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101回国会参議院1984/04/19

大蔵委員会 第15号

発言数
55
登壇者
10
会派数
7
開催日
1984/04/19

会議録

伊江朝雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  本日、中野明君が委員を辞任され、その補欠として多田省吾君が選任されました。     —————————————

伊江朝雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(伊江朝雄君) 租税及び金融等に関する調査のうち、最近の金融問題等に関する件を議題といたします。  本日は、本件調査のため、参考人として、日本銀行理事緒方四十郎君、東京大学名誉教授館龍一郎君、東京銀行会長柏木雄介君、以上三名の方々の御出席をいただいております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ、本委員会に御出席をいただきまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  参考人の方々から忌憚のない御意見を承りまして今後の調査の参考にいたしたいと存じます。  これより参考人の方々から御意見をお述べ願うわけでございますが、議事の進行上、最初に参考人の方々からお一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じますので、よろしく御協力をお願いいたします。  それでは、まず緒方参考人からお願いをいたします。

緒方四十郎日本銀行理事

○参考人(緒方四十郎君) 緒方でございます。  それでは、私からは二つ、最近の為替相場の動向と、それから最近非常に問題になっております円の国際化とかユーロ円といったような問題について申し上げてみたいと思います。  まず、為替相場でございますが、御承知のように、昭和四十八年から変動相場制ということになりましたが、その後の動きを見ますと、為替相場の変動が激しいということと、それから各国、主要国の通貨の相場の水準が必ずしもその国の経済の実態を示していないという二つの大きな問題点をはらんでおったわけでございますが、最初の変動が激しいという方はだんだんこのところおさまってまいりまして、例えば円の対ドル相場で見ますと、一昨年は一年間に六十円も変動したんですが、昨年は二十円しか変動しなかった。ことしになってからは十二円。しかも最近のを見ますと、それこそ二、三円も動かないというふうに非常に落ちついてきておるわけでございます。  この理由は、主要国の経済の状況がだんだん似通ってきている。例えばインフレの格差が縮まっておるとか、あるいは後で申し上げますように、高金利の問題でございますが、二年ぐらい前に比べると、金利の格差も縮まってきておるとか、それからまた後で申しますように、米国の国際収支赤字、日本の国際収支黒字ということがありますけれども、全体として見ると、国際収支の均衡の方に進んでいる国もかなりあるというふうなことで、変動幅の方はかなり穏やかになってきておるということでございます。  ところが、まだ残っております問題は、為替相場の水準でございまして、一言で言うと米ドルが高過ぎる。アメリカの国際収支のうちの経常収支は一昨年百十二億ドルですか、の赤字であった、それから昨年も四百億ドルを超える赤字であったというのに、米ドルが高いまま続いております。その理由としてはいろいろございますが、一つは、米国の金利が他の国よりも高い、そこで資金を引きつける。それからもう一つには、米国の経済が高金利にもかかわらず真っ先に回復して活況を呈しておるために金が引きつけられる。三つ目には、こういうふうな国際政治情勢のもとで米国が安全だというふうな意識から、何か国際情勢が緊迫化するとドルを買おうというふうな動きが重なったからでございます。  すべてのことにいい面と悪い面がございますように、ドル高も悪いことばかりではなかったわけでございまして、ドルが高過ぎたためにアメリカの産業の輸出競争力が弱くなったために、よその国からの商品とアメリカの商品が競争すると負けてしまう。ということは、逆にアメリカ以外の国がアメリカに大量に輸出をすることができたという意味で、何といいますか、アメリカの経常収支の赤字が世界の景気回復を支えていたというプラス面もあります。  しかし、マイナス面としては、ドルが強いということは反対に、円なりマルクなり、それ以外の国の通貨が弱くなることでございまして、これはそれぞれの国の物価に悪影響を与える。そして、それぞれの国の経済政策の運営の範囲を狭めるというふうな影響があったほかに、米国内にこれだけ外国から輸入が入ってまいりますと、保護主義の風潮が強くなるということがこのドル高の悪い方の面として生じたわけでございます。昨年の秋ごろから、このドル高はもう続かないんじゃないか、ドル高是正必至だとか、あるいはドルが急落するんではないかということが言われるようになりました。その理由は、一つは歴史的に見てこんなに大幅な経常赤字と、それからこんなに強い通貨が併存するはずがあり得ない、前も長くは続かなかったという前例と、もう一つは、アメリカの高金利の背後にはアメリカの財政の大幅赤字があるわけでございますが、この赤字が海外からの資本流入によって今のところ賄われておるんだけれども、財政の赤字がこんなに大きいということは必ずしも政策がうまくいっている証拠ではないわけでございますから、一たび米国の政策についての信認が崩れると、そうしますと今度はアメリカに金が戻っていかなくなる。そうなるとドルが下がるんではないかというふうなことが言われてきたわけでございます。  そういうことで、こういう議論を背景といたしまして、この二月から、ドルは欧州の通貨に対してまず弱くなり、三月の初めには円に対して弱くなったわけでございます。それまで円は昨年の秋ごろから二百三十三円前後で安定的に推移しておりましたが、三月二日のニューヨークの市場から一挙に二百二十二円に上がりまして、その後円高は一服いたしておりますが、このところ二百二十四、五円で推移いたしております。  で、日本の場合には黒字が非常に大きいわけでございますから、次に申し上げますような事情で、どちらかといえば円がさらに高くなった方がいいわけでございますけれども、しかし同時に米ドルが、米国の信用がなくなって、急に米ドルが下がるのも世界的に困るわけでございまして、私どもとしては米国が財政赤字を減らすことによって高金利を是正し、それによって米ドルがなだらかにもう少し軟化するという過程で円が強くなる。そして円が強くなることが今の日本の非常に大きな経常収支の調整にも役立ち、それからまた先ほど申し上げましたような保護主義の風潮が広がるのを抑える、できれば少なくする方に働くことを期待しておるところでございまして、こういうことを考えますと、国内の金融政策の運営も米国の経済情勢、金利情勢をよく注目してからでなくては運営できないということが言えるかと思います。  時間の関係上、次に円の国際化、ユーロ円の問題について申し上げたいと思います。最近、新聞等を見ますと、円の国際化という言葉が非常に頻繁に使われておりますが、私なりに定義いたしますと、円の国際化とは、円が国際的な取引に利用されることだというふうに思っております。その利用度が高まることだと思っております。既に円の国際化は始まっておるわけでありまして、例えば日本の輸出の四割は円建てになっております。それから世界の外貨準備の中で、円を外貨準備として持っている国の円の割合が四%になっておるということでございます。  このように円が日本の貿易、特に輸出に使われておる。それからまた日本からの特に開発途上国あるいはそれ以外の先進国に対する貸し付けにも使われておるということは、これは日本の商品の国際競争力が強い、あるいは日本の資本市場の金融力が強いということで、外国が日本の物を買いたい、あるいは日本から借りたい、したがって日本側の通貨で契約することを承諾するという日本の経済の力のあらわれでございますので、このように円が貿易取引あるいは資本取引に用いられてまいりますのは、ある意味で国力の反映として当然の動きでありまして、これをとめることもできないし、とめてはならないことだと思うわけでございます。  ただ、このように円の利用がふえる今度反映といたしまして、各国当局の中で円を外貨準備として持つ国がふえてきておることも、先ほど申し上げたようにあるわけでございます。これはまた日本のある意味で国力の反映でございますから、ふえるのは当然でございまして、これも不可避でございますが、ただ積極的にどんどんふえてくれというふうに政策を進めた方がいいかどうかにつきましては、やや議論が分かれるところだと思います。非居住者、外国人の保有する円の残高が多くなれば、経済政策、特に金融政策の運営が難しくなることもあるわけでございますし、また世界の立場からいって、いわゆる準備通貨なるものがたくさんあった方がいいのか、あるいは一つの方がいいのか、あるいはSDRといったような人間が考えた準備資産の方がいいのかというふうなことについては、一概に言えないわけでございまして、私どもは準備通貨としての円の役割については自然体で臨んでおるという状況でございます。  これに関連いたしまして、最近、新聞あるいは日米間の交渉で話題になっておりますユーロ円ということについて申し上げます。ユーロ円というのは何ぞやと申しますと、ユーロと言うから元来ヨーロッパのように思われるわけですが、私なりに定義しますと、日本の国外にある円預金なんです。これは二種類ございまして、一つは、今申し上げましたように、円が国際取引に使われるようになった結果として、当然のことながら、海外でも海外にある銀行の店に円の預金ができるという面が一つございますが、もう一つは、日本の国内の市場にいろいろな規制とかしきたりがある、それを逃れようとして日本の外で円を持とうとする動きが出るという部分があるわけでございます。  国際決済銀行というところの統計によりますと、ヨーロッパにあるユーロ円は昨年の九月末下で三百億ドルぐらいに上っておるというふうに言われておりますが、このうちのどの部分がその第一の部分なのか、第二の部分なのかはわかりませんが、私どもとしては、この第一の部分、つまり日本の円が国際的に使われる結果海外で円の残高が生ずることは、これは先ほど申し上げましたように当然であり、やむを得ないと思うんですけれども、先ほどのように国内の政策あるいは金融のコントロールを避けようとしてできておるものを政策的に助長することはどうかと思うわけでございます。  したがいまして、先般来、米国当局からユーロ円市場を国内市場に先立って自由化しろという要望が出ておるように大蔵省の方々から伺っておるわけでございますが、私どもといたしましては、ユーロ円は今のようにやむを得ない部分と、それから規制を逃れてつくってある部分と両方あるわけでございますので、これは国内の金融市場が現在の世界の大勢また国内の必要上からも自由化が進んでいけば、その程度だけユーロ円の必要性はなくなるわけでございますし、一言で言えば国内の市場の自由化が先決である、ユーロ円の自由化はその後が、あるいは国内の自由化と平仄を合わせるべきではないか。私どもとしては、中央銀行といたしまして、マネーサプライ・コントロール、それからまたもう一つは、何か金融市場で事が起こったときに、私どもは日本の国内であれば最終の貸し手としての責任を持っておるわけでございますが、この国籍不明の円残高がふえることは、必ずしもそういう状況が起こらないとは思いますが、起こったときを考えると、余り望ましいことでもないという面もございますので、ユーロ円については、今のように自然体で臨みながら、まず国内の市場の自由化を進めて、それをユーロ円に及ぼすということで対処すべきではないかと考えております。  ちょうど時間になりましたので、これで終わらせていただきます。

伊江朝雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(伊江朝雄君) どうもありがとうございました。  次に、館参考人にお願いいたします。

