外務委員会 第13号
- 発言数
- 155 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1985/05/17
会議録
○浜田(卓)委員長代理 これより会議を開きます。 本日は、委員長が所用のため出席できませんので、その指名により私が委員長の職務を行います。 米州投資公社を設立する協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林進君。
○小林(進)委員 大臣まだお見えになりませんようでございますので、この際、委員長にひとつ御要望申し上げておきたいと思うのであります。 今朝も寝ながらにしてテレビを見ておりますと、アメリカ、カナダ、スウェーデンの三国が貿易自由化の問題について、ガットを基礎にして、国産品、外国品ともに平等に扱わなければならない、それを盾にして、日本に対して、石油公団や宇宙開発その他電電公社等九の企業体に対して輸入の自由化を認めるというふうな、こういう申し入れをされたという。最近は朝となく晩となく、この貿易不均衡に対する各国の要望がアメリカを中心にいたしまして強過ぎる。 私どもは、これを非常に不愉快に感じているわけでございまして、外務大臣がおいでになればこれもお聞きしたいのでありまするけれども、さしあたり私は、この問題に関しましてこの委員会でこの前、アメリカが貿易自由化の問題に対して、国内に対する保護貿易的な処置を講じている法案が一体幾つあるのか。日本にだけ自由化を求めているけれども、それぞれの国はそれぞれの国なりに、やはり保護貿易の形態を残しているのであります。さしあたり、アメリカのそうした法案の状況について資料を提出してもらいたいということを私は要求しているのです。その要求がまだ出てまいりません。これは委員長、ひとつこの問題はぜひ適当に処置をしていただきまして、外務省から私の要望に対する資料が素直に出るように御処置をいただきたいと思います。よろしゅうございますか。
○浜田(卓)委員長代理 ただいまの小林進君からの御提案につきましては、理事会にて協議をいたしまして、しかるべき対応をとらせていただきます。
○小林(進)委員 事のついでと言ってはなんでございますけれども、若干きょうの協定の審議には外れるかもしれませんが、実は私は先般この委員会で、北方領土の問題について質問をいたしました。そのときにも、サンフランシスコ条約を締結いたします前に日本の政府、当時吉田内閣、この吉田総理を中心に内閣が約三十数通の公文書をアメリカ政府を通じて、その中で日本の状況あるいは日本の要望、日本のあるべき姿、そういうようなことを詳しく事前に交渉されている。その三十数通の公文書の中で、外務省は二十数通だけは公開された。公開されて、それで一般の国民にこれは示されたけれども、一番肝心な領土に関する問題、北方領土を中心に領土の問題については今なお十数通ある。このアメリカ政府に対する公文書、ダレス国務長官の時代でありますけれども、これだけは非公開にして示さない。しかし、この重大な文書を示さないで、「北方領土の日」を設けたり、あるいは北方領土の返還要求を国民運動として取り上げたところで、それは本当の審議ができるわけがないのです。 そういうサンフランシスコの条約も締結されてもう四十年近く、三十六、七年も経過をしているのでありますから、時効から見てもこれは成立しているのであります。こういう書類こそ国民の前に公開をして、国民とともにこの問題を審議するという、そういう姿勢がなければならぬ。その中には非常に重要事項が含まれているということは、この委員会における当時の吉田首相の発言の中にも散見することができるのです。条約は決まったが北方領土に関する問題だけは了承できない、これはやはり息長く日本政府としては要求を続けるというような、当時の吉田首相の非常に悲痛に値する発言までちゃんと速記録に残っている。残っているが、それを裏づけするような重要な文書がいつまでたっても公開されない。これではだめです。 だから一方、グロムイコあるいはソ連当局は、国際条約の間で北方領土の問題は解決したんだ、解決したんだから日本が何を言おうとノーコメント、それはだめだ、こういうふうに彼は聞き流している。グロムイコがそれを言うには、確かにどこかに根拠があるはずだ。その根拠を探る意味においても、まだ非公開のこの領土に関する十数通の日本政府の公文書というものは明らかにしてもらわなければ論議にならぬ。今、ともかく安倍外務大臣、一生懸命グロムイコいらっしゃい、いらっしゃいと言っているが、いらっしゃいと言えば当然この問題が繰り返されるときに、いま少し深みのある、国際的にも納得されるような議論が日本側から出てこなければ、それは依然としてグロムイコ先生に軽くあしらわれる以外にないと思う。これは重大問題です。 どう考えたところで、外務省、外務官僚だけがこの資料を握って、秘密にしておかなければならぬ理由は何にもない。時期的にもない、環境的にもない。ただ一つ憶測をして言わしめれば、ちょっとアメリカさんにぐあいが悪いところがあるんじゃないかというふうな、依然としてアメリカ追随のつまらない根性だけでこれをかくまっているのではないか、あるいは、出したら、日本政府が正当と信ずる北方領土返還の問題に対する正当ならざる何かの問題がここに含まれているのか、いずれにしても納得できませんから、これも委員長の責任においてちゃんと十数通の北方領土に対する日本政府の公文書を公開するように、我々に資料を提出するようにひとつ要望していただきたいと思う。 いいですか、委員長。委員長は代理といえども、立法府の一員であることは間違いない。あなたも行政官の上がりであるけれども、今はもう行政官のしっぽをとって立派な立法府における優秀な議員でありますから、立法府の権威を守る上においても、こういうものはすぱっとひとつ行政府から要求するようにしていただきたいと思います。
○浜田(卓)委員長代理 小林進君の御提案につきましては、理事会において協議をさせていただきます。 この際、小林進君に申し上げます。米州投資公社の条約審議でございますので、ひとつ速やかに御質問に入っていただきたいと思います。
○小林(進)委員 委員長、あなたはやはりそういう行政官のしっぽをつけている。行政官らしい発言をしちゃいけませんよ。しかも、この重要な問題を理事会なんて通り一遍のありきたりの答弁で、こういう国の運命に関するような——我々、立法府の権威において発言をしているのだ、国家国民の立場で論じているのですから、いま少しこの問題を真剣に考えていただきたい。私は、この問題を取り上げられない以上は、きょうはこのままにして今おっしゃる条約の問題に入っていきますけれども、永久にこの問題は要求いたしますから、聞いていらっしゃる行政府の方も外務大臣も、ひとつ腹を決めてこの問題を処置していただきたいと思います。 これは一言つけ加えておきますが、今ここに友人の鯨岡さんもいまするけれども、私は彼との談義を進めて国会の中に北方領土に対する研究会を設けまして、こういう資料も国会のグローバルな要求で突きつけてこの問題を本質的に掘り下げて、グロムイコが来るときに彼があっと驚くような立派な日本側の主張をちゃんとつくり上げよう、そういう計画も今進めている最中ですから、どうかひとつまじめにこの問題をとらえていただきたいと思います。 次の質問に移ります。 第一番に、おとといも私は御質問をいたしましたその継続ですけれども、この公社のいわゆる授権資金といいますか資本が大体二億ドルだ。米州銀行の補完的な公社とはいいながら、一体二億ドルという金はどんな金なのか。私は、この規模からひとつ承っていきたいと思うのでありますが、そのためにこれに関連して、米州銀行の資金は一体幾らなのか。 あわせて、限られた時間でございますから続けて言いますけれども、こういうような類似の銀行は世界銀行があります、それからアジア開発銀行があります、アフリカの開発銀行もあるが、それぞれのこういう類似の銀行の資金もお聞かせをいただきたいと思うのであります。
○木幡説明員 米州開発銀行の授権資本でございますが、三百四十四億五千七百万ドルでございます。それから、アフリカ開発銀行が五十四億九千六百万ドル、アジア開発銀行は百五十四億六千百万ドルでございます。
○小林(進)委員 今の米州銀行はこういう公社を設けるとしても、そういう開発銀行にこういう補完的な形の先例が一体あるものかどうか、これをあわせてお聞かせを願いたい。
○木幡説明員 世界銀行グループというのがございますが、この世銀を補完する機関といたしまして国際金融公社、IFCというものがございます。
○小林(進)委員 アジア開発銀行、アフリカ開発銀行にも、こういう補完的な公社制度がありますかどうか、お聞かせを願いたい。
○木幡説明員 アジア開発銀行、アフリカ開発銀行には、こういう補完的なものはございません。
○小林(進)委員 そういたしますと、これは地域的から見た場合においては、今まで先例のない新しい出資機構をおつくりになる、こういうことになろうかと思いますが、米州銀行は三百四十何億とおっしゃいましたか、相当の規模の大きい、その中でこれはたった二億ドルというのだ。補完的処置とはいいながら、二億ドルというのは全くスズメの涙だ。一つの規約を見れば、民間の主として中小企業の投融資に向ける、こうなっておりますが、一体この総額において、こんなもので一体——あなた方の答弁は、これでいいようなことをおっしゃるだろうけれども、いま少し深みのある、この二億ドルが一体どれくらい目的とする方向に威力を発揮できるのかどうか、ちょっとお聞かせ願いたいと思う。
○木幡説明員 お答え申し上げます。 当面の規模が二億ドルということでございまして、今後加盟国等がふえてまいりますような場合には、またそれも増加されるということは、可能性としてあり得ることだろうと存じます。 ちなみに、この二億ドルを前提といたしまして、当面どのような投融資等が可能かという御質問につきましては、一件十万ドル程度の規模での投融資がなされるであろう、こういう想定でございます。
○小林(進)委員 私が予想しておりましたように、今あなたは、当面はこれでスタートする。しかし、どうもこの当面が私は理解に苦しむ。一点十万ドル、十万ドルで国を動かして借り入れる。域内国でも二十四カ国だが、二十四カ国の中で平均したところで一点十万ドル、全くわずかなものだ。 そこで、私はこの前からも質問しているように、二億ドルというてんずけの枠を一体どこで決めたのですか。さしあたり二億ドルでよろしいとか、これでスタートをしようかというその枠の決め方だ。一体、どこの国が主導権を握ってこういうちゃちな金額を出したのか。アフリカだって五十四億だ。これは、中小企業という枠ははまっているし、性格は違いますけれども、投資もやるとすれば、なおさら私はこんなちゃちなものでは困ると思うのだが、この二億ドルというてんずけの枠を一体だれが発案したのか、だれがこの提案の主導権を握ったのかという、そこが聞きたいのだ。いかがでございますか。
○木幡説明員 この二億ドルの規模の決定に当たりましては、関心を有する国が集まりまして何回か会合をいたしまして、そういう二億ドルの規模が決定されたものというふうに承知いたしております。 それからもう一点、先ほどの先生の御質問に一つだけ補足をさせていただきますと、二億ドルで大したことはできないのではないかという御指摘でございますが、これは実際に投融資を行うに当たりまして、民間との協調融資とか、あるいは債券の売却等によってそれをさらにまた投融資に充てるということも可能でございますので、二億ドルの規模そのもの以上に協調融資等も可能だというようなことを補足させていただきます。
○小林(進)委員 民間であるいは抵当権を設定して、また民間からも融資を頼むような規約もこの中にはあるようですから、私はあなたの説明をてんから否定するわけではないが、いずれにしても非常に規模が小粒でいかにもちゃち過ぎるではないか、そういう気がするのが一つ。 あなたは今何回も、国が集まって審議をした結果だと言うけれども、また話が前回の質問に戻るが、総裁を出しているメキシコあるいはベネズエラ等も、この二億ドルの総額あるいは自国に対する割り当てその他に対して決して満足していないことは、皆さん方から配付されたこの書類の備考欄の中にその一端をにおわしているわけだ。だから、単に多くの国が集まって議論してそこにいったということでなしに、いま少しその中で、そういう総額の問題や割り当ての問題でもっと激しい議論が行われたなどという、その内容を私はぜひ知りたい、今後の運営上のことも含めて、メキシコの意向、ベネズエラの意向等も含めて。私は、決してスムーズに二億ドルの枠が決まったとは思っていない。いかがですか。親切に答えなさい。こっちを素人だと思っちゃいけませんよ。
○木幡説明員 この議論の過程におきまして論議されたポイントは、例えば今御指摘の資本規模のほかにも、米州開銀との関係であるとか、あるいは業務手続、業務の原則、組織構成等々、多くの問題点について時間をかけて議論されたというふうに承知いたしております。 〔浜田(卓)委員長代理退席、野上委員長代理着席〕 先生御指摘の付表等にあるメキシコ等々の立場につきましては、一昨日も御説明申し上げたところでございますが、この付表に書いてありますとおり、将来においてより大きくシェアを負担する意向のある国の立場等が、この協定がまとまる過程においていろいろ議論されまして、その中心点といいますか、コンセンサスが一応この協定の形になり、かつ付表には、必ずしも全体の協定の中に入らなかったそれぞれの固有の国の立場が記録としてとどめられている、こういうことでございます。 さらにまた、先生の先ほどから何回も御指摘になりました規模が小さ過ぎるという御指摘について、もう一つあるいは先生の御関心かと思いまして御説明させていただきますと、例えばIFCの場合には、資本は六・五億ドルでございますが、実際の投融資の累積残高は五十二億ドルというふうに、かなり大きく累積での投融資が計上されております。したがいまして、二億ドルというのは一見非常に小さい規模であるというふうに見えるかもわかりませんですが、協調融資等々の形での投融資の額は、それよりも相当、何倍ということはあらかじめ想定もできませんですが、かなりの規模の投融資ができる、こういうことでございます。
○小林(進)委員 もう時間が来ましたから急ぎますけれども、大体これは五十六年四月マドリードで開催されて以来、ローマで行われたりワシントンで行われたりして、数回の会議が行われているが、この会議に日本を代表して参加したのは一体どなたですか。
○木幡説明員 大蔵省の担当課長、及び最後の取りまとめの段階において外務省の課長も参加いたしております。
○小林(進)委員 それじゃ、その会議の主役は、日本は大蔵省がメインになられて進められた、こういうわけなんだね。協定の成立を見ると、どうもへっぴり腰のような感じで了承できない。 時間が来ましたので、もう一点言いますけれども、この出資額だ。出資額はアメリカが二五・五%だ。それから、域外国合わせて一九%か何かここにありますが、日本も含めてその他の国では一九・五〇%。それから、域内でもAクラスが合わせて三七%、チリ、コロンビア、ペルーで九%、一番後の小国で合わせて九%ということになっているんだが、この問題で、アメリカが突出して二五・五%を持つということは、事実上アメリカの意図のままに投融資も動くのではないかということに対して、この前の私の質問に藤田君答えていわくだ、まあしかし、五五%が域内国に占められているから、この株数の過半数を占めるということにおいて、それはアメリカの意図のままに動くようなことはないということを答弁されたが、あの答弁でよろしゅうございますか。いいですか。
○藤田(公)政府委員 一昨日、御答弁申し上げましたとおりでございます。またそれに加えまして、委員も御指摘になりましたが、理事の構成ということからいいましても、アメリカ一国の意のままで左右されるということにはならないと私どもは考えております。
