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101回国会衆議院1984/04/10

大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第1号

発言数
102
登壇者
10
会派数
5
開催日
1984/04/10

会議録

中村正三郎自由民主党・新自由国民連合

○中村(正三郎)小委員長代理 これより金融及び証券に関する小委員会を開会いたします。  小委員長が所用のため、私が小委員長の職務を行います。  金融及び証券に関する件について調査を進めます。  本日は、金融・資本の自由化と直面する諸問題について、参考人として日本銀行副総裁澄田智君、全国銀行協会連合会会長草場敏郎君、社団法人日本証券業協会会長渡邊省吾君、社団法人全国地方銀行協会副会長瀬戸山孝一君の御出席を願っております。  参考人の方々には、御多用中のところ、本小委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。本問題につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いいたします。  なお、議事の進め方といたしましては、初め参考人の方々から御意見をお一人十五分程度お述べいただき、その後、小委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。  それでは、まず澄田参考人からお願いいたします。

澄田智日本銀行副総裁

○澄田参考人 本日は、日本銀行の立場から、当面の金融自由化の課題につきまして申し上げます。  日本銀行は、金融の自由化、特にその中の金利の自由化につきましては、これは避けて通ることのできない課題である、そういうふうに考えてまいっておりまして、既に数年前からその方向で努めてきたつもりでございます。  自由化を避けて通れないものにしている背景は、俗に「二つのコクサイ化」と申しておりますが、やはりその点が大きいと思います。  第一のコクサイ化、これは国債の大量発行に伴う金融市場の変化のことでございます。昭和五十年度以来年々多額の国債発行が継続しておりますことから、今日では幅の広い、そして奥行きの深い国債市場が成立しております。国債が自由な金利で活発に市場で取引される、また国債を利用した新しい金融商品が工夫されて提供されるということになりまして、その結果預金金利を中核とする規制金利に影響が当然に及んできております。そういうことから、やはり従来の規制金利の弾力化あるいは自由化ということが促されている、そういう状況であるわけであります。  第二のコクサイ化は、いわゆるインターナショナルという意味の国際でございまして、金融のそういった国際的な歩みということでございます。これは資本の取引が原則自由ということになりまして、外国為替管理制度の全面改正が行われ、内外の資本交流がいよいよ深まりまして、金融機関の国際業務が活発化するにつれまして、わが国の金利のあり方や金融慣行あるいは金融制度についてまで修正を求める声が内外ともに強まってきている、こういう状況であると思うわけであります。  この二つの大きな要因に付随いたしまして、金融業務の機械化いわゆるエレクトロニックバンキングの進展、これも新しい金融商品の開発を技術的な面で可能にしている、そういう要因でございます。これも自由化に大きな影響を与えていると思います。  また、近ごろ特に高まってまいっております法人、個人の金利選好というものも自由化にインパクトになっている、こういうふうに考えるわけであります。  以上のような背景のもとで、金融市場におきましては自由金利の分野が拡大しつつあるわけでありますが、自由金利と規制金利とが併存しているということになりますと、金融情勢の変化によりまして、自由金利の分野と規制金利の分野の間でどうしても資金シフトが大量に起こる、こういう問題が起こるわけでございます。資金の不測の移動によって金融市場が大きな攪乱的な影響を受ける、そういうことのないように十分に留意していく必要があるわけでありまして、そのためには実情に応じまして漸進的に規制金利の分野の縮小を進めていく、そして自由化へのソフトランディングを図るということが何よりも望ましい、こういうふうに考えるわけであります。  また、日本銀行といたしましては、金融政策の有効性を維持していくためにも金利の自由化を進めることが望ましい、かように考えております。  申すまでもなく、金融政策は、金融市場の需要供給の関係や、そしてまた金利に影響を与えることによって、金融の引き締まりあるいは金融の緩和の度合いを調節していく。そしてそれによって経済活動や物価動向に効果を及ぼそうとする、そういう性格のものでございます。  戦後、我が国の金融政策は、窓口指導のような政策手段に依存をして運営されてきた傾向がございますが、最近におきましては、今述べましたような環境変化を背景にして、企業や個人の手元の金融資産の蓄積が進み、海外との資金交流も活発化してきていることなどから、これまでのようないわば行政指導的な手段に依存をして政策を運営することが逐次困難になってくるわけでございます。そしてまた、将来においてはこういう傾向が一層強まるということが予想されるわけでございます。したがいまして今後は、金利の変動を通じまして経済活動に影響を及ぼしていくいわゆる金利機能の活用ということが、金融政策の運営にとって一層重要になる、こういうふうに考えるわけであります。金利が、資金の需要供給の関係に応じまして自由に変動するような体制を確立していく意味におきましても、金利の自由化を進めることが肝要である、こういうふうに考えるわけであります。  以上のような考え方に基づきまして、日本銀行といたしましても、金利の自由化に取り組んできたわけでありますが、今後、当面におきましては、預金金利の自由化と短期金融市場の整備、確立が大きな課題になると思っております。  預金金利につきましては、欧米諸国と同様に、まず大口預金金利の自由化から始めることが適当であろう、こういうふうに考えております。我が国の場合におきましては、具体的には譲渡性預金の一層の規制緩和、さらに市場金利連動型預金の導入という措置を経まして、大口預金金利全般について自由化を図ることが考えられるわけであります。  一方、小口の預貯金金利の取り扱いにつきましては、何といたしましても、郵便貯金金利との調整をいかに図るかという問題がそこにございます。  預貯金金利の自由化を図る場合、金融機関がそれぞれの経営責任のもとで市場原理に従って行動する結果、預金金利が市場メカニズムを通じて決まっていくことを期待するわけでございますが、郵便貯金は建前といたしまして非営利の官業でございまして、そうした機関が独自の立場で決める金利というものは、市場の実勢とは言いがたいものではないかと思います。しかも、現在郵便貯金は個人預貯金の中で著しく高いシェアを占めているわけでありまして、この郵便貯金が独自の立場で金利を決めるということになりますと、どうしてもそのマーケットにおきましては郵便貯金がプライスリーダーということになりまして、力関係からしても民間はその金利水準に従わなければならない、こういう作用が働くわけでございます。  このような問題がありますために、預貯金金利の自由化を図っていくためには、郵便貯金の金利が民間の預金金利を基準として、それと均衡を保ち、整合性を保って決定されるという意味合いにおける金利の一元的な決定のルール、そういうものを確立することが何よりも肝要であると思います。そうしたルールがしっかりと踏まえられない限り、小口預貯金金利の自由化は当面極めて難しい、こう言わざるを得ないと思います。  次に、金融市場の自由化が進む中で、諸金利がそのときどきの金融政策の基本的なスタンスを的確に反映して動いていくというためには、日本銀行が必要に応じていつでもオペレーションを行うことができ、そこで形成された金利が他の市場に波及、伝播をしていくような中核的なマーケット、中核的な市場が生まれることが望ましいわけでありまして、こうした金融市場全体の中で中心となるようなオープンマーケットは、やはり政府短期証券の市場が最も望ましい、こういうふうに考えております。  現在は、政府短期証券の恒常的な流通市場は存在しないわけでありますが、しかし、日本銀行は五十六年から、市中の資金の余剰を吸収する目的で、日本銀行手持ちの短期証券を売却するオペレーションを随時実施してきております。私どもは、今後とも金融市場の状況に応じて、このようなTB、短期証券のオペを活用していきたい、かように考えているわけでございます。  最後に、円の国際化を図るという観点から、我が国の金融・資本市場の開放と申しますか、自由化問題について議論が高まっておりますので、この点につきまして私どもの考えを申し述べたいと思います。  円の国際化の内容には、円が貿易取引に使われる、すなわち貿易が円建て化して行われるということ、それから第二には、海外諸国の外貨準備として円が保有されるということ、第三には、資本取引に円が使われるということ、こういう幾つかの側面がございますが、このうち当面最も重要であり、そして進めていかなければならないのは、資本取引における円の使用、換言すれば、居住者、非居住者を問わず円を自由に調達、運用できるようになるということではないかと思います。この意味では、やはり国内の金融あるいは資本市場の整備、自由化を進めていくことが円の国際化ということの中心的な課題であろう、こういうふうに思います。  この点に関しまして、最近、海外における円の取引、すなわち、いわゆるユーロ円の取引を自由化することによって円の国際化を進めようという考え方が提起されております。私どもといたしましても、貿易取引の円建て化が進み、そして内外資本交流が活発化するにつれましてユーロ円が自然にふえていくということは、これは避けられない現象であろうと思います。  ただ、海外で保有されております円というものは、これは円だけでなくて、ユーロドルでもユーロマルクでも同じでございますが、それぞれ自国の中央銀行の影響が及びにくいものでございまして、やはりこれが国内との取引関係を通じまして自国の流動性調節上も問題が生ずるという場合はあるわけでございます。このような観点から、日本銀行といたしましては、ユーロ円取引の自由化あるいはユーロ円市場の拡大ということを政策的に推進する、エンカレッジする、そういった性質のものではないのではないかというふうに考えているわけであります。いわば、自然に発展をしていくものというようなことになるかと思います。  また、国内において、現実の問題としてはある程度の規制が残っている、そういうような状態のときに、ユーロ円取引だけが先行して、あるいは突出して自由化されていくということになりますと、どうしても金融取引がユーロ円市場の方に移っていく、いわば逃避をしていく、そういう傾向が生ずるのは、これは当然でございます。したがいまして私どもとしては、まず国内の金融・資本市場の自由化を推進することによりまして、非居住者による円の使用が自然に高まっていくということになることが本筋であると思いまして、そういう状況と調和のとれた、つり合いのとれた形でユーロ円取引も自由化をしていく、これが適当であろうか、こういうふうに考えるわけであります。  以上のような考え方が主要な我々の考え方でございまして、日本銀行といたしましては、以上のような考え方に基づきまして、金融あるいは金利の自由化に前向きに取り組んでいく、そういう所存でございます。  以上でございます。(拍手)

