外務委員会 第18号
- 発言数
- 105 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1985/06/04
会議録
○愛野委員長 これより会議を開きます。 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中美智子君。
○田中(美)委員 大臣に質問申し上げます。安倍大臣、よろしいですか。 女子差別撤廃条約を批准するに当たっては、関係ILO条約などを一日も早く批准するということが、これからの政府の姿勢を問われるものだというふうに思います。それでまずお伺いいたしますが、ILO一号条約を日本が批准できないのはなぜか、簡単にお願いいたします。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 ILO第一号条約が定めております労働時間一日八時間、週四十八時間を超えてはならないこと、この点につきましては我が国の法制上問題ないわけでございますが、時間外労働につきましてILO第一号条約は、極めて限定された場合にのみ一日八時間を超えることができるというふうに規定いたしておりまして、我が国の労働基準法によりますと、時間外労働につきましてILO条約が規定いたしておる基準に達しておらないという点で、これが批准できないわけでございます。
○田中(美)委員 つまり、三六協定で幾らでも——幾らでもというのは言い過ぎですが、残業ができるようになっているからこの一号条約が批准できない。そうしますと、三六協定で今大体月にどれくらいの時間が約束されているか、ちょっと一般的なことをお願いいたします。時間がありませんので急いでください。
○山田(中)政府委員 申しわけございませんが、現行の実態としてどれぐらいになっておるかの数字は、私承知いたしておりません。
○田中(美)委員 承知してないということでは、この条約をしようという姿勢が問われているのではありませんか。幾ら外務省だからといったって、この条約を批准するのに三六協定がどれぐらい結ばれているかわからないということでは、これから女子差別撤廃条約を批准しても、外務省は実効あるものにしようという姿勢がないということを問われるのではないかと私は思います。 今、労働省に聞きましても、三六協定は大体月五十時間から六十時間ということを言われているわけです。これは書面上のことであって、実際には五十時間になっていても月百時間というのは非常にたくさんある。特に、ソフトウェアのところなどでは二百時間もやる。普通百時間のところとしましても、これでいきますと年間総労働時間三千時間も働く労働者が日本にはいる。三千時間を超える労働者がいる。これをILO一号条約のように最高が二千時間ちょっとというところにすることは、並み大抵の努力ではこの一号条約は批准できないということがはっきりしているわけです。 どこができないかということを研究もしないで、ただできませんということでは、女子差別撤廃条約のこれからの努力の姿勢というものを私は大変心配します。外務省は、この批准がいつごろできるというふうな見通しを立てていらっしゃるのでしょうか。全くないのか、それともいつごろということか、お答え願います。
○山田(中)政府委員 労働時間全体の問題につきましては、労働基準法研究会において現在検討されておるというふうに承知いたしておりますが、何分にも労働界の主管官庁である労働省からも、私どもに対してその見通しを述べておられませんので、外務省といたしまして、この条約がいつ批准できるという見通しを申し述べさせていただく立場に現在ございません。
○田中(美)委員 立場にないなんて、大臣がこれをいつ批准するかという見通しを立てるのが立場じゃないですか。それなのに、どこに問題があるかということさえ担当者が知らないということでは、これはもう大臣の姿勢まで問われてしまうということですので、この点はぜひもう少し外務省の内部で勉強していただくように、大臣からの御指導をぜひお願いしたいと思います。大臣の御決意を一言お聞かせください。
○安倍国務大臣 よく労働省とも相談をいたします。
○田中(美)委員 それでは、ILO百五十六号条約はなぜ批准できないのでしょうか、その理由を簡単にお願いいたします。
○山田(中)政府委員 ILO百五十六号条約につきましては、条約と国内法との間の差ということがまだあるように考えております。例えば条約の第八条では、「家族的責任のみをもって雇用の終了の妥当な理由としてはならない。」と規定しておるのに対しまして、我が国現行法令にはこれに直接対応する規定がございません。 なお、本条約につきましては、これを締約いたしますとどういう義務がかかってくるのかということを、労働省と詳細に検討いたしておるところでございます。
○田中(美)委員 これは、今度の質問に当たって外務省から提出していただいたものです。この中に、この百五十六号を批准できない、締約国となれない理由として、「男子労働者に対する国内施策などの問題につき検討を要する」と書いておりますが、この「男子労働者に対する国内施策」というのは何のことでしょうか、具体的にお願いいたします。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 例えば育児休業などに対して、現在は我が国では女子に対して措置を講じておるわけでございますが、この条約を締結するに当たりましては、男子についてもそのようなことを考える必要があるのではないかという点から、先生の方に御説明申し上げたような説明をいたしたわけでございます。
○田中(美)委員 多分、そうだろうと思いました。ですから、外務省としては、この条約を批准するには男子にも育児休業とか育児時間とかいうものを与えなければ、この条約が批准できないんだというふうに考えていらっしゃるということがわかりまして、これはもっともなことだと思います。 それでは、世界の各国で育児休業制度をとっている国が何カ国かありますので、この国の数と名前と簡単なその中身をお答え願いたいと思います。
○山田(中)政府委員 私ども外務省で承知いたしておりますところで、父母双方を対象にいたしました育児休業制度を有しております国は、フランス、イタリア、スウェーデン、スペイン及びハンガリーでございます。 内訳につきましては、フランスにつきましては、子供を養育する両親のいずれかについて、二年を限度とする無給の育児休暇請求権がございます。イタリアにつきましては、女子労働者は生児が満一歳に達するまでの間、義務的休業期間が終了した後でも、六カ月間休業することができると規定されておりまして、この休業は父親にも認められておる由でございます。スウェーデンにつきましては、両親の一方が生後二百七十日までのうちの百八十日間、さらに八歳までのうちの百八十日間休業できるという制度がございます。スペインにつきましては、男女労働者は子供の出生の日から三年以下の期間、休暇が認められるという規定がございます。ハンガリーにつきましては、母親及び子供を独力で育てる父親は、子供が三歳になるまでの間休業できるという規定がございます。そのほかに育児休業制度のある国はございますが、これはいずれも女子のみに認められております。
○田中(美)委員 スペインは言われましたか。
○山田(中)政府委員 スペインは、申し上げたつもりでございますが、男女労働者は子供の出生の日から三年以下の期間、休暇が認められるということになっております。
○田中(美)委員 こうした育児休業制度というものは、日本では婦人でもまだほんの一部分の人しかとれない状態にあるわけですけれども、世界の趨勢は、男子にも育児休暇をということがどんどん常識的になってきつつありますので、このILO百五十六号条約は採択されてからまだ日がそう長くありませんけれども、経済大国の日本がこういう制度をとることによって、本当に家庭責任が男女とも持てるように、これは女子差別撤廃条約が家庭の中であろうと社会であろうと男女の固定的な役割というものは否定しているわけですから、それは変えなければいけないというふうになっているわけですから、この条約はその線に沿った条約を要求されていますので、当然この女子差別撤廃条約を批准した国としては、この百五十六号条約を批准するための努力を早急に始めていただきたいと思います。この努力をしていくということと、また批准がいつごろになるか、見通しがなければない、あるならあるという形で、これは最後に安倍大臣にお答え願いたいと思います。
