P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
101回国会衆議院1984/07/06

逓信委員会公聴会 第1号

発言数
68
登壇者
13
会派数
5
開催日
1984/07/06

会議録

志賀節自由民主党・新自由国民連合

○志賀委員長 これより会議を開きます。  日本電信電話株式会社法案、電気通信事業法案及び日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について公聴会を行います。  この際、公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございました。  電電改革三法案に対する御意見を拝聴し、これからの審議の参考にいたしたいと存じますので、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただくようお願い申し上げます。  次に、御意見を承る順序といたしましては、まず最初に小林大祐君、志場喜徳郎君、山岸章君、稲葉三千男君、曽山克巳君、岩村精一洋君の順序で、お一人約十分程度で一通り御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えをお願いいたしたいと存じます。  それでは、小林公述人にお願いをいたします。

小林大祐経済団体連合会情報通信委員会委員長

○小林公述人 経団連の情報・通信委員会の委員長をしております小林でございます。  本日、この逓信委員会におきまして、電気通信法制度の改革の問題について私どもの見解を述べる機会をいただきまして、ありがたく存じておる次第でございます。  経団連では、主として通信のユーザーの立場から、情報・通信委員会が中心となって、産業におけるより一層の情報化、ネットワーク化の推進に取り組んできております。  特に最近では、通信回線利用の自由化、通信事業への民間参入の実現、電電公社の改革及び民間による衛星通信利用の早期実現など、いわば通信分野のハード、ソフトの両面にわたって、その自由化を要望してまいりました。  政府・自民党が一昨年七月の臨調基本答申を受けて今国会に提出された電気通信法制度改革に関連する一連の法案、すなわち、日本電信電話株式会社法案、電気通信事業法案及び関連法律一括整備法案には、経団連が従来要望してきた事項がほぼ取り入れられており、産業界から見て評価できる内容の法案であると思っております。つきましては、ぜひともこれら法案の早期成立をお願いする次第でございます。  本日はせっかくの機会でございますので、電気通信法制度改革に対する私どもの見解につきまして、今後の課題も含めて御説明申し上げ、御参考に供したいと存じます。  まず最初に、私どもの基本的認識を申し上げますと、戦後、我が国では基本通信綱としての電話綱の建設に重点が置かれ、電電公社の独占のもとでその建設が行われてきたわけでございますが、その結果今日、電話綱については世界有数の水準にあり、その意味で戦後の通信政策は所期の目的を達したと言えると存じます。  しかしながら、電話の架設の積滞解消及び全国即時通話化が既に昭和五十三年度に達成され、また、情報通信分野における技術革新が日進月歩で進んでいる今日、利用者、特に産業の通信ニーズは高度化、多様化しておりますので、高度な通信につきましては、従来の全国あまねく公平にという基本理念から、ニーズに応じて機動的にという新たな理念への転換が求められているのではないかと考える次第でございます。  この点につきまして、やや立ち入って御説明申し上げますと、今後の高度情報通信社会において、情報は物資、エネルギーに次ぐ第三の要素として重視されておりまして、情報を伝送する通信ネットワークは、社会のインフラストラクチャーとして極めて重要になりつつあります。  特に、産業のネットワーク化は今後の我が国産業の国際競争力を左右する重要な要素であり、多様な通信ニーズの充足と通信コストの低減とは、産業界の切実な要望でございます。  御案内のとおり、米英では、通信分野に競争を導入することによって、最新の技術革新の成果を通信分野にいち早く導入し、あわせて通信コストを引き下げるという政策をとっております。  我が国において電電公社が果たしてきた役割は高く評価されてよいと存じますが、公社発足後三十年を経て、電話加入数が四千万を超え、多様化しつつある電気通信サービスのすべてを依然として公社が独占的に提供している中で、合理化意識の希薄化、サービス精神の低下等、巨大独占事業体としての弊害も指摘されるに至っております。  多様なニューメディアをすべて一元的体制の中に閉じ込めておくことは、技術の発展の見地からも、ニーズに適切にこたえていく上からも好ましくないと存じます。基本通信綱としての電話の普及した今日では、競争する事業体の提供する多様なサービスを利用者が自由に選択できるようにすることが、利用者の利益の増進にかなうことと考えます。我が国においても、通信分野に競争を導入し、民間の創意工夫を積極的に活用することが不可欠と考えるゆえんでございます。  これを輸送に例えれば、鉄道以外に自動車や飛行機といった新しい交通手段が出現したにもかかわらず、すべての輸送期間を一つの事業体に任せることがいかに不合理か明らかなところだと思います。  通信の場合一元的運用の必要性がよく言われていますが、これも近年のインターフェース技術の進歩によりまして、複数のネットワークが併存することが可能となっております。  その意味で私どもは、今回の元気通信法制度改革法案の趣旨は、民営化によって新電電会社に当事者能力を付与し、その活力を十分に発揮させるとともに、競争を導入することによって公共的使命を負った新電電会社とニーズに応じてサービスを提供する民間とが相補完し合い、競争と協調を通じて我が国全体としての電気通信の水準を高めていくことをねらったものと理解し、歓迎しておる次第であります。  次に、今回の法案の内容に関連して、産業界の立場から、次の四点につきまして御配慮をお願いいたします。  一つは、通信分野への民間参入を、法律の上だけでなく、現実に可能とすることでございます。何分新電電会社は巨大であり、新規参入者が仮に東京-大阪のようなトラフィックの多い区間に参入したとしても、対等に競争していくことは極めて困難であります。新規参入者が育ち、適正な競争状態が出現するまでは、公正かつ有効な競争確保のための配慮が望まれる次第でございます。  具体的には、データ通信設備サービス部門の分離等により、新電電会社による内部相互補助を禁止すること、公社体制のもとでの研究開発の成果は国民の財産であり、通信事業全体の発展の見地から適正な対価をもって公開すること、料金決定の面で新規参入が不可能となるようなことのないよう十分配慮すること等が必要であります。  また、現在私どもは、望ましい新規参入のあり方について勉強をしておりますが、何分我が国では、従来から通信関係の基本データが十分に公開されておりませんので、こうした資料の公開も望まれるわけでございます。  このほか、国内通信だけでなく、国際通信についても、民間の新規参入が可能となるよう、国が積極的に対外調整に当たっていただくことが望まれます。  第二は、新電電会社による投資の問題であります。国の基本的な電気通信サービスを担っていく上で、新会社に当事者能力を付与することは、臨調答申の精神に沿うものと思いますが、進出分野あるいは進出の態様によっては問題を生ずるおそれもありますので、慎重な対応を望みたいと存じます。  第三に、新電電会社のあり方及び電気通信事業法そのものの見放しについては、技術革新が激しく、ユーザーニーズの変化の早い時代でございますので、ぜひとも法案に盛られたとおり、それぞれ所定の期間内に見直しをしていただきたいと考えております。  第四に、情報通信分野の研究開発につきましては、今後、この分野が我が国の発展に極めて重要な役割を果たすことと認識いたしておりまして、新体制移行後も、我が国全体のこの分野での研究開発力が低下することのないよう、所要の措置が望まれます。  私どもといたしましては、ソフトとしての通信回線の自由な利用が進めば進むほど、ハードとしての通信綱の高度化に対するニーズが高まりますし、逆に、ハードが高度化し多様化していけば、ソフトも同じように高度化し多様化していくものと考えております。そうした意味で、両者はいわば唇歯輔車の関係にあり、通信のハードとソフトの両面に競争を導入し、民間の活力と創意工夫を生かしてこそ、高度情報通信社会の早期構築が可能になるものと確信いたします。  以上、いろいろと申し上げましたが、今回の改革は行政改革の面からも、また、今後の我が国の電気通信の高度化を図る面からも、時宜にかなったものと考え、ぜひともその早期実現をお願いしたいと存じます。我が国の場合、VANの開放がおくれた結果、この分野で米国に大きくおくれをとった経験がありますので、ぜひとも今国会でこの法案が成立をするよう重ねてお願いして、私の御説明を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

志賀節自由民主党・新自由国民連合

○志賀委員長 どうもありがとうございました。  次に、志場公述人にお願いいたします。

志場喜徳郎社団法人日本情報通信振興協会会長

○志場公述人 社団法人日本情報通信振興協会の会長をいたしております志場でございます。  私ども振興協会は、実は昨年の十月にできたばかりの新しい協会でございます。どうしてできたかと申しますと、ただいま今国会に上程されておりますいわゆる電気通信事業法関連の法案が近く国会に提出される、それによりましていわゆる高度情報化社会に向けて、従来の公社による一元的体制というものを廃止いたしまして、新たに民間活力の活用と競争原理の導入をもって、今後の高度情報化社会に伴う民間の需要の高度化ないしは多様化に対応していこう、こういうことが昨年のというか、昨年までにも議論されておりましたけれども、特に後半になって具体的な動きになってまいりました。かねてからそういう時代の趨勢に即しまして、いわゆる情報通信なるものに多大の関心と関係を有しておる企業が期せずして、現在の業種を超えまして、横断的な組織としてここに情報通信振興協会ができてきたのでございます。現在二百四、五十社の会員でもって全国、北海道から九州まで幅広くブロックを設けて、いろいろと勉強しておるという協会でございます。  そういうことで、うちの協会といたしましては、いわゆる啓蒙的な今後の情報通信分野の動向あるいは技術の問題その他諸外国の動向というようなものにつきまして、それぞれの専門的な立場の人をお呼びして講演会その他を活発に行っております。月に一遍ぐらいのペースで行っております。そこで驚きますことは、北海道に参りましても、名古屋に参りましても、大阪に参りましても、北九州に参りましても、聴衆は実にその場所に二、三百人、あふれるほどいつも満員なのでございます。それほど今や我が国は全国津々浦々まで、この高度情報社会の到来に対して、民間は民間なりにいかに対応してあるいはビジネスに参入していくべきか、こういうことを非常に熱心に模索しておるというのが、明らかに見てとれるのであります。  そういうところから申しまして、ただいま上程されております法案というものが一日も早く成立を見まして、これらいろいろと考えておる民間に対しまして、そういった具体的な行動というものに着手するようにしていただきたいというのが、私どものこういう実情を踏まえての偽らざる心情でございます。  それに関連いたしまして、若干の御要望といいますか、法律の運用あるいは今後の大きな政策づくりに関連いたしまして御要望を二、三申し上げておきたい、お許しを願いたいと思う次第でございます。  まず第一点は、先ほど小林公述人の方から公述がございました。私どもは主としてその御議論は、新電電との関係ということにおきまして、いわゆる法案における第一種電気通信事業、こういう分野の御発言が多かったのではないかというふうに了解するわけでございます。  その分野もいろいろと諸外国との関係等で問題もございましょう。しかしながら、それはいわばインフラストラクチャー的な、フレームワーク的なものの分野でございまして、これは従来も電電公社それなりにございますわけですし、今後の高度情報化社会での問題はむしろ、いわゆるVANと称せられる第二種電気通信事業の分野における我が国の通信事業のあり方というものを、どういうふうに国民経済全般的に見て付加価値の高い、また競争原理の働く生き生きとしたものにつくっていくのかということが、今後の我が国の高度情報化社会に向けての非常に大きなポイントではないかというふうに思うわけでございます。  具体的に申しますと、今度の電気通信事業がかなりの技術あるいは設備投資を必要とするということからいたしまして、そこへ日本の従来の風土といたしまして、ともすればそういう新規参入的な分野は、日本の巨大な産業、巨大企業あるいはその系列あるいは財閥的集団、そういういわゆる強者というものの集団なり力によっていろいろとなされて、シェアを分けられるという傾向が強いのでございます。  従来の公社によるいわゆる公的独占が今回のせっかくの改正によりましても、そういう巨大企業ないしその集団による寡占状態に置きかわったんだということだけでは、今回の法律改正はまさに画竜点睛を欠くということになるのじゃないか、こう思うのでありまして、その点から私どもといたしましては、とにかく中堅企業というものの育成ということに非常にポイントを置いて、今後のVAN的なものを中心にする第二種電気通信事業の発展を期していただきたいと思うのでございます。  技術面あるいは税制面、金融面、研究開発助成面、いろいろと助成措置もございましょうけれども、その際も、ともしますれば、大きなもの、利益のあるものにのみその助成の効果が均てんされて、特別償却をしようにもまずできないようなところにそういう制度がありましても、あるいは投資減税がありましても、何もならないのでございます。ですから、そういうことで、これは先ほど申しましたように、今や地方に参りましても、地方の時代と言われております、いろいろと今後の産業動向というものに対して関心は深うございます。どういうふうに合理化、効率化していくのか、あるいは我が国経済の一つの構造上の問題点と言われております流通業界の合理化、それにつきましても、きめ細かい通信なりそういう部門における情報化というものが、非常に大きなベーシックな問題として出てくると思うのです。  そういったときに、寡占状態でなくて、きめ細かく、ただしかし、中堅企業であればいいというだけでは十分ではございませんで、技術先端的あるいは開発的というようなものを中心にしました、しかし企業規模その他におきましては、いわば小回りのきくような独立的、専業的、そういうような企業というものを育成する、こういうことが、今回の改正の趣旨とする、今後の高度情報化社会に我が国として、資源の最適配分あるいは国民需要の多様な姿にきめ細かく機動的に対応していく――いろいろこのごろ住み分け論というような議論もあるようでございますが、いたずらにそういう住み分け論を言うわけじゃございませんけれども、そういう底の層をいろいろ多層的に厚くしていくということが、非常に全国的な意味でのVANというものの発展を図るのであろう、こういうふうに思われますので、いろいろな政策面におきまして、そこに焦点を当てていただきたいというのが第一点でございます。  なお、これと関連いたしますけれども、公正な競争の確保ということに関係いたしまして一、二申し上げますと、一つは、国家機関の自制を求めたい。官庁あるいはこのごろいわゆる第三セクターと称するようなものがございまして、それがいろいろと新しい事業みたいなものに挑戦するという動きもあるやに見えます。そういったような官庁主導ネットワークといったようなものは極力自制いたしまして、それぞれの本来の公共的な趣旨ないし目的、活動に限定すべきでありまして、いやしくも民業圧迫というようなおそれのあるようなことについては、厳に自制していただきたいというのが希望でございます。  また、この点からも関連いたしますが、先ほど小林公述人からもお話ございましたけれども、現在の公社のデータ通信本部のあり方につきましては、やはり民間の株式会社になりましても、巨大な第一種事業でございます新電電の一部門として、いわゆるデータ通信あるいはデータベース業務といったものが行われますと、実際問題として非常に巨大的な独占的な地位というものを引き継ぐというようなことになるのではないか。したがいまして、これは明確に区分独立いたしまして、それなりに業務を行われることが、フェアな競争といいますか、そういう面から必要ではないかというふうに考える次第でございます。  それから先ほど、これもまた小林公述人からもございましたのでダブりますけれども、公社が現在お持ちの技術研究所における研究の成果の問題でございます。今回の法案を拝見いたしますと、新電電の責務といたしまして、従来の研究所を引き継いだ、それまでに蓄積され、また今後開発され研究されるであろう技術につきましては、あまねく民間へ開放と普及を図る、努めなければならない、こういう訓示規定と申しますか、責任の規定があるようでございます。  全く趣旨は同じでございまして、本来ならば、研究所の体制というものはどうあるべきかということが、別途に国家的見地から考えらるべきではないかというふうな気もいたしますが、なかなかそれは具体的には難しい問題もございましょう。したがいまして、新電電に引き継がれるということはやむを得ないといいますか、妥当な措置とも存じますが、今申し上げましたその責任規定というものがいかに具体的に実際に実行されるのか、ここがポイントでございます。  これにつきまして、早急に政府その他におかれましても、具体的な労災というものをお立て願いまして、それによって新電電の指導その他に当たられますように、それに、先ほど申しました今後の技術に向けての中堅企業その他の技術開発型の企業が、そういった研究の成果をとりあえずできるだけ取り入れまして、その上にさらにそれなりの新技術を加えていく、こういうようなことにしたいと思う次第でございます。  それから、今申しましたように、従来の公社形態で蓄積されました資産、技術も資産でございますが、そういったものと並びまして、今回株式会社となり、その株式が広く一般に上場あるいは公開されるとなりますと、そこにいろいろと大きな巨額のいわゆる株式の売却利益というものが発生するということが予想されるわけでございます。この配分につきましては、とらぬタヌキの皮算用ではございませんが、いろいろと議論の多いところだと思います。  これはやはり従来の三十年にわたります公社制度のもとに、国民からいわば集中的に公に集められた基金である、こういうふうに考えられます。これをいろいろと民間といいますか、国民といいますか、それに還元するというにはいかなる方法がベストであるかということが、今後の論議でございましょうが、やはり通信という分野において蓄積されてきた資産であるという面も確かにございますわけで、その面から申して、さらにまた、今後の急速な諸外国との競争への突入、そういうことを考えますと、やはり育成するためにも通信技術の発展、その分野に少なくともその一部分というものは充当されてしかるべきものではないか、こういうふうに考えますので、よろしく御配慮をお願いしたいと思う次第でございます。  以上、いろいろ御要望申し上げましたけれども、冒頭に申し上げましたように、私ども協会といたしましては、今回の法案の趣旨ないし内容につきまして賛成いたし、速やかな成立をこいねがっておりますので、何とぞよろしく御審議をお願いする次第でございます。どうもありがとうございました。(拍手)

