P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
102回国会衆議院1985/04/23

社会労働委員会 第18号

発言数
347
登壇者
21
会派数
5
開催日
1985/04/23

会議録

戸井田三郎自由民主党・新自由国民連合

○戸井田委員長 これより会議を開きます。  池端清一君外三名提出、雇用保険法の一部を改正する法律案、村山富市君外九名提出、定年制及び中高年齢者の雇入れの拒否の制限等に関する法律案、大橋敏雄君外四名提出、家内労働法の一部を改正する法律案、多賀谷眞稔君外五名提出、職業安定法の一部を改正する法律案及び多賀谷眞稔君外五名提出、情報処理業務に係る労働者派遣事業の規制及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する臨時措置法案の各案を議題とし、順次趣旨の説明を求めます。池端清一君。     ―――――――――――――  雇用保険法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――

池端清一日本社会党・護憲共同

○池端議員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました雇用保険法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  最近では、景気が上向いたと言われても失業者が減少しないところか、総務庁の労働力調査によれば、昨年平均の完全失業者数百六十一万人、完全失業率二・七%と、相変わらず高水準で推移しております。  このような状況の中で、東北、北海道など、積雪寒冷の地では、ただでさえ狭隘な冬期の就労が、ますます困難になっております。これらの地域では、積雪寒冷という気象条件下にあって、冬期間の産業活動が著しい制約を受け、雇用面にも大きな影響を及ぼしておりますが、最近の冬期における完全失業率は、例えば北海道の場合を見ますと、総務庁の労働力調査によれば昨年三月現在六・二%と、極めて高いものとなっているのであります。  積雪寒冷という気象条件に制約されて、季節的に循環雇用を余儀なくされた季節労働者は、全国で約七十万人ほどいると言われ、その約九割が北海道、東北、北陸で占められております。これらの地域の雇用情勢は、建設投資の停滞等により、極めて悪化しており、また、大都市に職を求めようとしても、産業構造の転換の中で、容易に職は得がたく、季節労働者の失業期間が長期化しているのが現状であります。また、就労の機会が得られたとしても、実質賃金は、ここ数年、低下の一途をたどり、季節労働者の生活は破綻寸前と言っても過言ではありません。このため、冬期間の生活保護世帯が増加しつつあります。  憲法第二十七条は、すべての国民に勤労権を保障しております。国は、国民に対して勤労の場を保障しなくてはならない責務を有しているのであります。それが果たされないまま、多くの国民が季節的に失業の憂き目を見ている今日、雇用保険法は本来の趣旨に基づき、こうした失業者をよりよく救済するのが当然であります。  したがって、このような雇用失業情勢を踏まえるならば、これら季節労働者に対して、特例一時金五十日分だけではなく別に四十日分までを上乗せすることによって、せめて従来の失業保険制度のように、九十日分までの手当を支給すべきであるとするのは、ごくささやかな必要最小限の要求であると言わなければなりません。  日本社会党・護憲共同は、このような実態にかんがみ、これら雇用と失業を反復する季節労働者救済のため、雇用保険法の改正を提案する次第であります。  次に、この改正案の内容について御説明申し上げます。  第一は、短期雇用特例被保険者に対する特例基本手当の新設についてであります。  この改正法は、特例一時金の支給を受けた者が、離職の日の翌日から起算して六カ月を経過する日までの期間内において、当該特例一時金の支給を受けた日以後、失業している日が通算して五十日を超えた場合に、当該五十日を超えた日から当該六カ月を経過する日までの期間内の失業している日について四十日を限度として、特例基本手当を支給するものといたしております。  なお特例基本手当に係る失業の認定、手当の日額、支給方法等は、一般被保険者に対する基本手当の支給に準じて行うものといたしております。  第二は、特例傷病手当の新設についてであります。  この改正法は、特例一時金の支給を受けた者が、前記の五十日を超えた日以後、公共職業安定所に出頭し、求職の申し込みをした後において、疾病または負傷のために職業につくことができない場合に、当該五十日を超えた日から当該六カ月を経過する日までの期間内の疾病または負傷のために、特例基本手当の支給を受けることができない日については、四十日から既に特例基本手当を支給した日数を差し引いた日数分を限度として、特例傷病手当を支給するものといたしております。なおこれに係る疾病または負傷の認定、手当の日額、支給方法等は、一般被保険者に対する傷病手当に準じて行うものといたしております。  最後に、この改正法は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行することといたしております。  以上、この法律案の提案理由及びその内容につきまして、御説明申し上げました。  この法律案は、厳しい生活環境に働くすべての季節労働者とその家族の切なる願いであることを十分に勘案され、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。(拍手)

戸井田三郎自由民主党・新自由国民連合

○戸井田委員長 村山富市君。     ―――――――――――――  定年制及び中高年齢者の雇入れの拒否の制限等   に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――

村山富市日本社会党・護憲共同

○村山(富)議員 私は、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党・革新共同及び社会民主連合を代表して、ただいま議題となりました定年制及び中高年齢者の雇入れの制限等に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  我が国は今、本格的な高齢化社会の到来を迎え、中高年齢者の雇用確保が非常に大きな社会問題となっていることは御承知のとおりでございます。  今や人生八十年時代と言われ、五十歳台といえば、精神的にも技能的にも、もっとも成熟を遂げた働き盛りであります。にもかかわらず、五十五歳定年制、六十歳未満定年制が、人生五十年時代の明治時代の遺物のごとく、いまだに多数の大手企業に存続しているのは、時代錯誤も甚だしいと申さなくてはなりません。  このような社会状況を背景として、定年は少なくとも六十歳まで延長するようにと、八年前の国会で決議したにもかかわらず、労働省の統計によれば、昨年一月現在で六十歳以上定年制が五二・一%と、ようやく過半数に達したとはいえ、いまだに六十歳未満の企業が多く、特に大企業や中堅企業では、五十五歳にとどまっている企業も相当数あることは見過ごすことができません。  また、中高年齢者の有効求人倍率は、一九七九年以来低下傾向をたどり、昨年の年齢別有効求人倍率を見ますと、四十五歳以上五十歳未満は〇・五七%、五十歳以上五十五歳未満は〇・三六%、五十五歳以上六十歳未満は〇・一六%、六十歳以上では〇・一%にも満たない現状であります。つまり高齢化社会を迎えているにもかかわらず、五十五歳を超えて職を失った人が再び職につくことは極めて難しくなっているのであります。  もはや単なる行政指導などでは不十分であることが実証されております。定年は、法律によって当面六十歳まで、将来は六十五歳まで延長することが、ぜひとも必要になっておるのであります。厚生年金等の支給開始年齢が、こうした雇用保障の年齢に連動するものでなく、ましてや定年制等の退職年齢よりも高齢であってよいはずはありません。  我々は、このような状況にかんがみ、この法律案を提案する次第であります。  次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。  第一は、この法律の目的であります。  この法律は、高齢化社会における中高年齢者の雇用を確保し、六十五歳未満の定年制及び中高年齢者の年齢を理由とする雇い入れの拒否を制限すること等により、その職業の安定を図ることを目的といたしております。  第二は、適用労働者等についてであります。  この法律は、船員、家事使用人等を除く労働者及び求職者に適用するものといたしております。なお、中高年齢者とは、四十五歳以上、六十五歳未満の労働者を言うものといたしました。  第三は、定年退職等の制限についてであります。  事業主は、六十五歳未満の年齢を定年として労働者を退職させてはならないものといたしました。また定年が定められていない場合も、事業主は、年齢を理由として六十五歳未満の労働者を退職させてはならないものといたしております。  第四は、雇い入れの拒否の制限についてであります。  事業主は、労働者の雇い入れに当たっては、年齢を理由として、中高年齢者の雇い入れを拒んではならないものといたしております。  ただし、小規模企業においては、既に中高年齢者の雇用率がかなり高率になっているものも少なくない実態にかんがみ、事業所における年齢別の雇用構造に照らし、その事業の運営上やむを得ないものとして、一定数の労働者につき、年齢を雇い入れの条件とすることについて、公共職業安定所長の許可を受けたときは、この限りでないものといたしております。  第五は、職業紹介の拒否の禁止についてであります。  職業紹介事業者は、中高年齢者の年齢を理由として、職業を紹介することを拒んではならないものといたしております。  第六は、募集広告の制限についてであります。  事業主または職業紹介事業者は、労働者の募集または職業紹介に係る求職者の募集に際し、中高年齢者が除外されることとなる広告をしてはならないものといたしております。  第七は、不利益取り扱いの禁止についてであります。  事業主または職業紹介事業者は、労働者または求職者が行政機関に対し、第三または第五の規定に違反した旨の申し立てをしたことを理由として、その労働者に対して解雇その他不利益な取り扱いをし、または求職者に対して職業を紹介することを拒んではならないものといたしております。  第八は、特定職種についての特例に関してであります。  六十五歳未満の年齢を定年として退職させることが業務の遂行に必要とされる能力に照らしやむを得ないものとして政令で定める職種については、退職、雇い入れの拒否等の制限の年齢六十五歳未満を、政令で定める年齢未満とするものといたしております。  第九は、報告及び立入検査についてであります。  労働大臣または公共職業安定所長は、この法律の施行に必要な限度において、事業主または職業紹介事業者に対し、労働者の定年、雇い入れの拒否の状況について、報告を求め、またはその職員に立ち入り、関係者に対して質問させ、もしくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができるものといたしております。  第十は、施行期日及び経過措置についてであります。  この法律は、一九八七年四月一日から施行するものといたしております。なお第二、第三及び第八の適用については、当分の間、これらの規定中「六十五歳」とあるのは「六十歳」とするものといたしております。  第十一は、定年等の引き下げ防止についてであります。  この法律の施行の際、現に就業規則、慣行等により六十一歳以上の年齢を定年その他の退職の理由としている事業主は、その年齢を引き下げることがないように努めなければならないことといたしております。  以上、この法律案の提案理由及びその内容につきまして、御説明申し上げました。  この法律案は、今や全有業者人口の七割以上を占める労働者の、極めてつつましくも切実なる要望であることを十分に配慮され、御審議の上、速やかに御可決されんことを切望いたします。  終わります。(拍手)

戸井田三郎自由民主党・新自由国民連合

○戸井田委員長 大橋敏雄君。     ―――――――――――――  家内労働法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋議員 私は、公明党・国民会議提出の家内労働法の一部を改正する法律案の提案理由の説明を行います。  ただいま議題となりました家内労働法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  家内労働法は昭和四十五年十月一日から施行され、この間、関係当局の広報活動、監督指導等の実施により、家内労働者の労働条件の改善の努力がなされてきたにもかかわらず、その実は上がらず家内労働者は依然として厳しい生活を余儀なくされています。  特に雇用労働者の労働条件、就業条件等が向上している中にあって、現在、百三十万人と言われている家内労働者は長時間労働、低工賃等の労働条件を強いられ、工賃では家内労働者が三百五十円、パートタイマーが五百五十円、一般労働者が八百五十円(一時間当たりの男女平均工賃・賃金額)と、パートタイマーよりも極めて低い状態であります。  さらに、安全衛生面で不十分なため、健康障害を起こしている人が年々ふえています。  公明党は、このように劣悪な状況下にある家内労働者の生活を安定させるため、労働条件の改善及び福祉の増進を図る必要があると考え、ここに家内労働法の一部改正案を提出する次第であります。  次に、この一部改正案の概要について申し上げます。  第一に、労働条件の決定についてであります。(第一条関係)  家内労働者の労働条件は、家内労働者と委託者が対等の立場で合意に基づき決定すべきものであることとしております。  第二に、労働時間の制限についてであります。(第四条関係)  委託者は、家内労働者に一日について八時間、一週間について六日間を超えて委託をしてはならないこととしております。  第三に、委託打ち切りの予告についてであります。(第五条関係)  委託者が委託を打ち切ろうとするときは、打ち切る日の十五日前までに家内労働者に予告しなければならないこととしております。  第四に、工賃の最低賃金との均衡についてであります。(第十三条関係)  家内労働者の最低工賃の決定については、最低賃金法と均衡するようにすることとしております。  第五に、危険有害業務の委託の禁止についてであります。(第十六条の二関係)  委託者は家内労働者に対し、危険または有害な業務で労働省令で定めるものに従事することとなる委託をしてはならないとしております。  第六に、安全衛生教育についてであります。(第十六条の三関係)  委託者は新たに家内労働者に委託しようとするときは、その従事する業務に関する安全または衛生のための教育を行わなければならないとしております。  第七に、未払い工賃の立てかえ払い制度の創設等についてであります。(第十八条の二以下)  労働福祉事業団に次の業務をも行わせることとしております。  (一) 委託者が破産の宣告を受けた場合等のときに、未払い工賃の立てかえ払いを行うこととしております。  (二)委託者及び家内労働者への資金の貸し付けを行うこととしております。  (三) 家内労働者のための福祉施設の設置等の事業を行うこととしております。  (四) 家内労働者福祉事業納付金の徴収を行うこととしております。  (五) 納付金は委託者が負担し、委託者は事業団に納付金を納付することとしております。  なお、国は政令で定めるところにより、事業団に対し業務に要する費用の一部を補助することとしております。  第八に、施行期日についてであります。  この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲において政令で定める日から施行することとしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)

戸井田三郎自由民主党・新自由国民連合

○戸井田委員長 多賀谷眞稔君。     ―――――――――――――  職業安定法の一部を改正する法律案  情報処理業務に係る労働者派遣事業の規制及び   派遣労働者の就業条件の整備等に関する臨時   措置法案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――

多賀谷真稔日本社会党・護憲共同

○多賀谷議員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました職業安定法の一部を改正する法律案及び情報処理業務に係る労働者派遣事業の規制及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する臨時措置法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  我が国の雇用構造は二重構造であると言われ、かつてOECDが日本の労働事情に関する調査団を我が国に派遣した際に、「日本にはセカンド・シチズン、第二市民がいる」という指摘がなされました。  我が国においても、戦後の当初は、中間搾取の排除を定めた労働基準法や、労働者供給事業の禁止を定めた職業安定法の制定等、労働関係の民主化が行なわれたため、工場内において下請労働者を見出すことはほとんどできませんでした。しかるに、一九五二年、昭和二十七年に職業安定法施行規則第四条が改正され、労働行政の指導方針が変更されたため、社外工という名の下請労働者が生まれ、次第に増大してまいりました。  こうした下請労働者の実態を見ますと、鉄鋼、化学、造船等の社外工の労働災害被災率は、本工労働者の二―三倍となっており、所得面では七割程度にすぎないなど、極めて劣悪な労働条件のもとで働いております。  ところで、欧米諸国においては、労働組合が職種別あるいは産業別に組織されており、同一労働、同一賃金の考え方に基づく職種別・職能別賃金体系が社会的に確立しております。しかしながら我が国においては、労働組合はほとんどが企業別に組織され、賃金体系も終身雇用を前提とする年功序列型が根強く、欧米諸国に見られるような職種別賃金体系とはなっておりません。このため我が国においては、下請負制度を通じて中間搾取的な要素が持ち込まれる余地が存在しているのであり、また実際、下請負制度が導入され、雇用の二重構造が拡大してきたのであります。  今日、労働者派遣的事業といわれるものが数多く存在しているのも、こうした事情と無関係ではありません。労働者派遣的事業と一口に言いましても、その実態を見ますと、その事業内容には一括作業請負型もあれば、単なる労働者派遣型もあり、労働者の雇用形態には常用雇用型もあれば、いわゆる登録型、つまり随時雇用型もあり、業務内容には単純業務型もあれば専門技術型ないし熟練業務型もあり、さらに、派遣先企業における派遣労働者の受け入れ方を見れば恒常業務型もあれば臨時業務型もあるというように、その実態は、実に多種多様であります。しかし、総じて言えることは、派遣的労働者を受け入れる企業においては、派遣労働者は、労働コストを引き下げるための手段、安上がり労働力として位置づけられているということであります。このため、派遣される労働者は、雇用の不安定性、賃金を初め労働条件の劣悪さ、使用者責任の不明確さ、さらには社会保険、労働保険の適用上の問題等、さまざまな問題を抱え込む結果となっております。  労働者派遣事業については、確かにEC諸国の中にも、これを認め、それに関する法律を制定している国がありますが、これらの国のほとんどは、受け入れ企業において一時的に労働者が欠けた場合の臨時的対応策としてのみ認めることとしており、かつ、派遣労働者の労働条件については、受け入れ企業における類似の労働者の賃金を下回ってはならないこととする等、同一待遇の原則が貫かれております。  そこで我が党は、派遣労働問題については、以上概略述べましたような派遣的労働者をめぐる状況を踏まえ、労働者の保護、権利保障の観点から、次のような措置を講ずる必要があると考えます。  その第一は、実態から見て労働者供給事業にほかならないようなものについては、職業安定法第四十四条の規定に基づき、これを厳格に禁止する必要があります。  第二は、核家族化、女性の社会的進出、高齢社会化等の社会的変化に伴う労働者の就業希望の多様化についてでありますが、こうした就業希望が増大しているにもかかわらず、それにこたえる責務がある公共職業安定機関は、その組織体制においても機能においても極めて不十分であるのは、まことに遺憾であります。そこにも、民間において違法な労働者派遣事業が生まれてくる要因があるのでありまして、この点は早急に改善する必要があります。また、同時に、このような就業希望に応じられるものとして、現行法でも労働大臣の許可のもとに、民営職業紹介所や労働組合による無料の労働者供給事業が認められているのでありますから、これらの役割、機能を積極的に活用することも考慮すべきであります。  第三は、今日、急速に進展する技術革新の影響についてであります。マイクロエレクトロニクスを中心とする技術革新の進展は、雇用及び労働態様に深刻な影響をもたらし、産業構造や就業構造を大きく変化させつつあります。ここで派遣労働問題と関連して、特に取り上げたいことは、各企業においてコンピューターシステムの導入が急速に進んでいることであります。  各企業においては、大型コンピューターを設置しただけでは、何の意味もなく、導入企業の事情や目的に応じたシステムの開発・設計やプログラミングが必要であって、その必要に応じられる、いわゆるソフトウエア労働者が欠かせません。しかしながら、システムやプログラムというものは、一たび開発・導入されれば、それは当分の間、基本的には維持されるという性格のものでありまして、そのため導入企業においてソフトウエア労働者を新たに常用雇用するには一定の困難さがあり、そうかといって、企業内で養成するには非常に時間がかかるという実情も、ある程度認めざるを得ません。  そうなりますと、導入企業は、ソフトウエア労働者を外部に求めることになります。ところが、システムやプログラムの設計や開発については、単なる建築物の場合と違って、現状では、その注文内容、仕様というものがはっきりせず、どうしてもソフトウエア労働者と協議しながら進めなければなりません。そのため、発注側の一定の指揮監督が避けられないという事情があります。  それに加えて、ソフトウエア労働者の絶対数が不足しております。  こうした特別の事情を考慮するならば、ソフトウエア労働者については、現に行われている労働者派遣を一律に否定し去るわけにもまいりません。  他方、ソフトウエア労働者の実情を見ますと、過長な労働時間等のため、三十歳定年とも三十五歳定年とも言われるように、劣悪な労働条件のもとに置かれていることも見逃せません。  したがって、我が党としては、いわゆる情報処理業務については、臨時的かつ特例として、労働者派遣事業を認めるとともに、ソフトウエア労働者の保護、権利保障の措置を講ずる必要があると考えます。  以上、申し述べたような理由から、二法案を提出した次第であります。  次に、両法案の内容について御説明申し上げます。  まず、職業安定法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  第一は、労働者供給事業と請負事業の区別の明確化に関する措置でありまして、労働者を提供して他人に使用させる事業は、その事業が請負の形式によるものであっても、その事業を行うものが、作業の完成について法律上の責任を負い、作業に従事する労働者を指揮監督する等、請負事業としての実質を有し、みずから雇用する労働者に対する使用者または雇用主としての責任を負う場合でなければ、労働者供給事業として禁止されることを法律的にはっきりさせることにいたしました。  第二は、労働大臣の許可のもとで認められている民間の職業紹介事業や労働組合の行う労働者供給事業等に関する規制緩和の措置であります。最近の経済社会情勢の変化に対応して、労働者の多様な就業希望に応じられるよう、その資格や許可の有効期間等に関する現行規制を緩和することにいたしました。  第三に、この改正法は、次に御説明申し上げます別途提案の臨時措置法と同時に施行することといたしております。  次に情報処理業務に係る労働者派遣事業の規制及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する臨時措置法案について御説明申し上げます。  第一に、この法律は、マイクロエレクトロニクスを中心とする技術革新の急速な進展に伴って生じている課題に対応する必要から制定するものの一つでありまして、したがって最近における情報処理業務に係る労働力の需給状況にかんがみ、臨時に、情報処理業務に係る労働者派遣事業について許可制その他の規制のもとにこれを行うことができることとするとともに、情報処理業務に係る派遣労働者の就業条件の整備等を図り、もって情報処理業務に係る派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進に資することを目的といたしております。  第二は、情報処理業務に係る労働者派遣事業の規制に関する措置であります。  その一として、労働者派遣事業は労働大臣の許可制によることといたしております。  その一として、労働者派遣事業を行う者についての欠格事由等を定め、事業停止命令等の措置を講ずることといたしております。  その三として、常時雇用する労働者以外の労働者の派遣を禁止することといたしております。  その四として、派遣労働者の労働条件が派遣先企業の同種の労働者と比べて著しく低劣であり、かつ、派遣先労働者の労働条件の維持改善を妨げるおそれがある場合には、労働大臣は、派遣先及び派遣元の事業主に対し、改善勧告ができることといたしております。  第三は、派遣労働者の就業条件の整備等に関する措置であります。  その一として、労働者派遣契約に派遣労働者の具体的な就業条件を定めることとするとともに、正当な組合活動を行ったこと等を理由とする労働者派遣契約の解除を禁ずること等の措置を講ずることといたしております。  その一として、派遣元事業主に、派遣労働者の教育訓練の機会の確保等のための努力、派遣労働者に対する就業条件の書面による交付等適正な雇用管理を行わせることといたしております。  その三として、派遣元事業主は、派遣労働者の請求があったときは、当該派遣労働者に係る労働者派遣の対価等について書面で明示しなければならないことといたしております。  その四として、派遣先に、派遣労働者についての苦情の的確な処理等の努力を行わせるため、派遣先責任者を選任させる等適正な就業管理を行わせることといたしております。さらに派遣労働者の派遣先における労働条件について、派遣労働者が加入する労働組合から交渉の申し入れがあれば応じなければならないことといたしました。  その五として、労働基準法等の使用者責任を明確化することとし、派遣労働者については、基本的には派遣元の事業主が使用者としての責任を負うという原則を維持しつつ、派遣先でなければ履行の確保が困難な労働時間の管理、労働者の安全衛生の確保等の事項については、派遣先の事業主に使用者責任を負わせることといたしております。  その他この法律を施行するために必要な指導、改善命令、立入検査、報告の徴収等の権限及び罰則規定等を定めることといたしております。  なお、この法律は、公布の日から一年を超えない範囲で政令で定める日から施行することとし、その施行日から五年以内に廃止するものといたしております。  以上、二法律案の提案理由及びその概要について御説明申し上げました。  何とぞ、御審議の上、御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)

戸井田三郎自由民主党・新自由国民連合

○戸井田委員長 以上で各案についての趣旨の説明は終わりました。      ――――◇―――――

戸井田三郎自由民主党・新自由国民連合

○戸井田委員長 内閣提出に係る労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案並びに多賀谷眞稔君外五名提出、職業安定法の一部を改正する法律案及び情報処理業務に係る労働者派遣事業の規制及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する臨時措置法案の各案を議題とし、質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小澤克介君。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 私は、日常は法務委員会及び科学技術委員会に属するものでございますが、本日は特にお許しを得ましたので、当委員会において労働者派遣事業法に関連いたしまして、原子力発電所で働く労働者の方々の労働の実態と政府提案の本法案との関連性を主としてお尋ねしたいと思いますが、その前に、この法案自体ややわかりにくい点がありますので、逐条的にお尋ねをしたいと思います。  まず、この労働者派遣という概念と、それから現行の職安法に言う労働者供給との関係でございますが、現行の職安法五条に言う労働者供給には本法案に含まれます労働者派遣の概念を含むものである、こう考えてよろしいでしょうか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 今回の法案で考えております労働者派遣事業は、現行の職業安定法五条に言う労働者供給事業の概念としては含まれるものでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 そうしますと、同時に提出されております本法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律で、職安法の五条について「この法律で労働者供給とは、供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、労働者派遣法第二条第一号に規定する労働者派遣に該当するものを含まないものとする。」このように改正しようということになっているわけですが、この整備等に関する法律の方の第五条の六項前段は現行の職安法第五条六項の規定と同じ趣旨、そして後段、「労働者派遣法」以下について、この部分について穴をあけたものである、このように理解すればよろしいのでしょうか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 職業安定法第五条における労働者供給は「供給契約に基いて労働者を他人に使用させることをいう。」という表現になっておりますが、今回の整備法におきます表現におきましては「供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、」ということで表現は変わっておりますが、中身は同じように理解しております。したがいまして、現行の労働者供給の概念から労働者派遣を別途取り出してきたというふうに理解しております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 次に、政府提出の派遣事業法案の第四条一項の一号及び二号に業務範囲についての限定の規定があるわけですが、まず、この一号です。「その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務」こういう規定になっておりますが、私考えるに、およそ職業であれば何らか専門的な知識、技術または経験を必要とするものでありますから、多かれ少なかれそういった性格を持つものでありますから、これによって何らか限定する機能を果たすとは考えられないのですが、これはどういう趣旨なんでしょうか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 ここで書いてございます専門的な知識、技術、経験を必要とする業務の専門性とは一律に論じられるものではありませんで、個個の業務ごとに事情を異にするものでございますけれども、少なくともいわゆる単純労働者が行うことのできる業務は該当しないということでございまして、これをいわば例示的に考えますと、中小企業等におきまして、決算期におきまして決算事務処理を迅速に行える労働者を常時抱えておくことが難しいというようなケースにおきまして、決算時期に限って外部の専門的な労働者の援助を必要とするというようなケース、あるいは貿易事務等の注文が入りまして、その時点におきまして特に貿易関係事務の処理を必要とするというようなケースがこの一に当たるのではないだろうか。したがいまして、そういうような場合に自己の雇用する労働者を常時雇用し、あるいは訓練をしておくというようなことが難しいような場合に、今申し上げたような専門的な業務を必要とするケースに当たるのではないかというふうに考えております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 今の例示は、それは結構なんですけれども、この法文の字面を見ますと、そういう限定的な意味はどうしても出てこない。法律は一たんできますとひとり歩きしますので、このような抽象的な決め方というのは、何らか範囲を画する意味をほとんど持たないのではないかという強い危惧を有するわけです。  例えば最近、土木作業現場などを見ましても、本当の単純労働、肉体労働というのはほとんどございませんで、高度な建設機械の操作等を行っている。こういう実態からすると、単純労働を除くというだけでは、ほとんどの業種が含まれてしまうのではないか、そういうふうに思うわけです。この点、いかがでしょうか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 社会におきます企業の諸活動が多様化してまいりますので、一概に、限定的にこの場で明示することはできませんが、中央職業安定審議会等におきまして議論をいただきました時点におきましては、我が国の終身雇用慣行との調和を考えながら、かつ業務の迅速的確な処理のために必要な専門的な業務についての基準ということで検討いただいたわけでございまして、その具体的な例として、一応参考例として十四の業務が例示されているということでございまして、この業務を一応参考として、今後、中央職業安定審議会において慎重に業務の対象を決めていただくという予定にしているわけでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 今の十四業種の例示というのは、一号だけじゃなくて二号も含む趣旨ですね。  そこで、今度は二号に移るのですが、これがまたわからない規定でございまして、「就業形態、雇用形態等の特殊性により、特別の雇用管理を行う必要がある」。これまた何らか特殊性を持たない業務というのはないわけでして、このような文言でもって何らか限定をするという機能を果たすとは到底考えられないわけです。結局のところ、政令にすべてを、ほとんど白紙委任にすぎないというふうに言っても過言ではないわけでございまして、これは立法府の審議権をほとんど放棄して政令にゆだねてしまう、そういう形にもなるのではないかと思うわけですけれども、この二号についての意味合いはどういうふうに解釈されるのでしょうか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 二号で定めておりますのは、当該業務に係る就業形態、雇用形態等が特殊であることによって、特別の雇用管理が一般的に必要とされる業務ということでございまして、ここで言う就業形態につきましては、就業場所や就業時間等に関する形態と理解できるわけでございます。  これも例を申し上げますれば、企業におきまして特に外国貿易事務等をやっておる場合に、テレックス業務等につきましては、外国との時差の関係等もございまして、通常の勤務形態とは違う勤務形態をとらざるを得ないというようなケースが指されると思いますし、また、雇用形態につきましては、短時間雇用あるいは断続的な雇用あるいは特定の時期を限った雇用等が考えられるわけでございまして、これも先ほどお話がございましたような中小企業等におけるコンピューター等のプログラムの設計開発等につきましては、その業務等につきまして一定期間の雇用を必要とする。しかしながら、通常の雇用管理とは異なるという意味におきましては、通常の企業におきましては新規学卒者を新規に雇い入れてこれを企業内においてキャリア形成を図りながら昇進昇格をさせていくという雇用管理には必ずしもなじみにくいタイプの業務をしている人たち、こういった業務を第二号で想定しているわけでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 この「就業形態、雇用形態等の特殊性」といいますと、例えば季節的な労働者といいますか、ある時期になると多量の労働力を必要とするというような場合はこれに該当することになるのでしょうか。私が具体的に今念頭に置いておりますのは、原子力発電所の定期検査の際に大量の労働者を使うわけですけれども、こういうものはこの二号に入ることになるわけでしょうか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 原子力発電所における定期検査がいわば定期的あるいは断続的な作業であることは理解しておりますけれども、その業務の内容がここで言う専門性等に該当するかどうか、まだ実態を把握しておりませんので、ここではちょっとお答えできかねます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 二号についてお尋ねしているのです。専門性というのは一号でしょう。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 定期的な作業という意味では二号の言う雇用形態の特殊性ということに当たる場合があるかと思います。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 その問題につきましてはまた後でまとめてお尋ねすることにしまして、第四条の三項でございますが、これは「労働者派遣事業を行ってはならない。」となっているわけですが、労働者派遣そのものを行う、すなわち業としないで行うことについては、この三項は何らこれを禁ずるものではない、こう理解してよろしいでしょうか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 この法律におきまして規制の対象になりますのは労働者派遣事業でございまして、業としていないものはここでは指しておりません。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 そうしますと、既存の企業が自分のところで抱えている従業員をいわゆる在籍のままで出向に出す、これはこの四条三項とは全く関係がない、この適用業務以外の業務であっても自由に行える、こういうことになりますね。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 労働者派遣を業として行わないものについてはここで言う労働者派遣事業の規制の対象にはなりませんが、労働者派遣として行うものに先生今お尋ねの出向が該当するとしますれば、労働者派遣にかかわる基準法の適用の特例等はこの対象になるというふうに理解しております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 最後どうおっしゃったのですか、聞き取れなかったのですが。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 労働者派遣を業として行うものが派遣元、派遣先それぞれの事業主が規制措置の対象になるものでございますが、いわゆる出向の定義あるいは出向の形態が業としてではない労働者派遣に該当するかどうか、ケースによって違うと思いますけれども、労働者派遣に該当するようなタイプである場合には、基準法の適用等についてはいわゆる出向先の責任等につきましての特例の適用が出てくるということでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 ちょっとわからないのです。基準法の特例の適用が出てくる――この法案との関係についてはどうなるんですか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 いわゆる出向が余剰人員の対策として行われるものである限りはこれは業として行うものではございませんので、この法律の派遣事業の対象にはなっておりません。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 確認しますが、そうすると、在籍出向に関しましては現行の労働基準法その他労働各法令のままということになりますね。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 いわゆる在籍出向の場合は出向元及び出向先と両方の雇用関係を生ぜしめる場合を想定いたしておりますので、ここで言う労働者派遣の概念には該当しないというふうに理解しております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 第五条一項についても全く同じことが言えるかと思うのですが、これも業としない場合は何らの許可が要らない。したがって在籍専従が労働者派遣に該当するか否かはともかくといたしまして、少なくともこの五条が禁ずるところではない、こういうことになりますね。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 先生御指摘のとおりでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 それからちょっと条文から離れますが、そもそもこの法案では集団的労働関係について全く規定がない、沈黙しているわけでございます。一つだけ若干関連があるかなと思うのは、四十四条で三六協定に関して派遣元を単位として考えるべきであるという規定があるのがある程度でございまして、その他については集団的労働関係については全く沈黙しておるわけですが、これについてはどういう見解なんでしょうか。沈黙しておるということは、派遣先との団体的労働関係を否定する趣旨なんですか。それともこの法律は否定も肯定もしない、労働組合法等の解釈にのみゆだねられる、こうなるのでしょうか。どうでしょうか。

