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101回国会参議院1984/04/13

農林水産委員会 第9号

発言数
226
登壇者
25
会派数
6
開催日
1984/04/13

会議録

谷川寛三自由民主党・自由国民会議

○委員長(谷川寛三君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  昨四月十二日、浦田勝君が委員を辞任され、その補欠として松岡満寿男君が選任されました。     —————————————

谷川寛三自由民主党・自由国民会議

○委員長(谷川寛三君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産政策に関する調査のため、本日、日本中央競馬会理事長内村良英君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷川寛三自由民主党・自由国民会議

○委員長(谷川寛三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

谷川寛三自由民主党・自由国民会議

○委員長(谷川寛三君) 農林水産政策に関する調査を議題とし、保質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

上野雄文日本社会党

○上野雄文君 私は、一般質問ということで、きょうは大臣以下関係者の皆さん、とりわけ中央競馬会の内村理事長に御出席をいただきまして大変恐縮に存じております。またさらに、大臣、農産物のアメリカとの交渉、続いてオーストラリアとの交渉、対外的に大変な折ではありますが、せっかくの機会でもありますから、競馬の問題で大変恐縮でありますけれども、この際質問をし、大臣のお考え等を率直にお聞かせをいただきたいというふうに思うのです。  なぜこんなことを質問しなきゃならないかということについてなのですけれども、私の県の栃木県で、今、小山市に中央競馬会の場外馬券売り場の問題が出てまいりまして、そしてこれがいろいろと論議を呼んでいるところなのです。私もこのことについて無関心ではおられませんから、それなりにずっと調べてまいりました。調べてまいりますと、このことはただ単に栃木県の小山に場外馬券売り場がつくられるということよりも、今の段階では、日本のギャンブルといいますか、ギャンブルというのはあまり使われずに、むしろレクリエーションとかレジャーとかに入るのだというふうになっているようでありますけれども、これが大体五兆円産業なのです。競馬、競輪、競艇、オートレース、私も改めてびっくりしたわけでありますが、これの全体を見て、その中でとりわけ競馬、中央競馬と地方競馬の役割分担、そういうものを一体どういうふうに整理していったらいいのかなという疑問にぶつかりまして、そこのところから解きほぐしていかないと、これから起こってくるであろういろいろな問題にもこの決まりのつけ方といいますか、対処の仕方、それが今後いろいろな面で響いてくるのではないかというふうに考えたわけなのです。ですから、そういう立場からスタートをして、大臣以下関係者の皆さんの率直な御意見、お考え、これからの対策というものをお尋ねをしていきたい、こう思っているわけなのです。  そこで、一口に公営競技と言われているわけでありますけれども、これを一体競馬の面でどういうふうに位置づけているのかという大変マクロな話で恐縮ですが、局長に今全体のとらえ方についてちょっと述べてみていただければと、こう思うのです。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) 公営競技全体の中でのまず競馬の位置づけでございますが、これは他の公営競技よりも御承知のように大変歴史と伝統があるといいますか、古くから行われてきたことでございますし、諸外国におきましても競馬というのは、そういう意味で単なるギャンブルということではなくて、かなり重要な歴史的意味を持つ催し物であったかと思います。そういう意味で日本の場合でも、御承知のように中央競馬には長い歴史もございますし、それなりの伝統があったわけでございます。  そこで私ども、他の競技に比しまして競馬の大変なところと申しますのは、御承知のように生き物である馬を飼いまして、それに相当の調教師とかあるいは騎手とかそういう大きな集団を抱えた競技でございますので、これは御承知のように経費がかかります率が一番高うございます。他の競輪、競艇等のような機械ではございませんものですから、大変経費がかかります。したがいまして簡単に経費を縮減してやることができないという宿命を一つ持っております。そういう中で、大変伸びていた時期につきましては余り心配がなかったわけでございますが、御承知のように、いわば低成長といいますか、経済が安定成長期に移ってまいりまして、しかもレジャーというのは大変多様化してまいります。そういう中でどちらかというと若い方々がこういうものからもっとほかのレジャーの方へ移っていくという現象がありまして、最近大変売り上げが低迷をしてまいっております。特にその中で中央競馬は辛うじて売り上げを保持しておりますが、地方競馬につきましては、御承知のように年々下降線をたどっている。そういう意味で、どちらかというと地方競馬の方に大変経営上の問題が出てきているというのが現段階かと思います。  もう一つ、中央競馬におきましても、売上金額は維持をいたしておりますが、真に競馬を楽しむと考えられます入場者の数は年々減ってきております。そういう意味で、中央競馬にとりましても決して売り上げを維持しているということが万全ではございませんで、こういう入場者が減っているということは将来についてやはり大変問題を抱えているのではなかろうか。  非常に概括的に申しますと以上のようなことだと思います。

上野雄文日本社会党

○上野雄文君 そこで、内村理事長にお尋ねしたいのですが、最近の中央競馬の売り上げの状況、それから場内、場外の比率といったもののこの五カ年ぐらいの傾向をちょっと御説明いただきたいと思うのです。

内村良英日本中央競馬会理事長

○参考人(内村良英君) お答え申し上げます。  中央競馬の過去五カ年間の発売金額及び場外、場内の比率を数字で申し上げますと、私どもの方の年度は暦年でございますが、五十四年度は一兆二千六十四億の発売でございまして、そのうち場内が三四・七%でございますから大体三五%でございまして、六五%は場外で売ったわけでございます。それが五十五年は一兆三千六十一億で、場内の比率は三三・三%になっておりまして、場外が六六・七%になっております。五十六年は発売金が一兆四千四億で、場内三四%、場外六六%。五十七年が一兆四千十八億で、場内が三三・八、場外が六六・二。それから五十八年になりますと一兆四千四百十三億で、場内が三〇・二、かなり下がっております。それから場外が六九・八で、現在のところ七対三ということになっておりまして、本年一—三月の数字を見ましてもこの傾向は続いております。

上野雄文日本社会党

○上野雄文君 そこで、きょうは競輪の関係で通産からも御説明においでをいただいているわけでありますが、競輪、それからオートレースもそうですね、その傾向をちょっとお知らせをいただければと思うのですが。

平戸正尚通商産業省機械情報産業局車両課長

○説明員(平戸正尚君) お答え申し上げます。  競輪の売上高の最近五年間の傾向でございますが、昭和五十四年度、私どもこれは会計年度でとっておりますが、競輪の総売上額は一兆二千四百四十九億円ぐらいでございます。それが五十八年度の実績では約一兆一千三百四十三億円というふうな数字になっております。相当のダウン、約一〇%弱のダウンということになってきております。  それから、オートレースの売上高の推移でございますが、五十四年度におきましては二千百五十二億円ぐらいでございました。それが五十八年度の実績におきましては二千二十四億円というふうなことになっておりまして、こちらも相当の減少を示しております。  以上でございます。

上野雄文日本社会党

○上野雄文君 きょうは実は運輸省からもモーターボートの説明に来てほしいと言ったら、課長がけがをしていてどうしても出られないのでというので資料だけくれました。これを見てみますと、五十五年は一兆六千三百十億円が五十八年度は一兆四千八百億程度というふうに落ち込んでいる、こういう報告を受けたところなのです。そこで、これら自治体がやっているものを大体数字的にまとめていろいろな対策をされておる自治省として、こういう傾向をどういうふうにとらえられておられるのか、それをひとつお示しをいただければと思うのです。

柿本善也自治省財政局地方債課長

○説明員(柿本善也君) 公営競技は、今御質問にございましたように、地方でやっておりますのは競馬、競輪、オートレース、競艇の四種目ございます。  最近の情勢は、地方団体がいずれも実施しておりますので、我々は決算統計の姿で五十七年度までの姿を眺めておるわけでございますが、最近の傾向を申し上げますと、四種目とも売り上げが減少しておりまして、数字で申し上げますと、五十五年度を大体ピークにいたしましてその後年々数%ずつ、どの種目についても減少するという傾向になっております。  公営競技にはいろいろな目的がございますが、一つは地方財政の財源の安定した確保の一環として、収益事業という位置づけで各地方団体に施行していただいておるものでございまして、売り上げがこのように減少すると同時に、経費につきましては必ずしもそれに比例しないで下がらない、あるいは場合によってはふえざるを得ないということでございまして、地方団体に対する収益、平たく言うと実入りでございますが、これがかなりの勢いで減少しているわけでございます。一部には収益そのものがゼロ以下という赤字の団体も出始めております。その原因はいろいろありましょうけれども、やはり地方財政の健全性あるいは公営競技そのものの健全な維持、発展という立場からいたしますと、これに対して売り上げの確保、いろいろな工夫をしていただいて売り上げを伸ばす方法とか、経費につきましても改善の可能性のある部分につきましては経営改善をしていただいて、今後とも健全な公営競技として発展していただくよう、そういう御努力を各関係団体にお願いしたいと考えている次第でございます。

上野雄文日本社会党

○上野雄文君 農水省の局長にお尋ねしたいのですけれども、今地方競馬が全国で三十一あります。それで、ことし農水大臣と自治大臣とで協議をして、二年更新の開催権のものがこの間、三月三十一日に自治省が告示をしました。そのうち四つの市について今度は一年しか認めないと、そういう事態になってきたわけです。それは大体今、通説で言われているわけですけれども、三十一場のうち十ないし十一ぐらいが赤字転落になりそうだというようなことが言われておりまして、それをどんなふうに把握をしておられるか、その点を——そちらの方がいいですか。

柿本善也自治省財政局地方債課長

○説明員(柿本善也君) 開催権、施行権を指定するのは自治省の方で所管しておりますので、私の方からお答えいたします。  先ほども少し申し上げましたように、公営競技で一部の団体につきまして赤字等の団体が出始めております。そういうことで、やはりいろいろな努力をしていただかなければならないと考えておりますが、その努力をしていただくと同時に、収益事業という事業の性格上、赤字団体であるとかあるいはその上がりました収益金が十分地方財政の中で生かされた形で使用されていないというような状態である場合には、施行権を漫然と更新を続けるということもいかがかという判断がございまして、このたび五十九年度の更新時に当たりまして、一部の団体につきまして、具体的には赤字が連続しているとか、そういう団体でございますが、競馬の場合は四団体につきまして、開催権の更新は従来は二年でやっていたことは御指摘のとおりでございますが、その間にやはり健全な地方競馬として発展していただくためのめどをつけていただく、努力をしていただく、こういう意味で特に開催期間を一年に限って指定したという事情がございます。

上野雄文日本社会党

○上野雄文君 大体お聞きのように、別に大臣、これは返事は要りませんけれども、五兆円の売り上げのうち、お話のように伸びているのは中央競馬だけなのです。ほかは全部落ち込んでいるという現状について御理解いただけたのではないかと思うのです。  そこで、これは参考までに局長にお尋ねしておきたいのですが、中央競馬が国の財政にどの程度寄与しているかというようなことを数字でお示しいただければと思います。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) 御承知のように中央競馬につきましては、売り上げました総額の一〇%、そのほかに利益となりましたもののまた半分ということで、第一、第二国庫納付金というものがございます。そのほかに五十六年と五十八年につきましては特別の納付をしたわけでございまして、その合計額を申しますと、五十四年が千五百八十三億円でございます。それから、五十五年が千七百十九億円、五十六年がこれは特別納付もございまして千九百四億円、それから五十七年が千七百二十五億円、それから五十八年もこれは特別納付をいたしておりますので、千九百四十二億円でございます。

上野雄文日本社会党

○上野雄文君 自治省の方では大体どのくらい貢献しているかというのは数字でわかりますか。

柿本善也自治省財政局地方債課長

○説明員(柿本善也君) 統計上、公営競技をやりました収益金の状況がございます。  五十七年度で公営競技の普通会計等に繰り入れられた金額が約二千五百二十億円でございます。

上野雄文日本社会党

○上野雄文君 お聞きのように、中央競馬も地方競馬も国家財政や地方財政に大変な貢献をしているというのはここでおわかりいただけたと思うわけなのです。ただ、問題は、中央競馬の伸び率がずっと横ばい、二%ちょっと程度ですから、そんなに伸びているという話にはならないかもしれませんが、落ち込んできたりあるいは赤字に転落をしたなどという地方競馬のところと比べてみると、これは大変にうらやましい話だと私は思うのです。大体一兆四千億を超える中央競馬に対して、地方がついに七千億を割り込むというようなことになってきますと、三分の二が中央競馬、三分の一が地方競馬、こういうふうに考えていてもいいと思うのですけれども、しかも、三十一のうち十一近くが赤字転落になりそうだという今日的な状況の中で、両方の面倒を見ている農水省の立場として、一体これからどういうふうに考えていったらいいのか、そのことについてお聞かせをいただきたい。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) 実は中央競馬も、伸びるというよりも現状維持程度が精いっぱいではなかろうか。特に、売り上げは若干伸びているように見えますけれども、入場人員が落ちてきているということは大変心配をしているわけでございます。それにも増して地方競馬の落ち込みが欠きゅうございまして、私どもはやはり地方競馬をより活性化させますためにはいろいろ考えるべき点があろうかと思います。  これは端的に申しますと、やはり競走の内容をおもしろくして、客により魅力のあるレースとして来ていただけるような雰囲気をつくるということが必要だと思っております。実はこれは私どもとしまして、今までいろいろと競馬につきまして、制限的と申しますか、こういうことをしちゃいかぬ、こういうことをしちゃいかぬという制限的な事柄が、過熱しました時代に比較的多かったわけでございますけれども、それではなかなかこういう競馬を盛り上げることは不可能だろうと考えまして、昨年の十一月に競馬法の施行令、施行規則、通達等を直しまして幾つかの制限を緩和したわけでございます。  一つは、まず一日における競走の回数の制限を緩和いたしまして、従来一日十レースという制限的に考えておりましたのを十二レース、これは冬期間特に制限していたのですが、これを十二回以内であればできるようにするとか、それから、例えば年末開催といったようなもの、十二月の二十八日から三十一日まで、割とこういう時期が入場者が多いものでございますから、こういうものを、地方競馬が開催できる「祝日等」という中に入れるとか、それから連勝単式、これは六枠制の連勝単式という、かつて禁止をしておりましたものを改める。それから発売に関しましては、場外馬券売り場とか払い戻し場の制限を撤廃するとか、あるいは県を越えまして、これは関東などは特にそういうことがございまして、県の区域を越えました場外施設をつくれるようにするとか、いろいろ考えているわけでございます。  こういうことを行うことによって少しでも地方競馬の中身が充実できるようにということを考えておりますが、まだいろいろと開催者との間でも話しながら知恵を出してうまくいく方法があるのではなかろうか。これはまだそういう話し合いをしている段階ですが、例えば夏場などは、日中の暑いときの開催よりも、薄暮にかけてやるというようなことがかえって入場者がふえるようになるのではないかとか、そういう各開催者の知恵を出していただきながらやっていく。私どもも、今までどちらかといいますと、こういうことをやってはいかぬというような方向でいろいろ制限しているものをある程度自主性を持たせながら、しかもファンサービスができるようなことということで指導してまいっておりますし、今後もそういう方向で指導を強めるつもりでございます。

上野雄文日本社会党

○上野雄文君 そこで、ずっとお話を伺っておりまして、中央競馬が伸びていく、横ばいというお話でありますけれども、その秘密は、一年じゅうのうちの土曜日、日曜日、いいところを全部中央競馬がやっている。それから場外での伸び、この間課長から聞いたら、今三十対七十と言うけれども、瞬間風速で見ると最近は七十五対二十五だ、場外の方が七十五も売れている、こういう話です。  そこで、そこから中央競馬会が場外売り場というものをどんどんふやしていこうじゃないかという方向をとられてきているのだろうと思うのです。私は、中央競馬会の人たちが自分のところの成績を上げるために、場外売り場をどんどんふやしていってどんどん繁栄させるという努力をするのは、そこの中にいる人とすれば当たり前のことだと思うのです。ただしかし、中央競馬ばかり繁盛してしまって、地方競馬がどんどんやっつけられるというような状態になってきたのではこれはどうにもなりません。それで、私などよりも専門家である農水省の方々は、中央、地方を通じて日本の競馬会全体を支えているものがどういう状況にあるかということも御存じだと思うので、地方競馬だってこれをつぶしてしまっていいという話にはならぬはずです。今お話しのように、何とかしていかなきゃなるまい、こういうことだと思うのです。  そこで、だんだん本題に入っていきたいと思うのでありますけれども、私は、三十六年の長沼答申と言われているもの、総理大臣に対する答申ですね。それから、四十八年に農林水産大臣の私的諮問機関として競馬懇談会の専門委員会の報告というのがあります。そして、五十四年にいわゆる吉國答申というのが出ています。これが一つの場外馬券売り場設置に関しての指針になっているようだという話も伺ったわけなのでありますけれども、どうも三十六年の長沼答申のときは、原則として増設をしないという方針が徐々に変わってきているようです。三十六年のころは例のギャンブル廃止というようなことの風潮がありましたから、それに対する一つの歯どめ策としてこれが出てきたのではないかという背景を私なりに感じていますが、その後、だんだん四十九年ごろには大変なギャンブルブームが起こってきて、そこからどうも様子が変わってきたというふうには受けとめております。  その中身の問題についてもいろいろございますけれども、こういうものがどうも中央競馬会も、それから農水省の監督官庁としてのお立場からも、自分たちに都合いいように場外売り場はどんどん条件が整えばつくってしまっても構わないのだと、原則をどんどん和らげていくというふうにとっているのじゃないかと思うのですけれども、その辺はどうですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) 先ほどお話の、競馬会としてみずからの収入を上げるためということもございますが、私どもがこの場外問題のときに大きな問題としてとらえておりますのは、不正なのみ行為というものが相当あるのではないかという批判が必ずあるわけでございます。おかしな話でございますが、競馬に関するそういう新聞のたぐいが、およそそういう馬券を買えないはずの地域でもよく売られるというようなことがよくございまして、そういうものは多分そういうのみ行為というような形で、実は本来正式に販売されれば国庫に入ったり、あるいは地方公共団体の財源たるべきものが、そういうのみ行為の中で埋没しているのではないかということはかなり言われていることでございます。  やはり本来の姿から言えば、競馬場に来ていただいて買うということが一番健全だと思っておりますけれども、今のようにテレビその他のマスメディアを使いながらみずから楽しむということも一概に否定をすることはできませんので、そういう人たちのためにある程度馬券というものを買いやすい環境にするということも一つだと思っております。それも単なる発売所というような形で、単に馬券を買うというだけではなくて、そういうところで競馬の状況を、今は例えば放送でやっておりますが、そういうものをある程度もっと見やすい形でやるとか、そういうことを通じて極力ファンサービスをしながら、しかもノミ行為にならないように、ノミ行為が当然行われるような環境をつくっておいて取り締まるというのは、これはなかなかむずかしゅうございますので、そういう観点もございまして、私どもは必要なものということを考えているわけでございます。  しかし、これはただただふやせばいいということではございませんし、特に場外の売り場につきましてはいろいろと周辺の環境問題その他がございますので、私どもはそういう形の調整がついたものに限りこれを認めるということで、そういう必要性とそれから地域とのバランスがとれた形でやってきたわけでございます。  数としてもそう大きなものが急速にできたものではございませんし、私どもとしては今後もその両方の兼ね合い、やはりそういう場外というものをつくってある程度の売り上げも確保したり、その売り上げを確保するという裏には、不正な行為が行われないというような環境づくりもしていく。それから、そういう場合に地域との協調ということもできるだけ図るということでやっておりまして、答申のニュアンスが若干ずつ変わってまいっておりますのも、そのようなことを背景にした御議論が多かったと考えております。

上野雄文日本社会党

○上野雄文君 今局長から御答弁がありまして、地域との共存を考えるというお答えがあったわけです。私はずっと答申を読ませていただいたわけですけれども、ただ答申の出方が、最初のものは総理大臣の諮問に応じて答申をした。それから吉國答申と言われているのは、総務長官から調査を依頼されて答申をした。普通私どもは総理大臣の諮問の方が権威あるものではないかと思っているのですが、総理大臣に対する答申の方と総務長官に対する答申の方と比べてみると、後からの方がやわらかくするというやり方をやってきているのです。その方が調子よくやりよかったからそういうふうにしたのかなと、そんな邪推なんかもしてみたくなるような出され方なものですから。  それはまた後ほど触れることにいたしまして、場外馬券売り場のつくり方について、中央競馬会で大変な財政的な援助をされているという話を聞かされています。  きのう実は担当者の方に、具体的に土地を買って建物をつくったときに総工費のどのぐらいお金を出してやって、そして後々どういうぐらいの借り賃を払っていってやってやるのか、今度新しくできる釧路それから広島というところの数字を出していただけませんかとお願いをしたのですが、なぜかその部分だけどうも私のところに届いてこないのです。ですからそこのところを、今手元に資料がおありになるならば教えていただきたいと思うのです。

内村良英日本中央競馬会理事長

○参考人(内村良英君) 場外をつくります場合に、場外をつくりたいという話がございまして、地元との調整が済んで建築の許可等が出ました場合に、競馬会としては建設協力金というものを出しております。これは戦後、ビル建設資金を確保するため、一般にビルに入居するテナントから長期低利の資金を借り入れるようなことが行われておりまして、競馬会もそうした世の中の流れに従って建設協力金を出しているわけでございます。建設協力金の額でございますが、最高必要な資金の半分程度出せることになっておりますが、現実には大体三五%ぐらいの数字になっております。  最近、広島場外につきましてはことしの五月、釧路場外については六月に開くことになっておりますが、その二つの場外の建設につきまして出しました建設協力金は、広島の場合は工事費が三十二億、建設協力金が十一億でございます。それから釧路の場合は工事費が十四億、建設協力金は五億でございまして、約三五%になっておるわけでございます。この建設協力金は大体十五年ぐらいの期間に返していただくことになっておりまして、必要な金利等はそれから取るということをやっています。

上野雄文日本社会党

○上野雄文君 据置期間はどのくらいで、金利は何%なのですか。

内村良英日本中央競馬会理事長

○参考人(内村良英君) 据置期間は大体十五年の場合には七年ぐらいでございます。それからその後の金利は、建設期間は一応金利としては取らないわけでございますけれども、据置期間が過ぎた後は二%の金利を取っております。  ところが、その間競馬会は賃料を払うわけでございますが、その賃料の中から据置期間はいわゆる運用益ということで七%引きます。それから据置期間が過ぎますと二%金利を取るわけでございますから、五%引きまして実際の金利が七%になるようにやっています。

上野雄文日本社会党

○上野雄文君 今度は借り上げ料といいますか、それはどういうふうに計算するのですか。

内村良英日本中央競馬会理事長

○参考人(内村良英君) 賃料の算定でございますけれども、資本利子、公租公課、火災保険料、減価償却、修繕費、それからただいま申し上げました建設協力金の運用益、これは引く方でございますが、引きまして、それの合計に五%の管理費を乗せたものを賃料としております。  これにつきましては、過去において競馬会の賃料が高いというような批判も外から受けたことがございますので、中で専門家から成る、これは外の方も入れました検討会をつくって、五十年代になりまして大体こういうようなやり方をしているわけでございます。

上野雄文日本社会党

○上野雄文君 そうすると、釧路や広島の例でいきますと大体どのぐらいになりますか。

内村良英日本中央競馬会理事長

○参考人(内村良英君) 広島、釧路につきましてはこれから開くわけでございまして、今計算しているところでございます。

上野雄文日本社会党

○上野雄文君 しかし、すっと出るのじゃないですか。今お話ししたような数字を積み上げていけばすっと出るでしょう。私は大体と言ったのです。ぴしっと一銭一厘間違ったことを言ったのじゃ困るなどと言っていないのですから、すっと出るのじゃないですか。

