国民生活・経済に関する調査特別委員会 第3号
- 発言数
- 9 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1984/04/11
会議録
○委員長(寺田熊雄君) ただいまから国民生活・経済に関する調査特別委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告をいたします。 去る二月四日、塩出啓典君が委員を辞任され、その補欠として刈田貞子君が選任されました。 —————————————
○委員長(寺田熊雄君) 国民生活・経済に関する調査を議題といたします。 本日の委員会は、先般当委員会が三班に分かれて行いました委員派遣につきまして、各班の派遣委員からそれぞれ御報告をお願いすることになっております。 それでは、第一班、愛知県においでいただきました班の御報告を松岡君にお願いいたします。松岡君。
○松岡満寿男君 第一班は、寺田委員長及び坂野、水谷、最上、刈田、吉川、青木の各委員と私松岡の八名で、二月二十二日、二十三日の両日、技術革新に伴う産業雇用構造、高齢化社会及び生活条件整備の諸問題につき、実情を調査するため、愛知県に行ってまいりました。 調査は、県知事公館において県並びに名古屋通産局より事情説明を聴取するとともに、トヨタ自動車高岡工場、高蔵寺ニュータウン、春日井市総合福祉センター、山崎鉄工所美濃加茂製作所をそれぞれ視察いたしました。以下、その概要を御報告申し上げます。 まず、トヨタ自動車について申し上げます。 トヨタ会館において、会社側から概要説明を聴取した後、大衆車の生産部門である高岡工場のプレス、ボディー、組み立ての各工程を視察いたしました。当工場は、昭和四十一年十二月に操業を開始した大衆乗用車の量産専門工場であり、従業員五千五百人、生産台数昭和五十八年実績で年間六十九万台であります。 ロボットの導入状況につきましては、昭和四十七年にスポット溶接、四十八年にワーク搬送、四十九年にアーク溶接、五十六年に塗装・塗布の各工程にそれぞれ導入されております。トヨタ全体では五十八年現在プレイバック・ロボット千二百五十台が稼働しておりますが、そのうち九割を超える千百四十五台が溶接作業に使用されております。組立工程につきましてはまだ導入されておらず、人手に頼る状況にあります。 ロボット導入の動機につきましては、危険な作業、人間ではやりにくい作業等生産現場の労働環境の改善、品質の均一性の確保と品質の向上、生産性の向上、生産ラインの柔軟性の確保等であります。 最近では、国内の顧客の希望が多様化していること、輸出先によって部品の種類、取りつけ位置が異なることなどのため、百数十種類の異なる車を同一ライン上で生産しており、生産ラインにおける柔軟性の確保の点が最も重要になっているとのことであります。 今後のロボットの導入見通しにつきましては、五十八年までは毎年およそ三百台くらいずつふやしてきたが、今年以降は毎年二百台くらいに減る。今後もそれぞれの作業に最も適した機械を導入するつもりであり、それがロボットの場合もあり他の機械の場合もあり得る。ロボットそれ自体を特別のものと考えているわけではないとのことでありました。またロボットと雇用との関係につきましては、過去三年間を見ても、ロボットを導入しながら人間もふやしており、解雇は行っていない。最近の車は部品の種類がふえており、そのためこれらの生産に直接携わる人の数もふえているとのことであります。 ロボット導入に当たっては、労働組合に事前に生産の見通し、導入の考え方等を説明し、組合側が不安を持たないよう十分配慮しているので、これまでに労使の間で問題は発生していない。今後は人手に頼っている組み立て工程へのロボット導入が問題となるが、まだ技術的に困難な状況にあるとのことであります。 企業内教育につきましては、配置転換等の問題が発生しているので、中高年齢者の教育には十分配慮している。現在、一種類の技能だけではなく、数種類の技能をこなせる多能工教育を実施している。高卒技術者は教育水準が高く自分の技能を伸ばそうという意欲が高いので、現在のところ企業内教育は順調にいっている等の説明がありました。 また会社側からは、自動車諸税の増税措置を差し控えてほしい、道路特定財源制度の堅持、一般財源を道路へ積極的に投入してほしい等の要望があったほか、各委員からは会社側に対し熱心な質疑が行われました。私どもはその後約一時間にわたり広大な工場内を乗用車の生産の現状につきつぶさに視察いたしました。 次に、高蔵寺ニュータウンについて申し上げます。 当ニュータウンは名古屋の北東約十七キロメートル、春日井市域の東部丘陵地の一角に位置し、住宅・都市整備公団が土地買収方式によらない、土地区画整理事業の手法をもって建設した総事業費四百十四億円、七百二ヘクタールの都市であります。