中村正労働省大臣官房審議官

○中村(正)政府委員 集団的労使関係につきましては、雇用関係にある者が使用者と雇用者との関係で事を定めるということに主眼があると思います。今回の派遣法では派遣労働者は派遣元との関係に雇用関係があるということをはっきりいたしております。したがって、集団的労使関係は派遣元と派遣労働者との間にあるということで構成しております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 そうすると、この法律では派遣先と派遣労働者との間の集団的労使関係を否定する趣旨だ、沈黙しているのは否定する趣旨だということですか。

中村正労働省大臣官房審議官

○中村(正)政府委員 結論的にはそういうことになります。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 これはとんでもないことだと思いますね。今お話しになったように、労使関係があるかないかということと雇用契約関係があるかないかということは全く別概念でしょう。判例やあるいは裁判所や労働委員会等の御努力で使用者概念が順次拡大してきて、労働条件等の決定に実質的な権限があるものはすべて使用者である、こういうふうになってきているわけですから、今のような見解はこれらをすべて一挙に瓦解させるものだ。私、大変不当な見解だと思いますが、どうですか。

中村正労働省大臣官房審議官

○中村(正)政府委員 集団的労使関係におきましては、その労働条件を決めるということをめぐって集団的な労使関係の紛争が起こり、あるいは交渉が起きると思います。いろいろな状態がございますが、今回、派遣法に関しましては派遣元と派遣労働者との間の雇用関係をはっきりさせようということになります。  それで、雇用関係はそこで決めよう、労働条件もそこで決めようということになりますから、集団的な労使関係を持つということになりますと、派遣元と派遣労働者との間で集団交渉を持つ。激しい交渉もありましょうが、その中で実質的な労働条件が決まってくるわけでございますから、派遣先との間で労働条件を決めるという場合はないという構成になると思います。したがって、結果においては派遣先と労使関係はない、こういうことになると思います。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 全く間違っていると思います。一つは、派遣先と派遣労働者との間に指揮命令関係を認めるわけですから、職場での個々具体的な指揮命令についでこれが交渉の対象にならないということになれば、これはどうなるのですか、職場交渉なんということは全く成り立たなくなりますよ。  それからもう一つは、労働条件の大枠を画するのは、結局のところ、経済的な意味で派遣先と派遣元との派遣契約が大枠を画するわけです。そうしますと、派遣先との間に集団的労使関係がない、団体交渉権等もないということになれば、結局、労働者による自主的な労働条件の決定ということは絵にかいたもちになりませんか。

中村正労働省大臣官房審議官

○中村(正)政府委員 確かに労働委員会の命令、あるいは一例でございますが最高裁の判例がございますが、その場合も、労働条件を決めるのが一体派遣元なのか派遣先なのか、その辺が不明確だというような状態をまず置いておきまして、それを前提といたしまして、命令あるいは判例におきましても、ある場合には実質的に派遣先との間に労働条件を決める関係にあるということを認定して団体交渉に応ずべきであるというような結論を出したり、あるいは労働組合法上に言う雇用関係というか使用関係が派遣先と派遣労働者にあるということを認定して判決が下される、こういう状態でございます。  そういう労働条件を決めるということについて、派遣元、派遣先いずれにありやが混迷状態にあるということによってその辺の混乱が起きると思うのでございますけれども、今回の派遣法では、派遣元と派遣労働者がはっきり雇用関係を持ち、そこで労働条件を決めろ、こういうものであるということになってございますので、その関係においては派遣元と派遣労働者との労使関係ということで構成して混乱はむしろなくなるようになっておる、こういうふうに考えております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 今のは答えになってないのでして、そういうことはできない。一つは職場の問題、もう一つは、実質的に労働条件の枠を画するのが派遣契約によって経済的に画するからだ、こういうことを指摘しているのです。全然答えになってないですよ。この問題はこの法案の最大の問題だろうと思いますので、これに深入りしておりますと原発の問題ができませんので、社労の御専門の先生方にお任せしたいと思います。私は、全く不当だと考えておりますことをつけ加えます。  それから今度は、個別的労使関係ですけれども、この法案は派遣先と派遣元に適宜振り分ける、こういう構想になっているわけですが、なぜ重畳的に責任を求める構成をとらなかったのでしょうか。

菊地好司労働省労働基準局監督課長

○菊地説明員 労働基準法、安全衛生法その他、労働基準法等の関係の適用の問題ですが、労働基準法は御案内のとおり法定の最低労働条件を労働条件決定の際に維持してもらうという労働条件の水準の確保を定める点と、決められた労働条件をだれの責任で履行させるかという二つの側面を持っているわけでございます。で、雇用主側の組織体で履行責任を果たすべきものと派遣された先で履行責任を果たすべきものと、条文ごとに点検いたしまして労働者の保護に欠けることのないような適用の特例を置いたわけでございます。したがいまして、ある条文によっては両方の責任だし、ある条文については先のみあるいは元のみというような振り分けを行っているところでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 例えば賃金支払い義務などは重畳的な責任を負わせて、順序をつけるのは結構ですけれども、法的に見て何らおかしくはないわけです、重畳的債務引き受けということは行われるわけですから。賃金支払い義務などについて派遣元だけにしか認めないということは労働者の保護に欠けることになるのではないか。これもこの法案の最大の問題点だろうと思います。この辺の点についても納得できないということを指摘しまして、この点については御専門の社労の委員の先生方の議論にお任せしたいと思います。  そこで、これに関して一つだけ伺っておきたいのは、この法案を眺めましても雇用保険などのいわゆる社会保険関係はどっちが使用者としての責任を果たすのかわからないのですが、この点、どうなんでしょう。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 雇用契約関係にあります派遣元事業主におきまして雇用保険の適用等を進めることになっております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 それは条文上明記されておりますか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 これは雇用主において雇用保険の適用をするという大原則に基づいて、当然のこととして法律においては明記しておりません。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 二十六条についてお尋ねしますが、ここで労働者派遣契約ということが書いてあるのですけれども、この労働者派遣契約の概念ですけれども、二十六条を読みますと、「派遣労働者の人数を定めなければならない。」こういうふうに書いてあるところからしますと、個々の派遣労働者ごとに、いわば派遣労働者単位でこの契約があるということではなくて、派遣先と派遣元との事業者単位でこの契約が結ばれる、こう考えてよろしいわけですね。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 御指摘のとおりでございますけれども、個々の労働者にとっては、複数の業務形態のある同一事業所に参ります場合には、派遣労働者にとって自分がどういう業務につくのかということが確定できるように、ここにおきまして派遣労働者の人数、それぞれの業務に応じて業務の内容、場所、就業等の条件を定めることにいたしているわけでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 そこで、二十七条との関連が問題になると思うのですが、そうしますと、「労働者派遣契約を解除してはならない。」ここに言う「解除」というのは派遣先と派遣元との当事者単位の契約のことでございますから、個々の特定の派遣労働者について派遣先がこの者の受け入れを拒否する、こういうことはこの二十七条が規定するところではない、二十七条は無関係である、こういうことになりますか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 個々の労働者につきまして、ここに書いてございますような事由によって派遣契約が解除されること自体をここでは含んでおります。個々の労働者について二十七条に書いてある理由により派遣契約が解除される場合は該当するというふうに理解しております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 二十六条で言う派遣契約というのは、派遣先と派遣元とのいわば当事者単位の契約であって、個々の派遣労働者単位ではないということですね。それで、二十七条の解釈においては、特定の派遣労働者の受け入れを拒否することは、これをいわば当事者単位の労働者派遣契約を解除するという概念にどうやって含めるのですか。ちょっとよくわからぬですね。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 二十七条に該当する事由によって個々の労働者の受け入れを拒否するということは、国籍、信条、性別等個人個人の派遣労働者に着目した事由でございますので、その個々の労働者の派遣の受け入れを拒否するということは全体の派遣契約の解除につながるというふうに理解しております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 そういうふうに解釈できるんでしょうかね。労働者派遣契約全体の解除につながると今言いましたが、要するに、解除そのものだと解してこの二十七条違反になる、こう伺ってよろしいわけですね。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 特定の個人につきまして行う場合につきましては、派遣契約の一部の解除に該当するというふうに理解しております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 なるほど。  それでもう一つは、ここに言う「解除してはならない。」というのは、期間を定めた派遣契約の更新拒否、これも入りますでしょうか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 それは該当しないというふうに思います。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 確認しますが、この派遣契約において、期間を定めること自体は何らこの法が制約するところではないですね。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 御指摘のとおりでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 二十七条違反の効果はどういう効果があるというふうになりますか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 この行為は法に違反するものとして、民法上も無効と解されます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 民事上無効なんですね、解除無効という効果を生ずるわけですね。そうすると、この二十七条違反行為があって、ある特定の労働者が派遣先から就労を拒否されたという場合に、その労働者が派遣先との間に派遣労働関係があるということで、派遣労働者たることの地位の確認を求める、これはもちろん可能になりますね。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 労働者派遣契約は、派遣元と派遣先における取引契約でございますので、派遣労働者にとって派遣契約が有効であるか無効であるかということ自体が、派遣労働者にとって利益のある訴えになるかどうか、その点が疑問になると思いますが、ただ、派遣労働者にとって、特に登録型の労働者にとって派遣契約が解除されること自体が雇用関係の解消につながるというおそれのないように、この二十七条におきまして特に解除の無効をはっきりさせたというのがこの法の目的でございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 いや、だからこの効果はわかったんですが、訴訟法的な救済がどういうふうになるかということをお尋ねしているわけですよ。どうなるんでしょうか。つまり、派遣先との間に指揮命令関係があるわけです。その派遣先から就労を拒否されたわけですから、その派遣先を相手取って、指揮命令関係があるんだ、そういう地位確認の訴訟を起こすということは、当然できるんじゃないかと思いますが、どうですか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 それは派遣契約の内容にもよりますが、派遣労働者にとって訴えの利益があるかどうかということによって決まるというふうに理解しております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 そうすると、訴えの利益に関する司法部、裁判所の判断にゆだねる、こういうことになりますね。  三十二条二項「就業規則において労働者派遣の対象となる旨の定めのある労働者以外のものを新たに労働者派遣の対象としようとするときは、」「同意を得なければならない。」と書いてあります。  そうすると、これまで就業規則にかかる定めがなかった企業において、就業規則を一方的に変更して、新たに就業規則にこういう条項を入れた、派遣労働の対象となるという条項を入れたという場合には、どうなりますか。当該労働者の同意を得なければなりませんか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 その企業におきます就業規則の新しく作成されることあるいは変更によりまして個々の労働者の労働条件が変更される場合におきましては、その作成、変更が合理的なものである限り、個々の労働者がこれに同意しないことを理由としてその適用を拒否することは許されないというふうに理解されますし、その点につきましての最高裁の判例がございます。  また就業規則が作成、変更されて派遣労働者となる場合につきましては、通常その就業規則の取り扱いと同じく、その作成、変更が合理的であるか否かによって判断されまして、合理的である場合に限って個々の労働者の同意は必要ないというふうに解されるわけでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 だから、結局どうなるかということなんですよ。行政解釈として、合理性があると判断するのか、ないと判断するのか。  最高裁の秋北バス事件でしたか、あれはよくわからぬ判例なんですけれども、要するに結論としては、同意を要する場合と要しない場合があるというふうに言っているわけですよ。この場合は、要する場合になるのか、要しない場合になるのか、どっちに振り分けられるのか、行政解釈をはっきりさせてください。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 合理的な理由があるかどうかということにつきましては、個々のケースによって必ずしも一概に論ずることはできないと存じますけれども、ただ実態的に新しく派遣労働者になる、就業規則の変更あるいは作成によってなるということ自体は、個々の労働者にとって労働条件上いろいろな変化が生じるわけでございますので、実態的には派遣元事業主が労働者に対して同意を求めるような措置等をとることが通常ではなかろうかというふうに理解しております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 この法律それ自体についての質問はこれでやめるつもりですので、今のところをはっきりさせてください。実態的にそういうように行われるだろうということを聞いているのではなくて、この法律の解釈としてどっちなのかということです。ぎりぎり詰めた解釈論をはっきりさせてください。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 労働協約及び就業規則に定めのある場合に、特段の同意を求める法制上の必要は認めないということで、ここの法文上規定したわけでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 大変意外なんですが、本当にそういう解釈ですね。一方的に就業規則の変更をした場合に、個々の労働者の同意は要らない、これが行政解釈だということでいいですか。もう一度確認させていただきますよ。

齋藤邦彦労働省職業安定局雇用政策課長

○齋藤説明員 先ほどから審議官が再三再四御答弁申し上げておりますように、この三十二条の規定そのものは、労働協約または就業規則においてこういうようなことが書いてある場合以外にはその同意を得なければならない、こういうことを単に規定しておるのみでございます。したがいまして、その反対的な解釈といたしまして、就業規則において何らかの定めがある場合にどうなるかということになるわけでございますが、それは正確に申し上げますと、この法律の解釈の問題ではなくて個々具体的に就業規則なり労働協約なりの解釈によって定まるものであるというふうに解するのが正当ではないかというふうに思っておる次第でございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 ですから聞いているのですよ。就業規則の一方的変更の効力の一般論の問題であるということはよくわかるのです。例の秋北バス事件、これがよくわからぬ判例なんです。あの判例は退職金の問題だったと思いますけれども、とにかく就業規則の一方的変更の場合に、個々の労働者の同意が必要な場合と必要でない場合がある、結論としてはそういうふうに振り分けているわけですね。  それで、先ほどからお尋ねしているのは、労働者派遣を可能とする規定を新たに就業規則に一方的に入れた場合にどっちになるのかということです。この法律の問題ではないならないで、一般論で結構です。行政解釈としてどうなのか、はっきりさせてください。

齋藤邦彦労働省職業安定局雇用政策課長

○齋藤説明員 先ほども再三お答え申し上げたわけでございますが、要は就業規則なり労働協約の解釈の問題であろう、それは個々具体的な就業規則の書き方によってもいろいろ異なってくるでございましょうし、それを制定する経緯等によっても違ってくるだろうと思います。そういうような個々具体的な判断において就業規則に反するか反しないかという結論が出てくるということだろうというふうに思います。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 ある事業所に雇われている労働者が、何月何日から就業規則を変えてここに勤めている労働者については労働者派遣の対象となるという規定が新たに加わった場合に、個々具体的にという問題じゃなくてこういうはっきりした規定が加わった場合にどっちなのかということですよ。これは一義的にわかることじゃないですか。

齋藤邦彦労働省職業安定局雇用政策課長

○齋藤説明員 先生おっしゃられましたような就業規則の規定、それだけでどうこうという判断をするわけにはいかないのではないかというふうに思っております。もう少しほかの事情等もいろいろ考慮した上で、その就業規則が果たして個々人に対して直接に規範的な効力を有するものになるかどうか、あるいはそういう規定を設けたことが合理的なものであるかどうか、そういうようなことを種々判断しなければいけないのではないかというふうに思うわけでございます。  ここで書いてありますことは、単に何の定めもないような場合には同意を得なければならないということで、要件を加重しておるといいますか法律として一歩踏み込んだ形の規定をしておるというだけでございまして、労働協約等に規定がある場合には、それは一般的な労働協約なり就業規則なりの解釈の問題として処理していただこう、こういう趣旨でございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 肝心の原発について聞く時間がなくなってしまうのですけれども、ほかの要素も判断要素に入れるんだということをおっしゃいましたが、そうしたらどんな要素を判断要素として考えますか。

齋藤邦彦労働省職業安定局雇用政策課長

○齋藤説明員 先ほども申し上げましたように、規定をつくるまでの経緯と申しますかいきさつ、あるいはその規定の仕方がどのようなものになっておるか、それから従来からのそういうような労働条件の変更にどのような手続なり何なりをしてやってきたのかどうか、そういうようなもろもろの事情を考えて判断すべき事柄ではないかというふうに思っておるわけでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 就業規則の変更についての手続は法律で明定されておりますよ。そのいきさつがどうかなんということは問題外でしょう。  それからもう一つは、その規定がどういうふうになっているかと言いましたが、規定については先ほどから言っているように派遣労働の対象となるという文言が新たに加わった場合です。これがはっきりした場合、どっちになるかです。

齋藤邦彦労働省職業安定局雇用政策課長

○齋藤説明員 確かに、先生御指摘のように、就業規則は基準法上こういう手続でということが書いてございます。そういうような形式的な手続要件だけではなくて、それをどうして変えなければいけないようになったのか、またそれを変えるについて実質的にどういうような手続が行われてきたのか、そういうようなことは当然判断要素として考えるべきことではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 時間がなくて原発のことについて聞けなくなりますので、この点は社労の専門の方にお任せすることにしまして、今の質問についてはお答えがなかったとしか考えられませんので、また後にお答えいただくということで保留をさせていただきます。  それから、原子力発電所の労働の実態が下請、孫請、ひ孫請というような状況になっていて非常に問題が多いということを聞いておりますし、そういうことを指摘する出版物等も多数出ているわけでございますが、労働省として原子力発電所における労働の実態についてどのように把握しておられるか、そしてまた、電力事業者、それから元請、下請、孫請、ひ孫請等の労働者との関係は法律関係としてどういう関係であるというふうに把握しておられるでしょうか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 原子力発電所の定期検査等に係る下請労働者の状況でございますが、まず、この定期点検等の保守修理工事はその種類、内容が非常に多岐にわたっておりますし、またその実施に当たりまして技術性その他から非常に多くの企業群がこの工事に参加するということがどうしても避けられない状況になっているかと存じます。したがいまして、この工事を受注した企業がそれぞれの種類、内容に応じて二次、三次の下請企業への発注が通例となっているのではないかというふうに理解しております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 各当事者、電力会社、元請会社、下請会社、孫請会社、ひ孫請会社、そして個個の労働者の法律関係はどういう法律関係なんでしょうか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 一般的には元請から通じます下請関係、請負契約関係によって工事が行われていると理解しておりますが、状況によりましては元請企業が労働安全衛生を確保する見地から下請労働者に対して一般的な意味での指導等を行うことはございますけれども、下請労働者はその工事を受注した下請企業に雇用されている労働者でございますので、個々の労働者にとりましては、その作業遂行上の指揮監督はその下請労働者を雇用する企業が行っているというふうに理解しております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 要するに、請負関係が重層的にという表現をしたらいいのでしょうか、何層にも重なって請負関係がある、こういう理解ですか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 契約関係につきましては、先生の御指摘のとおり、請負契約関係によって行われておるということでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 請負契約ということになりますと、例えば下請の従業員と元請の会社といいますか事業者との間には何らの指揮命令関係がない、こういうことになるかと思いますが、そういう理解で間違いないでしょうか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 職業安定法上の規定によりますれば、請負契約関係につきましては注文主は個個の下請関係の労働者を指揮監督するものではないということでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 例えば元請会社が下請会社の従業員に対して実質的に何らか指揮監督をするという事態があれば、それはもはや純粋の請負とは言えない、職安法に言うところの労働者供給に当たる、こういうことになりますね。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 労働安全衛生上の一般的な管理等に基づく指導は別といたしまして、下請労働者の個々の作業遂行につきまして元請等が具体的な指示をするということになれば、職業安定法四十四条に言う労働者供給事業に該当する疑いが極めて濃くなるというふうに理解しております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 そうしますと、職業安定法施行規則の四条の一項に一号から四号までの要件が並べてありますが、これらのすべてを満たさない限りは形式は請負であっても労働者供給事業であり、そして今回政府提案のこの法律に言うところの労働者派遣にも該当し得る、こういうことになりますか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 この四つの要件全部を満たしていないとすれば供給事業に該当することになりますし、また供給元といいましょうか派遣元と労働者の間に雇用関係に基づいてこのような関係があるとすれば、労働者派遣に該当する疑いが強くなるというふうに理解しております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 そこで、今回のこの法案に関しまして、派遣事業等小委員会報告書に先ほどもちょっと御指摘のありました十四の業務例が試案として掲げられているのですが、これの十一番目に「建築物等の保全、清掃及び環境衛生の管理並びに建築物に付随する設備の維持、管理その他これらに密接に関連して行われる業務」、これには例えば原発の定期検査の際に除染作業あるいはいろいろなさび落としであるとかいったような清掃に近いような作業、こういったものは含まれることになりはしないかと思うのですが、この点、いかがでしょうか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 労働者派遣事業の対象業務にビルメンテナンスに関連する業務、清掃業務が対象になった場合を仮定して申し上げますと、ビルメンテナンス、清掃業務それ自体がまず対象になるかどうか、この点は先ほどからの御説明を申し上げておりますように、四条の二つの要件に該当するかどうかに基づきまして中央職業安定審議会が定めるものでございますので、現在の段階で原子力発電所で行われております清掃業務がどのような実態であるか必ずしもつまびらかにされておりませんので、仮に清掃業務が対象になりましても、ここで言う原子力発電所における清掃業務が該当するかどうか、これはまたさらに実態等を把握しなければ該当するか否か申し上げられないのではないかというふうに理解しております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 さっきの四条一項二号には定期検査の際に大量に労働者を動員するような場合は当たり得るというお答えだったと確かに聞きましたが、一方、この試案の十一番目については、原発労働者についてはとりたてて検討していない、こういうことになりますか、今のお答えは。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 先ほど定期的な意味での期間が特別の雇用形態にあるという概念に該当するかどうかということでございましたので、それは該当するということを申し上げましたけれども、今お話しのような原発の中における清掃業務の形態がどのような形態で行われるのか、その辺のことにつきましては実態を把握しておりませんので、今の段階では申し上げられないということでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 実態を把握してないということは、少なくとも本法案の準備の段階では原発労働者について特に対象と考えたことはない、したがって実態把握のための調査等も行ってはいない、こういうことになりますか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 この十四の対象業務例についての議論が行われました際に、清掃業務等について今御指摘のような原子力発電所における清掃業務ということに関連する御議論が行われたことは一切ございません。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 原発においていわゆる人夫出しという労働の実態があって、まさに労働者供給事業が公然と行われているという実態については、これはいろいろな出版物等があってつとに世間で知られ、かつ、識者の間で問題とされているところです。これについて労働省が実態把握をしていない、また、そういう労働者供給事業に極めて関連の深い本法案を準備するに当たって特にそれを調査の対象としなかったということは私にはとても理解できないのですが、どうしてこの原発労働者の問題について労働省として問題意識を持たなかったのでしょうか、あるいは持って何か調査したことがあるのでしょうか、この法案の準備以外の側面で。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 数年前かと存じますけれども、この原子力発電所における定期点検等に機材を納入した外国企業等におきまして、国内に設置した後に点検、修理等のために外国人労働者が国内に来てそれに従事しているという御議論があったことがございましたので、その点につきまして御指摘をいただきまして調査したことがございますけれども、今回の派遣事業に関連しては、いわゆる労働者側のニーズとして特定の日時、期間等を希望する労働者側のニーズ及び企業側にとりましては専門的な業務を外部にゆだねるという企業側のニーズに基づいて最近特に見られる派遣的事業の多い業態の分野につきましては種々実態把握をいたしましたけれども、原子力発電所に限っての派遣的な形態といいましょうか、下請企業の実態を取り出して調べたことはございません。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 外国人の問題について調べたことがあるということでしたが、肝心の日本人労働者についての下請労働の実態について労働省が関心を持たなかったというのは、私には全く理解ができないのですけれども、労働省はそもそも何のためにあるのですか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 この原子力発電所における下請の実態につきましては、若干の出版物等がございまして、それに基づきましていわゆる人夫出し等の状況があるという御指摘等も、間接的ではございますけれども把握しておりますけれども、こういったいわゆる人夫出しというようなことが事実であるとすれば、職業安定法上極めて遺憾な事実でございますので、その是正のために必要な調査、指導を行わなければならないというふうに考えております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 大臣がせっかくお戻りですので、これは質問通告の中になかったことで恐縮ですが、基本的なことですので伺っておきたいと思います。  労働省設置法には、第三条「労働者の福祉と職業の確保とを図り」云々と、これが労働省設置の目的であるということが書いてあります。そして「左に掲げる国の行政事務及び事業を一体的に遂行する責任を負う行政機関」となっておりまして、その第二号には「労働条件の向上及び労働者の保護」と書いてあります。さらに二の二には「労働者の安全及び衛生の確保」と書いてあります。さらに七号には「前各号に掲げるものを除く外、労働者の福祉の増進」と、こういうことが書いてあります。  労働者の「労働条件の向上及び労働者の保護」、とりわけ「安全及び衛生の確保」、これらは労働省の基本的な任務ではなかろうかと考えるのですが、大臣、いかがでしょうか、そのとおりでしょうか。

