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101回国会参議院1984/02/24

大蔵委員会 第4号

発言数
111
登壇者
13
会派数
8
開催日
1984/02/24

会議録

伊江朝雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  本日、杉山令肇君及び菅野久光君が委員を辞任され、その補欠として梶木又三君及び鈴木和美君が選任されました。     —————————————

伊江朝雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(伊江朝雄君) 租税及び金融等に関する調査を議題といたします。  去る九日の委員会におきまして、財政及び金融等の基本施策について竹下大蔵大臣から所信を聴取しておりますので、これより大臣の所信に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 大蔵大臣に聞くことではないかもしれませんが、最近の内外の経済動向、景気動向、こうした点について大蔵省としての考え方、これをお聞きしたいと思いますから、よろしくお願いしたいと思います。  まず、日本の現在の経済の景気動向というものを一体どんなふうにごらんになっているのか。今までとかく、日本の景気動向というのは、アメリカの景気動向に引かれて日本の景気動向が上向きになってきたんだ、こういうふうによく言われているわけですけれども、現在の状況は、日本独自で景気というのはもう上がってきているわけで、これからの日本の景気動向はアメリカの景気動向とは関連なしに上向いていくのかどうなのか、その辺のポイントを中心にお考え方を伺いたいと思います。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 我が国の経済は、まさにかつてのように、アメリカがくしゃみすれば日本が風邪を引くというような状態であるとは私は必ずしも思っておりませんけれども、米国を初めとする景気の回復というものと、いま一つは原油価格の下落、そして国内的な要因といたしましては物価の安定であろうと思うのでありますが、そういうことをもととして景気は着実に回復して、今後も国内民間需要を中心とした安定成長という方向をたどるであろう、概括的にはそういうふうに見ております。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 そうしますと、今まではアメリカの景気を非常に心配していたわけだけれども、今後はアメリカの景気というのは別にそう心配しなくても日本独自の方向で安定成長に乗る、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 米国経済が、今のところ、民間の住宅、そうして設備投資等で将来下降線を急速にたどることはないであろうという判断の上に立っておるわけでございますが、総合的に米国の景気動向とほとんど関係がないとは私は言えないと思っております。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 もう一つお聞きしたいのは、今のは全体的な景気動向でありますけれども、国内における景気というのは必ずしもまだ全体的にどこもここも景気がよくなってきたというような状況では私はないと思うんですけれども、例えば産業別に一体どういうふうにごらんになっているのか、あるいは地域別にどういうふうにごらんになっているのか、あるいは業種ごととか、そういうふうないろんな見方があると思いますが、そういう見方ではどういうふうに国内の景気をごらんになっておりますか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) いろいろな指標の問題は別といたしまして、私どもの方として生の情報といえば、財務局長会議あるいは財務局から上がってくる状態によって地域経済の方は見ることになるわけでございますが、竹田さん御指摘のように、ばらつきと申しますか、言葉の上では跛行性と言っておりますが、跛行性というのは差別用語じゃないかと言う人もおるものですから、私も使わない方がいいと思って、適当な言葉がございませんが、地域的なばらつきはまだある。それを一番私どもとして感じておりますのは、北海道と東京、そして大阪、その真ん中ぐらいが中京と、こういうような感じで見ております。  それから産業別におきましては、大企業と中小企業とに分けますと、御案内のように、中小企業はかなり設備投資意欲等は落ち込んでおった、しかしそれが逐次設備投資意欲が出てきたというような見方ではなかろうか。  それから産業別、業種別に今度は見てみますと、素原材料というようなところにまで景気回復の兆しが大きく浸透したと言えるようなところまではいかない、こういうのが概括的な実態ではないかと思います。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 それから米国の景気の方はどんなふうにごらんになっているわけですか。最近少しは円安傾向が直ってきているような気もいたしますし、あるいはアメリカの株価などは最近は少しダウンしてきているように思うわけでありますけれども、アメリカの景気は一体どんなふうになるんだろうか。今大変いろいろ言われているわけでありますけれども、暴落説というのがありますし、あるいは、いや、そんなことはない、ずっと伸びていくという議論もありますし、いろいろ言われているんですけれども、大蔵省としてはどういうふうな立場をおとりになっているのか。先ほどの日本経済との関連で考えてみなければいけない問題が出てくるのかこないのか。そうしたことがこの一年間の景気動向に非常に影響してくるであろう。特にことしは、アメリカはレーガンの選挙の年でもありますから、レーガンが引き続いて大統領をやるのかやらないのか、この辺でアメリカの財政運営自体がどうなるのか。こんなこともありますし、そういう点でどんなふうにお考えになっているのか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 総じて見ますと、アメリカの景気というのは、石油ショック後を見てみますと、マイナス成長の年もありました。したがって、総体的に見るならば、日本は、よかれあしかれ、三%台の成長を維持し続けておりましたので、この五年間をトータルすれば、恐らく一五%ぐらいの実質成長になろうかと思います。アメリカはもとより、総じてまだそれよりははるかに低い、恐らく三%台くらいであろうと思っておりす。しかしながら、八四年の経済見通しを見ますと、五・三%というようなことがアメリカ経済でも見込まれております。したがって、それから見ます限りにおいては、今日の景気がアメリカにおいても維持されるであろうということを期待する。およそそういう見通しを持っております。  一方、この間のレーガン大統領の年頭教書でも指摘されておりますように、大幅な財政赤字がインフレなき持続的成長の脅威となっておる、大幅な貿易赤字が成長の足を引っ張ると見込まれることなどが、懸念材料として公式に発表されておるわけであります。  そういうところから、通貨当局者の口からではございませんが、世にいわゆるドルの暴落説などというものが出ておるのではないか。しかし、当然のこととして二つの見方があるにいたしましても、ドルというものが今日の状態からして暴落するという説の根拠は一ますます貿易赤字が大きくなって、当然のことながら、ファンダメンタルズの大きな要素の一つである収支が悪くなれば暴落するというような見方でございますけれども、しかし、一方、それを相殺いたします金利問題等がございますだけに、私は、そういう恐るべき懸念は考えなくてもいいじゃないかというふうに考えておるところであります。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 アメリカの金利問題がどうなるかという問題がこれから当然あると思いますけれども、ことしじゅうにそれがあるかどうかはわかりませんけれども、恐らく八四年の貿易関係の赤字というのも相当ふえるんじゃないだろうか、一千億ドルぐらいにはなるんではないだろうかと、こういうことも言われております。それから財政赤字が非常に大きいウエートを占めていると思うんですけれども、これはどうなんですか、レーガンがかわる、かわらない、そういうことでアメリカの財政的な赤字というものは変化があるものでしょうか。それとも、レーガンになろうが、かわろうが、アメリカの財政赤字は財政赤字として、この八〇年代かなり続いていくものというふうに見るべきなんですか、どうなんでしょうか、その辺。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) これもレーガン大統領の教書にもございますように、日本の政府から発表するいわゆる白書とかいうようなものからすれば、国情の違いがありますからなじまないわけでございますが、大体八四年は、アメリカは、当初のレーガノミックスからいえば五億ドルでも黒字になっておるのに、我が国の仮定計算みたいな感じがせぬでもありませんけれども、それが千八百億ドルを超す財政赤字だと。それはなぜか。  国会が自分の歳出抑制に対していわゆる歳出圧力をかけて思うようにいかなかった。まあ幾らか開き直りでもございませんが、そういうようなお話もなすっております。それから一方、したがって減税をやったのも、それによって貯蓄がふえて、それが投資に回るだろうと思っておったが、それはどちらかといえば、消費に回って財政赤字が思うようにいかなかったから、したがって高金利は続いておるという。自分の政策が国会によって思うようにいかなかったと。まあ、ちょっと我々よう言えませんけれども、そういうふうな言い方をしておられるようです。  そこで、今度の教書を見てみましても、少なくとも今後一千億ドルの歳出削減をやるために超党派の——あすこは二つしか政党はございませんけれども、委員会をつくって、十二月ぐらいにその結論を出してもらおうというような提唱もなされておるわけであります。十二月になれば、それは大統領選挙が済んだ後でございますけれども、それにしても、そういうことは、この選挙の結果等を前提に一財政当局者が語るわけにまいりませんけれども、国会全体の中で超党派的な立場で財政削減等についていろいろ意見を出し合おうという空気はあると見なければなりませんだけに、私は、大きな政策転換がなされるであろうというようなことは考えの外に今日置いております。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 しかし、若干いろいろ言われておりますけれども、私は、そんなにアメリカの赤字がうまく解消されていくなどというふうには考えられないわけでありまして、恐らく相当程度の財政赤字というものはこれからも続いていくだろう。そういう事態の中でアメリカの景気というのが果たしてこれまでどおりに続いていくかどうかというと、私は非常に疑問に思います。どんな程度で、どんなふうになるかということは、これはよくわかりませんけれども、どちらかといえば下向きの方向に行くだろうと、こういうふうに思います。  大蔵大臣は、ことしのサミットにはいらっしゃいますか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 六月でございますから、政変等がなくて、私も健康状態がよかったら行くことになろうかと思います。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 サミットの議題というのは、これから恐らくいろいろ折衝されて決まっていくものだろうとは思いますけれども、しかし、アメリカのドル高はいま非常に国際的にも大きな問題だし、またアメリカの高金利もドル高を招いている非常に大きな原因だと思いますから、これは各国でもそうした問題というものは提起されてくるだろうと思います。特に日米関係というのは、この問題は大変大きな問題としてとらえなければならないと思うんです。恐らくサミットに出られることを考えられてこれからいろいろそういう準備をなさるだろうと思うんですけれども、その辺は、サミットにおいての位置づけというものを日本の大蔵大臣としては一つの議題にするつもりがあるのかどうなのか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) サミットというものはもともと、竹田さん御存じのように、大体経済サミットからやったものでございますから、そういう議題が中心課題になるべきものだと私も思っております。ただ、評論をすれば、だんだん政治サミット的な傾向は帯びておるといたしましても、ちょうど去年のところで、「我々すべては低いインフレ率を達成、維持し、かつ現在の余りにも高い水準にある金利を低下させることに努力を集中しなければならない。我々は、特に歳出の伸びを抑えることによって、構造的財政赤字を削減していくという誓約をここに改めて確認する。」と、こういう大変なものでございます。そして、「我々の政府は、低いインフレ率、金利の低下、生産的投資のより高い水準、及び特に若年層に対する雇用機会の増大」。これはヨーロッパ側が入れてくれと言って入れたわけでございます、あの「若年層」云々のところは。  いずれにしても、これを受けまして、私どもがときどき、回数にして今それでも三カ月に一遍ぐらいでございましょうか、大蔵大臣同士の意見交換をやっておりますし、もっと頻度の高いのが実務者——きょうも東京でアドホックグループの会合をやっておりますけれども、そういうものでいろいろ議論しておる。それをフォローしたものをどうせある意味において発表もしなきゃならぬということになれば、今からこういう議題ですと言うのは、首脳さんの会でございますから、我々家来が言っちゃいけませんけれども、おのずからそういうものは少なくとも経済サミットである限りにおいて出る課題だというふうに理解をしております。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 私は、今まで以上にことしのサミットでは大蔵大臣の出場所があるんだろうと、こういうふうに思うわけで、特にそういう意味では強くこの点は主張していかないとね。これは日本だけの問題でもないと思うんです。グローバルな問題にもますますなってきているわけでありますから、その点は特に強調してほしいと思うんですけれども、そういう動向と組み合わしていきますと、どうなんでしょうか、今の予算で行われている減税枠、あるいは今闘われている春闘、こういうものと日本の景気動向というのはもう関係ない、こういうふうに見ていいんですか。もう少しその辺は強めなくちゃいけないということに返ってくるかどうかということなんですが、その辺はどういうふうにごらんになりますか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 我が国の今御審議いただいておる予算等を作成するに当たってのベースとなる成長率等から見ますと、名目五・九、実質四・一ということでございます。したがって、私はその四・一%の実質成長率というものの見通しの上に立って申しますならば、今日の時点で財政が大きくこれに寄与する力は十全にはございませんだけに、財政金融等弾力的な対応の仕方によってはこの四・一%をより確実ならしめることはできるんじゃなかろうかというふうに思っております。ただ、減税については、したがって現状における精いっぱいの規模であるということを申し上げておるわけでございますが、春闘の問題になりますと、いささか民間関係の労使の間の自主的な解決にゆだねるべきものでありますので、財政当局者としてこれに対してコメントすることは差し控えなきゃならぬのかなあと、こういう立場でございます。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 私は、結論的に言いますと、まだ日本の景気というのは独自で回復しているというわけではないと思うんです。まだまだアメリカの景気動向との深い関連の中で回復過程にあるんだろうと、こういうふうに考えます。そういう意味で、アメリカの景気動向がどうなるか、その動きによってはあるいは日本の財政ももう少し景気動向を強めるような問題点、例えば減税幅をもう少し多くするとか、あるいは財政的な投資をふやすとか、そういうような面をもう少し考えてみなくちゃならぬ時期があるんではなかろうかと、こんなふうに私は考えております。  次の問題に移っていきたいと思います。  ことしも、先ほど申し上げましたように、日米の国際収支というものは、日本の対米黒字というんですか、これが多くなっていくだろうと、こういうふうに思いますし、それからアメリカの方の日本への要求というのも、考えてみますと、一体何を本当にアメリカは日本に望んでいるのかという問題点が必ずしもはっきりしないと思うんです。農産物のことを言っているかと思うと金融のことを言ってみる、そのうちほかのことを言ってみるという形で、必ずしも私は的確に当たってないような気がするわけですけれども、大蔵大臣として今のこの日米間の黒字・赤字の問題ですね、これを一体どういうふうにお考えになっているのか。アメリカの景気が今よくなっているから日本から盛んに売られて向こうへいくという循環的な黒字と考えておられるのか、いや、そうじゃなくて、もっと構造的なものにもう既になってきてしまっているんだ。そのいずれかという意味じゃなくて、お互いにそれはまじり合っているわけでありますけれども、その辺は一体どっちの方に重点があるというふうにお考えなのか。それによって対応が違ってくるんじゃないだろうか。こう思うんですけれども、どうなんでしょうか、大蔵大臣どういうふうにお考えでしょうか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 結論から申しますと、いわゆる収支じりにつきましては、これが構造的なものであるか循環的なものであるかということを断定することは、実際問題、難しい話だと思います。確かに御指摘のように、昭和五十八年は百八十二億ドルの黒字でありましたが、ここのところ三年間、毎年百億ドルを上回る日本側の黒ということになっておりますが、五十年には赤字であったこともございます。そういう意味においては、二国間の貿易というのは、結局、輸出入の特に商品構造とでも申しますか、そういう問題、それから両国の成長率の差、あるいは為替レート、そういう多くの要因が複雑に絡み合っておりますだけに、収支じりが構造的なものであるか、あるいは循環的なものであるかということを断定することは、二国間の場合非常に難しいと思います。  国民一人当たり所得が著しく高くても人口の少ない産油国、そういうところと二国間で考えますと、まさにこちらが輸出しようと思っても、そのマーケットは小さいマーケットでありますし、大変な原油をこちらがちょうだいしなきゃならぬというところは、初めからある種の構造的な問題と言えるでございましょうけれども、アメリカとの場合は、自由世界の中で一番と二番と、こういうことになりますと、構造的な赤字と断定することは難しいんじゃなかろうか。そういう意味においては、二国間ではなくグローバルに見て、二国間の貿易というのは、とにかく両国とも保護貿易主義の台頭を抑えて自由貿易の原則を貫く立場で対応していかなきゃならぬ。そこにいろいろな調整として今日まで、例えば自動車の自主規制にいたしましても、そういうものが一つの摩擦的現象の調整のためにあったというふうに理解をしていくべきではないかなと、そのような認識をいたしております。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 アメリカの輸出額というのが停滞しているということについて、最近こういうことを言っている学者が実はいるわけです。アメリカは多国籍企業というのを非常にたくさん持っている。日本もそういう点では多国籍企業化されつつあると思うんですけれども、その学者の計算でいきますと、アメリカの多国籍企業の在外小会社の生産総額がアメリカの輸出額の約三倍を占めていると。だから、アメリカという地図上の国から輸出されるものというのはだんだん少なくなってきている。むしろアメリカの在外子会社が、あるいはフランスでとか英国でだとか、そういうところで生産して売っている金額の方がはるかに多くなってきているんだ。だからドルという表示でアメリカの貿易を見るということになれば、これはとにかく金額が少なくなる。しかしアメリカに関連する企業の全体の合計というもので考えていけば、はるかにそれが多くなってくるんだ。だから、アメリカが赤字だ、赤字だと言って大騒ぎすること、何もそれを正当に相手にする必要はないんじゃないか。  こういう議論をする学者があって、私もある意味でなるほどなと。ドルで表示するからそうなるんで、SDRかなんかでグローバルに表示すればそういうことでなくなる。そういう意味で私は、最近のアメリカのこうした貿易赤字というもの、そういうものはむしろ構造的なものに変わってきているんじゃないか。そういうふう方立場で日本がアメリカの諸要求に対応していかないと、ドルの表示での問題で考えていけば、どんどん譲らざるを得ない。向こうのドルの輸出の額というのは相対的に少なくなっております。  こういう説をなす者があるんですけれども、そういう立場で今アメリカとの収支を考えてみる、あるいは経済的な摩擦というものを考えてみなくちゃならぬ、そういう時期に入りつつあるような気が私はするんですけれども、どうでしょうか、これは。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 私どもも収支バランスを見ますときに、年度が締まった後で、誤差、欠落と称して、日本ほど統計が正確でないというような点についての主張もしたりしたこともございますが、いまの竹田さんおっしゃった学者の意見というものは、私はあり得る意見だと思います。その点については吉田審議官が勉強しておりますので、私の能力を超えますからお答えをさせます。

