社会労働委員会 第16号
- 発言数
- 256 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1985/04/18
会議録
○戸井田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、児童扶養手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、これを許します。村山富市君。
○村山(富)委員 これまでの本委員会における質疑の中で、今度の改正案の問題点というのはもうほぼ明確にされておるわけです。私どもは、この法案の改正案の目的の中に明示されておりますように、従来は児童の健全な育成というのが大切だったけれども、それが家庭に変わってきたということが、もう基本的に納得できないという点でもありますし、その目的が変わったことから、いろいろ具体的な内容についても大変な改悪が盛り込まれておるわけでありますから、この法案自体には賛成できないわけです。 ただ、これまでの経緯の中で、未婚の母の扱いとかの修正についての話がありますが、そういう点についてはぜひそういう方向で実現をさしてもらいたいと思うのです。 きのう理事会に自由民主党から、そうしたものを含めた修正案が提示をされました。特に、この修正がもし本委員会で成立した場合にどういう扱いをするかということについて厚生大臣の見解を承っておきたいと思いますので、その点について、まず御質問を申し上げたいと思うのです。 自由民主党から提示されました修正案は、改正法の第四条第五項の父の所得による支給制限の規定は、扶養義務の履行状況、父の所得の把握方法等を勘案し、政令で定める日から施行することとされている。この修正案が、今申しましたように仮に成立したという場合に、この修正の扱いをどうされるつもりか、そのお考えを聞きたいと思うのであります。 これは質疑の中でも十分議論されましたけれども、例えば民法では民法の規定があるわけです。これが仮に民法で決められた扱いについて、裁判所の方である程度の判決が出た、あるいは方向が示されたという場合に、厚生省の見解と違うというようなことがあった場合の扱いをどうするか、それからまた、別れた父の方の所得をどう把握するのかといったような問題は、大変困難な問題がある。特に最近の状況を見ておりますと、窓口に訴えられるいろいろな訴えの中には、例えばプライバシーに当たって迷惑するとか、あるいは人権侵害になるとかいったような問題まで言われておるわけでありますから、そういう点も含めて私はやはり慎重な扱いをしていただく必要があるというように思いますから、今申し上げましたように、この自民党から提示をされた修正案が成立した場合の扱いについて、この際、大臣の見解を確認をしておきたいと思います。
○増岡国務大臣 お答え申し上げます。 この条項の施行につきましては、本委員会における御意見等も十分承った上で行うことといたしまして、厚生省だけの判断で一方的に実施に移すようなことはいたしません。
○村山(富)委員 今大臣から、本委員会の意見も十分承った上で、一方的に厚生省は施行することはしないということの答弁がありましたから、その点はまず確認をしておきます。 次に、現在、扶養手当は法第三十二条の規定によって郵便局で支払うことになっているわけです。改正法が成立した場合は都道府県知事が支払うことになるわけですから、附則第十一条の規定により、既認定者に係る支払いについては、政令で定める日まで国が取り扱うということになるわけですが、しかし、改正されますと、都道府県知事が指定する金融機関、こうなりますので、郵便局は一応除外されることになるわけですね。しかし、受給者の利便というものを考えた場合に、私は、改正されても、新規認定者も郵便局で手当の支払いができるような扱いをすべきではないかというふうに思いますし、政府においても十分そうした問題についての対処できるような考え方を持っていただきたいというふうに思うのですが、その点についてお尋ねいたします。
○増岡国務大臣 改正法が施行された後における児童扶養手当の支払い方法についてでございますが、既認定者については従来どおり郵便局で支払うことといたしますが、新規認定者については、受給者の利便という御趣旨はごもっともと存じますが、いろいろ問題もございますので、検討さしていただきたいと存じます。
○村山(富)委員 十分検討していただくように強くお願いを申し上げまして、質問を終わります。(拍手)
○戸井田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○戸井田委員長 この際、丹羽雄哉君外三名から、本案に対する修正案が提出されております。 提出者より趣旨の説明を求めます。丹羽雄哉君。 ————————————— 児童扶養手当法の一部を改正する法律案に対する修正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○丹羽(雄)委員 ただいま議題となりました児童扶養手当法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党・新自由国民連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。 修正の要旨は、第一に、児童扶養手当の支給対象となる児童の範囲を、現行どおり法律及び政令で定める二ととし、いわゆる未婚の母についても、この手当を支給することとすること。 第二に、昭和五十九年十一月一日とされている施行期日を、昭和六十年八月一日とすること。 ただし、第四条に二項を加える改正規定に係る部分については、扶養義務の履行状況、父の所得の把握方法等を勘案し、政令で定める日から施行することとすること。 第三に、そのほか所要の修正を行うこと。以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○戸井田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 この際、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。増岡厚生大臣。
○増岡国務大臣 ただいまの修正案については、政府としてはやむを得ないものと認めます。 御可決をされた暁には、その趣旨を体し、児童扶養手当制度の適切な運用に一層努力してまいる所存でございます。 —————————————
○戸井田委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に付します。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。浜田卓二郎君。
○浜田(卓)委員 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表して、ただいま議題となっております児童扶養手当法の一部を改正する法律案及びこれに対して自由民主党・新自由国民連合が提出した修正案につきまして、修正案及び修正案を除く原案に賛成の意を表するものであります。 児童扶養手当制度は、昭和三十七年に死別母子世帯に対して支給される母子福祉年金の補完的制度として発足しましたが、以来二十年余を経過した今日、母子福祉年金の受給者はほとんど消滅する一方、離婚の急増に伴い、児童扶養手当の受給者は六十万人を超え、その給付費も二千六百億円の巨額に達するに至っております。 今日、社会保障施策全般について、本格的な高齢化社会の到来と厳しい行財政環境の中で、制度の見直しが急務とされておりますが、本制度についても、第二次臨時行政調査会の指摘を受け、社会保障政策上の位置づけ、費用の一部について地方負担を導入すること等について検討が要請されていたのであります。 政府原案は、このような要請にこたえて、現行制度を基本的に見直し、離別母子家庭の生活安定と自立促進を通じて児童の健全育成を図ることを目的とする純粋の福祉制度に改めようとするものであり、その趣旨については基本的に評価できるものであります。 しかしながら、母子家庭の現状にかんがみるとき、次のような諸点について所要の修正を行い、真に援助を必要とする母子家庭に対して十分な配慮をすることが必要であると考えます。 第一に、いわゆる未婚の母を支給対象外とする点についてでありますが、未婚の母の中には真に援助を必要とする気の毒な者も含まれている事情を勘案し、現行どおり手当の支給対象とする修正を行うことであります。 なお、いわゆる未婚の母の運用上の諸問題については、今後一層適正化のために努力することが必要であると考えます。 第二に、政府原案においては、離婚した後も父は未成年の子に対し絶対的に扶養義務があることにかんがみ、父の所得が高額の場合には児童扶養手当を支給しないこととしている点についてでありますが、離婚後の父の扶養義務の履行状況等の現状から、直ちにこれを実施した場合には種々問題が生ずるおそれがあるので、扶養義務の履行状況等を勘案して、別途政令でその施行期日を定めるよう修正を行うことであります。 なお、施行期日については、手当の支給サイクルが八月に始まり翌年の七月までとなっていることにかんがみ、六十年八月実施が最も適当であると考えるものであります。 以上の修正は、本委員会審議を通じ最善の努力を尽くした上での結果であり、本法案の目的の達成と適正な実施に資するものと考えるものであり、私どもといたしましては、この修正案及び修正部分を除く原案に賛意を表するものであります。 これをもちまして。私の討論を終わります。(拍手)
○戸井田委員長 竹村泰子君。
○竹村委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、修正案にも原案にも断固反対するものであります。 まず第一番目に、本来、児童の健全育成を目的に母子福祉年金の補完として発足したものでありますけれども、今回の改正案は、その年金的性格を放棄し、一般の社会福祉政策にすりかえるものであります。したがいまして、支給対象も、目的、第一条にあります児童の健全なる育成という目的が家庭の生活安定ということで家庭が対象となっております。これは断固納得できないところでございます。中央児童福祉審議会など公の審議会にもかけられず、法案がこういう安易なすりかえを行うということは、国会軽視でもあり、重大な問題であると私は思います。 その他、今回の改正案は、現行制度を大幅に後退させ、児童の健全育成を妨げるものであります。現在、離別した夫婦の間に生まれた子供のうち七〇%が母親の手によって育てられているにもかかわらず、父親はわずかの人しか養育費を支払っていない、こういう状態の中でこのような法律改正を出してくるということは、まことに弱い者いじめとしか言いようがありません。 第三番目に、児童扶養手当は、昭和三十七年一月一日の施行以来改善に改善を積み重ねてきて、支給額はもちろんのこと、支給期間についても十五歳から十八歳に引き上げられてまいりました。関係者からは、十八歳までではなく、高校卒業まで支給してほしい、そういう熱心な要求が続いている最中、今回の改悪案はその期待をまさに裏切るものであります。十五歳までということは、高校進学の年であり、政府及び厚生省は、高校に行かせられないというお母さんたちの叫びをどう聞かれますか。中曽根内閣は、今回のこの改悪案で社会の片隅で必死に生きようとしている母親たち、子供たちの叫びをどう聞かれるわけでしようか。 数々の問題点を抱えておりますけれども、以上のような理由をもって私は原案及び修正案に断固反対し、私の反対討論を終わります。(拍手)
○戸井田委員長 橋本文彦君。
○橋本(文)委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました児童扶養手当法の一部を改正する法律案並びに自由民主党・新自由国民連合提出の修正案に対し、反対の討論を行 しょせん児童扶養手当は、母子福祉年金の補完制度として、父と生計を同じくしていない児童にも手当を支給する制度で、昭和三十七年創設以来、年々受給者の国籍要件の撤廃や支給期間の延長など、その改善が図られ、現在では、いわゆる未婚の母も含めて年収三百六十一万円未満の母子家庭に対し、子供が十八歳になるまで月額三万二千七百円、子供の数がふえれば加算して支給し、その費用は全額国庫負担とした等の現行制度に対し、今回の改正内容は、一、受給資格の上限年収を三百万円に切り下げる、二、支給額も、所得税非課税世帯の年収百七十一万円未満ならば三万三千円とするかわり、年収三百万円未満については二万二千円と一万七百円もカットする、三、新規申請分からは前夫の所得証明を提出させ、年収六百万円以上ならば養育費の支払いの有無にかかわらず支給停止、四、支給期間も七年間に限る、ただし義務教育終了前なら終了まで延長する、五、未婚の母には支給しない、六、費用の二割を都道府県負担とするなどを骨子とする大改悪であり、当然、法案の撤回を促してきたところであります。 母子家庭の厳しい生活状態は、厚生省の五十九年九月発表の離婚統計や五十八年度全国母子世帯調査でも明白であり、まさに実態無視の改正案なのであります。離婚の平均年齢も次第に高まり、これに伴って子持ちの夫婦の離婚率が全体の七割を占めるという中で、五十七年度現在で子供を引き取る姿も妻の方がこれまた七割という、文字どおり母子家庭が増加している現状であります。 にもかかわらず養育費を支払う父親の数は極めて少なく、厚生省の調査にも、養育費を受け取っている母親はわずか一一・一%、過去に受け取ったことがある母親も一〇・一%にすぎず、八割弱の母親が自力で子供を育てています。その生活費も、雇用及び賃金が低い極めて不安定なパート等による収入であり、一人で二つ以上のパートで働く母親も多く、母子家庭平均三・一六人世帯の年収は二百万円であり、一般世帯平均三・四人の年収四百四十四万円に比べ、その四五%と、半分以下であります。また、母子家庭の五分の一は年収百万円未満であり、二百万円未満でも五八%と、生活保護に頼らざるを得ない世帯がこの十年間に急増しているのが実情です。このような状況の中で大幅な支給額削減、所得制限強化、期間短縮などが行われることは母子家庭の自殺的行為と言わざるを得ません。 特に問題なのは、未婚か離婚かによって児童に対する福祉の姿勢を変えることは、平等に生き、育てられる権利を有する児童に対する明らかな差別扱いであって、憲法第十四条、法のもとの平等に違反し、かつ児童憲章、児童福祉法等の精神を真っ向から踏みにじるものであり、断じて許されるものではありません。 また、前夫の養育費の支払い義務を明確にしないまま前夫の所得次第で支給制限をするということは全く納得できません。統計資料にも明らかなように、養育費の支払い状況は極めて悪く、社会保障制度審議会の答申にも「扶養義務が十分に履行されるような手だてなしには、児童の福祉が確保されないことにもなりかねない」と厳しく指摘しています。公明党は、むしろ高収入の前夫から国に納入させる制度を工夫して対処すべきことを主張しました。 また、支給期間を原則七年間に短縮することも、児童福祉制度本来の目的を大きくゆがめるものであります。 以上、数々の問題点を厳しく批判、追及した結果、与党みずから、未婚の母には現行どおり支給する、前夫の所得による支給制限を緩和する等の修正案を提出しましたが、しょせん小手先の修正であり、極めて不満です。したがいまして、改正原案並びに修正案、ともに反対の意を表して討論を終わります。(拍手)
○戸井田委員長 塩田晋君。
○塩田委員 私は、民社党・国民連合を代表して、今日まで審議されてきました児童扶養手当法の一部を改正する法律案に対する修正案及び修正部分を除く政府案に反対の討論を行うものであります。 児童扶養手当制度は、父と生計を同じくしていない児童に対して国が手当を支給することにより児童の福祉の増進を図ることを目的として昭和三十七年に創設されました。この制度は、逐次改善される中で母子家庭の生活を支える重要な柱となっており、現に母子福祉対策の中核的な施策であります。その意味で、同制度の充実を求める要望も高いのであります。しかるに今回の改正は国民のニーズに逆行する内容となっており、福祉の後退であり、容認することはできません。 その第一の理由は、支給期間の有期化であります。現行制度は満十八歳未満の児童に支給されますが、今回の改正は七年間とし、ただし書き規定で義務教育終了まで延長されるというものです。これでは、高枝進学と同時に支給が打ち切られるケースも出るなど、母子家庭の生活を圧迫することは必至だからであります。 第二の理由は、別れに前の夫の所得によって手当を支給しないという改悪が行われることです。本案の修正により前夫の所得が七百五十万円に引き上げになったり、遺棄一年以上の支給あるいは一年未満の貸し付け等の対処が行われるといたしましても、所得によって手当支給を打ち切る思想には変わりがないのみならず、いたずらに事務の煩雑化をもたらすだけであります。また、確実に養育費が受け取れるのか受け取れないのか不安であり、辛うじて生活を営んでいる母子家庭の生活はまさに危殆に瀕してしまいます。したがって、前夫の所得によって手当を打ち切る措置に強く反対するものであります。 第三は、所得制限の強化と二段階制の導入による生活圧迫に反対をいたします。所得制限は現行の年収三百六十一万円が三百万円に引き下げられ、現に手当を受けている三百万円以上の人は受給できなくなります。これは明らかに制度の改悪であります。また、手当額の二段階制の導入でありますが、年収百七十一万円未満の低所得者の給付をわずか月三百円アップするのは、余り改善されたとは言いがたいのであります。 民社党は、修正折衝の過程で所得税非課税世帯の手当額を月額三万七千円に引き上げるよう強く主張いたしましたが、これは拒否されました。また、給付の全額国庫負担を八割とし、二割を都道府県の負担としたことも問題であります。私は、こういった政府の福祉政策に対する後退姿勢に激しい憤りを感ずるものであります。 以上の措置が改善されない限り、未婚の母への支給継続という修正がなされたといたしましても、その修正自体は我が党の主張に沿うものではありますが、我々の強く主張した原案の抜本的修正となっておりませんので、修正案及び修正部分を除く原案に反対するものであります。 母子家庭は今後増大の傾向をたどるでありましょう。したがって、母子家庭の生活の安定向上に政府が最善の措置を強力に展開されるよう要請し、私の反対討論を終わります。(拍手)
○戸井田委員長 小沢和秋君。
○小沢(和)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、児童扶養手当法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。 我が国の児童福祉の基本理念は、児童福祉法で定めたとおり、児童が心身ともに健やかに生まれ、かつ育成される権利を有し、すべての児童がひとしく生活を保障され、愛護されることにあります。国や地方公共団体の責任、児童に関する法令もすべてこの基本理念にのっとって策定され、運用されるべきことは言うまでもありません。 児童扶養手当法もまた、この基本理念の具体化として制定されたものであります。特にその対象が、現行法第一条、目的で、父と生計を同じくしていない世帯にまで広げられていることはその核心をなすものでありました。なぜなら、一般に女性の就業、経済的自立の困難さ等、母の側の事情もさることながら、むしろ保障されるべきは父のいない状態にある子供の側である点を明確にしているからであります。 ところが、本法律案は、その目的を「児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため」に手当を支給し、「もって児童の福祉の増進を図る」と変更し、児童の福祉の増進を第二義的なものに格下げし、手当を受ける権利者も児童から家庭の責任者に変えているのであります。その当然の帰結として、児童扶養手当法の性格をいわゆる貧困家庭に対する最低水準の生活保障を目的とするものに変質させているのであります。これが反対の最大の理由であります。 本法律案の中身は、この変質の具体化にほかなりません。離婚した父の所得による支給停止条項がそうであります。現実の養育料の支払い状況を見ても、別れた父の所得水準だけで決めるというやり方は、余りに現実離れした暴挙としか言えないのであります。 さらに、所得制限の強化と手当額の二段階制の導入は、ただでさえ生活に困難な母子世帯を一層困窮させるものであります。確かに、国の財政負担は軽くなりましょう。しかし、離別母子世帯は絶望のふちに追いやられるのであります。 第二に、本法律案は、現行法において責任主体として規定されている「国」の文言を削除し、支給主体も国から都道府県知事に変更しております。このように国が責任主体たる地位を放棄することは、国家が子供の成長発達権を保障し、そのための社会保障制度を充実していくべき憲法上の義務を放棄することであり、どうしても許すことのできないものであります。 これが本法律案に反対する主な理由であります。 ところで、本法律案に対して修正案が提出されました。すなわち、いわゆる未婚の母問題等であります。これらは我が党議員が質疑の中でも明らかにしたように、当然のことであります。しかし、本法律案の核心をなすべき児童福祉の理念の重大な変更については何ら修正するものではなく、到底賛成することはできません。 本法律案は、中曽根内閣の臨調行革路線が、また中曽根首相の言う戦後政治の総決算がいかに歴史の進歩に逆行しているものであるかを示す一つの典型であります。もし本法律案の成立を許すなら、必ずや近い将来において中曽根内閣・自民党は国民から痛烈な反撃を受けるであろうことを警告して、私の反対討論を終わります。(拍手)
○戸井田委員長 菅直人君。
○菅委員 私は、社会民主連合を代表し、児童扶養手当法改正案の修正案及び修正部分を除く原案に対し、反対の立場で討論を行うものです。 本改正案の原案には、支給期間を七年または義務教育終了までと短縮化すること、父親の所得による支給制限、支給対象から未婚の母を除外するなどが含まれており、まさに弱い者いじめそのものの内容となっております。 本日、自民党から提出された修正案において、未婚の母に対する支給が現行どおりとされたことについては評価できますが、父親の所得による制限については、条件が緩和されたものの、父親の扶養義務の履行が十分保証されないまま所得制限が残されたことは納得できません。さらに、支給期間については高校在学期間を除外する短縮化がそのままとされていることなど、全く承服できません。 このような理由から、我が党としては本法案に対する修正案及び修正部分を除く原案に対し、ともに反対であることを重ねて表明し、討論を終わります。(拍手)