○安倍国務大臣 見通しについてはなかなか申し上げる段階ではございませんが、努力はいたします。
○田中(美)委員 育児休業制度はどうですか。そのことをどういうふうに努力していただけますか、男子の育児休業。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 先ほど申しましたように、我が国の現状ではまだそれが認められておらないわけでございますが、我が国の現状というものも踏まえつつ、労働省に検討していただきたいと思っております。
○田中(美)委員 大臣に伺うのは、きょうは少ししか伺っていないのですから横から出ないで、大臣がこのことに答えてほしいと言っているわけで、そのことは大臣がやはりきちっと答えていただきたいと思います。時間がありませんので、同じことを繰り返すことになりますので次の質問に行きます。 ILO百二号条約、この母性給付を留保しているというのはどういうことでしょうか。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 ILO第百二号条約の中で、先生御指摘のように、母性給付のところについては留保いたしております。母性給付については改善が図られてきておりますが、いまだ妊娠、分娩に際しての自己負担がございますので、この条約の水準に達しておらないわけでございます。
○田中(美)委員 今度は大臣お願いいたします。 今、大体一週間ぐらい入院しまして赤ちゃんを産む分娩費というのはどれぐらいか、御存じでしょうか。知っているか知らないか、お答えください。
○安倍国務大臣 よく教えていただきたいと思います。
○田中(美)委員 今、婦人が子供を産むのに幾ら金がかかるかということぐらいは、このILO百二号条約をこれから批准していこうとする外務省としては、やはり知っていていただきたいというふうに私は思います。 大体二十七万、安くても二十五万から三十万。日にちによっても多少違いますけれども、平均して二十七万、二十八万とかかるわけです。そうしますと、どうしても自己負担が五万から十万、子供を産むのにかかる。これは、夫が出すか妻が出すかは別といたしまして、かかるわけです。こういうことで結局できない。五万から十万多く自己負担しなければならないということから、この母性給付を留保して、批准できないということになっているわけです。子供を大事にしなければならないということは、今度の均等法でも、また女子差別撤廃条約でも、子供はすべてのことに優先するとあるのですから、せめてこれぐらいの問題は解決できるのではないかと私は思いますので、ぜひこの母性給付の留保をやめて批准をしていただきたい。早急にするような努力をしていただきたい。安倍大臣にお願いいたします。
○安倍国務大臣 厚生省その他関係各省とよく相談いたします。
○田中(美)委員 家族給付も留保になっておりますけれども、今日本で家族給付、児童手当ですね、三つありますけれども、支給総額は幾らになっておりますでしょうか。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 この条約が対象といたします家族給付としては、先生御指摘のように児童手当が該当すると思いますが、我が国の児童手当の総額は約二千億円と承知いたしております。
○田中(美)委員 そうしますと、ILOの不熟練労働者ということですが、金額が大変わかりにくいところですけれども、大体外務省としては、日本の不熟練労働者にILO並みの計算で出しますと、日本の場合には児童手当が幾らくらい要ると推定されますでしょうか。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 条約の計算でまいりますと、労働者、先生のおっしゃいました不熟練労働者の賃金の一・五%に子供の総数を乗じて出た額ということでございますので、それで計算いたしますと、所要額は約六千億円程度になるのではないかと思います。
○田中(美)委員 そうしますと、この家族給付を批准するためには、約四千億足らないということになるわけです。これは女子差別撤廃条約において、先ほども申しましたが、子供は最優先すると言っていますし、また、直接な母体保護についてはよくするんだ、子供は優先するんだということは、社労の委員会の中でも労働大臣も言っておりますし、この条約の趣旨というのは非常に大きく強調されているわけです。そうしますと、母性の方も、一人五万から十万ぐらい自己負担があるからできないのだ、児童手当の方は四千億も足らないのだ、だからできないのだ。こんなことでは、女子差別撤廃条約に対する努力というものは、国民は、本当に政府は努力をしないのじゃないか、このまままた放置されるのではないか。 特に、ここのところは、九年前外務委員会でこの条約を批准するときに私も、なぜこうした女性のところだけが落とされているのかということで厳しく追及したことを覚えております。そのときは、他党の婦人議員もこれをやられたと思います。そのときに外務省としては、これから十分に努力をすると言ったわけですが、あのころからほとんど努力の跡が出ていないということ、そして女子差別撤廃だけは批准していく。これは批准するのは当然ですけれども、努力をろくにしないでということでは、やはりこの批准に対して日本政府はまじめじゃない、今後の努力もまじめではないと思われるのではないでしょうか。この家族給付のあと四千億足らないというのはどのように努力をしていかれるのか、大臣にお答え願いたい。日本の国の後継ぎとしての大事な子供の問題です。大臣、お願いいたします。
○安倍国務大臣 御承知のように、今回の改正でも触れておりませんし、これはなかなか難しい問題がございます。予算の問題もあるし、その他いろいろと難しい問題があります。厚生省が検討しておると思いますが、厚生省とも相談してみたいと思います。
○田中(美)委員 ほとんど中身も御存じなく、追及されれば厚生省に相談します、追及されれば労働省に相談します、こういう姿勢では、全国の婦人がこれだけ望んだ女子差別撤廃条約批准ということが本当に絵にかいたもちになるのではないかという心配を、私は今の外務省の姿勢、大臣の姿勢から感じます。 最後にもう一つお伺いいたしますが、遺族給付の批准はいつごろにできるかというのは、これは見通しが立つんじゃないでしょうか。これについてのお答えを願います。
○山田(中)政府委員 遺族給付につきましては、外務省といたしましては、累次の給付水準の引き上げ及び今回国会で国民年金、厚生年金の長期的な改正が行われましたので、それから見ますとこの条約の定める水準に達しておるのではないかという感じを持っております。そしてこれにつきましては、条約上の義務を受諾することができるのではないかという感じがいたしておりますので、厚生省と至急この点についての詰めを行いたいと考えております。
○田中(美)委員 その詰めをするとき、これは夫の給料の四〇%でしょう。日本の遺族年金というのは、夫がもらえるはずの年金の半分になっているわけですから、こういうことも十分に考慮しながら外務省としてはきちっと勉強して、労働省の言うことだけにはい、はいと説明を聞いてくるのではなくて、やはりこれを批准するためにはこうなんだ、これに近づけるようにしなければならないんだということを十分に、外務省は指導する立場ではありませんが、外務省の立場として、世界に対して恥ずかしいじゃないか、ナイロビで女子差別撤廃条約を、そのときには批准して持っていきたいということかもわかりませんけれども、これに対して日本の婦人たちがそれは絵にかいたもちだと言われないように、せめて遺族給付、これは早急にするように最大の努力をしていただきたい。大臣の御決意は、遺族給付に限らずこの三つの条約についての外務省の今後の姿勢を大きく変換しまして、今後批准するに当たって真剣に努力するという立場を表明していただきたいと思います。
○安倍国務大臣 まだ三つの受諾してない部門があるわけですが、第一、第二についてはもう既に申し上げたとおりでございますが、今の遺族給付につきましては、この条約の水準に達しつつあるという判断でございますから、関係省庁と詰めて早く批准をいたすという方向で努力してみたい、こういうように思います。
