予算委員会 第16号
- 発言数
- 322 件
- 登壇者
- 46 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1984/03/03
会議録
○倉成委員長 これより会議を開きます。 昭和五十九年度一般会計予算、昭和五十九年度特別会計予算、昭和五十九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤昌弘君。
○伊藤(昌)委員 義務教育の問題についてお尋ねをいたします。 恐れ入りますが、時間が少ないので簡明に御答弁をいただきたいと思います、もちろん質問も簡明にしたいと思いますが。 総理のおっしゃる戦後の総決算の最重要課題の一つが義務教育の改革であります。今六・三個の検討などと制度に責任を負わせてみたり、たとえやっとそれができ上がったとしても、十年、十五年先のこと、そんなにのんびりしてもよいような教育状態ではありません。早急に改善をしなければならない施策、一つは、教育の中立性を侵し、教育を荒廃をさせた政治集団日教組対策、二つ、社会科教科書の左翼偏向とうその記述、学習指導要領の改訂、教育基本法の検討、使命感と指導力ある教師をつくる教員養成制度の改正等であると私は思います。 さて、教科書の検定段階で、教科書の原稿でまともなものが至って少ないのが現状であります。ひどいのは、日本軍は戦場で強姦をしたとか自衛隊の違憲論とか、著者は社会科学系統の学者でほとんどが左翼にかぶれておるような方々ばかり、また出版社の社長はリーダーシップを持っていないのではないか、売らんかな主義ではないのか、そして編集部に任せっ放しなのではないか、かつ出版労連は、御承知のとおり左翼マスコミ文化共闘と関係。よく人はこういうことをおっしゃいます、共産党が執筆をして、社会党、日教組が配付をして、自民党が金を出す社会科教科書と。よくこれは社会でおっしゃる方が多いんです。検定官も一つの本を検定するのに、修正が多くて何カ月もかかってしまうとか。結局、左翼を排除しなければ今のような反米親ソ、反政府思想、権利のみ主張の教科書が続いて、これからも存在してしまうのではないかと思います。 まず文部大臣、これに私は間違いがないと思いますが、文部大臣もこの内容についてそのとおりならばそのとおりとお答えをいただきたいのであります。
○森国務大臣 伊藤先生の御意見、大変傾聴に値をいたします。私自身も昭和十二年生まれ、小学校二年生で終戦でございましたから、それから新しい教育体側に入るまでの教育の歴史の中でいろいろなことがございました。その歴史の中で積み上げて今日の、やはりいろいろな今先生が御指摘になったような弊害の面もあるかもしれませんけれども、新しい民主主義が定着した生き生きとした子供たちが育ったという、そういう新しい教育の中のいい面もある、そのように私は受けとめております。 しかしながら、確かにこの日本の敗戦の中の歴史の上に立っていろいろな角度から論争が行われ、また学者間のいろいろな意見もある、そういう中に先生の御指摘をいただいておるような面を確かに受けとめていかなければならぬ面もあると私は思いますが、文部省といたしましては、教科書の検定にいたしましても、また教師のあり方につきましても、正しく、教育が政治的な中立を侵されないように十分配慮して改善もしていきたい、また指導もしていきたい、このように考えております。
○伊藤(昌)委員 指導していきたいというお気持ちはわかりますが、検定の実態は私が今申し上げたとおりである。これは間違いない、私は検定関係を全部調べましたから。 さて、教科書問題に入ってまいりますので、各大臣、ひとつよくお聞きをいただきたいのであります。 一つの教科書、「私たち一人一人の人生は、たとえ親兄弟であっても、取ってかわることのできない一回映りのかけがえのない人生である。一回限りの人生を自分のために生きても決して非難される筋合いはないはずである。」これを読んでみて、家族の恩愛、一番大事な家族の恩愛などというものは全然見えません。自分だけよければよいという、人間をつくるための正しい内容ではないと私は思いまするが、この文言について文部大臣はどうお考えになられますか。
○森国務大臣 教育基本法の第一条の教育の目的の中には、「人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」と書いてございます。この教育基本法の第一条、教育の目的の中に沿って指導要価等をつくっているわけでございまして、その中には、生命を大事にする、あるいは歴史を大事にする、あるいは家庭を大事にし親を大事にする、兄弟は仲よくする、そうしたことは指導要領の中にきちんと定めてございます。
○伊藤(昌)委員 指導要領の中にきちんとそのような正しいことが定められておるにもかかわらず、この文言は、兄弟、家族といえども平等だから自分のことだけ考えていればよろしいと生徒に受け取られるような教科書は、これは改めなければなりません。これはだれが考えたって、私が今申し上げることに肯定を、納得をしてくださると思います。 時間がないから次に入りまするが、防衛庁長官、お聞きをいただきたい。 日本は戦争に巻き込まれるという宣伝が、これはモスクワ放送の目玉として毎日毎日放送されておるのであります。そこで、今度は教科書の内容ですが、「自衛隊や駐留アメリカ軍は、憲法九条の禁止する戦力に当たるものであって憲法に反するものであり、また核兵器の軍備競争が激しい国際情勢のもとで、我が国の防衛に役立つとは考えにくいばかりでなく、かえって危険でもあるという反対意見もある。」防衛庁長官、国の大本である国防問題についてこんな教え方をしてよろしいものかどうかということ。 もう一つ、「政府は自衛隊を「自衛のための必要最小限度の実力」であって、第九条で禁じられている戦力でないという見解をとってきた。これに対し革新勢力の間では、憲法九条に違反するだけでなく、むしろ国際緊張を高め、戦争に巻き込まれる危険性があり、軍備によらず平和中立の外交によることが安全と平和を保障する最良の方法であるという主張がある。」これは両論併記であります。両論併記というものは一見公平なように見えるけれども、両論併記を利用することによって、よろしいですか、教室で左翼の教師が生徒に反政府思想を植えつけておるのが実態であります。 国の大本である国防の問題について、こんな教え方を教科書でしてよろしいものかよろしくないものか、これは長い御答弁は要りませんから、簡明に、よいとか悪いとか、ひとつお答えをいただきたいのであります。
○栗原国務大臣 いわゆる自衛隊の問題につきまして、両論併記をされていることは承知をしております。私、この際、自分の意見を申し述べるというに際しまして、やはり教科書の問題は文部省の所管でございますので、直接これに触れることは避けさせていただきたいと思いますが、ただ、私の立場からいたしますると、自衛隊の使命、目的、また国を愛する、そういうことにつきましてはさらに強調願いたい、そういうふうに考えております。
○伊藤(昌)委員 国の大本たる安全保障、防衛問題について、何もわからない子供にこういう教え方をしておる国が一体どこにあるかということを考えていただきたいのであります。 十分なお答えができませんけれども、次に進みます。 外務大臣にお尋ねをいたしますが、こういう教科書があります。「在日米軍の配置や装備の変更、在日基地を根拠地とする基地使用については、日本政府と事前協議を行うことになっている。この事前協議が十分に生かされているのか、日本が極東の戦争に巻き込まれる危険はないのかが問題とされている。」外務大臣、これが子供に教える教科書の内容であります。 また、こういう文言もあります。「両陣営のいずれにも属さないアジア・アフリカ諸国が非同盟中立主義を掲げていることは、世界平和の維持に明るい希望を与えている。」 お尋ねいたしまするが、非同盟諸国会議に参加している国は、米ソ両陣営いずれにも属していない国々であると考えてよろしいのでありましょうか。外務大臣にお尋ねいたします。
○安倍国務大臣 元来、非同盟路線というのは、東にも西にも寄らないというスタンスを貫くというのが非同盟路線であります。
○伊藤(昌)委員 そのとおりです。にもかかわらず、非同盟諸国会議に参加をしておる国々は、北朝鮮、ベトナム、キューバ、リビア、アルジェリア、コンゴ、アンゴラ、モザンビーク、これらの国々の中で、ソビエトといろいろ条約を結んでおる国々がほとんどかもわかりません。実態はこうであるにもかかわらず、教科書の内容は、「両陣営のいずれにも属さないアジア・アフリカ諸国が非同盟中立主義を掲げていることは、世界平和の維持に明るい希望を与えている。」真っ赤なでたらめじゃありませんか。こういうでたらめなことを子供たちに教えているのであります。 そもそも憲法九十八条に、条約は遵守するとうたわれております。しかし、日米安保条約を遵守するとは教科書のどこにも書いておりません。逆に、安全保障条約は安保巻き込まれ論となっておるのであります。 ちなみに、ここでアメリカの教科書を見ますると、アメリカの教科書は国際条約について、「条約が結ばれると、政策決定者はその条項に従わなければならない。合衆国が条約締結国の一員となることは、その条項を守ることを宣誓することなのである。」このように教科書とは基本的なことをしっかり記する、これが小中高等学校の教科書であらねばなりません。アメリカと日本はまるで違う。これはわかっていただきとう存じます。これについてのお考えはいかがでしょう、外務大臣。
○安倍国務大臣 今日本の教科書の内容についてお話があったわけですが、私も詳細に承知しておりませんけれども、しかし、条約についてあるいは国際約束についてこれを守っていくというのは、国家国民としては神聖な義務であることは当然のことであります。遵守の義務があるわけであります。 また、政府の立場から申しますと、安保条約というものが日本の平和と安全を守り続けてきておるということについては確信をしております。決して安保条約によって戦争に巻き込まれるものではない。むしろ安保条約があるから戦争を回避して平和を維持することができておる、こういうふうに我々は確信を持っておるわけでございます。
○伊藤(昌)委員 それでは、外務大臣、各大臣、こういうような書き方は教科書としては正しくないということをひとつ御答弁を願いたいです。だれに遠慮をしてはっきりした御答弁ができないのですか。本音でひとつ答弁をしていただきたい。間違っているでしょう、こんな書き方は。
○安倍国務大臣 教科書の問題について、これは外務大臣という立場でどうだこうだと言うというようなことは差し控えさせていただきたいのですが、外務大臣として、今お話しの点について、私たちの、日本政府の外務大臣としての公式な立場といいますか、見解を明らかにしたわけであります。
○伊藤(昌)委員 次に、原子力反対の文言を読みます。 政府は五十五年三月、総理大臣決定として原子力の開発利用計画を進めている。しかし、高等学校の教科書では利用計画推進はなく、逆に足を引っ張る記述が検定に合格をしておるのであります。 清水書院高校教科書、「原子力発電の安全性は技術的に十分保証されたものとは言えない。経済的に必ずしも有利でないとする指摘もあり、廃棄物の処理は問題を抱えている。生活環境に対する不安や、平和利用の名目で世界の各国が核兵器を保有し得る危険性をも指摘されている。」 また別の本には、太陽エネルギーの方がはるかに有利である、こう書かれております。 原子力問題については、我々がどういうふうに取り組んでいくべきかということを生徒に考えさせようとしても、基礎的知識、基本的情報といった最も肝心なことを記していないのである。しかし、それでいて安全性に疑問があるとか、それから反対運動が起こっているとか、マイナス面の強調、ためにする反対、議論、こういう種類のものがたくさんあるのです。 そこで、科学技術庁長官、この内容についてよくわかっていただきたい。こういうおかしなことを書かれて、果たして原子力の国の政策を推進することができるか、御答弁を願いたい。
○岩動国務大臣 科学技術庁といたしましては、直接教科書の内容にああこうということは申し上げる立場ではございませんが、また、そのようなことについては政府全体として取り組んでいかなければならない問題もあろうかと思います。 ただ、一般論として申し上げますならば、教育の場で使用されます教科書の内容というものは、客観的な知見に基づいて正確にバランスのとれたものであることが望ましいと考えているのでございます。 したがいまして、ただいまおっしゃったように、特定のエネルギー源だけがいかにもその国家国民のために最重点的なものであるというような記述というものは、これはただいま申したように一般論として必ずしも正確なバランスのとれた記述だというふうには認識をいたしてはおりません。 このようなことにおきまして、先生が今おっしゃいましたように、日本のエネルギー政策としてはやはり石油が中心ではございますが、これから脱石油の政策を進めていかなければならない。特に石油の需給に関しましては中東問題等で非常に不安な状態にあるのが日本でございます。したがって、代替エネルギーということについては重点的に国民にもわかっていただかなければならない。そのようなことで、私どもは今日まで国民に申してまいりましたし、今後ともそのようなことで十分に対応していかなければならないと考えておるところでございます。
○伊藤(昌)委員 恐れ入りますが、答弁は簡明に、これがよいか悪いかというところだけおっしゃっていただければ結構でございます。将来の政策などは結構でございます。 さてそこで、北方領土について申し上げますが、ある中学生がこういうことを言いました。「日本はサンフランシスコ平和条約で千島を放棄し、ヤルタ協定では米英ソの間で千島、樺太はソ連に引き渡すとなっている。したがって、今さら北方領土は日本の領土と言っても筋が通らない。」これは中学生が言うのですよ。生徒がそう考える原因は何かというと、教科書に、北方領土が日本のものであることの根拠、返還を求めることの正当性を書いていないから、そう思うのは当然であります。 清水書院の日本歴史には、索引でも北方領土を探したけれどもない。索引でも北方領土は無視されているのです。しかし、同じ索引にはヤルタ協定、サンフランシスコ条約はあるのです。全くおかしいとお思いになりませんかね。北方領土がない。関係のヤルタ協定とサンフランシスコ条約の索引はある。すなわち、日本領土でない方に思い込ませようという意図がありありと見えるのであります。 ヤルタ協定の本文を見ると、「一九四五年二月米英ソはヤルタで会談し、戦後のドイツの処分、ソ連の対日参戦を協議した。このとき、ソ連はドイツ降伏後二、三カ月後に対日参戦し、そのかわり、南樺太と千島をソ連に渡す密約が交わされた。」こう書いてあるのです。しかし、考えてください。これは当事者抜きの欠席裁判であり、アメリカ政府の一九五一年の公式見解での「この領土移転のいかなる法的効果を持つものでない」とでも書いてあれば、生徒に正しく理解させられるけれども、そのようなことは書いておりません。 また、サンフランシスコ条約の場合は、「一九五一年九月に日本政府は朝鮮の独立を承認し、台湾、千島列島、南樺太などに対するすべての権利を放棄し」云々と記述されておりますが、この千島列島の中には我が北方四島は含まれていないという説明がないのです。わかってくださいませね。 最後にこう書いてあるのです、「しかし、日本国有の領土、歯舞、色丹、国後、択捉についても、ソ連が引き続いて占拠した。日本はこの島々の返還を強く要求している」との記述は最後にはあるのです。しかし、このような書き方では生徒たちは次のように理解するのは当たり前であります。北方領土は千島列島の一部なのだから、たとえそれが我が国固有の領土だとしても、日本が要求するのは筋が通らないのではないかと中学生が考えたくなるのは無理からぬことだと思うのであります。 総理府総務長官、こんなねじ曲げた記述はよくないと私は考えますが、もう一つ、昭和五十八年、昨年の六月、法眼晋作、村松剛、気賀健三・慶応大学、加藤栄一・筑波大学、宇野精一・東大、各氏の見識のある方々が次の要望書を総務長官、そして文部大臣に直接手渡しました。「教科書の北方領土の記述は、占拠の不当性と返還要求の正当性を生徒に理解させるには甚だ不十分である。のみならず、ソ連側の主張を代弁するかのごとき記述傾向が多くの教科書に見られることは、国民の悲願である北方領土返還の実現にとってまことにゆゆしき問題である。よって、別添資料参照の上、善処されるよう強く要望するものである。」 ところが、この回答がまだなされていないと私は聞いておるのでありまするが、総理府総務長官、そして文部大臣、これについての回答はなされたかどうか。このような見識のある学者が見て、この問題についてはまことに不見識であるということを述べられて、この修正方を政府の方に要望されたのであります。このように、国民の一部が真剣に取り上げておるにもかかわらず回答していないとするならば、これは全く政府の怠慢、やる気があるのかないのかと国民に思われてもいたし方ないと思うのであります。総務長官、いかがお考えでありましょうか。その結果をお尋ねをいたします。
○中西国務大臣 北方領土の記述についての御所見また要望書、気賀先生初め連名の要望書についてはよく伺っておりますし、書いてあることについては私も同感の点が大変多うございます。 回答したかどうかというお話でございますが、要望書ということで受け取りまして、文部省当局と相談をしておる。そして、それを逐次よい方向へ持っていくという努力はいたしておりますが、その要望書についての直接の回答はいたしておりません。
○伊藤(昌)委員 本当に政府のおやりになることは精神が入っていないと思うのです。 文部大臣にお尋ねいたしますが、「政権を担当している政党は、四分の一世紀も我が国は交代したことがありません。」これは自民党のことを言っておるわけですな。「そのため、政権を担うことへの責任感が薄れ、国会も国民不在の政争の場になっている。このようなことは克服されなければなりません。」こう書いてあるのは大阪書籍の中学の教科書であります。教育基本法八条は、特定の政党を支持したり反対する教育をしてはならないとなっておるにもかかわらず、こんなことが検定済みの教科書にありますから、あきれて物が言えません。 また、厚生大臣、あなた様の所管の内容について申し上げますが、清水書院中学社会科、これは来年から使用する教科書ですよ。年金問題、社会保障費給付額、日本は世界で最低なんです。日本は二百ドル、イギリスは倍の四百十四ドル、イタリアは五百三十一ドル、アメリカは七百二十七ドル、フランスは九百十ドル、西ドイツ千二百二ドル、スウェーデン千九百七十四ドル。日本は最低、これも教科書を見ると。この資料は一九七三年の資料。文部省の検定課は一体何をやっているのです、こういうものを。大蔵省「歳出百科」には、日本の老齢年金は世界でも最高となっておるにもかかわらず、一九七三年の資料を使って、そうして来年、これから使う教科書にこういうものを記述しておる。 これは答弁いただいてもしょうがない。これは逃げの答弁だから、時間がむだだから……(「一言答弁」と呼ぶ者あり)そうですか、じゃ答弁してください。
○渡部国務大臣 今御指摘のお話を聞いて驚いていますけれども、七三年は確かに二百ドルでありますけれども、このときから我が国は社会福祉元年と言われて、与野党を通じて社会福祉を進めるように努力してまいりまして、八〇年ではILOの統計でも千ドルを超えて、今や西欧の水準に追いつこうとしておる状態であります。そういう点からいえば、正確な記載ならば、むしろ、七三年に二百ドルであった社会保障が今や国民的努力で千ドルを超して、西欧に追いつき追い越そうとする我が国の社会福祉の進み方を正確に書いていただくことが望ましいと思っております。
○伊藤(昌)委員 私がなぜ各大臣をこういうことでお呼びしたかというと、やはり恐らく偉い先生方はこういう中身を御存じないと思うのです。これは教育の基本でございますよ。義務教育は国家の基本ですもの。ひとつ閣僚の間でよく検討をなされて、こういうでたらめなうその教科書は早くなくして、日本の国民らしい教科書をつくるように、早急にひとつ検討していただきたいのであります。 恐れ入りますが、もう少し聞いてくださいね。 学習指導要領、これが一番悪い。学習指導要領とは、小学校、中学校、高等学校の教育内容の枠組みを一つの基準として文部大臣がこれを定める。よろしいですか。すなわち、法的拘束力を有する学習指導要領の基準によらない教育課程というものの教育は違法であります。よって、これは法規たる性格を持っている。教員はこれによらなければならない。 そこで、日教組の運動方針を見ると、学習指導要領を攻撃目標にしているのであります。槇枝元委員長は、現職中に「教科書白書」八一年版で「学習指導要領の拘束性を撤廃し、教師に自主性を持たせるよう要求し、その運動を続けてきました」と述べておられる。よろしいですか。学習指導要領の中で日教組にとって都合の悪い部分を削除する運動が進められてきたのであります。 昭和四十三年、灘尾文部大臣のときに定められた小学校学習指導要領が、昭和五十二年に改訂されました。新旧の比較をしますから、ひとつよく覚えておいていただきたい。 旧には、古い要領には、「家庭、社会、国家に対する愛情を育てる」という大事なことが書かれておる。また、「我が国の歴史、伝統に対する理解と愛惜を深め、正しい国民的自覚を持って国家や社会の発展に尽くそうとする態度を育てる。」これが社会科の大目標ですよ。この二つがそっくり削除されている。 また、「人々の生命財産を守る大切な警察官、消防署の人たちなどの仕事に理解を深め」という、すなわち生命の危険を冒して活動することを子供に理解させようとする大事なことをそっくり削除してしまっている。日教組は警察を弾圧機関の一つとして見ているからと考えても、考えられぬことではありません。 また、「天皇に対する敬愛の念を深める」、この文言がそっくり削除されております。 また、中学校の指導要領の新旧比較を見ますると、「健全な家族生活が社会の発展を支えるものである」、「健康で文化的家族生活を営むには家族の理解と協力が大切であることを理解させるとともに」、すなわち家族の恩愛というものが大切ですよということを書いてあったにもかかわらず、新学習指導要領にはこれが削除されてしまって、何が新規に書かれておるかというと、「個人と社会」という権利の主張のような項が設けられ、「家族制度が、個人の尊厳と両性の本質的平等に基づいていることの意味」云々と書いてある。すなわち、家族の恩愛の理解をなくし、親子兄弟といえども、恩愛よりも個人の権利を重要視する観念にしてしまおうという目的ととられてもいたし方ないのであります。これじゃ、何にもわからない子供にこんなことを教えてしまったら、財産争いが平気で出てきますよ。 また、「国民は不断の努力により自由及び権利を保持しなければならない。また、これを乱用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負っていることを理解させるとともに、人権尊重の実を上げるためには人間愛と寛容の精神が必要であることを考えさせ、人権に対する正しい意識を育てる」、この大事なところがそっくり削除されている。すなわち、権利の乱用禁止や公共の福祉、人間愛、寛容の精神などの文言が削除されている。自分のことしか考えないような教育をしてしまおうとしておるのであります。 もう一つ、「民主政治が独裁政治に比べてすぐれていることを理解させるとともに、」という、自由主義体制を守る根拠を削除してしまっておるのです。ひどいでしょう。歴代文部大臣が大切にしてきた社会科教育の大きな柱が、日教組のねらい撃ちに遭ってみんな削除されてしまっている。 森文部大臣、こういう学習指導要領の内容を御存じかどうかということが一つ。そして、こんな国を危うくするような策謀を文部省は取り上げたのかということが一つ。当時、森文部大臣は自由民主党の文教部会におられたと思うけれども、このような重大な学習指導要領の改訂に一体自民党の方々は同意したのかどうか。私は、自民党の数名の代議士に聞いてみたところが、そんなことは知らなかったと言っておる。これはどういうことでありましょうか。ひとつ簡明にお答えをいただきたいのであります。
○森国務大臣 お答えをいたしますが、伊藤先生、大変すばらしい教育に関する御見識をたくさんお述べになりまして、答える方だけ簡単にやるというわけにもなかなかいかないものですから、若干お許しをいただきたい。 小学校学習指導要領の新旧対照表、私、今持っております。もちろん今初めて見たのではなくて、私が党におりましたときに、やはりこうした問題も自民党の文教部会の中には議論として出まして、そのときも我が党の同志の皆さんとも、こうした対照をよく見ていました。したがって承知をいたしておりますと、第一問に対してはそうお答を申し上げておきます。 それから第二につきましては、なぜそういうことをやったのかということでありますが、これは伊藤先生も東京都議会で大変御活躍をなさっておられましたころからも、大変教育に御関心を寄せておられました。やはり当時の日本の教育の現状というのは、できるだけ詰め込み主義を回避をして、ゆとりのある教科内容にしなければならぬ、もう少し人間の幅を広げる、学問だけではなく、そうしたゆとりある子供たちをつくるということに学校生活を少し変える。もうちょっとわかりやすく言えば、教科書を薄くしようじゃないか、授業の時間割りも少しは少なくして、できるだけ子供たちがお互いに先生たちと議論をし合ったりホームルームをやったり、そういう時間をもう少しつくるようにしたらどうだろうか、こういうのがやはり当時の親たちの声でもあったし、社会の声であったと思います。そういう中から、ゆとりのある充実した学校生活の実現ということを大きな一つの題目としてこの指導要領の改訂をいたした。 しかし、そのときに私は個人的に、今考えますと、教科書は薄くしてもいいが学習指導要領まで大まかにしてよかったのかなという、私は今考えてみてそういう反省に立ちます。やはり教科書を教えるのではなくて、教科書で教えるものだと私は考えておりますから、教科書をもとにその教師がどのような判断をして、どのような考え方で子供たちに的確に、客観的な事実を客観的に述べていく、教えていく、そのことがとても大事だと思います。ですから、義務にいたしましても責任を伴ってくることであるのだ、そういうことを教えるか教えないか、これは先生の御判断にもよるわけでありますが、そういうことを考えますと、新しい世代の教師がだんだんふえていくということも考えてみますと、教科書は薄く、かばんはできるだけ小さくして、ゆとりのある教育をするということは大事だったけれども、逆に言えば、先生に対する指導の要領はもう少しきめ細やかであった方がよかったのではないかなということを、当時私が党におりましたときはそんな反省も出てまいりました。 しかし、結果的に指導要領を削除して、大事なところを削除したというのは、具体的にはそのように思いますが、何もこれが日教組の策謀にかかったとか文部省の陰謀だとか、そんなことではないわけでありまして、いわゆる大綱化したということで、細目はできるだけ外して、全体的な総括の目標は大綱化していった、大まかにしたということでありまして、これについての反省は、私個人としては、その当時党におりまして、今申し上げたようなことを感じたわけでございます。 それから、三番目の先生の御質問、教育は政党政派が介入すべきものでないということは、どの皆さんも御存じのとおりでございまして、自由民主党が後からこのことがわかったということは、いかに自由民主党が文部省の教育の指導に対して介入してないかという、何よりの証拠だと私は考えます。
○伊藤(昌)委員 その辺の見解は私とは全然違うと思うのですが、政権政党の自由民主党がこの大事な学習指導要領の変更について——自由民主党でなくてもいいですよ。政権政党が、これだけ変えたことについて検討しなかったということはいけないことだと私は考えております。 学習指導要領というものは教育課程審議会の答申に沿って変えられるものなんです。そこで、教育課程審議会の答申を検討してみますると、「国家社会の一員としての自覚を持ち、その発展に寄与する態度などの基礎を培うことに留意して、内容を精選する」と書いてあるのです。すなわち、国家社会のためになる子供をつくろうということが大もとになっている。こういう答申が出ているにもかかわらず、大事なところを削除してしまって、そうして漠然とした学習指導要領に変えたということは、これは至って間違ったことであると、だれが考えてもそうお思いになる。社会科教育の大本ですよ。大目標が、今私が申し上げたところ、これがそっくり削除されてしまった。学習指導要領というものは文部大臣が決定されるものですから、文部大臣のお考え方だけで変えられるものです、法律じゃないのですから。早急にひとつこれを御検討していただかなければならないと思うのであります。 さてそこで、我が党の塚本代議士が偏向教科書を糾弾し始めたころから、日教組や共産主義者の方々は、「教科書は狙われている」とか「教科書は危ない」という本を出し始めたのです。我々が出すなら話はわかるけれども、左翼の人たちが教科書が危ないということはどういうことですか。今の教科書というものは左翼向きの教科書になっているから、塚本代議士や我々がこれをただすということについて、ただされたのでは危ないと、こういうことじゃありませんか。こういう教科書になっているという実態もわかっていただきたいのであります。 今度は教科書検定規則ですが、教科書検定規則の旧と新の比較をいたしますると、検定不合格通知を受けた者は、今度はそれに対する反論権というものを文部省は認めてしまっておるのです。不合格の通知を出します。著者は今度反論してまいります。その反論権がうわっと出てまいったら、検定官はそれに対してまた反論ができやせぬじゃないですか。ですから、ほとんどいいかげんなものが、間違ったものが受け入れられてしまって、そして今のような教科書になってしまうという実態を、閣僚の方々にはぜひわかっていただきたいのであります。このように学習指導要領並びに教科書検定規則というものが間違った方向に変えられてしまったということを、ひとつわかっていただきたい。 検定官の方々は、よくこういうことをおっしゃる。検定官としては、著者にこのように書きかえてくださいと言うことはできないと常におっしゃる。それはそのとおりでしょう。しかし、大切なことを学習指導要領から削除したから言えないのであって、法的拘束力のある学習指導要領が完全ならば、それに準じて著者の誤りを直させることができるじゃありませんか。わかりませんか、私の申し上げることは。よって、学習指導要領を大臣の権限で直ちに直す、これが今当面の重要な問題であると考えますが、この考え方について文部大臣のお考えを述べていただきたいのであります。
○森国務大臣 教科書の検定制度については、もう伊藤さんの方がよく御存じでいらっしゃいます。事実が間違っておりましたら、これは間違っておるということは言えるわけでありますが、見解とか意見とか客観的事実というのは、これはもう間違いだという言い方はできないわけであります。 先ほどの社会福祉などの資料のとり方については、確かに私も大変遺憾だと思っておりますが、その資料の取り上げ方については、間違った資料を持ってきているわけではないという理屈にもなるわけですね。ですから、そういう意味で今の検定制度については、確かに検定官が大変な苦労をしてやりとりをしておるということも、私どもは、党において教科書の問題を勉強いたしておりましたころもよく承知をいたしております。 今御指摘の点につきましては、確かにそうしたお考え方もあるわけでありますが、今すぐその方向に変えるというようなことはできませんけれども、御意見としては十分文部省としては傾聴に値するお考えであるというふうに受けとめていきたい。もちろん、文部省としてこうするということではなくて、また、しかるべきそうした審議会の皆様方にもそのことをゆだねていくということが大事でございますので、御意見として伺っておきたい、こう思っております。
○伊藤(昌)委員 さてそこで、自由民主党政府は義務教育に無関心過ぎたのではないかと私は思っております。ところが、逆に異常に介入をしたのは、これは社会党や共産党を支援をしておる日教組であると私は思います。 そこで、これは文部省が国会に提出した資料、「日教組が社会主義革命に参加している団体と自ら規定していると受けとられる資料」、これを見ればわかるとおり、これはだれが見ても教育集団とは思えませんね。これは自由民主党政府がお出しになった資料。こういう資料を自民党政府は出されておるのです。「日教組は、運動方針やスローガンにおいて、具体的な行動方針として、一貫して、実力行使、教育委員会及び校長の権限の排除、教育課程の自主編成、政治闘争を決定し、これを実施してきている。」それで細かく書いてあるのです。これだけの資料を出されておるのですからね。この日教組にどうして政府はそう遠慮なさるのかなと私は思います。 そこで、経済というものは励めば何とかなりますが、しかし、教育は教える側が間違っていますと、今のように取り返しのつかないことになってしまいます。現実教える側は、この資料にもありまするように、左翼偏向の思想を持った、社会主義革命に参加している団体とみずから規定しているようないわゆる日教組と、それと癒着をしている都道府県の相当な部分の教育委員会、教育の荒廃を知らぬ顔しておった、悪いが、無責任な文部省。そして、その文部行政というものを監督するのはだれでしょうか。文部行政を監督するのは国権の最高機関であるところの我々国会の代議士が文部行政を監督するのじゃありませんか。我々が監督しないでおいて、一体だれが文部行政を監督するのでありましょうか。 そこでまず、日教組は革命団体であり、資本主義に反対、資本主義政府に反対、その傘下の教育委員会に反対、それが任命する校長先生に反対、国旗、国歌に反対、家族制度に反対、道徳に反対、ひねくれた反抗と抵抗の教育に熱意を持ち、働くことは損がいく、しかし月給はうんとよこせ、嫌ならストライキ、校長先生をいじめる、ストライキをしても賃金カットをごまかす。——私は、都会議員のころ、あのときに、たしか昭和四十九年の相当大きなストのときに賃金カットをごまかしたから、東京都の職員だけでも四千万円、たしか三千数百万円の賃金カットのごまかしを裁判にもかけないで取り戻したことがある。これは、事実ちゃんと私がやったことであります。——それから、階級闘争むき出しの宣伝ビラをまく、職員室を拠点とする選挙運動、教科書は否認、勤務時間中の組合活動、主任手当を日教組がまた取ってしまう。 また、ここにもありまするように、日教組の「救援規定」というものを見ますると、「任意出頭、証人喚問、検束、逮捕、拘禁収監」「公判、刑の執行、服役」「分限又は懲戒にもとづく免職」、こういうもの、逮捕された者には何万円を上げる、家宅捜索を受けた場合にはどれだけ上げる、それから裁判費用はその実費を全額負担するとか、いわゆる法律違反をやったところの被疑者とか刑事犯に対して、教員の団体であるところの日教組がこれだけの救援をしておる。 これが果たして教師の団体でありましょうか。教師というものは人格高潔なものでなければいかぬ、間違ったことをした人を正していく、組合から除名するというくらいの良識を持たなければならぬにもかかわらず、これがいわゆる実態であります。 皆様、私は、今の小中高等学校が日教組に管理されてしまった、この重大な確認事項というものについて、これは国民に明らかにしなければならぬと思うのです。 一つは、研修というものは自主的、自発的に行い、主催者によって差別されるものではない。研修というものは自発的に行うことは当たり前であるにもかかわらず、何でこんなことを組合と教育委員会の間で確認をしなければならぬのですか。文部省の研修でなくても、日教組の研修でも何でもよろしいですよということを確認をしてしまっておるわけであります。 また、職員会議というものは全職員の意思を反映するように民主的に行う。職員会議というものは校長の諮問機関であります。決議機関にしてしまっている。 それから、校務分掌は職員会議その他で民主的に行う。校務分掌というものは校長先生の権限であるにもかかわらず、これを職員会議において多数決で決めてしまっておる。 勤務条件にかかわる問題はすべて組合との交渉事項とする。勤務条件というものは、法律では組合交渉対象外であります。にもかかわらず、勤務条件にかかわる問題は組合との交渉事項とする。 それから、実働時間は一週間四十一時間十五分に短縮をする。実働時間というものは四十八時間、しかし、こうやって短縮してしまう。 こういうような至って間違った確認が教育委員会とその都道府県の教職員組合の間で確認をされておって、そして校長先生の権限をなくしてしまって、今のように学校現場が乱れに乱れてしまっておるというのが、これが実態であります。私、もう時間がありませんから御答弁は結構でありまするけれども、こういうような間違った、間違った、間違った確認事項というものは早速撤廃をさせなければだめです。 そこで、都道府県の教育委員会を監督するところの文部省が、こういう誤った確認事項を撤廃させるということを直ちにやっていただきたいことをお願いしたいので、文部大臣の御答弁をお願いいたします。
○森国務大臣 大変広範にわたる御質問でございましたが、日教組は、学校現場の混乱、教育の荒廃等につきまして、最近大変な取り組み方を示しております。これは、私は評価をしていきたいと考えております。ただし、今御指摘をいただきましたような運動方針、私もここにいつも持って歩いておりますが、こうした政治的闘争をやるということについては、私は断固としてこれは排さなければならぬと思っております。やはり子供たちは先生を信頼しておるわけですから、先生が本当に子供たちに信頼されるような、そしてまた国民の期待にこたえるような教師像をぜひつくり上げていただきたい、私は文部大臣としてそのことを一番願っておるわけです。しかし、日教組の動き全体につきましては、先生方全体を同じようなものだと見てはいけないと私は思っております。先生方は先生方のやはり悩みがあるのではないだろうか、そういう方向に指導していこうという運動にやはり問題があるのではないか、そういうふうに考えております。 それから、地方自治体と日教組との違法な取り決め、いろいろございますが、職員団体としての団交権や団結権というのは、私は教職員団体として認めていかなければならない。学校運営や教育内容や管理、そうしたものに対しての取り決め、交渉することは絶対にいけない。しかし、教職員組合として勤務条件等については話し合ってもいいということにはなっておるわけでありますが、今後とも政治団体あるいは学校の管理運営、そうしたこと、あるいはあたかも職員会議がすべて万能であるというような考え方、そうしたことに対しての交渉、話し合い、これはあってはならぬと私ども思っておりますし、そういうふうに教育委員会等にも指導をしていきたい、十分に注意をしていきたいと考えております。
○伊藤(昌)委員 国鉄の中身、内容が徐々に改まりつつある原因を考えてみますると、最初に、我が党の塚本三郎代議士が、予算委員会において三年、四年にわたって国鉄の中の誤りをただし続けました。そして、土光臨調によって国鉄の中の誤りというものが国民に明らかになって、初めて国鉄内部が反省をしたのであります。これは、もとは国民の世論によって悪いものが改まっていくのです。民主主義政治というものは、国民一人一人の高い見識によってのみ日本の政治は改まるのです。したがって、教育の内容について日教組はこういう誤ったことをやっておるのです、こういう点が悪いのですということを、自由民主党、また我々民社党も一緒になって、誤りを正す目的を持って、洗いざらい内容を明らかにして、それを国民に示す、その我々が示した内容が正しいか正しくないかということは国民が判断をする。これが民主主義の本当の姿であります。 何も遠慮することはありません。正しいものは正しいのです。間違っておるものは間違っておるということの決意をしていただいて、そして——戦前の政治家は政治に命をかけた。戦後の政治家といったら、私は石橋湛山先生の言葉をよく思い出す。政治家というものは高い理想を掲げて国民とともに進めば、国民は必ず理解をする。ひとつ高い理想を掲げてこの誤った日本の教育の荒廃にメスを入れ、義務教育正常化のために両党一緒になって努力をしなければならないと私は考え、きょうは立たせていただいた次第であります。 以上をもって質問を終わります。ありがとうございます。
