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101回国会参議院1984/08/28

内閣委員会 閉会後第1号

発言数
122
登壇者
15
会派数
6
開催日
1984/08/28

会議録

大島友治自由民主党・自由国民会議

○委員長(大島友治君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る七日、安武洋子君が委員を辞任され、その補欠として内藤功君が選任されました。  また、八日、藤井恒男君及び林ゆう君が委員を辞任され、その補欠として柄谷道一君及び私、大島友治が選任されました。     —————————————

大島友治自由民主党・自由国民会議

○委員長(大島友治君) この際、一言ごあいさつを申し上げます。  私、先般、本委員会の委員長に選任されましたが、大任を承りまして身の引き締まる思いでございます。  委員会につきましては、公正、円満な運営に努め、理事の皆様方を初め委員各位の御協力を賜りまして、委員長の職責を全ういたしてまいりたいと存じております。  何とぞ、よろしくお願い申し上げます。     —————————————

大島友治自由民主党・自由国民会議

○委員長(大島友治君) 次に、理事の辞任についてお諮りいたします。  小野明君から、文書をもって、都合により理事を辞任いたしたい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島友治自由民主党・自由国民会議

○委員長(大島友治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大島友治自由民主党・自由国民会議

○委員長(大島友治君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に穐山篤君を指名いたします。     —————————————

大島友治自由民主党・自由国民会議

○委員長(大島友治君) 次に、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を議題といたします。  まず、一般職の職員の給与についての報告及びその改定についての勧告に関し、人事院から説明を聴取いたします。内海人事院総裁。

内海倫人事院総裁

○説明員(内海倫君) 御説明を申し上げたいと存じます。  人事院におきましては、去る八月十日、公務員の給与に関する報告及び勧告を国会及び内閣に提出いたしました。本日、当委員会におかれましては、早速勧告内容について御聴取をいただく機会をお与えくださいましたことに感謝をいたしております。  以下、勧告の内容の概要を御説明申し上げます。  本年も従来の考え方、従来の方式と同様に四月時点におきます官民の給与を厳しく比較いたしました。その結果、官民の給与の較差は金額におきまして一万五千五百四十一円、率で六・四四%であることが判明いたしましたので、公務員の給与についてこの較差を解消するということにいたしました。これは昨年の一万五千二百三十円、六・四七%の改定勧告に対し、四千七百七十一円、二・〇三%の改定にとどまりましたことと、ことしの春闘による民間給与の上昇を反映したものとなっております。  なお、以下説明申し上げます内容等につきましては、お手元に提出いたしております「骨子」を御参考にしていただきながらお聞き取りを願いたいと思います。  改善の内容としましては、民間の給与配分の状況、公務員の在職実態、年齢階層別の生活面への配慮、昨年の勧告に対する職員の期待等を詳細に検討いたしまして、一万五千五百四十一円の較差の配分としまして、俸給に一万三千百六十円、八四・七%、手当に千六百八円、一〇・三%、この改善の定率手当へのはね返り七百七十三円、五・〇%といたしました。  俸給表につきましては、世帯形成層、中堅層を重点として改善し、行政職俸給表(一)について見ますと五、六、七等級が高い改善率となっております。  また、指定職俸給表につきましては、いろいろな事情を勘案して行政職と同程度の改善といたしております。  手当につきましては、生活面も考慮し、扶養手当を最重点とし、通勤手当、住居手当にも所要の改善を行っております。このほか、医師の初任給調整手当につきましては、民間における医師給与の状況を考慮した改善を行っております。  次に、特別給につきましては、公務員の期末・勤勉手当の年間の平均支給月分と民間のボーナスの年間の支給月分とほぼ均衡しておりますので今回は据え置いております。  次に、実施時期でございますが、当然のことながら本年四月一日からといたしております。  次に、この勧告をいたすに当たりまして、報告の中で申し述べております事柄の骨子について御説明を申し上げます。  まず、人事院勧告制度の意義について、労働基本権の制約に伴う代償措置であり、この制度が適正に機能することが重要であり、そのためには勧告が尊重され、そのとおりに実施されるべきものであることを述べております。  次に、公務員の給与の現状を見ますと、連年の給与の抑制のもとで、人事管理面の困難を訴え、また生活面への影響の生じていることを訴える声もあることを指摘し、本院としてこのようなことが士気の保持、厳正な規律の維持、人材の確保に影響を生じ、さらに公務における労使関係にひずみを生じさせ、これらの結果、公正かつ能率的な行政に支障を生じるおそれはないかということについて憂慮している旨を申し述べております。  さらに、国会及び内閣におかれて、人事院勧告が長年の経緯を経て完全実施されるに至ったことが公務における労使関係の安定に大きく寄与していること、また現在公務員が以上申し述べましたような現状にあることについて深い御理解をいただくとともに、同じ国家公務員である四現業の職員についての公共企業体等労働委員会の仲裁裁定が本年も既にその実施が決定されているということに特段の御留意をいただきたいことを申し述べ、この勧告を速やかに実施されるよう強く要請いたしております。  以上、勧告の内容及び報告の概要を御説明申し上げましたが、国会及び内閣におかれましては、人事院勧告の意義を御理解賜るとともに、連年にわたる勧告の見送り、抑制のもとにあって、職務に精励しておる公務員の現状について深い御理解を賜り、何とぞこの勧告をぜひとも早急に実施していただくようお願いを申し上げて、御説明を終えさせていただきます。

大島友治自由民主党・自由国民会議

○委員長(大島友治君) 以上で説明の聴取は終わりました。  速記をとめてください。    〔速記中止〕

大島友治自由民主党・自由国民会議

○委員長(大島友治君) 速記を起こしてください。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。

野田哲日本社会党

○野田哲君 まず、人事院の勧告の問題について、順を追って人事院と関係大臣にただすつもりでおりましたが、官房長官の方は何かよんどころない時間の都合もあるようでございますので、先に官房長官にかかわる問題について見解を伺っておきたいと思います。  ことしの四月四日のことでありますけれども、藤波官房長官、それから坂本労働大臣、そして総務庁になる前の中西総理府総務長官、この三大臣が政府を代表して労働四団体の代表と会見をされています。そして、ここの席で官房長官は、仲裁裁定、人事院勧告が出された場合、政府は完全実施に向けて誠意を持って取り組む、こういう政府の考え方を表明されたというふうに伺っているわけでありますけれども、まず、このことは間違いないかどうか、官房長官に確かめておきたいと思います。

藤波孝生自由民主党・新自由国民連合内閣官房長官

○国務大臣(藤波孝生君) 関係団体から仲裁裁定、人事院勧告の完全実施に対して強い御要請がございまして、特にことしの春の要求の中に、いわゆる当事者ではない民間の労働関係、全民労協などからも、もう限界に来ていると思う、ぜひ完全実施に向けて努力をするようにという御要請がございまして、そういったお声にこたえて四月四日の会見になったかと今記憶をいたしておるところでございます。御指摘がございましたように、仲裁裁定、人事院勧告、それぞれ出されました段階で誠意を持って完全実施に向けて努力をするということを申し上げたところでございます。

野田哲日本社会党

○野田哲君 今の官房長官のお答えの最後のところですが、その点、はっきりもう一遍念を押して確認をしておきたいと思うのですが、あなたは今努力という言葉を使われましたが、私は、あの当時の確認としてはそうではない、誠意を持って取り組む、こういう表現であったというふうに労働団体の方からは承知をしているんですが、その点いかがですか。

藤波孝生自由民主党・新自由国民連合内閣官房長官

○国務大臣(藤波孝生君) 正確に、記録がございますので、読ませていただきますが、  一、政府は、従来から申し上げているように、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度及び仲裁裁定制度を維持尊重するとの基本姿勢を堅持する。  二、昭和五十九年度の人事院勧告及び仲裁裁定が出された場合には、この基本姿勢に立って、完全実施に向けて誠意をもって取り組む。  三、なお、関係労働団体とは、従来通り誠意をもって話し合う。  以上、三点でございます。

野田哲日本社会党

○野田哲君 誠意を持って取り組む、こういうことであったということが今明確に示されたわけでありますが、私もこの労働団体にいささかかかわりを持っておりますので、当時の経過を振り返ってみますと、労働四団体、とりわけいわゆる公労協、三公社四現業の関係の職員で組織をしている労働組合の公労協、それから公務員関係の組合、この大部分の労働組合が加盟している総評は、今、藤波官房長官が示されたこの政府の回答を前向きに評価して、この四月四日の会見を契機にして春闘の行動を収拾していった、こういう経過があるわけであります。特に、労働団体としては完全実施に向けて誠意を持って取り組む、このことを、昨年、一昨年とは政府の態度も違うという評価をしているわけであります。  そして、その後の経過を見ると、仲裁裁定については、ここ数年来通例のようになっていた秋の通常国会まで持ち越して国会の中でこれが駆け引きの道具に使われる、こういうようなやり方、これは国会の問題でありますけれども、政府・与党一体という立場からいえば政府・与党の方でこの今までのやり方を改められて、先般終わった通常国会の中でこの仲裁裁定が議決をされる、こういう形でここ数年来例年に比べて非常に速いテンポで進んでいった。これもやはり労働団体の受けとめ方としては、四月四日のあの確認に基づいてそういう措置がとられたのだ、こういう受けとめ方をしているわけであります。それだけに、残されて八月十日に勧告が出された人事院の勧告の取り扱いについても、去年、おととしとは違った扱いをされるだろう、ことしは完全実施だろう、こういう期待を持っているわけであります。  ところが、最近の後藤田総務庁長官の新聞社のインタビューに答えたこの考え方、あるいは先般の衆議院の内閣委員会における長官の答弁を見ると、四月四日のこの藤波官房長官、坂本労働大臣、中西総務長官、三人が労働四団体に答えた政府の見解とはかなりこれはニュアンスが違う、こういう印象を持たざるを得ないわけであります。閣内不統一、こういう印象を非常に強く感じているところなんです。これはまた後で総務庁長官にただしてまいりたいと思います。  もう一つ、藤波官房長官にただしておきたいのは、一体この八月十日に出された人事院の勧告について今後どういう手順を経て国会にはどういう形で法案を提出されようとしているのか、中身はともかくとして法案の扱いについて伺っておきたいと思うわけです。八月八日に特別国会が終わって、その後で各党との協議なども行われて、政府・与党としては毎年のように例になっていた秋の臨時国会がことしはない、こういうことになったようであります。そうすると、通常国会が少し早目に召集されて急ぐ問題はそこで処理されるかなというような話し合いがあるようでありますけれども、給与法については一体いつ決定をされて、国会のどの時点で提出を考えておられるのか。もし臨時国会がないとすれば、十二月に召集をされる通常国会、この頭のところでやっておかなければ、年を越して二月、三月というようなことになると、これは非常に地方公務員のことなども考えると日程的にせっぱ詰まったようなことになる。官房長官と総務庁長官、どちらからでも結構でございますが、この国会との関係について見解を伺わせていただきたいと思います。

藤波孝生自由民主党・新自由国民連合内閣官房長官

○国務大臣(藤波孝生君) 八月十日に人事院総裁から内閣総理大臣あて勧告が出されまして受け取らせていただきまして、早速に第一回の給与関係閣僚会議を同日に開催したところでございます。所管の閣僚あるいは党の幹部からそれぞれの立場でいろんな意見が出されたわけでございますが、一本にまとまるところまでまいりませんでしたので、いずれそれぞれ日程を調整して第二回を開くということで第一回を終わっているところでございます。第二回目の給与関係閣僚会議をなるべく早く開くように日程の調整などをしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。  先生お話しのように、今のところ国会の予定は、まず次は通常国会十二月になるのではないかという感じになっておりまして、したがいまして給与法を出すといたしましても最も早い機会がそういう時期になるかというふうに思うわけでございます。一方、勧告に対する政府の態度の決定につきましては、給与関係閣僚会議の議を煮詰めてまいらなければなりません。会議の合間にもそれぞれ連絡を取り合って総務庁を中心にいたしましていろいろ協議を進めているところでございますが、法の精神に照らしますと、勧告が出ましたならば、給与法の提出に間に合えばいいということではなく、やはり精力的に会議を開いて政府の態度をなるべく早く決めるように努力すべきものだというふうには考えておりまして、そんな気持ちで誠意を持って取り組んでいきたい、こう思っている次第でございます。  今のところ、給与法の提出の時期につきまして明言することはなお時期尚早であるかと思うのでございますが、努力目標といたしましては、先生からお話がありましたように、通常国会の冒頭にも給与法案が出せるようなつもりでひとつ態度を決定して努力するようにということにつきましては十分御趣旨に沿うように努力をいたしてまいりたい。今のところ決意の表明程度にしかなりませんけれども、先のことになりますので、そんな気持ちでおることだけ申し上げておきたいと思います。

野田哲日本社会党

○野田哲君 これは総務庁の方に伺いたいと思うんですが、人事局長、公務員の給与の人事院勧告を削減したり、それから一昨年見送ったりしたケースがILOに組合側の方から提起をされて、ILOの議論になっている。そして、これはたしか十一月にこの問題について結社の自由委員会ですか、そこで議論になる。こういうふうに伺っているわけですが、そうすると、その日程を考えると、これに対して政府が一定の見解を示さなければいけない。そういういきさつになっていると思うんですが、そうすると、十一月の理事会に間に合うように政府の見解を出すとすれば、十月の中旬、二十日ごろまでには一定の見解をことしの勧告についてどう取り扱うかということについてもまとめていかなければならない状況にILOの関係からいえばなっているのじゃないかと思うんですが、その点はいかがですか。

藤井良二総務庁人事局長

○説明員(藤井良二君) 今、先生が御指摘されましたように、ILOの結社の自由委員会の理事会が十一月一日から十五日までに開かれることになっております。これの中身といたしましては、組合の方が訴えておりますのは、五十八年度の人勧でございます。そこで当然五十九年度にも触れることになると思いますけれども、その場合、結論が出ておれば、もちろん政府見解としてその結論を述べることになると思いますけれども、結論が出ていなければ、その審議の過程について政府の見解を述べるということになろうかと思います。

野田哲日本社会党

○野田哲君 ILOで取り扱われているのは五十八年の問題、確かにそうなんですが、五十九年はまだ問題になるはずはないんです。しかし、ILOの結社の自由委員会あるいは六月に開かれた総会の経緯から見ると、見送りなり削減という措置がさらに五十九年も続くということになると、これはILOとしてもかなり決めつけた言い方をせざるを得ないという行きがかりになっているのじゃないかと思うんです。だから、ILOの審議の経過に対して、問題は五十八年度の問題であっても、五十九年はこう扱いますよということを行きがかり上言わざるを得ないのじゃないんですか。どうなんですか、その点は。

藤井良二総務庁人事局長

○説明員(藤井良二君) ILOが人事院勧告の完全、迅速な実施を強く希望しているということについては我々も理解しております。政府といたしましては、従来から厳しい財政事情のもとにおいても人事院勧告の実施に最大限の努力を積み重ねてきたところでございまして、本年度においても今までと同様に最善の努力をしていくつもりでございます。その辺の事情についてILOに御理解をいただくように説明してまいりたいというふうに考えております。