○田中(美)委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。 質問を終わります。
○愛野委員長 次に、土井たか子君。
○土井委員 この条約審議を始めました二十四日の初めの質問で、私は、この女子に対するあらゆる形態における差別を撤廃する条約に関連する国際条約がどれくらいあるかという質問をし、かつ、中身に対しても質問を進めました。きょうは、その点について少し詰めをしっかりやっておきたいと思います。 外務省いかがでございますか、この条約に関係する国際条約並びにILO条約を先日挙げられたわけですが、この条約から考えると、その国際条約並びにILO条約の方がおくれていてこの条約にそぐわない、そのために今さら批准をするということは意味が失われていると思われるような条約がその中にあるのかないのか、ひとつそれに先立って、もう一回国際条約とILO条約について、中身を確認をしておっしゃっていただきたいと思います。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 まず、ILO条約から御答弁させていただきますが、婦人関係のILO条約で、この女子差別撤廃条約が取り上げております問題を対象としておって我が国が入っておらないもの、これは十一件でございますが、その十一件の中で女子差別撤廃条約を批准いたしますと批准することが不可能となると考えられるILO条約、これはILO百二十七号の最大重量条約でございます。この百二十七号は、その第七条におきまして、女子と男子を区別いたしまして、女子が運搬し得る重量を男子のそれより低くしなければならないということが明記してございます。この女子保護規定は、今回御承認を仰いでおります条約の規定と一致しない、こう考えます。 それから次に、やはり女子保護を規定いたしておりますために困難が生じると思われるILO条約が四件ございます。順を追って申し上げますと、第十三号条約、ぺーント塗に於ける白鉛の使用に関する条約でございます。この条約と第八十九号条約、それから百四十九号条約、この三つにつきましては、いずれも女子保護でございますが、男子にも同じ待遇を与えれば、現在御承認を仰いでおります条約との関連ではそごが生じないということがございます。 まず、ペイント塗りにつきましては、これは現実の問題といたしまして我が国ではこれらの製品が使用されておりません。ただ、それの使用を禁止する法令がないという点でございます。これは、現実の問題として使用されておりませんので、このような法令の手当てができれば批准できるということでございます。 次に八十九号条約、婦人の夜業に関する条約でございますが、この条約が規定いたしておりますのは、工業的企業において午後十時から午前七時までの間における継続七時間を含む少なくとも十一時間については、婦人を使用してはならないことを規定するものでございます。この基準が、現在の労働基準法にまず合っておりませんのと、先ほど申しましたように、もしこれを批准するのであれば男子にも同様の夜業禁止をしなくてはならない、それは我が国の労働事情からいって困難ではないかと思います。 同じような問題が百四十九号条約、看護職員条約にも生じます。この看護職員条約は、女子看護職員について、労働時間等について他の労働者の条件と同等またはそれ以上の条件を与えることとなっておりますが、我が国につきましては、女子看護職員について深夜業禁止の適用除外とされておるというところでその条約とそごがございます。また、もし男子と同じにするということでございますとそこに問題が生じますし、一方深夜業を全面的に廃止するというのも、これもまた問題であろうと思います。そういう点で、この条約の批准には困難が生ずるということです。 その他の七件の条約、百三号条約、母性保護条約、百十一号条約、雇用、差別待遇禁止条約、百二十二号条約、雇用政策条約、百二十八号条約、障害、老齢及び遺族給付条約、百三十六号条約、ベンゼン条約、百四十二号条約、人的資源の開発に関する条約、それから百五十六号条約、家族的責任を負う条約、これにつきましては御審議いただいております条約との抵触問題は生じないと考えております。 それから、ILO以外の条約で婦人に関するものといたしましては、まず既婚婦人の国籍に関する条約がございますが、これは先生御承知のように、妻の帰化について特例扱いを規定いたしております。これは今回の条約の趣旨にそぐわない、また条約批准に際しまして我が方が改正いたしました国籍法の趣旨にも合いませんので、これは批准できないものと考えております。 それから、婚姻の同意最低年齢及び登録条約、ここで問題となりますのは婚姻成立要件といたしまして、婚姻の届け出を当事者が市役所等に出頭して行うということになっておりますが、先生御承知のように我が国の民法では、出頭しても文書による届け出もよいということになっておりまして、実際の慣行といたしましては、文書による届け出が非常に多いという実情がございますので、批准は難しいものと考えております。 それから、教育差別防止条約につきましては、これは実は外務省、従前からこの条約を批准したいということでいろいろ努力してまいりました。いまだにこの条約で、外国人学校の問題でございますとか特殊学級の問題でございますとか、そういうものをどのように手当てしなくてはいけないかという問題が懸案になっております。ただ、この条約につきましては、先般も申し上げましたが、外務省としては前向きに取り組んでまいりたいと思います。 それから、奴隷制度に関するいわゆる奴隷補足条約でございますが、この条約を批准いたしますためには刑法の手当てが必要でございますが、他方我が国の現状におきまして、このような奴隷制度というのが予見されておりませんので、このような状況で積極的にこれを今の時点で批准するのはなかなか難しい、かように考えております。
○土井委員 今の御答弁を承っておりますと、中にはこの条約に対する解釈、認識が少しずれているという点から、この条約と関連をして批准をする意味がもはやないという認識あるいは締結することができないという認識をお持ちになっていらっしゃる部分もございますが、まずそれでは外務省御自身が、今回この差別撤廃条約を締結するに当たり、この関係ILO条約、国際条約は締結する必要ありと考えておられるそれぞれの条約の中で、なぜ今まで締結することができなかったのか、締結することについてこれからどういう条件を整えることが必要視されているのか、この点をひとつ順を追ってはっきりここで御説明をしておいていただきたい。いかがでございますか。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 先ほど答弁申し上げました中で、現在御審議いただいております条約と抵触しないILO条約について申し上げさせていただきます。 百三号条約、母性保護に関する条約でございますが、今回の均等法によりまして、この条約が規定いたしております出産休暇の期間については条約の条件を満たす状況になりました。ただ、なお、この条約が規定いたしております育児時間の問題でございますとか、産前産後の追加休暇でございますとか出産休暇中の金銭給付、それから出産休暇による休業中、妊娠、出産に関連しましての医療給付、この点で条約の水準に達しておらないわけでございまして、率直に申しまして、これらの水準に達するためにはまだ相当な努力が要るものと考えております。 百十一号条約、差別待遇に関する条約でございますが、この条約の趣旨と申しますかそれの大半については、我が国の体制は整っておると思うのでございますが、例えば条約が規定いたしております人種、皮膚の色等によっての差別をしないという明示的な国内法例がございません。また、労働基準法第三条で国籍、信条、社会的身分等についての差別は禁止しておるわけでございますが、雇い入れについての規定を欠いておるというふうなこともございまして、この条約につきましても相当程度の努力が要るのであろうと思います。 それから百二十二号条約、雇用政策に関する条約でございますが、この条約につきましては、雇用政策の範囲が必ずしもはっきりいたしません。教育でございますとか職業訓練とか、どの辺まで入るのかということがまだ明確でございません。 