外務委員会 第16号
- 発言数
- 298 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1985/05/29
会議録
○愛野委員長 これより会議を開きます。 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林進君。
○小林(進)委員 私は今理事会において、本委員会が重大問題について二つ決議をされることを要望いたしました。 一つは、ソ連との漁業交渉の問題。こんなことが断じて黙って見ておれる問題ではありません。これは立法府として、ひとつ我が国会の意思をちゃんとソ連政府に通じてもらいたい、それが一つ。 いま一つは、今朝の新聞を見て驚いた。これは何です。「男女均等 われ関せず女性次官を締め出す 「差別」森山さん憤慨」。これはどこの国の話かと思ってこの新聞記事を見ていたら、驚くなかれ、我が日本の外務省のものである。近ごろ、ゴルフコースの名門、小金井カントリー倶楽部、ここと外務省が女性差別をめぐって対立しているというのだな。外務省が対立している、これは一体どういうことなんだ。土、日、祝日はこのカントリー倶楽部には女性を入れないというのだな。これは外務省主催のやつか、何か外国のお客さんを呼んで、そしてそのゴルフ大会をやる予定であったときに、森山政務次官が女性なるがゆえに参加相ならぬということだ。 この記事によれば、これに対して外務大臣は、これは国会の中で女性差別の問題を審議している渦中であり、差別をしないと答弁しているさなかに、こういうことではわしも出るわけにいかぬと言って外務大臣おいでにならなかった。一応御立派です。しかし、外務大臣、政務次官もおいでにならないところに、これを見ていると、十二人の外務官僚が喜々として参加をして、それでプレーを楽しんでいる。これは一体どういうことだ。委員長、この十二名をすぐ出席させろ。外務官僚わかるでしょう。すぐ出してもらってください、その十二名。(安倍国務大臣「委員長」と呼ぶ)ちょっと待ってください。あなたが出る必要はない。 私は、きょうは一時間半もらうつもり、私はこれも実にちょっと腹に据えかねるんだ。きょうは時間足らず。おまえ、何でもやらしてやると言ったから喜々として来たら、いつの間にやら時間を制限されて一時間半だと言うので……(「またやらす」と呼ぶ者あり)またやらしてくれるか、そうか。またやらしてくださるそうでありますから、それじゃきょうは一時間半で終わりますけれども、私はその質問の準備を全部してきた。してきたところへ、こういう問題が出た。いいですか、外務省だ、あなたはキャップだ。大臣が出ない、次官が出ない、男女差別がこんなに明らかだから出ないというところに、十二名のその下にいる部下、官僚がのうのうとして出ていっているということは、一体どういうことですか。差別問題の前に、一体外務省という官庁は何ですか。これは規律も統制もないじゃありませんか。しかも、我々が真剣になって、その外務官僚を相手にこの男女差別の問題を論じているさなかに、これほど明々白々な差別はない問題に喜々として出席しているということは、一体どういうことなんですか。私は、きょうの質問のポイントをそこに置いたんです。 この条約の内容には、私は賛成ですよ。けれども、この条約に対する従来の官僚の姿勢が全部うそだ。だから、ここでまたこんなので条約を批准しておいたら後でどうなるかわからぬから、この姿勢が直らない限りは、私はこの条約を即決的に通すわけにはいきません。これを基本にした質問をしようとしたさなかに役人自体が、こんな条約くそ食らえだ、国会の審議くそ食らえだ、立法府で何を議論しようと何をしゃべろうと、そんなことは我関せずだ、外国のお客さんを呼んでいるのだから、のほほんとして一緒にプレーするのが我々官僚の正しい姿勢であるというこの考え、こんな姿勢がある限りは、この男女差別の問題をここで何百日論じたって効果ないじゃないですか。そんな官僚から首にしなければだめだ。 それで外務大臣、こういう不当なやからを一体どう処置されるのか、まずあなたの決意をひとつ聞いておこう。
○安倍国務大臣 これはいきさつを申し上げなければなりませんし、またこれは私の責任においてやったことでありますから、御理解もいただかなければならぬと思うわけです。というのは、この外務省あるいはまた在京の大使との交歓のゴルフというのは、毎年二回ぐらい、大使と外務省との親睦を目的にしまして、第一回は外務大臣の招待、その次は各大使の招待、こういうことで年々やっておるわけであります。そういう中で、小林さんも御承知と思いますが、土曜、日曜ということになりますと、大勢のそうしたゴルフコンペをやるというのはなかなかゴルフ場は認めてくれないわけです。それを小金井カントリーは、そうした国際的な親善ということで長い間開放してくれておりまして、これに対しては私も実は外務省を代表して感謝をしておるわけでございます。 そういう中で実は先般の土曜日に、長い間の計画の後に外務省と在京の大使との間の親睦ゴルフ会が計画をされておったわけです。そのメンバーの一人に森山政務次官もおられたわけでございますが、実は私も森山さんも外務省当局も、小金井のゴルフ場が土曜、日曜は婦人のプレーをお断りをしておるということは全く知らなかった。前の晩になりましてそういうことが判明をいたしまして、そこで森山さんも参加しない、私もこれはもう参加できないということに決めたわけです。 しかし、在京の大使が楽しみにしておりまして、そして大使は何もそういうことは知りませんし、外務省で前の晩に知りましたのも私と森山さん、それからゴルフ場との交渉をしておった関係者の一人だけでありまして、そういう中でせっかく国際的な親善を目的としておりますコンペでありまして、したがって、特に外務省だけのコンペなら別ですけれども、大使の皆さんが参加されるわけでありますし、これは私の責任において、実は森山さんも参加されないわけですし、私もこういうことについては問題があると思いまして参加をしないことに決めたわけですが、しかし外交的なそうした交流をやっておるわけですから、これはやはりコンペとしてはやったらいいんじゃないかということを私自身が言いました。今回は大使の方の招待だったと思いますが、それは出たらいいんじゃないかということで実は出したわけであります。 これは私の責任において、外務省の役人も参加したわけでございます。やはり大使等も呼ばれておるわけでありますし、一方的にそういう理由で断るということについては外交儀礼上まずい。この小金井倶楽部のとられた措置については、そういう取り決めについては私自身も問題がある、これは今後の課題として取り上げなければならぬということは、森山さんとも話し合ったわけでございますが、コンペの方は私の責任において、外務省の役人も参加していいんじゃないかということで行ったわけでございます。
○小林(進)委員 外務大臣の今の答弁は、了承することができません。もし、外務大臣が私の責任でと言うなら、あなた責任をとって腹を切りなさい。女性差別の問題は国際的な問題で、しかも最も基本的な重大問題だ。だからあなたは出られなかった。向こうの大使の招待であろうとあなたの招待であろうと、招待者がだれであろうとも、こういう審議の過程でこういう差別されることには出られないというあなたの姿勢は、もし新聞の報ずることがうそならば別だけれども、理屈は正しい。だけれども、外国大使の招待だから部下の官僚を出したということは、そんなことは筋が通らぬ。 去年は幸い森山さんの問題は、何か都合が悪くて出られなかったというから、女性云々の問題は表面に出なかったのだろうけれども、去年森山さんが平常どおり出ると言えば、きっと去年この問題が起きたのだろうと思うが、去年であろうと、ことしであろうと——しかも外務省のセカンドですよ。あなたの次に位するセカンドの地位にある者が、ナンバーツーだ、それがたまたま女性だからそういうコンペに出せない。一体なぜ、外国の大使の招待だからといって出ていかなければならないのか。その理由は一つもない。こういう失敬なことをするカントリー倶楽部だから、残念ながらということで十二名のうちの一名か二名だけはあなたの糸をつけて、外国の招待者に日本の事情を説明するための官僚を一名か二名やらしたというなら理屈は通る。またそうあるべきである。それをただ大臣と次官が出ないで、あとはのほほんと全部出しておいて大臣の責任だなんという、そんな責任のとり方は了承できません。それは断じてだめだ。 今の、まだ出てこないな。すぐ数はわかるだろう。何で持ってこないのだ、その十二名の名簿を。何で出さないのだ。そんな時間がかかるはずがないじゃないか。
○愛野委員長 今名前を調査しております。
○小林(進)委員 こういう不当な抵抗をする、これは外務官僚の一番悪い癖です。こういうふざけたまねをしてはだめです。 こんなことばっかりやっているとだめだけれども、これはきょうで済む問題じゃありませんよ。大臣、私はこれから宗教であろうと慣習であろうと家庭であろうと教育であろうと、女性差別の状況あるものは、一体どうしてこれを是正をし、改正しようかという、その問題の提案をしようとするときに、いみじくもこういうカントリー倶楽部でゴルフをやりますなんというそんなプレーの舞台において、日本の国内でまだ女性を入れない遊び場所があるなんということは、一日としてこんなものの存在は許されない。 だから我々委員会において、こういう小金井カントリー倶楽部なんというものは日本国内に存在することは許されない、ここに入っている会員がいたらみんな即時脱退しろ。民間機関だからぶっつぶすわけにはいかぬけれども、世論に訴えて——こういう女性差別をしているようでは、我々立法府がそのゴルフ場の存在を黙って見ていた、委員会を開いて女性差別問題をやりながらこんなゴルフ場の存在を認めていたなんというのは、我々自身が笑い話になる。私は、国民の前に笑い話になることは耐えられないから、我が委員会においてきちっと、こういうゴルフ場の存在は断じて許すことは相ならぬ、役人は全部責任をとってやめろ、顔ぶれをみんな入れかえる。それならばその段階において、一応ぶっつぶすことは考えてやってもよいけれども、それくらいの強硬な意思表示をしなければ、一体何のかんばせあって我々はここで男女差別の問題を論じているのですか。 委員長、あなたは僕の無二の親友だ。なおかつ、あなたは私の後輩だ。後輩の名に恥じないようにきちっと、少し態度をわきまえなさい。
○安倍国務大臣 私、ちょっと勘違いしておりました。実は交互で招待するということですが、今度は外務大臣の招待ということでした、これも後でわかったのですが。 それから、外務省の参加した役人は、女性が参加されないということは全然知らないで出ていっているわけです。それは前の晩、夜遅くなってそういうことがわかったわけですから、全然知りませんでした。ですから、知って出ていったわけじゃありません。それははっきりと申し上げておきます。 それから、確かにこうしたゴルフが女性にも広く一般化しているときに、小金井カントリーにそうした女性を土曜、日曜入れないというふうな取り決めがあったということは全く知りませんでして、そういうことは私は非常に問題がある、何とかしなければならぬなという感じは、実はそのとき強く持ったわけであります。
○小林(進)委員 今大臣のおっしゃったとおり、これは外務大臣の招待ならなおさら悪い。外務大臣が出れぬなら、そのセカンドのナンバーツーの政務次官が、大臣にかわっても招待する接待側の責任者ですよ。その責任者が、女性だからといって出るなと拒否されておいて、それでなおかつ黙って見過ごすということは、それは許される問題ではありません。安倍さん、ここがあなたの悪いところなのです。あなたはもう総理・総裁の資格はあるけれども、その一点の気の弱さがあなたの総裁の道をふさいでいるのだ。決断をしなさい、勇気を持ちなさい。こういう問題の是非、善悪をきちっと腹を決めなければ政治家の資格はない。 しかもこれに対しては、儀典官室は支配人に対して、そんなばかなことがあるか、どうしても森山さんを出席させるという、再三の交渉までしているのじゃないですか。それをしているのさえも知らないで、しかも森山さんがちゃんと出席すると通告しているのも知らないで、儀典官室の交渉も知らないで、あるいは森山さんの出席をキャンセルされたのも知らないで、外務官僚十二名がのほほんと出ていったというなら、なおさらこのやろうども許すわけにいかない。そんなやろうの存在は、なおさら許すわけにいかない。言いわけの余地はありませんよ。 なおしかし、ここでも言っているが、これも森山さんもおとなしく辛抱し切れないところを我慢して言ったのだろうと思うのですけれども、森山談話が出ている。「男よりうまい女もいるし、女を排除する合理的な理由はない。昔決めたことを後生大事にしているだけ。日本では、しばしばゴルフが仕事に関係してくる。女性の職業人として、黙って見過ごせない。仲間うちのクラブかもしれないが、社会的な存在なのだから、社会のルールに沿ってほしい」森山談話は実に立派ですよ。昔はそんなルールがあったかもしれぬけれども、今そういう時世じゃないと言っているのだ。副大臣がかくのごとくけしからぬと言っているじゃないか。副大臣がけしからぬと言うところをその部下、局長がぞろぞろと十二名も行って、なお大臣は私の責任などと言うことはだめです。あなたは森山副大臣の立場に立ってきちっと問題を処理する、そういう決意、決断を私は要望いたしておきます。 まだ名簿は来ないか。一体、そんなに時間がかかるのか。審議の妨害じゃないか。
○愛野委員長 今出すように準備をいたしております。
○小林(進)委員 何で出せないのだ。おれは外務省以外の人間の名前を出せと言っているのじゃないのだ。何が出せないのだ。
○愛野委員長 出すということで、今名簿をつくっております。今、清書中であります。
○小林(進)委員 けしからぬ。 それでは、時間もないから、出たらまたやります。 それでは、私は女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の審議に入りますが、私は先ほどから申し上げた。私は、この条約の内容には反対する理由はありません。けれども、二つの点において私はどうしても賛成できない。 それは、今私が追及している外務省、政府並びにこれを取り巻く官僚の姿勢と考えが変わらない限りは、この条約は批准をしても、我が国民の女性にとってちっとも有利にならぬ、むしろ不利になるもとをつくるおそれがあるから、私は賛成できない。 その具体的な第一の理由といたしましては、デンマークで開かれた国連婦人の十年世界会議、この会議の中で日本政府が行った行動です。あるいは外務官僚が受けてこの会議の中で行った終始の行動には、一体婦人の差別を撤廃する積極的な動きがありましたか。むしろ、これに全部水をかけて、時にはこの条約に署名をしないなどという動きを見せたのは、世界各国の中で日本政府だけじゃないですか。そういう動きを出してみたり、あるいはまたこの婦人年のこの会議の中に盛られている重要な問題を、国内法に支障のないように何とかごまかして、そして表面だけさっとなでるような形でいこうとするための内容の改悪の方向にモーションを起こしたり、終始一貫逆へ逆へと動いているじゃないか。 これをこのままの形にしておいて、この条約を通したら一体どうなるか。我が日本の婦人を現状のままに氷漬けにしておいて、日本は婦人差別の問題では世界でも中進国だ、むしろ後進国だという非難を一歩も前進させない。もう条約は通ったのだからといって氷漬けにしてしまって、百年も二百年もこのまま、この差別の実態を温存されていく危険がある。このおそれが断じてないという証明をここで与えてくれない限りにおいては、まずこの理由において通すわけにはいかない、それが私の第一の理由だ。 それから第二番目は、ここにもありますが、五十四年の五月、いわゆる国際人権に関する条約の審議の問題。私は、この審議の過程に自分でも入ったのでよく知っている。この国際基本人権条約の名前を正確に言えば、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の締結について承認を求めるの件、第八十四国会の条約の第十六号、これはA規約と称する。いま一つは、市民的及び政治的権利に関する国際規約の締結について承認を求めるの件、これはB規約という。ABの規約、これを称して国際人権規約という。これをこの外務委員会で審議するときに、各委員が、参考人も全部、国内法の改正とあらゆる条件を出した。それを通過し、その承認を認めることを条件にして、この国際人権規約に賛成した。 〔委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕 その中でも一番反対したのは、私でしたよ。なぜか。日本の政府の姿勢あるいは外務官僚のあり方からして、こういう基本人権の規約を通過してしまったら、それだけで食い逃げされますよ、いろいろここで論じている国内法の改正やらあるいはILO条約の批准やら、そういう婦人の差別を撤廃するもろもろの国内問題は全部やらないで食い逃げされますから、まず国内の整備すべき内容法は全部整備してからこの人権条約は承認すべきであるということで、盛んに私は反対した。ところが、この私の正論も、残念ながら少数にして社会党の内部で敗れてしまったものだから、私自身が少数意見で敗れたから、やむを得ずこれを通過させる賛成側に回ったのだが、その後、あのさわやかな答弁というものは、この人権規約に対する政府側の公約が一体一つでも実施されましたか。私の思ったとおりじゃないか。私の予言したとおりじゃないか。全部食い逃げしているじゃないか。差別は一つも直してないじゃないか。 こういうような前例があるから今度のものも、よほどこの任に当たる政府当局、外務省官僚の腐った根性をたたき直して、この国会の場においてやりますと言ったからには断じてそれをやるという確約をはっきりとらなければ、簡単にはこんなものは通すわけにはいかないというのが私の考えなのです。一体御異議がありますか。 私は、そういう二つの問題から解明していきますが、まず第一の問題だ。 ここに、五十四年の基本人権に関する発言録も答弁録も皆あるのだから、まずこの問題からひとつ聞いていきますよ。そこで答弁した諸君も皆ここにいるのだから、そのときの外務委員長は塩谷君でしたから、今の愛野君とは委員長は違っているけれども、約束は約束だ。そのときに、国内法を改正する四項目の留保があった。この人権規約問題に関する四項目の留保の条件をその後どう処理したか。この中にはもろもろの差別、人種の差別、外国人に対する差別、特に男女に関する差別、この問題だけは断じてこれを是正せい、直せ、国内法で修正せよということはだれもがみんなしゃべっていることだ。雇用の問題もありますよ。深夜作業の問題もありますよ。あるいは産休の問題もあります。そういう問題に対して外務当局や関係省庁に全部枠をはめている。その枠をはめておいたことが一体何と何と何であったのか、ここで改めてひとつ教えてもらいたい。そして、枠をはめられたその問題に対して、この国会の中で約束をしたとおり、その後それを実行したかどうか、その実行の経過もひとつあわせて言ってもらいたい。もし何もやってないということになったら、国会軽視も甚だしいと言わなければならぬ。それだけでも腹を切ってもらわなければいかぬ。
○安倍国務大臣 私も外務大臣になりましてから、やはり日本においても名実ともに男女平等を実行していかなければならぬ、そういう大きな時代になっておるという認識のもとに女子差別撤廃条約を何とか批准をしたい、こういうことを申し続けてきたわけであります。 御承知のように、アメリカも、イギリスも、ドイツもまだ批准していないという状況ですが、そういう中にあって日本が率先してやらなければならない、こういうことで努力をいたしました。しかし、それには条約を批准しても国内体制が整わなければ意味がないわけでありますから、どういう条約であってもこれを締結するに当たっては必要な措置を事前に講じなければならないわけでありますし、また締結した以上は、誠実に実施していくということは申し上げるまでもありません。そういう立場から我が国の政府は、従来からこうした方針のもとに条約についても締結はしてきておりまして、また人権規約の批准後も同規約の要請に沿って、例えば内外人平等の取り扱いに関して幾つかの法改正を含む措置がとられていることは、御承知のとおりであります。 また、本条約につきましても、学習指導要領上の男女差の問題等、一部の条約上の要請が批准後に実現されるものがあることもありまして、本条約批准後もなお一層の努力を払っていく、条約の要請を誠実に履行することは当然のことでありまして、この点につきましては、三月の婦人問題企画推進本部の会合においても関係省庁間で確認をしておるわけでございます。御承知のように男女雇用均等法も、国会の御協力のもとに成立を見たところでありまして、国内体制も着々整っておる。ただ、問題はまだ一部残っている点があるわけですから、これは批准後も政府としては責任を持って、残された問題を真剣に取り組んで解決していかなければならぬ、こういうことは確認されておるわけでございますから、今のこの条約の批准に向かって、政府としても真剣にまじめに法体制の準備を進めてきておるわけでございますから、今いろいろと御批判がございましたけれども、私が初めに申し上げましたように、条約を批准しよう、そうして男女平等を名実ともに実行していこう、こういう真剣な気持ちで対応しておるということは小林委員もひとつ御理解をいただきたい、何も後ろ向きにやっておるわけではなくて、前向きに全力を挙げてやっておるということでありますから。
○小林(進)委員 今、書類が出てきました。この十二名の外務官僚のくせ者の名前が出てまいりました。第一は石井儀典長だ。儀典長は何だ、前日まで森山眞弓次官を出さないということで、それは取りやめてくれという交渉の責任者じゃないか。先ほどの大臣のお話によれば、いや、官僚はそういう状況を知らない、婦人を入れられないということは知らないから、彼らは善意でもって出席したのだと言うけれども、出席した一番巨頭が、森山さんを出さない、それをやめてくれと言って一番交渉の任に当たった人が出ているじゃないか。しかもその中に儀典官沼田、これなんかも前日寝ずに、森山さんの出席を不可能にするということの抗議を申し込んでおる責任者であります。そのほかに北村官房長、波多野外務報道官、これは前の中近東局長だ。それから堂ノ脇中南米局長、国広経済局長、谷田領事移住部長、松浦総務課長それから西林儀典官首席事務官。 何だ、一番交渉の衝に当たった儀典室から、十二名のうち三人も出ているじゃないか。こういう三人も出ていて、そんな婦人を入れないなんて私知らなかったから、だから善意でもって出ていったのだ、そういうぬけぬけした答弁が一体この大衆の中でやれるのですか。これが外務官僚の本質なんですよ。その場その場で人をだましていけば、後は野となれ山となれ。こんな者に一体、こういう基本的な条約の審議を任せていいのですか。任されないと言う私の方が間違っていますか。私どもは悪いけれども、悪いことをやったっていいことをやったって、平均二年目にはちゃんと主権者たる国民の前に体をさらして、おまえ、間違ったからやめろと言われて我々は首になる。我々は、それほど峻厳な中で今任務を遂行しているのだけれども、役人なんというのは、いわゆる外交官試験でも通れば終身就職みたいなものだ。首になることはないものだから、でたらめほうだい、やりほうだいしているのだ。こういう者に国際レベルの重要な法案や国民の生命身体に関するものを任せられるか。 安倍さん、もう理屈を言っているときじゃないです。これほど明快なことだ。そして、あなた自身も明快に判断したことだ。森山ナンバーツー、外務省は色をなして憤慨した事件だ。その下の、こんなことでは困りますと言って交渉したやからどもを中心にして十二名ものこのこ出かけて、何かすりこぎの棒みたいなものを振り回している。そういうようなことは笑い事じゃありません。こういうことを峻厳な処断をしてもらわなければ問題は進展いたしませんから、これは外務大臣、私は強くあなたに要望しておきますよ。あなた個人の責任だなんて言ったって、あなたの責任に任せておくわけにいきません。この諸君を一体どう処罰されるか。 いま一つは、ともかくこの委員会の名において今国際的な条理、男女差別の問題を論じておるその場合に、日本のゴルフ場が天下の一流紙を通じて、何が悪いか、当たり前だ、婦人なんか入っちゃゴルフ場が汚れますというような堂々たる論陣を張って、一億一千万の国民を愚弄するようなことを我々は黙って見ているわけにはいきませんから、これは我が委員会の名において、こういうゴルフ場の存立を断じて許さないという峻厳なる行動に出てくれることを要望いたします。出てくれなければ、また何回も繰り返して要望いたします。 そこで、次に移ります。今度はこの条約の問題にいきますが、質問しましたでしょう、この国会の中で国際基本人権について論議をされた条項、留保された四項目、その後これをどう修正いたしましたか、どう法案でこれを訂正いたしますか、その具体的な実績を述べてください。
○山田(中)政府委員 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、条約を締結したらそれで終わりということではなく、条約の内容実施のために努力をするということを人権規約を御審議いただきましたときに申し述べた次第でございます。 人権規約を御承認いただきましたときに、非常に広範な問題がございましたが、今先生御指摘の留保は三点ございます。公の休日についての報酬を払うこと、それから罷業権の問題、それから高等教育における無償教育の問題、この三点につきましては、我が国としてはそれが実施できないという趣旨で当時留保することを決定いたしまして御承認いただいたわけでございますが、先生から御指摘ございましたように、要望決議で、この問題については常に検討を続けるようにという御趣旨の決議をいただいております。その観点から、これらの三点につきましては検討を続けてはおりますが、現時点におきましても日本の国内法制、実情がこの留保を撤回する状況になっておりません。 それから、同じく要望決議で検討方を指示いただきました二点がございますが、一つは選択議定書の締結、もう一つはB規約の四十一条に基づく宣言をすることでございます。B規約の四十一条の宣言の点につきましては、検討いたしておりますが、現在のところこれが現実に働いておるケースがございませんので、またこれを宣言するという決断をいたしておりません。選択議定書の方につきましては、選択議定書を締結いたしました国々の間でこれに基づく審査のケースが相当起こっております。そのケースを今検討いたしておりますが、これはまだ私の感触でございまして政府全体としての決定ではございませんけれども、これは前向きに締結を検討すべきものと思っております。 さらに、両規約を御審議いただきました際に、この条約の漸進性のゆえに早く締結することを御承認いただいたわけでございますが、そのときに二つの大きな分野で措置をとるべきことがございました。その第一点が内外人平等でございます。第二点が両規約の三条にございます男女平等でございます。 内外人平等につきましては、昭和五十七年に国民年金、児童扶養手当等の給付に国籍要件を撤廃いたしました。また同年、同じく国立または公立の大学における外人教員の任用が可能になるような措置をいたしました。また、弁理士資格につきましても、対象となる外国人の範囲を拡大いたしました。公営住宅についても、外国人が入れるように拡大した措置をとっております。 それから、第二点の男女平等でございますが、これはまさにこの男女平等の点を日本として進展させる必要があるということで諸般の措置をとってまいりまして、現在御承認を求めておりますこの条約を締結することによって一層進展させたい、かように考えております。
○小林(進)委員 いろいろ私の聞かぬことまでべらべらしゃべっているが、それじゃこれはそのまま六年前に審議されたことの繰り返しだから、ここで時間をとると前に進まないから、おれも残念だけれども、余り今の答弁はおちゃらかしているから、一つだけ聞くよ。 それは、いわゆる人権規約のA規約第十条の第二項だ。これはいわゆる産前産後の休暇の所得保障の問題について書いてある。その中では、働いている女性には「産前産後の合理的な期間においては、」「有給休暇又は相当な社会保障給付を伴う休暇が与えられるべきである。」と規定している。いいですか。有給休暇だ、給料をちゃんと保障してやれということだ。ところが、このときの質問の中には、これは労働基準法にもない。ただ、これは健康保険法の中で何か六〇%の出産手当金をやるような規定があるだけだけれども、この規定だけでは、五人以下の中小企業に働いているパートだとかそういう人たちはこれは全部該当しない。こういう人たちには依然として産前産後がないじゃないか。これは基本人権から見ても許すべからざることだから、そこで労働基準法、国内法を明確に改正して、働いている婦人には、農村の婦人であろうと中小企業であろうと五人以下の職場であろうとパートであろうと、これは全部産前産後のきちっとした手当を法律の根拠に基づいてやるようにせよ、ちゃんとやっている。繰り返しこの前も論議を重ねて、私も一緒にこの論議に参画して要求した。どうなりました、改正しましたか、実行しましたか、これ一つだけでもせめてやったか。何だ、寂として席がないじゃないですか。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 関係省庁の方から補足していただいた方がいいかとは存じますが、今先生御指摘の点につきましては、先般立法いただきました男女雇用機会均等法で産前産後の休暇の延長が図られておりまして、それとの兼ね合いで社会保障等で従来にも増して充実した方向に進むというふうに理解いたしております。