○戸井田委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○戸井田委員長 これより児童扶養手当法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。 まず、丹羽雄哉君外三名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○戸井田委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいま可決いたしました修正案の修正部分を除いて、原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○戸井田委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○戸井田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○戸井田委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十時五十一分休憩 ————◇————— 午後一時六分開議
○戸井田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 内閣提出、国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案及び内閣提出、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。多賀谷眞稔君。
○多賀谷委員 昭和三十四年に国民年金法が提出されたときに非常に大きな論議がありました。それ以前に我が社会党は三度にわたって国会において五つの法案を提案をしておるわけであります。最近年金の問題が出ると、国民年金に社会党は反対したじゃないかというあちらこちらにためにする議論が起こっておりますので、もうだんだんそれに参加した議員が少なくなっておりますから、一言私が弁明をし、当時の実情を説明しておきたい、こういうように思います。 我が党が出しましたのは、まさに国民年金といって皆保険、これには一般国民年金と労働者年金を入れました。そうして、その労働者年金は今日問題になっております共済も、現職の共済組合員はそのままにする、しかし、新たにいわば公務員あるいは公企体その他に入ってくる人からこの国民年金に包含をする、それを労働者年金と民間を含めて言う、こういう構想であったわけであります。そうして、この財政的な保険料という問題は、これは税制にいたしました。一般国民年金税、労働者年金税、さらにそれを調整する基金をつくったわけであります。でありますから、言うならば国民年金法案、その施行及び調整に関する法案、そうして一般国民年金税、労働者年金税、さらに金庫金融機関の法案をつくりました。 こういうことでありまして、そのとき一番熱心に八木一男さんが提案理由の説明をされたわけでありますけれども、我々の考え方は、全国民にはこれをベースにして全部税金で賄うというべースをとったわけであります。その際に、私どもは賦課方式という方式をとりました。こういう議論を非常に重ねておりました際に、ついに政府案が強行採決されたのでありますが、それは保険料を納めて、そうして二十五年たって当時の二千円をやるという法案であります。 そうした中で私どもは、そういう魅力のない法案が一体役に立つか、これはほんのお年玉程度である、あめ正年金であるということで、それならば我々は税金で賄うという方針をとったわけであります。そうして、当時保革対決の時代でありましたから、ボイコット運動が起こったことは事実であります。しかし、障害者の問題が出まして、私どももすぐ障害年金にぶつかりました。それで急遽切りかえてひとつ推進をしていこうということを提案をいたしたわけでありますが、いわばそういう経過があるということを申し上げておきたい、こういうように思います。 これは、今日出されておるいろいろな法案を見ると、なぜあのときに大改革をしなかったのか、政府の方がイージーで縦割り年金をつくったために今日のような状態が起こったんだ、こういうように思うのですが、前のことは別として、我々は昭和三十四年以前から言うならばその案をもって政府案に対決をした。政府の案も、頭を見ていただくとわかるのですけれども、大体これは今の国民年金も全部の国民を包含するという前提に書かれているのですよ。そうでしょう。被保険者は当時、「日本国内に住所を有する二十歳以上六十歳未満の者は、国民年金の被保険者とする。」とばあんと全国民をくくってある。もっとも、後に日本国内に住居を有するというのは問題になったわけでありますけれども、これ全部くくったのですよ。そうして全部くくりながら、全部しり抜けにしたわけです。全部外してしまったのですよ。 こういうやり方をして、法律の体系を見ると、実に皆保険にふさわしい頭を出しながら、それが縦割りの中に埋没したという経過があるわけでありまして、そういう点を見ると感無量でありますけれども、ひとつ大臣、一体なぜ踏み切らなかったのか。あのときあれだけ我々は踏み切るべきだ、それから社会保障制度審議会も全部踏み切るべきだという答申を出したのですが、なぜそういうようになったのか。 それから、非常に残念なのが、厚生年金を一引き二引きして、そうして全部都合のいい方に持っていった。これは自民党ですよ。農林年金、私学共済、これは民間労働者ですから、厚生年金に入っておったものを全部出しちゃったのですよ。社会保障制度審議会はかなり怒りをもちましていわば抗議的な意見書を出した。そうして都合のいいものだけを引き抜いていっておるわけですね。そういう言うならば選挙政策にこの年金法案がつくられた。これは岸内閣が、農民にも年金をやると岸さんが言ってつくったんですよ。しかし、その年金は二十五年たって、保険料を納めてだった二千円。しかし、福祉年金は千円だった。ですから、二十五年も納めて二千円もらう、福祉年金は三十四年から千円だという、役所の方はまあ別の考えがあるでしょうが、大臣、一体どう思われますか。
○増岡国務大臣 年金制度というのは恒久的な立場から議論をしなければならないものであることは承知をいたしておりますけれども、当時はその観念がまだ普及をしていないといいますか、そのときの社会情勢に対応したという姿でそのようなものになったのだろうというふうに思います。
○多賀谷委員 臨む態度が極めてイージーな態度でいったということですね。そうして国民に一番大事なことが法律にないとか、わかりにくいとかと私は言っているんですが、第一、被用者の妻は、この本則でありますと入ってはならぬとなっている。ところが、現実には任意加入でできますよ、できますよと言っている。条文を探すのに大変ですよ。どこに書いてあるのか。これは入ってはならぬということをびしっと書いておきながら、実際は七百何万も任意加入しておる。この条文は一体どこにあるのですか。
○吉原政府委員 現行法におきましては国民年金法の附則第六条にございます。
○多賀谷委員 そういうことなんですよね。大事なことが本則になくて、どこか探してもわからぬようなところで、附則で希望する者は入ってもよろしいなんという。普通、条文の体裁からいうと、前に、入ってはならぬ、ただし被用者の妻の場合は任意加入ができる、こう書けばいいので、こんなわからぬ法律はないんだね。今度もあるんですよ。私は今度のことも言おうとしているから、現行法を引用したのです。 そこで、先ほどのにちょっと返りますけれども、正式に私が申し上げておきますと、次のような法律を出しました。それは、国民年金法案、国民年金法の施行及び国民年金と他の年金等との調整に関する法律案、次に一般国民年金税法案、労働者年金税法案、国民年金特別会計法案、この五つを一体として出したわけであります。でありますから、今から考えますと感無量の感があるわけですけれども、何か出だしからもたもたしたという感じを持っておるわけです。 さて、そういう中で私は今度の法案、すなわちスライド法案について若干質問をしたいと思います。 今、福祉年金というのはどれだけ上がるのですか、これをひとつお聞かせ願いたい。
○吉原政府委員 現在、福祉年金の月額は二万五千六百円でございますが、この法律によりまして月額九百円アップさせていただくということでございます。
○多賀谷委員 千円がこんなに上がったではないかという意見もあるでしょう。しかし、私は日本経済が伸びているんだということをよく言うのですけれども、これは日本経済の伸び率だけ上がっていないのですよ。一体日本経済はどのくらい伸びたのか。当時、三十四年から御存じのように無拠出は既に福祉年金を出したわけでありますが、そのときのGNPが十兆五千百四十三億円、今日は三百十四兆六千億である。二十九・九二倍であります。約三十倍上がっておるわけであります。それから一般会計予算は一兆四千百九十三億円です。今日、五十二兆四千九百九十六億円でありますから、三十六・九九倍、約三十七倍上がっておるのですよ。 非常におくれた福祉年金が、本来、日本経済が伸びるとか一般会計が伸びるよりもさらに伸びなければならぬでしょう、社会保障を触れているのですから。当然、一般経済よりも、あるいはまた一般の予算規模よりも伸びていくというのが至当ですよ。ところが、それが一般のGNPや一般の予算よりも伸びていないのですよ。一体、このことを厚生省はどういうように判断をしているのか。少なくとも一般の伸びよりも上がらなければならぬでしょう。どうなんですか。
○吉原政府委員 私どもは、福祉につきましては、高度成長時代、できるだけ福祉水準の向上ということに努めてまいりましたし、厚生省の予算全体としても、国の経済の伸び以上に伸びてきているはずでございます。福祉年金の額につきましても、多賀谷先生御承知のように、当初は月額千円で発足をしたわけでございますけれども、現在、先ほどお答えしたような金額でございますが、少なくとも国の経済以上には福祉年金の額は上がってきているのではないかと私は思います。国の予算全体としてのバランスも、厳密な意味で若干高い低いはあるかもしれませんけれども、大体国の一般会計の予算の伸び程度には、福祉予算全体としては伸びてきている。福祉年金の額も、若干の違いはあるかもしれませんけれども、その程度には伸ばしてきたつもりでございます。
○多賀谷委員 意地悪な質問をしないで、激励する意味で質問しているのですよ。ですから、数字を先に言ったのです。どうしてですか、一般会計が三十七倍伸びているのでしょう。それなのに一般会計ぐらい伸びておる、厚生省はそんな考え方じゃだめですよ。推進できないじゃないですか。本来、一般会計の伸びよりも、こういうおくれた福祉年金は普通伸びていかなければならぬですよ。福祉国家とか福祉社会を目指しているのですから。それが一般会計よりも伸びていないのではないかと指摘しているのです。ですから、厚生省は、いや、一般会計よりも伸びておりませんが、頑張りたいと思いますけれども、なかなかうまくいきませんでしたと、こう答弁しなければならない。きょうは激励しておるのですよ、あなた方を。そんなことでは、予算は上がりっこないですよ。 そこで、これはどなたでも結構ですが、老齢福祉年金の受給者というのを、最近の動向と、それから推移を教えてください。
○長尾政府委員 まず、現在の福祉年金受給者の状況について申し上げます。 昭和五十四年度末を一〇〇として申し上げますと、老齢福祉年金受給者につきましては、五十八年度末で七三ということで、減少傾向にございます。障害福祉年金につきましては、同じく五十四年度を一〇〇といたしますと一〇九になっておりまして、漸増と申しますか、ややふえておるわけでございます。母子福祉年金につきましては、これは昭和五十四年度を一〇〇といたしまして四三ということで、半減という状況でございます。
○多賀谷委員 老齢福祉年金は、だんだんお年寄りが拠出制の年金に変わっていきますから、だんだん減るわけですね。殊にあなたの方は、明治四十四年四月一日より前に生まれた人でないと福祉年金を原則として支出しませんからね。だんだん減っていくわけでしょう。大臣、減っていくのですよ、財源的には。財源的に減っていくのだから、少し手厚くしてあげてもいいと僕は思うのだな。こういうような人は、全く戦前から、戦中から、戦後から苦労をした人で、そして、言うならば自分が好んで入らなかったのではないのです、制度がなかったんですから。ですから、そういう配慮というのが全然ないじゃないか、こう思うのですね、これは大臣、どうですか。老齢福祉年金は、財源はどんどん減るのですからね。
○増岡国務大臣 御指摘のように、福祉年金千円時代から比べますと、経済成長、財政規模に対しまして伸び率が悪いというのはそのとおりだなと思います。 しかし、私どもといたしましては、この数年来はできるだけそれを上回るようにという努力もいたしておるわけでございますが、今日また厳しい財政状況になっておるわけでございます。その中で何とか上げ幅を確保いたしたいということでございますけれども、ただ、老齢福祉年金と普通の厚生年金、国民年金に対します国費の支出というもの、両方を見比べなければならない立場でもございますので、その難しい範囲内でできるだけの努力をしてまいりたいと思います。
○多賀谷委員 五年年金とか十年年金という制度もつくったわけですけれども、どうもお年寄りに極めて不親切だと思うのですよ、現在のお年寄りにですね。現在まだ高齢者社会でも何でもないのですよ。しかも財源的にどんどん減っていくという中で、なぜこんなにテンポの緩い年金の引き上げをやっているか、こういうように思わざるを得ないのです。 そこで、一体、今度の年金全体を見ると、スライドが書いてあります、三・四のスライドをするという。ところが、これはかなり積み残しがあるのですね。実際、消費者物価の上昇に比べて、今度三・四をやりましてもまだ積み残しがある。要するに今まで物価スライドをやりますということを言った趣旨に反する、こういう点を思うのですけれども、これは一体どういうことですか。大体厚生年金、国民年金は消費者物価スライドというのが基本ですね。それがなぜゆがめられておるのか、これをお聞かせ願いたい。
○吉原政府委員 厚生年金、国民年金につきましては、毎年度、法律上は消費者物価上昇が五%を超えた場合に、その率でもってスライド改定をする、こういうことになってきているわけでございまして、従来消費者物価が高かった時代におきましては法律の規定に基づいたスライドをしてきたわけでございますけれども、最近は、御承知のとおり消費者物価が非常に安定をしておりまして、毎年の物価上昇率で言いますと五%以下の場合が続いているわけでございます。そのときに法律上スライドを必ずしもする必要はないわけでございますけれども、諸般の事情を勘案いたしまして、政策的なスライドをしてきたわけでございます。 御案内のとおり、五十七年は前年度の消費者物価上昇率が四%でございましたけれども、政策的にその消費者物価上昇率に見合った四%のスライドをしてきておりますし、五十八年度は前年度の物価上昇率が二・四%でございましたけれども、国の財政状況、それから公務員の給与等が凍結をされました。そういったことを考えまして、年金についてのスライドも行われなかったわけでございます。五十九年度も前年度の消費者物価上昇率は大変低かったわけでございますけれども、公務員の給与に合わせまして二%の年金額の改定が行われた。六十年度どうするかということでございますけれども、前年度、それから前々年度の消費者物価上昇率を合わせましても実は五%を超えないわけでございますけれども、公務員給与等が三・四%五十九年度にアップをされましたので、それに見合って恩給なり共済年金の額が引き上げられるということとの関連を考えまして、六十年度にそれと同率の年金額の改定をさせていただいた、こういうことでございます。
○多賀谷委員 やはり原則は守ってもらわなければならぬ。なるほど五%を超えないからと言うけれども、法律ができてからずっとその年度ごとに消費者物価の指数を掛けてきておるわけですね。それが常に抑えられた。いわば政治的な給与ベースのゼロベースアップとかあるいは二%ベースアップというふうに抑えられて、厚生年金、国民年金まで原則が変わってきておるというところを私は非常に不思議に思うのですよ。賃金スライドでやりますと、これは共済のように大体前年度の給与、それが次の恩給とかあるいは共済のアップになる。ところが、システムが違うわけでしょう。我々が賃金スライドをやれと言ってもなかなかやらぬ、いや厚生年金や国民年金は物価スライドです、その物価スライドすら実行していないじゃないですか。そして安易に原則を変えるようなことはおやめになったらいいと思いますよ。一体、大臣はどう思われておるのか、お聞かせ願いたい。
○増岡国務大臣 この問題につきましても、法律上は五%ということでございますが、もちろんそれを超すような場合にはやるのが当然でございます。そのほかの場合につきましても、物価と、それから同種類であります共済年金その他の動向等勘案しながらやらせていただいておるわけでございますので、法の趣旨にもとるとは考えておりません。
○多賀谷委員 法律の条文に抵触するかどうかを言っているのじゃない。政治の姿勢を聞いておるのですよ。思いつき、思いつきでその場限りに絵をかいておったら、こういう長期的な給付はできないですよ。私はそのことを言っている。であるから、やはり消費者物価の上昇率でやってもらいたい。そうすると、五十九年度としては物価上昇の残はないのですね。
○吉原政府委員 今までの消費者物価の上昇率、それから年金額の改定のいわば残といいますか積み残し分というのがあるかどうかという御質問でございますけれども、六十年度三・四%改定をいたしました場合のいわば物価上昇率との差額分といいますか乖離分は一・三%程度ございます。
○多賀谷委員 一・三%あるわけでしょう。そこで、二千五十円に物価スライドで掛ける場合、すなわち厚生年金のベースが現行法では二千五十円、それは幾ら掛けるのですか。
○山口説明員 五十五年に定められました二千五十円の単価を、現在ずっとスライドをしてまいりまして一・一四四掛けるということになるわけでございますが、御提案をしております三・四%物価スライドをいたしました場合には、この数字が一・一八三になります。
○多賀谷委員 これでもまだスライド分が十分でない。一・三残っているわけですね。そこで、六十年度がそういう残ったままで、六十一年度はどうするのですか。今度は新制度ですよ。新制度はどうするのですか。我々がもらいましたこの説明書でも、これは五十九年度価格ですよと書いてあります。一体この一・三というものを含め、これだけじゃないのですよ、六十年度の消費者物価の上昇率を含めて六十一年度の新発足にはびしっと物価スライドができるのですか。
○吉原政府委員 六十一年度から、今参議院で御審議をお願いをいたしております年金法の改正が仮に成立させていただけたといたしますと、ただいまお話しの厚生年金の定額部分の基礎、二千五十円でございますけれども、五十四年の消費者物価、六十年の消費者物価、その間の消費者物価上昇率がその二千五十円に乗ぜられますので、その間の物価上昇率全部に見合った分が年金額の計算の基礎になる、こういうことになるわけでございます。言いかえれば、積み残し分はなくなる、解消されるということに措置をされております。
○多賀谷委員 措置をされておるというのは、法令ではどこに当たるんですか。これは極めて重要な問題ですよ。さっき私が申し上げますように、物価が何か五%以内だというので自由に政策的にスライドが行われておる。それならば六十一年度の保証があるのかどうか。六十一年度というのは積み残しの一・三に六十年度の物価上昇が四月一日から発足する新年金のベースになるんです。ですから、それは幾らになるかまだわかりませんけれども、その保証がどこにあるのか。
○山口説明員 基本的な考え方はただいま局長から御説明させていただいたとおりでございますが、ちょっと具体的に申し上げますと、例えば基礎年金につきましては五十九年度価格で月額五万円ということで法律を出させていただいているわけですけれども、その五万円の水準につきましては、例えば、ちょっと条文で恐縮でございますけれども、「昭和六十年の年平均の物価指数が昭和五十八年度の年度平均の物価指数の百分の百を超えるに至った場合においては、昭和六十一年四月以降の月分の」この五万円については、「その上昇した比率を基準として政令で定めるところにより改定した額とする。」こういう規定がございます。 趣旨を申し上げますと、五万円というのは五十九年度価格でございますので、五十九年、六十年の物価上昇率をこの五万円に掛けまして六十一年四月に新発足をいたします例えば基礎年金の額が決まってくるということで、そのような手当てを御指摘ございました二千五十円という単価等につきましても、すべて今回提出をしております法案において措置しております。
○多賀谷委員 大臣、これは非常に重要な問題ですよ。新発足に当たってこれが崩れたらこの年金制度は崩れてきますよ。このベースが法律上守られないでゆがめられたとするなら、公的年金に対する信頼は失墜する。これは非常に重要な問題ですよ。現実にまだ一・三残っているわけです。ですから、法律はまだ審議中でありますけれども、もし六十一年四月から実施するということになれば、これは絶対に守るんだという決意があるかとうか、これは大臣から保証を願いたい。
○増岡国務大臣 こういう大改革のときでございますから、過去の積み残し分は清算すべきものだと思います。
○多賀谷委員 大臣の決意を聞いたわけですが、これは一番重要な問題だ、こういうように思います。 そこで、私は若干質問を展開したいと思うのですが、それに伴う問題として賃金の再評価の問題があるわけですね。この賃金再評価はどうするんですか。
○山口説明員 厚生年金におきましては、賃金を再評価をするというのは、昭和四十八年の改正からいたしてきておりますが、いずれも財政再計算をいたしまして、制度改正をする際に、賃金水準等の上昇を考慮して過去の標準報酬を読み直すということをいたしてきております。今度の新法におきましても、その考え方を踏襲をいたしまして、六十一年四月から、過去の標準報酬を再評価をするということにいたしております。