○小林(進)委員 これは非常に重大だと私は思っているのです。理事の構成だって、域内国から九名出ると言っているんだが、この五五%の過半数を持っている二十四カ国の意向が一つになって、アメリカという強力な一つの出資国に対して団結して対抗できるような、そんな体制がこの中南米の域内国で一体でき上がるとお考えになっておりますか。そういう建前論こそ、非常に危険だと私は思う。 これはきのうから申し上げているように、幾ら同じ中だって、ブラジルだのメキシコだのアルゼンチンだのベネズエラの中でも、個々にみんな考えが変わってきているんだ。ましてやその地帯の、バハマだのバルバドスだのボリビアだとかコスタリカとか以下ずっとつながっている国々は、アメリカに追随する国もあれば、アメリカに批判的なものもあるし、アメリカの言うとおりにならないものも、みんな個々ばらばらです。この諸君が団結して、アメリカの主張をあるいは抑えたりそれに従わなかったりするようなことができる、機械的にこの国々の諸君が五五%の株を所有しているからその心配はないなどということは、実際、実に噴飯な答弁だと私は見ておるのでありまして、これはやはり一番強力なアメリカが、この小国を自国の意図に従うものに対しては融資の便宜も図ってやりましょう、我に反するようなものは融資をひとつ断ろう、アメリカが意図のままに動かし得る要素は幾らもあると私は思う。そこへ、日本政府がまた一役買ってそれに同調するようなことになれば、むしろ日本にとっては大変不利な結果になるのではないか。 私は、もう時間が来ましたからこれでやめますが、ニカラグアの問題は午後にもやりましょうけれども、一番アメリカの極端に走っているニカラグアなどもこのメンバーの一員だ。この国々たちが中小企業、その他の企業のために融資を頼みたいと言ったときに、オールマイティーに近い権力を持っているアメリカが、二億ドルの融資の中からよろしゅうござんすと素直にこれを貸し付けるようなことに賛成するかどうか。これは午後の問題にいたしますけれども、私はそこに公社の一つの危険性、またそれに便乗していこうとする日本政府の腰のなさというものが心配でたまりませんが、時間が参りましたからここで一たん留保いたしまして、午後にまた再質問をいたすことにいたします。
○野上委員長代理 次に、井上普方君。
○井上(普)委員 ただいまも小林大先輩が、日本の中南米経済援助の危険性につき質問されましたが、私もアメリカの戦略援助の一環ではないかという気がいたしますので、ひとつお伺いいたしたいのであります。 この協定の第三条第八項に「政治活動の禁止」ということが書いてある。こんな「政治活動の禁止」というのを条約に書いておるような協定は、今までどこかありますか。
○木幡説明員 お答え申し上げます。 御指摘のとおり、「関係加盟国の政治的性格によって影響されてはならない。」という「政治活動の禁止」でございますが、これにつきましては、この種の協定にはいずれも原則として入っていると承知しております。
○井上(普)委員 あるにいたしましても、この「活動の禁止」が果たして守られるかどうかという点には、私ども大きな疑問を持たざるを得ない。以下、その点につきまして、いろいろと質問してまいりたいと思います。 安倍外務大臣、あなたは八三年の五月にシュルツ国務長官と会われたようであります。その際に、中南米に対する経済援助の拡大を暗に要求せられたのではございませんか。と申しまするのは、その後におきましてニカラグアに対する援助を縮小した、さらにはまたジャマイカに対しましても無償援助を提供いたすことになった、あるいはホンジュラスに対しましても電気通信拡張計画あるいは水力発電に対しまして円借款を提供した、内戦が続いておるエルサルバドルに対しましても三億円の無償援助を約束しておる、こういうような状況が八三年以来ずっとここ数年続いておるのであります。 こういうようなことを考えますと、これまでずっととってまいりました開発途上国の民生安定と住民の福祉向上を目的にして、日本の総合安全保障の立場から経済援助を実施するという原則が、だんだんと崩れていきつつあるように思われてならない。いかがでございます。
○安倍国務大臣 これは、日本のこれまでの援助の基本方針に従って中南米に対する援助も行っておるわけでありまして、中南米諸国の福祉の安定あるいはまた国民生活の安定ということに貢献する、そういう立場で人道援助あるいはまた相互依存という立場での援助を続けておる、こういうことです。
○井上(普)委員 しかし、この問題につきましては、アメリカに敵対する諸国に対しましては援助を停止しつつある、これはもう数字が出ておるのであります。一方、火薬庫と言われるところで、実に内戦が続いておるところにおいて援助を拡大しつつある。私どもは納得できないのであります。日本はアメリカのしり馬に乗って、アメリカの戦略の一環として経済援助を展開しつつあるという危惧の念を私は持たざるを得ないのであります。 私も、四年前でございますか、キューバへ参りました。いろいろと話を聞いた。帰りまして、どうだ、この外務委員会において教育大臣ぐらいひとつ呼んだらどうだという話をいたしました。そうすると、これについては外務省はできないと言う。アメリカと相談しなければできない、キューバの外務大臣を呼ぶこともできないのであるという話が、ひそかに我々に伝えられておるのであります。 キューバなんかを見ますと、教育に非常に熱心である、また、福祉に対しましても非常に熱心にやられておる国である。だから、教育器材に対する援助なんかやっていいんじゃないか、こういうものは向こうさんも非常に望んでおるのだけれども、これは停止してしまったということがございました。その後、私は外務省と論議をいたしまして、当時、中山正暉議員が委員長をやっておるときでございましたけれども、いろいろと交渉いたしまして、それはなかなか大変だったのでありますが、アカデミーの総裁あるいは外務大臣を日本に呼ぶことに相なりましたけれども、キューバという国は日本に対して非常に親近感を持っている。キューバ危機にアメリカが経済封鎖を断行いたしました際に、日本が四十万トンの砂糖を買ってくれたということで、非常に日本に対しまして親近感を持っております。しかし、持っておったのだが、この後だんだんとアメリカの経済制裁に日本は追随しつつある、非常に失望しつつあるというのがキューバの実情でありました。 でございますから、私どもも平和外交を推進するし、発展途上国を援助するというような人道上の立場に立つならば、当然教育器材の援助なんかやっていいんじゃないかと言いましても、これまた外務省は一顧だにしないという態度で今日に及んでおるのであります。 一方、片方におきましては、ニカラグアに対しましては厳しい経済制肘をアメリカがとりつつある、それにのっとって八三年から援助を縮小している。しかし、ニカラグアという国に対しては、これはアメリカは今までもひどい内政干渉をやってきた国だ。一九〇〇年当初におきましては海兵隊が二回にわたって上陸して、ともかく占領するというような過去もございましたし、またこのたびもニカラグアに対しましては、右翼ゲリラに対して援助するというようなことが今起こっておると新聞報道には伝えられておるのであります。 しかし、こういうような法律が出てくるにもかかわらず、この国際危機の火種としての中米紛争があるということは御認識が少ない。現に外交青書を見ましても、中米についての情勢分析がほとんどないのじゃありませんか。外務省、どうです。中米に対する分析がほとんどない。にもかかわらず、このような経済援助を拡大しようという方向に日本政府は今向かいつつある。これは、アメリカの要請以外の何物でもないと私は思うのですが、いかがでございます。
○堂ノ脇政府委員 委員御指摘のとおり、中南米地域、特に中米地域は現在紛争の最中にございますが、その根底にございますのは、やはりこの地域の経済的な発展のおくれ、社会的不公正といったものがございますわけで、この地域の安定、発展のためには、まずそういったものの克服が大事であるということを私どもも認識しておりますし、国会等の場でも大臣からもいつもお答えしているとおりでございます。
○井上(普)委員 答えておると言いますが、中南米の情勢分析が外交青書の何ページに書いてあります。ほとんど書いてないのが実情じゃありませんか。 それから、これは中南米に行かれたならばどなたもおわかりのとおり、中南米のあの政治不安は膨大なる貧富の差、社会的不公正が原因であるということは、だれの目にも明らかなとおりです。私どもが見ておりますこのキッシンジャー報告、これにもそう書いてある。しかし、その原因は一体どこにあるんだと言えば、スペインの占領以来の封建的な支配体制、それを維持しようとする旧勢力に対してアメリカ合衆国が援助を加えておる、ここに大きな原因があるのじゃございませんか。現にニカラグアのあの革命委員会なんかを見ますと、これは独裁政治に対する反発、あるいはまた反植民地的な闘争、民族独立の運動が原因で新しい政権ができた。この政権に対しましてアメリカがまた経済封鎖をやる、いじめるというようなことがあって、どんどんと政治的にはソ連に近づかざるを得ないというのが現状じゃありませんか。 キューバの状況につきましても、私どもがキューバを訪問したということを聞きますとアメリカの国務省は、四年前でございますか、我々一行に会いたいということで会いました。キューバ革命なんかを見てみると、これは反植民地闘争、民族独立闘争じゃなかったかというのが私どもの認識であります。しかし、アメリカが経済封鎖をやって非常に困ってきた。親ソ、反米の政策をとらざるを得ない状況に追い込んでいったのはアメリカの経済封鎖であったという話をいたしますと、いや、それは違う、カストロは千九百何年以来マルクス・レーニン主義者だったなんて言って、とにかく突拍子もない話を平気でするのがアメリカの国務次官補でありました。 今、アメリカがニカラグアにとりつつある政策も、同じような政策だと思う。そこには、住民福祉を中心にする考え方というものはなくなってきているのじゃないか。このキッシンジャー報告を見ましてもどうもそのように思われてならないし、アメリカがこのキッシンジャー報告をつまみ食いしつつある。民生安定の方向に経済援助をやらずに武力弾圧のみ、すなわち右翼ゲリラの応援ばかりやっておる。千四百万ドルの右翼ゲリラに対する援助をやるということに対して議会が反対した。そうするとレーガン大統領は、これまた拒否権を発動しておるというような実情じゃございませんか。まさにアメリカは力によって、現状といいますか、植民地支配を強めつつあるというのが中米に対する政策じゃないだろうか。 しかし、アメリカ自身も内心においては、貧富の拡大によってこういう政治不安が起こるのだし、あるいはまた社会的不公正が横行しておるから起こっておるのだということをキッシンジャー報告も認めておる。認めておるのだけれども、ともかく現状を進めざるを得ないというので、そういう植民地支配を助長するような政策をとっておるのが現状じゃないかと思う。その政策の一環が、このたびのこの投資公社の設立ではないかと私は憂えるのであります。外務大臣、いかがでございますか。
○安倍国務大臣 今、井上さんのいろいろな御意見ですが、私は、アメリカという国は今おっしゃるような植民地化を進める、そうしたいわば反動的な国家じゃないと思います。自由な民主主義の国であると思います。確かに、外交政策においては間違いを起こしておることもあるわけですが、しかし、あくまでもその国に自由と民主主義に根差した国が生まれる、あるいは成長するということをアメリカは期待しておる、これがアメリカの基本的な考え方ではないかと思うわけです。 ニカラグアにつきましては、これはアメリカの隣の国ですから特にアメリカは絶大な関心を持っておるわけでしょうが、アメリカが経済措置をとった背景には、ニカラグアにおいてキューバの軍隊が駐留しておるとか、あるいはまたソ連の軍事顧問団がおるとか、そうした外国の支配というものが相当出てきておる、これを非常に憂慮してニカラグアに真の自由な民主的な政権が生まれることを期待しておる、そのためのアメリカのいわゆる国家安全保障上とった措置ではないか、私はそういうふうに思っております。 確かに、アメリカには外交政策に失敗もありますけれども、アメリカは基本的に植民地化政策を進めるといったような国柄でないように私は思うわけでありますし、また、この投資公社とニカラグア政策というものとは全く無関係な問題で、アメリカも中南米の経済の安定、福祉の向上というものに非常な熱意を持っておって、特に中小企業に対して、これを育てなければならぬという高い関心を持っておるということですから、積極的に二五%というシェアを持った投資を行って、政府機関に援助するのは米州銀行ですから、政府機関以外の民間のそうした中小企業を助けなければならない、こういう立場でやっておるわけでございますし、また、米州投資公社を政治的に利用しようというふうな考え等はない、あくまでも中小企業等の困難を乗り切らなければならぬ、そういうために努力しておる、その一環であろうと私は思います。 日本も、全くそうした政治的な立場を離れた、まさに中南米諸国のそうした経済的な貧困さに対してそれなりの貢献をしなければならぬという立場から、日本としても今回投資をするということでございます。ですから、アメリカの今の対外政策とかあるいはアメリカのいわゆる戦略援助とか、そういうものとは全く関係のない次元での日本の出資でもありますし、またアメリカの立場であろう、私はそういうふうに理解しております。
○井上(普)委員 安倍大臣は、そう言わざるを得ないと思うのです。私は、これはアメリカの中南米政策のしり馬に乗った政策だと思わざるを得ないから言っておる。この間も言いましたけれども、この協定の末尾を見てごらんなさい。我々は不満でございますということを中南米の国が、アルゼンチン、メキシコ、ベネズエラ、ブラジルが注を付して言っているじゃありませんか。協定の末尾に注1、注2、注3とあるような条約はありやしない。 〔野上委員長代理退席、浜田(卓)委員長代理着席〕 これは別にいたしまして、安倍さん、あなたは、アメリカの外交政策は民主、自由を守るのだとおっしゃいますけれども、このニカラグアのサンディニスタ政権に対しましてのアメリカの政策というのは、自由も民主主義も踏みにじる行為じゃございませんか。今までキューバの軍事顧問団がおったと言うが、キューバの軍事顧問団は今撤退しつつあるのでしょう。右翼ゲリラ組織に対しましてアメリカの援助が余りにもひどいので、対抗上キューバの軍事顧問団を入れざるを得ないような状況になったのじゃありませんか。そしてまた、コリント港を機雷で封鎖してしまいました。これはアメリカ政府がやったのじゃないと言うけれども、だれが見てもアメリカの援助のもとにやられたことは明らかなのです。 このコリント港の機雷封鎖は、アメリカがCIAを使ったとかなんとか言われております。それでニカラグアは困ってしまった。フランスのミッテラン大統領が、このコリント港の機雷封鎖を排除するのに技術援助してもよろしいということを提案しておるじゃありませんか。こういうような事実を一体どうお考えになるのか。アメリカの軍事介入は余りにもひど過ぎる。 また、アメリカの外交政策というのは、今も安倍外務大臣は誤った政策があるというようなお話でございましたが、間違いだらけなんだ。事実、中南米へ行って、アメリカと仲のいい国がどこにあります。全部アメリカに対しては反感を持ち、アメリカの経済に頼らざるを得ぬから渋々アメリカについていっておるのが、南北アメリカ大陸の状況じゃありませんか。遠くはチリに対する政府転覆事件といい、力さえあれば何でもできるのだという政策を今まで中南米にとってきた。これが中南米の紛争の原因でもあったわけであります。アメリカの外交政策は、もう言い出したら切りがありませんけれども、失敗の連続なんだ。ただ成功しておるのは対日政策だけなんだ。私、この前もこのことを申し上げましたけれども。 アメリカに対して、反省を求める忠告を我が日本外務省はやらなければならぬと思うのですが、どうです。安倍さん、あなたはこのごろシュルツにしょっちゅう会われるようだが、アメリカの外交政策を転換しろ、力の外交政策をちょっと転換しろと、少なくともソ連以外に——ソ連の問題は、私はここでは論じませんけれども、中南米政策にしても東南アジア政策にしても、力を、武力を背景とした政策は転換しなさいというぐらいのことを言ったらいいじゃありませんか。シュルツに申されましたか。どうです。
