法務委員会 第3号
- 発言数
- 360 件
- 登壇者
- 35 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1984/03/02
会議録
○宮崎委員長 これより会議を開きます。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所山口総務局長、上谷民事局長、小野刑事局長、猪瀬家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○宮崎委員長 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高村正彦君。
○高村委員 先日の所信表明で大臣の法務行政に取り組む決意を聞かせていただきまして大変心強く感じたわけでございますが、若干の質問をさせていただきたいと思います。 まず、刑法の改正についてでございますけれども、政府案の作成のための作業が進んでいるようでございますが、その進みぐあいをお聞かせいただきたいと思います。特に、保安処分につきまして刑法と切り離して特別立法でされるというような御意向があるやにお伺いもしているわけでございますけれども、その点につきまして大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○筧政府委員 先生お尋ねの刑法改正作業の一般的な進捗状況についてまず私から御説明をいたしたいと思います。 御承知のように、法制審議会から刑法改正について答申をいただきまして、それ以来私ども新しい刑法案の作成につきまして努力を重ねておるところでございます。先生御承知のように、刑法は国の基本法の一つでありますとともに、国民の日常生活とも深いかかわり合いを持つものでございます。また、草案公表以来各方面からの御批判あるいは賛否の御意見が多くなされております。そういう状況でございまして、私どもといたしましては、それ以来日本弁護士連合会その他の関係各層と広く意見を交換し、あるいは御批判等も受けながら本当に現代社会に適合した刑法をつくるべく努力いたしておるところでございます。 一番かかわりが深いと申しますか御意見の出ております日本弁護士連合会とも二月十八日までに予備会談等を含めますと二十回の意見交換を重ねてまいったところでございます。また、刑法学会といいますか刑事法学者の有志の方の研究会の御意見も発表されておりますので、その方々ともことしに入りましてから忌憚のない意見の交換も行っているところでございます。また、関係各省庁との意見調整も進めておるところでございまして、特に先生御指摘の保安処分をめぐりましての意見が相当賛否両論ございまして、その点が日弁連との話し合いでも大部分を占めておるわけでございます。さらにこの話し合いを進めまして、それと並行して関係各省庁との意見調整も進めまして、できるだけ早い機会に国会に御提案して新しい刑法の実現を図りたい、かように考えておるところでございます。
○住国務大臣 今も御答弁申し上げましたように、刑法というのは申し上げるまでもなく大変大事な法律でございます。改正作業についても大変長い時間を要しております。諮問から答申まで十一年かかっておりますし、答申があってからもう既に十年くらいでございます。現在の刑法は片仮名でございますし、明治時代の法律でもございますし、その間の社会事情の変化等考えてみますと大変な変化でございます。そういうような背景の中で刑法の改正作業が進められておるわけでございますが、私も就任してからいろいろな説明も承りました。そしてまたいろいろな問題のあることもそれなりに理解したわけでございますが、刑法改正法案、これは歴代大臣苦労されたのだろうと思うのでございますが、関係方面との話し合いを精力的に詰めまして、できるだけこの国会に提案いたしまして御審議いただいてもいいような時期になってきておるのじゃないかな、こういう感じを持っておるわけでございます。 しかし、いろいろな問題があることは事実でございまして、提案するについても過去のいろいろないきさつ、そういうことを考えて可能性を探っておるわけでございます。例えば治療処分の問題は大変大きな問題でございます。またある意味では緊急性のある問題でもございますので、そういう刑法改正の作業を進めるに当たってのいろいろな可能性を考えての一つの問題点だろう、こういうようなことも考えておるわけでございますけれども、結論を出したわけではございません。さらにいろいろな方面の御意見を聞いて、この作業が進み、提案できるというようなところまで努力するのが私の責務であるというようにも考えておるわけでございます。
○高村委員 ちょっとはっきりしなかったのですが、保安処分を刑法典と切り離して特別立法することも一つの選択として考えておられる、こういうことでしょうか。
○住国務大臣 保安処分なり治療処分、そういうようなことも可能性としてあるんじゃないだろうか、いろいろな可能性があるわけですね、その可能性の一つとしてもあるんじゃないか、十分それは検討してもいいのじゃないか、こういうような考え方でもあるのですが、しかし、その方向でどうだこうだということじゃなく、作業を進めるに当たっての可能性を探っておる、こういう意味でございます。
○高村委員 犯罪情勢の特色の一つとして国際化ということが挙げられると思うわけでございますが、最近でも犯罪人の引き渡したとか捜査協力、いろいろ問題になっておるわけでございます。きのうもアメリカでの高級自動車の詐欺の石原氏の審理があったように聞いておりますし、また、捜査協力の問題では、日本がアキノ暗殺事件について捜査協力をする立場にある。あるいは白石さん失跡事件につきましては捜査協力をしてもらう立場にある、こういうようなこともあるわけでございます。そういう点につきまして国際刑事警察機構との連携等今後どのような姿勢で臨むのか、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○筧政府委員 一般的に国際犯罪がふえてまいっております。それに対します私どもの考え方をまず申し上げたいと思います。 国際犯罪を防圧するためにいろいろなことが考えられるわけでございますが、私どもの方では刑事局に国際犯罪対策室というのがございまして、そこを中心にいろいろその解決に当たっておるところでございます。 高村委員御指摘のように、最近逃亡犯罪人の引き渡しあるいは仮拘禁というような事例も相次いております。この点につきましては日米の条約それから我が国の逃亡犯罪人引渡法、これにのっとりましてその処理に当たっておるわけでございますが、今後こういう事案がふえてくるということも考えられますので、将来逃亡犯罪人引き渡し条約、現在日米間だけでございますので、これの拡大ということも考える必要があろうかと思い、そのための法令の収集、検討等を行っておるところでございます。 また、外国からの刑事事件の捜査段階における捜査共助、証拠の収集、提供というような要請も最近多くなってきております。これも昭和五十五年に制定されました国際捜査共助法がございますので、これをフルに活用いたしまして、諸外国の要請に応じておるところでございます。御指摘のアキノ氏暗殺事件のアグラバ委員会に対する協力も現に行われておるところでございます。 それから、一般的に申しますと、私どもとしてもさらに外務省、警察庁と緊密な連絡のもとに諸外国の犯罪情勢の把握、収集ということにも努めておりますし、また旅券法に基づく過激派の海外流出の防止にもできるだけのことをいたしておるわけでございます。 それにもう一つつけ加えますならば、このように国際化する犯罪情勢に対応し得るために、若手検事を諸外国にできるだけ多く派遣いたしまして、諸外国の法令の研究、実情等を調査させまして、今後の国際犯罪の対策に備えているところでございます。
○高村委員 かつては自国民は外国に引き渡さないのだというような一般原則があったやに伺っているわけでございますが、そういう原則はもう過去になったと考えてよろしいのでしょうか。
○筧政府委員 自国民の不引き渡しの原則と申しますか、古くは原則的なものであったようでございます。最近でもこういう原則が世界各国を見ますと相当程度の国ではやはり行われているという実情もございます。我が国の逃亡犯罪人引渡法にもやはり不引き渡しが原則になっておりまして、御承知のように条約に別段の定めがない限りは引き渡すことはできないということになっております。日米の逃亡犯罪人引き渡し条約におきましては、自国民を引き渡すことができるということに規定されております。聞くところによりますと、ヨーロッパ条約等でも引き渡すことができるとなっておりますが、国によってはその国の法令で絶対に引き渡してはならないという原則をとっている国もあるようでございます。 そういうことで、日米の関係では、引き渡すかどうかということはそれぞれの判断でできるわけでございますから、例えば今の石原関一氏でございますか、今高裁で審理中でございますが、これが引き渡すことができるという仮に決定がありました場合には、現実に引き渡すかどうか、法務大臣が裁量で決定されるということになるわけでございます。その場合、引き渡すかどうかということを判断するに当たりましては、抽象的ではございますが、犯罪の重大性とか犯罪の発生時期、被害者、参考人等の関係者や証拠の所在地、従前相手国から受けた協力の実情、こういう諸般の事情が考慮されることになるかと思います。 なお、アメリカとの間では我が国はアメリカから米国民、つまりアメリカから見た自国民の引き渡しを請求して引き渡しを受けた事例がございます。
○高村委員 仮釈放促進の方針があるように伺っておりますが、新聞などでは「刑務所経費節減へ仮釈放促進」と大きな見出しを掲げられたものもあるわけですが、これはちょっと本末転倒ではないか。刑事政策的に仮釈放を促進するのだ、その反射効として経費が節減されるのだということであればまことに結構なわけでございますが、保護観察官、保護司等更生保護機能等の十分な発揮その他を含めて、所見を伺いたいと思います。
○吉田(淳)政府委員 仮釈放の制度は、御承知のとおり改悛の情ある者について刑期の満了前に釈放して保護観察に付する、そういう一連の制度を私どもは仮釈放と考えております。仮出獄の問題でございます。 現在、仮釈放のことにつきましては、少年については、少年の特質にかんがみまして九割以上仮釈放をやっております。問題は成人についての仮出獄の問題でございます。この点については、私どもは、成人の犯罪者について改善更生を図るには矯正処遇はもちろん大事でございますが、それに社会内処遇である保護の関係の処遇を加味していく、そういうことが一つの施策として大変重要ではないかというふうに考えておったわけでございます。この点につきましては、両三年以来私どもとしては現在の実情をもう少し積極的に進めていいんじゃないかということを部内に指摘してきたわけでございます。 それはどういうことかと申しますと、昭和四十年代では、例えば仮出獄率で申しますと釈放者の六割ぐらいが仮出獄者であったわけでございます。漸次下がってまいりまして、現在約五割近くまで来ている。だから、平たく言えば半分満期釈放者であるという実情でございます。満期の場合には御承知のように保護観察というのはできません。結局、刑務所の門を出ますと、後、自分で職を探し、自分で生活していかなければならないというハンディをしょうわけでございます。そこを何とか仮出獄に適する者についてはなるべく仮出獄の機会を多く与えよう、こういう趣旨でございます。決して経費云々の関係でそういうことを考えているわけではございません。 現に私どもは、ただいま申しましたように、以前からこのことを積極的にやってみようということで進めてまいったわけでございます。その場合に一番の点は、御指摘のように社会内で保護観察が十分できるかどうかという、そこが問題でございます。現状は、人的その他必ずしも十分でございません。そこで本年の予算案におきましては仮出獄に伴う諸経費、特に保護観察の充実強化の経費、一番問題点なのは更生保護会に約四分の一ぐらい仮出獄者が帰住するわけでございます、そういうところと十分連絡をとって指導していく、そういうことが必要だということで、これらの経費をあわせまして要求に盛り込まさせていただいているということでございまして、決して経費云々のためにこういうことを考えたというわけではございません。
○高村委員 満期出所より仮釈放の方が社会復帰がスムーズにいっているケースが現実に多いわけでございますから、ぜひこの方針は進めていただきたいと思います。 次に、刑事施設法案についてお尋ねいたします。 衆議院の解散によって廃案になっているわけですが、監獄法の改正についてどういう方針で臨まれるのか、再提出の時期等具体的にお考えをお示しいただきたいと思います。
○住国務大臣 御指摘のように、刑事施設法案は衆議院の解散によって廃案になりました。これもまた明治四十一年の監獄法でございますから、明治四十一年以来ほとんど実質的な改正が行われてないということでございまして、受刑者の人権だとか権利義務の問題、所内における生活水準をどう守ってやるかとか、やはり新しい時代に即応して見直していかなければならないのは、これは当然だと思うのです。 刑事施設法案も各方面の意見を承って、新しい現在の体制に即応するような法案であったと私は思っておるわけでございます。そういう必要性はいささかも変わってないのでございますが、さらに再提案するにつきましては、これまた日本弁護士連合会等を中心にしましていろいろな意見もございます。そういうところと今までも精力的に詰めておるわけでございまして、私どもはできるだけそういう努力を積み重ねまして、この施設法案を今国会に提案したいものだな、こういうように考えて今努力をしておる最中でございます。
○高村委員 日弁連等も監獄法改正の必要性は十分認めているわけでございますから、できるだけ早く詰めて再提出をお願いしたいと思います。 登記所の整理統合についてお伺いしたいのですが、これは一方では行革上の要請でもあるわけですが、一方では登記所利用者にとっては不便になることは否めないわけでございます。そういった登記所利用者に対する気配りも含めて今後の方針をお聞かせいただきたいと思います。
○枇杷田政府委員 登記所の適正配置につきましては、閣議決定でこれから五年間に約二百七十五の出張所を統合するということになっておりますが、この実施に当たりましては、ただいま御指摘ございましたように、地元の方々の御不便の関係もございますので、十分に地元とのお話し合いを進めまして、統合後の状況についてもできるだけ住民の方に御不便がないように、例えば登記の相談所の開設をするとか謄抄本の予約制度を採用するとかという措置を講じながら、最大限の考慮を払いながら統廃合を進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○高村委員 この登記所の統廃合、整理統合の問題でございますけれども、これは同僚議員からもぜひこの点は聞いておいてくれと言われて、いろいろ地元からの要望、これは困るという点もありますので、十分そういう点に耳を傾けながら進めていただきたいと思います。 次に、国が被告になっている公害等の損害賠償事件で、裁判所の和解勧告に対処する基本的な姿勢についてお尋ねしたいと思います。 大阪空港騒音公害事件については一部に国が受諾するやに伝えられておりますし、カネミ油症事件については拒否したということでございますが、具体的な事件はさることながら、一般的に和解に臨む基本的姿勢についてお尋ねしたいと思います。
○住国務大臣 裁判所の和解勧告は尊重して対処していかなければならないものだと考えております。しかし、これは基本的にはそうだと思うのでございますが、個々の具体的な事件につきまして、これは申し上げるまでもなくいろいろな背景、条件その他、差がございます。そういうような意味で、個人の権利とか利益というものと公共の問題、こういう調和も見ていかなければならないわけでございまして、具体的には個々の事件でそういう点を十分配慮しながら対処していかなければならないと考えております。
○高村委員 きのう、現職警察官の強盗事犯というのがありましたけれども、この動機の一つにサラ金が絡んでいるように伺っておるわけですが、五十八年十一月施行のサラ金二法についてですが、いまだ強引な取り立て等が後を絶たない、そのために一家心中だとか強盗事犯が発生しているわけで、法律の趣旨の適正な実現のために、取り締まりその他についての所見をお伺いしたいと思います。
○筧政府委員 高村委員御指摘のように、昨年十一月一日からいわゆるサラ金二法が施行されたわけでございます。それ以前にも制限利率の超過の事犯は相当検挙されておったわけでございますが、今回の改正によりまして、さらにこの取り立て方法についての規制と申しますか、取り立てに際して威迫等の不法行為を行った者についての罰則も規定されたわけでございます。高金利の面と今の取り立て方法の規制の両面で厳正に対処しているところでございまして、取り立て方法の規制違反についても若干の検挙した事例もあるようでございます。今後ともこの法律に基づきまして厳正に規制されるべきものと考えております。
○高村委員 五十七年十月施行の改正商法のその後についてお尋ねいたします。 株主総会の健全化という目的を果たし得ているのかどうかということと、一方で利益供与禁止制度の行き過ぎを批判する声もあるわけでございますが、総会屋の動静等に照らして所見をお伺いしたいと思います。
○枇杷田政府委員 五十六年の商法改正によりまして、いわば総会屋を排除いたしまして株主総会の正常化を図るということになったわけでございますが、その実施状況を見ておりますと、全体といたしますと法律のねらった趣旨が実現できたように考えております。 ただ一部、利益供与の関係につきまして、会社側の方で若干神経過敏になったというような面も見受けられますし、また、元総会屋がなお威力を発揮しようというのでございましょうか、長時間の株主総会を実現するというような動きがありまして、新聞などにも取り上げられております。そういう点は問題であろうと思いますが、私どもといたしますと、これは過渡的な現象であって、会社側もだんだんなれてくれば、しかるべく対応ができていくのではないだろうかと思っている次第でございます。 利益供与の点の行き過ぎの関係につきましても、私どもは会社を直接指揮監督するような立場にはございませんけれども、法律的な考え方として、ある線までのものは別に違法ではないのだということはいろいろな法律雑誌等でも見解を発表しておりまして、大体そういうようなことが各実務界においても理解をされつつあるのではないかと考えておる次第でございます。
○高村委員 法制審議会の商法部会で大小会社の区分立法についての審議が進んでいるようでございますけれども、審議の状況、今後の方針等についてお聞かせいただきたいと思います。
○枇杷田政府委員 大小会社の問題につきましては、五十六年の商法改正の際に当委員会からの附帯決議もございますので、一昨年暮れごろから法制審議会の商法部会におきましてその問題の検討を始めております。 小会社、殊にその中でも閉鎖的な会社につきまして、どういう法規制を加えるのが一番適当であるかということを検討いたしておる次第でございますが、過去の審議の結果、大体問題点が煮詰まりつつありますので、近くその問題点の整理を終わりまして、ことしの四月か五月ごろになろうかと思いますけれども、その整理いたしました問題を一応発表いたしまして、それについての各界の御意見を伺いたいと思っております。何分にも、株式会社で申しますと現在百万社ぐらい存在しておりますけれども、そのうちの七十万、八十万という大部分の会社がいわゆる小さな会社でございますので、商法の改正によってはかなり影響するところが大きかろうと思いますので、十分に各界の御意見も伺って検討を進めてまいりたいと思います。その上で、また審議を重ねました上で成案を得て、商法改正の案をまとめてまいりたいと考えておる次第でございます。
○高村委員 人権思想が大変普及して、これは人権擁護機関の地道な努力によるところだと思って大変喜ばしいことであるわけでございますけれども、一方では、みずからの権利を主張するに急で他を顧みないというような風潮もあるわけでございます。また、マスコミ等によるプライバシー、人権の侵害もある面では黙視できない点にまで達しているところがある。例えば東北大の人工受精による出産については実名報道がなされて大変プライバシーが侵害されている。あるいは誘拐事件等で家族構成等について必要のない報道までされて家庭争議にまで発展しているというような点もあるわけでございます。そういう点も含めまして、人権擁護活動についてのあり方、そういった点についての大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○住国務大臣 御指摘のとおり、自己の権利を主張する余り他人の人権を顧みない、こういうような風潮もなきにしもあらずということは大変残念なことだと思っております。私は、日本の基本的人権に対する考え方、考えとしては国民の間に深く浸透しておると思うのでございますが、現実の社会生活の中で本当にみんながそういうことを体で感じてやっているかどうか、こういうことについてはちょっとずれもあるのじゃないかなという気もいたしております。民間の皆さんからも大変、御協力をいただいてやっておるわけでございますけれども、今もおっしゃいましたように、他人の人権を尊重する、相手の立場を考えるということが基本的な人権を守っていく基本的に大事なところだろうと思っております。 取材活動その他、行き過ぎた点があるということも私は否定できないんじゃないだろうかと思うのでございますけれども、これは言論、出版、そういう自由との関係もございますので、大変デリケートな問題だと思うのでございます。これももう十分観念的にはわかっていただいておると思うのでございますが、具体的にこれはどう考えるか。そういうことも基本的にはみずからの立場で判断してやっていただけるように仕組んでいかなければならぬのじゃなかろうかな。非常に難しい問題でございますけれども、一人一人が、私どもはもちろんでございますが、努力をしていかなければならないことじゃないかと考えておるわけでございます。
○高村委員 表現の自由との関連もありまして大変難しい問願ですが、十分な啓発活動をお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○宮崎委員長 稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 大臣の所信表明をお伺いいたしておりましても、保険をめぐるいろいろな犯罪あるいは金融関係ですね、サラ金のことを直接書いてありませんけれども、そういうふうな問題が近ごろ非常に多いわけですね。そこで、私は二、三そういうふうな問題についてお聞きをいたしたいと考えるわけでございます。 実は、保険金詐欺の問題ですけれども、昭和五十三年十一月十二日午後十時五分ごろですか、房総半島で第八海竜丸というのとそれから西相丸というのが衝突をして沈没をした。それに関連をして、それが保険金詐欺だということで告発が東京地検に、去年の秋ですか、出ておるわけです。 まず、その告発人がだれであり、どういう内容で、だれを告発しているのかということについてお聞かせを願いたいと思います。
○筧政府委員 お尋ねの件につきましては、東京地検におきまして昨年、昭和五十八年九月二十六日付で加藤卓二、現代議士でございますが、ほか一名につきまして詐欺罪で告発を受理したと聞いております。告発事実の要旨は今稲葉委員が概略仰せになりましたところでございますが、横須賀ヨット株式会社の取締役強矢亨ほか数名と加藤卓二氏が共謀して、昭和五十三年十一月十二日ごろでございますが、告発状では宮城県女川港沖になっております、そこで海上クレーン船西相丸二百トンの船底弁を開放させて沈没させた。その上で昭和五十四年三月一日ごろに海難事故による保険金名下に一億二千五百万円の支払いを受けてこれを騙取したという詐欺の事実の告発でございます。
○稲葉(誠)委員 その事件の捜査の模様については、私は後で差し支えない範囲でお伺いいたしたいというふうに思います。 そこで、被告発人の方はその当時何でもなかった——何でもないと言っては語弊があるけれども、公務員ではなかったわけです。それに関連をいたしましてこういう事件があるのですね。 これは昭和五十三年十一月十四日に逮捕などをされまして、その後売春防止法の裁判があったわけです。裁判は昭和五十四年二月二十三日、東京地方裁判所の第二十四部一係ですか、であったわけですけれども、これは梶谷ほか三名が裁判になっておるわけです。この捜査の端緒なり、それからそれに対して警察側のとった態度ですね、経過について御説明を願いたいというふうに思います。
○古山説明員 お尋ねの事件でございますけれども、昭和五十三年十月、西池袋にあります山手トルコのトルコ嬢四名が警視庁の保安第一課に売春を強制されている旨の被害申告を行ってきたということを端緒にいたしまして、山手トルコに対する捜査を開始いたしました。昭和五十三年十一月十四日に山手トルコの実質責任者であります梶谷勝男、それから杉本宗一、そのほかマネジャー、レジ係の女性二名の計五名を売春防止法違反で逮捕したのでございます。その後、山手トルコの捜査中に隣にあります個室サウナ夢幻の実質責任者が山手トルコの被疑者杉本宗一、梶谷勝男でありまして、山手トルコのトルコ嬢に対しても夢幻の店内に集めてミーティング等を行っていたという事実が判明いたしましたところから、個室サウナ夢幻に対する捜査をあわせて進めました。そして杉本、梶谷の個室サウナ夢幻における売春防止法違反をもあわせて解明した事件でございます。 これらの捜査によりまして、五十三年の十一月十六日、山手トルコ関係で実質責任者梶谷勝男ら五名を売春防止法の第十一条第二項、場所提供業でございますが、これの違反として昭和五十三年十一月十六日に送致いたしましたほか、個室サウナ夢幻関係で昭和五十三年十二月十四日に梶谷勝男、杉本宗一の両名を売春防止法違反、これも場所提供業違反で追送致したものでございます。 なお、山手トルコにつきましては、許可名義人が中村文子となっておりましたが、営業全般に関する実質責任者は梶谷、杉本の両名でございまして、いずれも株式会社常磐本社代表取締役社長加藤卓二の社員であることが判明いたしました。梶谷は営業部長、杉本は事務局長の肩書きを有しておりますことから、実質責任者の追及のための捜査を継続いたしまして、店の売り上げ、支出等の諸経費収支が株式会社常盤本社の帳簿に記入されているなど、株式会社常盤本社の関連事実が判明いたしましたことから、売春防止法第十四条、両罰規定でございますが、この規定を適用して法人である株式会社常磐本社に対する捜査を進めましたところ、同社の代表取締役の加藤卓二社長が持病の糖尿と狭心症等で昭和五十三年十一月二十二日から五十四年二月一日まで日大医学部附属板橋病院に入院いたしております。したがいまして、その二月一日の退院の後に取り調べを行いまして、さらに裏づけ捜査等を行いまして、株式会社常盤本社を昭和五十四年十一月六日に売春防止法第十一条第二項場所提供業違反、それから同法の第十四条両罰規定によりまして東京地方検察庁へ送致したというものでございます。
○稲葉(誠)委員 梶谷以下の確定記録があるわけですね。これは法律の規定によりましてだれでも見られるわけですから調べたのですが、そうしますというと、例えば梶谷の公判におきまする供述の中でも、代表取締役が、今言った加藤卓二という人であってというふうなことでは株式会社トキワという形で出てくるのですけれども、株式会社トキワの下には東京四店のほかに五店舗があるというふうなことや、その他の被告人も同じようなことが書いてあり、トルコ嬢の中でも、オーナーというのが加藤卓二だということをみんな言っているわけですね。売春を強制されたというのは、だれからどういうふうに強制されたのかは明らかでありませんけれども、何か二〇%の売上増を強制されたというようなことが梶谷の公判調書の中にも出てくるわけです。 そこで、例えばSというトルコ嬢の記録などを見てみますというと、外出禁止なんですね。「月水金の三回は店で一斉にとった弁当を一食千円で食べさせられる。ちょっと買物があるからと言って出ようとしても出られない。早出のときは十二時で、遅出のときは八時には控室に客づけされるので待機をさせられている。深夜まで自由が束縛されて売春させられていた。」こういうふうなことも調書の中に出ていますね。それから電話などでも夜八時以後はかかってきても出してもらえない、こういうふうなことまでいろいろ出ておるのですね。 記録の中には、一体だれが警視庁に垂れ込んだのかというようなことをいろいろせんさくしておるようなことも出ておりますし、それから、梶谷の警察におきます記録によりますと、警察があれしましてからみんなが集まって協議をしておる、こういうようなことまで出ておるのですね。それから、何周年かの式典があったときには、トルコがあっちこっちにあるのですけれども、そのトルコ嬢が皆出席をしておることであるとか、秩父にもトルコがあったのですが、それがやめて移るときに、池袋の日産の修理工場か何かの裏にあったトキワの本社に行って、オーナー、社長である加藤卓二氏に会ってあいさつをしておるというような記事まで全部出ておるのです。 梶谷の五十七年十一月二十日の警察での調書などを見ましても、中村喜代子というのは奥さんの妹ですね、これは税金対策の名義でそういうふうなことをしたんだ。結局たくさんのトルコの建物をそれぞれ名義人または法人の名義のようにして、それに対して賃貸借契約を結んでおるんだ、そして、家賃取っているだけだ、だから自分には関係がないというような形式をとっておるんだというようなことまで調書の中に出ておるようでございます。それから、今言ったように、垂れ込みがあって逮捕の問題や何かが起きてきてからみんなが集まって協議をしておる、それに加藤氏も出ておるようなことが、梶谷の警察での最初の方の供述調書のところに、私の見た範囲では出ておるのです。 「特に今回の警察の問題のときには、これら全員がいろいろ対策を練った」というようなことが五十七年十一月二十日の調書の中に出て、それには加藤も出席しておるように書いてあるのですね。これは時期的に見ると、垂れ込みがあったのは十月の末ですか。十一月十四日に逮捕。五人逮捕しているわけですね、一人は不起訴にしていますが。そういう中で十一月十六日に送検になって、勾留中——勾留延長になっていますから、四名勾留中でしょう。勾留中に入院しちゃったわけですね。時期的にそういうわけですね。二月一日まで入院していた。そこで人権問題になりますから調べができなかったんだ、こういうふうに思うわけです。 そこで、私がどうも納得いきませんのは、みんながオーナーだと言っており、そうしたいろいろな実質的なことを当然知っているというふうに考えられる、しかも調書によりますと、これはプライバシーになることですからこれ以上申し上げませんけれども、記録の中に出ておりますからおわかりたと思いますが、御本人もそこに行っているわけですね。例えば夢幻という店が未成年者を雇ったというので営業停止になりましたね。そうしたら、その店の女の子を山手トルコの方に派遣していますね。そこへ行っておるようなことがずっと出ております。 そこで、株式会社常盤本社というのが法人として送検されておるのですけれども、この判決などによりますと、株式会社トキワという片仮名になっているのですね。まず、ここら辺のことがどういうことかということです。これは検事の起訴状と判決の最初のところ、出だしがちょっと違いますね。そこら辺のところが一つあるわけです。 それに関連して、ついでにお聞きしますと、なぜ株式会社常盤本社(代表取締役加藤卓二)ということで送検したかということが一つ。記録の上から当然事情を知っているというふうに考えられる加藤卓二氏を被疑者として警察はなぜ送検をしなかったのか。こういうことが私の疑問として浮かんでまいります。 起訴になった後にこの梶谷の保釈請求がありますね。起訴が十二月五日で、十二月十三日付で保釈請求していますね。それに対する求意見を担当検事が書いていますね。それにこういうふうに書いてあるのですね。梶谷の関係です。「本件山手トルコは株式会社トキワ(代表加藤)の浴場部が実質的に経営しているトルコ店であり、株式会社トキワは夢幻など四店のトルコも経営し、大規模にトルコで売春場所などを提供して、極めて悪質な会社である。」こう書いてある。検事の求意見に対する回答、ありますね。そして、夢幻及び会社の実態についても捜査中であるので、証拠隠滅のおそれがあるということで、その検事は求意見を書いているわけですね。記録にありますね。これはページはちょっと書いてくるのを忘れましたが、五十三年十二月十三日付のところです。四冊ありましたな、何冊かちょっと忘れましたが、ありますね。こういうところから見ると、この会社の実態なり何なりに対して検察官としては非常にメスを入れたかったんだ、こう思いますね。 それが、私の疑問は、ちょっとくどくなりましたけれども、なぜ株式会社常磐本社という形で送検をしたのか。株式社会トキワでないのか。なぜその加藤卓二を被疑者として送検しなかったのか。そして、この会社に対して検察庁は調べたのでしょうね。今の求意見から見ると、調べたに違いありませんね。調べたに違いないけれども、これは嫌疑不十分で不起訴にしていますね。そこら辺はどうしてそういうふうにしたのかということをお聞かせ願いたい、こういうふうに思います。
○古山説明員 株式会社常盤本社に浴場部がございまして、そこが全部やっておったということで、株式会社常磐本社を立てたということでございます。 それから、加藤卓二社長を立てなかったということでございますけれども、五十四年二月一日に退院いたしまして、それから後、本人を呼んでいろいろ取り調べを行ったり、いろいろやったわけでございますけれども、加藤社長がそういったことに関連しているということについて、そういう事実が出てこなかったということで、法人である常盤本社だけを立てたということでございます。
○筧政府委員 私も詳細見ておりません。株式会社常盤本社というのと株式会社トキワというのは別会社だと理解しております。それで、警察から送検されましたのは株式会社常盤本社という法人でございまして、それにつきまして、昭和五十五年五月三十一日に不起訴処分にいたしております。 不起訴処分にいたしております主な理由といいますか概略は 株式会社常盤本社というのがございますけれども、山手トルコの実質経営者は判決を受けた別の女性でございます。その名義で許可を受けて、それが経営しておる。株式会社常盤本社はそこへ建物等を賃貸借しておるという関係で、営業内容には一切関知しておらないという弁解がございまして、その弁解を覆すに足るだけの証拠がないということでございます。
○稲葉(誠)委員 今の御婦人が責任者になっているというのは記録の中に出ているでしょう。税金の対策だとはっきり書いてあるでしょう。それから、株式会社常盤というのは、判決では株式会社トキワ、こう書いてあるのですよ。常磐何とかグループと、いっぱいあるのですよ。だけれども、私は今そのことを直接問題にしているのじゃなくて、私はこれが不起訴になった理由というのがよくわからないのですよ。今言ったように、十一月十四日に逮捕され、十六日に送検をされて、十月末に内偵が始まっているわけですね。そして警察対策というので、みんな集まって協議しているということが記録に書いてあるのですから、だから、そういう点なんかももっとメスを入れなければいけない。そうすると、ちょうど勾留された後に入院しちゃっているのですよ。事実そうでしょう。間違いないですね。 そこで私が問題にいたしますことは、もうさっきの保険金詐欺との関連なんですよ。これはいろいろなことが言われているのですよ。私はどれが真実だかわからないのです。どれが真実だかわからないものですから、だから——船が沈没したのは十一月十二日夜でしょう。もう既に内偵が始まってからですよ。内偵が始まって、船が沈没して、それから逮捕されたということになるのですが、そのとき受け取った一億二千五百万円という金が一体どこへ行ったのかということでしょう。これはもう非常に大きなポイントですね。この人の不起訴なり——この人が、もう逮捕状が出てほかの者が勾留されちゃったら入院しちゃったわけですから、それでそれが不起訴になっているのですから、そこへ一体それがどういうふうに絡みつくのかということが一つの疑問なんです。私は疑問というだけですよ。いいですか。そういうふうな疑問がこの事件には非常にある。また逆な疑問もあるのですよ。逆な疑問も私は申し上げますけれども……。 いずれにいたしましても、同時に、保険金詐欺であるならば、これはもう詐欺になる。非常に巨額な詐欺になるし、そうでないと、中に立った人が五百万円もらった、上申書を書くときに、五百万円もらったと。それであとの五十万円というのは交通費か何かでちょびちょびもらったらしいのですけれども、五百五十万円もらったと、上申書がついていますね、名前は別として。告発の上申書がついておる。伝えられるところでは、その人が、後からそれを取り消して、その五百五十万ですか返しておる、こういうふうなことですね。その間の事実関係はそうでしょう。それはあなたもつかんでおられるのだからね。 そうなってくると、保険金詐欺になるのか。ならないとするならば、犯意があれば、犯意があればの問題になりますけれども、虚偽の事実で人を罪に陥れようとしたとするならば、これは誣告になる。こういうことでしょう。 それから、これは選挙に関連していますね。チラシだか何だかを配っていますね。そうなってくれば、これに関連した人の中から誣告なりあるいは選挙妨害が出る。こっちは保険金詐欺が出るかもわからないし、こっちが出るかもわからない。これはよくわかりませんけれども、いずれにしてもこれは非常に重大な問題ですから、捜査——今の捜査の段階ね。これはあなたの方は選挙があるのでその捜査を差し控えておった、こういうわけですわ。だけれども、選挙が終わったということでいろいろ捜査をやっておられる。東京地検の特捜部の中に副部長二人おられますから、これ以上のことは言わぬけれども、片方のところでやっておられたことはわかりますけれども、そこのところで今現在どういう捜査が進んでおり、どこを中心として今後捜査をしていくかというふうなことについて、差し支えない範囲で、私は、捜査のことですから、そうめちゃくちゃに何でもかんでも話せということは決して言わない。私自身もいろいろ経験があるわけだから言いませんけれども、お話しをしていただきたいし、それから最後に、大臣、この事件を厳正に、公平に、しかも早急にやるという決意は、あとは大臣の方から開陳願いたいと思うのですが。
