運輸委員会 第2号
- 発言数
- 5 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1985/02/20
会議録
○三ツ林委員長 これより会議を開きます。 陸運、海運、航空及び日本国有鉄道の経営に関する件等について調査を進めます。 この際、運輸大臣から運輸行政の基本施策について発言を求められておりますので、これを許します。運輸大臣山下徳夫君。
○山下国務大臣 第百二回国会に臨み、当面の運輸行政の諸問題に関し、所信を述べ、各位の御理解を賜りたいと存じます。 今日、我が国経済社会は大きな転換期にあります。昭和五十年代において急速に進展した産業構造の変化、技術革新、高度情報化、国際化等さまざまな変化が、六十年代にはさらに本格化し、経済社会の各般の分野に浸透していくものと考えられます。運輸は経済社会活動を支える基盤としての役割を担うものであり、こうした時代の大きな変化に対応し、時代の求める新しい輸送需要に適合した輸送サービスを供給し得るよう交通施設の整備を進めるとともに、運輸産業全般にわたってその活性化を図ることが極めて重要な課題となっております。運輸省が、昨年七月に中央地方を通じた大幅な組織改革を行いましたのも、運輸行政に対する要請の変化に効率的、総合的に対応し得るような体制づくりを目指したものであり、私は、この新しい体制のもとで、二十一世紀に向けて時代の動きに即応した運輸行政の展開に全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。 もとより、運輸行政の要請は安全の確保であり、また、国民の皆様の求める良質な輸送サービスを将来にわたって安定的に確保することが基本的課題であると考えております。このような考え方にのっとり、当面する諸問題につきましては、次のとおり所要の施策を積極的に推進してまいる所存であります。 まず、第一に、国鉄事業の再建の問題であります。 日本国有鉄道の効率的な経営形態の確立、長期債務の処理等の抜本的対策につきましては、現在、日本国有鉄道再建監理委員会において、鋭意検討が進められており、本年半ばごろに意見が提出される予定となっております。運輸省といたしましても、同委員会の審議に積極的に協力し、適切な結論が得られるよう努力するとともに、その結論を尊重して所要の対策の推進を図っていく所存であります。さらに、国鉄の厳しい経営状況にかんがみ、要員合理化、地方交通線の整理の促進等各般にわたる緊急対策を引き続き積極的に推進する必要があると考えております。 六十年度におきましては、大幅な要員縮減や工事規模の圧縮による経費節減等に一層努力するとともに、運賃改定等により収入の確保に努めることといたしております。 申すまでもなく、国鉄事業の再建は、国政上の最重要課題の一つであり、総力を結集してこれに取り組んでまいる決意であります。 第二に、運輸関係社会資本の整備であります。 運輸関係社会資本の整備は、活力ある産業活動及び国民生活の基盤形成のための不可欠の条件であり、今後とも計画的かつ着実にその整備を図る所存であります。 まず、港湾につきましては、多様化する海上輸送需要への対応、エネルギーの安定供給の確保、地域振興、海岸保全等の観点から流通拠点港湾、エネルギー港湾、地方、離島の港湾等の整備を引き続き促進するとともに、海岸事業の推進に努めてまいる所存であります。 次に、空港につきましては、将来の航空輸送需要に適切に対応し、均衡のとれた航空輸送網を整備していく必要があります。このため、関西国際空港及び新東京国際空港の整備事業並びに東京国際空港の沖合展開事業の推進を図るとともに、地方空港についてもジェット化等の整備を進めてまいります。 整備新幹線につきましては、北陸及び東北新幹線の建設に着手することとしておりますが、着手に当たっては、国及び地域負担等事業実施方式のあり方、国鉄再建監理委員会の答申との関連等について調整を進め、その結論をまってこれを行うこととしております。また、九州新幹線の二ルートにつきましては、それぞれ、建設に向けて着工準備作業所における着工のための準備作業、環境影響評価調査等の所要の作業または調査を進めることといたしております。 