症が十八名ということです。 これは児童の福祉ということにも関係があるし、それからまた、人口政策そのものにまで波及し得るような数的な問題であるかどうかは別として、やはりこういった問題も政府は早急に調査をしてそれに対応する対策を立てられるべきではなかろうか。案外こういうふうにいろいろな変化というものが検診をすれば出てくる、こういう事態に対して政府ではどうお考えになっておるのか、あるいはそれはどの程度できるのかわかりませんけれども、早急に実態調査をしていただけることになるのか、そういう点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
○小島政府委員 先生御質問の趣旨とそのまま合っているかどうか自信がございませんが、いわゆる子供のぽっくり病という問題については、厚生省としても児童の健全育成上重大な関心を持っております。 先生お示しのような大きな数字はまだ把握しておりませんが、外国では大体人口一万人に対しまして一年間に一例ぐらいの発生率だというふうにも伺っております。また我が国では、新生児一万人に対して一ないし三人くらいそういう患者が発生するという報告もございます。特にこういう重大な疾患、元気でおりまして睡眠中に死んでしまうというようなことでございますので、これにつきましては厚生省といたしましても昭和五十六年度から研究班を設けまして、この症候群についての研究を進めておるところでございまして、現在なお調査研究を継続中でございます。
○河野(正)委員 本来だったら保健医療局長のお答えだろうと思ったが、児童局長がお答えになったので大変ありがたい、むしろありがたいと思っております。こういう問題に対してもさらにひとつ御努力をいただきたいと思います。 それから、いま一つだけこの際お尋ねをしたいと思います。それはAIDSの問題です。なぜ私がこれを取り上げるかといいますと、これは血友病と非常に関連があるわけです。ところが、血友病の女性の場合は保因者といいまして、子孫にずっと残していくわけです。そういうことでございますから、こういう機会がなかなかございませんから、この際AIDSの問題も取り上げた方がよくはなかろうかということで、私あえて取り上げたわけでございます。 今申し上げましたように、血友病の女性の場合は保因者になる、そうするとAIDSが次々と子孫に引き継がれていくということですから、あえてこの際取り上げてみたわけでございます。AIDSについてまず現況等、これは医療局長でしょうな、お願いします。
○大池政府委員 AIDSにつきまして少しさかのぼって御説明申し上げますと、一九八一年、アメリカにおきまして、まだ当時AIDSという名称はつけられておりませんけれども、現在からさかのぼってみると、AIDSとおぼしき症状を持った者が報告され、注目され始めたということでございます。そして、現在のAIDSという診断名を用いられましたのは一九八二年からでございます。その後アメリカにおきまして次々と発見患者数がふえまして、現在アメリカだけで一万人という資料を入手しております。関連してヨーロッパでも注目され、現在までに十七カ国で七百六十二名報告を見ているところでございます。 我が国につきましては、先般報道もなされたところでございますが、それ以前から厚生省におきましてこの問題に注目し、AIDSの研究班を設けまして、診断の手引の作成とかあるいは血液問題の対応策の問題、こういったようなことに取り組んできたところでございますが、五十八年からは、その研究班を母体として調査検討委員会を設置して、全国の主要な病院にネットワークを組みまして監視に努めてきたところでございます。 その結果、本年三月に関係の病院から報告を受けました症例につきましてAIDSの疑いが濃厚というような意味におきましてAIDSの発生が発見されたところでございます。本年の三月に一名、そして先般の五月の末に五名が、同調査検討委員会におきまして疑わしいという結論をいただいているところでございます。その合計六名が我が国における発生の現況でございますが、そのうち三名が御指摘の血友病の患者さんでございます。いずれもお亡くなりになっております。それから、残りの三名は男性の同性愛行為者ということでございまして、一名はもう外国へ帰っております。それから、一名は入院中、一名は通院中と、こういう現状でございます。なお、六名とも成人の男子に限られております。
○河野(正)委員 実は、今御報告がございましたように、AIDSの患者というのは非常に少ないわけですけれども、これに一番関連いたしますのは血友病ですね。血友病はどうしても輸血をしなきゃならぬということで、輸入の血液製剤に頼らなきゃならぬというようなことになるわけですが、その血友病というのが要するに多いわけです。これが我が国におきましても、五千四百といいうふうに推定をされておるわけですね。その血友病がどうしても輸入血液を使用しなきゃならぬ、それをアメリカから輸入しなきゃならぬというようなことから、今後さらに、さっき六名中の三人はホモという話がございましたが、やはり血友病が五千四百という大きな数字を示しておる限りは、今後もAIDSの患者が多発するのではなかろうかというふうに私は心配をするわけです。 しかも、今発生した分は男子ですけれども、血友病は主として男子、中には女子もおりますが、その女子の場合は保因者としてその種をずっと子孫に残していくということですから、血友病が存在する限り、アメリカに限らず、日本におきましてもさらにAIDS患者がふえていくという傾向にあるのではなかろうか、こういうように思います。 そういう意味で、厚生省では研究班あるいは調査検討委員会等を設置をされて今後の発生防止のために努力をされておることは歩といたしますが、この血友病が多い限りにおいて、さらにやはりAIDSの患者というものがふえていくだろうということでございますので、さらに一層防止のため政府、厚生省が努力されるように特に期待をいたしておきたいと思います。これはぜひ一層そういうことでよろしく御検討を願いたい、こういうように思います。 それが大体人口問題にまつわることで、真ん中のことはひとつ私どもも模索しなきゃなりませんが、政府もなるたけ早く人口政策というものをきちっと確立されまして、合計特殊出生率が置きかえ水準というものを下回って将来日本が経済的にも大きな打撃を受けるというようなことがないように、ひとつ御配慮を願いたいというふうに思います。そういう意味で、人口政策の一環として、今申し上げたようなことをそれぞれお尋ねをいたしたわけでございます。 それから、具体的に今から入ってまいりたいと思います。午前中にもいろいろ議論された面がございますが、ひとつできるだけ重複しないような形で議論を進めてまいりたいというふうに思います。 そこで、先ほど、何といっても児童手当制度に対して国民の関心が薄い。それがいろいろな問題があろう。例えば手当の額が少ないとか、あるいは支給範囲が狭いとか、いろいろあると思いますが、そこでまず第一に私がお尋ねをしたいと思いますのは、その手当の額の問題についてひとつ論及してまいりたいというふうに思います。 この手当制度が四十七年一月発足いたしまして、そして当初は、第三子以降、五歳未満が三千円、それから四十九年十月、急激な物価上昇ということを理由にしてそれが四千円に上げられた。それから五十年十月より五千円。そのほか、所得保障としての機能を果たすためということで、五十三年十月から低所得者については六千円、その後また物価上昇のためということで六千五百円、五十六年十月から七千円、そういうことでございますが、一般的な手当は、五十年の十月から五千円、これがもう十年続いておるわけです。 当初はどうだったか知りませんけれども、とにかく五千円という手当額が十年間も続いておる。この辺は、どう考えてみても、今もう福祉政策は全部スライド、スライドですよ。ところが、十年間も五千円、そしてその五千円がべらぼうに高額であれば別ですが、こういう点についてどういうふうにお考えになっておるのか。十年間五千円続いた、その理由です。お願いいたします。
○小島政府委員 手当の額につきましては、制度発足当時から御議論がありました。第一義的にやっぱり子供の養育というのはその両親の責務、しかし、それを社会的にも協力するということでございますので、手当の額の考え方としては、児童養育費の三分の一ないし二分の一程度ということを目標に掲げるべきじゃなかろうかというような御論議があったようでございます。 御指摘のとおり、発足当時の三千円とか、あるいは五千円という額に至るまでは、そういうことをめどとしながら改善の努力がされてきたという事実もございます。以後十年間五千円据え置きという状態は、御指摘のとおり、その手当の目的、機能という面から考えまして、決して十分な額だからこれでとめておくという性質のものではなかったことは、やむを得ず低所得者階層だけの引き上げを行ったということの経緯に照らしましても明らかだと考えております。 社会保障関係、年金を初めといたしまして、非常にそちらの方に財源が食われるという事実もあったことが一つと、さらにそういう手当の引き上げの緊要性につきましては、やっぱり年金ほどの国民的な理解を得られるような状況ではなかったというような状況から、こういう額であったというふうに認識しておりますので、我々としても、今後の手当額を考える場合には、この額をもって満足だということでは決してございませんので、やはり趣旨、目的に合うような形で、今後手当額はどうあるべきか、支給範囲はどうあるべきかということは十分検討してまいりたいと考えております。
○河野(正)委員 午前中も議論がございました。額が非常に少ない。諸外国と比較しても、イギリスは一子から全部実施をする。そして月に一万百四十四円。一万円突破していますね。これはもうすべての児童に給付するわけですが、それにもかかわらず、これは一九八三年のことですけれども一万百四十四円。それから西ドイツ、これはもう置きかえ水準というものを非常に下回っておるわけですが、そういうこともあるかどうかわかりませんけれども、三子だけ取り上げましても二万六百五十八円、もちろん一子からずっと給付しておるわけですけれども。それからフランスも第三子、これもすべての児童に対し給付をしておるようですけれども、その第三子に対しても一万八千七百七十一円。それからイタリアは月に三千百六十三円、これは低いですね。それからスウェーデン、これは三子を取り上げてみても一万二千九百八十一円というふうに、諸外国の例を見てまいりましても非常に高いのですね。 それで、しかも日本の場合は二子、三子ですけれども、諸外国の場合は第一子からやる、しかも三子だけを取り上げてみても非常に高い。もう二子のごときは問題にならぬですな。二千五百円ですからね、日本の場合は。これは問題にならぬ。そういうことを考えてみても、これは速やかに抜本的に検討するということですから、速やかに改善をしていただかなければならぬ問題ではなかろうか、こういうふうに思います。 そして、午前中にも出ておりましたが、第一子から支給しておる国が五十八カ国あるのですね。そして、しかも今、金額が非常に高いという時勢、それから第二子から——今度日本もそういうことでしょうが、それにしましても、資料にはございませんからわかりませんが、フランスならフランスを見ましても、第二子が一万五千十七円、非常に高いですね。日本の場合には二千五百円ですからね。こういうように支給範囲が狭くて、しかも支給する額が少ないということですから、これはダブルパンチみたいなものですね。そういう点は午前中からも指摘されておったわけですが、そういう意味では、冒頭で私がお願いしたように、やはり早急に積極的に、追いつき追い越せじゃないけれども、そういう方針をとっていただかなければ、とてもじゃないが諸外国の半分以下ということですね。ということですから、これはかなりの決意というものが要るんじゃないでしょうか。 でございますから、その辺はひとつ大臣、具体的なことは局長といろいろやりますが、決意のことですから、一言お答えをいただきたい。
○増岡国務大臣 御指摘の点は私ももっともだと思います。特に、中央児童福祉審議会におきましても長期的な観点からいろいろ御指摘をいただいておることでございます。ただ、現在の時点におきましては、当面の財政事情その他ということからこういうことになっておるわけでございますから、今後の努力目標としては先生の御指摘のとおりにやってまいりたいと思っております。
○河野(正)委員 それから、既に高齢化社会を迎えておるヨーロッパ諸国においては、世代と世代、それから有子家庭と無子家庭、こういった点に対して社会的公平、それから社会経済基盤の安定、そういう立場から児童の養育費を社会的に負担をする、そういう制度というものが逐次完成されておる。 これは率直に言いまして、有子家庭は、不十分ですけれども第二子、第三子が手当をいただける、それから一子だけのところはいただけないのですね。これは公平の原則からいいますと、やはり一子であろうが二子であろうが三子であろうが当然給付の対象にならなきゃならぬというふうに思うわけですが、そういった意味で公平の原則が侵されるという点については、ひとつどういうふうにお考えになっておるのか、お答えをいただきたいというふうに思います。
○小島政府委員 これは五十五年の中央児童福祉審議会の御意見でも触れられておりますように、やはり児童手当本来の制度から考えれば、第一子からということで対象とするのは当然であろう、こう考えております。 ただ、現在の改正案につきましては、中児審の御意見でも見られますように、財政状況あるいは出生率の状況ということを考えれば、二子からということも政策的妥当性があるのではなかろうかという御判断もございますし、我々としても支給期間、それから支給額——不十分ではございますが支給額との兼ね合いから、当面今回の改正では第二子以降を対象とさしていただくというような改正案を提案さしていただいておるわけでございまして、制度本来の趣旨でこれで十分であるということを認識しているわけではございません。
○河野(正)委員 今、公平の原則という立場から取り上げてみたわけでございますが、これはこういう議論もあるわけですね。一九七六年、児童手当制度に関する調査が行われて、その結果、児童手当を支給するというは当然であって、また必要なことである。だが、子供たちに、一子の問題がありますが、未解決の問題がありますが、児童手当を支給する、それは当然である。しかしながら、それだけでは不十分ですよ、子供の健全な育成のためには。そのこれだけでは不十分ですよという問題点については、むしろ子供たちの環境整備、児童の環境整備というものを優先さすべきではないか、そういうことが言われておるわけです。要するに、金だって今申し上げますように、ほんのわずかの金ですから、それで児童の健全育成が行われるというのはちょっとおこがましいと思うのです。ですから、それだけではいかぬ、やはり児童の健全育成のためにはいろいろな環境の問題点も解決してやらなければいかぬというふうに言われておるわけですね。そういう声がやはり三割ぐらいある、こういうふうに言われている。 ですから、手当の額も少ない、それから支給範囲も狭い、そして子供たち、児童の健全育成ということに対するいろいろなまつわる環境整備というものも十分でないということになれば、これはもうあえて問題にならぬ。ですから、私どもはやはりすべての児童に支給範囲を広げてもらいたい。それからまた、二子、三子の今の五千円、二千五百円の問題、これも金額が少ないということですね。ですから、それも早急に解決してもらわなければならぬ。同時に、今申し上げますように、児童の健全育成というものには環境整備というものも十分整えてもらわなければならぬ。そういう点に対して政府はどういうようにお考えになっているのか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
○小島政府委員 御指摘のように、健全育成が単に金銭給付でできるなんということは考えておりません。ただ、これにつきましては、子供の養育というものにつきましては、家庭だけの責任じゃなくて社会も本当に子供の成長について関心を持っているという表明にもなるという意味で、ひとつ本当に社会全体が子供の健全育成に関心を持っていることを表明するという趣旨からも、額は問題はございますが、そういう意味でも非常に有意義な制度ではなかろうかというふうに考えております。 と同時に、子供を健やかに、かつたくましく、しかもその資質を十分開花させるような環境の整備というのは、これは児童健全育成上の施策の眼目でございますので、その必要性は御指摘のとおりでございます。我々といたしましても、そういう物的な環境の整備を進めておりますと同時に、もう一つには、精神的と申しますか、やはり社会全体が、児童の育成を親だけに任せるのではなくて、温かく見守り、それを助けるという精神的な機運の醸成ということもぜひ図ってまいらなければならぬと考えております。
○河野(正)委員 やはり環境の整備ですね。これにはいろいろな施策というものがあると思うのです。この手当法の提案理由の中にも明らかにされておるわけですが、児童福祉の理念に基づいて各般の対策が講ぜられなければならぬ。そういうことで、例えば児童センター、こういう施設を新しく五十三年から逐次整備をしたというような別表もあるようでございますが、そのほかどういう点に力点を置いてその環境整備を図ろうとされておるのか。 これは手当よりもむしろこっちの方が優先するというような意見もあるわけですから、そういった意味でどういう努力をされておるのか、その努力の内容について具体的にお答えをいただきたい、こういうように思います。
○小島政府委員 一つは、やはり子供の生活は遊びであるというようなことでございますので、心身を鍛えるような健全な児童の遊びを通じての諸活動が十分できる環境を整えるというのが一番中心であろう、こう思っております。したがいまして、先生お挙げいただきましたような児童センターというような屋内施設とともに、児童遊園、児童公園、これは建設省でございますが、それぞれまた公的な、あるいは私企業の遊休地の有効活用という御提言もいただいておりますので、そういう協力を得ながらそういう活動を進めてまいらなければならぬ。 ただ、その場合に、ボランティアと申しますか、児童の遊びを指導したりいたしますそういう奉仕活動をしていただく人たち、あるいは地域のそういうような指導者というものもぜひ必要でございますので、そういう母親クラブとか児童クラブというような組織づくりを行いながら、活用できる物的施設を有効に活用して子供の健やかな育成を図ってまいりたいと考え、そういう施策を進めておるところでございます。
○河野(正)委員 努力するといったって金がかかることですから、一朝にして簡単にできるものじゃなかろうと思いますけれども、しかしながら、児童の健全育成のためには、手当もさることであるけれども、いろいろな施設をつくることによって児童の健全育成のために努力しなければならぬということの一環として、先ほどお答えがございました児童センターの問題もございましょう。しかし、児童館にしても、保育所にしても、養護施設にいたしましても、虚弱児施設にいたしましても、なお不足がちで十分でないということは、私どもが日常茶飯事のごとく、例えば公立の保育所に入りたいけれども入られぬ、そういう問題がございます。児童館はできたけれども、普遍的にできぬものですから、一部の者は利用できるけれども一部は利用できないというような問題もございます。それから養護施設のごときは非常に施設が不十分でございます。 そういうことで、環境整備といいましてもなかなか一朝にしてできるものじゃない。金がかかることであるし、それから必ずしも児童局だけの問題ではありませんので。ですけれども、そこもやはり完成しなければ児童の健全育成には十分でないというのですから、ひとつぜひ今申し上げますような点についてもさらに格段の努力をしていただきたい。 特に、今後どういう施設について特に力点を置いて努力されるのか、その辺もひとつ御見解があればお聞かせいただきたい、こういうように思います。
○小島政府委員 先生御指摘いただきましたが、保育所等につきましては、数の問題としては大体十分になってきたのではないかという認識を持っております。ただ、一部人口急増地域になるとまだ部分的に不足の面がありますけれども、児童の保護収容施設につきましては、一応数の問題としては大方十分な数のものになってきている。ただ、重症心身障害児関係の施設というようなまだまだ課題が残っているところがあります。したがいまして、今度は地域におきます児童の健全な遊びを中心とした諸活動の拠点となるような、子供が自由に伸び伸びと使えるような施設の整備ということに一番の力点を置かなければならぬのじゃないかということで考えてまいりまして、児童センター等はまだまだ不足しておりますので、こういう施設を中心に整備を図ってまいりたいと考えております。 もう一つ、子供の精神面の健全な育成につきまして、自然に接する機会が少ない。これは農村でもそうだというようなことが問題視されておりますので、十分そういう自然に触れての活動の場、また活動の機会というものを設けるようなことを今後さらに考えていかなければならぬじゃないかと考えている次第でございます。
○河野(正)委員 数的にはもう随分ふえてきたということですが、例えば夜間保育所だとか、そういうのが御承知のように無認可のものが多かったり、そうしますと、児童の健全育成は一体どうなるのか、そういうきめの細かい配慮というものが今後はさらに努力されなければならぬ点ではなかろうかというように思います。特に無認可のそういう施設があったためにいろいろ不幸な事態が起こったりということを私どもはしょっちゅう耳にいたしております。そういうことで、一応一般的には解決したけれども、まず一般的に解決することが第一ですが、さらに第二は、やはりきめの細かい施設の改善というものに対して御努力を願わなければならぬのじゃなかろうか、こういうように思います。 そこで、それは今後ぜひ努力をしていただきたいと思うわけですが、一つは特に心身障害児対策ですね。この点に対して、心身障害児ですから、やはり特に健全育成についてはより以上の努力というものが払われなければならないのじゃなかろうかというように思うわけでございます。 そこで、心身障害児対策には一体どういうことがあるかといいますれば、在宅対策、それから施設対策ということに大体大別されるだろうと思うわけですが、いずれにいたしましても、一般的な施設も重大でございますが、特に心身障害児の施設対策については重大な問題でなかろうかというように思うわけでございます。でございますから、そういった点について今後の政府の方針、あるいはまた今日どういう努力をしてきたかというようなことについて、御見解があれば承りたいと思います。
○小島政府委員 保育所等につきまして、先ほど申し上げたように量的にはもう十分な数が全体としてはできておりますが、御指摘のとおり延長保育とか夜間保育というような問題につきましてはまだまだ不十分でございます。今後は保育所も全体としては少しゆとりが出てくるような状況も見受けられておりますので、そういうものを十分に活用しながら夜間とか延長保育なんかという需要に対応できるきめ細かな体制をできるだけ早く整備してまいりたいと考えております。 また、心身障害児対策につきましては、これは収容施設は一応数ができてきた。ただ、家庭から身近なところへ通わせてやりたいとか、御家庭の要望もございます。したがいまして、身近なところで両親やなにかと家から通ったり、また両親と一緒に活用できるような施設ということも整備してまいらなければならぬと考えておりますので、家庭における障害児の養育の状況、あるいは需要の状況等を十分検討しながら、それぞれの需要に対応できるような施策をきめ細かく講じてまいるように努めてまいりたいと考えております。
○河野(正)委員 私は今、在宅対策あるいは施設対策、こういうことを申し上げたわけですが、特に心身障害児というものは発生予防、それから早期の療育というものが極めて重大ではなかろうかというふうに思うわけです。それで、発生予防といいましても、具体的にはなかなか難しい問題がたくさんあると思うのです。そういった意味で、この発生予防ということについてはどういう御見解を持っていらっしゃるのか。あるいはまた早期療育、これは当然ですね。やはり施設がなければ療育ができぬわけですから、それは当然だと思いますが、できましたらば、言葉の上では発生予防と簡単に言えますけれども、やはり具体的には一体どういう処置が行われるべきであるのか、その辺についてもひとつ御見解があれば参考のためにお聞かせいただきたい、こういうように思います。
○小島政府委員 御指摘のように、健全育成対策の最初のスタートが母子保健対策でございます。できれば障害の発生を予防する、また、予防できないまでも早期に発見して早期の対応を行うということが本当の子供の幸せあるいは健やかな成長を期待する上では最も重要なことだと考えております。したがいまして、子供の生育、成長過程において重篤な影響を及ぼす諸障害につきましては、その発生原因の究明、予防対応策の研究というようなことにつきまして重点的な事項から逐次取り上げながら学問の成果を取り入れた対応策を行っているところでございます。 また、そういうことを現実に個々の児童に具現していきますためには、どうしても早期の健診体制というものも重要でございますので、これは現在、乳児健診とかあるいは一歳半児、三歳児というようなことをやっておりますが、これも学問の成果をできるだけ速やかに取り入れるような形でより有効なものを、地域の、またお医者さん方の協力も得ながら十分実施してまいりたいと考えております。
○河野(正)委員 とりわけ私どもが今日感じておりますのは、身体障害児あるいはまた精神薄弱児、私自身も精神科という仕事を持っておりますので、これはどうあるべきかということについては非常にいろいろ考えもめぐらしておりますけれども、なかなか難しい問題であるようです。 そこで、身体障害児が大体十一万超しておると言われておる。それから精神薄弱児は大体十七万超しておる、こういうふうに言われておる。かなり多いですね。それはいろいろ別な保障制度がありますけれども、環境整備によって身体障害児あるいは精神薄弱児、そういう児童に対してどういう処置を行うのか、これは非常に難しい問題ですけれども、やはりその問題を解決してやらなければ児童の健全育成というものはあり得ないというふうに思いますが、そういった点についても何か御見解があればお聞かせいただきたいというふうに思います。
○小島政府委員 健全育成施策の中では一般児童対策と要保護児対策というのは車の両輪として十分にそれぞれを実施してまいらなくちゃならぬというのは御指摘のとおりでございます。障害児対策につきましては医学あるいはいろんなトレーニング方法の開発等により身体障害の面につきましては相当程度の成果は上げつつある、こういうふうに考えております。ただ、我々最も悩みとしておりますのは、やはり精神薄弱関係の人々の援護措置、これは大人につながる問題でございますので、さらにそういうような予防対策あるいは機能回復対策というものに力を入れて進めてまいらなければならぬ、こう考えております。
○河野(正)委員 幾つかの問題を取り上げてまいりましたが、児童の健全育成という面は、一つ手当の問題がございますが、今申し上げましたように、それは金の問題ですから、もう早急に解決してもらわなければならぬ。それからいま一つは、児童の健全育成のためには環境整備というものに対して最大の努力をしてもらわなければならぬ。その二つが私どもの要望どおりになった場合に本当の児童の健全育成対策になったというときだと思うわけでございます。 そこで、もう少し具体的な問題についてお尋ねをしてまいりたいと思いますが、これは午前中も出たようでございましたが、所得制限がありますね。今回の制度改正というものは児童の健全育成を基本とする、こういうように言われておるわけです。そういった意味からいいますと、所得制限をすることは児童の健全な育成の目的から外れはせぬか。要するに所得の高い人は手当がもらえぬ。これは本人なら別ですけれども、児童手当ですからね。そうしますと、公平の原則からいいますといささか外れやせぬか、こういう感じがいたします。 そうしますると、午前中も出ましたが、貧困救済というような形に陥ってしまう。実際には親がもらうわけでしょうけれども、形式的にはやはり児童手当ですから児童がもらう、児童が何らかの恩典に浴さなければならぬということですから、親の収入が多かろうが少なかろうが、そういうことで区別されることは適当でないというような感じが私はいたします。そうしますと、まあ一種の貧困対策ということになってしまうわけですから……。世界的にも、児童手当を実施をしている国が六十六カ国、所得制限はその中で、午前中もお答えがあったように七カ国、こういうことで、やはり所得制限というものは適当でないというのが世界の大勢というように申し上げても、私はこういう実施をしておる国の数から申し上げましてもそういうことがはっきり言えるだろうと思うのですよ。 ですから、手当の額をふやしてもらったり環境整備をしたり、いろいろございますけれども、この所得制限というものも児童手当法の本旨からいえば当然考え直さなければならぬ問題ではなかろうかというように思いますね。この点、午前中もいろいろお答えがあっておったようですが、私どもは、やはりせっかくの児童手当の改正であるならばそういうニーズにもぜひ対応してもらいたいという気持ちがございますから、あえてもう一度ここで御見解を承っておきたいと思います。
