社会労働委員会 第15号
- 発言数
- 221 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1985/04/16
会議録
○戸井田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案及び内閣提出、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。山口労働大臣。 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○山口国務大臣 ただいま議題となりました労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 最近における経済社会の進展を背景として、労働力の需要及び供給の両面において、多様かつ著しい変化が見られます。すなわち、労働力の需要側においては、マイクロエレクトロニクスを中心とする新たな技術革新の波が広範な分野に広がり、これに伴って、企業内においても、専門的な業務分野が増加しつつあります。一方、労働力の供給側においては、自分の希望する日時等に合わせて、専門的な知識、技術あるいは経験を生かして就業することを希望する労働者層が増加してきております。 このような変化が進行する中で、他の企業の仕事を請け負い、自己の雇用する労働者をその企業に派遣して就業させるといういわゆる人材派遣業が増加し、そこで就業する労働者数も相当な数になりつつあります。 ところで、これらの事業については、労働力の多様なニーズに対応した需給の結合を促進し、就業の機会を拡大する役割を果たしているところでありますが、一方では、労働者が派遣先の企業で就業する形態であることから、職業安定法第四十四条で禁止している労働者供給事業との関係で問題が生ずる場合もあるほか、労働者保護に関する労働基準法等の適用に関しても、現行法のもとでは適切に対処できないという問題もございます。 また、一方では、今後の労働力の需給の変化を展望した場合、増大する高齢者や女子労働者の雇用の安定を図り、技術革新の進展に伴う技能労働力を育成し、確保していくためには、我が国の雇用慣行や労働市場の状況との調和にも配慮しつつ、新たな観点から労働力需給調整システムの整備を図っていくことが必要となってきております。 このため、職業安定法第四十四条の精神を堅持しつつも、特定の業務分野については、労働者の保護と雇用の安定に配慮した上で、労働者派遣事業を制度化し、そのための法的整備を図ることが必要と考えます。 この問題に関しては、昭和五十二年以来広く関係者の意見を聞きつつ慎重な検討を続けてきたところでありますが、昨年十一月に、中央職業安定審議会の労働者派遣事業等小委員会より、労働者派遣事業の制度化とそのために必要な規制措置について報告が提出されたところであり、政府としては、この報告の趣旨に基づき、中央職業安定審議会等の関係審議会の審議を経て成案を取りまとめ、ここに二法案を提出した次第であります。 まず労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案の内容の概要を御説明申し上げます。 第一は、この法律は、労働力の需給の適正な調整を図るため労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置を講ずるとともに、派遣労働者の就業に関する条件の整備等を図り、もって派遣労働者の雇用の安定と福祉の増進に資することを目的といたしております。 第二は、労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置であります。 その一として、労働者派遣事業を常用雇用労働者のみで行う特定労働者派遣事業といわゆる登録型等で労働者を派遣する一般労働者派遣事業に区分し、前者については届け出制、後者については許可制によることといたしております。 その二として、労働者派遣事業は、港湾運送業務、建設業務等を除き、専門的な知識、技術、経験を必要とする業務及び特別の雇用管理を必要とする業務のうち中央職業安定審議会の意見を聞いて政令で定める業務に限って行うことができることといたしております。 その三として、労働者派遣事業を行う者についての欠格事由等を定め、事業停止命令等の措置を講ずることといたしております。 第三は、派遣労働者の就業条件の整備等に関する措置であります。 その一として、労働者派遣契約に派遣労働者の具体的な就業条件を定めることとするとともに、正当な組合活動を行ったこと等を理由とする労働者派遣契約の解除を禁ずること等の措置を講ずることといたしております。 その二として、派遣元事業主に、派遣労働者の就業機会や教育訓練の機会の確保等のための努力、派遣労働者に対する就業条件の明示等適正な雇用管理を行わせることといたしております。 その三として、派遣先に、派遣労働者についての苦情の的確な処理等の努力を行わせるため、派遣先責任者を選任させる等適正な就業管理を行わせることといたしております。 その四として、労働基準法等の使用者責任を明確化することとし、派遣労働者については、基本的には派遣元の事業主が使用者としての責任を負うという原則を維持しつつ。派遣先でなければ履行の確保が困難な労働時間の管理、労働者の安全衛生の確保等の事項については、派遣先の事業主に使用者責任を負わせることといたしております。 その他この法律を施行するために必要な指導、改善命令、立入検査、報告の徴収等の権限及び罰則規定等を定めることといたしております。 次に、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の概要について御説明申し上げます。 この法律案は、ただいま御説明申し上げました労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案の成立、施行に伴って必要とされる関係法律の整備のための規定及び経過措置を定めるほか、これにあわせて、最近の経済社会情勢の変化に対処して、民間の職業紹介事業、労働者募集及び労働組合が行う労働者供給事業につき、その労働力需給調整機能が効果的に発揮されるよう現行規制の簡素合理化等の改正を行うことといたしております。 以上、二法律案の提案理由及びその概要について御説明申し上げました。 何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○戸井田委員長 以上で両案についての趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○戸井田委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永井孝信君。
○永井委員 ただいま議題になっておりますこの法案につきまして、大臣から提案理由の趣旨説明がございました。聞けば聞くほど、聞くだけでは内容がわかちないというほど複雑で多岐にわたっていると思います。それだけにこの法律案の審議に当たってはよほど慎重に審議していきませんと、労働者のいえば期待にこたえることができないのではないか、こういう気がまず最初にすることを申し上げておきたいと思うわけであります。 さて、労働大臣として当然のことでありますが、労働問題全般については大きな責任を持っておられるわけです。もちろんその責任というのは第一義的には労働者の権利を守り、保護するということだと思うのですね。で、労働基準法であるとかあるいは職業安定法、労働安全衛生法など幾つか現在存在します労働関係法をいわば厳しく適用していく、その厳しく適用していくことを通して、今申し上げましたように労働者の権利や労働条件などについて、それを守っていく、保護していく、そういうふうな責任を大臣は持っていらっしゃると思うのでありますが、それはどうでございますか。
○山口国務大臣 先生も御承知いただいておりますように、労働関係の法規は終戦直後のいろいろな国際機関の約束事を一つたたき台として労働基準法を初めいろいろな法案、成案が整備されてきた、こういう経過がございます。したがいまして、昭和二十年代に施行されたという割には、率直に申し上げて、現在の労働条件等にも十分対応でき得るような法整備というものが基本的にはなされておるというふうにも私考えるわけでございます。 しかし、同時に、労働市場が技術革新の時代あるいは女性の労働力というものが御本人の就業に対する意欲その他、非常にニーズが広がっておる、また高齢化時代である、そういう中に、今度は就業する側の価値観といいますか、今までの終身雇用とはまた別な一つの生き方、考え方の中で、自分の労働力を適正かつ有効に生かしたい、こういう希望も大変強くなってきておることも事実でございまして、今回の派遣法の法案の整備というものも、いわばそういう雇用者側と同時に就業者側の多様なニーズにも合わせてひとつ法整備をする必要があるということが一つと、それからまた、この問題に関しましては、もう社労委員会等を中心といたしまして、そうしたいわゆる派遣的な労働者の生活権、労働条件の確保のために、再三この委員会でも御論議をいただき、そういう点の、派遣労働者の労働福祉条件が阻害されることのないようにということで、先生方から厳しく注意も受け、その監視も怠りないように、こういう御指摘もいただいておった問題でもございます。そういうものをいろいろ労働省が考えたということよりも、そういう委員会での先生方の御論議を積み上げながら積み上げながら、また、審議会での御協議もいただいて、今回の法案をまとめさせていただいた、こういうことでもございます。 基本的には、今永井先生御指摘のように、労働基準法でございますとか、その他いろいろな法規等を十分遵守しながら、労働者の雇用の安定と、また労働条件の改善のために懸命に取り組んでいきたい、こういう基本的な考え方に立って微力ながら労働行政を推進していきたい、かように考えておる次第でございます。
○永井委員 今大臣が言われたように、今の雇用状態といいますか、雇用条件といいますか、終身雇用の考え方がかなり変わってきたという御指摘があるわけですが、ここはかなり論争があるところでございまして、終身雇用で雇用の安定を求めていくということから別の考え方に変わったということよりも、今の厳しい経済状況のもとで、企業の側が終身雇用を確保してくれなくなってきた。むしろ、そういう周囲の環境を問題にすべきであって、単に終身雇用に対する考え方が変わったという位置づけで問題をとらえるということは、若干問題があるような気がいたします。 きょうはもう時間が限られておりますので、これらの論争は後へ回しますけれども、そういうことだけ、まず申し上げておきたいと思うんです。 今回、内閣が提出しましたこの労働者派遣事業法なるもの、一九七八年の七月に行政管理庁の監察調査結果報告というものが出され、勧告が出されて以来、現在まで七年間の時間を経過いたしているわけですね。その七年間の経過をたどってみますと、最初に、職業安定局長の私的諮問機関の労働力需給システム研究会というものが発足させられた。そして、一九八〇年には、一定の提言を受けている。その後、労働者派遣事業問題調査会というものも設置をした。そして、それの中間報告を受けた。さらに労働大臣の私的諮問機関の労働基準法研究会、これが新メンバーで発足をし、そうして一九八三年には、労働者派遣事業問題調査会が活動を再開した、そういう経過がずっとあるわけですね。 この経過を詳しくはここで申し上げませんけれども、そういう七年間の間に、次から次へいろいろな諮問を繰り返していくという、いわばそれほどこの問題は複雑で難しい問題だったと見るべきだと思うんですね。それは戦後、民主主義という体制のもとで労働法の体系というものはつくられていった。そうして、そのつくられていった民主主義の根幹にかかわる問題だからだろう、私はこう思うわけですね。 ちなみに、労働省が昭和二十七年に職安法を改正したときに、その解説書として出しております「職業安定法と労働者供給事業」という解説書があります。この解説書の冒頭でも、労働者供給事業というものが、労働の中間搾取、強制労働等の弊害が伴いやすい、だから労働の民主化を妨げるものとして、職業安定法第四十四条において労働者供給事業を行うこと、あるいは労働者供給事業を行う者から供給される労働者を使用することについて原則的禁止を規定したんだというふうにここでもきちっと基本的なスタンスが明らかにされているわけですね。 その一方で、現実に派遣的形態の労働がどんどんふえてきて、労働者派遣的形態の企業が年ごとにこれまた増加してきている。そういうことになりますと、現実に、労働大臣が今冒頭に私の質問に答えて、大臣としての仕事に対する、任務に対する構えを言っていただいたわけでありますが、労働者の保護や権利保障が現実に今そういう面では侵されていると言って過言ではないと思うのですね。だから、何らかの規制措置というものは私も必要だと思います。何らかの規制措置は必要だと思いますが、今存在する職安法、労働基準法、労働安全衛生法、幾つかの労働関係法、こういう現行法でこの現実になぜ対処できないのか、これをひとつ大臣申しわけないのですけれども、時間がずっと来てしまいますので簡潔にお答えいただけますか。
○加藤(孝)政府委員 終戦直後制定されましたそういう諸規定において当時考えていなかったようなこういう高齢化社会の進展であるとか、女子労働者の大幅な職場進出であるとか、あるいはまた技術革新の急速な進展による構造的な変化、こういったようなものが出てきておるわけでございます。 そういう中で、こういう現在のこの終戦直後から来ております職業安定法の既存の労働力需給調整に関する諸規定ではこういった事態は予想をされていなかったということでございまして、そういうようなことでこういう現行の労基法の禁止規定の視点からも問題が生じてきておる、またこういう機能を既存の労働力需給調整システムでは必ずしも的確にこれを解決し得ない、こういうような事情が出てきておる、こういうことでございます。 また、現在この派遣事業に見られますように、やはり労働基準法等においても当時予定していなかった雇用と使用のいわば分離といいますか、乖離、こういったような問題等も出てきておるわけでございまして、そういう中で、現行法の中でこういった問題を的確に解決するということが非常に難しい、的確に対応できなくなった、こういうことが既存の法律の整備というだけではなくて、この際新規立法というものをお願いをいたしております最大の理由でございます。
○永井委員 きょうは余り具体的なことで論争する時間が実はないのでございますが、一言だけ申し上げますと、現行法で的確に対応できないという状態が生まれてきた、こう言われておるわけでありますが、厳格に対応しようと思えば対応できたはずだ。これは後で申し上げます。後で指摘しますが、今局長が言われたように、それほど、現行法で的確に対応できないほど現状の問題というものは複雑になってしまっているというその過程が問題でありまして、このことは後で触れていきたいと思います。 さて、この労働者の保護あるいは権利保障ということについて、今言われたようにいろいろ問題はあろうとしても、確たる法制上の措置、行政の対応というものは私は結果として不可欠だと思うのです。 そこで、私はこの法律案の審議に当たって、いわば質問の第一陣でありますから、我が党のこれからの各同僚議員の質問ということも考えまして、今、いわば現状の認識というものを、可能な限り共通の土俵の上に立って法案の審議に入りたい。そうしませんと、共通の認識がないままに歯車がかみ合わないという論争だけでは、問題が問題でありますだけに法案の審議が全くうまくいきませんので、そういう立場できょうは全体的な問題を総論的に取り上げてみたいと思うわけです。 まず第一に、派遣労働の実態とその現状をもたらした要因、背景についてお尋ねしたいと思うのであります。 いわゆる派遣労働者が広範な分野にわたって現実に増大してきている実態、つまり派遣的労働者数、あるいは労働者派遣的企業数、さらにでき得れば派遣的労働が行われている産業、業種、職種についてどこまで労働省は把握されておるのか、把握されておる内容について明らかにしてもらいたいと思います。
○加藤(孝)政府委員 今回の法案で制度化を予定しておりますこの労働者派遣事業そのものについては、もちろん現行法体系のもとでは制度的に存在しないわけでございますので、これと類似いたしました形態で行われておりますいわゆる人材派遣業と言われるものの事業所数あるいは労働者数についての統計的な把握というものは困難な現状にございます。しかし、私どもこういった人材派遣業についていろいろ関係者からの事情聴取等の方法によりまして把握しております現状について申し上げさせていただきたいと思います。 まず、こういう形態の事業が比較的多く見られる業種についてその数を挙げてみますと、いわゆるビルメンテナンス業というものがございます。これが事業所統計調査によりますと、五十六年度で約八千の事業所があり、約三十万人の労働者がここで就労しておる。あるいは警備については、これは警察庁の調べでございますが、五十八年末で約三千五百の業者が約十四万人の労働者を使ってやっておる。あるいは情報処理サービス業につきましては、これも五十六年の事業所統計調査でございますが、約五千の事業所がございまして、十六万人の労働者が就業しておる。さらに事務処理サービス業、これは明確な定義がございませんので正確な数の把握が難しゅうございますが、現在のところ約百八十から二百社、登録スタッフが約十万から十二万、こう推定されておるわけでございます。ただ、今申し上げました数字はいわゆる請負事業の形態をとってやっておるわけでございまして、この中のどの程度が派遣労働なのかという点については明確でない、あるいはこの数字が全部派遣労働者であるというわけではない点はお許しをいただきたいと思います。 それからまた、五十八年度に労働省におきまして業務処理請負事業における派遣的労働の実態調査というものを行ったわけでございますが、それによりますと、ビルメンテナンス業では清掃員とかガラスふきとか洗浄員、こういった方が七五%程度、情報処理業ではシステムエンジニアとかプログラマーという方が約四七%程度、キーパンチャーが二八%、電算機オペレーターが二〇%程度という状況にございます。それから事務処理業ではオフィス事務員が五〇%、和文・英文・カナタイピストが一二%という割合になっております。もちろんこれらについてもそういう派遣的な労働者だけではなくて、請負形態のもので行われているもの全体を含んだ数字でございますが、そんなような現状にございます。
○永井委員 この請負的な業務と派遣的な業務が明確に把握できない。実はそこが問題なんです。その問題認識というものを、後の質問の関係がありますからここできちっと持っておいてもらいたい。だから、一つ一つ議論するのではなくて、とりあえず現状を明らかにしてもらうということで、まず初めにずっと私から質問してみたいと思います。 今数字を並べていただいたわけでありますが、この派遣会社の最大手と言われるマンパワージャパンというのがあります。これの設立されたのが昭和四十一年であります。昭和四十一年にこのマンパワージャパンが設立されて、いわば成長産業として脚光を浴びてきた。その脚光を浴びてきたことを契機としてこの派遣会社的なものが著しくふえてきた、このように私どもは見ているわけでありますが、この派遣事業所設立の推移は、昭和で言うと三十年代、四十年代、五十年代と大まかに分けてどのようになっておりますか、これも説明していただけますか。
○加藤(孝)政府委員 労働省が五十八年度に実施をいたしました業務処理請負事業における派遣的労働の実態調査によりますと、ビルメンテナンス業では、昭和三十年代以前に設立されたものも若干ございますが、多くは三十年代、四十年代に設立されております。五十年代になりましてややウェートが低い、こんな状況でございます。三十年代が三三%、四十年代が四五%設立されておるというような状態にございます。 情報処理業につきましては、主として四十年代以降に設立されておりまして、三十年代のものはわずか四%、四十年代に五七%、五十年代におきまして三九%というような設立状況でございます。 また、事務処理業について見ますと、これも主として四十年以降に設立されておりまして、三十年代は四・三%、四十年代で三六%、五十年代で五九%ということで、特に五十三年以降多数の事業所が設立されておりまして、五三%は五十三年以降に設立されたものである、こんな状況にございます。
○永井委員 今御答弁がありましたように、例えば情報処理業などを例にとってみると、マンパワージャパンが設立されて以降急速にふえてきているわけです。マンパワージャパンをスケープゴートにするわけではございませんけれども、現行法のもとで企業として成り立っていく、著しい成長を遂げてきている、このことが同種企業数の増加に拍車をかけてきたんではないかと私は見ているわけであります。したがって、そこに今回の派遣事業法をつくるに当たっての一番大きな問題点を持っていると私は思うのでありますが、これも後ほど具体的に質問してみたいと思います。 言いかえるなら、労働者派遣事業というのは、すべてがそうではありません、極論でありますけれども、紙と鉛筆と電話さえあればできる、そこまで言われている。派遣企業に生産設備やノーハウがなくても企業は成り立っていく、これがこの種の企業の最大の特徴だと思うのです。したがって、この種の企業を仮に法的に認めた場合に、さらに同種企業が雨後のタケノコのようにふえてくるのではないか、私はこのように心配しているし、この派遣事業によっていろいろな影響を受けてきている労働団体、労働者側からすればここが最も心配される点だと思うのです。 現に新聞報道を見ましても、ここに日本経済新聞の昨年の十月から一月にかけての新聞を持っているわけでありますが、「大企業も相次ぎ進出」、労働省が派遣事業法を制定する動きを見せているから、この際、一挙に人材派遣業にいわば自分のところの企業が手が広げていくべきだということで、大企業が相次いでそういう行為に出ているということがこの新聞でもかなり大きく報道されているわけです。 そしてその中に、人事管理の一元化や人件費の削減をねらっているが、将来的には派遣先企業を積極的に拡大し、企業の有力な収益源とする考えである、このように日経新聞で報道しているわけですね。これは労働省のこの労働者派遣事業法なるものを策定するという動きが伝わった時点から、去年の十月からもう大々的に報道されて、もう既に各企業が手をつけてきているわけです。だから、そうなっていくと、労働団体の心配するような問題が本当に事実のものとして出てくる可能性が強い、私はそう見ているわけです。 そこで、それでは労働者の派遣的企業の企業別の数は一体どうなっておるのか、あるいは企業規模別の従業員数は現状どうなっておるのか、これをまずお聞かせ願いたいと思うのです。
○加藤(孝)政府委員 先ほど申し上げました労働省の業務処理請負事業における派遣的労働の実態調査によりますと、三百人未満の事業所の割合が、ビルメンテナンス業では八六%、それから情報処理業では九九%。そういう意味におきまして、中小企業が非常に多いのがこのビルメン業、情報処理業の特徴でございます。一方、事務処理業では、三百人以上というのが四五%になっておりまして、比較的規模の大きいものが多い。こんなような状況にございます。 また、事業所規模別のこういう派遣的労働者数の割合を見てみますと、三百人未満の規模の事業所の派遣的労働者の割合は、ビルメンテナンス業で四九%、情報処理業では九三%、非常に高い割合になっております。一方、事務処理業では、三百人未満というのは一四%。両者に比べて比較的割合が小さく、言うならこの情報処理業では大部分の労働者が大規模事業所に所属しておる、こういうことが一応概括的に言えるのではないかと思います。
○永井委員 情報処理業については大企業に所属する者が多い、こう言われているのでありますが、むしろ現実は三十人—九十九人という規模のところが一番多いわけでしょう。私どもの調べたのではそういう分布になっているわけです。 そこで、実は私の調べたのでは、小規模企業ほど派遣的事業として増加をしてきているわけです。従業員数もそこに集中的にふえてきている。実は派遣元で労働組合もつくられていないというのがほとんどなんですね。一般の企業でも中小企業ほど労働組合の組織率は低くて、そのために労働条件をなかなか向上させることができない。今、春闘の真っ最中でありますけれども、もう御承知のように、大企業は一応労使紛争としては妥結をしておっても、中小零細企業はほとんどがまだ残っていますね。 この前の春闘集中審議でも、大企業と中小零細企業との格差問題を私はこの委員会で取り上げました。そういう実情から考えると、現存している派遣的企業の場合でも中小零細企業が極めて多くの分野を受け持っているという事実がある。そこで、労働組合をつくれないという状況の中で果たして労働者の権利保障というものができるだろうか、労働者の保護というものができるだろうか、このことを私は非常に心配をするわけです。これについても具体的な問題は後ほど触れていきたいと思いますが、例えば今言われたこの派遣的企業の資本金などは把握されておりますか。
○加藤(孝)政府委員 これは日本事務処理サービス協会の加盟各社について、ことしの四月一日現在、二十二社について調査したものでございますが、一千万から五千万未満というのが最も多うございまして、四六%ございます。次いで百万から五百万未満というのが二三%、それから、逆に大きくなりまして一億円以上というのが一四%、こんなような状況にございます。それからまた、情報処理産業について見ますと、資本金が一千万から五千万未満というのが約半数ということでございまして、次いで百万から五百万未満というのが一五%、それからまた五百万から一千万未満というのが一五%、こんなような調査結果がございます。同時にまた、ビルメンテナンス業について見ますと、一千万から三千万未満が三六%、それから五百万から一千万未満が一九%、それから三千万以上というのが一四%、こんなような分布になっております。
○永井委員 ヨーロッパあたりではこの資本金についてもかなり規制がされていると聞いておりますので、この面についてもこれからの対応も含めて規制の方向で検討を加えておくべきだということをまずここで申し上げておきたいと思います。 さてそこで、派遣労働者にとって最も懸念されるのは雇用の不安定という問題です。派遣労働者が派遣元と雇用関係が存在する場合を仮定したとして質問するわけでありますが、派遣元から解雇される場合がある、派遣先で派遣打ち切りの措置によって従来の仕事を失うという場合がある、次の派遣先に派遣されるまでの間は仕事にありつけない、事実上失業する、こういう具体的な問題が出てくるわけです、私どもは違法だ、こう断定しているのでありますが、現実に今存在する派遣企業においても同じことなんです。またその一方で、派遣元に登録されているという登録型がある、現実にこれはあるんです、マンパワーなんか登録型ですからね。その場合でもいつ就業できるのかは不明だ、就業したとしてもいわゆる解雇される、打ち切られる、次の仕事にありつけるというまでの失業、こういう関係では同じことなんです。 そう考えていくと、派遣元があって、派遣労働者は自分が派遣されておる企業、派遣先の企業との間に直接的に労働契約というものが存在しない以上、派遣先の企業に対して権利の主張はできないんです。派遣先の企業は派遣労働者とは無関係に派遣を打ち切ることができる。その意味においては、派遣労働者は身分、就業についてまさに不安定のきわみに立っている、こう言っても過言ではないと思うのです。 私は、今現状の分析をしているわけでありますが、今幾つか現状における数字を挙げてもらいました。企業の数とか従業員数とかあるいは資本金の規模についてまで分析をしてもらいましたけれども、現実に今置かれている状態というのはそのように認識の統一ができるかどうかお答えいただけますか。
○加藤(孝)政府委員 御指摘がございましたように、派遣的な形態をとっております事業についての雇用の安定度、こういった面について見ますと、例えばビルメン業では常用が八四%、臨時が一四%、日雇いが二%、こんなような状況にございます。また、情報処理業につきましては、常用が九四%、臨時が六%、日雇いは〇・一%、こんなような状況にございます。しかし、事務処理業になりますと、常用はわずか六・八%で、臨時が二〇%、日雇いが七四%ということで、事務処理業については日雇い形態といいますか、今先生がおっしゃいます登録制というような形での状態になっておるということは私どもも承知をしておるわけでございます。
○永井委員 私は、今お聞きしているのは、常用であろうと登録型であろうと、その常用というのは現実はどういう意味なのか私はわからぬわけですけれども、その派遣元企業に常用されているという言葉があったとしても、じゃ、その仕事のない間は全部給料が保証されているのかというと、私どもいろいろ調べてみましたが、現実はなかなかそうはいっていない。 しかし、そのことはさておいても、この派遣先で解雇されるとか打ち切られるとか、あるいは次の派遣先で仕事にありつけるまでの間失業するとかいう面においては、一般的な終身雇用と違って本当に不安定な雇用状況に置かれているという、そういう認識と、そうして仮に問題があったとしても、派遣先の企業との間に労働契約が形の上では存在しないのだから、そうすると、そこに身分、就業について労働者の意思をその派遣先企業に伝えて、そこで具体的な問題の処理を図るということはできないわけであります。 そういう意味では、不安定そのものだ、こういう宿命に置かれているという現状についての共通の認識に立つことができるかどうか、それをお答え願いたい。もうその関係については、数字はいいですから。