○小林(進)委員 何だ、それは。それが一体答弁かね。それをもって答弁としているのかね。こういう人を小ばかにしたようななまっちょろいことでその場所を糊塗しようなんて、そういうのはだめだと言うのだ。そういう不まじめだから、あなた方にはこういう条約の批准なんか任されない。任せてしまえば、そのとおり何にもやらない。そして、こういう場所へ来れば、いかにして人をごまかすかということだけを考えている。 委員長、時間もありませんから、これは文書によって提出することを委員長を通じて要求いたしますよ。五十四年の五月におけるいわゆる国際人権規約、A規約、B規約に対して、我々が国会のこの場所で責任を持って論じ、要望し、なおかつそれにこたえたその条項は一体幾つあったのか。ここで、要求をせられ、議員から求められたあるいは参考人から求められた問題が幾つあって、それに対してどう措置をしたか。一つでも二つでも実行したのがあったら実行した、あとは全部やらなかったらやらなかった、それを文書で出してもらいたい。委員長、よろしゅうございますか。難しいことじゃありませんよ。これは文書でひとつ提出してもらう。
○浜田(卓)委員長代理 ただいまの小林進君の御提案につきましては、理事会で協議し、それに対応させます。
○土井委員 関連して。ただいまの問題についてちょっと関連で申し上げますが、今の小林議員の御質問に対する答弁というのは、非常にいいかげんな答弁なんです。文書で提出していただくにいたしましても審議中でないと意味をなしませんから、早急に、本日中にこれは出していただくということでないといけません。そのことをはっきり、委員長の一言で決まりますから、わざわざ理事会を開く必要はないと思います。出させますとおっしゃってください。
○浜田(卓)委員長代理 委員長から申し上げます。 ただいまの小林進君並びに土井たか子君からの資料の要求の点につきましては、外務省において至急検討させて対応させます。 なお、追加答弁を許します。山岡国際連合局長。
○山田(中)政府委員 先ほど先生の御質問に対しまして答弁漏れがございまして、まことに失礼いたしました。 先生の御質問の中に、五人未満の事業体での問題がございましたが、これは昨年十月の健康保険法の改正によりまして、昭和六十四年三月までに段階的に五人未満の事業所にも健康保険法の適用を拡大するということになっております。 〔浜田(卓)委員長代理退席、委員長着席〕
○小林(進)委員 その処理は、またひとつ文書でちょうだいしてから次の論陣を張ることにいたしまして、いいですか、こういう悪い前例が外務官僚の答弁の中にあるから、今度もまたその手をやられちゃかなわぬぞ、これが私がこの条約の批准に反対する理由のまず第一だ。 第二番目の理由といいますのが、今行われておるこの条約に対して、一体政府、外務省はどういう姿勢を続けてきたかということなんです。今、我々の方にこれを賛成して通してくれと言っているけれども、この通してくれと言うまでに、外務省自体はこれを促進する方向で動きましたか。反対じゃないですか、先ほどから私が言ったように。デンマークの会議を初め、いかにしてこれに署名をしないかという態度を持続してきたのじゃないですか。まずこれからお聞きしましょう。一体なぜ反対したのか、なぜ署名を拒否しようとしたのか、そのデンマーク会議の実情を教えていただきたい。
○山田(中)政府委員 外務省といたしましては、この条約が一九七九年に国連総会で採択されまして以後、早期に署名、早期に批准ということで努力してまいった次第でございます。一九八〇年に行われましたデンマークの国連婦人十年の中間年の会議に間に合うように努力をして、その際に署名いたしたものでございます。
○小林(進)委員 署名をしたことだけは結論しているが、その道程において署名をしないという態度に出たというのだ。その過程において、そういう態度に出た理由は一体何かと私は聞いているんだ。署名したこと、結論を聞いているんじゃない。その過程において、署名しないという態度に出たそのアイ・エヌ・ジーを聞いているんだ。
○山田(中)政府委員 デンマークの会議で、政府として署名をできるように、外務省としては最大限の努力をいたしたつもりでございます。その過程におきまして、いろいろな意見はもちろんございましたが、関係各省の御協力を仰ぎまして、同意を得て署名したものでございまして、外務省がその署名の足を引っ張ると申しますか、したということではございませんで、むしろ外務省は、できるだけ早く署名したいということで一生懸命努力したつもりでございます。
○小林(進)委員 その会議には、当時のデンマークの大使の高橋君が団長で出席をして、彼自身がこれに反対しようと出たわけじゃないけれども、日本の政府がその過程においてこの署名を拒否しようという行動に出たことは間違いない。それさえもなおかつうそだと否定するならば、これは改めて君にひとつ決闘を申し込まなければいけない、どっちがうそを言っているか。私は自信を持って言っている。しかし、外務省の態度じゃないです、政府の態度を私は聞いている。いいですか。 それからいま一つは、なお、このたびの条約ができ上がる過程においても、いわゆる差別的な国内法、確かにこれは提出するのは幾つもある。その差別的な国内法に手をつけない、改めないでこの条約の批准ができる方法はないか、そのような本条約にしようという考え方だ。そういう行動に向かって、日本の政府代表あるいは日本政府が、それぞれ細かい手練手管を使ったという証拠が残っておる。この点はどうだ。それもないと言うか。ないと言うのならば、私は了承できませんよ。日本の反動的な国内法にはなるべく手をつけないようにして、上っ面の条約だけをさっと批准できるような方向へ持っていこうということで、いわゆる部分的な条約の改正に悪知恵を働かした。そういう日本政府の動きはちゃんと出ているんだ。その問題を聞いているのです。あったかなかったか、聞いている。
○山田(中)政府委員 条約を作成する過程の話でございますが、作成の過程におきましては、もちろん各国の間にいろいろな意見がございまして、我が国もいろいろ意見を言っておりますが、最終的に我が国はこの条約に賛成いたしておりますので、作成の過程におきましても、先生御指摘のように、当時の日本の法制というものをもちろん頭には置いておりましたが、しかしそれは、手当てをして条約をするという方向で現在の条約に賛成いたしたわけでございます。
○小林(進)委員 そういう君の上っ面の、答えぬでもいいようなことを聞いておるのじゃない。私はそんな答弁を要求しているのじゃない。日本の政府が具体的な改正項目を出して、条約のことここはこのように改正してくれと言って、それが全部、日本の国内法をうまくさわらぬで済むような逆コースの、反動的な項目を出して改正の要求をしたことは間違いないじゃないですか。だから、私の質問の要請はこれなんだ。そういうふうに国内法に手をつけないように、このまま残していくようにという基本的な姿勢で条約に終始してきた政府に、このままこの条約を任したら一体将来どうなるか、それの心配がありますよということで私は質問しているんだ。それに何も答えを言えないじゃないか。そんな答弁でよく君は条約局長だとか国連局長だとか務まったもんだね。私はこの条約を審議する場所において、日本の政府の代表がこの原案に対してどういう改正点を出して論陣を張ったか、聞いているんです。抽象論を聞いているんじゃないんです。——委員長、答えられなければ休憩しましょうか。
○山田(中)政府委員 条約作成審議をいたしております場におきまして、先生今御指摘ございましたような日本の当時の国内法制との関連で日本が意見を申しましたものの例としては、例えば国籍の父母両系主義の問題、それから教育課程の同一問題等がございます。ただ、この両者につきましては、先ほども申し上げましたように、やはり国際的な議論というものを踏まえて、現在御審議をお願いいたしております形のもので賛成いたしたわけでございます。
○小林(進)委員 ややわかったようなわからぬような返事をしているが、では私の方で一つ質問しましょうか。いいですか。第三部第十条の(b)項の中で、「同一の教育課程、同一の試験、同一の水準」という「同一」の言葉に対して、我が国は条約審議の際これを「均等の教育課程、均等の試験、均等の水準」という修正案を提案したはずだ。しませんでしたか。この「同一」を「均等」に直せという提案をしなかったか。 時間がないから続いて言いますが、その「均等」というのは結局各国でも支持されなかった。支持されないで、日本の提案は否決されて、原案どおり「同一」になってしまった、こういう実績がある。一体なぜこの「同一」という言葉を「均等」という言葉に改めることの提案をしたのか、その理由をひとつ聞かせてもらいたい。
○山田(中)政府委員 先生御指摘のように、第十条同項の原案は、同一のカリキュラム、セームカリキュラムということになっておりまして、我が方代表団が一時それをイクイバレントカリキュラムに修正するという提案をしたことは事実でございます。 その理由は、我が国の初等中等教育に関する教育課程につきましては、基本的には男女について同じであるけれども、男女の特性を尊重した教育も行われておるので、全く同一の教育課程を意味するというふうなセームというよりも我が方提案を検討してくれ、こういう趣旨で提案したものでございますが、私先ほど申し述べましたように、国際的な雰囲気を勘案し、今の表現で賛成したわけでございます。
○小林(進)委員 だんだんついているうちに、ぽろりぽろりと小出しに本当のことを言い出してくるけれども、こんなにして君との討論をしたのでは何百日やったって尽きはしないよ。今だって語るに落ちた。そのとおりなんだ。日本の家庭教育、女性教育の差別というものを、何とかこの条約の中から逃れて温存していこう。女子は家庭科だ。料理もやりなさい、礼儀作法も教えなさい、これが日本の女性教育に必要なんだ。そういう教育を温存するために同一だ、あなたが言ったセームだ。おれが英語弱いと思ってセームだなんと言ってやってくるけれども、おれもセームぐらい知っておる。そういう「同一」という言葉を改正して「均等」と言う。そういう家庭教育、婦人特有の教育も、この「均等」の中にちゃんと残しておけるという含みがちゃんとあるのです。だから、こういう部分的に修正してくる言葉の中にはみんなこの差別を温存しようという、恐るべき反動的な思想がちょろりちょろりと出ている。けれども、国際の場においてそういうような小汚らしい気持ちは砕かれて、日本の修正案は多数決で否決された、こういうことなんだよ。 だから、ここで念を押す意味になるけれども、この「同一」という言葉は一体どういう意味なんだ、「同一」と「均等」はどう違う。 あわせて、「同一」と言ったからには全く同じという意味だ、教育の場において男女ともに全く同じだということを意味するのが「同一」と解釈すべきであると私は思うが、この解釈の問題を聞かせておいてもらいたい。ここら辺はどうもみんな将来に禍根を残す問題だから、私はあえて念を押しておきたいのです。
○斉藤(邦)政府委員 ただいまの小林委員の御解釈のとおりだと考えております。
○小林(進)委員 同一は同一で、断じて同じ意味だということだな。いいですか、全く同じだということだな、全く同じだという意味だな。
○斉藤(邦)政府委員 そのとおりでございます。
○小林(進)委員 それならば、この条約を批准する際に、中高校における家庭科教育は一体どうなるのか。日本における中等学校、高等学校における家庭科の教育というものはセームだ、男女全く同じだ、こういうことになるものと解釈していいかどうか、これをひとつ。
○斉藤(邦)政府委員 御質問の趣旨を必ずしも把握していないかと存じますが、条約が目指しているところが同一の教育課程を求めているという点はただいま御指摘のとおりでございます。
○小林(進)委員 斉藤君、君の答弁がどうもわからない。ちょうど宮澤喜一の答弁を聞いているようなもので、どうもわからぬ。黒を白とも黒とも言いくるめるような答弁に似てきて、私は君の答弁を警戒しているんだ。 そこで、なおかつ聞くのだけれども、条約批准のために家庭科教育に関する検討会議というものが行われた。その委員の発言の中に、その資料はここにあるんだけれども、女子必修を主張する委員が半数もいたというのだ。家庭科教育というものは女子のために残しておくべきだ。その家庭科教育は何だか具体的に示したわけではないけれども、ひそかに仄聞をすると料理だ、裁縫だ、これは女子特有のものだから必修に残しておくべきだという見解を述べる委員が半分もいた、これは一体事実かどうか。これは日本のいわゆる男女差別の教育の温存を図る主張なんです。半分いましたか。できればだれとだれとだれがこの必修科目に残すべき委員であった、お名前をお聞かせ願いたい。
○菊川説明員 文部省におきましては、家庭科の取り扱いが女子差別撤廃条約の批准に支障があってはならないということで、昨年六月に家庭科教育に関する検討会議を設置したところでございます。その審議の過程におきまして、先生御指摘のように、我が国の歴史と伝統の上に立って、今後とも女子教育や母性教育の上で「家庭一般」が重要であるという主張をされる委員の先生方も大部分おったことは事実でございます。それから一方では、今後の社会を考えますと、男女が協力して家庭生活を築いていくという観点から家庭科教育の内容を見直すべきであるという委員の先生方もおったところでございます。
○小林(進)委員 委員長、今答弁したのは何者ですか、ちょっと聞こえないけれども。
○愛野委員長 文部省菊川職業教育課長。
○小林(進)委員 私は、委員長にも政府にも要求しているのですけれども、私は国民代表で質問しているのだから、責任持って答弁する者以外はここに出さぬでくれとお願いしている。私は、説明員には物を聞かぬことにしているのです。局長以上の、国会の政府委員としてちゃんと登録した者の答弁でなければ、何を聞いたってだめだ。聞かないと言っているじゃないか、初めから。何でこんな者をのこのこ引っ張ってくるのだ。責任も何もない者の答弁を聞いていられるか、この忙しいときに。だめだ、こんな者は。こういうことをやるからだめだというのだよ。だんだん立法府が行政府になめられてくる。黙って見ていると、もう大臣も出すな、局長も出すな、課長で勘弁せいなんて、だんだん行政府が思い上がって立法府を軽視する糸口になる。だめですよ、そんな者は。我々に対する答弁は最低局長以上、国会にちゃんと政府委員として登録した者以外は出してはいけません、特に小林進の質問なんかには。そういうものは相なりません。立法府の権威のために、そんなことは許されるものではありません。 それではこれは後にして、ちょっと時間もないから息継ぎにひとつ、安倍さん、息継ぎ答弁しましょうよ。息継ぎだってまじめですよ。外務大臣、あなたは加藤左衛門繁氏という人を知っていますか。
○安倍国務大臣 教えてください。
○小林(進)委員 質問しているのだよ。知っているか知ってないか聞いているのだから、知らなければ知らないとおっしゃる。
○安倍国務大臣 たくさん名前がありますからよくわかりませんが、ちょっと教えてください。
○小林(進)委員 そうですか、それではお教えしますが、加藤左衛門繁氏は諸行無常を感じて高野山に行ったのだ。石童丸の父親だよ。あなた、琵琶で有名じゃないですか。肥前、肥後、大隅、薩摩の守護職という時めく顕職が、世の無常を悟って高野山に登ったのでしょう。その子供が石童丸でしょう。その石童丸は母親と一緒に高野山のふもとに行ったけれども、女人禁制の山なればといって、真言の本山の高野山には女は登れないというのだ。そこであのいたいけな石童丸が、ホロホロと鳴く山鳥の声に父かとぞ思う母かとぞ思うという聞くも涙の物語で、とぼとぼと高野山へ登ったという。一体、これほど明らかなる男女の差別はないでしょうが。 この形は今でも日本に残っておりませんか。宗教上から来る男女差別の問題。あに高野山のみならんや。まだ日本には至るところに寺院がある。そこには女性の参拝は許さないという宗教があるはずだ。これは法律問題ではないというけれども、本当に我々が男女差別の問題に取り組むなら、しかもこの中に慣習はやめろ、慣行はやめろと書いてあるならば、こういう問題から掘り下げて本当に人権尊重、男女平等の方向へ政治を持っていく、我々の方向を持っていくことが必要だが、この問題はどうですか、安倍さん。日本にも今まだこういう宗教上の差別は幾つも残っているのじゃないですか。これを一体、あなたはどう払拭するお考えですか。法律上の問題じゃない、むしろ国民の心の中に巣くっているこの問題を基本的に退治することから考えなければ、本当の問題の本質的な解決にならない。どうです、そこのところは。
○安倍国務大臣 男女平等と一口に言いますけれども、確かに小林さんの言われるように、それぞれの国でもそうでしょうが、長い歴史と伝統の中で培われた一つの慣行とか宗教的なしきたりとか、そういうものがいろいろあると思います。宗教の問題をここで法律という立場から論ずることはどうかと思いますが、しかし少なくとも法律的には、きちっとした体制をつくるということを目的にしてやっているわけでありますし、そのために条約にも参加しているわけですから、これからやはりいろいろとそうした意識が世界の中でも変わっていくでしょう。それはなかなか、一朝一夕にそう簡単にいかない面もあると私は思います。宗教の中には、まだ依然として日本でも女人禁制といいますか、そうした宗教上のしきたりとか伝統とかいうものがあることも承知いたしております。
○小林(進)委員 あなたは御存じないけれども、私は仏教の大家なんですから。仏教の中にもちゃんと、釈迦の教えの中にも女人不成仏、女の人は仏にならない、こういう経典もある。これは宗教の問題。それからいわゆる孔子の教えた儒教の中の四書五経。儒教の中にも幾つかある。私はこれをみんな持ってきたんです。例を挙げて、きょうは一日やらせてもらえるといいますから楽しみに持ってきたんだけれども、これは後日にしますが、儒教の中にも幾つかあります。儒教の問題、宗教の問題。それから家庭の中における慣行の問題。例えて言えば、まだ鹿児島あたりに行ったって、女性は男子の前にふろへ入るな、男子の衣服と女性の衣服は同じ衣紋かけにかけるなとか、我が新潟県にしたって、囲炉裏がありますけれども一番上座には女性は座らせるなとか、そういう慣行を一つ一つなくすることから問題を掘り下げていかなきゃならぬ。何も法律論争だけじゃない。だからきょうはゆっくりやらしてもらうつもりでしたが、十二時でやめるそうですから、これは十二時までの最後の問題の息継ぎというわけじゃありませんが、ちょっと私はあなたに質問いたします。 それは、私もあなたも明治憲法の生まれなんです。その明治憲法には一体、第一条、第二条、第三条に何があるか。これはあなたと私だけで若い人たちはもう知りませんよ。その明治憲法の第一条は「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」とある。一生懸命に勉強しましたから、七十になっても八十になっても忘れませんよ。第二条は、皇位は男系の男子これを継承す。第三条には「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」とある。この一、二、三条は不磨の大典といって、憲法の改正は三分の二でできるけれども、三分の二の改正は四条以下だ。一条と二条と三条は、天地がひっくり返っても断じて改正できない神聖な条項であるというふうに我々はたたき込まれてきた。ところが、戦争に負けちゃったらみんなころころと、一条も三条も天下の不磨の大典も変わってしまった。 さて、変わりましたが安倍さん、今ちょうど時間を見ながら私は聞いている。この第二条の、皇位は男系の男子これを継承す、女系の女子とは言わないんだ。我が皇室に関する限りは、男性の系統の男子でなければ皇位を継承することができないという明治憲法のこの規定は一体今どうなっているか、これをひとつ安倍さんにお聞きしましょう。
○安倍国務大臣 もちろん憲法は新憲法になりましたが、新しく生まれたこの新憲法のもとにおける皇室典範第一条におきまして、皇位継承資格が男系男子の皇族に限られるということになっておるのは、今日もそのとおりでございます。しかし、この条約との関係でいきますと、皇位継承資格が男系の男子の皇族に限られていることは、本条約第一条に定義されているところの女子に対する差別には該当しない。したがって、これは条約の対象にはならない、こういうふうに理解をしております。 と申しますのは、本条約に言うところの女子に対する差別とは、性に基づく区別等によりまして女子の基本的自由及び人権を侵害することを指すわけです。ここで言う人権及び基本的自由とは、いわゆる基本的人権を意味するわけでありますが、皇位につく資格は基本的人権に含まれているものではないので、皇位継承資格が男系男子の皇族に限定されておりましても、女子の基本的人権が侵害されることにはならない。したがって、本条約が撤廃の対象としている差別にも該当しない、こういうことでございます。これは日本の皇室だけじゃございませんで、諸外国の皇室の中におきましても、あるいは王室の中におきましても、皇位継承資格が男系男子に限るということが決められておる例が先進国の中でも随分見られておることは、御承知のとおりであります。
○小林(進)委員 私が問わないことまで、あなたは長々と全部お答えになりましたが、私のまず聞いているのはそんなわけで、この旧憲法の第二条がどこへ行ったかといえば、皇室典範の中に入って第一条で、日本の皇室は男系の男子でなければ後継ぎにはなれないんだということがそのまま残っているとあなたはお答えになりました。私の質問はそこでよかったのです。そこでよかったのだが、あなたは全部すっとお述べになった。しかし、我が日本の一般の家庭にはそういう規約はございませんな。一般の家庭は、女の子であろうとちゃんと家系を継ぐことは一向支障はない。その日本の一般家庭の慣習の中で、国民の頂点にある皇室だけが男系の男子でなければ後継ぎになれないということは、どうもやや異質なものを感ずる。 かつて、我が日本の神武、綏靖、安寧、懿徳という歴代天皇を一生懸命みんな私も覚えたものでございましたけれども、しかし、その中にも女帝というものはおいでになった。女帝は何人おいでになりましたかな。だから、決して我が日本の歴史の上にも、何も男系の男子のみが後継ぎでなければならぬという歴史もないわけであります。今、ここで土井大先生がおっしゃるには、アマテラスオオミカミも女ではないか、むしろ女系ではないかというふうなお話もあって、決して男系の男子に限るとはなかった。明治憲法になって、なぜ日本の長い歴史を覆してこういうふうになったのか。それが今の男女差別の問題につながるつながらないはまたその次の質問にいたしましても、一体どうしてこれをこのように改める必要があったのか、この点をひとつ私は御所見を承っておきたいのであります。
○安倍国務大臣 この皇室典範は、いわゆる新しい民主議会で社会党の皆さん方ももちろん参加をされまして審議をされて決まった新憲法下の皇室典範であります。恐らくそのときもいろいろと議論が出たのじゃないかと思います。確かに歴史的には、日本の場合も女性の天皇もおられたわけであります。あるいはまた世界にはその例は珍しくないわけでございます。ですから、これはいかに国民が判断をするか、あるいは国会が判断をするか、こういうことになってくるわけであろうと思います。その結果新しい国会の中で皇室典範、そういう中での第一条が決まったというふうに私は理解しております。
○小林(進)委員 残念ながら私に与えられた時間が参りましたが、この皇室の問題はさっきの外務大臣の御答弁のとおり、これは基本的人権であるとか男女差別の問題とは別個の問題だ。単に国内の一つのそういう特定社会における特定の規約だから、人権軽視あるいは男女差別の肯定にはならない、結びつかないものであるとおっしゃった。私も、この問題は余り深入りして追及してみたところで、だれも立派だと褒めてくれるわけじゃありませんから、一応外務大臣の御答弁によりまして、幕をひとつ私自身は閉じておきたいと思います。私は、きょうはこんな服装をして来ましたけれども、午後一時から天皇のなにが赤坂御苑でありますから、きょうは雨が降るから——外務大臣もおいでになるのじゃないですか。おいでになりませんか。そういうようなこともありますので、このくらいにしておきます。 いずれにしましても、慣習と慣行の問題について、これは国内法の改正、あるいはILOと同じように慣行と慣習を今本当に真剣に取り組んでいく、そしてこれを改正していく、そういうきちっとした方向をここで打ち出してもらわなければならない。私は、それを中心に実は御質問を申し上げるつもりでございましたけれども、これはこの次に譲ることにいたします。あとは、この条約の第三条、前文の十一項、国際の平和と安全と男女差別の問題、その因果関係、平和、軍縮、核兵器反対の問題と男女平等の問題が具体的にどう締びつくのかという問題。しかもこの問題に対しては、フランスはこの長い条文に反対している。この条約の中に入れることを反対している。何で反対しているか、そういうことも含めて私は外務大臣の崇高な御所見を実は承りたかった。それから、国際的水準から見て国内的にはまだ随分劣っている問題がある。これも個々に追及してお尋ねしたいということで持ってまいりましたけれども、これはひとつよろしゅうございますね、この次やらしてもらえますな。——この次御質問さしていただけるそうでございますから、それじゃそういうことを留保いたしまして、きょうはこれで私の質問を終わることにいたします。
○愛野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時五十九分休憩 ————◇————— 午後一時二分開議
○愛野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。網岡雄君。
○網岡委員 女性差別撤廃条約の質問をさせていただくに当たりまして、まず最初に外務大臣から、これはたびたび本委員会でももう御表明になっているところでございますが、同時に外務省から出された条約の説明書の中にも「条約締結の意義」というのが書いてありますが、質問の入口のところでございますので、条約締結の意義というものは政府としてどんなことをとらえているか、これは文書でも出ておりますので、宣誓の意味を含めて簡潔にひとつ御答弁いただきたいと思います。
○安倍国務大臣 本条約は、政治的、経済的、社会的その他あらゆる分野における女子に対する差別を撤廃して、女子によるところの人権及び基本的自由の認識、享有及び行使を男女の平等を基礎として確保することを目的としたいわば画期的な条約でありまして、本条約を批准することは我が国における男女平等を促進するとともに、この問題に関する我が国の積極的な姿勢を対外的に明らかにする上において極めて有意義である、こういうふうに認識をいたしております。これがまさに本条約の意義であろうと考えております。
○網岡委員 そこで、以下各論にわたって御質問させていただきたいと思います。 まず一つは、さきに審議をされました雇用均等法の中に若干関連をいたしまして、今、大臣が御答弁になりましたように、条約の締結の意義というものから照らして若干今後の問題を残したと私ども考えているわけでございますが、これについて政府が今後どう努力されていくかという点について政府の所信を伺っていきたいと思いますので、若干具体的な問題をお尋ねしていきたいと思います。 まず、均等法の審議を通じましていろいろ議論のあったところでございますが、女性差別撤廃条約の基本的理念、こういうものについて条約はどういうふうに示しているかという点についてお答えいただきたいと思います。 まずそれは、条約の前文の後半の部分のところで関係のあるところを申し上げますけれども、「また、出産における女子の役割が差別の根拠となるべきではなく、子の養育には男女及び社会全体が共に責任を負うことが必要である」つまり男女共同の責任ということが明記され、同時にそれを受けまして「社会及び家庭における男子の伝統的役割を女子の役割とともに変更することが男女の完全な平等の達成に必要であることを認識し、」こういうふうに一つは、男女が社会全体の共同責任を負いながらやっていくことが女子に加えられている差別をなくしていくことに役立つものであり、伝統的にきている男女役割分業というものに対する廃止の考え方がこの女性差別撤廃条約の一つの大きな画期的な柱だと言われているわけですが、そういうふうに理解していいかどうか。 それからもう一つは、国連婦人の十年後半期行動プログラムにおきます百九項、それから百十四項などにおきましてもそれぞれ、男性が家事、育児の責任をより多く分かち合っていくことを奨励するなど、具体的にプログラムを掲げているわけでございます。要するにこの条約は、先ほど私が前段で申し上げましたことが一つの大きな基本的理念の柱であると言われているわけでございますが、そういう認識でいいかどうか、これをまず御答弁いただきたいと思います。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 御審議いただいております条約、第一点は、人の尊厳という見地から男女同権を図るということ、それから第二点は、今先生まさに御指摘ございましたように家庭、社会の発展を図ること。これは男女共同の責任という思想から成り立っておりますし、先生御指摘ございました国連婦人行動計画の中にもその点がうたわれておる。先生のおっしゃるとおりでございます。