内村良英日本中央競馬会理事長

○参考人(内村良英君) 計算の基礎をちょっと申しますと、資本利子につきましては……

上野雄文日本社会党

○上野雄文君 しかし、向こうの経営者が、わからなければ貸すわけないでしょう。

内村良英日本中央競馬会理事長

○参考人(内村良英君) いや、大体の計算はできないわけではございません。と申しますのは、例えば土地につきましては鑑定価格の六%ないし七%、それから建物につきましては取得価格の一割、公租公課については実額でやる。土地は実額はわかりますけれども、建物は推定でやる。火災保険料も当初は推定でやる。それから減価償却につきましては大体一般の減価償却のやり方をするわけでございまして、修繕費につきましては取得価格の一%をやるというようなことで算出基礎が大体ございますから、それでやればもちろん見当はつくわけでございますけれども、正確に幾らというところまではまだ計算ができていないわけでございます。

上野雄文日本社会党

○上野雄文君 その見当でもいいじゃないですか、どうして言えないのですか。

内村良英日本中央競馬会理事長

○参考人(内村良英君) 見当の数字をただいま持っておりませんので、御必要があればおよそこれぐらいということの数字はお出ししたいと思います。

上野雄文日本社会党

○上野雄文君 後で届けてください。  しかし、これは自分で貸しビルをつくるだけの話でして、機械器具類はコンピューターも全部中央競馬会がみんな入れるわけでしょう。この間、後楽園の場外売り場計算センターも見せていただきましたし、もうからない仕事なんかやるはずはないわけですから、大体このくらいの建物ならこれくらい入るなどというのは経営する側でわかっているわけですし、それを出せないなどというのはちょっと私はおかしいのじゃないかと思うのです。後でそれは届けてください。  そして、あと中央競馬会は場外馬券売り場というものをどのぐらいつくりたいと思っているのですか。

内村良英日本中央競馬会理事長

○参考人(内村良英君) 先ほどからお話が出ておりますように、最近公営競技全体の売り上げが下がる傾向になる中で、競馬会だけ何とか維持しているという話がございましたけれども、全体の売り上げが下がっていることの背景にはやはりいろいろなことがございますけれども、特に若い人の競馬離れということがあるわけでございます。競馬会の調査によりますと、大体十年前に比べまして二十代のファンが三分の一になっております。と同時に、レジャーの多様化ということがございまして、これは世界的な傾向のようでございますが、若い人たちが見るスポーツよりもやるスポーツをやるというようなこと、それからさらに、景気の問題ももちろんあると思いますけれども、重なりまして現在の公営競技の低落傾向が出ているわけでございます。その中にありまして、特にレジャーの多様化という社会現象に場外売り場というものが非常にうまく対応できるわけでございます。  と申しますのは、競馬場に出かけますと大体一日つぶれてしまう、ところが、朝、場外でちょっと馬券を買いまして……

上野雄文日本社会党

○上野雄文君 要領よく、短かく。済みません、時間がなくなってしまいますから。

内村良英日本中央競馬会理事長

○参考人(内村良英君) はい。馬券を買いまして、それで他のレジャーを楽しむということができるわけでございます。そういうようなことで、これからの傾向を考えました場合に、場外売り場というものは競馬会の運営にとって非常に大事じゃないかと思っております。  ただ、先ほどもお話がございましたけれども、長沼答申以降いろいろな場外についての御意見も、地元との調整を十分とってやれということがございますので、私どもは別に、できればいいということじゃなくて、やはり地元の調整等は十分とりながら余り問題を起こさないような形で、基本的にはできればふやしていきたいと思っております。

上野雄文日本社会党

○上野雄文君 大体中央競馬会の場外の問題についてはわかりました。  そこで、今候補地に挙げられているのが立川と小山だというふうに私ども聞かされております。立川の方は私は直接地縁血縁がないものですからそのことには言及いたすことはできませんけれども、小山が候補に挙がっておりますし、一説では、建築確認申請も出されたといううわさがばっと流れて、きのうお話を伺いますと、準備のための話に行ったのだということだそうですが、それにしてみても市役所に行けば、もう確認申請の書類が出たのだという話がばっと地域に広がるほど今話題になってきているわけです。小山市をねらったのは一体どういうことからねらったのですか。

内村良英日本中央競馬会理事長

○参考人(内村良英君) 小山の場外馬券売り場の設置問題につきましては、昭和五十六年の秋に栃木県の思川観光株式会社という会社から場外発売所をつくりたいという話があったわけでございます。そこで私どもも会社の調査をし、あるいはその他のこともいろいろ検討したわけでございますが、その後昭和五十八年五月に誘致の申請が文書で正式に出されました。それで、これを受けまして競馬会といたしましては、周辺の環境、市場性、他種公営競技等の関係についていろいろ研究しておりましたところ、五十八年八月には場外の設置計画地が所属する小山市の喜沢町の町会の同意が得られたということがございまして、地元との調整がついたじゃないかというふうに考えていたわけでございますが、その後いろいろな動きがあることは私どもも十分承知しております。  それで、なぜ小山がということでございますが、まず最初に小山の有力企業から話があったということと、それからどうも栃木県にはかなり予想新聞等が行っておりますので、かなり中央競馬のファンがおられるのじゃないか。そうすると、先ほど局長から御答弁がございましたけれども、のみ行為の防止等にも役立つのじゃないかというふうに判断したわけでございます。

上野雄文日本社会党

○上野雄文君 実は小山がねらわれて大変迷惑をしている。これはことしの三月の栃木県議会の中でのやりとり、皆さん方もニュースで御存じだと思うのですけれども、県を挙げて反対です。それから県内の各市町村もこれから一斉に反対に立ち上がるという状況におるわけなのです。なぜならば、栃木県には全国で三十一しかない地方競馬の競馬場が二つあるのです。それで宇都宮市の競馬場、それから足利市の競馬場、私は実は足利の競馬場のきのうの終わった結果を聞いたのです。そうしましたら過去十年間のうちで売り上げが最も少ない、ワースト記録をきのう達成してしまったわけです。ついに六日間の売り上げが七億を割るという結果が出てしまいました。これは宇都宮の競馬にしてみてもここのところ売り上げがずっと低迷、低迷というよりも落ち込んできているという状況下にありまして、そこへ有力企業の誘致の話があったからといっても、中央競馬会がそこに場外馬券場を持っていくという申請に基づいてすぐ行動を起こすというようなやり方については、通常の常識ではちょっと私どもも考えられないのです。  地元に競馬場があるところへ行くのですから、普通なら知事やあるいは足利市の市長とか、そういうところの皆さんのあれはどうでしょうかという話が先にいかなきゃならないのに、そういう動きを後から知って知事が農水大臣や中央競馬会の理事長に陳情書を出さなければならない、ぜひつくらないようにやってくださいということをやらなきゃならないような状況というのは私は何とも解せないわけなのです。ありていな物の言い方をしてしまうと、もともと一つのギャンブルですから、縄張りみたいなものがあるわけです、宇都宮と足利と。大臣そうでしょう。そこへ新規が入っていくときにあいさつなしに入っていくという話は、通常考えられないと私は思っているのです。しかも最近、さっきからのお話のように、地方競馬も何とかしなきゃならない、何とかしなきゃならない、宇都宮の競馬会なんかも計算機を導入して大変な合理化をやって努力を続けているわけです。そこへ中央競馬会がぼっと入ってくるという、こういう感覚は私には理解ができないのです。  数字を申し上げてみますが、五十七年度と五十八年度ですが、九十四億八千万の売り上げのあった足利の競馬が、五十八年度末七十八億に落っこちてしまって、これはもうボーダーラインで、自治省の方でもこれは免許更新は一年にしなきゃいけないという競馬場になるのじゃないか。約二億の赤字です。これは競輪の方の上がりでもって穴埋めをしているのです。そして県の競馬の方からも借金をせざるを得ないというような状況になってきています。それから、県営の競馬は五十七年が二百七十七億あったのが五十八年は二百五十五億、小さい県で二十二億も売り上げが減るなどというのは大変なことです。こういう状況になっているところに割り込まれてくるわけですから、仮に場外馬券場が小山にできたとすると、ちょうど、東北本線が真ん中を走っておって右側に水戸線、そして左側に両毛線というふうになって一扇のかなめのところが小山なのです。その小山に場外馬券場ができればそれなりの影響が出てくると思うのですが、理事長はどんな分析をしたか、お知らせいただきたいと思います。

内村良英日本中央競馬会理事長

○参考人(内村良英君) 私どもも中央競馬の地方競馬に与える影響というものは常に心配しております。と申しますのは、中央競馬と地方競馬は確かに馬主さんは多少ダブっております。厩舎関係者すなわち調教師、騎手等は別でございますが、いわゆる馬をつくっておられます生産者は中央競馬と地方競馬両方に馬を売って経営が成り立っているわけでございます。したがいまして、地方競馬が不振になりまして馬の値段が暴落するというようなことが起こりますと、これはやがては中央競馬にもいろいろ影響が出てくるということで、私どもは常に中央と地方の調整については十分考えながら仕事をしなきゃならぬと思っております。そこで、現に北海道に開かれます釧路の場外につきましては、北海道の地方競馬と中央競馬で共同に利用するというようなことを初めてやることにいたしております。  それから、小山に開くことにつきましてもいろいろ調査をしたわけでございます。その結果、当初はやはり多少の影響があるだろうと思います。しかしながら、中央競馬と地方競馬はファンがダブっている面が私どもの調査では半分ぐらいでございまして、中央競馬固有のファンというのは大体半分ぐらいいるわけでございます。それから私どもの調査によりますと、公営競技にファンとして入ってくる経過を見ますと、まず中央競馬に入ってから他の公営競技の方に行くというような流れがあるようでございます。したがいまして、当初影響はもちろんあると思いますが、長期で考えれば何とか共存共栄ができるのではないかというふうに考えているわけでございます。

上野雄文日本社会党

○上野雄文君 大分時間もなくなってまいりました。そこで大臣、私どもも、こういう地方公営競技が大変な事態になってきているときですから、かつて三十六年ごろに答申を求めたと同じように、今度はそれとは形を変えて、現に競馬場を持っているところへ新たなものが進出するなどという場合には、それぞれ関係各省や関係者、そういう人を農水大臣が集めて、いろいろな摩擦が起きないようなやり方というものを積極的に取り上げてもらわなきゃ困ると思うのです。だって、今やっている連中がだめなところへもっといいやつを持ってこられたら、そっちに客がとられてしまって、ありていに言って首つりの足を引っ張られるような結果が生まれる。短期的に当面だめになる、影響があるだろうということがわかっていて今ひどい目に遭っているのです。いいときにでもやられるのなら話は別です。だめになりそうなときに中央から押し込んでこられたらこれは大変な事態だと思うのです。ですから、これからもそういう問題についてどうやったらいいかというのは、私自身ももっと研究して具体的な問題の提起をしたいと思うのですけれども、今そういうような考え方でこれから取り組む気はないかどうか。円満に中央も地方も、片方がだめになれば両方に響くという問題が今理事長のお答えのようにあるわけなのですから、その辺はどうですか。

山村新治郎自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大垣(山村新治郎君) まだ実は、小山場外施設設置問題につきましての承認申請はこちらに来ておらないわけでございます。それで農林水産省といたしましては、この地域社会との調整が図られているかどうか、これについて検討した上でなければこの承認というものはできないと思います。

上野雄文日本社会党

○上野雄文君 承認申請が出ていないのは当たり前なのです。そんなものが出るようになったらいよいよ認可、承認するということが大前提ですから、だから我々は騒いでいるわけです。じゃ、まだ大臣は栃木県知事、栃木県議会の決議、これは前から出しているものですが、今初めてごらんになるのですか。困ってしまいますね、とっくに出しているのですけれども。

山村新治郎自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(山村新治郎君) 私は余り競馬は好きでございませんもので……。

上野雄文日本社会党

○上野雄文君 大臣もですか。私も、競輪、競馬、パチンコをやったことがないのです。ないのですけれども、地方財政や国家財政、それからそれを取り巻く中で大変なことですから私も実はこれを取り上げざるを得ないのです。栃木県挙げて反対だということを御承知いただきたいことと、それから馬主会や地方競馬調教師会とか厩務員会とか、こういう連中も全部反対だと、これは中央競馬会の内村理事長のところにも行っているわけです。  私はそのことを今申し上げましたが、最後に、実は冒頭に申し上げましたが、私はなるべくならじっと見ていようと思ったのです。しかし、これをここで取り上げざるを得ないなと思ったのは、実はこの仕事をやりたいという申請をしてきたその会社、有力企業というふうに理事長は申されましたけれども、この有力企業、その会社の会長は、時の政権与党、自民党の枢要なポストについている人が会長なのです。その会社からの申請が出てきて、ずっとまことに円満裏な、地元がどんなに反対したってそれは押し通すことができますよと言わんばかりの態度でもって県に反論をし、地域の中で署名運動を推し進めていくというやり方をやっているわけです。政調会長という大したポストにいる人ですから、みんな、ああ、あの人がやるのなら大丈夫なんだんべという、そういう話なのです。こんなことがまかり通ってしまったとすると、今政治倫理の問題がいろいろ言われているときでもあります。しかも地域の人たちは、有力企業といいながらも今は大変な危機的な状態にある会社だということはみんな知っているわけです。だから、その人の一人の力でそんなことがセットされるなどということを、しかも地域社会といっても、半径二キロぐらいの地域社会のことではなくて、県全体の問題にまで発展をしているというふうに御認識をいただかなければならないと思うのですが、そういう時期でのこの問題だけに農林大臣、慎重に扱っていただきたい。私どもは断固反対をし続けるということを申し上げるのですが、最後に一言。

山村新治郎自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(山村新治郎君) いずれにいたしましても、この申請を承認する場合には地域社会との調整が図られているかどうか、これでございます。

上野雄文日本社会党

○上野雄文君 大臣、わかりました。まあ地域社会というのは大きくなったり小さくなったりいろいろするのだろうと思うのです。  ただ、私はこの間、蚕の問題で御質問申し上げましたら大臣から本当に真剣なお答えをいただきましたし、私も大臣のああいう素直な受けとめ方というものについて率直に言って感激してしまったわけです。どうもふたをあけてみたら繭糸価格据え置きで減反二四%。これは大臣の涙はうそであったのかなと、こう思いたくなってしまうのですけれども、私は、この問題については真剣に考えて私どものお願いが通るようにやってほしい、こういうことを重ねて要請をいたしたいと思います。

稲村稔夫日本社会党

○稲村稔夫君 私は、大臣に今後の日本農業についての考え方をまずお聞きをしたいと思っております。  この間の、今質問されました上野委員の養蚕農家に対する実情に対しての訴えには、本当に大臣は絶句をされるということもありましたし、また、大変ただいまの質問の中でも競馬は余りお好きでないという率直なお気持ちも出されたわけでありますから、私もぜひここでも率直なお考えをお聞かせいただきたいと思うのでございます。  農畜産物の輸入問題についての対米折衝、随分長い間のことでありました。その結果については、それまたいろいろと見方の角度の違いもありましょうし、それはそれでまたいろいろと議論のあるところでありますけれども、いずれにいたしましても大変な役割御苦労さまでございました。  そこで、こういう交渉を妥結をされたわけでありますから、そういたしますと、当然今後の日本農業というものについての影響というものも十分お考えになった上で妥結をされたのだと思うのです。残念ながら、大臣の所信表明の中では、活力ある農村地域社会とか、何かそういう言ってみれば大変耳ざわりのよいお言葉はあるのですけれども、具体的なイメージが何もわいてまいりません。わからないものですから、ここで今後の日本農業というものをどういうふうに持っていこうとするのか、どういうビジョンをお持ちになっているのか、それをまずお聞きをしたいと思います。

山村新治郎自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(山村新治郎君) 今回の日米農産物交渉につきましては、農産物貿易をめぐる日米間の緊張を緩和し、そして農業者の方々の不安と動揺を取り除くとの大局的見地から合意したものでございます。  そして、この交渉の結果を踏まえまして、今後とも生産性の高い農業を実現することを基本といたしまして、中核農家の経営規模の拡大と高能率な生産組織の育成、優良農用地の確保と農業基盤の整備、農業技術の開発と普及、村のすべての住民に就業と生きがいの場を提供する豊かな村づくりの推進、これら各般の施策の推進により、我が国農業の体質を強化して国際競争力の向上を図るとともに、農業者が夢と意欲を持って取り組める農業の実現に向けて努力をしてまいりたいというぐあいに考えております。

稲村稔夫日本社会党

○稲村稔夫君 せっかく大臣からお答えをいただいたのですけれども、私は大変汚い表現で恐縮ですけれども、溝の壊れたレコードという表現がよくありますけれども、本当に何か今のお話を伺っていてそんな感じがしてならないのです。  といいますのは、今の表現の範囲の中でずっと農林水産省がいろいろと過去も御指導をなさってきてたのじゃないだろうか。そういう中で、この間上野委員から質問がありました養蚕農家、本当に一生懸命に取り組んでいって何とかしてこの養蚕で生きていこうと、規模の拡大も図って一生懸命やっていって、そしてここで減産、生産調整ということで大変な状態になっているというお話であったわけです。これは養蚕農家ばかりではないでしょう。鶏だってそうだったでしょう。豚だってそうだったでしょう。米も、私ども新潟県でいけば、百万トン増産運動などというようなことを一生懸命みんなやったのに、これまた今減反、生産調整ということでしょう。乳もそうでしょう。そして、養蚕がこの間お話があったような状況、ミカンは、暖かいところの傾斜地はミカンを植えてと、みんな一生懸命農水省の指導に従って、篤農家と言われる人ほど一生懸命努力を重ねてきたわけでしょう。それがそれぞれ生産調整というのにぶつかって、どうしたらいいのだという気持ちにみんななっているわけです。  だから、今度のあれでいきましても、オレンジの輸入でかんきつ類の皆さんがそういう点では物すごい心配をしているのじゃないかと思います、ショックだと思うのです。牛肉だって今畜産局長を先頭にして、肉の生産というものもEC並みの生産費に近づけるというような努力も一生懸命しておられるという。しておられるけれども、一体今のようなアメリカとの関係で、まず、枠はだんだんふえていくという可能性だってあるでしょう、厳しさというものを大臣は随分感じてこられたというのですから。そうしたら、一生懸命それじゃ牛を飼って、これで何とかしようという人たちが、今度生産調整を受けるということはありませんか。今後その心配はありませんか。そんなことだって私は随分心配だから伺っているのです。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) 牛について申し上げますと、まず御承知のように、日本の牛の七割は酪農から出てくるわけでございますが、酪農につきましては、先生も御承知のように、今や生産を若干でも需要以上に伸ばしますと、この前起きましたような過剰を起こす。そういう意味では、酪農の世界には常に需要を見ながら生産をしていかなきゃいかぬという枠がございまして、これにつきましては、私どもは常に生産者に対しましても需要を見ながら適切にふやしていく、これはふえることは間違いないのですが、必要以上にふやしますと暴落をするという可能性を持っているわけです。  今度特に、この前の法律で酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律というので一本の考え方にしましたのは、酪農家というのは、乳をつくると同時に牛肉をつくる大変大事な分野だと、酪農と肉用牛生産というものを一体に考えまして、例えばヨーロッパで行っておりますような、乳肉複合経営という考え方をしますれば、御承知のように、酪農でもし乳が余りそうなときは駄牛を淘汰して肉として生産してやれるということでございます。私は、そういう意味で酪農についてはそういう需給ということをしょっちゅう考えた生産をしているわけでございますが、実は肉の生産については、何と申しましても国内で努力しながら、七割を国内でつくっていくことが、今なかなか大変、むしろ感じからしますとかなり頑張ってもらわないとその水準で肉が出てこないということでございます。  東京ラウンドのときの結果を申しましても、実は東京ラウンドで協定を結びました直後に、我々が想定したほど国内生産が出てこなくて、結果的には輸入量をふやしたという苦い経験を持っております。ですから、私どもは日米、日豪の交渉をしておりますときに、一方では輸入量というものをなるべく合理的な水準に抑えるという意味の努力をすると同時に、頭に置いております国内生産が真にその水準に達するようにという努力、その両方の努力をしながら実は交渉をしているわけでございます。  今先生御指摘になりましたような、そういう意味で肉そのものの生産を調整しなきゃいかぬときが来るかどうかということでございますが、私は、現在私どもが協定を結び、あるいはこれからも結ぼうとしている水準の中で、肉に関して国内生産を調整しなければいけないという事態は全く起こり得ないだろう、むしろ肉の生産についてはかなりの努力と申しますか、それ相応の努力、これは高ければ幾らでもつくるというのでは困るわけでありまして、やはり今のような価格水準の中で国内供給を確保するというようなことを考えております。少なくとも今後四年間におきまして、何か特段に肉の方について国内生産の調整を要するというような事態はないと私どもは考えております。  それから、御参考までに申し上げますと、例えば昭和五十七年の割り当てでございますけれども、五十七年度の割り当ては前年に対して減らしたことがございます。なぜ減らしたかと申しますと、それは先ほど申しました酪農の方の駄牛淘汰が進みまして、我々が今まで経験したことのないような、要するに国内生産が生産見通しを上回るほどのものが出てまいったことがあります。そういう場合には、国内との調整を考えて前の年に比べて輸入量を減らしたということもございます。  これは、かつての協定の中にもそう書いてございますが、不測の事態があるときには限られた範囲内で変動することあり得べしということになっておりますし、今度私どもが協定を結びます場合にも、そういうことは中に織り込んで、これはどこの国でもそうでございますが、見通しに基づいてやるということでございまして、現に世界じゅうの牛肉生産がそうでありますように年々の変動ということはあるわけでございますから、そういう場合にはそういうことも含めております。したがいまして、何トン何トンと今言われておりますけれども、その何トンというものはあくまでもそういうことを想定してやって、具体的な毎年の割り当てにつきましては、やはりそういう状況に応じてやるということでございますので、私は現在日米でほぼ合意を党かかっている事項とか、あるいは今後日豪と結びますような中では、肉の生産に関して国内生産を積極的に調整しなければいかぬというような要素は全く考えておりません。

稲村稔夫日本社会党

○稲村稔夫君 私は今のお話を伺っていて、なおやはり心配になるのです。といいますのは、いろいろと農家の皆さんは不安を持っています。それだけに、例えば複合経営を今指導されていれば、その複合経営でいくのに一番不安のないところはどこだとみんな考えるのです。それで一生懸命考えれば考えるほどそういう安全なところへというふうにやはり行かざるを得ないでしょう。私は肉の生産、今例えばそれは二年とか三年とかという短期の、あるいは四年でも、五年でもいいですけれども、ある程度の短期の中では、見通しは局長のおっしゃるような見通しになるかもしれないけれども、本当に皆さんが一生懸命取り組むようになってきたら、私はやはりそういう問題は将来起こってくる心配はあると思うのです。  ですから、私は日本農業というものについてというふうに大臣に伺いましたのも、それぞれの担当のところではそれなりに一生懸命やっているでしょうけれども、それを今度は総合して、日本農業というものを、例えば複合経営であっても、どういう複合経営に持っていくのだ、そしてその国際競争の中でもこういうふうにしてやっていけるのだという大きな観点からのビジョンがなければ、そしてそのビジョンのもとでそれぞれの計画を立て、指導していくというふうにしていただかなければ、私は農家は一体何をやったらいいかということになってしまうと思うのです。そして、結局生産調整でまた泣かされる。こんなことになったのでは大変だと思うので、それで申し上げたわけなのです。  そこで、そういたしましても、経営を今大臣の言われたようなことでやっていこうとすれば、農家は現在よりも戸数が減らなきゃならないということになるのでしょうか。要するに、今の農家がそのまま維持をされるのでしょうか、それとも、農業経営者というのはかなり大幅に減らなければならないということになるのでしょうか。この辺のところは今までもいろいろと出てきているところですが、ひとつお考えをお聞かせいただきたいと思います。

