沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号
- 発言数
- 168 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1985/04/17
会議録
○大内委員長 これより会議を開きます。 まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員になっております。これよりその補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大内委員長 御異議なしと認めます。よって、青山丘君を理事に指名いたします。 ————◇—————
○大内委員長 沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。 この際、北方領土問題の解決促進に関する件について決議をいたしたいと存じます。 本件に関しましては、各党間において御協議願っておりましたが、協議が調い、案文がまとまりました。 まず、案文の朗読をいたします。 北方領土問題の解決促進に関する件(案) 戦後四十年を迎えた今日もなおわが国固有の 領土である歯舞、色丹及び国後、択捉等北方領土の問題が依然として未解決であり、さらに近年、北方領土においてソ連の軍備増強が続けられていることは、誠に遺憾なことである。 北方領土の復帰実現は、日本全国民の長年の悲願である。 この間、北方領土の日の設定、北方領土の返遠を求める都道府県民会議の相次ぐ結成等、北方領土問題の速やかな解決を望む国民の声は、地域や世代を超えて大きな高まりをみせている。 かかる国民の総意と心情に応えるため、政府は、北方領土におけるソ連の軍事的措置の撤回を求め、北方領土の返還を実現して、平和条約を締結し、日ソ間の真に安定的な平和友好関係を確立するよう全力を傾注すべきである。 右決議する。以上であります。 趣旨の説明をいたします。 我々の祖先が辛苦を重ねて開拓した我が国固有の領土である北方領土が、ソ連によって不法に占拠されてから既に四十年を経過しようとしておりますが、いまだにその返還が実現しておりません。のみならず、近年、ソ連による北方領土への軍備増強が続けられていることは、日ソ両国の平和友好関係の促進にとってまことに遺憾なことであります。 戦後、北方領土から追われるように、あるいは強制的に送還させられた約一万七千人の元居住者のうち、約三分の一の方々が既に亡くなられ、また、生存者も高齢化が進み、父祖以来住みなれた故郷へ帰る日を、一日千秋の思いで待ち望んでおられるのが現実の姿であります。 一方、この間、北方領土の返還を求める署名運動は三千六百万名を超え、昭和五十六年には、北方領土の日が設定され、また、北方領土の早期返還を求める都道府県民会議の結成は既に四十四を数えるに至っております。このことからも明らかなように、北方領土問題の解決を望む国民の声は、地域や世代を超えて大きな高まりを示しております。 他方、ソ連側は、北方領土問題については、依然として解決済みあるいは存在しないとの態度をとり続けており、このことは先般の日ソ首脳会談においても同様でありました。 このように厳しい状況のもとにある北方領土問題を解決するため政府は、国民世論の広範な盛り上がりを背景に、粘り強く対ソ交渉を行い、北方領土の軍事的措置の撤回を求め、日本国民の長年の悲願である北方領土の返還を一日も早く実現して、平和条約を締結し、真の日ソ友好関係を確立するよう全力を尽くすべきであります。 ここに戦後四十年という節目のときに当たり、決議をもって政府に特段の努力を求めるものであります。 以上をもって本決議案の趣旨の説明といたします。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。 採決いたします。 北方領土問題の解決促進に関する件を本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○大内委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とすることに決しました。 この際、ただいまの決議に対しまして政府から発言を求められておりますので、これを許します。安倍外務大臣。
○安倍国務大臣 ただいまの御決議に対して所信を申し述べます。 政府といたしましては、ただいま採択された御決議の趣旨を十分に体しまして、今後とも粘り強く対ソ折衝を進めるべく、引き続き最大限の努力を払ってまいる所存であります。(拍手)
○大内委員長 続きまして、後藤田総務庁長官。
○後藤田国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を十分体しまして、今後とも引き続き北方領土問題の解決のため、あらゆる努力を払ってまいる所存でございます。(拍手)
○大内委員長 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係各方面への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議、ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○大内委員長 次に、沖縄及び北方問題に関する件について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。町村信孝君。
○町村委員 ただいま本委員会といたしまして北方領土返還の決議を行ったところでございまして、戦後四十年という先ほど委員長の趣旨説明にもございました節目の年である。さらに戦後四十年たった上に前回、五年前に当委員会及び本院で決議を行っている。その間、北方領土の日の設定等いろいろな運動が行われており、非常に時宜にかなった決議であると私は考えておりますし、また先般ソ連の新政権ができて、大方の見方はかなり長く政権を続けるのではないか、こういう時期でもございます。各党の皆様方の御賛同を得てここに全会一致で決議を見たということに、まず心から私どもとして賛意を表する次第でございます。 特に過去の決議を見ますと、昭和五十四年二月二十日、それから昭和五十五年三月十三日、いずれも全会一致を見てやはり同じような決議が行われております。その中で特に力点が置かれておりますのが、歯舞、色丹あるいは国後、択捉等においてソ連が軍備増強を行っているということはおかしいではないか、こういう決議を行っているわけでございますが、現実にはソ連が着々と軍備増強を図っているという実態があるわけでございます。私ども、ソ連がしばしば対日善隣友好関係を築きたいということの政府の意図表明をしているわけでございますが、現実の行動はそういったソ連の言葉とは裏腹の極めて非友好的な行動を彼らがとっているということに対して大変強い憤りを持っております。 そこで私は防衛庁の方に伺いたいのですが、このようなソ連の軍備増強の実態というものにつきまして国民の前に明らかにしておく必要があるのではなかろうか、このように考えますので、ひとつ詳しく御説明、お答えをいただきたいと思います。
○太田説明員 御説明いたします。 ソ連は一九七八年以来我が国固有の領土であります北方領土に地上軍部隊を再配備しておりまして、現在のところその規模は師団規模にあると推定しております。この地上軍部隊は、戦車、装甲兵員輸送車、火砲、対空ミサイル、MI24という攻撃型へり等を装備しております。 それから、航空部隊につきまして申し上げますと、一九八三年八月から九月にかけて合計二十数機のミグ23、最新鋭の戦闘機でございますけれども、これが択捉島天寧飛行場に飛来しました。その後逐次増加されまして、現在では約四十機に増強配備されておると承知しております。 それから、ほかに国境警備隊に属する隊員が約三千人程度配備されておりますし、この国境警備隊は警備艦十数隻を保有しております。さらに輸送機としてのヘリコプター等も数機保有しておる、このように承知しております。
○町村委員 ただいま御説明があったように、地上軍が一個師団、ミグ23が四十機以上、さらに三千人を超える国境警備隊、着々と軍事施設を整備している。このことは、多分ソ連がこのような形で既成事実をどんどん積み重ねていく。そして、そもそもソ連はこの北方領土問題というのは存在しないあるいは解決済みだと言っている。そのような既成事実をどんどん積み重ねることによって、とかく私ども日本人はあきらめが早いという国民性を持っておる、したがって、いずれこうやっていけば日本はあきらめるであろう、そういったことを考え、あるいはこのような軍事的な措置をとって威嚇を与える、そして日本人に挫折感を与え、あきらめさせよう、こういう意図ではなかろうかと考えざるを得ないわけでございまして、甚だ遺憾千万であると考えております。私どもとしては、こういったソ連のねらいに乗せられないように、どうしても北方領土問題について国民の関心と理解を深める努力をしていかなければいけないと考えるわけであります。 先ほど委員長の趣旨説明にもありましたような三千六百万人を超える署名あるいは四十四都道府県におきます県民会議の結成あるいは北方領土の日の設定などいろいろな運動が行われております。ただ、昨今特に根室関係の状況を見ておりますと、先般北海道の新聞にも出ておりましたが、むしろ今では領土ではなくて魚の方が大切なんだ、このような雰囲気が非常に強くなっているといった新聞報道もなされております。「日ソ友好へ動き活発 国境の町の根室」このようなことで、ロシア語講座をやったり映画会をやったり、そのこと自体がいけないとは私は申しませんけれども、特に根室の皆さん方の、あるいは隣接している皆さん方のお気持ちというのは領土よりも魚さえとれればいいんだ、こういったような雰囲気が強まっている。いずれこのことは根室のみにとどまらず全道一円にあるいは全国に広がるおそれが多分にあるのではないか、私はこのことを大変強く懸念をいたしますが、この際、総務庁長官に北方領土問題に関する国民世論の啓発、高揚といった面での基本的な姿勢について御所見を承りたいと存じます。
○後藤田国務大臣 私は、全国民的な悲願でもあり、またそれを受けてしばしば国会で全会一致、北方領土問題の解決に全力を挙げるべし、こういった御決議まで賜っておりながら、今日戦後四十年たっていまだこの問題の解決の糸口すらつかめないということについては、いら立ちの気分すら私自身持っておるのが心情でございます。 しかし、こういう問題は、一つには、世界の中における米ソ関係の厳しい対立、こういうことが背景にあって解決がなかなか困難になっておるのではないか。したがって、やはり国際緊張の緩和ということを基本に我々としては心構えを持っていなければならないのではないかと考えるわけでございますが、同時にまず一つは、日ソ両国民の国民性の違い、またソ連という国の国柄を十分念頭に置いて、何といっても根気強く粘り強く対ソ交渉を進めると同時に、国内的にもそういった考え方で対処することが肝心だ。 それから二番目は、やはり北方領土が我が国の固有の領土であって、歴史的にも、また国際的にも我が国の北方領土に対する主張の正当性を国民に徹底させる必要がある。 それから三番目は、そのために全国各地で県民会議の結成を進めて国民的な関心を高め、同時にまた次代を背負う若い諸君に中学校等への副読本の配付等をやっておりますけれども、こういった全国民的な啓発活動といいますか、それを粘り強くやらなければならぬのではないか。 それからその次は、日本という国は、御案内のようにかつて領土というものを奪われたことが今次戦争までなかったわけでございます。そういう国柄でございますだけに、私は領土というものが国家主権にかかわる最も重要なことである、こういう認識が、ヨーロッパ各国のように国境を接している国ではありませんから、そこらが必ずしも徹底しているとは思えないのではないかという心配を持っております。この認識の徹底を図る必要があるだろう。 それから五番目は、これと同時に、国際的にも国際世論に訴えて、ソ連による北方領土の占拠ということの不当性、不法性そして我が国の主張の正当性の認識を広めていく努力が必要であろう。このことについては、御案内のように外国における地図の訂正であるとか、これは今活動をやっているわけでございますが、また国連の場において我が国の主張を機会をとらえて積極的に行うとか、あるいは日ソ両国間の交渉の場合にも、この問題については必ず日本としては主張してまいらなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。 以上のような点を中心に、私は北方領土問題というものについての啓発活動といいますか政府の活動を継続的にやっていく必要があろうと思いますが、同時に今御質問の中にありましたように、やはりお互い生活を抱えているものですから、どうしても「武士は食わねど高楊枝」というわけにはいかない。生活をどうするかということを考えますと、今日北海道、殊に近隣地域が置かれておる経済的な諸条件を考えますと、漁業問題が一番シビアな問題だと思いますが、こういったようなことで隣接地域——元居住者の方はもとよりでございますけれども、漁業等の面においていま少しく何か政府として検討しなければならぬ面があるのじゃなかろうか、ここらは検討の課題としてお互いが頭の中に置いておかなければいかぬのじゃないか、かように考えておるわけでございます。
○町村委員 ぜひ今長官の言われた基本姿勢で政府全体を挙げて取り組んでいただきたい、私はこのように強く要望するものでございます。 その一環といたしまして、私は、まず青少年に対して北方領土に対する正しい理解を植えつける、正しい理解を得させるということが非常に重要であろう、このように考えております。したがいまして、北方領土に関する教育が教育の現場でどういうような状況になっているのかということについて文部省の方に伺いたいわけでございますが、現在学校で使用されている教科書の北方領土の記述、私も幾つかサンプルを見せていただきました。これについて文部省として、果たして適正なものであると考えておられるのかどうか、これについて伺いたいと思います。特に私はずっとサンプルを見て、六つ七つの教科書の絵を拝見いたしましたところ、先ほど長官がお話になった不当性あるいは不法性、不当に占拠している、不法に占拠している、こういう記述があったのはわずか一社でございまして、あとはただ単に占拠されているという事実を淡々と述べているにすぎない。不当である、不法であるという記述がたった一社しかない。あるいはある教科書を見ますと、北方領土返還問題については、一方で我が国の国民感情を尊重しながら、他方で日ソ間の友好関係を損なわないように解決される必要がある、淡々と読めばそのとおりかなと思うのですが、これは読みようによっては、いたずらに北方領土返還運動をやってソ連を刺激しては日ソ友好関係上まずいよとでも読めるような文章があったり、あるいは特に社会、歴史的分野というのでしょうか、これの文で、ヤルタ協定でこれは密約がある、さらに、サンフランシスコ平和条約で日本は千島、台湾等々を放棄した、こういうふうに書いてあります。したがって、これをすんなり読みますと、ああ日本はもう正当性はなくなったんだな、固有の領土かもしらぬけれども放棄してもしようがないんじゃないか、このような誤った読み方がされる教科書が実は非常に多いわけでございまして、私は、もっと正しく日本の主張の正当性というものがこの教科書の全体の記述の中にあらわれるような努力をする必要があるんじゃないか、このように考えておるのですが、文部省の御見解を承りたいと存じます。