○加藤(孝)政府委員 こういう派遣事業が出てまいりました背景といたしまして、一つには労働者自身が、例えば自分の専門的な知識経験を生かしたい、特定の企業のいわゆる人間関係に煩わされたくない、それから自分の都合のいいときに働きたい、そういうようなことも一つ労働者側のニーズとしてある場合もあるわけでございます。 そういう意味の不安定性というものが、必ずしも全く本人にとってこれがぐあいが悪いのかどうか、その辺については若干人によって見方があるかと思いますが、形態として見た場合に、とにかくそういう企業から企業へというような派遣という形にあること、そのこと自身横からその状態を見れば、これは確かに短期間の雇用というものがつながっておる、またなかなかつながらなくてとぎれることがある、しかもその先についていつも仕事があるとは限らないというような事情があるという意味においては、不安定な状態があるという認識は私どもも持っております。
○永井委員 そこで今、常用あるいは日雇いとか、いろいろな関係についてもちょっと数字を挙げていただきました。これらについては、後これから数字的な問題、私もかなり質問いたしますので、全部ここで控えるわけにいきませんので、これからの審議の関係もありますので、一応労働省が現状把握している一切の実態についての数字、これは表にまとめていただいて、ひとつこれからの審議に参考にするために配付していただけますか。よろしゅうございますか。
○加藤(孝)政府委員 私どもで把握しております数字は、御提供申し上げたいと存じます。
○永井委員 委員会に対して配付していただけますか。
○加藤(孝)政府委員 承知いたしました。
○永井委員 それではその次に、現在の派遣労働の不安定雇用という実態から、ちょっと突っ込んでお尋ねしておきたいと思うのでありますが、いろいろ調べてみると、いわゆる派遣労働と言われている現在の労働者の中に、例えば日々更新、いわゆる日雇いですね、あるいは一カ月程度で派遣される者、あるいは三カ月程度、六カ月程度、一年以上、いろいろありますね。これをいろいろ調べてみると、例えば情報処理産業などについては、圧倒的に一年以上というかなり長期の派遣労働者が多いわけですよ。 そうなっていくと、例えば職安法が制定された当時、あるいは改正された当時に、労働者の雇用問題について、いわゆる職安法の施行規則に基づいて指導がされているわけです。ちょっと読んでみましょう。「労働者供給事業を行う者に属していた労働者に対して」というタイトルで、「従来供給されていた工場、事業場に直接雇用されるように指導すること。そのためには、従来の供給先の工場、事業場及び供給業者の積極的協力を求めること。」こういう指導文書もかつては出されているわけですね。雇用期間の定めのない者、いわゆる臨雇と違って、一定の長期間派遣される者は、本来は、今の職安法からいっても、直接雇用へ持っていくような努力がなされなくてはいけないのですね。そういう関係からいくと、今の明らかにしてもらった現状というのは、労働省はその指導との関係でどのようにお考えになりますか。
○加藤(孝)政府委員 先ほども申し上げましたように、特定の事業所に常用雇用をしていく、こういうことは現在においても私ども雇用政策の基本であると思っております。ただ、この人材派遣業の出てきました背景といたしまして、労働者自身が自分の働きたいときに働きたいとか、あるいはまた特定の企業にずっといて、その人間関係なり年功序列の中ではなくて、自分の専門的な職業を生かしたいというようなそういうニーズもいろいろ出てきておる。そういうような中でのいわば一つの新しい動きといいますか、そういったものがある。 その場合に、そういうニーズにまた適合するような形での今度企業側のニーズというものが、こういう技術革新というような中で、あるいはまた減量経営というような中で出てきておる。そういうのがうまくマッチしてこういう人材派遣業というものがふえておるということでございますので、そういう常用雇用というものを雇用政策の基本に置いておくという基本は変わりませんが、そういったものを全く否定するということもいかがか、こういう立場におるわけでございます。
○永井委員 すべてを否定しろとは言いませんけれども、労働省の置くべき基本的スタンスというのは、あくまでも今まで労働者供給事業を行う者に属していた労働者については直接雇用させるように指導する責任がある、義務がある、このことを労働省の通達の中で明らかにしておるわけですから、そういうものがありながら、現状はこういうこれだけの現実的な派遣労働的な企業がどんどんふえてきた、不安定雇用者がふえてきた、そこが問題であって、だから何らかの規制が必要だと言っているのは、そういう意味で私は申し上げているのですが、その基本的なスタンスは本来変えるべきではない、このことを私は申し上げているのです。一言で答えてください。
○加藤(孝)政府委員 私どもも、この日本のいわゆる終身雇用制と言われておるこの制度、常用雇用というものを主体にしていく、この基本というものは変えるべきではない、こう考えておるところでございますし、またこの法案におきましても、この派遣事業を認めて運用していく場合においても、日本のそういうこれまでの雇用慣行との調和をよく考えて、こういったものに大きく影響を与えるような形での運用というものはなすべきではない、そういう基本的な考え方も明らかにしておるところでございます。
○永井委員 そこで、この議論を繰り返しておったら時間がなくなりますので、問題は全部後へ回します。後へ回して改めてまた質問いたします。 次に、今明らかにされたことと密接な関係があるのですが、派遣労働者のいわゆる労働形態上の問題でありますが、例えば労働時間は一体どうなっているのか。フルタイムかパートタイムか。これは今申し上げましたように後ほど資料としていただきますので、細かい数字まではいいですから大体の傾向だけをお答えいただけますか。
○加藤(孝)政府委員 先ほど申し上げましたこの労働省の業務処理請負事業における実態調査によりますれば、例えばビルメンテナンス業について見ますと、四時間未満というのが三・三%、それから四時間から六時間未満というのが七・二%、六時間から八時間未満が一七・二%、八時間から十時間というのが、これが最も多うございまして六五・四%、それから十時間から十二時間未満というのが四・九%、それから極端に長い十二時間以上というのも〇・九%ではございますがあります。 それから情報処理業について見ますと、これも八時間から十時間というところが最も多くて六〇・四%ということでございまして、次に多いのが、六時間から八時間未満というのが二六・七%、こんなようなウェートでございます。 それから事務処理業になりますと、少し短くなりまして、六時間から八時間未満というのが五八%で、この層が最も多くなっております。次いで八時間から十時間未満というのが三三・五%、こんなようなところでございまして、中には六時間未満というのも七・七%ございます。 そんなような労働時間の分布になっております。
○永井委員 今お答えいただいた中身で聞きますと、非常に長時間が多いんですね。派遣労働の中では非常に長時間、ビルメンテナンスにいたしましても、情報処理業にいたしましても、あるいは事務処理業にいたしましても、八時間から十時間、十時間以上、この数字が非常に高いわけですね。 そこで、これに関連をしてちょっとお聞きをしておきたいと思うのでありますが、VDTの問題について、労働省が一九八四年、去年二月にVDT作業における労働衛生管理のガイドラインというものを出しておりますね。そのガイドラインでいきますと、一時間当たりの作業休止時間が示されているのでありますが、一日当たりの作業時間は何ら示されていない。労働基準法では一日の働く時間が八時間、一週間で四十八時間、こうされているわけでありますが、そのほかにいわゆる三十六条の協定によって時間外労働をすることが認められている。 それを例えばこのVDTの問題で言えば、労働基準法があるからそれに抵触しないということだけで済まされるのだろうか。むしろ作業の特殊状況からいって、一時間当たりの作業休止時間だけではなくて、一日当たり、一週間当たりの特別規制措置があってもしかるべきじゃないのか。そういうこともされていないから情報処理業であるとか事務処理業についてもかなり長時間労働が多いのではないか、このような気がしてならぬわけであります。 そこで、私の地元に兵庫県だけに発行部数を持っておる神戸新聞という新聞がございます。発行部数はかなり多いのですね。兵庫県では三大新聞よりも大きいのですね。この神戸新聞にたまたま「派遣労働の内と外」という特集が出ておりましたので、ここに切り抜いてまいりました。その中に「使い捨て」というタイトルで現状を分析しているものがあるんです。その中にどういうこと宣言っているかというと、「一つ 人貸して、もうけていながら低賃金」、二つはないのですが、「三つ 見ると聞くとは大違いの花形職場……九つこき使われて三十五歳でスクラップ」こういうことになっている。端的に表現されているのです。 ところが、今ここに申し上げたことは、神戸新聞社がそういう言葉をつくったんではなくて、本格的なエレクトロニクス時代に入って驚異的な成長を続けているコンピューター業界でそこに派遣されているソフト技術者がそういう数え歌を今盛んに歌っているということの紹介なんですよ。そうしてさらに解説の中で、労働者供給事業を行っている労働組合などが調査した中身でありますが、こういうVDTの作業に従事する者などは大体三十五歳でスクラップになると言っておるんですよ。これは七〇%以上だ。そして、「賃金、身分に将来性がない、体力、技術がついていかない」からそういうスクラップになってしまう。これは一つの端的な現状を今ここで示していると思うのですね。 そうしますと、今局長から労働時間のことについて数字を説明していただきました。それは現状の分析で、だからこそ共通の認識が必要なんでありますが、非常に長時間労働が多い。なぜVDT問題についてガイドラインをつくったときに一時間当たりしかそういう作業の休止時間というものを示さなかったのか。もし示すことができなかったとするなら早急に示すように、基準設定をするなり、あるいは労働者の健康を守るためにも一定のそれこそ法制化が必要なのじゃないか。お答えいただきます。
○寺園政府委員 VDT作業に従事いたします労働者につきましては、衛生上の配慮を怠りますと、御指摘のように目の疲れの問題でありますとか胸とか手への影響というものがございます。そのような観点を踏まえまして昨年の二月にガイドラインを策定をいたしまして、作業管理、それから健康管理等々につきましてのガイドラインを示したところでございます。 その中には、御指摘のように一日の作業時間の規制はございません。その理由は、一日の作業時間の規制についての知見というものがまだ十分得られておらないということに基づくものでございますが、現在、産業医科大学、産業医学総合研究所におきましてVDT作業に関する共同研究を五十八年から三年計画でやっております。その研究成果を踏まえまして指導指針をつくってまいりたいというふうに思っております。
○永井委員 この問題も後でちょっと触れていきますので、ここでは省略しておきたいと思います。 問題点だけ先に申し上げますが、その次に、この派遣労働問題では婦人の運動団体などからもたくさんの要望が私の手元にも党の手元にも寄せられております。それは女性の立場に立って、法制化への批判や、むしろ現状にもっと厳しい規制をせよという要望が非常に強いわけですね。つまり、最近の女性の職場進出は目覚ましいものがあるのですが、総理府の労働力調査を見ましても、雇用労働者、これは昨年の実績でありますが、四千二百八万人のうち千四百八十六万人が女性だというふうに出ています。 しかし問題は、その雇用をされている女性の中の二〇・五%が短時間労働者であるということも明らかにされています。そのことはあながち女性の職場進出を数字上だけで評価できない、このことをここで示しているのではないかと私は思うわけですね。むしろ短時間労働者であるがゆえの労働条件上の多くの問題点が存在するということを知らねばならない。これから問題は、労働者派遣事業法が制定されるとなると、むしろごういう女性の実態に拍車をかけることになりはしないか。だからこそ、我が党としてパート等保護法案を昨年提出しまして、私が党を代表して提案理由の説明を申し上げたわけでありますが、いまだに実質的な審議がされていない。非常に残念であります、継続審議中でありますから。ひとつ自民党さんもその気になって御協力いただきたいと思うのであります。 それはともかくとして、派遣労働者の中にも、これは警備などは別にいたしまして、女性がかなりの比重を占めておるのではないか。男女雇用均等法の審議の過程でもこのことは問題になりました。そこで、派遣労働者の性別構成、できれば職種別などについて簡単に説明していただきたいと思います。
○加藤(孝)政府委員 先ほど申し上げました業務処理請負事業における労働省の実態調査によりますと、ビルメンテナンス業では女子が六〇・七%、また情報処理業では女子が三五・八%、また事務処理業では女子が九四・四%、こういうような状況にございまして、女子の占める割合が特に事務処理業では非常に高いというような状況にございます。 また、職種別にこれを見てみますと、ビルメンテナンス業の女子では、その九〇・五%が清掃員、ガラスふき、洗浄員、こういうような業務でございます。また、情報処理業におきましては、女子ではキーパンチャーが七八%、最も割合が高くなっております。また、事務処理業では、女子はオフィス事務員が五二・三%、それから和文・英文・カナタイピストの一二・八%というところが非常に高い割合になっております。これらの方々につきまして、一般的なこういう業務に従事されておるニーズというものについて見ますと、例えば「専門的技能・知識等が身につく」とか、あるいは「自分の技能・知識が生かせる」というようなことであるとか、あるいはまた、特に事務処理業における女子の場合の割合が高いのでございますが、「希望する日又は時間に働ける」というようなこと、それからまた、事務処理業の女子につきましては「比較的高収入が得られる」というようなことなどが就業の動機になっております。 そのほか、女子の職場進出の問題という観点からいたしますと、いろいろな形で今これが各方面に進出をしてきておる、それについて基本的には一定の規制をして特定分野についてだけ認めていこう、こういうことでございますので、こういった派遣事業形態が、他の就業分野についてどっとそれを放逐するような形での広がりというものはすべきでないし、また、そういうような仕組みは考えていない、こういうことでございます。
○永井委員 今御答弁の中にありましたように、例えば女性に例をとれば、希望する日に働ける、あるいは希望する時間に働ける、そういう希望に基づいてそういう婦人の派遣労働的なものはふえてきている、こういう趣旨の説明もありましたね。私は、中にはその婦人労働者の持っているニーズどおりにいっている場合もあるのでありましょうけれども、必ずしもそうだとは言えないと思うのですね。 例えば、ある女性二人が私の事務所に参りまして実情を聞いてほしいということで話があったのですが、派遣企業的なところの募集に応じて行った、その募集には、今言われたように希望する日とか、希望する時間に働けるということを見て応募して行ったというのです。ところが、行ってみると、派遣元の約束と違って、派遣先に仕事の労務指揮権があって事実上その指揮監督を受けるわけでありますから、自分の思ったように休むことができない、あるいは自分の思った時間だけでは済ませてもらえない、それがいやならもうあしたから来てもらわぬでもいい、こういうことになってしまって私たちはやめましたという話を二人の女性から聞きました。 私は、そういうケースは現状の中では随分あると思うのです。したがって、そこに派遣事業というのは非常に大きな問題を持っているわけでありますが、男女雇用の平等という関係からいっても、文言上はそういうことが存在しても実態的には存在していないのではないか、こう言わざるを得ない。例えば事務処理で見れば、今言われたように派遣労働者として女性が圧倒的に多い。そして雇用期間の定めのあるもの、いわゆる一般的な企業で言えば臨時雇用員みたいなものですね、こういうものがそのほとんどを占めている。そして、単に働きたい希望の女性のニーズによるとはそういう関係からいくと言えない、このことは指摘をせざるを得ないと思う。むしろ企業のニーズが圧倒的に反映されていると見るのが至当ではないかと私は思います。具体的な数字のやりとりではかみ合わないところもあるのでありましようけれども、私どもが調査をしたり実情を聞いたりしたところでは、そういうことが言える。 そうなりますと、例えば派遣事業というものの実態から考えて、ことしは国連婦人の十年が終わるわけでありますが、この国連婦人の十年の取り組みの成果として、この面にスポットを当てて見た場合に、一体成果があったと言えるだろうか。ちょっと問題は直接的に関係ないかもしれませんけれども、大切な国連婦人の十年が経過をするわけでありますから、そういう意味から大臣、一言、女性に対する立場からお答えいただけませんか。
○加藤(孝)政府委員 確かにこういう人材派遣業的なものにおきましても女性の職場進出は進んでおりますが、一方、常用雇用労働の面でのまた女性の職場進出も進んでおるわけでございますし、あるいはまたパートでの職場進出というものも進んでおるという意味におきまして、いろいろな形での女性の職場進出が進んでおるということは、やはりそういう国連婦人の十年の一つのまた影響があるのではないか、こんなふうに思います。
○永井委員 もう一回言いますけれども、この派遣事業ということについて言えば、実態の今分析をしておるわけですから、分析で見ると、いわゆる派遣事業的な女性の労働者が圧倒的に多い。特に事務処理などで圧倒的に多い。しかも、それがいわば期間の定めのある雇用関係が多いわけでありますから、いわゆる不安定雇用の面でいうと、そこにクローズアップされていい状況があるわけです。国連婦人の十年が定められてことしで終わるわけですが、片一方で男女雇用均等法も参議院で今審議されておるわけです、私ども問題にしておりますけれども。そういう関係からいって、労働大臣として、この国連婦人の十年ということに取り組んできた労働省の立場からいって果たして成果は上げていると言えるのだろうか、それをちょっと聞いておきたいのです。
○山口国務大臣 まあ女性に限らず派遣労働者の労働条件のいろいろな改善すべき問題、労働福祉の向上の問題というのは、今永井先生から再三御指摘いただいたような問題点がある。そういう部分をフォローすべく、ひとつ今回の派遣法を御審議もいただき、そういう成案の立場から労働者保護というものを進めていきたい。 特に派遣の中における女性労働者の比率というものは非常に大きいわけでございますから、そういう意味でひとつ雇用の安定と女子雇用者の労働福祉条件の改善、こういうことで考えているところでございますが、同時に国連婦人の十年における成果があったか否か、こういうことは、率直に言って、社会といいますか職業社会においては男性社会的な部分がある。これは政府でありますとか法律の整備という問題だけじゃなくて、やはり国民一人一人といいますか、特に家庭における共同責任等も踏まえて、女子勤労者の方の働くべき諸条件整備というものを社会も政府も一体となって進めていかなければならない、こういう点からいうと、この国連婦人の十年における啓蒙啓発というものは、特に我々女性に理解の少ない、皆さん方は別かもしれませんが、私も大いに女子の家庭責任に対する男性たるものの共同責任という点も含めて、大いに理解とまた認識を改めなければいけない、こういう気持ちになっておるわけです。 そういう点からいうと、労働条件等においても、今安定局長からの説明がありましたように、女子雇用者の職場進出が非常に拡大しておるということは、先生等が問題にしていただいているような女子勤労者の雇用の平等とか均等というものが、徐々ではあるけれども、着実に進展、拡大、また改善されているのじゃないか、こういうふうに私としては受けとめ、さらにそれを促進していきたい、かように考えているところでございます。
○永井委員 ひとつ国連婦人の十年の一定の区切りをつけるためにも、これからの法案審議の中でも私ども触れてまいりますけれども、女性の権利を確立するという立場から、労働省も積極的に取り組んでもらいたいということをあえて申し上げておきたいと思います。 次に、いわゆる中間搾取の問題であります。 まずその第一は、通常の労働者の場合と違って、労働者と使用者との間に第三者が介在するわけですね。現に介在しているわけですよ、現状は。そうして派遣先、いわゆる直接の使用者でありますが、派遣先からは形式的には請負料として派遣会社に賃金が支払われ、その中から派遣元が労働者に賃金を支払う。だから、中間搾取が存在するし、大いにそこが懸念されるわけです。派遣労働者の賃金形態は現状どうなっているか。日給が、あるいは日給月給なのか、あるいは月給なのか、ひとつその辺のところを大まかに言っていただけますか。時間がだんだんなくなりますから、できるだけ簡単にお願いします。
○加藤(孝)政府委員 先ほどの昭和五十五年に労働省で業務処理請負事業の実態を調べた結果によりますと、事務処理に従事している派遣労働者の賃金支払い形態は、時間給制が三七・四%、月給制が四五・八%、それから日給制が八・四%、こんなような状況にございます。また、例えば事務機器操作という業務について見ますと、時間給制が二〇・二%、月給制が六六・四%、日給制が六・七%というふうな状況でございます。それから情報処理は、時間給制が四・九%、それから月給制が九〇・二%、日給制が〇・九%。清掃関係は、時間給制が一三・七%、月給制が二一・二%、日給制が六一・八%、こんなような状況でございます。建物設備管理の関係につきましては、月給制が八二・五%、日給制が一一・五%、こんなような状況になっております。
○永井委員 派遣先の企業における同種労働者ですね、自分が派遣されている企業における同じ作業をしている同種労働者——私もある企業へちょっと行ってみました。机を並べて仕事をしているとか、そういう同僚の間でも、本来の企業に雇用されているものと派遣労働者といるわけですよ。そういう同種の労働者と比較して、賃金はどの程度になっているのか把握されておりますか。
○加藤(孝)政府委員 この点につきましては、特に私ども資料を持っておりませんが、基本的には、その企業の年功序列的な形で常用雇用でおられる方の賃金と、それからまさに臨時的な形で自分の専門を生かすという形で入っておられる方の資金というのは、おのずから違ってくるであろう、こう思うわけでございまして、ちょっとこの辺についての単純比較というのはなかなかしにくいものではないだろうか、こんなふうに考えております。
○永井委員 これは大事なところですからね。実際その賃金がどうなっておるかということをひとつ早急に調査をしてもらいたい。全部を調査するわけにいかぬでしようけれども、重立った企業について調査をしていただいて、派遣労働者とその派遣先の企業に本来常用雇用されている労働者との賃金比較、これはひとつできるだけ大筋でわかるようなことをやはり調査をしてもらいたい。そういうことを調査しないと実際の対応ができないのではないか、こう思います。 そこで、労働基準法の第六条では、中間搾取が禁止をされているわけです。「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」こういうふうに労働基準法第六条では明確に禁止をしているわけでありますが、派遣労働者の賃金実態というのは、調査をしてもらわぬと本当のことはわからぬでありましようけれども、私どもが把握しているところでは、かなり賃金の差がある。そういうことから考えて、明らかに中間搾取が存在していると見ていいのではないか。そのことは労働基準法第六条に違反をしていると言って過言ではないと断定してもいいのではないか、こういうふうな気さえするわけであります。したがって、中間搾取の禁止規定の実効性が今度の派遣事業法の制定によってなくなってしまうのではないかという心配があるのですが、これはどうですか。
○寺園政府委員 労働基準法六条は、先生御指摘のとおりいわゆる中間搾取の禁止規定でございますが、内容といたしましては、業として他人の就業に介入して利益を得ることを禁止しておるわけでございます。この場合に「他人の就業に介入して」という意味でございますけれども、これにつきましては、労働関係の当事者間に当該労働関係の外にある第三者が介在をして、労働関係の開始あるいは存続等に関与することであるというふうに理解をいたしております。また、このことは最高裁の判決でも述べられておるところでございます。 労働者派遣についてみますと、派遣元事業主は、派遣労働者を雇用している者といたしまして、派遣労働者の基本的な労働条件を決定をし、みずからの業務命令によって派遣労働者を派遣先に就労をさせ、これに対して賃金を支払うということでございますので、あくまでも派遣元の事業主は派遣労働者の労働関係の当事者に該当するわけでございます。したがいまして、基準法六条に言っておりますいわゆる中間搾取の規定に該当するものではないというふうに思っております。
○永井委員 そこは大変な問題でして、このことはきょうは時間の関係で余り論争するつもりはなかったのでありますが、あえて一言申し上げておきたいと思います。 この職安法が制定され、改正された昭和二十七年の当時に出された労働省の指導文書、この中に、請負契約の形式で合法化しようとするものについては厳しく規制をしなさいということが書かれているわけですよ。今基準局長が御答弁されましたけれども、確かに形の上では請負業なんですよ。なぜなら今労働者の民営の職業紹介事業であるとか、あるいは労働組合が行う労働者供給事業であるとか、あるいは学校が行う就職あっせんであるとか、こういうものを除いて、今言ったように何人も第三者が介入して労働者の雇用を通して利益を上げるということをやってはならないという中間搾取の排除の規定が明確にされているわけでありますから、私のところは中間搾取はやっています、労働者の派遣事業であります、それも今法的に認められているそれぞれのそういう組織ではなくて、組織の枠外にあって業としてやっていますなんと言う企業はどこにもないのです。存在したらおかしいでしょう。 そう考えると、今局長が最高裁の判例もあると言われるのでありますが、形の上では請負、しかし実態は請負ではなくて、事実上職安法に違反する派遣事業というものが現実に存在しているのですよ。労働省がどのように言おうとも現実は覆い隠すことはできない。そういう事実の認識の上に立って、さてどういうふうに規制するかということで私どもはこの法案に対応しようとしているわけです。そこの事実認識の食い違いがあったら大変であります。現に請負契約の形式で合法化しようとする者があるから、そうさせてはならぬよということで職安法の施行規則に基づいてそういう通達もしてきているのでありますから、形式的なそういう答弁で私は納得するわけにいかない。その事実の認識を私は求めているのだから、そこのところは明確にひとつ答えてもらいたいと思います。
○加藤(孝)政府委員 労働者供給事業というのは、派遣元といいますか、供給元において雇用関係のある者もあれば、ない者もある。また、供給を受ける側が雇用関係である者、ない者、いろいろあります。そういう中での議論として、請負関係と称しながら、労働者については実は雇用していない、そして派遣先において実態は雇用されておる、こういうような場合については、今基準局長が申し上げましたような論理、解釈においても、中間搾取は成立をするわけでございます。派遣元において雇用しておる、こういう状態においてやる話については、他人の就業に介入してではなくて、ずばり自分が雇用している労働者についてでございますので、この基準法の規定には該当しない、こういうことを申し上げたわけでございまして、労働者供給事業について、すべて中間搾取はないのだ、そういう意味では全くございませんので、この点は御理解いただきたいと思います。
○永井委員 質問する私自身が、全体像を明らかにしたいということできようは質問をしようとしているのです。法案の一つ一つについて今直ちに私は議論を吹っかけません。しかし、現状はどうなっているかということのお互いが共通の認識の上に立って、さてどうするかということが一番大事だと私は冒頭に申し上げました。そういう面から私は質問申し上げているのであって、もしも今存在する派遣事業的なものがすべて問題がないとするなら、何もこの法律案をつくる必要はないのです。そうでしょう。問題があるから労働省としては法律案をつくる。その労働省がつくろうとする法律案が、私どもは全面的に受け入れられるかどうかはさておいて、問題が余りにも多くなってきたから一定の規制を加えようということからの法律案の提起だと私は受けとめているわけです。だから、中間搾取が存在しないと言うなんということは、やはり実情の認識の立場からいうと問題がある。 例えば、最前私、神戸新聞の記事を一つ参考にいたしました。その中にもいろいろなことが書いてあるわけでありますが、例えばこういう項目があります。これも新聞の記事でありますが、ある具体的な企業の、具体的な個人の名前まで書いてあるのでありますが、派遣元と雇用条件について話をするときに、労働時間、日給、契約期間の欄が全部空白なままにサインしろと言われた。それが嫌なら派遣しませんよと言われた。そして雇ってもらわないと困るので、言われたとおりに判を押した。そして相手の企業へ派遣されていった。同じ仕事をするのに、派遣企業の労働者の賃金どこんなに大きな差がある。そして文句を言ったら、企業は、ちゃんと一人前の賃金を払っている、こう言ったそうなんです。 一人前の賃金を払っているということは、もちろん派遣元がその手数料的なものを取っているのでありましょうけれども、しかしその取り方というものは明らかに中間搾取に該当しないか。しかもその派遣元が労働者供給事業として認定された組織ではない。こうなってくると、やはりこの中間搾取ということは非常に大きなウエートを持って私どもは考えていかなければならぬ。こういう立場で申し上げているのです。これはこの場ではそれ以上論争しようと思いません、後でまた問題提起をいたしますから。 しかし、そういう状況が生まれてくるということは、この派遣労働者にとっては、派遣元との間に本来の労働基本権に基づいて団体交渉をやったりいろいろなことをする力を持っていない。例えば労働省の把握されておる数字があれば明らかにしてもらいたいのですけれども、いわゆる派遣的企業に労働組合が一体どれだけ組織されているのか、もしあればお答えいただきたいと思います。
