農林水産委員会 第19号
- 発言数
- 108 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1984/06/25
会議録
○阿部委員長 これより会議を開きます。 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。 ただいまより総理大臣に対する質疑を行いますが、質疑者各位は理事会で申し合わせいたしました持ち時間を厳守されますよう、あらかじめお願いを申し上げます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川国彦君。
○小川(国)委員 中曽根総理、農林水産委員会に総理が出席するということは、議会史上、法案ではなく特殊な問題については珍しいことだそうでございまして、本日は、大変どうも御苦労さまでございます。七年前に法案についての御審議には出た記録があるそうでございますが、それほど私ども今日の米問題は非常に重要な問題だと考えております。 今委員長から時間を厳守するようにという御指示がございまして、時間は厳守してまいりたいと思いますが、限られた時間で私も質問いたしますので、答弁は簡潔に、そしてまた場合によっては文書で後ほど御答弁をいただく、こういうことでお願いをいたしたいと思います。 最初に、中曽根総理に備蓄の問題にしぼってお聞きしたいと思うのですが、中曽根総理は米の備蓄というのは日本の国民にとって、日本の国家にとって必要なこととお考えになるかどうかです。
○中曽根内閣総理大臣 食糧政策の中には食糧の安全保障という面がございまして、米の備蓄はぜひとも必要な重大な政策であると思っております。
○小川(国)委員 必要ということでございますれば、総理の計算でどのくらいの数量が備蓄に必要であるというふうにお考えで。ございましょうか。常識的な判断で結構でございます。一カ月分とか二カ月分あるいは三カ月分あるいは一年分とか、いろいろあろうかと思いますが、総理としてはどの程度の食糧の備蓄が必要であろうというふうにお考えでございますか。
○中曽根内閣総理大臣 食管制度との関連がございますので、政府委員から答弁させます。
○小川(国)委員 私は、きょうは総理の出席を願っているので、総理のお答えできる範囲でお答え願えればいいので、このことについては総理はお答えないということであれば、それで結構なんでございます。
○中曽根内閣総理大臣 私は、農は国のもとと言っておりますし、また、農業は生命産業であって、工場で機械をつくるような工業とは違う、そういう特殊性をよくわきまえながら、しかも国民の生命を保持する一つの基本的な重大な政策であるということも言っておりまして、そういう意味におきましては、二宮尊徳やら徳川時代から名君というのはみんな備荒貯蓄をやってきておるものであります。そういう意味におきましても、ある一定の数量の備蓄というものは国家存立上不可欠の大事な政策であると思っております。 それだけに、それじゃどの程度の数量にするかということは、戦後の日本の農業生産の経緯、今まで備蓄してきたことのいろいろないきさつ、そういう経験則もありまして、農林省は一定の数字を計算しつつ考えてきておる、減反政策というものもその間には出てきておる、そういういろいろな総合的な条件を勘案した上で決めてきておると思っております。それは正しいと思っております。そういう意味におきまして、数字にわたることは政府委員から御答弁申し上げますと申し上げておるわけでございます。
○小川(国)委員 いや、食糧庁長官の答弁は要りません。これは総理みずから、日本国民の食糧は最低何カ月分ぐらい備蓄として持つべきだということを、総理の考えとしてもぜひ持っていただきたいと私は思うのです。 私は、昨年五月十二日の衆議院本会議で、中曽根総理に農業白書で質問いたしました。その際、今回と同じことを私は中曽根総理に質問したのです。そのときに、総理の答弁は「米の備蓄につきましては、その需給についていささかも不安を国民に与えることがないように適切な備蓄水準の確保に努力してまいります。」こういう総理の答弁だったのです。私は、本会議で質問して答弁は一回きりで.ございますから、この「適切な備蓄水準」という総理の答弁に大変不満を感じたのです。なぜなら、私はそのときに、質問では「昭和五十年八月、政府が総合食糧政策の中で打ち出した二百万トン備蓄の考え方はそのまま踏襲されているのか、あるいは新たな備蓄数量を考えているのか、」政府の数量を聞いたのです。そのときに、総理は「適切な備蓄水準」ということで、私がこれだけ明確に、二百万トンを守るのか、新たな水準を考えているのかと言うのに、こういった、恐らくこれは食糧庁の役人がつくった答弁をそのままお答えになったのじゃないかというふうに私は思っていまして、総理みずからこの数量というもの、少なくも国民が年間に食べる食糧の一カ月分とか二カ月分は備蓄として持つべきだという総理の見識を持っていただきたいと私は思うのですが、この点について、私は総理に再度答弁を求めたい。
○中曽根内閣総理大臣 本会議でお答えしたことと今私がここでお答えしたこととは、同じ内容であると思っております。つまり、食糧政策及び備蓄の重要性についての認識はいささかも変わっておらないと思っております。 数量につきましては、先ほど申し上げましたように、食管会計あるいは今までの経験則、そういうようなものから農林省が専門的にはじき出していると思いますから、農林省に答えさせます。
○小川(国)委員 中曽根総理は世界的にも非常に見聞の広い方でありますから、世界の先進諸国でどのような備蓄が行われているかということも御存じのことだと思うのです。スイスやスウェーデン、フィンランド、ノルウェー、カナダ、シンガポール、こういう国では年間消費量の二〇%から三〇%という高い水準の備蓄を行っている。そしてまた、これらの国のうちで、カナダを除いては輸入国でありながら備蓄を法律で決めて国民を安心させている。総理として、こうした備蓄に対し、一つの法律で決めるくらいのお考えをお持ちになれないかどうか、伺いたい。
○阿部委員長 山村農林水産大臣。
○小川(国)委員 山村さん、悪いのですが、きょうは総理にだけ聞きますので、答えられなければ答えなくて、それは延ばします。 このことについては総理の御答弁がございませんので、次の質問をいたします。 それでは、総理にお伺いしたいのですが、十一月一日から始まって十月三十一日というのが米穀年度でありますけれども、十月三十一日、ことしの米の年度末に日本の米の数量はどれだけ残っているか、その点については総理は御存じでございますか。
○松浦政府委員 五十九米穀年度末につきましては、在庫を十万トン残して六十年度に引き継ぐというつもりでございます。
○小川(国)委員 私は、こういうことも、食糧問題が重大な問題であると考えるなら、やはり農林大臣はもとより食糧庁においても十分総理に、今米の現状はどうなっているか、年度末でどのくらい繰り越せるのか、明確にすべきだと思うのです。 それから、今食糧庁長官から十万トンという答えがございました。しかし、私どもがいろいろな調査をいたしまして計算をいたしてまいりますと、ことしの十月三十一日には百五万トンマイナスになる。約一千百万トンの年間の計画の中で百五万トン不足する。ずばり申し上げまして、米の供給量が五十九米穀年度で五百七十七万トンと見ますと、ことしの米の需要量は六百八十二万トン、百五万トンの不足の事態を来す、私どもはこういうふうに考えているわけでございますが、総理は十万トンの持ち越しがあるというこの数字をやはり信頼なさいますか。
○松浦政府委員 ただいま在庫の持ち越し古米十万トンと申し上げましたが、毎年おおむね五十万トンずつ早場の米を早食いをしてまいっております。これは大体例年の例でございます。昨五十八米穀年度の最後には六十五万トンの早食いをいたしてまいりました。さような意味で、ことしは六十五万トンよりもある程度多い早食いをする必要があろうというふうに考えますが、これは先ほど申し上げました在庫の問題とはまた別でございまして、早食いによって端境期を乗り切っていくということでございます。
○小川(国)委員 早食いの量は六十五万トンを超えますか。
○松浦政府委員 私ども、現在の集荷の状況及び需要の動向から見まして、六十五万トンを上回るのではないかというふうに考えております。
○小川(国)委員 六十五万トンの早食いとさらにことしの集荷不足、需要増、これを見てまいりますと、私はどう計算をいたしましてもことしの米穀年度末には百五万トンの不足が生ずる、こういうふうに確信をしておりますが、この点については、総理、大臣、長官、いずれも十万トンの超過でいく、こういうことでお考えでございますか、御三方に御答弁を願いたい。
○松浦政府委員 この点につきましては、先ほどからお答えをいたしておりますように、確かに、集荷の面では現在の段階で六百九十六万トン程度ではないかと思われます。それから、需要の面では六百六十万トンの計画を立てておりましたが、これに対しまして若干多目の需要になってくるのではないかというふうに考えられます。ただ、この数値は、今後の作況、天候の推移等もございますので、まだ確定できる状態ではございません。しかしながら、さような状況から考えまして、先ほど申しましたように六十五万トンの早食いを去年いたしましたが、これよりはある程度多い早食いをいたすという状態になろうかと思います。 もとより、前々から御説明を申し上げておりますように、ことしの端境期の操作はゆとりのある操作であるということは申し上げられないわけでございますけれども、しかしながら例年の早食いということもございますので、それをもちまして需給の操作に万全を期してまいりたいと思っている次第であります。
○山村国務大臣 今食糧庁長官が御答弁したとおりでございますが、総理は少なくとも私に農林水産行政というものは一任されておるということでございまして、米の需給等の問題につきましては、いろいろ要点は総理に御報告申し上げますが、詳細等、これはもちろん、食糧庁長官より私の方が詳しくなったなんという事態が出るのと同じようなことが総理に御答弁いただいているようなものではないかと思いますので、大筋で大もとになることをひとつよろしくお願いしたいと思います。
○小川(国)委員 今山村さんの御答弁がありましたけれども、歴代の農林大臣、食糧庁長官、これはもう重大な責任があると私は思うのです。それはまあ自民党さんは防衛が一番重要だと言うかもしれないけれども、我々は国民生活にとって一番重要なのは食糧だと思うのです。人間が生きていく上で何が基本かといったら、食糧なんです。その食糧がこの年度末で幾ら残るのか、日本の国民にとって何年分あるいは何カ月分の備蓄が必要なのかということを総理にしっかりと認識させてないというのは、私はこれは農林大臣も食糧庁長官も重大な責任だと思いますよ。きょうこの席へ出られた総理が、その備蓄の数量についてもそれから米の残高についても掌握をしてないというのは、総理もお忙しいでしょうが、やはり食糧の問題は、生命産業と総理もさっき言われたのですが、生命産業と言うからには、国民のためにその生命を養う糧をどれだけ備蓄しておくのかということは、私はぜひ積極的なお考え方を持っていただきたい。