吉田正輝大蔵省大臣官房総務審議官

○政府委員(吉田正輝君) いまの竹田委員の御質問にじかにお答えすることになるかどうかわかりませんけれども、一つのアメリカの貿易赤字の原因については、アメリカの経済諮問委員会が最近分析して出しております。大体千百億ドルぐらいが八四年の貿易収支の赤字だと言っておりますけれども、その一つは、ドル高のために競争力が低下したことである。このドル高要因で大体たしか五百億ドルぐらいという大胆な試算をやっておるわけでございますけれども、それからアメリカ自身が構造的に既に貿易分野では赤字を出す要因になっている。それが大体構造的な部分としては二百ないし二百五十億ドルぐらいある。  それからもう一つは、御承知のとおり、アメリカの赤字の要因の一つといたしましては、中南米諸国等の累積債務国、これには相当の輸出をしておるわけでございますけれども、そこの輸出が非常に純減せざるを得ない。たしかラテンアメリカ全体では、八一年から八三年までの間二百十四億ドル悪化したということなどを言っておりますから、それも一つの大きな要因であるということだと思います。  それから米国の景気回復が日本とか欧州よりも早目に進行している。したがって輸入が増大しているということでございますけれども、そういうようなことが大きな要因であるというようなことを言っております。  今の竹田委員のおっしゃっておられる点につきましては、私ども一つの学説としては大臣が言いましたとおりにあり得ることだと思います。例えば貿易収支上構造的に赤字要因になっているというようなところでございますけれども、在外子会社から輸入が行われているのじゃないかというような見方もあり得ると思いますけれども、これは別に学説的に裏づけられたものではありませんで、一つの想像としてはあり得ることではないかと思います。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 そういう意味で我々は今アメリカからのいろんな諸要求というものを考え直す、構造的なものとしてある程度考え直していかないと、ただ単に循環的なものとして見ていくということですと、結局次から次へと譲っていかざるを得ない。そういう事態に追い込められるのじゃないだろうか。私はこういうふうに思っておりますから、我々自体も少し観点を変えていかなくちゃいけないだろう、こういうふうに考えているわけであります。  それともう一つは、どうも日本とアメリカとが同じ型の経済になっているような気がいたします。例えばかつての日本は、品物を出して、そしてそれによって外貨を得て、今度は投資は向こうからもらうというような形で、製品の輸出国ではあったけれども資本の流入国であったということですが、最近は製品の輸出国でもあるし、同時に資本の流出国でもある。こういうことでアメリカの経済と日本の経済とが非常に性格的に似てきているということも大きく変わってきている点ではないだろうか。特にここ数年日本の経済体質そのものにもそういう変わり方が出てきているというふうに考えて日米の経済関係に当たっていかなくちゃいけない、こういうふうに思うわけであります。  ここで余り議論はしておれませんけれども、そこできのうあたりから開かれております日米の円・ドル委員会ですか、これは一体、きょうで終わるのでしょうけれども、どんなふうな状況に今後なっていくのでしょうか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 円・ドル委員会、実はきのうも国会がございましたので、私は八時半から夜十一時までしかおつき合い——おつき合いという表現はおかしいのですが、出かけておりません。中身を詳しく聞く今のところすべもございませんけれども、基本的には、この前レーガン大統領がお見えになりましたときに、とにかく私とリーガン財務長官との間で共同発表したそれに基づいて、円の国際化、自由化、日本のやるべきこと、またアメリカにもやってほしいこと、それの合意を見た、日本側で言えば八項目ぐらいございます、それがどういうふうに措置されたか。その措置された問題は、今国会で法律案等で御審議いただくような問題もございますし、あるいは既に一応の解決を見た問題もございます。なお検討中の問題も二つだけは残っております。そういうもののフォローアップをやると同時に、その間両国ともにいろんなほかの問題が提起されておりますので、そういうことについて専門家同士で話し合いを行っておる。  いずれにしても、これはどういうふうにこれから発展するかということになりますと、アメリカ側も日本側もでございますけれども、私とリーガン財務長官に報告書を出さなきゃならぬ。春ということになっておりますが、春といいますと四、五月ということになりましょうか。サミット前ということが私の念頭にもちろんございますけれども、その報告書だけは両国のために、今御意見を交えておっしゃっておりましたように、構造的に非常にかつてとは違って競合関係にある部分もたくさんございます。しかし基本的には資源、それに伴う原材料、それから土地など面積が広いだけにいわゆる蓄積の相違とでも申しますか、そういう基本的な問題はございますけれども、その中でお互いが摩擦を最も少なくしていく、相互理解というようなものをより高めていくという結果にはなりはしないだろうか。サミットのときは、これは二国間の問題でございますから、そこでその成果を発表するということには必ずしもなりませんけれども、二国間の問題としては、そういうときには当然それぞれの二国間の首脳会議も開かれるでございましょうから、私どもが報告を受けてさらに積み上げたものが一応首脳の間でまた話し合われるのではないだろうか。だから、やはり自由化、国際化の方向に逐次進んでおる。  たった一つだけ、私がきのう、ジョークでございますけれども、日本の経済を一番簡単に説明するならば、七六五披きの四三二一と覚えておればいいと、こう言いました。これは六ないし七%の名目成長率で、五がなくて、四が実質成長率で、三が消費者物価で、二が失業率で、一が卸売物価という意味で、若干ジョークを交えて七六五抜きの四三二一と、こう言いましたら、日本では四という数字はあんまりいい数字じゃないそうですねと言いますから、よく知っているなあと思っておりましたら、どうですか竹下さん、ウィズアウト・ファイブにしないでウィズアウト・フォーにしたらどうだ、四をなくされたらいいじゃないですかと。なかなか五%台の成長というのは難しいですよと私もそれに受け答えしておりましたら、より一層円が国際化自由化すれば五は可能じゃありませんかと。これはジョークでございますけれども、そういうような話の詰め方でこれからも進めていきたいものだと思っております。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 新聞報道によりますと、四月末にブッシュ副大統領がその方の担当の役割を兼ねて日本に来日されるという話でありますけれども、それまでにはこの円・ドル委員会の結論というものを出さなくちゃならないように追い詰められていく心配はないですか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) ブッシュ副大統領さんはただ金融・資本市場の問題だけでなく、両国間の問題すべてについての大将ということになっておるわけでございます。その意味においては、我が方では河本経済企画庁長官を大将にして対外経済問題をやっているわけでございますが、そのときまでにいろいろ議論をしてある種の合意したものをお互いが確認する。そして、将来の方向というようなものであって、円・ドル問題というのは何月何日までにできるという性格のものではございませんので、その意味においては、ブッシュさんがお見えになるときは一つの機会ではありますが、それで何もかにも解決するという性格のものではないのではなかろうか。それから円・ドル問題等でやりますと、いろいろ新聞紙上等に報ぜられておりますものの、個別案件というものは、両方の政府ということになりますと、個別案件として出していくという姿は比較的少うございますので、私はいろいろな問題がそれを機に一挙に解決するという性格では進まないんじゃなかろうかというふうに考えております。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 しかし相当程度のものは向こうも強く期待し、強く要求して、まあ言うなれば、レーガンの選挙運動にもこうしたものをやっぱり使っていきたいということになりますと、かなり強い要求になるんじゃないかということを考えているんですがね。  それから同時に、何もアメリカに言われたからやるという性格のものでは私はもちろんないと思うんです。しかし向こうの言っている中で、例えば円の国際化の問題だとか金利の自由化の問題だとか、こういう問題というのは、日本もこれだけの経済大国になってきますと、避けられない問題であることは間違いないと思うんですよね。  それから最近の日本の国内の新しい金融商品が出てくるというようなことを考えてみましても、アメリカの言っている日本の金融関係の過保護というような問題、こうした問題はこの際、かなり前向きに解決することを、アメリカから何か言われるということとは別に、日本独自としてその辺はやっていかなくちゃいかぬ。特に金利の自由化などという問題は早急に解決していかなくちゃならぬ問題じゃないか、こう思うわけですがね。その辺はどうお考えですか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 竹田委員御指摘の、日本の金融機関というのはいわば護送船団で守られているんじゃないか、こういうようなことは感覚的にはあり得ると私も思っております。  そこで相互理解を深めよというので、これも私がよく使う言葉でございますけれども、例えば銀行を見ますと、日本は相互銀行以上がちょうど百五十七ございます。これはたまたま国際連合加盟国の数と一緒だというようなことを冗談で私言っております。アメリカはちょうど今銀行が一万四千五百ございます。日本も、さはさりながら、一九〇一年、明治三十四年には千八百ぐらい銀行はございます。その後そういう歴史的な育ちの違いというものから見ますと、日本の方は、ある意味においては預金者保護、投資家保護、被保険者保護、これが絶対条件になっておるし、それからアメリカの方は自己責任主義、極端に言えば、おまえがあの銀行に預けておったから悪いのだ、あるいはおまえの経営が悪いから倒産したのだ。実際日本の銀行が倒れると思っておる国民はおりません。したがって貯蓄性向がアメリカの三倍ぐらいだと、こういうことは私が向こうに言う言葉でございます。それをたまたま今百も承知の日本人である竹田さんに言っておるわけでございますけれどもね。  それで、倒れたことないと威張っておりましたら、私のところへ銀行局から、いや戦前には例がありますと。これは私知りませんでした。これは訂正しなければならぬなと思っております。  そういうところにおのずからの土壌の相違がございますので、したがって、そういう土壌の中でそれがある意味においては護送船団的に守られておると言えるかもしらぬ。そうしてまた証券は証券、信託は信託、こういうような専門金融方式とでも申しますか、それが長い歴史の中で日本は定着しておる。そうしますと、究極的に議論しておりますと、おまえさんのところとうちと法律を皆一緒にしなければならぬじゃないか、世界共通銀行法にしなければならぬじゃないか、こういうような冗談も言いながら話しておりますが、そういう相互の土壌の相違というものの理解を求めていく。日本でございますと百五十七ですから、ずっと通達が行き届きますけれども、一万四千五百じゃ、なかなか通達も恐らく行き届きかねるのじゃないか。  