○加藤(孝)政府委員 労働省の五十五年の実態調査によりますと、業務処理請負事業を行います事業所三百五十四のうち、労働組合のある事業所は一二・三%の四十七カ所、そのうち派遣労働者が組合員になっておる事業所は四十一カ所、こういうことで、労働組合がある事業所のうち派遣労働者もそこの組合員になっている事業所は八七%、こんなような調査がございます。 また、情報処理業についての結果は、三百十九カ所のうち組合ありが三十カ所の九・四%という結果がございます。 なお、事務処理業につきましては労働組合のある企業はほとんどない、こんなような状況を把握いたしております。
○永井委員 言われましたように、組織率は極めて低いし、とりわけ事務管理などに派遣されるものについては、短期間であったり、職場がばらばらであったり、いろいろなことから労働組合をつくるなんということは非常に困難性が伴うのです。だから、みずからの労働条件をみずからの手で決めることは極めて困難になってくる。さて派遣企業の方に行けば、派遣企業は直接雇用責任を持っていないわけだから門前払いになってしまう。いわば使用者の責任というものが事実上免除されることになるわけです。そういうところで中間搾取をなくそうと当事者が努力するにも限界がある。だから、労働基準法の第六条というのは非常に重要な意味を持ってくるわけです。そういう法律があるにもかかわらず、現実にそういう派遣的労働が非常に増大をしてきて、私どもの見る限りは、中間搾取的なことが、言えば大手を振って歩いているのではないか。 表向きは請負、実際は派遣事業、こういうことになってくるのではないか。そこには労働者の労働条件を向上させるなんということは事実上架空の問題に等しい、こういうことになってくるという危険性を私はこの場では指摘をしておきたいと思うのです。これについても、時間の関係がありますから、そういう問題認識を求めるために、できれば認識を統一するために問題提起にひとつとどめておきたいと思うわけであります。 さて、そこで派遣労働者の実態の概略というものがそれなりに浮き彫りになってまいりました。やはり最も懸念されますのは、今申し上げましたように、派遣労働者の労働条件を労働者みずからの力で決める手段を持っていないということが一番問題だ。そうして労働省の把握している内容と私どもが事実認識として持っているものとは形の上において、あるいは中身においてかなりの違いがあるということも指摘せざるを得ない。その意味では、その問題点の共通の認識、同じ認識を持つことはまだできていないということですね。労働省の持っている実態調査と私どもの把握しているものとはかなり大きな食い違いを持っている。食い違いを持ったままで法案審議をすることはかなり問題があると思うのでありますが、とりわけこの中間搾取、働き時間、休日などについても、権利保障という点からいくとかなりの問題があるということをここであえてもう一回申し上げておかなくてはならない。 そうして、そういう立場からいって、では派遣的労働、派遣的事業がなぜ増加してきたのかというその理由や背景についてさらにちょっと突っ込んで質問を続けてみたいと思うのですね。 まず、この派遣的労働や派遣的事業と言える企業が、最前、冒頭から私が申し上げているように、繰り返しになりますけれども、ここで再整理をしたいと思うのでありますが、職安法があるにもかかわらずどうしてふえたのか、もう一回労働省の一般的認識としてお答えいただけますか。
○加藤(孝)政府委員 いわゆる労働者の派遣的な事業につきましては、労働者を他の企業において就業させるというような事業の性格上、職安法四十四条で禁止をしております労快事業との関係で問題が生ずるおそれがあるわけでございます。このため、労働省といたしましては、こういう労快事業に該当する疑いのある事業につきましてこれまで公共職業安定所を通じまして事業所への立入検査、関係者への質問等によりまして事業の実態を把握いたしますとともに、適正に事業運営が行われるような是正措置を講ずるような指導をしてきておるところでございます。 ところで、こういう派遣的な事業が、情報処理技術者など企業内におけるこういう専門的な業務分野が増加してきている、一方また、労働者の面につきましてもこういう自分の都合のいい日時、場所で自分の専門的な知識などを生かして就業することを希望する、こういう労働者が増加してきておる、こういうような経済的、社会的な変化を背景として増加してきておるわけでございまして、一面においては、これが労働力需給双方のニーズに合致する、こういうことで労働力の需給調整という面では、従来の職業紹介や請負によっては十分に果たし得ないような役割も果たしてきておるという面があるわけでございます。
○永井委員 一般的認識として、もう一つ私も今御答弁されたことがはっきりと理解がしにくいのでありますが、それはさておきまして、具体的に聞きますけれども、派遣労働者が派遣労働を選んだ理由ですね、あるいは派遣企業に就職した理由な、とについて調査したことがありますか。
○加藤(孝)政府委員 これも先ほどの五十八年の実態調査でございますが、例えばビルメンテナンス事業について見ますと、一番多い理由といたしまして、「自分の技能・知識が生かせる」こういうことで選んだというのが三一%ございます。それからまた「自分に合った事業所に勤務できる」というのが三〇%ございます。それからまた、「事業所の人間関係にわずらわされない」ということで選んだのが二七・七%。これは複数回答を認めておるのでございますが、こういう数字になっております。 それから一方、情報処理業について、その辺の選んだ理由を見ますと、「専門的技能・知識等が身につく」というのが六〇・三%で最も多うございまして、さらに「自分の技能・知識が生かせる」というのが三五%、さらにまた「事業所の人間関係にわずらわされない」というのが一七・四%、こういうようなところで、こんな理由が多くなっております。 また事務処理業について見ますと、最も多いのが、「自分の技能・知識が生かせる」というのが四八%で最も多うございますが、「比較的高収入が得られる」というのが四二%、さらにまた「希望する日又は時間に働ける」というのが四〇%、それからまた「事業所の人間関係にわずらわされない」というのが三八%、こういうようなことでこういう派遣労働に従事した、こういうような調査がございます。
○永井委員 今の調査でいきますと、「比較的高収入が得られる」といったものが四二%と非常に高いという数字が出ているわけですね、事務処理業で言いますと。情報処理業で言いますと、「専門的技能・知識等が身につく」という希望が平均で六〇%ですか、ということを言っているわけでありますが、調査の方法はいろいろあると思うのですね。いろいろあろうと思うのでありますが、ひとつここで資料を引用させてもらって恐縮でありますけれども、同じ労働省の中に全労働という労働組合がありますね。いわゆる労働行政を進める上で第一線で頑張っている公務員の労働組合がありますけれども、そこで調査してもらったところによりますと、高収入を得られるというのはわずかに一・五%にとどまっておるのです。一番大きな理由というのは年齢に制限なく雇ってくれるというのが一九%、他に適当な仕事がないからというのが一六%、こういう数字になっているのです。 大変な数字の違いなんですね。同じ労働省が調べても、労働省の行政として調べたものと労働運動を進めている立場から調べたものとでは、これだけの大きな差があるのですよ。それほど実情を把握するにしても、その当てる角度によって、調査の仕方によって実際の実像を把握するのは非常に難しいという問題を浮き彫りにしていると私は思うのですね。これは問題点として提起をしておきたいと思います。 ところが、同じこの全労働の調査によりますと、派遣企業を希望したのは圧倒的に消極的な理由が多い。積極的な理由よりもむしろやむを得ないという消極的な理由が多いという数字が出てまいりました。 派遣の経験者で調べてみますと、引き続き派遣という立場で働きたいというのが一九・五%、派遣ではだめだと断定してしまったのが三二・二%、まあ仕事がないからやむを得ないということで答えたのがざっと四二%という数字が出てまいっているわけです。 これは数字のそれぞれの調査の仕方で食い違いがありますから、ここで数字上の議論をしようと思いません。しかし、私どもの把握したものかも言いますと、仕事がないからやむを得ないというのが圧倒的に多い。しかも派遣ではだめだと断定したものが三二・二%もいる。労働省から見てその数字にどこまでの広がりと的確性を持っているかということはありましょうけれども、運動体が調べたところではそういう数字が出てきている。これを私流に解釈をすれば、派遣労働に従事している者も、必要悪として認めているにすぎない、このように言えるのではないか、こう思います。これも、今これから審議をするに当たってそういう問題があるという問題提起にきょうはとどめておきたいと思います。 さて、そうなってきますと、今問題になっております日本の労働者の労働条件の問題です。これは派遣労働だけではなくて一般の労働者も含めてそうでありますが、世界の先進国からは長時間労働が大変批判をされている。貿易摩擦にも非常に大きな影響を与えている。集中的なバカンス休暇も西欧並みにとれていない。今、大臣ちょっと中座しておりますけれども、大臣はこの休暇の集中的な付与ということについては非常に積極的な姿勢を持たれておりますから、大臣のいないところで褒めても悪いのですが、非常にそれは高く評価しているわけですね。 時代の進展に伴ってそういう技術教育を自由に受けたいという若い世代のニーズもある、これは認めざるを得ません。だから、それはニーズはあるんだけれども、政策的にこたえることができていない。そういう中で労働省の調査による派遣的な労働を希望する立場からいっても、結果としてそういうニーズをある意味では巧みにとらえて職安法違反の事業が成り立っていると言えるのではないかと思います。これは現状認識です。しかし、就職してみればこんなはずではなかったということが私どもの調査では明らかになってきている。だけれどもやむを得ない、こうなっているわけですね。これはまさに行政の労働政策が今問われているのではないかと思うのです。 需要と供給という関係、とりわけ労働者のニーズがこの現実を生み出したとすると、労働力の売買に介在する役割を業として利益を上げるいわゆる派遣企業が成り立ち、それを法によって認知するということにならないか。消極的であったとしても、それを雇用政策として吸収するという政策は余りにも問題が多いのではないかと言わざるを得ない。言葉をきつく言えば、今回のこの労働者派遣事業というものの法案を出してきた労働省の対応あるいは政策というものは、木を見て森を見ぬというたぐいではないかと言わざるを得ないと思うのです。これは私の今までの調査とかあらゆる団体からの事情聴取、こういうものから私の率直に感じるところでありますから、これも問題認識として申し上げておきたいと思うのです。 さてそこで、受け入れ側のニーズでありますが、この受け入れ側のニーズというのは、一つには減量経営ができる、分離経営ができる、労務管理が省略をされる、雇用責任が回避できる、これが受け入れ側のメリットだと思うのですよ。受け入れ側のメリットとしてそういう認識を現実の問題としてお持ちになっていらっしゃるかどうか、一言でお答えいただけますか。
○加藤(孝)政府委員 労働側の方の新しいニーズ、それからまた企業側のおっしゃるようなニーズというものがかみ合ってこういう派遣業というものがふえてきておるということでございまして、そういう意味において、企業側のそういうニーズにもいわば適合したものであるという認識を持っております。
○永井委員 そうなりますと、労働大臣が冒頭に趣旨説明をしましたように労働者の保護という立場からこの派遣事業をとらえるということよりも、現実に存在している現状というもの、あるいはこれからこの法律案が制定されたとしてそこに求められるものは、むしろ労働者の保護というよりも企業側のニーズにこたえることが結果として優先されてしまう、あるいは現実に今存在している派遣事業的なものは、労働者の立場よりも企業のニーズに合わせてそういうものが派遣事業として実は存在をしてきた、私はそう思うのです。 今言ったように、いわゆる減量経営であるとか労務管理が省略されるとか、企業にとってはこんなに便利なものはないのですよ。例えば賃上げの交渉をする必要はない。期末手当を特別に考える必要はない。昇格、昇職という問題にも頭を煩わすことはない。こんなに企業にとって便利なものはないと思うのです。そういうことになっていく危険性を持っていると私は思うのです。技術革新の進展等、経済社会活動の高度化、多様化に伴うものだともこれは言われているわけですね。あるいは労働力の需要側、供給側双方のニーズがあるからだと言われておりますけれども、今私が申し上げたようなことになっていく公算が極めて強い。 今までのこの実情把握についての労働省側の答弁を聞いておりますと、私どもとは共通の認識に立ちたいんだけれども、かなりの見解の相違があるということを言わざるを得ない。そこで、この労働者側のニーズというものは、最前申し上げましたように、一部には積極的なものがあることは否定しませんけれども、全体的には消極的なものになっているということをやはり言わざるを得ないと思うのです。 そこで、この労働者の派遣ということでありますが、これは単なる商品の売買と違うということですね。生きている人間のことでありますから、人間の尊厳にかかわるものであるという視点に立って対応してもらいたい、また対応しなくてはならない、こう思うのです。だからこそ、戦後の民主的労働法体系のもとで労働者供給事業は禁止され、職業紹介も原則として国が無料で行うことを基本に据えてきたんです。労働者募集についてもそういう立場から規制が行われてきている。 そこで私が問題にしたいのは、このような労働法体系があり、法的規制があるにもかかわらず労働者派遣や労働者の派遣自体を事業とする企業が現実に存在しているということは、今までの質疑を通してもう既に明らかになってきている。そして急速に増大してきているということです。日経新聞でも言っておるように、これを機会にさらにそういう事業を起こしていこうという動きが顕著に出てきている。つまり、これらを規制する法律があって、労働省はその担当官庁として、法の厳格な施行によって法の権威を守り、労働者の保護、権利保障を確保する責任がある。だから、私はそのことを冒頭に大臣にお聞きしたのです。ところが、そのようになっていくのか、この法律案が制定されたとしてそういうことができ得るのか、そこを私どもは非常に危惧するのです。 例えば今まで職安法があって、違反行為なども随所に出てまいりました。その違反行為についてどのように対処してきたのかということをお聞かせいただきたいと思うのであります。第一番に、現行法のもとで摘発件数はどうなっておったのか、そしてその件数が、そういう摘発件数を含めてどのような推移をたどってきたのか、これを簡単にお答えいただけますか。
○加藤(孝)政府委員 これまでの推移を申し上げてみますと、昭和二十三年からこの監査を始めておりまして、当時年間一万三千件程度の監査、そして二十八年までの間に四万九千件の労基法違反の認定をいたしております。二十六年から三十年の間におきましては、毎年五千件ないし一万三千件の監査をいたしておりまして、この間におきまして五十件から百五十件毎年違反の認定をいたしております。それから三十六年から四十年という間におきまして、毎年四百から千三百件程度の監査をいたしておりまして、この間認定いたしておりますのが毎年五件ないし十六件、こんなような数字でございます。 それから四十一年から四十五年の間におきまして、この間におきましては年間百五十件から二百五十件の監査をいたしまして、認定件数が、少ないときには二件、多いときは三十六件、こんなような状況でございます。四十六年から五十年の間におきましては、監査件数が年間六十九件から百六十件の間でございまして、この間認定をいたしましたのが四件から二十五件の幅でございます。それから五十一年から五十八年までの違反指導件数は、トータルをいたしますと四百九十六件、うち違反認定件数四十三件、こんなような状況にございます。
○永井委員 監査件数と違反認定件数というのを今御答弁いただいたわけでありますけれども、私の手元にも、最近のそういう件数をどこまで摘発したかということを事前に調べてみました。それでいきますと、例えば監査件数とか違反件数も一九七七年、昭和五十二年をピークにぐんと減ってきているわけですね。減少してきているわけです。なぜ五十二年以降減ってきたのか。違反件数がゼロであることが一番望ましいわけでありますから、減ってきたことは非常にいいのでありますが、私はここに一つ、非常に危惧することがあります。それは、その一九七七年、昭和五十二年に、労働団体などから職安法の第四十四条違反あるいは労働基準法第六条の違反に関する告発とか、そういう申し入れとか、いろんなことが全国的に起こってまいりまして、そこで労働省は内部通達を出しているわけですね。 その内部通達というのはつまびらかにされておりませんけれども、どうもその内容というのは、いわば監査、摘発というものをある意味では慎重に取り扱うということの通達になっていはしないのか。この違反件数が、昭和五十二年に認定されたものだけでも監査件数が百十一件に対して二十三件あった。五十三年以降、二件とか一件とかゼロとか、こういう数字になってきたことがそういう違法な労働者供給事業がなくなってきたということでの現象なら、労働省非常によく頑張ってくれたなと、こういうことになるのでありますが、どうもこの内部通達というものがあって、職業安定所と労働基準監督署の双方の合意を必要とすることなどから、非常に慎重に対応するために、事実上摘発する違反件数が、その数字的なものとしては減少してきた、そういうことではないのだろうかと思うのですが、どうですか。
○加藤(孝)政府委員 この昭和五十二年の基準、安定の連名内簡は、当時企業がその業務の一部を外部委託する、こういう傾向が増大してきましたことに対応いたしまして、その業務委託が労基法違反ではないか、あるいは基準法の中間搾取の排除に違反するのではないかということで、安定機関から労働基準監督機関に対しまして是正の申し入れが非常にたくさん行われてきた、こういうような事態に対応いたしまして、この基準、安定の両機関が十分連携が必要だということで出されたものでございます。 これは内容的に見ますれば、要するに、よく連携してやってくれ、よく連絡してやってくれ、こういうことでございまして、そのことは決してやるなという趣旨のものではないわけでございまして、その後も例えば年間におきまして、五十二年百十一件ございますが、各年三十件から六十何件というような違反指導件数というものは上げてきておるということでございます。
○永井委員 やはり内部通達というものが、十分に勉強してやれよということだ、こう言うのでありますけれども、それを契機にこの違反件数というものは減少してきている。労働省が内部で勉強しただけで減少するはずがないのでありまして、勉強して、そのことがより厳格に適用されるということ、本来常識的に考えてそうなっていくべきだろう、こう考えるのでありますが、もし、よく勉強して、この職安法の違反あるいは労働基準法の違反というものについて厳しくやれよということになったとするなら、むしろ件数の中身は小さくとも、問題点が小さくとも、扱う件数というものは本来ふえてくるべきなんですね。 しかし、この通達以降は目立って減少してきたということは、やはりそこに若干この姿勢が慎重な方に変わってきたのではないか、私はこう見ているわけでありますが、まあ今、局長の答弁ではそうではないと言われるわけでありますから、これは水かけ論であります。しかし、少なくとも職安の機能であるとか労働基準監督署の機能が十分に果たされていない、機能していないということは、単にこの問題ではなくて、毎年のように私どもがこの社会労働委員会で問題点を提起する際に触れてきたことでありますから、そういう点でこれについては問題提起をしておきたいと思います。 これより先に、昭和四十九年二月二十二日に横浜地裁で一つの事件で判決が出ました。これは油研工業事件ですね。いわゆる請負形態をとって事実上労働者の供給事業が行われてきたということを認めて、そうして請負企業としての法人格を否認する、派遣先企業との労働契約を是認するということで告訴した労働側が勝訴しているわけですね。この種の勝訴というものは当時随分と出ました。ここに資料を持っているわけでありますが、近畿放送事件であるとかあるいは青森放送事件であるとか、敗訴したものもありますけれども、それは中身がちょっと異なっておりまして、大体こういう請負形態をとりながら、事実上労働者の供給事業を行っているというものについては、かなりの件数についていわゆる告訴側が勝利をするという事実が出てきているわけですね。 そう考えますと、その時点で取り締まろうとすれば、この判決をてこにしてもっと取り締まれたのではないか。取り締まる上で、その時点で法的に混乱があったとするならば、むしろその時点で必要な立法的措置を講じるべきではなかったのか。それがきちっと取り締まれなかったから、冒頭から議論しておりますように、現実の派遣労働的な実情というものは、これだけできてきて、下世話な言葉で言えば、もう今の法律があっても手がつけられぬというところまで広がってしまった、だから何とかしなくてはいけないというところに追い込まれてきたのではないか、私はこう思います。 したがって、時間がありませんからはしよりますけれども、いずれにしても行政の対応の不十分さがあったと言わざるを得ない。形式的に請負事業化させて、当面乗り切る策として対応してきたという責任はやはり指摘せざるを得ない。なぜそうせざるを得なかったのか、その背景が一番何よりも問題だということを私は指摘しておきたいと思うわけであります。これは時間がだんだんなくなりましたので、これについての議論を深めるとか、そういうことは次の機会に譲って、問題提起だけにとどめておきたいと思います。 そこで次に、労働力の需給システムということについて疑問点を解明していただきたい、こう思うわけでありますが、現行制度では公共職安機関が中心になっている。これを補完する形で民営紹介所が認可をされ、学校などの無料紹介が認められ、労働組合の労快事業が認可をされている。これはそれぞれ職安法の三十二条あるいは三十三条、四十五条に基づいてそのように規定がされているわけです。加えて現実は、パートバンクであるとかあるいはシルバー人材センターなども設置をされて、行政もかんでそれなりに公共の職業安定機関の補完的な役割を果たしている。それでは、労働力の需給が全体としてどのように調整されているのか、その調整されていることについて簡単に労働省の見解を明らかにしてもらいたいと思います。
○加藤(孝)政府委員 現在、公共職業安定所以外の労働力需給調整機関といたしまして、有料職業紹介事業が二千五百八十三カ所、無料職業紹介事業が三千二百七十七カ所、うち学校以外のものが五百五含まれております。こういったようなところでの需給調整が一つ行われております。 それからまた、労働者募集の関係につきまして、通勤圏外の場合の許可件数が六百三十九事業所について直接募集の許可をいたしております。それからまた、労働組合の労働者供給事業というものによりまして、現在、三十七組合についてこれを認めておるわけでございます。 また、公共職業安定所という形におきまして、安定所の本所が四百八十一ございまして、そのほかに人材銀行が二十五カ所、それからパートバンクが二十四カ所、それから高齢者の職業相談室が二百七十五室、それから学生職業センターが六室、そういったような箇所におきましての労働力の需給調整というものが行われておるという現状でございます。
○永井委員 その一覧表も後でまた出してください。 そこで、今公共職安機関が中心になって、それを補完する形としてこういうものがある、あるいはそれがどの程度あって、こういうことになっているわけでありますが、ここに「労働力需給調整機能表」という、これは古い資料であります。今の資料ではありません、昭和五十三年の資料でありますが、この資料で見ましても、本来の公共職安とそれを補完するべき学校であるとか民営職業紹介事業であるとか労働者供給事業であるとか、そして、この文書による募集行為、直接募集、委託募集、こういうものの本来の需給調整システム以外に、この当時の労働省の資料を見ましても、「労働者供給類似事業等」これが現行法制外の需給調整機能ということで枠外に示されているわけです。この時点で、既に本来のこの公共職安中心で労働大臣が認定するものなどが補完をするということから現実はかなり逸脱してしまっているんではないか、こう思うわけですね。 そうして、就職者の経路でありますが、これも時間がありませんから後で数字を示していただきたいのでありますが、私の五十二年の数字でいきますと、公共職業安定所を経過した就職者の割合というのは一九・八%にすぎない。学校が一一・三%、縁故が二五・六%、広告が二三%、その他が二〇・三%、こういう形になっているわけですね。これで見ましても、本来、国の責任において行うべきこの職業紹介という労働力の需給調整ということがやはり果たされていない。余りにも機能が低い。スタッフも足らぬのでありましようけれども、そういうふうに言えると思うのですね。そうして、その他の項目の中に、今言ったように本来の法律で定められたもの以外の労働力の需給機関というものが存在をしている。「労働者供給類似事業等」ということで括弧書きをしてあるわけでありますが、その中に今言っているようないろんな派遣事業が存在をしているわけですね。 これは職業安定法の第八条に規定するいわゆる公共職安の機能がいわば法の求めているものになっていない、不十分であるということを図らずもここで労働省みずから認めていることになる。そうでしょう。裏返して言えば、公共職業安定所が本来果たさなくてはならない役割は十分に果たされているか。それじゃ、今局長は首を振っているからちょっと局長にお答え願いたいのですけれども、もう一回言いますよ、五十三年の数字でいって公共職業安定所を経過した就職者の割合は二〇%未満である、こういう状況からいって、この公共職安というものの機能が職安法の第八条に規定するその機能を十分に果たしていると言えるか、お答えいただけますか。