○中曽根内閣総理大臣 食糧の問題は私も非常に関心を持っておりまして、作柄やらあるいは韓国米との関係等の問題もございます。そこで、農林大臣には閣議の後で残ってもらったり、あるいは農林大臣から私にまた直接にいろいろ報告が来ておるところであります。また、食糧庁長官以下農林省の幹部も総理官邸に呼びまして、かなり子細にわたって状況も聞いておるところでございます。そういうところで、決しておろそかにしておるわけではございません。非常に大きな、重大な政策と心得てやっておるところであります。
○小川(国)委員 中曽根総理、我々も短時間の中でお忙しい総理に申し上げるのですが、この食糧問題については、与野党を通じてもう少し国会の中で、公式な場だけではなくて非公式な場でも話し合う、食糧庁の見解だけではなくてやはり議会の見解も公式、非公式にもっと聞く、こういうお考えはお持ちでございますか。これはイエス、ノーでお答えいただいて結構です。
○中曽根内閣総理大臣 小川さんから時々教えを受けたいと思っております。
○小川(国)委員 私も総理からそういう御要望をいただければ、大変喜んで同志の皆さんと一緒にこの問題について総理に篤と私どもの意見を申し上げたい、こういうふうに思います。 そこで問題は、総理は今農林大臣を信頼し、それから食糧庁長官を信頼していらっしゃるということでございます。そういう信頼した数字でいくと、食糧庁は来年の十月三十一日で五十五万トン残す。さっき、ことしの十月三十一日で十万トン残す、それから来年の十月三十一日で四十五万トン、そうすると五十五万トン残す。それから、総理がこの秋の総裁選で再選されると、もう二年間任期が延びると、ちょうど総理の総裁選のころに百万トンになる、こういう計算になるのです。それから、その次の年になると百四十五万トン、こういうふうになるのです。 この積み重ねは、総理、御理解いただきたいのですが、来年の十月三十一日までに、十万トンの残ったほかに四十五万トンの積み増しをやる。そうすると、四十五万トンの積み増しをするのには、大体米の作況指数が一〇〇ということでなければならない。それから、減反達成率が一〇〇%ということでなければならない。両方が一〇〇%、一〇〇%ぴたりいったところで四十五万トンの積み残しが残る、こういう計算なんです。 ところが、この十年間の日本の作況指数ですね。この六年間で選ぶと作況指数は九七・七ということになるので、作柄のいいところも入れようと思ってこの十年間を計算しましたら、作況指数の平均が九九・四なんです。しかし、九〇ということもあり得る。九〇ということは、一千万トンで仮に計算すると、作況指数はいつも一〇%下回る。そうすると、一千万トンの米で一〇%下回れば百万トン減収になるのです。こういうふうに毎年作況指数で百万トン減収になるというふうに考えますと、四十五万トンの積み残しをつくろうというのはこの作況指数でも無理になってくる。ましてや減反が、今は全国の農民に一〇〇%以上達成しなければ補助金もやらない、いろいろな貸し付けも近代化資金も貸さないという厳しいことを言っていますから、農民は、一〇〇%では申しわけないから減反を百町歩やるところは百十町歩とか、全部署り増しがあるわけですね。達成率以上上回ってやっている。そうすると、ここでも計算の狂いが出てくる。 中曽根さん、静岡高から東大へと優秀な成績で行かれた優秀な総理だと私は思っているのですが、中曽根さんでも高校、大学を通して全科目いつも百点を取ったということはないだろうと私は思うのです。それと同じように、この毎年四十五万トンの積み増しを、三年間で百三十五万トンの備蓄をやろうというのには、作況指数がいつも平年作で一〇〇になって、六年間の平均の九七ということではなくて一〇〇になって、減反達成率も一〇〇%を超えてはいけない、一〇〇%でとまれというのは、神わざでなければできないことだと私は思うのですよ。やはりそこで備蓄でもって百万トンなり二百万トンなりの、政府は五十年に二百万トンという備蓄数量を発表してきているのです。だから最低二百万トン、二カ月分、このぐらいの食糧を持つというお考えを持っていただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
○山村国務大臣 小川先生の言うのは、このまま、それこそもしまた冷害でも来たらということですが、ただ小川先生の言われる中でちょっと違っているのは、確かに試験の答案の場合は百点満点でございましょうけれども、作況指数、これは一〇三だの一〇五だのというのもございます。それもひとつお考えいただきたい。 そしてまたもう一つ、今度の水田利用第三期対策に対しましても、本年度の作況を見た上でこれを弾力的に運用していくということでございますので、本年度の作況を見た上でこれらについて御心配のないようなことをひとつやっていきたいというぐあいに考えております。
○小川(国)委員 山村大臣、もう少し勉強していただきたいと思うのですが、この十年間の平均をとって九九・四、それから水田利用再編が始まってからの六年間をとって平均で九七・七、その中には一〇三の指数の年もあるし一〇八の指数の年も入れているのですよ。入れて、なおかつ低く見ても九七・七という作況指数が平均。これでもう三十万トン不足の事態は起こるのですよ。ですから、やはりそこのアローアンスというのか、許容量というのか、米だけは今のようなお天気次第、いろいろな変化によって動かされるので、その辺をやはり頭に置いていただきたいと思うのです。 最後に、私は中曽根総理に、備蓄について先ほど私どもの意見も十分聞いてくださるということなので、総理はこれから総理として再選を目指していらっしゃるわけなんですが、総理の任期中に果たして百三十五万トンの政府の言う計画がぴしっとしたものに裏づけできるのかどうか、その辺も検討していただきたいと思う。 それから学者の意見で言えば、世界の食糧というのは大体二カ月分の備蓄があれば安定している。二カ月を割るといろいろな飢饉、もちろん今飢饉も起こっていますが、暴騰が起こる。二カ月を超えると暴落が起こる。二カ月をめどにして世界の穀物の価格というのは動いているので、やはり二カ月の備蓄は必要だというのは大方の学者の意見にもなっている。そうすると二百万トン、社会党はもっと安定した線で三百万トンを主張していますが、私は、せめて政府が昭和五十年に発表した二百万トンの根拠というのは、相当立派な理由を持った根拠を示されていると思うのです。食糧は、国際的な視点や中長期の視点に立つと、不足基調にあると見通される。日本のように食糧供給を大幅に海外に依存しているような国では、短期的にも、自然災害、国際紛争によってその安定供給が脅かされる事態がないようにする。栄養的な観点、日本型食生活の観点からも米の確保を図っていくべきだ。こう言っているのですね。ですから、総理にこの米の需給というもののめどを、総理の今現在の立場において早急に、備蓄の数量いかにあるべきか、こういうこともひとつ御検討賜りたいということを、私は総理の答弁としてお聞きしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 小川さんの貴重な御意見として承っておきたいと思います。 確かにおっしゃるとおり、米という問題は国民生活の基本でございまして、生産ということと同時に、また、備蓄ということもそれに劣らない重要な政策の一つであるだろうと思っております。しかし、数量にわたることは、いろいろ作柄や作況指数等も見て弾力的に毎年毎年考えていくべき問題であろうと思います。硬直的な考え方はとらないで、気候の状況やらそのほか全般を考えつつ弾力的に考えていくべき問題であろうと考えております。
○小川(国)委員 総理の御意見でございますが、つくっていく農民の立場になると、例えば第三期対策の中でこれから始まる三年間四十五万トンというふうに備蓄を固定したのは、つくる農家は、毎年作付面積が変わって国から御指示が来るのでは困る、やはりつくるものは毎年安定してつくらしてもらいたい、こういうことだと思うのです。 ただ、総理や農水省が心配しているのは、仮に四十五万トン三年先にいって、それから同じペースで来たらやはり六百万トン積み上げたような過剰になるのじゃないか、私はこういう心配を持っていらっしゃると思うのです。我々も過剰になることを望むものじゃない。過剰と適正な備蓄の線をどこに置くかということを真剣に考えまして、農家の人たちにまず四十五万トンというものを示したならば、それを確実に別枠で備蓄としてきちんと最低限確保する。五十年の時点で語った農林省が大蔵省に対しても総理に対しても本当に言いたいのは、私は二百万トンの備蓄だと思うのですよ。 行革と財界の要請の中で農林予算を圧縮し圧縮し、サーカス的な農林行政を強いてきた結果が、韓国から十五万トンの米の輸入になり、さっき申し上げたこの十月三十一日では、大方の農業団体なりあるいは学者なりの見解も、私の百五万トン不足という見解に立っていますよ。総理に言っている農水省の幹部の意見や食糧庁の幹部は、十万トン余るかもしれません。私は、マイナス百五万トンだ、こういうふうに思っている。ですから、やはり総理は、周りの人たちの意見だけではなくて、生産農民の声にも農協代表の声にも国会の声にも謙虚に耳を傾けていただいて、その辺の備蓄を安定ならしむる、こういうお考えをぜひ突っ込んでいただきたいと思いますが……。
○中曽根内閣総理大臣 国民の皆様の声やあるいは野党の皆様方のお考えはよく拝聴もし、また勉強していかなければならぬと思いますが、私が今まで報告を聞いた範囲内におきましては、農林大臣及び農林省を信用しております。
○小川(国)委員 それは、歴代の農林大臣や食糧庁長官がどういうことを言ってきたか。輸入はしません、絶対需給は安定していますと言っていますが、この破綻はまた我が同僚議員の方から質問があると思いますので、あれしますが、最後に、総理、今日本の米が幾らあるかということを我々が食糧庁に聞いても、いつもアバウトでしか、約という答えでしか戻ってこないのですね。調べてみたら、コンピューターで米の管理を月末に集計して、翌月の十五日か二十日でなければ、今日本の全国の農業倉庫に米が何トンあるか、在庫の状況が把握できてないのですよ。商社においても、全国の倉庫にある在庫を報告せよと言ったら、私はその日のうちに回答が戻ってくると思うのです。日本の国民の大事な食糧が全国の倉庫に幾らあるかと聞いて、半月か二十日たたなければ回答が戻ってきませんでは、やはり食糧行政は立ちおくれている。 こういうものの情報処理、コンピューター処理ももっと促進するようにひとつ総理の御指導を願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○中曽根内閣総理大臣 その点は私も同感でございまして、予算も苦しい中でできるだけ工面しつつ、今のような統計速報を速やかに入手できるように努力してまいりたいと思います。