その規模は多摩ニュータウンのおよそ四分の一、千里ニュータウンのおよそ半分、愛知県内 では最大規模のものであります。 ニュータウンの建設につきましては、昭和三十五年から計画を始め、四十一年二月事業に着手し、以後七回の変更を経て、五十六年五月換地処分公告により十五年にわたる事業を終了いたしております。当ニュータウンのまちづくりの特色の一つは、標高六十メートルから百七十メートルの丘陵地の地形を生かした土地利用であります。丘の上には十一階建ての賃貸住宅などの高層集合住宅と歩行者道路が、谷筋には幅員三十六メートルの幹線道路、バス道路が、また中央部に設置された地区センターを中心に手の指のように延びる丘陵にあわせて集合住宅がそれぞれ計画されるなど、集合住宅地、道路、公団分譲地、民有地等が適所に配置されておりました。また、最も高い二百六メートルの高森山と丘のふもとにありますため池は公園に取り込むなど、既存の地物、樹木等がよく保存されておりました。 昭和五十九年一月現在で、人口は計画人口八万一千人の五八%に当たる四万七千二百四十七人、世帯数は一万四千百七十七となっております。また既に建設された住宅の戸数は、計画戸数二万六亘戸の七七%に当たる一万五千八百十戸となっております。公共施設用地等につきましては、当土地区画整理事業の減歩卒は五一%となっており、これにより道路、公園、学校、センター、医療施設などの公共公益施設用地の計画的な供給が行われております。 小学校十校と高等学校一校はすべて計画どおり開校済みであり、中学校は計画五校のうち二校は開校、現在第三中学が建設中であり、第四番目も五十九年度建設の計画が予算案に盛り込まれているとのことでありました。 医療施設につきましては、七科目用のまとまった宅地分譲が行われており、医者村と呼ばれております。 サービス施設につきましては、公団の賃貸施設として、スーパーマーケット、郵便局、診療所、銀行等があるほか、賃貸住宅の場合、入居者の利用する集会所も設置されております。これらの住区サービス施設はニュータウン内の三つの住区にそれぞれ設けられております。また、集会室などは分譲住宅の管理組合ごとに設けられており、分譲地の住宅につきましては市の補助制度で集会所がつくられております。 ニュータウンのセンターには昭和四十八年に、県、市、公団、民間の共同出資による半官半民の高蔵寺ニュータウン開発株式会社が第三セクターとして設立され、五十一年に大規模なショッピングセンターが建設されております。ニュータウンの住民だけでなく、付近の住民も買い物に来るなど周辺の人からも喜ばれているとのことであります。また、センターには室内温水プール、テニスコートがあるほか、催し物として新聞社の各種文化教育講座等が開かれているとのことであります。 民有地につきましては、事業開始当初およそ二千人いた権利者が、換地処分のなされました五十六年にはおよそ七千人にふえ、二百二十四ヘクタールの宅地が換地されております。民有地は主として一戸建て住宅に利用されておりますが、駅前や幹線バス道路沿い等立地条件のよいところでは、商店、市場、飲食店、コンビニエンスストアなどに利用され、一部では商店街を形成しており、旧地権者の経営するものも多いとのことであります。そのほかニュータウン内には教会、寺院、ゴルフ練習場、ガソリンスタンド、学習塾、音楽教室、診療所、病院、幼稚園など多くの種類の施設が立地しており、次第にコミュニティーとして成熟しつつあります。 名古屋への鉄道による通勤につきましては、朝夕のラッシュ時には一時間七本の電車が出ており、国鉄中央線高蔵寺駅から名古屋までは三十分程度であるとのことであります。 県当局の説明によりますと、当ニュータウンの建設は成功例に挙げられているとのことでありますが、成功した理由としましては、四十一年に県知事のもとに公団、市、ガス・電力・鉄道等の関係者が集まり連絡協議会を設置し、途中の実績を見ながら、人口計画をふやしたほか、それに対応して学校その他の公共・公益施設を適切に整備してきたこと等が挙げられるとのことでありました。 公団の空き家率につきましては、高層の比較的狭い二DKに住んでいる新婚等の若い人が広い賃貸住宅に移っている等のため二DKの空き家が多くなっており、現在空き家率は三%程度であるとのことであります。 六十五歳以上の高齢化率は、春日井市全体で六%であるのに対して約三%低くなっておりますが、今後は高くなるとのことであります。そのほか、ニュータウン内の小学校をモデルに他の市内の小学校を改築する等、ニュータウン内と他との格差が生じないよう十分配慮している。スポーツ施設は不足しているが、校庭と体育館の開放が図られている等の説明がありました。 