国民生活・経済に関する調査特別委員会技術革新に伴う産業・雇用構造検討小委員会 第3号
- 発言数
- 19 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1984/07/04
会議録
○小委員長(梶木又三君) ただいまから国民生活・経済に関する調査特別委員会技術革新に伴う産業・雇用構造検討小委員会を開会いたします。 技術革新に伴う産業・雇用構造等に関する件を議題とし、技術革新の雇用に及ぼす影響について参考人から意見を聴取いたします。 本日は、お手元に配付の参考人名簿のとおり二名の方々に御出席いただいております。 まず、日本能率協会総合研究所常務取締役高地高司君から意見を聴取いたします。 この際、高地参考人に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は御多用中のところ、本小委員会に御出席いただきましてありがとうございます。本日は技術革新の雇用に及ぼす影響につきまして忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。 また、議事の進め方といたしましては、まず四十分程度御意見をお述べいただき、その後二十分程度小委員の質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じます。よろしくお願いをいたします。 それでは、高地参考人にお願いいたします。
○参考人(高地高司君) それでは、お手元の資料に基づきまして説明をさしていただきたいと思います。 お手元の資料は、昭和五十七年度でございますが、工業技術院の技術評価調査委託という委託調査を承りまして調査した結果を五十八年三月に発表したものでございます。 まず一ページ目でございますが、調査の目的でございますけれども、近年、既に御存じのように、マイクロエレクトロニクス技術を使いましたオフィスオートメーション、あるいは工場のファクトリーオートメーション、さらに最近話題になっております新しい通信媒体を使いましたところの情報サービス関係の変化といったようなものが産業にどのような影響を与えるか、その産業にもたらす影響の結果として、雇用関係の量的、質的な問題にどのような影響を与えていくのかということを検討いたしまして、その対応策を検討するというのが目的でございます。 調査の方法でございますけれども、対象分野いろいろ広いわけでございますけれども、二ページに参りたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、マイクロエレクトロニクスの関連する分野は、ほとんどの分野に関連しているというふうに申し上げてよろしいかと思いますけれども、第一点が、先ほど申し上げました工場の自動化問題、第二点がオフィスにおける自動化の問題、それから第三点が、新しい通信回線等の利用の自由化等に伴いまして出てくるであろう情報サービス関係のシステムといったものと、もう一点、ここには書いてございませんけれども、製品あるいは製造の技術に大きな影響を与えるというふうに予想されますメカトロニクスを第四番目の柱として取り上げて調査をしたわけでございます。 後段に書いてございますけれども、想定いたします年次は一九九〇年代ということで、かなり漠然とした年代を想定しておるわけでございますけれども、ある特定の年代の断面で論じることはなかなか困難ではないかというようなこともございまして、一九九〇年代というふうにしたわけでございます。 産業分野でございますけれども、製造業を中心といたしまして主要な第三次産業一卸・小売、金融・保険、運輸・通信、サービス業などといった関係をも含めまして、調査対象の産業分野ということで枠を設定したわけでございます。 それから、インパクトの波及ということでございますけれども、主として国内での物のつくり方あるいはサービス方法の変化あるいは製品そのものの変化ということになるわけでございますけれども、もう少し視野を広げまして、主要なOECD諸国あるいは工業発展途上国あるいは開発途上国といったこととの関連で見ておく必要があるだろうということで、ある程度国際的なことも加味して検討をしようというふうにしたわけでございます。 調査の方法でございますけれども、三ページ目でございますが、体制といたしましては、社団法人日本能率協会内に、技術革新が雇用に及ぼす影響調査委員会ということで、委員長は東京大学の教授をしていらっしゃいます猪瀬先生にお願いいたしました。さらに、その下に専門部会を設けまして、日本電気株式会社の専務取締役をしていらっしゃいます佐藤幸雄さんに部会長をお願いして調査を進めたわけでございますが、調査に使いました方法は、主として内外の文献調査並びにインタビューを使いまして取りまとめたものでございます。 研究項目につきましては、先ほど申し上げてきたことと、また後段申し上げますことと若干関連いたしますので、省略をしたいと思います。 それでは、六ページ目に移っていただきたいと思いますが、マイクロエレクトロニクスの技術動向ということで、概要を調査では把握したわけでございますけれども、既に、マイクロエレクトロニクスが雇用に与えます影響ということにつきましては、ヨーロッパではかなり早目にいろいろな調査が展開されてきておるわけでございますけれども、文献によりますと、比較的雇用に与える影響が、マイナス面を強調したような影響が多く見受けられるようでございます。一方、米国におきましてもマイクロエレクトロニクスの雇用に与える影響ということで調査レポートが出ておりますけれども、これは比較的中立的な立場をとっておるのではなかろうかというふうに思われますけれども、我が国の場合、既にいろいろなところでマイクロエレクトロニクスと雇用関係につきましては調査が展開されておったわけでございますけれども、比較的積極的側面を強調する調査の結果になっているのではないかというふうに思われます。 七ページ目に移りますが、御存じのようにマイクロエレクトロニクスの技術が持っております特徴ということで整理してみますと、幾つかの側面があるわけでございますけれども、一つは代表的なものがIC、いわゆる集積回路関係でございまして、これの集積度の、並びに性能の向上ということになるわけでございまして、十年間ぐらいでオーダーが違うぐらいの集積度の向上を見せて発展してきておるわけでございます。 一方、そういった素子を使いまして、最も代表的なものがマイクロコンピューターということでございますけれども、多機能あるいは知能性を持っている、あるいは小型、軽量、さらに廉価である、また信頼性も高いというような側面から、NC工作機械あるいはマシニングセンター、あるいは産業用ロボット、それから事務用機械、通信機器といったものに使われてきておるというのは御存じのとおりでございます。その辺のことを列挙してみますと、自動化・無人化、低価格あるいは小型である、あるいは多機能性を持っておる、さらにエネルギーの消費量も低い、それから操作が簡単である、また保守も容易であるといった特徴を持っておるものかと思われます。 そのような技術的な特徴を持ちましたマイクロエレクトロニクスでございますけれども、とりわけ話題になりますのが、一つが、研究開発が進んでおります第五世代コンピューターの開発問題ということで既にスタートをしておるわけでございますけれども、かなりの自然言語処理能力あるいは人工知能を持たせたコンピューター開発というようなことで、鋭意研究開発が進められておるものもございますけれども、その成果は一、二年後には発表されるであろうというふうに期待されているものの一つでございます。もう一方が、最近話題になっておりますINSという通信網の整備でございまして、通信網の整備につきましては、全国くまなく通信網を整備するということと同時に、高速の通信ができるようにというようなことも含めまして、光ファイバーを使いましたネットワーク形成であるとか、あるいは通信衛星による通信容量の拡大であるとかいったことがいろんな形で計画されておるわけでございますけれども、その基本は通信をディジタル化するという技術にあるわけでございます。 八ページ目にまいりまして、さらに今申し上げました技術の中で、機械部分とそれから電子部分を一緒にした技術の発展動向というのがかなり着目されるわけでございます。これメカトロニクスということでございますが、メカトロニクスの技術は、製品そのものに電子機器が使われるようになるということと同時に、生産する方法の中にもそういった電子機器が登場してくるというようなことになるわけでございまして、代表的なのが話題のロボットということになろうかと思います。 さらに最近では、話題になっておりますオフィスオートメーションでございますけれども、日本語の情報処理、非常に今特異な情報処理機能を要求するわけでございます。それに加えまして、私どもの通常用いております音声あるいは手書きの文字あるいは画像そのものを認識する技術開発、さらに我々は文章をたくさん使うわけでございますけれども、そういった文章をファイリングする技術といったものがいろんな形で製品発表されてきていると同時に、それらの機器にインテリジェント性というふうに申しますか、ある種の知的機能を持たした形で機械化あるいは製品化を図っていくというような動きが出てきておるわけでございます。そのようなことで、製品それから生産方法、それから事務所の中並びに通信網整備というようなことは、また一方では新しい事業機会を生み出しつつあるというような背景に基づきまして調査を展開したわけでございます。 以上が調査展開の背景でございますけれども、そういった、今申しました四つの分野の技術、マイクロエレクトロニクス化を含めました技術がいかように各産業分野にインパクトを与えていくかということで、一覧のもとに示しましたのが九ページでございます。 工場の中の自動化、さらに事務所の中の自動化、並びに新しい通信網を使いましたサービスの整備、最近ではVAN、付加価値情報通信というような形で呼ばれておりまして、民間企業も積極的に乗り出したいというような意向を表明しておるところでございますけれども、それとメカトロニクス化といったものが、先ほど申し上げました産業分野にいかような影響を与えていくかという側面の整理をさらにまとめたものが、技術革新の進展に伴います雇用へのインパクトの全体像を示したものでございます。 これで真ん中に示してございますように、丸い枠で囲った順に説明を申し上げてまいりますが、真ん中に新技術関連市場の拡大というのがございます。このFAあるいはOAといった技術の登場に伴いまして、機器メーカー、材料、素子といった基礎技術産業の市場というものが大きく拡大するというのが進行しておることは皆様御存じのとおりでございまして、LSI、IC工場などのそちこちに対します立地を見ましても、需要が拡大していることは御存じのとおりかと思います。それに伴いまして、基礎素材関係も変わってまいりますし、さらに、そういった機器を使いならすためにエンジニアリング技術というふうにでも申し上げますか、というものが、かなり需要を拡大してきておるわけでございまして、システムエンジニアあるいはソフトウエアを作成いたしますところのプログラマーといったところの需要はかなりの拡大を見せているというのが最近の事情でございます。 そういった工場の関連自動化機器あるいは事務所の関連機器、それから情報通信網の整備というようなことに伴いまして、端末機器など、さまざまの機器の需要が拡大してまいりまして、いろいろな企業が新規参入を図るという状態が予想されておるわけでございます。