○小川(国)委員 時間が参りました、私の時間はちょうど三十分でございますので……。 総理あるいは農水省、食糧庁長官も、私ども党の立場では、今までの歴代の内閣の食糧行政に対する無関心さ、それから率直に言って食糧庁幹部の皆さんが、やはり日本の国民の米の実態というものをもう少し農林大臣にも総理にも把握できるような、そういう努力をすべきであった。その欠如が今日の事態に至ったということを反省して、これからは虚心に国会の与野党を問わず意見に耳を傾ける、農業団体、生産農民、消費者の声にも米について耳を傾けていただくよう、これを総理に十分な御指導を賜りますよう、最後にお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
○阿部委員長 松沢俊昭君。
○松沢委員 今小川議員の方からいろいろと質問がございましたのですが、その後陣を承りまして、社会党を代表しまして御質問を申し上げたいと思います。 私は、きのうとおととい選挙区の方に帰っておりました。総理と隣り合わせの新潟県の出身なんでありますけれども、米どころでございますから、先月の末に韓国米の輸入問題というのが新聞に出ましててんやわんやの大騒ぎになりまして、おとといは県下の農民総決起大会、今までちょっとマンネリ化しておりまして、余り農民の結集というのはなかったわけでありますけれども、三千名も集まって、そうして、減反をやっている最中に外国から緊急輸入をやるのは何事だ、こういうことでありましたし、また消費者の皆さんも参加しまして、米だけは安全な食糧だと思っておったところが今まで我々に毒を食わしていたのかと、こういう批判というのが非常に強く出たわけなんであります。 私は、こういう今の国民世論、これを一体内閣総理大臣としての中曽根さんはどう受けとめておられるか、まずお答えをいただきたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 せんべいとかみそとかという他用途米につきまして、残留農薬の関係から五十三年米について若干の処置をとらざるを得なくなり、国民の皆様方にもいろいろ御心配もおかけし、また農村の皆様方にもいろいろ御迷惑をおかけいたしまして大変恐縮に存じておるところでございます。
○松沢委員 今お話ございましたが、五十九米穀年度、これは昨年の十一月一日からですが、五十三年産以前の米というのが八十万トン繰り越しが行われたわけなんでありまして、その中で五十三年産米、これが六十万十ン、五十二年が十万トン、五十一年が十万トン、こういう内訳になっているわけであります。そのうち主食に回されたのがもう既に十三万トンから十四万トン、こうなっておりますね。それから、言われましたところのみそ、しょうゆ、せんべい、こういうところに回されたものがやはり同じく十三万トンから十四万トン、こうなっているわけなんでありまして、そしてまた輸出が二十五万トン、こういう状態でありますね。 こういうことを考えてみますと、主食のところにも毒の入ったところの米が国民の口の中に入ったということになるのじゃないですか。もう一つは、要するに五十二年、五十一年の米は外国に輸出されているわけですよ。私ははっきり申し上げますけれども、日本人だけがその毒性残留の米を食べるという状態ではないのであって、今は外国の人も毒性が残留しているところの米を食べているというところのこの状態、これを一体総理大臣はどうお考えになっているか、お伺いしたいと思うのです。
○山村国務大臣 今、毒の入った、毒の入ったということで、何かこれを食べると健康に悪いことが起きてくるというようなぐあいにとれますけれども、厚生省の残留農薬部会におきまして、人の健康には影響はないものではあるけれどもなお一層のということで五〇ppm以下ということでございますので、その点は御安心いただきたいと思います。
○松沢委員 暫定基準といたしまして、五〇ppmというふうにして衛生調査会ではお決めになったわけですね。これはWHOの基準というのを参考にしてお決めになったということを聞いているわけなんです。これはやはり、こういうものを食べていると健康に好ましくないということで基準があると思うのですよ。安全であるならば、何もそんな基準なんというのはっくる必要はないわけなんです。農林大臣、あなた、大臣でいながらそれくらいなことはちゃんとわきまえて答弁してもらわなければ困ると思うのです。 私は今言っているのは、農林大臣にその責任をとやかく言っているわけじゃないのですよ。総理大臣せっかくおいでになっているのだから、総理大臣に今私の申し上げました状態をどのように受けとめておられるかということを聞いているのであって、農林大臣に聞いているのじゃないのですから、総理大臣お答えくださいよ。
○中曽根内閣総理大臣 先ほど来申し上げたとおりでございますが、今、毒、毒という言葉を言われましたから、そこで農林大臣も、これは是正しなければいかぬ、国民の皆様方不安に駆られるという心配をもって御答弁になったので、厚生省の調査会の答申からいたしましても、この程度のものでは健康には異常はない、しかし念のためにというので五〇ppmというものが設定された、そういうことでございますから、国民の皆様方には御不安なきようにお願い申し上げたいと思っております。
○松沢委員 総理、私、予算の分科会で厚生省の方にお伺いしたことがあるわけです。厚生省の方といたしましても、都立衛生研究所の調査したのを取り上げて質問いたしましたところが、私が平均四〇ppmと言ったら、いや五〇ppm以上が問題なんだから、したがって四〇ということになれば健康には問題ないのだ、こういう御答弁でありました。後からある週刊誌がこの問題を取り上げまして、松沢は専門家でないから適当に局長が答弁をしているのだ、結局その資料というのは厚生省も見ているのだ、それで都立衛生研究所の検体の中には六二ppmというものもあるのだ、それを知っていながら、平均のことを松沢が言ったら平均にだけ答弁をしている、こういうようなことであっては厚生省は一体国民の健康というのを本当に守るという気があるのかどうか、こういう批判が載っているわけなんであります。 今回私たちが農林省に対しまして、要するにこの毒性残留問題につきまして調査をしてもらいたいということを言いましたところが、五十三年産米の、しかも五回までのそのものの検査なんですよ。五十二年十万トン、五十一年十万トンあったものは検査されていないのです。やはり食べ物を扱っているところの農林省、健康を守っていかなければならぬところの厚生省は、我々が指摘したら指摘した分以上に詳細な検査をやって、そして国民の健康を守るというのが当然の責務なんじゃないかと私は思うのですよ。そういう点、一体総理はどうお考えになっていますか。
○中曽根内閣総理大臣 国民の健康を守ることは非常に大事な、政策の基本の一つでございます。厚生省、農林省よく連携をとって、そういうような心配がないように万全の措置を講じてまいりたいと思っております。
○松沢委員 私が注文をつけたいのは、もっと積極的にやってもらわなければ困るじゃないか、こういうことなんでございますから、今までのことは今までのことといたしましても、総理大臣、もう少しそういう点は農林大臣あるいはまた厚生大臣等に指示をされまして、国民が心配のないような状態をつくり上げていただきたい、こう思いますが、どうでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 今後ともよりよく改善できるように、ひとつ努力いたしたいと思います。
○松沢委員 食糧の自給問題というのが大変急迫を告げてまいったから今の大きな問題になっているわけでありますが、昭和五十五年の四月八日、衆議院本会議におきまして、食糧の自給力を強化するところの決議が全会一致で議決されたわけなんであります。これは、総理も加わっての話なんであります。これに基づきまして、あなたが総理大臣に就任されて以後、この決議を尊重してどのような努力を今までやってこられたか、その点をお伺いいたしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 五十五年の決議は、自給力を保持していく、強化していく、そういう決議であったと記憶しておりますが、自給力という意味は、消費する食糧と生産する食糧との比率を必ずしも意味するのではなくして、地方とか水のかんがいの施設であるとか生産性であるとか、あるいは働く人たちの後継者やその他のいろいろな問題であるとか、農業金融の問題であるとか、あるいは国際関係の処理であるとか、そういうものをすべて総合的に考えた力、これを自給力というふうに解釈いたしまして、日本の農村が健全に育つように、そして、農業に従事している人たちが勇んで、喜んで農業に従事できるように、この厳しい財政の中でできるだけの努力をしてきたつもりでおります。
○松沢委員 私は、あなたが総理大臣になってから作が悪くなったなんということではないと思いますけれども、しかし、五十三年から強制的な転作、減反政策が行われてから、五十五年から四年間連続で平年作を割るという状態が続いていることは、総理、おわかりのとおりであります。結局、そのことによって、農林省の方で需給計画を立てていますけれども、毎年毎年狂うというわけなんですね。だから今のような状態が生まれてくるわけなんでありまして、それは山村農林大臣に怒ってみたところでこれはどうしようもない話なんでありまして、おてんとうさまのせいなんでございます。 しかし、考えてみますと、それだけではないんじゃないかと思うのです。例えば、青森県の農家の皆さんなんかともいろいろお会いしましてお話を聞きましたけれども、水の管理をうんとやってきたら、ほかの方は全滅の状態であったけれども、私の方は作を七割とることができました、こういうようなことも聞いておるわけなんでありまして、肥培管理の面に農民が力を入れなくなったことがやはり決定的な、平年作を割るというところの四年続きの不作ということにつながっているのじゃないか、こんなぐあいに私は考えているわけなんです。 結局、それは農家の生産意欲というものが極度に低下した、こういうことでありまして、総理も群馬県の出身でありますから農村のことはよくおわかりだと思いますけれども、今なかなか嫁がなくて困っているという状態ですね。それから、農林省の統計なんか見ましても、四百六十万戸の農家があるけれども、学校を新しく卒業するところの子供さんで後継者になるというのが一年間に七千人だ、こういうことが言われている状態であります。今、現に、農家の主人、戸主であるところのおやじさんから奥さんからみんな兼業で、日雇い、日金取りに出かけているという状態であるわけなんです。ですから、こういう状態を一刻も早く解決をつけて、農業でちゃんと暮らしが立つ、そういう政策をとらない限りにおきましては、この不作というものを解決する方法はないじゃないか、私はこう考えるわけなんです。 そういう意味からいたしまして、確かに、今、自給力と言ったってそれにはいろいろな条件というのがあるんだとお話ございましたけれども、ただ、予算的な面からいたしますと、あなたが総理大臣になられてから以後の農林省の予算は、全体の中でどのぐらいのウエートを占めるようになったか、それは以前より不足になったのか、余計になったのか、あるいはまた、食糧管理の金というのは、今までと比較して余計になったのか、不足になったのか。これが具体的に、あなたが総理になって、そしてこの二年間にわたって農政に対する熱意がどの程度あったのかという一つの物差しになるのではないか、こう思うわけなのであります。だから、ふえているということになればそれなりに努力してきたということになるし、減っているということであるならば、それは努力をしたと言われても一般的にはしていないじゃないか、こういうふうに見るのが国民の常識ではないでしょうか。どうなっていますか。