○多賀谷委員 そういたしますと、標準報酬の再評価率というのは、六十一年の四月に発足するときには、もう新しい再評価でいくわけですか。
○山口説明員 今回御審議いただいております法案におきまして、六十一年四月から再評価をするということを決めております。ただし、具体的な何%という再評価につきましては、実際の賃金のこれからの上昇率等も勘案しなければなりませんので、具体的には政令でその率を決めさせていただくということを規定をいたしております。
○多賀谷委員 五年ごとの財政再計算ですね、それは今度はいつの年度になるのか。
○山口説明員 五十九年度に財政再計算はさせていただきまして、その再計算に基づく長期の見通し等お示しをしておるわけでございますけれども、今回の制度改正全体が、六十一年度から新制度スタートということになっておりますので、再評価につきましても、その六十一年度の時点から、それまでの賃金等の上昇率を考慮して数字を決めて再評価をさせていただくという考え方でございます。
○多賀谷委員 財政再計算は五十九年度にやりました。先ほどから、また法律にも書いてあるんですが、少なくとも五年ごとには財政再計算をやらなければなりませんよ。そうすると、ちょっとずれるんですね。六十一年度には、再計算の時期に賃金の再評価をやります、あなたはこう言っておるのですから、ちょっと言葉が合わないんじゃないですか。
○山口説明員 法律上、五年ごとに再計算をしろという義務はございます。それを従来は、諸事情を勘案いたしまして、三年ないし四年でやったケースもあるわけでございますが、いつ制度改正を行うかということについては、法律上特にいつしなければならないという規定はございません。 ただ、従来財政再計算をいたしまして財政を総ざらいするときに、制度改正も大きな制度改正はそのときに同時にするというのが慣例になってきたわけです。しかし、今回の制度改正は大変大きな改正でございますので、財政の洗い直しは五十九年の時点でいたしますけれども、その各制度の仕組みの施行につきましては六十一年からということで、従来の例と比べますと、再計算の時期と新しい制度がスタートしていく時期が、従来のケースからしますとずれているわけでございますけれども、法律的にはそういうことも十分可能なことだと考えておりますし、また今回のような大改正の場合、制度の施行というのはどうしても諸準備等がございますので、ある程度期間を置いて準備をさせていただかざるを得ないという事情がございますので、この点については御理解をいただきたいと思います。
○多賀谷委員 ひとつ大臣、ぜひ再出発に際しては、この物価スライド問題、それに呼応する賃金の再評価率の問題、これははっきりして出発してもらいたい、こういうように思います。 ついては、最近法律の制定も近いというので、いろいろな問い合わせが来ておるのですけれども、やはりこの既裁定の人、その前後の人ですね、そういう人々が一体どうなるんだろうかというのが、一番問い合わせが多い。 そこで、少し細かくなると思いますけれども、国民にとっては非常に重要ですから、ひとつ具体的な例を挙げて質問をしたいと思います。 夫婦とも大正十五年四月一日以前に生まれた、両方とも厚生年金の老齢年金の支給を既に受けておる、そういう場合に、夫が亡くなった。そこで、一体本人の老齢年金と夫が亡くなったための遺族年金との併給調整はどうなるのか、この点を伺いたい。 私どもが承知しておりますのは、大正十五年四月一日よりも以前に生まれた人はこの新制度には関係ない、こう聞いておる。 そこで、具体的にもう少し申し上げますと、夫婦とも大正十五年四月一日以前ですから既に厚生年金の老齢年金をもらっておる。そこで現行法でいきますと、例えば夫が加給年金を全部控除して基本年金で十四万円、妻は大変低いのですけれども六万円の老齢年金をもらっておる。そういたしますと、この場合はどうなるか。すなわち我々が承知しておりますのは、遺族年金は、これは二分の一でありますから、七万円と六万円で十三万円になる。 その次には、妻の老齢年金ですね、これが八万円だ。夫は十四万円もらっておる。そこで遺族年金は七万円だ。この場合はどうなるのか。 それから妻の場合は非常に給与が高くて、これは十五万円である。夫は十四万円である。その場合は一体どういうようになるのか。まず、現行法から御説明を願いたい。
○山口説明員 まず経過措置の基本的な考え方を申し上げますと、先ほど御指摘がございましたように、大正十五年以前お生まれの方という御指摘がございましたけれども、今回の制度改正で、一つは基本的には年金の水準を適正化していくということがございますので、その経過措置につきましては、施行時に五十九歳以降の方々から段階的に経過措置を設けるということをいたしておりまして、六十歳以上の方につきましては従来のルールで行くという考え方の整理でございます。 それからまた、今御指摘の併給の関係につきましては、基本的には従来二つの年金を併給をされているという方々については、今後ともその併給の状態のままで行くということでございます。ただし、法施行後新たに併給状態が生ずるというケースにつきましては、今回の新しい基本的には一人一年金という考え方のルールを適用していくという考え方でございます。 御指摘のケースでございますが、施行時に六十歳以上の方で夫、妻とも厚生年金の老齢年金を受給しておられる、だんなさんが亡くなられたというケースでございます。現行法ではどんな選択の方法になるかということでございますが、現行法では遺族年金と老齢年金の併給状態が生じました場合には、一人一年金ではなくて例外的な特例がございます。簡単に申し上げますと、夫の遺族年金と妻本人の老齢年金、基本的には選択していただくわけですが、そのときに夫の遺族年金の方を選択いたしました場合には夫の基本年金、先ほどのケースでは十四万という御指摘がございましたけれども、夫の基本年金相当額までは妻の老齢年金を併給をする、現行制度でそういう特例的な扱いをいたしております。 したがいまして、御指摘のケースにつきまして夫の遺族年金が七万円、妻本人の老齢年金が六万円という場合には、夫の基本年金が十四万でございますので、妻の老齢年金とその十四万と七万の差を足しますと十三万ということになろうかと思います。それから、七万、八万のケースにつきましては、今のような計算をいたしますと十四万。妻本人が十五万という場合には、当然これば妻の方を選択されるということになりますので十五万という選択がされるかと思います。 新法でそのルールがどうなるかということでございますが、これはその夫の報酬比例、夫の報酬によりまして遺族厚生年金の額が変わってまいります工考え方だけ申し上げますと、従来は夫の報酬訓に二分の一ということでございましたけれども、その乗率を四分の三に引き上げることにしておりますので、夫の遺族年金は夫の報酬掛ける四分の三、みなしの加入期間が当然かかるわけですけれども四分の三ということになります。それに高齢の遺族の場合に三万七千五百円を特別の加算をすることにしておりますので、まとめて申し上げますと、夫の遺族年金というのは夫の報酬、夫のいわば従来の基本年金額の四分の三に三万七千五百円がプラスされた額ということになります。 妻の老齢年金につきましては、これは経過的な措置でございますが、現行で先ほど申し上げておりますような特例措置を講じておりますので、その考え方を踏襲をいたしまして妻の老齢年金の二分の一額を併給するということにいたしております。したがいまして、まとめて申し上げますと、新ルールでは妻の老齢年金の二分の一とその夫の遺族厚生年金、三万七千五百円が加給されたもの、これを併給されることになろうかと思います。
○多賀谷委員 わかりました。大正十五年四月一日以前の人は現行法どおりで、新制度には関係がないと言っておるのは今もらっておる老齢年金その他である。一方が亡くなったという新しい事態というのはやはり新法でいくんだ。そうしてその新法のうちで報酬比例分と定額分とあるのですけれども、それを二つに分けて報酬比例分の四分の三が遺族年金であるが、しかし額も少ない、あるいは経過措置としては三万七千五百円をプラスする、そのほかに本人の老齢年金のうちで、その二分の一は暫定措置であるが支給する、こういうことでよろしいですか。
○山口説明員 妻が六十五歳になりました時点ということで申し上げますと、今申されたとおりでございます。
○多賀谷委員 次に、大正十五年四月一日以前の生まれではない、その以後の生まれでありますけれども、既裁定で年金をもらっておる坑内員の場合あるいは船員の場合はもらえる、女子の場合も老齢年金がもらえる、そういうケースであります。 例えば、既裁定の場合に、言うならば夫は五十七歳、妻五十五歳でともに厚生年金の老齢年金を現行法でもらっておる、その場合に、法律施行後に夫が亡くなったという場合も同じですか、どうですか。
○山口説明員 考え方としては、先ほど申し上げたケースと同様でございます。ただし、先ほど申し上げました三万七千五百円の加算につきましては、年齢の若い方々につきましては、これから老齢基礎年金の額がふえてまいりますので、年齢に応じて段階的に逓減をしていくという措置を講じておりますので、年齢に応じましてこの三万七千五百円という額が下がる点が相違点でございます。ただいまのケースですと大体三万円ぐらいかと思います。
○多賀谷委員 次に、厚生年金の受給者です。これは、今までは任意加入でしたが、今度は老齢年金をもらっておっても、六十までの人は任意加入でなくて強制加入になるのではないですか。
○山口説明員 老齢年金の受給権者につきましては任意加入でございます。遺族、障害年金の受給権者につきましては強制加入ということでございます。
○多賀谷委員 わかりました。遺族と障害年金受給者は強制加入、老齢年金の受給者は任意加入ですけれども、厚生年金から国民年金に任意加入した分の老齢年金はどうなるのですか、何で支給するのですか。
○山口説明員 国民年金の任意加入の期間につきましては、御指摘のケースも含めてすべて基礎年金の加入期間ということで、強制加入者の加入期間等と全く同様に扱うことにいたしております。
○多賀谷委員 国民年金へ入ってからのは通算老齢年金じゃありませんか。
○山口説明員 任意加入されておりました期間につきまして老齢年金が出るという方については併給でございます。
○多賀谷委員 いや、併給だけれども、それは通算老齢年金と言うのでしょう、こう言っているんです。
○山口説明員 大変失礼いたしました。厚生年金の遺族年金と通算老齢年金が併給されるということでございます。
○多賀谷委員 まだそこまで言ってない。今のは老齢年金の範囲の話をしておったのです。 なかなか複雑ですね。僕らは通算老齢年金というのは、既裁定、今までの通算老齢年金をもらっている人は存続するけれども、新たな通算老齢年金は起こらないんだと思っておったんですけれども、やはり新たな通算老齢年金が残っていくんですね。
○山口説明員 新制度につきましては、従来の任意加入期間も含めてすべて基礎年金という同一の体系の中でとらえますので、通算年金という考え方はなくなるわけでございます。ただ、既裁定の方の過去の加入期間に基づく給付というのは若干残りますので、その方々につきましては通算老齢年金が経過的に残るということでございます。
○多賀谷委員 さらに質問をしたいのですけれども、では経過措置的な人ですね、言うならば既裁定の受給者ではなくて今保険料を掛けておる人、それで昭和二十一年四月一日までの方、その中にはいろいろあるのですけれども、四十歳から六十五歳までの妻の場合もあるのですが、遺族年金と本人の老齢年金、妻は厚生年金加入者であったという場合を想定してみるとどういうようになりますか。
○山口説明員 年齢によっていろいろなケースがございますけれども、まず、だんなさんが亡くなられましたときに既に四十歳以上であったというような高齢の方について申し上げますと、先ほど申し上げましたように、夫本人の基本年金に相当する部分の四分の三というのが遺族厚生年金として出ます。それに中高齢の加算ということで三万七千五百円の加算がつくということでございます。 その後、妻が老齢年金の受給権を獲得したというケースにつきましては、六十五歳までの間につきましては今申し上げました遺族厚生年金と厚生年金の特別支給の老齢年金をどちらか一方選択していただくということになります。そして六十五歳になりますと、これは先ほど申し上げましたように、その夫の遺族年金プラス妻、御自分の老齢基礎年金が併給をされるということになります。ただし、このケースにつきましても、先ほど申し上げましたように遺族厚生年金につきます三万七千五百円の加算につきましては、妻の年齢に応じまして若干ずつ減額をしていくという経過措置をとっております。
○多賀谷委員 その施行日に既裁定の老齢年金の受給者、それが国民年金に任意加入しておった、その方が亡くなった場合には、通算遺族年金というものがベースになりますか、支給されますか。通算が残りますか。国民年金加入期間における通算が残りますか。
○山口説明員 改正後のケースを今の先生の前提で想定いたしますと、これは出ません。
○多賀谷委員 そうすると、現行で、厚生年金の受給者であって、施行日までの間に国民年金に入っておるという場合にはどうなりますか。五十九歳であった人。そうしますと、五十五歳で既に炭鉱のような場合はもう老齢年金の資格がありますから、もらっている。その後に四年間ぐらいは国民年金に入っておったという人は、その人が亡くなった場合に通算遺族年金というものは残りますか、残りませんか。
○山口説明員 これは先ほど申し上げましたように、新体系になりますので、施行後の死亡ということになりますと、出ないということでございます。
○多賀谷委員 そうすると、国民年金に入った分だけマイナスですか。何ら手当てがないのですか。
○山口説明員 この点につきましては、今も共済年金と厚生年金等の関係では通算遺族年金ということがございますけれども、国民年金との関係ではそういうことはございませんので、現行制度においてもその点は出ないということでございます。
○多賀谷委員 現行でも出ない。では、任意に入るのがばからしかったということですね。なぜ入ったんですかということになるね、出ないのなら。そうでしょう。ゼロなんですか。任意加入させておいてゼロですか。
○山口説明員 国民年金に任意加入していただいた期間につきましては、老齢年金としては通算をしてその額もふえますので、そういう意味では任意加入していただいている意味は十分あろうかと思います。
○多賀谷委員 共済は見えていますか、大蔵省、まだ来ておらぬのかな。三十分したら来ますというふうになっておるよ。 今の件は、具体的な事例としては、例えば役所をやめて民間に入るという面が非常に多いわけでありますから、それをちょっと質問をしようと思ったのですけれども、基本的な共済年金の問題はいずれ質問をいたします。ちょっと関連して質問をしたいと思いますが、厚生省、答弁できるでしょう、 現実問題として、公務員で共済にずっと入っておる、そして退職して退職年金をもらった、そして民間に就職した、そういう場合、あるいは自営業に移った、六十まで国民年金に入り、ある人はまた厚生年金に入った、こういう場合における今度は新制度になった場合の老齢年金の問題はどうなりますか、こういうのを聞いておるのです。
○山口説明員 いろいろなケースがあるかと思いますけれども、ひとつ整理して御説明いたしますと、例えば共済年金で老齢年金、退職年金の受給権を持っておられる方が民間に彩られて、それで亡くなられたというケースを想定いたしますと、現行法では、亡くなられました時点で共済年金の老齢年金が、俗に言っております転んだ形での遺族年金と、それから通常の場合は厚生年金のいわば短期の遺族年金、この受給権が発生をすることになろうかと思いますけれども、その場合には、現行制度では厚生年金の方の短期の遺族年金は出ないという仕組みになっております。ただし、その厚生年金の加入期間に基づきまして通算遺族年金というものを支給をするという形になっております。 改正案におきましても、基本的には考え方は同様でございますけれども、若干細かくなりますが、改正案におきましては、まず短期の遺族年金というものを優先していこうということで、特別の申し出をしない限り、厚生年金の短期の遺族年金が出るという仕組みになっております。ただし、その申し出をして、共済年金の方のいわゆる転びの遺族年金とそれから今申し上げました従来の通算遺族年金に相当するもの、これを選びたいという申し出をしていただきました場合には、その選択もできるということでございます。 遺族年金の計算式が改正前後で変わっているという点につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。例えば二分の一が四分の三になって、原則二階の部分しか出ないという点については、基本的な仕組みと同様でございます。
○多賀谷委員 そうすると、みなし年金といいますか短期の年金、これは亡くなった場合を例示してお話しになったのですから、僕の質問より先に答弁がございましたけれども、いわゆる厚生年金にお入りになっておる間に亡くなったというので、結構な答弁をいただいたわけです。 そこで、先ほどから質問をしておりますけれども、どうもなかなかわかりにくいのですよ、これは。要するに、併給というのが大体わかりにくいのに、さらに既裁定、それから経過措置、それから新制度の六十一年四月一日前後をめぐってまた違うわけです。ですから、これはひとつ極めてわかりやすいように解説をし、流してもらいたい。これは混乱をすると思います。 続いて、障害年金との関係をお聞かせ願いたいと思います。これは割合に簡単ですが、障害年金受給者が老齢年金の資格を持ってきたという場合にはどうなりますか。
○山口説明員 障害年金と老齢年金の受給権が発生いたしました場合、現行制度におきましては、同じ制度の中でそういう状態が発生をしたというケースについては、一年金を選択をするということになっております。ただし、制度が異なりますと、その間の調整がございませんで、老齢年金と障害年金が併給をされるということでございます。 改正法案におきましては、基本的には、遺族年金については先ほど申し上げましたような特例措置がございますけれども、障害年金につきましては、一人一年金ということで、制度が異なりましても、一年金を選択をしていただくということにいたしております。
○多賀谷委員 障害年金をもらっております障害者の方、これは営々として国民年金に入っていたんですね。そして老齢年金の資格がつけば、障害年金と老齢年金がもらえると期待をしておった。ところが、このときは任意加入でした。今度は強制加入です。強制加入になるけれども、保険料は免除になっておるわけですから、今からはそう損はないということになるかもしれませんが、今までの期待権はどうするのですか。もうあなたは障害年金だけで、今まで払ったのはむだでしたよ、こうなるのですか、どうですか。これは局長かな。
○吉原政府委員 今御質問のケースは、参議院でも改正案の一つの問題として大変御指摘をいただいておりまして、従来でも、同じ制度の中で障害年金を受けている人が、勤めながら保険料を払っている。その人が老齢年金の資格を受けますと、老齢年金と障害年金、二つの年金の資格がつくわけですけれども、一方を選択して、通常は障害年金だと思いますけれども、老齢年金を受けられない。保険料を払いながら老齢年金は受けられない、こういう仕組みになっていたわけでございます。 従来ですと、厚生年金の障害年金を受けながらも、厚生年金を脱退して国民年金に任意加入した場合には、今お話しのございましたように、実は両方受けられるという仕組みであったわけでございますが、今回はもうそういった制度ごとに、制度が違えば併給をするというのはどうだろうか。できるだけ年金制度を一本にしていくという考え方に立ったものですから、違った制度でありましても、一人の人に二つ以上の年金が出ることはひとつ御遠慮いただく、調整をするということで、その異なった制度の間でも、どちらか一つを選択をしてもらう。そういう仕組みにいたしたものですから、いわばせっかく国民年金の老齢年金に任意加入をしていただいた場合にも、その老齢年金が生きてこないということが実際問題として今度の改正案についてはあるわけでございます。 考え方は、先ほど申し上げましたように、できるだけ併給は調整して、本当に必要な人に手厚い給付を行うという考え方でやったわけですけれども、障害年金を受けながら老齢年金も受けられるということでせっかく国民年金に加入された方には、実は率直に言いまして大変申しわけないという感じを持っておりまして、私どもとしては御理解をいただきたいと思うのですけれども、その辺につきましては今いろいろ参議院で御審議をいただいておりまして、その御審議の結果にまちまして対応させていただきたい、こう思っておるわけでございます。
○多賀谷委員 大臣、今お聞き及びのとおりですよ。任意加入させているわけですね。任意加入というのは普通の生命保険と同じなんですよ、任意加入という物の考え方は。任意加入をさせておってやりませんというのは、入らなかった方がよかったじゃないか。そしてその方々は、それは障害年金も上がったでしょう、上がったけれども、やはり期待をしておったわけでしょう。それを任意加入でやらないという。これは許されるのですかね、任意加入制で既得権を奪うというのは。任意加入というのは本当に普通の生命保険に入るのと同じですよ。ですから、こういうことが許されるのだろうか。これは裁判をしたら日本政府は負けるかもしれぬな。どうですか。
○増岡国務大臣 この問題は、今度の大改革に当たりまして一人一年金という原理原則を立てておりますことから生じているわけでございます。大改革をやろうと思いますと、やはり原理原則というものは押し立てたままでその変更をするということはかないませんけれども、しかし、そうでない物の考え方でいろいろ対策をする、対処することができるかどうかということは、やはり勉強、研究をさせてみたいと思います。