○小島政府委員 世界各国の状況を見ますと、所得制限を設けているところはもう例外的な存在なのは御指摘のとおりでございます。我が国の児童手当制度のあり方につきましても、五十五年の中央児童福祉審議会の意見具申におきましては、やはり事柄の性質上所得制限というのは設けない方がよろしいという御判断をいただいております。手当制度そのものとして考えた場合には、やはり御指摘のとおり、そういう御意見のとおりではなかろうかと考えておりますが、一般的にそこら辺いろいろ御議論のあるところでもございます。 特に我が国は諸外国と違って税制の控除制度があるというような面から、全く所得制限を行わないというのもいかがであろうか、あるいは特に特別の高額者の方々は御遠慮願ってもしかるべきじゃないかという御議論もあります。要すれば、今後どうするかについては、我々としても十分さらに検討を進めた上で抜本的な見直しに当たりまして、試案を策定し、国民の皆様の御意見も広く承りながら最終的な態度を考えてまいりたいと考えております。
○河野(正)委員 いま一つは費用負担のあり方、これは将来負担のあり方も含めて検討したいというふうに法律案の中には示されておるわけですけれども、これはいわゆる被用者、サラリーマンにかかわるのが事業主、それから非被用者ですね、自営業、農業にかかわるのが公費負担。これは一方では事業主、一方では公費負担というふうになっておるわけですが、負担の公平化、適正化という観点から、こういう負担のあり方については問題があるのではなかろうかというふうに思います。恐らくこの法案で示されておりますように、負担の問題については将来どうするかということで検討したいということでもあるようでございますが、どういうふうな検討が行われるのか、ひとつこの際、御見解があれば承っておきたい、こういうふうに思います。
○小島政府委員 現在の我が国の費用財源構成は、言うならばフランスの制度に比較的近い形かと考えておりますが、フランスの制度は、我が国と異なりまして自営業者も拠出するというような仕組みがございますので、そこが多少違っております。 いろいろ費用負担のあり方については制度発足当初から御議論のあったところでございますが、こういう形が一番いいのではなかろうかというのでスタートしております。しかし、これをさらに拡大していくということになりますと、財源的にも相当の規模にならざるを得ません。したがいまして、今後の問題につきましては、将来の改善の方向といたしましては、さらに改めて財源の問題も含めて広く検討したい、こう考えておりまして、今具体的な案を固めるまでには至っておりません。
○河野(正)委員 これはやはり公平、適正化の観点から、当然検討せられるべきであろうというふうに考えるわけでございまして、いずれそういう負担のあり方を含めて検討したいということでございますから、ぜひお願いをいたしたいというふうに思います。 それから、これも午前中出ておったようでございますが、この手当の支給対象が就学前ということになると、児童手当というよりも、先ほどは乳幼児手当と言うても過言ではないという話があっておったようでございますが、この法律の改正の二つの目的がある。一つは、家庭の経済の基盤の強化と書いてありますね。第二が、要するに子供たちの健全な育成ということになっておるわけですね。そうしますと、家庭の経済の基盤強化ということになれば、家計を圧迫してはいかぬですな。そういうことから言いますと、午前中にも議論があっておったようでございますが、やはり家庭の経済を圧迫するような支給範囲ということはいささか問題があろう。ですから、やはり金が要るという時期というものが家庭ならあるわけですね。そういう家庭の経済に対応した支給方法というものがとられなければならぬのではなかろうかというふうに思います。 それが一番金の要るときに、これは午前中、局長の答弁がございましたが、家計を結果的には圧迫するという結果になっておるということでございますから、やはり法律の改正の趣旨の、目的の第一項目が家庭経済の安定強化ということならば、やはり題目どおりに配慮されなければならぬのではなかろうか。ただ目的は立派なことを並べて、そして実際は、実情はその目的には沿うておらぬという、この国民生活白書の例を見ますと、そういう結果に陥っておるのではなかろうかという感じがします。これについてはいかがでしょうか。御見解を承りたいと思います。
○小島政府委員 確かに今度の改正案では、学校に入るまでの期間ということで支給としております。いろいろな生活調査によりますと、本当に家計の苦しさを感ずるのは子供が高校在学とか大学に入ったときであるというデータも出ております。したがいまして、児童手当として機能いたします場合にはそこまで対象とすべきではないか、これは御議論が当然あり得るべきだし、十分検討しなくちゃならぬ問題だと思います。ただ、今現在の改正につきまして、現状の財政状況あるいは財源枠ということを考えますと、どうしても二子に拡大するということとの兼ね合いにおきまして、支給期間を専ら家庭に養育責任がゆだねられている就学前までの期間というふうに限らざるを得なかったということでございます。 今後の抜本的な検討に当たりましては、当然その支給期間の問題ということが一つの重要な検討課題になるものと考えておりますので、十分御意見を承りながら試案を作成し、また世論にも問いたいと考えております。
○河野(正)委員 それで、冒頭にも私が申し上げましたが、要するに、福祉政策の基本というものは憲法に示された精神に沿って行われなければならぬというようなことを指摘いたしたわけでございます。ところが、この予算案を見てみましても、国庫負担がだんだん減っていくという経過におるわけですね。むしろこの際、国がある程度国庫負担を強めながら、そして内容の改善というものを図ってもらわなければならぬということですけれども、必ずしもそういうことではない。 ですから、先ほどもちょっと申し上げましたが、イギリスも財源は国庫負担でやっている。それから西ドイツも国庫負担が財源ですね。それからスウェーデンも国庫負担が財源になっておるわけですね。ところが日本の場合は国庫負担がずっと減っていく、多少ではございますけれども。ということは、やはり羊頭狗肉の策ではないけれども、政府は児童手当制度を充実させて、それで児童を持つ家庭の経済の安定強化、それから児童のいわゆる資質の向上というか、健全育成ということに——国の立場からいうと、国庫負担が減っていくわけですから、それではいささか羊頭狗肉といいますか、仏つくって魂入れずといいますか、そういう結果に陥っておるのではなかろうかと思うのです。 やはり二つの目的を達成するためには、国庫からより多くの金を出して、そしてやらなければならぬ。しかも、児童手当制度というものが非常におくれて発足したということであって、社会保障制度の中でも非常におくれておるという経過もありますね。そういうことを考えますと、やはり政府がもっと財政に力を注がなければならぬのではないか、こう思います。この点はひとつ大臣、財政の問題ですので、難しいことじゃございませんので、大臣の決意を承っておきたいと思います。
○増岡国務大臣 国庫負担——租税という形で国庫負担になるのかあるいはまた今の特例措置のような負担、両方あるわけでございますけれども、しかし、国の姿勢としてはやはり国庫負担をふやしていくということの方がこの児童手当の趣旨をより多くの国民に御理解いただけるということではなかろうかというふうにも思うわけであります。しかし、何にしましてもこういう厳しい時世でございますので、その双方のかみ合わせをうまく考えながらやっていかなくてはならないというふうに思っております。
○河野(正)委員 それでは局長に尋ねますが、しからば、今私が申し上げたように、二つの目的を達成するためには国がより多くの金をつぎ込まなければいけない。それから、非常に制度がおくれてきた、それを追いつき追い越しするためには金がかかる。そういった面で、ただ口頭禅じゃないけれども、口先だけで言うのではなくて、実を上げるためには、やはり国の金をより多く出していく。だんだん国庫負担が減っていくというようなことは望ましいことではないわけですから。そういった点に対して将来局長がどういう姿勢で、今から予算編成もあることだから、それに臨んでいかれるのか、また見通し、それについてもこの際ひとつ見解を明らかにしていただきたいと思います。
○小島政府委員 この制度の運営を担当しておる立場に立ちますと、全く先生の御指摘のとおりでございまして、一日も早くより望ましい制度に持っていきたいという気持ちには変わりございません。しかし、全体的な国民の各層の御理解も、十分我々を支持していただけるまでには残念ながら到達していないというふうな認識を持たざるを得ない状況でございます。したがいまして、今回当面としてこういう改革をさせていただきながら、これを基盤として、さらにこの制度に対する世論の支持を得るよう基盤を整備しつつできるだけ早い機会に理想的な姿に近づけてまいりたい、こう考えております。 ただ、先生今、国庫補助が毎年減っていくのではなかろうかと。これは試算でそのとおりの形をお示ししてあります。これは、人口推計によりまして、子供の出生数が依然として六十年代を通じて毎年減っていくということを前提としての数字でございます。ある意味では一番厳しいと申しますか、減るような形での試算であろう、こう思っております。特に、生まれてから学校に入るまでの若い層に限定しておりますので、毎年の出生数の動向が、給付規模あるいは国庫負担の動向にも大きな影響を及ぼしますので、これは最悪の場合、最も減ってこうなるという形で御理解いただきたいと思いますし、我々としては、現行制度とにらみ合わせまして、より国庫補助が減るような姿でこれをつくり直したということには考えておりません。むしろ、もっと前向きな気持ちで、本当に現行財源の枠内を満席まで活用させていただきながら、将来に備えた改正であるということで御理解をいただければと思っております。
○河野(正)委員 そうしますと、私がさきにいろいろお尋ねをしたわけですけれども、合計特殊出生率は置きかえ水準の二・一が望ましい、それが一・八、非常に下回っておる。ですから、そこで私が人口対策の政策について何か御見解をお持ちじゃないだろうかということをお尋ねしたわけです。ところが、今局長がおっしゃったことを承っておりますと、一・八ということで置きかえ水準をだんだん下回るよ、だから、それを回復しないと西ドイツみたいに大変なことになると私は思っておるわけですが、ところが、当然減るだろうということで予算措置されるというなら、ちょっと私どもは納得いかぬ。だから、それは何とかして国の政策によって一・八を回復させる。そうしないと、日本の将来が大変なことになるわけですから、高齢者ばかりふえて大変なことになるわけですから、そういった意味で、ぜひひとつ置きかえ水準までの向上については努力されなければならぬ。 ところが、それは当然で仕方がないんだ、だから、予算も減らしておけ、これでは、私どもせっかく今長い時間かけてお尋ねしたけれども、一つも効果がなかったというような感じがするわけですが、その点、どうでしょうか。
○小島政府委員 答弁が大変舌足らずであったかと思います。我々、今度二子以降を対象にしたというのも、せめて一つの御家庭で子供は二人生んでいただきたいという願いを込めたというような事情もございます。社会全体がある程度の子供の数を期待するということが浸透しつつ置きかえ水準ぐらいのところで安定することが望ましい、この気持ちに変わりありません。そういう支えにこの制度が幾らかでも役立つということも我々は十分期待しております。 ただ、試算といたしましては、現在あります統計でつくりました出生数の推計をもとにやっておりますので、推計値でございますのでこうなりましたが、我々として、必要な出生数の確保ということを十分考えていかなくてはならぬという先生の御指摘は、ごもっともなことだと承知しております。
○河野(正)委員 今申し上げましたように、予算措置もさることですが、しかし、そればかりじゃないですね。環境整備というものがあるわけですから、当然そっちの方でも金が必要になりますね。それを両方合わせたものが児童対策ということでしょうから。でございますから、ぜひその両面にわたってさらに努力をしていただきたい、こういうふうに思います。 それから、これは基本的なことですけれども、制度が三年間を通じてずっと移行して変えられていきますね。そして、それには全く進歩がないわけです。要するに、同じ財源をこうやって、こうやって、こうやるということですね。ですから、この三年間で、ことしはこう、来年はこうだ、その翌年はこうだと、こういうふうな形の移行なら結構ですけれども、ただ財源そのものは同じ中で、同じ器の中で、多少、二歳未満が四歳になるとかあるいは就学前になるとか、そういう小手先の方法だけを用いられておるのです。私は、むしろ現状よりも一段一段積み重ねていくという改正が当然行われなければならぬのではなかろうかというふうに思うわけですが、どうもこれが同じ器の中で処理されておる。全く小手先の改正であって、こんなことをするから国民が関心を持たぬということになるわけです。 だんだん積み重ねる形の改正が行われれば、それは国民にとって魅力ですから、認識、関心がもっと高まっていくと私は思うのです。高まらぬからいろいろ予算要求その他で、今局長おっしゃったように、なかなかそういう機が熟さぬというようなこともございましたけれども、そういった意味で、何か小手先でこの児童手当制度が左右されるというような感じがする。ちょっとこれでは国民はいつまでたっても関心を持ちませんよ。魅力がないですよ。この点、どうでしょうか。
○小島政府委員 小手先という御批判をいただきましたが、我々としては苦心の策でございまして、現状の財政状況を勘案いたしますれば、これからの制度はこれからの制度として最初から十分な形で発足させ、経過措置はその外枠で別途財源措置をするというような余裕がない状況でございます。残念ながら、四囲のいろいろな状況を勘案いたしますと、現在の財源の枠内で、その中で切りかえを図っていかなければならぬという状況に置かれているというふうに考えておりますので、その辺の苦しい事情も御理解いただければと考えております。
○河野(正)委員 私だけが苦しい事情を理解しても、国民に対しては一つも進歩にならぬので、せっかく改正の目的の中で二つの項目を挙げられておるわけですから、その項目を達成するために、予算もそうですが、それからまたいろいろな政策、こういった点についてもさらに格段の努力をお願いしたい。私は、そうして初めて国民が関心を持ってくる、認識を深めていくと思うのです。どうも児童手当制度については国民の関心が薄い、認識が十分でない、機能も果たしておらぬというようなことを冒頭言われてまいりましたが、私は、やはりその法律の裏づけが国民に対して魅力ある制度にならなければ、この問題は解決できないと思うのです。 でございますから、私に幾ら局長が理解してほしいと言っても理解できませんから、ひとつこの際、大臣から、時間が参りましたから最後で結構ですから、一言、今後こういう努力をする、こういう決意で頑張るという決意の一端をお述べいただいて私の質問を終わりたい、こう思います。
○増岡国務大臣 この児童手当のことを御議論いただきますどなたの頭の中にも、このごろ子供さんの数がだんだん減ってくる、それでは心配だ、ふやさなければならぬということが念頭にあることは間違いないことであろうと思います。したがいまして、資質を十分に伸ばしてやるとかどうとかという面もございますけれども、日本の将来の人口の年齢構成ということを考えますと、やはりこの際、前向きな政策に転換をする必要があるのであろうというふうに思っておるわけでございますので、今後そのような姿勢で臨んでまいりたいと考えております。
○稲垣委員長代理 沼川洋一君。
○沼川委員 児童手当の審議が行われるわけでございますけれども、この法案の提案理由の大臣の説明をこの前お聞きしました。この児童手当の制度について抜本的な制度改革を行うべく検討を重ねてきた、こういうようにおっしゃったわけですが、これは私の率直な気持ちですけれども、社会保障制度の中で、この児童手当が将来に向かってどうあるべきか、こういうような抜本的改革なら結構なんですけれども、御承知のとおり、背景は第二臨調のいわば財政再建という至上命令に沿った厚生省の国庫削減政策だ、こう断言したっていいんじゃないか、こういうふうに思います。 御承知かと思いますが、昭和五十六年九月にこの児童手当に関する特例措置がなされた折に、社会保障制度審議会がこういう意見具申をしております。「児童手当制度の将来における基本的な構想がないままに、主として国の財政上の見地からなされた予算上の一定の枠を前提として、このような措置をとろうとしている点は遺憾である。」これが全く今回の改正案に当てはまると思うのでございますけれども、まず大臣のこれについての御所見をお伺いしたいと思います。
○増岡国務大臣 中児審の方で既に昭和五十五年に長期的な姿、本来あるべき姿というものを御指摘いただいておるわけでございます。したがって、私どもはそのことを念頭から外しておるわけではございませんけれども、ともかくその中の一部分でも、すなわち第三子からでありましたのを第二子に入れるということの作業をいたす際に、今日の財政事情というものの制約から不十分であった点は私も否めないというふうに思います。ですけれども、ある程度、一歩前進というところまでまいりませんけれども、半歩ほどはそういう意味合いでは進んでおるのではないかというふうに考えておるところでございます。
○沼川委員 半歩ほど前進しているということですが、一歩前進、一歩半後退みたいなそういう感じを私は受けるわけでございます。したがって、結果的に言うと前進は全然していない。むしろこれからなお後退するおそれすらある、そういう感じを受けるわけでございます。結局、臨調の言ういわば財政再建、いわば行政改革、そういう基本方針と、社会保障制度の中でこの制度をどうするのかというこの論議が、これは絶対かみ合いませんね、今の現状では。ちょうど臨調には臨調なりの国庫削減の基準なり理念なりあると思いますけれども、今の臨調の方針を突き詰めていくならば、とにかく国庫削減、その政策がどうあれとにかくまず国家財政の再建が先だ、こういう臨調の方向と、今ここで社会保障制度の中でこの問題は将来どうあるべきかという検討をする問題と、これはどこまでいったってかみ合わないのです。 臨調の答申というのは、いわばないそでは振れない、金がないんだからできない。そういう中でこの論議をやらなきゃならぬというのは、私は本当に残念に思うわけです。野球のルールで言うならば、野球とソフトボールぐらい違うならまだしも、野球のルールにサッカーのルールを押しつけでいるような、そういうかみ合わない中でこの論議をやらせられる、そして前進だとか改革だとかいったって、もともとこういうやり方はおかしいんじゃないか、こう思います。非常に残念です。これをまず冒頭に申し上げておきたいと思います。 そこで、句点かにわたってお尋ねしたいと思いますが、これはもう御承知のように、児童手当は昭和四十六年の五月に児童手当法により創設されまして、四十七年の一月に発足したわけでございますが、考えてみますと、これはもう日本の社会保障制度の中で、いわば残された最後の一部門として発足したという一つの経緯もございます。しかし、その目的あるいは意義、そういうものを考えてみますと、今大きな問題になっております年金あるいは医療、こういった問題と並んで社会保障部門の三本の柱、こういったっていい、そういうものじゃないかと思いますが、まず、この点についてどうお考えになるか、お聞きしたいと思います。
○小島政府委員 高齢化社会を迎えるに当たりまして、特に年金、さらには医療保険というものが社会保障の中で比重を逐次増しつつあるという御指摘のとおりでございます。一面、お考えのように、高齢化社会において、その中で国民生活を安定的に維持しながらその充実を図っていくという体系を確立いたしますためには、何と申しましても世代間の連帯ということを基礎に図っていかなければならぬと考えております。そういう意味で、次代を担う児童の育成につきましても、家庭だけでなくて、みんなが、世代が連帯してその責任を負うという体制をお手伝いするという体制を整えるということがやはり今後の高齢化社会に対応するために非常に大切なことだと考えておる。そういう意味で、御指摘のように児童手当制度というものも今まで以上に今後ますますその重要性を増してくるんじゃないかというふうに我々は考えております。
○沼川委員 簡単に答えてください。三本の柱の一つとしてとらえているかどうかということです。
○小島政府委員 三本の柱という表現、それぞれ人によって違うかと思いますが、我々……(沼川委員「むだなことはいいですから。それに対して」と呼ぶ)まさしく機能面においては年金と同様に重視していかなくちゃならぬものだと考えております。
○沼川委員 何かどうも遠回しです。そういう答弁の中に児童手当に対する厚生省自体の認識が薄いように思いますよ。臨調が今いろいろと国庫削減の問題を提起する前提として必ず出てくるのが高齢化社会の問題です。嫌というほど高齢化社会の問題を聞かされましたよ。そして、昨年医療保険の改正をやりました。そしてまた、年金の改正をやりました。高齢化社会の問題が出てくると非常に説得力があるのです。 〔稲垣委員長代理退席、浜田(卓)委員長代理着席〕 ですから、世間の論調も従来の論議と比べて非常にやむを得ないのじゃないかという一面があって成立したわけでもあります。ところが、結局これらの世代の、今の高齢者の方々の負担を持っていくのは今からの若い人たちですから、これはくっついていますよ。離れて論ずる問題じゃないですよ。そういう面での上から、私が、三本の柱の一つ、こう申し上げたわけですが、御答弁を聞いて大体わかります。厚生省の認識自体がどうも歯切れの悪いところが、やはりこの制度がおくれてきた問題点じゃないかと私は思うのです。 そこでお尋ねしたいのですが、今日までこの制度が発足して十三年になるわけです。振り返ってみますと、その後確かに経済動向の変動あるいは国の財政事情、こういった非常に問題点があったとはいいますものの、そういう点ではたまたま不利な条件下に置かれた、こういう面は私も理解はできるわけですが、その歩みを見ていきますと、ほかの社会保障制度と比べてこれほどもたもたもたもた敏捷さに欠けて十三年間歩んできた制度というのは、社会保障部門の中でちょっと異例であるし、これは珍しいのじゃないかと思いますよ。どこにその原因があると思われますか。
○小島政府委員 一つには、当時からいろいろ議論がありました支給対象児童の範囲につきましても、制度発足当時から経過的に年限を三年間で義務教育終了時までというような期間の延長はありますが、拡大も図られなかった。あるいは手当額についても、児童手当制度の意義、目的に照らした十分な額ということを必ずしも確保できるようなことができなかったというような点であろうと思っております。
○沼川委員 何かその辺もどうもちょっとはっきりしないのですが、はっきり申し上げると、私は三点に絞って言ったっていいのじゃないかと思います。 まず一つは、これが発足当時から、いわば支給対象児童の範囲を第一子からという要請あるいは答申の中で、結果的には第三子にした。まず一つの条件を挙げれば、第三子から出発したというのがこれは一つの問題点だと思います。 それから、なおもう一つは手当の額、これは発足当時三千円、今五千円、この手当の額の水準が余りにも低かった。これが一つ挙げられると思います。 もう一つ挙げれば、あれほどいろいろな答申の中で所得制限は設けるべきじゃないと言われておりながら、結果的には所得制限を設けた。ほかにもいろいろと理由があるでしょうけれども、こういった児童の健全な育成あるいは資質の向上、これを未来に向かって図るべき大きな目的を持って出発した制度にこういうたがをはめてしまった。これが今日成熟しなかった一番の問題点じゃないでしょうか、ずばり言えば。どうでしょうか。
○小島政府委員 制度発足当時からいろいろな議論がありまして、審議会の御意見もとりあえず三子からというような御意見であったかと思っておりますが、このような形が結果的に児童手当についての国民の一般的な認識を高めるに至らなかったという点は、御指摘のとおりだと思います。
○沼川委員 ですから、私は、未来に向かって本当にこれから育てていかなければならぬ、また国をしょってもらわなければならぬ、そういう児童に対するいわば長期的ビジョンに立ったこういうものがいとも簡単に臨調の行革のターゲットにされるなんか、これは本当にだれが考えたっておかしいと思いますよ。 ところが、今私が申し上げたそういう三つの点で考えていきますと、なるほどなとうなずける点もあるのです。ある面からいうと、臨調は筋論を言っている。なぜならば、対象者が本当に少なかったわけでしょう、一番から。それに所得制限をかぶせたらまた少なくなる。本当に義務教育終了までの子供が全部受けられるのだったら別ですけれども、わずか何%程度しか受けられないような形でずっと今日まで来ていれば、どうしたって臨調のとらえ方は、児童の健全育成なんか、そんなとらえ方をしておりませんよ。あくまでもこれは多子世帯の低所得世帯の貧困対策である。救貧対策である。額も小さい。これが果たして目的を達しているかどうか疑問だ。 こういうふうにずっと並べていきますと、臨調が当然こんなばらまき福祉みたいなとらえ方をして削減しろという方向に転じてくることは、私はある面では臨調も筋論を言っていると思うのです。ですから、そうでないという制度で育ってきていれば、恐らく今の行革の対象になっていなかったんじゃないか。ですから、この三点に問題は絞られると思いますし、これからもこの制度を拡充していくのだったら、この三つの問題をどうするかというのが大きな問題でなかろうか、こう考えるのですけれども、いかがでしょうか。
○小島政府委員 御指摘のとおり、今後どうするか、どうあるべきかということについての検討の眼目といたしましては、御指摘の三点、そしてさらにつけ加えれば、それを支える財源をどのような形で捻出していくかということに尽きると思います。
○沼川委員 これは御承知ですから今さら申し上げるまでもないわけですが、世界の状況を見ましても、現在は六十六カ国が実施しているわけですが、このうち六十六カ国が第一子からやっているという現状。第三子からやっている国といったって三カ国しかないわけです。第四子から一カ国。いわば経済大国と言いながら、やはり将来の国をしょって立つそういった若い児童に対する対策が、これはもう日本ほどおくれている国はない、恥ずかしいくらいおくれているわけですね。しかも第一子から実施していない国というのは、数えるとたった七カ国しかないのです。その中でもユニバーサルシステムをとっている、そういう制度を採用している国では日本だけなんですよ。 こういうお恥ずかしい現状、さらにその対象の数をさっきちょっと申し上げましたけれども、ちょっと資料をいただいたデータで見まして、これは各年々のデータですけれども、最近一番新しいデータで見ましても、五十八年度です、義務教育終了前の児童数が二千九百六十八万二千人いるわけですけれども、現在の日本の児童生徒に当てはめますとどうなるかというと、何と二千七百二十七万七千人がもらえないのです。九一・九%がもらえないのです。実際もらえる児童数というのはわずか八・一%、年々大体こういう数字でこの十三年間ずっと来ております。これが世論を巻き起こせといったって、どだいこれは一番から無理であって、しかも先ほど言いましたように、おまけにまた所得制限が入る。そうなれば、もう微々たるものです。どこから見たって、こういう一つの数字自体が低所得世帯あるいは多子貧困世帯の対策だというとらえ方をされるのは当然だと思うのですね。 そういう点で、私、先ほど三つに絞って申し上げましたけれども、やはり支給対象の範囲を本来どおり、この制度の目的からして第一子からすべきだ。局長、いかがですか。目的として立派な目的が第一条にございます。この第一条に掲げた目的からして、今みたいな児童手当制度というのは、この目的の趣旨に沿っているとお考えでしょうか。