○中曽根内閣総理大臣 マッカーサー元帥が日本におりましたころ、我々が一番唱えたのは農工一体という言葉なんです。そこで、一生懸命農工一体を言って、かなり農工一体が今出てまいりまして、農業の機械化に非常に成功して、そして田植え機もでき、草取り機もできるということ、あるいは出稼ぎもできる、土木工事にも出る、そういうことで全体としての収入というものをふやしていく。それと同時に、専業農家をふやして、そして営農団地をつくるとかそのほかによって経営規模を拡大する、そういう専業農家を充実させる、そういうような政策でずっと来て、特に基本法農政以来は選択的拡大とか、いろいろな新しいことも言われて充実してきていると思うのです。 そこで、臨時行政調査会ができまして、各省庁の行政をいろいろ点検をいたしました。その結果、臨調答申を我々は尊重してこれを最大限に実行する、そう言ってまいりまして、農林省関係の予算につきましては、多分に効率化、重点化ということで御協力を願ってきた。農林省の皆さんも非常に苦しい中でよく御協力していただいた。人員の面においても予算の面においてもそういう重点化、能率化、効率化という面で御協力いただいたと感謝しておる次第です。 しかし、農民の皆さんの所得は減っておるものではない。私は、都市における労働者の賃金と農家の家計における収入と、そういうものを見てみた場合に、農家の家計収入が著しく落ちてきている、そういうことにはなっていない、そういうように思います。
○松沢委員 農外収入がふえていることは私も知っております。ですけれども、食糧自給率だとか自給力というのを強化するには、やはり農業生産というものが発展していかなければならぬと思うわけなんであります。 そういう点で、あなたはサミットに行かれると非常に評判がいいです。国民の皆さんに聞いても、中曽根総理というのはなかなか大したものだなんていうことを私もよく耳にします。ですけれども、あのサミットに参加するところの国、七カ国ありますね。その参加国の穀類の自給率を私調べてみましたところが、これはちょっと古いのですから各国はもっと上がっていると思うのですよ、それでもカナダが一八三、フランスが一七〇、アメリカが一六二、西ドイツが九〇、イギリスが七七、イタリアが七三、日本が三三%、こういう状態になっているのですね。 私は、確かに日本の工業力というのは抜群に強くなったと思います。しかし、それは日本の農業というものを犠牲にした上に立って強くなっているのじゃないですか。しかも、あなたは、食糧の自給率強化に関する決議は尊重している、こう言っておられますけれども、きのう、おとといですか、経団連を初めとする財界五団体があなたに対して申し入れをやったでしょう。その中に、米価は据え置けという申し入れをやっているわけなんですね。それから、一昨年の七月三十日の第二次臨時行政調査会の答申を見ましても、農業の予算は切り捨てをやれということを言っているわけなんです。極端に申し上げますと、食管制度なんというものは自由化したらどうかということを言っているわけなんです。そういうものと国会の自給力強化に関する決議というのは、全く相反していると私は言わざるを得ないと思います。 ですから、この点を総理の方からも理解を願って、幾ら臨調が何を言おうと国会の決議は尊重して、日本の農業というものを守っていかなければならないんだ、サミットに参加して三三%なんという状態では恥ずかしくてどうにもならぬよというような気持ちになってもらわなければ、日本の農業の再建というものはできないと私は思うわけなんであります。 時間が来ていますが、そういう意味で、今まで農民が嫌がる減反を強要して、そうして、減反政策が行われてから今まで何回となしにこの場におきまして食糧庁関係の皆さん、農林大臣等に、こういうことをやっていったら必ず外国から輸入をしなければならないことになるんだよ、こういうことを指摘してきたわけなんでありますけれども、農林省の方は、政府の方は絶対にそういうことはございませんと言い切ってきているわけなんであります。そうしてこの時期におきまして、このような青天のへきれきのような韓国米の緊急輸入という事態が起きたわけなんでありますから、この政治的責任というものは一体だれがとるのか、その点を明確にしていただきたいと思うわけなんであります。
○中曽根内閣総理大臣 やはり食管制度を維持していくということは非常に大事なことでありまして、自民党政府はこの食管制度を維持するために今まで最大限努力してきておるところです。減反政策で農民の皆さんに御協力をお願いせざるを得なかったというのも、実は食管制度をずっと維持していくためのやむを得ざる措置で、農民の皆さま方には御迷惑であったと思いますが、御協力を願った次第なので、今後も食管制度を維持していくという、これを我々はあくまで一貫して努力をしてまいるつもりでおるのでございます。 今回の韓国米の問題というものは、たまたま五十三年米につきまして臭素の残留という問題から起きたものなのでございまして、主食については心配はない、万全の措置を講じておるので御理解をいただきたいと思っておる次第でございます。
○松沢委員 時間が参りましたのでやめますが、とにかくこの政治的な責任ははっきりととってもらわなければ、国民は納得しないと思います。そういう意味で、この場でお答えができなかったならば、今国会中におきまして速やかにその責任の所在というものを明確にして、そしてもう一度減反政策というものを見直して、日本の国民の食生活に不安のない状態をつくり上げる、こういう努力をしてもらいたいということを最後に申し上げまして、私の質問は終わります。
○阿部委員長 武田一夫君。
○武田委員 私は、公明党を代表しまして、主として総理にお尋ねをいたします。 今、日本の津々浦々で農民の皆さん方が大変な憤りを持って農民集会を開いております。私も宮城県、米どころでございますが、何回かその場に出まして、かつてない農家の皆さん、特に後継者の大変なる政府に対する不信の念の強さにびっくりしているわけであります。私もむべなるかなと思うわけでございますが、我が宮城県の鹿島台町では、御承知のとおり韓国米輸入が政府・自民党によって決定されたという報に、まじめなその地域の中核的な青年が、裏切られたという悔し涙でもって休耕田に田植えをいたしました。その模様がテレビ等でも報道されたわけでございます。彼らに会いまして、一言彼らが言った言葉は、これまで長い間減反に一生懸命協力してきた。その間に、米価大会に行けば我々の要求は一かけらも認めてもらえず、わずかなる米価の引き上げ、いやこれは据え置き、あるいは実質マイナス。その中に、我々東北は異常気象で四年間大変な苦労をしている。政府に聞けば、米は絶対心配ございません、また五十三年産米についても安全性は絶対大丈夫だ、そういう報告も聞いている。そういうときに、なぜに突然韓国米十五万トンの輸入をしなければならぬのだ、このことに対して我慢がならない。我々は血と汗と涙でもって努力した、この努力を踏みにじった政府のやり方に我慢がならないという悲壮な叫びでございました。 隣の山形県におきましても、米どころ、生産農家の諸君は、こういう事態に当面した、このことに対しまして、それならば端境期の米不足のときに我々は厳しいけれども保有米を供出し合ってその不安の解消に対応しよう、だからせめて米の輸入だけはしてほしくない、こういう提唱をして、各地にその賛同の動きが続いているわけであります。 こうした厳しい環境の中で頑張ってきた純真な青年の心情を総理はいかがお考えでございましょうか。そして、彼らのこういう極度の政治不信を解消せずしては、総理の言う二十一世紀の国づくりの根本となる農業というものに対する大変な事態を想像するにかたくないと私は思うわけでございます。 また、最近中央会におきましても、代表者会議の席上で、この韓国米の輸入ということに対しての不信が、減反には協力しない、あるいは今年から行われる他用途米の契約はしないという申し合わせをして、政府に抗議しているではございませんか。 私は、率直にここに至った問題の大きさを総理に深刻に反省をしていただき、これからの日本の農業の再出発という意味で、まず総理の所見をお聞きいたし、以後質問をさせていただきたいと思います。総理、どうでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 農業青少年男女の皆様方の御努力、特に後継者の皆様方の御努力につきましては非常に感謝もし、敬意を表したいと思っております。また、食糧につきましては、国民の皆様方にいささかも心配がないように、政府としては万全の措置をとっておるつもりでございます。 しかし、将来にわたりまして、いろいろ野党の皆様方のお考えを承ったところを十分参考にして施策してまいりたいど考えておる次第でございます。
○武田委員 私は、今後の対応によっては不要の混乱も起こるのではないかという心配をいたします。米価の季節も近づいております。米価の要求におきましても、ことしこそはという意気込みの中で、今回行われた韓国米の問題、また五十三年産米の問題等々にしかとした責任の明確な対応をして取り組まなければ、農家の皆さん方は納得はしないと私は思うわけであります。 そこで、今回の不祥事というのは、極言しますと、財政主導型の農政の破綻、失敗のあらわれだと私は思います。それは食管法の精神まで踏みにじるということになったことを、私は非常に遺憾と思うわけであります。食管法の第一条には、「本法ハ国民食糧ノ確保及国民経済ノ安定ヲ図ル為食糧ヲ管理シ其ノ需給及価格ノ調整並ニ流通ノ規制ヲ行フコトヲ目的トス」と書いてあるわけであります。この文章は、食糧の安定確保と供給は国の責任である、そしてまた安全性の保障も国の責任として行うべきものであり、不測の事態にも万々これなきよう対応する、これが食糧庁の責任であり、政府の責任だということをこの中に言っているのだと私は思うのでありますが、総理はこの点についてどうお考えでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 食管制度を維持していくということは、前から申し上げているとおりでございます。食管法に書かれている食糧政策というものを今後とも堅持してまいりたいと考えております。
