外務委員会 第2号
- 発言数
- 65 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1983/12/28
会議録
○委員長(後藤正夫君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 安倍外務大臣から就任のごあいさつがあります。安倍外務大臣。
○国務大臣(安倍晋太郎君) このたび、再び外務大臣に就任をいたしましたので、外務委員会の冒頭に当たりまして一言ごあいさつを申し上げさしていただきます。 東西関係を初めとして近年になく厳しい国際情勢のもとにおきまして、わが国の平和と繁栄の確保のために、外交に課せられた使命はまことに重大なものがあると存じます。 外務大臣としてこの一年余の経験を顧みるに、諸外国のわが国に対する期待と関心は年とともに深まっております。わが国が果たすべき国際的責任はますます増大しておると感じております。 また、外交と内政の結びつきが著しく緊密化している今日、外交の幅とすそ野を広げ、真の国際国家となることが求められてきております。 本委員会の皆様方には、外交問題に精通され、多年にわたってこれに真摯に取り組んできておられるわけでございます。皆様のよき御指導、御鞭撻を賜り、外務大臣としての重責を今後とも無事務めさしていただけるよう、皆様の御協力をお願い申し上げましてごあいさつにかえさせていただきます。 どうぞよろしくお願いいたします。(拍手) —————————————
○委員長(後藤正夫君) 北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件、日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国運邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件、両件を便宜一括して議題といたします。 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。安倍外務大臣。
○国務大臣(安倍晋太郎君) ただいま議題となりました北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件及び日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件の二件につきまして、提案理由を御説明いたします。この二件は、それぞれ別個の案件ではありますが、経緯上も内容的にも互いに密接な関係にありますので、一括して御説明いたします。 昭和五十二年五月二十七日にモスクワで署名されました北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定及び昭和五十二年八月四日に東京で署名されました日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間は、昭和五十二年末、昭和五十三年末、昭和五十四年末、昭和五十五年末及び昭和五十六年末に署名された議定書によって延長されましたが、さらに昭和五十七年末に東京で署名された二つの議定書によって一年間延長されました。したがって、両協定の有効期間は、ともに本年十二月三十一日に満了しますので、政府は、ソ連邦政府との間にこの有効期間をさらに延長する議定書を締結するため、本年十一月二十一日以来モスクワにおいて交渉を行いました。その結果、本年十二月二十四日にモスクワにおいて、わが方高島駐ソ大使と先方カメンツェフ漁業大臣との間でこの二つの議定書の署名を行った次第であります。 この二つの議定書は、いずれも二カ条から成っており、それぞれ右に述べました協定の有効期間を明年十二月三十一日まで延長すること、両政府の代表者は、明後年以降の漁獲の問題に関して明年十一月二十一日までに会合し協議すること等を定めております。 この二つの議定書の締結によりまして、一方では、わが国漁船がソ連邦の地先沖合いにおいて引き続き明年末まで操業することが確保されることとなり、他方では、わが国は、ソ連邦の漁船が明年においてもわが国の漁業水域においてわが国の法令に従って操業することを認めることとなりま す。漁獲割り当て等の実体的事項につきましては、両国の水産当局間の書簡にその詳細が掲げられておりますが、今回の交渉の結果、明年のわが方漁獲割り当て総量として七十万トンを確保し、他方、ソ連邦に対する明年の漁獲割り当て総量につきましては、六十四万トンを定めた次第であります。また、ソ側から要望の出されていた休養、補給のためのソ連邦の漁船のわが国への寄港については、相互主義の確保等、一定の条件のもとでわが国の国内法令に従い認める用意があるとの日本側の立場をソ側に対し表明いたしました。 この二つの議定書の締結は、互いに相まって、日ソ両国の二百海里水域における円滑な漁業秩序を確保するものであると考えております。 よって、ここに、これらの議定書の締結について御承認を求める次第であります。 何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
○委員長(後藤正夫君) 以上で趣旨説明は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○松前達郎君 今回の日ソ・ソ日漁業暫定協定、この協定の締結に至るまでの交渉経過というのが非常に昨年よりは厳しいというふうに伺ってきたわけですが、この交渉を担当されました皆さんにまず最初に心から敬意を表さしていただきたいと思います。御苦労さまでした。 そこで、最初に大臣にお伺いいたしたいのですが、新内閣が発足をいたしまして非常に世界の情勢が緊張した状況の中で新しく外交を進めていく、こういうことになるのだと思いますが、米ソ両軍事大国、これはもう軍事大国と私あえて申し上げるのですが、この間にはさまった形のわが国なんですが、このわが国の今後の外交——ことしは大韓航空機事件初めたくさんの事件があちこちで起こった年でもあるわけなんで、来年以降、外交そのものの持っていき方が非常にむずかしくなってくるんじゃないか。ですから、そういう中で今後のわが国の外交方針をどう進めるのか、とりわけ対米、対ソ、対中関係、これらについて大臣としての御方針があると思いますので、その点をまず最初にお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いま国際情勢は大変厳しいと判断をいたしております。 米ソの間におきましては、御承知のようにINF、START等の核軍縮交渉が中断をするという状況になりまして、まだ再開の見通しがはっきり立っていないという事態になっております。これがさらに決裂するようなことにでもなりますれば、一挙に米ソ両国とも核軍拡という方向へ進む可能性すらあると大変憂慮にたえないわけでありまして、一日も早く再開されるように期待をいたします。そのための日本の外交努力というものは、今後きわめて重要であると考えております。 それから同時に、地域紛争も各所において起こっておりますし、むしろ拡大をする懸念すらあるわけであります。