中村正三郎自由民主党・新自由国民連合

○中村(正三郎)小委員長代理 ありがとうございました。  次に、草場参考人にお願いいたします。

草場敏郎全国銀行協会連合会会長

○草場参考人 ただいま委員長から御指名をいただきました、全国銀行協会連合会の草場でございます。きょうは、金融・資本の自由化と直面する諸問題に関しまして私どもの意見を述べるようにとのことでございますので、意見を申し述べさせていただきます。  金融の自由化は、確かに今や避けて通れない一つの大きな流れでございまして、また、実際にも、これまでに自由化への布石が着々と打たれてきておりますことは、皆様御承知のとおりでございます。  さらに、円安問題に端を発しまして、新たに海外から我が国金融・資本市場の開放要求が加わっているわけでございますが、その要求内容はまことに広範多岐にわたっております。  我が国社会が今後より一層効率化を図っていくために、金融・資本市場のあり方も時代の要請にこたえまして、変革に向けて努力すべきは当然でございますが、一方、我が国にも、長い歴史と社会風土の中で固有の制度、慣行をつくり上げ、それを基礎に経済社会を維持発展させてきたという側面もあるわけでございます。  円の問題につきましても、我が国の国際経済上の地位から見まして、これをより一層国際化すべしという欧米諸国からの強い要請があることは、これは十分理解できるわけでありますが、我々はこれを外圧としてではなく、みずからの問題として受けとめて考える必要があるかと思います。  すなわち、国際協力を推進し、我が国経済の一層の発展を図るために、円の国際化を進めていく必要性があることは当然でございますが、それが我が国経済に及ぼす摩擦や混乱を最小限度にとめるべき配慮も十分加えて、秩序ある自由化、国際化を進めることが肝要であると存ずる次第でございます。  また、我が国は今日まで金融の国際化を過度に進めることなく、経済発展のために望ましい金利政策を維持することによりまして、産業界が設備の近代化を推し進め、生産性の向上を通じて国際競争力を維持発展せしめてきたのでございます。資源に乏しい我が国にとりましては、今後とも原材料を輸入し、付加価値を高めた上で輸出するパターンが続かざるを得ないものと考えられまして、引き続き適正な輸出競争力を維持する必要があることには変わりはございません。  しかし、一挙に、あるいは急激な形で国際化を進める場合には、海外金利と我が国の金利が一気に同じ水準に近づくことが危惧されるわけでございます。特に、現在基軸通貨でありますドル金利が極めて高い水準にございますが、この原因がアメリカの財政赤字によっていることは、周知の事実でございます。    〔中村(正三郎)小委員長代理退席、熊谷小委員長代理着席〕  では、この財政赤字が縮小するかとなりますと、国防費の増大とか、自由圏のリーダー的役割を果たす上での責任などから、そう簡単に縮小することは難しいと判断されます。  したがいまして、大幅な自由化を一挙に実施すれば、我が国の金利も米国並みの水準にさや寄せされて上昇することが予想されまして、ひいてはそれが企業の設備投資意欲の減退につながり、長い目で見た場合に、果たして産業の国際競争力を弱めるおそれがないであろうかということであります。  かつて世界の工場と自負いたしました英国が、現在の姿にまで低迷を余儀なくされたその同じ道を、アメリカそして我が国が後から歩んでいくことにならないとは断言できないと申せましょう。  第一次石油危機後の設備投資の低迷によりまして、我が国の製造業の資本ストックの平均年齢は、最近十年間で二年高齢化いたしまして、逆にアメリカは一年短くなったために、既に両国とも九年という年限で横並びとなっている点を考えてみましても、今後とも設備近代化の必要性は引き続き重大な課題だと思います。  したがいまして、金融・資本の国際化は重要な意味を持っておりますが、今後そのスピードをどうするかということにつきましては、我が国にとりまして果たしてプラスになるのかどうか、そのあたりを十分に検討した上で、みずからが決めるべき課題であり、そしてその場合にも、信用秩序の混乱は絶対に回避しなければならないと考えている次第でございます。  ところで、国内の金融・資本の自由化について述べるに当たりまして、我が国の戦後金融体制の特徴について一言申し述べますれば、まず、金融業務が広範にわたり規制を受けておりますこと、とりわけ金利は、昭和二十二年十二月施行の臨時金利調整法と日本銀行のガイドラインによって規制されてきたこと、また長短金融が分離されまして、同時に、証券取引法第六十五条により、金融と証券が厳密に分離されたことなどが挙げられます。今後、金融・資本の自由化が進展するに伴いまして、これらの特徴が大きく変貌することが考えられますので、改めて金融自由化の意義を問い直してみたいと存じます。  まず第一に、規制の撤廃によりまして業界の競争が促進され、個々の銀行の経営効率も、銀行組織全体としての効率も向上することが期待できることであります。  第二は、金利を中心としました価格メカニズムが貫徹され、資金の効率的配分が行われることが考えられます。  第三は、経済・金融構造の変化に適切に対応する体制を金融面で整備することができ、多様化する顧客のニーズへの適応が促進される効果が見込めることであります。  以上を総合いたしますと、金融・資本の自由化は、国民経済の発展に寄与するという大きな意義のある課題だと言えるわけでございます。したがいまして、金融自由化への対応は、こうした効果が十分に発揮されるよう前向きに取り組むことが必要でありますが、今後これを具体的に進めるに当たりましては、次のような問題点への配慮が不可欠であると考えております。  その第一点は、我が国金利体系の根幹をなしているところの国債発行条件についてであります。  財政再建へいかに努力いたしましても、当面は十兆円を上回る新規財源債の発行が続くことは不可避である上に、昭和六十年度以降は、借換債の大量発行も行わざるを得ない状況に至りますことは、御高承のとおりでございます。    〔熊谷小委員長代理退席、中村(正三郎)    小委員長代理着席〕  借換債は、その資金使途が満期到来国債の償還に限定されている点が新規財源債と異なるだけで、消化の難易度は新規財源債と全く同様でありまして、しかも旧債の期日が確定しているだけに、借換債の消化が円滑に行われる必要性はさらに大きくなるわけでございます。  これらのことから、借換債の発行が巨額になる昭和六十年度に向けて、国債の発行条件が既発行国債の流通利回りに即応して、より一層弾力的に決定されることが必要となると考えるものであります。  なおその際、既発国債の流通市場が十分に発達し、適正な価格形成がなされることも必要でありましょう。新銀行法によりまして取り扱いが認められました公共債にかかわる銀行の証券業務も、この観点から重要な意義を持つものと考えております。  第二点は、国債の発行条件の市場実勢尊重を根幹とした金利自由化が金融市場全体に影響を及ぼすことは、当然の流れであると考えられますが、その場合にも次の問題について検討が必要でありましょう。  一つは郵便貯金の問題であります。郵便貯金は、今や個人預金の三〇%を超えるほど巨大な存在となっているにもかかわらず、郵便貯金金利は依然として銀行預金とは別個に決定されております。  こうした預貯金金利の決定が二元化されている状態で預貯金金利の自由化が推進されますと、郵便貯金が事実上の金利決定のプライスリーダーとなる可能性が大きく、市場原理を無視した金利決定が行われるとともに、その結果として、財政赤字がさらに拡大することすら予想されるわけでございます。  さらに、金利自由化の手順の問題でございますが、このことに関しましては昭和五十八年四月の金融制度調査会の「金融自由化の現状と今後のあり方」という中で「まず、既に自由金利運用に習熟している機関投資家や法人向け等の大口預金金利から順次実施に移していくことが適当である。」と報告されております。  金利が自由化すれば、市場実勢等に従いましてかなり激しく変動することが予想されますので、やはり自由金利運用に習熟していることが必要条件であろうかと考えますし、また大口取引は小口取引に比較してコストが安くなることは、あらゆる商取引に共通して言えることでございます。小口預金は、大幅な変動を繰り返すよりも、比較的安定した金利がつけられることが、預金者からしても望ましく、そのような配慮が必要であると思います。  金融自由化への対応の第三点は、業務規制等の緩和についてでございます。  我が国の戦後金融体制は、当時の資金不足時代にありまして、日本経済の復興から高度成長のために極めて効果的に機能してきたことは評価できるのでありますが、今後の国際交流の必然性とか低成長経済への対応を考えますと、業務規制のプラス面、マイナス面についての見直しをより一層進めるべき時期に来ているのではないかと思われます。  その場合、金融そのものをできる限り市場原理にゆだねていくことが基本でありまして、それがすなわち国民経済上プラスであるという点をしっかり認識することが必要であると思われます。  また、自由化に際しての基本的な考え方の中で、預金者保護あるいは投資家保護の観点が重視されるべきことは、これはもう論をまちませんが、何よりも預金者自身あるいは投資家自身の自己責任原則という物の考え方が育たない限り、本当の意味での自由化は進展しがたいのではないかと考えます。  最後に、個別論といたしまして、次の二点を申し述べます。  第一は、銀行業界といたしましても、顧客ニーズの多様化に対応すべく、自由金利商品の取り扱いや新しい金融サービスの提供に努めてまいりますので、引き続き行政の自由化、弾力化を推進されるように希望いたしております。  また、業務分野の拡大に伴いまして、金融と証券の周辺分野での相互乗り入れがさらに進むことが予想されます。このことは、競争を促進し、国民経済的に見て望ましいことと言えましょうが、この場合におきましても、それぞれの根幹となる業務、いわゆる本業につきましては、相互にこれを尊重していくことが肝要であると考えます。  もとより、私ども金融機関といえども、いたずらに既得権に固執し、既成金融秩序に安住することはみずからの衰退を招くことにほかならず、このような態度は到底許されぬところでございます。しかしながら、余りに急激な自由化は、我が国金融・資本市場の制度、慣行に重大なる影響を及ぼし、不必要な摩擦と混乱を生じさせかねません。したがいまして、今後とも積極的、主体的かつ漸進的な秩序ある金融自由化の推進が必要でありまして、望ましい姿への軟着陸を図ることが肝要と存じます。  以上をもちまして、陳述にかえさせていただきたいと存じます。  ありがとうございました。(拍手)

中村正三郎自由民主党・新自由国民連合

○中村(正三郎)小委員長代理 ありがとうございました。  次に、渡邊参考人にお願いいたします。

渡邊省吾社団法人日本証券業協会会長・日興証券株式会社取締役会長

○渡邊参考人 日本証券業協会会長の渡邊でございます。  平素、先生方におかれましては、証券市場の健全な運営、またその発展のため、何かと御配慮をいただきましてまことにありがとうございます。まずもって厚く御礼申し上げます。  本日は金融・資本の自由化と直面する諸問題について意見を申し述べよとのことでございますので、証券界の立場から意見を申し上げ、御審議の御参考に供したいと存じます。  御高承のとおり、近年、金融・資本市場は大きく変貌し、自由化の進展には著しいものがございます。その要因について私どもの立場から申しますと、まず第一に、証券市場の国際化が進展していること、第二に、国債の大量発行を背景として国民の金利選好が高まり、また、企業の資金調達が多様化していることの二点が挙げられます。この点につきましては、冒頭澄田日銀副総裁からお話がございましたとおりで、「二つのコクサイ化」と言われたとおりでございます。  まず、証券市場の国際化の進展状況を申し上げますと、外国投資家による対日証券投資は昭和二十年代後半からスタートしましたが、当初は投資額もごく微々たるものでございました。しかし、昭和三十年代後半からは、我が国経済の高度成長に伴い、その投資額は漸次拡大の傾向を示してまいりました。  その後、石油危機の時期に一時減少しましたものの、我が国経済が二次にわたる石油危機を克服し、先進主要国の中で最も良好なパフォーマンスを示し、また、政治も安定しているというようなことから、昭和五十一年から再び増加に転じ、さらに五十五年十二月から新外為法が施行され、資本取引について原則自由とされたこともございまして、最近では、欧米の年金基金等を中心にその投資額は急速な拡大を示しておるのでございます。  一方、我が国の投資家による——これは外へのですが、外国証券投資は、昭和四十五年に証券投資信託に対して外国証券の組み入れが認められたのが最初でございますが、翌四十六年には生損保、一般投資家も外国証券投資が行えるようになりまして、この規模は着実に拡大してまいりました。  その後、四十八年以降は、石油ショックによる外貨事情の急変から、一時停滞を余儀なくされましたものの、五十二年からは再び増加傾向に転じまして、最近では、内外金利差の拡大等によりまして、外国債券を中心として外国証券投資は急増しております。  次に、発行市場でございますが、外国政府、国際機関等の東京市場における円建て外債の発行につきましては、昭和五十二年以降我が国の国際収支の黒字基調が定着し、同時に市場の整備が図られたことから順調に増大してきておりまして、最近では銘柄数も起債額も着実な拡大を示しておるのでございます。  また、東京証券取引所の上場外国株式につきましては、この数年、種々の事情から上場を廃止するものが見られましたが、先般、上場外国企業に対する開示手続の弾力化が図られるなど、外国株式の上場を促進するための措置が講じられまして、今後次第に発行株式を東証に上場する外国企業がふえてくるものと期待されております。  さらに、我が国企業の海外証券市場での資金調達につきましては、後ほど改めて申し述べたいと存じますが、近年、ユーロ市場を中心として海外市場での資金調達が年々急速に拡大してきております。  このような証券市場を通ずる国際的資本交流の拡大によりまして、我が国証券会社の現地法人等海外店舗も着実に増加する一方、外国証券会社の我が国への進出も増加しております。また、我が国の証券市場が国際的な資本市場の重要な一環として成長を遂げてきた過程において、我が国証券市場の諸制度、慣行は順次改善されまして、今日における市場の規模は、欧米主要国に比べ何ら遜色のないものとなっておると存じます。  次に、国債の大量発行下において、国民の金利選好の高まり、企業の資金調達の多様化が金融・資本市場の自由化を促進させる大きな要因となっていることについて申し上げたいと存じます。  近年、国民の金融資産は急速に増加しております。個人金融資産について見ますと、昭和五十年の年末には百八十兆円でございましたが、五十七年末には四百二十九兆円と七年間に約二・四倍の伸びを示しております。申すまでもございませんが、金融資産が増加すれば国民の金利選好は高まり、国民の資産選択はより有利な投資対象へと変化し、間接金融から直接金融へとそのウエートが高まってまいります。これは、欧米先進諸国の例を見ても同じでございます。特に、国債の大量発行を契機として国債の個人消化が促進され、また、国債の発行条件の弾力化、種類の多様化等が図られることにより、国債が国民の好個の投資対象として定着してまいりましたことも、国民の金利に対する関心を一層高めることになったものと存じます。  一方、資金を調達する企業の側から見ますと、昭和四十四年から行われるようになりました株式の時価発行公募増資による資金調達は、逐年増加の傾向を示しまして、今日では、これが株式による資金調達の中心となっております。昭和五十七年中には、株式による資金調達額のうち時価発行公募増資によるものが八〇%を占めるに至っております。また、近年、時価転換社債の発行が投資家のニーズに適したものとして急速に普及しており、さらに、昭和五十六年の商法改正により新株引受権付社債の発行についての法制整備も図られまして、企業の資金調達の多様化は一層進展しております。  我が国民間企業の資金調達に関して特に申し上げたいことは、転換社債の発行を含めて海外市場での社債発行が急増し、海外証券市場への依存度が近年急速に高まってきていることでございます。具体的に申し上げてみますと、昭和四十九年度には企業の海外市場での資金調達比率はわずか六%でございましたものが、五十年には一五%、五十五年二六%、さらに五十八年には四七%にまで増大しており、海外証券市場での資金調達の拡大が、今後の我が国の社債発行等の仕組みに少なからず影響を及ぼすことが考えられるのでございます。  以上申し上げましたとおり、国民の金利選好の高まり、企業の資金調達の多様化等は、一つの潮流として、金融・資本市場の自由化を促進させる大きな要因となるのでございます。  証券界といたしましては、新しい情勢に対処して、投資家のニーズにこたえ得るように工夫を凝らして新商品の開発に努めるとともに、資金調達を行う企業の要請にこたえ、内外の資本市場で資金の使用目的にマッチした証券の発行に努めているところでございます。また、投資の効率を高めるために、証券業務の機械化を推進することによりまして、投資家に対し正確、迅速な投資情報の提供、投資に関する事務処理の円滑化、迅速化を図るように努力を重ねているところでございます。  以上、証券市場の国際化、投資家及び企業のニーズの変化を中心とした金融・資本市場の国際化、自由化の経緯について申し上げましたが、御高承のとおり、昨年秋のレーガン米大統領の訪日を契機といたしまして、海外からの我が国金融・資本市場に対する自由化の要請が急速に高まり、二月、三月と日米円ドル委員会で個別的、具体的な自由化の方策について協議が行われたと伺っております。これが金融・資本市場の自由化の問題についての一般の関心を大きく高めているものと存じます。  しかしながら、こうした問題の対処に当たりましては、外国での制度、慣行をそのまま我が国に持ち込むという、いわゆる相互主義の考え方を基本とすることではなく、我が国の法律制度を前提とし、海外の金融機関等が我が国に進出する場合にはこれに従うという、内国民待遇という基本線は尊重していくべきではないかと存じます。  私どもが海外で証券業務を行う場合には、当該国の制度、慣行を十分尊重し、当該国で許される範囲内での活動を行っておるわけであります。これは、国際的な資本交流を円滑に促進していくための基本的な要件であると存じます。  もちろん、我が国の制度、慣行の中で、諸外国に比べて不合理な点があれば、これを改善していかなければならないことを否定するものではございませんが、我が国の金融・資本市場の自由化を進めていくに当たっては、海外からの自由化の要請に対しましても、金融・資本市場の健全な発展を図るという見地に立脚し、あくまでも自主的な立場を貫くべきであると存じます。  なお、我が国の証券界について見ますと、昭和四十三年の免許制への移行後は、当局の御指導もありまして、証券会社の財務体質、経営基盤は著しく改善されておると存じますが、御承知のように、証券界は業況の変動が著しいという性格を持っておりますので、中小証券会社ですとか地方証券会社の中には、さらに一層経営基盤の充実を図る必要のあるところがございます。今後の自由化の検討に当たりましては、こういう点についても十分御配慮をお願いしたいのでございます。  最後に、我が国金融・資本市場の自由化に関連いたしまして、短期金融市場の整備拡充について申し上げたいと存じます。  御高承のように、国債の残高は逐年累積しておりますし、昭和五十八年度末には約百十兆円に達しております。また、昭和六十年度からは国債の大量借りかえが見込まれております。  このような情勢から、短期金融市場の整備拡充を図ることが喫緊の課題となっております。  今後、国債の大量借りかえを円滑に処理するほか、長短両市場の裁定取引を通じて金融・資本市場の一層の効率化を図る観点から、短期市場商品の多様化を進め、短期金融市場の整備拡充を図ることが強く望まれるのでございます。  以上、所感の一端を申し述べた次第でございますが、委員の皆様方におかれましては、どうぞこの間の事情を御理解いただきまして、御協力を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。  どうもありがとうございました。(拍手)