私どもはニュータウン内をつぶさに視察いたしましたが、中央部分の高層住宅、センターを中心にきれいな空気と緑と広い空の広がるすばらしい居住環境に強い印象を受けた次第であります。 次に春日井市総合福祉センターについて申し上げます。 当センターは老人、障害者、児童、母子の四つの福祉施設を一カ所に集めた、昭和五十五年十月完成の鉄筋コンクリートづくり二階建て、延べ床面積四千二百六十七平方メートルの総合福祉施設であります。当福祉センターの二階が老人センター部分となっており、老人センターには囲碁、将棋、民謡等のための娯楽室・大広間、健康増進のための浴場つき機能回復訓練室、趣味の作品展等のための展示室、医務室等が設けられており、私ども一行が訪問した日は、老人センター内には高齢者が多数来ておられ、囲碁、民謡の会等各種の会合が活発に行われておりました。老人センターの利用人員は、昨年の四月から十二月までの九カ月間で一万九千人に達しているとのことであります。 当福祉センターには、また定員六十人の福祉作業所が別棟に付設されており、現在、老人二十人、身体障害者五人、精神薄弱者十人、合計三十五人が働いているとのことでありました。ここでは電機部品、自動車部品の簡単な作業のほか、陶器づくり、おしめカバーのミシン縫いなどの作業を行っています。その際老人を班長として五人ごとに班をつくり作業を進めるなど、老人がほかの身障者等の面倒を見ながら、老人が中心になって作業を進めているとのことであり、高齢者の生きがいの増進、障害者の自活の促進等が図られておりました。 また、現在、福祉作業所に隣接して勤労身体障害者のための福祉体育館が建設中であり、将来は身障者と健常者の交流の場にしたいとのことでありました。 当センターの運営につきましては、管理運営は市の社会福祉協議会に委託している。センターまでの交通は二十名以上の団体であればセンター備えつけの福祉バスを利用できるが、個人では利用できない。春日井市は細長い市であるので交通の問題が悩みである。老人センターの利用状況は、六十歳以上の方が原則として利用できるが、実際には六十五歳以上七十歳に近い人の利用が多い。この人たちは日ごろ決まった仕事をしていない引退された方々である。医務室は嘱託医制度になっており、年二回定期健康診断を実施している。浴場は無料で週三回老人と障害者が利用できる。センターの民謡講座等の老人講座は年間を通じて月ごとに計画を立てて実施しているので特定の人に占拠されることはない。ボランティアの災害補償などに充てるためのボランティア基金八千万円が設けられているが、そのうち五千万円を公費で補助し、残り三千万円は一般の寄附をお願いしている等の説明がありました。また、市の独自の高齢者福祉施策として、三世代家族の表彰を毎年行っているほか、同居老人のために離れ等を建てる場合には、補助を行うなどの措置を講じている等の説明がありました。 最後に山崎鉄工所美濃加茂製作所について申し上げます。 当工場は六十台のNC工作機械、三十四台のロボットシステム等を備え、工場全体がFMSコンピューターによって制御された、いわゆるロボットによる工作機械生産無人化工場であります。建坪は一万五千坪、従業員は二百四十五人、生産台数はNC旋盤等月産約百二十台となっております。 昨年五月オープンしたばかりの当工場は、コンピューター制御の無人化機械加工工場のほかに、NC工作機械を組み立て、調整する組み立て工場、板金加工のプレス工場、自動塗装工場、超精密機械工場の五つの工場によって構成されており、おのおのの工場は幅員十メートルの幹線通路により結合されております。この幹線通路には、資材、製品等をおのおのの工場に搬送するためにロボット走行専用の複線の軌道が設けられ、工場内外の物流の省人化が図られており、人影の少ない工場内では搬送用ロボットが生き物のように黙々と動いておりました。なおこの搬送用ロボットは、事故防止のため障害物にぶつかる前にメロディーを流しながら自動的に停止するように設計されておりました。また、おのおのの工場ごとの単品部品、製品等につきましては、ハンドリング専用ロボット、軌道式と誘導無線方式のロボット群、コンベヤー、無人エレベーター等によって搬送されておりました。工場全体を制御しておりますFMSコンピューターは二十キロメートル離れた大口町にある本社工場のCAD、CAMセンターのコンピューターに電話回線でつながっており、工場全体の運営は本社から遠隔操作されております。その結果、設計から生産までの時間の短縮、仕掛品の仕掛時間の短縮、機械加工工程における多品種中小量部品のフレキシブルな生産等が可能になっており、全体としての合理化が進められております。 なお、本社においては山崎グループ全体のために技術開発、営業、サービス等の面で約三百人の人が働いているとのことであります。 