で、十年間見ましても、二千銀行ふえて千減っております一方で、そういうふうな状態の相違があるだけに、相互理解を深めなきゃならぬということをまずベースで話はしますけれども、今御指摘のように、私も全く認識を同じくしておりますのは、世界二番目のGNP、金融市場でもそうでございますね。そうなりますと、それが円の国際化、自由化に背を向けておるようなことは、これはあり得べからざることになると思います。そもそも貿易自由化からやってきて、そうすればその次は資本・金融市場の自由化にこれは行くに違いない、これは必然的経路だと思うんであります。  そこで、言葉としては、おれの方は主体的にかつ積極的にこれには対応していくという表現を今使っておりますけれども、私は、今竹田委員御指摘のとおりの状態であるだけに、日本の国内の金融業界等々に対しましても、それに対応するある種の心構え、あるいはもっと勉強とか、いろいろなことがございましょうけれども、そういうことは大いに申し上げていかなきゃならぬ時代だ、またそれに対応する方そのものは日本にはあるんじゃないかというふうな考え方であります。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 時間来ましたから、お聞きしたいことはたくさんあるわけですが、あとは若干拾って御質問申し上げたいと思うんです。  この前の大臣の所信表明の二番日に、特に「インフレなき持続的成長の確保」ということをおっしゃっておられるわけですね。これを出された理由というのがどうも私わからないんです。何でこれを特にここで強調されているのか。一般論として当然インフレは困るというような意味ではどうもなさそうな気がする、わざわざここへ取り上げているわけでありますからね。今の物価の状況を見ましては、卸売物価というのはほとんど毎月毎月三角がづいているような状態でありますし、CPIの方も大体二ぐらいの数字でありますから、そんなにインフレというものを特にここでうたわなくちゃならぬという状況に余りなさそうに思うんですがね。どっかにそういう要因があるから、大蔵大臣はここで「インフレなき」ということを特に強調されたと思うんですが、それは一体どういうことなんでしょうか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) これは一つは私が引き続き大蔵大臣にとどまったということもあるでございましょう。それから内閣もかわらなかった。そうしますと、私ども国際経済社会の中で、あのようにしてウィリアムズバーグの声明、まさに「インフレなき持続的成長」ということにそれぞれ各国おのがじし精いっぱい努めようというのが最大のうたい文句になっております。それが私どもの頭の中にあることは、これは事実でございます。今おっしゃいますように、さはさりながら、消費者物価を見ても卸売物価を見ても、インフレというものに対する心配は余りないじゃないか。私もその認識はひとしくしております。  ただ、いま一つ、これは私見にいささかわたりますけれども、どうしても一〇%台の高度経済成長に我々の体はある程度なれておる。そうすると、ある種のインフレ期待感というものがないわけでもないだろう。そのインフレ期待感が場合によって調整インフレ等につながるようなことになったら元も子もなくなる。せっかく国民の英知と努力で世界で一番消費者物価が上がらない国になったわけでございますから、その形だけは基本的に維持しなきゃならぬという考え方が底意にあることは事実でございます。

竹田四郎日本社会党

○竹田四郎君 中期展望についてちょっとお聞きしたいんですけれども、仮定計算の数字であります。細かい点はお聞きするのをやめたいと思いますが、歳入の税収のところですね、これが五十九年度は七・一%の伸び、六十年度は七・二、六十一年度七・二、ずっと七・二になっているわけですね。確かに五十九年度は法人税がありますから、これで恐らく四千三百億ぐらいふえるだろうと思うんです。これは二年間の時限立法なわけですよね。そうすれば六十一年度は、約四千億でありますから一%ぐらい下がるべきじゃないですか。これを下げないでずっと書いてあるというのはどういうわけですか。二年という時限立法じゃなしに、それはずっと続けるという意味なんですか、どうなんですか。それでないと私はちょっとおかしいと思うんですよ。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 今の分にお答えいたしますと、制度・施策の時限の来たもの、あるいはまた公共事業等で何年計画の来たものというのは、将来の見通しの中で実態に近いものをつくらなきゃいかぬと思います。しかし、このたびの税収につきましては、結局、名目成長率掛ける十年間の平均値である弾性値の一・一、それを機械的に掛けたものでお示ししておるということでございますので、実態は御指摘のようにその考え方があの中には入っていないということでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 大蔵大臣は本会議での財政演説、それから本委員会での所信の中で、五十九年度予算においては「民間資金の活用等による事業費の確保」 「投資促進のための税制上の措置の導入」ということを言われているわけでございますが、「民間資金の活用等による事業費の確保」というのは具体的にどういうことを意味しているのか。それをちょっとお伺いいたします。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) これは原則は別といたしまして、御案内のように、公共事業関係費につきまして、とにもかくにも前年度を下回る水準、三角の二%ということでございます。それに対して、当然のこととして、それは景気の足を引っ張ることになりはしないかといういろいろな考え方にこたえるために、この公共投資が景気に果たす役割というものを考えるだけに、その事業費について少なくともこれを埋めようじゃないかというのが一つでございます。それが民間資金の活用によりまして前年度当初予算の事業費を上回ると申しますか、○・五%でございますけれども、水準を確保しておるわけであります。  それをさらに具体的に申しますと、一つは道路四公団の政府保証債、それから縁故債等による民間資金の活用。これは都市再開発予算をふやしております。その都市再開発の予算というのは、要するに、それに関連して起こるであろう民間活力によるもろもろの公共的事業の整備を誘発するという意味において都市再開発予算の拡充をいたしております。それからもう一つは関西国際空港事業団へいわゆる民間出資を導入いたしまして、これによってこれからスタートさした。これはすぐ大きな需要を直ちに呼ぶという意味ではございませんが、制度的にはそういう今申し上げたようなことが具体的な問題としてお答えになり得るのかなというふうに考えております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 五十九年度の税制改正で投資減税が行われる。初年度五百二十億、平年度六百億ということでございます。私たち公明党で主張しているのは、千五百億円程度やらないと、とてもではないけれども景気には難しいんじゃないか、そういうことで思い切って言ったわけでございます。これで果たして民間設備投資が政府計画のとおりいくのか。名目で対前年度比六・一%増と見込んでおられる、また実質で五・一%と見ておりまして、そして四十二兆九千億円、こういうふうに言っておるんですが、そこへいきますかね、投資減税がこれっぱかしで。その辺を私はひとつ聞きたいのです。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) あるいは事務当局から補足申し上げなきゃならぬかと思うんでございますが、投資減税の一つの見方でございます。実際問題として、企業経営者というのは、投資をする場合には、自分なりに先行きの見通しをつけて投資するわけでございますので、この投資減税の措置があったからやったものか、あるいはなくてもやったものか、非常に実際問題は選別しにくいものでございます。しかし、大筋として、投資減税というものがあれば設備投資を刺激するものであることは私も認めるわけであります。したがって、かれこれ議論をいたしまして、今度やったものが精いっぱいのものであるというふうに考えております。これが財政全体で見ますと、経済の成長に対しては中立的なものでございますが、少なくともかれこれ総合した中のプラス要因の一つではあろうというふうに御理解をいただきたいと思います。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 今言われた民間資金の活用と両方で私聞いてみたんですけれども、国の方が公共事業でマイナスになってくるから、縁故債、政府保証債という債券の増とか、関西空港のも仮称で出ていますけれども、これは大臣が言われたようにすぐに効果ないでしょうね。そういうことを言われましたけれども、今までも民間資金というものは確かに扱ってきているわけですよね。そういうことから考えると、私はそれは若干傾向としてはわかります。  事業費の確保と言われたので、恐らく去年の十月二十一日に政府が決めた「総合経済対策」、これの中の「公共的事業分野への民間活力の導入の促進等」ということですから、線引きの見直しをやるとか、あるいは公共的事業の官民協力ということの具体化による施策とか、そういうものが何か出るのかというふうに思っていたんですよ。その辺はどうでしょう。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) それが、先ほどちょっと都市再開発の予算をふやしたと言いましたのは、そういうことが起こる可能性のあるところ、都市開発によってそういう民間活力が起こるであろうという、いわば誘導的要素を持つという意味で予算をふやしたということを申しましたが、それを今早速やっておりますのが西戸山。西戸山の公務員住宅の建てかえをこの都市計画に合わしてやっていこう、これが第一号とでも申しましょうか、それから後第二号、第三号等、いろいろ今まさに鋭意検討という形でございますので、それと郡市開発等との結びつきで私は民間活力というものは出てくるというふうに思っております。  したがって、確かに予算面だけで見ますと、今までもおっしゃるとおり、道路公団も本四架橋公団も縁故債も入れておりますし、スイスの外債も入れておるわけでございますから、それをふやすことも事実でございますけれども、ふえた分だけはそれだけ事業量全体を補うことになりますものの、そのほかのいわば目玉というふうな形でよく説明しておったものは、都市開発の予算が誘発要因になって、事実西戸山で始まったようなものが所々方々で始まっていくであろうという期待をしておるということであります。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 恐らく国鉄の操車場用地だとか、いろんなことを言われますから、そういうところもあるでしょうし、私が言った線引きの見直しということになると、西戸山というようなぐあいじゃなくて、再開発というよりも、新規開発ということになってくるだろうと思うんですけれども、そういう点も考えに入れないと、せっかくの民間活力といっても、今は余裕があるように見えましても、景気がよくなってくると、資金的には足らなくなってくるということは目に見えていますので、そういう点もひとつ考えていただかなきゃいけないんじゃないかと思うんです。その点はどういうふうにお考えでしょうか。