○筧政府委員 ただいま告訴、告発を受けまして、詐欺ということで鋭意捜査を進めております。どういう点を調べているかという点については、捜査中でございますので差し控えさせていただきたいと思います。 それから、なお、先ほどの誣告等の点でございますが、事実関係が明らかにならないと断定はできませんけれども、一般論として申し上げますならば、他人を罪に陥れる目的で虚偽の事実を仮に申告したということであれば誣告罪の成立も考えられるかと思います。
○住国務大臣 この事件のいろいろな点について今稲葉委員の方から承ったのでございますが、言われるまでもなく、検察の方では、これは慎重に、厳正にやっていただけるものだと私は期待をいたしております。
○稲葉(誠)委員 慎重に、厳正にやるのはいいのですが、厳正という言葉の中に、仮に国会議員が入って——入ってという言葉はちょっと悪いですね。当時はそうじゃなかったのですけれども、今はその人が被告発人になっているのですけれども、そういうようなことで手心を加えない、そのことを厳正という言葉で言われたと思うのです。同時に、これはやはりむずかしい捜査であることは私もわかるのですよ。わかりますけれども、とにかく早急にやって、いろいろな問題の疑惑が今言ったような形であるわけですから、早急にやるというふうなことをしっかり、これは指揮権を発動するわけにいかぬからあれでしょうけれども、そういう一つの意思表明は当然あっていいというふうに私は思うのですけれども、そこはどうでしょうか。
○筧政府委員 現在、東京地検が捜査を進めておるところでございまして、国会における稲葉先生の御意見も何らかの形で伝えまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
○稲葉(誠)委員 これはその後の進展等を見まして、またお聞きすることがあるかというふうに思うわけです。今の点ではやはり私は、ちょっとくどくなりますけれども、どうも不起訴にしたところ、入院したことで個人を送検しないこととか、記録によると送検できるようになっておりますよ、だから、送検しなかったこととか、それからそれに対する検察庁の処分、検事はそこまで求意見書にもメスを入れようとして書いてあるのですから、どういう捜査をやったのか、どうもよくわからぬですな。ちょっとどこかからプレッシャーがかかったのだかわかりませんよ。わからぬけれども、そんなことはないと思いますけれども、あるいはあるかもわからぬというようなことも含んで、どうも私には疑問に思える、こういうことでございます。 それから、同じ東京地検で、サラ金関係といいますか、庶民金融業協会というのですか、あれは何というのですか、あそこの関係で遠藤何がしが業務上横領ですかで逮捕され、勾留されて起訴されたということでございます。これは勾留延長までしましたね。私どもみんなの疑問に思いますことは、特捜部が単純な業務上横領のことについてやるということは余りないわけですよね。普通の場合にはないわけですね。ですから、特捜部が取り上げたことなり、それから現在どういうふうになっておるのかということについてお聞かせ願いたいと思います。
○筧政府委員 特捜部が取り上げたという点でございますが、申し上げるまでもございませんが、検察官はいかなる犯罪についても捜査をする権限を有しておるわけで、必要と認めればみずから犯罪を捜査する、当然のことでございます。 この事件につきましても、東京地検特捜部がこの業務上横領事件の端緒を入手した、みずから端緒を入手いたしましたので、みずから犯罪捜査を行ったというふうに承知いたしております。 それから捜査状況でございますが、本年二月一日に遠藤悦三を業務上横領の容疑で逮捕いたしまして、二月二十二日に合計五千二百万円余の業務上横領ということで公判請求をいたし、その後引き続き捜査を継続中でございます。
○稲葉(誠)委員 私どもの聞く範囲では、これは何か当事者間では話がついておった、ついておったというのは完全に弁償したとかなんとかという意味じゃないですけれども、一応ついておったというふうには聞いておるわけですね。五千二百万円横領で起訴して引き続き捜査というと、引き続き捜査という意味がちょっとわからないような気もするのですが、それがどういうところにどういうふうに広がっていっているのか、影響しておるのかということ。業務上横領だけではないところのものまでも含めて、場合によっては捜査も行く可能性はある、こういうふうなことに承ってよろしいですか。
○筧政府委員 何分ただいま捜査中でございますので、どういう事実については捜査をし、どういう方向へ行くかということについても差し控えさせていただきたいと思います。 ただ、その後に加入者の方から告訴状が出ておりますけれども、それの金額と起訴しました金額とはまた差があるようでございますので、そういう点も含めまして現在捜査を継続中ということで御理解いただきたいと思います。
○稲葉(誠)委員 そういう点も含めてということですが、それは告訴状をあなたの方から出してくれというように要請したから出したわけでしょう。それは勾留を継続してくれる一つの理由ですわな。そこで、それがなければ権利保釈の条項に当てはまりますな。常習性があると見るかどうかはちょっと別として、権利保釈の条項に当てはまるからすぐ釈放しなければならないということで釈放されては、あなた方の目的としておるところというか、そういうふうなものがだめになっちゃうかもわからないということもあって告訴状を出してもらったのではないかというふうに今考えておるのですけれども、そういう事実もあってというところにひっかかるわけですね。それは伝えられるところはいろいろなことが伝えられているわけですね。ですから、そういうふうなところについて仮にほかの方面へいろいろな波及することがあっても、そんなことはちっとも遠慮することはありませんから、徹底的に追及するということをはっきりさしていただきたい、こう思うのです。
○筧政府委員 繰り返しになりますが、現在捜査中でございますので、その内容にかかわることについては差し控えさせていただきたいと思います。
○稲葉(誠)委員 捜査中の事件ですから、捜査中の事件を国会で聞くということについては、私自身も余りそれが適しているものだとは思わない場合が多いのですよ。思わない場合が多いから、あなた方の捜査に任せますけれども、それは徹底的にやるべきものはやるということは私も要望しておきます。この方面へどうなるかわからないとしても、そんなことは前の保険詐欺の事件と同じですわ。この事件も徹底的にやる。それで法秩序の維持ということを大臣も言っているわけですから、それでないと国民の信頼が得られなくなりますから、そういう点は私として要望いたしておきます。 それから、これは私自身非常にこのごろ感じますことで、前に高村さんもちょっと言われたことに関連をするのですが、何か一つの事件が起きたのか起きないのかわけがわからないその段階でわあわあわあ騒いで、それは取材なり報道の自由であることは間違いありませんけれども、どうも少し度が過ぎておる場合もなきにしもあらずではないかという印象を与えられる場合があるのです。 そこで、人権擁護局長に聞くのですが、三浦和義ですか、この人の方から人権擁護の方に何か申し立てがあったということが伝えられておるわけですが、どういう点について申し立てがあったのか、それに対して人権擁護部かな、東京の場合、部になりますか、ではどういうふうに対処していくのか、こういうことをまずお聞かせを願いたいと思います。
○鈴木(弘)政府委員 お答えいたします。 代理人を通じまして、三浦さんから申し立てがあったわけでございます。その内容の概略は、やはりある雑誌に三浦一美さんの殺害に三浦さんが関与し、また楠本千鶴子さんの失踪事件に関して決定的役割を果たしたかのごとき記事を掲載、また、その趣旨の記事を連載されておる、名誉を著しく害されておるというようなこと、それから各報道機関が三浦氏の自宅を取り囲む等過度の取材活動によって三浦さんの家庭生活が破壊されておるというようなこと、あるいは三浦さんの前科を暴き立てておるというようなこと、こういうことを挙げまして、人権上問題だから何らかの対応をしてほしい、こういう趣旨の申し立てがあったわけでございます。この申し立てはまだあったばかりでございまして、東京法務局におきましては人権侵犯事件として受理すべきかどうか、現在慎重に検討しておるということでございます。 この問題につきましては、先生も御指摘なさいましたが、言論、出版の自由というような問題のかかわりがあること、あるいはすでに三浦さんの方から名誉棄損だというようなことで告訴もいたしておりますし、あるいは民事訴訟も起こしておるというような事情がございます。その他いろいろ事情がございますので、これらの事情をにらみ合わせながら適切に対応してまいりたい、かように思っております。
○稲葉(誠)委員 これは刑事局長ですが、名誉棄損で告訴が出ておるということが今お話に出ましたね。それはどういう告訴が出ており、それに対してどういうふうに対応していくのかということですね。
○筧政府委員 お尋ねの告訴事件でございますが、本年一月二十一日に三浦和義氏から、株式会社文芸春秋社週刊文春編集部内氏名不詳者を被告訴人といたしまして名誉棄損の罪での告訴状が出ております。 告訴事実の概要を申し上げますと、あたかも告訴人が金銭のために三浦一美銃撃事件あるいは楠本千鶴子失踪事件に関して決定的な役割を演じたかのごとき記事を週刊文春に掲載して販売し、もって公然事実を摘示して告訴人の名誉を棄損したという事実でございます。この告訴を受理いたしまして、現在東京地検において捜査中でございます。
○稲葉(誠)委員 名誉棄損の告訴を受けた場合に、名誉棄損としては構成要件がもちろんありますけれども、どういう点とどういう点を中心として捜査をするということになるわけですか。一般論としてお答え願いたい。
○筧政府委員 名誉棄損罪の構成要件になるわけでございますが、公然事実を摘示して名誉を棄損する、それと名誉を棄損するような事実を摘示されたかどうかというのが主要点でございます。これは一般論でございますが、その点の解明がまず最初でございます。 そうしますと、それに伴いまして、特に本件のような出版物その他におきます場合には、その真実証明がなされ、あるいは真実であると信じたことに合理的な理由、相当な理由があるのかないのか、それは真実でない場合でございますけれども。それから公共の利害に関する事実に係るかどうか、それからその目的が専ら公益を図る目的でなされたかどうかというのが次の段階として名誉棄損罪の成立のために調べなければならない事実だと思います。
○稲葉(誠)委員 そうすると、本件については殊にアメリカとの関係もありますわな。そういう関係を含めて、これは直告ですから、東京地検も特捜部が扱うことになっているわけですけれども、いろいろな事件をしょい込んでしまって——しょい込んだという言葉は悪いな、持ち込まれたというか何というか、それだけ信頼されているからですけれども、大変だと私は思うのですね。だから、今の事件も名誉棄損の事件もそういうような構成要件があるわけですから、それで広範囲ですし、広がり方が広いですから、なかなか大変だと思うのです。今はいろいろな事件を持っていますわな。大変だと思いますけれども、今後それについての捜査はどういうふうに進めるわけですか。
○筧政府委員 これも捜査の内容でございますので、余り具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、一般的に申し上げまして、まず事実の解明というのが先になるのではなかろうかと考えております。
○稲葉(誠)委員 それは事実の解明が先になるのではなかろうかではなくて、事実の解明が先になるのは当たり前の話ですけれども、そうすると、私は特捜部というものをもっと拡充強化しなければいかぬと思う、大臣。ただ、これはなかなかむずかしい問題があるのです。これが余り拡充し過ぎていきますと、若い素朴な正義感が出過ぎてしまって検察ファッショみたいになってしまっても困るので、ある程度セーブしなければいけないのですけれども、会計学とか、簿記だとか、語学、商法、そういうふうなもの全体を含めて、今までの検事とは違った形のものをどんどんふやしていかないと新しい犯罪に対応できないのですよ。 検事の仕事というのは、警察官出身の人がおられると非常に困るのですけれども、警察から送ってきた事件ももちろん大事ですけれども、それをあれするだけでなくて独自の捜査体制をしいてやっていかなければならない。だから、優秀な人材をうんと抜てきして特捜部をもっと充実強化させなければいけない。同時にある程度チェックしなければいけませんよ。しなければいけないけれども、そういう形をやらなければせっかく大臣がここでこういうふうに書いていても、これはなかなかできないのですよ。だから、ここで答弁願うという意味ではありませんけれども、そういう点は今後心に置いておいていただきたいと思うのです。 検事としては特捜部に入るというのは一つのあこがれの的なのですよ、ざっくばらんな話。だから、優秀なのはみんな入っているわけですけれども、そういう点についても十分考慮を願いたいじ、「適正妥当な検察権の行使」というのがありますから、これは余り先走ってもいけないでしょうし、同時にまた正義感に燃えて社会の悪を剔抉しなければいけない。その悪は仮にそれが政治家であったとしても、大物の財界人であったとしても、何であったとしても、そういうことについては何も遠慮する必要はない、こういうことをしっかり考えて進んでいただきたい、こういうふうに思うのです。これは当たり前のことですけれども、私の考え方を申し上げさせていただいた次第です。 今申し上げましたようなことは、今後の捜査の進展や何かがありまして、それに変な影響といいますかそういうようなものを与えない範囲で今後もまたお聞きすることがあるかとも思います。 そこで、入管の問題に入るわけですが、入管の問題で指紋の問題については、きょう通告しておりません。これはまた別の機会に——現在裁判がいろいろ起きておりますし、どういうふうな状況になっておるか。なぜ指紋というものが、これは在日外国人、特に朝鮮人に、今は一本指ですけれども、来年その時期になりますから、三十万近い人が来年対象になりますか、二十何万か、そういうふうなことがありますから、その点についてはまだ別の機会に聞かせていただきたいと思うわけです。 そこで、きょうお聞きをいたしたいのは、文鮮明という人がおりますね。統一協会何とかというのですけれども、この人がまた日本へ入国したい、現在まだないのですけれども、何かことしの秋あたりあるのですか、そういうような話も伝わっておりますので、そういうようなことを含めて、過去にこの人の入国の問題についてどういう取り扱いをしてきたかということをまず最初にお尋ねいたしたいと考えております。それから、この統一協会というのですか、これは一体どういうものなのか、あなたの方で認識しておられるのか、そういうふうなものをあわせて説明を願って過去の経緯を御報告願いたいと思います。
○田中(常)政府委員 お答えいたします。 委員御指摘の方が過去において日本に入国したこともございますし、また入国申請を取りやめたこともございます。以前いろいろ問題がありまして、今から数年前の衆議院の法務委員会においても、当時の局長がその辺の経緯については御答弁した経緯もございますが、現段階において、委員も先ほどおっしゃいましたように、入国申請もございませんし、また瀬踏みと申しますか事前の打診もない段階でございます。また、本年十一月に世界言論指導者会議というのが行われて、そこに文氏が入国申請をするというような話は私も聞いたことがございますが、現在までのところそれについて具体的な情報には接しておらない次第でございます。 また、統一神霊協会という御質問でございますけれども、事宗教に関することでございますもので、入管としてはこういう場でコメントするのは適当でないのではないかと考えている次第でございます。
○稲葉(誠)委員 これは前にもここで問題になりまして、お父さんやお母さん方は非常に困っている例が多いわけです。人権擁護局の方へいろいろ頼みに来ているのもあるわけですけれども、いま言ったような宗教の自由の問題がありますから。私どもへも随分来られるわけですよ。来られるわけですけれども、本人がそれを信じていて、うちへ帰るのは嫌だと言うのですから、どうにもしょうがないので、私どもそういうお話をするわけですけれども。 そこで、今お話がありましたのですが、この前のときはこれどうだったのですか。ここに、五十四年七月十一日のこの法務委員会の議事録に出ていますわね。議事録に答弁していますが。
○田中(常)政府委員 五十四年の段階においては、衆議院の法務委員会において当時の局長が、文氏の入国は許可する、ただし条件をつけるということになりまして、具体的には文氏は入国申請を取りやめたという経緯だと了承しております。
○稲葉(誠)委員 そこで、今度はまた、やはりポイントになりますのは、去年ですか、何かよくわからないのですよね、アメリカで犯罪を犯して刑罰を受けておるというようなことが一部に言われているのですね。それが一体どういうふうになっているかということが今後の入国の問題の一つのポイントになると思うのです。だから、今ここですぐ答弁してくれといっても、わかっていればいいのですけれども、わかっておらなければ、これは調べて十分準備をしておかれた方がいいと思いますよ。これは後で、秋ごろになってくると必ず問題になってくる可能性がある、私はこういうふうに思うものですから、そこら辺のところは準備をしていただきたいというふうに思います。わかっておればお答え願いたいし、わかっていなければ、事実関係、殊にアメリカでの犯罪があったとかないとか、あったとすればどういうふうになっているのか、こういうふうなことをよく調べておいていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○田中(常)政府委員 お答えいたします。 同氏が二年ほど前ニューヨーク地裁において問題があったということは聞き及んでおりますが、その後どういう発展があったかということについては確かな情報を私今持っておらない次第でございます。したがいまして、具体的に文氏が入国申請を行う段階においてそういう問題についても調べたいと考えております。
○稲葉(誠)委員 だから、入国申請を行った段階では間に合わないから、前もって調べておいてくれ、こう言うのです。当然それはあなたの方で調べるでしょうね。 きょうは大臣、初めての質問ですし、大臣に対しては余り質問しなかったわけです。余りぎらぎらした人のときとはちょっと違う——ちょっと失礼な言葉を申し上げて恐縮ですけれども、僕が言ったのじゃないですよ、だれかが言ったのです。だからあれですけれども、今後いろいろな面で法務行政全般について尋ねたいことは尋ねたい、こういうふうに思います。だから、あなたの方としても、これはどうしても捜査の関係で言っちゃまずいということ、かえって逆に捜査にいろいろな影響があるというふうなときにはそのことを言われるのは結構ですけれども、国民が知りたいというふうなことについてはできる限りお答えをお願いいたしたい、こういうふうに考え、それを要望いたしておいて、きょうの私の質問を終わります。
○宮崎委員長 天野等君。
○天野(等)委員 大臣に対しましてまずお尋ねしたいと思いますけれども、今回の総選挙で国民の示された声というものは、やはり政治倫理の確立ということを国政の最も重要な課題として考えていけという意思ではなかったかと思うわけです。その点については、中曽根総理も施政方針の中でも述べられておりますし、また、代表質問に対する御答弁の中でも、今後とも政治倫理の確立に努めていくという話があったわけでございます。 そこで、国民として今新法務大臣に対して一つ大きな注目をしておるのではないかという気が私はしておるのです。それは前法務大臣が、昨年の末ごろでございますか、総選挙前ぐらいにある雑誌に対する座談会掲載というような形で意見を発表されておりました。その中に、政治家に対する政治倫理という問題について、政治家に徳目を求めるのは八百屋へ魚を買いに行くようなものだというような形で、政治家の倫理についての法務大臣としての見解を述べられておりましたけれども、やはりあの発言に対しては国民も非常に大きな批判、不満の声を持っておったのではないかというふうに私考えておりますけれども、前法務大臣が述べておられたようなあの政治倫理に対する考えを新大臣としてどういうふうにお考えになっておられるか、その点まずお尋ねしたいと思います。
○住国務大臣 おっしゃいましたように、昨年の十二月の選挙では政治倫理の問題が大変大きな問題として取り上げられた、これも全くそのとおりでございます。私としても、やはり政治に対する信頼が損なわれるということは非常に不幸なことだと思っております。何よりもまず政治に対する信頼の確立が一番大事なことだと思っておるわけでございます。 そういうようなことと、法務行政の立場として、いかなる事件につきましても厳正公平、不偏不党の立場でこれに対処していく、こういうことがやはり一番大事なことでございまして、特に今法務行政に対する信頼が損なわれるようになりますと、これまた大変不幸なことでございます。政治の立場での倫理の確立はもちろん必要でございますけれども、私ども法務行政の立場としての国民の信頼、これはもう断固として守っていかなければならない、こういうように考えておるわけでございます。
○天野(等)委員 政治の信頼の回復ということが今の政治家に求められている非常に大きな課題であると思います。また、大臣の所信表明の中にも「国民の期待する法務行政の推進」ということが冒頭に述べられておりまして、そういう観点から、この政治倫理の確立という問題について何か法務行政という立場から積極的にこういう施策をというようなことをお考えになっておられるかどうか、その点について。
○住国務大臣 私は、法務行政の立場で、特に司法に対する国民の信頼、これをどう守っていくか、これが一番大事なことだと思っておるわけでございます。私は、こういう信頼感が一度崩れますと、これを取り返すのは大変だろう、こう思っておるわけでございます。せっかく今まで司法の皆さんあるいは先輩の皆さんが確立してきたそういう司法に対する信頼をどう守り、どう高めていくか、これは私どもの責任であると思っておるわけでございます。 そういうような観点から、具体的な問題等につきまして、今も申し上げましたように、厳正公平、不偏不党の立場で、事件があった場合にその徹底解明に努めて真相を明らかにして、刑罰権の適正妥当な行使を図っていく、そしてまた、そういうようなことが起こらないように、そして、そういうようなことが起こった場合に一層効果的に対応していけるような体制というものを考えていかなければならない、こういうように考えておるわけでございます。
○天野(等)委員 総理その他大臣が、実は本会議等でも御答弁がありましたその中に、今後の政治倫理の確立ということで、例えば閣僚の資産公開というような問題も出ておりましたけれども、法務省として、例えば政治家の資産公開というような問題について御研究なり調査なりというようなことをなさっておられるか、あるいはこれからなさっていかれるお気持ちがおありになるかどうか、この点はいかがでございましょう。
○筧政府委員 私の所管以外にもわたりますけれども、政治家の資産公開という点は、今、委員御指摘のように政治倫理の問題でございますので、私どもの方でこれについてどうこうということは考えていないところでございます。
○天野(等)委員 それでは、その具体的な問題については政治倫理協議会というようなものもできておるようでございますし、そこでの検討にゆだねるということかと思いますけれども、大臣の所信表明の中でも「涜職、脱税等の国民の社会的不公正感を助長する犯罪が後を絶たない」という問題が述べられております。私も、確かにそうではないか、法に対する信頼、それがやはり法務行政に対する信頼につながっていくものだろうと思います。 その点で、最近いわゆる企業犯罪といいますか、企業ぐるみで一つの犯罪を構成しているというような形のもの、例えば、先日最高裁で上告棄却の判決がございました石油カルテルの事件等がございました。あの上告審の当日の新聞の記事を読みますと、一方では、消費者サイドといいますか、あるいは告発した公取委員会サイドでは、あの判決に大きな意味を認めている。しかし一方で、肝心の被告人であり、大いに反省をしなければならないはずの企業自身は、あの判決に対して非常に冷ややかな態度だ。別に我々は悪いことをやっているわけじゃない、企業のためにやったんだからというような形で報道がされておりますけれども、やはり企業のためということが法を破っていいことにはもちろんならないわけでございます。しかし、往々にして、そういう企業のためということが一つの隠れみのになって今の社会的な倫理が崩れていくという面が強く感じられるのではないか。ロッキードを初めとする贈収賄も、大きく言えばやはり企業のためであったり、また、先年ございました薬事審議会の委員までも含めたような、企業の秘密を不正な方法で取得するという、そういうような形のもの、企業の利益のためには手段を選ばないというような風潮が社会の中に大きくなってきているというのは、これからの法を守る立場として戒めていかなければならない、そういう風潮ではないかと私は思うのでございます。 その中で、今申しました石油のやみカルテルの問題について、消費者サイドから考えまして告発に踏み切られたと思うのですが、こういうやみカルテルの問題について他にも取り扱いをしている例が公取としてはあると思うので、その点について公正取引委員会の方から、やみカルテルの問題についての審決なりあるいは告発なり、そういう例がございましたら、ひとつお知らせいただきたい。
○厚谷説明員 ただいま先生から御指摘いただきましたように、去る二十四日、石油価格協定事件について最高裁の判決がございました。私どもは、これが司法府の最終の判断であって本件カルテルが刑罰に相当するものであるということが確定したわけでございまして、独占禁止政策にとりまして非常に大きな意義を有しておるものだと思っております。それで、何と申しましても大事なことは、企業が独占禁止法につきましてそれが自由経済の基本的な法律であるということについての御理解をいただいて、独占禁止法に違反しないというようなことになることが望ましいことで、そのような努力を続けてまいりますとともに、違法なカルテルにつきましては厳正に処理していかなければならない、かように考えておるわけでございます。 それで、違法なカルテルにつきましては、石油価格協定事件を告発しました後に、昭和五十二年の独占禁止法の改正によりまして課徴金制度というのが制定されておりまして、運用が一段と厳しくなっております。既にこの課徴金について納付命令を命じましたのが八十八億七千万ほどございまして、規制に実効を上げておると思います。そのようなことで、違法なカルテルにつきましては厳しく対処しているところでございます。
○天野(等)委員 公正取引委員会等では、今後とも厳しく消費者の立場に立った行政をお願いしたいというふうに考えております。 そのほかに、多く涜職事件と関係し、あるいはまた脱税等とも関係する問題でございますけれども、会社経理の中で使途不明金というのが出てくることがございますが、これは涜職事件の特に贈賄者側——収賄者側は公務員ということでございますけれども、贈賄者側の経理上の操作というようなことでよく出てくるのがこの使途不明金だというふうに考えるわけでございます。この使途不明金が最近ふえてきている傾向にあるのではないか、そういう調査報告もあるようでございますが、この点について関係のところからの御答弁をいただきたいと思います。
○木下説明員 先生御指摘のように、最近使途不明金の金額は若干ふえております。 五十七事務年度における数字を申し上げますと、私どもが把握しておりますのは資本金一億円以上の法人でございまして、これが全国で大体一万九千社以上ございますが、このうちで調査をいたしました法人約四千三百社につきまして使途不明金の実態を調べましたところ、千十一社の法人につきまして使途不明金が把握されております。総額は四百二十八億円でございます。これは五十七事務年度でございます。 これにつきまして、国税庁としましては、使途の解明に努めまして真実の所得者に対する課税という税法の本旨に照らして処理を図っておるわけでございますが、何分調査の権限の問題もございまして、いろいろな制約もございますので、必ずしも全貌が把握されておるわけではございませんで、この中で判明いたしましたのが八十七億円、約二割でございます。 どのような使途に行っているかということを判明した分だけで申し上げますと、リベート、手数料、交際費、その他政治献金等、こういうものに行っておるわけでございます。 ただいま申し上げました数字は、その前の年と比較いたしますと若干ふえております。これに対しまして国税庁の解明率も努力の結果若干上がっておるというのが現状でございます。
○天野(等)委員 約二万近い法人のうちの四千ぐらいと言いますから大体五分の一ぐらいの数の調査ということになろうかと思いますけれども、使途不明金の額が四百二十八億ということでいきますと、仮にそのまま比例的にふやしますと、全体の法人として二千億ぐらいの使途不明金が予想されるのではないかというふうに考えるわけです。この使途不明金で結局使い道が判明したものが二割ぐらいということでございますから、税務当局の調査でも判明し得ないようなものが千五、六百億は存在しているのではないかという予想が立つわけでございます。 こういう状況は、会社の経理の正常な公示といいますか、国民の前に明らかにするという観点、あるいは税務行政という観点から見て、このまま放置しておいていいものなのか、あるいはやはり何らかの形でこれは減らしていくというような方向を考えていかなければならないという問題なのか、この点についてはいかがでございましょうか。
○木下説明員 税務当局といたしましては、先ほど申し上げましたように、従来から真実の所得者に課税するという税法の本旨に照らしまして、その使途の解明に努力しておるわけでございますが、これも先ほど申し上げましたとおり、いろいろなネックがございます。これは調査の法的な限界もございますし、あるいは実際上の稼働力の問題もございますし、こういう限界がございましてなかなか解明が進まないというのも事実でございます。 その場合にどういうことをしているかと申しますと、結局法人の方が言わないということになりますと、その支出金は事実支出されたかどうか確認ができない。仮に支出されておってもそれが損金性があるものかどうかこれも確認できないということで、その支出した法人の法人税として課税する、こういう措置を我々はとっているわけでございます。 それ以上の措置がとれないかということでございますが、ただいまの法人税法なり税法の建前から申しますと、それ以上の措置を税法で期待することはちょっと難しいわけでございまして、むしろその法人のモラルとかあるいは株主の問題等も絡みますので、刑法とかあるいは商法、こういう法律との関連で解決すべきではないか、こういうような考え方を持っております。
○天野(等)委員 これは法務省の刑事局長に御見解をお尋ねしたいと思うのですけれども、この法人の使途不明金、株式会社の使途不明金の問題について、これは取締役の特別背任を構成する可能性もあるのではないか。それが会社に対して損害を与え、これが取締役の個人的な利益ならもちろん背任罪ですし、また取締役自身でなくても第三者に対する利益だということで考えた場合にも特別背任罪というようなことが考えられないだろうか。その点ではいかがでございましょうか。
○筧政府委員 御指摘の使途不明金でございますが、使途不明金が直ちに常に必ず犯罪に結びつくかどうかということになりますと、必ず結びつくとは限らないと思います。御指摘のように、ある場合には取締役等の特別背任になる場合もございましょうし、あるいは脱税につながる、あるいは贈賄の資金になっておるという場合にはそちらの涜職の方へ行くわけでございます。したがいまして、使途不明金に関連しまして犯罪の嫌疑があります場合には、検察当局ではこれは徹底的に解明いたしまして適切な捜査、処理を行っているところでございます。 また現在、検察の重要な重点事項の一つとしまして社会的な不公平感を助長するような犯罪、その例としては脱税あるいは涜職等を挙げておりますが、そういう犯罪の厳正な処理ということを重点目標の一つとして努めておるところでございますので、今後も厳正に対処されるものと考えております。
○天野(等)委員 聞くところによりますと、フランス等では、使途不明金を生じさせた場合に、これを単なる損金不参入というようなことだけではなくて、罰金的な処置をとっているというようなことも聞くのでございますけれども、この点はいかがでございましょうか。
○木下説明員 確かに先生おっしゃるとおり、フランスでは、先ほど私の申し上げました使途不明の支出金を支出した法人サイドで法人税をかけるということのほかに、その金が当然支出先に渡っているわけでございますから、渡った人の所得である、こういうふうにみなしまして、そこからも税金を取る、こういう制度が確かに行われております。 このような制度につきまして、我が国でなぜ採用しないのか、こういう御指摘であろうと思うのでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、税法自体がそういうような手当てをすべきなのかどうか、企業のモラルなり株主の問題ではないかという問題も一つ指摘されておるわけでございますし、あるいはそういう税法を仮につくった場合にでも、逆にそれが免罪符になって税さえ払えば堂々といける、こういうようなことも考えられるわけでございますし、さらにあるいは法律をさらに潜る、こういうような行動も予想されないわけではない。いろいろ問題がございまして、決断をしかねている状況ではないか、こういうふうに考えています。
○天野(等)委員 先ほども申しましたように、やはり企業のモラルということが国民の間の法意識の確立という点でやはり非常に重要な問題になってきているという時点で、私はこの使途不明金の問題について立法措置等も含めてやはり考えていただきたい問題だというふうに考えておりますが、またこれは後にいろいろ御検討いただきたい、そう考えております。 次に、最近これも世上で問題になっております再審の関係について一、二お伺いをしたいと思っております。 昨年の七月に免田事件の無罪判決がございました。長い間の死刑囚という立場から一転して自由人になれたということ、そのことはやはり我々にとっても大変喜ばしいことであったというふうに考えるわけでございます。 ただ考えられますことは、この免田事件にしましても無実が晴れるまでには大変長い月日がたっております。再審請求だけでも六回の再審請求のうち五回は棄却されてしまったというような状況の中で結局は無罪判決がから取られるわけでございますけれども、再審請求事件に対して検察の態度としてはどう考えるのかということが、私はやはり問題になるのじゃないか。 法的安定性ということを考えれば、もちろん当然検察は自己が捜査し起訴をした事件について責任を持って有罪の確信を持っておられるということはわかるわけでございますけれども、しかし、やはり一面考えますと、裁判というものに絶対的なものはないという立場からすれば、やはりこの再審制度を生かしていくということが国民の一つの立場だと思いますし、国民の期待する検察ということから考えたときには、やはりこの再審制度を生かしていく必要が検察としてもあるのではないか。その辺についてこの再審制度と検察の態度というようなことについて法務大臣の御所見をいただければと思います。
○筧政府委員 天野委員御指摘のように、再審制度は、申すまでもありませんが、確定判決における法的安定性という一つの要請と、それと他方、実体的真実主義に基づく具体的な妥当性という要請、その二つの要請を調和させるために非常救済手続として定められているところでございます。 個々の具体的事件についての対応については、現在進行中でございますので差し控えたいと思いますが、一般論として申し上げますならば、検察当局としましても、公益の代表者としての立場でございますから、再審制度の今申し上げました二つの要請の調和という趣旨にかんがみまして、有罪であると認められる事件についてはいたずらに確定判決の法的安定性を害するあるいは処罰は免れるというようなことがないように努めなければなりませんが、他方、救済が必要な事件については所要の救済が与えられるようこの再審制度の適正妥当な運用に努めてまいるという態度で臨んでいると思います。