第三に、国際運輸と観光に関する政策の推進であります。 我が国経済社会の国際化の進展、国際的相互依存関係の深化という時代潮流の中で貿易物資の安定輸送を確保し、国際的な人的交流を促進する国際運輸と観光の果たす役割は極めて大きく、国際環境の変化に対応した政策を総合的に推進していく必要があります。 外航海運につきましては、海運造船合理化審議会の昨年八月の中間答申を踏まえ、日本船の乗組員の少数精鋭化を促進し、近代化船を増強して商船隊の中核とすることなどにより、我が国商船隊の国際競争力の確保に努めるとともに、海運企業経営の活性化、経営基盤の確立を図ってまいります。また、国際航空につきましては、現在、日米間の航空権益の総合的均衡を目指して協議を続けているところであり、その他の国との航空関係につきましても、我が国をめぐる国際航空需要に対応した路線の充実に努めてまいります。 次に、国際協力につきましては、発展途上国の鉄道、港湾、空港等の整備等に関する経済技術協力、第二パナマ運河建設構想等の国際的大プロジェクトへの協力を積極的に推進する所存であります。 さらに、国際間の相互理解の増進等のため国際観光の振興を図るとともに、国民の健全な余暇活動に資するため観光レクリエーション地区の整備を推進してまいります。 また、昭和六十一年にカナダ・バンクーバー市において開催される国際交通博覧会に我が国も公式参加することとし、このための諸準備を関係省庁等の協力を得つつ進めてまいります。 第四に、地域交通政策の推進であります。 地域交通は、新しい地域社会づくりの基盤でありますが、都市においては、鉄道の混雑、路面交通の渋滞等が問題となっている一方、地方においては、過疎化とマイカー普及によって公共交通機関の維持が困難になっております。このような問題を解決するためには、地域における交通のあり方について長期的な展望を踏まえた計画を策定し、この計画に基づき、地方公共団体と連携しながら効率的で質の高い交通体系の形成を図っていくことが必要であります。 都市交通の分野におきましては、都市高速鉄道、都市バス等の整備改善を進め、特に緊要度の高い東京圏につきましては、現在運輸政策審議会において審議をお願いしておりますが、その答申を踏まえながら、鉄道等の整備を計画的に進めてまいります。また、地方交通の分野におきましては、地方バス、中小民鉄、離島航路に対する助成、国鉄の特定地方交通線の代替輸送対策の推進等を行い、住民の生活基盤として不可欠な公共輸送の確保に努めてまいる所存であります。 第五に、貨物流通政策の充実であります。 産業構造の変化と利用者ニーズの高度化、多様化に対応して、陸海空にわたる効率的な貨物流通体系の形成を図ることが必要であります。このため、物流に対するニーズ等について広範な調査を実施し、新しい貨物流通政策を確立するとともに、消費者物流の健全な発達の促進、物流の結節点における貨物流通施設の整備、内航船舶の近代化等による物流産業の合理化施策の推進を図ってまいる所存であります。そのほか、業界の実情に応じ、運送に関する秩序の確立、不況対策及び構造改善対策の推進に努めるとともに、特殊法人たる日本自動車ターミナル株式会社を民営移行するための所要の措置を講じてまいる所存であります。 第六に、造船不況対策と船員対策の充実であります。 造船業は需要の低迷等から経営が悪化しており、第三造船諸国の台頭が今後とも続くことが予想されるため、当面の対策として、造船設備の新設拡張を抑制することを基調として各般の経営安定化措置を講ずるとともに、長期的な対策として、技術革新を積極的に推進するほか、造船業の活性化を図るための方策について検討を進めてまいる所存であります。 船員対策につきましては、船舶の技術革新に対応した新しい船内職務体制を確立する等、船員制度の近代化を一層推進するとともに、船員の教育訓練体制の整備に努めてまいります。また、依然として厳しい船員の雇用情勢にかんがみ、船員雇用対策を今後とも積極的に推進してまいる所存であります。 第七に、運輸に係る安全、防災対策及び環境対策の推進であります。 先ほど述べましたように、安全の確保は運輸行政の要請であります。