○安倍国務大臣 私も、常にアメリカの外交政策が正しい、こういうことを言っているわけじゃありません。確かにおっしゃるように、アメリカも大国という一つの強権的な感じを持って他国に対するということはなきにしもあらずだ、私はこれは率直に思います。そういう政策もとられたこともあると思うわけでありますが、本来的には、それではアメリカという国が植民地化政策を進めているとか、あるいはまた非常に反動的な政策を進めている、そういう国柄ではない、私はこのように思っております。 そしてまた、ニカラグアについても、確かにおっしゃるような一面もあることはあるでしょう。私は、実態について詳細に知らない面もありますけれども、しかしアメリカは、それではニカラグアに兵を進めるとか武力弾圧をするとか、アメリカ自身がそういうことをやっているわけではありません。アメリカが主張しているのは、ニカラグアがキューバの軍事顧問団だとか、外国からの軍事顧問団等を受け入れる、あるいはまた軍隊を駐留をさせている、外国にニカラグアが支配される、こういうことをアメリカとしても隣国として認めるわけにはいかない、そういう立場から今の経済措置等につながっていったんじゃないか、このように私は思っているわけです。 アメリカにはアメリカなりの理屈があるし、だからといってニカラグアに対して武力干渉するとか、そういうところまで言っているわけではありません。ですから、アメリカがすべて何もかもいいことをやっていると私は言っているわけじゃありません。しかし、アメリカの基本的な立場というものは、諸外国にそれぞれ自由な民主主義的な政権が生まれることを期待して、そのためにアメリカとしてはいろいろと政策を進めておる、こういうことであろうと思うわけであります。中には、それは行き過ぎた点も私はあると思います。しかし、基本的にはアメリカの政策がすべて失敗だらけだとは私は思いませんし、アメリカの基本的な立場というものは、あくまでも民主主義、自由主義というものを根幹に置いた、あるいは人権というものを根本に置いた政策が進められているのではないか、こういうふうに理解しております。
○井上(普)委員 私は、中南米政策について言っているのです。ほかの問題については、別なときに場所を変えてまた質問したいと思う。 中米に対するアメリカの政策というのは力の外交なんだ。現に八三年に、グレナダにアメリカが侵攻した。自国民の救出という理由のために侵攻した。これは、フランスにしましてもイギリスにしましても全部非難した、不届きだと。その中で日本だけが理解した。それを日本は国際社会から笑われた。 今のニカラグアのコリント港、自由港に対しまして機雷封鎖を行っておる、これは国際法を踏みにじった行為だと私は思うのですが、どうですか。事務当局、あの事件について外務省はどう考えておるのですか。国際法違反だと私らは思うのだが、どうなんですか。
○堂ノ脇政府委員 コリント港の機雷封鎖は昨年の三月に起こったわけでございますが、この事実関係につきましては、だれがいかなる状況のもとで機雷を敷設したかということを私ども依然としてつまびらかにしておりませんし、また、これはニカラグアにおきます一部の反政府ゲリラがやったという主張を行っておりますけれども、その辺の事実関係がわからないということから、判断できない状態でございます。アメリカ政府は、少なくともアメリカ政府が直接これを行ったのではないということは、公式に発表しております。
○井上(普)委員 一年以上たってまだその実態はわかってない、こう外務省は言われる。しかしこれは、日本が中国の東北部侵略をやった際にも、張作霖爆殺事件あるいはまた柳条溝の事件等々は、すべて日本軍部がやったというのは国際社会は認めておったけれども、日本が認めなかった。今アメリカがとっておる政策は、その日本の政府の立場と余り変わらぬのじゃないか、私はそう思う。現に世界各国はすべて、アメリカの勢力によってこの機雷封鎖が行われたのであるという認定をしておるのではありませんか。これは国際的な常識になっている。フランスは、この機雷排除のためにはひとつ技術援助をやってやろうと言って、ニカラグア政府に申し出があると聞いております。こういうようなことこそ、民生安定のために必要な行為じゃございませんか。日本は、そういうようなことを何かやりましたか。何にもやってないでしょう。
○堂ノ脇政府委員 この機雷封鎖の件につきましては、我が国も海洋国家でございますので、一般的な船舶に対する危険という点から、懸念の表明はアメリカに対して行っております。
○井上(普)委員 機雷封鎖したので、危ないなと言って懸念を表明するのは当たり前の話だ。フランスは、機雷を排除するための技術援助をしてやろうということを申し出ているのでしょう。これくらいのことをやったっていいじゃないですか、日本だって。まあこれは御存じのとおり、もう国際的な常識なのです。これもアメリカ政府が、チリのアジェンデ政権を転覆させたのは、今になってみればアメリカのATTあるいはCIAが組んだ行為であったということは、これまた世界の常識になっている。中南米を、我々日本がかつて中国の東北地方を侵略戦争を行ったような考え方で、今アメリカは外交政策を展開しつつあるように思われてならない。 これに対して理解を示しておるのは、グアテマラの事件のごとく日本だけだという実情は、まことに嘆かわしい次第であると私は思う。これに対して、毅然とした態度を日本がとるならともかく、新聞報道によると、アメリカの戦略的なこのような経済政策に対して、シュルツ国務長官は安倍外務大臣に再三会うたびごとに、援助を暗に申し出ているように報道せられておるのが現状であります。外務大臣もしっかりしてもらわなければいかぬ、こう思うのであります。 しかし、私は、このたびの協定を見ますと、これもアメリカの政策の一環じゃないだろうか、米州銀行が足らぬから投資公社をやるのだ、中小企業に対して援助をするのだと。私は、このことにつきましてある議員と話をすると、その人は、こんなことをやったら資本は回収されやせぬぞというような話も、事実聞かされておるのであります。私もそう思う。大体、この条約には、中小企業に援助すると書いてあるのでありますが、中小企業の概念それ自体が中南米には乏しいのじゃございませんか、特に中米においては。どうです。日本のように、従業員何名以下何名以上を中小企業と言うというような規定がないでしょう。まあ、全部規定で押しつけるというのもいささか問題はありますけれども。これはどういうようにやられるのか、私はわからないのであります。これはまさに、わざわざ第三条の第八項に書いてありますように、政治的に融資が左右せられるのではなかろうか、このような不安を抱かざるを得ないのであります。 どうです、話はもとに戻りますが、このコリント港の封鎖に対して、日本政府としては何らかの処置をとろうとお考えになりませんか。安倍さん、どうです。
○堂ノ脇政府委員 コリント港の状況でございますが、昨年四月ごろの段階で、ニカラグア政府自身の努力によりまして機雷の封鎖は排除されておりまして、現在では外国船舶、ニカラグア船舶も自由に出入港しているという状況でございます。 それから、もう一つ補足させていただきますと、アメリカの中米政策でございますが、キッシンジャー委員会が設立されて、昨年一月、その報告を出しておりまして、これはアメリカの超党派の委員会でございまして、そして全委員一致の勧告ということで、中米地域の安定、発展のためには、やはり社会的不正の除去、経済発展に対するアメリカの支援、それから民主化の促進といったことが必要である、それに加えて、外部からの軍事介入は好ましくないということを言っておりますけれども、アメリカは早速それを議会に具体化するためにいろいろ法案を出しまして、その結果、アメリカの中米・カリブ諸国に対する援助をその前に比べて倍増程度に増額する。そして、今後五年間にアメリカ政府としては、全体で八十億ドルぐらいの援助が必要であるという努力を現に行っておるわけでございます。また、米州投資公社のようなものを設立して中小企業を育成することが、貧富の差の除去ということに役立つ。そういったことからアメリカとしては、中米地域の安定、発展のためにも、善意の努力を行っているというふうに了解いたしております。
○井上(普)委員 このキッシンジャー報告は私も拝見しました。しかし、これはつまみ食いじゃありませんか。認識は、あなたのおっしゃるとおりだ。社会的不公正が横行している、あるいは貧富の差の甚だしいこと、封建的な支配社会、こういうことが問題にあるということは、もう書いてあります。それを除去する努力、それと同時に政策がいろいろ書かれている。しかし、これは全部つまみ食いじゃありませんか。これは全部やっておりますか。キッシンジャー報告のすべてをやろうとしておりますか。つまみ食いじゃありませんか。そして、このキッシンジャー報告の一つの案として、米州投資公社の設立ということが書いてある。それにのっとってやっておるのじゃないですか。 外務省にこういうことを言うと、いや、キッシンジャー報告の前から計画しておったんだというようなことをおっしゃいますが、結果としては、キッシンジャー報告のつまみ食いの一つとしてこれがあらわれてきておる。もう時間が参りましたので河上君に譲りたいと思うのでありますが、今の中米に対する外務省の認識のようなところで投資公社をつくることは、アメリカの強権的な中米に対する外交政策の一助にもなるおそれありと私は考えるものであります。 いずれにいたしましても、中米に対する御認識が世界の常識を外した外務省の解釈である以上、私どもとしては、今の外務省の中米に対する外交政策には大きな不満と疑問を持たざるを得ないことを付言いたしまして、私、時間が参りましたので、一応質問を終わります。
○浜田(卓)委員長代理 次に、河上民雄君。
○河上委員 今、米州投資公社を設立する協定に関連いたしまして、小林委員、井上委員からそれぞれ御質問がありましたが、そこで共通して出ておりますことは、中南米の情勢について日本の政府、特に外務大臣はどのように認識をしているかということだと思うのであります。個々の問題はともかくといたしまして、全般的に今日の中南米情勢を安倍外務大臣はどのように受けとめておられるか、まず最初にそれをお伺いしたいと思います。
○安倍国務大臣 中南米、特に中米におきましては、先ほどからお話がありましたように、ニカラグアだとかあるいはエルサルバドルだとか、社会的、政治的に不安定あるいはまた混乱が続いている国があります。そういう国の不安がその他の中米諸国に波及するということを我々も心配をしておりますし、日本としても、中米諸国の平和と安定を図っていくために日本なりの努力を続けていかなければならぬということで、援助政策その他を進めておるわけであります。あるいはまた、ニカラグアとかエルサルバドルとか、いろいろ混乱の事態におきましてはコンタドーラ・グループのイニシアチブを支持いたしまして、そうした紛争が平和的に解決されるということを強く支援をいたしておるわけであります。
○河上委員 その場合外務大臣は、今のアメリカの例えばニカラグアに対する政策というようなものについて懸念を感じておられるかどうか、いかがでございますか。
○安倍国務大臣 私は、アメリカの政策はアメリカの政策として、それはニカラグアとの関係は二国間の問題でありますから、とやかく申し上げたくないわけですが、少なくともニカラグアにおいて紛争が一日も早く平和的に処理されて、そしてあそこで自由な、本当に民族自決という立場の政権が生まれる、民族自決という立場で政治が展開されることを心から念願しておるわけです。
○河上委員 今のお話ですと、ニカラグアの現政権がどうも民主的な政権でないみたいな、そういう感じを外務大臣の答弁からすると受けるのですけれども、それはちょっと、そのこと自体大きな予断と偏見であって、やはり今のニカラグアの政権ができるまで、例えばサンディニスタのグループなんかが、中南米特有の社会的不公正に反対して長年闘ってきた結果として現政権ができた。それに対してまた不満を持つというか、またもとへ戻したいという人たちがゲリラ活動をやっておるのであって、そういうような見方というものが当然あるわけですし、それがむしろ有力だと思うのです。 これは、私の非常に個人的な経験ということになるかもしれませんが、私も社会党の国際局長をやっておりますときに社会主義インターの大会に何度か出ておりますけれども、そのときに、ニカラグアの現政権の人たちがまだ在野のころにこの大会に出席をいたしまして、ニカラグア情勢について報告をいたしました。この社会主義インターというのは、その加盟党の多くは西ヨーロッパの社会主義政党あるいは社会民主主義政党であるわけですが、西ドイツのブラント議長を初め、その演説が終わったときにはもう総員総立ちになって、そのニカラグアの代表に激励の、まさに鳴りやまぬあらしのごとき拍手というのはそういうものだなと思ったことを、非常に今鮮烈に記憶しておるわけです。 そういう中でこのニカラグアの政権ができている、それに対して今度、アメリカ側がゲリラを使って転覆しようとしておるというところに、今日のニカラグア情勢があるというふうに認識すべきだと思うのでありまして、どうも今の外務大臣の認識というのは一方的というか、かなりずれたところで、いかにも中立的に情勢を見守るというような言い方をされておるけれども、私はそこに一番大きな問題があるのじゃないか、こんなふうに思うのですが、いかがですか。
○安倍国務大臣 日本とニカラグアとは正常な外交関係を持っておりますし、今の政権との間にも、外交的にも他の国と同様な関係を維持していることは御承知のとおりです。ただ、私が指摘しているのは、そうしたニカラグアの現在の政権はありますけれども、しかし、残念ながらニカラグアには今紛争が起きて、国内が大混乱を起こしておるということでありますし、そしてキューバの軍事顧問団等を初めとして、外国からの軍事的な支援もそこに行われておるということも事実だと思うのです。 ですから日本の立場からすれば、周辺のいわゆるコンタドーラ・グループがこれを大変心配をして、一日も早く正常な姿にしたいということでイニシアチブをとって、この平和的解決をいろいろと提案しているわけですから、日本としてもこのコンタドーラ・グループを支援をして、その紛争が一日も早く平和的に処理されるということを日本として支持しておるわけでございます。今、河上さんが指摘しておるように、日本が今の政権を否定しているとかということではなくて、日本との間には正常な外交関係があるということは、今さら申し上げるまでもございません。
○河上委員 今のニカラグアの政権が誕生するまでの苦難の歴史というものを、私もその数年間この目で見てきているわけでして、社会的な不公正に対して中南米の人たちがまさに自主的に政権を交代させて、せっかくそういう新しい政権ができると経済的な封鎖をするとかいうような形でそれを脅かしているのが、今のアメリカの中南米政策の一番大きな、根本的な問題だと私は思うのでして、そこをしっかりと踏まえてやっていただきたいと思うのであります。 それで今、ここしばらくの間、中南米ではどの国も相次いで軍事政権ができまして、軍政のもとで大変な弾圧が行われておったわけでありますが、最近、軍事政権から民政移管、さらには民主化という動きがあちこちで起こっておるのは御承知のとおりでございます。その一つとして、アルゼンチンでは今、つい最近まで権力者で君臨しておりました元大統領を含める軍政の指導者に対する裁判が、いよいよ開かれたというようなニュースもあるわけでありますが、外務大臣としては、こうしたことは全般的に大変好ましい傾向とお考えでいらっしゃいますか。
○安倍国務大臣 アルゼンチン等の例を見まして、今の南米諸国において民主化の動きが出ておるということは大変歓迎されるべき状況であろう、こういうふうに思います。
○河上委員 最近の報道によりますと、軍事評議会が実権を持っていた時代に不当に拉致されあるいは殺された人は、八千人とか九千人とか伝えられておるわけでございますけれども、一部の情報によれば日系市民もかなりやられておる。その遺族の方のいろいろな証言もあるわけですが、もちろん日系市民はそのそれぞれの国の国民でありますけれども、大臣も御案内のとおり、我が国でも海外日系人大会なんというのを毎年やっているわけでございまして、そういう点から見て、こういうような問題について外務省として恐らく深い関心を持っているんじゃないかと思いますけれども、その実情についてこの機会にちょっと報告していただきたいと思います。