○天野(等)委員 再審請求事件でいつも問題になってまいりますのが、自白の強制と、それからもう一つは検察官の手持ち証拠といいますか、原審で開示されなかった証拠、それを再審請求側が使うことができるように、真実発見のために検察官の手持ちの証拠を使うことができるようにということでの証拠開示の問題がやはり大きな問題としてあると思いますが、証拠開示の問題については、既にその事件については確定もしておるわけでございますから、原則としては再審請求側において必要があるということで請求したものについては開示すべきではないかというふうに考えるのでございますが、その点ではいかがでございましょうか。
○筧政府委員 再審が開始決定がありまして再審手続が始まりました場合に、やはり通常の公判手続ということでまいるわけでございます。前に確定判決がございますので、必要な証拠はその時点でほとんど出ておるということになろうかと思いますが、再審の手続におきましても、さらに再審で事実を解明するために必要であるという証拠につきましては、検察官の方でもそれを提出し立証することにはやぶさかでないと思います。ただ、すべて何でも出すということにつきましては、若干疑問があるように考えております。
○天野(等)委員 開始決定がなされてからの問題と再審開始の申し立てをする場合の申し立て理由の問題とあるわけでございますけれども、先ほど申しました免田事件が再審開始決定に至るまで五回も申し立てが棄却されてきたということの中には、やはり再審開始理由を構成していく新しい証拠を発見していくこと、これがなかなか困難だという状況があるかと思います。それはそれで、一つは確かに既に確定事件でございますから法的安定性の問題はあるわけでございますけれども、しかし、検察官が手持ちしている証拠については再審請求者側の無罪の方向にも使わせてしかるべきではないか。それが公益の代表者としての検察の立場だというふうに考えておるわけでございますが、その点では個々にいろいろな対応がなされておるようでございます。 そこで、実は、再審開始決定に至る前段階で再審請求者側の方から検察庁に対して証拠開示の要求を出しますが、これに対して検察庁の方がなかなかこたえてくれない、証拠の有無についてもなかなか答えてくれないという状況があるようなのでございます。その辺が再審弁護団にとっての一つの大きな悩みになっているということがあるかと思いますが、ある事件に関しましての手持ち証拠のリストというようなものを要求があれば再審請求弁護団側に見せるということはできますでしょうか。
○筧政府委員 いろいろ例があると思いますが、再審事件はおおむね相当年月がたってからの場合が大部分であろうかと思います。そういたしますと、その大分前にもう三審を経て確定した事件でございます。そういう事件につきまして、その当時を掘り起こして公判に出てない証拠が全部あるかということで、そのリストをつくってお見せするということまでは必要はないのじゃないかと考えております。
○天野(等)委員 具体的な事件でございますけれども、いわゆる狭山事件という事件がございます。この事件の再審請求に関連してでございますけれども、この事件の再審請求の問題については既にこの法務委員会でも何回か問題になったことがあるようでございます。その中で、現に検察庁の方で所持しているもので開示できるものは全部開示するというような方針が五十五年十月二十二日の前田刑事局長の御答弁であるようなのでございます。 実は、それ以後にこの狭山事件に関して一九八二年の五月十一日と翌八三年の一月十三日、九月二十二日の三回にわたって東京高等検察庁に再審弁護団側から証拠開示の請求をしておるところなのでございますが、それについての検察庁側からの返事がいまだにないという状況があるのです。やはりこれは、あるのかないのか、あるいは開示できるのかできないのかということについての返答は当然するべきものではないかと私考えるのでございますが、いかがでございましょうか。
○筧政府委員 ただいまの狭山事件に関しましては、天野委員御指摘のように個々に対応がなされていると私も承知しております。今、先生御指摘のように、ある段階で御要望がございまして、その中で存在するもので御要望のあったものについて何点か開示したように聞いております。その後も御要望があるようでございますが、それにつきましても、ある、ないという返事はいずれなされるべきものと考えております。
○天野(等)委員 開示請求を出しましてから時間が非常に経過しておるものですから、最初のあれからいきますと二年近く経過しているものもございますし、どういう状況なのかということについては、やはりできるだけ早く弁護団側に返答をしなければならないのじゃないか。少しその調査が長引き過ぎているのじゃないかという感じがするのでございますが、いかがでございましょう。
○筧政府委員 今の記録をちょっと調べましたところによりますれば、昨年狭山弁護団関係の方々が陳情においでになりました際にその御要望がございまして、それに対しては口頭で御返事をしているというふうに承知いたしております。なお、それで残っておるものがございましたら、同様にその御要望に対する回答がなされるべきものと考えております。
○天野(等)委員 実は昨年の九月二十二日、弁護団の側と東京高検の方で話があったようでございますけれども、その際に、先ほど申しました未開示証拠のリストは狭山事件に関する限りはできているのだという話をされておったということなのです。それで、もしそういうことならばそのリストを見せていただきたい。 それがなぜ必要かといいますと、実は古い再審事件でございますから、証拠の標目、それから実況見分調書なのかあるいは捜査報告書なのか検証調書なのか、そういうような書類の表題等に関しましても弁護側では定かに決めがたいわけでございます。ただ、今狭山事件で問題になっておりますのは、事件当初の犯行現場における血痕の有無の問題につきまして、その当時の資料が他のいろいろな状況から見てあるはずだということで、弁護団の方では開示してほしいということで交渉しておるようでございますけれども、ただ、それがどういう表題の書類になっておるのかということについても、こちらは一応の推測をしまして実況見分調書という形で出すわけでございますが、検察庁の方はそれに対して、その日付のそういう実況見分調書はないという形で簡単に答えられてしまうわけです。 しかし、こちらが要求しておりますのは必ずしも実況見分調書という表題にこだわっているわけじゃありませんので、その当時の捜査記録を開示してほしい。ただ、一般的に捜査記録をといいましても余りにも漠然としてしまいますので、そういう点で捜査記録についてのリストがあるならば弁護側に見せていただけば、弁護側ではむしろより正確な捜査記録の確定ができるし、その上で開示の請求をしていきたい。そういう点でひとつぜひ捜査記録のリストを、あるということなものですから、見せていただきたいという要求を出しておるのですが、それについての返答がまだないということなのでございますけれども、その点についてはいかがでございましょう。
○筧政府委員 今御指摘の事実につきましては、早速調査いたしました上で対処いたしたいと思います。
○天野(等)委員 それじゃ、その点につきましてはまた後に御調査をいただくということで、ここで打ち切りたいと思います。 次の問題は、やはりこれも今新聞等をにぎわしております中国残留孤児の引き揚げといいますか帰国の問題でございますけれども、中国残留孤児の戸籍についてはどういうふうに法務省としてはお考えになっておられるのか。
○枇杷田政府委員 中国残留孤児につきましてはいろいろなケースがあるわけでございますが、戦前内地の方に出生届が出されまして、そして戸籍ができている方もあります。それからまた、できているけれども、その方と本人とが一致するかどうかという問題があります。それから、できておってもその後戦時失踪宣告等で消されているという方もあります。いろいろなケースがあるわけでございますが、御本人が日本人であるということがわかれば、これはもし消されない戸籍があればもちろんその方として認定をするということで終わるわけでございます。もし失踪宣告等で消されている場合には、それを取り消して、また戸籍に戻すということがあります。それから、身元がわからないという場合には、今度の肉親捜しのようにして来日されまして、わかった場合には近親の方から出生届などを出していただいて戸籍に入れるという措置もとります。それから、身元がわからないような場合には家庭裁判所に就籍の許可の申し立てをしていただきまして、そこで日本人であるということが確認をされた場合には就籍の許可の審判が出ます。それに基づきまして新戸籍をつくるというようなことで処理をしているのが実情でございます。
○天野(等)委員 そうしますと、就籍につきましては、両親が不明という場合でも家庭裁判所の審判によって戸籍をつくることができる、そういうふうに考えてよろしゅうございますか。
○枇杷田政府委員 両親が不明でありましても、いろいろな事情から日本人の子であるということが認定できた場合には就籍の許可が出ると思います。その場合には父母が不明のままでの戸籍をつくることになるわけでございます。
○天野(等)委員 それに関連しまして、就籍したいという申立人本人自身が外地におって、代理人を日本で頼んで、それで就籍の許可が出たというようなことが新聞報道でもされておりましたけれども、そういう手続も認められるということでございましょうか、
○枇杷田政府委員 家事審判事件につきましては家事審判規則の五条で、申立人本人が家庭裁判所に出頭しなければならないということになっております。しかし、そのただし書きで、やむを得ない事情がある場合には代理人によって出頭にかえることができるという規定がございます。それと同時に、家庭裁判所につきましても、その代理人は弁護士であることが原則でございますけれども、弁護士でない者も家庭裁判所の許可があれば代理人になることができるという規定があるわけでございます。 新聞に出ました松本斗機雄さんという方の事件は、その手続によりまして、御本人が中国におられるままで日本におられる方を代理人に立てて、そして申し立てをして許可をもらったというケースでございますので、そういうことが手続上もできるということになっております。
○天野(等)委員 そうしますと、ちょっとくどいようですけれども、国籍確認というような判決をもらわなくても、家庭裁判所の就籍許可決定というようなことで審判で就籍ができるということでございますね。
○枇杷田政府委員 家事審判手続で就籍の手続がございますので、立証の点については若干問題があろうかと思いますけれども、就籍によって戸籍ができるという手続はあるわけでございます。
○天野(等)委員 最近新聞でその例が出ておったわけでございますけれども、ほかにも中国残留孤児で家庭裁判所の就籍許可の審判で就籍ができた例がありますか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
○猪瀬最高裁判所長官代理者 就籍事件は、過去三年で見ますと、昭和五十五年が全国で二百五十二件、五十六年が百九十三件、五十七年が二百七件、こうなっております。このうち中国残留孤児からの就籍申し立て件数につきましては統計上把握できておりませんが、家庭裁判所から最高裁の家庭局の方に任意に報告があったところなどによりますと、五十二年に三件、五十七年に二件、五十八年に二件の合計七件でございます。恐らくこれは、正確なことは把握できませんが、これまでのところでは年間件数はそう多くはないであろうと思われます。
○天野(等)委員 これは就籍許可決定があった数でございますね。
○猪瀬最高裁判所長官代理者 先ほどの統計の数字は受理件数でございますけれども、各庁からの報告があったということで申し上げた七件は就籍許可があった事件でございます。
○天野(等)委員 申し立てがあったけれども就籍が許可にならなかったというような例の報告はございませんでしょうか。
○猪瀬最高裁判所長官代理者 それはございませんです。
○天野(等)委員 ただいまの就籍の問題についてはっきりとした御回答がいただけたのは、中国残留孤児にとってもこれからの帰国という問題について非常に大きな利点になっていくのではないかと私考えられます。この中国残留孤児の問題については、日本の戦争の処理の問題として、あれだけの戦争を日本がしたということで、その被害がいまだにいろいろな形で残っているその一つの処理の問題として、日本人でありながら戸籍を持たないで、戸籍がまたはっきりしないでいる、そういう状況を私たち一日も早くなくしていかなければならないだろう、そういう観点から法務行政としても積極的に進めていただきたいというふうに考えております。 これで私の質問を終わらせていただきます。
○宮崎委員長 午後零時四十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午前十一時五十一分休憩 ————◇————— 午後零時四十二分開議
○宮崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。小澤克介君。
○小澤(克)委員 せんだって伺いました大臣の所信表明に関しまして若干お尋ねをいたしたいと思います。 大臣は所信の中で「国民の基本的人権の保障をより確かなものとするため、基本的人権が侵されることのないよう万全を期する」、また「人権侵犯事件の調査・処理を通じて関係者の啓発を図るとともに、被害者の救済にも努めてまいる」こういうふうに表明をしておられるわけでございますが、そこで、精神障害者の人権の擁護の問題につきましてどのようにお考えなのか、承りたいと思います。 と申しますのは、精神障害者は社会的に見て弱者でありまして、したがって、その人権の擁護についてはある意味では健常者以上に周到な配慮が必要なのではないか、そう思われるからであります。例えば、精神障害者でない者が精神障害者であるとされて強制的に入院をさせられる、あるいは障害者ではあるにしても、その程度及び態様からして強制的な入院の必要がないにもかかわらず入院させられる、あるいはまた、当初は入院の必要があったとしても、後に治療の結果必要性が消滅したにもかかわらず、なお入院が継続される、こういうような形態で不当な拘禁、こういうものがあるとしたら、重大な人権侵犯になります。こういうことがあってはならないと思うわけでありますので、まず大臣に、精神障害者の基本的人権擁護に関してどういう基本的なお考えをお持ちかお尋ねしたいと思います。
○住国務大臣 小澤委員も御指摘のとおりでございまして、基本的人権はこれはもう国民すべての方について尊重されるべきことはもちろん当然でございまして、身体障害者につきましても、ハンディキャップも負っておられるわけでございますし、そういう意味から見ましてもひとしく尊重されなければならぬのは当然でございますが、そういうような面から考えても、それなりの配慮というものも特に必要だ、こういうように考えております。
○小澤(克)委員 いまの御答弁で身体障害者とおっしゃいましたが、これは精神障害も含める心身障害の趣旨と受けとめて……(住国務大臣「はい、心身で結構です」と呼ぶ)はい。 そこで、まず我が国の精神障害者の実態といいますか状況、これにつきまして、きょうは厚生省の方も来ていただいておりますので、若干を伺いたいと思います。 まず、現在我が国において精神障害による入院者の数がどのくらいなのか、できれば精神衛生法二十九条の措置入院、それから同法三十三条の同意入院、同法三十四条の仮入院等の内訳も含めて教えていただきたい。また、自由入院を含めた全入院数との比率、パーセンテージ、これらについて教えていただきたいわけです。
○野村説明員 お答えをいたします。 五十八年六月三十日の時点でございますけれども、全国の精神病院に入院しております入院患者総数は三十三万三千八百六十五人でございます。そのうち都道府県知事の行政権限によりまして強制入院させられているいわゆる措置入院患者は、一一・二%に当たりますけれども、三万七千四百十二人でございます。そのほか断面的に、今先生御指摘の同意入院あるいは自由入院については正確なデータを把握しておりませんけれども、年間の届け出件数から申し上げますと、五十七年のデータでございますけれども、五十七年に新たに入院いたしました精神障害者の総数は二十二万八千八百十六人でございますが、その中で措置入院患者は三千四百六十七人、一・五%に当たります。それから同意と仮入院、合わせまして十七万八百人おられます。その割合は全体の七四・六%でございます。それ以外がいわゆる自由入院ということになりますけれども、その患者さんが残りで五万四千五百四十九人になります。割合は二三・九%でございます。
○小澤(克)委員 現在の精神障害による入院者数を教えていただいたわけですが、参考のために諸外国特に先進国と言われているような国ではどのようになっているか、把握しておられる数字がございましたらお答えいただきたいわけです。
○野村説明員 私ども、諸外国のデータにつきましてはいろいろと努力をして集めておりますけれども、なかなか正確なデータが集まりません。現在のところ、イギリスについて申し上げますと、これは若干古い、一九七七年のデータでございますが、入院患者総数十九万五百六十四人、そのうち強制入院をさせられた者が一万九千九百四十二人ということで一その割合が、一〇・五%ということでございます。
○小澤(克)委員 当方で入手している数字は、イングランド及びウェールズの合計で今おっしゃった数字より若干少ないようでございます。また比率につきましても強制入院が五・三%というような数字を承知しているのですが、いずれにいたしましても、強制入院については五ないし一〇%程度というふうにうかがえるかと思います。 次に在院日数、これも我が国及び先進国等の平均値ではどのくらいあるかというような数字がございましたら、お答えをいただきたいわけです。
○野村説明員 お答えをいたします。 我が国におきます精神障害者の平均在院日数でございますが、昭和五十七年のデータで申し上げますと五百二十九・八日でございます。 先進諸国におきますデータを申し上げますと、若干古いデータになりますが、アメリカにおきましては一九七七年で百七・五日、イギリスにおきましては同じく一九七七年で百八十九・〇日、それからフランスにおきましては、一九七六年のデータでございますが百九十六・八日でございます。
○小澤(克)委員 我が国の例で今おっしゃった五百二十九・八日というのは全入院者の数字だと思いますが、そのうちで措置入院者についてはどの程度がおわかりでしょうか。
○野村説明員 お答えをいたします。 同じく昭和五十七年のデータでございますけれども、措置入院患者につきましては平均在院日数二千七百十一日でございます。
○小澤(克)委員 次に入院施設の構造について伺いたいのですが、我が国の精神障害者向けといいますか、いわば精神病院の病床の数、そしてそのうちいわゆる開放病棟、閉鎖病棟の別、その比率、パーセンテージがわかりましたら教えていただきたいのです。
○野村説明員 我が国の精神病床の数でございますが、先ほどと同じ五十八年六月三十日時点の数で三十二万三千九百床ございます。 開放、閉鎖の割合でございますけれども、我が国の精神病床は約八五%を民間が占めておりまして、その民間の調べでございますけれども、開放が約三五%、閉鎖が六五%という割合でございます。
○小澤(克)委員 国公立病院については数字をお持ちでないということでしょうか。
○野村説明員 国公立につきましては正確なデータを持っておりません。
○小澤(克)委員 いま開放病床と閉鎖病床というふうに分けてお答えいただいたのですが、区別の基準といいますか、メルクマールはどういうところで区別するのでしょうか。
○野村説明員 厳密な定義を申し上げればいろいろあるわけでございますが、閉鎖につきましては日常施錠をしておるというのが定義でございます。ただ、施錠の時間がいろいろございまして、閉鎖を半閉鎖あるいは半開放という定義をする場合もございます。
○小澤(克)委員 そうしますと、例えば夜間は施錠をするとか、そういったことでございましょうか、いまの半閉鎖というのは。
○野村説明員 原則的には二十四時間施錠をしているのが閉鎖でございます。先ほど申し上げましたのはその意味でございまして、開放の中にいろいろ段階があるということでございます。
○小澤(克)委員 そうしますと、この約六五%は二十四時間閉鎖というふうに伺ってよろしいわけですね。 その施錠というのは、各部屋になるのでしょうか、それとも一棟の建物になるのでしょうか。あるいは、敷地内は歩けるけれども門から外には出れぬ、こういったことなんでしょうか、そこいらを教えてください。
○野村説明員 これもいろいろ段階がございますけれども、原則的には部屋と病棟の両方に施錠するということでございます。
○小澤(克)委員 外国、特に先進国と言われているようなところでは、病床の構造は開放と閉鎖がどのような比率になっているか、おわかりでしょうか。
○野村説明員 お答えをいたします。 これもなかなか正確な情報は得がたいわけでございますが、専門家の意見を徴しますと、イギリスあたりでは開放が八、閉鎖が二、アメリカあたりでは、これは州によって異なりますけれども、およそ半々だ、フィフティー・フィフティーだということでございます。
○小澤(克)委員 今厚生省の方から我が国における精神障害者の入院状況等について統計的な数字を教えていただいたわけでございますが、私は以上の実態は非常に重大な問題を含んでいると言わざるを得ないと思うわけです。 まず第一点としまして、強制入院、これは同意入院という言葉がありますので誤解をしていただいては困るわけですが、これは保護義務者等の同意があれば本人の同意がなくても入院できるというのが同意入院でございますから、本人の意思にかかわらず入院させられるという意味ではまさに強制入院でございまして、この強制入院、措置入院、同意入院及び仮入院すべて強制入院になるわけですが、これが八二年に新規に入院した者で強制入院が七六・一%を占める。また、横断的な在院者数については、措置入院のみ数字が把握されていて、そのほかはわからないということでございますが、一般的には強制入院の方が在院日数が長いであろうという推測は容易にできますし、ただいま教えていただいた数字でも、措置入院に関して言えば、八三年六月三十日現在の在院者で一一・二%。ところが、八二年の新規入院者は一・五%。この数字を対比しますと、措置入院者については在院期間が非常に長い、累積しているということははっきりいたしますので、それらを勘案いたしますと、全入院者数のうち強制入院を受けている者の比率が非常に高い、こういう事実がはっきりしているかと思います。どう考えても八割には達するのではないか。 そうしますと、例えばイギリスで先ほどの厚生省の数字で一〇%、私の方で調査した数字では五・三%、これらに比較いたしまして大変に高い強制入院の率になっている、こういうことが統計数字から明らかだろうと思います。仮に八割程度といたしますと二十六、七万人、こういう方が強制的に入院をしている、こういうことになろうかと思います。 ちなみに、現在受刑者、それから少年院の収容者、これらが概算で五万人程度、これは法務省の矯正局の方からこういう数字をいただいておりますので、これに比較いたしますと、実に五倍を上回る方が精神障害で強制的に入院を受けている、身柄を拘束されている、こういうことが明らかになるわけでございます。 それから第二点は、入院期間が非常に長い。今教えていただいた数字でも、全入院者について実に五百二十九・八日。イギリスが百八十九・〇日、フランス百六十九・八日、米国が百七・五日等に比較いたしますと、実に長い期間入院を受けている、こういうことになるわけです。また、とりわけ措置入院者につきましては二千七百十一日、これは年数にしますと何年になりますでしょう、六年越しますか、とにかく大変な長い年数になるわけです。 また、病棟の構造からしましても、日本においては二十四時間施錠される閉鎖病棟が六割五分に達する。イギリスなどではむしろ開放が原則となっていて、開放八割、閉鎖が二割、こういう実態があるわけです。要するに、先進国の代表例としてイギリスを挙げ、これと比較いたしますと、極めて多数の者が長期間、しかも閉鎖病床に拘禁状態になっている、こういうことが統計的に明らかになるわけです。すなわち、不必要な者が不必要な期間、不必要に拘禁をされているのでないか、こういう強い疑いを持たざるを得ないわけでございます。 そこで、大臣にお伺いするのですが、大臣はかかる実態をこれまで御存じだったでしょうか。御存じだったとすれば、どう考えておられるか、あるいは今知ったということであればどう思われたか、お答えいただきたいと思います。
○住国務大臣 先ほど来のデータを中心にしたやりとりを聞いておりまして、実は初めて伺った実態でございます。その実情について実は大変な問題だなと、こういうことを率直に感じた次第でございます。それには私はいろいろな問題があると思うのでございますけれども、特に入院日数が長い、二千七百日を超えるというようなことですわ、私もそれはどういう実態になっておるのかよくわからぬものですから、今直ちに私の意見を言えと、こう言われてもちょっと見当がつかないというような実情でございます。
○小澤(克)委員 本来であれば厚生省に伺った方がよろしいのかもしれませんが、これは法務委員会でございますので、厚生省に対してはまた他の機会にお尋ねしたいと思います。 一九七六年に公衆衛生局長通達という形で各都道府県に対して、措置入院につきまして不要となった者については適切な処置をするようにというような通達が出されているというようなことも承知しております。こういう通達があったということ自体、厚生省でも問題点を認識しておられることだろうというふうに容易に推測されるわけでございます。 そこで、法務省にこれからお尋ねするわけですけれども、今言ったような客観的な数字からいたしますと、客観的にも不必要な拘禁、不当な拘禁が多数あるのではないかという疑いがありますし、ましてや主観的に、出たい、不当な拘禁を受けているというふうに考えておられる患者さんは多数いるだろうと思うわけです。そういう方々に対して何らか救済手段がなければならないと思うわけでございますが、現在の我が国の法制度でどういった救済手続があるのか、種類を挙げてお答え願いたいと思います。
○鈴木(弘)政府委員 お答えいたします。 まず、私ども人権擁護機関でございますので、申し出がありました場合に、精神障害者に対する救済措置を行うということ、これが私どもの仕事でございます。それで、そういう申し出がありましたら、調査いたしまして、その結果に基づきまして、事案に応じて関係者に対して勧告、説示等の処置をとって、その是正を求めるための啓発を行っておるものでございますが、私ども実は強制力を持つものでございませんので、関係者がこれに応じないというような場合には究極的な救済措置をとることはできないのでございます。究極的な救済措置ということになりますと、民事あるいは行政訴訟、こういうものによりまして司法機関の判断を待つほかないと思われるわけでございますが、具体的にどのような訴訟の方法をとることができるかは、所管事項ではございませんので責任ある答弁はすることができないわけでございます。 ただ、人身保護法によって救済を求める場合につきましては、弁護士を介して訴えを提起すべきものと法律で定めております。また、措置入院患者について退院を求める場合には、都道府県知事に対し入院措置の取り消しの訴えを提起する方法あるいは行政不服審査を申し出るというような方法があり得るでございましょうし、また同意入院者の場合には、精神衛生法上都道府県知事の裁量権に属します退院命令権の発動を求めるということもある、そういうことがあるということを伺っておるわけでございます。仮に知事が職権を発動しないというようなときには、その発動を求める訴えを提起できるかどうかということにつきましては、いろいろ考えてみましたが、ちょっと責任ある答弁をする立場にもございませんし、あれこれ考えるべき点もございますので、ここでは答弁を差し控えさせていただきたい、かように思っておるわけでございます。
○小澤(克)委員 所管外だということでございましたが、きょうは裁判所の方にも出席していただいておりますので、法的に例えば民事的な手続などあり得るのか、それから今の都知事が措置解除の手続をとらない場合に何らか訴訟手続ができるのか、もしお答えいただければありがたいのですが。
○上谷最高裁判所長官代理者 お尋ねのような件に関しましては、御承知のとおり人身保護法に基づく請求ができるわけでございまして、裁判所に提起される人身保護法に基づく請求の中にも精神病院に入院中の患者に関する事件がございます。 それから、民事訴訟一般につきましては、私ども裁判事件の統計上そういう種類の統計をとっておりませんので、実際にそのような事件があるかどうかは十分に把握はいたしておりません。 先ほどお話がございました入院措置に関する県知事の処分につきましては、抗告訴訟の対象となる行政処分と考えられるようでございまして、現実にも取り消し訴訟が提起された例はあるようでございます。
○小澤(克)委員 お尋ねしたいのは、精神衛生法の第二十九条の五の三項によりまして、本人あるいは保護者から都知事に対して調査の請求をする、そしてこれを端緒として知事が措置解除というようなことをするルートがあるわけですけれども、これを知事がしない場合に、その措置解除しないということは不作為の違法ということになるのでしょうか。何らか訴訟的な手段で是正することができるのでしょうか。 それからもう一点は、これは外務省から国連に回答したところによりますと、民事訴訟の本案及び仮処分の可能性があるというようなことも回答があるようなので、そういうことができるのかについても教えていただきたいと思います。
○上谷最高裁判所長官代理者 今お尋ねのございました精神衛生法上の手続による不作為の違法確認訟訴については、まだ具体的なケースとして裁判所に係属した例が見当たらないようでございまして、それができるかどうかにつきましては受訴裁判所が御判断なさることでございまして、まだ明確な裁判例もございませんので、私どもの方で解釈上それができるかどうかについて明確なお答えをする自信がございません。 それから、民事訴訟法一般の民事訴訟といたしまして何らかの訴訟ができるかということについては、確かに理論的にそのような何らかの訴えができるのではないかというふうな学説があるようでございますけれども、これもまた具体的な裁判例等でどういう訴訟ができるのかというふうな形で裁判をなされた例が見当たりませんので、果たしてどういう訴訟をすればいいのかというようなことについてまで私どもの立場で確定的なことを申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。 ただ、実際例といたしましては、先ほど申し上げました人身保護請求事件が年々ございまして、この際ちょっと若干数字を申し上げておきますと、ここ数年来年間大体六十件ないし七十件の請求事件がございますが、そのうち五十四年度では十一件、五十五年度では七件、五十六年度では十件、五十七年度で十一件、五十八年度で二件、いずれも精神病院入院中の者に関する人身保護請求の事件が受理されております。
○小澤(克)委員 今既に実績についてのお話を裁判所の方から伺いましたが、特に五十八年二件というふうにお答えいただいたのですが、もし差し支えなければ個別の事件の内容を、余りこういうところで妥当でないかもしれませんが、プライバシー等に反しない範囲内で態様等について教えていただければありがたいのですが。
○上谷最高裁判所長官代理者 一つ一つの報告につきまして余り細かい事案の中身まで報告されておるわけではございませんので、具体的にどういうふうな状況であるかということは私どもの方で十分把握いたしておりません。 ただ、先ほど申し上げました数字は、いずれも報告書の中から精神病院入院中の者に関する人身保護請求事件であるということが判明いたしましたものを申し上げたのでございまして、それぞれの事件の中身については私どもも詳細にまで把握いたしておりませんし、いろいろなケースがあるようでございます。
○小澤(克)委員 結果がどうなったかについてはおわかりでしょうか。
○上谷最高裁判所長官代理者 これも最近五カ年間で調べてまいりましたので、その範囲で御容赦いただきたいと思いますが、昭和五十六年に人身保護請求が認容されたケースが一件ございます。その他五十四年から五十八年までの事件で認容された例はほかにはございません。 ただ、その他の終局区分で申し上げておきますと、五十四年から五十八年までの人身保護請求事件全部で四十一件ございますが、そのうち認容されたものが一件、それから棄却されたものが十三件、取り下げその他により終了したものが二十七件というふうになっております。
○小澤(克)委員 次に、これは措置入院に関するものでしょうが、行政不服審査及び行政訴訟の道があるというお話がありましたので、厚生省の方が把握しておられるのじゃないかと思いますが、これまでの実績がわかりましたら教えていただきたい。
○野村説明員 お答えをいたします。 措置入院に係る行政不服審査法に基づく申し立て件数は、五十八年の実績でございますが、二件ございます。行政事件訴訟法に基づく提訴の方は、五十八年はございません。
○小澤(克)委員 その二件というのは結果はどうなったか、わかりますでしょうか。
○野村説明員 お答えいたします。 二件のうち一件は取り下げでございます。もう一件は審査中でございます。
○小澤(克)委員 それはどういう事情から取り下げになったのでしょう。
○野村説明員 措置解除ということで取り下げになっております。
○小澤(克)委員 それから、行政訴訟の方は五十八年について件数なしというふうに伺ったのですが、何とか出て、退院した後で入院が不当であったということで損害賠償の訴訟をやるというケースはございませんでしょうか。
○野村説明員 お答えをいたします。 五十七年に提訴されたものはございます。五十八年に一審で判決がおりましたけれども、現在控訴中でございます。
○小澤(克)委員 ということは、一審は棄却されたということですか。
○野村説明員 そのとおりでございます。
○小澤(克)委員 今、少なくとも主観的に措置が不当であると考えた人の救済手続の種類及び実績について伺ったのですが、極めて数が少ない、申し立て件数そのものが極めて少ないということが明らかになったかと思います。 最初に申し上げたように、現在の実態からいたしますと、先進国に比べると大変多数の者が長期間しかも閉鎖病棟にいるという状況からいたしますと、申し立て件数自体が少ないことそれ自体非常に奇異に感ずるわけでございますが、恐らく各種の不服申し立てをする手続すらとれないという状況に置かれているのではないか。医者と患者という圧倒的な力関係の差がございますので、また外部と思うように連絡がとれない、あるいはとったところで家族や保護者の方も出てこられると迷惑だとか、いろいろな要因があろうと思いますが、件数自体が極めて少ない、大変奇異な感じを受けるわけでございます。 それからまた、結局同意入院につきましては、何とか機能しているのは人身保護請求だけというふうに今伺ったわけですけれども、これにつきましても認容例が最近でも一件しかない、こういうことがわかったわけでございます。 そこで、この人身保護法につきましていろいろ問題点があろうかと思うわけです。最高裁判所の昭和四十六年五月二十五日第三小法廷判決というのによりますと、人身保護請求がこういう強制入院を受けている精神障害者について認められる要件というのが極めて厳格になっているわけでございます。時間があれば読みたいのですが、要するに同意がなかったのに同意入院として入れられているというような明らかな手続的な瑕疵、それから入院の必要性についての診断が一見明白に誤っていた場合に限る。そして、この判例は例示といたしまして、例えばその診断に当たった医者が医師資格を欠いていた、あるいは第三者と通謀して他の目的のために拘束した、こういった場合に限られる、こういう判例があるわけでございます。 他の目的というのは例えば相続争いなどが想像されるわけでございますが、したがいまして、この最高裁判例に照らしますと、人身保護請求の手続においては一定時間経過後入院の継続の必要性があるかないか、そういう継続性の当否についての実態に立ち入っての判断を受ける、こういう機会は全く保障されていないわけでございます。そうしてみますと、救済手段が極めて不備である、こういう印象を受けるわけでございますが、こういう状況を放置していていいのだろうかと大変強い疑問を持つわけでございますが、大臣、いかがでしょうか。
○鈴木(弘)政府委員 お答えいたします。 先生おっしゃられますとおり、救済手段についていろいろ不十分じゃないかとおっしゃる点もよくわかるわけでございます。ただ、私どもといたしましても、この問題につきましては実際専門的知識を要することでございますし、私ども強制力もございませんので、なかなか難しい問題ではございますが、申し立てがありまして人権侵犯だということがわかりましたら積極的に救済の措置を講じていきたいと思っているわけでございます。 これは私どもの所管としてそう申し上げるわけでございますが、先ほど民事訴訟の起こし方なんかにつきましても、人身保護法に基づく救済の申し出もありますが、そのほか、果たして認められるかどうかわかりませんが、例えばこういう構成が許されるかどうかわかりません、私の個人的な考えでございますけれども、人格権に基づく妨害排除というような形で訴え提起ができないかなというようなことも考えてみたり、出訴の方法としてはまだ検討すべきものがあるのじゃないかなという感じがしておりますので、私としてもそういう方面からもいろいろ考えてみたいなという感じはいたしております。 十分お答えできませんが……。
○小澤(克)委員 一点聞き忘れたのでございますが、もう一つの、最初に法務省の方でお答えいただいた人権擁護局による救済、これの実績、ありましたら教えてください。