これが新技術関連市場の拡大という側面でのインパクトということになろうかと思います。 次の項目が新製品あるいは新情報サービスの登場ということになろうかと思われます。 先ほど申し上げましたように、ロボットにいたしましても、あるいはパーソナルコンピューターにいたしましても、さまざまの機器が、製品が開発されて発表しておるとおりでございまして、年々新しいものが出てきているということで、需要は一気に拡大の方向を見せておるわけでございます。そのようなことからエレクトロニクス関連の産業につきましては、経済活性化というような側面からも、かなりの期待が持たれているという側面がございます。 一方では、そういう新製品の登場によりまして、事務機器関連におきましても競争は激化してきておるわけでございます。そのような影響の先行きにつきましては、いつごろどうなるのかという予測はなかなか難しいと思いますけれども、一部製品につきましては、市場成熟を見ていくであろうというようなことが考えられるわけでございます。そのようなことで、メカトロニクスを中心としました技術によりまして、新しい製品が続々と登場してきつつあるというのが、調査時点あるいは今日までの傾向ではないかというふうに思われます。 第三番目でございますが、そのようなことで内外の産業あるいは当然のことながら市場構造というものが変わってきつつあるということではないかと思われます。 品質も含めまして、性能もそうでございますけれども、新しい製品の登場によりまして、それを販売していく、あるいは需要者層といったものも大きく変わってきつつあるわけでございます。例えばパーソナルコンピューターあるいはワードプロセッサーにしましても、家庭では使うことも想像できなかったわけでございますけれども、最近に至りましては、ホームオートメーションというようなことで新しい市場開拓が行われてきているというようなのが実態かと思います。そのような意味で、従来の電卓と同様に使えるような機器が登場し始めてきているといったことで、海外も同 様でございますけれども、新しい市場並びにその市場構造変化が起きてきているというようなことから、多数の企業が多角化し、あるいは業種転換をしながら新市場に参入しているということではなかろうかというふうに思います。 したがいまして、二つの問題がございまして、旧来の製品を代替していくという側面も持っておりますので、その旧製品、既存製品関係につきましては雇用吸収力が若干ながら落ちていくという側面を持っているかと思います。一方、多角化、業種転換等によりまして、エレクトロニクスを含めました新しいシステムエンジニアあるいはプログラマー等の技術者が要求されるというような側面も持っておりまして、言われるところの職種転換あるいは配置転換などによって今、雇用関係の調整を企業努力で図っているというのが、またその方向にあるというのが一つの側面ではなかろうかというふうに思われます。 それから、図の中ほどにございますが、第四点でございますけれども、以上のような状態を含めまして、企業内の情報化問題あるいは知識集約化というのが進展するであろうというのが次のインパクトの項目でございます。 種々の製品に電子素子を使うというようなことが進み始めますと、当然のことながら、機械のメーカーさんにおきましても新しい電子技術者が要求されるというようなことになろうかと思われますし、またそういった製品を売るためには、それなりの知識を持った販売員が必要になるというようなことが要求されてまいります。そういった側面で、企業内でのオフィスオートメーションも含めまして情報化を図っていくと同時に、知識集約的な人的構造が要求されてくるということになろうかと思われます。 企画、営業、あるいは調査部門につきましても、従来の、物を持っていって置いてくればよろしいといった販売形態ではなかなかセールスができないということでございますので、十分な製品知識、また使い道といったものをわきまえて販売活動をしないといけないというようなことでございますし、さらに、このような製品はハードウエアのみではございませんで、ソフトウエア絡みでございますので、アフターケアといったものがかなり重要になってまいります。それはプログラムの作成であるとか、あるいは製品のメンテナンスであるとかといったことが大事になってまいりまして、通俗に言いますと手離れのそれほどよくない機器の販売ということになってくるわけでございます。また、当然のことながら、流通の形態も変わってまいります。従来、電子機器メーカーさんでございますと秋葉原で物を売るようなことはなかったと思いますけれども、ああいった大量販売の流通チャネルを使うというようなことが出てまいりますので、流通形態もおのずから変わらざるを得ないであろうというようなことになってまいります。 それから右下になりますけれども、第五番目になりますが、新しいサービス産業の台頭ということになろうかと思われます。 一つは、先ほど申し上げました流通業のサービス産業化という側面かと思いますけれども、流通業関係におきましても、物品の販売からさらにファイナンス関係のサービスをも加味してくるといったことで、クレジットのサービスなどにも乗り出してくるというような風潮が今出てきつつあるのは御存じのとおりでございます。さらに輸送の形態も、特に運輸業におきましては変わってきておりまして、最近では宅配などにその例を見ることができるかというふうに思います。そのようなことで、新製品関係につきましても徐々に高い性能の機械を要求するようになってきますし、小型化に対する要望もかなり高いものが要望されてくるというようなことでございまして、製品に対しますニーズの高度化といった問題も出てくるのではないかと思います。そのような意味で国内市場に対します対応もそうでございますし、技術革新が激しいものですから、毎年あるいは半年ごとに新製品が登場してくるというような状況になってきつつあるわけでございます。 それからもう少し目を転じますと、国内でのパーソナルコンピューター、あるいはロボット、あるいはワードプロセッサーにしましても、発展途上国あるいはヨーロッパあるいはアメリカといったところで使われる、あるいは輸出が行われるようになってくるわけでございますけれども、そういったものとの対応関係といったものが出てくるというのが新サービス産業の台頭という側面でのインパクトかというふうに思われます。 そのような、今五つの項目で説明をしたわけでございますけれども、今申し上げました分野の中では、比較的需要を促進する側面が多かったというふうに考えるわけでございますけれども、その需要を促進する局面の中でも、技術者に対する需要というのが質的また量的に変わってくるのではなかろうかという側面がございます。これが第六番目の項目でございます。 技術者の変化の中では、エレクトロニクス関連の技術者の需要が増大するということとともに、新しい応用分野あるいはソフトウエアを開発するというような側面で、プログラマー等の技術者が要望されてくると予想されるわけでございますけれども、一方では、工場内におきましてもロボットなどを操作する、あるいはロボットに教えるといったような側面で、従来にはなかった技術を持った労働力が必要になってくるのではなかろうかというふうに思われます。 したがいまして、工場内での新しい生産方式あるいは新しい製品をつくっていくというようなことに伴いまして、配置転換等の方策によりまして職種の転換などが行われたり、あるいは再教育がされておるわけでございますけれども、なれない仕事で営業関係に回るというような側面で企業内でのバランスをとっているというような側面も一部では出てまいります。また、新しい技術の登場に対しましては若年層の方が対応しやすいというような側面もございますので、若年層のしかも技術力を備えた人々に対する需要というのは大きくなってくるのではなかろうか。したがいまして、若年層にとっては需要増につながってくるのでございますけれども、中高年層関係につきましては、新しい技術に対応し得ないというような側面も一方では出てくるということになろうかと思われます。そのようなことで、一部転職者の発生であるとか、あるいは専門分野の高度化であるとかいった技術内容に対しますインパクトを持つと同時に、自動化が進んでまいりますと、どうしても単調作業になる部分が出てまいります。例えば、工場におきましても、物を供給するということになりますと、供給するだけの作業をするというような単調な作業とか、あるいは機械を操作するということになりますと、操作するだけの作業になるといったようなことで単調な作業も出てまいりまして、その面での衛生的な問題あるいは人間工学的な配慮といったものが必要になる側面も顕在化してくるのではなかろうかというふうに思われます。 それから、第七番目になろうかと思われますが、関連産業におきます構造変化ということでございますけれども、エレクトロニクス関連の業界構造ということでいきますと、一つは組み立て産業がございます。その下には、さまざまの部品供給をする産業群があるわけでございますし、さらに流通を分担する産業、業種があるわけでございます。で、このいずれの分野におきましても、それぞれの技術的な要望度は高くなると同時に、それに対応し得ないというようなことになりますと、市場から、あるいは部品供給企業としての役割から撤退せざるを得ないというような側面も出てまいりまして、日本の産業構造の中では特に注意して見ておく必要のある部分かというふうに思われます。 近年では、中小企業等のかなり活性化した企業の活動も見られますけれども、OA化あるいはロボットの導入というようなことにつきましてもかなり熱心な動きを見せているようでございます し、また助成金制度もできてきておるようでございますが、この新しい技術を吸収した、またうまく誘導する方法などが大事になってくるのではなかろうかというふうに思われます。この側面におきましても、多角化あるいは業種の転換といったものは当然のことながら必要になってくるでございましょうし、それに対応し得ないというようなこと等、あるいは合理化に伴いまして雇用の吸収力が低下する部分が出てくるおそれもあるわけでございます。 第八番目になりますが、工場並びにオフィスにおきます労働の質的な量的な変化という側面で見てまいりますと、工場関係でまず見てまいりますと、工場内の自動化に伴いまして、ロボットが中心になろうかと思われますが、従来の単純作業はある意味で、例えばロボットを使うことによりまして物の運搬などはかなり簡素化されてくるわけでございますけれども、一方やはりロボットでは賄い切れない作業というのが出てまいりますので、それ以外での単純作業が発生する可能性もございます。同時に、機械を動かすということになりますと、当然のことながら監視する機能も必要になりますし、それを動かす手だても必要になりますし、機械を保全するという作業も必要になってまいります。これは、今申し上げましたのはふえる方でございます。 それから、当然のことながら、要求されます技能の程度も高度になってくるというようなことから、職種の転換はかなり検討されつつございますし、配置転換も種々行われてきつつある。それから、一部余剰労働力というようなものが発生する。配置転換あるいは職種転換などでは、一企業内の努力ではでき得ないというような側面があるということでございます。