中村正三郎自由民主党・新自由国民連合

○中村(正三郎)小委員長代理 ありがとうございました。  次に、瀬戸山参考人にお願いいたします。

瀬戸山孝一社団法人全国地方銀行協会副会長

○瀬戸山参考人 全国地方銀行協会副会長の瀬戸山でございます。諸先生方には、私ども地方銀行六十三行の会員が常日ごろ各地で何かと御厄介になっておることに対しまして、本席をかりまして厚く御礼を申し上げます。  また、本日は金融・資本の自由化と直面する諸問題につきまして、私どもの考え方を申し述べさせていただく機会を賜りまして、まことに光栄に存じます。本来でございますと協会長の吉國が伺って申し述べるべきところでございますが、あいにく都合がつきませず、私から地方銀行の立場で申し述べさせていただきますことをお許しを願いたいと存じます。  まず初めに、金融自由化につきまして私どもの基本的な考え方を述べさせていただきます。  金融自由化につきましては、立場立場によって考えている内容は異なっているところじゃないかと存じますが、要しますところは、経済社会の変化に対応して金融制度、慣行、規制を見直し、必要に応じて規制等を撤廃していくことだろうと私どもは理解をしております。  御高承のとおり、我が国経済社会の成熟化、国際化に伴いまして、今後の金融のあり方につきましては、一昨年来金融制度調査会におきまして審議が行われてまいりましたが、昨年四月「金融自由化の現状と今後のあり方」と題する中間報告が行われました。この中間報告におきまして、我が国における今後の金融自由化についての基本的方向が示されておりますが、私どもといたしましても、この基本的方向にのっとりまして金融自由化が進展していくことが望ましいと考えております。すなわち、我が国の産業・金融構造の特質と、それに対応して形成されてまいりました我が国固有の金融システムを生かしていく方向で進めていく必要があると存じます。  このような考え方に立ちまして金融自由化の現状を眺めますと、三つの大きな問題に直面しているのではないかと存じます。  第一の問題は、金融自由化への環境整備が進んでいないことでございます。  自由化への環境整備として重要な問題は、さきの調査会御報告にもございましたように、一つは通貨価値の安定等経済の環境、二つは国債発行額の抑制、三つ目は郵便貯金等の公的金融の見直し、肥大化防止、この三つになろうかと存じます。幸い通貨価値は安定しておりますが、他の二点、すなわち国債発行額の抑制と郵便貯金等の公的金融の見直しは余り進んでおりません。これが金融自由化の大きな障害となっておると思うのでございます。  国債につきましては、今後も大量発行が継続されると予想されております。情勢いかんによっては金利水準全般を押し上げたり、あるいはまた資金の流れをゆがめたりすることが懸念されるのでございます。  郵便貯金につきましては、三年前の郵貯懇報告に始まり、臨時行政調査会の答申に至る過程で、問題の所在と改善の方向が明らかにされております。政府におかれましては、これを受けまして、昨年五月、「政府部内において引き続き具体的検討を進める。」との閣議決定が行われたにもかかわりませず、具体的な改善は一向に進んでいない状況にございます。郵便貯金の残高は、本年三月末には既に八十五兆円を超え、私ども地方銀行六十三行の預金残高七十九兆を追い越す存在となっております。しかも、個人預貯金に占めるシェアは引き続き拡大しておりまして、昨年十二月末には三一%を突破いたしております。  このような郵便貯金の拡大は、金融自由化の目指しております市場メカニズムの活用、なかんずく民間金融機関の活力を阻害するものでございまして、業務拡大の抑制、貯金業務の見直し、金利決定の一元比等、早急にその是正策が講じられることを願うものでございます。  第二の問題は、規制されない分野と規制されている分野との摩擦の顕現化と申しましょうか、その問題でございます。すなわち、一方では規制金利市場から自由金利市場への資金流出、金融取引のシフトが進んでおります。また、一方では規制されていないノンバンク、ニアバンクの金融業務への接近が活発化しております。こうした中で銀行は、銀行法や行政指導によって規制される部分が大きいために、自由化への対応が制約され、競争上不利な立場に置かれていると考えられます。  第三は、こうした現状にさらに部分的、なし崩し的自由化が行われることへの危惧でございます。  ただいま申しましたとおり、金融自由化への大前提とも言うべき環境整備が進んでいない反面、金融市場の自由化が進み、規制分野とそうでない分野との摩擦が大きくなっている中で、海外からの自由化への要請も強まってきております。我が国経済、金融の国際化の進展との兼ね合いで国内市場の開放、金融自由化を考えていくことも必要かと存じますが、我が国には我が国の経済特質があり、また確固たる金融制度が定着しておりますので、国内制度の自由化を通じて、自然な形で我が国金融・資本市場が開放されていくことが望ましいと考えております。  次に、金融自由化の進展する中で、私ども地方銀行の直面する諸問題につきまして御説明申し上げ、御理解を賜りたいと存じます。  金融自由化は、裏を返せば競争の激化を意味しております。それだけに私どもといたしましては、まず第一に経営の効率化を進め、経営体質を強化して、利ざやの縮小、低収益に耐え得る強固な経営基盤を確立すべく努力をいたしております。と同時に、自由化の進展とともに地域社会のニーズが多様化、高度化していくことが予想されますので、これらにこたえられるような業務内容、金融サービスの拡充に努めなければならないと考えております。  ところが、先ほど申し上げましたとおり、銀行業務につきましては、法律や行政指導によりまして各種の規制が行われており、金融自由化や顧客のニーズの多様化等に銀行が対応していきにくい状況が一方に存在しているわけでございます。  具体的業務に即して、まず預貸金業務に関しましては、長期金利の高とまりや国債等を取り入れた商品による高金利商品の出現によりまして、預金吸収力が著しく低下しております。  このような状況の変化に対応すべく、私どもは種々の努力をしております。一例を挙げますと、三年定期の創設問題がございます。長短金利のバランスを見ながら資金吸収力を高める方法の一つとして検討中でございますけれども、長短金融の垣根問題、さらには郵便貯金の存在等がございまして、その取り扱いには慎重な検討を要する問題となっておるわけでございます。  大口預金金利につきましては、譲渡性預金の小口化も進みまして、漸進的な自由化が進んでおります。また、最近では、市場連動型預金の創設につきましての構想が出ておりますが、これにつきましても、譲渡性預金の小口化との関係、小口預金金利への影響等を十分見きわめながら検討していく必要があろうかと存ずる次第でございます。  国債等公共債に関します証券業務につきましては、昨年四月からの長期国債を皮切りに、中期国債、割引国債等の窓販を実施いたしまして、消化層の拡大、安定化の一助を果たしているものと存じております。  本年六月からはディーリング業務の実施が予定されておりまして、私どもといたしましては、ディーリングを希望する地方銀行には全行御認可いただくよう、既に大蔵大臣あてお願いをいたしております用地方銀行のディーリング参入は、一つには地方の投資家、顧客層への公共債投資機会の提供、二つには地方公社債市場の拡充整備、三つ目には今後の公共債の安定的かつ円滑な消化等に寄与するものと確信をいたしておる次第でございます。  また、国際業務、外為業務の拡充も当面の課題でございます。  地方銀行の国際業務につきましては、各種の規制、指導等が行われておりまして、都市銀行等に比べまして業務内容等の面でかなりな立ちおくれがございます。このために、取引先企業等の国際業務ニーズの多様化、高度化に必ずしも対応することができない面がございます。行政御当局におかれましても、こうした実情への理解を深めていただき、漸次弾力化が行われてございますが、地方銀行といたしましても内部体制の充実を図りながら、着実に問題の解決に努め、国際業務を進めていきたいと考えておるところでございます。  以上のような金融自由化の現状と私どもの直面している問題を踏まえまして、今後の金融自由化の進め方につきまして若干申し述べ、締めくくりとさせていただきたいと存じます。  まず第一は、金利と業務に関する自由化のバランスをとりながら、並行的に進めていくことが基本ではないかと存じます。銀行業務が厳しく規制されたまま金利だけが自由化されましても、金融自由化の目指す市場メカニズムの活用はおろか、いたずらに混乱を大きくし、ひいては信用秩序に不安を招くおそれがございます。業務の弾力化を認める形で業務分野の調整が行われ、金融システム全体が徐々に自由化されていくとともに、金利が自由化されていく必要があろうかと存じます。  第二は、業態間格差の是正と銀行の自主性尊重でございます。業務分野の枠の中で、例えば同じ普通銀行である地銀と都銀の間の格差は、例えば国際業務の面に残されております。金融自由化の進展する中で、こうした行政による差別は銀行の自由化対応を困難にさせるものと考えております。  第三は、金融自由化への展望を確立することが必要かと存じます。金融自由化に伴います混乱は絶対に避けなければならないと存じます。そのためには、個別、なし崩し的自由化によらず、自由化措置の効果を事前に十分検討し、金融システムへの影響を予測していくことが必要だと存じます。そうした検討を行うことによってまた環境整備が進み、それぞれの金融業態に応じた自由化への適合努力が行われ、その結果として円滑な金融自由化が進展することを期待しておる次第でございます。  以上で私の陳述を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

中村正三郎自由民主党・新自由国民連合

○中村(正三郎)小委員長代理 ありがとうございました。  以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。     —————————————