○小島政府委員 確かに、御指摘のように、児童の健全育成ということを考えます場合に、あるいは家庭基盤の安定ということを考えます場合には、一子なり三子なりという区別はないわけでございますので、同じように考えていかなければならぬ。ただ、制度発足当時三子以降に限られましたのは、どこか手をつけるとすれば、まずここから手をつけるべきというのが妥当だという判断で三子からということになったものと理解しております。
○沼川委員 五十一年度に実態調査をなさっております。この実態調査の結果を簡単で結構ですからちょっと教えていただきたい。それに対してどういうふうなとらえ方をされているのか、お聞きしたいと思います。
○小島政府委員 児童手当につきましては、押しなべて一般的に必要だと思う、出すのが当然だと思うというのを合わせまして約五割、ほかの施策に変えた方がいい、手当は出さなくてもいいのじゃないかというのが残りの五割近くを占めていたというのが基本的な状況でございます。これにつきましては、やはり我々としては今後の社会における児童手当の役割というものについての十分な国民の理解を得るまでに至ってなかった、そういう面での努力が十分でなかったと考えております。
○沼川委員 実態調査では五割の反対、五割の賛成ということですけれども、これは考えてみますと、厚生省でどうとられるか知りませんけれども、もっと高くなければできないというふうに判断されるかもしれませんが、先ほども申し上げましたように、これだけ受給者が少ないのにもかかわらず、五割の人がこの制度は必要だということは大した数字じゃないかと思いますよ。年金等と違って、利害関係が甚だ多いというデータの調査ならいざ知らず、もらっている人は対象児童の中でわずか八%くらいですよ。それにもかかわらず半分の賛成がある。これは本当にそういう面では私は児童手当制度というのはむしろ必要だという面にとるべきじゃないか、そのように思います。 逆に反対する中にいろいろ理由がありますけれども、御承知のように人間の心情として、自分のところは三人で三番目からもらっている、隣は二人だけれどももらえない、もらえないとなると今度はひがみといいますか恨みに変わってくるわけです。そういう面から、要らぬ、反対だとおっしゃっている方を私は随分知っていますよ。だから、こういった実態調査をどう分析されているか知りませんけれども、半分の賛成があるというのはこれはすごいことですよ。そういうふうに私は理解するわけですが、いかがでしょうか。
○小島政府委員 その辺の評価、調査の仕方についてもいろいろ御批判があろうかと思っておりますが、そういうような状況でありますのに、また所得制限のあり方等について伺ってみましても七割から八割以上の方、特に有識者になりますと八割以上の方が収入の多い人にまで手当を支給する必要はないというような御意見もありますし、全体を勘案いたしますと、本来我々が考えていた児童手当というものと世論とは大分違うのではなかろうかというような認識も持っておりまして、まだまだこの制度を拡充するためにはこういう世論の支持を得るような理解を進める必要があると考えております。
○沼川委員 この問題をいつまでも論議しても始まりませんので、先ほど言いました三点の中の第二番目、手当の額が極めて低額であったため結局児童手当がいわば成熟しなかった、こう申し上げたわけですが、最初これが発足しましたときには三千円で出発したわけですね。この三千円には裏づけがあったわけですね。たしかあの当時のいろいろなデータを見ますと、いわば児童の養育費の二分の一または三分の一の金額であるという考え方からこの三千円が出てきておりますけれども、これは間違いございませんか。
○小島政府委員 御指摘のように、そういう考え方から一応三千円という金額をはじき出したと承知しております。
○沼川委員 ところが十三年たって五千円なんですね。特に児童手当法の第六条第二項に一つの規定がございますが、局長御承知のように、児童手当の額について「国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、すみやかに改定の措置が講ぜられなければならない。」こうありますね。実際、この十三年間、じゃ経済変動も何もなかったか、家庭の支出の増大はなかったか、賃金の動向を見ましても大きな変動があった十三年間です。 ところが、実際されたことといえば三千円を五千円に上げられただけ。言ってみればこの規定があるのにもかかわらずそういう水準を非常に低い水準に据え置かれているということは、この制度を運営していくいわば責務がある厚生省の怠慢じゃないでしょうか。どうでしょうか。
○小島政府委員 確かに五十年度に五千円に引き上げて以降、一般的には手当額はそのまま据え置きになっております。また引き続いて厳しい財政状況のもとにあったわけでございますので、五十三年度からは、審議会の御意見も参考としながら、全体的な引き上げというのはなかなか困難な状況にございましたので、低所得者階層を逐次六千円あるいは七千円まで引き上げるというようなことをやっておりますが、全般的に見まして五十年度以降手当額の改定が行われていなかった、ある意味では六条二項の訓示規定を十分尊重した処理をしてなかったのではなかろうかという御批判は、それは受けなければならぬと考えております。
○沼川委員 恐らくあなたはその当時の局長じゃなかったと思いますから、そんなに遠慮せずに答えていただいて結構です。これはやはり厚生省の責任だと思いますよ。諸般の情勢がどうあれ、国家の方針、いろいろそういった難しい問題等も考慮に入れてやらなければならなかった、そういう点はわからぬでもないわけですが、はっきり六条にこういうのがうたってあってその努力がなされないということは、まさしく責任放棄です。これは厚生省の責任です。私が先ほどから言いますように、今になって臨調から金額が少ないゆえにこういうのは要らぬのじゃないか、世間一般からはばらまき福祉の最たるものみたいに指摘されるのもやはりこういうところに問題があるのであって、もとはといえば厚生省のこういう問題に対する取り組みがいいかげんであった、これは私は指摘できるのじゃないかと思います。 さらに、この問題は御承知のように国会の附帯決議が何回もなされていますね。四十六年五月、第六十五国会、この国会では「児童手当の額は、児童養育費の増嵩の傾向を勘案して、今後さらに引き上げるよう努めるとともに、その改訂の時期については他の社会保障制度との関連を考慮すること。」こういうのがございます。さらに七十五国会でもこの改善を訴えてあります。さらに七十七国会でも訴えてあります。これはこの衆議院の社労委員会の附帯決議です。何回にもわたってこの水準の引き上げが言われておるのにもかかわらずこの線に沿っていないわけですが、お尋ねしますけれども、この国会の附帯決議というものはまずどういうふうに受けとめていらっしゃいますか。
○小島政府委員 関係法案を御審議願った際、また御決議願った際に今後それぞれの制度の持っていき方等につきまして当委員会の御決議として示された方針でございます。こういう努力目標だと思っておりますので、この附帯決議についてはその都度関係大臣からも十分それを尊重して努力するというお約束をしているはずだと思いますので、十分尊重しながらそれに努めなければならぬのは当然だと考えております。
○沼川委員 どうも歯切れが悪いので、尊重はするけれども実施はしない、何かこういう附帯決議なんかやるのがむだみたいな感じがするんです。やはり社労でこうして何回もこの問題が指摘されているということは、いやしくもこれは国会の指摘なんですから、法律事項じゃないからどうでもいいことなのか、それは許されませんよ。第一、法律事項だって守らぬのですから、逆に言えばそれは当然だとも言えますけれども、こういう怠慢というのは本当に厚生省もしっかりひとつ反省して、次への、前進への一つの参考にぜひしてもらいたいと私は思います。 先ほど指摘しました中に「他の社会保障制度との関連を考慮すること。」こうございますが、これはまた全然考慮されていないので、ちょっとびっくりするのです。 ここに一つの資料がございます。ほかに社会保障の類似したいろいろな制度がございますが、四十六年の発足当時、児童手当が三千円のとき老齢福祉年金が二千三百円、特別児童扶養手当が二千九百円、母子福祉年金が二千九百円、児童扶養手当が二千九百円。この当時からしますと、児童手当の三千円というものは、いろいろな面から考えて、やはり未来の健全な児童を育成する、資質を向上させるという考え方がこの当時はあったということがこの金額を見てもうかがわれます。 ところが、これが十三年たってどうなるかといいますと、老齢福祉年金が二千三百円が二万六千五百円、十一・五倍になっています。特別児童扶養手当が三万九千八百円、十三・七倍です。母子福祉年金が二千九百円が三万四千五百円、十一・八倍。児童扶養手当が二千九百円が三万三千円、十一・三倍。ほかの制度は大きく十倍以上伸びていますよ。ところが、この児童手当制度は三千円から五千円、何と一・七倍しか伸びておりません。 ほかの制度と比べて、いわば石油ショックあるいは経済変動という波を受けてきているのはみんな同じです。そういう中でも十倍以上伸びているのに、この児童手当制度だけが一・七倍しか伸びてないということは、先ほどの附帯決議で他の社会保障制度との対比ということが言われておりましたけれども、全然これだけは別枠にして手も触れなかった、上げようともしなかった、そういう考え方もなかった。これは問題じゃないでしょうか。
○小島政府委員 確かに、他制度がいろいろの年金を中心といたしましてその金額に合わせて改善が行われてきたことは御指摘のとおりでございます。直接それらのものと関連のない形でございました児童手当が五千円まで引き上げてそこでとまっていたというのは御指摘のとおりでございます。 これは全体の政策の位置づけの中で児童手当の評価が厚生省自体が極めて低いのじゃないかという御指摘を受ける向き、もっともだと思いますが、当面緊急を要する施策ということからいろいろな配慮をした結果、児童手当の額を残念ながら引き上げるまでに至らなかったというのが実態であったと思います。
○沼川委員 最初の制度の発足当時の目的、意義、しかもこれは何も貧困家庭の対策じゃない、そういう問題自体のとらえ方が最初から中途半端であったというのが御答弁の端々に出てくるような気が私してならないわけです。先ほども、いや、しかし、低所得者には七千円にしたとおっしゃるけれども、低所得者対策じゃないわけでしょう。もっと大きい目的を持ったものでしょう。 一応は家庭の経済の安定という面はあります。しかし、もっと大きな目的は、未来の児童を育てるという、いわば長期的な展望に立って持っていかなければならぬ制度に対して、五千円で据え置いた、こういう厚生省の取り組み自体が今日問題になってきているわけです。そのツケが行革のターゲットになって、こういうものは要らないということになっていることはひとつしっかり自覚していただきたいと思うのです。 さらにお尋ねしたいのですけれども、最初三千円を考えたとき、児童養育費の二分の一か三分の一という考えがあったということですが、現在これを考えてみますと、この考え方は今完全になくなったわけですか。
○小島政府委員 児童手当給付のあるべき姿としては、我々当然当初から考え方は変わっておりません。ただ、御指摘のように、そこに至るような改善措置が講ぜられないで現在に至っておるというのが事実でございますが、あるべき姿としては当初からそういう形のものが必要だという考え方は変わっておりません。
○沼川委員 理想としてはまだ持っていらっしゃるようですけれども、財政上やむを得ぬということのようですが、今回の改正案で第二子に拡大された、これは率直に言って評価したいと思います。ただ、問題はその金額ですよ。せっかく拡大しながら二千五百円。この二千五百円という基準は、五十九年十二月十二日の中央児童福祉審議会の答申によりますと、この金額については「ある程度価値ある額を確保する」こと、こうございます。その辺を考慮に入れて、この二千五百円の設定は「ある程度価値ある額」として設定されたのでしょうか。その辺、お聞かせください。
○小島政府委員 昨年暮れの中央児童福祉審議会の意見具申の中で「価値ある額」、少なくとも現行程度の額ということが念頭に置かれていたことは事実でございます。少なくとも現行程度の額は確保したい。そこで我々としても、今度の支給対象児童の範囲を第二子まで広げるに当たりましても、その支給期間をどうするかいろいろ考えました。これも御批判を受けることかと思いますが、やはり現行の財源の枠内で対応できるような改善策ということが限界であろうという認識のもとに組み込みました結果、第三子以降従来どおり五千円という額を一応確保するとすれば、新たに拡大する第二子については二千五百円が何とか確保できる精いっぱいの額であったというのが実情でございます。
○沼川委員 じゃ、こういうふうに理解していいわけですね。「ある程度価値ある額」というのは、児童の生活実態、養育されている家庭の実態、そういう問題じゃなくて、要するに財政の枠内でできる額である、こういうことですか。
○小島政府委員 いや、そういうことではございませんで、児童手当として出すからにはそれなりの意味のある額を考えるべきことは当然だと思います。ただ、その場合は、中児審の意見に見られますように、「ある程度価値ある額を確保する」とすれば、支給対象期間に絶対的なしわ寄せがいかざるを得ない。そこで、そこを相当絞り込んでも額を確保するのが妥当か、支給期間を重視するという形で額にある程度のしわ寄せを持っていかなければならぬか、この選択の問題であったか、こう思います。 いろいろ検討した結果、最終的に支給期間といたしましては、義務教育を受けられるまでの間の、専ら家庭においてその養育責任を負わされている期間の就学前までを、第二子から出したい。そういたしますと、拡大する第二子につきましてある程度の額ということを考えながらも、二千五百円という額が考えられる限度いっぱいだったということでございます。
○沼川委員 いろいろ御説明されますけれども、非常に回りくどいわけですよ。わかりやすく聞いているのですから、わかりやすく答えていただけばいいのです。「ある程度価値ある額」というのは、財政上できる額ということですかと私は聞いたのですから、そういうニュアンスの話もされればそうでないような話もされるし、はっきり言ってください。
○小島政府委員 ある程度の額というのは、中児審で考えられておりましたのは、確かに現行の支給額を下回らないような額で考えたらどうだという御指摘がございました。しかし、我々としては、その支給額もさることながら、支給期間も重視すべきだという最終的な結論に達しましたので、中児審の意見を参考としながらも、拡大する第二子については二千五百円という額を提示させていただいたということでございます。
○沼川委員 下回らない額といいながら、結局下回ったわけですね。 なぜ私がこのことをこうしつこく問題にするかといいますと、前に何回も指摘をしましたように、金額が少ないことが結局また行革のターゲットにされるのです。ばらまき福祉と言われる、そういう理由をまたつくることになるわけです。ですから、この金額については、限られた財源の枠とは言いながら、もうちょっと出発当時の養育費の二分の一ないし三分の一、そういった時点に返ってしっかりした検討をしていかないと、やはり児童手当はなくなりますよ、またこんなあれだったら。そういう面で、私はこの額を問題にしたいのです。少なくとも、せっかく二子からするんだったら、二子、三子、五千円と同額にできなかったものだろうかな、この辺が非常に残念に思います。むしろその辺の額がふえなければ、また、ばらまき福祉と……。 第一、先ほど言いましたように、今多子貧困の家庭なんか、我々の周りからどんどん消えてなくなりつつあります。そういうとらえ方をしている以上は、児童手当制度はなくなるということです。そうじゃないというものをどうつくっていくか。もちろん世論も巻き起こしていかなければなりませんが、やはり厚生省の取り組みいかんがこのかぎを握っているんじゃないか、私はそういうふうにも思います。悪く言えば、なくなっていくことを承知の上で、いわばこれをなくするための口実に、多子貧困という低所得者に限るとか、そういうのが盛んに使われているような心配さえするわけです。こういうふうな位置に児童手当制度があるということは大後退もいいとこです。この点で、私は今の金額の問題を申し上げたわけでございます。 これは参考までに申し上げておきます。 これは厚生省が、四十八年九月にいわば対象世帯の調査をなさっております。このときに、いわば家計の養育費、一子、二子、三子を含む家計が大体どれくらい養育費がかかっておるかというデータが出ていますが、家庭のいわば支出の中で三八・八%が養育費である。そこから考えてみますと、これは例えばの話ですが、現在平均給与が二十四万五千円としまして、大体家庭の支出がざっと二十万としますと、この三八・八%という面で考えますと、養育費の半分と見たって三万九千円、三分の一と見たって二万六千円、これくらいの金額が最初の出発当時から考えると妥当な金額であって、ほかの社会保障制度、老齢福祉年金とか児童扶養手当、こういうものと対比しましても、本当ならばこれくらいの金額になって当然じゃなかったか。そういうふうになってないところに、この児童手当が、もう何回も申し上げますけれども、本当に役に立っているのかな、多子貧困対策というふうに封じ込まれる原因をつくっているんじゃないか、こう思います。どうでしょうか。
○小島政府委員 児童の養育費というものの範囲、いろいろ御議論のあるところでございますが、我々の担当いたしております児童の養護施設に収容しておる児童についての処遇費を考えてみましても、大体一人当たり三万七千円程度ということでございますので、当初どおりの考え方でまいりますれば、やはり少なくとも一万二、三千円という額になっていなければならぬものであったろう、こう思います。 ただ、これらにつきましては、額のこともさることながら、こういう児童手当の考え方について、できるだけ一般対策だという形で、もう一回国民の前にお示しをし直して、その上でさらに本来あるべき姿についての検討を進めてまいりたい、論議を深めてまいりたいと考えておるところでございます。
○沼川委員 外国の例を見ましても、非常に金額は高いんですよね。例えば今西ドイツが非常に合計特殊出生率がどんどん低下していく。たしか一・四だと聞いていますが、そういうことから、特にこの児童手当に力を入れているようですが、この西ドイツの例なんかに見ますと、第一子から月四千六百九十五円、第二子は月九千三百九十円、第三子は二万六百五十八円、第四子以降は二万二千五百三十六円、ほかの外国の例を見ましても、ほとんどもう一万円以上のものが多いですね。こういう外国の例から見て、日本の児童手当というのはもう寒々とした思いをするわけです。この原因がどこにあるかと言えば、この児童手当制度自体の意義、目的というのが制度発足当時から今日に至るもなおはっきりしていない。ここにやはり起因するんじゃないか、こう思うわけでございます。 そこで、もう一つこれに絡んでお尋ねしておきたいのですが、せっかく第二子まで広げた。金額二千五百円、これは低過ぎて問題になりません。 もう一つは、支給期間を縮めてしまった。これは相当苦肉の策、何か無理して第二子まで広げたという感じがするんですね。せっかく義務教育終了までの期間が就学前の期間に絞り込まれた。先ほどもちょっと御論議があっておったようですが、幼児期と、いよいよ小学校に入っていわば教育を受ける、そういう時期と、率直に言ってどちらが養育費はかかると思われますか。
○小島政府委員 これはかかり方の問題、いろいろ計算の方法があろうか、こう思います。先ほどもお尋ねされておりましたように、子供の養育費が一番かさんで家計が苦しい、こういうのは、子供が高校とか大学に在学しているときだという調査もあります。しかし、小学校に入ります前までは、その全体的な子供の養育費につきまして公的な何らの助成もない。ただ義務教育に入りますれば、曲がりなりにも、教育という育成面でございますが、支出の補充面でございますが、公費負担が行われておるというような状況をも勘案いたしまして、特に若い御夫婦で可処分所得も少ないという状態にある、かつ共稼ぎも容易じゃないというような状態もうかがわれます就学前ということに、とりあえずこの制度として改正案としては限定させていただいたということでございます。
○沼川委員 とりあえずという言葉の中に——それは確かに苦しいあれはわかります。財政面の枠があるということで、それなりの苦労をされていると思いますけれども、ただ以前義務教育終了前までになっておった。何でそうなっていたかというのをちょっと調べてみまして気がついたわけですが、その「義務教育終了前の児童を含む」と今までの児童手当制度でうたってあったのは、義務教育終了前の期間が児童の人間形成にとって最も重要な意味を持つ期間であり、また原則として、これは労働基準法にかかってくるわけですが、御承知かと思いますけれども、労働基準法の第五十六条に、要するに児童の場合は十五歳未満の場合は労働基準法によって就業を禁止または制限されているわけです。すなわち、将来のために育成をされる期間であるという観点からこういう規定があるわけですから、給付対象を義務教育終了前にとしたのは、これは極めて適切な判断だったと思うのです。こういう問題に対してはどうお考えになりますか。
○小島政府委員 繰り返し中央児童福祉審議会からの意見具申をいただいておりますが、やはり支給期間としては義務教育終了時までを考えるというのが、それは本来の姿だろうと考えております。 今回、昨年暮れの意見具申に見られますように、そういう基本的な考え方を前提としながらも、現在とり得る改革案としては、やはり現在の財源の枠内で考えざるを得ないんじゃないか。そうするとすれば、何と申しましても、将来のこの改革を考える場合にも、その支給対象児童の範囲を広げることが大事だ。それを実現するためには、本来義務教育終了時までであるべき支給期間というものをある程度犠牲にしても、そういう選択肢を選ぶべきじゃないかという御意見でございましたので、そういう御意見も参考としながら、将来に備えて支給対象児童を拡大するということを第一義的な改正の眼目とした今回の改正案を提案させていただいた次第であります。
○沼川委員 小学校入学前ということですが、例えば義務教育を終えた後、何らかの障害を持っていらっしゃる子供さんの場合、盲・聾学校に進まれる方もある、あるいはまた養護学校に進まれる方もある。そういう児童に対しては今度の改正はどうなりますか。
○小島政府委員 従前の制度でございますと義務教育終了時まででございましたので、要するに義務教育終了に至っていなかった場合には十八歳まで支給するという手だてを講じておりますが、今回は就学前ということで支給期間を考えておりますので、それとの関連上、従前ありましたような就学が猶予されているような子供については十八歳まで出すという規定は置いておりません。
○沼川委員 そういう方ははっきり言って切られるわけですね。この辺についても何らかの配慮があってもいいような気がします。これは現行枠の中でこの程度なら何とかできるのではないでしょうか。ぜひひとつ御検討いただきたいと思います。 非常に残念だと思うのですが、就学前で打ち切られる。今幾ら論議しても、財政を前提としての論議ですから私が幾ら言ってもどうしようもないことですが、御承知のように、児童福祉法では満十八歳未満を児童と規定してあります。同じくやはり児童福祉法では満一歳から小学校入学前までを幼児、こう規定してあるわけです。今回のこの法案が通れば、児童手当法を改正して幼児手当法と改名されるのですか。
○小島政府委員 今回御提案申し上げております改正法による改正事項として、法律の題名の変更は予定しておりません。確かに、今就学前という形の支給期間に改正させていただいておりますが、附則にございますように、支給期間、支給対象児童の範囲、金額、それを賄う財源の問題も含めてさらに抜本的な見直しを行って早急に対処するという規定が置かれておりますので、ここは当面の改正でございますので、そのように御理解いただければと思っております。
○沼川委員 大変意地悪な質問を申し上げて申しわけございませんが、結局、児童手当でありながら中身が乳幼児手当では、こういうことも言いたくなるわけです。今局長の御答弁を聞きまして、そのまま残しておくのは必ず将来その目的に沿ったものをつくる、そういうことで私も受けとめていきたいと思います。 時間が余りございませんので、ちょっと急いでいきたいと思います。 最初、三項目申し上げた中に、所得制限の問題がございました。やはり所得制限を設けたということが、はっきり言ってこれが成熟しなかった一つの理由だと私は思うわけです。既に御承知のように、今日児童手当を持つ国では六十六カ国中六十カ国が所得制限がございません。これは御承知のとおりです。非常に普遍主義的な制度として実施しているわけです。四十五年に児童手当審議会も、所得制限は行わない、こう明示していました。ところが結果的には所得制限が入ってしまった。所得制限があるということがせっかくの児童手当の意義、目的を失っている大きな原因だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○小島政府委員 確かに御指摘のように、諸外国では所得制限を設けているケースはむしろ例外的な存在でございます。ただ、日本の場合におきましては税制による扶養控除の問題がある、諸外国で児童手当を採用している国には一般にない、ドイツ等は多少違うところがありますが、というような事情もございまして、当初児童手当制度のあり方を御審議願った児童手当審議会の中におきましても、所得制限をつけないことが望ましい、つけるにしても一部高額所得者を切るという程度のものであってしかるべきじゃないかという御意見があったことは確かでございます。現在の姿形で申しますと、特例給付を入れまして大体八割程度の方が対象になる形になっております。改正後におきましてもこういう格好になるわけでございます。 所得制限のあり方自体にいろいろ御議論があろうかと思いますが、我々としては限られた財源の枠内で実施せざるを得ない事情もありますし、現在のような所得制限は、将来のあり方は別といたしまして、当面とり得る措置としては妥当なものではないかと考えております。
○沼川委員 所得制限が妥当と言われると、随分また反論したくなるわけですが、確かに所得制限についても国会の附帯決議でもっと緩和しろと何回も言われていますね。結果的には、実際緩和の方向ではなくて、強化する方向に来ているわけです。これもまた同じことですから言いませんが、国会の附帯決議は一体何なんだろうか、こう思いたくなるほど実態は逆行しています。特に私、所得制限そのものは抜本的に廃止すべきだ、こういう考えですけれども、現状で少しでも所得制限を緩やかにできないものだろうか、この努力はすべきじゃないかと思うのです。 特に発足当時の所得制限の問題を見ますと、四十六年度当時は所得制限が二百万円になっておるわけです。この二百万円というのは、あの当時この制度の二百万というのは随分考えてあるのじゃないかという気がします。扶養親族五人の場合、給与所得者の前年の収入の二百万以上に所得制限を課すということですが、たしか聞くところによりますと、この所得制限は、あの当時本庁の課長クラスの方で児童手当がもらえたとも聞いています。たしかそのクラスの給与水準じゃなかったかと思うのです。ということは、現在と比べると、同じ所得制限を課しながら、随分いろいろな状況を考慮してこの基準はつくられた。もともと所得制限そのものは反対ですけれども、そういう面ではあの当時の所得制限は非常に緩やかじゃなかったか。したがって決して低所得者対策じゃない、そういう考え方が貫かれておる所得制限じゃなかったかと思うのです。 ところが、この当時老齢福祉年金の所得制限と対比してみますと、児童手当が二百万に対して老齢福祉年金の場合は百八十万です。ですから、このときの所得水準は私一応評価できるのじゃないかと思うのです。ところが、十何年かたって、これは一九八一年の比較を申し上げます。児童手当の場合の所得制限が四百五十万、ところが老齢福祉年金の扶養者の所得制限が八百七十六万円。いつの間にか逆転しています。しかも所得制限の経緯をいただいたデータでずっと見ていきますと、四十七年から五十一年までは二百万が四百六十四万五千円、徐々に所得制限がいわば切り上げられております。ところが五十二年に四百九十七万になったきり、四年間これは据え置きです。しかも五十六年から四百九十七万を四百五十万に切り下げています。そして五十七年はもっとひどいですね。確かに行革国会であったということもあって、例の特例法の関係で、三百九十一万。ですから、所得制限はむしろ緩やかにすべきなのに、これをどんどん強化すること自体が結局このせっかくの制度を低所得者対策、多子貧困の対策と認めておるようなものではないですか。この点、いかがでしよう。