あるいはまた、大韓航空機事件以来大きな事件が続発をしているというふうな状況で、国際的な情勢はまさに非常に危ないといいますか、そういう素地があるのじゃないかというふうにわれわれは判断をせざるを得ないわけでございます。 そういう中にあって、やはり世界の平和を確保するための努力がまさに人類の悲願でもありますし、また各国の責任でもある。日本もこれまで平和外交を展開してまいりましたが、今後とも日本の国際的な発言力あるいはまた日本の国際的責任というものを踏まえて、世界の平和への貢献というものに対してひとつ明確に歩み出していかなければならない時期に来ておる、こういうふうに考えております。 そういう中で、日ソあるいは日米、日中という大きな外交関係があるわけですが、日米関係は御存じのようにいま安定をいたしております。もちろん経済面では多少の摩擦もありますが、この安定関係をさらに不動のものにしていく。日中関係は、これはきわめて良好であります。日中国交回復ができまして以来、最高の状況にある、こういうふうに判断をしております。この体制もさらにこれを進めていく。 いま一番心配されるのは日ソの関係ですが、これはある意味においては非常に冷ややかであるという状況にございます。われわれは、日ソ関係については領土問題という基本的な問題がありますが、しかしそれらを解決するにいたしましても、やはり環境の改善というものをやっていく必要がある、こういうふうに判断しております。この日ソについてはなかなかむずかしい問題もありますけれども、しかし文化関係あるいはまた経済交流、人的交流、そういうものを深めながら、この日ソの関係をよくしていくために腰を据えて取り組んでいかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
○松前達郎君 それでは次に外務省にお伺いいたします。 今回の交渉に当たって、いま大臣がおっしゃったようないろいろな事件等が、とりわけ日本と関連がある大韓航空機事件等も起きたわけなんですが、外交の面で、そういう問題とそれから今度の漁業協定の締結に至る間のいろいろな雰囲気といいますか、こういう問題が関連、リンクしていたかどうか、その辺の御判断はどうでしょうか。
○説明員(加藤吉弥君) 年々行われておりますこの漁業交渉は今回で七回目でございます。その間、ソ連のアフガン侵攻、ポーランドヘの介入等、国際情勢に非常に厳しい局面が展開されたことがございますが、毎回、この漁業交渉は実務的な雰囲気のもとに比較的順調に推移してまいったと、かように承知しております。 今年のソ連側の態度は当初からきわめて厳しいものがございまして、第一次回答が五十五万トン、例年の七十五万トンを下回ること二十万トンというような形で、非常に厳しい態度で臨んでまいりましたわけでございますが、これはもっぱら漁業面におけるソ連の考え方、言うなれば、実質的に日ソをできるだけ縮小均衡の形で、実際の漁獲量の等量化を図るという考え方に基づいて出されてきた態度であろうと考えております。現在の日ソ関係は確かにきわめて厳しいものがございますが、こういう日ソ関係あるいは国際情勢全般がこの交渉に暗影を投じた、そういうものが理由になってソ連の態度が厳しくなったというふうに私どもは考えておりません。もっぱら漁業という分野におけるソ連側の考えに基づいてこういう厳しい態度が打ち出されたものであって、これは国際情勢、日ソ関係とは無縁のものである、かように判断いたしております。
○松前達郎君 そうしますと、いまの漁業交渉と一般的な政治情勢との間にリンクというものはない、これはこれで独立したものと考えているのじゃなかろうか、こういうふうに解釈しておられるということですね。
○説明員(加藤吉弥君) さようでございます。
○松前達郎君 そこで、今回の日ソ間での漁業交渉の経過、これは毎年少しずつ新しい条件をソ連側が提示してくるようですけれども、この経過で特に従来と大きく変わっている点というのがありましたら挙げていただきたいと思います。
○説明員(渡邉文雄君) 一つは、交渉の過程で強く印象づけられたのでございますが、日本はソ連に対して七十五万トンの枠を持ち、ソ連は日本近海で六十五万トンを漁獲するという枠を持っているわけでありますが、その実績、実際どれだけとったかという消化率からまいりますと、日本側が約七割前後をずっと推移してきておるのに対しまして、ソ連は最近では三〇%を切りまして二十数%台になっております。こういう消化率の差が非常に拡大してきたということ、しかもそれが定着しつつあるということに対しましてのソ連側のいら立ちと申しますか、それを何とかもとへ戻したいという強い希望と申しますか、そういうものが非常に前面に出てまいりました。それができないなら縮小均衡も辞さずというのが、当初の日本の要求の七十五に対する五十五という二十万トンカットの返答だったと思うのであります。 この理由につきましては、議論の過程で消化率が下がったことについての反論は十分いたしたわけであります。一部についてはソ連側もそれは認めておるわけでありますが、枠は別として、いずれにしましても日本側はソ連に行って五十万トンとってくる、ソ連は日本水域に来て十八、九万トンしかとれないという、その現実についてのソ連国内における批判に対する答えを何としても出したいというのが、ことし非常に強硬であったことの背景ではないかというふうに私感じております。
○松前達郎君 そのほかに寄港問題、日本の港にソ連の漁船が寄港することもあるようなこういう要望があって、寄港する場合にはこれを承知せざるを得ない、こういうふうな問題もあったと思うのですが、寄港する理由というのが、船員の休養、乗組員の休養ですか、それと生鮮食料品等、水も含めての補給というふうなこういう内容だと私は理解しているんですが、その中で休養という問題なんですけれども、これは、船の中で休養するんじゃなくて陸に上がってソ連の乗組員が休養する、こういうふうなことを意味しているのかどうかということですね。もしかそうだとすると、陸で宿泊をしなきゃならぬとかいろんな問題が出てくるわけなんですが、その点までは話し合いがあったのでしょうか、いかがでしょうか。
○説明員(渡邉文雄君) 寄港問題がことし非常に大きく出ましたのも、先ほど私が申しましたことを背景にしまして、ソ連の漁業者が日本近海に約三カ月間行ってまたソ連の基地へ帰るわけですが、三カ月間海の上で生鮮食料品も十分にとれないという形でありますと日本近海に来たがらない。そこでソ連の日本近海に対する出漁船が非常に減ってきているという、数字の上では確かに減ってきておるわけでありますが、それの理由の一つが日本では寄港を認めないからだと。ほかの国では寄港を認めてくれるから乗組員も喜んでそちらへ行くし、寄港を認められる国に行く場合には何がしかの外貨ももらえておみやげも買って帰れるんだ、日本ではそういうことができないから行きたがらない、したがって消化率が下がるということをしきりに申しておりました。したがいまして、向こうの意識は寄港問題というのは独立したテーマではございませんでして、水域を広げるとか、操業期間を延ばすとかという操業条件の一つとして向こうはとらえておるわけであります。しかし寄港問題については、もちろん日本国内に種々の問題があるわけでありますから、手放しに認めるわけにもちろんまいらないわけでございまして、いろいろな制限をつける形で最後は妥協したわけでありますが、その制限の中の一つといたしまして、陸上での宿泊はしない、宿泊は船内にするというようにいたしたわけでございます。