○加藤(孝)政府委員 安定所を経由いたしましての就職者が二〇%前後であるという意味におきましては、安定所が全部カバレージしておるとか、そういうふうなことを申し上げるわけにはいかないわけでございますが、やはり安定機関の本来の機能といたしまして、全部安定所がやらなきゃいかぬものかどうかということもあると思うわけでございます。そういう意味では、民間でいろいろやっていただくという形の中で、全体としてその需給調整というものが安定機関において把握されておるというようなことも一つの方向かと思うわけでございます。 しかしながら、公共職業安定所は特に民間てはなし得ないような難しい職業紹介、例えば高齢者であるとか、あるいはまた身障者であるとか、あるいはまた新規学卒者であるとかいうような点について安定機関としては特に重点を置いた職業紹介等もやっていくというようなことを目指しており、あとそういう民間のものについては、それが適正な需給調整機関として機能していただくというような指導監督、そしてまた状況把握というようなものをやっていくという機能を持つということも一つのあり方かと思っておるわけでございます。 もちろん私どもも、この安定機関の果たすべき役割はますます大きくなっておるという意味におきまして、この紹介体制の強化につきましては今後も精力的にその機能強化に向かって努力をしていかなきゃならぬものである、こう思っておりますが、一〇〇%ということを目指してというわけにはいかないものだということもまたひとつ御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○永井委員 もう一回繰り返しますけれども、大臣の趣旨説明の中で「労働力の多様なニーズに対応した需給の結合を促進し、就業の機会を拡大する役割を果たしているところであります」、こう言っているわけですね。そのことで本来の基本たるべき公共職業安定機関の存在をいわば軽いものにしたり、あるいは機能が低下をすることがあってはならない。本来それが基本なんですよ。その基本がどこかわき役になってしまって、今局長の言うように、民間の活力をということでありましようけれども、そういうところにいわば行政の姿勢が移っていくということが果たして正しいことなのかどうなのかということを私は問題にしているわけですね。いわば今度の提案は現行の職安法で禁止している労働者供給事業から労働者派遣事業というものを分離、区別して法的に認知しようとしていることになっている。 そうして、そうなっていくと、現行法のもとで分離せずに公共職安の機能強化によって解決する方法については果たしてどこまで真剣に検討されできただろうか、真剣に検討されないままに現行法によらずに新たな法律をつくるということになっていくとするならば、これはやはり問題があろう。だから、私は本来公共職業紹介機関というものをもっと重視する立場に労働省が立つべきだということをここで強く指摘しておきたいと思うわけであります。本来、職安行政は国が一元的にやるべきものなんですね。だから、私は執拗に同じことを繰り返して言っているわけであります。 例えば民営の職業紹介事業でありますと特定の職種に絞っているわけです。二十八職種に限定して許可しているわけですね。それは、図らずも今申し上げているように国の公共職業紹介事業というものが公共職安を通してやることが基本であるから二十八業種に限定しておるわけでしょう。労働組合が行う労働者供給事業やその他のそういう職業紹介事業についてもそうでありますが、許可の条件は非常に厳しいのですよ。この間も民営職業紹介事業をやっている方々と会いました。そうすると、率直に申し上げますが、その認可の更新の手続をとるときに非常に厳しいことを言われるというのですよ。そして、もしこれが直されないなら直ちに認可を取り消すとまで言われる。その厳しい枠内で我々はやっています、こう言っている。 そして、有料職業紹介事業でありますけれども、その場合の有料という金額も明確に規制されているわけですね。片方でそういう規制も受けずに、認可も受けずにどんどん派遣事業的なものがあって、それが民営の職業紹介事業の分野まで侵食してきている、こんなばかな話があるのかということを率直に訴えられているわけですよ。表現が悪いですけれども、昔の言葉で言うと片手落ちではないか、こう言われているわけですね。そういう事実を踏まえて我々は対応していかなければいかぬと思うのです。そういう立場で私は問題の提起をしているわけであります。 ただ、今回の労働省の出してきました法案の中でいきますと、そういう私どもの問題認識からして、労働組合の労快事業の従来の枠を緩めるとか、あるいはそのことは具体的に言えば地域における労働組合協議会にも拡大をしていこうとか、あるいは民営職業紹介事業の有料、いわゆる営利ですね、実費負担、こういうものも統合して一本化するとか、あるいは法第三十二条の二に基づく一般校のほかに職業訓練校も対象にしていくとか、あるいは文書募集に係る規制も緩和するとか、こういうことについては理解ができるわけです。すべてが理解ができないとは言わない。そういう労組の労供の事業について許可条件を緩和することについては私は賛成であります。むしろ遅きに失したと言わざるを得ない。 しかし、だからといって心配がないわけではない。それは公共部門と民間部門の相対的比率が逆転しはしないかという心配ですね。中曽根首相の好きな言葉でありますが、事ごとに民間活力を取り入れてと、こう言うのでありますけれども、職業紹介ということに民間活力をストレートに取り入れて、公共の責任と民間でやる部門とが逆転をするということがあったのでは、これはやはり労働行政として大きな問題があろう。 それは職安法制定のときの精神にも反することになる。いわゆる供給事業者と労働者の関係が「封建的支配、従属関係によるのみならず、労働の中間搾取、強制労働の弊害が伴いやすい等、非民主的な雇用慣習が残存していることから、労働の民主化を妨げるものとして原則的に供給事業を禁止する。」冒頭にも触れました。確かにそのときの状況と今の状況とには変化が生まれているでしょう。生まれているはずでありますし、また生まれていると思います。だからといって、この基本的な精神はそのまま本来は維持されるべきであって、変えられてよいというものではない、このことを私は強く申し上げておかざるを得ないと思うのであります。 そして、労働省の文書を参考にして申し上げてみたいと思うのでありますが、職安法の施行規則の問題で行政指導した中にどういうふうに書いてあるかというと、「公共職業安定所は絶えず労働者供給事業の解釈及び禁止の趣旨等について周知徹底を図り、これを未然に防止することに努める。違法な労働者供給事業の発見には積極的でなければならない。」こう労働省が昭和二十七年に出しているのです。昭和二十七年に出して、現在昭和六十年ですから、そんな古い文書は通用しないよとは言えない。これが法の精神であり、労働者を保護し、権利を保障するために本来労働省が持つべき最大の任務であるからなんです。そういう面で公共部門と民間部門が逆転するということがあってはならない。 そこでお伺いするのでありますが、今度の法案の提案の趣旨というのは、そういう労働行政の基本的なあり方について大転換を求めようとしているものなのかそうでないのか、ひとつ明確にお答えいただきます。
○加藤(孝)政府委員 この職業紹介、そして雇用政策というものを展開していく国の基本的な組織は、公共職業安定所を中心とする機能を中核に発展させていかなければならぬということは、私どもかたく信じておるところでございますし、またILO条約の趣旨も、精神もそういうことであると考えております。特に今後、二十一世紀を目がけて、あるいはまた昭和六十五年までの第五次雇用対策基本計画におきましても、こういう需給の調整、ミスマッチの解消を目指してよほど国も努力をしないと、欧米諸国に見られるような高い失業率が日本にも出てくるかもしれない。そういうことにならないように、あらゆる機能を充実拡充しながらこの労働力の需給のミスマッチの解消を通じての雇用政策の進展を図っていきたい、こんなふうに考えておるわけでございます。 そういう意味では、この公共職業安定所につきましても、地域的な、総合的な雇用サービスの中核として位置づけ、そして今後その発展をしていきたい。そういう一方、またこういう民間における需給の調整機能につきましても、いろいろな弊害のない限りにおいて、あるいはまた弊害の起きそうなものについてはそれを防止をしながら、こういったものの活用もまたフルにしながらやっていくということで、この雇用失業問題への今後の対応を進めたい、こんなふうに考えておるわけでございます。
○永井委員 局長の答弁が端的なお答えでないので、なかなか理解がしづらいわけでありますが、こういう答えは簡潔に、端的に言ってもらいたいのですよ。 要は、今回の労働者派遣事業法なるものが制定された場合に、公共が受け持たなくてはいけないという基本が民間との関係で逆転をしはしないか、労働行政の大転換なのか、こう聞いているわけです。私は、特に指摘したいのは、公共中心のシステムというのはあくまでも堅持されるべきだ。これが堅持されないなら、労働省の存在というものも薄くなってしまうのですよ。そうでしょう。労働省の存在が薄くなるということは、民主主義が後退するということなんですよ。だから、端的にお答えいただきたい、大転換を意味するのかそうでないのかということを。そうしませんと、後々の質問の仕方にもかかわりを持ってくるわけですから、端的にお答えください。
○山口国務大臣 大変大事なポイントの御指摘でございまして、やはり公共職業安定所の機能、また今日までの一つの実績、また社会的なニーズというものについては、さらに一層充実強化して雇用のサービスあるいは就業のチャンスを、公的な立場において全面的にこれに協力し、推進をしていく、こういう基本的な考え方に立っております。 あわせて、先生も御承知のとおり、高齢化時代、省力化等の中で、数百万、五百万から六百万規模の労働人口の増加も見込まれる今日の社会情勢でございますので、あらゆる雇用の機会の確保、またその拡大という点において、派遣事業に伴う労働者の労働条件の改善も今取り組んでおかなければならない一つの緊急的な課題である、こういう基本的な認識の上でこの法案に取り組んでおるということについては、御理解をいただければ大変ありがたいと思うわけでございます。
○永井委員 あくまでも公共が中心でなければならないということだけはどんな場合があっても踏まえていかないと、今のように職安法があっても事実上職安法に違反するような行為が、労働省がどのように言おうとも現実にたくさん存在をしている。そのことは労働者から見れば、労働行政に大変な不信感を持つ。労働省に不信感を持つということは、政治に不信感を持つことになるわけでありますから、それで近代的な労使関係が成熟をしたり、あるいは労働者の労働条件が守られたり、権利が保障されたりするわけではない。このことを強く私は指摘しておきたいと思うのです。 だんだん時間がなくなりました。本来予定しておりましたものを全部ここでつまびらかにしてもらうだけのことができなかったのは残念でありますが、あとわずか残された時間にさらに疑問点を申し上げておきたいと思うわけであります。 例えば、労働者の供給ということが派遣でなくてはならないのかということが非常に疑問なんです。例えば、Aという派遣会社からBという会社へ労働者が派遣をされる。その労働者がB社で遂行する業務は、先ほども申し上げましたように、B社で指揮命令を受けるわけですね。使用者から指揮命令を受ける。労働者にとっては、雇用者がA社でなければならない、いわゆる派遣元でなければならない根拠はないのですよ。だから、私は、当初職安法が改正されたときの労働省の内部行政指導で明らかにされているように、できるだけ派遣先に常用化されるように努力をしなくてはいけないということを言っているのはそこのところなんです。この労働者を使用するB社からすれば、雇用責任だけをA社に肩がわりをしてもらうということになる。いわゆる雇用責任の免除を与えられることになるわけです。 現実には、そういう派遣企業を通さずとも、日雇い労働者も存在しておりますし、仮に日々更新でも、派遣先が雇用すれば、ちゃんとその問題は解決するということが現実に言えるわけです。だから、派遣事業ではなくて、むしろ紹介事業をもっと中身を広くする、業務を拡大することで本来解消すべき問題ではないのかと思うのです。雇用責任を持つ派遣元A社が、派遣先となるB社との間に、いわゆる使用する側のB社のニーズにこたえて契約内容を決める。そしてその契約内容を労働者がすべてを知ることは現実に不可能である。そしてA社、いわゆる派遣元の提示を容認しない限り、先ほど私が新聞記事を引用しましたように、白紙に判を押せとまで言われる場合があるわけですね。そういうことを承知しない限り労働にありつけない。ここに中間搾取の根源が存在することになる。 そして使用するB社では、派遣する労働者との間に労働条件の交渉の義務も責任もない。そのために減量経営や労務管理の省略などのメリットが出てくる。これを重視する。これが今度の法律がつくられたことによって派遣労働者へ傾斜することを強めることになっていけば、その使用するB社の正社員の雇用労働条件にも大きな影響が出てくる。これを実は労働側は非常に危惧しているわけです。非常に心配しているわけです。これは単に小手先で言葉の上でこの問題を糊塗して、法律を通せばよいという、そんな問題ではない。現実にその心配事にこたえてやるということでないと、政治の立場からして責任が果たせない、こういうことになってくるわけです。要は、労働者は機械ではないし道具ではない、このことを前提に厳密にそのことを踏まえてこれからのこの法律案の審議に入っていくべきだ、私はそう思います。 もっともっとたくさん聞きたいことがあったのですが、時間がなくなってしまいました。私はあえて申し上げますが、この労働者の派遣事業法なるものを労働省が提案するまでに、あえてもう一回音書を呈すれば、今の職安法や労働基準法に基づいてもっと具体的に対応できることの検討がなされてよかったのではないか。あるいは油工事件のことを私は取り上げましたけれども、そういう具体的な違反事件が摘発されたときにそれに的確に対応するようなこと、あるいは法整備を図っておれば、今のような、いみじくも職安局長が言われたように、現実には今の法律でもう手がつけられないような状態になってしまっているというようなことにならずに済んだのではないか。そういう立場からすると、むしろ労働省の今までの対応が、行政上でいえば、言葉は大変きついですけれども、怠慢に過ぎたのではないかと言わざるを得ない、そういう私どもの認識がある。 そうして、今までやりとりで明らかになってきましたように、現状における分析が、必ずしも共通の土俵に立つことはできませんでしたけれども、かなりの部面で事実問題として認識する部分では共通の認識を持つことができるものがある。そういう上に立ってこれからの法案審議に私どもも参画をしていきたい。ですから、私もこの後改めて機会をつくっていただいて、同僚議員も具体的な内容については質問申し上げますけれども、私もこれから具体的な内容について再度質問することを申し上げておいて、きょうの質問は一応全体像を明らかにする、実情を分析するという立場からの質問として、これで終わりたいと思います。
○戸井田委員長 午後三時から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時三十六分休憩 ————◇————— 午後三時二十四分開議
○戸井田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 内閣提出、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案及び内閣提出、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案について審査を進めます。 まず、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 両案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○戸井田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、参考人の出席日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○戸井田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○戸井田委員長 両案に対する質疑を続行いたします。森田景一君。
○森田(景)委員 今回、労働者派遣事業法案が提案されたわけでございますが、日本語は非常に語彙が豊富でございまして、同じ内容のものを違った表現で表現する、こういうことがしばしば行われるわけでございます。御存じのとおり、この労働者供給事業といいますか、これは法律で禁止されているわけでございます。この供給事業が法律で禁止をされているから、供給事業という言葉では仕事ができない。したがって、それを違った表現、いわゆる派遣事業とか人材派遣、こういう形をとって実際は供給事業を行ってきたのではないか。私は、それが今日いろいろと問題を起こしている根本ではないのかというふうに考えるわけでございますが、その点について最初にお答えをいただきたいと思います。
○加藤(孝)政府委員 いわゆる人材派遣業は、業務処理に関する請負事業という形をとりまして自己の雇用する労働者を他の企業に派遣し、そこで就業させる、そういう形でございまして、その事業の性格上職安法四十四条で禁止をしております労働者供給事業との関係で問題が生ずるおそれがある、こういうことで労働省といたしましては、この人材派遣業につきましては従来から単に形、名目上だけではなくて、実際上も請負事業としての要件を整えて適正に業務を執行するよう指導をしてきたところでございます。 しかし、この人材派遣業は、例えば情報処理技術者など企業内における専門的な業務分野の増加、一方また自己の都合のいい日時、場所で専門的な知識等を生かして就業することを希望する労働者の増加、こういった経済的社会的変化を背景として増加をしてまいったものでございまして、これが労働力需給双方のニーズに合致するものとして、労働力需給調整の面では従来の職業紹介や請負によっては十分に果たし得ない役割を果たしてきておるわけでございます。 こうした現状を踏まえますと、昭和二十二年に制定されましたこの職安法の労供禁止規定というものを一律に形式的要件だけで取り締まるだけでは、今日のような経済社会の実態あるいは労働者のそういった意識などに必ずしも十分適応できない面というのも出てきておるわけでございます。また、こういった人材派遣業で働く労働者の中には、高齢者あるいは家庭の主婦といった一般の労働市場ではなかなか就業の機会に恵まれない方々も多数含まれておるという事情もございまして、こうした労供に当たる、こういうことだけですべてが反社会性のあるものとして取り締まることが必要かどうか、こういった観点からの問題指摘もされるに至っておるわけでございます。 こういうような観点から、労働省といたしましては、昭和五十二年の行管の指摘を受けまして以来、学識経験者あるいはまた公労使の方々あるいはまた実際に労供事業をやっておられる労働組合あるいはまた関係業界の代表者、こういった関係者の意見を広く聞きながら、かつまた中央職業安定審議会の委員から公労使の三者で小委員会を設置されて、そこでさらに突っ込んだ慎重な検討をやってきていただいた、そういうような検討経緯を踏まえまして、今回この関係法案を提案するに至ったものでございます。 もちろん、この間におきましても、労供で禁止いたしておりますような最も問題となる強制労働であるとか中間搾取を行うような悪質な労働者供給事業については是正指導、あるいはまたそれに従わない場合はこれに対する強い是正、もし従わなければ告発するというような態度を持っての是正指導ということで対処してきたわけでございます。
○森田(景)委員 大変丁寧な説明をいただきましたけれども、私が申し上げましたのは、職業安定法四十四条で禁止されております労働者供給事業、これは禁止されているわけですが、その適用を労働省は厳密に行ってこなかった、そういうことで、いわゆる派遣事業あるいは人材派遣という——供給も派遣も日本語としては同じ内容なんですね、そう思いませんか。日本語というのは先ほど申し上げましたようにいろいろな表現の仕方がありまして、同じ内容を違った表現でする。だから、供給事業は禁止されているから、人材派遣だとか派遣事業だ、こういう形でいろいろと業者がたくさん誕生してきました。そしてこれが労使の需要供給にマッチしているから、今度は労働者派遣事業法として法律をつくっていこう、こういうことになってきたんだろうというふうに私はお尋ねしたわけなんです。 だから、労働者供給ということ、派遣ということ、これは同じ内容を別な表現で言っただけではありませんかということなんです。大臣はいろいろお忙しいようですから、その辺のところを、非常に知謀のすばらしい大臣でございますから、お答えいただきたい。労働者派遣というのも供給というのも、同じ内容を別な表現でしているのではありませんか。その辺の認識はどうでしょうか。今度の法案じゃないですよ。
○加藤(孝)政府委員 労働者供給事業というものはもちろん安定法で禁止されておりますが、労働者派遣事業と言われるものの中には、完全な請負のもとにやっておる、そういう意味では労働者供給事業には当たらない、ただ、就業の場所が他の企業の中で行う、こういう関係においてそこで完全に請負が行われておれば労働者供給ではないけれども、そこで派遣先の企業からいろいろ指揮命令、単なる注文ではなくて指揮命令というような関係があるような場合については労働者供給事業に当たるものが出てくる、こういう関係にあるわけでございます。
○森田(景)委員 そういうことで、いずれにしてもいろいろと決まりができているわけでございますが、現実には労働者派遣をするために請負という形をとっていないとこれは法律違反になりますから、請負という形をとっていながら実際は供給事業に違反している、そういう仕事がたくさん出てきたんでしょうということなんです。この辺、どうですか。
○加藤(孝)政府委員 その派遣先において完全な請負が行われているか、あるいはそこに単なる注文ではなくて指揮命令が派遣先からおりるというような関係にある、その辺のところで数の上ではっきり幾らということはなかなか判定がケース、ケース当たらないとわかりませんが、そういうようなものが出てきておるということは現状としてある、そういう中からこの法案を提出しておるということでございます。
○森田(景)委員 それで、労働者派遣、今まで派遣的事業と言っていましたね。派遣的事業でも派遣事業でも内容は同じですけれども、これをやっていて労働省が職安法違反であるかどうかという調査が入れば、これはどこだって請負でやっていますと答えるのは当たり前だと私は思いますよ。そうでしょう。請負でないと言えば、これは供給事業じゃないかということで違反ですからね。法律の裏をくぐるというのが、外国はどうなのか知りませんけれども、日本は非常に上手な方が大勢いるようなんですね。そういうことに対して労働省は今までどういうふうに調査をして、そして違反がどのくらい出て、その違反者に対してどういうふうに対処してきたのですか。
○加藤(孝)政府委員 こういう労働者供給事業に該当する疑いのあります事業につきましては、公共職業安定所を通じまして事業所への立入検査あるいは関係者への質問などを行いまして、そのあたりの事業の実態を把握して適正に事業が遂行されるよう必要な是正措置を講ずるよう指導をしてきたところでございまして、最近におきます取り締まりの実績を見ますと、五十五年度六十六件、五十六年度三十三件、五十七年度五十九件、五十八年度六十七件となっておるわけでございまして、こういったところについては、本人が、関係事業所が請負だと言う以上、明確に請負の形にするよう指導をしてきたということでございます。
○森田(景)委員 相手が請負だと言えばそれを認めざるを得ない、こういうことですね。それはそれでこれ以上言ってもしょうがありません。 そこで、日本は申すまでもなく法治国家ですから、法律がある以上は法律を守る、こういうことでなければならないと思うのです。ところが、法律といえども万能ではありませんし、あるいは人間の良識を前提にして法律というのはできるものだと思いますから、悪い方のことはなるべく考えないようにしていこうということもあると思います。だけれども、法律ができた以上は法律を守る、こういうことをしっかりやらなければいけないと思うのです。それは大臣も同じだと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○山口国務大臣 先ほどから森田先生が御指摘いただいておりますように、労働者供給の問題あるいは請負事業との問題、確かに御指摘いただくような事業主がおったということも事実でございますし、そういう点について局長からも答弁申し上げましたように、いろいろ違反事件に対しましては厳重に取り締まりをする、特に強制労働とか中間搾取を行うような悪質な労働者の供給事業については厳正に対処してきた、こういう経過もございます。そういう意味で、きちっとした労働者の労働条件あるいは労働福祉というものが守られるように、基準法やいろいろな法令で保護されるような形で今先生の御指摘に沿ったような問題点を修正、より改善すべく今度の派遣法という一つの新しい形における労働者の法というものを守っていきたい、こういう考え方の上に立ってこの法案が考え出されておるということも、率直のところ、御指摘いただいておるとおりでございます。
○森田(景)委員 これは私の率直な考えなんですけれども、この労働者派遣事業法案は派遣労働者の雇用の安定と福祉の向上を図るという目的になっているわけなんですが、後でもいろいろ申し上げたいと思っております。どうも私は派遣労働者の雇用の安定とかあるいは福祉の向上というのは二番目か三番目であって、一番にきているのが労働者派遣事業を認めよう、これが一番の趣旨じゃないか、こう思っているのです。この点はどうですか。
○加藤(孝)政府委員 これは午前の審議でもいろいろございましたけれども、現在こういう派遣的な形で就業しておられる労働者についてのいろいろな問題が指摘をされ、出てきておるわけでございます。そういう意味で、これをこのまま放置しておくわけにはまいらない。これについてぴしっと労働者の保護あるいは雇用の安定の観点からの適正な措置をとる。また、それに関連いたしまして派遣事業というものについて一定のルールを定めて、特定の業務分野のものについてそれを認めていこう、こういうことでございまして、先生がおっしゃるように、そういうために派遣事業というものがまずありき、それを認めるためにというわけのものではございません。
○森田(景)委員 そういう答弁になるだろうと思うのですね。それはしようがない。だけれども、やはり現実的にはこのままにしておいたのではどうしようもないんだということなんですね、御説明では。どうしようもないということは、職業安定法の四十四条とかあるいは労働基準法の第六条でしたか、こういう問題に抵触する部分がたくさん出てくる。現実には、私、出てきているのだと思うのですよ、そのために取り締まりをやった、摘発した件数はこれこれと先ほど報告ありましたけれども。それならもう少し職業安定法なり労働基準法の方をきちんと整備をして、それでまずい点はまずいというふうにした上で、なお正しい時代の対応にこういう問題が必要なんだと、こうなってくるならいいのですけれども、そちらの方は余り構いませんで、それで、こういう事業がふえてきましたから、これは労働者派遣事業を認知しましょう、こういう姿勢がどうも私には納得がいかないわけなんです。 それで、こんなことを私から申し上げるのは失礼かもしれませんけれども、職業安定法の施行規則第四条では「労働者を提供しこれを他人に使用させる者は、たとえその契約の形式が請負契約であっても、次の各号のすべてに該当する場合を除き、法第五条第六項の規定による労働者供給の事業を行う者とする。」こうなって、いろいろと説明されておるわけでございます。それで、第一項の方は四つ内容が四号までありまして、第二項では「前項の各号のすべてに該当する場合であっても、それが法第四十四条の規定に違反することを免かれるため故意に偽装されたものであって、その事業の真の目的が労働力の供給にあるときは、法第五条第六項の規定による労働者供給の事業を行う者であることを免かれることができない。」こうなっているのですね。 私は、非常にこの施行規則というのはがっちりしているんだろうと——中にはこれで請負がいいかげんになったという話もありますけれども、このとおり適用すればいい内容だと思うのですね。だから、この法律あるいは政令で定めても、それをきちんと実行しないというところに問題が多分にあると私は思うのです。実際労働省では法律をつくって罰則まで設けて、違反したといっても違反を調べるといいますか、強い言葉で言えば摘発するといいますか、そういうことをやる担当者がいないのじゃありませんか。何人ぐらいいますか。たくさんあるんですね、労働省関係の法律。
○加藤(孝)政府委員 職業安定法によりまして安定所の職員に対してそういう場合の事業所の立ち入りあるいは指導監督ができる権限が与えられておりますので、特にそのために何人という形での特別の監督のための担当官というものがおるわけではございません。
○森田(景)委員 本当に法律があり罰則があっても、その内容がきちんと法律に合っているかどうか、そういうことを調べる人が現実にはいない。だから、幾ら法律をつくっても抜け穴がたくさん出てくるとまた別の法律をつくって対応する、罰則を設けても守らない人が出る、こういう繰り返しになるおそれが十分にあるわけです、 そういうことで、実はきょう法律を守ってがっちりと取り締まっているところはどこだろうか、こんなふうに思いまして、頭に浮かんだところにおいでいただいておるわけです。例えば、これは厚生省だと思いますが、麻薬の取り締まり、先ほどの局長の説明では、ニーズがあればそれを認めていこうなんて、こういうお話がありましたけれども、認めていいニーズと悪いニーズがあるわけですね。麻薬だってニーズがあるからどんどん入ってきているわけです。だから、そのニーズがあっても、これは我々人類社会のためによくないということで取り締まっているわけであります。厚生省からおいでいただいていると思いますので、麻薬の違反状況といいますか、あるいは最近大量に海外から麻薬が輸入され、摘発されている状況があります。しかも人間だけではとにかく不十分だということで、麻薬犬なども訓練をして摘発に一生懸命になっている、こういう状況がありますので、麻薬の取り締まり状況あるいは摘発状況、こういうことについて厚生省の方から御説明いただければ大変ありがたいと思います。
○山本説明員 ただいまの麻薬、覚せい剤の問題でございますが、覚せい剤事犯につきましては昭和四十五年一千六百名ほどであったわけでございますが、その後増加を続けておりまして、昭和五十一年に一万名、昭和五十五年には二万名を超す、こういうような状況で、昨年、五十九年検挙者数は二万四千三百七十名、こういう状況になっておるところでございます。 ただいまもお話しございましたが、事犯の内容を見てまいりますと、こうした事犯に供せられております覚せい剤につきましては、そのほとんどが国外から密輸されておる状況にございます。さらに、こうした密輸、密売等にかかわる事犯は大変悪質巧妙化いたしておりますほか、乱用者につきましても一部特定の者から次第に少年、主婦等の一般市民層に拡大していく、かような憂慮すべき状況にございます。 また、麻薬の方について見ますと、昭和五十九年、麻薬取締法違反関係で百三十二名、あへん法関係で百九十七名、大麻取締法関係で一千三百九十一名、合計千七百二十名の者が検挙されておる状況でございます。 このように麻薬事犯は覚せい剤に比べますと数が少ないわけでございますが、青少年を中心といたします大麻事犯がございますし、ヘロイン、LSD、さらには最近ではコカインというような麻薬事犯も見られておりまして、国際的にも深刻な麻薬問題がある状況から、私どもとしても楽観できない状況にあると考えております、 これに対しましては、関係省庁、警察庁、海上保安庁、そして私ども厚生省、力を合わせまして政府一体となってこれの取り締まりに当たっておる、こういう状況でございます。
○森田(景)委員 どうもありがとうございました。 今、麻薬関係でございますが、そのほかに最近大きな話題を呼んでおります暴力団抗争などがあります。暴力団抗争、いろいろと社会問題になっておるわけでございますが、これも昔から比べると、かなり取り締まりを何回も繰り返しているために暴力団の数も減ってきてはいる。しかし、なお全国的に根強い組織があるわけでございます。決してこれが社会のニーズだとは言いませんけれども、取り締まりということについて警察庁は格段の努力を払っているわけでございますから、その取り締まりを行った結果としてどのように暴力団が減少してきているのか、あるいはその検挙についてはどのような実績が上がっているのか。これは相関関係があると思いますので、その辺のところを、警察庁からおいでいただいていると思いますが、御説明いただきたいと思います。