山口敏夫自由民主党・新自由国民連合労働大臣

○山口国務大臣 そうした基本的な考え方を前進すべく、現実のものとすべく懸命に取り組んでおるところでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 そのあなたの部下が、原発労働者についていろいろな出版物でその下請労働の実態が指摘をされている、また被曝要員として、例えば山谷であるとかそういったところから人夫出しというような方々によって駆り集められてきてそういう労働に服しているという実態について調査をしたことがない、こういうお話なんです。これは私には到底理解できないのですがね。どうなんですか、先ほどからお答えいただいている方、堀江氏の「原発ジプシー」を読んだことがございますか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 部分的でございますけれども、拝見いたしました。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 いつごろでしょうか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 それほど以前ではございませんけれども、拝見いたしました。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 堀江邦夫さんの「原発ジプシー」、これは相当前に出版された本です。最近は文庫本でも出ておりますが、いつ、どの部分を読んだんでしょうか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 一九七九年の一月にこの著者がある人に連れられて東北地方のある原発のところまで行くという状況と、新しい会社に行きまして、そこで雇われた企業が倒産した状況等につきましての記述を拝見しております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 そうすると、三分の二ぐらいはどうも読んだということのようですね。まさかきのう私が質問通告したので、あわてて三分の一徹夜で読んだということじゃないでしょうね。どうですか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 外国人労働の問題等も承知しておりましたので、以前読んでおります。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 そうであれば、この原発労働者、特に下請労働者の実態については十分御存じだろうと思います。私は、この堀江レポートというのは第一級の資料であるというふうに考えております。  この中に記載されているのは、まず関電美浜で労働した際に、関電が事業者でございますので、その元請の関電興業、そしてその下請の山田工業、これは仮名のようでございますが、山田工業というところに自分は所属していた。そして職場における作業の具体的な監督については、山田工業の責任者が一般的には指揮監督をしているわけですけれども、元請の関電興業の監督が来ていろいろ具体的な指揮をすることも非常に多々ある、こういうことが日記として具体的に記述をされております。  また、この堀江邦夫氏とともに働いていた同僚の中には、この山田工業のさらに下請の志村班、これももちろん仮名だろうと思いますが、志村班というところに属していて、志村という親方がピンはねをしているというようなことが記載されておりまして、まさに労働者供給としか言いようのない実態が実に詳細に記載されているわけです。  また、作業現場の指揮監督においては、この原発内のある機械を設置した、納入した機械メーカーの従業員の指揮監督を受けるというような場面も多々あったということも記載されております。  それからさらに、同じ年に東電の福島第一原発で働いた際には、電気事業者が東電で、その元請のウチダ・バルブ、その下請の神山工業というところに属していた。そして具体的な就労の場面においては、元請のウチダ・バルブの従業員からの指示を受けながら就業した。  また、同僚の中には、この神山工業のさらに下請の大阪の親方というところに属していて、この大阪の親方のピンはねを受けているという実態等が詳細に記録されておりました。  さらに、この東電福島第一で働いた際には、堀江邦夫氏自体が労働災害に遭ったところ、これを労災扱いを拒否された。これは労災があったということが公になりますとまずいということで、事業者に対して元請が遠慮をしまして、その結果労災扱いが拒否されたというような見逃し得ない記載もございます。  さらに、翌年の春、原電敦賀で働いた際には、実にひ孫請の形態で働いた。電気事業者の原電、それからその下の日立プラントという元請、それから原山電工という下請、さらにその孫請の竹井工業、ひ孫講の神山工業、そのもとで働いたという実態がありますし、さらに、ある時期にはこの原子炉のメーカーの応援という形でメーカーの指揮監督のもとに働いたというような実態が詳細にあります。  これをお読みになって、これが職安法四十四条に触れるのではないかということはだれでも考えるんじゃないかと思いますが、いかがでしたか。何ともお感じになりませんでしたか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 この本に記載されております内容でございますが、ドキュメンタリーといいましょうかノンフィクションといいましょうか、実に真実に迫ったレポートだと思いますけれども、ただ、今御指摘のように仮名等でございますので、その事実の確認が必ずしもできないわけでございますけれども、事実といたしますれば、これは職業安定法に言う労働者供給事業あるいは違法な労働者募集に該当するのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。  労働省といたしましては、これらの下請労働者を含めて、労働者募集につきましてはそれが適切に行われるように指導することはもとより重要でございますけれども、請負契約で行われるこの種の業務につきましても、発注者からの指揮命令を受けるというようなことのないよう請負契約の要件を十分に満たした適正な業務執行が行われるように指導監督等をしていかなければならないというふうに考えております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 これまではどうだったのですか。そのような指導監督を行うてきたのでしょうか。あるいは原発の労働実態について調査、少なくとも立入調査等を行ったのでしょうか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 既にこれまで幾つが御指摘をいただきました具体的なケースにつきましてはその実態を調査しているわけでございますが、例えば敦賀の発電所におきまして行われております定期検査の関連でいわゆる三次請負のKプラント工業の実態等につきましては、新聞報道等がなされておりましたので、事情聴取あるいは法に定める手続等によって所要の取り調べ等が行われているところでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 その結果について教えていただきたいと思います。  それからもう一つ、だんだん時間がなくなってしまいましたので、北九州の小倉にある建設会社、これは協同ブラント工業事件というんですけれども、協同ブラント工業という会社が健康診断書を大量に偽造して、健康診断を行わないままに勝手につくって、そしてこれによって原発の作業員を各地の原発の定期点検などに送り出していたということで、警察によって有印私文書偽造行使ということで捜査を受け、そして近く書類送検の段階になったということを聞いておりますが、この件について労働省としてはどのような調査をされましたでしょうか。調査をされていればこれについてもその結果をお知らせください。

寺園成章労働省労働基準局長

○寺園政府委員 御指摘の協同プラント工業の事案につきましては、三月五日に新聞報道がなされまして、同日直ちに関係局に調査を指示いたしました。元請会社から事情聴取をするなど事実関係の把握を行ったところでございますが、その結果、健康診断についての安全衛生法違反の容疑が濃厚になりましたので、所轄の監督署で送検を行うべく現在鋭意捜査中でございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 安衛法の六十六条違反になるのでしょうか。どうですか。

寺園成章労働省労働基準局長

○寺園政府委員 仰せのとおり安衛法六十六条違反の容疑でございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 この健康診断書の偽造について、既に警察の方では一定の結論を出して書類送検となったわけですから、もはや事態は明確だろうと思うのですけれども、まだ告発までは行ってないわけですか。

寺園成章労働省労働基準局長

○寺園政府委員 先ほど申し上げましたように、現在鋭意捜査中でございます。近く送検の予定というふうに承知をいたしております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 これは五百人にも達する原発労働者を診断書をでっち上げて送り込んだという重大な事犯でございますので、きちんとした処理をお願いしたいと思います。  また、新聞報道によりますと、その診断書偽造のままで原発に送り込まれた方ががんで亡くなっているというようなことも聞いております。このがんと被曝との因果関係等についても当然調査していただかないといけないと思うのですが、いかがでしょうか。

寺園成章労働省労働基準局長

○寺園政府委員 昨年の九月十九日に山崎さんが肝臓がんでお亡くなりになったということでございますが、山崎さんの原発の入域は五十八年の九月以降でございます。五十九年の五月までの総被曝線量は七百八十ミリレムということでございますし、その間適正な健康診断を五回受けておられるようでございます。そういう意味から、法令上の問題はないのではないかというふうに私どもは思っております。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 原発労働の特に下請労働等がいわゆる人夫出しというような形で非常に前近代的な労働状況にあるということは先ほどからたびたび指摘しているわけですが、もう一つ、原発においては被曝の問題、これが非常に重大な問題をはらむと思うわけです。  それでお尋ねしたいのですが、電離則と略称するのですが、ちょっと今資料が出てこないので正式名称がわからないのですが、これは労働省の所管の規則だったと記憶しますが、これによれば、労働者の被曝については、できる限り放射線の被曝を少なくしなければならないというふうに記載されていたと思いますが、これは間違いございませんか。

寺園成章労働省労働基準局長

○寺園政府委員 御指摘のとおり、放射線業務につきましては、放射線に被曝をするということが大変大きな問題でございます。そのような観点から、安全衛生法に基づきます電離放射線障害防止規則によりまして各種の規制をいたしております。その規則の中におきましては、三カ月について三レム、それから一年につきまして、年齢によって異なりますが、十八歳の場合、最高五レムというような規制をいたしておるところでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 資料が出てまいりましたのですが、電離放射線障害防止規則の第一条には「事業者は、労働者が電離放射線を受けることをできるだけ少なくするように努めなければならない。」こういう基本原則が定められているわけです。ところが、最近の科学技術庁が出している文書、例えば昭和五十八年版の原子力安全白書、これは科学技術庁じゃなくて原子力安全委員会が編集したものでございますが、これには「我が国においては、」「ICRP勧告で示されたALARAの考え方に従って、職業人」等の「被ばくをできるだけ低く保つよう適切な対策が講じられてきている。」こういうふうな記載がございまして、このALARAというのは、「合理的に達成できる限り低く」という基準でございまして、電離則に言う「できるだけ少なく」なるようにという原則とは明らかに違っているわけでございますが、こういうのについて労働省はお気づきでしょうか。あるいは見過ごしておられたのでしょうか。

寺園成章労働省労働基準局長

○寺園政府委員 恐れ入りますが、もう一度お願いいたします。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 質問時間が実は終了していて申しわけないのですが、労働省の所管しておられます電離則、先ほど指摘した電離則ですね、これには第一条に「事業者は、労働者が電離放射線を受けることをできるだけ少なくするように努めなければならない。」という基本原則が定められているわけです。これは労働省令でございます。  他方で、例えば昭和五十八年版の原子力安全白書によりますと、放射線障害の防止に関しては、「ICRP勧告で示されたALARAの考え方に従って」いるという記載があるわけです。ところが、この「ALARAの考え方」というのは、「合理的に達成できる限り低く」、要するに、技術的に達成できる限り低くではなくて、「合理的に」という表現になっているわけです。  そうしますと、この電離則の基本原則と違ってくるのではないか。具体的に言いますと、その前にICRPが勧告して言ったのはALAPという原則でございまして、これは可能な限り低く抑えるという基準だったわけですが、これが後にALARA、合理的に達成できる範囲内で低くするんだというふうに変わったわけですね。そうしますと、先ほどから示している電離則の基準とは矛盾するのでないかというふうに思うわけです。この点について、労働省としてこのような原子力安全委員会の姿勢について検討したことがあるかどうかというのが質問の趣旨でございます。

福渡靖労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課長

○福渡説明員 ICRPから今先生が御指摘になりました勧告が出されていることは承知しておりますし、国内でも、この勧告に基づきまして国内法令をどのように整備をするかということで科学技術庁に置かれております放射線審議会で現在検討中でございます。その放射線審議会で結論が出された後に、各省がその結論に基づいて対処するという手順になるわけでございますので、現在その審議会の結論待ちというところでございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 ところが、その結論を待たずに、原子力安全委員会の原子力安全白書などでは新たなALARAの基準をどんどん取り入れているわけです。これに基づいてやっているんだという記載があちらこちらにあるわけですね。こういうものを労働省として見逃してはいけないのではないかということを先ほどから指摘しているわけでございます。御検討願いたいと思います。  質問の時間が終了しましたので、実はもう一点、健康管理手帳について、原発労働者にも適用すべきではないかということもお尋ねしたかったのですが、これは時間が来ましたので、後の機会にさせていただきます。  最後に大臣にお尋ねしたいのですが、原発の労働者について、先ほどから指摘しておりますように、雇用関係が極めて前近代的である、人夫出しというような慣行があり、ピンはねが公然と行われている。科学技術の粋を集めた原発のもとにおいてこういう前近代的な労働関係があることはゆゆしきことだろうと思いますし、また労働者被曝についても、きょうは時間が余りありませんでしたけれども、非常にゆゆしい問題が起こっているわけでございます。これらにつきまして、大臣としての、今後どのように対処するお考えがあるのか、方針を伺いまして私の質問を終わりたいと思います。

山口敏夫自由民主党・新自由国民連合労働大臣

○山口国務大臣 原子力発電所の下請労働につきましては、今後とも請負事業としての業務の適正な実施、またこの放射線業務に従事する労働者の被曝防止等につきましても、下請事業者はもとより、工事の発注者である原子力発電所の設置者に対しましても、先生のいろいろ御指摘いただいたような御心配は避けなければならないのは当然のことでございますので、指導徹底を図っていきたい、かように考えます。しかし、原子力発電において電気の安定的供給その他安全確保等の一つの役割も重要でございますが、我々としては労働者の安全衛生、こういう問題の立場からひとつ一層真剣に取り組むということが必要だと考えております。

戸井田三郎自由民主党・新自由国民連合

○戸井田委員長 午後一時十五分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十分休憩      ――――◇―――――     午後一時二十四分開議

戸井田三郎自由民主党・新自由国民連合

○戸井田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹村泰子君。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 派遣事業と女性労働者に焦点を当てて質問をさせていただきたいと思います。  政府案は登録型、常用雇用型双方を制度化しようとしているわけですね。双方についてさまざまな問題点があると私たちは思っておりますけれども、制度化された場合の影響など解明すべきことは非常に多い。しかし、今回は登録型について、そして女性労働者に焦点を定めて質問をさせていただきたいと思います。私は、労働問題はまだ駆け出しで、難しいことがたくさんありますので、どうぞ教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  登録型の場合、派遣労働者の九割以上が女性であるということは御存じと思います。これは「ジュリスト」などにも発表されておりますけれども、マンパワーの場合ですと、特に事務処理業の場合、九八%が女性であると言われております。しかも、その中でも未婚のスタッフが七割、そしてほとんどが実務経験者である。それから、日本における女性の就業者は昭和五十七年の調査では二千二百万人である、事務処理業で働く女性は、推定で登録者三十万人、就業者十三万人というふうに書かれているのですけれども、この数字はいかがでしょうか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 マンパワーの場合あるいはまたマン・フライデーの場合等につきましての数字等であり、そしてまた前職がこういう実務経験者であるとか就業者の数が二千二百万であるとかいうあたりは大体そういうことであろうと思いますが、事務処理業で働く女性が推定で登録者三十万、就業者十三万、この辺の数字につきましては私どもも特に把握をしておるわけではございません。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 特にまだ調査をされておらない、はっきりはつかめないということなんですね。事務職には伝統的に女性が配置されていたという歴史から見てもそれは当然と言えるのかもしれないのですけれども、マンパワー社やマン・フライデー社という人材派遣会社、そういうのが一定の女性の就業希望にこたえることは認めます。しかし、ここでは女性がこうした派遣会社を選んだ理由、なぜ選んだのか、動機を取り上げてみたいと思います。  これはマンパワーの調査されたものですけれども、その動機の調査によりますと、自分が「希望する時間に働ける」これが四二・九%ぐらい、「能力と経験を生かしたかった」これが一三・二%、これはマンパワーの場合ですけれども、「年齢制限がない」一二・四%、「再就職まで仕事がしたい」これが五・五%となっております。  これらの動機は女性労働者、特に比較的若い労働者の今の男性優先社会といいますか猛烈社会といいますか、そういう労働の現状に対する一つの抗議、プロテストであると思うわけです。  そこで、順次労働省の御見解をお尋ねしてみたいと思います。  まず一番回答が多かった「希望の時間、希望の期間に働ける」、この動機ですけれども、この数字を労働省はどういうふうに受けとめられますでしょうか。ちょっと御見解を聞かせていただきたい。つまり、私の言いたいのは、裏を返せば、普通の労働条件、社会の中では、希望の時間、希望の期間に働けないということを示しているのじゃないですか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 希望の時間あるいは希望の期間働けるといいますのは、一般に女性の場合、家事負担の問題、育児負担の問題を抱えながらの就業ということになってまいりますと、必ずしもフルタイムで、しかも毎日勤務するわけにもいかないというような問題が常に背景としてある。さらにまた未婚の女性でございますと、今例えば各種の文化的なサークル活動とかいうようなものにもまた行かれることとの調和において就業することもいろいろあるようでございまして、そういう意味でやはり一般の労働者と同じような形の就業形態を望まない方がこういういわゆる人材派遣会社に登録しておられる、こういうような結果として出てきておる数字じゃないかと思うわけでございます。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 大臣は時短の問題に大変熱心でいらっしゃいますけれども、年次有給休暇ですね、現行労基法では一年間継続したら六日間もらえます。その後、勤続年数がふえるに従って一日ずつふえていく。十六年目でやっと二十日間の年次有給休暇が与えられることになっております。その辺の実際の年休の付与日数、取得日数、取得率などはどうでしょうか。

寺園成章労働省労働基準局長

○寺園政府委員 昭和五十八年の調査産業計で申し上げますと、付与日数が十四・八日、取得日数が八・八日、取得率が五九・五%でございます。五十七年で申し上げますと、付与日数が十五・一日、取得日数が八・七日、取得率が五七・六%でございます。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 実際にはなかなかそれもとれていない現状があるわけですけれども、それはさておきまして、マンパワーの人材、スタッフとなるまでの実務経験年数を見ますと、六年以内が五六・一%と半数以上を占めております。八年以内では七一・四%と三二%、これはマンパワーの数値ですけれども。例えば五年間勤めた女性の場合は年休は労基法の規定では十日間とれるわけです。取得率が六割ぐらいとしても、実際には六日間しか与えられていない。これが現状なのではないでしょうか。現実にはなかなか有給休暇をもらえない労働者もたくさんいるわけです。一応こういう規定になっておりますけれども、その辺はどうお考えですか、労働省。

寺園成章労働省労働基準局長

○寺園政府委員 御指摘のとおり、現在の労働基準法の年次有給休暇の付与日数の規定は、一年以上継続勤務した者につきましてその八割出勤した場合に六日ということを最低限にしながら、勤続年数が長くなれば付与月数がふえてくるという状況でございます。そういう付与日数でございますけれども、実際の取得率が大体六〇%前後で推移しているという状況でございますので、年次有給休暇の消化促進という観点から、できるだけ年次有給休暇の趣旨であります計画的な取得を進めてまいりたい。その一つの形として、ゴールデンウイークなどの連続休暇の促進と普及にかねてから努めておるということでございます。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 大臣にお伺いいたしますけれども、今海外旅行が非常にふえている。ヨーロッパツアーの場合、大体普通何日間ぐらいの日程があればいいと大臣はお思いになりますか。

山口敏夫自由民主党・新自由国民連合労働大臣

○山口国務大臣 せっかく出かけた海外旅行でございますから、特にヨーロッパ等におきましては十日から十二日ぐらい最低時間が必要ではないかと思います。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 与えられた六日間も満足にまとめてとれない状況の中で、私がなぜ海外旅行のことをお聞きしたかといいますと、庶民のささやかな楽しみであるそういう海外族行のツアー、それも自分の都合のよい時期に与えられるわけではないわけですね。そういうこともままならぬ現状があるわけです。これは欧米諸国と大きな違いがあると私は思うのですけれども、こうした労働現状への抗議が若い女性たちからこういう形で突きつけられていると言っては言い過ぎなのでしょうか。どうでしょうか。

山口敏夫自由民主党・新自由国民連合労働大臣

○山口国務大臣 やはり日本人にとって勤労、勤勉性というのは信仰的な領域に行くような共通した価値観、これは労働者、使用者問わずということでございますけれども、人生八十年時代、さらには人生一世紀時代ということを考えますと、あらゆる政策の一つの中心的な課題の中で、労働時間の短縮とか休暇を通じて、よく働きよく学びよく英気を養う、こういう基本的な認識が重要かと思います。  そういう意味で、職業につかれる若い女性の方方がこうした休暇を有効に使い得るような一つの政策的な環境整備ということが非常に大事だということは私も同感でございます。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 休暇のことにつきましては大臣のお答えがあったわけですけれども、そういう現状であるということをやはり御認識いただきたいと思うわけです。  次に、私どももせんだって男女雇用平等法、機会均等法審議のときに論議したことですけれども、母性保護に関する質問を少しさせていただきたいと思います。  先ほどマンパワーのスタッフが、六年以内が五六・一%と半数以上になっているということを申し上げましたけれども、産前産後の休暇及びその間の所得保障は今どうなっておりますでしょうか。

赤松良子労働省婦人局長

○赤松政府委員 お答え申し上げます。  産前産後の休業につきましては、現在労働基準法で産前の六週間、これは任意でございます、産後の六週間、これは強制でございますが、保障されているわけでございます。その間の休日につきましては健康保険から支払われる仕組みでございます。これが、先国会先生も御審議にお加わりいただきました法案で、ただいま参議院で審議中でございますが、雇用機会均等法案の中の労働基準法の改正の部分で、産前につきましては多胎妊娠について十週間、産後につきましては、一般的に六週間を八週間と休業の期間を延長した内容となっております。そして、その長くなりました期間につきましては、健康保険法の一部改正でその期間についての百分の六十という所得保障につきましては、これも同時に延長することになっております。その点につきまして、産前産後両面にわたってのいわゆる厳密な意味で母性保護と言われている側面につきまして充実を図ったというふうに考えております。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 産前産後の休暇及びその所得保障が少しよくなりそうだということは大変すばらしいことだと私も認めますけれども、それでは育児休業及び育児時間ですね、この点についてはどうですか。

赤松良子労働省婦人局長

○赤松政府委員 お答え申し上げます。  育児休業につきましては、従来ございました勤労婦人福祉法の中で事業主の努力義務として育児休業その他の措置を取り入れるようにという規定になっていたわけでございます。その規定をそのまま改正法案の中でも受け継いでおりまして、変更がないわけでございます。ただ、これに対して国が援助等の措置をするということにつきまして明文で規定をいたしたわけでございますので、これは従来からも奨励金の支給というようなことで育児休業の普及を実質的に奨励し、図ってきたわけでございますが、この点につきましては、改正法案の中でも、国のそういう奨励等に関する規定を明らかにしたことによりましてより充実したものにすることができるかと思います。  もう一つ、育児時間につきましては、これは労働基準法の規定で、生児が一年に達するまでの間、一日少なくとも三十分を二回という規定があるわけでございますが、その点に関しましては変更したところはございません。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 育児休業は今公務員だけに現状は適用されているわけですね、公務員、保母。そして、その割合がたしか一四・何%の普及率だったと思いますけれども、これはたしか努力義務なんですね。ですから、なかなか普及していかないということをせんだっての雇用平等法の審議のときにも申し上げたことを覚えておりますが、私がなぜこんなことを聞いておりますかといいますと、やはり女性の離職者が一番多いのはちょうどこの年代ではないかと思うからなんです。  結婚、出産、そしてどうしても働けなくなる、やめなければならなくなる、離職しなければならなくなる、そして職を離れる。そしてマンパワーや人材派遣会社のスタッフにもう一度戻る、そういうケースが非常に多いのではないか。雇用動向の調査などからそう思いますので、そんなことをお聞きしたわけですけれども、この点はいかがですか、労働省。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 雇用動向調査によりますと、女子の離職者、五十八年の場合をとりますと約百八十万人ございますけれども、そのうち契約期間の満了ですとかあるいは経営上の都合等によるものが一〇%強ぐらいでございまして、残りの八割近くが個人的理由による離職者でございまして、これらの方々の約二割がまた結婚、育児、出産等の理由による離職でございますので、先生のおっしゃるとおり、女性の離職の多いのはこういった理由による世代ではないだろうかというふうに考えております。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 そこのところを、やはり労働省はどういうふうにこれからの労働問題を考えていっていただけるか、もう十分にお考えくださっているとは思いますけれども、なお一層押さえていただきたいと思うところでございます。  次に、二番目に回答数が多かったのは、「能力と経験を生かしたかった」というこの動機です。この数字ですね。先ほど申し上げましたけれども、能力と経験を生かしたかったというこの問題を労働省としてはどのようにお受けとめになりますか。つまり、裏を返せば、日常の労働社会の中では自分の能力と経験を生かす方法がない、生かせないということではないかと思いますけれども、どうでしょうか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 働きたいという女性がその能力や経験を生かしたいということで、そういうことを大きな動機として就業の場を探される。ところが現実には、その能力あるいは経験を生かそうにも、家事の負担であるとかあるいは育児の負担というようなものがかぶっておりまして、フルタイムでそういう能力、経験を生かす場がない。そういうような場合において、こういう人材派遣業的なところにおきましてそういう短時間雇用あるいはまた都合のいいときでの就業というようなものを適当に用意してくれるというような形で、こういうまさに能力と経験を生かしながら、またそういう家事の負担とも両立できるというようなところがこういう形になって出てきておるのではないだろうか、こんなふうに思うわけでございます。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 自分の技能が評価されない、そういうこと、年功序列型の雇用慣行、日本の労働の非常に大きな雇用慣行への抗議ではないかと思うのですけれども、どうですか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 年功序列型の雇用慣行というのは、必ずしもそういうマイナス面ばかりではなくて、ある意味では日本における生涯のいわば各年代における必要生活経費というものにある程度見合った形で賃金体系ができておるということ自身、非常に現実的なメリットもあるわけでございまして、こういう慣行自身を決して否定すべきものではないと思います。  ただ、そういう中においてさらに技能評価あるいはそういう能力評価というようなものがどの程度生かしていけるか、こういった点もまた今後の賃金のあり方として少しずつ今動き始めてきておる、そんなふうに見ておるわけでございまして、これはそういう年功序列賃金への直接の抗議という形であるとは必ずしも私は思わないのでございます。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 次に、三番目に多かったのは「年齢制限がない」、これは一二・四%という数字ですけれども、この年齢制限がないという数字を労働省はどう受けとめられますか。つまり二十五歳から二十九歳、三十歳から三十四歳、そういう女性としての年齢別有効求人倍率、これはどうなっておりますでしょうか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 五十八年の数字で見てまいりますと、男子の場合が〇・六八倍で、十九歳以下が一・七五倍で、二十歳台前半、後半とも一倍台以上でございますが、女性の場合は年齢計が〇・五三倍で、十九歳以下の場合は一・六七倍でございますが、二十五から二十九歳、二十歳台後半で〇・六二、三十歳から三十四歳が〇・七四、男子の場合に比べて求人倍率の落ち方が目立っているというふうに思われます。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 そうですよね。とりわけ大企業の場合、新規の学卒者がほとんど主体であって、三十歳を過ぎた女性を採用してくれるところなんてなかなかありません。最近は再雇用制度などを導入する企業がふえてきたようですけれども、どのぐらいですか。

赤松良子労働省婦人局長

○赤松政府委員 お答え申し上げます。  再雇用制度というのは、まだ法律の中にも、ただいま参議院の御審議中の法案の中には初めて書かれたわけでございますが、何分そのような制度を取り入れている企業というのは非常に少ないわけでございまして、調査もまだたびたびしておりませんので、私どもの手持ちの数字はそれほど全国的に広い統計というわけにはまいりませんが、一応上がっている数字でお答え申し上げますと、再雇用制度があるというふうに答えた事業所は七%でございます。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 非常に少ないのですね。ですから、労働省がもっと再雇用制度というところに力を入れていただいていれば、母性保護、つまり出産や育児に関する保護が確立していれば、女性は結婚する、出産するというときにも一たん離職する必要はないということにはならないでしょうか。これは、次に多かった「再就職まで仕事をしたい」五・五%、このこととも重なり合うのですけれども、私は、男性の労働時間のあり方も含めまして、女性が結婚し、出産し、育児をしながら働けるように、労働時間の改善、母性保護の確立が必要だと思うわけです。そうすれば派遣会社への就業希望もそんなにどんどん今のようにウナギ登りに膨らんでいくということはないのではないかと思うわけですけれども、その辺はいかがですか。