○松前達郎君 そうしますとこの寄港問題というのは、先ほどおっしゃった漁獲割り当て量を消化できない、これを逆に考えると、寄港して補給ができれば多少これの消化が行われるであろう、そうすると、将来の問題として縮小均衡へ向かわないためのブレーキ役になるんだ、こういうふうなことで考えていいんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○説明員(渡邉文雄君) ソ側の主張はまさにそういうことでございまして、たとえば日本に寄港して生鮮食料品の補給ができれば一々基地に帰って野菜の補給をしなくて済むから、日本水域における操業期間が実質的に延びる、あるいは乗組員の士気が上がるというようなことはそれはあるのかもしれません。少なくとも交渉上はそういうことを理由にしまして、ぜひとも漁獲実績を日本並みに近づけたい、そうすれば縮小均衡までいかなくてもいいではないか、しかしそれができないなら縮小均衡だと。日本も二十万トンしかとれないようにするというのが背景にあったわけでございます。
○松前達郎君 そうすると、最後にちょっとお伺いしたいのはソ連の船団ですね。これは、いまはるばる基地に帰って、またのこのこ出てくるというそういう繰り返しでもって時間がある程度経過してしまうし、また当然いまおっしゃったようないろんな問題から漁獲量が少なくなってしまう、そういうふうなことだろうと思うのですが、このソ連の船団の基地というのはどこにあるのでしょうか。
○説明員(渡邉文雄君) 私どもが承知しておるところでは、ウラジオ、ナホトカを初めとしまして沿海州あるいは樺太、カムチャツカ等に漁港が幾つかございます。そういったものが母港になっていると理解しております。
○松前達郎君 それからもう一つだけお伺いしたいのは、ソ連の漁船の船団といいますか、これの内容に関する規制というのは現在あるのですか。船の数とか大きさとか、そういうものの制限といいますか、こういうものの取り決めはあるのでしようか。
○説明員(渡邉文雄君) 水域別、漁業種類別にそういう制限は設けてあります。たとえば、小笠原周辺で行われますカツオ・マグロ漁業につきましては四隻、船型は二千トンというようなふうに、これは一つの例でございますが、そういうような形での規制をいたしております。
○松前達郎君 毎年これは更新といいますか、交渉が行われるわけなんで、どうもいままでふえたためしがないんですね。だんだんと条件が厳しくなってくるような状況なんで、日本側として何か有利な主張といいますか、そういうものを何とか早くつかんでこの交渉をある程度安定した内容に進めていく、持っていくというそういうことが必要だと思うのですね。 それともう一つは、やはり毎年毎年というのも大変でしょうから、これをもうちょっと長期の協定に切りかえることができないだろうか。これは前も私申し上げたわけなんですが、その辺をひとつ今後御努力いただいて、できるだけ安定した状況をつくり上げていただくということにしていただければというふうに、これは私の希望ですが、これを申し上げまして私の質問を終わらせていただきます。
○和田教美君 今度の日ソ漁業交渉は、さっきの趣旨説明にもございましたけれども、ソ連の二百海里水域内における日本の来年の漁獲割り当て量がことしより五万トン減った七十万トンということになっております。それ以外に、ソ連の漁船の小名浜港への寄港というふうな問題も初めて出てきたわけで、表面だけ見ると、どうも日本側の方がよけい譲歩を迫られたんじゃないかという印象を持つわけでございます。しかし、実際には日本側の漁獲実績は大体六、七割程度というふうに聞いておりますけれども、そうなりますと、来年の削減量の五万トンというのは、実績からいって余り実害の及ばない範囲のものである、減船の必要もないというふうに思われるわけでございます。 それで日ソ関係が、大韓航空機の事件の問題とか、あるいはまた東西の緊張激化というふうな状況の中で非常に厳しいと。そういう背景を受けた交渉としては時期は非常に悪い、タイミングは悪いということは言えますけれども、まあまあ非常に努力されて、まずまずの成果であったというふうに評価をいたします。しかし、今度の交渉経過から見て、将来にわたって多少何といいますか、不安になるといいますか、気がかりだというふうな問題点も幾つかございますので、そういう点を二、三お聞きしてみたいと思います。 まず第一に、日本の漁獲割り当て量が六年ぶりに五万トン削減されたということでございますけれども、一九七九年以来、大体七十五万トンで定着しておったのが今度は七十万トンということになったわけでございますが、今度の交渉経過から見ましても、ソ連は初めは非常に厳しい態度で、日本の枠を五十五万トンというところからスタートさしております。それから、特に付加価値の高いカニとかツブとかエビとかというものについては、最後の段階までゼロ回答であったというふうにも報道されておるわけでございます。それ以外にソ連の漁船の操業条件の緩和を要求したり、全体として非常に態度は厳しかったと思うのですが、その背景には、いまもお話が出ましたように、 ソ連側には基本的に等量主義という考え方が非常に強いんじゃないかというふうに思われるわけで、日本側は実績主義でいっているんだろうと思うのですが、その実績主義でいつまで対抗していけるのか。この漁業暫定協定は毎年延長を決めなきゃいかぬということでございますから、今後、来年、さらにソ連側が厳しい要求を出してくるんではないかというふうにも考えられるわけで、その辺の見通しを外務大臣としてどうお考えになっておりますか、まずお聞きしたいと思います。
○説明員(渡邉文雄君) 実際に交渉を担当した者として御答弁さしていただきたいと思うのですが、先生ただいま御指摘のように、ことしの態度は非常に厳しかったわけでございまして、その背景には、現実に六十五とか七十五とかという数字よりも、日本は五十万トン自分の地先でとっていく、われわれは日本に行っても十八万トンしかとっていないという現実についてのいら立ちというものが大きかったと思うわけであります。ですから、まずそいつを直してほしいというのが向こうの当然の交渉のポイントになるわけでありますが、それがうまく直れば非常にいいわけでありますが、現在の漁獲の中身を見ますと、沿海州周辺でイワシが非常にとれておるわけであります。それから、ソ連側にとりまして一番希望するものはイワシでございます。そういたしますと、自分の地先の沿海州でとれている限りにおいては、日本に行くといってもなかなか行かないという現実があるわけでありまして、もちろん寄港問題その他についても、いろいろな評価はあるにしましても、そこで沿海州のイワシが恐らく日本近海のイワシよりも、時期は予測つきませんが、必ず先に減り出すことはソ連も知っておるわけでありまして、そういう意味で日本の漁場の魅力というものはソ連も捨てがたいものを持っているわけであります。 