○上野説明員 お答えいたします。 全国の暴力団の勢力でございますが、昭和五十九年当初現在二千三百三十団体、九万八千七百七十一人というふうに把握いたしております。これを過去最高を示しておりました昭和三十八年と比較いたしますと、当時は五千二百十六団体で十八万四千九十一人でございましたので、団体数、構成員数とも約半数に減っているという状況でございます。 なお、取り締まりの状況でございますけれども、昭和五十九年中につきまして暴力団犯罪の検挙について申し上げますと、全体で七万三千六百十五件、四万九千五百十九人を検挙いたしておりまして、罪種別に見てみますと、覚せい剤の取締法違反が一万一千三百五十二人、傷害罪で八千三百三十九人、恐喝で四千五百十九人、賭博で四千二百八十五人、暴行で三千四百四十七人ということで、大体このような罪種で全体の六割を検挙しているような状況でございます。 このような検挙を毎年続けておりまして、その結果、先ほど申しましたように現在の勢力、ピークの半数ぐらいになっているのではないかというような状況になっているところでございます。
○森田(景)委員 どうもありがとうございました。 それからもう一つ、今社会問題になっているものが、金の売買とかあるいはゴルフ場の会員権の売買とか、こういうことで大変社会問題になっているのがあります。これは通産省の関係だと思います。社会問題になるというのは、勧誘の口がうまいということもあろうと思いますが、やはりそれに応じていく側もあるわけでございます。しかし、これも放置しておけば大きな社会町題になってくるわけでございますので、そういう点では、通産省、非常に努力をしていらっしゃるというふうに聞いておりますので、きょうおいでいただいているはずでございますが、この金の売買関係について通産省はどのように対応してこられたのか、御説明いただきたいと思います。
○林説明員 金の悪質取引に関しまして通産省がどのように取り組んでいるかということでございます。 金は昭和四十八年に輸入が自由化され、五十三年に輸出が自由化されております。そのような背景で国内で個人の金の保有の機運が高まっております。その中で私設先物市場、いわゆるブラックマーケットを利用して悪質な取引が横行いたしまして、当時も社会問題化いたしました。通産省はこのような状況に対応いたしまして、五十六年九月、商品取引所法に基づきまして金を政令指定にいたしました。それによりまして金の私設先物市場を禁止いたしております。 その後、国内の私設先物市場での金の先物取引の禁止がされたために、国内ではなく、香港等海外の商品取引に移っておるわけでございます。かかる取引の被害が激増いたしましたので、通産省といたしましては昭和五十八年に海外商品市場における先物取引の受託等に関係する法律を施行いたしております。その当時は香港市場を規制の対象にいたしまして、海外の先物取引に係るトラブルは減ったわけでございます。ただ、その後、香港ではなく、シカゴ、ニューヨーク、ロンドン等を舞台にしました先物取引が出てきましたので、本年一月に被害の多い先物市場を新たに規制の対象に入れまして、今申し上げましたような市場に関しましても規制の対象といたしておるわけです。 一方、通産省といたしましては、先物にかかわる悪質取引を規制しておりますが、一方では金の現物の取引でございますが、一般消費者が安心して金の地金を購入できるように、日本金地金流通協会が設立されまして、そこで登録店制度というのを設けまして金の健全な流通を促進しております。そのためいろいろなPR等をしているわけでございます。最近では、まだ法の網をくぐりまして、追いかけっこみたいなものでございますが、いろいろの悪徳商法があるわけでございますが、通産省といたしましては今後とも金地金流通協会による登録店制度を拡充する一方、一般消費者に対しましてPRをやっておるところでございます。 PRに関しましては、ここに一。板ポスターを持ってまいりましたが、このようなPRのポスターを配る、あるいはこれに似たようなものをテレビ、ラジオあるいは雑誌等でもってPRに努めまして、このようなトラブルが未然に防がれるよう努めておるわけでございます。私どもとしては今後ともその方向で進めていきたいと思っております。
○森田(景)委員 直接労働者派遣事業法に関係のないお話で恐縮かと思いましたけれども、やはり法律で定められたこと、法律を守るという基本精神の上に立っていかないと、法律をつくっても屋上屋を重ねていくだけだ。また新しい違反者が出て、それに対応するためにまた法律をつくらなければならない、こういうことであってはならないと思うのですね。そういうことでお忙しいところこちらへおいでいただきました。皆さん、ありがとうございました。通産省さん、厚生省さん、警察庁さん、今後ともひとつしっかりと頑張っていただきたいと思います。ありがとうございました。結構でございます。 それで、私は決して時代の流れというものを否定するものではありません。時代の流れを否定したら本当に時代おくれになるわけでございまして、今我々は電話を使い、あるいはその他の機器を使って交通、通信などやっておりますが、昔は、江戸時代は飛脚が走ったという、こういうこともありますが、それがだんだん変わってきておる。時代の流れだと思います。あるいは、昔はかごに乗って行った人たちが今は自動車に乗っていく、あるいは飛行機を利用するとか、これは時代の流れで、決して否定するものではありません。 しかし、法律でやはりやってはいけないと決めたことが、いろいろ時代が変化するから、その時代の変化に対応するためにはこうしなければならない、こういうことについては、もともとある法律をしっかりと適用させていかなければいけない、私はいつもそう思っているのですけれども、そういう意味では、これも本題と離れますが、この間、軽貨物タクシーといいますか、これを禁止する、やめさせる法律を参議院先議で衆議院で可決いたしました。あの軽貨物タクシーというのも、もともと法律で禁止されていたものですね。法の網をくぐってといいますか、沖縄あるいは奄美大島ですか、とにかく鉄道もないところでそれこそ住民のニーズにこたえて物すごい勢いでふえてきたわけです。それがだんだん九州に上陸し、本州に上陸といいますか、こういう形をとって、それでこのままでは今までのタクシー業者がつぶれてしまうじゃないかという心配があって、これはいけないということになったわけですね。もともと法律でいけないものをまた改めてもう一遍いけないとやったわけです。だから、本来の事情を考えますと、気の毒な状況もあったわけです。しかし、法律を守るという立場で我々もあの法案には賛成したのです。 ある日刊紙には、社会面に漫画の欄があります。あそこに、軽タク北上前線予想といいましたか、桜前線予想に合わせまして漫画が掲載されたこともありました。そのぐらいあれはそのままにしておけば物すごい勢いで日本じゅうに広まったはずなんです。ところが、広まるのはやはりニーズがあるからです。そのニーズにこたえて供給も出てくるという、両方マッチしておる。ちょうどこの派遣事業に似たような状況——内容は違いますけれども、似たような状況だったですね。ところが、向こうはそういうことで、きちんといけませんよとしたんです。それは法律があるからなんです。 こちらも法律があるのですから、この法律を守るということで、これから成立するならするということでもしっかりとやっていただかなければならない。職業安定法も労働基準法もきちんと守るようにひとつやってもらわなければならない、こういうことを私は申し上げたかったわけです。あくまでも法律を守るようにしていこうじゃないか、守らせようじゃないか、法律の網をくぐって、ふえてきたから新しい法律にそれを認知しよう、こういう考え方じゃいけない、こう思っているわけです。 ですから、もう一面から考えますと、あの軽貨物タクシーをやっている人たちは大体個人でやっているわけです。こういう例え方は悪いかもしれませんが、個人でやっていました。ところがタクシーの方は、あれは企業とそれから組合がありまして大きいのですね。だから、その大きいところには小さいものはいつも負ける。逆に今度は、この労働者派遣事業というのは事業を認めるわけですから、これが物すごい大きな資本がやることになるわけですね、現在小さいところがやっているかもしれないけれども。この間、私もマンパワージャパンというところを見せてもらいましたけれども、これは今アメリカを中心としてすごい勢いでやっているわけですね。そういうでっかいところが出てくると、もう太刀打ちできない。こういうことじゃいけないだろうと思うのです。やはり法律は公平でなければいけない、このように思っているわけでございます。 そういうことで、大変前置きが長くなりましたけれども、この労働者派遣事業がここ十年ぐらい急速に伸びてきた、こういうふうに今までもいろいろと説明があったわけでございます。なぜ伸びてきたのか。それはニーズがあったから伸びた、こう言っていますけれども、なぜ伸びてきたか。この派遣事業というのは、実態はどうだったのか、これは調べてはありますね、発表しておりますから。その辺のところを御説明いただきたいと思います。
○加藤(孝)政府委員 この派遣事業そのものにつきましては、これは現行法体系のもとでは制度的に存在しておらないわけでございますので、これと類似の形態で行われておりますいわゆる人材派遣業の事業所数あるいは労働者数というようなものについての統計的な把握は困難でございますが、私どもがこの派遣事業について関係者から事情聴取等によって把握をいたしました状況で見ますと、例えばビルメンテナンス業につきましては、五十六年度で約八千の事業所がある。それで約三十万人の労働者が就労しておる。あるいはまた警備につきましては五十八年末で約三千五百の業者がございまして、約十四万人の労働者が就労しておる。また情報処理サービス業については五十六年度で約五千の事業所がございまして、約十六万人の労働者が就労しておる。また事務処理サービス業につきましては、これは明確な定義がございませんためやや正確な把握に欠けますが、現在のところ約百八十から二百社程度、それからまた、それに登録しておりますのが約十万から十二万、こういうような推定がなされておるわけでございます。 しかし、これは先ほども申し上げましたように、請負事業の形態をとっておるわけでございまして、そのすべてが労働者派遣事業をやっておるとか、あるいはそのすべてが派遣労働者である、こういうわけではないことは一応御了解いただきたいと思うわけでございます。 こうした事業が増加してまいりました原因としましては、近年における経済社会の進展を背景といたしまして、労働力の需要及び供給の両面におきまして多様な著しい変化が生じてきておるわけでございまして、まず労働者側について見ますと、自分の専門的な知識、技術、経験を生かしていわゆるスペシャリストとして働くことを希望する者が増加してきたという面がございます。また、自分の都合のいい日や時間に都合のいい場所で働くことを希望する、こういうような労働者も増加してきた、さらにはまた一般の企業内でのいろいろな人間関係というものに煩わされたくない、こういうような形での就労を希望する方もふえてきたという事情が背景にあるわけでございます。 また一方、企業側におきましては、経済社会活動の高度化、多様化に伴いましていろいろ専門化し、分化してきました仕事の中に、こういう専門的な知識、技術、経験を有する者にどうしてもやってもらいたい、こういうような分野というものが増加をしてきておる、あるいはまた一般の従業員とは異なる雇用管理を必要とする、あるいはまた特別の教育訓練を行わなければならぬ、そういう意味で、自社の従業員に行わせるよりも外部にゆだねた方が効率的に処理される分野が増加してきた、こういうような背景があるわけでございまして、こういう変化が進行する中で、いわゆる人材派遣的な事業が増加してきた、こんなふうに見ておるわけでございます。
○森田(景)委員 企業の側に立てば、確かにほかに頼んで仕事を処理していく、減量経営といいますか、こういうことで都合のいいことなわけです。しかし、働く立場に立てば、派遣労働者について言えば、それは派遣労働者は仕事があることですからいいことでしょうけれども、もともとその企業、会社に働いている人たちの立場に立てば、どうもそういうふうに企業が外にいわゆる外注、そういう形でやっていってしまうと、自分たちの仕事がなくなってくるわけですね。職場が縮小されてくることになるわけですね。こういう点で、この法案は非常に大きな問題があるんだな、こう思っているわけなんですね。 今までの審議会の答申等をいろいう拝見しますと、やはり労働側は反対しているわけですね。だから、労働側が反対して、それでおおむねこれは妥当と認めようというふうにいろいろ出てまいっておりますから、やはり派遣労働者も含めまして、働く人の立場の雇用の安定と福祉の向上を図るということならば、もっとこの内容を慎重に検討すべきであったのではないかということを私は考えているわけでございます。この点についてはどうでしょう。
○加藤(孝)政府委員 この人材派遣業というものをどう考えていくのか、そしてまた、その背景となっておるいろんな労働側、企業側の背景についでどう考えていくのか、そしてまた、現在の職安法の労供禁止規定との関係をどう考えるか、こういうようなことなど含めまして、五十三年以来、研究会、調査会あるいはまた職安審議会という場面で何度も検討され、議論が繰り返されてこられた、そういう中でこういう結論を得て今御提案を申し上げておる、こういうわけでございます。 この内容そのものは、現在のいわゆる派遣事業という形でやっておるものを現状追認をみんなしてしまうということではなくて、むしろこれについて労働者保護の観点から使用者責任をどちらがどう持つのかというふうなことをはっきりしたり、さらにはまた、これをどういう分野に限定して特に認めていくのかという形で、いろいろ野放し的な形でこれを認めるんじゃなくて、非常に限定した形で、しかも一定の制限というもの、規制をしっかり置いて認めていこう、こういうものでございまして、企業側のニーズがあるから企業側のニーズどおりみんな認めていくんだというような姿勢にはないことは御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○森田(景)委員 企業は経営合理化の一環として、人員効率化を図るためには業務の外注あるいは下請化あるいはパートタイム労働者とか臨時社員等の活用を進めているわけでございますけれども、労働者派遣事業は決してそういうことではないんだと、局長、断言できますか。
○加藤(孝)政府委員 これは企業のニーズと労働者側のニーズとマッチするところにおいて、しかもこれが日本の終身雇用制というものを阻害するというふうなことのないように、そしてまたこういう終身雇用制というものの根幹を揺るがすことのないような、そういう状態の中でこれを認めていくということでございまして、企業のニーズがあるからこれを野放しで全部認めるというようなものではない、そこを私どももはっきり踏まえて対応していくつもりでおるわけでございます。
○森田(景)委員 それから、先ほどから説明ありましたように、好きな時間、好きな日に仕事できる。これがみんなできれば、こんないいことはないわけです。局長も、火曜日は私は働きたくありませんということで出てこなければ、こういううるさい話なしで済むわけでございます。だけれども、社会全体としてはそういきませんで、やはり家庭も守らなきゃなりません。家庭を守るためにはそれだけの収入もやはり確保しなきゃならないわけです。ですから、好きなときに好きな時間に働けるというのは、家計を守るというよりも、むしろ自分の時間を生かして補助的収入を得ようということがまあ大半だと私は思うのです。だから、そういう人と、家計を守り奥さんや親やあるいは子供さん方を育てていく、こういう立場の労働者と一緒に考えてはならないはずですね。その点は理解していらっしゃいますか。
○加藤(孝)政府委員 先生もおっしゃいますように、官公の好きなとき働き、好きな時間に働くということで悠々と生活ができる収入が稼げれば、こんな幸せなことはないわけでございますが、我が国の現状におきましては、やはり大部分は所定時間いっぱいに、あるいはまた超勤もやって、そして生活をしておるというのが一般であるわけでございます。しかし、例えば家にまだ子供があるとか小学校の生徒がおるとかいうような事情、あるいは保育所に何時までに子供をとりに行かなければならぬというような状態、あるいはまた、時には一日置きにいろいろ両親の面倒を見なきゃいかぬとか、そういうようないろいろな事情を抱えておられる方々が、その自分のあいている時間に、しかし何とか自分の今までの知識経験を生かして社会的な活動もしたい、またそれによって収入も得たい、こういうような方々を、全くそういうニーズを無視していいというわけにもまいりません。そういうような意味。一方、企業の側がまたそういう臨時的な労働力への需要というものがある。そこでうまく結びつくという形での人材派遣業というものも、これもまた一面においては社会的な一つの存在意義があるものとしてやはり認めていく必要があるのではないだろうか。そういったような事情が今日いろいろ出てきておる。 これは終戦直後にできましたこの労働者供給事業の禁止の規定、戦前まで行われてきましたボスがいわゆるタコ部屋において労働者を囲って、そしてそれを必要なときに供給する、そもそもそういうふうなものを禁止する目的で規定された労働者供給事業違反というものと全く同一な次元で考えるわけにはなかなかいかぬだろう、こういうようなことの中での今回の御提案である、こういうことでございます。
○森田(景)委員 ここで時間をとっていられませんけれども、先ほど現在の職安法あるいは労基法、これでは対応できないトラブルが多数発生してきたためにこういう労働者派遣事業というものを認めていこう、そして派遣労働者の雇用の安定と福祉の向上を図ろう、こういう趣旨だということですね。 私が聞いておりますのは、派遣労働者側のトラブルというのが、例えば雇用関係が不安定である、使用者としての責任の所在が不明確となりがちで労働基準法等労働関係法令の適用関係が不明確だ、社会・労働保険の適用が進んでいない、派遣先の都合で突然解雇された、あるいはこちらの都合でやめたいが派遣元企業が認めないのでかえって迷惑料を取られた、あるいは派遣元で聞いた労働条件と実際の労働条件が違っていた、こういうのが今までの現行法の中での派遣事業としての労働者のトラブルだと聞いているのですけれども、大体こんな内容に集約されるのですか。
○加藤(孝)政府委員 私どもの実態調査でも今先生がおっしゃったようなところが派遣労働者の問題点という形でいろいろ出ておりまして、特に派遣労働者の賃金が、派遣先から契約料金が不払いであったために派遣元からの賃金ももらえないというようなことであるとか、あるいはまた聞いていった話と実際に派遣先での仕事あるいは条件が随分違う、これはどうなっているんだというようなこと。そして、その問題解決は、派遣元の方に行けば逃げられる、派遣先の方に行っても逃げられる、一体使用者としての責任を負うのはだれなんだという形での問題がいざというときに派遣事業問題の一つ大きな問題点であるというような点を私どもも強く意識をしておるところでございます。
○森田(景)委員 今私が申し上げましたような内容あるいは局長が答弁なさった内容では、新しい労働者派遣事業法でなくても現在の職安法、労基法で内容を若干改正していけば十分対応できる内容じゃないかと考えたのです。この点いかがですか。
○加藤(孝)政府委員 具体的に例えば公共職業安定所について申してみますと、これは主として常用雇用を前提とした職業紹介事業というのを行っておるというようなことでございまして、こういう臨時的な仕事をずっとつなげていく、あるいは専門的かつまた就労を希望する日時というような形での多様な就業ニーズにすべてこたえていくということは、安定所の紹介機関においては非常に困難な問題がございます。それからまた、民営職業紹介事業におきましても、こういう自分の好きな時間に働きたいという求職者の希望に対してきめ細かに応じて迅速な雇用機会の確保を行うことがなかなか難しい面もございます。また、求職者の専門的職業能力の開発向上という面におきましては職業紹介機関ではなかなか難しい問題がございますし、特に紹介先がその都度異なる、あるいは就労先がその都度異なるということのために社会保険の適用が困難といったような問題等があるわけでございます。 こういう現在の職業安定法の体系の中では、そういう意味で安定法にはない新たな派遣形態での需給調整システムというものも考えていかなければならぬのではないかということで、安定法の面でもひとつ新しい踏み出しが必要であろう。それからまた基準法の面で申しますと、今申し上げましたいろいろな労働条件などをめぐりますトラブルについてその使用者責任というものをいずれに課していくのかというような点については、実は今度の派遣法で提案しております面でもおわかりいただけますように、いろいろ立法的な解決を要するというものがあるわけでございます。要するに基準法で言っております使用者というものはすべて雇用者ということで今まで来ておりますものを、まさに雇用者と使用者というものが分離をしてくるという場合において労働基準法についてはいろいろ立法的な手当てをしていかないとこういう問題には的確に対応できない、こういうような問題等もございまして、そういう大きな二つの問題を派遣事業法の形で解決し、踏み込んでいく、こういうことで新規立法を御提案申し上げておるということでございます。
○森田(景)委員 例えば社会保険を例にとってみましても、今度の派遣事業法案では登録型と常用型とあるわけですね。常用型は届け出でいい、それから登録型は許可制だ、こうなっているわけですね。許可制のいわゆる登録型の派遣労働者は仮にこの法律ができたって社会保険の加入は困難じゃありませんか。その点どうですか。
○加藤(孝)政府委員 今回御提案申し上げます法案におきましては、そういう登録型の労働者につきましては労働福祉の改善向上に努力すべき旨を定めておるわけでございまして、具体的にはある事業所からある事業所にという形で勤務先は転々といたしましても、できるだけ就業機会を確保するよう、一方、法的に努力義務を課すというような形で、できるだけそれがつながって継続して雇用され得るような努力をすべき旨を定めておるわけでございます。 そういう中でこういう各種の社会保険、労働保険について要件に該当する方、要件を満たし得る方について適用促進を進めていく、こういう基本的な構えでおるわけでございます。そういうふうに雇用をできる限り派遣関係の中においてもつなげていくというような形の中で保険の適用拡大も進んでいく余地が出てくる、こんなふうに考えておるわけでございます。
○森田(景)委員 局長も社会保険についてちょっと認識が薄いのじゃないかと思います。いわゆる常用雇用型、派遣元で常用雇用されている人は派遣元で社会保険に加入すればいいわけですから、きちんとすれば問題ないわけですね。だけれども、登録型の方は登録してあるだけで雇用されてないわけですね、派遣元の企業で。そして派遣先の企業が見つかったときに雇用関係を結んで派遣するということなんです。だから働くところが二日なり三日あって、今度こちらでまた二日か三日続ける、こういう仕事をたくさん続けても、その働いているところで社会保険適用になるわけじゃないわけですよ。だから、本来なら登録している派遣元の方で社会保険の適用ができるならいいんですけれども、どうもそれはできそうもないと私は思うのです。 現実にどういうふうにしていらっしゃるかといえば、皆さん国民健康保険に入っている、あるいは国民年金に加入している、こういう形で、自分でいわゆる一般の労働者と違った社会保険の形で加入しているわけですよ。今の実態はそうなんですね。この事業法案ができたら、それは変わりますか。同じなんですか。
○加藤(孝)政府委員 年金の関係については、先生御指摘のような形においていく場合が多いと存じますが、例えば雇用保険の場合でございますと、そういう就業機会をできる限りつなぐというような形によりまして、例えば一年を通じまして六カ月以上の就労があれば、これは雇用保険の受給対象になり得る、こういうような形での雇用保険の適用促進の道は開けてくるという点はあるわけでございます。
○森田(景)委員 どうも私の納得できる答弁じゃありませんけれども、ひとつそういう方向で努力するというなら、後、よく私どもも見詰めていきたいと思いますが、時間がほとんどなくなってきましたので、対象業務について若干お尋ねしてみたいと思います。 小委員会の答申では、この対象となる業種は十四を参考例として報告しているわけでございますが、これは有料職業紹介、いわゆる民営職業紹介等とダブる部分はあるわけですね。その場合に、この十四の参考例をそのまま認めるお考えているのか。これは十四の業種、政令で定めることになっておりますね。これは浜野副大臣にひとつ、せっかくおいででございますから。
○浜野政府委員 政令でございます。
○森田(景)委員 政令で決めることになっていますから、答申された参考例という、おの十四の業種をそのまま政令で認めるお考えなのかどうかということなんです。
○加藤(孝)政府委員 この中央職業安定審議会の小委員会から示されております十四の業務は、あくまで参考例として出されておるものでございます。その意味におきまして、こういったものを一応頭に置きながら、今後広く関係業界についてのいろいろ実態の調査をいたしまして、また、関係者の意見も十分聞きまして、最終的にこの中央職業安定審議会の意見を聞いて政令で定める、こういうふうに考えておるわけでございまして、現段階において十四を全部とか十四のうち幾つとか、こういうことでまだ申し上げるところまで固まったものを持っておるわけではございません。
○森田(景)委員 この小委員会の報告書を拝見しますと、対象業務の特定に当たっては、派遣される労働者の保護を図るという観点からのみならず、労働者全体の雇用の安定と労働条件の維持向上が損なわれないよう配慮する必要があり、また我が国の雇用慣行との調和に留意して常用雇用の代替を促すことにならないよう十分配慮する必要がある、こういうふうになっておるわけでございますね。一番今までの御説明の中でも、また労働者の立場に立って心配されるのは、この我が国の雇用慣行との調和、それから常用雇用の代替を促すことにならないように、この二つが非常に大事なことになるわけです。 この小委員会の報告書の趣旨を踏まえて、労働省としてはこの雇用慣行との調和をこれからどうしていくのか、それから先ほど来いろいろと答弁がありまして、常用雇用との代替を促すようなことはしない、こういうふうに答弁もありましたけれども、もう時間がなくなってまいりましたので、最後にこの二点について、これは浜野副大臣の方から、そういうことはありませんという、どういう答弁か知りませんけれども、明確な答弁をいただければ、終わりにしたいと思います。
○浜野政府委員 これは労働者派遣事業の制度化の趣旨は、もちろん労働力の需要供給の双方のニーズにこたえて調整を行っていくということでございますので、このシステム化の形にのっとって、先生おっしゃるとおり労働者の保護と雇用の安定といい意味の従来の慣行を尊重してやっていきたいと考えております。
○森田(景)委員 終わります。
○戸井田委員長 塚田延充君。
○塚田委員 まず職安法四十四条に関連してお伺いしたいと存じます。 職安法四十四条の基本的精神を労働省としてはどう認識されているのか。またその精神をこの法案はないがしろにしてしまうのではないかというような意見、批判もかなり強く出ているのですけれども、労働省としてはどうお考えになっているのか、政務次官のお答えをいただきたいと思います。
○加藤(孝)政府委員 労働者供給事業は、我が国におきましては戦前いわゆる人夫供給業とか人夫周旋業、こういうような形で呼ばれておりまして、こういう臨時的な作業のためとかあるいは常用労働者ではできないような危険作業などに従事させるために、事業主の求めに応じましていわゆる親分、子分、こういうような封建的なボス的な支配、従属関係のもとにある労働者を供給することを業としていたものでございまして、こういう支配、従属関係を利用して強制労働あるいは中間搾取というものが行われるおそれがあったわけでございます。 こうした前近代的な労働関係は個々の労働者の雇用の安定の面におきましても、あるいはまた保護の面におきましても重大な問題があるわけでございまして、基本的人権の尊重を基本原理といたします憲法の精神にのっとりまして、労働関係の民主化を配るためには、この労働者供給事業、こういったものを禁止することが不可欠であったわけでございます。こういったような趣旨からこの職業安定法四十四条は労働者供給事業を禁止いたしまして、第三者が人と職業との結合過程に介入をいたしますことから生ずるこういう強制労働や中間搾取の発生の余地を排除して労働の民主化を図ろうとしたものでございます。 ところで、近年の経済、社会の変化を背景として増加しておりますいわゆる人材派遣業は、この労働力の多様なニーズに対応いたしまして需要と供給の結合を促進して就業機会を拡大させる、こういう役割を果たしているところでございますが、一方では労働者が派遣先の企業で就業する一こういう形態であることから、職安法四十四条で禁止しております労働者供給事業との関係で問題が生ずる場合もあるだけではなく、労働者保護に関する労働基準法の適用等に関しましても、一体どちらが使用者責任を負うのかということ等につきまして現行法では適切に対処できない、こういう問題があるわけでございます。 さらにまた、今後の労働力の需給の変化を展望いたしますと、高齢者や女子労働者の増加、こういうものが見込まれるわけでございますし、また、技術革進の進展に対応して必要な技能労働者の養成確保というものも必要になってくるわけでございまして、そういう意味で新たな観点からの労働力の需給調整システムの整備の必要性が高まってきておるわけでございます。このために、この労働者供給事業を禁止いたしております職業安定法第四十四条の精神を堅持しながらも、特定の業務分野については労働者派遣事業というものを制度化いたしまして、我が国のこれまでの雇用慣行あるいは労働市場の状況の調和にも十分配慮しながら、派遣労働者の保護と雇用の安定が図られるよう所要のルールを定めることが不可欠である、こういう考え方のもとに御提案を申し上げておるわけでございます。 しかしながら、もちろん今後ともこういう強制労働とか中間搾取を行うおそれのある労働者供給事業につきましては厳正な取り締まりを行いますとともに、一方、この労働者派遣事業につきましてもその適正な運営を確保するよう制度の厳正な運営を行うことにしておるわけでございまして、そういう意味におきまして、こういう職業安定法四十四条の基本精神をないがしろにするというようなものとは考えておらないわけでございます。