○小埜寺説明員 お答え申し上げます。 北方領土に関します現在使われている小学校、中学校、高等学校の社会科の教科書と記述でございますけれども、現在は児童生徒の心身の発達段階や地理、歴史、国際関係等の指導事項に即した北方領土の記述がなされてございます。特に中学校社会科の地理的分野におきましては、未解決の領土問題に対しまして、我が国が正当に主張している立場に基づきましてその要点を的確に理解させるという形で指導しております。中学校社会科の教科書では、まず第一に北方領土の位置でございます、第二に北方領土を構成する島々、国後、択捉、歯舞、色丹という名称、それから三番目に、先生もただいま御指摘がありましたけれども、北方領土は日本の固有の領土である、それから、日本はソビエト連邦に対してその返還を求めている、この以上の三点が理解できるように、現在の教科書検定制度の枠の中でもしもそういうような記述が記載されてない場合は修正意見をつけて記述するように求めているところでございます。 なお、北方領土の問題は大変大事なものでございますので、今後とも文部省といたしましても、教科書検定制度の現在の枠の中でできるだけの努力をいたしたいと思っております。
○町村委員 ぜひそういう面での御努力をいただきたいというふうに思います。 そしてあわせて、学習指導要領の中で北方領土という言葉が出ていないのですね。これは昭和五十一年でしたか二年でしたか学習指導要領、ゆとりのある教育ということで簡素化を図ったということで落ちたかどうか知りませんが、ただ単に「国土の位置」という極めて抽象的な表現の中でしかこの北方領土問題が読めないようになっているということは、これだけ全国民の意思があり、さらに本院でも決議が累次にわたって行われていることを考えたときに、ただ単に抽象的な「国土の位置」といったような表現の中でこの北方領土問題をすべて教えろということには、私は正直言って無理があるのではないだろうか。私ども北海道におりまして、残念なことに、一部の偏った先生方が実際の授業現場で、ソ連が北方領土を占有し不法に占拠しておるのを、不法ではなくて当然なんだといったような教え方をしているといった実例を随分耳にするわけでございます。したがって私は、やはり先生方の教え方というところもあわせ文部省としてきっちりと指導していただきたい、このことを強く要望いたすわけでございます。 それから、先ほど長官のお話にもありましたが、今度は副読本を大々的に配付する、こういうことでございまして、これはぜひやっていただきたいわけでございますが、しかし、せっかくこれを国民の税金を使って各学校に配付しても、それがきちんと生徒の皆さんに読まれなければいけない。ただ単に寄附した、図書館に積んでおくだけだ、ほこりをかぶっていたというのでは税金のむだ遣いも甚しいし、これがきちんと十分活用されることが必要だろうと思います。そこで文部省としては、ぜひ各都道府県の教育委員会等を通じて、指導助言できるわけでございますから、これを副読本として十分活用するということについて、基本的なお考え方、指導方針というものを伺いたいと思います。
○小埜寺説明員 副読本の問題でございますが、これは先生も御承知のとおり、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づきまして、小学校、中学校であればその設置者である市町村の教育委員会の責任において使用、採択を決めるというような立場になっております。この点につきましては、各都道府県の教育委員会の指導のもとで、市町村の教育委員会が副読本の有効活用をされるものだというふうに私どもは存じておりますけれども、文部省としましては、せっかくつくったこの立派な副読本でございますので、各地域の実態に応じて適切に副読本が使用されることを望んでいる次第でございます。
○町村委員 私もこの副読本を読みました。私の知らないことが実は随分書いてありまして勉強させられましたし、かつ、読み物としても非常におもしろいのですね。ぜひきちんとこれを全生徒が読めるように、また読むように、文部省としても御指導いただきたいと心から強くお願いをいたします。 最後に一点だけ。先ほどの北方領土の日の制定、実は五年たっているわけでございまして、この日の設定に当たっては当初本院の中でもいろいろ議論があったと聞いておりますが、結果的には決議も出た、そして領土の日が設定されたわけでございますが、五回目を迎えた去る二月式典も行ったわけでございますが、この北方領土の日を設定したことの効果あるいはその点についての評価を最後に伺いまして、私の質問を終えたいと思います。
○本多政府委員 お答えいたします。 先生御承知のとおり、北方領土の日は昭和五十六年に設定されまして、それ以降毎年二月七日、この日を中心といたしまして全国的にいろいろな行事が実施されるようになってまいったわけでございます。したがって、この北方領土の日の制定を契機といたしまして国民世論が一段と高まってきた、こういうふうに考えているわけでございます。東京におきましては、北方領土の早期返還に向けて全国民のいわば意思を結集する行事ということで、総理を初め衆参両院の議長、各政党代表の方々、各地方公共団体の代表の方々、さらには民間各種団体の方々、そういう方々が出席いたしまして、この北方領土の日の大会で、我が国のこの問題に対する立場を内外に表明する、こういうことで北方領土の日の制定の意義が十分発揮されている、かように考えます。また、東京だけではなくて地方におきましても、先ほど先生御指摘にございました地方の運動の推進基盤でございます県民会議、この県民会議は、北方領土の日設定当時たしか十一道県程度の数であったと思いますが、北方領土の日の制定以来四年目を迎えました今日、先ほど先生御指摘のとおり、四十四都道府県において結成を見たわけでございます。そしてこの県民会議が中心になりまして、北方領土の日のいわば全国大会の地方版とも言えます県民大会等あるいはキャラバン隊あるいは研修会、講演会等々の行事を繰り広げておりますので、北方領土の日の制定がこの北方領土問題に対する国民の理解と関心を深める一つの大きな役割を果たしている、かように考えているところでございます。
○町村委員 以上で質問を終わります。
○大内委員長 鈴木宗男君。
○鈴木(宗)委員 最初に、後藤田大臣にお伺いしたいのですけれども、私は、二月七日の北方領土返還要求全国大会で、後藤田大臣の情熱あふれる力強い不退転の領土返還運動にかけるごあいさつを聞いて感銘を受けた一人であります。私の地元である根室では、中曽根内閣の中でも実カナンバーワンの後藤田長官だ、何とか一日も早く現地を視察していただきたいと首を長くして待っているのが現状であります。特に、根室では七月二十七日、二十八日、北方領土返還祈願の初の望郷ラインサイクリング大会なども催しておりますし、また八月十八日には恒例となりましたノサップマラソン大会も行われておりますので、何とか近いうちに長官に現地を見てほしいという声なのですけれども、もし具体的に日程などおわかりになれば御答弁願いたいのです。
○後藤田国務大臣 私は、北方対策本部長という責任を背負っておりますから、一日も早く現地を見さしていただきたい、こういう希望を持っておりまして、参議院においてもお答えをいたしたのですが、国会明けにお伺いをしたい、実は連休を利用して行きたいな、こうは思っておったのですが、一体国会がどうなるのか、いずれにせよ国会が終了すれば、私は早々にでもお伺いをしたい、こう考えております。
○鈴木(宗)委員 ありがとうございます。早速現地にも報告したいと思っております。 次に、根室地域の振興対策の促進についてでありますけれども、昭和五十八年度から北方領土隣接地域振興等基金がスタートして、ことしで三年目、三十億円積まされたわけです。運用益も一億五千七百万になりまして、一市四町は大変喜んでおるわけでありますけれども、この基金は当初五年を目途に百億円というお話で進みました。このことは五十七年四月二十七日、自民党四役の覚書、さらには五十七年八月五日の北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律案趣旨説明でも明らかなわけですけれども、今のペースでいくと、とてもこれ五年で百億円は積まされない、私は、あと二年間しかないものですから危惧をするわけでありますけれども、厳しい財政事情あるいはシーリング等もろもろのこともわかりますけれども、民族の悲願である領土返還要求、しかもその啓発運動に使うお金でありますので、これは大蔵省を説得して、何とか六十一年度では特別枠でも設けて、思い切った措置をしてもらいたいと思うのですけれども、いかがなものでしょうか。
○後藤田国務大臣 この問題は、実は私、大平内閣のときに北海道開発庁長官をやっておりまして、当時から地元に非常に強い御要望があり、当初は自治省の交付税の措置とかいろいろなことであったわけですが、それではだめだということで堂垣内さんから当時非常に強い御要望がございまして、そういうようなことで、その後になってこの北方基金がてきたわけでございます。私は、これは議員立法でございまして、そのときの成立の経緯、政府とのやりとり等も十分承知をしておるつもりでございます。そうした事情を私としては腹におさめながら、現地の非常に強い増額要望があるわけでございますから、今後とも財政状況、いろいろな制約がございますけれども、できる限り努力いたしたいと思います。 実は、ことしの予算も、あれは毎年十億ずつなんですよ、国が八億で北海道庁が二億ですね。ところが、これ、やはり一割削減の対象でございまして、ともかくことしは削減を受けないということぐらいが精いっぱいでございまして、結果としては現地の皆さん方から見れば大変御不満もあろうかと思いますけれども、これを設けた趣旨は先ほど先生おっしゃいましたとおりでございますから、なるたけ予算の際には頑張らせていただきたい、かように考えますが、御支援もひとつお願いを申し上げます。
○鈴木(宗)委員 もう裏の裏まで知り尽くしている大臣ですので、五十八年度に予算措置をする際に、実は要求のなかった項目でありましたけれども、これは大臣のおかげでついたと言っても言い過ぎでないものですから、後藤田大臣のときでないとこの予算の増額ができないのではないかと思うのですけれども、どうかこの点くれぐれもよろしくお願いをいたします。 続いて、これはきょうの一部新聞によりますと、アブラシモフ駐日ソ連大使は、きのう日本記者クラブでの講演と記者会見の中で、「北方領土問題に関連して日ソ間に「戦後未解決の諸問題がある」ことを盛った一九七三年の田中・ブレジネフ共同声明について「その後の日米の行動にかんがみ、(同声明のくだりは)有効ではなくなった」と言明、現在では「未解決」の問題はもはや存在しない、とのソ連側の公式見解を明らかにした。」となっておりますけれども、こういうことを言った事実があるかどうか、お尋ねしたいのです。
○野村説明員 お答え申し上げます。 事実関係は今調べているところでございます。
○鈴木(宗)委員 もし、こういうことを言ったとするならば、とんでもない話でありますので、これは厳重に外交ルートを通じて抗議をしていただきたいと思います。 さらに、今現在モスクワで行われている日ソ漁業協力協定の締結交渉ですけれども、これは三月二十一日に始まりまして、随分難航して、急遽西山欧亜局長も訪ソされ、交渉に当たっているやに聞いておるのでありますけれども、この見通しあるいはいつごろどのような決着になるのか、お尋ねしたいと思います。
○野村説明員 御指摘の漁業協力協定交渉でございますが、これは去年の春からやっておりまして、もう六回目の協議でございます。西山欧亜局長を派遣しまして新しい提案も行いましたし、また、この協定交渉はもう本当に漁業関係者の利害だけの問題じゃないという、日ソ関係全体でとらえるべき重要問題だということから、私ども柳谷外務次官がアブラシモフ大使を急速招致いたしまして、解決のためのソ連側の一層の協力を要請している次第でございます。今週いっぱい二十一日まで粘り強く交渉しまして、何とか妥結の方向に持っていくよう最大限の努力をやりたい、そういうふうに思っておる次第でございます。
○鈴木(宗)委員 この協力協定を締結しない限り、いわゆるサケ・マスの交渉に入れないものですから、五月一日が例年サケ・マスは出漁ということになっておりまして、今のままでいくと数週間出漁がおくれるのではないか、現地にとっては大変大きな問題となっておりますので、また不安感も募っておりますので、どうかこの点強く督励していただきたいと思います。 これに関連してでありますけれども、一月三十一日妥結を見た日ソ漁業交渉において、いわゆる政府間協定から除外されたカニ、ツブ、エビ漁業の民間協議、いわゆる共同事業の話ですが、これも一向に進展していないというふうに伺っております。どういうふうになっているか、また外務省は今後どのような判断をしているのか、お尋ねしたいと思います。
○野村説明員 先生御指摘のとおり、一月の交渉で共同事業として行うということについての合意ができておるわけでございます。実はソ連側から四月十五日から話し合いを始めるという回答が一応来たわけでございますけれども、その後、やれ、極東の方から専門家を送り込むのに時間がかかるとかなんとか言いまして、まだ話し合いが再開されていない状況でございます。十五日には私どもの鹿取大使からソ連漁業省のブイストロフ次官に対しまして、一たん合意しておきながらこのまま延ばすということでは、もう既に一部漁期に入っているという事情もございますので、ぜひ早く交渉を始めてもらいたいということを強く申し入れております。引き続いていろいろな形で一日も早くこの話し合い、少なくとも話し合いが始められないことには後進まないわけでございますので、尽力してまいりたい、そういうふうに思っております。
○鈴木(宗)委員 北方地域の旧漁業権者に対する救済措置としての旧漁業権の補償をしてほしいという声を私は今なお強く受けるわけでありますけれども、この問題についてどうにかならないものか、お尋ねしたいと思います。
○窪田説明員 お答えいたします。 北方地域の旧漁業法に基づく旧漁業権につきましては、昭和二十一年一月二十九日付GHQ覚書による要請文によりまして一応消滅したということでございますので、新漁業法の施行に伴って行われました旧漁業権の補償の対象にはなり得なかったということで、法律上この補償を行うということはできないこととなっておる次第でございます。
○鈴木(宗)委員 補償がだめなら、旧漁業権者に対して救済対策資金の融資を設けていただきたいという話が今出てきております。 具体的に、融資枠が九十三億九千五百万、償還期限は二十年後の一括償還、利率は無利息にしていただきたい。この数字の背景は、本土における旧漁業権者に対し措置したと同様の措置、または小笠原、沖縄に対して見舞い金措置が講ぜられておりますので、この取り扱いと均衡する措置をしてほしいというのがこの数字の背景なのですけれども、この点はいかがでしょうか。
○窪田説明員 先ほど申し上げましたように私どもといたしましては旧漁業権に対する補償というものは法律上でき得ないということでございますが、今御指摘の北方地域漁業権補償推進委員会の要望書の話だろうと思いますけれども、これについては現段階では検討中ということでございます。ただ、この中身を若干見ますと、たとえ融資等の形をとったということであるにいたしましても、旧漁業権者に対する補償措置として実施するということにつきましては、これはなかなか難しい、極めて困難であるというふうに考えておる次第でございます。
○鈴木(宗)委員 とにかく旧漁業権者だけを対象にするか、それよりもっと拡大するかは水産庁の方にお任せするとしても、何とか補償にかわる措置として新しいものを検討していただきたいということを強くお願いしたいのですけれども、いかがでしょうか。