操業体制につきましては、二十四時間稼働生産を行っており、機械加工工程におきましては午前零時から翌朝の七時二十分までは無人稼働となるとのことでありました。 今後の省力化の問題につきましては、材料の加工、搬送等については合理化が可能であるが、組み立て工程はロボットの導入は困難であり、依然として人手に頼らざるを得ない、まだまだロボットは人間に及ばないとのことでありました。省力化と雇用との関係につきましては、工場の拡張等により新たに電機技術者、電子技術者、油圧技術者、システムエンジニア、オペレーター等が必要になっているほか、需要の拡大に伴い、営業、サービス部門に人手が多くとられるようになっているため、会社全体として見れば人手がふえている。当工場の製品の七〇%は輸出向けであり、また、世界的に見てもコンピューター付工作機械の普及状況はアメリカ三%、西独二・五%、英国一%と低く、今後とも新たな需要が期待できるので人手が必要となる。工場の敷地は十万坪あるが、将来さらに五万坪の工場の増設を計画している等の説明がありました。 私どもが参りましたときは、霧雨が降っておりましたが、緑の美しい山々に囲まれた敷地十万坪の工場は、さながら公園の中につくられたものではないかと思われるほどでした。広い敷地の中ではわずか二百四十五人しか働いておらず、清潔な工場内は人影もまばらで、搬送用ロボットが行き交い、NC工作機械が黙々と作業をしているのを目の当たりにして、私ども一行は深い感銘を受けた次第であります。 最後に各委員から熱心な質疑がなされ、工場側は詳細な説明をいたしましたが、それらによりますと、社会主義国からの注文も多く、ココムに触れるものや、通産局の指導に待たねばならぬものがあるようであります。 以上、御報告申し上げます。
○委員長(寺田熊雄君) 以上で松岡君の御報告は終わりました。 次は、兵庫県、岡山県を視察せられました班の御報告を亀長君にお願いいたします。亀長君。
○亀長友義君 第二班は、橋本教理事、稲村稔夫委員、桑名義治委員、抜山映子委員、そして理事である私、亀長友義の五名でもって、去る二月二十一日から二十三日にかけ、兵庫・岡山両県に参り、本委員会及び三小委員会の検討課題に関し、特に県民生活・経済の場としてのまちづくりを中心に調査して参りました。 まず、ニュータウンづくりに関し、兵庫県での調査の概要を御報告いたします。 兵庫県の都市化の現況でありますが、昭和五十五年の国勢調査では、県土面積の五・五%に当たるDID地区に県人口の七一・六%が居住し、全国平均の五九・七%を大きく上回っております。かかる背景のもと、兵庫県では「宅地三十万戸作戦」を展開しているところでありますが、大規模なニュータウン開発に当たっては、住宅宅地の供給はもちろん、個性と自立性を持ったニュータウンの形成を図るため、産業・業務施設、教育・研究施設などの複合的整備にも取り組んでいます。 神戸市西北部の西神ニュータウンでは、住み、働き、学び、憩うという人間生活のすべての機能を備えた新しいまちづくりが展開されておりました。すなわち、住むエリアとして九百八十五ヘクタール、十万人の西神住宅団地、西神住宅第二団地を、働くエリアとして三百六十ヘクタールの西神工業団地、西神第二工業団地、百十五ヘクタールの西神流通業務団地を、学ぶエリアとして三百八十ヘクタール、二万人の神戸研究学園都市を、憩うエリアとして五十五ヘクタールの神戸総合運動公園を建設しようとするものであります。そしてまた、その開発の際の土砂をベルトコンベヤー・プッシャーパージシステムにより運搬し、海上に六甲アイランドを建設しています。また、昭和六十年に神戸総合運動公園でユニバーシアード大会を開催するなど、ニュータウン開発の節目節目にイベントを盛り込んでおります。さきの須磨ニュータウン・ポートアイランド・ポートピア八一という図式の再現とはいえ、その都市経営は巧みに推進されています。 なお、先端技術に伴う産業・雇用構造等の問題に関しまして、西神工業団地内にある富士電機製造神戸工場において、コンピューターによる生産設備・管理システムを視察しました。生産設備では、多種類のロボットが多数稼働していましたが、産業用各種制御装置のような大型かつ多種多様の機器の場合、その組み立て工程、特に配電盤関係は専門的技術が必要であり、無人化することは無理であるとのことであります。また、管理面では、受注から出荷までの工程管理がオンラインにより自動化されていました。 まちづくりにおける新交通システムとして、ゴムタイヤ・無人運転・無人駅のポートライナーを視察しました。一両七十五人乗り、六両編成の中量輸送システムで、乗客数は現在一日平均三万五千人であります。