○武田委員 食管法をしかと今後とも守る、これは国の責任で、食糧庁、担当庁としては最大限にこの精神を酌んでいかなければいけない。ところが、私が非常に残念に思うのは、これまでこの委員会におきまして多くのうそをついてきたということに我慢ならぬ。国民も生産者もそのことには大変な反発をしている。 例えば、一つは食糧管理上最も重要な使命である安全の確認を怠ったという問題であります。五十三年産米の安全性のチェックをきちんとできなかったという管理上の手落ちの責任は大きいわけであります。たとえどんな微量のどんな小さな傷でもっても、品物を一つ売る場合、食べ物でなくても、それがわかったならば回収して、わびて新しいものを差し上げる、これは社会の通念、常識であります。まして食べ物であります。たとえどんな微々たるものであろうと、これが危険と言われるものであるならば、それをきちっと回収し、万全を期するのが当たり前。しかしながら、今までのいろいろな答弁のやりとりを聞いておりますと、最初はこの問題についてはもう絶対心配ございませんと言い通してきた。これが大丈夫でなかった。そうしたら、その次は何と変わったか。それは微量でございますから体に影響がございません。これじゃまことにもって消費者にとっては耐えがたい生命の軽視といいますか、まことに消費者の怒るのも当然だと思うわけであります。 しかも、まだある。この超古米の保存について、最初は低温貯蔵だったが、それは違いました、常温保存であった。それもこれも皆お金がかかること。人の命が大事か、お金が大事か。国は口をきわめて財政云々と言うが、私は食糧の安全確保ということは、生命の安全を保障するという高い高い代価を払っての取り組みが必要でないかと思う。そういうことを考えますと、私は、この安全性の確認を怠ったということはまことに遺憾千万。その無神経な行動に対して、私はその責任を放置するわけにはいかぬ、こういうふうに思うわけです。総理、この点についてどうお考えでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 先ほど来申し上げておりますように、今回のことは他用途米に関しまする五十三年米に関する残留の農薬の関係で、念には念を入れてやっておこうということでありますので、国民の皆様方には健康には御心配はない、そういう処置であるというふうにお考え願いたいと思います。
○武田委員 長官に聞きます。 他用途米、加工用原料だけに使っていたのか、その点どうなんですか。
○松浦政府委員 私ども、五十三年産米につきましては、本米穀年度に入りましてから業務用として売却をいたしております。その量は、先ほどお話がございましたように、十三ないし十四万トンほど、これは計画の中に組んで業務に使っている次第であります。
○武田委員 業務用ということは、食用、主食用でしょう。総理、この点どうですか。
○松浦政府委員 そのとおりでございます。私ども、業務用につきまして、もちろん主食の一部でございますが、この面につきましては、当初から需給の計画の中にも組みまして、それが十ないし十五万トン程度は使用するであろうということをちゃんとこの委員会にも御報告申し上げ、そしてこれを使用してきた次第であります。
○武田委員 それが安全性の問題に疑義がある。しかも、私が聞いたところによると、その検査がまことになるい。いつまでたったら結果がわかるのだと言ったら、三カ月かかる。とんでもない。聞いたところによると、ロットの多いところから調べているというのです。それじゃどのくらい大丈夫でどのくらいだめだったのか教えてくれと言ったら、言えない。聞いたら、業者が必要なとき必要な分だけ検査して大丈夫だからというのでやる。こんなことでは、結果的に二十万トンと言われる中でどれくらいがだめでどのくらいがよかったかということもさっぱりわからず、ばんと韓国に飛んでいったとなれば、もし結果的に五万トンしか販売禁止になるようなものがなかったとして、十五万トンあるとする。こういう結果になったときに、十五万トンの韓国の米はどうなるか。また農家の皆さん方の不信、一般国民の心配が出てくるじゃないですか。この点どうですか。
○松浦政府委員 安全性の点から御答弁をさせていただきたいと思います。 私、確かに当委員会におきましても何度か五十三年産米の安全性について問題はないということを申し上げたのは事実でございます。しかし、その際申し上げましたのは、あくまでも、ガスで薫蒸をいたしました場合、そのガスの有効成分は極めて揮発性が高いもので、また換気も十分いたしておりますから、したがいましてガスの有効成分は残留しないということを申し上げたわけでございます。この点は確かでございまして、今回の厚生省の食品衛生調査会残留農薬部会の結果の御報告を承りましても、いわゆる臭化メチルの残留は検出されなかったということはちゃんと書いてございます。これが一番急性の安全性の問題がある物質でございまして、それから問題が発展いたしましたのは、その分解物である臭素の問題であるわけでございます。 臭素につきましては、臭化メチルに比べましてはるかにその安全性については危険の度合いの少ないものであり、かつ自然界にもたくさんございまして、その自然界でかなり日本人もこれをとっている。そこで厚生省としてはADI、つまり一生人間がとり続けていく場合に体重一キログラム当たり一体どのくらいの量が許容量であるかという理屈からそれを測定されまして、それで部会の報告でも、先ほど大臣からお話がございましたように、人の健康に特に影響があるというものではないが、さらに一層の安全を確保するために五〇ppm以下のものにしてほしいということをおっしゃっておられました。そこで直ちに私ども食糧庁も、国民の食生活というものの安全は確保しなければいかぬというつもりで、かなり五〇ppm以上のものが出るかもしれないなと思いましたけれども、これを受け入れて、この対応策をとったわけでございます。 また同時に、最初のうちはこの検査の実績が、ロットの状態、あるいは実際に検査してこれを売却している状況からいってなかなか判明はいたしませんでしたけれども、先般の委員会でも、現在わかっている状態ということで、二万六千トンの売却をいたした場合に、その二万六千トンの売却、つまり五〇ppm以下のものは全体の対象の量の約半分でございましたということも御報告申し上げておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、さような実態を調べながらきちんと五〇ppm以下のものを売っていくという体制のもとで現在対処をいたしておりますので、先ほど総理が御答弁なさいましたように、私どもとしては安全性というものを十分考えながら対応していきたいということで対処している次第でございます。
○武田委員 臭素は、慢性的にとりますと幻覚や言語障害を引き起こす、こういうことなんです。私は、これはすぐ出てくる問題ではないと思うけれども、微量でもあろうが、ずっと出てきた、現実に食べている、そういうことを考えれば、そういう言いわけはもうたくさんですから、もっと万全の対策を講じて、そうした出回っているものも回収する、そしてそれも廃棄処分するくらいの姿勢がこの食糧を守る担当庁にないとすれば、これは安心して消費者は米を求めることもできないということになるのではないですか。私はそのことを指摘したいのです。ですから、現在出ているものは回収しません、こういうようなことではいかぬ、また、早くその検査の結果を明確にして安心をさせる、それがまず大事だろう、こういうことを言っているわけです。 農林大臣、この点どうですか。
○山村国務大臣 今食糧庁長官から御答弁申し上げましたとおり、五〇ppm以下というのは、一生これを主食としてとっても別に害はないというようなことでございますが、しかし、安全という面には今後とも一層慎重を期してまいります。
○武田委員 第二番目の失態は、需給計画段階で四年連続の米の不作を甘く見ていたという点、これは政府は本当に謙虚に反省しなくてはならぬ、そしてその責任もしかととっていただかなくてはならぬ、私はこう思うのです。これは、昨年来、政府の綱渡り的な需給操作に不安を持って指摘されてきたところです。しかし、これも、大丈夫、心配ございませんの繰り返し。そして、不足の事態が発生したら、それじゃ韓国米と一足飛び。行動がまことに機敏であった。農家の皆さんも感心していた。こんな手際のよさがあるならばなぜという率直な疑問もありました。 私は、五十三年産米の問題が出たとき、これもスケジュールの一つとして既にわかっていたのじゃないか、だから手早くその対応をしたのじゃないかというふうに勘ぐりたくもなる。みんなそう言っている。農民の声です。農民の皆さん方、団体の皆さんは、そういう大変な事態ならばなぜに我々に一言相談してくれなかったのだろうかな、腹を割って話してもらえればな、こういうふうな心情を訴えておりました。しかも、農林水産省は、米の輸入はしません、加工用原料も一切輸入はしません、これは国是だと言ってきたわけです。この約束について何と答えますか。こんなに簡単に約束を破られたのではたまったものではないと思うのが農家の皆さん方の心情でないでしょうか。 もう一つ、不測の事態に対して万全を期する心構えがなかったのじゃないか。やむを得ない措置、まことに申しわけない、この一片の言葉で済まされる問題じゃない。それじゃ、この次もし不測の事態があったときには、またやむを得ない事態と言ってカリフォルニア米でも入れますか。これが危ない。アリの一穴ということもあるのです。だから、農家の皆さん方は、かつて牛肉、オレンジでどんどん攻め立てられてもうどうしようもなくなってくる今日を見たときに、最後は米に来るのじゃないか、しかし日本の政府は、自民党は米だけは守ってくれるだろう、こういう期待を持ってこれまで選挙でも応援してきたと言っているのです。今その期待が裏切られた以上、我々はどうこたえたらいいのか、こういうことを漏らしているわけです。 天候相手の仕事です。余裕のある需給計画を考えるのは当たり前、備蓄を行うのも当然、こういうことを考えたときに、これは生産者だけでなくて、消費者に対しても示しのつかないというか、申しわけの立たないことでございます。消費者は、最近は高い負担をしても日本の国でつくったものを食べたいというのが六割以上もいるわけです。ただし、安心して食べられるもの、安全なものを提供していただきたい、そういう保障をしてくれる政府を期待しているんだ、こういう信頼をしている。その信頼のきずなが切れたらまた一層怖いことになるのじゃないでしょうか。この点の責任はしかととらなくてはならない。そして、万全の対応で取り組んでいかなければならない。そういう意味において、今後の需給の中において、通常言われているような百五十万ないし二百万トンくらいの備蓄、韓国でさえも百六十五万トン、三カ月の備蓄をしている。こういうことを考えたときに、そうした備蓄をしかと政策の中心に置いた今後の米の対応をしてほしい。 総理、いかがでしょうか。
○山村国務大臣 今先生のおっしゃいましたように、少なくとも米につきましては全量国内産をもってこれに充てるということで終始してまいりたいと思っております。 それにしましても、今先生言われた備蓄の問題でございますが、これらにつきましても、現在のところ第三期対策で毎年四十五万トンずつの在庫積み増しということになっておりますが、しかし、本年度、五十九年作況を見た上でひとつ弾力的に、御心配をかけないようなぐあいにやっていきたいというぐあいに考えております。