○鈴木(弘)政府委員 お答えいたします。 最近三年間に精神病院に不当に入院させられたとの救済の申し立てを受けて処理しました件数は、昭和五十六年が四件、昭和五十七年が二件、昭和五十八年が五件でございます。右の昭和五十八年中に処理した事件を見ますと、いずれも精神科医の診察の結果いわゆる同意入院の措置を必要とした事案でございますが、そのうち一件は救済の申し立て自体が入院患者の被害妄想によると思われるものでございます。ほかの四件は保護義務者以外の近親者の同意に基づき入院させるなどの手続上の瑕疵があって、それぞれにつきまして是正措置を講じました。具体的には改めて適法な保護義務者の承諾を得させるというようなことで処置をいたしております。それが実態でございます。
○小澤(克)委員 そうすると、今の場合は、手続的に瑕疵があった場合は、開放するのではなくてその瑕疵を事後的に治癒するという方向で処置されたということになりますか。
○鈴木(弘)政府委員 お答えいたします。 おっしゃるとおりでございます。
○小澤(克)委員 今のお答えを伺いましても、極めて多数の者が長期間、しかも拘束されているという我が国の状況からいたしまして、その救済手段が極めて不備であるということがかえって明らかになったかと思うのです。 そこで、次の質問に移る前に、もう一点聞き落としていた点がございまして、これは厚生省の方がおわかりかと思うのですが、精神衛生法自体に救済措置がございますね。先ほどちょっと触れましたが、法二十九条の五の三項によって、本人または保護者から調査請求がなされ、これを端緒に措置入院について解除に至る例、それからいま一つは、法三十七条によって、知事が退院命令を出す、これが精神衛生法内部における救済措置がと思うのですが、これについての実績がわかりましたら教えてください。
○野村説明員 お答えをいたします。 先生が最初に御指摘になりましたのは、精神衛生法二十九条の五の三項によるものでございまして、当該患者または保護義務者が措置取り消しを求めて調査依頼をする件数でございますが、五十三年の実績で申し上げますと、調査依頼件数が十三件ございま」して、結果、措置解除になったものが三件ございます。それから五十四年につきましては七件ございまして、措置解除が四件でございます。それから五十五年が二件ございまして、措置解除がございませんでした。それから五十六年につきましては三件依頼がございまして、一件措置解除になっております。 それから三十七条に基づきまして、都道府県知事が精神鑑定医に病状診査を行わせまして、入院を継続する必要がなければ退院を命ずることが三十七条によって決められておりますけれども、これによる件数でございますが、五十七年におきまして鑑定の実施件数が二百九十四件ございまして、そのうち退院命令を出したものが三十九件ございます。
○小澤(克)委員 今の法三十七条の方は、これは本人あるいは保護者からの申し立てを端緒とするものというふうに理解してよろしいでしょうか。
○野村説明員 これは、都道府県知事が必要に応じてということになっておりまして、必ずしも当該患者または保護者が依頼したものというものだけではないわけでございます。
○小澤(克)委員 救済手続が極めて不備であり、かつ、実績も非常に少ないということが明らかになったのではないかと考えるわけでございますが、時間があと五分しかございませんので、最後に、ぜひ指摘をして注意をお願いしたいことがございます。 というのは、一九八一年の十一月五日にヨーロッパ人権裁判所というところが新しい判例を出しております。これは、ヨーロッパ人権条約に基づいてヨーロッパ人権裁判所に英国の精神障害者が訴えを起こして、これはその請求が認められた。イギリス政府が負けたというケースでございます。 事案は、イギリスの精神衛生法によりまして、裁判所の退院制限命令、要するに実質的には無期限に入院させる命令でございますが、こういうものを受けた人が、その後三年後に、これもまたイギリス精神衛生法に基づきまして、内務大臣の条件つき退院命令というのを受け、一たん外に出たわけでございますが、さらに三年後、一九七四年に近親者からの要求でこの内務大臣が再収容命令を出した。その結果、また収容されてしまったというケースでございます。それで、ヨーロッパ人権裁判所はこれを審査いたしまして、これはヨーロッパ人権条約の五条四項に違反している、こういう判決を出したわけでございます。 その理由とするところは、細かく言いますと時間がありませんが、とにかく精神障害者については、後に拘禁の必要がなくなるのであるから、最初の拘禁が適法だからといって、その後に本人が訴えた場合には、それが救済される措置がなければいかぬ。「無期限又は長期間精神医療施設に強制的に拘禁されている精神障害者は、」「司法的性質を有する一定間隔での自動的審査」がなされるか、あるいは「合理的間隔で、その拘禁の「合法性」を裁判所において、争いうる手続を採る権利を有する。」のだ、ヨーロッパ人権条約五条四項の解釈上そうなるのだ、そしてイギリスにおいては、精神衛生審査会という制度がございまして、そこで定期的に審査の機会を与えているにもかかわらず、これは助言的機能だけであって、釈放命令を出す権限がないということで違反しているという判決を下したわけでございます。イギリスでは早速これに基づいて精神衛生法の改正作業に着手している。 なぜこんなことを今申し上げたかといいますと、実は我が国でとっくに批准しております国際人権規約Bの九条四項、これが先ほどから申し上げたヨーロッパ人権条約の五条四項とほぼ同じ規定なわけでございます。時間があればお読みするのですが、ほぼ同一の規定でございます。したがいまして、このヨーロッパ人権裁判所の判例のレベルで判断いたしますと、我が国の法制度は、我が国でも既に批准しております国際人権規約B九条四項に著しく違反していると断ぜざるを得ないわけでございます。違反しているかしていないかというような解釈につきましての法務省の見解を承るつもりはございません、してないと言うに決まっているからでございます。いずれにいたしましても、イギリス等に比べて格段の差がある。事精神障害者の人権擁護に関しましては、極めて後進的な段階にあると言わざるを得ないかと思います。 大臣は現状について、法的手続についていかがお考えか、法律をつくるのは国会の仕事でございますが、法務省としても鋭意研究するお気持ちがないか、最後にお尋ねして質問を終わりたいと思います。
○住国務大臣 特に厚生省等ともいろいろ連絡をとりながらより一層正確な実態の把握にも努める必要があるのではないか。それからまた、不備とはいっても現在いろいろとり得る手段があるわけでございます。そういうものが果たしてよくわかっていただいておるのかどうなのか、こういうような問題もあるだろうと思いますし、さらに諸外国の法令その他を見て、より適切な法的手段があるのかどうか。こういうことをもちろん研究もし、検討もしなければならないと思います。単に法的な知識ではなく、医学の知識その他専門的な知識も必要であると思いますので、そういう点を考えながら研究、検討していきたいと考えております。
○小澤(克)委員 終わります。
○宮崎委員長 石田幸四郎君。
○石田委員 大臣の所信を承りましたので、まずそれに関して若干お伺いをいたしたい。 まず最初に政治倫理の問題に関連して若干伺いたいわけですが、田中角榮氏の一審の有罪判決というのがあって、その後いわゆる政治倫理解散と言われるようなことで十二月に総選挙がございました。その後新しい国会が開会をされまして、この政治倫理の問題は政倫協で各党いろいろ議論をいたしておるわけでございますが、それに関連して若干伺いたいわけです。 まず、この一審の有罪判決の受けとめ方というのが一つ問題があろうと思うのですね。しかし、日本は三審制でございますから、最高裁の判決がおりなければ有罪推定というような状況にしかないわけでありまして、そういった個々の人権を守る意味においては大変大事な制度と思いますので、もちろんこれを尊重をしていかなければならないわけでございますが、特に政治家の場合、その道徳性あるいは倫理性というものが強調されておるわけでございます。そういう意味で政治家の倫理性が一面において認められておる。しかし三審制の建前がございますし、これとの関連を一体どう考えていけばいいか。これは政倫脇で今やっているからというふうにお逃げにならずにそこに問題を、ひとつ一石を投ずるという意味におきましても、法務大臣の所信をひとつ伺っておきたいと思うのです。
○住国務大臣 今も御指摘のように、三審制をとっておるということでございます。一審、二審、三審、どの段階で判決が確定するかという問題もありますけれども、いずれにしても、一審であれとにかく裁判所が非常に綿密な審理を尽くして下した結論であるということは間違いないわけですね。だから、それは一審の判決としてもそういう面で評価もしなければならないし、重みもあるんだ。だからといって、一審で有罪だからこれはあたかも確定したかのように強調するのも私は適当ではない。しかし、三審制だからといって一審の判決を軽く見るということも適当ではないんじゃないか、こういうように考えております。 それから、特に議員の場合、そういう司法の判断とは別な次元の違った政治の場における価値判断の問題もあると思います。ですから、そういうようなことを考えて、司法の判断を政治の次元からどう見るか、これもまたおのずから異なる判断があってもしかるべきではなかろうか。それはこれから議会制等の関係から倫理協でいろいろ御議論されることでございましょうから、そういうことでひとつ十分検討していただけたら非常にいいことではないかな、こう思っております。
○石田委員 もう少し突っ込んだ御議論が聞けるかと思ったのですが、なかなかそうもいかないようでございますから、それはやめにしまして、ただ、この前選挙のときに非常に話題になりましたのは、一般公務員の場合の起訴段階における退職問題、もちろん一審の有罪ということになりますればそういうような措置が講じられているようでございます。これは御自分でやめる場合もありましょうし、あるいはもうやめざるを得ない環境に追い込まれていくという場合もあるわけですね。だから、一面からいえばやめさせられているというような状況もあるわけですね。そうすると、それらの人たちのことを考えると、あの選挙時における議論というのは、一般公務員だってやめておるのだから、一審有罪だから、政治家は特別公務員なんだけれども、当然やめるべきではないかというような議論が沸騰したと言っても過言ではないほど大きな議論になったわけですね。ここら辺の関連を大臣どういうふうにお考えになりますか。
○住国務大臣 一般の公務員と議員の場合とは職務の内容も違いましょうし、また選任の方法も違うわけでございます。一般の公務員の場合には、起訴されたら休職にするとか、一定の別状が確定した場合はやめさせるとか、そういうことはきちっとルールづくりができておるわけでございまして、そういうルールが議員の場合にできていない、こういうこともあるんじゃなかろうかと思います。ですから、制度がある場合とない場合、そういうものの比較の上から今委員御指摘のようなことも出てくるんだろうと思うのでございますけれども、そういうようなことも含めて議員の場合どうするんだ。私は、今までのところそこらあたりは議員の良識なりあるいは議会制度、そういうようなものがいろいろありましてそういうことになっておるんだろうと思うのですけれども、そういう点をひとつこの際けじめをつけるということで倫理協も発足したのですから、せっかく各党で議論を尽くしていただくと我々も議員の一人として大いに助かるんじゃないかな、こういうようにも思っております。倫理協に非常に期待をいたしておるわけでございます。
○石田委員 しかし、基本的人権ということから考えますと、そういった休職措置等のルールがしかれているといいますけれども、今申し上げた基本的人権というものは、政治家だから守られて一般公務員だから守られないというのもおかしな議論ですね。その問題はこれ以上は申し上げません。 それから、大臣の所信の中で御指摘になっておるところの人命軽視のいろいろな犯罪が起こっておるということ。最近の新聞を見ましても、かなりいろいろな事件が起こっておるわけでございます。保険金目当ての殺人あるいは身の代金目的の誘拐事件、この間の福山の事件などは殺人に発展をいたしておるわけでございますけれども、こういう問題に対して先般法務大臣は検察体制の整備充実等を申し述べられておるわけでございますが、これらの犯罪に対処する体制の強化、これはもちろんでございますけれども、その背景には社会全体の風潮を何とか変えていかなければならない、こういう努力もしなければならないわけでございまして、まず人命軽視の風潮というものあるいはそういった傾向の犯罪が起こる原因は那辺にあるか。これは非常に幅が広くてそう簡単に言えない問題だと思いますけれども、何が御指摘になるポイントがありますればおっしゃっていただきたい。
○住国務大臣 おっしゃるように、ある意味では犯罪の現象は社会の状態の反映だということも言えると思うのです。人命の軽視ということで、目的のために手段を選ばない、人を殺してもいいというようなこと、これが許されないということは当然なことでございまして、検察の立場からすればそういうことが不幸にして起きた場合には的確適切な措置をとる。と同時に社会全体の問題でもあるわけでございますから、いろいろな意味で国民の遵法思想なりそういうことを考えて、それぞれの立場で配慮し努力していかなければならない。いずれにしても、これはどれが決定的な原因だということは直ちに指摘はできないだろうと思うのでございまして、そういう総合的な立場で物を見ていき対処していかなければいけないのではないだろうか、こう思っておるわけでございます。
○石田委員 これはいわゆる学校教育あるいは社会教育全般の面から推進をせざるを得ないわけでございます。しかし、平和な世の中であり、文化の成熟度というものもだんだん高まっているのですけれども、世界的な傾向としてもそういうような人命軽視あるいは犯罪が多くなるというような状況が見られるわけですね。明治百年を経過した日本、戦争中のあれだけ悲惨な災禍から立ち上がって今先進大国の仲間入りをしておるわけですが、これはやはり明治以来の教育に負うところが大きかったと私は思いますし、そういった意見も多いわけですね。その反面、特に戦後の傾向としては物質文明を追求する余り精神文明が軽視されてきているのじゃないか、そこら辺にも大きな原因があるだろう、こう言われておるわけです。 ですから、それは法務省がどうこうできる問題ではないにいたしましても、例えば憲法の啓蒙運動とか、そういうようなことは法務省としてもやり得る問題ではなかろうか。余り積極的におやりになっている傾向も、私が寡聞にして知らないのかもしれませんけれども、そういったことも余り聞いておりませんし、そこら辺、積極的に取り組むお考えがないかどうか、お伺いをしておきたいと思います。
○住国務大臣 私どもは、社会秩序、法秩序を守っていく、これは法務行政の最も大事な任務だと思っております。そういう意味でもちろん憲法も含めた日本のそういう秩序、これを守っていかなければならない、こういうことを常に心がけ努力していかなければならぬというのはもうおっしゃるとおりだと思うのです。 ただ、特にどうするこうするということになりますと、例えば法の日だとか、そういうことをとらえて大きく啓蒙宣伝をしていく、こういうようなことはもちろん必要でございますけれども、同時にそういう意味での目立たない日常の努力、何もそれは法務省ばかりじゃございません、いろいろ民間のそういうことに熱心な方その他もおられるわけでございますから、十分連携をとってやっていかなければならないことは当然のことだと思っておるわけでございます。
○石田委員 それから、具体的な問題を一つだけお願いしたいのですけれども、覚せい剤事犯が引き続き一般国民の間に広く拡散、浸透しつつあるということです。この間これは新聞に発表されました。十人に一人はそれを使用している人を知っているというようなことが新聞の見出しなんかになっておりましたけれども、この覚せい剤問題、いわゆる麻薬を含めて将来大変日本の社会形成の上に大きな悪影響を及ぼすわけでございまして、積極的に取り組んでおられるわけではありますけれども、なお強力にこれを推進しなければならないと思いますが、警察庁のお考えあるいは法務省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○筧政府委員 まず私どもの方からお答えいたします。 先生御指摘の覚せい刑事犯でございますが、昭和四十五年以後ずっとふえてまいりまして、数の上だけから申し上げますと、五十八年検察庁の受理人員だけを見ますと、前年に比しまして三・九%の減少になっております。減ったということは数の上ではあらわれておりますが、その内容を見ますと、結局暴力団等組織的な背景のもとでの供給事犯、密売等が行われて、なかなか内容が隠密、巧妙化になっておる。したがいまして、暴力団等による供給事犯の検挙がますます困難になってきておるということもありますので、数が減ったということだけで安心はできないと思います。また、その他の面を見ましても、大量な密輸入事犯が再三発見されておりますし、組織暴力団がますますその資金源としてこれを使っておるようでございます。また、その使用者層も御指摘のように青少年初め一般市民に深く浸透しておるというのが現状でございます。 こういうことを考えますと、覚せい剤が社会に及ぼす害悪の大きさというのは幾ら強調しても言い切れないものがあろうかと思います。私どもといたしましては、警察庁等と緊密な連絡をとりまして、徹底的な検挙と、それから検挙しました場合に厳正な科刑といいますか、刑罰を科するということでもってこの事犯の根絶を期してまいりたい、かように考えております。
○石田委員 刑事局長さんにもう少し伺いたいのですけれども、要するにそういう拡散状況があるわけでございますので、厳しく対処されるのはもちろんですが、それに対する対処の仕方で体制的に何か特に留意されている点がありますか。
○筧政府委員 特に体制的に改めたとか新しくした点はございませんが、従来にも増して警察、海上保安庁その他と麻薬、覚せい剤等に関しましては会議等を頻繁に持ちまして、その徹底的な根源の追及に力を入れているところでございます。
○石田委員 基本的な問題へ戻りまして、法務大臣に、これは私の意見の開陳になるかもしれませんけれども、法律全般にわたりまして、時代の進展とともにどうもこの法律は見直しをした方がいいのではないかというようなこともかなり見受けられるわけですね。私もいろいろな各委員会に所属をしておりましたから、当然この法律も見直さなければならない部分がたくさんあるなと思いつつも、担当の省庁から改正案が出ない限りはどうも改正が行われない。聞きますと、省によっては、一応五年ごとに見直しをするようなことになっておりますという答弁が出た場合もありますけれども、担当省庁としては内閣法制局ですか、これが担当していらっしゃるのですけれども、今申し上げたような状況で、法制局の方で何か問題指摘をするというようなこともなさそうですし、毎年毎年法律が五十ないし百本できてくるわけでございまして、刑法問題等はつとにその方向へ進んでおるわけですが、非常に難しい問題があって、実際の審議はなかなか進まないという状況もあるようです。 そのほかにも、そう基本法でなくても当然これは変えなければならぬ、極論を言えばむしろ廃止した方がいいのではないか、そういう法律もあるのですけれども、今の行政的な体制の中でどこも見直しをする体制がない。あるいは省庁あたりで五年ないし十年ぐらいで必ず見直しをするのだという内規でもつくれば、これまたそれなりの効果が出てくると思うのですけれども、何らかそういう体制が、あるいは推進する方法がないのかどうか、この点について大臣の所信をちょっと伺っておきたいのですが。
○住国務大臣 私の個人的な意見が多分に入ると思うのでございますけれども、全く御指摘のとおりのことがかなり多いのではないか。例えば、今も刑法のことにちょっと触れられましたけれども、刑法というのは明治時代にできた法律だし、その刑法をつくったときには、もちろんハイジャックもなければ公害もないのだ、あるいは企業秘密がどうするとかこうするとか、そういうようなこともない。当時は、ある程度先取りもしてそういう法律ができたと私は思うのです。そういうことがいろいろな点に私はあると思うのですね。それで、新しい時代にはどう対処していくか。やはり守ってやらぬといかぬものは守ってやり、排除をしていかなければならぬものは排除するような措置を講じておかぬといかぬ。できてしまってからそれをどうする、こうするということになりますと、また大変な問題になる。というようなことで、今石田委員の御指摘というのは大変貴重な意見だ、こう私は思っております。 ちょうど行革と同じように、ひとつ大掃除するとか、あるいは今のように時期を限って見直すとか、例えば許認可の問題なんかにつきましても、それは古い許認可が今まで残っておったり、こういうこともあるわけですから、それを見直しておるわけですから、全くおっしゃるようなことが必要なんじゃないだろうか。そういう意味で、特に私ども、今抱えておる刑法の問題にしましても、監獄法の問題にしましても、全くそういうような立場から検討しておるわけでございますけれども、なかなか意見の調整というものが難しい点もございます。それと同時に、政府案が絶対に正しいということはないわけですから、政府案をそういう面で出させていただいて、立法府の立場でいろいろな御判断をいただく、また、立法府は立法府としてそういう活動も積極的にやってもいいんじゃないかなという気もいたしまして、両々相まっておっしゃるような方向で進んでいったらいいんじゃないかな、こう私は考えております。
○石田委員 また、ちょっと個別の問題に触れたいと思うのですけれども、これはことしの一月二十一日の新聞に出ていたことでございますけれども、ある事件によって刑が確定をし、そしてその刑の執行を受けた、その後、出獄後その人がさらに事件を徹底的に追及して、そして真犯人が別にあらわれて逮捕された、こういうことが報道されておるわけでございます。それで、新しい犯人が私の犯行であったということを自供しておる、こういうふうなことで逮捕されておるわけですね。 それで、その人が、前科を消してもらいたい、こういうふうなことで警察当局へ申し出たらしいのですけれども、これは再審以外に方法がないというようなことのようでございますが、私が特に問題にいたしたいのは、仮に真犯人が刑が確定するということになりますれば、起訴されてその事実を認めたということになりますれば当然刑が確定するわけですね、刑が確定した場合に、これは確かに方法としては本人自身からの再審審査、再審の裁判ですか、それを求める方法がある。それからまた、検察庁の方から再審裁判の申し立てをするという方法と、両方あるようなんですね。しかし、こういった気の毒な人たちの立場を考えると、そのときの捜査にどのような問題があったかは別としまして、これは慣行的に検察当局なら検察当局でそういった再審の裁判を申告をするということの方が道義的にいいのではないか。そういう慣行といいますか、そういうものをおつくりになる必要があるのではないかなと思ったのですが、これについて御意見を承りたいと思います。
○筧政府委員 石田委員御指摘の事件でございますが、その事件の事実関係についてちょっと現状を申し上げたいと思います。 ある新聞に、Aさんという方が詐欺でもって逮捕、起訴されまして、懲役十月の判決が確定をして、服役をして出所をされた。その後で、その事件は自分ではなくてほかに真犯人がいるということを主張しておられたところ、たまたまほかの岐阜で逮捕された人間が、あれは自分がやったんだということを自供しておるということでございます。岐阜の方では、その当該事件ではなくて別の事件で逮捕したわけでございますから、その事件で起訴いたし、それからまたほかに余罪がございますので、静団地検等でその真犯人と称しております人を調べて追起訴をするということを今行っているところでございます。したがいまして、その後まだこの真犯人と称しておる人が本当に真犯人であるかどうかということは今捜査中でございますので、確定はいたしておりません。また、被害者その他の関係者をまた調べまして、いずれが本当の犯人であるかということを証拠に基づいて判断し、その真犯人と称する人が真犯人であるということになれば、当然起訴されて有罪になるのだろうと思います。まだこの事件につきましては、現在どちらが真犯人ということまでは確定していないという状況でございます。 それから、ただいま後段の件でございますが、本件につきましても、やはりその真犯人の方が少なくとも起訴されて、認めて、有罪になるということがあって、それで無実と言っておられる人が再審請求をする。そうすれば、もしそのとおりであるとすれば再審で無罪になるというのが通常の手続であろうかと思います。 先生御指摘のように、検察官の方から再審請求をするという事例もいろいろあるわけでございますが、本件につきましては今のような状況でございますので、まだちょっとそこまで行くことは早いかと思いますが、いずれにいたしましても、その事案、事案に応じまして検察官の方から再審請求を申し立てるのが妥当であるという事案につきましては、公益の代表者として迅速に適切な措置をとるべきものというふうに考えております。
○石田委員 次の問題へ参りまして、裁判の遅速の問題について若干お伺いをいたしたいと思います。 いろいろな資料をちょうだいいたしましたが、「通常第一審の平均審理期間」ですか、そういうデータもいただいておるわけでございますが、私が指摘をしたいのは、これは特殊な事件といいますか割と長くかかっている事件、私が持っている資料は「昭和四十八年における刑事事件の概況第八十表」というのがあって、その中から申し上げておるわけでございます。この表によりますと、地裁で係属三年を超える事件は九百四十六件であった。昭和四十八年のデータでありますからかなり古いわけでありますけれども、九百四十六件という数はそう少ない数ではないなという感じが一ついたします。 それから先般、二月二十四日ですか、石油やみカルテルの有罪問題が最高裁において確定をされましたね。この事犯を見ておりますと、これは四十八年から四十九年にかけてのいわゆる狂乱物価の中のあの問題でございます。私も物価の委員会におりましたから、この問題には非常に関心があっていろいろと議論をしたわけでございます。この事件が確定をしたのが十年後ということでございますね。十年間かからなければならない、それはそれぞれの理由があったと思うのです。確かに最高裁の判決というものは今後の行政上の大きなよりどころにまたなっている、そのことについては、私たちそういうものに深い関心のあるものは非常によくわかるわけなんですけれども、一般の庶民の感覚からすれば、この石油やみカルテルが行われた時点、それが問題になった時点、そして裁判に起訴された時点、そういう時点から考えるとなるべく早く解決をしてもらいたいというのが庶民の感覚ではなかろうか、こういうふうに思うのです。 一般的な事件についての遅速の問題、これは裁判所あるいは検事側も非常に努力をされておるようでございますので、それは了とするのでございますけれども、しかし、特殊な事件であればあるほど社会の関心が高いわけでございますので、ここら辺、もう少し何か裁判の期間を縮める方向へ行くわけにはいかないのか、あるいは何が問題でこういうような十年という長い歳月を要するのか、ここら辺についてちょっと御報告をいただきたいと思うのですが。
○小野最高裁判所長官代理者 訴訟遅延の問題でございますが、迅速な裁判といいますのは、これは憲法上も被告人の権利として保障されておるところでございまして、私どもは、この迅速な裁判の実現につきましては、これは重大な使命と考えておりまして、何とか実現しなければいけないと努力しているところでございます。 まず先ほど、昭和四十八年の長期係属事件が九百四十六件あったという御指摘でございましたが、これは実は事案複雑等を事由として係属三年を超える事件でございます。昭和四十八年がちょうどこの未済事件が一番多かった年でございます。私どもといたしましては、裁判官の会同、研究会あるいは協議会というようなもので繰り返しこの問題を取り上げて対策を検討し、それを実務に反映するように努力してまいったわけでございます。 ただいまのところ、地裁で申しますと、これは五十七年の調査でございますが、大体一件当たり平均三・八カ月で終局しております。そうしまして、大体九六・九%までは一年以内で終局しておるようでございます。ただ、一部の事件については審理に長期間を要しておることも事実でございまして、五十七年で、先ほど御指摘の事案複雑等を事由とする係属三年を超える事件を見ますと、二百九十三件になっております。十年の間に九百四十六件から約三割ぐらいまで減少しております。ちなみに五十八年末現在におきましては二百六十七件ということで、二八%ぐらいにまで減少してきているわけでございます。しかし、五十七年末現在の二百九十三件の中には十年を超えるものが二十二件、七年を超えるものでも五十六件含まれているところでございまして、これの解消についてはなお一層努力しなければならないと考えるわけでございます。 ただ、ただいまの訴訟法は当事者主義を基調としておりますために、これは検察官、弁護人という当事者の御理解、御協力もなければ実現は不可能でございますので、鋭意その御協力も得ているところでございます。この二百九十三件を中身を見てみますと、そのうちの九〇%近くまでが月一回の開廷もなされていないということでございます。弁護人も非常にお忙しいという事情もございますが、私どももそれも十分理解できないわけではございませんが、何とか御協力をいただいてその解消にはなお一層努力したいというふうに考えておるわけでございます。 先ほど、石油やみカルテルの事件についてお話がございましたが、公訴が提起されましてから最高裁判所の判決宣告まで九年九カ月かかった、約十年かかっているということは御指摘のとおりでございます。ただ、この事件の審理が長過ぎたのかどうかというような点につきましては、ちょっと私どもはそれを論評する立場にございませんので、その意見は差し控えさせていただきたいと思いますが、その審理経過を御参考までに申し上げますと、公訴の提起から第一審の判決まで約六年四カ月かかっておりまして、一審判決から上告趣意書が提出されるまで約一年三カ月、上告趣意書の提出があってから判決宣告まで約二年二カ月、こういうことになっているわけでございますが、本件はこれと同時に起訴されました生産調整に関する事件と併行して東京高裁において審理されたわけでございます。 両事件を合わせて訴因が七つでございます。開廷回数は両方で二百十数回に及んでおりまして、取り調べた証人が合計で百二十七名ぐらい、取り調べた書証が約五百六十通、取り調べた証拠物が約六百点ということで、規模としては極めて大きな事件であるということでございます。しかも、東京高裁では弁護人の御協力も得て週大体一回という開廷ペースで審理をしたようでございます。また、上告審に送付されました訴訟記録は百十九冊で二万八千丁余りということでございます。また、被告人からあるいは弁護人から提出されました上告趣意書というものも非常に膨大なもので、論点も多岐にわたったというような実情にあるようでございますので、それだけ申し述べさせていただきます。
○石田委員 今申し述べられました最近の状況は、三年以上というのは大変少なくなっておるというお話がございましたけれども、そういうふうに減少してきた直接的な理由があればお聞かせをいただきたいということが一点。 それから、これはジュリストの座談会でも指摘をされたり、今局長さんもおっしゃった、月一回ないし二月に一回の開廷ですか、そういうような状況、これはもちろんいろいろ弁護士さんの都合等もありましょうし、法廷の都合もあるんだと思うのですけれども、どうも我々庶民感覚からしますと、二カ月に一遍しか開廷しないのか、そういうことしかできないのかというようなことは非常に問題じゃないか、こういうように感じます。また、この座談会をいろいろ見てみましてもやはりそこら辺も指摘をされているようでございまして、あるいは事前の書類の審査等においていろいろともう少し手続を簡略化するか、あるいは審査をスピード化する方法、いろいろあると思うのでございますけれども、特に事務処理問題で、相当御努力はしていらっしゃると思うのでございますけれども、そういった面、さらに簡略化というよりはスピード審査ができるような方向へ行っているのかどうか、そこら辺も含めてひとつお答えをいただきたいと思うのです。
○小野最高裁判所長官代理者 先ほどもちょっと触れましたが、長期化している事件の中を見てまいりますと、開廷回数のペースが非常に間遠になっておりまして、先ほども、例えば五十七年の二百九十三件の中でも、二月に一遍も開廷されてないという事件が二割以上ございます。そういうことでございますので、まず開廷ペースをもう少し何とかしなければいけないということが第一点でございます。 例えば五十開廷要するということであれば、仮に今のペースの倍ということになりますと、例えば今まで五年かかっていたものは二年ぐらいで済むということは計算上明白でございます。そのほかに私どもいろいろ考えておりますのは、調べるときには何となく申請があって採用して調べた、しかし後からよく振り返ってみると全く不必要であったというような証人調べというものがかなりなされているというようなことがあります。それは当事者もそうでございますが、裁判所も最初の段階でよくその争点というようなものを見きわめて、そこに的を絞って本当に必要なものを調べていくというようなことが非常に大切ではなかろうかというふうに考えております。 いずれにいたしましても、ただいまのところでは弁護人にも大分御理解をいただいておりまして、開廷ペース、どんな事件でも大体月一回ぐらいは入れていただく、場合によっては非常に開廷回数を要するような事件になりますと、月に二回、あるいは先ほど申しましたように、週一遍というふうに入れていただいている事件もないわけではないわけでございます。ただ、それがなかなか御協力いただけないような場合にはどうも長期化しているというのが現実ではなかろうかと思いますので、裁判所といたしましてもこれからなお一層努力したいと思いますが、当事者の方々にも御理解をいただきたい、このように考えておるわけでございます。
○石田委員 それから最近医療の問題がかなり新聞にも見受けられる、あるいはいろいろ話も聞くのでございますが、この資料からいきますと、五十七年ですと四十五カ月かかっておりますね。五十四年で三十六・六カ月ですか、五十五年、五十六年が約四十カ月というようなことで、どうも五十七年からちょっとこれがまた延びているような感じがするのでございますけれども、これはどこら辺に理由がございますか。
○山口最高裁判所長官代理者 医療過誤訴訟における特殊な問題点といたしましては、最近は非常に医療も進歩しておりまして非常に専門化しておる。専門化しております訴訟の中で医療過誤の事件でございますとどうしても鑑定人が必要になってまいります。その鑑定人がなかなか得がたいという点がまず挙げられようかと思います。それからいろいろ事案につきまして問題点も多いわけでございますから、証拠調べに入りますまでにも弁論の段階でもかなり時間をとるということもございます。先ほどのようにそういうふうに争点を煮詰めまして、鑑定人がなかなか得られないところをいろいろ探して鑑定をお願いする、ところがその鑑定がまた非常に難しゅうございますから、鑑定の結果が出てくるのにまた時間がかかる。こういうふうな点が重なり合いまして医療過誤訴訟の長期化が生じているように思っております。
○石田委員 こういう裁判について私も一、二聞いたことがあるんですけれども、いろいろ学説も違う立場の学者もおるようでございまして、またいろいろ学校の系列や何かでその先生が起訴された事件については鑑定人には余りなりたくないというような風潮もあるようですね。しかし、この辺厳格に進めていただかないと、最近の傾向としてはちょっと延びておるようでございますので、将来ともに延びる傾向にあるやに思うのですわ。そこら辺の対処の方法については何かお考えがございますか。
○山口最高裁判所長官代理者 裁判官といたしましては、この種の分野の知識が十分ないわけでございますけれども、まず第一にこの種事件の特有の法律問題につきまして理論的に十分検討をする、そういう趣旨での裁判官の協議会、研究会等を開催しているわけでございます。 それから第二には、石田委員御指摘のとおり鑑定人の確保がなかなか難しゅうございます。それを打開するために最高裁判所の方で、医師会でございますとかその他の公的な機関がございますので、そちらの方と連絡をとりまして鑑定人確保に側面的に援助しておる。 それから第三に、医学関係の図書とか資料を各裁判所にお配りいたしまして、それから医師の方々を講師にお招きしまして、裁判官が事件の争点を理解できる程度の基礎的な知識を修得していただく、こういうことも逐次やっているわけでございます。 確かに複雑化してまいりますと、どうしても長引きがちになろうかと思いますけれども、その辺のところはさらに私ども努力を重ねまして、できる限り長期化を防止していきたいというように考えております。
○石田委員 コンピューター犯罪に関して、時間も余りないのですけれども若干お伺いいたします。 これは新しい社会的な現象として最近注目をされておるわけでございますが、このコンピューターに関する犯罪、その実態及び対策についてまず警察庁の方から御意見を伺いたいと思います。