○窪田説明員 旧漁業権者に限らない全体の問題ということになりますと、私ども水産庁だけでは何ともお答えできないということでございますが、先ほど申し上げましたように、旧漁業権者に対する補償措置として実施しろということでございますと、これはなかなか難しいということでございます。
○鈴木(宗)委員 背景あるいは歴史的経過等も我々も我々なりに認識をしておるのですけれども、とにかく拳々服膺してでも検討していただきたいと思います。 次に、根室市に、できたら国の予算で北方啓発センターをつくってもらいたいという希望が強いわけであります。ちなみに北方領土返還運動は、根室市で全道、全国大会規模をたくさんやっておるのですけれども、実は年々数が減っております。五十七年は全国、全道規模の大会が十二回で一万一千五百四十人集めました。五十八年は十七回で九千八百五十人。昨年は六回で五千九百二十人と極端に下がってきております。これは、とりもなおさず大きな受け皿がない、いわゆる収容施設がないものですから、どうしても人が集まりにくいし、またそういった大きな企画もできないというのが現状なのです。そういった意味からも、どうしても啓発センター、千五百人くらい収容する大規模なセンターをつくってもらいたいという強い要望がありますし、またこれは領土返還運動に対する一つのばねになるのではないかというふうに考えるのですけれども、この点いかがでしょうか。
○本多政府委員 先生御承知のとおり、北方領土問題につきまして国民の理解を得るためには、一人でも多くの方が現地根室を訪れまして直接北方領土を目で見てもらう、こういうことで、昭和五十三年度以降、北海道とともに私どもも北方領土を目で見る運動というのを主唱してまいったわけでございます。その運動の一環といたしまして、私ども、既に特殊法人であります北方領土問題対策協会などを通じまして根室市に北方館とかあるいは望郷の家であるとかあるいは北方領土返還祈念シンボル像であるとかあるいは北方資料館など、いわゆる現地の啓発施設の整備に努めてきたところでございます。 先生今御指摘の啓発センターの件でございますが、地元根室市においては道立による啓発施設の整備を強く要望しているということは承知しておりまして、このような地元の意向が反映され、その実現が図られるよう、調査などに関しまして北海道とも十分連絡を密にしまして協力してまいりたい、このように考えております。
○鈴木(宗)委員 今審議官がおっしゃったとおり、道ではことし百万円の調査費をつけて、どのような施設がよいか検討に入るということになっておりますけれども、道の方としましては、道の調査が終わった段階でできたら国にも持ち上げたいという希望を、はっきり言って持っております。そういった場合、国の方では検討してもらえますでしょうか。
○本多政府委員 現在のところ、私ども、啓発センターというのは、根室市にございます公民館でございますか、これが老朽化したということもございますので、いわば北方領土の啓発センターを含めた多目的なセンターとして設置しよう、こういうことの構想以外につきましては詳細に承知しておりません。したがって、私どもは、まずその調査の企画、設計等につきまして北海道の方々から意見を聴取するなりあるいは意見を求められれば意見を言うなり、そういう形で当面は調査そのものに対して協力をしてまいりたい、当面はそのように考えております。
○鈴木(宗)委員 この問題につきましても道ともよく相談をして、また、陳情が上がってきた際最善の協力といいますか努力をしていただきたい、強く重ねて要望をいたします。 次に、北方地域の墓参の再開についてお尋ねしたいと思います。 昭和三十九年から八回実施されてきた北方地域の墓参も五十一年から中断をされております。特に、旧島民の皆さん方は高齢になりまして、何とか元気なうちに墓参をしたいという切々たる気持ちを持っております。外務省は身分証明書のみで、いやソ連はパスポートだとかビザだとかといういろいろな問題があろうかと思いますけれども、これは人道的見地から、何とか墓参の早期再開を働きかけていただきたいのですが、いかがでしょうか。
○野村説明員 先生御指摘のとおり、人道的見地からぜひ実現すべく、いろいろな形、いろいろなレベルで申し入れを強く行っていきたいと思っております。 本年度につきましても、既に私どものモスクワの日本大使に訓令を発出しております。墓参の申し入れを行うよう指示してございますので、ここ数日中にはソ連側に対しまして申し入れを行うことになると思います。他方、外交ルートを通ずる努力のほか、例えば、まだ最終的には決まっておりませんけれども、五月の下旬には事務レベル協議等を予定しておりますので、そういう場をとらえましてこの墓参の実現のために全力を尽くしてまいりたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
○鈴木(宗)委員 重ねてこの点もくれぐれもよろしくお願いをする次第です。 次に、北対協の融資事業の拡充強化についてお尋ねをしたいと思います。 一つは、融資の対象範囲の問題でありますけれども、一代限りということで、後継者が対象になってないのでありますが、この点どうでしょうか、もう少し後継者にまで枠を広げてもらいたいという話がありますけれども。
○本多政府委員 先生御承知のとおり、北方領土元居住者の方々に対する援護措置の一つといたしまして昭和三十六年来十億円の基金のいわば運用によりまして低利の貸付事業を実施してきたということでございます。そしてその目的が、法律にも定められておりますとおり元居住者の方々の生活の安定を図るためである、こういうことでその融資の対象者を、たとえ半年であろうとも少なくとも半年という基準を満たす限りにおいては本人あるいはその子等々に対してその融資が認められてまいったわけであります。 先生御指摘のとおり、元居住者の方々の高齢化が進むということで、私どもも地元からこうした融資対象の範囲の拡大ということについての要望が強く出されておるということも承知しておりますので、現在、元居住者の団体でございます千島歯舞諸島居住者連盟に、関連する資料の収集整備等をお願いしているところでございます。
○鈴木(宗)委員 重ねて枠の拡大あるいは対象者の範囲の拡大をお願いして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○大内委員長 佐藤徳雄君。
○佐藤(徳)委員 私は、まず最初に、長官の所信表明の中で触れられました幾つかの問題について長官にお尋ねをいたします。 その第一は、長官の所信表明の中で「私といたしましても、ソ連との平和的な話し合いによってこの問題が解決し、日ソ両国間に新たな友好親善の時代が一日も早く到来するよう最善の努力を尽くす所存であります。」と強調していらっしゃいます。国民にとりましては非常に期待を持たせる発言だな、こういうふうに受け取っているわけでありますが、御承知のとおり、今日の日ソ間における諸情勢というものを判断いたしましたときに、先ほど質問の中でお答えされた中にも触れられておりましたけれども、現実的にはかなり困難があるのじゃないか、こんな感じがしてなりません。さらに、長官もその所信表明の中で「我が国の再三の呼びかけにも応ぜず、依然として北方領土問題についての話し合いの場にすら着こうとしない、」ここう指摘していられるわけであります。 そこで、北方領土問題で日ソ両国がテーブルに着けないという最大の障害は何であると理解をされていらっしゃいますか。
○後藤田国務大臣 先ほども申し上げましたように、やはり国際政治の中における米ソ対立、これが基本的に横たわっておるがゆえにこの問題の解決がなかなか難しいのではないか、私はこう思います。日ソ間には確かに最近政治的にいわゆる冷たい空気がございます。しかし、国際関係というのは、冷たい関係がいつまでも続くということは決していいことではない。ならば、やはり基本はこういう領土問題を解決しなければ本当の意味での日ソ友好というものは育っていかないわけですから、これに対するソ連側への働きかけは先ほど言ったように粘り強くやらなければなりませんが、同時に文化の交流であるとか経済交流であるとか、いろいろな日ソ間の話し合いの場に着く協議の場というものはあるわけでございますから、そういうような場を通じて日本側の基本的な立場というものは毅然としてソ連側に主張もしなければなるまい。同時にまた、ソ連はああいう国柄でございますから、ゴルバチョフさんにかわったからといって急に相手が変わるとは私は思いませんけれども、相当時間がかかると思います。しかし、一国のああいった指導者がかわるという機会は、国際関係では大きな変化を遂げる一つのチャンスの場でもあるわけでございますから、こういったことを踏まえて、今日置かれておる日ソ関係というものは私は必ずしもいい状態だとは思っておりませんので、こういう時期こそソ連側との間に何らかの話し合いを通じて友好親善の機会を拡大をしていく、こういうことが肝心じゃなかろうか、その中においてこういった領土問題も自然にお互い話し合うということができるチャンスが生まれてくるんじゃなかろうかな、実はかようにも思っておるわけです。 ただ、先般国会にも中央委員の何という方でございましたか、お見えになりましたね、議員交流でしたか。あのときの国会内における団長の発言、それから真偽のほどはわかりませんけれども、先ほど調査中だ、こうおっしゃいましたが、一部の新聞の報道するように田中・ブレジネフ会談の未解決の問題、あれは日米の態度が悪いからもう効力がなくなったなんということを一国の大使が発言をする。こういうときには日本人というのは、私もしばしば経験があるのですけれども、言うべきことを案外言わないのですね。あうんの呼吸でお互いにわかる。これは日本人ならいいのですけれども、やはりいけない。言うべきことだけはきちっと言うということが本当の意味での理解を深めるゆえんではないかな、いろいろこういうことも考えているわけですが、指導者がかわりましたから今が一つのいいチャンスではないかな、そういう考え方も持っているわけでございます。 いずれにせよ、こういう問題は早期に解決するとは思っておりませんから、粘り強くあらゆる場を通じて日本の正当性を主張し続けてまいりたい、かように考えております。
○佐藤(徳)委員 そこで、先ほど全会一致で採択されました北方領土問題の解決促進に関する決議の終わった後に、外務大臣並びに長官からそれぞれの決意の一端の表明がございました。それにかかわって若干お尋ねをいたします。 御承知のとおり中曽根総理は、過般死去されましたソ連の最高指導者でありましたチェルネンコ書記長の葬儀に参列をされた際に、そのとき既に後継者として決定されていたゴルバチョフ新書記長と意欲的な弔問外交を展開されました。このことにつきましては新聞も大々的に報道されましたし、あるいはまた参議院の予算委員会等でも、総理みずからがそのときの印象なり会話の内容等について報告をされたり発言をされているわけであります。私から言わせれば、ソ連脅威論を唱えておりました中曽根総理にとっては大変なさま変わりじゃないのかな、こんな驚きもいたしましたし、恐らく国民も一様に驚いたと思っているわけであります。 その際、総理も外務大臣も、グロムイコ外相の訪日の感触の問題やさらには可能性の問題について、ある意味では期待の持てるような発言がなされてきたのではないかと私は記憶しているわけであります。ところがその後の状況を見ますと、先ほどの長官の答弁にもございましたとおり、ソ連側からの反応というのは余り見られなかったんじゃないか。失礼でありますけれども、何か中曽根総理のはしゃぎ過ぎじゃないかというような印象を私は今も実は受けているわけであります。 実はきょうの朝日の二面であります。朝日新聞の二面には次のようなことが掲載されています。「グロムイコ外相 具体的成果あれば訪日 駐日大使強調」という見出しで報道されています。ごらんになったかどうかわかりませんが、つまりこの新聞を読んでみますと、ソ連のアブラシモフ駐日大使は十六日、東京内幸町の日本記者クラブで日ソ外交全般について講演をされた、その内容が掲載をされているわけであります。特に大使はグロムイコ外相の訪日について次のように言っております。「実りあるものになる前提があるなら、今年中に実現するが、旅行のための旅行ならば、難しい。問題は日本側いかんだ」と述べております。まあ新聞でありますから簡単に掲載されたのだとは思いますけれども、さらにその「成果」の内容についても実は具体的に掲載をされています。文化協定の締結の用意の問題であるとかあるいは日ソ善隣友好条約、極東の信頼醸成措置、つまり軍事演習の相互通告の問題であります。それから核兵器不使用協定、長期経済協力協定等の実質審議の用意がある、そして日本側に提案があるならば訪日の際討議の用意があると言っているわけであります。そしてまた「文書を用意して具体的討議に入れるなら、訪日を実現できる。」こう記者クラブで講演をして締めくくっているわけであります。北方領土返還に関して日ソ両国が話し合いに入るという重要な条件じゃないのかなと理解もするわけでありますけれども、これは御承知のとおり、単に北方領土問題だけではなくて日ソ外交にかかわる重要な問題であると思うわけであります。 そこで、この委員会に関係あります北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律の第一条の中にも、御承知のとおりその第一条の後段に次のように書かれているわけであります。「北方領土の早期返還を実現して我が国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約を締結し、両国の友好関係を真に安定した基礎の上に発展させることに資することを目的とする。」とあるわけであります。この法の第一条に照らしましても十分政府がこの問題に対して対応できる問題である、こういうふうに私は理解をするわけでありますが、外務大臣にも直接お聞きすればよかったのでしょうけれども、後藤田長官、先ほどの質問者の話もありましたようにかなり力のある大臣でありますから、この問題、新聞でありますからその真意はわかりませんが、政府は真剣に検討すべきじゃないかと思いますけれども、御見解を承りたいと存じます。
○後藤田国務大臣 チェルネンコ前書記長の葬儀の際に、総理がゴルバチョフ新書記長にお会いをして、そのときに領土問題を総理としては発言をなさった、当然であろうと思います。また先方は、いや領土問題は変更はない、こういうお答えであったというふうに承知しておりますが、いずれにせよ両国首脳がああいった際にお互いに話し合いの機会を持って知り合うということは、両国にとっては意見の食い違いはあっても有意義であったのじゃないかな、こう私は思います。 それから今の朝日新聞、これは新聞の記事でございますから何とも論評の限りではございませんが、しかしグロムイコさんは日本に当然来べきであると私は考えているのです。これは日本から従来何回となしに外務大臣が当方は行っているわけですから、今度はグロムイコさんが来べきであって、それを単なる旅行のための旅行はしないなんて要らざることですよ。当たり前の話。だから、両国間で高級事務レベルの協議等もありますから、話し合いのつけ得るものはつけておいて、そしてそれの取りまとめに日本にお見えになるということだって一つの方法じゃなかろうかな、こう思うのですね。 どうも私は大変残念に思うのは、それは日本けしからぬとおっしゃるのも結構だけれども、みずからの足元もひとつ見てもらいたいな、そうでなければ本当の意味での友好関係というのは生まれないのじゃないかな、こう思います。日本に考え直さなければならぬ点があるならそれは考え直して一向差し支えありませんけれども、ともかく北方四島を占拠し続けて軍事力を強化をするといっていろいろなことをやっておきながら、一方的に日本がけしからぬみたいな発言だけはひとつおやめいただきたいなと、私はそういうふうな率直な感じを持っておるわけでございます。