志賀節自由民主党・新自由国民連合

○志賀委員長 どうもありがとうございました。  次に、山岸公述人にお願いいたします。

山岸章全国電気通信労働組合中央執行委員長

○山岸公述人 全電通労働組合の中央執行委員長の山岸でございます。  私は、電電の当該の企業で働く労働者の立場から、この際、御意見を申し上げたいと思います。  結論から先に申し上げますと、出されております法案は、原案のままであるならば賛成いたしかねるということでございます。したがって、国会で十分御審議をいただきまして、前進的な修正をぜひ加えていただきたい、こう考えるものでございます。  まず第一のポイントとしまして、しからばおまえたちは、原案のどこに問題点を感ずるかということが問われます。この点、いっぱいございますけれども、私は特に六点だけ申し上げておきたいと思います。  まず第一は、政府は、この法案は行革法案の目玉だとおっしゃっておるやに聞いております。しかし私は、これは本来は行革とは本質的には異質のものである、二十一世紀を展望した高度情報社会へ向けて、情報通信の新しいシステムとルールをどうつくるかという観点の法体系の抜本的な見直しだ、こう受けとめております。ぜひそういう観点で国会でも御討議いただきたいと思います。  第二は、競争原理の導入ということが強調されております。私たちは、競争原理そのものについて全面的に否定するほど硬直した考えは持っておりません。しかし、競争原理と公共性の調和ということが非常に大切ではないか、こう考えるわけでございます。原案を拝見いたしますと、どうも競争原理が最大限重視をされて、公共性、国民の利益というものが軽視をされている嫌いがある、こう思います。  先ほども二人の公述人からお話がございましたが、新規参入の問題を我々は否定いたしません。しかし、無原則的な秩序なき新規参入というものが行われた場合には、そのしわが利用者に料金値上げとかあるいはサービスの低下ということで寄せられるおそれがございます。この点は、アメリカ、イギリスの現状を見ても明らかでございます。競争原理と公共性の調和をどう求めるかという観点でぜひもう少しメスを振るっていただかなければ、問題があるのじゃないかと思うわけでございます。  それから第三は、国益が損なわれるおそれがあるのじゃないか、こう思っております。当初の郵政省の原案では、第二種業については外資規制という発想がございましたが、最終的な政府案ではこれが消えております。外資規制がない、これは下手をすると、独立国としての通信主権を侵されるおそれがあるのではないか、このことを憂えるものでございます。  それから第四は、新電電に対する官僚統制が強化される危惧を私は非常に強く感じます。とりわけ当事者能力の制限、これは従来よりもきつくなるんじゃないかというように私たち当事者としては受けとめております。また一説によれば、法律では電電は第二種業を手がけることも認められておりますけれども、政府高官のお話では、電電が第二種業に進出をするのであれば、端末機も含めて料金については郵政大臣認可で、新電電に関する限りは料金はがんじがらめに縛り上げるというお話もあるやに聞いております。もしそういうようなことをやられたのでは逆に、公正競争条件というものが損なわれるのではないか、このことを憂えております。  それから第五の問題としては、スト権でございます。これは今度の法律では、労調法の附則を改正して、労働大臣の職権による中労委に対する調停中は、十五日間に限りストライキを禁止するという内容になっております。私は、近代的な労使関係、その中における労使の信頼関係というものを維持しなければ、企業体としての、公益事業としての活力ある運営はできない、こう思っております。労使関係安定のためには、このスト権の問題について法律で禁止という形で規制をするというのは、どうしても納得いたしかねるという気持ちでございます。  そして第六としましては、所有形態の問題でございます。原案では、実質民営化ということを志向しております。しかし私たちは、株式罪悪論はとりませんけれども、国民の共有財産である電電事業が、投資対象になったり金もうけの対象になったり、下手をすれば利権追求の対象になるということは、その事業の特質からして問題がある、こう考えておるわけでございます。  その他にもたくさん問題点はございますけれども、ポイントだけ申し上げると我々はそういうような見解を持っておりまして、したがって、この原案のままで無傷で国会を通されるということについては、当該の企業に働く労働者としては物すごく抵抗感を持っているということを申し上げておきたいと思います。  しからば、第二のポイントとしまして、原案に対しておまえたちはどういう注文があるか、こういうことが問われると存じます。この点で、多くは申しませんが、五点だけお願いをいたしておきたい、こう考えます。  第一は、公共性の問題でございます。これは先ほども申しましたように、競争原理と公共性の調和というものをぜひひとつ国民の目にわかるように明らかにしていただきたいと考える次第でございます。  それは競争といいましても、例えば東京-大阪間だとか、鉄道で言いますと新幹線区間は民間も参入してこられます。しかし、過疎地域その他のローカル、山間僻地、離島、これは競争関係なんか成り立たないわけなんでございます。これは新電電が泣いてもほえても、この原案でも示されておりますように、安定的なサービス提供を利用者である国民に対して行わなければいけない、こう義務づけられておるわけでございます。  したがって、そういうような要素についてどうするのか。先ほど内部補助はやめろという公述人の御指摘もございましたが、内部補助をやめれば、競争区間は値下げする、その他のところは、内部補助をやらないということになりますと、ローカルの地域の電話の加入者、山村僻地、離島の電話の加入者に対して、料金値上げというような事態が起こらないという保証はないわけでございます。この点など含めまして、ぜひ公共性と競争原理の関係の調和を御検討いただきたい、こう考えるわけでございます。  それから第二の問題としましては、消費者である利用者国民の利益を守る、今回の新しい法改正によって、国民の福祉に寄与するような体制をつくっていくということを、私は真剣に御検討いただきたいと思います。利用者国民との関係では、やり方を間違えますと、アメリカで起きておりますような料金の値上げあるいはプライバシーの侵害の問題、そういったものが起こりかねない、こう考えておるわけでございます。こういったものに対する対応策をぜひ確立を願いたいと存じます。  また、所有形態につきましても、電電事業は国民の共有財産であることは、歴史的経過を見て明らかでございます。したがって、共有財産にふさわしいような所有形態をぜひお考えいただきたい。私たちはオール・オア・ナッシングの棒をのんだような発想には立っておりません。先ほども申し上げたように、株式罪悪論というようなアメーバ的単細胞発想ですべてを考えようなどという気持ちはございません。仮に株式方式をとるとしても、その中でより国民の共有財産という電電事業の特質に近いような選択はあるはずである、政府原案だけが絶対的ではない、こう考えますので、そういう点、ぜひひとつ御検討を賜れば幸いだと思います。  第三は、国益を守るということでございます。この観点から第二種業に対しては、私は外資規制を加えるべきではないか、こう考えております。もうすでに巨大な国際的多国籍企業である、アメリカのビッグビジネスであるATT、IBM、これは日本の第二種業への参入を決めて体制を国内的にもつくっております。先ほどもお話がございましたが、果たしてそういう巨大なアメリカ資本が第二種業の分野に参入してきたときに、日本のどれだけの企業がこれに対抗し得るのか、極めて疑問であると私は思うわけでございます。  また、通信主権の関係もございます。そういったことを考えますと、ぜひ国益を守るという観点で外資規制を加えていただきたいというのが、我我の要望でございます。  第四は、日本の国内の情報通信産業のそれぞれの企業及びその企業で働く労働者の共存競争体制を、ぜひ確立するような対応を御検討いただきたいと思います。そのことをもって、二十一世紀を展望した我が国の高度情報社会の発展へ向けて国内の関係者が総力を挙げて寄与する、こういう体制がとれるような御考慮を賜れば幸いだと思います。  時間もございませんので、くどくど言いませんが、そのためには、ぜひ国内情報通信産業内における公正競争条件、これを確立できるように御検討を賜れば幸いだと存じます。民業圧迫になってもいけない、さりとてまた、新電電が第二の国鉄になりまして、けさのような順法闘争をやるような羽目になっても大変な問題でございます。したがいまして、ぜひこの点につきましては、国会において大所高所から御検討いただきたいと思います。  最後に第五として、そこで働く情報通信産業労働者、これは電機労連その他者関係しますが、この雇用の安定、それから働きがいのある事業の創出、このことについても御配慮をいただきたいと思うわけでございます。そういう観点からいきますと、私たちは当事者能力というものについては、経営形態を変更するのですから最大限認めてもらいたい。  それからまた、当事者能力と裏腹の関係にございますスト権の問題については、全電通は日本の官公労働組合の中で一番優等生の組合でございます。そうして我々は、ストライキをやって国民生活に御迷惑をかけないように、そういう問題については労働協約において自主的に労使で協定しよう、これは労使でも意見が一致しておるわけですから。したがって、私たちの実績を見ていただきまして、法律で労働基本権を規制するという原案についてはぜひ再検討をお願いしたい、こう思うわけでございます。  以上、非常に雑駁でございますが、全電通労働組合としての意見でございます。どうもありがとうございました。(拍手)