○武田委員 弾力的弾力的、こう言うのですね。いつまで弾力的でいくのか。農家は具体的な方向性を求めているのです。これは早く答えを出してもらいたい。 もう一つは、やはり減反の見直しです。もうここに来ましたら、来年から二年くらいは半分くらいの減反をして、そうしてしかと米を確保するくらいの対応をしなければならぬと私は思う。そこに備蓄の重要性もまた出てくる。この点もどうするか、この場でひとつ回答いただきたい。財政的な負担云々ということだけでいく農政の破綻というのが今回の米騒動だということを考えたときに、私は食糧の安全保障、国家の安全保障の中で防衛も大事、しかし外に向かって国を守る以上に内をしっかり固める、これが防衛の基本、そう思うのです。 総理、いかがでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 今の日本の食糧制度の中で、農民を守り消費者を守っているのは食管制度であるだろうと思います。食管制度によりまして消費者の皆さんには安定供給を保障し、また農民の皆様方には再生産可能な農業というものを保障する、そういう形でこの制度がずっと日本を守ってきていると思うのであります。この食管の制度を維持し、この精神に沿って今後とも農政をやってまいりたいと考えておるわけでございます。 そのたびそのたびごとに、いろいろな条件によりまして政策は弾力的に変化に対応していくべきものでございます。臨調ができまして、いろいろ政府機構が検討を受けて、各省にもいろいろ御協力も願っております。また、食糧につきましても、あるいは今のような農民の皆様方にいろいろな御協力を願うようなこともせざるを得ぬという形にもなって、減反政策もやってきておるわけでございます。しかし、これは変化に応ずるだけの弾力性を持って今後ともやっていくということが大事なので、それが政治であるだろうと思います。今度の第三期対策についても、そういう意味の弾力性を持った政治の一環としてやっておるのでございまして、農民の皆様方にも消費者の皆様方にも御心配をかけないように、政府の責任において今後とも実行してまいる考え方でおります。
○武田委員 時間でございますから最後にお尋ねいたしますが、今回のこの米騒動というものは、一つの米政策の見直しを迫られている問題だと私は思うわけであります。と同時に、日本の農業全体に対する、食糧の安全確保、世界の中の日本の食糧ということを考えて、真剣に日本の将来、総理がよく言う二十一世紀の日本農業はどうあるべきか、健全な農業の構築にはどうあるべきかということを、各党忌憚のない意見を、国会の場であるいはまたあらゆる場で各種団体、消費者等を含めてこの問題にしかと焦点を絞って問い改めるときが来たのではないかと思います。そういう意味で、今後こうした問題について総理が積極的に取り組む姿勢を示してほしい、こういうふうに思うわけでございます。 よく、一国の繁栄というのは農業の繁栄にある、農業を軽視して国の繁栄はない、こういうことが言われておるわけでございます。中国では、一年の計は殻物を植えるにあり、こう言って、食糧政策がその政策の中心でございます。総理に次ぐ、主席の副主席が農林大臣として農業全般の責任を持って事に当たっている姿を見たときに、私は、日本の中曽根内閣はもっと積極的に、この日本の農業の新しい船出のためにも、そして農家の皆さん方が安心して農業に従事できる、農林大臣がよく言う足腰の強い希望のある農業の再建のために全力を挙げてほしい、このことを要望し、それに対する決意の一端を総理から伺って、質問を終わらせていただきます。
○中曽根内閣総理大臣 農は国のもとと前に申し上げましたが、そういう精神を持って一生懸命やらしていただきたいと思います。
○武田委員 では、終わります。
○阿部委員長 稲富稜人君。
○稲富委員 本日、この農水委員会に、総理が重大な米の問題に関して御出席いただいたことに深く敬意を表します。さらに、日ごろより中曽根総理は農村問題に対して非常に憂慮され、発展策を講じられているというその精神を十分酌んでおりますので、私は、与えられた時間がわずか二十分でございますが、その短時間の間に、基本的な問題を二、三お尋ねいたしたいと思うのであります。 御承知のとおり、今日米の問題が非常に重大な危機に達した、こう言われております。この米作不良の原因は、四カ年間続きました冷害、天候、気象の結果であることはもちろんでございますが、気象の変化ばかりでなくして、ちょうど五十八年に出されました農林省の農業白書の中にもそのことがうたってあるのでありますが、本当に農業経営に当たって、今日の状態というものは、機械化の結果、耕すことが浅くなっているのだ、あるいは水管理あるいは肥料の管理、こういうことに本当に挺身すればもっと被害は防げたはずだ、こういうことがうたってあります。こういうような結果になったことは、すなわち農民が農業経営に対する、非常に怠るといいますか、粗放化したのが原因ではないか、こういうことをうたっているのでございます。どうして農民が農業に従事する態度というものがそういうような状態になったか、どこにその原因があるか、こういうことに対して我々はこの際ひとつ検討する必要があると思うのでありますが、まず総理はこれをどうお考えになっているか、承りたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 高度経済成長時代になりまして、非常に工業化が進みました。そのときに、農村が置き忘れられるのではないかという心配がありまして、稲富さん御存じのように皆様方のお力によって農業基本法をつくろうということで農業基本法ができて、基本法農政というものが進められたわけでございますが、しかし、その後も日本の工業化の進展というものは非常にすさまじい勢いで進んできている。そのあおりを農村は食らったと思うのであります。 そのあおりを食らったのに対して、適切な農政をさらに進めていかなければならぬと思ったと思いますが、何しろ日本の高度成長やあるいは工業化の進展度合いというのは非常にすさまじい勢いでもございまして、一生懸命こちらはやったと思ってはおりますけれども、いわゆる基本法農政というもので必ずしもそれが成功したとは思わない部分があるわけでございます。それがやはり今日のひずみになって出てきていると思います。 しかし、政府といたしましては、その中でも食管会計、食管制度というものを維持しつつ、必死になって農業のために努力もしてきたと思うのであります。特にこの財政難になりましてからは、農林省や農業団体には大変な御協力をいただきまして、厳しい中にもよくこれだけ御協力いただいていると思うぐらい御協力もいただいて感謝しておるところであります。しかし、こういうやさきに立ちまして、やはりもう一回過去を眺め、また未来を考えっつ農政というものを深く掘り下げて考えなければいかぬ、そういうように私は思っております。
○稲富委員 ただいま総理も、農業基本法以来基本法農政をやってきた、先刻は、それで専業農家を育成しようということで努力もした、こうおっしゃっておりますが、実際、統計を見ますと、農業基本法ができまして今日までの農家の状態を見ますと、農業基本法ができました三十六年は専業農家数が百六十一万五千戸だった。だんだん減りまして、今日では専業農家というのが五十九万六千戸に減っております。それから第一種兼業農家が三十六年には百九十一万一千戸あったのが、今日では七十三万一千戸に減っております。逆に第二種兼業農家は、三十六年には二百三十九万七千戸あったのが、今日では三百十九万五千戸にふえております。こういうような点から見ますと、かえって農業に専念する農家が減ってしまって、農業を副業とする農家戸数がふえているという状態、これは我が国の健全な農村を育てていかなくちゃいけないというこの総理の考え方から見ると、私は非常に嘆かわしい状態ではないかと思うのです。 こういう問題に我々はいかにして取り組むか。問題は、私は、こういうように農民の中に粗放化した農業経営がやられるようになったということは、農業に対する希望というものを農業経営者はだんだんなくしたのじゃないか。我々はどうしてこの農業経営に当たる者に希望を与えるか、これは私は非常に重大な問題ではないかと思うのであります。私たちは後継者の問題を考えまして農村に行きますと、将来農業に従事しようという希望を持った青年ほど、日本の農業の将来はどうなるかという不安を持っておる。農業経営者に不安を与えるようなことでは健全な農村は築くことができないと、私はかように考えるわけでございます。それで、こういう問題に対して何とかひとつ農民に希望を与えるような、こういうような農業をやることが必要である、こういうことを私たちは考えながら今後農業対策というものを進めてまいらなければいけない、かように考えております。 そういう意味から申し上げまして、今回の米の不足というものは、すなわち五十三年度産米の備蓄された米が変質をされた、ここに非常に政府も周章ろうばいをされておるようでございます。この米の備蓄の問題に対しましても、私はしばしばこの席上で政府に警告いたしました。米を備蓄するというのは、もみ貯蔵でなければ、今日のような薫蒸をし、あるいは米をビニールの袋に入れ、あるいは紙袋に入れると米は窒息するのだ、米は生き物だから、おのずから変質するのだから、この備蓄の方法というものは考えなければいけないのだということを私はしばしばこの委員会でも言ってきた。ところが、今回備蓄においてその米が変質したということは、やはり米の備蓄、その管理においては私は非常に怠った点があったのではないか。私は、あえてこれを今日責任を追及しようとは思いません。今後そういうことがないように、十分政府は責任を持って備蓄の方法なりあるいは備蓄に対するこういうような検討をして、そして処すべきじゃないか、私はこういうことを考えますが、いかがでございますか、ひとつ承りたいと思うのでございます。
○中曽根内閣総理大臣 もみで貯蔵せよという稲富先生の御議論、私は前から承っておりまして、これも一つの大事なお考えを示されておるとは思っております。ただしかし、もみでやるという場合の効率性、そのほか諸般の問題を考えてみます場合に、ちょっとこれは考えさせていただく今の状況である、そう思っておりますが、おっしゃいますように、貯蔵の管理、これにつきましては、今後さらに検討を加えて改良すべき点は改良していく必要がある、低温化であるとかさまざまのことがあると思っております。