○佐藤(徳)委員 大臣、これはお読みになっていますか。まだ目を通していられませんか。
○後藤田国務大臣 私は一つの新聞で見ました、何新聞だか忘れましたが。
○佐藤(徳)委員 新聞ですからと断った上でお尋ねをしたわけでありますけれども、しかし日本記者クラブでの講演でありますから、いずれ私どもはその中身というものをぜひ知りたいし、政府の方も十分承知していただいて今後の対応をぜひとってもらいたい、こう思うわけであります。ぜひひとつこの講演の中身を入手して私どもにその資料をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○野村説明員 先ほども答弁いたしましたけれども、事実関係を調査いたして、日本記者クラブの講演でございますので、外務省の方から具体的にそれへ出ているという形ではございませんので、どの程度正確に把握できるかどうかわかりませんけれども、事実関係を調査してまいりたいと思っております。
○佐藤(徳)委員 長官、お答えの中のお気持ちはわからないわけではありませんが、しかし少なくとも外交問題でもありますし、民族的悲願でもありますから、何はともあれけんか腰で話をするということにいかない、こう私は思うのであります。それは日本は日本の実情、ソ連はソ連の実情なり立場があって、いろいろな問題の提起をしているんだと思いますけれども、そこを一歩踏み込んでこの問題の解決に当たらなければいかぬ、こう実は思っているわけであります。したがいまして、両国がこの問題についてテーブルに着かない限り問題の進展はないということは明らかでありますから、したがって話し合いに着くための条件の整備、さらに長い問題であろうとも、政府の構想、そして将来の展望をどう描いておられますか、見解をお尋ねいたします。
○野村説明員 特に北方領土問題につきましては、やはり話し合いのテーブルに着ける、着かせるための努力を最大限やらないといけないという点については私どもも同じ認識を持っております。ただ、グロムイコ外務大臣の訪日という問題につきましては、私ども基本的には、例えば個々の条件なり前提なりをつくらなければいけないというふうな認識は持っておりません。これは外相間定期協議でお互いに東京、モスコー交互に開催するというしっかりした合意があるわけですし、前回行きましたのは私どもの園田元外務大臣が七八年に行っておりまして、来るべき番はグロムイコ外務大臣であるという認識でございます。グロムイコ外務大臣自身もその点についてははっきりと認識を持っておられまして、前回のニューヨークにおきます両国外務大臣の会談におきましてもその点をはっきりと私どもの方に言っております。ですから、個々の条件のもとというのではなくて、グロムイコ外務大臣の訪日自体が日ソ関係の今後の展望にとって有意義である、そういう見地からこの早期実現に努力してまいる、そういう考えでおるわけでございます。
○佐藤(徳)委員 前提をつくらなければならないとは思っていない、こういう御発言でありますが、先ほどから繰り返されておりますとおり、とにかくこの問題は解決済みだという一点でソ連側が押し切っているということだと思います。それをさらに前進させるためには、あるいはグロムイコ外務大臣に訪日してもらう、こういうためには、一定の条件づくりをやはりしなくてはいけないのじゃないか。そうじゃないと、すれ違いで終わってしまうわけですね。そういう意味の条件づくりは一体ないのかどうかということを聞いているのでありますから、その辺でお答えいただきます。
○野村説明員 現実の問題としまして、外務大臣の定期協議、相互訪問ということになりますと、全く具体的な成果のない訪問というのはないのだろうと思っております。そういう見地から、どういうことがあり得るか、なし得るかという面での検討あるいは日ソ双方の努力は行っております。これはゴルバチョフ書記長が中曽根総理に対しまして、いつどういう形でグロムイコ大臣の訪日を実現するかをお互いに話し合っていこうじゃないかと言っておるわけでありまして、そういう見地からは日ソ双方が今後とも努力をしていくつもりでございます。
○佐藤(徳)委員 時間も限定がありますから余りこれ以上やりとりすることはできませんけれども、別な問題に入りますので、今の問題について締めくくりの意味で長官、ひとつ考え方をお聞かせいただきます。
○後藤田国務大臣 今、ソ連課長がお答えいたしましたような経緯もございますので、やはり双方が話し合うことができる環境を整えていくことは大変必要なことであろう、私はこう考えております。
○佐藤(徳)委員 それでは次の質問に入ります。 御承知のとおり、法第十条は北方領土隣接地域振興等基金の問題がうたわれているわけであります。この第十条に基づいて附則第四条では、北方領土隣接地域振興等基金の財源に充てるための資金に係る補助金の交付について触れられておるわけでありますが、これは先ほど自民党の方の御質問にもありましたけれども、交付の期限が実は限定をされているわけであります。基金の全体的な計画を明らかにしていただきたいと思います。
○本多政府委員 先生御指摘のとおりでございますが、特別措置法におき良しては基金全体の規模についての明文規定はございません。ございませんが、北海道が設けます基金の額というのは、昭和五十八年度から五年度以内を目途に、国が交付する補助金の額に四分の一に相当する額を加算した額を下回らないもの、こういうふうに規定されております。基金の全体規模をどの程度にするかにつきましては諸般の事情を総合的に勘案して対処すべきものである、こういうふうに考えておりまして、関係方面とも十分協議しながら検討していく必要があるだろう、かように考えております。
○佐藤(徳)委員 もっと具体的に答えていただきたいのですが、先ほど長官の答弁の中にありましたけれども、政府が八億、北海道が二億、こういうことで間違いありませんか。
○本多政府委員 間違いございません。
○佐藤(徳)委員 そういたしますと、計画としては五年間に百億の基金財源の確保、こう理解してよろしいですか。
○本多政府委員 百億といいますのは、この法律の制定過程におきまして出てまいった議論であると承知いたしておりまして、五年間に百億という、これはいわば一つの努力目標として位置づけられていると理解いたしております。確かに現在のところ五十八年度から六十年度、この三年度でございますので、各年度、北海道の二億の分も含めますと六十年度までで三十億の基金が造成されたところでございますが、私ども政府といたしましては、百億という約束をすることは、こういう財政事情でございますので明確にしたことはもちろんございませんし、ただ、そういう目標の設定が行われたことも私ども承知しておりますので、財政状況下において最大の努力を払っていく必要がある、かように考えておるところでございます。
○佐藤(徳)委員 努力目標である、こういうお答えであります。しかし少なくとも経緯を調べてみますと、大体五年間で百億、この基金財源で運用する、私どもは実はこういうふうに理解していたわけであります。つまりそのことが現実的には半分なんですよね。半分がいいとか悪いとかという意味でなくて、この法律ができ上がったその趣旨からいって、地域振興、住民の生活安定、ここに基盤を置いているわけでありますから、該当する隣接地域、いわゆる自治体、市や町、これは当然当初から幾つかの計画を立てておったと思うのであります。しかし財源的に現実には半額ということになっておりますと、計画の変更を実は余儀なくされているのではないか、こういうふうに思わざるを得ないわけであります。先ほど長官の答弁の中にも触れられましたとおり、かなりこの問題については重要視しているわけでありますから、そういう意味でかなりの上積みを現地も期待しているし我々もそうしなければいけない、こう実は思っているわけでありますが、今後の見通しについて政府の見解をお尋ねいたします。
○本多政府委員 先ほど申しましたとおり、この厳しい財政状況下におきまして、現在のペースで基金を造成してまいりますと、目標額と言われます百億に達することはもちろん不可能であることは承知いたしておるところであります。しかし、少なくとも国が北海道の基金に対しまして助成します八億、これはいわば満額査定ということでございますので、確かに百億という目標額に比べますと、現在のところその半分のペースで進められているわけでございますが、先生、この厳しい財政状況下ということをひとつ御了解いただきまして、私どももちろん最大の努力を払って来年度も今年度と同じような努力を重ねていきたい、こういうことでございますので、それ以降の先の見通しにつきましては、私ども現時点において何とも判断いたしかねますということでございます。
○佐藤(徳)委員 そういたしますと、附則第四条には明確に期限が限定されているわけであります。「国は、第十条第二項の規定により北海道に対して交付すべき補助金については、昭和五十八年度から五年度以内を目途として交付するものとする。」こういうのが第四条に規定されているわけであります。そういたしますと、百億円の努力目標には達しなかったけれども、法律そのものからいえば達しなくても限定された期限内で終わらざるを得ない、こういうふうに理解してよろしいのですか。
○本多政府委員 その法律の制定の過程におきまして、百億円という額を明文化すべきでないかという御意見もあった、そういう経過があったというふうにも理解しておりますが、結果的にはその額が明記されなかった、したがって百億円は努力目標額である、私どもといたしましてはこういうふうに理解しているところでございます。そしてまた、現在のペースでいけば昭和六十二年度におきまして確かに目標額の半分しか造成されないであろうということは予測されますが、それ以外のことにつきましては、現時点において見通しが不透明であるとかいうこともございますので、明確な見通しを立てることは非常に難しい、こういうことでございます。
○佐藤(徳)委員 この法律ができ上がった経緯なり趣旨から考えまして、ただいまの答弁については極めて不満であります。時間もありませんから、いずれまた機会がありましたら、現地の状況等をよく調べまして再度質問いたしますから、この問題については留保しておきます。 さて、次に、北方領土隣接地域振興等基金についての造成額、運用益、事業内容を年度別に明らかにしてください。
○本多政府委員 昭和五十八年度におきましては十億円の基金から生ずる運用益の実績額は約三千二百万円ございます。 総務庁の所管について申し上げますと、この運用益のうち一つは世論の啓発関係でございますが、北方領土返還祈念シンボル像祈りの火の点灯事業に約百万円。それから元居住者の援護等の事業につきましては、先ほど申し上げました千島歯舞諸島居住者連盟の育成強化のための相談員の設置事業及び北方領土における元居住者の体験を記録として収集保管する通称北方ライブラリー製作事業に五百万円が充てられている、こういうふうに聞いております。 昭和五十九年度におきましては、現在北海道におきましてその実績を取りまとめているところでございますが、基金は前年度と同額の十億円の造成でございますので、五十八年度分とあわせまして二十億円の造成でございます。そして、その運用益につきましては約九千三百万円程度が見込まれております。 その使途でございますが、総務庁所管関係につきましては、例えば地域住民の研修会であるとか少年弁論大会など啓発行事の開催とか、先ほど申しました北方領土コーナーの設置等世論の啓発事業に約一千二百万円、それから五十八年度からの継続事業でございます千島歯舞諸島居住者連盟の相談員の設置事業等々に約一千万円が充てられているというふうに聞いております。 なお、地域振興に係る事業の実績等につきましては、北海道開発庁の方から答弁していただきます。
○滝沢政府委員 北海道開発庁の所管の分について御説明申し上げます。 五十八年度は北方領土隣接地域の振興対策関係の基金の配分額が二千五百六十万円でございます。 その使途でございますが、根室地域のホタテとか、そういう貝類の水産資源の増大対策事業に使用しております。 それから五十九年度でございますが、七千九十四万円を見込んでおりまして、事業内容といたしましては水産資源の増大対策事業のほかに、新たに水産加工研究開発事業、漁業経営強化対策特別事業、その他社会、文化、生活関係の事業に幅広く使用することとして見込まれております。
○佐藤(徳)委員 この基金の利率は幾らになっているのでしょうか。
○本多政府委員 五十八年度につきましては十億円の基金でございますので、その運用益でございます。これが三千二百万円でございます。(佐藤(徳)委員「利率です」と呼ぶ)いわゆる十億円の基金を運用することによって得られる果実でございます。(佐藤(徳)委員「パーセントを聞いているのです」と呼ぶ)これは約三・二%、途中から基金が造成されましたために、運用益が若干低くなっております。 それから、五十九年度でございますが、約九千三百万円の運用益でございます。二十億でございますので、約五%程度ということになります。
○佐藤(徳)委員 それでは、法第六条、御承知のとおりこれは該当地域が一市四町であります。この法第六条には一市四町の意見を聞かなければいけない、そして道知事の計画作成、それから内閣総理大臣の承認申請に基づいて、その第二項では、計画に定める事項が八項目規定されているはずであります。それを前提にいたしまして、次のことをお尋ねいたします。 地域住民並びに市及び町の地域振興及び住民安定のための主な意見はどういうものでありましたか、具体的に把握していらっしゃいますか、その事例を示してください。
○滝沢政府委員 お答えいたします。 法六条に基づく手続関係につきましては、法に書いてありますように北海道知事が安定振興計画を策定し、内閣総理大臣が承認する、北海道の計画をつくる際に地域の市町の意見を聞くというふうになっております。私どもが聞いておりますのは、この法律が施行されましたのが五十八年四月でございますが、五月に現地に一市四町が、計画についての意見をくみ上げるというか申し上げる関係市町の連絡協議会をつくったと聞いております。それで道は、その場を通じまして地元からの意見を具体的に聞きまして原案をつくり、それを何回かフィードバックしまして、八月に原案を内閣総理大臣の承認を受けるべくこちらに提出してきたという経緯でございます。 その内容については細部にわたりますので省略いたしますけれども、北海道庁から聞いたところによりますと、あの地域は、法律に基づく非常に広範な具体策が論議されたわけですが、一番重点となるのは北方領土が未解決であるということに伴うあの地域の水産業の振興対策を重点的に取り上げるべきだという意見が非常に大きな意見たつた、もう一つは、あの地域はかなり広範な地域で、地域の交通ネットワークを確保するという意味で中標津空港を重点的に整備してほしいというような御意見があった。そのほかたくさんの意見があったように聞いておりますけれども、いずれにしましても、道が原案を固める際には、ではこれで内閣総理大臣に承認を求めるということにつきまして、現地の方では異存がないという確認を取りつけて出してきたというふうに聞いておりまして、私どもも、そういう経緯を踏まえまして、関係省庁の協力のもとに現在の振興計画を承認したというふうに取り進めてきた次第でございます。
○佐藤(徳)委員 そういたしますと、基金運用でありますから、財政的にも限定があることは承知しています。それで、出された意見が全部反映できるとは限りませんけれども、今、重点的な報告があったわけでありますが、それらの意見が計画の中に生かされた、こういうふうに理解してよろしいでしょうか、そしてまた、生かされたとすればそれは一体どういう成果であったのか、そして、問題点は何が残っているのか、あるいは課題は何であるのか、その辺についての見解をいただきます。