〔委員長退席、野上委員長代理着席〕 実は、この雇用政策条約につきましては、外務省は、一応これを批准したいということで努力した経緯があるのでございますが、ILOの側におきまして、開発途上国の雇用政策との関連でこの条約の改正をするという動きが起こりまして、一九八三年のILO総会の議題になるという動きがございまして、ちょっとそれを見守ろうという感じで待っておりましたが、この新しい条約がほぼできないという方向になったようでございますので、この条約につきましては、再度これを批准することについて関係省庁と努力させていただきたいと思います。 それから第百二十八号条約、障害、老齢、遺族給付の問題でございますが、これは先ほどの御答弁申し上げました百二号条約の未批准の部分に関連してくるところでございます。まず、百二号条約の未批准の部分について何ができるかということを検討させていただいた上で、この条約の方針を決めさせていただきたいと考えております。 それから百三十六号条約、ベンゼンの条約でございますが、これは条約ではベンゼンまたはベンゼン含有量が容積で一%を超える製品にさらされる業務について適用されることとなっておりまして、妊娠中の女子等の就業禁止について規定したものでございます。これは先ほど申しましたように、母性保護と労働安全衛生、両方含んでおると思いますが、これを男子にも適用するようにすればよろしいわけでございますが、現在は基準がそのようになっておりません。一定濃度以下の作業におけるベンゼン取り扱いについては、就業の禁止がございません。この点につきましても、少し労働省と協議させていただきたいと思います。 それから、百四十二号の人的資源の開発に関する条約でございますが、この条約の内容は、職業安定法、職業訓練法等でおおむね実施されているとは考えておりますが、なお細部について不明なところがございます。例えば条約第五条で、労働団体等との協力の上、策定し及び実施するとされております職業指導、職業訓練の政策、計画、この範囲をどのようなものに定めればいいのか、この点についてさらに検討させていただきたいと思います。 最後に百五十六号条約、家族的責任を負う労働者条約でございますが、これにつきましてはまだ批准の見通しが立っておりませんが、今御審議いただいております女子差別撤廃条約というものを頭に置いてILOで作成された条約でございますので、これの批准については外務省といたしましては、鋭意労働省や関係省庁と協議させていただいて、できるだけの努力をいたしたい、このように考えております。
○土井委員 今はILO、それからさらに国際条約について、今まで批准できなかった部分はどういうところが問題であったかということも含めて御答弁になったわけですが、看護職員条約の百四十九号というのは、どうして今の条約を批准するに当たりまして批准する意味なしと考えておられるのですか。さっきの御答弁はどうも不明確なんです。もう一度、その点はっきりおっしゃっていただきたい。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 私の御答弁が、百四十九号条約は批准する必要がないというふうな御印象を与えたといたしますれば、おわび申し上げます。そういう趣旨で申し上げたのではございません。現状の御説明といたしまして、女子看護職員については、他の女子労働者に認められておらない深夜業が認められておるという点から、現在のこの百四十九号条約が規定しております他の労働者より有利なという条件を満たしておらないというのがまず第一点でございます。そこで、それでは女子の問題につきまして、女子看護職員の深夜業を全面的に禁止するということが日本の現状からなかなか難しいのではないかというのが第二点でございます。それから、さらに女子と男子とを同等にするということになりますと、男子についても夜業を認めないということになるとこれもますます難しいということでございますし、差別をしないという意味で双方の夜業の禁止を全面的に外すというのも大変な問題であろう、そういう問題点を御指摘させていただいたわけでございます。
○土井委員 そうすると、さっきの御答弁というのは不正確である、これは批准する必要なしというふうな方向で御答弁なさった部分は訂正をされたというふうに理解をいたしますけれども、今の看護職員条約についてだけじゃございませんで、どの条約についても、ただいま締結することは国内事情からすると困難でございますの一点張りなんです。その理由はということを聞くと、それぞれ非常にあいまいなと申しますか、もう一つはっきりしないような御答弁なんであります。 〔野上委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、先ほど私はじっと承っておりますと、例えば百二十二号条約であるとかさらに百五十六号条約などについては、外務省としてはひとつしっかりと批准する方向に取り組んでいきたいという姿勢がかいま見えるわけですが、この差別撤廃条約を締結するということで、今までのような姿勢ではだめなんです。よろしゅうございますか。関係する国際条約やILO条約についてはもっと真剣に、外務省としたら次の国会にも提出するぐらいのつもりで頑張ってもらわぬとうそなんですよ、これは。どの条約について約束できますか、しっかり外務省は取り組んでいきますという約束が。
○安倍国務大臣 今の局長の答弁も踏まえて私から総括的に申し上げますが、女子差別撤廃条約は、男女の雇用の機会と待遇の均等を図るための条約でありまして、具体的な労働条件の水準については規定しているものでないことは、御承知のとおりです。このため、今回の審議におきましても、例えば女子の長時間労働がふえるのではないか、あるいは深夜勤務がふえるのではないかという懸念が表明をされておるところでもございます。 ILO条約は、女子差別撤廃条約とは異なりまして、具体的な労働条件を決めているものでありまして、女子差別撤廃条約とはいわば補完的な関係にある、両者相まって国際的な水準と男女の雇用の機会、待遇の均等が達成されるものと考えております。したがって、さきに述べたような懸念を解消するという観点からも、国内法制等を整備した上でILO条約を批准するように努めてまいりたいと考えております。具体的に、今後どの条約について早期批准に努力するかということにつきましては、いろいろと意見もあろうと思いますが、とりあえず百五十六号条約につきまして検討を進めたいと思っております。
○土井委員 その百五十六号条約について検討を進めたい、これは結構なんですがね。さっきの御答弁の中で、今回のこの差別撤廃条約を批准することによって女性の労働時間が長時間になる等々の話ですね。これは現実の問題は、その条約に対しての日本の取り扱いが、政府の手によって間違った方向に持っていかれているからですよ。条約そのものの規定していることにそぐわない国内措置をやったためにそうなる事情でありまして、それを、ILOと相まって車の両輪にして是正していきたいとおっしゃることは、ちょっと私はおかしな論法だと思うのです。 本来、ILOの百五十六号が中身に規定していることとこの条約が規定していることとは同じ、軌を同一にするものであると言わねばなりません。したがって、そういうことからすれば、より補強するとか、より中身について各論部分に当たる部分を具体化するという認識であれば、これはそのとおりであると私は思いますが、今の大臣の御発言の前段の部分は、聞いておりまして私はおかしなことをおっしゃる、認識の上でちょっと間違っていやせぬかというふうな気がいたします。 ただ、百五十六号条約について鋭意努力したいとおっしゃいますから、これはやっていただかなければならない。次の国会あたりにと私は言いたいけれども、どれぐらい努力されたかということを具体的に点検いたします。それは、外務省としてはここまでやった、ここまで努力したが、どこの省がどういうことを言って、この問題についてはなおかつ難しいことがあるなんということをきめ細かに、具体的に、しっかりと公にされるように、これは当然のことだと思いますが、約束されますね。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 先ほどの御答弁で、それぞれの条約について努力をしてまいると申し上げました。その努力の成果と申しますか、どこまで外務省としてできたかということにつきましては、随時御報告させていただきます。