ポートアイランドへの企業の進出、住民の入居が進めば、七万人の乗客数が見込まれるとのことでありますが、昭和五十八年度末五十億超の累積赤字を解消するには、十五年ないし二十年かかるようであります。 これらのニュータウンづくりは、各地域の特性を踏まえるとともに、県土全域を一体的にとらえた有機的な地域整備・都市ネットワークづくりであり、このほかに、兵庫県では、西播磨テクノポリス、東播磨教育学園都市、北摂芸術文化都市、本州四国連絡道路、但馬定住圏等の構想に取り組んでいます。 これら二十一世紀に向けての華々しい空間形成と裏腹に、尼崎南部地区など既成都市区域の一部に都市機能の衰退の兆しが見られます。いわゆるインナーシティー問題であります。人口、工場の流出により、高齢者の滞貨空き家など生活条件の悪化が進み、ひいては地域社会の活力の低下、都市機能の衰退が深刻になってきております。今後ニュータウン政策とあわせ、インナーシティー政策を調査、検討する必要があるように思われま す。 続きまして、地域及び産業の振興に関し、岡山県の吉備高原都市構想について御報告いたします。 岡山県では、瀬戸大橋、岡山新空港など広域交通網の整備の進捗を背景とし、昭和六十五年を目途に、県央の真空地帯に人口三万人の新都市、吉備高原都市の建設を進めています。兵庫県神戸市のニュータウンとは一味違った、緑あふれる自然の中、温かい触れ合いを目指したものであります。 その基幹施設の一つに、障害者についての初期治療から評価、職業訓練、社会復帰までの一貫したシステム「保健福祉のむら」があります。ビデオ部品やカメラボディーの組み立て加工、農作業などの訓練を行う障害者授産施設のほか、重度障害者が多数働く吉備松下工場、さらには金型加工やNCソフトの開発にも携わる吉備NC能力開発センター、等々の施設が既に整備、運用されています。また、この昭和五十九年度から三年計画で総合リハビリテーションセンターが建設されることになっています。 ゆとりと人間中心の新しいまちづくりという吉備高原都市の基本理念の線上に、先端技術産業を展開したものが、吉備高原地域テクノポリス構想であります。その構想では、吉備高原都市及びその周辺の三市五町、十三万八千ヘクタールを対象とし、バイオインダストリー、医療機器産業、エレクトロニクス産業を中核とする産業複合体を形成することにしています。技術集積のための産・官・学の協力体制を強化、推進するとともに、先端技術について地域企業を支援するため、各種のバイオテクノロジー研究開発支援施設やベンチャーのための貸し研究所などの設置を予定しているとのことであります。 その他、まちづくりに関しましては、既成市街地の再開発につき倉敷市駅前の再開発事業を、市街地内の美観の保存につき同市伝統的建造物群保存地区を現地調査してまいりました。 次に、高齢化社会問題に関しましては、兵庫・岡山両県の各種施策のうち、兵庫県の高齢者生きがい対策について御報告いたします。 兵庫県では、地域の老人が自主的に集まり、みずからの老後の生活を健全で豊かなものとするため、五千二百数十の老人クラブが結成され、会員数は三十三万人にも上っています。この間、老人クラブ活動としての高齢者の学習活動、創作活動、健康活動、社会参加活動を支援、推進するため、昭和五十二年に財団法人兵庫県高齢者生きがい創造協会が設立され、老人大学等の運営、園芸センター、陶芸の村、手づくりの店など高齢者の健康づくり及び創作活動のための施設の設置及び運営、高齢者の能力活用事業等の事業に取り組んでいます。 同協会が県の委託を受け運営する老人大学いなみ野学園は、生涯教育の一環として昭和四十四年に開設されたものであり、現在は、四年制の大学講座、二年制の大学院である指導者養成講座及び一年制の放送大学講座からなり立っております。大学講座のカリキュラムを御紹介しますと、週一回、午前中は教養講座を学び、午後は園芸、生活・ふるさと、福祉、文化、陶芸の各専門学科に分かれます。また、週一回のクラブ活動にも励んでいます。六十八歳という平均年齢にもかかわらず、その勉学意欲は強く、定員の二倍もの入学志望者があるとともに、四年間の途中で落後する人は数少ないとのことであります。兵庫県下には、このいなみ野学園のほか、二年制ないし四年制大学が二十七講座開設され、一万五千人ものを人が勉学にいそしんでおります。 老人を単に福祉の対象として見るばかりでなく、来るべき高齢化社会に向けて、人生八十年のライフサイクルの立場から種々の政策を検討する、必要があるのではないかと思われます。なお、高齢者の生活全般、特に健康な老人の生活について、指導者のあっせん等国において指導及び援助をしてほしい旨の要望が同協会からありましたことを申し添えておきます。 以上で報告を終わります。