○堂ノ脇政府委員 アルゼンチンにおきましては、軍事評議会のもとに軍政が長らく続いておりました。その途中、一九七六年ごろから、いわば赤狩りという形で進歩的な学生、青年たちの拉致が続いたわけでございまして、数としましては、委員御指摘のとおり八千名という説もございますし、六千名から一万五千人程度が行方不明となって、恐らく処刑されたと見られておるわけでございます。そういうことから、この問題はアルゼンチンの中でも大変な問題になっておりまして、現に先ほど委員の御指摘のございました裁判も四月二十二日から始まっているわけでございます。 それらの中で、日本の国籍を持っている人が三名、それから日系人が八名、その大部分が沖縄から移民された方々の二世、三世といった方々でございますので、大変我が国、特に沖縄県でも関心が持たれておるわけでございます。 そういうことから、日本の政府としましては、昭和五十四年、六年前でございますが、当時の園田外務大臣がアルゼンチンを訪問しました際にこの問題についての調査方を申し入れておりまして、それ以来引き続き機会あるごとに、この十一名の日系の行方不明者についての消息の調査ということを申し入れてきております。 幸い一昨年、一九八三年の十二月に軍事政権が引き下がりまして、民主的な手続のもとにアルフォンシン大統領が就任されまして、そして早速この事件の事実究明ということを大規模に行っている最中でございまして、ごく最近でございますと、櫻内前外務大臣が今月の初めアルゼンチンに行かれました際にも、この問題を直接カプート外務大臣に対して話題にされまして、どうなっているんでしょうか、引き続き調査をお願いしたいということを申し入れました。 それに対しまして先方の外務大臣は、何分これは大変な数の犠牲者を含む問題でございまして、現政権は真剣にこの問題に取り組んでいる、果たして日本人の関係者それぞれについて全部満足のいく回答が出てくるかどうかはわからないけれども、気持ちは全く一緒であるということを申しておりました。
○河上委員 今、詳しい御報告があったのでございますが、当然今裁判が始まったばかりで、最も正確な現時点における状況というのはまだ入手されてないかもしれませんけれども、今のお話にもありましたように、日系市民は十一名ですか、二十数名というような説も前にあったのですけれども、日本国籍を有する者は三名、こういうことでございますが、その方の御氏名と、またその日本国民がそういう形で拉致され、行方不明になり、そして虐殺されたという事態が明らかになった場合に、日本政府としてはアルゼンチンに対してどのような措置をとられるおつもりでいらっしゃいますか。
○堂ノ脇政府委員 先ほど申し上げましたとおり、日本国籍所持者が三名、日系人が八名ということで、合計十一名というのが私どもが持っておる数字でございます。また、個々の方の氏名もたしかわかっておりますが、ここに持ち合わせてございません。 この日系人の行方不明者問題につきまして、事実関係が明らかになり、例えば当時のアルゼンチンの軍事政権の特定の関係者が責任があったということが確定いたしますれば、その段階で、日本政府として現民主政権に例えばその損害賠償を要求できるかどうかといったことはわかりませんけれども、どういう申し入れをするかといったことは今後検討してまいりたいと考えております。
○河上委員 今、日系人十一名ということで、そのうち八名はアルゼンチン国籍を有する、三名は日本国籍を有する、こういうふうになってまいりますると、人間の生命、自由は国籍のいかんを問わず同じ価値を持つものであることは言うまでもないわけですが、ただ、法的に言いますれば、日本国籍を持っておる三名の方に対しては、日本政府として当然その生命、財産、自由、安全を保障する責任があるわけでして、どうなっているのかということはもう既に聞いておられるわけですか、今後聞こうということなのですか、今の今後の検討というのは。どういうことですか。
○堂ノ脇政府委員 これまでも数回にわたりまして、日本政府としての関心の表明をしておりますし、特に今日本国籍者、これは場合によってはアルゼンチンとの二重国籍ということもあるかもしれませんが、やはり日本国国民ということで、日本国政府としてもその生命、財産の安全ということには責任を持っているわけでございますし、関係者の方々の御意見も聞きながら、どのような申し入れをするかということを検討してまいりたいということでございまして、まだ具体的にどのようにしろという申し入れをしたことはございません。
○河上委員 私もこれで思い出すのでありますけれども、大正十二年の関東大震災の後で、アナーキストの大杉栄とその妻伊藤野枝が憲兵隊によって虐殺されるわけですけれども、そのとき大杉のおいになります橘宗一という少年がたまたま一緒にそこにおりまして、この少年も虐殺されるのでありますが、この橘という子供は、お母さんがアメリカに住んでおりました関係でアメリカ国籍所有者であったために、当時これは一種の外交問題になったことがあるのです。したがって、これは要するに虐殺という点から見てもそういう国籍問題が絡んでくるわけでして、やや同じようなケースだと思うのでありまして、こういうことは日本政府としてはきちんとすべきだと私は思うのであります。 外務大臣、今中南米地域で軍事政権あるいはこれに反対して社会的公正を取り戻すためにということで民主的な勢力が立ち上がって、いろいろ社会的不安が起きておる、それが一つの特徴でありますけれども、同時にもう一つ、今審議いたしております協定と非常に関係があるわけでありますが、巨大な累積債務が生じておる地域ということも指摘できるわけでありまして、この両者の結びつきというか、この問題につきまして外務大臣としてはどのように考えておられますか。
○堂ノ脇政府委員 事実関係を申し上げますと、一九七九年にエクアドルで軍事政権から民主政権への移行ということがございましてから、ペルー、ボリビア、そしてアルゼンチン、ブラジルというふうに、軍政から民主化への移行ということが大変顕著になってきております。そういう中で、委員御指摘のとおり、累積債務問題もほぼ同時に表面化してまいりますと、いずれの国も累積債務を抱えておる状況で、債務が支払えないということになりますと、IMF、世銀などに頼み込みまして、支払いの猶予とかあるいは新規の融資を申し入れるわけでございます。その段階で、IMFの方からその国の経済の再建のためのコンディショナリティー、附帯条件というものが課せられまして、例えばインフレを抑える、あるいは財政赤字を抑える、あるいは貿易の赤字を減らすという努力が要請されるわけでございます。 特に、財政赤字を抑えるためには、公務員など労働者の賃金の値上げも抑えなければならないという、厳しい緊縮政策をとることが国際機関から要請される。その場合、軍事政権でございますと、国民の反対を抑えながらそれが実行できるわけでございますが、民主化した政権におきましては、議会の承認を求めなければならない、世論の承認が必要であるということで、民主化に向かった政権が非常に累積債務問題との関係で苦しい立場に立たされる、なかなかIMFから要望されたとおりに実行できないということで、累積債務に伴う民主政権の困難性ということが、最近識者たちから大いに指摘されている状況でございます。 〔浜田(卓)委員長代理退席、野上委員長 代理着席〕
○河上委員 ここで、若干数字的なことを伺いたいのでありますが、中南米における累積債務の実態をここで報告していただけませんか。なかなか銀行ではっきり発表がないというようなこともあるかと思いますけれども、できるだけ正確に押さえて教えていただきたいと思います。
○畠山説明員 IMFの一九八五年末のデータによりますと、中南米におきます累積債務額のトータルは、三千五百七十一億ドルということになっております。
○河上委員 何年ですか。
○畠山説明員 一九八五年末でございます。
○河上委員 そういたしますと、従来一般的に言われております三千二百億ドルをかなりまた上回ってきている、こういうふうに考えることができるわけですね。
○畠山説明員 ただいま申し上げました数字は、一九八五年末の見通しの数字でございますので、確定したことは申し上げられませんが……(河上委員「傾向として」と呼ぶ)傾向としては、伸び率は鈍化しているものの、若干ずつふえていることは事実でございます。
○河上委員 それでは、この米州投資公社を設立する協定の日本文の五十八ページに表が出ておりまして、付表とありまして、域内開発途上国ということで、払込株式数の非常に多い、いわば大手と言ってもいいアルゼンチン、ブラジル、メキシコ、ベネズエラ、この四カ国の数字が出ておりますが、この四カ国の累積債務との関係はどうなっておりますか。
○畠山説明員 先ほど申し上げましたIMFのデータでは、国別の累積債務額が書いてございませんので、便宜OECDの方の資料で申し上げますと、若干データ的には古くなりますが、メキシコで、短期を含みまして一九八三年末の数字で八百三十億ドル、ブラジルが九百七十億ドル、アルゼンチンが四百二十億ドル、ベネズエラにつきましては、OECDの資料でも掲載がございません。したがいまして、一九八三年末の数字は不明でございます。
○河上委員 そういたしますと、ざっと計算いたしましても、今挙げられました数字の大半はこの四カ国というか三カ国で占めている、こういうことになりますね。この中で、日本との関係で生じておる債務というのはどのくらいになりますか、いろいろ銀行の統計なんかはわかりにくい点もあるかもしれませんが……。
○畠山説明員 日本の金融機関が中南米地域に対して持っております債権は、これは五十九年九月末の数字でございますが、トータルで約二百八十億ドルでございます。
○河上委員 その内訳はわかりますか。
○畠山説明員 メキシコが約百億ドル、ブラジルが八十億ドル、アルゼンチン、ベネズエラがそれぞれ四十億ドルでございます。
○河上委員 一時、メキシコがいよいよ倒産と言ってはおかしいですが、どうにもならないというような話もありまして、その後落ちついたのかどうか、要するに事態を糊塗しているのじゃないかと思いますけれども、もし百億ドルが本当に焦げついちゃったら一体どうするのですかね。百億ドルというと、簡単に二百五十円で計算いたしましても二兆五千億円になるわけです。これは、日本の一年間の防衛費とほぼ同じくらいの額が、債権として取り立てる全く当てのない金です、一国だけで。そこへもってきて二百八十億ドルといいますと、これは大変なことになるのじゃないかと思うのです。それこそ五兆円、六兆円の金がもう全然とる当てがない。もしこれが倒産しちゃったら、日本も連鎖倒産になっちゃうのじゃないか、そういう心配がするのですけれども、案外みんな安心しているような顔をしておられるようですけれども、いかがですか。
○畠山説明員 御指摘のとおり、一九八二年に、メキシコ等を中心として累積債務問題が顕在化してまいったわけでございますが、幸い、一九八三年以降IMFが中心になりまして、コンディショナリティー、経済調整プログラムを課しまして、民間銀行及び各国政府の協力を得た形で救済融資等が行われてまいったわけでございまして、現段階では、国にもよりますが、大体においてこのコンディショナリティーを守って経済の状況がよくなってきつつあるとともに、この救済事業が極めて円滑に推移して、現在のところでは、各国別の状況を見ますと小康を得ている状態で、もちろん、抜本的な債務問題の解決ということにはまだ時間を要するかと存じますが、今後とも債務国自身の自助努力は当然として、それにIMF、世銀あるいは各国政府、民間銀行等の協力を得て、円滑に推移するものと推察をいたしております。
○河上委員 そういうように安心しておれればいいのですけれども、果たしてそうなのかどうか。この累積債務の残高というのは大変なものですし、これを解決する策は今のようなことでいいと思っておられるのですか、やはりそれではちょっと心配——ちょっとどころかどうしようもない、何かほかにいい案があるというふうにお考えですか。その辺どうでございますか。
○畠山説明員 債務額が大きいことについては、そのこと自体がそれほど大きな問題とも思っておりません。要するに、日本でもあるいはアメリカでもかなりの債務を抱えているわけでございまして、ただ問題はその債務が、あるいは利払いが十分にできるように輸出能力を増し、経済成長が達成されるという、国内経済の伸展がなければならないということが根本であろうかと思われます。 その意味におきまして、現在メキシコ、ブラジル等におきましては、国内経済がかなり順調に回復を示しておりまして、抜本的解決に至るまでにはなかなか時間を要するとは思いますけれども、傾向としては大変によい道を歩んでいるというふうに思っております。
○河上委員 外務大臣も御承知かと思いますけれども、これは去年になりますか、中南米の二十八カ国がエクアドルの首都キトで集まりまして、中南米経済会議というものを開きました。その中で、貸し手側が融資条件を緩和しない限り中南米は対外債務の支払い実行を保証できない、こういう非常に強い調子で先進国に対する要求を盛り込んだキト宣言というものを発表しているのです。これを見ましてもわかりますように、今しきりと外務大臣は、現在のこういうことでいってもらいたいというようなことでありますけれども、支払う方はどうも貸し手側の融資条件が非常に厳し過ぎて困る、こういう不満が一致してあるわけですが、このキト宣言につきまして外務大臣、どういうようにお考えですか。
○安倍国務大臣 キト宣言について、私も承知いたしております。これは、中南米の累積債務に困る国々が中心になりまして、先進国等に対する中南米の考え方を統一して宣言という形で述べたわけで、この問題、この宣言についても、実は昨年のOECDだとかあるいはサミットでもいろいろと議論をされたわけですが、御承知のようにそういう中でやはり債権国側としましては、それぞれの国が自助努力をする中でケース・バイ・ケースでこれらの問題に対応していこうという方針を決めまして、そういう方向のもとで今日まで努力が続けられておる、こういうことであります。メキシコなんかはその努力が、調整というものがある程度成功した形になっておる、私はそういうふうに考えております。
○河上委員 お役人の方に伺いますけれども、いつもうわさに上りますのは、借金国カルテルを結成するという話があるわけですが、実際にはなかなかそうなっていないようですけれども、そういう可能性というのはあるとお考えですか。
○堂ノ脇政府委員 昨年のキト宣言を採択する際のラ米二十数カ国の会合でも、我々は債務国カルテルを結成するのではないという、言ってみれば穏健派諸国の声が十分取り入れられまして、そういうものではないと認識されておるわけでございますが、その後十一カ国のカルタヘナ・グループというグループがまたできまして、昨年、最初にコロンビアのカルタヘナで会合し、引き続きアルゼンチンのマルデルプラタで会合し、ことしの春にはドミニカ共和国で会合しておりますが、それらの十一カ国の会合で採択された宣言等を見ましても、自分たちは債務を返済する義務は認める、また自助努力が必要ということも認める、しかし債権国側の協力もお願いしたい、そしてまた、できれば政治対話も行いたいという決議を行っております。 しかし、個々の債務国の債務につきましては、やはりケース・バイ・ケース、個別の交渉が必要である、また、既存のIMF、世銀の体制の努力も必要であるという形になっておりまして、現在のところ、債務国カルテルをつくるという動きが具体化しているとは考えられません。
○河上委員 今、要するに返す能力があるかどうかという、またその能力を培養するというか、そういうことが問題になっているようでありますけれども、一般的に、輸出所得に対する元利支払いの比率が二〇%を超すと危険だというようなことを言われておるのでありますが、中南米諸国では大体どのくらいになっておるのですか。そして、それは他の地域と比べて高い、あるいはまあまあだというふうになっておるのですか、いかがでございますか。
○畠山説明員 いわゆるデット・サービス・レシオと称しておりますが、この比率が御指摘のとおり二〇%を超えると危ないというめどがございますけれども、現在開発途上国計で一五%であるところ、これはデータ的にはちょっと古くなりますけれどもOECDの資料で申し上げますと、メキシコで六〇%、ブラジルで五八%、アルゼンチン二七%、ベネズエラ三七%といったことで、かなり高い数字にはなっております。
○河上委員 これは二〇%を超えたら危ないというのに、五八%とか六〇%とか、これはもう何と言っていいか、順調に推移しているというような表現では済まないものだと思うのですが、そういうのはどういうふうにお考えですか。
○堂ノ脇政府委員 先ほど大蔵省からも答弁がございましたとおり、デット・サービス・レシオが非常に高いのが中南米の累積債務諸国の特徴でございますが、そういうことも配慮して、昨年のロンドン・サミットでも言われました多年度リスケ、多年度債務繰り延べという考え方も逐次採用されまして、メキシコ、ベネズエラ等について一年ごとの支払いの額が大き過ぎる分について多年度にわたる、数年間にわたる一挙の繰り延べということの中で、デット・サービス・レシオを下げるという努力も行われております。