○倉成委員長 この際、三浦隆君より関連質疑の申し出があります。伊藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。三浦隆君。
○三浦(隆)委員 官房長官にお尋ねをいたします。お時間がお忙しくて十一時ごろまでというふうにお伺いしておりますので、一括して質問させていただきます。 大略二点でございます。一つは外国人登録法の取り扱いの問題と、もう一つは首相のいわゆる臨調構想に関連しての問題でございます。 初めの問題、実は指紋問題は昨日法務委員会で取り上げさせていただきまして、偶然ではございますが、けさの新聞にかなり大きくこの指紋の問題についての記事が載りました。いわゆる指紋押捺を拒否した人に対しまして告発が行われて、そして初めて検察官の罰金の論告求刑がなされたということでございます。これまで法務省としましては、確認申請期間の延長なり登録証明書の携帯義務等の義務年齢の引き上げ等について、かなりの御努力をされているところではございますけれども、しかし、現行の法をまさに法とおりに解釈、適用するとするならば、こうした問題は後から後から今後出てくることだろうと思うのでございます。 一方で、こうした問題に関連して、特にこの問題は在日の韓国の人々を中心として起こる問題でございますし、日韓関係というふうなものがこれからより密接に、親密につながっていくことを考えた場合に、もう少し大所高所からの対応ができないものだろうかと考えるわけです。先日の首相の施政方針演説あるいは外務大臣の外交演説も、そうした国際化に向けての大変意欲的な御発言であったと受けとめてございます。そういう意味におきまして、特に来年度は日韓国交正常化二十周年記念に当たっております。同時に、この外登法によります登録証明書の大量の切りかえの時期にも当たっているわけでございます。そうしてこの日韓関係は、さきの教科書問題にも見られますように、大変に微妙な関係を含んでいるとも思うわけでございます。 そういうことで、外交上、教育上の問題をも考慮に入れながら、こうした混乱を予想されますこの外登法の取り扱いをめぐりまして、これから政府、与野党間で、こうした法のあり方あるいは法の解釈、適用を踏まえた協議の場を持つことが望ましいのではないかというふうに思うわけです。これが第一点でございます。 第二点は、首相のいわゆる臨調構想に絡んででございます。 一つは、「教育改革七つの構想」と言われますものは、主として文部省を中心とする学校教育にかかわるものだろうと思います。といいますのは、六・三・三制の改革の問題あるいは共通一次の問題というふうなこと、そしてこれに関連して、例えば学校の訪問も、小学校の大変できのよい学校の訪問、あるいは予備校も意欲的に勉強されようとする生徒たち。これに対しまして、現実にこの学校教育から回り道をしました、法務省所管のいわゆる矯正教育ということの対象となっている子供たちも現実に多いです。しかも、こうした矯正教育は余り目立たない、日の当たらない教育でもございます。しかし、これは学校教育を補完した大変に大切な役割を担っていると思うのです。そこで、首相のいわゆる教育臨調構想の中に、ぜひともこの矯正教育をテーマの一つとして取り上げていただきたい、そうしたように関係各省大臣とも取り計らっていただきたいということが一つの問題点です。 もう一つには、仙台の小学校なりあるいは東京の予備校だけではなくて、少年院なり少年刑務所といったような矯正施設というものに対しても、首相もあるいは官房長官もぜひとも視察していただきたいと思うのですが、どんなものでしょうか。全国の矯正施設に働く職員あるいは過去を清算して立ち直ろうとする生徒たちにとって大変な励みになると思うので、ぜひお願いしたいと思っております。 以上についてのお答えをいただきたいと思います。
○藤波国務大臣 お答えをいたします。 最初、指紋の押捺問題でございますが、先生御指摘のように、日韓問題が非常に微妙な関係にある、大事にしていかなきゃいかぬということでございますとか、あるいはこの指紋の押捺問題につきまして、よほど配慮していかないといかぬ問題がいろいろ内包しているということにつきましても、御指摘のとおりだと存じます。ただ、これをどのように検討するかという問題につきましては、一年余り前に外国人登録法の改正をいたしました際に、随分慎重に時間もかけてこの問題についての検討を進めて、その結果一つの成案を得まして改正に至ったという経緯がございます。それだけに、この席で検討を申し上げるというふうにお答えをいたしますことは、検討を随分加えましたのがまだ一年前でありますだけに、ここでそのままお答えをすることがどうかと思うのでございますが、先生御指摘のように、事柄の重要性にかんがみまして、各方面の御意見を十分伺ってよく考えていくようにいたしたい、こう思いますので、その点は今後とも御指導を賜りますようにお願いを申し上げたいと思うのでございます。 第二点の矯正教育の問題につきましても、今日少年院や少年刑務所が非常に大事な役割を果たしておりますことは、私ども十分理解をいたしておるところでございます。 いわゆる教育臨調につきましては、今後どういうふうな形で進めていくか、今文部大臣を中心として御検討をいただいておるところでございまして、その中でだんだんとこの輪郭も明らかになっていくでありましょうし、また臨調そのものの中での御論議というのは、あくまでもそういった場が設けられて人選が進められて、そしていろいろな角度から御論議をいただいていくということになろうかと思うのでございます。 しかし、先生御指摘のように、学校の教育だけではありませんでして、それが今度のいわゆる教育臨調と称するものを総理大臣が御諮問を申し上げて、そして事務局もできれば総理府に置くような形で、政府全体が取り組むというふうな形で持っていくことができれば、従来の中教審や文化と教育懇の御論議を踏まえて、さらに広い角度から、かつ深く取り組んでいくことができるのではないか、そんなふうに考えておる次第でございまして、その中で、所管が法務省でございますけれども、矯正教育の持っておる重要な役割を十分理解いたしまして、この新しい出発をいたしますいわゆる教育臨調の御論議の中で、こういった点についても十分な御理解を得た御論議が深められていけば非常に意味のあることではないだろうか、そんなふうに考えておる次第でございます。 これはもういろいろな省庁のいろいろなところにわたりまして、例えば農村や漁村の青少年の問題は農林水産省にも関係があるし、あるいは保育所などでいけば厚生省にも関係があるし、さらに勤労青少年ということからいけば労働省も随分関係のあることではございます。教育というのは今日では随分広がりを持っておるわけでございますので、中心になっていただきます文部省としても十分その辺も考えて取り組んでいただけるのではないか、そんなふうに期待を申し上げておるところでございます。 また、具体的に総理が一度視察をしてはどうかということにつきまして、内閣総理大臣の責にあります者がいろいろな形でいろいろなところに出向きましていろいろな現場を見たり勉強をしたりすることは非常に大事だ、総理もそんなふうに意欲を持っておられまして、できる限りいろいろなところへ行って勉強をしたい、こう言っておられるところでございます。一連の教育の現場に出向いていくことにつきましては、文部大臣の御助言をいただきながら進めていくようにしたいと思っておりますが、それらの日程の中で、またいろいろな各方面の御論議の深まりも見ながら、先生御指摘の矯正教育の場などにも出向いて勉強させていただくことができれば大変有意義なことではないか、そんなふうに考えますので、心に置きまして今後に対処させていただきたい、このように考える次第でございます。
○三浦(隆)委員 初めの外国人登録法の問題についてでございますが、ぜひとも慎重な御配慮をお願いしたいと思います。 一般に、法は守らなければならないのは、外国人であれ日本人であれ同じことでございますが、例えば未成年者がたばこを吸ってはいけない、酒を飲んではいけないという現実の法律があって、どこの大学へ行ったって、もしつかまえるつもりならば幾らでもつかまえられる状況にございます。鉄道営業法の規則によれば、乗車券を買った者は列車の座席がすいていなければ乗ってはいけないとも書いてありますが、現実には幾らでも破られている事実があります。やはり臨機応変だろうと思っております。そのとき外国人登録法に限ってだけ厳しくやられるというふうになると、外国人と言われている人にとっては何か差別的な取り扱いを受けるのではないかというふうな思いを持たれるのではなかろうかというふうに思います。 特に現実に、例えばこれは東京新聞の記事でありますが、川崎市の市民局長が押捺拒否者に対しては告発する考えはない、そういうふうなことを民団その他の関係者に回答したと伝えられてもおります。これは私、確認しておりませんが、国家機関委任事務を預かろうとするところの人がもし仮にそういう回答をしたとすれば、これは地方自治法上の問題も絡んで大変に大きなことですし、事件の発展によりましては憲法上の、まさに地方自治との関連も絡んだ大変大きな問題にもなろうかと思いますので、外登法というものが法務サイドだけではなくて、もっと大きな角度から、本当にこれからの国際化に見合うような方法をもって御検討をお願いしたい。 特に今居住関係、身分関係を明確ならしめるというのであるならば、その一点であるなら、協定永住者はもはや明らかではないかと思います。その点、神奈川県の方からの要望では、指紋は一度もとる必要がないとか、あるいは証明書の常時携帯は一切必要でないという、廃止を踏まえた改善をしてほしいという要望が出ております。これに対しまして、民社党の方としては、一度は指紋はとってください、そして今指紋の自動識別化の装置が大変進んでいるそうでございますから、一度でいいじゃないか。もう一つには、協定永住者に限っては常時携帯は必要でないじゃないかという見解も出しておりますので、それらも含んでの御検討をお願いしたいというふうに思っております。 それから、今の矯正教育につきましては、実は少年院なり少年刑務所で勉強しましても、小学校なり中学卒業と同じような資格を現実に取ることができるわけであります。とするならば、その教える先生というのはいわゆる学校教育の先生だけではなくて、教員の問題というのはこうした矯正施設の教員にも当てはまることでございますので、ぜひともそういう場にも日の光を当てていただきたいということを官房長官にお願いして、官房長官への質問は終わらせていただきます。どうもありがとうございました。 次に、文部大臣にちょっとお尋ねをしたいと思います。 文部大臣就任以来大変意欲的な取り組み方をされております。心から敬意を表したいと思います。 初めに、首相が二月四日に仙台の市立太白小学校を、二月二十四日に駿台予備校をそれぞれ訪問したと聞いております。文部大臣も駿台予備校で生徒や先生方と話し合われ、また授業参観もされたとのことでございますが、学校を訪問されて得られたことはどのようなことであったのでしょうか、お尋ねをいたしたいと思います。
○森国務大臣 三浦さんの御質問にお答えをいたします。 いずれも、教育を新しく見直していこう、そういう中で総理大臣も私も、できるだけ教育の現場を目の当たりに見ておきたい、そしてまた、いろいろな角度からいろいろな皆さんの御意見もちょうだいをしておきたい、そして、これからの教育の改革に参考とさせていただきたい、こういう気持ちで二つの現場を見させていただいたわけでございますが、いずれも大変貴重な体験をさせていただいた、そのように思っております。 特に、仙台の太白小学校に参りまして、私は三つ感想を持ちました。 一つは、学校の建物がとてもきれいで立派で明るく、私どもは小学校を、戦後昭和二十三年、四年、五年のころ六年を終えたわけでありますが、そのころの学校を見てみますと、本当に雲泥の差だな、明るくてちゃんと空気調節もできて、窓も広くなっていい建物だとは思いましたけれども、しかし、この子供たちが本当に風雪に耐えられるような頑健な精神を持つような教育がちゃんと施されているだろうかなということを感想として持ちました。 二番目に、先生と生徒との関係が大変明るくて、私は、先生と生徒というよりも、どちらかというとお姉さんと妹、弟のようなそんな感じで、とても明るい教育現場だと思いました。しかし、それだけに自分たちの子供のころとまた置きかえてみると、先生の威厳とか尊厳というのはどうだったのだろうかな、そんなことがどのように教えられていくのかな、子供たちがどのように受けとめていくのだろうかな、そんなふうに私は感じました。 三番目は、マイコンが入っておりましたことにびっくりしまして、何のちゅうちょなく子供たちがマイコンに手をつけておりましたけれども、確かにこれも新しい時代を生き抜いていくためには必要なのかもしれませんけれども、ボタンを一つ押すととんでもないことになるんだということを、やはり子供たちが真剣に受けとめてくれなければならぬ。いわゆるそういう判断力、総合的な情操教育というのはやはり大事だろうな、ロボット化、コンピューター化になればなるほどそういう教育が大事だな、こういう時代は精神的な人間的なものをもっともっときちっと教育をしていかなければならぬ。 以上、三点が小学校を見た感想であります。 駿台予備校につきましては、いろいろと御意見も御批判もございますけれども、現在の教育荒廃、いわゆる受験、そうしたことから考えてこれを避けて通れない、そう思って見させていただいたわけですが、子供たちが苦痛を感じておるのかなと思いましたけれども、むしろとっても勉強することに意欲を持っていることにちょっと驚きました。また先生は逆に、いろいろな意味で、求めてくる者に対して意欲的にどんどん教えていくんだ、そういう考え方を持っておられるということにも、いささか今の学校現場等考えてみると、我我が感じとめておかなければならぬ点が幾つかございました。そのこと自体を私どもは礼賛をし、すばらしかった、そういう意味で私は申し上げておるのではないということは、あえて念のために申し上げておく次第であります。
○三浦(隆)委員 文部大臣、大変貴重な御体験であったかと思うのですが、こうした日の当たる学校に対して、日の当たらない、当たりにくいところがございます。問題の少年非行が次々と起こってくるような、問題校としての中学校に、あるいは先ほど官房長官が言いました矯正施設としての教育、そうしたものも文部大臣、ぜひとも御視察をいただきたいと思うのですが、そういうお気持ちだけ簡単にお願いしたいと思います。
○森国務大臣 これからもいろいろな現場をできるだけ多く見させていただきたいと思っておりますが、確かにいいところとかすばらしいところばかり見ておるじゃないかという御批判があるのですが、それじゃ悪いところというふうに指定できるものではございませんし、なぜそこを選んだのだといったら、いや荒廃しているところだからとはまさか言えるわけでもございませんので、その点は十分留意しながら、いろいろな角度からこれからもできるだけ現場の勉強をしていきたいと思っております。
○三浦(隆)委員 次に、少年非行の防止対策と絡んで、教員の問題について一言質問させていただきたいと思います。 それは、一つには教育職員免許法が改正されようとしまして、大学院修士課程卒業生に特にいわゆる特修免許状を新設するというふうに伝えられております。これからの教員養成として非行生徒への対策というのは、これはもう必須欠かせないことでありまして、大学の四年制であってはゆとりはございませんが、もし大学院における教員養成とするのであるならば、その中の必須科目として、でき得る限り矯正施設内での実習を義務づけるようにしていただきたいものだと思うのです。 といいますのは、普通に単に教員になりましてそういう非行の現場へ行くと、教員としての対応がおろおろして、そしてノイローゼになってみたり、場合によっては教師が暴力を振るってみたりということもあり得ることでして、むしろ大学院の教員養成の場において既に矯正施設で実習を受けていれば、心構えもできるのじゃなかろうか、これが一つです。 もう一つには、現に先生になられている人たち、もう既に公立中学校の現職の教員に対しましても、教員の研修として、施設の都合もございましょうけれども、可能な限り矯正施設内でのいわゆる研修を行ったらよろしいのじゃないかと思いますが、この点についてお尋ねをしたいと思います。
○森国務大臣 私どもも、先生になろうとされる方々に対しては、単に学力だけではなくて、できるだけ幅広いいろいろな体験をした方が教員としての資質を持つ者だろうというふうに考えております。したがいまして、これからの学校の先生方には、学力だけで見るのではなくて、できるだけクラブ活動であるとか、いろいろなスポーツ面でありますとか、ボランティアでありますとか、そうした幅広い活動をやってくれることを期待し、教員の採用については十分配慮すべきだ、こういうふうに都道府県教育委員会等には指導をいたしてきておるところであります。 したがいまして、先生から御指摘をいただきましたような、そうした少年院あるいは矯正教育などの体験も大変大事な一つのパターンではないかというふうに私は考えておりますが、具体的に今そういう方向でやらせるとかやらせないということではなくて、そうしたことも十分目配りをしながら、心配りをしながら、教員の養成の改善に努力をしていきたい、こう思っております。
○三浦(隆)委員 次に、矯正施設からの復学生徒への対応についてお尋ねしたいと思うのです。 これは、大人でも一たび過って刑務所へ入って、そして刑務所で刑期を満了して社会へ戻っても、あああれはムショ帰りじゃないかというふうな目で見たりしますと、敏感にその人に響いて、せっかく立ち直ろうとする人がまたくじけてしまうかもしれません。特に感じやすい子供たちがふとした過ちでそうした矯正施設に入って、今度こそ立ち直ってこようといったときに、現場の先生方がそうした温かさを持ちませんと、大変困るだろうと思います。学校の中で暴れた姿の子供たちしか目に映りませんと、やっと厄介払いができた、またあいつが戻ってくるのか、大変だなと先生が思い、同級生も思うようですと、立ち直ろうとした子供たちも立ち直り切れなくなってしまうだろう。そんなところから、せっかくの学校の出席状況が滞るようになってしまうかもしれませんし、ひいては卒業すること自体も危なくなるかもしれません。 そこで、文部省として、そうした問題を起こした、矯正施設から帰った子供たちの出席状況なり卒業状況というものを調べたデータがありましたら、お知らせをいただきたいと思います。
○高石政府委員 具体的な数字を掌握しておりませんが、少年院等から普通の公立中学校へ帰ってきた者が大体四分の一程度いるわけでございます。その四分の一程度はまた、そこの学校の卒業生というような形の取り扱いを受けているわけでございます。
○三浦(隆)委員 いまそうした少年非行のことが大変脚光を浴びていることでございますから、文部省としてやはりもう少し正確な把握をお願いしたいと思います。正確な把握がなければ正確な対策もとることができないじゃないかというふうに考えるわけです。 その次には、その復学生徒に対する転校権の問題でございます。 やっと立ち直ろうと思って学校へ来ましても、多くの友達、多くの先生方は、どうしてもあれは問題を起こした子供だと見やすい。そこに、傷つきやすい子供としては、立ち直ろうとしてもなかなか立ち直りにくい気持ちもあろうかと思います。そこで、もとの学校とは限らないで、むしろ心機一転勉学にいそしめますように、他の公立中学などへ転校することができるように、そういう選択権というのでしょうか、そういうものを子供に与えられるようにしたらいいのではないかと思いますが、御意見、いかがでしょうか。
○高石政府委員 公立の小中学校は、先生御存じのことと思いますが、一応学区を設けまして、通学すべき学校を指定しているわけでございます。したがいまして、子供が少年院から一定の親のもとに帰ってきた場合には、その住居をもとにして学校を指定するという原則があるわけでございます。 ただ、一方において先生御指摘のような考え方もございますが、本当に子供を立ち直らせるというためには、そういう地域を一時的に逃れてほかの中学校に行って社会に出るということよりも、その地域に帰って、なおその地域の人たちの温かい協力、先生方の努力、それから本人がそれについて耐えていく、そういうようなしっかりとしたものを身につけて社会に出ていくということが大切じゃないかということも考えるわけでございます。そういう観点で、現在の制度を直ちに変えて、その自由な転学を認めるというところまで踏み切るについては、まだ検討を要すると思っている次第でございます。
○三浦(隆)委員 現在の考え方はそうかもしれません。恐らく御答弁された方もそうでしょうが、小学校でもできた、中学でもできた、高校でもできた、大学でもできた、そこで難しい国家公務員試験にもパスして、しかもすばらしい成績をおさめたから現在の地位にあると思います。しかし、問題は、そうした上る路線ではなくて、ふとしたことで階段を踏み外してしまった子供たちなんです。大人が耐えるというよりも、踏み外した子供、傷ついた子供たちの側に立っての対応が必要なんではないでしょうか。教育を受ける権利というのは、やはりそうした子供たちにあると私は思うのであります。一度間違ったということだけでとかくレッテルというものは張りやすいし、そのレッテルを乗り越えていくということは、大変に苦難の道を歩むことになります。もちろん歩み切れれば立派なことでありますけれども、それを要求していくというか、期待していくことは大変にかわいそうなことなんじゃないでしょうか。むしろ、今まではどうあろうとも、そんな学区の問題がどうかというよりももっと大きなことで、せっかく立ち直ろうとする子供がいるならば、その意欲というものを尊重してあげて、ほかの学校ならやる気があるのだというのならやらしてあげればいいじゃないか。今までがどうだではなく、やらしてあげたらいいではないかと私はこの点について思います。 もっと極端に言えば、同じ学校の中であっても、先生も人間なら生徒も人間、相性というものがあるかもしれない。どうもあの先生は嫌いだ、おれはどうもあの生徒は嫌いだと。あの先生の顔を見るならおれは学校へ行きたくないんだという子がいるとするなら、裏返しにして、僕はあの先生が好きなんだといえば嫌いな科目であっても一生懸命勉強するかもしれないというのは、私たちを含めて幾らでもあったケースではないでしょうか。極端に言えば、転校権ではなくて、同じ学校の中であっても、クラスの変更権すら場合によっては子供たちに将来認めてもいいのじゃないか。いわゆる六・三・三制の検討もさることながら、そういう学区制の現在の体制の中でも、手直しをすれば幾らでも子供が意欲的に立ち直って勉強しようとする機会はあり得るのではなかろうかというふうに考えておりますので、そういう気持ちもあるということで、文部省の積極的な対応をひとつお願いしたい、こう思っております。 次に、そうした復学生徒の進学に際しての問題でございます。 中学生が高校生に上がるといった場合に、その子供たちに対して学校が成績証明書というか、何かを書かれるわけですが、そのときに、成績だけではなくて、あるいは出席日数その他も記載するでしょうし、備考欄としていろいろなことをお書きになるかと思うのですが、そういうときに、この子供はいわゆる問題を起こした子供である、少年院なり少年刑務所に入った子供であるというふうなことなども、進学の記録として内申のときには記載されるものでしょうかどうでしょうか。あるいは、文部省はそういうことに対して、現場の教育長さんその他にどういうふうな指導をされているのでしょうか。お尋ねをしたいと思います。
○高石政府委員 基本は、先生おっしゃるように、その子供をどう立ち直らせていくかということが基本であります。したがいまして、高等学校への進学等についての内申を出す際に、それぞれの県によって取り扱いは決めておりますが、そこまで書かなくていいというふうに決めている県もあるわけでございます。そして、大部分の県では、そういう内申書の段階では、そこの中学校へ帰ってくれば中学校の形から出して、過去にそういう経歴があるということを書かないというような形で処理しているというところが多いと思います。
○三浦(隆)委員 これは大人の犯罪でありましても、昔は、犯罪を犯した、これは前科者だというふうなことは、あるいはだれでもわかることができたかもしれません。しかし、そういうことを認めることが、せっかく立ち直ろうとするその人たちを傷つけることになるかもしらぬということで、そうした過去の前歴というものは一般にはわからないようにしているのだろうと思います。とするならばなおのこと、小さな子供たちでございまして、我々自身も子供のころを振り返ってみれば、ほんのちょっとしたことで誤った道を歩むかもしれないということは幾らでもあり得ることだと思います。たまたまそうして道を踏み外して少年院などに入って出てきた、かたく二度とそういう過ちをしまいと思って進学をしようとするときに、そういう記載があるがゆえに落ちたんだ、本当は成績で落ちたかもしれませんけれども。しかし、落ちた子供にとってみれば、成績で落ちたんじゃない、私の内申書の中にはそういう記載があったから不利益に私は落とされたのだ、ひがみっぽいかもしれぬけれども、そういう気持ちを持つ子供もふえると思うし、これからの日本は、そういう子供たちを踏まえて、成人した暁には日本をしょってもらわなければならないわけでありますから、そういう子供たちを傷つけることのないようにしていただきたいと思うのです。 今の答弁ですと、県によって、あるいは市によってか、まちまちのような取り扱いのようでございますから、ひとつ文部省として一貫した指導方針をもって現場に流していただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
○森国務大臣 三浦さんの御意見は、私は大変傾聴に値することだと思います。しかし、文部省としてすべからくこうあるべしというふうに決めてしまうことも果たしていかがなものか。他のところに転校させることについても、それはいいんだよ、あるいはあの先生の顔と相性が悪いんだから、変えた方がこの子供の将来にとっていいんだという判断は、先生が生徒の状況を見ながら自発的に考えていくべきことで、あの先生と相性が悪いんだというふうに決めてしまいますと、じゃ乱暴して少年院へ行って、帰ってきたらクラス変えられるのかということになってしまう、そんなことあり得ないとは思いますけれども。ですから、ここのところは子供の立ち直る状況を見ながら考えていく。先生とそして家庭と、あるいはまた本人の状況、そういうものを見ながら、ケース・バイ・ケースで、その子供をできるだけ親身になって指導していくことが一番大事なのではないかな、私はそのように考えております。
○三浦(隆)委員 今のお答えは前の質問に対する答えのようでありまして、(森国務大臣「後の方も」と呼ぶ)後の方も含んでですか、それではちょっと不十分であったかと思います。 時間もございませんので、一括して質問をいたします。 次は、矯正施設にいた、そうした体験を持った生徒の就職の問題についてでございます。 進学についても、今質問しましたように、成績証明書というかそうしたものに、この子はこれこれしかじかだともし書かれますと、先ほど言ったように、本当はいわゆる学科試験ができなくて落ちたのであろうとも、そういうことが書かれたから僕は落とされたんだというふうに思うだろうということなんです。同じことが就職をするに際しまして、官公庁への就職であろうとあるいは民間会社への就職であろうと、そういうときには筆記試験などを行うでしょうし、面接も行うと思います。場合によってはそこで履歴書を提示させるかもしれないわけです。そのときに、履歴書を正確に書いていけば、例えば中学、何年に入りました、三年後に卒業しましたと出るはずでございますけれども、そこの過程の中に、何年何月からいつまでは少年院の生活をした、あるいは少年刑務所の生活をしたということを書かなければならないものかどうかということであります。 それを書くことが不利益だなと思ってもし書かなければ、履歴書にそういうことを書かなかったということでこれまた解雇理由にされるとか、後から何か不利益になるかもしれないわけでありまして、そうした過去のそういう子供の犯した問題というのは、就職の過程において、官公庁での取り扱いであれあるいは民間会社であれ、どういうふうになっているものでしょうか。人事院の方か、労働省の方か、それぞれお答えをいただければと思います。
○鹿兒島政府委員 国家公務員の採用試験についてお答え申し上げます。 国家公務員の採用試験に関しましては、お話がございました施設に在所したということは、受験の資格に何ら影響がございません。また、試験に当たりましては受験申込書というものに必要事項を記載させますが、施設におりましたことにつきましては必要な記載事項ではございません。
○加藤(孝)政府委員 民間の採用の関係に当たりましては、私どもあくまで本人の適性と能力、そういうもので判断をする、こういうことで指導をしておるわけでございまして、そのため応募書類はいわゆる統一応募書類ということで一定の統一した様式を作成いたしまして、適性や能力と直接関係のない事項についての記入は行わない、こういうことで指導いたしておるところでございます。したがいまして、矯正施設にいた経歴というものは応募書類に記入することは必要とされないわけでございますが、ただ、採用後におきまして、本人の就職後の定着指導、こういうようなために特に必要な場合には過去の経緯について学校などから連絡される場合はある、こういうふうに思っております。
○三浦(隆)委員 官公庁の場合に、いわゆる採用のときの試験そのものにというか、そういうときには記載することが必要ないのだから問題でないということでありますが、実はその後、試験で入りましてから採用の段階において、各省庁すべてであるかどうかわかりませんが、一応履歴書を出させていると思います。ですから、その段階でまたどうなるかというのが一つひっかかるかと思います。ここでは深く——もう時間でございますけれども、私が言いたかったのは、個々の、先ほどの法務省の見解であれあるいは文部省の見解であれすべてを踏まえまして、法規というのは守らなければならないものでありますけれども、法規を超えた、憲法というのでしょうか大きな角度の中では、法のもとの平等の取り扱いその他がまずありまして、日の光の当たる者はさることながら、これはほっておいても何とかいく、むしろ日の光の当たらない方へと我々はできる限り政治の日の光を当てていくように努力していかなければならないものと思いますので、その方向に沿っての法務省なり文部省なり関係省庁の御努力をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
○倉成委員長 これにて伊藤君、三浦君の質疑は終了いたしました。 次に、湯山勇君。
○湯山委員 質問に先立って委員長にお願いいたしたいことがあります。 それは、今伊藤委員の御質問の中で、文部省が国会に提出した資料云々というのがございました。私ども寡聞にして拝見してないので、これは重要な資料と思いますので、ひとつ我々にも配付していただくように御配慮をお願いいたしたいと思います。
○倉成委員長 後刻理事会で相談したいと思います。
○湯山委員 それでは、最初にアメリカのユネスコ脱退通告の問題についてお尋ねいたしたいと思います。 先日、我が党の井上一成委員からこのことについては質問がございまして、外務大臣との簡単な質疑応答がございました。私は、この問題は国際的にも、日本にとっても非常に重大な問題であるというように理解しておりますが、外務大臣はどのように受けとめていらっしゃるか、まずお伺いいたしたいと思います。
○安倍国務大臣 ユネスコは、国連を大事にしていくという日本の外交の立場からいって、ユネスコの役割というものは非常に大事であるし、またそれだけの役割というものは果たしてきておる。戦後の世界の中にあって、ユネスコの果たした実績といいますか功績は非常に大きいと私は思っております。
○湯山委員 アメリカはユネスコ創設国でもあるし、また、ユネスコの経費につきましてはその約二五%を負担している。そのアメリカがユネスコを脱退するということは、ユネスコの普遍性という点から見ても極めて重要な課題でございますし、また、ユネスコの財政の上からも非常に大きな問題ではないかというように考えます。したがって、このことにつきまして、アメリカから日本に対して公式に何かの連絡なり報告なり、そういうことがあったでしょうか、なかったでしょうか、その点、お伺いいたしたいと思います。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 アメリカからは、ユネスコについてのアメリカの対応ぶりを真剣に検討しておる、脱退の可能性もあるという意味の連絡が昨年の秋にございました。その時点におきまして私どもの方は、先ほど大臣が答弁申し上げましたような見地から、慎重に取り扱うようにという申し入れをいたしました。 また、昨年の十二月二十八日付で米国が脱退通告を行ったわけでございますが、その直前に、米国が脱退通報をするという連絡を受けております。
○湯山委員 先般、二月の二十六日ですか、ニューウェル国務次官補が日本へ来て、その間についていろいろお話があったようですが、その話の内容では、ユネスコをアメリカが脱退した理由その他についてのお話があったやに承っておりますが、それは事実かどうか、内容はどうなのか。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 今先生御指摘いただきましたように、アメリカのニューウェル国務次官補、国際機関担当でございますが、米国のユネスコに対する態度について我が方に説明をしたいということで参りました。外務省、文部省の関係者が同次官補から話を伺いました。 同次官補からの説明の概要でございますが、米国としては、米国が参加しておる九十六の国際機関についての再検討を行ってまいりましたが、特にユネスコについては、非常に米国の立場から見て問題があるということで組織的な検討を行った。その検討の結果、大きく分けまして三つの問題がある。それは、ユネスコが本来の専門機関として優先的に取り扱うべき任務をやや怠り、政治化に走る傾向がある。第二点といたしましては、米国が信条といたしております自由主義、民主主義の原則に対する挑戦のような動きがある。第三番目といたしましては、ユネスコの財政、人事その他の運営の面において事務局側に節度を欠く点がある。これらの点を総合的に判断して、現在のユネスコは米国から見ると米国の利益に合致しない方向にあるので脱退する決意をした、そういう説明でございました。
○湯山委員 我々の聞いた範囲では、西ドイツはこれに対して理解を示しているというようなことを情報として聞いておりますが、それは別として、日本としてはこのことについて一体どう考え、見ているか。アメリカの言っていることはもっともだというようにお考えなのか、それはアメリカのことで、日本は日本で別だという御態度なのか、外務大臣から伺いたいと思います。
○安倍国務大臣 今局長から答弁をいたしましたように、最近のユネスコは本来の権限分野を超えた政治問題が持ち込まれる傾向を示していること、あるいは予算の恒常的な膨張等が問題として指摘されておりました。米国がこのようなユネスコの動きに反発して今回の措置をとった背景につきましては、ある程度理解するものであります。背景につきましては理解をするわけですが、しかし、米国の脱退によりましてユネスコの普遍性が損なわれるということで極めて残念である、こういうように考えております。したがって、我が国としましては、米国がユネスコにとどまるよう強く希望しておるわけであります。今後とも働きかけを続けてまいりたいと考えております。
○湯山委員 私も大臣の御答弁を了解できるのは、私も外務大臣にもこれで二度目です、この問題につきましては。それから、外務大臣がアメリカに行っておられるときに中曽根総理にもこのことをただしまして、総理も努力するということでしたが、非常にこのことについては遺憾であるし、ILOから脱退した米国がまた復帰した例もあるということを先日お述べになりましたが、その努力をされる。一体どんな方法をお考えになっておられるのか、見通しはどうなんでしょう。
○安倍国務大臣 今の状況では恐らく米国は、脱退の決意を宣言しておりますから変えないと思うわけでございます。それだけに、やはりユネスコのこれからの経営といいますか、財政的にも厳しい面も出てくるわけでございますが、しかし、アメリカが脱退することによりまして、ILOにおいてもそういう傾向もあったわけですが、これまで全体的に見て行き過ぎた面があったとするならば、それはやはり改善をして、改良をして、そしてもう一回アメリカに復活してもらおうという空気も燃え上がってくると思います。それは、やはり日本もとどまってそういう空気を醸成するように努力をしていかなければならぬ。アメリカが脱退するには脱退するに足る先ほど申し上げましたように背景があるわけでございますから、その背景がある程度改善されるということが必要だ、これはもう日本もそういうふうに思っておりますから、そういう努力を日本はとどまってやる。同時に、アメリカとの間には絶えずこの問題について、まだ脱退しておりませんが、脱退を思いとどまるように、脱退すれば、復帰するようにという働きかけは続けていかなければならぬ。ユネスコは、国連におきましても非常に重要な存在であるし、これを維持、堅持していくというのが日本の考えてあります。
○湯山委員 それと関連いたしまして、アメリカが二五%の経費の負担をしている。日本がそれに次いで第二番目の負担国で一〇%以上を負担している。一年向こうですけれども、アメリカが脱退した後これは財政的に非常に困るのじゃないかということから、日本に対しても負担金をふやしてほしいというような要請があるのじゃないか。北ヨーロッパの国々の中には、そういう要請があっても応じられないというような意向を示している国もあるようですが、日本の場合はどうなんでしょうか、そういう場合には。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 昨年の総会におきまして、ユネスコは二年予算を採用いたしておりますが、ことし、八四年、八五年の予算が既に決定されております。 そこで、今先生御指摘のように、米国はその二五%を持つわけでございますが、米国は今年度については憲章上もいまだ加盟国でございますので、本年分については分担金を支払います。もし米国が脱退を思いとどまらずに脱退いたしたとなりますと、明年度分について、額にして約四千万ドル少しの米国の分担金が入ってこないという事態が生ずるわけでございますが、ただ、先ほど申し上げましたように、ユネスコの予算というのは総会が決定する事項でございますので、そのことによってすぐ他の加盟国の分担金が変更されるということではございません。これはまだ明年以降の将来の問題でございますが、私どもといたしましては、ユネスコの予算、これには米国が従来から指摘しておりますようなもう少し合理化できる点があると思いますので、今後の動きを見ましてしかるべく対処してまいりたいと思います。
○湯山委員 あと、大臣から簡単にお答え願いたいのですが、レーガン政権は、ユネスコだけじゃなくて、国連に対してかなり不信感を持っておるということが今日まで伝えられております。そこで、今度のユネスコ問題をてこにして、国連の軌道修正を図るのじゃないかという観測が行われておることも私は事実だと思うのですが、そういう意図は見られませんでしょうか。