○塚田委員 つまり新しい経済情勢、言いかえれば労働需給調整システムに職安法のみでは対応できなくなったので、その辺新しい立法措置で事故の起きないようにしたい、これが趣旨ではないかという御説明のように受け取られます。 そうしますと、職安局長、派遣店員というのを御存じでございましょう。マネキンという制度もございますし、その境目というのは非常に難しい面があるのです。製造または卸業者が大規模な小売店、百貨店などに派遣する店員の制度、これは今度の労働者派遣事業の中に入らないということになりますと、職安法と今審議しております新しい労働者派遣事業法とのはざまに置かれてしまう。一方、警備員などにつきましては、警備業法みたいに単発、単独の立法でかなり規制といいましょうか指導している面もある。 それに関連いたしまして、この派遣店員の件でございますけれども、事実関係としては、派遣された労働者が派遣先で労働条件の面でいろいろ御苦労されておる面があるわけでございます。それについて、今後いろいろ労働行政の面で手を打たなければいかぬという件が多いと思うのです。しかも、この件につきましては、労働組合団体としてはゼンセン同盟などが何回か労働基準監督局とか職安局の方に申し入れを行っているわけでございます。今度のこの法案審議と関連し、もしくは関連なくても結構ですから、この派遣店員の労働条件維持と申しましょうか、そのためにどのような方策を講じようと考えておるのか、御答弁いただきたいと思います。
○加藤(孝)政府委員 いわゆる派遣店員の問題でございますが、これは形としては派遣元に雇用され、派遣元の業務命令によって派遣先の事業場で就労しておるということでございます。派遣元の指揮命令を受け、そして派遣先の指揮命令を受けるものではない、こういうのが通常の場合の形でございます。そのため、派遣先の指揮命令を受けて労働に従事するという形態の労働者派遣には該当しないもので、そういう意味では、通常の場合はこの派遣事業法による規制を受けるものではない、こういうことになろうかと思います。 この派遣店員と派遣先との法律関係はこういうふうに考えられますが、ただ、実態といたしまして派遣元と派遣先との間の関係からいろいろ問題が指摘をされておる点もある実情にあるわけでございます。そういう意味におきましては、それぞれの派遣店員の労働面でのいろいろな保護が基本的に守られるためには、やはり通常の型というもので派遣店員というものをやっていくならば、あくまで派遣元が派遣元としてのしっかりした請負契約、そしてまたその中におけるはっきりした使用者責任、雇用者責任を持った形で労働者の労務管理に当たるということが基本的に必要になってくると考えておるわけでございまして、そういう面からの労働者保護を図っていくというのが今後基本であろうと思います。 ただ、いろいろ言われております派遣先での指揮命令関係については、実情を詳しく調べます中で、通常のパターンでないものについてどうしていくか、基本的にはさらに実態調査を含めて検討の必要があると考えております。
○塚田委員 派遣店員につきましては、確かに派遣元がすべての使用責任と申しましょうか雇用上の責任を持つわけですから、それがしっかりしておればそれでいいのだということになるわけでございますが、派遣先との力関係で結学派遣された労働者そのものが宙に浮くような形で苦しんでおるケースが多いわけでございます。本来から言えば、このたび審議しているこの法案のそもそもの出発点もこういうような労働者を救おうというところで立法されているわけですけれども、いろいろな事情からいわゆる派遣店員というのは今度の法律のジャンルに入れることができないというわけで法律のはざまに残されてしまう危険性があるわけでございますので、ぜひ実態調査の上、また労働省としてのできる範囲内の行政指導をよろしくお願いしておきたいと思います。 次に移ります。 我が国の従来からの雇用慣行、すなわち終身雇用でございますが、これをある程度前提としております制度との関係におきまして、今回制度化が提案されております派遣事業を労働省はどのように位置づけておられるのか。 これは端的なケースで言えば、同一事業所に派遣期間が非常に長くなる場合、例えば一年を超すようなケースがふえてまいりますと、派遣先における常用労働者の代替を促進してしまうような危険性も多いわけでございます。このことにつきましては中職審におきましても指摘されているわけでございますけれども、今度のこの法案では期間の制限がございませんね。中職審の答申では注意するようにと言っているにもかかわらず、わざわざと申しましょうか、派遣期間を制限することをやめたという理由は何でございましょうか。また、もしも一年以上超えてはならないとかいうような期間の制限を明文化した場合、何か大きな障害、まずい面があるのでしょうか。その辺、お教えいただきたいと思います。
○加藤(孝)政府委員 確かに、先生今御指摘ございましたように、常用雇用労働者の代替促進を防ぐ、こういう観点から、御指摘のございましたように派遣期間を制限したらどうか、こういうような御意見もこれまで審議会等の場においてもいろいろございまして、いろいろ論議があったところでございます。 ただ、この同一の労働者についての派遣期間というものを一律に一定期間に制限したとする場合に、一つはその派遣労働者の雇用の安定がそういう一定期間ということで害されるおそれがあるという問題がございます。それからもう一つ、これはヨーロッパ諸国での派遣法において期間の制限をいたしておる制度の運用の実情等にも見られるのですが、制限された期間に到達する直前に派遣を中断いたしまして、再度派遣を受ける、こういうことを繰り返すというような実態もあり得るということで、その制度の実効確保の上で問題が残る。こういうことから明文をもって派遣期間を一律に一定期間に制限することは適当でない、こういうことでその規定を置いてないわけでございます。 しかし、この法案におきましては、常用労働者の代替が促進されることのないよう、その対象業務について、その業務に従事する労働者の就業形態あるいは雇用形態の特性から、通常の企業活動においてキャリア形成を図りつつ昇進、昇格させるという雇用慣行が一般には認められないような業務について認めていく、あるいはまた専門的な知識、技術などを必要とする業務に限って認めていく、こういうような業務の面での限定をすることを法四条で考えておるわけでございます。さらにまた、こういう制度の運用に当たって雇用慣行を考慮するよう配慮しなければならぬ、こういうような規定も法案の二十五条に設けられておるわけでございます。 そういう意味におきまして、これらの業務の指定あるいはまた雇用慣行を考慮しての運用というようなことを通じまして、御指摘ございましたような常用労働者の代替が促進されることのないような運用を図っていきたい、こんなふうに考えておるところでございます。
○塚田委員 派遣先では同一職場で賃金などの労働条件が違う労働者が混在するような形になります。そうなりますと、どちらかというと派遣事業によって派遣される労働者の方が福利厚生とかいろいろな面で労働条件が悪いケースが多いのじゃないかと想定されるのですけれども、もしそうなりますと、派遣先の常用労働者に対しまして労働条件の引き下げになる、そういうような引き金になる理由づけになってしまう危険性があると思うのです。このような引き金にならないような歯どめ装置といいましょうか、どういうことを考えておられるのか、お願いいたします。
○加藤(孝)政府委員 派遣労働者の労働条件は派遣元の事業主との間で決められる、一方、派遣先の労働者の労働条件は派遣先の労使間で決められる、こういうような仕組みでございますので、直接には関係がないということでございます。それからまた、派遣先の労働者は一般には年功序列的な賃金体系のもとにある、一方、派遣される労働者の方はまさにその職務についての賃金あるいはまた技能についての賃金、こういうような形で決められますので、直接こうしたものがダイレクトに比較されて高いの安いのという形で議論されるというたぐいのものでは本来はないであろう、こんなふうに考えておるわけでございます。 さらにまた、今後におきましてはこの派遣先での派遣労働者の就業条件の整備などのための労働者派遣契約に定める就業条件に反してはならないとか、責任者の選任、また台帳の整備、こういうような措置が講ぜられまして派遣労働者の保護と雇用の安定を図るという考え方をとっておるわけでございまして、そういう意味で、この派遣労働者と派遣先労働者とが混在することによって派遣先の労働者の労働条件が引っ張られて低下するというようなことにはならないのではないか、こんなふうに考えておるところでございます。
○塚田委員 対象業種についてお尋ねいたします。 五十九年十一月十七日付の小委員会報告書では十四業種を試案として例示しておりますが、今後労働省は政令としてお決めになるということですが、具体的にはどう考えておるのか。すなわち、この報告書の試案と違うケースが今この時点で考えられるのかどうか、ありましたらばお答えいただきたいと思います。
○加藤(孝)政府委員 この十四業務につきましては、職安審の小委員会でこういう報告をまとめるに当たって一体どういう業務を想定しておるのか、そういった点についてあくまで参考という形ではあるが示しておいた方がわかりやすいであろう、こういうことでいろいろヒアリングをいたしましたりなどいたしました業務等を中心にこの十四業務が例示されておるわけでございます。そういう意味におきまして、私ども、これを今後中央職業安定審議会におきまして御審議いただき、政令で決定する前に十分関係業種についての実態調査、さらにはまた関係者の意見の聴取というようなことをしていかなければならないだろう、こういうふうに考えておるわけでございまして、この十四業種というものを中心に考えますが、これに完全にとらわれるというものでは必ずしもない、こんなふうに考えておるわけでございます。 そういう中におきまして、現時点におきまして十四業種の中にはいわゆる警備業が入っておるわけでございますが、これは私ども政府案決定の段階におきまして、この警備業というものには警備業法というものが特別にございまして、そこにおいてあくまで請負の形でこの業務をやっていくという精神が強く出されておる、こういうこととの絡みにおきましてこの十四業務のうち警備業関係についてはこの中から外せるであろう、こういう考え方を持っておりますが、それ以外の業務につきまして特にどれをどうするということについての具体的な考え方を今持っておるわけではございません。
○塚田委員 今後とも看護婦、家政婦——看護婦などの業務は対象業種に入らないと理解してよろしいでしょうか。
○加藤(孝)政府委員 この業務の選定に当たりましては、これはあくまで既存の労働力需給調整システム等との調和において認めていく、こういうような基本的な考え方にあるわけでございます。 そういう意味におきまして、現時点におきましてこの看護婦、家政婦については、民営職業紹介事業や労働組合の労働者供給事業という形で特段の問題なく適切に事業活動が行われていると私ども認識をいたしておるわけでございます。そういう意味で、これについて新たなこういう派遣事業的な需給調整システムというものが必要な状況にあるとは考えていないわけでございます。
○塚田委員 許可制と届け出制の違いについてお尋ねしたいと思います。 どのような理由で一般労働者派遣事業は労働大臣の許可が必要であり、特定労働者派遣事業は届け出だけでよいことになっているのですか、その理由をお聞かせいただきたいと思います。 五十五年四月四日付労働力需給システム研究会の提言でも、五十九年二月十五日付の労働者派遣事業問題調査会報告書でも、すべて許可制とすべきであると明言してあるわけですけれども、それに沿わないで届け出制も併用してしまう特別な理由は何でしょう。
○加藤(孝)政府委員 これについては、民営職業紹介事業あるいは労働者供給事業、そういったものについて許可制にしておる、あるいはまたこの登録制の派遣事業について許可制にしておるという点は、これらの対象労働者については、雇用の安定という面において、いわばそういう常用雇用形態にあるわけではない、雇用の安定という見地からいいますと、まさにこのあっせんとか労供とか、あるいはまた派遣ということについて、十分そういう適切な雇用の確保のための事業ができるかどうかの審査というものが必要であるということでございます。 しかし、既に常用労働者として雇用をしておるという方についてそういう派遣的な形をとるという場合につきましては、既に雇用の安定というものは一応図られておる。しかし、その派遣の仕方が、果たしてこの派遣業法にいう適切な形で行われておるかどうかについてのチェックをするための仕組みというものは、これは用意しておく必要がある、こういう意味におきまして、これは届け出制にしておる、こういうことでございます。 確かに、この御提言がございました当時において、すべて許可制ということでございましたけれども、さらにいろいろ審議会での論議を深めていきます中で、やはり基本的にそういう雇用の安定が既に図られておる常用雇用労働者のみによる派遣事業というものは届け出制でいいだろう、こういういわば論議の結果を踏まえての対応をいたしておるものでございます。
○塚田委員 届け出によって派遣事業を行うことができるということになりますと、形式的に常用労働者のみを雇うという形をとって、言うなれば安易に、しかも偽装的に事業を行う者が出てくる危険性はございませんか。このようなチェックが十分できますか。したがって、常用労働者のみの特定労働者派遣事業についても、この法律の目的にうたってありますように、雇用管理を適正に行う能力があるとか、事業を的確に遂行する能力を有するなどの許可基準がはっきりしておる許可制にして、行政機関の厳密なチェックを受けた方が、事業が事業だけに一歩誤ると偽装的なおかしなことが行われる危険性があると思うので、そのようにすべきと思うのですが、いかがでしょう。
○加藤(孝)政府委員 この届け出制によります事業というものは、これは既に常用雇用という形で雇用の安定が図られておる、こういう意味におきまして届け出制にしておるわけでございます。しかし、例えば事業報告書や収支決算書を提出をする、こういうような規制は許可制の事業と全く同様でございますし、また、労働大臣が事業の運営状況を的確に把握をいたしまして指導助言あるいは改善命令というような措置を講ずることによって事業運営の確保を図るというようなことにつきまして規制をかぶせておるわけでございます。また、この労働者の就業に関するルールにつきましては、許可制の事業と全く同様に適用されるわけでございまして、この場合、雇用主としての責任の明確化の問題あるいは講ずべき措置、あるいはまた労働者の保護と雇用の安定の観点からのいろいろな諸規定については、全く同様にかぶっておるという意味におきまして、この届け出制ということにすることによって格別問題はないのではないか、そういうような考え方でおるわけでございます。 もちろん、こういう常用労働者であることを偽装して届け出によって事業を行う、こういうような事業運営が行われてはならないわけでございます。そういった面につきましては、この法の適正な施行運用という面におきまして実効ある措置をさらに講じていくということで対処していくべきものと考えております。
○塚田委員 事業の許可、届け出の受理、事業の廃止命令とか調査の業務を行うとか、また今局長お話しになられましたように、事業報告書であるとか収支決算書の点検を行うとか、またいろいろな面での指導助言を行うとか、これはかなり専門的な知識を有する職員が数多く要るんじゃないかと思うのですが、今の職安の体制でこれが十分できますか。その辺の職員の配置などについて特別な手を打とうとしているのかどうか、この点についてお答えいただきたいと思います。
○加藤(孝)政府委員 この法律が制定されました後におきましては、今御指摘ございましたように、派遣労働者の雇用の安定の面あるいは就業条件の確保の面、それからまた我が国の雇用慣行との調和が保たれるような制度の適切運用というような点が特に重要であると考えております。そういう意味におきまして、まずは関係者に対する制度の周知徹底あるいは許可制度の適切な運用あるいはまた法律違反事業主に対する指導監督の徹底、こういうことが重要であるわけでございます。 そういう意味で、これに関連いたしまして、行政体制の整備であるとか、あるいはまた関係行政機関との連携の強化、あるいはまたさらには民間の協力体制の整備というようなものが不可欠であると考えておるわけでございます。そういうような意味におきまして、既に昭和六十年度といたしまして、労働省では、労働省の本省にこの担当の参事官の設置をいたしておりますほか、今後昭和六十一年度を目指しまして各種の許可あるいは監督指導業務等を行います職員の配置あるいはまた職員に対する研修の実施、さらにはまた安定所におきます各種の派遣先に対するいろいろ相談、指導を行う相談員の配置というようなものを現在検討しておるわけでございます。 また民間の協力体制といたしまして、こういう労働者派遣事業を行う者によって構成されます業界団体を通じての個別の業者に対する指導であるとか苦情処理等の実施、あるいはまた商工会議所等使用者団体を通じての啓蒙活動、こういったような体制もぜひ必要であろう。さらにはまた労使を代表する方々を派遣事業適正化推進員、こういったようなものに委嘱してのいろいろ相談、協力、さらにはまた地方職安審の活用などにおきます地方レベルでのいろいろ労使の意見反映、こういったような体制の中でこの法律の円滑かつ厳正な施行を図ってまいりたい、こんなふうに考えておるわけでございます。 何といいましてもやはり関係いたします職員の増員ということが非常に重要なかぎでもございます。そういった面での来年度を目指しての必要な職員数の増員確保というものがまた一つ大きな問題と考えております。 なおまた、この事業の厳正指導取り締まりといったようなものを徹底いたしますためには、また安定所の体制整備だけではなくて労働基準監督署などとの連携強化というものが特に必要であり、監督署との相互通報制度、そういう制度の創設等によりましての連携確保を図っていきたい、こんなような体制の整備を現在考えておるところでございます。
○塚田委員 労働者の保護について見解をお伺いいたします。 派遣労働者には労働者派遣契約に定められている就業条件を明示しなければならないとしてありますが、この明示は口頭だけでよろしいのでしょうか。これはトラブルを防ぐためにはぜひ書面によるべきだという義務づけが必要と思いますが、いかがでしよう。
○加藤(孝)政府委員 おっしゃいますように、こういう問題についてのトラブル防止という観点からは、原則としてやはり書面によって行うことが適当であると考えております。緊急の場合というふうなことでやむを得ないときには書面によることが困難な場合もあろうかと思いますが、まさに御指摘のとおりだと思います。
○塚田委員 派遣労働者に就業場所などの選択の自由は保障されていると見てよろしいでしょうか。これが不利な職場などに派遣されるケースがずっと続いたりすると、派遣労働者がやむなく退職に追い込まれてしまうというような、こういう苦しい場面も場合によっては想定されるわけですが、この辺歯どめはかかるでしょうか。
○加藤(孝)政府委員 派遣場所の選択の問題は、派遣元の事業主と派遣労働者との間の労働契約において特に派遣労働者の方から特別な希望というような形が出されていない限り、一般には企業活動で行われておりますような、例えばどこどこへ出張してくれというのと同じような意味でのどこどこへ派遣で行ってくれ、こういうような話になるものだと思うわけでございます。 しかし、その派遣されております事業所がどうしても自分にとって適当でないというような問題等につきましては、今後この法案におきましては派遣元の事業主のところに苦情処理責任者というものを置くことにいたしております。これは派遣先にも置くことになっておるわけでございますが、そうしたルートを通じてのそういう苦情処理という形での解決の道が一番手っ取り早い方法として今後活用されていくのではないか、こんなふうに考えておるわけでございます。
○塚田委員 派遣労働者の場合、分散就業のためいわゆる組合を結成するということは難しいんじゃないかと思われるわけでございます。そうした場合、時間外であるとか休日労働に関する協定はどのような形で結ばれることになるでしょうか。また、女子の場合、産前産後の休業などどういう形で保障されることになりますか。
○寺園政府委員 労働者派遣につきましては、派遣元事業主が派遣労働者との間の労働契約におきまして所定労働時間、時間外労働の有無など派遣労働者の労働時間等の枠組みを設定をいたしまして、派遣先事業主は労働者派遣契約に基づきこの労働時間等の枠組みの中で当該派遣労働者を指揮命令して実際に就労させるという関係にあるわけでございます。したがいまして、派遣労働者の労働時間の枠組みの設定であります時間外あるいは休日労働協定の締結は派遣元において行うことになります。派遣先の使用者が適法に派遣労働者に時間外、休日労働を行わせますためには、派遣元において締結されております時間外、休日労働協定の範囲内でなければならないことになるわけでございます。 また、産前産後の休業でございますが、これにつきましては、長期間のまとまった労働を要しない日でございますので、時期的な予測も可能でございます。したがいまして、派遣先の事業の特殊性というものとは直接関係がないことなどから、派遣元事業主が付与することにしております。したがいまして、労働者は派遣元の使用者に対しまして産前休業の請求を行うということになります。
○塚田委員 派遣先の都合によって派遣が中途で打ち切られた場合、残余の期間の雇用保障、結局は賃金などはどうなりますか。ほかの派遣先へ転用されることなくどうしてもやむなく休業しなければいけないというような場合、労働基準法第二十六条によれば休業手当というのがあるんですけれども、この場合、これが適用されることになるのでしょうか。
○加藤(孝)政府委員 派遣元と派遣先との間で結ばれます派遣契約ではまさに労働者派遣というサービス提供に係る取引契約でございます。したがいまして、派遣元と派遣労働者との間で結ばれる雇用契約とは直接関係がないものでございます。したがいまして、たとえ派遣先から派遣契約が打ち切られた場合でございましても、そのことが直ちに雇用契約の終了に結びつくというものではないわけでございます。常用雇用労働者のみで行われる特定労働者派遣事業についてはもちろんのこと、この登録型等で労働者を派遣する一般労働者派遣事業につきましても、雇用契約の期間が満了するまでは労働者と派遣元事業主との間の雇用関係は維持されることになるわけでございます。 この場合におきまして、この雇用契約には通常の労働者と同じように労働者保護法規が適用され、あるいはまた解雇制限の法規も適用されるというわけでございまして、他の通常の労働者に比べて同じような取り扱いを受けるということになるわけでございますので、途中で打ち切られたというような場合において、たとえ派遣先から戻ってまいりましても、この場合、他の事業所の仕事へ回るとか、あるいはまた、どうしてもそういう仕事がない場合には、特段の定めのない限り、例えば休業手当というような形ももちろんあるわけでございます。そういう意味で、派遣契約の打ち切りと雇用契約との関係は直接には関係がない、休業手当の支払い対象にももちろんなる、こういうことでございます。
○塚田委員 社会保険や労働保険の適用の促進について、中職審の答申でも思い切り配慮しなければいけないというふうにされているわけでございますが、特に登録型の派遣労働者につきまして、その適用の資格というのは具体的にはどうなるのでしようか。
○加藤(孝)政府委員 登録型の派遣労働者につきましても、その就労実態が常用労働者と変わらない状態で就業が継続しておる、こういうような場合であれば、派遣元事業所におきまして雇用保険の被保険者となりまして、このような方が離職後失業しておるという場合には、それ以前一年間に被保険者期間が通算して六カ月以上あれば、通常の労働者と同様に失業給付の対象となり得るものでございます。
○塚田委員 労働組合が行う労働者供給事業でございますけれども、これはぜひともさらに促進するように持っていってほしい、このように思っているわけでございますけれども、その場合、一つのネックというのが、労働組合としては社会保険、労働保険、この辺がネックになってなかなか思うように労快事業を拡大することができないという面があるわけでございます。そういうことも含めまして、今後の労働組合の行う労快事業につきまして、その促進方法をどうお考えになっておるのか、ぜひ前向きの考え方を労働省としてお示しいただきたいと思います。
○加藤(孝)政府委員 今後労働組合が行う労働者供給事業についての活動をより積極的に行えるようにしていこう、こういうことで考えておりますのが、第一は労働者供給事業を行うことのできる労働組合の範囲を、現在の労働組合法の適用を受ける労働組合に加えまして、国家公務員法や地方公務員法の適用を受ける職員団体、あるいは地域レベルの労働団体、いわゆる地区労とか地区同盟とか、こういうようなことで呼ばれております地域レベルの労働団体をも労働者供給事業ができる対象に加えていく。さらにまた、現行の産業別または職業別の全国組合に所属を要件としておりました点を撤廃をいたしまして、単独の労働組合もその対象にしていくことといたしております。 それからまた、労働者供給事業の事業運営に関する許可要件を緩和をへたしまして、労働協約の写しにかえて供給契約のひな形でいい、こういうようなことであるとか、現在組合費の定額制ということにいたしておりますものを、定額制、定率制のいずれでもよいというようにしたいと考えております。 さらにまた許可手続の簡素化も考えておりまして、許可の有効期間を現行の二年から三年に延長する、さらにまた許可のこれは有効期間につきまして、今までは新規許可の形で来ましたのを更新制度を導入をしていく。そしてまた有効期間の更新の際の添付書類等を大幅に簡略にいたしたい。さらにまた、毎月提出をすることとされております事業報告につきまして、これを四半期ごとの提出に改める、こういうようないろいろの簡素合理化等を図りまして労働組合の行う労働者供給事業についての積極化を促進していきたい、こんなふうに考えておるわけでございます。 なお、お示しの保険の適用問題につきましては、私どももいろいろ検討はいたしておりますが、なおいろいろ難しい問題があって現在においてはまだお答えを前向きにできる状態にないことを御了解いただきたいと存じます。
○塚田委員 時間が参りましたので、最後に一問だけさせていただきます。 それは職安法三十三条の四で兼業禁止がございますね。これが今度の法案においては準用されておりませんけれども、法律の趣旨からいったらば準用した方がいいのじゃないかと考えます。そこで、準用されなかった理由、それから今後どうするのか、それについて簡潔な答弁をお願いいたします。
○加藤(孝)政府委員 当初におきましてはこういう兼業禁止規定を置くことを考えていたところでございますが、政府案の決定段階におきますいろいろな論議の中で、労働者にっきまして労働基準法がみなしの形で、使用者とみなす形でいろいろ適用になるということ等がございまして、こういうものについて特に兼業禁止規定というものをどうしても置かなければならないさらに積極的な事情というものがないではないか、結局基準法でのいろいろな規定がかぶってくるというような形の中でこういう兼業禁止規定の趣旨が相当実現できるのではないか、こういうようなことで禁止規定を置かなくとも特に労働者保護の確保については支障がないのではないか、こんな考え方から規定がないわけでございます。
○塚田委員 終わります。
○戸井田委員長 小沢和秋君。
○小沢(和)委員 初めに大臣にお尋ねしたいのですが、これは先ほどからも問題になっておりますけれども、戦後、職安法四十四条や労働基準法六条などによって労働者供給事業とそれによる中間搾取が禁止されておるわけであります。今回のこの労働者派遣事業法はそれを根本的に覆して派遣事業の名でこの供給事業を公認し、中間搾取を野放しにするという結果になるのではないかと考えますが、この点いかがでしょうか。
○山口国務大臣 小沢先生のようなお考え、御判断もあろうかとも思いますが、御承知のとおり、高齢化時代あるいは省力化時代、さらには女性の職場進出等々で労働市場の変動が予測される、さらには雇用の延長、定年延長等進みますと六百万規模の新たな労働人口の増加も予測される、こういう厳しい雇用情勢というものを考えますと、労働省といたしましても、国会の御論議等をいただきながら雇用の確保と拡大のために最大の努力、取り組みをしなければならない、こういうことだと思うのです。 そういう意味で、いわゆる派遣事業あるいは請負事業等の中で既に上場しているような会社も含めて、雇用者側と労働条件の問題あるいは労働福祉の問題等々で、いろいろな意味で新たな視点からこうした派遣事業も検討をしなければならない、こういうことだと思うんですね。そういう意味でいろいろ問題もあろうと思いますけれども、そういう点をクリアしながら労働者の保護と労働福祉、労働条件の改善のための手だてはないものだろうか、こういう基本的な考え方の中で今回の派遣法も審議会等でいろいろ御審議をいただいて、そして今、国会でこうして御論議をお願いしているところでございます。