それはそれといたしまして、そういう中で必ずしもいまのところは等量主義というふうには彼らは言っておりませんでして、枠に対して実績が少ない、しかもその差が非常に大きいということからして、縮小均衡でいきたいということを言っているわけです。むだな枠を持っていてそれを達成しないと、国内でいろいろ批判のもとになるということもあるようでございまして、枠と実績とを近づけたい、それはとりもなおさず結果的には縮小均衡に結びつくわけでございます。そういう議論がありますが、さらにそれが進んで、先生御指摘のように、将来等量主義になる可能性がないとは言えないわけでありまして、御指摘の点は私どもの方も同様に心配はしておるわけであります。しかし、しばらくの間はまだ等量主義に直には突っ込まないで実績を上げる努力をし、わが方もそれに——できないことはできないわけですが、できる限りでの協力ができるものはしていって、何とか数字が妙な形にならないように努めてまいりたいというふうに考えております。
○和田教美君 次に、ソ連漁船の小名浜港への寄港を初めて認めたという問題でございますけれども、これは「昭和五十九年に限り」となっておりますけれども、一回認めて一年限りということはあり得るのかどうかという問題と、それからいろいろな制限はつけておるけれども、そういうふうな寄港を認めるということによって、寄港地がソ連の漁業基地化しないかというようなおそれも一部にあるわけですが、その問題と、さらに沿岸の漁場、沿岸漁民の利益、たとえば漁網の被害を受けるとか、そういう漁場が荒らされるというおそれは全くないかどうか。さらに、小名浜の現地の漁民の了解を事前に取りつけておるのかどうかというふうな点をお聞きしたいと思います。
○説明員(渡邉文雄君) まず、期間の問題でございますが、今回の措置は、日ソ・ソ日暫定漁業協定自体が有効期間一年ということでございますので、それと合わせまして五十九年限りという取り扱いに交渉上いたしたわけでございます。 それから、漁業基地化しないかという御心配でございますが、たとえば油の補給を認めるとか、漁網の修理を認めるとかということは認めないわけでございまして、人道的と言いますとちょっとやや言い過ぎかもしれませんが、水の補給とか生鮮食料品の補給だけに限定しているというようなことからいきまして、いうところの漁業基地化ということにはつながらないのではないかと思います。さらに、一回の寄港期間は四十八時間に限るとかということもいたしておりますので、そのような懸念はないというふうに私どもは考えております。 それから沿岸漁場との関係でございますが、御指摘のような心配は確かにあるわけでございまして、私どもの方も、どの港を選定するかにつきまして最大の考慮を払いましたのは沿岸漁業との調整の問題でございまして、たとえば湾の奥深くに港があるような場合には、その港に達するまでの間にたくさん養殖関係の施設が敷設されているわけでありまして、そういうところへふなれなソ連船が入ってまいりますと漁具に被害を起こすわけです。お互いに不幸なことに相なるわけでありまして、そういうものが比較的少ない、それから港の深さ等が、ソ連船が入れるだけの深さを持っているかどうかというようなことを総合的に判断をしまして小名浜港を選ばせていただいたわけでございます。 それから、関係の漁民の事前の了解という点でございますが、この点につきましては、交渉の過程で私どもの方はできれば断りたいということで、私、モスクワヘ行く前に、事前に関係の漁民と話をするということはいたしておりませんでした。しかし交渉の過程で、これは何ともならない、これを譲らなければ——特に数量以外に、日本の船がソ連水域でとっているときに水深五百メーターよりも浅いところでとらせてもらっている量が圧倒的に多いわけですが、その水深五百メーター以浅の操業を禁止するというのがソ連の今度のポイントの一つであったわけです。それをやられたのでは、たとえ百万トンもらっても実際の漁獲は二十万トンもとれないということが予測されたものですから、その五百メーター以浅の禁止というのを解くために、それだけではございませんが、この寄港問題が大きく交渉の材料になったわけでありますが、そういう過程で時間的余裕が十分なかったわけでありまして、事前に県庁ないしは関係者に御了解いただく時間が十分なかったわけであります。昨日、私、知事さんともお会いをし、担当部長をいわき市の方にも派遣をして、理解をいただくように努めている最中でございます。いろいろな制限もつけてございますし、御理解がいただけるものと私どもの方は考えております。
○和田教美君 外務大臣にお伺いしたいのですけれども、日ソの漁業交渉は、いまのようなぎくしゃくした日ソ関係というふうなもとでやっぱり非常に重要な交渉だと思います。日ソを結ぶいわばパイプのようなものだというふうに思うわけでございますが、春にはまたサケ・マスの交渉もあるわけでございます。 いまの外務省の答弁によりますと、漁業交渉にいわゆる日ソ間の政治的関係、そういうものの影響は全くなかったというふうなお話でございましたけれども、客観的にこの交渉の経過を見ていると、やっぱりいまの厳しいぎくしゃくした関係の影響があるように思われるわけでございます。しかし、基本的に考えますと、漁業交渉というのは、私も長年新聞記者として見てきたけれども、極力やっぱり政治的な問題は排除して、実務者間のリーズナブルな交渉にすべきだというふうに思うわけでございます。そして、そういうリーズナブルな交渉を通じて日ソ間の経済関係というものを少しでも発展させていく、そういうことが相互のぎくしゃくした関係をやわらげるという一つのステップにもなる、こういうふうに考えるわけでございますが、安倍外務大臣は今度の新しい内閣で留任されて、新聞にインタビュー記事が載っておりましたけれども、ソ連との対話を大いにやっていきたい、将来は領土問題も話し合えるような雰囲気にしていきたいというふうなことをおっしゃっておりますけれども、そういう日ソ間の、つまりいまの状態をどうして打開していくかというふう な問題についての御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 確かに日ソ漁業協定につきましては、これまで何回かやってきました。その間に、ポーランドの問題とかあるいはアフガニスタンの問題等があったわけですが、こういう緊迫した状況の中でも、いまおっしゃるように実務的な雰囲気という中で進められてきたわけでありまして、今回も大韓航空機の事故等があったわけですし、日ソ関係は冷たい関係にあるわけですが、そうした雰囲気の中で行われたものであるというふうにわれわれは理解をしております。 ただ、今度の場合は、御承知のようなこの数年のソ連側の消化率、クォータの消化率が低調であったことを背景として、日本水域におけるソ連漁船に対する操業条件の緩和というものを強く要求したのに加えまして、わが国に対してソ連側がわが国への寄港を要求して、この調整に手間取ったというふうに思うわけでありますが、日ソ関係全体については、残念ながら御承知のような状況でいま冷たい。