野田哲日本社会党

○野田哲君 ILOに出席をしている日本の政府の代表中村さん、労働省の出身ですが、この方がこの問題についてこういうふうに言われております。先ほど官房長官が説明をされた「四月四日に行われた対話、それ以後の対話の発展を期待しているわけでありまして、委員会の結論が、その対話を一層みのりある方向にむけられることを強く期待しております。」、こういうふうに言っておられます。  ですから、やはり四月四日の対話が今後一層実りある方向に向けられることを強く期待しておりますというふうに五十九年度の問題についてもILOで言及をしているわけでありますから、政府としても五十九年度の扱いはこういうふうになりましたと、こういうことを行きがかり上言わざるを得ないのじゃないかと思うんですが、重ねて、この中村さんのそういうILOにおける態度表明もありますので、一体これから十一月の理事会へ向けて政府としてはこの問題についてどういうふうに対応されるのか、伺っておきたいと思うんです。

藤井良二総務庁人事局長

○説明員(藤井良二君) そこで言われておりますように、四月四日においては従来どおり政府と組合との間で話し合っていくというふうに言っているわけでございまして、人事院勧告が出ましてからも既に総務庁長官、労働大臣、官房長官、そういった方々が組合の方と会っております。そういうような対話の積み重ね、また一方における給与関係閣僚会議での審議、そのあたりの状況をILOに伝えまして理解を得てまいりたいというふうに思っております。

野田哲日本社会党

○野田哲君 官房長官、私はもう質問ありませんから。  人事院の方に伺いたいと思いますが、今までのここ数年来の人事院勧告の扱いについて経過をたどってみますと、五十六年の勧告については五・二三%、平均金額が一万一千五百二十八円、これについては夏期手当、年末手当、年度末手当、これを凍結していわゆる旧ベースで払う、毎月の給与については勧告どおり改正をする、こういう措置がとられております。五十七年度については四・五八%、一万七百十五円、これは鈴木内閣の当時でありますが、完全に見送りになっています。それから五十八年については六・四七%の勧告で一万五千二百三十円、ところが実施については二・〇三%、四千七百七十一円、こういう実施。こういう変則の状態がずっと続いているわけであります。  そこで、ここで改めて数字の上で確認をしておきたいと思うんですが、これによって五十六年、五十七年、五十八年、給与法定主義という立場からいけば法律で決まったもので支給を受けることですから被害を受けたということには法制上はならないという理屈がありますけれども、しかし人事院の勧告制度というものがあって、一般の公務員がこれに非常に期待をしている。しかし、それとは異なった法律が決定をされ、実施された、こういうことになりますと、勧告への期待と実際との間に非常に金額上の差が出ている。俗っぽい言葉で言えばやっぱり被害者意識、損害感を持っていると思うんです。一体それがどのぐらいの額になるのかという点を数字の上で確認しておきたいと思うんです。  まず、政府あるいは人事院が例として抽出して使う行政職(一)表の七等級の三号俸、それから六等級の十号俸、五等級の十四号、四等級の十二号、三等級の十五号、これらに該当する人について数字の上で確かめておきたいと思うわけです。五十六年当時七の三に該当する人は、三年経過をしているわけですから、現在は七の五になっているわけです。五十六年度、いわゆるボーナスで五万六千五百十四円、五十七年度については全面見送りですから十二万一千五百七十八円、五十八年度については十一万九千七百三十六円、こうなりまして、当時七の三、今は七の五になっているこういう下級職員の人たちで、累計いたしますと二十九万円を超える数字になっていると思うんですが、給与局長いかがですか。

斧誠之助人事院給与局長

○説明員(斧誠之助君) 五十六年以来の給与勧告に関します取り扱いにつきましては、今、先生おっしゃいましたとおりでございます。時期を含めまして完全実施という場合と、実際に給与法で決められました給与改定の現状というものとのいわゆる差額で申し上げますと、今、先生申し述べられました額と我々の計算したところによるのと若干違うようですが、合計で申しますと、五十六年当時係員で妻がある七等級三号であった職員、これが五十八年までの三年間で約二十九万四千円ということでございます。  以下、ずっと補佐まで申し上げますと、六等級の係員で、これは妻と子供一人ということでございまして、三年間で約四十三万八千円。五等級の係長で妻と子供二人という計算で約五十五万五千円。四等級の課長補佐で同じく妻と子供二人、約六十万二千円。総括課長補佐の三等級の職員で妻、子供二人で約七十二万円。こういう数字でございます。

野田哲日本社会党

○野田哲君 大ざっぱに言って、公務員全体としての平均でどのぐらいになりますか。四十万をちょっと超えるぐらいになるのじゃないかと思うんですが、その点いかがでしょう。

斧誠之助人事院給与局長

○説明員(斧誠之助君) ただいま御説明申し上げましたのは東京とか大阪の九%地域在勤職員についてでございます。全国平均で、我々の官民比較の職種でございます行政職(一)、(二)、これの全体の平均が約四十三万円、四十二万七千円でございます。

野田哲日本社会党

○野田哲君 後藤田長官に伺うわけですけれども、今お聞きになっているように平均で四十三万円、こういう説明があったわけですが、これは残業手当等諸手当に対するはね返りとかいろいろあるので、やはり年間五十万円ぐらいになると思うんです。政府の説明でも、行政改革で国民にも痛みを分かち合ってもらうので、そのためにはまず率先して公務員が行政改革に協力をしてもらう態度を示す必要があるというのが五十六年のあの見送りのときに鈴木内閣で決めた決定だったわけですが、まず率先して公務員に痛みを担ってもらうのだというにしては、これは余りにも私は犠牲を安易に公務員に求め過ぎているのではないか、こういうふうに思うわけです。  国民は法のもとに平等だという原則が憲法のもとであるわけですが、職業として公務員を選んだがゆえに、一年間にこういう四十万、五十万の痛みを公務員だけが強要される、これがほかの国民にこれだけの負担を課すような、あるいは犠牲を強いるような法律だったら、これは大変な騒動が起きます。これは通りません、国会は。公務員だからこういうことができたと思うんです。それにしては余りにも痛みが大き過ぎるのじゃないかと思うんですが、まず総務庁長官の所感を伺いたいと思うんです。

後藤田正晴自由民主党・自由国民会議総務庁長官

○国務大臣(後藤田正晴君) 鈴木内閣のときに人事院勧告を完全に凍結するという処置をとらざるを得なかったわけでございますが、これは異例に厳しい財政の状況というものが背景にあってああいう決定をし、それに伴っての政府としての見解を述べたものだと思います。しかし、私は今の制度を前提にする以上、これは当然政府としては国政全般の観点から、場合によれば公務員の皆さん方にも御辛抱を願わなければならない事情もこれはわかっていただかなきゃならぬ面があると思います。  殊にまた、今日厳しい状況を背景にしての行財政改革、国民の各層に厳しい改革をお願いしておるといったようなこともこれは一つの要素としては考えなきゃならぬと思いますけれども、私はこういった公務員の給与勧告についての抑制措置というものは、あくまでもこれは異例の処置であるという認識を持たなければいけない。これが当然の処置であるといったような考え方では、これは政府としては公務員の生活を守らなきゃならない立場にあるわけでございますし、一方また公務員の士気を上げるということは国民全体に対する奉仕をする公務員の能率を上げるというゆえんでもありまするので、ここらは全般的に考えてやらないといけないのではないか。あくまでも私は異例の処置であるという認識を政府がまず持つことだ、こういうふうに考えておるのが私の考え方でございます。

野田哲日本社会党

○野田哲君 今の総務庁長官の見解については、また後ほど私も意見を出して見解を承りたいと思うんです。  順序が行きつ戻りついたしますが、先ほど人事院総裁からこの勧告についての説明があったわけでありますが、今度、内海総裁が就任されてから初めての勧告でございますので、そしてまた総裁が就任される前から人事院勧告が三年にわたって抑制をされたり見送られたりした経過も御承知の上で就任をされたと思いますので、まず最初に内海人事院総裁の人事院の勧告制度についての基本的な考え方、認識を伺っておきたいと思うんです。

内海倫人事院総裁

○説明員(内海倫君) ただいま御質問いただきましたように、非常にある意味で難しい時期に総裁に就任をいたしたわけでございますが、それだけにその難しい状況というものについて私も厳しくこれを受けとめながら、どういうふうにその任を尽くすべきかということを真剣に考えて仕事に臨んでおるつもりでおります。  そこで、この人事院勧告というもの、さらにその勧告をする人事院という組織の意味というふうなものにつきましても十分これを考えていかなければならないのでございまして、国家公務員の勤務条件、あるいはその中における給与の問題等々、先刻御存じのように、本来これは勤労者として制約を受けることが本当の原則ではないと思いますが、公務員の性格、公務員の勤務の特性、とりわけ国民全体に対して公平にかつ厳正に職務を行わなければならないというふうな意味合いも含んで、この調和を求めて法律上の制約として基本権の制約が出ておると思うのでございます。  したがいまして、その制約に伴っていかように勤務条件あるいは給与等についてどう対処すべきかということの知恵が人事院という組織を法律上つくり、かつまた人事院によって給与等に対しての勧告という制度を設けて、そういうことによる いわば代償機能というものを法律上設け、かつ代償措置というものが設けられたものである。そういうことから考えますと、この人事院の組織あるいは人事院の行う勧告、報告というふうなものは国家公務員にとっては極めてこれは重要なものでありますし、それだけにその機能を果たす上においていやしくもせざる気持ちが必要であり、またそういうことのための努力が必要である、こういうふうに考えております。  そういうふうな前提に立ちまして、私、総裁就任以来、過去における給与の官民較差の出し方、あるいは勧告というふうなものについてもいろいろ勉強してみましたけれども、長年にわたるあるいは試行錯誤もありました、あるいはいろいろな事情を経ておりますが、これが安定して完全に実施されるに至ったという事実は、一方においては国の諸条件もありましょうが、何よりもこの勧告の基本になる給与の較差を調査するその方式あるいはそのいろいろな分析、そういうふうなものがなかなか他に類例を見ないまでに精緻にかつ科学的に行われておるということに基づくものと私は理解をいたした次第であります。  そういう意味で、今回の勧告も、在来行われておる方式による給与の比較を行い、そしてこの勧告というものが過去あるいは見送られ、あるいは厳しく抑制されたような事実を前提として、今回においてはぜひともこれを勧告のとおりに実施していただきたいという、私ども作業に当たりました者の気持ちを報告の中にも込めまして勧告をいたした。こういうことでございまして、今回の勧告が内閣におかれましても十分これを尊重していただき、また国会においても、国会にも勧告申し上げておるわけでございますから、これの実施について特段の御理解をいただきたい。これが私の今回勧告に当たりました気持ちであり、また勧告への対応の気持ちでございます。

野田哲日本社会党

○野田哲君 そこで、この八月十日に勧告を総理に手渡されたわけでありますし、また衆参両院にも勧告の手続をとられたわけですが、総理に勧告を出されるに当たりましても、直接、総裁は総理に対してこの実施についてコメントされたわけですか。

内海倫人事院総裁

○説明員(内海倫君) 総理にこの勧告を提出するに当たりましては、先ほどこの委員会において私が御説明申し上げたような内容はすべて総理に対して御説明申し上げましたとともに、さらに総理に対しまして私は、こういうふうな次第であり、特に今年のこの勧告につきましてはぜひこの勧告のとおりに実施していただくことを強く要望いたしました。とりわけ総理としては、いわば国家公務員というのは、総理が国家公務員全体のいわば一番もとの上司であり、そのもとに国家公務員がすべて仕事をしておるわけでありますからいわばそれは従業員である、その従業員の、今まで連年にわたる見送りあるいは抑制というふうなもとにおいてなお努力しておる、その心情というものを十分理解されて、この勧告の実施について厳しいお考え方を持ってお臨みいただきたいということをつけ加えて要望いたしておる次第でございます。  以上が、総理に私が勧告を提出いたしました際の総理への要望でございます。

野田哲日本社会党

○野田哲君 ことしの勧告の中で、最初の「報告」のところでちょっと目につくのは、「人事院勧告による公務員給与の決定方式が長年の経緯を経て定着してきているところであるが、近年の勧告の取扱いをめぐって、行政訴訟が提起されるなど、労働基本権のあり方についても論議が及ぼうとする現状にある。」、こういうくだりがあるわけですが、この行政訴訟というのはどういう内容の行政訴訟が具体的に提起をされているんですか。

斧誠之助人事院給与局長

○説明員(斧誠之助君) 五十七年の人事院勧告の見送りということに対しまして、農林省の全農林の組合が組合運動として時間内に食い込むストライキというものをやったわけでございます。これに対しまして停職以下の処分が出ておるわけでございますが、これにつきまして処方取り消しの訴訟が提起されたところでございます。

野田哲日本社会党

○野田哲君 この行政訴訟以外に、見送りや削減等について公務員法に基づく措置要求等が出ているのじゃないかと思うんですが、この点はいかがですか。

斧誠之助人事院給与局長

○説明員(斧誠之助君) 五十八年の勧告の抑制実施ということに対しまして、相当多数の職員団体から完全実施のための再勧告あるいは未実施分についての損失額回復勧告、こういうものをしてほしいという措置要求がほとんど公務員組合の全領域にわたって提出されております。

野田哲日本社会党

○野田哲君 次に、総務庁の方に、先ほどもちょっと官房長官のおられるところでやりとりをいたしましたが、ILOの関係について見解を伺っておきたいと思うんです。  ILOに政府が提出をした見解によりますと、五十七年の見送りの措置についての政府の説明では、「国民的課題である行財政改革を担う公務員が率先してこれに協力する姿勢を示す必要がある」ということと、もう一つは較差が当時の勧告では百分の五未満であったために国家公務員法二十八条二項で義務づけられた数値ではない、この二つの理由を挙げて説明をしております。そして、「結論」として、「政府としては、公務員の労働基本権制約に対する代償措置は十分整備されていると考えている。」、二つ目は、「政府は、人事院勧告を尊重するという基本方針を堅持しており、今後もこの方針を変える考えはない。」、こういうふうに述べておられるわけですが、凍結をしておいて、「労働基本権制約に対する代償措置は十分整備されていると考えている。」とか、あるいは「勧告を尊重するという基本方針を堅持しており、」とか、これはどう考えても国際機関へ表明をする日本国政府の態度としては全く詭弁そのものだと言わざるを得ないので、国民としては恥ずかしいこれは詭弁だと思うんです。  しかし、ここの理由に挙げている、公務員にも協力してもらうのだということと、それから当時の勧告としては百分の五未満であったのだということなんですが、結局この協力の問題につきましては、先ほど数字が明らかにされましたように四十数万円、公務員はいや応なしに協力をさせられたわけです。それからもう一つ、ILOに説明している、百分の五未満であってこれは国家公務員法で言うところの義務づけられた数値ではないのだという点、これは去年もことしも理由にならなくなったわけです。そして、五十八年についても六%を超えているにもかかわらず削ってしまっているわけですから、五十八年の措置は政府が五十七年の見送りのときに挙げた百分の五未満だからこれは義務づけられた数値ではないのだというところとは明らかに矛盾をしているんです。  こういう経過があって五十九年を迎えたわけですから、ことしの勧告については、こういう国際的な態度表明をした経過からいっても、これは削減なり抑制をするわけにいかないのじゃないか、国際的に見ても。ことしまた削減なり見送りをやるということになれば、これは国際機関に対して二枚舌どころじゃない、三枚舌も四枚舌も使ったことになると思うんです。秋にはILOとしても日本の公務員の人事院勧告の取り扱いについて一つの見解をまとめる段階に来ているんですが、国際的に一体ことし政府はどういうふうに対応されようと考えておられるのか、まずそこのところを伺いたいと思うんです。