平澤貞昭大蔵省主計局次長

○政府委員(平澤貞昭君) 各種規制をどう合理化し、あるいは緩和していくかという点につきましては、現在建設省におきまして真剣に検討しておりますので、そのうちに結果が明らかになると思います。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 私が言いましたら、大臣は、加速をつけるみたいな、引っ張り出すみたいな、そういう要因の設備投資の減税ということで投資減税ということがあったんですけれども、景気への寄与度はゼロであると、こういうふうに経企庁長官は言われているようでございます。  公共事業がマイナスの千三百五十四億、法人税の増税が四千三百億、両方がこれは足を引っ張るわけです。そこへたった六百億円ということで、これはほんのわずかじゃないか。恐らく私はこの景気への寄与度はゼロどころか逆になるんじゃないかというふうな感じがするんですけれども、どうお考えでしょうか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 全体で見まして、景気に対する寄与度が中立的なものであるということは、私もそう思います。で、所得税減税、それからいま御指摘になっておりました投資減税、それから物価の安定、そういうようなのがプラス要因になって、各種公共料金の値上げでございますとか、そうしたマイナス要因等もございますので、差し引き中立的役割は果たし得る。すなわち、そういうことがなかったとしたら、あるいは足を引っ張っておったかもしれないが、少なくとも足は引っ張らない形の予算である。だから、その弾力的執行等々によりまして、少なくとも、申し上げております四・一%の実質成長をより確実にならしめることが、私ども財政当局者のまた責任の一つではないかなと思っております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 大蔵大臣は、今度、所得税・住民税の大幅減税と、こういうふうにおっしゃっておられますけれども、反面、酒の税、物品税はほぼ同額の大幅増税、ほとんど変わらない金額でございますから、まあとんとんみたいな感じがするんですけれども、片方、大幅減税ということになると、逆に大幅増税というのが一面あったというふうに言えるんじゃないか。減税は確かに経済の活性化ということについては好ましい影響が出るでしょう。しかし、今回の場合の、これから提案されてきますけれども、所得税の課税最低限の税率を見ても、いままでの一〇%から〇・五%アップの一〇・五ということになってきますと、その点は果たして活性化になるのかなというふうに思えたんです。そこへいま大臣のお話があった各種公共料金の値上げということになりますと、国民生活は防衛的にならざるを得ない。そうすると、景気の大きな要因である個人消費を伸ばすということは大変できないということで、景気の足を引っ張るんじゃないかというような感じがして仕方がないんですけれども、その点はどうお考えでしょうか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 結局、いわゆる所得税・住民税の減税があります。それに今指摘なさいました問題がある。最低税率一〇%から一〇・五に上げたという問題を御指摘になりました。これは、税調の答申を見ますと、世界的に見て、最低税率は低過ぎるし最高税率は高過ぎる。中堅階級を大体主眼に置いてその税率構造を見直せということになりますと、私は最初一一とか一二とかで計算してみました。その中で、例えばひとり者の方で何か自営業をしておる、何の控除もないというような人について、ある時点において一〇・〇を一一にしましても、ごくわずかな人数でございましょうけれども、実質増税になる人がおる。だから、それはいけないというので苦心をしましたのが一〇・五。そうするとだれしも増税になる人はいないということになるわけでございます。課税最低限が上がっておりますから、したがってそういうふうなことになるわけでございます。  だから、所得税減税というのは、これはプラス要因につながるだろう。そこで今度は、いわゆる酒税等々が価格に転嫁されますですね、それの物価上昇分、あるいは公共料金の値上がり、それはどういうふうにして計算するかというんで、結論から申しますと、一つ一つが家計に影響を与える数字、それを組み合わしてみますと、私手元にその資料はございませんが、これは総合してプラス要因になるという結論に、一応説明のできるだけの資料ができたわけでございます。いずれ法案審議なり等のときには、それらを提出して御議論いただかなきゃならぬ問題だなというふうに考えております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 今の公共料金の物価に対する寄与度の問題、こういうのは今後の問題ですので、きょうは取り上げていきませんけれども、大臣に率直に伺いたいことは、今の税制は公平税制になっているのか不公平税制になっているのか、どちらでしょうね。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 公平税制か不公平税制か、これは税法を立案し国会で協賛を得てそれの執行の任に当たる私としては、これはもちろん公平でございますと、こう言うのが当然でございましよう。  そもそもが、公平感というのは人それそれによって違います。確かにお互い人間でございますと、自己中心的不公平感というものが間々ありがちでございますけれども、しかし、世に言われる不公平感というものが私はないとは思いません、率直に。不公平感というものはあると思うんです。じゃ、どことどこが不公平かと言われると、それは私からお答えする能力を持ちませんが、不公平感というものがあるということだけは私も同じように認識しておるつもりでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 それは立場上確かに、現行税制が不公平だなんてことは、これはおっしゃれないことはわかるわけでありますし、不公平感があると非常に正直な御答弁があったんでございますが、私は、一つは所得の捕捉率だろうと思っております。サラリーマンの場合十割であると。人によってはそうじゃないと言う人もいるかもしれませんが、十割。それに対して自営業者、農家ということになると、低い捕捉率というふうに言われております。この辺が何か実態が出てこないと、不公平という声を払拭していくことが非常に困難だという感じがするんです。  この自営業者とか農家とか、こういうところについての捕捉率はどの程度か。ちょっと所得に対する捕捉率を聞かしていただきたいと思います。

渡辺幸則国税庁直税部長

○政府委員(渡辺幸則君) 自営業者とか農家の捕捉率はどの程度かというお尋ねでございますが、ただいま委員のお述べになりました数字は、これは所得者数に占める納税者数の比率ということで通常、国会の方へ御提出申し上げている資料に基づきまして言われていることだと思っておるわけでございます。  この実際の捕捉率がどのくらいかというお尋ねでございますが、営庶業所得者の申告水準につきましては、これは業種業態によっていろいろ異なるわけでございます。ただ、税務調査を毎年いたしておりますが、この税務調査によりまして出ました結果は、申告漏れ所得の割合は最近の数字で二三%程度でございます。ただ、この税務調査は御承知のとおり厳密な対象選定をいたしまして、ある程度申告漏れが確実であるという目安がつきました方々につきまして調査を申し上げた結果でございます。それからまた業種別のいろんな経営実態を把握して税務上の参考とするために、いろいろ無作為抽出というような格好で調査もいたしておるわけでございますが、こういう調査の数字というのはこれより低くなっておるわけでございます。  それから農業所得者でございますが、これは大部分の方が農業所得標準に基づいて申告をされておるわけでございます。課税の基本となる作付面積とか、あるいは家畜の頭数とか、そういうことのチェックを地方税当局あるいは農業協同組合と一緒にやっております。そういうことで、厳密に幾らという数字は持っておりませんが、多額の申告漏れというふうな問題は生じがたいのではないかと思っておるわけでございます。  全体といたしまして、事業所得者の申告水準につきまして、先ほど大臣が触れましたように、不公平感というものがあることは私どももそのとおりだと思うわけでございますが、巷間言われているような大きな把握漏れということを的確に実証するというだけのものを私どもは持ち合わせていないわけでございます。

伊江朝雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(伊江朝雄君) 鈴木君の残りの時間は休憩後再開の委員会で行うこととして、五時十分まで休憩します。    午後三時三十五分休憩      —————・—————    午後五時十六分開会

伊江朝雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、租税及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 先ほどの税制の問題で再び続いてお伺いしたいんですけれども、自営業者への税務調査、それでは九割が申告漏れがあるというような話も伺いました。先ほどは二三%申告漏れというものを伺ったんですけれども、そういう話も聞いております。さきに国税庁の行った農家の税務調査の実態は、新聞等によって私ども承知した限りでは、世間で言われていたトーゴーサンとかクロヨンとかいうものを裏づけるものがあったと、こういうふうに思います。  この国税庁が行った農家の税務調査の動機と調査の感想、それをちょっとお伺いしたいと思います。

渡辺幸則国税庁直税部長

○政府委員(渡辺幸則君) 農家の税務調査の件でございますが、農業所得者に対するいろいろな課税の問題というものは私ども承知しておりますし、また農業所得者につきましても、他の事業所得者と同様にやはり公平に調査の面でも調査を進めていかなければいけないわけでございます。  そういった点からいたしまして調査をいたしましたものがございますが、これは昭和五十七年におきます農業所得者に対する調査と指導の事績でございます。この調査は、全国の卸売市場とか大手の集荷業者等から系統外出荷等の取引の資料を収集いたしまして、これを活用いたしまして実施した調査でございます。  全体の調査指導件数が一万三千九百七十五件、いわゆる増差所得が二百八十七億円、一件当たり約二百五万円でございます。増差税額は二十七億円、一件当たり約十九万円となっております。  なお、新聞には同時に東京国税局の五十七年の調査指導事績があわせて報道されておりますが、これをついでに申し上げますと、調査指導件数が三千二百件、増差所得が六十七億円、一件当たり約二百万円、増差税額は十三億円、一件当たり約三十九万円となっておるわけでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 これは税務当局の方、国税当局の方での調査の感想はどうだったのですか。思ったより少なかったのか、多かったのか。

