公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号
- 発言数
- 170 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1985/08/30
会議録
○奥野(誠)委員長代理 これより会議を開きます。 本日は、委員長の指名により、私がその職務を行います。 この際、御報告申し上げます。 去る七月十七日、最高裁判所から国会に、上告人金尾哲也外二名、被上告人広島県選挙管理委員会間外四十三件の選挙無効請求事件についての判決正本が衆議院議長に送付され、去る七月二十三日、議長より当委員会にその写しが参考送付されましたので、御報告をいたしておきます。 ————◇—————
○奥野(誠)委員長代理 公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。 去る七月十一日から十三日まで兵庫県、石川県、八月十九日、二十日山形県、秋田県及び八月二十八日、二十九日愛媛県、鹿児島県に公職選挙法改正に関する調査のため、それぞれ委員を派遣いたしました。 この際、派遣委員よりそれぞれ報告を聴取いたします。伊藤公介君。
○伊藤(公)委員 公職選挙法改正に関する調査につきまして、兵庫県及び石川県における派遣委員を代表いたしまして、私から御報告申し上げます。 派遣委員は、森清君、角屋堅次郎君、山花貞夫君、中村巖君、伏木和雄君、岡田正勝君、野間友一君及び私、伊藤公介でありました。このほかに、現地参加として、兵庫県で西山敬次郎委員及び谷洋一議員が参加されました。 兵庫県及び石川県における衆議院議員の定数問題につきまして、現地において関係者から意見を聴取してまいりましたので、その概要について簡単に御報告申し上げます。 兵庫県における調査は、七月十一日篠山市民会館において開催し、まず、兵庫県当局から地域の概況説明を聴取した後、城崎町長西村六左衛門君、出石町長升田賢一君、村岡町長岩槻茂男君、養父町長朝倉宣征君、生野町長岩崎賢司君、青垣町長平岩慎吾君及び丹南町長河南貞夫君から順次意見を聴取いたしました。 その主な内容は、丹波・但馬地方の過疎化が進み、人口の減少が見られるが、衆議院議員の定数是正問題については、最高裁判所判決でも、人口だけでなくその他の要素としての政治、行政の役割、住民の感情、従来の選挙の継続、面積、交通等の要素をも考慮することを広く認めている点を取り上げて、人口減の理由のみでの定数是正には多くの凝固がある等の意見が述べられました。 引き続き、宝塚市役所において調査を行いました。意見陳述者は、兵庫県副知事貝原俊民君、宝塚市長友金信雄君、川西市長伊藤龍太郎君、三田市長塔下真次君及び猪名川町長原豊作君でありまして、順次意見を聴取いたしました。 その主な内容は、この地域は一体性が強く、行政面でも宝塚市、川西市、三田市、猪名川町を含む七市一町で既に長年にわたり阪神広域行政都市協議会を設けて、共通する事項について処理している状況であり、もし三市一町が現行の選挙区から分割されることになると多くの面で混乱を生じることになり、行政の実態を考えてもらいたい等の意見が述べられました。 翌十二日には、石川県庁において調査を行いました。県当局から石川県の概況説明を聴取した後、石川県知事中西陽一君、石川県議会議長矢田松太郎君、金沢市長江川昇君、七尾市長守友友範君、小松市長竹田又男君、辰口町長松崎促成君、鶴来町長柴歩進君、津幡町長矢田剛君、金沢市議会議長勝田三郎君及び中島町議会議長垣内忠松君から順次説明を聴取いたしました。 その主な内容は、二区である能登半島の過疎化は人口増で歯どめがかかり始めているが、自治体は地域対策にはなお相当に苦慮しているところであるし、半島振興法も制定されたばかりであり、この時期、この地域こそ政治の重点的配慮の必要性が強調されるべきである等の意見が述べられました。 以上、簡単に御報告申し上げましたが、詳細につきましては報告書を提出いたしますので、本日の会議録に参照掲載されますようお取り計らいを願いたいと存じます。 以上です。
○奥野(誠)委員長代理 次に、小泉純一郎君。
○小泉委員 公職選挙法改正に関する調査のため、去る十九日及び二十日の二日間、山形県及び秋田県に委員派遣を行い、衆議院議員の定数問題及び選挙区の事情につきまして現地の関係者から意見を聴取してまいりましたので、派遣委員を代表いたしまして、私からその概要を御報告申し上げます。 派遣委員は、佐藤観樹君、上西和郎君、斉藤節君、小川泰君及び私、小泉純一郎の五名でありますが、森清委員及び中川利三郎議員が両県におきまして、また佐藤誼議員が山形県におきまして、川俣健二郎委員及び細谷昭雄議員が秋田県におきまして、それぞれ参加されました。 まず、八月十九日の山形県における調査につきまして御報告申し上げます。 初めに県当局から山形県の概況説明を聴取した後、各意見陳述者から順次意見の聴取を行い、引き続き懇談を行いました。意見陳述者は、山形県副知事荒木修一君、山形県議会議長丹野茂治君、酒田市長相馬大作君、東根市議会議長青柳忠君、最上町長中村仁君、温海町議会議長佐藤昭吉君の六名であります。 意見の内容について、簡単に御報告申し上げます。 山形県第二区は、いわゆる過疎地域であって、政治の力によって解決しなければならない問題が山積している。かかる地域の議員定数を削減することは、その政治的発言力を低下せしめ、地域の社会的格差を一層拡大させるものであって、国土の均衡ある発展を期する見地からも納得できない。また、定数是正に当たっては、単に国調人口に基づく人口比例によるのではなく、出稼ぎ者が多く、人口に対する有権者の割合が高いという特殊性にかんがみ、実際に投票権を有する有権者数を基準とすべきであり、仮に人口を基礎とする場合でも、より行政の実態に即している住民基本台帳人口によるべきである。さらに、その他、選挙区面積の大小や投票率等を総合的に勘案して行うべきである等の意見が述べられました。 翌二十日、秋田県におきまして調査を行いましたので、その概要を御報告申し上げます。 初めに県当局から秋田県の概況説明を聴取した後、各意見陳述者から順次意見の聴取を行い、引き続き懇談を行いました。意見陳述者は、秋田県知事佐々木喜久治君、秋田県議会議長楢岡貞龍、君、湯沢市長高畑違君、大曲市議会議長加藤勲君、羽後町長佐藤吉郎君、神岡町議会議長博野利一君の六名であります。 その要旨について、簡単に御報告いたします。 秋田県第二区は、ここ三十年来人口流出が続いている地域であり、この過疎化現象に歯どめをかけ、地域社会の活性化を図る見地から、地域の実情を熟知した国政の代表者が減員されることはその発言権の低下につながり、ひいては地域間の格差をますます拡大させる結果となるので納得しがたい。国土の均衡ある発展のためには、人口減少地域こそ国政への発言権が確保されるよう配慮がなされるべきであり、定数是正に当たっては、単に人口比例によるのではなく、面積の大小や投票率等の要素をも考慮し、政治の不平等の実現につながらないようにするべきである等の意見が述べられました。 以上、簡単に御報告申し上げましたが、詳細につきましては報告書を提出いたしますので、本日の会議録に参照掲載されますようお取り計らいを願いたいと存じます。 以上でございます。
○奥野(誠)委員長代理 次に、山花貞夫君。
○山花委員 愛媛県及び鹿児島県における派遣委員を代表いたしまして、私から御報告申し上げます。 派遣委員は、奥野誠亮団長、中村巖君、岡田正勝君、野間友一石及び私、山花貞夫でありました。このほかに現地参加として、愛媛県で森清委員、鹿児島県では森清委員、上西和郎委員及び川崎寛治議員が参加されました。 愛媛県及び鹿児島県における衆議院議員の定数問題につきまして、現地において関係者から意見を聴取してまいりましたので、その概要について簡単に御報告いたします。 愛媛県における調査は、一昨日愛媛県庁において開催し、まず愛媛県当局から地域の概況説明を聴取した後、愛媛県知事白眉春樹君、愛媛県議会議長俊成薫君、愛媛県農業協同組合中央会会長矢野分介君、愛媛県商工会議所連合会会頭新野進一郎君、伊予市長岡本要君、宇和島市長菊池大蔵君、吉田町長西山茂君、面河村長中川鬼子太郎君、松山市議会議長大西俊雄君、一本松町議会議長池田潔君から順次説明を聴取しました。 その主な内容は、愛媛県の現在の選挙区を地勢的、産業構造、文化、伝統等から見た場合に、一区と三区を合区するならば愛媛県の面積の七二%となり、選挙区としては適正でなくなる。また、三区内二十八市町村の議会においても減員反対の決議をしているが、国政を預かる国会議員の方々にも、人口、面積、歴史的沿革等を考慮して、人口だけで定数を考えることのないよう配慮していただきたい。 三区における農業生産の割合は本県の四〇%程度であり、過疎地域での政治の力が特に必要な地域であります。これらの過疎地の住民の声が国政に反映されなくなるような定数削減には反対であり、現状維持を求める意見等が多く述べられました。 昨日は、鹿児島市の城山観光ホテルにおいて調査を行いました。県当局から鹿児島県の概況説明を聴取した後、鹿児島県副知事今吉弘君、鹿児島県議会議長原田健二郎君、鹿屋市長蒲牟田喜之助君、垂水市議会議長中島俊満君、宇検村長松元辰己君、吾平町長吉留綱雄君、大隅町議会議長鍋山重盛君から順次説明を聴取いたしました。 その主な内容は、鹿児島県は広大な県域に数多くの離島、薩摩、大隅両半島、山間僻地を抱えているが、若年層を中心とする人口の流出によって過疎化は一段と深刻となり、地域社会の崩壊さえ憂慮される切迫した状況にあります。その地域住民の切実な声を代弁していただく国会議員の定数を削減することとするならば、地域の声は国政に届きがたく、せっかく歯どめがかかりつつある人口流出が再び激化することは十分予測し得るところである旨、また、奄美群島区については、奄美群島特別措置法等により、本土並みを目標に努力を積み重ねているが、いまだ所期の目的を達成するに至っておりません。奄美群島を代走する旧会議員を国政の場から締め出すことでは十多数の奄美群島民としては反対であり、現状を維持すべきである等の意見が述べられました。 以上、簡単に御報告申し上げましたが、詳細につきましては報告書を提出いたしますので、本日の会議録に参照掲載されますようお取り計らいをお願いしたいと存じます。
○奥野(誠)委員長代理 これにて派遣委員からの報告は終わりました。 お諮りいたします。 各派遣委員からの詳細な報告書につきましては、これを本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○奥野(誠)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は本号末尾に掲載〕 —————————————
○奥野(誠)委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本件調査のため、本日、参考人として埼玉県市長会幹事、越谷市長島村慎市郎君、神奈川県市長会会長、相模原市長舘盛静光君、千葉県市長会会長、松戸市長官間満寿雄君、東京都市長会会長、稲城市長森直兄君、以上の方々の御出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○奥野(誠)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○奥野(誠)委員長代理 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。 本委員会におきましては、衆議院議員の定数是正問題について委員を派遣し、関係各方面の方々から御意見を伺い、調査を行ってまいりました。本日御出席いただきました参考人の皆様におかれましても、本問題について、忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いいたします。 次に、議事の順序でありますが、島村参考人、舘盛参考人、宮間参考人、森参考人の順序でお一人十五分程度に取りまとめて御意見をお述べいただきたいと思います。 それでは、島村参考人にお願いいたします。
○島村参考人 おはようございます。埼玉県越谷市長の島村慎市郎でございます。今回、多くの諸先輩を差しおきまして、私ごとき若輩者がこのような国政の場で意見を述べさせていただきますことは、まことに光栄であると同時に、身の引き締まる思いでございます。御参考になるかどうかわかりませんが、一生懸命務めさせていただきます。 御案内のとおり埼玉県でも比較的東京への通勤が便利な地域は、高度経済成長期に急激な人口流入を見ました。その多くはいわゆる核家族というお子さんたちの小さい、若い世代で、世界でもまれな高等教育を受けた中流家庭の増加であり、当然政治には高い関心を持っております。首都圏の人口増加の経緯を我が越谷市の例で申しますと、昭和三十三年市制施行当時四万八千余人が、地下鉄日比谷線と東武鉄道の相互乗り入れ以降急速な発展をし、市制施行十年後の昭和四十三年には人口十万人を、五十一年には二十万人を超え、現在は二十五万人、実に五・二倍に至っております。このことは、首都圏の他の地域も多少の差こそあれ、同じような推移の人口増、世帯増を来しております。 さて、議員定数は総定数と、その総定数を選挙区の人口に比例して配分する選挙区制定数によって構成されておりますが、昭和五十一年四月、最高裁大法廷は、議員定数配分の極端な不均衡は違憲であるとの判決を下しました。極端な不均衡という表現には、専門的に、より一層の注釈がなされているでしょうが、一人一票の重み、つまり、投票価値の問題として考えるべきであると示唆したものと思います。また、今年七月にも同様の最高裁判決が示されております。 選挙区定数が各選挙区間に均等に配分されていないと、平等を前提条件とする多数決の原理からして、代議制民主政治が正当に機能しなくなる憂いも生じてまいります。多数決は一名の差によっても正当に決せられますから、定数配分のいかんは、代表選出と多数決という民主主義政治機構の二大基礎原理そのものと密接不可分でございます。 しかしながら、均衡ある定数配分とはいかなるものか、その方法はどうあるべきかを一概に論ずることは難しいことです。なぜならば、国土があって、そこに国民が存するのであり、地域間の社会的、経済的、地理的、歴史的な諸条件はそれぞれ異なっていると考えるからであります。とは申しましても、政治は人なり、人が政治をつかさどるとするならば、人口の規模によって定数が配分されることもやむを得ないことと思います。 そこで、現在論議されている定数問題につきまして、均衡という観点から申し述べさせていただきたいと存じます。その身近な例として、埼玉県には定数の上でさらに厳しい第二区がございますが、それよりは幾分緩やかな私たちの埼玉第四区について申し上げます。 私が申すまでもなく、昭和二十一年四月、戦後初めての衆議院議員総選挙が総定数四百六十六人をもって執行されて以来、何回かの改正を経て、昭和五十年七月に五百十一人となり今日に至っておりますが、このとき我が埼玉県は、四選挙区十三名から五選挙区十五名へと改正されました。 そこで、議員一人当たりの人口という視点から、本市が町村合併後の昭和三十年二月行われた総選挙にさかのぼってみますと、当時は国民約十九万一千人につき一人の割合でありましたので、その比率からすれば、埼玉四区は当時人口五十二万人で定数は二・七二人と割り出すことができます。事実、このときの定数は三でございました。これが昭和五十年になりますと国民約二十一万九千人に一人となり、四区の人口百七万四千人では定数四・九〇人、昭和六十年では国民約二十三万五千人に一人となり、人口三十五万四千人の四区は、定数五・七六人と算出することができます。このことは、現在の最小三人区と埼玉四区との格差の点から見ましても、昭和五十一年十二月の総選挙時では三・〇一倍でありましたものが、五十四年十月では三・二二倍に、五十五年六月で三・二八倍、最も近く執行されました五十八年十二月の総選挙では実に三・五五倍と、回を重ね、年を追うごとにその差が拡大してきております。現在四人区の最小人口五十一万四千人と埼玉四区定数三名で人口百三十五万四千人とを比較していただきましても、いかに隔たりがあるかは御理解いただけるものかと存じます。 一方、得票数から見ましても、全く平等に定数配分がされているとするならば、その得票数を得票率に応じて人口に換算したとき、三人区で投票が行われた場合、議員一人当たりの平均人口の四分の三を超えた次点、落選はあり得ないはずであります。 具体的に申しますと、昭和五十五年の総選挙では得票数九万七千六百四十四票、昭和五十八年では九万六千八百十六票で、それぞれ国民の代表になり得ず辛酸をなめる結果になっています。これを得票率で人口に換算しますと、五十五年は二十万六千人、それと五十八年の場合は二十一万九千人の国民の代表と考えることができます。そこでさきに述べましたことを数字で示しますと、昭和五十五年の全国の議員一人当たりの人口二十二万九千人の四分の三は十七万二千人、昭和五十八年二十三万二千人の四分の三は十七万四千人となりますが、埼玉四区ではそれ以上の国民の支持を得ながらも代表となり得ないこととなり、投票者も候補者もあきらめ切れぬものがあると考えるのは私だけではございません。 埼玉四区の場合、それらを裏づけるかのように、過去十一回の総選挙におきまして、前回の選挙結果のいかんにかかわらず現職のどなたかが必ず入れかわるのが常でございました。国会議員としての実績を重ね、国民、県民から大きな信頼と期待をされてこられた方々が、仮にも選挙のことを必要以上に心配りしなければならないとするならば決して好ましいことではなく、また有権者にとりましても、頼みとする代表がいつも国会議員であり、国政に専念できることを願っているのであり、さきに述べたような結果には全く納得のいかないところでございます。 首都圏近郊の都市群は、東京がそうであるのと同じく、住民の出身地は全国を網羅しています。それぞれが生まれ育ったふるさとの文化を身にしみ込ませながら、今住んでいる土地の伝統と文化の上に第二のふるさとづくりを目指しているのでございます。そして、自分たちが孜々として暮らし続けている町の発展とアメニティーを考えない人は一人もいないはずでございます。その人々が選ぶ代表であってみれば、地方の時代、新しい文化の創造を指向し、国民一人一人が真剣に投じた一票一票、九万票からの投票が生かされないのはまことに残念でございます。 急激な人口流入による発展は既に過ぎ去ったことでありますが、私たちはそのひずみを単なる一時しのぎの改善やびほう策で切り抜けるのではなく、厳しい現実を率直に受けとめつつ、百年の計をも考えながら、将来にわたって悔いのない都市を構築しようと努力していると言っても過言ではございません。首都圏及びその近郊は、社会的にも自然的にも現在赤信号が点滅している状態とも言えましょうが、英知を結集すれば快適なアーバンライフも必ず実現でき、再び自然に同化した、二十一世紀にふさわしい社会環境をつくることができるものと確信いたします。 都市をつくるのも、文化を生み出すのも、すべて人間のなせるわざであります。今論議されている定数配分をぜひ是正していただき、国民、県民、市民、すなわち、我が国土、我が町、我が生活を真摯に考える多くの有権者の声を可能な限り国政に反映されるよう心からお願い申し上げまして、私の陳述といたします。 ありがとうございました。
○奥野(誠)委員長代理 ありがとうございました。 次に、舘盛参考人にお願いいたします。
○舘盛参考人 衆議院議員の定数改正につきまして、意見を述べる機会をいただきましたことに対しまして、深く感謝申し上げる次第でございます。 私は、神奈川県第三区に属する相模原市の市長をいたしておる者でございます。以下、神奈川県の状況を申し上げ、諸先生の御理解をいただきたくお願い申し上げる次第でございます。 私の承知しているところでは、議員の定数につきましては、明治二十二年衆議院議員選挙法制定以来、選挙区についての変遷は多少はあったものの、人口比例による定数配分が原則とされているものと存じている次第でございます。 こうした点から神奈川県の状況を見ますと、昭和二十五年公職選挙法制定当時の県の人口は二百四十八万人でございましたが、昭和五十年になりますと六百三十九万、約二・五七倍となっているわけでございます。国会におかれましては、これらの状況を踏まえられまして、昭和三十九年の改正に当たりましては神奈川一区が定数一の増となり、さらに昭和五十年の改正では、従来の三選挙区十四人でありましたものが、県下を五つの選挙区に分割いたしまして定数五増の十九人とされたものでございまして、選挙人の投票価値の均等化のための御努力をいただいたことに対しましては、十分承知しているところでございます。しかしながら、その後におきましても依然として人口の都市集中が続きまして、昭和五十五年の国勢調査の結果によりますと、六百九十二万人を記録することとなったわけでございます。 私が市政をお預かりいたしておりますところの相模原市を含む神奈川三区におきましては一層激しい条件に置かれておりまして、人口の増加は今日もなお続いているところでございます。そして、現在では千葉四区に次いで一票の重みに格差が大きいと言われておるわけでございます。人口の少ない選挙区が著しく人口の多い選挙区よりも議員定数が多いという逆転現象が生じていることは、国民がなかなか容易に納得し得ないところであると存じます。 あえて申し上げるのは大変失礼なことでございますが、去る昭和五十八年十二月に執行されましたところの衆議院議員の選挙の結果によりますと、我が三区の十二万四千票を得た者が次点にとどまる、こういう状況でございました。これは得票数だけで申し上げますと、全国の得票数の上位から四十三位に相当するものと言われておるわけでございます。 さて、このような人口急増は、地方行政におきましても各種のひずみを生じているところでございまして、必然的に多様な行政需要となってあらわれておるわけでございます。その大きいものを申し上げますと、教育でもございますし、道路、下水、交通等の都市環境問題でもあり、また福祉、保健等の問題でございます。 私の市のことでまことに恐縮でございますが、一例を申し上げますと、単年度で小中学校五校ないし六校を建設し、開校せざるを得なかったことが数年間も続いたという状況でございました。その過程におきましては用地の取得の問題、財源の問題、その他多くの問題がありますが、このような多くの問題解決のためには、一地方自治体の努力のみにては到底不可能なことでございまして、地方の実情に通じたところの、市民、県民を代表されるところの国会議員諸先生方の御理解と御協力を得まして、国政の立場からの適切な御指導が極めて重要なことと存ずる次第でございます。 申すまでもなく、国民は法のもとに平等であり、国民の国政への参画できる大きなものは国会議員の選挙であると思います。神奈川県議会におきましては、数次にわたりまして、国民の意思を適正に国政に反映されますように定数是正に関する意見書を内閣総理大臣及び自治大臣に対しまして御提出申し上げているところでございます。 将来にわたっては議員定数の抜本的な改正は必要なこととは思いますが、以上申し上げましたような有権者の意思を御考慮いただきまして早期に改正をしていただき、投票価値の均衡について特別の御配慮をお願い申し上げまして、意見の陳述とさせていただきます。 よろしくお願い申し上げます。