藤井良二総務庁人事局長

○説明員(藤井良二君) 五十七年度におきましては、未曾有の危機的財政状況にあることを総合勘案いたしまして給与改定を見送ることにしたものでございまして、公務員が率先して行財政改革に協力する必要があること、あるいは官民給与の較差が百分の五未満であることのみをもって勧告を実施しないことを決定したものではございません。人事院勧告の取り扱いにつきましては、従来から厳しい財政事情のもとにおきましても人事院勧告制度尊重の基本姿勢に立って、国政全般との関連を考慮しつつ、勧告の完全実施に向けて最大限の努力をしてきたところであり、今後もこの方針に沿ってやっていくということをILOの方に表明して理解を得てまいりたいというふうに思っております。

野田哲日本社会党

○野田哲君 百分の五未満だからということだけを理由に挙げているのじゃないと言ったけれども、理由に挙げているのは二つです。行財政改革に率先して協力してもらうのだ、それからこれは国公法二十八条に義務づけられた数値ではない、これをはっきり理由に挙げているのじゃないですか。  そこで、そのやりとりはともかくとして、政府はILOに対して何回も、「政府は、人事院勧告を尊重するという基本方針を堅持しており、今後もこの方針を変える考えはない。その意味において、ILOが従来から述べてきた原則を十分理解している。」、こういう態度を表明しています。この中の「ILOが従来から述べてきた原則を十分理解している。」、これはどういう原則を理解しているということなんですか。

藤井良二総務庁人事局長

○説明員(藤井良二君) ILOにおきましては、人事院勧告につきましていろいろな結論を勧告しているわけでございますが、そこで政府側が言っております理解と申しますのは、昭和五十七年の凍結に関連しまして五十八年の三月に出されました「ILOの見解」の中にあるわけでございますけれども、「委員会は、本件のように、不可欠な業務又は公務において団体交渉権又はストライキ権のような基本的権利が禁止され又は制限の対象となる場合には、その利益を守るための必須の手段をこのようにして奪われている労働者の利益を十分に保護するため、迅速かつ公平な調停及び仲裁の手続のような適切な保障が確保されるべきであり、その手続においては、当事者があらゆる段階に参画することができ、かつ、裁定が一旦下されたときには完全かつ迅速に実施されるべきであるとの原則」というのを一応は考えているわけでございます。  ただ、ILOは、こういうふうな原則を述べるとともに、「政府が人事院勧告を尊重するとの基本方針を堅持し、かつ、将来においては人事院勧告を尊重するよう最善をつくす意向であるとの政府の保証に留意する。」とも言っておられます。

野田哲日本社会党

○野田哲君 それが結局、最善を尽くされてないから問題になっているわけです。  そこで、具体的にことしの勧告をどうするかという問題について総務庁長官に伺っていきたいと思うんですが、総務庁長官は昨年の十一月二十七日に官房長官として今の席に座っておられました。隣には当時の丹羽総務長官がおられました。昨年の十一月に人事院勧告の給料表を勧告とは全く似ても似つかない、勧告にない給与法を国会に提出されるという前代未聞のことをやられた。その給与法の審議の際に、当時の丹羽総務長官が次のように政府の見解を表明されているわけです。「五十九年度の人事院勧告の取り扱いについては、人事院勧告制度尊重の基本方針を堅持しつつ、俸給表等の勧告内容を尊重した完全実施に向けて最大限努める所存であります。なお、本年俸給表の引き上げ率の切り下げを行ったことは異例のことであると認識しております。」、こういう見解を表明されたわけです。  後藤田長官は、当時は官房長官としてその席に同席されていたわけですが、これは政府の統一見解として現在もこの認識に立っていると受けとめていいわけだと思うんですが、いかがでしょうか。

後藤田正晴自由民主党・自由国民会議総務庁長官

○国務大臣(後藤田正晴君) 御承知のように、人事院の勧告というのは、官民較差をお調べになって、ことしは何%の開きがあるから何%全体としての給与の引き上げをやりなさいという勧告が一つです。もう一つは、その中の配分をどうするかといったようなことで俸給表あるいは諸手当等についての勧告。私は、二つあると思います。それらを含めて、政府が従来からとっている態度は、今日までの抑制措置は異例の措置であって、人事院勧告というものは完全実施に向けて最大限の努力をすべきものである、したがって抑制措置は異例なんだ、こういった政府の見解でございます。丹羽さんも、そういう御趣旨での御発言であったと思います。私も、そのとおりに考えているような次第でございます。

野田哲日本社会党

○野田哲君 昨年十一月末の丹羽総務長官のこの見解の一番のポイントは、勧告された俸給表をつくりかえるようなことはいたしません、こういう趣旨が一番のポイントになっているんです。何か不思議な顔をされておられますが、これはそうなんです。私もそこの柄谷さんもここに至るいきさつについてはいろいろ知っているんですが、それは触れません。  そこで、この昨年十一月の丹羽総務長官の見解、そして先ほど藤波官房長官から確認をいたしましたことしの四月四日の労働四団体に対する政府の見解、完全実施に向けて誠意を持って取り組むという見解、こういう経過を考えてみると、これはことしは完全実施をするというのがこの見解の延長線上当然明快に出されなければならないと思うんです。  ところが、後藤田総務庁長官の最近の言葉を見ると、昨年十一月の総務長官見解あるいはことしの四月の労働四団体に対する政府見解とはちょっと私はニュアンスが異なっているのじゃないか。そこで、政府の見解の不統一じゃないか、こういうことを冒頭にも申し上げたんですが、後藤田総務庁長官の発言で私が特に問題と思うのは、公務員担当の歴代の国務大臣は閣議決定のぎりぎりまで完全実施に向けて、力のあるなしは別です、結果はともかくとして完全実施という立場で努力をされてきたことは間違いないんです、歴代総務長官が。  ところが、今度の後藤田長官は、勧告が出る前から抑制するぞ抑制するぞ、こういう声を出されているわけです。日経新聞ですか、インタビューで答えておられる。早々と七月の段階で完全実施はできない、こういう態度を示しておられるわけです。これは異例のことだと思うんです。これは全く、去年の丹羽総務長官のこの場で発言されたこと、四月四日に大臣が三人も顔をそろえて、官房長官、労働大臣、総務長官が労働四団体の代表に答えたこと、これを全く無視した態度を総務庁長官は示されているわけですが、一体後藤田長官は、端的に結論から伺いますが、今度のことしの勧告についてこれをどう実施されようとしているのか、これをまず伺いたいと思うんです。

後藤田正晴自由民主党・自由国民会議総務庁長官

○国務大臣(後藤田正晴君) 私は、今日のこの人事院勧告、これを最大限に尊重しまして完全実施に向けて努力しなきゃならぬというこの基本の考え方、そういう考え方に基づいて取り組んでいくということは、いささかも私は違った考え方を持っておりません。したがって、丹羽さんが従来おっしゃったこと、あるいはことしの四月、中西さんとか藤波さんとか、もう一人は坂本さんなんかが労働四団体とお話ししたこと、ちっとも私、考え方は変わっておりません。  率直に言いまして、私は、ことしのこの人事院勧告をどう扱えばいいのか、非常に苦慮しておるというのが実情でございます。と申しますのは、今言ったような基本的な考え方に立ちながらも、一つは厳しい財政の状況というものが続いておる、そして同時に行革審等からの国民感情、これは一つには公務員に対する生涯給与についての見方の御案内のように開きがございます。こういったような点をも踏まえながら、同時に、四十八年の最高裁の判決の中に出ておる補足意見、これも頭に置かなきゃなりません。これは最大限の努力をしたか否かによって政府の処置についての評価が決まるわけでございますから、ここらも考えなきゃならない。それから同時に、先ほど来御質問のあるILOの勧告、それについての政府側の考え方、これも私は踏まえなきゃならぬと思っているんです。  それから同時に、五十七年の完全凍結というのは、まことに異常な厳しい財政状況がありましたから異例の措置でああいうことをやったと思います。昨年は私、官房長官をやっておりましたが、五十七年の完全凍結によるいわゆる積み残し、これはやはり官民較差として出てきておるわけですから、少しでもこの積み残しを軽くしなきゃいかぬじゃないかといったようなことで二・〇三、このほかに公労協の仲裁裁定が定期昇給等を含めて四・何%ということでございますから、定期昇給等も頭に含めた二・〇三ということにならざるを得なかった。しかし、これもやはり異例の処置である。しかし、これは五十八年度も御案内のような厳しい財政状況が続いておったということが前提でございます。  ところが、ことしの五十八年度の決算状況を見ますというと、二千五百億ばかりの余剰が出ております。それから同時に、これは九月のいつごろになるのか私わかりませんけれども、ことしの実質が四・一でしたか、それから名目が五・九、この経済情勢がどのような見通しになるのか、これは数字的にわかりません。わからないけれども、しかしだんだん経済情勢がよくなれば、それに従って財政収入がふえてくることは私、間違いないと思います。そこらを考えますと、五十七年度、五十八年度とは環境が多少変わってきておるという認識は持たなきゃならぬのではないのか。  といって、ことしの六・四四%という勧告、これを完全実施するということになれば一体どの程度の財政経費が必要なのか。一%伸びれば、事務当局に聞いてみますと、一般会計の増加分が七百億、はね返りが六百億で千三百億、地方が一般会計から千百億です。これは私、先般の衆議院の内閣委員会で、私の舌足らずで、地方のこのはね返り分がどの程度になるかという計算の際に、これは自治省もなかなかわかりかねている金額なんです。そこで、私自身の推測でということで千三百億と申しましたが、これは私の間違いでございます。そんなには要りません。これはむしろ六・四四%、つまり人事院勧告を完全に実施して、地方がそれに右へ倣えした場合にその程度以上になるかというぐらいで、この点は私は訂正させていただきますが、いずれにせよ、相当な財政支出になることだけはこれは間違いがありません。  そうしますというと、それを一遍に完全実施ができるかできないかという点になりますと、これは実際問題としてはなかなか難しいなというのが私の率直な見方なんです。しかし、さればといって、私は第一回の給与関係閣僚会議、八月十日でございましたけれども、やはり五十八年、五十七年の措置というものは異例の処置であるという認識を持ってもらわなければ困ります。人事院勧告というものと政府の決定というものがいつまでも開きがあるというような状況はこれは適切でない。したがって、ことしの人事院勧告の処理に際してはそういうような認識を持って各閣僚がお考えをいただきたいということを申し上げたわけでございます。  ことしの人事院勧告をどう扱うかということの率直な私の考え方をきょうこの席で全部お答えをしたつもりでございますので、私としましては、何といっても、できる限り人事院勧告を尊重していくという基本線に立って解決を図っていきたい、こう考えておりまするので、私の真意というものを御理解していただきたい、かように思うわけでございます。

野田哲日本社会党

○野田哲君 後藤田長官、まだ真意がよくわからないんです。  それで、まず一つは、六・四四%は大変なことです。これはそう簡単に実施できる数字じゃないです、金がかかる、こういうことですが、五十七年見送り、五十八年削減という措置をされているから今六・四四%になっているんです。毎年ちゃんとやっておればことしはせいぜい僕は二%台だと思うんです。三年もちゃんとやっていないからそういう数字になっているので、あの六・四四%には過去サボってきたものがずっと積み重なっているんですから、これはそういう理解でやってもらわなきゃ困ると思うのだし、私はこうなってきたら世間に対してもこれはどうしても誤解を与えることになると思うんです。春闘の相場が定期昇給を含めても四%台なのに何で公務員だけが六・四四%という数字になるのだ、こういう誤解を与えると思うんです。  そこのところの認識をきちんとまずやってもらわなきゃならないと思うのと、もう一つは、後藤田長官の今苦慮されているということの中でのいろんな説明を伺いましたが、ずっと聞いていると、やはり抑制、削減という考え方がにじみ出ているんです。特に、新聞にも報道されているんですが、今もおっしゃったわけですが、積み残し分を計画的に回復していかなければいけない。この発言は、給与制度を知らない一般の国民の皆さんは後藤田長官なかなかいいことを言っているじゃないか、こういう印象を受けるんです、積み残し分の回復を計画的にやらなきゃいかぬというのは。どうも自民党労調などの自民党の部内も私は後藤田長官に一杯食わされている、こういうふうに思うんです。  積み残し分を回復するのであれば、これは給与制度を少しかじっている者なら言えるのは、積み残し分の回復というのは、先ほど人事院の給与局長が説明した四十万、五十万の、凍結なり削減によって受けた金額はどのぐらいあるのかという、あれを戻してやろうという、給与特例法かなんかをつくって、これだけひとつ、五十六年、五十七年、五十八年三カ年にわたって被害を与えたからこれを戻してやろうというので、あれを一時金にでもして戻してくれるということであればこれは積み残し分の回復なので、今出ている勧告というのは過去の凍結分がずっと集積されたもので六・四四%になっているわけですから、これはこれでこの勧告は積み残し分がこれだけです、ことしの分がこれだけです、こういう仕分けにはなっていないんです。五十六年の残りはこれだけ、五十七年の残りはこれだけ、五十八年の残りはこれだけ、こういうことになっていないんです、給与の制度というのは、勧告は。ことし五十九年の四月時点で民間との間にこれだけの開きがあります、だからこれを解消するためにという勧告なんですから。  だから、これは完全実施をすればそれで五十九年以降の問題は解決するので、問題は、今の制度でいけば五十八年、五十七年の積み残し分を回復する制度はないんです。だから、私は後藤田長官の積み残し分の回復を計画的にやるというのは、つまりこれは削減を計画的に二年も三年も続けていく、こういうことになるんでしょう。それは我々は困るということなんです。それでは勧告を尊重したことにならぬ、こういう見解なんですが、そこのところはどうなんですか。