○委員長(寺田熊雄君) 以上で第二班の御報告は終わりました。 次いで、熊本県、大分県を視察せられました第二班の御報告を梶木君にお願いいたします。梶木君。
○梶木又三君 第三班は、安永英雄理事、太田淳夫理事、藤井恒男理事、佐々木満委員、杉元恒男委員と私梶木又三の六名で、去る二月二十一日から二十三日までの三日間にわたり、技術革新に伴う産業・雇用構造、高齢化社会及び生活条件整備の諸問題について実情を調査するため、熊本県及び大分県に行ってまいりました。 調査では、熊本県庁及び大分県庁において、調査関連事項に関する概要説明を聴取するとともに、財団法人化学及血清療法研究所でバイオテクノロジーの先端技術開発状況を、九州日本電気株式会社、日本テキサス・インスツルメント株式会社及び大分キャノン株式会社でも先端技術産業の現状を、また高齢化社会関連では北九州大規模年金保養基地を、それぞれ視展してまいりました。 以下、主要事項につきまして御報告申し上げます。 まず、技術革新に伴う産業・雇用構造の問題について申し上げます。我が国の経済は、近年の目覚ましい技術革新の進展により大きな変革期を迎え、産業構造の知識集約化、高付加価値化が予想以上のスピードで進んでおります。産業構造のこのような転換期に当たって、地域経済が今後飛躍的発展を図っていくためには、新しい高度技術を積極的に導入し、知識集約型産業構造へ高度化していく必要がおります。このためには先端企業の誘致を積極的に進めるとともに、それとの有機的連携を図りつつ地場産業の先端化を図っていくことが肝要であります。 このような観点から、熊本県においては、企業誘致の推進と地場産業の先端化に重点を置いて施策の展開を図っております。 最近の産業界の急速なエレクトロニクス化の進展に伴い、我が国におけるICの生産は顕著な伸びを示しておりますが、特に九州はシリコン・アイランドと言われ、五十七年度の日本全国のIC生産額は、八千三百四十六億円、うち九州の生産額はその二七二一%を占めております。熊本県内のIC関連企業は四十一社、IC生産額は千百二十五億円で九州の二分の一を生産し、シリコン・アイランド九州の中心になっております。 熊本県はIC生産に必要な良質の水と労働力、空港を中心とした交通体系に恵まれていることもあって、昭和四十年以降、九州日本電気、三菱電機などの大手ICメーカーのほか、九州松下電器、立石電機などの電子機器産業、本田技研などの自動車産業等も相次いで進出したため、誘致企業は百六十九社に上り、誘致企業の工業出荷額も六千百六十六億円と、全県の四三%を占めるに至っております。 このような先端企業の県内進出は、地元中小企業に大きなインパクトを与え、地場産業の中には、有力な誘致企業と連携を深める中で高度技術化を図り、また独自の技術開発を進めて先端技術産業に参入してきているものも多く、地元中小企業の先端技術への意欲的な取り組みは活発であります。 今回視察いたしました化学及血清療法研究所も、バイオテクノロジーの最先端技術に果敢に挑戦し、遺伝子組みかえによるインフルエンザワクチン、B型肝炎ワクチンの製品化も目前で、最近では犬パルボワクチンの開発製品化などで世界の注目を浴びております。 熊本県においては、企業誘致を推進するために五十七年七月に企業誘致推進本部を設置し、地元企業に対するインパクトの大きいIC周辺産業、ソフトウエア産業、バイオテクノロジー産業、応用機械産業等を重点目標として、産業立地基盤の整備、企業誘致活動の積極的展開、各種優遇措置の新設等施策の充実を図っております。また地場産業の先端化のためには、技術革新に対応した経営者の意識改革、人材育成、技術力の向上、資金 力の強化等が重要な問題であるとして、国際産業展示場建設事業の推進、ベンチャービジネスの積極的振興、工業試験場の電子部新設、電子応用機械技術研究所の設置、先端技術機械設備導入促進及び新開発技術の企業化促進のための融資制度の新設等、施策の充実を図っております。 大分県においても、昭和四十五年以降日本テキサス・インスツルメント、東芝等のIC産業、大分キセノン、日本MRC等のIC関連産業が相次いで進出し、先端技術産業の集積が進んでおります。またこのような大手先端技術産業の進出に伴い、当初技術的に対応できなかった地元中小企業も、技術先端化のための経営努力と技術水準の向上を図っており、全体としてレベルアップしてきております。 今後、さらに産業構造の高度化に向けて、中核的先端技術産業の導入促進、学術研究機能の強化、研究開発型企業の育成等について総合的な方策を講ずるとともに、特に地場産業の技術力の向上を図るために、五十八年度から中小企業庁の地域フロンティア技術開発事業の指定を受け、大分県高度技術開発研究所を設立し、産・官・学一体となって先端技術の研究開発に取り組んでいるところであります。 