○河上委員 努力をしているということだけであって、効果は余り上がっていないのじゃないかと思いますが、外務大臣、こういう累積債務について日本の新聞では、余り連日わいわい騒ぐわけではありませんけれども、ちょっと今の数字を考えてみても、ともかく日本の防衛費のそれこそ三倍ぐらいのものが、下手すると焦げつきになるかもしらぬという状況で毎年推移しているわけですね。こういう累積債務の問題について、アメリカも何の知恵もない。のみならず、高金利政策をとっておって、ますます債務国の支払い負担が増大しているわけです。こういうようなことについて、日本側として総合的に何か積極的に取り組むという気持ちはございませんか。
○安倍国務大臣 累積債務問題については、先般のサミットでも随分論議されたわけですが、やはり何といいましても先進工業国だけじゃなくて、累積債務を持っている開発途上国等の経済もよくしていかなければならぬということが大事でありますし、そのためにまず先進工業国で内需の振興等も図っていこう、さらにまた開発途上国に対する援助とかあるいはまたその他の協力関係を進めていく、あるいは開発途上国からの第一次産品等の価格の安定を図るためのいろいろな措置に対しても協力をしていかなければならない、そのためにはニューラウンドということも必要である。 あるいはまた、高金利というものが債務累積国の足を引っ張っているわけですから、この高金利が問題であることも指摘をされておるわけでございますが、しかし、基本的には何といいましても世界全体の景気をよくしていく、開発途上国、特に累積債務国の景気の上昇を図っていくことが大事ですけれども、やはりその国自体の自主努力というものがもちろん基本的に大事であろう。 同時にまた、今この国々に対する債権国との交渉において、いろいろと金利とか支払いの面についての個別的なケース・バイ・ケースの対応措置ということもやらなければならぬわけで、こういう点についてはIMFが中心になってやっているわけでございます。そうしたこれまでの基本路線を着実に進めて債務累積を減らしていく、そして債務累積国の立ち上がりというか、再建を支援していこうということになっておるわけでございます。 問題は大変厳しいわけでありますけれども、しかしメキシコ等を見ると比較的成功の道を開いたといいますか、そういう国もあるわけですから、我々としては、大変厳しい中でもお互いに南北協調し合いながらこの問題の解決に努めていかなければならない、こういうふうに思っております。
○河上委員 最後になりますけれども、この米州の協定に関連いたしまして、日系市民の方々が中南米には非常に多いわけでして、百万人とも言われているわけであります。日系市民というのは、どこまでの範囲で言うのかちょっとよくわかりませんけれども、一般的にそう言われておるわけですが、今度の協定で、特にこれは単なる融資、従来の米州開発銀行の場合のように融資だけではなくて投資もやる、特に中小企業向けの投資をやるということでありますけれども、日系市民にもこれのいわば恩恵が及ぶような可能性は実態として非常にあるのか、それとも全くそれは無関係だということなのか、その辺はいかがでございましょうか。 日系市民の方々も二世、三世、四世となれば、何といってもその国の国民として立派に生活していただくことが一番望ましいわけでありますけれども、しかし、文化的にやはり一つの存在であるわけでして、日本の中南米諸国に対する一つの外交政策、特に文化外交の面あるいは経済外交の面で、日系市民の方々を念頭に置いていくことも私は必要なんじゃないかと思うのでありますが、この二点を最後にお伺いいたしたいと思います。
○木幡説明員 御指摘のとおり、中南米には多くの日系の方々がおられるわけでございます。御指摘の日系の人たちに新しい公社の投融資が均てんするかどうかという点でございますが、公社の投融資対象企業は、中南米の国籍を有する国民である投資者が過半数の投票権を保有する、そういうものに対象として限定をされているわけでございます。したがいまして、そういう関係にあります日系の中南米国籍を有する方々にこの投融資は均てんする、そういうことでございます。
○河上委員 私が伺っておりますのは、今のような法的な関係もですが、実態としてそういう可能性が非常にあるのかどうかということを伺ったわけです。
○木幡説明員 これは、これから投資等の希望が現地にございます中小企業等から表明されたのを受けまして、具体的には公社におけるそういう審査をする機関の審査を経て公社が決定することになりますので、直ちに今どうということは申し上げかねるわけでございますが、私どもとしてはそういうところにもぜひ多く均てんしてもらいたいものだ、こういうふうに思っております。
○河上委員 外務大臣に最後に一言。 中南米諸国における日系市民という方々の存在を、文化外交あるいは経済外交の中で外務大臣としてはどう認識しておられるか、伺っておきたいと思います。
○安倍国務大臣 日系市民が特に中南米諸国において百万近く存在しているということは、日本と中南米諸国の関係を考えるときに非常に重要な要素であろうと私は思います。 日系市民が、この地区においては主として農業移民という形で出ていったわけでございますが、そういう面での技術移転といった貢献もいたしておりますし、またそれぞれの国において定着をして、それぞれの国の経済社会発展のために貢献もいたしておりますし、また、日本との結びつきの大きなくさびになっておると私は思っておるわけでございます。したがって、これから日本が中南米に対する積極的な協力関係あるいはまた貢献を行っていくという場合においては、この日系市民という存在を無視することはできませんし、またその役割にも大きく期待をいたしたい、こう思っておるわけでございます。 日本と各国の政府間におきましても、日系市民の問題がしばしば出てくるわけでございますが、多くの国々の政府が日系市民のその国における大きな貢献について高い評価を払っておる、こういうことを聞いて我々も大変喜んでおる次第でございます。
○河上委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、最後に、海外日系人大会などの論議を伺っておりますと、東京に海外日系人会館のような、皆さんが日本へ来たときに立ち寄れる一つの場所が欲しい、そういう希望が非常に強いのでございまして、今の大臣のお答えを伺って大変心強く思いますので、ひとつそういう点でも御配慮いただければ彼らも喜ぶのではないかと思います。 これで質問を終わります。
○野上委員長代理 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時三十分休憩 ————◇————— 午後二時一分開議
○浜田(卓)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。木下敬之助君。
○木下委員 さきのボン・サミットにおいて、多数の先進国間で八六年中に新ラウンドの交渉を開始すべきであるとの合意がなされましたが、フランスは依然として反対しているようであり、また、途上国も新ラウンドについて反対をしていると聞いていますが、特に中南米諸国はどのような基本的態度を持ち、新ラウンドに対してどのような対応をしていこうとしているのか、今後の見通しをお伺いいたします。
○堂ノ脇政府委員 中南米諸国は、最近の累積債務問題もございまして大変に経済的に苦しい状況にございまして、ともかく先進諸国からなるべく多くのものを輸入してもらいたいという希望が強うございます。昨年五月でございましたか、ブラジルの大統領が見えました際にも新ラウンドの話に話題が及びまして、中曽根総理の方からも新ラウンドへの参加ということを強く説得されましたが、ブラジルとしてはともかくその前に解決すべき問題があるのであって、新ラウンドに今直ちに賛成ですというわけにいかないということを言っておりましたが、このような態度が中南米諸国全般を通じて一般的であるというふうに承知しております。
○木下委員 きのうからきょうにかけて、大臣が十六日の朝産業労働懇和会であいさつされた中身についていろいろと報道もございますが、外務大臣はフランスが反対していることをどのようにとらえておられるか。加えて、八六年中に新ラウンドの交渉を開始できるのかどうか、できると考えておられるのか、報道のとおりに開始することは難しいと考えておられるのかどうか、見通しをお伺いいたします。
○安倍国務大臣 昨日産労懇で私が講演しました中で、新ラウンドについて多少報道ぶりで私の真意が伝わってない点がございますから、御説明を兼ねましてお話ししたいと思いますが、今回のサミットにおきまして、ニューラウンドの来年交渉開始を何とか宣言の中に、コミュニケの中に盛り込みたいということで各国努力をいたしました。早期に交渉を開始するということについては、フランスも含めて全部の国が一致したわけでございます。これは、OECDの閣僚理事会のそのままの延長であったと思いますが、ただ、期日を入れる、来年から交渉をスタートするということについてはフランスは絶対反対であるということで、ミッテラン大統領はこれを拒否をいたしました。 その理由としては、私はこれがフランスの本音だろうと思いますが、ECの共通農業政策、これがニューラウンドの交渉が早く始まれば、来年から始まるということになれば非常に打撃を受ける。あるいはまた、交渉を来年から始めようという一つの目標は共通農業政策に対する一つの思惑があるのじゃないか、だから反対だと。ニューラウンドはいつ始めてもいいのだけれども、その前にやはり農業もいわゆるサービスも政府調達も、すべてがバランスのとれたもので始まっていかなければならぬのだ、その整理が進まないうちに期日を切るのは反対だ、こういう要旨でございます。 ですから、フランスもニューラウンドを始めるということについては、これは全く異議はないということはミッテラン大統領もはっきり言っているわけで、ただそれまでに、この夏の終わりから事務レベルによるところの協議が行われるわけですが、その中でいかにフランス等の意向も踏まえまして、我が国にも農業問題あるわけですから、バランスのとれた交渉開始の態勢ができるかどうかということにかかっておるのではないだろうかと思うわけでございます。 これはなかなか困難な交渉だと思うわけでございます、各国の思惑があるわけですから。しかし私は、やはりこの厳しい交渉を乗り越えて何とかして来年からスタートを切らなければならぬ。来年交渉のスタートを切れないということになると、来年は東京サミットもあるわけですし、大変な事態になりかねない。そこで、これからが非常に大変だ。特にフランスとの関係もあるし、もう一つは途上国の協力をいかに取りつけるかということも、来年からスタートの大きな要因である。 残念ながら、今のところは確かに、説明がありましたように、ブラジルとかあるいはまたインド等がニューラウンドには非常に消極的でございます。この国々に対して、開発途上国がやはりニューラウンドが始まることによってメリットがあるということになっていかないと納得ができないんじゃないか、こう思っておるわけでありますし、ニューラウンドによって保護主義というものを抑えることができれば、それはとにかく世界の貿易に混乱が起こることがないわけですから、そしてまた開発途上国の第一次産品が今低迷している貿易にも活力がついてくる可能性もあるわけですし、私も、途上国、特にアジアの途上国に対しては、積極的に来年度からの交渉開始に協力を求めていきたいと思っております。なかなか全体的にはこれからが正念場だ、こういうふうに実は思っておるわけであります。
○木下委員 報道によりましてフランスの態度から考えると、来年開始はなかなか難しかろう、フランスの態度は非常に厳しい、こういうことを言われたということと、大臣が、それだから一生懸命努力しなければならぬ、両方のことを言われた、こんなふうに思います。それでよろしいですか。
○安倍国務大臣 来年は難しかろうということじゃなくて、このままほっといたらやはり大変なことになる、来年開始されないようなことだったら非常な混乱した事態になる、今厳しい場面にあるので、どうしても開発途上国の協力も求めて、あるいはまたフランスとの間の問題も整理して、とにかく来年に向けての体制を、路線をつくっていかなければならないということを言ったわけであります。
○木下委員 今後は、実質的な討議がガットに舞台を移して行われると思いますが、十三日からジュネーブで始まったガット十八カ国協議グループによる先進国と途上国の対話などを通じ、今後の高級事務レベル準備会合、先ほど大臣も言われました、これの開催の見通しはどうでしょうか。七月ごろ開催の合意ができていたとも聞いてはおるのですが、今のところどういう見通しでしょうか。
○恩田政府委員 先生御指摘の高級事務レベル会合でございますが、これは先般のサミットにおいて、今年夏が終わる前に開催することだ、夏の終わりまでにということになっております。それで、先般のCG18会議におきましてもいろいろな意見が出ておりましたが、先ほど御説明がありましたように、国によっての態度が多少違ってくるということもございまして、全体として事務レベルの会合が開発途上国を含めて有用であるという方向にはなってきておると思いますが、まだ何月何日に開催するということまでは、煮詰まってきていないというのが現状でございます。
○木下委員 次に、今回のサミットにおいてアメリカが求めたニカラグアに対する経済制裁措置について、我が国を初め、他の諸国はすべて反対したと伝えられておりますが、我が国としてはどのような判断でこれに反対をされたのか、お考えをお伺いしておきたいと思います。
○安倍国務大臣 サミットにおいては、外相会議でいろいろとニカラグア問題について議論がありました。そういう中で、アメリカからの詳細な説明に対して私は、アメリカがこの経済措置をとった背景、経緯等については理解ができるけれども、しかし、日本のニカラグア問題に対する基本的な姿勢は、あくまでもコンタドーラ・グループのイニシアチブを支持をして、そして、ニカラグアのこの紛争が平和的に処理されることである、これが日本の基本方針であるということを申し述べたわけであります。
○木下委員 アメリカの経済制裁は、ニカラグアとその他の南米諸国にどのような影響を与えているか、お伺いをいたします。
○堂ノ脇政府委員 今回、アメリカがとるに至りました経済措置は五月七日から実施に移されたものでございまして、したがいましてまだその影響がどのように出ているかということは、予測もちょっと困難な状況でございます。しかし、ニカラグアのラミレス副大統領は、今回の措置がニカラグアの経済の発展に新たな困難と逼迫をもたらすものであるというメッセージを発表しております。 ほかの中南米諸国にどのような影響があるかということにつきましては、この措置が米、ニカラグア両国間の貿易上の問題ということでございますから、一応直接的な影響はないのではないかというふうに考えられますけれども、いずれにしましてもこの地域の各国とも、多少の違いはございますが重大な関心を持って、今回の措置を含め中米問題の成り行きというものを見守っている状況であるかと思います。
○木下委員 サミットにおいて同盟国の支持が得られなかったことによって、今後アメリカの対ニカラグア政策にどんな影響が出ると考えられるか、お伺いいたします。
○堂ノ脇政府委員 先ほど、大臣からも答弁ございましたとおりサミットにおきましては、アメリカの措置をほかのサミット諸国が支持する、そして同調するということは、求められもしませんでしたし、またそういうことにもならなかったわけでございます。この問題が、外務大臣レベルの会合で議論はされたわけでございますが、その際にも各国ともコンタドーラ諸国の和平努力といったものが非常に貴重であり重要である、これを支持していく、そしてまた中米諸国の民主化を促進すべきである、国内的な対話とか融和といったものも促進されるべきであるといったことで、大方の意見の一致があったのではないかと思います。 他方アメリカとしましては、これまでアメリカもコンタドーラ・グループの活動は支持しているのである、そういうコンタドーラの努力を容易にするためにいろいろな政策をニカラグアに対してとっているのだ、しかし、基本的には中米地域における民主化、国内的な融和といったものを促進したいという態度をアメリカはとっている。そしてまた、恐らく今後ともアメリカはそういう政策を維持していくものというふうに私どもは理解しております。