○小島政府委員 行革特例法によります特例措置は、臨調答申の御指摘もありまして、低所得者階層を中心に重点を移すような改正が行われ、財政状況、いろいろな財源上の悩みからやむを得ざる措置としてこのようなことをとっているわけでございますが、ただこれはあくまでも臨時的な姿でございまして、財政再建期間中の特別の姿だということの兼ね合いで、特例給付というような工夫もさせていただきながら、実質的な支給率が落ちないような対応を考えさせていただいているところでございます。
○沼川委員 暫定的な措置、私もそう受けとめたいわけですけれども、何回も繰り返すようですが、第一子からにしなかったということ、水準が極めて低かったということ、所得制限があったということ、これが結局今日臨調から削減の目玉にされているという原因をつくっているわけです。私が何でこんなことをきょう質問したかといいますと、今までの経緯を見ますと、担当当局である厚生省自体がいかに力を入れてこなかったか、未来の青少年を育成すると、うたい文句はいいけれども、社会保障部門の中で珍しいほどこういった問題に対して実際には何もやってないじゃないですか。それが今後も続くようだったら、これはむしろ行革の対象にされて、なくなっていく危険性すら感じますので、あえてこういう問題を指摘したわけです。 ですから、経済の変動とか行政改革、財政再建、そういうことが大きな要因であることは私も認めますけれども、問題はむしろ厚生省がこの法案について熱心な取り組みをしてこなかった、本気になってこの制度を育てようとしなかった。こんな制度にだれがしたと言えば、私は厚生省の責任は重大だと思います。こういう点はぜひ今後の拡大発展の参考にしていただきたいと思います。 それから、今出ました特例給付の問題ですが、それについてちょっとお尋ねしたいと思います。 今回の改正案附則第六条に特例給付という項目があります。当面の所得制限の設定については、今回の改革が財政再建下という厳しい状況下での制度の再出発であるので、昭和六十六年五月までの間現行水準程度とすることとし、この所得制限によって手当を受給できない被用者等については引き続き現行特例制度と同様の特例的な給付を実施することにしている。要するに、今回の改正案が通りますと、被用者については現在行われている特例給付が六十六年まで続くわけですね。 ところが、非被用者については所得制限がございまして、四百九万四千円で打ち切られるわけです。今までこの制度は、確かに財源の面から考えますとそれぞれの違いがあります、被居者、非被用者、公務員。しかし、単一の制度として出発したはずです。給付内容も金額も条件が全部同じであったのです。こんな特例制度ができたばかりにこの児童手当制度の中に格差ができるようになっているのです。しかも片一方は六十六年まで特例給付が受けられる、片一方は四百九万で切られる、こういう格差があること自体おかしいのじゃないでしょうか。 〔浜田(卓)委員長代理退席、丹羽(雄)委員長代理着席〕
○小島政府委員 確かに、一面そういう御批判の出ることはもっともだと考えております。ただ、これは特例期間の措置で、そこに所得制限をきつくせざるを得なかったという状況のもとでの対応としてとられた措置でございまして、なぜこんなことになっているかと申しますと、所得制限をきつくすればするほど自営業者とサラリーマン層の支給率の格差が拡大してまいります。実際問題としては、所得制限で落ち込むのはサラリーマン層が非常に多うございます。したがって、また上げたときに回復するわけでございますので、当然その所得制限の強化によって落ち込むと考えられているサラリーマン層については、臨時応急の措置として特例的給付を行うという仕組みとしてとらせていただいているわけで、ございます。
○沼川委員 確かにそれも一つの筋論だと思います。サラリーマン層の落ち込みが大きい、サラリーマンの階層にとっては特例給付というのは非常にありがたい制度だ、私はこの制度そのものをどうこう言いたくないわけです。ただ、公平という観点から見て、結局被用者の場合は給付率が三八%に落ち込む、片一方の非被用者は七九%である。大体所得制限があるのですから、所得制限が基準になって決まるわけでしょう。それをこっちが落ち込んでいるからあえて七九に合わせてこっちだけは特例給付にする。こっちはだめだ。しかも被用者の場合は六年間も継続される。これは児童手当制度の意義とか目的から考えてもこういう制度は甚だおかしいと私は思います。 悪く言えば、こういう考え方があるのです。サラリーマンの場合は源泉徴収等で所得が非常に明白です。片や非被用者の場合は、自営業あるいは農業の方ですから俗に言われるクロヨンという観点から捕捉率が低いのでそういう面ではいいのではないかという、何かクロヨンを厚生省は認めるのですか。
○小島政府委員 決してそういうことではございません。単に特例給付を実施しているという面では所得との対応において公平さを欠くのではないかという御指摘はごもっともだと考えております。ただ、これは臨時特例的な措置でございまして、本来従前のような所得制限に戻しますと大体均衡するような格好になってくるわけでございますので、所得制限の強化によって落ち込むサラリーマン層に特別の対応をしたというふうに御理解願えればと思っております。決して、こういうことが公平だ、クロヨンがあるからこうしたんだということではございません。 〔丹羽(雄)委員長代理退席、委員長着席〕
○沼川委員 では、こういう格差をなくすために、これは一つの提案ですけれども、例えば所得制限が二つあったというような気がするのです。片一方は四百九万で全部非被用者は切られるわけでしよう。六百万未満、四百九万まで特例給付がある。公平の観点を考えるならばこちらにもうちょっと緩やかな所得制限を考えるべきじゃないですか。その辺、どうでしょう。
○小島政府委員 財政的な問題もあり、また臨調の御指摘もあって所得制限を強化したということは否めない事実でございますが、その結果、非常に落ち込みの激しいサラリーマン層について配慮をしたということでございますので、またこっちを上げますとシーソーゲームみたいになる可能性もございますので、こういう臨時応急の措置としては、多少公平さの点で問題があってもまた所得制限がもとに戻れば回復する問題でございますので、御了解願える筋ではなかろうかと考えております。
○沼川委員 時間がありませんので、その論議はまた後でしたいと思います。 大蔵省に伺いますが、先ほど扶養控除の問題がちょっと出ましたけれども、児童手当制度が必要である、あるいは必要でない、それぞれいろいろな角度から論議がなされておるところであります。その中で、必要でないとする意見の中に、児童養育費の負担軽減に資するものとして税制上の扶養控除制度がある、この制度がその役割を十分果たしているという意見があるわけでございます。この児童手当制度の目的についてはもうよく御承知のことと思いますけれども、児童手当制度と税制上の児童扶養控除が果たして同一の目的を持ったものかどうか。その目的あるいは機能、効果について同じ性格のものであるかどうか、率直な御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○濱本説明員 夫婦二人の世帯と夫婦子供二人の世帯を考えていただきますと、所要の生計費はおのずから差があると考えられます。税の負担というのは担税力に即応してお願いをするという基本的な考え方がございまして、そのような考え方からいたしました場合に、ただいま申し上げましたような世帯構成の違いによって負担を異にするような調整が望ましいと考えられるわけでございます。扶養控除の制度というのもまさにそのような趣旨で設けられておるものでございます。 ただいまのお尋ねは、そういった扶養控除制度というものの意味あるいはねらいというようなものについてどう考えるかということでございましたけれども、扶養控除制度のみならず、ただいまの所得税制におきましては、基礎控除制度その他幾つかの基本的な控除の体系がございまして、そういったものを合体しました控除総額、さらにそれに税率を加味いたしました累進構造の中でそれぞれの納税者の負担額を定めておるわけでございます。扶養控除制度といいますものは、そういった相互に関連いたします税負担を定める幾つかの要素の中の一つの部分という位置づけを持っておるものというふうに私どもは考えておるわけでございます。 そういう意味におきまして、先ほど来いろいろ御論議を承っておりましたけれども、児童の健全な育成というような観点から歳出面での給付措置を通じて行われております児童手当制度とは趣旨を異にする。もう一度言い直しますと、扶養控除制度の本質的な意味というのは、やはり所要の最低の生計費には課税しないという考え方に発するものであるというふうにこれを御認識賜りますと、そこにおのずから両者の性格の相違というものが浮かび上がってくるのじゃないかという気がいたします。
○沼川委員 お話、承ったわけですが、結果的にちょっと似たようなものだけれども、制度そのものを比べると性格的には異なる、そういうふうに私も受けとめたわけです。ただ、これは現在世界各国で非常に財源難ということもありまして、何とかこの社会保障費を捻出しなければならぬ、そういうことから非常に制度の似通ったそういうものの統合あるいは調整、そういう考え方がございまして、特にその中で児童扶養控除とこの児童手当を一本化した国が、既に御承知かと思いますが、スウェーデン、デンマーク、ニュージーランド、西ドイツ、イスラエル、オーストラリア、イギリス、オランダ等、もう既にこれは実施しているわけでございますが、日本においてこういう調整は可能かどうか、この辺の御意見をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○濱本説明員 例えば一般の扶養控除制度はそのままにしておきまして、その中で今特定の児童、例えば第二子あるいは第三子、先生の先ほどからのお話は第一子も含めなければならないということになるのかもしれませんが、そういう児童だけを扶養控除の対象から取り外してしまう、そうしますと、あとの税体系はどういうふうになるのであろうか。むしろ第二子、第三子を抱えております家族の方が課税最低限が下がるわけでございますので、税負担は重くなるわけでございます。そうして、一たん納付された税の一部がまた児童手当の形で戻ってくるという形をとるということになろうかと思いますけれども、その場合に、それぞれの世帯ごとの負担関係というのはどういうふうなカーブの上に乗っかってくるのであろうか。 今の扶養控除制度というのは、御承知のようにもともと税額控除の制度でございました。それが、昭和二十五年にシャウプ勧告を受けました税制改正で、わかりにくいということから所得控除の体系に切りかえたわけでございますね。しかも昭和四十九年でございましたか、他の基礎控除、配偶者控除と額を合わせまして簡明なものにした、そういう歩みで整理されてきた体系でございます。その一部がすぽっと抜けまして、今度は給付体系と組み合わさっていくということになりました場合に、今までの議論からいたしますと税の体系がわかりにくくなるということは確実であろうと思います。しかもその結果として、我々が追求しております給付、負担を含めた公平というものが乱されないかどうかという点につきまして懸念を感じないではございません。税制調査会などの議論におきましても、かつてそういった問題が指摘されていると考えます。
○沼川委員 最初、私申し上げました児童手当制度が要らないという中にこの扶養控除がたびたび出てくるもので、あえて御質問したわけですが、おっしゃっておりましたように、日本の場合は累進課税方式でいきますので、結局所得が高くなればなるほど、そして子供が多いほど有利な制度になるわけですね。逆に今度は、課税最低限以下の方は全くこれには影響を受けない。そういう面を考えますと、おっしゃったように、確かに似ているようだけれども性格的に全く異なりますし、そういう意味ではまたある面似通った点もありますので、この辺の調整、実際やっている国もありますし、これはひとつまたぜひ検討に値する課題じゃないかと思います。後でまたこのことをちょっと御要望としても申し上げようと思いますが、時間が余りございませんので次に進めたいと思います。 今回のこの児童手当法の一部を改正する法律案で、盛んに厚生省の方からおっしゃるのは、この附則の第四条にいわば制度の検討というのがございます。これは見直し規定がある、ですから将来は拡大の方向で見直すのだ、こういうふうに承っておりますけれども、この第四条を読みますと、「この法律による児童手当制度については、費用の負担の在り方を含め、その全般に関して更に検討が加えられ、その結果に基づき、必要な措置が講ぜられるべきものとする。」別に拡大するとは書いてないわけです。かつて特例法によるあの第十二条にも似たようなことがうたってありました。やはり必要な措置を講ずる。その必要な措置が今度また国庫削減という形で来ているわけですから、この言葉は拡大します、そういう見直しととっていいのかどうか、その辺お聞かせください。
○小島政府委員 行革特例法につきましても、抜本的な見直しを行えという宿題に答えるべく努力してまいったわけでございますが、財源確保の問題あるいはこの制度に対する国民の理解の問題等々考えますと、抜本的な改正をする機に至らずという判断のもとに、現在御批判をいただいているような改正案を提出せざるを得なかったという事情がございます。 したがいまして、四条を置いた趣旨は、この改正をもって事足れりとするという趣旨ではなくて、これはあくまでも当面の改革である、したがって今後は本来あるべき姿を目指してさらに抜本的な検討を加え、そうなりますと当然財源の費用負担の問題も抜きにして考えられませんので、そこを詰めた上でできるだけ早く必要な改革を行うという趣旨で入れたものでございますので、我々としてはあるべきものに向かっての努力規定というふうに理解しております。
○沼川委員 これは最後に大臣にぜひひとつ御意見をお聞かせいただきたいと思います。 今局長から、将来の拡大に向かってそういうふうにいくのだ、第四条はそう受けとめたいと私も思います。ただ問題なのは、どんなにここで声を大にして将来に向かって拡大すると言われても、財源の問題がどうしても出てまいります。財源をいかにして確保するか、現状の非常に厳しい中で、さあ今後国庫をふやしていくことができるか、恐らく不可能じゃないかと思います。じゃ目的税という問題もあるでしょうが、これもまたいろいろ問題を含んでおります。 そこで、先ほどちょっと話題にしましたいわば所得税あるいは住民税等の扶養控除との問題、これとの調整を考えて財源を一本化して、そして第一子からいわば高い児童手当を支給している国が、先ほど申し上げました国々がございます。やはり日本の場合も、財源がないなんか言われたらこれはどうしようもないのです。新しい福祉の展開というのはやはりもう一ひねりして何か新たな財源を本当に検討する、真剣になって模索する、ここに初めて新たな展開が始まるわけですから、国庫がないから何もできませんなんか、社会保障問題、そういう論議じゃ困ると思うのです。 そこでその財源の問題について一つの具体的事例として今出しましたけれども、こういう問題、ほかにも問題があろうかと思います。例えば企業が出しております家族手当という手当がございます。それからほかに似たような、やはり類似した体系の制度があります。そういうものの統合とか、いろいろな面が考えられると思いますが、この問題について本気になって取り組む御決意があるや否や、大臣の御決意をお聞きしたいと思います。
○増岡国務大臣 児童手当制度は高齢化社会を安定的に維持するために世代間の連帯を形成するという意味で大変大事な政策であります。逆な言い方をいたしますと、現在働いておる世代が将来高齢になりまして次の子供たちに支えてもらうわけでございますから、その親たちが子供のために今何をしておくことができるかという考え方を持たなければならないというふうに思うのです。したがいまして、先生今いろいろ例示なさいましたけれども、あらゆる財源対策を多角的に考えながら対処していかなければならないというふうに考えております。
○沼川委員 再度大臣にお伺いしておきたいと思います。 きょうもたびたび論議になっておるのが、やはり高齢化社会が今後どんどん進んでいく、やがて二十一世紀は六十五歳以上が西ドイツを抜いて一五・六%になる、こういう推計も出ております。しかも、いわば生産年齢世代がむしろ今からだんだん少なくなっていく。これは一つのデータですけれども、稼働人口で見ますと、要するに二十歳から六十四歳まで、この働き手で何人の高齢者を負担するかという一つの数値ですけれども、四十年が九・一人に一人であったのが五十年には七・七人に一人、五十五年には六・六人に一人、六十五年には五・三人に一人、七十五年には三・九人に一人、八十五年には三人に一人、九十五年には二人半に一人、こういったデータもございます。こういった面を考えますと、高齢化社会を安定させる、いわば世代間の相互の負担というのを公平な立場で成立させていくためにも、今からこういう若い世代が育ってこないとこれは大変なことになってくると思うのです。 そういう面で、現在臨調路線の特に社会保障費の削減の中に出てくるいわばにしきの御旗といいますか、これはいつも高齢化社会です。高齢化社会のことがこれだけ論議になりながら、その人たちをいわば将来負担する児童の問題があわせて論議されないということ自体が片手落ちだと私は思いますし、したがって、今後の拡大の方向に向かっていくその改革のためにも、これはぜひ大臣にお願いしたいのですが、児童手当制度の将来についての中長期ビジョンといいますか、もっと加えて言うならば高齢化社会とリンクした、これは切り離して考えられない問題ですから、そういう立場からの厚生省の児童手当制度のビジョンといいますか、これをぜひひとつ明らかにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○増岡国務大臣 私ども、先生お考えのような、同じようなことを考えておるわけでございます。中児審の御意見も承りながらそのようなものを考えてみたいというふうに思います。
○沼川委員 これは一つの要望ですけれども、六十六年まで財政再建という中で厳しい状態が続くわけです。特例措置も続くわけです。その辺に恐らく改革ということがまた出てくると思いますが、できれば中長期ビジョンについてはなるべく早く示していただきたいと思うのですが、いつごろお示しできますでしょうか。
○小島政府委員 我々としても、こういうふうな当面の改革でございますのでできるだけ早く本来の改革というものを考えたい、こう思っております。ビジョンを策定いたします場合には、先ほど御指摘のあったような財源問題というものを避けて通れないわけでございます。これについてもいろいろな意見はあろうかと思いますが、十分審議会の御意見を承りながらそれを策定いたしまして、試案としてまず世に問うて国民の皆様の御判断を仰ぎながら最終改革案というものをまとめてまいりたいと考えております。
○沼川委員 ぜひ次の改革の前にできたらこういう案を示して、そういう中で審議ができるようにしていただきたいと思うのです。社会保障制度審議会もこういう改革があるたびに必ず答申の中に出てきますように、児童手当制度の将来をどうするかという長期展望に立ったそういう計画もないまま、ただ財政上の都合だけでこれが先行してこの審議をしなければならぬというのは遺憾である、こういう答申のとおり、少なくともその論議をする前に長期にわたってこういう考え方でいくんだという方向をぜひお示しいただきたいことを御期待申し上げておきます。 もうちょっと時間がありますので、再度また大臣にお伺いしたいと思います。 児童手当制度の意義について、これは中央児童福祉審議会が指摘した問題点でありますが、一つには「世代間の信頼と連帯の醸成に資するものである。」第二には「社会の構成員全体の協力によって、児童の健全育成・資質の向上に資するものである。」第三には「児童養育家庭の経済的基盤の強化に資することにもなる。」こういった明確ないわば意義づけをしております。 さらに今後の方向として、この支給については、支給範囲は当然第一子から、また手当の水準については、国民の納得する負担との見合いで決まってございますが、ある程度の額ということを指摘してあります。さらに所得制限については、これは一切なし、すべきでない、こういう方向がうたってあります。これが本当の基本的な児童手当制度のあり方だと思うのですが、五十五年の中央児童福祉審議会のこの指摘についてどういうお考えをお持ちでございますか、この意義についての考えを含めて御所見を承りたいと思います。
○増岡国務大臣 五十五年に中児審からお考えをまとめていただいたものが児童手当制度の基本であるというふうに考えております。したがいまして、今後長期的な観点からいろいろな考え方をまとめます上にもそのことが中心になってくるものと考えておるわけでございますから、広範にわたる検討を重ねながら一つの考えとして、成案としてお示しをいたしたいというふうに考えております。
○沼川委員 最後に、もう少し時間がありますので、もう一問だけお尋ねしておきたいと思います。 いわば未来の子供たち、言葉をかえて言うと、ある人が二十一世紀、要するに子供は未来からの使者だ、まさしくそうだと思うのです。そういう考え方を持つことが必要じゃないかと思うのです。したがいまして、人口問題も当然いろいろと問題になってきます。また、将来の日本をしょって立つ人材を育てるという意味で、現在貿易摩擦で日本が世界各国から袋たたきに遭っていますけれども、裏を返して言うと、それだけすごい経済力を、力をつけたということは日本に若い優秀な人材がたくさんいたということなんです。しかし、今の推移でいきますと、国をしょって立つ人材がだんだんいなくなってきます。 そういう意味からとらえるならば、児童の問題に対する、特にこの児童手当制度という問題は国会で総理大臣の施政方針演説の中に入れたっていいような重要な問題だと私は思いますが、ぜひその担当大臣でございます増岡大臣にお願いしたいのですが、閣議あたりでぜひ提唱されて、国会の施政方針演説ぐらいで訴えるような、そういうものに持っていっていただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
○増岡国務大臣 私も、先生おっしゃるように、日本人、日本民族の活力というものが現在の貿易収支のアンバランスということでありますが、しかし、これはやはり日本人にとってとうとい、ありがたいことでございますから、そういう趣旨で今後ともやらなくてはならないという気持ちを持っておるわけでございます。総理には閣議の席でもほかの席でもしょっちゅうお話しする機会がございますので、一応お話を申し上げたいと思います。
○沼川委員 以上で終わります。
○戸井田委員長 森田景一君。
○森田(景)委員 我が国の社会保障制度の柱の一つであると同時に、児童の健全育成、児童福祉の上から不可欠な制度である児童手当制度が発足しましたのは、御存じのとおり昭和四十七年の一月でございました。これによりまして我が国の医療、年金、児童と、社会保障制度の三本の柱が一応整ったのである、このように私は理解しているわけでございますが、厚生省の見解をお伺いしたいと思います。
○増岡国務大臣 児童手当制度は、制度としては年金、保険に対しましてまだ小そうございますけれども、将来の高齢化社会を支えるという意味では、同じように重大な、大事な問題であると考えておるわけでございます。
○森田(景)委員 総理府で発行しております本年六月一日発行の「時の動き」というパンフレットの中で、増岡厚生大臣は「健康で生きがいのある人生八十年型社会の建設」という対談を宮崎総子さんという司会者となさっていらっしゃいます。その中で、「私は昭和四十七年に厚生省の政務次官をしていて、そのころは、昭和四十八年が福祉元年だったから、ばらまき行政の準備をしていたんだけれども、」こういう御発言をなさっていらっしゃるわけでございます。 今、今度は厚生大臣という立場でございますが、大変過去にさかのぼったことで恐縮でございますけれども、この昭和四十七年、政務次官当時に準備していたというばらまき行政というのは一体どんなものであったのか、そして、その実施したばらまき行政というのは一体何であったのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
○増岡国務大臣 御指摘の対談につきましては、その前段に「昔は、人生五十年だったけれども、今は八十年になったから、仕事もそれだけ多くなっています。」ということを申し上げておるわけでございます。したがいまして、厚生大臣になりましたときには、厚生行政全般に責任を持って、うんと前向きに積極的な仕事をしなければならぬという気持ちでおります。ところが、政務次官当時と比べますと、今の緊縮財政でございますので、この児童手当法案のような、いわばやりたいことができにくい悲しみというものを痛感いたしておるわけでございます。したがって、そのことを、ざっくばらんな対談でございますから、冗談といいますか、ユーモアといいますか、そういう意味で申し上げたので、ばらまき行政の中身がどれとどれで、それがどうなったということを意識して申し上げたわけではございません。
○森田(景)委員 先ほど来いろいろと論議されておりますけれども、この児童手当制度が政府の中でもあるいは政府・与党の中でもばらまき行政なんだという認識をどうも持っているんじゃないか、実はこう私は思っているわけです。ばらまき行政だから、児童手当は縮小しても差し支えないし、なくなっても差し支えないんだ、こういう考え方が根底にあるのではなかろうか、こういうふうに危惧しているわけなんです。 先ほど来増岡厚生大臣の答弁を伺っておりますと、いや、そんなことはない、我々はこの児童手当制度を将来に向かっても拡充していくんだ、こういう決意がたびたびございました。その大臣の決意をお伺いする前の記事でございますので、大臣は今もってこういうお考えでいるんじゃないだろうか、これでは幾らこの委員会で審議がされて、仮に今度の改正案が通過したとしても、政府・与党が将来ともにばらまき行政の一つだという認識を持っている限り児童手当の進展はないんだ、こんなふうに危惧しているわけでございます。 事実いろいろの新聞あるいはテレビ等の報道によりますと、児童手当制度に対する政府・与党の風当たりは相当強い、こういうふうに報道されているわけでございます。これは御存じだと思います。大臣は当事者でございますから、そうだとは言えないかもしれませんけれども、そういうふうに報道されております。そして、特にばらまき福祉という汚名を着せまして児童手当制度を廃止しようとする動きがあるようでございます。これはとんでもないことである、このように申し上げておきたいと思います。 中央児童福祉審議会、これは厚生大臣の諮問機関であるようでございますが、この児童手当部会長の岩尾一氏がこういうことをおっしゃっているんです。世界各国で実施しているのに、なぜ世界で最も繁栄している日本だけ廃止するのかと言いたい、児童手当の必要性を理解してくれるならば、こんな暴論は出るはずがない、こういうことをおっしゃっております。私はこれが正論だと思います。このことについて厚生省はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○小島政府委員 確かに、岩尾さんが危惧なさるような廃止論も含めて、ばらまき論というようなものが経済界等々にもあることは事実でございます。児童手当制度については、これを支持する者と否定する者となかなかかみ合わないという悩みを岩尾さんはよく漏らしていらっしゃいました。我々としては、岩尾さんのお考えになるように、今後の高齢化社会を考える場合にはますます重要度を増してくる制度だという認識を持って今後ともこの問題に十分対処してまいる所存でございます。