○奥野(誠)委員長代理 ありがとうございました。 次に、宮間参考人にお願いいたします。
○宮間参考人 千葉県市長会の会長を仰せつかっておりまする松戸市長の宮間満寿雄でございます。 松戸市は、投票価値の最も不平等な千葉県四区に属する人口急増都市でございます。昭和五十八年十二月十八日に執行されました衆議院議員選挙につきまして、千葉県第一区及び千葉県第四区の化民が、当該選挙は投票価値の平等を求める憲法の要請に反しているので無効とするよう出訴いたしました。御案内のとおりでありますが、既に御承知のとおり七月十七日、最高裁判所大法廷判決が下されたところであります。これによりますと、選挙そのものは事情判決の法理により無効とはされませんでしたが、当時の衆議院議員定数配分規定は違憲とされております。 私は、本日、この席で意見等を述べる機会を与えられましたので、まず千葉県の人口動態、現状等について申し上げたいと存じます。 まず、千葉県の人口でございますが、昭和四十年代は、いわゆる高度成長期にあって都市及びその周辺への人口の集中化が見られたところでありまして、その傾向は東京都に隣接する地域が特に顕著でありました。四十年代後半の県の人口は、四十五年国勢調査人口の三百二十六万六千六百二十四人から五十年国勢調査人口四百十四万九千百四十七人と二三・二四%増加しております。これを千葉県第一区と四区で比較してみたいと存じます。なお、四十五年当時は現行の千葉県第四区は存在しておりませんでしたので、便宜上現行の千葉県第一区と四区の地域の人口で置きかえてみますと、千葉県第一区は、四十五年百十二万一千九百四人から五十年百四十九万四千九百二十七人と三三・二五%増、千葉県第四区は、四十五年九十三万二千八百七十四人から五十年百二十三万五千五百三十四人と三二・四四%増となっておりまして、人口集中の激しい都市部を区域に持つ第一区及び第四区の伸びが県平均二三・二四%を大きく上回っております。 次に、五十年代前半について見ますと、県人口は、五十年国勢調査人口四百十四万九千百四十七人から五十五年四百七十三万五千四百二十四人と、四十年代後半には及びませんでしたが一四・一%の増加となっております。このうち、千葉県第一区と第四区がどうなっているかと申しますと、第一区は、五十年百四十九万四千九百二十七人から五十五年百六十八万四千九十八人と一二・六五%増、第四区は、五十年百二十三万五千五百三十四人から五十五年百四十九万九千二百九十人と二一・三五%増となっておりまして、第一区の人口増加率は県全体の増加率をやや下回るものの、第四区は二〇%台という高い増加率を維持しています。 この傾向は、五十年代後半においても継続しております。六十年国調人口はまだデータがありませんので住民基本台帳人口で比較してみますと、県全体の五十五年三月末の住民基本台帳人口は四百六十七万二千百四十七人でしたが、六十年三月末には五百九万二千二百十七人となり、八・九九%増加しております。第一区は、五十五年三月末百六十五万一千四百十一人から六十年三月末百七十六万二千七百三十八人と六・七四%増、第四区は、五十五年三月末百四十五万九千三百八十二人から六十年三月末百六十四万八千五百二人と一二・九六%増となっております。 五年間のスパンで見た人口動態は以上のとおりですが、直近の数値として五十九年三月末と六十年三月末の住民基本台帳人口を比較してみますと、県全体で五百二万五千十五人から五百九万二千二百十七人と一・三四%増、第一区で百七十四万七千七百六人から百七十六万二千七百三十八人と〇・八六%増、第四区では百六十一万六千二百八十二人から百六十四万八千五百二人と一・九九%増となっております。ちなみに、同時期の都道府県別人旧動態を見ますと、増加人口は九万三千七百二十五人増の神奈川県以下埼玉、東京、千葉と続き、増加率では一・四四%増の沖縄県以下千葉、神奈川、埼玉と続いておりまして、平均年齢が若く、自然増加の割合が高い沖縄を除きますと、いずれも首都圏近郊が上位を占めているところであります。視点を変えて東京都庁中心五十キロ圏の対前年比人口を見ますと、千葉県は一・五%増となっておりまして、千葉県第一区、第四区を含む地域が高い増加率であることがわかります。 次に、千葉県の選挙区定数ですが、昭和五十年の公職選挙法の改正により、従前の千葉県一区が第一区と第四区に分区されたところですが、その後は変わっておりません。この定数のもとでの議員一人当たり人口を見ますと、全国で一番高い千葉県第四区は、五十年国調では四十一万一千八百四十五人、五十五年国調では四十九万九千七百六十三人であり、全国最低の兵庫県第五区に比較し、五十年で三・七二倍、五十五年で四・五四倍の格差となっております。格差の拡大は続いており、本年三月末の住民基本台帳人口で比較しますと、千葉県第四区は四・九一倍、また第一区でも三・九四倍の格差となっております。 ちなみに、千葉県第四区の議員一人当たり人口は、五十年国調の四十一万一千八百四十五人から六十年三月末住民基本台帳人口五十四万九千五百一人となり、十三万七千六百五十六人もふえております。この増加人口分が、兵庫県第五区の昭和六十年三月末住民基本台帳人口による議員一人当たり人口十一万一千九百三十人を軽く超えているのでございます。 以上のような現状でありますが、今後の見通しもおよそが予測されます。本県の第一区、第四区とも住民基本台帳の直近一年の伸び〇・八六%、一・九九%から見ましても、また東京都庁中心五十キロ圏の千葉県の区域の伸び一・五%を見ましても、同時期の全国平均〇・五八%増を上回っておりまして、今後ともこの傾向が続くものと予想されるところでありますので、議員一人当たり人目はさらに増加し、格差も拡大することは明らかであります。 ところで、五十八年十二月十八日に執行されました衆議院議員総選挙に係る定数訴訟判決が七月十七日に最高裁判所大法廷で下されたところでございますが、それによりますと、憲法十四条第一項の規定は、国会を構成する衆議院及び参議院の議員を選挙する国民固有の権利につき、選挙人資格における差別の禁止にとどまらず、選挙権の内容の平等、すなわち議員の選出における各選挙人の投票の有する影響力の平等をも要求するものと解すべきとしていますし、一方、国会が定めた具体的な選挙制度のもとにおいて投票価値の不平等が存する場合に、それが憲法上の投票価値の平等の要求に反することとなるかどうかは、その不平等が国会の裁量権の行使として合理性を是認し得る範囲内にとどまるものであるかどうかによって決するほかないとしておりますし、さらに、制定または改正の当時合憲であった定数配分規定のもとにおける選挙区間の議員一人当たりの選挙人数または人口の格差がその後の人口の異動によって拡大し、憲法の選挙権の平等に反する程度に至った場合には、そのことによって直ちに当該定数配分規定が憲法に違反するとすべきものではなく、憲法上要求される合理的期間内の是正が行われないとき初めてその規定が憲法に違反するものというべきとされております。 こうした考えのもとに、当該選挙について具体的に判断され、当該選挙当時において選挙区間に存した投票価値の不平等状態は、国会において通常考慮し得る諸般の要素をしんしゃくしてもなお、一般に合理性を有するものとは考えられない程度に達していて、憲法の選挙権の平等の要求に反する程度に至っていたものというべきと明言しております。また、憲法上要求される合理的期間内の是正が行われなかったものと評価せざるを得ず、当該定数配分規定は、当該選挙当時、憲法の選挙権の平等の要求に反し、違憲と断定するほかはないとしております。 この判決により、マスコミ等の報道もあり、選挙民の間に定数是正の機運が一気に盛り上がったものと存じます。例えば、千葉県第四区では、十三万余の得票がありながら次点となった候補者が存在し、この半分の得票で当選した者も全国的には相当の数に上っておりまして、一票の価値の不平等感はぬぐい切れないものがございます。選挙区の有権者から不満の声が出、早急にこの不平等を是正してほしいとの声が高まるのは当然でございまして、この定数問題をこのまま放置いたしますと政治不信にもつながりかねないのであります。 千葉県第一区並びに第四区は人口の急増都市であり、過密都市であります。それだけにたくさんのひずみがあります。それを国政の場で反映をしていただかなければなりません。そのためには定数是正がどうしても必要であると私は思います。最近、各種の選挙における投票率の低下傾向が見られますが、一票の重みの軽さも一要因ではないかと思われるのでございます。 判決では、選挙を無効とする結果余儀なくされる不都合を回避するため、行政事件訴訟法第三十一条一項のいわゆる事情判決の制度により、当該選挙は無効とはされませんでしたが、補足意見では、同一の違憲の定数配分規定に基づき選挙が行われたときは、もはやその選挙につき重ねて事情判決的処理を繰り返すことは相当でなく、選挙無効とすべきであると述べられております。 議会制民主主義のもとにおける選挙制度は、国民の利害や意見を公正かつ効果的に国政に反映させることを目的としており、憲法は国会の両議院の議員を選挙する制度の具体的決定を国会の裁量にゆだねているところであります。衆議院議員定数の是正は昭和三十九年及び昭和五十年に定数増により行われたところでございますが、その後の人口異動に伴い十分なものでなくなっており、今日の事態となったところでございます。行政改革の折、議員の総定数の増による定数是正は国民感情からも許されない状況にあると存じます。総枠内の調整がなかなか困難であることは十分予想されるところでございますが、避けることはできない最優先課題であると存じます。 いわゆる六・六増減案が現在国会で継続審議となっておりますが、これは投票価値の不平等を是正するには十分とは申せません。しかし、千葉県第一区及び第四区の選挙民の多くは、現実的な問題として抜本的定数是正への過程的措置としてこれを望んでいるのも事実であると存じます。この案について各党間において十分意見調整を行っていただき、対処されるよう望むものであります。そして、さきの最高裁判決の趣旨を踏まえて衆議院議員定数の抜本的是正に速やかに取り組まれ、投票の価値の平等を達成されますよう強く要望いたしまして、終わらせていただきます。
○奥野(誠)委員長代理 ありがとうございました。 次に、森参考人にお願いいたします。
○森参考人 東京都市長会会長の稲城市の森直兄でございます。 本日は、提案されております法案での増員予定区を抱える東京二十六市の代表といたしまして、同時に、二十三区十五町村を含めました東京の有権者のお気持ちを拝察しながら意見を申し述べたいと思う次第でございます。 まず初めに、東京都の人口の推移と議員一人当たりの人口について申し上げたいと思います。 御承知のように、東京都の人口は、五十年の国勢調査では千百六十七万三千五百五十人でございまして、五十五年の国勢調査になりまして千百六十一万八千二百八十一人と減少しておるわけでございます。しかしながら、昭和五十九年、昨年十月一日現在の推計人口によりますと一千百八十二万二千三百六十九人となりまして、五十五年より漸増の傾向にあるわけでございます。つまり、この十年間で約十四万八千人で、約一・三%の増となっております。ちなみに、直近の国勢調査であった五十五年の東京都の人口は前述のとおりでございますが、東京都は十一選挙区であり、定数四十二人でありますので、議員一人当たりの人口は二十七万百九十二人となっておるわけでございます。 次に、議員お一人当たりの格差について申し上げたいと思うところでございます。 昭和五十一年、五十四年、五十五年の総選挙では、昭和五十年国勢調査の数字を使いますと、東京都平均では議員一人当たり二十七万一千四百七十八人でございまして、議員一人当たり人口最小区と比べてみますと、最小区では十一万七百四十八人でございましたので、約二・四五倍の格差がございました。これが昭和五十八年の総選挙になりますと、これは昭和五十五年の国勢調査数字によるものでございますけれども、さきにも述べましたように、二十七万百九十二人に対しまして、いわゆる少ないところは十一万五十一人で、その格差は二・四六倍へと〇・〇一ポイント上昇しておるわけでございます。 さらに、現状では昭和六十年度の数字がございませんので、昨年の東京都の推計を使わしていただくわけでございますが、議員一人当たりは二十七万四千九百三十九人となって、いわゆる最小区の人口が変動していないとした場合には二・五倍へと格差は一層拡大しているのが現況でございます。中でも東京の七区及び十一区は、私どもの市部に該当する場所でございますが、この格差が激しく、昭和五十一年、五十四年、五十五年の各選挙当時でさえ七区で三・三四倍、十一区で三・四一倍もの格差があったものが、仮に次の選挙で選挙法の改正がないものといたしますと、それぞれ三・五四倍、十一区では四・一八倍もの格差ができてくるのではないか、このように思っておるところでございます。 次に、提案されております法案で増員予定区となっております東京十一区の状況を御説明申し上げたいと思います。 十一区の現況は七区の状況とともに概略御説明を申し上げたわけでございますが、いま少しく詳しく御説明申し上げたいと思うわけでございます。 まず、昭和五十一年、五十四年及び五十五年に実施されました三回の総選挙の状況でございますが、人口百五十一万二千七百十八人に対しまして議員定数は四で、議員一人当たり人口は三十七万八千百八十人となっておるわけでございます。同時期の議員一人当たり人口の最小のところにおきましては、人口が三十三万二千二百四十三人、定数三、議員一人当たり人口は十一万七百四十八人でございまして、議員一人当たり人口で二十六万七千四百三十二人の差ができておりまして、その格差は三一四一倍ということになっておるわけでございます。 これが昭和五十八年に実施されました総選挙では、議員一人当たり人口は東京十一区の場合四十二万九千五百五十五人に対しまして、最小限のところは十一万五十一人となりまして、その差は実に三十一万九千五百四人、格差は三・九〇倍にも達してまいったのでございます。今後法改正のないままにもし次の選挙を迎えるといたしますと、格差は、さきに述べましたように、四倍を超える状況にもなろうと予測がされるわけでございます。 昭和五十年から昭和五十九年までの九年間で、東京十一区の人口は百五十一万二千七百十八名から百八十四万一千七百七十二名へと三十二万九千五十四人増、実に二一・七五%の増加を示しております。今後さらに増加の傾向を見せておりますので、格差はますます拡大の一途をたどるものと考えておるところでございます。 次に、有権者の一票の価値に対する意識を含め、定数是正に関する私の意見を申し述べたいと思うわけでございます。 ここ数年の間に相次いで定数配分につきましての最高裁判決が出されておりますが、これを見るにつけ、有権者の一票の価値に対する関心はかつてない高まりを見せております。有権者の一番の関心事は、なぜ都民の一票は全国平均より二割も価値が低いのか、十一区の価値はなぜ最小の区と比べて四分の一でなければならないのかというようなことでございます。この素朴な疑問は投票への疑問となりかねません。言いかえれば、選挙そのものへの不信あるいは無関心へと向かうことを何よりも恐れているところでございます。 国権の最高機関であります国会の権威は、国民の厳粛なる信託があって初めて発揮されるものでございまして、これはとりもなおさず有権者が一票を行使し、あすの政治を期待することにつながると思うのでございます。この意味からも一日も早く定数の是正が行われることを期待するものでございます。 とはいうものの、選挙区の定数を決定するに当たっては、そう簡単に人口比だけで判断するものではないとも思われます。それは地域のいわゆる歴史的あるいは社会的背景なども加味すべきものであるということは否定し得ないものであろうと思っております。しかし、有権者が選挙に当たってみずからの一票の重みを自覚し投票することは、先ほど申し上げましたとおり、国会の権威を維持するだけでなく、民主主義国家を支える礎となるものと言っても過言ではないと思うわけでございます。 今回の法改正は有権者に一票の価値を再認識していただく重要な第一歩であると考えるものでございます。東京第十一区の定数が四名から五名になるとするならば、単に議員定数が一名増になるというにとどまらず、東京十一区の、ひいては東京都民全体の選挙に対する関心を呼び起こすことができる、そのように確信をしております。どうか早期に定数の見直しが実現されますよう希望を申し上げまして、私の意見の陳述を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○奥野(誠)委員長代理 ありがとうございました。 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。 —————————————
○奥野(誠)委員長代理 次に、質疑に入るのでありますが、質疑の申し出もないようでありますので、これにて参考人からの意見聴取は終わります。 この際、参考人に対し、一言ごあいさつを申し上げます。 参考人各位には、御多用中のところ、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。 午後零時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時三十分休憩 ————◇————— 午後零時三十一分開議
○小泉委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 公職選挙法改正に関する件について質疑に入ります。 まず、内閣官房長官に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西山敬次郎君。
○西山委員 去る七月十七日に最高裁判所の判決がありました。申すまでもなく、これは去る昭和五十八年の年末の衆議院の総選挙の際の定数の配分が憲法違反であるというものであったわけでございます。私、判決の全文を読みました。読みましたところが、根拠法規といたしまして、憲法違反の根拠は憲法第十四条第一項違反であるとしてあるわけでございます。 この十四条第一項というのは「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」という規定だけでございます。選挙権に関する文言は見当たらないわけでございますが、最高裁判所の見解によりますと、この精神によれば選挙権に関しましても憲法違反であるということになっておるわけでございますが、私が考えますのには、この性別に関する件、男女不平等の件につきましても先般の国会で男女雇用機会均等法が成立いたしましたけれども、その他いろいろな面におきまして憲法違反の状態は多々あると思うわけでございます。しかしながら、きょうは質問を選挙権のことだけに局限いたしましてお伺いいたしますが、その憲法違反であるという根拠といたしまして、判決には、第一には、議員一人当たりの人口の格差が選挙権の平等の要求に反する程度になっておる、第二には、是正を行うために憲法上要求される合理的期間を過ぎておるということでございますけれども、それでは具体的に格差が何倍以上であってはいけない、あるいは合理的期間が何年以内ということは明記されていないという点につきまして、私は、違憲審査の最終裁判所としての権限を憲法によって付与されておる最高裁判所の判決としてはいささか物足らない感じがしたわけでございます。 そこで、私は官房長官にお伺いしたいわけでございますが、この選挙権の平等の要求に反する人口の格差の程度、あるいは憲法上要求される是正の合理的期間というものにつきましていかがお考えでございますか、お尋ねいたします。