○稲富委員 もう時間がありませんから、さらに進めますが、この際、非常に重大な問題として考えなければいけないことは、政府は、ただいま申しました五十三年度産米の変質に対しまして、非常に米が不足した、こういうことで直ちに韓国米の、貸し付けてあったものを返還をしてもらうのだ、こういうことを発表されたのでございます。 私は、農政をやろうという者は、やはり農民の心を心として農政に携わる、これが最も必要であると思うわけであります。そこへ農民の農業に対する希望もわいてくる、また意欲もわいてくるのだ、かように考えます。ところが、今日の農民感情はどうであるかというと、先刻からも食管法を守るために減反政策をやっているのだとおっしゃいます。もちろん、それに対して農民は今日服従しております。ところが、その減反政策にも農民は非常な不満を持ちながら、やむなくこれに対して追随しておる状態である。特に、今日、外国農産物の輸入というものに対しては農民は非常に不安と反対をいたしております。米の輸入があるのじゃなかろうかというような、こういう不安を持っております。こういうさなかに、米が不足したからといって、変質米が出たからといって、直ちに韓国に米を貸してやったからこれをひとつ返還してもらうんだというような、こういうような状態を発表するということは、私は農民感情を逆なでするも甚だしいと思うのです。 どうしてこういうような態度をとられたか。私は、いかにも日本の農業、農民をどう考えておられるかということに対して疑問さえ持たざるを得ない。もしも、本当に今回その五十三年度米がそういうような状態であったとするならば、農民との間に胸襟を開いて、日本の農業は、日本の食糧事情はこういう事情になっているのだ、願わくは、農民は保有米でも出してもらわなければいけないか、こういうように農民と本当に接触し、語り合うような機会をなぜつくらなかったか。それをほっておいて、農民の気持ちを逆なでするような韓国米の輸入、しかも、その内容を発表されない。どういうような形で輸出されて、どういうような形で現物返還ということになっておったのか、この点も承りたいと思うのでありますが、なぜそういうような農民を逆なでするようなことをやられたか、私はその点を非常に遺憾に思いつつ、これに対する政府の考え方を承りたいと思うのでございます。
○松浦政府委員 二つのお尋ねに対してお答えをいたしたいと思いますが、今回、韓国からその貸し付けているお米を返還していただこうと考えました過程におきまして、いろいろと私どもも、どのような方法をとりますれば五十三年産米の今回の安全性の問題に伴った加工原材料のお米の不足に対応できるかということを考えてきたわけでございます。ただ、その際に、農家の方々から保有米を出していただくというお話は当時は承っておらなかったのでございますけれども、それにいたしましても、主食用のお米をこの加工原材料に充てられるかということは十分に検討いたしました。しかしながら、その場合に、先ほどから御説明いたしておりますように、主食用のお米につきましても必ずしもゆとりのある、需給の操作のある状況ではない。さらに加えまして、財政的な事情もございます。さようなことから、国内でとれます主食用のお米を回してこの問題に対応できるという結論に達してなかったわけでございます。したがいまして、私どもが韓国に貸し付けているお米を返還していただこうというふうに考えたその過程は御了承いただきたいというふうに思うわけで.ございます。 いま一つのお尋ねでございますが、ただいま韓国との間で話し合いをいたしておりまして、大筋は合意に達しておるわけでございますが、その内容は、当時六十三万トンのお米を、昭和四十四年、四十五年にお貸しをいたしました。その米を現物で返済をしていただくということになっておったわけでございますが、十年据え置き、二十年還付という形でございました。ところが、十年たちまして昭和五十五年になりましたところが、韓国の側におきましては、お米で、現物で返還するというためにはお米が不足になってしまったわけでございます。そこで日本の政府の方も、お米で受け取りましては、まさに過剰でございまして、受け取りにくいということがありまして、昭和五十五年に交渉いたしまして、その結果、当分の間、現金でお返し願うことも可能であるというお約束をいたしました。ただし、これはまた現物に戻すということも交渉内容では可能でございましたので、したがいまして、残りまだ五十二万トンほどございます、この一部、つまり十五万トンを現物でお返し願おうということで話し合いをいたしたという経緯でございます。 ただ、契約の内容につきましては、概要として幾らでもお示しできます。ただ、契約の内容そのものは、これは理事会の方で預かっていただきましたが、私ここで御答弁申し上げましたが、国と国との間の合意でございますから相手方の同意も必要でございますし、関係方面の了承もちょうだいしなければならぬ問題でございますので、概要でひとつお示しをさせていただきたいということを申し上げた次第でございます。
○中曽根内閣総理大臣 いきさつは以上のとおりでございますが、稲富さんの先ほどのお話にかんがみましてお答え申し上げるのでございますが、なるほどいきさつはそういうことではあるけれども、しかしお米の問題というのは非常にデリケートな問題で、今まで農業団体や農民の皆さんにもいろいろ御協力も願い、無理もお願いしてきた。こういういろいろな情勢から見ますと、こういうような問題については十分の上にも十分根回しをし、よくお話し合いをし、御理解をしていただく、そういう努力と努力の積み重ねの上にこういうような処置が出てくるということはやはり考えなければならぬ点で、もしそういう努力が不足であるとすれば、これは甚だ遺憾でございます。これは申し上げておきたいと思います。
○稲富委員 ただいま総理からもお言葉があったのでございますが、本当にその努力が欠けているのですよ。これが農民感情を逆なでするのですよ。契約の内容をはっきりされない、国際的な問題だ、こう言われると私たちはますます疑惑が大きくなっていくのです。 ちょうど四十四年ごろは日本も米がだぶついておった。本当に韓国との間に現物返還の約束ができておったかどうか。あるいは現物で返還されたらかえって困るというような状態じゃなかったのですか。それでその後向こうが金で返還したから、当分の間と言いながらもこれをいいことにしておったんじゃないか。現物を持ってくると困ったんじゃないですか。しかも、韓国は既に加州米を輸入している状態であるし、また、現物返還だと価格の問題によっても韓国は非常に困る。そういう状態であるならば、はっきりその点を国民の前に明示しながら、政府はこう困っておるからこういう態度をとるんだと言えばいい。そういうような状態であるにもかかわらず、それをいかにも雲の中に隠しておいて、それでにわかに前に米を貸してあったから現物で返還してもらってこれを補うんだというような、こういうようなことを言われるからますます農民の中には疑惑が生ずる。 これは私は政治の面において非常に不信を買うゆえんであって、非常にまずいと思う。そういう点は、やはり今総理が言われたように非常に努力が足らなかったと思うし、もしもそういう問題があったらば、農民の心を心として、農民の中に溶け込んで、農民とともに語り、この問題を処理する、こういうような状態に将来持っていくべきだ。こうすることが農民に希望を与えるゆえんであるし、これが農業を発展せしめるゆえんである、私はかように考えますが、そういう点を特にひとつ承りたいと思うのであります。
○山村国務大臣 今総理からも御答弁ありましたとおり、今後も農民の皆さんとよくお話し合いをいたしまして、そして農民の心を心としてと言われた先生の御趣旨に沿うように努力してやってまいりたいと思います。
○稲富委員 時間がありませんから一問だけでございますが……。 先刻からも話があっておりますが、この際米がこういう状態にあるときに、今日水田再編成をやっております。これは本年度の米ができてからどうするんだということじゃなくして、この水田再編成の問題も、今日、本当に今までのことを考えながら、健全な方法をとるために再検討するということをひとつ政府としてもお考えになったらどうであるか。そうすれば、その事情によっては農民も納得しましょう。農民の納得のいくような、こういうような水田再編成を行うべきであるということが一つ。 さらに一つは、本年も既に本年度の米価を決定すべき時期が参っております。この米価決定に対しても、私は常に申すことではありますが、農林省が米価審議会に米価を諮問される場合、本当にことしの米の生産費は幾らである、生産費補償方式であるがゆえに本当のことしの米の生産費は幾らかかるんだ、しかしながら経済上その他の事情を参酌すると、あるいは消費者のことも考えれば、農民には気の毒であるけれども本年度はこれほどの米価でひとつ米審に諮問するんだと、それは明らかにすべきじゃないかと思う。 それにもかかわらず、生産費は幾らかかろうともそういうことにお構いなくして政府で米価はこれほどで諮問するんだ、こう言われると、一般消費者から見ますると、一般国民から見ますると、農民が米価要求することは非常に不当な要求をしておるような感じを持つのです。それが農業に対していろいろな補助をやる、あるいは助成をしようとすると、農民に対する過保護であるというような一般のそしりを招く。これはやはり農民の本当の真意をつかまないで政治をやられるからそういうことになると思うのでございます。それで、こういう点に対します米価決定に当たりましても、明らかに本年度の米の生産費は幾らかかるんだ、しかしながらこういうような経済事情なるがゆえにこれほど諮問するんだということを明らかにして米価決定をやることが農民に親切なゆえんであるし、健全なる農村をつくるゆえんである、私はこう思いますが、いかがでございますか。
○山村国務大臣 第三期対策につきましては、ただいままで御答弁申し上げましたとおり、本年度の作況を見た上で、いわゆる在庫積み増し等そのほかを含めて第三期対策の運用を弾力的に図ってまいりたいと考えております。 また、米価の問題につきましては、生産者に再生産の確保そして消費者には安定供給、これを念頭に置きまして、今のところ全く白紙でございますが、これが図れるようなぐあいにやってまいりたいというぐあいに考えます。
○稲富委員 最後に、総理に一言だけ。 今申し上げましたように、農民は農業経営をしながら非常に希望をなくし、不満を持っております。それで、こういう時期にひとつ原点に返って、日本農業をどうするかという位置づけを国として考える、そうして農民が安心して農業に従事することができるような、こういうことをすることが総理の言われておる健全なる農村を建設するゆえんである、かように考えますので、そういう農村の位置づけをこの際ひとつ中曽根内閣においてやっていただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。よかったら、総理のこれに対する御返答をお願いしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 農は国のもとと私前から申し上げておりますが、全くそのように考えておるのでございまして、一面においてそれは日本の食糧を保障する、また一面におきましては日本の環境のためにも大きな貢献をしていただいておる、あるいはさらに地域の振興あるいは地域の精神的文化の面におきましても農村というものは非常に重要な使命を果たしておるわけです。そういうあらゆる意味におきまして農村を大事にしてまいりたいと思っております。
○稲富委員 終わります。
○阿部委員長 中林佳子君。