しかし、やはりわれわれは、ソ連というのは隣国であるし大国でありますし、この関係の改善を図っていきたい。 ただ、ソ連との間には御承知のように領土問題という問題が基本にあるわけですし、なかなか領土問題を一挙に解決して平和条約締結というところまではこぎつけられない情勢にあるわけですが、しかし私は、やはりこの日ソ間の対話を今後とも進めて、そして領土問題も話し合えるような環境づくりをやっていかなきゃならぬのじゃないか、こういうふうに考えております。経済問題あるいは文化問題、あるいはまた人的交流の問題、そうした面で腰を据えて今後日ソ間の環境の改善といったことに対して積極的にひとつ取り組んでまいりたい。 何といいましても相手は、そうは申しましてもむずかしい国ですから、簡単にいけるかどうかはこれからの問題であると思いますけれども、しかしソ連もこうした漁業協定を実務的な雰囲気でずっと続けてきておりますし、あるいはまた経済交流についても、あるいは文化交流についても前向きになってきておりますから、これからいろいろな面で対話をずっと進めていけば、そういう状況というものは改善をされていくのじゃないか、いまよりは改善されていく余地はある。そして、最終的に領土問題を話し合えるようなそういう状況に持っていく必要があるのじゃないか、そのためのこれからの努力はひとつやってまいりたいと思っております。
○和田教美君 終わります。
○関嘉彦君 民社党は、基本的には今度の協定に対して賛成しておるのです。また、関係者がいろいろ努力されでまとめられた労に対して多とするものであります。しかし、将来懸念されることが若干ありますので質問したいと思います。 まず第一は、この協定自体なんですけれども、先ほどの長官の話では、ソ連としては縮小均衡に持っていきたい、それがクォータ、割り当て量の削減に結びついたのだというふうなお話だったのですけれども、将来そういったふうに縮小均衡に持って、いくということがその目的であるのか、あるいは操業条件の向こう側にとっての改善、特に寄港地なんかを求める、それが目的でその取引材料としてクォータの削減を言ってきたのか、長官の御感触はどうですか。
○説明員(渡邉文雄君) 向こう側もアプリオリに縮小均衡を目指しているわけではもちろんないと思います。現実に消化率の差というものがここ三年ほど拡大し、それがかつ定着しちゃったということに対する恐らく国内における批判というようなものがありまして、まず操業条件の改善によって日本近海における消化率を上げたい、それが上がらないなら縮小均衡も望むところというのが向こう側の偽らざる姿ではないかと思います。別に縮小均衡をおどしに使ったというほどの感じを私は受けませんでした。
○関嘉彦君 次に、小名浜港の寄港の問題なんですけれども、これ配付していただいた寄港問題の書類によりますと、日本側代表団長の発言を記録したという形になっていますですね。これは一体拘束力、国際的な取り決めとしての拘束力はあるのかないのか、まずそのことを外務当局にお伺いしたいと思います。
○説明員(都甲岳洋君) 今回の寄港の問題につきましては、ソ連側の要望に対して、日本側から国内法に基づいて個々のケースについて要請があればそれを認める用意があるという政策的な意図表明を口頭で行ったわけでございます。それで、それを念のために記録として文書にしたという性格のものでございますし、ソ連側からも同様な意図表明が行われて、それを念のため記録にするために文書にしたという性格のものでございますので、いわゆる法的拘束力のある文書というような性格は持っていない次第でございます。それで、双方ともそのような口頭の意図表明という形で本件を処理しようという了解のもとにそういう処理がなされたわけでございます。
○関嘉彦君 そうすると、ここにいろんな条件が書いてありますけれども、もしこれに違反するようなことが起こった場合には、単に今後向こうから申請があったのに対して許可を与えないというだけの制裁しかできないわけですか。
○説明員(加藤吉弥君) 実際にソ連の漁船が入港を希望いたします場合には、寄港の予定日の二週間以上前に在京ソ連大使館を通じて外務省に口上書で要請を出させることにいたしております。私どもはその口上書を受け取った後、諸般の角度から綿密に検討した結果、これならばよかろうという判断になりましたならばそれを入れると、こういう手続で物事を進めることを考えております。 また同時に、双方の意図表明というのは相互主義の原則に立っております。したがいまして、もしソ連側がわが方の漁船の入港に対して不当な条件を課すような場合には、それに対応した条件をわが方も課すということも当然できるわけでございまして、余り恣意的な形での入港にならないような歯どめは十分尽くされていると考えております。
○関嘉彦君 条件がいろいろ書いてありますけれども、この条件に従ってソ連の船が小名浜港に寄港した場合に、たとえばごみの投棄であるとかあるいは漁網を引き裂くとか、そういったふうな損害が起こったときに、それに対する対応策——これはどこの管轄かよくわからないんですけれども、そういった対応策、並びに、もしその船が何か電波の機器なんか持っていて電波障害なんかを起こしたというような場合に、それに立入検査なんというのはできるわけですか。 それからさらに、これも警察庁の問題かとも思うのですけれども、上陸後、住民と、日本人との間にトラブルなんか起こった、公安上の問題なんか起こった場合に、それに対する対応策というのはどういう言に——十分な用意をなされていると思いますけれども、そういったふうな問題について……。
○説明員(加藤吉弥君) まず、本邦漁民に対する損害につきましては、これは別途水産庁から御説明があろうかとも思いますが、日ソ間には損害賠償委員会というものが存在しておりまして、日本側の漁具、漁船に被害を与えた場合にはこれを賠償する、賠償を求めるための委員会というものができておりますので、こういう場を活用して交渉ができるということになっております。 また、ソ連船がスパイ行為、情報収集活動、そういうことを行うというような場合には、わが国の中にも当然電波法とか関連の国内法がございますし、日本の領海、日本の領域内ということであれば当然立入検査その他もできると、かように考えております。 公安上の問題で現実にいろいろな条件を先方が破るとか、隠密的な行動をするとかそういう事態に対しては、これは公安当局、治安当局の御協力を得てそのような事態にならないように万全の配慮を尽くしたいと考えております。
○説明員(伊美克己君) ごみの不法投棄のお話がございましたのでお答えを申し上げます。 海洋環境の保全や海洋汚染の防止ということは世界的な関心事となっておりまして、その方面の意識の高揚も図られてきておりますけれども、先生御指摘のように、ごみの海上不法投棄が全然予想されないというわけではございません。先生御指摘のとおりですが、ごみの海上不法投棄につきましては、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律あるいは港則法等によって規制をされておりますので、ソ連漁船が入港した場合にはこれらの規制につきまして十分指導をするとともに、監視、取り締まりについて厳重に実施をしてまいりたいというふうに思っております。 それから、漁網の被害があった場合でございますけれども、海上保安庁といたしましては、もしそういう事態が生じました場合には事実関係を調査いたしまして、刑法に定めがございます器物損壊等に当たりますれば捜査をしてまいることになろうかと思います。