○三上説明員 警察庁におきましては、コンピューター犯罪というものをどうとらえているかと申し上げますと、コンピューターに向けられた犯罪あるいはこれを悪用した犯罪ということでとらえておりますが、その類型を二つに分けますと、コンピューター犯罪を銀行等の現金自動支払い機、いわゆるCDと言っておりますが、これは他人のCDカードを使って現金を盗み出すなどCDを利用した犯罪、CD犯罪、それと不正データの入力とかデータの不正入手、こういったようなCD犯罪以外のコンピューター犯罪、この二つに分けておるわけであります。 CD犯罪につきましては、CDカードの急激な普及というものも背景にありまして、ここ数年急増する傾向にございます。昨年は六百四十二件発生をいたしておりまして、前年に比べ三六%の増になっております。これに対しまして、CD以外のコンピューター犯罪につきましては六件発生をいたしておりまして、それで大体前年と同様の発生状況にあるという状況になっております。こういった新しい犯罪に対しましては、システム利用犯罪に対します研究をするということで、警察庁内に研究会を設ける、あるいは各県にもそういった利用犯罪についての研究会を持たせるというような形で新しい犯罪に対しての我々としての犯罪対策を進めておるというのが現状でございます。
○石田委員 通産省では、コンピューター関係の法的整備を検討されておるようなんでございますが、これはコンピューター犯罪の予防にもつながるわけでございますので、どういう問題を検討しているのか、あるいは進捗状況はどうなのか、ここら辺について御意見を承っておきたいと思います。
○柴崎説明員 通産省の情報処理振興課長でございます。 コンピューター犯罪につきましては、まずその犯罪が起こらないようにするために技術面あるいは設備面で十分な事前の対策を講ずる必要があろうと思っておりまして、その面の対策を十分講じております。 通産省では、昭和五十二年にコンピューター安全対策の基準というものをつくりまして、公表して関係者の指導をしております。それから、特にその中で情報処理計算センターにつきましては、通産大臣の認定制度ということで二年ぐらい前から一定の基準を満たしました事業所につきましては通産大臣が認定を行うということをやっております。 このコンピューター犯罪でございますけれども、いわゆるコンピューターシステムの障害といいますものは、犯罪だけではございませんで、地震とか水害などによります自然災害による障害、それから急にコンピューターのプログラムがおか。しくなってシステムがダウンするといったようなさまざまな障害の態様がございまして、その中にコンピューター犯罪というものもあろうかと思います。私どもといたしましては、そういった観点から総合的なコンピューターセキュリティー対策を考えていきたいということで、昨年の十二月にも産業構造審議会の情報産業部会から答申をいただきまして、現在総合的な観点からセキュリティー対策を検討している、こういうところでございます。
○石田委員 産業構造審議会情報産業部会、これの中間答申の中に「コンピュータ犯罪に関する処罰の法制的対応」というのがございまして、そこには「近年急速に増加しているいわゆる「コンピュータ犯罪」に対して、どのような処罰規定をもって対処するかは重要な課題ではあるが、刑事法全体との整合性の問題もあり、別途詳細な検討がなされることが望ましい。」こういうふうにあるわけですけれども、これを通産省の方ではどういうふうに受けとめていらっしゃるわけですか。
○柴崎説明員 刑事法の問題につきましては、第一義的には刑事法当局が御判断されることであろうということで、そこでは特に詳しくは言及をしていないわけでございますけれども、コンピューター犯罪と言われますものの中には、現在の刑事法体系では読みにくいものもあるという指摘もございます。 それから、特にコンピューターシステムに不正にアクセスをするということ、これがまさにコンピューターシステムが近年できてまいりましたことに伴います新しい犯罪の形態ということで、好ましくないことはもちろんでございます。ですから、そういったコンピューター犯罪で新しい体系をとらえてあるいは何か刑事法体系を考えるということもあろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても刑事法体系の問題は第一義的に刑事法当局が御判断されるということで、私どももそういった過程で御相談にあずかっていくということではないかと思っております。
○石田委員 警察庁にお伺いしますが、今通産省でも、現在の刑事法の中で、それだけでは難しい面もあるのではないかというような御意見があったのです。また去年の十一月に磁気ディスクも証書原本であるという最高裁の判断が示されたわけです。これは全くこの新聞記事を書かれた人の意見だと思うのですけれども、ここにもやはり「コンピューターによる情報処理が不可欠なものになりつつある現在、刑法をあまり厳格に解釈していたのでは現実に対応できないという最高裁の認識が根底にある。」というような批評をしておるわけでございますけれども、警察庁としては、現在起こっておるこのコンピューター犯罪に対して現在の法律で全部さばいておられるわけでございますが、やはりそういう感じは幾らか持っていらっしゃるのでしょうか、お伺いしたいのです。
○三上説明員 今後より一層コンピューターの普及というのは進むというふうに思いますが、そうしてまいりますと、大変法適用の限界的な問題というものが出てこようかということも予想されますけれども、これまで問題となった事件で刑法の適用ができないために犯人の検挙ができなかったというような事例はございません。
○石田委員 警察庁の方は、現行法で現在までに起こっているコンピューター犯罪については十分対処しておるというようなお話をちょうだいいたしたわけなんでございますけれども、しかし、これからはコンピューター関係はどんどん普及していくわけでございますし、やはり新しいいろいろな問題が出てくるのではないか。例えばデータを不正に入力して、そのために社会的な影響が出てくる、あるいは損失が出てくるというようなことも考えられるわけでございますが、そういった問題を含めて産業構造審議会の答申、今通産省のお答え等を見ますと、このコンピューター犯罪に対して新しい角度からの刑法の改正なり、あるいはその研究なりというものが必要なのではないかというふうに私自身は判断をするわけなんですけれども、法務省当局の見解を承りたいと思います。
○筧政府委員 確かに今警察庁からお答えございましたように、最近まで発生した事案につきましては、刑法に限りませんが、現行法の活用によって捜査処理をやっておるわけでございます。しかし、先生御指摘のように日進月歩の技術進歩でございますし、コンピューターがどういう形でさらに発展していくか、私ども専門でないのでよくわかりませんけれども、それに対応するためには明治四十年の刑法あるいはその他の現行法規ではどうも不十分であるという場合が、抽象的ではございますが、当然予測されるところでございます。 そこで、私どもといたしましても、例えば通産省におきます。ただいまのような御研究の結果、あるいはコンピューターに対するセキュリティーのいろいろな措置等にも関心を持ちまして、そういう点の勉強もさせていただいた上で、それに対しあり得べき犯罪に対する対策、刑法の改正もそうでございますし、あるいは特別法に罰則を設けることも可能かと思いますが、あらゆる方策を考究いたしまして、万遺漏のないように対処してまいりたいと存じます。
○石田委員 もう一度お願いしたいのですけれども、警察庁では、そういった意味で防犯対策の推進を図ることなどを任務とするシステム利用等新型犯罪に対する研究部会、これを設置したというふうに言われておるわけでございます。警察庁でもそういうような研究部会を設置しているぐらいでございますから、当然近き将来ということを考えて法務省もそういうような研究の体制が具体的に必要ではないか、こう思うのですけれども、いかがですか。
○筧政府委員 私ども刑事局の中におきましても、先生御指摘のような観点から若い職員というか若い検事にコンピューターの研究をさせておる面もございます。まだ研究委員会とか、そういう組織的なものの発足には至っておりませんが、今後はさらにそれを発展させて、将来に向けて対策を考究したいと考えております。
○石田委員 終わります。
○宮崎委員長 中村巖君。
○中村(巖)委員 まず最初に、刑事施設法案についてお尋ねをいたしたいと思います。 この法案は、御承知のとおり第百回国会、先国会において廃案となって今日に至っているわけでありますけれども、大臣は今回の所信表明の中で、「法案の内容について国民各層の理解を得るよう配意しつつ、できる限り早い機会に再提出いたしたい」、こういうことをお述べになっているわけでございます。私も弁護士でございますので、この法案につきましては大変関心を有しているところでありまして、今日、従来の監獄法というものが大変古くなってしまったということ、新しい刑事施設法案におきましては、外出とか外泊とかあるいは開放処遇とか、現在の刑事政策主潮に合うようなものが盛り込まれている、そういうものが現に必要であるということについて十分考えておりまして、私も大変賛意を表するところでありますけれども、やはりこの法案には大変に問題があるということが言われているわけであります。特にこの法案が留置施設法案と関連をいたしているということで、従来の警察の留置場を、代用監獄でありますけれども、代用監獄を恒久化をするのではないかということであるわけでございまして、この点の問題が非常に大きいもので、そのために日本弁護士連合会なども大変に反対をいたしているわけであります。 〔委員長退席、高村委員長代理着席〕 そこで、こういう状況の中で、大臣は具体的に所信表明の中でおっしゃっておられないのですけれども、この法案を再度今国会に提出をされるおつもりなのかどうか、その辺を明確にお尋ねをしたいと思います。
○住国務大臣 この法案は昨年の総選挙で廃案になった。ただ、刑事施設法案の考えておりますことは、今も御指摘ございましたように、明治四十一年という古い監獄法では今や対処し切れないようないろいろな問題を含んでおりますので、そういうことで成案を得て国会に提出しておったわけでございます。で、そういう必要性の上に立ちながら、なおいろいろな御意見等もございまして、関係方面とも廃案になってからもいろいろな研究、検討を進めておりまして、そういう点でその後の経過を考えて、修正すべき点があれば修正をしまして、この刑事施設法案を今度の国会に出したいということで今準備を進めておるわけでございます。 留置施設法案との関係につきましても、御承知のような問題もございます。そういう点につきましても鋭意警察庁等とも連絡をとって調整をしておるわけでございまして、予算関連ではございませんけれども、予算関連法案でない法案の一応の締め切りの目標にも示されておるわけでございます。今一生懸命に努力をしている最中であります。
○中村(巖)委員 この法案の問題につきましては、昨年の二月以来、十二、三回日本弁護士連合会との間の意見交換をやっているように私ども聞き及んでいるわけでございますけれども、この弁護士会との意見交換金、具体的にどういうことが話されて、どこまで進んでおるのかということについてお尋ねをしたいと思います。
○亀山政府委員 ただいまお尋ねの件につきましては、昨年の二月ごろから国会関係方面の諸先生方の御示唆等もございまして、法務省と日弁連との間で主として刑事施設法案、留置施設法案を含めまして刑事施設法案についての意見の交換をするということで、最初の準備会を含めまして本年の二月までの間に十三回の協議を行っております。 この中で非常に問題とされております点が、幾つかに分かれますが、大きく申しまして四点とお考えいただいてよろしいかと思います。 一つは、先ほどちょっと御指摘のございましたいわゆる代用監獄の問題をどういうふうに考えるかという点、それからもう一つは、主として勾留されている被疑者と被告人とその弁護人との間の接見交通権をどういうふうに考えるかという問題、それから三番目は、その他の刑事施設法案の諸問題点、それから四番目として、これも先ほど先生の御指摘がございました留置施設法案に絡まる問題点、大きく分けましてこの四点であろうかとも思います。 そのうち代用監獄の問題につきましては、代用監獄それ自体の存廃につきましていろいろ意見のあるところは御承知のとおりでございます。ただ、存廃と申しましても、こういうものを即時全廃するというのは不可能であることは、これはもう全く意見の相違がございませんし、なるべくその数を少なくしていくべきであるという法制審議会の答申の趣旨を尊重していこうということにつきましても、法務省と日弁連との間で意見の相違はございません。ただ、それをどのようにあらわしていくか、法律上何かもっとあらわれた方がいいかとか、あるいは運用の上でその精神をあらわしていくということでやっていけないかというふうなことにつきまして、双方で意見がぴったり一致しないところがある、それで、現在なお盛んにいろいろな意見の交換を行っているというのが第一の問題点でございます。 第二の問題点でございます弁護人との接見交通という点につきましては、これも接見交通権というのを最大限に尊重していかなければいかぬという点におきまして、意見は別段そごしておりません。ただ、その点について一度提出いたしました法案の条文等におきまして誤解を招きやすいような点もあったようでございまして、そこらあたりの点は、日弁連等の御意見も伺いました上で適宜修正、手直しというふうなことも考えていきたいと思って現在お話をしているところでございます。 三番目のその他の点につきましては、日弁連の方から、全体的な対案と申しますか試案のようなものをお出し願えるんだというふうなことを昨年から伺っていたわけでございますけれども、実はそれが延び延びになりまして、それがどういうものなのか私どもまだいただいておりません。ほかの点につきましては、問題点がどの程度あるのかということが正確にはまだ詰まっておらない。ただ伺うところでは、少なくとも今申しました前の二つが一番大きい問題点であるということのようでございます。 それから、留置施設法案の問題につきましては、これは直接は私どもの方の所管の法律ではございませんので、代用監獄の問題に関連していろいろ論議がなされている、こういう状況でございます。
○中村(巖)委員 ただいま大臣のお話並びに審議官のお話を承りますと、今度再提出をする場合においては、前回提出をされた法案を一部手直しをするようにうかがわれるわけでございますけれども、確認の意味でお伺いを申し上げたい。 今度出すとすれば、日弁連との協議その他を通じて、かつて出された法案の一部手直しをしてお出しになるのかどうかということ。殊に、この代用監獄の問題につきましては、先ほど留置施設の方は法務省の所管ではない、こういうお話でありますけれども、前回出された刑事施設法案におきましては、その百六十三条で「留置施設への代替収容」こういうことが規定をされておりますので、施設法と留置法とがリンクをされているような関係になっているというふうに思うわけです。今度手直しをして出されるとすれば、留置法との切り離しというか、それをこの施設法の中に盛り込まないでやることができるかどうか、その辺のことについてお伺いをいたしたいと思います。
○亀山政府委員 ただいま御指摘のように、留置施設法案の中身の主要な部分は刑事施設法をいわば母法としているような関係でございます。したがいまして、技術的には留置施設法案なしでも刑事施設法案というのは成り立つことができるわけでございます。もちろん、そういう一つの技術的なやり方として刑事施設法だけでやっていくというふうなことも検討の対象にはなっておりますけれども、ただ、そういうふうな形で手直しをするとか、そういうことをここで今申し上げるような段階では到底ございません。
○中村(巖)委員 次に、刑法の改正についてお伺いを申し上げたいと思います。 今回の大臣の所信表明におきましては「できる限り早期に実現すべく努力してまいりたい」こういうふうにお述べになっているのでありますけれども、この問題は大変に大きな問題でございまして、刑法自体が明治四十年にできてからもう八十年になんなんとする本当の基本法であるわけであります。こういうような基本法を改正するという大事業でありますから、これはなかなか軽々に実現をすることができないというのも当然であるというふうに私どもは考えているわけでございます。 その中で、先ほども高村委員から御質問がありましたけれども、伝えられるところによると保安処分、治療処分とも言っておられるようでありますけれども、そういうものを刑法改正の中から切り離して単行法でもってお出しになる意向が法務省におありのようだ、あるいは大臣におありのようだということでございますので、切り離してやる必要性を今お感じになっておられるのかどうか、その点をまずお伺いしたいと思います。
○住国務大臣 治療処分の問題、これは刑法改正の現在の草案の中には含まれておるわけでございますけれども、非常に重要な問題の一つであると思うのです。そういうようないろいろなことを考えまして、刑法を全面的に改正すると答申をいただいてから既に十年余になっておりますし、その間いろいろな意味でこれは検討を重ねてきておるわけでございます。私は、そういう意味で各方面との意見交換というのは随分積み重なっていると思うのでございます。 そういうようなことを踏まえて、これは重要な法案であることはもちろんでございますが、十年というような作業がずっと続いておるわけでございます。これは、できるものなら国会に提案いたしまして、国会という立法府の立場でもいろいろな検討を加えていただく、今までの経過から考えてみても、もうこういうことも必要な段階に来ておるんじゃなかろうか、こういう感じも実はしておるわけでございます。そういつまでもほうっておいていいという問題ではないとも考えておるわけでございます。 そういう意味で、いろいろな検討もしておるわけでございますが、例えば治療処分を切り離して特別立法でどうだ、これは一つの可能性の問題として検討してみる必要もあるんじゃないかというような意味でございまして、何も直ちにそれを切り離して特別立法にせぬといかぬ、こういうところにはっきりした結論を持っておるわけではございません。従来方針どおり、これは一つの刑法体系として考えていくという基本方針は変わっておりません。
○中村(巖)委員 私どももやはり保安処分、治療処分そのものが非常に問題があるというふうに思っております。しかしながら、精神障害者というか、あるいはまた刑法で言うならば心神喪失の状況にある者、そういう責任能力のない者についての処遇をどうするんだというような問題は、やはり刑法体系全体の中で位置づけられなくてはならない。これを切り離して単行法でやるというようなことは大変によくないことだというふうに思っておるわけでございまして、今大臣のお話で、そういうことを今具体的に考えているわけではないということで、私どももそういう方向でなくてはならぬというふうに思っておるわけでございます。 この刑法の改正の問題についても私ども十分承知をしているところでありますけれども、日弁連との間にもう二十回余の意見交換がなされているというようなことでござざいまして、その意見交換の最近の状況といいますか、現時点ではどういうところへ進んでいるのかということについて御質問を申し上げます。
○筧政府委員 二月十八日が一番新しい第二十回でございましたが、やはり現時点と申しますか、日弁連の方も日弁連の試案というようなものを公表されております。それについてのお互いの討論あるいは従来から論議されております草案に新設された規定、これについての必要ないという日弁連の意見と必要であるという法務省側の意見とさらに討議しておりますし、先生御指摘のとおり、保安処分といいますか、治療処分は最大の問題でございますので、その実態がどうか等について議論を重ねているところでございます。
○中村(巖)委員 いまの点について重ねてお尋ねをいたしますけれども、治療処分の問題が一番大きな問題であるということはよくわかっておりますが、そのほかに現実にその他の刑法各本条について日弁連との間にこういう相違点があるということで各条文の検討というものがなされておるのでしょうか。
○筧政府委員 簡単に申し上げますと、日弁連の意見は現行刑法をもとにしてこれを口語化するとともに、大方の意見といいますか、余り異論のないものは新しくする、その余の例えばいろいろな各則におきましても総則におきましても、草案によって新設されている規定、刑を加重する規定もありますし、従来の判例等を明確化したというような規定もございますけれども、そういう新しい規定は一切必要ないというのが日弁連側の主張でございます。そういう中で、特に各則の中では公務員の機密漏示でございますとか、企業の秘密漏示の問題でありますとか、騒動予備とかその他の規定、新設の規定あるいは加重規定等、これについて意見が対立しておるわけでございまして、そこらの点についても双方から討議を尽くしつつある現状でございます。
○中村(巖)委員 次に、民事行政事務についてお尋ねを申し上げたいと思います。民事行政事務と申しましてもいろいろあるわけでありますけれども、そのうちで登記事務についてお伺いを申し上げます。 法務省のいろいろな業務の中で法務局の業務というものは非常に大きいウエートを占めているというふうに私ども思うわけでございまして、法務省全体の総定員の中で法務局関係の定員というものはかなり多い、四分の一にも達する、そういうような状況でありますし、あるいはまた法務省全体の予算の中で登記関係の予算というものは六百三十五億、今年度の原案でそういうことになっているわけで、六分の一を占める。そうだとすれば大変に大きなことだと思っているわけでございます。 まず最初に、私ども弁護士の業務等々を通じて感じますことは、登記事務が非常にふえているというのが現在の状況ではないかと思うわけでございまして、登記にはいわゆる甲号事件と乙号事件というものがあるわけでございますけれども、その種の事件の、基準年をいつにとってもいいのですが、最近のふえている状況はどういうふうになっておりましょうか、お伺いを申し上げます。
○枇杷田政府委員 ただいまお話しのように登記事件は年々増加の傾向にございまして、昭和四十八年と昭和五十七年の間の増加率を見てまいりますと、甲号事件、乙号事件の総件数で申しますと六三%の増加でございます。 甲号事件だけをとって申しますと、その年度間においては七%でございますけれども、その中間に石油ショックでかなり落ち込んだ時期もございますので、最近の増加率は三%ないし四%ぐらいの伸びで推移をいたしておる状況でございます。
○中村(巖)委員 登記の件数がふえていることは今お話があったところでございますけれども、そういう件数が、甲号事件でありますればそれこそ所有権の移転とかあるいは抵当権の設定、乙号事件でありますれば閲覧あるいは謄本の請求だと思いますけれども、そういうものがふえている原因と申しますか、それはどういうふうにお考えでございましょう。
○枇杷田政府委員 不動産登記事件につきましては、住宅であるとか公共事業の促進に伴いまして事件が出てくる可能性が多いわけでございます。そういうことで、景気の動向なども直ちに反映する状況にございますけれども、最近の持ち家を持つ傾向とか、あるいはマンションが多く建てられるとかいうことに伴いまして事件数はふえております。 それから、もう一方商業登記関係につきましては、会社の設立が非常に多くて、いずれも会社の名義でいろいろな取引をするというような傾向から商業登記事件がふえておるということでございます。それに伴いまして、今いろいろなことで資料が方々で要求されることが多いとみえまして、謄抄本の請求がまた格段にふえておる状況にございます。
○中村(巖)委員 登記事件がそういうふうにふえているのに対して、私ども見るところにおきましては、登記所、つまり法務局出張所の職員数あるいは出張所数そのものが増加をいたしておらない。あるいはまた、出張所数なんかで言うならば大変に統廃合で減っているのが現実の実態である。そのために非常に法務局における利用者に対するサービスが低下をいたしているのではないか、こういうふうに思うわけでありますけれども、登記関係職員の数の推移あるいは登記所、つまり出張所の統廃合の結果減少した数等々をお伺いいたしたいわけであります。職員につきましては一定の基準年からとっていただいて、ここ十年ぐらいの間にどういう推移を示しているのか、あるいは登記所の統廃合という問題につきましては十年なら十年、十五年なら十五年でどのくらいの数の出張所が減っているのか、そのことをお答えいただきたいと思います。
○枇杷田政府委員 まず職員数でございますけれども、先ほど基準年で申し上げました昭和四十七年と、ごく最近で五十九年度の予算案で計上されております登記従事職員数との比較を申しますと約一〇%の増加でございまして、八百八十名程度増加をいたしております。一方、登記所の数でございますけれども、これは過去昭和三十年代から統廃合を進めておりますが、事務委任の形をとったものも含めまして現在で約八百程度のものが統合になっておる次第でございます。
○中村(巖)委員 職員の関係でございますけれども、今日行政改革ということで公務員の定数を減らさなければならない、こういうことになっているわけでございまして、その関係ではやはり法務局の登記関係の職員も削減をすることになるわけでございましょうか、どうでございましょう。
○枇杷田政府委員 法務局も定員削減の対象になっておりまして、法務局全体では昭和五十九年度においては百三十四名の定員削減が予定されておるわけでございます。それに対しまして、先ほど申しました五十九年度の予算案におきましては百七十二名、差し引き三十八名の純増ということが予定されておる次第でございます。
○中村(巖)委員 出張所の整理統合の問題でございますけれども、その整理統合をしなければならない理由というのはこの職員数を減らす、こういう観点からなされておるのか、そのほかの、今日交通が便利になったとか、そういう原因から統廃合が急速に進められているのか、その辺はいかがでございましょうか。
○枇杷田政府委員 法務局の出張所は戦前からかなり多くのものが配置されておりまして、その結果一人しかいない庁、私ども一人庁と呼んでおりますが、一人庁であるとか二人庁というような小規模の出張所が全国にたくさん残っております。そういうところを残しておきますと、ただいま御指摘がありましたように、人員配置上のロスもございますけれども、もう一つは、何と申しましてもそれだけの小人数の規模で処理をすることは事務処理上いろいろな問題がございます。したがいまして、これをある程度集約をしてまとまった形で処理をすることが効率的であると同時に仕事の質もよくしていくゆえんではなかろうか、また能率化的な器具の整備にいたしましてもその方がうまくいきやすいという面が一方でございます。 もう一方、最近の交通事情がかなりよくなりまして、従来のようなたくさんの機構を配置しなくても、地元の方に多少御不便をかけることになりますけれども、ある程度集約したところへおいでいただいてもかつてほどは御不便をかけないで済むのではないかというようなことを総合勘案いたしまして、全体として適正な配置というものをもう一遍考え直すべきであろうということで進めておるものでございます。
○中村(巖)委員 この法務局の出張所の問題につきましては、そういうものが我が町、我が村からなくなってしまっては非常に不便だという地方の要望が大変に強いわけでありますし、また単にそれだけではなくて、我が町に今まで法務局の出張所という国家機関があったのに、そういうものがなくされてしまうということは我が町の誇りがなくなるようなものだ、こういうふうに言う向きもあるわけでございまして、その整理統合に当たっては住民サービスあるいはまた住民感情というものを十分に計算に入れなければならないのだろうと思っておるわけでありますけれども、その整理統合の基準なり今後の方向性というものを改めてお尋ね申し上げたいと思う。
○枇杷田政府委員 整理統合の基準といいましても画一的なものを申し上げることはちょっとできないのでありますけれども、事件数であるとか、受け入れ庁に対する交通関係、その所要時間であるとか、将来の開発される見込みであるとか、そういったような事情を総合勘案いたしまして、統合するのが適当であろうと考えられるものについて進めておるわけでございます。 その際に、ただいまお話がございましたように地元の方々には法務局の出張所については大変愛着を持っていただいておりますし、また仕事の上からも市町村と関連するものが多うございますので、出張所がなくなるということは大変惜しまれるといいますかそれに対して反対だという声が上がってまいります。私どももむげに、はい、さようならというわけにはまいりませんので、私どもの考えるところを十分に御説明申し上げまして、地元の方々との意見交換も十分にして、なるべく地元の方の御納得をいただいた上で実施をすることにいたしております。実施するにいたしましても、統合されます庁についてはとかく地元の方の御不便が生ずることは間違いないことでございますので、そういう関係につきまして、例えば登記の相談所をもとのところで開設するとか、謄抄本などもおいでになればすぐお渡しできるような予約制を採用する、また司法書士、調査士の配置などについても特段のことを考えるとかいうようなことを総合的に処理いたしまして、その御不便がより以上にかからないようにするということは配慮して進めておる次第でございます。
○中村(巖)委員 いろいろ国家の役所の仕事があるわけでありますけれども、登記所というところはその中で大変にサービスが悪い、こういう定評のある役所の一つであると思うわけでございます。それには、登記事務がなかなか繁忙であるとかいろいろなことの原因があると思うわけでありますけれども、一つは、私ども考えますところでは、登記所の業務というのは大変非能率的であるというか、そういう面があると思うわけでありまして、古くからの簿冊をいじっていろいろやっておるわけでありまして、こういうようなものについて近代化というか機械化というようなものができないのかという点はいかがでございましょうか。
○枇杷田政府委員 私ども、過去、登記簿を大福帳式のものからバインダー化に切りかえるとか、台帳と登記簿とを一緒にするとかいうふうなことで近代化を進めてまいりました。しかしながら、簿冊主義を採用しております限りは限界があるわけでございますが、謄抄本の作成につきましては登記所独特の全自動謄本作成機というようなものも開発いたしまして、機械化できるものは機械化するという方向で進めております。今後そういう面での工夫、検討はさらに進めなければならないと心得ておる次第でございます。
○中村(巖)委員 私ども聞き及んでおるところによりますと、法務省の方で登記簿というかそういうものを磁気ディスクなり何なりに収録をするというような実験が行われているということでありまして、私どもの選挙区であります東京の板橋の出張所におきまして今実験をやっておるということを聞き及んでおりますけれども、それはどういう内容でございましょうか。
○枇杷田政府委員 ただいまも申し上げましたように、現在の登記は簿冊主義、ブックシステムと言っておりますけれども、そういうもので動かしております。それでは能率化、合理化をするといいましても限度がございますので、それを抜本的に解決するとすれば、一つ考えられることはコンピューター化でございます。ということは、現在登記簿に書きあらわしておりますものを全部コンピューターに記憶させまして、そして所有権移転であるとか抵当権設定であるとかという事件が出てまいりましたときには、それをコンピューターの中で処理する、そしてその登記の結果が間違いなく出てくるというようなシステムができないであろうかということでございましょうが、その問題につきましては十年来検討を進めておりましたが、大体机上プランとしてはできないことはないであろうというふうなことになりましたので、東京法務局の板橋出張所で今度は実際に実験を開始いたしておるわけでございます。 現在のところ板橋管内の高島平地区、ここは御承知のとおり高層のマンションが非常に多い地区でございます。したがって、登記事項が非常に複雑なところでございまして、コンピューター的に処理をする実験をするのには適当なところであろうということで、その地域の一部につきましてコンピューターに移行いたしております。そして、それによって事件処理がどうなるかということを実際にやっておるわけでございます。ただしかし、法律的にはまだコンピューター処理が認められているわけではございませんので、一方では従来どおりの簿冊主義の記載処理をしながら同じことをコンピューターで処理をするという並行処理をいたしております。 まだ移行作業が終わった段階でございますので、これからいろいろな種類の事件が出てきた場合にどんな問題が生ずるかというのは、これからの検討課題でございます。理論的にはできるだろうということでございますけれども、実際やってみればどんな問題が起こるかもしれないというふうなことがございます。そういうふうなことを今後実験を続けまして、また評価委員会というようなものを設けておりますので、そこでいろいろな問題を検討してその評価を進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○中村(巖)委員 終わります。
○高村委員長代理 三浦隆君。
○三浦(隆)委員 指紋問題を含めて外国人登録法の問題についてお尋ねをしたいと思います。 これまで多くの議員から質問がなされて、またたびたびの回答をいただいておりますが、きょうは質問の視点を今までと少し変えたところからお尋ねしてみたいと思っております。すなわち、外国人登録法の制定を必要とした立法時の状況から、時の推移に伴う諸般の状況の変化を考え、特に国際化時代への対応を考え、今後のあるべき外登法について、我が党の指紋押印、押捺制度の見解、そうしたものを含めながら質疑を行っていきたいと思います。 初めに、首相の国会におきます施政方針演説が二月六日になされておりますが、その中で韓国を初めとしますアジア諸国との関係を重視したいというふうな言葉があり、また安倍外務大臣の外交演説の中でも、隣国たる韓国とは良好な関係をさらに発展させたいといったことなどが述べられております。 さて、法務大臣の所信表明の善言葉の中にも、国籍法の改正あるいは人権擁護行政あるいは出入国管理行政について触れられたところがあるわけでございます。旧来の国籍法を変えまして、そして新しく今回法改正を図ろうとしますと、在日外国人の今二世、三世あるいはこれからの四世、五世と行く過程の中では国籍上のいろいろな影響が出てくるだろうと思います。あるいはまた人権擁護行政というふうなものをうたわれましたときには、当然国内におきます外国人の人権の問題もこれに絡んでくると思います。そうした外国人の人権保障について、あるいは出入国管理行政といった日本の国益の問題等、あわせまして国際協調主義というふうなことから、大臣が特に「国際協調の一層の推進を図りつつ」というふうなことが書かれておりますけれども、この三点。国籍法の改正がどういうふうに在日外国人へと影響を及ぼすものか、あるいは人権擁護行政と在日外国人の人権保障がどう絡み合うものか、あるいは出入国管理行政というふうなもの、この国際協調の推進というのは具体的にどのようなものか、お答えをいただければと思います。
○住国務大臣 今や国際化時代という段階に入っておりますし、いろいろな運輸、交通の手段も格段の進歩を遂げておりまして、世界が大変狭くなってきております。そういうようなことから考えてみましても、これから日本は、中曽根総理も言っておられますように、国際国家としても大きく変化を遂げていかなければならぬのだ、こういうことも言っておられるわけでございます。 そういうようなことを考えてみますと、一つはそういう国際化の状態に対応して、例えば昭和二十五年に国籍法が制定されてからもう三十年以上たっておるわけでございます。国籍の取得についても、世界の立法の趨勢等も考えて見直さぬといかぬのじゃないか。それからまた、国連の婦人に対する差別撤廃条約等のこともございまして、そういうことも考慮して国籍法を見直す、こういうことで作業を進めております。 それと同時に、在日外国人の処遇につきましても、合理的な理由から差が出てくるということはこれはどこの国にでもあることでございますけれども、そういう場合は別として、外国の皆さんに対する人権という点も十分配慮していかなければなりませんし、出入国管理の問題につきましても、最近出入国する外国人の数が非常にふえてきておることも事実でございます。出入国管理というのもそういう意味で非常に忙しくなってきておるわけでございますが、これは来日される外国人の皆さんに対しても、サービスということからもいろいろやり方も考えていかなければならぬ、工夫もしていかなければならない。こういうようなことを法務省の所管する行政の範囲の中において対応していこう、こういうことが必要じゃないかと考えて申し上げておるわけでございます。
○三浦(隆)委員 外国人登録法、いわゆる外登法違反と告発の関係についてお尋ねをしたいと思います。 大量の切りかえがございましたのが四十六年あるいは四十九年、五十二年、五十五年、そして来年、六十年へとつながっていくわけですが、この大量の告発が、九百二件、六百九十四件、三百六十三件、二百七十件、百三十件と、これは明らかに減少の傾向を持っていると思います。一方で通知が、例えば昭和四十八年に六百件あったものからだんだんと年々下がってまいりまして、五十七年六十二件と変わっておるわけです。 すなわち、こうした違反でありながら告発することが減り、保留、通知その他がだんだんふえてくる。そして保留事項がふえてきているというのがどうしてなのだろうというふうなのが第一点。 第二点は、告発は一般人にとっては刑訴法二百三十九条一項によって任意でありますけれども、官吏、公吏にとっては、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは告発する義務があると同二項でうたっております。しかるに、現実に告発し得ないで保留するケースがふえてきている状況というのはどう理解したらよろしいのでしょうか。法務省にお尋ねします。