角道謙一農林水産省大臣官房長

○政府委員(角道謙一君) 今回の日米交渉の結果によりまして、畜産あるいはかんきつの経営の方々にいろいろ御不満もありましょうし、また、将来についての不安もあろうかと思いますが、当面四カ年間最低限こういう状況でいくということにつきましては、ある程度短期間ではございますが、一応の見通しはついたという意味では評価されていいのではないかという感じでおります。  そこから先どうなるかということについての御質問でございますが、私どもは現時点におきましても、昭和五十五年に答申され、また五十七年に追加的に補完されました農政審議会で昭和六十五年における農業のビジョンというものをお示ししているわけでございますが、現時点におきまして、私どもはこの六十五年の見通しそのものを変えなければいけないというような状況にはないと考えております。「八〇年代の農政の基本方向」あるいは「「八〇年代の農政の基本方向」の推進について」という中に、六十五年におきます農業のビジョン、これは御報告を申し上げますが、農家の戸数あるいは農地面積がどうなるか、あるいは中核農家がどうなるかということにつきましてそれぞれ一応のマクロの全国的な姿はお示ししているわけでございます。  今御指摘のように、例えば農家戸数は六十五年には四百十万戸程度になるだろう、また中核農家も七十万戸程度になるだろう、その場合経営としてはどの程度が望ましいかということも全国的なビジョンではお示しをしてございますし、またそれを受けまして、各地方農政局でそれぞれ平均的な姿というものをお示ししてございます。また、北海道その他の都府県におきましても、新潟もそうだと思いますが、県ごとのそういう大きなビジョンを示していると思いますが、実際には農家はそれぞれの土地条件、気象条件に従いまして経営の態様も変わってまいりますし、また村の中でもいろいろ経営の形が変わってこようと思います。そういうものにつきまして、今後大きなマクロのビジョンに立ちながら、例えば畜産、養蚕、あるいはかんきつ、果樹とがそれぞれ別に私どもとしては大きなビジョンを出しながら、また、それに対しまして地区別に懇切な指導なり農家の相談相手になるということも必要だろうというふうに考えております。

稲村稔夫日本社会党

○稲村稔夫君 官房長から御丁寧な御答弁をいただいたのですけれども、私は率直に言いまして、農林省の皆さんのところでつくられたビジョンというものを、それはいろいろな根拠を持ちながらでありましょうから、そのことを全面的に否定をしているわけではありません。しかし、現実の動き、流れを見てまいりますと、過去の例にいたしましても、構造政策を打ち出しながら随分長い時間かかっておりますけれども、その構造政策は一体どうなったのですか、こう問いかけたいものも私にはあるわけでございます。そして、そういうビジョンを、数量的な面でのことからのビジョンを描いたといたしましても、日本農業そのもののあり方というものはもっともっと高度に人間的に政治的に判断をしてつくり上げていかなければならない、生きたものでなきゃならないのじゃないか、そんなふうに思うわけでございまして、それだけに私は大臣のあれが聞きたいというふうに申し上げてきたのです。就任後間もないと言っても、もう大仕事も一つはされた後なのでございますし、そういうビジョンについてもやはりきちっと持っていただきたい、こんなふうに願うわけであります。  そこで、今官房長の御答弁の中でもありましたけれども、問題は、やはり構造政策を進めていくという中で、それなりに思うように進んでいないとは言っても、農家戸数は数が減っていくでありましょうと、そう思うのです。言ってみれば、これは農業を合理化をしていくということの中で農家の首切り政策と同じになっている、極端な言い方で申しわけありませんけれども。だから、普通民間企業でも、合理化をしなければならない、従業員にやめてもらわなきゃならないというやむを得ざる事情があるときは、その企業は経営の側も一生懸命就労あっせんだとかその他のことでやめていく人たちのためにもいろいろな対策を立て、それこそ積極的な対応をするわけであります。農業をやめる農家、離農ということに対して一体具体的にどういうどれだけの手当をお考えになっているでしょうか。  先ほど相談にも応じなきゃならないというお話もありましたけれども、地域で、例えば労働者であれば、何かがあれば労働者の自主的組織の労働組合というものもありますし、あるいは職安もあるし、労働基準監督署もあるし、いろいろと相談をする場所があるわけでありますけれども、農民の場合、そういうものを具体的に一定の権限を持って対処をしてもらえるようなものが果たして身近なところにあるのでしょうか。そういうことも構造政策というものを考えられるのだったら当然考えていただかなければならないでしょう。こんなことも私にはあるものですから、それでこれ一つではないのですけれども、言ってみればそういうふうに総合的にもっと人間的な観点から物を見てビジョンを考えていただきたい。時間もありませんので、私はこの辺は要望で、そのうちにまたいろいろとお聞きをしたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。  なお、畜産局長にもう一つだけ伺いたいのですけれども、私はこの間松阪牛のところを見てまいりまして、そしていろいろと心配になってくるものがあるわけです。つまり、少しでも質のいい、競争といいましょうか、そういういい肉を生産をしようということになりますと、ああいうのが一つの高い水準の教科書になるのかもしれない。だから、企業秘密というものもいっぱいあって、私どもは中を具体的に見ることもできなかった。  それからもう一つは、これは処女牛でなければだめだ、こういうことでありまして、何か大変言ってみれば神話みたいな一つの技術上の確信というのでしょうか、そんなものがあったみたいなのです。それだけに畜産、肉の方の専業化というのを進めていったときに、そんなような方向というのが何かいいところは何とかまねしてやっていこう、やってみてというものが出てくる可能性というのもちょっと気になったのですが、その辺のところはどのようにお考えですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) この前十月に出しました肉用牛の生産の基本方針でも、今から我々がねらわなければいけないのは、やはりEC水準を目指して経済的な肥育をすることであります。日本の需要というのは多種多様でございまして、あのように私どもが一けたけたを間違えるくらい高い肉も現実に消費されることは事実でございますが、いわば脂肪交雑五というようなそういう超高級物というのは生産のほんの一部、一%ちょっとぐらいの数字でございまして、日本の牛肉の特によくああいうものが例に出されること自身が私ども大変対外交渉をしております場合に迷惑でございます。こういう高いものを食っているというのでよく松阪ビーフ、神戸ビーフはとてつもない高いものと看取されますが、私どもが平均的に食べています牛肉の値段は三百円前後でございます。したがいまして、全く論外の価格のものでございます。ただ、そういう需要がごく一部でもあり、そういうことに対応して本当に特殊な方がおやりになっているという理解でございまして、我々は特段の生産奨励等は一切いたしておりませんので、そういうものと今後我々がねらっていく経済的な肥育とは別物とお考えいただきたいと思います。

稲村稔夫日本社会党

○稲村稔夫君 これは生産構造からいっても非常に問題があると思いますので、その辺のところは今の御答弁で多分そうなのだと私も信じております。  いずれにいたしましても、私はここでぜひ御要望申し上げておきたいのですけれども、過去のいろいろな流れをずっと見てまいりまして、結局一生懸命やる篤農家が生産調整だとか何とかということで厳しい状況の中へ追い込まれて、そしてまた、その構造政策というのも何か思うに任せないみたいな格好で進んできていてだんだんとおかしいところへ追い込まれていく、そんな感じはみんな持っていると思うのです。  そこで、ぜひ今後とも酢だコンニャクだと言っている間にだんだんと日本農業は縮小されていって、最後にうまいところへ落ちつくわいというような形にだけはならないように、ぜひ農水大臣の指導性を大いに発揮をしていただきたい。こんなふうに要望してやまないわけであります。  次に、米の需給問題をお聞きしたいわけでありますが、需給についての具体的なことをお伺いする前に、ことしの寒冷地における農作業のおくれ問題、これはかなり深刻なことになっております。相当大きいところがあるわけでありまして、ことしの作柄にも重大な影響があるのじゃないかというふうに心配されております。  作柄の心配と、それから同時におくれ対策ということで、経費の雨その他いろいろなあれがあると思うのですけれども、この点についてはどのような対応をしておられるか、お伺いをしたいと思います。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) まず、本年産米の生産量全体をいかにして確保するかという問題でございますが、これは御高承のように、過去四年間いずれも計画生産量までの生産が実現できなかったという実情があるわけでございます。  その理由は、いずれも気象的な条件が悪かったということに尽きるわけでございますけれども、あわせて農村地域における社会的な要因と申しますか、農家の兼業化なり老齢化が進みまして、基本技術が十分に励行されていないということによりまして、不作が助長されたという面も現実には否めないわけでございます。そういうことを踏まえまして、本年転作の実質的な目標というものも、前年の転作実績に比べますればかなり下がっておるわけでございますから、その意味で特段に、計画生産量をぜひ確保するということについて各地域の強力な指導推進というものが必要であろうと考えております。  既にことしの繁忙期の長期予報も発表されておりますので、そういったことを踏まえまして今後の天候見通しと技術対策につきまして、去る三月十二日付で各都道府県に技術指導の徹底に努めておるところでございますが、さらに農家、それから指導者等の稲作に関する機運の醸成と基本技術の励行等を通ずる作柄の安定を主眼といたしまして、不良条件を克服し得るたくましい稲づくりを目指した新稲作運動を全国官民一体となって推進すべく、この運動の実効確保についての指導を強化しておるところでございます。  それから、融雪遅延によりますところの作業のおくれの問題でございますが、ことしの冬の東北、北陸等の豪雪につきましては、特に中山間部におきます融雪遅延という問題が心配をされておるわけでございまして、過去の数字との対比で見ましても、気象観測始まって以来第一位であるとかあるいは第二位であるという地域が目立っておるわけでございます。その意味で、融雪の遅延による苗の育成ということがおくれるのではないかという心配をいたしておりまして、各都道府県へ照会いたしましたところでは、東北、北陸等におきまして一週間から二週間程度のおくれの懸念があるという情報を受けておるわけでございます。このために、特に水稲の苗の育成をおくらせないという対策を中心といたしまして、共同育苗用地の除雪等を対象といたしまして、水稲苗の確保事業を実施したいと私どもも考えております。これにつきましては、過去の前例などもございますものですから、それらを参考にしながら具体的な内容につきまして現在関係方面と折衝を始めておる、こういう状況でございまして、何とか稲作の遅延による不作という問題を回避いたしたい、かように考えております。

稲村稔夫日本社会党

○稲村稔夫君 いろいろと御配慮いただいていることを感謝いたしますけれども、しかし、従来の稲作とやはり違ってきておりまして、今は、稚苗植えでございますね、大方は機械植えでいきますので。それだけに気象の変動というのは、かなり小さいうちに影響を受けるのが大きいということが言えると思うのです。それにまた、融雪の促進ということもこれは大事なのでありますけれども、融雪をいたしましても周りに雪がかなりあります、山は残っておりますから。それだけに風も冷たいですし、水温も上がりませんし、そういうことがまた活着にも重大な影響をしてきますし、これらのことは、もう山間地ではかなりいろいろと具体的に農民の皆さんは経験しておりますだけに、今またかなり遅延しておるだけに心配をしております。技術的な応援という点でもそれこそ温かい御配慮をいろいろとしていただきたい、こんなふうに思うのですけれども、その辺のお気持ちをお聞かせいただきたい。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) 東北、北陸等の寒冷地におきましては、従来の稚苗移植ということから中苗移植ということがより望ましいのではないかということで、先年来そういう指導を続けてまいりまして、近年、中苗移植の比率というのは年々高まってきているわけでございます。これは苗の生産の効率とか、あるいは機械移植の効率という点から見ますと稚苗の方がはるかに高いわけでございます。御指摘のございましたような移植後の活着と申しますか、気象に対する抵抗性という観点から見ますとどうも中苗の方がよりすぐれているのではないか、こういう意味におきまして、確かに苗の生産段階における期間、費用というものを計算いたしますと割高につくわけでございますけれども、米の生産量を確保するという観点からいたしますと中苗移植の方がより望ましいであろう、こういうことで指導をいたしておるわけでございます。  また、お話しございましたような移植後の気象変動に対する技術的な対応という問題につきましても、先ほども申し上げました、たくましい稲づくりということの一環といたしまして、農業改良普及組織はもちろん、そのほかの指導組織も挙げましてこの問題に取り組むつもりでございます。

稲村稔夫日本社会党

○稲村稔夫君 今いろいろと御答弁をいただきましたが、ぜひいろいろと配慮をしていただきたいと思います。  しかし、ここでやはり考えていただきたいと思いますのは、そういう地域でも稲作を担当している農家といいますのは、それこそ全部と言っていいくらい兼業農家でございます。しかし、それは兼業農家といっても賃労働の方が生活の主になっているような農家が多いわけであります。そういう中で、今お話しのように中苗への指導をいろいろとされる中で、それに対応しようという意欲というものもなかなかわいてこないという人たちもかなりいる中で、現実に今稲作が進められているということなのです。そのことを念頭に置きながら今後の対策というものを考えていただきたいと私は思うのですけれども、その点はいかがですか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) これはおっしゃるとおりでございまして、稲づくり農家の経営的な体質というのが以前に比べますと非常に兼業経営者の層のウエートが高くなっているという事情にあるわけでございます。しかしながら、反面におきまして、そういう農家がめいめいでやれることをやるというだけではなくて、ある程度の地域の組織としての対応ということによりまして、個々の経営体の弱点をカバーしながら生産に取り組んでおるという現実もあるわけでございます。そういう生産の組織の活性化ということも、今後の新稲作運動の一つの軸といたしまして取り組むつもりでございます。過去におきまして、そのような生産組織が全国各地に非常に強力であったという時期もあるわけでございますが、この水田利用再編対策推進の過程におきまして、転作物への取り組みということに主眼が移行されたという経過もございまして、稲作についての組織的な活動が全国的に低下しているという印象も否めないわけでございます。  いずれにいたしましても、水田作農家は水稲生産と転作物の生産とあわせて行っておるわけでございますから、転作とそれから稲作生産、両々あわせて組織的に取り組むということが水田利用再編対策の定着を図るというゆえんでもあり、また、先ほど申し上げましたような米の計画生産を達成するゆえんでもあると思いますので、それら両々あわせまして大いに組織的な対応を強化いたしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。

稲村稔夫日本社会党

○稲村稔夫君 しかし、現実の問題としては、水田再編対策というものの中で兼業収入に依存をせざるを得ないものがふえてきて、そういう経営規模の特に小さいところ、拡大の希望が持てないようなところ、しかも水田単作で水田酪農すら満足には取り組むことができないようなそういう地域がかなりあるわけであります。そういうところではますます今の水田再編対策のために意欲を失ってきている、私はそういう事実は否めないと思うのです。ですから私は、今天候も大変厳しい状況の中に来ているだけに、ここで第三期対策というのはこういう時期には改めてお考え直しになるのがいいのじゃないか、こんなふうに思うわけでございます。  さらに、この水田三期対策につきましては我が党の村沢議員の方からお聞きをしたいという面もあるそうでありますし、特に私は、ことしの需給ということだけではなくて、もう日本農家の今後の行き方ということの中で水田再編対策というのは考え直しをしていただかなければならない課題ではないか、こんなふうに思っております。その辺のことについての担当局長のお考えを伺いたいと思います。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) まず、全体的な米需給の観点からいたしますと、日本じゅうの水田で残らず水稲を栽培いたしました場合に、一年で三百万トン以上の余剰が出るということについては御承知のことと思います。二、三年を出ずして古米の山を再び築くというふうな事態は何としても回避しなきゃならぬと考えておるわけでございます。  今回、本年度から始まります水田利用再編対策におきましては、最近の米の在庫事情などを勘案いたしまして、必要な在庫積み増しをその需給計画上織り込みますとともに、また、他用途利用米につきましても全転作面積のおおむね一割ぐらいのものを織り込むということで計画をいたしておるわけでございます。昨年度の転作等の実施面積が六十四万ヘクタールでございますが、今年の場合、この計画どおりいきますならば、狭い意味での転作というのは五十四万ヘクタール強という程度になるわけでございますから、水稲栽培面積という観点からいたしますと、十万ヘクタール程度のものをふやすという需給計画の内容になっておるわけでございます。  その意味におきましては、御指摘のございましたような事態も十分踏まえまして計画を立て、現在各地においてこれに取り組んでいただくというやさきに相なっておるわけでございまして、ただいま申し上げましたような計画が十二分に達成されますように、今後の指導強化を図ってまいりたい、かように考えております。

稲村稔夫日本社会党

○稲村稔夫君 そうすると、私は確認をしますけれども、いろいろとあれを並べられますけれども、要するに今考え直す気は全然ない、こういうふうにお答えになっているわけですね。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) ただいまの第三期対策の計画を着実に進めたい、かように考えております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 ちょっと関連します。  水田再編対策の基本的な問題については先日も私は指摘をいたしましたが、稲村議員からいろいろと御指摘のあったところであります。そうは言っても、具体的に三期の対策に入ってきたところでありますから、時期的に方針を明らかにしてもらわなければならない二点について、私はこの際質問したいと思います。  五十九年度の予算も決まりまして、構造改善その他の個所づけも決まりました。そこで、水田の土地基盤整備事業を実施する場合、従来は実施面積の一五から二五%に相当する面積を転作することが義務づけされておったわけであります。したがって、第三期におきましてもこうしたことが行われるのでありましょうけれども、この義務転作に他用途米を転作作物扱いとして導入することを認めるべきだというふうに思いますが、どうですか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) 本年度から発足いたします第三期対策におきましては、他用途利用米の生産を導入することとしたことは御承知のとおりでございますが、今お尋ねの農業基盤整備事業の実施地区の転換率の算定に当たりましては、他用途利用米の生産にかかわる面積も含めまして考える方向でただいま検討をいたしておるところでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 この一五%、二五%の面積は別として、そういう方向で検討しておるということですね。検討しておることは結構なのですけれども、既に播種期を迎えていますから、早急に結論を出して各県なんかに通達をしないと、迷っておるわけなのです。それをすぐにやってくれますか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) 決定次第早急に通知をいたしたいと存じます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 いつごろまでに決定するのですか。いいですね、そういう指導をして、私どもは。決定するのはいつですか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) 基盤整備の実施地区の転換率の問題は、これを決めます過程におきまして、大蔵省との相談のもとに決定をしてきたという経緯がございます。そちらの方の了承も得た上で早急に決定をいたしたい、かように思います。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 早急にぜひやってください。  それからもう一点です。減反政策の特認加算についてですけれども、第二種加算のうち特認事項については、各県の自主性を尊重して、知事と地方農政局長と協議して決めるということになっていますが、国との協議の場合においては各県の自主性、知事の意見を十分尊重して、知事の要望するように決めてもらいたいというふうに思いますが、どうですか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) これは御指摘のように、加算の基準を国が一律に決めるということは、なかなか各地の実情に完全には合わないというふうな問題意識から、今回の第二種加算という制度を導入いたしたわけでございます。したがいまして、制度創設の趣旨から見まして、その地域におきましてはこういう転作が一番定着性が高いというものの内容を都道府県知事に決めていただきまして、それについて加算を出すという考え方でございますから、その趣旨に基づくものであれば、最大限に各県の創意工夫を尊重いたしたい、かように考えております。

稲村稔夫日本社会党

○稲村稔夫君 それでは、私はこれから食糧庁長官にちょっと伺いたいと思うのです。時間が大分経過しておりますのでまことに申しわけありませんが、たしか前の委員会でしたか、菅野委員から五十三年産米についての安全性について疑問が出されまして、厚生省にその分析をしてもらうということになった。集約まで準備をしておられるという話でございましたけれども、そのことは今具体的にどのような進捗状況になっておりますか、それぞれからお聞きしたいと思います。

松浦昭食糧庁長官

○政府委員(松浦昭君) 五十三年産米の安全性につきましては、当委員会でも、私御答弁をさせていただきまして、基本的には五十三年産米につきましても使用している農薬につきまして極めて厳格な検査をしているものでございますし、その都度十分な換気もし、また使用している薫蒸剤は非常に揮発性が高いということから安全性について問題ないということを申し上げた次第でございます。なお念のためにこれについて調査をするということの御要望もございまして、食糧庁としてはそのようなことで念のためということでございますれば、厚生省とも協力して調査をいたしましょうということでお答えいたしました。目下調査をいたしているところでございます。  具体的な内容は厚生省の方からお答えがあると思います。

市川和孝厚生省環境衛生局食品化学課長

○説明員(市川和孝君) お答え申し上げます。  五十三年古米の薫蒸剤の残留検査につきましては、全国の主要な生産地三十カ所から採取されました検体につきまして、食糧庁とも協力しつつ取り進めているところでございます。  検査の進捗状況ということでございますけれども、現在分析が進められている段階でございます。検査結果が出るまでしばらく時間をいただきたいと思うのでございますが、できる限り早く結果が得られるように努めてまいります。

稲村稔夫日本社会党

○稲村稔夫君 大体結論が出るにはどのくらいの期間がかかりますか、およそで結構です。

市川和孝厚生省環境衛生局食品化学課長

○説明員(市川和孝君) 正確にどのぐらいということは、私ここで申し上げることは難しいかと存じますが、とにかくできるだけ早く分析が終わるように努力いたします。(「早くしないと食べちゃうよ」と呼ぶ者あり)実際の分析におきましては、分析方法は若干複雑な部分もあるということを実際の分析技術者の方からも聞いておりますので、いずれにいたしましても、できる限り早く結果が得られるように努めてまいります。

稲村稔夫日本社会党

○稲村稔夫君 今もいろいろと出ていましたけれども、早くしていただかなかったら皆食べてしまうのです。  それで、長官は問題はないというふうに断言をされたけれども、あなた自身が分析にタッチをされたとか、あなた自身がそれを確認をしたということでない限り、事人命にかかわるものなのですから、問題がないという断言は私は慎んでいただかなきゃならないのじゃないかと思います。一応急のため調査をするならするということで、そのことについては私は当然そうしていただいたということで評価しますけれども、しかし、断言はできないはずですということをまず申し上げておきたい。それで、ぜひ早急に結論を出していただきたいと思います。  そこで長官、五十三年産米というのは、今政府は一体幾らお持ちになっているのですか。

松浦昭食糧庁長官

○政府委員(松浦昭君) ただいま逐次売っているところでございますが、御案内のように、昨年の米穀年度が終わりました時点、つまり十一月でございますが、このときの在庫量は六十万トンでございました。

稲村稔夫日本社会党

○稲村稔夫君 たしか私に御答弁になりましたのは十万トンから十五万トンというふうに言われました。そうするとこれは手持ちということではなくて、需給操作に使う予定という意味ですか。

松浦昭食糧庁長官

○政府委員(松浦昭君) 十月末現在の在庫が、先ほど申しましたように六十万トンでございますが、このうちインドネシア向け等にまだ輸出をしなきゃならぬ分がございます。これは今までもずっと輸出をしてまいりました。したがいまして、私どもは安全でございますということを申し上げてきておるわけでございます。そこで十五万トン、この分がございまして、それに加えまして五十九年度の需要分、工業用がございます。この分をとっておかなきゃならないわけでございまして、これが約二十五万トンでございます。合わせて四十万トンの分は、これはこのような用途に使わなきゃならないということでございますので、主食用として考えられますものは約二十万トンと思います。したがいまして、この前の需給計画の中では、確かに先生にお答えいたしましたように、十ないし十五万トンということで供給をする予定でございますが、主食用全部に回しましても二十万トンということに相なるわけでございます。

稲村稔夫日本社会党

○稲村稔夫君 それでは、それは十五万トンか二十万トン、いずれにしてもそれが主食として利用できる数量としての全部だというふうに理解ができるわけですね。そういたしますと、その二十万トン、十五万トンというのは、主食用として売る場合の方針といいましょうか、それはどういうふうになりますか。

松浦昭食糧庁長官

○政府委員(松浦昭君) この場合、私どもが考えておりますのは、業務用に売ろうということでございまして、実は大型の外食産業がかなりの需要を持っておりますので、その需要に応じまして売却をしていく。これは業務用ということで売却するつもりでございます。

稲村稔夫日本社会党

○稲村稔夫君 業務用として売る、一般配給はしないという方針ですね。しかし、一般配給に例えばその業者が回しているということは考えられませんか。

松浦昭食糧庁長官

○政府委員(松浦昭君) 業務用の用途に売却をしておりますので、回していることはないだろうというふうに私ども考えておりますが、末端におきましては、例えば、一般の消費用のお米につきましては表示をいたしております。さような表示の違反という問題も起こりますので、当然五三米が入っているという状態は一般の場合はないだろうというふうに考えておる次第でございます。