○木下委員 ニカラグアとともにエルサルバドル、そしてグレナダ等紛争が続いておりますが、こうした中南米地域の紛争に対する最近のキューバやソ連の動向はどのようなものか、お伺いいたします。
○堂ノ脇政府委員 キューバ、ソ連の動向でございますが、従来からキューバもソ連もニカラグアの政府の立場を強く支持しておりますし、さらに加えまして経済的にも支持している、また軍事的にも援助を行っているというのが実情でございます。 エルサルにつきましては、昨年三月に大統領選挙が行われまして、中道左派と言われるかなり進歩的な政治家の方が大統領に選挙されましたが、その後、ことしに入りまして、エルサルバドルの国会議員それから地方首長の選挙等も実施されました。エルサルにおきましては、このようなことで民主化が着々と進んでおりまして、また、エルサルのゲリラとエルサルの政府との間の直接対話ということも昨年の十月、十一月と二回実施されまして、そして近々、来月の六月にも、第三回のエルサル政府とゲリラとの対話が行われるというふうに見られておりますが、そのような努力に対しまして、我が国もまた周辺諸国もこれを支持しているという状況でございます。
○木下委員 こうした状況の中で我が国が米州投資公社に資本参加していくことは、中南米に対するアメリカの経済的影響力を補完するものである、こういった一部の懸念も聞かれるわけですが、これに対する外務省の見解をお伺いいたします。
○木幡説明員 公社は、中南米地域の開発途上国の経済開発支援の促進を図るために、独立した国際開発金融機関として、民間企業に対する投融資活動を行うことをねらいとしているものでございまして、米国を含めまして特定国の同地域に対する影響力を補完するというようなことを目的としたものではございません。 それからまた、補足いたしますと、この委員会でしばしば御質疑ございましたけれども、米国の投票権のシェアは二五・五%でございます。これに対しまして理事会での決定は、総票数の過半数によって行われることになっておりますし、また、十二名の理事のうち最低九名は域内の開発途上国が選出するという形になっております。このようなことでございますので、米国の意向が常に反映されるというような仕組みとはなっておらないわけでございまして、むしろ中南米諸国の意向が十分に反映される、そういう構成になっていると考えております。
○木下委員 終わります。
○浜田(卓)委員長代理 次に、田中美智子君。
○田中(美)委員 五月十五日の外務委員会で、岡崎議員が今度の投資公社の問題で、レーガンの中米・カリブ海構想が入っているのではないかという質問に対して、堂ノ脇中南米局長ですか、この公社の話は七九年から出ている話であって、レーガンのカリブ海構想というのは八二年なんだ、こうお答えになりましたが、これは大変偏見に満ちているというか、ゆがめている、もっとまじめに答えていただきたいというふうに思うわけです。 というのは、この公社の話は確かに七九年から出たのかもわかりませんが、でき上がったのは、ワシントンで協定が結ばれたのは八二年の十月です。レーガンが演説をしました中米・カリブ海構想というのは同じ八二年の二月ですので、ほんの半年前にやっているわけですから、だれが見ても岡崎議員が言われたとおりに、レーガンの中米・カリブ海構想、そういう考え方がこの条約の中に入っているということは当然疑いが持たれるわけです。そういう点で、ああいういいかげんな答弁というのは厳重に注意をしていただきたいというふうに思います。その点で簡単にお答えください。 〔浜田(卓)委員長代理退席、野上委員長 代理着席〕
○藤田(公)政府委員 一昨日お答えいたしましたのは私でございますので、繰り返しになりますがお答えさせていただきます。 ただいま委員御指摘のとおり、公社という形でまとまりました本件構想は、七九年の米州開銀の二十回総会におきまして提起をされまして、それ以後、この構想自体をどういう形で具体化していくかということについてはいろいろな案が出ましたけれども、結局最終的に現在の公社という形の構想について参加国のおよその考え方の一致が出てきたというのは、八二年の末から八三年にかけてだということは申せるかと思います。ただ、この構想自体は、もう七九年からずっと一貫して討議されてきたということを申した次第です。
○田中(美)委員 初めからそのようにお答えになるべきだったと思います。知らない者が聞いたら、ああそうかと思うようにだまかすようなお答えというのは、今後気をつけていただきたいと思うわけです。 第一、このカリブ海構想というのは、はっきりとレーガンが言っているわけです。アメリカと同盟国による援助をふやすんだとか、親米国に戦略的に関税の撤廃や投資のための優遇措置をしたいというようなことも言っておりますし、また、レーガンのこの中米・カリブ海地域の位置づけというのは、アメリカにとって死活的利益の地であるというふうに位置づけているわけですね。これは、対等、平等の他国である、隣人だから仲よくしたいということよりも、アメリカにとって死活的な利益の場所であるんだというふうに位置づけた上で、このカリブ海構想が出ているわけですから、こういう点から見れば、今度の条約というものが、明らかに経済的にも政治的にもアメリカの意思が大きく働いていくのではないか。これはだれでもが疑うことではないかというふうに思います。 それで、けさの新聞に各紙に報道されておりますが、今度のニカラグアに対するアメリカの封鎖その他の問題について、中南米経済機構がベネズエラのカラカスでやられたというふうに報道されております。チリを除く、あとすべての二十四カ国が出たというわけです。この中で決議されていますことは、「すべての国は経済的、社会的、政治的針路を外部の干渉、圧力、脅迫なしに自由に選ぶ権利」を持つんだということをはっきりとするだけでなく、今のニカラグアの政権は民族自決権の政府であるという再確認もしているわけです。そういう点からしまして、政治介入を一切してはならない、こういう決議を二十四カ国がしているわけです。ですから、アメリカは二五・五%だ、こういうふうに数の上からだけ言いますけれども、決してそうではないということが中南米の国々の意思として出されているわけです。 その中にもう一つ見逃せないことは、米州開発銀行が今ニカラグアに、農業開発の問題について五千八百万ドルの貸し付けを決定しているわけですが、これに対してアメリカが妨害している。もし、開発銀行がこの貸し付けを中止しなければ出資を引き揚げるというような、まさに暴力団的な脅迫を米州開発銀行にかけているということがこの会議で言われている。大変新しい、今のニュースです。これに対して日本はどのような態度をとられるのか、これに対してよもや同調するとは思いたくありませんが、はっきりとした安倍外相の御意見をお聞きしたいと思います。
○藤田(公)政府委員 ただいま先生御指摘の案件は、先般新聞等で報道されましたけれども、ニカラグア向けの農業関連案件というものが米州開銀の融資要請の対象になっていた、それに対して、米国がこれに対する反対の表明を行った、これに対する我が国の態度いかん、こういう御趣旨かと思います。 本件は、本年の三月に明らかになった話でございますけれども、私どもが承知いたしておりますところでは、三月十二日に米国の上院におきまして財務次官補が証言をいたしまして、本問題に関しまして、国際開発金融機関における融資決定に際しては、専ら経済的基準及び議会より授権を受けている人権等の問題のみを考慮しているということを述べますとともに、ニカラグアに関しましては、同国の経済パフォーマンスでございますか、経済の成績の悪さとかそれから国際開発金融機関、世銀、IMFへの返済義務の履行に消極的であるという問題点を指摘しながら、これが米国としての態度であるという証言を行いまして、ニカラグアが返済義務履行を行うことを期待しているというのがアメリカ政府の態度であるということを言っております。 本件自体が、米州開銀の議題として正式にはまだ上がってきておりませんものですから、我が国も、ニカラグアの提案しております農業開発関連案件というのは新聞等で承知しておりますのみで、内容を詳細に承知いたしておりません。したがいまして、現在のところ、正式に議題にもなっておりません、対象にもなっておりませんし、内容も承知しておりませんので、我が国の態度を決めるという段階にはまだないというのが今の状況でございます。
○田中(美)委員 委員長にもお願いしたいのですが、日本の態度はどうかということに対して、お答えは、アメリカがこう言っている、こういう不誠実なお答えをしないでいただきたい。委員長の方からも御注意を願いたいと思います。 アメリカが脅迫している、ニカラグアに金を貸せば出資を出さないんだ。脅迫しているということは、私が言っているのではなくて、中南米の二十四カ国が決議の中で、そういうことをさせるなと言っている。きょうの新聞を読めばわかることですので、日本政府は、絶対これに加担してはならないということを言っている。結局、お答えできなかったということで、次の質問に移らしていただきます。 やはり十五日の岡崎議員の質問ですが、これに対して党ノ脇さんが、ニカラグアの政権に対して選挙をボイコットした者もあるし、七党だけが参加した選挙であるとか、また六七%しか得票を得られなかったんだというような非常に偏見に満ちた発言がありました。それは偏見なのか、ニカラグアの問題を御存じないのか、無知であるのかわかりませんが、ニカラグアの選挙の問題について、私の調べた点をちょっと申し上げたいと思います。 今アメリカは、ニカラグアが自分の国にとっても脅威になるというような、また中南米にとっても脅威になるというようなことを言っておりますが、ニカラグアは面積は日本の三分の一、人口は三百万とちょっとの小さな国です。GNPはアメリカの千二百分の一という、貧しい小さな国です。この国が、なぜそんなにアメリカにとって恐ろしい国だという位置づけをするのか、私はここから非常におかしいと思うわけです。 御存じのように、今のサンディニスタ政権ができましたのは一九七九年で、それまではソモサ独裁政権があったわけですが、これはアメリカが非常に支援していた。しかし、国民からの支持が余りにもなくなったために、ちょうど南ベトナムのゴ・ジン・ジエム政権のような立場になって、さすがのアメリカもソモサを支持できなくなるというような中で、このサンディニスタ政権ができたわけです。しかし、アメリカにとっては、自分に都合のいい政権を立てたかったけれども、国民はやはりサンディニスタ政権を選んだというふうに思うわけです。 しかし、これはどちらであるかということですが、昨年の八四年は、あなたがおっしゃるような六八%しかとれなかったという意見もあるというあの選挙ですが、ここで初めて総選挙がやられたわけです。果たして民主的な選挙が行われるかどうかということで、ヨーロッパその他の国からさまざまの立場の観察者が選挙を見にきたわけです。それは数百万と言われています。選挙の仕方を見たわけですね。その中にイギリスの政治家もいたわけですが、この選挙の民主主義は完璧だったとイギリスの政治家が驚嘆しているほど、民主的であったと言われています。 言われたとおりに七党が出たわけですが、与党はこのサンディニスタ政権、それから野党が六党という形で選挙がやられました。選挙費用も、国の予算で平等に各党に分けられたし、テレビ宣伝も非常に平等で、むしろ日本より平等だったのではないかとさえ思うぐらいに、与党が一時間であれば、野党は六党あるわけですから六時間ということもやりました。そして、あなたがおっしゃったように、選挙をボイコットした人たちもいますが、この人たちも選挙中、新聞を自由に町で売っていた。こういうふうに反対派の自由も保障しながら、その中で選挙をやられたわけです。そして、政情不安定、不安定と言われている中で、三千八百九十二カ所の投票所の中で、暴力で攪乱されて投票できなかったところはわずか九カ所です。その結果、投票率は七五%と記録的な数字を出しております。 一昨年の日本の総選挙とちょっと比べてみてください。日本の総選挙は六八%でした。この七五%の投票率の中で、サンディニスタ民族解放戦線の得票率は六七%。三分の二の支持を得たということは、国民の圧倒的支持と民主的な手続をもってできた政府であるということが、数字でもってはっきりしているではありませんか。この政府が、わずか六七%しかとれなかったからこれがいいかげんなもののようなこういう発言というのは、それならば一昨年の総選挙は、自民党は四五%しかとれていません。ということは、自民党政権もいいかげんな政権だということにつながるのでしょうか。 アメリカの大統領選挙もこのニカラグアと同じ時期にやられたわけですが、投票率は五三%ですよ。非常に少ない。レーガンがとったのが、この中の五八%です。選挙制度が違いますけれども、全有権者という点で考えますと、ロン・ヤス仲よく二国とも三〇%そこそこしか票をとっておりません。しかし、このサンディニスタは、全有権者数の五〇%を超えている支持をとっているわけです。こういう国に対して、わずか六七%しかとれなかった、こういう言い方をなさるというところに、やはりアメリカベったりの姿勢、日本の独立ということを失っているのではないかと私は思うわけです。 もう一つ言わせていただきます。それは、私がニカラグアの肩を持つだけで言っているのではなくて、この五月の七日にアメリカの経済封鎖に対して非同盟国は百一カ国集まりまして、非難声明をしております。それから、国連緊急安保理事会でもアメリカが孤立しています。先ほどお話ししました中南米機構の十五日の会議でも、いろいろな国が援助をするということを言っているわけです。医薬品だとか、そういったものを援助するということを言っているわけです。 そういう点で外相にお聞きしたいわけですが、こんなことをしていれば、アメリカはもう現在世界の孤児になっている。こういうものに日本だけがついていく。この間の外務委員会では、エルサルバドルもそうだというふうに言われましたが、この二国だけがアメリカについていくということでは、あなたは来年の東京のサミットには発展途上国をもというふうに言われますけれども、これでは日本は発展途上国をすべて敵に回してしまうのではないでしょうか。むしろ、ロン・ヤスと仲のいい間柄ならば、アメリカの過ちに対しては忠告をすべきじゃないでしょうか。 先ほどの社会党議員の質問に対しても安倍さんは、すべてアメリカの言うとおりに動いているのではないというふうに言っていられましたが、このように世界の孤児になるようなニカラグアに対する経済封鎖に理解を示すという態度では、これは本当に大変なことになると思います。そういう点でぜひ安倍外相に、レーガンに忠告をするように、シュルツ氏に忠告をして封鎖を解くように、緊急に日本外務省が動いていただきたいと思います。その点で、外相の御意見をお聞かせください。
○堂ノ脇政府委員 外務大臣の答弁の前に、私の方から若干釈明させていただきます。 ニカラグアの選挙につきまして、これが民主的であったか否かにつきましてはニカラグアの問題でございまして、私ども外部からとかく申し上げるのはどうかと思うわけでございますが、まさにその点がニカラグアの中では論争されているということでございまして、選挙が民主的に行われないと思った政党三つがございまして、これが選挙のボイコットをした。しかも、その三つの政党の代表的な人はアルトゥーロ・クルスという方でございますが、やはり愛国者と見られておりまして、もともとサンディニスタ政権ができたときにはその政権の一員であったし、また駐米大使も務めた人でございまして、そういう人たちの意見を聞いておりますと、この選挙は民主的でなかったのである、しかも六七%しかとれなかったというのは、それらの人が言っている意見もございますというふうに御紹介しただけでございまして、私どもとして、ニカラグアの選挙が民主的であったかどうかということを最終的に判断する立場にはないと思うわけでございます。 ただ、アメリカなどが申しておりますことは、サンディニスタ政権ができましたときに、OASに対してニカラグアの政府は三つのことを約束している。一つは複数民主主義、それからもう一つは混合経済、それから三つ目が非同盟外交ということでございますが、約束をしたこの複数民主主義といったものが本当に行われているのだろうかということをアメリカは問題にしているというふうに理解しております。