中村正三郎自由民主党・新自由国民連合

○中村(正三郎)小委員長代理 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。

堀昌雄日本社会党・護憲共同

○堀小委員 最初に、今参考人がお述べになりました金融・資本市場の自由化に対するお考えや金利の自由化に対するお考えについて、私の基本的な考えをちょっと申し上げて、順次皆さんにお伺いいたしたい、こういうふうに考えます。  実は、私は当大蔵委員会に昭和三十五年に参りまして、そうしていろいろと金融行政というものを勉強しております中で、日本では、先ほど澄田副総裁がお話しになりましたように、当時は金融政策の中心的な手段は行政指導による窓口規制、要するに量的規制というものが実は金融調節の一番大きな手段となっていたわけでございます。引き続きそれに伴って公定歩合の操作ということがございましたけれども、その公定歩合の操作というものが日歩幾らという極めてわずかな単位の操作ということで、一体これで公定歩合の操作として十分かどうかと私疑問を持ったわけでございます。  外国のものを勉強してみますと、外国ではオープン・マーケット・オペレーションというものが使われている。さらに準備率の変更という手段も使われている。日本には当時そのオープン・マーケット・オペレーションも準備率の操作も何もなかったわけであります。なぜこの最も広範に影響力を持つオープン・マーケット・オペレーションというものが使われないのかということを調べてみますと、それは当時の政府がとっておりました低金利政策という管理金利政策のために、日本の金利は完全に固定をしておったものですから、そういうオペレーションをやることができないということがわかりました。  そこで、やはり最も望ましい金融調節手段であるオープン・マーケット・オペレーションがやれるような金融のあり方ということが最も望ましい。そのためにはまず金利を自由化をしなければオープン・マーケット・オペレーションはできないということになれば、順序としてオープン・マーケット・オペレーションができるような金利の自由化を進めるべきである。大体昭和三十七、八年から私は当委員会でこの金利自由化論というのを推進をしてまいったわけでございます。しかし、御承知のように、そうはいっても問題は実はなかなかはかばかしく動いておりませんでした。  今度は金融の効率化と申しますか、競争原理ということについては、今御出席の澄田副総裁が銀行局長に就任をされまして、そうして昭和四十三年に御案内の合併転換法その他の一連の法律の整備ができました。大蔵省の行政の中で金融行政が自由化、効率化へスタートをした歴史的な時点だと私は考えております。  そうやってずっとやってまいりまして、実はさっきお話のございましたような国債の大量発行の時代が来て、その後に大量発行からはね返る大量の借りかえ問題というものが避けられない情勢になってきたわけでございます。時間がありませんから、私の方から、大蔵省からいただいた資料をもとに申し上げてみますと、今年度、昭和五十九年度では、年度計で六兆二千億円の借りかえが行われる。御承知のように、国債の発行が大体年四回になっておりますので、その四回の時期にこれが集中をするわけですが、第一・四半期が一兆六千億、第二・四半期が一兆七千億、第三・四半期が一兆四千億、第四・四半期が一兆六千億、今年は全体の発行量から見るとまだそんなに大変な年ではありませんが、昭和六十年度になりますと、二兆、二兆、二兆八千億、三兆、合計九兆八千億ということでありますから、もうこの六十年以降、六十一年十一兆一千億、六十二年十一兆八千億と、実は大量の国債借りかえが起こるということが予想されるわけであります。  私は、昭和五十六年の二月に渡辺大蔵大臣に、この問題に対応するためにも——もう一つ私が納得できないのが、実は国債の発行が極めて形式的といいますか、官僚的と言っていいのかになっておりまして、少しも金利概念というものが大蔵省、政府にないわけです。百兆円の国債を出しておるときに、もしこの金利が一%違えば、まさに国債全体としては一兆円金利が節約できるわけであります。ところが、高い金利のときにでも低い金利のときでも、ずっとならして平均的に発行しているというのがこれまでの国債発行の状態でありましたから、もう少し金利機能を考慮した国債の発行が自由にできるようなシステムへ転換しないことには、これから長い間にわたって国債の大量の発行は避けられないわけでありますから、そういう問題が一つ。  さらには借りかえの問題に対応するやり方のためにも、国債特別会計という問題を提起をさしていただいて、実は今は一般会計で国債を発行し、それから借りかえは国債整理基金特別会計、こういうふうに分かれているわけでありますが、それを一つにまとめて、国債の発行を全部国債特別会計が自由に行い得る。要するに、一般会計はその年度に必要な資金を国債特別会計から繰り入れでもらえばいい。発行については、御承知のように、実は現在予算総則で各種の債券の期間やその他について数量を定めておりますけれども、これでは市場で公正な価格といいましても、市場に参加される皆さんは大体このくらいという見当がついておりますから、どちらかといえば買い手市場で国債が発行されておる。こういうのが現状でありますから、国債の銘柄、期間は完全に国債特別会計が自由に発行できるようにする。あわせて短期の国債を発行して、これは後で申し上げますが、今澄田副総裁がおっしゃったTBと、新たな国債特別会計の発行する短期国債というものと、ほぼ似たようなものが出てくる状態が予想される。こういう考えのもとに実は国債特別会計論というものの議論をさしていただいたわけであります。  いよいよ大量国債の借りかえ時期が参りますから、これらの問題が何らかの形で具体化をされなければこの問題は乗り切れない、こう考えておるのでありますけれども、ずっとそういうような一連の経過を通じて感じますことは、ここへ来て、金利の自由化とか金融の自由化というのは、実は国債の問題を中心に全体が動いてまいりますから、これをおくらせようといってもおくらせるわけにはまいらない。かつて私が昭和三十七、八年ごろから言っておりましたことが、二十年たった今日、ようやくそういう客観的な条件の中で金利が自由化されるところに来たというふうに振り返って考えるわけであります。  そのときに、そういうものは一体だれのために行われるべきかということが基本的な問題点だと私は思うのであります。私は当委員会でいつも申しておるのでありますけれども、私ども国会議員というのは、国民を代表して、この場所で皆さんにいろいろとお願いをしたりお尋ねをしたりするわけでありますが、それのもとは、少なくとも金融という問題については主体は国民である。要するに、預貯金をする方あるいは債券、証券を買う投資家、この国民、あわせて企業が同じように預貯金をし投資をするわけでありますから、このユーザーである国民と企業が主体であって、金融機関というのはユーザーである国民と企業に対するサービスを提供する機関なのであって、どちらかといえば主体性の方は国民にあるんだ。これが私の過去から今日までの金融政策についての一貫した考えなのでありますけれども、大蔵省のいろいろな対応を見ておりますと、そこへ各局来ておられますが、どうも事の性格上、銀行局は銀行側の肩を持ち、証券局は証券側の肩を持ち、いろいろと過去に問題があるように私は見受けるわけであります。  そこで、私は五十六年の二月のときにあわせて、もう少し国民的立場から問題を調整するために、金融財務官というものをひとつ制度としてつくったらどうか、そして今日の大蔵省の中の金融というのは、単に銀行、証券だけではなくて、国際金融、理財、少なくともこの四局がいずれもかかわりを持っているわけでありますから、この四局を統括できる金融財務官、要するにそういうおのおのの立場を離れて、少なくとも国民経済における国民の利益、ユーザーの利益を守る立場から判断ができる金融財務官というものを置くのがいいのではないか。こういう提案をしてきたのでありますけれども、まだいずれも実現を見るに至っていないというのが現状でございまして、以上が私が考えておりますことの一つであります。  そこで、さっき澄田副総裁のお話しになったもう一つの国際化、要するにインターナショナルの問題でありますけれども、このインターナショナルの問題を考えるときにも、私は基本的には同じ考えなのでありまして、まず日本の国民の問題を考える、日本の立場からインターナショナルの問題を考えるということでなければならない。この前、ちょっと関税定率法の質問のときに大蔵大臣にも申し上げたのでありますけれども、私どもが国会の中で言っておることはなかなか政府は取り上げようとしないけれども、外国から圧力がかかってくると、それはもう慌てて対応しているという状態は、私はそういう意味で日本の国会、日本の政府としていかがかという感じがしてならない。こういうことを大蔵大臣に率直に申し上げたのでありますけれども、どうも見ておりますと、そういう点では、外圧に大変弱いという感じがするわけであります。それはもちろんアメリカも大切な国でありましょう。しかし、アメリカだけが日本にとって大切な国ではなくて、日本にとっては、やはり日本国民が一番大切なのでありまして、日本のすべての問題がうまくいく過程を通じて、インターナショナルにもできるだけ自由化をすべきだ、日本の自由化をほったらかしておいて、国際でユーロ市場だけで自由化が先行するなんということは、これは私は本末転倒も甚だしいというふうな気持ちで実は問題を見ておるわけであります。後で個別の問題でいろいろ伺うわけでありますが、要するに、金融というものに対する私の基本的な物の考え方をまず申し上げて、一つの物の考え方を下敷きとして、これからの問題をひとつお伺いをしてまいりたい、こう考えるわけであります。  そこで、最初に日本銀行の澄田副総裁にお伺いをいたしたいわけでありますけれども、私きょう特に地方銀行協会の瀬戸山副会長にお越しをいただきましたのは、西日本銀行という新しい銀行がこの四月一日から発足をいたしました。私は、今申し上げたような、社会党ではありますけれども、競争原理、自由化論の先頭に大蔵委員会で立っておるものでありますから、澄田さんが銀行局長になられまして、要するに、競争原理の導入、効率化行政ということに対しては、私は全面的に賛成でございまして、そうして、四十三年の六月に合併転換法ができまして、しかし、その後いろいろありましたけれども、今度の西日本銀行の誕生というのは、まさにこの合併転換法が考えていた合併転換であったという感じがいたしておるわけであります。そうして同時に地方銀行、現在六十三行でございますか、ございますし、相互銀行もたしか七十近くですか、あるわけですから、たくさんの日本の金融機関があります。しかし、金利の自由化というものを通じて金融制度全体が自由化をされていって、競争原理が働いていくとすると、当然私は、この合併転換法というものが非常に大きな役割を果たす時代にこれから入っていくのじゃないだろうか、こういうふうな感じがいたします。  そういう点を含めて、かつての銀行局長であり、今、日本銀行の副総裁である澄田参考人から、金利の自由化が先行しながら金融の自由化が広がっていくという中における日本の金融機関というものが、これからどういう方向で国民のニーズにこたえられるように対応できるのか、そういう点について、ちょっとお伺いをしたいと思います。

澄田智日本銀行副総裁

○澄田参考人 ただいま、かつて堀先生その他の方々で御支持をいただきました合併転換法のことをお触れいただきまして、大変恐縮に思うわけでございます。  その当時も、国際化が今後進むであろうということは漠然と考えていたわけでございますが、今日においては、やはり外圧という点だけを取り上げますといろいろ問題がございます。私も、堀先生御指摘のとおりに、外圧によって動かされるということではなくて、むしろ、先ほど私冒頭申し上げさしていただいたような環境の変化によって、日本の経済としてやはり金融、その中で金利が一つ重要なファクターである金融の自由化が不可欠であるし、同時に、それを進めていくことが将来のために何よりも必要なことである、こういうふうな状態に環境がなってきているということが何よりも重点であろうかと思います。それは当時、金融効率化と申しましたときに考えていたよりも、十数年たったわけでございますが、はるかに進んできたというふうに今考えております。  しかし、先ほど私以外の参考人の方々も述べられましたように、それぞれの制度あるいはその制度に基づく慣行というようなものによって、歴史を経て成り立ってきております日本の現在の金融の仕組みでございますので、これが急激な変化によって不測の混乱を生ずるということはできるだけ防止しながらやっていかなければならない。そういう中において、競争原理というものがあくまで重要な、経営の基本的な作用として働くような環境において進んでいく。それがすなわち、非常に活力のある金融のあり方というものになっていく。そしてそれがまた、今のように非常に蓄積が進んだ我が国経済のユーザー、おっしゃった主体としてのユーザーの要請、ニーズにこたえるところであろうかと思います。ユーザーのニーズにこたえるために活力のあるマーケットができ、活力のある金融機関の経営となっていくということがあくまで主体であろうと思います。そういうことで、先ほど私もソフトランディングということを申しましたが、そういうことを考えて、そこの間の進め方についてある程度幅と見通しを持ってそれを進めていく、そのための手順、順序というものが非常に重要なことではないかと思っております。  以上であります。

堀昌雄日本社会党・護憲共同

○堀小委員 そこで、金融機関の参考人の方が者お触れになったのですけれども、預金金利の自由化の問題であります。既に譲渡性預金というのがつくられて、当初は五億円でございますけれども、これが三億円ということでだんだんと小口化される方向へ向かってまいりました。しかし、大口預金だけは自由化をされていくけれども、小口預金の方はいつまでも規制金利でいいかというと、これは広い国民の立場からいいますと、やはり小口預金もある程度自由化されていくべき方向であろう、こう考えるわけでありますが、その今の小口預金の自由化の問題については、草場参考人も瀬戸山参考人も、郵便貯金との関係ということでお話がございました。  実は私は昭和五十六年の銀行法改正のときに当委員会で問題を提起をしておるわけでありますけれども、今の郵便貯金というのは最も所得の低い国民にとりましては大変有利な金融商品なのであります。要するに、情報も十分ないし、そういう金融の問題に対して十分対応ができるような判断も、生活に追われでなかなか難しいという、一般の所得の低い層の国民のためには、郵便貯金、特に定額貯金というのは大変すばらしい金融商品である、私はこう考えておるわけであります。  そこで、私の個人的な試案でありますけれども、現在郵便貯金は三百万円までということになっておりますが、百万円までを甲種定額貯金、百万円を超えてあとの二百万円まで貯金をされるのは乙種定額貯金、ひとつこういうふうに郵便貯金の中で二つの部分を分けて考えていったらどうか。そして最初の百万円までについては、これは最も零細な貯金でありますから、今の郵政審議会で従前どおり、物価の状態その他を勘案して金利を決めたらいいだろう。ただ、あとの乙種定額貯金については、要するに広い国民の小口預金の金利の自由化を考えるためには、その他の金利との連動性ということで、システムとして新しいシステムを考えてみたらどうだろうかというのが、実は五十六年の銀行法改正のときに郵便貯金問題として私が提起をしておる問題なのでございます。この郵便貯金に何らかの対応をしない限り、小口預金の金利の自由化、弾力化ということは全然前へ進まないということは、皆さんの御指摘のとおりだと思うのであります。  しかし、そうはいっても、本会議の趣旨説明に対する質問でも申したのでありますけれども、預金というものには基本的に二つの性格がある。一つは、企業がその資金を借り出すということを中心にした資金運用の問題、一つは、家計の面で国民が将来を展望しながら営々と貯蓄をしていくという面と、二つの側面があると思うのです。ですから、その両側面が充足されない限り、企業のための金融政策だけがあれば、預貯金者であるところの国民は別に後でいいのだというわけにはまいらないと私は思うのです。その点で私は、預金者の立場を守る一つの方法として、郵便貯金における問題を提起させていただいたことがあります。  ですから、今後の国内の金利問題の中では、大口預金はやがてどんどんと自由化をされるでありましょう。CD、譲渡性預金も今三億でありますけれども、やがてこれは恐らく一億でもいいのじゃないかという時代が必ず来るだろうと私は思います。今度新たに相互銀行がマネー・マーケット・サーティフィケートですか、MMCというのをお出しになって、それがどうやら五千万円だというふうに新聞が伝えておりますけれども、そういう方向でだんだん単位が低くなりますが、これはいずれも企業の法人預金が主体になるのであって、個人がこれを使えるような情勢にはなかなかまいらない。こう考えてみますと、やはりそれなりに私はそういう問題への対応が必要なのではないか、こういう感じでございますが、今の私の金利自由化等の筋道における郵便貯金対応問題について、澄田副総裁、草場参考人、それから瀬戸山参考人から感触だけをちょっとお伺いしたいと思います。