○田中(常)政府委員 お答えいたします。 告発件数の減少は、昭和五十七年の法改正により確認申請の期間が延長されたわけでございますが、これは三年ごとが五年ごとになりました。その結果、違反事件数自体が減少したことによるものと考えております。 保留件数が増加しているか否かは、保留件数について統計を持ち合わせておりませんものでわかりませんが、もしそのとおりだといたしますと、事案自体が告発等に適さない軽微なものが多かった、そう考えている次第でございます。 委員の第二の御質問につきましてでございますが、保留件数が増加しているか否かは、今申しましたように統計は持っておらない次第でございますが、各自治体においては、個々のケースの実情を検討しながら具体的な、妥当な処理を行っているものと考えております。法務省といたしましても、今後とも適正な告発を行うよう各自治体の協力をお願いしたいと考えている次第でございます。
○三浦(隆)委員 統計がとられていないということですが、私の方の手元には、告発、通知、保留を踏まえて法違反の状況は一応全部統計がわかっておりますので、必要でしたら後でごらんをいただきたいと思います。 そのほか、私の方には新規登録に伴う入国、出生その他あるいは引替交付、あるいは再交付、あるいは確認(切替)交付、その他変更登録、登録の訂正、原票の閉鎖、無効措置その他法違反の状況など、統計資料を持っての質問でございます。 さて、その三番目、次ですが、実は外登法違反に対しまして、川崎市及び昨今の神奈川県の対応についてお尋ねをしたいと思うのです。 といいますのは、昭和六十年度では、外登法十一条によります登録証明書の切りかえが法務省としてどのくらいあるとまず予測されておりますか。 それから第二点で、私の方は資料を一応持っておりますが、それに対して川崎市では民団等の四団体に対しまして、二月二十日付をもちまして市民局長の回答として、指紋の押印拒否者は告発する考えを持たない、このように言明したと言われております。事実としますと、外登法十四条の指紋の押印違反を黙認することになるわけでして、これは法規上は許されないことなんだろうというふうに思います。しかも、それを知りながら、あえて川崎は踏み切っているということであります。 その次に、神奈川県も二月十七日付をもちまして、昨年神奈川県内の各市長の見解を取りまとめまして、それをまとめた形で「外国人登録法の改正に関する要望」というのを実は出しております。そして、既にそれに先駆けまして、神奈川県議会議長の名をもちまして超党派の議員の名を連ねて同じような趣旨のことを言っているわけであります。その要点は二つありまして、一つは「指紋押なつ義務を廃止または改善すること。」二番目に「登録証明書の常時携帯義務及び提示義務を廃止または改善すること。」このように訴えております。こうしたことについてどのような見解を持たれているのか、お尋ねをしたいと思います。このあて先は総理大臣、法務大臣、自治大臣あてになっております。 ちなみに、こうした外国人登録人員は、ちょっと年度が私の手元のは古いのですが、昭和五十五年十二月三十一日現在、第一位が大阪の十九万六。千二百七十六人、第二位が東京の十一万四千四百四十九人、三位が兵庫の八万四千五百六十人、第四位が愛知の五万九千七百十人、五位が京都の四万九千四百十六人、六位が神奈川の四万一千六百六十四人であります。昭和六十年予想としての神奈川県は四万六千人であります。すなわち、神奈川県以上にこうした問題を抱えている方がなおなお大阪を初めとして多いことを考えますと、こうした神奈川県あるいは川崎の行ったことというのは他の都府県にも響いていくことだと思います。しかも、そのことは明らかに地方自治法上では違反の事実であります。どのようなお考えでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
○田中(常)政府委員 委員の御質問の第一の点でございますけれども、昭和六十年度には約三十七万人の外国人登録証明書の切りかえ申請が予定されております。委員の御指摘のように、大量の指紋不押捺者が出るのではないかという御意見も私の耳に入っておりますが、我々としましては、在留外国人はいずれも我が国の法令を遵守するものと考えている次第でございます。 第二の、川崎市民局長の発言でございますが、川崎市の市民局長がそのような発言をしたかどうかは実は承知しておりませんが、もし事実とすれば、担当局長としては相当でない発言だと受けとめております。 第三の、神奈川県の御要望の件でございますが、法務省もこの御要望をいただいております。しかし、法務省としては現在の制度はいずれも必要なものと考えておりますもので、現行登録法を改正することは考えていない次第でございます。
○三浦(隆)委員 同じ質問ですが、自治省、お答えいただけますか。
○田井政府委員 お尋ねの要望書は自治大臣もちょうだいいたしておりますが、要望事項は、お尋ねの中にありましたとおり、指紋押捺義務及び登録証明書常時携帯義務の廃止または改善ということでございまして、これは外国人登録制度固有の問題でございますから、こういった問題につきましては、法務省において十分検討されるものと、私どもはこのように考えておるわけでございます。
○三浦(隆)委員 これは、実は大変に大きな問題を含んでおります。現実に法がありましても、その法違反に対して、ただこれに目をつぶるということはあるいはあるかもしれませんが、法の規定があって、公にその違反者に対して告発はしないというふうに言い切ったということは、私は、今まで余り例がなかったのではないかというふうに思います。すなわち、はっきりと地方自治法の違反の態度を示したということでありまして、これについては、国と自治体との関係については、地方自治法上の、御承知の百四十六条「国の機関としての長に対する職務執行命令」の規定なり、あるいは百五十条の「長が処理する国家事務の指揮監督」の規定などが現実に存しているのでありまして、川崎市のあれがもしこれから本当に確認されたとして、はっきりと法に違反したことを述べているわけでありまして、これに対して地方自治法の規定に従って法務省は対処するのかどうか、まずそれをお尋ねしたいと思うのです。 すなわち、法務省としては、大臣を経由しながら神奈川県知事経由で川崎市に対して、それはやめろと言うのかどうか。あるいはまた、神奈川県知事もそれに乗って、いや、私もそれでいいと思っていると答えたとするならば、そうしたことに対して法務大臣は、究極的には高裁への裁判請求もあり得るということでしょうし、さらに、もしそうした裁判になった場合に、私には、こういう高度に政治性を持つ問題というふうなものが高裁で裁判になじむものかよくわかりませんが、仮になじんだとして、川崎でやったことはよくない、あるいは知事のやったことはよくないと仮にもなったとした場合には、極端に言えば、総理大臣による知事罷免の規定も地方自治法としては認めているのだということであります。そうしたような大変な事態というものを踏まえながら、あえてそういう国と地方自治というものの抗争をなぜこのまま激化させようとするのか。あるいは外登法というものを改正しようとして事態を鎮静化しようとするのか。そうした二者択一の態勢というものも川崎市の出方いかんによっては出てくるもの、このように私は理解しますけれども、法務省はどのようにお考えでしょうか。
○田中(常)政府委員 お答えいたします。 違反に対する地方自治体の告発義務は、刑事訴訟法の規定に基づくものでございますが、これが国の機関委任事務の範囲に属するか否かは議論が存するところでございまして、今後このような事例に対して、地方自治法の職務執行命令を発動していくかどうかは慎重に検討いたしたいと考えております。したがいまして、告発の問題は、職務執行命令そのものになじむか否か、やはり問題があると考えておりますもので、高裁の審査対象になるかならないかも同じように考えておるところでございます。
○三浦(隆)委員 これは国の機関委任事務ではないのですか、その点はっきりしてもらいたいと思います。
○田中(常)政府委員 国の機関委任事務であるかないかにつきましては、積極論、消極論等いろいろ議論があるところでございますもので、この問題については慎重に考えたいと考えております。
○三浦(隆)委員 これは、国の機関委任事務ということで委託事務費を支払っているのじゃないですか。
○田中(常)政府委員 おっしゃるとおり、我々は機関委任するに当たりまして委託事務費を地方自治体に払っております。しかしながら、機関委任する事務とそれから刑事訴訟法に基づく告発という問題をどういうふうに考えるかは、これはいろいろ議論があるところだと考えております。
○三浦(隆)委員 質問の趣旨と若干違っているように見えます。私は刑事訴訟を今問うたのではないのでありまして、もしこの指紋押印、捺印、指紋の問題その他が来年度の証明書の切りかえにおいて川崎市の市役所の窓口としてやる仕事である、いわゆる国の機関委任事務であるとするならば、そこにはこれこれ、例えば指紋を踏まえて項目が決まっていて、やらなければならない義務が決まっているわけであります。その幾つかの中の一つが指紋を押せと言っているわけであります。現実の争いとしては、みんなの見ている前で指紋を押すのはいやだから、人権的な配慮もあって市役所のどこか人の見えないところで押すようにしようじゃないかというふうなことなども踏まえて、現実には方々の自治体で対応されていると思うのです。これははっきりと国の機関委任事務であるという認識のもとに金は出され、自治体も仕事をしていると思うのです。そうでないと言われれば、これは解釈によって違うと言えば私は改めてもう一度質問しなければいけないと思いますが、今時間の都合がありますので、私の方で国の機関委任事務だろうと思っております。 そうすると、その機関委任事務を法的に行わなければならないはずの市が、この指紋を押さないという法に違法する人に対して見て見ぬふりをするだけじゃなくて、はっきりと四団体に対して告発しないんだと言い切ったというのです。違法を黙認すると言っておるわけであります。これは市長としても職員に対する監督その他というものはどういうふうにされるおつもりでしょうか、市の内部に対しても職員に対しても問題があると思うし、国も知事を経由しながら市長に任せている仕事にも問題があると思うのです。そういうときに、刑訴法ではなくて、地方自治法の国と地方自治体との間のそうした問題についての規定、現実に法に規定があるわけであります。私はその規定に対してどうされるのかという質問をしているわけです。刑訴法の質問じゃない、地方自治法上の質問を問うているということであります。
○田中(常)政府委員 外登法では指紋押捺義務を明確に規定しております。したがいまして、地方自治体は我々の機関委任事務に対してそれに基づいて職務を的確に執行していただきたいと思います。しかしながら、それに違反した場合、これを告発するかしないかというのはまた別の問題がここに加味されますもので、それについては、先ほど申し上げましたように、私は今直ちに必ず機関委任事務の一環であるということも申しかねますもので、今後ともこれは慎重に研究いたしたいと思っております。
○三浦(隆)委員 明確な国の機関委任事務だと思いますが、はっきり言えなかったことについては機会を改めて質問をさせていただきたいと思います。 ただ、もし川崎市が、これは素人ではないのでありまして、そういうことを重々知りながらあえてそういう発言をされているということ、そしてまた同時に、神奈川県知事の方は、こうした要望書をその趣意に沿ってされているということでありまして、これに対して法務省の方が知事経由で、これはけしからぬじゃないか、直せと言ったときに、もし川崎市が開き直って、いや私の方はどうしようもございませんというふうになったらどうするのでしょうかと言うのです。 それについて地方自治法は、これまたはっきりと規定していて、そういうときには高裁へ持っていきますよ、高裁で決まったら、場合によったら総理大臣が知事を罷免しますよ、できるのですよということも法としてはあるのです。私は、まさかそこまでいくとは思わないのですけれども、そういうふうになったらどうなってしまうのだろうかということであります。仮定の質問ですから、お答えできないと言われればそれまでですが、法務大臣にちょっとお尋ねいたします。 もしそういうふうな事態になったときに、極端な例ですが、地方自治法上国の機関委任事務に対して背いたというゆえをもって知事を罷免するのか、あるいはこれは外登法を改正した方がいいのかという選択を迫られたとしましたときに、その時点で、もし法相であったとしたらどういう気持ちで対処されるのでしょうか。もしお答えをいただけるならお聞きしたいと思います。
○住国務大臣 二つあると思うのでございますが、今三浦委員の方から県の問題を一つ提起されました。それは要するに、外国人登録法の常時携帯義務だとかあるいは指紋押捺義務、こういうものを見直したらどうだろうかというような一つの御意見、御提言、そういうものの要望ということが一つあると思うのです。 その点につきましては、現在の外国人登録法を五十七年の通常国会で改正しましたときに、国会でこの指紋押捺の問題につきましてもいみいろ御議論があったということも聞いております。そういう議論を尽くされた上でその問題が現行法として生きておる。それから考えてみれば、施行されてから一年ちょっとでございますね。その間に事情の変更がそれほどあったろうか、こういうことを考えてみますと、これは改むるにはばかるなかれというようなことも言えましょうけれども、最近そういうような改正をしたということでございますから、私ども法務省の立場としてはきわめて慎重に考えておるわけでございます。国会の方でいろいろな御判断もそれはあるかと思うのでございますが、そういう点はそういう点でまたいろいろ御検討も聞かなければならないことになるかもしれないとも思っております。 それから川崎市の局長さんですか、私は、そういう発言をどういう場面でどういうようにされたのか、そういうことは実はまだ承知しておりません。今お伺いしたところでございますが、しかし、これは国の法律に基づきましてはっきりした機関委任事務としてそういう制度でお願いしておるわけでございますから、公務員としてもそういうような発言、これは私どもと連絡するなり自治省と連絡するなり、そういうようなことがあったっていいのだろうと思うのですけれども、明瞭に規定してある法律を、どういう事情のもとにそういうことをおっしゃったのか、そういうことも見なければはっきりお答え申し上げることはできないと思うのでございますが、私どもは、機関委任事務としてお願いしている以上、やはり法のとおりやっていただきたい、こういうように考えておるわけでございます。
○三浦(隆)委員 大臣の答弁の方が明快であったと思います。はっきりと国の機関委任事務であると言われたからです。 今までの国会の質問の中で外国人、特に協定永住者である人たちに対しては、証明書の常時携帯その他ももうやめてもいいじゃないかとか、いろいろな御質問があったけれども、法務省の局長さんのお答えというのは常に一貫して変わらないようにあったわけであります。変わらないで一貫して答えるというにはそれだけの確固たるものがなくてはいけないのだと思うのです。 〔高村委員長代理退席、委員長着席〕 にもかかわらず国の機関委任事務がどうかと言ったら何か態度があいまいになるような、あるいは仮に川崎市が居直ったら地方自治法でこれに該当するかもしらぬ、そうしたら国ははっきりと毅然とした姿勢をとる、そこまで突き詰めた思いでやるというならば答弁に一貫性もあるけれども、それが現実に川崎市やあるいは神奈川県がもし将来強く出た場合に態度があいまいとされるようであるとするならば、それほどこれまでの答弁を固執されてきたことの意味はなかったであろうと私は思います。 その次に、川崎市あるいは神奈川県の今回の処置というのは、それぞれ川崎では川崎市議会の採択に基づいてやったことであるし、神奈川県知事からすれば県下各市長の意向を反映したもので、しかも窓口業務に通暁した現場の声を反映したものだと仮にするならば、憲法第八章の規定の地方自治尊重の見地から見ても、その意見というものはやはり十分に尊重されなくてはいけないものだと私は思うのです。特に来年度は大変大勢の人々の登録証明書の切りかえが行われる。特に川崎市では、そういう発言があればなおのこと指紋拒否ということに伴うような混乱が予想されるわけでありまして、そういう混乱防止に向けてどのような対策を持たれようとするのか。これは単なる仮定の問題であるとは思いません。既に拒否事件は起こっておりますし、拒否に伴う裁判事件も現に起こっているわけです。そしてまた、かなり多くの運動の成果として、また自治体の声がそういうふうになってきているとすると、当然来年は混乱が予想されると思います。これに対応するお答えを、法務省でしょうか、どちらかお答えをいただきたいと思います。
○田中(常)政府委員 地方自治体に対しては外国人登録法の目的というものを一層理解していただいて、そしてこれはどうしても国の事務として必要なんであるということを十分に把握した上で今後とも協力していただきたいと考えております。
○三浦(隆)委員 時間がありますから急ぎます。 次に、一般に法規の解釈、運営についてお尋ねをしたいと思います。 一般的によく言われます田中二郎先生の「行政法総論」の行政法解釈についての言葉がございます。「法の解釈は、客観的な法の単なる客観的な認識作用ではなく、法の形で示された価値の体系を具体的に形成し発展させる実践的意欲作用であると考える。」「法は、客観的な社会的規範意識によって支えられた存在であり、法の概念や論理は、客観的な価値法則に則って操作されることによって、はじめて、法の目的とする社会の秩序づけの使命を果すことが期待される」こういう言葉があります。 あるいはまた、兼子一先生の同じようなところのせりふでありますが、省略して読んでみます。「法は成立当初の過去の時点に固定するものではなく、日々に新しく現在の法として活用されなければならず、この規定内容としての意味も、現在の社会意識を背景として理解されたところに外ならない」という言葉がございます。 両先生ともども裁判所とは大変深いかかわりを持っている方でございます。もし、とするならば、この社会的規範意識あるいは社会意識ということについてお尋ねしたいと思うのです。 時代の推移ということが、法務省であれ厚生省であれ外務省であれ、いろいろなところに影響を来していると私は思います。時間の都合もありまして、一括して質問さしていただきたいと思います。 すなわち、厚生省に対しましては、在日韓国人の福祉対策について、一つには国民年金法第七条に「日本国民」という規定がある。「日本国内に住所を有する」「者は」と改正されまして、昭和五十七年より国民年金が適用されております。さらに、今国会の法改正では、期間計算等でさらにまたより適切な救済策がとられようとしております。そして第二点で児童手当あるいは児童扶養手当、特別児童扶養手当、福祉手当についても昭和五十七年日本国民と同様に適用されております。このように国籍条項の壁を乗り越えました法改正というのは、あるいはその法の解釈適用というものは一つの大きな時代の要請にこたえたものだと思います。国籍条項がどうして廃止されてきたのか、厚生省にお聞きをしたいと思います。 次に、外務省につきましては、三月二日に初の日韓高級事務レベルの協議を行うと言われております。これまでODA及びその他の国際協力また海外啓発、文化交流機能の強化などを通じて国際親善関係の強化に努力してきました。しかし、このような外務省の努力にもかかわらず、日本の国は閉鎖社会であるとの批判が海外から寄せられておりますのは本当に残念でもあります。来年度は日韓国交正常化二十周年です。このため盛大な記念祝賀行事も予定されていると思います。外務省は日韓両国の友好親善強化のために今具体的にどのような考え方を持っていられるのか。また、協定永住者たる人の指紋押捺拒否運動の広がりをどう考えていられるのか。外務省の見解をお尋ねしたいと思います。 それから文部省に対してお尋ねいたします。文部省は教育の交流の拡充、学術交流の推進、芸術・スポーツ交流などを通じて世界に向けて交流の輪を広げております。文部省として日韓両国の友好親善関係強化の方策をどのように考えられているのでしょうか。また、両国の関係は、一歩誤りますと再び教科書問題を再現しかねないような関係もあると思います。そうした事態を考えながら、今民団を中心として指紋押捺拒否運動が起こっていることについてどのようにお考えでしょうか。 また、総理府につきましては、二月四日付でしょうか、総理府青少年対策本部が世界青年意識調査第三回目の結果を発表しております。アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、スイス、スウェーデン、ユーゴスラビア、フィリピン、ブラジルと、この私の手元に持っております資料では軒並み大変対日感情がよく書かれております。大変好意的に出ております。これに対して、最も近いはずの隣国の韓国の若者たちが日本人を見る目というのが大変によくないです。一々パーセンテージを挙げている暇はございませんが、日本人は「横柄」だ、あるいは「信頼できない」というふうな言葉が第一位、第二位と並んでいるということは異常といってもいいかと思います。総理府としてこの調査の結果分析についてどのようにお考えでしょうか。まずその点についてそれぞれの省庁の御意見をお尋ねしたいと思います。
○山口説明員 ただいま御指摘をいただきましたように、国民年金法につきましては従来日本人を対象にしておったわけでございますけれども、難民条約の加入に伴う制度改正によりまして五十七年の一月から国籍要件を撤廃いたしたわけでございます。したがいまして、在日韓国人の方々を初め在日の外国人の方々についても国民年金に加入をしていただく道が開かれたわけでございますけれども、当時すでに高齢でありました方につきましては、このままですと老齢年金に結びつかないというようなケースがございまして、これは問題点として指摘されておるわけでございます。 また一方では、日本人でありましても海外に居住している期間が長いというような場合につきましては、現行制度のもとでは無年金になってしまわれるというようなケースがございます。御指摘をいただきましたように、私ども現在、年金制度の基本的な改革を準備しておりますけれども、その中で、国民皆年金という体制にあるわけでございますので、制度的に無年金になってしまわれる方については極力手当てをしようということで、今国会に提出をいたしております年金改革法案の中で、そういう無年金者対策の一環として、海外に居住しておられた期間あるいは外国人の方の日本国内に居住しておられた過去の期間等についても、年金の資格期間を計算する場合に基礎にするということで、制度的な無年金者をこの際なくすという対策の一環としてこの問題も対応したいということで、現在改正法案を国会に提出して御審議をお願いしているという経緯でございます。
○瀬崎説明員 お答えさせていただきます。 先生御承知のように、昨年一月に中曽根総理が韓国を訪問されましたし、また八月には日韓定期閣僚会議が東京で開催される。そのほかいろいろなレベルでの幅の広い日韓の対話を行っているわけでございます。もちろん隣国韓国の重要性につきましては、私ども今さら申し上げるまでもなく、今後とも日韓の重要性ということを踏まえまして幅の広い交流を推進していこう、こういう考え方でおります。 それから、日韓政治協議でございますが、きょう外務省の中島外務審議官がソウルに行っておられまして、韓国側と意見交換をしているわけでございますが、これはただ単に日韓間の問題だけではなくて、幅の広い世界情勢につきましていろいろ日韓の間で政策的な意見交換をしよう、こういう角度から行っているものでございます。 二十周年記念の件でございますが、この点につきましては、政府部内だけではなく、新聞等にも伝えられましたように民間の有識者の方とかあるいはマスコミの方とか、もちろん国会の先生方の御意向を踏まえまして、懇談会を恐らく今月の下旬くらいに発足できるのではないかと思いますが、こういった方々のいろいろな御意見を踏まえまして交流を考えていきたいということでございます。 それから、在日韓国人の待遇問題でございますが、これは外務省が直接所掌している問題ではございません。ただ、従来から韓国側といろいろ話をしておりまして、例えば昨年の八月の外相会談の際にも韓国側から待遇問題についてはいろいろと真剣に検討してほしい、こういうような要望が出されておりまして、それに対しまして大臣から、日本政府がとりました従来の措置、これについては韓国側としても評価してほしい、もちろん双方の間で建設的にいろいろ検討していきたいというようなことで答えているわけでございますが、いずれにせよ、この待遇問題につきましては関係省庁と協議させていただきたい、かように考えている次第でございます。
○内田説明員 先生御指摘のとおり、日韓両国は地理的にも文化的にも非常に近い関係にあると思います。日韓両国の教育、学術、文化の分野での交流を促進することは、両国民の相互理解を促進する上からも、また両国の教育、学術、文化活動を一層活発化するためにも極めて重要なことだと考えております。 文部省としましては、このような観点から、かねてから両国の学生の交流や研究者の交流、その他スポーツ、青少年の交流についての事業を進めてまいってきている次第でございます。 例えば、昭和五十七年度においては文部省の国費留学生は各国から千七百七十七人を呼んでおりますが、このうち韓国からお呼びする学生が最も多く百五十六人でございました。 また、学術の交流の分野におきましても、文部省の特殊法人であります日本学術振興会を中心としまして、韓国の科学財団等との間で研究者のかなり活発な交流を行っている次第でございます。 このほか、青少年の交流、スポーツの交流等今後ともこれらの事業の促進に努め、両国の友好親善のために努力していきたいと考えているところでございます。
○佐野説明員 御指摘の調査は、我が国を含む世界各国の青年の家庭、学校、職場などについての意識や人生観などを調査して我が国青年の意識の実態を明らかにすることを目的としたものでございます。今回の調査は、昭和四十七年の第一回、同五十二年の第二回に続きまして第三回の調査でありますが、韓国につきましては今回初めて調査対象としたものでございます。 その調査項目の中で各国青年に日本人に対するイメージを聞いている部分がございますが、韓国のそれは各国に比して悪いということは御指摘のとおりでございます。こうした韓国青年の意識形成にはいろいろ複雑な環境、背景があると思われるのでございますが、いずれにしても両国の将来にとって望ましいことではございませんので、今後とも両国間の相互理解を深めていくことが必要であると考えております。
○三浦(隆)委員 今の厚生省あるいは文部省、外務省の答弁を聞きましても、開かれた対応の姿勢というのがうかがえるように思います。そしてそのことは、国会冒頭における首相の発言、外相の発言、みんな同じ流れだと思います。日本を挙げて国際化への広い対応をしようとするとき、法務省だけがそれに背を向けるような発想というのは次第に改めていかざるを得ないのではないかと私は思います。 そしてまた、外登法に外国人だからというそのことだけにかかわって、例えば常時、証明書を見せなさい、見せないんですね、じゃあ捕まえますよ、いけないことですよというのは、確かに法に合っているようではありますけれども、現実に今私たちの身の回りにございます法の中には、法の規定どおりすぐに取り締まる、いわゆる法を厳格に適用するものと、ある程度かなりあいまいにするものとあるわけです。これは人間社会をスムーズに運営する上において必要なことだと思います。そのとき、日本人に対してはあいまいな姿勢をとって、外国人に対してだけは厳しい姿勢をとる。もし仮にそうするならば、これは相手から見たら日本は何と偏屈な狭い国だろうというふうな、いわゆる差別的な感覚を持たれるだろうと思います。 そこで、時間もありませんので、どういうものがあるか概略的にちょっと紹介させていただきます。 すなわち、一般法の中には法規違反を犯しましても、現実には現行犯で逮捕されたり告発されたり処罰されない事例というのは幾らでもあるのだということです。例えば御承知の未成年者飲酒禁止法、満二十歳に至らない者に対して、酒を飲んじゃいかぬのだ。この場合に、親権者あるいは親権者にかわる監督者あるいは営業者に対して科料にすることができる。親権者にかわる監督者であるならば、これは場合によっては学校の教員であるかもしれません。 あるいは未成年者喫煙禁止法、お酒じゃありません、たばこの禁止法もございます。これにしましても科料、罰金の規定がありますが、もし捕まえるというだけであるならば、どこの大学へ行ったって現行犯逮捕だろうがいとも簡単にできるわけです。だけど現実にはそれがそのままという事態が幾らでもあるじゃないかということです。 あるいはまた、酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律、いわゆる酒酔い法でありますが、世の中に酔っぱらいなんというのは幾らでも見かけるところであります。 あるいは軽犯罪法の一条の二十二号には、こじきをしたり、あるいはそうさせた者についてはいかぬというのがあるけれども、考えてみれば、横浜の野もの浮浪者襲撃事件を起こした子供たちも、そういうこじきをして浮浪者でいる人たちがいなければ事件は起こらなかったかもしれない。だけど現実には方々にあるわけです、この寒空の中に。だけど見逃されているケースは幾らでもあり得ます。 特に、例えば鉄道営業法の十五条二項というのをごらんいただきたいと思うのです。「乗車券ヲ有スル者ハ列車中座席ノ存在スル場合ニ眼リ乗車スルコトヲ得」と書いてあります。現実、こんな姿なんかめったにないじゃないですか。ラッシュのとき後ろを押しているのはどういうふうになっちゃうのかというふうなこともあり得るわけです。 あるいは教員、公立中学その他における学校の教員にしろ、教育公務員特例法なりあるいはそれに準じた国家公務員法なり人事院規則なりあるいは各種の法規に違反してストを行っている教員の数なんというのは幾らでもあるじゃないですか。にもかかわらずその後それがそのまま見逃されているケースというのも、もう毎年のように数知れずであります。あるいはことしの春だって春闘の問題でもって違法ストに走る教員だっているかもしれない。本来、法に触れることがいけないというのであるならば、これらはみんな許されない、いけないことであります。 そうしたときに、外国人登録法の場合の、形式上抵触したとはいえ、指紋の有無とかあるいは証明書携帯の有無というのは刑法犯とは違うのでありまして、刑法犯のごとく法の命令、禁止をまつまでもなくその行為自体が反社会性、反道徳性を有し、その行為を処罰することが社会通念上、また国民の健全な法感情の上からも当然視されるケースではない。これが一般的な外国人登録法です、行政法です。単に行政上の目的のための命令、禁止に違反するゆえをもって処罰されるにすぎないのではないでしょうか。指紋については、科学の著しい発展に伴い、警察などにお聞きしますと、指紋の自動識別装置というのは大変に進んでいるというふうにも伺っているわけです。こうしたことを踏まえながら、外国人登録法の法規の見直しというふうなことも行われてもよいと私は思います。あるいはまた、この外登法の十一条の登録証明書の切替交付あるいは十三条二項の登録証明書の提示要求、こうした場合にも、実務的にも市役所の窓口業務や取り締まりの第一線に立っている人が指紋の照合というものを逐一適切に行っているかどうかというのが、これは疑わしいというよりも事実上やっていないのじゃないでしょうか。これに関する質問もしたいのですけれども、そして御用意もいただいているかと思いますけれども、時間がございますので、ちょっと申しわけない、飛ばさせていただきます。 そこで、改めて法務省にお尋ねをしたいのです。 第一点は、外登法の目的というのは、外国人の居住関係及び身分関係を明確にするため、そのことによって公正な管理をしようというわけでございまして、はっきりと二つなんです。居住関係と身分関係の明確なんです。「そのほか」「など」とか、そういう言葉は一切ないのです。「公正な管理」というのは、条文によれば、居住関係、身分関係の明確によって公正な管理はなし得るように条文の規定ははっきりと書いてあるわけです。とするならば、これははっきり言って犯罪の発見や抑止のためにあるものではないはずです。そして、そのことは前に法務省入国管理局の参事官をされた方の新聞投書の中でもはっきりとうたっているわけなんです。外登法というのははっきりと犯罪の発見、抑止のためにあるのではない、まずこれを確認したいと思います。 第二点は、行政法規、特に外登法のように外国人を対象とする場合には、戦前の日本における公権力の優位性をことさらに誇示するような官僚行政主義や行政国家主義的な対応と誤解されるかのような法の解釈、適用というのは避けるべきではないだろうか。 第三点、二十一世紀に向けて政府が挙げて隣国の韓国を踏まえ世界の諸国家との協調体制を一層強固に推進しようとしている現在、法務省としても、少なくとも協定永住者たる外国人に対しては日本人に準ずる取り扱いを行ってもよいのではないかというふうに思います。 第四点、不法入国者や不法入国により犯罪を犯す者と合法的に居住し生活を営む協定永住者を形式的に外国人であるということで同一視してはならない。すなわち、前者を取り締まる法は外登法と切り離して、必要とあらば別法として立法化するよう考えればよいのじゃないかというふうに思います。 以上についての御答弁をお願いいたします。
○田中(常)政府委員 お答えいたします。 委員の御指摘の外登法の目的でございますが、委員のおっしゃるとおりでございます。「公正な管理に資する」というその言葉でございますが、その「公正な管理」の中には出入国管理行政を的確に運用するということと同時に、教育、租税、医療、福祉等各般の行政を運営するに当たってそれに資するようにする、両面を含んでいると考えております。 第二の、戦前の日本におけるいわゆる官僚意識的なという御質問の点でございますけれども、この件に関しては、我々行政を遂行するに当たりましては、公務員の考え方だけがすべてだとは決して考えていない次第でございます。やはりその法の目的に従って適正に運営しなければならない、民間の方々の御意見も参考にしなければならない、そういう点も絶えず忘れないようにしているつもりでございます。 それから、協定永住者の取り扱いの件、日本人に準ずるように取り扱うべきではないかという点でございますけれども、日韓間の法的地位協定によって定められた協定永住者と申しましても、我が国に戸籍やそれから住民登録をしてない、外国人であるということは間違いない事実でございまして、やはり外国人である以上、すべての外国人と同じように取り扱わねばならないわけでございます。法も日本国籍を有しない者は外国人として取り扱うというふうに規定しまして、その在留経緯のいかんということは問わないことにしております。 また、在日韓国人の法的地位に関する日韓間の協定の第五条には、すべての外国人に等しく適用される法律は協定永住者に対しても適用するということが明記され、このことは日韓両国政府間で了解され合っている事項となっていることをここで申し添えたいと思います。