○森田(景)委員 現在、児童手当制度については見直しを行わざるを得ない状況にある、このように説明されておりますし、このまま放置すればじり貧から廃止に追い込まれるということでございますけれども、今回の制度改革の趣旨、内容等について説明をお願いしたいと思います。
○小島政府委員 法改正の経緯につきましては先ほど来いろいろ御批判もございましたが、第二臨調において、今後の社会保障の中での位置づけというものも含めましていわゆる抜本的見直しを迫られているという経緯もございます。それを受けました行革特例法十二条の中でも基本的な見直しを行うというような経緯を受けまして、今回改正案を提案さしていただいたわけでございます。しかし、現在の財政状況あるいは国民世論の動向等を考えますと、現在、最終的おと申しますか、名実ともに抜本的な改革をする条件は整ってないというふうに判断いたしまして、さらに引き続き抜本的な改革のために検討を継続するという前提のもとで当面の改革案をまとめました。 この改革案の柱といたしましては、第一は、支給対象児童の範囲を現在の三子以上を養育する家庭から二子以上の子供さんを養育される家庭に拡大いたしまして、現行制度の最も難点でございました制度の一般化を図るということが第一の眼目でございます。 それと同時に、そういたしますと財源の問題、現行制度の財源の枠内で対処しなければならぬという条件もございますので、それとの関連におきましてやむを得ず支給期間を、従来三子以降でございましたが、義務教育終了時までというものを就学時までというふうに短縮させていただきました。 手当の額につきまして、三子以降につきましては現在の五千円ということを維持いたすことにいたしておりますが、新たに拡大する第二子につきましては、財源の枠を考慮いたしまして限度いっぱいの財源を使いましても二千五百円という手当額にしかならなかった、こういうような手当額を定めております。 と同時に、財政再建期間中でもございますので、所得制限の水準も現在の程度の水準を継続せざるを得ないという判断のもとに、六十六年の五月までの期間につきましては現在程度の所得制限を行うこととすることを前提として、それとの関連におきまして現在もお願いしておりますようなサラリーマン層に対する特例給付を継続することという内容でございます。
○森田(景)委員 今の御説明をお聞きしますと、現在児童手当を支給されているお子さんもかなりの人数の人たちが支給されなくなるわけでございます。制度改革にはいろいろとつきものでございますけれども、きめ細かな激変緩和の措置が必要であるはずでありますけれども、改革案の実施に際しまして現行制度受給者への配慮をどのように考えていかれるのか、説明をお願いしたいと思います。
○小島政府委員 改正案の中身として、申し落としまして恐縮でございますが、このような大幅な制度改革を考えておりますので、一挙に現在の三子以降義務教育終了時までという給付体系を第二子以降就学時までということに切りかえますと、現在受給なさっている小学校、中学校に在学中の第三子以降の皆様方の給付を一挙に切るということが出てまいりますので、これを段階的に移行して、言わば従前の受給者は急激に従前の受給権を失うことのないような配慮をすることを考えました。 したがいまして、改革の第一年度であります六十一年度におきましては、まず低所得者に加算しております二千円という加算を割愛させていただきまして、それとの見合いで第二子の方々につきまして二歳になるまでの期間、二千五百円でございますが手当を差し上げるということにしております。三子以降の方々については、第一年目は従前どおりの義務教育終了時までの期間を保障するという仕組みでございます。それで、第二年目になりまして従前の三子以降の方々には小学校三年終了時までという形に切らせていただきまして、それとの見合いで第二子の方々の支給期間を四歳になるまで、生まれてから四年間という形に考えておりまして、第三年目で制度改革の本来の姿と申しますか、第二子以降すべて就学時までの給付を行うという仕組みを考えさせていただいております。
○森田(景)委員 ただいまの説明を承りますと、かなり後退した改正になっているのだ、こういうふうに思われるわけでございます。政府の方では制度の支給規模に後退はない、こういうような説明でございますけれども、今の御説明では低所得者の二千円もカットする、しかも第二子に引き上げながら第二子は二千五百円である、こういうことで、かなり後退していると思いますけれども、その点について支給規模に後退がない、こういう説明を具体的にひとつお願いしたいと思います。
○小島政府委員 確かに、従前の支給を受けられていた方々の支給期間が、三子以降の方々でございますが、義務教育終了時までなのが就学時まで、小学校に入るまでという期間になっている、また拡大する第二子への手当の額、従前低所得者に加算していたものがなくなるのではないか、そういう面に目を向ければ従前よりも悪くなっているという御批判の出ること当然だと思いますが、制度改革全体として眺めてみますれば、従前対象とならなかった、また子供を養育している家庭の大多数を占めます二子を養育している家庭まで支給対象を拡大するという措置を講じておりますので、全体としては将来の改善を目指した前向きの改革である、決して後退ではないというふうに評価いたしております。
○森田(景)委員 将来拡大していくのだという御説明でございますけれども、先ほどからのいろいろな議論をお聞きしておりますと、局長もずっとこれから、この児童手当が今御説明になるような方向で拡充されていく、前進していくという、そこまで局長をおやりになっているのじゃないと思うのですね。私はいろいろ役所の機構等について疑問を持ったりしていることは、大体二年か三年しますとそれぞれの担当をなさっている部署を交代なさるのです。その部署を担当していらっしゃるときは一生懸命その問題に取り組むのですけれども、違う人にかわると途端にそこでまた一からスタート。 これを繰り返すために、先ほど沼川委員からも指摘がありましたように、発足当初から高邁な理想を掲げてスタートしながら、なおかつそれが実現できない。その間に、この制度をつくった当事者の方は意気込んでいらっしゃったと思いますけれども、次に引き継いだ方はいろいろな攻撃になかなか耐え切れないでだんだん後退する、こういうことで今日まで来てしまったのではないかと思うのです。 ですから、今小島局長あるいは増岡厚生大臣が、私は今度の改革は一応こういう状況のもとでやむを得ないけれども、いろいろな指摘をされている抜本改革に沿ってやって、将来拡大していくのだ、こういう意気込み、御説明、これは私は評価できると思うのです。だけれども、その意気込み、その決意がこの後引き継がれ、こういうことを申し上げては失礼ですけれども、増岡厚生大臣の後、何年後にどなたが受け継ぐかわかりませんけれども、その大臣もそういう姿勢で、増岡大臣と同じような熱意で取り組む、あるいは小島局長と同じような熱意で取り組む、こういうことがあれば私は相当前進すると思うのです。特に風当たりの強い福祉制度はそういう姿勢がなければ前進はあり得ないと思うのです。 額の問題もいろいろありました。老齢福祉年金ができた当時、いろいろと住民の方々から苦情がありまして、あの当時はたしか千円だったのですね。あめ玉年金と言われていたのです。そういうことを、失礼ですけれども御存じでいらっしゃいますか。
○小島政府委員 確かに福祉年金発足当時は、今から見ますと極めて少ない額であったということは御指摘のとおりでございます。
○森田(景)委員 それで、老齢福祉年金、当時のあめ玉年金と言われた年金が、皆さんが一生懸命努力なさって、今でも十分とは言えませんけれども、大幅な前進をしてきたことは間違いないわけです。児童手当もいろいろな財政事情の中で新しい改革をするために第二子が二千五百円だ。しかし、これは先ほども質疑がありましたように、我々の努力、生活に、養育に見合う金額に進めていくのだというこういう努力、そしてまた世論を喚起する、こういうことが非常に大事だと思いますので、そういう点についてはぜひひとつ行政機構の中でその精神を受け継いでいかれるような、そういう努力をお願いしたいと思うわけでございます。 それで、私の時間が余りありませんので、率直に申し上げますと、今回のこの改正案で、ややといいますか、一応評価できる点というのは二つあると私は思っているわけでございます。というのは、一つは、先ほど局長からもお話がありましたように、一応第二子まで支給対象を広げてきた、これも問題があるのですけれども、いずれにしても第三子だったのを第二子まで持ってきたというのは一応評価できると思います。もう一つは、こういう児童手当をなくせといういわゆるばらまき福祉論といういろいろな攻撃の中で、予算を減らせ減らせという中で、一応現在の支給総額を守る努力をなさっているというこの二つは評価できると私は思います。 しかし、評価できない点がたくさんあるわけです。項目で申し上げていきます。支給対象期間を現行の義務教育終了時までとなっているものを小学校入学前まで、こう引き下げてしまった、これは評価できません。次が、手当額が第二子月額二千五百円、第三子以降五千円とすること、これも評価できません。第三が、先ほど申し上げました低所得者加算、これを廃止してしまっている、これも評価できません。それから所得制限、これも低過ぎるということ。それから第五番目に、心身障害児、特に学校に行かれない心身障害児がいる、こういう方は少なくとも今現在ぐらいの児童手当は支給すべきではないかと思うのですが、こういう配慮が全然なされてないのですよ。そのほかにもありますけれども、大きく挙げますとこの五点ぐらい、これは評価できないな、こういうふうに私は考えているわけでございます。 それで、今の心身障害児、小学校入学の年齢になっても学校へ行かれない障害児に対しては配慮をしてもらえますか。
○小島政府委員 確かに、従前の制度でございますと義務教育終了時までという形でございますので、就学が猶予されているような重度の障害の方々、その方々が十八歳まで延びる、義務教育を終了なさらないわけでございますので、そういう取り扱いになっておりました。それに比べまして、今回そういう配慮を欠いたのはなぜかというお尋ねでございますが、今回は学校に入るまで、こういうことでございますので、就学猶予ということを一応切り離して考えるのが妥当でないかという判断が一つございます。 もう一つは、そのような重度の障害児につきましては、現在でも特別児童扶養手当の支給対象になっておるのが大部分だろう、まず全部の方がそうでなかろうか、こう考えております。そういう制度も用意されておりますので、ここでそこまでの取り扱いをすることが今妥当なのかどうか、これは今後給付期間の延長とかなんとかの問題との兼ね合いてもう一回抜本的検討をすべき問題ではなかろうかという判断でこのような取り扱いにさせていただいたわけで、ございます。
○森田(景)委員 時間も余りありませんので、この問題だけやっていられませんけれども、もう一言。 要するに小学校入学時まででしょう。入学できないのですね。だから、今ここで即答してほしいと言ってもそれは無理だと思いますが、これは検討していただけますか。
○小島政府委員 政府としてはこういう形が妥当ではないかという形で御提案申し上げて御審議をお願いしておるところでございますので、それは今後の問題であろうというふうに考えておりますが、また御審議でどんな御結論が出るか、我々としてはやはり御提案申し上げたような形が妥当ではなかろうか、まず学校に入る前までの子供たちを対象とする制度で考えておるからというわけでございますので、先生のおっしゃるように、猶予というのはまだ入れない状態ではないかという見方もないではございませんが、そもそも義務教育に達するまでの期間でございます。
○森田(景)委員 それでは、先ほど評価できない点について申し上げましたが、私の考えを申し上げてみたいと思います。 一つは、この児童手当は第一子から支給すべきである、こういうことでございます。第一子から実施してこそ制度の意味があるわけでございまして、一九七九年現在児童手当実施国六十六カ国中第一子からの実施は八七%であります。日本と同じように第三子から支給しているのは、何と南アフリカとモーリシャス、そして日本の三カ国であります。これは非常に恥ずかしいことだと思います。 一問で答弁いただきますと時間がなくなってしまいますから、まとめて申し上げますので、最後に総括して答弁お願いしたいと思います。 第二番目が、支給期間はライフサイクルに合わせて、教育負担の最もかかる時期に打ち切るのでなくて、少なくとも現行どおり義務教育終了までに戻すこと、中央児童福祉審議会にありますように、満十八歳までが理想でございますが、とにかく現行まで戻す。 それから、第三番目が、第三子以下の支給額を五千円として統一していることは後退でありまして、むしろ七千円に合わせる上方修正を行うべきであるということ。 それから、所得制限を撤廃して全児童に支給すること。 五番目が、いろいろ問題になりますのは財源がないということでございまして、これも先ほど沼川委員の質問にもありましたけれども、財源確保のためには、中央児童福祉審議会の昭和五十五年九月十日の意見具申がありますが、その中にもありますように、所得税における児童扶養控除、これを全廃して増収分は全額児童手当の財源に充てるべきである。 こういうことで児童扶養控除を廃止した場合の租税収入の増加というのは、給与所得者の場合では一兆一千五百二十三億にもなるし、あるいは申告所得者の場合には二千百六十四億円、合わせて一兆三千六百八十七億円も税として徴収できる、こういう試算が児童手当と税制の調整等に関する研究会から出ていることは御存じと思います。地方税増部分はこの国税の場合の半分の六千億円程度が見込まれる、こういうことでもありますけれども、これは大蔵省、関係省庁とも検討しなければならないと思います。 少なくともこういう点について十分な検討をされて、本来の児童手当制度の姿に一日も早く戻していただきたい、このように要望する次第でございます。 先般、中毒一一〇番のときに、増岡大臣は非常に即断即決みたいな私もびっくりするような結論が出まして、五月早々にはもう会議が開かれております。そのように決断力、また実行力のある増岡大臣だ、このように私は尊敬しておりますので、児童手当制度についても、ただいま申し上げました点について一日も早く本来の姿に戻るように行動していただきたい、このように要望いたしまして、時間がありませんので、最後に一言だけ決意のほどをお聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。
○増岡国務大臣 先生ただいま御指摘なさいましたように、また沼川先生の御指摘もございましたように、昭和五十五年の中児審の原点に戻って広範な角度から財源その他のことにつきましてもいろいろ検討して、また先ほど担当者がかわったら云々という御指摘がございましたけれども、そういうことを防ぎますためにも一つの指針のようなものをつくりたいというふうに考えております。
○森田(景)委員 終わります。
○戸井田委員長 塚田延充君。
○塚田委員 現在、我が国は本格的な高齢化社会の到来を間近に控えてというか、もう入りつつあるわけですけれども、この高齢化社会の担い手でございます児童を対象とする児童家庭行政につきまして、増岡厚生大臣の基本的な考え方をまずお伺いしたいと思います。
○増岡国務大臣 御指摘のように、高齢化社会をいよいよ本格的に迎えるわけでございます。そのような社会になりましても国民生活が安定をしておる、そういう状態が必要でございます。そのためにはやはり世代間の連帯というものが不可欠な要素であろうと思います。 そういう意味合いから、児童を健全に育成し、その資質の十分な開花を図るという児童家庭行政はますますその重要性を加えるところであります。したがって、現世代の我々が次の世代を担う子供たちに何をしてあげておくべきかということを真剣に考えなければならない時期であると思います。
○塚田委員 それでは本題に入らせていただきます。児童手当制度につきましては、政府はその創設のときには、まず最も必要性の多い子たくさんの家庭について手当を支給することにして、言うなれば小さく産んで大きく育てるということなんでしょうが、実際は昭和五十年くらいから基本精神がぐらついてきたような感じがいたします。すなわち、昭和五十年以降、手当額は据え置きでございます。本来だったら、それだけの目的を持っているならば少なくとも物価スライドさせなければいかぬのが据え置き。また、五十三年度以降は所得制限を据え置いた、これは結局は受給率が低くなるような形になりますし、五十六年以降は、今度は所得制限がさらに強化されるということで、いわゆる制定のときの御立派な目的とは相反するような状態になって現在まで続いてきているわけです。 今回政府が提案しておる改革案は、今までなかったような非常にばっさりという意味において改悪と言っていいような改革案になっているわけでございますけれども、ここで児童手当とは何ぞや、なぜ設けたかという児童手当そのものの創設の時期に立ち戻ってそれまでの経緯を振り返り、そしてこの制度をどう持っていくべきかをこの機会に徹底して議論させていただく以外にないと思っております。 児童手当制度の目的は、法律の第一条によりますと、児童の健全育成と児童養育家庭の所得保障ということになっておりますが、いろいろな社会保障の方法があるわけですけれども、そういう社会保障制度の中でこの児童手当制度はどういう位置づけがされているのでしようか。
○小島政府委員 御指摘のように、これは現金給付でございますので、所得保障的な機能を営んでおります。児童を養育する家庭に対しまして、目的にございますように、児童手当を支給することによってその家庭の安定とそこで養育されている児童の健全育成と資質の向上を図ってまいりたいという趣旨のものでございます。 重ねて申し上げますれば、児童というものはその親のものだけでございませんし、社会全体の宝でございますので、その養育を両親だけの責任にゆだねるのではなくて、その養育については社会全体がある程度の責任を負うという形で、単に現金給付のみならず、児童の養育について社会全体が関心を持って健全な育成を図ってまいるという趣旨で、形の上では現金給付でございますが、その精神としては児童についての社会的な関心の表明であり、その健全育成の願いが込められた制度であると考えております。
○塚田委員 それでは端的にお伺いしますが、現在では、医療であるとか年金であるとか生活保護であるとか、いろいろな社会福祉の他の制度が、その当時から比べると非常に充実してきているわけです。そんな中で、現在児童手当制度がなぜ必要なのか、その理由をお聞かせください。
○小島政府委員 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、今後の高齢化社会を展望するということになりますれば、世代間の連帯ということなしには社会の安定と発展はなかろうというふうに考えております。したがいまして、年金制度によってリタイアされた老齢者層を支えると同様な意味合いにおきまして、次の世代の担い手となる児童につきましては両親のみに任せることなく、社会全体がその養育について関心を持ち協力するという趣旨におきまして、今後なお一層重要性を増す制度であるというふうに考えております。
○塚田委員 外国においても児童手当制度をつくっておる国が非常に多いと聞いております。これは五十八カ国ですか、六十一カ国ですか、あるそうでございますが、諸外国においてもこの児童手当を運用しておる目的というのは同じでしょうか。それとも日本と差があるのでしょうか。
○小島政府委員 家庭だけの責任にゆだねることなく、児童の養育について社会全体が責任を分担するという趣旨においては全く日本と変わるところがないと考えております。ただ、直接的な目的とはなっておりませんでも、諸外国につきましては、特に西ドイツ、フランス等においては人口政策的な配慮も加味されて、非常にこの制度の重要性が説かれているというふうに承っております。
○塚田委員 人口政策と言えば、我が国でも近年出生率がどんどん下がっておる、人口が減ってしまう。そして、それがいわゆる高齢化社会の率といいましょうか、それを高めているわけですね。幾ら老人の絶対数が増しても、子供たちの数がふえれば、いわゆる高齢化社会とは言えないことになるわけですね。そういうことから考えますと、我が国としてもこの人口政策的な要素をこの児童手当制度に取り入れる考え方があるのでしょうか。
○小島政府委員 確かに、今現在は日本の総人口は増加の傾向をたどっております。しかし、これは平均余命の伸びによるところでございまして、むしろ基調といたしましては、出生率の状況を見ますと減少傾向をたどっておるという状態でございまして、御指摘のとおり、これが高齢化率をさらに押し上げるという要素にもなってまいっております。したがって、今後の社会を考える場合に世代間の負担の不均衡というようなものも出てまいってこようと思いますし、我が国の安定的なことを考える場合には、もう我が国も国民全体として人口問題、人口構造の問題にも関心を持たなくちゃならぬ時期に来ているというふうに考えております。 しかし、諸外国の例に見られますように、直接的な人口政策というものはなかなかございません。有効なものがありましても、強制的なものとか何かというとかえって弊害が多くなると思います。要すれば、一つはやはり子供の数の問題も含めまして今後の我が国の社会のあるべき姿というものについて国民一人一人が共通の認識を持つ、あるいはそれぞれの家庭が自覚を持っていただくということを推し進めるような施策が必要であると同時に、最近ますます教育費問題とか何かで児童養育にかかる家庭の負担も増加の傾向にあるやにも伺っておりますので、このような状態におきましても、子供のない家庭と比較いたしましてもやはり安心して子供を養育できるというような家庭基盤の確立に資するような施策の重要性が増してくると考えますので、そういう施策を充実していかなければならぬのではないかと考えております。
○塚田委員 いわゆる人口政策と社会保障とは基本的にまるっきり違うものなんですけれども、我が国の児童手当制度というのはどちらを目指しているのでしょうか。
○小島政府委員 制度発足当初から、やはり人口が減っていくのではないかという危惧は持たれておりました。いろいろ御議論があったようでございますが、当時は純然たる社会保障施策としてこれは位置づけている。労働力問題とかあるいは人口問題ということもいろいろあるけれども、現在の制度としては、児童そのものの資質の向上、そういうようなことを前提としながら、資質の向上を図りながらよりすぐれた人材を養育することによって今後の社会の発展の基盤をつくろうという趣旨で制定されたというふうにも承っておりますが、現時点におきましては、直接的なものではございませんが、児童手当制度につきましても、やはり子供の数も含めましての社会的な関心の表明ということの位置づけというものも当然考えられていいのではなかろうか。提案理由にもありましたように、出生数の問題等も考えまして、強いて言わしていただければ一家庭で二人の子供は養育していただきたいという願いも込めて第二子に拡大するということも考えていたところでございます。
○塚田委員 フランスにおいては人口政策的な意味合いを持って児童手当制度をやっているんじゃないかという御答弁をいただいておりますが、我が国の国内あるいはそのフランスなり何なり他の外国において児童手当制度を設けたこと、それが効率的に運用されているはずであることと合計特殊出生率との間に相関関係というのは立証されているのでしょうか。
○小島政府委員 これは諸外国いろいろ事情が違うように拝見しておりますが、フランス等につきましては合計特殊出生率が回復の傾向にあるやに見受けられます。かつて人口減ということを非常に問題にされておりましたが、合計特殊出生率が置きかえ水準の二・一三を下回っておりますが、一・九四程度になっております。西ドイツにおきましては今合計特殊出生率が一・四というような水準にまで大変落ち込んでおりますので、大変な努力でいろいろの児童手当の増額を図ったり、あるいは税制の児童扶養控除を復活しようというような機運もあるようでございますが、西ドイツに見られる限り、なかなか直接的と申しますか効果を発揮しておるようには見受けられません。非常に国民の意識が、事家庭と子供という問題が西ドイツで云々されておりますように、あそこまで変わってしまいますとなかなか難しい問題が出ようかと。日本も早い時期にやはり社会全体が数の問題も含めてもう一回子供についての問題をみんなで考え、関心を持ってもらう必要があると考えております。
○塚田委員 児童手当制度の社会保障制度全般における中での優先順位はかなり高いということをお聞きしておりますが、それにもかかわらず現在まで、私ちょっと経過を述べたように、拡大とか充実されずに逆に抑え込まれてきておった。これはなぜでしょうか。
○小島政府委員 これは先ほど来厚生省の責任が第一であるという御批判もいただいております。我々としても施策が当面の対策ということに非常に追われた面もありまして、そういう意味で児童手当制度というものについて抜本的な改革というものになかなか着手できなかったという問題がありますが、またそれの背景といたしましては、我が国におきまして児童手当制度に対する非常に消極的な評価というものも大変な量として存在しておるという世論調査の結果からも考えまして、これは税制の違いあるいは賃金体系の違い、いろいろな事情があろうかと思いますが、いずれにいたしましても、我々の観点からと申しますか、我々が検討した結果によりますれば、それが児童手当制度に代位できるような機能を十分営める制度とは評価できませんので、今後ともあるべき児童手当制度の確立ということを目指してさらに努力を続けてまいらなければならぬと考えております。
○塚田委員 児童手当の趣旨、目的が国民の間に評価されなかったというような御答弁をいただいたわけでございますけれども、なぜ制度の目的が国民の間に評価されなかったのか、最大の理由は何でしょう。
○小島政府委員 まず、制度発足当時いろいろ御議論がありましたが、三子以降ということで出発いたしました。その結果、やはり、ごく限られた家庭だけを対象としたという制度としてスタートせざるを得なかった。これが一番の隘路であったのではなかろうか。やはり児童手当制度というのは、諸外国の例に見られますように本来一般的な制度でございますので、その理念とする方向と現実の形が余りにも乖離したために児童手当制度本来の評価を受けるには至らなかったのではなかろうか。やはり支給対象世帯の範囲を限定したことが結果的に国民の関心を薄めたのではないかというふうに考えております。
○塚田委員 それではお伺いいたしますけれども、第一子、二子、三子、四子とかありますが、その出生の割合はどうなっていますか。
○小島政府委員 出生の割合そのもので申しますと、人口動態統計、これは五十八年でございますが、第一子が四三・〇%、第二子が三九・一%、第三子以降でございますが一七・九%というような割合になっております。これは現在生まれてきた子供の割合でございます。
○塚田委員 支給対象児童が第三子以降に限られておったことが、結局、児童手当の恩恵を受ける対象家庭を少なくしており、それゆえに制度に対する理解も得られなかった、こういうことになっているんだという御説明だと思います。そして、それ自体が現行制度そのものの最大の欠点と言えば欠点なわけですね。そこから今度の第二子を支給対象とする改革案が出てきたんじゃないかと思います。 そこで、今出されております改革案につきまして質問してみたいと思います。 まず増岡大臣、この改革案の最大の眼目、セールスポイントは何でしょうか。
○増岡国務大臣 やはり第三子でありましたものを第二子まで拡大したということが最大のポイントだろうと思います。