澄田智日本銀行副総裁

○澄田参考人 私からまず申し上げます。  ただいまお話にありました小口預金の中のさらに零細貯蓄に関して、別途安定金利、安定の付利をする、手続は郵政審議会でというお話がございましたが、そういう手続で決められた安定付利をするという考え方は、確かに今御指摘のような点から申しまして一つの考え方であろうと思います。  ただ、この数字をまず申し上げさせていただきますと、昨年の九月の全国銀行協会の全国銀行ベースの数字で、これは民間金融機関に対する個人預金額の一口当たりの平均が二十三万円でございます。定期だけをとりますと三十二万円、こういうことになっております。一方、一口当たりの郵便貯金額、これは昨年六月でございますが、郵政省の統計で見ますと一口当たりの貯金額が、これは偶然なんでございますがこれまた二十三万円でございます。ただ、このうち定額だけとりますと二十八万円、こういうことになっております。したがいまして、口座一口当たりの預貯金額というのは、郵貯だけでなくて、民間の金融機関の場合にもそういう零細な金額であるというようなことがございますので、この零細預金額については、郵貯は独自の見解で別途安定金利を付利する。こういうことになりました場合に、やはり民間預金も口数の平均をとるとこういうふうに低額である、こういうこととの均衡の問題というのがどうしてもそこは残るのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。確かに企業に対する貸し付けという点だけで問題を考えることは到底できないことは、もう御指摘のとおりでございます。預金者の立場、それと同時に今は個人のローンというものも非常にふえていっておりますので、今度はそういった個人の借り手という立場等も考えて、均衡をとった金利の決め方ということを考えていかなければならない。  ただ、大口と小口、小口の中で殊にまた零細と分けてのお話でございますが、そういうところの自由化の進め方、これは段階的に当然大口から先に進み、小口については今後検討を進めていく。その場合に、今のような民間との均衡ということを零細貯蓄についてもやはり考えていかなければならないのではないか、こういうふうに思っている次第でございます。

草場敏郎全国銀行協会連合会会長

○草場参考人 今の堀先生の御指摘も確かに大変いい案だと思うわけでございますが、この前も日本銀行総裁が言っておられたように、例えば三カ月ないし六カ月というような、たとえ少額の規制金利であろうとも、そういった短い期間のものはやはり金利を自由化したらどうだろうか、そういうような御意見も承っております。私ども極めて賛成なんでございますけれども、ただそれをやると、今度はそういった高い、若干自由化された金利をてこにして、また新たな定額貯金をつくるというような動きが郵政省サイドでございまして、そうなれば定額貯金の方が民間の定期預金よりは期間が長うございますから、はるかに有利になってまいる。そうすると、また新たな民間金融機関への圧迫と申しますか、そういう問題が起こりますし、また郵政サイドから見れば、これも非常に高コストの商品でありますから、将来は非常に大きな財政負担を生ずる可能性がある。そういった意味で、今先生のおっしゃったようなものが郵政省サイドではっきりできますかどうか、その点が私もちょっと難しい問題だろうというような感じがいたしております。  以上でございます。

瀬戸山孝一社団法人全国地方銀行協会副会長

○瀬戸山参考人 ただいま堀先生の御提案、私ども結構なお考えであろうかと思うのでございますけれども、副総裁あるいは全銀会長さんおっしゃいましたように、いろいろ問題がございます。それから、堀先生が郵貯は零細な預貯金だというふうにおっしゃいましたけれども……(堀委員「いや、全部がというのじゃないですよ、百万円まで」と呼ぶ)中にはそうでないものもあるやに伺っておりまして、やはりそれは郵貯だけというわけにいきませんで、民間と同じようなやり方でなければ、今なかなか難しいのじゃなかろうかという気がいたしますので、それらにつきましては、両方同じバランスをとった形で、例えば小口預金の金利の自由化とかなんとかという問題は考えるべきじゃなかろうかと考えております。

堀昌雄日本社会党・護憲共同

○堀小委員 お答えをいただきましたのでこれで終わりますが、ただ、一つは、私が申しておりますのは、郵便貯金というものは財政資金を調達する一つの手段でございまして、民間金融機関とはちょっと趣が異なっておりますから、そういう問題も下敷きにしながら考えてみますと、郵便貯金だけが零細な預金があるので、銀行預金は零細な預金はないのだ、今副総裁のお話で、小口は同じような形になっておりますから、データとしてはそうなのかもしれませんが、これは国民の選択自由でありまして、郵便貯金でやろうと民間金融機関に預けようと自由であるので、片一方で財政資金調達のための一つの部分があって、それが、ここまではこうなっていますということがわかれば、そこまでは財政資金のために、多少資金が集まってもそれなりにいいのじゃないか。ただ、現状のように、今瀬戸山参考人がおっしゃったように、これがそうでない、別の意図で使われておるという問題もある可能性がありますので、そういう問題は少しきちんと処理をし、同時に、今三百万円というのを、百万円とあとの二百万円というふうに分ければ、全体として多少、そういう意味の財政資金調達機関としての問題も含めて調和的になるのではないか。  これは郵政省がどう考えられるか、私も郵政省に聞いたことはないのでありますけれども、何らかの調節をしなければ、日本経済非常にマイナスになるわけで、郵便貯金が頑張っているためにいつまでたっても小口預金の方は自由化されないというのは、国民的な立場から見て、これはやはり政府が善処してもらわなければならぬ問題でございましょうから、今後、これまた避けて通れないところへやってくるときがやがて来る、こう思っておるわけです。その時期ですぐ動くのではなくて、少し——私は、あらかじめこの問題を提起をさせていただいて、何年か先には大体そういう予定になるという、過去の例もございますので、ちょっと皆さんの御意見を伺ったということでございます。  ここで、ちょっともう一つ、実は澄田副総裁がお触れになっておりますTB市場の問題についてお伺いをしたいと思います。  私は、実はさっきちょっと申し上げた、国債特別会計ができてきましたら、要するにクォーターごとに借りかえが来るわけですから、その前に短期国債を国債特別会計から出す。既に竹下大蔵大臣、新聞で見ておりますところでは、そういう対応がどうも必要だということを予算委員会等でお話しになっているようであります。これは当然、そんな長期のものが必要ではなくて、その借りかえのための短期の資金を調達をしておいて、そこで今の借りかえにセットするわけですから、サイト九十日ぐらいの短期国債で十分ではないか、クォーター別に来るわけでありますから、そういう処理で十分じゃないか。そうしますと、これと今の、政府が出しております歳入補完的な、年度内における蔵券と言われておりますものとは、商品としての性格は非常に共通性になってくるのじゃないか、こう思うのです。これも九十日サイトでいいのじゃないか。  国が発行するものは、国債特別会計が発行するものは実は市場で行われる。これは、国債の引き受けということは当然避けなければなりませんので、市場の公募になる。TBの方は日銀で引き受けて、特別な金利で、安い金利で処理をする。私、どうもこの問題を考えていて、これはきょうは三局しか入っていただいておりませんが、主計局が一番関心が強いのだろうと思うのですが、これが公募のような格好で出ることになったら、財政負担が非常に多くなるということになるだろうと思います。そういうので日銀が公募と同じような形で受けても、結果的に日銀納付金が国に入るのが多くなるということになるのではないか、こういうふうな感じがするのですが、今の蔵券を日本銀行にある金利で買い取ってもらうというのですか、出して資金調達している。その結果、これが納付金に影響しておる条件と、要するに、市場で発行できる金利で日銀へ行ったときに、その差額が大蔵省にすれば財政の負担になる、こう考えているのですが、それはやがて日銀納付金として国庫に返ってくるのじゃないか。私はこういうふうに思うのですけれども、副総裁、そこのメカニズムとその幅というのは、やはり今のようにやっている方が主計側としては得なんでしょうか。ちょっとそこら、突然のあれで恐縮ですが……。

澄田智日本銀行副総裁

○澄田参考人 今おっしゃったような形で、両方完全に結びつけて計算をしているわけではないのでございますが、今の御指摘の点は一応蔵券、蔵券のほかの特別会計の食糧証券とか外為証券等もございますが、こちらの方と、それから納付金で日銀で決めている部分と、この両方が結局は同じことになるのではないか、その差額ということだけを取り上げると、そういう面は確かにあると思います。  ただ、やはり国債の発行のための予算あるいは個々の年度内の金繰りのための蔵券の発行のための予算というものと、日銀の納付金で入ってくるというものとの歳入の性格は違っている、片方は歳出予算でございますが、それが違っているという点は、予算編成上の考慮で違うものがあるか、こういうふうに思います。ちょっとお答えにはなかなかならないのですが……。

堀昌雄日本社会党・護憲共同

○堀小委員 そこで、今の短期TB市場をつくるというときに、私は委員会で何回もこれをやっているわけです。もっと弾力的な処理を政府はひとつやるべきではないか、公定歩合が下げられない、下げられないと言ってみんな公定歩合に集中しているけれども、短期市場で今の自由な価格でTBが処理されるようになっていれば、TB市場を通じてでも企業は資金調達ができるわけですから、そうすれば、公定歩合にかかわらず、実は金利が下がっていれば、安い金利の資金調達ができるじゃないか、こういう問題も提起しながら、このTB市場の問題というのは、私、何回も委員会でやってきているのですが、なかなかはかどらない。  それは、今ちょっと澄田さんもおっしゃったように、予算上の問題というものがどうもネックにあるようですが、今度はやがて、この六十年ぐらいからは短期国債、これはやはり商品としては今の蔵券と同じですけれども、国債としての九十日サイトというものができてくる。これは私は完全に市場ができる仕組みになってくると思いますので、これがかなりできたときに、同じ九十日サイトの大蔵省が出しておるものが、片方は日銀にだけ行って市場に出ないなんという話はおかしくなるので、やがてこっちへ吸収されてしまって、単一のTB市場というものがやがてはできてくるだろう、こういう見通しを持っておるのです。これはまだ大分時間がかかる話でございますけれども、こういう市場ができることについて、日本銀行はこれまでもその点、副総裁の話もありますが、各参考人は、短期金融市場の短期国債の市場についてどういうふうにお考えになっているかを、草場参考人、渡邊参考人、瀬戸山参考人からちょっとお伺いをしたいと思います。

草場敏郎全国銀行協会連合会会長

○草場参考人 確かに考え方としまして、理論的には、一つのTB市場といいますか、短期の市場ができる、オープンマーケットができるということは、私は非常に結構だと思います。  ただ、何度も具体的に今まで論議されている問題でございますけれども、やはりどうしても公募という段階の中で、少なくとも現在発行されている金利よりは高い価格で発行されると落ちつくんじゃなかろうかと思いますので、その点で、国の財政側との考え方がまだそこまで固まってないんじゃなかろうか、そういうふうに私どもは考えております。  以上でございます。

渡邊省吾社団法人日本証券業協会会長・日興証券株式会社取締役会長

○渡邊参考人 政府が財政負担の問題云々という御考慮がいろいろあることは承知しておりますけれども、その点を別にいたしますと、先ほどお話がありましたように、大量の借りかえの場合に、それがあるときにその月に固まって来る、それをなだらかに短期国債でならしていくということはぜひとも必要なことだと思いますので、そういった意味の短期国債の発行はぜひともやっていただかなければならないし、またその方が借りかえが順調にいくということだと思って問題ないと思います。  それから同時に、大蔵省証券と性格がほとんど同じではないかという堀先生の御指摘も、私もそう思います、ただ先ほどの問題はちょっと別にいたしまして。そして私どもの側から見まして、一般論で見ますと、そういったものを含めまして、短期金融市場が相対的に申しまして今非常に日本ではいびつで、かつ小さいわけです。アメリカと比較しますと大体十分の一ぐらいのスケールしかないと思います。国力から申しましたら恐らく半分近くのものだろうと思いますけれども、非常に小さい。しかもその中がオープンマーケットになっていない部分が多くて、コール、手形あるいはCD、現先といったような程度のものでございまして、特にアメリカのようにTBあたりが中心の短期金融市場というものが日本でも必要ではなかろうか。それがさらに円の国際化に対しましても、短期の円資金を供給できる、あるいはそういう投資家のニーズにこたえられるという点にも寄与いたしますし、それから国際資本取引におきましても短期金融市場との間で裁定取引ができるという点でも有効でございますし、一般論と申しますと、さらに例えばBAとかいろいろな問題が出てくると思いますけれども、一般論として、それの中心はやはり国債ないし短期国債ないしTBというものを形成するのが自然だと思いますので、短期金融市場の形成ないしはそれの大きな短期金融市場の創設という点から考えましても望ましいことであるというふうに思います。