○滝沢政府委員 計画は五十八年度から五カ年という計画でございまして、その途上にあるわけでございますが、私どもは、年々の予算の編成並びに実施計画を組む段階におきまして、現地から要望を聴取しまして、その要望を各省に検討していただきまして、趣旨に沿うように進めてきたわけでございますが、現在までのところは、与えられた条件下では地元の要望にほぼ沿うように対処してきたと考えております。
○佐藤(徳)委員 だから、私は先ほどの質問の中でも触れましたとおり、この法律には五年という限定があります。したがって、当初百億円というのが努力目標でありましたけれども、現実的にはその半分しか達していません。そうなりますと、当初の段階で該当市町が期待していたものとは若干後退をしている、実はこう考えざるを得ないわけなんであります。そうなりますと、法律で規定されております五年が来たからこれで終わりですよということになれば、この法律をつくられた趣旨からいって前進しないのではないか、こんな判断をするわけでありますけれども、延長すれば事足りる問題ではありませんけれども、財政上の問題あるいはさらにこの期間が延長されるような状況を考えていらっしゃるのかどうか、お答えいただきます。
○本多政府委員 先ほども申し上げましたとおり、私どもといたしましては、この厳しい財政状況下ではありますが、地元の方々の御要望等を十分踏まえた上で最大限の努力を払ってまいりたい、こういうふうに思います。
○佐藤(徳)委員 最後に、私は、この法律が返還運動に対してどのように機能しているかということについてお尋ねをしたいと思います。 昭和五十七年の八月六日にこの特別委員会が開かれたはずでありますが、そのときの会議録を読み返してみました。そうしますと、島田琢郎委員の発言の中にこういう部分があるわけであります。少なくとも法律の目的というのは非常に重要な意味を持っている、その目的どおりに法律が機能していかないということになれば、法の体裁上もおかしいし、あるいは法をつくった意味もないということを指摘しているのが実はこの会議録であります。 そこで、あれからかなり年月がたっているわけでありますけれども、北方領土返還運動はさまざまな形で行われていると思うのでありますけれども、返還運動そのものに、何年か前に島田委員が指摘したようなそういう状況を思い起こしてみて、法律が今日一体どのように機能していると考えていらっしゃるのか、ひとつ具体的に明らかにしていただきたい、こう思います。
○本多政府委員 北方特別措置法に基づきまして内閣総理大臣が北方領土問題等の解決の促進を図るための基本方針というものを決定いたしました。これは五十八年でございます。その基本方針におきまして、国民世論の啓発に関する事項についてその基本的な方向さらには重点的な推進方法、こういうものが定められているわけでございます。 また、この北方特別措置法に基づきまして、先ほど来先生から御質問がございました北方領土隣接地域振興等基金、これにつきましても、その基金の補助対象事業といたしまして北海道内における世論啓発事業を取り上げております。財政面からもこれを助成する仕組みが制度化されている、こういうことでございます。 具体的に申しますと、この北方基金が創設された後、五十八年度、五十九年度でございますが、補助金でもって地域住民の研修大会であるとか、少年弁論大会であるとか、キャラバン隊の派遣事業であるとか、北方領土返還祈りの火の点灯事業であるとか、北海道内の各地において開かれます雪祭り会場での北方領土コーナーの設置事業であるとか、電光スポットによる啓発事業の実施とか、そういったことでこの基金の運用益から法の趣旨に沿いまして事業を推進しているところでございます。
○佐藤(徳)委員 時間が参りましたので、残余の時間については島田委員が行いますのでこれで終わりますが、最後に、きょう決議をされたその中身というものが十分生かされますよう、特に長官のこれからの行動に対して期待をして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
○大内委員長 島田琢郎君。
○島田委員 佐藤委員の質疑の中で、五十七年に実は私が北方地域振興法の制定に当たりまして深くかかわってまいりまして、かなり細かな計算まで、百億を中心にしてやりとりをいたした経緯がございます。そのとき本多さんはどういうポストにおられましたかな。
○本多政府委員 私は、北方対策本部ではございませんで、当時の総理府の統計局に奉職いたしておりました。
○島田委員 それなら、ちょっと復習をする意味で申し上げます。 当時、百億というこの基金をつくるという話が実は法律の中心になっていたのです。そして、この百億をどう使っていくのかという点もこの法案作成の大変重要な柱になりました。したがって、極めて相関関係があるわけです。ですから、その百億が、当時議論された予定どおりに積み上げられていくことが前提にないと、北方地域の振興という問題には大変そこを来すという点が一つあるのであります。きょうはそういう議論をやっている暇がございませんが、この百億という数字を基金として五年間に積み上げた場合にその運用益はどれぐらいになっていくか、地域の振興費として使う場合の大変大きな財源でありますから、その目安を立てないではやれないわけであります。 先ほどのことをもう一遍お聞きいたしますけれども、五十八年度、利回りは幾らで、五十九年度は利回りが幾らで総額幾らなのか。
○本多政府委員 五十八年度におきましては利回りは三・二%でございます。五十九年度におきましては利回りは四・七%程度でございます。
○島田委員 総額は幾らですか。
○本多政府委員 失礼しました。総額、五十八年度においては三千二百万円、五十九年度においては九千三百万円でございます。
○島田委員 そうすると、この二年で一億二千五百万になるということですね。 ところが本多さん、私たち当時、これは議員立法でございますから与野党間で理事会を頻繁に開いて協議をしたり、あるいはそのほかの場所でもいろいろ協議をいたしましたが、そのときの計算は七・六%の利回りで計算しようということになっていたのです。それは根拠があるのです。当時、地方交付税が問題になりました。これが北海道庁に毎年行っている最近の額である、そうすると北方領土地域の一市四町の皆さんは、それは北方領土のために来た交付金なのだから優先して使わせろ、もっと極端に言えば我々のところの振興費に使えという意見がございました。これは、ごもっともな話なんです。ところが、その他大勢の交付金で行くものですから、そこだけ区分けするわけにいかないという問題が地元にはあるわけですね。それではかわいそうだ、気の毒だから切り離す策を考えようというのも発想の一つの原点にあったわけです。そのときの九億がらみの交付金相当額をどうやって生み出すかというところから百億のキャパシティーが出てきたわけです。それは五年間ぐらいの期間で積み上げないと議員立法までつくってやるには意味をなさぬじゃないか、政府はおやりにならぬから議員でやろうや、こうなったのです。それは政府側としても最大限の努力を払うということを何回も念押しして、まさに我々にしてみれば確約をしたつもりでこの法律をつくったわけなんです。しかし、私自身は非常に心配でした。あなた方がおつくりになる法律だけではとても政府は実行せぬなという考えも私にございましたので、社会党は単独でこれの対案を出しました。——ちょっと言い直しますが、百億で計算して七・六%の利回りでいくと交付金九億に達しないのです。ですから、二十五億積み増しして九億がらみの運用益を生み出すというふうにしないと理屈に合わない。ところが百億に固執したものですから、百二十五億で五年と言わず三年ぐらいの努力をせよということを法律に盛り込んで、法律に明記して対案としてここで議論したのです。残念ながら多勢に無勢でしたから負けたのですが。ところが、負けたのをいいことに三年たってもまだたった八億ぽっちしか出さないで、ことしを入れたって国が出すのは二十四億でしょう。今佐藤さんが言われたように、これではまるで息が切れてしまいます。法律までつくって地域振興を図ろうとした意味というものは、全くゼロとは言いませんが、まことにこの法律の持つ効果は薄過ぎるんじゃないでしょうか。そういう経過があるのです。九億という問題は私どもの提案が敗れましたから仕方がありませんが、しかし今お聞きすると三・二%とか四・七%、こんな低利の金、どこに積んでいるのですか。私は納得できません。当時七・五%程度の利回りを目標にして最も有利な基金の運用を図っていくという約束を政府はしているのです。でたらめ過ぎるのではないですか、こんなのでは。
○加藤説明員 御説明不十分だった点を補足させていただきます。 この基金に拠出された金額は、北海道においては国債と根室地域の民間金融機関の定期預金によって運用をいたしております。したがいまして、国債については六、七%、細かい数字はちょっと失念して御無礼いたしますが、また定期預金にはしかるべき、これも六・七%程度の利率になっております。 ただ、その利払いの時期がまちまちになっておりまして、国債で運用されても利子によって、それの運用の果実が北海道のその基金に還元されてくる時期が必ずしも、例えば五十八年度で参りますと五十八年度中に来ないとかという状況になりまして、その利率分、運用額に利率を掛けた数字が一〇〇%手元に来ないという状況が起こるのであります。したがって……(島田委員「ちょっと待って、私はそんなことを聞いていない」と呼ぶ)したがって、総体的には、ならしますと、当該年度だけをとりますと、十億を預けましても利払いの関係で七%に見合う相当分が来ないで、結局実質的には三%か四%という利回りになってしまうという説明を審議官の方から申し上げたわけでございます。
○島田委員 私の聞いているのは、どこに積んであるのですか、だれが管理しているのですか、そして、そこで生まれる金利は幾らかと聞いているのです。さっき金利は六・何%とか言いましたね。
○加藤説明員 したがいまして、道庁が道に置かれた基金の運用といたしまして、国債で運用されているのが全体の八割でございます。残りの二割を地元の金融機関に預け入れるという形で運用がなされているわけであります。
○島田委員 運用はわかるのです。そういう運用をしているのはわかる。しかし、金利がえらい低いじゃないですか。あなたのおっしゃっているのは、実際に果実として使うときの利回りがこれだという説明ですか。
○加藤説明員 まことに舌足らずで申しわけありません。 例えば八億円の運用を国債で行う場合、五月に国債を買っても、四月までの、その年度が終わる三月いっぱいまでの金利分が三月中に入ってこないという事態があります。それは年が明けませんと、五月、六月にならないと利子が基金の方に還元されてこないという事態が起こります。 したがいまして、その当該年度だけをとりますと、八億に見合う利子が国債の額面であります例えば七%とか八%に満たない場合が起こり得るわけでございまして、八億の運用については、実質的には三%とか四%の金利に相当する金額しか手元に来ないという事態が起こっているということでございます。
○島田委員 そういう事態もあるでしょう。それはわかります。ただ、とにかく二十四億、北海道が二億ずつ積み上げて、それで三十億積まれていますね。ですから、この三十億から生まれる利子相当額が運用費として使われる。これは全部であるのか、その一部であるのかはいろいろあると思います。ただ、当初我々が一生懸命ここで議論したときは、利回りは七・六と見て計算していく、それであと九億の交付金、現に行われている交付の交付金に満たない部分については一般財源等でフォローして地域振興を進めていかなければならぬという話で折り合ったのです。今お聞きすると、年度の利子の入ってくる時期がずれたり、いろいろなことがあるということはわかるにしても、どうも金利水準は低過ぎる。国債だけではない、ほかにも積んでいるというお話でありますけれども、これじゃ運用益を地域振興に使うという金額としては当てが外れたということになってしまいますね、本多さん。これは当初の地元の皆さんの期待は、どんなことをしたって百億がちゃんと積まれれば、毎年毎年七億や七億五千万の金は使えるという当てを立てているのですね。これならいつまでたったって、とてもじゃないが、地元の期待するような数字は生まれっこないじゃないですか。
○本多政府委員 この基金の目標額は別といたしまして、基金の目標額が達成された後におきましてはその基金の運用益は平準化といいますか平年度化されますので、ある年には利率が高くというようなことはなくなると思います。現在基金を積み立てている経過期間でございますので、こういった逆算すれば利率が低いというような現象が起こりますけれども、完全に基金の積み立て、造成が終わった後の年度におきましては、そういったことはなくなる、こういうことでございます。
○島田委員 この前もそういう念押しを僕が随分やったら、大丈夫ですよというお話だったんだ。大丈夫でないから、今本多さんがそう言っても私はにわかに信用いたしかねます。 時間がなくなりましたので、外務省からおいでをいただいておる件についてちょっとお尋ねをしておきたいと思うのです。 北方領土の墓参の問題でございますが、これは政治的なものが含まって、なかなか思うように旧住民の皆さんの期待どおりに進展していかない。現状どうなっていて、そのネックは何で、見通しはどうなって、その可能性があるのかないのか、一遍にお答え願いたいと思うのです。
○野村説明員 北方墓参の問題につきましては、これは人道的な問題でございまして、私どももできるだけいろいろな形で実現に努力してまいらなければならない問題だという強い認識を持っております。 先生御承知かと思いますけれども、昭和三十九年から五十年まで、途中の中断はあったものの北方墓参が実現してまいりまして、そのときには私ども、身分証明書というドキュメントで入っていったわけでございます。ところが、五十一年に突然ソ連側から、過去のそういった慣行を無視しまして旅券、査証を取って入国してくれということを言ってまいったわけでございます。私どもの主張している領土に旅券、査証を持って入るというわけにはいきません。したがいまして、そういうことから遺憾ながらもう九年間北方墓参が実現しておらないというのが実情でございます。とはいうものの、これはやはり人道的、特に高齢者になられるという状況もございますし、外交ルートあるいはそれ以外の日ソ間のいろいろな協議の場がございますので、あらゆる努力をして実現に向かっていきたいというふうに思っております。ことしにつきましても、もう既に訓令を発出しておりますので、そのフォローアップをいろいろと考えてまいりたいというように思っている次第でございます。
○島田委員 いろいろと考えてみたいという部分でお聞きをしたいのですが、具体的に何か策がおありですか。
○野村説明員 何分領土問題に直接絡んだ問題でございますので、非常に難しい点があるわけでございますが、私どもとしましては、そういう政治の問題ではなくて人道的な見地から強く主張するということでやっていきたいと思っております。ソ連側に特に人道的見地からする私どもの立場、考え方、理解を求める、そのための努力をやっていく以外に今のところ具体的に方策としてないのが遺憾ながら実情でございます。
○島田委員 せっかく後藤田長官とお会いして一遍もしゃべりもしないで終わってしまうのは残念でありますから、大臣の見解もちょっと聞いておきたい。ついでに、先ほど私が本多さんや皆さんとお話をした件、賢明なる長官ですからのみ込んでいただいておると思いますが、私はどうも納得できないのですね。運用益がわずか三十億だといったって、これはもっと期待していい金額になっていなければいけない。それが急がれるから、わざわざ議員立法であれだけの大論争のもとでこれはでき上がった法律なんです。それを裏づける予算がさっぱり——基金そのものを使えるならいいですよ。その基金の運用益を利用しようというのに、これではどうもなりません。六十一年度以降どんなことをしても、大物長官のいらっしゃるときに目的の百億はちゃんと積んでもらうようにぜひこれはやっていただきたい、こう期待を強く持つのですが、どうですか。