○説明員(赤木孝志君) 先生御指摘のように、状況いかんによりましては住民とのトラブルといったことも予想されるわけでございますし、また一部の右翼などによる寄港反対行動といったことも考えておく必要があると思うわけでありまして、この点につきましては、関係省庁とよく連絡をとりながら的確な措置を講じていきたいと、かように考えておる次第であります。 また、御指摘のありました公安上の問題でございますけれども、やはりこの寄港によりまして乗員が上陸すれば、過去の経験に照らしましても、各種の情報活動がそこで行われるおそれは十分にあるわけでありまして、警察といたしましては所要の情報収集あるいはこれに対する視察といったことを通じまして万全の措置を講じていきたいと、かように考えておる次第であります。
○関嘉彦君 まだ二つほど質問条項を考えていたのですけれども、時間が二時二十五分までで、あと二、三分しか残っていませんので、あとは希望として申し上げておきます。 ソ連を初めアメリカも同じだと思うのですけれども、自国の水産資源をできるだけ守っていきたい、いわば資源ナショナリズムというふうな傾向がだんだん強くなってくるのじゃないかと想像されるのですけれども、それに対して日本の利益を主張することはもちろんですけれども、同時にやはり将来の水産行政をどうしていくか、あるいは南方なんかの方に漁場を拡大していくとかいろんな問題があると思います。後進国との技術協力の問題なんかもあると思いますけれども、それによって漁場を拡大していくというふうなこともあると思うのですけれども、長期的な観点に立って日本の水産行政の基本を考えていただきたい、これが水産庁長官に対する希望でございます。 それから外務大臣に対して、対ソ経済外交の基本方針について、これももう時間がございませんので希望だけ申し上げておきます。 これは単にソ連に限らず、どこの国との関係でも、今後政治と経済との関係を分離することはだんだんむずかしくなっていくだろうと思うのですが、特にソ連という国は、政治的な目的のために経済的な駆け引きをする、それを使うというふうなことをしばしば行われる国であってなかなかやりにくい、経済問題に対する交渉でも、いろんな点を考えないとやりにくい面があると思います。もちろんソ連は隣の国ですから、友好関係を増大していくことは必要ですけれども、同時にこういった経済的な利益を取引材料にして、安全保障なんかについての日本の基本的な方針に対して揺さぶりをかけてくることがしばしばあるのではないかと思います。大韓航空の事件が今度の経済交渉に影響があったかどうか私にはわからないけれども、しかし大いにそれを利用する、それが影響するということは私は十分考えられることじゃないかと思うのです。しかしその場合でも、魚の漁獲割り当てが欲しいために日本の基本的な方針を曲げるというふうなことがないように。私は先般の大韓航空機問題に対する外務省の方針は非常によかったと思うのですけれども、その方針をあくまで貫いてもらいたい、そのことを希望して私の質問を終わります。
○立木洋君 小名浜に寄港を認めるという初めてのことで、現地の漁民や水産関係者の中ではいろいろと不安が出ていると思うのですね。これが二月の一日から実施されるということになればあと一カ月そこそこしかないので、トラブルが起こったりあるいは損害が生じるようなことを未然に何としてもやっぱり防止すると。そのための対応がまず必要だと思うのですが、そういう手だては十分に進めておられるのでしょうか。
○説明員(渡邉文雄君) 外国漁船の日本に対する寄港という問題を許可制にしてありますゆえんは、法律にも書いてございますように、日本の沿岸漁業の円滑な操業が危殆に瀕するような場合には許可をしてはいけないというのが根っこにあるわけでございますから、まず港を選定するに当たりまして、そういう意味で沿岸漁業の多さとかあるいは養殖施設の敷設状況とか、そもそもその港にソ連船がすでに入っている経験があるかないかとか、そういったことをいろいろ勘案して場所を選んだわけでございます。 たとえば小名浜について言えば、私ども承知している限りでは年間三百数十隻の外国船舶が入りまして、そのうち、年によって差はございますが大体二割、六十数隻はソ連の貨物船がすでに入っておるわけでございまして、そういうようなことも勘案いたし、それから沿岸漁場の現状等からいたしますと、そういう意味での漁業問題としてのトラブル、物理的な意味でのトラブルというのはまず起きないのではないかと思います。 それにいたしましても、年間だとえ数十隻であっても、一つの港で新しくそういうことが始まるということについて危惧する向きが多いのは当然でございまして、先日は私どもの担当部長を現地に派遣してございますし、今後も県庁並びに市当局あるいは漁業団体と緊密な連絡をとるということを前提に、問題が起きないように十分注意をしてまいりたいと思っております。
○立木洋君 トラブルというのは想定しないところで起こるものですから念には念を入れていただく方がいいわけで、十分に対応を強めていただきたいと思います。 それから、加藤さんが先ほど言われました損害が生じた場合のあれですね、賠償委員会、機能が十分していなくて以前の問題も大分残っておるようですし、うまく機能するように、そのこともひとつお願いしたいと思いますが、起こらない方がいいんですけれども、起こった場合にはやっぱり速やかに解決するということについてもひとつ念を押しておきたいと思うのです。 それからとりわけ外交上ですが、母船が来るんですよね、ソ連の漁船の場合には。これもやっぱり寄港を認めるというようなことになるのかどうか、ここにはそういう制限が書いてありませんから。前回千葉の沖ですか、銚子の沖で缶詰めを捨てたとか段ボールを捨てたとかいっていろいろ大分問題になったことがありますので、こういうふうな問題についてもよく外務省の方も、あとは協定が終わったらということでお見逃しにならないで十分に注意して、必要な場合にはソ連側にもきちっと申し入れることは申し入れるという形でそういう事態が生じないようにひとつ努力をしていただきたいと思いますが、加藤さんいかがですか。加藤さん、もうかわるのだな。じゃあ大臣から一言。
○説明員(加藤吉弥君) まだ現職でございますので…… この意図表明の中にも書かれてございますとおり、寄港の問題につきましては、外務省が窓口となりまして関係諸官庁と協力しながら万全を期していくということになっております。外務省は、総合的な観点からいろいろ細かい点もすべて配慮して適切な判断を下していくつもりでございます。どうぞその点、先生御安心くださってよろしいのじゃないかと思います。