○藤波国務大臣 昭和五十一年、五十八年及び本年七月の最高裁判決におきましては、いずれも憲法上許容される最大格差や是正のための合理的期間について明確な基準を示していないことは、ただいま委員御指摘のとおりでございます。 憲法上許容される最大格差につきましては、昭和五十八年の判決及び今回の判決におきまして、最大格差を一対二・九二とした昭和五十年の定数是正によりまして、従前違憲とされた投票価値の不平等状態はこれによって一応解消された、こういうふうに評価することができるとしているところでありまして、したがって、さきの国会におきまして提案された自民党並びに野党四党の定数是正案は、いずれも昭和五十年の定数是正と同程度の是正をすることとし、最大格差を三倍以内としたもの、こんなふうに承知をいたしておるところでございます。 是正のための合理的期間につきましては、それがどの程度の期間であるか、判決の内容からは明確ではありませんけれども、昭和五十八年の判決では、昭和五十年の定数是正によって違憲状態は一応解消されたものとし、その法律改正の公布の日から五年後、施行の日から三年半後に行われた昭和五十五年の総選挙につきましては、是正のための合理的期間はまだ経過していない、こういうことでございましたが、今回の判決では、それからさらに三年半後に行われた昭和五十八年総選挙については、是正のための合理的期間は経過したものとしている、事実関係で考えますと、大体こういうことになるかなというおのずから合理的期間というようなものが出てきておる、こんな感じがいたしておるところでございまして、今回の判決を厳粛に受けとめて是正への最大の努力をしていかなければならぬ、このように考えておる次第でございます。
○西山委員 そういたしますと、この平等の要求に反する程度というものの人口の格差の程度あるいは合理的期間というものは、立法府の判断で善処していけばいいという御判断でございますか。
○藤波国務大臣 判決を重々しく受けとめて、やはり国会並びに政府でそれ相応の判断をして進んでいかなければなるまい、このように考えておる次第でございます。
○西山委員 次に、人口の格差について御質問したいわけでございますが、その格差がどんどん広がっておるわけでございます。例えば、けさほどの参考人の陳述にもるる述べられたわけでございますけれども、昭和五十五年の国勢調査の人口、それから先般発表になりました五十九年の住民台帳の人口をとってみましても、非常な格差が開いておるという現状でございます。その原因は何かと言いますと、何といいましても過疎過密の問題であると私は了解するわけでございますが、このままでただ定数だけをいじるということでなくて、もっと抜本的に人口の格差が広がるのをとめる、さらにはこれを、この格差の拡大することを縮小させるという方向に持っていくべきであると思うわけでございますが、それに対する官房長官の施策についてお伺いしたいと思うわけでございます。
○藤波国務大臣 過密過疎問題は、委員御指摘のように、国土政策上の非常に重要な課題の一つである、このように考えておりまして、国土の均衡のある発展を図っていくことを努力目標にしていかなければならぬ、このように考える次第でございます。これまで大都市への人口、産業の集中が行われてまいりましたが、今日ではこれをむしろ抑制をして、地方の振興を図るということを基本として、各般にわたる施策を講じてきたところでございます。 政府といたしましては、現在、二十一世紀への国土づくりの指針を示しますいわゆる四全総の策定作業を進めておるところでございますが、四全総の策定に当たりましては、今申し上げましたように、国土の均衡のある発展を図るという観点から、さらに地域振興のためのいろいろな施策を幅広く検討し、これを前向きに取り組んでいく姿勢を出していかなければならぬ、そんなふうに考えまして作業を進めているところでございます。国会におきますいろいろな御論議なども踏まえさせていただいて、いろいろ御指導をいただきながらこの作業を進めていきたいと思っておりますのは、そういった考え方を具体化していきたい、このように考えておるからでございます。
○西山委員 時間が非常に迫りましたので、もうあとつづめて御質問申し上げますけれども、一つは、人口の格差はそういうふうでございましても、投票率に非常に格差があると思うわけでございます。昭和五十八年の衆議院選挙の結果を見ましても、一番人口が多いと言われました千葉四区の場合は投票率が五九・二七%、それに対しまして、一番人口が少ないと言われる兵庫五区におきましては八七・五〇%ということでございまして、その結果、投票者の数で比較をいたしますと、千葉県の四区に対しまして兵庫県の五区は三倍以内にあるわけでございます。そういうことでございまして、これは私はただ定量的な問題だけを言っているのじゃなくて、定性的にも住民の参政権に対する熱意の違いであると思うわけでございます。 けさほどの参考人の陳述にも、定数を是正してくれたら投票率はふえるという陳述がございましたけれども、ことしの東京都議会選挙は、定数が是正されたにもかかわらず五三%という非常な低率にあえいだわけでございます。これにつきましては、投票率をどうしたら向上させることができるか、これをお考え願いたいと思います。 それと、別の質問を一緒にまとめてさせていただきますけれども、もう一つは、国勢調査が六十年十月に行われるわけでございます。これはもう目の前に来ておるわけでございます。したがいまして、今提案になっております法案は五十五年の国勢調査が根拠になっているわけでございますが、このとおりに是正いたしましてもすぐに憲法違反状態が起こるということを考えますと、六十年十月の国勢調査の結果を待つまでもなくその手法を考えておけば、結果の数字が出れば直ちに是正はできると思うわけでございます。 さらに、その間におきまして総理が政治的な配慮によって解散の必要ありという判断をされた場合におきましては、解散権というものは憲法において制約されるものでない。わけでございますので、是正の有無にかかわらず解散が行われても憲法上、法律的には許されるべきものであると思いますし、官房長官も前回そういう御答弁をなさっているのを私も拝見いたしました。それにつきまして、重ねてお伺いいたす次第であります。
○藤波国務大臣 簡単に三点にわたってお答えをいたしたいと思います。 一つは、国民のいわゆる参政権、選挙権を活用していただきますためにいろいろな努力をしていかなければならぬことは言うまでもありません。これは、選挙がどれだけの投票率になるかということは、立候補をする顔ぶれでございますとかあるいはそのときの選挙の争点とかいろいろなことに影響されようとは思いますけれども、政府としてはできるだけ投票率を上げるという努力をしていかなければならぬ、民間団体や地方公共団体と力を合わせて今後もその努力をしていかなければならぬというふうに基本的に考えておりますことを一つ申し上げておきたいと存じます。 それから、国勢調査との関係でございます。定数是正につきまして御指摘のような方法も確かにあるわけでございますけれども、また、それが一つの考え方であろうというふうには考えますが、さきの国会におきまして自民党並びに野党四党から定数是正案が提案されたところでもあり、また、さきの最高裁判決によって衆議院議員の現行定数配分規定が違憲とされているという状況にありますので、いろいろな考え方があるかと思いますけれども、政府といたしましては現段階においてまず何よりもその是正を早急に実現していただきたい、こういうふうに考えております。それで、とりあえずまずそれを解決をして、そうして国勢調査が終わった後、新しい考え方が必要ということであれば、さらに国会においていろいろな御論議をいただくというような構えにぜひお願いできないかというふうに考えておりますことを申し上げたいと存じます。 それから、最後に御質問のございました解散権との関係でございますが、従来も申し上げてきておりますように、憲法上解散権の行使を制約する規定はないというふうに考えております。解散権はこのことによって制約されるものではないということをずっと考えてお答えを申し上げてきておりますことを重ねて御答弁申し上げたいと思う次第でございます。
○西山委員 もっと掘り下げてお伺いしたいのですが、時間の関係で、きょうの質問はこれで終わります。
○小泉委員長代理 山花貞夫君。
○山花委員 今お話を伺っていますと、最高裁の違憲判決についての受けとめ方が政府の立場としては大変不十分ではなかろうか、私はこういうように思います。定数の問題は国会で早く進めていただいて、今もこういうお話がありましたけれども、政府としての責任は一体どうなんだということについて最高裁の判決の受けとめ方が正しくないのではないか、こういうように考えざるを得ません。 まず冒頭、このかかわりについて伺いたいと思いますけれども、七月十七日の判決の直後、官房長官は解散権とのかかわりで記者会見で見解を発表されました。「本来、解散権は、憲法が、国政の重大な局面で民意を問う手段として内閣に付与した基本的な重要機能だ。また、憲法上、解散権の行使を制約する規定はない。また、解散権の行使と総選挙の施行とは元来別個のものだ。」と三つの理由を挙げられましたけれども、この見解は今日でも維持されておるということでしょうか。最近政府の統一見解も百八十度よく変わりますから、まず冒頭この点を伺っておきたいと思います。
○藤波国務大臣 定数是正前の衆議院解散権の行使につきましては、一つは、本来解散権は、憲法が、国政の重大な局面において民意を問う手段として内閣に付与した基本的に重要な機能であるというふうに心得ておりますこと、二つ目に、憲法上解散権の行使を制約する規定はないこと、以上二つの理由によりまして法律的に制約されない、このように従来申し上げてきておりまして、この解散権は制約されないという考え方は今も変わっておりません。
○山花委員 今二つの理由をおっしゃいましたけれども、まず第一の内閣の基本的な権限であるとおっしゃる点につきましては、内閣の権限を強調する余り、先ほども指摘がありました、最高裁が言っておる憲法第十四条の要請する国民の選挙権の平等、投票価値の平等の原則を踏みにじって、内閣が憲法上の国民の基本的権利を奪うことができるという主張になっているのではないでしょうか。結論はそういうことだと思います。総理も長官も、三権分立の立場あるいは統治行為論などを根拠として説明されてきておるようでありますけれども、考えてみればそのよって来るところは国民の主権です。国民の主権、国民の最も基本的な権利をじゅうりんすることが許されるという理屈は間違っていると言わざるを得ないと思います。 第二番目、憲法上解散権を制限する規定はないということでしたけれども、確かに不信任案が決議された場合には二つの道がある、選択できるではないかという御主張だったと思います。しかし、定数是正のための努力を怠ったということになっている経過があるとするならば、これは六十九条の規定中総辞職のみが選択できるのだ、こう解すべきではないでしょうか。選択の余地があるのは、定数を是正して解散もできる、総辞職もできるという道を選ぶのか、その努力を怠ったために六十九条の場合でも総辞職だけしか選択できないのか、こういうことだと思います。今回の判決が大変ぎりぎりの、いわば再度の執行猶予を許さないという中身を持った事情判決をしたことに対して、どうもこれを正じく理解していない、私はこう言わざるを得ないと思います。 特に、今の答弁の中で私、注目いたしましたのは、従来三つの理由を挙げておられましたけれども、きょう二つの理由しか挙げておられませんでした。三番目に、従来官房長官は、解散権の行使と総選挙の施行とは元来別個のものであるとおっしゃっていたはずですけれども、きょうはそれは撤回されるわけですか。
○藤波国務大臣 最高裁の判決を非常に重々しく受けとめておりまして、国会を構成する各党の皆様方のいろいろな御論議によりましてこの具体的な是正策を講じていくという話し合いが進むこと、そのことが最も民主的であり、かつ現実的であるというふうに考えまして、与党を中心にいたしまして具体的な是正への作業をお願いをしてきておるところでございます。決して政府はこの判決を軽く見ているというわけではないということをぜひ御理解をいただきたいと思いますし、したがいまして、既に自民党案あるいは野党四党案というものが提出されて継続審査になっておるという今日の実情を考えれば、ぜひこの両案を中心にいたしまして国会での御論議の深まりをお願いをしたいということを心から御期待を申し上げておるところでございます。 なお、今御指摘がございました解散権は制約されないということにつきましては、私はその解散権は制約されないということと総選挙が行われるということとは別であるというふうに申し上げてきておりますことは、解散権を制約されないという論拠の三つ目として従来も申し上げてきておるところでございまして、今御指摘もいただきましたけれども、その三つ目も従来も申し上げており、今も考えているということをお答えを申し上げたいと思います。
○山花委員 その第三番目の解散の問題と選挙の執行の問題は別である、この理屈はしかし突っ込んで実はお伺いしたいわけですけれども、問題点絞って伺っておきたいと思うのですが、仮に官房長官のような立場に立ったといたしましても、現実の選挙の執行は違憲の公職選挙法に基づいて行われるということではないでしょうか。ということになってまいりますと、とりわけ今回最高裁判決が極めて明確に断言し、かつ少数意見も解説的に敷衍しておるところでありますけれども、定数是正の措置をとらないで選挙を行うということになれば、違憲の法律に従った選挙の執行であるということになると思います。後ほどこれは自治大臣にちょっと伺いたいと思いますけれども、違憲の法律に基づいた執行を責任大臣として執行させる責任、これは大問題が生じてくるんじゃないでしょうか。私は、こうした実際に選挙の執行を違憲の法律に基づいて行う、実は今回の判決によっても、前回の選挙につきましても違憲だという最高裁の判決の趣旨からいきますと、前回の選挙の執行というものは憲法に違反した法律に基づいて行われた選挙の執行であったということになるんじゃないでしょうか。とするならば、内閣の責任はどうなるかということが問題になると思います。議論を分けた場合でも、違法な選挙の執行の責任は内閣として負うべきではないでしょうか。この点についての御見解を承りたいと思います。
○藤波国務大臣 ただいま申し上げましたように、解散権を法律的に制約されるものではないという立場をとっておるところでございます。ただ、その上に総選挙が行われるとした場合に、その総選挙が違法なものであるかどうかということにつきましては、その総選挙をどう判断するかという最高裁のいずれまた判断が行われることになろう、そのように思うわけでございます。 問題は、やはり今のような状況の中で法理論的に解散がやれるのかどうか、総選挙が有効であるのか無効であるのかというようなことはいろいろと検討していかなければならぬ課題であろうと思うのでございますが、むしろ問題は、非常に大事なことは、最高裁判決が出て、そして国民的にも広くその是正が望まれているという今日の状況を踏まえまして、やはり一日も早くこの問題の解決を図る、そのために国会各党の御尽力もお願いをする、政府もできるだけの努力をいたしましてこの問題の解決を図るということが最も大事なことではないだろうかというふうに思うのでして、そのことが何か二番、三番の話になって、理論的に解散権がどうなるのか、あるいはその行われる総選挙が有効であるのか無効であるのかという議論が先走りするというのはいかがなことか。(発言する者あり)政府としても、一日も早くこの問題が解決されるように努力をしていくように国会にもお願いをしたいと思うし、また政府も努力をしていくという、むしろそのことを政府の立場では心から御期待を申し上げておる、こういうことを申し上げておきたいと思います。
○山花委員 今のお話を伺うと、いよいよ解散権制約なしの法律論は間違っているということについての確信を我々持つところでありまして、実は官房長官、もし行われたならばもう一遍最高裁の判決を仰ぐことになるんじゃなかろうか、こういうのんびりしたお話をされましたけれども、今度の最高裁判決はいわばぎりぎりの事情判決です。大変な特徴は、少数意見などが、もし、それでやったならば今度は無効判決ですよ、そうでないとしても一定期間たったら無効の判決が出ますよという方向を示唆したところに今度の判決の大変大きな意義があると思います。 そして、実は今度の判決が出る前ですけれども、内閣法制局の長官が、今官房長官は仮定のとおっしゃいましたけれども、こういう答弁を国会でされております。仮に最高裁の判決によって定数配分規定が違憲とされた場合において——今回違憲とされました。その場合において、定数配分規定の改正前に衆議院の解散権の行使がなされたといたしますと、違憲な定数配分規定に基づく選挙にならざるを得ない。これは長官の、判決がもし出たならばこうなりますよという答弁でありまして、今官房長官おっしゃっていたとおり、まあもう一遍判決もらうというようなそんな生易しいことを考えているわけではないわけであります。やはり考え方としては、これはもう実際には違憲な法律に基づいた選挙の執行はできない、理屈はどう整理されたとしてもそうなんだ、こうお考えになるべきじゃないでしょうか。もっとその点についてはっきりとおっしゃった方が後の理屈づけ楽になるんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
○藤波国務大臣 法理論上解散権は制約されないということを重ねて申し上げたいと存じます。 ただ、こういった最高裁の判決が出ているという状況をやはり頭に置かなければなりますまい。そして、もし定数問題が解決をしていないという状態の中で解散、総選挙に臨む、そして、その総選挙が有効か無効かということが広く各方面からいろいろ論議されるという中で総選挙が行われるというような事態になるということに思いをいたしまして、そういう事態になるということになりますれば十分今の状況、あの最高裁の判決があるなどという状況を政治的には慎重に検討してまいらなければなりますまい、こういうふうに私どもは考えておる次第でございます。
○山花委員 五十九年十月四日、参議院の決算委員会における官房長官の発言ですけれども、「一刻も早く、この問題が法に照らして後ろ暗いことのないような形にしなければならぬというふうに考えておりまして、」こう発言されております。まさにどうも今の御説明は、依然としてこの後ろ暗いところが予想されるようなそんな方針のように受けとめざるを得ない、これがお話を伺った我我の感じでありますけれども、大事なことは、憲法九十九条の憲法擁護義務、従来から統一見解あるいはさまざまな形での政府の答弁が出ていますけれども、この点について官房長官はお立場上どういうように受けとめておられるか、この点伺いたいと思います。
○藤波国務大臣 憲法第九十九条の規定は、憲法が最高法規であることにかんがみ、公務員は憲法の規定を遵守するとともに、その実施に努力すべき趣旨を定めたもの、このように考えておりまして、この規定に基づいて遵守していかなければならぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。
○山花委員 たくさんな政府の答弁書その他私は調べてみましたならば、適切なものといたしまして、森清先生の質問主意書に対する答弁書があります。「憲法第九十九条は、日本国憲法が最高法規であることにかんがみ、天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、憲法の規定を遵守するとともに、その完全な実施に努力しなければならない旨を定めたものである。」こう答弁されてありますけれども、このとおりでよろしゅうございますか。
○藤波国務大臣 今申し上げたとおりでございます。
○山花委員 そこで、「完全な実施に努力しなければならない」ということであるとするならば、少なくとも最高裁が違憲であると言った、そして法制局の長官が、違憲の判決があった場合には、その次ある選挙の執行というものは、もし定数是正なしとするならば違憲の法律に基づいていると言わざるを得ない、ここまでおっしゃっているとするならば、憲法九十九条の今の解釈からするならば、そうした違憲の行政事務の執行、選挙の執行というものは許されるべきではない、それならば解散を選択することはできないだろう、こういう結論にならざるを得ないのじゃないですか。
○藤波国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、法理論上解散権は制約されるものではないというふうに考えております。 ただ、重ねてお答えをすることになりますが、最高裁が判決を行っており、是正がなされていないという状況のもとでどうするかというような事態になりますれば、置かれた状況を十分慎重に考慮して政治的な判断をしなければならぬということになろう、こういうことを先ほど来申し上げておるところでございます。