それから、単純作業領域の新規採用の抑制というようなことが発生しつつあるわけでございますけれども、工場並びに事務所におきましても、新規事務職あるいは単純作業者の雇用抑制といいますか、採用を抑制するというような面が出てこないとは言えないというような状況ではなかろうかというふうに思います。 最後の項目になりますが、雇用に関する円滑な調整機能というものが必要になってくるわけでございますけれども、現在のところ企業内での再教育、再訓練あるいは配置転換などによりまして余剰になりました労働力を吸収してきておるわけでございますけれども、いつまでもそれで対応できるのだろうかという側面が出てまいります。そういう意味では、単に職場をかわるということではございませんで、会社自体もかわるというような側面での転職等への配慮が必要になってくるのではなかろうかというふうに予想されるわけでございます。 以上が雇用関係に対するインパクトの取りまとめでございまして、次のページ、十ページ目になりますが、それに基づきまして、対応関係の説明を簡単に申し上げたいと思います。 想定される雇用上の問題点ということで、先ほど申し上げましたのを整理してみますと、一つは技術者に対する需要が増大するというようなことと同時に、事務職、技能職といったレベルの職種につきましては過剰になってくるというようなことがあろうか。それから、第二番目でございますけれども、作業の高度化とともに一方では単調な作業も出てくるのではないか。それから、既存の製品部門におきましては、雇用抑制といったものが出てくるのではなかろうか。それから第四点でございますが、競争力の差がつくことによります雇用上の問題点ということでございまして、技術力あるいは市場競争力においてどの地位を保てるか。これは企業間、産業間あるいは国際間によりましてさまざまに変化するかというふうに思われますが、たまたま競争力に負けるというようなことがございますと、職を失うというような側面が出てくるというふうに想定されるわけでございます。 それに対応します対応策ということでございますけれども、まずは産業の活力維持というようなことで、新しい産業の振興、今申し上げましたOAあるいは情報問題、あるいはロボット等のエレクトロニクスを使いました新しい産業振興というのを積極的に図ることによって雇用の増大を図っていく必要があるのではなかろうか。それから第二点目としましては、サービス産業の多様化というようなことで、さまざまなサービス、特にエンジニアリングサービスとかソフトウェアハウスとかあるいはシステムハウスなどがあるわけでございますけれども、それらに対応を積極的に進める必要があるのではないか。それから、中小企業の活力をいかようにして維持していくのか。特に新業種への転換あるいは新技術の導入に対します援助などを図っていく必要があるのではなかろうか。さらに、技術者が求められておるわけでございますので、教育訓練関係の機関の充実を図る。この四点が産業の活力維持で重要になる点かと思います。 第二点目でございますが、良好な労働環境を維持あるいは向上するというような点から見ましても、雇用機会の安定確保というようなことで、各種調整、企業内での努力はもとよりでございますけれども、企業外におきます調整機関などが大事になってくるのではないか。それから、第二点目でございますが、教育訓練機会の拡大、充実。特に中高年あるいは婦人労働者も含めました皆様方に対する再教育訓練等が大事になるのではなかろうか。それから、多様な雇用形態の受け入れということでございますけれども、パートタイムの労働だとか、あるいは将来予想されますものとしましては在宅勤務というようなものもございますけれども、そういった労働時間の短縮とともに、仕事を分け合うというような、ジョブシェアリングと書いてございますけれども、といった物の考え方などの整理が必要になってくるのではなかろうか。それから、労使関係につきましてかなり優秀な労使関係が日本の経済成長を支えたというふうに言われておりますけれども、これをいかように良好的な関係で維持していくかどうか。それから安全衛生等などを含めました職場環境の整備というのが良好な労働環境維持、向上について必要な対応策ではなかろうかというふうに考えるものでございます。 最後になりますが、国際協調体制関係への積極的な対応ということでございますけれども、欧米先進国関係との協調というようなことでございますと、ソフトウエアの開発といったものの国際分業というようなことが考えられるのかどうか。それから教育関係、輸出におきます製品構成の高度化、多様化、それから技術交流、多元的な文化交流、それから日本企業の国際化の促進、それから輸入の促進といった対応が欧米先進国に対しては配慮することが必要なのではなかろうかというふうに考えるものでございます。 さらに工業発展途上国につきましては、既にいろいろな機関ができておるようでございまして、情報化に対します援助なども行われているようでございますが、より一層ハード、ソフトにおきます技術協力が必要でございましょうし、教育・研修機会の提供といったものが必要になるのではなかろうか。 最後になりますけれども、発展途上国に対しましても、それに合った情報化の機器等の援助などが必要になると同時に、教育関係が必要になってくるのではなかろうかといった点がこの調査におきます「求められる対応策」への対応でございます。 時間を若干オーバーしたようでございますけれども、一わたり調査の概要について説明を申し上げました。
○小委員長(梶木又三君) 以上で高地参考人からの意見聴取は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 質疑のある方は小委員長の許可を得て順次御発言を願います。
○真鍋賢二君 余りにも大きい問題点を持っておりますので全般の質問をするということは大変難しいと思うわけでございますので、一、二だけお伺いをいたしたいと思うわけでございます。 一つには、新しい産業を創設せなきゃならないわけでございますから、それをただ単に工場なんかの立地条件のいいところというその問題は、例えば新しい産業を生み出すのは、中小企業とか一般の企業だけでなくて、学校であるとか、国の研究出先機関であるとか、その他民間の研究機関であるとかいうようなものが立地しておるところに企業群が集まってくるような状態をつくり出す必要があるんじゃないだろうか。いわゆる産業と学術部門が相提携する場所というものを想定してこの工場立地なんかしていく必要があるんじゃないか。そうすることによって、雇用の場というものが新しく変わった状態で生まれてくるんじゃないだろうか。いまさっきお話がありましたように、例えば技術革新の非常にテンポが速いわけですから、新しい技術者で大卒をすぐ採用しても、四、五年でもう使いものにならなくなってくる。使いものにならなくなった人たちの雇用をどういうふうにしてやるかということについていろいろ教育の場であるとか、再教育の問題であるとか、また職場転換の問題、いろいろ言われておりましたけれども、そんなことを考えると、そういうものを含めて産学の一体化というようなことでこれから雇用の場をつくっていくということを考える必要があるんじゃないだろうか、まちづくりもしていく必要があるんじゃないだろうか、こう思うんですが、その点について一点お伺いしたい。 それからもう一つは、余りにも国内も国外も情報化社会においてたくさんのニュースが流れてくるわけでございますね。それを何か一カ所に集積して、それを適切な処理をした上で各関係企業であるとか研究機関であるとかいうようなところに流すような状態をつくり出しておく必要があるんじゃないだろうか。混乱する情報をひとつ整理した上で新しい雇用の場をつくっていったり、またそれに対する対応策を考えていく必要があるんじゃないだろうか、そういう面についてどんなお考えを持っておるか、この二点についてお伺いしたいと思います。
○参考人(高地高司君) 第一点でございますけれども、先端技術関係の産業を育成していくために産学が協同して技術開発あるいは再教育ができるというようなことで、ある意味では研究学園都市的な意味合いの御質問かと思うんですが、そういったコミュニティーを形成していくことが大事ではなかろうかというふうに御質問かと思うんですが、コミュニティー自体の形成というのはかなり大事な側面を持っているというふうに私も思います。技術は交流することによりまして新しいものが生まれてくるということはそのとおりだろうというふうに思われますけれども、コミュニティーの形成の仕方みたいなものが情報化の基盤整備、通信とかあるいはデータベースとかいったものの通信関係の整備をすることによりまして、地域的に必ずしも一カ所に集まるというような手段でなくとも交流ができる場というのが将来期待できるのではなかろうか。 現在、政府におきましてもいろんな手だてが打たれておりまして、情報化を中心とした都市づくりであるとかあるいは先端技術を中心とした地域形成であるとか、いろいろ手を打たれておるようでございますけれども、それらが同じ場所に全体としてまとまって立地しなければならないかどうかということになってまいりますと、地域あるいは地域での産業の形成も含めまして、うまい配分ででき得ればそこの中に一つのコミュニティー形成をつくっていくのも一方策でありましょうし、かなり先端技術との接触度というのは通信に伴いましてふえてくると思いますので、それによってどこまでカバーできるかということとの両面で多分整理してかかる必要があるのではなかろうかというふうに第一点の質問については思います。 それから第二点の、情報がはんらんすることによりまして整理がつかないのではないか、したがって情報を整理するどこかセンターあるいは中心機構を設けまして整理するということが必要ではなかろうかということでございますけれども、情報につきましては幾つかのクラシフィケーションというんですか、秘密を保持する段階みたいなものがいろいろあるのではなかろうかというふうに考えます。 したがいまして、すべての情報についてセンターが特に必要かということになりますと、ある意味では民間活力を生かすというような側面もございますので、情報のクラシフィケーションをしっかりすることによってそれを管理する機能、機器、機関というようなものが明確に区分けされてくるめではなかろうかというふうに考えておるわけでございますけれども、民間が活用します情報等につきましては、できればかなりの自由度を持って活用できるというようなことが必要でございましょうし、国家、国際間での情報につきましては、ある意味でいろんな段階のクラシフィケーションを設けまして管理、整理するというような対応策が必要なのではないかというふうに考えております。 それから技術的な整理問題につきましては、通産省でやっておりますインターオペラビリティーの問題もございますけれども、そういった使い方に対します標準化、あるいは統計関係の統計項目の整理といったものをも含めて共用できる部分というようなものがどうあるかといった検討がこれから行われるんだろうというふうに思いますので、先ほど申し上げました情報のクラシフィケーション別の管理システム、こういったものを検討しておく必要があるのではないかというふうに思います。