志賀節自由民主党・新自由国民連合

○志賀委員長 どうもありがとうございました。  次に、稲葉公述人にお願いいたします。

稲葉三千男東京大学教授

○稲葉公述人 私は、大学の中でコミュニケーションあるいはマスコミュニケーションという問題を、かなり抽象的な理論のレベルで研究をしている者でありますが、そういう者として、今御審議なさっていますいわゆる三法案については、なかなか賛成しがたいという立場で私見を述べさせていただきたいと思います。  申し上げるまでもないことでありますが、現在は情報の生産あるいは処理の技術が飛躍的な発展をしてきている、また今後ともしようとしている、いわゆる社会の情報化が進展をしているわけであります。そういう社会の情報化を通して、私たちは二十世紀から二十一世紀へという時代を見渡しながら、より豊かなあるいは正義、公平というようなことが実現されていく平和な社会をつくり上げていかなければいけない。と同時に、これまでの人類の歴史の中でいろいろ生み出されてきておりますマイナス面、例えば公害であるとか失業であるとか戦争であるとか、こういったさまざまな問題を解決をしていかなければならないという、人類的なあるいは人類史的な課題を我々今抱えている、こういう基本認識をまず申したいと思います。  その上で、五点ほど意見を絞って申し述べますが、まず第一点は、シビルミニマムの確保という問題であります。  今も申し述べましたように、情報をめぐる技術というのは進展し続けております。そういう中で、これまで電電公社が三十年の間、研究あるいは業務を通して一定の役割を果たしてきたわけでありますが、こういう研究機能なども十分に維持しながら、相対的に絶えずレベルアップしていくシビルミニマムをシビルミニマムとして国民全体に確保していく、こういう責務がまず自覚されなければいけないと思います。そうでないと、これまでは主として物をめぐって貧富の格差が言われたわけでありますが、来るべき社会、情報化社会などと言われておりますが、その社会では、情報をめぐる貧富格差あるいは情報の享受をめぐる格差ということが生じ、大きな社会問題になっていくことも懸念されるわけであります。  そういう意味では、国民全体に一元的な、また決してコストの高くない、安いサービスを提供していく、こういう国民的なネットワークを形成し維持していくことが必要である。そういう電気通信事業における中核的な事業体というようなものは、ぜひ存続させていかなければいけないし、また存続の条件をつくり上げていかなければいけない。もちろん、民間活力の導入とか競争原則とかというようなことを一概に否定するものではありませんけれども、そういうものが行き過ぎることを通して国民の一部、特に弱者と言われているような部分にひずみが生じることのないよう、十分御検討いただきたいというふうに思っております。  二番日の問題といたしましては、そのことと深く関連いたしますが、特に料金の問題であります。この点につきましては、いやしくも電気通信事業の今後の変革の中で国民負担の増大を招かないように、料金決定の原則を明示していく必要があるというふうに考えております。  もちろん、新しい電気通信事業が合理的な経営をするということは、これは必要であります。これまでも、電電公社をめぐっては幾らかの不合理な問題が生じております。例えば、国家財政の危機というようなことを理由にして、剰余金が吸い上げられるというふうな問題も起こっております。こういう問題を含めて、合理的な経営はしていく必要がありますけれども、そのことが直ちに国民の負担の増大につながることのないよう、十分料金面での配慮が必要だというふうに考えております。  それから三番目の問題は、流動性の問題であります。情報というのは、フレキシブルであることを特質とし、そこにまた、情報の力の根源があるわけであります。情報の活動というのは最大限、フレキシビリティーを保障していかなければいけない。言論、表現の自由というものが民主主義社会で要請されますのもまた、そういうところに起因しているかというふうに思いますが、私たちは今、この情報化という問題をある意味では、一寸先はやみという状況で迎えようといたしております。ただし、このやみというのは、暗いペシミスティックなやみというよりはむしろ、オプティミスティックなやみでありまして、決して将来が暗いわけではありませんけれども、しかもそこでは、どういう事態が生じてくるか。これは内的な条件、事情、また外的な条件、事情、どちらにも不確定の要因がたくさんあるわけであります。  こういう場合に、人間が対応していくとしますと、できるだけかたい組織をつくらない、制度をつくらない。流動性のある組織、制度を考えていく。こういう意味では一つは、これからつくられていく新電電などの内部に、これまでもいろいろの硬組織、硬直があったわけでございますが、そういうのもできるだけ流動化して柔構造の組織にしていく必要がある。したがってまた、これに外から規制などを加えることもできるだけ排除していく、最小限にとどめる必要があるだろう。実は、この流動化ということは同時に、時間に対して焦らないということを意味していると思います。ゆっくりやっていく、手探りをしながらやみの中を進んでいく、いつでも後戻れるように、しかも着実に前進していくようにということでありますから、五年とかということではなくて、できるだけ絶えず見直しを行いながら進んでいけるような、そういう組織づくりを考える必要があるだろう、このように考えております。  四番目といたしましては、今の流動化と絡むわけでありますが、それでは、外部からの規制を最小限にとどめたときに、新しい事業体はどういうふうに管理をしていくのかという問題でありますが、ここでは、経営の情報をできるだけ公開する必要があるだろう、いささかの密室性も排除する必要があるだろう、そういうことを通して、国民の側からのコントロール、監視が隅々にまで行き届くような制度、組織をつくり上げていく必要があるだろう、こういうふうに考えているわけであります。  最後に第五点でありますが、私は国民総背番号制に反対し、プライバシーを守る中央会議というふうな会議に参加をし、役員として運動もしてきておりますが、情報化というのはしばしば指摘されますように、ジョージ・オーウェルの「一九八四年」型の管理社会になりかねない危険をはらんでおります。今回の法案でも、通信の秘密はもちろん規定をされているわけでありますが、これはいわばフローの過程における規定でありまして、フローのプロセスの両端におけるさまざまな問題、とりわけ、プライバシー侵害の危険については規定をしていないわけであります。  この辺は、さきに福岡県の春日市が個人情報保護条例を定めたわけでありますが、国のレベルでは、地方自治体に比べても、こういうプライバシーの保護についていささか立ちおくれているという感を持っておりますが、国全体として個人情報保護基本法というようなものを、例えばOECDの勧告などの線を念頭に置きながら、速やかに規定することが必要だと考えますが、と同時に、こういう新しい電気通信事業を考えるに当たって、やはりその法案の中でも、プライバシーの侵害の危険のいささかもないように配慮していく必要があるだろう、この辺もぜひ御検討いただきたいことだというように考えております。以上で陳述を終わります。(拍手)

志賀節自由民主党・新自由国民連合

○志賀委員長 どうもありがとうございました。  次に、曽山公述人にお願いいたします。

曽山克巳電気通信審議会会長代理・日本電気システム建設株式会社会長

○曽山公述人 前の公述人の方がそれぞれ意見を陳述なさいまして、大部分を覆っておりますので、私からダブって申し上げることは避けた方が効果的だと思います。ただ私、本日公述人の肩書といたしましてまかり出ましたのには、電気通信審議会会長代理という役目を仰せつかっておりますので、その関係で、昨年の秋からことしの一月にかけまして郵政大臣の諮問を受けまして審議をいたし、答申をいたしましたところの「二十一世紀に至る電気通信の長期構想」ということについての中身をいま一応思い起こしていただきまして、これに盛られました主な諸点をさらに強調することによりまして諸先生方の参考に供し、できるだけ合理的な、かつまた、理想に近い法律をおつくりいただくようにお願いしたいという趣旨で、申し上げる次第でございます。  実は私、そう申しましたが、先ほど第一番目にお述べになりました小林公述人は、この電気通信審議会の委員でもございまして、しかも、この長期構想につきましては小委員長をお務めになりました。したがって、私が申すよりもむしろ、小林公述人にお願いした方が本当はいいのでございますが、役目の振り分けから、私は今申しましたようなことで進めさせていただきたいと思うわけでございます。  実は臨調が、高度成長期を通じまして肥大化した行政のあり方を見直しまして財政再建を図るということで、政府の規制、監督を緩める一方、官あるいは公から民への役割分担変更といった考えのもとに、極めて強い線を出されたことは周知のとおりでございます。  また、私の次に意見をお述べになります公述人でございます岩村精一洋公述人は、たまたま臨調におきまして電電公社の経営形態につきましての審議をいたしましたときの第四部会長代理でございまして、そういった意味で、後ほどあるいはそういう御意見も出ようかと思いますが、この現在審議されております法案に至ります過程において、臨調論議が一つの引き金になったことは、先ほどもどなたかおっしゃいましたが、紛れもない事実でございます。  その線に沿いまして、公社の使命達成論あるいは非能率論のもとで電電公社の経営形態の検討の結果、民営・分割という結論に至ったことはこれまた御存じのとおりでございます。しかし、臨調のお力といたしましても、民業の振興によります経済社会の活性化という視点がありましても、高度情報社会への進展の中で果たすべき電気通信の基本的役割といった長期的展望まで踏まえたビジョンづくりまでには至らなかったと私は思います。  行政当局のことを一々言うのもどうかと思いますけれども、臨調の論議の始まるのと並行いたしまして、郵政省におきましても、例えば一九八〇年代の電気通信政策のあり方という研究もございましたし、また、特に大事なことは、電気通信システムの将来像に関する調査研究という、むしろ中期的と申しますか、さらに長期的な視点のもとに通信政策を見直し、そして、これもただ役所の作文ということではなくて、部外有識の方々の知恵を完全にまとめまして、いろいろな審議を行ったということでございました。こういった研究の成果を踏まえまして、私ども、大臣の諮問に基づきました長期構想についても審議をいたしたわけでございます。  今ここで、もう既に先生方御存じの長期構想につきましての答申の中身を御披露するのはいかがかと思いますが、私が当初申し上げましたように、いま一度この重点だけを見返していただきまして、その重点とするところをさらに一、二の点を強調いたしますので、それをさらにお取り上げいただきたいということが私の趣旨でございます。  答申の中で私、最も重要だと思っておりますことは、電気通信政策の理念をはっきりさせたということだと思います。先ほどどなたかがおっしゃいましたように、理念につきましてはあるいはいろいろな見方がございましょう。ペシミスティックかあるいはオプティミスティックかは別といたしまして、どうも積滞解消ないしは全国自動化達成の後に、いささかその論議が足りなかったのではなかろうかというのが私の意見でございますが、従来の電気通信政策の理念でございました、公衆電気通信サービスを合理的な料金であまねくかつ公平に提供するという理念は踏襲いたします。それにプラスいたしまして、来るべき二十一世紀における高度情報社会の実現を基本理念としているのが答申でございます。  この場合、高度情報化と申しますのは、これも言うまでもないことでございますが、データベースの充実、さらにニューメディアの開発を通じまして、双方向で多層的な電気通信のトータルネットワークを社会、産業あるいは家庭の全国的な規模で推進するところにございます。その際、あくまで人間中心ということを忘れずに、効率的な産業を可能にし、地域の自立発展につながり、また国際交流が円滑となるという社会をつくり上げることが、真の姿の高度情報化社会ということになることをこの答申でははっきりと言っております。  そのため、今も申しました積滞解消あるいは全国自動即時化の二大目標の達成の後の新しい課題といたしまして、電気通信の総合的な高度化といいうことを目標にいたしました。ただしその際、要件としましては、第一に、利用者の方々の利益の増進を図る、第二には、国家的利益を確保することを配意するということが必要となっておるわけでございます。今それぞれ申し上げましたが、私、繰り返して申し上げますが、このことが非常に大事なことであるということの御認識をさらに訴えたいわけでございます。  次に、この基本的な理念でございますところの高度情報社会の実現に向けまして、具体的な方策がいろいろ提言されております。これは時間の関係もございますのでるる申し上げませんが、まず、基本的な電気通信システムの高度化の目標を示しております。  いろいろございますが、例えて申し上げますと、今世紀におきましては、既存のメタリックケーブルを活用いたしまして、言うところのISDN、つまりサービス総合ディジタル綱というものを全国的にあまねく構築する、あるいは産業用を中心といたしまして広帯域網を構築する、さらには長期的な視野に立ちまして、加入者線系まで光ファイバーの導入を促進していくということでございます。その際、国自身が高度化のための長期指針を定める必要がございます。そしてその上に立って、今回提出されましたような新しい法制度をつくり出して、これによって、先ほど申します新社会に即応していくということを提言しているわけでございます。  その際、先ほどもいろいろ議論ございましたように、利用者が多様多種なサービスの中から自由に最適なものを選択する体制が必然となってまいりますので、全分野にわたって新規参入を図るということをも提言いたしているわけでございます。  この答申の最後でございますが、大切な中身といたしましては、これらの方策を実行いたしまして効果あらしめるためには、電気通信分野に優先的に投資が必要になります。そのために例えて申しますと、特別会計あるいは基金などを設置いたしまして、そういった具体的な措置によって情報通信産業の拡充強化をしてもらいたいという要望をいたしております。  具体的な例としましては、例えば基礎部門におきます研究開発、これはもう既に皆さんが申し上げられました。あるいは衛生通信の利用促進を図っていく、さらには、データベース等の情報ソフトの内容を充実していく、さらに光ファイバーあるいはディジタル化を早期に促進していく、また社会的公共的システムの開発も図っていくということ等がございます。  もちろん一方では、ITUの機関でありますCCITTに協力いたしまして、これらのニューメディアなりあるいは既存のメディアに対しますところの標準化の推進を図っていく、同時に、電気通信システムの安全性、確実性、信頼性の確保もやっていくということでございます。こういった基盤整備につきましても、ぜひ尽くしてもらいたいという強調をいたしております。  私といたしましては、先ほども申し上げましたが、今もう既に先生方御存じでございますけれども、重点を置いて申し上げましたこれらの諸点についてさらに御審議をいただき、しかも盛られておりますことを努めて実現していただきますようにお願いし、時期的にも速やかに、今国会におきます審議を可能ならしめるようにお願いしてやまないものでございます。陳述を終わります。ありがとうございました。(拍手)