赤松良子労働省婦人局長

○赤松政府委員 女性の就業の形態というものはいろいろ多様化していることは先生の御承知のとおりでございまして、一方には、子供を産んで子供が小さい期間にも産後の休業以外には全然休まないで続けるという方も結構ふえております。また、育児休業は先ほどお答え申し上げましたように普及がそれほどではございませんが、しかし、育児休業をとって一年程度休んでその後復帰するという方もふえております。それからまた、これは全く御本人の自由な選択によるものと存じますが、子供が小さいときは子供のそばにいて面倒を見たいと思う方は子供の小さい期間、かなりな間労働市場から引退して、そしてもう一度子供がある程度手が離れたときにまた労働市場に復帰する。そのようないろいろなパターンで女性の就業がふえているものというふうに考えているわけでございます。  私どもといたしましては、女性がその自由な選択の幅を広げるということはいいことではないかというふうに思っているわけでございまして、その選択の幅が広げられるように、育児休業も制度としてはぜひ普及をしたいし、再雇用の制度も今後の新しい課題としてぜひふやしていきたい、普及していきたいというふうに考えているわけでございます。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 女性が自分で自分の子供の育て方、家庭のあり方を選択する、これは全く自由だし、労働省に介入していただいたら大変なことなんですから、そんなことではないのでありまして、やはり働きたい人が子供を育てながら働ける、そういう条件を労働省ではもっと意欲的にもっと熱意を持って一育児休業の普及率を見てもわかりますとおり、余り熱意があるとは私は思えません。もっともっとそういった女性のごく当たり前の要求ですね、要求を持っている女性について満たしていただけるような努力ができないかなと思うわけで、お聞きしたわけでございます。大臣、いかがですか。

山口敏夫自由民主党・新自由国民連合労働大臣

○山口国務大臣 女性の方も家庭責任、家事、育児、そういった仕事の大切さと同時に、男性と同じように自分の能力、資質、意欲を社会で発揮したい、こういう希望も大変強いわけでございまして、正直言って、そういう働く女性のための社会的環境、例えば保育所の数でございますとか保育所の開業している時間帯でございますとか、十分適応でき得る条件にあるということは残念ながら言えないわけでございます。  しかし、労働省もそうした問題も含めて厚生省といわゆる縦割りでそっちはそっち、こっちはこっちで考えるということじゃなくて、一緒にそういう問題も含めて労働条件、環境整備をどうすべきかということも、今いろいろ協議をスタートさせたという経過もございます。そういうように男性の家庭責任への分担、そういうものの啓発と同時に、現実的に具体的にそういう施設をどう整備拡充して、今竹村先生御指摘のような女子の職場への進出というものが可能かどうかというための不断の努力というものが非常に大事であるという認識で今取り組んでおるところでございます。     〔委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 先日から社労委員会の中で、大臣は、厚生省との共同のプログラムといいますか協議といいますか、そういうことをぜひ進めたいと意欲的にお答えになっておりますけれども、これも今始まった問題ではないのでして、ぜひ強い御指示をお願いしたいと思います。  次に、女性がなぜマンパワーやマン・フライデーのような人材派遣会社を通じて就業しようとするのか、なぜ人材派遣会社でなければならないのかという問題をちょっとお聞きしてみたいと思います。  戦後、労働基準法や職業安定法などの制定によりまして雇用関係が非常に民主化された。労働関係の当事者、つまり労使間に第三者が介在することは禁止されることになりましたね。それは職安法の規定の中にもちゃんと第四条、第五条などに明記されておりますね。このために職業紹介は基本的に政府の責務とされてきたわけです。無料の政府の職業紹介事業を行うこととなった。例外的に労働大臣の許可のもとで民営職業紹介や労働組合による無料の労働者供給事業が認められているわけですけれども、今取り上げておりますような女性労働者の就業希望にこたえるために政府はどのような措置を講じてこられたのでしょうか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 公共職業安定所におきましては女子ももちろん含めまして毎年職業紹介に努めてまいったところでございまして、例えば五十八年度でございますと、月間有効求職者が百七十八万ございました。このうち女子が七十七万でございます。そのうち就職件数が百四十三万でございまして、そのうち女子が四十八万、こういうような数の方々の職業紹介をいたしておるわけでございます。  また、これに加えまして、近年パートタイム形式での雇用の希望が増加してきておりますことに対応いたしまして、昭和五十六年度に三カ所パートバンクの開設をいたしました。以後五十七年十カ所、五十八年六カ所、五十九年八カ所、そしてさらにまた六十年度五カ所ということで、これまで合計二十七カ所、今後六十年度を加えますと三十二カ所のパートバンクの設置、こういうような形で、主としてこういう家事責任と就業との両立を希望される女性などへの対応も進めてきておるということでございますし、また職業訓練校におきましては、経理事務とか美容とか、そういうような比較的女子の就業希望の多い職種あるいはまた最近のME関係の職種等につきましても訓練の科目の拡大を図るというような形で就業希望への対応を進めておるわけでございます。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 パートバンクのお話が出ましたけれども、女性労働者にとっては派遣労働とともにパートタイムの就業を希望される方が非常に多いわけですね。今パートバンクの設置状況について御説明いただきましたけれども、これは最初にできたのはいつとおっしゃいましたか。そしてその目的といいますか、それをちょっと教えてください。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 昭和五十六年度に横浜パートバンク、大阪のなんばパートバンク、東京の渋谷のパートバンク、この三カ所をまずスタートさせたわけでございます。これは一般のフルタイムの常用雇用につき得ない事情があられるようなパートタイム就業希望者にいろいろ職業に関する情報の提供、職業相談、職業紹介を行う。あるいはまたそういう就職希望者だけではなくて、採用する事業主側につきましても、採用条件の指導といったような雇用管理面の指導の実施をする。さらにはまた、最近の高齢化社会に対応いたしまして、例えば六十過ぎの高齢者などでもうフルタイムの雇用を希望しない、パート的な形で働きたい、こういうような方へもこのパートバンクにおいて対応するというような目的を持ってスタートをしたわけでございます。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 五十五年にシステム研の提言がされて、それ以来いろいろな対応をしてこられたと思うのですけれども、私ども見ておりまして、やはりそういった女性労働者の就業希望に十分に積極的にこたえてこられたとは思えないテンポといいますか、余り熱意が感じられないという気がするのですけれども、その辺はいかがですか。十分に積極的にこたえたとお思いでしょうか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 職業安定機関における増員、体制の整備等に努めてきたところでございますが、一つの例として定員につきまして申し上げますと、実人員自体の推移は、職業安定所におきまして、五十五年は一万三千百二十一名ございましたが、昭和五十九年度は一万二千九百六十名ということで、残念ながら水準自体としては下がってきております。政府の累次にわたる定員削減計画を実施していく中で毎年の増員に努めておるわけでございますが、ネットといたしまして減少をしてきているというのがこれまでの推移でございます。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 先ほど私が出しましたシステム研究会の提言ですが、これには「公共職業安定所の組織の整備とその機能の強化が不可欠である。そのためには、職業安定行政の一層の効率的な運営に努めるとともに公共職業安定所の職員の大幅な増員」という提言がされております。これ以後、昭和五十五年以後、各年の職業安定所職員の総数をお示しいただきたいと思います。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 年度ごとに申し上げますと、五十五年度が一万三千百二十一名、五十六年度が一万三千百二名、五十七年度が一万三千六十名、五十八年度が一万三千十六名、五十九年度が一万二千九百六十名、六十年度が一万二千八百九十七名となっております。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 下がっているわけですね。ふえてないんですね。削減されている。これでいいとお思いでしょうか。計画的な増員が求められているにもかかわらず削減されている、労働大臣いかがでしょうか。これでいいとお思いでしょうか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 今、野見山審議官から申し上げましたように、数字的にこの職員の数が年々ネットで七、八十名の減が続いておるわけでございますが、実は毎年の定員の折衝の経緯から申し上げますと、定員削減としては二百名ずつ毎年削らなければならぬ、こういうような状況の中で増員の面でもまた懸命に努力をいたしまして、ネット減というものを最小限にとどめるような実現に努力をしてきたわけでございます。いずれにいたしましても、政府全体として職員の大幅減を毎年続けてきておるような非常に厳しい状況の中での増員獲得、こういうことでございまして、そういう意味におきまして結果としてはネットでも減というような形になったものでございますが、この増員問題については、大臣を先頭に省を挙げてこの獲得に努力をしておるというのが毎年の予算折衝時の状況でございます。  また、こういう職員の減少の中で、私どもその間、業務の一層の簡素化と業務の効率化、こういうような面での懸命な努力もまたしておるわけでございまして、昭和六十一年度に完成を目指しまして、現在労働市場センターを中心に全国の職安機関をネットワークでつなぎ、そして安定所の窓口において全国の求人求職情報がいろいろ必要なものが取り出せる、こういうような総合的な情報システムの開設、実施を目指して鋭意今その準備作業を進めておる、こういうような形で組織の効率化を図るべく努力をしておるところでございます。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 定員を削減せざるを得ない、これは臨調行革路線に原点があるのではありませんか。問題があるのではないでしょうか。  職業紹介は単なる需給調整システムではなくて、つまり人間の問題なんですね。物ではない。人間の需給調整のシステム、このような分野に安易に民間事業の参入、つまり労働者派遣事業の制度を法律として持ち込むということはやはり非常に問題があると私は思うわけです。むしろ行政側としては、ちょっと適当な日本語が見つからないのですけれども、一時就労業者といいますかテンポラリー・ワーク・バンクといいますか、そういうものを設置して労働者の就業希望に応じられる必要があるのではないか。行革で人数を削って職安の人員を削減されるよりも、むしろそういった発想の転換が必要なのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 現在やっておりますパートバンクも、ある程度テンポラリー・ワーク・バンク的な色彩も十分持っておるわけでございますが、さらに、就業の日時、場所あるいは期間等につきましてのさらにテンポラリーな方についての対応ということになってまいりますと、率直に申しまして、現在人材派遣業で行われているような、あそこまでの機能というものをなかなか行政機関に期待することは難しい、そういう面があることは率直に認めざるを得ないと思うわけでございます。  特にこういうテンポラリーワークでも、そこで技能をリフレッシュしたり、さらにまた向上するためのいろいろな訓練のシステム、あるいはまた、ある程度細切れの仕事をつなぎ合わせて一定の就労時間、就労期間というものを確保する、あるいはまた、そういうものをつなぎ合わせて労働保険、社会保険というようなものについての適用を進める、あるいはまた、そういう福祉の施設の面での配慮というような点になりますと、こういう職業紹介機関ということだけでは現在のようなこういうテンポラリーワークについてはなかなか対応し切れない、こういう面があることは認めざるを得ないというふうに思うわけでございます。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 私もマンパワーとか人材派遣会社、そういう会社が、先ほども申し上げましたように、女性の労働者の就業希望にこたえている、また企業側のニーズにもこたえているという点があることは十分に認めます。  企業側のニーズとしては、例えば技術職をふやしたいとが、中途退職者の補充をしたいとか、プロジェクトの要員が欲しいとか、一時的な業務の増大や突発的な業務の処理のために必要であるとか、また、就業側としては、能力と経験を生かしたいとか、年齢制限がないとか、再就職まで仕事をしたいとか、いろいろな職種を経験できるとか、いろいろなよい点があることは今回勉強させていただきましてよくわかりますけれども、しかし、だからと言って安易に労働者派遣事業を法律的に認めるということは、余りイージーにはできないという気がするわけですね。その実態や制度化した場合の将来への影響、労働の基本的な問題、労働権のことですとか、そういったことを考えていきますと、慎重に検討する必要があるのではないかと思うわけです。  その第一点は、マンパワーなど人材派遣会社を企業側が利用する理由についてなのですけれども、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、「一時的な業務の増大、突発的な業務の処理」、これは今「ジュリスト」の文章ですけれども、「従来は、社員の残業、休日出勤等で処理してきたのだが、事務処理業の出現によって一部を業者に依頼するようになった。その他社員の休暇、又は採用までの穴埋めとして利用すもケースも多い。企業が事務処理業を利用する主なメリットは二つある。一つは、当該業務を迅速かつ的確に処理できることであり、もう一つはコスト面で経費が削減できることである。」こういうふうになっております。例えばその辺に、法制化した場合の影響を私はさっき申し上げましたけれども、将来的な影響を考えた場合に非常に心配なところがあると思うわけです。  二番目に、マンパワーやマン・フライデーのような大きな人材派遣会社はともかくといたしまして、もっと小規模の人材派遣会社がたくさんあるわけですね。今どのくらいあるか、つかんでおられますか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 五十八年に労働省が実施いたしました実態把握調査によりますと、事業所構成で申しますと、事務処理業におきましては、千人以上の事業所が八・五%、三百人から九百九十九人が三六・二%、百人から二百九十九人の事業所が二三・四%、三十人から九十九人の事業所が一四・九%、二十九人以下の事業所が一七%という構成になっておりまして、規模の小さい事業所も比較的存在しているという状況でございます。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 何社ぐらいあると推定――推定では困るのですけれども、現在そう思っておられますか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 一応私どもは業務処理請負事業の形態をとっている事業所として調べたわけでございまして、今先生の御指摘のような業務処理請負事業として人材派遣的な事業をやっているのは百八十社から二百社程度というふうには聞いておりますけれども、私どもの把握している産業区分とは必ずしも一致はいたしておりません。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 全国で約二百社ぐらいと言われているわけですね。事務処理業で働く女性は、推定ですけれども、労働省でお調べになった数字と少し違うと思いますけれども、登録者で三十万人ぐらい、就業者で十三万人ぐらい、これは多いでしょうか、といたしまして、二百社ぐらいで割りますと、一社平均大体六百五十人程度となります。マンパワーやマン・フライデーの会社のように、九千人とか五千人とかそういう大きい会社もあるわけですから、それを考えますと、相当少ないところもあると思うわけです。  労働省に、おわかりになる程度で結構ですけれども、教育とか賃金及び労働条件、福利厚生、保険の扱いなどどのようになっておりますでしょうか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 教育の状況でございますけれども、五十八年の調査によりますと、事務処理業におきましては、まず技能向上のための教育訓練につきましては、定期的に行っているのが三四%、必要の都度行っているのが五三・二%、行っていないのが一二・八%でございます。  また、特にOA機器など新しい技術を身につけるために行う教育訓練でございますけれども、定期的に行っているのが二七・七%、必要の都度行っているのが六一・七%、行っていないのが一〇・六%という状況でございます。  福利厚生の状況につきましては、統計的な把握はできておりませんが、断片的な情報では、保養所を持っているところ、あるいは先ほど申し上げましたような教育訓練のためのトレーニングセンターを無料で実施しているところ等がございます。  それから労働保険の状況でございますが、同じく事務処理業の場合、常用雇用形態の場合は、適用しているというのが、労災保険、雇用保険の場合は、当然でございますが一〇〇%適用いたしております。なお、日雇い形態等になりますと、適用しているものが、労災の場合は九〇%、雇用保険の場合は五割というような状況になっております。  また、賃金の状況につきましては、実例でございますけれども、事務処理関係企業の場合ですと、平均賃金が時給、時間給で千二百円、月収で十八万円、これはいずれも月収の場合は実働七・五時間で週五日勤務の場合の計算でございますが、これが賃金の支給例としての数字でございます。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 厚生年金、健康保険などは雇用形態に適合した制度がないために適用していないというところもあるわけですね。これはかって日雇い健保を適用した時期があったけれども、昭和五十五年あたりから社会保険庁から実態的に合わない部分があると言われて、しばらく中止してほしいという通達があったのですね。これはこのとおりですか。今もそのとおりですか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 御指摘のとおりでございます。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 私はさっきも申し上げましたけれども、マンパワーやマン・フライデーのような大きな会社はともかく、小さい会社では福利厚生の面でもあるいはスタッフの管理面でも保険の面でもあるいはその他のさまざまな待遇の面で、まだまだ一定の基準までいかないというところが非常に多い。また、これからどんどん膨れ上がっていくということを予想しますと大変心配なわけなんですけれども、テンポラリーワークということなんですが、これは既存の民営職業紹介事業でもできるんじゃないですかね。民営が認められている職種、事務処理に関する職種を挙げていただきたいと思います。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 現在、派遣的な形態で行っております事務処理の業務と有料職業紹介の許可職種とを直接比較することは難しいわけでございますけれども、民営の職業紹介の許可職種といたしまして、派遣的な形態でも行っていると見られるものとしては通訳、経営管理、技術管理者、これらの職種が一部重複する面があるのではないかというふうに思っております。それ以外につきましては、中央職業安定審議会の派遣事業等小委員会におきまして参考例として挙げられました十四業務とは直接重複するものはございません。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 民営でも同じタイプの労働者は扱っていますね。例えばホテルなんかに紹介されている配ぜん人、これは民営紹介所にとってもホテル側にとっても大変常連といいますか、そういう労働者であるわけです。そして、ホテル側にも希望されて認められ、見込まれて常用労働者として雇い入れたい、しかし、断った、そういう話も先日ヒアリングでお聞きしております。その点はどう思われますか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 今御指摘の配ぜん人でございますが、これは民営職業紹介の許可対象職種でございますが、派遣事業の対象業務として小委員会が挙げられましたコンパニオンとはちょっと職種は違うので、直接は比較できるものではございませんが、ただ、今御指摘の事例、配ぜん人の職業紹介におきまして、職業紹介所が常用雇用につくことを拒絶するということにつきましては、職業紹介業者として安定的な就職の場をあっせんするという基本的な使命にかんがみまして甚だ適当でないケースだというふうに思っております。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 適当でないとおっしゃいますけれども、現実には実際にこういったことが起きているわけでして、民営の場合に、教育機能を持たせて、そして教育をする、例えば受け付け手数料のほかに教育費を一定額法令で定めて認める、こういうことは考えられませんか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 民営の職業紹介事業におきましては、求職者の持っている技能に適した求人があった場合にその新しい就職口をあっせんするということが基本的な機能でございまして、その雇用責任を持たない民営の職業紹介所に求職者に対する教育的な機能まで期待することが果たして適当かどうかという問題もあろうかと存じますし、むしろそういうようなケースの場合には派遣事業として雇用主としての責任を負う派遣元事業主が教育的機能を持っているということでは、派遣事業における教育的機能の方がより実効的ではないだろうかというふうに考えているわけでございます。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 また労働者の中には、民営に求職を申し込む、一方で人材派遣会社にも登録をしている、そういう人たちがかなりいるとお聞きしております。ともかく仕事がないというのは非常に厳しいことでして、働きたい、そういう意欲を持っておられる、そういう方たちが非常に多いということですね。  それと、派遣事業を認めた場合に心配なことの中に、次のようなことが出されております。これはやはり「ジュリスト」の記事ですけれども、「大手企業を中心に、企業又は特定の企業グループが事務処理業の会社を子会社として設ける」そういう傾向が出てきている、それはもう第二人事部的なもので、報告書にいわゆる「常用雇用の代替を促すことにならないよう十分に配慮する」という、そういう報告書にある意思に反するおそれがあるのではないかというふうに書かれております。  人材派遣会社が子会社であるということは、雇用者は使用者の従属関係にあり、使用者が自社の希望する人材を自社の希望で採用するという、直結しているわけですよね。意識の上でも他社からの導入ではなく、自社調達になるわけです。子会社から直接調達してくる、その人材は常用雇用の代替として容易に活用できることになる、そういう現象が起きてきているのですけれども、これをどう今回の法案で防がれますか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 ただいま御審議をお願いいたしておりますこの派遣事業法案は、これを労働力需給調整システムの一つとして法制化しよう、こういうことであり、労働力の需給調整の促進のために必要かつ適切なものについて行わせる、こういう基本的な考え方のものでございます。このために、この一般労働者派遣事業の許可基準としてこの旨も明らかにしておるところでございます。  したがいまして、今お示しのようなこういう事例については、一般的には果たしてそういう労働力需給調整システムとして必要なものであろうかという基本的な疑念を持つわけでございます。ただ、今後の高齢化の進展等を考慮いたしますと、例えば定年退職者等の就業機会を確保する方法としてそういうようなシステムが使われるというようなことはあり得るかと思いますが、一般的にまさにそういう調整をする、こういうお示しのようなケースは、私どもとしては許可基準というような形の中で厳正に対処してまいりたいと考えております。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 それはその一般労働者派遣事業の許可というところのどこで調整をされますか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 第七条の許可の基準ということで、「当該事業の実施が、当該事業対象業務に係る労働力の需給の適正な調整の促進のために必要であり、かつ、適切であること。」という規定がございまして、こういう観点から見て必要かつ適切でないということであれば許可をしない、こういうような対応になると思います。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 その今のある一つの企業の子会社的な人材派遣会社、それは「需給の適正な調整の促進のために必要であり、かつ、適切」ではないと判断をしていただけるのですか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 例えば定年退職者等の再就職、再就労の場の確保というような場合は例外的に考えられますが、こういう子会社、まさに労働力調達機関としてのこういう子会社的な形の派遣事業というものは、今申し上げました七条の一号の基準から見てこういったものを許可することは必要かつ適切であるとは考えておりません。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 この傾向は今後ふえてくると予想されるのですけれども、この中に一項目、一つの企業のために派遣される人材派遣会社というのではなく、多くの企業のために派遣されるものであるとするというような一項目をお入れになる気はありませんか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 今申し上げましたように、ごく例外的にそういったものを認めることが必要な事例もあり得るかとは思いますが、一般的には、この許可基準の中において今申し上げましたような運営をいたしたい、こう考えております。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 ついでにと言ってはなんですが、「労働力の需給の適正な調整の促進のために必要であり、かつ、適切であること。」という許可の部分ですけれども、その次の「派遣労働者に係る雇用管理を適正に行うに足りる」ものであるかどうか、あるいはその次のハの労働者派遣「事業を的確に遂行するに足りる能力を有するものである」かどうか、こういうことはどう判定されるのですか。経営の基礎、資本金、売り上げ、そんなことが関係してくるのですか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 経営管理を適正に行うためには、派遣先における雇用管理との連絡調整等、あるいは派遣労働者が派遣先の事業場において就労するわけでございますので、特に適切な雇用管理能力を持っている必要がございます。したがいまして、その派遣元企業における雇用管理体制の有無等が条件になろうかと思います。  それから、その次の当該事業を的確に遂行するに足りる能力といたしましては、一つとしては組織的能力、あるいはもう一つとしてはいわば財政的な基盤が確保されていること等がこの判断をする際の基準になろうかというふうに考えております。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 それにしましても、こうした新しいタイプの就労をする労働者、テンポラリーワー力ーと言うんですか、新しい労働者ですけれども、一企業に終身雇用的に就職するのではなくて、一企業からは独立して働く、そういう労働者の意識や行動には今後注目すべきものがあると思うわけです。日本的な雇用慣行とは全く違うわけですね。日本的な雇用慣行といいますと、例えばボーナスや退職金、年次有給休暇の付与、企業内教育訓練、昇給及び昇進昇格の扱いなど、どれをとってみましても終身雇用を前提とした年功序列型といいますか、そういう形になっている。欧米では違いますね。やはり能力本位といいますか、能力のある人は同じ労働をした場合には同じ賃金を受ける、同じ報酬を受ける、そういう考え方も非常に今進んできております。マンパワーやマン・フライデーなどの会社もボーナスや年次有給休暇など日本的な慣行に配慮しているようですけれども、この影響は今後の日本企業の雇用管理のあり方を含めて私たちも十分に注目し、検討していただかなければならない課題だと思うのですね。  今の過渡期といいますか、そういうときにまだ十分な討議がなされないうちに今回のこの派遣労働法案が出されてきた。拙速な結論を出すべきではないと思うのですけれども、今やまさに労働社会は新しい時代を迎えていると思うわけですね。発想の転換をしなければならないときが来ているのではないでしょうか。  大臣、男女平等の論議が盛んに行われているわけですけれども、私たちも真の男女雇用平等法が制定されるために一生懸命頑張ってまいりましたが、男性も女性もともに家庭責任を果たすという意味から、男性の労働市場、労働条件、ともに見直されなければならないと私は思うわけですね。そういう見直しがつまり女性の労働条件もよくしていく、男性もともによくしていくのだというふうに私、思うわけなんですけれども、大臣、どうお思いになりますか。

山口敏夫自由民主党・新自由国民連合労働大臣

○山口国務大臣 まさに竹村先生御指摘のように、男女雇用機会均等法あるいは今御審議をいただいておりますこの人材派遣法等も、先生の御指摘いただいた新しい視点、あるいは労働市場の発想の転換といいますか、新しい視点から物を見、取り組んでいかなければならない、こういう状況にあろうと私は思います。  労働省あるいは政府といたしましても、環境整備あるいは法案の整備等を通じまして、そうした時代の変化にどう具体的に対応していくか、労働者の労働福祉、労働条件の改善等にどう取り組んでいくかということでこれを進めておるところでございますけれども、やはり竹村先生初め先生方の御指摘いただいているような不足の部分もあるいは懸念されるような問題も率直に言っていろいろあろうと思います。しかし、私どもは、そうした問題を十分御論議をいただきながら正すべきものは正し、より必要な整えるべきものを整えて、結論的には、日本の高齢化時代、省力化時代、あるいは女子労働者の職場への非常な進出拡大等の時点における労働市場の一つの大きな転換期に際して、雇用の不安なからしむるようにひとつ一層鋭意取り組まなければならない、かように考えております。  基本的にはいろいろ御論議、御批判もあろうと思いますけれども、正直申し上げて、ここ数年から十年規模で、社会党初め各先生方の御支持もございますように、雇用の延長とか定年の延長等を進めてまいりますと、五百万、六百万規模の労働人口の増加というものが見込まれる。そういう方々にすべて仕事を分配していくという問題の中に、一方においては、労働時間短縮のような問題と同時に男女機会均等法とか派遣法等の環境整備の中でこうした問題を大局的にとらえて改善していくということが大事なのではないかというふうに私は考えておるわけでございまして、御指摘、御批判と同時に、私どもの法案を提出する意図も状況も十分御留意、御理解もいただければ大変ありがたい、こう考える次第でございます。

竹村泰子日本社会党・護憲共同

○竹村委員 花形と言われるソフトウェアの労働者派遣の実態の中にもこんなアンケートによる結果が出ております。例えば派遣先の勤務形態で派遣先に管理される、自社には自分の机はないしスペースもない、極端な場合は会社の事務所も存在しない。給与は銀行振り込みで、ここも自社の人と接する機会はない。派遣期間は長く六割近い人が一年以上である、三割近い人が三年以上である。二重、三重の派遣は日常的にあり、一社通過すると一五%から二〇%の派遣料を引かれる。契約は労働契約ではなく商取引であり、一人用幾らという形で行われる。自社で教育が行われるケースは少ない。こうした企業での労働者の流動性が激しくて年に二、三割の人が退職をする。労働組合の日常運営は難しく派遣先での組合活動、争議行為は極めて限定される、ワッペンなども着用できない。  こういうふうな実態もあるわけでして、そこで、労働者の派遣を合法化するための職安法四十四条の改定ということがもくろまれているのではないかなと思うわけですけれども、やはりそういった労働者の実態や業界の実情、そういうものを十分に認識をしていただいて、そして、私が最後に申し上げたいのは、女性も自分の能力を十分に発揮できるような、そういう社会をつくっていただきたいと労働省に強くお願いを申し上げて、終わらせていただきます。