○網岡委員 そこで、均等法の関係する部分について御質問していきたいと思うのでございます。 こういう基本理念にあるにもかかわりませず、均等法では、これまた委員会ではしばしば議論をされたところでございますけれども、均等法の理念に当たるべき一条、二条の規定、前段の規定の中で、女子労働者についてのみ職業と家庭の調和を言っておるわけでございます。男子の分担すべき責任については明記されていないわけでございます。これでは条約の基本理念と大きく矛盾することになると思うのでございますが、この点についてどうお考えになっているか。まず外務省側の見解、続いて労働省側の婦人局長の見解を賜りたいと思います。
○山田(中)政府委員 先生が御指摘になりましたように、均等法の第一条に「目的」、第二条に「基本的理念」が書かれておるわけでございますが、表現の仕方としまして条約の前文等と必ずしもそのままということではない点がもちろんあると思いますが、この均等法は、この条約が定めております雇用の面、家庭責任の面についても条約の趣旨に沿った立法である、そのように私どもは理解いたしております。 先生から特に御指摘ございました家庭の共同責任の点につきましては、均等法におきましても育児等の家庭責任が男女ともにあるとの考えに立って、女子労働者が子の生育について家庭の一員としての重要な役割を持っておると規定いたしておりますし、職業生活と家庭生活の調和についても当然男女双方に必要という思想を持っておるもの、そのように私ども外務省では理解いたしております。
○赤松政府委員 お答え申し上げます。 条約の基本的な考え方は先ほど先生が御指摘になったとおりであるというふうに認識をいたしております。 そこで、雇用機会均等法の基本理念でございますが、これはかつての勤労婦人福祉法の基本理念を一部分受け継ぎ、しかしその基本理念の中で、条約の精神あるいはしばしば引用されますILOの百五十六号の条約、その他新しい現在の国際的な流れあるいは基本的な考え方というものが、勤労婦人福祉法が成立した当時とは異なったものになってきているということを踏まえまして、その点の矛盾を第二条の「基本的理念」では文言を修正したものでございます。例えば勤労婦人福祉法の「基本的理念」には、「勤労婦人は、次代をになう者の生育について重大な役割を有するとともに、経済及び社会の発展に寄与する者であることにかんがみ、」このように表現されておりましたのを、改正法では「女子労働者は、経済及び社会の発展に寄与する者であり、かつ、家庭の一員として次代を担う者の生育について重要な役割を有する者であることにかんがみ、」というふうに書きかえたわけでございます。この「家庭の一員として」ということは、女性だけが家庭責任を持っているということでないということを表現したかったわけでございますので、新しい考え方、すなわち条約の中にあらわされております考え方を勤労婦人福祉法の改正という形をとる場合にそのように書きかえたというふうに御理解いただきたいと存じます。
○網岡委員 委員会での御答弁のやり直しのような、コピーのような御答弁をいただいておるわけでございます。 さらに局長は委員会の中で、これは女性に対する雇用均等法案であるから、婦人のことを規定した法律であるので、殊さら男性のことを明記するということをしなかったんだ、ただし今御答弁にありましたように、「家庭の一員として」という表現はワン・オブ・セムということをおっしゃって、一員であるということは複数ということを裏返しに表明しているんだ、その複数というものは男親というものを予想しているんだ、こういう御答弁があったと記憶をいたしております。今もそういう趣旨の御答弁があったわけでございますが、例えば条約の名称も女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約ということで、明確に「女子に」ということで限定をしておる名前になっておるわけでございます。条約と国内法というものの差があるわけでございますが、しかし法律的な成立要件といいますか、そういうものからいいますと、基本的にはそう問題がないんじゃないかと私は思うのでございます。 そういうことをまず前提にして見ましたときに、この撤廃条約の中には、基本理念として男女の平等というものと家庭における男女共同の責任というものをきちっと明記する意味において、先ほど読みましたように「子の養育には男女及び社会全体が共に責任を負うことが必要である」ということで、社会及び家庭における男女の共同責任が明記されています。それから、次の項に続けて「社会及び家庭における男子の伝統的役割を女子の役割とともに変更することが男女の」、ここでもまた「男女の」と改めて言っていますけれども、「男女の完全な平等の達成に必要であることを認識し、」こういうふうに規定をしておるのでございます。 私は、法律には素人でございまして細かくは知りませんけれども、しかし一般的な法律の成文の形態というものは、そこに規定する法律の用語というものは、今局長がおっしゃったように「家庭の一員として」ということの反対解釈の形で複数があるんだというような遠回しな理解をしなければいけないような、つまり拡大解釈が必要であるような、極めて不明瞭な形での解釈をしなければならないような法律用語というものは、法律としての要件を備えていないと私は思います。ましてや、男女雇用機会均等法案にいたしましても女性差別撤廃条約にいたしましても長年にわたる、ここにも育っておりました伝統というものを破っていくということでありますので、そのことを明確に規定をしていくためにはやはり男女の共同責任、男女がどうすべきであるかということの特に男の立場、責任というものを明確にしていくことが、この条約の基本理念を踏まえた法律の要件ということになるのではないかというふうに思うわけでございます。その意味でいいますならば、何も「家庭の一員」というような遠回しな表現をしなくても、女子労働者ではなくて端的に男女労働者がというふうに言えばたった一言で済んでしまう。今行政改革が言われておりますが、文章の内容からいいましても極めて簡潔に、しかも一〇〇%条約の基本的な理念をのみ込んだものになるというふうに思うわけでございますが、この点についてまず外務省の見解、これは条約解釈の一番中心に座っているのは外務省でございますから、こういう点についてどう理解をされているか、まずお尋ねをすると同階に、局長からも再度御答弁をいただきたいというふうに思います。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、家庭、社会の発展における男女共同の責任、これがこの条約の非常に重要な柱であることは先生のおっしゃるとおりでございます。 ただ、この条約の趣旨と申しますのは、男女平等、男女共同の責任、そういうものを達成する場合に、現実の問題としてやはり女子がいろいろな分野の面で機会に不利な立場に置かれておる、それを撤廃していこうという趣旨でございますので、この条約自体も、全体を通じて見ますと、女子というものに対する差別を撤廃するという趣旨が貫かれておるわけでございます。雇用機会均等法の立法されました観念もまさにそういう現実を踏まえて、それを修正していこうという趣旨である、こういうふうに理解いたしております。
○赤松政府委員 ただいま国連局長からの御答弁のとおりでございますが、なお均等法の内容に即してもう少し補足させていただきますと、均等法は、網岡先生は社労の委員でもおられましたので、あるいは御説明が重複するかもしれませんが、失礼をさせていただきますが、第三章に女子に対する特別の配慮についての規定をしているわけでございます。第三章「女子労働者の就業に関する援助の措置等」という章を、これは勤労婦人福祉法のときからの、ほとんどそのまま引き継いで受けて書いてございます。もちろん条文等は、その前に第二章が入りましたので後ろへ繰り下がっておりますが、内容的にはほとんど変わっていないわけで、あるいは再就職に対する援助等、全く新しいものが加わっておりますが、基本的な考え方といたしましては、第二章に均等の規定を置き、第三章は勤労婦人福祉法の措置を受け継ぎまして、これは、女性が現実の社会においては男性よりもより重く、家事の負担、育児の負担等を背負っているという事実に着目をいたしまして、そのためにこうむっているいろいろな不利益と申しますか、職業上におけるハンディキャップを少しでも少なくするためにいろいろな特別な措置を、男性には設けていない措置を設けたということが、なお今三章として残っているわけでございます。 そのために、条約とは基本的な理念は同じくしつつも、そのような措置をこの法律が持っているということにかんがみまして、基本的な理念の書きかえも、その点について全くなくしたのならば別の書き方もできたかと存じますが、第三章は残っている、それを基本的理念に全く無視するということは適当でないという考え方から現在のような形の基本的理念に書きかえるにとどめた、このように御理解いただきとうございます。
○網岡委員 言っておられる意味が私にはよくわからないわけでございますけれども、そうすると、これはどういうことになるのですか。 最初私が申し上げたように、一つは、女性差別撤廃条約の基本的理念というものは男女平等である、これは侵すことのできない尊厳なものだ、こういうふうに言っている。それから二つ目には、家庭、社会における男女共同責任、そして伝統的な男子の役割というもの、これはつまり平たく言えば、男は仕事、女性は家庭、こういう伝統的な役割分担というものを変更する、こういうことが婦人差別撤廃条約の基本理念だということについては、そのとおりだという御答弁があったわけでありますが、そうなりますと、今の御答弁は、要するに勤労婦人福祉法の古い改正前の内容も受け継ぎながら規定をして、そして「家庭の一員」云々というふうなことになっているのだ、こういうお答えだと思うのですが、そうだといたしますならば、これは婦人差別撤廃条約の基本的な精神というものは、先ほど言いましたようなことなのでございますけれども、勤労婦人福祉法の改正前の精神というのは、これは、女性が家事というものについての役割を果たすためにそれを援助していく、こういう特別保護措置というような形での規定であったと思うのでございます。 それが、今度の婦人差別撤廃条約の基本理念からいけば、そういう考え方というものは、もう世界の潮流からいって古いものだ、つまり男女が共同責任を負っていかなければならない、こういうことになっているのだ、こういうことであるといたしますならば、私は、女性のいわゆる家庭における役割と社会的な役割というものの調和を図っていくというような表現というものは、これはもう昔の考え方であって、条約の基本理念を踏まえるというならば、やはり明確に男女の共同責任というものを前面に打ち出す改定というものがなければならぬのじゃないか。その辺と今御答弁になったものの関係というものはどうなるかということをもう一度御答弁いただけませんでしょうか。
○赤松政府委員 確かにこの第三章を設けました趣旨は、女性がより多く家庭責任を負っているという事実に着目したものでございます。そこで、世界の潮流が、男女の責任であるというふうになってきていることからいえば、日本の状況は確かにおくれていると言うことはできるのではないかと思いますが、しかし、先ほど申し上げましたように、現実に女性がより重く家事負担、育児負担を負っているという実情は、これはそれほど変わっているわけではございませんで、やはり今なお重く負っているわけでございます。そこで、その事実を無視して、このような特別な措置をなくしてしまうということは、やはりより大きなマイナスがあるのではないかという考えから、第三章をそのまま、多少のつけ加えた点はございますが、ほとんどそのままに受け継いだということでございますので、いわば理想と現状との接点というものをこのような形で見出したということになろうかと存じます。
○網岡委員 次の質問もございますし、私どもの基本的な考え方は、いろいろ問題があった均等法というものが、私どもは反対でございましたけれども成立をしている、婦人差別撤廃条約も今承認の方向へ向けて審議をしているという状況から見まして、私どもはもう少し議論をしたいのでございますけれども、確認を一つしておきたいと思います。 それは基本理念の上に立って、先ほど赤松局長がおっしゃった「家庭の一員」という表現は、文字どおりそれは女性労働者を示しているのではなくて、その背後には父親があるのだ、したがって表現はされていないけれども、男女共同の責任を負っている基本理念はこの文脈の中に流れているという認識をしてよろしゅうございますか。それは国連局長それから赤松局長、御答弁いただきたいと思います。
○赤松政府委員 先ほど申し上げましたように、わざわざその部分の文言を変えたということは、先生の御指摘のとおりの考え方からしたものでございます。
○山田(中)政府委員 先生仰せのとおりに私も理解をいたしております。それで、この均等法の運用は、この条約を御承認いただきましたならば、その実施を頭に置いておやりいただくとお願いいたしておりますので、そのようになるものと期待いたしております。
○網岡委員 それでは、次の問題に移ります。 条約の第二条(b)項に、「婦人に対するすべての差別を禁止する適当な立法その他の措置(適当な場合には制裁を含む。)をとること」とありまして、女性に対する差別を禁止することを掲げているわけでございます。これは条約の文章をそのまま素直に見ますと、差別というものをなくしていくためには、差別を禁止する立法が条約の基本に流れているものだと私は思うわけでございます。そこで、均等法案によりますと、御案内のように募集、採用、配置、昇進というところは、極めて残念でございますけれども、企業側、事業主側の努力義務ということになってしまっているわけでございます。 これは私は、国連局長に確認をしたいのでございますが、この条約の十一条(a)項に示されております「すべての人間の奪い得ない権利としての労働の権利」それから(b)項の「同一の雇用機会(雇用に関する選考のための同一の基準の適用を含む。)についての権利」とあるわけでございます。そして(c)の「職業を自由に選択する権利、昇進、雇用の保障及び役務に係るすべての給付及び条件についての権利並びに職業訓練及び再訓練を受ける権利」ということで、「権利」と明記されております。これは、すべての人間の奪うことのできない権利としての労働の権利が最初の基本的な考え方として、あと雇用における全部のステージについて、婦人の持つ働く権利としてこの条約は規定していると思うのでございますが、この点について外務省側としてはどういう御見解を持っているか、条約解釈はどうなのか、お尋ねをいたします。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 先生御指摘ございましたように、第十一条の雇用の関係でございますが、この条約の立て方といたしまして、男女平等を図るために実施すべき分野をここに掲げておるわけでございます。 一項の(a)項について我が国について申しますれば、労働の権利というのは憲法第二十七条により既に確保いたされておるわけでございますが、その分野で女性が平等な機会を得られるようにというのが(a)項の趣旨でございます。また、(b)項、(c)項もそれぞれ、私が今申し述べましたと同じ趣旨でその分野が規定されておるわけでございます。 最初に条約二条(b)の関係で、女子に対する差別を禁止することを規定している、したがいましてその観点からの御質問で、この分野においても禁止の強行規定と申しますかそういうものであるべきではないのかという御趣旨であろうと思いますが、条約の立て方から申しますと、この条約の中で制裁を科して禁止するというのが特定されておりますのは十一条二項の(a)でございまして、その他につきましては締約国がすべての適当な措置をとるという表現になっておるわでございます。 したがいまして、この十一条の各条項の実施につきましては、先生御指摘のとおり、雇用機会均等法におきましては強行規定になっていないところがあるわけでございますが、むしろ問題と申しますのは女子が差別されないような実態が実現されるということでございまして、雇用機会均等法につきましては関係者の長い間の御努力を得、国会の御審議を経て成立したものでございまして、その運用に当たっては労働大臣の指針が出るとか、先ほども申しましたようにその法律の運用については、条約の遵守を頭に置いて実施されるということでざいますので、私どもといたしましては、この均等法を御立法いただきましたことで先生御指摘の条項についての担保がなされた、そのように理解いたしております。
○網岡委員 重ねて質問をしたいと思うのでございますが、問題は単なる政策的な提示であるのか、ここに書かれているものは、婦人が持っている固有の権利としての労働の権利として条約が規定しているのかどちらなのかということ、これは国連局長から御答弁いただきたいと思います。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 私、先生の御趣旨を必ずしも正確に理解申し上げなかったかもわかりませんが、この条約の中で、例えば具体的には、先生御指摘ございました十一条一項の(a)、(b)、(c)等に「権利」という言葉が使用されておりますが、先ほど申しましたようにこの条約の趣旨は、これらの分野で女子が男子と同等の権利を受ける、こういう趣旨でその受けるべき分野を規定いたしておるものでございます。 ただ、この条約によって、例えば労働の権利というものを創設的に認めるということではなくて、我が国については、先ほど申し上げましたように労働の権利というのは既に憲法上規定されておる、また男女平等というのも憲法上規定されておる、しかし、それをより具体的にする分野をこの条約は規定して、各国にその施策を求めておるというふうに理解いたしております。
○網岡委員 ちょっとすれ違いみたいなことになっているのでございますが、私が申し上げたいのはこの(a)項、(b)項、(c)項、仮にそうしてもいいわけでございますが、いずれも「権利」とうたわれておる。権利ということになれば、その権利が具体的な差別の行為によって破られていくというようなことになったといたしますならば、それをやはり実効ある措置をするということになれば、これは単なる政策推進の事柄ではなくて、人間である以上基本的に持っている労働の権利を守るわけでございますから、それは守るにふさわしい実効的な効果というものがなければいかぬわけでございます。そうなると、権利を守るということになれば、それはやはり守るにふさわしい実効的な効果を上げるだけの規定というものが必要になる。 そうだとするならば、この条約の第二条(b)項の中に示されている婦人に対するすべての差別を禁止する立法その他の措置をとること、こう書いてありますことは、私は、差別に対して行われてきたものに対しての禁止的な立法を図っていくということがこの条約の趣旨であるといたしますならば、努力義務規定になっているものは、少なくともヨーロッパ諸国の先進国の実例から見ましても強行規定になっている、そういう実情からいってこれは強行規定にすべきであったというふうに思うわけでございますけれども、それは二条(b)項の内容からいっても、私は妥当な方法であり実効ある効果だと思うのでございますが、その点について外務省どうなんでしょうか。
○斉藤(邦)政府委員 この条約の規定を実施するに当たりまして、どのような具体的な措置をとるかということにつきましては、それぞれの締約国がそれぞれの自国の国情に応じまして適当と判断する措置をとって、この条約の実施を確保していくという形になっております。我が国の場合、御指摘の雇用関係につきましては、審議会におきまして長年にわたる御審議を経まして、それでその結果が男女雇用機会均等法という形で実現したというふうに承知しておりますので、雇用の面において制裁も含んだ立法措置が必要でないかというただいまの御指摘でございますけれども、我が国の国情に沿った措置をとったという意味におきまして、現在の雇用機会均等法によって我が国としてはこの条約を実施する体制が整ったというふうに考えている次第でございます。
○網岡委員 時間がどんどんたっていきますので、次の問題もありますが、もう一言だけ私は質問をしたいと思うのでございます。 これはたしか条約の規定によりますと、ILOのほかの条約によりますと、国内事情などを勘案しながら暫定的措置といいますか、ある程度緩やかにやるような項目があるわけでございますが、この婦人差別撤廃条約はそういう項目が実はない、こういうふうに私どもは理解をいたしておりますが、それで間違いないかどうか。 それから、ここに私、コピーをしたものを持ってきましたが、当時、婦人差別撤廃条約を署名されるときの外務省の国連局企画調整課長をおやりになっていた小西さんが、ある雑誌で書かれております中に、この条約の特徴として、先ほど言った基本理念の柱とともに、もう一つは、男女同一の権利、つまり十一条の同項から始まって(f)までの規定は、労働の権利、雇用機会均等の権利というものを、一つの男女平等化というものをもとにした労働の権利として婦人差別撤廃条約は規定しているんだ、こういう点をILO百十一号と比較をなさいまして書かれておられるわけでございます。 そうなりますと、選択にある程度の幅があるというお答えでございますけれども、少なくとも経済的に世界の第二位というところまで伸びている、先進国の仲間入りをした日本の国からいきますならば、これはおのずと、その権利を保障していく国内法の整備をいたしました場合には、先ほど申しました入り口の四つの部門というものは、外国のヨーロッパの例から見てそれに倣った強行規定にするのが、私は、婦人差別撤廃条約の基本的理念にかなったものではないだろうかと思いますし、小西さんがおっしゃっていることは、そういうことを言われておるわけでございます。 だといたしますならば、現役の課長がかつて言われたことが、今、百八十度違った方向に解釈がなされつつあるということは、同じ政府でありながら解釈がこんなに違ってくるということは、一体私どもは、どういうところを信用しながら条約の審議に入ったらいいか、理解に苦しむところでございます。この辺についてはどうなんでしょうか。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 少し繰り返しになって恐縮でございますが、まず、御審議いただいておりますこの条約の第二条(b)との関係から出てまいりますことで、この条約を締結するに当たって制裁を科して禁止するという義務を締約国が負いますのは、第十一条二項(a)のみでございます。その他の条項につきましては、条約の規定上もちろん、制裁を科して禁止する立法も含めた適当なすべての手段を締約国がとるという義務があるわけでございまして、この点は、先ほど条約局審議官が御説明いたした点でございます。 なお、先生御指摘ございました前企画調整課長小西の考え方につきましては、この条約の批准に向けまして外務省としていろいろ検討いたしておりました折の担当課長として、そのような意見を申し述べたことは私ども承知いたしておりますが、これは検討の過程での見解を述べたものでございます。最終的な見解は、今御審議を仰いでおりますここで私どもが述べさしていただいておるわけでございますが、この十一条の先ほどから先生御指摘の問題につきまして、私、日本の場合は権利を与えてないということを申し上げておるつもりは毛頭ございません。先ほどから申し上げましたように、勤労権、労働権は憲法上保障された権利でございまして、その権利の分野で男女平等にすることをこの条約で求めておるのでございまして、それの実施の手だてといたしましては雇用均等法、これで実施できるというふうに考えておるわけでございます。ただ、それぞれの国の政策がございますので、ほかの国につきましてはほかの処理ぶりをしておるところがあるのは、もちろん先生御指摘のとおりでございます。
○網岡委員 今、小西課長の言というものは、検討中の過程の中にある発言であるから云々という御答弁がございましたが、いかにこれが過程の中にあったといたしましても、条約の窓口の第一線の責任者の発言でございまして、しかもここに書かれておりますのを読みますと、小西さんは、この条約を賛成、署名する際に、かなり細部にわたった場合にこの書かれている内容が条件整備できるかどうかということで、内部においても署名にまで行くべきであるかどうか、かなり迷いましたということを小西さんは率直に言われておるわけでございます。 そうなりますと、過程の発言であったとはいえ、署名行為に移るまでは、その条約のいろいろ規定しておる中身が日本の国として整備ができるかどうかということは、これは当然外務省は、事前に関係省庁との打ち合わせをしながら腹をくくられたと思うのでございます。これは、そういうことをやって後における小西さんの発言であるわけでございますから、練りに練り、そして迷いに迷いながら、最終的な結論を署名という形で意志表示をされたという点では、条約の内容を整備していかなければならない点は、権利ということで認められている点からいって、これは同項に掲げられているものは局長はいわゆる母性保護の関係だけだ、こういうふうに言われておりますが、それはクリアする最低の条件でございまして、日本のような先進国の場合には、それは国際的に体面を保つものであるかどうかということは大変問題があると私は思うのでございます。 そういうふうに言われている小西さんの発言などを想定をいたしますと、この四部門における努力義務というものは、私は、非常に実効性のないことになるのではないかというふうに思います。私は、裁判をやられたときに実効ある保護をしなければならぬ、これは次の問題として質問しようと思っておったところでございますが、続いていきたいと思います。 均等法案による機会均等調停委員会の機能というのは、私が今さら言うまでもなく、その調停のテーブルに着く要件というのは事業者側が承諾をしなければ調停が始まらぬ、こういう半分の機能しか発揮しないという調停になっているわけでございます。そういうことでいきますと、条約の二条の(c)項でいきますと「婦人の権利の法的な保護を男子との平等を基礎として確立し、かつ、権限のある国内裁判所その他の公的機関を通じていかなる差別行為からも婦人を効果的に保護すること」こういうふうになっておるわけでございます。 ところが、先ほど言ったとおりだということからいきますと、例えば調停が成立しなかったから裁判に行ったということに仮定をいたしますと、努力義務の規定だということになっておりましたならば、それは、裁判になった場合の差別の認定をする直接的な根拠になるのでございましょうか。これは委員会審議の中でも、政府側の答弁としてたびたび出ているところでございます。こういう状態のものが、果たして実効ある措置になっていくかどうかというところまで考えてみましたときに、この努力義務規定が条約の精神からいって、非常に実効性の乏しい内容のものだというふうに理解をせざるを得ないわけでございますが、この点についてはどうでしょうか。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 先ほどの点ちょっと補足させていただきますと、条約が定めております最低の基準だけで満足するということではございませんで、この条約を御承認いただきまして締結いたしました後にも、やはりこの条約が定めております女子の平等というものが実現するいろいろな方策を、絶え間なく続けていかなくてはならないと思っております。 それから、今先生御指摘ございました第二条(c)項の関係でございますが、これは先生御指摘のように、努力義務のものについては必ずしも裁判規範とならずという点、これはもちろんあると思いますが、ただ全体といたしまして、この女子の雇用の場における平等というものを我が国の現状を勘案しつつ、条約が確保することを求めておるような実態をいかに確保するかというところに問題があると思います。したがいまして、先ほども申し上げましたが、雇用機会均等法の運用に当たりましては、この条約の実施になるような形で行政府としては全力を尽くしていただくということでございますので、私ども外務省といたしましては、当面先生も御指摘ございましたような機会均等法に設けておられます救済制度、これが条約の要請を満たす形で機能していくことを十分注視してまいりたいと思っております。