○山花委員 仮に法律論に固執されたといたしましても、政治的にはできないだろう、こうはっきりおっしゃればよろしいと思うのですけれども、そこのところがなかなかお口に出てこないものですから、くどい質問になるわけです。けれども、最高裁の判決は、従来から国会の怠慢を厳しく指摘すると同時に、行政の怠慢も指摘しておる、内閣の責任も指摘しておると私は考えます。 実は、現在の内閣の構成、新自由クラブとの連立ということになっておりますけれども、かつて前国会、その冒頭におきまして、御承知のとおりの選挙の結果、自民党がマイナス三十六ということになりまして、連立に走りました。そして、その際に国民に発表した合意の文書と政策の協定があります。当時から、要するに目玉は政治倫理の問題と国会の定数是正の問題でありました。ここが中心になっております。 その合意書を見ますと、例えば政治倫理については「憲法五八条でいうところの「院内の秩序をみたした議員を懲罰することができる。」の解釈範囲内で、今国会中に、国会法の改正の措置を講ずる。」と断言しておられます。しかし、残念ながら現在の国会におきましても、衆参院ともにまだできておらぬ。しかも、その中身というものは、憲法五十八条による懲戒権の問題ではなくなってしまったことについても御承知のとおりです。本来、憲法五十八条における「院内の秩序をみたした議員を懲罰することができる。」これを院外の行為に波及させるということについては、司法権独立の観点からも、あるいは議会の自律権の観点からも、恐らく法理論上では不可能であろうということが当初からの大方の見解ではなかったでしょうか。初めからできもしないことを約束したのか、できないことについて、できないということについての研究不足でこういう合意をしたのか、私はこういう問題がここにあると思っています。 同時に、一方、「議員定数の不均衡是正に関しては、先の最高裁判決に応えるため、次期通常国会(特別国会を含む)中に改正案を提出する。」こういうことになっておったわけであります。しかし、これもできませんでした。そして、今日なお、法律については、まだ六・六案が出されて間もないという状態で、継続審議だけということになっています。いわば今日の内閣の存立の基礎にかかわる連立の条件となっておりました政治倫理問題あるいは定数の是正、いずれもだめだったということであるならば、まさに目玉がだめだったわけなんですから、内閣の構成にかかわる問題として内閣の中で議論されるべきではないでしょうか。議論されたんでしょうか。この点についてどうお考えでしょうか。
○藤波国務大臣 自由民主党と新自由クラブとの間には、連立に至りましたときにいろいろお話し合いになったことが、継続していろいろな角度から今日も論議をされておるところでございます。実現しなかったこともあるし、既に実行して、一体になって進めておることもございます。これはおっしゃるとおり内閣の存立の基礎でございますから、その話し合いを大事にいたしまして、今後も努力をしていくということを、新自由クラブと本当に真摯に話し合いを進めていくということをこの機会に申し上げておきたいと思うのでございます。 また、定数の問題につきまして、内閣は是正への努力が足りないではないかという御指摘でございますが、この議員定数の問題は、何といいましても政党政治の非常に大事な部分でございますし、特に国会の構成をいたします。その基礎である議員一人一人の立場を考えてどうしていくかという非常に重要な問題でございます。また、関係をいたします選挙区ということになりますれば、お一人お一人の政治生命をかけた非常に大きな問題でもあるわけでございまして、その中で従来もいろいろな論議が積み上げられてきた、このように私は理解をいたしておるところでございます。政府の方で案をつくって、自治省でこんな案でどうでしょうかといって国会に提出するといたしましても、これは国会での御同意がなければ現実に法律が改正されるわけではありません。 そういうことを考えますと、先ほども申し上げましたように、自由民主党あるいは新自由クラブ初め各党間でこの問題についての御論議を深めていただいて、そして、さあこれでやろう、最高裁の判決に対しても国民に対してもこういうことでこたえていこう、こういう姿勢を出していただくということが最も民主的であり、かつ現実的な改善策だ、こういうふうに考えまして、そのための御努力を政府からもいろいろお願いもしてきておるところでございまして、決して内閣が手をこまぬいておるということではありません。いろいろな立場から努力をしてきているということをぜひ御理解いただきたいと思うのでございます。 〔小泉委員長代理退席、奥野(誠)委員長 代理着席〕
○山花委員 時間となりました。 今の内閣の御努力、大変重要な部分として野党の考え方を十分組み入れる、これが目的達成のために非常に近道だと思います。その点について要望いたしまして、私の質問を終わります。
○奥野(誠)委員長代理 中村巖君。
○中村(巖)委員 本年七月十七日の最高裁判所の定数配分違憲の判決、これは大変重い問題である、重大な問題である、しかも深刻な問題であるというふうに私は思うわけでございまして、今最高裁判所が憲法裁判所として、憲法のもとにすべての国政が行われなければならない、こういうことを明確にするためにああいう判決をしたというふうに思うわけです。 そういう点からすると、最高裁が違憲判決をした、それは立法府に対して非常に責任を問うという問題であると同時に、内閣に対しても、政府に対しても責任を問う、こういうものであったのではないかと思うわけでありますけれども、あの判決以来の政府の方のいろいろなコメントというものは、この事態を非常に深刻に受けとめているというようには思えないわけでございます。あの判決に対して、政府としてはどういうふうに考えておられるのか、どういう受けとめ方をしておられるのか、改めて伺いたいと思います。
○藤波国務大臣 委員御指摘のように、政府といたしましては非常に深刻に最高裁判決を受けとめたところでございます。 ただ、それがどういうふうにすれば実行できるかということになりますと、先ほど来申し上げてきておりますように、何といいましても立法府の、特に各党間のいろいろな論議の深まりがないと現実にこれが是正されないというようなことを念頭に置きまして努力をいたしてきておるところでございます。前国会で継続審査になっております自由民主党案、野党四党案というものを中心にいたしまして、閉会中もなお各党間の論議を深めていただいて、改正されていくようなそういう前向きの御努力をぜひお願いいたしたい。 重ねて申し上げますが、政府といたしましても、最高裁判決を非常に厳粛に、重大に受けとめているということを申し上げておきたいと存じます。
○中村(巖)委員 次に、この判決と解散権の関係ですが、これは先ほどから論議になっているわけでありますけれども、この判決のもとで内閣が憲法七条に基づいて解散権を行使するということは制約されざるを得ないだろうというふうに私どもは思うわけでございまして、先ほど来の官房長官のお話を承っておりますと、解散権を制約する憲法上の規定がないのだ、ないから解散ができるんだ、こういうお話でございます。規定がないことは、それは事実でございましょうけれども、規定がないからといって、じゃ解散権が制約されないということになるということにはならない。憲法には、ただ規定の問題だけではなくて、解釈の問題というものがあるわけでございまして、そういう意味で、先ほど来の論議をも踏まえまして、解散をするということがやはり事実上政治的にいろんな混乱を引き起こす、その意味で解散権というものは制約をされておるんじゃないか、こういうふうに考えますけれども、官房長官のお考えはいかがでしょう。
○藤波国務大臣 最高裁の判決によりまして定数配分規定が違憲とされております以上、国会も政府も最大限の努力を払い、早急な法改正が実現されるように努力しなければならぬ、このことがまず前提でございます。 今回の最高裁判決の中では解散権には触れられていない。そして、純粋の法律論といたしまして、定数配分規定が違憲でありましても、政府の衆議院解散権の行使は制約されないと考えられることは従来も申し上げてきておるとおり、今もその考え方に変わりはありません。 ただ、委員御指摘のように、かくかくしかじかの最高裁判決が出ており、解散権を行使する、そして解散を行ったら、その次に当然衆議院の総選挙ということになりますが、その総選挙が違憲であるかどうかということについてどういう判断が出るのだろうというようなことについていろいろ論議される中での総選挙になろうということは常識的に十分考えられることでございます。したがいまして、実際に置かれました状況の中で解散権を行使するかどうかということになりますれば、いろいろとそのことが与える影響などを頭に置いて十分慎重な検討をする必要が起こってこよう、そういうふうには考えておりますが、法理論上は解散権を制約されるものではないということを重ねて申し上げたいと存じます。
○中村(巖)委員 定数配分の是正ということ、これはやらなければならない、これはだれにも明らかなことでありますけれども、内閣の方では挙げてそれは国会がやる責任があるんだといって国会に押しつけて、自分たちでは一向努力をしようとしてないかのように受け取られるわけでございます。もちろん選挙制度そのものについての法制を整備をするということも内閣の責任であるわけでございまして、そういう意味で、今の中曽根内閣においては、今度の六・六案以外に抜本的に定数是正をするとか、あるいは選挙制度そのものを今の中選挙区、単記無記名というような選挙制度から改めてしまうとか、そういうような構想というものは全然お持ちになっておらないのですか。選挙制度についての何らかの考え方というものをお持ちになっておらないのか、その点を最後に伺っておきます。
○藤波国務大臣 御指摘のようないろいろな具体的な問題につきまして、選挙法全体について、これは政府といたしましては、どういう時代にでもいつもその法律制度の最も理想的なあるべき姿を求めて検討していくという姿勢は大事であるというふうには思うわけでございます。ただ、時間のかかる仕事でございますし、それらは中長期にいろいろな角度から検討されていくべき課題というふうに考えておりまして、それらにつきましてもいろいろ国会での御論議などもございますので、各党のいろいろな御指導もいただきながら政府としても検討はしていかなきゃなるまいというふうに思いますが、今具体的にどういう問題について検討しているということにつきましては、これはどういう問題にいたしましても中長期の課題であると申し上げておかざるを得ないかというふうに思うのでございます。
○中村(巖)委員 今の点ですけれども、その抜本的な定数配分の是正ということについては、今何にも考えておられないのですか。とりあえず六・六案の成立を期すというこれだけしか考えていないということになりますか。いずれ国勢調査の結果等によりましては、それではまた間に合わなくなってくる、こういう事態が来るわけでありますけれども、そのときに倣えて何か考えておられるということはないわけでしょうか。
○藤波国務大臣 定数是正を行います場合には、政府といたしましてもいろいろな角度から検討もし、いろいろな資料も収集し、理想的な姿を求めるための努力はしてまいらなければならぬかというふうに思いますが、それらにつきましてもやはり国会での御論議を十分踏まえさせていただいて、政府として検討していくということでなければなりますまい、そのように考えるわけでございます。政府だけが独走をして何かを構えていくというのでなしに、この問題については国会と政府は一体になって、一緒に考えながら努力をしていくという姿勢が大事か、このように政府としては考えておるところでございます。 当面はやはり緊急の課題といたしまして、最高裁でのああいう判決が出ておるわけでございますから、今、国会に提出されております自民党案、野党四党案を中心にいたしまして論議を深めていただいて、早急な解決を図るということが非常に大事なことではないだろうか、そのように考えて、心から皆様方の御努力をお願い申し上げたいと思う次第でございます。
○中村(巖)委員 終わります。
○奥野(誠)委員長代理 岡田正勝君。
○岡田(正)委員 官房長官にお尋ねしますが、今までの論議を聞いておりまして、官房長官は、政府といたしましては日本国憲法を守るんだという気持ちがありますか。
○藤波国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、十分ございます。
○岡田(正)委員 十分あるのであれば、定数是正ができないままに例えば解散する、こういう事態に立ち至ったとしても、解散権の行使は法理論上何ら制約されることはないということを何遍も何遍も繰り返しておっしゃっておりますね。だけれども、今度のあの判決は、現在の選挙法、別表のことでありますが、選挙法は違憲だと言っているんですか、違憲の疑いありと言っているんですか、どっちですか。
○藤波国務大臣 違憲であると申しております。
○岡田(正)委員 しからば、現在の選挙法は違憲である、こういうことがはっきり判決で出ておりますのに、それをあえて、その判決を受けて定数是正をしないままに解散権を行使するということは法理論上何ら制約されるものではない、いつでも抜くぞということをおっしゃるというのは、政府としては憲法をいつでも破るぞ、こういうことをはっきり言っておるのと違いますか。
○藤波国務大臣 定数配分規定は違憲であるということを私ども厳粛に受けとめているところでございます。したがいまして、その是正を急がなければいかぬ。政府もまた国会にもお願いもし、努力をしていかなければならぬと考えております。一方、解散権は内閣総理大臣に与えられた権限でございまして、これは何物にも制約されるものではないという法理論上の立場をとっておるところでございます。 ただ、先ほど来申し上げてきておりますように、それではその解散権を行使するというような事態が起こったときに、もう何にも考えないで、これはもう解散だと言ってそこで解散権を行使するのかということになりますれば、最高裁判所からかくかくしかじかの判決が出ている、そして、その議員定数の配分は違憲だと決めつけられている、そこで解散をやる、その行われる総選挙が果たして憲法から見て効力のあるものかどうかというような議論が各方面から出てこよう。総選挙ということになれば、恐らくその論議の中で総選挙が行われることになろうということも十分予測されることでございますから、現実に解散権を行使するかどうかという瀬戸際に立った場合、内閣総理大臣に与えられておる人権ではありますけれども、いろいろそういうふうに置かれておる状況を頭に置いて慎重に検討して判断されることになろうということを申し上げておるわけでございまして、重ねて申し上げますが、法理論上解散権は制約されるものではないということを念のために申し上げておきたいと思います。
○岡田(正)委員 これは何ともかんとも聞きにくい答弁でありまして、この問題だけは——靖国も随分問題になることでありますが、靖国の問題のように憲法判断の上において云々というような問題じゃないと私は思うのですね、これだけははっきり判決が出ているのですから。だから、違憲の判決が出ておる現在の選挙法のままで選挙を行使する、すなわち解散、選挙を行使するということは明らかに憲法違反となるというふうに国民も受け取っておりますし、我々もそう思っておりますが、政府はどう思っていますか。もう一遍はっきり言ってください。
○藤波国務大臣 最高裁判所から判決が出ておるのでございますから、最高裁判所の判決に従いまして、一日も早くこの議員定数配分が是正されるという努力をするということが一番大事なことではないか。政府といたしましても最大限の努力をいたしますし、国会におきましても特に各党間の論議を深めていただくようにぜひお願い申し上げたい、こう考える次第でございます。解散権は制約されるものではありません。ただ、現実に解散をするかどうかということになりました場合に、これはいろいろなことを慎重に検討してみて、そこで重大な判断をしなければなりますまい、こういうふうに申し上げているわけでございまして、ぜひひとつみんなで一日も早く、この最高裁判所判決を改善への努力要請というふうに受けとめて、これを重大に受けとめて、最善の努力をして具体的に改善されていくように、私どもも努力をいたしますが、ぜひ各党間の御努力をお願いをしたい、心からそのようにお願い申し上げる次第でございます。
○岡田(正)委員 どうも満足できないのですが、やはり解散権は法理論上制約されないということを何やらの一つ覚えみたいに一生懸命、だれかが後ろで見ているのかというぐらいに熱心にお述べになりますが、しからば、この定数是正がないままに、違法の選挙法のままに選挙を執行した場合、最高裁の判決の中で述べられておるあの附帯意見がありましたね、あれを今度はどう考えられますか。どのように受けとめられますか。
○藤波国務大臣 正確を期さなければいかぬと思いまして文章を見ておるところでございますが、いろいろな補足意見がつけられておりますことは政府としても十分これを受けとめて、しかも、それらを念頭に置いて今後対処してまいらなければなりますまいということは十分認識をいたしておる次第でございます。 しかし、これはあくまでも補足意見は補足意見でございますので、政府といたしましては十分これらを頭に置いて検討はいたしてまいりますが、補足意見として受けとめる、こういう意味で認識をしておるということも申し上げておきたいと存じます。
○岡田(正)委員 正確を期するためにわざわざお出しになったのですから、選挙法を改正しないままに違憲の選挙を行った場合はこうあるべきであります、こうやりますよという非常に重大な意味のことを書いてありますが、あそこのところを官房長官の口によって、正確を期する意味でちょっと読んでみてください。
○藤波国務大臣 「右是正措置が講ぜられることなく、現行議員定数配分規定のままで施行された場合における選挙の効力については、多数意見で指摘する諸般の事情を総合考察して判断されることになるから、その効力を否定せざるを得ないこともあり得る。」というところとか、それから、「なお国会が議員定数配分規定の改正を行わないため、同一の違憲の議員定数配分規定に基づき選挙が行われたときは、もはやその選挙につき重ねて事情判決的処理を繰り返すことは相当でなく、」「原則どおり、当該選挙を直ちに無効とするか、又は少なくとも一定期間経過後に選挙無効の効果を生ずるとの判決をすべきものと考える。」というのが補足意見の中に含まれております。
○岡田(正)委員 時間が来ましたのでこれをもってやめますが、私は、官房長官並びに政府のこの七月十七日の最高裁の判決を重々しく受け取っておりますというその答弁に対しては、大変な疑義を持っておることをこの際はっきり申し上げておきます。今までの御主張をいろいろ聞きましても、とにかくのらりくらりと逃げることに一生懸命でありますし、しかも、この補足意見などに至りましては、正確を期するためでありましょうが、相当の時間をかけなければ答弁が出てこないというようなことも、私は、重々しくではなくて、案外この判決を何をぬかすかというように軽軽しく受け取っておるのではないかというような気持ちさえするのでありまして、今のこの是正問題が明確に改正されない限りは、このまま解散、総選挙を執行するということは、その選挙の効力を否定することになり、あるいはその選挙の効果を無効にすることがあり得るということが明確に出ておる問題でありますだけに、政府のもっともっと真剣な取り組みをこの際要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
○奥野(誠)委員長代理 野間友一君。
○野間委員 私も違憲の定数配分規定と解散権の行使について、長官に質問したいと思います。 解散権は法律上制約されない、これは一貫しておっしゃっております。その理由の一つとして、解散権の行使と総選挙の執行は別個の問題だ、こう言われております。 そこで、お聞きしますけれども、解散権の行使をした、その際に総選挙の執行のない場合というのはあり得るわけですかどうですか。
○小笠原説明員 お答えを申し上げます。内閣総理大臣によって国会が解散をせられた場合におきましては、憲法の規定に基づきまして、それと手続的には公職選挙法の規定に基づきまして総選挙を執行しなければならないことになっております。
○野間委員 長官、あなた、そんなことがわからぬのですか。解散したら必ず総選挙しなければならぬのでしょう。これは一体のものですよ。解散だけして総選挙をしないで済むいわれはない、法律はない、法はないわけでしょう。その際に、明確に違憲な定数配分規定で選挙しなければならぬ。当たり前でしょう。一体のものでしょう。そうじゃないんですか。
○藤波国務大臣 何回も申し上げておりますように、法理論上別個のものでございますが、現実には一体のものだというふうに考えます。
○野間委員 東京高裁の判決、御存じですか。五十九年十月十九日付で、違憲の定数配分規定に基づく解散は事実上制約されるという判示をしておるのは御存じですか。それについてどう思われますか。
○小笠原説明員 お答えを申し上げます。 五十八年総選挙に関します昨年の東京高裁の判決の中で解散権の行使について触れておる部分がございます。それは、被告である東京都選挙管理委員会……(野間委員「ちょっと簡単にやってくれ、時間がありません」と呼ぶ)結局、解散権の行使による選挙につきまして、それは解散権に基づく選挙だから定数是正が行われてなくても無効にすることはできないという被告の主張に対しまして、高等裁判所といたしましては、任期満了による選挙であろうと解散権に基づく選挙であろうと、無効についての判断は同じである、そのことによって解散権が事実上拘束されるようなことになってもそれはやむを得ないということを傍論として付言をしておるわけでございます。