○多賀谷委員 これはやはり任意加入の場合にはそういう既得権が剥奪されることはありません、今後は別だけれども、今まで、既往に納めた分については保障するんだと我々が言い続けてきた。第一、サラリーマンの妻の任意加入も大変心配したわけですよ、既得権を奪われるのではないかとか、もうもらえぬのじゃないですかとか。いや、これは任意加入ですから大丈夫ですよ、こう我々は言ってきたわけです。ですから、我々がもらいましたこのパンフレットの任意加入の妻の場合も、表現としてははっきりしないのですよ。その「期間の実績を給付に反映させるのは当然のことです。」とか、「当初からそれなりの水準の老齢基礎年金が支給されることになります。」何かこれはあいまいなんですよ。こんなあいまいなことで、今まで長い間サラリーマンの妻に任意加入を勧めてきた我々としては非常に困る。これははっきりしてもらいたい。どうですか。
○吉原政府委員 サラリーマンの妻の任意加入分につきましては、新しい制度におきましてもその期間に見合った基礎年金の支給につながるというような措置が法律上明確にとられているわけであります。
○多賀谷委員 それじゃ、なぜこんなあいまいな表現をしているのですか。
○吉原政府委員 今引用されましたのは解説でございまして、考え方を書いているわけでございますが、法律上はきちんと過去の期間に応じて一定の額を保障するということに明確に規定をされております。
○多賀谷委員 一定の額を保障するなんて言わないで、条文にあるように、その期間は基礎年金として算入します、こうはっきりおっしゃれば我々は安心するのですよ、反映するとか、それなりの水準をやるとか、こんなあいまいなことじゃ国民も非常に困るのですよ。これを我々がもらったんだから法律を見ない方が悪いとおっしゃるかもしれぬけれども、この膨大な法律を一々読んで、とても難しいものですから、はっきりしておるならはっきりしておると。
○吉原政府委員 これは新しい法律の附則の中に第八条というのがございますけれども、読み上げますと、「施行日前の国民年金の被保険者期間は、新国民年金法の適用については、第一号被保険者としての国民年金の被保険者期間とみなす。」こういうふうにはっきり書いてあるわけでございまして、施行日前の国民年金の被保険者期間の中には先ほどの妻の任意加入の期間も含まれるわけでございます。
○多賀谷委員 そういうように明快に書いてもらえば心配しないのです。 そこで、先ほどの問題、勉強させてもらいますということはどういうことですか、大臣、今の障害年金の受給者の任意加入した老齢年金の問題は。勉強させてもらいますというのは、修正か何かに応ずるという意味ですか。
○増岡国務大臣 私どもはそのようなことを申し上げる立場ではございませんけれども、確かに原則は守っていかなければならないと思いますし、また御指摘のようなお気の毒な面もあるわけでございますから、その点につきましては現在参議院でいろいろ御審議をいただいておるわけでございまして、与野党の間でいろいろ御協議もいただき、また私どもも検討させていただきたいというふうに思います。
○多賀谷委員 任意加入の場合は、窓口で非常に推進しておるのですよ。お入りにならぬですかと勧誘しておるのです。そういうことですから、この任意加入をふった切るというのは法律的にもちょっと問題だと僕は思うのですよ。これは公的年金と言うけれども、その公的年金制度の中にいわば便乗と言っては悪いけれども任意加入というのは入ってきている。任意加入というものは生命保険と変わらぬのですから、それに入るんなら生命保険に入っておけばよかった、こういうことになるわけですね。これは慎重に扱ってもらいたい、十分尊重してもらいたいと思うのですよ。経過措置、随分尊重したものがあるんですから、そこだけ目くじら立てて言うことないでしょう。これはひとつぜひ要望しておきたい、こういうように思います。 大蔵省、見えておるのですが、共済年金の問題、まだ法案として出されておりませんし、また我々も別の機会に十分審議したいと思いますが、今、実は国民年金、厚生年金の新制度に変わる場合の既裁定の問題とか併給の問題をちょっと論議しておるわけです。ですから、大きい問題として一つだけ、併給問題については、これは厚生年金、国民年金は比較的制度内においておのおの調整がありました。共済の方は比較的なかったわけでありますが、今後その併給問題はどういうようにされるのか、お聞かせ願いたい。
○坂本説明員 お答えいたします。 ただいま御指摘のように、現在の厚生年金あるいは改正案の厚生年金におきましては一人一年金という形できちっとした併給調整が行われているわけでございます。しかしながら、現行の共済年金はその併給調整が不十分でございまして、例えば御夫婦ともに公務員としてお働きになっておられて、退職されて御主人がお亡くなりになるという場合に、奥様は御主人の遺族年金とそれから御本人の退職年金というのをいただけるということで非常に問題がある。問題があると申しますのは、現役の生活水準というものと卒業された方の生活水準というもの、あるいは現役の保険料負担ということから考えて、当然併給調整は今後行っていくべきものであろうというふうに考えております。 ただ、これは共済制度内だけの併給調整ではなくて、むしろ私どもは公的年金、被用者年金全体としてそういった併給調整を図っていくことが世代間の負担の公平の確保ということにつながるのではないかというふうに考えておりまして、去る十六日に閣議決定をいたしまして近々御審議をお願いしたいと存じますが、そういう方向で併給調整を考えているところでございます。 以上でございます。
○多賀谷委員 続いてお聞かせ願いたいのですが、国庫負担金というのは将来の見通しとしてはどうなるのでしょうかね。参議院で答弁があったそうですけれども、参議院で答弁をした点をお聞かせ願いたいと思います。
○吉原政府委員 現行制度の場合と六十一年から制度を改革した場合の国庫負担の見通しでございますけれども、衆議院の段階で七十年までの推計数字をお答えさせていただいたわけでございますが、その後、大変大ざっぱではございますけれども、一体その後大体どういう推移になるんだというようなお話がございまして、私ども確定的なことを申し上げることが非常に難しかったわけでございますけれども、大体の傾向というものを参議院でお答えをさせていただいたわけでございます。その数字を今ここで申し上げてよろしゅうございますか。(多賀谷委員「はい、言ってください」と呼ぶ)それでは少し長くなりますけれども、現行法で推移した場合の将来の国庫負担でございますけれども、六十一年、六十五年というふうに順次申し上げます。 現行法、六十一年二兆七千億円、六十五年三兆四千億円、七十年四兆四千億円、七十五年五兆五千億円、八十年六兆五千億円、八十五年七兆五千億円、九十年八兆一千億円、九十五年八兆二千億円、百年八兆三千億円、百五年八兆二千億円、百十年八兆円、百十五年七兆七千億円、百二十年七兆六千億円、百二十五年七兆三千億円、これが現行法の場合の国庫負担の見通しでございます。 改正案によりますと、六十一年二兆七千億円、六十五年三兆三千億円、七十年四兆一千億円、七十五年四兆七千億円、八十年五兆二千億円、八十五年五兆七千億円、九十年五兆八千億円、九十五年五兆七千億円、百年五兆六千億円、百五年五兆一千億円、百十年四兆七千億円、百十五年四兆四千億円、百二十年四兆三千億円、百二十五年四兆二千億円、以上でございます。
○多賀谷委員 これだけ高齢者がふえるというけれども、余り今度の改正では上がっていないのですね。そしてある年次からだんだん下がっていくわけですわ。今度の改正というのがどうもぎくしゃくして、そして給付率が下がっていく。給付率が下がっていくとどういう事態が起こるかというと、これはやはり個人年金というのがどんどん出てくるのですよ。ここが、社会保障の分野に商業主義がどんどん入るのは、民間活力の活用なんと言ってもこれは非常に酷な話でして、私はこれは政治上の大きな問題だと思うのですよ。 今、中流意識というのが割合に多いという、最近総理府が宣伝しておるでしよう。あの中流意識というのはどこから出たのだろうか。これは老後は安定している、病気になったら何とか見てくれるという前提のもとにあれがあるのですよ、中流意識というのは。老後は大変心配だというのだったら中流意識なんて出てこないのですよ。このことを僕は忘れてはならぬと思うんですよ。もっとも日本の中流意識というのは、本当は中産階級と違うんですよ。何か混同して、中産階級というのはイギリスの定義によると、大体親子三代所得がなくても暮らせる、これが中産階級です。 日本の場合は、整理をされると次から困るようなのが中流意識だというのです。それは自動車や電気冷蔵庫や何かはある。そういう意識をあおっておるけれども、肝心かなめの生活の基礎、基盤が揺らいでいくということになると、私は、せっかく中流意識で国民が支持しているというので喜んでいる中曽根内閣も、次から次へと、新しい総理大臣が出たころには、中流意識というのはがた落ちするんじゃないですか。現実に勧誘に来るのですよ。もう政府に頼っておってはだめですよ、疾病保険に入ってくれ、殊に最近は疾病保険に入ってくれと言う。それからもう一つは、年金に入ってください。こういうようになると困る。 この一番大きい問題は、皆さん大変苦労されていろいろ構築されておるけれども、肝心かなめは国庫負担が非常に少ないということですよ。私はこの前の国庫負担金の一割カットのときにいろいろ言いましたから言いませんけれども、皆が同じような我慢をしておるならともかくとして、要するに、大企業の厚生年金基金に入っているグループは八分以上の運用利子で賄われておるのですよ。そうして一般の民間労働者、これは七分、七・一があるいは七・〇、これはどう考えても僕は不合理だと思うのですよ。それからほかの年金、私は共済のことは言いませんけれども、ほかの年金の利回りを見てごらんなさい。それは大変大きな利回りのところもありますよ。ですから、厚生年金だけがなぜこういじめられなければならぬか。今、寄ってたかって厚生年金基金の中に入り込もうとしているでしょう。 皆さんは福祉年金から今度は障害は障害年金に変わって上げますと言うけれども、これは政府は一銭も出していないのだから。今まで全額出しておった福祉年金を今度はやめて障害年金を出せば、社会保険制度の中に入ってくる。どうもやることが、政府は自分の城だけを守って大変迷惑をかけている、こういうように思うのですけれども、厚生大臣、ここは頑張るところですよ。一体どういうように思われているのか。国庫負担金並びに積立金の運用問題はどう考えておるのか。あれだけ社会保障制度審議会が答申されて大騒ぎになった、これはいけるぞ、今度はいけると思ったら、何かかぎ穴が細くなってしまったですね。どういうようにお考えですか、大臣。
○増岡国務大臣 ずっと将来にわたりましての国庫負担は現行よりか下がるわけでございますけれども、これは年金そのものの破綻を防ぐために給付水準を適正化したということから起因をしておると思います。 それから、今、先生御指摘の積立金につきましては、確かに将来高齢化社会が進む中で、そのために対処する大切な財源でございますから、私ども、これまでも財政当局に対して有利運用のことも折衝を重ねてきたところでございまして、ほかの年金制度がいろいろな運用を許されておるところから、御指摘のような差ができておるところでございますけれども、今後もその点につきましては、安全かつ有利という観点から、また拠出年金でございますので、被保険者の御意見も承りながら財政当局と鋭意折衝をしてまいりたいと思っております。
○多賀谷委員 今度の改正案で、一体国民所得の割合というのはどのぐらいなんですか。一回計算したことがありますか。あれだけ高齢者が多いなんて宣伝しながら、一体今度の改正案で国民所得に占める割合はどうなっているのか。日本経済がどのくらい伸びて、そのときの国民所得はどのぐらいになるのか。GNPでも国民所得でもいいですが、一体どのくらいの割合を占めているか、これは非常に重要なことです。
○吉原政府委員 現行制度のままにいたしますと、年金制度を維持するために必要な年金の保険料が国民所得に対してどのくらいになるかといいますと、現在は大体六%くらいの負担で済むわけでございますけれども、将来は一五ないし一六%、国民所得に対する年金保険料、社会保険料の割合がそのくらい大きくなると見込まれるわけでございます。改正案によりますと、それが一一、二%にとどまる、こういうことになるわけでございます。 年金制度だけで見ますと今申し上げたような格好でございますけれども、このほかに健康保険の保険料その他児童手当、労災、各種の社会保険の保険料負担、それに一般の租税負担というものをあわせて考えますと、現行制度のままですと、国民所得に対して四五%から場合によっては五〇%を超えることになりかねないような大きな負担になるわけでございます。何といいましても、その中で税負担を別にいたしますと、社会保障負担の中では年金保険料の負担が一番大きいわけでございまして、これを今度の改正案によりましてかなり低くすることによって、租税なり社会保障を合わせた国民の負担というものも諸外国に比べてそれほど大きくない四〇%の前半ぐらいな水準にとどめ得るのじゃないかというような考え方、見通しを私どもは持っているわけでございます。
○多賀谷委員 どうもせっかく出していただいた——これは勇気を出して出したと思いますけれども、やはりこういう程度ですね。大騒ぎに宣伝をすることは要らない。日本経済はそれだけ伸びるのですからね。僕はどうもGNPの率からいうと、これはむしろ——物価は別ですよ、両方とも物価は別にしておるのだから。要するにGNPは伸びていくわけですね。ですから、その率からすると、むしろある時点からは下がっていくじゃないですか。だから、三分の一というのは無理なんですよ、全部の三分の一のように思うけれども、大体全部の三分の一じゃないんだから。半分以下の三分の一なんですよ。二分の一よりも少ない金額の三分の一なんですからね。国民年金は全体の三分の一でしょう。ですから、やはりこれは非常に無理な制度だと僕は思いますがね。そこで、一応これは今後我々が再計算期を前にひとつ検討したい、見通しをつけたい。 それから、今のようにだんだん社会保障の分野に平気で商業主義が入ってくる。あの調整年金をつくるときでもいろいろ議論があったわけですよ。調整年金をつくると一般の年金が、公的年金がなかなか上がらないというのが反対主張でありました。しかし、今日、時代がこういうことになりますと、それは今さらもう文句は言えないわけですね。既成事実がつくられた。しかし、三十万円年金なんてあるんですよ。これは盛んに宣伝しておるでしょう。三十万円年金というのは、一方においては非常に低い年金という、こういう問題が依然として残っておるわけですけれども、この点は今後ひとつ十分検討をしてもらいたい、こういうように思います。 それからもう一つ、どうも非常に難しいのでしょうけれども、政令をそのままにして法律だけ出されておる。政令には非常に重要な問題を含んでおるということで、制度的に疑問がありますのは障害の範囲の問題。なるほどあなた方は国民年金と厚生年金を一本化されて出るのですけれども、一体、障害の範囲はどうするのか。すなわち、国民年金の場合は障害は、これは日常生活に支障を来すということが前提条件である。ところが、厚生年金は、労働力に支障を来す場合に出す基準になっている。ですから基準がちょっと違うのですよ。これを一本にするというから、なかなか勇気があるなど思っておるのですけれども、いまだに我々のところへは出てこない。法律がもう成立が間近になるというときには、やはりその政令が出ないと、これは我々は安心できないと思うのですけれども、一体これをどうするつもりなのか、ひとつ御答弁を願いたい。
○吉原政府委員 今お話しの中にもございましたように、新しい制度におきましては、国民年金と厚生年金の障害等級表を一本化する。それは障害者に対する年金を障害基礎年金として一本化する、その中で障害等級表がばらばらでは、いわば大変おかしい、どうにもなりませんので、基礎年金の支給対象としての障害者、その等級表を一本化する、こういうことでございます。 そういったことで、原則的に、基本的には国民年金の日常生活能力の喪失なりあるいは制限の度合い、それを基準にした等級表に改めるつもりですけれども、私どもは何も障害の範囲を全体として絞るとか、そういったようなことは全く考えておりませんで、おおむね現在の障害者、障害年金を受けられる方、障害の範囲は、そのまま新制度においても踏襲をしていくという考え方をとっておりますが、一級、二級というような障害の等級については、国民年金を基準にして一本化をする。従来の厚生年金の三級は、大体新等級表で多少二級に移るケースもありますけれども、原則として障害厚生年金の対象として残すという考え方にしているわけでございます。
○多賀谷委員 そうすると、障害厚生年金の範囲においても、今の国民年金の基礎年金の一級、二級が大体障害厚生年金の一級、二級に該当する、こういうように見ていいわけですか。あなた方は政令の案を出してこないからね。こういう案を示してくれれば、我々がそういう質問をすることはないのですけれども、全然出さないんだもの。
○吉原政府委員 従来の国民年金の一級、二級と、それから従来の厚生年金の一、二、三級との関係ですけれども、大まかに言いまして、従来の厚生年金の三級の一部が新年金制度における障害等級の二級の中に一部入るということはありますけれども、従来の厚生年金の三級は、新しい制度におきましても障害厚生年金の対象として残る、こういうことでございます。
○多賀谷委員 そうすると、厚生年金の場合は三級だけ書くのですか。一級、二級は国民年金と同じ、こういうふうになるのですか。第一、現行法も違っているのですよ。一級も二級も違っているのですよ。目一つでも違うのですよ。
○吉原政府委員 厚生年金の対象は三級まで対象になるわけです。新厚生年金におきましても三級までが対象になるわけでございまして、その一、二級は国民年金の一、二級にぴったり合うということになるわけでございます。
○多賀谷委員 現行だって一級、二級が同じじゃないのですよ。国民年金と厚生年金の一級、二級は違うのですよ。ですから、今かなり明確にお話しになりましたけれども、国民年金の一級、二級をそのまま厚生年金の一級、二級にする、そして厚生年金独自の三級は別個に別表をつくる、こういうように理解していいのですね。
○吉原政府委員 基本的には大体おっしゃるとおりなんですが、今までの国民年金の一、二級が新国民年金の一、二級にぴったりそのままということではございませんで、厚生年金の一、二級と厚生年金の三級の一部が新国民年金の一、二級の中に入ってくるということでございます。従来の厚生年金の三級は新厚生年金の三級として、二級に移された部分を除いて残るということです。
○多賀谷委員 あいまいにされると困るのです。やはり政令を出していただいて審議の対象にしなければならない。大体これは政令なんてけしからぬですよ。労災だっていまだに法律にあるでしょう。別表は政令じゃありませんよ、労災保険は。今の国民年金も厚生年金もこれは別表があって法律の付表である。これを今度は政令にゆだねているわけでしょう。こういうことは非常に重要なことなんですよ、本人にとってみると、お医者さんにとっても。それを政令にして——大体基準が違う。国民年金は日常生活に支障を来す、一方、厚生年金は労働能力に支障を来す、これは法律の制定過程から当然でしょうけれども、現実に違うのですよ。 そして、あなた方が書いて我々がいただいたこれには、政令で定めるけれども、今の国民年金の等級をそのまま踏襲すると書いてある。そうすると、今のお話を聞くと、いや必ずしもそうではありません、新国民年金の等級をつくるのです、そしてそれを厚生年金の一級、二級にするのです、その厚生年金の一級、二級は新国民年金の一級、二級と同じだ、それだけ極めて明確にわかりました。そうして厚生年金の独自の障害等級は三級です、この点もわかりました。 しからば、国民年金の障害基礎年金なんですが、その等級の障害の範囲はどういうものであるか、今とどこが違うのか、これをお聞かせ願いたい。
○吉原政府委員 おおむね今の国民年金の一、二級が新国民年金の一、二級になるわけでございます。今の段階ではおおむねとしかお答えできないわけでございますけれども、その細かい部分を、一体どこの部分がどうなるのか、その辺を法律成立後施行までの間に医師その他の専門家の御意見を聞いてはっきりしたものにしたいということでございます。 先ほどお話しございましたけれども、障害等級表を政令で定めることにいたしておりますけれども、それは一つの新制度の準備の一環として障害等級表を一本化したいということが一つございますし、今労災のお話しございましたけれども、労災は法律ではございませんで、実は省令で決めているわけでございます。制度によってまちまちでございますけれども、必ずしも全部が全部法律じゃございませんで、省令にゆだねているような制度もございますので、私どもの場合には政令ということにさしていただいたわけでございます。
○多賀谷委員 失礼しました。これは規則でした。 とにかく法律が制定される前にこういう準備はしていただきたい。お忙しいでしょうけれども、非常に迷うわけですから、それを明確にしていただきたい。ましてや基本的に基準が、物の考え方が違うわけですから、そういう場合にはどうするかということをひとつはっきりしていただきたい。 そこで、ついでに政令事項を聞きますけれども、在職老齢年金は変わりますかどうか。それから六十歳からという減額年金の率は変わるかどうか。ひとつお聞かせ願いたい。
○吉原政府委員 在職老齢年金の基本的な仕組みは従来どおりにいたしたいと考えておりますけれども、在職老齢年金は、御案内のとおりその人の平均標準報酬月額に応じて一部支給の割合が違ってくるわけでございますけれども、その報酬月額の水準を上げることを予定をいたしております。その具体的な金額は政令にゆだねることにしているわけでございます。 それから六十五歳から本来の年金がもらえる場合に、六十歳から繰り上げ支給を受ける場合の減額率につきましては、これも政令で決めることにしておりますけれども、従来どおりの率にいたしたいと思っております。
○多賀谷委員 法律が制定されてから今日まで繰り上げ支給の率は変わっていないのですよ。こんなことは法律で書いたらいいでしょう。お年寄りはこれを一番心配しているのですよ。在職老齢年会もそうですよ。 そこで、今度率が変わると、その率はやはり四月一日から実施されるのですか。既に在職老齢年金をもらっている人は、その新しい率は適用ないのですか。
○吉原政府委員 在職老齢年金の一部支給率、標準報酬に応じた率というのは新裁定者だけじゃございませんで一班裁定者の方についても新しい政令が適用になるということでございます。つまり、標準報酬の金額は上がるということでございます。