○後藤田国務大臣 基金は国債と定期預金ですから、これは金利を調べれば何ぼでもはっきり出るのです。ただ、いかにも少ないなという御印象はもっともです。それで、別段運用の仕方が悪いとかなんとかというのではなくて、初年度は、私の今承知しておるのでは恐らく八月ごろに出たのではないですか、そうすると、初年度の分はそれ以降にしか金利とか国債の利子がつきませんね。次の年は全部入ります。ところが、翌年度の分は、今まで二年間だから三年目だ、その次の年も最初に入れておけば何ということはありませんけれども、それがおくれればまた次の年の分は減る、こういうような順送りの形になっておるので、最終はそろばんではじけばはっきりすることですから、私は運用の仕方についてとかく問題があるということではなかろう、説明が少し舌足らずではないかなというふうに理解しておりますが、御疑問があれば後でまた事務当局から詳しく御説明をさせたいと思います。 なお、百億の問題、これは私議員立法のときの経緯を承知しているのです。それで、政府との間にいろいろなやりとりがございまして、その結果、とにもかくにも八億、二億ということでスタートしたわけです。そうなると、五年間というめどがありますから、それでは五十億ではないかという御不満があるのは百も承知しております。それを今後どうするかということは、その時点になって改めて検討をしなければならぬのではないか。今直ちに、いや最初の約束だから目標額があるのだから百億にすると、ここでお約束するわけにも、政府とあれとの間のいろいろなやりとりがございましたから、そこらは今後の課題ではなかろうか、かように御理解をしておいていただきたい、こう思います。
○島田委員 ぜひ予算をたくさんつけてくれるように要請を申し上げておきます。 終わります。
○大内委員長 この際、午後四時四十分まで休憩いたします。 午後二時五十九分休憩 ————◇————— 午後四時五十分開議
○大内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。斎藤実君。
○斎藤(実)委員 日ソ漁業協力協定でございますが、先ほど御答弁がございましたように、日本側から最終譲歩案が提示をされて、二十二日まで交渉期限を延長し、最後の詰めに入っているわけでございますが、なお十五日には、外務省の柳谷外務次官が駐日ソ連大使に対し協力協定の早期妥結を要請した、こういうふうに伝えられておるわけでございますが、六回にわたりましてソ連側と協議を続けて、難航しているわけでございますが、この新協定が締結された後、実態交渉が引き続き行われるわけでございますが、全体のスケジュールはどうなっているのか、まず最初にお伺いいたします。
○草野説明員 お答えいたします。 御承知のとおり、先生御指摘のとおり、現在サケ・マス関係のもとになります協力協定につきましては、モスクワで最終段階に入った議論をしておるわけでございまして、今後のスケジュールでございますが、これもまだはっきりいたしておりませんが、私ども考えておりますのは、協定ができますと実態交渉に入るということでございますが、手続関係といたしましては、国会の御承認というものもあるかと思います。我々といたしましては、実態交渉につきましても、できるだけ早くソ連側と接触するように努力していきたいというふうに考えております。
○斎藤(実)委員 新しい協力協定が難航しているわけですね。日本とソ連側との相違点は一体何ですか。
○野村説明員 先生御指摘のとおり、難航いたしております。何分交渉は非常にもう山場でございますので、実際の実態の詳細については御勘弁いただきたいのでございますが、ポイントといたしましては、国連海洋法条約の中の遡河性資源の規定、いわゆるサケ・マスの取り扱いに関する規定がございまして、海洋法条約六十六条でございますけれども、それを念頭に置いて、具体的にこのサケ・マス漁獲の枠組みをどうするかということで、過去五回協議がありましたけれども、どうしてもその立場の違いというものがはっきりいたしております。それを鋭意詰めておるというところでございます。
○斎藤(実)委員 聞くところによりますと、なかなかかみ合わない、ソ連側の主張とこちらの主張が。したがいまして、これは日本の海洋秩序を崩してしまうということになれば、これは日本の基本原則を崩すことになる。したがって、なかなか安易な妥協はできないだろうというふうに私ども考えるわけですが、これは妥結をしたとしても国会の承認が必要になってくるわけですね。 それで、我々心配するのは、もう双方ともかけ離れた主張で、どこまでも平行線をたどっていくということになれば、これは五月一日の出漁に間に合わなくなるのですね。したがいまして、今交渉段階ですから、見通し等についてはなかなか難しいと思いますけれども、ぜひひとつ鋭意妥結に努力をしてもらいたい、こう思うわけでございますが、ただ五月一日からの出漁に備えて実際にサケ・マスの漁業関係者が多額の借金をして、漁船の装備だとか、その他人員だとか機材だとかいうのも調えて、早期妥結を願っているわけですが、非常に生活がかかっておりますから、漁業者は大変不安を抱いていおります。特に全国の隻数の約七六%を占めております北海道関係漁業者、そのまた基地の関連産券に与える影響が非常に大きいと思うのですが、もし出漁がおくれてどういう影響が出てくるのか、これはお考えになっておりますか。
○草野説明員 お答えいたします。先ほど先生御指摘ございましたように、これから協定をまとめた上で国会承認も必要ですし、それから別途実態交渉ということになるわけですが、正直に申し上げて、五月一日の漁期に間に合うかどうか、非常に微妙な段階であろうかと我々は判断しております。もちろんどのような影響が出るかにつきましては、これから行います実態交渉の結果がどうなるか、それからもう一つは漁海況の影響がございます。そういったものも十分見ないと、どういう影響が出るかははっきり申し上げられませんが、せめて現段階こういうことになるというのは、まだ申し上げられる段階ではないのじゃないかというふうに思っております。
○斎藤(実)委員 ソ連の非常にかたくなな強い姿勢から見て、この交渉はなかなか難しいだろう、長期にわたるのではないかというふうに判断されるわけですね。 それで、かつて昭和五十二年の二百海里海域実施に伴って減船のときには、日ソ漁業交渉の遅延に伴って休業を余儀なくされた漁業者に対しまして当面の緊急融資を行いましたね。政府は交付金を支出いたしましたし、手厚い救済措置を行っておるわけでございますが、今回例えばおくれて大きな被害が出た場合に、国のこういう措置をとる用意があるのかどうなのか、いかがでしょうか。
○草野説明員 お答えいたします。 ただいま申し上げましたように、その影響につきまして、現段階でどのような影響になるか予測がつきがたい段階でございますので、どのような対策を用意するか等につきましては、現在協定交渉の真っ最中でございますので、鋭意最大の努力をしておりますので、どういうことになるかはっきりいたしません段階で、こうだということはなかなか申し上げられる段階ではないのじゃないかというふうに思っております。
○斎藤(実)委員 交渉の段階で、確かに御答弁はできかねると思いますけれども、最悪の事態をやはり想定して考えておいていただきたい。御要望申し上げておきます。 次に外務省。去る三月十日にソ連のチェルネンコ書記長が亡くなりまして、五十四歳という若いゴルバチョフ氏が新しい書記長に就任したわけですが、ソ連は内外ともに多くの問題を抱えておりますが、このゴルバチョフ書記長の登場によって大きな期待を寄せていると思うのです。また世界もソ連との対話が促進されるものではないかというふうに受けとめ、論評もいたしておりますが、これからのソ連の新体制に対して注目をいたしております。中曽根総理も故チェルネンコ書記長の国葬参列の後、各国の活発な弔問外交の中でゴルバチョフ新書記長と会談をし、その会談内容については各新聞も取り上げておりますし、私も承知しておりますが、私はこの日ソ首脳会談に関して、グロムイコ外相の訪日、あるいは日ソ関係改善の必要性についての認識が一致したということについては、評価をしているわけでございますが、米ソ首脳会談も、ウィーンで来月十四日に決定されたという今日の世界情勢の中で、ソ連のゴルバチョフ書記長の登場について、その対外姿勢、対日姿勢について外務省はどういう認識を持っているのか、お伺いしたい。
○野村説明員 ゴルバチョフ新書記長、これは選出の中央委員会の臨時総会というのが三月十一日に開かれたわけでございますが、その就任演説におきまして政策面での継続性ということを強調いたしております。したがいまして、特に外交面におきましては、グロムイコ外務大臣は長年外交の面におけるソ連の最高の権威とされておるわけでございますが、継続性というのが維持されていくのではないかというふうに見ております。したがいまして、内外政策を含めまして基本路線は前のチェルネンコ政権のものを踏襲していくであろう。したがいまして、対日政策についても基本的には同じような考えを持っております。
○斎藤(実)委員 長官にちょっとお尋ねしますけれども、これは北方領土問題を抱えて、ソ連についての関心も長官お持ちだろうと思うのですが、特に先ほども答弁ございましたように、ソ連とアメリカとの関係、これがなかなか今までぎくしゃくしておったし、日米安保条約というものがソビエトにはかたくなな姿勢というものをとっておるし、私は長官に、特に対米それから対中国、対日姿勢を、新しい書記長が出たということでどういうふうに分析をされているのか。また北方領土問題は避けて通れないという従来の我が国の主張を抜きにしては新たな関係改善はできないというふうにお考えなのか。その辺ひとつ長官お答えいただきたいと思うのです。
○後藤田国務大臣 日本の外交はやはり対米外交、日米関係というものが基本で、この基本の上に立って、そして中国とは御案内のような友好的な関係になっておる。こういったことを踏まえながらグローバルな外交を展開していくのがいいんじゃないか。そしてまた、今ソ連とアメリカとの間にも、ジュネーブでの軍縮交渉その他も再開せられておりますし、多少の変化があるのかないのか、ここらも見きわめながら日本の外交の基本を守りながらソ連との外交に対応していくべきではないのか、相手方の手に乗るわけにはまいりませんので。ただ北方領土問題というのはいつまでも解決しないと、のどにかかった骨みたいなものですから、またこの骨が取れないと、本当の意味での日ソ友好というのは私はあり得ないと思いますね。だから、やはりそういったことを考えながら、いろいろなチャンスで日ソ間の問題として粘り強く、日本としては基本姿勢を守りながら環境条件も整えながら主張すべきものを断固として主張していく、こういうことでなければならぬのではないか。 ただ、ソ連の外交が、ゴルバチョフ氏に交代してどうなるのかということは今外務省当局からお答えをしたとおりじゃないか。やはり集団指導の体制が当分の間は続くのでしょうから、短期的にそう変わるとは思いません。しかしながら、中長期にどうなるか、これも慎重に見きわめる必要があります。 そこらを考えながら双方が自分の主張を述べ合ったにすぎませんけれども、両国首脳がああいったチャンスに会って話し合いの機会を持ったということは、私は日ソ両国にとっても非常にいいチャンスであったのではないか、かように考えているわけでございます。
○斎藤(実)委員 ソ連外交についてはなかなか困難なことがあろうと思いますけれども、けんかをしても始まりませんから、友好関係を進めながら対ソ外交というものを続けていく以外にないと思います。そういう意味で、ぜひひとつ進めていっていただきたいと思うのです。 実は私の選挙区に関連する問題でございますが、北海道にニセコ地区というところがございまして、そこで先般、沖縄の通称グリーンベレーと言っておりますが米陸軍特殊作戦部隊が雪中訓練計画を持っておりました。ところが、雪中訓練をやるだろうということで、これが地元では非常に問題になりまして——ここは有名なスキー場なんですね。地元町民の強い反対がございまして、この計画は中止されたと言われておるわけですが、外務省からこの計画と、中止に至った経緯について御説明をいただきたいと思います。
○沼田説明員 お答えいたします。 今先生が御指摘になりましたような雪中訓練というものを、沖縄におりますいわゆる特殊部隊でございますグリーンベレーが行うようなことを考えているという話を私ども非公式に聞いたことはございます。しかしながら、その後アメリカの方においてこの計画がより具体化する前に中止に至ったということで、要するに、ごく非公式に話があって、その後やめたことになったという経緯でございます。
○斎藤(実)委員 実は昨年十月から十一月初めにかけて、北海道の矢田別演習場において沖縄駐留のアメリカ第三海兵師団と帯広の第五特科連隊との北海道で初めての実動演習が行われまして、また近い将来には沖縄配備のグリーンベレーとの共同訓練も予定されているというふうに私どもは聞いておりますし、北海道の道民も、この問題については大変関心と危惧を持っておるわけですね。こういうことになると、北海道は現実味を帯びた戦争ごっこの場に私は進んでいくのではないかと思うわけでございまして、こうした北海道の沖縄化ということは断じてあってはならないし、後藤田長官、率直にこの北海道の沖縄化ということについてどんな感想を持っておられるのか、お伺いしたいと思います。
○後藤田国務大臣 私は今初めて北海道の沖縄化という言葉を聞いたのですけれども、そんなことあるわけがないと思います。日本はやはり日本として必要な訓練、これは私はやって一向に差し支えないと思います。しかし、道民の方がいろいろ御心配なさっていらっしゃるという気持ちもわからぬではありませんから、そこらは地元で、こういう訓練の際に地元住民によく理解を求めるということが肝心なことではないか、その上でやるべきことは堂々とやるのがいいのではなかろうか、私はかように考えます。
○斎藤(実)委員 ぜひひとつそういうことでよろしくお願いしたいと思うのです。 それから後藤田長官にお尋ねをいたしますが、二月二十一日の当委員会におきまして北方領土問題に関しての所信を述べられておりますね。その御決意に対しては敬意を表するわけでございます。その中で、我が国の北方領土返還要求を推進していくという観点に立って、国際シンポジウムの開催について所要の措置を講ずるというふうに言及されておりますが、この国際シンポジウムの開催のテーマ、時期、場所、規模等について、実際に準備が進んでいるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
○後藤田国務大臣 この国際シンポジウムは、内外のソ連問題研究者を招いて北方領土問題についての正しい理解を深めながら領土返還要求の運動を進めていく、こういうことをねらいにしておるわけでございます。それでこの事業は、御案内の北方領土問題対策協会がこの秋を目途にして行う、こういう予定でございまして、現在、この協会で具体的なテーマ、場所、参加者等について検討が行われておる段階でございます。予算は、八百八十万四千円ばかり総務庁の予算についておる、こういうことでございます。