渡辺幸則国税庁直税部長

○政府委員(渡辺幸則君) 調査の印象と申しますか、農業所得者と例えば一般の事業所得者との結果の比較はどうであろうかということが、とりあえずの焦点になろうかと存ずるわけでございますが、これは例えば一般の事業所得者、営庶業所得者でございますが、これにつきましては、同じ期間の増差所得が大体一件三百万以上になっております。したがいまして、農業所得者の方が全体に所得は低いわけでございますので、私どもといたしましては、両者の間にそうバランスが崩れていることはないのではないかなという感じを持っておるわけでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 増差所得が二百五万円と三百万円ということから、そう差はないんじゃないかというような言い方でございましたけれども、申告納税者にこれほど多くの申告漏れがあるということは一体どういう理由で出るかということが大きな問題だろう。税制そのものが不備というふうに考えた方がいいのか、それとも国民の納税意識が十分でないということなのか。一つのこの例だけを見ても、納税環境の整備ということが言われておりますけれども、その中でこれが大変おくれている見本みたいなものになっている。この申告漏れがこれほど多いという理由は何でしょう。

渡辺幸則国税庁直税部長

○政府委員(渡辺幸則君) 私どもといたしましては、申告漏れをできるだけ的確に把握いたしまして、また調査しこれに対処しておるわけでございます。申告漏れの多い少ないの問題は、もとより私ども大変重要な税務上の関心でございますので、目下持てるだけの準備を持ちまして最大限の努力をいたしておるところでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 これは税制が不備なのかどうなのかという点はどうなんでしょうね。税制が不備なのか、国民の意識をそこまでいかせないところの行政の指導の行き方が悪いのか、どっちなんですか。

梅澤節男大蔵省主税局長

○政府委員(梅澤節男君) 今委員が御指摘になりました点は、実は五十年代に入りまして税制調査会の中でも、何回か中期答申をいただいている過程で漸次強い問題意識として浮かび上がってきた点でございます。要するに農業だけに限りませんで、事業所得者の場合、いかに所得計算の制度が完備いたしておりましても、所得の捕捉に漏れがございますと、実質的な不公平を来すということで、先ほど来国税庁の方から、現在の限られた人員の中で税務職員が一生懸命努力はしておるわけでございますけれども、そういう努力を前提としながら、現在の制度の中で、基本的な枠組みの中で、何か公平をさらに担保するような措置がないかということでございます。  この問題につきまして、特に五十年代に入りまして税制調査会の中でも議論されました結果、今国会にも御提案申し上げているわけでございますけれども、何と申しましても、源泉徴収でほとんどの税務が完結いたします給与所得者に比べまして、事業所得者等の場合は、所得者自身の記録なり申告に基づきまして自己が税額を確定し納付するというのが申告納税制度の建前でございます。しかしながら、この申告納税制度が昭和二十五年にできまして、我が国社会の中にそれなりに定着し成熟化してきていることは事実でございますけれども、この時点でもう一遍制度のもとに立ち返って検討してみた場合、納税者の協力なり意識の向上をも期待しながら、記録なり記帳という問題についてもう少し制度的にきちんとしたものを整備する必要があるのではないか。  それからもう一つは、税務官庁側におきまして、一番仕事の基礎になりますのは、いかに有効な資料を収集し活用できる体制にあるかということでございまして、この点につきましても、今回提案を申し上げております制度におきまして、主として官公庁でございますが、官公庁に対しまして税務官署が必要な資料の協力を求めることができるというふうな措置も講じる。あるいは現在の確定申告の制度でございますと、所得税の確定納付義務が生じませんと申告義務がないということになっておるわけでございますが、これは臨調なんかでもいろいろ議論が出まして、諸外国の法制等も参考にしながら、一定の収入以上の人は申告義務がなくてもとりあえず収入額を税務官署に届けてもらう、報告していただく。そういうことが税務官署が所得漏れを捕捉する場合のいわば端緒にもなるだろう。そういった点いろいろ含めまして今回制度の整備をお願いしておるわけでございます。  私どもといたしましては、これをお認めいただきまして、かたがた執行当局等の努力も期待しながら、我が国の申告水準が一段と向上いたしまして実質的な税負担の公平が確保できるように努力していかなければならないというふうに考えておるわけでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 いずれにしても、この委員会でもって一年間に二度も国税職員の数をふやせという決議がされるなんということは例を見なかったことでございます。それだけきちっとしなきゃいけないということが委員会の意思としてもあったわけですから、私はその点今後も力をかけていっていただきたいと思うんですが、その点はいかがでございますか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 鈴木委員御指摘のとおりであります。私どもにとっても大変ありがたい御支援であると思っております。  私自身も毎年じくじたるものを感じますのは、言ってみれば、この定員削減ということについて、まず隗より始めよという立場にある私であります。しかし一方、今御指摘のとおり、国税職員というもののいろんな状態から見て、これが実数としての増員が必要であるという理解は私もしております。それの毎年度予算編成、定員問題の決着をつけるときのぎりぎりの接点で今努力をさせていただいておる。一層の御鞭撻にこたえてこれからも対応しなければならぬ課題だというふうに考えております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 昨年国税庁で金融機関の税務調査を行った結果、ほとんどの金融機関でマル優制度悪用のケースが出た。相当の預金額が見つかったようでありますが、実情はどんなものだったのでしょうか。

渡辺幸則国税庁直税部長

○政府委員(渡辺幸則君) 金融機関に対する利子所得等の調査でございますが、国税当局といたしましては、従来から金融機関等に対します源泉所得税の調査等によりましていわゆるマル優制度の不正利用、そういうものの是正に努めてきておるところでございます。  昭和五十七事務年度、これは五十七年の七月から五十八年六月までの一年間でございますが、全金融機関等の店舗数の約一一%に相当いたします約四千六百件につきまして調査等を実施いたしました。そのほとんどの店舗におきましてこの制度の不正利用の事例を把握いたしております。この中には非課税限度の超過分もございますし、またいわゆる架空名義、また借名等の利用が見受けられたわけでございます。  この結果追徴いたしました税額が、不納付加算税とか重加算税を含めまして約百七十億円でございます。この金額は預金者が少額貯蓄制度を不適正に利用することによって免れていた所得税でございますが、仮に、機械的にと申しますか、この追徴額、国税額に対応する元本の額をいろいろな前提を置いて推計いたしますと、大体五千六百億円ということになっておるわけでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 時間がないので、グリーンカードの問題等については、これは次のときに私はしたいと思います。  一つここで伺いたいんですが、ゴルフ場の会員権についての課税の問題なんです。  法人会員の場合、記名のものと無記名のものと二つございます。記名の場合、無記名の場合といろいろあるわけですけれども、無記名なら、その会社、法人が自由に交際のために使うということはわかるわけでございますが、法人の場合、それが記名本人というときには非常に高い。まあ低い金額のものなら結構ですけれども、何千万というものがある。例えば法人二人の記名でもって七千万円、これはまだ完全に会員が全部来てないようでありますけれども、そういうところもある。あるいは一人で二千五百万円というのもございます。七千万円で二名というと一人が三千五百万ということになるわけですから、そうすると記名本人が自分のために使ったということになると、当然これは所得として僕はいくんじゃないかという感じがするわけなんですね。この点についてどういうようにお考えでしょうか。

渡辺幸則国税庁直税部長

○政府委員(渡辺幸則君) 法人がゴルフクラブに加入しました場合でございますが、まず法人自体が加入いたします場合の入会金につきまして、これがもし法人の業務遂行上必要だということであれば、法人の資産として計上するということになっております。ただ、今お尋ねがございましたように、特定の役員とか使用人とかが個人的に専ら使用しておるというような場合でございますが、こういう場合はその役員あるいは使用人に対する給与とか賞与として扱うことにいたしております。  今記名式、無記名式の御議論がございましたが、このような取り扱いは、記名式であると無記名式であるとを問わず、私どもとしては、その実質に応じまして、だれがこの会員権を使用しておるかという観点から見て課税を適正にいたしておるところでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 どっちにしても、非常に高額なものがあるということは、私はその点は今の行き方でわかりましたけれども、十分今後も検討を続けていただきたい、こう思います。  終わります。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 まず、大蔵大臣に伺いますが「財政の中期展望」は、六十年度税収七・二%としています。その中身は、名目成長率六・五%掛ける弾性値一・一というんですが、果たしてこれが実現可能なのか。これはほっておいてなるというものでなくて、それなりの施策が必要だと思うんですが、何をもってこれが可能なのか、その点どうですか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) この「中期展望」に書きましたのは、先ほど来申しておりました「経済社会の展望」の中で示される六ないし七%の名目成長率、それの中間値の六・五をとって、それで十年間の租税弾性値の一・一を機械的に掛けたというものでございます。したがって、これは将来の税制改正というようなものを織り込んだものでございませんので、あくまでも中期展望における一つのお互いが議論をし合う資料であるという考え方で受けとめていただきたいと思います。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 そういう受けとめ方をしますが、順繰りに言ってみますと、例えば五十九年で見てみますと、経済見通しの名目成長率は五・九%なんですね。先ほど大臣は、アメリカが急速に下降線をたどることはないという前提で日本も安定成長の方向をたどるだろうと、こう言うんですが、しかし我が国は、言うまでもなく、輸出中心で内需不振という状況でありますし、既に五十八年度は消費、それから住宅など内需面で大幅な下方修正したばかりなんですね。  そこで経企庁にお伺いしますが、経企庁ではこの辺はどう見ておるんでしょうか、いま言った単純なこの間ということを前提としましてね。その辺どうでしょうか。

服藤収経済企画庁調整局財政金融課長

○説明員(服藤収君) 御説明を申し上げます。  まず、アメリカ経済の動向についてでございますけれども、御案内のとおり、一昨年の秋に底入れをいたしまして、その後回復過程をたどっているわけでございます。先般発表されました昨年十—十二月期の実質GNPの成長率、これは四・九%増ということで、ひところに比べまして拡大速度は鈍化していますけれども、まあまあ設備投資もふえ出した、それから個人消費も伸びを高めだというようなことで、着実な景気の拡大が続いておるということが言えようかと思います。  今後どうなるかということでありますが、よく言われておりますように、財政赤字の問題、あるいは金利の動向等の懸念材料はあるわけでございますけれども、先般出されましたアメリカ政府の見通しなどによりますと、八四年度の実質GNP五・三%の成長になるというような見通しがございます。それからOECDあたりもそれに近い見通しを出しております。また米国の民間エコノミストの多くも同じように、アメリカの経済の拡大というのは着実に続いていくというような見方をしているわけでございます。  こういうふうな動きを踏まえまして五十九年度の世界経済全体の動きというものを展望いたしますと、原油価格が安定している、この状態が続くだろうとか、あるいは物価の落ちつき等を背景にしまして、先ほど申し上げました米国その他の先進諸国で概して引き続き回復が期待されるということが言えようかと思います。  また、目を国内に転じてみますと、我が国経済も今緩やかながらも着実な回復過程をたどっているわけでございますが、その回復過程を支えている物価の安定傾向とかあるいは企業収益の改善、こういったものは引き続き続くことが予想されますので、今の回復傾向、これはずっと続いていくというふうに考えられるわけでございます。  こういった情勢下におきまして、私どもといたしましても、経済見通しの線に沿いまして適切な経済運営を行うということにいたしております。そうしたもとで五十九年度の日本経済、国内民間需要を中心といたしまして、先ほど先生御指摘ありました名目五・九%程度の成長は達成できるものというふうに見込んでおるわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 好況に向かいながら失業が一〇%以上存在する、そして高金利、こういう現象は資本主義で初めての現象ではないんでしょうか、これが第一点。そして、今そういう状況を見ながらアメリカの経済がいつまで続くんだろうか、失速するんじゃないか。こういう見方もかなり有力にあります。そういう可能性はないんだろうか、その点どうですか。