○三浦(隆)委員 そこで私は先ほどから質問を繰り返したわけです。法というものは制定した時点でとまるものです。これに対して社会状況というのは日ごとに動いてやまないものであります。日本という国が現在からさらに将来を目指してどういう方向に進んでいこうかといったときに、過去の日本のように閉鎖的なあり方でなくて、むしろ国際的に開かれた日本へと今改めて向かおうとしている、その決意を首相も外相も述べたし、あるいは厚生省もその方向でいわゆるそうした国籍条項をなくしたわけであります。ですから、一口に、現行の外登法の仮に外国人という言葉があったとしても、合理的な理由があればそこから協定永住者を外しても何ら差し支えはないのです。 現実に外国人であっても仮に外交特権を持っている人はどうなりますか。あるいは日米安保条約なんかに結びついている人はどうなりますか。そういう人たちの中にも、場合によっては日本国内でスパイ活動をする人がいるかもしれない。麻薬を持ち込むような悪い人もいるかもしれない。免れているからといってすべてが正しい、そうとは限らないと思うのです。そうすれば、ここの外登法というのは、あくまでも居住関係がはっきりしている、身分関係がはっきりするとするならば、その人たちを例外的に外したからといって何ら法の違反にも何にもなるものではない。解釈、適用というのは将来的にはむしろそうあってしかるべきものじゃないかとすら思われるということです。ただ、時間ですので、残念ですが、先を急ぎます。一括した形で残り時間使わしていただきたいと思います。 お手元にお配りさしていただいたかと思いますけれども、実は我が党の方で決めました「在日外国人の指紋登録制について」という文章がございます。その要点は、「常時携帯して人目につく外国人登録証に指紋を押捺する必要性は乏しいため、指紋押捺は外国人登録原簿作成時一度にとどめること。」そしてまた、協定永住者に対しては、「日本人に準ずる者として今後、指紋押捺および外国人登録証明書の常時携帯は不要とすること。」このようにございます。 このことは実は神奈川県の言っていることとはちょっと違いがあります。神奈川県は全然指紋をとらない、あるいは全然常時携帯は要らないと言おうとしているせりふがあります。これに対して我々は、入ってきたときに一度は指紋をとろうじゃないか、あるいは協定永住者に対しては常時携帯は要らないじゃないかということを言っているわけであります。言うならば神奈川県と今までの法務省の見解との接点に立つものでもあります。これに対して法務大臣、どのようなお考え方をお持ちでしょうか。 また、今すぐにそこまで踏み切れないとするならば、第二点でありますが、外登法につきましては法務省も改正を行ったばかりだ、そしてそこで確認申請期間の延長なり登録証明書の携帯義務等の義務年齢等の引き上げを行っている、このようにして外国人に対しても配慮されている、そしてまた法改正したばかりだからということでの法的安定性ということも考えられる、これもよくわかるところであります。しかし、これまで述べましたように、来年度は日韓国交正常化の二十周年祝賀行事が予定されております。また、登録証明書の切りかえ集中での登録業務の混乱も予測もされているところでございます。この予想される混乱というものを事前に防止するような対策を立てるということも日本の外交その他国益を考える上では私は大切なことだ、このように思います。 そこで、そうした期間とか年齢をどうするかこうするかも踏まえ、あるいはこの外登法というものはどうあったらよいのか、あるいは現実にもし改正し得ないとしても、法文解釈、適用はどうあった方がよいのかということに関しまして、政府、与野党間でこの法についての協議をする場を持って冷静に対処したらいいんじゃないかというふうに思いますが、このことにつきましても法務大臣のお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○住国務大臣 特に指紋押捺の問題あるいは証明書の常時携帯等について民社党の御意見を拝見させていただいたわけでございます。今もお話ございましたように、特に外国人ということで、日本の社会の中で溶け込んでいただいてそれぞれの活動をしていただかなければならないわけでございまして、万一トラブル等があったらこれは外交問題等にも発展いたしますし、特にそういう点は慎重でなければならない。 それからまた、これはもう御承知のとおりだと思うのでございますが、この問題については私どもそれなりに慎重に諸外国の事情等も調べておるわけでございます。それは全然指紋をとってない国もあるわけでございますけれども、やはり外国人登録という観点から指紋を義務づけている国も少なくないわけでございます。そういうようないろいろな国々の事情等も考えて、一昨年でございますか、外国人登録法を改正したわけでございますけれども、その中でも今御指摘のような点について改善を加え国際社会に対応していこう、こういうことも考えてやったところでございます。 そういうことで、法律でございますから、私どもはこれはこの法律としてきちっと運用していかなければならない。いろいろなことを言われておりますが、少年非行の問題だとか犯罪の増加傾向、まだ増加傾向がとまっておりませんけれども、私どもはそういう傾向は非常に残念なことでございまして、全部が全部目が届きませんけれども、やはり社会の秩序、法秩序を守っていくということが国の存立の基本でございますから、とにかく全力を挙げて法秩序を守っていく。それと同時に、それは固定してはいかぬわけでございますから、そういう点はやはり先取りをして改正すべきものは改正をする、見直しするものはする、こういう態度は常にとり続けていかなければならぬ、こう思っておるわけでございます。 そういうようなことで、いろいろ問題があるということも承知しておりますけれども、ひとつこの制度はトラブルのないようにして運営をされていくように今後とも努力をしてまいりたい、私どもの立場として当然すべきことじゃないか、こう思っておるわけでございます。 それから第二の提案でございますけれども、これは私の立場でとやかく申し上げることではないと思うのでございますが、各党会派でそういうような方向で積極的にいろいろ御意見の交換をしていただく、あるいはまた成案を得るように努力をしていただく。こういうことについては私どもとしてはとやかく言う筋でないことだと考えております。
○三浦(隆)委員 今の最後の一点でありまして、この法の取り扱い方、法の解釈、運営について現実に政府、野党で法の協議をする場をつくっていく、その方が事態の解決にはいいと私は思います。大臣が今言った、指紋をとっている国、とらない国があるというのは、まさに百四、五十カ国から国連に加盟しようという段階で三十数カ国しか指紋をとっている国がない。仮にとったとしても国によってばらばらなとり方をされているわけです。しかし、それは余り大した論議ではない。世界の国の中には飢えている国もあれば、現に戦争をしている国もあるし、日本のように進んでいる国もあれば、そうでない国もあるし、閉ざされた体制の国もあれば、開かれた国もある。そうした中で日本という国が現在から将来にどういう方へ向かって行くのかということの中で考えればいいのであって、他国の指紋の問題とは必ずしも一致する問題ではないということ。 それから、もしこの法を厳格にやろうとするならば、先ほど言った川崎市やその他とどんとぶつかることになって、国と自治体とのトラブルヘはっきりと発展するということです。あるいはこれをあいまいにすれば、守る人、守らない人と出てきて、これまた差別的になりやすい。しかも、もしはっきり毅然として法秩序を守ると言うなら、先ほど私が守られない法の数々を挙げたのになぜそれを守ろうとしないのか。法によっては守り、法によっては守らないというのはきわめておかしいじゃないかということを踏まえて、この外国人なるがゆえにといったような、少なくとも相手が差別的な取り扱いを受けているかのような印象を起こすことのないように、そういう対応をとっていただきたいということをお願いしまして、質問を終わります。
○宮崎委員長 野間友一君。
○野間委員 きょうは、所信表明に対する質疑ということでありますが、この所信表明の中で、「国民の期待する法務行政の推進」あるいは「基本的人権の保障をより確かなものとするため」「万全を期する」というような所信が述べられております。そこで、この所信に関連いたしまして幾つかの問題をお尋ねしてみたいと思います。 まず最初はいわゆるロス事件について、それからアキノ氏の暗殺の問題、さらにはサラ金業界の逮捕の問題、これは午前にも質疑がありましたけれども、そして中国残留の日本人孤児というふうなことについて質疑を進めてまいりたいと思います。 まず、いわゆるロスの事件でありますが、これについてはもう既に御案内のとおり、場所がアメリカであります。銃撃された日本人婦人、それから恐らくアメリカにいるであろうこれまた失踪中の日本人婦人、これをめぐりましていろいろとマスコミが報道をしております。この件について考えてみますと、人権の問題あるいは言論、表現、出版の自由、これとのいろいろな問題がございますし、また、日本の法務省あるいは捜査当局としましても、事が外国でのいろいろな出来事ということになりますと、捜索とか捜査の上でいろいろ大変な問題があろうかと私は思います。 そこで幾つかの問題についてお尋ねをするわけでありますが、まず最初に、昨年の十一月でしたか、捜索願がいわゆる白石千鶴子さんに対して出されているというふうに聞いておりますが、それに対する捜索が一体どうなっておるのか。これについて言いますと、日本を五十四年三月二十九日に出国し、帰国をした形跡がない。あるいは恐らくインターポール、国際刑事警察機構を通じてアメリカ側にも照会済みだろうと思いますけれども、ロスでアメリカに入国してそこからまた出国していない、これは捜索の問題ですね、こういうことがあります。これが事実とするならば、事はアメリカの国内での存命に関するいろいろな捜索の問題が出てくると思います。そのあたりについてお伺いしたいと思います。
○金田説明員 白石千鶴子さんの失踪に関する御質問がと思われますけれども、これにつきましては、昨年十一月十日に山口県警察に対して白石さんの家出人捜索願が出されております。関係警察では事実調査を含めまして、いろいろな調査をしておるところでございます。
○野間委員 今申し上げたように、その中身ですけれども、日本から出国し、帰国したという形跡がない。一方、ロスでアメリカに入国して、そこから出た形跡がないということが言われておりますけれども、これは捜索の問題ですから、存否に関する非常に重要な問題ですから、お答えいただきたいと思います。
○金田説明員 警察当局では、出入国の事実を含めまして事実の調査をしておりますけれども、関係者のプライバシーの問題にも関係いたしますので、内容については申し上げないことにいたしております。 ただ、警察では、当然のことでございますけれども、事実調査とともに必要な手配、連絡を関係警察に対していたしております。
○野間委員 それは、そうするとアメリカに対してはICPOを通じていろいろやっておられるということですか。
○金田説明員 連絡方法あるいは連絡先につきましては、関係先の事情もございますので、ここでは答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○野間委員 これは単なる捜索でしょう、その犯罪の有無ではなくて、私がお聞きしているのは。最近の報道では、要するに五年前の白骨死体の事件について歯型とか下あごが千鶴子さんと一致する、こういうような報道がいろいろなされております。私は、もしこれが事実であるとするならば、ここからさらにいろいろな犯罪になるのか、あるいは自殺になるのか、ずっと発展していくわけでありますけれども、これらの点についてもアメリカからいろいろなインターポール等々を通じて情報が入っておると思いますけれども、その点いかがですか。
○金田説明員 繰り返しになりますけれども、こちらからどういう手配をしておるか、連絡をしておるかということについては申し上げないことにいたしたいと思います。相手国からの連絡につきましては、報道機関等から日本の警察に対してインターポールを通じてこちらに照会をしている、あるいは、したという報道がございますけれども、現在までのところまだ連絡がございません。 以上でございます。
○野間委員 では、返事がないということですか。
○金田説明員 はい。
○野間委員 それじゃ、要請したけれども、まだ返事がないというお答えのように今理解したわけですけれども、もう一つの問題は、午前中も出ましたけれども、いわゆる名誉棄損の事件ですね。これについては、法務省にお聞きしたいのですが、二百三十条名誉棄損、それから二百三十条の二事実の証明等々、こういう点から考えますと、両方のこういう出来事について国内ではなかなか非常に捜索なり捜査が困難だ、こういうことに相なると思うのですね。 しかも事実の存否についてもこれが捜査の対象になるわけですから、そういう点から考えますと、これは当然例えば国際的な関係での協力関係、例えば今の国際刑事警察機構の助けを求めるとか、あるいは国際捜査共助法に基づいて政府から改めてアメリカに対して要請するということでその事件の全貌をつかんでいくということが必要だと思いますけれども、そういうような共助の要請をされたのかどうか、あるいはされる、そういうおつもりがあるのかどうか、その点について質問したいと思います。
○筧政府委員 午前中申し上げましたように、一月に東京地検に名誉棄損の告発がなされておりまして、東京地検におきまして現在捜査をいたしておるところでございます。どういうふうに捜査をしておるかという内容につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。したがいまして、今後国際的な関係でどういう措置がとられるかということも、まだ具体的な事実関係が明らかになっておりませんので、断定はいたしかねます。 ただ、一般論として申し上げますならば、そういう国際捜査共助法に基づく要請も、将来必要が生ずればそういうことが行われるであろうというふうにお答えしたいと思います。
○野間委員 法務大臣、今質疑をしたわけだし、法務大臣も十分これらの経緯については御存じだろうと思いますけれども、本当に私どもは生存の有無についても心配しておりますし、いろいろな情報が入りますので、外国での出来事であるとするならば、実際に真相究明というのは非常に支障があるわけで大変だと思いますけれども、法務行政の適正な運用ということもおっしゃっておりますから、この件についてきちっとできるだけ早く真相究明ができるように、まず法務大臣の決意をお伺いしたいと思います。
○住国務大臣 実は私、まだ具体的な内容についてもちろん知っておりません。いま警察庁あるいは刑事局長から御答弁ございましたように、捜査中のことでございますので、それ以上のことを申し上げられないのでございますが、私はおっしゃるように適切な対処はしていただきたいと思うし、また、してくれるものだと期待をいたしております。
○野間委員 時間がありませんので、次に進みます。 アキノ氏の暗殺事件に関して、これは正式にフィリピン政府から捜査共助の要請があり、先日アグラバ委員長、真相究明委員会が日本に参りまして、ここでこの共助法による証拠の収集がなされたやに私は承知しておるわけでありますけれども、この事実の確認と、さらにもう一つは、新聞報道でもありますが、いわゆる声紋鑑定ですね、これが非常に重要なこの事件の真相究明のかぎを握っておる、こう私は思っておるわけであります。 そこでお聞きするわけでありますけれども、この声紋鑑定については、正式にフィリピン政府からの要請があって、これにこたえてもう済んだのかどうか、あるいはそうでないのか、この点についてはいかがでしょう。
○筧政府委員 アキノ氏の暗殺事件について、いわゆるアグラバ委員会の調査についての共助要請がございまして、現在その実施が行われているわけでございます。 また、その声紋鑑定でございますか、それについて捜査共助の要請があったかどうかというお尋ねでございますけれども、向こうからの要請の具体的内容については、その内容を明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。 ただ、一般論として申し上げますならば、鑑定であっても捜査の一つでございますから、要請があり、要件が整えばこれに応ずるということにはなろうかと思います。
○野間委員 記者会見して音響研究所の鈴木さんも言われておりますが、いわゆる向こうのタガログ語で「彼が来た」「撃て」こういうのが声紋鑑定で明らかにされ、しかもこれがフィリピンの政府軍の兵士、航空警備隊の連行責任者のカストロ少尉の声紋と同じだということが言われているんですね。ですから、これが実際に鑑定の結果、正式に証拠としてのるというならば大変大きな決め手になろうというように私は思います。 聞きますと、アグラバ委員会が来られたときに声紋鑑定を求める正式な口上書がなかったので、改めてそういう要請をしていただければそれにこたえるというような答弁をされたようでありますけれども、こういう重要な意味を持つ声紋鑑定についてフィリピン政府から正式な要請があれば、これは外務省を経由して法務大臣に措置をされるわけでありますけれども、ぜひこれに対する適正な日本政府の措置をされたいということを要求したいと思いますが、いかがでしょう。
○筧政府委員 先ほども申し上げましたように、外国政府から捜査共助法に基づく捜査の共助の依頼がありました場合に、要件が整い、法律に適合すればこれに応ずることになろうかと思います。
○野間委員 次に、サラ金に関する午前中の稲葉委員の質問に関連してさらにお尋ねしてみたいと思います。 これについては、直告事件で特捜が今捜査中ということのお話がありました。しかも公判請求を五千二百万やった後、捜査を継続しているのだというお話がありましたけれども、その意味は余罪の容疑があるからするわけで、これは今後もかなりかかる見込みなんでしょうか。いかがですか。
○筧政府委員 何分現在捜査継続中でございますので、その内容あるいはいつまでかかるというようなことにつきましても答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○野間委員 公判請求してまだ捜査継続中ということですが、これに関して私は捜査の中でちょっと問題というか、感ずる点があるのです。 この事件は業務上横領ですね。しかも東京都の庶民金融業協会の元総務課長にかかわる犯罪ですね。ところが、捜査は東京都の業界だけではなくて、兵庫とか宮崎とかさまざまな協会からも資料の任意提出を求めてやっておられるわけです。そうなりますと、この業務上横領だけでなくて、ほかにいろいろな犯罪事実と申しますか、容疑事実というものがあるやを前提にして今捜査を行っているのではないかと私は思うのです。そうでなかったら東京都以外の宮崎、兵庫の証拠の収集は私は必要ないと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○筧政府委員 繰り返しになりますが、どういう捜査方法をとって、今後どういう容疑で捜査をしていくかという内容につきましては差し控えさせていただきたいと思います。
○野間委員 答えなければやむを得ませんけれども、この点については、例えばこの金融業協会の役員が去年の通常国会で成立し、十一月から施行されたいわゆるサラ金二法に関連して政治資金を出したとか集めておるとか、そういう報道も幾つかありますし、これは協会の役員がそういうことを記者会見で発表されておるというわけですわ。したがって、こういうサラ金二法の成立に関連して例えば金の受け渡し、動きですね、涜職というようなことも頭に入れて、あるいは重大な関心を持ってこれを今やっておられるのかどうか。いかがでしょう。
○筧政府委員 捜査の内容につきましては、詳細は差し控えさせていただきたいと思います。
○野間委員 しかし、協会の役員がいろいろ言っておるわけでしょう、公然と記者会見で。だから、そういうものについては当然捜査当局、特捜は関心を持っておられると私は思うのですけれども、関心の度合いについてだけお答えください。
○筧政府委員 いかなる事実に関心を持っているということもやはり捜査の内容に関連いたしますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○野間委員 こういう点についてぜひ適正な厳正な捜査をして、ひとつ事の真相を明らかにしてほしいということを要望いたしまして、これ以上お答えにならぬようですから、次に質問を進めたいと思います。 さて、それでは中国の残留孤児の問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。 私も今来られております訪日調査をテレビで連日拝見しておりますけれども、本当にわずかな記憶をたどったり、あるいはたった一枚の赤茶けた写真を手がかりに一生懸命肉親を捜しておられる。私は、幼過ぎてなかなか記憶がないような人たちのテレビを通じての姿に接するたびに、胸の締めつけられるような思いをするわけであります。言葉や筆舌に尽くしがたい苦労を今までされてきたわけであります。そういう点を考えますと、中国に対する侵略戦争の罪は深いと改めて私は怒りを禁ずることができないわけであります。しかも戦後三十八年たって、孤児は四十歳、五十歳になられた。肉親も中国の養親についても非常に高齢化しておるということで、こういう方々の肉親捜しは緊急を要する問題ではなかろうか、私はこういうふうに思います。これについて、まず法務大臣の御所見を承りたいと思います。
○住国務大臣 私の所管外でございますけれども、野間委員のおっしゃる趣旨、十分理解することができます。
○野間委員 厚生省に同じような質問とあわせて、今こういう中国残留日本人孤児の方々に対しての調査状況はどうなっておるのか、ひとつお答えいただきたいと思います。
○森山説明員 中国残留孤児の方々でございますが、これは御本人から厚生省の方に肉親捜しをしてくれという御依頼の手紙が参るわけでございます。これが現在までに千五百二十五件ございます。このうち、これまでに身元が判明した方が七百七人、したがいまして、身元の判明しないまだ調査中という方が八百十八人おられるわけでございます。ただ、この八百十八人のうちには、現在代々木のセンターでやっておりますような孤児の方を日本に呼んで調査をやるという方で来られて、しかも肉親が判明しなかったという方が七十六名入っているわけでございます。それから、今申し上げた数は、現在やっておりますのは第五回目の訪日調査でございますが、この数は入っておりません。したがいまして、今回の五十名を入れますと、まだ約七百名くらいの方について調査する、あるいは日本にお呼びするということになるわけでございます。 実はこの調査と申しますのは、日中の国交が回復しました直後から始めまして、最初は御本人の手紙に書かれておりますいろいろな手がかりを参考にいたしまして、厚生省が保有しております開拓団関係の資料でございますとか、いろいろな資料と照合いたしまして該当者を見つけ出すという作業をやったわけでございますが、だんだんその判明率が悪くなりましたので、五十六年から孤児を日本にお呼びして直接調査をやる。これにはいわゆるマスコミの御協力を得ましていろいろな報道をしていただいて、肉親の方が出てきていただくということを期待しつつやっておるわけでございます。 それで、こういう調査を今後どういうふうにやるかということでございます。実は今年度も百八十名お呼びするということで予算は組んであったわけでございますが、いろいろな中国側との折衝の関係がございまして百十名になったわけでございます。ぜひ来年度は百八十名実現したいということで、ここ数年のうちに何とか調査を概了したい。またこの方法ばかりではなく、一つの方法といたしましては、あるいは厚生省の職員が中国を訪問しまして現地に参りまして、そういう孤児の方々のいろいろなビデオ撮りをやってまいりまして、それを全国的に流していただいて情報をいただくという方法も考えたいということで、こういう方法も中国側と御相談申し上げまして、許可が得られましたら実施したいということで、そういういろいろな手段を講じまして、何とか促進を図りたいというふうに考えておるわけでございます。
○野間委員 これは実際大変なんです。今のような訪日調査ですね、これを計画を見てみますと、一九八二年に定めたこの訪日計画、これは今お話がありました毎年百八十名、年間三回にわたって六十人ずつですね。これで計算どおりいったら一九八五年に終了する予定なんですけれども、しかし実際にどうかといいますと、八二年初年度が六十名ですね。八三年度が百五名、ことしは今五十名来られておるわけでありますけれども、こういう関係で調べてみましてもなかなか計画どおりいっていない。計画で八五年といいましても、いつまでかかるやわからぬ。そのうちに、肉親が高齢者ですから、その存否が気遣われますし、また、中国においても同じことが起こるわけです。しかも、訪日調査によってどれだけ判明したのかということを調べてみますと、二百十二名来られ、そのうちの百三十六名、こういう状況ですね。だから、こういう状態がいつまでもやはり続くということになりましたら、これはもう大変深刻になるということで、今のお話でも八百十八名、これは少し減っておりますけれども、これだけまだ残っておるわけですね。これはまた大変な問題であります。ですから、今一応計画の点については言われたし、あるいはビデオ撮り等々も言われましたけれども、初めの計画が狂うてなかなかうまくいかない。大変憂慮すべき事態にあるというように私は思うのですけれども、この点についてはイエスかノーかだけでも結構ですから、まず確認を求めたいと思います。
○森山説明員 確かに先生のおっしゃるとおりでございます。厚生省としては百八十人ペースで計画しておったわけでございますけれども、途中に中国側の方から、例えば孤児の方が日本に引き揚げられるというときに残される養父母の扶養の問題ですとか、そういう問題が提起されまして、そういう関係でちょっと訪日調査がストップした時期がございます。そういったこともあります。 それから、そういう問題につきまして昨年の一月に日中の事務レベルで協議をいたしまして、その扶養費の問題などの合意を見たわけでございますが、これを文書化するという作業がありまして、これがかなり時間がかかりました。最近ようやくまとまりかけておりまして、間もなくその合意が成立すると思います。それが成立しますと、今度の百八十人ペースが実現できるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○野間委員 それは余りにまた簡単にそんなことを今ここで言われますけれども、決してそうじゃないでしょうが。冒頭にも言われたのですけれども、深刻なんですよ。そこで私は、こういう事態を打開するために、これも午前中論議ありましたけれども、いわゆる中国におって、そして日本の家庭裁判所に対して就籍許可の申し立てをし、日本の代理人を通じてそういう審判を受ける。これは本当に、今まで一生懸命やっても親とか親戚がわからない、あるいは戸籍がわからないという人については非常に朗報だというふうに私は思うのです。これは今まで七件あったやに午前中の答弁でもありましたが、里帰りで来る場合には孤児証明があり日本に戸籍がなければ、これらの公費に乗ってこちらに来られないわけですから、向こうにおって、そして代理人を介してこういう就籍の許可の手続きができるということは、非常に私はいい制度だと思うのです。そしてゆっくり日本で日本人としての権利義務、社会生活をしながら親を捜すということが可能になろうと思います。恐らくこういう一つの方法として非常に歓迎すべきケースだろうと思いますけれども、その点についてひとつ厚生省の認識をお伺いしたいと思います。
○森山説明員 ただいま先生のおっしゃったケースでございますが、これも調査がおくれているということでそういう事態も出てくるわけでございます。孤児にとっては非常に朗報であるというふうに考えております。しかし、それはそういたしましても、肉親が判明したわけでもございませんので、肉親捜しは厚生省としては引き続いて実施したいというふうに考えております。
○野間委員 厚生省は精力的にやってもらわなければ困るわけですけれども、今いい方法だという評価がありました。こういうことになりますと、日本に帰って日本語の習得とかあるいは住宅、医療あるいは年金等々、これらに対してしかるべき対応ができるわけでありますし、実際に中国に長い間住まわれて言葉も十分でない、あるいは風俗、習慣も違う。ですから、日本に帰って親捜しができるわけですから、今のお話にもありますように、恐らくこれからこういうケースが非常にふえてくる。現に支援団体では、御案内だろうと思いますけれども、弁護士を代理人にしてこういう運動と申しますか、こういうようなことをこれからやろうということが言われておるわけであります。 そういう点を考えまして、厚生省として向こうで就籍の許可の審判を受ける、そして日本に帰ってくるという場合に、費用も含めてできるだけの配慮、対応、これを私はするべきであるというふうに思いますが、いかがでしょう。
○森山説明員 ただいまの費用と申しますのは、その方がこちらへお帰りになるということですか。
○野間委員 費用を含めて、金銭的なものを含めて、いろんな意味での対応をお聞きしたいわけです。
○森山説明員 それはもちろん就籍されているわけでございますから、当然引揚者としての援護を行うわけでございます。
○野間委員 裁判所にお聞きしたいのですけれども、私の予想は、これは誤りかどうかわかりませんけれども、大体東京都の家裁にかなり申し立て事件が来るのではないかと思います。そうなりましたら、その体制は一体どうするのか。受け付けてこれが全然審判が進まないということになりましたら、これはまた大変な問題が出るわけで、裁判官だけではなくて調査官あるいは書記官、事務官を含めて、こういう人たちに対する適切な対応、受け入れ体制ですね、こういうものを私は当然考えるべきだというふうに思います。そういうことが出てきてからということでは遅いわけで、十分な対応策をひとつぜひ検討してほしいと思いますが、いかがでしょう。
○猪瀬最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり、中国残留孤児の就籍許可の申し立て事件が今後ふえる可能性は考えられるところだと思っております。ただ、管轄裁判所は就籍しようとする地の家庭裁判所というふうに定められておりますので、中国残留孤児の場合には通常身元がわからず本籍が不明であるということでありますから、本籍を申立人が定めようとして任意に選択した地の家庭裁判所が管轄裁判所ということになるわけであります。したがって、それぞれが何らかの地縁を手がかりとしてこの就籍の地の選定をするということでありますと、特定の裁判所に集中的に事件が係属する可能性というのは必ずしもそれほど高くはないのではなかろうかというふうにも考えられるわけであります。現段階におきましてはどの程度の事件数が申し立てられるか、また、特定の裁判所に偏る可能性がどの程度あるか、その辺の見通しかつかない状況でございますので、まだ具体的な対応策を検討する段階にはございませんが、今後の事件の状況をよく見まして事件処理に支障のないように十分配慮していきたいと考えております。
○野間委員 最高裁判所、もうそれだけで結構です。 さて入管にお聞きするわけですが、いわゆる里帰り、一時帰国あるいは永住の意思で帰国する孤児の皆さんは、御案内のとおり孤児証明を持ち、しかも日本に戸籍がある、そういう人たちが対象で今までずっと帰ってきておるわけです。ところが、そういう人たちに対して、例えば厚生省の援護局の出しました「里帰りのみなさんへ」などを見ますと、「お帰りなさい。ご苦労さまでした。」なるほど」いいことがまくらに書いてあるのです。ところが「日本滞在中の手続き」のところで、六十日以上滞在する場合、これは今は九十日ですが、その以内にできるだけ早い時期に市区町村役場に外国人登録をしてください、これが援護局の渡しておるパンフレットです。これは言語道断だと私は思うのです。日本人である孤児、孤児証明を持ち、しかも日本に戸籍があるということが明確な人たちが日本に帰るときに、なぜこういうものを手渡して最寄りの所管の役場に外国人登録をしろというようなことを言うのか、私は全く解せないですね。これは恐らく法務省入管局の指導でこういうものをつくっておると私は思うのです。父または母が日本人の方々、そして特に私申し上げるのは、戸籍が日本で明らかな人たちが帰ってくるわけでしょう。これはまさに日本人なんです。これに対して外国人登録をしろというのは、帰ってくる人の感情からしても許せない、そう皆言われるし、私もそう思うのです。これが長い間中国で苦労してこられたいわゆる孤児に対する処遇かと言わざるを得ないと思うのです。 だから、むしろ逆に当然日本人として扱う。例えば、こういう外国人登録でなくて住民登録をすればそれでいいわけですから、そういうふうに指導するのが政府の責務だと私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
○田中(常)政府委員 お答えいたします。 今委員御指摘のケースは、中国残留孤児のうち日本に来るときに中国旅券を持っている、しかし日本にも戸籍があるというケースだと了解いたします。 このケースでございますけれども、出生当時の日本国籍がありましても、現在中国籍にある者として中国が旅券を発給して、そしてその旅券で日本へ帰ってきたのでございます。そういたしますと、その間何らかの理由で日本の国籍を消失したものと考えられるわけでございますけれども、入管といたしましては、出入国管理の基本文書である旅券を中心に考えまして事務処理をしているわけでございます。それで、成田の空港から入ってきて、私は日本人であると言う方には、とにかく市町村役場に行ってそのことを相談してみてください、そして百五十日間の猶予期間を差し上げましょう。御存じのように、外国人登録法ではまず九十日以内に登録しなければならないわけでございますが、プラス六十日、合わせて百五十日、その間に本人が日本人であることを疎明する資料を出させまして確認してもらう。どうしても百五十日の間に確認できなかったら、まことにいたし方がないのでございますけれども、本人の居住証明もできませんから外国人登録をしていただく、そういうことになっております。
○野間委員 ですから、それは私は発想が逆転しておると言わざるを得ないと思うのです。繰り返しになりますけれども、日本に戸籍が明らかな人が対象でしょう。そういう方々が里帰りの制度で来るわけですよ、戻ってくるわけですわ。当然日本人ですよ。それに対して外国人登録をしろ、これは何事かと言わざるを得ない。これは当然の話ですよ。しかも、この援護局が出している文書を見ましても、六十日以上滞在する場合には外国人登録しなさい、こういう指導をしているわけです。これは非常に早い時期にやっているわけですね、実際の指導では。私は、逆にこういう人たちが来る場合には、当然日本人として帰ってくるわけですから、もし万が一中国に自分の意思で国籍を持っておる者は別として、どうぞごゆっくり滞在しなさいというのが日本政府の当然の責務だと、発想を逆転させてそういう扱いをしていただきたい、これは要請なんです。いかがでしょう。
○田中(常)政府委員 委員の御意見でございますけれども、今ここに入ってきた方が中国のパスポートを持っているわけでございます。どういう理由で中国のパスポートが発給されたかはわからないのでございますけれども、中国ではこれを中国人と認めて中国のパスポートを出したわけでございます。そういたしますと、やはり我々としましてはここに戸籍がある、何十年前に出生じた戸籍が残っているといいましても、じゃ戸籍が残っているならぜひその国籍が日本であるのかないのか、至急確認していただきたい。現時点ではとりあえずその中国政府発行のパスポートというものを基本として考えなければならない、そういうことでございます。
○野間委員 しかし孤児証明の証明力、これは高く評価しておられると思いますし、私もそうだと思います。非常に苦労されて日本人の孤児であるということが証明されておるわけでしょう。しかも日本には明確に戸籍があるわけですからね、そうでしょう。だから万が一、例外的には自分の志望によって中国国籍を取得するという人たちも中にはあるかもわからない。しかしそれはごく一部で、日本で住民登録をさせて、外登でなくて、万が一そういうような例外があれば、それは住民登録を抹消すればいいわけで、やはり発想は逆転しなければならぬ、これが私は日本政府のこういう人たちに対する適正な処遇だと言わざるを得ないのです。そういうような発想でやっておるから、今申し上げたようにこういうのがどんどん出されて、しかも期限内に早く外人登録しろというような指導になるわけですね。法務大臣、ぜひこういう点について十分法律的にもあるいは行政としても検討していただきたいと思いますけれども、いかがでしょう。ひとつ勉強してくださいな、法務大臣、この点について。
○田中(常)政府委員 今厚生省が作成した資料の中のできるだけ早く登録しろというのは、何も早く行ってすぐ登録しろという意味だとは決して解していないわけでございまして、これは早く役場に行って関係の資料を出せという意味だと私は考えております。それで役場へ行ったら中国籍を取得した事由とかその時期を疎明する資料を出すなり、それから中国籍を取得した経緯についてのいろいろ申し立て書を出していただきまして、そういうものをそろえて、戸籍があると同時に国籍もあるんだということを早く確認していただきたいと思うのでございます。やむを得ない手段としまして、その間——その間というのは九十足す六十で百五十日でございますけれども、その間においてどうしても日本の国籍があるということが確認できなかった場合においては、外国人登録をしていただく以外に方法はないのではないかと考えております。
○野間委員 法務大臣、ちょっとお聞きいただきたいのですが、坂本ミツ子さん、この人は昭和十三年一月六日生まれで、いわゆる中国残留の日本人孤児なんですが、五十四年十二月に厚生省に対して調査依頼をされた。これは、七歳のときに家族と別れた、坂本ミツ子というのが自分の名前だということは覚えておる。厚生省が調べたところ、戦時死亡者の名簿で見つかったわけですね。そして五十五年二月に、山口県に留守家族、お母さんの坂本むつ子さんがおることが確認された。そこで、五十五年三月に戦時死亡宣告の取り消しをされて、戸籍はもちろん復活したわけですね。五十五年十二月二十五日には、長男の黄布和を連れて一時帰国したわけです。ところが、五十六年二月二日に外国人登録を要求されて、したわけですね。ですから、戦時死亡宣告の取り消しをして戸籍が復活した。ところが、十二月に帰ってきて、一カ月少しで外国人登録をさせられた。そしてその後外国人のまま日本で生活されて、不幸にして五十八年、去年の十一月に自殺されたというケースなんです。 これとて、もし外国人登録がなされずに住民登録さえしておればれっきとした日本人としての取り扱いを受けておりますし、今、不幸にも子供さんは中国籍のままで日本のある施設に預けられておる。もしこのお母さんが日本人として日本で生活できておったとするならば、この子供さんの帰化も容易にできた話なんですね。 これは一つの例ですけれども、これが政府の処遇かといいますと、私は本当に腹が立ってくるのです。ですから、くどいようですけれども、こういうケースはこれ一つではなくて、いろいろ聞きましたら、あちこちで外国人登録をしろということをやられるというわけですね。そういう制度上の問題も含めて、あるいはこういう文書の中でも登録をしろ、これはいいのかどうか、適切かどうかということも含めて、厚生省と法務省で一遍十分検討して、そしてしかるべく善処をしていただきたい、こういうように私は要求したいのですけれども、法務大臣のそれについての所見を伺って、質問を終わりたいと思います。