以上、両県における先端技術産業の現状と産業構造高度化のための施策について申し上げましたが、最近の技術革新の急速な進展と産業構造の変化は、雇用を初めとする労働問題全般に将来大きな影響を及ぼすことが予想されます。このため、今後その影響、問題点について総合的な調査研究を進め、十分対応を考えていくことが大きな課題となっております。 次に、高齢化社会の問題について申し上げます。 我が国は、昭和四十五年の国勢調査において六十五歳以上の人口が全人口の七%を超え、高齢国の仲間入りをしましたが、さらに、西欧諸国がほぼ百年もかかって到達した高齢化社会に非常に短い期間で到達すると予測されております。昭和五十五年には総人口に占める六十五歳以上の人口の割合は九%になりましたが、出生率の低下と平均寿命の急速な伸びから、四十年後の昭和九十五年には二一・八%に達すると推定され、高齢化社会が急速に進展することは避けられない情勢であります。 熊本、大分両県においては、六十五歳以上の人口の割合は、昭和五十五年で既に一一・七%を占め、これは昭和六十五年の全国推計値一一・六三%と近似値であり、数値で見る限りでは、全国より十年も先行して高齢化が進んでおります。 高齢化社会のこのような急速な進展に対応して、大分県においては昭和五十七年度にニューライフ大分計画を策定いたしました。この計画の基本的な考え方は、健康な高年齢者がみずから積極的に就労や学習活動等の社会参加をすることにより、生きがいを高め、豊かな生活を実現し、ひいては活力に満ちた地域社会を創造しようとするものであります。このような考えのもとに総合的重点施策として次の事業を実施することにいたしております。 第一は、ニューライフ大分計画推進調整事業であります。これはニューライフ大分計画の効果的かつ円滑な推進を図るため、民間各種関係団体によるニューライフ大分計画推進協議会を設置し、協力を要請するとともに提言を求めるものであります。 第二は、ニューライフプラザ建設事業であります。これは高年齢者の社会参加の促進、福祉の向上を図る総合施設として、高年者総合センターと生涯教育センターを併設するものであります。 第三は、高年大学校開設事業であります。これは、より高度な学習や能力開発の意欲を有する高年齢者を対象とし、指導者養成を目的とした高年大学校を昭和五十九年十月から開設するものであります。 第四は、高年者対策啓発事業であります。これは昭和五十九年を「おおいた高年者年」とし、高齢化社会の問題について県民の共通認識を形成するため、地方公共団体及び民間団体が一体となって各種の行事やキャンペーンを実施するものであります。 以上のような総合的重点施策を推進するとともに、高年齢者の多様なニーズを踏まえ、雇用・就労、能力開発、地域社会活動、教育文化活動、健康増進の五つの分野で具体的な施策の展開を図っております。 熊本県においては、高年齢者の雇用が極めて厳しい環境にあります。昭和五十八年六月一日現在の調査では、高年齢者の雇用状況は、平均雇用率六・二%で、全国に比べて〇・九ポイント下回り、雇用率未達成企業の割合も五五・八%と全国に比べて七・三ポイントも上回り、求人倍率も〇・〇六倍程度で求職者の滞留が目立っております。さらに、県内企業の定年年齢の主流はいまだ五十五歳であり、全国に比べて企業の定年延長は大幅におくれております。 このような厳しい雇用情勢の中で、高年齢者の雇用の場を確保し、雇用の促進を図るため、企業指導の強化、高齢者無料職業紹介所設置事業の推進など、手厚い施策を実施しております。熊本県においても、高年齢者の生きがいと社会参加の促進を高齢化社会の課題として、老人福祉対策の充実を図っておりますが、特に昭和四十八年度から北九州大規模年金保養基地建設整備事業を推進し、昭和五十八年十月から建設工事に着手しております。 北九州大規模年金保養基地は、九州のほぼ中央に位置し、国立公園阿蘇カルデラの草原地帯に百三十七万平方メートルの敷地面積をとって、ホテル、スポーツ施設、レクリエーション施設等を建設し、厚生年金、国民年金等年金受給者が生きがいのある有意義な老後生活を送るための場を提供しようとするもので、六十一年中の完成を予定しております。 次に、生活条件整備の問題について申し上げます。 テクノポリス構想が、通商産業大臣の諮問を受けて、昭和五十五年三月に取りまとめられた産業構造審議会の答申「八〇年代の通商産業政策」において打ち出され、さらに昨年成立した高度技術工業集積地域開発促進法に基づき、テクノポリス開発構想策定地域全国十九地域のうちから、まず熊本地域、県北国東地域を含む九地域が先月下旬テクノポリス計画地域として承認され、現在各地域において、地域の豊かな文化、伝統と美しい自然に先端技術産業の活力を導入し、産、学、住が有機的に結合された新しい都市づくりを目指して努力が続けられているところであります。 