○安倍国務大臣 まず、ニカラグアの問題と今審議していただいている米州投資公社の問題、これを何かごっちゃにされているようですが、これは明らかに次元の違う問題でありまして、何も今の投資公社がアメリカのしり馬に乗って、そしてアメリカの戦略的な片棒を担ぐというような筋合いのものでは決してないわけで、そういうふうに思われるということはちょっと教条的だと私は思いますね。 政府機関に対して米州銀行というのが融資しているわけですが、それだけでは中南米の経済安定、福祉の向上にはつながらない。ですから、非常に困窮している中小企業を助けなければならぬということで今回投資公社が発足をすることになって、日本も協力するわけであります。 〔野上委員長代理退席、浜田(卓)委員長 代理着席〕 これは、私は非常に重要なことだと思うし、それからこの運営というのは、株の過半数のシェアを中南米諸国が持っているわけですからアメリカの自由にはならないわけで、私は、この投資公社によって中小企業に対する融資が行われ、そして中南米諸国の民生、中小企業の安定につながっていく大変いい構想だと思って、日本も積極的にこれに投資をし、協力をするわけです。 それから、ニカラグアの問題については、アメリカとニカラグアの問題はアメリカとニカラグアの二国間の問題ですから、我々がとやかく言う筋合いではない。確かにアメリカは、隣の国ですから重大な利害についての関心を持つのは当然のことでありますし、またアメリカとすれば、自分の隣の国に外国の軍隊が駐留するというふうなことは、これをそのまま容認することはできない。ただ、しかし、アメリカがここに兵力を投入するとかそういうことを考えているわけではないわけでありまして、アメリカ自身が経済的な措置をここにとったわけでございますが、外国から駐留しておる軍隊等が撤収していけばこのニカラグアが安定していく、そして紛争が解決されることをアメリカは何より望んでおる、こういうふうに私は思っておるわけでございます。 日本の態度というのは終始一貫しているわけでして、コンタドーラ・グループというのがありますから、ニカラグア周辺のコンタドーラ・グループが積極的に平和解決に動いておるわけですね、このイニシアチブを日本は支持しておる。そして、日本としてはあくまでも、ニカラグアの紛争が平和的にコンタドーラ・グループの努力によって処理されることを期待し、それを支援し続けるというのが基本的な姿勢ですから、この方針はもうちっとも変わってないわけで、何も日本が何でもかんでもアメリカの政策を支持しているわけでもありません。アメリカの経済封鎖に対しては、これまでの経緯とか背景については理解をするということを言っておるわけですけれども、しかし、日本の姿勢というものはあくまでもコンタドーラ・グループを支援していくということですから、問題をひとつ取り違えないようにして御理解をいただきたいと思います。
○田中(美)委員 問題を取り違えているのではなく、あなた方の方こそオウム主義といおうか、何にしろアメリカの言われるとおりに口移しで言っているのであって、今度の条約とニカラグアの問題が関係ないと思っているところに問題があると私は思うのです。 先ほど申しましたように、米州開発銀行の問題にしても、これを補完する意味で今度の公社が出てきているわけです。ここでも、ニカラグアに金を貸すならば金はもう引き上げていくのだ、こういうことをやっているわけです。まだ公社はできてないわけですから、これからやるわけですから、これをやられる可能性は十分あるではないか。ニカラグアに対して、ゲリラ側を含めたことだと思いますが、これを愛国者と言われているとか、どちらにも加担していないと言いながら、今のサンディニスタ政権が民主的な方法で選出されたということには触れないで、そしてこれは愛国者なんだというようなことを言うということは、これはどう考えても教条主義どころかオウム主義といおうか、アメリカの言うとおりにそれを繰り返しているということではないでしょうか。 シュルツ国務長官は、「ニカラグア国内の反対グループは、武装、非武装にかかわらず、国の政治的諸過程に参加する資格をもつ真の政治勢力を代表している。彼らの参加を許す政治的開放性を提供することは、ニカラグア政府の責任である。」こう言っているのです。まさに、あなた方のおっしゃることはこのとおりなんです。このとおりだとすれば、民主的にニカラグアの国民が選んだ政府です。それをレーガンが気に入らなかろうが中曽根さんが気に入らなかろうが、それはニカラグア国民が選んだ政府です。この政府を武力でもってでも覆そうとしている人たちに政治的開放性を提供せよ、こう言うことは、これはまさに内乱罪を認めることではないですか。 日本の刑法第二章の七十七条に内乱罪があります。政府を転覆する目的で暴力的な行為をするということは内乱罪ですね。アメリカ合衆国法典でもタイトル一八、二三八三条でも内乱罪は犯罪と言われているわけですね。それをまさにニカラグアの中の民主的に出された政府、それが好きであろうと好きでなかろうとそれは各自のお好みです。これに対して、武力でもってこの政権を倒そうとする人たちが、愛国者であるとあなたが思うか思わないかは勝手です。しかし、それを支持する、それを援助する、それを今の政府が許さなければならないということは、内乱罪を支持することになるのではないでしょうか。 こんなことを日本がしていたら、まさに日本は、何遍も言いますが、世界の孤児になってしまいます。そういう点で今度のサミットは、貿易摩擦の問題での安倍外相の発言だったと思いますが、今度ほど孤立感を感じたことはない、こうみずから言われているではありませんか。ですから、そういう意味では、いろいろな点で日本が孤立感を世界に出ていけば感ずるのです。そういう点で今のお二人の答弁というのは、大変に日本を危険な方向に動かしていくのではないかというおそれを私は持ちます。そういう意味で、ぜひ公平な立場に立って、アメリカの間違いは間違いとして正し、日本がもっと主体的に、オウムではなくて人間として、主体的な立場をとった外交をやっていただきたい。 私は、強い外交とか弱い外交とかそういうことは言いません。公平な外交をやってほしい。そして、日本の自主独立の立場をしっかり持って、主体性を持った外交をしてほしい。アメリカのオウム返しのような外交では、発展途上国からもまさに信頼を得ることはできないと私は思います。その点での外相の御決意をお伺いしたいと思います。
○安倍国務大臣 シュルツさんが言っておるのは、反対勢力でも民主的な政治参加の道を開けと言っているわけで、何も反乱を起こせ、これを武力で支持する、こういうことを言っているわけじゃないのですから、それはちょっと解釈が違うのじゃないかと思います。 それから、日本政府はアメリカ政府じゃないわけですから、日本は日本としての自主的な立場に立って外交をやっております。ですから、今のニカラグアのサンディニスタ政権も日本は認めて、外交関係をちゃんと持っておるわけです。そうしてこの解決については、あくまでもコンタドーラ・グループのイニシアチブを支持して、とにかく平和的に紛争解決をしてほしいというのが日本の変わらざる終始一貫した外交の方針である。そういうことですから、よくその辺のところを御理解していただかなければ困ると思います。
○田中(美)委員 もう一問、今のお言葉に関連しますので。 シュルツさんはそういうことを言っていない、こうおっしゃいますが、シュルツさんが二月二十二日のカリフォルニアのコモンウェルスクラブで演説した演説内容を持っておるわけです。それを先ほど読み上げたのですが、「武装、非武装にかかわらず」と言っているわけですから、武装して政府を倒してもいいのだということではありませんか。安倍さんは今、武装してまで内乱を起こせとシュルツは言っていないと言いますが、はっきりと言っています。武装してやったものに対してでもこれを認めろ、こう言っておるわけですから、そこの点の認識が余りにもアメリカに対して好意的です。もう一度シュルツさんの演説を十分にお読み直していただきたい、それを強く要求して、アメリカの経済封鎖に対しては日本が確固とした正しい態度をとることを心から期待いたしまして、私の質問を終わります。
○浜田(卓)委員長代理 次に、小林進君。
○小林(進)委員 順序不同で悪いですけれども、忘れると困るから第一声に、土井理事から言われましたことを真っ先に御質問いたしておきます。 仮にこの協定を本委員会が通過せしめた場合に、これは国内法に関連してくる。大蔵委員会でも関連法案が審議をされているはずですけれども、そっちの審議の状態は一体どうなっているのか。 この説明書を見ますと、こういうことが書いてある。これは当然ですけれども、「我が国は、我が国につきこの協定が効力を生ずる日の後三箇月以内に我が国の当初の授権資本への応募額(六百二十六万合衆国ドル)の四分の一に当たる額を払い込むこととなるので、昭和六十年度予算案においてこれに相当する三億七千百万円につき措置することとしている。」こういうわけです。この第一回目の払い込み分の三億七千百万円の支出について、これはやはり国内法で決めなくちゃならない。大蔵委員会の所管でございましょう。この準備が、法案の処理が一体できているのかどうか、あるいは六十年度の国家予算の中に、私も予算を細部まで見たわけじゃないけれども、この金額が計上せられているかどうか。 そこまできちっと整理されていなければ、我々の方で仮に賛成したところで、大蔵委員会へ行ったらそれはだめだなんといったら、一体だれがそのしりぬぐいをやるのか。これは国会の混乱のもとですから、君子危うきに近寄らずで、大蔵委員会あたりでこういうことをきちっとおやりになるまでは我が委員会は休憩にしておいて、初夏の気候などを楽しんでいた方がよろしいのじゃないかと私は考えますので、この点をひとつ明確に御答弁いただきたいと存じます。
○野崎(正)政府委員 大蔵委員会の方の審議状況でございますが、もちろん政府としましては法案を提出しておりまして、来週の火曜日、二十一日に大蔵委員会の方で御審議いただく予定になっているというふうに聞いております。
○小林(進)委員 外務大臣、お聞きのとおりでございます。我が衆議院におきましては、この問題に関連する第一回の払い込みに対する審議は、大蔵委員会でようやく来週火曜日から入るという予定だ。これは予定です、まだ審議に入ったわけじゃない。入る予定だと言うのです。予定なんというものは、常に狂うことをもって予定とするのだ。決まっていれば予定と言わない。でありますから、こういう不確定な要素があるにもかかわらず、我々が唯々諾々として外務省のおっしゃるとおりに審議を促進したなんということなら、これは恥を歴史にさらすことになりますよ。 何だ、小林進なんという大ボスも外務委員会にいるのに、そんなばかなことをやったなんていったら、棺を覆うてから後にも汚名を残すことになりますから、これは私はうっかりこの促進に協力するわけにまいりませんので、この点はひとつ十分御勘案を賜りまして、きょうはまだ採決に至りませんから安心して質問を繰り返しますが、その点だけは念のためにひとつ御注意を申し上げておく次第であります。 ところで、午前の分に引き続きましてお伺いいたしますけれども、私は他の仲間の皆さん方の質問を全部聞いておりまして、私が最後にやりたいと思って残しておきましたニカラグアの問題、これは大変重要ですから、これをメインにしようと思いましたら、さすがに各党それぞれ立派なものでございまして、みんな御質問が出ましたから、あえて私がまた言うことはありませんが、やはり心配ですから、重複することを承知の上で私もニカラグア問題についてお伺いをいたしたいと思います。 第一番目には、アメリカはニカラグアとの友好条約をまず廃棄いたしましたね。これは五月一日ですか、ボン・サミットにあなたが行っているときに、レーガンさんはその手続をしてボン・サミットにいらしたはずです。それから、ニカラグアのアエロニカ航空の米国乗り入れも禁止したはずです。ニカラグアの船舶の寄港も禁止した。アメリカにおけるニカラグアの資産も凍結をした。それから、アメリカにおけるニカラグアの交易事務所も閉鎖をした。こういうことが幾つも具体的に進められているのは、宣戦布告と同じような状態じゃないかと思いますが、今私が申し上げましたこれらの条項は事実上実施されているのかいないのか、ちょっと確認をしておきたいので、いかがでございましょうか。
○堂ノ脇政府委員 アメリカ政府は、五月一日にこの措置を発表いたしまして、五月七日から実施するということでございます。 まず、米・ニカラグア通商航海条約の廃棄につきましては、その通告が行われて一年後に効力を発生するという状況でございます。それから、五月七日から、アメリカからのニカラグア向け輸出及びニカラグアからのアメリカ向け輸出につきましては、これを禁止する。しかし、既に五月一日以前に契約のしてございます分につきましては、九月いっぱいまでの実施であればこれは容認するということでございます。 それから、航空機、船舶のアメリカの空港、港湾立ち入りは、五月七日から禁止措置がとられているというふうに了解しております。 他方、アメリカの金融機関は、ニカラグアとの取引を禁止されてないというのが実情であるかと思います。
○小林(進)委員 私どもが受け取りましたよりも、やや緩慢な点も若干あるようですけれども、しかしこれは厳しい。独立国家に対してこれほど厳しい制裁措置を講ずるということは、アメリカの常識を疑わざるを得ないと私は思うのですが、こういうことに対して日本政府は一体どのようにお考えになっているのか。先ほどから聞いていますと、こういうアメリカの措置を了解しているか賛成しているのは、世界じゅうで日本とどこかの国、二つしかないというお話でございましたけれども、これは余りにもひどいではないかと思います。 これに対してニカラグアは、これは話がまことに古いけれども、今年二月にはキューバの顧問団百名を撤退させる、あるいは新型の兵器の購入は凍結する、こういうことの発表をしておいて、その実施状況を見ていたら、確かにこの五月二日だ。アメリカがこういう過激な制裁処置を、七日ですか、とるその直前だけれども、約束どおり五月二日にはキューバの顧問団百名をやはりキューバに撤退せしめている。こういう素直な形をとっているんですね。 そこで、一体ニカラグアにおけるキューバの軍事顧問は何人いて、そのうちのどれだけを撤退せしめたのか。それから、今の凍結問題、新型の兵器は買わない、こういうことも、その後の実施状況がどうなっているのか、これもひとつお聞かせをいただきたいと思うのであります。
○堂ノ脇政府委員 先ほど委員が御指摘になりました、在ニカラグア・キューバ人顧問の引き揚げは、二月二十七日にオルテガ大統領が一方的に発表したものでございまして、全体でキューバ人軍事顧問団は七百何十名、約八百名いるということが、その後オルテガ大統領によって発表されておりますが、そのうちの百名が五月二日に引き揚げたわけでございます。 そういう意味では、ニカラグア政府は、自己の発表した政策に従ってニカラグアにおけるキューバの軍事的なプレゼンスといったものの削減には努めておりますけれども、米側としては、そのような軍事顧問団の存在自体が必要ないのではないか、全員の引き揚げが必要である、また、八百名ということではなくて、恐らく二、三千名いるだろうということをアメリカ側は言っております。