○土井委員 それで、その努力について、報告ばかり聞いているわけにはいかぬのです。いつごろを目安にというのは少なくとも言っておいていただかないと、また先日のあの同一の教育課程と同じで、未来永劫に説明ばかり聞かされるような羽目になる場合がございますので、大臣ひとつ御決意のほどを、少なくとも一年以内とか、いつぐらいまでというのを大体言っておいてください。なぜかというと、この条約に対しては、批准をすると国連に一年以内に報告をしなければなりませんよ。これは一つの大事な節目であります。どうですか、それは鋭意努力してください。
○安倍国務大臣 私から今、百五十六号条約についてはとりあえず批准のための努力を進めますということを申し上げたわけでございまして、これは政府としての、外務大臣としての基本的な考え方を述べたわけでございますし、そうした立場に立って、関係各省もありますから調整をしながらこれから鋭意努力を重ねまして、次の国会にはその結果を取りまとめて御報告を申し上げたいというふうに思います。
○土井委員 次の国会には報告というのは、条約批准に向けての中身を提出していただいてここで承認する、その審議をやるということと受けとめさせていただいてよろしゅうございますね。
○安倍国務大臣 これは、国内の関係各省とのそれぞれの調整も残っておりますけれども、今外務大臣としての決意を申し上げたわけでございますから、できるだけ早く批准の手続をとれるようにこれから力を尽くしていくわけでありまして、とりあえず次の国会にその結果を御報告申し上げたいというふうに思います。
○土井委員 とりあえずとおっしゃるのは報告であって、その条約に対して批准をするための承認ということからするとまたちょっと違うようでありますね、今のおっしゃるのは。これはやはり、次の国会で批准するくらいの努力でやっていただかないと、本当のところは、具体的に実現させることはおぼつかないくらいに私は思っておりますよ。大臣のおっしゃることを私は信用しないわけじゃないけれども、そこのところはひとつはっきりさせておいていただきます。再三再四にわたりますけれども、よろしゅうございますね。
○安倍国務大臣 報告ということは、もうとにかく百五十六号につきましては承認をお願いするということでこれから努力をするわけでございますし、そういう立場で次の国会には取りまとめて御報告を申し上げるということであります。
○土井委員 それでは、百五十六号条約のみならず他の国際条約についても、さらなる努力というのが外務省にとっては問われておるわけでありますから、その点をひとつ御努力を喚起して次の問題に進みます。 先日来、当委員会で質問を展開してまいりましたが、この条約の基本的な認識をどう持つかということが問われている条文、それは前文であり一条であり二条であると私は考えておりますけれども、この一条の条文解釈に当たりまして、外務省のお役人の中には、この一条の中身は切り捨て解釈で、いかにその事例が女性に対する差別に当たらないかという事情だけを説明するために一条があるがごとき解釈をされた方があるのです。そんな解釈をしたのでは、どんな事例に当たってもそれは差別に当たりません、それも差別に当たりません、全部切り捨て解釈でもって、その事例については差別に当たらないことを説明するためにこの条約自身があるような格好になってしまうのです。差別撤廃条約なんです。差別についてどういうことをこの条約の一条は規定しているかということを、一条に従って正確に理解を持ち認識を持つことが必須の条件だ、大前提だと私は思うのです。 この第一条を解釈いたしますと、簡単に言えば、これは「男女の平等を基礎として」、女性が「人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする効果又は目的を有するもの」と述べられているわけであります。範囲としたら非常に広いのです。これは「目的」とまで言っているのです。ILO百十一号条約の一条一項の(a)と比べますと、そこでは「雇用又は職業における機会又は待遇の均等を破り又は害する結果となるもの」と、「結果」と言っているわけです。この条約においては、結果は言うまでもなく目的についてまでも差別は許さない、そしてその差別というのはどういうことかと言えば、女性に対して男女の平等を基礎として、人権と基本的自由が享有されることに対して、行使することに対して害するものだ、こう規定しているのです。 ここに言う「人権」とか「基本的自由」というのは、この条約自身が定めております、あと二条以下各条に具体的に規定している中身は、言うまでもなく具体的な中身として規定されている「自由」であり「人権」であるというふうに、私自身は理解をしなければならないと思っておりますけれども、ここで外務省の方の見解として森山政務次官に、この一条の解釈並びに認識をどのようにお考えになっていらっしゃるかをお聞かせいただきたいと私は思うのです。
○森山政府委員 先生のおっしゃいましたとおり、この条約第一条には基本的な差別についての定義が書いてございまして、先生お読み上げになりましたとおり、人権及び基本的自由を阻害するものについて差別というふうに言っていると考えられます。 純粋な法律的な解釈、あるいは厳密に法律理論的に解釈いたしますとかなり限定されたものになり得るかと思いますが、この条約が理想といたしております目的を達成いたしますために私どもがこれから努力すべきことは、法律上の解釈によってこれに該当しないものを排除するというのではなくて、この目的とするものを実現するために、幅広くすべての分野において努力を続けていくことであるというように私は考えております。
○土井委員 今森山政務次官のおっしゃった御趣旨に、私も全面的に賛同なんです。賛成いたします。あらゆる分野というのは非常に広い分野でございまして、わけてもこの条約自身が具体的に規定していることくらいは、その分野の中でも必要最小限度きちっと認識されておらなければならない問題であろうと思うのです。 そういうことからいたしますと、個人であると団体であると企業であるとを問わない、それぞれのあらゆる分野において女性に対してべっ視をする取り扱い、差別的な取り扱いは、伝統的なものであれ慣行であれ慣習であれ、これを認めるわけにいかないということに相なると思いますが、政務次官、いかがでございますか。
○森山政府委員 先生の仰せのとおり、あらゆる分野におきます女性に対する差別をできるだけなくしていく、目標としてはすべてをなくしていくということが理想であると思います。そのために努力するという趣旨が、この条約には書かれているというふうに解釈しております。
○土井委員 具体的な例を挙げるいとまがございませんけれども、そういたしますと、先日当委員会においては再三再四問題になりましたが、これは単に一例でありますが、しかし、そういう問題は山ほどあると私は思うのです。例のゴルフ場の問題です。 ゴルフ場というところでゴルフをするというのは、十三条(c)に言う「レクリエーション、スポーツ及びあらゆる側面における文化的活動」のいずれかの分野に入るわけでありまして、これに参加する権利というものを考える場合に、女性であるというただ一点、ほかには何にもないです、理由は女性であるというただ一点において、女性がその場から排除されるというのは、これは条約から考えて明らかに違反であると私は考えておるわけでありますが、森山政務次官はどのように認識なさいますか。
○森山政府委員 先般の私自身が経験いたしました小金井のケースは、レクリエーション、スポーツに参加するということだけではなくて、外務省と外交団との親睦のための外務省としてはかなり重要な行事に職務上の資格を持って参加するという意味もございましたので、私といたしましては、法理論的に違反であるかどうかということは疑問があるといたしましても、この法律の目的とする理想からいって好ましくないことだというふうに思います