○網岡委員 不十分でございますが、残念ながら時間も来ていますので、次の問題に移らなければなりませんから、一つだけ赤松局長に質問をしていきたいと思います。 四部門の入り口の努力規定の問題についてでございますけれども、これは私どもも問題はありますけれども、重ねて局長から確認をしていきたいと思いますことは、ガイドライン、そして行政指導という形でおやりになっていくことになると思うのでございますが、これはたとえそれが行政指導の内容であるといたしましても、これは先ほどからも議論をいたしておりますように、婦人が持っている固有の権利にかかわる部門でございますから、これはたとえ行政指導であろうとも、強行規定に匹敵するような強い姿勢で行政指導を行って、四部門における女性の雇用における差別のないような措置を、これは労働省の総力を挙げて努力をしていただきたいということを思っているわけでございますが、その点について所信を賜りたいと思います。 同時に、先ほど局長からも御答弁ございましたことで、私ども善意に解釈をいたしますけれども、これである一定の期間進んでいって、そして四つの部門における女性の雇用の差別というものが実際には直らなかったことが具体的にはっきりした段階におきましては、この部門について努力義務規定を強行規定に変えていくような、つまり実効性のあるようなものに直していくというお考えを、もし私が前提条件として言ったようなことになった場合には、労働省としてはどういう姿勢でこの四部門の実効性を確保するためにやっていこうとされるのか、二つ目にその点を赤松局長にお尋ねしたいと思います。
○赤松政府委員 お答え申し上げます。 私どもの考えでは、努力義務といえども社会規範でございます。指針を設けて、指針の中でなくすべき差別というものを明らかにいたしたいというふうに考えているわけでございまして、具体的にそれが示された後において、それに向かって努力をしないというような企業に対しましては、強い姿勢で行政指導に臨みたいと思っているわけでございます。これまで、例えば若年定年等につきまして行政指導をしてきた経験がございますが、その場合に特に法律的な根拠というものがないということで、なかなか相手を説得するのに困難をしたという経験がございますが、この法律が成立いたしました以上は、根拠としては十分なものがあるわけでございますので、これまでよりははるかに行政指導は効果が上がるのではないかというふうに考えておる次第でございます。 また、もう一点の、しかし、それでも効果が上がらなかった場合どういうふうに思うかということでございますが、参議院の社労の審議におきまして、最終的に整備法の附則として見直し規定が入れられたわけでございまして、この修正は審議会の答申の中にもあったわけでございますが、より明確に法律の規定として、必要に応じて見直しを行うということがはっきりされております以上は、私どもとしてその法律の効果を具体的に検証いたしまして、見直しの必要がある場合には検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることといたしたいと存じております。
○網岡委員 重ねてくどいようですが、必要な措置というのは、強行規定も行うという意味を含んでいますか。
○赤松政府委員 必要な措置の中に御指摘のようなものは含まれていると存じます。
○網岡委員 あと十五分ぐらいしかございませんので、次の問題に移っていきたいと思います。 女性の労働権を保障する社会的条件の整備、特に育児にかかわる問題で、条約はどういうことを規定しておるでございましょうか。 それから、諸外国の育児休業の制度というのは、国連に報告されている国のうちで一体どれだけが育児休業制度というものを持っていて、特徴的なところで結構でございますが、その内容についてお示しをいただきたい。特に男親、女親が選択をすることになっているところについても、お答えをいただきたいと思います。
○山田(中)政府委員 先生御指摘の育児休業に関しましては、第十一条二項(c)に「親が家庭責任と職業上の責務及び社会的活動への参加とを両立させることを可能とするために必要な補助的な社会的サービスの提供」等々と書いてございますが、ここの中に該当することであろうと考えております。 そこで、先生御質問ございました主要国の育児休業に関する規定でございますが、条約を締結いたしておりますフランスにつきましては、子供を養育する両親のいずれかについて、二年を限度として無給の育児休暇または労働時間を通常の二分の一とするハーフタイムの請求権が認められております。 スウェーデンにつきましては、両親の一方が生後二百七十日までのうちの百八十日間、さらに生後八歳までのうちの百八十日間休業できるという趣旨の制度がございます。 スペインにつきましては、男女労働者は、子供の出生の日から三年以下の期間休暇が認められております。 オーストリア、これは女子労働者についての育児休業が認められております。 ソ連も女子労働者でございます。 そのほか、チェコも女子労働者でございます。 ハンガリーにつきましては、母親。及び子供を一人で育てる父親に育児休業が認められております。 大体私ども承知いたしております主なのは以上のとおりでございます。
○網岡委員 男女の選択になっているものは、今御答弁いただきました十カ国の中でハンガリーを含めて五つという状況、そして手当が支給されているものにつきましては保険の給付も含めまして十カ国中七つという状況でございます。非常にこれは進んでおるわけでございます。 そこで、外務大臣にお尋ねしたいと思うのでございますが、ここに亡くなりました早川崇さんがヨーロッパを視察された育児休業に対する報告書がございます。早川さんが読売新聞に掲載をされた内容の中に、非常に克明に育児休業の内容を示しながら、早川さんは次のようなことをおっしゃっているわけでございます。 ヨーロッパ歴訪では、日本に対する風当たりの強さを膚で感じた。日本の工業製品の進出が写真機のライカをつぶし、時計のオメガを倒産させて、さらに家電製品、自動車へとその脅威が広がっている。こういったことが第二の黄禍論となり、がめつく働きすぎの日本人、働く女性を奴隷扱いする日本となってマスコミに登場する。その場合、日本の福祉の後進性、その例として育児休業制の欠如が指摘される。 こういうふうに述べられまして、早く育児休業の立法化に踏み切るべきである、そして、当時の藤尾労働大臣が婦人少年審議会に検討を指示したということは称賛に値するということで、文章を締めくくっておみえになるわけでございます。 そして、私ここに、自民党から民社党までの育児休業案の各党法案の内容を持っておりますが、その中身については、それは濃淡が給付の内容とかそういうものにはありますけれども、しかし一致いたしております点は、育児休業法の立法化ということでございます。それを早急に急ごう、これは早川さんの報告に代表されている認識であるというふうに思うのでございます。そうすると、立法の側からいけば、これは自民党から共産党まで含めまして、各政党が育児休業法の立法化についてはほとんど障害はない。これは一つのテーブルに着いて、議員立法でやろうということに腹をくくりますならば、話し合いをして歩み寄って、一つの案はまとまる可能性を十分持っていると私は思うのでございます。 そうすると外務大臣は、大臣であると同時に自民党の一方の、いわゆるニューリーダーとして自民党の将来を指導されていく立場におありになるわけでございますが、早川さんがかつて言われておるごとく、自民党の中にも方針として出されているわけでございますから、この中に選挙に対する思惑でやられているということがないといたしますならば、これを額面どおりいくとするならば、それは育児休業法制定に全然問題はないということになると思うのでございます。大して安倍外務大臣が努力をなさらなくとも下地はできているわけでございまして、ゴーサインの旗を振ればできる可能性を持っておると思うのでございますが、これについて、育児休業を制度化するための努力を、安倍外務大臣として、そして自民党のニューリーダーの一人としてどうやられるか、これは決意のほどを伺いたいと思うのです。
○安倍国務大臣 今の、早川さんの努力されましたいわゆる育児休暇、育児休業案の制定につきまして、私もその経緯は多少知っております。当時、私は自民党の政調会長をしておりまして、早川さんから外国を図られた報告も承りまして、ぜひともこの問題は推進をしなければならぬ。やはり新しい時代において、日本がいろいろと批判を受けないような近代国家として進んでいくためには、ぜひともこうしたヨーロッパ等でもう既に制度化されておるこの育児休業制度を日本にも実行しなければならない、そういうことをやらないと、いわゆるエコノミックアニマルということで、いろいろな面で日本がおくれておるということでたたかれるんだということを私にも言われまして、私も相談しまして、みずから党内で、たしか育児休暇に関する懇談会というのが設けられて、早川さんがその会長になられたということも、たしかそうではなかったかと思っております。大変熱心に推進をされておりまして、自民党内にもこれを支持する空気も強かったように思いますし、当時の藤尾労働大臣も、早川さんと呼応して今のように諮問もされたのではないかと思うわけでございます。 しかし、党内は、これらの問題についての正式な機関もあるわけでございますから、こうした機関で十分これは論議をしていかなければならぬ課題でもあろうと思うわけでございますが、基本的には早川さんが主張されておることは、やはり今こうした女子差別撤廃条約というものを批准しようかというときでございますから、これは取り上げるそうした機運に来ておるというふうに私も全体的には思っておるわけでありますが、やはり、それぞれの機関、機関のいろいろな意見というものを集約しなければなりませんし、そういう点で、今おっしゃいました点については、私も基本的にはそうした方向にあるものという認識を持つものでありますので、自民党自体においてもこの問題に対してさらに検討を積極的にするように、私からも関係の諸君にも話をしたい、こういうふうに思っておるわけであります。
○網岡委員 今、安倍外務大臣から、ぴたっと合うようなあれではございませんが、しかしかなりはっきりおっしゃっておりますので、この答弁に合うように安倍外務大臣が今後努力をされるかどうか、これは私ども本当に関心を持ちながら注視をしていきたいというふうに思っております。ぜひ、頑張っていただきたいというふうに思います。 育児休業は、政府の言い分としては、婦人少年審議会の答申が行政指導でやれ、こういうことになったから、それにこたえてそういうふうにしたのだ、こういう言い分だろうと思いますが、私は、審議会がそういうことを結論をつけたにいたしましても、外務大臣のような努力が立法の側からあるとするならば、そこからやはり障害になっている部分はどんどん掘り起こしをしていくことができるわけでございますから、ぜひひとつ、これは労働省においても検討を進めていただきたいというふうに思いますし、外務省においても努力をしていただきたいということを要請いたしまして、土井さんの質問があるそうでございますから、まだ非常にたくさん残りまして、これは大変残念でございますが、これで私、質問を終わりたいと思います。
○愛野委員長 網岡君の時間内において関連質疑の申し出がありますので、これを許します。土井たか子君。
○土井委員 二十四日の当委員会における質疑、さらに本日の午前中にかけての、そしてただいままでの質疑の中で、どうしてもこれは外務省に私は物を申さねばならない点がございます。簡単に申し上げます。 かねがね外務省は、この条約を批准する際に、条約の条文と国内法制上との間が整合されていなければならないということを事あるたびごとに言われてきたのですが、この条約を批准する時点で、第十条(b)の「同一の教育課程」というのは国内法制上同一になりますか、どうですか。どうなんです。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 教育の分野におきます教育課程の男女の平等と申しますか、それは多くの部分で既に実施されておるわけでございますが、従来から御説明申し上げておりますように、家庭科の面につきまして、高等学校では女子が必修になっておる、男子はそうでないというふうなところがございます。(土井委員「そういう説明は結構なんです」と呼ぶ)
○愛野委員長 簡潔に。
○山田(中)政府委員 それに対する手だてを努力してまいりました。現在の時点で申し上げられますことは、検討会議の結果を踏まえまして、同一にするという方向が出た、こういうことでございまして、現在の締結の時点で完全に同一になるという状況ではございません。
○土井委員 そうじゃないのでしょう。だから、今御答弁のとおりで、全く同じ教育ということをきょうの午前中も、同一に対しては御答弁になったわけですから、批准する時点で同一とならないということが、これははっきりしているのです。そうすると、外務委員会に対して政府から出される資料の中には、教育課程においては整合されていないという旨の正式文書をお出しになるのが当たり前だと思う。 説明書を見ると、これはいかがですか、ここの部分については、「高等学校の「家庭一般」における」云々と書いてありますね。中学校の教科においても、家庭科は今回一じゃないのですよ。中学校に対しては全くノータッチであります、この説明書は。こんなことで審議できないですよ、これは。正式文書をきちっとこういうものに対しては出してください。整合していない旨の正式文書というのは、この点に対しては、きちっと外務省としては当委員会に出されるべきです。そうでないと、これは審議できないですよ。高等学校だけじゃないですよ、中学校についても同じです。整合されていない、どこに書いてあります。何にも書いてないじゃないですか、そういう旨が。説明書としては、これは説明していない説明書ですな。改めて正式文書を提出することを、委員長、要求します。それが出てこない限り、審議はできないですよ。
○愛野委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○愛野委員長 速記を起こして。 斉藤審議官。
○土井委員 委員長、もうその斉藤さんの御答弁は結構。
○愛野委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○愛野委員長 速記を起こして。 山田国連局長。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 非常に事務的答弁になって恐縮でございますが、結論から先に申し上げますと、出すようにいたします。 ただ、説明書の中では、先ほど申しましたように、非常に事務的でございますが、「など」という表現を入れまして、それを含めたつもりでございますが、そこをはっきりさせた形で出させていただきます。
○土井委員 まやかしをおっしゃらないようにお願いします。どこに「など」が書いてありますか。「文部省に設置された「家庭科教育に関する検討会議」において、高等学校の「家庭一般」における」、こう書いてありますよ。どこに「など」がありますか。これははっきりしていただきます。そういう答弁ばかりやるから困るのです。
○山田(中)政府委員 非常に事務的になって申しわけございませんが、その後に「必修など」ということを入れてあるわけでございまして、現在検討会議で出していただきました結論に従って、文部省にお考えいただいておりますのは、中等学校も含めた同じ扱いをお願いしておるところでございますが、この点はっきりさせるように、先ほど申しましたようにするように……。
○土井委員 委員長、こんなでたらめな答弁は聞けませんよ。 中学校と高等学校というのは、高等学校と書くことによって全部、中学校もその中に入るのですか。むちゃくちゃです、これは。中学校は義務教育課程ですよ。高等学校はそうじゃないでしょう。ここに書いてあるのは高等学校だけのことなのです。こんないいかげんなことじゃ、委員長、困りますよ、これは。外務省も。 外務省は大体アバウトにこういうことを考える嫌いがありますけれども、アバウトとこういう場合は違う。適正なものを出していただかなければならない。アバウトであっても、当外務委員会に出す書類に対しては適正を期する姿勢がなければ困りますよ。全くそれはうかがえないじゃないですか。正式資料の出し直しをここで要求します。委員長、よろしいね。
○愛野委員長 委員長より外務省に申し上げます。 資料を出せるか出せないかということを明確に。それで資料を出すということであるならば……。
○山田(中)政府委員 家庭科教育について、どういうことをやるという資料をお出しいたします。
○土井委員 家庭科教育についてどういうことであるという書類じゃない。私がきょう言ったところをひとつ精査して、私が言ったことに合致する書類をお出しになるまでだめであるということを、はっきり明言いたしておきます。よろしゅうございますか。
○愛野委員長 外務省、わかりましたと、資料を出しますと……。(発言する者あり)いや、そういう意味のことを言っているのだ。
○山田(中)政府委員 御趣旨はよくわかりました。
○土井委員 趣旨はわかりましたじゃ困る。出しますと言わないとだめじゃないですか。委員長、出してください。
○斉藤(邦)政府委員 出すという点については、ただいま国連局長が申し上げたとおりでございます。
○愛野委員長 次に、玉城栄一君。
○玉城委員 前回我が党では、大久保委員がこの条約につきましては質疑を行いまして、引き続き私は質疑をさせていただきたいわけであります。 私は、基本的に大臣に、この条約について外務省の姿勢の問題についてお伺いいたしたいわけでありますが、この前の質疑ときょうの外務省の御答弁をずっと伺いながら感じますことは、本当に外務省自体がこの女性差別撤廃条約を本気になって批准させようという気持ちがあるのかどうか、まずその姿勢を、私は非常に疑問に思うわけであります。といいますのは、この説明書を見ましても、ことしの七月のケニアのナイロビの国際会議に間に合わせるとか、何かその辺にウエートが置かれている。しかも、今国会に出された十三本の条約のうち一番最後に提出されている。しかもこれは、五十五年七月に我が国として署名している。五年経過しているわけですけれども、それはどういう理由かということについては国内措置等でいろいろ手間暇がかかった、こういうことで承認だけ早くしてくれ、これは何か諸外国に対する我が国の体面といいますか、何か見えといいますか、そういうような感じがするわけです。 実は、けさも午前中小林委員からも御指摘があったわけでありますが、例の小金井のカントリー倶楽部の問題につきましても、あれだけ大きく報道されますと、全国民注視の中でこの条約を提出していらっしゃる外務省の本家本元の、しかも政務次官という要職にあられる方が、いわゆる女性だからといって拒否されている。大臣の御答弁も何かしらあいまいである。こういうことで幾ら御立派な御説明をされたにしても、何かそのとおりかなということをなかなか率直に聞きにくい、そういう感じがいたします。本当にこの条約を外務省も真剣になって批准されようという気持ちがあるかどうか、いかがでしょうか、大臣。
○安倍国務大臣 これは、本気だから努力して出したわけです。私は外務大臣になりまして、何とかこの条約を批准したい。しかし、条約を批准するにはやはり国内体制の問題があります。それには各省との非常な調整がありまして、これはなかなか手間取ったわけであります。非常に難しい文部省との間とか、あるいは労働省、国内体制、法体制というものを整備しなければなりませんから、条約だけ批准しても、それでは国際的な責任を果たせないですから、やはりできるだけ国内の体制の整備をする、そういうことで大変時間がかかったわけで、これは外務省が中心になりまして非常な努力を払ったわけでございます。 その結果、男女雇用均等法も国会に出されるということになりましたし、また今の教育の問題についても、具体的な措置については今後の課題として残っておりますが、方向としては、御承知のような状況で話し合いが進んだわけでございますので、何としてもこの機会にひとつ国会の御承認を得たいということで最大の努力を払って出したわけでございまして、これは我々としては、それを出す以上はそれだけ本気になっておりますし、真剣に誠意を持って取り組んでおるわけですから、あとは国会で御協力いただけるかどうかという問題が残っておるわけで、条約並びに国内法整備の問題等についても、十分にひとつ御審議をいただきたい。 やはりこれは世界も注目しておるわけです。私は、日本はある意味においては、非常に先進的な立場でこの条約に臨んでおると思います。アメリカもまだ批准しておりませんし、それからイギリスも批准をしていない。ドイツもそういう状況でございますから、そういう中で、やはり日本としては非常な決意を持って、そして先進的な立場でお願いをしておるわけでございます。しかし、条約が批准されたから、あるいは国内法の体制が整備されたからといって、実際のいろいろな差別の問題等が長い間の日本の歴史、伝統あるいは慣習、そういう中でまだまだ残っておることは事実でありまして、やはりそういうものを完全になくしていくというのがこれからの、これは政府だけの努力じゃなくて、やはり国民のそうしたコンセンサスがその中から生まれてこなければならぬと思うのです。 ですから、私は今の小金井の問題につきましても大変残念に思いますし、決して愉快ではないわけですが、そういうことがこうした際に明らかになれば、それなりに国民の批判の中で改善されるものであろうと思いますし、改善をさせていくために我々も努力をしたい、こういうふうに思っておるわけですから、先ほどから何か外務省が本気でないというふうなお話でございますが、これは全く違います。本気だからこそこの条約を出しておるわけでございますから、どうかひとつ御協力のほどをお願い申し上げます。
○玉城委員 大臣のお気持ちはよくわかるのですけれども、外務省の皆さん方の御答弁等を伺いますと、なかなかそのようには受け取れない。むしろ、大臣の足を引っ張っているのじゃないかという感じすら私は持つわけですね。政務次官が小金井カントリー倶楽部のゴルフ場に拒否されたということは、いかがですか、これはこの女性差別撤廃条約違反にはなりませんか。
○斉藤(邦)政府委員 政務次官が小金井カントリー倶楽部でプレーすることを拒否されたということは、我々、非常に遺憾に思っております。これは、けさほど大臣から申し上げたとおりでございます。 他方、ただいま御質問の条約上の解釈の問題につきましては、厳格な法解釈の問題といたしまして、この問題は法律の介入が想定されていない私的自治に属する事柄でございまして、親睦とか趣味に基づく純粋に私的なクラブが、みずからの規則として、会員資格を男子のみとかその他自分たちで決める特定の範囲に限ること自体、それが直ちに条約に違反する行為だというふうには考えられない次第でございます。 ただ、一般論といたしましては、私的自治の名のもとにどのようなことでもできるということではなくて、条約にも「両性いずれかの劣等性若しくは優越性の観念又は男女の定型化された役割に基づく偏見」、これを条約は認めていないわけでございますので、このような偏見に基づく措置であるということであれば、これは条約との関係で問題となり得るかと思います。ただ、ただいまの御質問が条約違反かという御質問でございましたので、直ちに条約の違反というふうには言えないと考えている次第でございます。
○玉城委員 斉藤さん、これは明らかに女性だから、ゴルフクラブには参加を拒否されたわけでしょう。これは差別ですよね。ですから、慣習にしろ習慣にしろ、そういうものをなくしていこうという条約であるわけですから、ああいうものは女性差別でない、あるいは条約には違反しない——この条約の精神からいって、ああいうことは明確にあってはならないことですから、それは外務省もしっかりと対応していただかないと、あれだけ大きく報道されておりますから、きちっとやっていただきたいと思うのです。 そこで、条約について具体的に斉藤さんにお伺いします。 この二十八条には留保の条項がございますね。これの二項に、「この条約の趣旨及び目的と両立しない留保は、認められない。」こう書いてあります。一条とか二条は、この条約の非常に基本的なことが書かれておるわけです。総括的な規定だと思うのですが、こういうこの条約の一条、二条などについては留保はできないのじゃないか、私はこのように思いますが、いかがでしょうか。
○斉藤(邦)政府委員 御指摘のとおり、第一条、第二条には、この条約のよって立つ基本的な考え方ないし目的が書かれております。したがいまして、個々の例で最終的に判断するしかないわけでございますけれども、一般論といたしまして、この第一条、第二条に反するような留保というものは、第二十八条二項の「この条約の趣旨及び目的と両立しない留保」に該当すると考えられますので、認められないというふうに考えられます。
○玉城委員 ところが、この条約については、多くの国々が多くの条項について留保しておりますね。この二条について留保している国、あなたは留保できないとおっしゃっていますが、どの国々ですか。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 二条につきまして、バングラデシュとエジプト、それからニュージーランドがクック諸島について留保いたしておる事実がございます。ただ、先ほど先生も御指摘になりまして条約局審議官からも答弁いたしましたように、二条というのはこの条約の非常に基本的な条項でございますので、まずバングラデシュの留保につきまして異議がメキシコ政府より出ております。
○玉城委員 我が国としては留保はできないという解釈ですね、この二条については。ところが、今おっしゃったようにエジプトとかバングラデシュとかニュージーランドはこの二条について留保をしている、それについてメキシコから異議が出ている、こういうお話ですが、我が国としてはこの国々についてはどのような考えをお持ちなんですか。
○斉藤(邦)政府委員 先ほどの答弁の若干補足になりますが、個々のケースについては、具体的には個々のケースで判断せざるを得ないということも申し上げたつもりでございますが、一条、二条が非常に基本的な条項でございますので、それに留保をいたしますと二十八条の二項にひっかかるのではないかということもあわせて申し上げました。ただいまの御質問につきまして、バングラ等の留保について我が国としてどういう態度をとるかは、この条約の国会の御承認をいただきまして批准手続をとる際に、我が国としての態度を決めるべきものというふうに考えております。
○玉城委員 次、五条です。育児について理解の宣言をしているわけですが、これも非常に大事な条項だと私は思うのです。この五条について留保をしている国々はどこですか、その理由は。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 五条につきましてはニュージーランドがクック諸島について留保をいたしております。また、フランスが五条の(b)項の家庭についての教育、これについて自分の立場を明確にするための宣言をいたしております。その趣旨は、条約のテキストの読み方として、家庭内教育ではなくて、家庭についての教育だという趣旨の宣言をいたしております。
○玉城委員 次、九条について。母親それから子供の国籍に関する男女平等の権利、これを留保している国々がありますが、どの国でしょうか。
○山田(中)政府委員 九条全体につきましては、フランス及び韓国が留保をいたしております。それから九条二項、子の国籍でございますが、これにつきましてはエジプトとジャマイカが留保いたしております。
○玉城委員 韓国は、どういう理由でこの九条の留保をしているのでしょうか。
○山田(中)政府委員 韓国は、九条に拘束されない旨宣言するという処置をいたしておりまして、理由について述べておりません。早急に調べさしていただきます。
○玉城委員 後で、またその理由をお知らせください。 それから、次の十一条ですね。これは雇用分野とか労働の権利、同一の雇用機会、職業の自由選択、同一報酬、社会保障等々、男女平等でなくてはならないという趣旨の条文ですが、この十一条を留保している国々、その理由を教えていただきたいと思います。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 十一条につきましては、一項の関係でニュージーランドが鉱山地下労働についての留保をいたしております。それから、一項(b)の関係、雇用機会でございますが、ここでモーリシャスが留保いたしております。同じく一項の(d)、同一労働同一報酬のところでモーリシャスが留保いたしております。それから、同じく一項(f)の作業条件のところでオーストリアが留保いたしております。また、同条の二項の(b)、出産休暇関連の規定でございますが、ここにつきましてオーストラリアとニュージーランドが留保いたしております。 それから、先ほどは大変失礼いたしました。私訂正さしていただきますが、九条、国籍法関係でフランスが留保しておると申し上げたのは誤りでございます、留保いたしておりません。