瀬戸山孝一社団法人全国地方銀行協会副会長

○瀬戸山参考人 ただいま先生御指摘の短期金融の問題、この長期国債がもう借りかえの時期に来ておる、それに関連いたしまして、スムーズにするためには全体をならす意味で短期の国債の発行が当然避けられない、これはもう当然のことでございまして、大蔵当局もそういうお考えのようでございまして、それは当然のことであろうかと存じます。これはまた、その意味では、いわゆる市中金利、自由金利の商品になってくると思います。その意味では、国債の大量発行に伴いまして、長期金融は国債をてこといたしまして自由化が進んでおりますが、短期金融につきましては、また別の意味で、そういう短期国債をてこにして自由化するということになろうかと思いますが、例のTBの問題につきましては、御指摘のとおり、国債の借換債として考えられている短期国債と性格的には同じではないか、まさにそうでございます。  この議論は、理論的にはまさしくそうであって、私どももそれは当然そうあるべきだと主張しているのでございますけれども、現実には、やはり国庫負担がふえるというようなことでございましょう。なかなかうまくいかないというのが現実でございますが、これもやはり、私は個人的なあれでございますが、避けて通れない問題で、こういう借換債に伴いまする短期の国債が発行される時期におきまして、従来のつなぎとしてのTBの面もやはり根本的に考える必要があるのではなかろうかという気はいたしております。

堀昌雄日本社会党・護憲共同

○堀小委員 国内問題、あとまだちょっとあるのでありますけれども、ここでもう一つの国際化の問題をちょっと皆さんに伺う前に、どうも私ども情報不足でございますので、国際金融局長から、けさ新聞を見ますと、昨日ですか、総理のところへ御報告になったというのが新聞にかなり詳しく出ておりますので、ちょっと、直面する今の円ドル委員会に対する対応その他、新聞にも出ておりますが、委員の皆さんに聞いていただいて、その上でさらにインターナショナルのことを皆さんとさせていただきたいと思います。

酒井健三大蔵省国際金融局長

○酒井政府委員 私ども、来週の月曜日、火曜日と、第三回目のアドホック円ドル委員会の作業部会をやることにいたしております。  御承知おきのように、いわゆるこの円ドル委員会というのは、円ドルレート、それから金融・資本市場の自由化問題を論議する大蔵省と財務省との場になっているわけでございます。一体、この円ドル委員会でどういうことが討議されるのか、過日の大蔵委員会でもちょっと申し上げましたが、一つは、この円の国際化という意味で、アメリカ側はユーロ市場の拡大という問題に関心を示しておりますし、二番目は、アメリカの金融機関等が日本の金融・資本市場へ参入する、アクセプトと言っておりますが、それを改善するという問題・三番目は日本の金融・資本市場の自由化の問題、それから四番目が直接投資の投資交流の促進の問題でございます。  ただ、アメリカ側とこれまで二回の作業部会をやりまして私どもも感じたのですが、アメリカ側が重点を置いて考えておるのは、ユーロ市場の拡大の問題と、三番目の日本の金融・資本市場の自由化の問題でございます。  そこで、ちょっと時間の関係もございますので、ユーロ市場の拡大の問題につきまして、簡単に御報告させていただきたいと思います。  アメリカ側は、円ドルレートが日本の基礎的な条件、ファンダメンタルズと申しますか、そういうような経済力を十分に反映していないと認識しておりまして、それが、いろいろアメリカ側のドル高の要因というような基本的な問題もございますが、一つの要因としては、円が国際的に十分使用されていない、さらには金融・資本市場が自由化されていないということが影響しているというふうに認識しているわけでございます。そこで、日本の金融・資本市場の自由化を促進し、円が国際的に使用されるのを許容するように、自由主義世界第二位の経済力を持つようになった日本として、それにふさわしい円の国際的な使用を許容していくということを受け入れるべきであるという気持ちを持っているわけでございます。  ところが、それぞれの国の金融・資本市場には制度、慣行等がいろいろございます。アメリカにおきまして金融の自由化が進展しておりますが、アメリカでも金利の自由化には十年の日時を要したわけでございます。したがいまして、日本が今後も金利の自由化を進めるにしても、小口預金の金利の自由化に至るまでにはやはり数年かかるのは、これはしょうがない話であろうと思います。  他方、ユーロ市場を見ると、ここはユーロダラーを中心にして発達してきたわけですが、各国の通貨当局が介入しない、源泉徴収税という税の問題も存在しないような慣行のマーケットである。そこで、日本が経済力も向上したことであり、円がこのユーロマーケットで居住者、非居住者いずれもが資金調達、通用において自由に使用するようなことを検討してほしいという気持ちを持っているわけであります。これに対しまして私どもの基本的な考えは、確かに私ども円の国際化という問題につきましては、今日世界経済における日本の地位を考えますと、これはある程度前向きに取り組む必要があるということで、円の国際化につきましては、大蔵省としては積極的なスタンスで対応していくということを考えているわけでございます。  ところがしかし、円の国際化というのはいろいろの見方があるかと思いますが、とらえ方としては、取引通貨としての円の使用、それから資本取引における円の使用、公的準備における円の使用、それぞれ三つの面で考える必要があるんじゃなかろうか。  そこで、経常取引における円の使用。今日輸出、輸入とも円建ての比率がかなり低いという現状でございまして、これはやはり自然な姿ではないので、この辺についてはもちろん取引当事者の選択によるわけでございますが、私どもとして取引当事者にチョイスを与える、選択の機会を与えるというようなことで、円建てBA市場の問題についても積極的なスタンスで検討をする必要がある。それからまた、この経常取引、貿易取引における円の使用というものも、やはり取引の当事者がどの程度円を自由に調達し、またその取得した円をどの程度自由に効率的に運用できるかというような問題も絡んでいるわけでございます。そういう意味で、この円の国際化を考えていく場合に、私ども金融・資本市場の自由化、それが基本となるべきである。円の国際化というものを、仮に円が国際取引において使用、保有されることというふうに認識するならば、堀先生が先ほど御指摘のように、やはり国内の市場において外国の人等が円資金を十分調達し、運用をすることを拡大していく、それが基本であるべきである。確かにユーロ市場というものはございますが、これはやはり国内の金融・資本市場の自由化と平仄を合わせると申しますか、そういうような位置づけで考えるべきじゃなかろうかというふうに思っております。  そこで、具体的にユーロ市場の問題になりますと、ユーロ市場では債券の問題それからCDの問題、ローンの問題がございます。それぞれ居住者、非居住者が短期資金あるいは中長期資金の調達、運用の場としての存在があるわけでございます。ところが、ユーロ市場というのは全く日本の国内市場と隔絶した存在ではなくて、そこの資金の交流というのが非常に自由である。そしてまた、そこで使用された債券であるとかCDであるとか、そういうものもやはり国内に持ち込まれるという問題もある。他方、国内の市場におきましては、債券の市場におきましてもローンの市場にしましても、いろいろの制度、慣行がある。その自由化というものにも日時がかかる。それでユーロ市場で円の使用を直ちに大幅に自由に認めるというようなことをすれば、国内の金融・資本市場に非常に大きな影響を与えるということは避けがたい問題でございます。  そういうようなことで、私どもはそういう大きな衝撃、混乱を与えることを回避する。しかし、日本の経済的地位に応じて、ある程度補完的な意味でのユーロ市場での円の使用を許容していくことはやむを得ないというようなことを考えているわけでございまして、来週の作業部会に向けまして現在各国と意見調整等を行っております。  新聞にいろいろ出ておりまして、私どもも当惑している次第でございますが、私ども、第三回目の作業部会でアメリカ側といろいろ意見交換をいたします。しかし、この円の国際化、金融・資本市場の問題は、先ほど堀先生御指摘のように日本経済のため、日本国民のために考えるべき問題でございます。もちろん、日本の国際的な地位というものも十分念頭に置いていかなければいけませんが、しかし我々の通貨の問題でございますので、この辺は自主的、段階的、積極的に対応していきたいというふうに考えております。

堀昌雄日本社会党・護憲共同

○堀小委員 どうもありがとうございました。  今の国金局長の話をベースにしながら、ユーロ円市場の問題についてお伺いをしてみたいと思います。実は私ども新聞でしか承知していないのでわかりませんけれども、この間二回目の円ドル委員会で、今までの円ドル委員会の中ではかなり有意義な会議であるというふうにアメリカ側は言ったそうであるというふうに新聞に伝えられておるのですが、その後でリーガン長官が来て、日本はできることを何もしないんだという大変強硬な御発言があったというふうに新聞報道しているわけですね。私ども、アメリカのことですからよくわかりませんけれども、せっかく今の円ドル委員会というのが設けられて、そこで事務ベースでそれなりの話が煮詰まってくる。ところが、政治ベースではそれにちょっとかかわりのない格好で出てくるというのは、どうも極めて政治的過ぎる対応ではないか、私はこんなふうに感じているわけであります。  その一つの感じがそれと、もう一つ、アメリカ側の要望を見ております中に、あの円ドル委員会のメンバーの中にマルフォードさんという方がおられますね。この方は本来証券会社に長くいらした方だと私は聞いておるのでありますが、今のリーガン長官もメリル・リンチに長くおいでになって、後半会長もしていらした。見ておりますと、アメリカ政治という感じよりも、どうもウォールストリート代表みたいな感じの問題提起が、私のひがみかもわかりませんが感じられるというような気がいたします。  そこで、これはちょっと皆さんにお伺いをするわけなんですが、一つ私が納得がいかないのは、このユーロ円債の引受幹事はオープンにすべきだという要求があるようですね。これまでは日本は、ユーロ円債は日本側の者が主幹事だということでやってきている。聞くところによると、スイスでもドイツでもフランスでも皆、彼らがそこで発行しておるものについては、おのおのその国の者が主幹事をやっている。アメリカはやってない。アメリカは、ユーロ市場というのはユーロダラー市場で、世界のキーカレンシーですから、それは別にその必要はないのじゃないかと思うのです。これまでそういうふうになっていたのは、聞くところによると、やはり通貨主権という物の考え方が下敷きになっておるというように私は聞いておるのでありますけれども、この問題は、一面からすると、何か銀行、証券の問題という認識の仕方もあろうかと思うのですが、私はそういう問題を離れて、マルクもスイス・フランもポンドもおのおのの国の者が主幹事をやっているというのは、おのおのの通貨主権というものを下敷きにそうなっているのではないだろうか。日本もそれなりにそうなっているのに、アメリカがそれはオープンにしろというのはちょっと筋が通らないのではないか。銀行、証券の問題は別の問題として、今の通貨主権という立場から見ると、これは何も譲歩する必要はないのではないか。聞くところによると、外為法等チェックの方法はあるということが新聞にも伝えられておるのですね。これは国金局の方で、何か方法はあるということをちょっと新聞で見たのですけれども、どうなんでしょうか。

酒井健三大蔵省国際金融局長

○酒井政府委員 ユーロ円債の発行の法律的な取り扱いでございますが、居住者が発行するユーロ円債につきましては、外為法によりまして審査つき事前届け出で済むということになっております。ところが、非居住者の発行する債券につきましては許可を要するという扱いになっております。

堀昌雄日本社会党・護憲共同

○堀小委員 そこで、そういう歯どめがかかっているからオープンにしてもいいじゃないかという話もあるのかもしれませんが、その前に通貨主権の問題の方に比重をかけてやるべきで、後の方はやがて、今の法律改正その他の問題に圧力がまたかかってくるのだろうと私は思うのですね。非居住者が許可制というのはおかしいじゃないか、少なくとも居住者並みにやれとか、居住者だって自由にせよというのを聞きますと、結局、今歯どめがあっても歯どめは必ず先では外されてしまう。そうすると、どうも一つこれはというのは、マルクやスイス・フランやポンドがオープンになるのなら日本もオープンにしましょうというのが、日本の国益といいますか、そういう通貨主権を守る一つの道であって、後の歯どめの方は必ず取っ払われる、私は実はこういう気持ちなんですね。ですから、そういう意味では大変重要な案件だと思うのですが、ちょっと澄田副総裁もお答えしにくい案件かもしれませんが、通貨は日本銀行と私は思っておりますので、通貨主権という問題の角度からこの問題をどういうふうにお考えになっていますか。