稲村稔夫日本社会党

○稲村稔夫君 その辺は推測ですね。確かめられたわけではないですね。  次を続けて質問させていただきますが、実は、配給というか、米を三十キロ欲しいと頼んだら、二十キロにしてくれ、そのときに、来たらまた何とかしますと言われたのと、それから、特例標準価格米をまぜて食ってくれと、こういうことを言われて、そして、もらった配給米を食ってみたら、それはとてもじゃないけれどもまずくてしようがないうまくない。どうしてうまくないのだということです。特に私のところは、ふだんは米のうまいところですから、うまくないというのはもう大変なことになります。次々とあれしていったら、よそには絶対言ってもらいたくないけれども、実はまあ、ちっとは入っているのだと、こういうことを白状したというのです。あり得ることだと思うのです。ということは、平均五・九%ですか、カットしているわけですからね。これは手持ちの米が足りなければ、そこへ希望配給をもらってというようなことは、これだってあり得ることだと思うのです。その米を食べさせられる。うっかり外食もできない、外食産業では食えないということにもなるのです。いずれにいたしましても、一般配給にも混入をしているという可能性が多分にあると思うのですが、その辺は食糧庁、どういうふうに考えますか。

松浦昭食糧庁長官

○政府委員(松浦昭君) 私どもが業務用に売却いたします場合には、食糧庁から卸に対しての売却でございますので、そこから先がなかなかチェックできないということは確かにおっしゃられるとおりだと思います。私どもとしましては、あくまでも業務用ということで売却をいたしておりますので、そのようなことがないように十分に指導いたしたいというふうに考えます。

稲村稔夫日本社会党

○稲村稔夫君 うわさ話ですからあれですけれども、この三月段階で、配給の相談をする業者の会合に食糧事務所から出向いていって、そこではもちろん、ことしの米の需給についていろいろと御説明になったということがあったようでございますが、そのときに、具体的なブレンドの話になってきたら、食糧事務所の方は席を外して、おられなかったと。そして、また後で一杯飲む話になってきたら戻ってこられたと。その一杯飲むことに食糧庁の方が参加したのじゃないそうですけれども、随分うがったような話になっているのです。そういう話も聞くのですが、私はこういうことを申し上げたのは、要するに、食糧庁は五十三年産米は業務用以外に売らないのですよという方針でやったら、絶対に配給米に混入するなどということがあってはならない、そのための体制をきちっとしてもらいたい、そう思うからなのです。その辺のところを。

松浦昭食糧庁長官

○政府委員(松浦昭君) うわさの話でございますので、私もそういううわさがあるようなことがあってはならないというふうに考えるわけでございます。食糧事務所を通じまして十分に指導いたします。

稲村稔夫日本社会党

○稲村稔夫君 もう時間も随分経過してまいりまして、まだお聞きしたいことがいろいろとあったのでありますけれども、しかし、今の安全性の問題もさることながら、五十三年産米というのには私は本当にいろいろな問題がまだあるのじゃないかという気がいたします。例えば保存を随分長い間しているわけでありますから、その辺のところのこれを配給をされる、配給というか、業務用ということにいたしましても、これは今まで三等ですね、一〇〇%で売っていたものが、徳用米が、これが今度は全部五十三年産米になるということだって、これはもう大変なことだと思うのです。  それで、それなりに需給事情の面で言っても、これは大変な事情です。先ほどちょっと心配していましたように、もし、ことしまた作柄がという心配になってまいりますと、それこそ六十年度の米の需給というのはもう大変なことになるというふうに、私は心配でならないのです。だから、先ほども第三期減反についていろいろと見直しをしてみる必要があるのじゃないかというような提起もしているわけですけれども、その辺のところを私はさらにいろいろと見きわめをしながら柔軟なる対応をしていただきたい、こんなふうに思います。  それから、これは大臣にお聞きするのですけれども、米のよしあしはある程度おわかりになるはずだと思うのです。それで、五十三年産米というのは具体的にごらんになって、御検討になったことがございますか、試食してごらんになりましたか。

山村新治郎自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(山村新治郎君) 実はこの前、そんなにまずいのかということで、普通米とまぜて、それからあと特においしいというササニシキ、コシヒカリですか、これらとまぜ合わせながらやったのです。結局これは冷たくはなりませんでしたが、あったかい米でしたが、はっきり申しましてだれもわかりませんでした。

稲村稔夫日本社会党

○稲村稔夫君 あったかいときはわからないのが随分多いのですし、またこれも問題なのですけれども、搗精度を八二%ぐらいにまで上げて今出しているわけです。八二%に上げるということは、一般の精米機ではできません。だから、もう全部と言っていい、酒屋に持っていってすってもらっているというのが現状だと思います。少なくとも新潟県の場合はそうなっているようであります。そういうこともありまして、私は古米、超古米というものを配給しなければならないという緊急の事態はもう絶対今後繰り返してもらいたくない。そのためにも、ぜひとも今後の米の生産というものについては万全を期していただきたい、このように思うわけでございます。  なお、厚生省の結果が出ましたときに、もし疑義があるということになったら直ちに、私は本来配給する前に、結果が出る前に疑義があるとすればとめるというのが普通だと思うのですけれども、とめられないのであれば早急に結論を出していただいて、その結果本当に安心だということになってから食わせるというような態勢をぜひともとっていただきたい、このように思います。  それから、念のためにここに私、一つかみずつで申しわけありません、五十三年産米と八年産米を持ってまいりましたので、これを大臣、見比べてみてください。片一方は五十三年産米でも豊作のいいときのできでありますから、米としては決して悪いものではありません。片一方は去年の米でありますから、大変気候が悪いときでありましたから、米としては悪うございます。しかし、大臣見ていただけば一目瞭然でわかると思います。そういう米をぜひ食わせないようにしていただきたい、このことを最後に要望いたしまして、質問を終わります。

谷川寛三自由民主党・自由国民会議

○委員長(谷川寛三君) 本件に対する質疑は午前はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時休憩      —————・—————    午後一時開会

谷川寛三自由民主党・自由国民会議

○委員長(谷川寛三君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

竹山裕自由民主党・自由国民会議

○竹山裕君 日米に続きまして日豪の牛肉の交渉ということで農水大臣は大変御多忙のようでございますが、私は、この畜産物とともに私ども国民の食生活の動物性たんぱく質の半分に近いものを供給しております水産物関係について質問をさしていただきます。  我が国の水産業は、現在二百海里体制の定着に伴って海外の漁場条件の悪化と燃油や漁業資材などの経費の増大によって経営コストの圧迫、さらには水産物の需要の伸び悩みということで極めて困難な環境のもとにあるわけでございます。二百海里の思想は、当初は自国が漁獲しない分を水産国、日本などを初め伝統的な漁業国に割り当てるという余剰原則が中心であったわけでありますが、最近ではこの漁業交渉が貿易問題や外交問題と絡めて行われるという動きが見られるなど、大変複雑化してきております。  例えばアメリカでは、我が国に対する漁獲割り当てを年に数回に分割して、自国に対する貿易面での協力の度合いに応じて小刻みに割り当てを行うという分割割り当て方式をとっているわけでありますが、昨年などは捕鯨問題についての我が国の対応を不満として、割り当て量を一部カットするなど極めて厳しい対応を打ち出してきております。また、入漁料についても年々引き上げられるなど我が国遠洋漁業は世界の各水域で厳しい対応を迫られているわけでありますが、このような状況に加えて、特に先ほど申し上げました燃料そして漁業資材関係の経費アップということで大変経営を大きく圧迫しておる。特に燃油でありますが、過去二度にわたるオイルショックを契機にしまして価格の高騰、過去十年の間にほぼ七倍の上昇が見られるわけでございますが、一方魚価の方は約二倍の上昇にとどまっております。また、食生活の多様化といいますか、洋風化などに関連して水産物に対する需要が伸び悩んでいる、この辺からも大幅な魚価のアップは見込みがたいというような状況下にあります。もちろん、漁業者の皆さん方は省エネルギーに努めるという面では大変経営努力をされているわけでございますが、残念ながら漁業を取り巻く諸条件の大きな変化の中で吸収し得ないでいるというのが現状であります。こうした現状認識の上に立って幾つかの質問をさしていただきたいと思っております。  まず初めに、基本的なこうした我が国を取り巻く漁業環境に対して、政府として今後我が国の水産業の発展のためにどのような基本的なお考えで対応していかれるか、その辺から伺っていきたいと思っております。

仲川幸男自由民主党・自由国民会議農林水産政務次官

○政府委員(仲川幸男君) 竹山先生、漁業問題は本拠の日本水産においでで専門の知識がおありの中でのお尋ねでございます。  今お尋ねの前段にありましたような問題もおっしゃるとおりでございまして、大変厳しい状態の中でこれから農水省がどうやっていくか難しい問題がたくさんあると思いますが、分析をいたしまして幾つかに分けられると思うのです。  一つは、おっしゃるとおりの二百海里問題からくる遠洋漁業の問題が大変厳しくなっておりますので、この問題につきましては粘り強い水産外交を展開する。それにはいろいろなことが必要であろうと思うのでございまして、たちまちソ連との問題も起こってまいっておる状況でございます。もう一つは、沿岸漁業をどう発展さすかということでございましょう。これは栽培漁業ということになろうと思うのですが、沿岸漁業の問題は、私の方はもう御承知のように大変海岸線の長い水産圏でございますので大変苦労をしておるものでありますが、農水省としては外交を粘り強くやって沿岸の栽培漁業をも含めて努力をしていく。もう一つは、燃費の問題も大変な問題でございますから、再編整備を生産構造の中でいたしまして、今後コストダウンにつながることをやっていかなきゃならないだろう、合理化の問題と取り組まなければならないであろうと思います。もう一つは、水産の消費が大変落ち込んでおりますので、この消費拡大の問題の対応をしなきゃならない。お尋ねの問題については、この四つの問題を中心にして今後対策を立てていかなければならないのではなかろうか、こう思っております。  数字の問題その他につきましては、政府委員から答弁をさせます。

竹山裕自由民主党・自由国民会議

○竹山裕君 ただいま次官から基本的なお考えをお聞きしたわけでございますが、では各項目別に、長官もお見えでございますので伺わしていただきます。  今次官のお話にもございましたとおり、我が国の周辺水域というのは大変豊かな水産資源に恵まれておるわけでございますが、この環境を生かして、お話のとおり沿岸漁場の整備開発、特に栽培漁業の従来のとる漁業からつくり育てる漁業という面での積極的な推進をお考えのようでございますので、その辺を少しく具体的な観点から長官にお尋ねをしたいと思います。

渡邉文雄水産庁長官

○政府委員(渡邉文雄君) つくり育てる漁業関係の進め方につきまして具体的に申し上げたいと思いますが、私どもは海の畑づくりと言っておりますが、沿岸漁業の生産基盤でございます漁場の重要性を高めるという視点で沿岸漁場整備開発事業というものを計画的に取り進めておるわけでございます。内容的には、御案内のようにコンクリートブロックなど耐久性の素材によります魚礁漁場の造成、あるいは藻場とか干潟とか、あるいは消波堤、沖合いに消波堤を設ける等によりまして増殖事業あるいは養殖事業が可能になるような水面の面積をふやしていく、あるいは漁場に堆積したものを除去することによりまして漁場の有効性を高めていくというような形のものを基本にいたしまして、大変厳しい財政事情ではございますが、本年度におきましても二百十億余の予算の確保を図ったところでございます。いずれの公共事業も大変大事な公共事業ではございますが、その公共事業の中でも最高に近い伸び率をいただいたわけでございます。  また、種づくりと私ども言っておりますが、そのようにして造成されました漁場、あるいは有用性を増しました漁場に魚をたくさんふやすということで栽培漁業を取り進めておるわけであります。具体的には、国は技術開発を中心に行うということで、国の栽培漁業センターを全国を数海区に分けまして設置しておるわけでありますが、今年度予算におきましては、国営センターのまだ設置されておりません太平洋中区で、私どもといたしましては伊豆半島の適地にこれを設けたいと思っておるわけであります。そういうところに国営センターを設けるための調査に着手したいと思っておりますし、日本海側では、若狭湾の事業場の宮津施設も開設したいというふうに考えております。また、そのような開発されました技術によりまして、大量の栽培対象種の種苗放流を行うための県営の栽培漁業センターは、昨年度をもって一応沿海三十七都道府県につきましては基本的な施設の整備を完了したわけでございまして、それぞれ所要の魚種につきましての機能を果たしつつあるわけでございます。さらに国、県のほかに、末端におきまして市町村あるいは漁協等がこういったことで開発され、あるいは増殖されました種苗を放流するというために、市町村等が行いますパイロット事業というもの、言うなれば小規模の栽培漁業センターでございますが、そういったものも実施中でございます。  結果的には、そういった努力を地道に続けることによりまして放流量を徐々にふやしていく。例えばマダイでは、昭和五十二年には七百万尾でございましたが、五十六年には一千六百万までふやすというような、これは一つの例でございますが、そういった形で地道な努力を重ね、着実に放流量をふやす、そして沿岸におきます生産力を基礎的に高めていきたいというふうに考えておるわけでございます。

竹山裕自由民主党・自由国民会議

○竹山裕君 次に、一昨年の四月、第三次の国連海洋法会議において百三十カ国に及ぶ同意のもとで海洋法条約が採択されたわけでございますが、今や全く二百海里体制定着という中で、それ以来米国、ソ連を初めとする主要沿岸国が二百海里水域を設定して、それを諸国と我が国との間でのいろいろな折衝の中で、漁船の入漁に関して本当に厳しいいろいろな取り決め、そしてまた入漁料の引き上げという状態の中にあるわけです。多数の零細な漁業者の方々は、生計を立てる意味での遠洋漁業の確保に特にまた一段と厳しさを増してきているわけでありますが、こうした中で我が国の漁業関係の基本といいますか、そうしたあたりのお考え、取り組みについてお伺いしたいと思います。

仲川幸男自由民主党・自由国民会議農林水産政務次官

○政府委員(仲川幸男君) お尋ねの問題が今一番日本の水産業の大切なところであろうと思うのですが、御承知のように二百海里の問題が大変厳しくなってまいりました。これは、沿岸の各国そうでございますが、その中へ水産政治がかみ込んでまいりまして、漁業をとるだけでないものとの関連も出てきてまいっておるわけでございます。問題は貿易の問題とも絡んでおりますが、いずれにいたしましても出先を強くするということでないとならぬのでなかろうか。今まで、今海外へ出ております人たちが、実際は水産専門家が非常に少ないということでありますので、この点いろいろの問題があると思います。粘り強い外交の問題があることはもう御承知のとおりでございますけれども、直接の当面の問題としては、やはり海外へ出ている水産専門の方たちをふやしていくということで連絡がとりよくなるのではなかろうか、それがよい状況をつくるということになるのではなかろうか、こんなふうに思っております。

竹山裕自由民主党・自由国民会議

○竹山裕君 先ほどの次官のお話にもありました、例年でいきますと間もなく日ソ漁業関係の柱とも言えるサケ・マスの漁業交渉が開かれるわけでありますが、特に本年は樺太マスの不漁年に当たり、昨年、多くの日本漁船の操業違反ということも絡んで一段と厳しいソ連の態度ではないかと懸念されるわけでありますが、この辺についてどう対応していくか、お伺いしたいと思います。

渡邉文雄水産庁長官

○政府委員(渡邉文雄君) 日ソサケ・マス交渉、通常の年でございますともう既に始まっておるわけでございますが、今年の場合は、外交ルート等を通じまして再三ソ連当局にサケ・マス交渉を行いたいという申し入れをしておるわけでありますが、まだ向こうからいつから始めるという趣旨の 返事が参っておりません。そういう意味では、私どもも関係の漁業者の方も大変現在心を痛めているところでございます。私どもとしましては、遅くとも来週早々から始めませんと五月一日の出漁に間に合わないという最悪の状態も予想されますので、なお本日も外交ルート等を通じまして、ソ連当局が一日でも早く始めるように努力をして申し入れをしてみたいと思っておるわけであります。  交渉の内容につきましては、ただいま先生から御指摘のように、幾つか例年にない難しい問題が今年はあるわけであります。特に、御指摘のように昨年の春、操業中にソ連側より大量の日本のサケ・マス漁船の違反操業が指摘されました。もちろんそれに対します適正な措置は昨年の秋にとって、これはソ連側に通報はしてあるわけでありますが、昨年の私の日ソ、ソ日の漁業交渉のときの経験に徴しましても、協定をきちんと守らないのでは大変困るということを再三向こうから言われております。そういう操業問題が一つございます。  それからやはり、ことしが樺太マスの不漁年になる。特に一昨年の不漁年のときの不漁の度合いが例年になくきつかったのでございますが、その年以上にことしはきつくなるのではないかということをソ側は昨年の秋の共同委員会の席上で申しております。  そういった意味でのきつさもあろうかと思いますし、またソ側としましては、サケ・マスのふ化放流事業に使っておりますソ連政府の歳出が年々ふえているということを理由に、いわゆるサケ・マスの漁業協力費の引き上げを例年要求をしてまいってきております。その問題も例年どおり予想されるところでございます。  全般的には、そういったことを考えますと、なかなか今年の交渉は厳しいものとなろうと思いますが、いずれにしましても、まだ始まる時期が決まっていないということで大変心配をしておるわけであります。幸い来週から交渉ができるようになりました場合には、今申しましたような点も十分念頭に置きながら、従来から伝統ある日本の北洋におきますサケ・マス漁業というものを継続できるように、最大限の努力を払う所存でございます。

竹山裕自由民主党・自由国民会議

○竹山裕君 ソ連と並びまして、もう一方の大きな日米漁業関係があるわけでございますが、この方も冒頭で申し上げた貿易問題等と絡めての入漁料の引き上げ、大変強硬な態度のようでございます。過日は大日本水産会などから米国を相手にこの入漁料の問題訴訟を起こし、当初案よりは若干後退したように聞いておりますが、この辺につきましても全く今後予断を許されない、楽観できない状況にある、こうした中での日米漁業問題に取り組む姿勢についてもお伺いしたいと思います。

渡邉文雄水産庁長官

○政府委員(渡邉文雄君) 昭和五十二年、一九七七年に諸国が二百海里を設定した以降、情勢の変化がここ二、三年あるように感じられるわけであります。二百海里が設定されました当時は、伝統的な漁獲国に従来の数字に見合う漁獲量を割り当てるというのはどこの国もそういった態度であったわけでありますが、ここ二、三年漁業漁獲割り当てを、先ほど政務次官からもお答え申し上げましたように、捕鯨問題というような政治問題あるいは貿易問題等に絡める傾向が非常に顕著になってきておるわけであります。  それからもう一つは、自国の水産業を非常に振興するという意欲が特にアメリカを中心に高まってきておるわけでありまして、そういう意味でアメリカの漁業を振興させるために日本がアメリカに対して協力をすべきである、具体的には日本がアメリカからたくさん買うようになればアメリカの漁業は結果的に振興されるし、その協力の度合いに見合って漁獲割り当てを考えようというラインが非常に強くなってきたわけであります。  例えば、昨年の四月には捕鯨問題で十万トンのカットをされたわけでありますが、本年に入りましてから一月の割り当てにつきましては、私どもジョイントベンチャー事業と言っておりますが、アメリカの漁業者がとりましたスケトウダラを洋上で買い取る数量を大幅にふやすことを要求されました。それにも応じざるを得なかったわけであります。ことしの四月の割り当てに際しましては、取り締まり問題を理由に二万トンの保留をなされたわけであります。さらに、先ほど先生の御指摘のように、入漁料の引き上げ、これは幸い本年度はアメリカ側に抗議の意味を含めまして大水が行いました訴訟問題が効を奏しまして十数億円になるだろうと思われますが、減額に成功したということはございますが、いずれにしましても基本的には入漁料の引き上げ等々幾つかの難問も持ち出されてくるわけであります。  しかし、私どもとしましては、何といいましても日本の漁業者は伝統的にアメリカの沖合で長年にわたって漁獲をしている、あるいは日米の一般的な友好関係、あるいは先ほど申しましたスケトウダラの洋上買い付け等による米国水産業への協力というようなこと、あるいは捕鯨問題につきましても、現在、日米間で今後の日本の捕鯨量をどうするかということにつきましてかなり突っ込んだ意見の交換をしているというようなことを踏まえまして、米側に対しましては今後とも従来の実績が十分確保できるように、機会を得るごとに強く申し入れ、従来の操業実績が確保できるように努力を続けていきたいというふうに考えております。

竹山裕自由民主党・自由国民会議

○竹山裕君 時間が残り少なくなってきましたので、質問を一つにまとめましてお尋ねをいたしますが、最近の水産物の輸入の急増は大変なものがございまして、五十七年度には数量で約百二十万トン、金額で約一兆円になんなんとする水産物の輸入の増大そのものは、日本の漁業の生産に大きな影響を与えることはもとよりでありますが、この辺の水産物の輸入に対しての対応の基本的な考え方についてお伺いしたい。  いま一つは、畜産とともに大きな動物性たんぱく質の供給源である水産物が、昭和四十年には六〇%対四〇%といって四分六で優位を保っておりましたところが、現在は農水省の食糧需給表の五十七年度の推定を見ますと、四四・四%対五五・五%というように逆転してきております。これはいろいろな要素があるとは思いますが、こうした水産物の需要の伸び悩みという面から漁業の生産面での対応だけでなくて、水産物の流通、加工、消費を含めた総合的な対策が必要ではないかと思うわけでございます。それと同時に、健康への関心の高まりと申しますか、海の向こうではすし屋が大繁盛という日本食への見直し、あるいは水産物の栄養面での優位性という意味では、数年前から、先ほどお話がありました一部の民間企業、私のおりました日本水産などでは大変魚食普及の拡大、啓蒙的なキャンペーンに取り組んできておりますが、今年度はそうした面で新しい予算措置も組まれております。大変結構なことだと思っておりますが、この辺を含めまして今後の農水省としてのお取り組み、お考えを伺わせていただきたい。