○小沢(和)委員 私も、ME化の進展とかあるいは高齢化などによって労働市場が大きく変わってきている、これに対応して雇用の安定や拡大を図っていかなければならないということは一般的にはまさしくそうだと思うのですが、それはこういうようないわゆる労働力供給システムなるものを新たに取り入れなければやれないのか。そうではなくて、今の公共職業安定所の機能を一層充実することによってそれは十分可能であり、またそういう方向でやらなければならないというふうに私は考えております。実際そういうことを口実にして、いわゆる労働者供給事業やあるいは中間搾取などを野放しにするというようなことは絶対に認められないのではないかと思うんですね。 私、幾つか実情も調べてみたのですけれども、我が国でも最大級の労働者派遣事業の一つでありますマンパワージャパン、ここなどでも、例えば千代田化工建設に事務で派遣されている労働者などの場合には、鉛筆からタイプライターまで全部派遣先のものを使っている。そして派遣先ですべて指揮命令を受けておって、違うのはネームプレートの色だけだというふうに御本人たちが言っておるわけです。職安法施行規則の第四条一項の一号から四号までのすべての要件を満たしておっても、それが形だけであって中身が実質的には労働者供給事業である場合には取り締まらなければいけないというのが今の精神でしょう。 ところが、今私が言う最大級のこういうような労働者派遣事業でも中身は全く労働者供給事業でしょう、今私が言った幾つかの点だけでも。何でこういうものを野放しにしておくことがこれからの雇用の拡大などにつながるというふうにあなた方が言うのか、これは全く理解できない。これは厳しく取り締まらなければならないのではないですか。
○加藤(孝)政府委員 先ほど来お答えいたしておりますように、現在の職安法の労働者供給事業の禁止の規定は、戦前におきますボスによる強制労働、中間搾取というような形によりますいわゆる人夫の供給業、あっせん業、こういうようなものを取り締まろう、こういうことで制定をされておるものでございます。 しかしながら、現時点においてこういう新しいタイプの労働者のニーズがいろいろ出てきておる、さらにまた企業側においてもいろいろ技術革新を中心として新しいニーズが出てきておる、こういうような時代、そしてまた、そういう場において高齢者であるとか女性であるとか、こういう就業の比較的難しい人たちの一つの就業のチャンスにもなっておる。そういうような状態になっておるときに、こういう労働者供給事業を画一的に一律に禁止をしていくということだけでいいのか、こういうようなことでいろいろ論議等も出てきたわけでございまして、そういう論議の中から、五十三年以来行管の勧告を受けまして労使の代表等も入っていただいての論議を重ねて、現在御提案申し上げておるような基本的な考え方での法案を御審議をお願いしておる、こういうことであるわけでございます。 したがいまして、私ども、労働者供給事業についてのそういう中間搾取とかあるいは強制労働、そういったようなものは基本的に今後もなお厳しく禁止をしていかなければならぬという精神は堅持しながらも、特定の分野について一定のルールのもとに行われ、そういう反社会性のないものについては認めていこう、こういう基本的な態度のもとに御審議をお願いしておる、御提案をしておるというものでございます。
○小沢(和)委員 実態を調べてみると、戦前とはもう違ってああいうようなタコ部屋制度みたいなものはないんだ、だから、この職安法四十四条の運用については見直しをしてもいいような状況があるんだというふうに聞こえるけれども、私は、形が違っているだけで、実際派遣労働者というのは非常に無権利な、そして低賃金の状況に置かれていると思うのですよ。こういうような形態を当局が野放しにしておるというのは、こういうような労働者を大量に必要とする企業の側の圧倒的な要求がある、だから、それに押し切られているからではないかという疑問を私は持たずにおれぬわけです。 全労働という組合がありますけれども、一昨年ここが調査をした結果を見ると、なぜ派遣労働者を使っているのかということについて、「人件費の負担が安い」四五・四%、「余分な人員を抱えなくてよい」四三・五%、「間接費負担が少ない」三八・五%などとなっているのですよ。こういうようなまさに安くて非常に使いよい、要らなくなればすぐ首にできる、こういうような労働者なら何ぼでも欲しい、幾らでも生み出せるシステムをつくってくれ、こういう圧かで取り締まり切らないというのが本当のところじゃないのですか。
○加藤(孝)政府委員 先ほど申し上げましたそういう労働側のニーズ、それからまた企業側のニーズの中でこういう派遣事業が急速に増加をしてきておるわけでございますが、そういうニーズがうまく結合すればそれでほうっておいていいのかということで、これを一体どう考え、どう対応していくのか、またこれまでの日本の終身雇用慣行、それから常用雇用というものの政策、そうしてまた今後のこういう高齢者、女性の職場進出問題あるいは技術革新の問題等々を踏まえまして、今後どうしていくかということで五十三年以来いろいろ御論議を賜ってきたということでございまして、おっしゃいますように、ただ大企業のニーズにこたえようというだけでこういう制度を提案しているものではございません。
○小沢(和)委員 確かに高齢者や、あるいは婦人なども最近は夫だけの給料では住宅ローンとかあるいは教育費なども思うように払えないということから、パートなどでもいい、とにかく幾らでもいいから働いて稼ぎたいというような要求が出てきている。これは私、事実だと思うのです。とにかく幾らかでも稼ぎになればいいからというようなことで、そういうような人たちをどんどん低賃金の労働力として提供することが労働力政策としてあなた方がとるべき道なのかどうか。労働力の需要というのは、あなた方がどういう供給システムをとろうと、必要があれば企業は労働者を雇わざるを得ないわけですから、何もそういうシステムがあるから義理で要らない人を雇うという企業はどこにもないと思うのですよ。 だから、公的な職業安定所などの機能を充実して、そういうようなパートとか、今言う中高年の人たちも年金だけでは足りないから働きたいというのだったら、そういう人たちも含めて働ける場をどんどん開拓するということにすれば、そういうルートに乗れば今よりはもっとましな労働条件でこの人たちは、雇われるべき人は結局雇われるのではないか。何もこういうようなシステムができたから、雇われないはずの人がにわかに雇われるといったようなことでは絶対ないんじゃないかと私は思うのですよ。その点どうですか。
○加藤(孝)政府委員 この派遣事業というものにつきまして私どもが新しい労働力需給システムの一つとして御提案申し上げておりますのは、そういう単に職業紹介という形だけでは的確に対応できないような一つのメリットもまたある、こういうことでございます。 例えば、具体的に申し上げますれば、こういう派遣労働者の就業につきましての、自分の好きな時間帯、好きな場所で就業をしたいというようなことであるとか、そういったものに対してきめ細かく対応ができる。さらにまた、例えばこういうコンピューターの関係について一定の能力をその派遣事業所においていろいろトレーニングをいたしまして、そして派遣という形で就業の場を得る、こういうような教育訓練、能力開発の向上というための一つの機能もまた持っておる。それからまた、そういう幾つかの派遣先をできる限り切れ目なくつなぐというような形におきまして社会保険の適用の問題あるいはまた福利厚生の充実という形での充実も図るというような、いろいろ具体的な一つのシステムの持つメリットというものもあるわけでございます。 そしてまた、職業安定機関の職業紹介機能というものも、もちろん今後とも充実強化をしていかなければならぬ。特に、今、話の出ております今後の高齢化社会の問題、女子の職場進出の問題、ME化の問題等々考えますれば、さらに安定機関の機能も強化していかなければなりませんが、例えば安定所のそういう配置の問題につきましても、現在よりも安定所の配置箇所をさらに大幅にふやしていくということはまた一面において非常に難しい問題にもなっておる。あるいはまた職業安定機関の職員をさらに大幅にふやしていくということも非常に難しい行財政事情にもあるというような事情もまた一つは考慮しなければならぬ。 そういう中で、こういう民間レベルにおきます新しい民間の労働力需給システムとしてこれが有効なものであれば、そのいろいろ含んでおります弊害、問題点というものを除去しながら、これを機能させていくということもやはり必要なことではないであろうか、こういう観点で御提示申し上げておるわけでございます。
○小沢(和)委員 実際にこの派遣事業が公認をされると今後どういうことになっていくのかということについても、この機会に一言お尋ねをしておきたいと思うのです。 私どもが調べたところでは、派遣事業が公認されたら自分のところでもやろうというような動きが大企業などでも非常に強まってきているわけです。その一つとして、東京海上キャリアサービスという事務処理の派遣会社が既にもうできておりまして、最初百五十人ぐらいからスタートしたのが三百五十人になり、ことしは五百人を超えるだろうというふうに言われているわけですが、ここで、東京海上でどういうことが起こっているかというと、女子の社員の人たちに、産休とかあるいは育児休業とか残業とかいろいろな問題が起こるたびごとに、実際上やめさせるように圧力をかけて、その人たちに、例えば残業などを会社の要求どおりに十分にできないんならこのキャリアサービスの方に行って派遣社員としてならパートとしてやれるんだ、こういうようなことで、やめてその派遣労働者になるようにさせていっている。だから、実際ある日、今まで正式社員だった人が突然、私、やめた、それで同じ職場だけれども今度は派遣労働者として働きます、こういうようなことになっているというのです。 だから、これから見ると、今までの正式社員が、非常に身分の不安定な派遣労働者に切りかえられていく。これがあなた方の望む姿なんですか。 そして、今度のいわゆる参考例として挙げられている十四業務というのを見てみますと、そのうち十業務ぐらいまでは、東京海上みたいなああいう大企業の事務処理に関係するような業務がずらっと並んでいますよね。そうすると、ごく一部の、企業の意思を直接決定することにかかわるようないわゆるエリート社員でしょうか、こういうような人たちを除けば、あとの大部分というのは派遣労働者にずっと切りかえていくことができる。そうしたら、あなた方は、雇用をふやしたりするという非常に積極的な意図だというふうにおっしゃるけれども、現実には正式社員がどんどんそうやって派遣労働者化していく、非常に不安定雇用に転落をしていく、こういう状況になってきているのが現実の姿じゃないですか。これがますます拡大するというのが今度のこういう法律をつくった結果になりはしませんか。
○加藤(孝)政府委員 今度の法律を提案いたしております考え方は、新たなそういう労働力の需給調整システムを設けていこう、こういう立場に立っておるものでございまして、これはそういう労働者のいわば常用雇用、終身雇用、こういう慣行をむしろ阻害しないように、こういった慣行との調和においてこういったものを認めていこう、また、そのための業務限定も厳しくやっていこう、こういう考え方に立っておるものでございます。 したがいまして、今お示しのような形でどんどんそういう従業員を派遣労働者に切りかえるシステムとしてのこういう派遣事業というものは、私ども、こういったものを公認しあるいは許可していくというような考え方は毛頭ございません。
○小沢(和)委員 現実には、そういうことが現に東京海上のような第一級の会社の中で起こっておるんですよ。だから私はそのことを指摘するわけであります。 あと若干、具体的な問題でお尋ねをしたいと思うのですが、いわゆる対象業務の問題です。 第四条の一項では、「専門的な知識、技術又は経験」あるいは「特別の雇用管理を行う必要」性などの面から絞っていく、そしてそれが参考例では十四業務というふうに言われているわけですが、こういうような抽象的な尺度であれば幾らでも政令で業務を追加していくことができる。結局のところ、これは何の歯どめにもならないで、政府の政策的な判断でどんどん対象業務を拡大していくことができるということになりませんか。
○加藤(孝)政府委員 ここに二つの、今お示しの専門的な業務であるとかあるいは特別の雇用管理を要するところというような形の例示が書いてございますが、そのほかに基本的に、二十五条におきましてこういう日本におけるよき雇用慣行というものを阻害しないように、あるいはまた既存の労働力需給調整システムとの調和というような配慮事項もあるわけでございます。さらに申し上げれば、この十四業務の例示の中に生産関係の業務というのは一切入っておりません。これは、派遣事業等小委員会の報告におきまして、生産関係で現在いわゆる下請の形で行われているような業務については対象にすべきではない、こういう考え方が示されておるわけでございます。 そういう意味におきまして、派遣事業が行われていく場合に、対象業務の限定についてはいろいろな角度からの制約というものを考えて、御心配あるような問題が起こったり広がったりということのないよう、中職審、これは三者構成の審議会でございまして、そういう場でも十分論議をした上で、いわば社会的な合意があるものについて認めていく、こういう基本的な立場におるわけでございます。そういう意味で、御心配の派遣事業の野放しというようなことにならないということで私どもは運用していく、またそう運用すべきものである、こう考えております。
○小沢(和)委員 それから、「業として」というのは、私の理解では同種の行為を反復継続することを言うというふうに考えているのですが、それでいいでしょうか。
○加藤(孝)政府委員 「業として」という意味は、派遣元が反復継続の意思を持って労働者派遣を行う、こういうことで考えておるわけでございますが、具体的には、労働者派遣が一定の目的と計画とに基づいて経営する経済的活動として行われているか否かということによって判断されることになると思います。その際には、営利を目的とするものであるかどうか、あるいは事業として独立性があるかどうか、こういうことが重要な要素となると思います。
○小沢(和)委員 業として行う場合は十四業務というふうに限られているわけですが、業としない場合にはどういう派遣をしても構わないということになるのでしょうか。この法律は、業としない場合も一定の規制を加えるようなことになっているでしょう。だから、その点をお伺いします。
○加藤(孝)政府委員 労働力の需給調整システムとして考えております場面については、業として派遣事業を行っているものについていろいろ規制をいたしております。しかし、実際に現在行われておりますいわゆる出向というような形、あるいはまた他企業への派遣というような形でいろいろ労働力の移動がございます。そういったものについてこれが派遣という形をとる場合、業ではなくて派遣という形をとる場合における労働基準法の適用問題、派遣先における使用者の遵守事項、こういったものについてもこの法律は規定をいたしており、それについての使用者責任がいずれにあるのかというようなことについても明確化を図っておるところでございます。
○小沢(和)委員 ちょっとまだ不明確だからもう一遍端的にお尋ねしますけれども、業としてでなければこの十四業務に関係なくどんなところでも派遣していいというお考えですか。
○加藤(孝)政府委員 現在、業として行うものでなければそういう派遣的なことについては何ら規制がないわけでございまして、それについてはこの法律においても何もさわっていない、こういうことでございます。
○小沢(和)委員 それじゃ一つお尋ねしたいのですけれども、国鉄なども最近派遣を始めたわけです。これは始めたばかりだからまだ反復継続とかの話にならぬかもしれぬのですけれども、私の地元にあります新日鉄などを調べてみますと、一九七八年二月から、いすゞ自動車だとかの自動車メーカーなどに既に今日までに千人以上は間違いなく何回も繰り返して労働者を派遣しているのですよ。一九七八年からですから、これはもう相当な反復回数になる。一回が半年とか、そういう単位です。これは、先ほどあなたが言われた考え方としても業としてということになるのじゃないですか。こういうことが野放しで許されるのでしょうか。
○加藤(孝)政府委員 これは、回数が何回あれば業になるかとか、そういったものではない。一定の事業目的というようなものを持って、そして経済的な活動としてそういうことをやっておるところに一つの事業性があるわけでございまして、同じことが何度も行われたからといってそこで直ちに事業性が出てくるものではない。例えば、ある個人がたまたま頼まれて職業紹介、就職のお世話をした、友達に口をきいてあげた、それが回数が何回かあったからといって、反復継続であり、事業だというわけにはいかない、そういうものであろうと思うわけでございます。
○小沢(和)委員 個人がたまたま口をきいてやってほかの人を世話したということが何回か重なるというようなこととは、これは決定的に違うと思うのですよ。会社が自分のところの労働者を自動車メーカーなどに派遣するというのは営利活動の一部だと私は思うのです。これは慈善事業ですか。そんなばかな話ないでしょう。企業がやることはすべて営利活動でしょう。それが反復して行われるのがどうして業じゃないのですか。
○加藤(孝)政府委員 営利活動かどうかということで特に判断をするというわけではありませんが、企業の人事管理の一環として行われておる、こういうものについては社会通念上業として派遣を行っておるというものではないのではないか、こう思うわけでございます。
○小沢(和)委員 そういうような解釈をするとなれば、十四業務の限定も幾らでも広がってしまう。「業として」というのも、それは業でないというような考え方で言い出したら、結局のところこういう規制をするということは実際的には意味がなくなってしまうのじゃないですか。これらの大企業に対しては、何でもおやりくださいというふうに白紙の委任状を出しているようなものじゃないですか。
○加藤(孝)政府委員 先ほども申し上げましたように、業としてやるのでなければ、現行においては何ら出向であるとかあるいはまた派遣であるとかいうものについての規制はない、また、この法律においてもそういうものについて特別の規制をしておるものではない、こういうことでございます。
○小沢(和)委員 だから、業というふうに見るかどうかは、あなた方自身がどういうふうにそれを判断するかということでしょう。これだけ営利会社が何年間かにわたって反復してその行為をやっていることが業でないというのだったら、業であるとかないとか議論すること自体がナンセンスになってしまうのじゃないですか。 時間もぼつぼつ気になるから、このことでもう一言言いたいと思いますのは、これまで、大企業の労働者は終身雇用だということでかなり身分が安定しているというふうに言われておったわけですけれども、こういうような形でどんどん他の企業、国内はもとより海外に対しても派遣だ、出向だということで出されるようなことが日常的に自由自在ということになっていくのであれば、これは今の終身雇用という制度そのものを根底から動揺させるというようなことにならないでしょうか。この点はどうお考えでしょう。
○加藤(孝)政府委員 これは何度も申し上げますように、一般の業として行われるものでない派遣については、これは現行法においても自由でございますし、またこの法律においても何も触れていないということでございまして、この法律を認めるとどんどん広がるとおっしゃいますけれども、これはこの法律とは直接関係のない話ではないだろうか、こう思うわけでございます。 また、この法律ができました場合にどんな業務もどんどん派遣事業として認めるわけではなくて、何度も申し上げておりますように、そういう二つの限定、さらにまた常用雇用制度との関係の問題、あるいはまた生産労働についてはこういう派遣業務を認めないとかというようないろいろな制約の中で社会的な合意のあるものについてだけ認めていく、こういう基本的な考え方でおるわけでございまして、これが、派遣事業という形のものがどんどんと野放しで広がっていくような形で私ども認める考え方は全くございません。
○小沢(和)委員 今度の法律で、そういう大企業の派遣などが特に広がっていくわけのものではないというふうにあなたは言われますけれども、この第三十二条二項の解釈として、労働者派遣を行うことがある旨を労働協約または就業規則などにうたってあれば同意なしにどんどん派遣することができるというふうな趣旨なんじゃないですか。そうすると、これは派遣事業でなくてもそういうような解釈がこの法律でもってできるということになるならば、それこそ就業規則や協約をちょっと変えてどんどん本人の同意なしにこういうようなことがやれるような道を、あなた方がこの法律をつくることを通じて開いてやるということになりはしませんか。 それから、時間が来たようですから、あとちょっと一、二だけお尋ねをして終わりたいと思うのですけれども、私は、この法律をつくっても労働者の労働条件の最低保障については、ただ明示をしなさいというだけで実効がほとんどないのじゃないかというふうに考えるけれども、これによって実際に労働条件が向上できるということをあなた方が保障できるのかどうか。 それから最後に、派遣先が事実上、労働条件の大部分を決めてしまうと思うのです。ところが、派遣元が形式的には雇用主だということにされている。そのために労働者が労働組合などをつくっても、団体交渉をやっても、自分たちの労働条件を本当に引き上げるような実りのあるものが、今のこういうような仕組みだったら期待できないのじゃないだろうかということを考えますが……
○戸井田委員長 小沢君、時間が経過しておりますので、結論を急いでください。
○小沢(和)委員 この点、最後にお伺いをして終わります。
○加藤(孝)政府委員 この労働協約、就業規則で定めがある、こういう点でございますが、これは現在の労働法体系において労働協約、就業規則というものが一応それぞれ規範的な効力があるという法制のもとに、これは当然ではないだろうかということでございます。 それからまた、労働条件の向上の面でございますが、もちろん労働基準法あるいは最低賃金法によります最低基準の保護があるわけでございますが、それ以上にそういう福祉の向上についての努力義務というようなものも規定がされておるわけでございます。 それからまた、実際は派遣先が決めるというお話でございますが、これは労働者と派遣元が労働契約において決まるものでございまして、この場合、よりよいいろいろ技能のある労働者というのはできる限りいい労働条件を約束してくれる力のある派遣元と労働契約を結ぶ、こういうような形においてのそういう動きというものは当然あろうかと思います。そういう意味におきまして、全部派遣先が決めるのだというわけのものではないということでございます。
○小沢(和)委員 続きはまたやります。
○戸井田委員長 菅直人君。
○菅委員 大臣お急ぎのようですので、まず大臣に集中的に三、四問質問させていただきまして、あとは局長を初め政府委員の方にお答えをいただきたいと思います。 大臣、きょう朝以来この法案の審議をずっと私も、時折席を抜けましたが聞いておりまして、また、この間この法律に関するいろいろな人の意見を読んだりあるいは聞いてみました。大臣もこの法案の趣旨を説明されたときに、局長がしょっちゅう言われているように、労使双方のニーズを合わせるのだ、だから、そういう意味では大変必要な法案なんだということを言われるわけですね。私も確かに、現在の特にMEの進展などで大分状況が変わっているので、何らかの一つのこういうルールというものが必要であろうということについては理解できるのです。 ただ、私は下手をするとこの法律は、大臣が趣旨説明で説明されたその趣旨そのもの以外に、何か予想を超えた大変な副作用が生じるのではないかという危険を非常に感じるわけです。これは初めての経験ですからだれもわからないわけですけれども、そういう意味でまず大臣にこの法案全体についての考え方をお聞きしたいのです。つまり、この法律が施行されたために、いわゆる正社員というか、直接雇いの社員の仕事がどんどん派遣に切りかわっていくようなことになる危険がないのかというよりは、大臣はそういうことには絶対にしないんだというか、そういうことを目的にもしないし、絶対にしないのだということなら、その決意といいましょうか、考え方をまずお聞きをしたいと思います。これはぜひ大臣に。
○山口国務大臣 今昔先生の御指摘、御心配いただいたような問題点も十分配慮いたしまして、今回の制度化に際しましては我が国の伝統的な、そしてまたいい形の部分における雇用慣行との調和を十分留意していかなければならない、そういう立場で運用努力をするということが基本的取り組みでなければならないと思うのですね。 それで、この派遣事業がひとり歩きして常用雇用者とか終身雇用者の職場の安定よりも、むしろ雇用不安を生んで雇用における弾力条項みたいな部分でかえって労働者の生活権を圧迫する懸念もあるのではないか、こういう御指摘、御心配であろうと思うのですけれども、私は、この派遣事業というもの自体がこうして請負業として、労働力の供給という立場でなくて請負業として、これだけ多様的な一つの形の中で一つの企業組織体として、あるいは労働者の参加も含めてそれが一つの事業として成立をしておる、そこも今昔先生が御指摘のように、我々の想像を超えたところに新しい時代に即応した一つの雇用関係あるいは契約関係というものが存在をしている、中には既に上場しているような企業もあるわけでございますから、そういう意味では私は基本的に、雇用の確保、拡大という我々の基本的な課題にこの法案が大いに貢献してくれるのではないか、こういう認識の上で、ただその運用を誤りなからしめるべくひとつ十分監視、監督していく必要もあるいはあれば、こういう国会の論議等の中でも御注意喚起もいただきながら、これをいい法案の形態として、これが労働者の、国民の雇用の安定と確保、拡大につながるようにひとつ努力をしていきたい、かように考えておるところでございます。
○菅委員 大臣に、その決意のもとにこの点を二、三指摘をしたいのですが、つまり、今回対象業務を例示という形で十四業務挙げられています。それからまた、いわゆる常用型と登録型という形で届け出と許可制になっています。つまり、これらの理解あるいは運用で先ほど来局長がいろいろ答えられていますけれども、何一つ歯どめがなくなるおそれがあるのではないかと思うのです。 というのは、この対象十四業務がもっとふえるかふえないか、いろいろありますけれども、こういう業務の中には、例えば従来常雇いといいましようか直雇いでやれていた業務もたくさん入っています。秘書なんという業務は直雇いでももちろんやれるわけです。しかし、こういう形がどんどん派遣になっていけば、それは直雇いが少なくなるかもしれない。あるいは請負としてもう定着しているものもありますね。先ほど局長が言われた警備の問題あるいはビルメンテナンスなんかの問題もこれは請負としてもう定着している部分もあるわけです。 だから、そういう意味から考えますと、対象業務というものは基本的な考え方として、先ほど来局長も野放しを認めるわけではないと言われておりましたけれども、できるだけ絞るという考え方が原則ではないか。つまり、請負とか直雇いとかにしにくい非常に限定された分野にのみ絞ってやるべきではないかと基本的に考えるのですけれども、この点で同感であるかどうかをお聞きしたいと思います。
○山口国務大臣 菅先生の御心配、御指摘している部分については、十分これは慎重といいますか社会的な合意というものが成立した業種にできるだけ限定するということはやはり運用上一番大事なことだと考えます。
○菅委員 ではもう一つだけ大臣にお尋ねをして、大臣は後は結構ですが、もう一つ実はこの常用型と登録型ということ及びその兼業禁止規定がないということはどういうことが想定されるかというと、例えば大きな会社が人をたくさん抱えております。そうすると、その人が何かのときに、ちょっと業務がうまくいかないときにどこかへ出そう、そうすれば、届け出さえ出しておけばあらゆる企業はこの人材派遣業がやれるように読み取れるのです。 だから、本来なら自動車をつくっている会社、鉄をつくっている会社までが、マンパワージャパンじゃありませんけれども、そういう仕事をやろうと思えば自分のところで抱えている人間を出してやることができる。これも何か、あらゆる会社が人材派遣事業になっても構わないというのか。それは社会的に見てちょっとおかしい。やはりちゃんとした人材派遣は人材派遣としての一つの業態があるわけですから、そういうことは望ましくないと考えるべきではないかと思いますが、この点についての大臣の見解を伺いたいと思います。
○山口国務大臣 そういう点も十分配慮しながら進めなければならないと考えますし、しかし、一点私が申し上げたいと思いますのは、よく労働省なんかでも青田刈りの問題で十月じゃなくて九月であるとか八月であるとか言われていますけれども、菅先生もこの経済的環境といいますか経済問題に相当見識をお持ちですけれども、我々の想像以上に、人を雇う、人を採用するということのための企業努力といいますか熱意は大変なものですね。 そういう意味で、一つの部分を派遣に回して本体から切り離して安易な雇用関係の方にということになる傾向なきにしもあらずではないか、こういう心配もありますけれども、むしろ派遣業に登録されておるような業種でもかなりシビアに人の採用、雇用の問題に対して真剣に取り組んでおる。そういう意味で、日本の自由経済、雇用関係の中において当然自然淘汰という部分もかなり調整機能を発揮するというふうに、私自身はそう考えておる一人でございますけれども、同時に行政の立場でもそういった労働者の生活権や労働条件が保護されるように法律の運用については十分監視督励をしていかなければならないと私は考えております。