○安倍国務大臣 レーガン大統領の演説なんかを聞いておりますと、国連が本来の姿に返ればこれを支持するということを盛んに言っておりますし、国連が本来の使命を果たすように期待をするということでありますから、国連に対して依然として大きな期待をアメリカ政府としてはかけておると思うわけですが、反面、確かに今おっしゃるように、今の国連の動きに対しては相当批判的でございます。それがユネスコの脱退とか、あるいは今政府部内にUNCTADまで脱退しようという声すら出ておるということで、私は、日本としてこれには賛成することはできないわけですが、今のアメリカはそういう考えを持っておる。しかし、国連が本来の姿になってくればこれを支持していくということはしばしば言っておるわけであります。
○湯山委員 お聞きしようかどうしようかと思って迷った問題ですけれども、脱退の理由の中に、自由主簿、民主主義に対する挑戦という言葉が今ありました。まさにそうなってくると、中曽根総理は自由主義陣営を守るためということをしょっちゅう言っておられるし、それからアメリカと日本とは運命共同体だというようなことも言っておられます。そうすると、このことに関心を持っている人の中には、ひょっとすると日本も脱退するんじゃないかというような、ほんの一部ですけれども危惧の念を持つ者もないではないのです。多くの人は、日本としてはひとつ毅然とした態度でぜひユネスコにあって、悪いところは直していって、そのために従来外務大臣お約束になられたように努力してほしいという希望が大きいのですが、結論的に今のお話でわかるようですが、日本がアメリカと一緒に脱退するようなことは絶対ない、今後も一層強化するんだというような意思表示をしていただくことが、この際非常に重要ではないかと思いますので、大臣、いかがでしょうか。
○安倍国務大臣 日本は戦後ようやく独立を回復して国連に加盟をしたわけでありますし、それ以来一貫して国連重視ということで日本の外交政策を進めております。したがって、このユネスコにつきましても、一つの活動として我々としては今後脱退するという考えは毛頭持っておりません。ユネスコがこれから健全に活動を展開していく、そしてアメリカが復帰することを望んでおりますし、そのための努力は今後継続してまいりたいと考えております。
○湯山委員 非常に明快な御答弁でよくわかりました。 国内委員会の中にも、先般会合がありまして、国際会議をやろうと思うけれども、この問題がやはり支障になるんじゃないかというような懸念を持っている人もございました。そういう発言もありました。このことによって例えば、これは無関係なことですけれども、今度ユネスコ国際部という部を将来廃止しようという案も文部省にあるわけで、そういうことと絡んで国内活動が低下するんじゃないか、後退するんじゃないかという懸念を持つ人もあります。国内活動について文部大臣から、これも時間の関係で、恐縮ですが、簡単に御答弁願いたいと思うのです。
○森国務大臣 日本の国のユネスコに対する考え方は外務大臣から述べられたとおりです。 それから、先般国内委員会が開かれました。湯山議員もメンバーで大変な御苦労をいただきました。時間がありませんから、そのときまとめられたことは湯山先生十分御承知ですから、その見解に対しては私も同感でありますので、そのような方向で最善の努力をしていきたい、こう思っております。
○湯山委員 関係者も大変安心することだろうと思います。 続いて、次の問題に移ります。 農畜産物の自由化、輸入枠拡大の問題でございます。これにつきましては、昨日、島田委員からもございましたので重複を避けまして、いろいろ言われておりますけれども、結局三月末を目指して全力を尽くしていくということでございました。この間、伝えられていることの中で、二月のハワイ交渉でオレンジ果汁の混合率五〇%以下を緩和するとか、オレンジの輸入枠拡大の一部は新規輸入業者に配分するとか、ステーキ用の切り分け肉を受け入れられるように振興事業団の運用改善、これらについては合意したということが伝えられております。さらにまた、オレンジについては微調整の段階で合意は確実だというようなことも伝えられておりますし、それから当然、二月二十九日マンスフィールド米大使も、三月末までに交渉をまとめるというより、むしろ日本の国内の取りまとめをひとつやってくれというような要請があったというようなことも伝えられております。 これらの点、例えば今のハワイにおける三項目についてどういうことなのか。それから、今のオレンジについては微調整の段階になっているといったようなこと等についてお聞きしたいのと、簡単に、そういうことがある、できたということと、それから同じように伝えられている中では、農林省は農家に対して五十億円をこの対策として支出するというようなことも言われておりますし、大統領選挙が四年ごとでこれとぶつかるから、今度の交渉は期限を三年にしようといったようなことが言われております。それぞれの項目について、農林省なり外務省なり簡単にひとつお述べ願いたいと思います。
○佐野政府委員 お答えいたします。 ハワイ協議の議題は、一点、輸入業者の新規参入問題はハワイ協議で議題にはなりませんでしたが、そのほか湯山先生の御指摘のことはハワイ協議の議題になりました。ただ、ハワイ協議は性格上非公式な意見交換の場ということでございますので、その場で意見交換はいろいろ有益なものが行われましたが、合意が行われたという事実はございません。 それから、現在オレンジの数量につきましての隔たりが微調整の域なりや否やという点でございますが、この点は、立ち入って御説明を申し上げますことは先方との約束上無理でございますが、微調整と言うには甚だまだ大き過ぎる隔たりがあるというふうには申し上げてよろしいかと存じます。 それから、五十億云々のお話は、これは全く農林水産省の関知しないところでございます。
○村田(良)政府委員 マンスフィールド大使が先月二十九日に安倍外務大臣のところに参りまして、これは単に農産物だけの問題ではございませんけれども、レーガン大統領訪日のフォローアップの諸案件につきまして、アメリカの政府部内におきまして日本側の検討の進捗状況が遅いというふうな不満もあるので、いろいろな検討を促進してほしいという申し入れがあった次第でございます。
○湯山委員 交渉の内容については今のようなことですからお伺いしないことにいたしまして、それよりもむしろ国内の問題についてお尋ねいたしたいと思うのです。 今の五十億云々は、そういうことはないということですからそれといたしまして、外務大臣は国内の了解工作は地雷を踏む思いでやるというような非常に悲壮な決意をお示しになりました。それから、農林大臣も生産者を犠牲にしないというようなこともおっしゃっておられますが、一体これは、国内の了解工作というのはどこを対象にしてなさるのでしょう。例えば農業協同組合とかなんとかいろいろありますね。対象はどういうところを思っていらっしゃるのか、これをちょっとお聞きしたいと思います。
○佐野政府委員 お答えいたします。 私どもといたしましては、衆議院農林水産委員会の御決議の範囲内におきまして私ども行政の側の判断で決着をつけさせていただくべきものというふうに考えておりますので、どこのお許しを得て交渉を妥結するという性質のものではございませんが、ただ、関係の牛肉なりかんきつなりの生産者の御意向はそれぞれの生産者団体を通じて十分聞かせていただいておりますし、それから、農林水産委員会の御決議自体もそういう生産者のお気持ちを踏まえた上での御決議であるというふうに存じておりますので、それらを十分念頭に置いて対処させていただきたいというふうに存じております。
○湯山委員 今言われた生産者団体ですね、この人たちは何でこの交渉に応じなければならないかということの理解からできてないと思うのです。この金額のアンバランスにいたしましても、二百億ドルに対してわずか五億ドルそこそこのものでしかないというようなことで、何で一体交渉に日本が応じなきゃならないのかということから腹に入っていないと思います。それらをどう納得させるかというのは、非常にこれは重大な問題だと思います。 それから、農政の立場から見ても、これも昭和五十四年から五十八年の五カ年計画で、ミカンについて約三万ヘクタール、六十万トンの生産調整を行っている。もう最終年ですから、ほぼこれは達成できたように思いますが、これに百五十億の金をつぎ込んでいる。達成の見込みはどうでしょう、結論的に。
○佐野政府委員 前段について私からお答えいたしまして、後段は農蚕園芸局長から御答弁申し上げますが、前段につきましては、私どもは生産者団体の皆様方にも東京ラウンドの経緯は十分御説明申し上げておりますので、東京ラウンドの合意のときに一九八四年度以降の問題についてさらに協議が行われるという約束になっておるという経過自体は十分御説明申し上げてございますので、そういう経過を踏まえて考えますれば、現在の段階でこのような交渉を持たざるを得ないということについては、御理解はいただけておるものというふう思っております。
○小島(和)政府委員 御指摘の園地転換は、予定どおり五十八年をもって達成できたというふうに理解をいたしております。
○湯山委員 百五十億のお金をつぎ込んで、今のように生産調整をやった。その中の四三%、半分近いものは実は品種更新、高接ぎで晩柑へ転換なんです。これも、我々の聞いている範囲では、非常に苦労しまして、ある種の伊予カンなどは、非常に品種のいいオオタニ伊予カンというのですか、これなんかは、初期には接ぎ穂一本が百万円もした。番人は立てるし、高いものですから、その穂の芽を、一芽を芽接ぎじゃなくて芽を割って接ぎ木したというぐらいな努力をしてきたものがもろに被害を受けるということなんで、現在の八万二千三百トンが仮に年一万トンずつふえて十二万トンになりましても、晩相生産七十万トンですから、もろに大きな打撃を受けるわけです。 私が前に公明党の二見委員と一緒にサンキストのハンリン社長にこのことで行って会いましたときに、サンキストのハンリン社長は、日本のミカンの敵はアメリカじゃありません、無理なところへ奨励してむちゃくちゃにミカンをつくらした日本の農政が敵だ、アメリカ自身そう言っておるぐらいなんで、このことについては政府の責任非常に大きいと思います。結論は政治決着だと言っておりますが、政治決着というのは、結局政府が責任を持つということと理解してよろしゅうございますか。外務大臣、農林大臣、いかがですか。
○山村国務大臣 私どもといたしましては、できる限り三月いっぱいで決着をつけたいというぐあいには考えておりますけれども、しかし、合意を達成したい余りに無理な要求、これをのむということはございません。期限にとらわれてそのようなことはしないということだけは申し上げられます。
○安倍国務大臣 今の農林大臣のお答えのとおりだと思います。
○湯山委員 地雷を踏んで爆発しないように、お気をつけてやっていただきたいと思うわけです。 結局、私は、今日大変農林水産大臣御苦労なさっておりますけれども、ミカンを減反せよと、せっかく今のように百五十億もの金を使ってやって、それへまたもろにぶつかるようなオレンジを輸入するというようなことは、これはそのこと自体から受ける損害もありますけれども、まさに農民の農政への信頼を失わしてしまう、これが大きいと思います。これで生産意欲が減退する、生産意欲を失うということになれば、国会は食糧自給の向上の決議も両院でしておるいきさつもあります。よほど慎重にこれは扱わないと、これだけの、量だけじゃなくて非常に大きな影響を日本の農業に及ぼす、このことをひとつしっかり体して結論を出す。それが出て仮にどういうことになるか、それについては政治決着ですから政府が全責任を持つ、このことをひとつはっきりしていただきたいと思うのですが、農林水産大臣。 〔委員長退席、原田(昇)委員長代理着席〕
○山村国務大臣 先生今おっしゃいましたこと、これは一昨年四月の農林水産委員会の決議、それから本年一月の農林水産委員会の申し入れ、それに適合しておりますし、私もこの決議、申し入れ、そして今先生のおっしゃったこと、これを頭に刻み込んで交渉に当たってまいります。
○湯山委員 じゃ、ひとつ今の御答弁のように、全力を挙げて当たっていただくように要望いたしまして、次へ移ります。 次は、同和対策についてですが、本会議で先般、私どもの石橋委員長が人種差別撤廃条約について総理に質問をいたしました。そのときに総理は、このことについては理解し、賛成の立場を基本的に持っている、ただ、事前に国内法の整備が必要であるというような御答弁がありました。これは当然条約の問題でございますから外務省と思いますが、国内法の整備というのはどんな法律を整備しなければならないか。これは法務省の方からですね。外務省ですか。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 人種差別撤廃条約につきましては、先生今御指摘ございましたように、基本的には賛成すべき条約ということで検討を進めておるわけでございますが、この条約を締結するに際して特に問題になりますのは、条約の第四条におきまして、人種の優越または憎悪に基づく思想のあらゆる流布、扇動、それから人種差別を助長し及び扇動する団体、宣伝活動、そういうものに参加すること、こういうものを犯罪として処罰することが義務づけられておるわけでございます。 一方、我が国の憲法の体制からいたしまして、これと憲法に規定してございます思想の自由でございますとか、集会の自由、表現の自由、また罪刑法定主義の立場、それとの兼ね合いをどのように考えるかという、その点を検討いたしておるわけでございます。
○湯山委員 ちょっと、いつごろ終わりますか。
○山田(中)政府委員 私どもといたしましては、できるだけ早い機会に検討を終えたい……(湯山委員「ことしじゅうとか、もっと具体的に」と呼ぶ)現時点で日時を明確に申し上げる段階ではございませんが、できるだけ早い機会に批准できるように努力を続けてまいりたいと思っております
○湯山委員 じゃ外務大臣、結構です。ひとつ早くやっていただくようにお願いします。 総務長官にお尋ねいたします。 先般やはり本会議で、井上普方議員の質問に対して総理大臣は、事業面は大体進んでおるから、そこで残事業を早くやることに全力を尽くす。したがって、新たな実態調査というのは考えていないという御答弁がありました。これは、若干質問の趣旨を取り違えたと言うのは言い過ぎですが、理解が不十分であったために、事業に絞って御答弁があったのですが、これは現在の地域改善対策特別措置法に変わるときに、今後の同和対策というものはむしろ意識を改めることだ、差別意識をなくしない限り差別はなくならないということから、これについて佐藤信二議員が各党まとめて、それに重点を置いてやるというようなことで確認がされております。これは前任者の総務長官もはっきり答弁をしておられます。 そこで、現在の法律がやがて三年で切れますけれども、今日の差別問題の増加の傾向、それから現在、今のような教育とか雇用とかあるいは啓蒙とか、そういった問題についてはばらばらで、実際は自治体も対応に苦慮しているというのが実情で、総理府もそれらの人の研修会をやろうというようなことをやっておること、御存じのとおりでございます。そこで、そういったもの、あるいはこの法律の三年後じゃなくて、もっとずっと続く問題でございますから、そういった差別意識、つまり雇用とか教育とか啓発とか、そういったものの実態把握はやはりしておかないと長期の対策ができないと思うのですが、そういう点についての実態調査をぜひやってほしいと思うのですが、総務長官、いかがお考えでしょうか。
○中西国務大臣 お話の点は、必要性等についてはそのとおりだと思います。心の問題でございますから難しい問題もございますが、継続的に考えていかなければいかぬ、各省配慮していく必要があろうと思います。現在でも教育とか雇用、啓発それぞれについて、何年何月というようなことでなしに、常時把握に努めておるところでございます。そういったことをこれからも続けていく姿勢は政府として失ってはならない、かように考えます。 ただ、昭和五十年でございましたか、あのとき大変大規模な調査を、物的調査もやりましたが、しかし、ああいうような大規模な画一的な調査というよりは、やはり個別の問題を的確に把握して対応をしていくという姿勢の方が大切ではないか、かように考えておるところでございます。
○湯山委員 長官も、選挙区の関係もあってよく御理解になっておられる問題だと思います。個別にいけば物の面はほぼ一律にいけますけれども、意識差別の問題というのは千差万別です。これを個々に対応するということは、これは不可能だと思います。そうすると、その実態を見てこういうことが共通した問題であって、それに対してはこうといったようなある種のめどが立たないと、いかに精力絶倫、活動の活発な総務長官といえども、それはとてもじゃないが、私は個々に対応はできないと思うのです。 今地域改善対策協議会へ諮問しておられるでしょう。その答申を受けて、それに基づいてやはり全国的な把握というのは必要です。ただ、前回と形式は違うと思います、前は物ですから内容的には簡単でしたけれども。難しいと思いますけれども、ひとつぜひやる方向で御検討願いたいと思うのですが、簡単にもう一度御答弁願います。
○中西国務大臣 確かに難しい点がございますが、お話の点もよく理解できます。したがって、私一人で調べることはとてもできませんので、これはやはりそれぞれの自治体の御協力もいただきながら、また関係者の多くの方々の御協力をいただきながらのことでございますが、心がけてまいりたいと思います。
○湯山委員 ぜひひとつ実施していただきたいと思います。それでは総務長官、結構です。 去る二月十四日、この委員会で川俣委員からカネミ油症事件について質問がありまして、厚生大臣からは、最大の努力をしていきたいという前向きな御答弁があって、そこまでは非常によかったのですけれども、その後で、やはり福岡高裁の和解勧告については拒否というようなことで大変残念に思っております。 勧告を拒否する理由として、一つは、裁判所の今日までの判断というのは国の責任を否定している、これを挙げておられます。しかし、今度の和解勧告では私は否定していないと思うのです。この事件において、国の担当官の対応は十分なものとは言いがたい、国も被害の拡大を阻止し得る地位にあったものとしてその救済の一翼を担うべき責務があるものと思料するとあります。つまり、この高裁の裁判の過程を通じてこの裁判官は、やはり国にも責務が全然ないということではないと私は思いますが、これは農林大臣、厚生大臣、どうお思いでしょうか。
○渡部国務大臣 カネミ訴訟、これは一審では御案内のように勝訴になっております。今度和解の勧告が出たわけでありますけれども、国家賠償責任というものを国が認めることになりますと、これは国民のとうとい税金によって賄われるものでありますから簡単に私どもの判断にいかないということから、農林省または法務省、これに関係あるものでありますから、三省協議の上、純法律的な問題として和解の勧告には応じなかったわけであります。 その際、私が申し上げましたように、これはカネミ患者の皆さんが非常に御苦労をなさっていらっしゃる、この人たちの健康を守ってあげるための努力は厚生省としてやらなければならないことでありますから、これからも当事者である鐘化に対して、できるだけ速やかに患者の皆さん方に対する和解に応ずるように、あるいはまた厚生省としてとり得る世帯更生資金の貸し付けであるとか、あるいは医学的な問題でのお手伝いとか、そういうものはできる限り努力したい、こういう考えでございます。
○山村国務大臣 私たちとしましても、カネミ油症事件の患者の方には本当に長い間の御苦悩、心が痛む次第でございますが、ただいま厚生大臣からお話がありましたように、国家賠償法の賠償責任という問題になりますと、これは三省で協議して一致したところでございますので、何ともやりようがないというところでございます。
○湯山委員 和解に応じなかった理由は第一審判決の結果を見てのことですね。しかし、それ以後において、国も責任があるという意味の和解勧告がなされている。具体的にはまず農林省から。 このことは高裁の裁判の中で明らかになったことで、この事件当時国立予防衛生研究所の主任研究官であった現在徳島文理大の教授の俣野景典さん、この人の証言です。これが大きくこの勧告に影響している。 俣野氏は、これがカネミ倉庫から、カネミ油を抽出する前段階で油を取った残りのブラックオイルというのがあります。これをえさに使った。それによって鶏、ブロイラーが七十万羽も死んだ。二月に今のようなブロイラーの事件があって、おくれて八月にこのことを知りまして、農林省にこのことについて問い合わせをした。そうしたら農林省の方では、流通飼料課ですか、ここへ尋ねたところが、農林省では、いや、あれはもう既に賠償も解決したし、ダークオイルはもう廃棄してしまったということで、そこまでで取り合ってくれなかった。 しかし、俣野証言によりますと、これよりも九年も前にアメリカで似たような事件があって、そのことは専門書には出ている。もしこのことを言われたときに、ああと気がついてとめれば後の事件はなかったのじゃないか。それからまた、八月でも、言われたときにすぐ手を打ては、大部分の被害者が出たのは十月ですから、その間なお防ぐ余地があるのではないか。つまり、一般にこういうえさを扱う者の常識として、まあ例えば悪いですけれども、酒のかすを食べて死んだ人がある、これが大変な毒だということになれば、搾った酒にも毒があるのじゃないかと思うのは当然のことで、常識だ。 その常識を欠いた扱い、それから今のように鶏、ブロイラーは死んだけれども、それはもう賠償も済んだ、何も捨ててもうそれで終わったようなその農林省の担当者の感覚、これがもしそこで適切に手を打っておれば被害を食いとめられた、そういう意味において責任があるのではないかという指摘が勧告なんですが、農林大臣、どうお思いでしょう。
○石川(弘)政府委員 ただいま先生御指摘の内容につきましては、私どもも裁判の記録等で承知をいたしておるわけでございますが、実はダーク油事件と申しますのは、あの年の二月に起こりまして、二月の数日間に出ました油の中から、結果的に見ればPCBが入っていたということが後ほどわかったわけでございます。当時、担当者の行動といたしまして、実はダーク油と申しますのは精製の途中の段階から抜いておりますものですから、またいわゆる塩化ビフェニールを入れない段階から抜いておりますものですから、当然その段階で問題があるという前提でいろいろ調査したようでございます。 それから、先生が御指摘になりました海外文献につきましても、当時の家畜衛生試験場の担当官はいろいろな文献検索をいたしたわけでございますが、先生がおっしゃいましたいわばPCB汚染の文献については当時気づいておりませんで、と申しますのは、油の事故と信じておりましたものですから、そのPCBの事故というのは塗料とかそういうものから入った事故であったようでございますので、今から考えますと、もっと検索しておればわかったのではないかという御指摘があることも事実でございます。 ただ、そういうような各般の事情を見ました上で、一審の二つの判決におきましては、そこまで知り得なかったということが公務員として重大な過失があるということではなかろうという御判断であったようでございます。
○湯山委員 重大な過失ではありませんけれども、やはり至らぬところがあったということは今認められたとおりです。よろしいですね、農林水産大臣、今の点は。
○石川(弘)政府委員 国家賠償の対象となるような注意義務に反したということではないというのが一審の二つの判決でございます。
○湯山委員 後のことについてお答え願います。俣野氏の証言。
○石川(弘)政府委員 俣野氏がそういうことを証言をなさっているという事実は知っております。 俣野氏の証言と申されますのは、そういうことが常識だということについては、その時点で、例えば精製の途中の段階で抜き出したものから当然最終製品にもあると思うことが常識だということは、私どもは、当時の周辺のいろいろな知識その他からしまして、常識とは考えられないと思っております。
○湯山委員 ブラックオイルですね、それは調べたのですか。その中にPCBがあるということはわかったのですか。調べてないでしょう。
○石川(弘)政府委員 ダーク油が原因であるということは四月の初めの段階から突きとめまして、それを何度も何度も分析をいたしておりますが、その中でPCBが原因だということは、六月の段階まででは判明をいたしておりません。 それから、もう人間に影響が出てきました段階、要するに食用油を飲まれた段階でも、これは九州大学を中心にしてかなりの学者の方がお集まりになりましていろいろ検索をされましたけれども、砒素が検出されたとかあるいはビタミン類ではなかろうかというようなことがございまして、実際にわかりましたのは十一月の段階でございます。
○湯山委員 それから厚生省ですね。 そこで、今の俣野氏が八月に厚生省の食品衛生課へ行って、こういう問題があった、そのことについて、ひょっとしたら起こるんじゃないかということを話した。ところが厚生省側の対応は、いや、人間が被害を受ければ厚生省の所管だけれども、鶏の被害はうちじゃないというので取り合わなかった。これは俣野氏の証言です。その後十月になって被害が出て、俣野氏をその課長補佐が呼んで、ああやっぱり被害が出ましたねと、こういうことであった。もしそのとき、八月にそれはおかしいということで調べておれば、それは全部の被害は防げないけれども、拡大は防げたのではないか、このことが後悔されると俣野氏は証言している。 この課長の対応も、人間が使って被害が出なければ対象にしないというのではねのけた。これがなければ被害はもっと少なかった。これは言えるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
○竹中政府委員 俣野証言につきましては、そういう証言があったということは聞いております。これについてどう考えるかは、やはり最終的には裁判所の御判断だろうと思われます。 それからもう一つは……
○湯山委員 もうそれでいいですよ。 今のように、俣野氏本人がこれだけ熱心に、これは危険だと。本人はアメリカの文献も見ておるから、まず農林省へ行ってそういう状態、それから厚生省へ行ってそういう状態。だから御自身も、そのときにもっと強くやって対策を立てればよかったとみずから後悔している。この証言が、判決はやがてあると思いますけれども、裁判官に強く印象づけるものがあって勧告になったし、勧告文では、国は責任はないとは言っていないです、ごらんのとおり。 そこで、時間がありませんから、私はこの判決は、予想ですけれども、必ずしも政府に有利じゃないと思います。ここまで来て、しかも裁判官が連名で勧告しておるのですから、高裁の判決は皆さんが思っておるほど楽観的ではない。もし—もしではお答えできにくいと思いますけれども、これでもし国側が敗訴したというようなときに、これはまた上告しますと鐘化も上告するわけで、一層被害は拡大するし混乱します。したがってこの段階では、三省御協議になって、ひとつ判決のいかんにかかわらずやはり和解の方向で努力するというような態度はとれないかどうか。これは法務大臣、いかがですか、御担当ですから。
○住国務大臣 この油症事件の経過は御存じのとおりでございます。 和解勧告には各省と協議して応じなかったのでございますけれども、もう間もなく判決も出るわけでございます。出たらどうするかということは、仮定の問題でございますけれども、その後の判決の結論を見た上で、農水省、厚生省等とも相談いたしまして考えてまいりたいと思っております。
○湯山委員 法務大臣、ちょっと待ってくださいよ。今のように、千数百名の人がこれで悩んでいる。私も、学生が、毎日頭から血が出る、それで毎日まくらが汚れる、お医者さんに診てもらったらにきびのひどいのだというようなことで、しかし治らないで下宿を追い出されました、それで私にどこか下宿を探してくれと。それで探してあげて、それでもなかなかよくならない。何か漢方をやったりいろいろなことをやって少しよくなりましたけれども、実態はそれほど被害を受けて困っている。私らにもその関係が及んでいる。 ですからこれは、ただ今のようなことで結果を見てじゃなくて、この被害を受けた人たちにどうすれば一体安心というか信頼感というか、与えられるかということに重点を置いて、お三人で御協議になって結論を出していただくということにしていただきたいと思いますが、代表して法務大臣。
○住国務大臣 油症患者の皆さんに、大変お気の毒な立場、御同情申し上げております。現在も、厚生大臣からも御答弁がございましたように、行政の立場で許し得る最大限の措置をとっていただいておると私は思っております。それとその法的責任という問題、この問題とはまた別な立場で考えなければならない。そういうようなことを含めまして、ひとつ十分慎重に農水省、厚生省とも相談して対処したいと思っております。
○湯山委員 御理解いただいたようですから、ひとつぜひそのように対処をお願いいたしたいと思います。 では、法務大臣、御苦労でございました。それから農林大臣、どうも御苦労でした。 次は、行革の臨時特例法の扱いについてお尋ねいたしたいと思います。 これは五十六年の秋、九十五国会で行革特別委員会というのが本院にも設けられまして、そこで一括して法律が制定されました。担当は行政管理庁長官が御担当だったと思います。そこで、この問題は、扱いいかんによっては政治不信にもつながりますし、それから、今進めようとしている教育改革にも重大な影響があると私は思いますのでお尋ねいたしたいのですが、法律ができて実施になってまだ二年そこそこですね。その段階ですから、政府は当然あのときの法律というものは今後も遵守していく、それから、そのときの公約は当然守っていくという態度であるべきだと思いますが、行管長官、いかがでしょう。
○後藤田国務大臣 御質問の点は、御案内のように五十九年までの時限立法ということになっておりますし、現在まだ進行過程でございますから、政府としては現行法に従って措置をしていく、こういうことでございます。
○湯山委員 大蔵大臣、いかがですか。
○竹下国務大臣 私も当時、湯山さんと同じように委員の一人でございましたが、今政府の立場にあって申し上げることは、後藤田行政管理庁長官からお答えしたとおりだと思います。
○湯山委員 文部大臣はいかがですか。
○森国務大臣 第五次教職員の定数改善に関連しての行革関連法のお問い合わせだろうと拝察をいたしておりますが、今行政管理庁長官がおっしゃったように、三年間抑制をしていくというその方向に私どもも従っていくというふうに考えております。ただ、その定数改善についてはいろいろと工夫をしていかなければならぬと考えております。
○湯山委員 そうすると、後藤田長官、あのときの法律によって、たくさんありますけれども、厚生年金、共済年金等の国の負担分は四分の一減額措置をする、それは三年間だ、それから第五次学級編制及び教職員定数改善、代表的な二つを挙げれば、これも三年間は抑制する、しかし六十年度からはもとに返す、これは今もそのとおりですね。
○後藤田国務大臣 あの特例法は、財政再建が五十九年度までに特例公債依存体質から脱却するということで、臨時特例の法律としてやったわけでございますから、その中に今御質問の四十人学級あるいは厚生年金の国庫繰り入れの削減とか、かさ上げ補助金についての抑制とかいろいろ決めておりますが、いずれにせよ、これは五十九年までということになっておるわけでございます。したがって、現時点においてはそのとおりやっていく。 しかし、御質問の中の四十人学級の方は、あれはたしか六十六年じゃなかったですか、それまでに四十人学級の施策を完全に実施する、こうなっておりますね。しかし、その旗はおろしておらぬわけですから、そこらを五十九年度以降六十年度からどうやるかということは、最近の財政の厳しい状況あるいは「経済社会の展望と指針」等の関連もあり、私は、これから先の検討しなければならぬ課題であるとは考えておるのです。もちろん、政府としてはでき得る限りは四十人学級等はやった方がよろしい、こう思いますけれども、一方、今言ったような事情がございますから、この時点でお答えできるのは、やはり六十年以降の問題については検討の課題である。別段、政府はうそつくわけじゃありませんけれども、厳しい状況でございますから、そこらを御理解しておいていただきたい、かように思います。
○湯山委員 後藤田長官の御答弁は、そうですね、七十点ぐらい、あと三十点ほどが抜けておるのです。というのは、今ので、六十六年が終期でそれまでには必ずやる、これはあのときかたく約束なさいました。それは守っていくというのですから、合格点は合格点。初めが違うのです。というのは、本来、施設その他で関係のない全市町村ではもうスタートしてないといかぬ。それを三年据え置いたから、あのときの質問で六十年からは、六十年には四千何ぼ、それから六十一年には幾らとまで発表したわけです。そういう計画まで言っておるのですから、そこを抜きにしてあとはどうでもいい、おしまいさえというと、それはちょっと違うわけですから申し上げたわけです。 さて、大蔵大臣、六十年から公債の現金償還、そのための法律を今用意しておられますね。だから、当然共済や厚生年金の問題は、どうせ元利に運用益までつけて返すというのですが、いつから返すという約束はなかったのです。だから、それは返すのがおくれるのはやむを得ないとしても、あるいはまた同じ条件で一年延びても直接影響はありません。しかし、四十人学級はそういうわけにいかないのです。来年は義務教育は子供の数が減ります。そこでどうなるかというのは大変な心配ですし、採用試験は夏が多いのです。ですから、普通のように十二月になって、一月になってこれをまた一年延ばすというようなことをされたら、これは大変な迷惑。まして教育改革を進めようというときに、これを延ばすようなことがあってはならないと思うのですが、竹下大蔵大臣は、公約ですからそれは守りますということをぜひ明らかにしていただきたいし、後藤田長官もそのことをここで明らかにしていただきたい。
○竹下国務大臣 四十人学級の問題は、ちょうど私が大平内閣の大蔵大臣をしております当時いろいろ議論の末、十二年間と、当時私どもなりに言えば芸術作品をつくったような気がしておりました。そうして今度は湯山さんと一緒にこの委員会におって、あの財特の委員会で今おっしゃたような経過になった。また今大蔵大臣になっておりまして、財政当局としては、財政上の問題につきましては、それはやはりその時点で総合勘案して検討すべき問題であるという以上のお答えはちょっと無理だな、こう思っております。 ただ、先生おっしゃるように、採用試験とかいろいろなことが、私、素人なりにもわからぬわけではございませんので、それらの事情は理解できる問題でございますけれども、やはり財政状態厳しい今日、まさに総合的検討課題であるという以上のお答えは、今の時点、財政当局としては難しかろうというふうに考えます。
○湯山委員 後藤田長官、またこれを延長するのは、法律出さぬといかぬでしょう。法律出すのなら、また行革特別委員会をつくってやらなければいかぬですね。そんな余裕がありますか。
○後藤田国務大臣 今大蔵大臣が申しましたように、私も当時自治大臣でございました。やはり大蔵省も自治省も、財政当局は率直に言って大変渋ったんです、これは。しかしながら、大蔵大臣が今おっしゃったように、私自身も四十人学級にすべきであるということで、財政の事務当局に御辛抱願って四十人学級制度に踏み切った経緯がございます。それだけに私は、教育の問題がどれぐらい重要であるかということは、もう百も承知の上でございます。 しかしながら、他面、その後の世界の同時不況、日本のこの経済界の不況、したがってまた財政のにっちもさっちもならぬような今日の状況を踏まえますと、大変重要な課題であるということを前提に置きながらも、やはりそこは何らかの検討をしなければならぬ事態になるんじゃないか、私はそう思っているんです。しかし、基本は教育に重点を置いて考えるべきである、こういうふうには考えておりますが、今の時点で、これはもう五十九年度で終わりだから、予定どおり六十六年までに完全にやってしまうということになるのかならぬのか、そこらは教育の改革の問題も出てきておりますしするので、いろいろな状況を考えた上で、私は検討させていただきたい。ただ、私の基本の物の考え方だけはぜひ御理解をしておいていただきたい、こう思います。
○湯山委員 後藤田長官、六十六年完了というのは、あれだけはっきりした約束です。しかも、前を三年動かしても大丈夫です。私はまだ余地あると思うんですよ。あの当時の計算に比べたら、子供の数うんと減っています。だから、文部省もそういう含みがあったから、あのとき簡単にのんだんだと思うのですけれども、それがありますから、六十六年動かすなんということは絶対あってはならぬと思うのですが、もう一遍。それまで検討するなんて言われたら、これはもう開き直らぬといかぬし、総理を呼んでこぬといかぬ。
○後藤田国務大臣 私は、六十六年度を延ばすと言っているんじゃないのです。そうじゃなくて、中身にいろいろなやり方もあるだろう、そこらはお互いに知恵を出して検討したらどうだ、こういうことを申し上げているんです。
○湯山委員 竹下大蔵大臣、六十六年、これが動くようなことはないでしょうね。
○竹下国務大臣 これからどういうふうな議論になりますか。当時、ちょうど自民党の文教部会長が今文部大臣の森さんでした。私は、大体相撲でも強いのは大部屋で育つから、我々の時代の六十人学級ぐらいの方が粗野な子ができていいじゃないかとかいうような議論もいろいろした結果あれを決めたわけですから、そのことは私も、今財政当局としても十分認識の上に立っていなければならぬという気持ちはございますが、五十九年の財政再建を言ってみればギブアップしてきた今日でございますから、どういうふうな工夫をしていくべきか、大変知恵を絞る課題であるというふうに理解をしております。
○湯山委員 後藤田長官、これもし延ばすのだったら、法律いつ出しますか。いつの、どの国会にかけるんですか。秋かけたんじゃもう間に合わぬのですよ。そうかといって、これは財政事情を特に考慮してというのだから、あとは大蔵大臣の査定で適当になるなんということは許されない。法律でやったことですしね。また特別委員会をつくってやらなければできないこと。これ、実際手続的にできないでしょう。おできになりますか、後藤田長官。
○後藤田国務大臣 私は、先ほど申し上げましたように、中身をいろいろな知恵を出してやるようにすれば何らかの道があるのではないか、こう申し上げておるんです。なければないで、そのときどうするかということを考えればいいことでしてね。
○湯山委員 では、後藤田長官としては、とにかく知恵を出し合ってやれるようにする、こういうことで。 それから大蔵大臣、それだけ御苦労なさって、それから前任者のことを言って悪いんですが、渡辺大蔵大臣も答弁に困ったんです。ただ、財政事情を考慮するというのは、計画の前から法律に書いてあるのです。それを何で改めてやるかと言ったら、やりやすいからというようなことで、言い直したり大変苦しい答弁をなさって、とにかく六十六年、これは守るんだからということで来たいきさつもあるので、今のようにやると、内閣の一貫性なんというものはないので、そんなことでは私は教育行革はできっこないと思う。だから、ここでは大蔵大臣、ひとつ腹たたいて、六十六年は守りますとぜひ言ってほしいんです。いかがですか。
○竹下国務大臣 今そのことは、私どもも大変苦心して、十二年という、六十六年までというのが大変な知恵だったな、そういう述懐を私もしたことがございます。 それで、特例法審議の際には、おっしゃるようにこれ三年ストップしても、ストップじゃございませんが、抑制してもやれるなという問答、いろいろ私も聞いておりましたが、この期に及んで、その後の政策転換は何があったかとすれば、五十九年度ギブアップしたということは一つの政策転換、これはなかんずく財政当局の立場からいえば大転換の一つであった。それもやはりちゃんと念頭に置かなければなりませんので、十二年というような案が出たような知恵がもう一遍出ないものかな、こういう気がいたしますが、素人でございますので、知恵と言っても私が出したわけじゃなく、それこそ森文教部会長や総合してお出しになった知恵でございますから、よく検討さしていただきます。