館龍一郎東京大学名誉教授

○参考人(館龍一郎君) ただいま御紹介をいただきました館でございます。  私は、金融制度調査会の委員をいたしておるということもございまして、金融制度調査会を代表する立場にはございませんけれども、金融制度調査会の中間報告等に触れながら最近の金融問題について所感を述べてみたいと存じます。  御承知のように、五十八年の四月二十日に、金融制度調査会の小委員会は「金融自由化の現状と今後のあり方」という第一次中間報告を行っております。  この報告は三部から構成されておりまして、第一部で「金融自由化の進展」、それから第二部で「金融自由化に対する考え方」、第三部が「今後の金融自由化への対応」という三部の構成になっております。第一部は、金融自由化の現状について述べ、第二部は金融自由化の「意義」と「問題点」と「評価」という三つの部分から構成されております。その第二部の三番目の「評価」というところに、「関係者の評価」ということで、「関係者の評価」には四つの考え方があったというまとめが行われております。  その四つの考え方というのは、第一は、積極説でありまして、自由化は必然の流れであるばかりか、望ましいものであるので積極的にこれを推進すべきであるという考え方であります。それから四番目の考え方といたしまして消極説が述べられておりまして、ここでは自由化というのは必ずしも必然の流れであるとは言えない、そこには若干の疑問がある、その推進はかえって国民経済に悪影響を及ぼすので抑制的に取り扱うべきであるという、そういう消極説であります。あと二番目と三番目は中間の考え方、中間説でありまして、この中間説に二通りあります。一つは、積極説の方に傾斜した考え方であり、いま一つは消極説の方にやや傾斜した考え方であります。二番目の説というのは、自由化は必然の流れであるということは積極説と同じでありますが、そして自由化にはいろいろの配慮しなければならない問題があり、それには配慮していく必要があるが、自由化は望ましいので前向きに進めていくべきである、こういう考え方であります。それから三番目は、消極説の方にやや傾斜した考え方でありまして、問題点に十分配慮してできるだけ漸進的に進めるべきである、こういう考え方であります。  で、報告書はこの四つの考え方を受けまして、小委員会の考え方といたしまして、まず第一に、自由化は不可避である、避けて通ることのできない課題である。二番目に、自由化を回避しようとすると逆に円滑な金融が阻害され、混乱が生ずるおそれがある。三番目に多様化するニーズヘの対応、金融の効率化という面でも自由化は望ましい。しかし、第四として、実態面への影響や信用秩序維持に問題を生ずる可能性が全くないとは言えないので、混乱回避に留意しながら、漸進的に取り組んでいくことが肝要である。そういうまとめを行い、そして第三部の「今後の金融自由化への対応」のところで、将来の方向といたしまして、まず第一に前向きに自由化については取り組むべきである。二番目に漸進的な対応を行うべきである。三番目にそのときどきに発生する具体的な問題の解決を通じて漸次自由化を進めていくという現実的な対応をとるべきである。つまり前向き、漸進的、現実的、こういう対応を行うべきである、こういう報告になっておるわけであります。  これは多数意見に従ったものでありまして、私の立場は、先ほど挙げました四つの立場に即して申しますと、一ではございませんで、二に最も近い考え方をとっております。自由化というのは、資金の効率的配分の実現の上からも、二番目には金融機関経営の効率化の促進のためにも、三番目に新しいニーズへの迅速な対応、つまり新しい商品・サービスの開発、導入を促すといった点で国民経済の発展に寄与するというように考えるわけであります。  で、逆に、もしこういう自由化、つまり競争制限的な規制の緩和、撤廃が行われないか、あるいはその撤廃がおくれるということになりますと、資金が規制されている分野から規制されていない分野へ大幅にシフトするというようなことが生じて、結局、規制を緩和しなければならないということになるというように考えているわけであります。さらに、社会的公正の観点からいっても、例えば預金金利の上限規制といったようなものは、必ずしも適当ではないという問題を持っておるというように考えておるわけであります。  したがって、この自由化については、漸進的ではなく、むしろ表現としては、秩序ある自由化を進めるように留意することが重要であるというように考えているわけであります。すなわち、自由化の際最も重要なことは、自由化の遅速、遅いか速いかということ、進め方の速度ではなくて、混乱を生じないということでありまして、そのための環境を整備していくということが一番重要だというように考えるわけであります。漸進的であれば必ず混乱は生じないということが言えるかと申しますと、必ずしもそうではないのでありまして、やはり必要なことは、混乱を生じないような環境を整備していくということ。具体的な例で申し上げれば、例えば預金保険制度といったものを充実、整備していくというようなことがまず先決条件ではないか、こういうように考えるわけでございます。  で、国際化についても全く同じような考え方をとっておりまして、漸進的ならば混乱が生じないというわけではなく、やはり国際化のために必要な条件を整備していくということが重要である、こういうように考えるわけであります。  で、金融制度調査会は、先ほど申しました小委員会の第一次中間報告を出した後、昨年来、金融の国際化をテーマにして精力的に検討を行っておるわけでございまして、御承知のように、海外調査であるとか、参考人からの意見聴取を終わりまして、そろそろ詰めの段階に入ってきておるわけでございます。ただ、その金融制度調査会の意見を申し上げる立場に私自身ございませんので、金融の国際化の問題につきましては、全くの私見を述べさせていただくということにしたいと存じます。  ただいま緒方参考人の方から国際化の現状についてはお話がございましたので、ここではそのことについては省略さしていただきたいと思いますが、国際通貨としての円の位置ということについて考えますと、決済通貨としても、それから準備通貨としても、日本の円の地位は必ずしも高くない。先ほどお話がありましたように、準備通貨としては四%が円で保有されているわけでございますが、西独のマルクにしても一四%に達しておるということを考えますと、必ずしも高くないということになります。それから決済通貨として考えた場合に、輸出では四〇%であっても、輸入では四%程度というように低いというようなこともありまして、必ずしもまだ国際通貨として十分な地位を確保しているということは言えないと思います。  ところで、金融の国際化につきましての私の考え方は、金融の国際化は必然の方向であって、この進展を阻害すべきではないし、進展を阻害している不必要な規制があれば、そういう不必要な規制は取り除いていくべきものであるということであります。しかし、だからといって、政策的に国際化を積極的に推進する必要があるかといえば、その必要はないのではないか。不必要な規制を撤去していけば、円の国際化というのは日本の経済力に応じておのずから進展していくのではないかというように考えておるわけであります。つまり、ほうっておいても日本が資本輸出国に変わっていくということは避けられないというように考えております。しかし、一方で、資本の海外流出は国内の投資の縮小を招いて、日本の経済発展を阻害する要因として働く可能性が全くないとは言えないという問題を含んでおるわけであります。  それから円の国際化問題を考える場合に無視できない問題の一つは、先ほど緒方参考人からも御指摘がありました円の国際化でありますが、この円の国際化についても、円の国際化はメリットと同時にデメリットを持っておるというように考えております。したがって、その兼ね合いをどうするかということが極めて重要である、こう思います。  もう少し具体的に申しますと、円の国際化といいますか、円が国際通貨になりますと、国際通貨国は円を創出することによって支払いを行うことができるわけでありますから、したがいまして、経済学者がシニョレッジの利益というように呼んでいる利益が、国際通貨国に帰属することになるわけであります。  それから第二番目に、円で取引を行う場合には為替リスクがなくなるというメリットがあるわけであります。そういうメリットがある一方、第三に、国際通貨国は全体としては赤字を出していなければ、これは国際通貨の供給になりませんから、どうしても赤字を維持しなければならないという問題があり、そして大幅な赤字を出すとその信認が問われて、通貨間のシフトが生ずる、そういう負担を負うことになります。  さらに、デメリットといたしまして、海外の円残高が増大しますと、これも緒方参考人から御指摘がありましたように、一面で金融政策がやりにくくなるという問題が生じ得るわけであります。そういう負担を負います。さらにまた、円を国際通貨として維持していくためには、TBの市場であるとかBAの市場といったような短期資本市場を育成し、維持し続けていかなければならない。それにも多少のコストがかかるという面があります。  したがいまして、それらのメリット、デメリットの兼ね合いを考えながら、それの政策を進めていく必要があり、そのことを考えますと、円の国際化についても国際化を阻止すべきではないというように思いますが、しかしこれを積極的に進めていかなければならないかどうかということになりますと、若干の問題があるように思います。  そこで、この点については信用秩序維持のためのポートフォリオの規制等必要な規制を残しながら不必要な規制は撤廃していく。こういう方向で徐々に市場の開放を実現させていくのが望ましいというように考えるわけであります。  もう少し具体的に言いますと、ユーロ円債であるとか、円建てBA市場、あるいはCD等の問題については、これは前向きに対応していくべきであるというふうに考えますが、ここで徐々にというように申しましたのは、国内の条件整備を欠いて自由化を国際取引について急速に行いますと混乱が生ずるおそれがあるからでありまして、ここでも急速な条件整備、つまり国内金融の自由化を進めていくことが何よりも肝要である、こういうように考えておる次第でございます。  以上でございます。

伊江朝雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(伊江朝雄君) どうもありがとうございました。  次に、柏木参考人にお願いいたします。

柏木雄介東京銀行会長

○参考人(柏木雄介君) 東京銀行の柏木でございます。  本日は、最近の国際金融問題について何かお話をするようにという御依頼ございましたが、時間の制約もございますので、私は最近の円・ドル相場の問題、若干緒方参考人の御説明と重複するかもしれませんが、最近の円・ドル相場の問題と、それから発展途上国の対外債務問題に焦点を当てて申し上げてみたいと思います。  最初に円・ドル相場問題について申し上げます。  この問題は、日本経済が国際的に見て物価、経済成長率、あるいは対外収支などいわゆるファンダメンタルズの面で良好な成果を上げているにもかかわらずなかなか円相場が強くならない、円の過小評価が輸出を一層伸ばし、輸入を抑制する方向に作用して、それが我が国の大幅な経常収支黒字の原因になっているのではないかというようなことから出てきたものでございます。そうしてこの円・ドル相場問題は、現在では単なる貿易不均衡ないしはそこから生ずる貿易摩擦の問題にとどまらず、我が国金融システムの自由化・国際化の問題をも含むようになってきていることは皆様御高承のとおりでございます。  そこで、この問題を日米両国の国際収支状況との関係で整理してみますと、昨年、暦年ベースでは、日本の経常収支は二百十億ドルの大幅黒字であったのに対しまして、アメリカの経常収支の方は約四百億ドルという大幅赤字でありました。これはアメリカがいわば機関車国として世界経済の回復をリードする役割を果たしたことの反映でもありますが、本年について見ますと、我が国の経常収支黒字はさらに拡大して二百五十億ないし三百億ドル前後となり、一方アメリカの経常収支赤字は六百ないし七百億ドルに達するのではないかというふうに見られております。  このような日米両国の経常収支の赤字・黒字が逆の方向の不均衡を来していることは、本来変動相場制のもとでは、円・ドル相場がより顕著に円高、ドル安の方へ動いて調整されてしかるべきものであると考えられていたのでありますが、現実にはそうした事態にはなっていない。これは一九八〇年、昭和五十五年十二月に施行されました新しい外為法のもとで内外資本交流が活発化する中で、特にアメリカの高金利に吸引される形で日本から大量の長期資本が流出し、長期資本収支の逆調が経常収支黒字をほぼ相殺するような規模になっているからであります。  ちなみに、現在日米間の金利差は十年物国債の利回りで比較いたしますと、アメリカが一二・五%に対しまして、日本が七・一%で約五・五%という大幅な差がございます。また一般的なドル高を生む要因としては、国際政治、国際金融の面で不安が生じたときに米ドルがいわゆる有事に強いドルということで選好されるという側面があることも注意しなければなりません。  このように考えてまいりますと、円・ドル相場をより妥当な水準に誘導していくためには、資本取引の面で何らかの対応を図っていくことが重要になります。そのため、一つは、日米間の金利差を縮小させること、もう一つは、金利以外の面で何らかの措置を講ずることが考えられます。  まず第一の日米間の金利差を縮小させる方法を考えてみますと、そこにはアメリカの金利を引き下げる方法と日本の金利を引き上げる方法とがあります。私は基本的には、アメリカの金利が、名目ベースでもさることながら、そこからインフレ率を差し引いたいわゆる実質金利ベースで見ても異常に高いということを考えますと、アメリカの金利をこの際引き下げることによってこの金利差を調整することが最も望ましいと考えております。そのためには、アメリカはその貯蓄との比較で異常に大幅となっている財政赤字を圧縮し、インフレ懸念を取り除くことが極めて重要であると考えます。  他方、我が国が金利を引き上げることによって金利差の調整を行いますと、せっかく回復に向かっている我が国経済に不況圧力を加え、それが経常収支黒字の拡大をもたらす方向に作用し、経済摩擦を一層高める懸念があります。このように現状、両国間の金利差を低い方の我が国に合わせることは、両国経済の持続的成長にとってのみならず、世界経済や国際金融状況に照らしても適切な選択だというふうに確信いたしております。  次に、金利差以外の面で資本の流れに影響を与える措置について見ますと、その一つは、例えば、新しい外為法のもとで自由化された我が国投資家の対外証券投資に規制を加えるということも考えられます。しかし、このような規制は、全般的な自由化の流れに逆行するというだけでなく、世界的な資金の効率的配分をゆがめる一方、それによってアメリカへの資金流入が抑えられますと、アメリカの資金需給バランスが崩れ、金利が逆に上昇し、かえってそれがドル高要因となる可能性もあります。  私は、この分野では、市場原理に従って我が国へ資本流入が促進される条件を我が国が整備しておくことが大切であると考えております。こうした観点からも、我が国政府が国際協調の理念に立って自主的、積極的に取り組んでいるいわゆる我が国金融・資本市場の整備拡充、金利の弾力化・自由化などの措置は極めて有意義なことであると思います。こうした方向に沿って我が国の金融秩序維持にも配慮しつつ、円の国際化を着実に進めることができるならば、円に対する国際的効果も高まり、円の潜在的な強さを引き出すことができるのでないかと考えております。  次に、発展途上国の対外債務問題について所見を申し述べてみたいと思います。  一九七三年から七四年以降の二度にわたる石油価格の大幅引き上げによりまして、世界経済は著しい混乱に陥ったことは御高承のとおりであります。そうした中で経済の対外依存度の高い非産油途上国は、輸出が伸び悩む一方で、国内的に経済成長率を急激に引き下げることが困難でありました。これを国際金融の側面から見ますと、産油国に累積する資金、いわゆるオイルマネー、これを非産油途上国に還流させることによって対外収支赤字をファイナンスし、世界経済が危機的状況に陥ることを回避することが極めて重要な課題となっているのであります。  しかし一九七九年—八〇年の第二次石油ショックの余波で世界経済が長期にわたるスタグフレーションに陥り、一九八二年夏、メキシコが対外支払い面で流動性困難に陥り、それが他のラテンアメリカ諸国に波及するに及んで、発展途上国の対外債務問題は、その処理を一歩誤れば国際金融秩序の維持に重大な影響を与え、それがひいては世界経済全体にも悪影響を及ぼしかねないことが懸念されるに至ったのであります。  しかしながら、幸いに、国際決済銀行、国際通貨基金などの国際機関、各先進国当局及び民間金融機関による適切な対応によって累積債務国に対する金融支援が予想以上に順調に行われ、他方、債務国の方もIMFからの条件つき融資を受け入れて自助努力を行ったことから国際金融不安は鎮静したのであります。  このようにしてこの問題は一応は一つの峠を越えることができたのでありますが、それが根本的解決を見るまでにはまだかなりの道のりがあるように思われます。私は、それまでの間、累積債務を抱える発展途上国も、債権を持つ先進諸国も、皆国際経済社会のメンバーであるという基本的認識のもとで、関係当事者が国際協調の理念を持ってそれぞれの役割を着実に果たしていくことが極めて重要であると考えております。  それでは、この問題の関係当事者のそれぞれの役割は何かと申しますと、まず、先進諸国につきましては、インフレなき持続的成長を図り、保護主義の台頭を抑え、発展途上国の輸出に対して門戸を開放して、発展途上国が外貨収入をふやす方途を広げるよう努力することであります。それとともに、先進諸国は金利の低下を図り、債務国の利払い負担を軽減させることも重要であると考えます。  第二に、IMFや世銀などの国際機関及び先進国政府当局などの公的資金による適切な金融支援でありまして、その質量の両面で拡充が望まれるところであります。石油価格が安定化してオイルマネーの還流問題も解決いたしました今日、公的資金の役割を高めていくことが重要な課題と思われます。その中で、IMFの条件つき融資は、借入国に対し経済節度、いわゆる経済調整計画、一般的には財政赤字の圧縮、金融の引き締め、適切な為替相場への調整などを含むものでありますが、この経済調整計画の採用を要請するために借入国がそれを受け入れることによって、民間資金の導入が可能になるという触媒機能を持っております。  第三に、民間金融機関の役割であります。民間金融機関は、一九八二年夏以降のラテンアメリカ諸国を中心とする累積債務国の流動性困難に対しまして、それら諸国が、IMFからの条件つき融資を受け入れることを前提といたしまして、既往債務の返済繰り延べ、いわゆるリスケジューリングないしはいわゆるリスケを実施し、また新規融資を実行してまいりました。今後とも民間金融機関は情報交換を密にして、一体となって金融協力を行うことが重要な課題であると認識いたしております。そのためにも、こうした民間資金が発展途上国へ適切に流れるよう各国政府当局などが諸条件を整備されることを期待いたしております。  第四に債務国自体による自助努力であります。これらの国々によって、確かにIMFの条件つき融資を受け入れて調整政策を進めることはその国にとって生活水準の引き下げを強制されるという面もありますので、経済の面のみならず、政治的、社会的に摩擦を引き起こすということも考えられます。調整政策の実施は、このように難しい問題も場合によっては生じ得ますので、その適切な対応もまた重要であります。  そうした中で、メキシコが調整政策を実施することによっていち早く国際収支改善のめどをつけたことは明るい材料であります。今後、発展途上国は長期にわたる経済発展を展望して、当面の困難を乗り切っていってほしいと念願いたしております。  以上、最近の円・ドル相場問題と発展途上国の対外債務問題につきまして所見を申し述べましたが、この二つの問題についてもその解決には国際協調という理念が重要であることを特に強調したいと存じます。  それと同時に、我が国は自由世界第二位の経済大国としてそれにふさわしい国際的責務を果たしていくという心構えが特に大切であることを申し述べまして、私の発言を終わりたいと思います。  御清聴ありがとうございました。