○野間委員 私、今一、二聞いただけですよね。これはイロハなんです。これについて長官はまともにお答えできない。非常に遺憾です。先ほどから話がありましたけれども、この判決を本当に重重しく受けとめておられるかどうか、私も非常に疑問に思います。政治的に考えても、実際重要な政策で国民に信を問う際に、その信の問い方、仕組みそのものが憲法に違反しておるという際に、正当な国民の信を問うことはできないわけでしょう。政治的にも制約されるのは当たり前なんです。ここでもう少し勉強していただきまして正確な御答弁をいただきたい、私はこのことをつけ加えまして、終わります。
○奥野(誠)委員長代理 これにて内閣官房長官に対する質疑は終わりました。 質疑を続行いたします。坂本三十次君。
○坂本委員 きょうは当委員会においては、いわゆる六・六案とか野党案とかということは正式な議題にはなっていない、一般質問だ、こういうことでございますから、私のいろいろ考えたことを申し述べて、自分の所信を申し述べて、それについての所感を政府の方からもお聞きをしたい、こう思っております。これが六・六案なり何なりが議題になっておれば、私も質問をしたり、その質問の途中なりあるいはまたその後なりに修正案を出そう、こう用意をしておったわけでございますが、きょうはどうもそういう場所ではない。何か委員部の方に聞くと、議事手続上の法的効力は今出してもそのときだけで、きょうで消えてしまいますよというから、それはつまらぬというわけで、きょうは出してもしようがないと思って出さぬことにいたしておきます。 ただ、御承知のとおり、私も自由民主党の一員であります。ところが、この自由民主党というのはまことに幅の広い、いいところのある政党でありまして、金丸信君外数名でいわゆる六・六案を出す、しかし院の構成に関することだし、非常に大事なことだから、君たちも異論があったらひとつ委員会審議に入ったら堂々と所信を述べなさい、修正案を出すことも結構です、党議で拘束などはいたしません、これは総務会の決定であります。そういうことで準備をしておりましたけれども、きょうはちょっとまだ議題になっていないということからそれは取りやめにいたしまするが、そのときの話と今とはだんだん事情が違ってまいりまして、判決もいよいよ現実として厳しく出た、これに対してはやはりしっかり受けとめなければならない。それから、十月一日に国勢調査が行われるわけでありまして、それまでに一件落着をさせるのならば緊急暫定案というものもある程度これは緊急避難として意味があったかもしらぬが、そういう時間的な進行の中で、今ごろ緊急暫定案みたいなものをやっても、どうもこれは国民の納得は得られそうもない、私はそう思っております。しかし、あくまでもまた次の委員会で六・六案なり何なりが出ますれば、これに対抗するために我我は修正案を出さざるを得ない、こう思っておるわけであります。しかし、そういうことよりも、先ほど申したように、国勢調査も十月一日に行われるし、それまでには六・六案はもうだれが考えても成立するわけにはいきません。そういう事態になりますると、もっとより抜本的な、より常識的な私の見解をここでひとつ申し上げたいと思うわけであります。公職選挙法改正案について私の考え方を骨子としてこの席をおかりして申し上げたい、それについて政府の方においても所見があったら後ほどどうぞお答えをしていただきたい、こう思っております。 その骨子の第一は、一票の重さの格差の是正をするということは、これは立法府が怠っておったわけで、最高裁からも指摘されたとおりでありまして、格差の是正はやらなければならぬ。その範囲、いわゆる許容限度ということにつきましてはいろいろ意見があろうかと思います。これは最高裁判所の意見をそんたくしてみたり各党いろいろ考えたりしておりまするが、私の意見としては許容限度は一対三以内でもよかろう、こう思っております。 二番目には、現行中選挙区制度を維持した方がいい、維持すべきである。つまり、二人区とか六人区はつくらない、これが第二の原則であります。 それから、第三は、先ほども申しましたように、六十年国勢調査はもう目の前ですから、これの結果を見て、それを基礎にして改正に取り組むべきである。これは常識でしょうね。それが三番目。 そこで、四番目としては、以上申し上げましたこの三つの原則によって、選挙制度審議会という権威のあるものがちゃんと法律であるわけでありますから、この審議会に具体案を諮問をして、しかも期限を切って答申を求めて、その答申を改正案として国会に提出する、こういうのが私の考え方の基本であります。 これを具体的に考えれば、定数の是正ではなくて、つまり選挙区域の変更、線引きの変更、こういうことにならざるを得ない、こう思っております。これが私の意見であります。 こういう私の意見は、私自身がいいと思うのは当たり前ですね、自分が言っていることが。だけれども、周りの人に聞いても、心ある人は、君の意見は正論であると言う人も大分あります。余り人の名前を言うとちょっと差しさわりがあるかもしれませんが、物のわかった人は相当おります。今閣僚などをしておるから、その名前を言うと迷惑がかかるから言わない。これは正論だ、こう言う人もございます。ですから、この六・六案なるものについては苦心のあるところはようわかっておりますけれども、一年半もこれはずっとやってこられたんでしょうけれども、一年半たってもちょっと困る、なかなかすんなりいかない。そういうときになったら余りこだわらない方がいいのではないですかね。原則はちゃんと持って、そして具体案などはこの審議会にかけて知恵もかりる、こういうやり方でやっていく。神戸市のシンボルマークは風見鶏だ、こういうのですけれども、まあひとつ私の言ったようなこの原則というものを踏まえて柔軟に対応してもらって、六・六案を出したときと風向きは違うわけですから、ここでひとつ柔軟に対応する、余りいつまでも六・六案などにはこだわらぬ、こういう姿勢でいけばこれはもう遠からず通りますよ。そうでない限りはなかなか難しい、私はそう思っております。 自治大臣、ひとつ私の意見について、なるほど君の言うことは正論だ、こうおっしゃっていただけば一番いいけれども、正直なところをお返事をしてください。
○古屋国務大臣 坂本先生のお話を聞いておりまして、長らく先生の定数是正あるいは選挙法改正に対する御意見につきましては、十分私も傾聴すべきものがあると考えております。 ただ、本年七月の最高裁の判決によりまして現在の定数配分は違憲と言っておりますので、なるべく早くこれを何とかしなければならない。で、現在自民党におきましてもまた野党におかれましても、六・六案あるいはこの改正案を御提出になっておるのでございます。でございますので、違憲状態とされている現状を早急に解消するということが一番私ども大切でございまして、当面不均衡の著しい選挙区につきまして最小限度の是正をするために提案されたと考えております。また、野党の定数是正案も、当面の措置として同様の見地に立ちまして提案されたものと承知しております。 つまり、結論的に言いますと、審議会の問題、いろいろ先生からお話しの問題はあるのでありますが、とにかく現行の定数配分規定が違憲であるという異例な事態を一日も早く脱却するにはどうしたらいいかということにおきまして、この定数配分という選挙の基本的なルールの問題でございますので、先生方の各党間のお話によりまして定数是正が一日も早くできますということを私は期待しておるのでございまして、その間におきましてそういう先生の御意見も十分検討させていただき、また、それに対するいろいろな考え方もお聞きいたしまして、ともあれ私どもは一日も早く各党間のお話し合いによってこの改正案が決定されることを心から期待をしておるものでございます。
○坂本委員 最高裁判所の指摘を謙虚に受けとめて、なるほどと聞いて反省をして、早くその一票の格差の是正を図りたいという気持ちは、これはもう国会各党、与野党を問わず、また政府のあなたも同じことだろうと思っております。ただ最高裁判所の指摘を受けたのは、これは当然の指摘を受けたわけでありますけれども、この事の本質は選挙法の改正でありますから、選挙制度というものについてのしっかりした考え方、認識というものを持たなくて——それは格差の是正だけは何とでもしてやりたい、早くやりたいとおっしゃる気持ち、これは皆さん一緒なんですよ。だけれども、それで出てきた選挙制度というもの、例えば六十年続いた中選挙区制度というこういう制度ですね、それについて二人区をつくると言って真っ向から風穴をあげるような感じを持たせるのは、これがなかなか混乱をしておるもとになるわけでありますから、やはりその六十年も続いた中選挙区制度というもの、二人区をつくらないという、つくるなと野党の皆さんもおっしゃるが、私もその方がいいと思いますよ。その点を柔軟に考え直せば、これは割と早くすっと通りますよ。その辺がやはりちとこだわるなと私は申し上げておるところでありまして、各党間の話し合いをもちろんやりますけれども、どうぞひとつ政府においても中選挙区制度を維持するという、それは非常に大事なことだなという認識を持っていただきたいなと私は思うのです。 今の中選挙区制度というのは、府県にまず定数を配分して、その府県の中で三ないし五人で区切ったわけでありまして、そういう制度なんですね。三ないし五ですから二人区は当然ないわけでありまして、二人区をつくると将来小選挙区につながるのではないかという危惧を持つのがまず当たり前だと私は思っております。 二人区をつくるということは、自民党の中ではこれは自民党に有利な案だよと言う人も相当あります。それは当分そうだと思いますね。当分そうだと思いますけれども、しかし、それは、つまり過疎地における二人区ができたらそれを独占しようという考えでありましょう。制度がそうなったら、もちろんそう努力するのは当たり前のことであります。だけれども、余り選挙区を小さくするよりも今の中選挙区制度、三ないし五人の中で、三人のうち二人とろうや、四人のうちひとつ二人、いや三人までとりたいよ、五人のうち三人はまあ無理かもしらぬが、二人はどうしてもとりたいよ、こういう努力でやってきた。そうして、そういう三ないし五名という、何といいましょうか、国民的批判については多少緩衝、クッションみたいなところもありまして、政党だけではなしに人を選ぶという要素も出てきます。 そういうところから、そういう小選挙区の方が自民党にうんと有利で中選挙区が不利だという、私はそういう気はしないのですがね。つまり、そういう三の中で二をとろうや、四の中でひとつ二か三はとりたい、そういう姿勢の方がかえってこれは戦後の保守政権独占をもたらしてきたところではないかな、私はそう思っておりますから、二人区というものも我が党の党利党略と言ってしまえばそれまでですが、それは単純過ぎるのではないかなという考えも私は持っておるのです。いや、そんな党利党略について質問をしておるわけではありません。新たに二人区というものをここで特別つくっても、それでもなおかつやはり早くやった方がいい、こうお考えになっておられるかどうか、ちょっと御所見を承りたい。
○古屋国務大臣 坂本先生の御意見を伺っておりまして、ただいま自民党から提案されておる六・六の改正案におきましては二人区が四選挙区生ずることになるのでありますが、これは総定数をふやさない、選挙区の境界変更を行わないというもとに定数是正を行おうとされておるのであると私は考えております。したがいまして、いわゆる中選挙区制の変更を意図するものではないというふうに考えております。 もし、二人区の生じますことを避けようとすれば、選挙区の境界を変更するということも必要だと思いますが、今の選挙区は大正十四年に中選挙区制度が採用されて以来の歴史を持っておりまして、地理的、社会的、経済的に見て合理性を持ち、これをみだりに変更することは適当でない。境界変更はその地域の代表選出の基盤を変更するものであるから、基本的ルールを確立して行うべきものでありますが、今回の法案はあくまでも暫定措置として、境界変更を行うことは適当でないというふうにされておるのであります。 それから、先ほど申し上げましたように、定数是正が極めて緊急の課題であるということから、選挙区の境界の変更は行わないというふうに私は承知しております。だから、選挙区定数の調整のみによって定数是正を行おうといたしましたために、結果として二人区が生じたものでありまして、当面の緊急暫定措置としてはやむを得ないのではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。
○坂本委員 選挙区を長い間固定してきたものだから、それを動かさない方がいい、こう思ったあげくに二人区というのができてしまった、これはやむを得ない、こうおっしゃいます。選挙区の区域の方を動かさない、親切でそうおっしゃっているんでしょうと思いますよ。だけれども、それじゃ中選挙区制度を動かさないという発想がそのときになかったんですね。中選挙区制度、そういうシステムと歴史的な沿革の中に今の選挙区というものが三ないし五で割った結果で出てきたのですからね。それをあなたは選挙区を動かさないという発想のもとで二人区ができた、やむを得ないことだ、こうおっしゃるけれども、中選挙区制度がもとにあって、その後で今の選挙区ができたんですから、中選挙区制度を守るという発想の方がより基本的になる、私はそう思っております。ですから、それのためには境界線を多少変更すればよろしい、こういうのが私の発想です。これはやはりこれからもいろいろお話し合いを詰めていきたいなと思います。六・六案と私の今言っておる案はちょっと異質で、定数を動かそうというのと、それから境界線変更で調整しようというのとちょっとやり方は違いますから、簡単に妥協はできないと私は思いますが、ひとつより論議を深めて、私の案を採用していただければ国会はずっと通ってしまう、こういうことになるわけであります。どうぞひとつよくお考えをいただきたいと思っております。 それから、これは申すまでもないことでありましょうけれども、選挙法の改正というものは直近の国勢調査の結果によってやる、こう言っております。今暫定緊急避難だとおっしゃって五十五年度でやろうとおっしゃっておりますが、しかし五十五年度といったって六十年国調はもう目の前に来ておるわけであります。その結果が正確に出るまではとかいっても暇がかかりますから、この際は五十五年度の基準でやろうと思っても、これはちょっと難しいですね。常識から見てもこれは納得が難しいだろうと思いますよ。これはやはり十月に入っても五十五年度を基礎でやった方がいいか、いや十月に入ったらもうすぐ概数が出るんだし、そして概数と確定値の誤差なんというのはこの前の五十五年度の例をとってみても十万分の二だという。ほとんどないということだね。そんなようなことだから、もう結果はすぐ目に見えておる、やはり六十年度の調査結果を基礎にした方がいい、私はそう思うのですよ。だけれども、自治大臣はどうお考えになりますか。どっちの基準をとった方がいいか。
○古屋国務大臣 今のお話は、国勢調査が十月一日に行われ、結論もそう遠くないうちに出るから、そういうことをやはり考えなければならないじゃないか、少なくとも概数によって是正してもいいんではないかという先生のお話でございますが、七月の最高裁の判決によりまして現行の定数配分は違憲というふうに判示されたので、できるだけ一刻も早くこれを直さなければならない。政府といたしましては、さきの国会におきまして自民党あるいは野党四党から定数是正案が提案されておるところでございます、現段階においてはまずこれらの両案について鋭意御論議をいただき、早急にその是正を実現していただきまして、その後の定数配分の見直しについてどうするかということにつきましては、今後国会におきましても十分論議をしていただきたいと考えております。 公選法の別表の第一の規定は、国会が衆議院の定数配分規定を改正するについての訓示的規定でありまして、立法に際しての指針を示しているものであると考えております。したがいまして、定数是正を行うに際しまして、国勢調査の結果としての人口について概数人口によるべきかあるいは確定人口によるべきか、これは当該定数是正の時期、内容等を総合的に考えて決定しなければならない問題と考えておるのでございます。
○坂本委員 急がなければいかぬですけれども、当然最高裁の意見はやはり謙虚に耳を傾けてやらなければならぬことは百も承知なんですが、ただ事が選挙法の改正ですから、ここに意見の対立がある。もう一年半たってもつまずいておる、こういうことは残念だと思います。だから、何が何でも緊急避難だから緊急避難だからというのは、これは去年の段階あるいはことしのこの前の国会までの話でありまして、もうこうなったらもう少し腰を据えて、六・六案などよりはもっと抜本的な視野の広い、そして長い歴史的な選挙制度の沿革にものっとって、今言ったような私の原則に立ってもっと幅広くやった方がかえって早くなる、私はこう思いますよ。緊急避難というのは地震か何か起こったときにむちゃくちゃに逃げ出すみたいな感じですから、最高裁判所の判決があったから、それでびっくりして逃げなければならぬというだけではこれはやはり困るのであります。もちろんそういうことはないでしょう。ないでしょうけれども、それなりの選挙法、選挙制度を、やはり国会の土俵ですから与野党を通じてある程度納得のできるものをお出しになった方が、緊急避難の名のもとに五十五年で二人区をつくってということはかえっておくれますよ。非常にそういう心配をしておるわけであります。そういう私どもの気持ちも政府はよく考えられた方がいいと私は思っております。 この間、中曽根総理にしばらくぶりにお会いしまして、総理は近ごろ非常にお元気ですな、大変活発な御意見も出ておりますね、お元気な秘訣は何ですか、人を食っておるからですかと聞いたら、いや、私はそんなことはありません、私は常に「遠山の日付」でやっておりますから元気が出るのであります、こう言った。だれかの言った言葉とよく似ておるわけでありまして、「遠山の日付」というのは、私は時々剣術用語を借用して使う言葉であります。その一番小さいところ六つだ、それを切ればいい、小人数じゃないか、抵抗が少ない、そういう発想もあるでしょうね。選挙区は動かさない、それもやはり議員心理に対する配慮なんでしょうね。それを考えることも大事だろうと思いますけれども、しかし一方、中選挙区制度に風穴をあけるということになりますと、これは私はなかなかコンセンサスは——国会の土俵づくりですからね。横綱なら土俵を小さくした方がいいですよ、つかまえてすぐわざをかける、ちょっと弱いと、いや、野党が弱いというわけじゃないよ。だけれども、ある程度の幅の広さがないと自由自在に動けない。だから、土俵の大きさを六十年目に変えようと言っても、いや、今までどおりの土俵がいいですよというのが私は常識だろうと思いますね。 そういう意味で、緊急避難で六つだけ何とかすれば済むじゃないか、その方が手っ取り早い、こういうお考えが非常に強いと思いますよ。だけれども、それが裏目に出ているから一年半もひっかかるのでありまして、みんなが公平に我慢するところは我慢する。そのときにはプリンシプル、原則というものが要りますよ。その原則は、先ほど私が申し上げましたような格差の是正と現行中選挙区制度の維持、そして六十年国調の結果によってやる、審議会に具体的なところは諮問をし、期限を切って答申してもらう、これが私は「遠山の日付」だと思うね。バランスのとれたいろいろな各党の意見を初め、沿革から歴史から、最高裁判所の判決の趣旨ももちろん受けとめてやるわけですから、その方がかえってみんなが納得しやすいと私は思います。 私が学生のときに論語などを読むと、「行くに径によらず」と書いてある。余り小さい早道をさっと行こうとするとかえって遅くなるということです。大道を歩むということで、「行くに径によらず」という言葉もあるくらいですから、緊急避難で手っ取り早く、早く早くと思う余りにそれ以上に大きな面についての配慮が欠けてきてかえって反発を大きく招くということもありますから、大局を見てみんなに我慢してもらう、しかし大方の人が反対できないような柱だけは立てて改正に臨む、私はその方がかえって急がば回れだと思っておるのでありますが、どうですか。自治大臣の御感想をいただきたいと思います。
○古屋国務大臣 今坂本先生から、定数改正については急ぐことなく慎重に、しかも国会の中で十分論議をする問題がたくさんあるし、緊急避難的な措置ということよりも長期的にそういうような点を考えて改正を行えばその方がかえって結論が早く出るだろう、そのような御意見を伺いました。 もちろんそういう意見も十分尊重しながら、このルールづくりの自民党案あるいは野党四党案というものを中心としてぜひ論議をしていただいて、緊急というと今のようにお話があるかもしれませんが、違憲状態というものを何とかして早く解消をすることが一番大切ではなかろうか。先ほどからお話のありましたように、憲法を遵守、そしてまた判決の趣旨を考えますと、違法な状況にある、違憲であることが言われておるのでありますから、この違憲という意味をできるだけ早く直していただく、根本的ないろいろの問題につきましては暫定的に直して、そして、その次の国会のルールの場で定数是正その他について継続して御審議をいただくことがやはり私は一つの方法であるかと思っております。 何と申しましても今そういう違憲である、国会は怠慢である、政府もこういうことは十分反省をしていかなければならぬということで、この両案につきまして十分御審議をいただき、それによって少なくとも違憲状態が解消できる日が一日も早からんことを心から私は念願しているのであります。先生の御意見等については、この委員会の場におきまして私どもまた意見を申し上げる機会があれば申し上げますし、どうぞそういうような案を中心としてとりあえず御審議をいただきたいというのが私どもの念願でございます。