○湯山委員 森文部大臣、あなたはあんな答弁を聞いて黙っておられる筋合いはないと思うのです。大体十二年は長過ぎる。それを三年後見直して短縮するという提案は、あなたの党が委員会でしたんですよ。今の政務次官ですかね、がしている、あなたが責任者で。それは子供の減り方なんか考えたら、あのときに九年でもできたんです。そういう状況であった。そこで三年後見直すというので、このことについては鈴木総理も本会議でちゃんと約束しておるんです。もっと短くしたらどうか、そうしたら、決議によって三年後見直すことになっておりますからそのときに配慮するというので、これは三年後見直しで縮むはずになっておったのが、この行革で逆に三年間据え置かれたいきさつがある。 ここで一つ子供たちは大損害を受けておる。何も文部省が受けたとか我々が受けたんじゃない。子供たちが被害を受けておるんです。それをまた三年間我慢して、十二年だから六十六年やむを得ぬというところへ来ておるのに、ここで文部大臣がもたもたした答弁をするようであれば、あなた自身の教育に対する信念、誠意、こういうものが飛んでしまう。だから、あなたのために心配して、今大蔵大臣にもきついことを、行管長官にもきついことを言っておるのは、あなたのために言っておるんですよ。あなたを通して、全国の子供のために、不幸に陥る、落ちこぼれになるその子供のために言っておるんですから、これを小細工してどうこうしてというのはあなたは言えぬ立場だと思いますが、どうですか。
○森国務大臣 四十人学級につきまして先生方に大変御心配をいただいておりますことに対して、教育行政を預かる文部大臣としては大変敬意を表する次第です。 大部屋、小部屋論いろいろございましたけれども、当時党の文教部会長という立場で、四十人がやはり一番いい、こう思って、私ども信念を持ってこの政策を掲げてきました。たまたまあそこにおられます厚生大臣も当時文教委員で、定数改善に関する小委員会の小委員長もされています。そういう意味で、お互いにみんながそれぞれの立場にありますけれども、教育のことを最も大事に考えておる内閣でございます。 そこで、今大蔵大臣、行政管理庁長官も、いろいろと財政を預かるというお立場の中で大変苦渋に満ちた御意見を述べておられます。私どもは何度も申し上げておりますように、六十六年までのこの全体計画はあくまでも守っていきたい、そして達成期間は絶対に変えない、こういう考え方は今でも厳然どこの国会でも申し上げておる次第です。ただ、先生も御専門家ですから、これからの中で先ほどもお話がありましたように、子供たちの数も減っていくことでもございますし、六十年の問題をどうするのか、そして六十年から六十六年まで、その後どうするのか、こういう問題も分けて考えていかなければなりませんが、いずれにいたしましてもこの問題を最後まできちっと計画変更のないように工夫を凝らしてやっていきたい、このことだけは先生方へも明言をしたいと思っております。
○湯山委員 大変御立派です。そうでないといかぬと思うのです。 なお文部大臣、もう一つ言います。まだこれはけしからぬですよ。五十七年に同然増五百人削ったのです。こんなことまでしたのです。私は、これは許せないというので、これは竹下大蔵大臣になってからでしょう、その五百人は返してもらいました。私は非常にこれはよかったと思うのです。そんな非道なことまでしょうとしたのです。今度また同じようなことですよ、もし一年これを送るというようなことになれば。 それから、文部大臣に御注意申し上げますけれども、配置率の改善でとかなんとかというようなことをちらっとおっしゃったけれども、計画は一体のものです。それを、四十人の方はおいて配置率だけどうとか、そんなことは通じません。それはまさに自然増まで削ってこっちへ回したのと似たようなことで、そういうことは通じない。あなたが今言われたとおり、まっしぐらに行くというしかないのですからしっかりわきまえていただくのと、後藤田長官も、これは変えるといったら大変ですから、法律改正から何から。竹下大蔵大臣も、現金償還について今から手当てしておるのに、もう急になって、ことしの臨時国会じゃ間に合わない、まして通常国会でこんな一括して出されたって、それはもう間に合いません。そんなことでは教育破壊ですから、その辺を御配慮の上で、ひとつ今文部大臣が言ったことが守り抜けるように御尽力いただきたいと思います。 〔原田(昇)委員長代理退席、委員長着席〕 以上で、お二人への質問を終わります。 もう時間がありませんけれども、せっかくですからぜひ、厚生大臣と文部大臣、幼保一元化の問題ですね。幼保一元化の問題について、総理も今度教育臨調というのを内閣へ持つという理由の中で、幼稚園は文部省、保育所は厚生省というようなことが内閣へ置く理由、文部大臣もまた同じように、幼保一元化は厚生省との調整が必要、そのために内閣を挙げて取り組む必要があるので内閣へ置くことに賛成だというふうに述べておられます。 これは、役所の縄張りはそうかもしれぬけれども、実態はそんなになってないと思うのですよ。それは昔は、農繁期の季節保育所なんかありました。これは別です、今そんなのないのですから。高知県なんかは保育所がうんとふえて、保育所が三百四十。幼稚園は七十しかありません。収容しておる子供の数も、保育所が二万七千何がし、幼稚園はそれに対しては七千しかない。だからいずれも、保育所にしても幼稚園にしても、今日子供たちの育っていく地域センターの役目を共通にしている。だから、ひどいのになりますと、役所が来るとうるさいからというので、視察のときには幼稚園と保育所の間、垣を立てまして、ちゃんと別にやっておりますというような例もあるのです。それがあるかと思うと、両方意地を張って、両方へ顔を立てて、近くに並んでいる幼稚園と保育所で、幼稚園は自己炊事、保育所は村の共同炊事、全くこれは区別する必要のないような状態が現にあるのです。 ただ、問題は役所だけなんです。縄張りだけ。この話が内閣挙げて取り組まなければ解決しない問題ですか。文教におられた厚生大臣、そして文部大臣、一緒にやっておられた二人が話せば片づく問題じゃないのですか。 このことについては、少し学問的なことを言えば、比較動物学でも、人類というのは知恵が発達して道具を使って言葉も使う。高度に発達する、それまで暇がかかる。哺乳類の中で、生まれたときに最も未熟なのは人類、最も弱いのも人類、だから長い教育期間が要るわけです。そのことは生まれたときから始めなければならぬ。そういうときに、今日なおまた幼児については、さっきもちょっとありましたけれども、例えばけがしやすいという原因は必ずしも体が弱い——その生活から来ているというようなこともありましたし、自我形成の時期もおくれている、第一次反抗期がないのもたくさんあるというようなことも言われています。幼児期というのが性格形成の時期だというのは、もうお二人ともよくおわかりのとおりなんです。 そこで、時間がありませんから結論的にお聞きしますけれども、こんなのは教育臨調の問題じゃなくて、現場はその対応で今のようにどちらもほとんど同じです、やっておることは。こうなれば、お二人で協議して、総理大臣や何とかいう今度できるものの手を煩わさないで、ああ森、渡部両大臣のときにこうなったんだ、後世に残る。本当に厚生大臣、これは子育ての地域センターという理解に立ては、お若い二人が話せば私はできぬ問題じゃないと思うのです。どうですか、これはおやりになるべきじゃありませんか。
○渡部国務大臣 大変に温かいお言葉をちょうだいしたのでありますが、ただ、保育所は家庭の保育のお手伝いをするという目的でつくられており、幼児教育を目的とする幼稚園とはその目的、機能を異にしております。 開所日数にしましても、幼稚園が二百二十日に対して、保育所は三百日。また対象とする子供も、幼稚園は三歳児から五歳児でありますが、保育所はゼロ歳から五歳まで。また開所している時間にしましても、保育所は八時間で、お母さんがお勤めに行くときに子供を預けて、お勤めを終わって子供を引き取っていくというようになっておりますが、幼稚園は四時間であります。 そういうことから、今日の社会条件はますます若いお母さんが昼間職場に出て子供を見られないというような状態でありますから、確かにその内容等については非常に重複している面がございます。類似している面も出てきておりますけれども、一概にこれは一元化するというふうにいくものかどうか、いろいろ今日の社会条件等を考察していかなければなりませんが、いずれにしても先生おっしゃるように世の中でむだになっておるようなことはいけませんから、お互いによく十分連絡をいたしまして、文部省とよく連絡をいたしまして、そういう御批判におこたえできるようにしてまいりたいと思います。
○湯山委員 まだもう一言私、言わぬといかぬから、簡単に。
○森国務大臣 五十年に行政管理庁の勧告を受けまして、両省で御承知のとおり学識経験者によるものができました。それでも結果的には先生御承知のような経緯でございます。したがいまして、先生御指摘とお力、私と渡部厚生大臣が話し合って決められるには、厚生省、文部省両方とも歴史やすそ野のいろいろな関係者がおられる、そういう中で私ども二人だけで物を決めるということは、これはやはり不可能だと思います。 ただ、私はこれは一元化すべきだというふうに考えておるのです。そして、その一元化した形の中で両方のノーハウを上手に使い分けていくやり方があるのではないか、私はこう思っております。 ただ、就学就園年齢とかそういう社会全体、教育全体の過程の中から見ていくという面を見れば、もう一つ新しい角度や高い次元から見ていく必要があるのではないか、そういう意味では、新しい機関にこのことも検討してもらう課題としては私は間違ってはいないのじゃないか、こんなふうに思っております。
○湯山委員 もう一言。 厚生大臣の言われることもわからぬことはないのですけれども、しかし、保育に欠ける子供というのとそうでない子供と差別できるわけです。それから、幼稚園は親の選択で行くわけで、ここらへそんなに、今申し上げましたように、幼児教育というのは大事だというときに、差別のない形態——時間なんかの問題は解決の道はあります。時間の問題も解決の道はあるはずです。そういうことを考えていただいて、本当にここらでこの問題処理しなかったら、いつまでたっても厚生省は保育にかける保育に欠ける、いつまでも垣根つくらないといかぬような、こういうことが続きますから、名前なんかも保育所の保育を残して、幼稚園の園をとって保育園とすればちゃんといけるわけで、できておるのですから、ひとつぜひ今のことで精いっぱい御努力願いたいと思います。もう一遍厚生大臣御答弁を、そのとおりやりますか。
○倉成委員長 簡潔に答えてください。
○渡部国務大臣 先ほど申し上げましたように、幼稚園、保育所はそれぞれの目的、機能を持って、今日までの長い歴史があるわけでありますが、いずれにしても、これは我々の大事な大事なかわいい子供さんの問題でありますから、よく文部省と連絡をとりまして、機能的にこれがこれから運営されて行くように努力をしてまいりたいと思います。
○湯山委員 では、終わります。
○倉成委員長 これにて湯山君の質疑は終了いたしました。 午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。 午後一時三分休憩 ————◇————— 午後一時三十二分開議
○倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。岡田利春君。
○岡田(利)委員 本予算委員会で対ソ外交について多面的な角度から質問が行われて、外務大臣からは積極的な対ソ外交の展開、いわば日ソ関係の改善についてそれぞれ答弁がなされておるわけであります。 それに関連しまして初めに二、三お聞きいたしたいと思うわけですが、外務大臣の日ソ関係の改善への政策の展開というものを別な角度から分析をしますと、やはり西側陣営の一員としての対ソ外交の展開、いわば東西問題の新しい展望を切り開く、こういう中に位置づけられることは当然ではなかろうかと思うわけであります。そういたしますと、やはりレーガン大統領が既に演説でも明らかにしておりますように、一月十六日に積極的な米ソ首脳会談についての呼びかけを行っておるわけでありますから、外務大臣の我が国の日ソ関係の改善への方向というものは、究極的には東西問題を打開する米ソの首脳会談の実現というものを一定の目標に置いて日ソの関係改善の政策を展開する、こういう立場に立っておるのかどうか、この間の御説明を願いたいと思うわけです。 〔委員長退席、原田(昇)委員長代理着席〕
○安倍国務大臣 日ソ関係につきましては、基本的には我が国としましては、御承知のようなやはり体制の違う国々とも仲よくしていくという平和外交をとっております。したがって、隣の国ではありますし、これはいかなる事態があってもこの関係を良好に保つというのが外交の、特に日ソ関係については基本ではないか、こういうふうに思うわけですが、残念ながら領土問題その地やはり根本的に意見が合わないところがあります。ありますけれども、やはりそういう基本の姿勢は持って対ソ外交を進めていかなければならぬと思うわけでございます。 同時に、今お話しのように、西側全体が東西関係という枠組みの中でソ連との間で話し合いとかあるいは緊張緩和とかを進められることが日本としても大変好ましいことである。日本としてもそのための努力というものは、それにプラスになる点はやっていかなければならぬと思うわけでございます。そういう中でもやはり一番中心は米ソですから、その米ソが今のような状況で核軍縮の交渉も中断している、こういうことでは困るわけでありますから、何とかこの核軍縮交渉が再開されるという方向へ向かって米ソが歩み出すということが極めて大事なことであろうと思うわけでございます。それに向かって米ソ両国がいろいろな努力を重ねていき、またアメリカ等もそうした方向で外交的な努力を行って、最終的には米ソの首脳会談というようなことが行われれば、これは今の国際的な緊張、東西の緊張を緩和する上においては非常にいいことじゃないかな、そういうふうに思っておるわけであります。
○岡田(利)委員 外務大臣は質問に答えて、いろいろこれからの日ソ関係改善に資するための政策の展開について述べられておるわけであります。 そこで、今西欧諸国では、既にサッチャー首相がハンガリーを訪れたり、あるいはまた西ドイツのコール首相あるいはイタリアの首相も引き続きハンガリー訪問外交を展開する、仏ソ間には長期経済技術協力協定が今日締結をされている、いわば西欧諸国の東欧外交の展開が非常に積極的になってきておるのであります。そうしますと、これから日ソ関係を改善していくという政策の展開に当たって一定の処方せんというものがもうほぼでき上がっているのではないか、私はこういう感じがするわけであります。 例えば、先般、衆議院議長に対してソ連の国会議員団が訪日をしたいという正式の申し出があり、これを受け入れるとすれば、当然従来とってきた人的交流の制限についても解除をするという明確な方針がなければ難しいのではないかと思うのです。そういう意味で、今まで幾つかの制限的な条項が設けられておるわけでありますが、これらに対して一体、一つ一つどういう緩和措置をするのか、あるいは制限を撤廃するのか、こういうことがぴしっと決められていないとなかなか政策の展開は難しいのではないか。特に高級事務レベルの交渉が来月行われるわけでありますから、そういう内容がもう整理をされていなければならぬと思うのでありますが、いわば対ソ関係改善の処方せんをこの機会に示してもらいたいと思うわけです。
○安倍国務大臣 対ソ関係につきまして、これの最終的な理想は、やはり何といいましても領土問題を解決して平和条約を結ぶということであります。これについての日本の考え方は変わらないわけでございますが、残念ながら領土問題については、日本とソ連との関係が全く考え方が対立しておる、こういうことでございますが、日本としてはソ連とは今後もしばしば話し合って、そういう中で何とかソ連をテーブルに着ける、領土問題についての論議のテーブルに着けるというための努力をこれからもこれは腰を据えてやっていきたいと思うわけでございます。我々はそういう基本的な立場を持っておるわけでございます。 同時に、やはり日ソ間は隣国関係にあるわけでございますし、そういう中で、領土問題だけの関係ではありません、今我々一つの心配を持っておりますのは、ソ連の極東における軍事力の増強でございます。何のためにソ連が増強をしなければならぬか、そういうような問題についてやはり日ソ間でも話し合って、そうして意見を交換する、議論をするということも、これは二国間ということだけじゃなくて、極東あるいは世界の平和、安全という面からも、意見の対立があっても話し合っていくということが大事なことじゃないだろうか、私はこういうふうに思うわけでございます。 その他経済の問題、あるいはまた人的交流の問題等も、あるいは文化交流等の問題もこれまでもやってきておりますが、今完全に冷え切った状況でございますが、そういう点についてもぼつぼつ話し合いを再開をしていくということは、今度の高級事務レベル協議でもやるわけでございますが、しかし対ソ措置については、これは西側全体でとってきたわけでございますから、やはり西側全体で一つの話し合いというか枠組みを持っておりますから、そういう西側の連帯という中でこれから対応していかなければならぬと思います。しかし私は、対ソ措置の中でも日本がそれなりに判断をして、そして日ソ関係の改善といいますか、あるいはまた話し合いを、対話を進めるという意味において日本がやれる道もあるのではないか、こういうふうに思います。例えば今の民間の交流、特に議会間の交流というようなことは、これは今までは大変困難な客観情勢にありましたし、その客観情勢の枠組みは変わっておりませんけれども、もうそろそろこの辺のところにも一つの道を開く努力をやはりしなければならぬのじゃないか、こういうふうに思っておるわけであります。
○岡田(利)委員 今大臣の言われておることをずっと整理をしてみますと、人的交流制限というものは実質上撤廃をしていくという方向で対処をしたい、また、特に軍事力のソ連側の増強にかんがみて軍縮に関する協議をソ連との間に継続的にしていきたい、あるいは貿易の面では、中断になっている年次貿易会議等も開いてその面の打開も図っていきたい、民間関係については、ソ連のジャーナリストとかあるいは有識者、これらの交流あるいはまた日ソ映画祭の開催とか、こういう一連の面について今までの制限を撤廃をして関係改善に資していきたい、具体的に言えばこういうことを指しておられるのかどうか、承っておきたいと思います。
○安倍国務大臣 大体いまおっしゃるような方向でこれから努力をしたいと思うのですね。ただ経済については、これは日本の場合においては民間が中心でありますし、経済の交流あるいは経済の会議が行われることについては、政府としてもこれについて何ら口を挟むものでもありません。 いずれにいたしましても、この日ソ関係では、領土問題あるいはまた軍備増強といった非常に厳しい対立もありますが、そういう中で、今おっしゃいました、また私が申し上げましたような方向では対話が進められる、その点はやはり我々はやっていかなければならぬのではないか、やることが必要じゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。
○岡田(利)委員 経済関係の分野の面で今までとられた西側のいわば対ソ経済制裁措置、この経済制裁措置というものは一体どのような効果をもたらしておるのか。日本としてこの対ソ経済措置について一定の総括が行われていなければならない、私はこう思うわけであります。したがって、対ソ経済措置、西側陣営がとった経済措置というものはどのよう次結果を示しているのか、それを我が国は一体どう総括をしているのか、この機会に承っておきたいと思います。
○安倍国務大臣 後で局長からも答弁させますが、西側全体がとったソ連に対する経済措置、対ソ制裁措置とも言えるわけですが、これは御承知のように、アフガニスタンに対するソ連の侵略に対して、これに反省を求めて撤兵を求めるというための西側のとった措置でありますし、あるいはもう一つは、ポーランドにおける事態の悪化にブレーキをかけるというための措置でございますが、現実的にはアフガニスタンの状況は改善はされておりません。また、ポーランドにおきましても、多少緩和されたとはいえ、まだまだ厳しい状況にもあるわけでございますが、しかし私は、西側全体が結束をしてそういう措置をとったことによりまして、それ以上事態を悪化させなかったという面における成果というのはあったのじゃないかと思うわけでございますし、そういう中でようやく東西関係あるいはまた米ソ関係が、ソ連の新しい政権の誕生というようなことがあって、どうにか対話を始めようという空気が出たことはそれなりの意味があったのじゃないだろうか、こういうふうに考えておるわけであります。
○西山政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げましたことにつけ加えることは特にないわけでございますけれども、あえて申しますと、西欧諸国は全般といたしましてココムにおける規制の強化で協力をする、それから対ソ輸出についてOECDのいわゆるガイドライン、これを厳格に適用していこう、おおむねこういう二本の柱を中心に共同の措置をとってきたわけでございます。アメリカだけは非常に厳しい措置をとっておりまして、事実上一九七二年の貿易協定をほとんど停止するに等しいような措置をずっと続けているわけでございますが、一般的に言いますと、そういうことでございます。 その効果につきましては、先ほど大臣が申し上げましたとおり、西側の反応を一致して示し得たというところに大きな意義があったと存じます。
○岡田(利)委員 アメリカの上院でも対ソ経済措置についての証言が行われて、これは逆にブーメラン現象が起きてあながち当初考えたような効果を上げていないということがしばしば証言もされておるわけであります。同時にまた、ここ数年の間の動向を見ますと、対ソに関する西ヨーロッパのプロジェクト参加が、ウラルを越えていわば極東の方向にどんどん進出をしてきているという傾向が目立つのであります。私の資料の中でも交渉成立案件として八件あるわけですが、これはアメリカ、スウェーデン、フランス、スウェーデンあるいはまた、フランスが多いですね。それからカナダとか、こういうプロジェクトにそれぞれの国々が参加をして、既にこれはもう実行に移されておるわけであります。あるいは現在五件程度の交渉が行われていて、ウドカンの銅鉱山の開発についてはフランス、西ドイツ、イギリスが参加をする、こういうことで交渉が今行われておりますし、バム鉄道関連の建設の開発についても西独、フランス、イギリスが今日交渉中であるわけです。あるいはまたそれ以外にメキシコ、スウェーデン等も新しいプロジェクトについて今交渉を行っておるという状況にあるわけであります。これらすべてウラルを越えて極東に存在するプロジェクトにこれらの国々が参加をしているわけですね。 我が国の場合には経済制裁措置をとっておりますから、この折衝すらも行っていないのでありますが、この内容を検討すると、いずれも制裁措置以前に日本にも話のかけられた内容なんですね。こういう点を一体どのように総括をされているのか、承っておきたいと思うのです。私は、もちろん今日エネルギーとか資源の場合には、日本の場合非常に豊富に安定的に供給確保ができますし、あるいはまた資源についても同様な状況で、それぞれの企業のエネルギーや資源に関する対ソ関係の熱意というものは非常に冷え込んでいるということはわかるのでありますけれども、こういうプロジェクトに一体どう対応していくのか、そういう面を含めてひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
○安倍国務大臣 確かにソ連に対しては西側全体として先ほど局長が申し上げましたような経済措置をとって今日に至っておるわけでございます。そして日本もそうした中の一環として、同時にまた日本としては領土問題というものを抱えております。したがって、ソ連との経済問題を話し合う上においてもいわば政経一体という形でソ連と話し合ってきておりますし、またプロジェクトについてのそういう立場での協力等も行われて今日に至っておりますが、その場合にはやはりケース・バイ・ケースでやっておるわけでございます。相当なプロジェクトも日ソ間で進められております。 ところが最近、お話しのようにヨーロッパが大変進出をして、そしてウラルを越えて東の方まで出てきている、そういう面も確かにあると思うわけでございますが、これは必ずしも、そうした日本の措置が強力であって、そして日本の方がそういう問題に対して非常に後ろ向き、ヨーロッパよりは後ろ向きであるからこれをとれないということだけではなくて、それではなくて、むしろヨーロッパの通貨が弱いということもあって、最近の状況あるいはまた競争条件等が、やはりヨーロッパの方が相当——これはソ連だけじゃなくてアフリカその他の諸国に対してもヨーロッパは非常に積極的な攻勢をかけておりますが、相当にやはりヨーロッパが攻勢をかけた、その結果としてヨーロッパ諸国が受注をするということになっているように私は聞いておるわけでありまして、何かヨーロッパと日本で特に日本がむしろアメリカと一緒になって非常に強硬な措置をソ連にやっているからということではない、日本の場合もケース・バイ・ケースでやっているわけですから、しかし日本の場合はもちろん政経一体という立場があるわけですから、ヨーロッパと比べて日本の場合が非常に条件が悪いということではないように私は承知をいたしておるわけであります。
○岡田(利)委員 これは大臣の認識、ちょっと違うのじゃないかと思うのですね。継続的な三つのプロジェクトはもちろん継続的にやっておりますけれども、新たな面については、我が国は経済制裁措置としてバンクローンの供与、これを認めていないわけですね。ですから、もしやろうとしても、バンクローンの供与がなくては参加できないわけでありますから、結果的に参加できないということになっておるのが現状ではないでしょうか。いかがでしょう。
○西山政府委員 一九八〇年、いわゆるアフガンをめぐりましての対ソ措置が発表されて以来、実は我が国の貿易は年々ふえておりまして、実に八二年には戦後の日ソ貿易の最高額であるほとんど五十四億ドルに達する額に達したわけでございます。八三年、それが二三%減少いたしましたけれども、これは主としてそれぞれの経済的な要因から引き起こされたと見られることが多うございまして、政治的な影響の結果そうなったというふうには私どもは考えていないわけでございます。 したがいまして、そういう現象を見ますと、ただいま先生御指摘ではございましたけれども、その措置の結果といたしまして経済交流が減少したというふうには私どもは見ておりませんで、現実に、先ほど大臣から御答弁がございましたように、ケース・バイ・ケースで我々はクレジットの供与も行われているというふうに承知しております。
○岡田(利)委員 バンクローンは供与しておるのですか。
○西山政府委員 バンクローンも出ております。
○岡田(利)委員 そうしますと、ケース・バイ・ケースであって、バンクローンについては従来同様に取り扱っているということですか。どうもその点明確じゃないですね。
○西山政府委員 政府は、先ほども申し上げましたとおり、対ソ公的信用供与につきましては、これはケース・バイ・ケースで慎重に検討するという方針をとっているわけでございます。検討の結果差し支えないものにつきましては現に輸銀融資が行われてきておりまして、融資停止が行われているということはございません。
○岡田(利)委員 今までの継続案件については、確かにそういう措置がとられてきておるわけであります。だから、その点については、私は今の答弁のとおりだと思うのですが、しかし新しい面については申請をしてもなかなか、ケース・バイ・ケースということではあるけれども許可にならない、こういう障害が非常に強いということを指摘をしておかなければならないと思うのです。 そうしますと、今度の対ソ関係改善については、さらに制限を緩めるとすれば、従来のかつて正常な状態と同じように信用供与、バンクローンというものが供与されていくんだ、一歩進んで供与される、そういうものが拡大されていく、こういう理解でいいですか。
○西山政府委員 こういう契約が成立いたしますためには、その前提といたしまして、民間との話し合いが先方当事者との間で進まなければ検討できないわけでございます。したがいまして、日本側の民間業界と先方との間で話がまとまる場合には、先ほども申し上げましたようにケース・バイ・ケースで検討してまいりたい、かように考えております。
○岡田(利)委員 大臣、今局長から答弁がありましたけれども、今度の大臣の政策展開の中にこの経済関係の、今までもケース・バイ・ケースということで表現されているのですけれども、ケース・バイ・ケースの場合でも緩められていくものだ、こういうことで理解してよろしいのでしょうか。
○安倍国務大臣 日本とソ連との経済の交流とかにつきましては、特に公的信用供与についてはケース・バイ・ケースというのが一貫した日本の政策でありますし、また経済問題についてはやはり政経一体という立場からこの問題に対処していくということもずっと終始一貫しておるわけでございますが、そうした基本的な姿勢の上に、基本的な原則の上に立って今後ともこの経済問題、経済協力等については、公的信用供与については取り扱っていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。そういう中で、現在日ソの関係が前よりは少し明るさが出てきたということは、こうした経済関係を進める上においても将来に一つの光明を点ずることになるのじゃないかという期待も持っておるわけであります。
○岡田(利)委員 きのう井上議員から質問がありましたけれども、今度ソ連は経済水域二百海里の宣言をいたしたわけですね。もちろん、この経済水域二百海里については我が国も賛意を表している内容でありますし、国際的にはもう常識化されておるわけであります。したがって、アメリカに続いてソ連が経済水域の二百海里の宣言をいたしたわけですが、ソ連の場合には隣国でありますから、この宣言というものは今後二国間協定の中に提起をされてくる可能性があると思うのです。 例えば今までも漁業専管水域二百海里という形で協定を結んでおりますけれども、今度は経済水域二百海里の中の水産物資源の問題とかいうことに私はなってくるのではないかと思うのです。そうしますと、もしソ連側が経済水域二百海里の協定を結びたいという意思表示がなされれば日本としてはこれを受ける以外にないと思うのですよ。したがって、これにどう対応するかということは非常に大きな問題だと思うのです、まして北方領土の問題もあるわけでありますから。あの二百海里のときに、鈴木農林大臣がモスクワから帰ってきて、国会に要請があって、そして領海法と二百海里法をつくったわけですね。そしてまた交渉に行ったということを振り返ってみますと、この問題については特に慎重に今から対応の準備を整えておかなければならぬのではないのか、こう私は思うのであります。そういう意味で、外務省はソ連の経済水域二百海里の宣言に当たってそういう心構えと準備に入っておるのかどうか、また一体どういう対応の姿勢でおるのか、承っておきたいと思うのです。
○安倍国務大臣 経済水域二百海里という世界の一つの流れは、これは避けては通れないと私も思います。日本も調印しましたが、海洋法の中でも経済水域二百海里というのは規定をされるわけでありますから、いずれはそういう方向へずっと流れていく、そういう流れをまさに先取りしたというのがアメリカとそれからソ連の今回の措置であったと思うわけでございまして、我々はこうしたやはり漁業秩序というものが、それから海洋秩序というものが海洋法を中心にしたやっぱり世界の話し合いという中で円満に行われることを期待しておるわけですが、残念ながら大国が先に先取りしてしまったということでございます。 そういう中で日本としてもこれに対応する方策を検討しなければなりません。今お話しのように、やはり日ソ間でも確かにこれからの課題としては経済水域二百海里の問題が生じてくる可能性は十分あるわけです。今、漁業と違いまして、じゃソ連が経済水域二百海里の中で何をするかとかそういうことはまだ何も出ておりませんが、しかし、いずれは浮上してくる可能性は十分あると思うわけでございます。幸いにして漁業水域二百海里の問題については日ソ間で話が完全についておるわけでございますから、そうした点等も踏まえまして、経済水域二百海里の問題については、日ソだけではなくてこれからのアメリカとの関係、さらに世界諸外国との関係について外務省としましても十分勉強をし、準備を進めてまいる考えであります。
○岡田(利)委員 アメリカは日本に直接関係ありませんからね。そうすると、ソ連、南北朝鮮それから中国、これが隣国でありますから、どうしてもその関係の経済水域二百海里の問題、この点は非常に重要だと私は思うのです。ある日突然、専管水域二百海里ではなくして経済水域二百海里で協定をしたいともし漁業交渉に出されてきたような場合には、大変な混乱を招くのだと私は思うのです。そういう点で、特にこの問題について今後日ソ間で接触も行われるわけでありますから、この点も含んでひとつ対応をしてほしいということを強く申し上げておきたいと思います。 特に、先ほど出ました日ソ間で進めている三つのプロジェクトのうち、その一つであるサハリンの石油天然ガスの問題でありますけれども、これはもう既にナショナルプロジェクトとして全部調査が完了したわけですね。後は今度は具体的な掘採に入ってまいるわけであります。だがしかし、サハリンの天然ガスを引き取る保証がなければ実際の開発には入ることができないわけであります。しかし、この話はまだ対応策が具体的に進んでおるという話は聞いたことがないのでありますけれども、政府としては、特に石油公団の膨大な資金も投入しておるプロジェクトでありますので、この開発着手についてどのような対応策を今日とっておるのか、そういう準備ができたのかどうか御説明を願いたいと思います。
○豊島政府委員 サハリンの石油天然ガスにつきましては、先生御指摘のようにもう既に五十一年から探鉱活動をやっておりまして、そのうちのチャイウォ、オドプトという二つの構造が有望だということでございまして、チャイウォにつきましては五十六年の末に探鉱終了以来、ソ連側におきまして埋蔵量の認定ということがございまして、五十七年の八月にはそれがわかったということです。現在、ソ連側では具体的な開発計画を検討中ということでございまして、どういう設備でどのくらいの金がかかる、それからさらに経済性といいますか、どういうコストになるかということを鋭意検討中でございまして、我々としましてはそれを受けて立つという立場にあるわけでございます。 ただ、国内的な準備はできておるのかということでございますが、開発資金その他についてどうするかということは先方ともいろいろと協議をしておるわけでございますが、現在までのところ、御承知のようにしNGにつきましては国内需要が一九九〇年、六十五年ぐらいまで大体既に合意済みのものでいっぱいということでございますが、このプロジェクト自身につきましては、交換公文を交わして政府も協力する、それから相当な金もつぎ込んでいるということでございます。したがいまして、ソ連の現在の検討結果フィージブルであるということであれば当然、従来既に約束済みといいますか合意したものより優先というわけにはいきませんが、そういう国家的なプロジェクト、国も相当金をつぎ込んでいるという認識のもとに、新しいプロジェクトの中では最優先的に取り扱うというコンセンサスを関係業界とも理解を得るということをやっておるところでございます。
○岡田(利)委員 その関係企業との話し合いは、大体この秋口ごろをめどにして結論が出るものでしょうか。
○豊島政府委員 先方の検討結果がどうなるかということもあるわけでございますが、このプロジェクト自身、いつ開発決定するかということにもよるわけですが、仮に一九九〇年ごろということになれば、ことし中くらいに結論を出さなくちゃいけないということと関連すると思いますが、そういう一九九〇年ということを仮に前提といたしますと、今年中には引き取り問題にも入らなくちゃいけない。しかし、その段階からおくれればもう少しおくれる、こういう関係になるのではないかと思います。
○岡田(利)委員 この機会に、関連がありますから通産大臣に承っておきたいと思うのですが、これは井上一成議員の質問で、通産大臣明確に答弁されなかったのですが、二月一日、通産大臣がボルドリッジ商務長官との会談の際に、中進国に対する設備援助の問題について意見が出たということが報道されたわけですね。そこで、その中で三つの点が指摘をされておるのです。 一つは、韓国の第二浦項製鉄所の問題、あとはシンガポールとサウジアラビアのエチレンの工場に対する援助、これは民間ベースでありますけれども、ここで私も非常に不思議に思うのは、エチレンについてはいま構造改善の対象の業種に指定をされて設備廃棄を行う、最近非常に好調なんですね。需要が旺盛でむしろ輸入もしなければならない。だから当初の計画よりも、フル運転をして今エチレン生産をやっておるのが我が国の現状で、輸出も非常に有望になってきておるわけですね。しかし、業界は依然として構造改善の業種として設備廃棄はしていくんだという方針は捨ててないわけですよ。そういう政策を日本の国内ではとっているわけですね。そして、一方においてはシンガポールにエチレンの工場約三十万トン生産規模、これが二月から稼働するわけですね。それからサウジアラビアに対しては、同様エチレンの五十万トンのキャパシティーの援助を民間ベースで行っている。これが稼働しますと八十万トンになるわけですね。 ですから、今の状況は、世界的に景気がよくなってきておりますから多少需要関係は旺盛でありますけれども、ちょっと緩むとまた過剰になるわけです。国内では設備廃棄をする。我が国はこういう政策をとっているわけですね。ですから、この問題についてはアメリカ側から指摘をされたのはむしろ妥当性を持っているのではないのか。ちょっと私は井上議員と違うわけです。むしろ妥当性を持っているのではないのか。 そういう意味でも、我が国として中進国に、これは民間ベースでいろいろ設備援助をしていくという場合に、従来と違った慎重に注意を払って検討した上でこれに対応するということが大事になってきたのではないのか、これからますますそういうことが厳しくなっていくのではないのか、こう思うのですが、政府のこれまでの方針をある意味で転換をするというか、シビアにこういう問題については扱っていくという姿勢を変えなければならぬのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○柴田政府委員 お答え申し上げます。 ただいま先生御指摘の二つのプロジェクトのうち、鉄鋼関係についてはアメリカ側から非公式にいろいろな場で懸念の表明はございますが、エチレンプラントについてはそういう懸念の表明はございません。 それで、考え方として答弁申し上げるわけでございますけれども、我が国といたしましては、この種のプロジェクトにつきましては従来から中進国の発展段階とかあるいは開発ニーズに応じて協力してきたわけでございます。特にエチレンプラントのようなものにつきましては、当該製品の需給状況等を踏まえたプロジェクトのフィージビリティーを十分調査をする必要があるわけでございまして、このフィージビリティー調査の段階で世界の需給状況等は十分考慮していくということが今後は必要であろう、そういうふうに認識しております。
○岡田(利)委員 ここで大蔵大臣に一問お聞きしておきたいのですが、ウィリアムズバーグのサミットの中で、通貨制度の改善に対する宣言が行われたわけですね。これを大蔵大臣は受けて、昨年九月に十カ国の蔵相会議でもこの問題を取り上げ、さらに十一月十七日の蔵相代理会議にこれが付託をされておるわけなんです。そしてまた日本とアメリカの間では、レーガン大統領の訪日に当たって円ドル問題の対策委員会が設けられて、今日お互いに協議が進められておるわけであります。これが恐らくロンドン・サミットにもこの問題は引き継がれるのではないか、私はそう判断をいたしておるのでありますけれども、問題は、変動相場制はもう十一年目を迎えるわけでありますが、そういう意味で通貨問題というのは一九八四年の大きな課題ではないかと私は思うわけであります。もちろんヨーロッパの場合には固定相場制への復帰という説も非常に強いのでありますけれども、アメリカはこれに対しては非常に別な姿勢をとっている。日本の場合には、固定相場制までには復帰をせいとは言わないけれども、余りにも円のフロートが大き過ぎるという点については、何とか一定の安定帯の中でフロートするような方向を求めたい、こういう希望があるようでありますけれども、正式に日本の政府の国際通貨に対する基本的な姿勢というものはどういう姿勢なのか。きのうあたり特に円も上がってきたわけでありますけれども、どういう姿勢でこれに対処しようとしているのか、その方針をこの機会に承っておきたいと思います。