○玉城委員 今の留保のことにつきましては、皆さん方からいただいた資料で私も私なりに勉強さしていただいたのですけれども、皆さんが出している資料と今のお答えとは、今訂正されたり何かしていますけれども、ちょっと——前回の委員会でもそうです。やはりそういう意味では、私が最初に、本気になって皆さん方がこの条約を批准しようという気持ちがおありなんですかということを申し上げたのはそのことなんです。 そこで、この条約を批准するために、国内措置として国籍法の改正あるいは男女雇用均等法の成立が既になされておるわけでありますが、この条約の説明書によりますと「この条約を締結することは、」「我が国における男女平等の実現に大きく寄与することが期待される。」このように書かれておりますが、一体何が大きく期待できるのか、具体的に説明をしていただきたい、これが一点ですね。 さらにもう一点、条約を締結することが「国際協力に積極的に貢献する」とあるわけでありますが、この国際協力とは具体的にどういうことを、どういう貢献をされようというお考えを外務省としては持っていらっしゃるのか、お伺いいたします。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 条約を締結する意義でございますが、やはり男女平等ということは、我が国の場合原則として憲法に規定されておるわけでございますが、実際問題として種々の差別が行われておるのが現実でございます。このようなものをできる限り速やかに廃止していくという、その我が国の施策を推進するに際して、この国際的な条約を御審議いただきまして批准することができれば、国際的な約束ということで我が国の国内における男女平等の発展に大きく寄与すると考えるわけでございまして、非常に表現としては抽象的でございますが、やはり男女同権の達成すべき分野というのが非常に幅が広いものでございますので、そういう多くの分野、特にこの条約は非常に多くの分野を規定いたしておりますので、その面について大きな発展が期待できると思います。一番大きな分野と申しますのは、雇用の分野、国籍の分野、それから教育の分野等であろうと考えております。 また、国際協力の点につきましては、従来からも国連の婦人関係の諸会議には我が国の婦人代表に積極的に活躍いただいておりますが、このような国際的な基準ができておりますので、我が国もその基準に従うと申しますか、到達した形でやはり努力すべきであるという観点でございますので、説明書にも書いてございますように、この条約を批准してナイロビの国連婦人会議に臨み、今後の国連諸機関で行われます婦人関係のもろもろのプログラム等の作成に大きな寄与ができるもの、かように考えております。
○玉城委員 そこで、大臣にお伺いいたしたいわけでありますが、今国際協力とか貢献といういろいろなお話がございましたけれども、実は沖縄の場合、ああいう大きな米軍基地を抱えていると、そこから発生する問題として、大体年間四百ないし五百組ぐらいの国際結婚が行われていると言われています。正式結婚もあれば正式でない場合もあるわけですね。これは御存じのとおり、軍人軍属というのは個人の意思を超えて、一定期間過ぎれば別に異動するとか本国に帰るとかいうふうになるわけですね。したがいまして、結婚しているいわゆる沖縄出身の日本人女性にはいろいろなケースがございます。 いろいろなケースは私資料がございますが、夫が本国に帰る場合、一緒に家族そろって本国に帰るケースもあれば、そこで非常にハッピーな生活をしていらっしゃる方々もおられます。ところが、今度は逆に、本国に帰って、離婚されたり母親が遺棄されて、結局特飲街に入って非常に苦しい生活を強いられて、しようがないから沖縄にあるいは日本に無一文で帰ってくる。子供を連れてくる場合もあれば、単身で帰る場合もある。そういうケースもあるわけですね。あるいは沖縄にいまして、妻と子供をそのまま置いて夫だけ本国に帰って、しばらく音信はあるけれども途絶えるとか、妻子を置き去りにして本人は帰って、もう音さたなしというケースなどもあるわけですね。 そういう中で、前にも問題になりました無国籍、国籍のない混血児という問題も出てくるわけであります。したがいまして、大体八〇%ぐらいと言われているわけでありますが、いわゆる混血児は母親との母子家庭がほとんどだということで、米軍基地という問題に絡んで母親に対する人権問題ではないかという指摘が当然あるわけですね。ですから、そういう実態について、外務大臣としてはこの条約の審議に当たりましてどのようなお考えをお持ちであるか、お聞かせいただきたいのです。
○安倍国務大臣 確かに今おっしゃいますように、沖縄には非常に大きい米軍の基地がありますから、その基地に絡んだ今おっしゃるようないろいろな社会問題が発生をしておることは私も承知しておりますし、こうした問題が何とか減少してなくなるように、沖縄の県民の皆さんの御理解あるいは御協力も必要であろうし、あるいはまた、国としてもそういう中でできることはやはりしていかなければならない、こういうふうに思っております。 母子家庭とか、そういうものに対する法律上のあるいは制度上のいろいろな対策は、全国一般的にとられておるわけでございます。しかし、社会問題としてのそういう点については、非常に苦労しておられる方もあるだろうと思います。その辺は大変お気の毒に思っておるわけでございますが、こうした問題を起こさないように、これも国がどうするというその前に、まずやはりそうした問題に対する沖縄の人たちの一つの自覚といいますか、そういうものが非常に大事じゃないだろうか、こういうふうに思うわけで、これは沖縄県においてもいろいろと苦慮されておるところであろう、こういうふうに思います。国として、そういう点で何らか特別に配慮しなければならぬということがあれば、具体的にまたひとつお示しいただけば、私たちもそれに対してできるだけの御協力は申し上げたいと思います。
○玉城委員 今外務大臣から、具体的な問題についてあれば配慮もしたいというお話であります。そこで、これはたくさんのいろいろなケースがございますけれども、ちょっと実例として一、二点申し上げておきます。 このA子さんは沖縄北部の出身で、地元の中学を卒業して知人を頼りに、沖縄中部の特飲街で食堂の住み込みとして働いていた。ウエートレスとして二、三年働いていても貯金する金も残らず、友人の誘いで米人相手のクラブでバーテンとして働くようになった後の一九五六年、毎日のように客として出入りしていた米軍人と知り合い、しばらくして同棲するようになり、翌一九五七年に長女、一九五九年に次女が生まれた。次女が生まれて三カ月後に子供の父は帰国したが、その後音信が全くない。A子さんは、そのために再びクラブのホステスとして働き始めた。そこでまた別の米軍人と懇意になり、結婚して一男二女を出産した。三名の子供たちの父もやがて帰国してしまい、その後は送金もなく音信も途絶え、母一人で三名の子供たちを養育している。 これは一つの例です。まだいろいろなケースがあるわけです。これは個人の問題という以前に、私から申し上げますと、国と国と条約を結んで協定によってアメリカ軍が駐屯しておる、そういう環境の中でこういう問題が発生してきているわけですから、先ほど大臣がおっしゃられたように、これは個人の問題としてではなくて、やはり国としてしても配慮すべき点は当然配慮していただきたいということでございます。 そこで申し上げたい点は、アメリカに夫が行きますね、それで生活費は送らない、養育費も送らない、いわゆる母子世帯で困窮する。この混血児の方々というのは、アメリカ人あるいは母親は日本人と、これは日米双方の問題でもあるわけですから、そういう問題についても何らかの日米間での措置が必要ではないか、このように思うわけであります。 そこで、実はカナダあるいはその他の先進国とアメリカの各州との間で、家族の扶養義務履行に関する協定というのを締結しておるわけですね。御存じでしょうか。
○安倍国務大臣 具体的によく承知しておりません。
○玉城委員 大臣御存じなければ、ではどなたか外務省は……。
○斉藤(邦)政府委員 申しわけございませんが、私も知りませんでした。
○玉城委員 ちょっと困るのですよ。きのう皆さん方が質問を取りに来たときに、ちゃんとその点申し上げてあるのですけれどもね。そういうところに、事務当局はむしろ大臣の足を引っ張ってはいませんかと冒頭に申し上げているわけです。 そこで、この家族の扶養義務に関する日米間の相互協定を結ぶことによって、扶養義務に関する裁判所の判決が相互に有効になるようにぜひしなくてはいけないということで、現状は、アメリカ人男性と日本人女性が離婚する場合、日本の裁判所が扶養料として幾ら支払うように決めても、日本とアメリカの各州間に相互協定がないためその判決はアメリカでは有効とみなしていない。そのため、アメリカに帰った夫は、送金しなくても強制されることなく、その判決は実行されないということで、米軍人のアメリカ人男性が妻子を扶養しない場合も、相互協定がないため、強制的に給与から差し引くことができない。こういう家族の扶養義務履行に関する相互協定というのを、カナダは既にアメリカ各州と結んでいてそういう対応をしている。その他の先進国でも相互協定を結んでいる。したがって、そういう国際結婚で、夫は本国に行ってナシのつぶて、一銭の送金もない、ここは親子ともども低所得、あるいは夜の仕事ということで、大変困窮な生活を強いられている。したがって、たとえ本国に行っても夫としての義務を果たすために、やはり何らかの協定を我が国としても結んで、それに対応して救済していく必要があるのではないか、こういうことを申し上げているのです。
○安倍国務大臣 先ほど、きのう既にその点について質問通告をしておったというお話がありましたが、私、そのことについて承知しておりませんで、これは外務省が準備してなかったとするならば大変不行き届きであったと思います。以後、十分注意させるようにいたします。 それから、今のそのお話は非常に耳寄りなお話でありますが、日本政府とアメリカの各州とそういう協定が結べるかどうか、これは条約上の問題、アメリカ政府との間では結べるかもしれませんが、各州との間でそういうことができるかどうかというのはちょっと問題があるのじゃないかと思います。しかし、そうした相互履行というようなことで、非常に苦しい環境に置かれた人たちが救済されるということならば、それは検討をしてみなければならぬ課題だろう、こういうふうに思います。もちろん、日本政府は政府としての、現行法律の中でのそうしたいわゆる母子家庭に対する補助その他についていたしておることは御承知のとおりでありますし、恐らく沖縄県としても、そういう点に対しては特別な配慮を払っておられると思うわけであります。
○玉城委員 確かに、この条約に伴う国内措置として、ことし国籍法の改正によりまして、両系主義ということで母親の日本籍も混血児は取得することができる、こういうことで大変救済されていることもよく存じていますし、また、難民条約の審議のときにいろいろ議論もありまして、あれ以来厚生省の方でも、日本の各種の福祉制度が適用されるようなことについても手当てしていらっしゃるということも、よく存じておるわけです。 そこで、厚生省も法務省の方もおいで願っておりますので、改めてお伺いしたいわけでありますが、厚生省の方は沖縄の混血児の実態について、おおよその数で結構ですから、どのように把握していらっしゃるか、お伺いいたします。
○木本説明員 御説明いたします。 五十六年に沖縄県が調査したところによりますと、母子世帯数は一万三千ということでございます。ただ、そのうちの混血児というのは承知しておりません。そういう状況でございます。
○玉城委員 課長さんの担当でないという意味で、あなたはよく知らないということなのかどうか。厚生省として、混血児の実態についておおよその数も知っていないというのはどういうことですか、いろいろこれまで議論されていることですから。私の担当でないということならば理解できますけれどもね。
○木本説明員 先ほどの話とちょっと似たような話でございますが、おっしゃいましたように私の担当でないということもございますし、実は私ども、先生から事前にそのようなお話が出るということは、私は聞いておりませんでした。 〔委員長退席、北川(石)委員長代理着席〕
○玉城委員 何言っているの、あなた。あなたはどこを代表して出てきているの。あなたは、いやしくも外務委員会に説明員として来た以上は、厚生省を代表して来ているのでしょう。
○木本説明員 沖縄の母子家庭について御質問があるということでございましたので、それに相応する準備を整えてまいったわけでございます。
○玉城委員 混血児の母子家庭と言っているのですよ。
○木本説明員 そのようなお話ということでございましたら、大変失礼いたしました。母子家庭というふうに、係の者が承知して帰ってきたわけでございます。
○玉城委員 皆さん方、どうも大変ちぐはぐ、とんちんかんで、質問もできない。さっきも申し上げましたようにこの条約は非常に大事な条約で、早く批准もしたいという気持ちはあるわけですけれども、皆さん方がむしろ協力していただかないと、これは進めようにも……。 では、混血児の母子世帯の方々の国内の福祉諸制度の適用状況についてはいかがですか。
○木本説明員 御存じのとおり、母子家庭に対しましては、その自立を促進するために母子及び寡婦福祉法という法律がございまして、母子相談員による相談指導あるいは各種講習会、それから母子福祉センターの設置、母子福祉資金の貸し付け等の施策を実施しております。これは沖縄県でも同様でございまして、今申し上げたような施策、これは混血児の母子家庭に限らず、広く母子家庭一般について行っているところでございます。
○玉城委員 一般の母子家庭に限らず、混血児の母子世帯についても広く行っている。ところが、まだ適用されていない方々もおりますね。例えば国民健康保険の状況はどうですか。
○近藤説明員 国民健康保険につきまして御説明を申し上げます。 国民健康保険は、基本的には国民ということになっておるわけでございますけれども、市町村の条例によりまして外国人も適用できるという形をとっているわけでございまして、地域の実情によりまして、沖縄のような外国人の多いところ、こういったところにつきましては適用拡大を図るというふうなことで指導しているところでございまして、現在までのところ、大部分の保険者におきまして、外国人につきまして何らかの適用規定を設けているわけでございます。 〔北川(石)委員長代理退席、委員長着席〕 御指摘の沖縄在住の混血児につきましても、在住の市町村におきまして条例が設けられているわけでございまして、適用漏れの方はほとんどないものと承知しておるわけでございます。もし、御指摘のような混血児の在住する市町村でまだ条例を制定していない、そういうふうなものがありますれば、早急に条例を制定するようにということで、県を通じ指導してまいりたいというふうに考えております。
○玉城委員 一つの例として、国民健康保険についてもまだ適用されてないという混血児母子世帯の方々がいらっしゃるわけですね。ですから、健康保険に入ってないために病気の場合に大変高額の医療費を支払う、さっき申し上げたように非常に低所得、貧困という状況の中で、そういう高額の医療費を支払うということは、母親にとっては二重三重の大変な負担になるわけです。したがいまして、おっしゃるように市町村によって条例化して適用させているところもあるけれども、中には市町村によっては、まだそういう条例化されていないところもあるわけですから、おっしゃるとおり県の方ともよく御相談をされて、救済されるように、市町村が条例化できるように指導助言をぜひしていただきたい、このように要望を申し上げます。 それからもう一つは、法務省の方にお伺いいたしたいわけでありますが、まだ無国籍児がいらっしゃいますね。国籍法の改正によって相当の方々が国籍を取得していることはよく承知しておりますけれども、まだいらっしゃいますね。その実態について法務省はどのように把握していらっしゃるか、そして、なぜまだ無国籍状態に混血児があるのか、その理由についてもお伺いいたします。
○細川説明員 お答え申し上げます。 昨年二月の段階で私どもが調査した段階では二十一名の方がおられたわけですが、その後若干減っております。私ども確実に把握しておる方は十九名ですが、私どもの把握していない方もおられるのではないかというふうに思いますので、もう少し多いかもしれないというように考えております。この方々の国籍の取得につきましては、お父さんが外国人、お母さんが日本人ということでございますと、改正法の附則第五条の条件を具しております場合は、法務大臣に対する届け出によって国籍を取得することができるということになっております。これは、原則としまして六十二年の末まで三年間この特例が適用になりますので、この方々が三年間に届け出をされれば、取得されることはできるということになると思います。 どうしてまだ届け出をされない方があるのかということでございますが、これは私どもとしては十分PRをしておりますが、中には制度を知らない方がおられるかもしれませんし、またお父さんがアメリカ人であるとすれば、アメリカの国籍の方を取得したいと考えておられる方があるかもしれない、このように考えております。いずれにいたしましても、私どもといたしましては、制度の不知によって届け出をしないという方がいないように、十分PRをしていきたいと思っております。
○玉城委員 無国籍児を抱える母子世帯の方々が相当いらっしゃるのですね。その母親にとりましてはいろいろ、経済的にも社会的にも実際は弱者という立場に置かれております。あるいはまだやはり混血児という周囲の偏見という、精神的にも肉体的にも……。ですから、その方々が実際にお役所に行って、どうのこうのと相談したり説明を受けるというのはなかなかできないという方もいらっしゃることも事実なんですね。 それともう一つは、やはりいろいろな費用がかさむということもあるようですね。ですから、帰化手続あるいはそういう届け出等に要する費用については、せめてこういう特殊な、母子世帯という、経済的に非常に状況が悪いわけですから、そういう手続、そういうものに要する費用等についても何か配慮していらっしゃるのかしていないのか、その辺いかがでしょうか。
○細川説明員 お答え申し上げます。 法務大臣に対する届け出による国籍の取得については、これは法律上は一切無料でございます。いろいろ資料を集めるということに手数がかかるかもしれませんけれども、現地のこの事務を取り扱っております那覇の法務局には、御指摘のような趣旨を踏まえまして、なるべく親切に迅速に対応できるようにというふうには常々言っているところでございます。
○玉城委員 そこで、こういうケースもありますね。夫はアメリカ国籍を持つ人、妻が日本国籍で正式に結婚している。ところが、その主人はアメリカに行って行方不明になっている。ところが、沖縄にいる女性はまた別の日本人と結婚する。ここでまた子供が生まれた。その子供を役所に届ける場合に、正式にはアメリカの兵隊と夫婦関係にあるわけですから、この子供は戸籍上はその人の子供にならざるを得ない。しかし、実際は別の日本人との間に生まれた子供ですから、その子供を正式に籍に入れる場合に、そのアメリカにいる、行方不明になっている夫の行方不明証明書だとか親子何とか、いろいろなそれに半年、一年、一年半ぐらいかかって、子供はそのまま無国籍の状態に置かれているというようなケースもある。いずれにしましても、アメリカにいる夫たる者をきちっと突きとめないことには手続ができないというようなことで、非常に困っているケースもあるのですね。そういう場合について、法務省としてはやはり何らかの救済手段を講じてあげる必要があると思うのですが、いかがでしょうかね。
○細川説明員 お答え申し上げます。 国籍の取得の届け出は、当該のお子さんが十五歳未満の場合は法定代理人がしなければならないということになっております。したがいまして、御両親がおそろいのときは、御両親がともに日本の国籍の取得を望んでいるという趣旨で、お二人で届け出をしていただくということになるわけでございます。他方、御指摘のように例えばお父さんが行方不明であるということになりますと、その方は親権を行使できないということになるわけでございますので、そういう場合は、通常は母親の一方だけで親権を行使できるということになるわけでございます。 私どもといたしましては、そういう事実関係であれば、お母さんなり両親の一方だけの届け出でよいわけでございますが、その点を確認いたしませんと、例えばお父さんの意思に反してお母さんだけ国籍の取得の届け出をするということになりますと、逆に今度は離脱の方もお父さん片っ方でやるかもしれないというようなこともございますので、そこはやはりお父さんが行方不明で親権を行使できないんだということをはっきりしなければならないということだろう、法律上はそうなるだろうと思っております。 私どもとしては、こういう場合には何らかの、お父さんが行方不明で親権を行使できないという事情を明らかにするようなものを出していただきたいということでございます。ただ、実際上は余り無理なものを要求しておりませんので、できる範囲でそのことが明らかになるような書類を出していただきたい、こういうふうに現地の法務局を指導しているところでございます。
○玉城委員 次に、今の問題に関連しまして外務省に伺いたいわけですが、今の場合は、アメリカ本国に夫が帰って行方不明ということで、ここに取り残された親子、あるいはいろいろな籍の問題も関係してくるわけです。したがいまして、外務省とされて、アメリカに出先の大使館も持っていらっしゃるわけですし、あるいはアメリカの赤十字社、そういう機関を通して、そういう行方不明の夫の所在を確認するという努力はしていらっしゃると思うのですが、いかがでしょうか。
○斉藤(邦)政府委員 外務省の所掌事務でございます領事事務の一環として、そのようなことも行っております。
○玉城委員 斉藤さん、今そこでやっていると言ったって、行方不明で手続もできなくて困っているわけですから、あなたも外務省の幹部としてそういうことをよく知っていただいて、そういう努力をしてちゃんと確認できるようにしていただきたいと思うのです。 そこで、先ほども申し上げましたけれども、厚生省の方としては、県だとか市町村の福祉事務所を通して、そういう混血児の母子世帯の方々についてもいろいろな指導助言、あるいは国内措置の適用の問題についても努力していらっしゃるわけですけれども、それだけでは不十分で、いわゆる外国との絡みのあるものですから、専門のケースワーカーにしましても、英語がきっとしゃべれて向こうの事情にも詳しいというようなこともないと、なかなかそういう母親の相談に応じられないという場合がありまして、沖縄に国際福祉法人がありますけれども、私は地元に帰りましたときにその事務所の方とお会いをしましても、悲鳴を上げて、今の陣容ではなかなかこういう問題の対応がパンク寸前であるということで、これは補助も、県も出しておりますし、またいろいろな民間団体の寄附等もあるわけですが、国は全く何ともない。 ですから、これはさっき申し上げましたとおり、やはりある意味では基地に絡む問題が一つは大きな原因として考えられるわけですし、そういう問題につきましても何らかの形で、特に外務省あるいは厚生省ですね、そういう福祉団体に対する手当てもしてあげる必要があるのではないかということを私も痛切に感じてきましたので、大臣どうでしょうか。
○安倍国務大臣 基地に関連して、例えば米兵の法律違反というような問題につきましては、これはもちろん地位協定によりまして処罰をされるわけでありますし、あるいはまた日本政府としましても安保協議等を通じまして、アメリカあるいはアメリカ軍に対しまして、こうした不祥事の起こらないように厳しく要請をしてきておるわけでございますが、そうした法律違反といったような問題がない場合、しかし基地の、いわゆる社会の風紀を乱すというような点については、これもやはり基地が存在するということでございますから、そうしたことを踏まえて、米国に対しましてあるいはまた米軍に対しましての秩序といいますか、そういう点についての反省を求めていかなければならぬ、こういうふうに思います。 しかし同時に、今そういうことでいろいろと社会的な問題になっているような事象については、国としてもやはり関心を持っていかなければならぬ、こういうふうに思います。もちろん県とも相談をいたしまして、そういう点については国としてどういうことができるか。個人の問題になることもあるでしょうし、あるいはまた法律的になかなかこれは追求できないという面もあるとするならば、どういうふうに対応できるか。やはり同じ日本人としての平等な法のもとでの社会福祉、そういう面に対する対策というのは、これはもちろん行われるのは当然でございますが、それ以上どれだけのことができるかということについては、これから個別的なケースで県と相談しながら、国としてやらなければならない、もしそういうことになればできるだけの配慮はしていかなければならぬ、こういうふうに思います。
○玉城委員 厚生省と法務省の方、もう結構です。どうもありがとうございました。 それでは外務省に伺いたいのですが、肝心のアメリカはこの条約を批准する気がないようですね。こういう男女平等という非常に重要な条約について、批准するつもりはないというアメリカの理由はどういうことなんでしょうかね。
○山田(中)政府委員 お答えいたします。 先生御指摘のとおり、米国につきましては、まだ本条約の批准のめどがたっておらない由でございます。その理由といたしまして私どもが承知いたしておりますのは、本条約を担保するアメリカの国内制度の関係で連邦と州の所管の問題があるので、その検討に相当の時間がかかる、また兵役登録制度の問題も関連するというふうに米国政府は考えておるようでございます。
○玉城委員 まあ、そういうこともわからないではないのですが、西側のリーダー国として、こういう条約に率先して批准するように日本政府も働きかけをしていただきたいと私は思いますね。 それで、この条約に入りますが、男女平等とか女性の解放とか、一口に言うのは私は簡単だと思います。条約の前文にもありますように、人間の尊厳と価値を認め合い、人格を尊重し合ってこそ、男女の権利の平等も達成できるものと思うわけでありますが、そういう観点から私はこの条約について質疑をしたいと思います。 まず初めに、この条約の前文にるる述べてある中で、核軍縮の達成が男女平等の達成に貢献するという点についてお伺いをいたしたいわけであります。全地球的に核の脅威が叫ばれている中で、平和的生存という言葉も最近盛んに使われているわけでありますけれども、この前文に軍縮規定を盛り込んだ理由についてお伺いをいたします。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 現在の前文のパラグラフ、十一項に今先生御指摘の文章があるわけでございますが、経緯的に申しますと、これは東ドイツが最初に提案いたしましたものを修文拡大したのがこの項目になっております。東ドイツの見解、それからそれを支持しました諸国の見解は、やはり平和というものが人権の基礎である、そこで平和の問題とか自決権の問題とかそういうものを前文に入れるのが望ましい、こういう主張がございまして、これが入ったものでございます。
○玉城委員 そこで、その男女平等の実現といっても、これはおっしゃるとおり、平和という問題が非常に重要な問題であることは当然だと思いますが、しかし、この条約の男女平等という一貫した流れの中で、この規定は一貫して他の規定とはそぐわない異質なもののような感じもするわけですね。他の人権関係条約にもこういう規定のあるものがあるのか。また、こういう規定を置いたことについて、今事実関係をおっしゃいましたけれども、あなたとしてはどういう評価をされるのか、お伺いいたします。
○山田(中)政府委員 お答えを申し上げます。 私が承知をいたしておりますほかの人権関係の条約には、このような表現が出ておるのを承知いたしておりません。 先生御指摘のようにこの条項は、男女平等というものに重点を置く条約といたしましてちょっと異質な観念が、私どもとしても日本政府としてもいたしておりました。ただ、その内容自体に反対ということではなくて、この男女平等というものに重点を置いて条約を作成するところに、いささか政治的な色彩を持ったものを持ち込むこと、これについては賛成でないという立場を日本はとっておりました。したがいまして、条約作成の場合にここが分割投票になりましたときは、我が国はこのものについては棄権をいたしております。 ただ、これを含めました条約全体につきましてはもちろん賛成でございますし、先ほども申しましたように内容自体については何ら異議を唱える趣旨はございませんので、この項目についてのお尋ねにつきましては、ちょっとこの条約に入れる必要性については必ずしも理解しないけれども、内容には反対ではないということでございます。
○玉城委員 与党の皆さん方は、早くこの条約を承認してくれということですけれども、傍聴人がたくさんいらっしゃいますので、これは重要な女性の——いわゆる軍縮規定をこの条約に入れたことについては、我が国としては、不本意ではあるけれども別に異はないということのようでありますが、これはイデオロギーということになるのでしょうか、しかし平和の問題というのは非常に重要な問題だと私は思うのです。 その女性の反核・軍縮もしくは人権関係の活動としてはNGO、非政府組織の活動がよく知られておるわけでありますが、国連局長さんとされては、NGOについてはどのような評価をしておられるのか。
○山田(中)政府委員 先生御指摘のように、人権を議論するに際しましても、いずれにしろ平和というものが基礎でございます。その平和を達成する手段の中で非常に大きな重要性を持つ分野が軍縮でございます。 この軍縮と申しますものは、政府間の交渉もさることながら、やはりそのような軍縮が達成される世界の世論と申しますか環境、これが育成されることが非常に重要であると思いますので、NGOの皆様方が真摯な軍縮の運動を展開されることは、私どもとしては歓迎すると申しますか、私どもでできる限りの御援助も申したいと思いますし、そういう運動が発展することを祈念いたしております。