伊江朝雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(伊江朝雄君) どうもありがとうございました。  以上で参考人の御意見の陳述は終了いたしました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 参考人の皆さん、きょうはどうもありがとうございました。  いずれにいたしましても、ワシントンにおけるところの日米の交渉、こういうのが一段落した。そしてアメリカの、特にユーロ円市場問題を中心としてその自由化の方向というのは、先ほどのお話の中で遅速はあるにいたしましても、かなりのスピードでこの問題というのは進んでくるだろう、こういうふうに思わざるを得ないわけでありますけれども、しかし、これをこうしたユーロ円市場の問題にして、例えばユーロ円のCDの発行あるいは円債の発行枠、こうしたものを見ましても、現在のままでアメリカがそれらの要求を素直に聞いて引き下がるということは、ちょっと私は考えられないし、そうした枠をこれから大きくしていかなくちゃならぬということになりますと、また制度の問題もいろいろ担保問題なども国内に非常に影響してくる可能性もあるというふうに考えてみますと、参考人のそれぞれのお方の御意見で、余り積極的に推進すべきではないという御意見もありましたし、まあある程度やむを得ないからこれに沿っていかなくちゃならぬというような御意見もあったように受け取るわけであります。  いずれにしても、日銀総裁がおっしゃっていた国内の金利の自由化問題というのは避けて通ることのできない大きな問題だというふうに私は思いますけれども、しかし、それをやるにしてもいろいろな摩擦があるし、障害があるというのが実態であろうと思いますし、また同時にそれをどう乗り越えていくか、自然体というお話もあったわけでありますけれども、ある程度のプログラムというものが必要ではないのか。それでないと、またアメリカとの関係で摩擦ができてくるんではないだろうか。あるいはほかの方に日米の摩擦というのがまたおできのように吹き上げてくるんではないだろうかというような感じがしてならないわけであります。  そういう問題があろうがなかろうが、何か二つのコクサイ化ということで新聞記者は言っておりますが、片一方の国債化、国内の国債が多量に発行される、あるいは借りかえの問題、そういう面でもかなりの影響というのは国内的にも私は生まれてくるんだろうと思うんですけれども、そういう意味では国内における金利の自由化というものがどういう方向で進められるのか。どの辺から手をつけていくのがこれからの課題なのか。最終的に一番問題になりそうな問題というのも、私は郵貯との関係で生まれてくる可能性はありそうな気がいたしますけれども、三人の参考人の方に、国内における金利の自由化をどんな形でどんなふうにというようなお考えがあったら教えていただきたい。これからの一つの課題ではないだろうか、こんなふうに思いますが、三人の参考人の方にお願いしたいと思います。

緒方四十郎日本銀行理事

○参考人(緒方四十郎君) ただいまの御質問にお答えいたします。  ある程度のプログラムが必要でないかということでございますが、何といいますか、これからどういうふうにやっていくかという優先順序ということを考えることは非常に必要だと思うんですが、一つ難しいのは、いつまでにどういうふうにできるかという、その時刻表ができるかということになりますと、私はやはり優先順序を考えることは大切だけれども、時刻表は成り行きを見ながらつくっていかなきゃいけないんじゃないかと思います。  それから次に、じゃ優先順序はどういうことかと申しますと、一つは預金金利の自由化で、これは今も御指摘のごとく郵貯の問題等もございますし、それからまた諸外国の例を見ましても、大口預金の金利の自由化というところからスタートするのが自然であるし、現に始まっておると思うわけでございます。  例えばCDというものがございますが、これがつい先ごろまで最低単位が五億円だったのが三億円になる。それをさらに下げる。あるいはそれより金額が少ないところでは市場連動的な金融資産を認めていくというような方向でだんだんと預金金利の自由化を進めていくということが一つの筋ではないかと思います。  それからもう一つの筋は、先ほど来いろいろほかの参考人からもお話が出ましたように、金利が自由に決まるオープンな短期の金融市場を整備していくことが必要なのではないかと思います。BA市場というお話もございまして、私どもこれに反対ではございませんけれども、余り期待はかけられないかもしれませんが、私どもとしては、どちらかといえば、TB市場というものが国際的な例を見てもこれを整備していくことが望ましいのではないか。そういうふうなことで国内が進展していくのにつれまして、その程度に応じてユーロの方は考えていくというのが大体の優先度ではないかと思うんですが、それを、じゃ、おまえ、いつやるつもりだと、こういうふうな御発言がありますと、その時期を明確に申し上げることはできませんが、とにかく手のつけられるもの、特に今の大口預金の自由化につきましては今からでもすぐ始めるべきなのではないか。そしてその市場の整備もできるだけ早くすべきではないかというふうに思うわけでございます。  以上でございます。

館龍一郎東京大学名誉教授

○参考人(館龍一郎君) お答え申します。  今、緒方参考人からもお話がありましたが、プログラムというときにいつまでにということ、ちょうどアメリカで預金の金利自由化を進めていく際にプログラムを決めたような形でプログラムを決めるということは不可能であるし、望ましくもないというように考えます。実際に自由化を進めていって困難が生じましたら、そこではスローダウンしていかなければならない、困難がなければスピードアップするというようなことが当然起こり得るというように考えます。そういう意味で完全な時間表をつくるというようなことは望ましくないというように考えております。  ただ、どこから手をつけていくかという点につきましては、これはおのずから順序が今や決まってきているというように考えておりまして、まず、既に自由化されているCDをさらに大口なものから小口のものへというようにCDの小口化を図って、そういう形で預金金利の自由化を進めるというのがごく自然な方法で、そして普通の預金についても同じように、大口のものから小口の方へというように進めていくべきだというように思います。  で、小口金利の自由化というのが一番の問題になります。しばしば言われることは、郵貯との関係において小口金利の自由化は困難ではないかという、そういう問題の指摘がなされるわけであります。事実、郵貯が非常にリジッドな立場をとるという場合には、なかなか小口金利の自由化は難しい。そういう問題があることは事実だと思います。  しかし、郵貯の金利を基本的に規定するのは預託金利であります。預託金利は一方では国債金利と高い連動を示すわけでありますから、したがって国債金利が弾力的に変動するという状態のもとでは、郵貯があるから小口預金の金利自由化は絶対にできないというように考えてしまうのは誤りではないかというように思います。  ただ、一つ、小口預金についてまで自由化するということが適当であるかどうかという判断の問題が最後に残ると思うんですね。小口預金の預金者は、場合によっては金利が多少低くても安定している金利を望むということであれば、そういう場合には少なくともこの小口金利は自由化してもそう変動すべきではないといったような、そういう問題が最後に残り得ると思いますが、しかし順序としては、今言ったような順序で自由化を進めていくというのが適当な方法ではなかろうかと、こういうように考えます。  ほかの金利については、これは急速に自由化が進展していくというように考えております。  以上でございます。