○竹下国務大臣 今、岡田委員、きょうの夕刊の早坂を見ますとニューヨークで二百二十七円。五円といえば率直に言って相当な感じがいたしますですね。私どもは、その状態そのものは日本のファンダメンタルズを適正に反映しておるというふうに理解をいたしておりますが、結局、変動相場制のもとで為替相場の乱高下や行き過ぎが生じますと各国の経済、貿易に攪乱的影響を及ぼすおそれがあるということ、したがって円滑な経済活動を図っていくために為替相場の乱高下を防いで、少なくとも相場の安定化を実現していくことが大切であること、これは御説のとおりでございます。 ただ、ウィリアムズバーグでも議論し、そして蔵相会議、代理会議、これからも十カ国蔵相会議等で引き続き議論しなければならぬわけですが、いろいろ詰めてみますと、各国の間のインフレ率、それから経済成長率、経常収支、これに相当開きがございます。したがって結論から申しますと、このような情勢のもとで変動相場制にかえて新たな相場制度を採用することは困難であるというのが大筋の合意であって、私どももそういうふうに考えておることであります。 今、岡田委員おっしゃった一定の幅の中に抑えるような仕組みというものも特に専門家筋でよく議論される問題でございますが、今度はその幅をどういう形で固定するかということ、これがまた実際上非常に難しいということで、今日までで申しますならば、どっちかといえば専門家の有力な議論として出ながらも議論倒れに終わっておる、素直に言えばそういうことじゃないかなというふうに思っております。 今、ウィリアムズバーグ等で合意されて我々が考えているのは、先進七カ国で、人口こそ六億でございますから世界の一三%ぐらいでございますけれども、GNPで言えば五五%ぐらいあるわけでございますから、その先進国と称するものが、言ってみれば非常に整合性のとれた政策になるとそれが一番安定するのじゃないかというようなことで、基本的にはインフレなき持続的成長ということを念頭に置きながら経済運営をしていこう、そして一方では、やはり御指摘のありました行き過ぎがあった場合には必要に応じて各国が協調して介入をする、こういうような考え方でおるわけでございます。 でございますから、この問題は総じて言えば、今ああして歴史を積み重ねて十数年、その変動相場制にかわるべきこれだというものはない、したがって経済政策の調和を図りながら、一方、乱高下の場合は協調介入をしていこう、こういうことが結局日本を含む大方の先進国の現在の段階における合意だというふうに理解をしていただいた方がいいのかなというふうに考えております。
○岡田(利)委員 次に私、朝鮮の問題について二、三お聞きいたしたいと思います。まず初めに、今回の北朝鮮の三者会談のいわば提案について、この提案の内容が盛られておるわけですね。この提案の内容について日本政府としては具体的にどう評価しているのか、まず承っておきたいのです。
○安倍国務大臣 北朝鮮の三者会談についての提案は、これは正式にこの間行われたわけでありますが、日本政府としますと、時期から見ますと、ちょうどあのころにラングーンの事件が起こったりしまして、したがって、この三者会談というのはどこに真意があるのだろうかということをまず我々は疑っておるわけでございますが、しかし、その後アメリカからも四者会談が、さらに北からも中国との間の会談等もいろいろと聞こえてくるということで、やはり相当北朝鮮としては真剣に取り組んでおるというような気持ちはわかってきたわけでありますが、しかし、本当にどういうところにねらいをつけておるのかという点についてまだ十分理解できない点もあります。
○岡田(利)委員 三者会談を提案したというだけではなくして、提案の内容があるわけですね。いわば今度の提案は初めて南朝鮮当局者という表現を使って相手方を認めだということも画期的なことであるわけですね。あるいはまた、韓国側がこれまで主張してきた南北不可侵宣言については、これは北朝鮮側としても今度の提案の中に含まれて提案されているわけですね。これなんかも特筆すべき内容ではないかと思うわけであります。あるいはまた、朝鮮が唯一の正当な統一方式としてきた高麗連邦という面については、高麗というのを外して、非常に弾力的な態度をとってきている。柔軟性を持ってきた。あるいはアメリカの対韓投資については利権を正式に保障します、こう言い切っているわけですね。あるいはまた米韓両国からの提案も我々は討議をします、こういう特筆すべき内容が今度含まれておるということは非常に重要視しなければならないのではないかと思うのです。 そこで、先般もお聞きしたのですけれども、どうも外務省ははっきり答えないのですが、この三者会談というのは、非公式にはアメリカ側が第三国を通じていわば北朝鮮に提案しておったものである、このことは許タン政治局員の朝鮮の最高人民会議の報告で明確に述べられておることは確認されておるわけですよ。この点について外務省は知っているのか知っていないのか、知っている知っていないで結構なんですが、いかがでしょうか。
○安倍国務大臣 私もシュルツ国務長官と朝鮮半島の問題についていろいろと話し合ったわけでありますが、三者会談についてアメリカ政府自身が考えておったというふうなことは、一切説明はありませんでした。やはりアメリカとしては日本と同じ立場で、まず当事国が話し合うことが筋じゃないかということで我々の間は意見が一致したわけであります。
○岡田(利)委員 そうしますと、公式に提案がオープンされる前に、北朝鮮の方は中国の特使を通じてこの提案の内容については事前にワシントンに伝えられておったということについても外務省は御存じないわけですか。
○安倍国務大臣 これは聞いておりました。
○岡田(利)委員 そうしますと、事前にそういう連絡があって、この公式提案は、中国の首相がワシントンを訪れて歓迎パーティーのちょうど直前に公式にこの三者会談の提案を受け取った。そこで、急速いろいろ協議をして、歓迎パーティーの席上レーガン大統領から、中国を含める四者会談というものを提案した、こう伝えられておるわけであります。事前に伝えられておったとすれば唐突なことではないはずなんです。しかし、そのアメリカが即座に四者会談を提案したという意味は、特に日本側は何か説明を受けておりますか、受けておりませんか。
○橋本(恕)政府委員 御指摘の点につきましても、詳細に米国及び中国側から説明を受けております。
○岡田(利)委員 そうしますと、アメリカ側は四者会談を提案したけれども、これは三者会談を拒否したものではないでしょう。アメリカの上院における証言によれば、アメリカ側は、この三者会談の提案についてはいまだ検討を続けていると証言されておるわけですね。したがって、四者会談は提案したけれども、三者会談の北朝鮮の提案については、アメリカとしてはまだ検討中である、こう理解していいのでしょうか。
○橋本(恕)政府委員 レーガン政府のこの問題についての態度は非常に明確でございましてまず第一に、韓国を支持する。その関連におきまして、まず第一に、南北二者間の会談を支持する。その際に、アメリカが入っていくことによってうまくいくということであればそれもよろしい、つまり四者会談とか、こういうことでございます。御指摘の点につきましては、米国は、今回の北朝鮮の三者会談につきましては、これは先生まさに正しく御指摘のとおりに、四者会談を言っておりますが、北朝鮮の三者会談については、これはどんなことがあっても絶対に嫌だとかあるいは反対だという意思表示は現在のところいたしておりません。
○岡田(利)委員 レーガン大統領が十一月に訪韓をして、韓国の国会で演説をした際に、この問題については触れているわけですね。アメリカ側としては、韓国側を正式の代表として話し合いをするならば、いつでもアメリカとしてもその会談の場所に参加をするというアメリカ側の決意を国会の演説の中で述べていますね。それとの関連からいえば、一応形式的には、今あなたの答弁したように、南北の話し合いはまず支持をするということを前提として述べておるけれども、アメリカ側としては、それ以上に積極的に南北の会談を実現をして朝鮮半島の緊張を緩和していくという非常に強い意思表示が行われているものであって、あなたが答弁したような低いレベルのものではない、こう理解すべきではないでしょうか。
○橋本(恕)政府委員 私も、韓国の国会におきますレーガン大統領の演説を何回も読み返してみましたが、全文に流れる気持ちはまさに先生御指摘のとおりに、レーガン大統領としては、朝鮮半島における緊張緩和というのはもう何よりも大事なのだ、と。そのために——そのためという表現はございませんが、「アメリカの考え方として、大韓民国が同時に代表として参席する討論の場で行われる北鮮とのいかなる討議にも恵んで参席するでしょう。前進の必須的な道は南北間の直接対話です。」ということを明確に述べております。
○岡田(利)委員 先ほどから朝鮮問題について質問をしてまいったのでありますけれども、私は、このアメリカ側の一連の朝鮮接近政策というものは、一九八二年から二年間、系統的に取り組まれてきたということは間違いがないと思うのであります。そういう意味で、アメリカ側の決意というものは相当強い決意が込められておる、こう理解されなければならない、こう思うのであります。 同時に、これに対して韓国側は、少なくともアメリカの頭越し的な朝鮮接近政策に対して、直接証言ではありませんけれども、非常に不快感を持っている、こう理解されていいのではないかと私は思うのであります。それと、先般中曽根総理に私が質問した際に、中曽根総理の答弁の中で、日本政府としても、今度の朝鮮政策について、アメリカ側に多少不快感を持っているという感じを受けたのでありますけれども、この点はいかがでしょうか。
○橋本(恕)政府委員 先ほど先生も御指摘になりましたし、私も答弁申し上げましたレーガン大統領の昨年十一月の韓国の国会におきます演説は、これは全編を通じて流れております思想は、アメリカつまりレーガン大統領としては一貫して韓国を強く支持するという思想が流れております。それに対しまして全斗煥大統領も、アメリカの支持を喜んで受け入れるというような趣旨のことを言っておりますし、また韓国は、在韓米軍の存在を安全保障上非常に高く評価しておりますというようなことで、韓国政府がアメリカに対する、ただいま御指摘のような抜きがたい不信感を持っているというふうには私は考えておりません。
○岡田(利)委員 これは局長が答弁するものではないと思うのですけれども、まあいいでしょう。私はそういう感じを持っておるのであります。 そこで、この三者会談というのは、あのタイミングで朝鮮側がオープンするとはアメリカ側も予想していなかったというのが大体真実のように受けとめられるわけであります。したがって、アメリカ側としてはいま少し水面下で接触を重ねていく、あるいはまた中国絡みでこの問題を詰めていくというのがアメリカ側の本当の姿勢ではないかと思うのです。このままもし三者会談をやると、韓国と朝鮮との対話ではなくして、朝鮮とアメリカとの直接的対話、やりとりになる、このことが非常に懸念されるということがあるのじゃないかと思うんですね。そういうことがあるけれども、やはり三者会談というものは、そういう水面下の接触なり、中国を媒介として三者会談の実現の方向に進む、前進していくものである、このように我々は解しておかなければならないのではないか、こう思うのですけれども、いかがでしょう。
○安倍国務大臣 今の岡田委員の情勢分析、それからこれからの方向についてのお話は、大体私も基本的にはそういう認識を持っております。今、日本の場合も韓国との関係も非常に安定しておりますから、韓国側の考えというのも一部始終わかります。それからまた、アメリカとの関係においても、朝鮮半島問題については密接な協力関係を持っている。さらに、我々が大変ありがたいと思うのは日中の関係ですね、これが極めて良好でございまして、したがって日中関係でも、朝鮮半島の問題については、やはりいろいろと情報の交換等も密接に今行われておるわけでございます。 そういう意味で、今の朝鮮半島の実情、あるいはまた北朝鮮の考え方、あるいはまた韓国の考え方、あるいは中国のそれに対する対応といったものは、日本としては大体承知をいたしております。ですから我々は、そうした関係を、これからの朝鮮半島問題については十分進めながら、これに対して的確に対応していきたい。私は、朝鮮半島の緊張緩和がとにかく行われることが、アジアの平和と安定にとって極めて大事なことであろう、こういうふうに思っております。そういう芽が出かかっておるわけであります。そして、アメリカもそういう気になってきております。韓国も、最近の韓国と中国とのスポーツの交流ですね、こういうものなんかも大変歓迎するべき事態であろうというふうにも思っております。じわじわとそういう芽が出かかっておりますから、これを大事にして進めていかなければならぬ。 しかし基本的には、先ほどからしばしば申し上げましたように、日本の基本的な態度は、あくまでも当事国がお互いに話し合っていくというのがまず第一の筋ではないかということを、これは中国に対しましてもあるいはまたアメリカに対しましても日本は主張をいたして、今日に至っておるわけであります。
○岡田(利)委員 外交問題でもう一点だけ伺っておきたいと思うのですが、それは東南アジア政策の問題であります。 我が国は、ASEANと中国とを中心に据えながら、東南アジア政策の展開というものを行ってきたと思うのであります。しかし、ASEANの中でもベトナムに対する姿勢は、今硬軟両様の面が出ております。一方において我が国は、ASEANに対しては政府援助については、世界の四割のウエートを持つ援助を今日まで行ってきております。だがしかし、ベトナムに対する我が国の政策の展開に当たっては、どうもASEANとの間にしっくりいっていないのではないのか。例えばチョーライ病院とかラオスの製薬センターに対する人道的な援助、こういう問題についても冷ややかな反応が見られますし、あるいはまた十二月には外務審議官もベトナムを訪れておるわけでありますが、その際にタク外相に、日本に来る意思があるならば日本としては受け入れるという考え方を示されたやに実は承っておるわけであります。 〔原田(昇)委員長代理退席、委員長着席〕 いずれにしても、この東南アジアの政策の面では、従来の政策を一広軌道修正しなければならぬ時期に来ておるのではないのか、いわばASEANとインドシナ、この均衡のある平和共存が東南アジアの安定につながる、こういう視点に今後の東南アジア政策は立つべきではないのか、こう思うのでありますけれども、この点についての見解を承っておきたいと思います。
○安倍国務大臣 日本としましては、やはり基本的には現在ASEANの外交政策というものを支持しております。これは御承知のように、カンボジアに対してベトナムが軍事介入をしたということでございます。したがって、これは日本の立場から見ましても、このベトナムの軍隊がカンボジアから撤兵をする、そしてカンボジアに真の自主独立の政権が生まれる、その間はベトナムに対しましても経済援助をとめる、同時にまた、外交の主力でありますところのカンボジアの民主独立三派政権を支持するというASEANの政策を日本は支持して、今日に至っておるわけでございます。そういう意味では、我々はベトナムに対しましては、常にカンボジアからの撤兵ということを強く求め続けておるわけでございます。 しかし、同時にまた我々は、東南アジア全体の平和を欲するわけでございますし、そういう中で日本もアジアの一員として何らかそういう面での役にも立っていかなければならぬ、こういう立場で、そうした基本姿勢は基本姿勢として貫きながら、やはりベトナムとの対話の道は残しておかなければならない。こういうことで、もちろん経済の面においては経済協力はいたしておりませんが、人道的な援助は、もうそういうものを超えた日本の責任の一つであるということでやっておるわけでございますし、また対話につきましても、現在までに事務レベルのパイプ等を通じまして積極的に行って今日に至っておるわけでございます。そういう対話が、何らかインドシナ半島の今後の平和と安定に役立つことを我々は期待をいたしておるわけであります。
○岡田(利)委員 東南アジア政策の軌道修正はしているとは言わぬでしょうけれども、ベトナムを孤立化させていくということが逆に東南アジアの不安定につながるのだ、こういう意味でもう一歩進んだ外交政策の展開が望まれるし、そのことがシーレーンを防衛するよりもさらに重要な外交政策ではなかろうか、こう思いますので、せっかくのひとつ御努力をお願い申し上げたいと思います。外務大臣、もう結構です。 そこで、農林水産省の質問に入る前に、せっかく文部大臣が来ておりますから二問だけ承っておきたいと思うのです。 一問は、今までの教育問題の中でいろいろ答弁をされてきたわけでありますが、国立大学の共通一次試験について総理は非常に積極的な発言をして、国大協などに対してはもう来年から改善をしてはどうか、科目の削減とか選択科目別のアラカルト方式の検討とか、そういう非常に積極的な姿勢だったわけですよ。ところが、参議院の文教委員会で国大協の事務局長が参考人に来た場合には、昭和六十一年度から実施をする、こういう参考人としての意見が述べられた。そうしたら、一日にまた国大協の会長さんですか、昭和六十二年から実施をするという発言がなされておるということが新聞にも報道されているわけです。そこで文部大臣としては、これはやる気があれば来年度からでもできるわけでしょう。来年からやるのかあるいは国大協の会長が言ったという六十二年までかかる問題なのか、この点非常に注目されておりますので、どんぴしゃりとお答え願いたいのですが、どうでしょうか。
○森国務大臣 お答えをいたします。 共通一次のどの部分を改善するのかということは、ちょっと今のお話では明確ではなかったのですが、例えば試験実施の期日を繰り下げるというのは高等学校側から出ているわけですね。これは大体国大協も入試改善懇談会の方もそういう意向でありまして、これは国大協で正式決定をすればそういう方向で来年度から実施をするということです。 ただ、そのほか、総理とのやりとりあるいは国大協の方々との参議院でのやりとりを私も新聞で見ておりましたけれども、それには例えば五教科七科目を少し少なくしろとかあるいはアラカルト方式にしろとか、いろいろな改善要求があるわけですね。しかし、これは今直ちにそういう方向でやるということは、私は個人的には皆違うと思うのです。そういたしませんと、仮に今高等学校に入っている、三年生は今度出るわけですが、一年生、二年生は現段階で実施している共通一次を前提に勉強しているわけですから、それが途中で変わったりすれば、これは当然その人たちにとっては大きな影響を与えることになりますから、文部大臣としてはうかつに、いつやるかというようなことは、私はここの時点では言えないわけです。当然、国立大学協会の入試を担当しておられる方方がいろいろこれから御協議をなさるであろうと思いますし、私どもが申し上げておるように、五教科七科目を少し減らすか、あるいは分野によって少しは選択をするようなやり方ができないかとか、いろいろなことを今お願いはしているわけであります。そういうことを専門の先生方お考えをいただいて改善の案はおつくりになると思いますが、さあそれを六十一年からですよ、六十二年からですよというようなことは、それぞれの先生方のお考えの違いは恐らくあると思いますが、今直接の責任を持つ私が何年からというようなことをここで申し上げることは、子供たちにとっても大変迷惑のかかることでございます。もう少し専門の皆さん方で十分御協議をいただいて、つまり実施繰り下げそのほかのことについては十分皆さんで御協議いただいて、国大協がこういう考え方をするのだという判断をしてくだされば、その報告といいますかそれに沿って文部省は具体的に実施をしていきたい、こういうことを申し上げるしか、今の段階では申し上げようがないわけです。
○岡田(利)委員 だから、いつごろ結論が出ると言えないですか。
○森国務大臣 これも、私どもとしてはできるだけ早く、今の国民のみんなが求めている、受験する学生たちの立場も考え、特に子供たちは直接言えるわけじゃありませんから、高等学校側からいろいろな要求が出ているわけでありますね、そして、私ども政治をやる者が、そういう共通試験、一次試験とかそういう入学選抜方法について、社会においていろいろなことが出てきているわけでありますから、政治の立場でできるだけそういうものを除去していきたい。そして、子供たちに余りそういう苦しみを与えない学生時代をつくってあげたいというのは我々政治家の願望でありますから、そういう声を聞いて国立大学協会の先生方がいろいろ検討なさることでありまして、できるだけ早くいい方向で改善の工夫をしていただきたい、こう熱望をしておるというところであります。
○岡田(利)委員 これは、もちろん高校生もそうでありますけれども、受験生を持つ親も非常に重大な関心を今持っておるわけですね。したがって、できるだけ早目に、こういう方針でいつからこういう方向で実施をするということを示された方が精神衛生上いいのではないかと思いますので、この点要望いたしておきます。 もう一点は、我が国にタンチョウヅルと人間が併存している。地球上では、これは北海道の釧路湿原だけてあります。あとは山の中にタンチョウヅルが生息をしているところが多いわけであります。昭和三十年にはタンチョウヅルは七十六羽でありました。それが五十年には百九十四羽になり、五十四年には二百七十一羽になり、今年は三百四十七羽ですか、大変ふえておるわけであります。ラムサール条約の審議に当たって私はこの問題を取り上げて、特に我が国には、例えば岡山県には中国からタンチョウヅルが贈られたとか、そういうのがあるのでありますけれども、日本のタンチョウヅルはまだ海外やほかの動物園には出していないのであります。しかし、これはテリトリーの非常に強い動物でありまして、最近は数がふえてきていわば牧草地近くまで生息をする、こういう状況も見られるようになっておるわけであります。 私のラムサール条約の質問のときに、文化庁の方では、このタンチョウヅルは三百羽を超えれば、その時点でそういう要望等についても検討したいということが述べられたのであります。これはもう五十羽近くふえているわけでありますから、文化庁としては、そのとき私に説明した方針は今後どうされようとしているのか、この機会に承っておきたいということが一つであります。 なお、環境庁の方では、この天然記念物を保護する、そういう立場で行政が展開をされておるわけでありますが、これの実態について、私が述べたことについても十分検討されておるのではないか、こう思うのですが、この機会にひとつ見解を承っておきたいと思います。
○加戸政府委員 お答えいたします。 昨年十二月五日現在での調査によりますれば、現在、タンチョウヅルは三百四十五羽を数えておるところでございます。五十五年に岡田先生が御質問なさいました時点におきましては、当時釧路原野あるいは風蓮湖付近、四地域におきまして二百七十一羽という状態でございまして、当時の条件の中で一応の目安といたしまして、三百羽を超えればというような御答弁を申し上げたいきさつがあるわけでございます。その後、先生ただいま御指摘のように野付、標津地区などを初めといたしまして三地区ふえまして、七地域にわたって今生息しているような状況でございますので、そういった観点から見ますと、まだ過密状況ではないということ、それから今の厳しい自然条件の中で安定的に繁殖を続け種の保存を図ることができるか、つまり言葉をかえて申し上げれば、絶滅のおそれがないかどうかということにつきましては、専門家を含めた関係者の間でもまだ自信が持てないという状況でもございますし、それから一方、人工増殖センターを五十六年につくりまして、現在人工増殖中でございますが、まだ十三羽を数えるだけでございまして、これも繁殖用の個体として必要でございますので、現時点では、まだそういう考え方といたしましては増殖のための努力をしてまいりたいという状況でございます。 ただ、今後増殖されました個体についての御要望等がございますれば、その時点で、環境庁あるいは北海道、釧路市と十分協議して、適切に対応したいと考えておる次第でございます。
○山崎(圭)政府委員 お答え申し上げます。 ただいま文化庁の方からお答え申し上げたのと軌を一にするわけでございまして、私どももタンチョウが徐々にふえつつあるということについては大変ありがたく思っておりまして、これは地元の方々のいろいろな御協力なり熱意によるもの、こういうふうに承っておるわけであります。 そこで、結局に三百羽を超えたことが種の保存あるいは絶滅のおそれ、こういうものから見てどういう意味を持つかにつきましては、今もお話ございましたように、専門家の間でも、必ずしも自信を持って大丈夫と言い切ることは到底できない、むしろまだまだそういう危険は去っていないというのが常識的でございます。そういう意味合いからいたしまして、個別の事情はあると思いますけれども、私どもとしましては、タンチョウヅルが今後とも保護増殖が図られるような万全の措置をとりたい、これが基本方針でございます。
○岡田(利)委員 時間がありませんので、農林水産大臣に、水産問題について二、三点お聞きいたしたいと思います。 公取の方来ておれば、質問できませんから、結構です。 第一点は、大日本水産会は一月三十日、バーン海洋環境庁長官を相手にとってワシントン連邦地方裁判所に提訴を行っておるわけです。これは、米政府が決めた一九八四年の米二百海里水域内での外国漁船に対する入漁料は米国の国内法に違反しているという立場で訴訟を今起こしておるわけであります。八四年は、一月五日に、一トン当たり前年よりも二〇%入漁料がアップをされたということであります。 今アメリカの関係は、漁業の関係では非常に不安定な状況が続いておるわけですね。また、七月に新たに漁獲物の割り当てが決まる、クォータが決まるという問題も控えている。その中で裁判が行われている。日本とアメリカの間で、こういう漁業問題をめぐって訴訟に踏み切るということは非常に重要視しなければならない問題ではないかと私は思うのであります。大体、これらの問題は外交折衝の中で解決さるべき問題だと思うのですね。しかし、この裁判をしなければならなかった理由は一体那辺にあるのか、外交折衝では解決ができないのかどうか、そういう努力がされたのかどうか、その見通しについて承っておきたいと思います。
○渡邉(文)政府委員 お答え申し上げます。 本年の一月五日に、御指摘のように訴訟が行われたわけであります。内容につきましては、先生お詳しいと存じますので、訴訟の中身につきましては差し控えたいと思いますが、大水ないしはこれに関係いたします関連の水産業者の感じは、アメリカの漁獲量がふえた分だけ対外割り当て量が減る、しかし管理経費はふえる。そういたしますと、一トン当たりの必要となる入漁料が反比例的にふえていくということに対して将来を大変危惧いたしまして、それに対する歯どめをこの際かけたいということが主たるねらいでございまして、絶対額についての不満ももちろんございますが、そういった動きに対する歯どめをかけたいというのが基本的なねらいだというふうに、私ども承知をしておるわけでございます。 水産庁といたしましても思いは同じでございまして、入漁料規則を施行される前、昨年の十二月にも担当審議官をかなり長期間、それから施行されました後の今年の二月に入りましてからもかなりの期間アメリカに担当審議官を派遣いたしまして、関係者に強くこの点を訴えておるわけでございます。
○岡田(利)委員 八四年の入漁料は、アメリカは日本のお金に直して百五億円、これは二百三十五円で計算したわけですが、その場合日本の負担額は八十四億円ですね。従来アメリカの入漁料は、資源保護に必要な管理費をもとにして算出をするというのがアメリカの国内法で定められておると思うのですね。ところが最近の入漁料の算出は、沿岸警備費まで含んで算出をする。したがって、二〇%も前年よりも急激にアップをしたということだと思うのですね。この点の事実確認については明確ですか。
○渡邉(文)政府委員 先ほどお答え申しましたように、割り当て量が減ったことに伴う反射的なトン当たりの増額というのが主たるものでございまして、経費自体の増額というものはさほど大きなものではございません。 しかし、訴訟を起こしました背景にありますのは、入漁料を決めるのはアメリカ政府の一方的な権限でございますので、その積算の基礎までつまびらかにするわけにまいらないわけでありますが、例えば二百海里と関係のない、アメリカの沿岸すれすれにしかいないような魚についての管理経費まで入っているというようなことが、アメリカの二百海里法の入漁料の規定に違反するのではないかということを言挙げをいたしまして、訴訟をいたしておるわけであります。
○岡田(利)委員 最近は対ソ関係より対米関係の方が、漁業問題は非常に大きな政治問題であります。特に、対日割り当て量の削減がずっと続いてきておりますし、最近は捕鯨の問題をめぐってクォータの割り当ても非常に不安定な状況が続いておるわけです。このような状況が続いていきますと、操業にも事欠くという事態に追い込まれるのではないかと心配されるのでありまして、特に外交的な努力もさらに一層努力していただきたいということを申し上げておきたいと思います。 次に、北転船の自主休業の問題であります。 アメリカ水域に七十隻、アメリカ水域に入る前にソ連の水域でいわば違反操業をしたということがソ連側から通報されたのであります。ソ連水域には、九十七隻の七十隻ですから残りの二十七隻ですか、そういう形で、一年輪番制で操業されておるわけです。アメリカ水域の場合には、去年も二カ月間休業いたしておるわけですね。もちろん、米水域での日本全体の割り当てが一五%マイナスになったという面がありますけれども、去年も二カ月休んでいるわけですから、今回二カ月休むということは、魚価の調整という側面が含まれていて別に問題はないのではないか、私はこう認識をしておるわけです。 ところが、ソ連側はスケトウのクォータが一万トン減になって、今回一カ月程度休業しなければならぬというのは、これは自粛自粛と言っておるけれども、私に言わせれば、最近非常にスケトウの価格が暴落をしている、弱含みである、したがって魚価の安定的な維持のためにはある程度生産抑制をするというか、生産調整を図ることが必要である、そういう意味で一カ月間の自主休業すると解されるべきか。この北転船の自主休業が、今回アメリカ海域、ソ連海域でもとられるということはどういう意味なのでしょうか。
○渡邉(文)政府委員 先生御案内のように、ソ連水域に二十七隻、それからアメリカ水域に七十隻行っておるわけであります。昨年も、部分的な資源上の問題等もございまして、部分的に休漁をしたことがあったわけでございますが、本年の二月に北転業界が、先ほど先生から御指摘がありましたような不祥事件も一つの契機といいますか、そういうこともございまして二カ月の休漁、それにあわせましてソ連水域につきましても一カ月、アメリカ水域が二カ月休漁するという申し出があったわけでありますが、これは一つには、やはり資源問題につきまして若干スケトウの割り当てが減ったということを背景にするということもございます。もう一つは、大変残念なことでございますが、ことしの二月早々に大変な違反操業がソ連側によって発見された、しかもアメリカ水城に出漁すべき船がソ連側の水域で違反を起こしたという、大変な問題を起こしたわけであります。そういったことに対して、業界ぐるみでもその反省の意を表するという意味合いもあるわけでございます。 しかし、先生の御指摘は、それはそれといたしまして、米国水域はわかるけれども、ソ連水域の一カ月は何かという御質問だと思いますが、これは御案内のように、九十七隻の船は、米水域、ソ連水域を交代で操業いたしておるわけでございますので、そういう意味で、全体としてそういう自粛の意を表するということの意味合いが多いのだろうと私は考えております。スケトウの値段を引き上げるためのいわば生産調整的な休漁というものではないというふうに理解をしております。
○岡田(利)委員 米水域の場合は、四月から七月の二次、三次の割り当ても、捕鯨問題と微妙に絡んで非常に問題があるわけであります。 そこで私は、この自主休業の問題をいろいろ私なりで考えてみますと、今、水産庁長官は、あくまでもそういう一つの違反行為に対する自粛措置だという面を強調されましたけれども、しかし最近の魚価の動向を見れば、経営安定対策のまた一環としての自主休業でもあるのではないのか、両方の側面があるのではないのか、私はこう指摘をいたしたわけであります。 いずれにしましても、北転船のこれからの操業問題というのは、ずんずん問題が多くなってくると思うのです。例えば、アメリカ側にオブザーバーの完全乗船を認めているわけでしょう。ソ連側と交渉するときには、オブザーバーの乗船は遠慮してください、こう言っているわけでしょう。そういう対米、対ソの関係で問題が常に攪拌されていくわけですね。こういう点で、もう少し整合性のある政策を貫いていかないと、アメリカにオブザーバーを認めてソ連には認めないと言っても、交渉にならぬわけでしょう。そういう意味で、対来、対ソの関係は北洋漁業のすべてでありますから、政策の整合性のある両国に対する主張というものについて、特に強く要請いたしておきたいと思います。 最後に、今回、第七次のサケ・マス定置漁業の免許更新が行われたわけであります。昨年の予算委員会で私は質問いたしておるのでありますけれども、特に、免許の内容と漁業経営の実態が相当かけ離れている、この点の調整を当然図るべきではないのか。水産庁は、調査をします、こう答弁をされておるわけです。同時に、第六次から第七次にかけてさらにサケの定置漁業については、三カ所拡大して資源の適正配分を行う方針である、こう示されておるのですが、今度の二月中に決定をした新しい定置漁業の免許に当たってはこの点が生かされたのかどうか、この二点について承っておきたいと思います。 同時に、今、水産庁ではサケの増殖計画をずっと進めておりますから、昭和六十三年ですか、六十二年になると、大体十八万トン程度のサケの資源が確保できる、大体年間消費量の五〇%に相当するサケ・マスがこの増殖計画によって目標が達せられる。——昭和六十六年ですね。四千五百万匹で十八万トンという計画が進められておるわけであります。ですから、この資源の適正配分というものについては、政府は常に気配りをしなければならない、こう私は思うのであります。したがって、これらの点についてどういう調査がなされ、水産庁の許可に当たっての方針が生かされたのかどうか、この考え方をひとつ御説明願いたいと思います。
○渡邉(文)政府委員 サケ・マス定置の免許につきましては、昭和五十六年と五十七年に先生から、定置漁業権の免許の中身が適正を欠いている点があるという御指摘がございました。次回の新しく免許を付す場合には適正化をするように御指摘があったのは存じております。 水産庁といたしましては、そういうことを踏まえまして、知事が漁場計画を樹立をしてから免許の手続が始まるわけでございます、そういう段階から漁場実態の調査を行って、漁民の要望に十分合うように、内容も適正化されるように指導を行ってきたわけであります。御指摘のような定置漁業の免許と漁業実態の食い違いの点につきましては、特に道を中心にしまして指導をしてまいりまして、御指摘の特に道東におきます免許と経営実態のずれというのは、道庁もかなり努力をしていただきまして、経営実態に即した免許が行われたというふうに報告を受けている次第でございます。 なお、サケ・マスのこれからの計画的なふ化放流事業のことでございますが、本来ならば本年にまた新しい、これは行政ベースの計画でございますが計画を立てるべきところでございますが、昨年一年間のサケ・マスの価格動向を見ますと大変な大暴落をいたしております。特にブナの回帰が多くてそれがサケ全体の足を引っ張ったということもございますので、そういったことを踏まえまして、もう少し需給の動向等を踏まえて一年間さらに慎重に検討して、来年新しい五カ年見通しをつくってみたいというふうに考えておるわけであります。いずれにしましても、今後の水産物の需要動向にマッチした形での増殖計画、そういうものをつくってみたいというふうに考えております。
○岡田(利)委員 そうしますと、今の長官の答弁は、今年は増殖計画の最終年度であるから、今後一年間かけて次の計画を検討していきたいというのが今の答弁の内容だと思うわけであります。しかし、今年放流をした稚魚が四年後に帰る場合には、北海道、本州を含めて三千八百六十万匹、トン数にして十四万トンと予想されておるわけですね。ですから、この傾向というものは多少魚価の問題があっても、輸入が多いから最近魚価の不安定が続いておるのであって、この増殖計画を直接変更しなければならぬという要素ではないんではないのか、こう私は思うのであります。
○倉成委員長 岡田君、時間が参りましたので結論を急いでください。
○岡田(利)委員 はい。したがって、継続的に従来の延長線の目標である、例えば昭和六十二年の放流計画、これが六十六年には四千五百万匹で帰ってくるというこの基本的な計画は、一応中心に据えながら検討する場合でも検討されていかなければならない問題じゃないか、こう思うのですが、いかがでしょう。
○渡邉(文)政府委員 御指摘のように、四年たちますとサケは帰ってくるわけでございますので、昨年までの計画に基づく増殖、放流は四年後には御指摘のような数字で戻ってくるわけでございます。ただ、先ほど申しましたようにブナが多くて銀毛が少ないということでございますと、サケのみならず周辺の魚類の価格形成にまで迷惑をかけるということもございますので、そこら辺を踏まえまして慎重な勉強をしてみたいというふうに考えておるわけでございます。
○岡田(利)委員 終わります。
○倉成委員長 これにて岡田君の質疑は終了いたしました。 次に、池田克也君。
○池田(克)委員 公明党の池田克也でございます。 私は、とりわけ教育の改革、この問題に中曽根内閣は強力な意欲を示していらっしゃるというふうに受けとめておりますが、これが本物かどうか、巷間言われておりますように中曽根ペース、延命策、いろんな評価があるわけでありますが、国民の強い要請であることも事実であります。したがって、今日までも予算委員会でこの教育改革についての中曽根内閣のさまざまな角度からの姿勢あるいは内容、質問が出たわけでありますが、若干ダブる点があるかもしれませんが、そうした問題を含みましてお尋ねをしたいと思っております。 きょうは大臣においでいただいておりますので、それぞれのテーマ順にお伺いしていくわけでありますが、まず最初に、大臣お一人ずつからこの教育問題について、それぞれ所管の役所は違うと思いますが、しかし今日まで我が国の政治を担当していらしたベテランの政治家としてそれぞれの所感はお持ちだろうと思います。そしてある意味で言うならば、もうここまで来た以上は文部省だけには任しておけないよ、そういう感想もおありだろう。もっと大きな意味からこの問題に取り組まなければ解決しないのじゃないか、そうした一つの気持ちが、中曽根内閣が新しい機関をつくって教育改革に取り組もう、こうしていらっしゃるんじゃないかと私は思っているわけでございますので、順次各大臣から、一言ずつで結構でございますが、教育改革をこう考えているのだ、こうした御意見を承りたいのでございます。まず大蔵大臣からいかがでしょうか。
○竹下国務大臣 私は、教育問題専門家でもございませんが、過去に三年三カ月、島根県掛合町立中学の英語の教師をしておったことがございます。いずれにしても、教育改革とは国民的合意のもとに推進さるべきである、それだけを端的な感想として申し上げます。
○池田(克)委員 私から申し上げませんので、順次お答えいただきたいと思いますが、河本企画庁長官。