○土井委員 ただいまのような事例というのは、ほかにもいろいろあると思うのです。私は、そのうちの一つの問題だと思うのです。特に政務という点からすると、その場所は大事な政務の場所であったという認識を森山政務次官は持たれてこの問題に対処されている。私は、森山政務次官のお立場なり今のお考えなりに、全面的に賛同いたします。同感であります。 先ほど来のこの条約に対して持っておられる御認識を、外務省の正式認識であり見解であると思いたいのであります。先日来のお役人の説明ではなしに、お役人ではなくて今政務次官がお答えになっておられるわけですから、ただいまの御見解、御認識が、外務省の正式な見解、認識であり、そしてこの条約に対する解釈だというふうに考えたいと思いますが、外務大臣、それでよろしゅうございますね。
○安倍国務大臣 私も、これはしばしば答弁したところでありますが、森山政務次官に対してとられたああいう措置というのはやはり好ましくない、遺憾であるというふうに思います。いろいろと伝統とか歴史もありますし、私的施設あるいはクラブという問題、いろいろとあるわけでございますが、最近の状況から見れば、条約違反とかそういうものは別にいたしまして、やはり遺憾な事態であると思います。
○土井委員 具体的な問題の取り扱いについて外務大臣が遺憾であるということをおっしゃっておりますから、外務省としては今後これに対してどういう姿勢で臨まれるか、どういう態度で臨まれるか、私は拝見をいたしております。よろしゅうございますか、これはただごとでないですよ。 それで、一つ申し上げますけれども、ゴルフ場以外にもいろいろな慣習、慣行、慣例等によって、女性をべっ視し、女性に対して差別的取り扱いをやっている場所、場合がございます。そういうものに合わせて条約を見るのではなくて、条約に対して正しい認識と正しい解釈をやって、そういう慣行なり慣習なりがこの時代の流れにそぐわない、男女平等という点からしたら是正すべきものである、この条約を正確に認識をし、これに対して正しい物の見方、解釈の上に立ってやっていくのが、この条約から問われている問題だと思うのです。いろいろある慣行とか慣習に対しては、今まであるんだからしようがない、これを認めんがためにこの条約に対して解釈を曲げるようなことは断じてあってはならない、私はこのように思います。 その意味も含めまして、先日来の外務省側から出されてまいりましたお役人からの解釈は、ただいまの場所でもって私は全部突き返しまして、ただいまの大臣並びに政務次官の御答弁を正式答弁とさせていただきます。よろしゅうございますね。
○安倍国務大臣 お役人の答弁と言われますけれども、外務大臣は私でございますから、外務省全体を代表いたしまして、私が述べたことが外務省全体の見解であります。
○土井委員 外務省全体の見解、そういうふうに受けとめましょう、外務大臣は部下思いでいらっしゃいますから。そういうことからすると、今の御発言にはそういう含みがあるというふうな意味も含めて、しかし、外務大臣と政務次官の御答弁をきょうははっきりと聞かしていただくことにいたします。 さて、今の一条についての解釈、認識というのが、この条約全般を考える場合に非常に大切な基本になるというふうに、私自身は理解をしてこの条約の中身を見てまいりますと、五条の(b)のところですが、「子の養育及び発育における男女の共同責任についての認識を含めることを確保すること。あらゆる場合において、子の利益は最初に考慮するものとする。」と書いてあります。さらに、十六条の(d)というところでは、「子に関する事項についての親としての同一の権利及び責任。あらゆる場合において、子の利益は至上である。」と書いてあります。こういうことからいたしますと、日本の法制度の中でこの条約に照らしましてまだまだ是正をしていかなければならない問題が、これから続々出てくるであろうと私自身は考えております。 きょうは、法務省にも御出席をいただいておりますが、日本の法例の二十条のところを見ますと「親子間ノ法律関係ハ父ノ本国法ニ依ル」と書いてあるのです。条約の趣旨に照らしまして、これは変えなければならないと思いますが、いかがでございますか。
○永井説明員 法例につきましては、実体法をどちらの国のものにするかといういわば手続法でございまして、これ自体が男女差別の規定であるというふうには我々は解釈しておりません。ただ、その理念といたしまして若干問題があるのではないかということで、現在法務省の国際私法部会では、法例の十三条以下の身分法に関する部分につきまして鋭意検討中でございます。これは既に五、六回開かれておりまして、二、三年内には何らかの形で結論が出るのではないか、こういうふうに思っております。
○土井委員 いつでも法務省は、正面切って憲法違反であるとか条約違反であるということは言いたがらないお役所であります。しかし、本音を言うとこれは変えざるを得ないなという気持ちがあるために、そういう作業をやはりやらざるを得ないという立場に立たれる。私は、国籍法で嫌と言うほど痛感しましたからね。だから、同じように法例についても、作業が進められているに違いないと私は思います。 これは、外務大臣にもちょっと関係する問題がございますので、お聞き取りをいただきます。 今、十三条以下とおっしゃいましたが、法例というのを見てまいりますと、一条の二項に「台湾、北海道、沖縄県其他島地ニ付テハ勅令ヲ以テ特別ノ施行時期ヲ定ムルコトヲ得」と書いてあるのです。「台湾」とあるのですよ。これは国内法ですからね。台湾というのは、国内法を施行して適用する範囲でございますか、つまり日本の領土なんですか。いかがでございますか。
○安倍国務大臣 これは戦前の法律だと思いますが、今残っておりますけれども、もちろん戦後の憲法、条約その他あらゆる措置によって、台湾は日本の領土ではなくなっておりますから、これは適用の対象にはならないということじゃないかと思います。
○土井委員 適用の対象にならないものが法文に厳然としてあるのです。やはり法文にある限りは、法文を正確に適用するときにはその法文を適用しなければならない。おかしなものですよ。これは明治三十一年の法例であります。それがそのまま現実の問題として今に至るまで、ずっと延々と有効になっているのです。昼間に出てくる幽霊のようなものです。これはやはりきちっと改廃をなさる必要がありますよ。外務大臣、そうお思いになりませんか。
○安倍国務大臣 戦後、そうした戦前からの法律で戦後の体制に合わないものは漸次改正等をしておりますが、まだそこまでいっていなかったと思うわけで、確かに今の法律そのものから見ればこれは現状に合わないことは事実ですから、私も改正の必要はあるものと思います。
○土井委員 これは、はっきりしなければならない問題であろうと思います。 法例については、十三条以下の条文について今御努力中ですから、また私は法務委員会に出かけていって、二十条、さらに恐らく三十条も、ひっかかった問題としていろいろ考えられる部面があるであろうと思っておりますので、これもひとつしっかり審議をいたしましょう。しかしこれは、時期的には先ほどおっしゃいましたとおり、やはりできる限り早く、具体的に実現をしていかなければならない部面の問題であると私は思います。 さて、いよいよ二十一世紀に向けてどのように国連で女性に対する差別撤廃の取り組みを、計画の中でも運動の中でも展開していくかということが問われておりますけれども、その大きな柱は、周知の問題として、平等であり、発展であり、平和という問題であります。この差別撤廃条約の前文の部分にももちろん、平和、軍縮、反核というのが基調に書かれていることは申し上げるまでもありません。 ところで、外務大臣にちょっと聞きたいのでありますけれども、最近政府の中には、金鵄勲章を復権させよう、復活させようということが具体的に俎上にのっております。外務大臣とされては、外交上の問題として、この金鵄勲章復活について——先日私は、軍備をGNP比一%以下に抑えるということが、外交上どういう意味を持つか、アジアにおいて特にどういうふうな意味を持つかということについてお伺いをしましたら、外交的には軍事大国にならないというあかしであると思う、したがってこれに対してはしっかり取り組みを進めたいということを外務大臣は明言されました。軍備を一%以内に抑えるという意味を明言されたわけであります。今回、この問題についても、アジアから見ると、異様な状況が日本で起こりつつあると見られるに違いないと私は思うのです。アジアの各地域で、そこに出かけていって、そして大変な被害を我々は受けたと。日本が出かけていったわけです。受けた側の国からすると、その被害を与えた人に金鵄勲章というのはどういうわけでありましょうか。これは外交的に考えて、外務大臣はどのようにお思いになりますか。