○斎藤(実)委員 非常に時宜を得た計画だと私は思いますので、世論を国際的に喚起するという意味で心から成功を期待しておりますので、十分世界じゅうの方々にこの北方領土返還のシンポジウムが浸透されるように期待をいたしております。 それから、今年度の北方対策本部予算に啓蒙宣伝費として一億二千万円余りが計上されております。ソ連の脅威をあおり立てたり、ソ連から日本の防衛政策に疑念を持たれたりしている現状の中で、北方領土を返せと叫んでもこれは私は山びことしてしか返ってこないのではないかと思うわけです。ところで、啓蒙宣伝費など、事業費としてその他返還運動関係費、推進委員関係費等が計上されておりますが、事業費といってもほとんど人件費に食われていくのではないかというふうに私は思うのですが、具体的にこの啓蒙宣伝に要する費用の内訳はどうなっておりますか。
○本多政府委員 お答えいたします。 この啓蒙宣伝費一億二千万は、先生御指摘の北方領土問題対策協会が全国的な規模で行う北方領土問題に関する啓蒙宣伝事業に必要な経費でございまして、具体的な中身といたしましては、北方領土問題に関するいろいろな広報、パンフレットの作成、テレビを使いましてのスポット、啓発用映画の作製、北方領土展とかパネルを用いてのいわゆるパネル展、そういう展示会の開催、立て看板といいますか、そういう広告塔による北方領土返還のアピールのための経費、あるいはその広告塔の修繕費、それから現地根室を中心にございますいろいろな啓発施設、例えば北方館と呼ばれておる啓発施設がございますが、その啓発施設における啓発事業、こういうものがこの啓蒙宣伝関係費の主たる内訳でございます。
○斎藤(実)委員 確かに啓発運動は国民の理解を得るために極めて大事だと思っているわけですが、これは予算の関係もございますし、いろいろ問題があると思いますが、北方対策本部予算は十三億四千三百万円となっております。前年度対比で千五百万円余りがプラスになっておるのですが、今置かれている国民の関心、あるいはこの啓蒙運動について時期的にちょうど盛り上がりが出てきたところだと思うのです、ここ四十年の節目にもなりますし。そこで率直に言って十分な施策や事業ができる予算ではないと私は思うのです。そこで、これからの事業の重点をどこに置くのか、お答えをいただきたいと思います。
○本多政府委員 確かに先生御指摘のとおり、北方対策本部に係る予算は一千五百万円の対前年度増となっております。比率にいたしますと、五十九年度に比べまして一・二%の増加でございます。さらに、北方領土問題対策協会の事業等に係る予算につきましては二・九%の増加ということで、こういう厳しい財政状況の中でかなりの増額が確保された。そしてさらに、私どもの六十年度の重点と申しますか、あるいは六十年度以降における重点と申しますか、これは先ほど大臣から御答弁ございましたように、国際シンポジウムの開催、あるいは少年向け啓発資料、特に中学生を対象とした啓発資料の作成、そういうものに重点的に予算を充当したいということで、その結果全体としては先生御指摘のとおり千五百万円の増額ということになったわけでございます。
○斎藤(実)委員 後藤田長官も所信で述べられておりますように、政府間の粘り強い話し合い、国民の理解を得る運動も大事である、これはそのとおりでございまして、私もそう思いますが、長期にわたる問題でございますし、やはり人間対人間の交流といいますか対話を深めて理解を深めていくということも必要だろうと思うのです。この問題に関しまして、政府や財界人によらないで民間外交を進めていってもよいのではないかと思うのですが、予算措置や人選等難しい問題はあるかと思いますが、この点について長官、どうお考えでしょうか。
○後藤田国務大臣 私は、民間のいろいろな団体が政府とは別の立場でお互いに交流を深めていくということは意義のあることだ、かように考えているわけでございます。ただその場合に、先ほどもちょっとお答えをいたしましたが、日本人というのはよその国へ行くとさっぱり言うべきことを言わないのですよ。これではだめなんで、やはりそういった交流に行かれる方は、少なくとも北方領土問題の歴史的な沿革による正当性とか国際法上の正当性というものを十分理解をしていただきまして、やはり述べるべきことはきちんと述べていただく。かえってその方が相手方から敬意を払われるゆえんではないかな、こう思います。事柄自体は大変意義のあることだと考えております。 そこで、これに予算をどういうように考えるかということになりますと、やはりこれは民間がみずから政府に頼らないでお行きになるということが、かえってこれが意味のあることではないか、政府が補助金を出すということは、これはいかがなものかな、かように私は考えておるわけでございます。
○斎藤(実)委員 先ほど長官が北方領土返還の基本姿勢について何点がお述べになりましたね。世界情勢の中で日ソの対立が大きなネックになっているとか、国際的に世論を盛り上げるとか、また国民に北方領土返還の正当性というものを徹底させる、これは極めて大事なことでございまして、もう官民一体になってこの北方領土返還の運動というものを盛り上げていかなければならぬということで、私も心から意を強くしておるわけでございますが、何しろ御承知のような国柄でございますので、極めて困難なことがあろうかと思いますが、ぜひ特段の御努力を心から御要請申し上げて、私の質問を終わります。
○大内委員長 青山丘君。
○青山委員 最近の日ソ関係については、幾らか明るい方向に向かっているかのように見えます。しかし北方領土問題については、ソ連のかたくなな態度は一向に変わらない。先ほどの北方領土の返還要求決議においても述べられておりましたが、戦後既に四十年を経過しようとしているのです。にもかかわらず、北方領土が返還されておらないというまことに厳しい状況にあります。この困難な問題を解決するためには、粘り強く対ソ交渉をしていかなければいけない。そして、その対ソ交渉を支えていくものは国民の一致団結した世論にある。そういう意味では、私たちは後世にこの運動をさらに強めて進めて伝えていかなければならないわけでありますが、それには学校教育が非常に重要な意味を持っている。そういう意味で、きょうは少し文部省にお尋ねをしてから総務庁長官にお尋ねをしたいと考えております。 私は、昨年の当委員会におきまして、現在使われている中学校社会科の教科書は北方領土問題の記述が不十分である、のみならず、生徒に誤解させるおそれのある記述があるということで、後藤田長官に善処されるよう要望いたしました。 文部省に伺いたいと思います。実は昨年八月に民社党の滝沢議員が「教科書検定問題に関する質問主意書」を提出しております。その中で北方領土等の記述について取り上げております。例を挙げますと、一、北方領土を終戦後にソ連は武力で奪ったという事実が明記されていないこと、二、ソ連が占有の有力な根拠にしているヤルタ協定をあたかも合法的であるかのごとき記述をしている点、三、ソ連はサンフランシスコ平和条約に参加していないので同条約によって北方領土に関し何らの権利権限を有していないという点、四、サンフランシスコ条約はアメリカが日本に押しつけたものであるかのごとき記述をしている点、以上の諸点を挙げて、誤りや問題があるので、是正されるべきではないかと質問しております。この質問主意書に対する答弁書において文部省は次のように答弁しております。「教科書検定制度は、教科書の著作を民間にゆだねることにより、著作者の創意工夫を期待するとともに、検定を行うことにより、適切な教科書を確保することを趣旨とするものである。したがって、北方領土等について、教科書にどの程度、どのような表現で記述するかは、教科用図書検定基準に違反しない限り、教科書の著作者の判断にゆだねられている」と答弁しております。そこで私は検定基準を見てみました。検定基準には「教科用図書において取り扱う範囲は、学習指導要領に示す目標並びに内容によっていること。」と書いてあります。そこで、学習指導要領の中に北方領土についてどのような取り扱い方がされておるのか、まずお尋ねいたします。
○遠山説明員 学習指導要領におきましては、小学校、中学校、高等学校の各段階におきます社会科の科目についての内容におきまして、次のように記述されているわけでございます。 小学校の社会科「第五学年」では、「国土の位置」という中で取り扱うことになっております。また、中学校学習指導要領におきましては、社会科の「地理的分野」におきまして「国土の位置、領域の特色と変化」という形で述べられているわけでございます。また「歴史的分野」では「領土の画定」、「公民的分野」におきましては「国家の主権、領土」という中で取り扱われることになっているわけでございます。
○青山委員 学習指導要領の中にそのように書いてありますか。
○遠山説明員 今申し上げました表現をもちまして、領土の問題につきまして学校教育において指導されるように書かれているわけでございます。
○青山委員 それは北方領土についてですか。
○遠山説明員 北方領土という文言そのものは掲げられていないわけでございますが、学習指導要領の解説書であります指導書におきましては明確に、例えば小学校の場合には北方領土の問題について記述をしてこの問題についての関心を持たせるようにというふうに明確に書いてあるわけでございます。
○青山委員 学習指導要領の中に北方領土の件について記入してはありませんね。
○遠山説明員 北方領土という文言を用いて表現はしておりません。
○青山委員 学習指導要領にのっとって検定基準に違反しない範囲において、こういうことでございますから、したがいまして北方領土については検定基準なるものがあるとは私は思えない。そういう状況の中で、やはり子供たちに誤解を与えかねない記述の内容になっている。非常に成績のいい子でも、先生に対して、今さら北方領土の返還運動をすることは無理ではないかという質問をするというのです。それはなぜかといいますと、教科書の記述の結果、例えばソ連の対日参戦がヤルタ協定にのっとってと書いてあるわけです。いかにも合法的な参戦であるかのような印象を与えます。また千島の返還は、サンフランシスコ講和条約によって日本は千島を返還すると約束されております。しかし、その千島の中に北方四島は含まれていないとどの教科書にも書いてありません。子供たちは、あれは当然返還した土地だと誤解をしております。日本はサンフランシスコ講和条約で約束しておりながらなお返還要求をしている、先生それは無理ではありませんかと成績のいい子供が聞くというのです。先生は愕然としている。なぜか。やはり正しい記述がそこにされておらないということだと思います。文部省の御見解はいかがでしょうか。
○小埜寺説明員 まず、北方領土の検定のあり方でございますけれども、先ほど中学校課長から御説明申し上げましたとおり、学習指導要領においては、小学校の五年では国土の位置についての学習、それから中学校におきましては領土の位置、いわゆる領土学習という規定がなされております。したがいまして、私どもの立場からいたしますと、北方領土に関する記述がない教科書原稿が申請されてきた場合には、これは我が国の領土学習ができないということで意見をつけまして検定を通さないことにしております。 その意見のつけ方でございますけれども、私どもの基本的な態度は、まず北方領土の位置について書くということでございます。それから二つ目としましては、北方領土を構成いたしております国後、択捉、歯舞、色丹、この四島の名前を必ず書けというふうにしております。それから三つ目でございます。これは非常に大事な点でございますけれども、北方領土は日本国有の領土である、そして日本はソビエト連邦に対してその返還を求めているという三点が記述されていなければ検定を通さないということになっております。 ちなみに、現在どのように教科書に記述されているかという一例を挙げたいと思いますけれども、ある中学校の教科書ではこのように記述されています。「北方領土」という見出しがありまして、その中に「北海道の北東には、日本国有の領土である歯舞諸島・色丹島・国後島・択捉島がつらなっている。これらの島々は、江戸幕府とロシアとのあいだで結ばれた条約によって日本領とすることが決められ、そののち、明治になって結ばれた千島・樺太交換条約によって、千島列島全部が日本の領土となった。第二次世界大戦後、日本は、サンフランシスコ平和条約によって千島列島を放棄し、現在は、ソビエト連邦が占領している。」「占領」という非常に強い言葉になっている。「占領している。しかし、日本政府は、択捉島より南は、放棄した千島列島にはふくまれていないとして、その返還をせまっている。」という記述例もございます。 それから、先生、先ほどヤルタ協定のお話が出ましたけれども、ヤルタ協定につきましては、私ども、これは密約であるということを明記するように検定意見をつけておりまして、現在の教科書では密約であるという旨の記述がほぼなされております。
○青山委員 今お読みになった教科書の内容、実は私もずっとそのほかの教科書も読んでみました。ただ、日本政府はそれを主張しているというのですけれども、これは客観性を持つかというと、そういう主張だという記述がなされておるだけで、歴史的にこれが事実なのであるということが明記されておらない。 それで、子供たちが北方領土に関する知識を勉強していくときに非常に重要なことは二つあると思う。一つはカイロ宣言、一つはポツダム宣言。米英中三国による一九四三年のカイロ宣言と一九四五年のポツダム宣言があると思います。そしてこのカイロ宣言には二つの柱がきちっとうたわれている。一つは、連合国側はこの戦争によって利益を求めない、領土の拡大を考えていかない、つまり領土不拡大の原則をしっかり打ち出しておるのです。それからいま一点は、日本が暴力によって取った土地、暴力及び強欲によって略取した地域、これはもとの国に返していくという二つの取り決めがなされております。重要なことです。日本はポツダム宣言を受諾して無条件降伏をいたしました。したがって、日本はポツダム宣言を受け入れたわけですから、ポツダム宣言の中には、戦後の領土問題の解決の仕方、つまり領土の問題で処理する方針としてカイロ宣言を適用していく、こういうことですから、当然これは領土不拡大の方針、そして暴力によって取った土地は返していく、こういうことがポツダム宣言でも守られていく、こういうことですね。したがって、北方四島については、択捉島から南、これは歴史的にもかつて一度もソ連の領地になったことはない島であります。したがって、本来ソ連は領土不拡大の原則を守らなければならない義務を負っているにもかかわらず不当に占領している、カイロ宣言、ポツダム宣言の趣旨をみずから踏みにじっているということが非常に重要なことだけれども、こんなことは日本じゅうのどの教科書にも書いてないのです。もう一点は、日本が暴力で取った土地ではない、したがって放棄する必要はいささかもない、にもかかわらず今ソ連に占領されている、こういった一連のことが、小学校の教科書には少し難しいかもしれない、それならば中学校か高等学校の教科書に載っているかもしれないと思って調べてみた。一冊もないのです、こうした教科書が。子供たちに誤解を与えているような内容の教科書で勉強させておいて、事実がきちっと記載されておらないで、我々が幾ら返還運動をやっても、これは逆に言うとだんだん風化していってしまって、日本人の心の中からだんだんと消えていってしまう。まさにそれはソ連がねらっていることではないかということから考えますと、教科書の中のいわゆる検定基準のもとになっている学習指導要領の中に北方領土という新しい項目を一項目きちっと入れて、ソ連の占領の不当性——本当なら私はもっといろいろなことを言いたい。例えば参戦に対する国際法違反であるとか、今申されたようなヤルタ協定などというのは我々が何らあずかり知らないものであること、それから、我々の固有の領土であって、その我々の主張の正当性をきちっと記述して、返還されてこそ真の日ソ友好が確立するんだというような教科書の記述でなければ、子供たちは正しく理解できません。そういう意味で、学習指導要領の中に北方領土の新しい一項目を正しくきちっと取り入れていただきたいと私は思うが、いかがでしょうか。