後藤田正晴自由民主党・自由国民会議総務庁長官

○国務大臣(後藤田正晴君) 野田さんの御意見、これは給与の専門家の御意見で、私はよく御主張はわかるんです。しかし問題は、官民較差がどうしてこんなに六・四四になってきたのかといえば、やはり五十七年の完全凍結というそれが今日出てきておるのだ。ならば、先ほど言ったように、いつまでもこれを人事院の勧告と政府の決定が違うことはよくない、できるだけこういうものは早く解消するのが当たり前ではないのか、そうすることが公務員の諸君にも安心感を与えるのではないのか。それは野田さんのおっしゃることはよくわかるけれども、それが許されるような財政の実態があるのならこれは問題ないんです。  しかしながら、遺憾ながら政府としては今日の厳しい客観情勢を踏まえながら何とか公務員に安心感を与える必要があるのじゃないかという意味において私は申し上げておるのだという点はぜひ御理解をしていただきたいと思います。おっしゃるように、ことし完全実施ができれば一番いいんです。また、我々もそれがための最大限の努力をしなきゃならぬことは、先ほど来申し上げているように当然なんです。しかしながら、これはこれから先、閣僚会議で検討しますから、結果はどうなるかわかりません。わからないけれども、仮にそれが完全実施できないといった場合でも、今までのように、ともかく行政改革のさなかだし、財政状況も厳しいしするのでやむを得なかったというてそのまま済ませるのが果たして本当の意味で公務員に安心感を与えるゆえんであるかどうか、ここらを私は踏まえて私なりの主張をしていきたい。こう考えているわけでございますので、善意はひとつぜひ御理解をしておいていただきたい、かように思うわけでございます。

野田哲日本社会党

○野田哲君 これは善意とおっしゃったって、あれでしょう。後藤田長官流に言えば、去年の場合は六・四七という勧告があった、ところがそれは五十七年の四・五八がそっくりそのまま繰り越されてきているから六・四七になったので、五十八年の引き上げ分に相当するのは一・八九だ、それを二・〇三やったので、少しそれで凍結分を、積み残し分を解消したのだ、こういう理屈です。そして今度は、五十九年については六・四四%の勧告。ところが、これは五十八年度で四・四四が積み残しになっているから五十九年度分は二%だ、それを三%実施すればまたそこで積み残し分を一%回復した、こういうおっしゃりようなんですから、これは聞こえはいいんですが、やっぱりこれは削減論なんです。長官、削減論です。それを今からそんな考え方であっては私は困ると思うんです。これは了解できないです、幾ら言われたって。  とにかく今まで政府の態度を何回も表明されている、労働団体にも説明をし、あるいは去年の給与法のときにもここで言明をされた、ILOにも説明をされた、完全実施に向けて取り組むという、これをやっぱりぎりぎりまで担当大臣としては貫いてもらわなければ私はこの人事院の勧告制度を尊重したということにはならないと思うので、長官の説明はどうしても理解できない。完全実施に向かって政府はやるべきだという意見を述べて終わりたいと思います。

大島友治自由民主党・自由国民会議

○委員長(大島友治君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時十一分休憩      —————・—————    午後一時十二分開会

大島友治自由民主党・自由国民会議

○委員長(大島友治君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  本日、内藤功君が委員を辞任され、その補欠として安武洋子君が選任されました。     —————————————

大島友治自由民主党・自由国民会議

○委員長(大島友治君) 次に、休憩前に引き続き、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 それでは、初めに人事院総裁にお伺いします。  総裁になりまして、今回の勧告が初めての勧告になるわけでありますが、午前中にも質疑いろいろございました。また、昭和五十七年、五十八年の経過等踏まえまして、総裁としましてもいろいろと御苦労されたことと思いますが、今回の勧告に当たりまして、総裁として特にこういう点に留意したとか、あるいは今回の勧告に当たって特にこの点を何とかしてもらいたいという総裁としての勧告に臨むお考えがあると思いますが、それを初めにお伺いしておきたいと思います。

内海倫人事院総裁

○説明員(内海倫君) 初めての勧告でございますけれども、けさほども御答弁申し上げたように、人事院勧告というものが国家公務員にとりましてはいわば給与が改善されるほとんど唯一の機会と考えられるわけでございますので、私または人事院全体としましても、この勧告というものにはあらゆる努力をして正確な実感をよく反映した較差を導き出して、そしてそれを内閣及び国会に勧告申し上げるというのが当然の筋道でございます。その点から、私初めての経験でありますだけに、その較差を導く官民の調査の仕方あるいはそういうふうなものの分析、そういうことについて細心の勉強をいたしまして、結果的に極めて科学的であり公正なものであるという確認をしたつもりでおります。  また、勧告に際しましては、何よりもこの勧告が国会及び内閣において尊重していただき、これを勧告のとおり実施していただくということを最も熱を入れた念願として努めてきたつもりでおります。そういうふうな私どもの考え方というものは、けさほど説明の際に御説明申し上げたところに尽きるわけでございますので、この機会に、さらに国会におかれましても何とぞこの勧告を完全に実施していただきますように御協力をぜひお願い申し上げたいと思います。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 昭和五十九年度の給与勧告を受けられた政府側として、担当大臣のお考えをお伺いしたいと思います。  特に後藤田大臣、今回、総務庁となって初めての勧告を受けられたわけでありますが、先般の委員会等でも私も何回かお伺いはいたしておりますが、ここで改めて勧告を受けられてこれから大臣として取り組んでいく姿勢、それから手順等も含めましてお伺いしておきたいと思います。

後藤田正晴自由民主党・自由国民会議総務庁長官

○国務大臣(後藤田正晴君) 人事院勧告制度は、申し上げるまでもなく労働三権の代償措置でございますから、私といたしましては、この勧告制度を最大限尊重して、厳しい客観情勢の中にはありますけれども、最大の努力を傾けて勧告の完全実施に向けて精いっぱいの努力をいたしたい、こう考えておるわけでございます。  もちろん、既に八月十日、勧告直後に第一回の給与関係閣僚会議等もございましたので、その際にも各閣僚それぞれのお立場で御発言がございましたが、今後どういうスケジュールになるのか、これは内閣官房の方でお考えになられることでございますので、私の口からどういう段取りでいつごろまでにということはまだ申し上げることはできません。  同時にまた、いろんな御意見がございますから、結論がどうなるかということもにわかに申し上げるわけにいきませんが、私自身は、御案内のように、行財政改革の担当の行政長官でもございます。同時にまた、公務員の給与担当の行政長官でもございますが、しかし私自身は国務大臣という立場においてその二つの立場に矛盾は感じておりません。また、矛盾のないように精いっぱいの努力をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 特に、前段の大臣の完全実施に向けて精いっぱいの努力をしたいというお答えがありましたので、それはそのまま受け取っておきたいと思います。  今回の勧告を見ますと、これは人事院総裁も相当苦労しておられるというのはよくわかるわけであります。この「報告」のトップの方にも、「公務員給与をめぐる最近の動き」を記載しておられまして、特にその点で、給与の抑制が人事管理面それから職員の生活面に大変影響する、また士気の保持、規律の維持、人材の確保、それから労使関係の安定という面からこれは大変な問題がある、そういうような意味のことを記載しております。これはやっぱり昭和五十六年の勧告の値切り、あるいは五十七年の見送り、また昨年の大幅な抑制等、非常に御心配になっておられることであろうと思いますが、今勧告が出たわけでありますが、これからこの人勧を総裁も完全実施してもらいたいというふうにお考えだろうと思いますが、人事院としてはこれからどういうふうな対応をしていかれるのか、この点もお伺いしておきたいと思います。

内海倫人事院総裁

○説明員(内海倫君) お答え申し上げます。  人事院の場合、勧告を国会及び内閣にいたしまして、さらにその後どういうふうな措置をとるのか、あるいはどういうふうな対応をすればいいのかということは口では簡単に言えるようではございますけれども、やはり人事院の行政組織としての職掌その他を考えますと、おのずから限度がございます。  したがいまして、今現に私どもが努力いたしておりますことは、さしあたって閣僚会議に御出席になる大臣方にもこの内容を克明に御説明申し上げて、ぜひ勧告の真意をわかっていただくというふうな努力、あるいは各党の関係ある諸先生方にも御説明を申し上げて国会における御審議の上の参考にしていただく。マスコミ関係——これはやはり国会に勧告を申し上げるということは、国会において御審議をいただくこととともに、国会を通じて国民の皆さん方にも知っていただくという意味もあろうかと思います。そういう意味も含めまして、国民の皆さんにも公務員給与の現実、あるいは今回の勧告というものの意味合いを何とか理解していただく。そういうことを十日以後いろいろ尽くしておるわけでございますが、さてどうすれば政府においてこれを尊重した実施案につくっていただくか、あるいは国会にとってどういうふうにお取り扱いくださるか、それに対して我々の期待を込めて見ておるところでございます。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 それでは、きょうは時間も全体的に短いですから、法制局長官にお見えになっていただきましたので、特に人事院勧告に関する法律的な問題について二、三お伺いしておきたいと思います。  まず、公労法等三十五条によりますと、公労委、つまり公共企業体等労働委員長の裁定に対しましては、「当事者は、双方とも最終的決定としてこれに服従しなければならず、また、政府は、当該裁定が実施されるように、できる限り努力しなければならない。」と、こういうふうな規定があるわけであります。つまり、仲裁裁定は労使を拘束する効力を持つのに対しまして、人事院勧告はあくまでも勧告ということになっているわけであります。政府を拘束するものではないというよりも、いわゆる公労法の規定からいえば多少緩やかな規定になっている、そういうふうに私は考えるわけであります。  そこで、両者の取り扱いに差があっても法律上おかしくないという意見もあるかもわかりませんが、人事院勧告と仲裁裁定の法的効果については法制局長官としてはどういうふうにお考えか、まずこの点をお伺いしたいと思います。

茂串俊内閣法制局長官

○説明員(茂串俊君) ただいま御指摘がございましたように、公労法に基づきます仲裁裁定の制度と、それから国家公務員法に基づきます人事院勧告の制度とは基本的にいろいろの点で差があるわけでございます。  仲裁裁定の場合には、労使の意見が合致しませんで、そして仲裁に持ち込まれた場合に御指摘のように仲裁裁定が下されるわけでございますけれども、その裁定は原則としては労使双方ともに最終的な決定としてこれに服従しなければならないという規定が明示されておるわけでございます。ただ、公労法関係の特殊事情といたしまして、いわゆる使用者側はこれは国なりあるいは公企体でございまして、給与の関係でございますから予算の面でいろいろ統制がございます。したがいまして、仮にその仲裁裁定の内容が予算上、資金上実施が不可能であるという判断が下された場合には、これも御承知のとおり公労法の規定によりまして、国会に付議され、国会の判断を仰ぐという建前になっておるわけでございます。  一方、人事院勧告につきましては、そのようなものと違いまして、先ほど御指摘がありましたように、いわゆる勧告でございます。その意味では、厳密な意味では、その内容をそのまま完全に実施しなければならないという意味合いにおける拘束力はないわけでございますけれども、これは先生御承知のとおり、昭和四十八年四月のいわゆる全農林事件に関する最高裁の判決でもるる述べられておりますように、人事院勧告制度というものは公務員の労働基本権制約の代償措置の一つとしての位置づけがなされておるわけでございまして、したがいまして勧告を受けた国会及び政府はこの制度が実効を上げますように最大限の努力を尽くすべきことが当然に要請されておるというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、勧告と申しますからいかにも権威がないかのごとくとられてはこれは大間違いでございまして、勧告といいましても、今申し上げたように、いわば労働基本権制約の代償措置の一つとしての憲法上の評価が下されておるわけでございますから、その勧告を受けました国会及び内閣におきましては、今申し上げましたように、その実施の面で最大限の努力を尽くすべきであるということが要請されておるということが言えようかと思います。  簡単に申しますと、そのような両者の差異があろうかと思います。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 三公社四現業の職員はもちろんでありますが、非現業の公務員にも当然憲法二十八条で規定しております労働基本権の保障が基本的には及ぶわけでありますが、しかしこの公労法や国家公務員法で労働基本権が制約されているわけであります。  そこで、この現業公務員と非現業公務員のいわゆる労働基本権の制約の実態といいましょうか、態様、これを見てみますと、団結権についてはこれは両方とも同じ内容です。それからスト権についても両方とも禁止で、これは同じです。しかし、団体交渉権につきましては、これは現業職員については労働協約締結権を含む団体交渉権が認められているのに対しまして、非現業職員につきましては協約締結権を含む団体交渉権も認められていないわけです。  そういうふうに見てまいりますと、つまり労働基本権は現業の公務員よりも非現業の公務員の方がより強く制限されている、こういうふうに理解していいのじゃないか。今現在、実態的に見てそういうふうに私思うんですが、この点についてはこれは間違っていないと私思うんですけれども、そういうふうに理解していいかどうか、この点お伺いしたいと思います。

茂串俊内閣法制局長官

○説明員(茂串俊君) ただいまの労働協約締結権を含む団体交渉権が現業の国家公務員には与えられておるのにかかわらず、非現業の組合に対してはそれが与えられていないという御指摘だと思いますが、その点はそのとおりであると思います。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 そういうふうに見てまいりますと、いわゆる労働基本権が現業の公務員よりも厳しく制約されている非現業の公務員に対する人事院勧告というふうに見てまいりますと、人事院勧告については、これは要するに法律上、先ほどお話がございましたように、昭和四十八年の全農林に対する最高裁の判断もあるわけですけれども、そういう点から見てみましても、やはり勧告は勧告です、法律の上からいえば。そこで、勧告ですから政府を徹底的に拘束するものではないという考えもあるわけです。そういうふうな見方がある一方、この非現業公務員より労働基本権が緩やかな制約を受けている仲裁裁定については、法律で労使をある程度拘束し、かつ政府に対しても当該裁定が出た場合にはそれを実施されるようにできる限り努力しなけりゃならないというような法律上の規定がきちっと規定しているわけです。  そういうふうな点を考えてみますと、人事院勧告というものの法律的な意味と仲裁の法律的な意味、考え方違うかもしれませんが、多少くくりがちょっとおかしいのじゃないか、おかしいというよりも均衡を失するのじゃないか、そういうふうな感じがするわけです。そういうふうな意味では、やっぱり場合によったらこの人勧についても法律上の尊重義務というか、もう少し政府が人事院勧告を完全実施するよう努力すべきであるとか、そういうふうな規定があってもおかしくないのじゃないかという気もするわけです。ここら辺のところの見解について法制局長官どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、一遍これもお伺いしておきたいと思います。