○小林(進)委員 私は、第三者の立場から見ても、アメリカがそういう厳しい態度に出た、そのアメリカに対してニカラグアがある程度受け入れようとする姿勢を示していることは、今の実施行動を眺めても、これは、私どもは素直に受け取ることができる。なぜアメリカは一体、ニカラグアに対してこれほど残酷な行動に出たかという根本の理由は、昨年アメリカがニカラグアにおける反政府組織に一千四百万ドルの援助をする、これはゲリラに対する援助だ。よその国における国内のゲリラに対して一千四百万ドルの援助をするという、そういう要請をアメリカの議会にしたわけです。これはレーガンさんがしたわけだ。それに対して下院においては、レーガンさんも若干空気を薄める意味において、これは軍事援助ではなくて民生の安定援助も含んでいるというふうな妥協の言葉も示しながら出したけれども、アメリカの議会はこれを否定したんだ。これは立派だと思うね、まあ当たり前のことだけれども。それで、一切の援助案が下院において否決された。 私は、問題はここにあると思うんだな。否決したアメリカの議会にこそ、安倍外務大臣が言われているアメリカの民主主義、自由をとうとび、人権をとうとぶというアメリカ古来の一つの性格、いいところがあらわれていると思う。そうでしょう。それに対して、これを否決したアメリカのオニール下院議長は、これを否決したことに対して、いわゆる砲艦外交、力で他国を強圧するというアメリカのレーガン外交、レーガンの暴力外交と言っては悪いけれども、力の外交、砲艦外交に対して反省を求めるという意味において、これは大変有意義な決定であったという談話を発表していられる。私は、これは世界にとっては一つの救いだと思うんですよ。こういう下院の処置や、あるいは下院の議長の談話等は一つの救いだと思うんだな。 ところが、それを否決されたレーガン政権のそれに対する報復ですよ。報復をやるというなら、自分で、否決したアメリカの下院議員に報復したらいいのにもかかわらず、ニカラグアに対していわゆる経済措置をとろうということで、今申し上げましたようなそういうかたくなな手段に訴えてきたのであります。一体、だれが考えても、もう理不尽な行動に終始をしていると思うが、外務大臣、どうですか。これを否決したアメリカの下院が間違っていますか。これはやはりレーガンの提案どおり、一千四百万ドルをゲリラ部隊に支給することをあなたは正しいとおっしゃるのか。アメリカの下院とレーガンの政策との、その二つに対するあなたの御所見をひとつ承っておきたいのであります。
○安倍国務大臣 やはり下院で否決したのもアメリカであり、それからニカラグアに対して経済措置をとったのもアメリカである。そういう意味では、アメリカというのは、今おっしゃいますように非常に民主的な国であろうと思います。そういう中で、アメリカのやっている行動に対して日本が、否決したことがいいとか悪いとか、あるいは大統領がやったことがいいとか悪いとか言うことは、これはアメリカとニカラグアの問題ですから、これを言うことは、外交的に我々としては控えた方がいいのではないか。 ただ、日本の考え方としては、アメリカのそういう経緯というのはわかるけれども、あくまでもニカラグアは平和的に解決されなければならぬ。武力紛争によってこれが解決される、あるいは武力によって解決される、そういうことではなくて平和的に解決されなければならないし、そうしてそのイニシアチブというものは、コンタドーラ・グループによって行われたイニシアチブが極めて解決のかぎを握るものであるし、それを日本は支援していく、こういう日本の方針は、そういう意味では非常にはっきりしているわけであります。
○小林(進)委員 外務大臣、あなたは、ニカラグアとアメリカの関係だと言ってうまく逃げようとされるけれども、しかし、それならば日本は何も、アメリカのレーガンのやることに理解を持つとか賛成だとか、それまでの積極的な意思を表明しなくたっていいじゃないかと私は思うんだがね。そこまで言うから、世界じゅうはみんな笑っているんですよ。いつまでたったって日本の外交はひとり歩きはできない、いつもアメリカのしっぽについて回っているじゃないか、こういう嘲笑を受けることになる。外国の嘲笑ならいいですよ。国内でも、物を知る諸君はみんな不思議がっているんだ。 時間もないけれども、そんなわけで先ほども言うように、ニカラグアが、それじゃひとつキューバの顧問百名も大挙帰しましょうと言ってちゃんと帰した。それから、新兵器の購入もこれは凍結しましょう、こういう素直な姿勢を示しているのに対してアメリカは、最近ですか、いったか、あんなのはだめだ、七百名か八百名もいるところで百名、二割たらずの軍事顧問団を帰したって、それは問題にならぬ、そんなのは偽装だ、本当にアメリカに忠勤を示すというならば、ソ連とキューバとの国交を断絶をしなさい、明確に断交しなさい、その実績を示してくれればいわゆる忠誠なるものとみなして、アメリカは従来どおりの交際をしよう、経済の援助もしよう、航空機も船舶の寄港も許そう、こういう条件を出したというんだな。これは大変なものだが、本当ですかどうですか。
○堂ノ脇政府委員 アメリカは、従来からニカラグアとの直接交渉というものを行っております。昨年の六月にスタートしまして、その交渉を通じましてアメリカ側がニカラグアに要請しておりますのは四つございまして、まず、軍備の縮小をしてほしい、それは周辺国に脅威を与えるからということが一つ。それからもう一つは、周辺国への革命の輸出をしないでほしいということ。三番目に、ソ連、キューバとの軍事的な関係を断絶してほしい、なるべく切ってほしい。しかし、外交関係の断絶ということは実は言っていないのでございまして、二、三日前の新聞に若干そういう不正確な報道が出ていたものですから、外交関係の断絶まで求めているのかという声もあるようでございますけれども、そこまでは要求しておりません。そして四番目に、ニカラグアにおける民主主義の実現、アメリカとしてみればまだ民主主義は実現していないと考えておるようでございますが、その四つを要求している。したがいまして、外交関係の断絶は求めておりません。
○小林(進)委員 私は、あなたが言われた三番目の問題、軍事的関係を断ち切れと言っているが外交まで断ち切れとは言っていないと、随分確信あるようなことをあなたは言っておられるけれども、それならば改めてこの問題をネックにしていま少しきちっとしておきましょう。私もまた某筋からは、どうも国交までも、つき合いまでも断ち切れというアメリカの意見だということを聞いているから。 しかしいずれにしても、今あなたが言われた四つの問題。ニカラグアというのはアメリカの植民地ですか。自分の植民地国家に対してそういう要求をするのは別として、独立国家として認めるならその国に対して、おまえのところで軍備の縮小をせよとか、あるいは周辺の国々への革命の輸出というのは何だかわかりませんけれども、革命の輸出をするなとか、ソ連やキューバという国々との軍事関係を断ち切れとか国交をするなとか、国内における民主化を実現せよなどと言うことは、いやしくも一つの独立を認めた国に対して言い得るのだろうか。これだけでも私は、一つ一つの国家の独立を侵犯した恐るべき思い上がった条件であると思うのです。 ソ連の衛星国家に対するやり方は、私は非常に気に入らない。しかし、恐らくソ連だって、自分の衛星国家に対して具体的に言葉でこんな思い上がったことは言っていませんよ。これは、だれが考えたって言い得るものじゃないです。もし立場を変えて、日本に対してもこんなことを言ったら一体どうなりますか。今私どもは、国際場裏における一つの哲学として、いずれの国を問わず、独立国家はすべて世界のいずれの国とも仲よくしていくというのが、国際平和の一つの条件でなくてはいけない。 だから言葉をかえれば、ニカラグア、君は世界のいずれの国とも仲よくしなさい、特定の国家とだけそういう特定の交際や優位を持つことはいかぬ、もしアメリカに指導性があるとすれば、それくらいのことを言うのが常識じゃないですか。特定の国とだけつき合いをするなとか革命の輸出をするなとか、こういうようなことは私は独立国家に対する不当な干渉だと思う。 私は外務大臣に言うのですが、あなたの外務大臣としての哲学があるでしょうから、あなたの哲学から見て、一つの独立国家が他の独立国家に向かって今申し上げた四つの条件等を提示することが、これが至当なやり方であるとあなたはお考えになりますか。——外務大臣に聞いているんだ。これは事実を聞いているのじゃないんだ、一つの政策を聞いている。国としての姿勢を聞いているのだ。何だ中南米局長、君に外交の姿勢を聞いて何になる。だめだ。おれは外務大臣に、日本を背負う外務大臣としての姿勢を聞いておる。事実関係を聞いているのじゃないんだ、今の問題は。
○安倍国務大臣 はい、よくわかりました。私から答弁いたします。今、何か補足したいということで立とうとしたのですが……。 そうしたアメリカのニカラグアに対する要求というのは、これはアメリカの判断に基づく要請だろうと私は思います。ですからそういうものをめぐって、ニカラグアとアメリカとの間でしばしば首脳会談、シュルツ国務長官などが行きましてオルテガさんなどと会ったりなんかして、随分平和のための努力を続けてきているわけです。 その中には、恐らくニカラグアの条件もあると思いますし、アメリカの条件もある。お互いのそうした条件を出し合って、そういう中で平和的な解決を両国も願っておったんでしょうが、なかなか困難になっておる。そういう中で、アメリカとして今、経済措置というものをとらざるを得なくなったというのが、アメリカの実態ではないかと思うわけでございますが、これは二国間の問題、日本は日本としてあくまでもニカラグアが平和的に解決される、そのためにコンタドーラ・グループをこれからも支援していきたいというのが日本の外交姿勢でございまして、これは変わりはないわけです。
○小林(進)委員 おれの時間来たのか。これでもう終わりか。
○浜田(卓)委員長代理 はい。
○小林(進)委員 ああそうか。 それで、今土井先生が質問をされますから、ちょと私もこれ一問——いやいや、終わるからいいんだよ、あなた、時間があと二十五分あるけれども。
○浜田(卓)委員長代理 関連質疑の申し出がありますので……。
○小林(進)委員 二十五分も余計にやってもいいなんて言っておいて——持ち時間が二十五分もあるんだからまあゆっくり、一問で終わるから。 それで安倍さん、また今晩お会いしますから、余り大きな声を出さぬできょうはやわらかくしておきますけれどもね。 ともかく、去る十日の国連の安全保障理事会において、ニカラグアが提出した米国の対ニカラグア経済制裁非難決議案というものの採決を行ったんだ。そこで演説した国が四十カ国、その代表が全部と言っていいほど、米国の措置を非難したんだ。そして、これは全部米国に不賛成だ。その中で米国だけは、その決議案を十七段階に分割して採決するような異例の方法を要求した。この国際的な関係の中では、だれも問題にしない、全く孤立化しておるという事実があったんだが、そのときに我が国はどういう態度をとったのかだけを承っておきたい。 その国連における四十何カ国もがアメリカを攻撃して、不当なことをやってはいかぬ、こうやっている中でアメリカが拒否権を行使をしたというんだ。この経済制裁措置の停止を求めるという部分についてのアメリカのいわゆる拒否権に対して、一体日本政府はどういう態度をおとりになったのか、これだけ明確に聞いておきたいと思うのです。
○堂ノ脇政府委員 安保理におきます今回の決議には、我が国は安保理のメンバーではございませんので参加しておりません。 また先ほどの点、事実関係をちょっと補足いたしますけれども、このアメリカがニカラグアに要望しております四条件というものに対応しまして、ニカラグア側もいろいろなことを要求しております。この地域のコンタドーラ諸国の話し合いの中で、まず外部からの軍事的な存在というものは減らすべきだとか軍備は縮小すべきだとか、いろいろな話し合いが行われておりまして、その中の一環としてアメリカのニカラグアに対する要望ということがございますが、逆にニカラグアのアメリカに対する要望もいろいろございまして、非常に複雑な込み入った交渉の中身の話をちょっとしたわけでございます。
○小林(進)委員 では、これで終わりますけれども、最後に日本がこういうばかげたところへ参加し得なかったということで、私も何か救われた気持ちになります。 これで終わります。
○浜田(卓)委員長代理 関連質疑の申し出がありますので、持ち時間の範囲内でこれを許します。簡潔にお願いいたします。土井たか子君。
○土井委員 今回のこの条約に対して、加盟予定国はそれぞれの国の特殊性、それぞれの国のよって立つ立場がございますが、御案内のとおりに日本は武器輸出三原則がある国でございます。今回の条約をずっと見てまいりました限りで、公社は公社が投資したいかなる企業の経営についても責任を負わないということになっているのですが、業務手続の中身を見ましても、武器を製造する企業あるいは武器関連企業、武器に援用される製造品を生産する企業等々について、やってはならない決め手はどこにもないのです。日本とすれば、本来武器輸出三原則を決めている国ですから、そういう武器製造並びに武器関連問題を取り扱う企業に対して、投資してはならないというのが原則だと私は思います。やれないはずなんですが、これは大臣、いかがでございますか。——私の質問は非常に短くやっているでしょう。向こうの方でがやがや相談なんて、一体これは何ですか。いいです、局長。結構。これは外務大臣に御答弁願います。これは政治問題ですよ。武器輸出三原則から考えると、武器関係の企業に対して投資できないですよ、日本としては。大臣、どうです。
○安倍国務大臣 日本の武器輸出原則と今の投資公社の投資というのとは、私はちょっと違うのではないかと思いますね。日本は投資をしましてシェアを持つわけですけれども、投資公社が投資とか融資するわけですから、もちろん日本はその中のシェアを持っていますけれども、あくまでも公社が投資をするわけです。これが日本の武器輸出三原則とどういう関連があるか、私はちょっと今の質問に対して理解ができないのです。
○土井委員 その関連性がよくわからないと大臣がおっしゃることが、実は私はよくわかりません。よろしゅうございますか。日本は平和憲法の国なんですよ。憲法第九条を国内の基本法として持っておる国なのです。そういう国からすれば、武器を製造する企業に対して投資することは許されるのですか。公社がそれを決めることに対して、日本は異議を唱えないという立場をおとりになるのですか。いかがです。これははっきりしていただきまし占う。
○安倍国務大臣 もちろん、この「目的」の中にはっきり書いてありますが、「域内開発途上加盟国の経済開発を促進することを目的とする。」その目的の範囲内において融資が行われる、こういうことです。
○土井委員 「経済開発を促進する」中にそれが入っているでしょうが。各国の中には、日本のように決め手を持っている国というのは余りないですよ。武器製造並びに武器を製造して輸出というのも経済開発だと心得ている国があるでしょうが。アメリカをごらんなさい。アメリカは最たる国ですよ。そういうことからすれば、どういう立場をおとりになります。これは私は非常に重要な問題だと思います。いかがです。
○安倍国務大臣 これは、今申し上げたとおりの経済開発を目的とするその範囲内においてしか公社の投資とか融資というのはできないわけですから、それ以上のことを私が答弁する立場にはありません。
○土井委員 これはそうすると、私は保留にしましょう。その範囲とおっしゃる範囲が問題なんです。今の武器を製造すること、武器関連企業、そういうものは「経済開発」の中に入らないのか入るのか、これはいかがでございますか。 これをやっていたら時間はもう延長しますから、したがって委員長、これは保留にして、次回にこれは質問継続します。これは非常に大事な問題だから、今のようなあいまいな御答弁でお茶を濁して終わるわけにはまいりません。
○浜田(卓)委員長代理 政府側の答弁をもう一度お願いします。
○野崎(正)政府委員 御答弁申し上げます。 協定の第一項の「目的」にございますように、「域内開発途上加盟国の経済開発を促進することを目的とする。」というふうにございます。それで、これは新しく設立されるこの公社だけではなくて、これまでの既存の国際開発機関につきましても同様でございますけれども、日本が出資している世界銀行等も含めまして、理事会におきまして日本は日本の立場を今までも説明しておりますし……
○土井委員 そんな御答弁結構。日本は理事国になるかどうかわからないですよ、これは。先日来の御答弁からすると、恐らくは理事国になるという望みは非常に薄い。私は今度の公社では、日本は理事国になるということをむしろ避けてもらいたいと思っている一人です。よろしゅうございますか。そんないいかげんなことを言ってもらったら困る。 委員長、これは理事会でお諮りいただいて、次回の委員会で私は質問を続行させていただきます。こういうやりとりをやっていたのでは、今から何時間あったって本日に片がつきませんよ。ほかの理事の方の御意見をここでちょっと聞いてみてください。
○浜田(卓)委員長代理 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○浜田(卓)委員長代理 速記を起こしてください。 次回は、来る二十二日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時三十分散会