○吉川春子君 雇用にどういう影響を与えるかという問題について伺いたいと思います。 現段階においてはマイクロエレクトロニクスの導入が雇用に悪影響を及ぼしたという結果は見られない、こういうふうに言っておられるんですけれども、それは数の上で減っていないということと、それから内容ですね、例えば正規の職員がパートになるとか、そういう形での内容の変化も伴わないという、そういう二つの側面で、両方とも雇用に悪影響を与えたとは言えないという結論を出されるのかどうかという点。それから、私どもも調べてみて、非常にどういう影響を与えたかということが今のところ数字でつかみにくいんですけれども、悪影響を与えていないというふうに結論づけるためには何かやっぱりしっかりしたデータがあったと思うんですけれども、その具体的な数字などについても伺いたいと思うんです。 それからもう一点は、今後の問題についてはやはりかなりいろいろ深刻な問題が出てきそうだというふうにお述べになりましたが、特に通産省の「技術革新の衝撃」という本などを読んでみても、この点については細かく出ているんですが、私は次の三つの点で伺いたいんです。 一つは生産部門の雇用の変化で、一方では技術者の需要が増大する、もう一方では直接生産活動の縮小による大幅人員減があるというふうに指摘されていますね。技術者の需要のパーセントと、それから直接生産活動に携わっている労働者の定員減という数ですね、パーセントでも結構なんですけれども、伺いたいんです。例えば具体的に今一千万こういう労働者がいるとすれば、極端に言えば七割ぐらい要らなくなっちゃうんじゃないかとか、そういうように数と、それじゃ逆に技術者の需要がふえるのは大体どれぐらいふえるのか、そのバランスについて伺いたいんです。 それは同時にOAの導入による事務職員についても伺いたいんですね。これも事務職員というのはかなり減るんじゃないかというふうに指摘されていますね。それと同時に、減った職員が今度は営業とか販売の方にも回る可能性はあるんだけれども、しかし営業、販売の方も実はそれほど必要なくなるんだということも指摘されているわけですけれども、これもやっぱりどれぐらいの数字が、OAの導入によって事務員が減るのかという点を伺いたいんです。聞くところによると、もう丸の内の朝の通勤ラッシュは閑古鳥が鳴くような状態になって、労働者が必要なくなるというふうに指摘する専門家もおられるわけなんです。こういうような状態を、例えばおっしゃるような日本型の 雇用慣行がこれを救うことができるのかどうかということですね。 それから、今御質問したのは、結局同じ産業の中での、こっちで減って、こっちでふえる、そのバランスについて伺ったんですけれども、いまもう一つの問題としては、例えば製鉄所とかそういうところで大幅な、私たちは人減らし合理化と言っているんですけれども、人員の削減が行われていますね。かなりの失業者も出ているわけですけれども、こういうような分野ではみ出した労働力を吸収できるような、そういう可能性が技術革新の雇用の拡大の面でできるのかどうか。それもできればちょっと具体的な数字などで指摘していただきたいというふうに思います。
○参考人(高地高司君) 仕事の量的なものが確保できるということと作業内容の変化といったことから見て、量的に雇用機会を維持できたから影響が少ないというのはどうかということと、内容が変わってきているから影響があるという言い方もできるのではないかという御質問だと思うんです。 おっしゃるとおり企業に行きましてヒアリングなどしてみますと、営業に回されたけれども、営業は自分の得手ではないというようなことで退職をする人も間々なきにしもあらずであるというのが例としてあるようでございます。したがいまして、職種の転換並びに配転関係につきましては、本人の意向を大事にしながら、あるいは労組との協議を経ながら職種転換を、あるいは配転を図っているようでございますので、合わない職種に回って後、実際にじゃどうするかというようなことでございますけれども、やはり一部は工場に戻して準備作業等をやってもらっているという、現状はそういう状態できているのではなかろうかというふうに考えております。 その内容が変わることによって、例えば生産現場でロボットを使うようになった人というのは比較的歓迎しているようなんですね。なぜ歓迎するのかということでございますけれども、比較的新しい技術を身につけて仕事するということに対しましては余り抵抗感がないというのが、そういう受け入れやすさを表明している理由ではないかというふうに私は受け取っておるわけです。 それから、第二番目ですが、三つございましたけれども、生産部門におきます変化の中で技術者需要というのは高まる、しかし直接生産現場におる人々は削減されていく、これの数字的な意味合いはどうかということでございますけれども、全国ベースでの調査の結果というのは実は発表されておりませんので何とも言いかねるわけでございますけれども、私どもが調査しました関連のもので簡単に数字を申し上げてみたいと思いますが、千葉県でのFA化といいますか、ロボットを使い、さらにNCを使いといった形で、かなり従来の設備投資の上に新しい機器を加えて投資した結果がどのくらいの直接労働力の削減になっているかというのを調べたことがございます。約三%でございます。これは千葉県の方で既に新聞発表もされているところでございますけれども、そのようなことで三%というのはどのくらいの数字であるか忘れましたが、たしか一万五千か二万、そんな数字ではなかろうかというふうに思います。 その三%の人たちが工場に行きまして今現実に何をしておるかということでございますけれども、その工場の中で同じものを生産するという側面の中で三%の労働力節減になっているということでございまして、三%の削減でございますと、百人のうちの約三人ですか、ですから、中小関係につきましてはそのためにその人が要らなくなるという形にはなかなかならないんですね、端数のことでございますので。したがって、生産前後の準備作業に携わってもらうことで十分その場所を確保できているというのが実態であったようでございます。設備を投入するものですから、その効果を見るときに、大体どのくらいの効果がありますかということで、効果の概算として何人分に相当しますというような発表の仕方が現実のところではないかというふうに、これは去年やった調査ですが受け取っております。 技術系でございますけれども、ではその三%以上になるのかどうかという問題はかなり難しい問題だと思いますけれども、生産部門関係の技術力ということで見てまいりますと、ソフトエンジニアを含めましてその三%ぐらいならばカバーはできていくんではないか。将来どのくらいの大きなインパクトを持ってくるかということとの対応で見ますと、ちょっと数字では私十分検討してございませんので申し上げられないと。 それから二番目、OAでございますが、単純な事務職につきましてOLを初めとしましてかなりの部分要らなくなるのではなかろうかというふうに言われておるということでございますけれども、それをまた営業だとかいったところに持っていくにしましても、そんなには人は要らないのではないかという御指摘でございます。 OA化につきまして、現在のOA化側面でございますと、これも人員的に何人削減できたという実績につきましてはほとんど出しにくい状態であるというふうに申し上げて差し支えないと思います。企業の中で、じゃどのくらいの生産性向上につながったかということになりますと、一〇%とか一五%という御返事をするところが圧倒的に多うございますけれども、したがって人員が十分の一で済むようになったかということになりますと、現在はそれほど仕事の単位といいますか、まとめ方が整理されていませんので、人的に何割削減されたという状態にはちょっとまだ結びつかない。将来、通信関係との結びつきによりましたり、あるいは企業内のいろんなデータの整備というようなこととつながってまいりますとある程度の削減は可能かというふうに思われますけれども、まだ実害が出る状態には遠いのではないかというふうに思います。 それから、仕事の性質上、特にまた我々日本人はそうだというふうに私は考えておるんですが、品質に対するかなりきめの細かい要望というのが強くなってくるというような側面もございますので、その品質向上面に時間を割くとか、あるいはもう少し内容のいいものをつくるというようなことの作業のために時間を割くというようなことがしばらくは続いていくのではなかろうか。 それから、先ほど御質問もございましたけれども、OA化に伴いまして情報処理量というのは必ずしも軽減されるわけではございませんで、より多くの情報処理が求められるというような側面もございますので、OA化によって削減されてくる人員というのは、今一般に新聞などでトラスチックに言われているほど具体的に人員数で何ぼという削減にはちょっとつながりそうもないのではないかというふうに私は考えております。 それから製鉄関係などでございますが、技術革新に伴います影響のあらわれ方でございますけれども、どうも、就業者がどのくらいいたかというのを、例えば経済変動との関係で見てまいりますと、構造不況系の業種におきます雇用労働者の変化などとの兼ね合いで見てまいりますと、技術革新変化部分による雇用者の削減というのはなかなか実はつかみにくくて、経済変動並びに構造的な不況関係との関係の方が、雇用機会を少なくするということの影響の方がかなり大きいように数字的には見えるんですね。 したがいまして確かに製鉄関係もかなりの自動化を図ることによりまして、その現場では要らなくなったということで人員の削減を図ってきているように思いますけれども、これも一朝一夕にあれだけの自動化ができたわけではございませんで、かなりの自動化投資を積み重ねることによって出てきたということで、やはり技術革新によります雇用喪失のあらわれ方というのは比較的、何というんですかね、少しずつ、しかも長い間にわたって出てくるというような特性を持っているように思うんです。構造変化、経済関係はもっとトラスチックに出てくるということで目立つ側面がありますので、技術進歩に伴う雇用機会の喪失現象というのはいきなり、一年、二年で大きな数字にあらわれてくるというふうにはちょっと考えに くい。したがって、先ほどの製鉄会社関係でございますが、これはある意味では、かなりの設備投資をいたしまして、予想した需要と供給との関係が狂ったという結果によることの方が影響が大きいのではないかというふうに私は思いますけれども。
○稲村稔夫君 それでは、もう時間もございませんので、私は非常に簡単にお答えをいただくつもりで御質問申し上げます。 今、雇用とのかかわりでいろいろとございましたけれども、こうした雇用の関係というのは、社会的な影響というものとかなり密接にかかわっていると思うわけです。そういう社会的な影響についていろいろと御検討はこれあわせてされたんでしょうか、その辺がもしあればというふうに思うんです。 それは例えばOA化とかいろいろなあれが、今まさにディジタル化ということが技術革新の一つのベースになっているような形になっている。言ってみれば、それに対応する人間もディジタル的思考にだんだんと持っていかれるという、そういう中で出てくる問題というのもございますし、あるいは経済の二重構造と言われている中で、それこそ中小企業ですね、独自の分野ではい上がっていく部分もあるでしょうけれども、同時にまた、今までの下請その他の面で対応し切れないで、もう今大変アップアップしているものも随分あるわけなんですが、そういったことが今後の問題としてかなり大きな社会的な問題になるんではないだろうか。それがみんな雇用と実際にはかかわってくるんじゃないだろうか。そんなこともちょっと心配になるものですから、御検討されたことがもしあれば、簡単にお聞かせいただければと思います。
○参考人(高地高司君) 特に検討したことはございません。
○稲村稔夫君 はい、結構です。