○塚田委員 第三子を支給対象としている現行制度は、子供が多い家庭を対象としてその対策のために存在しておったわけですけれども、改革案で第二子となっておりますが、これはどういう考え方から第二子からにしたのですか。
○小島政府委員 これは中央児童福祉審議会の昨年暮れの御意見にもございましたように、児童手当の支給対象児童としては本来第一子からということで考えていくべきである、しかし現今の財政状況あるいは国民世論の動向から見て、新たな財源をお願いするというような環境にはまだ成熟してないというような財政事情を考えますと、あるいはお尋ねのような最近の出生数の問題等を考え合わせますと、第二子からとすることについても当面政策的には妥当性があるという御判断がございました。 それで、第二子までにいたしますと子供を養育なさっている家庭の大体九割以上が対象として浮かび上がりますので、第一子というところまでの徹底はできませんけれども、支給対象家庭という面で考えてみますると大部分の児童養育家庭が対象として取り込めるということで、制度の一般化を推進するという意味では、現在とり得る選択としては妥当なところではなかろうかと考えた次第でございます。
○塚田委員 制度の目的からは本来第一子から支給すべきである、これは厚生省も嫌というほど認めているわけですけれども、財政上の事情からそれができないということでございますが、このような人口政策も絡む——これは単なる人口政策じゃなくて、将来的な高齢化社会における高負担ということを考えると、案外損して元取るということもございますから、そういう意味からすると、これは今苦しいところから蓄えに回すようなものです。そういうことからしたらば、セオリーどおりにやるのがあらゆる施策の成功の一番の要因だと思うのですよ。 それを変にこねくっちゃうと、またそのマイナス面が出てきて、またそれをカバーするのに苦労するということになりますので、私としてはこの児童手当制度を、本来は第一子からが望ましいということを百も承知ならば、そのことをどんな財政事情であってもやるのだ、そのために国民に対して思い切り呼びかけ、理解を求める、そこまで踏み込んでやるのが本当の厚生省のやり方ではないか。自分の持てる範囲内でこちょこちょやったんでは結局国民の期待に沿う厚生行政とは言えないというような気がいたします。それは別としても、今まで二〇%しかカバーできなかったものが九割まで第二子を対象とすることによってカバーできるようになったことはやはり前進であるということを認めて、この件については歓迎いたします。 ところが、問題はその支給期間ですね。これも結局は財政事情ということなんでしょうが、今までの半分に落としてしまう、これを小学校就学前までとしたのには何か合理的な理由があるのでしょうか。
○小島政府委員 これも御批判のあるところでございますが、現在の改革に当たりまして、その改革に際して法律的事項といたしましては、昨今の財政状況、あるいは先ほど申しましたように新たな財源負担ということをお願いするような基盤がまだ成熟してないという判断のもとに、一つには、現在の財源の枠内で対処できるような当面の改善案というふうにせざるを得なかった。そうすると、支給対象児童の拡大との見合いで支給対象期間というものもある程度短縮せざるを得ないという実態上の問題もあります。 と同時にもう一つ、就学前の期間というのは、児童の養育のいわば教育も含めました全責任が家庭にゆだねられているような段階でございます。義務教育段階になりますと、教育という面でございますが、公費負担というような形で社会的にも教育するという基盤が行われておるわけでございます。したがって、まずとりあえずそこに手をつけるのが妥当ではないか。 また、さらに申し上げますれば、その家庭で養育される期間というものは最も人格形成に重要な意味を持つ乳幼児期でございます。そういうときでございますし、またその子供たちを養っておる御両親も非常に年齢が若い、給料も少ないというような状況もあったり、また共稼ぎもできないような状態がありますので、こういうところにまず焦点を絞って、手当の支給期間を絞ることになりますが、それをしてでも二子まで拡大することが妥当ではないかという判断でこのような措置を提案させていただいているわけでございます。
○塚田委員 最近の厚生行政は、厳しい国家財政の折から、すべて財政面から、改革といいながら結局はもう切り捨てに近いような形でいろいろな案が提案されているわけでございまして、これでは社会保障政策と申しましょうか厚生行政というのは貸すれば鈍すというような形になってきているのじゃないかと厳しく私は批判申し上げる以外にないと思うのです。だから、現行の財源枠にそんなにこだわっていたらば本当の厚生行政はできない。国民に訴えればいいし、またこの国会において思い切り私たちに訴えればいい。 ところで、財源でございますが、今の児童手当制度のための財源枠は幾らですか。
○小島政府委員 厚生省が所管しております児童手当制度の六十年度の給付費総額は千五百十三億円でございます。その中に含まれております国庫補助額は六百一億円となっております。
○塚田委員 第二子にまで拡張したことによって支給を受ける対象はふえておりますけれども、支給期間の短縮によりまして、今まで受けられたのに今度支給を受けられなくなる人が出てきますね。どれくらいの現行受給者が手当を受けられなくなりますか。
○小島政府委員 これは切りかえ措置を講じておりますので、最終的には九十八万人くらいの方々がカットされることになろうか、こういうふうに試算しておりますが、移行措置を講じておりますので、移行措置の初年度であります六十一年度は全然カットはございませんで、義務教育終了時まで。それから六十二年度は、小学校三年終了時までという形に三子以降の方は短縮することにしておりますので、その結果五十二万人。それから三年目は、就学前までに二子以降全部合わせますので、その結果としては九十八万人程度の従前の対象者が落ちるというふうに考えております。
○塚田委員 九十八万人の方がカットされてしまう。一口に九十八万人と言っても、これはかなり大きな数ですね。これは何とかなりませんか。
○小島政府委員 そのかわりと申し上げてはなんでございますが、従前対象にならなかった第二子の方々が入ってくるわけでございます。したがいまして、従前の制度を生かしながら第二子を取り込むということが到底できないような状況でございますので、このやり方については御批判があろうかとも思いますが、まず、支給期間を短縮してでも二子に支給対象を拡大し、それを基盤として、さらに世論の御理解も得ながら抜本的な改革に向かっての検討を進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
○塚田委員 結局、経過措置としてショックを和らげるために三年間というものを設けているのですけれども、この三年というのは余りにも短いといいましょうか、局が違いますが同じ厚生省がやっておられる厚生年金であれ何であれ、やはり制度を抜本的に変えるときには経過措置というのをかなり期間をとってショックを緩やかにするような措置をとっておられる。そこから見ますと、三年で制度を切りかえるというのはいかにもトラスチックですけれども、どうしてこの三年間にこだわるのでしょうか。
○小島政府委員 確かに社会保障制度審議会にも先生御指摘のような御意見を付された答申をいただいております。が、我々としては、これは当面の改革案ということでございまして、これを実行して、さらにこれを基盤として国民の皆さんとともに将来のあり方を考えてまいりたい、こういうことを考えておりますので、ぜひ本来的な姿に早く持っていきたいというのが一つでございます。 と同時に、そのための財源枠等を経過措置も含めて考えておりますので、経過措置の期間を長くすれば長くするほど新たな二子の取り込む範囲も狭くなってきてしまうという一長一短ございます。 それから、財源の枠を最大限に活用するには、移行の措置を考えた場合に、三年間というのが一番スムーズにいく移行の形でもございますので、ぜひこういう形で早くこの改革案を実施させていただき、この実施を前提としながら将来のあり方に向かって論議を深めてまいりたいと考えておるところでございます。 〔委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕
○塚田委員 次に、手当額についてですが、児童の養育費は現在どれくらいかかっておりますか。
○小島政府委員 これは家計調査などの別な姿も出てくるかと思いますが、厚生省で所管しております養護施設などの子供の養育費、これは管理費を除いた養育費で計算いたしますと、大体月額三万七千円程度ということになっております。子供の養育に必要な経費というのは大体この辺が目安じゃなかろうかというふうに考えております。
○塚田委員 改革案で示されております第二子の二千五百円という手当額、これはいかにも低過ぎやしませんか。そして第三子は五千円という案ですけれども、これは昭和五十年から既に五千円だったわけですから、これも極めて低いと言わざるを得ぬわけです。いわゆる児童手当の趣旨、目的については、局長から冒頭立派な理念を御説明いただいたわけですけれども、この理念に合うには余りにも貧しい、低い、こう考えるのですが、いかがでしょう。
○小島政府委員 まず、児童手当制度につきましては、家庭の養育責任だけにゆだねることなく、その養育に要する費用についても社会が全体として協力しようということでございますので、協力の度合いについていろいろ御議論のあるところだと思います。が、制度発足当初の考え方、先ほど申し上げましたが、大体三分の一ないしは二分の一ということを一つの目安として考えるのが妥当でなかろうかという御判断がありました。これは外国の制度を見ましてもおおむねそのようなところを目指した金額ではないかというようにも拝察することができると考えますので、我々としては、本来あるべき額としてはやはり三分の一から二分の一程度という範囲のところを目指すべきだと考えております。それと比較いたしますと、御指摘のような額の問題についても御批判の出ることはまた当然のことと考えております。 〔浜田(卓)委員長代理退席、委員長着席〕
○塚田委員 一方、所得制限でございますが、この制限を附則で昭和六十六年まで強化しておりますが、せっかく改正を実施するのにわざわざなぜこんなことをするのですか。
○小島政府委員 これも、第二子まで御批判のあるような二千五百円でございますが、そういう給付費を拡大するということを前提として考えますと、現行の財源の枠内ではやはり現在程度の所得制限を引かざるを得ない。やむを得ない措置といたしまして、財政再建期間中でございます昭和六十五年度までは現行程度の所得制限を引かしていただく。そのかわりといってはなんでございますが、従来もありましたような特例給付というようなことも組み込ましていただきまして、対象児童の八割程度はカバーできるような制度として運用してまいりたい、こういう観点からこのような取り扱いとさせて提案させていただいたわけでございます。
○塚田委員 この所得制限でございますけれども、西欧の先進諸国ではどうなっておりましょうか。
○小島政府委員 一般的に所得制限が引かれてない国が大多数でございます。例外的に七カ国ばかり所得制限が引かれている国があるやに承知しております。
○塚田委員 確かにそうで、制限すること自体が理論的に見ても目的から見てもおかしいんじゃないかと思うわけです。財政事情ということばかりをお述べになっておりますけれども、本来、この児童手当についての所得制限というのはどうあるべきなんでしょうか。
○小島政府委員 これは、中央児童福祉審議会の御検討の中でも、児童の養育費を社会的に分担するということは、考えれば、その家庭の所得水準によって差をつけないのが妥当ではなかろうかという御意見でございます。やはりすべての児童を対象とした制度として考えるのが妥当だというふうな御判断でございます。 これについては、またさまざまな意見のあることも事実でございますが、十分議論を深めまして、我々としては本来の制度に近づけるような方向で今後ともさらに検討を進めてまいりたいと考えております。
○塚田委員 現在提案されております所得制限のいわゆる線引き、これは何を基準といいましょうか、どういう考え方からそのラインを出しておられるのでしょうか。
○小島政府委員 これは五十七年度から実施さしていただいております行革特例法によります所得制限の財政再建期間中の強化措置でございまして、現在の基準といたしましては、老齢福祉年金の本人の所得による所得制限額を標準といたしまして、それを基準として定めるという取り扱いにいたしております。
○塚田委員 それはちょっとおかしいのじゃないですか。老齢福祉年金の場合は、対象者がみんな老人であるし、それで今度児童手当の対象となる家庭というのは、働き盛りの若い人が多い。そのように全然対象が違うものを参考として線引きをするというのは、全然筋が違うのじゃないかという気がするのですけれども、もし所得制限を考えるとしても、これは所得制限すること自体が、外国の例でもわかるようにおかしい。その線の引き方も全然別なところを見て引く。そういう二重の誤りというか、おかしなことを厚生省は考えておられ各。どうしてこんなことになっているのでしょうか。
○小島政府委員 これは先生御指摘のとおり、本来、所得制限は設けないのがこの手当の趣旨から考えれば最も妥当な姿だと思います。また、設けるにいたしましても、本当に高額の所得者をカットするラインの所得制限ということが妥当なことかと考えております。 ただ、第二臨調の御指摘もございまして、財政再建期間のやむを得ざる措置といたしまして、従前の所得制限をその再建期間中に強化するという措置を講じた。そのときに、その強化の準拠として老齢福祉年金という所得制限の姿を一つ取り入れたということでございますので、確かに本来の制度としてそれが正しいかという御議論になりますれば、これは余り関連のないことでございます。ただ、こういうふうなやむを得ない措置としての一つの強化の基準としてそれを拝借したということでございますので、これで結構だということを考えているわけではございません。
○塚田委員 提案されております新制度では、低所得者に対する優遇措置を廃止しておりますね。これはもう今まで各委員からも御指摘あったとおり、大変な弱者切り捨てということになるわけでございますけれども、どうしてこの低所得者に対する優遇措置を今回削ったのでしょうか。
○小島政府委員 児童手当制度の諸外国の例を見ましても、所得制限をつけてない。半面、所得水準によってその手当の額にも差をつけないというのが一般的な姿でございます。諸外国の例を見ましても、いろいろな加算をしているケースもないわけではございませんが、これはすべて子供を同一視しながら子供の養育費を一律にある程度保障していこうという制度でございますので、そういう形でございます。 我が国で、なぜ現行制度で低所得者の加算が設けられたかということは、残念ながら手当額全体を上げることができないような財政状況であった。しかし、事実上最も手当の必要だと考えられる低所得の家庭だけでも上げてはというような中央児童福祉審議会の御意見も参考としながら、こういう制度をいわば臨時的に取り入れだというのが従来の経緯であったかと思います。したがって、今回手当額を算定するに当たりまして、どのくらいの額ということが問題になったわけでございますが、我々としてできるだけ多くということと、それから支給範囲をふやす、また期間もということの皆その兼ね合いの中での選択でございます。したがいまして、このような加算ということは、あえて今回取りやめさしていただいたということでございます。 また、家庭単位でその手当額ということを考えますと、今までは三子以降だけでございます。年齢は下がってきておる問題はありますが、今度二子以降ということで見ますと、合計いたしまして、従前は五千円だった家庭も七千五百円出るという事情もありますので、そのような観点と兼ね合いながら、絶対額として手当額が満足すべき状態だとは決して考えておりませんが、当面のやむを得ざる措置として、こういう形で提案さしていただいている次第でございます。
○塚田委員 またまた御答弁の内容が財政、財源最優先という範囲内からの選択でそうならざるを得なかったというような、本当に私たち国民としては聞き苦しい御答弁なわけでございますけれども、しかし、この児童手当、ちまたでいろいろ私なりに研究してみますと、国民の関心がないということも、そうかなという気はするのです。五千円ぐらいもらってもしようがないわ、小遣いに近い形でやっている家庭も結構多くなっているのですよ。しかしながら、かなりの割合の家庭においては、それを本当に頼りにしておるところが多い。だから、児童手当が本当に必要なのは、そういう階層の方々なんです。そのための児童手当でなければいけない。 となりますと、全般的な政策から言えば、人口政策的なことであるとか、平等の見地からとか、いろいろ額を算定しなければいけないけれども、まだまだ日本においては、社会保障という意味合い、これを児童手当から取り去ることは、まだ一〇〇%やっちゃいけない段階だと思うのです。そのようないわゆる社会保障ということを考えた場合には、どうしても一番苦しんでおられる低所得階層の方々への配慮というものを忘れた場合には、もう厚生省の仕事じゃないと言ってもいいんじゃないかと思うのです。それがないものは、低所得者に対する特別配慮がなされない社会保障制度は、あってもいいし、なくてもいいという制度に近いのです、はっきり言って。そういう意味において、これは低所得者切り捨てみたいな形ですけれども、何らかの色づけについて再考していただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
○小島政府委員 いろいろ御批判をいただいております。我々としても、本当はできるだけ速やかに今回抜本改革案というものを、本来の抜本改革案を提案させていただきたかったということでいろいろ検討も進めてまいりました。したがって、本来、財源ということなら、新たな財源の提案を含めて改革案を提案すべきものだというふうに考えております。ただ、これは我々の検討もそこまでは到達しておりません。いろいろの非常に難しい問題もございます。また、審議会の検討もそこまで進んでおりませんので、当面の措置として、現行の財源ということを前提とした改革案を組ましていただいたということでございます。 その中での全体的なバランスをとった選択としてこのような案にまとめさせていただいたわけでございますので、それぞれについて御批判があるところ十分承知しておりますが、何とかこの制度を一般化して、それを通しながら、国民の本当の——児童手当というのはこういう姿が本来により近いのだ、こういうことで将来の高齢化社会に備える制度として我々も考えていくのだけれども、これをどうお考えいただけるか、評価がいただけるかという御相談を申し上げながら、やっぱりあるべき姿に向かっての制度改革ということをできるだけ早く行うべきだという観点から、それそれについては極めて厳しい御批判があることは承知しておりますが、全体の、将来を目指した当面のとり得る最善の姿として提案させていただいている事情も御賢察いただきたいと考えております。
○塚田委員 今回の改革は当面の措置であるという考え方を披露されておりますけれども、それならば、あるべき姿を考えての抜本的な改革というのは、いつ提案し、いつ実施しようと現段階で考えておられますか。
○小島政府委員 まず、我々といたしましては、財源論も含めまして、手当のあるべき姿ということについて十分審議会の意見も聞きながらこれから引き続き検討を進めて、できるだけ早い機会に取りまとめたい。 ただ、これを直ちにそのままの形で提案するということについては、やはりこれは国民の御理解と支持がなければ十分機能できない制度でございますので、今考えておりますのは、そういうある程度試案がまとまった段階で、広く国民各層の御批判もいただきながら、さらに議論を詰めまして、本当に国民の理解と支持ということを基盤として、この制度が安定的に運営できるような改革案を求めてまいりたいと考えておりますので、今直ちにいつを目標ということまでの目安は立っておりませんが、この改革案を御可決いただいた折には、直ちにまた引き続きの検討を開始しながらそういう作業を急いでまいりたいと考えております。
○塚田委員 国民全般の理解と支持を待つ、言うなれば国民全体の合意を形成して抜本的な改革を考えたいということですけれども、しかし、もうこの制度は発足して十年たっておる。そして、今まで全然そういうような抜本的な改革について厚生省は国民に向かって提案したことがない。しかしながら、国民の間では、やれ、ばらまき福祉の一種だというような批判もある。しかし、一方、私が今強調しているように、まだまだこれじゃ不十分だ、厚生省、貸すれば鈍するみたいになってくれるなというような批判だってある。 それを今までやっておらなかったというのは怠慢みたいなことになるのじゃないかと思うのですけれども、今までの十年を考えて今後の十年以上を考えた場合に、私たち国民の間で本当に議論を起こして知恵を出し合って、特に財源の問題についても国家的な理解を得て、そして、これがいわゆる児童手当でございます、目的、理念、あらゆる意味において外国の例と比べても遜色がないし、それ以上に我が国の児童手当にはそういう哲学がある、理念がある、こういうようなものを厚生省の方でつくっていただきたいわけでございますけれども、今後どのような形でこういうことについて国民の合意形成というものに努めていこうと考えておられるのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
○小島政府委員 我々としてもこの制度をそこまでずっと放置していた、結果的にそういう状態が出ていたことについては御批判を免れることはできないと思います。が、五十一年に児童手当につきまして世論調査を行いました上——ただ、今から考えますと、やはりその調査の仕方が必ずしも十分でなかったという反省もございます。この手当を今の三子以降もっと支給対象を拡大する方がいいのかどうか、あるいは支給期間をもっと延ばしたらいいか、手当の額をどうするかというようなことをいろいろ調査しましたが、単にそういう問いかけではやはり否定的な意見と申しますか、相当出てまいります。 やはり先生御指摘のように、哲学を土台とした全体像をお示しいたしまして、それにいろんな御批判、お考えをちょうだいするということをぜひ考えていかなければならぬと考えております。
○塚田委員 その児童手当が持つ目的、私は哲学とも言ったわけでございますけれども、これを単に社会福祉及び人口政策というとらえ方のみじゃなくて、人口政策に近いのですが、私が主張したいのはいわゆる高齢化社会への対応ということであって、特効薬とは言わないけれども、これが一つのかぎを握るのじゃないかというようなことについて理論的にももっと詰めていただき、そして、理論上効果があるんだということがもし立証できた場合には、ありとあらゆる手段を使ってそれを国民に理解を求めていく、そして、結局は今の児童そのものを救うこと、これも大切かもしらぬけれども、やはり国家そのものを活力あるものとして救う、すなわち高齢化社会、これはもう動脈硬化みたいになるものを防ぐんだ、そういう意味における大きな国家政策の一つである、このような意義づけなりを私は児童手当に見出したいなと思っているわけでございます。 もしそれがない場合には、あくまでも社会保障として、どうして低所得者に対してこんなひどい仕打ちをするんだというような怒りをぶつけるしかない。しかし、一方では、やはり単にばらまいているに近いような形ならばなくてもいいかもしらぬなあという意外と率直な意見も私の耳に入ってくるのです。そういうことを勘案して、もう一か八かと申しましょうか、無意味に近いものをばらまく、効果がない金額を捨てていく、そのぐらいだったらば、ちょっと暴論になるけれどもなくてもいいかもしらぬ。 しかし、私はその説には立ちません。まだまだ社会保障上必要だ、だから期間も延長しろ、少なくとも中学卒業ぐらいまでは必要だ、前と同じにしてほしいし、低所得者切り捨てというのは許せない、こう思っているわけですけれども、そのようないわゆる児童手当が今後持つべき新しい役割についてぜひ研究していただいて、新しい装いと新しい目的を持った児童手当づくりに今からすぐにでも着手してほしいと思うのです。このような制度の検討を行うとおっしゃいましたけれども、どのような方向で行いますか。
○小島政府委員 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、先生御指摘のとおり、やはり今後に予想される高齢化社会ということに対応しながら、国民全体として活力のある社会を営んでいくというためには不可欠の制度だという認識を持っておりますので、そういう観点からさらに議論を詰め、構想を整理して、十分国民の御批判を仰ぎながらあるべき制度の確立に向かって努力してまいりたいと考えております。
○塚田委員 総合的にこの児童手当について再検討する場合、やはり別な制度との絡みも考えてみる必要あると思うのです。それは所得税の扶養控除との関連ですね。ある御意見によれば、この所得税の扶養控除の拡充をもっと徹底させればいいのじゃないか、それが充実した場合には児童手当制度がなくたっていいのじゃないか、こんな議論があるわけでございます。こんな議論についてどのようにお考えになりますか。
○小島政府委員 確かに諸外国で児童手当制度を創設したときに、税制における児童の扶養控除を整理したというような財源対策を行っている国もあることも事実でございます。税制制度、それぞれの国に特色がございまして、一概に論じられませんし、先ほどの大蔵省の答弁につきましても、税制全体としてもその辺は慎重に検討しなければならぬ問題であるというふうな御議論もありました。 例えば、税制におきます扶養控除をどんなに拡大いたしましても、課税最低限を下回るような家庭に対してはその恩恵は及びません。そうした場合には、かつて議論がありましたような負の所得税みたいな制度をかみ合わせるのか、あるいはそんな形ではなくて、やはりまた税制の扶養控除と両立するような形でこの制度を考えた方がいいのか、さらに切りかえた方がいいのか、いろいろな御議論があるところだと思います。そのところは十分詰めました上で、どういう理由でそういう選択肢をとるのをベターと考え、最善と考えるのかということを明示しながら論議を深める必要があろうかと思っております。
○塚田委員 今度の改革案が限られた財源の中でどういう選択をするか、いわゆる支給対象を第一子からするのか第三子からするのか、その間をとって二子をとったんでしょうけれども、期間がどうなのか、いろいろあるわけでございますが、第三子について低所得者とかなんとかいう制限をつけずに、五千円じゃ足りない、もっとこれがいわゆるなるほどもらって意味があると国民が納得するような額を第三子に支払い、二子の方は、二千五百円かもしらぬけれどもこれはお祝い金程度、はっきり言って額を少なくする、こういうような選択方法もあるんじゃないか。そうした場合はいわゆる第三子奨励のような、人口政策というとこれはちょっと極端になっちゃうかもしれませんけれども、それに近い政策目標を兼ね合わせることができるのではないか。このようなことについて検討したことはありますか。
○小島政府委員 確かに御議論がいろいろありました。例えば我が国の人口構造、出生数の状況を考えた場合には、むしろ三人以上、平均以上の子供を持つ家庭というところに出すのが意味があるのではないかという御議論もございましたし、また手当額の問題につきましても、同額にすべきか、あるいは三子以降を優遇して、一子からなり二子からなりそこは本当に気持ちだけでもいいんじゃないかという議論もございました。 しかし、やはり児童手当本来の制度から考えますと、我々としては少なくとも二子からという制度に考えたい。そのときにも、手当の今後も考えた場合に名目的なお祝い金程度の金ということで終始するのもちょっとと申しますか、どうしてもそこまでは割り切れない。それで、それでは二千五百円が意味があるのか、こういうふうなお尋ねは当然あろうかと思いますが、財源の枠内で、三子以降は従前どおりの五千円という額を維持する、そういうこととの兼ね合いで確保できる最大限枠を考えた。 いずれにいたしましても、本来の趣旨から考えますれば手当額の増額というのは今後に残された大きな課題でございます。これは繰り返し申しますが、期間の問題、そういったことも含めまして、それを支える財源方法も十分に検討しながら、ともに総合的な仕組みとして検討を続け、それを御提示申し上げまして御批判を仰ぐということで今後考えてまいらなければならぬと考えております。