志賀節自由民主党・新自由国民連合

○志賀委員長 どうもありがとうございました。  次に、岩村公述人にお願いいたします。

岩村精一洋読売新聞調査研究本部客員研究員

○岩村公述人 読売新聞の客員研究員をやっておりました岩村でございます。  この高度情報社会というものへの進展を考えてみます場合に、電電公社を活性化し、効率的な経営に進める必要があるのじゃなかろうか、これが私の基本的な考え方でございます。そして、その活性化といいますことは、今の電電公社の独占を崩すことから生まれるのじゃないか、同時に、今の電気通信産業の分野に新しい競争者を参入させることから電電の活性化も生まれるのじゃなかろうか、そのような考えます。そして、企業が参入してきます場合には、電電側にもこれを迎え撃つ体制をとらせる必要がある。今の公社の形では、いろいろ手足を縛られておりまして、自分が思うように仕事を進めることもできない形がございます。そこで、これはやはり公社を民営化する必要があるんじゃなかろうか、これが私の立場を結論から申し上げたところでございます。したがいまして、今政府が国会に提出しております公社の改革案というものは、この民営化の路線の上に乗ったものであろうか、このように考える次第でございます。  民営化に対する反対意見の中には、赤字の国鉄は経営形態を変えることもやむを得ないけれども、何で黒字の電電の経営形態を変えようとするのかという意見がございます。けれども、赤字の国鉄の方は、飛行機とか自動車とか内航海運とかの激しい競争者の参入に見舞われて、その中で四苦八苦して赤字が出ているという面が多分にございます。これに対しまして電電公社は、独占のために黒字である、そのことをかなり考慮に入れる必要があろう、そのように思います。  しかも、運輸部門においての国鉄の鉄道輸送というものは、どうも輸送需要の変化にマッチし切れないものがあった。飛行機は値段は高くてもスピードを求めるお客に選択されたし、自動車というものはドア・ツー・ドアの輸送とかあるいは密室性とか、そういう新しい輸送需要の前に国鉄の市場を奪い去ったわけでございます。  しかもまだ、電気通信産業の分野では、非常に大きな成長がございました。三十七年に東京と名古屋の間のダイヤル通話ができ上がったわけでございますけれども、その当時に利用者は四百万人であった。これは先ほどもどなたかおっしゃっておられたようでありますけれども、今それが四千二百万を超えるところまで来ているかと思います。このような急成長、需要の非常な膨張ということを背景にして電電は黒字を維持している、このようにも考えられるのじゃなかろうか、そのように思います。  もっとも、見方を変えますと、このような需要の増大にこたえまして、大量の架設をあえてやってのけたという電電公社の功績もまた評価しなければならぬと思います。これは二十八年度から五年ずつの計画をやりまして、積滞の解消に努めて大量架設を推進してまいりました。そして、これも先ほどどなたかがおっしゃいましたけれども、五十二年に積滞解消の宣言をやる、五十三年度にはダイヤル化率一〇〇%になる、このようなことによって、情報化時代の基盤づくりをやりました公社の功績というものは認めざるを得ない、そのように思います。これは公社であったからできたという面がございます。かつては民間の資金量が非常に不足しておりました。もしも公社が民営企業であったならば、このような大量架設はやれなかったんじゃなかろうか、そのように思います。  そして、電話の拡充法によって、加入者債券による資金調達ということを公社はやったわけでございますけれども、これは民間企業であったらできない方法でありました。この加入者債券による資金の調達が、外部資金の中で主流を占めたわけでありますけれども、これによって公社は非常に大きな需要にこたえることができた、そのように思います。ところが、今は加入者債券ではなくて、電電債が外部資金の主流になっております。まさに時代は変わり、環境は変わってきた、そのように思うわけであります。  今電電の事業にとって何が重要なことであるかといいますと、私は効率化が重要である、そのように考えます。その理由は、一つは、電話の新設が減ってきたことであります。積滞の解消ということは、その後の需要の増加が伸び悩んでくるということであります。新規の架設が減退するということであります。そして、そのことによって収入の伸びが減ってくる。しかも、大量架設時代の非常に膨大な投資の利払いは、今の財務状況の中で重くのしかかってくる、そのような状態がございます。そして、これをなるべく値上げをしないでやっていこうといたしますと、やはり非常な合理化を進めなければならない。今はまだ値上げということはないようでありますけれども、このままいけば、合理化をしない限りは値上げに追い込まれるんじゃなかろうか、そのようなことを一つ憂慮いたしております。  もう一つは、INSとの関連でございます。電電が今までの非常に大規模な建設から、だんだん保全管理の方に仕事の重点が移ってくる、そういう状態に今ございますので、ここにINSということへの進歩があれば、画期的に需要をふやすことになる。これは電話屋としてはもう先が見えてきた電電が、まさにそこに新しい活路を開くための発展可能性を見出し得る道であろう、そのように思います。  それで、そのINSへの発展可能性ということを考えてみますと、一つは、ソフトの開発であり、もう一つは、電電の提供するサービスが安いかどうかということにかかってくるかと思います。電電が提供するサービスを安くするためには、やはり事業の効率化ということがどうしても前提にならなければならない、このように思います。  そこで、効率化を求めるためには、公社という経営形態が問題になるのじゃなかろうか。公社といいますと、今当事者能力を持たされていないということが問題でございます。例えば予算、これは官庁並みの予算制度でありまして、国会の議決を経なければならない。執行面でもその統制下にありまして、変更は容易ではございません。弾力条項の発動とか経費の流用の規定もございますけれども、すべては郵政大臣の許可を得なければならない。そうしますと、投資や資金の運用ということで、変化する経済社会に機敏に対応できないという問題が起こるんじゃなかろうか、そのように思います。と同時に、これは経営者から非常に大きな選択権を奪うことでありますので、自律性を持てないために経営者が無気力になってしまう、そして責任感と意欲を失いがちになる、これが一つの問題でございます。それからまた、賃金の決定が三公社や現業の横並びとなっております。そして、基準内賃金と基準外賃金の流用と、それから基準外手当の新設を事実上不可能にするような制度もございます。このことは、経営者だけではなく労働側からも自律性を奪うものじゃなかろうか、そのように思います。労使双方に当事者能力がないわけであります。その労使双方に当事者能力がないといたしますと、双方とも親方日の丸の意識を持ちやすいわけであります。  労働関係、労働側について見てみますと、給与が横並びということで、能率を向上しても賃金が変わらないことにかつて組合側は不満を持ちまして、闘争の目標を人よこせ運動に置きました。つまり、能率を向上しても賃金が上がらぬのなら、給与面以外で労働条件の改善を求めるほかない。そこで、勤務時間を切り下げるための人よこせ運動であります。そこで、今電電では一週間三十七時間十分という、大手民間企業では見られない短い勤務時間になっております。  そしてまた、大量架設時代の名残といたしまして、余剰人員が生まれております。特に、保守部門十五万人、運用部門は六万人を超えるわけでございます。これは問題じゃないのか。運用部門は、ダイヤル化が進めば当然人間が減ってしかるべきでありますが、四十五年度から五十五年度までの十年間に五百人程度しか減っていない。昭和五十三年度に全国即時化が完成したのですが、五百人程度しか減らなくて、今なお六万人台の人員を抱えている、そういう状態であります。  また、組合の内部に国鉄の現場協議と同じようなものができておる、これは労使関係でありますが、そのような状態も出現しております。それで、ある現場ではかなり職場が荒廃しているとか、そういうようなことも耳にするわけでありますけれども、これはやはり組合が当事者能力を持たないことによって、このような状態ができてきたのじゃなかろうか、民営化することでこういう状態は改善されるのじゃなかろうか、そのように思います。  それからまた、電電ファミリーと言われる一つの問題がございます。資材の納入や工事の請負などを通じまして電電を取り巻く企業グループ、これが電電ファミリーと言われているわけでありますけれども、これが割高な代価を電電から得ていると言われている問題がございます。私、具体的にどのくらいに高いのかということはつまびらかにいたしませんけれども、このような高いものをつかまされるという状態、これは企業性を念頭に置きます民間企業の場合には余りあり得ないことでございます。このような不採算性に目をつぶっていては、民間企業はやっていけないわけであります。  このようなことから私は民営化を考えるわけでありますけれども、ただ、この民営化によるメリットは、電電の独占の形が続く限りはそれほど発揮されないだろう。新しい電電の経営形態ができましても、それが独占であったらこのようなメリットの発揮がなかなか難しいのじゃなかろうか。競争者の参入ということが必要なのでありますけれども、新電電はいわばガリバーでありまして、これに対して小人のような競争者が競争を挑むということになってまいります。そうなりますと、行政といたしましては、これを威力ある競争者に仕立て上げるための手かげんといいますか、これがどうしても必要になるのじゃないかと思います。  新規参入者になるべく味方する必要があるのじゃなかろうか。例えば、クリームスキミングとなる参入になるのですが、東京-大阪間を市外線を結ぶ、そして、それを新電電が持っているローカルラインに結んでくれという場合に、電電さんが余りあこぎなことをやらぬように行政としてはしっかり監視して、余り過剰な介入はこれもまたいけないのですけれども、とにかく手かげんをする必要がある。これは余り黙って放任していてもちょっとよろしくないのじゃなかろうか、そんなように思います。  かなりの参入者があって初めて、新電電が新しい分野に出ていくということも可能になるだろう。自分の方にはほかの企業が参入してこないで、おれは新しい分野に出ていくよ、それは例えば民間企業との合弁とか、いろいろな形があるかもしれませんが、新しい分野に出ていくよと申しましても、なかなかこれは一般的な合意が得られにくいだろう、そのように思います。新規の参入は自由だよという制度上の枠組みができましても、現実にかなり威力のある競争者が参入してきませんと、新電電の新分野への進出というのは当然阻害されるわけであります。  アメリカのATTはこのほど、地方のローカル会社に対する資本支配を断ち切りまして、そして、データ通信とか情報処理とかいう非常に未来性に富んだ部分に羽ばたく、そのような決意を固めたわけでありますけれども、このATTの行動様式といいますのは、電電の今後の進み方を考える場合にも一つの参考になるのじゃなかろうか、そのように考える次第であります。以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)

志賀節自由民主党・新自由国民連合

○志賀委員長 どうもありがとうございました。     ―――――――――――――

志賀節自由民主党・新自由国民連合

○志賀委員長 これより公述人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。額賀福志郎君。

額賀福志郎自由民主党・新自由国民連合

○額賀委員 本日は、大変お忙しいところを、電気通信関係にかかわる諸先生方の貴重な御意見、御見識をお伺いすることができまして、心からありがとうございました。  制限時間が十分間ということでございますので、審議を進める上から、簡潔に御質問をしたいと思います。  まず、経団連を代表されます小林先生、それからVAN事業というか、市況情報センターでお仕事をなさっている志場先生にお聞きしたいと思うのですが、これまでの当委員会の質疑でもいろいろ問題点が明らかになってまいりまして、先生方の御意見等もお伺いしますと、恐らく委員会の質疑と重なり合っている部分がかなりあるわけであります。その中で、特に経済界の皆さん方の御意見を直接お伺いできるということは大変貴重でございますので、今第一種事業ということで、いろいろな産業が新規参入なさるというような話がございます。また小林先生も、新規参入者がうまく乗ってこれるような環境づくりをしてほしいというようなことを申されておるわけであります。  例えば国鉄さんとか、京セラグループとか、あるいは経団連でも通信衛星をとか言われますが、最も大事なことは、やはりユーザーに安定して、しかも正確に、迅速に、いかなる場合があっても迷惑をかけないというか、安定的に供給することだ。ところがこれは例えば、国鉄さんのレールに沿って通信線を、光ファイバーを出した、これはいかなる自然災害があって、切断されるかもしれない。そのときに、使う側としては、これを使って、自分の商売にあるいは情報のやりとりに本当に安定的に享受できるだろうかという心配があるかもしれません、恐らくあるだろうと思うのです。  そういった意味で、光ファイバーとかマイクロウエーブとか衛星通信とか言われますが、私は逆に、経団連側あるいは経済界側としては、地上線が何かの災害で壊れたら通信衛星で補うんだ、そういうように相互補完的にきちっと産業界として、第二電電としての機能と働きを持たせたものをつくっていくべきではないかというふうに考えるのですが、小林先生にまず御意見をお伺いし、また志場先生に、ユーザー側としてはどういうふうにお考えだろうか、それぞれちょっとお聞きしたいと思います。