柏木雄介東京銀行会長

○参考人(柏木雄介君) 私も、金利を含む金融の自由化というのは、一つの必然の流れだというふうに理解しております。日本経済の発展状況、成熟度、あるいは国債の大量発行の状況から見て、あるいは金融の国際化の必然性といういろいろなことを考えてみても、金融の自由化、金利の自由化というのは、やはり必然の流れというふうに理解していいと思います。  ただ、金利の自由化だけが先行するというか、それだけがひとり歩きするという問題ではなくて、金融の自由化、金融の市場の自由化、先ほど短期金融市場の問題が出ましたけれども、特に短期金融市場の整備というような、そういう面における自由化ということが非常に関連しておりますので、金利の自由化と金融の自由化とが並行して進められてしかるべきだと考えております。  この後の問題につきまして何らかのプログラムをつくってはどうか、混乱防止をするためにも、これが秩序立って行われるためには一つの展望、指針を持ってやるべきであるという点は、まことにごもっともだと思いまして、先般新聞にも大蔵省がそういうような構想を持っていることが報ぜられましたが、これはけだし当然だと思います。  ただ、ここで考えなければなりませんことは、先進諸外国の金融、金利の自由化を実施する際に、その国々の歴史や実情が違うというところから、それぞれの歴史、実情に応じた形で自由化が進められてきたということを記憶すべきだと思います。金融がその国の経済円滑化を目的とする限り、それはもうけだし当然だと思いますけれども、日本もそういう意味におきまして、この金利、金融の自由化という問題は主体的に、自主的に実情に応じて考えていかなきゃならないというふうに考えます。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 お三人の参考人のお説、まさに平常の形でいけば、私もそのとおりでなくちゃならないというふうに思うわけでありますけれども、今度の日米円・ドル委員会の問題というのは、むしろ問題は、アメリカの大きな焦りでもあるし、あるいはレーガン大統領のことしの選挙にもある程度かかっているということでありますし、またこの問題は、中曽根総理も、なるべく早く進めるべきだという意向を大蔵省の方に指示しているようでもありますし、そういう意味では、なかなか自然体でずっと進んでいくということにはどうもならないんじゃないのか、かなり早くこの問題を進めていかなくちゃならないというような政治的な要請、こうしたものを考えてもらわないといけないんじゃないか。  例えば金利の自由化問題というものも、これは随分前から実は叫ばれていたことでありまして、もう十年ぐらい前の国債の大量発行当時から、国債の管理政策としての金利の自由化ということが内部的には言われていたんですけれども、それが、今のお話の中で、金融秩序というものをかなり恐れていた、そういうことが非常におくらせてしまってきているというふうに私は感ずるわけでありまして、その点では、確かに常識的には、タイムテーブルというものを設けるというのはおかしいとは思うんですけれども、具体的にはブッシュ副大統領が五月には来ると言っているし、六月には恐らくサミットでこの問題というのが持ち出されるんではないだろうかというような問題もありますし、それはただ単にアメリカだけの問題ではないし、ECの方からも、今までは、かなりECと日本との貿易的なインバランスが言われていたわけでありますが、どうも金融的な方面にも最近はECの日本に対する要求というようなものが出てきそうだということになりますと、どうも余り自然の成り行きだけに任せておけない。  そんな感じを私は持ったわけでありまして、その意味では、タイムテーブル的なものもある意味で念頭に置いて進めていただかないと、また政治面から大きな摩擦の波が押し寄せてくるんではないだろうかという感じを持っているから、そういうことを申し上げた次第であります。  それから緒方参考人にお聞きしたいんですけれども、率直に言いましで、ユーロ円の存在というのは二つの要素がある。それは国際的に円が使われることによって向こうにたまるという問題と、あるいは国内のいろんな金融規制、こういうものから逃れていきたい、そして自由な金融市場の中で利殖なり投資なりということを考えて海外へ出ていくというんですが、日本のしきたりを逃れるというんですね。この辺がまた自由化の一つのポイントになると思うんですけれども、そういう出ていかなくちゃならないようなしきたり、そういうもので、それによってどのぐらい出ておるかということは、既におわかりでないというお話がありましたから、金額的にはわからないと思うんですけれども、例示的にはどんなものがあるのか、その辺の問題が国内におけるところの自由化の一つの大きなきっかけでもあるような気もいたしますので、具体的にどんなことか例示的にお話をいただきたいと思います。

緒方四十郎日本銀行理事

○参考人(緒方四十郎君) お答えいたします。  これはユーロ円だけじゃなくて、ほかの通貨にも、例えばユーロ・ダラーとか、ユーロ・マルクとか、ユーロ・スイス・フランとか、要するにその国の通貨がその国の外で取引されている、あるいは残高として持たれているのがございますので、それが起こっておる原因はすべて共通なので、その共通な面から申し上げますと、ユーロ・カレンシーと申しますが、そういうふうなユーロ円なりユーロ・ドルなりユーロ・マルクが生ずる原因は、国内に金利規制のある国がありますと、例えばユーロ・ドルも、アメリカには最近まで金利規制がありましたから、そこでアメリカよりは高く預けたい、アメリカよりは安く借りたいということから外にユーロ・ダラーというものが発展したわけで、そういう金利規制が一つの原因。  それからもう一つは、どこの国内でも、日本ではそれほど比率が高くありませんが、準備預金率というのがございます。これが国内の預金だとかかるけれども海外ではかからないというので、海外の方がそれだけ金融機関のコストも少なくなるものですから、それが一つのユーロ・カレンシーの誘因になっておる。  それからもう一つは、日本などもそうですが、国内の場合には預金について源泉徴収税がかかる、利息にですね、それが外だとかからないというようなことで、外にその通貨を持とうとするというような原因があるというふうなこと。それが各国大体共通のユーロ・カレンシーが外にできてきた理由でございます。  日本の場合もほぼ同じと思っていただけばいいんですが、その中で例えばすべてをやめるわけにはいかないんですね。例えば今、例示として金利規制と準備預金と源泉徴収を申し上げたんですが、恐らく源泉徴収とそれから準備預金というのは国内には残るだろうと思うんですね。そうなりますと、結局、私どもが可変的にユーロ円に、何といいますか、影響できるところは国内の金利規制の観念だと思いますね。ですから、国内の金利規制が緩和していけば、ある程度までその部分のユーロ円というか、ユーロ・カレンシー要因は本当はなくなるはずなんだろうと思います。現に今ドイツ、つまりユーロ・ドイツ・マルクが、最近のドイツの中央銀行の説明によりますと、一時非常にふえておったんですが、ふえ方が少し落ちついてきているわけなんです。それはもちろんいろんな理由があるんで一概には言えない。マルクが一時弱かったからマルクを持つ人が減ったこともあるんでしょうが、ドイツの中の自由化が進んだためにわざわざ外に持たなくなった面もあるんではないかと思うんです。これもまたどの部分がどうかということは申し上げられません。  以上でございます。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 館参考人にお伺いしたいんですけれども、今後の金利問題、特に一般国民の金利選好というのは非常に強くなってきていると思うんですね。  最近、証券会社あるいは銀行を通じていろんな形での金融商品が出てくるということも、庶民も幾らか高い金利を得たいという、そういうところがいろんな金融商品を開発せざるを得ないという要請になってきていると思うわけです。そうしますと、先ほどの郵便貯金との関連というのがまた一つ出てきそうな気がいたしまして、かつて郵便貯金にうんと資金が集まったというのも、二年くらい前にはありましたけれども、定額貯金制度ですか、去年はむしろ逆に郵便貯金には金が集まらなくなってきたというのは、新金融商品等々の関係があるんではないだろうか。こんなふうに私なりに考えるわけでありますが、そうしますと、政府資金の金の集めどころというのが今後非常に制約を受けてくるんではないだろうか。こういうことになりますと、政府資金の金利の問題も出てくるでしょうし、その規模の問題というものも当然出てくるんじゃないだろうか。  そうしますと、どうなんでしょうか、これからの財政投融資を含めて、国債の問題もそうでありますけれども、その辺に大きな制約というようなものが出てくる、だから財政投融資などもここで事前にある程度洗い直してみる。例えば、今まで政府資金でやっていたお金をあるいは民間資金で相当貸して、金利部面とかその他の条件はこれは何らかほかの形で対応するというふうに、国の財政投融資のあり方も相当変えていかないと、これからの国内の金融情勢と対応できなくなっていくんじゃないか。一方では国債の借りかえの問題とか、何かそういう問題も大きく出てくるということになりますと、これは私どもとしてかなり真剣に財政投融資問題というものの洗い直し、見直し、こうしたものをしなくちゃならないんじゃないのかなという感じがしますが、この点について先生のお教えをいただきたいと思うんです。

館龍一郎東京大学名誉教授

○参考人(館龍一郎君) お答えいたします。  最近、郵貯の伸びが鈍化してきたにつきましては、今御指摘のとおり、一つは、新しい非常に有利な金融商品が開発され、国民の側で金利選好が非常に高まっておる、それを受けて有利な金融商品が開発されたということが一つであります。  それからもう一つは、限度が三百万円というように限られておりまして、貯蓄をした経済主体は無税の範囲で次から次へ有利なものを選択していくことになりますから、最初は仮に銀行で三百万月、仮ですが、仮に三百万円、それがいっぱいになりますと郵貯のところで三百万円、これがいっぱいになりますと国債で三百万円、そういうように枠に応じて税制との関係で移っていくと思います。  そういうことから申しまして、郵貯が非常に伸びたのは、一方で民間での限度枠が使われて次に選ばれるという、そういうことから郵貯が非常に急激に伸びたと思います。それから階層的にも郵貯に貯蓄を行う人々の所得が急速に伸びていった。そういうことが主要な原因になって郵貯が急速に伸びていって、それにグリーンカード問題のようなことがありまして郵貯が急激に伸びたわけでありますから、したがって従来のような郵貯の増大が起こらないということは、ある意味から言えば当然のことではないかというように考えているわけであります。  ところで、郵貯を原資とする財投について申しますと、御案内のように、財投機関の融資につきましては、大変いろいろな問題といいますか、余資が出てしまうというような問題もあったわけでありますし、外から見てみますと、むだと思われるような投資が行われるというような批判もなされてきたわけであります。したがいまして、財投につきましては、財投のあり方について見直しをする必要があるということは御指摘のとおりではないかというように考えますし、例えばアメリカなどでは財投機関からの貸し出しは、根っこからの貸し出してはなくて、保証とか保険とかという形で資金を貸し出すという、そういうもののウエートを高めているとか、あるいは最後の貸し出し、貸し手という機能に財投の役割を限定する、そういうようなことをやっているわけでありますから、そういうようなことを参考にしながら、財投のあり方は検討する時期に来ているというように考えております。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 もう一問館先生にお願いしたいと思うんです。  今度の日米関係だけでないと思いますけれども、これだけ、何といいますかね、日本の今までの金融秩序といいますか、銀行でも都市銀行、地方銀行あるいは信金、信組という形で一つのヒエラルキーというようなものができていた、こういうふうに思いますし、金利でもそういう形で国債が一番安い金利でという形での段階性ができてきたと思うんです。あるいは金融機関の中でも、証券会社とそれから銀行というものも今まではかなり画然と境ができてきていたわけでありますけれども、最近は証券会社が金融業務もやらざるを得ないというのか、やるようになってきた。京都信金と大和證券の提携の問題とか、そういう信託分野を含めていろいろな問題が出てきた。  ということになりますと、この辺の今までの金融秩序というものは必然的にかなり大きく、仕事の分野といいますか、責任分野といいますか、そういうものはかなり大きく変えざるを得ないんじゃないだろうか。この辺は今までの金融秩序の中で大変革を考えなくちゃならないし、その中で弱い金融機関というのは、今までは大蔵省の保護のもとにかなりのんびりと仕事をしていたわけでありますけれども、恐らくそういうこともできなくなってくるだろうということになると、この金融機関の整理統合、あるいは場合によれば倒産ですね、そうしたものも今後はかなり出てくるんじゃないかと、こう思うんです。  こういうものもある程度は自然体にしておかないと、またその辺を大蔵省が何らかの形で下支えをするということになりますと、また古い形へ戻ってしまうんで、その辺はむしろ自然体で整理さるべきものは仕方なく整理されるというような形、あるいは吸収合併すべきものは吸収合併していくという形でもう少しこれを整理をされていかないと、先ほどの自由化の問題等も、実際はうまくいかなくなってくるというふうに考えるわけでありますが、その辺の今後の金融界あるいは証券界の再編成といいますか、そんなことはどうなんでしょうか。かなりドラスチックにやらざるを得ない時期に入ったんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