○河本国務大臣 教育問題は、今我が国の当面する最大課題の一つである、このように理解しております。
○渡部国務大臣 国民の一人として、人間の心を大事にする教育こそ当面爛頭の急務であると考えます。
○坂本国務大臣 そうですね、まあ教育というのはもちろん人格の陶冶ということが一番大切でありましょうけれども、人間は足は大地を踏んでおるわけでありまして、理想と現実というこのかけ橋をやる、政治家などはその非常に大事な仕事だろうと思っておりますが、そういう面で見ると、人格の陶冶は一番大切でありますけれども、最近特に時代の変化が大きゅうございますから、やはりこの変化にも対応していかなければならぬということになりますと、十年前と違いまして今や完全な世界の中の日本でございますから、教育についても国際化ということは非常に頑張らなくちゃいかぬだろうと思います。 それから、科学技術というものの進歩が大変でございますから、科学化といいましょうか技術革新といいましょうか、こういう観点はだれもが大切なことだろうと思っております。しかし、社会が変化が大きくて、そして産業、雇用の面でもいろいろな構造変化が激しく起こっておりますから、そういう面に対応する弾力化、多様化ということも非常に大切ではなかろうか、こう思っております。 それから、やはり何と申しましても学校教育だけでは、これは基礎でありますから入り口であります。非常に大切なところでありますが、ステップ、スタート台であります。その後の人生八十年というのを考えれば生涯教育といいましょうか、生涯化ということは非常に大切ではなかろうかな、この程度に思っております。
○奥田国務大臣 小学校、中学、高校と、それぞれの恩師に、私たちの世代は今でも限りない先生に対する敬愛の念を抱いておりますし、またそういう方たちとおつき合いさせていただいております。師弟という言葉が最近はどう理解されるのかわかりませんけれども、そういった、いつまでも思い出にも残り、先生と生徒の師弟関係がいつまでも続くようなそういった形であってほしいなと、また、友達でも同窓会、それぞれの違いこそありますけれども、仲間意識で、お互いに人の立場をうらやむのじゃなくて、ばかを言い合ってもニックネームで呼び合っても、それぞれの友情がいつまでも年を超えて続いていく、そういう仲間同士である、クラスメートのそういった人間関係の教育であってほしいなと、私の願望でございます。
○池田(克)委員 ありがとうございました。 突然のことで、それぞれ御意見を私本当にありがたく承ったわけでありますが、しかし、考えてみますと、それぞれの大臣が経られた学生時代、その学生時代のイメージをそれぞれがお持ちになっていらっしゃると思うわけであります。そういう状況と今日の状況とを照らし合わしてみて、これはゆゆしき問題だ、こういう感想をお持ちじゃないかと、私そういう答弁を若干期待したわけでありますが、後に順を追ってその辺をお伺いしたいと思います。 一つだけ、これは大蔵大臣にお伺いをしたいのは、教育改革に乗り出せば金がかかるということは今から予想されるわけです。そして非常に財源が乏しいこういう状況の中で、この教育改革、報ぜられるところによりますと、短い期間の改革、あるいは長い期間の改革と二つに分かれてやってみようかなんという報道がなされているわけでありますが、そういうことを踏まえましても、何か事を起こせば金がかかる、こういう時代であります。したがって、今日防衛費の問題は、いわゆるシーリングの中から突出して大きな批判、議論を浴びているわけでありますが、それに続いて、教育改革というものについて大蔵省としてそれなりの御決意というものがおありなのかどうか。それなくしては教育改革は一歩も進まないし、どんな形をつくってもこれはだめだ、私は初めからそう思っているのですが、大蔵大臣のそうした問題についての御見解を承りたいと思います。
○竹下国務大臣 重ねて申し上げますようですが、素人でございますが、教育というものはいわば金だけで解決できるものではなかろう、しかしながら、よりよき制度とか施策の中には当然金もかかるだろうという理解は持っておりますが、やはり予算というもののあり方となれば、各種予算の調和の中にその年度年度ごとに位置づけるべきものでありますが、基本的にそういう覚悟が必要だという認識は私も等しくいたしております。
○池田(克)委員 大変大事な御発言でございました。教育改革に大蔵大臣としてそれなりの覚悟がおありだ、こう受けとめましたが、よろしいでしょうか。再度……。
○竹下国務大臣 そう受けとめていただいて結構だと思います。
○池田(克)委員 ありがとうございます。 本当に私もまじめに、子供を持つ親として、また未来の日本を担う子供たちの現状というものを心配する国民として、私の置かれている立場でできるだけの力を傾けて、この教育の改革を一歩でも半歩でも進めたいなという熱意を持っているわけでございます。これはもう、今日この国会を構成しているすべての共通した気持ちじゃないかと私は思っているわけでございます。 時間の関係で、厚生大臣が大変お忙しいということですので、厚生大臣に先にお尋ねをさせていただきたいと思います。 先ほど本委員会で別の委員からもお話が出たようでございますので、ダブりますので大変恐縮でございますが、幼保一元化の問題でございます。 幼保一元化は、いわゆる中教審、文部省が教育改革を今日まで進めてまいりました、そうした一連のシステムと申しましょうか、流れを超えて新しい体制をしかなければだめだと、こう中曽根総理が国民に説明をされる一番最初の理由がこの幼保一元ということになっているわけでございます。大変わかりやすいかもしれません。幼稚園が文部省の所管、保育所が厚生省の所管と分かれております。しかし、父母の認識は、最近、極めてこの両者につきまして同じような認識を持っているように私は受けとめます。働く婦人がふえ、安全で安く子供たちを預かってもらえるところが欲しいというのが、私たち日夜聞かされているニーズだと思います。 そうした点から、保育所の場合には入りたいからといって簡単に入れる状態にはございません。いろいろ客観的な措置の必要性がなければ入れません。また、幼稚園の場合には、割と早い時間に子供たちが帰ってきてしまいまして、お母さん方から見ますともっと預かってほしい、こういう要望があるわけでございます。したがって、もう後に引けない、非常にこの幼保一元というのは一番早く取り組める状況にあるのじゃないかと思っているわけでございますが、厚生大臣の方からこれについての対応の状況をお聞かせいただきたいと思います。
○渡部国務大臣 私も、国会に初めて出て党の文教部会に入ったときなど、幼保一元化というような感想を持ったことがあるのでありますけれども、今よく勉強してみますと、保育所は御承知のように家庭保育を補うものとしてつくられておりますし、また幼稚園は御案内のように幼児の教育を目的としてつくられております。したがって、その機能を見てみましても、開所日数でも、幼稚園は二百二十日、保育所は三百日、夏も開所する。あるいは開所時間でも、幼稚園は四時間、保育所は八時間、つまり、家庭の若いお母さんが子供を保育所に託してお勤めに出て、お勤めを終わってお帰りになるとき保育所から子供さんをまた連れて帰れるというような組織、また最近は若いお母さんの職場進出が非常に著しく進んでおりますので、職場保育所といったような要請も先生方からいろいろ御心配を得ております。 つまり、調べてみますと、最近保育所の内容がかなり充実してきたために、保育所も幼稚園的な性格、機能を果たしておるので、一つにしたらという考えもあるのでありますが、ところが、保育所の持っておる家庭保育を補うというような機能は、現在の幼稚園は持っておりません。そういう意味で、どうしても一つにということであれば、幼保一元化というよりは保育一元化ということが適当であるというふうな考えもありますけれども、しかしこれらの問題は、いずれにしてもかわいい子供さんの問題でありますから、子供さんにとって一番いい条件、またその子供さんを預けるお母さんにとって何が一番望まれるかということを一生懸命これから勉強して、文部省とも連絡をとって進めてまいりたいと思います。
○池田(克)委員 保育一元化という一つの説が確かにあるわけですが、文部大臣いかがでしょうか、文部省の方は子供たちに対する教育、これは、子供たちがだんだん発達してまいりまして、私どもも就学年齢をもう一年下げてもいいのじゃないかなんというような案も立てたりしたわけでありますが、そうしますと、幼稚園の子供たちの置かれている状況というのはまた少し変わってくると思います。しかし、私ども政治家として、地域のお母さん方に接触していて、もはや両方を何か乗り越えなければならないという状況に置かれているのです。ですから、保育一元化でもいいです。形はいろいろあると思うのですね。二枚看板というようなものがあるそうですね。片方で幼稚園という看板、もう片方で同じところに保育所の看板をかけて、両方でそれぞれの状況を運用の妙でやっていこう、制度上はそのままにしておいてなんというのがあるのですが、文部大臣のお考えを聞かしていただきたいのです。
○森国務大臣 今、厚生大臣からもお話がございましたのですが、幼保一元化であれ保助一元化であれ、要はやはり保育を受ける、あるいは幼児教育を受ける母親の立場といいますか、そういう視点で見ますと、そう変わらなくなってきているのですね。そこが問題だと思うのです。ですから本来は、今、厚生大臣から細かにお話があったとおりの設立の意義でスタートしているわけですけれども、幼稚園の方が割と時間が短くて早く帰ってきて、保育所は一日じゅう預ってもらえる、やっている中身はそう違っていない、ところが親から出す経費ははるかに保育園の方が安い、こういうところから、母親から見ると非常に不満があるわけですね。そういう不満みたいなものを教育関係の方に投げかけられてくるわけです。 私の郷里に、自治体が幾つかございます中に幼稚園を一切つくらない自治体があるのです。それはそれなりのまた町長の見識だろうと思うのです。それは、同じ小さな町に保育所と幼稚園があって、今言ったような違いが出てくることは、町政を預る者の立場としては本当にやりきれない。当初は何かお金を持っているゆとりのある人が幼稚園で、何かちょっと保育に欠けるという言葉になるものですから、お金がない、困った方が保育所に行くんだというような印象も昔はあったのですね。ですから、そういう小さな子供たちに幼保を分けるということは、町全体の責任を持つ町長という立場あるいは村長という立場では非常にやりにくいということで、全く保育所以外は一切設置しないというようなやり方をしているところもある。私はそれも一つの行き方である、それは今申し上げたような矛盾をやはり解決する一つの策だったのだろう、こう思うのです。 そこで、私は午前中湯山委員に対してもお答えを申し上げたわけですが、私はやはり本来は一本化をすべきだろうと思うのです。なぜかというと、それを受ける立場から今は判断している立場でありますから。ですから与える立場から見ると、いや厚生省の所管がどうだ、文部省の所管がどうだ、お互いに縄張り争いみたいなことになる。また、その役所につながる応援団もいっぱいいらっしゃる。そういう学識経験者もいらっしゃる。そういうことで、結果的にはいわゆる何回も何回も幼保の問題を議論し合った。それだけの見識を持った学識経験者がお集まりになって議論しても結論が出てこないということでありますから、一つの知恵としては、お互いに両方の足らざるところを補い合うような、そういう一つの機能をうまく工夫して一つにしていくということもやはり私は一つの判断だろう、こう思うのです。 そういう意味で、幼保、こういうと、私はさっき湯山議員にお答えして、幼保一元化も私は基本的に賛成です、こう申し上げると、何かあたかも幼稚園の方に保育所をやっちゃうんだという意識にとらわれてちょっとしかられたのでありますけれども、そういう意味じゃなくて保助一元化でもいいのです、そうおっしゃるならどちらでも。事態が昔と全く違ってきているのだということから考えると、その機能を、両方をもう少し上手に合わせてやっていく方向を、やはり少しはみんなで考えていく時期が来ておるのではないか、私はそういう見方をしているのです。 ただ問題は、それなら文部省と厚生省、あるいは文部大臣と厚生大臣とで話し合えばいいじゃないかという意見もあるわけですが、今御指摘もございましたように、できれば親のそばに子供が幼児期いるのが本当は一番いいと思うのです。その方が一番幸せだと思うのです。しかし、それはそれなりにいろいろと御家庭の違いがあり、事情もあるということになります。そうすると、就学する年齢あるいは就園と言っていいのか、そういう年齢は一体いつが適当なのか。そしてもう一つは、常々私も申し上げるのですが、人生がもう七十年、八十年という時代になりましたから、五十年という一つの設定で教育課程も考えてみたんでしょうが、もう一つ、そういう人生が非常にみんなが長生きをする時代になったという見方から見ると、何歳からそういうところへ入った方がいいのか。そういう次元、高い次元あるいはまた別の角度の視点という見方から見れば、でき得れば、それは文部省、厚生省が話し合いがつかないから新しいところへ持っていくということではなくて、日本の二十一世紀を据えて全体的に見たときに、もう一度そういうような問題も含めながら新しい機関で御検討いただくことが公正な考え方が出てくるのではないだろうか、私はそんなふうに考えているわけです。
○池田(克)委員 両大臣のお話を伺って、それぞれの御説はよくわかるのですが、問題は時間の問題だと思うのです。新聞の報道に、今、中曽根内閣がやろうとしている教育改革によって新しい体制のもとに厚生大臣、文部大臣が話し合って、幼保は一元化するのだというような印象で伝えられているように私は受けとめておりました。父母も期待があると思うのですね。これで働いても大丈夫だ、こういうような期待というものを余り白けさせない方がいいと思うのですね。やっぱりそういう印象というものはしっかり受けとめていかなければ、もう教育改革は随分と長いこと議論され、後からもお話を出しますが、いろんな問題で改革は手を打ってこられたと思うのですが、それが一つ一つ、まだはっきり国民の中によかったというふうになっていかない面がある。特に子供の非行化とかいろいろな問題見ていますと、やっぱり家庭における教育というものがうまくいかない。親が自信を持ってない。いろんな問題があると思います。 したがって、もう一遍厚生大臣に私はお伺いしたいのですが、今文部大臣は、もしかしたら幼保と言わないでも、保育一元でも構わない。とにかく状況は大きく変わっていくのだから、もう厚生省の方に預けるからひとつそっちでとにかく一本化するならそれでもいいじゃないか、こういうふうに私は受けとめたんですが、文部大臣、違うんなら違ったでまた補足していただくのですが、厚生大臣、ひとつこの際どんと行くのだ、ことしじゅうに結論出すのだというふうにいかないでしょうか。いかがですか。
○渡部国務大臣 大変難しいお尋ねでありまして、これは広い意味での国民的な立場で物を考ええるとき、先生御指摘のように子供の保育、これは極めて重要な問題でありますし、また今日の日本の教育というものを考えますと、三つ子の魂百までというように、幼児教育の重要性、またこれは極めて重要なものでありまして、厚生省に今日まで課せられておった保育という使命、また文部省に課せられてきた幼児教育という使命、これをどういうふうに調和させて、どういうふうにこれを一元化した形で実現していくかということになりますと、先ほど御答弁申し上げましたように、何といっても今の保育事業は、特に職場で働くお母さんにとっては、働いている期間子供を預かってもらう、これは絶対的な必要条件でありますし、それには今の幼稚園というものは、その役割は、まだ四時間ではあるいは二百二十日では果たしておらないわけでありますので、それらの今日までの長い歴史のあった目的、機能、果たしてきた役割、こういうものを二十一世紀の将来方向にわたってどこで融合調和させていくかという大きな難しいそれぞれ課題は横たわっておると思いますけれども、しかし最後に考えられることは子供さんの問題であり、子供さんをお預かりするお母さんの気持ちにどこまで我々が役所の縄張りというようなものを超越して融合させるかという課題にこれから取り組んでまいりたいと思います。
○池田(克)委員 お母さんの気持ちは、政治家であれば御存じだと思うのですね。今から勉強されるとおっしゃいますけれども、私はその辺はよく御存じの上でおっしゃっていると思うのです。やはりこの問題は、いろいろある教育改革の中でそんなに難しい部分じゃないのじゃないか。それは難しく見れば難しいですよ。それぞれのお役所の歴史がある、使命がある、こう始まっちゃうと、何にも結局変わらないのじゃないか。今言っている教育改革というものも、新しい機関をつくってほかの大臣にもいろいろ参加していただけるような、文部省だけじゃないのだというのをつくるのでしょうけれども、これの賛否は、まだまだ私どもよく伺って、法律の内容も検討しなければ何とも言えないと思っております。しかし、気持ちはわかる、そう申し上げているのですけれども。今回のこの中曽根内閣の中で、厚生大臣、文部大臣、お二人とも文教にお詳しいのですね。非常に今度はいいタイミングだ。官房長官もかなり文教に詳しい。私もそういう状況を認識しながら、やるならば今だな、こういうふうに思うのですね。いろんな意味で機は熟しているし、中曽根内閣がやろうとしている教育改革のオーダーしてすぐ出てきそうな一番速いメニューという感じが私はするのです。これがまだもうちょっとということになると、どうもこれは初めから白けちゃうなという気がするのですけれども、再度、どちらの大臣でも結構ですが、これは御相談いただいて、どのくらいかかるか、年限ぐらいひとつめどとして立てていただけませんか。
○森国務大臣 話し合いは幾らでもできると思いますし、それから、既に両省の関係の学識経験者による懇談会も考え方を述べているわけですね。ですから、私は、そういうお互いの角度で話し合うことも大事だし、随時また、事務的なレベルで議論もされていくことだろうと思いますが、先ほど申し上げたように、別の視点から、今はお互いの両省の歴史や生い立ちやあるいは法律やそういう角度から見ているわけですから、どうしても両省がお互いの立場を主張することにもなると思います。 誤解があってはならぬのは、私はどっちでもいいと言ったのではないのであって、やはり両方のことを機能をよく兼ね備えた工夫をしてみたらどうか。幼稚園に保育所みたいなことを求めている人たちもあるわけだし、それから保育所も実質的には幼児教育をやっているわけですね。現に保母さんとは今言わないのですね。保母さんと言うとしかられるのです。保母先生と言えというのですよ。それはもう教育だという意識が出てきているわけですね。ですから、そういう意味の両方の機能を上手に兼ね備えたやり方がもうそろそろ話し合ってできるのではないかなと私は思う。 しかし、さっき申し上げたように別の角度というのは、いわゆる就園、就学の年齢、日本の人間の生きる一つのプロセスの中でどのあたりから教育を受けていくことがいいのか、どの年限で終わることがいいのかというような角度から一遍新しい機関で検討してみて、そこでいい結論が出てくれば、これは両省ともそのことに従っていくのが私は非常にいい形ではないだろうかというふうに思っているわけです。
○池田(克)委員 両方の所管の大臣に伺ったのですが、第三者として大蔵大臣、今の話を聞いていていかがでしょうか、本当に国務大臣として万般にわたって統括をしていただいていると思いますけれども。
○竹下国務大臣 私は、昭和二十二年から二十六年まで保育所長をしておりました。当時は青年運動の中でやったわけでございますから、古い言葉ですけれども、勤労奉仕でナスビの苗をたくさんつくりまして、それを売って、それで保育所をつくろうということになったのでありますが、つくってみたらいわゆる措置費というものがきちんきちんと出るので、これは大変いい制度だなと思いました。ただ当時は、経験年数何年かで簡単な試験をして保母試験にも合格をさせていただきました。私が教師をしているときの教え子の何人かは保母試験に合格をいたしましたが、その当時から思いましたことは、必要性があって生まれたものであって、そして都市部における幼稚園よりもうんと世のため人のため国のためになっているな、こういうある種の誇りを持っておったことがございます。 その後、当然のこととして、議論される幼保問題というのは関心は大変にございます。ただ、私どもの田舎と都市とはかなり実態の差はあるなという感じを平素持っておりますが、渡部厚生大臣、森文部大臣等まさに御専門家でございますから、それの驥尾に付して私も努力をしたいと思っております。
○池田(克)委員 ありがとうございました。 厚生大臣、お忙しいのだそうで、ありがとうございました。 幼保一元の問題に続いて、子供たちの学校あるいは学校に準ずるのでしょうか、塾、予備校、つまり家計から出費がされている費用の問題、これに経済企画庁長官としていろいろな報道で接していらっしゃると思うのです。今日、景気の動向も、いろいろと政治の現場でやっておりますが、いま一つ思わしくない。先行きについて少し明るいなという話がありますけれども、現実にはなかなか、まだもう一つという状況を私どもも地域で聞いております。とりわけ、生活が苦しいという声を私ども町々で聞くのですが、その原因は、大部分が教育費に金がかかる、こういうことでございまして、今さらここで統計をお示しする必要もないのじゃないか。教育出費、これは私、いろいろなデータをここに持っておりますけれども、あえて繰り返す必要はないのじゃないかというぐらいもう御承知だと思います。 これはたしか経済企画庁で出していらっしゃる文書、「二〇〇〇年の日本」という文書ですが、この中では、高等教育進学率が停滞してきたという理由として 経済成長の低下のなかで所得の伸びの鈍化(とくに年功賃金カーブがなだらかとなって四十五−五十五歳という大学進学者を持つ年齢層の所得の伸びの鈍化が著しいこと)と教育費の上昇による家計の教育費負担能力の低下、高学歴化の進展のなかで、卒業後の雇用機会と所得において学歴差が縮小してきたこと(すなわち、大卒のグレーカラー化、ブルーカラー化の進展、学歴による賃金格差の縮小など)、専修学校、各種学校等多様な教育機会が可能となってきていることもあって、とくに若年世代において何が何でも大学へ進学するのでなく云々こういう描写が出ております。そのとおりだと私は思うのですが、要するに家計における教育費の負担というものが限度に来ているのじゃないか。 しかしながら、この限度というのはこういう一つのデータの上の話ですが、現実に家庭では大変苦しんでいる。学校にやりたい、やらなければ就職でも随分と違いが出るのではないか、勉強は嫌いなようだけれどもせめて学校だけは出してやりたい、何とかなりませんかという声を予算委員長も選挙区で聞いていらっしゃるのじゃないかと私は思うのです。ここにいらっしゃる多くの、多くのというよりもすべての政治家がそういう話を聞いているのじゃないか。しかし、実態は余り変わっていないんですね。 きょうは労働大臣いらっしゃるので、また後からお伺いしたいのですが、やはり就職においては指定校制というのがございまして、いい大学に入っている者がいいところへ行くのです。そして社宅がある、あるいは企業の病院がある、ちゃんと週休二日制で、厚生施設も潤沢に立派に整えられている、海外にも出張があり、いいなという形がやはりそういうところに備わっている。いい大学、いい就職、つながっている。いいお嫁さんが来る。国民はわかっている。どんなに金をかけてもいい大学へ上げなければもうこれはだめなんだということをわかっている。ですから、生活を極端に切り詰めて、インスタントラーメンを食べながら、本当に頭ももうパーマなんかも余りかけられないというお母さん方もたくさんいます。そうして子供の塾あるいは予備校、家庭教師というものにお金をかけて、そして育てようとしている。こういう実態を知りながら今日までこの問題に抜本的な手が打てなかった日本の政治というもの、しかし今、もしかしたらこれからの日本の政治の中でこれに何らかの手を打ってくれるのではないかという期待を国民は持っているのじゃないかと私は思うのですね。 大変大ざっぱな言い方だったかもしれませんが、言わんとすることは経企庁長官も大蔵大臣もおわかりいただけるだろうと思うのです。まず、経企庁長官から御答弁いただければと思います。
○河本国務大臣 企画庁では、教育費と教育関係費に分けて調査をしておりますが、相当な金額でございます。 数字につきましては、政府委員から答弁させます。
○及川政府委員 委員が御指摘のとおり、狭義の教育費、いわゆる授業料、教科書、学習参考書、補習教育代は、今平均で一世帯当たり十一万円程度でございまして、全消費支出に占める割合は、昭和五十年には二・八%程度でしたが、五十七年には三・八%程度にふえております。また、広い意味の教育費、教育関係費といいますが、先ほどのものに学生服や定期代やその他を含めたものでございますが、それは現在一世帯当たり二十万一千円程度でございまして、これも昭和五十年の五・三%程度の全体の消費支出に占めるシェアが現在では六・六%程度にふえているということは事実でございまして、さらに、御指摘のとおり、学校教育費以外の、学校外の教育関連経費が伸びが著しいということも御指摘のとおりでございます。 ただ、このように教育関係に所得を振り向けることができるようになったということは、一方では所得の上昇に伴います価値観の多様化に伴う生活向上という見方もできるわけでございますが、いずれにいたしましても、教育関係経費が家計あるいは経済全体に及ぼす影響等については、私どもさらに研究を進めてまいりたいと思っておるところでございます。
○池田(克)委員 実態は今お話しのとおりなんですが、私が経企庁長官に伺いたかったのは、家計の負担はそろそろ限界に来ているのじゃないか。今のお話によりますと、いや、そういうのが出せるだけ豊かになってきたのだ。確かにそれはそう言えばそうかもしれません。しかし、実情はそれほど甘いものではない。むしろ、非常に無理しながらこうした教育費というものを捻出しているのが実態ですね。官庁のそういうデータというのは確かに尊重しなければなりませんが、政治がやらなければならないのは、選挙という一つの大変厳しい試練を経て、私どもは有権者と接触をしております。官庁よりもそういう調査力は私どもの方があるのではないかと思うくらいです。日常的にさまざまな声を聞き、数に出てこない国民の叫びというものを私たちは聞いて、そして国会へ出てきている。握手もする、演説もしますけれども、さまざまな会合でお会いをする。それは盆踊りもありましょう、町の小さな会合もありましょう。私は民主主義というのは貴重だなと思っております。そういうところで、数の上に出てこない叫びというものを受けとめて、それを施策に反映していかなければ、何のための国会なのか。国民が政治不信というものを今日抱いております。政治倫理の問題もはかばかしくいかぬじゃないかというふうに、国民も白けて、投票率も年々下がる傾向にあります。特に、私は大都会なんかでそういう印象を受けるのです。政治といったって結局何もしてくれないじゃないかと言わぬばかりの気持ちが国民の中にもあらわれているのです。ですから私は、そういう官庁の調べた数は、私たちが判断する一つの材料ではありますが、そうしたものに、だからこうだああだと言うのではなしに、私たちは、こういうところで我が国のそうした方面における一番の最高責任者である所管の大臣に言う以外にないのです。だから代議制民主主義なんです。国民の声をどこで言うのでしょう。新聞の投書あるいはアンケートはありますが、私たちがそれを代弁する以外に反映する道がないし、それを受けとめていけば、国民は政治に対する信頼を回復してくれるのです。今の経企庁長官の詳細は政府委員にとおっしゃった、ちょっとそれは不親切じゃないかな、もうちょっと私が思っている気持ちを酌んでいただいて、温かい経済の企画をしていただけないものだろうかなと失礼ながら私申し上げたい気持ちなんですが、再度、こうした事態に対して、私は、そろそろ限界じゃないかな、何らか手を打つべきじゃないかなというのについて御答弁をいただければ大変ありがたいと思います。
○河本国務大臣 全くお説のとおりだと思いますのは、今の統計は全世帯の平均の統計でございますから、教育過程にある子供を持った家庭とそれからそういう子供のいない家庭を全部平均しておりますから、実際は教育過程にある子供を持った家庭の負担というものは今の統計よりも相当重い、このように理解をしておりますので、今御指摘のように非常に大きな問題だと思います。
○池田(克)委員 大変大事な重いものだという経企庁長官の御答弁でございました。 そこで、そういうような事態だからどうするか、この対策の問題だと私は思うのです。これは文部大臣が所管をしていらっしゃるわけでございまして、この教育における費用の問題はいろいろ議論があるところだと思いますけれども、例えばこの間文部大臣が本委員会でもおっしゃったと思いますが、大学の年限を短くしたらどうだというふうな御提案もございました。私、これは大変関心を持って伺ったわけですが、大学の年限を縮めてくると、諸経費というのは大学側も安くなってくると思うのです。もちろん払う月謝というものも軽くなってくる面もあると思うのです。それだけじゃないと思います。大学教育というのはそういう短縮するばかりじゃなくて、むしろもっともっとゆとりを持ってやるというのもまだ一つの見識だとは思いますけれども、また、教養課程におけるダブって教えているという面もあると思うのです。教養課程二年間でやることは高等学校で既に習ったことの繰り返しだ、したがって、難しい試験を通ってきた学生にとっては似たようなことをもう一遍学校で教わることになって、勉強意欲を減殺されるのだ。いよいよ専門課程になってから、遊びを覚えちゃってどうもこれは余り思わしくないから、教養課程というのは見直すべきだという声をある大学の理事長から私も承りました。 そういう一つの表側、いわゆる教育の面から見た観点もありますが、学費あるいは父兄負担という面から考えて、もうちょっとこの大学教育というものを短縮していく。あるいは中高一貫教育でも、私が接触をしたある私立の、女子の方ですが、短大から幼稚園まで経営していらっしゃる経営者のお話では、中高一貫教育だと教材内容が七五%でいいのだそうです。要するにダブっている部分がある。ですから七五%でいいので、要するにちょうど六年間かかって一年分が浮いてくる、そこで新しい教育をしているのだとおっしゃっていましたが、もうちょっとこれを詰めることによって教育費というものが、家計負担が変わってくるというのであれば、これも一つの方向じゃないか。ひとつ文部大臣のこの問題についての率直な、教育費大変だということについての感想もしくは対策を御披瀝いただければありがたいのです。
○森国務大臣 池田さんの御心配のように、教育にかかわる経費が大変だという、その辺の認識は私も持っております。しかし、率直に言えばと、こういうふうにあえておっしゃってくださったものですから。 教育費の家庭における支出の割合というのは一体どこをベースにするかというのは、やはり非常に難しいものだと思うのです。一般的に、今経企庁で言っておられました授業料、受験料、入学金あるいは参考書、教科書という一つの見方もございますし、それから、文部省の方で調べてみましたいわゆる保護者支出の教育費というような見方があるのですね。これになりますと、家庭教育費という分野、そういうふうな呼び方をいたしますと、例えば予習、復習、補習などの補助的学習費、いわゆる塾だとか家庭教師などがその分野に入ると思いますし、習字とかそろばんだとかピアノとかおけいこごともその中に入ってくるわけですね。そういう費用の見方をしてまいりますと、また物のとらえ方も若干違った面も出てくるわけであります。要は、家計費にどのように影響を与えていくかというのは、その家々の物事の考え方、家庭の判断による要素が私はあると思うのです。さっきもおっしゃったように、自分のやりたいことも、お母さんが美容院に行くのもやめて子供につき込まれるという考え方もあるでしょうし、子供はもう学校教育の中でやればいいのだ、自由にやりなさいという親もあるでしょうし、要は、やはり家庭の判断というのが一つの基準だろうと思うし、それからもう一つ、子供の教育の経費は学校段階において違ってくる、こういうふうに思いますから、一概にすべて家計にどのような影響を及ぼしていくのかというようなことを判断をすることは非常に難しいと思っております。 しかし、先ほど池田さん、われわれに対する一つの叱咤激励という意味からだと思いますが、政治は何もやってくれないじゃないかということになると、私はそうは思わない。やはり日本の戦後の教育というものは、努力する者は報われるのだよ、昔のように家柄とかあるいは名門であるとかそんなことではなかった、すべて努力すればどのような道でも選ぶことができるということだったと思います。やはりその成果が今日の日本だと思います。あるいはまた、大学の進学者数が若干停滞をしたという数字をおっしゃっておる。これは池田さんのお話の中にも出ておりました理由は幾つかありますが、むしろ各種学校、専修学校というものの意義を国民が認めてきたという面もあると思うのです。単に金だけ、月収だけを見れば、大学の理学部や工学部を出てコンピューターを操作するよりは、変な話ですが、大工さんとか左官とか配線工とかというような分野の方が月収から言えばはるかに上ですね。そういうふうに職業に対する見方も大変多面的になってきた、価値観も変わってきたとも言えるでしょう。そういう意味で、そういう日本の国をつくったのは、池田さんも含めみんな政治家が努力したことであって、決して政治家が何も努力してないということではないと私は思う。みんなが機会を均等に、自由に、そして憲法にも示されておるように、能力に応じて努力したら報われていくのだ、そういう日本の戦後の世の中をつくったことは、これは政治家みんなが誇っていいと私は思っております。 そういう中で、確かにこれからの教育全体に対する経費というものも、我々は決してこれは見逃してはいけない問題だというふうにも考えますから、これはまた教育の政策を進めるに当たって、いろいろな角度で国の助成あるいはまた、私学で言えば奨学資金、そういう面でできるだけ工夫をして、そういうところもできるだけお手伝いを国全体が責任を持ってやっていけるようにしていくことが大事だ、このように私は考えております。 〔委員長退席、小渕(恵)委員長代理着席〕
○池田(克)委員 お話は一々私もわからないわけではないのですが、大学へ行きたいけれども金がないというところに対して、それじゃ専修学校へ行ったらどうですかと、子供たちの進路について私たちが一つのたがをはめて、金のない者は専修学校へ行け、こういう状況はなかなか簡単には言えない。やはり今ちらっとおっしゃいました奨学制度というものについて、これは法律も出ているようでございますけれども、私は、この奨学制度という問題についてもっと抜本的に道を開いていかなければならないのではないかと思う。 実は、この経済企画庁の文書にも 今後奨学金制度の拡充、教育ローンの普及やこどもが自ら働いて支弁することが広まると進学率が上昇する可能性も考えられる。経済企画庁としては、この「奨学金制度の拡充」や「教育ローン」ということを一つの文章にしていらっしゃるのですが、これについては何らかの見通しというものを持っていらっしゃるのでしょうか。あるいは大蔵省と折衝をした中で、こういう文章をお書きになっていらっしゃる以上は何らかの裏づけがあるのではないかと思うのですが、長官いかがでしょうか。
○及川政府委員 「二〇〇〇年の日本」という長期展望の中で、これからの教育を考える一環として議論された成果が取りまとめられているわけでございますが、これからの教育のあり方について、その委員会での御意見では、今後大学進学率が余り大きく伸びないというのも価値観の多様化に伴うものですし、あるいは生涯のライフステージが人生五十年から人生八十年に非常に伸びますから、その生涯の教育の姿も変わってまいりますし、単に大学という単線的な教育ではなくて、多様な教育機会が生涯の各ライフステージに提供されていく、そしてその中では、自分が働きながら学ぶ、あるいは働く過程で学んでいくということも多くなってくるという考え方を示したものでございまして、具体的にプログラムやスケジュール等を考えてそこで提言しているというものではございません。
○池田(克)委員 実は教育ローンの問題なども出ているのですが、大蔵大臣、国民金融公庫なんですけれども、大変これは具体的な話になって恐縮なんですが、今、学費のためのローンがあるのですが、限度額五十万なんですね。市中銀行が同じような道を開いておりますが、こっちは三百万ある。いろんな父兄のお話を伺ってみますと、国民金融公庫は、金利の点でも、また、置かれている趣旨の点でも、一番手軽なはずだ、もうちょっと教育についての道というものは御検討いただけないものだろうか、こんな話が具体的に出ておりまして、大変現実的にこの問題だけを一つクローズアップするというものではございませんけれども、この話の行きがかりの中でひとつ御検討いただく方向にならぬものでしょうか。
○竹下国務大臣 突然でございますが、いわゆる政府関係三金融機関、言ってみれば中小企業対策という形で出発したわけでございますね。それが環衛公庫とかそういう形に変化して分化した面もございますが、その政府関係金融機関で無担保融資の限度枠等も決定してございますものの、教育を対象にしたということについては、私も勉強はさせてもらいますが、あるいは財政当局として対応する場合は育英奨学資金制度というような面がむしろオーソドックスではなかろうか、こういう感じがします。正確では必ずしもないかもしれません。
○池田(克)委員 突然のことで恐縮でございました。 企画庁長官、お忙しいということですので、ありがとうございました。 大蔵大臣にもう一問またお願いをしたいのですが、実は私学の助成というものが、厳しい財政状況の中で年々削られてきているという実態がございます。この私学の助成を削られている理由なんですけれども、これは全体に厳しいのだという状況なんでありますが、さっき教育についてはまたそれなりの決意を持っていらっしゃるというふうに承ったのですが、今後も毎年毎年同じようにシーリングというものがなされていくのじゃないか。最初に伺いたいのは、来年もまた予算編成の段階でそうしたシーリングが課せられていくのか、そこから伺わなければなりません。また、もしそうであるならば、教育の問題、特に私学助成の問題も同じ範疇に入ってくるのか、ここら辺についてお伺いをしたいと思います。
○竹下国務大臣 ひとつ沿革的に考えてみますと、日本の教育が、戦後の三大変革、すなわち憲法改正、六・三・三・四制の教育改革あるいは農地解放、この三つであったと思います。それからだんだん教育行政の中で、いわゆる国庫負担法、それから人確法、私学助成、こういうような経路を歩んできたのかなと、私なりに振り返ってみますと。 それで、私学助成というときに大議論をいたしました。たまたま委員と私は同じ学校を卒業しておりますが、言ってみれば、この私学というものは、ノーコントロール・ノーサポートであってこそその意義があるのじゃないかという議論と、今やこのように進学率が普及したときに、国にかわって高校教育なり大学教育なりをやっているのではないかという議論と、随分譲論の末できまして、私が記憶しております、昭和四十七年予算のときに、当時文部大臣が高見先生でございましたが、三百億をどうしても超したい、三百一億になったという記憶が鮮烈に残っております。それから見れば随分伸びたものだな、こういう感じを持ちながら見ております。 その問題は別といたしまして、シーリングということになりますと、私がたまたま担当いたしまして昭和五十五年度予算が、それまでが大体一八%弱毎年伸びております、それを一〇%伸びのところでやって、それからその次、五十六年が七・五%、五十七年がゼロ、それで五十八年がマイナス五%、それからマイナス一〇%、これは経常部門の経費のことでございますけれども、そういう厳しいシーリングを設定して、そのことが結果として、内なる改革といういささかきざっぽい言葉でございますが、原局の方がそれぞれの知恵を絞った形で予算編成に臨まれるようになったというふうに思います。 そこで、そういう厳しい事情の中で考えてみますときに、されば六十年度予算をどうするか、これは概算要求の方針が決定する六月ぐらいまでにはこれを決めなければなりませんね。そこで、何%というようなことを今言えるだけの自信はございませんけれども、やはり私はシーリング、いわゆる天井を決定する方式でもって財政事情の厳しいときに対応していかなければならぬであろうというふうな、漠然とした一つの方向は持っておるところであります。 したがって、私学予算ということになりますと、まあ中身でいわゆる研究費とか、そういうところを伸ばしたり、そうしてまた高校の場合は、都道府県等の助成からすればある程度のところまで来たというようなこと等を勘案して、一方、厳しい財政の中で臨時行政調査会は、全体的に抑制すべきである、こういう議論もございますので、大学関係一二%マイナス、高校一〇%マイナスという結果になっておるわけでありますが、やはり六十年度予算もそういうシーリングというものを設定して、まずは概算要求のときから取りかからなければならぬのではなかろうか、まだ省議を開いたりして決めておるわけではございませんが、そのような感じは持っております。