澄田智日本銀行副総裁

○澄田参考人 私は、円ドル委員会の場面でどういう要望が出され、どういう話し合いになっておるかということは具体的には承知いたしておりませんし、それから今御指摘の問題について日本銀行という立場で何か申し上げるということはいかがかと思いますので、私の感じだけを述べさせていただきます。  通貨主権ということで、一国の通貨に対する広義のコントロールを維持する。そのために、海外で取引される場合にも、必要に応じて何らかのコントロールの手段を残しておく、そういう体制が必要ではないか。こういうことで、今御指摘のように、西ドイツを初め、その他の国々も主幹事を確保するというようなことでコントロールの手段を残している、こういうことではないかと思います。ユーロマルク債の場合に、主幹事というようなことでドイツの銀行がやる。そしてドイツの市場委員会で調整をする、そういうようなことでやっているように聞いております。  この点について、現時点におきましては、原則自由化されたとはいえ、酒井局長のお話がありましたように、我が国の外為法の方がコントロールが強い、現状においてはそういう状態であるということで、むしろそういう法的規制が全くないところにおいて、主幹事というようなことを通じてコントロールの手段が残されているのではないか、そういうふうに理解をしておるわけでございます。したがいまして、現時点においてのお話としては、コントロールの手段はむしろ日本の方がより強く確保してあると申しますか、確かな方法として確保してある、こういうことは言えるのではないかと、これは私見でございますが、思っております。

堀昌雄日本社会党・護憲共同

○堀小委員 草場参考人。

草場敏郎全国銀行協会連合会会長

○草場参考人 ただいま堀先生のおっしゃいましたユーロ円の拡大と申しますか、先ほど私もちょっと申し上げましたけれども、円が貿易の決済手段あるいは資本の流通手段あるいは各国の準備通貨として、日本の体力に応じた中で、円の強さに応じた中で、極端に言えば、自然体の中で各国がそういった保有とかあるいは決済通貨に使われていくことに関しては私は異論はございませんけれども、政策的といいますか、極めて強い意味での円の国際化をやるということで円が海外で大量に保有されることは、国内の資本の流動性であるとかあるいは金利であるとか、非常に大きな影響を及ぼしてくる。したがいまして、今度は日本自身の金融政策といいますか、日本の国益に沿った金融政策を非常に難しくしていくのではなかろうかと私は思うものでございますから、余り急激なユーロ円の拡大という問題は少し慎重な対処をする必要があるのではなかろうかと私は考えております。  それからもう一つは、米ドルは何といっても現在における世界の一つの基軸通貨でございますから、これが自由化されることにおいては余り問題はないのでございますけれども、先ほど澄田副総裁がおっしゃったとおり、欧州諸国は自国通貨が国外で保有されることを相当厳しく管理をしているような状況でございまして、先ほどおっしゃったとおり、ドイツも資本市場委員会等がユーロマルク債の発行を完全に管理しておりますし、幹事もドイツ銀行以外は認めておりません。もちろんスイスも同じようでございまして、そういう意味で幹事問題みたいな問題も、金融と証券という問題じゃなくて、日本国内で言えば、これはなるべくならば平等に幹事も認めていただきたいと思っておりますけれども、海外の幹事問題ももう少し慎重に対処する必要があるのではなかろうかと私は考えております。  以上でございます。

堀昌雄日本社会党・護憲共同

○堀小委員 渡邊参考人。

渡邊省吾社団法人日本証券業協会会長・日興証券株式会社取締役会長

○渡邊参考人 私の考え方も今のお二方と余り違いませんので、繰り返しになりますから、現状等については省きます。したがって、我々の仕事から見ますと、ユーロ円債の幹事関係につきましても、日本の業者が主幹事になることを希望するのは、当然御理解いただけると思うのです。しかも、御説明がありましたように、ヨーロッパの各国でも通貨主権みたいな物の考え方でしょう、それぞれの国の会社なり銀行なりが主幹事をやっているという点から見ましても、我々もそれを希望するところでございます。  しかし、一方、経済大国として、日本の円に対する期待感といいましょうか、特に米国からの、円がより国際的な通貨として、基軸通貨でないまでもより高めてもらいたい。先ほどからの御説明のように、輸出入でも資本取引でも、あるいは外貨準備では三・九%でしょうか、非常に少ないですね。したがいまして、そういった面で円に、そういったある意味の責任ですけれども、よりかぶってもらいたいという気持ちがあるのだろうと思います。そういう点を勘案しますと、アメリカ側ないしは世界からの期待感というものもわからないではございませんので、その辺は大変難しい問題だろうとは思いますけれども、政府も苦慮されるところではないかと思います。

瀬戸山孝一社団法人全国地方銀行協会副会長

○瀬戸山参考人 この問題につきまして、堀先生が冒頭に銀行、証券の問題じゃなくして通貨主権の問題としてとらえたいとおっしゃいましたが、まことに同感でございます。ほかの参考人からもるるお述べになりましたように、大体同じような考えでございますが、日本の経済力もここまでなったんだから、円も、ドルとまではいかぬまでも、それ相当の役割を担ってもらいたいというのが恐らくアメリカの表面的なあれじゃないかと思いますけれども、やはりこの問題は、ユーロ円だけが突出した形で自由化されるということは我が国の国内金融に影響を及ぼしますし、国内金融もだんだん自由化されるわけでございますので、それと同じような形、余り突出した形で行われると大変問題が起こる。通貨主権につきましても、ヨーロッパではもう大体主幹事という形でその国の通貨主権が行使されている。ただロンドンにおきまして何か例外的にアメリカだけが云々という話も承っております。大体そういうことでございますので、それらあたりもよく考えながら、国内の金融に影響を与えないような形で解決されるのが望ましい、かように考えております。

堀昌雄日本社会党・護憲共同

○堀小委員 そこで、さっきから、今の貿易取引の中の円の使用が非常に低い、三%台だとか、マルクは一一%程度ですか、あるのに、どうして——ちょっとそれじゃ国金局の方で現状の円、それからマルクの取引の中に占めるウエートを言っていただきましょうか。

酒井健三大蔵省国際金融局長

○酒井政府委員 貿易取引の中におけるマルクとか円の割合ということでございますか。——必ずしも正確な統計というものがございませんで、やや感じ的になって申しわけないのでございますが、私どもが認識しております部分では、まず輸出につきまして、円建ての比率というのが、日本の場合でございますが、三〇%ないし四〇%、西ドイツの場合DM建てというのが八〇%を恐らく超えておるだろうという感じでございます。それから輸入の方でございますが、日本の場合、円建ての輸入というものが大体二、三%程度、それから西ドイツの場合は輸入のDM建てというのが四、五〇%というふうに思っております。  それで、ちょっと補足させていただきまして恐縮でございますが、各国の公的準備における通貨の保有割合は、IMFの報告では、八二年におきまして円が三・九%、ドルが七一・四%、DMが一一・六%というような数字がございます。

堀昌雄日本社会党・護憲共同

○堀小委員 そこで、皆さんお話しになっておるように、輸出は四〇%ぐらいあるということで、これはやはり日本が輸出をするわけですから、円建てでもらう方が為替リスクが少ないしするからいいのだろうと思いますけれども、輸入が極端に少ないという現状なんですね。そこでこれを何とかしようというので、恐らくバンカーズ・アクセプタンスの市場をつくろうという話が出ているということだろう、こう思うのですが、輸入が三%程度というのには何かそれなりの理由があるんじゃないだろうか。そういうところでBA市場をつくったら、それがすっとふえるようになるのかどうかということについては、そのBA市場をつくることには私は全然反対ではありませんけれども、そういうものをつくって今の二、三%というのがふえていくのだろうかという点にちょっと私、疑問を感じるものですから、その点について参考人の皆さんから感じだけ、ふえるかふえないか、今後の。まだやってないことですからわかりませんけれども、私はどうもふえないんじゃないか。BA市場をつくるなというんじゃなくて、つくっても向こうが期待しているようにうまくいかないんじゃないかという気がしているんですが、この点ひとつ各参考人の皆さんからちょっとお答えをいただきたい。

澄田智日本銀行副総裁

○澄田参考人 これも私の個人的な見方でお答えをさせていただきたいと思いますが、殊に輸入におきまして我が国の円建ての比率が非常に低いというのは、やはり日本の輸入の構成が相当大きな影響があると思います。素原材料の輸入の占めるシェアが非常に高い。素原材料、その中にあるいはエネルギー、そういうものの比重が非常に高い状態でありまして、しかもそういった商品は国際的な商品としてドル建てで広く世界的に取引されている慣行でございますし、また相場も、国際的な市況もそれで立っているということでございます。したがって、非常に量の大きな国際商品の素原材料、エネルギー、こういったものの輸入でございますので、どうしてもドル建てということになりやすい。国際慣行としてなりやすいということが多いと思います。  もう一つの構成の問題としては、日本の取引相手、そういった素原材料の比重の高い日本の輸入のマーケットがドルが非常に強く、いわばドルの経済圏という範囲に属する国々が多い、こういうことだろうと思います。円建ての輸入ということになりますと、やはりどうしても製品類の輸入でありますとか、あるいは素原材料の輸入でありましても輸入する商品及び相手国というようなものを選んで、しかも取引の相対的なそのときの市場をどちらが主張ができるかというような関係等を選んでいかなければならないので、今までのところ非常に低いのではないか、こういうふうに思うわけであります。  これから先、私どもの勝手な意見でございますが、日本からの輸入の非常に多いところの輸出、例えばオーストラリア、一つの例として挙げるんですが、オーストラリアでございますとかあるいは東南アジアの諸国、インドネシア、そういうところからの日本の原材料の輸入等については円の比重、日本との関係の比重が相互に非常に高いわけでございます。こういうようなところ等でもし契約当事者がその気になって逐次、それも段階的に進めていくというようなことでないとなかなか進まないんではないか、こんなふうに思うわけでございます。

草場敏郎全国銀行協会連合会会長

○草場参考人 今の堀先生がおっしゃいました円の使用の問題でございますけれども、現在、実態的には売り手と買い手とのどっちかというと力関係みたいなものもございますし、例えば造船みたいなものは日本の造船産業が非常に強いために円建てで輸出が可能である。しかし、エネルギーみたいなものは完全に世界の一つの慣行としてドル建てである。そんな形で売り手、買い手の力関係も非常に影響いたしますから、しかく簡単にいかれるかなというふうにも感じておりますし、もう一つは、やはりまだ世界の慣行としての中でのドルの信認が非常に厚いんじゃなかろうか。貿易面では日本も非常に強くなりましたけれども、すべての国力の中で、実体経済に伴って、日本の円がまだそこまで信認されてはいない、まだそこまでいっていないのじゃなかろうかという感じがするわけでございます。したがいまして、先ほど先生おっしゃいました円建てのBA市場をつくるということが、円の国際化の推進には少しは役に立つとは思いますけれども、それから一つのマネーマーケットが広がるというような効用があるかもわかりませんけれども、現在の金融情勢の中で、企業は輸出輸入に関しても大部分が最優遇金利を適用されておりますし、新たなファイナンスを受ける必要もないような情勢でもありますし、為銀自身もインターバンク市場から資金調達をやっておりまして、リファイナンスを必要としているような情勢でもございませんから、これも、そう急につくる必要が果たしてあるのかなというのが私の率直な意見でございます。これも慎重に検討した方がいいように私は感じております。  以上でございます。

渡邊省吾社団法人日本証券業協会会長・日興証券株式会社取締役会長

○渡邊参考人 お二方のおっしゃったこともある意味でわかりますし、それから、日本の貿易構造から見まして、円建てのBA市場をつくっても輸入に大きな役割を果たさないのじゃないかというような御意見もあるかと思います。しかし、貿易構造もだんだん変化していって、今のような原材料、製品の垂直貿易から製品相互の水平貿易の方へ移行していく、シフトしていくといったような動きもあり得るわけですし、そういうことが進めば、これは円建て輸入というようなものも出てくるかなという気もいたします。したがいまして、今のように二、三%といったような水準がそのまま続くものというふうにも思いません。  また、こういう制度ができますれば、それがやはり企業のそういったニーズなり何なりをクリエートするということも考えられると思いますし、先ほどちょっと申しましたが、短期金融市場が日本にとって非常に必要である、相対的に日本の場合にはそれが小さい、しかもオープンマーケットになっていないという点から考えましても、BAの市場が望ましいというふうに私どもは一般論としては思います。アメリカでは御承知のように、このBAの市場は相当なスケールを持っておりますし、また、BA以外のものともあわせて非常に多種多様の短期金融市場を通じて、それが大きな市場としてワークしているということでございますので、やはり日本の将来もそういう方向にいずれポジションを上げていくものではないかというふうに考えております。

瀬戸山孝一社団法人全国地方銀行協会副会長

○瀬戸山参考人 日本の輸出入におきまして、片や四〇%、問題の輸入におきましてはわずか三%程度の円建てだということにつきましては、やはりそれなりの理由がある。それにつきまして、日本の貿易構造、輸出輸入の構造の問題があろうかと思います。先ほど澄田副総裁がおっしゃったとおりだと思います。したがいまして、短期金融市場のBA市場創設、それなりに、短期市場がなかなかうまくいきませんので必要性はあろうかと思いますけれども、今のような貿易構造でございますので、そのために、BA市場をつくって果たして輸入の円建てが促進されるかどうか、非常に私としては疑問だ。また、そうはいかないんじゃないかという意味で、果たして創設してもうまくいくかどうか、意義があるかどうか若干疑問であり、慎重に検討すべき問題かと思っております。