茂串俊内閣法制局長官

○説明員(茂串俊君) 確かに、人事院勧告につきましては法律上いわゆる尊重義務の規定がないことは御指摘のとおりでございます。ただ、明文の規定がないからといって、人事院勧告制度が先ほど申し上げましたようなものである以上は、勧告を受けた国会及び内閣がこれを尊重すべきことは言うまでもないことでありまして、いわゆる尊重義務に関する明文の規定があるか否かによって特に法的な効果が異なるということはないということを指摘申し上げておきたいと思います。  それでは、仲裁裁定の方につきましてはいわゆる政府の努力義務があるではないかという御疑念もお持ちかと思いますけれども、これにつきましては、いわゆる公労法三十五条中の政府の努力義務規定に関する部分は昭和三十一年の公労法の改正で挿入されたものでございまして、これにはいろいろと背景、事情があったようでございます。すなわち、その際には、同時に国鉄法等の三公社五現業関係の法律も改正されて、いわゆる給与総額制による制限の特例が設けられまして、仲裁裁定を実施するために必要な金額を一定の手続のもとで政府限りで所定の給与総額を超えて給与として支給できる道が開かれたわけでございまして、政府のいわゆる努力義務規定の追加は、この制度の改正と相まちまして、従前、ともすれば起こりがちだった裁定実施に関する紛議をできるだけ避けて、円滑、合理的な処理の慣行を確立することをねらいとしたものであったことは、当時のこの改正法の提案理由説明にも述べられておるところでございまして、公労法三十五条の政府の努力義務規定を設けられたことについてはそれなりの経緯があったのではないかと思います。  そこで、両者を比べてそれでは一方にあって一方がないというのはいかにも不均衡ではないかというのが最終的な御質問であろうかと思いますが、先ほどから申し上げましたように、いわゆる現業の公務員についての給与の決定方式とそれから非現業の公務員の給与の決定方式とは基本的に異なるわけでございます。  すなわち、先ほどもお触れになりましたけれども、現業の公務員の場合には労使による決定が原則でございます。そして、労使の話し合いがつかないで仲裁に持ち込まれた場合に、その仲裁裁定というものは労働協約と同等の効力を持つものとされておるわけでございます。そして、裁定の実施が予算上、資金上不可能な場合には国会に付議するというような仕組みがとられているわけでごいますが、これに対しまして非現業の公務員につきましては、すべて給与というものが、いわゆる給与法定主義ということで法律で定められることが予定されておるわけでございまして、もともとそのように両者の仕組み、いわば制度の基盤が異なっておるわけでございまして、国会とかあるいは内閣のかかわり方もそれぞれ違っておるわけでございます。その意味から申しまして、一方にそのようないわゆる努力義務規定があるから一方にないのはおかしいとかいうような不均衡は出てまいらないと思います。  特にまた、先ほどから申し上げましたように、人事院勧告の制度につきましては、先ほど述べましたような理由に基づきまして、最高裁の判例に照らして考えましても、これはその実施に向けて最大限の努力をすべきであるという、いわゆる尊重義務と申しますか、そういうものが当然に前提とされておることが言えると思うのでございまして、それについての明文があるかないかによってそのような法的効果が異なるということはないわけでございます。そういう意味で、特に一概に両者の間にいわゆる不均衡が実質的に生じておるということはないのではないかと考えております。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 ですから、私は、不均衡とかそういうふうな意味合いではなしに、仲裁裁定の中にあるいはこういうふうな規定が盛り込まれるようになったのはそれなりの経過があるということもよくわかるわけです。だから、それがいかぬと言っているのじゃないんです。そういう努力義務規定があれば、双方ともそれなりの重みを持ってのしかかってきますから、それなりの尊重をする。また、給与の定め方の中身が全部両方とも違うわけですから、これは一概に一緒にぽんとせいというわけじゃありません。  そこで、私が言いたいのは、これは人事院総裁にお伺いしておきたいんですが、いわゆる労働基本権の制約の上からは双方ともそういうふうな違いがあるわけです。端的に言いますと、この労働基本権の制約の緩やかな方につきましては現業職員の仲裁裁定が中心になるわけでありますが、法律で政府の尊重義務が一応置かれている。それが私はいかぬと言っているのじゃないんです。一方、労働基本権の制約が非常に厳しい非現業の公務員の人事院勧告につきましては、国家公務員法上政府の尊重義務というのがうたわれていないわけです、実際問題として。そういうふうな意味で、そこら辺のところは、場合によったら、今までのいろんないきさつ、経過の中から、我々立法府ですから、国家公務員法を改正してその中に政府の尊重義務をうたい込むということもあってもいいわけです。そういうふうな問題について人事院としてはどういうふうにお考えか、この点もお伺いしておきたいと思います。

内海倫人事院総裁

○説明員(内海倫君) 一般職に関しまするものと四現業の給与にかかわるものとのいろいろな関連というものは、ただいま法制局長官から詳細に御答弁がございました。私が法理的にそういうものにつけ加える何物もないわけですが、非常に情緒的になるかもしれませんけれども、人事院という立場から一般職の給与というものについて勧告する立場におりますと、同じ国家公務員であって、現業の方たちの方が手続はどうあれ毎年これが認められていく、一般職の方はそれが厳しく抑制されることもある、また現に抑制されてきておるということになりますと、この両者が余りに状況がかけ離れてきますと、そこに同じ公務員でありながら処遇の違いが出てくるという結果を招くわけでございますので、できる限りにおいて両者が均等な措置がとられるようにされるのが一番必要なことである。そのために法改正をする必要があるのかないのかという立法政策の問題になりますと、私どももまた別途いろいろ勉強しなきゃいけませんので、今ここでお答えを申し上げることは遠慮させていただきますが、私どものいわば気持ちをきょうは申し上げておきたいと思います。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 再度、人事院総裁に。  これも勉強ということであれば勉強していただくということで結構ですが、人事院総裁としましては、この勧告が完全実施されなくて、しかも今までの完全実施という問題は、いつも実施期日の問題でずっと十数年来来たわけでありますが、昨年、一昨年、特に昨年のいわゆる実施の中身は結局この給与表そのものに切り込んでの問題ですから、これは過去になかった。なかったというよりも、過去にあったわけです。人事院がスタートした初めの時期にあったわけでありまして、それこそ十数年来なかったことを政府がやっているわけであります。そういうふうな意味では、こういうふうな問題も考える時期に来ているのじゃないかと私は思うわけです。  実際問題として、この人事院勧告というのは、仲裁裁定とは違いまして、内閣とともに国会にも勧告をしているわけでありますから、いわゆる国権の最高機関である国会に対して直接、法的に国会を拘束するというふうなことになりますと、そういうふうな形式は避ける必要があるのじゃないかということから、国家公務員法上内閣と国会は勧告を受ける、それを尊重しなきゃならないというふうに、こういうことを入れるというのは難しいかもわかりません。しかし、仲裁裁定も国会に対する関係ではやっぱり同じように国会の判断に服するということになっているわけでありますから、人事院勧告は、少なくとも法案を提出する政府はこれを尊重すべきであるという規定を国家公務員法上に挿入するという考え、これは要するに、こういうふうな問題が何年も実施されないということになれば、そういうことを挿入していただいた方がいいのじゃないか。これは、例えば勧告のときに人事院総裁の意見の開陳があります。そういうふうな中にそういう点も挿入するということがあってもいいのじゃないか、そういうふうに私は実際問題として思うわけです。この点は非常に難しい問題であると思いますので、勉強していただきたいと私は思いますが、ここら辺の問題についてのお考えをもう少しお伺いしておきたいと思います。

内海倫人事院総裁

○説明員(内海倫君) 峯山先生の御意見も、結局は人事院勧告というものがすんなりと実施されればこれはそういうふうな御見解も出ないのだろうと思いますし、あるいはまた将来ともにそういう問題がなければ、さっき法制局長官が勧告の法的な重い意味も十分お話しになっておりますので、ないのだろうと思うんですが、過去そういうふうな凍結とかあるいは抑制とかいうことがありましたので、いかようなることをすればより適切に勧 告が実施されるかということのお考えをお教えくだすっていると承って、先ほども申しましたように、今私は御意見あるいは見解を申し述べるところではございませんが、今後勉強を続けていきたい、こういうふうに思います。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 官房長官お見えになっておりますが、人事院総裁並びに後藤田長官の方からも先ほど人事院勧告に対するお考えをお伺いしました。それで、いろんな問題がたくさんあります。それで後藤田長官も、私たちの立場からいえば例えば段階的解消、段階的実施ということになりますか、そういうような意味のこともおっしゃったこともありますけれども、私の質問の前段で、担当大臣として人勧を完全実施に向けて精いっぱいの努力をする、こうおっしゃっているわけでありますが、これは政府としてお考えであろうと思いますが、内外の情勢は大変厳しい情勢にあるということも十分承知をいたしております。この点でどこら辺まで発言できるかどうかわかりませんが、官房長官のお考えもお伺いしておきたいと思います。

藤波孝生自由民主党・新自由国民連合内閣官房長官

○国務大臣(藤波孝生君) 今それぞれお答えがあったところかと思うのでございますが、四月四日の政労会見の席上でも、あるいはその他の国会でのいろんな御質疑にもお答えをいたしてきておりますように、人事院勧告制度尊重の基本に立ちまして、勧告の完全実施に向けて誠心誠意取り組んでいくようにいたしたい、このように考えておる次第でございまして、勧告を受けた日に第一回の給与関係閣僚会議を開き、さらに第二回の会議を開くように日程の調整中でございますが、政府といたしましては、法の趣旨に照らしまして最善の努力をしていかなきゃいかぬ、こういう決意を持ってこの会議を進めていくようにいたしたい、こう考えておる次第でございます。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 それでは、ちょっと昨年のことを、これは後藤田長官並びに総務庁当局にお伺いしておきたいと思います。  今、両大臣からそういうふうな御答弁ございましたので、これから努力をしていただかなければいかぬ問題でございますので、ことしの問題につきましてはぜひ完全実施に向けて、結果はどうなるかわかりませんが、努力をしていただくといたしまして、昨年の問題を多少私はきょうは取り上げておきたいと思います。  それは御存じのとおり、昨年は六・四七%の人勧を受けまして、先ほどから何回も答弁ございましたように二・〇三%に値切られたわけであります。その値切られた結果の給与表というのはこれは総理府でつくられたわけです。それで、ことしは六・四四%の勧告でございますから、昨年の積み残し分は四・四四%であるわけであります。これは先ほどから議論がございました。  そこで、これは給与表をつくるに当たっての問題点として、私がきょうは時間が余りございませんので、最後になりますが、まずこの給与表というのは、特に非現業職員の一般職の公務員につきましては人事院でつくっておられるわけでありますが、これを総理府でつくられたということは、これは先ほども申し上げましたように、人事院が発足をいたしました直後そういうことが何回かあったようでありますが、それ以後ほどんどずっと、完全実施ではなかったんですけれども、それは実施期日のいわゆる四月一日実施というのを例えば九月とか十月とかいうことで、ずっとおくれて完全実施じゃなかったわけであります。それがいわゆる給与表の中身まで切り込んでやったというのはそれこそ何十年ぶりのことであろうと思うんです。  そこで、私は総理府にお伺いしたいんですが、いわゆる二・〇三%に圧縮した給与表をつくって国会に提出しておられるわけでありますが、総理府が、現在で言えば総務庁になりますが、当時は総理府ですが、総理府設置法のどういう法的根拠に基づいて人勧を値切った法案をつくったのか、この法案をつくるための法的根拠はどこにあるのか、一遍、詳しく説明していただきたいと思います。

藤井良二総務庁人事局長

○説明員(藤井良二君) 現行法制上、人事院は社会一般の情勢を考慮して勧告をするわけでございまして、勧告を受けた国会及び内閣は勧告制度が実効を上げるよう最大限の努力をする必要があるわけでございます。最大限の努力が尽くされた場合には、仮に勧告が抑制されたとしてもやむを得ない措置として憲法上あるいは法制上の問題はないわけでございますが、この際、総務庁が俸給表をつくる権限の問題でございますが、給与勧告は給与法の改正によって具体化され、実施に移されるものでございます。したがいまして、勧告を受けた内閣は、その取り扱い方針を設定し、総務庁設置法に定めるところにより、人事行政に関する事務を所掌する総務庁をして給与法の改正案の立案に当たらしめ、閣議の決定を経て国会に提出するという手続をとってございます。  その総務庁設置法の所掌権限といたしましては、総務庁設置法の第四条に、「総務庁の所掌事務の範囲は、次のとおりとし、その権限の行使は、その範囲内で法律に従ってなされなければならない。」、一号といたしまして、「国家公務員に関する制度に関し調査し、研究し、及び企画すること。」というのがございます。この「国家公務員に関する制度」の中には給与制度も当然入っているという考え方でございます。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 私は、あなたの答弁に今二つ問題があると思います。  一つは、今答弁する前段にあなたは大分いろんなことを言うた、聞いていましたら。要するに、人事院勧告を抑制したとしても憲法上の問題は何らないと、ごちゃごちゃと今言いましたね。あれ何ですか。全く問題はないのじゃなくて、私は特別指摘はしませんでしたが、四十八年の全農林の判決にいたしましても、いわゆる憲法二十八条やそういういろんな関係から見て、これは完全実施しないことがいわゆる憲法上何ら問題ないと、そんなことが大きな声で言えるんですか。そんな大きな声で言えないでしょう。完全実施すべき少なくとも努力義務を負うとるわけだ、言うたら。それが完全実施できないから、財政上いろんな難しい問題があるからできないから我々としてもやむを得ないところもあるな、公務員の皆さんも辛抱せにゃしようがないということで辛抱しているのに、その担当当局が、全くそんなこと憲法上一切問題ありませんなんということを言うというのは、これはちょっと私は納得できません。これがまず第一。  それから、今あなたが言った総務庁設置法の第四条、これは去年は総理府設置法です、前のときで言えば。総理府設置法の第六条の三であなた方は処理したんでしょう。総務庁設置法第四条と総理府設置法の六条の三は同じです。人事局の所掌事務権限、書いておる中身はあれですけれども、一からずっと書いておる中身はあなたがお読みになった「国家公務員に関する制度に関し調査し、研究し、及び企画すること。」、この中の「国家公務員に関する制度」の中にいわゆる給与の制度も含まれると。だけど、それは「関し調査し、研究し、及び企画すること。」となっているわけだ。このどこか、給与表をつくるというのは。  これは、例えば人事院の給与局で公務員の給与表をつくることに対する職務所掌ではどういうふうな規定になっていますか。

斧誠之助人事院給与局長

○説明員(斧誠之助君) 国家公務員法の六十四条におきまして、俸給表につきましては生計費、民間賃金、その他人事院が適当と思う事情を考慮して作成する、こういうことになっております。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 大分あなたの言う根拠は違うのじゃないですか。無理やりに、ごり押しにひねりつぶして押し込めばこれは入るかもしれませんが、これは「国家公務員に関する制度に関し」で、国家公務員に関する制度ですから、確かにその中には給与制度も入るでしょう。ここは「関し調査し、研究し、及び企画すること。」。人事院の給与表の規定を見てもわかりますように、給与表をつくるに当たってはこういう条件、こういう条件でつくれとちゃんとなっている。そのために人事院は長い期間かけて一生懸命民間の調査をやってつ くっているわけだ。あなた方のところはどないしてつくっているんですか。むちゃくちゃしてつくるから結局給与がいわゆる整合性がなかったり、大臣も御存じだと思いますが、給与表そのものが、役職は昇格したのに月給が下がったなんていうの出てくるわけです。聞いていませんか、こんな話。現実にあるんです。ありますねん。既にお聞き及びだと思いますので、私、時間もありませんから言いませんが、給与表の中でも現実に、六等級から五等級に上がって役は上がったのに給料は下がるという整合性がないのもあるわけだ。首ひねっているからないということですか。これはゆっくり一遍よく見ていただきたいんですが、そういうふうな申し出も現実にあるわけです。  それで、しかもこれは、そういうふうな問題は別にして、今の法的根拠というのをもう少しわかりやすく明確に説明していただきたい。それから、あなたが前段におっしゃったことは一体どういうことなのか、もう少し説明していただきたい。