館龍一郎東京大学名誉教授

○参考人(館龍一郎君) 将来を見通す問題でございますので、大変難しい面がございます。しかし、金利が自由化されればそれに応じて当然金融機関の利ざやは急速に縮小していく、そしてその利ざやの縮小をすべて金融機関の効率化によって吸収し得るかと申しますと、なかなかそのすべてを金融機関の効率化のみによって吸収するということはできないだろうというように私は考えます。したがいまして、金融機関の一部が非常に困難な状況に立ち至ってくるということは、これは避けられないというように考えます。さらに、新しい金融商品が開発され、そして預金者であるとか投資家の利益を中心にして考えていきますときには、さしあたりは専門金融機関の周辺領域を中心にして相互乗り入れというのが進展してまいりますが、やがてはそれだけでは対応し切れないという状態になってくるのではないか。  そういう意味では大変大胆に将来を予測させていただきますと、専門銀行主義等によって、専門主義によって守られている垣根はどうしても低くなっていかざるを得ないし、そういう制度の検討もやがて必要になってくる。それも意外に早く必要になってくるのではないかというように私自身は考えております。  しかし、その場合でも一番最後に残るのは、証取法六十五条の証券と金融との垣根の問題は一番最後の問題になるのではないか。これは御承知のように、アメリカでもちょうど日本の六十五条に相当するグラス・ステイガル法の規定がございますが、この点だけはこの金融変革の過程でもそのまま残されておるということを考えますと、この点については、非常に近い将来にその点まで同質化が行われるとは考えておりませんけれども、その近くまでは非常に急速に同質化が進展し、そしてその間での競争が激化しますから、したがって先ほど申しましたような状態で、結局、金融機関の整理、統合ということがある程度進まざるを得ないし、それに対する条件を整備していくということが、私が先ほど条件の整備が非常に重要であるというように申し上げた内容でございます。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 柏木参考人にお伺いしたいと思うんですが、先ほどの柏木参考人の御意見、全くそのとおりだというふうに思うんですけれども、柏木参考人もかつては世界をまたにかけて大蔵省の顧問として、財務官として御活躍をなさった御経験があるわけでありますから、    〔委員長退席、理事大坪健一郎君着席〕 その辺の御経験からしまして、今、国際的なIMFだとか、あるいはアジア開発銀行だとか、そういうところを通じて日本の投資資金を途上国に回して、そちらの経済的な発展を願っていくということは、私どもとして当然だろうと思うんですが、なかなかその辺が、例えば世界銀行の割り当て等について、これは前々からアメリカあたりは自分のシェアを少なくしたくないということで、人が、特に日本なんかが多くしようとすると、これに対して反対を唱えるわけです。  今度も何か日本がこういう事情でありますから、シェアを大きくしようということになると、何かアメリカが妨害しているということを新聞紙上で我々は拝見するんです。これは私は日本人としてちょっと——なぜか。我々が開発途上国に援助をし、日本が貿易国でありますから、特にそうした国々との今後のいろんな経済的な交流を図るということは非常に重要なことで、日本のある意味では国の生命にもかかわる問題ですから、私は当然こういうことをすべきだと思うんですが、アメリカがいつも妨害するというような感じなんですが、こうした問題については、私はもっと強く言っていいと思うんです。柏木さんも今までの御経験の中から当然言っていいと思うんですけれども、この辺の問題はもう少し国際的に解決できないもんだろうかということを私はいつも疑問に思うんです。いかがでしょうか。

柏木雄介東京銀行会長

○参考人(柏木雄介君) お答えいたします。  私も、今お話がありましたように、大蔵省におりましたときに、日本の国際的地位の上昇が国際機関における地位に反映するように随分努力をし、かなりの成果が上がったかと思いますけれども、今お話のようなせっかくIDAですか、第二世銀に対する拠出を日本が思い切ってふやしたということの代償になるのかどうか知りませんけれども、世界銀行における地位も第二位まで上げるという話し合いができたやに聞いております。これはもし日本の経済力が国際社会における、自由社会における第二位ということならば、けだし当然だろうと思います。それがもし、新聞の報ずるところによりますと、なかなか最近になってせっかく決まった話も実現しないということになれば、これこそ最も強く日本として主張してしかるべきことだと思います。これは世界銀行の問題だけではなくて、IMFの場においても、あるいはその他の国際機関の場においても、日本はいろいろお金は出させられる、経済援助のみならず、出資金その他の形でいろいろお金を出すんでありますけれども、発言力を確保するための地位ということになると、必ずしもそれに即応するものが得られなくて、それを得るためにずっとそれこそ私の大蔵省在職時代以来続いて努力が重ねられて、その一環として今度やっと世銀がということが、それがこれもだめになれば、これこそ日本として大いに憤慨して強く要求していいんじゃないかと思います。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 ありがとうございました。  終わります。

多田省吾公明党・国民会議

○多田省吾君 参考人の皆様には、本日はお忙しいところを本当にありがとうございました。  私は、最初に緒方参考人に御質問したいと思います。  前川日銀総裁は、新聞等によれば、二、三日来、日米円・ドル委員会の進展等と絡んで、基本的には国内金融市場の諸規制の自由化を先行させるべきであって、海外のユーロ円取引の自由化が先行するのは適当ではない、こういう御発言をなさっておられるわけです。  で、先ほどから緒方参考人も、国内の自由化が先決でそれをユーロ円に及ぼすべきだ、こういうお考えをお述べになっておられます。    〔理事大坪健一郎君退席、委員長着席〕  しかし、この金融・資本市場の自由化ということは、アメリカから外圧が急速に加わってこのようになったと思いますけれども、もう後に引けない状況でございます。我々も、前々から国内金利の自由化ということは口では言っておりましたけれども、なかなか進んでおりませんでした。その国内金利の自由化のおくれが、今日のような外圧になってあらわれたのではないか、このように思われます。で、急速に今度は国内金融の自由化を図りますと、いろいろな混乱も生ずるおそれがある、引くに引けないという状況でもあるし、大変な事態でございます。  で、緒方参考人においては、こういうときに当たりまして混乱を生じないために、どのようなお考えでやっていけばよろしいのか。ユーロ円に及ぼすのは国内の金利の自由化を図った上だ、こうおっしゃるのは正論としても、それが現実にはそういう余裕がないのではないか、こういうことにもなりますが、その辺のお考えをお尋ねしたいと思います。

緒方四十郎日本銀行理事

○参考人(緒方四十郎君) お答えいたします。  私も外圧がかなり強いことは十分存じております。それからまた今まで外圧で事が動くのは日本国民としては非常に不愉快なんですが、私どもの歴史を顧みてみると、外圧でかなり動いたことがあることも認めざるを得ないということでございますので、今のようなアメリカからの要求に対応するには、まず国内的に自立的にではあるが、この機会をとらえて、今お話のございました今までややおくれがちであった金利の自由化を早めることが一つだと思います。  それからユーロ円の問題につきましては、これは私どもも今回の日米交渉の当事者でございませんので、ややアウトサイダーとして申し上げるわけでございますが、振り返ってみますと、ユーロ・カレンシーについてのアメリカの立場というのはしばしば変わっておるわけなんですね。  昭和三十七年ごろ、ユーロ市場が確立いたしましたころには、ユーロ・ダラー市場というのは非常に迷惑だということをアメリカの当局が言っておったわけなんです。  ところが、その後説が変わってきて、ユーロ・ダラー、つまりユーロ・カレンシー、日本で言えばユーロ円に当たるものをアメリカの当局が是認するようになったのは二つ理由がございまして、一つは、そのころ、アメリカの国際収支がベトナム戦争後、非常に赤字が大きくなりまして、黒字国にドルがたまりますと、黒字国がアメリカに対して金兌換請求をいたしまして、当時はまだ金ドル本位制でしたから、アメリカの金保有がなくなってくる。それで、最後にはニクソンショックになったわけですが、その前の過程ではむしろユーロ・ドルがユーロ・ダラー市場にある限り、民間部門のドルであるから、公的当局のドルでないから、金兌換請求がないから、むしろユーロ・ダラー市場にあった方がいいんじゃないかというふうな是認論が一つ。  それからもう一つは、ケネディ政権からジョンソン政権にかけまして、アメリカの国際収支を直すためにアメリカ自身が為替管理みたいなことをしたんです。名前は自主的海外投融資抑制計画とかいうんですが、ちっとも自主的ではないんで、その為替管理をやった。にもかかわらずアメリカの企業の海外投資はそのまま放置しましたので、アメリカの企業は国内からは持ち出せない。しかし投資をしなきゃいけないということで、ユーロ・ダラー市場で資金を大量に調達したためにユーロ・ダラー市場が非常に大きくなったという経緯があるわけ。  ところが、そういうことで今度はユーロ・ダラー市場についての考え方が、アメリカはすっかり是認論に変わったのかと思いましたところ、今度は昭和五十六、七年ごろですか、ユーロ・ダラー市場という主権のない市場、つまりユーロ・ダラーだけでなく、ユーロ・カレンシー市場という国外にできた主要国の通貨の市場というものの場合には問題があるんじゃないかということを言い出しまして、そしてアメリカの当局はそのころ私どもに対して、なぜじゃユーロ市場ができているかと言えば、先ほど竹田委員の御質問に対してお答えいたしましたように、一つは預金準備率が国内にはあるのにユーロには預金準備率がないからだとして、そこで各国ともユーロの預金に預金準備率をかけて、そして国内と同じ規制をしようじゃないかということを言い出したのが、実はアメリカ当局なんでございます。これは法律的に非常に問題がありまして、預金準備率というのは国内にある店舗にしかかけられないわけです。  私はそのころ日本銀行の使いとしてアメリカに対して、あなた方の問題意識はわかるし、非常に憂慮していることはわかるんだけれども、現実論として、また法律論としてなかなか実行不可能なことを言ってるんじゃないかということを議論したことがあるんです。ところが、今度現政権になりますと、今度はユーロ・ドルはほうっておけばいい、アメリカにユーロ・ドルがあるんだから日本にユーロ円があっても当然だと。こういうふうな立場をとっているわけでございまして、私ども中央銀行に奉職する者として長い目で国際金融市場を見てくる者からしますと、何といいますか、非常に考え方が変わっておるのにやや戸惑いを感ずるわけです。  しかも私どもの相手先であります連邦準備制度の人たちには私と同じような、何といいますか、心配を持っている人もおるんですが、残念なことにこの人たちは別に円・ドル委員会には入っておらないという状況でございまして、ですから私は外圧の強いことは認めますが、言うべきことは申した方がいいのではないかということを考えます。  それからまた、外圧ですべての手続を早めるときも、そのときに慌てて順序を崩しちゃいけないと思うんですね。順序はやっぱりちゃんと持っておった方がいいんじゃないかということをつけ加えたいと思います。

多田省吾公明党・国民会議

○多田省吾君 緒方参考人にもう一点お尋ねしたいんですが、アメリカは本年の四月九日に公定歩合を〇・五%アップいたしまして、八・五%から九%という措置をとったわけでございます。このアメリカの金利動向に対しまして、どのような御判断と見解をお持ちでございますか。