浜田卓二郎自由民主党・新自由国民連合

○浜田(卓)委員長代理 次に、大橋敏雄君。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 私も先週に引き続きまして若干お尋ねをしてみたいと思いますが、この労働者派遣事業法を制定しようというその動きにつきましては、いわゆる背景については、既に労働者派遣事業に関するいわゆる調査会あるいは研究会あるいは懇談会あるいは審議会等でそれぞれに意見が述べられているわけでございますが、一口に要約して申し上げれば、我が国の社会経済が大変な発展もした、また目覚ましい技術革新がなされてきた、それに対応していわゆる産業構造が大きくまた変わってきた。これに伴って労働環境といいますか、それから労働者の意識も大きく多様化してきた。  そういうことで生まれてきたのがこの労働者派遣事業だと思うわけでございますが、実際に運営していく面になると、職安法の第四十四条あるいは請負業の施行規則の第四条等がありまして、法的に抵触するような問題がたくさん出てきた。これはこのまま放置するわけにいかぬぞ、特に派遣労働者の福祉の向上あるいは労働条件、いわゆる労働者を保護する観点から、どうしても何か法制をしなければならぬというのが今度の派遣事業法の提出であろう、私はこう思うわけです。  しかし、これまでの質疑をずっと聞いてまいりますと、種々問題点もあるいは見直すべき点もかなりはっきりしてきたような気がするわけでございます。したがいまして、私は、この問題点については労働省も素直に寛大な思いになって、大いに修正すべきものは修正するという覚悟がまず必要ではないか、こう思うわけです。  それから、中央職業安定審議会もこのように言っておりますね。答申の中に「労働省案については、労働側委員の一部からこの種の立法には賛成しかねるとの意見も表明されたが、本審議会としては、おおむね妥当であると認める。」ここから先が大事ですが、「なお、労働者派遣事業の制度化後における雇用慣行や労働市場の変化の状況、制度の運用の実情等を踏まえ、法律の施行後適当な時期(おおむね三年後)に、本審議会においてこの制度についての必要な見直しを行うこととする。」というのが答申の中に明らかにうたわれているわけですね。  したがいまして、今までの質疑等を考えてまいりますと、内容を見てまいりますと、当然これは近い将来に、やはり三年後ぐらいには見直しをすべきだということは理解できます。また、やらねばならぬということも考えられるわけですが、これをやはり法律の上に三年後ぐらいには見直しをするのだという趣旨の何かを明記すべきだ、私はこう思うのでございますが、いかがなものでございましょうか。

山口敏夫自由民主党・新自由国民連合労働大臣

○山口国務大臣 私も、大橋先生が御指摘いただきましたように、派遣法を御審議いただくまでの過程あるいは労働市場の一つの大きな変化、必要性、必然性、こういう中で中央職業安定審議会でも長いこと御論議をいただいて、いろいろ問題があることも事実でございます。しかし、今日からあすへの雇用市場の一層の安定と、また、雇用者側あるいは労働者側のニーズ、そういう多様的な価値の中における労働市場の新たな環境整備という立場からこの法案を取りまとめいただいて今御審議をお願いしているところでございます。  答申にもございますように、近い将来にその実施と具体的運用の中で見直しも十分考慮すべきである、こういう趣旨は十分尊重したいと考えておりますが、今この法案を社労委で御審議をいただいておる最中でございまして、現状最善として取りまとめた法案の中に見直しをいたしますという何らかの規定、条項というものは、かえって国民の皆さんに不安を与えるという場面もあろうと思うわけでございまして、十分御審議を通じて先生方の御趣旨も含めてこの答申を尊重しつつ、政府案をまずは御審議、御成立方御理解をいただきたい、かようにお願いを申し上げたい次第でございます。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 時代の流れの中から企業ないしは労働者のニーズとして発生してきたこの労働者派遣事業、こういうことではございますが、大変著しい増加を示しているわけですね。そういう中にありまして、先ほど言ったような、法律に抵触するのではないかということから、むしろ派遣労働者の労働条件とかあるいは福祉の向上の問題が非常にあいまいにされている実態もあるわけですから、これは必ずそれに十分こたえるような内容に見直すべきだということをさらに私は強く要求しまして、次の問題に移りたいと思います。  それで、問題の一つに、派遣事業を労働者の保護という観点から非常に論議されていくわけでございますが、我が国の肝心の終身雇用といいますか、そういう雇用環境がむしろこのために根っこから崩れるんじゃないか、重大な事態に転向していくんじゃないかという不安が随分と論じられております。こういう表現はいいかどうか知りませんが、一握りの労働者派遣事業とその労働者を保護するために、その保護するための法律をつくったばかりに日本全体の雇用慣行が大きく揺らぐような問題が起こったとすれば、これは大きなマイナスでございます。その点についてどのようにお考えか、お尋ねします。

山口敏夫自由民主党・新自由国民連合労働大臣

○山口国務大臣 日本の本来の雇用関係というのは終身雇用、これが一つの伝統的主流になっておるわけでございまして、これが一昔前は、非常に古いんじゃないか、浪花節じゃないかという批判もありましたけれども、国際社会からも、むしろ新しい雇用関係ではないか、こういう再評価もいただいているようなところもございます。しかし、日本のよき慣行だ、この伝統は生かしていかなければならない、私はかように思います。  そういう意味で、この派遣法が認知されることによって、いわゆる常用労働者の代替の促進とか、あるいは今までの終身雇用制度の根幹が揺らぐような、常用雇用者に弊害を与えるのではないか、こういう御心配もございますが、私は、やはり終身雇用的な雇用の伝統を生かしつつ、現状の派遣に準ずる労働者の方々の労働条件の環境整備もしなければならないというふうに考えておりますし、それから、先ほど来から議論しておりまして、これは本当の議論のための議論になってしまうかもわかりませんが、派遣的な人材だからといってやすきに失するとか、あるいは安易に就業できるということじゃなくて、ある意味においては一匹オオカミじゃありませんが、実力主義で、常用雇用者、終身雇用以上に一日一日が真剣勝負という場面もあるわけでございまして、雇う側あるいは派遣を受ける側ともに、労働者も含めて、真剣な場面もある。  そういうよさも生かしつつ、大橋先生が御指摘いただいたような見直しに準ずるような状況というものを絶えず情報を把握しながら、その常用雇用者の雇用の安定と同時に、派遣に参加する労働者のまた労働福祉条件を日に日に向上、整備する、こういう両面の中でこれからの雇用政策というものを進めていく、こういう必要性があろう、私はかように考えておるわけでございます。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 今、大臣の御答弁によりますと、日本のこれまでの労働慣行というものを侵していくようなことには決してなりませんぞ、しちゃいけないんだ。お気持ちはよくわかるわけでありますけれども、現実問題としまして、この派遣法が制定されますとどんどん許可を取りたい、あるいは登録をしたいというような人がふえてくると思うんですね。そういう事業所がふえるということは、それに対応して派遣労働者が激増していくことになるわけですね。  そうしますと、おのずと臨時労働者を活用する事業所が活発化されるということになりますね。派遣労働者というのはいわゆる臨時的な労働者でございますから、そういう姿になるということは、この前の参考人の話の中にも、恐らく過当競争を予想いたしておりますという話も出ておりましたように、どんどんふえる。そういう臨時的な労働者がふえればふえるほど、今言う常用雇用労働者にしわ寄せがいくのではないか、私はそのように思うわけです。非常にその点を、結果としてそうなるのではないかなという懸念を抱くわけでございますが、その点はいかがですか。  先ほど大臣は、決して常用雇用労働者の代替を促すようなことにはならぬのだというようなことをおっしゃったのですけれども、じゃ、その保証は一体どこにあるのだ、こう言いたくなるのですけれども、いかがですか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 大臣が申し上げました、こういう終身雇用慣行というものとの調和につきましては、法律におきまして、はっきりそういう慣行を二十五条におきまして考慮してこの規定の運用に当たるのだ、こういう基本方針が示されておるわけでございますし、また具体的には、この適用対象業務を定めるに当たりまして具体的に「その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務」あるいはまた「就業形態、雇用形態等の特殊性により、特別の雇用管理を行う必要があると認められる業務」、こういうような業務限定の基準も第四条において設けられておるわけでございまして、こういう基準に従いまして、今後この業務処理の事情を踏まえて、さらに広く関係者の意見を伺い、最終的にはまた中央職業安定審議会の意見を聞いて慎重にこの決定を行う。そしてまた運用に当たっても、こういう雇用慣行を考慮して常用雇用労働者の代替を促すことのないよう配慮するということにしておるわけでございます。  こういう措置を通じまして、雇用慣行との調和を図り、そして常用雇用の代替を促すことにならないようにという点を、これらの規定の活用、運用によりまして、十分配慮して施行に当たりたい、こう考えておるところでございます。     〔浜田(卓)委員長代理退席、丹羽(雄)委員長代理着席〕

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 今、局長の答弁では、本法案の制定によって常用労働者の代替を促すことにはならないんだ。私、その保証は一体何だと聞いたときに、対象業務の限定あるいは制度の運用に当たって雇用慣行を考慮すべきことなど十分配慮しますということで、今いろいろ説明があったわけでございますが、要するに、対象業務を限定することが、逆に言えばそれを保証していくことになるのだ、だから安易な業務対象の拡大はいたしません、このように理解してよろしいですか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 そういうことでございます。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 それじゃ、もう一つ、次の問題に移らせていただきます。  派遣労働者が特定の企業のみに、それも恒常的に派遣されるというようなことになれば、これまた自然に常用雇用労働者の領域を侵害することになるのではないか、いろいろ弊害が生ずるのではないかなと、これまた私は非常に懸念するところでございますが、この点については労働省としてはどういうふうにお考えか、お伺いします。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 今後の高齢化の進展等に対応いたしまして、例えば定年退職者の能力の活用のために高齢者の受け皿的な会社を設立して、そしてこれまでの経験等を生かすことのできる企業に派遣する、こういうような例につきましては検討に値するというふうに考えるわけでございますが、しかしながら、この点につきましては、何度も申し上げておりますように、こういう雇用慣行に悪影響を及ぼして常用雇用の代替が促されるということのないように十分配慮する必要があるわけでございます。  そしてまた、この許可基準等におきましても、労働力の適正な需給調整に資するものについて行わせることが適当であるということでございまして、労働者の保護と雇用の安定に問題の生ずることのないよう制度の運用に当たりたい。そういう具体的なものとして、例えば許可基準を活用するということ等によりまして、こういう特定の企業に対して派遣をするというものについては厳正に対処していきたい、こう考えておるわけでございます。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 今、特定の企業への派遣を目的とする労働者派遣事業というものは、法律的にはそれを禁じたり何かすることは無理です、要するに運用に当たって、労働者の保護と雇用の安定に問題の生ずることのないように適切に指導していくんだというような趣旨の御答弁があったように思うわけでございますが、適切に対応していくとおっしゃるところなんですけれども、これは具体的にどういうところに一番気を配られるのか、教えていただきたいと思います。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 率直に申しまして、この派遣のシステムを使っていわゆる首切りをしやすくするというような仕組みをつくるとか、あるいはまた、そういう形で常用雇用労働者を逆に派遣会社の方に移籍をして全く労働条件切り下げのための仕組みに使うとかいうようなものであれば、たとえ制度的にはこの法律の仕組みに合うというようなものでありましても、そういったものを合法化し、あるいはそういったものを社会にはびこらせるためにこういう制度を設けるわけではないわけでございますので、そういう観点から、これが本当に労働力の需給調整のために適正なものであり、かつ、それが必要なものかどうか、そういう判断というものでそういったもののけじめをつけていきたい、こう考えております。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 先週の参考人の御意見の中に、海外への労働者派遣に関しては断じて禁止すべきではないかというような御主張があったように記憶いたしておりますけれども、この点について労働省はどのような考えでおられるのか。また、現在どの程度海外へ労働者が派遣されているのか、そういう実態を掌握なさっているのかどうか。なさっていれば御報告願いたいし、実情を御説明願いたいと思います。

山口敏夫自由民主党・新自由国民連合労働大臣

○山口国務大臣 御承知のとおり、日米経済摩擦初めいろいろ論議も盛んでございますが、こうした我が国の経済の国際化傾向が一層進展しておる、そういう中で現地生産その他の要望も非常に強いということで、日本企業の設置に伴って多数の労働者が海外の事業所で就業をしておる、これが現状でございまして、こういう問題についての労働者派遣事業について、これはいかぬと言って一律に禁止するということは適当でないというふうに労働省としては考えておるわけでございます。  また、これまでの海外労働者の派遣の実態については、正直言って十分把握しておらないというのが現状でございますが、海外への派遣に伴う労働者保護に欠けることがございますれば、これは欠けることがあってはならない、こういう立場から、今後就業の実態把握に努めまして適正な就業が確保されるよう指導に努めてまいりたい、かように考えております。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 今、原則的には国際的な慣行等もあってこれを禁止するわけにはいかぬ、適当に指導していきたいというようなお話でございますが、現実に今海外へ派遣されている労働者というのは、我が国においてはどのくらいいるものですか、それは掌握されていますか。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 派遣的な形態で海外にどの程度行っているかという実態につきましては、数字的には私どもは把握いたしておりません。ただ、国内の企業におきまして海外の支店への赴任ですとか、出張で行っているとか、そういう状況については今数字は持っておりませんが、これは把握できるものと思っております。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 いずれにいたしましても、いわゆる海外へ派遣されていく労働者に対しては日常的な指導や監督が非常に困難な状況に置かれておることは容易に推測できます。そういう意味において、適切に対応するとおっしゃるわけでございますが、具体的にどのような対応をなさるのだろうか。一例でいいですから、海外の労働者に対してはこういう姿で守っていくのだということがもしあれば、教えていただけませんか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 先生おっしゃいますように、とにかく海外での日本人が、そこで働いておるという場面には日本の国の法律の適用がないわけでございます。そういう意味でその辺の仕組みはなかなか知恵を出さないと簡単にはいかない問題でございますが、例えば海外派遣につきまして、こういう派遣労働者の就労をめぐるトラブルが生じないように、派遣する前においてその防止策を講じておくということが何といっても必要ではないだろうか。  そういう意味では、海外へ派遣を行います派遣元事業主に対しまして、例えば派遣元責任者として、外国語が堪能であるとか、あるいはそういう海外の取引なり労働法制に習熟しておるというような人を選任しておく、あるいはまた、書面による労働者派遣契約におきまして派遣労働者の就労条件を明確に定めまして就労条件をめぐりますトラブルの発生を未然に防止するというようなことで、国内の派遣元の体制、そしてまた派遣する際の条件の明確化、そういったようなことを通じて一般の場合よりもさらにきめ細かな配慮措置というようなものを指導していくことが一つの方法かと思うわけでございます。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 文字どおり労働者保護の立場に立って、ひとつ適切な指導をしていただきたいということを強く要望しておきます。  これは、先ほどの社会党の法案の提案理由の説明の中にもあったのですが、労働者派遣事業と、労働組合等が行っている労働者供給事業、その他民間の労働力の需給調整システムについては、その就労している労働者の社会保険あるいは労働保険等の適用について大変な論議が集中していたわけでございます。具体的にはどのような方針でこれを実現していこうと考えられておるのか。加えまして、日雇い的なケースと申しますか、そういう派遣労働者ができることが容易に推測されるわけでございますが、こういうものを含めましてどういう対応で進まれるのか、お伺いしたいと思います。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 社会保険あるいは労働保険等につきましては、それぞれの保険法において定めております要件を満たすという形において適用を促進していくということになるわけでございますが、実態的には、特に登録型というような場合におきましては、どうしても臨時雇用というようなものが中心になると考えられるわけでございまして、そういう場合においては、結果としてこういう社会保険、労働保険というようなものが適用されないものもあると考えられるわけでございます。  いずれにいたしましても、この法に定める要件を充足しながら適用されない、手続をしないとか、あるいはそういった点について十分な配慮がされないとかいうようなことでこういう要件が充足しながら適用されないというようなことは問題でございますので、今回の法案では、派遣元事業主に福祉の増進のための努力義務を三十条において定めておるわけでございます。こうしたことによりまして、この社会保険、労働保険の適用促進に努めてまいりたいと考えております。  それからまた、御指摘の日雇い的ケースなんかの形態につきましては、福祉増進のための努力義務の一つといたしまして、派遣労働者の希望や能力に応じた就業機会の確保ということを一つ努力規定として置いておるわけでございます。たとえ日雇い的な仕事でございましても、こういったものを本人の希望に応じまして数多く機会を確保するというような形の中から、また、こういう各種保険の適用条件というものも整ってくるというような状況もあるわけでございますので、こういう特に日雇い関係の形態につきましては、雇用機会をできる限り本人の希望に合わせて連続的に確保していくような努力を派遣元において行っていただくということが一つの大きな決め手になる点であろうと考えておるところでございます。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 派遣労働者の労働条件あるいは福祉の向上の問題、いわゆる労働者の保護の立場から、この社会保険あるいは労働保険等の適用問題が大変な議論になってきたわけでございまして、この点については、これまた文字どおり適切な指導で十分そういう保護の目的が果たされるような指導をお願いしたいと思います。  時間の関係がございますので次に移りますが、これも社会党さんの提案理由の中にもあったんですが、従来から労働力の需給システムとして種々施行されてきたわけでございますが、民間の職業紹介所、これは無料とか有料とかあるわけでございますが、あるいは事務処理請負事業等がさまざまに施行されてきたわけでございますけれども、何といっても公共職業安定機関がその根幹をなすんだ、その充実強化こそ肝心ではないか、こういうことでございますけれども、これは私も同感でございます。  そこで、派遣事業との関係調整についてどのようにお考えになっているのか、お尋ねいたします。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 今後の高齢化の進展あるいは女子の職場進出あるいはサービス経済化の進行、あるいはまた技術革新の進展、こういうような労働力の需要と供給の両面にわたります労働市場の構造的な変化というものが進んでおるわけでございまして、こういった変化に適切に対応いたしまして、需要と供給の結合を促進していく、ミスマッチの解消を図る、このためには公共職業安定所の機能強化を図ることが最も重要なことであると考えております。このために、これまでも職業紹介体制の見直しを行うなど努めてきたところでございますが、今後とも公共職業安定所が労働力需給調整の中核として職業紹介サービスや雇用、職業に関する情報提供サービスを一層向上させていきたいと考えておるところでございます。  こういうような観点から、的確な求人や求職の情報を即時にかつ豊富に求人者、求職者に提供するために、コンピューターを活用いたしました総合的雇用情報システムというものの開発を昭和六十一年度実施を目指して現在進めておるところでございまして、今後ともこの公共職業安定所が地域における総合的雇用サービスセンターとなるよう努めてまいりたいと考えております。  また、この労働者派遣事業の制度化後におきましても、公共職業安定機関が労働力の需給調整の中核であることにはもちろん変わりはあるものではないわけでございまして、労働者派遣事業は、この公共職業安定機関において十分その機能を発揮することができない特定の業務分野の需給調整機能を補完するものである、こういうような位置づけとして考えておるところでございます。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 今後の労働力需給両面にわたって構造的な変化に適切かつ弾力的に対応して需給のミスマッチの解消を図るためにも、公共職業安定機関を従来にも増してその機能の充実強化に積極的に取り組んでいくんだ、こういう御答弁だったと思うわけでございますが、まさに公共職業安定機関こそがその根幹であるということをさらに肝に銘じてその内容の充実に努めていただきたいと思います。  そこで、次に移りますけれども、派遣事業法案によりますと、派遣元、派遣先ともにおのおの責任が明示されているわけでございますけれども、事業報告書やあるいは収支決算書等の提出が義務づけられたわけですね。しかしながら、提出された書類を十分点検して、きちっとそれに対応できていく体制が果たしてできているんだろうかな、私はこう思うのです。幾ら義務づけて報告書をとってみても、ただ積み上げているだけじゃ何の意味もなさぬわけですね。その報告書の内容あるいは収支決算書等を見ながら、これはあるいはピンはねじゃないかなというような状況があるかもしれませんですね。そういうときには適切に指導をしていかねばならぬ、こう思うわけでございますが、そういう点についての体制が果たしてできているのかどうか、お答え願いたいと思います。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 この法律が制定されました後におきましては、派遣元あるいは派遣先の事業主が法令に定められた規定を遵守しておるかどうか、あるいはまた事業が適正に運営されておるかどうか、こういった点についての指導監督の徹底を図ることが最も重要な事項の一つであると考えております。そのためには、こういう関係者に対する制度の周知徹底、あるいはまた許可制度の適切な運営、あるいはまた法律違反事業主に対する厳正な措置というようなことが重要でございますし、また、今お示しにございましたようなそういう報告書等につきましても、適切なチェックというものができるような仕組みが必要でございます。  そういうような観点から、今後この法律の施行のための本省、地方の第一線を通じましての行政体制の整備あるいはまた公共職業安定所と労働基準監督署、こういった関係行政機関との連携の確保、さらにはまた民間におきます業界の自主点検あるいはまた民間におきます労使のいろいろこういう制度の運用についての協力員制度、こういったような民間の協力体制の整備等に鋭意取り組んでこの法律の施行にできる限りの体制づくりを進めていきたいと考えておるところでございます。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 事業報告書やあるいは収支決算書等の提出を義務づけたということは非常に重要な事柄であろうと私は思いますし、せっかくそういう義務づけた内容が十分に生かされて、適切な指導が行われるような、今おっしゃったような体制を、ただ机上のものじゃなくて具体的に運用されていくように体制を整えていただきたいことを強く要望しておきます。  時間がございません。最後に、今度の法案の中にじん肺法の特例規定が設けられたわけでございますが、これはどういうねらいなのか御説明願いたいと思います。いわゆるじん肺作業も対象業務に加えていくということなのか、今度設けられた特例規定の趣旨を話していただきたいと思います。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 じん肺法の粉じん作業といいますのは、粉じんが発散する一定の場所におきます作業を言うものということになっておるわけでございますので、仮に対象業務がどのようなものに限定をされたといたしましても、観念的には派遣労働者がそういうじん肺がある場所において行う可能性というものはあり得る。例えば経理事務というものをやっておりましても、その場所がそういうじん肺が多い場所だというようなことも理論上はあり得る、こういうことでございます。そういう意味におきまして、派遣労働者の保護に欠けることのないよう、こういう労働安全衛生法上の適用の特例を設けたと同じような趣旨によりまして、こういうじん肺法におきましても法制度上の問題としてこの適用の特例を設けることにしたものでございます。  しかし、現実問題といたしまして、この対象業務につきまして、主としてじん肺法の適用対象となると考えられるような製造業の直接生産工程に従事する者につきましては、こういう業務の対象にすることが適当でないという基本的な考え方が職安審における派遣事業等小委員会の報告書にも述べられておるという事情もございますので、具体的にそういうものが実際に適用されるような場面はほとんどないであろうというふうに考えております。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 私の持ち時間が参ったようでございますが、最後に労働大臣、せっかくのお話し中でございますが、今も答弁にあったのですけれども、要するに今度の派遣事業で非常に重要な事柄は、対象業務といいますか業種の選定なんですね。これを安易にずるずるとだんだん拡大していくようなことがあっては大変なことになるという感じを受けてならぬわけです。したがいまして、そういう面についての労働大臣の御決意、それからきちっとした考えがありましたならば、この際承って、私の質問を終わりたいと思います。

山口敏夫自由民主党・新自由国民連合労働大臣

○山口国務大臣 適用対象業務を定めるに際しましては、大橋先生御指摘いただきましたように、業務限定の基準に従って、今後とも業務処理の実情を踏まえまして広く関係者の意見を聞き、最終的には中央職業安定審議会の意見等も伺い、運用に当たっては雇用関係も考慮し、常用雇用労働者の代替を促すことのないよう慎重に配慮する、こういう考え方でございます。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 終わります。