藤井良二総務庁人事局長

○説明員(藤井良二君) まず、前段に説明したことでございますけれども、ともかく人事院勧告が出された場合には政府、国会は最大限の努力をしなければならないということを申し上げたかったわけでございます。憲法上問題がないということに力点があったわけじゃございません。最大限の努力をする必要があるのだということを申し上げたかったわけでございます。  それから次に、俸給表を作成する権限というのは人事院にあるわけでございますけれども、その権限に基づきまして人事院は俸給表を作成して勧告を行っているわけでございます。しかし、この給与勧告というのは、給与法の改正によって初めて具体化されて実施に移されるものでございます。したがいまして、勧告を受けた政府は、その取り扱い方針を決定いたしまして、総務庁設置法の定めるところにより、人事行政を担当する部局である総務庁をして給与法改正法案の立案に当たらしめ、閣議決定を経て国会に提出して御審議を願うという形をとっているわけでございます。  それから、もう一つ言われた、昇格して給与が下がったという件でございますけれども、これはいわゆる人事院勧告におきましてその飛びつきの号俸が違ってきたという問題でございまして、この飛びつきの号俸が違ってくるというのは過去にもあった例でございます。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 あなたがおっしゃっている、人事院が勧告をして、その勧告に基づいていわゆる総務庁としてそれを法案として提出する、その総括的な意味はわかるんです、当然そういう権限があるわけですから。だけども、その給与表そのものについてあなたのところがいらって、それでごちゃごちゃしてしまうというその規定がどこにあるかと私は言うんです。人事院は給与表そのものについて、こういう調査、こういう調査、これに基づいてつくれ、こうなっておる。そのせっかくつくった給与表をあなたのところはいらって直しておるわけだ。それもちょっとやそっとのいらい方じゃなくて全部をばっと直しておるわけだ。その法的根拠というのがこれでは私は余り納得できない、こう言っておるわけです。もう一回説明いただきたい。

藤井良二総務庁人事局長

○説明員(藤井良二君) 先ほどから申し上げておりますように、給与勧告というのは、給与法の改正によって初めて具体化され、実施に移されるものでございます。したがいまして、その勧告を受けた内閣がその取り扱い方針を決定すれば、人事行政を担当する総務庁をして給与法の改正に当たらしめるわけでございます。この給与法の改正の中には当然俸給表も含まれているわけでございます。したがいまして、政府の責任においてその法案を作成し、閣議の決定を得て国会に提出して御審議していただくという仕組みになっているわけでございます。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 それはわかるんです。今あなたがおうしゃっていることは私初めからわかる言っているんです。それはそうなっておるわけです。給与法をごちゃごちゃいらうということは、これはちゃっと違うのか言っているわけです。

藤井良二総務庁人事局長

○説明員(藤井良二君) 先生先ほど言われましたように、実施時期の問題もございました。実施時期というのも勧告の一つの中身でございます。それから給料表というのも同じく勧告の中身の一つであることは間違いございません。それで、給与法につきましても、政府がやむを得ない理由によりまして人事院の給料表の勧告、給料表の水準まで増額することができなかった場合に、政府が昨年のように六・四七%の勧告を受け、それを二%に縮減して実施するという決定があった場合には、当然それは人事行政を担当する部局としての総務庁が給与法を作成して国会に提出することになるのだろうと思います。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 だから、そのときの法的根拠は何かと聞いておるわけだ。これは私、何でこんなことを言うかというと、前の人事院総裁もこの点について何回も言っています。要するに、六・四七%勧告して、そのうち二・〇三が何で、これは何でという中身を分割することなんかできやしないと。今ここでの議論は、ことしは六・四四%勧告があったから、前の積み残しが四・四四あるから、上乗せ二%だから二%に幾らか足して三%ぐらいにしてやろうかというふうな話が出てくるわけです。そういうふうなパーセントをごちゃごちゃして輪切りにすることはできない、そんなことはできるわけない、そんなことができるのだったら人事院なんか要らないと、こういう話、ここで何回も人事院総裁から前に答弁があった。  ところが、実際には、そういう輪切りにしてどんどんいろいろ物を言うということは私はおかしいと思う。それと同時に、あなたが言うように、例えば四月一日実施という、これも確かに勧告の中身です。だから、四月一日は勧告の中身だから、四月一日が六月、七月になるというのはこれはやむを得ないことで今までそういう問題で来たわけです、しかしこれは給与表そのものをいらわないから。何でかといったら、給与表というのは法律で決められておるから、人事院できちっと。ところが、あなたが言う期日については、これは日にちをどうこうすりゃ多少人為的に移動はできるけれども、実際は給与表そのものをいらう中身についての法的根拠というのはあなたは一つもまだ説明していません。もう少し詳しく説明していただきたいですな。

藤井良二総務庁人事局長

○説明員(藤井良二君) 過去の答弁を引き合いに出すのも非常に恐縮でございますけれども、ここに四十二年に当時の佐藤人事院総裁が国会で答弁しているものがございます。これを読んでみますと、「かりに政府限りの独自の給与法というものをおつくりになることが可能であるかどうかという問題にそれを引きつけて考えますというと、公務員法の中には、政府は人事院の勧告抜きにしてやってもいいという条文はもちろんございません。と同時に、必ず人事院の勧告がなければ政府は給与法案の立案ができないという禁止の規定もございません。したがいまして、この場合に、政府がかりに自主的に独自の案をおつくりになったからといって、公務員法の明文に違反するとか、無効であるとかいうことには、」これはならないと思います。「それは違法、無効にはならないということが正直なところだと思います。」という答弁があるわけでございます。  私どもの方で俸給表をつくるのは極めて異例のことでございまして、どうしても財政上あるいは国政全般の上からそういう低い水準のものしかできないという場合にやむを得ず作成したということでございます。

大島友治自由民主党・自由国民会議

○委員長(大島友治君) 峯山君、時間ですから簡明にひとつお願いします。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 時間が来ましたからやめますが、あなたが今読んだこともそのとおり、それでいいんです。だけど、給与表をつくる法的根拠は一つもないじゃないかと言っているんです、あなた方がいらったその法的根拠、給与表をいじってつくり直した。そういうことをするためには、やっぱり法的根拠が必要でしょう。法的根拠は、あなた、一つも説明していません。それは今規定がないんです、実際。規定なしであなた方は勝手につくって、それで、それがあたかもひとり歩きするなんというのはこれは私はとんでもないことだと思うんです。もしつくり直すとすりゃ、あなた方は人事院に何遍か頭を下げてお願いしてつくり直す以外にないのじゃないですか。  これ以上言っても仕方ありませんから、私はこの辺で終わりますが、いずれにしても、この問題については私としてはまだ、とてもじゃないけれども、納得できるような状態じゃありません。しかし、大事な問題でありますので、そういう問題も含めて、これは去年の議論をいたしました、あえて。去年の問題でもこういう問題があるわけであります。したがって、ことしはそういうことにならないようにぜひ総力を挙げて取り組んでいただきたいことをお願いして、私の質問を終わります。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 後藤田長官に、まずお伺いをいたします。  けさほど来論議をなされておりますけれども、長官は、人勧は最大限に尊重すべきだ、こうおっしゃっております。しかし、完全実施をするというふうには明言をなされていないわけです。それどころか長官は、公務員にはしばらく辛抱してもらわなければいけないとか、あるいは段階的に実施をするとかというふうなことを発言されてこられました。そして、できる限り努力をすると言われながらも、やはり削減とか抑制、これをにおわせておられるわけです。その一方で、公務員には安心をしてもらわなければならない、公務員の士気にかかわるようなことがあってはいけないし、公務員の生活も守らなければいけない、こういう御発言もなさっていらっしゃるわけです。  そこで伺いますが、長官がこの完全実施をするのは当たり前なんですけれども、そのことを明言されないでおいて、公務員が本当に安心をするというふうにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。確信を持ってそのようにお考えでございましょうか、お伺いいたします。

後藤田正晴自由民主党・自由国民会議総務庁長官

○国務大臣(後藤田正晴君) 政府としては人事院勧告を尊重していく、したがって最大限の努力をしなければならない、これが大前提でございます。  ただ、御案内のように、一つは厳しい財政の状況もございます。いま一つは、行財政改革という厳しい仕事を現在推進中で、国民の皆さん方にも御辛抱願っている面もあるわけでございます。さらにはまた、公務員の給与の問題については最高裁の判決の中の補足意見もあるし、同時にILOの勧告等もございます。  こういった各方面のことを政府としては国政全般の観点に立って、そしてできる限り私は、人事院の勧告というものと政府の決定が五十四年以来ここ数伍食い違っておりますが、こういうことは望ましいことではない、できるだけ早くそういった事態のないように、これは財政が豊かであれば本当は完全実施すればいいことは決まっているんです。しかしながら、いろいろな状況を考えた場合に果たしてそれが可能であるかどうか、最大限の努力して仮にそれが完全実施ができないということであるならば、何とかしかしそういった状況のもとでも一生懸命努力はしたができなかったといって、そこでやむを得ませんでしたというのも一つの今までのやり方であったけれども、私はそれだけでは不十分ではないのか。何とかやはり公務員の諸君に安心感を与えるような最大限努力をして、現実的な人事院勧告の実施のやり方というものを考えなきゃならぬ時期に来ておるのではないか。こういう意味合いにおいて私は過去いろいろ発言したこともありますし、今日も私はそういう立場で給与関係閣僚会議等においても主張してまいりたい、かように考えておる次第でございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 長官の今の御発言を公務員の皆さんが聞いて安心をするなどという、そんな状況ではない。長官の認識はやはりずれてなさるということで、後でもう一度問題にしてまいります。  ここで、人事院にお伺いいたしとうございます。給与法の第四条、第五条、この理解からしますと、公務員の給与というのは労働基準法の第十一条の賃金と同様に労働に対する対価であるというふうに思いますけれども、御見解を伺います。

斧誠之助人事院給与局長

○説明員(斧誠之助君) 給与法五条では、俸給について規定がございまして、正規の勤務時間に対する報酬であるという規定でございます。企業の方は対償という用語を使っておるようでございますが、いずれにしても勤務したことに対する報酬または対償ということでございますので、労働に対する対価、こう解してよろしいかと思います。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 そこで、民間労働者は労使の契約によって賃金の決定をいたします。ところが、公務員労働者の場合も元来そうでなければいけないわけですけれども、交渉権、締結権、争議権、これは不当に制約されたり、剥脱されております。そこで賃金の決定の仕方といいますのが、これが国公法によって決められているわけです。六十二条から六十七条によって規定をされているわけですけれども、この根本というのは、六十二条に「官職の職務と責任に応じて」ということと、それから六十四条の「生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して」決定する、こういうふうになっていると思います。この根本原則、これを確認いたしとうございますが、間違いございませんね。

斧誠之助人事院給与局長

○説明員(斧誠之助君) 六十二条以下のところは、実は現在給与準則ができておりませんので、実働はいたしておりません。おりませんが、その精神はすべて給与法に受け継いで同様の規定がございます。六十二条以下に書かれてありますことは給与法の根本原理になっております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 ということになりますと、労働の対価である、賃金である。それで、この決め方というのは国公法によって決まっているわけです、根本原則は。そうすると、この人勧を完全に実施しないというふうなことはこの国公法の原則、これを踏みにじることになるわけなんです。私は、こういうことに対して人事院総裁としては一体どうお考えでございましょうか、総裁の御見解を承りとうございます。

内海倫人事院総裁

○説明員(内海倫君) 在来もそうでございますし、本日も当委員会でるる御説明を申し上げておりますように、私どもの行います勧告は極めて厳しい官民の給与の実態を調査して、その較差を出しておるものであります。したがって、この勧告というものはそれゆえに国会及び内閣にいたしまして、尊重してこれを実施していただくということが当然のことでなければならないと思いますので、人事院といたしましては、何よりも勧告を実施していただくということが一番必要なことであり、かつ望ましいことである、このことに尽きようかと思います。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 総裁は随分御遠慮した発言をなさっておられますけれども、政府ともあろうものが国公法の原則を踏みにじるというふうなことは私はとんでもないことだということを申し上げとうございます。  そこで、労働省にお伺いをいたします。民間労働者の場合、企業が倒産したというふうな場合でも、賃金というのは賃確法のように優先して支払いをするというふうな保障があるというふうに思うんです。労働者の賃金というものは、これは公共、民間を問わず優先的に取り扱われなければならない、こういうふうに思いますけれども、労働省、お答えをいただきとうございます。

廣見和夫労働省労政局労働法規課長

○説明員(廣見和夫君) 賃金は、御指摘のとおり非常に重要な労働条件でございまして、働く人々の生活にもかかわってくるものでございますから、民間企業におきましては、そういったような点を十分考慮され、それからまた良好な労使関係を維持するというようなことなどにも十分配慮されつつ真剣な努力が行われているというふうに私ども承知いたしております。  これらの点につきましては、公共部門におきましても全く同様かというふうに存じます。人事院からの勧告を受けまして、現在給与関係閣僚会議においてその取り扱いの協議が行われておるところでございますので、良好な労使関係の維持とか、そういったようなこと等いろいろな事情が十分考慮された上で、その会議において決定されていくというふうなことになるだろうというふうに私ども承知いたしております。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 官房長官、お聞きのように、この人勧を完全に実施しないということは国公法の原則、これを政府が踏みにじることにもなります。そして、公務員の問題についてもやはり民間の労働者と同じように賃金というのは重要な労働条件であるというふうなことで優先的に取り扱われるというふうにもなっているわけです。公務員労働者からは争議権などを剥奪して、そして抑制しておいて、一方的に労働の対償を支払わない、あるいは削減をするというふうなことは、使用者としては私は二重、三重に不当ではなかろうか。こういう人勧の完全実施をやらないというふうなことは、これは政府としてはまことに重大な問題であって、そういうことはできないというふうに思いますけれども、官房長官の御見解を承りとうございます。

藤波孝生自由民主党・新自由国民連合内閣官房長官

○国務大臣(藤波孝生君) それぞれ法律には規定がございまして、その精神に沿って努力をしなきゃいかぬということは当然のことでございます。また、賃金の決定というのは、いろんな労働条件の中で最も尊重されなければならない、大事に考えられなければならないという、ただいまの労働省の答弁は全くそのとおりだ、こう思うのでございます。  ただ、仕組みから考えまして、人事院が諸般の事情を考慮して勧告を出される。それに対して、政府としてこれを完全実施に向けて誠心誠意努力をする。これはそのときの財政状況その他いろいろ広い総合的な国政上の判断のもとに政府の態度が決定をされるということになります。ただ、あくまでも法の趣旨に照らして力いっぱいの努力をしなきゃいかぬというところに主眼があるわけでございまして、それが一〇〇%実施できなかったらこれは法律にもとるのかということになりますとこれまた別の問題でありまして、やはり力点は誠心誠意努力する、こういうところに置かれなければならぬというふうに思うのでございます。誠心誠意やるかどうかというのが問題であるというふうに私どもは考えておるわけでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 国政上の判断というふうなことをおっしゃいます。誠心誠意なんて形に見えるものではございませんから、誠心誠意の最大は完全実施ということ以外にはないわけなんです。そこで、国政上の判断として財政問題をしきりに挙げておられます。  そこで伺います。公務員に関連する国公法、それから給与法の中で予算が関与できるといいますのは、給与法の第八条の一項の「予算の範囲内で、職務の等級の定数を設定し、又は改訂することができる。」、これしか明記をされていないはずだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