○立木洋君 それから漁民の不安ということで、ちょっとこれは変わりますけれども関連して要請しておきたいのですが、外務大臣も御承知の、い まから二年前ですね。秋田沖で日米共同の軍事演習が行われたときにはえ縄切断の事件がありましたですよね。それであのときも、当初伊東さんが外務大臣だったときにも私要請して、日本近海には大体二十四カ所に上って漁場があり、沖合いなどを含めると三十七カ所ぐらいになる、だから漁期にある漁場では、やはり演習や訓練などはやらないというふうなことを踏まえて対応していただきたいというお願いをしたのですがね。そのときに伊東外務大臣は、「これはわからぬことではございませんから、防衛庁に、なるべく漁民その他の要望が通るように、外務省としても話す」という回答があったわけです。 それから、その後園田外務大臣にかわったときにも同様の趣旨として申し入れをしまして、これは演習ですが、「時期の設定、演習区域の設定については、まかり間違ってもこういうことがないように」、つまり被害が起こるというような事態ですね、「こういうことがないように十分注意を要する、こういう申し入れをしましたところ、マンスフィールド大使は、全く同意見であるから、これは詳細に本国の方に申し入れる」という回答をその当時いただいたわけです。 その後もやはり依然として漁場のところで演習が行われたり、やっぱり漁期とダブっているというふうな事態もあって、漁民の中でもいろいろ不安があるのですね。ですからそういう事態については、農林水産大臣の経験も安倍さんはなさっているわけですし漁民の考えもおわかりでしょうから、今回またアメリカの方においでになるという報道がありますので、そういう問題についてもやはりきちっと向こう側にもお話をし、あるいは防衛庁の方にもそういう点で努力をしていただいて、そういう漁民の不安を取り除くというふうにお願いをしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これまでに事故もありましたし、わが政府としましては、アメリカに対しまして、漁業に対して損害を与えないという方に十分配慮すべきであるということを申し入れてもおりますし、今後ともわが国としまして十分防衛庁とも連絡をとりながら、アメリカに対しても、漁民に不安を与えないようなやり方でひとつやってほしいということについては、今後アメリカ政府との間でも話し合いはしていかなきゃならぬと、こういうふうに思っております。
○立木洋君 ソ連との関係もそうですし、アメリカとの関係についても漁民のそういう要望、不安を取り除くために努力をしていただきたいというふうに思います。 それから、この間の新聞に出ておったのですが、これちょっと変わるのですけれども、大韓航空機の撃墜事件ですね、あれ一応けりがついたのかどうなのか。解散をしたということなんですが、あれはあれでもうおしまいだということなのか、けりがついたというふうに判断をされているのか、そのあたりの御判断はどうなっているのでしようか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは、きょう実は中島審議官を長とする対策本部は一応解散はしますけれども、しかしこれはけりがついたとは思っておりません。やはり、フォローアップするところは相当あるのじゃないかと思います。たとえば、大韓航空と日本の遺族との間でやっております交渉等につきましても、いろいろと情勢の詳細は聞いておりますけれども、政府としても韓国政府との間で話し合いもしておりますし、こういう点も今後フォローアップしなければならぬ問題だろうと思いますし、さらにまた真相究明といった点についても、ICAOの調査報告が出ておりますけれども、まだ完全に解明されたとはわれわれ思っておりません。あるいはまたソ連との損害賠償、ソ連に対する請求、これはソ連に拒否されましたけれども、こういう点も正当な主張である、こういうふうにわれわれは思っておりますし、そういう面が残っておりますから、解散はいたしましたけれども、しかし外務省全体としては、大韓航空機事件につきましては今後ともいろいろの角度からこれに対する対策は進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○立木洋君 両院でこの問題に関する決議もなされておりますし、真相解明して再びこういう事態が起こらないように何としても全力を尽くしていただきたいと思いますし、それから遺族の方々が賠償問題でいろいろ問題がまだ残っておりますので、当局の方としてもできるだけ協力をして順調に問題が解決するように御要望しておきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはできるだけひとつ協力しなければならぬと思っております。
○秦豊君 安倍外交もいわば二期目に入るわけですよね。 それでひとつ提案もしたいわけなんですけれども、今度の暫定協定の問題もやはり全体的な日ソ外交環境というものを微妙に反映する、あるいはナーバスに反映する、これは当然です。そこで、いままでともすれば対ソ国家戦略という観点から見ると、たとえば財界の行動様式を見ると、北京がだめならモスクワがあるさというふうな感じでともすれば政府の外交方針との間に乖離がある。その点で霞が関から財界を見ると焦燥感もあってぎくしゃくしたこともある。そこで安倍外交の第二期目ですから、ひとつこのあたりで腰を据えて対ソ国家戦略、単に外交方針と言わないで国家戦略、この整合化あるいは総合化、その作業の一環としてたとえば経済協力のあり方をもっとシビアに見詰め直すとか、あるいは安倍外交の二期目に当たって、対ソ外交の一つの中間的目標としては、例の未解決の懸案というあたりまで北方領土問題を引き据えるとか、あるいは北方領土に展開しているソ連軍の航空、地上あるいは水上兵力の削減要求をいつどういう時点で打ち出すとか、そういう具体的なポイント、ポイントをとらえた再検討を含めての対ソ国家戦略の再構築というふうなことに取り組んでみられたらどうですか、まずその点を伺っておきたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 対ソ外交はなかなか私は息の長いことだと思います。一朝一夕に解決できない、領土問題一つをとってみましても、やはり長期的な立場で取り組んでいかなければならぬと思うわけですが、しかしそういう領土問題までもテーブルにのせるような、たとえば環境の整備といったものをできるだけやっていかなければならぬと思っております。そのためにはやはり経済の交流ももっと話し合う必要がある。対ソ制裁措置等についても、ぼつぼつヨーロッパ諸国等も解除をしておるような情況にありますし、これは関係国がありますから相談をしながらこういう点も検討してみたいと思いますし、あるいはまた文化交流はソ連も相当熱心でありますが、日本もこれに対してこたえていく。あるいは人的交流の面等についても、ケース・バイ・ケースという問題もありますけれども、しかしこれもできるだけ考えてまいりたい。 私は、大韓航空機事件の前にはグロムイコ外相が日本に来てもいいというふうな感触をちょっとつかんだことがあるのですけれども、大韓航空機事件で吹っ飛んでしまいまして、国連総会でもついにああいうことができなかったと思っておりますが、何とかグロムイコ外相に日本に来てもらうということはこれからも要請をしたい、当然のことですが要請をしたいと思っておりますし、また国連総会等でも会う機会を求めていきたいと思っております。その他やはりソ連との間のいろんな交流を、接触をやってみたい。腰を据えてひとつ取り組んでみたい。息の長い仕事ですが、そういうふうに考えております。