○多賀谷委員 今まで質問をしてきたのですけれども、制度としてやはり非常にわかりにくい。国民がわかりにくいのですよ、これは。我々が苦労しながら質問しているくらいですから、国民はなかなかわかりにくいだろうと思うのです。ですから、これはよほど明快に下部に伝達をし、教育しておかないと、必ず混乱が起こるですよ。 最後に二点。請求しなければもらえぬ請求年金というのがありましたね。若齢老齢年金、要するに障害になって、あなたは退職したら六十にならなくてももらえますよという制度ですよ。これは請求なんです。請求をしておらなかったために大変損をしたという人もあります。そこで、請求年金というのは非常に重要なんですが、この在職老齢年金もかつては請求が——なくなった、今ないのです。ところが、あと残るのは何と何ですか。これは非常に注意を要するのですから、お聞かせ願いたい。 それで、もう一つは、例の、私ども関係委員会で長く質問しました坑内夫の計算方式の三分の四の廃止ですね。これは今も考え方は変わりませんか。この二点。
○吉原政府委員 新制度におきましては、今御質問の請求年金というのはございません。障害年金についての事後重症のみ今御質問にありました請求年金といいますか、そういう形で残るわけでございますけれども、その他のものについてはなくなるわけでございます。 それから第三種被保険者、坑内員の方についての資格期間の計算の特例につきましては、これも私どもの基本的な考え方、政府案の理由といいますか趣旨については今も参議院で御説明をさせていただいているわけでございますけれども、やはりこれを一挙に廃止するのは大変問題であるというような御指摘をいただいておりまして、これにつきましても国会での御審議の結論にまちたいという考え方でおるわけでございます。
○多賀谷委員 私、非常に心配しているのは、サラリーマンの妻が今度は三号の被保険者になるでしょう。ところが、夫が退職すれば厚生年金を払いません。そうすると、うっかりすると妻は一号年金に切りかわっていない。これが私は非常に多いと思うのですよ。今までは無関心であっても夫がどんどん保険料を払ってくれておる。ところが今度は夫が退職した、そうしたら、自分は三号でなくなっているわけですよ。一号へ移らなければならぬでしょう。この空間に障害がいろいろ起こると、いわゆる被保険者でない間の障害だというので何ももらえない。社会保険庁もおられるけれども、よほどPRしないと不幸な事態が起こるのではないかと思います。これをひとつどういうようにするか、お答え願いたい。それで終わりたいと思います。
○長尾政府委員 お答えを申し上げます。 先生おっしゃいましたのは、三号被保険者としての被保険者管理をしておりまして、その方の御主人様の社会保険上の地位の変更によります変更でございます。これは一つの考え方は御本人からの届け出をお願いしたいと思っておりますけれども、先生がおっしゃいましたように、そこにずれが出てくることは重々考えられますので、私どもといたしましては、もう一つ違うサイドからのチェックシステム、被用者保険サイドの変更がそういった形の第三号被保険者の変更に結びつくようなシステムを検討いたしておりまして、御本人の届け出と併用する形で考えたいと思っております。こういった場合でも、若干のずれ、一月とか二月とかのずれが出ることは予想されるわけでございますが、この場合は、今回の改正につきましては、その時点で一号でございますので、保険料のいわば滞納になるわけでございますので、滞納という事態がございましても、今までの被保険者期間全体を通じまして三分の二の拠出があれば、つまり三号としての期間が三分の二に満ちている形になっておりますので、障害年金の受給資格はほとんど得られると考えております。
○多賀谷委員 ありがとうございました。
○戸井田委員長 森本晃司君。
○森本委員 まず、援護法の方からお伺い申し上げたいと思います。 戦後四十年たちまして、だんだん戦争の傷跡はなくなったとはいえ、まだ戦後処理問題は数多くの課題を抱えていると言っても決して過言ではないと思うのです。こういった問題が一つ一つ処理されていって、なればこそ初めて戦争が終わったと言えるし、同時にそういう補償をすべて終わったからそれで戦後処理は終わったという問題でもないと私は思っています。後世の人たちに、再び日本が戦争に歩まないということのためにも、この処理問題をしっかりとやっていかなければならないと思うのです。今回の改正案については、特にアップの問題でございますので、ぜひこれ以上に、さらにまたいろいろと関係各省庁に御尽力を賜りたいと思うわけでございます。 そこで、前回の百一国会における附帯決議の中にありましたが、中国残留孤児の問題についてきょうはお伺いをさせていただきたいと思います。 附帯決議の中で「中国残留日本人孤児の肉親調査を今後とも積極的に推進するとともに、帰国を希望する孤児の受入れについて、関係各省及び地方自治体が一体となって必要な措置を講ずること。また、中国からの引揚者が一日も早く日本社会に復帰できるよう」云々ということでありますが、現実にまだ中国残留孤児の問題は多くの課題を抱えておりますので、その点をお伺いしたいと思います。 まず肉親捜しでございますが、第七次の大量調査で一つの大きなめどが立ってまいりました。また同時に昨年前厚生大臣の訪中によって一歩大きくは前進したかと思うのですが、厚生省はこの調査をいつまで続けてくださるか、それから、現状と今後の見通しについてお答えいただきたいと思います。
○入江政府委員 まず最初に現状から申し上げますと、ことしの三月末現在で私どもの方に肉親を捜してほしいという申し出がございました孤児の数が千六百二十六名おります。それのうちこれまでに身元が判明した者が八百二十八名、したがいまして差し引きの七百九十八名が現在まだ調査中ということになるわけでございます。この七百九十八名のうち、六十年度におきまして五十九年度の百八十人から四百人に訪日調査の数をふやします。そうしますとあと二百名残るわけでございますが、その二百名につきましては今年度厚生省の職員を中国に派遣いたしまして、ビデオ撮りあるいは事情聴取等をやってきまして国内で事前に放映する、この者については来年度の訪日調査を行うということで、六十一年度までに訪日調査をおおむね終了させる方針で現在進めております。
○森本委員 そこで、問題になっておりますのは、日本の調査と中国側が発表している調査との数にずれがございますね、これはどれほどのずれでございますか。
○入江政府委員 ただいまお話しがありましたように、中国側は、残留孤児は中国に現在まだ二千名おるということを言っておるわけでございまして、私どもこの二千名の具体的な名簿をできるだけ早くこちらにいただきたいと申し入れしまして、向こう側から、この七月までに大体名簿は渡せるだろう、そういうことで努力するという話が来ております。したがいまして、その名簿が手に入りました段階で、こちらの持っておる名簿と照合いたしまして、実際との程度実質的相違があるかということを究明していきたいと考えております。
○森本委員 中国と日本の数の違いで、押さえていくのはやはり名簿でしかないと思います。今局長の御答弁で、七月までにその名簿を取り寄せていただけるそうでございますが、いずれにしてもこれは我が国が起こした悲劇でございますので、そうした人たちを正確に掌握していく必要があるのではないだろうかと思うわけです。残留孤児の方々は、もう時間は命だと絶えずおっしゃっているわけです。これは、時間がたてばたつほどその肉親捜しは難しくなってくる。そういう意味で、一日も早く正確に把握し、中国が言っているのと日本とのギャップがありますが、現実にはやはりそれだけの肉親捜しをしておられる方がいらっしゃると思いますので、厚生省のさらなる御尽力をお願い申し上げたいと思う次第でございます。 そこで、昨年渡部前厚生大臣の訪中で日中相互が合意いたしました厚生省の調査団による中国残留孤児の訪中調査でございますけれども、これは非常に明るい昨年の材料、また前進した一つの大きな厚生省の訪中団だったと思うわけです。そこでそれの具体的実施はいつ行われるのか、行われる期間はどれほどなのか、調査対象地域は主にどの辺に重点を置きながらやっていくのか、その中で特に大事な問題は、どのような方法をとられるかという問題でございます。 今までは、どちらかと言うと第一次からは比較的記憶の鮮明な方々からスタートしていったようでございますので比較的捜しやすかったわけでございますが、これからはだんだん二歳、三歳当時に中国に残されざるを得なかった人たちになってまいりますので、記憶も非常に薄らいでくると思うのです。そういう段階で、残留孤児を育ててくださった中国側の養父母がやはりその人については一番よく御存じなわけですが、養父母への調査というのが今まで中国側との間でなかなかなされることができなかった、これが前回の訪中でその辺が非常に解けてきたように伺っています。養父母から当時のいろいろな模様を聞いて十分調査する必要があるわけですけれども、そういった方法について今度の訪中団ではどのように考えているのかという点についてお伺いしたいと思います。
○入江政府委員 訪中の時期でございますが、五月十七日から六月八日まで二十三日間を今のところ予定しております。調査に出向きます場所は東北三省の首都、ハルビン、長春、落陽ということになろうかと思います。現在私どもが考えておりますのは、そこに孤児の方に出てきていただいて事情聴取あるいはビデオ撮りをやりたいということであります。 ただいまお話がありました養父母から事情を聞いたらどうかということでございますが、一つの考え方と思いますけれども、孤児は要するに養父母の了解を得て肉親捜しを申し出ておるわけでございます。したがいまして、養父母も孤児が肉親を捜すということについて了解を与えているわけですので、養父母は孤児にできるだけのことを話すだろうと思います。したがいまして、それ以上のことを私どもが直接お聞きして聞き出せるかどうかという問題もございますので、一義的にはできるだけ孤児の方に手がかりを聞いてきていただいて、なおかつ孤児の方から直接養父母からも話を聞いてほしいという申し出がありましたらできるだけ対応できるように考えていきたいというふうに現在のところ考えております。
○森本委員 今のところは積極的に養父母に呼びかけるという形ではなしに、孤児からの要望で養父母に会っていくという考え方でございますか。その点も、でき得れば声をかけていただきまして孤児からそういったことを言う前にこちらの方のいつでもどうぞという環境づくりをしながら、一人でも多くの養父母から御意見を聞いていただくように、それが早く捜していく一つの大きなポイントになるのではないか、こう我々も思っておりますので、お願いしたい。 それで、ビデオを今おっしゃいましたけれども、ビデオは現地で孤児のビデオを撮られて日本に持って帰って何らかの機会に放映する、あるいはそういう関係者に持っていく計画でございますか、
○入江政府委員 あちらで撮ってまいりましたビデオは、公的と申しますか、要するにマスコミにお願いしまして流していただくということを考えておりますが、それだけでは要するに何回もということになりませんので、それのコピーをつくりまして、都道府県におきまして随時、あのとき見落としたけれども自分の息子がいるのではないかという方は都道府県に行けばホームビデオで見られるというような形にしたいと考えております。 〔委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕
○森本委員 ぜひそういうことを活用して一日も早くお願いしたいと思います。 もう一つ、今日までの七回の調査の中で孤児からの大変強い要望は、肉親が見つからなかった孤児について再度訪日する機会を与えてもらいたいということでございます。これは、本人が日本に永住するというものだけではなしに、捜したいという方があれば訪日の機会を与えていただきたいと思うのですが、それはどうでございますか。
○入江政府委員 先ほども申し上げましたように、現在、調査中の者が約八百名おりますが、そのうち約二百名は訪日調査を既にしております、したがいまして、差し引きますと六百名がまだ日本の土地を踏んでいないわけでございますので、当面この六百名についての訪日調査を優先させたい。ただ、既に訪日しまして未判明で帰った方につきましても、その後、こちらの肉親からあの子は自分の子供らしいというような申し出がございましたら、例えば血液鑑定をするために一遍帰った孤児を公費で日本に呼ぶということは考えていきたいということを考えております。
○森本委員 もう一つは、これは私も実感するわけでございますが、日にちは何日あっても足りないものでございます。いつもあと一日、二日というころになって、もう帰る間際に判明したとかいうニュースが流れてそれは非常に感動的なドラマになっているわけです。そういうのを見ていると、この十四日間という日にちがもう少しあればもう一人でも二人でも肉親が見つかるのではないだろうかという感がするわけでございますけれども、この十四日間という期間については厚生省では検討されたことがあるのか、あるいはもうこれで今のところ妥当な線だと思っていらっしゃるのか、その辺はいかがですか。
○入江政府委員 確かに十四日では短いじゃないか、あるいは直前になって、あと一日でも二日でも日本に置いてやればというような御意見もあるわけでございますが、まず一つは、向こうからの訪日調査は、団体として日本に来まして、日本にいる間の責任は日本政府が持っているということでございます。したがいまして、たまたま出てきた方一人、二人について残すということについてはまだいろいろ問題があろうかと考えております。 もう一つの問題として十四日でございますが、向こうの居住地から北京まで出てきてこちらに二週間おりまして、また北京から居住地に帰るというその間を延べにしますと大体一カ月要しているわけでございます。御存じのように、今孤児は四十から五十代ということで、家庭におきましても職場におきましても中心的な役割を果たしておられる。そういう方が一月以上生活の根拠から離れるということは無理があろうというようなことで、現在のところは十四日が妥当であると考えております。
○森本委員 日にちの点については、二、三日延ばしてもまた同じような状況は確かに出てくるかと思います。そういった意味で今厚生省が十四日と決めておられて、また向こうの家庭生活の都合もございますので、やはり一カ月という状況は非常によくわかります。その方向でいくならば、それだけに、今度初めて訪中調査団が行っていただくわけですが、先ほどから質問させていただいているように、事前調査に全力を挙げていただきたいという点と、もう一つは、対面中心の現在の調査方法に血液鑑定、科学的方法をもっともっと積極的に導入すべきではないだろうか。 それから、特に日本側の関係者の調査ですけれども、今孤児については約六万円ほどかかるわけでございますが、恐らく無料でやっていただいていると思うのですが、関係者は現在のところ有料、中には払えない人もある。三月の予算委員会でこの問題は同僚の岡本議員から質問がございまして、そのとき厚生大臣は、今までにも関係者が負担できず病院側が負担した例も一回あったと聞いており、早急に善処したいというふうな御答弁をいただいておりますけれども、この血液鑑定をより科学的に積極的にやっていくことと、関係者の血液鑑定を公費負担にできないものかというふうに思うわけですが。
○入江政府委員 御存じのように、肉親捜しは、血液鑑定は一つの資料として使わせていただいていますが、そのほかに環境、要するに年齢とか家族構成、職業とか避難した場合の経路等々からいろいろと手繰り寄せまして、そうらしいけれども踏ん切りがつかないというときに血液鑑定をやっているわけでございます。 それで、これまでの実績から言いますと、判明者の約八割は血液鑑定をしないでもろもろの資料で判定ができて、残り二割が踏ん切りがつかなくて血液鑑定をやっているというような状況でございますので、必ずしも全部やることがいいのかどうか、当面は今のままのやり方でやりたいというふうに考えております。 それから費用負担の問題でございますけれども、今お話しにありましたように、孤児につきましては国費でやっておるわけでございますが、こちら側の肉親につきましては負担していただいている。こちらの方々につきましては、一回限り、恐らく一回限りのことでございましょうし、通常そのぐらいは現在の日本の生活水準から言えば負担できるのではないか。ただ、中には経済的に力がないという方もおられると思います。その場合には、経済的な能力がないために血液鑑定ができずに、要するに結論が出ないで別れるということは人道上の問題があるということで、負担能力の問題はケース・バイ・ケースで見ながら、問題が残らないように対応していきたいというふうに現在考えております。
○森本委員 過去に一回あった、病院が負担したというのは結果的にはどうなりましたか。病院側が負担した例。
○入江政府委員 病院の方で負担してもらいまして、その方は判明いたしました。
○森本委員 その費用は最終的には病院持ちで終わったわけですか。——そういうことですね。 それじゃ、今後もやはりこういう方々もあると思うのですね。やはり肉親を捜すのに六万円かけてもいいんじゃないかという意見もあるかもわかりませんけれども、いろいろな事情でこういう負担のできない人は、私は厚生大臣の善処したいという予算委員会での回答を承りまして、そういう申し出のあった人については、何も全員が全員でなくても、少なくともそういう生活的に厳しい条件下にあるというのは客観的に見てもわかるのですから、それで本人の申し出があれば、積極的にそういうのは公費負担で受け入れていくように考えてもらってはどうかと思うのですが、いかがですか。
○入江政府委員 そういう状況の方につきましては、個々に御相談しまして対応していきたいと思います。
○森本委員 次に、昨年日中間で、日本政府は、孤児が永住帰国を希望する場合、在日親族の判明の有無にかかわらず受け入れる、こういう基本的合意がなされたわけでございますが、厚生省はそれによりまして今度身元引受人制度実施要綱なるものをおつくりになりまして、今それぞれ送っておられますが、現在、身元引受人の希望者あるいは適格者というのはどの程度掌握されているか、お聞かせ願いたいと思います。
○入江政府委員 身元引受人制度は、正確に発足しましたのはこの四月に入ってからでございますので、現在、制度としては身元引き受けを希望される方を募っているわけでございますけれども、それとは別に、これまでの訪日調査等の際にボランティアの方々から、そういう制度が将来動き出したら身元引き受けしたいというような希望の申し出が出ている方、あるいはこの制度について照会が今まであった方、約百三十名ぐらいおります。
○森本委員 いずれにいたしましても、今身元不明の孤児が二百二名おられるわけでございますので、そういった人が日本へ永住を希望される場合に、どうか安心して永住帰国できる体制を、厚生省、せっかくこの身元引受人制度をつくっていただきましたのですから、さらに強力にやっていただきたい、このように思う次第でございます。 それから、今まで日本へ帰ってこられまして永住帰国した孤児は今何世帯ぐらいで、その御家族は、家族数はどれほどになりましたですか。
○入江政府委員 世帯数は約二百世帯でございます。家族数はちょっと今調べて後刻報告いたします。
○森本委員 援護局から「帰国孤児生活実態調査」、五十九年の十月にされました調査を私の手元にいただいたわけでございますが、この中で、いろいろと御尽力いただいておりまして、相当何人かの人が自立してこられたわけでございますが、私は、一つの目安として生活保護の適用状況が日本の社会に溶け込んで永住できる態勢にあるかどうかの一つのめどではないかと思うのです。 厚生省からいただいた資料によりますと、帰国後四年以上の人で生活保護を受けておられる人が三四%。三分の一が生活保護を受けておられるというように思うわけでございますが、その最大の原因は、さらに就労状況を見てみますと、これも「就労したことがない」というのが男性で二一%、女性で四九%、全体の割合で三二%。やはり就労したことがないという人が三分の一ある。ここに、いまだ生活保護を受けなければならない状況下にあるわけだと思うのです。その就労状況の三分の一がまだ就労したことがないわけでございますが、さらに見てみますと、就労したことがない人の不就労の理由というのは、「日本語ができない」が最も多く五四%である。今この日本語ができないということが、こういった人たちの生活をまだ安定したものにしていない最大の原国ではないか。 そこで、定着促進センターで今一生懸命日本語を教え、またやっていただいているわけですが、大事なことは、出所後のそういった人たちにどういう制度を考えていくのか、どういう教育をしてあげるのかということが大事だと思うのですが、この点についてはどう考えているかを伺います。
○入江政府委員 要するに、孤児の帰国後の自立にとりまして日本語が一つの大きな障害であるというのは御指摘のとおりでございます。 それで、昨年発足いたしました国で運営しております帰国孤児の定着センターでは、四カ月間集中的に日本語の勉強をしてもらっているわけですが、これは将来日常会話をこなすための基礎づくりという程度のものでございまして、要するに退所後の日本語教育をどうするかという問題は大きな問題でございます。 それで、この点につきましてはいろいろな意見がございまして、引き続きまたどこかの施設に収容して教えるべきであるという御意見もありますし、そういうことよりも実社会に入って生活に即した勉強をした方がいいという御意見もあります。 それで、これは非常に難しい問題でございまして、ついこの間、十五日に再開していただきました残留孤児の懇談会の一つの大きなテーマにもなっておりますので、そこでの議論も踏まえながら今後の対策を考えていきたいというふうに考えております。
○森本委員 私も、もう一度そのセンターに入って、日本の生活からまた離れてやるということもまた大変なことだなと思うわけで、一日も早く生活になれてもらわなければならない。 ただ、それだけじゃなしに、さらにやはりもう少し、そういった人たちが居住する地域は随分方々に分かれてしまいますので一概には言えませんが、例えば通い制のセンターなどは考えられないものなのか。東京都内なら東京都内に一カ所そういうところがあって、そして日常は生活している、そして、そこへ夜でも集まってくる。そうしますと、今度はまたそういった人たちでいろいろな話もできて、孤独感からも解放されていくのではないだろうか、そういう通い制のセンター等々は考えておられるかどうか。