輸送機器及び宿泊施設の安全性の確保、交通安全施設の整備、輸送従事者の健康管理体制の充実等により事故防止に万全を期すとともに、交通事故被害者の救済対策の充実にも努めてまいります。また、全世界的な海上捜索救助体制の創設を目指す千九百七十九年の海上における捜索及び救助に関する国際条約が本年六月に発効いたしますが、貿易立国であり水産国である我が国も同条約への早期加入に向け所要の準備を進めるとともに、海上における広域哨戒体制の計画的な整備等による海上保安体制の強化を積極的に行っていく所存であります。 昨年は、豪雪、豪雨、地震等により多くの災害が発生いたしました。防災対策につきましては、異常な自然現象の早期、的確な把握と、その予警報が重要であり、静止気象衛星業務の推進を初めとする気象業務体制の一層の充実強化を図るとともに、大規模地震対策、海上防災対策の充実についても遺漏なきを期してまいります。 環境対策としては、発生源対策や周辺対策等所要の交通公害防止対策、海洋汚染の防止に関する監視、取り締まり体制の強化、環境整備事業等の各種施策を一層推進するとともに、公害の未然防止の観点から環境影響評価制度の充実を図ってまいる所存であります。なお、これまで大阪国際空港及び福岡空港の空港周辺において空港周辺環境対策事業を実施してきた大阪国際空港周辺整備機構と福岡空港周辺整備機構について、その対策の後退をもたらさないよう十分配慮した上で統合を図り、同事業の効率的な実施体制を整備する所存であります。 第八に、新海洋秩序への対応及び海洋の開発利用の推進であります。 海洋問題につきましては、国連において海洋法条約が採択され、船舶の航行、経済水域等に関する新海洋秩序が世界的に形成されつつあり、運輸省としても、このような動向に対応して、所要の準備を積極的に進めてまいります。また、資源と国土空間とに恵まれない我が国にとって、沿岸域を含めた海洋の開発利用は重要な課題であり、今後とも一層その推進に努めてまいります。 第九に、運輸における情報化の推進であります。 運輸部門は、かねてより、情報化に取り組んできたところでありますが、我が国経済社会が高度情報社会へ移行しようとしている現在、運輸における情報化の課題に、従来以上に積極的に取り組む必要が出てきております。 このため、昨年十月に運輸政策審議会に対し、「運輸における情報化を円滑かつ適切に推進するための基本的方策について」諮問を行ったところでありますが、その審議結果を踏まえ、運輸における情報化施策を積極的かつ総合的に推進していく所存であります。 このほか、運輸関係技術の開発、運輸部門における利用者保護対策、エネルギー対策、身体障害者対策等の推進を図ってまいります。 さらに、昨年の運輸省の組織改革の理念を踏まえ、時代の変化に対応した事業規制をはじめとする許認可等のあり方について検討してまいりたいと考えております。 以上、運輸行政の当面する諸問題につき述べましたが、これらは申すまでもなく、委員各位の深い御理解を必要とする問題ばかりでございます。終わりに当たりまして、重ねて皆様の御支援をお願い申し上げる次第でございます。
○三ツ林委員長 次に、昭和六十年度運輸省及び日本国有鉄道の予算について、運輸政務次官から説明を聴取いたします。運輸政務次官小里貞利君。
○小里政府委員 昭和六十年度の運輸省関係の予算について御説明申し上げます。 まず一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は、四十二億九千百二十六万五千円であり、歳出予算総額は、他省所管計上分一千百六十六億五百九十三万四千円を含め一兆四千一億二千三十八万七千円でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、比率で四・六%の減少になっております。 次に、特別会計について申し上げます。 