小林大祐経済団体連合会情報通信委員会委員長

○小林公述人 大変残念なのでございますが、私ども経団連としましては、フィージビリティースタディーを今やっている最中でございまして、それの結論がまだ出ておりませんので、委員会としてまとまった御回答を申し上げるまでに至っておりません。まず何よりも法案が通るということがありませんと、すべての議論が詰まらないのでございます。それで、今それとの兼ね合いで結論が出なくて終わっておるわけでございます。皆さんそれぞれ思い思いの第二電電企画とかお考えになっておるわけでございますが、その人たち相互の間で話し合うなどということもまだ全然できておりませんし、今先生が言われたような方向になることを希望はいたしておるわけでございますけれども、具体的には何も進んでおらない状況でございます。  今言われておるような企業が個々にばらばらにやったのでは、先ほど来いろいろ公述人から出されておられる問題の解決にはほど遠い形になるおそれがあると私は思っておりますので、まず法案が通りますと、皆さん真剣になってその問題に熱が入ってくると思いますから、現在のところまだ全然詰まっておりませんので回答にならぬと思いますけれども、ひとつ御了承願いたい、かように思っておる次第でございます。

志場喜徳郎社団法人日本情報通信振興協会会長

○志場公述人 ユーザーという立場からどう考えるかという御質問で、なかなか難しい問題でございますが、第一種電気通信事業につきましては、私は先ほど申しましたように、かなりの大規模であることを必要とする、こういうことは間違いないところだと思うのでございますけれども、同時に、やはりそこに競争原理が相当十分に働くべきであるということもあると思うのでございます。そのためには、やはり過渡的な問題というようなこと、あるいは政策の持っていき方、あるいは新電電のいわば新しい競争相手を育てるというようなことではありましょうけれども、そういうような立場に現在あるのだということのもとに、ある期間が必要だと思いますけれども、しかしいたずらに、現在がそうであるから新規参入についてはまとめるとか、あるいはそれは補完的なものであるべきだとかいうことににわかに議論を持っていくということはいかがなものであろうか。  かずに時をもってせよということは確かにございますし、また、新規の光ファイバーその他のメディアの信頼性をどういうふうに確保するかということは、当該メディアの技術上の信頼性にかかわる問題だと思います。また、新たに参入しようという企業は、いろいろと事業もくろみというものを真剣に立てて、そこで資本と技術と人を集めてやろうとすることでありまして、その実現性をどう見るかという評価の問題はあろうと思いますけれども、やはりそこには、それぞれの創意工夫なり考えを盛り込んだ企画というものがたくさん出まして、そして、それが全体の競争場裏の中で生かされていくようにしばらく見ていくのが妥当ではないか。それがまたユーザーとしても、今回の趣旨に沿い、望ましいのではないかというふうにとりあえず考えます。

額賀福志郎自由民主党・新自由国民連合

○額賀委員 時間が十分でございますから、既に経過したわけでありますが、ひとつ競争原理を導入するということでございましたので、経団連側が産業界の皆さん方と話し合って、非常に安定的で信頼を得る第二電電を形成するように、小林先生がおっしゃいましたように。話し合いの上できちっとした需要予測を立ててお願いしたいと考えるものであります。終わります。

志賀節自由民主党・新自由国民連合

○志賀委員長 次に、鈴木強君。

鈴木強日本社会党・護憲共同

○鈴木(強)委員 本日の公聴会に公述人の諸先生方には、大変御多用のところをお出ましいただきまして、大変貴重な御意見を賜り、ありがとうございました。  それで、時間が少のうございますから二、三質問をいたしたいと思いますが、最初に、岩村先生が労使問題に触れましていろいろとお述べになりました。私も半生を電電事業に、そしてまた半生を国会におりまして、この事業とともに生きてまいった人間といたしまして、どうもその御発言は一部面に触れておられるのでありまして、四千三百万の電話を引くために、非常に不完全な公社制度の中で、六次にわたるこの偉大なる業績を残すために努力した全職員と関係者の皆さんの御労苦というものを、私は何か逆なでするような御意見と拝聴いたしまして、時間があればここでまずこれから入りたいのでございますが、時間がありません。なぜそうなったかということの歴史的な長い経過がない中に、その一部だけを見られて結論を述べられたことについては、非常に私は残念であるということだけを申し上げさせていただきます。  それでは、小林先生と志場先生にお伺いいたします。  両先生は、会社に移行するのは競争原理を導入する、そして民間企業に活力を与える、こういうことをおっしゃっておりますが、一番大事な公共性ということについて触れられておりません。これは山岸公述人が申されておりますように、百十四年のこの歴史というものをもう一回振り返っていただいて、会社になろうとも、この電話事業、通信事業というのは国民のためにあらねばならない、どんな僻地に住もうとも離島におろうとも、公平に通信のサービスを享受する、そして安い料金で確実に到着する、この公共性というものを断じて無視するわけにはいかない。ところが、民間企業の活性化やあるいは能率化、効率化ということだけを主張されて、この公共性に触れられておりませんが、この公共性について両先生はどうお考えでございますか、簡単にお願いいたします。

小林大祐経済団体連合会情報通信委員会委員長

○小林公述人 私も長年、通信の事業に従事いたしておりますから、もう公共性に触れなくとも、公共性というか信頼性というものは私どもの考えの中にありまして、実は、今の第二電電云々の新しく出てくる人たちの新聞報道を見ますと、今先生のおっしゃったように、公共性を抜きにして利益追求のために何かやっているのじゃないかというムードが感じられることは、私も大変遺憾だと思っております。  それで、私ども経団連で今考えておりますことは、公共性といいましょうか、無制限に競争して相手がつぶれるまでやる競争ということは、毛頭考えておらないのでございまして、経団連で例えば今価格の問題、料金ですが、国際的な料金をベースにしてやっていこう。電電さんの場合、国際料金ということになりますと、かなり高いのでございます。それから遠近格差にいたしましても、国際的に見た場合がなり高いのでございます。そういう面を国際的なレベルをベースにして、それ以下に民間側は努力するし、新会社との間で競争していくという程度のことに考えておる次第でございます。

志場喜徳郎社団法人日本情報通信振興協会会長

○志場公述人 民間の企業は、やはりお客様がついてこそ経営が成り立つわけでございまして、そのときに、二つの企業がございまして、一つは公共からつまはじきされるし、一方は歓迎されるということになりますと、つまはじきされる方は存立し得なくなるわけでございます。したがいまして、公正な競争ということが行われております限り、つまり、この公正な競争と申しまのは、独禁法に触れるようなこととか、カルテル的な行為とかそういうことはなしに、本当にフェアな競争が行われておるということがあります限り、その企業というものは、公共のために、公共のつながりがある、そういう需要にこたえるということがなければ企業は競争場裏で生きていけないはずである、私はこう思うのでございます。したがいまして、私企業、株式会社であるから公共性とあるいは背馳する、二律背反するというふうには一概に考えられないと思うのでございます。  ただ、先生のおっしゃいました僻地その他のものに対する、これはある供給義務のごときことをおっしゃるのではないかいうふうにも受け取れるわけでありますが、その点につきましては、法律におきまして、当該企業が守るべき法的義務、責任として義務づける、条件づける、こういうことは全くあり得ることでございまして、そのもとに企業が企業として、皆さんに受け入れられるごとき公正な競争をするという前提でまいりますれば、公共性と民営というものが矛盾するものではない、私はかように考える次第でございます。

鈴木強日本社会党・護憲共同

○鈴木(強)委員 小林先生、わかりました。それは先生が言ってくれなければ、公共性について、腹の中で思っていたけれども言わなかった、こうおっしゃったのですが、やはり言ってくれないとわかりませんから、その点はよくわかりました。  それから、志場公述人の今の御意見に対しては、私はちょっと問題があると思います。  そこで、アメリカは本年一月一日から七つの会社にATTを分割しました。その後、視察にお二人とも行っていらっしゃいましたか。

小林大祐経済団体連合会情報通信委員会委員長

○小林公述人 ことしの三月、アメリカに参りました。短時日でございますので、話を承る程度で、詳細な調査はやっておりませんけれども、アメリカでは大変な、活性と言えば活性なんでしょうけれども……(鈴木(強)委員「大混乱が起きている」と呼ぶ)いや、アメリカから言えば混乱じゃないと思います。日本がそう見ておるのでございまして、あれが一つの活性化じゃないかと思っております。

志場喜徳郎社団法人日本情報通信振興協会会長

○志場公述人 ことしの冬、少し病気で寝ておりまして、アメリカには行っておりません。

鈴木強日本社会党・護憲共同

○鈴木(強)委員 わかりました。  そこで、お二人とも競争原理というものを力説されておるわけです。そのことによって料金が安くなり、加入者が便益になる、こうおっしゃっておるわけであります。しかし一面において、今ちょっとお話がありましたように、巨大企業に対してブレーキをかけるような、配慮をしなさいというような御意見が何か聞かれたわけであります。速記がないものですから、ちょっと私の耳で聞いた、ここで記録したところですから、もしそうでなければ失礼でございますが、私はそんなように聞きました。  今も志場公述人がおっしゃるように、フェアな競争、これは根本理念ですね。しかし、例えば新電電というのは、山の中にも離島にも電話をつけなさいという義務規定がある。新しく参入する会社にはそういうことがないのです。東京と大阪と、もうかるところだけやってよろしい、こういうのが一つでございます。しかも今度は、その競争原理によって企業が活性化すると言っておきながら、そういうものに対してある程度の規制をしなければいかぬというのは、論理の矛盾じゃないですか、これはどういう意味でございますか。

志場喜徳郎社団法人日本情報通信振興協会会長

○志場公述人 私は矛盾と思っておりません。つまり、規制と申しますのは、独占体系を打破しまして、民間活力活用と競争原理の導入によって高度情報社会に対処しようということで、そのときに、特に第一種事業におきましては、規模は相当程度大きいだろうということは思われますが、そこにいわゆる寡占状態というものが生じたのでは、需要者の立場からいって、ここに一種の経済場裏に及びますところのいわゆる寡占の弊害というものが出るのではないかという意味で申したのでございます。  また、新電電は僻地等における供給義務というものを果たす、それは現在でも、各電力会社がその義務を課されておる、こういうふうに理解いたします。そのもとで、しかしそれだけの責任を課される新電電という巨大企業は、全体的な規模の中において、それにもかかわらず相当の力というものを持っているはずでございます。したがいまして、そういう義務を課しながらも、やはりローカル、東京と大阪という面がございましたけれども、そこにおける競争にも耐え得る、あるいはそこは競争場裏にしても、そこはそこなりにまた効率化、活性化を図っていくということにつきましては、これは必ずしも矛盾した様相ではないのではないか、こういうふうに考える次第でございます。

鈴木強日本社会党・護憲共同

○鈴木(強)委員 ここは論争するところではありませんから、先生のお考えを承ることにしておきます。  電電の方も確かに、三千億ないし四千億の黒字を出しておりますが、先ほど稲葉先生がおっしゃったように、もう既に六千八百億も一般会計に取り上げられて、利息をつけると一兆何千億、これは不当にも取り上げられているわけですよね。  そして今度、公社の経営を見ましても、たしか四兆二千億ぐらいの電話の収入がございますけれども、十一ある通信局の中で黒字は四つしかないのですよ。七つはみんな赤字なんだ。それを総体的な総合経営の中でやっているのが現状なんですよ。もうけているのは、近畿と東京、関東、それから名古屋、これだけですよ。そういうところに競争原理を持ってこられて、それによって収入が減ってくる。そうなると、もうからない田舎はどうなるのですか。必然的に料金の値上げをするか、アクセスチャージによってやるか、いずれにしても利用者にとったはいいことはないと私は思うのです。これは意見をお聞きしている時間はありませんから、よろしゅうございます。  それからもう一つ、公正競争の中で述べられました国家機関の自制を求めたい、こうおっしゃったのですが、このことは例えば、国鉄が入ってくるとかあるいは道路公団が入ってくるとかいうようなことがうわさされているのですが、そういうことを意味していらっしゃるのでございますか。