○遠山説明員 北方領土に関しましては、これが我が国固有の領土であるという立場に立ちまして、現在の学習指導要領に基づきましても、教科書の記述及び学校の現場におきまして指導を重ねているところでございます。 御指摘の点でございますけれども、私ども、大変共感を感ずるわけでございますが、学習指導要領そのものの性格が、実は教育における全国的な教育水準の維持、共通性の確保という要請と、それから、できるだけ事柄を精選して子供たちに基礎、基本を与えなくてはならないという二つの要請がございまして、近年の改訂では、できるだけ事項を精選してまいっているわけでございます。したがいまして、指導要領そのものは大変薄くなりまして、事項が大変精選されているわけでございます。その中で領土問題を書くといたしますと、北方領土だけではなくていろいろな問題があるわけでございますが、その項目について詳しく書いていくということはなかなか難しいわけでございます。その両者の調和点をどこに見出していくかということは大変重要な問題であると思いますが、現段階ではなかなか難しいというふうにお答えせざるを得ないわけでございます。
○青山委員 総務長官、今のやりとりを聞いていただいたと思いますが、昨年、私は後藤田長官にこの教科書の記述の問題についてお尋ねをいたしました。実はそのときに具体的な例も取り上げてお話ししたのですが、長官は、教科書は読んでおらないが、教科書の中にこの種の記述があるならば、領土問題は国家の基本問題であることに対する認識がまことに不十分であり、遺憾千万に思う、教科書の検定問題は文部省でしかるべき処置をすると思うが、国務大臣の立場に立って、やはりこういうことは私は認められない、政府全体として是正に取り組むべき筋合いのものだと考えるというふうに答弁されておりますが、今の文部省の答弁では、学習指導要領の中に北方領土問題を新しく一項取り入れていくという考え方は持っておられない、したがって、今の教科書がそのままこれからも使われていく、そして子供たちは必ずしも正しい理解ができない、こういう状況の中で、ぜひ大物長官のおられるときにこの問題はきちっと取り組んでいただいて処理していただきたいと思います。これこそ後世の国民に北方領土返還運動に正しい理解を与えていく非常に重要なことだと私は思いますので、御所見を承りたいと思います。
○後藤田国務大臣 教科書の記述問題で、私の考え方は昨年お答えをいたしたとおりでございます。昨年もその答弁の線に沿って事務当局から文部当局には申し起さしていただいているわけでございます。そしてまた、きょうの青山さんの御意見を聞きながら、きょうは検定課長もおるわけですし、中学校課長さんもおるわけですから、文部当局は勉強すべき事柄である、かように私は考えます。 ただ、実際は文部省も気の毒なことは私はよくわかっているのです。私は長い間役人をやりましたから、みんな職員は子供を持っていますから、かつて全国から小学生の作文をできる限り集めて検討させたことがあるのです。とてもじゃないが、私どもの常識にはまるっきり反することを子供は書いている。これはおかしいじゃないかということで、教科書を調べろということで教科書を調べたのです。ところが、当時は、このまた記述が、本当にこれはどうしてこういうことをお書きになるのだろう、また、こういうことを何でお書きにならぬのだろうといった疑問点が大変ございました。それは、当時は各省から教科書の記述について文部省に意見をどんどん出しておったのです、今はどうしておるか知りませんけれども。それらを受けて文部省はこれじゃいかぬということで、教科書の記述についての是正といいますか改善といいますか、それを検定の上にも生かしたいということでやっておったわけですね。私は今日、北方問題だけではありません、ほかの記述についても大変よくなってきていると思います。しかし、この努力はまだまだ続けていかなければいけない。私は別に偏ったことを書いてくれなんて言っているのじゃないのです。これはやはり客観的に正しいことは正しいこととして、子供の頭は白紙なのですから、それを教えてもらわないと、教科書に書いてもらわないといけない。同時に、幾ら本に書いておいても教えてくれなければどうにもならないのです。ここらにも問題があるのじゃなかろうか、かように私は考えておるのですが、近年、文部省当局も非常な努力をしていただいておるので、今後さらに、こういう点についてはひとつ文部当局において十分検討していただきたい。これは国務大臣としての私の願いでもあるし、希望でもございます。
○青山委員 ありがとうございました。質問を終わります。
○大内委員長 瀬長亀次郎君。
○瀬長委員 私は、沖縄の石灰石、いわゆるコーラルと言うのですか、この違法採掘についてお伺いしたいのです。 実は去年の八月と九月の二カ月間にわたって総務庁の沖縄の出先機関、沖縄行政監察事務所が調査した結果をことしの一月に発表しているのです。違法行為、違法採掘をやっているところが二十二カ所。町村別に言いますと、長官御存じかもしれぬが、南部の糸満市、具志頭村、知念村、佐敷町、それから離島では宮古の平良市、城辺町と上野村、全部で二十二カ所ですね。それで、これも総務庁の向こうの出先の発表ですが、これで明らかになったことは、周辺農地への被害の問題、それから二番目に流出などによる自然の破壊問題、三番目に文化財保護への支障がもう生まれている、四番目に騒音、粉じんによる生活環境被害などということになっているのですね。この件については正式の発表です。これはことしの一月に発表して、二月七日の現地の新聞ですよ。沖縄タイムスは七段抜きで横見出しで「違法採掘まかり通るコーラル 自然保護に赤信号」、琉球新報は六段抜き、同じ日付です。「違法採掘(コーラル)が横行 沖縄行監実態調査 がけ崩れ原因にも」といったような発表をしているのです。 最初に、長官じゃなくてもいいのですが、総務庁はこれに対してどのような指導をやったか、これは現実に向こうで発表しているわけなんだから、それをお伺いしたいと思います。
○竹村政府委員 ただいまお尋ねになられました沖縄の地方監察の問題でございますが、いろいろ石灰石の違法採掘ということで問題が出ている。そのための措置といたしまして、調査した結果を、関係します沖縄の総合事務局に対しまして指摘をしております。 三つございますけれども、第一は、違法採掘に対します指導取り締まりの強化ということで、まず違法採掘者を特定するための追跡調査を徹底してもらいたい。それから違法採掘業者に対します即時採掘中止指示。それから、中を見ますと違反の常習者がおりますので、その辺の重点指導をしてくれ、こういうのが一つの事項であります。 それから第二番目の事項といたしまして国の関係、地方団体の関係、いろいろ関係機関がございますが、その連携の推進を図ってもらいたいということで、違法採掘の的確な実態把握を図るために沖縄の総合事務局それから沖縄県、市町村との連携強化をとっていただきたいというのが第二点でございます。 それから第三点に、鉱業権の出願の処理が余り速くないという問題があるようでございます。そこで、御承知のように鉱業法の二十四条で沖縄の場合には総合事務局と県との協議が行われますけれども、その計画的な処理の促進をしてくれということを指摘しておる次第でございます。
○瀬長委員 今の総務庁のこうやって指導してくれと言ったのを実際現地でやるのは、沖縄総合事務局に鉱業課がありますね、ここがやると思うのですが、資源エネルギー庁はこれを受けてどのようなことをやっておるのか、簡潔に言ってください。時間がないから長々説明を聞くと、最後は長官の話を聞かなければなりませんから……。
○林説明員 御説明いたします。 今御指摘の沖縄総合事務局の通商産業部鉱業課というところが担当しておるわけでございますが、通商産業部といたしましては、これまでも行政監察を踏まえまして県、市町村等と連携を図りつつ巡回指導等を行いまして、早期発見あるいは違法採掘者に対して即時中止をすることを鉱業法によってやってきたわけでございますが、今回の行政監察の結果を踏まえまして巡回指導、監督等を一層強化するようにいたしたいと思います。 また、違法採掘の行政監察で二点ございまして、違法採掘された石灰石が公共事業、公共工事に使われておりますので、その需要先である関係機関に対しまして鉱業法によって採掘されたものを使ってもらうようにという協力の要請をしてございます。 さらに鉱業出願の促進に関しましては、これまでも鉱業法二十四条の協議でやっていたわけでございますが、市町村と直接連絡会議を持ちまして、鉱業法の理解、あるいは協議の内容になります計画等よく御理解をいただきまして、二十四条の協議をこれまでより速く処理していきたいと考えております。
○瀬長委員 具体的にお聞きしますが、総合事務局の鉱業課長の名前は知っていますか。
○林説明員 仲村鉱業課長でございます。
○瀬長委員 向こうは鉱業課長が係になっているのですね。これを取り締まる人員は三名でしょう、違いますか。
○林説明員 鉱業課の中で監督を行う部門は三名でございます。
○瀬長委員 そうですね。この仲村という課長がそのまた係、担当なんです。仲村課長から直接聞いたのです。そうしたら、課長が担当するでしょう、この課長は庶務、予算、全部やらなければいかぬので到底だめらしいのだ。そして一人は男、もう一人は婦人の事務官、これが現実なんですね。これは私行って課長の口から聞いたのですよ。全国的に違法採掘は今ない、沖縄だけだ、体制上到底だめだ、向こうのあなたの言った仲村さん本人の言葉です。 そこで、私は糸満に行って調べたのです。二十二カ所と言いましたが、そのうち十一カ所が糸満市です。ここでは依然として違法行為が今行われている。私はおととい行った。例えば糸満市については、このまま違法採掘が続けられると同市、糸満市や南部水道企業団の重要な水源涵養地が汚染され枯渇することも予想される。今ずっと違法採掘をどんどんやっているのです。糸満市だけに十一カ所集中しているのです。私の生まれたところが糸満市に近いところなのですぐわかるのです。 問題は、これは長官に話をせぬといかぬと思うのだけれども、このまま放置すると違法行為が——法治国家でしょう。鉱業法もある。それによると、五年の懲役まである。罰金ももちろんあります。ところが、こういうふうに無法状態です。もちろん公共事業にコーラルは必要なんですが、その関係で、今コーラルを合法的に採掘している嘉手納町にあります加盟四十社の沖縄採石協会の責任者、それから西原町にあります加盟七社の沖縄県コーラル採掘事業協同組合の責任者の当山という人に聞きましたら、今の公共事業に関するコーラルの需要は我々の方で十分達成できるとはっきり言っておるのです。それで、この違法行為をやっておる人のコーラルは安いらしい。それはそうでしょう。そして、掘ったところに産業廃棄物を廃棄しますが、これは廃棄物法の違反になるのです。これまたまかり通っている。掘るでしょう、穴があくでしょう、そこに産業廃棄物を入れる、こういう状態なんです。 長官、あなたは最高の監督官で指導者ですから何らかの手を打たぬと、具体的には、今言った鉱業課ですか、あれはあるのだが、ないようなのが実態です。それは課長が兼任しているでしょう。課長は課長の仕事でいっぱいだ。あとは男が一人だ、そして婦人の事務官がおる。これも余り行ったことがないような格好なんです。これでは、県や市町村と協力して指導すると言いますが、それができないから現在のようになっているのです。今でも採掘しているのです。私はこの目で見てきたのです。長官、これに対して強力な、今余り首を切らないで、必要なところは置く。鉱業課は十七名います。十七名の中から三名抜き取る。また、課長も一緒になってやっておる状態でしょう。こういった配置では今のコーラルの違法行為を取り締まることはできないのです。鉱業課の人員をふやすとか、ふやせなければ専門的に任に当たれるような体制をとるとか何らかの措置をとらないと、とてもじゃないが、この違法行為がもうどんどんまかり通っておる。この点、後藤田長官、最後にひとついかがですか。
○後藤田国務大臣 今お話を承っておれば、これは放置するわけにはいかぬのじゃないかな、こう思います。 ただ、資源エネルギー庁としては、私どもの方の監察を受けましてそれなりの改善措置を恐らく講じておるのだろうと思いますが、今のお話では結局手間が足らぬ、こういうことのように承るのですね。しかし、行政の改革というのは必要なところへ必要な人を置いて仕事をするということなのです。これは役所の決意いかんの問題である。配置転換でも何でもできます。そういう観点で資源エネルギー庁ではひとつぜひ考えていただきたい。 それともう一つは、たとえ人数が少なくても課長が兼ねておる。そういった団体があるでしょう。団体に集合を命ずる。そこで、まず団体を通じて強力な指導をやる。その時間がないなんというのは、私は長く役人をやっていますから、そんなことはあり得ない。そういう実態がおっしゃるようにあるとするならば、やはりもう少し真剣に取り組んでもらいたい。 だから、これは決意の問題ではないのか。ことに罰則規定があるというなら、これは行政法規でございますから、いきなり警察が乗り出すということは必ずしも適切ではない。まず強力な指導をやる。そして、その指導を聞かなければ、そういう場合はこれは告発ができるはずでございます。これはやはりやるかやらぬかの決意の問題でないか、こう私は思います。私がこんなことを言うと、これは資源エネルギー庁が困るのかもしらぬけれども、おっしゃることは事実がそのとおりなら、これは早急に手を打つ必要がある。ことに水源地の問題があるならなおさらだ、かように私は考えます。
○瀬長委員 最後に申し上げますが、法治国家でしょう。鉱業法というのもあって、これのもとでやっておる。だから資源エネルギー庁が直接やっておる。こういったようなことで、いわゆる総務庁の出先が発表した。あなた方は認める。当然のことなんです、私は現地へ行って調べたのだから。しかし、陣容三名だ。これでやれと言ったって……。だから後藤田長官が強力にやらなければいかぬ。はい、はいと言ったって、やれる体制じゃないのだから、これはどうもならぬですよ。ですから、この問題を一日も早く解決する方法はあるのかないのか。これは返事はあなたの方からやった方がいいな。
○林説明員 監督係といたしましては三名でございますが、鉱業課は十七名の定員がございますので、今、長官からお話がありましたように、やる気であれば課の総員を結集して、またはそれだけでは足らないとしたら、先ほど挙げました関係機関と十分連絡をとって、より効率的な監督によりまして違法採掘を摘発していきたい。また、これまでも既に幾つかのものに関しましては中止の勧告を出しまして、実際採掘を中止している事例もございます。より一層これまでのやり方、あるいは今後またその決意を持ってやるようにいたさせたいと考えております。
○瀬長委員 時間が参りましたのでやめますが、長官に要望します。私の言っていることは足で調べてきたのですから、現にやっておるのですよ。これは今のあなた方の出先の言ったとおりなんですよ。そのとおり。四つ被害がもう及んでおる。これはおっしゃったように強力にひとつ、後藤田長官はこういった面では一番偉いわけなんだから、厳命して、いわゆる違法を許さぬという決意で指導してほしいと思いますが、いかがですか。
○後藤田国務大臣 御趣旨を受けまして、資源エネルギー庁の方にも私の方から善処していただくように要請をいたしたい、かように考えます。
○瀬長委員 終わります。
○大内委員長 次回は、来る二十二日月曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時六分散会