○入江政府委員 先ほども申し上げました施設での勉強と直接実社会での勉強との中間的といいますか、そういう意味である程度孤児の方がまとまっている地域についてはそういう適所の勉強をする施設といいますか、そういうものも一つの考え方だとは思います。そういうことも含めて検討させていただきたいと思います。
○森本委員 それで、さらに日本語の問題でございますが、中国から孤児が帰ってくる、さらにその児童がいらっしゃいます。この児童はほとんど中国で生まれ育った方々で全く日本語ができないという問題と、それからそういった人たちへの教育の問題があるわけでございます。特に高校へ進学したいという強い要望を持っておりながら今の日本の受験制度ではもう大半の人が落ちてしまう。これは落ちてしまうのもやむを得ない状況下でございます。中国で受けた教育と日本の教育とが異なってまいりますし、そこでも一番問題点になっているのはやはり言葉の問題であろうというふうに思われるわけです。それではそういった人たちはほとんど高校教育を受ける能力がないのかというと、受ける能力がないわけでもない。さらに受けたいと思っていらっしゃる人も数多くあるし、また、そういった人に機会を与えていかなければならないと私は思います。 そこで、文部省、きょうお見えいただいていると思いますが、せんだって非常に明るい材料がございまして、都立高校の入試の中国帰国子女に対する特例措置、問題に振り仮名をつけるとか、特に別室で試験時間を一・五倍にしたとかいう非常に東京都の特例の計らいがありまして、これで第一次落ちた人たちが第二次で相当合格した、非常に喜んでいるニュース。私も本当によかったなとそのとき思っていたわけでございますが、こういった考え方を、東京都だけではなしに全国的にそういう特例措置を設けていく考え方が文部省にあるかどうか、その点を伺いたいと思います。
○阿部説明員 お答え申し上げます。 高等学校の入学者選抜につきましては、文部省として昨年七月に局長通知を出しまして教育委員会に対する指導を行ったところでございます。その内容につきましてはいろいろございますけれども、その一つには、中国からの帰国者を含みます帰国子女一般につきまして入学者選抜用の特例を設ける内容の指導を行っております。具体的な内容といたしましては、そうした子女につきましては、入学定員の一定枠を設けるなどの配慮をしたり、あるいは選抜の方法、学力検査等にできるだけ弾力的な取り扱いをするようにというような指導を行ったところでございます。 具体的に入学者選抜の方法をどう決めるかにつきましては高等学校の設置者の権限でございまして、県立学校につきましては都道府県教育委員会が決定すべきものでございます。そういうことから東京都におきましても文部省の通知の趣旨に沿った今回の措置がとられたものというふうに考えておりますけれども、ほかの県におきましてもこの通知の趣旨に沿ってできるだけ改善措置が図られるように期待しておりますし、また文部省としても一層指導してまいりたいというふうに考えております。
○森本委員 それでは、海外駐在員の子女の場合には英語と国語の二科目で高校受験ができるように伺っているわけですけれども、中国の孤児に対してはそういうことは考えられないかどうか。
○阿部説明員 今申し上げましたように、具体的にどのような試験方法をするかは各都道府県の教育委員会が決めるべきことでございます。文部省としては一般的なガイドラインとして、そうした帰国子女につきましてはできるだけ特別な配慮をするようにという一般的な指導を行っておるだけでございまして、その線に沿って各県が具体的に措置をすべきものと考えております。
○森本委員 今文部省がそうして各都道府県にいろいろ指導していただいておりますので、さらに御指導をお願いしたいと思うわけです。 それともう一つは、中国の中学卒業資格者あるいは高校在学資格というのは日本では認められるものですか。中国の中学校を卒業した、この辺は高枝受験に対してはどうなっていますか。
○阿部説明員 一般的に外国の正規の学校を卒業した場合につきましては、日本の高等学校への入学資格がございます。その場合、外国によっていろいろな制度の違いがございますので、一応義務教育九年に当たります課程を終了した場合については高等学校の入学資格があるものというふうに考えております。
○森本委員 中国の高校に在学していて日本の高校へ入る編入試験は受けられますか、受けられませんか。
○阿部説明員 編入試験を受けることは可能でございます。
○森本委員 私もその点もう一度御確認をお願いしたいわけでございますが、私の手元にある資料では、中国で高校に在学していても日本の高枝の編入試験を受けることができない、このために高校入学希望者は一たん中学校に編入して高校受験に臨むことになるというふうな資料があるわけでございまして、これはこの委員会が終わってからでも結構ですが、もう一度御検討いただかなければならないと思うのです。そういうことがございます。 それからもう一つは、では、その人たちが義務教育の年齢の十五歳まで戻ってくるとなりますと、高校編入ができないとなりますともう一度戻ってこなければならないというふうになると、今度は過年度で高校受験ができなくなってしまうという弊害があるわけでございまして、今ちょっと意見が異なっておりますのは、私も十分調査いたしますけれども、高校編入試験が受験できるようにお願いしたいと思います。ただ、この受験できないという範囲の中には、恐らく受験しても、ついこの間まで中国におって日本に来てすぐに高校に入ることができないという意味でのできないかもわからないのですけれども、そういったことも踏まえて高校受験に関しては文部省の方もいろいろとこれから中国の帰国子女に対する調査を行っていただきまして、そういった人たちができるだけ日本の高校教育も受けられるような道を開いていっていただきたい、そのように思います。それはお願いでございます。 それで、中国残留孤児問題につきましては質問は以上にさせていただきたいと思いますが、ひとつ大臣、前厚生大臣も訪中いたしまして大変成果を上げておりますし、さらにまた今の増岡厚生大臣のときに中国残留孤児の問題、これからいよいよ記憶の薄い人たちを中心とした大量調査時代に入ってまいりますので、大臣のさらなる御尽力を賜りたいと思いまして、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○増岡国務大臣 御指摘のように、戦後四十年たっておるわけでございますから、孤児の方もあるいは親元の方も記憶が薄れてまいるわけでございます。したがいまして、私といたしましては、昭和六十年度、六十一年度で名簿の明らかでない四百人を含めまして一応の調査は終了させたいという決意でもって臨んでおるわけでございまして、また、そのほか先ほどからお話しございますように、帰ってきましたなら、やはり我が国に定着をしていただかなければなりませんので、その面でも特段の努力をしてまいりたいと思います。
○森本委員 中国残留孤児が日本へ帰って第二の悲劇が起きないようにさらにお願い申し上げたいと思います。文部省ありがとうございました。 次に、きょうは総理府にもお見えいただいていると思いますが、四月十日に総理府に戦後処理問題対策室を発足されたというふうに伺っております。いろいろな課題を抱えている戦後処理問題をさらに統括的に見ていこうというところからこの対策室が設けられたと思いますが、いかなる目的を持ってどれほどの規模でやっていかれるかお伺いしたいと思います。
○杉浦説明員 お答え申し上げます。 先生今おっしゃいましたように、予算の成立を待ちまして四月十日付で特別基金検討調査室が発足いたしました。そして、この部屋では、戦後処理問題懇談会が過去二年半ほどかかりまして三十数回御議論をいただきました報告の趣旨に沿った調査検討をさせていただきたいと思っております。そして、今現在の私どもの部屋の構成でございますが、関係省庁の御協力を得まして、私、室長でございますが、室長以下八名の体制で検討させていただきたいと思っております。
○森本委員 今までは省庁によっていろいろ違いますので、対策室ができて、これからいよいよその各省庁間のいろいろな調整もこの対策室でやっていただけるものというふうに私は期待を申し上げておるわけでございますが、それは間違いございませんか。
○杉浦説明員 お答え申し上げます。 戦後処理問題の関係で私どもが担当いたしております仕事は、先ほど申し上げましたのですが、戦後処理問題懇談会で御議論いただきまして提言をいただきました特別基金によりますいろいろな方々に対する基金事業の調査検討でございます。したがいまして、その関連、特に前回の懇談会では、恩給欠格者の方々あるいはシベリア等の強制抑留の方々あるいは在外財産を置いて引き揚げてこられた方々、こういった点を特に中心に御議論いただいたわけでございますが、私ども、そういった方々を中心にしながらいろいろな方々の御意見を聞くということはいたしたいと思っております。ただ、各省に対しまして調整権を持っておるわけではございませんが、事に当たりましては御連絡を申し上げるということはできると思います。
○森本委員 今度の調査室については私も大変期待を申し上げているところでございまして、若い有能な方々が各省庁から調査室員に選ばれてやってこられたというふうに伺っておりますので、ひとつ若いエネルギーでさらにやっていただきたいと思います。非常に個人的なことで恐縮でございますが、室長さんと私はどうやら同い年であるようにも思います。ただその場合に、我々は戦争の終わる直前に生まれた世代でございまして、そして終戦を迎えてその後も生きてきた。だから、戦中派にも属さない私たちがこういう問題に取り組ませていただくということは、未来へ向かっての一つの大きな流れをつくっていくよき機会ではないだろうか、そのように思っておりますので、ぜひ室長さんにさらなる御尽力をお願い申し上げたいと思います。 それから、さっき室長さんからお話がございました恩給欠格者の救済あるいはシベリア抑留者への補償、在外財産に対する補償、いわゆる三本の柱ですね。これが個人補償が行われるかどうかということが大変な論点でございますけれども、懇談会の回答が出て、四月十日に発足したばかりでございますので、まだ結論は出てないと思うのですが、方向性としては私は個人補償ができるような体制で検討すべきだと考えているのですが、いかがですか。
○杉浦説明員 お答え申し上げます。 先生が今おっしゃいました三問題、特にこの三問題の方につきましては個人補償を前提にというお話だったと思いますが、戦後処理問題懇談会では諸般の点、法律、制度いろいろ考えまして、結論といたしましては、いわゆる戦後処理問題についてはこれ以上国において措置すべきものはないとするとともに、関係者の心情に深く心をいだすという趣旨から、特別の基金を創設することを提唱しているということでございます。したがって、私どもはその提言の趣旨に沿いまして検討をしていきたいと思っております。よろしくお願いします。
○森本委員 一カ月足らずで恩給をもらえない欠格者、それからシベリアの極寒の地で大変な思いをして日本へ帰ってこられた人たちの心情等々を考えて、その辺をこれから十分御検討いただき、そういった人たちの期待にこたえるものであるようにしていただきたいと思います、それを要望しておきます。総理府の方、ありがとうございました。 それから、この数年間、平和祈念総合センターの基本的な問題の調査を遺族会に託してこられましたが、私も遺児の一人でございまして、遺児記念館を建てるというふうな話を伺い、今日まで期待してきたわけですけれども、この平和祈念総合センター、スタートは遺児記念館というふうな形でスタートしているんだと思いますが、今日までの経過を御説明いただきたいと思います。
○入江政府委員 さきの大戦で父親を亡くされまして、一方、終戦直後恩給停止というような事情があって、大変苦労された遺児の方々から、要するに国の慰謝を求める運動が昭和五十四年ごろ盛り上がったわけでございますが、日本遺族会はこの運動を受けとめまして、要するに社会情勢等をお考えになってこの運動を昇華させて、遺児が経験した苦労を再び繰り返さないように、具体的に言えば再び戦争が起こらないように、平和を願う気持ちを何かあらわすために遺児記念館をつくったらどうかというような要望が出てきたわけでございます。 厚生省といたしましては五十五年から日本遺族会に対しまして補助金を出しまして、遺族会の方は五十六年度に基本構想策定委員会というのを設けまして、検討された結果出た結論が、ただいまお話しのありました平和祈念総合センターという構想であるわけでございます。その構想に基づきまして、そのようなものをつくってほしいという要望が昨年十月、日本遺族会から厚生大臣に提出されたわけでございます。ところが、その内容は非常に広範囲にわたりまして、現在国の置かれている財政状況等あるいはまたその内容から見まして、国の内外に対する影響等も考えなければいけないということで、六十年度予算に、今度は国の立場から検討するということで、調査費を計上いたしまして、有識者の方に集まっていただいて将来の方向を検討していただくということを現在考えております。
○森本委員 この数年間で遺族会に七千八百万円ほどの補助金が出たように伺っております。さらに、ことしは今度は厚生省の予算に一千万円の調査費が計上されたわけでございますが、今後の計画はどういう方向に進んでいくのですか。
○入江政府委員 ただいま申し上げましたように、今度は厚生省に有識者の御意見を聞く場を設けまして、それで方向づけをしていただいて、要するに、この程度のものをつくるべきであるというような御議論が例えば出た場合には、その方向に従って作業を進めていくということになろうかと思います。
○森本委員 ぜひ再び悲惨な戦争を繰り返さないためにも、この問題については、私は厚生省の皆さんに積極的に取り組んでいただきたい。私も遺児の一人として、また遺児が、今、国会で働かしていただいている立場から強くこのことを要望いたします。 ただ、この平和祈念総合センターの基本構想なるもの、私も読ませていただいたわけでございますが、これは遺族会が出された問題で、厚生省も直接これに携わったという問題ではありませんので、どうこうと、これからいろいろ調査をし、構想を練っていただく段階ではあるかと思うのですが、ただ私は、こういうものができていく場合に、ともすればそれが本当の遺児の気持ちを込めた、あるいはまた再び戦争を起こさないという意味で、本当に平和への願いを込めた建物になっていくのか。場合によっては、それが戦争を宣揚していくような、ただ単に、亡くなった人は国のために亡くなってすばらしかった、すばらしかったということだけで終わってしまうふうになってしまいますと、私はこれは大変な過ちが起きてくるのではないだろうかと思うわけです。 そういう意味で、遺族会の基本構想も出ておりますが、厚生省がさらに今後調査していただきます場合に、非常に普遍的で、イデオロギーに偏ったり、殊に戦争を宣揚するような建物でないように十分考えていただきたいと思うのです。また、特定の宗教色を出してしまいますと、全部が参加することができないというふうになってまいりますので、その辺は十分これからも御審議いただけるかと思いますけれども、お願いしたいと思うのです。 この基本構想の中のこの一つをとってどうこうというわけではございません。しかし、例えば軍歌のカセットを販売するとか、あるいは展示場にピストル、当時の兵器のモデルガンとかを同時に販売するようにするんだというような方向性の御意見もあるように思うわけですね。そうなってまいりますと、また何となくきな臭いにおいになってまいります。その辺は厚生省として十分お考えおきいただき、取り組んでいただきたいと思うわけです。この総合センターの基本構想の提示を受けた厚生省のこれを読まれた考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○入江政府委員 先ほど申し上げましたが、その内容は非常に広範囲にわたりまして、かつ具体的になっておりますが、この問題は、先ほど御指摘ありましたように、広く国民のコンセンサスを得なければいけない問題でございますので、有識者の方々の御意見を聞きながら慎重に検討させていただきたいというふうに考えます。
○森本委員 ぜひこの記念館、何度も申し上げますが、私も期待しておりますところでございますので、厚生省の御尽力をいただきたいと同時に、今局長から御答弁いただきました、本当に国民の合意を得られる建物にしていっていただきたい。オーストラリアの記念館等々、やはりそういったものは何度かいろいろと非常に検討されて今日に至っておるように伺っております。どうか、だれもが本当に反戦、平和を考えることのできる記念館なればこそ、私は遺児記念館だというふうに思う次第でございます。 援護局の方への質問は以上で終えさせていただきます。大変急いでの質問ばかりでございましたけれども。 それから年金局長、わずかの時間しか残っておりませんでして、今までお待ちいただきまして申しわけございませんでした。 年金法の改正について、これも特に私としては異論はないわけでございますが、ただ、今回の年金額三・四%アップという点に、私は物価スライドの実態面から見て、三・四%ではどうしても少ないのではないだろうか。今日までここに至ってまたさらに積み残しているわけでございますが、五十六年度からの物価上昇率等々から考えてみますと、私はまだ一・二八%の積み残しがあるのじゃないだろうか。本当は四・七五%のアップを行うべきところであるけれども、今回は三・四%になってしまった。これは私は低いのではないかと思うのと同時に、三・四%というのは、共済年金の人勧ベースである。私は、厚生年金、国民年金は物価ベースであらなければならないと思うわけでございますが、その辺の考え方をお伺いしたいと思います。
○吉原政府委員 基本的には、厚生年金、国民年金は物価スライド、それから共済年金と恩給は、賃金といいますか公務員の給与改定にスライドさせる、こういう考え方をとっているわけでございますけれども、厚生年金、国民年金の物価スライドも、法律上、消費者物価が五%以上上がった場合にスライドさせるということでございまして、五%に達しない場合には、スライドするかしないかを含めて、上げる場合の率、それはすべて政策的な判断による、こういうことになっているわけでございます。 五十九年度、六十年度、物価の上昇率が合わせましても五%に達しないわけでございますけれども、その場合にどうするか、いろいろな考え方があったわけでございますけれども、公務員、それから共済の改定率に合わせて改定をするのが妥当である、現下の厳しい国の財政状況のもとでは、そういったことでやむを得ないのではないかという判断でこうさせていただいたわけでございます。
○森本委員 それからもう一つ、今回の場合に、母子福祉年金の所得制限が据え置きになったままになっておりますけれども、附帯決議では、所得制限について改善を図ることとあるわけでございますが、母子福祉年金等々については、これは所得制限を今回改善されなかったというのは、どういうことですか。
○吉原政府委員 母子福祉年金の本人所得制限でございますが、これは昨年に引き続きまして今回も、六十年度も据え置きになっているわけでございます。これは五十六年度から三百六十一万円という額に据え置かれているわけでございますけれども、これはやはり一般の二人世帯の生活水準、消費水準、それとのバランスを見て、今回の場合にも据え置くのが妥当である。それとの均衡上、これを今この財政の厳しいときに上げることがなかなか困難である、御辛抱いただきたい、こういう趣旨でございます。
○森本委員 私は、この母子福祉年金についても改善を図り、今後もより検討をお願いしたいと思うところでございます。 さらにもう一つは、障害母子年金、特別児童扶養手当、これは物価スライドの横並びになっておりますけれども、こういった障害母子あるいは特別児童手当というのは、政策的に考えてもっと上げていかなければならないのではないだろうかという考え方を持っておりますが、いかがでございますか。
○吉原政府委員 従来ともそういった福祉年金なり各種の手当につきましては政策的に引き上げを図ってきたわけでございます。かつては拠出年金あるいは厚生年金等の引き上げ率よりも大きな率で政策的に引き上げを図ってきたということもあったわけでございますけれども、最近数年間におきましては、拠出年金なり厚生年金の引き上げ率、それとのバランスをとった形で充実、引き上げを図ってきている、こういうことでございます。 〔浜田(卓)委員長代理退席、丹羽(雄)委員長代理着席〕
○森本委員 特にこういった母子家庭あるいは障害者の特別児童という問題について、やはり横並びではなくして、今後ももう少し政策的な面からそういった人たちをさらにこの社会の中で住みやすくしていくためにも考えていかなければならない問題ではないだろうかということをお願いいたしまして、ちょうど時間が参りましたので、質問を終えさしていただきます。
○丹羽(雄)委員長代理 小渕正義君。
○小渕(正)委員 今、年金関係の方がおられますので、まずそちらの方からお尋ねいたしますが、老人保健法の制定、それから退職者医療制度の創設、いろいろとそういった所得保障面での年金制度の改正、いろいろ紆余曲折ありましたが、こういう形で高齢化社会に備えての福祉政策が進められているわけでありますが、これはいずれもそれぞれの個別制度の中の改革であります。したがって、それぞれの制度と制度との総合的な体系化といいますか、そういう視点から見るならば、まだまだ問題なしとしないというふうに私なりに考えるわけであります。 この際、そういった新しい高齢化社会に向けてのそういう福祉政策のあり方として、総合的な一つのプランといいますか、そういうものをつくりながら、体系的に政策を推進していく、こういうことが実は今、必要になってきた段階ではないかというように思うわけでありますが、今まではそういった個々に制度それぞれの面におけるそれぞれの取り組みを行われたわけであります。これを今度、これからひとつ新しい意味でそういう制度と制度を総合的に見ていくというような意味での政策的なお考えがあるのかどうか、その点をまずお尋ねいたします。