志場喜徳郎社団法人日本情報通信振興協会会長

○志場公述人 お答え申し上げます。  私の申し上げましたのは、官庁あるいは公社あるいは特別の公的企業体、そういうものがその形態においていわゆる当該業務を行うということは自制していただきたい。例えば、建設省あるいは運輸省、国鉄が音頭をとって、いろいろこの施設を使わないかとありましても、それに賛成して、そして新たな企業体がつくられて行われることをやめてくれと言っているのではございません。(鈴木(強)委員「そうすると、機関が直接やるのはいかぬと」と呼ぶ)そういうことでございます。

鈴木強日本社会党・護憲共同

○鈴木(強)委員 その点はわかりました。  それからもう一つお伺いしたいのですが、公社の資産との関連でございますが、志場先生、非常にこの点を私、敬服をしたのでございますが、今度は正味資産が四兆三千億くらい、六千億くらいありますか、そのうち大体一兆円と言っております、国会の答弁でまだはっきりしませんが。それによって株式を政府が取得して、当面は全額保有、逐次予算の範囲内において放出していく、こういうことになるわけでありまして、国会でもかなり激しい論争が行われ、まだ決着がついておりませんが、非常に有益な御意見でございまして、株の公開それから売却益の処分、こういうことにつきまして、先生はこれは国民のものだ、こうおっしゃいました。私たちも、四千三百万、ほとんどの世帯が持っておりますが、その皆さんと、国が出した百八十八億だけによってこの十兆二千億に及ぶ資産をつくってきたわけですから、この資産というものは国民の共有のものであるということは、山岸公述人もおっしゃったように、まさにそのとおりだと思います。  そこで、この売却益なり株の配当というものをどういうふうに利用するのがいいかということについて、先生は通信技術の開発等に使うべきだ、こういうふうにおっしゃいました。今電電公社は五兆三千億に及ぶ電話債券の負債を抱えております。そのほかに流動負債を加えてみますと、さっき申し上げましたように、総資産は十兆二千億でありましても、正味は四兆五、六千億、こういうふうに踏んでおるわけであります。したがって、その売却益というものは、そういう負債の方にも充てるとか、あるいは加入者サービスの全体のために充てるとか、もちろんまた、これは労使間の問題になりますが、労働者が奮い立ってさらに事業のために邁進できる、そういうことも一方では配慮しつつこの売却益というものを配分すべきではないか、こういうふうに考えているわけでございまして、先生の場合通信技術の開発に充てるべきだ、こうおっしゃっておりますので、私がちょっと私見的に申し上げましたような点についてどうか。  それから、基金制度ということをおっしゃいました。そして、衛星通信の開発というか打ち上げというようなことも触れられましたのですが、株の公開と売却の益の問題、これについてもう少し先生の御意見がありましたら、お伺いしたいのでございます。

志場喜徳郎社団法人日本情報通信振興協会会長

○志場公述人 なかなか難しい問題でございますが、普通の企業の場合に考えますと、ある払込資本金をもって株式会社ができた。それが社債を発行その他によりまして事業を伸ばしていっている、あるいは借入金を用いて設備投資を行い業務が進展している。そういう状態が進行しましたところで株式が公開される、こういうことになりますと、そこでつまり、企業の現在における収益力その他の営業力、いわゆるのれん的なものあるいは将来性というものを加味いたしまして、そこでいわゆるその会社の将来性を含めた意味での含み資産が現実化されるという意味で、そこの株価が例えば、百億円の払込資本金の株式であるのにその株券が一千億に売れるということになってまいります。  したがいまして、せっかくそういったのれんを築き、あれしてきたのは、当該株式会社の経営陣あるいは労働者、それがいろいろと資金の調達も行い、やってきたのでございましょうけれども、これが株式の公開、こういうふうな形での段階になりますと、その帰属者は従来の株主なのでございますね。  つまり、公社の場合に、公社の含み資産を多くしてこられたというのは、なるほど公社形態の経営であり、なるほど中にいる職員の皆さんでございますけれども、従来の国による出資というものは、いわば従来でも国が株主だったわけで、それが株式という形で見ますとやはり国に帰属する、こうなってしまうわけでございます。ですから、帰属はそういうふうにやはり国にあるのじゃないか。  ただ、としますと、国庫に帰属しますから、国庫はどういうふうにそれを財源として使うかということとはまた別問題でございまして、使う場合に、いろいろおっしゃいましたように、私どもの立場から電気通信の技術振興ということに一部を回していただきたい、こう申し上げましたけれども、それはやはり使い道につきましては、いろいろとよって来るゆえんも考え方の一つになるでしょうし、あるいは全然その他の別な方に働いても結構でございましょう。しかし、私はただ申し上げたいと思いますことは、漠然と申しますか、とにかくたまたま赤字財政の今日でございますので、今日の赤字の穴埋めにということは、今までの積み上げてきた経緯その他から考えまして、いかにも使い方としては有効でないあるいは適当でないのではないかということを申し上げたいと思います。

鈴木強日本社会党・護憲共同

○鈴木(強)委員 大変貴重な御意見を承りまして、ありがとうございました。  残念ですが、もう二十分の時間が参りまして、失礼いたします。どうもありがとうございました。

志賀節自由民主党・新自由国民連合

○志賀委員長 次に、伊藤忠治君。

伊藤忠治日本社会党・護憲共同

○伊藤(忠)委員 伊藤でございます。  諸先生方の貴重な御意見を拝聴しておりまして、私の方からは、小林先生に二つの問題、それから山岸先生に一点、時間の関係がございまして、合計三点質問させていただきます。  まず、小林先生に一点目は、外資規制の問題でございます。審議をやっていまして、常々疑問に思っておりますのは、今回の事業法によりますと、とりわけ対象になりますのが特別二種のケースだと思います。これは一般二種と特別二種の区分でございますね。これは省の方からの説明によりますと、千二百ビット換算、つまり一般の電話線のことですね、これに換算をしまして五百回線のネットワーク、そういう規模だ、こういうことなんです。これは考えますに、五百回線を使用しようと思いますと、マルチプレクサーを五つほど置きまして、それぞれのプレクサーに百回線ずつセンターにつなぐ。プレクサーにぶら下がる端末が約一方、こういうふうに想定できると思うのですね。これは相当大きなVANの規模だと思います。  したがって、外資規制の問題で心配されますのは、今もお話ございましたとおり、アメリカに例をとればATT、IBM、こういうところが恐らく日本市場をねらって、これからフリーになりますから、侵入すると思うのですね。それと競争します国内のVAN業者の資本力なども、やはり相当レベルが高いと思うのです。競争の皆さんも限られてまいると私は思うのですが、そういうときに通信主権を守るということはいかに――情報化社会というのは自由に自由競争でやればいいじゃないかと言われますけれども、やはりこれは国家としてのとりわけ公共性あるいはそこに秘められています通信主権を守っていくという意味からも、一定の割合での外資規制をやりませんと、現実にそういうケースというものが競争の段階で出てくるのじゃないか、このことに禍根を残してはいけないと思いますので、そのことについてお伺いしたい。  ただ、私たち不審に思っていますのは、法案作成の過程で、ある段階では規制の問題が出ていたのですけれども、いつの間にかそれが消えまして、成文化の段階ではオールフリーで提起をされておるわけですが、これは小林先生に真情あふるる御見解をいただければありがたい。  それから、二点目を申し上げます。二点目は、単純再販の問題なんです。電話線を又貸しして営業をやろうということなんですね。これは国鉄に例えますと、新幹線といいますのは、東京から福岡、博多まで走っていますね。ところが、東京から大阪だけを国鉄のレールを借りる。自分は何も設備を持たぬわけですね。借りまして、そして営業をやったら、国鉄の新幹線は全くダメージを受けると思うのですね。これを通信線に例えたら、そういう商売なんです。これは現在の料金で計算をしますと、J規格という専用線がございますが、これが一月八百万円、六十回線とれますね。一回線をD2という一般の回線に貸す、これも専用線がございますが、それの単価ではじいて貸しますと、一月約一千三百万円ぐらいもうかるわけですが、そういう商売は、これはニューメディアを目指して――情報化社会はやはりニューメディアが中心だと思うんですね。ニューメディアは自由競争でひとつやってくれというのが、それぞれ業界の皆さん方の本当の要望だと私は理解をするんですが、そういうだれがやったって同じサービスしかできっこのないような電話の単純再販も、これは高度情報化社会のニューメディアを伸ばしていくための市場開放の対象として、権威のある産業界としてあるいは経団連としてお考えなのかどうか、この二点についてお伺いをいたします。

小林大祐経済団体連合会情報通信委員会委員長

○小林公述人 最初の御質問の規制の問題でございますけれども、実はこの問題につきましては、もう既に法案提出、政府原案をつくられる段階で、御承知のような大変な検討がございまして、私、今の段階ではもうその問題には触れたくないので、申しわけございませんが……。  外資は別に私、これは個人的な意見でございますけれども、やはりそういう規制が除かれたということが、要するに次に努力をする一つの目標がはっきりしたことでございますので、若干の時間があるかもしれませんけれども、そう御心配されなくてもいいんじゃないかと個人的には思っております。  それから、ただいまの専用料金で借りて商売するというお話でございますけれども、産業界で私どもがやってきましたのは、要するに、高度の付加価値の高い回線をこれからつくってやっていこうということの方に重点を置いておりましたので、今いろいろ検討しておる中に今の問題が入っているかどうか、残念ながら私、聞いておらないんでございますけれども、やはり新規に入ってくる人たちは、そういう高度の付加価値を持った回線で商売をやっていくということに重点がございまして、また、その料金もこれから決められる問題でございますから、料金のやり方によっては商売が成り立たぬかもしれませんですから、その問題は余り真剣に私どもとしては検討いたしておりません。あるいはこれから料金部会その他では問題になるかもしれませんですけれども、ただいまのところそういうことでございまして、御了承願います。

伊藤忠治日本社会党・護憲共同

○伊藤(忠)委員 外資規制の問題につきましては、そういうことであれだと思うんです。  二点目の問題は、これはおっしゃいますように、やはり一般的なサービスじゃないと思うんですね。この際自由化されるから、こういう方法もあるのかという、言うならば抜け駆け的な商売のような格好だと思うんですね。ですから、付加価値通信というのは、この種問題ではないと思います。明らかにそれはVANだとかニューメディアにかかわる問題でございまして、価値を高めるんですから、かすり取るというのは価値を高めることにならぬわけでございまして、これはどう考えましても、今回の情報化社会に適応し得るシステムとルールづくりをやろうというのが法案の趣旨だとしますならば、いかんせんこれは少し的外れじゃないか、こういう考え方を強く持つわけでございますので、先生おっしゃいました考え方とは気持ちがぴったり合うように思いますので、安心をいたしました。ありがとうございました。  山岸先生にお伺いをいたしますが、スト権の問題についてでございます。実は、スト権の問題で今裁判をやられているようにお聞きをしておりまして、これはたしか一審段階まで審理が進んでいるように伺っております。その法廷審理の中でも明らかになっていますのは、国鉄なんかの場合ですと、一台とまれば、その電車を飛び越して前に後の箱が走るというわけにはまいりません。ところが、電気通信の仕組みといいますのは、もう諸先生方御承知のとおり、迂回路をとるようにいつもされているわけです。したがって、いわゆる一般的に争議権を行使をしましても、業務に与える影響については、これはもう一般的な常識でははかることのできないそういう特殊な実態だということが、法廷の中でも浮き彫りにされているということを聞いております。  このあたりについて、今回、現行労調法にさらにプラスして縛りをかける、制限を設けるということは、そういう事業の性格にもかかわらずどうも恣意的な感じを強く持ちますので、この点についてひとつ山岸先生の方から御見解をいただきたい、こう思います。

山岸章全国電気通信労働組合中央執行委員長

○山岸公述人 ただいま御指摘がございましたように、これは自慢になるのかならないのかわかりませんが、電電の場合は、ストライキをやりましても、ほとんど国民生活にあるいは国の経済に直接的な打撃を与えるような影響というのは出ません。これはもう先ほどお話がございましたように、全部自動化されておりますし、それから迂回回線もございますし、このことは、アメリカそれからイギリスなど諸外国で、半月とか半年という長期間のストライキを我々の同僚組合がやった歴史もございますが、その中でも立証されておるところでございます。  とりわけ、私は先ほど申しましたように、全電通労働組合というのは、官公労の中では一番の優等生でございまして、そういう良識の固まりのような組合がこれまたおるのですから、自民党の先生方が一部御心配されまして、私、こういう話も聞きました。君が委員長の間は信用するが、将来どうなるかわからぬということがございましたが、全電通のこの体質、路線、方針というのは連綿として未来につながっていきますので、不動でございます。そういう点では、ぜひ先生方の方でも現状ひとつ直視いただきまして、職場の労働者が納得のいくような結論を出していただきたい、こう思います。  それからもう一つ申し上げますと、我々は労調法の適用はもういいと、こう言っておるわけです。どうしても国民生活だとか国の経済に重大な影響を及ぼすという事態になれば、内閣総理大臣の緊急命令が出せるように労調法ではなっております。それが出ました場合には、もう無条件で五十日間ストライキはできない。この法律については、適用は我々は割り切ると、こう言っておるわけですから、その上また、労働大臣が職権調停を中労委に頼んだときも十五日間のストライキ禁止をプラスアルファでつけるというのは、労働省も言っておりますが、実効上何ら意味のないものでございますので、気休め程度にすぎないのじゃないか。だったら、やはりすっきりこの際整理していただきまして、当該の職場の労働者も気持ちよく新しい体制に順応できるようにぜひ国会として御配慮いただきたい、こう思うわけでございます。