○中林委員 韓国から米緊急輸入という事態に、今全国津々浦々から農民のみならず全国民の激しい怒りが政府に対して沸き起こっていることは御存じのとおりだと思います。私の地元は、佐賀県に続いて西日本では米の生産県、島根県なんですが、その島根の農民の方々からも、私にぜひ総理に対してこういう怒りを言ってほしいという声を寄せられております。 減反を無理やりに押しつけて輸入とはもってのほかだ、まさに農業つぶしてはないかとか、あるいは米を精いっぱいつくって不足したなら話がわかるけれども、こんなことでは許せない。また、大変憤慨している。今まで米価値上げも公約だけに終わり、減反も押しつけ、特に中曽根内閣になってそのことがひどい。米不足は二、三年前からわかっていたではないか。まさに輸入の機会をうかがっていたとしか思えない。農民を見ないで大企業だけを見詰めている政治ではないか。息子にはもはや農業を継ぐ意思はない。今に農業をやる者はだれもいなくなるよと、挙げれば切りがないほど怒りの声ばかりなわけです。 全国各地の農業委員会だとか農協あるいは市町村議会や県議会そして消費者団体、次々と輸入反対の抗議の声明を上げています。総理の耳にももちろん届いていると思いますし、先ほどからの答弁を聞いておりましても、申しわけない、この一言で済ましていらっしゃるようですけれども、私はそういうことでは済まされないのではないかと思うわけですね。我が党がこのままでは米は不足しますよということを、この百一特別国会が始まってからも三度にわたって政府にゆとりある需給計画と減反の緩和をすべきだ、こう訴えてきたわけです。にもかかわらず、政府は何の手も打ってこないばかりか、輸入決定直前までは米不足はないと農民にも国民にも言い切ってきたわけです。今日の事態を招いたのは、四年連続の不作のもとで過大な減反を農民に押しつけ、需給逼迫をもたらした結果にほかならないことは言うまでもありません。総理は、この事態をみずからの政策の失敗によって生じたものとお認めになるのか、農家の皆さんに済まなかったと内閣を代表して頭をお下げになる気持ちがあるのかどうか、まずその点をお聞きします。
○中曽根内閣総理大臣 先ほど来稲富さんに申し上げたとおりでございますが、しかし、具体的な問題につきましては、五十三年米の他用途米に関する臭素の残留というようなことから起きている問題で、主食については心配はないのであります。そういう意味におきまして、主食の問題については国民の皆様方に御心配なきようにお願いいたしたいと思っております。
○中林委員 そういう認識だからこの事態は打開できないと私は思うわけです。もしそういうことを総理がずっとお考えになるならば、農家の人たちはますますそういう政府に反発をして、今後困難な事態を招きかねないということを指摘せざるを得ないと思うわけです。既にこの委員会で我が党の津川議員の質問でも明らかにしているわけですけれども、ことし九月上旬には五十八年産米の在庫がゼロになり、五十九年度産米を大体百万トン早食いしなければならない、さらに来年も、これまでのような作況指数の様子では八月下旬には米がなくなるという事態も予測されるわけです。今政府としてすぐに手を打たなければ、一層国民の不安は募るばかりだと私は思います。 そういう意味で、今政府として何がとり得る政策か。例えば今年度産米の緊急増産措置として、休耕田への緊急作付指導だとか、あるいは青刈り稲を米として収穫するとか、他用途米を主食用と同じような扱いにしていくとか、可能な手をできる限りこの時点で打っていかなければ農民の不安は増すばかりだと思いますけれども、そうした緊急増産の対策は打たれますか。
○松浦政府委員 主食の需給に関してでございますが、私も先ほど御答弁申し上げましたように、いましばらく事態の推移を見なければ、先ほど先生がおっしゃられますような事態になるかならないかはわからないと思います。 ただ、六十五万トンよりも多い早食いをしなければならないだろうということは、先ほど私どもも申し上げております。その場合に、私申し上げたいことは、九月末までには早場のお米は百万トン出てくる、十月末には四百万トンの早場のお米が出てまいるわけでございますから、そのお米を有効に集荷し、早く検査し、そしてまたこれを適切に輸送することによって十分に対応できるはずでございまして、私どもはきめ細かな需給の操作ということによって万全を期してまいりたいということを申し上げておる次第でございます。
○中林委員 今ここで手を打たないで、手をこまねいて、しばらく様子を見なければわからないということでは間に合わないのですよ。もう既に明らかにしているように、ことしの作況の状況が去年を上回るというようなことはとても予測できないと思います。ですから、そういうことを考えれば、早食い早食いで政府の立てていらっしゃる単年度限りの需給計画では、とてもではないけれども追いついていかない、こういうふうに指摘せざるを得ません。 そこで次に、今年度米の増産も含めて米の増産を考えるときに、決定的なものは生産者米価の引き上げた、こういうふうに思います。農民は、生産費高騰の中で米価が実質六年連続して据え置かれて、経営が著しく悪化していることは、総理、御存じでしょう。五十二年と五十七年の稲作所得を比べてみますと、五十二年には十アール当たり九万一千円、それが五十七年には七万二千円と、二万円も減少しているわけですね。四年連続の不作は異常気象だけではない、こういうふうに思います。低米価政策による農民の生産意欲の低下が大きな要因となっていることは、だれもが認めていることです。 そこで、総理にお伺いするわけですけれども、経団連など経済五団体は、去る二十二日に行政改革推進の集いを開いて、生産者米価据え置きなど五項目の決議を行っておられます。それに基づいて総理に申し入れをされているわけですが、行革の断行を唱えていらっしゃる総理は、この財界の申し入れを受けて生産者米価を据え置く方針でいらっしゃるのか、それとも今農民の生産意欲を引き出すために、米の増産を図るという観点からしても生産者米価を大幅に引き上げる用意がおありなのかどうか、総理、その点をぜひお答えください。——総理に。
○山村国務大臣 生産者米価を決めるのは私でございます。総理ではございません。 先ほど来稲富先生に御説明申し上げましたとおり、全くの白紙でございます。食管制度を堅持するということを念頭に置いてこれを決めてまいりたいと考えております。
○中林委員 これは農民の生産意欲の問題にかかわることでして、そういう内閣としての方針を総理に聞いているのです。
○中曽根内閣総理大臣 米価は食管制度のもとに決められておるのでありまして、食糧管理法の精神にのっとり、よく検討してまいりたいと思っております。
○中林委員 農家の人たちに本当に生産意欲が巻き起こる、そして意欲を持って農業に従事できることになるために、ぜひ大幅に生産者米価の引き上げをしていただくよう、強く要望しておきます。 総理は、さきのロンドン・サミットで日本が大きな役割を果たしてきた、このように本会議で御報告をなさいました。ただし、食糧、農業問題ではとても大きな顔をして先進国の仲間入りはできないのではないかと私は思うわけですね。サミット参加国のほとんどが食糧自給率を高める努力をしております。自給率の低かったイギリスでさえも、穀物自給率を一九七〇年の六二%から一九八二年には一一一%に高めております。この中でひとり日本が穀物自給率を下げ続けて、現在、御存じのように三三%という異常な低さとなっているわけです。しかも、その中で、一〇〇%自給を辛うじて達成してきた米までが輸入ということになりますと、先進諸国とは逆行していると言わなければならないと思うわけです。 私は、総理にぜひこの点を肝に銘じておいていただきたいと思うわけですけれども、国内で減産をさせておきながら外国にお願いするということは甚だ恥ずべきことではないか、こういうふうに思うわけですね。少なくとも国内の主食である米について、不作のときも完全に自給できる、ゆとりある体制を確立することが、今非常に必要だと言われております。加工用であれ主食用であれ、文字どおり全量国内産で賄う、貸付米の現物返還ということも含めて外国には一切依存しないと内閣としてお約束できますか。
○中曽根内閣総理大臣 先ほど来農は国のもとと言っており、食糧安全保障という面から国民の皆さんに心配をかけないようにするというのが基本方針でございますから、そういう方針にのっとって努力をしてまいる考えでおります。
○中林委員 それならば、本当に保障するというのであるならば、米の需給計画をゆとりある計画にするために減反政策をこの際大幅に緩和する必要がある、こういうふうに思うわけですが、その点いかがですか。
○山村国務大臣 先ほど来何遍も答弁しておりますとおり、本年度の作況を見た上で弾力的に第三次対策を運用させていただきたいと思います。
○中林委員 農家の人たちにお伺いしますと、減反政策の見直しというのは少なくとも今のような割り当ての時期では遅過ぎる、早目に早目に言ってくれれば、自分たちも泣く泣く協力をしているんだ、こういうお話なんですよ。しかも減反の緩和ということになりますと、今までつくらなかったところに米をつくっていくということも考えられるわけですから、やはり今から具体的な手を打っていかないと間に合わない、こういうふうに思うわけですけれども、ことしの作況指数を見てからではなくして、もう少し早目に手を打っていくお考えはございませんか。
○山村国務大臣 できるだけ早く見通しを立ててまいりたいと思います。
○中林委員 総理に最後にお伺いしたいと思うわけですが、日本の農業が十分な米の自給能力を持ちながら今日のような事態を招いた原因は、自民党政府が国民の主食、食糧を確保する立場から農業を発展させる政策を持たなかったということにほかなりません。これまで高度成長政策の中心的な推進役でありました宮澤喜一さんでさえも、七月号の文勢春秋「わたしの「資産倍増論」」で、農業政策としては今日までついに我々は一貫したものを十分に持ち得なかった、こういうふうに自民党政策の貧困を告白されているわけなんです。つまり、政府は臨調や財界の言いなりになって食管、米を初め農業全般に対して財政支出を圧迫してきた。このことは予算の中にもはっきりあらわれているわけですよ。一九七三年には全体の予算の一二・二%が農業予算で、ことしの一九八四年には全体の六・八%、率として半減しているんですよね。 総理は、この百一特別国会だけでも農業について非常に立派な御発言をなさっている。私も聞いておりますが……
○阿部委員長 簡潔にお願いします。時間が参りました。
○中林委員 農業は生命産業である、農村というものは民族の苗代である、こういうようなことをおっしゃっているのですが、これが口先だけに終わらないように、今こそ国民の声に謙虚に耳を傾けて農政の根本的転換を図るときではないかと思います。主な食糧の自給率の向上を目指すこと、農産物の輸入を減らすこと、国内生産をふやす保護政策をとること、このことは今や国際的常識になっております。財政措置も含めて、農業を真に国の基幹産業として位置づけるように政策の転換をなさるおつもりはないのか、最後にそのことを総理にお聞きして質問を終わります。
○中曽根内閣総理大臣 とにかく一生懸命やります。
○阿部委員長 次回は、来る二十七日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時三分散会