○池田(克)委員 そうしますと、毎年毎年この私学予算という問題が出てくるわけなんですが、その年度の前年比のまた何%、ずっとこうなってまいりますと、これは相当な額が削られてくるわけでして、それが授業料その他、学生または父兄の負担にはね返ってくることは、私はもう目に見えていると思うのです。 そういう状況の中で、先ほど文部大臣もちょっと触れておられましたけれども、必ずしも大学じゃなくていいのではないかという、方向の多様化ということもそれは出てくると思うのです。しかし、反面、優秀な人材を、この間もちょっとおっしゃっておりましたけれども、日本は特に資源がないのだ、人材を鍛えていくしかないのだという状況から見るならば、あとう限り進学の機会というものは目いっぱい広げておくべきだと私は思っているわけです。 そういう状況の中で、私、いろいろと資料を当たったりしたのですけれども、第三次の中教審の答申以来、受益者負担という問題がにわかにクローズアップしてきた。そして教育について、その教育のいろいろと内容を受けるのは本人であるから、本人またはその父母がそれを払うのは当然なんだみたいな、そういう考え方が取り入れられてまいりまして、この受益者負担という考え方、そして受益者負担というものの限度額、ここが一つの議論になっているような印象を私受けるわけなんですね。 この受益著負担というのは、この中教審の文章にも出ておりますけれども、多分大臣は御存じでございましょうと思いますので、この受益者負担、これは私は大変大きな問題だと思っておりますが、そろそろ限度へ来ているのじゃないかなという印象を持っておりますが、文部大臣から、この私学助成について、来年も削られる、これは仕方ないと見るのか、何とかしてこれは今この状況の中で頑張ってこれ以上削らせないというお気持ちでいるのか、御答弁いただきたいと思います。
○森国務大臣 私学助成予算につきましては、今大蔵大臣から、ずっと年次を追って当時のシーリングだののお話がございました。 私学助成法は、私どもは本当に日本の私学を日本の教育の中にきちっとした位置づけをしたい、こういう気持ちで私どもが当時議員立法で御提案をして、本当にそれこそいろいろな制約はございました中に、それこそみんなで命をかけてこの法案を成立させたものでございますから、私もその当時一議員としてそのことに一生懸命努力した一人でありますだけに、私学を一番大事なものだ、今でもそういう認識は変わっておりません。そういう中で、大蔵大臣がおっしゃったような財政状況の中でも、私学については特別にいろんな形で配慮をしてきているわけであります。 たまたま五十九年度につきましては、臨調の答申もございましたし、確かに御指摘どおりの一二%の切り込みということになったわけでありますが、別途のいろんな助成費はまた別の角度からできるだけ新たなものも設けるなどもし、増額もし、できるだけ全体に及ぼさないように工夫はいたしてきたつもりであります。あるいはまた、高等学校以下につきましても、自治省にもいろいろな御苦労もいただいたということでございまして、これからも私学については一生懸命、池田先生のお話もございましたように、私学を大切にしていくというこの政策を進めていくことについては文部省は一生懸命やる、こう申し上げてよろしいかと思います。 ただ、それに関連いたしまして、授業料、納付金等の値上げの抑制も、当然そのはね返りで、先ほどから先生が大変御心配しておられますが、家庭にその影響が来ないように、それだけ一生懸命文部省としても関係団体、いわゆる大学関係団体にもお願いもし、いろいろと抑制の方向で指導をしてまいりまして、五十九年度入学者の初年度納付金の値上げ率はおおむね大体三・二%ということでございまして、五十年代に入りまして一番低い伸び率であるというふうに申し上げてもいいかと思います。 高等学校以下につきましては、今調査もいたしておりますが、おおむねその方向に協力、努力をしていただけるのではないか、こんなふうにも思っております。 それから、長くなって恐縮ですが、中教審のいわゆる受益者負担の限度内という今御指摘がございました。いろいろな見方はあると思いますが、その答申の中身は時間がむだですから申し上げませんが、私どもとしては、その趣旨は、高等教育への就学を一層容易にするよう配慮を求めたものだと考えております。そういう意味で、先ほど私がちょっと申し上げた中で誤解があるかもしれませんが、専修学校にも、大学へ行けなかったら行きなさいというのではなくて、そういうことにむしろ価値観を見出していただく時代にもなってきておるだろうということでございますが、しかし、高等教育機関に進みたい方にはできるだけ門戸を広げていく、それでだれでもが就学できるようにするということは、これは政治の大事な要請でございますから、御批判はございますが、今度の奨学資金制度も、確かに有利子貸与制というものを入れましたけれども、いわゆる授業料につきましては大きく広げて、要は学生時代にお返しをいただければこれはほとんど無利子なんでありますから、できるだけその範囲の中で幅広くそういう適用が受けられるように努力をしてきたつもりでございます。 今後とも私学振興につきましては、さらにいろいろな角度から、単に助成という形だけではなくても、いろいろな意味で私学教育が円滑に進んでいくように、またむしろ発展していくように、そういう方向に文部省は最大の努力を払っていきたいと思っております。
○池田(克)委員 私が指摘をしました中教審の答申の中で「受益者負担の実際額は、教育政策の立場から、その経費の調達が大部分の国民にとっていちじるしく困難でなく、個人経済的には有利な投資とみなしうる限度内で適当な金額とすべきであろう。」こういうくだりがあるのです。大臣はこの文章についてちょっと省略をされておりましたが、これはなかなかわかるようでわからないのですが、担当の局長でも結構ですが、この文章は一体どう読むのですか。
○齊藤(尚)政府委員 中央教育審議会の四十六年の答申の中身につきましてのお尋ねでございます。 この当時、私学関係の経営が大変に悪化をしておる状況でございまして、私学助成がスタートするという段階でございます。その意味で、高等教育機関に対します公費の支出とそれから受益者負担の割合をどういうふうに考えていったらいいかという観点で、さまざまな議論がございました。一つは、教育投資という考え方でこれを考えてみるという考え方がその前段のところに書いてございます。それに対しまして、そういうような教育投資という経済効果の側面だけからの判断は適当でないという御意見もございまして、その上で、先生先ほどからお話ございましたように、国民の生活実感といいますか、そういう側面から教育政策はこの問題についても考えていけ、そういう趣旨を述べたものというふうに理解をしております。
○池田(克)委員 もう一つよくわからないのですけれども、「個人経済的には有利な投資とみなしうる限度内で適当な金額とすべきであろう。」要するに、子供のために金をかけて、そしてちゃんとやっていって、どっちが得かということになる、こういうふうに教育を見ることがいいか悪いか私はわからないのですけれども、限度というものはあるだろうと私は思うのです。どこかに公費負担、そして授業料、その他諸経費として負担させる限度の線というものがあるだろう。この問題は、きょうはそこまで深く追っかけないことにしますが、やはり研究をしていただきたいというふうにお願いをしたいと思います。 そこで、労働大臣お見えになっておるのですが、限度とか投資とかという話が出てくるのですが、ちょっと昔になりますが、労働省がおもしろいパンフレットをお出しになりまして、要するに必ずしも学歴ばかりじゃない、「大学を卒業することの経済的メリットはますます小さくなってくるのではないでしょうか。」こう書いてあるわけです。労働省のパンフレットです。「中学、高校のそれぞれの段階で」「本人の適性と能力を見つめた上で、進路を決定することが望まれます。」こういうふうな大変大胆な表現をされておりまして、中にこういうような文章がございます。「大学四年間の学費等を金利を含めて考えますと、その投資効率は決してよいとはいえないという試算もあります。例えば、四年間の学費百万円と生活費二百四十万円とを三十五年間の複利計算で運用したとすれば五千万円となる計算になります。」つまり、子供を学校へやらないでその金をためておけば、複利計算すると大体定年になるころには五千万円になるのだ、こういう計算になるのです。これは随分古いのですが、これを今の時点で換算しますと、これはもっとぐっと上がってきまして一億を超えてしまうくらいなんです。 これは、たまたまこういうパンフレットが出たと思うのですが、私はこれは労働省の本音だろうと思うのです。就職のあっせん、就職という現場に立っておられますと、どんどん大学卒が出てくる、いろいろな形の大学生が出てきて、就職は何とかしろということになってくる、これは大変なことだ。大変大きな問題でございますので、労働大臣から、大学生は本当に就職するのに今どういう状況か、スムーズに就職がなされているのか、希望をする職種あるいは希望をする就職先にどのくらいの率で大学生が就職がかなっていっているのか、あるいはしょうがなしに、大学は出たけれども、大変不本意ながら自分の望んでいるのと違う方向に行かざるを得ない、これは二つに分かれると思うのですけれども、データがおありだと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。
○坂本国務大臣 先ほど委員が言われました、教育に投資をすれば将来はそれが返ってくるのだぞ、だからだれでもかれでも大学へ、一流の大学目指してといってお母さん方、御父兄がもう子供のおしりをたたく。余りその弊害が大きかったものですから、教育を初めからお金で、出世主義ばかりで見られちゃ危ないですよという一介の老婆心から、いやそんなにお金かけたってそううまくいきませんよ、五千万円もと今おっしゃいましたけれども、そんなにお金をかけてそううまくいかないのですよという老婆心からの御忠告の意味で申し上げたのだろうと思いまして、労働省といっても、いかに実社会とのマッチを大切に考えたといっても、教育を金だけで考えるというわけでは決してございません。しかし、そういう風潮が強かったものですから、そういうふうにお金だけでお考えになってもかえってそうはいきませんよという御忠告を申し上げたという程度でございます。 今委員がおっしゃいましたけれども、資料といいましても細かいことは政府委員がよく知っておると思いますが、ここの手元にあるところでちょっと見ましても、大学の男子は製造業なら三六%製造業を希望しておるけれども、入れる者は三一%にすぎないとか、いろいろ金融、保険のところは二五%希望しておるけれども、一一%しか入れないとか、しかしサービス業などは希望は七%しかないのだけれども結局就職したのは二〇%と多いのだとか、そういうデータが出ております。 それから、今後三年程度に新規の大学卒を採用する企業のうちで、どれを余計欲しいかというような方針もありまして、それは男子では専門的な技術的な職業、理科系を四〇%ふやしたい。つまり科学技術の技能者を欲しいということでしょうね。これが飛び抜けて多いですね。それから学生の面からは余り希望してないのだけれども、採る方から見ると、男子の文化系では販売、セールスの方に二五%もふやしたいとか、そういう方針もございます。結局これはもう学生諸君は親御さんの気持ちを受けて、自分のお父さんの姿でも見ておるのでしょうか、兄さんの姿でも見ておるのでしょうか、大企業の一流企業へ行けばというところで、しかもホワイトカラーを希望するのがうんと多いわけですね。ところが実際は、昭和五十年でしたでしょうか、日本のあの近代化を戦後推し進めてきた第二次産業というもの、これが基幹だったわけです、これが原動力だったわけですけれども、この第二次産業が最大のウエートを占めておったのが、もう第三次産業にウエートは変わりましたというようなことで、社会の変化が非常に大きいわけです。ところが、希望する学生さんは昔ながらの大企業、第二次産業中心のホワイトカラーを希望しておる。ところが、世の中の方は全然変わってまいりまして、知識集約型産業であるとかセールスの方だとか、そういう二次産業以外の三次産業が大きくなったからそっちの方へ希望が多いとかというところで、そこがうまく合致しないわけですね。そこで、私どもとしては、もう時代は大きく変わっておりますよ、しかも国際化の中でそういう要求がうんと加速してまいりますよ、ですからということで、今大学生の就職などは大学の方にまずお願いをしておるわけですけれども、その大学の方にもよく連絡をいたしまして、そして、その事業所と大学のお世話する方々の頭をうまく調和させていただくように、今いろいろ、各種の機関を通じて、私ども援助、助言をしておるという次第でございます。
○池田(克)委員 文部大臣、この問題も大きな関心を持っていらっしゃると思いますが、キャリアガイダンスというのがあるそうですね。大学生が就職について、いよいよ四年になってから何とか自分の進路はなんと言っているんじゃなくて、もっと早い時期に自分の進路あるいは社会におけるそうした雇用の状況、そうしたものをきちっと教えて、そうした意味で就職を容易にするという点から、文部省、労働省、それぞれ相談した上で、大学におけるキャリアガイダンスというのをやっていくともっとスムーズになるのだ、こういう話があるのですが、御承知でしょうか。また、それについての御見解があればお伺いしたいのです。
○宮地政府委員 お尋ねの件でございますが、特に私立大学では、三年生の後半に行われる就職ガイダンスに始まりまして、四年生の十月ごろまで数回にわたりまして就職ガイダンスを行っているのが通例でございます。個人的な就職相談、就職ガイドブックの作成、配付あるいは能力、適性に応じた就職決定が行われますように努力をいたしているところでございます。さらに、大学の関係団体において、地域別なりあるいは全国で就職担当者の研修会等を開催するとか、あるいは大学における就職指導の一層の充実が図られるように努めている点でもございます。 なお、これら大学関係団体等で構成する就職問題懇談会やその他学協会議等の会議を通じて、その就職指導がさらにきめ細かく、適切に行われるよう、私どもとしても今後とも留意をしてまいりたい、かように考えております。
○池田(克)委員 時間が乏しくなってまいりました。郵政大臣、大変お待たせいたしました。放送大学について若干お伺いをしたいと思います。 放送大学がいよいよ六十年から開学をするわけでございますが、大変新しい試みでございまして、私、心配をしております。放送大学の対象地域内における難視聴対策、つまりUHFでこれは放送されていくわけでありますが、私も東京ですけれども、UHFというのは、どうもなかなか映りがもうひとつよくないという印象を実は持っておりますが、せっかく大学に入れた、テレビによるところの講義を期待していた、しかし難視聴が出てきたのではこれはうまくない。NHKがやるわけではございませんので、これはかなり完璧な体制をしいていただかないと、せっかくの大学がうまく運営できないということでございまして、まず最初に、郵政大臣の方から、郵政省の対応についてお伺いしたいと思います。
○鴨政府委員 放送大学の放送のスケジュールでございますけれども、放送大学学園が設置いたします東京の放送局は、五十八年の二月に予備免許を行いまして、現在建設中でございますが、ことしの十一月からは大学の紹介あるいは教授の紹介等の放送を開始をする。六十年の四月の開校と同時に授業放送を始める計画になっております。それから、群馬県に中継局を設置することになっておりますが、これの方も六十年四月からの東京放送局と同時に授業放送を開始するという予定でございますが、これにつきましては、現在予備免許の申請が提出されておりまして、現在審査中でございます。 御指摘の放送エリアにつきましては、この放送大学学園の第一期計画、昭和六十年度から六十二年度までの第一期計画におきましては、広域の送信所としてただいま申しました東京の放送局、これは東京タワーに設置をされます。それと中継局といたしましての群馬県前橋の放送局、これの電波の到達する範囲ということが、これが対象地域ということになっているわけでございます。 先生のお話にございましたUHFを使用するということは、この計画の中で予定されているところでございますけれども、これにつきましては、UHFのアンテナを設置する必要があるわけでございますけれども、御指摘のような難視聴という点に関しましては、先ほど申しました第一期計画のエリアといたしましては、東京タワーからと、それから前橋から電波の到達する範囲内ということで私ども受けとめておるわけでございまして、そこにお住まいの方々がこの放送を受信をされるものだと承知をいたしております。
○池田(克)委員 ですから、今のお話の中で私伺いたいのは、最近ビルとか、都市の中でも難視聴問題というのはいろいろあるわけです。したがって、そうした問題についてどのように対応されているかという部分ですね、時間もございませんので、その問題についてお伺いしたかったのですけれども……。
○鴨政府委員 ただいま申し上げましたように、放送大学に割り当てられる周波数は、テレビジョンの放送用といたしましては、UHFの波を使用するということになっております。先ほど申し上げました放送エリアにおきましては、現在はVHFの放送が行われております。これはNHK、民放を通じましてVHFでございますので、そのエリアにおきましては、UHFのアンテナを設置する必要はございます。このUHFのアンテナと申しますのは、ただいま申しましたエリア以外におきましては、一般的にも利用されているものでございます。その費用はもちろん負担していただく必要がございますけれども、そのUHFのアンテナをつけていただければ、ただいま申しましたエリアの中では視聴が可能になるということでございます。
○池田(克)委員 文部大臣、放送大学は画期的な試みでございまして、わからない点もまだいろいろあるわけでありますが、一つ、体育の実技なんです。体育の実技はもちろん、これはキャンパスのない大学ですから、放送大学としてはできないわけです。これは具体的にどうなります。
○森国務大臣 放送大学は、今、池田さん御指摘のように、まさにこの委員会では二十一世紀という話がよく出るわけですけれども、二十一世紀を目指す新しい高等教育機関が、大きくこれによっていろいろな意味でいい結果を生むと私は思っておるのです。そういう意味で、社会人、家庭婦人が大学教育に参加できる、あるいは高卒をして一たん社会に出た人たちが高等教育をいつでも受ける機会を持てる、あるいはこれからの、現存する高等教育機関のお互いの単位の互換性ができる、そういうふうに考えますと、さっき先生が別の問題でお話しになっておったように、まさに日本の高等教育の一つの革命だろう、こう思いますし、これを私は多様に、いろいろな形でこれから駆使と言っていいのかどうかわかりませんが、利用していけば、日本の教育も大きな意味で変わっていくだろう、私はこう思っておりまして、六十年開学をいたしますので、ぜひ成功をさせたい。 当初の予定からまいりますと、放送衛星BS3に、できればこれを利用して全国のネットを網羅していくということであったわけですが、財政状況、いろいろな状況の中で、当面、多額の経費を要しますので、見送ったことは御承知のとおりであります。しかし、放送大学六十年開学は、まずは開学をして、そして今、鴨局長からも話がありましたように、とりあえず電波で届きます範囲の中にこの教育をまずスタートをさしていきたい、こういうふうに考えております。これからはどういう方向で行きますか、また多くの問題も抱えておりますけれども、新しい日本の教育の中の中心的なあるいはまた基本的なベースになるような、そういうものにぜひ成功をさしていきたい、こう考えております。 したがって、体育の単位の履修につきましてもいろいろと工夫を凝らして今検討をいたしておるところでありますが、体育実技につきましては、教育委員会等で行います社会体育などに参加をする、そのことによって修得をした単位を与えていくというふうに考えております。その単位の取り方についても、いろいろと現実の社会人に対応でき得るような工夫を凝らして考えていきたい、こういうふうに思っております。
○池田(克)委員 今、放送大学のお話が出たわけでございますが、体育の単位の取得は、これは通信制大学の新しいシステムとして地域の社会体育を取り入れるという方向だというふうに伺いました。私は、そういうふうに大学が単位の互換のような形で地域と交流していくことは非常に望ましいことだと思っております。 最後に一問だけ伺いたいのは、この放送大学の教育内容、つまり、取得した単位を民間大学が単位の互換として使いたい、こういうような状況もあると伺っております。始まってからでなければわからないと思いますが、こうした道をぜひ私はとるべきだ。ある私立大学の経営者が言っておりました。さっきちょっと触れましたが、いわゆる大学の教養課程というものについて見直したい、もっとこれを充実させたいけれども、なかなか同じ学内では思わしくない。したがって、実験的でもいいから、放送大学の単位というものを学生に見せてそこでの取得単位を認める、こうすることによって大学の中の教養課程の経営というものを少し身軽にしていく、専門課程に力を入れたい、こういう主張をしていた人がおりました。この問題は御検討されているだろうと私は思っておりますが、一般大学との単位の互換、これはいかがでしょうか。
○森国務大臣 大学間の単位の互換制というのは昭和四十七年から制度化をしておりまして、その道はもう開いております。したがいまして、放送大学が本当にスタートいたしますと、今もお話が出ましたし、さっきもちょっと教養部の問題も出ましたけれども、ある意味では教養の分野にも大きな革命が起きてくるのではないだろうか。ニューメディア時代とも言いますから、いわゆる有線を使って、これから放送が家庭の中にも企業の中にもいろいろ入ってくるわけですから、そういう意味からいいますと、放送大学そのものがある意味ではCATVの利用ということも十分検討できる、夜間部との交換とか、いろいろな形でこれを多種多様に工夫して生かしていくことができるのではないか。文部省はできるだけ積極的にそういう方向を目指して、そしていつでもだれでもどこでも意欲のある者は一生懸命学ぶことができるのだ、そういう日本の教育体制をつくっていきたい、その中でこの放送大学が大いなる役割を果たしていく、私はまさに夢の教育の実現だろう、こう思っているわけであります。
○池田(克)委員 終わります。 〔小渕(恵)委員長代理退席、委員長着席〕
○倉成委員長 これにて池田君の質疑は終了いたしました。 次に、清水勇君。
○清水委員 外務大臣は先日、総括での私の質問に対して、対米武器供与問題に関連をして、日本の宇宙開発政策なり非核三原則にかかわるかなり重要な発言をなさっておられるわけであります。率直に申し上げて、アメリカが開発をする宇宙兵器は防御的であり、かつ安保条約の効果的運用という立場から将来我が国の技術を供与することはあり得る、こういうことを言い切っているわけでありますが、そう言われると、今申し上げた観点に立って少しただしておかなければならない、こういうことでありまして、最初にお尋ねをしておきたいというふうに思います。 私が改めて言うまでもないのですが、我が国の宇宙開発政策は、宇宙開発事業団法で明確にされているとおり、宇宙開発とその利用は平和目的に限る、こういうことが不壊の原則ともいうべき立場で決められておる。また同時に非核三原則の中では、明確に、つくらず、つまり、核兵器はつくらないということがこれまた国是として確立をされておる。 そこで、これは将来の問題だとはいいながら外務大臣は、アメリカからの要求にこたえて、それが防御的兵器であるという前提もつけておられるけれども、我が国の技術を供与するということに理解を示したい、こういうふうに言われているわけでありますが、将来、現実に宇宙兵器開発に絡む技術の供与を求められた場合、我が国の宇宙政策あるいは非核三原則との深いかかわり合い、それらの根幹に抵触するような状況が生まれてくるのではないか、こう思うのであります。そうした場合にどういう対応あるいは措置をなさろうとされるのか、基本的なことですから、まずお聞かせいただきたいと思います。
○安倍国務大臣 私の先般の答弁につきましていろいろ御質問もございました。その後、予算委員会における答弁でも順次明らかにしておりますが、せっかくの御質問でございますので、この場でまとめて考えを申し上げたいと思います。 すなわち、政府としましては、まず米国の国防政策については、抑止を旨とする防衛的なものであるというふうに承知をしております。米国が明らかにしている弾道ミサイル防衛構想も、あくまでも弾道ミサイルに対する防衛を基本としているものと承知しております。 次に、対米武器技術供与について述べれば、それは、米国の防衛能力の向上に寄与することによりまして日米安保体制の効果的運用に資するという観点から行われた政府の決定でありまして、武器技術供与の要請があった場合には、このような総合的な国益の観点を踏まえて、具体的事例に即して慎重に決定するということであります。 これまでも繰り返して説明をしておりますが、現在まで米国からは、我が国に対して武器技術の供与につきまして具体的な要請はありません。我が国のいかなる技術がいかなる形で米国の国防政策において用いられ得るか承知しないわけでありますが、いずれにいたしましても、対米供与する武器技術については、我が方が具体的事例に即して自主的に判断して慎重に決定する考えでございます。 米国の弾道ミサイル防衛構想は非常に長期的な構想でありまして、米国において現在はあくまでも研究の段階にあります。我が国に対して具体的要請が想定をされておるものでもありません。このような仮定の問題でございますから、今からこの弾道ミサイルの防衛技術についてどうだこうだということを具体的に申し上げることは慎まなければならない。 いずれにしても、日本が武器技術を供与する場合には、安保体制の効果的な運用、そうしてまた、アメリカのいわゆる防衛力の向上というものを踏まえて行うということであります。そして、それはあくまでも自主的に日本の独自の判断で行うということでありますし、同時にまた、その場合には日本の憲法であるとかあるいはまた日本の基本的な法制であるとか、そういう基本的なものに基づかなければならないことは今さら申すまでもないわけであります。
○清水委員 これは将来の課題だし、今アメリカ側からは何にも言ってきてないから、今日的に四の五の言うことが妥当ではないのではないかという趣旨のお話かと承りました。 ただ問題は、去年の一月十四日に対米武器技術供与については武器三原則の例外という措置をとる、我々は納得のいかない措置でありますが、いずれにしても政府はそういうことを決めた。しかし、宇宙開発については我が国の例外措置というものがあるはずもないし、また非核三原則に関しても対米向けに云々というような例外措置も無論ないのです。ですから私が先日聞いた意味、また今ただしている意味は、いわゆる宇宙兵器に関して、あるいは核兵器の開発に関して言えば、アメリカ側からそれが要求をされても、我が国の法律あるいは国是ともいうべき非核三原則の立場からいえば、仮に武器技術の例外措置というものを講じたとしても、宇宙兵器に関する限り対米向けの技術は供与できない、これが素直な見解じゃないかと思うのですが、いかがですか。
○安倍国務大臣 確かに、おっしゃるように我が国は非核三原則も持っております。その他の我が国の宇宙開発等に関する基本的な考え方ということも明らかにいたしておるわけなんです。したがって、こうした基本的な我が国の憲法であるとかあるいはそうした法制とか、そういうものをやはり守りながら、なおかつ、武器技術については日米の安保体制という中で供与をしていくということであります。 核兵器については、御承知のようにこれは日本が非核三原則の中で今までつくったこともありませんし、持ったこともありませんから、核兵器そのものの製造技術というのはないわけですから、したがって、これは輸出のしようもないということでございます。
○清水委員 今、いわゆる対米向けの武器技術供与について言えば、日米安保の効果的運用という側面から去年の一月十四日の例外措置もこれあり、今後考えていくのだ、こう言われるけれども、宇宙兵器に関しては、これはくどいようですけれども、事業団法なり国会決議もあるわけですね。そういう立場から当然に供与ができない、こういうふうに理解をしていいですか。
○岩動国務大臣 先ほど外務大臣から御答弁したとおりでございますが、特に宇宙開発事業団は、御案内のとおり、第一条で平和目的に限るということになっておりますし、また国会の御決議もございます。したがいまして、私どもが進めております宇宙開発は全く平和目的のための技術開発でありまして、武器技術というような分野には全く手をつけておりません。したがって、そういう技術を持っていない、したがってこれを外へ供与するということはまずない、こういう実情でございます。
○清水委員 それはちょっと短絡的な解釈なんですね。今日、アメリカ側が我が国の特に民間企業等の持っている高度先端技術等々に目をつけているのは、いわゆる武器専用技術というよりも武器技術に転用し得る汎用技術あるいは純粋な汎用技術、こういうものの供与というもの、提供というものを強く求めてきて、去年の十一月八日にこれに関する交換公文を取り交わしているわけですね。だから、核兵器を開発するとか宇宙兵器を開発するための技術は持っておりません、したがって、供与のことなどは全く考えられませんなどということを言われたのじゃ困るのでありまして、この点はきちっとしておいてもらいたい。
○岩動国務大臣 宇宙開発事業団で研究開発をしておりまするのは、今も申されたように、いわゆる汎用技術という分野で考えられるものでございます。そういったような汎用技術ということになりますと、いわゆる武器技術というものとはまた別の範疇に入るわけでございます。ただ、宇宙開発事業団が持っておりますものをそっくりそのまま出せるものかどうかということになりますと、これはやはりいわゆる汎用技術というものと武器技術というものとをよく区分もしなければなりませんし、先ほど外務大臣が御答弁になったように、今後、私どもはそのような事態があるとはまだ考えておりませんけれども、その時点においてはまだ検討しなければならない、かようなことになろうかと思います。
○清水委員 ついでだから科技庁の長官に承っておきますが、いわゆる科学技術庁が主管をする宇宙開発政策、これは平和目的に限る、宇宙開発事業団法を補強する意味で国会決議もございますね、これも明確にされておる。ですから、新たに今後米国が宇宙兵器の開発に関連をして例えば日本に技術の供与を求めるという場合、いいですか、例えばこの間取り結んだ交換公文の中で定められている共同委員会、JMTCというのがあるのですが、そこへ持ち出されてくるわけでしょう。そういう際に、少なくとも我が国の法律の規制があり、国会決議があり、したがって、そうした要請にはこたえられないと言うことが当たり前じゃないのですか。言われたらそのときになって考えますなどという代物ではないんじゃないですか。
○岩動国務大臣 現実をまず私ども認識したいと思うのですけれども、今、私どもの宇宙開発技術というものはまだまだ外に出せるようなものではない。アメリカの技術に比べますと大部分はまだ輸入をしているという状況でありますし、アメリカからそのようなものを要請されることはまずない段階であるということでございます。
○清水委員 僕は、やはりこの質問に対する答弁を科技庁の長官にしていただくというのは少し無理があると思うのですね、率直に言いまして。現にアメリカ側は日本の汎用技術を渇望しているのですよ。さまざまな先端技術等々について求めているのですね。あるいは求めてくるんですね。だから、そういう際に私がはっきりさせておかなければならないことは、我が国の法律ないし国会決議、さっき外務大臣もおっしゃっておられたが、そういう立場があるので、ケース・バイ・ケースでそのときには考えるではなしに、いわゆる宇宙開発ということに絞って申し上げれば——これは科技庁の長官に私聞いているのじゃないのですよ。宇宙開発に絞って言えば、当然そうしたものは供与できないというのが外務大臣筋じゃありませんか。
○安倍国務大臣 今、科技庁長官もお述べになり、清水委員もお話がありました汎用技術ということになれば、これは今我々がやっております武器技術の供与の範疇とはよく御承知のとおり別の範疇でありますから、この点については、特に武器技術、武器三原則というものの外に置かれておるわけでございますから……(清水委員「いやいや、武器技術も含まれている」と呼ぶ) 武器技術につきましては、これは今、長官も述べましたように、本来、核兵器につきましても、あるいは宇宙兵器につきましても、そうした武器技術というものが日本には存在していないわけですから、現実的には、そうした宇宙技術あるいは核技術に関連する武器技術というふうなものがアメリカから要請がある、こういうふうには実は思っていないわけであります。弾道ミサイル計画なんかを持っておりますけれども、これはまだまだ遠い先の話でございますので、我々としては、いずれにしてもそういう武器技術全般についてはやはり歯どめを持っておりますから、あくまでも日本が安保条約の運用とかあるいはアメリカの防衛力の強化であるとかいうものを踏まえながら自主的に判断をして決めるという歯どめがあるわけでございますから、私はそれで十分じゃないだろうか、こういうふうに考えております。
○清水委員 実は、この間外務大臣はこう言っているのですね。防御的兵器であるからいわゆる宇宙兵器の場合についても技術供与ができるのだ、これは今すぐするという意味じゃないが、将来の問題としてできるのだ、こういうことを言っているのです。しかし問題は、昔から攻撃こそ最大の防御という言葉もあります。そういう言葉にあらわされているように、どれが防御的兵器か、どれが攻撃的兵器がということは、これまでも国会でしばしば議論があるように、区別ができないというのがこれまでの一貫した政府側の見解なんです。法制局長官もそう言っているのです。外務大臣が、防御的な兵器なのだから、したがって技術供与があってもいいのだ、こういうことを宇宙兵器の開発に絡んで言われている。ですから、これは従来の国会答弁からも逸脱をした答弁と言わなければならないし、これはどうしても了解ができない。これは訂正してもらいたい。
○安倍国務大臣 そういうふうに受けとめられておりましたら多少舌足らずの点があったかとも思いますが、私が言いましたのは、アメリカの国防政策というのは本来防衛的なものだ、そして弾道ミサイルの話がちょうど出ましたけれども、弾道ミサイルは防御的な兵器である、防御的なものである、そして日本の武器技術の供与については、あくまでも安保条約の運用あるいはまたアメリカの防衛力の向上、そういうものを踏まえて自主的にやるのです、こういうことを言っておるわけであります。ですから弾道ミサイルを、これは将来のことでありますが、防御的な兵器であるから、直ちにこれに対して武器技術の要請があれば協力します、こういうことを言っているわけじゃないので、弾道兵器は防衛的なものではないか、新聞を見た限りにおいてはそういうふうに承知しておるし、私の聞いた限りでもそうですからそう言ったわけです。ただ、武器技術については、あくまでも武器技術を供与する場合の原則というのが、安保体側の効果的な運用あるいはまたアメリカ側の防衛力の向上に資する、こういうものを条件にしております、そうして日本が自主的に決めるということであります、こういうことを言っているわけであります。
○清水委員 今、外務大臣はこの間の答弁と大分変えられまして、私の受け取り方が違うのじゃなくて大分変えられている。どう変えられたかというと、弾道ミサイル防御システムというものに触れて発言をされているのです。防衛庁の古川参事官もその際これについて発言をしておるわけですけれども、つまり、打ち出された例えばソ連ならソ連のミサイルを宇宙空間において爆発をする前に撃ち落とすのだ、こういうことを言っているのですね。外務大臣は、この間は一般的な武器技術について触れたとおっしゃるけれども、私は一般的な武器技術について触れたわけじゃなくて、そういう具体的な質問をしながらそれに対して答えてもらったわけです。しかし今の答弁で、いわゆる一般的な武器技術の供与ということについてこの間は申し上げたのであって、いささか舌足らずであって、宇宙兵器の開発、こういうものに関する技術供与について答えたのじゃない、こういうふうに言われているのだから、そういうふうに理解していいんですな。一言だけ言ってください。
○安倍国務大臣 まだ何もアメリカからは言ってきていませんし、それから、いろいろと問題が将来起こってくるわけでしょうが、あくまでも日本の武器技術の供与につきましては先ほど申し上げましたとおりの原則に従ってやる、自主的にやる、こういうことであります。
○清水委員 この際どなたに確認していいのか、官房長官がどうしても所用で来れないというものですから、大蔵大臣に答えてもらうというわけにもいかないかもしれませんが、実は五十七年の一月十三日に同僚議員が「在日米軍の武器調達等に関する質問主意書」というものを出しまして、これに関連をして「米国その他外国に対して、核兵器に関連する我が国の先端技術・部品の提供は、非核三原則を堅持する我が国の立場上認められるのか。」という問いに対し、明確に、非核三原則を堅持をしている我が国はそういうことはできない、こう言っているわけですね。この点は再確認できますな。
○木下政府委員 五十七年一月二十二日、草川昭三議員の質問主意書に対しまして、政府としては、「非核三原則を堅持している我が国が、核兵器の部品又は核兵器の製造のための技術を輸出することは考えられない。」というふうに御答弁申し上げました。
○清水委員 その点は明確に確認をいたしておきます。 あわせて、昨年の三月の多分二日だったと思いますが、この予算委員会で楢崎委員がこういう質問をしておるのです。そして通産大臣が当時答えておるのですけれども、まあ前略で申し上げますが、「CBR関係、NBCともいいます。核兵器、生物兵器、化学兵器、こういうCBR関係の技術協力は絶対にありませんね。」こういう質問に対して当時の山中通産大臣は、いろいろ条約絡みの説明もされながら、「日本国内においてすらそのことはやっていないはずでありますから、お断りする」こういうことをはっきり言っておるわけですが、通産大臣、この点は再確認できますか。
○小此木国務大臣 私もそのとおりだと思います。
○清水委員 さて、これも外務大臣になるのかもしれませんが、これは将来の問題ということになりましょうが、この間の質問では、まだアメリカ側からはこれこれの技術が欲しいというようなことを何も言ってきていないということでありますから、これはごく近い将来というふうに前提をいたしますが、仮に技術供与というものが動き出した、そしてこれに付随をして日本の研究者が米国に渡って、例えばですよ、例えば今問題にしている宇宙兵器絡みと申しましょうか、そういう兵器の研究開発にタッチをするという可能性は、これは否定をされる、こういうふうに受けとめてよろしいですか。