○玉城委員 どうか外務省とされても、積極的にあらゆる便宜と申しますか、援助と申しますか、ぜひしていただきたいということを要望いたします。 この条約はそういう軍縮規定も入っているということで、ある意味では軍縮に貢献する条約という役割も一つにはあるとも考えられますが、そのように考えてよろしいでしょうか。国連局長さん、どうお考えでしょうか。
○山田(中)政府委員 軍縮の側面だけをこの条約からの関連で見ますと、条約を作成した経緯と申しますか、つくるに当たっての考え方を示すという意味での前文にあるだけでございまして、具体的な規定をいたしております本条には何ら述べられておらないわけでございますが、先生も仰せになっておりますように、やはり人権が確立されるということは、先ほど人権の前に平和が必要だと申しましたが、一方平和というものはまた、人権が確立されて平和が達成されるわけでございますから、この条約の前文に軍縮についての言及があるということ、それはそれなりに、世界の多数がそういう観念を持ってこの男女平等を進めようとしておるということ、それの証左であるというふうに理解いたしております。
○玉城委員 国連婦人の十年のテーマは平等、発展、平和であるわけですが、去年の四月東京で行われたESCAP地域会議では、ことしの七月のナイロビ婦人問題会議の準備会議としての性格があったとも伺っておるわけであります。 この会議の討議の経過を見ますと、欧米先進国は三つのテーマのうち平等を重視し、東欧諸国は平和、そして途上国側は発展を重視するという考え方の違いが浮き彫りにされたということも伺っておりますが、私はこの問題を非常に興味深く受け取っております。こういう婦人問題についても、東西問題、南北問題とは切り離せない問題なのか、いわゆる同根の問題なのか。外務省としてはどういう御見解をお持ちなのか、いかがでしょうか。
○山田(中)政府委員 先生まさに御指摘になりましたように、婦人会議に臨む大きな流れと申しますか、そういう西側の流れ、婦人問題の、男女の平等を達成しようということに重点を置くグループと、東欧圏の平和の問題に重点を置こうとするものと、それから、やはり発展の問題が解決しなければ婦人の地位向上はないという開発途上国の考え方という、大きな三つの流れがあることはそのとおりでございます。 そこで、私どもの考えといたしましては、婦人の世界会議の主たる目的というのはやはり婦人の地位向上である、したがいまして、できるだけそこに重点を置いてこの会議を考えていく。発展の問題、平和の問題は、またそれを討議する場が別途国連の枠内にあるものでございますので、できるだけそちらに譲った方がいいというのが大筋の考え方でございますが、ただ先生も御指摘のように、この発展の問題と平和の問題を婦人の問題から切り離して討議することは不可能であろうと思っております。やはりある程度、こういう問題についても考慮した上での枠組みというものを考える必要があると思っております。
○玉城委員 そこで、国連局長さんに重ねてお伺いしますが、国連の人権関係の条約は幾つぐらいあって、日本は人権関係の条約にどれだけ入って、そして、まだ入っていないその条約について今後どういう見通しなのか、御説明いただきたいと思います。
○山田(中)政府委員 国連が中心になって作成いたしました条約で、国連が人権関係として定義いたしております条約が二十二件ございます。そのうちの一件は昨年の総会で作成されました拷問禁止条約で、これは未発効でございますが、その他はすべて発効をいたしております。 この二十二件のうち、我が国が締結いたしておりますのは六件でございます。婦人の参政権に関する条約、人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約、それからいわゆる人権規約のA、Bの二件、それから難民の地位に関する条約と同条約に関連しております難民の地位に関する議定書、この六条約でございます。したがいまして、残りの十六条約につきましては、いまだ締結をいたしておらないわけでございます。この中で、現時点でどれをすぐ締結するということを明確に申し上げられる事態にまだ至っておりませんが、外務省といたしまして、何とか早い機会に締結のための努力をしていきたいと今考えております非常に大きな条約は、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約でございます。それからまた、先ほどの答弁でも申し上げましたが、人権規約に関連いたしますものといたしまして選択議定書がございます。これも前向きに検討していきたいと考えております。その他の条約につきましては、現在のところめどが立っておりません。
○玉城委員 人権関係条約というのが二十二件あって、そのうち六条約について我が国は加盟し、二つほどぜひ加入したいとおっしゃっておるわけですが、人権関係の条約については、我が国もぜひ積極的に加入、批准するように御努力を要望いたします。 国際人権規約に日本は昭和五十三年に加盟しているものの、これにより我が国で人権についての認識が変わったという話は聞かないわけですが、逆に代用監獄や指紋押捺問題などで、政府は人権規約を守っていないという主張が起きるのはまことに残念でならないわけです。今回のこの女子差別撤廃条約を批准し、それに伴って国内法を改正してもさしたる変革がないと、もしなりますと、これは極めて嘆かわしい問題であると思います。条約に抵触する法の改正はもちろんだが、法より心の変革が先という意見にも十分道理があると思うわけであります。人権意識に関する国民の啓蒙について、外務省はどのようにお考えですか。
○山田(中)政府委員 人権関係の諸条約につきましては、先生仰せのとおり、できるだけ前向きに多くのものについての検討を進めてまいりたいと思っております。人権関係の条約、それぞれ関連する部門が非常に多いということと社会の現実というものがございましてなかなか容易ではございませんが、それはそれといたしまして十分努力してまいりたいと思います。 また、先生御指摘のように、人権の問題と申しますのは、法律的な問題もさることながら、やはり意識改革が非常に重要なことだと思います。現在御審議いただいております条約におきましても、観念の問題でございますとか慣行の問題でございますとか、いろいろそういうものについての改める点が今後もあろうかと思います。この条約について我が国が締結するに際しましては、国内的な広報、啓発、これにも十分力を入れて取り組んでまいりたいと思います。
○玉城委員 そこで、一九四六年に国連人権委員会が発足をして以来、我が国から去年初めて人権擁護活動の審判員とも言える差別防止・少数者保護小委員会の委員二十六人の一人に日本人が選ばれたと伺っておりますが、この委員の権限はどのようなもので、外務省としてはこの委員を送り込んだことをどう評価をされているのか、今後の果たすべき役割についてもお聞かせを願いたいと思います。
○山田(中)政府委員 先生御指摘のように、国連の枠組みの中に人権を担当いたすものとして人権委員会というのがございます。人権委員会につきましては、四年前であったと思いますが日本は参画をいたしまして、そして、その下部機構でございます差別小委、差別防止・少数者保護小委員会に今先生御指摘の日本側の委員といたしまして大阪の竹本教授に御出馬いただきまして、幸い当選して、現在審議に参加していただいております。 先生のと申しますか、小委員会の委員の立場というのは、政府からは離れました個人的な立場というのが建前ではございますが、私ども、竹本先生とは常に密接な連絡を保ちまして、人権問題についてのいろいろな動き、いろいろな人権侵害についての訴えと申しますか問題がまずこの差別小委に出てまいりまして、それを審査する機関でございますので、そこでの審議に対応していただいておる次第でございます。このような小委員会に参加すること、また人権委員会にも現在引き続き参加いたしておりますが、こういう分野でできるだけ我が国としての貢献をするとともに、我が国に対するいろいろな国際的な非難、そういうものも謙虚に受けとめて持って帰ってまいりたい、このように思っております。
○玉城委員 この条約について棄権している国についてお伺いしておきたいのですけれども、本条約は昭和五十四年の第三十四回国連総会において、我が国を含む賛成百三十、反対なしで採択されたものでありますが、その際棄権をした国が十一カ国であったとこの説明書には述べてあるわけであります。棄権した国はどこなのか、また棄権理由は何か、そして、これら棄権した各国の中でその後署名をし締約国となった国もあると聞いておりますが、その国はどこか、御説明をいただきたいと思います。
○山田(中)政府委員 先生御指摘いただきましたように、条約を作成いたしました際に十一カ国が棄権いたしております。棄権いたしました諸国はバングラデシュ、ブラジル、コモロ、ハイチ、モーリタニア、メキシコ、モロッコ、サウジアラビア、セネガル、ジブチ、マリ、この十一カ国でございます。 このうち、この条約を締結いたしましたのは、批准いたしましたのがブラジル、ハイチ、メキシコ、セネガル、加入いたしましたのがバングラデシュでございます。 各国の棄権の理由でございますが、必ずしも明確になっておらない国がございますけれども、それらの国が条約を作成する場合に発言いたしましたことから推察いたしますと、主としてこの条約を先生御指摘ございました一九七九年に採択するのはまだ審議が十分でない、もう少し審議をしたいという理由が多うございます。非常に典型的な例は、例えばメキシコは委員会の段階ではこれに反対までいたしておりますが、本会議では棄権に回っておりますけれども、もう少し審議に時間が欲しかったということで棄権したのがほとんどであると理解いたしております。
○玉城委員 現在国連加盟国は百五十九カ国ですね。この条約について賛成百三十カ国、棄権十一カ国、計百四十一カ国。国連加盟百五十九カ国から残る十八カ国は採択にも加わらなかったことになるわけです。その事情について御説明いただきたいと思うのです。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、十八カ国につきましては採決の際に意思表示をいたしておらないわけでございます。これらの国の条約採択時の考え方は、必ずしもはっきりしない点があるのでございますが、私どもが承知しておりますのは、例えばイラン、これは条約の条項がイスラム固有の伝統と原則とに合致していないため採択にも加わらなかったし、現在のところ批准も考えていないという国がございました。
○玉城委員 そこで、条約がよくわかりませんので、この機会にお伺いしておきたいわけですが、この条約の一条で女子に対する差別の定義が規定されておるわけです。前段はよくわかります。ところが、後段の「政治的」のところからよくわからないのです。「性に基づく区別」が差別であるとするなら、卑近な例で恐縮でありますが、ふろの男湯と女湯を分けるのは差別であると読めないこともないわけでありますが、この一条を僕にわかりやすく説明していただきたいのです。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 先生が御指摘になりました場合、これは条約の一条の前段にございます「区別」には該当するものだろうと思いますが、その区別が、後段に書いておりますのは「女子に対する差別」になる場合、これはこの条約の差別として撤廃するということでございますので、先生の御指摘の場合は、単なる区別でございまして差別にはなっておらないと思いますので、第一条で言う「差別」ではございません。
○玉城委員 皆さん御専門ですからよくおわかりでしょうが、後段の「政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のいかなる分野においても、女子が男女の平等を基礎として人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする効果又は目的を有するものをいう。」もっとわかりやすい条文にできないものかなという感じがいたしておるわけです。 次に、この一条と、次の条項と言われる四条二項ですね。四条二項については意味はよくわかります。ところがこの一項はなかなかわかりにくいのですね。「事実上の平等を促進する」とは何か。「締約国が男女の事実上の平等を促進することを目的とする暫定的な特別措置」云々というのがありますが、この一項のような例は我が国として考えられるのかどうか、お伺いいたします。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 第四条の一項は、現実の問題といたしまして男女の平等が達せられておらないために、それを促進する一つの手段として一つの措置をとる場合に、それが表顕的に差別のように見えるものであっても、促進するためのものであればいいという趣旨であろうと理解いたしております。いわゆる、アメリカ等で言われておりますアファーマティブアクションに該当する概念だと思います。我が国の場合について申しますと、例えば審議会で婦人委員の参加の数が現実の問題として非常に少ない状況において、例えば一〇%、一五%、二〇%という枠を設けて、それが男性との関係で低くても、それが促進する手段であればその限りにおいてはいい、ただし、そういうことを置くことによって、それが女性の枠を固定して男女の不平等を固定化するものであってはいけない、そういう趣旨でございます。
○玉城委員 時間も参りましたので、最後に、これも同じ条約の解釈についてお習いしておきたいわけです。 四条の二項じゃなくして二条の(a)項についてです。我が国の憲法には、男女平等の原則が十四条によって規定されておるわけですね。この条約の二条の(a)項には、男女平等の原則が憲法に組み入れられていない場合にはこれを定めると規定しております。憲法に男女平等の原則を規定していない国は世界にどういう国々があるのか、この機会に教えていただきたいと思います。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 主要国の場合には、男女平等という原則はそれぞれの憲法に規定されておると承知いたしております。これはまさに民主的な人権の基本でございますので、それぞれの国の基本法には通常は入っておると理解いたしております。 ただ、例として申しますと、例えば英国、これは成文憲法がございませんので、そういう意味では英国の場合にはないと言えるかと思います。ただ、英国の場合には、成文憲法がなくても、いわゆる憲法というものはあるわけでございますので、英国に男女平等が憲法上規定されてないというわけではないと思います。(土井委員「アメリカはどうですか、男女平等の規定がないですよ」と呼ぶ)
○玉城委員 どうぞ、何かありましたら。
○山田(中)政府委員 アメリカにつきましては、いわゆるイコール・ライト・アメンドメントが懸案になっておりまして、明示的な形でまだ憲法に入っておらないわけでございます。
○玉城委員 ほかにもありますが、この前のこの委員会で我が党の大久保委員からもお話がありましたけれども、この衆議院におきましても議場の方にもいらっしゃいます。女性の職員を新たに採用していらっしゃる、あるいは調査室も優秀な女性の方々がいらっしゃる。外務省にも女性外交官というのはたくさんいらっしゃるわけですね。隗より始めよという言葉がありますけれども、むしろ女性の外交官だからといって、こういう条約の精神に反するようなことはないと私は思います。それから、政府関係の各種審議会とかという中にも、最近女性の方々が委員として入っていらっしゃる例も多々ある。そういうこと等につきましてもまたお伺いしたいわけでありますが、時間が参りましたので、きょうはこれで終わります。 ありがとうございました。
○愛野委員長 次に、渡辺朗君。
○渡辺(朗)委員 この条約を読んでいくうちに、それからまた今までの同僚議員さんの質疑、質問をお聞きしているうちに、本条約というのはまことに重大で、歴史的な意義を持つものだという感じを今非常に強くしているところであります。国際的に人権を尊重していく、女性の解放、女性の地位向上、それのみならず、今言われているようにこれが単なる女性だけの憲法とみなされるのではなくて、それ以上に社会的な変革のよりどころというような意味合いを持っていく性質の条約ではなかろうかと私は思います。したがいまして、我が国において国内法をどう整備するかという問題はもちろんありますが、この条約が国際社会の中でどういうふうな位置づけを持っていくのか、その辺に焦点を置いてまず幾つか質問をさせていただきたいと思います。 それに先立ちまして、各国の批准の進行状況をもう一遍お聞きしたいのであります。 六十年三月一日現在で署各国は九十二、締約国が六十六となっておりますが、途上国の中では、先ほどもいろいろお話が出ておりましたけれども、まだ締約国になっていない国々がアフガニスタン、ナイジェリア、ザイール、ザンビアとかいろいろあります。先進国の中でも、日本は今審議中でありますが、ベルギー、フィンランド、ルクセンブルク、オランダ、それから先ほど指摘があった英国、アメリカなどがあるわけであります。これは三月一日現在ですから、その間に新しく締約国になったところはございますでしょうか、まずちょっとお聞かせください。
○斉藤(邦)政府委員 ことしの三月一日以後、セントクリストファー・ネイビスがこの条約の締約国になったと承知しております。
○渡辺(朗)委員 そうすると、先ほどの英国、アメリカの方はわかりましたが、先進国の中でベルギーあるいはフィンランド、オランダとか、どちらかというともう当然批准をし締約国になってしかるべきだと思うところがおくれている理由は、何か特別にあるのでございましょうか。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 先生御指摘になりましたような国は、基本的には締結する方向で努力をいたしておるわけでございます。ベルギーにつきましては、ベルギーの中のドイツ語の部分についての協議がまだ要るということでございます。西独、イタリーは、既に国会承認の手続を終わっておりますので、近く締結することと思います。イギリスにつきましては、締結の方向で努力をいたしておりますが、まだ批准のめどが立っておりません。オランダ等につきましても、まだ手続をいたしておりませんが、批准時期が不明であるということは言っておりますが、一応締結する方向で努力をいたしておると承知いたしております。開発途上国の動きにつきましては、必ずしもよくわかりません。 ただ、各国とも、ことしが国連婦人十年の最後の年であるということはよく承知いたしておりますし、また国連総会においても、ほぼ毎年この条約の批准促進決議が行われておりますので、締約国の数はこの後もふえていくものというふうに考えております。
○渡辺(朗)委員 今、ベルギーがおくれているのはドイツ語と言われましたが、フラマン、ワロン語か何かの方ではありませんか。これはどうでもいいことでありますけれども、もう一遍確かめさせてください。
○山田(中)政府委員 もう一度補足させていただきますと、ベルギーにつきましては、ベルギー議会の承認手続は終わっておるようでございますが、構成しております、共同体と言っておりますけれども、それの承認が要るようでございます。そこで、あとベルギー内にございますドイツ語の共同体との協議が調っておらないというふうに理解いたしております。
○渡辺(朗)委員 各国の留保条項がつけられた問題につきましては、先ほどもお話がいろいろございましたが、その中で特にエジプトの場合、あるいはパキスタンはどうなっているのか知りませんけれども、エジプトの場合、特に十六条の婚姻とか家族関係に関連いたしまして、イスラムのシャーリア法の規定に相反するとかそごするとかいう条件があるやに聞いております。不敏にして知らないものですから、ポイントで結構ですから、イスラムのシャーリア法について教えていただきたい。これがなぜ留保条件の理由になるのかということについて御指摘いただきたい。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 イスラム諸国におきます男女の平等観を規律いたしておりますのが先生今御指摘のシャーリア法であるわけでございますが、このシャーリア法におきましては望ましい男女の役割分担を明らかにして、男子は男子らしく社会で働き、女子は女子らしく家庭を守るべきである、この役割分担を遵守している限り女子差別ではなく、女子はシャーリア法のもとで十分な保護が与えられているとの考え方であると承知いたしております。したがいまして、そのシャーリア法とこの条約とは矛盾しないのだという趣旨での留保をいたしておるわけでございます。
○渡辺(朗)委員 そこら辺については、私は後で外務省あるいは総理府の担当官の方にもいろいろ御見解を聞きたいと思っております。 もちろん、よその国の社会慣習とか宗教、これは尊重しなければなりませんし、内政干渉する意図は私も持っておりません。しかしながら、この条約の目指すところのものが女子の差別を撤廃させるということである場合に、少なくともそれらのイスラムの国の中において、特定はいたしませんが、ここにも報告書を持っておりますけれども、国際自由労連の世界婦人会議というのがマドリードで四月二十三日から四月二十六日まで行われている。その中でイスラム社会の中における婦人たちの闘いといいますか、近代化への非常な苦悩というものが表明されているわけです。例えばそういったものに対して、私たちは留保条件をそのままのんでしまっていいものだろうか、一歩進んで、日本という国はもう少しそこら辺についても手を差し伸べるべきではあるまいか、しかしどこをどういうふうにしたらいいのかというような問題があると思いますので、後ほど御意見を聞かしていただきたいと思っております。 さらに先にちょっと進んで確かめたいことがありますので一、二お聞かせください。 この条約の前文であります。前文の中に、日本文の方を読むと「衡平及び正義に基づく新たな国際経済秩序の確立が男女の平等の促進に大きく貢献することを確信し、」というふうに書いてあります。また英文の方を読んでみますと新国際経済秩序、「ジ エスタブリッシュメント オブ ザニュー インターナショナル エコノミック オーダー」こういう言葉が使ってあります。いわゆるNIEO。あるいはまた、一九七〇年代の初めに途上国あるいは七十七カ国グループが非常に強く要望してまいりました、あの新国際経済秩序というものに該当するのか、あるいは一般的な、望ましいあるいは新しい社会経済体制というような表現であるのか、ここら辺はどう解釈しておられるのか、私は確かめておきたいと思います。
○斉藤(邦)政府委員 ここに書かれております「ニュー インターナショナル エコノミック オーダー」という言葉は、全くの一般論として、新しい国際経済秩序という意味で書かれているのではなくて、ただいま御指摘ありましたとおり、ここ数年来国際間でいろいろと議論されておりますいわゆる新国際経済秩序、この意味で書かれているというふうに考えております。
○渡辺(朗)委員 そうしますと、これはなかなか重要な意味合いを持ってくる言葉だと私は思います。しかも、これが前文に盛り込まれているというところに、この条約の持つ大変大きな社会変革の意味合いを私先ほど感じたので申し上げたのですが、そういうものが盛り込まれているというふうに判断せざるを得ないと私は思います。 御存じのように、新国際経済秩序というのは、途上国にとって不利な貿易であるとか、金融その他国際経済構造全般に対しての変革を志向したものであることは言うまでもありません。UNCTADの七六年五月のナイロビ総会においては、これが盛り込まれて決議になっている。あるいは、七九年のマニラ総会においても取り上げられている。それに先立ってリマ宣言でも、この新国際経済秩序を大きく打ち出している。そういう一連の動きの中で、大きな波の中でこの婦人差別を撤廃するという条約が作成されている、こういうふうに受け取るわけでありますが、そのような理解は間違っておりますでしょうか、どうでしょうか。
○山田(中)政府委員 この新国際経済秩序は第六回国連特別総会で議論がございまして、その後、先生先ほど例示されましたような主としてUNCTADの場を通しまして、この秩序確立へ向けての開発途上国の要望を十分認識して我が国も対応いたしておるわけでございます。前文にこれが入りました趣旨は、開発途上国側が男女同権、また人権を議論する場合には開発が基本になっておるという観点から、開発途上国の主張で入ったわけでございますが、私どもも、先生が御指摘になっておるような重い意味合いを持った前文の一項目であるというふうに理解いたしております。
○渡辺(朗)委員 一九七五年のリマ宣言をとってみますと、そのときに新国際経済秩序の名においてうたわれたものというのは、世界の大変大きな改造計画でもあった。特に、総工業生産に占める開発途上国のシェアを少なくとも二五%まで増加させること、それが前提になって婦人の社会的、経済的な活動を大きく開いていくものにしていくんだというふうなとらえ方になっているわけであります。事実、一九七五年にメキシコで開かれた国際婦人年世界会議の開会式においても、メキシコ大統領が演説の中で非常に強調しております。婦人解放の前提条件として、富める国と貧しい国との間の格差を縮めること、そのために新国際経済秩序の確立が必要なんだということを言っているわけであります。 ちょっと表現を変えれば、新国際経済秩序というのは、従来のいわばジャングルの法則とでもいいますか、強者の自由主義の秩序から、今度はむしろおくれてきた者を先に押し上げていく、そういう世界秩序に変えていくんだ、転換させるんだという、非常に理想主義的でもあり、かつまた感動的な訴えであったわけであります。 今、この条約の文脈の中でもう一遍考えてみると、一体全体日本という国は、そういう新国際経済秩序が取り上げられたときにどういう立場をとっていたのか、思い返さざるを得ない。そのときには、リマ宣言やらその他のこのような取り上げ方に対して、先進国の一国としてむしろ警戒的であり、それをやらぬでくれという形で抑える立場に立っていたのが日本であります。今回のこの条約は、それが基本になっての条約になっている。そうすると、我が国というのは本当に一体どこに立っているのか。先ほど同僚、先輩の議員からも指摘がありました。本気になって国内法を整備しながらこの条約を進めていこうとしていくものなのか、あるいは、何かしらん国際的につじつま合わせだけで来ているのか。それが新国際経済秩序に対する取り組みの姿勢の転換を意味しているのかということと連動しますので、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。これは後で外務大臣にもお聞かせをいただきたいと思いますので、先に外務省の担当の方から。
○山田(中)政府委員 新国際経済秩序に関する我が国の対応ぶりでございますが、本件が最初に討議されましたのは昭和四十九年の第六回国連特別総会でございます。オイルショック直後の資源ナショナリズムを背景といたしまして、南北問題の格差の是正のためには、自由放任にしておいては格差は埋まらない、したがって、既成の秩序の変更を目的として打ち出されたものでございまして、その後も、先生が例示されておりますように、南側から絶えず主唱されておる概念でございます。この新しい国際秩序が要るということ、これについては我が方は、この問題が提起されました際から十分認識いたしております。そして、この決議がコンセンサスで採択されておるわけでございます。 ただ、先生、後ろ向きな点があったのではないかという御指摘でございましたが、確かにこの国連で採択されました決議の中の具体的な内容の一部につきまして、例えば生産者同盟の問題でございますとか、価格インデクセーション、これは製品の価格に応じて一次産品の価格を自動的に引き上げるというものでございますが、そういうものについては意見表明を行った経緯があるわけでございます。ただ、全体といたしまして、先ほど申しましたように、こういう新しい秩序、これの確立についての努力は必要であるというふうに観念いたしておりまして、特にUNCTADの場におきまして、この具体的な解決策、例えば一次産品共通基金でございますとか、そういうものについての前向きな対応につき努力してきておるところでございます。
○渡辺(朗)委員 大臣、お願いいたします。
