本会議 第17号
- 発言数
- 5 件
- 登壇者
- 2 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1984/06/15
会議録
○議長(木村睦男君) これより会議を開きます。 さきに院議をもって永年在職議員として表彰されました元議員松澤兼人君は、去る五月二十三日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。 同君に対しましては、既に弔詞を贈呈いたしました。 ここにその弔詞を朗読いたします。 〔総員起立〕 参議院はわが国民主政治発展のため力を尽くされ特に院議をもって永年の功労を表彰せられさきに商工委員長産業公害及び交通対策特別委員長の重任にあたられました元議員従三位勲一等松澤兼人君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます —————・—————
○議長(木村睦男君) 日程第一 国務大臣の報告に関する件(内閣総理大臣の帰国報告) 内閣総理大臣から発言を求められております。発言を許します。中曽根内閣総理大臣。 〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、国会のお許しを得て、六月七日から九日まで英国ロンドンにおいて開催された第十回主要国首脳会議(サミット)に安倍外務大臣及び竹下大蔵大臣とともに出席し、引き続き英国公式訪問の後、六月十三日に帰国いたしました。ここに、その概要を御報告申し上げます。 今次ロンドン・サミットは、米国を中心とする景気回復の本格的な進行もあって基調としては明るいサミットになることが予想されていましたが、他方、米国の財政赤字や高金利問題、累積債務問題、自由貿易体制の維持強化等全世界が注目している重要な問題についての力強い対応が求められるという背景のもとに開かれたのであります。また、国際政治の面においては冷却化した東西関係、イラン・イラク紛争の激化といった事態に対し、サミット諸国がいかに対応するかが注目されていたところであります。 私は、今次サミットに臨むに当たり各党党首の方々の御見解を承ったところでありますが、経済分野では、自由貿易体制の強化、開発途上国との関係の緊密化、経済の構造調整を図ることによる市場経済機能の活性化、政治面では、経済繁栄の基礎となる平和の問題、西側諸国の結束強化と東西関係及びイラン・イラク紛争等に重点を置き、我が国の考え、政策を主張し参加首脳との討議に積極的に参加いたしました。 サミットの具体的成果は、「経済宣言」、「民主主義の諸価値に関する宣言」、「東西関係及び軍備管理に関する宣言」、「国際テロリズムに関する宣言」の四つの宣言及び「イラン・イラク紛争に関する議長声明」という形で取りまとめられたのでありますが、これらを通じ今次サミットに課せられた課題は達成され、世界経済の展望に確信を持つとともに、平和へ向けての西側諸国の結束を一層強固なものにし得たと評価する次第であります。 まず、ロンドン経済宣言についての所見を申し述べます。 第一に、経済政策全般の分野においては、我々先進諸国がインフレなき持続的成長を一層確たるものとするため、なお格段の政策努力を重ねなければならないことを合意し、さらにその成果を開発途上国に均てんしていく必要性につき意見の一致を見たのであります。この関連で私は、景気が好転した今こそ中長期の政策目標として財政赤字の削減を初め、産業構造改革等の構造調整問題に取り組むべき旨発言した次第でありますが、経済宣言の中で労働市場の硬直性、構造的財政赤字を是正すべきこと、需要と技術変化に対応した産業とサービスの発展を図るべきことなどが合意されたことは、今後の世界経済にとって画期的な合意であると評価するものであります。 第二に、貿易の分野においては、保護主義に対する巻き返しの決意を再確認するとともに、ニューラウンドの重要性並びにこれがための速やかな準備開始の必要性につき、最高レベルでの合意形成を強調した次第でありますが、貿易の自由化を一層進める上でその必要性が確認され、速やかな準備開始へ努力すべきことが確認されましたことは意義深いものがあると考えます。本来ニューラウンドに関する諸般の決定は、ガット全加盟国が行うことでありますが、今次サミットにおいて、できる限り速やかにその目的、取り組み方及び開始時期につき決定を行うべく、ガット加盟国において協議を行うとの方針が決定されました。これは、これまでの合意よりさらに一歩進んでニューラウンド開始に向けて新しい推進力を与えるものと確信する次第であります。私は、サミット諸国のみならず、開発途上国との対話を一層深め、貿易の自由化に向けて努力してまいりたいと考える次第であります。 第三に、開発途上国との関係の問題であります。私は、南の繁栄なくして北の繁栄はあり得ないと確信するものでありますが、今次サミットにおいては、我々先進諸国と開発途上国との関係につき活発な議論が展開され、「善意と協力の精神」でこれを促進していくとの共通の政治的意思が再確認されたのであります。なかんずく、累積債務問題については、開発途上国の懸念にも留意し、債務国の政治的・経済的困難にも配慮していることを指摘しつつ、国際通貨基金の役割を評価し、また直接投資等債務国への資金の流れを確保することの重要性につき意見の一致を見たのであります。いずれにしても、累積債務問題について積極的に取り組んでいくとの共通の姿勢が表明され、先進諸国においては開発途上国の輸出に対しその市場を一層開放することが必要であり、また、国際的な高金利の是正が開発途上国経済の健全化に必要であるとの認識で一致いたしました。