○増岡国務大臣 御指摘のように、これまで高齢化社会を迎えるに当たりまして、制度、施策をそれぞれの省庁がそれぞれの立場で、特に厚生省が中心でございますけれども、進めてまいったわけでございます。したがいまして、厚生省としましては医療保障でありますとか健康相談指導、在宅の高齢者に対する福祉等が中心でありまして、また、今後生きがい対策ということに視点を合わせてみますと、そのためには雇用とか住宅とか、いろんな問題がございます。総合的に考えていく必要があることは御指摘のとおりでございます。 したがいまして、今後、内閣総理大臣を本部長とする老人対策本部がございますので、関係省庁間の緊密な連絡を図りながら関係各省ともよく相談して総合的な施策の推進に努めてまいらなければならないと思っております。
○小渕(正)委員 それでは、そういった立場でいよいよ新たに取り組まれるということでは理解いたしますが、特にそういった場合、所得保障という立場から見ますれば、やはり雇用と年金、これらの連動といいますか、つながりといいますか、これが一番大事な問題でありますが、そういう点から考えますと、いよいよこういった人生八十年時代という中で、こういう社会に入っていくわけであります。そういう意味での高齢者の所得保障、そういう立場から考えますならば、やはり一つの雇用対策というものをまた新たに何らかの形で考え、推進されていかなければならないと思いますが、この雇用対策という面はもちろん労働省の問題になりますけれども、そういう年金という所得保障の立場からの連動といいますか、そういう意味で厚生大臣としての御所見があればお伺いしたいと思います。
○増岡国務大臣 これは私は実は厚生大臣になります前からいろいろ考えておったことでございますけれども、全国のお年寄りの意識調査をいたしますと、六十五歳までは必ず働きたい、元気であれば七十歳までもということであります。六十五歳というのはほとんどでありまして、七十歳までという方もかなりおられるわけでございますので、組閣いたしまして後直ちに労働大臣にも、できるだけ長く働けるように、それは個人の希望でもあるし、また国家的に考えても経験知識というものを十分に生かしていただく必要があるということで、現在労働省と厚生省とで高齢者雇用問題の協議会をつくっておることでございます。 その趣旨は、先生のおっしゃるところにほとんど同じだと思うわけでございますが、ただ、私どもといたしましては、できるだけ働いていただく期間が長くなるように、そうしてその後は年金ということでございますので、まずそのような方向で努力をしていかなければならない、それが双方がつながるような姿勢でやっていかなければならないと思っております。 〔丹羽(雄)委員長代理退席、委員長着席〕
○小渕(正)委員 非常に難しい問題でありますが、これはぜひ取り組まなければならない一つの大きな課題だと思います。 それで、政府としては六十歳定年ということを今日まで行政指導されてきたわけでありますので、かなり社会的に定着しつつありますが、新たにそういった人生八十年時代と言われる中において、少なくとも今お話がありましたように六十五歳までぐらいは元気な人は皆働きたい、そういう意欲はあるのでありますから、これらを何とか今の年金制度、雇用保険制度その他のものとの総合的なつながりを持たせながら、新たな発想の中で何らかの形でこの六十五歳までの雇用をそれぞれ確保できるような社会環境づくりといいますか、そういうものを考えていかなければいかぬのじゃないかと思います。 そういう点では、もちろん基本的に従来のような年功序列型の賃金という形だけではこれは到底できませんから、企業としてもそういう人たちをいつまでも抱えていくということには、今までのようなあり方ではこれはとても考えられませんから、そこらあたりをひとつ思い切って、現在協議会もできたということでありますので、先進諸国にも余りこういう意味での連動したシステムというか政策的なものはまだ具体的にないようでありますが、ぜひこれは今後少なくともある程度の目標年次を設けながら、何らかの形での取り組みをひとつ進めていただきたいということを特にお願いしておきたいと思います。 次に年金の問題でありますけれども、今回年金改正で現在参議院で第一陣である厚生年金、国民年金統合の問題はいよいよ最終的な大詰めに来ているようでありますが、こういう将来的な年金の安定した問題の中で、これから特に重要視されてくるのは企業年金であり、また個人年金ではないかというふうにも考えられます。したがいまして、ひとつ現在のそういう年金制度が統合化されていくということとあわせて、民間における企業年金、それから個人年金、こういったものを政府としてももっと力点を置いて指導していくべきではないかという気もいたしますし、特にそういった意味では中小企業に対してもう少しこういった制度の導入といいますか、中小企業に対しても特に強力なこれからの行政指導が必要ではないか、こういう感じがしているわけでありますが、ここらあたりについての御見解があればお伺いしたいと思います。
○吉原政府委員 今後、公的年金とあわせまして今お話しのございました企業年金、特に私どもが所管をしております厚生年金基金というものの育成発展というものを図っていくというのが私どもの次の大きな課題であると思っております。その場合に、やはり大企業だけではなしに中小企業にもこういった企業年金がより普及するような各種の方策というものを考えなければならない。今、厚生年金基金といいますのはどちらかといいますとやはり大企業、企業規模の大きい企業が設立をしやすいというようなことになっております面を持っておることは確かでございますし、一方中小企業の方は適格年金制度というものを多く持っているわけでございますけれども、この税制上の適格年金制度との関係を考えながら、中小企業においても厚生年金基金を導入しやすいような条件を考えていくということが今後必要であるというふうに思っております。
○小渕(正)委員 今のその点は、特に中小企業関係は現在でも政府としては、これは労働省所管になりますが、中小企業退職金制度についての一つの促進されるような制度がありますが、既存のあの制度が中小企業の中で余り活用されてないといいますか、生かされないといいますか、ほかの民間のものと比較した場合に必ずしも条件がよくないというようないろいろな面があるわけでありますが、これは労働省所管になりますが、やはり年金という問題との関連でひとつ労働省と十分連携をとっていただきながら、中小企業に対する一つの指導をぜひよろしくお願いしたい、かように思っておる次第でございます。 それから、これは先ほども話として出ておりましたが、今回の年金のスライド分は、要するに恩給、共済年金の連動によって今回一部改正という形で金額のアップがなされておるわけでありますが、これはやはりそういうことでなしに、物価上昇による一つの修正といいますか、アップといいますか、こう考えていくということでないと、今のように人勧が一部削られ、また実施が一部見送られる、そういうような中でそれに連動して今回三・四%程度でありますが、こういったものが考えられていくということでは非常にふぐあいではないか。やはり制度の中にあります物価上昇分をスライドさせていくということで、もっと思い切った対策として柱をそこに置くべきではないか、かように思うわけでありますが、この点についての見解をもう一度承ります。
○吉原政府委員 年金額の改定というものを何を指標に、何に基づいてやっていくかということにつきましてはいろいろな考え方があるわけでございまして、厚生年金、国民年金は従来から物価に合わせて改定をしていく、それから恩給、共済は賃金といいますか、公務員の給与に合わせて改定をするという考え方をとっているわけでございます。ただ、厚生年金、国民年金におきましても、五%以上消費者物価が上がった場合にその率に応じて翌年年金額を改定するというのが法律上の建前といいますか法律の考え方でございまして、消費者物価の上昇が五%以下の場合にはいわば政策的判断、上げる上げないを含めましてその率もすべて政策判断によっているわけでございます。 それで、五十九年度、六十年度、消費者物価の上昇は非常に低かったわけでございますけれども、私ども政策判断としていろいろな判断がとり得る余地があったわけでございますけれども、公務員なり共済年金あるいは恩給が給与に見合った改定がされるときにこちらの方の年金をそのままということはバランス上大変大きな問題だと思いますし、さりとてこういったときに物価スライドそのままの改定をするということも、大変それが望ましいとは思いますけれども、またそういうことをした時期も過去にはあったわけでございますけれども、国の財政状況その他の中で大変困難だというような判断がございまして、いわば共済なり恩給に横並びのような形で臨時的といいますか、応急的な措置として今回かような措置になったわけでございます。
○小渕(正)委員 応急的な措置ということでは理解いたしますが、これが常態化してしまっていくということでは困りますので、そういう意味で一つ問題点として申し上げておくわけであります。 それであわせて、こういうふうに厚生年金や国民年金がそういう物価上昇にも十分見合ってアップができるような一つの力をつけていくためには、年金積立金をもっと有効に活用していくことによって実はそういう力が大きく出てくるわけであります。したがって、そういう意味で、前々から、年金関係の積立金の運用という意味においてはもっと工夫を凝らしていろいろと知恵を働かせればもっともっと積立金がかなり大きくなっていくということはもうだれが見ても可能な状況でございますので、そういう意味で、今、財政面、財政面ということだけを強調されるわけでありますが、そういう財政面の基礎である積立金の運用ということを従来のような考え方から脱却して新たな発想の中で考えていく、こういうことはできないものかどうか。この点、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○増岡国務大臣 積立金は将来の年金給付につきましての大切な貴重な財源、財産でございますので、安全ということも考えなければなりませんと同時に、有利に運用するということも必要でございます。 このことにつきましては、常時財政当局とも折衝を重ねてきておるところでございます。特に今後は長期的には保険料の負担増は避けて通れないことでございますので、有利運用の要請はますます高まっておると思うわけでございますので、その点につきましては、今後とも大蔵省との協議の場におきまして年金積立金にふさわしい運用を図りたいという観点から協議を重ねてまいりたいと思います。
○小渕(正)委員 これから先ほど言われるように保険料もアップしていかなければいかぬ、こういうような状況にだんだん入っていくわけでありますから、そうなればなるほどそれぞれ関心は大きく、この年金の財源の運用ということに最大の関心が払われてくることは必至でありますので、お話がありましたような立場でぜひ前向きにひとっこの点はこれからも努力していただきたいということを特に申し上げておきたいと思います。 それから、これは予算委員会でも出ましたし、年金の委員会の中でも触れられたのでありますが、この年金受給者だけではございませんけれども、国民の、特に老後の保養といいますか、そういう立場から、また研修とか、いろいろな意味でかなり多岐にわたって多様に効果ある使い方ができるということで、年金客船と端的に言っておりますが、年金の積立金の一部をそういった形で運用して船をつくって、そして三万トンか五万トンぐらいの船で、約二百五十億か三百億あればできると思いますが、それで年金受給者はもちろんのこと、広く海洋を中心にした諸外国へのいろいろ海上の旅行を楽しみながら、またある意味においては研修その他にも活用できるということで年金客船を建造したらどうか。 特に我が国は海洋国と言われながら、残念ながら自前のこういった近代的な客船は一隻も持たないという寂しい状況でございますので、ひとつ広く政府みずからこの点について着目していただいてぜひ研究していただきたい、こういうお願いを大臣にもいたしましたし、予算委員会等でも中曽根首相等にも申し上げました結果は、これは二、三年前からかなり言われておった、要望しておった事項でありますが、今回、首相みずからも何とか政府としてもぜひ取り組んで検討してみたいというところまで話が来たわけでありますが、その検討の経緯というものが現在どういうふうになっているか、そこらあたりの状況をひとつお聞かせいただきたい、かように思います。
○吉原政府委員 この年金客船の問題につきましては、私どものところのほか運輸省においてもいろいろ検討されておるようでございますが、私どもの今までの、まだ結論を最終的に出しているわけでございませんが、現在の時点での考え方を申し上げますと、年金受給者のための船を建造すること、その構想自体は私どもとしても大変結構な構想だと思うわけでございますけれども、それを年金の積立金を使って建造することが果たして適当かどうか。 先ほど、これからの年金積立金は将来の年金制度の財政の安定、あるいは給付をよりよいものにするためにもっと有利に運用すべきでないかというお話がございましたけれども、まさしく私どものこれからの積立金の運用というのはそういったいろんな施設や建物、あるいは船もそうでございますけれども、そういったものをつくるよりか、やはりもっと高利回り、有利な運用ということを考えなければならない。そのときに大変大きな金額の必要な客船というものをつくることが果たして保険料の拠出者の全体的なコンセンサスが得られやすいかどうかという点が一つ問題としてあるのではないかということを考えております。 それからもう一つは、仮につくるにいたしましても、果たして客船について安定した需要が見込まれるかどうかという心配があるわけでございます。これは運輸省もそういう意見を持っているようでございますけれども、将来の安定した需要、せっかく客船を建造した、しかし需要というものが非常に少ないあるいは不安定であるということになりますと、貴重な年金のお金を使ってつくったのにもかかわらずというような問題点が出てくるのではないかと思いますし、仮につくった場合におきましても、その採算が非常にとりにくいというような問題がどうもあるようでございます。 一日の利用料金が少なくとも四、五万、最近の外国の豪華客船のような場合には何か一日に八万円ぐらいの利用料金が必要だというようなことも言われておりますので、果たして採算がとれるかどうかというようなこともあるわけでございますので、今後そういった問題を十分慎重に検討さしていただきたい、こう思っているわけでございます。
○小渕(正)委員 今、運輸省でも、大体どの程度の船の場合に建造費がどれくらいかかるのか、維持費が大体どの程度かかるのか、ペイする場合には果たしてどのくらいならいいのだろうかということをいろいろやられて検討はされておるということでございましたが、厚生省は年金という立場から有利な運用ということを逆手にとって今言われたのでありますが、利用者の側から見ましても、これはいろいろ見る見方にもよりましようけれども、全国に六カ所か七カ所か、三百億も幾らもかけて大型保養基地だといったところで、それを本当に利用できるという人はわずかなものでありますし、そういうことをいろいろ考えると、そういう意味での総合比較をするならば、かなり有効な、歓迎される施設になるのじゃないかという気がしておるわけであります。 要は、そういういろいろまだ詰めていかなければならない問題がたくさんありますから、運輸省は運輸省なりに厚生省は厚生省なりにじゃなしに、それぞれ分担し合って少し問題を詰めていくかどうか、そこらあたりの作業をひとつぜひ話し合いながら進めていただきたいというふうに思うわけでありますが、そういった点はいかがなっていましょうか。
○吉原政府委員 御指摘のような考え方で政府として詰めていきたい、取り組んでいきたいというふうに思っております。
○小渕(正)委員 じゃ、その点をよろしくお願いしておきます。 それでは、次は戦後処理の問題に移らしていただきますが、総理府ですか、よろしゅうございますか。 先ほどもこの問題が質問で出されておりましたが、戦後処理の問題の中で、今度四月十日に新たに調査室が発足して、これから戦後処理問題懇談会報告に基づいてそれらの作業を進めるということがいよいよスタートしたようであります。 端的にお聞きいたしますが、すべての戦後処理は、これをもってこういう形の中で進んでいこう、そういう判断、結論の中でこういう作業に入っていったのかどうか、その点をまずお尋ねいたします。
○萩原説明員 戦後処理問題懇談会は昨年の十二月二十一日、官房長官に報告書を提出していただきましたけれども、これは二年半にわたる検討の結果でございまして、検討を依頼された事項は戦後処理問題をいかに考えるべきかということでございました。いわゆる戦後処理問題ということは非常に範囲が広うございますけれども、三つの問題を中心に、すなわち、恩給欠格者問題、シベリア抑留者問題、在外財産の問題を中心に検討してまいりました結果、いわゆる戦後処理問題についてはこれ以上国において措置すべきものはないとするとともに、関係者の心情には深く心をいたさなければならない、そういう趣旨から、特別基金を創設する、そういう御報告をいただいているところでございます。 したがって、懇談会御報告に基づきまして、今後、戦後処理特別基金検討調査室において基金の検討の事業が進められるというふうに考えております。
○小渕(正)委員 そうしますと、この戦後処理問題懇談会の報告に基づいてスタートされたわけですね。この中に触れられていることでは、要点は三つ、主に戦後処理としてのシベリア抑留者問題、それから引揚者の在外財産の補償問題、それから軍人恩給欠格者ですか、これを三つの柱にしているけれども、あらゆる意味において戦後処理ということでは国として見るのはもうすべてない、したがって、後は、心情は理解できるので、何らかの平和的な事業を行うべきであるということからこういう調査室が発足したということになるわけですね。 ということは、政府みずから戦後処理というのはもうこれで一切なしだということをはっきりそこまで確認した上で、そういう形でスタートした、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○萩原説明員 この戦後処理懇が発足する経緯の一部でございますけれども、昭和四十二年に、これは引揚者に対する第二回目の特別給付金というのを法律制定された際の申し合わせでございますが、政府・自由民主党間におきまして、戦後処理はこれで終わりであるという合意がなされております。戦後処理問題懇談会が昭和五十七年の夏に発足いたしますとぎに、その合意自体が白紙に返されて新たにやるのか、それともその合意自体は依然として存在するのかという議論がございましたが、その考え方自体は、昭和四十二年の合意そのものが白紙にされたことではないということで検討が始められておりますので、現在の特別基金検討調査室の仕事というのは、「戦後処理問題懇談会報告」に基づくその線上での御検討になるというふうに考えております。
○小渕(正)委員 それはとにかく報告に基づいてスタートしたということはわかっているわけだから、政府自身の認識として、今いろいろ戦後処理の問題という三つの主な柱が言われました。それ以外にまた新たに何らか戦後処理の問題が出た場合でも、もうこれはこの報告書に基づいて特別基金制度という形の調査室がスタートしているので、一切そういうことはすべてこの中に含めてしか問題は処理いたしませんということでやるのかどうかということを聞いているのです。 今私の手元に別にございませんけれども、今後もし何かまた新しいものができたときにどうするのかといった場合に、この懇談会報告書に基づいて、もう一切ありませんということで、政府はこれでスタートして現在そういう事業の調査研究をやっているので、これの中ですべてが消化いたします、そういう形で政府としては対応していくのかどうか、その点いかがですか。
○萩原説明員 四十二年のときの考え方及び戦後処理問題懇談会が発足して検討されてきた結果、報告書をいただいたわけで、そういう流れで考えますと、戦後処理問題は終わったという、三問題を中心として戦後処理問題については「国において措置すべきものはない」、そういう御報告を受けて、その報告に基づいて基金の事業を実施していくという考え方でございます。
○小渕(正)委員 それ以上あなたに聞いてもちょっと無理でしょうから、また別の機会にしかるべき責任者の方からお聞きいたします。 その次に、あと一つこの戦後処理問題の中に、これには触れられておりませんが、元日本兵の台湾人の問題がございますね。これはあなたの所管じゃないかもしれませんが、結局、これが早期解決のために各種委員会でいろいろ議論されながら、何といいますか、本年度は予算についても総理府において五百万円の調査費が計上されているわけですね。だから、この五百万円の調査費の目的はどういうことになっているのか、そうして今後具体的にはどのように進展していくのか、この調査費の計上との関係でどのように今後なるのか、その点についてお尋ねいたします。
○萩原説明員 先生が御指摘のように、総理府予算のうち五百万円が検討経費として計上されております。この趣旨は、いわゆる台湾人元日本兵問題についてどう考えるかということを検討するための経費でございます。六十年度予算が成立いたしましたので、関係する省庁間において勉強をし、検討の方法あるいは検討内容、それから今後の手順等について協議をしてまいるという考え方で現在その作業を進めております。
○小渕(正)委員 ということは、戦後処理問題懇報告とは切り離して、この問題についてはこれからもなおいろいろな面においての作業が続けられていくというふうに理解していいですね。
○萩原説明員 戦後処理問題懇談会の発足に当たりまして、外交上機微に触れるような問題については、戦後処理懇として取り上げることは適当でなかろうという懇談会の御判断がございまして、いわゆる台湾人元日本兵問題については懇談会で取り上げることを避けるという考え方でございましたので、この台湾人元日本兵の検討問題は戦後処理懇とは別の形で検討されるというふうにお考えいただいて結構でございます。