緒方四十郎日本銀行理事

○参考人(緒方四十郎君) アメリカの金利がこのところやや強含んでおるのには幾つかの理由があると思います。  一つは、アメリカの景気が予想以上に強いことだと思います。というのは、昨年の年末ごろは、アメリカの景気はそろそろ鈍化し始めた、したがって鈍化し始めたからむしろ長生きするというのが通説だったわけですが、この第一・四半期の暫定推定値は年率で実質成長率が七・二%ということになっておりまして、あるいはこれが上方修正される可能性もあるというふうにさえ言われております。そういうふうに景気が強い。そうしますと、去年の今ごろはアメリカの景気が強くなっていることにもろ手を挙げてみんな世界じゅうが喜こんだわけですが、今度は既に強い上に強くなるとやや過熱になるんではないかという懸念がある。それが第一の点でございます。  第二の点は、物価でございますが、物価そのものはかなり安定しておるんです。もちろん年末から春先にかけまして天候要因で、例えば燃料であるとか、食料品とかいうものが上がりましたけれども、基本的には上がっておらないんだけれども、今やアメリカの製造業の稼働率がたしか八一%に達しておるという状況になりますと、こういうような状況だと企業としては値上げをしたくなるような雰囲気になっておるというふうなことで、インフレはまだ再燃はしていないのだけれども、インフレが起こるかもしれないという懸念が一つあるのが第二点。  それから第三番目には、先ほど申し上げましたように、先般来ドルが下がりました。ドルが下がりますと市場はドルが下がる。そうすると、これはほかの条件をひとしくすれば物価の面では物価を上げるように働く、つまりインフレ心理を上げるように働くのではないかということが金融市場の心理となって、そちらの面からも金利を押し上げる要因が出てきた。  そして今度は四番目には、先般来の、先般来といいますか、ここ二、三年の米国の金融政策等、つまり連邦準備制度理事会の金融政策を見ておると、非常に慎重だから、こういうふうに景気がかなり強いあるいは強過ぎる、そしてインフレの懸念もあるいは起こるかもしれないというときには、むしろ連銀は恐らく引き締め政策をとるのではないか、あるいはとっているのではないかというふうな、何といいますか、ある解釈及び期待感、心理が広がっておる。  それからもう一つは、連銀自身もそういう期待、いろいろな今申し上げました景気だ、物価だ、あるいはドルだ、それからそういうふうな市場心理だというものが重なって、市場の金利が上がっておるのを容認しておるというふうな状況であったわけでございますが、市場金利をこういうふうに上がるのを容認しておきますと、どういうことが起こるかと申しますと、市場金利の方が連邦準備制度の借入金利、公定歩合より高くなってしまうものですから、連邦準備制度に借りに来る人が多くなってしまうということになりますと、どうしても公定歩合を若干上げて調整しなければいけないということで調整したわけでございます。  したがいまして、現在の状況から見ますと、アメリカ側は今回の公定歩合引き上げを余りドラマタイズしない、何といいますか、市場追随なんだということを非常に述べております。これは二つ理由がある。  一つは、ことしは大統領選挙という難しい年でございますので、今のようないろんな事情でやや締まる状況が必要だけれども、それをわざわざ問題化したくないという気持ちが一つ。  もう一つは、第一・四半期の七・二%という高度成長は続かないんじゃないか。既に例えば失業率の下がるのがとまったというふうなこともございますし、それから三月の住宅ですか、割と悪い数字が出ておるというようなこともございますので、四—六月以降はやや鈍化するんじゃないかというようなこともあって、今度の公定歩合の引き上げについて余りこれが政策的な対応だというふうな説明はしておらないわけでございます。  しかし、そうこう申しましても、一言先まで申し上げれば、当面アメリカの金利は、何といいますか、強含み横ばいなのではないかというふうに思われます。これが強含みでなくなる可能性は、景気が鈍化するかどうかにかかっておりますし、それからもう一つは、インフレがひどくならないかどうかにもかかっておるということではないかと思います。  以上でございます。

多田省吾公明党・国民会議

○多田省吾君 最後に緒方参考人に一点だけお伺いしますが、日本の消費者物価、また卸売物価は大変安定しているわけでございますが、マネーサプライを見ますと、昭和五十九年二月では対前年同月比伸び率が七・八%、非常に高水準でございまして、十四カ月ぶりに高くなったと言われておりますが、これが物価の上昇、インフレにどう及ぼしていくのか、日銀ではどのように判断されているのか、要点で結構ですからお伺いしたい。

緒方四十郎日本銀行理事

○参考人(緒方四十郎君) 簡単にお答えいたします。  現在の国内経済のだんだんと回復してきた状況等から見ますと、現在の水準は許容し得るかなり上限のところではないかというふうに感じております。つまり前のようにまるきり安心はしていない。しかし、そうかといって、ここでマネーサプライが伸び過ぎたといって騒ぐほどの段階ではない、こういうふうに思っております。

多田省吾公明党・国民会議

○多田省吾君 ありがとうございました。  次に、館参考人にお伺いしたいと思います。  今、借換債、それから期近債の消化が当面大変でございますが、これが金融自由化に与える影響度についてどのようにお考えがお伺いしたいと思います。  それからもう一点は、大蔵省でまとめられました「金融自由化の展望と指針」というものを新聞報道等で見ますと、相当な項目になっておりますが、これも大量の国債の満期を迎えるときでございまして、漸進的、段階的だといっても相当これは早く進む、または進ませられるおそれもあります。館参考人は、先ほど混乱を生じさしてはならないと、こういうお話でございました。そのとおりだと思います。アメリカは急速に預金金利の自由化等が進んだわけでございますが、相当混乱もあるようでございます。ヨーロッパのような段階的な自由化が望ましいという声もありますが、その辺のお考えをお尋ねしたいと思います。

館龍一郎東京大学名誉教授

○参考人(館龍一郎君) お答えいたします。  借換債と期近債が非常にふえてくるという点と、それが金融市場に与える影響と申しますか、自由化に与える影響の問題でございますが、借換債が大量に出てくるということは、これは非常に大きな影響を金融市場に与えるかと申しますと、余り大きな影響は与えないだろうというように考えております。  と申しますのは、一方で従来の国債の支払いが行われているわけでありますから、マクロで見る限りそれを消化する財源があるわけで、資金があるわけでございます。したがって、主に問題になりますのは、支払いを受けたものと実際に借換債を引き受けなければならないものとの間の乖離がある。そこでの調整の問題がありますが、しかし非常に大きく見ればそれほどの問題にはならないというように考えるわけであります。  影響といたしまして、もう一つ問題なのは、期近債がだんだんふえてまいりまして、そして期近債は自由金利ということになりますから、したがって、金利の自由な短期の国債がふえてくると、こういうことであります。短期国債とやや違いますのは、短期国債を新しく出す場合には、税制上の優遇措置が恐らくそこにもかぶってくるということになりますが、期近債についてはもう発行後年月がたっておりますから、税制上の優遇がありません。したがって、短期国債の新規の発行とはやや性質は違いますが、しかし、そこで短期の国債が自由金利で多数存在するということになりますと、これと直接、間接民間の預金等との競合というのが起こってくることになると思います。  間接と申しますのは、そういう期近国債を対象とした投信とか、それを組み入れた投信というようなもので有利な商品を開発するということができるようになりますと、そういう商品と預金等とが競合するということになって、その結果、全体として直接、間接の競合関係が激化されることになりますから、したがって、その面で、短期金利の自由化には強い圧力として働いてくることになるだろう、こういうように考えるわけであります。  それから「展望と指針」につきましては、私も新聞紙上で報道されている以外に承知しておりませんので、自信を持ってそのことについて申し上げることはできませんし、資格もないわけでありますが、先ほども申し上げたことでありますが、ある程度プログラム、これはタイムスケジュールを含まない順序としての、どういう順序で自由化を進めていったらいいかという意味でのプログラムはつくられる方が、全くそれがない場合よりも混乱を回避するのに役立つのではないかというように考えますので、そういう意味から申しますと、「展望と指針」のようなものが示されていくということは望ましいことであるというように私自身は考えております。  ただ、それがプラスの面を持ちますが、そういうものが出たからといって、先取り的に余り急に事態が進展しますと無用の混乱が起こるということもないわけではございません。日本人は、どうしてもそういう展望が示されますと、所得倍増計画以来、倍増計画が示されると倍増以上になる、あっという間になるというところがございますので、そういう問題がないとは思いませんが、全体としてはプラスの方向に働くと思います。しかし混乱が全く起こらないわけではございませんので、先ほども申しましたし、恐らく「展望と指針」の中にも入っていたかと思いますが、セーフガード、預金保険制度であるとか、そういった面での制度について早急に、セーフガードの制度を急速に整備していく必要があるというように考えております。

多田省吾公明党・国民会議

○多田省吾君 館参考人にもう一点だけお尋ねしたいと思いますが、先ほどから混乱を生じないように国内条件の整備が大事だと。環境整備だと思いますが、特に郵便貯金問題あるいは中小のいわゆる弱小金融機関を重視して対策を立てなければならないという問題だと思いますが、先ほどからの御説明で、大体私もお考えを聞いておりますが、その他に何か注意しなければならない点がございましたならばお述べいただきたいと思います。

館龍一郎東京大学名誉教授

○参考人(館龍一郎君) 具体的な対策といたしまして、一応預金保険制度だけを私、挙げましたけれども、御承知のように、昭和の初めから日本の金融制度としては有担主義が原則としてとられてまいりまして、それが最近になりますと、有担主義がいろいろな面で転換社債とか、あるいは個人の消費者金融というようなところで有担主義が徐々に緩和されてはきておりますが、従来から有担主義が基本原則であるという考え方が守られてきたわけでありますが、国際化が進展しますと有担主義の原則を守り続けることはできないということになってまいると思います。私は、必ずしもその有担主義には賛成というわけではないんでありまして、無担であってもいいんじゃないかというように従来から考えております。  ただ、有担主義の原則を離れる場合にはそれだけ危険が多くなるわけでありますから、一般の投資家に投資というものはリスクが伴うものである、そういうオンリスクで投資をしなければならないものだということを徹底させていくということがまず必要であります。  それから一般投資家に対して情報を十分に提供するというシステムをつくるということが必要であります。そういう意味で格付機関とか、それも単数でなく、できるならば複数の格付機関があって、競争的に正確な格付を行っていくというような制度が整備されるということが非常に望ましいというように考えておる次第でございます。

多田省吾公明党・国民会議

○多田省吾君 ありがとうございました。  柏木参考人にお伺いしたいと思います。  一点は、現在の一ドル二百二十五円という為替相場について、日本の実力から見まして十分反映されているとお考えかどうか、その辺お伺いしたいと思います。  それからもう一点は、アメリカの高金利を我が国はもっともっと強く批判すべきだと思いますが、いかがですか。  それから第三点は、アメリカは日本に金融自由化の外圧を加えて円高を誘導しようというもくろみもあるようでございますが、果たして今回の金融自由化の進展につれて円高がどの程度になるかどうか、その辺お尋ねしたいと思います。

柏木雄介東京銀行会長

○参考人(柏木雄介君) お答えいたします。  今の一ドル二百二十五円という相場が果たして妥当なものかどうかという点でございますが、御承知のように、相場というのは市場で決まるわけでございまして、市場における売り、市場における買いの国会いの結果ある相場が出るという意味におきましては、現在確かに二百二十五円が市場相場であるというわけでございます。その意味においては適当な相場であるかと思いますが、しかし、先ほども申しました日本の経済成長力あるいは日本の商品の国際競争力、日本の国際収支の黒字の傾向、いわゆる日本のファンダメンタルズの状況からすれば、この二百二十五円というのは、日本の現在の力を十分に反映したものではないというふうに私どもは理解いたしております。  これは現在の変動相場制のもとにおいて必ず適正なる水準が生まれてくるということで、それが期待されて、恐らく七三年ごろ移ったわけでありますけれども、現実の変動相場制の状況を見ますと、必ずしも市場相場が今のファンダメンタルズを反映しないようになってきておる。これは一つには緒方参考人からもお話ありましたドルがなぜ強いんだといういろいろな要因があるかと思います。あるいはドルが強い結果として円が弱くなっている。殊に有事に強いドルというか、あるいはアメリカの景気が先行してよくなっている関係からくるドルの強さとか、いろいろあると思います。しかし、この二百二十五円は日本の状況から見れば円が安過ぎるということで、これは今後自由化、国際化が進む段階において少しずつ調整されていくんではないかと思います。ドルが急落するというようなことは恐らくないんじゃないかと思います。  それからアメリカの高金利を日本がもっと批判すべきじゃないかという点でございますが、これは日本のみならず欧州各国とも一緒になってアメリカの高金利政策を批判しているものだと思います。殊に、アメリカの高金利がただに資金を引っ張り出して持っていってしまうというだけじゃなくて、それが例えば景気の回復をおくらせる結果にもなるし、また発展途上国の負担を過大なものにしているというようなことも言われまして、この高金利を早く是正してほしいということ、これはもうバイラテラルにもいろいろ言っているでしょうし、国際会議の場でたびたびこういう主張がなされているように聞いております。ただ、日本だけの問題ではなくて世界の問題として、日本からも機会あるごとにアメリカの高金利を批判すべきであろうと思います。  それから日本の自由化、国際化というものがアメリカの外圧によって進むのか、あるいはむしろ日本の中にある要因によって進められるのか。私はむしろどちらかといえば後の方の関係で進むべきものであるし、進むだろうと思いますが、それは将来に向かって円をさらに強くする要因を含んでおると思います。日本の円というか、日本の通貨というものが国際的にもそれだけ評価が高まれば、円に対する需要もふえ、日本に対する投資もふえ、それでその結果としてより強い円が実現していくということだろうと思います。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 既に指摘されていますように、金融の自由化、国際化は避けられないということですが、ただ残念なことは、現在のはもう御指摘のように外圧によるもので、しかも性急に進められようとしているという点であります。しかも、その背景にはシティーバンクなどアメリカの大銀行の戦略が見え隠れしているという点で、こういう点で緒方参考人にお伺いしたいんですが、これらアメリカの大銀行は、日本の巨額の企業年金資産などの運用に参入して収益機会を広げようとして虎視たんたんとして、それで日本の金融市場をねらっているんじゃないかという指摘がされていますし、これはレーガン政権が大統領選挙を前にして東部金融界の支持を取りつけるために日本への市場開放を押そうとしている。こういう動きについてどうお考えかというのが第一点であります。  それから第二点は、ユーロ円市場の拡大など、金融・資本の自由化による内外の資本の流出入によって、我が国の金融政策の有効性が著しく損なわれる危険性が出てきていると思うんですが、これに対する対策はどうであるかという点であります。  それから柏木参考人にその関係でお伺いしますが、こういう資本の流入流出両面を促進する効果が今回のユーロ円市場の拡大にあると思うんですが、これが円相場にどういう影響を及ぼすか、こういうような点についてお伺いしたいと思います。  まず緒方参考人にお願いします。