渡邉文雄水産庁長官

○政府委員(渡邉文雄君) 前段の輸入問題でございますが、御指摘のように昭和五十年当時は約七十万トン、四千億円程度の輸入であったわけでありますが、昨年は百三十万トン余り、金額にしまして約一兆円の輸入と大変ふえてきておるわけであります。しかし内容を見ますと、一つはエビとかイカなどに見られますように、国民の食生活の向上によりまして需要がふえてきております品目につきまして、国内生産が追いついていないというために輸入がふえたというようなもの、あるいはサケ・マス、タコ、ニシンに見られますように、二百海里水域が設定されました結果、日本が締め出されまして漁獲量が減ったというような問題を背景にした輸入の増というものがその大部分を占めるわけであります。国民が必要とします水産物につきましては、できるだけ国内生産で賄うということが大事であることはもちろんでありますが、反面需要に見合った供給が日本国内で確保できないものにつきましては、ただいま申しましたような魚種につきましては今後ともある程度の輸入というものは継続されるだろうと思っております。  いずれにしましても、私どもといたしましては、輸入制度を適切に運用することによりまして、需要に見合った供給の確保並びに沿岸漁業者あるいは日本の漁業生産者への影響が大きく出ることがないように、両面をにらみながら適切な運用をしてまいりたいと思っております。  それから、流通、加工、消費等につきましての対策についてのお尋ねでございますが、御案内のように水産物の需給動向は、五十八年には総体の水揚げが約一割ぐらいふえたということで、価格の方は一割ないし二割下落をしたのが五十八年の状況でございます。このために二百海里問題以外にこういった魚価の低迷ということもありまして、漁業者の経営は大変苦しくなっているわけでありますが、そういうことを踏まえまして、水産物の加工対策あるいは流通消費対策というものを強化していくことはもちろん大事なわけであります。  それから、御指摘のように水産物自体の持つ栄養的なよさ、たんぱくの中に入っておりますアミノ酸の種類とか、あるいはよく言われますエイコサペンタエン酸等の魚油のよさ等からいたしましても、魚食を勧めるということは大変国民の健康のためにもいいことだということが言われ出してきているわけでありますが、そういったことを背景にいたしまして、昭和五十九年度の予算につきまして幾つか新しい施策も考えたわけでございます。  一、二申し上げてみますと、魚食の普及のための関係の予算としましては、従来に比べまして予算額にしまして約二・六倍の予算を確保したつもりでございます。そういったものを利用しながら条種のパンフレットあるいはテレビ、料理コンクール等によりまして、さらに魚食普及のための各種のパンフレットをつくるというようなことも含めましてそのPRに努めていきたいというふうに考えております。  それから、魚と肉との外食における差を見てみますと、家庭外における消費は肉に比べますと魚の場合、非常に少のうございますので、そういった外食に魚を有効に利用してもらうための予算措置等も考えておるわけでございます。そういった幾つか新しい要素も含めながら、魚食の普及によりまして食生活の改善にも資し、あるいは漁業者の漁業経営の改善にも貸すということで、できるだけの努力をしてみたいと考えております。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 質問をさせていただきます。  足かけ三年に及ぶ日米農産物交渉がようやく決着をいたしまして、大臣を初め交渉に尽力をなさった方々には心から御苦労さまと申し上げたいところでございますが、しかし、その後に持ち込んだ課題を考えるときには、この決着を評価し、歓迎するということばかりを言っていられないのではないか、このように思います。  そのうちの一つといたしまして、毎年六千九百トンと拡大された高級牛肉の輸入枠でございますが、この数量は畜産振興事業団にとってはかなりの抱え込みにつながろうかというふうに思います。そこで、消費を喚起するような策ということを考えていかなければならないのではないかというふうに私は思います。新聞にこんな記事が載っておりましたので御紹介をいたします。日米農産物交渉が妥結して安い牛肉が多く輸入されるのなら消費者は助かるはずだが、輸入肉の買い付けを独占している畜産振興事業団という怪物が存在する限り、消費者は安い牛肉は望めそうもないと、振興事業団が怪物にされております。私、いささかこの役割はわかっているつもりでございますが、その問題も含めて、今後の価格政策についてお尋ねいたします。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) 価格の考え方でございますが、御承知のように、国内の合理的生産を伸ばしていくためにどんな価格水準でなければならないかということを頭に置いて、毎年、畜産振興審議会を開きまして、三月の末にその次の年の安定価格帯を決めておるわけでございます。この安定価格帯はここ四年間全く動かさない。したがいまして、他の諸物価は高騰下にございますけれども、安定帯を動かさないということは、そういう価格の中で生産者が努力をしていただきたいということをやっておるわけでございます。それから現実につくられております価格も、何度も申し上げるようでございますが、五十年にこの制度ができましてから、五十年を一〇〇といたしますと、この輸入牛肉に一番関係があります乳雄の中の年間平均価格は、五十四年に一度一〇〇を超えました以外は全部一〇〇以下で推移をしております。といいますことは、その間に大体卸売物価指数が一三五ぐらいになっておりますから、実質は三五%ダウンをした、そういう価格帯でやっているわけでございます。  そこで、私どももこの前の法律に基づきます基本方針の中で、国内における合理的生産を基礎として輸入をしていく、合理的生産というのは、将来的にはEC並みの価格に近づけていくのだということを方針として言っているわけでございますので、名目的な価格を直ちに下げられるかどうかは別にいたしまして、実質的には、割安感のあるような形で価格運用をしていきたいと思っております。  そこで、畜産振興事業団が何かいろいろなことをしているかというような書き方がございますが、先生もよく承知していただいておるわけでございますが、これは事業団がどうこうということではなくて、この価格安定制度がそういうことを命じているわけでございまして、実は輸入肉につきましては、現実の価格は、国内産の牛肉よりもある意味では小売店その他に指定店制度等を設けて割安価格で売っているわけでございます。そういうことは、今後におきましても、そのようにむしろ量がふえてまいるということになりますれば、先生も御指摘のように、ある程度割安感を持たせて需要を伸ばしていってもらわなきゃ、消費をしてもらわなきゃならないと考えております。ただ、そのことが価格帯を割り込んで国内生産が維持できなくなるようになりますと、この法律の制度に反する結果になるわけでございますから、そこはきめ細かに操作をしながら、この価格の安定帯の中で国内産の牛肉が維持できるようにやる。安くすればいいということだけが名目ではございませんで、再生産を確保しながらしかもできるだけ安く売っていく。そのできるだけ安く売っていく中には、御承知のような指定店制度とかその他いろいろな制度がございます。そういう制度を活用してやっていくつもりでございます。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 昨年の一月に、行政管理庁の指摘で、この価格安定制度について、肉の放出の数量あるいは時期が非常に不適切で、高値安定にとどまっているのではないかということで、改善措置を講ずるような勧告があった経緯がありますようですが、そういう問題についてはいかがでしょうか。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) それは、私が先ほど申しました五十四年という時期が、国内生産の、特に和牛でございますが、生産が激減をいたしました。したがいまして大変高騰をし始めたということで、事業団の輸入量も前の年に比べて二万トンもふやしました。十一万トン台から十三万トン台にふやして放出をしたわけでございますが、そのときに、もっと適時適切にやればよかったという御指摘があったわけでございます。これは、先ほど申しました八年間の運用のただ一回、事業団にとってはどうしても下げ切れなかったという事態があったのですが、このときの事態を考えてみますと、やはりその当時からの事態では、輸入牛肉をただ放出するだけでは、例えば和牛のようなものは実はなかなか下がりにくい。品質においてかなり和牛と輸入牛肉の間に格差がございます。特に輸入牛肉でもうんと高級なものを出しませんと、和牛の価格に影響を及ぼすということがなかなかしづらいというようなことがございます。  したがいまして、私どももその後、国内生産がなるべく安定するようにというのが第一でございますが、そのほかに、例えばハイクォリティービーフのようなものをやはりある程度持っておりませんと、そういう価格高騰時に国内産価格を下げにくいというような経験もございました。あの勧告につきましては、私ども盛んに、全体としての長い間の制度の安定を果たしてきたという点は強調しまして、行政管理庁も、その点はわかっているけれども、ただ五十四年の事態は余りにも上がり過ぎたのではないか、これは特に和牛がほぼ一年を通じて上位価格水準を下回らなかったという事態がございましたので、私どもは、その点はやはり適時適切な輸入をしなきゃいかぬということは考えております。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 それから、先ほどの怪物の話ですけれども、流通機構の改善をしなければ輸入肉といえども安くはならないという指摘がありますけれども、こういうことについてはどういうお答えをなさいますか。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) 流通機構が複雑であるというお話があるわけでございますが、実は今の一番ありふれた形を申しますと、既に大半のものは産地で屠殺され、部分肉になって流れてくるというのが量的には一番多うございます。こういう大消費地まで生体を持ってきて生体で処分していくというのは、これは方法としては余り適切な方法じゃございませんから、そういう産地における部分肉による取引というのがそれだけ物流的にも合理化されておるわけでございます。  問題は、そんなことよりも先の話といたしまして、市場流通から先の例えば市場における卸、小売の関係とか、非常に扱い量が零細であるとかいうことになるわけでございますが、このことは、ずっとこう考えてみますと、結局は日本のこういう生鮮食料品の少量多品目多頻度買いということに帰着いたしまして、肉の場合でございますと一回二百グラム前後というような売買単位で、これはアメリカで見ますと一回の購入単位が四キロとか五キロでございますから、そういう違いのところへだんだんくるわけでございます。私どもはしかし、そういうのは実情であることはそのとおりなのですが、やはり若干でも改善される必要があるのではないかということで、例えばフロック肉の販売の仕方だとか、あるいはそういうことが現実にできるようなモデル店舗の設置だとか、あるいは、若干実験的ではございますが、産地の生産者と生協とを直接結びますような販売ルートの確立だとか、そういう実験的試みは現在もやっております。しかし、何と申しましてもその中心にありますのは、消費者のそういう小さな単位の購買ということになりますと今のような形がどうしても残りがちでございますけれども、やはり少しでも改善する余地があるとすれば、今私どもが実験的にやっておりますようなことがもう少し広範に受け入れられるような素地をつくっていくことだと思っております。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 もう一つ、輸入牛肉の販売指定席がもっとふやせないものかという声がありますが、この点いかがでしょうか。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) 昨年の三月に、五十八年度から指定席をふやすということを考えまして、二千二百から三千にふやすということで、目下ふやしつつあるわけでございます。この点につきましては小規模な専門店との間の調整という問題がございますので、一挙にやりますことにはいろいろと問題がございますけれども、調整を進めながらなるべく数をふやしていきたいと考えております。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 豪州との交渉の見通しはいかがでしょうか。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) 豪州とは総枠について話し合いをしておるわけでございまして、豪州との関係は実は昨年度に既に協定期間が切れております。今向こうから第一次産業大臣が来ておられまして、大臣ともお会いになって基本的なお話をしているわけでございますが、私どもは、我々のかねがね主張をしております、国内で合理的に生産して、それが需要に対して足らないものを輸入をしていくという基本的考え方に立って現在も交渉をしております。これは向こうが主張をしていますこととの間にいろいろ差があるわけでございますけれども、今までもそういう考え方で総枠をつくり、しかもこのことは、豪州とは協議しますが、このこと自身は御承知のようにグローバル、全体でどうするかということでございます、それはハイクオリティーについて合意することもグローバルであることは同様でございますので、そういうことで豪州の理解を得ながら協定をつくるように努力をしたいと思っております。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 先ほど六十五年までのビジョンを変えるつもりはないというお話もございましたけれども、私は先日いただいた「農業の動向に関する年次報告」を見ておりますと、日本の食糧供給は伸び悩みとなっているという事実があるようでございます。でん粉質食料比率の低下、そして畜産物や油脂類についてはいささか増加とはいいながら、これを基調にしながら、しかし、その変化のテンポは緩やかになってきているという動向がございますようですが、そういうことを基本に考えながら今後輸入牛肉というものをどうやって消費拡大していくかということは、三年連続据え置きとなっている国内産牛肉の消費拡大にも連動して大変大事な課題というふうに私は思っております。大臣、このことについていかがお考えでございましょうか、一言どうぞ。

山村新治郎自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(山村新治郎君) 牛肉の消費拡大ということで、これは先生のおっしゃるとおり、一億一千万を超える日本人です、本当に少し食べていただければありがたいということに尽きるわけでございますが、私としては今後もPRを兼ねながら何とか消費の拡大に努めてまいりたいと思います。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 よろしくお願いします。  二点目に、かんきつ類についていささかお伺いをしたいのですけれども、私は、この交渉妥結ということが決まった後、ある消費者団体と話し合いをする機会がありまして、話し合いをしている中で、温州ミカンをつくっている農家の方々が晩柑類の転作へ移った、この転作に当たった農家の人たちのことが大変心配であるということを消費の現場の者たちが申しておりましたので、このことをお伝えいたします。  そして、消費者の立場では、なぜか輸入かんきつ類の問題を考えるとき必ず安全性の問題がのってくるわけでございますけれども、ジフェニールとかOPPあるいはTBZのような問題は今ないのでございましょうか、お伺いします。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) これは広い意味の食品添加物の問題でございますので、直接には厚生省がその任に当たっておるわけでございます。私の記憶しておる限りで申しますと、OPP、TBZにつきましては、五十年代の最初だったと思いますけれども、それまでいろいろ安全性に問題があるということで使用を認めておりませんでしたものにつきましていろいろな実験結果を積み重ねました結果、衛生上問題がないということで段階的に認めてきたという経過があるわけでございます。ただ、最近OPPにつきましては日本国内で新しい治験が出てまいりまして、そのことにつきまして国際的に認められるかどうかということがまさに問題になってきておるわけでございまして、これが正しいということで認められるということになりますれば厚生省においてしかるべき措置がとられていく、かようなことではないかというふうに聞いておるわけでございます。そのほかのものにつきましては、目下特に問題があるというふうには承知をいたしておりません。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 そうすると、輸入を約束されてきたかんきつ類にはOPPは使われていないというふうに考えてよろしいのですか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) 現在厚生省においてはOPP自体の使用を禁止するという段階には至っておらないはずでございますが、そのような問題提起が日本側においてあるということが産地側にも伝わっておりますので、輸出側においても極力OPPの使用を取りやめていくという段階にあるように聞いております。現時点において完全にゼロになっているかどうかについては、私も確認をいたしておりません。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 農産物の輸入の問題についてはこの辺にとどめますが、今後もみんなで出てくる問題については考えていきたいというふうに思います。  特許法とそれから種苗法についての問題をはらんでヨモギがホットな論議の対象になっているようでございますが、特許庁にお伺いいたします。  日本新薬から植物特許第一号として申請の出されております回虫駆除剤サントニン含有率の高いヨモギの新品種について審査をなさってこられたはずでございますが、この審査を経て出願公告、そして審議の段階に入っているというふうに聞いておりますけれども、その状況をお伺いします。なお、この問題につきましては、今国会で衆議院の予算委員会にも話が出たようでございますし、また、農林水産委員会でも論議がなされたというふうに聞いておりますので、あえて話を蒸し返すようで大変恐縮には存じますけれども、私にとっても大変大切な要素を含んでいる問題だというふうに考えられますので質問させていただく次第でございます。よろしくお願いします。

眞木祐造特許庁総務部総務課長

○説明員(眞木祐造君) ヨモギの出願についてのお尋ねでございますが、これの出願は昭和五十二年二月でございます。これを審査の結果、一応特許要件に該当しているという判断をいたしまして昭和五十八年一月に公告をしたわけでございます。ただ、これに対しまして異議の申し立てが出ております。これについて現在検討しているところでございます。したがいましてペンディングという状態でございます。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 小島局長にお伺いをいたしますが、この件について特許庁長官とお話し合いをなさったというふうに新聞記事で読みましたけれども、御意見は一致したのでしょうか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) 本件についての問題意識でございますけれども、これは大変実は長いいきさつのあるお話でございまして、ちょっと長くなりますが経過を申し上げたいと存じます。  昭和四十年代の後半に、主として育種をやっておる人たちを中心といたしまして、欧米諸国で認められておりますような新しい品種育成者の権利保護と申しますか、それを我が国においても認めてくれという御要請が、これは農林、通産両省に対してそれぞれ働きかけがございまして、農林省といたしましては、四十年代の終わりごろから新しい権利保護のあり方いかんということで、学識経験者を中心とする検討会をつくって検討を進めてまいったわけでございます。その結果、昭和五十三年に農林水産業及び植物育種の実情に合うような形で、かつ国際条約の内容に沿った形で種苗法を制定するということになったわけでございます。一方、特許庁の方におきましては、今申し上げました育種者などの要請を受けまして、特許法におきましても植物の品種についての出願を受けつけるということを審査基準という形で発表をいたしておりまして、特許においても発明に該当する新しい品種については出願の道を閉ざさないということを明らかにしたわけでございます。  そこで、五十三年の種苗法をつくりますときに、両方の制度の交通整理という問題が出てきておったわけでありまして、いろいろ話し合いをいたしたわけでございますが、その結果両省間で幾つかの確認をいたしまして、あえて両制度間の交通整理について立法的な手当てをしないままに、それぞれの制度の運用に当たってまいったわけでございます。  そういうことで、特に問題なく過ぎてまいったわけでございますが、今回のヨモギについての出願公告を機会といたしまして、この程度のもので特許に該当するということになりますと、五十三年当時の両省間の問題整理ということに照らしてみて新しい問題が生ずるのではないか、こういう問題意識で特許庁と話し合いに入ったわけでございます。現時点において新しい了解点に達するという段階には立ち至っておりませんで、かなりややこしい制度問題でございますから、さらに詰めた話し合いを行いたいと思っているところでございます。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 五十三年当時の事情から見て、新しい状況があるというふうに今おっしゃられましたけれども、これはどういう意味でしょうか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) 先ほど申しました両制度の交通整理という問題は、いろいろテクニカルな点にわたって必要なわけでございますが、本件に直接関係があります問題といたしましては、一体その新しい品種というものについて、どういうものは特許になる、あるいはならないか、ここが最大の問題でございます。  私どもは、交通整理ということを考えました場合には、諸外国の立法例にありますように、植物の品種については特許の対象から除いてもらいたいというのが当初の希望でございます。ところが、特許庁側にもいろいろ事情がございまして、昭和五十年だったと思いますけれども、それまで我が国特許法には幾つか特許除外事由がございました。例えば飲食物でありますとか、あるいは医薬品でありますとか、そういう若干のものについては特許対象から除外をいたしておったわけでございますが、五十年の法律改正によりまして、公序良俗違反など若干のものを除きましては、すべてのものに特許が与えられるという制度改正をやったばかりであるという事情、さらには、同じ年に植物品種についての審査基準を発表したという経緯がございますので、これを特許法から除くということについては、特許法の建前からいっても大変難しい問題である。  しかし一方、実際にどういうものについて特許が与えられるのかということになりますと、これは特許法にも定義があるわけでございまして、特許法で言うところの発明というのは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」というふうになっているわけでございまして、通常の品種改良というふうなものは特許法の要求いたします新規性とか進歩性という要件があるのだそうでございますが、これに該当するものというのはほとんどないのではなかろうかと、こういうふうな問題意識、さらには新しい種苗法という比較的要件の軽いと申しますか、新しい品種でありさえすれば登録を認めるという制度もできたことでありますので、立法適用解決を要するような競合関係というものはまず起こらないのではなかろうか、こういう問題意識によってその確認事項を取り交わしておるわけでございます。したがって、今度の出願にかかわります事項がどの程度高度なものであるかということによりまして扱いが変わってくるのだろうと思うのでございますが、私どもの理解としては、この程度のものが特許になるということになりますと、当時の両者の理解とは大分食い違ってくるのではないかという意味で、新しい制度間の交通整理という問題を引き起こすということで、そうなるのかどうかということが話し合いの中心だということでございます。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 私も五十三年当時の会議録等をひっくり返したり、あるいはまたジュリストを真剣にひっくり返したりしていろいろ勉強はいたしてみましたけれども、本質的にかなり難しい要素を持っているということは私もうなずけます。この今回の、特許法によってヨモギの特許を認めるということはUPOVに照らしてどういうことになりますか。植物の新品種の保護に関する国際条約でございますね、これに照らしてどういうことになりますか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) UPOV条約におきましては、植物の品種の保護に関する制度は一つなきゃならないというふうなことが書いておるわけでございますが、先ほど申し上げました我が国の両制度間の交通整理は、一応この条約に照らして問題がないということで、既に五十七年に条約加盟が認められておるわけでございます。したがって、その制度論としては、今のような制度の扱いで問題がまずないのだろうと思いますが、実態的に非常に多くのものが特許に該当するというふうな事態を招く、さらにはその結果といたしまして、一つの種類の植物で特許に該当するものもあり、種苗法によって出願するものもありということになりますと、大分制度間の混乱が大きくなってくるというふうなことから、条約上全く問題がないのかということについてはやや異議なしとしない、こういうふうに思っておるわけでございます。現在の建前自体がUPOV条約に該当するという理解は必ずしもいたしておらないわけでございます。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 両省庁にお伺いいたしますが、現在新品種の出願件数が急増しているような話も聞いておるわけですが、この件数についてお伺いしたいと思いますが。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) 今の種苗法が施行になりましたのは、昭和五十三年のたしか暮れであったと記憶いたしますが、それ以降今日までの出願件数は、この法律施行前の旧農産種苗法時代の出願を引き継ぎましたものを合わせまして千三百八十九件と相なっております。それから、そのうち登録いたしました件数、ちょっと今手持ちがございませんので、すぐ調べましてお答えいたします。

眞木祐造特許庁総務部総務課長

○説明員(眞木祐造君) 新しいものとしての植物の出願の状況を御説明いたします。  総数は今日まで四十七件ございますが、年次別の推移を申しますと、五十年に三件、五十一年三件、五十二年が二十四件でございますが、その後五十三年は一件、五十四年九件、五十五年四件、五十六年三件という状況でございます。合計四十七でございます。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 それで特許庁に伺いますけれども、出願するとどういう経過で、私が読んだところでは、一年半ぐらいまず寝かしておいてそれから扱うような話も出ているわけですけれども、例えば五十年ごろ三件出願があったという、こういう問題については今どうなってますのですか。

眞木祐造特許庁総務部総務課長

○説明員(眞木祐造君) 五十六年の三件でございますか。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 五十年三件。

眞木祐造特許庁総務部総務課長

○説明員(眞木祐造君) 五十年の三件でございますか。年次別のは今調べておりますのですぐに御報告いたしますが、一般的な手続を申し上げますと、出願がありますと一年半後に出願公開というのをいたします。これは特許公報というのに公示いたしまして一般の人に知らせるわけでございますが、その後、これは全部を審査するわけではございませんで、請求のあったものだけ審査をするということになっております。これが一般的な手続でございます。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 五十二年のヨモギが……これは五十三年でしたね。

眞木祐造特許庁総務部総務課長

○説明員(眞木祐造君) 五十二年でございます。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 この分が今ここで許可が出ようとしているのに、五十年ごろの分については依然としてそういう措置がないということは、要するに審査の対象になっていないのか、それとも合格していないのか。

眞木祐造特許庁総務部総務課長

○説明員(眞木祐造君) このヨモギの出願につきましては、先ほど申し上げました審査の請求がございまして、したがって審査を行ったわけでございます。一応要件に該当するという判断で公告をしたわけですが、これは最終の措置ではございませんで、この公告をすることによって一般の人の意見を聞くわけでございます。これに対して異議申し立てがございましたので、現在これを検討している。したがってペンディングという状況でございます。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 この問題は深入りいたしますと何時間やっても大変論議の尽きないものだというふうに思いますので、今私は必要だと思われる部分だけについてちょっとお伺いするわけですけれども、特許庁では、世界の各国では保護政策としてこの種苗等植物に関する特許については、先ほど小島局長がおっしゃいましたように適用除外という形をとっているけれども、日本の場合にこういう措置をとらないというのはどういう意味か。先ほどの小島局長のお話のとおりでよろしいのかどうか、御回答いただきたい。  それともう一つは、特許法で考える場合に自家採種という問題ですね。これはどういうふうな問題になりますか。