○塚田委員 今度の改革案の提示の背景、それから出され方を見ますと、やはり一つには財政節約的な意味があるのではないかと思うのです。現にこれを実行した場合、現行制度をそのまま続けるのと今度の措置によって財政節約効果はどのくらい出ますか。
○小島政府委員 これは将来、移行措置もとっておりますし、推計値にならざるを得ない問題がありますが、給付規模といたしましては、全体的な額、給付費総額はむしろ増額の傾向にあろうかと思います。これは、サラリーマン層の子弟と自営業者層の子弟とを比べた場合に、二子まで拡大いたしますと従前よりはサラリーマン層のウエートが増してまいります。その結果、サラリーマン層の方の国庫補助は十分の二でございます、自営業者層の方の国庫負担が三分の二となっておりますので、その移行がありますので、給付費総額がふえましても給付費に対する国庫補助としては多少減り目ということになろうかと思います。初年度は二十億ぐらい、後は、切りかえた場合には四、五十億減るという格好になろうかと思いますが、給付費総額としてはむしろ増額の傾向にある。 なお、給付費だけで考えると、国庫負担が非常に助かって財政対策みたいにとられるかと思いますが、それに要する事務費まで考えますと、給付対象者の範囲が大幅に拡大いたしますので、総体的には国庫負担がそんなに助かるという問題ではございません。いろいろ先生御指摘のように、財政再建という見地からこの制度はもう一回絞り直すべきではないかという御議論もありました。しかし、我々としては何とか本来あるべき姿に持っていきたいというようなことで議論を重ねた結果、現行の枠内をいわば満席まで使う制度として仕組み直したということでございますので、財政効果をねらった制度改革という御批判は当たらないのではないかというふうな自負を持っております。
○塚田委員 とにかくこの児童手当については中途半端な制度である。これは制度のあり方が中途半端という意味ではなくて、社会保障の中において必要なのか必要じゃないのかとか、その効果が社会保障としてどのくらいあるのかとか、その必要の度合いとかいって、かなり議論があることは確かなんですね。その基本的な問題をそのままにして、とにかく技術的に再編成し直すというだけのことについて、やはり私たちは厚生省の現在のやり方について不満の意を表さなくてはいけません。 となりますと、何回か私強調いたしましたように、いわゆる児童手当そのものの本来の理念がはっきりすればあるべき姿が出てくる。そうなると、要るよ、要らないよなんという議論もなくなって、どうしていい制度にしようか、いい制度とわかれば財源問題とかなにか抜きに、もうこれは絶対にやってもらわなくては困るというような形で財源もひとりでについてくる。この制度をぜひこのくらいにいい方向に改革してほしいと思っておりますが、この制度改革の検討はなるべく早く開始することを今度の改革案の中にはっきりと明記すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○小島政府委員 これは、このような第四条の規定を加えている以上、我々としては当然のことながら引き続き検討を行うべきものと考えておりますので、明記されるまでもなく、引き続きの検討ということは、当然これから継続して検討ということでございますので、それで十分ではなかろうかと考えております。 それから、非常に技術的な改革だという御批判、そういう御批判もやはり受けなくてはならぬかなとは思いますが、児童福祉審議会の御審議の中でも、本当の意味での財源負担問題を含めた議論が成熟するまで改革を見送るべきじゃないか、今当面の改革ということは賛成しがたいという御意見もございました。しかし、さらに議論を重ねた結果、現在のままではこの制度の正しい理解は受けられないのではないか、やはり今回御提案申し上げた改革を通して本来の児童手当ということについての御議論を深めながら改革を図るべきが至当である、非常に不十分な形でもあるべき姿にできるだけ一歩でも近づけて、それを前提として次の検討を行うべきであるという御批判をもっともだというように考えまして、このような形での提案をさせていただいた次第でございます。
○塚田委員 財源の問題はございますけれども、やはり私、強く主張しておきたいのは、支給期間の問題ですね。これはこの問題の検討に入ってからいろいろな人に聞いてみたんですけれども、これは厚生省ひど過ぎるよ、切り捨てだよ、福祉の後退だよというような反対の声が極めて大きく、場合によっては厚生省にむしろ旗を立てようかというくらいの批判があるわけでございます。 この件につきましては、本委員会の審議を通じて何とかさらに延長するように、一たん案として出したんだから大骨小骨絶対いじくらせないよというあれじゃなくて、非常に大事な制度であり、関心が薄いとはいえども、重要な制度であるということは国民の間にもやもやとわかっておる、そういうことでございますので、支給期間の延長につきましては大臣の英断をぜひおまちしたいということで、この問題、支給期間についての批判がおること、今まで各委員から指摘されたと思うのですけれども、支給期間につきまして大臣の見解をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○増岡国務大臣 御指摘のように、いろいろな面から今回の改正案に不十分な点があることは私どもも認めざるを得ないと思うわけでございます。しかし、現在の厳しい財政状況の中では考え得るベストのものを御提案申し上げておると思うわけでございます。 しかし、また一面、この制度の基本的な問題につきましてのあるべき姿というものももう一回考え直して、それによっていろいろやらなければならぬことがあるわけでございますので、そういう意味では、できるだけ早く財源問題を含めまして一定の試案というものをつくって、そうすることがまた一面国民の理解を深めることにもなるんじゃないかということでございますので、そのようなものを策定して国民的な論議を深めていくということによって、世代間の連帯という問題あるいは高齢化社会に対応する対策という面からの解決も考えてみたいと思います。
○塚田委員 児童手当制度につきましては、目的と理念が今まではっきりしてなかったがゆえに国民の理解と関心が薄かったのであろうし、また、このような提案をしたときに、薄かった割にはハチの巣をつついたように、けしかった、けしからぬとかいうような議論が巻き起こって、厚生省としては痛くない腹まで探られてしまう。私どもも国民との間に立つ者として説明に窮してしまうということになりますので、どうか二十一世紀に向けての我が国の社会活性化のための大変重要な制度であるという目的、理念を今後できるだけ早い機会に十分な検討を経て国民の前に示していただきたい、このようにお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○戸井田委員長 浦井洋君。
○浦井委員 この児童手当法の一部改正案が四月十九日に、非常に遅く提出をされる。なぜそう審議を急がれるのか、私はよくわからぬわけであります。けさほど来ずっと聞いておりますと、やはり改悪だというふうに言わざるを得ないわけであります。 そこで、大臣に端的にお尋ねいたしますが、児童手当法というのは、第一条に目的が書いてありまして、簡単に言えば児童福祉とそれから所得保障という形になっているわけですね。はっきりしているのじゃないですか。その辺、端的にひとつ大臣お答え願いたい。
○増岡国務大臣 目的にございますように、家庭の生活の安定あるいは児童の健全な育成及び資質の向上ということを目的としておるわけでございますけれども、私は、この制度をつくった背景には、出生児童数の低下ということをどなたも頭の中ではお考えになっておったと思うわけでございます。しかし、法文の上にはそのようなことも触れておりませんので、したがって、多少あるべき姿が明確でないという御指摘も当たらないでもないというふうに思うわけでございますけれども、ともかくその後五十五年に中央児童福祉審議会の答申もあったわけでございますので、その趣旨に沿った長期的なあるべき姿というものを、この際、厚生省が示すべきではないかというふうに考えておるところでございます。
○浦井委員 そこのところが私、違うのですよね。やはり児童手当法が成立をして、先ほど言ったように、児童福祉とそれに所得保障という形ではっきりしておるわけですから、それを抜本的に見直すということであれば、この臨調行革の花盛りの時代に、これは後退せざるを得ぬだろうというように私は思うのです。 そこで、ちょっと各論的な質問に入りますけれども、ただ、理念をはっきりさして、はっきりしているのだからはっきりさして、断固としてそういう理念に沿ってこれから制度の拡充強化、これをやるべきだというふうにまず冒頭に申し上げておきたいと思います。 そこで問題は、けさ方来ずっと言われておりますけれども、各論的に言えば、やはり一番問題は所得制限だと思うのですよ。その所得制限に拍車をかけておるのが臨調の第一次答申である。これはもう何遍も読まれておりますけれども、「児童手当については、公費負担に係る支給を低所得世帯に限定する等制度の抜本的見直しを行う。」こういうようになっている。 そうすると、児童手当というのは低所得者を対象にした狭い意味での所得保障なのか、そういう考え方も出てくるわけですよね、この文章を読めば。私はそうではないと思うのですが、そこのところ、大臣はどう思われますか。
○増岡国務大臣 これはいわば子供を養うための費用をお助けするという性格とは少しニュアンスが違うと思います。ただ単にそういうことではなくして、これから高齢化社会を迎えるに当たって世代間の連帯ということに着目してやらなければならぬということでございますので、したがって、所得制限のようなものは本来ないのが本当かもしれぬというように思います。ただ、非常な高額所得者ということについては問題があるかもしれませんけれども、本来すべての児童を対象とする制度となすべきであるというふうに考えております。
○浦井委員 もう一遍繰り返しますけれども、そうすると、この児童手当というのは低所得世帯に限定するものではないということははっきりしてますね。それでよろしいですね。
○増岡国務大臣 そのような趣旨ではないと考えております。
○浦井委員 私もその点は大臣と一緒なんですよ。児童憲章であるとか児童権利宣言というような精神からいっても低所得者対策に限定すべきではないというふうに思うわけです。今も大臣言われたように、五十五年の中児審、これも大体その線に沿っているわけですよ。だから、もう一遍文章を読みますと、このときの意見具申で「今日、老人扶養は年金等によりかなり社会化されているが、このような社会的扶養が円滑に維持されていくためには、将来の社会の担い手である児童を「社会の子」として社会的に配慮していくことが当然必要となる。」こういうふうに述べておるわけですね。この点については、大臣、御異議ないですね。
○増岡国務大臣 先ほど申しましたような世代間の連帯という意味合いからも、今の親の世代が子供の世代になしておくべき施策という意味合いから、社会の子であるということに間違いないと思います。
○浦井委員 そういうことでありますから、やはり大臣今言われたように、高額所得があるからこれに出すのは適当でないというような議論に巻き込まれてしまって所得制限をするのは間違いではないかと思うのですけれども、どうですか。
○増岡国務大臣 そういうような、高額所得者を除いてはどうかというような意見があるだろうという意味合いで申し上げたわけであります。本来ならば、所得制限というのは全くないのが本来だと思います。
○浦井委員 これは繰り返しの質問になりますけれども、今度は局長に。 六十六カ国が児童手当を支給しておる、制度があるというその中で、所得制限を実施している国はどれくらいあるのかということです。
○小島政府委員 大きな国では日本、スイスというようなところで、七カ国でございます。
○浦井委員 だから、大きな国では——スイスは余り大きくないですよね。だから、日本と——アメリカには本来制度がないわけでありますけれども、それでもまあ、それなりに職域別の家族手当というような制度が発達して、それはそれなりに批判はあっても補完しておる。だから、そういう点では、所得制限のある大きな国、大きな国というのは何を指すのかよくわからぬですけれども、日本だけだということになるわけですね。大臣、その辺の御認識はしっかりしておっていただきたいと思うのですが、よろしいですか。
○増岡国務大臣 そのとおりでございます。
○浦井委員 先ほど読みましたように、中央児童福祉審議会ですね、この五十五年の意見具申でも、低所得者対策に限定しないためにも「所得制限については、」「すべての児童を「社会の子」としてとらえていることからして、原則としてこれを行うべきではない。」というふうに言うておるわけですよね。だから、先ほどから聞いておりますと、何か先へ進んでみたり、また後へ戻ったり、もう小島児童家庭局長は非常に朝から答弁のためにエネルギーを消耗されたと思うのですが、もう局長はいいですから、大臣、やはり所得制限は行うべきではないということをもう一遍確約してみてください。
○増岡国務大臣 あるべき姿としてはそうでありますし、論理的にもそのとおりだと思います。ただ、現実の姿として、物すごい高額所得者に対してどうこうという意見は出てくるものとは思います。
○浦井委員 だから、そこのところを大臣、よく考えていただきたいのですよね。私はやはり今までの、この調査室の資料なんか見ましても、これもけさ方からずっと繰り返されておりますけれども、五十二年に所得制限を据え置いて、五十六年以降はそれを一層強化する、これはまさに臨調答申に沿ったものですよね。 で、支給率がどんどん落ちて、特例も含めまして七九%ということになって、実際上は日本社会事業大学の横山教授が言われるように低所得者対策になってはおりませんかと。あるいは多子防貧対策というか多子出生刺激対策というか、そういう誤った認識に敢然として今まで厚生省が立ち向かわずに、そういうような臨調答申を一方の極にする非常に誤った議論に惑わされておるために、何か変な、世論調査をしたらフィフティー・フィフティーに出てきたというようなことになるわけで、そこのところをはっきりさせなければいかぬということを私は強調したいのですが、大臣、御所見はどうですか。
○増岡国務大臣 お話しのことは、恐らく児童手当そのものに対する認識の欠除というものが各界にあり、それに厚生省が巻き込まれたといいますか、押されてそういう方向に流れておったと、そういうことはあり得たのではないかというふうに思います。
○浦井委員 ちょっと、もう一遍、大臣、あり得たんじゃないか……
○増岡国務大臣 私、その当時の当事者でございませんで、わかりませんけれども、今にして思えば、そのときどきの勢いというものが、むしろ、児童手当の本来の姿というものを認識しないで、誤解に基づいていろいろ言われた議論に厚生省が巻き込まれたのではあるまいか、そういうことを申し上げておるわけであります。
○浦井委員 だから、中曽根内閣の大臣のお一人に臨調路線に反抗せいというようなことを言っても、それはうんとは言われないでしょうけれども、私は、そういう臨調答申というのは全く福祉切り捨ての俗論だと思うわけです。誤った議論だと思うのですけれども、そういうものに惑わされずに、厚生大臣としてやはりきちんと、先ほど申し上げたように、児童福祉と所得保障、この観点を踏まえて制度を拡充強化していくべきだということを大臣に強く要求しておるわけであります。よろしいですか。 そこで、所得保障の問題はそれぐらいにいたしまして、第二子の問題ですが、第三子から第二子、これは大臣も先ほどは、これが今度の改正案のポイントであるというふうに胸を張られたわけでありますけれども、私はまだ足らぬと思うのですよ。 先ほどの五十五年の中央児童福祉審議会の意見具申では「支給対象の範囲は、その意義から促して当然第一子からすべきである。」このようになっておるわけですね。だから、先ほどは所得制限について聞きましたけれども、六十六カ国の中で、第三子以降支給国あるいは第二子以降支給国というのはどれくらいあるわけですか。
○小島政府委員 第二子以降としている国は、フランスを初め四カ国、第三子以降を支給対象としている国は、我が国を含め三カ国でございまして、五十八カ国が第一子からという形になっております。
○浦井委員 大臣、お聞きになったように、六十六カ国のうち五十八カ国は第一子から支給しておるわけでしょう。だから、もう結論ははっきりしておるわけで、これは当然第一子から支給すべきだというふうに私は思うのですがね。そうでしょう。もう世界的趨勢がそうなっているわけですよ。その辺、大臣どうでしょう。
○増岡国務大臣 諸外国の場合には人口政策的な意味合いが多分に含まっておると思います。我が国の場合でも、今日いろいろ御議論いただいております先生方の頭には、やはりそのようなこともお考えになっておられるのではないかというふうに思うわけでございます。したがって、これから、先ほど申し上げたような一つの試案を御提案申し上げるという際には、そのような思想を盛り込まなければならないと思っております。
○浦井委員 変な人口政策論にこれまた惑わされてはいかぬと思うのですよ。かなり権威があるとあなた方が言われる人口問題研究所であるとか、いろいろな大学の研究所でも、もういつも予測が違って見直し見直しとやっておるわけなんで、やはり児童福祉という観点、そしてその児童を扶養しておる家庭に所得保障をするのだという、極めて単純率直な論理で制度の拡充をやってほしいということを要求しておきたいと思います。 そこで、第一子からの支給問題であります。いろいろな数え方があるのですけれども、現在児童手当が支給されている家庭というのは児童養育家庭の何%になるのか、また第二子からに今回改正されるわけですが、それで児童養育家庭の何%になるのか、これは数字はどうですか。
○小島政府委員 児童手当の現行制度の支給対象は義務教育終了時までですが、児童養育家庭ということになりますと、十八歳未満の児童で多少ずれはございますが、昭和五十九年の厚生行政基礎調査によりますと、十八歳未満の児童のいる家庭の数は千七百四十二万世帯となっております。したがって、その中で児童手当の受給世帯は、我々の調査によりますと二百十一万というふうに計算しておりますので、一二・一%の世帯が受給している……(浦井委員「改正後は」と呼ぶ)改正後はこの数が、新制度にいたしますと、これも今の厚生省所管分の数だけでございますが、四百万人ということになりますので、仮にこの率で計算いたしますと二〇%程度になるか……(浦井委員「二〇切れるでしょう」と呼ぶ)二〇切れますか——ちょっと今そこまで厳密な計算をしておりませんが、この率で考えますと二〇に近い数字までいくのではないか。二百十一万世帯でございますけれども、三子以上の家庭の割合というのは少のうございます。二子家庭の割合は大分増してきますし、その率どおりにはいかぬと思いますが、子供の受給者数で見ましても、二百十九万が四百四万に膨らむわけでございますので、倍増とは申しませんが、二〇に近い姿までいくのではないかと思います。
○浦井委員 数字はわからぬということで、きのうも聞いたのですけれども、いずれにしても余り変わらぬですね。今現在一二・一ですか、それが二〇に近いというてみたところで、それは余り意味がないと言えば意味がないわけで、それでよかった、それで改正なんだというふうには胸を張れないと私は思うわけなんです。 それで、ここに「厚生の指標」という本があります。これは厚生省のお役人が私らの部屋に、社会労働委員会に属する者に配ってこられるわけなんですが、編集にはいろいろなお名前があるのですが、執筆は大体厚生省の、特に若いお役人ですか。
○小島政府委員 実際に取りまとめているのは、役所の職員がお手伝いしているケースが多かろうと思っております。
○浦井委員 それの一番最近の号ですね。読むのはあれですから、こっちに書き写しておるから読みますが、その中で「児童手当が第三子以降支給であることによって、この制度は児童養育家庭の一六%にしか関わりがあるにすぎない。」この一六%という数字がちょっと疑問でありますけれども、「これは、児童手当を国民一般になじみの薄いものとしているばかりでなく、人口刺激型の人口政策と誤解される一因ともなっている。また、児童手当が所得制限付き給付であることとも相俟って、制度導入の真の意義、すなわち、養育費用の社会的な負担によって、全国民が児童の養育に参加する、ということが理解されずに、いたずらに、これを低所得者のための養育費用に対する援助と誤解させることとなっている。」これは厚生省のお役人が書かれたのだろうというふうに私は思うのですけれども、やはりこういう意見が厚生省の中にもあるのですね。私は、これは正論だと思うのですよ。こういう誤解を与えておるわけです。だから、この支給率の低さということ、現在世帯数で一二・一%、ここに出ておる数字では一六%というような格好で、だから、もらっている人が暁天の星とまでは言わぬでも、それよりややましという程度で、国民の関心が低い、なじみが薄いということは、大臣、私は言えるだろうと思うのですね。だから、これが常に——児童手当無用論が出てきたのは、制度発足以来十三年にして何回目になるのですかね。所得税控除の問題とか、いろいろなことも出てきましたし、常に、それこそ今はやりの言葉で言えばターゲットの的になっている、無用論の原因になっているのではないかと思うのですが、大臣、どう思われますか。
○小島政府委員 確かに、審議会の御論議を伺っていても、一つには、支給対象世帯が少ないということがこの制度の国民的な認識を深める妨げとなっておるという御認識があります。また、財政審議会等で、廃止を含めて見直すべきだという厳しい御意見が出ておることも事実でございます。
○浦井委員 だから、私はしきりに言うのですけれども、けさほど来言われておるように、これは国民になじみの薄い制度になってしまっておる。横山教授の話によれば、これは見直し論が再々出てくる。その原因は、先ほど申し上げたようなこと、それが第一の論点ですね。多子防貧対策論、それから極端な第一次の臨調答申ですね。それから大きな二番目としては、十三年間の——十三年間というのは、少し前に書かれた論文ですから……。ずっと今までの実施の過程そのものが国民になじみの薄いものになっておるという言い方。それで、この実績が非常にまずい。まずい実績を示している児童手当そのものが評価しにくいし、評価の分かれている点であるというふうに理解されておるわけですよ。 だから、私はここで、はっきりさせるために、国論が二分するというような大層なことではないですけれども、先ほどから言っておるように、まず所得制限を思い切ってなくす。それから、世界六十六カ国のうち五十八カ国でやっておるように第一子から支給する。それから、これは後で述べますけれども、支給年齢をもっと引き上げる、本当のライフサイクルに合わせてですね。この三点を当然やることが事態の混乱を避け、そして、自民党といえどもさすがに日本政府やな、こういうふうに国民に思わせる唯一無二の道だと私は思うのですが、大臣、どうですか。
○増岡国務大臣 この問題は、先ほどから申し上げておりますように、あるべき姿というのを示して、広く国民の間で議論をしていただくということが必要であろうと思います。したがって、そういうことを踏み台にいたしませんと、なかなか私どもあるいは先生方のお考えのような理想に近づくことは難しいと思いますので、まずその第一段階をやらなければならぬと思っております。
○浦井委員 そこが違うところなんですね。先ほど、大臣が政務次官のときのお話が出てきました。やはり大臣の心の隅には、ばらまき福祉論的な考え方、だからこれを矯正すべきだというような考え方があるのではないか。五箇条の御誓文ではないですけれども。万機公論に決しということではなしに、もう決まっておるわけですから、だから行政当局としてそのことを実行していく。それが大事だというふうに私は重ねて強調しておきたいと思うわけです。今の論調で今からまた変な調査なんかしたら、それは児童手当制度そのものがなくなってしまうと思うのです。だから、むしろもっと積極的に拡充をしていく、そのことが厚生省の任務だというふうに私は思うわけであります。 そこで、もう一つ、私が言いました支給年齢の引き上げの問題です。これなんかも実態に合ってないのですね。けさ方から局長は——局長の意見の中には、やっぱり低所得者対策みたいな感じで、若いときには可処分所得も低いだろうし、そこに手当てをするために下げるのだ。しかし、実際の教育費なんかとの関係で家計が一番苦しいのはいつなんですか。
○小島政府委員 家計調査等によりますと、一番家計にゆとりがないという状況が示されている時点は、やはり子供が高校在学中、あるいは大学在学中という時代が一番苦しいというような意識調査も出ております。
○浦井委員 そうですよね。だからピークが二つ、峰が二つあるみたいな格好になるんですね。確かに、今局長の家計の状態がどうか知りませんけれども、やはり四十の後半から五十の前半にかけて一つの大きな峰があるわけです。もう一つの峰は義務教育期間にいくまでということ、小学校へ行くまで。だから、そのライフサイクルに合わせていく。国民生活白書、これも既に引用されておるわけですけれども、第一子が中学校に入学するところから実支出が増大し始める、そして大学へ行くころがピークになるわけですね。だから、先ほど言うたように、四十の後半から五十の前半、こういうことになるわけですから、やはり今回、少なくとももっと年齢を引き上げるべきだと私は思うのですけれども、逆にそれを引き下げておる。 今度の改正案はそういう点では逆行しておる。これは先ほどからいろいろ問題になっていますけれども、ここはこんなことはすべきではない。朝あったように、西ドイツなんかでは大学へ行っておれば二十七歳まで支給するというようなこともやっておるわけですから。大臣、どうですか。
○小島政府委員 これは先生お考えのとおり、抜本策を出すべきだという御意見、我々もそれを考えながら作業を進めてまいってきたわけでございますが、やはりこれからあるべき姿、五十五年意見具申を参考とするような姿につきましては、大幅な新たな財源調達という問題が出ます。これにつきましては、五十五年意見具申が出たときの新聞論調あるいはいろんな声を聞きましても、必ずしも期待していたような論調でなくて、むしろ否定的な論調の方が多かった。だから、こういう状況を踏まえますと、今ここで財源論まで踏まえた議論の展開というのは極めて困難な状態にあるだろうというふうに考えまして、当面、この制度をできるだけ一般化しつつ、さらに引き続き検討して、あるべき姿を求めてまいりたいという形のものでございます。 先ほどから支給期間の兼ね合いで、高校、大学とその辺がまたピークになる、そこを手当てすべきだということでございますが、諸外国の例もそういう例がございます。ただ、我が国の場合は、例えば中学卒で働いている者との兼ね合いという問題から、最初の制度発足当時から十八歳までという御意見もありましたが、やはり十五歳で切るのが妥当ではないかということでこんな形でスタートした経過もございます。今後その辺のところをどう考えるのか。やはり働いている児童は対象であっても出さない、在学中なら出すというような諸外国のような形が国民の合意を得られるのか、これは十分検討させていただかなければならぬと考えております。
○浦井委員 小島さんがいみじくも言われたように、抜本策と言いながら結局は財源論という形で、これはだめですね。理念もはっきりしているし、五十五年の中児審では意見具申できちんとしたものが出ているわけですから、少なくともその線から後退したらいかぬということはもうはっきり言えると思うのですよ。抜本策を今さらやらなくても、あの児童福祉審議会の意見をそのまま実行していったらよいと思うのですね。だから、そこのところでふらふらしたらだめですよ。 それで、支給金額ですが、当初、四十六年度は三千円から発足したのですね。試みに試算をしてもらいますと、純粋に消費者物価指数にスライドしていったら、四十六年度で三千円だったら、現在、六十年度で大体どれくらいになりますか、金額として。