緒方四十郎日本銀行理事

○参考人(緒方四十郎君) それではお答えいたします。  第一の問題でございますが、特定の例えば今御指摘になりましたシティーバンクとか、特定の金融機関がどういう戦略があるか、それが米国の政府とどういう関係にあるかにつきましては、私どもも余りよくわかりませんが、米国の銀行が、あるいは米国の証券業者が非常に仕事を広げる機会をねらっておることは、これはもう当然だろうと思いますので、レーガン政権の配慮の中にはそれがあるであろうことは間違いないのではないかと思います。ただ、個別にどの程度の結びつきがあるかについてはわかりません。  それから次に、内外資本流出入の激化による金融政策の有効性の制約でございますが、これはまさに御指摘のとおり、ただ有効性という点からいきますと、昔、日本がもっと小さくて、そして金融・資本市場が封鎖的であった方が日本銀行としてはやりやすかったことは事実でございますが、しかし、もうそういう時代でなくなったわけでございますので、このような時代に対してどうしたらいいかということになりますと、結局、私どもの面での国際協調ということを通じてやっていかなければならないんではないかと思います。私は、現に毎月スイスのバーゼルにあります国際決済銀行に参りまして、主要十一カ国の総裁会議に前川の代理として出席いたしておりますが、そういうところでの話を通じて、こういうふうな内外の資本の流出入が激化する中での金融政策をお互いに話し合って、それを参考にしながらやっていく。だから、前よりは難しいが、それに直面していかなければいけないというのが現在の姿だと思います。

柏木雄介東京銀行会長

○参考人(柏木雄介君) お答えいたします。  ユーロ円市場が拡大したからすぐそれが円高につながるのかという御質問かと思いますが、ユーロ円市場が直接円高あるいは円安につながる問題ではないと思います。これは短期的に申して、市場が拡大したから急に円の買いがふえるとか円の売りがふえるという問題ではなくて、この問題はより長期的に見ていく必要があろうかと思います。  長期的に見た場合には、先ほどもちょっと申しましたように、日本経済の実力というかファンダメンタルズの強さというものがより評価されていく、ユーロ円市場の拡大を通じて日本の実力というものが評価されていくということになれば、それによって、ドル運用しておった資産が円運用資産に切りかわっていくという過程において円高がもたらされていくということも事実であろうかと思います。  したがって、長い目で見れば、日本の市場の自由化、国際化というのは、今のユーロ円市場の拡大も含めまして日本の円高にも寄与していくものだろうと思います。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 もう一点、柏木参考人にお伺いしますが、先ほどお話がありました途上国の債務累積問題であります。これは一昨年、国際的な信用秩序を大変揺るがす危機的状況になったわけでありますが、先ほどお話しのように、ここに来て表面上鎮静したかのように見えるわけで、またそういうお話も出ました。ただ、私は一昨年の秋メキシコヘ行きまして、ちょうど銀行国有化宣言の後でして、あのメキシコの状況を見まして、例えば失業が四〇%、五〇%という日本じゃ考えられないような状況を見まして、本当にこれはどうなっていくのかということを感じて帰ってきたんですが、これは鎮静化したように表面見えるだけであって、危機は潜在化しているんではないかという点を考えざるを得ないんです。その辺の状況をどうお考えか、そして真の解決のためには何が必要かという点。  それからもう一つは、IMFの条件というのは、ああいう途上国の実態に合わせてみますと、大変必要以上の苦痛を与えているんじゃないかと思うんですが、その辺の状況について知らせてほしいと思うんです。

柏木雄介東京銀行会長

○参考人(柏木雄介君) お答えいたします。  債務累増問題が一息ついている、まだ基本的解決まで至っていないという点は、まさにそのとおりだと思いまして、今、鎮静はしているけれども、決して安心はできないというふうに思っております。メキシコの事件以来、世界景気はかなり回復してきましたし、これがまた回り回って発展途上国に大きないい影響をもたらしていることは事実だと思います。それからここのメキシコの場合を初め、非常に困ったケースの場合でも、国際機関あるいは政府、民間銀行、それから債務国自体の協力によって、それぞれ救済措置がうまくとられたということも鎮静化に非常に役立ったと思います。  しかし、基本的には、基本的解決というのは、一つは、今のこういった関係者の間の協調が今後も持続するということ、必要なときには、政府も、国際機関も、銀行も、救済の手を差し伸べるという必要性があるかと思いますけれども、一番基本は、何といっても、債務国自体が自助努力によって自分の国の経済の調整を図っていくことで、その場合に、IMFがその融資につけている条件が非常に重きをなすわけでありますが、今のお話で、そのIMFがつけている条件が過酷ではないか、過酷なものがあるじゃないかというお話でありますが、これは債務国とIMF、IMFの裏にはもちろん主要先進国の意見もあるわけですけれども、話し合いによってこの条件が決まるわけでありまして、国によっては、将来に大きな政治、社会的な問題を残し得るものもあろうかと思います。しかし、そこは行き過ぎにならないように、経済再建に必要なるものを要求するということでありまして、これは国によって、ケース・バイ・ケースに判断が行われている。国によって随分条件が違うのでありますけれども、今のところ、IMFがやっているやり方というのは非常にうまくいっているんだろうと思います。  しかし、確かにいろんな国において問題が残っていることは事実であります。全部の国が問題あるというんじゃなくて、例えばメキシコあたりはかなり改善されておりますけれども、改善されない国につきましては、今後とも危機的様相が再び再現することがないという保証はないと思います。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 じゃ、時間が来ましたので……。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 時間がございませんので一つずつお尋ねをしたいと思います。  まず緒方参考人にお尋ねをするんですが、アメリカの人と議論しておりますと、我々はアメリカの高金利を非難しますし、アメリカの人は日本の低金利政策を非難するという場合が割合に多いように私承知をしているんです。このドルの過大評価というのをアメリカの目から見てどう考えるかと考えてみますと、アメリカの有権者から見ますと、ドル高というのは海外旅行をすると品物が買いやすいわけですからちっとも困ったことではない。政府はどうかと考えてみると、先ほど柏木さんがおっしゃったように、この膨大な財政赤字というのは基軸通貨国としてのいわば寄与である、機関車国の役割をしているんだということもありましょうし、その相当の部分を占める軍事費については、あにアメリカのためのみならんやという気持ちがあるものですから、さほどそこで切実にこれを縮めようかということも働いてこない。ところが、その結果としてアメリカの高金利が続いてまいりますと、アメリカの主たるマーケットである南アメリカを考えてみると、累積債務を抱えてみんなよたよたになるということになると、アメリカもそちら向けの輸出が減る。一方では他国からの輸入がふえる。貿易収支は、アメリカの有権者とすると非常によくわかるんですね、失業率になってまいりますから。そこで何とかしなきゃいかぬという課題を今アメリカ政府が抱えていることは間違いないと思うんです。  そこで、日本からの資本流出ももっと自由にしてもらいたい、でき得べくんば日本のマーケットに入って商売をさしてもらいたい、こうなっているんですが、日本の高い貯蓄率の中で、日本は今まで資本流出を規制しながら低金利政策をとってきたという彼らの一方的な認識からしますと、今あれこれ言っているんだけれども、要するに、日本の金利をアメリカの金利にさや寄せをしていくようなことをアメリカは考えているんだろうか。この点、御所見ございましたら伺いたいと思うんです。  それから館参考人につきましては、国際化について当然必要なことであるけれども混乱があってはいかぬというお答えでございました。一つ具体的な例でお尋ねしたいんですが、為替取引について、一応原則自由の法律にいたしました。その翌年でしたか、例のゼロクーポン騒ぎがありました。いかにもあの法律を通しておいてぶざまなものだという話なんですが、ゼロクーポンのようなものも考えてみると、あり得ることなんだということで構えていくのが本来の国際化だろうと思うんですが、あの場合に、ゼロクーポンは大蔵省の方が差しとめをして急場をしのいだということはやむを得なかったんだろうか。ああいったことも当然甘受していくのが日本の国際化ということではなかったんだろうかということについて御所見を承りたいと思います。  それから最後に柏木参考人に伺いますが、先ほど、よくドルの暴落ということが世上言われておりますけれども、まあないでしょうというお答えがございました。なぜないとお考えになっているのか、その点お尋ねしたいと思います。今のアメリカの景気の過熱というのはどこから見ても不健全そのものでありまして、それからいくと、ドルがやがて暴落するんだろうかという予測が立つんですが、もし暴落しないとすると、有事に強いという面が非常にきいてくるんだろうか。もしかすると、アメリカの有事に強い軍事力というのがあるからドルは暴落をしないというストーリーになってくるんだろうか、この辺の御所見を伺いたい。  以上です。

緒方四十郎日本銀行理事

○参考人(緒方四十郎君) 私からまずお答えいたします。  アメリカは、日本の金利がアメリカの高金利にさや寄せすることを考えていろいろ主張しているのかという御質問だと思います。  まず第一に、そういうさや寄せ論が前あったことは事実です。この議論は今のアメリカの財務省が言っておるのかどうか私わかりませんが、そういうことを言っている人の議論は、日本が完全に資本の流出を自由にしてしまえば、やがて金利が上がって日米が同じになるだろう、こういう論法だと思うんです。しかし、それは理屈はそのとおりなんですが、その間にどのくらいの時間がかかるのか、その間にどれだけ円が下がってしまうのかということを考えると、非常に非現実的な議論であります。つまり為替相場に影響を与える資本移動の量と、日本の金利水準を引き上げるほどの影響を与える資本移動の量とは大違いでございまして、ちょっと動いても円が下がるわけですから、完全にさや寄せするためには物すごく円が一遍下がらなきゃいけないという自己矛盾になって、何らこれは対策にならないわけです。  しかし、第二点として、今回のは完全なさや寄せではないが、日本にもっと円建ての金融商品ができて、アメリカ人を初めいろんな人が投資できるようなものをつくってほしいという意味では、恐らく、現状においてはアメリカの金利が高いですから、そういうふうな金融新商品は上向きに自由化するでしょうから、そういう意味では日本の金利が上がることを理論的に期待していることにはなると思います。  しかし第三点に、そうはいっても、そういうことで若干日本の金利が上がっても、アメリカの高金利が変わらないと金利差はそれほど違わないんじゃないか。したがって今の円・ドル相場の最大の問題は、自由化の問題よりも、本当は先ほど来繰り返し出ておりますアメリカの高金利の方が問題なんではないかということを申し上げたわけです。

館龍一郎東京大学名誉教授

○参考人(館龍一郎君) それではお答えいたします。  大変厄介な問題でございますが、私は原則自由の立場に立った以上、本来それは差しとめるとか、そういうような措置を講ずべきものではないというように考えております。  主に問題はどこにあったかと申しますと、税制上の扱いとか、そういう国内政策がこの問題について錯誤を多少していてその影響を正しく判断していなかった、そういうところに問題があったわけであって、必要なことは国内でそういう錯誤に基づいたような政策がとられないように気をつけていくということが基本であって、自由化の方はそのまま進めていくというのが望ましいというように考えております。