眞木祐造特許庁総務部総務課長

○説明員(眞木祐造君) まず、最初の御質問でございますが、これは五十三年の種苗法制定の際に、先ほど局長から御説明がありましたような調整が行われまして、特許法と種苗法はそれぞれ保護の対象と態様が異なるということで、両方でカバーしていくということにしたわけでございます。国際的に見まして、例えばアメリカなどは、無性繁殖の植物新品種の場合には植物特許法というのがございますし、ほかの国にも特許法でカバーしているような例はあるわけでございます。ということで当時の調整が行われまして、これに基づいて運用を行ってきているわけでございます。ただ、二つの法律の運用につきましては十分連絡するということになっておりますので、今後ともそういう方針で対処してまいりたいと思っております。  それから、自家採種の問題でございますが、これにつきましては、法律だけで見ますと、特許法上は自家採種まで権利が及ぶということになるわけでございますが、ただ、これの解釈といたしまして、特段の意思表示がない限り、これは自家採種についても実施の黙示の許諾があったというふうに考えられるということでございます。あとこれはまだ実例はございませんので、あくまで解釈論でございますが、現実論あるいは常識の問題といたしまして、大体今のような解釈で対処できるのではないかというふうに考えております。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 小島局長、この自家採種の問題について農水省の方の見解をお伺いします。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) これは植物の場合には多くは自殖性を持っておる。特許なら特許につきまして権利を持っている人から種を買ったという人がそれを生産に活用いたしまして新しい農作物をつくる。そのこと自体は当然に種を買うということによって明示の許諾があったものというふうに理解をしてよいのだろうと私も思うわけでございます。ただ、それから後になりますと、幾代にもわたって自己繁殖をしたものからその次の生産の種をとっていくということが可能になってくるわけでございますので、ただいま特許庁から言われたような解釈もあるかもしれませんけれども、そうでない場合も出てくる。その辺がヨーロッパで新しい品種保護制度をつくり、従来の特許とは扱いを異にした一つの理由であるというふうに理解をいたしておるわけでございます。  そのほかに、植物自体のいろいろな特性から見て、どうもただいま各国で行われております特許制度だけでは権利保護に欠くるところがあるというふうなこと、さらには植物の場合には人為的な手法で新しい品種が開発される場合もございますが、突然変異の発見というふうな場合もあるわけでございまして、そういったものが保護の対象にならないといった問題意識もあったかと思いますが、いずれにいたしましても植物についての種の扱いというのは、主として工業的な分野を念頭に置いてできている現行特許法とはややなじみにくい性格を持っているというふうなことから、各国において別個の制度として発展をしてきた。こういう歴史的な背景があるわけでございますから、必ずしも自家採種だけの問題ではなくて、制度全般にわたりまして扱いを異にしていくというのが世界の趨勢ではないか、こういう問題意識を持っているわけでございます。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 かつて五十三年当時、たしか説明員として局長がお答えになっていたことではないかというふうに思うのですけれども、種苗法の品種登録により与えられる利益は農業政策的見地からのものであって、工業所有権でないと理解している、という言葉がありました。私はこれは全くそのとおりであり、このことを認識していっていただきたいというふうに思うのですけれども、今後バイオテクノロジー等の応用で新しい育種の技術が発達してくるというふうな問題についてはどういう御見解をお持ちでしょうか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) これはバイオテクノロジーというのをどういうふうに定義づけるかという問題でございますけれども、一般的には生物自体やそれが持つ機能を効率的に利用する技術である、こういう理解をいたしておりますので、従来から行われております品種改良の方法論というものも広い意味ではバイオテクノロジーに含まれるわけでございます。  ただ、最近言われておりますバイオテクノロジーといいますのは、私どもの分野で申しますと、遺伝子の組みかえでありますとか、あるいは葯培養でありますとか胚培養でありますとか、あるいは細胞融合でありますとか、そういった世界を何となく指すようにとられておるわけでありますが、そういう意味でのバイオテクノロジーと考えられるものの中に含まれております手法によって開発されました新しい品種も、現に種苗法によって出願を受け付け、また既に登録を認めているものもあるはずでございます。したがって、その育成方法が違うからこれでは対応ができないというふうなことにはなっていないわけでございます。ただ、強いて言えば、そういう新しい大変高度な手法が出てくる過程で、先ほど来申し上げております特許法との交通整理という点において、従来以上に自然法則を利用した科学的思想の創作で高度のものというものとの境界線というものがいよいよ現実味を帯びてくる、こういう問題意識は持っておるわけであります。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 特許庁の方にお伺いするのですけれども、今のバイオテクノロジーを応用した新しい育種技術が特許を取るという場面でそちらの方に申請が出ていくということはありますね。

眞木祐造特許庁総務部総務課長

○説明員(眞木祐造君) これはあらゆる分野にわたりまして、適用除外になっているもの以外はもちろん出願を出すことができるわけでございますけれども、現実の状況はどうかと申しますと、先ほど四十七件という数字を申し上げましたけれども、この中で、ヨモギと同じ程度の技術レベルと申しますか、要するに報告されるに足るような、そういう技術を用いた出願は見当たらないというのが今の感じでございます。ということから考えまして、そういう先端的なバイオ技術を使って植物新品種の特許が成立するということは、近い将来まではないというふうに見ているわけでございます。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 重ねてお伺いしますけれども、先ほど出願が出ているという数字をお出しになりましたけれども、その中で外国人及び外国企業からの出願はございますでしょうか。

眞木祐造特許庁総務部総務課長

○説明員(眞木祐造君) 外国からの出願は今のところ二件でございます。内容はイチゴとそれからリンゴでございます。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 大変難しい問題を含んでいるのに、私のような素人がこんな問題に取りかかったというのも、私は実は今のところの部分が大変気になるわけで、外国との関係で、外国のいわゆる技術が日本の特許等を利用して、そして日本の国内に影響力を持っていくというようなことが考えられるのか、られないのかという問題が知りたくてお尋ねしているわけですけれども、この点はどうなのでしょうか。

眞木祐造特許庁総務部総務課長

○説明員(眞木祐造君) 現在のところの情勢はと申しますと、先ほど申しましたとおり、今出ております出願で見たところでは、近い将来にそういうバイオ技術による植物新品種の特許というのが成立することはないと見込んでおるわけでございますが、今後ともそういう諸般の情勢を十分勉強いたしまして、将来の時点で的確に対処し得るようにしておきたいというふうに考えております。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 話が少し飛躍するかもしれませんけれども、現在欧米の大手種苗会社などでは、豊富な資金を多くの種子や人材の確保につき込んで新品種の開発能力を高めるというようなことを考えている、また、植物新品種の保護に関する国際条約に加盟する国々がふえてきて、国際的な舞台でいわゆる種子の取引という体制が整いつつあるのではないかということを論じているものがたくさんあるようでございます。例えばアメリカのIBMとかスイスのチバガイギー、あるいはイギリス、オランダのシェル、それからアメリカのセラニーズというような巨大企業がこういう業界に参入してきて資本を投資している、そして種子をめぐって国際化あるいは寡占化が激化しつつあるというような現状があると私は知らされたわけでございますけれども、こういう実情に対して日本の状況は大変立ちおくれているというようなことを聞くわけですが、この辺どうなのでしょうか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) 御承知のように、我が国の国土は南北に大変長うございますし、地形的にも複雑でございます。したがいまして、つくっております作物の種類というのも大変多岐多様でございまして、一つの種類ごとに見ますと、そのつくっております量は、国際的に見ればはなはだスケールの小さいものである。そのためにいろいろな気象変動とか病害虫という問題に対しても、作物の種類、品種、作型が多いというふうなことから、一面においては大変抵抗性を持っておるということで、これが我が国の農業の一つの強みになっておるわけでございます。  我が国でつくっております作物の中で、最大のものは申すまでもなく米でございますけれども、米について御承知の、例えばコシヒカリという大変すぐれた品種がございますが、これとても我が国の水稲栽培面積の中で申しますと一六%ということで、これが実はダントツに高いわけでございます。そのほかのササニシキ等になりますと一〇%以下ということでございまして、米だけを取り上げてみましても、各県の奨励品種を合計いたしますと百五十種類ぐらいになるというバラエティーに富んだ生産を行っておるわけであります。  そういう点から見ますと、我が国は外国に見られますような大量画一の販売を目的とした大資本による種子市場の支配と申しますか、こういうものに対して大変抵抗性を持っている市場であるというふうに考えておるわけでございます。また、そういう条件の中におきまして、我が国自体といたしましても米を初めとする主要作物はもちろんのこと、民間企業とも含めまして、これら作物の品種改良につきまして大変努力をしておるわけでございまして、決して水準自体として外国に劣っておるというふうには理解をいたしておりません。しかしながら、世の中はだんだん進歩いたしてまいりますので、日本といたしましても、諸外国の種子開発の競争に乗りおくれることのないように官民挙げてこの問題に取り組んでいくという姿勢が必要であろうと思いますし、現にそのような対策をとりつつあるわけでございます。

刈田貞子公明党・国民会議

○刈田貞子君 私がその問題に興味を持ち始めたのは、NHK取材班がつくりました「一粒の種子が世界を変える」というあのテレビを見てから取りつかれたわけでありまして、いろいろ勉強させていただきました。たかが野菜の種を扱う会社がというふうに思っていましたけれども、年商一千億を超える大金を動かして、世界をまたにかけて商業ベースで農業を支配していく、あるいは工業ベースで農業に圧力をかけていくというようなことが起きてくるのであろうか、なかろうかというようなことで私は考えておりますけれども、通産省がお見えになっておりましたら、こういう企業ベースの動きをどのようにお考えになるか伺いたいのですが、どなたも見えておりませんか。——では結構でございますけれども、とにかく私はそういう観点から心配をいたしましてこの問題を取り上げたわけでございます。今後そういう意味で、種苗は農なり、農のもとであるというふうに私は考えておりますので、日本の農業を守るためにこういうものにしかと目配りをしていっていただきたい、このことをお願いして、質問を終わります。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 過日の委員会で日米交渉について御質問申し上げ、また、大臣の交渉に当たりましての経緯、経過、それから今後のことについていろいろお伺いをしたわけであります。今同僚委員からもお話しございましたように、日米は終わりましたと言っておられない、豪州との交渉が始まっておるということで、これは輸出入、貿易問題等、アメリカとオーストラリアでは環境は違いますから、何といってもアメリカとの交渉は最大の難関事である。こういうことで、当委員会でも大臣の基本的な考え方、決意のほどというのは何度も確認をしたわけであります。アメリカとの交渉が決まり、大変な御努力をなさったことについては敬意を表するものでありますが、しかし、今後の畜産農家のことを考えますと、これは問題なしとは言えないだろうと思います。それは、過日大臣の答弁の中にもございましたように、不測の事態が起きたときには必ず対応するのだ、こういうことでお話がございました。また、その裏づけとなります財政的なことについても、総理に厳格に約束を取りつけておるという答弁がございました。  不測の事態が起きないことを、そしてまた、きめ細かな施策が今後要求されるわけでありますが、オーストラリアとの交渉も、これは決して手をこまねくというか、安易なものではないだろう。今までも首相から、万が一のことがあるならば、オーストラリアと日本の間に大きな政治上の亀裂が入るのだというようなことも言われておったようでありますし、また、オーストラリアの大臣の発言の中にも、やはり妥結によっては今後に大きな障害が起きかねないというお話もあったようであります。私どもは報道で知る以外にないのですけれども、いずれにしてもオーストラリアといたしましては日本は最大の市場でありますから、ほかの貿易との絡みも関連をさせて、やっぱりそれ相当の決意で臨んでいるのだと思います。そういうことであるならば、その交渉に当たります大臣といたしましては、アメリカとの交渉が一応決着を見たとは言いながら、ここで時差もあってお疲れもあるだろうけれども、一踏ん張りまた頑張っていただかなきゃならぬ、こういうことで、豪州との交渉に当たりまして、今までもアメリカとの交渉では何度も言っておりますけれども、ここでまた改めて交渉に当たります大臣の決意といいますか、今後の交渉に当たります基本的な姿勢といいますか、そのことについてまずお伺いをしておきたいものだと思います。

山村新治郎自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(山村新治郎君) オーストラリアとは現在協議中でございます。協議に当たりましては、牛肉の輸入は国内生産で不足する分についてグローバルベースで行うということを基本にして、国内農業の健全な発展と調和のとれた形でなされるよう対処してまいりたいと思います。いろいろな農産物、今オーストラリアの方は日本が買っておったのが徐々に減っておるわけですが、ふえておる唯一のものが牛肉であろうと思います。そういうようなことでオーストラリアも真剣のようでございます。しかし私たちは、やはり何といっても国内生産で不足する分以外にこれを輸入するわけにはまいりません。日本の国内の農業の国内事情というものをよく理解していただきながら、何とか協議をうまくまとめたいと思っております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 しかし、オーストラリアの方では、アメリカのしわ寄せがあるようなことがあってはならぬとか今までもいろいろ発言があったようでありますから、大臣の考え方、そしてまた基本的なその姿勢についてはわかりますが、やはり交渉事でありますから、アメリカとの交渉でも大変に難航したわけでありますけれども、その影響がどうなるかという危惧されるときで、またオーストラリアとの交渉でほかのいろいろな貿易の中での農産物との関係ということで、やむを得ないなどということで日本農業に大きな影響を起こすことのないように、是が非でももう一踏ん張り頑張っていただきたいということをまず申し述べておきたいと思います。  また、新聞等にも報じられるところによりますと、中国産牛の生体輸入ですが、これは今まで検疫の方法とか輸入経路とかいろいろなことが隘路になっておったようであります。これが一応話がついて、その輸入量は少ないし、また、輸入の形も今まで交渉をしておりますアメリカやオーストラリアとは違うのかもしれませんが、初めてこういう形で輸入をされるということになったわけです。今日までの経緯とそれから今後のことについて、これがどういうように推移していくのかということは非常に関心事でありますので、最初は一千頭そこそこということでありますけれども、大きな影響力はないのか。また、商社ということですから、そういうこととは別のことなのかもしれませんけれども、やはりこういう形のものがだんだん大きく推移してまいりますと日本農業に影響がないのかという危惧がありますので、これらのものを含めてお伺いをしておきたいと思います。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) お尋ねのありましたのは、一部の新聞に出ていたことではなかろうかと思いますが、現在私どもが考えておりますことを申し上げたいと思います。  生きている牛というのは、四十六年にいわば入れようと思えば入れられるという体制になっております。既に十数年前にこれは家畜伝染病予防法の施行規則というのを直しまして、中国を偶蹄類の動物の輸入禁止地域から四十六年に外したわけでございます。しかし、その外しましたことが実行されますためには、予防法の三十七条という規定に基づきまして輸出国の政府機関により発行される検査証明書が必要であるということで、そういう検査証明をどうやって検査してどのように出そうかということを協議を始めたわけでございます。  昭和四十七年、既に十年前でございますが、四十七年にこちらが、こういう検査の仕方ではいかがかということで中国にその案を提示いたしましたけれども、昭和五十五年の十二月まで御返事がございませんでそのままになっていたわけでございます。五十二年になりまして、向こうから向こうの衛生条件の案が参りまして、その時点で私どもがそういう案ではまだ問題があるということで、今度は別に協議することを申し出たわけでございます。この事実上の協議をやっています中で、中国へ行きまして、やはり衛生条件でございますから、どのような形で検査をし、証明書を出すかということをこちらから向こうへ行って御相談をしたいということを申し上げたわけです。  それが五十六年の十二月になりまして、日中の閣僚会議がありました際に、向こうの農業部長から、日本の家畜衛生の専門家を招聘するからそういうことで話し合いをしようということで、五十七年の四月から五月にかけましてこちらの専門家を派遣をいたしまして、一応技術上の了解をお互いにとろうということをしたわけでございます。その後、まだしばらくして、向こうから今度はこちらへ来ていろいろな話し合いをしたいということがございまして、去年の一月でございますか、最終的に向こうに、こういう点とこういう点を詰めてほしいということを申し入れまして、その後、書類が四月に参りまして、それから去年の六月に今度は中国の動物検疫考察団というのがそこの追加資料を持ってきたわけでございます。  このような技術的すり合わせをしまして、だんだんその問題点が解除されてきます一方、片方に、今度は逆に日本から乳牛を買いたいというお話がありました。これは今まで中国が示しております条件によりますと、ちょっと日本の牛が向こうへ入れない。非常に厳しい条件が付されておりまして、今度はこちらから出そうにも条件が合わないということがありまして、その両方の技術的詰めを現在最終的に行おうとしているわけでございます。  したがいまして、この問題は純粋な家畜衛生上の問題でございまして、両方の詰めが整いました段階で何らかの決断をするわけでございます。この前、新聞に出ておりましたように、既に決めたとか、あるいはこうなるとかいう話ではございませんで、現在、こちらから出す場合、向こうから入れる場合の条件を、おのおのの論点を詰めて最終的な判断に備えている段階でございます。  これは生きている牛でございますので、向こうで検査をしまして何日間か係留をします。それからこちらへ持ってきても、入りましてからまたこちらの動物検疫の施設に係留して、かなりの日数をかけて病気が出ないかどうか判定するわけでございますので、そういう形でやります以上、お互いの検疫の施設とか能力におのずと限界がありまして、余り大きな数字とはなり得ないものでございます。しかし、いずれにしましても、そういう技術問題として現在詰めている段階でございまして、技術的な詰めが終われば何らかの意味での判断をしたいと思っております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 そういう相当長い間いろいろ交渉があって今日まで来ておるようでありますが、それは技術的な詰めというか、そういうものの一応技術的なことですから、いつということは難しいのかもしれませんけれども、そういうことについての見通しのつくのはどのぐらいと農水省では判断していらっしゃるのでしょうか。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) 余り長く時間をかけることではございませんが、実は先ほど交渉経過を申し上げたように、こちらから出しましてもなかなか返事が来ないとかいうようなこともございますので、最終的にはいろいろな合意の文書の取り交わしをすればいいとは思っていますが、それはあくまで相手のある話でございますので、そういう両者の意向が合致しました時点で判断をしたいと思います。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 これは当分、畜産関係についてはいろいろ大臣初め農水省にお聞きしなければならないことが出てくるだろうと思うのです。きょうは時間もありませんからあれもこれもというわけにいきませんで、今後個々の問題についてはそれぞれ尋ねてまいりたいと思いますが、記者会見の席上で大臣は、畜産というか、農業ですね、体質強化をしなければならぬという御発言がございました。畜産については長期見通しとかいろいろなものがありまして、そういう中でいろいろ計画を立てております。それは足腰の強い農業にしなければならぬということでの大臣の御発言なのだろうと思いますけれども、大臣が記者会見で、農業、農家の体質強化をしなきゃならぬということをお話しになった、そのときの頭の中には、今までもいろいろな施策はあるのですが、特にこれからそのことのために何かお考えがあったのか。今までのやってきた施策についてもっと一生懸命やろうということなのか、その辺は大臣、どうなのでしょう。