○小島政府委員 物価スライドという形ということになるわけでございますが、三千円を基盤といたしまして、六十年度は物価スライドは出ませんので、五十九年度で出しますと七千五百円。それから、五千円に上げたのは五十年でございますので、五十年の五千円というものを基盤として物価スライドで計算していきますと、これも六十年度は出ませんので、五十九年度で計算いたしますと七千六百円。百円ぐらいのずれはありますが、大体七千五、六百円という形になろうかと思います。
○浦井委員 それが五十年度から五千円でずっときておるわけでしょう。だから、単純に物価指数にスライドしたら七千六百円ないし七千五百円。そうすると幾らになりますかね、五千円ですから相当目減りしているわけで、六〇%をちょっと上回るぐらいですね。教育費はその間かなり上昇しておるでしよう。
○小島政府委員 教育費を見ますと、これは現在の数字でございますが、小学校は公立で見ますと月額で三千九百九十円ぐらいでございますか。(浦井委員「十年前とどれくらい……」と呼ぶ)ちょっと十年前との比較ができない状態でございますが、中学校の場合は八千円程度、高等学校の公立で一万七千八百円程度ということじゃなかろうか、このように考えております。
○浦井委員 今、実額を言われたけれども、四十七年と五十七年とを倍率で比較をすれば、教育費というのは小学校で二・四六倍、それから中学校で二・八三倍、こういうことになるわけですよ。だから、そういう意味からいっても、六〇%近くに逆に目減りしているわけですから、これは当然引き上げるべきだと思うのですよ。 大臣、大体議論はおわかりになりますね。十年間も五千円でそのままというのはおかしいですよね。当然上げるべきですよ。どんな理屈をこねてみても、もう財源対策ということ以外にないのと違いますか、どうですか。
○増岡国務大臣 今回の制度改正に当たりましては、本来の趣旨でありますものをできるだけ伸ばしていこうということで第二子ということも考えたわけでございます。しかし一面、やはり財源を必要なだけ無限に伸ばすということが許される時代でもございませんので、へこまさない程度ということで考えますと今御提案申し上げておる内容に相なるわけでございます。しかし、これも先ほどから申し上げておりますように、将来のあるべき姿ということと並行して考えていかなければならないことでございますので、今後の課題であることには間違いございません。
○浦井委員 大臣は朝からそう言われているのですけれども、しかし、一面から言えば、時代が時代でありますから、何とか児童手当は制度として確保していきたいというような消極的なことではぐあいが悪いのですけれどもね。 局長にお尋ねしますけれども、中児審でも「価値ある額」と言っております。「価値ある額」というのはどの程度のものですか。
○小島政府委員 これも先ほどから御議論があるところでございますが、制度発足当時、一応児童手当として支給する金額のめどとして考えるべきだという御提言がありましたのは、やはり児童の養育費の三分の一あるいは二分の一、できれば二分の一程度までを確保するぐらいの額ということで考えるべきじゃなかろうかという御議論がありました。それから、今回の中児審の答申におきましては、最近の御批判のあるような財政状況の中で五千円で据え置いてきたという経緯もございまして、そのときの価値ある額というのは、御議論の過程においては、少なくとも現行程度の給付額は維持するということを考えていきたい、これを下回るというようなことはいかがであろうかというような御議論があったことは事実でございます。
○浦井委員 それは制度審ではないですよね。あなたの先輩である坂元さん著ということになっています「児童手当法の解説」、ここであなたが言われたようなことが書かれておるわけで、児童の養育費の二分の一ないし三分の一程度ということで三千円になった、そういうことですから、今先ほどから答えられているのは現在三万七千円ですか、それのこのとおりでいけば、大体価値ある額になるのと違いますか。どれくらいになるのですか。
○小島政府委員 大体一万三千円程度ということがその当時の考え方、三分の一ということでありますればそういう額がめどになろうと思います。
○浦井委員 だから、一万三千円にすればよいわけですね。大臣、どうですか。
○増岡国務大臣 計算の上からそうなりますけれども、やはり現実の社会を生きておるわけでございますので、実現可能な数字でやってまいりたいと思います。
○浦井委員 政治家というのはそう簡単に妥協したらいかぬですよ。やはり児童福祉と所得保障という格好できんとしておるわけですから、それを忠実に断固としてやるという姿勢が厚生大臣としては必要だと思うのです。 で、この坂元さんの同じ本に、児童手当のスライドの問題ですけれども、改定の措置については「国民の生活水準、消費水準、物価水準等に著しい変動が生じた場合に、児童手当の額をそのままにしていては、児童手当が所得保障の一環として当初もっていた意義を失ってしまうことになるので、すみやかに改定が行なわれるべきことが規定されているわけである。」こうなっておるわけです。はっきりしておるわけです、スライドしなさいと。それで「政府としては、本項の趣旨を体して」——今の政府とその当時の政府と違うのかもしれませんけれども、「本項の趣旨を体して制度を運営すべき責務を有するものである。たとえば、児童養育費の動向等に留意するとともに、同様の規定が設けられている諸制度が今後の生活水準その他の諸事情に対処する例も参考としつつ、生活水準等に応じた給付が担保されるよう弾力的な措置を講じなければならないといえよう。」こういうようにここに書いてあるわけですね。だから、これは一万三千円が妥当な額と違いますか。大臣、どうですか。
○小島政府委員 確かに、制度発足当時からそのような理念のもとに運営すべきものという考え方がありまして、先ほども御指摘がありましたが、今お示しいただきましたような条項が六条二項に訓示規定といたしまして置かれていることも事実でございます。ただ、この制度発足直後から財政状況が非常に変わってまいりました。それと同時に、福祉のいろいろな需要も増加してまいっておりまして、世論その他関係方面の声を聞きましても、他の施策の手当てが急がれる状態にありまして、やむを得ずこの関係の改善ということを残念ながら見送らざるを得なかったというような実態上の運用であったというふうに承知しております。
○浦井委員 何遍も繰り返すようですけれども、少なくとも先ほどからも出ておりますように、七千円というような低所得者に対する特例なんかを廃止するのでなしに、七千円が最低のベースになるくらいなものには持っていかねばいかぬのですよ、趣旨からいって。 局長は先ほどから財政事情と言いますが、これは自民党政府のお役人だから、そう言わねばしようがないのかもわからぬのですけれどもね。それともう一つは、世論世論と言われるのですけれども、大体この間、去年、おととしくらい老人保健法のときから、むしろ厚生省のあなた方がマスコミに上手にリークをして、それで世論をつくり上げておいて、なるほどなというふうに一部に思わした時分に、今度は老人保健法にしても健康保険にしても年金にしても抜本改悪を出してくる。そういうやり方ですよ。だから、世論世論というところがくせ者であって、そんなことは先ほどから何遍も言っているように、断固として、当時のあなたの先輩である坂本さんが書かれているような趣旨に基づいて、一万三千円に今すぐやれとは私もすぐには言いませんが、少なくとも七千円ぐらいには上げねばいかぬ、そういうことを私は要求したいと思うわけであります。それについて言ったら、第二子が二千五百円。これは何ですか、二千五百円というのは。何でそんなことをするのですか。
○小島政府委員 当面の改善策としては、新たな財源手当てにめどが立たない以上、最大限現在の財源の枠内での対処ということにならざるを得ないだろう。これは中央児童福祉審議会の御認識でもございました。我々としても児童手当の現在の置かれている環境等々を考えますと、やはり現在の財源の枠内での改正ということに一応考えざるを得ないというふうに考えまして、そういう枠組みの中でも、今後この制度がより国民の理解を得ながら発展できるような改善策ということを中心に考えますと、何と申しましても、支給対象児童の範囲を拡大することが第一義的に必要な措置であるというふうに考えまして、その範囲の拡大に最重点を置いたということでございます。 それにあわせまして、今度は、そうなりますと、当然支給期間も相当切り込まざるを得ない。これは中児審もそういう御認識で、それでも支給範囲を拡大しろという御意見でございましたが、その支給期間につきましても、やはり意味ある期間としては就学前まで、少なくともそこまで確保したいということを考えまして、その結果手当額を今度はその枠内で操作せざるを得ないわけでございますが、従前の第三子以降の方々については、低所得者加算を廃止しましても五千円は確保したい。その財源の中で考えますと、二千五百円というのが正直申し上げまして限度いっぱいの額であった。決してこれが十分な額だと考えておるわけではございません。
○浦井委員 児童家庭局長は非常に苦しいのですが、要するに財源の枠内でと、こういうことなんですね。だから、パイが一緒で、それは同じパイでほかのところを食えば残り少なくなってくるのは当たり前で、そういう発想が前提になれば、議論はかみ合わぬわけですよ。私はパイを大きくせよと。 ところが、ちょっと聞きますけれども、児童手当に対する国庫負担というのは、ぽんぽんと年を置いて昭和五十年度と昭和五十五年度と昭和六十年度の国庫負担の額はどれくらいですか。
○小島政府委員 五十年度は国庫負担の額は、丸めた数字で申し上げますと六百億、五十五年度は七百四十七億、六十年度は六百一億という額でございます。
○浦井委員 六十年度六百一億でしょう。だから国庫負担は十年前と変わりはせぬわけですよ、五十年度が六百億ですから。だから六十年度に制度改正するとしませんか、そうしたら完全実施した場合の国庫負担はどのくらいになりますか、これはもうはっきりしていますね。
○小島政府委員 今の六十年度の数字で置きかえた場合に五百五十三億程度になる、そういうふうに考えております。
○浦井委員 だから、国庫負担というものを一つのパイとして考えますと、十年前と変わらぬ。六十年度六百一億、それが今度は括弧つきの改正でマイナス四十八億になって今言われたように五百五十三億になるわけでしょう。国庫負担という点ではパイが大きくなっているのでなしにむしろ小さくなっている。そこが問題だというふうに私は言うわけであります。だから、総論的に言いますと、結局十年前と同じ国庫負担である。このこと自身が他の所得保障の制度あるいは他の社会保障の制度の中では異常であるわけですね。頭打ちではなしにむしろ下がってきておるということ。しかも手当のスライドは行わない、所得制限は強める、特に国庫負担の多い自営業者に対する支給の制限は今までずっと強められてきているわけですね。 だから、根本的な見直しというようなことでなしに、はっきりしておるわけですから、大臣、今ここで根本的な見直しをすれば結局臨調答申の線に沿ったところにいかなければしようがないのと違いますか。そんなことではいかぬと先ほどから私は強調しておるわけなんです。国庫負担も四十八億下がるわけですよ。それではだめだということを私は言っておるわけです。大臣、それはどうですか。
○増岡国務大臣 お話しのような、パイが同じだから云々でございますけれども、私どもはそれを大きくするためにはあるべき姿というものを示して議論をしなければならない、そういうつもりでお話しを申し上げておるわけでございます。
○浦井委員 パイを本当に大きくしますか。当分、パイが大きくなる見込みはありますか。
○増岡国務大臣 ですから、それを大きくするためのいろいろな議論の土台となるべきものを示さなければなりませんし、そういう努力をしなければ大きくはならないと思います。
○浦井委員 もう時間ですから質問をやめますけれども、増岡大臣、えらいときに厚生大臣になられたと思う。この間の被爆者援護法でもそうでありますけれども、広島の御出身であるにもかかわらず被爆者援護法ができないということで苦慮された。今度も児童手当法の、私は改悪だと思うのですけれども、こういうことで苦労されている。そのお気持ちは個人的にはよくわかるのですけれども、小島局長も内心は大変だろうと思うのですけれども、当初申し上げたようにやはり児童手当——命と健康を守るために健康保険があり、所得保障のために年金という社会保険があり、それから児童手当があり、生活扶助があり、狭い意味での社会福祉がありというような格好になるわけですから、それの一画をなしていることは間違いないわけですから、ここで拡充強化をするという観点で断固として進まなければ、これはもう今の自民党政府はずっと臨調答申そのままで、臨調路線で、何かきょうは国家機密法まで自民党が提案したというような報告を聞いておりますけれども、どこまで行くかわからぬ。文字どおり急坂を転がるような勢いで日本の国の民主主義なりあるいは国民の権利なりが侵害されていくだろう。そういう点では、それに同調しないようにといっても無理でしょうけれども、叱咤激励、むしろ叱咤の方に力点を置いた要求をして、私の質問を終わります。
○戸井田委員長 菅直人君。
○菅委員 児童手当法の審議がきょう朝以来続いているわけですけれども、きょうの質疑の最終バッターということで、幾つかの点で大臣なり局長の方にお尋ねをしたいと思います。 まずこれは大臣にお尋ねしたいんですが、この児童手当法ができた経緯とかいろいろなことはあると思いますが、今日の時点でこの児童手当法という法律がどういう目的というかねらいというかを持っていると考えるべきなのか。特に先ほどからこの資料を改めて見直してみまして、これからの人口の年齢別の比率などの変化を見ると、出生率の低下がこれから将来の高齢化社会の進展の中で非常に大きな影響を与えてくることが予想されているわけで、そういう点でこの法律のねらいということを考えるときに、一つの人口政策と考えるべきではないかと私は思うのですが、その点、大臣のこの法律の趣旨というものに対するお考えを伺いたいと思います。
○増岡国務大臣 恐らくこの法律をつくりましたときも、その後の対策についていろいろ御議論をいただきました場合にも、それぞれの当事者の頭の中には人口問題ということがなかったとは言えないと思います。しかし、法律として、形としてあらわれておりますものは、家庭生活でありますとか子供の資質の向上でありますとか、そういう姿になっているわけでございます。したがって、私どもといたしましては、そういう社会保障的な制度の中でせめて言えることは、高齢化社会を迎えるに当たって世代間の連帯というものをもう少し考えなければ乗り切ることができないのではないかというような表現をいたしておるわけでございます。しかし、依然として数の問題というものが消えたわけではございませんので、その問題を含めて国民的な関心を高めるために、いろいろな資料でありますとか指針のようなものをつくらなければならないというふうに考えております。
○菅委員 私、実は何となくこの法律をこの間見ていて、そういう目的を含めて、あるいはこれから先、中身に入っていくに当たっても、いろいろな意味で中途半端だなというのが率直な感想なんですね。ですから、国民の皆さんの前に、この制度はこういう意味があるんだ、またこういう目的を持っているんだということがもうちょっと今の時代にマッチした形で、必要なら位置づけを直すということも十分考えていいんではないかと思うわけですけれども、厚生省として出生率の現在の数値あるいはこれから将来の出生率がどういうふうに変わっていくかなかなか予測は難しいかとは思いますが、その出生率の展望としてどんなふうに見ておられますか。
○小島政府委員 出生率の状況を見ますと、法律制定当時の出生数の状況、四十年代の中ごろということになりますと、大体合計特殊出生率で見まして人口の置きかえ水準の二・一前後のところにありまして、三十年代に比べますとだんだん人口は減少傾向にある、出生率は減ってくるという状況でございましたが、さらに、現在ではそれを大きく割り込みまして合計特殊出生率が一・八という状態になっております。法制定当時よりももっと深刻な出生率の低下になっていると考えております。 今後、このような数字がどう動くかということについては、本当に国民のそれぞれを含めました全体の意識の問題、家庭、社会あるいは世代間というようなことに関する意識の問題が、幸福論の問題も含めまして大きく作用するのじゃないか。予断を許さない状況でございますが、五十七年度と比べると五十八年度は多少出生率の回復の傾向も見られます。しかし、人口推計上はもうしばらく合計特殊出生率が一・八くらいのところで前後する動きがあるのじゃなかろうか、あるいはもう少したではこれが安定的な数字にまで回復するのじゃなかろうかという予測もありますが、これはこれからの国民の生活に関する意識、家庭生活と極めて深いかかわりがあると考えておりますので、極めて予断をしにくい問題であろう。 ただ、諸外国の例を見ますと、先進諸国では合計特殊出生率が世代再生産をできるまでにはなかなかいってない、みんな落ち込んで悩んでいるという状況が先例としてありますので、日本はこういう状況を現時点でももっと深刻に受けとめなければならぬと考えております。
○菅委員 私自身も戦後の生まれなんですけれども、いわゆる世界的なベビーブーム、特に日本の昭和二十一年から二十五年あたりの団塊の世代が今ちょうど三十代半ばになっている。ですから、年金の議論をしていても、しばらくは大丈夫だ、しかし二十年くらい先になると危ない、三十年先は、真っ暗と言ったら言い過ぎかもしれませんが、どうなるかわからない。 そうすると、このベビーブーム世代は、ある意味では、一生懸命年金を含めて払っていても、自分たちが年金を受け取るころになる昭和八十五年あるいは九十年という時代を見ますと、この数字で言うと老年人口指数が三〇あるいはそれを大きく超えていく、果たしてそのとき、今の子供たちあるいは今から生まれてくる子供たちがそれだけの負担にたえ得るのだろうか、あるいは今の仕組みでたえ得るだろうかということを考えるときに、これはかなり人口政策を考えておかないと、子供だけは後になってちょっと十年前の分の足らないのをふやすわけには、これは移民でもしない限りは不可能ですから、そういう意味では長い目で見ると非常に深刻だと思うのです。 もちろん、もっと長い目で見れば、地球上で人口がこれ以上爆発することについては、必ずしも人口をふやしていいとは思いませんけれども、日本という地域で見る限りは余りにも激変現象がこの二十年間、三十年間で起きてくる。そういう意味では、余りに急激な比率の変化は、場合によったら社会構造を壊してしまう危険性すら感じるわけです。 そういった意味で、この児童手当法について考え方をはっきりと、人口政策的な要素をメーンないしは一つの骨格と考えていく必要があるのじゃないかと思うのですが、欧米の制度ではこういった点についてどんな考え方がとられているか、概略どういう状況でしょうか。
○小島政府委員 欧米諸国につきましては、日本よりも老齢化の進捗状況は早うございます。したがいまして、世代間の連帯による社会保障制度ということを考えた場合に、そういう位置づけとして児童手当制度も極めて積極的評価もあり、また給与体系の違いあるいは税制の違いというようなことから、日本以上にこの制度の積極的な評価が国民の間に広がったと思います。 かつて言われたように、フランスなんか最も人口の減少傾向に悩んでいたところでございますが、その対応策の一つとしてこの制度を考えていたという経緯もあったようでございますし、現在最も人口の減少傾向に悩んでおりますのが西ドイツでございます。したがいまして、そういうところの対応策の一つの手段として児童手当制度のさらに拡充とか税制による児童扶養控除の復活とかということも重ねて検討されているという状況も伺っております。
○菅委員 そういうふうに考えていくと、今回まさに括弧つきといいましょうか、改革案、改正案が出されているわけですが、果たしてこれがそういう政策目的に合致した方向での改革になっているかどうかということなわけですね。その点について、大臣は、この改革はそういう方向に合致する改革だと胸を張って言われるのか、いや、必ずしもそうとは言えないということなのか、そのあたりはどうですか。
○増岡国務大臣 私どもは、この児童手当制度につきまして基本的な見直しをする必要があるという判断に立っておるわけでございます。したがって、その際には範囲の拡大、金額、所得制限等もろもろの問題を総ざらいしなければならないわけでございますけれども、今回は、厳しい財政の中でもその一部として第三子を第二子にまで広げだということが前向きの措置であろうかと思います。したがって、これで十分とは思っておりませんけれども、当面とる策としてはこれしかないという感覚でおります。
○菅委員 確かに第三子という範囲を第二子というところまで、そういう意味では広げた。年齢が逆に狭くなりましたからその意味での減少が逆にあるわけですが、少なくとも第二子が対象になるという意味では、その面だけで言えば一つの前進だと思うのです。 しかし、今回第二子に支払われることになる手当が二千五百円ですよね。二千五百円という金額が今の政策目的から見たときに意味がある額なんだろうか。つまり、もっと具体的に言えば、出生率が余りにも下がってきた。もう少し、せめて一・九とか二くらいまでは戻った方がいいという趣旨だったと思うのですが、そういうものに対して多少なりともプラス効果があると考えるのか、もうほとんどネグレクトされるような影響にしかすぎないのではないかというふうにも思われるわけですが、その見通しはどうですか。
○小島政府委員 額の問題につきましては、先ほどから申し上げておりますように支給対象児童の範囲の拡大あるいは支給対象期間、これは御批判もありますが、一応就学時までを確保しようということの結果として、第二子に拡大された手当額が二千五百円にとどまらざるを得なかったということで、これは大臣からお答え申し上げておりますように十分な額とは考えておりません。 ただ、これによってそのような人口問題と申しますか出生数の問題に対する国民的な関心の表明になるかという御批判はあろうかと思いますが、少なくとも一家庭で二子は欲しいという希望を、弱いトーンながらも示すことになるんじゃなかろうかというふうに考えてはおりますし、またこれは単に金額だけの問題ではなくて児童の養育、児童の数の問題を含めてその育成という問題について家庭だけじゃなくてもっと広く国民全体が関心を持って協力するという姿勢の表明としては意味があることと思います。これは、本当に実効性のあるものに改善していくことが今後の課題ではなかろうかと考えております。
○菅委員 大変苦しい答弁を強調されるので、余り言うと気の毒な感じもしないではないのですが、姿勢を示すことにはなる、姿勢を示すことにはなるけれども実効性については今後の課題だ、そういうふうに言われてしまうと、何といいましょうか、それが果たして政策と言えるのかどうか。これは別に広報宣伝の予算じゃないわけでしょうから。つまり、子供をもうちょっと、せめて二人は、できたら余裕のあるうちは三人は産まれた方が将来いいですよ、それならこの金額をどこか広告会社でも出して、そういうキャンペーンをやったって、政府の姿勢を示すことになるわけですね。だから、政策であればそれは単に姿勢を示すにとどまらず、実効性があるのであれば意味があるけれども、単に姿勢を示すにとどまるのであれば、まさに宣言みたいなものですから、余り政策的とは言いがたいわけですよ。 そういう点で、この二千五百円という金額が常識的に考えて、何と言いましょうか、余りにも少ないということを含めて、中途半端だということは、これはもう否めないと思うのですね。ですから、百歩、二百歩譲っても、第三子に支払われる額と同額の制度としてスタートすべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
○小島政府委員 御指摘のように、現行の五千円という額についても、制度発足当初の理念から遠いのじゃないかという御批判もある状態でございます。我々としても、何とか第二子につきましても五千円程度という形で検討してまいりましたが、今回の制度の改革というものは、やはりどうしても財源的な制約もございます。これはもう努力が足りないからという御批判があれば、それはまたそれを甘受しなければなりませんが、今の児童手当に関する世論の支持状況あるいはそのプライオリティーを問われた場合の世間の評価ということを考えますと、やはり今回は、財源を新たに求めるということが困難な状態にあるのじゃないか。現行の財源の枠内ということで考えれば、これもやむを得ない措置ではなかろうか。ただ、こういうことによって、児童手当を一般化することによって、さらに積極的な議論をしていただく基盤を整備しながら、あるべき姿に向かって論議を深めてまいりたいと考えております。
○菅委員 それと、これも理念として確かに財源枠というものが無限でないということは我々もわかっていますから、どこかである種の線を引かなければいけないと思うのですが、現在所得制限がありますよね。それがこの理念としてこういうものにマッチするものなのか、これが、いわゆる経済負担保を緩和するという要素からいえば、経済的に余裕がある人はいいじゃないかという考えも成り立つかもしれませんが、先ほどの考え方、いわゆる人口政策的に考えれば、所得制限があるとしても、それはかなり緩やかな所得制限であるべきであって、やはり一つの効果的な問題だとすれば、あるいは今言われたように、その姿勢を示すことになるという理念を大事にすれば、やはりこの所得制限というものがかなり厳しくかぶさっているというのは、制度の趣旨の理解にとっても非常にあいまいにしているのじゃないか、この点はいかがですか。
○小島政府委員 児童手当本来の趣旨から考えましても、所得制限があるべきでないという御意見はそのとおりだと思います。仮につけるとしても、本当に高額所得者の方に御遠慮願うという趣旨ぐらいが精いっぱいじゃなかろうか。これは審議会の御意見でもございます。 我々としてもできるだけその所得制限を緩やかな方向にということは課題として考えておりますが、財政再建期間中の特例措置として現状どおりの給付に関します所得制限を継続させていただくということでございまして、これは全く応急的、緊急的措置であるというふうに我々も考えております。また、それとの兼ね合いで特例給付というような制度もあわせて組み込ませていただいておりますので、辛うじて支給対象児童のうちの八割程度が現に支給を受けられるということを確保できるということでございますので、不十分ながら制度の本旨に近い運営はできるのではないかと考えております。
○菅委員 そろそろ時間ですので、最後に特に大臣あるいは厚生省に強く要請をしたいのですが、この数年年金のいわゆる大改革法案が次々に出されて、国年についてはいろいろ問題点があって我々は賛成はしませんでしたけれども、一つの制度改革が動き出している。そういう中で、やはり常に十五年先、二十年先はどうなるんだ、三十年先はどうなるんだということがその議論の中でも問題になりましたし、これはもう一般の人たちと話をしていると、ほとんどの人がそのことを気にしている。 そういう点で、私はこの児童手当法あるいはこの子供の問題というのは、実はそういった問題と全く密接不可分という以上に、極端に言えばメーンの問題と考えても考えすぎじゃないんじゃないか。五年、六年先のことだったら、大体今とそう変わらない。しかし、二十年先になったらどうなるかということを読み通せるかどうかが、この年金制度を考える上でも最大の問題点だろうと思うわけですね。 そういった点でいろいろな数字を年金の議論の中でもあれしますけれども、そのときに子供がどういう変化になったらどうなるんだということもあわせて議論をするような形をとれば、もっと子供に対するあるいは出生率の低下の問題に対する認識が国民的に広がってくるんじゃないか。 そういう点で、今回の児童手当法の改正案というのは、内容的には大変中途半端であるというだけではなくて、いろいろ問題点があると思いますけれども、一つのこの議論を含めて、厚生省がトータルの人口政策に本腰をぜひ入れていただきたい。そのことを強く要請をして、私のきょうの質問を終わります。
○戸井田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時五十六分散会