服藤収経済企画庁調整局財政金融課長

○説明員(服藤収君) 失業とインフレ両方の問題に出くわしたというのは、七〇年代初めて経験したことではなかったかと思います。それを克服するためにいろいろ新しい考え方、それに基づいた政策手段というものを考えまして、ようやくにしてアメリカあたりインフレの克服というのには成功したわけでございます。それから失業の方も、アメリカにつきましては、ひところに比べてやや下がりかけているというような状態になっているわけでございます。  こういったことでありますので、今後のアメリカの経済の動向ですけれども、先ほど申し上げましたように、また、先生のお話のように、一部悲観的な見方をする向きもありますが、大勢としては、いま申し上げましたような線で動いていくのではないかというふうに見ておるわけでございます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 大臣、今私が指摘した資本主義初めての現象を、我々は資本主義の全般的危機がさらに深まっておると指摘しておるんですが、そういう中ですぐ目の前の六十年度を見てみますと、先ほどの税収七・三%増の点で要調整額が三兆八千七百億円、私はこれはもっとふえる可能性があるんじゃないかと見ておるんですが、そういう可能性というのはないものですか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 歳出がふえるということですか。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 いや、要調整額が三兆八千七百億……

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) この要調整額は甘いとか辛いとか、そういう批判には率直に言ってなじまないと思います。我々も昔習いましたSイコール1マイナスr分のa(1マイナスrのn乗)とか、あの等比級数とか等差級数とか、そういうようなものでございますだけに、まさに仮定計算ということでございます。  それからするところの今度は要調整額ということになりますと、これも現行の制度・施策をそのままという前提でやっておりますから、どう変化していくか、甘いか辛いかということについては、その議論の土台としてはなじまないじゃないかというふうに思います。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 次に今度は国債の面ですが、「中期的な財政事情の仮定計算例」によりますと、昭和五十九年度以降、毎年の金利の支払いが随分多くなりますね。報告してもらったものによりますと、五十九年度が八兆七千億円、ずっとふえていって、六十一年度になって十兆円台に伸びまして、六十五年度には十二兆一千億円。毎年十兆以上の金利の支払い先が問題で、これも昨日の予算委員会で議論になったですね。  私はあの議論を聞いておりまして、大蔵省がその行方について何も資料をつかんでいないということを私は大変奇異に感じたんです。これはきのうも指摘があったように、所得再配分機能に逆行する。これは大臣認められたんです。となれば、どのように逆行してどういう影響を与えるのか、これをまず調査すべきじゃなかろうか、そういう資料を持たずに財政は論じられないのじゃないか、これが第一点です。  それからもう一つ、大体一兆円規模の減税が景気浮揚に役立つかどうかということは問題になって、まあそれより低いんですが減税されたですね。ところが、十兆円規模の金が所得再配分機能に逆行して動く。これはもうほぼ予測できるわけですね。問題は、どこにどう行くのかをまだ大蔵省が調べてないだけである。そうすると、これは日本経済にも重大な影響を与えると思うんですね。  だから、そういうこの二点から見ましても——一つは、どの階層にどのように金が行くのか、あるいはどういう方向に行くのかですね、税金の中から金利として。それからもう一つは、それが経済に与える影響はどうなのか。この辺を大蔵省は真剣になって調査すべきじゃないでしょうか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 毎年の国債費が大きくなれば、これは金利をだれが受け取るか、さようしからば国債を現在所有しておるのはだれか。個人である。個人とはいえ、それはまさに個人である場合もある。法人も個人と数えでいろいろな計算をしておるわけでございますが、それへ金利がいわゆる利子所得として入ってくる、まあ三百万までの問題は例といたしまして。そうなれば総合課税の問題も出てまいります。したがって、いわゆる所得の再配分——経済自体はまた毎年毎年名目成長率に応じて拡大していきますね。その中へどれだけの形でそれが吸収され、所得の再配分機能にどれだけイレギュラーな姿をあらわすかというのは、勉強の課題としては私どもも勉強はしておる問題でございますが、数字としてきちっと出てくるにはなかなか難しい問題でございます。おっしゃっている意味は私にも理解はできますし、私どももそのような考え方の勉強をしておることだけは申し上げておきます。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 勉強して大蔵省だけわかったってしようがないんですわ。みんなで議論するというためにこれは実際に調査する。大蔵省の能力を持てば調査は可能だと思うんですね。それを国会へ報告するということがあってしかるべきだと思うんです。これが第一点。  それから、もう時間が参りましたので、もう一点だけ最後にお聞きしますと、大蔵大臣は五十九年度予算案決定の後に記者会見で、六十年度以降はこれまでのシーリング方式を見直して歳出削減を進めることを示唆したと。これは一律削減方式ではもうやっていけないことを私は意味しているんだと思うんですが、どうでしょうか。そしてシーリング方式にかわるどういう方式を大臣は考えておるのか。この二点お伺いしたいと思います。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) お答えいたします。  いろんな勉強をして大蔵だけが知っているということは、それはできるだけないようにしなければなりません。ただ、資料として本委員会等で要求されたものは、それなりの精度とか確度とか必要でございます。したがって、私も、私個人の私的勉強と、その精度、確度の高いものとは分類しながら、演説といいますか、いろいろなところで講演するときにも使っておりますけれども、今度仮定計算でお示ししたものが土台になって、近藤さんと竹下登さんとこうして問答をしているわけですね。そういう問答に必要なものは可能な限り提出していくということは、私はお互いわれわれの姿勢として持っておるべきものだと思っております。  それから二番目のシーリングの問題ですが、私が申しましたのは、私が最初予算編成の責任者であったのは昭和五十五年度予算でございます。したがって、それまでが大体一八%弱毎年伸びておるわけですが、そのときプラス一〇%シーリングをやらしていただいた。それから私が休んで——休んでいるというか、私が党におりましたときに七・五%になり、〇%。私がまた大臣になりましてから今度はマイナス五、マイナス一〇。そういうことで、そのときの印象として、それじゃ来年一律シーリングマイナス二〇でやれるかということになりますと、精いっぱいやるだけやったという感じを持ったときに、従来と同じ手法のシーリングというのは限界かなという感じを持ったことは事実でございます。  しかし、それからまた考えてみまして、どういうシーリングで概算要求をやるかというのは、五十九年度の予算をこれから御審議いただくわけですから、その中の問答を聞きながら決めなきゃいかぬなと思っておりますが、シーリングをやめたというような姿勢ではとてもやれぬな、やっぱり厳しい対応をしなきゃならぬな。たび重なる問答の中でもまた自分でいろいろ反省しつつ考えている、そういう心境です。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 ちょっと一点。  じゃ、またシーリングですか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) シーリングというのは天井ですから、やっぱり天井があった方がいいかなと、こう思います。

近藤忠孝日本共産党

○近藤忠孝君 終わります。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 私も財政改革を進めるに当たっての基本的考え方についてお尋ねをするんですが、おっしゃいましたように、これは中期的視点に立った財政運営を進めていく上での検討の手がかりを示すものであるとしてお出しいただいたものだと思います。ただ、もう一つの意味というのは、国民が負担を甘受しながら適度な行政サービスを受けるのか、それとも負担の増加はいやだ、したがって行政サービスが下がることも甘受する。一体どの道を国民は望んでいるかという選択を暗に問うという意味も私は一つはあったと思うんです。そう考えて私間違いないと思うんですが、そういう意味で一つ例をもってお尋ねをしたいんです。仮定計算の中で借換債発行、一般歳出の伸び〇%、これをもとにしてお尋ねします。  要調整額を見ますと六十年度が二兆一千八百億。そこでまずこれをどうしようかというときに、仮定計算ですから、こちらもある仮定を考えながら組み立て直してみたら一体どうなるだろう。そこでまず一つは特例公債の一兆八百億円の減額はやめてしまう、一つは。二つ目は、これは一般歳出の伸び率が〇%になっていますけれども、六十年度だけは〇・四%だけ減額する、伸び率を減にする。仮にそうしますと一兆八百億の減額はなくなります。それから〇・四%さらに切り込むということになりますと、目見当で一兆三千億ぐらい。合計すると二兆四千億前後ですから、二兆一千八百億の要調整額は消えてしまう。そういった仮定を立てることはそう極端な話ではないと思うんです。  そこで、六十一年度以降考えまして、特例公債の減額はやめてしまうとして推定計算をしてまいりますと、六十一年度、六十二年度、六十三年度、六十四年度、六十五年度の要調整額というのは一体どんな姿になるか。この表でも、六十五年度は一兆一千九百億円余っているわけです。もともと六十年度で、〇%の伸びではなくて、〇・四%だけさらに切り込んだわけですから、それはもともと効いていますから、日見当で言うと、六十五年度は二兆円ぐらい余剰が出る。六十四年度も大体同額ぐらいの余剰が出る。六十三年度はもう少し減りますけれども余剰は出る。その余剰分は特例公債の減額に充てる。こうしますと、六十年度はマイナス〇・四%、六十一年度以降は伸び率〇%、それで特例公債は、六十五年度かどうかは別にして、この近辺で目的の減額ができる。そうすると、国民の側から見ると、〇・四%五年続けて毎年引き下げるというのは、それは無理だと思うでしょうけれども、六十年度だけは頑張ってみる。なるほどそうかと。六十一年度から以降は〇%で辛抱してみる。そうすると特例債も、六十六年度かわからないけれども、その辺で大体ゼロになる。案外こんなところが国民が理解できる線なんだろうか。こう読んだとして間違いはありませんか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) いわゆる一般歳出を三十二兆五千九百億円でずっと押さえていらっしゃいますわね、今の御議論は。私も今おっしゃった意味が理解できないわけじゃございませんが、そうすると、どうしても国債費というものはそれなりにふえていくことになりますよね。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 若干ですよ。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 若干ふえてまいります。その辺の計算がちょっと私もにわかにはわかりませんでしたが、これは栗林さん、若干私情を交えて申しますと、そういうあなたの提案が出てくる土台になったとしたら、この仮定計算というものは幸せ者だったなと、こういう感じがするんですよ。その問答がありがたいことじゃないかなと、素直な心境を披瀝します。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 私が何でこういう例を申し上げながら聞いたかといいますと、いま私が言ったような解釈をしますと、誤解するんじゃないかという心配があるからあえて申し上げているんです。この表からいきますと、なるほど六十年度特例債の減額はやめた。以降ずっとやめてしまう。そのかわり、六十年度はマイナス〇・四%シーリングできっちりと予算を組む。後は伸び率は〇%にしよう。そうすると、結果として、要調整額は余剰で出るわけですから、足していくと所期の減額幅も、六十五年度かどうかはわからないけれども、できる。そうすると、財政再建とえらいことを言ったけれども、やりようによっちゃできるじゃないか。日本国民が「おしん」の心境になってやろうか。こうなったら誤解ではないかという気がするんで、あえて申し上げているんです。  なぜかといいますと、こういった議論ができるもとというのは、経済成長率が所与のものとして与えられているわけですね。そうすると、一般歳出が五%伸びた場合、三%の場合、○%の場合、ケースを分けていますね。しかし、もし五%の場合と〇%の場合、果たして経済に対して影響がないんだろうか。もともと歳入欠陥が出たときの議論を思い返しますと、実は一般歳出でありますけれども、景気に対してプラスの効果を持っているんで、すぐ切れと言われても困りますということを当時大蔵省はおっしゃっていた。私もそうだと思うんです。それからすると、〇%の場合と五%の伸びの場合で果たして経済成長率は同じなんだろうか。  これがお伺いしたい議論の決め手でありまして、単純に考えてみますと、〇%の場合と五%の場合を比べますと、一般歳出の差額の計を足しますと三十七兆一千億になるんです、六年間であります。三十七兆一千億がついている場合とついていない場合で、景気に対して中立的ということはありませんわね。  そうすると、なるほど中期の指針に従って所与のものとして経済成長率が出ているけれども、それを頭からベースに置いてケースA、ケースB、ケースC、こういう立て方をすることが国民をかえって誤解させないか。今は景気の回復期ですよ。したがって、マイナス〇・一%の予算を組んでもそこそこの経済成長があるかもしらぬ。でも六十五年度まで見渡して果たしてそうなんだろうか。もし成長率が落ちるとすると、実は私さっき申し上げましたあの誤解に立って言うと、税収減、かえって○%の伸びを選択した方が国民の負担がふえるかもしらぬということになるでしょう。これはわからないんてすよ。したがって、選択を求められても国民はわからないんです。したがって、こういう資料をもとにして議論をすると誤解になるのこれを申し上げたくて今冒頭のことを私言ったんです。間違ったことを言っているつもりはありません。  そこで、この種の資料の出し方というのは、もっと別な出し方があるんじゃないか。時間がありませんから言いたいことだけ言ってしまいますと——要調整額、五十九年度もたしか四兆円上回るぐらいの要調整額がある。あの要調整額が今御提出の五十九年度予算のどこにありますか。消えちゃったでしょう。もともと消えてしまうものなんです。したがって、ここで二兆一千八百億、六十年度、書いてあったって消えちゃうんです。消えてしまうのが予算なんです。それを消さないで横にずっと並べた表というのは、これは一体何を意味するんですか。何にも意味しないんです。したがって、この表の持っている意味というのは、六十年度の予算をどうやって組むか、ここしか読めないんですよ。かえってずっと引き伸ばして読むと、さっき私が申し上げたみたいに、いかにも耳ざわりがいい結論を出すような誤解を生むと私は思うんですが、大臣いかがでしょうか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) そこのところが難しい問題でございまして、私どもも率直に言って、毎年いわゆる中期試算あるいは中期展望を言われるままにいろいろ出してきた。しかし一体それが議論の種になるか。それでも議論の種になるようなものに近づけていこうというので、今度は今度なりに工夫して、この展望と仮定計算と両方を出したわけですね。が、おっしゃいますとおり、まずこれを読む生きには、とにかく経済の中期展望の六ないし七の中間値を、いわゆる名目成長率を固定概念として頭に入れて、それからきているわけですね。  そこで、結局、日本のいわば潜在成長力はどこにあるか。基本的にはそこにいつでも議論が落ちつくと思うんです、議論のベースが。この潜在成長力をどう見るかぐらい、これを定量的な形で示すことは難しい。事ほどさように難しいことはない。だから、結局、そういう潜在成長力論争というものは、言ってみれば、お互いが肌で感じ、ある種のもちろん数値等を念頭に置きながら、こうした問答の中である種のコンセンサスを得るしかないんじゃないか、少し荒っぽい言い方ですけれども。そういう感じで、率直に問答に対応していかなきゃならぬじゃないかな。だから、国民の皆さん方が誤解を生じないようにということは、絶えずこれは等率等差でかくかくしかじかなる前提であります、政策意図がございませんということは絶えず言いながら、この資料は説明していくべきものだというふうに考えます。