○坂本委員 これは今議員提案が、六・六案にしろ野党案にしろ、出ておるわけでございますから、あなたは当事者じゃございませんので、政治家として、国務大臣として私は御見識をお伺い申し上げておるということでございます。我々の方が責任があるということでありまして、決して引っ張って長引かそうなんてそんな気持ちはございません。ただ、最高裁の判決に配慮するのは当然ですけれども、それだけにとらわれて選挙制度全体を見失ったりしますとかえって遅くなりますよ、私の言った方がかえって早くなることがありますよ、急がば回れですよ、こう申したので、引っ張っていこう、長引かそう、そんなつもりはいささかもありません。一日も早く違憲状態を解消しなければならぬ、それは誤解のないようにお願いをいたします。 それはそうと、私は具体的な細かい点は審議会にお任せした方がよかろう、こう申しましたね。原則を示して、その後審議会に具体案をお願いしたらどうか、こう申しましたね。ところが、この選挙制度審議会というのは法律に基づいた最高の権威のある審議会のはずであります。これは行政改革、臨調あるいはまた教育改革の臨時教育審議会、それにも劣らぬ非常にウエートのある審議会だと私は思っております。現内閣も大変民意を尊重されるせいか、非常に審議会が活用をされておりますね。法律的な審議会だけではなしに個人的な諮問機関もたくさんつくって、いろいろ第三者機関の知恵をかりるということをやっておりますね。ただ、そんなに審議会がお好きなのにこれだけは委員を空白にしたままほうっておくということは、私はちょっと怠けておるのじゃないかと思います。委員を早急に入れて、そして、このたびの公職選挙法改正についてもひとつ協力をしていただいたらどうかなと思いますよ。審議会などに諮ったって、そんなものは何年たったってとても難しい、結論は出ないという方もおりますけれども、国会としての原則は、格差は是正しますよ、しかし中選挙区制度は維持していきましょう、そして基準は六十年だ、それだけ一応お示しして、そのあとのところは大いにひとつ具体的な問題はどうかお知恵を拝借したい、こうやった方が早いと思いますよ。そして、答申を期限を切ってお願いしたい、その方が決して長くならないと思いますがね。そういうふうに審議会を活用されてはどうかと私は思うのです。 そういう意味で、いまだに委員を空白のままでおいておく、各党だけでおやりくださいといったって、これは正直なことを言いましても、原則を立てるときは国会はやはりやると私は思いますけれども、政党だとか議員個人が非常に細かいデリケートな、利害関係のあるようなことに深はまりするということはどうでしょうか。かえって私はうまくいかないような気がいたしますよ。そういうところは原則は国会で示して、あとの微妙なデリケートな、損得勘定などの出るようなところは議員は一切知らぬ、お任せする、それは公平な第三者機関だ、あるいは選挙制度審議会である、この方が私はうまくいくのではないか、こういう気持ちでおるわけでありまして、時間も来ましたので、ひとつ簡単に御所見をお伺いしたいと思います。
○古屋国務大臣 今先生のお話は、こういう重要な問題であるから選挙制度審議会というものを活用すべきではないかという御意見でございます。御承知のように、選挙制度審議会におきましては、総理の諮問に応じまして、公の選挙及び投票の制度に関する重要事項、国会議員の選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定める基準及び具体案の作成に関する事項、政党その他の政治団体及び政治資金の制度に関する重要事項、選挙公明化運動の推進に関する重要事項、これらの問題について調査審議をするものと設置法でされておるのでありまして、昭和三十六年以降四十七年まで七次にわたりまして選挙制度全般につきまして論議が重ねられましたことは、今のお話で御承知のとおりであります。 現在問題になっております衆議院議員の定数是正は、私は緊急を要する課題であるということを申し上げたわけでありますが、これについては昭和五十年の定数是正の例に倣いまして、立法府を構成する各党間で十分論議をしていただくことが適当であると考えましたために、選挙制度審議会を再発足させることはしなかったわけでございます。なお、選挙制度審議会は、さきに申し上げましたとおり、選挙制度の全般にわたり、重要な事項について調査審議をするための機関でありまして、今後必要に応じ審議をお願いすることも必要だと考えておりますが、この定数の問題につきましては、今申し上げましたように、非常に緊急性のある問題、それから五十年の定数是正の例の場合、そういうようなものを考えまして、現在は選挙制度審議会においてこういう問題で審議をお願いするよりも各党間でルールを御論議いただいた方が私は捷径であると思っておりますが、今の先生のお話は、そういう審議会を活用したらどうかという御意見でございます。そういうような点で、私どもの考え方と先生の考え方は、根本は同じでありましても若干違っておるかと思っておりますが、一刻も早く定数の問題については違憲の状態を解消いたしたいということで、定数の問題は、審議会におきましてもいろいろの制約がございますので、そういうところの意見が出ましてもこれは一つの参考でございまして、私どもといたしましては、ルールづくりは国会の先生方においてお話しを願うことがより早急で、より適切であると考えた次第でございますので、御了承を願いたいと思います。
○坂本委員 私の意見を中曽根総理によろしくお伝えください。 御苦労さんでした。ありがとうございます。
○奥野(誠)委員長代理 山花貞夫君。
○山花委員 初めに、自治大臣にお伺いいたします。 大臣も今緊急の課題としておりました定数是正をめぐる将来の法案の審議に当たりましては、大事な問題点として国勢調査の結果がいつごろどのような形で発表されるのかということがあると思います。従来その要計表を年内に発表されておったようでありますけれども、六十年度国調におきましては大体どのようなスケジュールを今お持ちになっておるのか、発表していただきたいと思います。
○小笠原説明員 お答え申し上げます。 昭和六十年国勢調査は本年十月一日を調査期日として実施されるものでございますが、その人口に係る公表につきましては、要計表に基づく速報は全国都道府県、市町村別人口といたしまして本年十二月末日までに官報で公示される予定になっております。その後、確定人口につきましては都道府県及び市区町村別の結果の集計の完了した都道府県ごとに逐次公示されまして、全国の結果は明六十一年十一月末までにそれぞれ官報で公示される予定である、このように承っております。
○山花委員 御予定と同時に、従来の例を見ると、五十年国調につきましては要計表を十二月十日に、これは官報に掲載されませんでしたけれども出ております。五十五年国調については五十五年十二月十九日に官報に掲載されております。今、予定とされましては十二月の末まで、あるいは十一月の末までということのようですけれども、最近は統計の集計の手段などについても随分変わってきているんじゃないかと思いますので、従来よりは早い時期に出るのではなかろうか、こういう予測もありますけれども、そのぎりぎりの予定は今お話しのとおりといたしまして、従来よりもっと早くなるのではないでしょうか。その辺についてはどうお考えになっていますか。
○酒井説明員 国勢調査の結果につきましては、従来からコンピューターの導入に努めまして集計の早期公表に努めているところでございますが、今年十二月末に公表いたしますところは手集計にかかわる部分でございまして、調査員の作成した要計表に基づくところでございまして、これは従来よりも早くなるというよりも、同時期またはそれより若干遅いというような見込みで考えております。
○山花委員 次に、法制局長官に伺いたいと思います。 先ほど官房長官とのやりとりで解散権の制約の問題について政府の考え方を伺いました。官房長官の答弁も、伺ってみると、従来法制局の長官が国会で答弁したところ、これをコピーしているという感じがいたしましたけれども、長官の答弁、従来の議事録を拝見いたしますと、きょうの官房長官の話もそうだったのですが、解散権制約されずということについて三つの理由を挙げておられます。 特に、そのうち第三番目のところですけれども、解散の問題と選挙の問題は別なのだ、こういう説明もありまして、先ほどやりとりありましたけれども、法制局としましては解散権制約されず、こういうふうにお考えになっている理由につきまして、特に第三番日の理由の中身をちょっと敷衍していただいて御説明していただきたいと思います。
○茂串説明員 お答え申し上げます。 若干重複する答弁になるかもしれませんが、従来我々が国会でも御答弁申し上げている解散権のいわゆる不制約の理由でございますが、まず第一には、衆議院の解散制度は、立法府と行政府の意見が対立するとか国政上の重大な局面が生じまして、主権者たる国民の意思を確かめる必要があるというような場合に、国民に訴えてその判定を求めるということを主たるねらいとして憲法に明定されている基本的な重要な制度でございます。 この解散権の制度は、また同時に、権力分立制のもとで立法府と行政府との権力の権衡を保つという機能を果たすものであると言われております。そして、このような基本的な重要な機能である解散権につきまして、憲法上これを制約する明文の規定は、御承知のとおり、ございません。また、衆議院で不信任決議案が可決されたような場合におきましても、解散権の行使が許されないといたしますと、内閣としては総辞職の道しかないことになりまして、憲法六十九条の趣旨が全うされないということになるわけでございます。 それから、さらにまた、解散がありますと、それに伴って総選挙が施行されることになるわけでございますが、解散は議員の身分を任期満了前に失わせるものでありまして、総選挙というものは解散だけではなくて任期満了の場合もあるわけでございますが、解散あるいは任期満了に伴って国民が新たな議員を選任するという行為でございまして、それぞれ別の規定に従って行われる別個のものであるということは明らかでございます。 これらのことを総合勘案いたしますと、純粋の法律論といたしましては、定数配分規定の改正前におきましても衆議院解散権の行使が否定されることにはならないというふうに私どもは考えておる次第でございます。
○山花委員 今純粋の法律論とおっしゃいましたけれども、官房長官も実際は一体のものである、こういうようにお認めになりました。純粋の法律論としてということであったとしても、その解散権の行使は総選挙の施行と一体のものではないでしょうか。現実の問題として、長官、どうお考えに、なりますか。
○茂串説明員 ただいま申し上げたとおりでございまして、法律の規定上の、あるいは法律上の仕組みといたしましては、あくまでもこれは別個でございます。解散があればもちろん総選挙は伴う、これは先ほど申しましたように、解散というものが議員全体の任期をいわば繰り上げてその身分を失わせるというところにその意味合いがあるわけでございますから、それに伴いまして今度新しい衆議院を組織するために総選挙が行われるという意味では当然つながりのあることはもとよりでございます。ただ、別個と申しますのは、解散権の憲法上の意味合いと申しますか、そういった点はやはり別個独立の重要な意味合いを持っておるということでございまして、先ほど申しましたように、国政上重大な局面に立ち至った場合に総選挙を通じて改めて主権者たる国民の民意を問い、衆議院に新鮮な民意を反映させる制度でありまして、その意味で、いわば民主的性格を有する基本的に重要な制度でございます。したがいまして、国民の意思を問うべき重大な局面が生じた場合に、定数配分規定の改正前であることを理由として解散を抑制して国民の意思を問わないということにすることは、国民主権主義を基本原理として国政が国民の意思に従って行われることを予定している憲法の精神にむしろ合致しないことになるのではないかというふうに考える次第でございます。
○山花委員 今の長官の法律論は、私は国民は納得しない、こういうように思います。 今、国民主権を尊重するとおっしゃいましたけれども、今のお話は、解散権の観念的な法律論で制約なしとした上で、結論的には最高裁も違憲であると認めている定数配分規定、今の違憲の公職選挙法によって選挙を執行しなければならないということになるのじゃないでしょうか。 長官は、あの判決が出る前の答弁、仮にこうなるということについて触れたことがありますけれども、改めて判決が出たところで伺いたいと思います。 今度の最高裁判決、違憲の断定をどう受けとめておられるのか。そして、今度の最高裁の違憲判決の中身からすると、もし定数の是正が行われずして選挙の執行ということがあった場合には、違憲と断定された法律によって選挙を執行することになるのではないか。その場合は違法な選挙の執行ということになるのではないですか。長官に伺います。
○茂串説明員 その点は前にもお答えしたことがあるわけでございますが、仮に法改正が行われないままで衆議院議員の任期が満了するに至った場合をお考えいただきますと、この場合には、総選挙を施行することができないとしますと衆議院の不存在という事態が生ずることになるわけでございますが、そのような事態が生ずることがもとより憲法の予想するところではないことはもう明らかでございます。したがって、このような場合には、違憲とされた定数配分規定に基づくものであっても総選挙を執行することがむしろ憲法全体の精神にかない、憲法全体の秩序を全うすることになるという解釈が出てくるわけでございまして、このような総選挙の執行が御指摘の憲法第九十九条、恐らくこの規定に違反するのではないかという御意見であると思いますけれども、この憲法九十九条の規定の趣旨に反するものとは考えておりません。 そして、かねがね申し上げておりますように、衆議院の解散権というものが憲法上の極めて基本的に重要な機能であるということ等にかんがみますれば、ただいま申し上げた理は、定数配分規定の改正前における衆議院解散権の行使についても妥当するのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○山花委員 私は任期満了問題について聞いていないわけでありまして、まだ任期満了まで二年ありますから、その間に二年間じっくり議論して抜本的な策まで触れていけばよろしいという議論については今触れておらないわけであります。解散権の問題について触れています。むしろ内閣不信任案の場合解散すべきである、その方が憲法の秩序に沿うというお話でしたけれども、むしろ長官の解釈というものは、いわば憲法を、原則を破壊していく解釈である、こういうように受けとめざるを得ません。 先走って憲法九十九条の憲法擁護義務とのかかわりがあるだろうとおっしゃいましたけれども、この九十九条の関係につきましても先ほど官房長官に質問をいたしました。例えば内閣の考え方といたしまして、この解釈につきましては単に擁護義務があるということだけではなく完全に実施する義務がある、こういうように認めていらっしゃるわけでありまして、憲法の規定というものを完全に実施するということになれば、違憲の法律に基づいた選挙を執行するということはできないのではなかろうか、私はこういうように思いますけれども、憲法擁護義務とのかかわりにおきまして、違憲であると断定された公職選挙法によって違法な選挙を行うことがなぜ憲法の完全実施を求められている内閣あるいは国会議員の立場で憲法違反とならないのか、理屈がありましたならば教えていただきたいと思います。
○茂串説明員 御指摘のとおり憲法九十九条の規定というものは、公務員が憲法の規定を遵守するとともに、その実施に努力しなければならないという趣旨を定めたものでございます。ただ、憲法全体の趣旨と申しますか、憲法全体の調和ある解釈をいたします場合には、先ほどもるる申し上げましたように、この衆議院の解散権というものもこれまた憲法上の極めて基本的な機能あるいは制度でございまして、これに対する評価というものは、憲法上の非常に高い評価が与えられてしかるべきであろうかと思うのでございます。 それと、それから、ただいまお話がございました、違憲と断定された定数配分規定に基づく選挙というものが一体許されるかという問題との結局矛盾、衝突の問題であろうかと思うのでありますが、私どもといたしましては、その場合には、先ほども触れましたように、任期満了の場合を考えれば、おのずからそこに憲法全体にある精神と申しますか条理と申しますか、そういうものが読み取れるわけでございまして、それと同じような意味で解散権に対する基本的な制度であるという評価を与えた上での解釈といたしましては、任期満了の場合と同じように、仮に違憲とされた定数配分規定がそのまま残っておる。実は私はこの違憲とされた定数配分規定がそのまま残っておるという大前提で議論することは大変遺憾だと思うのであります。当然、この定数配分規定が違憲と断定された以上は、速やかに一刻も早く国会あるいは政府において努力してこれを改正すべきであるので、その改正をすることなしにそのような特殊な事態、異例な事態を前提にして議論すること自体が私としては大変につらいのでございますけれども、そういった異例な事態であるということを前提にして考えれば、先ほど申し上げたような憲法全体の趣旨からする結論と申しますか解釈と申しますか、そういうところに到達せざるを得ない、これが私の考え方でございます。
○山花委員 違憲の法律が存在することを前提としての議論は大変苦しい議論だとおっしゃいましたけれども、余り抽象的な法律議論を交わすことは重複になりますから、具体的に詰めて伺いたいと思いますが、今度の最高裁の判決は、まさに五十八年十二月十八日施行の選挙は全体として違憲であった、そして事情判決という中身になっていますが、補足意見も言っておりますとおり、「本件選挙が違法である旨の宣言は、実質的には、本件選挙が憲法に違反するものであることを明らかにしたものにほかならない。」こう少数意見が言っていますけれども、私もそのとおりだと思いますが、長官、この部分についてはどう思いますか。
○茂串説明員 ただいまの補足意見は、多数意見に属する十四裁判官のうち四裁判官の補足意見と承知しておりますが、今お話のあった「本件選挙が違法である旨の宣言は、実質的には、本件選挙が憲法に違反するものであることを明らかにしたものにほかならない。」ということは、そのとおりであると思います。
○山花委員 といたしますと、この前の選挙すら違憲、違法であったという判断になります。ということになれば、最高裁の違憲判決によってそのことが明確にされた以上は、この次行われる選挙も定数是正なしとするならば当然違憲である、違法であるということになるのじゃないでしょうか。その点について、判決があった後の今の状態、これをも加えて長官に答弁いただきたいと思います。
○茂串説明員 その点につきましてはこれからの問題でございまして、どのような事態が生じ、また、どのような訴訟が起こり、そして、どのような判決が下るかという点につきまして、私からこの段階でいろいろ御説明するとか、あるいは推測して意見を申し上げるということは差し控えたいと思います。
○山花委員 長官は、都合が悪くなると、仮定の問題は言えないとおっしゃっておりますけれども、この前の判決が出る前はお答えになっているのですよ、国会できちんと。長官は、今回七月十七日の判決が出る前は、「仮に最高裁の判決によって定数配分規定が違憲とされた場合において、定数配分規定の改正前に衆議院の解散権の行使がなされるといたしますと、違憲な定数配分規定に基づく選挙にならざるを得ない」、これは議事録をそのまま引用いたしましたけれども、きょうになりましたら、今度は、先のことは仮定で言えないと言うのは、これは明らかにわかり打ったことについてお答えにならないということじゃないですか。 自治大臣に伺います、時間の関係がありますから。 自治大臣、今の議論のようなわけなのですけれども、前回の選挙ですら最高裁は違憲であったとおっしゃっている。とすると、いわば選挙執行の責任者としての立場にある自治大臣としては、定数是正がなければ違憲な、すなわち違法な選挙の執行の責任者となることはできない、こうならざるを得ないじゃないでしょうか。それとも、違憲だとわかっていることをやれ、やれと言って指示をして、違法な選挙の執行をなさるおつもりですか。いかがでしょう。
○古屋国務大臣 お話しのように、最高裁の判決によりまして定数配分規定が違憲とされました以上、私どもは最大限の努力を払いまして、早急な法改正が実現するように努力しなければならぬことは当然でございます。選挙を担当する私、自治大臣といたしましては、定数是正が一日も早く実現することを念願しておるところでございます。
○山花委員 官房長官は立場がありますからいろいろ無理なおっしゃり方がありましても、自治大臣は自分の責任ですからね。最高裁で悪いとされたものについて、それをやるわけにはいかぬじゃないですか。もっとはっきりと、私の立場としてはやはり解散はできないと思います、こういう結論が出なければおかしいのじゃないですか。重ねてその点お伺いします。最後に質問します。
○古屋国務大臣 やはり選挙を担当する自治大臣といたしましては、早急に是正をしていただきまして、今お話しになりましたような心配がないようにするということが適切であると私は考えております。