○安倍国務大臣 渡辺さんのおっしゃること、私もよくわかります。かつての日本は、国際社会の中で積極的な役割を果たすというよりは、日本さえよければいいといいますか、日本は日本だという、むしろそういう空気の中で生きてきたように思うわけでありますが、最近の日本と各国との関係は非常に相互依存的な関係が強くなっておりますし、国際社会の中で日本の果たす役割というのも非常に強く期待をされておる。また、世界の信頼なくして日本の生きる道はない、こういう自覚も日本の各般の中に浸透してまいった。そういう状況の中で、日本もそうした国際社会の中へ溶け込んでいこう、国際社会とともに、日本もやはり国際国家としての責任を果たしていこう。ですから、南北問題等につきましても、むしろ日本が先進国の中では先頭に立って南北関係の調和を図っていこうという、今、姿勢であります。これは私は、これからの新しい世界の流れといいますか、二十一世紀を踏まえた場合の日本の生きる唯一の道であろう、こういうふうに思います。 それには、やはり日本自体が世界の流れに対応した、国際社会に対応した一つの社会の変革というものを行っていかなければならない。そういう意識の中で、今回もこの女子差別撤廃条約というものの国会提出ということが行われた、こういうふうに私は見ておるわけでございますし、やはり画期的なこの条約が批准され、それに対応して日本の国内体制が整備される、さらにそれに対応して国民の意識が新しい時代に対応して進んでいくということが、これからの日本として将来を考えるときに非常に必要な課題ではないかというふうに私は思います。
○渡辺(朗)委員 大臣、大変前向きで、かつ進歩的な立場を述べられまして、敬意を表したいと思います。その姿勢でひとつこれからの条約に取り組んでいただきたい。そしてまた、国内法の整備にも取り組んでいただきたい。同時にまた、国際的にも働きかけていただきたいと要望しておきますが、もう一遍ちょっと、それに至るまで、この条約ができるまでのことを幾つか確かめておきたいと思うものですから、お尋ねをいたします。 たしか昭和四十二年に、第二十二回国連総会、ここにおいて、女子に対する差別撤廃に関する宣言、こういうのが採択されたわけです。その宣言があって、しかも今度は条約がまた必要であったのかどうなのか、ここら辺のところ、脈絡がちょっとわからぬものですから、教えていただきたい。 それからもう一つ、そのときの宣言を審議した際、第二十二回国連総会でありますが、そのときの模様というのは二つの案が出てきた。一つは西独、イギリス、アメリカ三カ国の共同提案の案というものが出てきた。それに対してグループ77、いわゆる途上国を中心にした国々からの提案が出てきた。それが婦人の平等と開発と平和への婦人の寄与に関する宣言案、こういうものだということと私どもは聞いております。その二つが同時に審議されたけれども、後のものの方が採択された。それが今日の条約の基本になっている、こういうふうに理解しておりますが、それでよろしいのでしょうか、どうでしょうか。 後でいいですよ。ちょっと調べていただいて、後で結構ですから……。その前にもう一つ質問をさせていただきたいと思います。 それは、今安倍大臣が御指摘されました、南北問題と婦人の社会的な地位の向上というものは連動していく問題だという視点が、今大臣からもくしくも述べられた。これは非常に大事なことであります。そしてまた、日本がこれから取り組んでいかなければならない大きな方向であろうと思っております。相互依存あるいは相互扶助、こういう世界をつくっていく。先進国と途上国との間の、そういう持ちつ持たれつの関係をつくっていく。その中で婦人の地位の問題が本当に実りを上げていくんだということを、南北問題と連動しながら取り上げるということについて、私の考え方が少しオーバーに言い過ぎるのか、あるいはその方向で今本当に外務省も、あるいは総理府の担当の方々も各官庁も進んでおられるのかどうなのか、ここら辺をもう一遍聞いておきたいと思います。
○山田(中)政府委員 先ほどの先生の第一点でございますが、宣言、これは法的拘束力を持つ文書でございませんので、やはり条約の形で法的拘束力を持たせたものをつくった方がいい、こういうことで、宣言はございますが、それをさらに発展させたものとしてこの条約ができたものでございます。宣言の件につきましては、手元の資料でさっと見た限り、先生がおっしゃっているとおりだろうと思います。 それから南北問題の点でございますが、これは先生まさにおっしゃっておりますように、男女平等を図る場合に、先進国もさることながら、やはり婦人の人権が非常におくれておるのが開発途上国でございまして、それが世界の非常に大きな部分を占めておるわけでございまして、これらの国々において女子が権利を確立するためには、やはりそれに必要な社会基盤が必要でございます。したがいまして、開発の面が無視できない非常に大きな要素であるということは、まさに先生御指摘のとおりでございます。南北問題の対応といたしまして、新国際経済秩序にも盛られておりますような援助の面については、我が国も積極的に取り組んでおりますし、また、この婦人問題に関する部分におきましても、例えば昨年のESCAPの婦人地域会議、こういうところにおきまして、我が国として婦人の権利に関係する部分での国際協力についても努力をしておるところでございます。
○渡辺(朗)委員 そういう方向で取り組んでおられるということを聞きました。それだけに、今この条約の歴史的な意味をより深く私は感じるわけです。また同時に、この条約を生み出した六〇年代から七〇年代、その時期の世界の情勢、これは理想主義なり新しい世の中をつくろうとする変革の波といいますか、そういうものが本当に盛り上がった時代であったと思います。それが人権尊重と社会発展を大きく進めていったわけでありますけれども、同時にそれから後、今日の事態を考えてみたらどうかというと、経済開発の状況は、世界の不況の中で停滞が続いております。先進国の中でも、援助に対してもやはり陰りが見えてきているのではなかろうか、トーンダウンをしてきているのではなかろうか。実際に我々の周辺の諸国においても紛争がまだ起こっておりますし、難民が出てきているし、途上国のあれほど理想主義を掲げていた国々においても累積債務が非常に大きく重くのしかかっている、アフリカにおいては飢餓が深刻である、こういったことを見たときに、何か言葉の上だけではわかっても、実際のところ、その目指しているものと現実のギャップを物すごく感じるわけであります。 その中で我が国は、この条約に入るに当たって、一体どんな役割を果たしていこうとしているのか。先ほど、安倍大臣が非常にはっきりしたことを言われましたけれども、その意味でもう一遍、信念といいますか、これから自信を持ってやっていくのだという点を聞かせていただければと思うのです。我が国の世界に対する役割、特にこの条約をてこにして新しい世の中をつくっていくという方向に向かっての大臣としての信念を吐露していただきたいと思います。
○安倍国務大臣 先ほども申し上げましたように、これからの我が国の役割というのは、我が国自身の繁栄と発展を図ることは当然のことでありますが、同時に世界の繁栄あるいはまた平和、安全そういうものに積極的に貢献していくということでなければならないと思いますし、これは先進国との関係だけではなくて、むしろ弱い立場にあるところの開発途上国に向けての積極的な貢献が必要じゃないか、こういうふうに思うわけであります。 人権問題とか男女の差別の問題が起こるというのは、いずれにいたしましてもその社会的な基盤の弱さあるいは貧困、階級的な対立、貧富の間隔、そういうものが結局人権問題あるいはまた男女差別というものにつながっておるという事態を見るときに、そうした国々の経済を再建せしめる、それに対して日本が、これだけ大きな力を持っておるのですから役割を果たしていくということが大事なことではないだろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。 日本もこれまでの戦後の日本人のあのたくましい努力によりまして、今日の経済的な発展をもたらしたわけでございます。この際日本自身が世界の水準以上のいろいろな面での体制を整えることが必要だと思います。例えば経済の問題でも、今貿易摩擦が起こっておりますけれども、貿易摩擦で一番問題は世界からアンフェアだと言われることではないかと思います。そうしたアンフェアだと言われることを積極的に改革していくということでなければならない、あるいはまた開発途上国、第三世界、そういう国々に対して貢献していく、あるいはまた人権を求めるという場合においては日本みずからそうした社会を開いていく、国を開いていく、そういう姿勢がなければならないし、現実にそれを行っておるという国になっていかなければならない、こういうふうに思うわけで、日本が昔のような一つの殻に閉じこもっておる時代では完全になくなった、世界の中の国家としての相互依存関係を踏まえた努力と役割を果たしていく、そういうふうな時代に入ったという感じを強く持っています。そういう意味では、こうした女子差別撤廃条約を批准するということは、まさに画期的なことであろうと思います。 これによって、すべての日本の国内体制ができるということでもないでしょう。まだ残っている問題もあると思いますし、国民の意識の中でもいろいろな慣習とか慣行があって、今直ちに改革というところまで行かないかもしれません。しかし、条約を批准するということは、世界のこれからの新しい歴史に向かって一つのページを開くことになるのじゃないか。理想は高く掲げて、そのもとに着々と体制をつくっていくということも同時に必要である。そういう意味においてもこの条約の批准は、これからの新しい日本の将来を考えるときに、非常に意義の深い役割を果たすことになっていくのじゃないか、こういうふうに考えております。
○渡辺(朗)委員 婦人の十年の目標というのは、三つの柱から成り立っていると言われておりました。平等、発展それから平和。その点については、我が国ではどちらかというと平等の方に力点が置かれてきている。だが、アジアとかアフリカあるいは太平洋地域、そういうところの国々あるいは社会においては、これは大分状況が違っております。今大臣も御指摘されました発展の問題に重点が置かれなければならないし、それが優先するであろう。婦人問題も、国際的に考えた場合には、先進国の場合には別でありますが、途上国の問題も考えるということになった場合には、特に途上国の開発計画の中にこれが組み込まれない限り、婦人問題の解決あるいは前進というものもなかなか達成はできない。 そこで、総理府の担当の方、外務省の担当の方から、開発という観点でこれを婦人問題に限定していただきまして、この十年間あるいは最近においてどういうふうな具体的なプログラムをやってこられたのか、あるいは今後進めていこうとしておられるのか、そういう点を調べて、後で結構ですから聞かせていただきたいと思います。 そのお答えを聞く前に、今大臣から、我々は、日本という国は国際社会の中においてアンフェアであってはならないのだということを言われました。これまた、まことに重要な問題の指摘であると思います。その一つとして、アパルトヘイトに対する日本の取り組み方がフェアであるのかアンフェアであるのか、ここら辺はまことに重大な問題であると思いますので、これも聞かせていただきたいと思います。 特に、この条約案文を見ていただきますと、三ページのところに「アパルトヘイト、あらゆる形態の人種主義、人種差別、植民地主義、」云々、「アパルトヘイト」というのが片仮名で書いてあります。しかし、英文の方で見ますと、これは二ページの方でありますけれども、アパルトヘイトの下にはアンダーラインが引いてあります。これはボーア語であるからアンダーラインを引いてあるのか、私はどうも文脈から見るとそうではなくて、アパルトヘイトというものに対するアクセントの置き方、これを排除しなければ、こういうものをなくさなければならぬという、何か非常に強い意思が込められたアンダーラインであるように思うのです。 そこで、アパルトヘイトの問題についても、これは人権問題の原点の一つだと私は思います。我が国においては、どちらかというと縁が薄いところだということでございまして、余りそれほど取り上げてはおられませんでしたけれども、しかし最近の新聞によりますと、今度開かれるナイロビ婦人の会議におきまして、その後一部の旅行社からはそれに出席した人々の南アのツアー、これまで組織されようとしているという報道がございました。私率直に言いまして、事もあろうに婦人のそのような差別撤廃の会議に出た後に、南アにツアーで行くなどということがよもやと思うのでありますが、事実関係についてどうなのか、外務省において知っておられるならば、まず教えていただきたい。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 先生御指摘のように、七月に行われますケニア・ナイロビでの世界婦人会議、これに先立ちましてNGOの会議が開かれるわけでございますが、そのNGOのフォーラムと申しますか会議に、日本の御婦人方が参加されたいという希望が非常にたくさんあるということを伺っております。私どもといたしまして、現在のところ、それにお行きになります方の全体の姿を把握いたしておるわけではございません。現在の段階では、それぞれの旅行社を通じての御手配をされているように伺っておりますが、ただ、非常にたくさんの方がナイロビという必ずしも施設が十分整っていないところにお行きになる場合に、種々問題が起こってもいけませんので、私どもとしてできるだけ実態を早く把握するように努めたいと思っております。 その過程におきまして、先生御指摘ございましたような南アのツアーの計画があるということも聞いてはおりますが、具体的な形で聞いておりません。私どもといたしましては、御婦人方がたくさん世界婦人会議、NGOの会合に御参加いただくのは極めて意義があることと思いますが、そちらにつきましても、ツアーということではなく婦人問題ということで御参加いただきたいと思いますし、ブラックアフリカと南アという関係、まさに先生御指摘ございました人権問題の基本にかかわるアパルトヘイト政策をとっております南アとの一緒のツアーということになりますと非常な悪影響もあると思いますので、この点は私どもの方としてできるだけ実態をつかまえた上で、できるだけの私どもの考え方をお伝えするように努力をいたしたいと思います。
○渡辺(朗)委員 南アフリカ共和国におけるアパルトヘイトの問題は、私が言うまでもなく皆さんがよく御存じのことだろうと思います。そういったところにもし日本の方々が行かれるという場合に、観光であろうと何であろうと行かれるということは、これはなかなか重大なことだろうと思うのです、しかも、団を組んで行かれるというような場合。今お話を聞くと、その場合には外務省でお考えのことをできるだけ伝えるようにするとおっしゃいました。行ってくれるなと言うのですか、それともどのようなことを表明されようと、お伝えしようとされるのですか。そこら辺をちょっと聞かしていただきたい。 なぜこれを聞くかといいますと、外務省が出版している例えば「南アフリカ共和国概要」、これは今改訂中がどうかわかりません。改訂していたら、ひとつ私に教えていただきたい。この国のアパルトヘイトに対して「日本国は、南アフリカ共和国とは国交を持っておりません。それから民間に対しては、スポーツ、教育、文化の交流というものをディスカレッジするようにしております。」こういう方針が書かれております。何でわざわざ英語で書いてあるのかよくわからぬけれども、ディスカレッジとは一体何なのか。その点が非常にあいまいであるから、この間のプロゴルファーの何とかさんという人の入国問題もごたごたしたのではなかろうか。基本的な姿勢がない、ここに問題が出てくるのではなかろうかと思いますので、何をお伝えされようとするのか、それを聞かしていただきたい。
○安倍国務大臣 今お話しのようなこと、私も初めて聞くわけですが、ナイロビの会議に出て団を組んで南アに行くということならば、これは自粛を求めなければならぬと思います。日本としては、アパルトヘイト政策には強く反対をしておりますし、特にアフリカにおいては先鋭な対立があるわけであります。まさに南アのアパルトヘイト政策というのは植民地主義のいわば残滓でもありますし、あるいはまた人種差別の最たるものでありますし、そういうところで国際婦人年最後の年の総会が開かれるわけであります。そこで男女の差別をなくしようという立場からの、あるいはまた人権を尊重していこうという立場の会議が開かれる、そういう会議に参加をして、そして最も人種差別を徹底して行っている国に行くということは、常識的にはちょっと我々考えられぬことでありますから、もしそういうことになれば、これは日本の立場からして強く自粛を求めなければならない、こういうふうに思います。
○渡辺(朗)委員 大臣、私は言いたくはなかったのですけれども、政府の高官でつい先般国会で問題になったので慌ててやめた。南ア連邦との友好議員連盟の会員であったことが問題になったからやめた、こういうケースがあったことを御存じでありましょう。そしてまた、その方が恐らく代表になって今度のナイロビ会議にも行かれるわけであります。そこら辺を考えてみますと、やはりここら辺できちっとした方針を出しておかぬといけない、その責任者は大臣であります。 ところが、先般ザイールに外務大臣は行かれたはずであります。そこで大統領とお話し合いになっている。そのときに、アパルトヘイトには反対だが、民間の企業なり何かが経済貿易活動をやることまでストップかけるわけにいかぬのだ、こういうことを言っておられる。今国際的に注目しているのは、こういうようなアパルトヘイト政策に対してどう制裁をするのか、経済的制裁を何とかしてでもやらなければ聞いてもらえぬのではないか。日本のあり方、出方というものを、そういう目で注目している最中であります。大臣、ここら辺お考えになりまして、ここではっきりと、ディスカレッジするなんというような物の言い方ではなくて、もっときちっとした方針を打ち出されないといけないであろうと思います。 特に、これは後でちょっと聞かしていただきたいのですが、例えば今、日米間で貿易摩擦がいろいろ取りざたされ、深刻に我々も考えております。その解決策のために市場開放の問題も言われている。それからまた、一人当たり百ドル、舶来品を買えというようなことも言われている。どのようないろいろな方策が講ぜられようとも、基本的なことは、例えばアパルトヘイト反対で、アメリカにおいてはカーター元米大統領のお嬢ちゃんであるエミーちゃんが座り込みをやって逮捕されている。そういうような問題がアメリカにおいては起こっているときに、それに対して大きく取り上げて日本でサポートする、こういう姿勢の方が、百ドル舶来品を買えというキャンペーンよりはもっと有効な、アメリカ人に対して共感を持たれるような行動だろうと私は思うのです。 つまり、文化様式といいますか、行動様式といいますか、そういうものを一緒にしていくというところに、今女子に対する差別撤廃という問題、これが取り上げられている意味もある。国際的に、そうでなければ日本というのは経済大国になっていて、にもかかわらず行動様式は何か角があるような、異物が挟まってきたような形で、サミットに行っても大臣、恐らく経験をされるようなことがあったであろうと思います。それだけに、今申し上げるような意味で、はっきりとしたアパルトヘイトに対する態度というものを打ち出していただきたい。 さてそこで、外務省にお聞きしますが、「南アフリカ共和国概要」について、我が国の対応というのはどういう姿勢になっておりますか。今でもまだディスカレッジですか。
○久米説明員 ただいま先生のおっしゃいましたディスカレッジでございますけれども、我が国といたしましては、南アとのスポーツ、文化交流を禁止しているわけでございまして、ただそれを実施するに当たりまして、南アから日本へスポーツ、文化の交流を目的にやってくる者については、これは査証を原則として発給しないという形で実施しておるわけでございますけれども、日本から南アに渡航する者につきましては、そういう法的な規制の手段がございませんので、今のところは政府の考え方、方針というものを各それぞれの方に御説明した上で、できるだけこれをやめていただくという形で実施しているわけでございまして、そういう実施のやり方をディスカレッジするという形で書いてあるのだと思います。
○渡辺(朗)委員 そこが問題だと言うのです。何かとても歯切れの悪い、できるだけやめてもらう。ところが、そこで禁止という言葉も今あなたは使われました。禁止なら禁止とはっきり言ったらいいのですよ。それでないと、この問題について国際的にアンフェアと言われます。ある会議の席上で、あるいは国連の会議の席上では、アパルトヘイト反対だ。しかし、貿易量は最近どうなんです。後でちょっと数字も、もし時間があったら知らしていただきたい。国際的に一番ふえてきているのは、我が国がそのうちの一つじゃないでしょうか、南アとの貿易量であります。そういうような状況というものを一方において行われる。他方においてはきれいごとでいっている。だから、ここにアンフェアという言葉が使われる。大臣、その点で、ザイール大統領とお話しになったあの言葉というのは、もう一遍再考慮していただかなければならぬと思いますが、いかがでございましょう。
○安倍国務大臣 これはザンビアのカウンダ大統領と会見をした際に、南アに対するところの日本の基本的な方針を説明したわけでございます。その一節についてお話があったわけでございますが、まさにそのとおりでありまして、日本はアパルトヘイト政策には絶対に反対をいたしておる。国連等の活動においても、それは明確にその方針を打ち出しておりますし、そうした政策に基づきまして、日本は国交を持たない、こういう基本精神も姿勢も堅持をいたしておりますし、今事務当局から述べましたように、教育、文化の交流におきましても、ディスカレッジの方向を進めておるということでございます。 ただ、民間につきましては、これは日本はいずれの国ともそうでございますが、これは自由貿易という原則の中で、政府の関与しない民間の交流についてはこれを妨げないということで、貿易関係についてはこれが行われておるということも事実でありますし、その貿易量もアフリカの中では非常に大きいものであるということもよく承知をいたしておりますが、日本は国の建前から、政府が関与しない、あるいはまた、国交を持たないそういう国、そうしてまた、その国の基本的な方針については日本と相入れないことがあったとしても、民間の交流までもこれを妨げる、抑える、こういう法的な措置も講じておりませんし、日本の国柄といいますか、日本の国のあり方としても、そういうものは自由に行う。これは北朝鮮においても、国交はありませんけれども民間の交流というものは行われておるわけでございまして、そういう日本の国としての方向でございますけれども、しかし、アパルトヘイト政策に対しては、日本としての主張は国連あるいはまた世界に対してはっきりこれを打ち出しておることは事実でございます。
○渡辺(朗)委員 ほかの方の問題に入りたいと思っておりましたが、やはりどうも納得いきません。ですから、ここでもう一遍ちょっと申し上げでみたいと思います。 それはまず、南アフリカ共和国と北朝鮮とを同じように取り扱うべきではないであろう。それから、ディスカレッジという言葉をまずやめてもらいたい。むしろはっきりと、日本政府の方針というものはこれを極力行ってもらわないようにするとか、あるいは貿易量も抑えるとか、民間投資も抑えるとかいうふうな基本的な姿勢をひとつ打ち出していただきたい。あいまいなことにしておかないように、ここでひとつはっきりと大臣の言葉を聞きたいと私は思っております。 ただ、特に私、ここで申し上げておきたい、時間がありませんから。先ほどちょっと触れました国際自由党連の世界婦人会議、働く人たちの婦人会議においてどういうことが行われているかというと、そこでも、アパルトヘイト下の婦人労働者に関する声明、こういうようなものが出されているのです。人の名前も挙がっています。エンマ・マシニーニという人とかリタ・ヌドザンガ、こういうような人たちが、婦人運動をやっているから投獄されている。その人たちの言っている言葉の中に、こういう言葉があります。我々は三重苦の中にいます。一つは黒人であるから、第二番には女性であるから、第三番目にはアパルトヘイトのもとに暮らしているから、こういうことを言っているわけであります。そういう問題に対して、今のようなちょっとあいまいな言葉で対処されては、ナイロビ会議を前にした、そしてまたこの条約を審議するに当たっての大臣の言葉とも思えないようなことをちょっと聞いたというふうに私は思いますので、ひとつよく検討していただいて、今ここで言っていただければ一番ありがたいけれども、いろいろなところの配慮もあるでしょうから、別の機会にぜひはっきりと表明をしていただきたいと思います。 それから、先ほど総理府の方にお尋ねをしておきましたが、そういう活動のプログラム、こういう点はやってきました、これからこういうことをやりたいというものがあったら、ぜひひとつ教えていただきたい。
○松本政府委員 発展途上国の開発に対する婦人問題の観点からの協力ということだと思いますが、まず私ども、昭和五十六年に策定いたしました「「国内行動計画」後期重点目標」におきまして、「国際協力の推進」という項目を設けておりますが、その中で、「開発途上国に対する農業と人づくりに重点を置いた経済・技術協力の推進」ということを取り上げておりまして、それに十分に配慮する必要があるけれども、その際に、このような経済・技術協力が相手国の婦人の地位向上に貢献し得るように配慮するというようなことを挙げているわけでございます。 それでは、何を具体的にしたかということになりますと、これは外務省の方でお答えいただくのが適当かと思うわけでございます。 それから、総理府独自にいたしたことといたしましては、国際協力を進めるという意味では、我が国の婦人もそういうこと、諸外国の婦人、発展途上国の婦人の事情をよく知り理解するということが非常に重要だという観点から、昨年三月東京でESCAP地域の世界会議準備の国際会議が開かれました際に、「国際協力への婦人の貢献」と題しますセミナーを開催いたしまして、そのような国際協力への婦人の貢献に対する啓発を行ったところでございます。 なお、今後のことにつきましては、またナイロビ会議に参加いたしまして、その結果も踏まえまして、さらに検討してまいりたいというふうに存じます。
○安倍国務大臣 さっき南アとの関係で北朝鮮のお話をしましたけれども、これは別に南アと同じような政策を北朝鮮がとっておるということではありませんで、日本は国交がないということでは同じだけれども、民間交流は行われておるという、そうしたことで言ったわけでございまして、この辺はひとつ誤解のないようにお願いをしたいと思います。 南アにつきましては、日本は先ほども申し上げましたように、アパルトヘイト政策には断固として反対ですし、この姿勢は今後とも堅持していくし、この政策が改められない限りは国交を持とうという考え方は持っておらないわけでありますが、ただ、日本の国柄としまして自由貿易という姿勢を貫いておりますし、政府に関係のない民間の立場で自由な関係、今後交流が行われるということまでを抑えるということは今の日本の立場からはできない、こういうことで、これは民間自身のいわば判断といいますか認識の問題にかかってくるんじゃないか、こういうふうに思います。
○山田(中)政府委員 先生からお尋ねございました、婦人関係での開発面で我が国がどのような努力をしたかという点につきまして、外務省の方からお答え申し上げます。 第一点といたしましては、国連婦人の十年基金というのが国連に設けられまして、婦人の、開発のための技術協力を行うこととなっておりますが、昭和五十四年以降累計二百二十万ドルの拠出をいたしております。 我が国自体の開発途上国の婦人関連の技術協力の現状を申し上げますと、開発途上国からの一般の婦人の研修員でございますが、これは昭和五十九年度で総計六百三十六人受け入れたことになっております。また、婦人関係の集団研修コースも実施いたしておりまして、婦人関係行政セミナー、これは昭和四十四年度からでございますが、九十四カ国から百六名受け入れております。また、同じく集団研修コースで生活改善普及コース実施、これは昭和五十五年からでございますが、三十四カ国から四十人の受け入れをいたしております。 我が方から開発途上国への婦人専門家の派遣といたしましては、昭和五十年度より延べ四百七十一名、また青年協力隊の女性隊員といたしまして昭和五十年より累計六百十八名を派遣いたしております。
○渡辺(朗)委員 実は本文の方に入ろうと思ったら、前文のところだけで一時間たってしまいまして時間がなくなってしまいました。この次にまた本文の方には入らせていただきたいと思っております。 きょうはありがとうございました。
○愛野委員長 次に、岡崎万寿秀君。
○岡崎委員 ことしは国連婦人の十年の最終年ですね。明治以来男女差別が非常に色濃く残っていました日本で、あらゆる形態の男女差別を撤廃する、そういう本条約が批准されるということは非常に大きな意義を持っていると思うのです。そういう見地から、男女差別の中でもとりわけ重要な比重を占めている雇用における平等の問題、ここから私の質問を始めていきたいと思います。 まずこの条約の精神、理念でございますけれども、第四条二項で「母性を保護することを目的とする特別措置をとることは、差別と解してはならない。」お読みになっているとおりです。このように母性の保護と差別撤廃とは矛盾しない、統一して見るべきものであるという見地がこの条約の精神だと思いますが、そのとおりですね。
○山田(中)政府委員 先生御指摘のとおりで、母性の保護というのは極めて重要なことでございますので、母性の保護は女子に対する差別ではないというのが条約の精神でございます。