私は、今次サミット直前に多くの開発途上国から我が国に寄せられた要請をも念頭に置きつつ、開発途上国との関係に関する我が国の見解を表明した次第であります。 経済問題については、以上の三点が今次サミットにおける重要事項であったと考えておりますが、右のほか、国際通貨問題、湾岸情勢との関連における国際石油情勢、科学技術、環境問題等についての意見交換が行われたことを付言いたします。 次に、政治問題についての成果を御報告申し上 げます。 サミットは本来経済問題についての意見交換の場であることは申し上げるまでもありませんが、この機会に我々先進諸国が直面する当面の政治問題についての意見交換が行われることは、経済政策の基礎となる政治の役割からして極めて自然なものと考えます。私は、今次サミットにおける政治問題の討議においては、経済繁栄の基礎となる平和の達成という見地から我が国の主張を強く展開した次第であります。今回は十回目のサミットであり、一つの節目を迎えたこともあり、サミット参加国が共有する民主主義的価値を再確認した宣言が採択されたのであります。私はこれらの価値の中で平和の価値が大きく重視されるべきこと、また、その達成のために単に東西関係のみならず全世界的規模での対話の必要性を発言し、また国際紛争解決のための武力の不行使の宣明、非同盟諸国との関係の重視等の見解を述べたのでありますが、これらはこの宣言の中で生かされることになった次第であります。 東西関係及び軍備管理に関する宣言につきましては、現下の東西関係にかんがみ、この宣言が採択されたことは時宜を得たものであり、これは西側諸国の平和への意欲を強く表明したものであり、ソ連が軍備管理交渉に一日も早く復帰することを呼びかけているものなのであります。私は、西側諸国の真摯なる対話の呼びかけがソ連初め東側諸国により正当に評価されることを期待してやまないものであります。 イラン・イラク紛争の激化については、サミット参加国は一様に憂慮の念を持って見守っているところでありますが、イラン、イラク双方と友好関係にある我が国の特殊な地位とこれまでの外交努力にかんがみ、本問題についての私及び安倍外務大臣の発言には各国とも熱心に耳を傾けたところであります。イラン、イラク両国との対話及び各国との情報交換等を通じ和平実現のための環境づくりに貢献するという我が国の意図を各首脳ともよく理解したと考えます。本件紛争解決のためにサミット諸国が一層の努力を払うことにつき意見の一致を見たことは時宜にかなったことであり、この関連で最近国連事務総長による和平への努力が前進しつつあることをこの機会に評価いたしたいと思います。 国際テロリズムに関しては、アジアにおいてもラングーン事件といった出来事もあり、かかるテロリズムに対してはサミット諸国が断固として戦わなければならないとの見地から我が国の立場を主張いたしました。本件につき今後ともサミット諸国が一層の協力を図るべきことの合意が達成されたことを評価する次第であります。 以上、今次サミットの成果の概要につき御報告申し上げました。昨年のウィリアムズバーグ・サミットに引き続き今回のロンドン・サミットに出席し、我が国の地位が一段と高まったことを痛感するとともに、我が国に課せられた責任の重さを改めて認識した次第であります。特に我が国の最近の経済力、技術力の急速な強化充実及び太平洋地域の経済力の上昇にかんがみ、西欧及び世界の一部からは多少警戒の懸念も生まれつつある折から、私は全世界との協調と共栄を強く訴えるとともに慎重に対処した次第であります。私は、以上の次第を国会を通じて国民の皆様に御報告申し上げ、我が国独自の立場から世界の平和と繁栄に引き続き貢献していく決意を表明する次第であります。 次いで、六月十日から十二日まで、私は英国を公式訪問いたしました。 英国は、長い歴史を持つ西欧の主要国であり、国際社会において高い地位と影響力を保持しております。我が国との関係については、両国は伝統的な友好関係にありますが、さらに世界の平和と安定を追求し、各国との協調、軍縮及び世界経済の活性化を図るとの両国共通の関心を踏まえ、近年政府、民間両レベルの交流が急激に活発化しております。今次訪問におきましては、サッチャー首相と会談を行い、浩宮殿下が御修学中のオックスフォード大学を訪問し、また、国際戦略問題研究所において講演を行いましたが、このような日。英両国間の相互理解を深め、一層の関係強化を図る点で大きな意義を有する訪問でありました。 サッチャー首相との会談では、日英政治経済関係の一層の緊密化に合意し、このため、「二〇〇〇年グループ」日英対話構想の推進と両国政府間の協議、情報交換の強化に合意いたしました。また、産業協力を一層促進することで意見が一致いたしました。 国際戦略問題研究所における講演では、私は世界の平和と繁栄を図っていくために日本と自由世界がとるべき選択について所信を述べ、日米欧三極の連携とともにアジア・太平洋地域の一員としての日本の立場を強調し、さらに、自由民主主義世界の協力と核軍縮、対話による紛争の解決、そして世界経済活性化と発展途上国への協力等の必要性を強調いたしました。 私は今次訪問を通じ、英国と我が国との相互理解及び友好協力関係を一層促進することを希望しておりましたが、この所期の目的は十分達成できたものと確信いたします。 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(木村睦男君) ただいまの報告に対する質疑は次会に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時五十分散会 —————・—————