○田中(常)政府委員 委員が御指摘の方のケースでございますけれども、関係市役所からその孤児について我々には報告がございませんもので、事情をつまびらかにしておりませんが、戸籍があったんだけれどもどうして国籍が設定されなかったか、その辺の事情は私にはわかりません。しかし、委員からいろいろ御意見を伺いましたけれども、やはり戸籍があっただけでは国籍というのは定まらないのじゃないかと思います。さらにそれに何らかのものが付加されない限り国籍が設定されない。そして、その残留孤児の方は、中国政府が正式に発行したパスポートを持っている以上、日本人であると日本国籍が判明するまでは、やはり外国人として取り扱わざるを得ないと考えている次第でございます。
○野間委員 もう時間が参りましたので、やめます。しかし、少なくとも孤児証明を持って、しかも形式的には中国の国籍はあっても、それは二重国籍だってあり得るわけで、これは日本の方は決して否定はしてないわけでしょう。戸籍がありながらどうして国籍が認められなかったかわからぬ、こうおっしゃるけれども、こういうケースは幾つもあるわけですよ。 法務大臣、本当に一遍いろいろ事情を聞いていただいて、研究していただきたいと思いますが、いかがですか。
○住国務大臣 私は二重国籍の場合もあるのだろうと思うのですね。中国から出国に当たって、中国の立場で査証が出て、日本へやってきておる、そういうようなことでございますから、日本ではそれを受けて所定の手続を進めておるのだろうと思うのでございますが、何せ私は実情がよくわからぬものですから、厚生省の意見も聞いていかなければいかぬ点もあると思いますので、今にわかにどうだこうだということをここで申し上げられない、しかしせっかくでございますから、その点はどういうことになっておるのか調べて、やっていきたいと思っております。
○野間委員 終わります。
○宮崎委員長 林百郎君。
○林(百)委員 法務大臣にお尋ねしますが、法務大臣の所信表明の中で基本的人権を守り、法秩序を維持するために全力を尽くすとおっしゃっておるわけなんです。 それで、昨年の暮れの総選挙の結果自民党が三十五議席を失ったということは、要するに田中問題に対する、ああいう一国の総理大臣が外国の企業からわいろをもらって、それに対して依然として与党の中で大派閥をつくって政府に陰の支配力を持っているというところ、これに対する主権者である国民の厳しい批判があったと私は思うのですよ。だからこそ中曽根総理も、田中元総理の政治的影響を排除する、こういうように言っているわけなんです。ところが、あなたの前の法務大臣の秦野君は、その点についてどうもはっきりした態度が見られないわけですね。部下である検察官が公判を維持させるために全力を尽くしているのに、何か水をかけるようなことを言っている。 そこで私はあなたにお聞きしますが、少なくともロッキード事件について指揮権を発動するようなことは、あなたは念頭にないでしょうね、具体的にロッキード事件で聞きます。
○住国務大臣 具体的なお話でございますけれども、現にロッキード事件は控訴審に係属中でございますから、制度面のいろいろな議論は別として、指揮権がどうだこうだということは私は考えておりません。
○林(百)委員 それから、前の法務大臣は世論について、マスコミが厳しい批判をするとか、あるいは国会で、ここで質問をするというようなことは、このばか騒ぎは人権じゅうりんも甚だしい、マスコミその他によるリンチだ、こういうことを言っている。この問題に対する当然の国民の批判、そして主権者である国民を代表する我々国会議員がここで質問する、またマスコミもそういう世論に基づいて記事を書く、これをばか騒ぎと言い、リンチと言っているのですが、あなたはそういう考えをお持ちですか。
○住国務大臣 一般的にいろいろなある事件等について、マスコミと申しますか個人のプライバシーを侵害するような極端な報道がある、こういうことも言われておりますけれども、私はそういう点は必ずしも妥当だということは一般的には言えない点もあるのじゃないか、こういうように考えております。
○林(百)委員 私は一般的なことを聞いているのじゃないのですよ。田中問題について、一国の元総理大臣が、当時は総理大臣ですけれども、外国からわいろをもらって一審で四年の有期懲役を受けている、そういうことに対して国民も大きな怒りを持っている。そういうことをマスコミが書くことがばか騒ぎであり、リンチになるのですか。マスコミはそういうことを書いてはいけないのですか。具体的にロッキード事件で私は聞いているのですよ。こういうことを言うなら、権力のある者に対してマスコミは筆を折らなければいけないことになるのじゃないですか。少なくともああいう事件についてマスコミがああいうことを書くということが秦野君の言うようなばか騒ぎであり、リンチであると言えますか。
○住国務大臣 具体的に私の前任の秦野大臣のことをとらえておまえはどう思うか、こういうことでお聞きいただくと、これはもう私としては答える限りではない、こういうように思っております。(稲葉(誠)委員「ぎらぎらしておるな」と呼ぶ)
○林(百)委員 稲葉さんもぎらぎらする前の法務大臣というような言葉を使いましたが、常識からいってマスコミが書くことがリンチだというような考え方を法務大臣が持っていたら、これはあなた、法秩序を維持するなんて所信表明で言ったって、それは信用できませんよ。 そこで、そうおっしゃるなら私はあなたにもう一つお聞きしますけれども、あなたは、参議院の決算委員会で質問があったが、大臣の資産公開のときに、二十四日に公開をするというその直前にあなたの高級マンション、新聞で見ると高級マンション、私は見たことはないから高級か何だかわからないけれども、どうして奥さんの名前に書きかえるのですか。そういうところからあなたの法秩序に対する意識に疑問を持たざるを得ないから私はさっきの質問をしたわけですが、あれはどういうわけですか。
○住国務大臣 それと法秩序と絡めてお聞きいただくと大変あれなんでございますが、実は名義を変えたというのはまだ選挙中のことでございまして、これは個人のことになるのでございますが事情ございまして、マンションというのですか、その処分のことも実は考えておったわけなんです。処分というのは女房にどうするこうするという意味じゃないですよ。それは去年の十二月の段階でございまして、そういうことを考えておったのですが、そしてそれをしたわけでございますけれども、これまた登記がしてないじゃないかとかなんとかということになるとかえって疑惑を招くのじゃないか、こういうようなことも考えまして、その二十日の日でございましたですかその登記を、これも雪が降っておって印鑑証明取れるとか取れないとかというようなこともございまして、そういう日に重なってしまった。そういうことで、これは私のミスでございますけれども、きちっとしておいた方がいいのじゃないかと思ったことがかえってそういうことになってしまった。弁解するつもりはございませんけれども、いきさつを言ってみればそういうことになるわけでございます。
○林(百)委員 どういう事情があったか知りませんけれども、しかし名義を書きかえたのは一月二十日ですからね。(住国務大臣「いや、名義じゃない、登記した」と呼ぶ)登記の名義を奥さんに変えたのは一月二十日でしょう。(住国務大臣「登記はね」と呼ぶ)登記はね。だから、あなたが選挙中どう頭で考えていようと、国民はあなたが資産を奥さんの名義に移したのは登記簿上で見るより仕方がないのじゃないですか、対抗要件は登記簿にしかないのですからね。だから弁解だと思うのです。公開するのは一月二十四日ですからね、その四日前ですから。だから、国民が大きな疑惑を持つのは当然でしょう。あなたはこれはもともと妻のもので、選挙中も妻の名義に変えようと思っていたと言うけれども、登記は一月二十日にされているのですからね。だから、そういう点をひとつあなたも、法秩序を守るということは、そういう不正問題なども公正に取り扱うべきことは取り扱わなければならないし、あなたの部下の検察官はそのために全力を尽くすと思うのですよ。その最高の責任者であるあなたがこういうことをやったのではお手本にならないと思うのですよ。 だれもあなたに言う人はないだろうから、私がかわって言うのですからね。よく部下の気持ちも察して厳正な態度をとってもらいたい、こう思うわけですよ。わかりましたか。それではこれはこのくらいにしておきます。 その次に、三井三池の問題についてですけれども、これも死者が八十三名出て、それから一酸化炭素中毒で意識がもうろうとしている者が今もって十六名も出ているということなんですけれども、これは今どういう扱いになっていますか。捜査を開始していると言っていますが、どういう被疑事実で、どこの責任で、どこが捜査をやっていることになるのてすか。
○三上説明員 三井三池有明炭鉱の火災事故に関しましては、福岡県警察におきまして一月二十日に大牟田署に特別捜査本部を設置いたしまして、会社関係者及び抗内作業員の事情聴取、それから現場検証によります出火場所、出火原因の究明あるいは保安施設の設置管理、作動状況等を現在捜査いたしておるところであります。検証の終了を待って出火原因等の鑑定嘱託を行いまして、事故原因の究明と刑事責任の有無の解明に努めてまいりたいと思っております。
○林(百)委員 新聞で見ると、過失致死罪で捜査をしているというようなこと、これは新聞で書いてありますので、警察庁の責任ある意思表示じゃありませんけれども、しかしその後を見ますと、生産の再開後三週間で九件も抗内の変電所でスパークが起きている。この事故の調査をしてみますと、坑内に十二カ所設けられている救急センターが役に立たなかった。それから、COマスクも全く役に立たなくて、新聞で見るところによると百度近くに熱くなってしまってCOマスクをつけていることができなかった。それから、発火地点には二名要員を置かなければならないのを置いていないということになりますと、これは単なる過失でなくて、未必の故意が考えられるのじゃないか。だから、その責任の重大さを考慮して、未必の故意の場合も含めて捜査をすべきものであるというように我々は考えますけれども、こういうことも含めて、まだ捜査の結果は過失であろうか何であろうか出ていないと思いますが、捜査の結果について考慮されますかどうですか。
○三上説明員 一月二十日に三井石炭鉱業の三池鉱業所事務所等業務上過失保致死傷罪の容疑で捜索をいたしておりますが、現在坑内の保安の状況その他を含めまして検証その他の捜査をいたしておるところでございますので、そういった結果を待ちまして責任の所在を明らかにいたしたいと考えております。
○林(百)委員 そうすると、必ずしも過失致死ということで今は認定を固定しているのではなくて、捜査の結果を総合していろいろの刑事責任について考慮する、私の言う未必の故意も含めて考慮する、そう聞いておいていいですか。捜査はもう過失致死ということで方針を決めて、それに基づいて捜査しているということなんですか。
○三上説明員 捜査につきましては、ただいま申し上げましたように業務上過失致死傷罪ということで捜索をいたしております。その事件をどういう形で捜査していくかということは、その捜査の結果を待ちまして判断すべきものだというふうに考えております。
○林(百)委員 それでは捜査の結果を待って結論を出すということだと思います。 次に、最近結論が出る再審問題がございますので、まずお聞きします。 この点はもう既に免田事件のとき大分この委員会でも論議されましたが、三月十二日には財田川の再審について高松地裁で判決が出るわけですが、無罪判決が出た場合は、身柄については免田事件の事例も考慮して処置をなさるかどうか、これは刑事局長ですね。
○筧政府委員 御指摘のように、三月十二日に財田川事件の判決が予定されております。その判決がどういう判決になりますか、その判決を見てみなければわかりませんので、身柄の処置もその判決の内容等を検討いたしまして、その時点で検討するということになろうかと思います。
○林(百)委員 結論を早く言うわけにはいきませんが、常識からいって、大体、再審の決定が出て、再審の事実審理を済ませて判決ですから、無罪だということがパーセントにすれば非常に強いと思うのですね。私たちから考えれば無罪の判決が出ると思いますが、仮にそういう場合に、身柄についてはこの前の免田事件、四百四十二条というちょっと無理な解釈ですが、これに基づいて身柄を釈放しましたが、仮に無罪の判決が出た場合には、免田事件での身柄の釈放についても参考にはされますか。
○筧政府委員 まさしく三月十二日の判決を見てみなければわかりませんで、林委員の方は無罪であるとおっしゃっておりますが、現地でずっと公判審理に立ち会いました検察官は有罪を確信していると聞いております。また、その場合どういう判決が出ますか、その内容にもよるわけでございますので、免田事件の例がそのまま同じことになるというわけにもまいらないかと思います。免田事件の取り扱いについては、免田事件の経過、内容等によってケース・バイ・ケースで判断したわけでございます。今回も、判決の、有罪、無罪はもちろんでございますが、内容を見た上でそれに適した措置をとりたいというふうに考えております。
○林(百)委員 それでは、それはあなたの方で検察官がそういう無理な——私から考えれば無理だと思うのですよ。三十年もたって再審の決定が出て、再審の事実審理をして三月十二日に判決があるというのに、検察官はまだ有罪だなんて考えているということは、ちょっと法律的な常識からいったら非常識だと思うのですよ。だから、仮に無罪の判決が出た場合にはこうしますということの方が現実に合っていると思いますよ。しかし、あなたはいろいろの場合を考慮するということだから、免田事件の事例も一つの参考にはするというように私は解釈しておきます。 もう一つは徳島のラジオ商事件なんですけれども、これも二十八年に事件が発生して五十五年十二月十三日に再審の決定が出て、もう既に三十年近くたっているわけなんです。その再審の事実審理を見ますと、検察官がさんざん調べた、事実審理で調べ、それから再審の決定を出すまでに調べた、そういう検察側も弁護人側ももう明らかにわかり切っている調書や証拠をまた一審と同じように出して、そして冒頭陳述をし、その書類の朗読を始めている。想像もつかないような書類を一々検察官に朗読させている。これは裁判所の裁判官の訴訟指揮にも関係しておると思いますが、そういうことはもう少し省略して早く判決を出してやるという考慮を、検察官の方も協力すべきだと思いますが、どうなんですか。もう本人は亡くなってしまっているのですよね。それで新しい証拠が仮に出たとしても、もう本人は争うこともできないような状態になっているのですよ。そういう場合にまた事実審理の初めと同じように記録の朗読から始めているということについては、これはもう訴訟の経済上、省略してもいいと思いますが、この点はどうですか。
○筧政府委員 御指摘のラジオ商殺し事件でございますが、現に裁判が係属中の事件でございますので、その内容については差し控えさせていただきたいと思います。 ただ、一般論として申し上げまして、検察官としても、再審する古い事件でございますし、そのできるだけ早い終結といいますか結果ということについては努力をいたしておると思いますし、また、特に先生のおっしゃる死後再審といいますか、本来の請求人はもう亡くなっておられるわけでございます。そういうことも考慮して、公益の代表者として審理の促進といいますか早期裁判に努力しているものと考えております。
○林(百)委員 それから松山事件については、再審の決定が出ただけで、まだ再審の一審の判決は出ていないのですが、考えてみますと、再審の決定が出て一面では被告の立場に立ちますわね。死刑の判決が確定していますけれども、一面では被告の立場に立ちますね。そうして被告を勾留するには刑訴法六十条で、犯罪を犯したことを疑うに足る相当の理由がまず前提になければならないわけですね。ところが、再審の決定によって無罪を推定すべき明らかな証拠が出されているという場合は、被告の立場に立つならば再審の決定が出た段階で身柄は保釈さるべきじゃないか、そういう理論が私は成り立つと思いますが、どうお考えですか。 〔委員長退席、亀井委員長代理着席〕
○筧政府委員 松山事件は、再審開始決定がなされまして、現在審理が続けられておると承知しております。御指摘の身柄の関係でございますけれども、再審開始決定があって再審が行われるといたしましても、やはり死刑という確定判決が現存しておるわけでございます。したがいまして、再審の公判では被告人という立場に立ちますけれども、同時に、現に存在しております死刑の確定判決の死刑囚といいますか、そういう立場は続いておるわけでございます。したがいまして、刑法十一条によりまして監獄内に拘置するという拘留状態といいますか、身柄の拘束状態が続いておるわけでございます。 また、再審開始決定の意味でございますけれども、明らかに無罪が推定されるという林委員のお言葉でございますが、やはり条文その他を見ましても、確定判決の事実認定を覆すに足りる蓋然性のある証拠という、いわば明らかな証拠の解釈でございますが、そういうことで、その程度の蓋然性がある場合に再審開始決定があるわけでございます。したがいまして、その時点でもう無罪だから身柄拘束の必要はないのだという論には直ちにはいかない。その場合にもやはり死刑の確定判決を受けているという身分があるわけでございますから、当然に身柄釈放されるべきものというふうにはちょっと理解しがたいと考えております。
○林(百)委員 あなたがおっしゃるように、一方では死刑の判決が確定しておる、これはこの委員会で幾度か論議していますけれども、しかし一方では、再審の事実審理が始まれば被告の身分になるわけでしょう。そして、被告人としてのこの刑事訴訟法の当事者主義によっていろいろの利益というか、立場を保護していますね。それじゃそういう条文の適用はないのですか。死刑の判決が確定しているという側面だけでそれが拘束されるわけですか。新たに再審の決定によって被告人という身分を取得した、そして被告人の立場に立った。被告人の立場に立ては、その面では当事者主義になって検察官と対等の立場になる、証拠方法も十分講じなければならない。そういう刑事訴訟法における当事者主義による被告人の保護の規定、これはどうなるのですか。 〔亀井委員長代理退席、委員長着席〕
○筧政府委員 確かに先生御指摘のように、被告人という立場を取得するということは間違いございませんが、それと同時に、繰り返しになりますが、あくまで現存する死刑の確定判決を受けたものとして刑法十一条によって拘置されておるという身柄の拘束状態はそれによって影響されることはないと思います。
○林(百)委員 そこのところがいつもここで論争の的になるのですが、それでは再審の決定を得た利益というものは何もないじゃないですか。もう三十年も拘置されているのですよ。人生は刑務所の中でもう全部過ごしてしまっている。しかも、それがもし仮に無罪となれば、何のために一体その人はこの世の中に生まれてきたかわからない。無罪を晴らすために三十年も刑務所の中で、しかも死刑という、いつ首を絞められるかわからないという恐怖に脅かされているわけですよ。それが再審の決定があって被告人の立場に立った場合にその被告人の立場を擁護してやるということは、これは人道上からいっても当然のことじゃないでしょうかね。そこのところを検察庁としては十分考慮されたいということを私は求めるわけですが、それじゃ研究されますか。 そうでないと人道上から——徳島のラジオ商事件なんというのは、本人はもう死んでしまっているのですよ。せっかくの無罪の判決が——私は出ると思いますよ。ところが、その本人はもう——長い、三十何年も刑務所の中にいつ死刑になるかわからないということで脅かされて、恐らく皆さん想像つかないと思うのですよ。いつ首が絞められるかわからぬ、同じ房にいる人が二十何人も死刑になっている、それを耐え忍んできた、その人が再審の決定を受けたにもかかわらず、依然として死刑の判決が確定しているからおまえはこの中にいろ、そのうち死んでしまったということは、これはやはり考えてみなければならないし、場合によっては刑事訴訟法のその点の改正もしてやらなければならないかと思いますが、今後検討なさいますか。この点で論争してもどうにも一致できませんけれどもね。
○筧政府委員 私、先ほど申し上げた点はそのとおり維持いたしたいと思いますが、なお再審制度その他の問題、確かに再審制度全般につきまして不備な点もあろうかと思いますので、再審制度全般についての検討を今後進めてまいりたいと思います。
○林(百)委員 結構です。どうぞ、ひとつ民主的に検討していただきたいと思うわけです。 それから、最後に、最近軽犯罪法のビラを張るということだけで民主的な諸団体、ましてや共産党などは限りない……(「民主的という言葉を乱用し過ぎる」と呼ぶ者あり)まあ、政党は政党でいいのですけれども、そういう政治活動だとか、それから民主的な諸団体、例えば民商というのは名前からしても民主商工会というのですから、私どもは民主主義と言っているのですけれども、こういう諸団体に対してビラを一枚張ったというだけで警察が何十名も出動してそうしていろいろのものを押収していくというような事例があるわけです。 例えば最近起きました、二月六日の目黒の民商のときには、民商の二人の人が立て看板をしたということで警官が二十人もその事務所へ行って押収、捜査をしているということなのですね。それで、念のために写真をお見せしておきますが、立て看板については高等裁判所の判例があるわけなのです。判例の要旨だけ読んでみますと——それじゃ判例は後で私申し上げますけれども、写真だけお見せします。こういう立て看板をしているのです。これが普通の張り紙で、こうなっている。ちょっと、刑事局長。そういうことだけで、本人はもうだれだかわかっているのに、その事務所へ行って二十人もの者が捜査をしている。そういうようなことは軽犯罪法の規定しておるみだりに張り紙をしたということにも該当しないし、それから「この法律の適用にあたっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。」というのに明らかに該当していると思うのです。 それから、今判例が出てまいりましたが、昭和五十六年八月五日の判例ですが、こういうのがあるのですね。「殊に、立看板とはり札とは本来別個のものであり、立看板を立てかける行為自体は処罰されないのである」こういう判例が高等裁判所で出ているわけです。それが、今刑事局長にお見せしたようなそういうものがあるからといって二十名もの警察官が民商の事務所へ行って捜査をして、大したものでないようなものを押収していく。だれだということがちゃんとわかっているのに、何で事務所にまで行って、そういう大げさな、二十名もの警察官まで立ち会って捜査をする必要があるか。 それからまた、これは昨年の十一月二十三日ですが、八王子の京王高尾山口駅付近に、これは当時の国会議員である共産党の岩佐恵美さんが演説会をやるからということでポスターを張ったわけです。その演説会は「今、食卓が危ない 食品添加物の外国からの 押しつけに反対して 消費者と共に行動しています くらしと健康を守る草の根運動を 八王子駅北口街頭演説会」こうやって岩佐さんが、これは現国会議員が街頭演説をするというビラを張ったということだけで約四十人の警察官が共産党の事務所四カ所に行って捜査をしている。こういう現議員の街頭演説のポスターを一枚張ったということだけで何で共産党の事務所の四カ所へも警察官を動員してやらなければならないのですか。その辺、これは警察ですか。
○古山説明員 まず、民主商工会の立て看板とか日本共産党のそういったものをねらい撃ちにやっているのじゃないかというようなことで軽犯罪法の第四条の趣旨に反するのじゃないか、こういうことについてお答えいたしたいと思いますけれども、警察は違法行為の取り締まりに当たりましては不偏不党、厳正公平な立場で臨んでおりまして、御指摘のようなねらい撃ちというようなことは行っていないわけでございまして、軽犯罪法第一条三十三号、張り礼等の関係の適用に関しましては、警察官が違法な張り礼行為を認めた場合には、直ちにやめるように警告制止をいたしまして、あるいは撤去させ、違反を繰り返さないように指導いたしまして、そして、これに従わずに違反行為を続行したり罪証隠滅、逃走を企てるなど悪質と認められるものについては検挙するなど、個々の事案の内容に応じた措置をもって臨んでいるところでございます。したがいまして、特別な対象をねらって取り締まりをしたり、あるいは軽犯罪法の本来の目的以外の目的で軽犯罪法を適用するようなことはやっていないのでございます。 それから、本年、目黒区の民商の関係でございますけれども、私どもの方では二月五日と聞いております。 本年二月五日の午後十時四十五分ごろ目黒区の中根二丁目の十三番地先を警ら中の外勤警察官が同所十四号先の道路に設置された東京電力の電柱に、目黒民主商工会主催の税金相談会に関する立て看板、これは縦一メートル七十七センチ、横三十八・五センチのものでございまして、の一枚を針金で巻きつけて結着した男性二名を認めました。同警察官は二人の男性の行為を軽犯罪法第一条三十三号前段違反と認めまして、付近にとめてあった車両に乗り込もうとした二人に対しまして職務質問を行いまして、電柱に掲出するについて電柱管理者から承諾を得たかどうかということ、また、二人の住所氏名等を質問いたしましたところ、両名とも、そんなものは知らない、そんなことは言う必要がない等々返答を拒否いたしまして車両で立ち去ろうとしたということでございましたので、応援に駆けつけた警察官二名の協力を得まして、同日午後十一時十分同所におきまして両名を軽犯罪法違反の現行犯人として逮捕したわけであります。 警察の取り調べに対しまして、二人のうち一人は完全黙秘を続けておりましたが、その後の捜査の結果から組織的な犯行であるということ、それからさらに、別に車を運転しておった一人の共犯者が逃走しているというようなことが判明いたしましたので、本件の組織性、共犯者を明らかにし、また、軽犯罪法第二条「刑の免除・併科」の規定による情状資料を得るために、犯行の動機、計画性あるいは背後関係を明らかにする必要が認められましたので、裁判官の発した捜索差し押さえ許可状に基づいて捜索差し押さえを実施したものでございます。 捜索差し押さえ実施場所は事務所、自宅等三カ所でございますけれども、本件が組織性の認められる事犯であり、逮捕の現場に約十名、警察署前に約三十名が集まって抗議するなどの状況から、捜索差し押さえの現場で混乱を生じさせないよう、また、できるだけ短時間の間に終了できるよう勘案いたしまして、実施場所に応じた警察官の数をもって実施したものでございます。 それから、五十六年の八月五日に東京高裁の判決で、張り札に当たらないじゃないかというような、そういう判決も出ているというお話でございますけれども、御指摘の東京高裁の判決は、みだりに他人の工作物に立て看板を取りつける行為のすべてを軽犯罪法第一条の第三十三号前段の違反に当たらないと言っているものではございませんで、工作物への付着の態様、程度によっては張り札をしたとは言えない場合があるとしているものでございまして、警察といたしましては、張り札をしたと認められるものにつきましては、直ちにやめるように警告制止し、あるいは撤去させ、違反を繰り返さないよう指導して、これに従わないということで違反を続行したり、あるいは罪証隠滅、逃走を企てるなど悪質と認められるものについては検挙するなど、事案の内容に応じた措置をもって臨んでいるところでございます。 それから……(林(百)委員「いいよ、そのぐらいで」と呼ぶ)
○宮崎委員長 今答弁中でございますから、ちょっと……。
○古山説明員 もう一つ、八王子支部の関係についてのあれがございましたので申し上げますけれども、御指摘の事案は、五十八年の十一月二十三日に警視庁の八王子警察署が検挙した軽犯罪法第一条三十三号前段違反事件の捜索差し押さえに対する準抗告審のことと思われるわけでございます。 本件は、被疑者が警察の取り調べに対して答えなかったということでございましたので、被疑者の人定事項や犯罪の動機を明らかにする必要があったわけでございまして、また、捜査の状況から事案の計画性、組織性を明らかにする必要があったことから、裁判官の発した捜索差し押さえ許可状に基づいて実施したものでございます。 差し押さえたものは、捜索差し押さえ許可状で許可された差し押さえられるべきものの範囲内で捜査官が証拠物であると判断して差し押さえた、そういうものでございます。
○林(百)委員 八王子の事件は、その後準抗告で、押収したものをみんな返しているじゃないですか。あなた、知っていますか。本人は不起訴ですよ。それなのに、あなたの方が押収していったものは、運転免許証でちゃんと身柄がわかっている——あなた、名前を言わなかったというのは、黙秘権があるから当然じゃないですか。そんなことは警察にべらべらしゃべらなくていいでしょう。運転免許証やノートを持っているのだから、それでわかるじゃないですか。しかも軽犯罪法というのは、人の前でたんを吐くとか小便をするとか、あるいは大きな声を出すとか、そういうことですよ。何も民商や共産党の——共産党の事務所なんていうのは、共産党八王子地区委員会、赤旗浅川出張所、赤旗元八王子出張所、それから本人二人の自宅を捜査しているのですよ。それから写真に撮ったものは、赤旗読者名簿、その領収書、電話帳、それをみんな写真に撮っているのですね。そしてその場にあった私物、ノートなどを書き写している、こういうことですよ。 それから民商の事件は、二月三日に保谷民商、二月五日に目黒民商、六日に旭川民商、二月七日に川崎高津宮前民商、それから二月十一日に東京北区民商、もう二月に至って五つやっていますよ。これが組織的な弾圧と言わなんで何ですか。 しかも、軽犯罪法についての判例を見ますと、「本件ビラ貼りの事実を総合して判断すれば、本件ビラ貼りの目的は政治の軍国化の阻止であり、国家及び国民の平和と自由と生命財産の擁護であり、いうまでもなく憲法の保障する表現の自由の権利を行使したものと認められる。これに対し本件ビラ貼りによって生じた公私の法益の侵害度は極めて小さい。」「法益の比較から見て、被告人等の本件ビラ賭り行為は社会上の通念として是認せらるべきものと判断されるのであり、従ってまた、軽犯罪法一条三三号に規定する「みだりに」という構成要件にも該当しないものと認むべきものである。」これは昭和四十二年三月三十一日の大森簡易裁判所の判断です。 これは高裁へ行って若干それが修正されましたけれども、しかし本人は刑を免除されているわけですね。そんなことは明らかなんですよ、あなた。人の前でたんを吐いたのを処罰するとか、社会的な道徳を、社会的なマナーを取り締まる程度のものを、共産党の事務所へ行って、そうして赤旗の読者名簿から、その領収書から、それから電話帳から、みんな写真に撮って持っていくなんていうことは、これはとんでもない話ですよ。これが民主的な組織の弾圧と言わずして何ですか。 それで民商のこれだって、何で立て看板で——立て看板については条件があるでしょう。その条件にこれが反しているのですか。どこが反しているというのですか。これとこれと見て、張り紙と立て看板とは全然違うじゃないですか。立て看板は罪にはならないと言われているのですよ。それを一月から二月にかけて五件も民商へ、しかも税金の申告の直前のときに中小企業の味方になって営業や資金や、あるいは相談を受ける、こういう重大なときに相談相手になる人たちがどうぞ相談に来てくれということでしょう、この看板は。 ちょっと中小企業庁に聞きますが、最近の中小企業の倒産件数はどのくらいですか。ちょっと言ってみてください。
○小川説明員 民間信用調査機関の調査によりますと、負債額一千万円以上の中小企業の倒産件数は、過去三年分申し上げますが、五十六年が一万七千五百六十七件、五十七年が一万七千九十件、五十八年が一万九千百十件、以上でございます。
○林(百)委員 こういう中小企業が一万九千件も倒産しているのですよ。そういうときに、そういう人たちの相談に乗ろうという看板なんですよ。それを二十人もの警察官がその事務所へ行って、そして要らざるものを持っていく。私、ここに持っていますが、何であなた方、こんなものを持っていくのですか。ビラか何かですよ。これは弾圧以外の何物でもないじゃないですか。 それでしかも、警察に抗議に行けば会わないと言うのですよ。どうして警察官は主権者である国民に会わないのですか。警視庁は申し入れ書をさばいて捨てているじゃないですか。警察庁だって私が行ったって会わない。抗議なら会わない、抗議ならなぜ会わないのですか。(「悪いことをしていないからだ」と呼ぶ者あり)悪いことをしているから抗議するんだよ。悪いことをしたかしないかは主権者が決めるんだよ。役人が決めるんじゃないですよ、そんなことは。我々が行って警察の警察行政に対して抗議をするのになぜ会わないのですか。その申し入れ書をなぜさばくのですか。三井警察庁長官が公安出身だといって、そういう民主団体を徹底的に弾圧しろ、そういう指令が出ているんじゃないですか。我々国会議員がついていっても会わないと言うのですよ。しかも私が提出した書類も受け取らないと言うのですよ。警視庁ではそれをさばいて捨てているのですよ。そんなことをする権限が警察にありますか。そういう態度を改めますか。法務大臣にお聞きしますよ。
○古山説明員 ことしの二月に入ってからそういう張り札についての検挙の事案がふえているということでございますけれども、たまたまそういう事案がふえたからということでございまして、私どもといたしましても、あくまでも厳正公平にやっているところでございます。 それから、警視庁の方で抗議に対して会わなかった、あるいは申し入れ書をさばいた、そういうことがどうかということでお話してございますけれども、警察といたしましては、広く国民の方の御意見や要望をお聞きいたしまして、これを警察行政に反映させるように平素からも努めているところでございます。しかしながら、警察がその責務を果たすため適法かつ妥当に行っている捜査活動に対しまして、これを弾圧であると決めつけるなど、警察業務の牽制あるいは一方的な誹誇、中傷、宣伝を意図しての抗議などに応ずることは、厳正公平に行っている警察の執行務について国民に誤解を与えかねないので応じないということにしたものでございます。 それから、申し入れ書を破り捨てたとの御指摘でございますけれども、そのような事実はございません。
○林(百)委員 これで終わります。 警察がそんなに正しいのなら、警部補がおもちゃのガンを持っていって、一千万円も銀行へ行って盗んでくるなんていうのが適正な警察行政ですか。そういうことに対して国民が批判するのは当たり前じゃないですか。警察行政が正しく行われているかどうかという批判をするのは主権者である国民ですよ。警察が決めることじゃないですよ。その主権者である国民の言うことを聞かないで、ビラをさばいたのを知らないなんてとんでもない話ですよ。そんなのは我々もみんな知っていますよ。謙虚に我々の言うことを聞くか、少なくとも国会議員が行った以上は、国会議員は最高機関の構成員ですよ、国民の代表ですよ。それにも会わないなんていう、そんな不届きな話がありますか。 警察官の事件は、この数年ですか、百五十件ありますよ。強盗事件が五件もありますよ。そういう警察の行政に対して国民が批判するのは当然じゃありませんか。我々国会議員が行ったときに警察はちゃんとそれに面会するかどうか、また国民の声を正しく聞くかどうか、最後にあなたの答弁を聞いて、それで法務大臣、こういう警察行政に対して、これは捜査に関係しますから、捜査のことはきょう言いませんけれども、これは捜査の一つですわね。おたくだって無関係じゃないですよ。もっと民主的に警察行政をやるように十分配慮するかどうか、そのお答えを聞いて、私の質問を終わります。
○古山説明員 警察の仕事、執行務に対する抗議であるということであればお会いできかねますけれども、要望であるということであればお会いすることになろうと思います。
○住国務大臣 林委員の御意見、承りました。
○林(百)委員 これで終わります。
○宮崎委員長 これにて法務大臣の所信に対する質疑は終了いたしました。 ————◇—————
○宮崎委員長 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、趣旨の説明を聴取いたします。住法務大臣。 ————————————— 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○住国務大臣 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、下級裁判所における事件の適正迅速な処理を図るため、裁判所の職員の員数を増加しようとするものでありまして、その内容は、地方裁判所における特殊損害賠償事件等及び民事執行法に基づく執行事件並びに家庭裁判所における少年一般保護事件の適正迅速な処理を図るため、判事の員数を九人増加しようとするものであります。 これがこの法律案の趣旨であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願いいたします。
○宮崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 本案に対する質疑は次回に譲ることといたします。 次回は、来る六日火曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時十分散会 ————◇—————