○菅委員 もう大臣には聞いていただくだけで結構です。 私も幾つかこういう仕事をやっている人の直接の話を聞いてみたのですが、特に最近のコンピューターのソフト関係の仕事をやっている人は、やはり自分の会社がないようなものなんですね。労働組合そのものがない場合も多いですから、そうしますと、その労働者の労働の保護というものはどの組織もとの団体も責任を持たない形で、仕事の意味だけでかなりハードに使われるということがあって、そういうものがこれでどんどん広がっていくのではないかということを非常に心配していますので、大臣もぜひこの点については十分配慮をいただいて考えていただきたいと思います。大臣、お忙しそうですから、あとは局長にお尋ねをいたします。 今、大臣に幾つかの大きい論点をお尋ねしましたけれども、対象業務についてもう少し具体的な問題についてお聞きをしたいと思います。 先ほどどなたかの委員か前の委員のときに、今十四業種を挙げているけれども警備は場合によっては外すかもしれないという趣旨のことを局長は話しておられましたが、先ほど言いましたように、この業種、業務を余り野方図に広げるべきでないということは大臣も明言をされておりましたし、局長も先ほど来明言されておられます。 そう考えると、野方図ということの範囲というのは正社員でやれているところについてまでどんどん入れる必要はないのが一つと、請負でやれているところに、また請負よりも条件のある意味では緩和された人材派遣を入れる必要はないということを考えれば、この中でかなりのものが外れていくのではないか。例えばの話、今警備が外れるとすれば、ビルメンテナンスなんかももう請負という形でかなり長期にやられているわけですから、こういうものも外してしまっていいのじゃないかと思いますけれども、この点については局長はどのように考えられますか。
○加藤(孝)政府委員 対象業務の指定の問題につきましては、いろいろお答え申し上げておりますように十分実態について調査を行いまして、その上でいろいろ関係者の意見も聞いて決めていく、こういう手順で進めていく考え方でおるわけでございまして、今ビルメンにつきましてこれが全部請負という形でなし得るものであるかどうか、そしてまた現状においてそういうビルのオーナー等からの指揮命令というようなものを受けないで完全にやっていけるものであるかどうか、そういったようなものについてのいろいろ実態関係の調査等を通じましてその辺については検討をしていくべきものだと考えております。
○菅委員 それからもう一つ。先ほどもどなたかありましたけれども、この日本の今回の法律では同一労働者を同一企業に派遣をする期間の制限が設けられていないわけですね。そうすると、例えば事務職なんかで二年、三年と同じ人が同じところにいる、それが正規の社員の二割、三割あるいは半分を超えていく、仕事そのものは正社員と全く同じ、しかし身分的にはいわゆる派遣社員ですから、労務管理の意味で言えば一般的に簡単だ、あるいは賃金的な問題でも少しは安くなるとかいうことを考えると、先ほど来の直雇いあるいは正社員の仕事を切り崩さないという意味で考えますと、これはやはり派遣期間の制限を設けるべきではないか。 個々の派遣される社員にとってはあるいはもっと長くいたいという人があるかもしれない。しかし、この労働市場トータルで見たときは、そういうふうに長く同じ人を置くような職種にはまさに正社員として雇うべきであって、そうでない場合には短期間特殊な能力を持った人を雇わなければいけないような場合に限定すべきではないか。つまり、業務の種類を限定するだけではなくて、その形態、特に派遣期間についても限定することによってこの派遣事業が野方図に広がっていくことを抑えるべきではないかと思いますが、いかがですか。
○加藤(孝)政府委員 確かに、審議会等の場面におきましても一律に一定期間の制限を設けたらどうかというようなことについていろいろ論議もございました。そういう中で、今お話しがございましたように、派遣労働者の雇用の安定を害するという問題をどう考えるか、あるいは一律に一定期間を制限しても結局ヨーロッパの運用の実情にございますように、直前に派遣を中断するというような形での再度派遣を繰り返すという面もあって制度の実効確保に問題があるのではないかというような議論等もございまして、明文をもって派遣期間を一律に制限するというようなことはしていないわけでございます。 しかし、基本的に、先ほどから申し上げておりますように、これで常用労働者の代替が促進されるようなことのないように運用をしなければならぬ。また、そういう観点に立って、業務の指定も年功序列的な形で行われているような業務は認めないとか専門的な知識経験を要しないものについては認めないとか、そういう業務限定というものでもいろいろ配慮しているわけでございます。そういう意味で、今御心配のような点については我々も代替促進にならないような配慮を多角的にしていかなければならぬだろう、そういう面での運用の適正化というものについて十分検討していかなければならぬだろうと思っております。
○菅委員 いつもその二つを言われるのですけれども、運用が適正にやれるかわからない、つまり、直前に切りかえてまた後で雇うかもしれないというようなことは、これはまさに労働行政の中で立入検査もできるわけですから、それはやればやれるわけであって、初めからそんなことを理由にして本質的な問題を−−これは本質的な問題です。つまり、常用雇いを切りかえることを促進するのではないか、それの歯どめができないかということですから、そういう問題を行政上の手続的な問題を理由にしてやらないというのは全く納得がいかないのですが、これは指摘にとどめます。 もう一つ、少し立場を変えて、派遣される労働者がどれだけちゃんとした保護をされるか、この法案の中で幾つかの点が盛り込まれています。その中に派遣先の就業条件の明示というものが入っております。よく言われるように、中間搾取があるのではないか、非常に高くなるのではないかということが言われております。しかし、この派遣先の就業条件の明示には、多分時間と自分が受け取る給料は入るかもしれないけれども、派遣先と派遣元の契約内容の中に、簡単に言えば一人派遣するのに当たってどのくらいお金が来ているのかということが当然書いてあるわけですから、そういうことがわかれば常識的な形での手数料というか適正マージンみたいなものが見えてくるのではないかとも思うわけです。そういう点で派遣契約の内容を開示するということを加えたらどうかと思いますけれども、局長はどう考えられますか。
○加藤(孝)政府委員 労働者派遣契約の中に記載してございますことは、法で定めておりますことは最低限必要記載事項として述べておるわけでございますが、こういう派遣契約の中でそういう料金関係も当然書かれるだろうと考えております。
○菅委員 そうすると、派遣先と派遣元の派遣契約の中にはもちろん料金も書かれて、その内容は派遣労働者に対して開示されると理解していいわけですね。
○加藤(孝)政府委員 書かれるであろうけれども、そういうことを法律で労働者に明示しるということを強制するというのは、こういう市場取引関係で行われるものについて幾らで取引したということを労働者に明示することを強制するのはなじまないだろう、こんな考え方でおります。
○菅委員 しかし、たしか有料の職業紹介の場合でも、六カ月内一〇%を手数料とすることができるとされているのです。特に、こういう派遣事業の場合は、先ほど来言っているように中間搾取問題が非常に心配されるわけですから、それはなじまないとかというよりは、労働行政として特にこういうものを認める場合にどちらを優先させるかであって、そういう点ではそういうやり方をとろうと思えば十分とれるのじゃないですか。つまり、どうも商慣行だとか先ほどの何かの手続になじまないからと言うが、本質的な問題は労働者の権利をどう擁護するかが局長あるいは労働省の本来の最大の目的なわけです。その目的を達するためにどういう工夫があるかということを考えてもらわなければ、一般的になじまないからそれは仕方ありませんでは済まないと思うのです。 それは盛り込めば公開することになるのじゃないですか。せめて給料に関して一人当たり幾ら自分が受け取れるか、その場合にいろいろな契約があると思いますけれども、例えばオペレーターが一日行ったときに対して派遣先から派遣元には月五十万なら五十万来ている、それを開示するということを条件に入れれば中間搾取的なものが省かれると思いますが、重ねて聞きますけれども、そういうことを考慮されるつもりはありませんか。
○加藤(孝)政府委員 幾らで派遣するかということはまさに両者でいわばサービスの対価として決められる、また派遣労働者に幾ら払うかというのは労働契約上の賃金として払われるものでございまして、これは直接には関係のないものだということでございます。ただ、いろいろ御指摘の御心配になっておられる問題について、例えば事業報告書、収支決算書といったようなものについて法律上とる、ことにいたしておるわけでございまして、そういったような観点からのコントロールといったものは法律上も考えておるところでございます。
○菅委員 時間ですから、まだまだたくさんこの法律には問題点があると思いますので、またの機会にさらに質問したいと思いますが、最後にもう一度重ねて申しますが、つまり、この派遣事業というのは請負とは違うわけですよ。請負の場合は確かに自分がいろいろな物を持っていって工事をしたりするかもしれない。そうすると、仕事のトータルに対して幾らというものに本人の人件費以外の部分も確かにかなり入る余地があると思うのです。しかし、人材派遣の場合はほとんど、例えば机もいすも道具もすべては派遣先のものを使うとなれば、大部分のいわゆる派遣先から派遣元に来る費用はその人間の人件費プラスアルファなわけですね。このことを考えれば、そういうものを明示するということも一つの考え方としてあり得るのではないかということを私は申し上げているのであって、大きな機械まで持っていく請負の場合と大分意味が違うわけです。 つまり、人材派遣というのは初めての法律ですから、そういうことも十分考慮されて、派遣される労働者がその本社には机すらなくなるわけですから、ある意味では労働組合すら非常に組織がしにくいわけですから、それだけに本人が自分を守れるような手だてをこの法文の中にさらに盛り込むことが必要ではないか、このことを重ねて申し上げて、きょうの私の質問を終わります。
○戸井田委員長 谷垣禎一君。
○谷垣委員 きょうは朝からお疲れだと思いますが、私がラストバッターでございますので、あとしばらくおつき合いをいただきたいと存じます。 我が国の経済社会の変化、これは大変著しいものがございまして、特に労働力の需給の面でいきますと大変な変化がある。先ほどからいろいろ議論が出ておりますが、年齢構造が本格的に高齢化してくる、あるいは女子の職場進出が進む、あるいはME化の進展、それから経済のサービス経済化とか、そういった産業構造が変化してくる。労働力の需給面というのは大変な構造的な変化が起きている。この変化に対応して労働者の福祉も考えていかなければいけないし、雇用の安定も図っていかなければいかぬ、それが労働行政の基本的な視点だろうというふうに思うわけでございます。 ところが、今の現行の労働法というものの体系は終戦後に大体できた。中には時代への対応というものができなくなっているものも見受けられるような感じがいたします。職業安定法をとりますと、この職安法という法律は、各人にその有する能力に応じた適当な職業につく機会を与える、そして産業に必要な労働力を充足して職業の安定を図るという目的でできた。その主眼とするところは、戦前の民営職業紹介事業の弊害を除去しようということであったろうと思うのです。ところが、その手法といいますかやり方が、民間の需給調整システムというものはできるだけ抑制するということで職業安定法がつくられている。そのためにやや制度的な枠組みが硬直している面があるのではなかろうか、かえって職業安定に欠けるうらみもあるのではなかろうか、こういった感じもいたします。 そういった職安法の、いわば時代に対応できない面をついて人材派遣業というものが現在大変発展をしてきたということではなかろうかと思います。この人材派遣業に関しては、そういうわけですから早急な制度的対応が必要だったと思うのですが、今ようやくいわば答案として本法案が出てきた、こういう感じがいたします。 まずお伺いしたいのは、今までもいろいろきょうは議論がありましたので簡単で結構なのですが、ここまでに至る検討の経緯、特に大変長期間にわたっていろいろ検討されたというふうに伺っております。なぜこの検討がかくも長期間にわたったのか、その辺をお答えいただきたいと思います。
○加藤(孝)政府委員 昭和五十二年七月に行政管理庁の勧告がございまして、こういう派遣労働者の労働条件の確保あるいは雇用安定等の労働者の利益が十分確保されることを前提として適切に対処する方策を検討する必要がある、こういうものが出まして、五十三年十月に労働力需給システム研究会というものが学識経験者のみによって一応スタートしたわけでございます。そこにおきましては、こういう労働者派遣事業というものを労働力需給システムの一つとして位置づけて、労働者保護の観点からのいろいろな措置を制度化するという御提言をいただいたわけでございます。 しかし、これはいわゆる学識経験者だけの研究会でございますので、やはりこういう労働問題について具体的にこの問題の展開を図っていくためには、労使、そしてまた関係者の御意見も十分反映させる必要があるであろう、こういうことで五十五年五月から労働者派遣事業問題調査会というものがスタートいたしまして、ここでは、公益、労働者、使用者のほかに労働者供給事業を行う労働組合、それから関係業界の代表等も加わっていただいたわけでございます。 そこでの論議が実は五十九年二月までかかったわけでございます。ここでは、きょうの御論議にもいろいろ出ておりますように、やはり基本的にはこういう労働者供給事業というものを新たに派遣事業の観点から見直しをして、そしていわば別に取り出してこれを認めていくということの是非というようなところが非常に大きな論点になっておったわけでございまして、そこらあたりがやはりこの議論が一番長くかかった一つのポイントであった、こんなふうに思っておるわけでございます。 結局調査会の報告におきましては、そういう長い議論を経まして大勢としてはやはりこういう労働力の需給調整システムとして労働者派遣事業というものを認めていくべきだ、こういうことが大勢的な意見として出た、こういうことでございます。それを受けて、またこの職安審の小委員会での公労使の論議を経てこの御提案をするに至ったということでございまして、繰り返しになりますが、そういう労働者供給事業というものの取り扱いということをめぐっての論議が、特にこういう非常に時間がかかりました一番大きな焦点であったと考えております。
○谷垣委員 今伺いますと、労働者供給事業をめぐって大変審議会等でも議論があった。先ほどから質問を伺っておりますと、なかなか野党の先生方から厳しい御批判もあるようでございますが、今までのその議論の過程の中で労使双方いろいろの意見が出たと思うのですが、結局現在の結論は、その労使双方の意見をかなり集約した、反映してきたものというふうに見てよろしいんでしょうか。
○加藤(孝)政府委員 この点につきましては、職安審の最終の答申におきましても、労働側の一部にこの種の立法には賛成できないという意見があるが、大勢としてはやはりこの制度化を急ぐべきだ、こういう答申をいただいておるわけでございまして、そういうことで、労働側の一部以外については、やはりやるべきだ、こういうコンセンサスのもとにこの御提案をさせていただいておるわけでございます。
○谷垣委員 まず、長期の検討の過程でどんどん人材派遣業というものが増加してきているわけですね。これは先ほど申しましたように、産業構造の変化を体現しているわけだと思うのですが、従来労働省はこの人材派遣業というものにどういうふうに対応していこうという方針で臨んでこられたのか、それからまた、これから人材派遣業というものがどういう役割を果たしていくと考えておられるのか、その辺の基本的な認識を伺いたいと思います。
○加藤(孝)政府委員 これまで人材派遣業という形で行われてきたものにつきまして、これが労働者供給事業禁止違反ではないかという問題がございまして、そういった点については請負の形でこれが行われるように、こういうことを中心に指導をいたしてきたわけでございます。今後のこういう高齢化の進展あるいはまた女性の職場進出あるいはまた技術革新の進展、こういうような事態が進展していきます中で、例えば実際の年齢等を見てみますと、ビルメンというような業態については高齢者が比較的たくさん就業しておられる、あるいはまた事務処理というような面につきましては女性が比較的たくさん就業しておられる、あるいはまた情報処理というような面につきましては、こういうME関係の技術者等もたくさんそこで就業しておられる、こういうようなことがございまして、そういう意味で、こういう限定された分野につきましてまたこの派遣事業というものが一定のルールの中で実施をされていく、そういう中でこれらの方についての需給調整というものは進んでいく、ミスマッチの解消というものが進んでいく、こんなふうに期待をいたしておるわけでございます。
○谷垣委員 そこで、今度の労働者派遣事業の機能とか性格というものですが、今、需給調整を図ろうということをおっしゃっている。それで、労働力需給双方のニーズというものにどのように今度の法制化がこたえるのか、それから、どのようなものとしてそれを機能させていこうとしているのか、もう少し伺いたいと存じます。
○加藤(孝)政府委員 一つには、労働者側の面におきましては、こういう自分の専門的な知識、技術、経験を生かして、いわばスペシャリストとして働くことを希望する方がふえてきておる、あるいはまた、自分の都合のいい日や時間に都合のいい場所で働くことを希望しておられる方が増加してきた、あるいはまた、企業内でのいろいろな人間関係に煩わされないで働きたい、こういうふうなことを希望される方も増加してきておる、こういうような労働側のニーズがございます。 一方また、企業側におきましては、経済社会活動の高度化、多様化に伴いまして、いろいろな仕事が専門化、分化してきておる。そういう中に、専門的な知識、技術、経験というものを生かして当たらせる必要のある分野が増加をしてきておる。あるいはまた、一般の従業員とは異なる雇用管理を必要とする、あるいはまた、特別の教育訓練を行わないとそれが難しいというようなことで、自社の従業員にこれを逐次養成をしながら行わせていくというよりは、手っ取り早く外部にゆだねた方が効率的に処理される、こういうような分野が増加してきておる。 こういうような双方のニーズに対応いたしまして、需給の迅速かつ的確な結合が可能なものとして、こういう派遣事業というものがこれまで育ってきた、あるいはまた、今後そういう面の機能が期待をされるわけでございます。 さらに、やはり大きな問題といたしまして、こういう派遣事業という形の中での一つの大きなメリットといたしまして、派遣元の企業の派遣従業員のための就業機会の確保という面での懸命な努力というもの、あるいはまた、より一層高いレベルの派遣労働者とするためのいろいろの教育訓練の機会というものを派遣事業が行っていく、機会を確保していく、こういうような点に一つの大きなまた今後に期待をされるものがあるわけでございます。こういうような面につきましては、この法律におきましてそういうことへの努力義務が規定をされておるわけでございます。 そういう意味におきまして、この法律のねらっております方向が実現される中で、この派遣事業というものが派遣労働者の労働条件の今後の一層の向上あるいは雇用の安定というような面で機能していくことを今後のこの事業に期待をしておるわけでございますし、また、そういう期待に沿うようなこの法律制度の運用というものをしていかなければならないだろう、こんなふうに考えておるところでございます。
○谷垣委員 需給調整システムとして今度の法案を位置づけていこう、これはよくわかるわけなんです。 ところが、先ほどから何度も話が出ておりますが、今まで、職安法四十四条というものは労働者供給事業というものを原則的に禁止していた。それは中間搾取とか強制労働はいかぬ、そういうことだったろうと思うのですね。現在だってやはりその精神は大事にされなければいかぬ、生かされなければいかぬわけですが、今度の法案はこの問題に対して基本的にどういう考え方で対処しようとしているのか、その点お答えいただきたいと存じます。
○加藤(孝)政府委員 職安法四十四条で禁止をしております立法趣旨である強制労働であるとか中間搾取であるとか、そういったものについては、今後とも厳しく規制をされていかなければならないものであると考えております。 今度のこの法案で提言しておりますのは、派遣元において、単に見せかけの雇用主ではなくて、本当にそういう雇用主である実体を備えるような、そういう面を強く要請をしておるわけでございまして、具体的には、そういう責任者を置く、あるいはまた、それについての苦情処理の責任者も雇用主のところにも置く、さらにまた、各種の労働条件明示義務であるとかいろいろ課して、本当にそこで雇用されておる、こういう実体をしっかり持たせるということをいたしておるわけでございます。 そういう意味におきまして、こういう雇用関係のもとにある労働者を使って他の事業所にサービスを提供する、そういう場面について、これはいろいろ御議論は出ておりますが、この基準法の解釈としても、そういう場合においては、他人の就業に介入してではない、したがって、基準法六条に言う中間搾取ではない、こんなふうに考えておるところでございます。
○谷垣委員 次に、視点を変えて、労働市場に対する影響ということを伺いたいと思うのです。 我が国では終身雇用慣行が一般である。それで、常用雇用労働者を中心とした労働市場が形成されているわけですが、私は、基本的にこういった慣行、制度というものは維持していくべきではないかというふうに思うのです。それは、労働者側からすれば雇用の安定確保が図れますし、生涯にわたってその有する能力を有効に発揮させるということもできる、企業にとってもノーハウの蓄積ができるし、また、企業に対する忠誠心といいますか、そういったものを養成していく上でも意味がある、そういうことで労使関係が安定できるというメリットがあると思うのです。 先ほどからその辺も大分議論になっておりますが、労働者派遣事業というものは、フリーワーカー的な労働者の希望に応じた就業機会を与えるということで、基本的に必要な制度だと思うのですが、しかし、常用雇用との代替が進んでいくというようなことで終身雇用に大きな影響を与えるということは避けていかなければいけないのじゃないか。この法案がその点でどういう配慮をしているのか、考え方をしているのかという基本的な考え方を伺わせていただきたいと存じます。
○加藤(孝)政府委員 御指摘の点につきましては、この二十五条におきまして「労働大臣は、」「この法律の規定の運用に当たっては、労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行を考慮」しなければならぬ、こういう規定が置いてございまして、その具体的な展開として、例えば業種、業務を指定いたしますその考え方においても、その業務指定がこういう雇用慣行に大きな影響を及ぼすというようなことのないようなものを選定をする。そういうような意味におきましても、こういう特別な雇用管理を必要とするもの、あるいはまた専門的な知識経験を必要とするものというような考え方も、そういった点からも示されておるわけでございます。
○谷垣委員 対象業務の限定の問題でございますが、先ほどから議論になっているように、十四業種が試案でたたき台として出てきているわけですわ。これをどういうふうに業種を限定していくかというのは、先ほど来の議論のように、雇用慣行への配慮とか、常用雇用の代替を促すなという視点からいろいろこれは御配慮をいただかなければならないと思うのです。 それからもう一点、先ほど菅先生の御議論の中にもありましたように、従来請負ということでいろいろ業界が努力してきた、そういったような業種もあろうと思います。例えば十四業種を見ておりますと、いわゆるビルメン業界なんというのはそうやってきた。今度の法案で、これはビルメンに限りませんけれども、そういったいろいろな業界、業態が混乱するというようなことではこれはまた困る。業務の指定に当たっては、十分そういったそれぞれの業界の特殊性といいますか実態というようなものにも御配慮いただき、また業界とも十分話し合っていただきたい、こういう感じがするわけです。 先ほどからいろいろと御議論がありますが、この業種指定の基本的な方針をもう一回伺っておきたいと思います。
○加藤(孝)政府委員 業種、業務を指定するにつきましては、この十四業務を中心にいたしまして広くいろいろ関係する業種等についての実態調査等を行いますとともに、関係者の意見もいろいろ聞きながら、そして中央職業安定審議会の場において公労使の御意見の一致したものについて、いわばそういう形での社会的な合意が得られたものについて認めていく、こういうことでございまして、その過程におきましては、そういう関係業種、業務につきましての関係者のいろいろな御意見というものは当然私どもも十分伺っていかなければならぬだろう、こんなふうに考えております。
○谷垣委員 今度は労働者保護という視点からちょっと伺いたいのですが、労働者が安心して働けるというのは何といいましても国政の基本でございますし、本法案の目的も、雇用の安定あるいは労働者の保護というところにあるだろうと思うのです。人材派遣業では今まで使用者が派遣先か派遣元かということが明確ではなかった。これは大変問題であったわけですが、本法案でそういったことを含めてどのような改善が見られるのか、お答えいただきたいと存じます。
○加藤(孝)政府委員 まず、労働者派遣契約におきまして派遣労働者の具体的な就業条件を定める、また、派遣元事業主に派遣労働者の就業機会や教育訓練の機会の確保の努力義務を課する、さらにまた、派遣労働者に対する就業条件の明示など適正な雇用管理を行わせる、そしてまた、派遣元においてそういう労働者の苦情処理を担当する責任者を置かせるというようなことについての規定をいたしております。 また、派遣先につきましても、派遣労働者についての苦情の処理等の努力を行わせるために、そういう派遣先責任者を選任させるということ等を通じまして就業管理を適正に行わせるような配慮をいたしております。 また労働基準法などの面につきましても、派遣元の方に基本的に使用者責任を認めますとともに、派遣先につきましても、派遣先でなければ適正な管理ができないような労働時間、安全性管理等については、派遣先にその使用者責任を明確化しておるわけでございます。 そのほか、この執行に当たりまして必要な指導であるとか改善命令とか立入検査というような権限あるいは罰則規定等の措置を講じまして、これらの問題について的確に対処していくような制度として御提案を申し上げているわけでございます。
○谷垣委員 こういう新しい制度をつくられる、労働者供給事業の概念から労働者派遣事業というものをいわば取り出してきた、そして新たな需給システムをつくるのだということですが、しかし、こういう新しい制度をつくって実効性というものがどういうふうに確保されていくのか、その実効性確保のシステムについてお考えを承りたいと思うのです。
○加藤(孝)政府委員 この法律の施行に際しましては、こういう法に違反した形でのいろいろな事業運営というようなものにつきましての取り締まりあるいはまた労働者供給事業を行う者に対する取り締まりの徹底というものが基本的に必要でございます。そしてまた労働者の保護を図っていきますためには、安定所の体制整備だけではなくて労働基準監督署などの関係行政機関との連携強化も必要であるというふうに考えておるわけでございまして、こういう安定、基準両機関の相互通報制度というようなものも新たに設置をして対応していきたい、こんなふうに考えております。 また、この法律の施行に当たりましては、こういう職業安定機関の職員の増員を図ることはもちろんでございますが、単にそれだけではもちろんこういう時期に容易ではございません。特にそういう意味におきまして、民間レベルでのいろいろこの法律についての協力体制というものも確立をしていきたい。具体的には関係業界の自主的なコントロールの問題であるとか、あるいは関係労使の代表等の協力であるとか、そういったようなものを得られるような仕組みを設ける中で、この法律の実効ある施行を図っていきたい、こんなふうに考えておるところでございます。
○谷垣委員 こういう民間の需給調整システムはもちろん重要だと思うのですが、やはり労働力の需給調整という問題は、国が基本的な問題としてやるべきではないか、公共的な職業安定機関の拡充強化が必要ではないかと思うのですが、最後にその点の見解を伺いまして質問を終わりたいと思います。
○加藤(孝)政府委員 今後の高齢化、女子の職場進出、あるいはまた技術革新の進展、さらにはまたサービス経済化が進む、こういうような状態の中におきまして、我が国の失業率は現在二・五、六%でございますが、何とか二%程度というところまで持っていくことを私ども基本的な目標に掲げております。しかし、こういう大きな経済的、社会的変化が進んでおりますので、これらへの対応を怠れば、本当に欧米諸国に見られるような失業率が七%あるいは一〇%を超えるというような状態になることも懸念をされるわけでございます。 そういう意味におきまして、こういう問題について、基本的に公共職業安定所を中心とする職業安定機関の一層の体制整備、そしてまた機能の強化を図っていくことをどうしてもやっていかなければならぬということで考えておるわけでございまして、具体的には、昭和六十一年度完成を目指しまして総合的な雇用情報システムというようなものの開発も現在進めておるわけでございます。そうして、そういう公的セクターにおける機能の強化と並びまして、民間につきましても、その民間活力を利用しての需給調整能力というものもまた発揮をしていただくというようなことで、今後のこういう雇用失業情勢に対して対応を進めていきたい、こんな基本的な考え方でおるところでございます。
○戸井田委員長 次回は、明後十八日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時散会 ————◇—————