斧誠之助人事院給与局長

○説明員(斧誠之助君) 給与に関しまして予算の考慮が必要であるということがうたわれております条文は御指摘のとおりでございます。それ以外はございません。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 ということは、国公法上も、それから給与法上も制度的には予算を理由に給与基準をねじ曲げたりはできないということなんです。ですから、制度的にはそのような明記はないはずなんです。今もそちらの方で、それ以外にはございません、この予算が関与できるというのはこれ以上ないというふうなことなんです。この点、しっかりと聞いていただきたいわけです。ですから、財政上の理由だというふうなことで、国政上の判断ということの第一に挙げられる財政上というのは理由にしてはいけないということがここにはっきりするわけなんです。  公務員の給与につきまして予算の範囲内にとどめるということを明記していないというのは、これは給与というのはあくまでも労働の対価であるということなんです。ですから、予算とか国政全般を考えてなどということで左右されてはいけないわけなんです。労働の正当な対価ですから、正当な理由にもならないような今国政上全般云々とか、行財政の改革中だから云々とか、辛抱せよとかというふうないろんなことをおっしゃいますけれども、私はこういうことで支払わないというのは使用者としての義務を放棄したと言わざるを得ないと思うわけです。  そして、法的にも制度的にもこういうふうなことは理由に使えないということもはっきりしているわけですから、政府は常々正しい労使関係を打ち立てるのだというふうなことに努力をしているというふうに言われてまいりました。これなら、政府自身が正しい労使関係、これを打ち立てるという悪い見本をつくっていらっしゃるようなものじゃありませんか。正当な労働の対価を支払わないというふうなことになるわけです。ですから、正常な労使関係を打ち立てていくという観点からも、私は人勧は完全に実施をなさるべきだ、そういうふうに思いますけれども、官房長官の御所見を伺います。

藤波孝生自由民主党・新自由国民連合内閣官房長官

○国務大臣(藤波孝生君) 人事院勧告は労働基本権制約の代償措置として定められておるもので、この勧告の法律の趣旨からいきますならば、完全実施に向けてあらゆる努力をしなければいかぬということも十分考えなければいかぬ。それから労働の対価として非常に大事に賃金の決定は考えられなければならぬということもお説のとおりだろうと思うのでございます。  公務員の方々は非常に大事な仕事をしておられまして、そしてその公務員の生活水準であるとか、あるいは公務員の士気が低下しないように、常に生活が保障されて元気に頑張っていけるというような構えをつくるために努力をするというのも当然のことであろうと思うのでございます。そして同時に、国政上、財政上の問題などもありますので、総合的に判断しなければならぬ。こういうことになるわけで、財政上の問題が一番先に順番がくるわけではないので、そこをいろいろ考えてみて、財政上の問題もあるものですから、そういった点からも総合的に考えてみなければ.ならぬ。こういうことを申し上げておるわけでございますが、いずれにいたしましても、先生が御指摘になられましたような一つ一つのことを十分頭に置いて完全実施に向けて誠意を持って取り組む、こういう姿勢を内外に明らかにして今日まで来ておるところでございます。  第二回目以降の給与関係閣僚会議におきましても、各閣僚、党役員の方々の御意見を十分開陳していただきながら、あらゆる努力をいたしまして完全実施に向けての取り組みをしていくようにいたしたい、このように考えておる次第でございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 公務員賃金を完全に支払わない、労働の対価をちゃんと払わないというふうなことは、私はこれは労使関係にとりましても悪影響を与える。全国的に労使関係を正しく打ち立てるという大きな妨げになるというふうに思いますし、公務員労働者の生活だけではなくて民間賃金、それどころか福祉関係にも影響を与えていくというふうな大きな影響を持つわけです。  官房長官から今御答弁をいただきましたけれども、後藤田長官に私はお伺いいたしとうございますが、正しい労使関係を打ち立てたいというふうなこの政府の姿勢から見まして、私は完全実施、これを何としてでもやり遂げなければならないというふうなお立場に立っていただくのが正当ではなかろうかと思いますが、いかがでございますか。

後藤田正晴自由民主党・自由国民会議総務庁長官

○国務大臣(後藤田正晴君) これは午前中からずっとお答えをしておることでございまして、人事院勧告の完全実施に向けて最大限の努力をしていくということは当然のことでございます。ただいま官房長官からるる、官房長官は内閣の番頭さんでございますから、内閣としての物の考え方について今お答えがございました。私は、そのとおりに考えておるわけでございます。  ただ、安武さんの御質問の中に今民間給与がどうだからどうだとかいろいろありましたけれども、やっぱり公務員の場合には税金であるということも一つの要素であろうと思います。もちろん、財政問題だけで予算がないからできないというわけにはまいらない。しかし、予算の問題というのは国政全般の観点で判断する場合の重要な要素であるということも、これは民間のような利潤分配の原理で判断すべき筋合いのものでもない、税金でございますから。そういうような観点から国政全体の判断の大きな要素であるということも、これは安武さんおわかりの上で御質問なさっていらっしゃるのではないか、私はそう思うわけでございます。  しかし、同じように雇い主という立場に立ってみれば、これは労使関係の安定、そして職員の生活を守るというような点については、これは同じ面があろうかと思います。そこいらいろいろな要素を加味しまして、やはり国政全体の立場で判断をして、そしてできる限り最大限の努力をして公務員諸君に安心を願う、こういう態度で処理をしていくのが適切であろう、かように考えておるわけでございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 財源が税金であろうと、利潤の配分であろうと、どちらにしたって労働に対する対価を払う。ただ働きさせるんですか。私は、人事院が給与基準に基づいて勧告をしているというのに、それを無視して労働の対価を正当に払わないということは問題である、正しい労使関係でないということを再三申し上げております。だから、官房長官と後藤田長官との違いというのは、ただという、その余分なことがずっとついていくわけです。それは後藤田長官の個人的な御意見でございますか、それとも中曽根内閣の基本的な方針になるわけなんですか。官房長官、そこはいかがなんですか。

藤波孝生自由民主党・新自由国民連合内閣官房長官

○国務大臣(藤波孝生君) 給与関係閣僚会議を開きまして関係大臣皆お集まりになりますと、それぞれ所管によってあるいは大臣によっていろいろな御意見が出るわけでございます。これはそれぞれの御意見をもとにして、その意見を闘わせて最終的に政府の意見をまとめていく、その暁に政府の方針が決まる、こういうことになるわけでございます。  後藤田長官も大変お苦しい立場で、総務庁というのは人事局を所管して当然公務員の人事行政を進めていく、公務員の生活を守っていくという立場の所管でありますと同時に、行政改革を進めていくという側のまた責任者でもあられるわけですから、これは随分後藤田長官というのはつらいお立場に立っておられるなと、こう思っておるわけで、その間にいろいろお考えになることはおありになるだろうと思うんです。それぞれの大臣の意見が集まって、最終的に給与関係閣僚会議を経て閣議で政府の方針を決めていく、こういうふうに取り運んでまいりたいと思っておる次第でございます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 苦しいのは、後藤田長官ではなくて、給料を抑えられている公務員なんです。行政改革というのは、本来公務員が喜ぶようなことをしなくちゃうそなんです。国民の喜ばないような行政改革なんておかしいんです。  そこで、角度を変えます。  防衛庁おられますか。——防衛庁に聞きますけれども、新防空ミサイルのパトリオット、概算要求にこれを盛り込むというふうに報道されておりますけれども、そうならその数量と予算額、これをおっしゃってください。

藤井一夫防衛庁防衛局防衛課長

○説明員(藤井一夫君) 新地対空誘導弾ペイトリオットについてのお尋ねでございますが、防衛庁といたしましては、かねてから申し上げておりますように、ナイキの後継機種といたしましてペイトリオットが有力だというふうに判断はしております。しかし、概算要求にどのような形で盛り込むかということにつきましては、ただいま概算要求案の最終的取りまとめをやっておる段階でございますので、防衛庁としての方針が決まっておりませんので、申し上げることを差し控えさせていただきたいと思います。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 それでは、このパトリオットの米軍の調達価格について伺いますけれども、それは幾らになっておりますか。

廣中佑見防衛庁装備局航空機課長

○説明員(廣中佑見君) 米軍の調達価格につきましては、米国の議会議事録等各種の参考資料にも明確に示されてございません。したがいまして、残念でございますが、承知しておりません。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 いつもそういうふうにして言われますけれども、報道もされておりまして、防衛庁は大体パトリオットの概算要求、これをやるのではなかろうか、そして二十六ユニットで七千億円にもなろうかというふうなことが報道をされております。私は、これを否定なさるなら、こういうものを概算要求に盛り込まないということを明言していただきとうございますし、これは技術的にもまだまだ問題があるというふうになっております。アメリカのマクナマラ、それからシュレジンジャー、それからラムズフェルド、ブラウン、この四代の国防長官の顧問をなさいましたカウフマン教授、この方がまだまだ技術的な問題がたくさんある、こう述べて、米国での採用を見合わすべきだ、こういう代物とおっしゃっているわけです。それで、日本でこれを買う予定だということを聞かれたらしいんです。そしたら絶句をしたという代物なんです。こういうふうなところには平気でむだ遣いをなさるのか、こんなお金があれば人事院勧告を私は完全に実施をなさるべきだ、こういうことを申し上げとうございます。  最後に私は、どんなことがあっても公務員の人事院勧告は完全に実施をするのだと、そういう決意を官房長官にもう一度しっかりと伺って、私、時間が参りましたので質問を終わりとうございますので、その点しっかりとお答えくださいませ。

藤波孝生自由民主党・新自由国民連合内閣官房長官

○国務大臣(藤波孝生君) 第一回給与関係閣僚会議を開き、今、日程の調整をいたしておりますが、第二回の給与関係閣僚会議を開く準備を進めておるところでございます。いろんな角度からいろんな御指摘をちょうだいいたしまして、人事院勧告を完全実施すべきであるというお立場でのいろんな御意見を聞かせていただきまして、大変勉強をさせていただいたところでございます。  従来も政府としていろんな角度から申し上げてきておりますように、完全実施に向けて誠心誠意取り組んでいくようにいたしたい、このように考えておりますので、どうかこの努力の方向をひとつお見守りをいただきたい、このことだけ申し上げておきたいと存じます。

安武洋子日本共産党

○安武洋子君 終わります。

斧誠之助人事院給与局長

○説明員(斧誠之助君) 委員長、ちょっと発言の訂正をさせていただきたいんですが。  先ほど先生にお答えしました、予算の規定のある条文は定数に関してだけであってそれ以外はありませんと申し上げましたですが、もう一項ございまして、昇給規定の給与法八条、この中には普通昇給と特別昇給の両方の昇給規定があるわけですが、予算上の範囲内でやりなさいということが規定されております。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 人事院勧告問題につきましては既に多くの委員から指摘されておりますので、重複を避ける意味で若干通告の趣旨の裏からお尋ねするような問題もあると思いますが、的確にお答えをいただきたいと存じます。  まず、人事院総裁にお伺いいたしますが、総裁はかつて臨調第二部会第一分科会の主査として、公務員の給与のあり方を含む公務員制度確立の答申に関与する立場におられました。そして今回、国家公務員の給与改定勧告の最高責任者として勧告を行われ、その談話の中で強く完全実施を求められているわけでございます。こうした総裁のいろいろの経験を総合して、人事院総裁は今回の勧告を臨調の理念にもとるものではない、こういう確信のもとに勧告をされたものと信ずるのでございますが、いかがでございますか。

内海倫人事院総裁

○説明員(内海倫君) 先刻御承知のように、臨調というのはいわば合議体で諮問に対して答申をするというのがその使命でございまして、私も確かに主査という立場に立って会議を主宰しましたけれども、これもまたその分科会の一分科会員としての立場で参加しておったわけでございまして、 結論は、本委員会において決定されて答申されておるものが臨調の考え方であり、また臨調が政府に対してなした答申の内容でございます。  さて、その臨調におきまして、公務員のとりわけ給与にかかわる問題につきましては、これも先刻御存じのように、当時、人事院の勧告制度を尊重すること。また、給与の決定といいますか、給与の定め方については民間給与に準拠してこれを行うこと。さらに三番目には、政府あるいは国会が責任を持ってこの給与の決定を行うべきものであって、その場合、要するに責任を強く要望してある。第四番目は、人件費の総額の抑制。この場合はこれはいろいろ御意見があった向きもありますけれども、いわゆる公務員の給与の問題はこの人件費総額の中には含まっておりませんので、例えば定員の合理化であるとか、あるいは公務所掌における仕事の整理であるとか、そういうふうな問題で総額の抑制を図る、こういうこと。そういう形で私どもは臨調におきまして考え方を整理しております。その考え方というものは、基本的に考えまして、在来人事院が考えてき、また政府がお考えになったことと何ら相変わるものではございませんで、同じ考え方を表明いたしております。  したがいまして、今度最高責任者として人事院勧告をつくるに際しましても、そういうふうな臨調の新しく出た考え方というものではなく、臨調が在来あった考え方を臨調の見解として取りまとめたその考え方と、今度私どもが人事院において勧告をいたしました考え方というものは、いずれも同様の考え方に立っておるものである、こういうことを申し上げておきたいと思います。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 私は整理をいたしますと、この人事院勧告制度の趣旨でございますけれども、私なりの理解をまず申し上げますと、公務員も本来労働基本権を享有しておるということは、過去の論議を通じてこれは定説でございます。そして、これを制限する代償措置としての人事院勧告というものは迅速かつ完全に拘束力を持って実施されるべきである。法を守って精励いたしております公務員は、人事院勧告の内容に不満を抱きつつも、第三者機関の勧告という性格を重んじて、法とルールを遵守する立場からこれを受け入れて、その完全実施を求めているという立場にあると思います。  しかし、人事院勧告が変質されるようなことがあれば、第三者機関の勧告としての意味は消失することになります。したがって、話は振り出しに戻りまして、労使間の賃金紛争というものがここから始まるという可能性があるわけでございます。これは必然的に労働基本権論議を呼びまして、同時に、現行制度の形骸化、崩壊につながる危険すら生じてくると思います。また、労働基本権を制約した中で人事院制度の趣旨が生かされないならば、政府に対する公務員の不信感は募りまして、労使関係は悪化し、相互信頼の基盤が失われる可能性もあろうと思います。人事院勧告は公務員制度の主柱でありまして、これが実効を持って機能しないとすれば、公務員制度全体が崩壊して、国家公務員法に規定する種々の制裁ないしは義務を課す根拠すら失われることになるのではないか。  この内閣委員会で、かつて定年制導入の問題、また退職手当法の改正問題が議論されました。我が党はこれに賛成する立場をとったわけでございますが、この政府提案の趣旨は、すべて民間準拠ということが要約すれば提案の趣旨であったと思います。他の公務員制度について民間準拠の方式を根幹として法律をつくり、我々にその法の審議を求める。ただ、給与に関しては、仮に民間準拠の原則が財政等の事情で崩れていくということになるとすれば、私は公務員制度を議論する一体根拠は何かということを疑わざるを得ない。これが立法府にある私の立場でございます。  そこで、五十六年度は、管理職員等調整手当改定の年度内繰り延べと期末及び勤勉手当の旧ペース算定ということによって人事院勧告の一部が崩れました。五十七年は、実施見送り、いわゆる凍結でございます。五十八年度は、大幅抑制でございます。そして、ただいままで総務庁長官の御答弁を聞いておりますと、五十九年も完全実施されるという確約がどうも得られないと思うわけでございます。  そこで、人事院総裁にお伺いしますが、仮に五十九年度も完全実施されない、不幸にしてそういう事態が生まれますならば、人事院制度そのものが問い直されるという情勢になる、またこうした異例の措置が四年続けて常例化するということになりますならば私は憲法違反論議に拍車をかけることは避けられない、こう思いますが、総裁の率直な御所見をお伺いいたします。