丹羽雄哉自由民主党・新自由国民連合

○丹羽(雄)委員長代理 森田景一君。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 この労働者派遣事案法案の一番大きな問題点は、今まで職業安定法の四十四条で禁止されておりました労働者供給事業、それから労働基準法第六条に定めているところの「業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」これを大きく変更して、派遣事業という名目で法で認めよう、こういうことで、したがって、それに伴って一人の労働者に対して雇用者とそれから使用者ができるという、ここが一番大きな問題点だろうと思うのです。     〔丹羽(雄)委員長代理退席、浜田(卓)委員長代理着席〕 この雇用者と使用者ができるという、これからいろいろな問題が派生してくるということで、雇用の不安定だとかあるいは今までの日本の良好な雇用関係を崩すのではないか、こういう問題がいろいろ出てくるわけでございます。  そういうことについて法案でもいろいろと規定もしているわけでございますけれども、先般の参考人質疑のときにも、小野参考人がこういうことを言っておられました。悪貨が良貨を駆逐することのないルールをつくっていきたい、こういう説明があったわけでございます。これは御承知だと思います。ですから、先ほど大橋委員のお話にもありましたけれども、どうも労働者派遣事業というのは悪貨に近いのだ。良貨が、今までの日本のいわゆる良好な雇用関係、雇用慣行といいますか、これが日本では非常に立派に成長して育っておりまして、それが一部では高度経済成長を支えたんだとも言われているわけでございますけれども、また安定経済を支えているのもこういう雇用制度だとも言われているわけでございます。これが良貨で、こちらの方はどうも悪貨のような感じがするのですね。それでいみじくも小野参考人は、悪貨が良貨を駆逐することのないようなルールを定めたいんだという説明があったのだと思うのです。  こういう論議は恐らく小委員会とか審議会でもされたと思うのですけれども、この点について労働省としてはこの法案を出してきたのですから、この法案は絶対間違いのない法案でございますということで、いろいろと御説明があるわけでございます。この点について見解を承っておきたいと思います。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 参考人がどういう意味で悪貨という表現をされたのかわかりませんが、少なくともいろいろ御説明申し上げておりますように、こういう新しいいろいろな時代の変化の中で、こういうテンポラリーワーカーというものが出てきておる。それがまたある業務分野においては有効に活用されておるという現実が出てきておるわけでございます。そういうものについて一定のルールを設けて、そのルールに適合するものだけを認めていこう、こういうことでございまして、そういう悪いとかいいとかいうものとはまた別に、そういう一定の機能は持つ、しかしまた、それを野放しにしておけばいろいろ問題がある。こういう意味での側面を持っておるという意味で、一方においてその機能というものをまた評価しながら、一方においてその持っておる問題点を制度的に解決をしていくというような形で認め、位置づけをしていこう、こういうふうに考えておるわけでございます。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 それで、その歯どめとして対象業務を拡大しないという先ほども説明がありましたけれども、やはり対象業務が非常に大きな問題になってくると思うのです。  あと、細かいいろいろな問題については後でまたお尋ねしたいと思いますが、それでは小委員会の参考として答申されております十四の対象業務、これはどこまで認めようというふうに考えていらっしゃるのか、この辺のところをはっきりしておかないと、あとちょっと論議が進まないと私は思っているのですが、その点、十四全部を対象にするのか、あるいはけさほど社会党さんが提出されたコンピューター関係の業務だけを認めようとするのか、その辺のところをひとつ考えをはっきりしておいてもらいたい。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 十四業務が例示をされてございますが、これは中職審の派遣事業等小委員会におきまして関係業界のいろいろヒアリングをやりましたその結果を踏まえ、かつまた、この対象業務につきましての二つの基準が設けられておるわけでございまして、そういったものに合致をしておると思われる業務のうちから当面対象業務として検討の対象となり得るといったものを公労使の意見が一致したものとして例示がしてあるというものでございます。そういう意味におきまして、今後具体的な対象業務の決定につきましては広く関係業界におけるこれらの業務処理の実態を把握いたしまして、さらにまた広く関係者の意見を聞きまして、最終的には中央職業安定審議会の意見を聞いた上で政令で定めるということでございまして、この十四業務というものは当然検討の対象としていろいろ掘り下げをしていくことになると思いますが、しかしこれに限るということではなく、あるいはまたこの十四業務の中から検討した結果やはり適当でないということで外れるものもある、そういうことで御理解をいただきたいと思います。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 この対象業務については種々論議がございまして、今までの雇用慣行の中で十分対処できるではないかというお話もありましたし、あるいはコンピューター関係にしましても、コンピューターが入れば少なくともその機械を操作するためには恒常的な人員が必要だという話もあるわけでございます。  では、それは局長が言われるように十分検討していただくということで一応はこちらも了解しておきたいと思うのですけれども、ここで問題が一つ残るわけですね。この十四業種というのは、一応今考えられている派遣的事業の形態がこの十四業種であるというふうに理解してよろしいですか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 この業務の中には派遣的な形で行われておるものが含まれておる。全部派遣的に行われているという意味ではなくて、例えば請負の形で行われているけれども、中には派遣的な形態をとるのが一般だとか、あるいは時に派遣的な形態がとられるものがあるというものについての例示でございます。もう少し具体的に申しますと、そういう常用雇用型のものについては一般的には時に派遣的な形態をとられることがあるという場合が多いというような形のものが入っておるということでございます。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 それで、この十四業種が政令で決められるか決められぬか、それは先ほどの答弁のとおりまだ決まらないわけでございますが、派遣的事業として十四業種が挙がっておりますが、これが政令で指定されない場合、この派遣的事業を行っている事業に対しては労働省はどういう措置をとるおつもりですか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 これは派遣的な労働者派遣事業として認めないということであれば請負の形でぴしっと業務の形を整えてやっていただく、こういうことになります。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 今までも職業安定法等でそういうことは本来法律できちんと決められていたわけですね。決められていたのに派遣的事業がふえてきてしまった。それでこの労働者派遣事業でルールを決めようということになったわけですね。だけれども、その対象にならないのはまた請負ではっきりしよう、どうもこういう論法は私よくわからないのですよ。おかしいと思いませんか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 先生のおっしゃる意味はよくわかります。これは実は職安審議会でもいろいろ論議がございまして、今後この法施行までの間におきましてこういう請負と派遣との具体的、実務的な基準、仕分けの基準を施行までの間にぜひ審議会において論議をして決めようではないか、こういうことになっておるということでございます。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 そういう趣旨は趣旨としてわかります。それならば、こういう事態に立ち至るまでにそういうことを労働省としてはやってくるべきではなかったのか。それを行政監察局ですかの監察が入るまで、入ってからも約十年近く、いろいろと審議を繰り返したことはわかりますけれども、そういう問題に取り組まないできてこの労働者派遣事業法が仮に決まったとしたら、それからそういうことをやりますというのは、これは本来本末転倒であったのではないかと思うのですね。  過去のことを云々しても始まらないといえば始まらないかもしれませんけれども、私は前にも申し上げましたように、どうも法律の中で罰則を設けてあっても、その法の網をくぐって適当にやってしまう人がいる。そういう人を厳正に取り締まっていかなければ法律の施行というのが空文化するんだ、したがって労働省ももっとしっかりやっていただきたいということで、大変失礼だったんですけれども各省の取り締まり状況をお聞かせいただいた、こういう経過があるわけでございます。だから、今度労働者派遣事業法案が通って、そして対象の業種から外れたところを今度は請負できちんと指導する、果たしてこれはできますか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 今までは派遣事業的な形態のものも派遣という概念がなかったわけでございます。そういう意味ですべて労供の構成要件の中での論議がされてきたという経緯があるわけでございます。そういう中で、こういうボス的支配の中で強制労働あるいは中間搾取というようなことを禁止する法律をすべての場合において適用していくことの可否、具体的にはこういう高齢者あるいはまた女子あるいは技術革新というものに対応する動きの中でこれを一律的に全部強制的に禁止をする形でいけるか、こういうような中での論議もいろいろあったという中でのまた問題点でございます。  したがって、今後は派遣事業というものについてこういう範囲のものについては認める、これ以外のものは認めないというような仕分けというものがはっきりするわけでございます。そういう中で今までよりさらに具体的にこういう労供と派遣というものの仕分けあるいはまた請負と派遣というものの仕分けは明確になってくるというふうに考えております。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 明確になってくると思いますということなんですけれども、思うんじゃ困るんですね。明確にしてもらわなければいけないです。今まで不明確だったためにこういう問題が出てきたわけでございますから、明確にしてもらわなければならないです。その辺のところをもう一度きちんと決意をお聞かせいただきたい。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 先生御指摘の趣旨を徹底するためにも、これは明確にしていきます。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 労働省でもいろいろと調査をなさってこの法案を作成する参考にもなさったとおり、確かに現在派遣労働者というのが大勢いらっしゃるわけでございます。大勢といっても日本の実働労働者の中の数%でしょうかということでございますが、それはそれとして、しかし人数的にはかなりいらっしゃる。そういうことは私もわかるわけでございますけれども、そういう方々が現在いろいろと劣悪な労働条件のもとで働かざるを得ない、したがって、この労働者派遣事業法でその労働者の保護を図るんだ、こういう趣旨でございますね。  しかし、そういう中で、法案では、第一条の目的とは裏腹に派遣労働者の雇用の不安定性を認めて、それで固定化してしまうのではないかという心配があるわけです。どういうことかといいますと、これまで派遣労働者や労働組合が派遣先企業への直用化の運動を行った。そして実態に基づいて派遣先企業と派遣労働者の労働契約あるいは労働契約関係を認める判例とか命令を引き山さしてきているわけでございますけれども、これらの実績をゼロにしてしまうことになるのではないだろうかという心配があるわけでございます。この点についてはいかがでございましょうか。

中村正労働省大臣官房審議官

○中村(正)政府委員 お答え申し上げます。  今までの間は、確かに、派遣労働者と派遣元あるいは派遣先、それのどちらが雇用関係があるのか、だれが労働条件を決めるのか、非常に不明確だったと思うのです。そのような状態の中では、形式上の使用者との関係だけではなくて、実質的な使用者との間の労働条件の決定あるいは団体交渉というのが必要じゃないかというような観点から、命令あるいは判例において、派遣先とみなされるところと使用者関係ありあるいは実質的な使用者関係ありというような判例なり命令が出ていたと思いますけれども、今回のこの派遣法案によりますと、そういうあいまいではいけない、むしろ派遣元と派遣労働者が雇用関係あり、労働条件はそこで決めるべきだとはっきりいたしますので、そういう状態になれば、派遣元と派遣労働者との間の集団的労使関係あるいは雇用関係ということでむしろ事がスムーズに解決するのではないかと存じております。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 労働条件につきましても、法案では派遣労働者の権利を確保して労働条件の向上を図るという内容にはなっていないわけでございまして、逆に、労働基準法等につきまして、今説明ありましたけれども。労働者を使用する派遣先企業の責任を免除しているわけでございます。  さらに、派遣労働者の労働条件は派遣先企業の意向によって決められるというのが実態でありまして、派遣労働者の労働組合は派遣先企業との団体交渉等によって労働条件の向上を図り、派遣先が団体交渉を拒否した場合には労働委員会もその実態を踏まえて派遣先に対して団交応諾の命令を出してきたわけでございます。そしてこのような場合を除きまして、派遣労働者は労働条件の改善、向上のために何らの要求もできず、低位の労働条件を甘受させられているのが実情であるわけであります。  法案のもととなりました中央職業安定審議会労働者派遣事業等小委員会の「労働者派遣事業問題についての立法化の構想」では、「派遣労働者は、その雇用主である派遣元との団体交渉等により、その労働条件についての紛争の解決を図ることができる。」こうなっていたわけでございます。これは実態を無視した見解だ、このように言われているわけでございます。  法案の中にも、団体交渉等について派遣先企業に責任を負わせる規定はないわけですね。このように、法案は労働基準法等の適用につきまして派遣先企業の責任を免除し、また団体交渉も派遣元と行えとするものでありまして、労働者の保護に欠ける、企業のための法案である、こう批判されているわけでございます。  そして第一条の「派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進に資することを目的とする。」に対応する条文というのが、第三十条と第四十条、第三十条は派遣元、第四十条が派遣先、この努力条項、そしてまた第三十一条の配慮条項だけである、こう言っても差し支えないわけでございます。  私はこの前も申し上げましたように、この努力条項というのは、ここでいろいろと罰則を設けると労働省は大変なことになるから罰則を設けないんじゃないか、こんなふうにも考えてもみたり、あるいはやはり企業の立場に立ってこの法律をつくるんだ、こういうものは入れない方がいいんだと考えてこういう努力条項になったんじゃないか、こういうふうに思っているわけでございますが、この点についていかがでしょうか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 今御指摘ございましたように、三十条、三十一条、四十条は、それぞれ派遣元による派遣労働者の福祉の増進、派遣元による派遣先における適正な就業の確保、それからまた派遣先による苦情処理の実施等を通じまして適正な就業の確保について規定をいたしまして、それぞれ派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進に一定の役割を果たしていこう、こういうふうに組み立てられておるものでございます。  こういったものにつきまして、例えばこれを強行規定という形にいたします場合には、逆にこういうものについてむしろいろいろな厳しい要件をつけてやらなければならぬということになるわけです。例えば福祉の増進ということで決めました場合に、具体的には何をということで、結局は一定のものに限定をして強行にするという形になるわけでございます。まして、極端ですが罰則つきとなれば、当然その構成要件的なものをぴしっと決めなければならぬというようなことにもなるわけでございます。  そういう意味で、こういった福祉の増進等に関しましては、結局は広くそれぞれ事業主のあるいはまたそこの派遣労働者の要望の中からおのずと出てくるものについてできるだけ幅広く努力をしていただくということが基本的に必要であり、重要なことである、こういうことで努力規定になっておる、こういうものでございます。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 それで、努力規定ということですけれども、こういうことでいろいろと問題が起こったときに、先ほども申し上げましたけれども、労働委員会等で紛争の解決を図る、こういう仕組みがあるわけですけれども、この派遣事業法案にはそういう解決を図る場がないんですね。こういう労働委員会に相当するようなものをやはり設けるべきではなかったか、こんなふうに思っているわけですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

中村正労働省大臣官房審議官

○中村(正)政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、派遣元、派遣先、それと派遣労働者の雇用関係をどうとらえるか。この法案では、派遣元と派遣労働者との間の雇用関係を明確にする、したがって、労働条件はそこで決まる、あらゆる取り扱いは派遣元と派遣労働者との間で決まるということになります。したがって、その間において、不当労働行為等の問題があれば、これは派遣元と派遣労働者の間の不当労働行為として当然労働委員会の救済を受けるということになります。  重ねて申し上げますれば、派遣先と派遣労働者の間には、そこでは労働条件を決めるという面もございませんから、そこでは本来の労使関係がない、労使紛争というものがない。したがって、派遣先企業と派遣労働者との関係では、労働委員会に訴えて云々という場がないわけでございます。その必要性がない。派遣元との関係で明確にしておいて、そこで解決される、これが法案の趣旨でございます。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 それで、いろいろとまた問題があるわけですけれども、派遣事業法案では、一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業、こう二つに分かれるわけですね。常時雇用の形の派遣事業が一般労働者派遣事業、それから登録型の労働者の事業が特定労働者派遣事業ですね。これはそうですね。違うかな。――逆か。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 常用労働者のみをもって行うのが特定労働者派遣事業でありまして、それ以外のものが一般労働者派遣事業でございます。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 失礼しました。ちょっと勘違いしておりました。  それで、この常時雇用型の事業は、いろいろと今御説明があったような形で、派遣元との交渉等は可能かもしれないですね。あるいは可能でないかもしれない。この辺が非常に私は疑問を持っているのです。というのは、派遣労働者というのは、先ほどもいろいろと論議がありましたけれども、常に派遣をされて仕事をするわけです。常時雇用という形を持っていながら、実際その事業所でみんなが集まって、それで出かけていくとか、そういう形がないから、一カ所に集まっていろいろとみんなが話し合いをするなんということは、実際上は持ちにくいはずだと思います。  派遣先で同じ雇用元から派遣されておる何人かの人が話し合うということは、これは可能かもしれません。しかし、全部が全部そういう形ではない。だから、雇用元と交渉をするということは非常に難しい。しかも、登録型に至っては、もうほとんど雇用元の会社といいますか、事業所には来ないで、派遣先にばかりいろいろ行くわけですから、そういう人たちが集まって派遣元といろいろ交渉する、労働組合を結成するなんというのはまず考えられないと思います。私はそう思うのです。その点についてはどうお考えですか。

中村正労働省大臣官房審議官

○中村(正)政府委員 同じような状況は正直申しまして日雇い労働者等にあると思います。分散して存在している方々を組織化するというのは非常に難しい問題でございますけれども、しかし派遣法ができたから難しくなったということではないのではないかと思います。  なお、そういうような状態もあるということを想定しつつ、いろいろなトラブルをスムーズに解決するという意味で、派遣元、派遣先両方に責任者を置くとか、あるいは個別の問題ではございますが、苦情が生じたときには苦情を処理する機関とか、そういうものが法案の中にそのために書いてあるということでございます。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 いろいろと理屈としてはそういうことがあるけれども、実際にはなかなか困難だということはたくさんあるわけでございまして、そういうふうに御説明なさるならば、今後法案がどうなるか私もまだわかりませんけれども、仮に成立したとしましたならば、そういうことを厳正にひとつ対応して指導してもらわなければならないんじゃないか、こう思うわけでございます。労働省の方、皆さん優秀な方がそろっていらっしゃいますから、お話として、説明としてはごもっともということになろうと思うのですが、実際の運用の場合には十分な注意が必要だろう、こう思うのです。  それから派遣事業が、先ほどもお話がありましたけれども、例えばコンピューター関係の仕事というのは本来ならばそのおのおのの事業主が正社員を訓練して、それで業務に対応することが一番望ましいわけですけれども、なかなかその対応ができない。したがって派遣事業として認めるのはやむを得ないではないか、こういう話でございますけれども、その同じ派遣先に長い期間派遣されている、そして派遣先の方でこの人はうちの社員として雇用したいんだ、こういう問題が起こったときに、これは認めるのですか、認めないのですか。     〔浜田(卓)委員長代理退席、委員長着席〕

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 この点につきましては、法律で想定をいたしておりまして、これは三十三条で「派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者又は派遣労働者として雇用しようとする労働者との間で、正当な理由がなく、その者に係る派遣先である者又は派遣先となることとなる者に当該派遣元事業主との雇用関係の終了後雇用されることを禁ずる旨の契約を締結してはならない。」ということでございますので、これは雇用関係が終了したら、その後この派遣先に雇用されるというようなことは禁止できないという規定を置いておりをして、それが雇用契約終了後に希望すれば雇用されるチャンスというものは、これはあり得るということであり、それを禁ずることは法律で禁止をしておるということでございます。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 そうなりますと、職業紹介事業と派遣事業とが競合するような可能性があるんじゃないかと思うのですけれども、その点はどうなんですか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 ここは派遣が終了いたしました後、これは本人が引き続きその派遣元の派遣労働者として就業を続けていくか、あるいはそこの派遣先において、本人も希望し、また派遣先の方も希望する、こういうような場合において、この派遣先の雇用労働者になるかというような選択がそこで出てくるということでございまして、これは派遣元が事業として、それを雇用労働者として送り込んだという紹介行為はないものでございます。したがいまして、これが職業紹介事業と競合するというものにはなると思いませんし、まだ全体のこの制度の運用といたしましても、既存の労働力需給調整システムとの調和を図りながらこの派遣制度についても運用する、こういう基本的な考え方にまた立っておるものでございます。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 それで、いろいろと今まで心配されているのは、この労働者派遣事業法案が施行されるとするならば、やはり競争の事業所がたくさん出てくるのではないか。競争の事業所がたくさん出てくれば、仕事の取り合いといいますか、競争が激しくなって労働条件を悪くするのではないか、こういう心配があるわけです。そういうことはないようにしたいということでいろいろと答弁があったと思いますけれども、そのために今度許可の条件をいろいろ厳しくして、余りたくさん派遣事業ができないようにしていく、こうすると、ある特定の企業だけを擁護するようなことになりはしないかという心配があるのです。その点はどうでしょう。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 これは労働力の需給調整システムとして派遣事業を許可していく仕組みでございます。したがって、ある特定の地域だけ、あるいはある特定の事業者だけ許可する、こういうことでは全国各地にあります。そういうテンポラリー労働者のニーズ、あるいはまたそれを必要とする企業のニーズに適合しない、こういう問題も出てくるわけでございます。  そういう意味で、これを寡占状態に置いてということでは一般的には考えられないものでございますが、さりとて先ほど来申し上げておりますように、本当に需給調整のために必要なものであるかどうか、また事業を適正に実施し得る能力等があるかどうか、そういった観点もやはり重要な判断でございますので、全体の中でできる限り限定的に認めていくという基本的な趣旨の中でやはり運用していくべきものだと考えているわけでございます。そういう意味で、これで派遣業種、派遣業務、あるいはまた派遣労働者が大量にどっとふえてくるというような形のものは私どもは考えていないところでございます。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 たくさん出てこないように考えている、そうしたいということでございますけれども、やはり条件を備えて届け出あるいは申請をすれば認可せざるを得ないんじゃないですか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 先ほども申し上げましたように、許可の要件といたしまして七条で「当該事業の実施が、当該事業対象業務に係る労働力の需給の適正な調整の促進のために必要であり、かつ、適切であること。」こういうときでなければ許可をしてはならない、こういう規定になっておるわけでございます。そういう観点からの審査をいたしまして、そういう要件がなければ許可をしてはならない、こういう規定になっているわけでございます。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 ですから、要件を備えていれば許可をしなければならない、こういうことですね。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 その要件が「労働力の需給の適正な調整の促進のために必要であり、かつ、適切」であれば許可をいたします。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 今までもいろいろと、これは労働省ではありませんけれども、いわゆる許認可事務が問題になっておりまして、ある特定の業者に許認可を与える、これがまた汚職のもとになるなんということが事実あったわけです。そういうことのないようにしてもらわなければいけないと思うのです。一方ではやはり自由競争ですから、適切な資格を持った人たちがたくさん出て仕事もしなければいけない、一方では、過当競争になる心配があるから許認可で抑えよう、こういうことであってはならないと思うのです。その辺のところはどうなんですか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 許可に関しましては、五条の四項におきまして「労働大臣は、」「許可をしようとするときは、あらかじめ、中央職業安定審議会の意見を聴かなければならない。」ということになっておりまして、審議会の意見を聞いて決める、こういう仕組みでございまして、そういう恣意的なものが入りにくい仕組みにいたしておるわけでございます。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 このことを押し問答しても時間がたつばかりでございますから、許可という問題については十分慎重な検討をお願いしたいと思うわけでございます。  時間が余りありませんので、先ほど申し上げましたように、この法案は、派遣労働者の雇用の安定と福祉の向上を目的にしているということでございます。雇用の安定ということが、派遣労働者だけではなくて日本の現在働いている正社員の方方、こういう全体の雇用を含めて安定するものでなければならないと考えているわけでございます。また労働省もそういう方針で法案にもその趣旨を盛り込んである、こういう説明でございます。  そういう点は了解いたしますけれども、雇用の安定ということについて幾つか私考えてみたのです。一つは、これはいろいろと答申などにもありましたけれども、日本の雇用慣行との調和、常用雇用との代替促進をしない対策を進めなければいけないだろう。第二番目が、不安定就業労働者が増大するおそれがあるので、そういうことのないような対策も考えなければならないだろう。第三番目が、差別的雇用形態の固定化にならないだろうか、そういうことのないようにしてもらわなければならない。第四番目が、派遣労働者の解雇が容易に行われるのではないか、そういうことのないようにしなければならないだろう。第五番目が、派遣元企業間の競争により派遣労働者の低賃金、労働強化等が一層深刻化するのではないかという心配があるわけでございます。そういう点も十分に対応してもらわなければならないだろう。第六番目が、労働基準法に定める労働条件の最低基準が守られなくなるのではないか、こういう心配もあるわけでございますので、時間の関係で細かく言っておられませんけれども、そういうことのないように対応していただきたいということ。第七番目が、使用者と雇用者の分離によりまして、派遣先企業は労働法上の使用者責任を回避できることになるわけでございますけれども、そのことによって派遣労働者が劣悪な労働を強いられることのないように十分対応してもらわなければならないだろう。第八番目が、通常の労働市場が企業にとって経費削減となり、好況不況の安全弁となる派遣労働者によって侵食されるおそれがある。これは先ほどからいろいろと論議がありましたけれども、そういうことのないような十分な対応が必要であろう、こんなふうに私は考えてみたわけでございます。  時間もありませんので、全体を含めまして、最後に労働大臣の答弁を承って、終わりにしたいと思います。

山口敏夫自由民主党・新自由国民連合労働大臣

○山口国務大臣 森田先生の御論議、御指摘も十分踏まえ、この派遣法の適正な運用に努めるべく取り組みたい、かように考えております。

森田景一公明党・国民会議

○森田(景)委員 終わります。

戸井田三郎自由民主党・新自由国民連合

○戸井田委員長 小渕正義君。

小渕正義民社党・国民連合

○小渕(正)委員 この労働者派遣事業をいよいよ正式に認知していこうというのが今回の法案の骨子でありますが、確かに現在の産業社会の中での一つのシステムといいますかあり方として、こういう需要が時代の流れとしてあることについては否定できないと思います。しかし、反面、ややもすると労働者供給事業の一つの変形したものでありまして、そういう意味では労働者供給事業をなし崩しにしていくといった面もまたあるわけであります。まさに今回のこの労働者派遣法案はもろ刃の剣といいますか、現実的な対応としては理解するといたしましても、法の運用を一歩誤ると我が国の長い間の雇用慣行が大きく崩されていく、その結果としていろいろなまた違った問題に波及しかねない、私はそういう感じがしているわけであります。  そういう意味で、ただいまからいろいろ質問をいたします。  まず、いろいろお話を承っておりますと、現在このような労働者派遣事業の対象になるような仕事をやっているその実態がどうも明らかにされていない、労働省としてもつかんでいないというようなことであります。現在行われているこういった派遣事業というものは、実質的には労働者供給事業に対して明らかに違反行為というふうに大体みなされるのではないか。ただ、それが結果的にどこまでが違反なのかという実態的なものがつかめないために野放し的になっているわけでありますが、一つの流れという形で見ますと、明らかに現在行われているものの大半は労働者供給事業の職安法違反に大体該当するようなものじゃないかと思うのであります。その点に対する御見解を承ります。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 現在私どもがこういう派遣的な事業について指導いたしております基本的なスタンスは、請負でやっていただきたい、職安法の施行規則四条で定めておりますような請負要件というものを備えないと労働者供給事業違反になるという法律構成のもとにそういう指導をいたしておるわけでございます。  ただ、請負の形をとりましても、それが実態といたしまして就労形態が他の企業において仕事を請け負ってやるという形をとりますために、結局他の企業からの注文なのか指示なのか、そして指揮命令なのか、はっきりしないものがいろいろ出てきておる。そういう中で、場合によっては請負の形をとっているけれども労働者供給事業違反になるのではないかと疑われるようなものもいろいろ出てきておる、こういう認識でございます。

小渕正義民社党・国民連合

○小渕(正)委員 労働省としては、現在まで現行法の中で違反行為として取り締まられたことがあるのかどうか。もしやられたとすれば、いつの時期に大体どのようにやったということが実績としてありますならばそれをお示しいただきたいと思います。

野見山眞之労働省大臣官房審議官

○野見山政府委員 労働者供給事業に該当する疑いのある事業につきましては、公共職業安定所を通じて事業所の立入検査、関係者への質問等を通じまして実態の把握あるいは是正措置の指導を行っておりますが、最近における状況を見てまいりますと、五十一年から五十八年までの違反指導件数のトータルは四百九十六件、違反認定件数が四十三件になっておりまして、ここ数年の指導件数は五十五年が六十六件、五十六年三十三件、五十七年五十九件、五十八年六十七件ということで、これらの対象は請負契約の要件を満たすように必要な是正指導等を行った内容のものでございます。

小渕正義民社党・国民連合

○小渕(正)委員 業務を委託しそれを請け負ったという委託契約という形の中でやられているのが現状だと思うのです。だから、先ほど局長の方からそれをより強力に指導してきたと言われておるわけですが、そういう指導をしてもなおそれだけでは非常に不明確だ。請負という形の中で網をかぶせてもそれだけではなかなかきちっとすることができないというところからこういうふうな派遣法案が生まれてきたと思うわけであります。  そういうことをいろいろ考えますならば、今回の派遣法案の中で常用雇用型と登録型、要するに特定のものと一般のものとの二種類に分けてありますが、今までのいろいろな流れから見まして、派遣事業そのものは対象を登録型と言われている一般派遣事業に限定してやるべきじゃないか、常用雇用型は委託業務という請負方式をもっときちっとすることによってその点はできるのではないか、私は実態的にそういう感じがするのですけれども、その点はいかがでしょう。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 一般論としては先生のおっしゃるとおりだと思いますが、そういう請負型の常用雇用労働者で請負をしておるという場合におきましても、結局、派遣先といいますか他の企業で請負をしておる過程におきまして、時と場合によりましては実際にそこでの注文なのか指揮命令なのかはっきりしないような形での指示を受けて働く場合が現実にあるということが関係業界のヒアリング等をいたします中で出てきております。しかも、それを完全に請負の形にし切れないというような実情論等もございまして、そういう中で常用雇用の場合におきましても、場合によっては派遣の形をとることあるべしというものについて、こういう特定の事業という形での型を認めるという形での仕組みにしたわけでございます。

小渕正義民社党・国民連合

○小渕(正)委員 請負の委託制ということである業務を請け負って、その業務を実際にするために派遣された委託先の会社に行ってそこで仕事をするわけですね。これが現在、請負だと言われているわけでありますが、そういう中で、そこで実際に仕事を、業務をやっていく。遂行している中では、確かに委託先というか派遣先の中での仕事、業務について何らかの指示等があり得ることは、これは当然だと思うのですよ。だから、それは請負であろうと、例えばある業者が納品して、そしてそこの納品した後のいろいろなメンテナンスまたは何らかの仕事をそのためにするというような形で、納入元の従業員が、会社内では出張ですが、派遣されていってそこで十日間なら十日間仕事をする。そういうときには、当然派遣先といいますか、そこの納入した先の仕事場での仕事になりますから、そういう意味ではどうしても付随的にやはり何らかの形でのそこの派遣先といいますか、納入先からの指示とか命令というか、いろいろ指示系統というものは、そういう指示行為というのはあり得るんですよ、これは。普通、一般的にこれはあり得るんですよ。どこでも、そういう委託であろうと何であろうと構わない、要するにそこの派遣先といいますか納入先で仕事をする以上は、何らかの形でのそういう指導とか指示とかいうものは、これは起こり得るのが常態的なものです。  問題は、だから、その指導というか指示というものがどういう部分で行われるかによって、もう少しそこらあたりをきちっと整理していけば、何も派遣先における使用者責任がどうのこうのという議論にはならぬのじゃないか。そこらあたりの実際に実務的にやられている指示、指導というものがどういう種類のものかをもう少しきちっとしていけば、あえて責任の回避というか、どちらに責任があるかとかどうとか言われておりますけれども、そういうことじゃなしに、もっときちっとできると私は思うわけであります。  問題は、だから、そこらあたりをただ一緒くたに派遣先というか納入先における指示命令その他いろいろあいまいになっているから、この際ここでこういう形の法案の中でそれをきちっとしていこうと言われているわけでありますが、それはやはり先ほどの質問の中に出ておりましたが、ビルのメンテナンス、あるいはまた委託業務といいますか、請負業務ということでこの対象から外すようなお話も聞いておりますけれども、そういうことで依然としてこれをつくってもやはり委託請負的な業務としてのそういう形のものは残っていくわけです。  要するに、俗に言う、現行行われているそういう委託請負方式のやつが現存してこれからも残っていく。それから常用雇用型のこういうものが一つ出てくる。そして一般といいますか、登録型が出てくる。要するに、二つでいいのを三つにするということになってしまうのではないかということで、委託請負関係をきちっとやめさせるか、そういう方式を認めないというのならいざ知らず、そういう方式を認める以上は、常用雇用型のものはそこの中にくくっておって、もう少しそこらあたりの指示命令系統の中身をきちっと整理していけば、私はまだそれでいけるんじゃないか、あえてこういう二本立てにしなくていいんじゃないか、かように思うわけですが、いかがですか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 先生のおっしゃる意味もよくわかるのです。例えば一体デパートの派遣店員の場合、いろいろな製造業者からデパートへ派遣されてきておる。そして、それが自分の会社の製品をその一角で売るという形で来ておるわけですが、実際には一つのデパートの中にいろいろな業者の派遣店員が入っておる。そうなりますと、例えば朝八時にはちゃんと出てこいとか、あるいはまた夜六時まではちゃんとおれ。あるコーナーだけがすっと勝手に遅く始めたり早く閉めたりというようなのはぐあいが悪いというような形での、いろいろその場面におきましてのいわば申し合わせといいますか、そういったようなものがあり、それが往々にして一つの指揮命令のような形をとる。それをはっきり指揮命令ととるのか、一つの施設全体での管理下に入るというような形で構成するのかというような、いろいろ理屈はあると思うわけです。  しかし、ここで議論しておりますのは、そういったぐいのものではなくて、はっきりその派遣先の指揮命令下に入るということが歴然であるような形のものもまた現にあり得るというような中でのこういう常用雇用型における特定派遣事業というものの仕組みをしておるわけでございまして、その辺は、そういう仕組みのものを私どももどんどん奨励するとかいうわけのものではございませんので、実際に今後それぞれの業務をよく洗います中で、先生のおっしゃるそういう仕組みにできないかどうかというようなものも、当然そんな観点も頭に入れてのまたいろいろ業務の調査あるいはヒアリングというようなものが行われて業務指定にするしないの判断になっていく、こんなふうに思っております。