○山花委員 何十回開いても同じお答えだと思いますけれども、結局そういうお答えしかできないということは、私の方の主張をお認めになっているんじゃなかろうか。問わず語りにそのことの結論が今の重複した答えだというふうに私は理解をして、質問を終わらせていただきたいと思います。
○奥野(誠)委員長代理 中村巖君。
○中村(巖)委員 今の定数配分が違憲の状態にあるという最高裁の判決があったわけでありますけれども、これは日本の国の中において過疎と過密ということがどんどん進行している、こういう結果であるわけでありまして、そこで自治省に伺いたいのですが、自治省としては住民基本台帳というものに基づくところの人口の調査をしておられるというふうに思いますが、その過疎化、過密化の現象というものは今日なおずっと進行しているということになるんでしょうか。そして、最近の住民基本台帳の登録の人口の調査によると、選挙区間の格差、最大どのくらいになっておるのでしょうか。
○小笠原説明員 お答え申し上げます。 住民基本台帳による全国的な人口の調査につきましては、毎年自治省といたしましては、三月三十一日現在の住民登録台帳登載者を全国の都道府県、市町村の御協力を得まして集計をいたしまして、発表しておるところでございます。 過疎過密の関係がどうかということでございますが、過疎過密ということの評価もございますが、依然として都市及び都市周辺の人口がふえ、従来から減少あるいは減少の傾向にあった地域がそのような傾向にあることは一般的に言えるのではないかというふうに思うわけでございます。 数値についてのお尋ねでございましたので、次に申し述べさせていただきますと、今年三月三十一日現在の住民基本台帳人口によりまして選挙区別議員一人当たりの人口を比較してみますと、最大は千葉四区の五十四万九千五百一人、それから最小は兵庫五区の十一万一千九百三十人ということになっておりまして、その格差は四・九一倍ということでございます。 現在、自由民主党から提案されております定数是正案と同様な考え方で対象選挙区をとらえてみますと、六増・六減のいわゆる十二の選挙区に対しまして、四つの選挙区が加わって十六の選挙区になる、こういうことになるわけでございます。
○中村(巖)委員 次に、国勢調査のことについて伺いますけれども、国勢調査が十月一日に行われるわけでございますが、この国勢調査の集計方法と申しますか、どういうような手続でもってこの数が出されてくるのか、そして、その概数というようなものはどうやって出てくるのか、最終結果はいつごろ、どういうふうに出てくるのか、そのことを御説明いただきたいです。
○酒井説明員 お答えいたします。 集計結果は、まず調査員が担当する地域の人口、世帯数についてまとめましたものをもとにして、市区町村、都道府県が作成した要計表による全国都道府県、市区町村別人口を六十年十二月下旬に公表する予定としております。ことしの十二月下旬ということになります。 その後、全調査票による集計を行いまして、全国都道府県、市区町村別人口について六十一年十一月までに公表する予定となっております。これにより全国都道府県、市区町村別人口が確定するということになります。
○中村(巖)委員 要計表というのはどういうのですか。
○酒井説明員 お答えいたします。 最初に申しましたように、調査員が担当する区域、調査区と申しますが、その地域における人口数、世帯数をまとめたものでございまして、これをもとにいたしまして市区町村、都道府県がサマリー表、手集計による集計表を作成いたします。これをもとにして集計するものを要計表による集計結果と申しております。
○中村(巖)委員 そこで、その要計表による概数というかそういうものと最終結果というものとの間に誤差が出るということはあり得るのでしょうか。そして、なぜにそういうような誤差というものが、出るとすれば生ずることになるのでしょうか。
○酒井説明員 お答えいたします。 要計表による人口、手集計による集計でございますから、あとマークシートによります全調査票を使いまして機械集計を行います確定人口、世帯数とは差が出てくるところでございまして、差の出てくる要因といたしましては、調査員の合算ミス、さらには市区町村が全調査員の事項をまとめる際での転記ミス、合算ミス等が考えられます。
○中村(巖)委員 その誤差の程度というのは、従来の経験上からいうとどのくらい出るのですか。
○酒井説明員 お答えいたします。 概数と確定数との乖離の程度についてという問いだと思いますが、五十五年の国勢調査の結果に基づきまして述べたいと思います。要計表による人口と確定数を五十五年で比べてみますと、全国で二千九百十一人、要計表の方が少なくなっております。
○中村(巖)委員 そうすると、国勢調査の要計表による概数というものは、最終結果とほとんど違いがないということになるように思われますけれども、その要計表の結果によって選挙区の定数配分の是正をするということは不都合なところがあるのでしょうか。
○小笠原説明員 お答えを申し上げます。 公職選挙法の別表第一の末尾の規定は、御案内のように、「本表は、」「五年ごとに、直近に行われた国勢調査の結果によって、更正するのを例とする。」という規定になっておるわけでございますが、これは従来からの解釈といたしまして、極めて訓示的な規定であって、立法に際しての方針を示しておるものと言われておるわけでございます。 ところで、定数是正を行うに際しまして、国勢調査の結果としての人口について、概数人口によるべきかあるいは確定人口によるべきかということにつきましては、先ほど自治大臣の方から御答弁も申し上げましたけれども、当該定数是正の時期あるいは内容等総合的に考慮して決定されるべき問題ではなかろうか、このように考えておるわけでございます。
○中村(巖)委員 ということは、概数によって定数是正をしたとしても違法というか不法な、不当であるというようなことはないということですね。
○小笠原説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、概数人口によるかあるいは確定人口によるかは、定数是正の行われる時期、どうしても確定人口の結果まで待てないというような事情があるかどうかというようなこと、あるいは定数是正の内容等を総合的に判断してお決めになる問題でございまして、いかなる場合にも概数人口を使えないということはないわけでございます。 ただ、一般論として申し上げますならば、衆議院議員の議員定数配分という問題は国政上の極めて重要な問題でございますし、非常にデリケートな問題でございますから、その根拠としてはやはり最終的に確定していないものによるのは適当ではないのではないかと考えられますし、また定数配分を一たん決定されますと永続性を持つものでございますから、その決定の際、速報としての性格を持つ概数人口によるという必然性は一般的にはないのではないか、このように思っておるわけでございます。
○中村(巖)委員 今の御答弁はちょっと前後矛盾をしているように私には受け取れたのです。当初おっしゃったときには、その状況によってどちらでも選択ができるのだと言いながら、後段では概数によるのは適当ではないというようなおっしゃり方、それはちょっと矛盾だと思うのですが、どちらが真意であるわけですか。
○小笠原説明員 先ほど御答弁申し上げたことを繰り返すようになりますけれども、国勢調査の結果として概数人口によるべきかあるいは確定人口によるべきかというのは、その定数是正を現実に検討している場合の時期とか、先ほど言いましたように、その内容とかそういうようなものを総合して判断して、どちらによることが一番適当であるかということでお決めいただくべき問題ではなかろうかと考えておるわけでございます。
○中村(巖)委員 じゃ、今度質問を変えまして自治大臣にお伺いをいたしますけれども、自治大臣は先ほど来、この定数配分の是正の問題については、とりあえず今、国会に出ておるところの自民党案あるいは野党四党案、これの早期成立を望んでおるというお話でございます。この今、国会に出されている法案について、言うならば大臣としてもこれは暫定的なものだというふうに御認識になって、その後にさらにこれを是正しなければならないというお考えにお立ちになっておられるわけですね。
○古屋国務大臣 御質問の点で先ほどから私もお答えしておるところでございますが、違憲であるということに対しましては、できるだけ早くそういう状況を解消していただく努力ということが必要であり、そのためには、現在自民党案あるいは野党四党案というものが出ておるのでございます、その両方を中心にして御論議をいただきまして、とりあえずと申しますか暫定的には、この違憲の状態を解消しなければならないということが一番焦眉の急務であると私は考えております。ただお話のように、ことしの国勢調査の結果が出て、今後定数をどうするかということにつきましては、それが出ました時点におきましてぜひまたこういう問題について御論議をいただくことが適切であると考えております。
○中村(巖)委員 今度の国勢調査、六十年国調の結果が出た場合にどういうふうにしていきたいという点についての自治大臣としてのお考えというものはないわけですか。国会で御論議をいただきたい、こういうことだけですか。
○古屋国務大臣 やはり議員定数是正というのはルールづくりの基本でございますので、そういうような国勢調査の結果が出ました場合にはそれを中心に御論議をいただくことが適当ではないかと考えております。また、政府といたしましても、そういう問題が出ました場合にいろいろの政府の御意見を申し上げなければならないことは当然と考えております。
○中村(巖)委員 最後に、一点だけやはり自治大臣にお尋ねをいたしておきますけれども、自治大臣としてはこの定数配分のあり方として、今後の問題、一選挙区当たりの定数がどういう範囲内であるのが妥当である、こういうふうに考えておられるのか。具体的に言うならば、二名あるいは六名というような選挙区もこれは中選挙区制としてあり得るというふうにお思いになっているのかどうか、それを伺っておきます。
○古屋国務大臣 私は、やはり中選挙区制は当然維持しなければならない問題だと考えております。したがいまして、この定数の是正につきまして、暫定的には違憲の状態を解消するということが第一歩でございまして、その場合におきましてどういうような議員定数、選挙区になるかということは、やはり自民党の提案あるいは四党の提案等もございますから、十分お話しをいただきまして早急に結論が出ることを私は念願しております。したがいまして、一とか六というような問題につきましては、この国会の場におきまして十分御審議を賜ることができればありがたいと考えております。
○中村(巖)委員 時間がなくなりましたので、終わります。
○奥野(誠)委員長代理 岡田正勝君。
○岡田(正)委員 自治大臣、我々は休会中に調査をいたしましたが、そのことは冒頭に各代表者から発表がありましたけれども、その中でこういう問題がありましたね。大臣どう思われるか、ひとつお気持ちをまず冒頭に聞かしていただきたい、こう思うのであります。 実は、三つの地区に分けて申し上げますと、山形の二区と新潟四区という、これは対象には上がってない区の問題でありますが、まだ国調が済んでないこの時期、国調が目の前にある、来月ある、こういう状態のときに各地域で持っておられる悩みを聞いてきたのでありますが、こういうことを言われるのですね。山形二区の場合は今第六位ですよね。それで、国勢調査が終わりましたら恐らくやこれが新潟四区と順序がひっくり返るんじゃないかということが大方の見通してあります。そうなると、かたはず外れるか入るか、いわゆる六・六でいくとするならば減員に入るか入らぬかという悩みがありますね。それから、今のは人口ですが、現実に有権者の数だけということになると、現時点においても山形二区の方が数が多いわけですね。それで、なぜおらたちのところへ、こういう気持ちがまざまざとにじみ出ておりました。これが一つ。 それから、いま一つは石川二区の場合でありますが、七百名ほど人数が少ないために減員区の中に入っちゃった、こういうことになるわけであります。これを知事さんなんかがおっしゃるのには、石川県全体で一区、二区合わせると合計六名の国会議員の数でありますが、富山県も一区、二区合わせて六名の定員。同じ六名でありますが、富山県よりも二万人も我が石川県は人口が多いのに、選挙区の境界線の区割りがうまくいってないために、なぜ人口が二万人多い石川県が、六名が一名減って五名になるのだろうか、実に悲しい。富山と石川は県境を接しておりますから、なおさら県民感情としては納得のいかないものがあるのです。こういう悩み。 それから、兵庫県におきましては、兵庫五区は全国で一番人口が少ないというようなことから対象にされておるわけでありますが、兵庫県全体の人口でいったら日本で第七番目になるのですね。それで、現在の定員の割り当ては兵庫県は二十名です。ところが、人口割で素直に割ったら現在でも二十二名なんですね。だけれども、現実に配分になっておるのは二十名である。そこへもっていって兵庫五区が少ないからというゆえをもって一名減にするということは、二十二名もらっておっておかしくない県が今少ない二十名で我慢している、その二十名をさらに一名減らして十九名にする。三名も差が広がってしまう。この矛盾はやりきれぬですなという御意見を本当に素直におっしゃっておりました。 この三つの地区とも私は本当に同情を禁じ得ないものがあったのですが、大臣としては一体どういうふうに思われますか、この三つの矛盾は。
○古屋国務大臣 今先生のお話しになりました山形二区の問題、石川県の問題、それから兵庫県五区の問題等につきまして、今お話しのような御意見がありますことは、私も最近石川の方へ行ってまいりまして、地元からよく聞いてまいりました。石川等におきましては、富山と比べて人口も多い、それから歴史的な伝統的な点、県民性から見ても、富山県より減るのはおかしい、こういう御意見は私も率直に伺ってまいりました。でございますので、これらをどうするか。今六・六案として自民党が出しておりますのと野党四党におきまして出しております実とがございます。私は、その間、この公職選挙法の委員会を休会中にも開いていただきました皆さんの御熱心さには本当に感激しておりますけれども、そういう問題をどういうふうに調整するか、ルールづくりをどういうふうにするかという問題につきましては、県民感情とかそういう点から考えますと、それぞれの地域の事情がありますので大変難しい問題だと思っておりますが、このルールづくりにつきまして、ぜひ一番専門の先生方において法案審議に際しましてのいろいろの御意見を承りながら、最高裁の違憲状態を脱するに最小限度はどうしたらいいかということを頭に置きながら、そういうような選挙区あるいは県民感情ということもお考えいただきまして、この対象の選挙区にある方のお気持ちや選挙民のお気持ちというのは本当に重大な問題でございますので、そういう対象区の議員の方々あるいは選挙民の状況ということも十分頭に置きながら、この定数是正という、違憲状態をどうしたらできるだけ早く脱却できるかということを頭に置きながら一私、そういって皆さんに御審議をお願いするというと、おまえ何だ、それだけで政府は何もしないのか、こういうふうにお話しになるのが非常につろうございますが、そういうそれぞれの地域の感情を私も今先生のお話によっていろいろと伺っております。でございますので、そういう事情もそれぞれ先生方が頭に置かれまして、この定数是正をどういうふうに審議していくか、そういう点におきまして早急に御意見がまとまることを私は期待をし、また、お願いをしていきたいと思っております。
○岡田(正)委員 大臣としては今おっしゃったような言い方しかできないと思います。できないと思いますが、しかし、減員区となります当該の選挙区にとりましては、これは事大変重大な問題でありまして、どうしても避けられぬものなら納得のいく定数是正をやってもらいたいというのが本音じゃないでしょうか。それであるだけに、今減員されるかされぬかという断崖のがけっ縁に立っておる県民の方々の感情を推察しますと、調査に参りました私どもとしても本当に耐えられぬものがあるのですよ。だがしかし、それは憲法違反というあの最高裁の判決からいっても、事はないがしろにできませんので、進めていかなければなりません。 しかし、その基本が人口ということになるのならば、もう目の前で十月一日には国勢調査があるじゃないか。その国勢調査があれば、例えばの話、六・六でいくとするならば、かたはず外れる県も出てくる、また不幸なことに入ってくる県も出てくるというような問題はありますが、どうせやってくれるのならはっきりした数字でやってもらいたいという気持ちは各県民の中にはあるのではないか。特に今度は、減員区ということを抜きにして全国民的に考えた場合、自民党さんが出しました六・六法案にいたしましても私ども野党が出しました野党案にいたしましても、どの案だって絶対無二のものというのは世の中にはないと私は思います。やはり話し合いで大いに詰めていかなければならぬと思います。その際に、目の前に国勢調査の実施の時期、十月一日が迫ってきたというこういう段階におきますと、国勢調査、一番新しい調査の基礎をもって定数配分をすべきではないかというのが国民の間から起こってきておる大きな声だと思うのです。そのことについて、現在は五十五年国調の人口を基礎としてやろうとしておるわけでありますが、そういう声については大臣はどう思われますか。六十年国調を基礎とすべしという声に対しては大臣はどう思われますか。
○古屋国務大臣 岡田委員のお話は私もよくわかります。目の前にそういう結果が、十二月になれば概数が出る。出れば、今のお話のように、例えば山形とか新潟とか数字が変わってくるというようなことも大体予想はつくところでございます。ただ、どこに限界を置くかということが一番問題でございまして、それは十二月に概数が出て、それでやっても遅くはないという考え方であれば、そういうことも一つの方法だと思います。だから、違憲状態を一刻も早く解消したいということで今の案が出ておるのでございますから、この案を中心にしてぜひ御論議を賜ることが違憲状態を最小限度にすることができる一つの方法ではないかと私は考えておりまして、いろいろの意見のあるところでございます。私といたしましては、提案されております両案を中心にし、また、それに対していろいろの御意見もあると思います。そういう点を中心にしてぜひこの委員会におきまして御討議を願うことが一番望ましい。そして、今のお話のように、国勢調査の確定数字が出ました場合におきましては、余り均衡状態を失っておるというような問題につきましてはまた国勢調査の結果によりまして御審議をお願いするということも必要ではないかと私は考えております。
○岡田(正)委員 大臣、しつこいようでありますが、仮定の話ですよ。十月の中旬くらいから臨時国会が始まりまして、恐らくこの定数問題と共済年金問題が焦点になるであろうと思います。そこで、十月の臨時国会が恐らく十二月の中旬ぐらいまで会期が設けられるとだれもが常識的に考えておりますね。そうすると、この定数是正の問題が、例えば臨時国会でこれが詰めて詰めて詰めていって結論が出たといたしましても、その出る時期というのは十二月の中旬でございますね。ところが、下旬には六十年国調の要計表の発表があるわけですね。その差というのは恐らく十日ぐらいの差しゃないでしょうか。 そういう場合に、我々はあくまでもしゃくし定規に慎重にそういうことを言っておりますけれども、十二月の段階になって国会では違憲判決を受けて緊急避難的な定数是正をした。その是正をしたというのが例えば六・六案といたしますか、六・六案が決まった十日後には概数表が出た。そうすると、またいわゆる許容誤差三倍以内という分でいつでも、何だこれは、六・六じゃ話にならぬじゃないか、これこそろくでもない案だ、こういうようなことを国民は思いやしませんか。国会というのは何をやっているんだろうかな。たった十日の違いで、いや、これが是正案であります。それで、十日後にはもう六・六では全然三倍以内の許容誤差には入らないという要計表が出てくる。しかも、それが確定をする来年十一月と言われておるところのいわゆる確定発表と比べても、今おっしゃった問答を聞いておりますと、一億二千万を超えておる国民の中でこの要計表との誤差は、昨年の場合で二千九百十一名というでしょう。ということになりますと、十二万分の三じゃありませんか。十二万分の三をはかるゲージがあるでしょうか、精密機械の工場に行っても。十二万分の三をはかるゲージというのはありませんよ。 こういうことを考えましたら、いわゆる要計表の発表というのは確定の発表と考えてもいいぐらいに私は思う。恐らく国民はそう思うと思うのですよ。そういう国民感情、何だ十日の違いでこんなことをして、でたらめをするじゃないかという感覚。恐らく、これが決まったら最後、何ぼ早くても五年は改正をしないぞ、下手をすると十年もいじらぬぞというのが国民の疑いじゃないでしょうか。そういう国民のいわゆる疑いと、反面、期待ですね、それに対して大臣はどう思われますかね。私は十日間の日にちの開きが国民の期待を大きく裏切ることがあるのではないかと心配をするのでありますが、大臣は心配しませんか。