内海倫人事院総裁

○説明員(内海倫君) 大変厳しい問題についての御質問でございますので、私もお答えするとすれば極めて慎重にお答えをしなければならない問題でありますが、まず憲法論議ということになりますと、私、人事院総裁という立場におきましてはこれについて見解を申し述べる立場でございませんので、憲法上どうであるかということのお答えは、在来の答弁においてもそうでございますように、私もまたこれについてはお答えを御遠慮申し上げるということでございます。  そこで、それではおまえは何も無関心そのものなのかということでございましょうが、やはり事と次第によりましては、労働基本権の問題などを挟みましていろいろな論議が起こる可能性は私はあり得るというふうに思います。  さてそこで、そのもとになる五十九年に仮に完全実施というものが行われない場合そういうふうな問題が起こるかどうかということでございますが、これにつきまして私は、まだ政府の御方針も決まっておらないし、あるいはまたお答えも出てない段階でございますので、その問題についてとやかく申し上げることはこれまた差し控えなければならないと思います。  ただ、今まで承っておりましても、政府としても最大限の努力を傾注されるということでございますし、また最高裁の判決も一応政府が誠意を持って最大限努力した場合にはというふうなことも出ておりますので、そういうことの判断が法制当局、あるいはもしまたそういうことにかかわる訴訟などが提起された場合は、そういうことの判断によって示されると思いますが、私が今その点について、まだ政府の御方針も決まっておらない段階でとやかくのことを申し上げることは、率直にという御要望でございますが、差し控えさせていただきたいと思います。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 人事を管掌しておられます総務庁長官にお伺いいたします。  今、総裁の述べられました昭和四十八年四月の全農林警職法事件に対する最高裁大法廷の判決、これは一言で申し上げますならば、「労働基本権に対する制限の代償として、制度上整備された生存権擁護のための関連措置による保障を受けているのである。」から、これを罰することはいわゆる違憲ではないという判決なんです。いわゆる合憲判決が出ておるわけなんです。そのときに賛成の多数意見にくみされました岸、天野両裁判官の追加補足意見の中には、「代償措置が迅速公平にその本来の機能をはたさず実際上画餅にひとしいとみられる事態が生じた場合には、公務員がこの制度の正常な運用を要求して相当」な範囲で争議行為を行うことは許される、こういう補足意見を述べておられるわけです。  本年度完全実施に向けて努力されるというのでございますから、仮定の問題ではございますけれども、五十九年も四年続いて人事院勧告が完全実施されないという事態が仮に生じた場合、争議を禁止する、制限する根拠はありと思われるんですか。

後藤田正晴自由民主党・自由国民会議総務庁長官

○国務大臣(後藤田正晴君) あの際の最高裁判決の中で、岸さんと天野さんが追加補足の意見を出しております。今まさに柄谷先生がお読みになったとおりでございますが、その後段があるわけでございます。つまり問題は、政府として最大限の努力をしたかどうかということが評価の基準になる。公務員がやはり税金によって支払われておるといったような特殊な立場、こういうようなことを考えて、そして同時に全体の奉仕者であるといったようなことで、たしか争議そのものはよろしくない、こういう御意見もあったやに私は承知をしておるんです。  しかし、いずれにせよ、御質問のようにいつまでも人事院の勧告と政府の決定が食い違う、抑制するということはこれは私は望ましいこととは毛頭考えておりません。先ほど内海さんに対する御質問の中にも、柄谷さんの御意見は人事院勧告というのは拘束力があるのではないか、いつまでも抑制しておればそれは勧告制度の変質を来すことになりはせぬか、ということになると労働基本権論争、これにまた立ち返っていくのではないか、こういう御心配の御発言であったと思いますが、私もその点は憂慮をいたしております。したがって、政府としてはそういうことにならぬように、現在の厳しい客観情勢の中でありますけれども、そしてまた国政全般の立場で判断せざるを得ない今の立場ではありますけれども、そういったことにならないように最大限の努力を尽くして、そして完全実施に向けて精いっぱいやらなければならぬ、かように考えておるわけでございます。この政府の基本の態度はぜひひとつ御理解をしておいていただきたい、かように思うわけでございます。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 最大限の努力をしたかどうかというのは、これは主観的な問題なんです。客観的というよりもむしろ主観的な問題であって、私は労働基本権の当否をめぐる論議が新たに発生することはこれは避けられないのではないか、こういう認識を持っております。  そこで、後藤田長官、今までの御答弁を私なりに理解いたしますと、最大限の努力をする、これは何遍も言っておられる。しかしということがつきまして、財政上の制約もこれあり、本年度の民間のベースアップ率は確保しなければならぬ、同時に四・四四%の積み残し分については、これは三年か四年か五年かそこらは明確にはされておりませんが、何回かに分割して、ある一定年限の後には人事院勧告というものの線に完全に到達するようにしなければならぬと思うというのが私は総務庁長官の腹の中ではないか、こう見通したわけです。  そこで、私は新しく発足しました総務庁というのは、官房長官から同情の言葉もございましたけれども、これまでの行政機構で言いますと、勧告の完全実施に理解を示し、そのことに努力したのが総理府でございます。絶えず行革推進、これは私はまた後で申し上げますが、ちょっと行管と認識が違うんですが、そういう立場に立って勧告抑制の立場に立ってきたのが行管庁でございます。その二つが合体した総務庁でございますから、給与関係閣僚会議における後藤田長官の発言というのは非常にこれは重みを持っていると思うんです。その重みを持つ長官の真意が大体そのようにおぼろげに浮かびあぶり出されてきておる、これが私実態だと思うんです。  そこで、野田委員も質問されたのでございますが、昨年十一月二十七日の丹羽前総務長官の発言、これは繰り返しませんけれども、一総務長官の発言ではございません。参議院における自、社、公、民の実務担当者が、当時、官房副長官でございました藤波さんとその真意をただしました。そして、俸給表に手をつけるということは人事院制度を大きく揺さぶる結果になる、よって俸給表に手をつけるということは極めて異例の措置であると認識する、こういう趣旨でございますから、私の受けとめ方としては、それは官房副長官は当時の後藤田官房長官にも、どこまで言ったか知りませんが、中曽根総理の決断を求められたのかもしれませんが、いわゆる政府として俸給表の持つ重みというものに対して十分認識し、少なくとも五十九年再び俸給表には手をつけることは考えないという決断を示されたものと私は理解しておるんです。その理解は間違いでございますか。

後藤田正晴自由民主党・自由国民会議総務庁長官

○国務大臣(後藤田正晴君) 昨年のことで、丹羽さんとここにいらっしゃる藤波さんがどのようなお答えをしたのか、私、承知しておりません。ただ、私が承知しておるのは、ここに並びまして、そして丹羽さんが最後にここで御答弁したこと、これは丹羽さんのおっしゃるとおりに私も理解をいたしております。  午前中にもお答えしましたように、人事院の勧告というのは官民較差の率を何%、これを是正しなさいということのほかに俸給表、つまりは配分の問題だと思いますが、それも人事院の勧告の一つでございます。そこで、政府としては、これを完全に実施するように尊重してやるのが政府としてのあるべき態度であることは間違いありませんけれども、今日の厳しい客観情勢、それには財政問題もあればあるいは国際的な問題もあるし、それから同時に、何よりも納税者としての国民の公務員の処遇に対する認識の問題もございます。こういった広く国政全般の観点に立って判断せざるを得ないのが今日の客観情勢である。しかし、基本はあくまでも公務員の雇い主としての政府の責任、これをあらゆる努力を積み重ねて勧告の完全実施に向けてやっていくということが私が今日まで主張しておる中身でございます。こういう態度で私は、結果はわかりません、閣僚会議がございますからどうなるかわかりませんが、そういう態度で終始してまいりたい、こう考えておりますので御理解を賜りたい、かように思うわけでございます。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 ここに当時の生き証人の大臣が二人いらっしゃるわけでございますが、今までの政府の答弁は最大限の努力をするとか誠意を持って取り組むとかいうことだったんです。それじゃおかしいじゃないかということで初めて俸給表という問題が出てきたんです。俸給表を作成するのは人事院が持つ機能である、したがって俸給表に手をつけるということは問題ではないかという、いわゆる立法府の問い詰めに対して俸給表は尊重します、俸給表に手をつけたのはまことに異例の措置でございました、こういう考えを述べられたわけでございますから、私は後藤田総務庁長官の言われます言葉からいいますと、あと数年は俸給表に手をつけ続けるということ以外に方法はないんです、段階で追いつくというのですから。これは人事院制度の根幹に触れる問題だということを言っておるわけです。これ以上言いましても私の質問時間が短いものですから、これは指摘だけにとどめまして見守りましょう。そして、政府の今回とる措置があの場を乗り切るための一つの方便であったのか、本当にその趣旨が生かされてきたのかということを見守って、その場合改めて論議をいたしたい、こう思います。  そこで官房長官、特殊法人職員の賞与に関する基本問題懇談会、これは官房長官決裁、七月二十三日で設置されるという方針が決まったわけです。これは私的諮問機関ですから、当内閣委員会としてはその性格は大いに議論したいところでございますが、これは一応横へ置きましょう。しかし、この特殊法人ということになりますと、これは労組法、労調法の適用団体でございまして、団結権、団体交渉権、争議権を持つ労働組合でございます。したがって、その労使が協議し決定したこと、ないしはあっせん、ないしは仲裁が出された場合、これに基づいて措置することは当然労働組合の性格からしてあるわけでございまして、この懇談会の結論がいやしくも団体交渉を制限、規制するという結果に連動していきますならば、これは極めて重大な問題を惹起すると思います。  同時に、特殊法人といいましても、公庫、公団のように相当額の政府からの交付金や補助金を受けて運営しておる特殊法人もございます。しかし、例えば支払基金のように、国からの補助金は受けず、いわゆる支払いにおける事務費によって事業を運営しているという特殊法人もございます。その財政基盤も区々であるわけです。私は、現在でも労使関係は政府及び監督官庁の規則を受けまして、果たして労働組合としての機能を発揮しようと思っても相手方にその当事者能力ありや否や、これについても疑問を感ずる者の一人でございますが、この懇談会の結論が出てくると思うんです。これは少なくとも正当な団体交渉を制限するものではないという確約だけはきょう得ておきたいと思うんですが、いかがですか。

藤波孝生自由民主党・新自由国民連合内閣官房長官

○国務大臣(藤波孝生君) 御心配をいただきまして、大変恐縮に存じておるところでございます。お話のように、特殊法人の職員は労働三権が保障されておりまして、特にその賞与などの決定については言うまでもなく理事者と労働組合とで話し合ってそこで決めていくべきものと、こういうことになっておる次第でございます。  ただ、今もお話がございましたように、特殊法人の場合には公共的な目的を持って設立されている、あるいは政府から多額の出資金や補助金が出て活動が展開をされているというような性格を持っておりますので、昭和五十四年の十月二十三日の閣議了解で、労使の団体交渉で決められる場合においても、関係者が良識ある態度で交渉に臨み、国民の理解を得られるような結論に到達するよう要請をしたところでございまして、おかげで、そういう要請に対しまして労使の良識をもっていろいろ話し合いが進められてまいりまして、特殊法人の賞与につきましてもその水準が国家公務員の水準のところまで相当近づいてきている、それはいろんな御努力があったわけでございましょうが、結果としてそこまで来ておるわけでございます。  これからどうなるのだ、どう考えていったらいいのだというような関係者の御意見もございまして、そこでこの問題をどう考えたらいいのだろうかということについて、いろいろこの特殊法人についての高い識見をお持ちの方々にお集まりをいただいて御意見を伺おう、こういうことで懇談会を出発させることにした次第でございます。懇談会でいろいろ意見が寄せられましても、それは全くこれからどう考えたらいいのかということの考える参考の資料を提供していただくというふうに考えておるわけでございまして、決してそのことによって労使の交渉が制約を受ける、その内容についてこの懇談会がこういうふうに決まったからこうしなきゃならぬというような形で取り組もうとは思っておりませんで、それぞれ法に基づきまして労使の話し合いで決められるもの、しかしそういう場合に懇談会ではこういうふうな意見が出ているということは参考にしていただくというふうに持っていけばいいのではないか、こう考えておる次第でございます。

柄谷道一民社党・国民連合

○柄谷道一君 時間が参りましたのでもう一問にとどめますが、これは意見として総務庁長官に申しておきます。  私は、人事院勧告の抑制が行財政改革のシンボルとして扱われているという嫌いがございますが、これは真の行革ではない。財政難のときであればこそ、有為の人材を確保して、士気を高揚して、効率的な行政執行を行っていくべきである。さらに、総定員法の根本的見直しなど、行政経費は総人件費的視野でこれは考えることが真の行革ではないか。このことだけを指摘しておきます。  最後に、大蔵政務次官にお伺いいたしますが、大蔵省は財政的事情をよく言っておられるわけでございますが、人勧を完全実施することによって行革、経費節減に努力している公務員にこたえることは財政当局としても当然の責務であると思うわけでございますが、率直な御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。

堀之内久男自由民主党・新自由国民連合大蔵政務次官

○説明員(堀之内久男君) 人事院勧告制度は労働基本権制約の代償の措置でございまして、今日まで勧告制度を尊重してまいるというのが政府の基本姿勢でございます。  また、御指摘の行財政改革の推進でございますが、これは国民的課題でございまして、このため国民の各層にわたって痛みを分かち合っていただいておるところでございます。したがって、今日、公務員の皆さんには、国民の協力のもとに、率先協力していただきまして、強く国民の期待にこたえていただかなきゃならないところでございます。  いずれにいたしましても、人事院勧告の取り扱いにつきましては、給与閣僚会議等においていろいろ御審議を賜っておるところでございますので、今後この結論に従って、そしてまた国政全般にわたって今後慎重に検討しなきゃならないと思っておる次第でございます。

大島友治自由民主党・自由国民会議

○委員長(大島友治君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時七分散会

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