小渕正義民社党・国民連合

○小渕(正)委員 今デパートの派遣店員の例で例示をされたわけですが、確かにそういう点、一番はっきりわかりやすい一つの例ですね。あるメーカーがデパートに人を派遣して、自分の商品の売り場を借りてやっているわけですね。そうやって派遣して、そこのデパートの一角をどこか借りて出店をするというときに、そこの派遣先のデパートとの約束事で、来てもらうからには昼食の時間はこちらに合わせてくださいとか、やれどうだこうだということを、当然最初出店を出して派遣していくというときに、そういうものが双方において話し合われて決められるべき性質のものですから、そういうものをきちっとしておけば、今おたくが言われるような、何もそこらあたりが不明確だということにはならぬと私は思うのです。  だから、問題は、そこらあたりを労働省がもっときちっとしておれば、そういう形で指導していれば何も混同することはないと私は思うのですがね。やはり当然のことなんですよ。デパートに派遣店員として行く場合に、出店を持たしてもらって、出店に自分の商品を出さしてもらうという場合に、その場合にどういう条件かということの中に、当然デパートに来た店員の方はこちらの店員の人たちと同等な勤務時間にやってもらいますよとか、いろいろどういうものをしてもらいますよとかいうのは、当然のこと、そういうことは初めにそういうものを決めるときに話し合われてしかるべき問題ですから、そういうことの中で行くわけですから、そうなると何も指揮命令系統がどうの、どちらがどうなるということにはならぬ。だから、問題は、最初のそういうところさえきちっとすればいいわけだから、そこらあたりをきちっともっと労働省が的確に指導して行っておれば、そういう意味での混同性はない。  だから、そういう形から見るならば、あえて常用雇用型を人材派遣法案の中に含めなくてもいいのじゃないか。結果的には、これを含めたところでもあと一つまだまだ請負形式の、委託方式のそういう派遣型がこれからも実在していくわけですから、そうなると、そこらあたりをかえってきちっとした方が、一緒にそこらあたりでもっとしておった方がいいのじゃないかなという一つの私なりの見解ですが、そういうことでお尋ねしたわけであります。これで論争するつもりはありませんが、ちょっとどうしてもそこらあたりが納得できかねたので、お尋ねしたわけであります。  何か今の点、ございますか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 今のデパートの場合でございますと、むしろ実態としては、これは派遣店員とは言っておりますが、今度この法律で考えておりますような派遣労働者ではなくて、まさにその店へいわば出張しておるというようなたぐいであろうと思うわけでございます。こういったものについては、それが実際にその出張先において指揮命令を受ける形のものなのか、それは今先生も御例示になりましたような、そういういわば申し合わせというものなのか、そういったような関係も含めまして、結局、請負と派遣事業というものの具体的、実務的な区別というもの、これをやはり今後行政的にも詰めていく必要がある。これはまた中央職業安定審議会においても、この施行までの間にそれを詰めよう、こういうことになっておるわけでございます。そういう審議の中で実務的な詰めをいたしまして、こういう問題についてのけじめをはっきりさせていきたい、こんなふうに考えております。

小渕正義民社党・国民連合

○小渕(正)委員 それでは、確かに派遣先での指示、指揮命令系統を基準にして請負と常用雇用型と分けるということだけでは無理があるのではないかという意味で私は申し上げておるわけですね。だから、当然出張先へ行ったら出張先の人たちの、向こうの意向を聞きながら、指示を受けながら仕事をすることは日本の一般の社会的な常識ですから、それを向こうの指示を受けたとかどうだということでなしに、そういう意味では当然のこととしてそういうものはついて回る、付随して回るものですから、そういうところだけを一つの線引きの大きな目安にすることでは問題があるのではないかという意味で申し上げましたので、その点、今後検討される際の一つの参考にしていただきたい、かように思います。  それから、登録型と言っていますが、一般のものですが、登録型を認める場合、また許可制になっていますね、その場合の業務というもの、これはかなり特定すべきではないかということが私は非常に大事じゃないかと思うのです。特に、これは要するに派遣先への業務が決まってから、仕事が決まってから雇用契約を結んで一週間なら一週間派遣先へ行くわけでしょう。また一週間して、派遣先の仕事が終わったら派遣元における雇用契約は切れるわけですね。また新しい次の仕事が、派遣元がこういう仕事があるからといったときに初めてそこで雇用契約を結んで、それで派遣先へ行くわけでしょう。そういうのが登録型のものですね。  そういうことになるならば、これは特に職務というか、ものを特定して範囲をある程度きちっとしておかぬことには、これを野放しにやられたら、まあ許可制になっていますけれども、そういう意味で一つの歯どめができるかとも思いますが、そういう意味で登録型の職務をある程度特定するということについては、どのようにお考えですか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 この業務を限定する点につきましては、こういう制度を認めたことによりましてこれまでの日本の終身雇用制度というものを崩壊させるようなものになっては相ならぬという基本的な立場でございます。また、そういう意味におきまして業務の限定もシビアに行っていく、あるいはまたこういう登録型についての許可の制度の運用につきましても、これは本当に労働力の適正な需給の面で必要なものであるかどうか、そういった点からシビアにまた許可もしていく、こういうような基本的な構えの中で先生が御心配になるようなことにならないような運用をすべきものであるというふうに考えております。

小渕正義民社党・国民連合

○小渕(正)委員 気構えといいますかその点は非常に立派ですし、ぜひそういうことで期待しますけれども、実際問題として、これが法ができて滑り出したらそれはちょっと簡単には、許可制がありますからそこらあたりの歯どめができるかどうか、これは一つのあれもありますけれども、我が国の今日までの雇用型の中で、大きく崩れることはないにしても、これからの我が国の雇用形態ということはかなり変わっていくことは間違いないと思うのですね。だから、今大上段に言われたからそれを信頼して、ぜひひとつそういう気構えの中で、特定の業務を特定しておってもこれはかなり広範囲にいくのではないかという懸念がありますので、そういう点でひとつよろしく、ぜひ今の気構えをしっかり生かすようにしていただきたいと思います。  あわせて、この場合、特定の業務をどのように明記していくかということの中にありますが、非常に解釈を幅広く、日本語というのは便利なものでいろいろできますから、ここに今情報処理のどうだこうだと書いてある文章ぐらいではあらゆるものが入ってくる可能性がありますから、その点についても、これはもう少しきちっと、かなり厳しく、幅広い解釈ができないようにしておかないと、先ほどから出ているように職安法違反になるのじゃないかと思われるようなものが幅広い解釈の中で今日まかり通ってこういうような大きな一つのあれになっているわけですから、その点からいきますならば、その業務を特定する場合における表現といいますか、本当に余り幅広く解釈ができないようにもっときちっと細かくそういった点はやらなくてはいかぬのじゃないかと思うのでありますが、それについての何かお考えはございますか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 現在、民営職業紹介事業につきまして特定の職種、二十八職種でございますが、これについて許可対象にしておるわけでございますが、日本では職種概念というのが余り発達しておりませんが、そういう中では職種概念の比較的明確な看護婦、家政婦であるとか調理師であるとか、そういうような内容的にある程度明らかな、それなりのまた労働市場のある程度できておるような職種が指定されておおわけでございます。それでもなおその職種について一定の職種の限定といいますか説明といいますか、そういったものをつけております。  そういう意味におきまして、今度の業務を決めるに当たりましては、通称というようなものではなくて、その業務内容については明確にそれが区別をされるようにしっかりそういった説明、限定つきの形での職務内容、業務内容の明確化をした形で決めておくということがぜひ必要である、こう思っております。

小渕正義民社党・国民連合

○小渕(正)委員 それでは、登録型の雇用されておる人たちの労働基準法関係の管理といいますか適用といいますか、そういう点についてはどういう御見解をお持ちですか。

菊地好司労働省労働基準局監督課長

○菊地説明員 労働基準法の適用関係でございますが、原則的には雇用主である派遣元事業主の履行責任を課した上で、実際に就労する派遣先事業場の責任者に責任を課した方がいいであろうという部分については派遣先の責任に課し、両方の責任に課した方がいい部分については両方に課していくという形で決められた労働条件が履行されるように対処しているものでございます。

小渕正義民社党・国民連合

○小渕(正)委員 これは登録型だけでもございませんで、常用雇用型も同じでありますが、特にこの登録型の場合が難しいと思うのでありますが、時間外労働、これと基準法との兼ね合いについてはどのようにお考えですか。

菊地好司労働省労働基準局監督課長

○菊地説明員 基準法三十六条に基づきまして労使で協定をして、その協定で設定された範囲内で時間外労働ができることになっておりますが、派遣労働者の適用については雇用主である派遣元事業主と派遣労働者の代表との間で協定を締結することにしてございます。

小渕正義民社党・国民連合

○小渕(正)委員 それは条文ではそうでしょうけれども、実際問題として派遣労働者の代表というような人たちが出てきますか。仕事が発生して初めて雇用契約を結ぶ。ふだんはみんなどこかに待機しているとかどこかの職場におるということはないわけですから、みんなばらばらでそれぞれの生活をしているわけであります。そういう人たちが仕事が発生して初めて、あなたはあそこの仕事に一週間なら一週間、十日なら十日行ってもらえないかということで雇用契約を結んで行かれるわけでしょう。これが登録型でしょう。そういう人の代表が三六協定に基づいてそういうことを調印するようなそういう環境ができますか。その点はどうですか。

菊地好司労働省労働基準局監督課長

○菊地説明員 代表者の選出についてはいろいろ工夫を凝らさなければいけないと考えますが、例えば何人かの候補者を立てて投票によって代表者を決めるとか特定の一人に絞ってそれに信任投票を課するとか、職場の事情を踏まえた工夫を凝らす必要があろうかと考えております。

小渕正義民社党・国民連合

○小渕(正)委員 それは観念的にはいろいろな方策は可能ですよ。実態的に果たして可能かどうかという点になると、私はこれはかなり問題なしとしません。今そちらが御答弁なさったようなことは、方法論としてはいろいろあるのですよ。しかし、実態的に登録型の人たちにとっては果たしてそれが可能なのか。しかも現在行われているところを見ると、単なる一地域じゃない、かなりの広範囲な地域まで広がってこういう対象になる事業をやられている中において、果たしてそういうことが可能なのかどうか。もちろん手紙による投票とかいろいろまたありましょうけれども、その点は当然裏腹の問題として、法律を施行するに当たっては、今後まやかしでこれが行われないようにいかにこれをきちっとさせていくかということは一つの課題ではないかと私は思いますので、その点、特によろしく検討方をお願いしておきたいと思います。  それから、特に私が問題にしているわけですが、登録型のもの、これは許可制になっていますね。これを届けないで許可にならないでこういう業務をやった場合はもちろん罰則の適用ですけれども、言葉は悪いですが、そういう潜りでこれがやられる可能性は非常にあると思うのですが、そういう点については何かお考えがありますか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 この法律の施行、運用をどうやっていくかということにかかわる問題であり、まさにこの法律で定めたルールから外れたやり方がされれば、これは当然取り締まっていかなければならぬ。罰則もついておるわけでございます。そういう意味で、まずは第一義的には、そういう事業所を管轄いたしております公共職業安定所におきまして、いわばそういう関係についての情報の収集あるいはまた事業所への指導監督、立ち入りというようなこともあるわけでございます。  しかし、何といいましても、現在の公共職業安定所の職員でそれを全部やるというわけにはなかなかまいりません。そういう意味で、これは一つには労働基準監督署との常設的な連携体制をとるということも考えておりますし、それからまた労使の委員といいますか、労使の代表によります派遣事業問題についての協力員制度というふうなものも設けていきたい。さらにはまた、それぞれの業界の自主的なコントロール、例えばあそこでは許可も受けてないのにやっているぞというふうな情報は業界筋から比較的入りやすいという事情もございますので、そういう業界の自主的なコントロールを期待できるような組織づくりといいますか組織体制をとっていただくということもこれらに加えて有効な手段であろう、こんなふうに考えておるところでございます。

小渕正義民社党・国民連合

○小渕(正)委員 そういう非許可の、潜りの形での営業が行われないようにぜひお願いしたいわけであります。  一つの規制の仕方として、そういう無認可の人たちを受け入れた派遣先にも、そういう無認可のところの人を受け入れた場合には何らかの規制を行う、そこまで入れておけば、実態的には無認可においてこういう営業をやろうとすることはかなり防止できるんじゃないかと思うのです。派遣先では無認可かどうか知らぬで、いい人だったからこっちへ派遣してもらったということだけで済ましてしまったら後の祭りですから、そういう無認可のものを利用された場合には、その利用された派遣先にも何らかの規制か何かをするようなことも未然防止策の一つじゃないかと思いますので、その点を意見として申し上げますが、もし御見解がございましたら、ひとつお聞かせいただきたいと思います。  それからあわせて、特に登録型の場合には、これはなかなか難しいと思うのですけれども、ただ三日行って終わり、またしばらくしてどこかの派遣先へ四日行ったらまた終わり、非常に短期間だけ派遣されて、あっちこっちの会社を転々とするようなことはやはり好ましいことじゃないわけですけれども、それについて何らかの歯どめ策というものは必要ないのかどうか。行政の側としてそういうことについてまでいろいろ規制するのは難しいと言われるかもしれませんが、少なくとも何らかの形で、まあ結果的には行政指導に終わらざるを得ないかもしれませんが、そういう指導という点についてはいかがお考えか、それをお尋ねいたします。  それから、あと一つお尋ねいたします。  登録型の業務を許可する際には、許可する業務の性格からいきましても、短期的な、臨時的なものとしての業務という形で、少なくともこういう形の派遣労働が常態的に四カ月も五カ月も六カ月も行われるようなことを避けるという意味で、何か期間的な規制も必要があるのではないかという見方もまたあるわけですが、これに対しての御見解もあわせてお尋ねいたします。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 まず最初の、利用者側についてのいわば規制といいますかその点につきましては、二十六条の二項におきまして、派遣先と派遣契約を締結するに当たりましては、あらかじめ相手方に対しまして派遣元は、そういう許可を受けているんだとかあるいはまた特定の場合でございますれば届け出をしておるんだ、そういう旨を明示をしなければならぬ、こういう規定が入っております。  それから、登録型につきまして、事業所を転々とするという関係につきましては、ある程度の期間そういう派遣先の仕事が確保できたという場合はもちろんそういうことは避けられるわけでございますが、結局業務の種類によりましては、極端なこと、みんな一日ずつの業務しかないという場合、そういったものをずっとつなげれば一応月のうちの相当部分が就業の機会を得ることができるというような形態のものもあり得るわけでございます。そういう意味で、派遣先が転々とするということ自身決して好ましいものではございませんが、またこういう派遣労働者が、特に登録型の場合の存在する意味も、そういう短期の雇用というものをいろいろつなげていく、そういうところにまた一つの存在しておる理由もあるわけでございますので、この辺はなかなか難しいところではあると思います。  ただ、それについては、派遣元についてそういう派遣労働者に対する福祉の増進のための努力義務を課しておるわけでございます。したがいまして、派遣元としては、できるだけそういう転々という形に極端にならないようなまた配慮を、あるいはそういうためのできるだけ長い仕事を確保する努力というふうなものもそういう業務によっては必要になってくるかと思います。  それから三番目の問題でございますが、派遣の期間というものをある程度制限したらどうか、こういう点につきましては、実はいろいろ審議会の場におきましても御議論がございました。現にまた、ヨーロッパの法制によりましては、そういう制限をされておる国もございます。ただ、この審議会での議論といたしましては、一つには、こういう派遣労働者の期間を限るということになりますと、今度は派遣期間が短くなる。そのことがまた派遣労働者の雇用の安定という面で一つ問題がありはしないか、こういうこと。それからまた、業務の種類によりまして非常に短期間のものもございますが、例えばコンピューター関係でございますと一年、二年というような長期にわたるようなものもある。そういったものを画一的に何か規制ができるかどうか、こういうようなことも議論になっております。  それからまた、これはあえて申し上げればということでございますが、そういうヨーロッパの期間を限定しておりますところの運用の実情を見ますと、期間の制限をいたしておりましても、結局はいわば更新のような形でつながっておるというような問題等もございまして、結局、審議会としては、ここで一定の期間制限を入れるというようなことについては、特に審議会としては書き込まないというような形になっておるというような事情でございます。

小渕正義民社党・国民連合

○小渕(正)委員 常用雇用型の場合には、特定の期間を設けることは、やはりこれは仕事の面からいっても非常に問題だと思うのですけれども、やはり登録型の場合には、何らかの短期的なものに限ってこういう派遣事業というのが行われるような形にすべきではないかという私なりの考え方を持っているわけです。もちろん、派遣労働者の人たちの雇用を守るということも必要でしょうけれども、もっと本来的にこういうことがいろいろな形で行われることによって日本型雇用関係が土台を覆していくということになりますから、そっちの方にもやはり目を向けておってもらって、せめて登録型関係についてだけは何らかのそういう意味での臨時的といいますか短期的といいますか、やはりそういうものの制限をひとつ考えていく必要があるのではないか、そういう気がしてならないものですから、お尋ねしたわけであります。  その点は後で話があると思いますが、しかし、一回滑り出すとこれはなかなかとまらないわけですから、見直し規定の中で見直した後これを考えるということになった場合、どうなるか、そういうものを考えると、やはり前もって初めのうちから、スタートのときからそこらあたりを十分検討する必要があるのではないかという意味で申し上げたわけです。  次に、派遣先での苦情処理の問題について、先ほどからこれは常用型、登録型、別に区別なしにですが、問題は特に常用雇用型だと思いますが、派遣先の苦情処理については、派遣先での責任者を明示して、そこらあたりでそういう苦情処理に当たらせるということがありますが、何といいましても派遣元と派遣先はいろいろと――要するに、派遣先はお客さんですから、派遣元はどちらかというとお客さんに対してはどうしても弱い立場になりかねない。そういう点からいきますならば、派遣先での苦情処理の問題については、せめて――これは明示化することは必要ないと思いますが、これからの行政指導の中でぜひ考えてもらいたいと思うのは、やはり派遣先での派遣労働者がどれくらいの数が行くか、もちろん数の問題もありましょう。それから期間の問題もありましょう。やはりある程度そういう数と期間の問題を考えて、派遣先で苦情処理委員会というものを設置することを義務づける、と言うとちょっと悪いですが、できればそういう苦情処理委員会等を義務づけて、そして対等の立場で派遣先と派遣元の人たちが話し合えるようなことも実は必要じゃないか。  もちろんこれは労働条件その他の関係でございません。当然その他労働勤務に関しての苦情処理と思いますが、賃金がどうだということは抜きにして、そういう一般的な仕事を行う、何といいますか就業されている中で起こったいろいろな苦情処理等については、そういう機関というものも設置して、そして円滑にそういう話し合いが行われるようなものも、私はこれはぜひ必要でないかと思いますが、その点についての御見解がありましたらお伺いいたします。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 この法律におきましては、苦情処理のためのそういう責任者を置くことになっておるわけでございます。  これは、そこへ派遣をされる派遣労働者がどのくらいの人数になるのか、そういったような問題もいろいろあろうかと思うわけです。極端なこと一人しか派遣されてないのに、そこで大げさなそういう組織を設けるという話にもならないでしょう。また非常にたくさんあれば、それは苦情というものも、単に一人や二人だけの苦情ではなくてある程度まとまった苦情というようなものもあり得ると思うわけです。そういう意味では、その苦情処理の責任者が法律上置いてあるわけでございますので、その責任者と派遣されておる労働者とどういう形で話し合いをするのかということは、これは全く自由であるわけでございまして、それはまたむしろそれぞれの現場現場での実情に応じてやっていただくのが適切ではないか、こう思うわけでございます。  ただ、先ほどからそれを労政局の方で言っておりますのは、ただし、それは団体交渉じゃないよということを申し上げておるわけでございまして、そういう労働者と苦情処理責任者とのいろいろな話し合いというものが行われるのはむしろ当然のことであろうと思うわけでございます。

小渕正義民社党・国民連合

○小渕(正)委員 それは当然なことかもしれませんが、その当然なことがなかなかやりにくいのですよ、実際に派遣先へ行った方たちにとりましてはね。だから、先ほど言うように、これはかなり人数的な問題もありましょうし、期間の問題もありましょうから、そういうものの兼ね合いの中である程度の指示というか何というか、一つの目安を出しながら、こういう場合には少なくとも苦情処理委員会等でも設けて遺憾なきようやるべきであるというような行政指導といいますか、そういう形のものもやはり十分考えておかないと、自由ですからやってください、当然やられるでしょうだけでは、少なくともこれらのこの種問題では、そういう良識ある会社ばかりあればいいですけれども、必ずしもこれはテレビドラマではありませんけれども、いろいろな会社があるわけですから、やはりそういう人が働いておるという現実に立ては、そういう意味での何らかの行政指導というものをぜひひとつ考えておいていただきたいたいということをお願い申し上げます。  次に、これはちょっとお尋ねいたしますが、労働安全衛生法の中での危険有害業務の件がございますが、この派遣事業関係は、大体現場の直接生産に関係するところは対象から除いているわけでしょう。ということになりますと、派遣事業法で危険有害業務というふうなものが果たして、もちろんそれは衛生法を適用するということはわかりますけれども、実質的には何かそういう派遣は考えられますか、その点、どうなんでしょうか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 これはそういう就業の場所において、安全衛生あるいはじん肺というような関係での問題がある場所において、例えば例が適切かどうかわかりませんが、経理事務をやるとかコンピューターの仕事をやるとかいうような場面というのは、これはないということは言えないわけでございます。そういう意味でそういう規定がかぶせてあるということでございまして、基本的には先生今おっしゃいますような生産現場での業務そのものというものはこの指定業務としては考えていないところでございます。

小渕正義民社党・国民連合

○小渕(正)委員 予防といいますか、万が一を考えてもちろん安全衛生法を適用するということで、その中に網を広げると全部入るかもしれませんけれども、ちょっと危険有害作業というのがこの派遣事業の中にあるのか、直接生産工程の中のものは対象になりませんから、そういう意味でちょっと疑念を持ったものですから、お尋ねをしたわけです。  次に、これはまた先ほどの登録型の派遣事業になりますが、こういう登録型派遣事業というのは、まさに別名で言いますならば人貸し稼業だというような見方まで酷評する人がおりますが、こういう何か一種の中間搾取といいますか、そういうことは抜きにしても、やはりベターなのはこれをこういう形にしないで職業紹介的な形にしたらいいのではないか、こういう意見もあるわけですね。その方が確かに職安法の精神でいくならばよりベターじゃないか、こういう紹介料を取る程度で、あと問題は企業がそういう形のものを歓迎するかどうか、これは別ですけれども。しかし、労働省としてはそっちの方向でこの問題をいま少し整理し、考えていくということも本当はよかったんじゃないかという気がするのですが、その点はいかがですか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 職業紹介の形で対応いたします場合に、果たしてこういうテンポラリーワーカ-といいますか、自分の好きな時間とか日に働きたい、こういうような求職者のニーズに対してきめ細かくかつ迅速にこういう雇用の場を確保していくというような機能をうまく発揮できるであろうか、あるいはまた、そういう派遣労働者のいわば求職者の専門的な職業能力の開発向上とかあるいはリフレッシュ、そういうような問題に対してそういう紹介システムでうまく対応できるであろうか、あるいはまた、これが職業紹介の場合には紹介先が転々と変わるわけでございますので、結局、社会保険の適用あるいはまたそういう福祉関係についての配慮というものが、これがなかなか対応がうまくできないというような問題もあるわけでございます。  そういう意味で、こういう派遣事業の一つのそういったものに対応しやすいという意味でのメリットというものもまたあるわけでございます。そういう意味で、これを職業紹介事業でない形でこういったものがまたふえてきた一つの理由でもあろうかと思うわけでございます。そういう意味で、これを特定の形のものに無理に押し込むのではなくて、今そういう形で動いておるものについてきちっとルールをつけてそういったものを限定した形でやらしていく、こういう方向での対応を図ることがベターであろう、こういうことがこの各種研究会なりあるいは審議会、調査会等で議論されてきた結論でもある、こういうことでございます。

小渕正義民社党・国民連合

○小渕(正)委員 それで、この登録型の派遣事業、その中で、実質的にいろいろなケースが考えられますから即断はできませんが、社会保険を適用できるような対象者の人たちがどれくらい可能と思われますか。恐らくかなり難しいことになるのではないか、そういう感じがどうしてもするのですが、そこらあたり行政の方ではどういう見解をお持ちか、お尋ねいたします。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 これは先ほども申し上げましたように、特にこういう登録型のような場合には、やはり相当その就業の機会というものがつながった形で確保されていかないとなかなか各種保険への適用対象になりにくいという事情にあるわけでございます。ただ、これはもちろん全体がどうというわけではありませんが、例えばマンパワーの場合でございますと、九千人のうち二千人ぐらいが既にそういう労働保険の対象になっているというような事情等もございまして、やはりこういう派遣元におけるそういう自分の雇用しておる派遣労働者の福祉の増進のために懸命にそういう就業機会の確保を努力していくということの中でおのずとそういう保険の適用も進むであろう、こう思っておるわけでございます。  ただ、これについてどのくらいになるという量的な問題については、今私どももはっきりはお答えをしかねるような今後の問題だと思います。

小渕正義民社党・国民連合

○小渕(正)委員 最後になりましたが、これは大臣、非常に時代の一つの産業社会の中における流れとしてこういう認知をしなくてはならぬような状況にあることは、これは理解できるわけです。しかし、これがスタートいたしまして、これを運用を一歩誤ると、かつての職安法の運用も手が回らぬために結果的には野放しになってしまったのですけれども、やはり我が国の雇用構造というものを欠きぐ変えでいくこれは要因にもなりかねないという、そういう意味ではこれは極めて大事な重要な意味を持つ法案であります。  問題は、この十四のここに例示されている職種をこれはかなり縮小するというお考えのようでありますが、これはすべて審議会にかけて政令でお出しになるような予定になっているようでありますが、対象職務というものについては本当に幅広い意見を聞かれて徹底的に議論していただいて、本当に慎重にお決めいただくようにぜひこれはお願いしたいと思うのであります。ひとつ大臣の御見解をお聞きいたしまして、私の質問を終わります。

山口敏夫自由民主党・新自由国民連合労働大臣

○山口国務大臣 小渕先生のいろいろ御論議、御指摘いただきましたような点につきましても、私どもも審議会の審議過程等におきましてもいろいろ議論が出たところでもございます。まさにこの派遣事業の問題は、日本の伝統的な雇用の問題でございますとかあるいは常用の雇用者の雇用安定に支障を来さないように、十分この業務の選定等を含めましてひとつその対応には努めたい、かように考えておりますので、よろしくお願いをいたします。