○小委員長(梶木又三君) 以上で高地参考人に対する質疑は終わりました。 高地参考人には、お忙しい中を本小委員会に御出席いただきましてありがとうございました。ただいまお述べいただきました御意見等につきましては、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。小委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。 ―――――――――――――
○小委員長(梶木又三君) 次に、雇用促進事業団雇用職業総合研究所所長氏原正治郎君から意見を聴取いたします。 この際、氏原参考人に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は御多用中のところ、本小委員会に御出席いただきましてありがとうございます。本日は技術革新の雇用に及ぼす影響につきまして忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。 また、議事の進め方といたしましては、まず四十分程度御意見をお述べいただき、その後二十分程度小委員の質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じます。よろしくお願いいたします。 それでは、氏原参考人にお願いいたします。
○参考人(氏原正治郎君) 私が雇用職業総合研究所所長の氏原でございます。 本日、この場で発言の機会を与えられましたことを大変光栄に存じております。 私どもの研究所では、昭和五十六年六月から本年四月にかけまして、皆様のお手元に差し上げてございますマイクロエレクトロニクスの雇用に及ぼす影響に関する調査研究委員会というのを持ちまして、第一次、第二次の中間報告に続きまして、本年四月、一応の最終報告を作成いたしました。そこで、本日はこの報告書の概要に若干の私の私見を加えて意見を述べさしていただきたいと思います。 それで、皆様のお手元にごく簡単な「概要」がお渡ししてございますので、おおよそその順序に従って意見を述べさせていただきたいと思います。 私たちがまず最大の関心を持ちました第一は、今回の技術革新の中心でございますマイクロエレクトロニクス技術の雇用という面から見ましたあるいは社会経済的な面から見ました基本的特性ということでございまして、その基本的特性といたしましては、ここにも書いてございますが、プログラムを介して情報処理を行う技術である、こういうことでございます。 その合意はどういうことかと申しますと、幾つかございまして、普通にこのME技術と申しますと、CNC工作機械でございますとか、マシニングセンターでございますとか、ロボットでございますとか、こういうものが取り上げられますが、実のところ、CNC工作機械にいたしましても工作機械であることには間違いございませんし、マシニングセンターにいたしましても工作機械であることには間違いございません。そこで、工作機械以上の特性ということになりますと、工作機械についているコントローラーでございまして、これにプログラムを挿入することにいたしまして、一つの工作機械が幾つかの仕事をするというところに基本的特性があるわけでございますので、このME技術の特性というのをそういうふうに考えたということでございます。 それから、一般にマイクロエレクトロニクス技術革新につきましては、今申し上げましたようなさまざまなマイクロエレクトロニクス応用機器が取り上げられておりますが、実はそういう応用機器というハードウェアの側面だけではこのマイクロエレクトロニクス機器は機能しないのでございまして、これに一定のプログラムを入れてやる、あるいはまたそういう機器をシステム化いたしましてコントロールするソフトウエア技術が合わさって機能を発揮するということでございまして、この雇用を考える場合、あるいは社会経済的なこのマイクロエレクトロニクス技術の意味を考える場合には、この二つの側面を見ていくことが必要だと、こういうことを合意しているわけでございます。 それから第二番目に注目いたしました点は、マイクロエレクトロニクス技術が急速に発展、普及いたしました技術的な理由といたしましては、この記憶、制御それから情報処理の機能を一つのチップの中に体現いたしましたマイコンチップの製造技術が非常に発達いたしまして、具体的に申し上げますと、非常に小型化し、高性能化いたし、さらに価格が安くなったわけでございますので、いろいろな機器に導入することができるようになったということでございます。 それから第三番目に、こういうことでマイクロエレクトロニクス技術は非常に普及してまいったわけでございますが、そのマイクロエレクトロニクス技術の応用範囲という面から見ますとどういう応用範囲があるかということでございますが、これにつきましては、皆様のお手元に差し上げてございます報告書の七十六ページと七十七ページにたくさんのものが書いてございますのでこれをごらんになっていただきたいと思いますが、非常に広範囲にわたっておりまして、これを要約いたしますと、一つは民生用の機器に導入して応用するという面と、もう一つは直接生産工程における制御に使う応用の仕方でございます。これが最もよく知られておりますCNCマシンツール、あるいはマシニングセンター、あるいはインダストリアルロボットその他でございます。さらに、この生産と連結いたしまして、部品材料の管理、製品の管理、さらに製品の設計、それから試作、ここにはCAD・CAMが応用されておりますが、こういう生産に関連する部分に応用されているのが二つ目でございまして、三つ目が事務サービスの自動化に応用されている部分でございまして、企業内外の情報の記録、分類、照合、整理、保存、検索、処理、伝達という部分に応用されているものでございます。それから四つ目には、これらのさまざまな機器をシステム化いたしまして、そのシステムをコントロールするという応用の仕方でございます。 今までの段階でございますと、今申し上げまし た三つ目までが大体応用の進みつつある分野でございまして、四つ目の部分はまだ端緒についたばかりだというふうに言っていいかと思います。具体的に最も進んだものといたしましては金融機関のオンラインシステムでございまして、製造部門でございますと一部分にいわゆる自動化工場、FMSが導入されておりますが、これはまだ部分的でございまして、それほど広く普及しているわけではございません。今後このシステム化がどの程度のスピードで進んでいくかということにつきましては、我々としても関心は持っておりますが、結論を得ておりません。今の段階は今申し上げましたような技術的段階だというふうに考えていただいていいかと思います。 そこで、一つ注意を喚起しておきたいと思いますことは、このマイクロエレクトロニクスの応用という観点からいたしますと、今までのところその生産用、事務用に使われているよりはむしろ民生用に使われている方が多いということでございまして、これもこの報告書の八十六ページの表4をごらんになっていただきますと、大体マイクロコンピューターの使用の約八割強が民生用でございます。金額にいたしますと六割弱が民生用でございまして、その他が生産・事務用に使われているということでございまして、こういうように民生用に使われているということは、後で申し上げますように、需要の拡大を非常にもたらしてきたということでございます。 それからその次に、マイクロエレクトロニクス技術が導入されました背景について申し上げておきたいと思います。 第一点はマイクロエレクトロニクス技術が今申し上げましたような社会経済的な性格を持っておりますので、これが第一次オイルショック以後に企業に要請されました減量経営に非常にマッチした技術だったということでございます。減量経営は一口に申し上げますとコストダウンということでございますが、コストダウンの中には、省エネルギー、省資源、省力化という、つまりエネルギーコスト、それから原材料コスト、労務費コストを削減するということでございますが、そのいずれにも適当した技術であったということが第一点でございます。 第二点はどういうことかと申しますと、今申し上げましたマイクロエレクトロニクス技術の技術的特性から言いまして、六〇年代に発達いたしました大量生産方式に比べますと、マイクロエレクトロニクス技術は多品種生産でございます。例えばCNC工作機械にいたしましても、プログラムを変えることによって違った部品をつくることができるということでございます。あるいは塗装用インダストリアルロボットの場合でございましても、労働者が町ホットにティーチングをやると、ティーチングされたとおりにロボットが塗装をやる、こういうことでございますから、六〇年代の大量生産方式のように、製品を標準化いたしまして、そしてその製品の部品を規格化しまして、この規格化された部品を単能機械によって大量生産をやり、そしてその大量生産された、規格化された部品を組み立てラインのベルトコンベヤーでもってコントロールして同じ品物をたくさんつくるという生産方式とは違った生産方式でございます。 ところが、昭和五十年以降の状況を考えてみますと、消費者の需要構造の嗜好が非常に変化してまいりまして、非常に多様化してまいりました。したがいまして、この消費者の嗜好の多様化ということに対しまして、このマイクロエレクトロニクス技術は、生産のフレキシビリティーと申しましょうか、生産の柔軟性を高める、つまり幾つかの種類の品物をつくるということでございますので、そういう点で消費にも向いていた、こういうことでございます。 それからこれに関連いたしまして、このマイクロエレクトロニクス技術導入の特徴というのを見てみますと、これもまた六〇年代の大量生産の技術車新と違った性格を持っております。その六〇年代の大量生産方式の技術革新の場合でございますと、これは自動車産業、デトロイトオートメーションの代表でございます拍動車産業におきましても、その部品の製作から、それから車の生産に至るまでのシステムを一挙につくるということでございますから、新しい土地に大規模な工場を建てるということが必要でございます、それからまた製鉄にいたしましても、その製鉄から圧延に至るまでの一貫工程の流れをつくるということでございますので、新鋭製鉄所を新しいところにつくる、こういうことでございまして、したがいまして大量な投資資金が必要でございました。 ところがこのたびのマイクロエレクトロニクス技術というのは、先ほど申し上げましたような技術的性格から申し上げまして、例えば一つの工程の部分にもCNC工作機械を単体として導入することができる、あるいはマシニングセンターにいたしましてもそうでございます。あるいはそのプロセスのコントロールにいたしましても、化学産業の一部分にコントローラーを入れることができる、こういうふうに単体としての導入が可能でございますから、したがいまして投資資金が比較的少なくて済む、こういうことでございますので、低成長下におきましてもこの技術が急速に普及した、こういうふうに言っていいかと思います。つまり、投資資金が少なくて済みますし、それからまた生産のフレキシビリティーが大きくて、しかも多品種生産向きでございますということになりますと、もともと中小企業というのはそういう性格を持った、投資資金もそれほど豊富ではございませんし、また、もともと多品種生産をやっていたところでございますので、大企業だけではなしに中小企業にも急速に普及する性格を持っていたということでございます。 