栗林卓司民社党・国民連合

○栗林卓司君 大臣のお話はよくわかるんですけれども、私が言いたいのは、経済成長率というのは結果でして、所与のものとして前提で与えてしまったら間違えるんではないかと私は言いたいんです。いろんな施策がありますけれども、それが実際に定量的にどうつながるかは別にして、ある関係がある。成長率は結果なんです。これが物事を考えていくときの一つの当たり前の理屈なんですよね。別の言い方をすると文法みたいなものです。したがって、試みの計算例でどんな文章を書いてもいいけれども、文法を間違えていたら読んでいる人にはわからない。経済成長率を所与のものとして考えてしまうと議論が大蔵とかみ合わないんです。何も増税が嫌で、減税が欲しくてたくらんで拡大均衡論を言っているつもりはないんです。ただ、経済成長率は所与のものであります、あれはうちの役所がつくった配列を半分に割ったんです——これされたんでは文法が逆立ちをしてしまう。ぜひこの点は御工夫いただきたいというのが私の意見であります。  以上です。

青木茂参議院の会

○青木茂君 竹田先生が一番最後におっしゃったことの延長みたいなものなんですけれども、減税はやっていただきました。そして本格であるかどうかは別問題として、制度の改革を伴っている。これは事実でございますね。ところが、その財源と言われるものには一時しのぎのものが含まれておる。法人税率のアップ関係その他のものは二年でなくなってしまうわけですね。そうすると二年後そのギャップはどういう手段でお埋めになるつもりなのかということをまず伺いたいんです。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 法人税は、従来の経験からすると、二年でやって経済情勢の推移を見ようじゃないか。それを単純に延長していく。そのときは、今度は租特ではなく、その次は本則に入れるというような経過をたどったこともございます。だから、きょうお答えできることは、その二年の段階で、そのときの経済事情、財政事情を見て決めますと。法人税そのものに対する扱いについてはそれ以上のお答えはできないんじゃないかなと、こう思います。

青木茂参議院の会

○青木茂君 これが五年先、十年先なら、それはわからないんですけれども、少なくとも本格減税をおやりになったときに、二年後穴があいた場合、それを埋める対策がそのときになってみなければでは、ちょっとわかりにくいところがあるんですけれどもね。考えられる方式としては、その二年を一体延長するのか。あるいは何か新しい、いわゆる何とやら増税をお考えになるのか。あるいは自然増収を期待なさるのか。思い切ってインフレにしてしまうのか。あるいは歳出カットでお埋めになるのか。まあ五つぐらいの道があると思いますね。少なくともそのうちのどれを基本に穴埋めをなさるかということを重ねてお伺いしたいんです。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 一つだけ画然として言えることは、私——私という言葉が適当かどうか、いわゆる調整インフレはとってはいかぬというふうに思います。  他の問題については、いまおっしゃいました、いわゆる公共サービスの水準をどこに保っていくか。あるいは負担増。されば負担をする者も。国民、受益者もまた国民であるならば、最終的にはやっぱり国民の合意と選択によるべきじゃないか。ただその合意がどこにあるかということは、結局、おれについてこいという能力もなければ、時代もそうじゃない。こうした問答の中でその方向を模索し、コンセンサスを得る努力をしていくべきじゃないかと、そのように考えます。

青木茂参議院の会

○青木茂君 しかし減税プランをお出しいただいたわけですよ。それの見返りとして増税プランがにわかに出てきたわけなんです。その減税プランの一部が二年後消えるということなんだから、それをどうやって埋めるかという青写真が、論議を通じての後からの国民の合意というのか国会の合意では、私どもちょっとはっきりしないんですけれどもね。どんなもんでしょうか。

梅澤節男大蔵省主税局長

○政府委員(梅澤節男君) 先ほど来大臣が申し上げていることのあるいは繰り返しになるのかと存じますけれども、とにかく五十九年度の税制改正に当たりまして、構造的な赤字財政のもとで減税を赤字公債に依存するということ、端的に言いまして、これは現在の世代が後代にツケを回すこと以外の何物でもないわけでございますので、税制調査会の議論といたしましても、減税のために財政状況を悪化させるということはぜひ避けなければならないということで、しかもなおかつ現行税制の枠内で財源を措置するということで、ある意味では非常に限度いっぱいの知恵と申しますか、工夫をしなければならないということに相なったわけでございます。  今の法人税率の問題でございますけれども、これも税制調査会の中期答申なり五十九年の答申にも書いてございますけれども、今回基本税率一・三%、基本税率につきましてこういう端数の引き上げ税率というのは、先ほど大臣が申しました昭和四十年代に租税特別措置法で付加税の形で臨時措置を二年続けました以外に前例がないわけでございます。同時に、この一・三%の税率というのは、実は実効税率で見ますと、恐らく戦後最高の税率でございます。昭和二十七年、二十九年が戦後最高でございますが、あの税率を上回っておりますし、昭和四十九年、五十年の会社臨時特別税と法人税が併課されましたあの時点の実効税率をも上回っておるわけでございます。  そういたしますと、租税政策の観点からいきますれば、この五十九年のいわば緊急的な税制改正を行う時点で、法人税率の今回の引き上げをもって恒久税制としてビルトインしてしまうということは、結論的には少し早急ではないのかということで、とりあえず二年間の臨時措置とするということでございます。  二年後をどうするかということは、先ほど来委員も御指摘になっておりますし、大臣も申し上げているところでございますけれども、その時点におきます財政事情なり経済の状況なり、あるいは税制全般の中でどういう選択がいいのかということで、その時点で考えるということで、私どもはやむを得ざる処置でありますと同時に、これが一番最善の選択ではなかったのかというふうに考えておるわけでございます。

青木茂参議院の会

○青木茂君 伺ってまして、そこら辺が何か行き当たりばったりのような気がするんですけれどもね。    〔委員長退席、理事岩崎純三君着席〕 減税をおやりになって、その穴埋めが五年先、十年先で消えるというんじゃないんです。五年先、十年先なら、そのときの財政事情、これはいいんです。もう二年で消えることがわかっているんですから、二年で消えた後——今それを延長するのは消えた。それからインフレ化が消えた。そうすると何らかの増税をするのか、あるいは歳出カットをやるのか、自然増収でいくのか、そこら辺の三つのうち一つの選択しかないわけですね。ですから、その基本ぐらいはあっていいんじゃないかという気がどうしてもするわけなんです。これは実はこの問題だけではなしに、これからの財政再建の基本的な方向とも絡んでおるからちょっとしつこく申し上げているわけなんですけれども、どんなもんなんでしょうか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) もう一つ考えられることは、その三つの組み合わせというのが考えられますね。ですから、私は、今主税局長も答えましたように、半端な数字がついておる。それから実効税率で見ますと確かに戦後最高になった。そうすると、いろんな経済情勢の推移を見るのに二年というのは、過去の経験もあるから適切かな。これは最終的な選択でございます。だが、その問題についてそのときに考えます。だから、それまでの間に、今のような議論を聞きながらコンセンサスを得る努力をしていくことじゃないかな。事ほどさように、ある意味においてはいわば不透明感というものがあるという事実認識もございます。

青木茂参議院の会

○青木茂君 時間ございませんからこの問題は切りますけれども、ひとつお願いを申し上げたいことは、その二年後消えましたときにどういう選択をなさるかということをはっきり決めていただきまして、これは解散前にはっきりおっしゃっていただきたい、そして国民の審判を仰ぐというような基本的姿勢をぜひおとりいただきたい。解散前に言わなくて、済んでしまってからでは困りますものですから、それはひとつ念を押さしておいていただきます。  それから、もう時間がございませんから一方的にしゃべることになるかもしれませんけれども、第二の御質問です。今度の税制改正で所得税率の刻みを十九から十五になさいましたね。この十九から十五にしたということは、何かバックデータがあってそうなさったのか、あるいはまあこんなものだろうということでごく軽くおやりになったのか、ここら辺のところはいかがでございましょうか。

梅澤節男大蔵省主税局長

○政府委員(梅澤節男君) 時間の関係ございますので、後ほどまたゆっくり御議論いただく機会があるかと思いますが、簡単に申し上げまして、この議論は昨年の十一月の税制調査会の答申にかなり克明に経緯が書いてございます。    〔理事岩崎純三君退席、委員長着席〕  現在の十九段階の税率構造は、青木委員御案内のとおり、四十五年の所得税法の改正でいまの基本的な構造ができ上がっております。戦後シャウプ税制の時代は税率の刻みがたしか八つぐらいでございまして、その後最低税率は引き下げられ最高税率が引き上げられるという過程を、ずっと三十年代から四十年代を通してやってまいりました。四十五年の税制改正では、基本的な考え方は、所得の低いところほど累進構造の刻みを精緻にやるということで、積み上げられた結果として十九段階のものができ上がったわけでございます。  今回の税制調査会の議論の過程で幾つがこの問題についてポイントがあるわけでございますが、一つは、現在の我が国の税率構造は、最低税率が世界先進国の中では一番低く、それから最高税率が非常に高いという一つの際立った特徴がございます。それから四十五年から五十九年まですでに十数年、特に……