○安倍国務大臣 今、そうした動きがあることは私も知っておりますが、これはまだ具体化しているというふうには承知しておりません。こうした問題につきましては、もちろんこれは日本自体の問題ではありますが、外交的にもいろいろと配慮もしなければならない。やはり外国との関係も出てくるわけでありますから、その点は外国の理解というようなものがなければいけないのではないかと思います。そういう点では、慎重に外交上の配慮はしていかなければならぬ、こういうふうに思います。
○土井委員 外務大臣の今の御答弁からすると、金鵄勲章に対してはやはり慎重に取り扱いを進めるという立場で、消極的にお考えになっていらっしゃると私は受けとめておりますが、それはそのとおりでいいですね。
○安倍国務大臣 私は、国内的な問題というよりは、対外的な配慮というものを外務大臣としてこの点については加えなければならぬ、そういう面からも、この取り扱いについて配慮する必要があるということを申し上げたわけであります。
○土井委員 そういう意味からして配慮する必要があるということは、どっちの方向で配慮なさるのですか。そういう意味からも配慮する、とにかくそういう御答弁のところで、肝心のところはどっちに考えていいのかわからぬような御答弁になるので、そこのところはひとつ勇気を持って、総裁候補なんですからね、外務大臣は。ひとつ、しっかり真価を発揮しておいていただきたい。いかがでございますか。
○安倍国務大臣 配慮というのは、外国のこれに対するいろいろな反応というのも出てくるわけでありましょうし、まだ具体的になっているわけではございませんから、余りコメントするのはどうかと思いますが、いずれにしても配慮というのは、そういう点、いろいろな状況、そういう対外的な問題も踏まえて慎重にやるべきだ、こういうことであります。
○土井委員 余り歯切れのいい答弁じゃありませんが、これは幾ら聞いても、恐らく明言をされるところまでいくのには時間が相当かかるであろうと思いますが、相当時間をかけても、大臣がはっきり言われるまでさらに私は進めたいと思いますよ。だけれども、今の御答弁の限りでは、結構だとはおっしゃっていらっしゃらないので、やはり消極的な姿勢で、これについては慎重にその取り扱い方を考えなければならないという姿勢だけはわかりました。 さて、ナイロビに今度行かれる日本の政府代表は森山政務次官でございます。ところが、前回の八〇年のあのデンマーク、そして七五年のメキシコ、いずれも政府代表というのはお役人ばかりなのです、日本は。外国の例を見ますと、民間人が国の代表として出席する、議員が国の代表として出席する、これが当然のような格好になっているのですが、どうして日本はお役人ばかりなのですか。これに対して、改善をしていかなければならないと外務大臣はお考えになりませんか。
○安倍国務大臣 国際会議等には婦人の皆さんも、もちろん政府の中でも人材はこれを積極的に登用する、こういう姿勢でございます。別に、男女の差別をしているということではありませんし、今そういう面で日本政府で働いておられる婦人の皆さんは非常に少ないわけでございますけれども、しかし、やはりこういう問題については、せっかくこの条約も承認していただこうという段階でございますから、今後とも国際会議等に対する婦人の参加といったことにつきましても、十分考えていかなければならぬと思います。 なお、民間の御婦人の方の参加といった問題も、これは政府の代表団ということであっても、代表団としての活動を効果的にする場合に必要だということになれば、これはやはり考えていかなければならぬ課題だろうと思います。
○土井委員 効果的にするために必要だと。これは決まっているんです。効果的にするためには必要なんですよ、おっしゃるまでもなく。各国は、大体民間人の代表が、あの国際会議の政府代表という形で出席をいたしております。議員も出席をいたしております。しかし、異様なありさまは日本なんですね、お役人ばかりなんですよ。オールお役人。お役人のあの場所での物の言い方がすなわち日本の物の言い方ということになることに対して、民間からは、これじゃ困る、我々の意見が一つもあの中には生きない、こういう声が今までずっとありますよ。少なくとも議員があの場所に出ている国というのは、大体多いです。日本では、議員も政府代表にはなり得ない。おかしな話でしてね。これは外務大臣、当然のことじゃないでしょうか、この問題について幅広く政府代表を考えていくというのはいかがでございますか。
○安倍国務大臣 今、森山政務次官に聞きましたところによると、第一回は藤田たきさんが団長だったというふうに承ったわけですから、日本も積極的に民間の人に団長にもなっていただいておるわけで、やろうと思います。今回も、森山政務次官に団長になっていただいておるわけでございますし、それはそれなりに、同時に森山さんも議員でありますし、大きな意義があるのじゃないか、こういうふうに考えます。全体の構成につきましては、今の御指摘の点については留意したいと思います。
○土井委員 それで、この条約を締結して一年以内に報告書を提出されるわけですが、国連に報告書を出される節、同時に国会に提出されることを私は望みます。これを申し上げたいと思う。そうして、国会でいろいろその報告書の中身に対して意見のあるところをひとつしっかりとさらに国連に報告をする節に生かす、こういうことをひとつしっかり約束しておいていただきたいと思いますが、それはできますね。これは先日来言っている話なのです。
○山田(中)政府委員 国連に報告いたします報告は、直ちに国会の方にも御提出申し上げたいと思います。我が国は、条約に入りますとこの条約を誠実に実施しなくてはなりませんので、政府といたしましては、全力を尽くして正しい報告を出すようにいたしますが、条約の実施の関係で先生方からもいろいろ御意見がございますたびには、随時御叱正いただきたいと思います。
○土井委員 関係する国内整備の委員会というのがありますが、この審議会なり委員会というのはいつも密室なんですね。どういうことに相なっているか、さっぱりわからぬです。やはりいろいろ進捗状況というのをガラス張りにして、だれでもが知れるような状況にするということが問われておりますが、外務大臣、これはどのようにお考えになりますか。
○安倍国務大臣 これは、それぞれの審議委員の皆さんのお考えがもちろんあるわけでありますけれども、できるだけこれを公開して、国民の皆さんの立場から判断をしてもらうという必要がある場合はこれまでもやっておると思いますし、これからもそういう方向でいかなければならない、こういうふうに思います。
○土井委員 そういう点からすれば、この条約に言うところの差別撤廃委員会で討議される内容も国会に提出され、説明をされるという必要が大変大切になってくると思います。それもお考えいただけますね。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 差別撤廃委員会の審議は、原則として公開になっております。非公開の部分も場合によってあるようでございますが、公開になっておりますし、その審議結果につきましては国連の文書が出ることになっておりますので、入手次第お手元に届くようにいたします。
○土井委員 まだまだ具体的な問題について、私は質問をしなければならない箇所を残しました。これはまた、日を改めて質問をさせていただくことにします。 さて、この条約を批准するまでに各省では大変御努力があったわけですが、わけてもその立場、その役割で御努力をされてきた女性の方々に、私は今から御決意のほどを聞かせていただきたいと思うのです。 まず、総理府の松本官房参事官、いかがでございますか。
○松本政府委員 私ども、婦人問題企画推進本部の事務を担当しておりまして、この条約を批准するための条件整備のために、関係各省に十分御連絡をとってきたところでございます。この三月にも、今後もこの条約の趣旨に沿ってなお御検討をいただくように御連絡したところでございまして、批准の後も、この条約の趣旨に沿ってさらに男女の平等が進みますように連絡をとってまいりたいと存じます。
○土井委員 労働省で苦労された赤松局長は、いかがでございますか。