と同時に、こういう性格を持っておりますので、マイクロエレクトロニクス技術革新というのは、ちょうど君津に製鉄所ができるように、大規模な技術革新が一挙に起きるというよりは、部分的に徐々に浸透的に普及していくという性格を持ってまいりました。こういうことでございますから、その普及の範囲は非常に広うございまして、この点につきましては私の報告書の七十九ページの第5表というところに、これは製造業だけでございますが、業種別並びに規模別の普及率が出ております。これによりますと、千人以上では約九五・六%でございまして、今後の予定まで入れますとほとんど一〇〇%近くでございます。ところが、中小企業、百人から二百九十九人という中小企業でございましても五〇%強ということでございます。業種別に見てみますと、大体六〇%以上というところは出版・印刷、それから化学・石油、それから金属、機械関連業種関係というところが多うございますが、その他の産業におきましても普及率はかなりの程度に上っており、今後の予測から考えてみますと、あらゆる産業に普及していくというふうに予想されるところでございます。 こういうような技術的な性格と社会経済的な面から見ました技術的特性とそれからその普及の特性を前提条件にいたしまして、私たちが関心を持ちました第二は、雇用総量にどういう影響を及ぼすか、こういう観点でございます。ところが、実はこのマイクロエレクトロニクス技術だけを取り出して、これが雇用総量にどういうふうな影響を及ぼすかということを測定することは極めて困難、技術的にも困難でございますし、理論的にも困難でございます。と申しますのは、経済というのは総体として循環しているわけでございまして、その中にマイクロエレクトロニクス技術というのが導入されて、それが直接的間接的波及的効果を及ぼす、こういうことでございますので、そういう観点から研究を進める以外になかったということでございます。 その基本的考え方につきましては、この報告書の八十四ページのところに図が書いてございますが、これやや専門的でわかりにくい点もございますが、おおよそ私たちが考えました考え方はこういう点でございます。 そこで、一、二の点について申し上げておきたいと思いますが、まず第一番目に、マイクロエレ クトロニクスが省力化効果を持っているということは、これは否定できない事実でございます。最も簡単な計測の仕方は、これは数年前までヨーロッパ諸国で幾つか行われた計測でございますが、ある一台の機械が導入された場合にどれだけの人が削減されるかということを測定いたしまして、それに機械の導入台数を掛けますと省力化人員が出てくる、こういうことでございます。これも簡単に計算してみますと、私の研究所でやりました計算によりますと、CNC工作機械を導入いたしますと、一台当たり〇・八五人の省力化効果を持っております。これを五十一年から五十五年までのCNC工作機械の生産台数を見ますと五万二千台でございますから、これを掛けますとそれだけ減るはずであったと、こういうことになります。 例えばインダストリアルロボットについて申し上げますと、日経メカニカルが計算いたしましたところでは平均一・二六人の省力化効果を持っておりますから、これは五十一年から五十五年までに六万台生産されておりますので、これを掛ければ出る。両者合わせますと大体十二万人ぐらいの減ということになるかと思います。これはそのほかにもいろんな種類のものがございますので、これを全部やって足し算をやれば、おおよそ削減の人数は出るということでございますが、これは方々でやられておりますけれども、私たちは省力化効果があるということは認めましても、こういうやり方で計測することは必ずしも適当な方法だというふうには考えておりません。 それから第二番目に、省力化効果もございますが、同時に雇用創出効果もございます。雇用創出効果といたしましては二つの点がございます。 一つはどういうことかと申しますと、そういうマイクロエレクトロニクス機器を製造しておりますところの産業におきましては、生産増が起きますので雇用増が起きるということが一つでございます。それからもう一つ、最初に申し上げましたように、マイクロエレクトロニクス技術は、これは機械、ハードだけでは機能しないわけでございまして、ソフトウエアが加わりませんと機能いたしません。したがいまして、情報サービス産業、ソフトウェアやプログラムやあるいはシステムを生産し供給する産業で雇用増が起きる、こういうことでございます。 これも、例証といたしましては、この報告書の八十五ページの第2表というのをごらんになっていただきますと、今申し上げましたそのマイクロエレクトロニクスに関連いたします機器あるいは情報を生産している産業で、生産額あるいは従業者数がどれぐらい増加したかということを例示したものでございます。これでごらんになっていただきますと、ICでございますと、従業者数で言いますと、五十一年に一万六千でございましたのが五十七年に七万二千にふえました。それから、電子計算機及び附属装置でございますと、これはもともと多かったのですが、五万九千ほどでございましたのが七万七千ほどにふえました。それから情報サービス業でございますと、これはソフトの関係でございますが、激増でございまして、七万四千から五十六年の約十六万人にふえているのがおわかりかと思います。従業者数のわからないものもございますが、生産額であるいは出荷台数でごらんになりますと、従業者数がかなりふえたということは想像がつくところだろうと思います。 それから、もう一つの雇用創出効果といたしましては、先ほど申し上げましたように、マイクロエレクトロニクス技術というのは、新しい製品にも導入されて、そして新製品をつくり出し、あるいは既存の製品の中に導入されて品質を向上させましたり、あるいは機能を多機能化するという性格を持っております。これは、新しい需要を喚起いたしまして、市場を拡大するという効果を持っております。これがどれぐらいの程度の効果を持ったかということにつきまして測定することは、それ自体を取り上げて測定するということは困難でございますが、私たちの研究所でやりました産業連関分析によりまして、マイクロエレクトロニクス化が進んでおりませんでしたと考えられる昭和四十五年-五十年と、マイクロエレクトロニクス化が進んだと考えられます昭和五十年-五十五年との間で従業者の変化が起きましたが、その従業者の変化が生産性の上昇によってどれぐらい影響を受け、それからまた需要の拡大によってどの程度影響を受けたかという分析をやってみました。 これの結果が、この報告書によりますと、八十九ページと九十ページにございます。これももしあれでございましたら、後で丹念にごらんになっていただきたいと思いますが、結論だけを要約して申し上げてみますと、第一番目に生産性が上昇したにもかかわらず需要が非常に拡大したために、雇用といたしましては増加した業種か、つまり昭和四十五年-五十年よりも五十年-五十五年で増加した産業がございます。これが例えばどういう産業かと申しますと、通信・電子機械、自動車、それから光学機械、時計、精密機械、金融・保険業、これらは大体におきまして、常識的に考えてみましてマイクロエレクトロニクス化が進んだ産業だと考えられます。それから第二番目に、生産性が上昇いたしまして需要も増大いたしましたが、しかし、雇用としては減少あるいは横ばいという産業がございます。これは産業用機械、工作機械、一般機械等、大体投資財産業でございます。この点につきましては、大体昭和五十年-五十五年というのはちょうど不況の時期でございまして、比較的投資需要が少なかったということが影響を与えているかと思います。 それから第一番目の生産性が上昇してしかも雇用増が生じたという点に関連して申し上げてみますと、これは内需の拡大だけではなしに輸出の増大がかなり大きな影響を与えていたということでございます。例えば昭和五十年から五十一年にかけまして輸出が二倍以上に伸びた産業を取り出して見てみますと、これは八十七ページにございますが、一般機械、電気機械、精密機械という産業でございますから、先ほど申し上げましたマイクロエレクトロニクス化によって生産性が上がりましたけれども。需要拡大のために雇用増が起きたという点につきましては、輸出増がかなり大きな影響を与えている、こういうふうに考えていいのではないかと思います。 それからもう一つ、この産業連関分析から得られました点で我々は注目いたしておりますのは、第二次産業につきましては四十五年-五十年に比べまして五十年-五十五年では生産性の上昇も大きく、そして需要拡大も大きかったのでありますが、雇用の変化は微増にとどまっておりました。ところが、第三次産業は、どちらかといいますと、四十五年-五十年に比べますと五十年-五十五年では生産性の上昇率は低くて、そして需要も拡大して、そのために雇用の大幅増があったということでございます。でございますから、五十年-五十五年を見ますと、マイクロエレクトロニクス化によって、そのマイクロエレクトロニクス化の省力化を上回る需要増による雇用増もありましたが、同時に、生産性のそれほど上昇しない、つまりマイクロエレクトロニクス化がしにくいか、あるいはおくれている第三次産業でもって雇用増がより多くあったために、雇用の増加が日本では深刻な雇用問題を発生させなかった、こういうことでございます。こういうようなさまざまな条件を備えていた結果、昭和五十年以降のマイクロエレクトロニクス化の普及にもかかわらず、雇用はそれほどにも減少しなかった、深刻な雇用問題は発生させなかった、こういうことでございます。 ただ今後は、今申し上げましたような条件が失われるということになりますと、雇用について問題が起きる可能性がございます。そういう可能性がございますから、それについては十分の注意をする必要があるということでございます。 その点について、我々は政策的提案といたしましては、一番目には、適切な経済運営を行っていくことが必要でございます。 二番目には、適切な産業政策を行うことでござ います。これには二つの側面がございまして、一つは、先ほど申し上げました情報サービス業のように、急速に伸び、しかもME関連の産業についてこの成長を促進するということでございますと同時に、一方では、どちらかといいますと、停滞する産業がございますから、これに対しては適切な雇用政策を行うということでございます。 それから三番目には、先ほど申し上げましたように、輸出による需要増が、雇用問題の発生につきまして雇用問題を抑制するのに非常に効果があったわけでございますから、この国際協力について十分な注意を払うということが必要でございます。 それから四番目には、先ほど申し上げましたように、マイクロエレクトロニクス化した、マイクロエレクトロニクス製品だけではなしに、そういうマイクロエレクトロニクス化の進んでいない産業でも需要が増大したということは雇用問題を抑制してまいりました理由でございますので、それにつきましてはマイクロエレクトロニクス化による生産性上昇の効果を、これを公正に配分する、例えば労働時間の短縮でございますとか、その他内需の拡大に向けるような方策をやるということに十分な注意を払う必要がある、こういうことでございます。 それから第三に申し上げてみたいと思いますことは、今までは国民経済全体に及ぼした影響でございますが、それでは企業レベルにとってマイクロエレクトロニクス化がどのような影響を与え、そしてまたどのような問題を発生きしたかということでございます。 まず第一番目に、マイクロエレクトロニクスを導入した企業について見ますと、その企業におきましては実は雇用減が起きている企業は少なくて、むしろ雇用増がある企業の方が多いというのが多くの調査の結果でございます。 