柏木雄介東京銀行会長

○参考人(柏木雄介君) お答えいたします。  ドルの暴落はないじゃないかというのは何が根拠であろうかという点でございますが、ドルに対する信認が急速に低落して一斉にドルが売られていくという状態があれば、その結果ドルが当然暴落するはずじゃないかという点でございますが、まず有事に強いドルということで、ドルが非常に強いのは何もアメリカの軍事力だけの問題を言っているだけじゃなくて、アメリカの経済力というか、世界一大きい経済、しかも総体的に自給度の高いアメリカ経済に対する信認というのはそう急速に変わらないんじゃないかというふうに思います。ですから、有事に強いドルという問題は最後まで残る問題である。  それからもう一つは、ドルを売ってじゃ何にかえるかといった場合に、外貨準備だけで申しましても、恐らく世界の外貨準備の八割近いものがドルになっている、そのドルをほかの通貨にかえようと思った場合に、円にするとかマルクにするとかいわれてみても、その受け入れる方が、緒方参考人おられましてあれですけれども、ドルから急に円にかわっていった場合に、それがまた非常に大きな混乱を生ずるということから、そう簡単にいくものではないんじゃないかというふうに思いますので、そういう意味におきましてもなかなかドルの急落というものはないんじゃないか。  それから、さらにドルを支えている高金利、これもそう急に下がるということも考えられないし、ドルを支えているもう一つの柱の好景気の事態、目先そう急に悪くなるというめどもないというようなことから、私は今のところ、ドルの急落というのは一部の方が言っておられますけれども、それはそうじゃなくて、むしろこれから予想される、むしろドルがあるいは少しずつ弱くなる、それに対して円が少しずつ強くなっていくということだろうと思います。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 ありがとうございました。

青木茂参議院の会

○青木茂君 三つのことをお伺いいたします。  まず第一点は、緒方先生にお願いをしたいんですけれども、先ほど外圧という言葉が出たんですけれども、どうなんでしょう、事、経済の問題に関して、日本とアメリカのそれぞれの思惑というのはもう少し長期的に見る必要がないかどうか。 例えて言えば、ちょうど徳川幕府の譜代大名と外様大名に対する政策のように、日本の場合はアメリカに対して譜代大名だと思っているけれども、アメリカが日本を見る目は実は外様大名ではないか。そうしますと、日本の経済が余り大きくなって幕府以上になってしまうことはアメリカ自体として長期的に見て好ましいことではないんではないか。そうすると、円・ドル関係でもむしろドル高、円安の基調と申しますか、ドル高、円安で日本の輸出条件が多少よくなってもこれは政治的に抑え込める、しかし、日本はどんな条件下でも輸入はせざるを得ない宿命を持っている経済なんですから、ドル高、円安を基調にして輸入条件を悪くした方が逆に日本経済の伸びというのを、長期的に見て、少し抑え込めるんではないかという思惑が長期的にアメリカに働いておるとするならば、私は何かドル高維持がアメリカの基本政策になりまして、日米の金利差というものはそう大きく縮まってこないんではないかという感じを持っておりますけれども、この感じに対する御見解を承りたいということでございます。  第二点は、館先生にお願いしたいんですけれども、これはもうお教えをいただきたいんですけれども、アメリカの財政赤字ですね、財政赤字がドルの高金利に結びついておる。これは単純な図式で、財政赤字であればドルの威信が低下をいたしまして、まあ品質の悪いものはおまけがたくさんなければ買ってやらないぞというようなことで、おまけという意味で高金利の方向に動いているという図式が中心と考えていいか、何かもっとほかに大きな理由が経済学的にあるのかどうかという問題をお教えいただきたいと思うわけでございます。  第三に、関連いたしますけれども、柏木先生に、何か余り評判のよくない人らしいんですけれども、フェルドスタインですか、この人は、アメリカの財政赤字がひどくなってくればドルが過大評価されて輸出産業に非常に打撃を与える、そうすると、財政赤字の吸収策としてはもうインフレ化というのかな、通貨供給量を膨らましてインフレをつくっていく以外にもう財政赤字の吸収策はないんだというような見解がひそかにあるように聞いているんですけれども、これは一体本当かどうか。またそういう方向にアメリカの経済が流れるかどうか。  この三点についてひとつお伺いをしたいと思います。

緒方四十郎日本銀行理事

○参考人(緒方四十郎君) お答えいたします。  まず第一に、日米関係を長期的に考えるべきだと、まことにそのとおりです。それは先ほどユーロ円の問題について申し上げましたように、アメリカの意見もくるくる変わるわけですが、中央銀行に奉職する者としては、もっと長い目でものに対処していきたいと思います。  第二に、譜代か外様ということですが、私はそう外様ではないんじゃないかと思うんです。なぜかと言えば、昨今の世界景気の回復状況を見ますと、そういうことを言ってはなんなんですが、率直に言って、世界の経済の中心は太平洋地域に移っておるということはヨーロッパの人も認めておる。そういうことでヨーロッパをばかにしちゃいけませんけれども、そういうことが現実であることはアメリカもよく知っておると思うんで、それだから日米関係が大事だし、それだからまたフリクションが多いんだと思います。  それから第三点、ドル高を志向するのかどうかという点でございますが、アメリカの中も意見が分かれているんではないかと思います。私が会うような人たち、というのはつまり日米委員会に出てくる人ではないわけですが、そういう人たちは、こうした財政の赤字が続くと余りドルを安くするような政策ができないんじゃないか、つまりこれは議論逆ですね。財政の赤字があるからドルが高いんだということなんですけれども、財政の赤字がなかなか減らないとドルを弱くするような政策をとらないで、資本流入を図らなきゃいけないんじゃないかということを言う人がおります。しかし、その人たちは別にあの例の委員会に出ているわけではありません。委員会の方の人は、私なりに解釈すれば、恐らくこれは共和党政権で自由市場論者ですから、相場はしょせん市場で決まるものだ、これをつべこべ言うわけにはいかないが、日本円の場合には市場が完全でないから完全にしろと言っているんだと、こういう論法だと思います。  以上でございます。

館龍一郎東京大学名誉教授

○参考人(館龍一郎君) それではお答えいたしますが、アメリカの財政赤字は日本の場合と比べまして、アメリカの貯蓄との関係で非常に高い比率になっているわけです。日本の方がまだ貯蓄と財政赤字の比率をとりますと、はるかに低いわけであります。そこで大体金利の基本的な規定要因としては、貯蓄と投資の関係によって金利が決まってくるという面があります。財政の赤字はいわば投資に相当するわけでありまして、その貯蓄との関係で財政赤字の割合が非常に高いということが基本的にアメリカの高金利を呼び起こしているというように思います。そして、その高金利が資本の流入を呼び起こすことによってバランスが保てると、そういう形になっているものと理解しております。  以上です。

柏木雄介東京銀行会長

○参考人(柏木雄介君) お答えいたします。  今おっしゃったフェルドスタインというのは、恐らく経済諮問委員会の委員長をやっておられるフェルドスタインのことかと思いますが、彼は本当のエコノミストであり経済学者であり、どっちかと言えば政治家でない人が今、経済諮問委員会の委員長になっておるわけですが、彼の考え方というのは非常にオーソドックスな考え方をとっていて、現在のアメリカの財政赤字は決して放置すべきじゃない、具体的に増税とかあるいは歳出カットをどうするということまでは言っておりませんけれども、財政赤字の圧縮のために必要な場合には必要な措置をとるということを繰り返し言っておりまして、私の知る限り、この赤字をインフレで吸収したらいいというようなことは言ってないように記憶いたします、あるいは間違っているかもしれませんけれども。むしろ、本来の歳入の増加あるいは歳出のカット、繰り延べによって財政赤字の克服を図るべきであると。  フェルドスタインというのは、御承知かもしれませんけれども任期が八月末でありまして、九月になったらまたハーバード大学に戻ると言われております。したがって、彼はレーガン政権の中で非常に特殊な地位というか、独立した立場からいろいろレーガン政権の政策についても批判を加えておりまして、今の財政赤字問題については必ずしもリーガン財務長官と考えが一致しませんで、むしろ非常に批判的なことを言っております。

青木茂参議院の会

○青木茂君 ありがとうございました。

野末陳平新政クラブ

○野末陳平君 私は、お三方に同じことで教えていただきたいと思っているんです。  日米間は、農産物交渉の次はこの金融自由化だというのがもう常識になっていますが、その場合によく我々はどうしても外圧という言葉を使うわけで、農産物交渉の場合は外圧というと確かに農家に直接与える打撃のようなものが目に見えてきまして、これは時間がかかって、まさしく外圧に負けるな、頑張れというようなことも出てきますので、自由化はおくれているようですけれども、じゃこの金融の自由化もそれと同じように受け取っていいかどうかとなりますと、この場合、外圧という言葉はマイナスイメージがかなりあるわけですよね。だけれども、今の日本の置かれた立場から考え、将来を展望しますと、これはマイナス面よりもむしろプラスの面が大きいんで、積極的に金融の自由化をどんどん一日も早く進めていくべきだと、こういう考え方もあると思うんですね。そこで、そういう考え方と同時に、この金融自由化によるプラス面というのは、今後、具体的にどういうことがいろいろと考えられるのか、その辺のことを参考人の方一人一人にひとつよろしく御教示をいただきたいと思います。

緒方四十郎日本銀行理事

○参考人(緒方四十郎君) 私もそのプラス面は積極的に対応すべきだと思いますが、先ほども繰り返し申し上げましたように、物事には順序があるわけでございますから、順序は崩せないということでございます。  何がプラス面かと言えば、今のように二つのコクサイといいますか、国債の大量発行とそれから国際的な取引の進展という状況のもとにおいては、私どもの正面からいきますと、金利機能がますます活用されていくような場面がこの自由化を進めることによってできるのではないかということであって、昔のようにやや腕力的な規制でやる時代はもう過ぎておることは我々も気がついておるわけですが、それがますます金利機能を活用した間接的な金融——間接的と言うと表現悪いんですが、そういうふうな市場メカニズムを活用した金融政策を使えるようになるというのは恐らくプラスではないかと思います。  ただ、先ほど来お話が出ましたように、恐らく金融機関には大きな影響がいろいろあるでありましょうから、今からでも遅くはないので、金融機関の方々の意識をやはり啓蒙していかなきゃいけない面もあろうかと思います。  以上でございます。

館龍一郎東京大学名誉教授

○参考人(館龍一郎君) ただいまの御質問でありますが、自由化のアメリカ側からの要請の中には、本来、主体的に日本が進めるべきだった部分とそれからそうでない部分と二つの部分があるように思うんです。  それで、本来日本独自に自由化を進めるべきであった部分について言えば、これは外圧は実は外圧ではなくて、その自由化が促進されるという意味では大変望ましいことである、結果として言えば大変望ましいことであるというように私は考えますが、しかしそのほかの部分については私は多少理不尽であるというようにその要請の一部については考えております。  本来、相互関係、レシプロというのはお互いが内国民待遇を与え合うということであって、同じことをしろということではないはずでありますが、向こうが要請しているのは同じことをしろという意味のレシプロ原則を要求しているわけでありまして、その点については、私はそのすべてについてそのまま承諾する必要のないことであるというように考えております。  しかし、全体として混乱を避けながら自由化を進めていきます場合には、先ほど最初に申し上げましたように、いろいろの面でメリットがあるわけでございまして、一番大きなメリットをただ一つ挙げるとすれば、自由化が進むことによって国民が必要とする新しいニーズへの迅速な対応、その結果として金融機関による対応がなされるようになってくるということが一番のメリットではないか、こういうように考えております。

柏木雄介東京銀行会長

○参考人(柏木雄介君) お答えいたします。金融の自由化、国際化が一方において外圧によって触発され、影響されているということはもう事実であります。しかし、この問題はむしろ国内にあるいろんな要因から金融の自由化、国際化を進めるべき段階へ来ているという、その面の方がより重要であると思います。したがいまして、この問題に対する対処というのは、外圧をどう受けとめるかということよりは、日本の長い目での利益を考えて、日本の金融の自由化、国際化というものを手際よく順序よく進めていくことで、これにはぜひ日本が主体性を維持して自主的にやるということだろうと思います。

野末陳平新政クラブ

○野末陳平君 ありがとうございました。

伊江朝雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(伊江朝雄君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々には、長時間にわたり御出席を賜り、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十九分散会

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