○赤松政府委員 雇用の分野における均等の機会と待遇を促進するために法案を提出し、先般これが成立したわけでございますが、この法律を立案するに当たりましては、私どもはあるべき姿、つまり男女平等という姿を目指しつつも、やはり現実と余りにかけ離れた法律というものは機能しないのではないかというふうに思いまして、あのような形になったわけでございます。そこで、いろいろこの委員会をも含めまして長い御審議の間に御批判がいろいろとあったことは、十分よく存じているわけでございますが、この法律を手がかりにして、大きな一歩が前へ進められるというふうに私は確信しております。 そしてまた、この法律が成立したことによって、この条約が批准されるための大きな条件整備を果たしたというふうに考えておりますが、これをさらに私ども目指しておりますより高い目標に向かって、前進を続けたいというふうに思っております。
○土井委員 外務省の森山政務次官から承りたいと思います。
○森山政府委員 婦人の地位向上につきましては、私も個人的に思い出しますと大変長い経験がございまして、今日この段階まで、雇用機会均等法を成立させていただき、また、この条約につきましても大変御熱心な審議が進められまして、近く批准を見ることができるのではないかと期待できますことはまことに喜ばしいことでございまして、この精神を実現していきますために、これから私も微力でございますが最善の努力をしていきたいと考えております。
○土井委員 今お三方から、それぞれの御決意を聞かせていただいたのですが、今この条約を日本が批准するということを考えますと、国内法制度が一〇〇%整っているかというと決してそうではありません。宿題を残しております。大いなる宿題を残しております。むしろ、批准をしてから後の努力こそ、今までも大変でございましたけれども、問われているということを言わざるを得ません。女性解放の歴史というのはイバラの道でございます。先人や同志の心血と魂をかけた闘いがここまで来たということを肝に銘じて、頑張っていかなければならぬと思うのです。この条約が誕生するまでの実に多くの人間としての叫びを条約実施で必ず生かして実践しなければならぬ、このことを条約は命じていると私は思うのです。 日本は、男女平等、女性の地位、女性の権利、母性保護、そうして労働条件や社会福祉などを考えてまいりますと、さらには家庭と職業を男女ともに両立させるという課題を考えてまいりますと、どの点から見ましても、国際水準にまだまだ遠い問題を抱えています。女性に対する対応は決して先進国とは言えません。ましてや伝統と言われるもの、慣習、慣行の中には、女性差別の取り扱いを当然のように温存する嫌いがございます。メキシコの婦人年から十年たちまして、女性の立場や女性観というのは変化をしてきたことも事実です。そうしてまた、何よりも私たちの女性差別撤廃条約の運動に、男性の理解者が着実にふえてきたことも事実だと思います。しかしながら、人間尊重の感覚と申しますか人権感覚と申しますか、その感覚が薄い政治家が日本の首脳部にあるということが、当委員会の審議で先日浮き彫りにされたことも事実でございます。 女性にかけられている差別と偏見を一つ一つ振り払っていくということが人間としての生き方に問われているわけでございますが、「平等・発展・平和」、このテーマは相互に関連したものであるということを強く強く政府としては認識されまして、そうして過去の遺物、それは男性優位という目のうろこを落とす取り組みを徹底して、この条約実施に向けて活動されることをどこまでも求めてやみません。 条約を承認するに当たりまして、条約を実施する国内条件というのはまだ十分でないもの、まだ全く手のついていないものもございます。こういうことをひとつしっかりと意に体して、外務大臣からこの条約実施に向けての御努力を、しっかり取り組むという決意のほどを承って、質問を終えさせていただきます。
○安倍国務大臣 この条約の批准に向けての国内体制を整備するための努力が、政府、国会、関係者皆さんで熱心に続けられまして、その結果としまして男女雇用機会均等法あるいはまた国籍法の改正等が行われて、ここに条件が整いましたので、条約の承認をお願いして、承認の運びになったわけでございます。まことに喜ばしいことでございますが、今おっしゃいますように、条約ができたからといって、批准したからといって、これですべてが終わりだということではないわけでございまして、条約を締結した以上は日本としても、これを誠実に実行しなければならぬ義務が国際的にも新しく付与されるわけでございますので、まだまだお話のように国内法の体制等についても十分でない点がございます。あるいはまた、国内の慣習その他につきましても、条約の究極の目的を目指していくためには、ひとつ国民的な理解を求めてやっていかなければならぬ面も随分あると思うわけでございますので、この条約が完全にその目標を達成するように、まだ時間はかかると思いますけれども、腰を据えてひとつ取り組んでいかなければならない、こういうふうに思います。
○土井委員 当審議を終えるに当たりまして、全国の数多くの、この条約の批准に向けて努力をされてきた皆さんに感謝を申し上げて、終えたいと思います。ありがとうございました。
○愛野委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○愛野委員長 これより本件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○愛野委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○愛野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○愛野委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。 この際、女子差別撤廃条約に関する件について決議をいたしたいと存じます。 本件に関しましては、理事会におきまして各党間の協議が調い、案文がまとまっております。 便宜、委員長から案文を朗読し、その趣旨の説明にかえたいと存じます。 女子差別撤廃条約に関する件(案) 政府は、男女平等の一層の促進を図るため、女子差別撤廃条約批准後も、左の事項につき、誠実に努力すべきである。 一 あらゆる分野における男女平等を確保するため、引きつづき一層の改善を図ること。 一 男女の定型化された役割に基づく偏見及び慣習その他あらゆる慣行等の撤廃のため、啓発、教育等により積極的に対応していくこと。 一 未批准の婦人関係ILO条約を可及的すみやかに批准すること。 右決議する。 以上であります。 お諮りいたします。ただいま読み上げました案文を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○愛野委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。 この際、外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣安倍晋太郎君。
○安倍国務大臣 ただいま、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の締結につき、本委員会の御承認をいただきましたことにつき、御礼を申し上げます。 本条約は、広範な分野における女子に対する差別の撤廃につき包括的かつ詳細に規定した重要な条約でありますが、かかる重要な案件を今国会における審議の結果御承認いただきましたことは、画期的なことであろうと思います。 政府といたしましては、この条約の誠実な実施に努めてまいるとともに、ただいま採択された御決議につきましては、趣旨を十分尊重して、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の精神にのっとり男女平等の一層の促進を図るため、今後とも一層努力を重ねてまいる所存であります。
○愛野委員長 なお、本決議の議長に対する報告及び参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○愛野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時二十四分散会