一例をとって申し上げてみますと、九十九ページにございますが、九十九ページの調査によりますと、マイクロエレクトロニクスを導入した企業と導入しなかった企業につきまして、ちょうどマイクロエレクトロニクス化が始まりました昭和五十年からおととしの五十七年までの雇用の変化を見てみますと、導入した企業では一一・五%の増でありますが、導入しなかった企業では〇・七%の増加にとどまっております。これは先ほど申し上げましたように、マイクロエレクトロニクス化というのは、製品の構造を変え、そして需要の変動をもたらしたということでございますので、むしろマイクロエレクトロニクス化の進んだ企業では生産量がふえてかえって雇用がふえ、そうでない部分ではむしろ立ちおくれて雇用増が少なかった、こういうふうに解釈していいのではないかというふうに思っております。 第二番目に、マイクロエレクトロニクスが導入されたために企業の中の労働力構成がどのように変化したかということでございます。 これも九十九ページの今の表をごらんになっていただきますと、非常に特徴がございまして、技術・設計部門では五四・五%増でございますが、そして販売・事務・管理では一七・八%増、製造・製造関連では六・九%増ということでございます。これは先ほども申し上げましたように、マイクロエレクトロニクス技術というのは多品種生産でございます。しかも需要構造は非常に変化しつつある時代でございますので、新しい製品の開発、設計、それから先ほど申し上げましたようにソフトウエアの需要が多くなりますので、そういうシステム、プログラムの関係のエンジニアの需要が非常に大きかったということでございます。それからまた、製品が非常に多品種化したわけでございますから販売関係の労働者もふえたということでございます。ところが、製造・製造関連につきましては、省力化効果が働きましたので、販売量、生産量の増大にもかかわらずそれほど雇用の増加は大きくなかった、こういうことをあらわしているものというふうに私は考えております。 それから第三番目に申し上げたいと思います点は、マイクロエレクトロニクスを導入いたしましたその職場でもってどういう人員の変化が起きたかと、こういうことでございます。 九十七ページの表1、これは労働省の調査でございますが、これによって見てみますと、人員が変わらなかったというのは大体五五・五%、それから人員減が起きたというのは三八・六%、こういうことでございます。 それから、第四番目に申し上げたいと思いますことは、マイクロエレクトロニクス機器が導入された職場におきましては、職務内容の変化が起きるわけでございますが、そして新しい機械を操作するオペレーターが必要になりますが、このオペレーターをどうやって調達したかと、こういうことでございます。 これにつきましては、これも百八ページの表をごらんになっていただきますと、これは縦の計をごらんになっていただきたいと思いますが、従来から同じ工程で働いていた労働者がそのまま新しい機械を使ったというのが七四%でございます。これはマルチプルアンサーでございますから、足しても一〇〇になりませんが、七四%の職場では従来の労働者をそのまま使った。それから配置転換によってよそから新しい労働者を連れてきたというのが二〇%、それから新しく採用したというのが、新卒者を採用したというのが一二%、それから外から経験者を採用したというのが約五%でございます。こういうことから考えてみますと、大半はその場所にいた労働者が新しい機械を使っている、少数がよその職場から連れてきた、ごく少数がよそから採用したと、こういうことでございます。 それから、その次に申し上げてみたいと思いますことは、それではそういうような労働者はどういうふうに教育訓練をしたか、こういうことでございます。これにつきましては、百十ページの表をごらんになっていただきたいと思いますが、これによりますと、教育訓練を行ったというのは大体六割の企業で。特別の教育訓練を行っております。四割のところでは特別の教育訓練を行っておりません。その六割の教育訓練を行ったところで申し上げてみますと、大体におきましてコアになる労働者を、中小企業の場合でございますと企業の中で教育訓練の力がございませんので、これをメーカーさんに派遣いたしまして、そしてマイクロエレクトロニクス機器のメーカーの訓練所でもって一週間ないし二週間、長いところですともっと長いのがございますが、大体におきましてその程度の短期の訓練を受けて帰ってまいります。そしてそこで後は自分で機械を使って覚えると、今度そういうコアの労働者が周辺の労働者に教えていくと、こういうことでございます。 大企業の場合でございますと、自分の企業の中に教育訓練の能力を持っているところがかなりございますので、自分の企業の中の教育訓練施設で、OffJT――仕事を離れて訓練いたしますが、また、中小企業と同じように他の企業に一週間ないし二週間派遣して訓練をし、後はOJTでもって自分で機械、器具を操作して覚える。覚えますと周辺の労働者に教えていく、こういうやり方をとっております。 こういうことでございまして、先ほど申し上げましたように、マイクロエレクトロニクス化というのは、少なくとも現在までのところ新製品の開発や製品の高性能化によりまして生産量がふえたために雇用減をもたらさず、また日本の労使関係の特性もございまして、その企業の中でもある程度の配転によりまして処理する、こういうことが行われてまいってきている。実際にマイクロエレクトロニクスを導入したということを理由にいたしまして解雇を行った企業というのはほとんどないというのが現状でございます。その理由につきましても以上申し上げましたところでございます。 ただ、以上申し上げました点につきましても問題点はございまして、例えば先ほど申し上げました教育訓練を受けるコアになる労働者の年齢層を見ますと、おおよそのところ二十五歳から三十歳という年齢層の方がコアの労働者としてOffJTで教育訓練を受けてまいっております。それか ら、マイクロエレクトロニクス化いたしました職場で働いている労働者の年齢構成を見ますと、大体が四十歳未満でございまして、四十歳以上の方は相対的に少ない、こういうことでございます。こういうことから考えてみますと、今後マイクロエレクトロニクス化がますます普及していくということになりますと、中高年労働者がマイクロエレクトロニクス化に適応できるかどうか、こういう問題が大きな問題として出てまいります。 ただ、中高年齢者の意識を調査した資料を眺めてみますと、これは百三十ページに訓研センターが行いました資料が出ておりますが、一口に申し上げてみますと、このマイクロエレクトロニクス化には非常に関心を持っており、そしてそれを覚えようという意欲もあり、そしてしかしある程度の不安を持っているというのが実情ではないかというふうに考えられます。こういうように意欲もあり、関心もあるわけでございますから、今後そういうマイクロエレクトロニクス化に対する教育訓練の技法を改善いたしましたり、あるいは教育訓練の期間を延長することによって、このマイクロエレクトロニクスに対する適応は可能ではないかというふうに我々は考えている次第でございます。 それから第四に、このマイクロエレクトロニクス機器が導入されました場合に、どのような職務内容の変化が起きたかということでございます。 これを例えば一、二の代表的な例について申し上げますと、CNCマシンツールの導入の場合でございますと、昔からやってまいりました熟練労働者がやっております作業手順を、これをプログラム化いたしまして、そしてそのプログラムを入れて工作機械を動かす、こういうことでございます。でございますから、従来持っておりました熟練労働者の熟練がありませんと、CNC工作機械は機能を発揮しない、こういうことでございます。でございますから、そのCNC工作機械導入当初におきましては、そのプログラミング――プログラミングといいましても、プログラムの開発ではございません、プログラムの編集でございますが、これにつきましては、技術者が編集までやっておりましたが、今日ではだんだんと普通の労働者がそういうプログラムのエディティングまでやるようになってまいりました。これはそういうことでございますので、CNC工作機械の場合でございますと、労働者に要求される熟練は今までと同じ汎用旋盤による熟練とプラスプログラミング、それからプラスそういう機械のメンテナンス、こういうことに大づかみに言えばなってきつつあるというふうに言っていいかと思います。 それから、産業用ロボットにいたしましても、先ほど申し上げましたように、熟練労働者がロボットの動作をティーチングしなければロボットは動きません。でございますから、そういう今日のロボットを操作する労働者に必要なのは、もともと自分がやっておりました熟練とプラスティーチングの技術と、それからロボットのメンテナンス、これが必要になってきている、こういうことでございます。それと同時に、こういうふうな労働者の場合ですと、一度プログラムを入れてやれば、機械は同じ仕事を何回も何回もやりますから、時間の余裕が出てまいります。 そういうことで労働者の職務からいきますと、一人で何台かの機械を持つようになってまいります。何台かの機械を持つといいましても、同じ機械を何台か持つ場合と、それから生産の流れに従いまして違った機械を何台か持つというやり方がございます。こういうふうにいたしまして、今日の日本のマイクロエレクトロニクス化した職場における労働者の職務内容は、知的の程度からいいましても高いものを要求されてまいりますし、それから仕事の範囲という点からいいましても広いものを要求されているというのが、これが今日の実情だと言っていいかと思います。 この点は、外国との比較研究――比較研究とまでは言いませんが、外国の情報も集めておりますが、幾つかの国ではそのやり方が違っているというふうに考えられます。 それから、オフィスオートメーションの場合でございますと、オフィスオートメーションは、これはここで説明するまでもないことでございますが、先ほど申し上げましたように、企業内外の情報をインプットし、それを保存し、そして処理し、必要に応じて引き出す、こういうふうな仕事はこれは機械がやることになります。つまり、定型的な業務は機械がやることになります。そうすると、その機械に関する知識が必要になってまいりますことが第一点と、第二点目には、時間が余ることになりますので、この時間を、金融機関にいたしましても、その他の商業部門におきましても、サービスの充実というふうに振り向けているというのが実情かと存じます。 それからまた、技術者について申し上げてみますと、このごろ我々のやりました調査では、この五年間に技術者に要求される知識というのは大幅に変化したというのが大多数の回答でございます。で、変化いたしましたのは、大体におきましてME関連の変化でございます。そしてもう一つの特徴は、すべての、例えば機械技術者にいたしましても、メカの技術者にいたしましても、化学の技術者にいたしましても、ME関連でない技術者につきましても、共通して電子技術に関する知識、電気通信に関する技術、情報処理に関する技術、それから物理、数学に関する知識が必要になったというふうに回答いたしております。これらの技術者は、大体におきまして自助努力――自分の努力によりまして新しく適応しているというのが実情かと存じます。 