自動車損害賠償責任再保険特別会計につきましては、歳入歳出予算額一兆六千八百五十八億七百万円余、港湾整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額三千六百二十四億一千百万円余、自動車検査登録特別会計につきましては、歳入歳出予算額三百八十四億九千万円余、空港整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額二千六百三十八億二千三百万円余をそれぞれ計上いたしております。 また、昭和六十年度財政投融資計画中には、当省関係の公社公団等分として一兆七千三百八億円が予定されております。 運輸省といたしましては、以上の予算によりまして以下の事項を重点に施策の推進を図ることといたしております。 まず第一に、日本国有鉄道の事業の再建を推進することといたしております。 国鉄の再建につきましては、五十七年九月の閣議決定及び昨年八月の日本国有鉄道再建監理委員会の緊急提言等の趣旨を踏まえ、引き続き、職場規律の確立、新規採用の原則停止、設備投資の抑制、地方交通線の整理促進等の緊急対策の推進に努めているところであります。 六十年度におきましては、予算人員三万人の縮減を初め、工事規模の大幅な圧縮等経費の節減に一層の努力を傾注するとともに、所要の運賃等の改定による増収額一千五十億円を見込み、総額六千二十五億円の助成を行うことといたしております。 第二に、交通基盤施設等の整備を促進し、国民生活の安定向上を図るため、港湾、海岸及び空港の各部門について、五カ年計画に基づいて、それぞれの事業の計画的かつ着実な推進を図ることといたしております。 また、鉄道につきましては、都市高速鉄道の整備等を推進することとし、整備新幹線につきましては、北陸及び東北新幹線の建設に着手することとしておりますが、着手に当たっては、国及び地域負担等事業実施方式のあり方、国鉄再建監理委員会の答申との関連等について調整を進め、その結論を待ってこれを行うこととしております。 第三に、外航海運対策といたしまして、貿易物資の安定輸送を確保するため、財政資金により、近代化船への代替建造を中心とする外航船舶の整備を促進することといたしております。 また、観光対策といたしまして、海外観光宣伝事業等を推進するとともに、国民の観光レクリエーション活動のための施設を整備していくことといたしております。 第四に、経営改善に努力している地方バス、中小民鉄、離島航路等に対し、地方公共団体と協力して助成を行い、国民の日常生活に不可欠な公共交通サービスの維持確保に努めてまいります。 第五に、国際貨物の流動の変化に対する総合的な対応策を検討するとともに、物流拠点における貨物流通施設の整備を促進するなど貨物流通対策の推進を図ることといたしております。 第六に、造船対策といたしまして、造船業の経営安定化のため、船舶輸出の確保を図るほか、過剰施設の処理に関する助成を行うことといたしております。 また、船員対策といたしまして、船員雇用対策及び船員教育体制の整備を推進することといたしております。 第七に、北西太平洋海域等における船舶の航行安全体制を確立するとともに、広大な海域における我が国の権益を確保する等のため、巡視船艇及び航空機の整備を推進するとともに、海洋情報システムの整備を進めるほか、海洋調査の充実強化を図るため中型測量船の建造等を行うことといたしております。 第八に、広域的な気象観測に重要な役割を果たす静止気象衛星業務を引き続き推進し、また、海洋気象観測船の建造を行う等気象観測、予報体制の充実を図るとともに、地震、津波、火山対策等の防災対策の強化を図ることといたしております。 第九に、安全、環境保全対策といたしましては、交通安全対策、空港周辺対策等の充実を図ることといたしております。 なお、運輸省関係予算の部門別の重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります「昭和六十年度運輸省予算の説明」及び「昭和六十年度日本国有鉄道予算の説明」によりまして御承知願いたいと存じます。保 以上をもちまして、昭和六十年度の運輸省関係の予算についての説明を終わります。
○三ツ林委員長 次回は、明後二十二日午前十時五十分理事会、午前十一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十時二十五分散会