伊藤忠治日本社会党・護憲共同

○伊藤(忠)委員 どうもありがとうございました。終わります。

志賀節自由民主党・新自由国民連合

○志賀委員長 次に、鳥居一雄君。

鳥居一雄公明党・国民会議

○鳥居委員 きょうは、公述人の皆さん御苦労さまでございます。公明党の鳥居一雄です。  電電三法に関しまして、大変貴重な御意見をいただいたわけでございます。何点か伺ってまいりたいと思うんです。  まず、小林公述人に伺いますが、この長期構想の座長を務められたというお立場、また今日まで情報産業の中におられたお立場で伺いますが、外資規制というのが当面なくなったわけです。今予想されるのは、例えばIBMのINであるとかあるいはATTのNET一〇〇〇、そういうのが恐らくは我が国に入ってくるだろうと見られます。これから我が国の技術との対決ということになるわけでありますけれども、日本の技術が一体大丈夫なのだろうか、自信のほどをひとつ伺いたいと思うのです。

小林大祐経済団体連合会情報通信委員会委員長

○小林公述人 アメリカのVANがこれから入ってくるわけでございますけれども、日本では、まだアメリカのVANについての本当のところをよくわかっている人は余りおらぬのです、どれだけの威力があるのか、普及性があるのか。これからの問題になってくるわけでございますが、これは少し言い過ぎになるかもしれませんが、私ども、コンピューターを長い間やってまいりまして、いつも政府の補助金その他いろいろな税制上の御援助を得たのですが、御援助をいただくときは、今にも国産コンピューターは外国のコンピューターにやられてしまうだろうというようなことで、先生方に陳情を申し上げまして、補助金をもらって今日までやってきて、昨今の新聞を見ますと、今やコンピューターがアメリカにどんどん輸出されて、アメリカから問題にされるようなところまで日本のコンピューターは発展してきたわけでございます。  そういうハードの問題とソフトの問題とでは違うかもしれませんが、ソフトウエアというのは、日本のお使いになる側との親しみその他が非常に大きな問題でございまして、単に理屈の上だけではどうにもならぬ問題でございます。だから、これからお使いになる方も出てくるだろうと思うし、日本は日本流に今までやってきたのですから、それのさらに改良でやっていくと思いますが、ここ数年の間が非常にそういう点での勝負どころになると思いますが、本当に困るのなら、三年後の見直しということもあるわけですけれども、三年後にもう一度外資規制するなんということはもうできっこないことは非常にはっきりしておるし、また今、外資規制を外したことによって、アメリカへ日本の通信機械、コンピューターがどんどん売れていることに対する一つのというか、あれだけ輸出していながら日本だけ外資規制をやるということも、いかにもまずい面もございますし、そういう点で私どもは、歯を食いしばって切り抜けていく覚悟でございまして、多分成功するだろうと私は考えております。

鳥居一雄公明党・国民会議

○鳥居委員 志場協会会長に伺いますが、VANといえば、アメリカから始まりまして、アメリカのGTEテレネットにしろあるいは大手三社にしろ、この十年間というものは、ATTあるいはIBMの参入というのは、一応規制を受けながら十年の推移があるわけですね。それで、第二次コンピューターインクアイアリー、その後今回の開放ということで、しかも企業の規模からいったら、分割して十分競争力という点で考慮された上でこうしたものの参入があった。この十年の期間というのは、やはり日本の国のVAN業におきましても、将来は開放するとしても、当分の間は助成策の中でいくべきである、こんなふうに思うのですが、協会会長のお立場でいかがですか。

志場喜徳郎社団法人日本情報通信振興協会会長

○志場公述人 先ほど申しましたように、私どもは日本的な場におきまして、また今後の高度情報化社会に向けましての一つの新しい分野、この今後の分野というのは、要するに、中堅の技術開発型の企業を中心にしましたその技術開発と、それからきめの細かいアプリケーションで、それぞれの国民の多層な、多様な、またローカルなそういうニーズにきめ細かく手際よく対応していく、こういう事業分野を構築していくということが中心だろうと思うのでございます。  そういった面につきましては、外資という問題も一つのことかも存じませんけれども、また、そういったことで私どもの協会といたしましても、昨年の法案提出の段階では、かずに時をもってしてもらいたいということから、いわば数年間の適用の猶予ということもお願いしたこともございましたけれども、今となってはそういうことも申してはおりませんけれども、しかし今申したようなことになりますと、単にスケールメリットをねらって一般的なゼネラルなユースにこたえるという面におきましては、確かに外資との競合という問題が出てまいりましょうけれども、私はそれは今後の情報通信の分野の一つの部門であって、またその面については、先ほど小林公述人もおっしゃいましたけれども、それなりの日本の対応はあるのじゃないか。  むしろ私は、そういう冒頭に申しましたようなことをこの間にせっせとつくり上げていく、そのための施策を集中していただくことによりまして、そこの付加価値を全体として高める産業構造といいますか、そのビジョンを描いてそこに政策を集中していただければ、日本の国全体としますこの高度情報社会に対応する情報通信体系並びにその業の振興ということには余り心配は要らぬのじゃないか、そこに希望を持つべきじゃないか、かように考えます。

鳥居一雄公明党・国民会議

○鳥居委員 なお、この法案がもし成立した場合、あるいは今後十年先あるいは二十年先を展望した場合、これは先ほどの表現じゃありませんけれども、全くやみの中を進んでいくようなもので、皆目予測もつかない、こういう事態の中で今論議が進んでいるわけです。  それで、それじゃ我が国の数年後を見ようという場合に、今日のアメリカの様子というのがまた非常に参考になる。アメリカにおきましてどんな推移をしているかという点は、先ほど来国内の電気通信事情は大変混乱しているという御指摘もあったとおりでありますが、SBSが衛星通信を行い、あるいはMCIがマイクロウエーブ回線を使いまして主要都市をネットワーク化して、それでバイパスと言われる問題を引き起こして、当初は高度通信というねらいで業が始まったわけでありますけれども、実際のところ、収入の八〇%が長距離電話で支えられているというような状況、つまり、産業用の電話はこのバイパスの方が引き受け、在来の電話回線というのはATTが引き受けてやっている。我が国の場合の推移を見ても、恐らくそういう形になっていくのじゃないだろうか、こう見られるのですけれども、曽山先生どういうふうにお考えでしょうか。

曽山克巳電気通信審議会会長代理・日本電気システム建設株式会社会長

○曽山公述人 お答えいたします。  御指摘のように、アメリカにおきまして、当初の見通しと若干違いまして、いわゆる付加価値通信事業者によりますところのアウトプットと申しますか、この額は、私どもの承知しております統計によりましても、今のところせいぜい全体の約〇・二%ということが予測されるという数字がございます。そういう点から見ましても、日本におきまして非常に大きなVANの業者によりますところの産出高というものが直ちに見られるかどうかにつきましては、率直に言いまして私、実は必ずしもそう思いません。しかし、〇・二%と申しましても、相当大きな分母の中で占めまする〇・二%でございますから、その額におきましても、現実にそれによって受益されます業者というものがかなりあるという点から申しますと、これはまた明るい見通したということも言えるわけでございます。  そういった意味におきまして、日本のVANとアメリカのVANとは必ずしも同一でございませんけれども、大体の概念におきましてはそのように言えるということでございまして、結論としましては、総じて日本のVAN業者の成功ということは予想される、しかしそれは例えば、先ほど来話の出ております大きなものではないということが考えられております。以上でございます。

鳥居一雄公明党・国民会議

○鳥居委員 どうもその辺の推移が心配な点だと思うのです。現在のところは十分な予測もないというようなところじゃないかと受けとめております。  それで、山岸先生に伺いますが、当事者能力の回復とともに賃金引き上げというものの歯どめがなくなるんじゃないか、一部にそういう御意見のあることも御承知だと思うのです。ともかく、当事者能力をチェックするような、そういう必要性というのを言う一部の意見がありますが、基本的にどうお考えでございましょうか。  それからさらに、先ほど数点の修正点について伺いました。特にこの点というのをお伺いしたいと思います。

山岸章全国電気通信労働組合中央執行委員長

○山岸公述人 御質問の趣旨は、当事者能力を与えると電電の労使がもう好き勝手に賃金を上げて、そのしわ寄せがまた利用者である国民の電話料金の値上げというような形で出てくるんじゃないかという一部の危惧について鳥居先生がおっしゃったのだと思います。私たちは、パイを無視した分配はあり得ない、こう思っております。ですから、賃上げをして利用者国民の皆様方にそのしわ寄せを値上げという形で押しつけるべきではないという考えを持っております。と同時に、やはり賃上げをやります場合には、おのずからそこに社会的コンセンサスというものが出てまいります。春闘相場でございましたら春闘相場、やはりこれをベースにして考えるというのは常識である、こう考えております。  したがって、決してこの際、好き勝手、気ままに何でもやろうというような考えを持っておりません。全電通の組合は今日まで、あくまでも社会の常識というものの物差しを前提にしまして運動をやってきましたから、賃金その他の問題についてもこの常識を守って、国民の皆さん方から理解され、納得されるような対応をしていこう、こういう考えでございます。  なお、電電公社の真藤総裁は三年半前に民間から来られまして、総裁に就任しました。そのとき以来、一貫して私たちに言っておりますのは、ギブ・アンド・アーク、企業努力をしない企業は死滅をする、企業努力をやる、そのかわり大前提がある、企業努力を行ったその成果に対しては正当に労働者に対して分配をするということでございます。それを信用して三年半やってまいりましたが、仲裁裁定も国鉄と仲よく道連れで、いまだにぶら下がっておるような状況でございまして、一回も実現したことはございません。しかし、やはりその点は考えてもらわなければいけない、私は こう思っておるわけでございます。  ちなみにKDD、国際電電の諸君と同じ学校を出て大体同じような仕事をやっておりますが、三十五歳標準労働者で年間の所定内賃金を比較しますと、電電公社の我々とKDDの諸君の間では百三万円の手取りの差がございます。私たちはそれを一挙に埋めるとは言いません。企業努力によって、社会的コンセンサスを得ながら、そういった実態は改善するようにこれは労使の交渉をやっていきたい、こう考えておるわけでございます。常識の枠から出るようなことは絶対いたしません。  それから、修正の問題についてどういう点を考えておるかということは、修正の問題は国会で先生方が御検討いただくことでございます。したがって、差し出がましいことは言う気持ちはございませんが、私たちとしましては、経営形態を変更する以上は、やはり企業に活力を持たせるという立場から、当事者能力については目いっぱい認めていただきたい。それからスト権についてはひとつ認めていただきたい。さらにまた、雇用とかかわります公正競争の問題ですね、これについては、今私たちが働いております電電の職場に二十九万人組合員がおりますけれども、やはりこの二十九万人に雇用不安を起こさせないような、そういう事業領域の確保と新たなるその展開ができるような公正競争条件というものをぜひつくっていただきたい。  もうぎりぎりいっぱい煮詰めて言うたらどうかといえば、そこのところはミニマムとしてぜひ何とか国会では御検討いただきたい、こう思っておる次第でございますし、スト権の問題などは、先ほど来ちょっと話題が出ておりましたが、歴史的経過もございますので、ぜひひとつ今までの歴史も検証いただきまして御検討願い、前向きの結論を出していただくように心から期待しておる次第でございます。