戸井田三郎自由民主党・新自由国民連合

○戸井田委員長 小沢和秋君。

小沢和秋日本共産党・革新共同

○小沢(和)委員 前回、私が新日鉄で一九七八年以来日産、トヨタ、ダイハツ、三菱あるいはいすゞなどの自動車メーカーに延べ一千名以上の労働者を派遣しているということについて質問いたしました。ところが、このときは局長は「業として」ではないという見解を表明されて、この話が余り煮詰まっておりません。そこで、もう一遍このことについてお伺いをしたいと思うのです。  まず、この新日鉄がやっている行為は今度の法律の二条の定義で言う派遣に当たるのかどうかということをはっきりさせていただきたいのです。きのうは私、ちゃんと質問をとりに見えた方に資料も一式差し上げてあります。これを見ると、労働協約で第五十四条で「会社は、業務上の必要により、組合員を社外勤務させることがある。」というふうに書いてあって、それを受けて社外勤務に関する協定書というのが別に結ばれておるのですが、この第二条には「社外勤務の定義」ということで出向と派遣とを分けております。どういうふうに分けてあるかというと、「出向とは」相手先に「役員または従業員として勤務することをいう。」それに対して「派遣とは」ただ「派遣先に勤務することをいう。」というふうに区別してあるのです。そうすると、あなた方が今度の法律の第二条で、この派遣と出向とを区分けしているのだから、まさにそういうことに当たるようなこれは派遣ということになるのじゃありませんか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 御指摘の協定書を拝見させていただきましたが、ここで言っております出向というのは、関係会社等に「役員または従業員として勤務することをいう。」となっておりますので、これは文言からいきますれば、まさに向こうで雇用をされる。「従業員として勤務することをいう。」こうありますので、これは向こうで雇用される。この派遣法におきましては、その定義で言っておりますように、派遣先での雇用というのは、これはない形のものを言うと定義をいたしております。したがいまして、これは、まずこの出向は派遣ではない、こういうことになります。  要するに、この用語の定義で「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする。」となっているわけです。したがいまして、その出向先のまさに従業員として勤務するということでございますので、雇用させることをこれはまさに約しておるわけでございます。(小沢(和)委員「いや、だからそこはもうわかっているんですよ、その先のことを聞いている」と呼ぶ)したがって、ここで言う出向の方は派遣ではない。  それから、次の「派遣とは」ということでございますが、これは「派遣とは関係会社」に「勤務することをいう。」こういう規定になっておるわけでございまして、あと詳細な規定がないわけでございます。そういう意味で具体的な内容を踏まえなければ正確なことは申し上げられませんが、この協定書の二十六条二項におきまして「就業時間および休日の配置等就業に関しては派遣先の定めるところによる。」こういうふうに規定があるわけでございます。そういたしますと、これはいわゆる出向の一形態であり、企業内においての取り扱い上区分するために出向と派遣という表現が用いられておるというのではないかと考えられるわけでございます。  要するに、この労働者派遣法に言う労働者派遣は、派遣元が労働時間や休日等についての枠組みを設定して、その範囲内で派遣先が指揮命令して就業させるものということでございまして、この協定の派遣は、こういう就業時間や休日の配置等は「派遣先の定めるところによる。」こういうふうにいたしておりますので、いわばこの規定から見ます限りは派遣ではなく、やはり出向の一形態ではないか、こんなふうに見られるわけでございます。

小沢和秋日本共産党・革新共同

○小沢(和)委員 しかし、現在あなた方が提起してきているこの法律の案文によっても、いわゆる就業の開始の時間、終了の時間、休憩時間、こういったようなものについても、基本的な点は決めるけれども、やはり細かいことはこの契約の範囲内で先方の指揮下に入ってやっていくということになっているわけでしょう。だから、そこのところをもう初めから全部相手の就業規則によるというような定め方だって当然可能なわけでしょう。こんなようなところが一つひっかかるからということで、出向と派遣をこれだけ明確に分けて、派遣というのはこちらの方の社員としての身分のままで行って賃金から何から全部こちらの方の責任できちんとやるんだということがここまではっきり定められているのが、どうして派遣でないのですか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 この法案の二十六条におきまして、「労働者派遣契約の当事者は、」「次に掲げる事項を定めるとともに、その内容の差異に応じて派遣労働者の人数を定めなければならない。」こうございまして、例えば今例示がございました「就業の場所」であるとか、あるいは「派遣就業の開始及び終了の時刻並びに休憩時間」、こういったものも派遣契約において定めるわけでございます。  ところが、今お示しの協定書には「就業時間および休日の配置等就業に関しては派遣先の定めるところによる。」こうあるわけでございますので、そういう意味ではこの派遣元が定めたということにはならないわけでございます。  それからまた、例示でおっしゃいました向こうの就業規則の定めるところによるということは、この二十六条の規定からいいましたらそういう定め方はできないわけでございます。

小沢和秋日本共産党・革新共同

○小沢(和)委員 この派遣であるかどうかということは、私がきょうここで徹底的に詰めようと思っている点じゃありません。ただ、私は今のあなたの説明を聞いても、こういう出向と派遣という分け方がはっきりしておるし、基本的にはこれはあなた方が想定をしている派遣という範疇に入る話だというふうに考えるから、この点についてはさらに調査をしてみていただきたいというふうに考えます。  それで、前回私が質問したときに「業として」であるかどうかということで意見が大きく分かれたのですが、私、お尋ねをしたいのは、あのときに昭和二十三年三月二日の基発第三百八十一号という、これは労働省が「業として」ということについての考え方を示した通達なんですね。この中では「同種の行為を反覆継続すること」を「業として」というんだ、「一回の行為であっても、反覆継続する意思があれば十分であり、主業としてなされると副業としてなされるとを問わない。」というふうに書いてあるのですよ。「「業として」といえるためには、さらに「利益を得る意思」をもって行為が行われることを必要とするか否か」ということについては、そういう説もあるということは言っておりますけれども、しかし、あなた方の方が出している通達の文書の中では、その「利益を得る意思」ということはないのですよ。  さらに言うならば、労働基準法の第六条の「中間搾取の排除」というところでは「業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」ということで、利益を得るということがはっきりここに出てくるわけですが、しかし、あなた方がこの派遣事業ということで定義をしているこの第二条の定義では「労働者派遣を業として行うことをいう。」というだけであって、この利益がどうのということはここでは問題になっていない。だから、そういうような点から考えてみても、新日鉄などが一九七八年から半年単位ぐらいでずっと自動車メーカーに送っていることは、これは明らかに業であるということは否定しがたいのじゃないかと思うのですが、この点、いかがですか。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 「業として」というのは、もちろん今おっしゃいましたように、反復継続してそういう行為をやる、あるいはまたそういう意思を持ってやるということが一般に言われるわけでございますが、しかし、それだけでそれでは「業として」ということが言えるかどうか。  この前、私申し上げましたように、例えばたまたま友人から職業をどこかいいところはないかという話を受けて時々仕事を探してあげたということがあっても、それが反復継続だから業だ、あるいは無料職業紹介事業だというふうに言えないだろうということを申したわけでございますが、例えば一般の会社におきましても、定年退職者を退職後どこかへあっせんをしたい、しようということでいろいろ会社でやることがございます。これはある意味では毎年やっております。しかし、そのことは決して無料職業紹介事業をやっておるというふうには言えないだろう、こう思うわけでございます。  要するに、そういう意味におきましては、まさにそれぞれのケースによって社会通念に従って最終的には判断せざるを得ないと考えるわけでございますが、今先生御指摘の事例について見ますと、これはまさにその労働者の雇用の安定を図るために行われておるというものであると考えられますし、また、雇用関係を継続することを前提としているということも考えられる、あるいはまた原則として復帰することとされていることもある、あるいはまた賃金の保証は行われていること、それから出向により出向元が利益を得る意思があるとはまた考えられないというような事情を総合的に勘案いたします場合に、こういったものが社会通念上業として行っているというふうに見ることは困難であると考えます。

小沢和秋日本共産党・革新共同

○小沢(和)委員 しかし、繰り返して言うようですが、あなた方が昭和二十三年の基発第三百八十一号で示しておる「業として」の解釈は「同種の行為を反覆継続することをいう。」としかないのですよ。私は、これにずばり当てはまる話だ、だから、あなた方の方はさっきから問題になった派遣であるかどうか、あるいは「業として」であるかどうか、こういう二つの私が問題にしている点をいわば認めないという形で、これだけ広範に行われている大企業の人減らし合理化で人が余ったといってあっちこっちに派遣しているのを野放しにしている、このことを私は許せないと思ってこの前からここを問題にしているわけですよ。  きょうはもう一つこの機会にお尋ねしたいと思うのは、この前もちょっとここで問題になりましたが、経済同友会が「中間労働市場の提案」というのを発表しております。これはどういうのかというと、もう局長なども十分御存じのとおり、あっちこっちの企業でME化の進展などによって大量に人が余ってくる。その人たちを、まさに今新日鉄で行われているように、在籍をしたままで所要のあるところにそれを送り出す、これを仲介をするための機関をつくる、これを中間労働市場というふうに呼んでいるのだと思うのです。  こういうようなことに備えて既に日米合弁でテンポラリーアウトプレースメント社などというのも設立をされて、ここにも新日鉄が人を送り込んでおるというふうに聞くわけでありますけれども、こういうふうに大がかりな会社もつくって、そしてあっちこっちの会社の余っている人をここにみんな送り込ませて、そしてそこから所要のところにどんどん出していく、いわばこんなことが今後どんどんやられていくようにしたいということで今この構想が出されているわけじゃないのですか。これはまさに「業として」でしょう。  こういう「業として」になる方向に行く一つのステップとして新日鉄などでこういうことがやられておる。このことは「業として」でないのですか。その点を一つお尋ねしたいのと、それから、前回これが問題になったときに、加藤局長はたしか次元が違うというような言い方をされて、この提案に全面的には賛成でないように私には聞こえたのです。だから、こういう提言の方向についてあなたとしてはどういうような見解をお持ちかということもお尋ねをしておきたいのです。

加藤孝労働省職業安定局長

○加藤(孝)政府委員 まず新日鉄の今お示しのケースでございますが、これはとにかく鉄鋼不況の中でどうしても労働力が余剰になった、それをむしろ解雇するのではなくて他の企業へいわゆる出向させるという形で、いわば従業員の雇用を守るために出向が行われる、そのことは企業が恣意的にやったわけではなくて労働組合との協定によってそういうことをやっておる、こういうわけでございます。そういう意味で、私ども労働省としてもそういう雇用調整助成金の中の出向の援助をする、むしろ余剰人員だからといって首を切るというのではなくて、何とかそういう出向等も含めましてこういう余剰人員のいわば雇用の確保のためにぜひいろいろ努力してほしい、国も援助しましょう、こういう形でやっておるものでございます。  こういうものについて、何か商売でやっておってそれは問題があるみたいなことであるなら柱、それじゃその人たちを路頭に迷わせるような対応をした方がいいのかということでございます。そういう意味で私どもは全く逆でございまして、何とかそういう路頭に迷わないように抱えてほしいという中の一環としてのものであるということで、その辺は基本的に認識を異にいたしております。  それから同友会の問題でございますが、おっしゃったように、私、次元が違うと申し上げましたのは、この同友会の考え方というのは、こういうME化の進展等により今後多数の余剰人員がいろいろ出てくるであろう、そういう中においてはこういう中間労働市場というようなものをむしろ活用してやるべきではないだろうかというようなたぐいの提言がされておるわけでございますが、この労働者派遣事業につきましては、これはもうずっと申し上げておりますように、そういう終身雇用制というものを壊すような形のものであってはならぬ、あるいはまた業務についても極力限定的にこれを認めていく、こういう基本的なスタンスにおいて実施し運用しようということを申し上げておるわけでございまして、こういう大量の労働移動というようなものをどうこうするというのは、一つの考え方なり提言なりという形ではあり得ても、今私どもが派遣事業でやろうとしておるものとは次元が違う、そういう意味で申し上げたのでございます。

小沢和秋日本共産党・革新共同

○小沢(和)委員 まるで私が首を切れと主張しているかのような話をされては、これはちょっと黙っておるわけにはいかないから、もう少しそれについて言わせていただきたいと思うのですが、終身雇用という考え方は、あなた方の今までの説明でいけば、不況のときにも首を切らないでいいように、景気がいいようなときには残業やら何やらでその調整をする、そして不況になったときにも我慢してその人たちを抱きかかえていくんだ、こういう話だったわけですね。私は、まさに不況のときに、つい数年前まではそうやってじっと抱きかかえておったと思うのです。  それがちょっと景気のいいようなところにその人を出せば、これもまた商売になるということを思いついてから、そういうことがどんどん広がってきている。これは終身雇用という名前は確かに残っているけれども、しかし実際にはこの人たちは、自分たちが一生例えば八幡なら八幡にいて、ずっとそこで働き続けることができると思ったのに、どこへ行かされるかわからない。全国、まあ海外という話も出ていますけれども、そういうような点では、私は終身雇用という内容をむしろ大きく実質的に変えてしまっている。非常に不安定化しているという点で問題にしているわけですよ。なぜかつてのように、そういう不況のときにでも八幡なら八幡の中で何とかやりくりをして頑張っていく、これこれ終身雇用の内容だということで今までやってきたのですから、それでいくのが当然じゃないかということを私たちは言っているわけです。そんな首を切れなんて我々が主張しているようなことを言ってもらっては、とんでもない話ですよ。だから、それについて私の意見を申し上げておきます。  それから、もう一つ質問をしますが、じゃ、新日鉄が、これは仮ということにしますけれども、業として派遣事業に進出をするというようなことになった場合、今さっきから協約の中身やら既に示してありますけれども、いわゆるこの法律の第三十二条の二項ですかね、「労働協約又は就業規則において労働者派遣の対象となる旨の定めのある労働者」は、派遣に当たって同意なしでどんどん派遣をやっていくことができるかどうか、この問題です。午前中もこれは問題になりまして、私、聞いておったら、審議官はかなりはっきり法的にはその同意が要らないと言った。ところが、課長は、事実上そういうようなことは具体的なケースを見ないと言えないというふうに、私は課長の方が修正したと思うのですよ。課長の方が偉いらしいのですな。  それで、私はそんなあいまいなことでこの議論を終わってもらっては困るのですよ。実際、新日鉄の場合を言えば、こういうような協約のもとで同意を得て人を動かしているというのが今やっている姿ですから、この法律に基づいて、派遣業になったらもうそういう同意は要らないということになったら、これは重大な問題ですから、だからこういう文言がある協約の場合だったらどうなのか、ここで私は具体的な協約を例として出すから、はっきりひとつ答えてください。

齋藤邦彦労働省職業安定局雇用政策課長

○齋藤説明員 三十二条二項の解釈の問題であろうというふうに思うわけでございますが、午前中にもお答えをいたしましたように、この二項は特に「その同意を得なければならない。」という場合を明示した規定でございます。したがいまして、従来から労働協約または就業規則等において労働者派遣の対象となるような定めがある、そういうようなものを労働者派遣の対象としようとするときは、その協約または就業規則の定めるところによるのではないかということを再三申し上げたつもりでございます。  したがいまして、労働協約でこの派遣法に言いますような派遣の対象にすることができるというふうに書いてあるかどうかの解釈の問題であろう。その解釈の問題というのは、それが個々の労働者にとって規範的な効力を持つまでの規定があるかどうかということを個々具体的に判断をしていくということではないか、こういうことを午前中に申し上げたわけでございます。

小沢和秋日本共産党・革新共同

○小沢(和)委員 だから、午前中にそういうわかったようなわからないような話ばかりしているから、だから具体的に、これだったらどうなるのか、同意を得なくてやれるというような答弁だったらこれは大変なことだと思うから、そこのところではっきり、この事例ならどうなるんですかと聞いているわけですよ。

齋藤邦彦労働省職業安定局雇用政策課長

○齋藤説明員 先ほどから局長もお答え申し上げましたように、この協約、具体的な新日本製鉄株式会社八幡製鉄所と新日鉄の八幡労働組合との結ばれました協定の中に書いてあります「派遣」という言葉は、いわば出向的なものではなかろうかということを先ほども局長が御答弁したところでございまして、私としましては、この法律におきます派遣法の「派遣」ではなかろうというふうに思っておるわけでございます。  また、仮にこの協約がこの派遣法の言っております「派遣」だということになるといたしましても、この協約で個々の労働者の同意を得た上で初めて派遣をするんだというような、この協約の規定の趣旨がそういうことであるとすれば、この法律ができたからといって、その取り扱いに何ら差異があるわけではない。要するに、この法律は協約の規定なり就業規則の規定なりを変えようというような趣旨のものではないということでございます、

小沢和秋日本共産党・革新共同

○小沢(和)委員 さっぱり的に当たった答弁ではないと思いますけれども、これで時間をとっていると私が質問したいことが大幅にできなくなってしまうから、もうしようがないから先に行きます。  第二十七条で契約の解除の問題が述べられているわけですが、派遣先の不当な派遣契約解除から労働者を守るというような内容になっているように見えるわけですけれども、私は、これがどこまで実効があるのだろうかという点を懸念せざるを得ないわけであります。  まず、これに罰則がないわけですが、どうして罰則がないのでしょう。

齋藤邦彦労働省職業安定局雇用政策課長

○齋藤説明員 今回の法案の二十七条で趣旨として書いてございますことは、労働者の保護と雇用の安定を図るためには一定のルールを設けなければならないであろう、こういうようないわば公序良俗に反するようなことを理由にして派遣契約を解除することは好ましくないのだ、そういうことをはっきり明確に法律上しておこうという趣旨で書いたわけでございます。本来契約関係でございますので、私法的関係でございます。したがいまして、このようなところに罰則という形で国が乗り出すのはいかがかということで、罰則をもって禁止するまでには至っていない、こういうことでございます。

小沢和秋日本共産党・革新共同

○小沢(和)委員 労働者の派遣契約が、二十六条で人数を定める。特定の人物ということになっていないわけですね。派遣先が特定の人物をこの条文に書いてあるような理由で排除しようとするようなときは、多くの場合差しかえの要求をするのじゃないかと思うのですね。この人間は要らない、しかし、実際は仕事はあるわけですから、かわりをよこせという話をしはしないですか。そうした場合には、人数は相変わらず五人なら五人という点では同じだ。契約は守られているというふうな解釈になるのかどうか。これではさっぱり労働者を保護することにならないのではないかと私は思うのですが、どうでしょうか。

齋藤邦彦労働省職業安定局雇用政策課長

○齋藤説明員 先生御指摘のように、派遣契約というのは一定の役務を提供することを約する契約でございます。したがいまして、個々具体的にどのような派遣労働者を派遣するかということは、派遣契約の内容そのものではないということになります。どのような派遣労働者を具体的に派遣するかということは、派遣元が本来決定すべき事柄でございます。したがいまして、派遣先がこの派遣労働者は不適当である、したがって別な派遣労働者にかえてほしいというような申し出があった場合に、それを受け入れるかどうかということは派遣元事業主が決定すべき事柄であろうというふうに思っておるわけでございます。

小沢和秋日本共産党・革新共同

○小沢(和)委員 だから、派遣元がそれで受け入れざるを得ないというのが多くの場合現実でしょう。受け入れた場合、労働者はどういうふうに保護されますか。

齋藤邦彦労働省職業安定局雇用政策課長

○齋藤説明員 当然派遣元と派遣労働者との間には雇用契約が結ばれておるわけでございます。したがいまして、特定の派遣先から、仮にそこで就業することができないということになったとしても、雇用契約自体は存続しておるわけでございますから、一般的な法理として雇用契約を解除できるかどうか、その問題として処理されることになるだろうというふうに思います。

小沢和秋日本共産党・革新共同

○小沢(和)委員 雇用契約が派遣元では存続をしているということになると、本人の理由によるわけじゃないのですから、当然派遣元から一〇〇%の賃金が支払われる、少なくともその契約期間が残っている間は。そういう理解でいいですか。

齋藤邦彦労働省職業安定局雇用政策課長

○齋藤説明員 その場合につきましては、基準法の一般的な規定、いわゆる労働者保護法規が適用になるわけでございまして、例えば休業手当の六〇%を支払わなければならないような場合もあるでしょうし、あるいは一〇〇%支払わなければならない場合もある、それは基準法の法規の適用の問題で解決すべき問題だろうというふうに思います。

小沢和秋日本共産党・革新共同

○小沢(和)委員 場合によったら六〇%しかもらえないときがあるというふうに言われましたけれども、本人の責任じゃなくて、就労を事実上そういう形で拒否されて六割しかもらえないということになったら、派遣先の行為によって本人自身もそういう形で一〇〇%もらえないのだから、六〇%しかもらえないとなったら、具体的にそこで損害が起こるでしょう。その損害はどこが救済するのですか。

齋藤邦彦労働省職業安定局雇用政策課長

○齋藤説明員 先ほども申し上げましたように、基準法の規定の適用の問題だろうと思います。したがいまして、使用者の責めに帰すべき事由による休業か、あるいはそうでない場合の休業かということによって決まってくる問題だろうというふうに思います。

小沢和秋日本共産党・革新共同

○小沢(和)委員 それからここに「派遣労働者が労働組合の正当な行為をしたこと等を理由として」というくだりがあります。私は、まさにこういうようなことで排除されてはならないと思うのですけれども、しかし、よく考えてみると、派遣労働者は派遣先で、よそ様のところで仕事を日常的にしているわけですね。だから、労働組合の活動などというのも当然自分が主に生活しているそこの派遣先で、例えば組合として組合員同士が集まって打ち合わせをしたりとか要求を掲げて闘うようなことになったら、ひょっとするとワッペンをつけたりとかいうような組合活動もいろいろ行わざるを得ないというのが現実じゃないかと思うのです。  それを派遣先が、いや、あなたの方はうちとは何の雇用者としての関係もない、その話は派遣元へ行ってやってもらうことだから、うちではそういうことをやってもらっては困るというようなことを言われたら、労働組合の正当な行為をしたことを理由にして排除をしてはならないということを幾ら掲げてもらっても、実際上はほとんど守られないのではないですか。この点どうですか。

齋藤邦彦労働省職業安定局雇用政策課長

○齋藤説明員 二十七条に「派遣労働者が労働組合の正当な行為をしたこと」ということが書いてあるわけでございますが、一般の労働者の場合と変わることはないというふうに思っておるわけでございます。したがいまして、組合活動のできる範囲が、一般労働者に許されているものであれば、派遣労働者も正当な同じような行為をすれば当然労働組合が正当な行為をしたと解するのが妥当だろうというふうに思います。

小沢和秋日本共産党・革新共同

○小沢(和)委員 いや、一般的、抽象的にはまさしくそうだと私も思っておるのです。しかし、実際にその人が仕事をする場所は自分が直接雇われているところじゃないのですよ。よそ様へ行って仕事をしているわけです。だから当然派遣先の経営者が、そういうようなことはうちでやってくれては困るといったような形でいろいろ規制をするのではないか。その関係で、労働組合の正当な行為というふうに言いますけれども、実際には守られないことになりはしませんかと言っているのですよ。具体的にどうなりますか。

齋藤邦彦労働省職業安定局雇用政策課長

○齋藤説明員 先ほども申し上げましたように、一般の労働者と同様に取り扱うものだということを申し上げたわけでございます。したがいまして、その派遣先の事業所において、そこに雇われておる常用労働者に許されている形態であれば派遣労働者も許されることになるかどうか、それは当該組合、要するに派遣労働者が加入しております組合と派遣先との関係の問題ということにもなるだろうというふうに思います。

小沢和秋日本共産党・革新共同

○小沢(和)委員 それでは私は極めて不十分だと思いますけれども、時間の関係で次の質問に行きたいと思います。  これも午前中から議論になっておった点でありますけれども、今度、派遣元に雇用主としての責任があるんだということを明確にした。そして労働基準法やあるいは安全衛生法などの関係でもそれぞれの責任をきっちり区分けをした。だから、今後はすべて派遣元と話をしてもらうからすっきりいくというような話があったのですけれども、しかし、私は現実にはそうはいかないのじゃないかと思うのです。なぜならば、だれが考えてみても、実際には具体的な労働条件を決定しているのは派遣先ですよ。だから、こういうような形で整理をしたとしても問題は解決しないのじゃないかと私は思うのです。一つの事例ですけれども、いわゆる三六協定ですね。三六協定は派遣元で結ぶわけですけれども、しかし、現実には派遣先の要求に必ずこたえられるようにということで結ばざるを得ないわけでしょう。  今、私の手元に、これは電子計算機関係の労働組合からいただいた資料ですけれども、これによると、「三六協定申請内容の変更」ということで、「貴社の三六協定申請内容のうち延長することができる時間を、一日については十三Hr以上、一ケ月については百Hr以上に変更した上で協定書の写しをご送付願います。」こういうように具体的に要求を突きつけられているわけですね。これに反したら恐らく仕事をもらえなくなってしまう。だから、こういうような形で押しつけられて結ぶ以上、派遣元と幾ら話し合いをしても何も問題は解決しないんじゃないですか。こういう整理では何ら役に立たないんじゃないか、その点、どうでしょう。

菊地好司労働省労働基準局監督課長

○菊地説明員 このたびの労働者派遣事業法制におきまして、労働条件の決定権者は雇用主である派遣元事業主ということになりまして、三六協定の提出の段階等でそこら辺も十分精査いたしまして、労働条件が自主的に決まるところで決められるように指導したいというふうに思っております。

小沢和秋日本共産党・革新共同

○小沢(和)委員 いや、だから、実際にはそれは幾つかのところに派遣しているんでしょうから、それぞれのところ、一番たくさん要求をしているところに合わせて三六協定を結ばざるを得ないということになってしまって、実際には三六協定というのは、労働時間をこれだけ短縮せよといって指導している中では、最低にできるだけ抑えるという方向であなた方指導していると私は思うのですが、実際にはそういう指導の精神などというのは全然生きないのじゃないかということです。この点については、私は指摘だけにしておきます。  もう一つ問題は、その派遣元事業所で協定の過半数を代表する者をどうやって選ぶのかということです。いろいろなところに派遣されているわけですから、実際には顔も何も知らない。あなた、この間、選挙によって選ぶということも可能でしょうと言われたけれども、見たことも聞いたことも名前も知らないというようなところで選挙を形式的にやったところで意味がありますか。実際には、働く人たちを代表して、その声を反映したような形で三六協定を結ぶというようなことは、こういう形では不可能なんじゃないですか。

菊地好司労働省労働基準局監督課長

○菊地説明員 代表者の選出の件でございますが、派遣元事業所の実態がどうであるかによって対応は違うと思いますが、今までなかった形態という観点から工夫を凝らさなきゃならないというふうには思っております。例として、複数の候補者を立てて投票で決するとか、特定の代表者を立てて信任するとか、あるいは一堂に会する機会があるならばその場で選出してもらうとか、いろいろな工夫が必要だと思っております。

小沢和秋日本共産党・革新共同

○小沢(和)委員 だから、いろいろ工夫をして解決できるような実態があるのかということをもう少し真剣に考えていただかなきゃいけないと思うのです。  特に登録型の場合など、派遣元の労働者というのは、あるいはその職場も含めて日々変動しているわけでしょう。どれを基準に過半数というのかということさえはっきりしないわけですね。マンパワー社は、代表が先日ここで意見の陳述をしましたが、そのときは就業規則さえまともなものがいまだにつくれていない。私が残業の協定はどうなっていますかと言ったら、それどころじゃないというふうに告白した。それで、私もマンパワー社の人にどうなっているかと言って聞いてみたら、本人たちはそんな協定があるということも知らない。まあ派遣先の労働者がきょうは残業しているからというので残業してます。だから、協定も何もなしでこの人たちは残業しているというのが実態なんです。  こういうようなことが今度のことで工夫してちゃんとあなた方がこうあるべきだというふうに考えている方向にいきますか。私はこれじゃうまくいかないと思う。だから、やはりどうしても、派遣先にもあなた方一定の使用者性というのを認めているんだから、この団体交渉を先とも問題によってはやるということは最低考えないというと解決しないんじゃないですか。この点で私の質問は終わります。

菊地好司労働省労働基準局監督課長

○菊地説明員 御指摘のマンパワージャパンにつきましては、早速事情を調べているところでございまして、適切に対処したいと思っております。  なお、派遣事業法制施行後におきましては、三六協定が適切に結ばれるようにいろいろ考えていきたい、かように考えております。

小沢和秋日本共産党・革新共同

○小沢(和)委員 終わります。

戸井田三郎自由民主党・新自由国民連合

○戸井田委員長 次回は、明後二十五日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時五十五分散会      ――――◇―――――

国会会議録検索システムで原文を見る ↗