熊本県においては、先端技術産業の集積が既にかなり進んでいる上に、工科系三大学等高等教育機関の集積もあるという有利な条件のもとで、全国に先駆けて五十七年一月熊本テクノポリス基本構想を発表し、さらに五十八年六月策定した熊本テクノポリス開発構想に基づいて、現在、産業界、学界、行政そして広く地域が一体となって、いろいろな分野で新しい技術を開拓し、あるいは産業を興し、また魅力あふれる定住の場を創造していくための活動が力強く進められております。 熊本テクノポリスの計画圏域は、熊本都市計画区域一市九町を母都市とし、熊本空港をめぐる開発拠点誘導地域一市三町二村をテクノ回廊とした二つの地域によって構成され、その面積は九百五十六平方キロメートル、人口は七十三万八千人となっております。昭和六十五年を実現目標年次としておりますが、昭和六十五年での計画圏域の人口は、五十五年に比べて十二万一千人ふえて八十五万九千人になると推定されております。これは新規学卒者の圏域内就職率の増加とUターン等による県外からの転入を見込んでおりますので、新規学卒者の地元定着のための雇用機会の拡充とUターン人材の誘導に関する情報機能の整備拡充が今後の課題であります。また、計画圏域の工業出荷額も既存企業の生産増、先端技術産業の新規立地等により五十五年からの十年間では年率八・八%という高い伸び率で推移し、昭和六十五年には一兆一千六百六十九億円となり、五十五年の二・ 三倍に達するものと予想されております。 大分県においては、これまでの大分地区新産業都市における臨海型の工業開発に加えて、国際貨客空港を目指す大分空港を中心に先端技術産業を点在配置する臨空型工業地帯構想を進めてきましたが、一方、近年、地域の人々が自立自助の精神のもとに自主的な地域づくりを進める「一村一品運動」や「ムラおこし運動」の全県的な展開によって、県下各地域に活力がみなぎり、新しいまちづくりへの機運が盛り上がってきております。 大分県のテクノポリス構想は、こうした新しい動きを基盤に、大分市、別府市を母都市とし、大分空港から半径五十キロメートルの範囲内の地域である県北国東地域において、臨空型の先端技術産業の導入・育成と先端技術基盤の形成及び定住環境の整備を進めることにより、二十一世紀を展望した新しい都市ニューポリスの形成を目指すものであります。 県北国東テクノポリスの志向するニューポリスは、テクノポリス圏域内に広域にわたって点在する都市部と農漁村部を、新しい交通通信システムによって、それぞれがみずからの特性を保ちながらも有機的な一体性を備えた都市として再編していくもので、地域に密着した総合的研究開発システムの形成と国際社会に通用する人材の育成を図ることによって高度頭脳社会を作り出すとともに、国際交流拠点として世界に開かれた国際都市を実現しようとするものであります。このため大分空港の大型化、国際化、九州横断自動車道、県北テクノ道路、空港道路など七つの基幹道路の整備等、高速広域交通体系の整備が今後の大きな課題であります。 大分県のテクノポリス構想は、このようなニューポリスを形成することによって、その先端技術産業のもたらす高度な技術の波及効果を県北国東地域のみならず県下全域に及ぼし、すべての県民が物心両面にわたって豊かさを享受できる「新しい豊の国づくり」を目指し、県南地域における「マリノポリス構想」、大野直入地域における「大野川上中流域農業・観光開発」、日田玖珠地域における「モデル定住圏構想」、県失地域における「大分地区新産業都市建設」といったそれぞれの地域特性に応じたまちづくりを並行して推進しているところであります。 以上のように、両県においてはテクノポリス構想のもとで新しい都市づくりを進めているところでありますが、高度情報化社会の進展に対応して、テクノポリス圏の母都市を情報資源都市として、母都市と圏域内の各地域を結ぶINS、キャプテンシステム等ニューメディアの有効活用による高度情報通信ネットワークの構築が今後の重要な課題となっております。 最後に、今回の調査で熊本県から要望書が提出されておりますので、これの会議録末尾掲載方を委員長においてお取り計らいいただくようお願いをいたしまして、第三班の報告を終わりたいと存じます。
○委員長(寺田熊雄君) 以上で各班からの報告は終了いたしました。 なお、ただいま梶木君から申し出のありました要望書につきましては、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(寺田熊雄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 本日はこれにて散会いたします。 午前十時五十三分散会 —————・—————