青木茂参議院の会

○青木茂君 わかりました。ちょっと時間が……。

梅澤節男大蔵省主税局長

○政府委員(梅澤節男君) それからもう一つは、これはぜひお聞き願いたいんでございますけれども、所得格差が平準化してきておる、この十数年間の間に。そういたしますと、先進国の税制から見ましても、累進構造をもう少しなだらかにした方がいい。  それから昭和五十年代に入りまして所得減税を見送っている間、国会、特に野党筋からも私どもの方にたびたび議論があったわけでございますけれども、余り税率構造を細かく刻んでおきますと、ベースアップがあるたびに次の段階に、ブラケットに移るものでございますから、累増感が非常に強い。その辺、例えばイギリスあたり低いところは非常に比例税率のゾーンが長うございます。そういったことも税制調査会のこの答申に書いてございまして、そういった点をいろいろ含めて、しかもブラケットを広げるということになりまして、結果として累進構造がなだらかになり、刻みの数がある程度少なくなるという姿が望ましい。しかし十九を具体的に十五という数字にするのに、意味があるわけでございませんで、そういう作業の結果でき上がりました今度の税率構造が、刻みが十五になりまして、例えばフランスとかアメリカの税率構造の数にやや近い数字になってきたということでございます。

青木茂参議院の会

○青木茂君 最後に、もう時間が参りましたからお願いだけ申し上げておきます。  十九刻みの段階においてそれぞれ何万人の人が各階層に張りついていたか、そしてそれが十五になった場合にどう移動したか、つまり階層別に何万人が動いたか、そしてできるならば、その辺ちょっとおわかりにくいかもしれませんが、例えば旧税率で六百万から八百万の人が何万人あって、そして新しい税率でそれが何万人になったか、これを段階別にひとつ比較していただきたい。上が上がって下が下がれば初めて減税ですね。税率刻みのどとの階層が最も利益を受けたのか。さらに言うならば、刻み別所得に税率を掛けて税額を出して、人員を出して、それが十九から十五に動くことによってどう増減したか。つまりトータルな意味での刻み別増減税額というものが欲しい。それからさらに、平均世帯人員で税の増減額を出していただくならば、そこで初めて私は、減税政策というのか、財政政策のバックデータが出てくるんではないかというような気を持っておりますから、これからの論議の資料に御検討いただければありがたいと思います。  終わります。

梅澤節男大蔵省主税局長

○政府委員(梅澤節男君) 青木委員がおっしゃいました今のブラケット別の納税者の数とかいいますものが、今の税務統計上きちっとした姿で、率直に申し上げまして、すぐ出る数字ではございませんけれども、今青木委員が意図されておりますようなことが議論の手がかりになるような資料はなるべく提出する方向で検討させていただきたいと思います。

野末陳平新政クラブ

○野末陳平君 先ほども出ておりましたけれども、税務署の人手不足問題。数をふやすことによって税務調査をもっときつくするという問題ですが、これは去年もおととしもそうなんで、大臣のお答えは、どうしても行革の手前なかなか人員をふやすわけにいかぬということになってしまいまして、いつもそのお答えだと、ちょっと今後どのぐらいふやしたら果たしていいか、具体的なことをつかめません。一方において機械化を進めて、かなり人員不足の点をカバーできるはずなんですね。ですから、その機械化がどこまで進んでいるか。例えば朝霞のコンピューターセンターだって当然活用の方法も決まってなきゃおかしいわけですから、そういう機械化を進めることによってどの程度人手不足がカバーできるのか、何割程度か。それを教えていただきたい。これからただ定員の枠をふやせということをお願いするだけでもどうもぱっとしませんので、その辺の機械化の進み方をちょっと説明していただきたいと思います。

梅澤節男大蔵省主税局長

○政府委員(梅澤節男君) 実は、国税庁の政府委員がおりませんので、今の野末委員の御質問につきましては、別途また当委員会できちんとした説明をする準備をいたしたいと存じますが、今お触れになりました朝霞のセンターにつきましては、グリーンカードの問題の推移いかんにかかわりませず、いずれにいたしましても、国税庁は、全体といたしましてADP処理をどんどん進めるべき余地をまだたくさん残しておりますので、そういうセンター的な機能を持たせるという意味で現に活用を始めさせていただいておるわけでございます。  ただ、今おっしゃいましたように、長期的な機械化プラン、それからマンパワーをそれでどれぐらい浮かせるかとかいいました具体的な計画プランにつきましては、ちょっと私答弁する能力がございませんので、本日の御質問につきましては、別途また機会を得まして御説明申し上げるようにいたしたいと存じます。御了承いただきたいと思います。

野末陳平新政クラブ

○野末陳平君 もちろん、これは今後具体的にお答えをいただいた上でさらに質問をしてみたいと思っているわけです。  しかし大臣、これは非常に大事な問題です。一方においてプライバシーの問題なども出てくるのかもしれませんが、それにしても、機械化による合理化、これは当然のことですから、早く具体的なプランをまとめ、軌道に乗せるべきである。その結果として、まだ当然足りない部分があるわけですね、機械で税務調査はできませんから。そこで有能な人たちを現場にもっと力が割けるようにする。その辺は非常に大事だと思うんです。ですから、そういうことも含めて、今度の納税環境の整備なんという問題も考えるべきだと思っております。  ひとつ次の機会までにもう少し詳しい説明をお願いしておきます。  それから今度の予算委員会でもちょっと偶然のように出ました福祉税という話を大臣は否定なさいまして、ああいうものは検討しているわけじゃないということだったと思うんですがね、お答えは。しかし、考え方によりますと、増税で入ってくるお金は、仮に今後増税ということを仮定しまして、そういう場合、そのお金はほとんど、主にと言っていいんですか、福祉関係に使われる感じになりますね。そうしますと、大蔵省としちゃ目的の決まった税なんというのは好ましくないというのは当然だろうと思うんですがね。しかしこれは国民にとっては割とわかりやすくなってくるんです。見方を変えれば、これは嫌な言い方ですが、説得しやすいことだってある。少なくもこれを検討課題から初めから外しちゃうのはちょっとどうかなと思うんですね。  ですから、今後いずれは増税論議がやかましくなってくるはずなんで、する、しないでなくて、いろいろな検討の材料を国民の前に示すし、我々もまた議論する。その結果、増税はいかぬとか、あるいはここはやむを得ないとかいう結論が出てくるわけですね。そうなると、どうですかね、福祉税なんというのも一つの構想として、あながちこれは今頭にないというようなことでなくて、広い意味では検討してもいいんじゃないか、そう思いますが、いかがですか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 実は、福祉税というもの、新たなる税目としての福祉税、これを議論したことはありません。が、かつて五十四年当時にいわゆる一般消費税(仮称)というようなものが議論された際に、国民にわかりやすいのは——大蔵省が嫌うと今おっしゃいましたが、税を扱う者としては税に色がついたものはできるだけ避けたい。これは必然的にそうなるわけですが、国民に理解を得るためにはむしろ福祉税構想にして、しかも地方税にする。その方がわかりやすいじゃないかと。こういう勉強というより、私語の段階かもしれません。そういう段階で議論したことはございます。  これは私の経験にもございますが、しかしいわゆる福祉税という新税というもので、対象にして議論したことはないわけです。この前、特に私としてこれで非常に否定的な印象をお与えしたというのは、そのとき新聞報道されておった福祉税というものがいわゆる雇用税方式のものでございました。雇用する側が支払う給与の一%ですか、何かを取っていくという俗称雇用税の形式のものでございましたから、今日社会保険負担等企業もそれぞれしておるのに、それにプラスして雇用税という考え方はいささかなじまないなあと、こういう感じを持っておりましたので申し上げたわけでありまして、こういう国会の議論はもちろん税調にも報告するんですが、そのような議論は絶えず報告し、そして我々も勉強する課題であるということは、私は原則的にそのとおりだと思います。ただ、福祉税という新しい税目で議論をしたという経験を持たなかったと、こういうことであります。

野末陳平新政クラブ

○野末陳平君 それでしたら、仮に例えば富裕税なんという構想だってあるわけで、福祉税という構想、新しくそういう税を考えても悪くはないと思うんですね。というのは、大型とは何だと言ったら、中型でも小型でもないとか、そんなことを言ってでも、現実にはわけのわからない増税がただ迫ってくるという感じを与えて、国民も誤解しやすいと思いますので、そんな意味で、大臣の真意のところはわかりましたが、こういう考え方も検討してもいいんじゃないかなあというふうに思っております。  それから今度の予算では減税は一兆円規模でかなり大幅ですが、しかしほぼそれに見合う増税が片方にあるために、大体受け取り方としては、行って来いになる。減税でもらっても増税で取られちゃうから同じことで、何の意味もない。これが常識的な受け取り方ですね。しかし個人によっては、人によっては、減税の方がプラスになっている人もいるだろうし、個人的懐勘定で言えばね。しかし景気浮揚というか、もっと広い立場に立って、果たしてどうなんだろうなというところが、聞かれても、説明が非常にしにくいというか、自信がないんです、僕個人がですよ。となると、減税が増税で結局帳消しになるから何の意味もないんだというふうなことは絶対ないんですが、しかし景気浮揚の面でこういう形の減税が、裏に増税があるようなこの減税がプラスかマイナスかという点で、どうも総理はそれでもなおかつプラスがあるというようなお考えだったように聞いているんですが、大臣はどういうふうにこれをお考えになっているか。その辺を、景気浮揚との関連で、今回の減税・増税のセット方式というか、この込もうちょっと御意見をお聞きしたいと思いますが、いかがですか。

竹下登自由民主党・新自由国民連合大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) いわゆる増税部分あるいは公共料金の値上げ部分、それらが家計支出にどういう影響を与えるかと、そういう角度から勉強した資料はございます、公式に大蔵省として判を押して出す資料であるかどうかは別としまして。そういうことから見ますと、これは景気に対してプラス要素が働くという一応の我々の勉強の資料はございます。  そこで、もう一つその前の、景気回復に役立つ相当規模のという議論をしておった当時のことを思い出しますと、結局私どもは、あの議論は最終的には生煮えだったんじゃないか、素直にそういう気持ちがしております。  といいますのは、私は、当時見込んでおった数字、今でも変わっておりませんが、いわゆる実質三・四%をより確実にすることが景気浮揚だ、景気対策だという認識でございますね。一方では、いや、その三%台の成長などというそのものが景気という概念の外にあるんだと。それがかみ合わないままにずっと進んできて、しかし年内にはやれよ、しかもそれもかつてのような戻し税ではだめだよということで、本格につながる各種控除額の引き上げで千五百億というものができて、それに続いたものが今度の一兆円減税だ。だから、今度の一兆円減税というのは、今度見通しでお願いしております四・一%をより確実ならしめる一つの要因であるというふうに私はこれを理解してきたわけです。  だから、経済論争をしますときに、いわゆる成長率の見方について足かな数字を出すことは学問的にもなかなか難しい問題でございますだけに、そこでおのずから、潜在成長力が五%以上あるんだというのと、いや、中期展望にも出しているように、七、六、五抜きの四、三、二、一の四程度が至当なところだというところと、その乖離から埋めていかぬとこの議論はなかなか詰まらない議論だな。詰まらぬというのは、だめだという意味じゃなく、話が接近しない議論だなと、こういう感じを率直に持っております。

伊江朝雄自由民主党・自由国民会議

○委員長(伊江朝雄君) 以上で大臣の所信に対する質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十八分散会

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