○北村政府委員 先ほど外務大臣から御答弁いたしましたように、まだ対米武器技術供与は具体的には何らアメリカから要請が参っておりません。そういうときに、極めて一般的に申しますれば、仮に将来アメリカから武器技術についての要請があって、そうしてアメリカでそれを共同研究開発というようなことが、一般的な話でございますが、そういうことが行われる場合に、日本人の研究者が渡米するということは、これはあり得ようかと思います。 ただ、今、委員が御指摘になりました宇宙兵器絡みの問題ということになりますと、先ほどからも外務大臣が何度も答弁いたしておりますように、この問題は極めて千差万別で、どういう技術が、実際に日本の持っておる武器技術がどういうふうに宇宙絡みのあれに利用されるかというようなことは、なかなかこれは一般的あるいは概念的に申せないのではないかと思いますので、結局先ほど外務大臣から御答弁いたしましたように、具体的な要請が参りました段階で、これが安保体制の効果的な運用に資するかどうかという観点から我が国が自主的に判断をいたすということで、せっかくの御質問でございますけれども、今の時点でどういうふうな場合にどうだという仮定の問題でお答えするのほかえって誤解を招くのじゃないかということを考えまして、答弁はこのくらいで差し控えさせていただきたいと思います。
○清水委員 そのときになってからじゃ間に合わないのですね。そうじゃないですか。ですから、予測をされるあらゆる事態を想定をしながら、我が国の国是あるいは平和国家の理念、あるいは先ほど来指摘をしているような宇宙開発事業団法に盛られている平和目的に限るといった大方針、この間、宇宙開発大綱なるものが改定になりましたが、この中でもさらに明確に平和目的に限るのだということが強調されているわけでしょう。ですから、国会決議等を踏まえて言うならば、今、局長はそう言うのだけれども、僕が心配をしたのは、やがて米国へ研究者が渡って共同研究をする、それを通じていわゆる宇宙兵器なら宇宙兵器の事実上の共同開発にタッチをするなんというようなことになると、今もろもろ挙げたような我が国の堅持すべき方針に抵触をする。だから、こういうものは仮に求められても少なくともノーと言わざるを得ないと私は考えるわけでありますが、どうも局長が言うようにあるいは不可避なのかもしれないという懸念もうかがわれるものですから、今お尋ねをしたわけなんです。ですから、これはきょう、あすという問題ではありませんけれども、そうした現実が起こらないように、誤りのないように規制を考えていく、こういうことが基本的に貫かれてしかるべきなんではないか、こう思うのですが、外務大臣、一言で言ってください。
○安倍国務大臣 なかなか一言でも言えませんが、日本の場合は何でもかんでも武器技術をアメリカの要求どおりに出す、こういうことではないわけで、やはり日本には日本の憲法もありますし、いろいろと法律と建前もあるわけですから、そういうものを踏まえて日本が具体的な要求に対して審査をして、そして自主的に判断をしてこれを出す、そしてその基準はあくまでも安保条約の効果的運用、同時にまたこれはアメリカの国防力の向上にも資する、こういう立場が基準となるわけであります。 技術について言えば、まだ何も向こうから言ってきてないわけですから、また先ほど局長が言いましたように技術というのは千差万別であるわけでございますから、やはりそのときの時点時点において、具体的な要請の時点をとらえて、今申し上げましたような基準で判断をしてこれを日本が独自に決定をすれば済むことではないか、いいことじゃないか、私はこういうふうに考えております。
○清水委員 実は今月NASAの長官が日本へ来られますな。アメリカの宇宙基地建設に関連をして我が国に協力を求めたいという要請に来る。NASAの長官自身も否定をしていないように、この宇宙基地なるものは軍事的側面を持っている、あるいは持ち得る、こういうことを言っているんですよ、こういうことを。時間の関係で、るるNASA長官の話というものは私は紹介しませんが。ですから、安易に協力をするということが前提になるのではなしに、少なくともそういう軍事目的にたとえある側面だけでも、一部であってもこれが利用されるといったような場合には、これは当然のこととして、さっき科技庁長官が言うように、我が国の宇宙開発政策の基本は平和目的に限るというわけなんですから、この点を明確に貫く、これはそういうことでよろしいのでしょうな。
○岩動国務大臣 まず、ただいまお話がありましたように、今月の十一日にアメリカのNASAベッグズ長官が日本にお見えになります。そして十二日には、私ども協議の場を持つことになっております。したがいまして、そのときに直接長官から、どのような基本的な考え方で、どういう計画でどのような協力を要請されるのかよく承って、そして私どもはそれに対応してまいりたい。 これは大変壮大な計画であり、またレーガン大統領も平和のためにこれをやるのだということも言っておりますし、またベッグズ長官も、これを民生のためのプロジェクトであるということをはっきり私どもにあてた書簡にも書いておるわけでございまするから、そのような基本的な考え方を踏まえながら、さらに詳細にお話を聞いて、そして日本としての対応を考えていかなければなりません。かような意味におきまして、私どもは政府の関係の大臣、そしてまた総理大臣とも十分にこの点についてはそのような基本的な立場を踏まえながら検討をしていきたい、かように考えておるところであります。
○清水委員 ここにもいろいろ資料がありますけれども、私、時間の関係で一々紹介はいたしませんが、NASAの長官なりあるいはNASAのカルバートソン博士なども、この宇宙基地が防衛のために利用され得る、そういう側面を明確に指摘しているんですね。ですから、アメリカは平和のためとか防衛のためとかというまくら言葉は使いますけれども、基本は宇宙を対ソ戦略的に見てソ連に対する優位な立場を確保する、こういうねらいが基本に据わっていることは間違いないわけですから、これは科技庁長官に限らず関係大臣のそれぞれの皆さんに十分誤りのないように、これは今後の課題ですけれども、対処をしてもらいたいということを要望いたしておきます。
○岩動国務大臣 先ほど私はベッグズ長官の考え方について書簡に基づいて申し上げたのですが、アメリカにおきましても、その開発費につきましてはすべて民生宇宙予算という項目で処理をしているということでございまして、国防省の予算ということとは全く別のカテゴリーでございますので、このこともつけ加えて申し上げておきたいと思います。
○清水委員 せっかく長官がそう言われたわけですけれども、今までのスペースシャトル計画についても、事実上はやはり国防総省、ペンタゴンから約三分の一の資金を援助をしてもらうというケースがあるわけですね。今度も約八十億ドル、一兆九千億円になりましょうか、膨大な資金を要する。当然のこととして民生用だけでは確保しがたい。恐らくこれまでと同様に、国防総省の応分の分担を仰がざるを得ないのではないかということがアメリカ国内でも言われているのですね。ですから、それやこれやのことを踏まえて、何かアメリカの方から言われていることだけをそしゃくをされて、大蔵大臣はきのう、心の中でそしゃくなどという非常に見事な表現をなさったのだが、そうではなしに、ちゃんとそしゃくをして対応してもらいたい。 それから、いわゆる宇宙開発の問題について一点確認をしておきたいのでありますが、先ほども長官は、宇宙開発は平和目的に限ると、こう言われましたな。これは宇宙開発事業団法成立の際に、法案審議の際に、当時の科技庁長官がはっきり委員の質問に答えて、平和目的ということは非軍事ということなんだ、こういうことを言っているのですね。だから私は、岩動長官もそういう認識でおられるに違いないと思いますが、たまたま二、三日前の政務次官会議で、人工衛星をめぐって、例えばさくら二号ならさくら二号の利用をめぐって去年国会で大分もめましたが、今日我が国の防衛の上に重大な責務を持つ自衛隊が、非軍事などというふうに限定されて人工衛星の利用ができるのできないのなんというようなことはよろしくない、この際非軍事なんというようなことはやめちゃえと、まあ大変元気のいい議論があったようでありますが、これは大変な問題だと私は思う。ですから、この辺のところについて、そういう政務次官会議で議論のあったことを踏まえて、改めて私が今求めた平和即非軍事という意味について確認をしたいと思いますが、いかがですか。
○岩動国務大臣 まず第一に、宇宙開発事業団法の第一条に言う「平和」ということは非軍事だ、こういうお話でございますが、私どもそのように承知をいたしておるわけであります。 また、三月一日に行われました政務次官会議にお話があったということで、私の方の政務次官から報告を聞きましたが、そのようなことを決定したとかなんとかという話は全くなかったようでございます。(清水委員「いや、これは決定じゃない。議論があったということ」と呼ぶ)そのようなことは十分に心得て今後とも進めてまいるつもりでございます。
○清水委員 この問題についてなお、自衛隊の通信衛星の利用に絡んで、今非軍事とおっしゃっておられるわけでありますから、現実に硫黄島には米軍関係者と自衛隊しかおらないわけでありますし、今日シーレーン防衛のかなめとも言うべき重要な位置に置かれているということなどから関連をして、これは平和利用なんだ、だから問題はないんだ、こういう政府方針が昨年八月に決まっているわけでありますが、これは私は、どう見ても日本の防衛力増強の一環と見るのが妥当なんじゃないか、こう思っているのであります。時間の関係もあって、私はもう一回この点は改めて議論をしたいと思いますが、とりあえず私のそういう認識について、防衛庁長官いかがですか。
○栗原国務大臣 この問題は前々の国会からずっと御議論があったように承知をしております。その際、防衛庁といたしましては、硫黄島の自衛隊が、日本の各地で電電公社からの役務を利用している、それと同じ形態で利用さしてもらいたい、しかも公衆電気通信法によりますと、いわゆる公社というのは利用者に対してあまねく、かつ公平に役務を提供しなきゃならぬ、また、その属性によって差別取り扱いをしてはいけない、こういうような規定もございますので、私どもといたしましては、前段申し上げたとおり、日本の国内において役務を利用さしておると同様のことをさしていただきたい、こういうように考えておるわけでございます。 もちろん国会決議との間で御論議のあったことは承知しております。それは、国会の方で御決議をどのように解釈されるかはこれは国会の方の有権的解釈でございますが、私どもは、政府といたしましては、そういうことで役務を利用さしていただける、そういうように思っておるわけでございます。
○清水委員 いずれにしても、議論をすると長くなりますからやめますけれども、昨年の予算委員会の場面で民社党の塚本書記長の質問に答えて、科技庁の研究調整局長でありましたか、答弁があって、自衛隊の利用ということは平和利用という立場に沿わないからあり得ないことだということを当時明確に言った経過がある。しかし、その後大分変わっていっているわけですね。そして八月の政府見解になる。そこで国会決議との関係について今本院の議運委員会で解釈を預けられているわけでありますから、またその問題との関連で後日議論をしたいと思いますから、ひとまずこれでとどめたいと思います。 次に、大店法についてお尋ねをしたいと思います。 近いうちに大型店の出店調整に関する新しい通達が出される、こういうふうに承知をいたしておりますが、これは当然二月十六日に出た大臣談話というものが下敷きになっているというか、これを踏まえて出されるわけですね。
○山田(勝)政府委員 先生御指摘のとおり、二月十六日に本件に関する大臣談話が発せられたわけでございます。これを受けまして産業政策局長通達という形で近く出すという予定でございます。
○清水委員 そこで、これは直接大臣に承りたいのですが、実はこれまでの大型店の出店の調整については随分全国的にトラブルがありまして、昨年の予算委員会の分科会で私取り上げて通産行政をただしたわけでありますが、その際に、当時の山中大臣は、大型店の出店をめぐって地方中小都市や営々と築いてきた商店街、地元小売業というものが荒廃にさらされたりあるいはつぶされていくといったようなことがあってはならないのだ、そういう立場から通産行政のあり方をこの際、原点から洗い直していく必要がある、明快な所信を披瀝をされているわけでありますが、大臣談話にはこの山中前大臣の見解というものが生かされている、踏襲をされているというふうに理解してよろしゅうございますか。
○小此木国務大臣 たびたび山中大臣の話が出てくるわけでございますが、この問題は、私としては何としても消費者の利益を保護するということが大切であり、そのことを念頭に置きながら、周辺の中小小売業者の人たちのいわゆる商業活動を確保してあげる、これはもちろん一番大切なことだと思います。したがって、中小小売業者の人たちの意見を十分聞いてあげる、その上で慎重な、また円滑な調整を行っていくということでございます。
○清水委員 ちょっと僕は小此木大臣の言われるのは逆立ちをしているような感がしてならない。つまり、この問題を考える場合には何よりもまず消費者利益というものを優先的に考えなければならない、こうおっしゃっておられるのですけれども、しかし、大店法の目的は、無論最終的に消費者利益にどうこたえていくかが含まれていることは言うまでもありませんが、いわゆる大型店の進出に伴うその出店をめぐって従来の地元小売業者のシェアが失われるなんということがあってはならない。その中小小売業者の事業機会を確保するということが大前提になっているのですよ。これが大前提。だから、どうも今の大臣の話を聞いていると、ついでにそういう点もみたいに聞こえるのですが、それは何かちょっと言葉の取り違いだというふうに善意に解釈してよろしいですかな。
○小此木国務大臣 もちろん善意に解釈していただいて結構でございます。
○清水委員 そこで、しからば聞きたいのですけれども、実は大臣談話が出されるに当たって、通産と自民党との間でその内容の詰めが行われている。どういうわけか、私のところに「取扱注意」という検討用の文書その他があるわけでありますけれども。(発言する者あり)いやいや、私の言っているのは松永さんから出た文書じゃないのだ。 その検討用メモなりあるいは「大型店出店抑制措置の運用状況」といった資料なりを見ますと、「これまでの一連の措置で抑制効果が顕著にあらわれ、大型店の出店届出が減少し、商調協の審議も円滑に行われている。」何もこれなら問題ないような調子のニュアンスで書かれているし、「大型店の出店は地元と共存共栄型になってよろしい」こういったようなこともあるのでありますが、僕はどうもこの見方は余りにも一面的だし、余りにも見方として甘過ぎる、事態はそんな状況ではないと思うのですね。 現に大臣談話の中にも、未調整案件がかなりあると言っているのです。未調整案件がかなりある。私の調べているところだけでも、大型店の出店をめぐって商調協が難航して紛争が非常に激化している、こういう地域も全国的に見ればたくさんある。ですから、円滑にうまくいっているという発想でこれからの大型店の出店をめぐる調整を考えるということは、これはまさに木を見て森を見ないようなかっこうになる。この辺、どうですか。
○山田(勝)政府委員 先生御指摘のように、大型店問題がどうなっておるかということに関しまして、フローの数字と申しますか、昭和五十四年度をとってみますと、三条届け出の件数が五百七十六件と物すごく集中豪雨的にございました。その後、二年前に「当面の措置」というのをとらせていただきまして、五十七年度にはその件数が百三十二件、それから五十八年度に入りまして、昨年の四月からこの一月までの十カ月間では九十八件と、かなり低水準になってございます。これを年間にすると、多分百十五件から百二十件というのが五十八年度の実績ではないかと思います。 しかし、先生まさに御指摘のように、調整中の案件というのがまだ残ってございます。四百件強と現在推計をいたしております。そういうことでございますので、二月十六日の大臣談話の中におきましても、かなり低水準になったということがあるけれども、「現在なお調整中の案件がかなりある」こういう認識をいたしております。 したがいまして、従前の措置を継続するとともに、いろいろの改善案、商調協の問題ですとかあるいは地域社会との調和の問題ですとか、そういった面を取り込みまして充実をさせた形で先ほど先生御指摘の通達というかっこうになっていくようにいたしたいと思っておるわけでございます。
○清水委員 今も審議官が四百件強と言いましたが、皆さんの資料によれば、未調整案件が四百三十七件あるわけだ。これは大変な数ですよね。大変な数だ。しかもその中には、あえて固有名詞を挙げれば、二本松であるとか静岡であるとか、あるいは前橋といった地域を初め、先ほども言うように多数の紛争地域を抱えているわけですね。 そこで、大型店の出店、出てくればシェアが脅かされるという、そういう意味での対立なり紛争も無論ございます。だが、一面では、今現に起こっている深刻な紛争事例を検討してみると、例えば二本松の場合でも静岡の場合でも、通産行政で最も重要と思われる地元の意向というものを事前に十分に酌み取る、そして地元での合意形成というものにできるだけ努力をする、こういう、何といいましょうか姿勢に欠けているがために、それが大型店に向くというよりも、時によると通産行政に目が向いて不信感になり、あるいは商調協を開かせないという動きにあらわれる。僕はこういう点はこの際改めて、新しい通達を進めるに当たって地元との事前の合意形成に十分にこたえる、これは八分や九分じゃいけないのですよ、十分にこたえるということが大事なんだ。そういう態度がやはり一つはなければならないのじゃないか。 この点で僕は一、二感じていることを申し上げると、例えば二本松の場合、事前説明で行われた店と三条届け出でなされた店が、違うものが出てくる、あるいは四者協議に当たって、商工会議所の代表が、まあ平たく言えば当事者能力を欠くような人が出ているとか、そういったことに対する一連の不信感があったり、あるいは静岡の場合、例えば、これは建設大臣等にも関係があるのでありますけれども、静岡市が最重要の市街地再開発事業として位置づけ、ひとつその関係でこの結審を優先的にやってもらいたいというふうに商調協に議会議決というものを通して要望したにもかかわらず、その前に市議会は、例えばある大型店の出店は困る、出店を中止してもらいたいという議決もしているわけですが、ところが事もあろうに、それとワンセットで審議をさせるといったような通産当局の指導があったやにうかがわれる。こういうことがあっては、事前に十分な意見を聴取をし、円滑、円満なる調整に当たるというのが通産の立場でございますと昨年私にあなたの前任者の審議官が約束をしているのだけれども、現実はどうもそうなっていないじゃないか、こういうふうに私は疑いを持たざるを得ない。その点はどうですか。
○山田(勝)政府委員 先ほど私は調整中の案件が四百件強、先生は四百三十七件とおっしゃいましたが、この中には一つの手続の過程にあるというものもございますし、開店日が少し先の話だから結論を急がなくてもいいなというものもございます。また、先生御指摘のいろいろの事情によりまして意見調整に時間がかかっているものも当然あるわけでございます。 しかし、この大型店の出店調整というものにつきましては、私ども二年前、指導ということで始めましたものでございますが、まずは地元の市町村等に対して出店計画というものの内容を事前に十分説明をする、これが第一の指導体制でございます。 それからまた、商調協の審議に入りまして以降も、地元の意見を聴取して、十分かつ、先ほど大臣も申し上げましたが慎重な審議が行われることが肝要でございまして、この趣旨に沿いまして毎日毎日努力あるいはその改善方についていたしておるところでございます。 今回の二月十六日の大臣談話、そしてまたこれが通達になるわけでございますけれども、特に周辺の中小小売商など関係者の意見聴取というものに関しまして一層の配慮をするということがうたわれてございます。そういうことでございますので、商業調整の一層の適正かつ円滑な運営というものに努力を続けさせていただきたいと思います。
○清水委員 さてそこで、今後の法運用について注文をし、かつただしておきたいのでありますが、実はかつて十年ほど前に大店法が成立をした際、強い規制効果をこの法律に期待をする、そういう各方面の要望に対して、通産省は、事前審査制を採用したことで実質的に許可制同様の規制効果が期待できるのだ、こういう趣旨のことを言明をしている。ところがその後の運用を見てみますと、流通近代化の担い手は大型店であるといった趣旨のアドバルーンを上げまして、大型店の出店をむしろ積極的に慫慂するといいましょうか勧めるというような立場がある、これが大型店が集中豪雨的に出店をした経過の中に一つあるのです。しかし今や消費が停滞をし、まあ来年度は消費の拡大を期待をする、こういうことになっておりますけれども、あの高成長時代のようなわけにはいかない。現実に中小小売業者は、五十年、六十年それこそ営々辛苦今日の立場を築き上げてきているわけですよ。ですから、これまでの商店街の近代化なり消費者のニーズにどうこたえさせるかというそういう努力、行政的な配慮というものは当然行われなければなりませんが、何か流通近代化は大型店でなければ得られないような発想は、これはもうあってはならない。これが一つです。 それから、今後は、今も事前における十分なる説明ということを言っておられるのですけれども、そういうことを通しながら地元の合意の形成に最大限の努力をする。昔から「急がば回れ」ということわざがあるのですけど、早くやれ早くやれとやってみたって、現実に紛争が起こって商調協すら開けない、先行きどうなるかわからないというようなことを考えれば、やはり事前に時間をかけて十分地元の意向をくみ上げる、こういうことをやるのは当然だと思うのですね。大臣、そうじゃありませんか。ですから、私は、今後の法運用についてはそういう点をまず基本的に配慮をするということを約束をしていただぎたい。
○山田(勝)政府委員 まず、先生が前段に御指摘のいわゆる流通の近代化路線というものが六〇年代あるいは七〇年代にあったと私どもも思います。それは十年前に非常にインフレということがございまして、消費者の物価問題というものに対処するために流通も合理化しなければいかぬということがあったと思います。しかし八〇年代に入りまして、先生御指摘のように消費者のニーズも量的な充足感というものから個性化、多様化いたしまして、むしろ質的な充実感というものに変わってきております。したがいまして、私ども、八〇年代の流通ビジョンというものを産業構造審議会と中小企業政策審議会の合同部会で一年二カ月にわたって検討をしていただきました。その中で、中小小売の方あるいは大型店の方、学識経験者、消費者代表、労働組合、いろいろの方が議論を闘わせました結果、一つのコンセンサスに到達したのでございます。 それは、消費者ニーズに対応するということがまず第一でございます。 それから第二番目がいわゆる町並みつくり、先生御指摘の商店街を初めとする町並みづくりというものにこの流通政策なり流通産業というものが貢献しなければいかぬ、そういう地域社会との調和あるいは町並みづくりというものが、単に効率化ということ以外にもう一つ目的として加わったという御指摘がございます。 それから第三番目には、ニューメディアと申しますか、情報化技術というものがこれから流通業界にも出てまいりますので、その辺、大型店の方は適応がしやすい、しかし中小企業の方は適応がおくれるとこれは大変なことになる。そういうことで、私ども流通政策といたしましてもあるいは中小企業政策といたしましても、この中小小売業の方々の情報化というものに関しましていろいろの措置を講じてまいりたいと思っております。八〇年代ビジョン、先生御指摘のように単なる効率——もちろん近代化も必要でございますが、もう一つは町並みづくりという観点が加わったということでございます。 後段の方につきましては、先ほど御答弁させていただきましたが、慎重に大店法の趣旨にのっとりまして運営をさせていただきたいと思います。
○清水委員 私は慎重にということを言ったのじゃなくて、事前に時間をかけて十分にやる、それが重要だ、そういう方針で今後はやってもらいたい。やるか、やらないか、ちょっと答えてください。
○山田(勝)政府委員 先ほどの大臣談話ないしこれから出ます通達等におきましても、十分地元の声を聞く、周辺中小企業の皆様方の意見を聴取するという方針でございます。そういう方向でやらしていただきたいと思います。
○清水委員 そこで、過去二カ年間の暫定的な抑制措置の期間に——本来ならば、もう五十六年の秋口に、大店法では大型店の出店にまつわる調整は限界だ、だから法改正が必要だということだったわけですね。通産当局も法改正について随分努力をした。ところが、時間的に間に合わないので、とりあえず二カ年間の、いわゆる通達をもって暫定措置を講ずる、こういうことになった。そこで、この二年間に当然に今日的なあるべき情勢に対応のできる大店法に、法律を見直して改正をする、これが筋だったと僕は思うんですね。ところが、これをやらずに、また二年の延長でやるということはちょっとお茶を濁すやり方じゃないのか、こう僕は思わざるを得ないのですが、その法改正のプログラムはどうなっていますか。
○山田(勝)政府委員 この問題に関しましては、先ほどの八〇年代の流通ビジョンの中で指摘されておることでございますけれども、現在の小売業は種々の点で転換期にある、また中長期的な観点に立ちまして小売業全体の活力を維持していく、こういう必要があることを御指摘されているわけでございます。こういう諸点にかんがみまして、この問題は慎重な検討が必要だというふうにそのビジョンで言っているわけでございます。 いずれにせよ、先ほどの大臣談話等の取り扱いの適切な運用ということで、引き続き十分事態の監視を続けまして、事態の推移に適切に対処してまいりたいと思います。
○清水委員 法改正の問題については、与党の中でもそのための小委員会があるし、すべての野党にも委員会が設けられて、法制局などと調整をしたりした経過があるわけですね。もう現在の大店法では限界なのだ、こういう認識は共通しているわけですから、この際、速やかに見直すべきは見直して、規制の効果が上がり得るような法改正についても積極的に取り組んでもらう、こういうことを注文をしておきたいと思います。 この部分の最後になるのですけれども、これは建設大臣に承るべきことなのだと思いますが、去年十月の総合経済対策の中で、中曽根内閣得意の発想で、民間活力の導入というようなことを打ち出されておるわけですね。その中で、例えば市街地再開発事業等について民間活力の導入を図る、これは何をやろうというお考えですか。
○水野国務大臣 都市の中の再開発というのは、御承知のとおり、いろいろな民間の方々の土地が錯綜しておりますが、でき得ればそういうものが一つになって大きな建物を建てていただいて、それも民間資金でやっていただく。できれば政府としては、下水とか周辺の道路とか街路とか、そういうものはお手伝いをする、そういうような考え方が一つございます。それから、あるいは区画整理事業、それも都会の中で場合によっては国有地を含めたような区画整理事業みたいなものも現在考えられております。 形は多様でございますが、ともかく、御承知のように非常に財政資金の乏しいときでございますから、政府資金というものは火種になるような形で、なるべく民間の方に投資をしていただいて、それで少し落ち込んだような地域を再び活発にさせていこう、こういったようなことでございます。 概論的でございますが……。
○清水委員 多分そういう見解が披瀝をされるだろうと私は思っておったのですが、そうなりますと、一つ心配の種が出てくる。 御承知のように、財政事情もこういう時期でこれあり、こういうふうに言われている。当然、今のような視点に立って都市再開発事業というものを積極的に推進をしていく場合に必要な開発資金をどうやって確保するか、この際大型店に来てもらって、資金をうんと出してもらってうまくやれるようにしょうじゃないか、こういう発想に陥る可能性というのはどこでも出てくると思いますね。ところが、今度は地元の商工業者あるいは自治体の都市計画、そういうものとの調整というものがまず前提としてきちっとされなければならない。そうしませんと、民間活力の導入ということを通して、民間の、つまり中小小売業者等の活力を逆に奪っていくというような結果にこれはなっていく。こんなことになれば大変なことですね。この辺はどういうふうに考えておられますか。
○水野国務大臣 御指摘のように、再開発をするに当たって、大体再開発というのは、住宅ではなくて、商業用地あるいは商業用の建物、大半が、二分の一以上がそうなるというようなものが多いわけであります。そこへ地元の商店街が、関係者が入り込んで、そこで新しい装いで商売をする、こういう建前でありますけれども、確かに、御指摘のように、どうもスペースが埋まらない、あるいは地元の商工業者だけではどうも品数がそろわない、そういったこともあるだろうと思います。そういう場合は、確かに大型店舗が出てくるという例が現に非常に多いわけでございます。ただ、建設省がやっております再開発というのは、実はそこが目的ではないのでありまして、結論としてそうなる傾向が非常にある、こういうことであります。 再開発するということ自身は、地元の商工関係者、あるいは商工に関係のない生活をしておられる住宅を持っておられる方々、こういう方々と話し合いをしなければ再開発がうまくできないわけでございます。それから、都市計画法上も、そういうことをやるようにと規定をされております。例えば、都市計画の縦覧をやる、計画の内容を一般にお見せをする、あるいは公聴会を開く、あるいは都市計画地方審議会というものを開いてそこで十分こねる、こういうようなことを法的に規制をしておりますから、確かに御心配の向きはあろうと思いますが、そういう再開発に際しては、地元の商工関係者になるべく御迷惑をかけないようにというような指示を自治体なりあるいはそれぞれの再開発の関係者に十分していくつもりでございます。
○清水委員 この点で最後に通産大臣に要望をしておきますが、建設大臣等々ともよく調整を願いながら、あなたが大臣談話の中で言われている地域経済社会との調和、それから中小小売業者の事業機会を確保する、こういう命題が、今言われる再開発ということの中で二義的に取り扱われることがあってはなりませんから、そういうことのないように十分留意をしていただきたい。 建設大臣、どうもありがとうございました。結構です。 それでは最後に、時間が少なくなりましたから、蚕糸政策についてただしたいと思います。 その前に一言だけ農水大臣に確認を求めておきたいのですけれども、きょう午前中、湯山委員の質問に対して、例の牛肉、オレンジの農産物交渉について、要約して申し上げると、三月末という期限にとらわれて日本農薬を守れなくなるようなそんな取り決めはしません、こういう趣旨のことを言われましたが、間違いありませんね。
○山村国務大臣 きのうの島田先生への答弁、そしてまた本日の湯山先生への答弁、今先生言われたとおりでございます。
○清水委員 ちょっときのうときょうはニュアンス違うんだよ。しかし、これはやぶ蛇になってはいけないからあえて申し上げませんが、この際、日本農業をしっかり守るために、三月末という時期にこだわって下手な譲歩をする、合意をする、こういうことがあってはならないという決意が、並み並みならないあなたの決意がさっきの言葉にあらわれているのだと思いますから、しっかり頑張っていただきたいと思います。 さて、農林水産省は今年産の繭生産を三割削減をする、これは事実だとすると非常にけしからぬ話だと私は思うのです。これまで、例えば蚕糸政策に対して五十五年度には長期見通しの中で、六十五年度には十万トン体制を確立をする、当時は八万トンぐらいでしたけれども、養蚕農家に愁眉を聞かして増産意欲をかき立てるという、そういう発想での政策展開が行われたわけですけれども、その翌年に、事もあろうに基準糸価を一万四千七百円から一万四千円に引き下げる、養蚕農家が養蚕離れというような形にだんだんなっていって、現実には十万トンに向かうどころの騒ぎじゃなくて、五十八年は恐らく生産六万トン程度ではないのか、何とかならないかという切々たる訴えが出ているそのやさきに、事もあろうに三割減産、四万トン体制に引きおろす。私は、この方針が仮に事実だとすれば、農林水産省は蚕糸業ないし養蚕の将来というものを一体どうするつもりなのか、まず最初にきちっと答えていただきたい。
○小島(和)政府委員 六十五年見通しが絹の消費量四十万俵ぐらいと見越したことは事実でございます。基準となりました昭和五十三年時点におきまして大体四十六万俵ぐらいの消費量がございました。多少減りましても四十万俵ぐらいだろう、こう思っておりました。現実には年を追うて消費量が減ってまいっておりまして、昨年の消費量はついに三十万俵を割りまして二十九万俵というふうな水準になっておるわけでございます。この過程におきまして事業団の在庫は反比例的に増加をいたしておりまして、現在時点において十七万五千俵という在庫を持っております。借入金額も千八百八十億円を超える、こういう状況でございます。 この間、実は何とかして需要の喚起、維持を図ろう、こういう対策、さらには生糸、絹製品の輸入量を縮減するとか、さまざまな努力をやってまいったわけでございます。しかしながら、本年の需給動向を眺めてみますと、このままにして推移いたしますと繭糸価格安定制度が危殆に瀕するのではないか、こういう心配が出てまいりまして、今春以来養蚕関係団体等と話し合いを進めてきておるところでございます。今日ただいま時点におきまして、本年の減産という基本的な方向についてはほぼ了解が得られたというふうに思っておりますが、三割というのはその際の一つの試算としてお出しいたしたものでございまして、三割減産で確定したということではございません。 何と申しましても繭糸価格安定制度があって初めて我が国の養蚕が成り立つわけでございますから、この制度を守るための臨時応急の措置ということで御協力をお願いしているところでございます。
○清水委員 基準糸価を一万四千七百円から一万四千円に引き下げたときにも、臨時応急的な措置として御理解をいただきたい、ところがさっぱりこれは臨時応急的な措置じゃなくて、これがずっと続いているわけですね。ですから、僕はそういう後ろ向きの対応だけではますます我が国の蚕糸業というものは成り立たなくなるばかりじゃないか。一番問題なのは需給のバランスが崩れているということでしょう。消費が伸び悩む、在庫がふえる、事業団の負担も大変だ、こういうわけでしょう。しかし、それを言われるならば、需給のバランスの回復のために何をなすべきか。 もともと内需に対する国内の供給量というものが一定程度あるわけですね。その不足分を輸入をもってカバーをする、こういう基本が堅持をされていれば、在庫がふえたりバランスが崩れるというようなことはないのですよ。そうでしょう。そのことを無視して、現実につい先日だって、どうですか、在庫がふえて困っているというそのときに、また六百トンも輸入する。六百トンといえば四千俵に相当しやしませんか、恐らく。ですから、私はこの際重要なことは、需給バランスの回復のために、例えば在庫調整の行われる一定期間は輸入をストップをする、あるいは計画的に削減をする、そういう形で需給バランスの回復を図るということが基本に据えられてしかるべきじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
○小島(和)政府委員 繭糸価格安定制度は、国産を保護する、こういう視点からでき上がっているわけでございますから、このように需要が落ち込んできたときには輸入を減らすというのが私どもも当然の発想だと思うわけでございます。現実に、昭和五十二年を一〇〇といたしますと、生糸につきましては七割輸入数量を減らしております。それから、絹糸につきましては、これは通産所管でございますが、約五割輸入を減らしてきておるわけでございます。それから、絹織物、これは面積ベースでございますけれども、四割程度減らしてきておるわけでございます。 もちろん今後とも輸入の圧縮の努力をいたしますが、今申し上げました品物、いずれもこれは既に自由化してある商品でございます。日本の蚕糸業が競争力がありました時期におきまして自由化をいたしております。したがいまして、輸入数量の圧縮ということにつきましても、相手国との話し合いを前提としてやっていく必要があるということがまずあるわけでございます。それから、我が国に対して生糸、絹製品を輸出しております国国はいずれも発展途上国でございまして、なかなか話し合いが難航する、こういう事実もあるわけでございまして、決して輸入の圧縮をなおざりにして国産に御迷惑をおかけする、こういうことではございませんで、外務省、通産省の御協力をも得まして最大限の努力をしているということもひとつ御了解いただきたいと思います。
○清水委員 時間がなくなりましたが、本来ならば外務大臣なり通産大臣なりからも所見を求めたいと思っておりました。例えば、今お話しのような外国との関係もあることは承知をしております。しかし、外国の顔を立てて我が国の伝統的民族産業が崩壊に瀕するなんというようなことがあってはならない。これがやはり前提に据えられななければならないと私は思う。 ですから、私はこの際、一つは、なるほど繭糸価格中間安定制度を堅持する、これはどうしたって堅持してもらわなければいけませんよ。これは堅持してもらうことが一つの前提でありますが、同時に、需給バランスがこのように崩れておるときには、この際、一定期間は輸入をとめる、計画的な輸入削減を進める。そして、政府も五十九年度以降、内需の拡大ということを期待をされているわけですから、まあ通産省等が積極的に新製品の開拓とか、今、シルクフェアなんかもどんどんやっていることは承知しておりますが、そういう形で一面では新たなる消費を開拓をする、新製品を開発をする、こういう努力と両々相まって、全体として必要になったらまた輸入を回復をするということを相手国にも理解を求めながら、そうして我が国のこの蚕糸業というものを何としても守る。少なくともそのために、生産基盤の後退ではなしに、これを育成強化をする、こういったことが行われるのは、これは私は当然なことだと思うのですね。価格についても、再生産を償うためにこれが決められていくというようなことも当然なことだと思うのです。 そうして、養蚕農家にしても製糸業者にしても、それこそ過剰設備を廃棄をする、あるいは封印をして今操短を半年間やっておるわけですよ。あらゆる自助努力をやって何とか生き延びようという努力をしておる。そういうときですから、私は、我が国の蚕糸業というもの、かつて我が国の貿易で最も貢献をした業種なんです。これを守るためにこの際思い切った努力を示してもらいたい。それにふさわしい、これだけそうそうたる大臣がおられるわけでありますから、どなたからでも結構であります、決意をそれこそ表明してもらいたい。
○山村国務大臣 先生今までお述べになりましたとおり、五十三年度をピークとして急激にこの需要が減退したということで、言うならば繭糸価格制度、これが危機に陥っているわけでございます。 そこで、今局長からお話ししましたとおり、今この減産問題については生産者団体、関係者と話し合いをしておるということでございますので、これを待ってこれには対応したいと思いますが、今局長からお話のありましたとおり、この輸入の縮減、いろいろ難しい問題はあるようでございます。しかし、私といたしましては、今後ともこの輸入縮減という面に向かって努力をしてまいります。
○清水委員 これで終わります。
○倉成委員長 これにて清水君の質疑は終了いたしました。次回は、明後五日午前九時三十分より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時四分散会