鳥居一雄公明党・国民会議

○鳥居委員 終わります。どうもありがとうございました。

志賀節自由民主党・新自由国民連合

○志賀委員長 次に、永江一仁君。

永江一仁民社党・国民連合

○永江委員 公述人の先生方、大変御苦労さんでございます。私ども民社党に与えられましたのは十二分でございますので、ひとつお答えも簡単にお願いをいたしたいと思います。  先ほど若干御意見がございましたけれども、岩村先生のお話を通じまして、昨年の臨調答申に至る経過の中で、この電電公社の改革、そして競争原理の導入をしなければ、日本の通信産業が、特に電電公社がさらに発展する、活性化することができないという経過はよくわかったわけでございます。  そこで今日、この法案が審議されておるわけでございますが、一番の問題は、電電公社を民営化するということも確かに大事なことでございますが、同時に、競争原理の導入ができて初めて活性化ができる、ここに問題があるというふうに思っております。小林先生からも、この新規参入がしやすいように配慮してほしいということで、かなり具体的なお話を聞かしていただきました。大変参考になりました。  そこで、小林先生と岩村先生にお尋ねするのでございますが、この新規参入は、これはガリバーとよく言われますけれども、ただ電電を民営化しただけでは非常に難しい。そして、私が大変危惧いたしておりますことは、これは志場先生もおっしゃったと思うのでございますが、国鉄とか建設省とか道路公団が参入する、話を聞くと、大蔵省が銀行のオンライン等も使うというようなことで、優先して、電電の独占を排してお役所にだけ開放する、こういうことになることを私は大変恐れておるわけでございます。  そういう中で、経団連の小林先生にお尋ねするのでございますが、こういった京セラを中心としたグループが発足いたしましたけれども、こういった本当の民間の参入、それが幾つも幾つも名のりを上げると、これはまたただでも小さいのが分散化する。そこで郵政大臣が若干発言をいたしまして、これまた官の介入を許すという、非常に問題を生ずるような気がするわけでございます。本当の純然たる民間産業の参入のために一定の分散化を防ぐ、こういうことについてはどう対処されるということが大事か、お尋ねしたいと思います。

小林大祐経済団体連合会情報通信委員会委員長

○小林公述人 先ほども申し上げましたのですが、経団連としましては、どこという限定をしておらないわけでございますけれども、民間が参入する場合のモデルをつくりまして、国際的な回線の問題、国内の問題、VANに宇宙衛星を使うということだけでなしに光ケーブルを使った場合の成り立つ条件といいましょうか、それを今検討しておりまして、それをベースにしまして、新しく参入してこようとしておられるところとうまくいくかいかぬかというような議論に多分入るのだろうと思いますけれども、今そういう物差しをつくっているわけでございます。そして、できるだけそれぞれ好さん、民間の知恵を働かせていろいろ計画をお持ちになっていると思いますが、それはよくわからぬのですが、それをもとにして成り立つか成り立たないかということについての議論が多分煮詰まっていくのではないか、かように思っております。  できることならば、そういう形でお互いに補完し合う、先ほど話が出ておりました衛星通信と陸上とが補完し合うとか、そういう形でお互いにネットワークをつくっていけば、小回りのきく利点、電電さんは非常に大きな全国的な規模でございますから、それに対して小回りのきく形で、ISDNを早くタイムリーに必要とするものを供給していくというところに成立する道があるように思います、早くやらなければ意味がないのですけれども。この辺のところに私は可能性を持って、今検討しておる結果待ちでございまして、今のところ何とも申し上げかねるわけでございます。これでよろしゅうございましょうか。

岩村精一洋読売新聞調査研究本部客員研究員

○岩村公述人 御質問の趣旨を……。

永江一仁民社党・国民連合

○永江委員 新規参入を容易にするために最も大事な点はどういうところかということを、ひとつ簡単にお願いいたしたいと思います。

岩村精一洋読売新聞調査研究本部客員研究員

○岩村公述人 なかなか難しいのですが、行政が新規参入させて、しかもその参入勢力をかなり大きく育て上げるためにどこまで手を出すか。余り行政が出し過ぎるのもいけないし、さしあたりは、新規参入に対して拒否的な行動様式をもし電電がとります場合には、これに対して行政がかなりの指導をする必要があるのじゃなかろうかと思います。  例えば、データ通信の初期独占という問題がございまして、オンラインの形成というものに最初は電電は手をつけなかったのですが、四十一年からでしたか、その仕事に手を出すようになってきてから、データ通信の利用の制限というのはかなり厳しいものになっておる。その反面で、データ通信の新しい業者がそこでなかなか登場しにくい状態になってしまった。電電の初期独占の問題がそこにあったわけでありますけれども、そのことによって日本のソフトの開発はアメリカより十年もおくれた、むしろ独占のまずさであったという見方がよくされるわけでありますけれども、何かいい方法はないか。なかなか具体的なこれはというのを、私は行政に携わっておりませんのでよくわかりませんが、かなり電電側にとっては冷たいかもしれないような手配りがいろいろ要るのじゃなかろうか、かなり雑駁な言い方でございますけれども、そのように考えております。

永江一仁民社党・国民連合

○永江委員 次に、山岸先生に一点、お尋ねいたしたいと思います。  先ほどからお話を聞いておりますとおり、官公労の中で全電通が非常に民主的で、しかも良識的じゃないかということを我々も高く評価しておるのでございます。我々は基本的には、合理化には賛成し、そこから上がったパイの分配は対決しても取っていくということが、最も正しい労働運動のあり方であるという立場に立っておるわけでございます。そういう中で、官公労という非常な枠の中でそういった運動をされたわけでございます。  ただ、賃金ということになると、先ほどから力説されておるように横並び。そこで、合理化には協力したけれども、その分配の取り方が賃金では取れないから、これは時間短縮で取っていた、これは私は歴史的にやむを得なかったと思っておるのでございます。しかし、確かに時間短縮も労働運動にとっては大事ですけれども、時間は短縮して暇はできたけれども金がないでは、休みがあっても家でごろごろ寝てテレビでも見ているよりしょうがない、これでは若干、文化的生活ということにはかけ離れるわけでありまして、そういう労働運動のいびつさという経過もこういった官公労、親方日の丸という体質の中でやむを得なかった。  そこで、これは民営化するということによって、電電公社に働いておられる労働者の方々の賃金が上昇するチャンスがある、私はこういうふうにこの法案を見ておるわけでございますけれども、いかがでございましょうか。

山岸章全国電気通信労働組合中央執行委員長

○山岸公述人 すべて当事者能力次第だと私は思います。当事者能力が本当に認められて、賃金、労働条件について、社会的なコンセンサスを得るという前提で自由に労使で論議し、決められるという保障がなければ、経営形態が変わっても、従来と余りかわりばえしないような結果になるおそれがあると思います。しかし、そうなったのでは大変でございますので、ひとつ国会審議の中で、先ほど来何遍もお願いしておりますが、当事者能力の問題はくれぐれもよろしくお願いいたします。

永江一仁民社党・国民連合

○永江委員 終わります。

志賀節自由民主党・新自由国民連合

○志賀委員長 次に、佐藤祐弘君。

佐藤祐弘日本共産党・革新共同

○佐藤(祐)委員 きょうはどうも御苦労さまでございます。  稲葉先生にお尋ねをしたいと思います。私は八分間でございますので、お考えを十分話しいただけないかと恐縮でございますが、よろしくお願いいたします。  先生は「現代コミュニケーションの理論」の著作などで「市民と情報」、その中には「情報と教育」とかありますし、「情報社会と管理社会」、そういった問題でいろいろな角度から考察をなさっておられます。本日のお話も、二十一世紀を目指しまして、マイナスとしては公害とか戦争とか失業ですね、そういうものが起きている中で正義、公平をどう実現していくか、そういう人類史的な問題意識といいますか、人類が手に入れた新しい社会的な手段である高度な情報通信をそういう問題意識に立ってどう役立てていくか、そういう視点と具体的なそれを保障していく手だて、それが大切だというお話だったというふうに承知をいたしております。そして冒頭、シビルミニマムのお話がございました。その中では、情報格差の問題、私、これは大変大事な…題だというふうに思うわけであります。  それで、先生が著作などで書いておられました施しとしての情報ですか、それがいよいよ肥大化していくのではないか。テレビショップのお話も書かれておりましたが、例えば一例だけ言いますと、ことしの秋からキャプテンズというのが始まります。これにつきましては、欲しいときに欲しい情報ということが宣伝をされております。私、これは半分は当たっておりますけれども、半分はどうもおかしいんじゃないかと思っているわけです。確かに欲しいときにという点はある程度満たされる。しかし、欲しい情報という点で言いますと、あのデータに提供されておりますのはごく限られたものであります。国民的なレベルから見れば限られたものであります。ですから、情報内容について言いますと、決して欲しい情報がすべてあるわけではない。つまり、メッセージの、自由がないということだろうと思うのです。  そういった点いろいろ考えていきますと、いわゆる情報、そういうものを通じての情報操作といいますか情報管理、そういったものが進んでいく。国民の側の知る権利、これは基本的人権の重要な中身だと思うのでありますが、その知る権利がコントロールされたものになっていくのではないかという危惧を大変持っておるわけであります。そういう点につきまして、今後我々が考えていかなければならぬ、留意すべき問題点についてお話をいただければありがたいと思います。

稲葉三千男東京大学教授

○稲葉公述人 まことに原理的な問題なので、どうもお話し始めると一時間ぐらいしゃべりたくなるのでございますが、私、最近の若い人たちの情報行動などを見ておって、今おっしゃいましたように、情報へのニーズが非常に高まっているのですけれども、情報が与えられたところで何か満足してしまっている。むしろそれはまさにデータであって、そのデータをまた個人個人がいろいろな努力をしながらインフォメーションに変えていく、そこに人間の働きのすばらしさがあると思うのですね。  そこが、データをたくさん与えられたことで何か物事が解決した、わかってしまったというように思う、そこに今の社会の情報の求め方の一つの危険があるのじゃないかなというふうに考えておりますので、もう少し情報を欲しくなったときすぐ求めるのじゃなくて、これはどう求めたらいいか、どういうふうに答えを出していったらいいか、先ほど申した焦らないで時間をかけながらやっていく。先ほど言い落としたことで言えば、技術の成熟だとか制度の成熟だとかいうのを十分見きわめながら処理をしていくということが重要なのじゃなかろうか、こう思っております。

佐藤祐弘日本共産党・革新共同

○佐藤(祐)委員 今の問題とも関連をするのですが、プライバシーの問題をおっしゃいました。私もこの問題がこれからのいろいろな電気通信の発展の中で、いろいろな問題が出てきそうだということを感じるわけです。  これはごく一例ですが、例えば、言われておりますホームバンキングとかホームショッピングにしましても、逆に言いますと、そのデータがすべて集中される。そういう個人データの集積というのは大変なスピードで進んでおりまして、そういう点のそれをどう防いでいくかという問題がますます重要になってくるだろうというふうに考えるのでありますが、さっきもお話の中で若干ございましたが、どういう点が大事なポイントであるかといったあたりについて、もう少しお話いただければありがたいと思います。

稲葉三千男東京大学教授

○稲葉公述人 これも非常に多面的なので、時間が限られていて十分お答えできないかと思うのですが、例えば今のホームバンキングだとかホームショッピングにしましても、非常に便利だという面は強調されているのですが、その反面にどういう問題が生じるのかという点については、必ずしも世論に対する十分な教育といいますか、こういう面がなされていないんじゃないか。  今お話を伺っていてすぐ思いつきますのは、例の電話料金の明細の問題なんかでございますね、これなんかも、技術的には今後は恐らくごく簡単にできるでしょうし、また第二電電なんかできてくれば、分計などの問題でそういう計算していかなければいけない面が出てくると思うのです。ところが、これはまた同時に、だれが、どこへ、いつ、どういう電話をかけたかということは、内容は別としても、記録に残っていくわけでありますから、その辺はやはり相当慎重に、どこまで記録を残すのかあるいは秘密にするのか、この辺検討していかないと、御懸念されているような管理社会になってしまう、そういう危険を持っているように思っております。

佐藤祐弘日本共産党・革新共同

○佐藤(祐)委員 まだ時間がありますか。

志賀節自由民主党・新自由国民連合

○志賀委員長 あと一問だけいいです。

佐藤祐弘日本共産党・革新共同

○佐藤(祐)委員 今の問題と重なりますが、そういう中での市民参加といいますか、データ提供の問題なんかも今後、やっていく必要があるんじゃないかというふうに考えるわけです。市民運動、これも消費者運動の問題とかいろいろ先生も御研究なさっておられるわけでありますが、そういう市民参加の問題ではいかがでしょうか。

稲葉三千男東京大学教授

○稲葉公述人 先ほども新しい電電なら、電電の経営を密室化しないということを申し上げましたけれども、市民参加の一番の前提は、やはり知る権利、どういう現実があるのかということについて情報が十分に与えられる、そこから市民がどう立ち上がり、参加をしてくるかということになると思いますので、実際に現在行われております利用者によるさまざまな電電公社への参加の仕方というのを今後、どういうふうに発展させていくかというその具体的なことはちょっと別にしても、もっともっと開かれた新電電、せっかく改革なさるのであれば、もっともっと開かれたものにしていくこと、特に情報の面での公開ということをお考えいただきたいというふうに思っております。

佐藤祐弘日本共産党・革新共同

○佐藤(祐)委員 どうもありがとうございました。

志賀節自由民主党・新自由国民連合

○志賀委員長 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。  公述人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。私どもの本日の本会議が一時にセットされております関係上、御昼食もまだ差し上げずにおりますことを、この機会に深くおわびを申し上げます。  これにて公聴会は終了いたしました。  次回は、来る十一日水曜日午前十時理事会、十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十八分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