山村新治郎自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(山村新治郎君) 例えば牛肉、かんきつの問題は、後四年たちますとひとりでに期限が切れて、またこれは騒ぎが起きてくるのじゃないかと思います。そのときに、恐らくアメリカ側はまた自由化ということを強く要求してくるものと思います。我々は自由化などというものはのめるものではございませんが、その四年間の間に少なくとも牛肉、かんきつの問題などは、それに対応するだけの強さというものを持っていかなければなりません。現在いろいろな施策があるわけでございますが、これからも体質強化という面でこういうようなものをやったらどうだというのをひとつ研究して、四年あるわけですから、その間にやっていきたいという気持ちでございます。もっとも大臣は一年ですが、しかし、それは申し送りで残してまいります。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 ですから、外務大臣だけが留任するのじゃなくて、大臣はもう五年か十年やってもらいたいということを私はこの前申し上げたのです。本当に長期にわたって、牛などというのは一年に一頭しか産まぬわけですから、そんな半年や一年でその衝に当たるなどということではならぬだろうということから、この前も申し上げたのです。  農家経済、農家の体質強化というものはいろいろな手だてがあって今日までもされてきているわけですが、この前も申し上げましたけれども、やはり肥育には飼料です。飼料の問題が一番畜産農家にとっては経費の大きなウエートを占めるものだと思うのですが、草食動物ですから、本来ならば草地造成ということが非常に大事なことになるのです。ところが農水省のデータを見ますと、粗飼料の自給率とかいろいろなデータを見ましても、最初に搾乳牛の一頭当たりの生産費に占める飼料費というものが大体五四%ぐらいですか、こういうことから、非常に大きなウエートを占める。そういうこともあって、この場合、草地造成とか、ひとこう言われておりましたものが計画どおり進んでいないのじゃないかというお話も申し上げたわけです。  特にきょうは時間がありませんから、詳しいことを一々申し上げるあれもないのですが、粗飼料の給与率の推移を見ますと、肉用牛の肥育経営が、去勢若齢肥育牛の一頭当たりの推移をずっと見ますと、これが一九・六%というふうに一番自給率が低いようです。農家の方々とお話ししますと、やはり草食動物だから、本当は草で飼育しなきゃならぬだろうということですが、どちらかというと濃厚飼料が非常に多い。それは規模とか立地条件によりますから画一的には論じられないといたしましても、この飼料問題については、またそれに伴います粗飼料の生産ということについて農水省でも今までいろいろ計画を立ててやっておるのですが、なかなかそれに乗らぬ。この前も答弁があったのですけれども、今後やはりこれをもっと指導強化またはその改善策、国有林または山地の利用とか、こういうものと兼ね合わせて大なたを振るうといいますか、大胆にこれを進める必要があるのじゃないかと私は思いますけれども、今後のことについてはどのようにお考えでしょうか。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) 御指摘のとおりでございまして、私どもがこの肉用牛生産というものを土地利用型農業の基軸に据えるということを言っておりますのも、やはり草食性の動物がそういう意味で国内の資源でいわば一番生産ができるものだからでございます。御承知のような豚とか鶏といった中小家畜は穀物をえさにしているわけでございますので、飼料穀物が国内で供給できない日本の場合においては、そういう意味では自給力と申しますか、みずからの資源で大変生産をしにくいわけでございます。  したがいまして、そういう面では、酪農経営等につきましては粗飼料給与率が比較的高いわけでございますが、残念ながら日本の肉用牛経営はどちらかというと粗飼料よりも購入飼料、いわば穀物飼料に異常に偏った形で発展してきたわけでございます。  これにはいろいろ理由があろうかと思いますが、やはり最も簡便に経営規模を拡大する手法として、例えば稲わらプラス穀物飼料という飼い方が系統団体にも一般的に行われておりまして、例えば開拓連の方式とかあるいはホクレン方式といったような、そういう農協等が形をつくりましてやりました方法の中に、非常に穀物飼料に余計傾いた形の経営方式があったわけでございます。手軽に経営規模を拡大できるというメリットはあったわけでございますが、結果的には大変体質の弱いものにしているということで、今回の法律改正の際に私どもはそういうことを頭に置いた一種の生産誘導の目標を立てております。  これは、背後地のことも含めまして土地の制約が比較的ないところ、北海道とか東北、九州の一部のようなところでは、やはり先生御指摘のような、要するに背後地における草地造成とかあるいは飼料畑、そういうものを活用して粗飼料をうんと高めるようなやり方、それから背後地が比較的制約されておりますような日本の真ん中のあたりの地域につきましてはそれほど大きな規模拡大は不可能かもしれませんが、背後地、これは自分たちが持っております里山とか、そういうものを使って今よりはもう少し高いところに粗飼料の給与の目標を定めまして、またそういう可能性のないところで無理な拡大をしていかないということを誘導の方針にいたしております。  具体的には、そういうことが可能なように、公共事業で草地を開発し造成するという手法のほかに、そういう面積的拡大のほかに、今回新たに団体営で草地開発をします場合に、そういう新しい開発が有利になるように補助率の調整、補助率といいますか、負担の調整ということでございますが、そういう拡大型のものについては農民負担が少なくなるように、それから逆に再整備、今までありましたものを再整備するということは今まで事業として認めておりませんでした。これは負担は若干かかりますが、それも助成として認めるというようなことをことしやっております。それから前々から申しております無利息の資金を使いましてそういうところでつくられたもののためのサイロを建てるとか、あるいは草地管理用の機械を買うといったようなことを無利息資金で導入することをさせているわけでございます。  いずれにしても、畜産が畜産らしいと申しますか、特に大家畜についてそういう土地を基盤にした形での畜産というものに目標を定めまして、逆に言いますと、極端に高い購入飼料に依存するような形の規模拡大はこの際むしろ私どもとしてはお勧めできないという方針で、着実に粗飼料給与率を上げていきたいと思っております。  酪農が一番先進的でございまして、その次は、経営規模は小そうございますが、繁殖経営はまだ草地に対する依存率が高いわけでございまして、草地に対する依存率が今最も低いのは肥育経営、特にその中の乳雄の肥育でございます。これらのものにつきましては、片側でそういう草地を造成する努力をしますと同時に、もう一つ、穀物飼料に異常に依存しますのは肉の質に対するいろいろな要請、特に脂肪交雑等の場合が問題でございます。そういうこともあって比較的穀物に頼るし、それから肥育期間も長くなるわけでございますので、この辺はもう一つ別の意味から、肉の質ということを問題にしながら、経済肥育が受け入れやすくなるような、買い手と申しますか、市場の方の理解ということも必要でございますので、その双方から粗飼料の給与率が上がって、結果的に畜産生産者の経営が安定するようにということでいろいろと考えてまいりたいと思っております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 この問題についてもいろいろお尋ねをし、そして提言をしなきゃならないこともたくさんあるのですが、これはまた後日に譲りたいと思います。  また、この畜産関係につきましては必ず触れなきゃならない負債問題もあるのですが、これも非常に大きな問題で、五分か十分でというわけにまいりませんので、後日こういう問題についてはまだ触れたいと思いますが、一つだけ言いますと、新酪は一応計画どおり進んでいるわけですが、最初に入った方々はもう十年近くになります。  最初の経営の目標、これがだんだん規模を拡大し、そしてまた頭数もふやさなきゃならぬということでまいりまして、今度は生産調整をしなきゃならぬということで、そういう大きな社会変動といいますか、経済変動の中で農家の方も一生懸命努力してまいりましたけれども、十年というとちょうど償還期間、それから機械やなんかですと償却の期間、こういうことで、安定しない中でまたその返済の期間が迫っておる。こういう実態についてはよく御存じだろうと思うのですけれども、こういう全部の農家ではないということですが、これは見過ごすことはできない。やはり三割以上の方はそういうことで大変苦境に立たされている。もし離農するような方がございますと、それは組合全体の方々、農家全体に、また市町村に大変な影響があることもよく御存じだと思います。  ですから、意欲がある農家については何としても立ち上がっていけるような、大規模な農家につきましてはやはりそれなりの手だてがなきゃならないだろうと思います。  その辺についても、先ほどいろいろお話がございましたけれども、早くに入植してなさっている方々はちょうど非常に大きな一つの転換点に立っているということで、大規模経営に夢を抱いてきた方々がこの危機を突破できるような施策というのはぜひきめ細かにしていただきたいと思いますが、簡単にひとつ。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) 新酪農入植者につきましては、私、北海道庁に申しておりますのは、もはや一戸一戸がはっきりわかるわけでございます。戸数も限られておりますし、どんな経営状況をしているかということは全部、この間の負債整理その他で把握をしております。したがいまして、一般的な処方せんではなくて、個別な処方せんが書けるような状態になっております。  何しろあれくらいの大きさになりますと、やはり個人個人の優劣差というものが大変に出てまいりまして、順な回転をしている人はどんどんよくなる、しかしうまくいかない人というのは、今度は逆回転を始めるということでございますので、負債整理は、ことしも御承知のように価格対策でいたしておりますので、これをもって何とかできるものは救っていく。それから、既に北海道におきましては、あれくらいの施設投資したものが単につぶされるということは大変惜しいことでございまして、逆に若い方々で、この際そういうものを引き継いでやってみたいというような希望のある方もあるわけです。こういうものについては、農場ごと引き継ぐようなことがモデル的にできないかどうかということを既に道庁は考えておりまして、私どももそれに協力をするつもりでございます。  いずれにしましても、国費としても相当なものを投入し、しかも少なくとも規模、それから運営その他につきましては、国内でも他に例を見ない大規模経営でございますので、多くの方々が当初の入植の目的どおり再生産を確保し、後の世代へ引き継げるように全力を挙げたいと思っております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 これはいろいろな問題をはらんでいますから、そんな一言でやりとりできるわけは決してないのですが、基本的な考え方はわかりました。やはり、地域に及ぼす影響、また組合の方々、市町村、仲間の方々、こういうことで、これは個人差はありますけれども、意欲を持っている方々に対してはまた引き継ぐようなことというお話です。これまたなかなか問題がいろいろあるようでございまして、本人があくまでもやりたいということであるならば、それに力をつけるような施策がやはりベターだろうと思うのですが、そういう点、ひとつきめ細かに今後対処していただきたいと思うのです。  話は変わりますが、ことし大変な雪、これは一度にどさっと降った雪ならいいのですけれども、毎日毎日降り積もった雪ということで、非常にかたい雪で、融雪が大変におくれておる。さっきも同僚委員からお話がございましたが、東北の山間部といいますか、山ろく地域といいますか、こういうところでは積雪のために水稲の播種作業が大変おくれておる。苗代用地の確保のために大型機械、ブルで除雪しなきゃならぬ。この除雪費が大変な高い金額になるわけで、これは四十九年の豪雪のときに、水稲苗確保対策事業ということで、積雪一メートル以上ある町村を対象に、四月一日現在で緊急を要する苗代用地確保のための機械除雪や融雪促進剤購入費用の三分の一を助成する、こういうことでやったことがあるわけです。ことしは四十九年よりももっと大変でして、しかも今申し上げたように、毎日毎日降り積もるということで、非常にかたいといいますか、農家の方も一生懸命努力しているわけなのですが、どうしてもブルでかかなければおくれてしまう、こういうところも非常にございます。これは地元の町村はもちろん東北農政局にもいろいろ申し上げておるようで、本省の方でもその実態についてはおつかみになっているのじゃないかと思います。  これは農水省サイドだけでできるのか、大蔵省との折衝というものも必要なのだと思いますが、既にこういう状況についてはおつかみになって、大蔵省とのいろいろな交渉、お話し合いをし、そして実施することになっているのかどうか、その辺の今日の現状を御報告いただきたいと思いますが、どうでしょう。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) 私どもの現在把握しておるところによりますと、東北、北陸におきまして、主として中山間部でございますが、融雪の遅延によって水稲の播種が一週間から、ひどいところで二週間程度おくれるのではないか、こういう情報に接しておるわけでございます。  今お話がございましたように、こういう事態になりますと、ことしの水稲生産が非常におくれるという懸念が出てまいりますので、四十九年の例も参考にいたしまして、大体その当時とりました対策と同じようなものを実施したい、かように考えております。現在、その具体的な内容につきまして大蔵省と折衝中でございまして、なるべく早い時期に結論を得たいというふうに考えております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 それでは、まだ最終的結論が出たということじゃないのですね。  大臣、今いらっしゃらない間に申したのですが、雪が深くて奉仕事がもうおくれているんです。その雪をブルでかきまして早くやらないと、今のお話のように二週間ほどもうおくれているということですから、農家の人も大変なので、四十九年にこういう事業をしたことがあるのです。今大蔵省といろいろ折衝中だというのですけれども、水稲苗確保対策事業ということで、これはぜひ、今年の米需給心配しているという向きもあり、また、ことしは今までかってない大変な豪雪であった北陸、東北方面、地元農政局から実態については上がってきていると思います。今交渉中ということですけれども、大臣、これは大蔵省とお話ししていただいて、早くに対処していただく。農家の方々もいろいろ工夫してやっているのですけれども、やはり安心してやれるようにバックアップしてやることが非常に大事なことだと思いますので、ぜひこれはひとつお願いしたい。  それから、融雪のおくれのために麦の被害が出たり、野ネズミでリンゴの木がやられたり、ことしは今までに余りないようなことが、ばらばらあったことが集中的というのか、そういう被害が出ているようです。この除雪のことはぜひ進めていただきたい。ほかのことにつきましても、ことしの雪というのは、リンゴや何かの枝折れ、それから山の木の倒木ということが非常に多いようでございますので、農家の方々はそうでなくても農家経済の大変な中で三年、四年の冷害、こういう中でのことでありますので、きめ細かに対処していただきたいと思いますが、最後に大臣の御答弁をいただいて終わりたいと思います。

山村新治郎自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(山村新治郎君) 今先生から言われましたが、大蔵省当局と事務当局がやっておるかもしれませんが、もしあれでしたら、大蔵大臣と私とじかに交渉してやってまいるつもりでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 前回、農産物交渉の問題でわずか十二分ということもあったので、きょうはちょっと立ち入って御質問申し上げます。  大臣、今回の日米合意内容につきまして許容範囲だと、こういうことを言いながら、一方で、初めの腹づもりとは大分違ったものだったという発言をされていると思うのです。つまりこのことは、交渉の過程で相当やはりアメリカに譲歩せざるを得なかったということをお認めになっているというふうに理解したいと思います。  そこで、具体的に聞きたいのは、最後の最後までもつれました高級牛肉の枠の問題につきましても、四年間で二万七千六百トンで、年平均の六千九百トン、この数量そのものが初めの腹づもりとやはり違っていたということをお認めになるのかどうか。

山村新治郎自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(山村新治郎君) 私の場合は、もう何にしても日本農業を守るという立場を堅持してまいりますと、ここでも何遍も答弁しておりますとおり、できれば、はっきり言って日本農業がもっと楽な立場でやっていければいいということでやってまいったわけでございます。アメリカに大幅に譲歩したということではなくて、向こうが大幅にこっちへ近寄ってきたというぐあいに御理解いただきたいと思います。  交渉事でございますから、これはいろいろございます。しかし、最終的に私は何といっても日米関係、これは立場は違う、私の方はこれは正常なものにしていきたいということで、そして農産物交渉と言いますけれども、オレンジ、牛肉がそのまま日米農産物摩擦の象徴のようなものにされておりますので、それも何とか解決したい。そして私が当初思っておった、日本農業がはっきり申して足腰の強い農業に一歩でも近づくようにというような数字は、もっと楽にやっていきたいということであったのです。しかし私が、万一のことがあった場合はいつでも対策をいたしますと言ったのは、農家の皆さんに安心していただくための私の言葉でございまして、決して日本の農業がやっていけないというような立場に立っての万一ということを言ったわけではありませんので、これはひとつおわかりいただきたいと思います。  それと、あと御質問は何でしたか。

下田京子日本共産党

○下田京子君 初めの腹づもりと随分違っているというのは高級牛肉の数量、そのことを……。

山村新治郎自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(山村新治郎君) 高級牛肉の数量でございます。これにつきましては、会談の内容そのほかは申し上げるわけにはまいりません。それで特に当委員会にも御迷惑をかけましたが、三局長に一緒に行ってもらいました。行ってもらっていろいろ意見を伺いまして、そして最終的に私が決断をしてあの額を決めたわけでございます。  いろいろな問題がございましたが、日本農業をこれならば守っていけるというかたい決意のもとにあの農産物交渉を妥結いたしました。

下田京子日本共産党

○下田京子君 アメリカが譲歩したか日本が譲歩したかの話は、また今の大臣の発言の内容にしても、中身を見ればわかるのです。初め考えてたよりも相当厳しかったということはもう何度も言っているわけです。厳しいけれどもやむなくこの辺でと妥結に及んだ、その許容範囲というのは、つまり日本農業を守るのだというお話ですが、その許容範囲というその基準は何かということなのです。大臣の言葉を今までのことを総合して言えば、国内生産で不足するものを輸入するということを原則にして考えたというふうに理解してよろしいですわ。

山村新治郎自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(山村新治郎君) 私の基本的な考えは、農産物の輸入というものは、国内生産をして不足する分は賄うということを基本にしております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 そうしますと、私がお尋ねしたいのは、国内でこれだけ生産できるという生産の計画、目標というものがまず明確にあると思うのです。四年間に、年間六千九百トンの高級牛肉を輸入するということをお決めになったわけですから、その前提となる国内生産の牛肉の量がどうなのかという計画があると思うのです。その計画なるものがどうなのかということなのですが、この計画は当然昨年法律が改正されてそれに伴って「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」ということで六十五年の生産目標をお立てになっていると思うのです。そのことを基本にして生産目標が決められていると思うのですけれども、どうですか。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) 長期見通し、それからこの間の近代化計画というものはいずれも六十五年を見通しまして、こういう水準が望ましいということで数字を出しております。具体的にその数字のどのようなところを現実が走るかということはもう一つあるわけでございますけれども、私どもはそういうものを基本にして考えるということで交渉をやっているわけでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 今の生産目標なのですが、これはどの数字を走るかということはあるけれどもとおっしゃいましたが、生産目標というのは単なる見通しじゃなくて、法律もできました、どんどん進行しますということでお立てになっているわけですから、いわゆる単純な目標、見通しじゃないという御認識は私は一致すると思うのです。その目標なるものはどうかといいますと、枝肉換算でいけば六十三万トン、部分肉換算にしますと四十四万一千トンというふうになると思うのです。そういう生産に基づいて今度需要はどうなのかということも考えなきゃならないと思うのです。これを見ますと、六十五年の需要の方は若干幅を見まして部分肉換算で五十九万五千トンから最高の方で六十四万四千トンというふうになっていると思うのですけれども、数字の確認。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) 最終時点における数字は今先生がおっしゃったようなものと考えております。  生産目標につきましては、過去あれを立てまして以来、実際の実行されます面があれに全く沿わないということはないわけでございますけれども、これは先生御承知のように、牛の数というものは既におります牛というものをもとにして生産をするわけでございますから、別に外から素牛を買ってこなければ次年度あたりはどんな数字になるかということは、いろいろと私ども頭にあるわけでございます。私どもは、交渉いたしますときに極力有利な形で交渉いたすわけでございますから、その点につきまして、私どもがどんな数字で交渉しているかは十分御理解をいただけると思います。

下田京子日本共産党

○下田京子君 ですから、六十五年の時点で四十四万一千トン、これは生産量で見越していろいろと交渉に当たったのだと思うんです。需要の伸びの状況によってどうなのかということなのですけれども、今御確認いただいた需要の上限の伸びが六十四万四千トンの場合、国内生産が四十四万一千トンですから、その差が二十万三千トンということになります。五十八年輸入枠で既に十川万一千トン入っていますから、今後六十五年までにどのぐらい輸入ができるかということになりますと、総額で六万二千トンということになります。そうなるかどうかは別にしても、単純に計算いたしますと、七年間あるわけですから、その年間平均は約九千トンと、こうなると思うのです。  ところが、今回は既に年ごとで六千九百トンを高級牛肉で輸入を決めたということですから、残り約二千トン足らずということになるわけです。  いろいろとこの前も議論したときに、総枠の話ということで言われてます。ですから、総枠で九千トンの中身で議論するという話になるのですから、これは大変なことになるなと思っておるのですけれども、その点どう説明されますか。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) 私どもは、こういう見通しをつけまして交渉しましたことは、アメリカ側にしろ今後豪州とのことがありますから、はっきりは申し上げませんけれども、大変我々として強い論法を取り得たと思っております。  したがいまして、アメリカは交渉の途中でこの需給見通し等については、日本の算定の方式は、価格がもっと下がればもっと上がるはずだということを盛んに主張したわけでございます。先生は何千トンということを平均その他でおっしゃっておりますけれども、向こうは、こんな論法は論外であるといって交渉をしているわけでございます。私は、こういう論法をもって我々が抵抗しているということは大変有力な武器であると考えております。  したがいまして、新聞その他であと何千トン分とかいろいろなお話がございますけれども、私どもはこういうような論法を使って日本の需給状態を説明している。それに対して諸外国は、そういうことに乗りますれば大変でございますから、いろいろな別の論法を使って言っているわけでございます。  私は、率直に申し上げますけれども、東京ラウンド締結後におきましても、牛肉の需要量とかあるいは国内生産量というものは、そういう絵にかいたような一本の線では絶対に動かないわけでございます。必ずもっと大きく変動するわけでございます。そういう変動することも頭に置きながら私どもは交渉しているわけでございまして、絵にかいたような生産とか絵にかいたような消費というものはこれはあくまでも見通してございます。したがいまして、いろいろな形でいろいろな数字が出ておりますけれども、私どもはこの見通しの大変重要な参考要素として論議いたしておりますことは事実でございます。現に例えば、来年生産がどうなるかというのはごく普通の転がし計算をすればわかるわけでございます。そういういろいろなものを使いながら強力に交渉しているとお思いいただきたいと思います。

下田京子日本共産党

○下田京子君 局長が今言われている中でいろいろな数字の変動というのは当然考えられるのです。特に需要の問題についてはそうなのです。食べるが食べないかという問題ですから、懐ぐあいのことも入ってくるのです。胃袋の問題もあるのです。ただ、生産の問題についてはそうではあっていけないと思うのです。単なる見通しじゃないはずです。きちっとこういう目標を立てて、そのために法律もつくりました、増産の振興もやりますと言っているのです。ですから、六十五年には生産を落とさないで四十四万一千トンに持っていきますよということで立てたのじゃないですか。私はそれを前提にして言っているわけです。  その需要の方なのですけれども、じゃその需要が、数字はいろいろ動くということですから、仮に立てたその六十五年見通しの下限の場合、これを見た場合にはどうなるかということですけれども、この際には需要量が五十九万五千トンと見ているわけですね。生産量は四十四万一千トンですから、もう輸入枠は十五万四千トン。既に十四万一千トン入っていますから、残りの枠はどれくらいかということになりますと一万三千トンしかないのです。これから七年後に向けて一万三千トンしかない。つまり生産はこれだけ伸ばす、消費は落ち込む、なのに輸入は入っているということになると、じゃこれはどういうことになるかということなのです。どう説明されますか。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) 下限の線を割るような消費でございますれば、それは輸入問題でありますよりも国内生産問題にまで立ち至る問題でございます。私どもは交渉している中で、日本の牛肉の消費の伸び率というものは、彼らにしてみれば考えられないほど小さいということを言い続けているわけでございます。したがいまして、先生御指摘のように下限も割ったらどうするかなどという論法はおよそ通用しないと思います。現に下限を割るというのはなかなかないわけでございます。ただ問題は、これは値段の問題に絡むわけでございます。下限も割るというふうなことになるとすると、それは多分値段が上がってくるということだと思います。私どもは値段をそういう意味で上げないで、消費をなるべく伸ばそうと考えております。  それから、念のために申し上げておきますけれども、生産につきまして先生おっしゃいますように、何かはかったようにやるべきであるというお話でございますが、残念ながら個別農家が例えば生産を縮小させるような場合に、どうしてもある年度においてそういう振れが出てくることは過去の生産増強をします中でもやむを得ない事態がございます。私どもはそういうことをしたくないわけでございますので、この日米交渉が大変な影響力があって農家に打撃を与えるというようなお話が大きくなればなるほど、生産者がそういう生産意欲に対して否定的になってくると思っております。したがいまして、昨年来、子牛価格安定制度を法律にしたり、あるいは子牛に対する補てん制度を充実させたりして、生産農家がそのような意欲をそがないように私たちは努力しているわけでございます。ことしの三月に私どもで各県に集まっていただいてお話ししたときに、畜産局長の心配は輸入の量が耐えられなくなるほど大きいことも心配であると同時に、国内生産が思ったほど伸びないというのがもう一つの心配だということを申しておりまして、私の心配はその両方であることは現在も変わっておりません。したがいまして、国内生産が何とか我々が考えている水準に伸びるように今後も努力するつもりでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 生産が伸びるように努力されるということは当然であります。一方、個別農家に多少のぶれがある、それも当然でしょう。ただし輸入が年間六千九百トンという枠の中で、一体本当に国内の生産を振興させるというような立場に立ってやられてきたのかどうなのかということで議論しているのです。さっきもいろいろ不安が出ているということなのですが、不安が出るような輸入交渉をやっているところに問題があるので、現に不安が出てきて、輸入枠合意と決まった後に、もう子牛価格がばっと下がったという事態も出ているじゃありませんか。  同時に、ここでちょっと指摘しておきたいのですけれども、局長は相当需要が伸びるということを前提に考えたとおっしゃっております。とすると、これは指摘だけにとどめたいと思うのですけれども、六十五年度の自給率、国内生産が四十四万一千トンに対して需要量はどうなるかということですが、現在考えていると一%程度の自給率は保持できなくなります。需要量が六十四万四千トンですから、実に自給率は六八・五%ということで落ち込んでくることになるのです。相当高い需要を見込んで、生産は四十四万一千トンもなかなか大変だということになったらさらに落ち込むという問題点があるのだということを私は指摘しておきたいと思うのです。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) 先生、その自給率ということをおっしゃいますときに、私からそれでは御参考までに五十一年から五十七年までの自給率を申しますと、五十一年は六七でございます。五十二年が七四、五十三年が七二、五十四年が六八、五十五年七一、五十六年七五と、これくらいの幅で実は牛肉の自給は変動しているわけでございます。したがいまして、何かその辺の一%というようなところに問題があるのじゃなくて、私が申し上げたいのは、やはり大体こういうラインに沿うような形でやっていきたいと。決して毎年七〇とかそこらでとまっているのじゃございませんで、国内生産が停滞的なときには六〇台に下がるけれども、五十六年のように駄牛淘汰をしまして日本の牛肉がぐっとふえてくると七五まで上がる、こういうラインで上がったり下がったりしているということをひとつ御理解いただきたいと思います。

下田京子日本共産党

○下田京子君 若干のぶれはあるでしょうが、私が言っているのは、大臣がそもそも国内で不足する分を輸入するのだと、こう言っているのです。そう言いながら消費は伸びる。その消費に追いつく形で国内の生産を本当に保護して伸ばそうとしなければ輸入に依存する、こういう形になるのじゃないでしょうか。それは国内で不足する分を輸入するというよりも、むしろ輸入によって左右されるということになってしまう問題があるということなのです。  私が指摘しておきたいのは、需要が非常に鈍化していると思うのです、ずっと過去の経緯を言うと。需要の伸びは五十年から五十三年度で一〇・二%伸びたのですが、その後はやはり鈍化しています。五十二年から五十七年度は年率で五・二%ですから、約半分になっていると思うのです。生産の方はどうかということを見ますと、同期間で年率六・五%であったのが四・五%ということで若干落ち込みました。しかし、今言うように、国内生産を振興させるのだというふうに言っているわけですから、その国内生産を振興させようということを基本に置くならば、今回やはり東京ラウンド合意を上回る、倍にも匹敵するような六千九百トンの高級牛肉枠を決めだというのは非常に問題だと思うのです。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) 倍とかおっしゃるのは、それはハイクォリティービーフでございまして、総枠の話は今から日豪でやるわけでございます。  それから、牛肉の需給が大変先生一本調子で何%伸びというようなお考えかもしれませんが、例えば近時点でも五十七年などというのは八%近く伸びるわけです。五十八年に入りましてずっと落ち込んでくるというぐあいに、やはりこういう物の消費でございますので、見通しを使って対外的に交渉するというのは、私どもの武器としては大変強いわけでございます。しかし、このことと現実に動いている生産ないし需要というのはやはり差があることは御理解いただきたいと思うのです。私どもはこの需給見通しというものを決していいかげんなものとも思っていませんし、対外的に使います場合に大変な武器として使っておりますけれども、そのことと現実にどういう数字が動いているかというのは過去のデータを見ればわかるわけでございます。  生産がこれを上回る、例えば五十六年などは典型的でございますが、これは肉の話よりも乳牛の駄牛淘汰のために生産がうんと伸びてきた。しかし、その前にははるかに下回って、御承知のように五十四年のように、先ほどちょっと御指摘がありましたけれども、国内生産が伸びない。したがいまして、牛肉が高騰したということで逆におしかりをこうむるという事態もあるわけでございますから、それは一本調子に必ずしもいくものではない。これは諸外国すべてそうでございます。したがいまして、諸外国もいろいろな形で調整をしている。そういう計画経済のように一本調子のものが必ず出てくるとか、必ず消費されるというものではないということは御理解いただきたいと思います。

下田京子日本共産党

○下田京子君 理解しているのです。つまり、輸入なんかで相当枠を譲歩しているということが国内生産にどう響くかということで非常に問題になるのです。だから私は、今回の輸入枠の問題が東京ラウンドの合意のはるか倍近くも推移していったということが国内生産にも大きく影響を与えるだろうということをずっと言っているのです。これはもうやりとりを幾らしていてもあれなので、オレンジの場合も同じだということで、私はこれは小島局長に確認したいのです。  この前の質問のときに、いやいや違うと、こう言われましたが、東京ラウンドのときには四年間で合計枠で三万七千トンふえたと。ですけれども、年間枠にいたしますとこれはもう五千トン前後だったのです。五十五年から五十六年のとき、それから五十六年から五十七年のとき、これは年四千五百トンずつでした。その後は五千トン増ですから、そういう率からいけば今回一万一千トンも枠をふやしたということは、東京ラウンド合意に比較したら倍の枠拡大ということになるじゃないかと、一年一年の問題でそういうことで聞いたわけなのです。それはそのとおりでしょう。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) 五十三年の合意のときには、五十五年に二万三千トンふやしましてあと四千五百、四千五百、五千というふうにふやしておるわけでございます。今回の場合はおっしゃるとおり一万一千でございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 いずれにしましても、牛肉、オレンジとも東京ラウンドを上回るテンポで輸入枠拡大をやった。このことについて長期間にわたって交渉に臨んだ経済局長にお尋ねしたいのですけれども、東京ラウンド合意というものがベースになっておりまして、今回もその東京ラウンド合意を上回るもので輸入拡大のテンポが早まってきたということになると思うのです。こういう考え方でいきますと、次は大変だと大臣も言われましたけれども、四年後さらに枠拡大ということを譲歩しない限りまた自由化という旗はおろさないだろうし、そうやって枠拡大枠拡大でいけば実質自由化につながっていく、そういう矛盾、問題点を持っているのではないかと思うのですが、率直な御意見を聞かしてください。