○岡崎委員 ちょっと不十分な答弁ですけれども、要するに統一的にとらえている、そういうふうに言われたものと理解しましょう。 二つ目です。第十一条には、雇用の分野における差別撤廃のためのすべての適当な措置をとるというふうにして、一項の(f)に「作業条件に係る健康の保護及び安全についての権利」これをうたっていますね。つまり、女性差別撤廃のためには労働条件が健康、安全を守るべきものでなければいけない、それを要求する権利がある、そういうふうに規定していると思うのです。女性保護のためには、労働条件の改善そのことが非常に重視されているという立場だと理解してよろしいですね。端的にお願いします。
○斉藤(邦)政府委員 この第十一条一項(f)の趣旨は、ここに書かれております「作業条件に係る健康の保護及び安全についての権利」これについて「女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとる。」という規定でございます。したがいまして、六号の趣旨としては、労働条件にかかわる健康、安全についての男女同一の権利を確保することを目的として、女子に対する差別を撤廃することを求めている次第でございまして、健康、安全の観点から設けられたいわゆる女子保護規定というのが差別的効果を有していることにかんがみ、これを見直していくべく規定されたものでございます。
○岡崎委員 長々と言われましたけれども、要するに私が言ったのと同じですね。 では三つ目です。差別撤廃のためには、これは前文で書いていますけれども、その前提として「家庭及び子の養育における両親の役割」これを指摘しています。同時に、「子の養育には男女及び社会全体が共に責任を負うことが必要」だと述べていますが、この家庭的責任の分担、これも当然前提となっているというふうに見てよろしいですね。
○斉藤(邦)政府委員 そのとおりでございます。
○岡崎委員 私、今三つ述べました。こういう三つの要件が、雇用における平等を満たす上で非常に重要だということをこの条約はうたっていると思うのです。したがって、この見地から母性保護の問題、その範囲を見る場合、これは各国の具体的な事情があるわけですね。特に労働条件の問題や社会における家庭責任の分担など、いろいろ違いがあるわけですね。大臣、これは当然各国の実情に応じて具体的に決められるべきであって、一律に機械的に決められるべきものではないと考えますが、大臣いかがでしょう。これは大臣にひとつお願いします。
○斉藤(邦)政府委員 母性保護措置の範囲につきましては、やはり条約の規定ぶりとか、それから条約審議の過程においてどのような考え方で審議されたかというようなことを勘案して判断すべきものでございまして、各国の事情によって各国が勝手に判断していいというものではないと存じます。
○岡崎委員 母性保護の範囲については各国の実情じゃないというのですか。その審査の過程については、そこにお座りの方から聞きましたよ。知っています。審査の経過はあったでしょうけれども、しかし母性保護というのは、もともと女性が健康な赤ちゃんを産み、育てる、こういうようなのが母性保護でしょう。それはあくまでも各国の具体性に基づくものであるというふうに思うのですよ。一律に決められるべきものではないというふうに思うのですね。それを否定なさるのですか。もう一度お願いします。
○斉藤(邦)政府委員 私が申し上げましたことは、各国が自分の都合のいいように勝手に解釈していいということではなくて、条約上の規定もございますし、条約の審議経過もございますので、その範囲というのは、妥当な範囲内で当然定まってくるものであるというふうに考えている次第でございます。
○岡崎委員 ちょっとおかしい答弁ですけれども、これは後で、少し回ってからもう一回やりましょう。 それでは聞きましょう。政府の出していました婦人労働白書、七一年まで、女子の労働条件、特に母性を守るための規定としてどういうことが書いてありましたか、答えてください。——こんな問題に余り時間をとらないでくださいよ。みっともないですよ、こういうことを知らないのは。これにははっきりと男女同一賃金の原則、時間外労働の制限、休日労働の禁止、危険、有害業務の就業制限、坑内労働の禁止、産前産後の休業、妊婦の軽業務転換、育児時間、生理休暇など一括して書かれているわけですね。七一年の政府のお出しになっている白書がこのように一括して母性保護の範囲を決めている、この事実をお認めになりますね。
○赤松政府委員 先生今御指摘の婦人労働白書というものは手元にございませんが、お読みになったところに間違いはないのではないかというふうに存じます。
○岡崎委員 こういう問題は大事ですので、よくお調べ願いたいというふうに思います。間違いございません。 もう一つお聞きします。昭和二十二年でございますが、これは帝国議会ですよ。第九十二回帝国議会で労働基準法の案件が審議されたときです。女子の時間外労働などの一定の制約や生理休暇ですね、なぜ入れるのか。このときの政府の答弁についてどういうふうに、具体的じゃなくて結構です、概括的で結構ですが、どういう答弁をしたか御存じでしょうか。
○赤松政府委員 帝国議会当時の答弁については、今しかとは記憶いたしておりません。
○岡崎委員 まだあなたも若かったでしょうから御存じないのはわかりますけれども、しかし、労基法改正等もありましたので、当然こういう労基法がどういういきさつで生まれたかについては事前にお調べいただきたかったのでございますけれども、河合厚生大臣が「わが国労働問題の特殊性に鑑みまして、こ々に労働条件の原則を規定したのであります。」つまり日本の労働条件の特殊性を強調して生理休暇等を入れたということを強調しているわけですね。このことをしっかりと御記憶願いたいというふうに思うのです。 そこでお聞きしますけれども、戦後四十年たちましたし、労基法ができてから既に三十数年たっていますのでいろいろな変化はありましたけれども、我が国の特殊性が変わったのかどうか。 それから、婦人白書がそういうふうに規定して、七一年から労働条件が特に労働時間の点などで大きく改善さたかどうかという問題なんです。この点について、赤松さん、どうお思いになりますか。
○赤松政府委員 当時の厚生大臣のお答えでございますが、私どもの読みました資料等から考えますと、その特殊性といいますのは、戦時中に女子挺身隊を受け入れるときの措置要綱に、婦人衛生に関し配慮するというような定めがございまして、それが労働基準法に規定されました生理休暇の起源であるというふうに理解をいたしております。これは、挺身隊の作業が深夜業や長時間労働を伴う強制労働であった、幾らかでも女子の労働条件を緩和する工夫の一つとして考えられたものだと言われていると承知しております。 ところで、いろいろな条件が変わったかどうかという点につきましては、例えば当時は衛生用品等も非常に手に入れにくかったというようなことまで言われておりますし、またトイレット等の施設も非常に悪かったというようなことも指摘がございまして、そのような条件につきましては格段の変化があったというふうに存じております。
○岡崎委員 昭和二十二年なんですよ、赤松さん。女子挺身隊という問題を論議する場じゃないでしょう。新しく憲法ができまして、婦人の労働条件等について論議する場で、女子挺身隊員がどうであったかこうであったかということでなかったと思うのです。やはり日本の実情に応じて、生理休暇は必要であるとその特殊性を強調しているわけですね。また、トイレットがどうのこうのというのも、ちょっとこの場で論ずるような特殊性の変化には当たらないというふうに思いますね。 私が幾つか申し上げましょう。先進国の場合は、週四十時間労働週休二日制というのは今はとんと常識的になってきているわけですね。しかし、日本の場合は依然として四十八時間労働制をとって、これが拡大しつつある。これが実態なんです。これは労働省の資料ですから確認願いたいと思いますけれども、年間労働時間が、一九七八年と一九八三年、つまり五年間でどのように変わったのか。日本の場合は、二千百三十七時間から二千百五十二時間にふえています。二千台は日本だけですね。アメリカの場合は、千九百二十四時間から千八百九十八時間に減っています。西ドイツも、千七百十九時間から千六百十三時間に減っています。イギリスの場合も、千九百五十五時間から千九百三十八時間に減っている。フランスの場合も、千七百七十二時間から千六百五十七時間に減っています。この一番少ないフランスの場合と日本と比べますと、何と四百九十五時間の差があるわけですね。この事実は認めますか。おたくの資料ですよ。
○赤松政府委員 確かに日本の現在の労働時間は、先生のおっしゃったような諸外国に比べた長さというものはあるように存じます。
○岡崎委員 今お認めになったように、極めて長時間労働だということです。これが非常に大きな問題を持っているわけですね。 もう一つ聞きましょう。有給休暇です。日本の場合は六日間、アメリカの場合は一週間から二週間、西ドイツの場合は十八日間、イギリスの場合は四週から五週、フランスの場合は何と三十日間。お認めになりますか。
○赤松政府委員 細かい資料は持っておりませんが、そのような傾向にあるように存じます。
○岡崎委員 もう一つ聞きましょう。週休二日制の普及率です。大事な問題なんですよ。日本の場合は二七%、いろいろと含めておりますけれどもね。それからアメリカの場合は八七・九%、西ドイツが六〇・三%、イギリスが八九・四%、フランスは何と九一・七%、お認めになりますか。
○赤松政府委員 そのような状況にあると存じます。
○岡崎委員 私が三つ挙げただけでも、こんな大きな労働条件における国際的な違いがあるわけです。これを無視して、母性保護を云々するということはできないと私は思うわけです。この長時間労働、過密労働が母性に対してどういう破壊的な影響をもたらしているか、母性というのは次の日本人を産み、育てるという社会的機能なんですね。男性より、より多く被害を受けているということは、労働大臣の私的諮問機関である労基法の研究会の第二小委員会専門委員会の報告の中で、「長時間労働のもとで女子、特に既婚女子の生理的再生産が最も阻害されやすいことがあらためて指摘されなければならない。」このように書かれているわけです。これは既に取り上げられまして、昨年三月二十六日の参議院の予算委員会で赤松さん自身が御答弁なすっていますね。長時間労働あるいは深夜業は、その弊害が女子に多くあらわれているということが書かれていることをお認めになっているわけですが、こういう実態はお認めになりますね。
○赤松政府委員 基準法研究会は現在もお願いして研究を続けておられるわけでございますが、現在の研究会ではそのような御指摘はないように存じます。
○岡崎委員 私は、現在のことを聞いたわけじゃないのです。このときの報告書があり、あなたが昨年そういう御答弁をなすっているのは事実かどうか聞いたのです。そして実態が先ほど言ったように、非常に長時間労働で女性の健康が破壊されている、そういうことをお認めになるかどうか、そういうことなんです。
○赤松政府委員 現在の時点で諸外国と日本とを比べるならば、先ほど先生の御指摘のような日本の労働時間が長い、あるいは週休二日の普及率が低い、もう一つございましたが、そういう事実があるという実態はそのとおりだと思います。(岡崎委員「それが婦人の健康についてです」と呼ぶ)しかしながら、長い間、もう少し前までさかのぼりますと、日本の労働条件は確実に向上しているように思うわけでございます。そして、それが婦人の健康に現在どういう弊害をもたらしているかというような点につきまして、お答え申し上げたという記憶は必ずしもございませんので、議事録を読ませていただきたいと思います。
○岡崎委員 議事録を見せてもいいけれども、探すの面倒ですから、議論を進めましょう。いずれにせよ、もう一回見てほしいのです。三月二十六日参議院予算委員会の山中委員の質問に対してあなたが、長時間労働あるいは深夜業はその弊害が女子に多くあらわれている、そういう報告がありますということを言われているのです。そして、先ほど言ったようにずば抜けた長時間でしょう。ずば抜けて週休二日制がおくれているでしょう。そして、家庭責任の問題についても、女性に対する負担は日本は非常に重い。これで女性の健康が破壊されないはずないですよ。よその国と同じような状況ということは絶対あり得ないです。本当にくたくたになっているのですね。腱鞘炎その他のいろいろな病気になっているわけでしょう。そういうことをあなたは知らないと困るわけですね。そのことをお聞きしているのですよ。ほかに比べて労働時間の長い、労働条件の悪いことを認めながら、健康はそう変わらぬというふうにおっしゃるわけでもないでしょう。どうでしょうか。
○赤松政府委員 労働時間が長いあるいは週休二日制が少ないことが健康によくないということは、一般論としては言えるかと存じますが、それがどのような形であらわれているかというような実態をお聞きになるということでございますと、現在必ずしも適当な資料を手元に持っていないということでございます。
○岡崎委員 あなたは労働省婦人局長でしょう。一番つかまなくちゃいけないそういう実態について、資料を持たないというのはちょっと恥ずかしいのじゃございませんか、余りあなたをいじめるつもりじゃありませんけれどもね。 先に進めましょう。外務大臣、お話し中でございますけれども、私は、この条約で母性保護が男女平等と矛盾しないということがうたわれていることを最初に確認いたしましたし、その母性保護の範囲がこうした日本の労働条件と無関係ではないと思うのです。日本の具体的な労働条件から、特殊性から考えなくちゃいけないと思うのです。そうお考えになりませんか。大臣にお願いしたいのです。
○安倍国務大臣 確かに、日本の労働時間は先進国家の中では長い方であることは事実だと思います。これは局長も答弁したように思います。
○岡崎委員 いや、それだけじゃないのです。そんなことを言ったのじゃない。労働条件が悪いということを言っているだけじゃなくて、それは母性保護と関係しないのか、当然母性保護は日本の具体的労働条件から考えなくちゃいけないということをお考えになりませんかと言っているのです。大臣に聞いているのだよ。
○愛野委員長 斉藤審議官。ちょっと実務的に答えてから……。
○斉藤(邦)政府委員 この条約は、女子保護が女子の差別につながるので、究極的にはこれを廃止すべきだという考え方に立ってできている次第でございます。母性保護措置の範囲がどうかということにつきましては、条約の規定ぶりそれから条約審議の過程におきまして明らかになっているとおり、妊娠、出産、保育に限られるわけでございます。ただ、この限られた範囲内でどのような母性保護措置を認めるべきかという点は、御指摘のとおり、各国の労働事情を考慮して決めるべきかと存じますけれども、その意味で本来母性保護措置とは認められない生理休暇というものが、今度の新しい法律のもとでも認められている状況にあると理解しております。
○岡崎委員 我々も母性保護の内容は、労働条件の改善向上に伴っていろいろな見直しがあってもいいとは思っているのです。しかし、日本における労働条件は余りにも長時間だし、過重ですよ。こういう中での母性保護の問題は、ヨーロッパ並みにできないのは当然じゃありませんか。ところが、今説明があったように、今度の条約は女子保護と母性保護と二つ分けているのだ、母性保護を妊娠、出産、保育の期間だけに限定して、大きく範囲をカットしていますけれども、労働条件の改善を抜きにして母性保護を縮小するのは、本当の母性保護には当たらないと思うのです。条約の十一条三項の中にも「保護法令は、科学上及び技術上の知識に基づき定期的に検討する」ということになっていますし、決して固定的に見てないのです。労働条件によって母性保護の範囲がいろいろ変わる、これは当然あり得ると思うのです。大臣、母性保護というのは本当に大事な問題なんです。労働条件とのかかわりがある、当然これから具体的に見なくちゃいけない、そういうふうにお考えいただきたいと思いますが、あなた責任者ですから、どうでしょうか。
○安倍国務大臣 確かに、日本の女性の労働時間は先進国の女性の労働時間に比べて長いかもしれませんけれども、しかし、労働条件は随分改善されておるわけでありますし、今の母性保護との関係で、日本の労働時間が長い、これが条約との関係で問題があるというふうには私は思いません。
○岡崎委員 それが本当に条約の精神に合っているかどうかについては、私は非常に大きな意見を持ちます。むしろ、これは逆行するものだというふうに私は断じたいのです。 時間もありませんので、先に進みましょう。 この条約の十一条二項の(d)の中に、妊娠中の女子に有害であることが証明されている種類の作業においては、特殊の保護を与えることを規定しています。また改正労基法六十六条も、使用者は、妊産婦が請求した場合、時間外労働、休日労働、深夜業をさせてはならないといって、罰則さえつけているわけです。これには看護婦さんは適用されますか。
○赤松政府委員 看護婦さんは、従来から深夜業の禁止の適用除外となっておりまして、深夜業が行われておると存じます。そして、このたびの基準法の改正によって妊産婦の深夜業は禁止されることとなりますので、当然看護婦の妊産婦さんの深夜業は、これまでと違いまして禁止されるということになります。
○岡崎委員 それに対して、当然政府の方では対策をお立てになっていると思いますが、どういう対策を今お考えになっていますか。
○赤松政府委員 妊産婦に対する深夜業の禁止ということは、看護婦さんのみならず、これまで深夜業ができることになっておりましたいろいろなものを含めて適用されるわけでございますので、これは、そういう方たちを使用される方たちに今度の基準法の改正の趣旨をよく周知をして、違反の起こらないようにということにいたしたいと存じております。
○岡崎委員 少しも具体性がないですね。労基法を改正しながらそういう状態では困ると思うのです。六十六年までで進められております厚生省の第二次看護婦需給計画、これで六十六万三千七百人、この体制をとることになっております。この数は、先ほど言いました妊娠した看護婦が母性保護のために深夜業をしない、また産前産後の十四週間の休暇もとる、当然そういうことを前提とした数でございますか、どうですか。
○矢野説明員 第二次の需給計画の中では、そういう要素が残念ながら入っておりません。
○岡崎委員 教員の場合は、はっきり補助教員の確保に関する法律という形で代替要員が確保されているのです。同じ女子労働としての看護婦さんの場合も、やはりこのように代替要員を考えなくちゃいけないのじゃないかというふうに思うのです。需給計画の中に入ってないというのならば、どの程度の要員があれば、六十六条の改正に伴ってほかの看護婦さんに無理のいかないような体制になるのか、そういう計算はされていますか。
○矢野説明員 御承知のように、第二次需給計画というのはことしで最後でございます。続きまして、第三次の需給計画というのを今策定中でありまして、その調査の中には今まで盛られておらなかった要素、その一つとして今の産休代替その他の問題がありますが、そういうものを入れて調査をしたいというふうに思っております。
○岡崎委員 実態もつかめずに入れるというわけにいかないでしょうから、直ちに実態調査をしてほしいと思うのですよ。私の方でも幾つか調べましたけれども、看護協会の調査によると、現在約四十万の看護婦さんの中で七九・五%が夜勤だということですね。医労協の調査でも七〇・九%、七〇%としましても二十八万の看護婦さんが夜勤をやっていることになるわけです。妊産婦率が一〇%だというように聞いていますが、大まかに言って二万八千人の代替要員が必要となるような計算になるわけです。これに産前産後の休暇、それにかわる看護婦さんというふうにしますと、かなりの数を確保しなくてはいけないということになるわけですね。そうしないと、生命を預かる仕事なんですから、こういう大事な仕事をしている看護婦さんの健康が守れない、家庭が守れない、そういうことになるわけです。 そういう点で、今言われましたけれども、来年度から始まる第三次の需給計画の中に必ずこれを盛り込む、そのためにきちっとした調査をするとお約束できますか。これは、あなたじゃなくて大臣ないしは局長でないと……。局長さん、ひとつお約束できますか。
○矢野説明員 今申し上げましたように、そういう要素を入れて調査をしたいということで今企画中でございます。
○岡崎委員 局長さん、そのことを確認されますね。
○赤松政府委員 先ほどから厚生省の答弁でございまして、この問題につきましては厚生省が御調査になるということで、非常に心強く感じている次第でございます。
○岡崎委員 安倍さん、看護婦さんのことでございますけれども、やはりこの条約を推進する責任者といたしまして、今言いました看護婦さんの深夜業の問題ですね、当然これも条約の精神を生かす上からいっても大事だと思いますが、この問題での御見解を聞かせてもらいたいと思うのです。
○安倍国務大臣 今厚生省、労働省から答弁したとおりです。
○岡崎委員 簡潔でございますけれども、前向きな答弁だというふうに、そしてきちっと実態を調査して第三次計画の中に盛り込むということ、それを確認されたというふうに理解いたします。 さて、本条約には十四条に農村婦人の問題について書かれていますが、農村婦人と同様に、あるいはそれ以上の比重を持っている、我が国では業者婦人の問題についてはこの条約は適用されるのですか。
○斉藤(邦)政府委員 申しわけございません、今の御質問のちょっと聞き取れなかったところがございましたが、中小企業の従業員婦人について特段の規定があるかという御質問だとすれば、規定上明文の特段の規定はございません。
○岡崎委員 きのうの説明と違いますね。きのうは、はっきりとこれは適用されるというふうにお答えになりましたよ、レクチャーのときに。
○斉藤(邦)政府委員 ただいま申し上げましたのは、中小企業に働く婦人についての明文の特段の規定がないということを申し上げた次第でございまして、適用がないということを申し上げたつもりはございません。
○岡崎委員 だから、適用されるでいいでしょう、適用されますかですから。
○斉藤(邦)政府委員 適用されると考えます。
○岡崎委員 それでいいんです。 それで、我が国では従来から、事業主が婦人であるがゆえに金融面などで社会的、経済的ないろいろな不利や差別をこうむった事例が多くありますけれども、この条約を批准したからにはこういうことがないようになりますね。そのような方向で政府は臨まれますね。これはどなたが答えるのでしょう。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 先生御指摘ございました点、例えば第十三条の同項に規定がございますので、こういう分野で差別が行われないように措置をとってまいるということでございます。
○岡崎委員 この条約を批准したからには、外務省も責任を持って、業者婦人あるいは業者の事業主が不利益をこうむらないように指導するということだというふうに確認いたします。 さて、それならば、今の業者婦人の置かれている実態はどうか。どのくらい掌握されているのか。——きょうはどうも来ている方、関係のある人呼んでいなかったのかな。特に私は、従業員が一人から九人、つまり零細企業の場合が非常に深刻な問題を含んでいるように思うのですね。全事業所六百二十六万のうちに、こういう九人以下というところが四百六十二万、つまり七四%の比重を持っています。従業員数では、全従業員四千五百七十二万に対して千三百七十五万人、約三〇%の非常に高い比率を持っているわけですね。こういう分野での業者婦人の実態について、あるいは男女差別の状況について、どの程度掌握されているのでしょう。これは労働省でしょうか。
○岩田説明員 お答えいたします。 私どもも、いわゆる家族事業者を含みます小規模企業の実情については、毎年あるいは定期的に調査をいたしております。私が手元に持っております資料によりますと、家族の従業者、いわゆる奥様である者を含めた家族の従業者が、やはり事業主とかなり似通った時間就労されているというような調査が、過去の調査から出ている事実がございます。
○岡崎委員 抽象的ですけれども、いいでしょう。しかし、零細企業ではその経営者の家族、つまり夫婦で働いているのが圧倒的に多いのですね。そして、母ちゃんが実際工事業を支えているのですね。 これは、全国商工団体連合会婦人部の実態調査でございますけれども、労働時間十時間を超える人が三一・六%にも上っているわけです。また、産前休暇はたった十五日以内、これが七六・八%、産後休暇も十五日以内というのが四一・七%、こういうふうに非常に過酷な状況のもとで、暮らしと経営を守るという状況のために健康破壊が余儀なくされているという実態なんです。東京都も六十年度に、小規模企業の婦人実態調査のための予算として九百八十万円を計上しているわけでございます。先ほど中小企業庁おっしゃいましたけれども、何だかだれでも言えるような答弁でございます。当然こういう実態についてはっきりともっと具体的に調査をして、それに対する施策が必要ではないかと思いますけれども、どうでしょうか。
○岩田説明員 先ほど御説明申し上げましたとおり、私どももその調査には毎年力を入れているところでございまして、そのような実態を踏まえまして、必要な施策を今後とも講じていきたいと考えます。
○岡崎委員 より徹底してやってもらいたいと思うのですが、最後になりました。この業者婦人の分野でも、いろいろな差別が実態上あるということを私は税制面からも指摘しておきたいと思うのです。 業者の家族の働き分は、事実上家長となっている主人の所得とみなされていって、実際上は共同で経営しながら、しかしお母ちゃんの場合は補助者的な扱いにされているのが今の税制なんですね。私は、これは前近代的だろうというふうに考えます。当然、独立して税の申告もできるように——弁護士さんでもお医者さんでも税理士さんでも、共同でやればそれぞれ独立して税の申告もやっているわけですね。それができない。つまり、業者婦人の働き分というのが専従者控除という形で年間四十五万、月にしますと三万七千五百円くらいにしか見られない。これは実態的に見れば、非常に男女差別に通じるような税制になっているというように思うのです。当然、業者婦人の働き分も自家労賃といいますか、税制上認める方向こそが、これは安倍外相、条約の精神に沿うんじゃないかというふうに思うのです。 そして、ことしの二月二十六日の大蔵委員会での政府の答弁も、政府は引き続きこういう問題については要望が強いし、検討してまいりたいというふうに答えております。条約推進の責任を負われる外相としまして、こういう税制において業者婦人が一人前に扱われていないという状況、やはりこういう問題等につきましても留意すべき問題である、一考すべきことだというふうにお考えいただけるでしょうか、御答弁願います。これはもう最後でございますから。
○岩田説明員 本件につきましては、先般の大蔵委員会においても御議論があった模様と承知をいたしておりますが、御議論の内容を私も見させていただきまして、基本的に、税を取る上でどのようなものを単位として税を取るかという、徴税上の基本的な哲学とでも申しますか、考え方にかかわるような基本問題が入っております。そのような意味合いにおきまして、主税当局においても、非常に基本的な問題であるというような御答弁もされておるわけでございますが、私どもも、そのような基本問題ということでもございますので、今後の税制調査会におきます議論を注視してまいりたい、このように考えます。
○岡崎委員 重要な問題であることは変わりないんです。だからこそ、多くの要望がありながらなかなか実現できないでいるわけですからね。しかし、条約を批准するからには、そういう面までもきめ細かい、いろいろな行き届きが必要だろうというように思うのですね。安倍外相、やはり留意すべき問題であるというようにお考えいただけませんか。
○安倍国務大臣 いずれにしましても、この条約を締結した以上は条約の趣旨を誠実に履行していく、それは日本の国際的な義務でありますから誠実に履行していく、国内体制はその趣旨に従って整備する、そのための努力を重ねていくことは当然政府の責任であります。
○岡崎委員 一般的じゃなくて、業者婦人のこういう問題までも誠実に留意していくというふうに理解してよろしゅうございますか。
○安倍国務大臣 先ほどから申し上げたとおりで、条約はやはり守っていかなければならぬと思います。
○岡崎委員 これ以上は答弁出ないでしょう。時間が来ましたので、終わりましょう。 —————————————
○愛野委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。 本委員会において審査中の女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の締結について承認を求めるの件について、文教委員会から連合審査会開会の申し入れがありましたので、これを受諾するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○愛野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、連合審査会は明三十日午前十時から開会いたします。 次回の委員会は、来る三十一日に開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時三十八分散会