○古屋国務大臣 事実問題として考えました場合、大変難しい問題で、先生のお話を聞いておりましても私もそういう感じはもちろん持っております。ただ、今の違憲状態を一刻も早く直すという、くどくど申し上げて申しわけありませんが、そういう観点からいたしますれば、国会も政府も、とにかくこの審議で一応違憲状態は解消した、その後の問題につきましてはいつになるか、それはまた国会の御判断等もあるわけでございますけれども、そう言うといかにも私も頭が古いみたいに感じますけれども、率直に言いますと、違憲状態を一刻も早く解決したい。だから、今の一対三というところの御提案になっております案を十分に、そして、できるだけ早く御論議をいただきまして結論を賜りたいと思っております。 ただ、十二月の二十日ごろそういう概数が出たら、また国民はそれをどうするか。いろいろ今までやったことを批判するし、日の先を見る力がなかったというような批判ももちろん出ると思います。一応の違憲状態を解消して、この後はどうするかということを、私からそういうことを言うのは大変言いにくいことでございますが、その出た数字を見まして、それによって御論議をいただく機会をつくっていただくことが適切ではないかと考えておるのでございまして、大変自信ないようなことを申しまして恐縮でございますが、率直に言うと、あと十日なら十日で出るならそうじゃないかというような考え方は、もちろん国民の意識というのはわかっております。違憲状態を一日も早くなくしたいということからすれば、ぜひ今の自民党あるいは野党四党から提案されております案を中心に御審議をいただいて結論を得るということが一番適切ではないかと私は考えておりますが、先生の御意見はよく承りましたので、頭に置きながら進めていきたいと思います。
○岡田(正)委員 時間が参りましたので、これをもって終わらせていただきますが、先ほど来の問答を聞いておりましても、六十年国調のいわゆる要計表というのは定数配分の基礎に使えないことはない、それは使えるんだ、状況によって勘案できるということをはっきりと当局の口から承りました。これは非常に重要な問題でありまして、国民の皆さんたちも今の答弁、いわゆる要計表であっても使おうと思えば使える、確定表でなくてもいいんだということは非常に大きな問題でありまして、今言うように臨時国会が終わるその最後の瞬間に定数是正が行われる、十日ぐらいして要計表が出る、言うならば六十年度国調の人口が出てくるということになった場合、もう国民のほとんど全部の人と言ってもいいぐらいの人が、臨時国会で改正をしたであろうその定数配分については大きな異議を持ってあろうと私は思うのであります。恐らく選挙無効の訴えあるいは選挙差しとめの訴えというようなものが続々と出てくるという、またもや恥ずかしい姿を国民にお目にかけるのではないかという疑念を持っておることを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
○奥野(誠)委員長代理 野間友一君。
○野間委員 定数是正の問題についてはもう先ほどからるる論議されておりますが、民主主義の根幹にかかわる当面する最重要の課題の一つだということは何人も異論のないところであります。ただ、その際、大臣の答弁もずっと聞いておりましたけれども、単なる当座しのぎとか拙速では私はだめだと思うのですね。私ども共産党が一貫して申し上げておりますのは、現行の中選挙区制、つまり三人から五人区制を守る、二人区制はつくらない、格差については一対二未満、そして、これに必要な、例えば二名以下とか五名を超えた場合には適正な合区や分区や境界変更を行うというようなことを提案しておるのですけれども、こういう立場から自治大臣の所見をこれから質問の中でお伺いしたいというふうに思うわけであります。 何しろ、最高裁判所の判決をまつまでもなく、五十五年の国調の最大格差が四・五四倍、この間発表された自治省の住民基本台帳によりますと四・九一倍、これは異常なんですね。ですから、最高裁判所の判決をまつまでもなく、国会があるいは行政が一体となって本当に国会の権威にかけていいものをつくるということと、国民の納得いくようなものをつくっていくということが私は最大の責務ではなかろうかというふうに思うわけであります。最高裁の判決の中にもございますように、一票の価値の平等は、一人一票の原則と等しく、法のもとにおける平等の非常に重要な中身だ、こういうふうに判断しております。格差の点について言いますと、一人が二票の投票を行うということに等しい、そういう価値の不平等は認められない、格差は少なくとも一対二未満でなければならない、これは常識だと私は思うのです。よく一対二以下とか未満という使い分けをしますが、正確に言いますと、一対二以下になりますと二が入るわけですね。したがって、正確に一対二未満というふうに私は申し上げておるのです。 そこで、最初に大臣にお伺いしたいのは、今申し上げておりますように、少なくとも格差は一対二未満で定数の是正をすべきである、これが国民の常識にも合致しますし、また立法や行政のなすべき最大の責務ではなかろうかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○古屋国務大臣 今のお話の格差の問題で、一対二という共産党のお考えは承りました。大体、高等裁判所の判決を見ましても、許容範囲を二倍以内としているものと、それから三倍以内としているものがございます。学者の間にも二倍以内とするものが出ております。また、世論も二倍あるいは三倍以内など、さまざまな御意見があることは承知しております。昭和五十八年十一月並びに本年七月の最高裁の判決では、格差を一対二・九二としました昭和五十年の定数是正につきまして、従来違憲とされました投票価値の不平等状態は一応解消されたものと評価しておりまして、現在審議中の自民党あるいは野党四党の定数是正案は、いずれも五十年の定数是正と同程度の是正を必要とするものであると承知しておりまして、これは最高裁判所の判決に沿うものと私は理解をしております。ただ、そういう意見があるということは私もよく承知しております。
○野間委員 大臣にお聞きしたのは、格差は一対二未満が最も——それは一対一が一番理想だと思いますけれども、少なくとも一対二未満に抑えなければならぬというふうに私は思うのですけれども、大臣の御見解を承りたい。
○古屋国務大臣 私としては、今提案をされております、一対二・九二という、最高裁の判決で許容されたものがそういう状況でございますので、一挙に一対二ということにすることは全選挙区に大きな影響を与えるのではないかと考えておりまして、私としては、理論的にはそういうことはわかりますが、実際問題としては現在は一対三が適当ではないか、これは私の私見かもしれませんが、そういうふうに考えております。
○野間委員 きょうの時点ではそういうふうにお伺いしておきます。 ただもう一つ、今答弁の中で私、解せないのは、最高裁判所の格差についての判示の読み方なんです。一対二・九二というようなことを今たしか引かれたと思いますけれども、最高裁判所の判決の中では、基準についてはこれは判示はしていないということを御承知だろうと思うんですね。 じゃ、この五十八年判決をどう読むのかということについて若干申し上げますと、最高裁の調査官がよく判例評釈なり判例解釈をやりますね。「ジュリスト」のナンバー八百六ですが、ここで江見弘武さんという最高裁判所調査官がこの五十八年判決について解説をしております。これによりましても、一対二・九二、この点については、「合理的期間内における是正の有無との関連において述べられているにとどまることを考慮すると、右のように推認することには、ちゅうちょを感じる。」この「右のように」というのは、基準と見ることにちゅうちょを感じるということですね。だから、一対二・九二、ここまで最高裁判所が許容したというような判示はしていないわけですけれども、この点について最高裁判所の判決の読み方を正確にしていただきたいと私は思いますが、いかがですか。
○小笠原説明員 お答え申し上げます。 最高裁の判決の内容について政府としてこうであるという決めつけをするということは、本来慎まなければいけないことではないかというふうに思うわけでございますけれども、最高裁は、確かに御指摘のように、最大許容格差は三倍であるとか二・九二であるとかいうことを正面から言っておるわけではございません。むしろ最高裁は、客観的に数値でそういうことを示すのは困難であるということを述べておるわけでございますけれども、ただ、五十八年十一月の判決におきましてもあるいは今年七月の最高裁の判決におきましても、繰り返して、昭和五十年の定数是正によって二・九二まで格差が縮められたことによって、それ以前違憲とされた不平等状態は解消されたものと評価できると評価しておるわけでございまして、やはりそれによって自由民主党の案あるいは野党四党から出された案もお考えになっておるのだろうというふうに解釈しておるわけでございます。
○野間委員 最高裁の調査官が判例解説の中で言っておることを私は読み上げたわけで、決して判示の中で基準を設けたものではない。その判示の中でも、二・九二で一応不平等の状態が解消された、こう言っておるだけですね。その点やはり政府も正確に押さえておいていただきたい、議論の一番大事な問題でありますから。 それから、私はもう一つ大臣に申し上げたいのは、仮に一対二・九二まで許容の範囲内だというふうに読まれたとしても、それは最高裁判所がそう言っておるだけの話で、やはりプリンシプル、基本的な原則ですね、一人が二票以上の投票をするということはおかしな話で、そういう点を政治家としてあるいは行政としてもきちっと踏まえて、やはり法のもとにおける平等を本当に充足していくという観点から、限りなくそういう平等に近づく努力、これは非人口的な要素を含めたところでそういう努力をしていくということが行政、国会の最大の責務ではなかろうかというふうに私は思いますが、いかがでしょう。
○古屋国務大臣 今の御意見は私も承りまして、今後そういうような努力をしていかなければなるまいと思っております。
○野間委員 そこで、お伺いするのですが、一体格差はどの程度が妥当か。この点について、大臣は先ほどの答弁の中でいろいろ言われました。高裁の判決の中でも、一・五とかあるいは二以下とかいう基準を示さないものもございます。と同時に、やはり学者とか有識者は、国民がどのようにすれば納得するのか、あるいは国民はどう考えているのかという点をぜひ広く聞く必要があるのじゃないかというふうに考えるわけであります。 そこで、公法学会所属の公法学者、これは特に憲法を中心とした公法専門の学者の集まりですけれども、ここの会員の皆さんに、実は日弁連がアンケートの調査をやったわけです。これは四年前であります。このアンケート調査の結果を見てみますと、公法学者の七十九名のうち七十六名、率にいたしますと実に九六%、この方が、格差が二倍を超えれば憲法違反だということを言われておるわけです。このことは私も国民の常識に合うと思うのです。 それから、特に選挙関係に詳しい学者、あるいは当委員会にも公述人として出席されたことがあります日本選挙学会理事長の明治大学の富田信男教授、あるいは選挙制度に関する著作をたくさん出しておられます東京学芸大学の阪上教授、こういう方々らの本を読んでみましても、格差は二倍未満にするのが妥当、こう主張されております。七月十七日の判決から、私もつぶさに雑誌や新聞報道等にも目を通したわけでありますけれども、マスコミ関係を見てみましても、全国紙の社説を見ますと、その多くが、一人一票の原則に立つならば、一人二票以上の格差を認めることはいかなる理由をもってしても難しい、こういうふうに社説の中にも書かれておるのがたくさんございます。新聞の投書欄を見てみましても、一対二が妥当であることは子供にもわかる理屈である、こういうことで、私の知っておる範囲では二倍未満とするという声が圧倒的だというふうに私は理解しておるわけであります。 そこで、再度聞くわけでありますけれども、そういう専門の公法学者なりマスコミ、さらには国民の圧倒的な声、こういうものを受けた国会、行政としても、見識のあるいいものをつくっていく努力を、我々の責務でもありますし、ぜひやっていかなければならぬ。それには、格差が一対二未満というプリンシプルが非常に重要な要素だと思いますけれども、再度お答えいただきたいと思います。
○古屋国務大臣 今、野間先生の御意見を聞いておりまして、共産党の考え方の一対二という点は、学者の意見その他をいろいろお調べになってお話しいただきまして、よくわかっております。ただ、現在の状況におきましては、自民党案と野党四党案が提出されて御審議いただいておりますので、本委員会におきましてこの原案を十分御審議いただいて、一刻も早く結論を出していただきたいというのが私どもの考え方でございますし、さらに今の一対二とかいう問題につきましては、いろいろの場面を通じて今後も十分検討していかなければならぬし、そういうものをどういう場に持っていくかということについては先生方の御意見を聞きながら私どもも検討してまいりたいと思っております。
○野間委員 時間の関係で余り詳しく掘り下げることはできません。これは別の機会にまたやりたいと思いますけれども。この点について二言自治省に、格差一対二未満で定数是正、これはやろうと思えば実務的には可能であるということだけを確認しておきたいと思います。
○古屋国務大臣 一対二というような問題につきましては、この委員会において十分御審議いただきまして、私どもはいろいろな学者の意見も検討しながら、こういう問題の御審議については今のこの原案を中心に、とりあえず違憲の状況を除くという点を中心にいたしまして御審議をいただきたい。もちろん、一対二がいけないとかいいとかということは本委員会でも別途十分検討していただくことが必要であると私は考えております。
○野間委員 いや、お聞きしたのはいい悪いの評価ではなくて、それが実務的に可能かどうかということを事務当局にお聞きしたわけですけれども、時間の関係がありますから二言だけ。
○小笠原説明員 お答え申し上げます。 衆議院議員の定数配分の見直しにつきましては、いろいろな考え方、案があるわけでございます。現に野党統一案が出る以前、各党でそれぞれ発表なさいました案の中には、格差を一対二に縮める実とか格差を一対一・五まで縮める実とか、いろいろな案が出ておるわけでございまして、案としてあるいは考え方としてそういうものはできるわけでございます。
○野間委員 実務上可能なわけですね。 さて、次に進みますけれども、定数是正に当たっての基本姿勢として非常に重視しなければならぬのは、是正直後に違憲訴訟が続発する、それに基づいてまた判決が出る、こういう繰り返しを絶対に許してはならない。是正はきっちりやるべきだということが大事だと思うのです。 この点について言いますと、ちょうど去年の十一月二十九日の大阪高裁判決、これは昭和五十八年総選挙に関する判決ですが、この五十年改正の現行配分規定、十年前ですね、これについて「改正時」つまり昭和五十年、「改正時最大格差は人口比で二・九二倍になったが、同改正は四十五年の国勢調査に基づくもので、以降五十年まで拡大した都市部への人口集中が考慮されず、改正直後から、憲法違反の不平等状態にあった」、こう述べております。この判決自体は格差については言及していないという点で私は非常に不満ですけれども、しかし少なくとも現在私どもが取り組むべき基本姿勢として、この判決の指摘は非常に重要ではなかろうかと私は思うのです。 つまり、四十五年の国勢調査を基礎に現行定数に是正したのと同じ年、昭和五十年にも国勢調査が行われております。このとき、既に定数格差は三倍を超えておるわけです。そして、五十一年に選挙がありました。この総選挙の際は三・四九倍に達して、これに対して違憲訴訟が起きて、高裁段階ではありますけれども、違憲判決も出されたという経過があるわけです。 なぜこうなったかといいますと、結局、昭和五十年当時、四十五年つまり五年も前の人口によって是正するという一時しのぎの是正しかしなかったことがずっと順繰りに格差が大きくなったという経過があるわけであります。 現在も同じように、こういう教訓を踏まえて考えた場合に、十年前すなわち五十年のときと同じような形で、五年も前すなわち昭和五十五年の国調を基礎に、しかも格差が三倍以内でいいのだというような考え方で是正をやるということになりますと、今申し上げたような過去の苦い経験、教訓を生かすことにならないわけです。結局、それは無責任な態度にならざるを得ないと思うわけです。 こういうことを繰り返さないことが非常に大事だと思いますけれども、大臣、いかがでしょう。
○古屋国務大臣 もちろん過去の例等を見まして改正すべき点を改正すべきことは必要であると考えておりますが、現在はこの違憲状態をどうして解消するか、そして、そのために自民党案と野党四党案ができておりますので、これを中心に御論議をいただきたい。そして、先ほどの御質問にもありましたが、本年の国勢調査の結果等の公表によりまして正確な数字が出ました段階におきましてどうするかということはまたその段階においてひとつ御審議をいただくことがいかがかと考えておりまして、今とりあえずの暫定的な考え方として現在出されております両案について御審議をいただきたいという気持ちでございます。
○野間委員 先ほどから論議がありましたけれども、六十年国調は一カ月先ですね。 ことしの三月三十一日付の住民基本台帳によりますと、六・六と同じような手法を使いましたら八・八になりますね、そうですね。
○小笠原説明員 そのように結果が出ております。
○野間委員 仮に格差が一対三まではいいのだという立場に立ったとしても、基礎が五十五年国調ということになりますと、ことしの三月三十一日現在の住民基本台帳からももう既に六・六ではカバーし切れない、つまり八・八でなければならないということが、自治省が今言われましたけれども、数字的にも明確なんですね。しかも、六十年国調の推計、これは自民党の選挙制度調査会の森先生なんかの推計によりましても十・十になる、十増・十減になる。これは一カ月先ですね。しかも、年末には速報値が出るわけですね。しかも、誤差が〇・〇〇一と、ほとんどない。そういう状況下にあるにもかかわらず、あくまで昭和五十五年の国調を基礎にやったとしてももう既に破綻しておるわけです。仮に改正したとしてもその直後から、先ほど例を挙げましたが、違憲状態がずっと続くわけです。結局、前の教訓が全く生かされないままに、当座しのぎにしかならない。これは国会や行政としての見識を問われることになりますし、あるいは国民の常識からしてもおかしいということにならざるを得ない。自治省あるいは総務庁、これは住民基本台帳、有権者名簿とかあるいは国調、いろいろあります。いろいろ統計をとられておりますね。しかも、これらの統計が国調だけではなしに、最高裁判所の判決の中でも、この判示の中でも使われておりますね。例えば、「漸次拡大の一途をたどっていたことは、毎年九月現在の選挙人名簿登録者数などによって周知のところである。」単に国勢調査の統計だけではなくて、選挙人名簿登録者数等もこれを判断の基礎として裁判所もたくさん使っておりますね。 ですから、若干格差、誤差が出てきますけれども、せっかく自治省や総務庁が各種の統計をとられる。しかも、一生懸命努力してつくられた統計、これは公共の利益になるために法律では例えば住民基本台帳の整備とかやられるわけですね。こういうのがあり、しかも今発表も公表もされておる。それに従っても六・六では破綻するということは明確にもかかわらず、しかも一カ月後には六十年国調が始まるわけですね。速報値が出る。ですから、そういうものを十分検討して踏まえた上で出すならともかくとして、これはやはり見識を問われることになりはしませんか、大臣。
○古屋国務大臣 再三お答え申し上げて恐縮でございますが、この違憲の状態をなくするという点の中心からいたしますと、私は今の提案されております二つの法案につきまして御審議をいただいて結論を出していくことが一番適切ではないか。ただ、御意見のありましたような点につきましては極めて重要な問題でございますので、やはりそういう問題についてもこの法案の審議におきまして御検討くださることを私どもは期待しておるのでございます。 それから、今六十年の国調の結果最大格差がどのようになるかといういろいろの想定をしての御質問でございますが、数字的には結局なるだろうという見通しはありますが、そういうふうに確定をするというのはまだ先のことでございますので、私は昭和五十五年の国調に基づいて是正された場合におきましては、六十年の国調によって直ちにそれが違反である、違憲であるというような判断は、これは私の私見になりまして恐縮でございますが、ないだろうというような、甘いかもしれぬが、そういう考え方をしております。
○野間委員 時間が参りましたので、これでやむを得ず終わりますけれども、あと中選挙区制について、これは二人区をつくると死に票が随分とふえるという、これは自治省の選挙部がまとめた三十九年三月の中選挙区制関係資料、この中にもいろいろ戦前の内務省の見解等も含めて書いておりますし、この点について二人区をつくることは死に票をつくり、小選挙区制との兼ね合いもありましていろいろな問題があるという点とかさまざまな問題について、きょういろいろ自治省の見解をただしたかったのですけれども、時間が参りましたので、これで終わりますが、やはり拙速をせずに本当に十分国民の納得するようないいものをつくるということでぜひ努力いただきたい。我々も努力したいと思います。また、同時に、委員長にお願いをするのは、そういう各界の声を十分委員会でも聞いていただきまして、よりよいものをつくる、そういう点に御努力いただきたい、こういうことを申し上げて終わりたいと思います。
○奥野(誠)委員長代理 質疑は終了いたしました。 本日は、これにて散会いたします。 午後三時四十四分散会 ————◇—————