それから、最後に申し上げておきたいと思いますことは、以上のような職場におきまして幾つかの変化が起きているという実情でございますので、これにつきましては、労使間でもっていろいろな労使協議が行われているというのが実情でございます。この資料には入っておりませんが、労働省の調査によりますと、大体ME機器を導入する場合に、労使間で、団体交渉は比較的少ないのですが、労使協議あるいは労使協議というようなフォーマルなものでなくても、話し合いを行ったというのは、私の記憶ですと五〇%強ということになっております。 それでは、どういうことが協議されているかと申しますと、ME機器導入の計画、それが労働者の労働条件や人員にどういう影響を与えるかということについての情報の提供、これは企業が積極的に提供する場合もございますし、労働組合が要求いたしまして提供を受けている場合もございます。 それから、実際に協議の内容といたしましては、導入に当たっての人員、したがってそれに伴う配置転換、それから導入に当たっての教育訓練、配転に当たっての教育訓練、それから新しい職場にかわった場合の安全衛生に関する諸問題、それからこれは日本の労働組合としては基本的な点でございますが、マイクロエレクトロニクス機器を導入した場合に、それを理由にして解雇は行わない。大体におきまして解雇を行う例は今までにほとんどなかったということは申し上げましたが、そういう点での労使協議が行われているというのが実情だと、こういうふうに言っていいかと思います。 以上、我々の研究会の報告を、やや私見を交えまして御報告いたした次第でございます。 なお、我々の報告といたしましては、以上のような職場の中の変化というものを前提にいたしまして、それからまたマイクロエレクトロニクス技術の特性というものから考えてみますと、今後のマイクロエレクトロニクスの応用の仕方によりましては労働者の職務を拡大するのに役に立つ、使いようによっては職務の拡大、それからその能力の拡大に役に立つ側面を持っており、あるいは仕事について見ますと、自由度を広げるような可能性を持っている、あるいは精神的、肉体的な負担を軽減する可能性を持っている。また安全衛生の面から見ましても、マイナスの面も今出ておりますけれども、これを抑制すれば安全衛生にも役に立つ側面も持っている。今後の政策課題といたしましては、こういうようなマイクロエレクトロニクス のいい面をなるべく伸ばすように、そういうような導入の選択を行うべきであるというふうに考えておる次第でございます。 以上、簡単でございますが、私の御報告とさしていただきます。
○小委員長(梶木又三君) 以上で氏原参考人からの意見聴取は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 質疑のある方は小委員長の許可を得て、順次御発言を願います。 なお、時間も大分超過いたしましたので、質問なり御答弁はひとつ簡潔にお願いをいたします。
○稲村稔夫君 大変貴重な御意見ありがとうございました。 一点だけお教えいただきたいと思いますが、このエレクトロニクスの採用、OA化ばかりでなく、特に工場関係なんかの場合ですね、いわゆる前処理とかなんとかという形で、今までと違った低位の労働といいましょうか、そういうものが、結構また必要なものがふえてきているという面もあると思うんです。 OAにいたしましても、ちょうどコンピューターは紙食い虫と言われるみたいに、その紙の供給あるいは膨大な紙の後の処理ですね、というようなもので、そういういわゆる特殊な技術を要しない、極めて劣悪な、今度逆に言えば高級労働は機械がやって、低位の労働は人間がやらされると、そういう側面も最近はいろいろ目につくようになってきていると思うんですけれども、その辺のところが雇用とのかかわりではどんなふうになるというふうにお考えでしょうか。
○参考人(氏原正治郎君) これは、一つの側面は、マイクロエレクトロニクス機器を入れた場合に、どういうような労働者の教育、どういう仕事を労働者に割り当てるかという企業の政策問題だと思います。というのは、私が行きました企業でも、中企業のある企業では、機械の操作、これは非常に単純作業になっちゃう部分がございますから、その部分はパートの中高年の女性の方にやって、それであとプログラムを組むとか、それからそのプリセッティング、段取りでございますね、それをやる労働者は別にいると、こういうふうなやり方をとっておられるところも見ました。見ましたが、日本では全体としてそういうやり方をとらずに、そういうつまらぬ仕事から比較的高級な仕事まで一人の労働者にやらせる方が、労働者のモラールが高くなって、結局は企業が得をすると、こういう考え方のもとに教育もやり、それから仕事の配分をやっているというふうに、まあ我々が観察した範囲内では考えられますし、また調査した範囲内でもそうだというふうに言っていいかと思います。 実はきのう、フランスの労働社会経済研究所にモーリスという有名な社会学者がおりまして、これは国際比較の大家でございますが、私の研究所にやってまいりまして、そのマイクロエレクトロニクスの雇用に及ぼす影響についていろいろと情報の交換をいたしました。いたしましたが、フランスでは今おっしゃられるように、もうオペレーターというのは簡単なボタン押しの仕事とワーク、つまり加工物の取りつけと取り外しというような仕事をやる人がいる。それから、調整工といって、そういう工作機械についての調整ですね、その労働者は自分の機械が故障しているかどうかわかりませんから、それを見て回ってやっている労働者がおり、さらに、プログラムを組む労働者というのはプログラムを組む労働者で別にいる。こういうような仕組みになっているが、日本の場合はどうかということで、その点についてのいろいろの意見、情報の交換を行いましたが、日本の場合には、これは日本の労使慣行ということかもしれませんが、すべての日本の会社がそういうふうにやっているとは私は申しませんが、多くの場合には、つまらぬ仕事もそうでない仕事も一緒にやるというやり方をとっているように思います。 それから、オフィスオートメーションの場合でございましても、例えばオフィスオートメーション機器につきまして、ワードプロセッサーならワードプロセッサーのステーションをつくって、ワードプロセッサーのステーションに例えば女子労働者を配置して、そこに全部の仕事を集めて、昔のタイピングステーションのようにやるというやり方と、もう一つは、ワークステーションをつくって、そこにOA機器を入れておいて、いろいろすべてのオフィス労働者がそこに行って、これは使うのは簡単ですから、自分で使ってやるというふうなやり方との二つの、まあ二つだけではありませんが、大きく言いますと二つの労働のさせ方があるわけですね。 ですから、オフィスオートメーションという場合にも、一体どっちのやり方をとるかということによって、今御質問のございました、そしてまたこれはヨーロッパでも非常に強い意見でございますし、日本でも非常に強い見解でございます、マイクロエレクトロニクス化は労働のハイポラリゼーションをもたらすと。一方で少数のエリート層と、一方で非常につまらぬ仕事をする多数の労働者の二極に分けるという説が妥当するかしないかということは、今申し上げました技術の問題ではなしに、むしろ企業のストラテジーと申しましょうか企業のポリシーの問題であって、私がぜひここで強調したいと思いますことは、ここの皆様方にもうぜひそういうようなポリシーを、どういうポリシーをとるかということがマイクロエレクトロニクス技術の労働の人間化を促進するか、労働の非人間化を促進するかという境目になるわけでございまして、その技術と労働ということについて、まあ我々は技術決定論と呼んでおりますが、一つの選択しかないのではなしに幾つかの選択があって、その中で望ましい選択を選ぶようなことを進めるべきだというふうに我々考えておりますし、また今御質問がありましたように、日本でも幾つかのタイプがございます。が、そういういい方を伸ばすようにぜひ御協力、御努力いただきたいと思います。
○吉川春子君 私、二点だけ伺いたいんで、お答えは簡潔で結構でございます。 一つは、この報告書の中に、「マイクロエレクトロニクスの雇用に及ぼす影響について」の中で、「マイナスのインパクトが大きくなっている。」という指摘が「女子への影響」の点で出ています。「特に大企業において高卒女子やパートタイマーについて採用手控えの傾向がみられる。」、「これも労働省の調査によって、大企業本社におけるオフィスオートメーションの進展と女子雇用量の関係をみると、ここでも女子の雇用は停滞ないし減少している。」ということなんで、今こういうものが導入され始めた時点でこういうことが起きているということは、将来非常に大きな問題になるんじゃないかと思いますが、雇用は増大するということがかなり報告で今強調されましたけれども、そのちょっと矛盾といいますか、それが一つ伺いたい点です。 もう一つは、この報告書の中でも書いてありますが、仕事の面で、特に労働者が大変「「きつくなった」とする者が多いが、その理由としては、「単位時間内の作業量が多くなった」、あるいは、「残業が多い」等、労働強度、労働負荷の面での問題をあげる者が多い。②こうした中で注目すべきは、精神的緊張感を訴える者が増加していることである。全金同盟の調査では、監視労働やディスプレイ操作等に伴い、ME機器使用者は、(i)首、背中、肩がこる、(ii)目が疲れる、などの症状を訴えているものもみられる。」と、こういう指摘が参考人などのなされたこの報告書に出ております。これに対して、労働省がVDT作業の問題で簡単な規制を出しましたけれども、今後健康面でどういうような規制を具体的に政府としてもやっていかなきゃならないか。その点についてお考えがありましたら伺いたいと思います。
○参考人(氏原正治郎君) 第一の点につきましては、実のところ私たちは幾つかのデータの検討をいたしましたが、はっきりした結論を持っておりません。 この要約のところにも「女子労働者に及ぼす影響は明確ではない。」というふうに書かれていま すが、これは、例えば御指摘の採用手控えにつきましても、これはME化によって採用手控えになったのか、それとも女子労働者の勤続年数が長くなったために、代替需要が少なくなったために手控えになったかということについての明確な結論を持っておりません。 それからまた、ME化につきましても、今ちょうど、殊にオフィスオートメーション、今は模索期でございまして、どういうふうになっていくかということについて、将来の見通しについて明確な回答を用意してないということでございます。 それから、第二点につきましては、これは我々の専門ではございませんのでお答えできませんが、一言私の考えといたしましては、今までに日本では機械と人間労働についての関係を研究いたします人間工学が大変おくれておりまして、これは外国から来た研究者で人間工学の代表的なところはどこかという質問を受けますけれども、これについて私は答えられないということがございます。 以上でございまして、その点はちょっと私の専門外でございますので、お答えを控えさせていただきたいと思います。
○小委員長(梶木又三君) 以上で氏原参考人に対する質疑は終わりました。 氏原参考人には、お忙しい中を本委員会に御出席いただきましてありがとうございました。ただいまお述べいただきました御意見等につきましては、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。小委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後三時十三分散会