○秦豊君 端的に言えば、来年秋のニューヨークの国連総会まではグロムイコを日本に迎えるという条件はなかなか醸成できないと思うのですが、事務レベルで積み重ねる、それであとは政治判断で、安倍さんとグロムイコ氏が外務本省で会うというまでには何がクリアされなければいけないんですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは大体事務レベル、特に高級事務レベルの会談まではセットされるような状況になってきておりますから、あとは 責任者の会談ということがその次に残るわけでありますが、これは今後の国際情勢の変化等ももちろんあると思います。米ソの核軍縮の交渉が再開されるかどうかと、それと世界情勢が緊張緩和の方向へ向けば、またソ連の姿勢も変わってくるのじゃないかと思うわけでありますが、そういう背景はあると思いますけれども、日本は日本なりにやはりグロムイコ外相の訪日というのは、ソ連としても多少やっぱりそういう感じを持ったこともあると私は感触として得ておりますので、これは全く不可能なことではないと、こういうふうにも思いますし、何か接触をする機会があればそういう点も踏まえてやってみたいと、こういうふうに考えております。
○秦豊君 水産庁長官ね、さっきあなたの、ソ連がなぜ小名浜寄港を要求したかといういわば背景を聞いていましてね、この協定延長は一年でタイムリミットはあるけれども、これは毎年果てしなく繰り返していきますよね、これはエンドレスの要求で、よもや寄港地をふやしてくれなんということは言わないにしても、小名浜にはこだわりますよね。だから、また来年のテーブルには必ず持ち上がってくる問題だと私は思いますが、それは向こう側としては当然じゃないんですか。
○説明員(渡邉文雄君) 来年度の交渉においてソ連がどう出るかというのはなかなか想像できにくいわけでありますが、恐らくことしこれだけこだわったということがあって、かつ来年寄港要求を引き下げるということはなかなかないんではないかという感じはいたします。
○秦豊君 その場合ですね、安倍外務大臣、これはやっぱり外交判断、選択の問題ですよね。来年またカメンツェフ、クレムリンが突きつけてきて小名浜にこだわった場合に、いや、あれはもう時限立法みたいなもので一年限りだと、国内もそれで了解し漁民も了解したんだから、これ以上はだめだというふうにきっぱりとカットアウトできますか。来年要求があっても断り切れますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはなかなか毎年毎年むずかしい交渉で、しかし私はむずかしい交渉の中では成果を上げてきていると、こういうふうに思っております。今回もそうであったと思うのですが、来年もやはり年末になれば恐らくことしと同じような交渉をしなきゃならぬと、こういうふうに思っておりますが、その時点でやはり判断をするべき問題じゃないだろうかと。ただ、私はこの漁業協定については、やはり農林水産省も考えておりますし、われわれも一年限りの協定でなくて何とかこれを長期的なものにできないかということについては、これはちょっと日ソ当局でいろいろの接触の窓口もありますし、これからも接触の度を深めていきたいと申し上げておるわけで、そういう面もひとつ今後とも話し合ってみたいと、こういうふうに思っております。
○秦豊君 確かに一年ごとのあわただしい、厳しい交渉の果てしない繰り返しよりは、三年ないし五年をフィックスした長期的な協定ができれば日ソ関係の空気も変わってくるし、日ソ関係の空気が変わらねば暫定が長期方式に切りかわらないと、相関関係だと思いますね。 それで、水産庁長官にこれ聞いておきたいんだけれども、ことしのたしか二月だと思いますけれども、カメンツェフ漁業大臣がわが国の農水大臣に、いわばやや提案の形になった、例の日ソ合弁漁業会社設立構想なるものがありますね。あれを政府レベルの正式提案と見るかどうか問題があるけれども、端的に聞きますが、これは今後の日ソの漁業関係全体の緩和、好転のためにも検討すべき課題だとあなたはお考えなのか、あるいは検討にも値しないモスクワの思いつきだというふうに見切っていらっしゃるのか、その辺どうですか。
○説明員(渡邉文雄君) 御指摘の合弁問題につきまして、協力してくれないかという話が二月に大臣同士でお話があったという話、私も聞いてはおります。その後、今回私が参りましたときも全く非公式の席で、あの話ができるといいんだけれどもなという、向こうの担当の人たちの話は、そういう非公式の席上では一、二度聞いたことがございます。 ただ、私自身まだ不勉強で十分お答えにならないかもしれませんが、何を、どういう中身の合弁会社をねらっているかというのが必ずしもはっきりいたさないわけでございます。それから、もし単に何かこちらで物を売るとかそういうようなことのためであれば、別な方法は幾らでもあるわけでございますし、日本の会社に委託して向こうの産物を売るということもできるわけでございますから、合弁会社にこだわる必要はないんではないかという気もいたします。 いずれにしましても、現在、現状におきましては法律の規定に基づきまして相互主義の立場をとっておるわけでございまして、ソ連が日本の資本の導入を認めない限りは私どもの方として認めるわけにはまいらないというのは、恐らく態度は変わらないと思っております。
○秦豊君 わかりました。 終わります。
○委員長(後藤正夫君) 以上で両件に対する質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようでありますから、これより直ちに採決に入ります。 まず、北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。 本件に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(後藤正夫君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 次に、日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。 本件に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(後藤正夫君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(後藤正夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時四十九分散会 —————・—————