○小渕(正)委員 それからあと一つ、これは昨年の七月二十五日の本委員会において、今回の戦傷病者等援護法等改正案の成立に当たりまして附帯決議の中で触れられているわけでありますが、それは何かといいますと、「満洲開拓青年義勇隊開拓団については、国境及び満鉄警備等に関する事実を調査するため、関係者と連絡を密にし、一層資料の収集に努め、問題解決のため努力すること。」となっている。要するに、旧満州開拓青年義勇隊についての実情調査のため、関係者と緊密な連携のもとに資料の収集その他について一層のそういう努力をせよということがこの委員会の附帯決議として出ておるわけでありますが、その後の経過をひとつお知らせいただきたいと思います。
○入江政府委員 満州開拓青年義勇隊開拓団というのは、御案内のように満州開拓青年義勇隊の訓練を終えまして集団開拓農民となった方々でございまして、俗に片手に鉄砲、片手にくわとか言われておりますけれども、通常は一般の開拓農民と同じような業務に従事しておられて、軍の指示によって鉄道警備とか国境警備あるいは陣地構築に従事されたわけでございます。 したがいまして、そういう過去の具体的な事例を調査するようにというのが附帯決議の御趣旨かと思いますが、私どもはそういう開拓団の方々の実態にかんがみまして、援護法の適用に当たりましては、要するに、ソ連参戦以前は軍事に関する業務上の負傷あるいは死亡というものについて援護法の適用をやっておるわけでございます。したがいまして、この個別の認定に当たりまして、附帯決議の趣旨に従いまして、請求者はもちろん関係者、都道府県を通じまして資料の収集等に努めまして援護法の適用に遺憾のないように現在努力しているということでございます。
○小渕(正)委員 それでは、その全体的な作業の進捗度としてはどうなんですか。
○入江政府委員 したがいまして、援護法に基づきます個別の申請が出てまいった場合に、開拓団の元関係者の方々と非常に密に連絡をとりながら現在進めております。
○小渕(正)委員 ではお尋ねしますが、要するに、個々にそういう対象の人たちが援護法申請で出された中で初めていろいろ調査をされて実際の判断をされていく、こういう形になるということですね。
○入江政府委員 そういうことでございます。
○小渕(正)委員 時間が参りましたので、あと一つだけお尋ねしますが、先ほど来、このスタートいたしました調査室の機能といいますか権能といいますか、これは明らかに「戦後処理問題懇談会報告」に基づいて平和のシンボルとしての何らかの事業をやろうということでの調査研究ですね。だから、あくまでもこれは個人補償という線はすべてそういう意味においては消えておるというふうに理解せざるを得ないわけでありますが、その点はいかがですか、
○杉浦説明員 お答え申し上げます。 ただいま萩原審議官の方からお答え申し上げましたように、国としては、いわゆる個別の方に対する補償はしなくていいというのが、言葉は平易でございますが、実は報告書の御趣旨でございますので、私どもといたしましては、それにかわり、とうとい戦争犠牲の風化を防ぐということに基づきまして、国民が戦争の損害を受けた方に心から、何と申しましょうか慰謝の念を示すという点の事業を何かする、そのための事業を特別の基金でやれということでございますので、その点の仕事を私どもはさせていただきたいと思っております。
○小渕(正)委員 では、これで終わります。
○戸井田委員長 浦井洋君。
○浦井委員 私は、国年法等の一部を改正する法律案に限って、短時間質問をしたいと思います。 まず内容を見ますと、今度の改正案というのは、改定しておるのはよいのですが、改定措置の特例としてということで、上昇率が五%以下であるけれども三・四%引き上げるというようなことになっておるのですが、三・四というようなけったいな数字が出てきた根拠は何ですか。
○吉原政府委員 三・四でございますけれども、これは端的に言いまして、五十九年度の公務員給与の改定が三・四%ということであったわけでございますが、それに合わせて共済年金、それから恩給の額が六十年度におきまして同率の改定が行われることになる。それに厚生年金、国民年金も合わせまして、六十年度年金額の改定をするということにしたわけでございます。
○浦井委員 それは趣旨説明に書いてあるわけでありますが、これはもう当たり前の話であります。去年のときに、五十九年度のスライドを我々は物価上昇に見合う四・四%上げなければならぬということで、強く要求をしたのでありますけれども、結局二%の案が通ってしまった。当然残り二・四%が積み残しになっておるわけで、六十年度——まだ五十九年度の消費者物価指数がはっきり確定しておりませんけれども、ほぼ二・四%というような格好の予測ができるわけでありますが、これでまともに物価スライドするとしたら、積み残し分を含めまして大体数字がどれくらいになるのですか。
○吉原政府委員 四二八%程度でございます。
○浦井委員 その四二八%を当然引き上げるべきだと私は思うのですね。それが三・四しか引き上げないというと、また、引くと幾らになりますか、一・四%ですか、積み残しになるわけですね。だから、私は、せっかく上げるわけですから、すっぱりと四・八上げるべきではないかと思うのですが、どうですか。
○吉原政府委員 当然四・八%ということになりますとなかなか、必ずしもそういうことにならないわけでございまして、法律上は五%を超えた場合に当然その率だけ改定をする、これはまさしく当然でございますけれども、五%に達しない場合にどれだけ改定をするか、あるいは改定をするかしないかも含めまして、それはいわば政策判断にゆだねられているわけでございます。
○浦井委員 政策判断だということになりますと、大臣、わざわざ物価スライドの特例措置ということでやられるわけでありますから、私は当然だと思うのですが、大臣、どうですか。大臣の意見を一遍ひとつ聞かせてください。
○吉原政府委員 四・八%、消費者物価上昇率が五%以下の場合にどうするかということにつきましては、いろいろな考え方が政策判断としてあり得るわけでございまして、過去におきましては、おっしゃるように消費者物価上昇率が五%を超えない場合におきましても、その率だけ改定をしたということも過去においてはございます。それから、同時に逆に五%を超えなかった場合に全く改定しなかったということもあるわけでございます。 まさしく五%を超えない場合の扱いといいますのは、繰り返しになりますが、そのときそのときのいろいろな、国の財政もございますし、公務員給与の改定その他の取り扱いもございますし、そういったものを見ながら最終的にこの年金の扱いをどうするか、年金の改定をどうするかということを、最も適切な判断を下していく、こういうことであったわけでございまして、六十年度におきましては、最初に申し上げましたような理由で三・四ということにさせていただいたわけでございます。
○浦井委員 大臣、政策判断にひっかかりますけれども、過去においては高く上げたときもあるんだけれども、また低いときもあったと。最近の歴史を大臣もよく御承知だと思うのですけれども、振り返ってみますと、五十七年度は年金改定の実施時期を一カ月遅らせたわけでしよう。けちったわけでしょう、六月から七月に。それから五十八年度はスライド凍結ということになった、五十九年度は、先ほど私が言いましたように四・四上げなければいかぬところを二%にとどめたわけでしょう。六十年度はこの案で四・八%、今吉原さん言われたように四・八上げなければいかぬところを三・四%に引き上げをけちるという格好で、ずっと連続してけちってばかりですね。これを累積すると、年金受給者というのは非常に損害をこうむっておるというふうに言わざるを得ないわけなんです。だから、私は大臣に、こういう政策制断でよいのかということをお聞きしておるわけなんです。 そこで、私の計算によりますと、五十七年度からこの案の、今の六十年度までの四年間でほぼこういう数字になるのですよ。厚生年金受給者が約三千五百億円、国民年金受給者が約二千億円、合計五千五百億円、こういう膨大な金額を年金受給者は損をしておるわけなんです。この五千五百億円の中の国庫負担の削減というのは実に千七百億円くらいになるわけでしょう。これは国年と厚年だけですから、これに、大臣よく御承知のように原爆の諸手当とかいろいろな手当を含めますとさらに大きなものになる。 私、この前から、今の中曽根内閣は福祉切り捨て、福祉の値切り内閣ではないかというふうに言っておるのでありますけれども、これが中曽根内閣の政策判断ですか、どうですか。
○増岡国務大臣 ただいまのお話しの前提には、もし仮に法律が物価スライドを毎年毎年しなければならぬということになっておりますと、それを削減したとか値切ったとかいうことになるかと思いますが、法律上は五%を超えたときにやれということでございますので、その他は政策的な判断でやらせていただいておるわけでございまして、政策的な判断をする場合には、ほかの年金等の横並びも考えざるを得ないというのが実情であると思います。
○浦井委員 そういう答えてあれば私は納得できないですね。何かしてやっているという感じが私の気持ちからは払拭できないわけであります。今、何か参議院では年金の大改悪が、これはまさに吉原局長、大わらわだそうでありますけれども、一言で言えば保険料を上げて給付を引き下げるという大改悪であります。そこへもってきて、スライドはしてやるのだというような格好で値切った値を出すというのは、国民を二重、三重に苦しめることになると思うのです。だから、一・四の値切りなんかは絶対にすべきではない。スライドというのは年金制度にとっては非常に大事な柱でありますから、スライドをするというならきちんとやるということを私は強く要求したいのです。 これで質問を終わりますけれども、もう一遍大臣の反省を込めた決意を聞きたいと思います。
○増岡国務大臣 御指摘の御趣旨、お気持ちの面では、私どももそのような方向でやりたいと思いますけれども、やはり法律、制度、社会の諸情勢がございますので、御理解をいただきたいと思います。
○浦井委員 終わります。
○戸井田委員長 小沢和秋君。
○小沢(和)委員 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の改正の関係については、私から質問をさせていただきます。 この法案の内容を検討してみましたが、特別弔慰金の支給は評価するとしても、年金、手当などのスライドについては、国家公務員の給与抑制に連動したものであり、我が党はこのような低率アップでは納得できません。しかし、きょうは時間も限られておりますので、法案自体についての質問は省略をして、この機会に中国からの帰国孤児の人々に対する我が国での受け入れ援助の問題で質問をいたします。 これは大臣にお尋ねをしたいのですが、去る二月の新聞によりますと、肉親捜しに帰国をした孤児の人々にアンケート調査した結果、肉親が見つかったら日本に永住するはわずか二七%だったというのです。二年前に七一%だったのと比べると、半分以下に激減しております。大臣、御存じですか。これはこの人々の故国である日本の受け入れ態勢が極めて悪く、帰国して四年以上もたっている人でも、まだ三四%が生活保護に頼らなければならないというような状況が話として伝わった結果ではありませんか。大臣はこれまでの受け入れと援助についてどのような反省をお持ちか、お尋ねをいたします。
○増岡国務大臣 先ほどお示しになりました数字は一つの数字であろうと思いますけれども、またほかの調査では、日本に帰りたいという希望もふえておるという数字もあるわけでございます。私どもといたしましては、肉親を捜すことと同時に、日本へお帰りになって、日本の社会の中へ同化して定着をしていただくということが一番肝心なことであると思ってやっておるわけでございます。もちろん、そのことが現在十分に行われておるとは申しませんけれども、これからもこれは国の各省庁あるいは地方行政団体、国民を挙げて御協力いただかなければならぬ問題だと思いますので、そのような方向で努力をしてまいりたいと思います。
○小沢(和)委員 今、私が申し上げた数字は、二月十八日の神奈川新聞にこのように載っておるのです。 ところで、所沢に昨年三月に中国帰国孤児定着促進センターができまして、受け入れ態勢は確かに改善されております。私は、園田厚生大臣当時当委員会でこのような日本語教育や我が国の生活慣習になれさせを施設をつくるよう提案した一人として、このことを喜んでおります。しかし、今後肉親捜しに来る孤児が年間四百名を超え、さらに肉親にめぐり会えなかった人々にも帰国の道が開かれました結果、帰国者は激増が予想されております。今の規模のセンター一カ所ではどうにもならないのではないかという感じがするのですが、この点いかがでしょうか。
○入江政府委員 五十六年から五十九年度までの帰国者の実績を見ますと、大体三十世帯百四十人前後ということでございますので、これまでに関する限り、今の容量で対応できるわけでございますが、今後の問題になりますと、ただいま御指摘のように訪日調査の数も大幅にふやしますし、未判明孤児の帰国という道も開かれるということで増加してくることが予測されるわけでございますので、今後の動向を見ながら、要するにセンターがないから帰れないということにはならないように適切に対処していきたいというふうに考えております。
○小沢(和)委員 私はもう激増は必至だと思うので、この点については積極的に器をふやしていくということを前提にして検討をしておいていただかなければならないと思うのです。 次の質問をいたしますけれども、これまでは四カ月間のセンターでの教育が終わったら、国の責任はそれで終わり。あとは都道府県やボランティアである生活指導員などに任せられてきたわけであります。しかし、幾ら故国とはいえ、全く見ず知らず、言葉も生活も社会体制も違うところで、あとは本人の努力次第というふうに言われても、これはどうにもならないというのが現実だと思うのです。帰国してからの生活の支えになる仕事の問題にしても、いきなり就職できるはずがありませんが、多くの人が職業訓練所に行き始めるのも、帰国して一年くらいたってようやく日本語が大体わかるようになってからというのが実態のようです。 その子供さんたちも同じで、早く学校にと気持ちは焦るのでしようけれども、日本語ができるようになってから来なさいということで、就学猶予というと何か本人たちが猶予を願い出ているみたいだけれども一道で、受け入れを拒否されているという現実もあるわけですね。私は問題は、国が責任を持って受け入れて援助をするのが四カ月間しかないという今の状況にあるのじゃないかと思いますが、この点どう判断されておりますか。
○入江政府委員 確かに四カ月が適当かどうかという議論はございます。ただ、ただいまのお話にもありましたが、帰国孤児は、要するに大人もいるし、子供もいるわけでございまして、子供は要するに子供同士で遊べば遊ぶほど言葉が早く進む。大人の方はなかなかそういうふうにいかないということで、日本語を教える場合にも、相手の年齢なりこれまで得た知識あるいはこれからの生活目標によって、それぞれ個別に対応しなければいけないわけでございまして、そういう意味では、一つの施設で長期間収容して勉強してもらうということはどうかという問題がございまして、私どもとしては四カ月間で生活できる最小限の基礎的な知識、訓練をしていただいて、あとは地域社会でやはりそれぞれの生活目標に即した勉強をしていただくのがいいのじゃないかというふうに考えております。
○小沢(和)委員 私は、国がせめて一年は責任を持って援助をする体制を整備すべきだと考えるのです。たまたま東京都の江戸川区に都の引揚者一時宿泊所であります常磐寮があります。そのために帰国者が集中していることから、職業訓練所にもかなりまとまって入り、小中学校に御存じのように日本語学級が設けられておりまして、日本語や生活習慣を引き続いて教わりながら、技能を身につけたりあるいは勉強にもついていけるようにするという点で大きな実績を上げている。だから、私は、この四カ月間でまずごく基礎的なことを身につけるが、さらにあとしばらく、こういうようなもう一つ定着をしていくための二段目の段階が必要ではないかということをこの経験から感ずるわけであります。 ですから、一年くらいはセンターに入ってもらって、初めは今の形で初歩的な日本語と生活習慣を学び、後半はその近くの職業訓練所や学校にそこから通っていただくというようなことをすれば、飛躍的に中国孤児の人たちの日本社会への適応の条件ができるのじゃないかというふうに考えるのですが、この点いかがですか。
○入江政府委員 その辺が非常に難しいわけでございまして、施設におりますと、どうしても現在でも六時間集中的に勉強しているわけでございますが、その六時間以外の十八時間、寝る時間がございますから十八時間というわけにはいきませんが、それ以外は家族同士あるいは仲間同士ではどうしても中国語が行われるわけでして、そういう意味では実社会に早く入って生活に応じた勉強をした方が早く上達するという御意見もあります。ただ、この辺はいろいろと御意見があるわけでございますので、中国残留日本人孤児問題懇談会でこの四月十五日から定着問題について新たに御審議いただいておりますので、その議論を踏まえながらどういうふうに対応するか考えていきたいと考えます。
○小沢(和)委員 だから、私も後半は日本の実社会に出す、それも今言うような職業訓練所とかあるいは学校などに日本語学級というような形でちゃんと受け入れ態勢をつくってそこに入れていく。ただ、今のように四カ月たったらそれぞれの地方に散ってしまったらそれぞれの地域で対応してくださいということでは、本当のきめ細かな対応ができないから、あくまで国が一元的に責任を持つという意味でそういうような仕組みをつくっていったらいいんじゃないかというわけです。私のこういうような考え方も含めて検討していただけると理解していいですか。
○入江政府委員 ただいまの御意見も一つの御意見だと思いますが、日本人孤児が帰ってくるのは肉親を見つけて肉親のところに帰ってくるというのが大きな目的でございますので、やはり肉親のおられる地域社会にできるだけ早く帰るというのが孤児の気持ちにも沿うのではないかというふうにも考えますが、一つの御意見として検討させていただきます。
○小沢(和)委員 それでは次に年金の関係でちょっとお尋ねをしたいのです。 先ほどから孤児という言葉を使っておりますと何か小さな子供か若い人を連想するけれども、実際にはお互いよく認識しているとおり四十歳から五十歳の方々であるわけですね。だから、この人たちの老後も決して遠くはないわけであります。この人たちも既に自分たちの年金がどうなるのかということについて心配をしているわけです。今度の年金の改正、私は改正という言葉はちょっと使いにくいので全体としては大改悪だと思うのですけれども、しかし、中国からの帰国孤児に対して中国滞在期間を年金資格期間と認めるようになるということは私たちも評価をしているわけであります。しかし、年金資格期間と認めるということは、空期間として計算する。だから私の理解では、国が負担をする三分の一を見てくれるというぐらいのことにしかならないんじゃないかなというふうに理解したのですが、そういうことになるんじゃないのですか。
○吉原政府委員 今度の年金改正案で、外国におられた方が日本に帰られた場合に昭和三十六年四月一日以降の期間、つまり国民年金ができまして皆年金が発足した以後の期間をこの新しい制度におきます基礎年金の受給資格期間に算入をするということでございまして、今後そういった方々には保険料を払って基礎年金の資格期間を満たしていただく、実際に保険料を払っていただいた期間に応じて年金が出るような道を開いた、こういうことでございます。あくまでもこれまでの過去の期間につきましては資格期間への算入ということでございまして、金額への反映ということはないわけでございます。
○小沢(和)委員 それでは、実際にその人たちは無資格ではないかもしれないけれども、老後の保障を受けられるような年金にはほど遠いんじゃないでしょうか。その点どうお思いでしょうか。
○吉原政府委員 年金の金額といたしましては、これから被保険者期間に応じて保険料を払っていただく、実際にその払っていただいた期間に応じて年金が出るわけです。例えば四十年で五万円という基礎年金の資格期間と年金額が決められているわけですけれども、その金額と比較いたしますと既にもう相当の年齢に達しておられる方が多いわけですから、金額としては五万円には達しないケースが大部分であるということにならざるを得ないわけでございます。
○小沢(和)委員 問題は、この人たちがどういう人たちであるのかということについてもう一遍我々は考えてみる必要があるのじゃないかと思うのですよ。ごく幼いころに中国で肉親と生き別れて、そしていわば日本人の敗戦の苦しみを一身にしよったような形でこの四十年間異郷の地で過ごしてきた人たちですね。この人たちには今の事態について何の責任も負いようがないわけですね。だから、こういうような人たちの日本に帰ってきてからの生活、先ほどから職業訓練とかいろいろ言っているけれども、せめて老後など平均的な日本人並みの生活ができるような年金を保障できるように具体的に現実的な措置を考える必要があるのじゃないでしょうか。 だから、私は、場合によったらこの人たちの資格期間、せめて基礎年金はずっと払っておったというふうにしたら幾らかかるかということを計算して、さらに日本に帰ってからも、さっきも私、一年ということを提案したけれども、実際には生活保護などを四年も五年も受けていてなかなか自立できない、だから、日本に帰ってからの一定の期間も考えて、そういうような期間のことについて、何だったら政府がその分を年金の会計に入れてでもこの人たちのせめて基礎年金額ぐらいは保障する、こういう発想でもう一度考えていただきたいんです。この点どうでしょうか。私、大臣に最後に見解を求めて終わります。
○吉原政府委員 中国から帰られた方が本当にやむを得ない事情でそういう状態に置かれてこのたび帰国をされて日本で生活をされることになる、その事情は私どもよく理解できるわけでございます。ただ、そういったことだけで拠出制年金を基本とする新しい年金制度におきまして過去の部分まで国が保障するということになりますと、なかなか今の年金制度の仕組み、建前の中では難しい、いろいろ波及する問題もございますので、今の時点ではなかなか前向きの御返事ができないわけでございます。
○小沢(和)委員 納得ができませんが、終わります。
○戸井田委員長 次回は、明十九日金曜日午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時八分散会 ————◇—————