佐野宏哉農林水産省経済局長

○政府委員(佐野宏哉君) 東京ラウンドの合意の場合も今回の場合も基本的には、アメリカ側から見ますれば、アメリカがガット十一条違反であるというふうに認識をいたしております輸入制限の存続を容認する代償としてどういうものが必要であるかということをめぐっての議論であるということについては、差はないというふうに思っております。    〔委員長退席、理事北修二君着席〕 ただ、今回の場合は、東京ラウンドの場合と比べますと客観情勢が大変険しくなっておりますので、そういう意味で東京ラウンド合意のときよりは輸入拡大幅が大きくなっておるというのは客観情勢のしからしむるところではあるまいかというふうに存じております。  それで、四年後どうなるかということでございますが、東京ラウンドのとき、今回のときと基本的には構造は異ならないわけでありまして、輸入制限の存続をアメリカが容認するとすれば、それの対価が必要であるということには変わりないと思うのです。ただ、東京ラウンドのときに五年間輸入制限の存続を容認し、今回四年間また輸入制限の存続をしたということになりますから、輸入制限の存続を容認することについての寛容の度合いというのは減ってくるのではないかというふうに一般的には考えられるわけであります。ただそこで、先生の今御指摘のように、輸入制限の存続を容認してもらわなくてもいいという考え方もあるのかもしれませんが、そういうふうに考えますと、そもそも交渉をすべき客体が存在しないということになるのではないかというふうに私は思っております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 輸入自由化をアメリカはずっと根底に置いて交渉しているわけですから、大臣がいみじくも帰ってきて冒頭に言われましたが、四年後さらに厳しいものになるのだというその率直なる感想を、本当にこれから具体的に国内生産に生かしていこうとするならば、やはり今回学んだのは、一定の枠の拡大はやむなしで譲っていくというやり方が本当に自由化をも阻止できる力にはなるのか。ならないのじゃないか。私はそこをきちっと考えなければならないと思うのです。そういう立場に立って今後対応していかないと、やはり対米協調という名のもとにアメリカに譲歩し、結果として国内農業を犠牲にするということになると思うのです。それは真の日米の友好関係にはつながらないと思います。日本の農業を犠牲にした上での交渉であれば、これは真の友好とはだれもが考えられないのではないか。その点の感想。

山村新治郎自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(山村新治郎君) 下田さんに日米友好まで心配していただいて本当に何とお礼を言っていいかわかりませんが、我々としては、これが真の日米友好である、この数字なら日本農業を守っていけるということでやったわけでございまして、見解の相違でございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 見解の相違と言われたのでは非常に残念でありますけれども、今後の推移を見れば私が指摘したことがどうだったかということはもう火を見るより明らかに出てきます。ただ、私が言いたいのは、本当に日本の農業を守るというのが、言葉でなくて具体的に実行で示されることを期待したいと思います。  食糧庁長官にまたおいでいただいたのですが、時間がなくなってしまって残念なのですけれども、EDB問題で調査をこの前依頼いたしました。そのアメリカに行って調査した結果ですか、それだけ簡単に御報告をいただいておきたいと思うのです。

松浦昭食糧庁長官

○政府委員(松浦昭君) 先般の当委員会におきまして大臣から、外交ルートを通じて調査をするというお答えがございました。これに沿いまして私どもは外務省等を通じまして調査を進めておるわけでございますが、残念ながら今のところはこの前当委員会に御報告した以上のことは把握されておりません。ただ私どもとしましては、米国の残留許容ガイドラインの科学的根拠であるとか、あるいは米国におけるサンプル検査における州別残留状況につきまして米側に照会しているところでございまして、さらにこれを確実に入手いたしたいと思っております。しかし、外交ルートだけでは不十分であるというふうに考えておりまして、さような意味で食糧庁としましては、米国の農務省等関係機関に対しまして直接にEDBの残留実態に対する情報の提供、あるいは安全な小麦の供給について要請をするという行動をとってまいりました。特に我が国の輸入業者に対しまして、安全な小麦の輸入について最大限の努力を払うように現地でも依頼してまいったという状況であります。

喜屋武眞榮参議院の会

○喜屋武眞榮君 私は、大臣の所信表明をされましたこれに基づいて、特に強調しておられると私が受けとめております二つの柱を中心にお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一のお尋ねは、安定した農業生産力の確保を図っていくという意図のもとに第三次土地改良長期計画というものを打ち出されておられる。そして五十八年度から十年計画で三十二兆八千億円の総事業費ということであります。  そこでお尋ねしたい第一は、    〔理事北修二君退席、委員長着席〕 その進捗状況はどうなっておるでしょうか、そして今後の見通しはどうなるのでしょうか、見通しについてお伺いいたしたいと思います。

森実孝郎農林水産省構造改善局長

○政府委員(森実孝郎君) 昨年発足いたしました第三次土地改良長期計画のもとで今二カ年の予算を組んだわけでございます。御案内のように、極めて厳しい財政事情のもとで他の長期計画を持ちました公共事業同様、抑制的に推移しております。我々といたしましては、今後残された八年間にどうやってこの達成の努力を図るかが非常に重要だろうと思っております。確かに御指摘のように、今の横並びで行くならば達成率が非常に不十分なものになることは歪みがたいわけでございまして、これを今後どうやって確保していくか、また、事業の効率的実施をどう図るかが課題であろうと思っております。

喜屋武眞榮参議院の会

○喜屋武眞榮君 行き先不安の言葉を述べておられますが、確かにそうだろうと思っております。それだけに非常に責任が重大であるということをひとつ理解してもらわなければいけない。  それでは次に、その長期計画の中に特に立ちおくれておる沖縄の農業の振興、二つ、水産の振興、三つ、畜産の振興、この沖縄における立ちおくれておる三つの柱がこの重大な影響を持つ長期計画とどのように結びついた形で進められておるか、そのことについてお聞きしたいと思います。

森実孝郎農林水産省構造改善局長

○政府委員(森実孝郎君) まず私から、沖縄の基盤整備事業の進捗状況なりこれからの進め方について御説明させていただきます。  土地改良長期計画は全国計画として決めておりまして、県別の計画は持っておりません。ただ、過去の実績が示しますように、例えば、沖縄は昭和五十年の三月の時点では水田の整備率はゼロであった。それが今日の状況では一六%近いものになり、畑地の方も一%の整備状況であったものが約三割の整備水準ができていることは事実でございます。国といたしましても、沖縄の基盤整備事業につきましては、採択条件とか補助率等について特段の優遇措置を講じておりますし、また予算の配分につきましても、実は全体がことしは対前年比九九・一%という厳しい状況のもとでございますが、沖縄につきましては、地域の実情、農業の振興という視点から一〇二・七%という平均をはるかに上回る伸び率で予算を確保したわけでございます。問題は、第三次土地改良長期計画のもとでは、私は、従来に比べて整備水準のおくれた地域に対して高い投資が行われるということは当然必要だろうと思っておりますし、その中で沖縄については格段の配慮を今後とも当面払っていく必要があるのではなかろうかと思っているわけでございます。

石川弘農林水産省畜産局長

○政府委員(石川弘君) 畜産につきましては、沖縄の農業の中でも三分の一の比重がございます。したがいまして、これを伸ばしていくということで、実は第二次の沖縄振興開発計画の中で肉牛、乳牛いろいろな科目につきましてどれくらい飼養頭数を伸ばすかということを考えておりますが、特にその中で肉用牛が二・四倍、食鶏二・六倍というぐあいに比較的沖縄で生産を伸ばすに適したものにつきましては、それぞれの振興の目標を定めまして、肉用牛につきましては今度の肉用牛の振興の基本方針の中でこれが着実に伸ばせるようにというための施策を展開するつもりでございます。  基盤整備につきましては、今構造改善局長からお話がありましたように、補助率も高いわけでございますし、既に畜産基地、それから団体の事業等相当やっておりますが、そのほかにも例えば畜産総合開発事業といったようなものも重点的に配置をいたしまして、先ほど申しましたような計画が着実に実行できるようにしていくつもりでございます。

渡邉文雄水産庁長官

○政府委員(渡邉文雄君) 水産関係の基盤整備は、とりもなおさず漁港の建設に相なるわけであります。現在漁港の建設につきましては、第七次漁港整備計画に基づきまして行っているわけでありますが、沖縄につきましては積算の基礎として、その中で五百三十八億円が長期計画の数字と相なっております。現時点までの進捗率が約二八%でございまして、全国ベースの二四・八%に比べますと、かなり沖縄には力を入れておるという結果に相なるのでございます。今後ともその姿を堅持しまして、沖縄の漁港整備計画の円満な達成のために努力をしたいと思っております。

喜屋武眞榮参議院の会

○喜屋武眞榮君 次に、特に沖縄の特殊事情下における林業の振興、このことについてお伺いします。  特殊事情下と申しますともう御案内だと思いますが、まず一つは米軍の実弾射撃による山林の破壊、二つには実弾射撃演習による山火事の多発、三つは松くい虫の蔓延による森林被害、こういう特殊事情下において林業振興政策をどのように進めていこうと考えておられるか、また進めておられるのであるか、お伺いします。

秋山智英林野庁長官

○政府委員(秋山智英君) 森林を松くい虫あるいは火災から守ることが、特に沖縄の場合には台風の被害を受けやすいという状況にございますし、木材生産もちろんでございますが、水源涵養、国土保全、自然環境保全という各面から大変重要な役割を果たしておると私は思うわけであります。そこで、私ども林野行政推進に当たりましては、これらの諸点を特に基本といたしましてやっておるわけでございますが、特に御指摘の、まず松くい虫でございますが、これは四十八年に一千立米ほど出ましてから以降減少したわけでございます。先生御承知のとおり五十五年の夏季の高温少雨ということで大変被害が急増いたしまして、五十七年には一万六千九百立方メートルという被害になったわけであります。そこで、五十八年は新しい法律に基づきまして防除をしておりまして、一万五千立米ということで、今のところそれぐらいの見込みでございまして、一割程度減少するような見込みでございます。国有林には全然出ておりません。  そこで、やはり沖縄県におきます森林の重要性、特に松くい虫の被害の対象になっています琉球松と申しますものが県木でございまして、県民の方々に非常に親しまれている木でございますし、建築用材として極めて重要でございます。これが被害防止には私ども鋭意努力しているところでございますが、特に現在中部地域を中心にして被害が出てまいっております。これまでは被害木を伐倒したものを焼却する特別伐倒駆除、それから徹底した普通の伐倒駆除ということをやってまいったわけでございますが、特に五十八年度からは、これらの措置に加えまして被害防止を図るという意味におきまして、特に被害の蔓延防止というところから、重要な地域につきましては特別防除、薬剤の散布を実施しております。これは被害面積に対しましてわずか七%でございますが、大変重要なところでございますので、これを実施しながら総合的にこれが防除を図っていこうということで進めております。  それから、米軍基地の演習に起因する山火事でございますが、御承知のとおり、米軍基地内の森林につきましては地位協定に基づきまして米軍が管理に当たっておるわけでございますが、私どもこれにつきましては、現在把握はしておりません。基地内の山火事の実態につきましては防衛施設庁の方で把握をしていただいているところでありますが、何といたしましても、山火事は水源涵養上極めて重要な森林資源というものを一朝にして烏有に帰すわけでございますので、十分連携をとってやってまいりたい、かように考えておるところでございます。

喜屋武眞榮参議院の会

○喜屋武眞榮君 特に、この林業面から沖縄のこういった特殊事情下における緑豊かな国土、県土を育て上げるということが非常に困難な事情にあるということを知ってもらわぬといかぬということと、さらには沖縄の森林の中に潜んでおる世界的な、学者が宝の島であると言ういわゆる野生動物、人類に貢献する数々の野生動物がたくさんおる。そして今も発見されつつあるというそれを、環境保全の面からも国の責任においてしっかり守ってもらわぬというといけないということを、私は幾らこの点を強調しても過ぎるということはない、こう思って機会あるごとに申し上げておる次第なのです。  では、第二の柱に入りたいと思います。  大臣は、所信表明の中に、「我が国の風土に根差し、かつ健康的な食生活という点からも望ましい日本型食生活の定着」ということ云々と、非常に力説しておられます。ならば、日本人の食生活の現状をどのように認識しておられるか、大臣にお聞きします。

山村新治郎自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(山村新治郎君) 我が国の食生活は戦後大幅に変化いたしました。従来の米、魚、野菜を中心とした伝統的な食生活パターンに加えまして、肉、牛乳、乳製品、そしてまた果物など、これらが豊富に加わって栄養バランスのとれた面でも理想的な食生活であろうと思います。これも日本型食生活とも言うべきということで言っておりますが、実際のところ、日本人の平均寿命が世界一になったというのも、私はこの食生活というものが大きい効果があったものと思っております。しかし、それは今の我が国の食生活の平均的な状態でありますが、特に若い人の場合は栄養バランスの偏りなど問題なしとは言えない面もあろうかと思います。そこで私といたしましては、正しい食生活情報の提供、また消費者運動の促進等により、日本型食生活の定着化に力を入れてまいりたいというぐあいに考えております。

喜屋武眞榮参議院の会

○喜屋武眞榮君 ただいまの大臣の御答弁を聞くにつけて、日本人の老いも若きもその実態を把握された上に立っての日本型食事の定着ということを、本当に密着した気持ちで強調しておられるのかなという疑問を持たざるを得ません。何となれば、日本人は、結論的に申し上げると、非常に肥満型の人間が多くなっておるということがはっきり言えます。いかにすればやせることができるかということで、御婦人の皆さんを初め、体重を軽くするために食事を節制し、それから運動によって肥満型をスマートにしていこう、甚だしくは金までも出して健康薬品を、薬を飲むことによって体重を落としていこうということに明け暮れておる。何と皮肉なことでしょう、矛盾したことでしょうと言いたいわけなのです。そして、今大人の層、特に婦人も含めてのこれは実情でありましょう。  次に、若年層といいますというと、義務教育課程にあるところの少年たちですが、肥満児が多くなっているということは今さら申し上げるまでもありません。その肥満児が形態の上からは身長も体重も胸囲も確かに伸びました。ところが、これは必ずしも健康に結びつかないですよということを知ってもらわなければいけません。何となれば、骨折児が、骨がもろくなっておる。筋肉の強靱性が欠落して忍耐力がうせておる。そして、けがが多くなっておる。こういう実態が子供たちの生活の現場から幾らでも拾い上げてくることができるのです。このことは、ずばり申し上げますと、欧米型食事にずっと走ってきたという証拠なのです。どうしても私はこの現状を踏まえて、その上に立って日本型食事の定着ということを打ち出してもらわなければいけない、こういうことなのです。  では、大臣にお聞きします。この子供たちが肥満児が多くなっておるということは、形態的には骨ももろくなっておる。筋肉の強靱性も弱くなって持久力も減退してくるのです。そういう子供たちのさらに内臓疾患の面から気づいておられますか。気づいておられたら言ってください。

山村新治郎自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(山村新治郎君) 内臓疾患の方はちょっとわかりませんけれども、ただ、いわゆる日本型食生活というものをできるだけ普及すべく、学校給食等におきましても今、米を食べていただこうということで、これは六割の補助をしながらやっておるような状況でございます。実は水産庁の方とも相談いたしまして、「ザ・サカナ」というキャンペーンを張りまして、そして一生懸命魚も食べてもらおうというようなことでやっておりますが、内臓の方はどこかと言われましても、ちょっとこれは私、気がつきませんでした。

喜屋武眞榮参議院の会

○喜屋武眞榮君 私も医者ではありませんから、そのつもりでお聞き願いたいと思うのですが、物の本によりますと、こういうことが厳しく指摘されております。とにかく、日本人が欧米型食事に終戦以来傾いてきたために、循環系統の疾患が多発してきておる、これは間違いありません。それがすなわち動脈硬化症あるいは高血圧、虚血性心疾患という形でぐんぐん統計上にこれは死亡の原因となってあらわれてきております。今度は子供たちは、いわゆる栄養食を、脂肪分をとり過ぎるために結局子供たちの肥満が、さらに内部的にはコレステロールが血管に、このことが肥満の原因になっておるわけなのです。それでは、なぜそのように子供たちが肥満になり、コレステロールを起こしてきたかというと、このことを具体的に申し上げます。  第一、ソーセージを飯がわりに食べ過ぎる、第二に、マヨネーズをたっぷりとり過ぎる、第三、ハンバーガーを好んで、そしてコーラをがぶがぶ飲んでおる、このことが肥満の原因、そしてコレステロールの蓄積する原因、こう指摘しておるのです。納得いかれますでしょう、首を振っておられますから。  そこで、問題は、大人が幾ら日本型食事を定着させるということを言ってみたところで、これは大人の問題じゃありません。子供たちにどう日本型食事を定着させるかということを私は指摘したいのです。  それでは、どういうことがそのかぎであるかということになります。大臣、お聞きになったことがありますか。人間の舌は最も保守的であると指摘されておるのです。この保守的な舌が、産まれ落ちてから食べ物を口に入れるその瞬間から、少年、壮年、老年、すなわち一生を貫くその基礎はあの少年時代、幼時に何を食べたかというその味が舌にしみることが一生涯を支配するということなのです。だから、大人の食生活はこれは問題にしないというわけではありませんけれども、問題は、この少年たちの食生活のあり方をどう舌の保守性と結びつけて身につけさせるかということなのです。成長の過程において日本型食事の定着していくという根本はそこにあるということなのです。おわかりでしょうか。

山村新治郎自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(山村新治郎君) よくわかります。

喜屋武眞榮参議院の会

○喜屋武眞榮君 どうも済みません。だから、大人になってからいい習慣を養おうとしてもそれはむだだということなのです。こういう立場、認識の上に立って、大臣は先頭に立ってハッスルしてもらわなきゃいけないと思いますが、いかがですか。

山村新治郎自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(山村新治郎君) 今先生の御高説を拝聴いたしました。本当にもっともでございます。もう私にできることがありましたら何でも先頭に立ってやってまいります。

喜屋武眞榮参議院の会

○喜屋武眞榮君 先頭にお立ちになってちょうちんをお持ちになるだけではこれは意味がありません。それでは、先頭に立ってやるとおっしゃることは具体的にはどうなさることですか。

小野重和農林水産省食品流通局長

○政府委員(小野重和君) 御指摘のように、日本人の食生活も戦前はいわゆる伝統的な日本式の食生活であったのですが、大変むしろ貧弱な食事でありました。戦後、生活水準の向上とともに、言ってみれば欧米化が相当進んできまして、今は大変理想的な形でありますけれども、今御指摘のように、若い人たち、特にまた子供たちはむしろ平均よりもはるかに欧米化の方に進んでいるというところがございまして、これが今肥満ということにもなっているわけでございますが、一言にして言えば、これは油分がちょっと多過ぎるということのようであります。いずれにしても、この食生活の問題というものは個人個人の食生活の問題でございますから、やはりその個人個人がそういう正確な、適正な知識を頭に入れ、それに基づいて食生活をするということでございます。  特に、子供たちの問題が今出ていましたけれども、これはいわば食生活のディレクターは家庭の主婦にあり、こういうふうに私どもは言っておりますが、やはり主婦というか母親が一番大事じゃないかというふうに思います。また、学校教育、学校給食も大事だと思いますが、そういう意味で、私どもの日本型食生活の推進に当たりましては調査研究が前提になりますけれども、それに基づいて正しい知識をいかに普及するかという点に絞られると思います。そのための手段といたしましては、もちろんテレビとか新聞とか雑誌とかマスコミを使っての普及もございますし、それからいろいろなイベントもございますし、また、特に消費者運動が最近はそういう点に大変力を入れておりますので、そういう運動にさらにバックアップするとか、いろいろな各種手段を使いまして総合的に日本型食生活の普及、推進に努めたいと思っているところでございます。

喜屋武眞榮参議院の会

○喜屋武眞榮君 普及徹底させる方法はいろいろあると思いますが、そういう面から視聴覚教育ということが非常に重視されておることは申し上げるまでもありません。いわゆるテレビを通してということは、個々の家庭、特に母親を対象とした啓蒙啓発です。それはマスコミ、特にテレビを通じてのということは大事でありましょう。それも大事ですけれども、私が特に強調したいことは、先ほど学校教育ということをおっしゃったが、そのとおりです。学校の教育課程の中に食物の実態を、健康食に対する理解をどうしても徹底さしていかなければいけない、教育課程の中へのどう位置づけるか、このことと、それから実際に舌の味覚を培っていくためには、何といっても学校給食のあり方を重視しなければいけないということなのです。でも、また日を改めて、学校給食の問題はどうあるべきかということについては論ずることにいたしたいと思います。  次に、このように論議を進めてまいりますと、食糧自給の問題です。それは先日もつまみ食いみたいなように問いましたが、関連した意味において私は、この食糧自給の状況が、個々のとなりますというと時間もかかりますし、その時間はないと思いますので、自給率とその目標ということからお尋ねしたいのは、いわゆる完全自給自足は私はこれは無理だと思います。でも、やはり主食物、主食糧に対する自給率は現状はどうなっておるか、それはどこまで目標を置いて伸ばすべきであるか、このことは明確にとらえておかないと政策もうまく進展しない、農政もうまくいかぬと私は思います。そういう立場から、特に主食物に対する自給の現状、漠然と申し上げるといけませんから、この表によりますと、米、野菜、果実、牛乳、肉類とか、それから特に日本型食事とのつながりにおける関心を持たなければいけない政策上の問題は、豆類、小麦、こういうものの自給現状と、その目標をどこまで伸ばすべきであるか、このことについてひとつ。

山村新治郎自由民主党・新自由国民連合農林水産大臣

○国務大臣(山村新治郎君) 食糧の安定供給と安全保障というものは国の最重要課題の一つというぐあいに考えております。今後とも国内で生産可能なものはできるだけ国内で生産するということを基本にいたしておりますが、少なくとも米は完全自給をいたします。そして、そのほかの具体的な農産物の内容につきましては官房長の方から御説明さしていただきます。

谷川寛三自由民主党・自由国民会議

○委員長(谷川寛三君) 簡潔にお願いします。

角道謙一農林水産省大臣官房長

○政府委員(角道謙一君) 今お尋ねの農産物の需要と生産の長期見通しにつきましては、昭和五十五年に閣議決定をいたしておりまして、品目別に自給の目標のようなものを示してございます。米につきましては、今大臣からお話がございましたように、完全自給でございます。それから品目で特に御指摘のございました小麦と大豆でございますが、小麦につきましては、日本では必ずしも適作でない面かございます。この場合、小麦にはめん用のものとパン用のものがございまして、パン用のものについては特にグルテン等が多量に含まれるものはなかなか日本ではできにくいこともございまして、日本めん用の軟質小麦、こういうものは国内需要を完全自給するという方向で物を考えております。  それから大豆につきまして、油量、油分の多いものはなかなか日本では生産性が低いものですから、主として豆腐、みそ等食用に供する大豆につきまして原料が大体五%ぐらいございますが、これを全体の食用の約六割程度は国内で自給するというような目標をその閣議決定の中において定めておるわけでございます。

谷川寛三自由民主党・自由国民会議

○委員長(谷川寛三君) 本件に対する質疑はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時散会

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