堀昌雄日本社会党・護憲共同

○堀小委員 国際関係の問題は以上で終わります。  最初にちょっと申し上げましたように、各参考人もお答えになっておりますように、やはりぜひこれは、大蔵省の皆さんにもお聞きいただいておりますので、次の円ドル委員会でも、日本の国会では、少なくともこのユーロ市場における自由化というのは日本国内の金融・資本市場の自由化に見合って自由化が行われるように、各界の代表の御意見もそうでありますし、私は、国会議員の立場からも、それが日本の国民経済の利益を守ることになるのではないか。  特にさっきの問題ですけれども、本来ユーロ円というのはどうしてこういうものができてあるか。合法的といいますか、法律的に見ると、本来そういうものはないはずのものではないのかと思うのですね。しかし、水がしみるように、だんだんとユーロ円というものができてくる、これは長い経過ですからやむを得ないのでしょうが。それは、少なくとも日本の大蔵省もあるいは日本銀行もコントロールのできない円なんですね。日本でコントロールできない円がだんだんふえるのは客観的事実として認めざるを得ない。ところが、ここでのいろいろな問題が、今や国際化時代で日本へ直接にはね返ってくるという問題になると、さっき澄田副総裁もお話しになりましたけれども、やはり金融当局としても、コントロール外におけるものがどんどん自由化されることというのは、日本の金融政策の中の一部分がややしり抜けになるといいますか、そういう部分になるわけですから、ここはやはり、そういう意味では、確かに私は自由化論でありますから、自由化をするなと言うのではないのですが、ユーロで自由化するのなら、その前に日本の金融・資本市場を自由化して、はね返ったって何ともないということをこちらで先にやる。そのことが日本のユーザーである国民や企業にとって大変プラスになることなので、それで、きょう三局に来ていただいておるのは、十分認識をしていただいて、第三番目のアドホック委員会で少しこちらの業界の皆さん、あるいは私どもの意見はこういうふうですと。まさにそれは大場さんの言っておられる三原則ということを具体的に私どもが支持をしていることになるのではないか、こういうふうに思いますので、その点は、ひとつそういう認識で対応をお願いしたい、こう思います。  そこで、ちょっと今度は別の問題でありますが、草場参考人にお伺いをし、ちょっとお願いもしたいと思うのであります。  先般の銀行法改正のときに、ディスクロージャーの問題については大蔵省原案は、実はいろいろなプランを大蔵省がつくってディスクロージャーしてもらう、こういう話であったのでありますけれども、いろいろな過程で、実は自主的にやっていただくということになったわけであります。そのときの全銀協会長はたしか関さんだったと思うのですが、それは前の方がそうだったかもしれません。(草場参考人「前でございます」と呼ぶ)前でしたかね。じゃ、あれは山田さんでしたか、両方にお願いをしたと思うのでありますけれども、ディスクロージャーというのは、これから競争原理が働いてきて、そうして預金者も自己責任が求められる、こういうことになってきたときに、要するに、その金融機関は大丈夫だということを認識するのは銀行のディスクロージャーが唯一の手段でありまして、まだ今日本の金融行政が−何しろ銀行というのは戦後一切つぶれてない。それは何か大蔵省としては完全主義で大変うまくやってきたという御認識かもしれませんが、私からみると、競争を十分させないで、ともかくも護送船団でしっかりみんな保護していく、過保護行政によって金融機関がつぶれてないのだ。アメリカのデータを見ますと、毎年つぶれているということになっているわけですね。  当時の澄田銀行局長から、これから効率化行政をやるので、競争で落後する者が出るといけませんから下にネットをかぶせたい、それでひとつ預金保険というのをやりたい、こういう御提案が実はあったのです。そのときに私は、いや澄田さん、それは私納得できません、こんな免許に対して強大な監督権と検査権を持っておる大蔵省がその権利を放棄をして、要するに市場で皆さん御自由におやりくださいというのなら私は預金保険に賛成ですけれども、あの権利を持っていて、まだ網をかぶせる、下に網で保護するというのは必要ないんじゃないですかと言って、銀行局長を大分困らせたことがかつてあったわけです。四十六年に預金保険、法律として成立したわけですが、そのときに私は澄田さんに、恐らく今後十年、十五年の間にこれが使われることにはならないと思いますよ、こういうふうに申し上げたのですが、実は今日まで預金保険というのは、預金保険機構は、銀行の皆さん、お金は納めていらっしゃるけれども、使われたことは一回もなかったわけですね。ここに象徴的に日本の今の金融というもの、金融機関保護が最大に優先していて、要するに消費者のニーズに十分こたえられていない。  私は金融機関をつぶせと言っているのじゃないんです。つぶれるときは手をかさないで、仕方がないじゃないかという話でいいんじゃないかと思うのですが、大蔵省は手をかしてとにかくつぶさないようにしていくというのが、私は今日までの実態だと思うのですね。しかし、これからはなかなかそんなこと言っていられなくなると私は思うのです。今の金融自由化とかなんとかの波がわっと来ますから、これはなかなかそういう甘い時代じゃない。そのときに、それでは国民が金融機関を選択するというのはディスクロージャーしかないので、私は当時の全銀協会長にお願いをしたのは、せめて都市銀行だけはディスクロージャー項目の一覧表をつくってくださいませんか。どこかの銀行に行ってそこのディスクロージャーだけ見せてもらったって、一般の方はとてもあれを読むだけの能力ありません。そうすると、ディスクロージャーの項目がずらっと並んでいて、その項目を全部やっているところはまあ心配ないんだなということになれば、不十分なところはディスクロージャーしなければならなくなりますから、公的なコントロールよりはそういう自発的、自主的なディスクロージャーをやっていただく、そういう競争の中で国民が金融機関を選択できるようにしてもらうのが大変いいんじゃないか。  そのことは、ひとつ地方銀行協会でも同様にお考えをいただいて、これからの効率化、自由化が進む中で、金融機関の選択は要するに預金者が自分の責任でやります、もちろんそれは、もし問題が起きたら預金保険機構で処理はされますけれども、仕組みとしては、今の資本主義経済というものは、個人も企業も自己責任が本体でありますから、それをいつまでも過保護でやるのはよくないと言って、委員会で私、何回もやっているのです。この前も金融制度調査会の会長と証取審の会長、おいでいただいて、報告を見ますと、自由化は必要だと書いてある。「が、しかし」というのがみんなくっついておる。この「が、しかし」がなくならなければ、私は日本の資本市場、金融市場の自由化はなかなか進まないんじゃないか、こんな感じがしておりますので、その点について、ディスクロージャーについて、草場参考人と瀬戸山参考人にひとつお伺いしたいと思います。

草場敏郎全国銀行協会連合会会長

○草場参考人 ただいま先生おっしゃったとおりでございまして、現在の段階では私ども全銀協も、皆さん全部自主的に相当一生懸命ディスクローズはやっているつもりでございます。御指摘ございましたとおり、自発的に一つのアイテムをそろえてというお話でございましたので、これは持ち帰りまして十分検討させていただくつもりでおります。  それから、確かにこれからの金融自由化の中で銀行自身の効率化を進めて、それが実体的にはユーザーである国民の皆さんのために金融業が存在するんだということは私ども十分認識しておりますので、そういう意味でこの問題に関してもさらによく十分相談をいたしたいと思っております。

瀬戸山孝一社団法人全国地方銀行協会副会長

○瀬戸山参考人 ただいまの堀先生のディスクローズの問題につきましては、私どもも同じような気持ちでやらせていただきたいと思っております。現在六十三地方銀行がございますが、全部一応はしております。しかし、そのやり方はそれぞれあれがございまして、非常に詳細なところもございますれば、そうでないところもございます。今の先生の御提案、ひとつよく検討させていただきたい、かように考えております。

堀昌雄日本社会党・護憲共同

○堀小委員 最後にちょっと瀬戸山さんだけに三つだけ伺いたい。  一つは、最初に私申し上げました、西日本銀行が四月一日誕生いたしました。今まだできたところですから、地方銀行協会に入れてくれという公式の要請もないかもしれませんが、もしそういう要請がありましたら、地方銀行協会としてはぜひ、別に私は西日本銀行の肩を持つのじゃなくて、合併転換法という一つの法律で要するにオーソライズしてきたものですから、そういう意味では地方銀行協会としても前向きに十分御検討いただきたいということが一つ。  あわせて、これは相互銀行の皆さんがいらっしゃらないところで言うのは適当でないかもしれませんが、新聞等で見ておりますと、相互銀行の皆さんが、「相互」の字を何とかとりたいというお話が盛んに出ておるわけです。私は、相互銀行というものは、金融機関として立派にやっていらっしゃるのでして、「相互」をとったら何か途端によくなったりするというお考えの方に問題があるという気がして仕方がないのです。ですから、「相互」をとったら地方銀行になったんだというふうに私は認識をしないのですが、地方銀行協会はその「相互」の字がとれたら、それは地方銀行と認識なさるのかどうか、その問題。  最後に、いよいよ六月からバンクディーリングが行われるようになります。さっきのお話で、そういうふうに全部ディーラーになれるようにしてほしいという要望があったのですが、私は、今の相互銀行の問題と関連するのですけれども、ステータスのためにディーラーになるなんていうような発想は、国会の立場からいかがなものかという気持ちがあるということを、この際ちょっと公式に申し上げておきたいと思うのです。ディーリングをなすって、これによって銀行経営なり今の国債市場との関係で本当に役に立つということでおやりになるなら、私は、当然地方銀行でもリスクをもたらさない範囲でふえていいと思っております。ふえていいと思っておりますが、どうやら、これをやっていないところはステータスとして不十分だから、ともかくひとつディーラーになりたいという話は、この問題の本質と大変かけ離れておることではないか。これはやがてディーラーの実績が出ますから、今度は今の商品勘定と投資勘定をきちんと区別していただいて——私はこの問題については当初から大変関心を持っておりますので、必ず後で出てきますから、そのときに、実際は余りやっていないけれどもやはり名前が欲しかったという話であればこれは問題なので、ちょっとそこのところは地方銀行協会としても適切な御指導をいただきたいな、こう思いますので、以上の点についてちょっとお答えをいただきたいと思います。

瀬戸山孝一社団法人全国地方銀行協会副会長

○瀬戸山委員 三点の御質問がございましたが、まず第一点の西日本銀行の問題でございますが、西日本相互さんは、去る四月一日に西日本銀行に、正式に合併転換して普通銀行におなりになったわけでございます。ただ、昨年来、十一月三十日までは相互銀行協会に属する、残っておる、こういうお取り決めをなさったようでございまして、その辺のところはこうなっておるわけでございます。新聞報道では盛んに、どうも地方銀行協会に入りたいとか、あるいは地方銀行協会は何をぼやぼやしておるのだとか、いろいろな記事がございましたが、まだ正式のお話はございませんので、ここで私から云々申し上げるのもいかがかと思いますけれども、そういうようなことになりますれば、私はやはり検討はいたしたいと考えております。いずれにいたしましても、地方銀行協会といたしまして重要な問題でございますので、慎重に検討せざるを得ないし、手続等もございますので、それを踏まえながら、四月一日から普通銀行にお入りになりましたので、今後正式のお話がございますれば検討させていただく、こういうことにしております。  それから第二の「相互」の二字をとる問題につきましては、それで地方銀行と思うのかどうかというようなことでございますけれども、実は地方銀行と申しますのは、法律的な定義はないわけでございまして、いろいろ解釈ございますけれども、私どもは、普通銀行の中で社団法人全国地方銀行協会に加盟した銀行は地方銀行である、これくらいなことしか考えていないわけでございまして、今の第二の御質問はなかなかお答えも難しいし、それから、それがいいかどうか、これはもう行政当局が御判断なさることでございますので、私どものお答えもちょっと遠慮さしていただきたいと思います。  それからディーリングにつきましては、いろいろこれも新聞に載っておりますようでございます。まだ正式な御決定はないようでございますが、今お話しのステータスのために地銀がこのディーリングを云々ということは実は考えておりません。よそではそう見るあれがあるかもしれませんけれども、私ども、希望する銀行に対しまして、すべてこの認可をしていただきたいと申しましたのは、一つは、やはり新銀行法によりまして、銀行の自主性尊重、そういうことで自己責任で銀行経営をするということでございますから、あるいはディーリングは危険のある業務だというようなお話もございますけれども、我々は従来健全経営をやっておりますので、そういう御心配は要りませんということ。  それからもう一つは、昨年の夏ごろから国債を取り入れた商品が発売されました。国債定期口座みたいなものが発売されました。その玉の手当てをできるできぬということが今度のディーリングにあるわけでございます。したがいまして、そういうことで格差をつけられてはやはり困るじゃないかということで、やらないところは結構です、やりたいという銀行は、そういう従来の地銀の健全経営から見まして、そのために何か事故を起こして預金者に迷惑をかけるといったようなことは、地銀に対してはあり得ないというようなことから、やはりそこは信用していただいて、この自己責任原則で銀行を経営するんだということ、また新銀行法の精神にも合致いたしますので、そういう二つの面から、希望する銀行はディーリングをひとつ許可していただきたい、こういうお願いをしておるわけでございます。

堀昌雄日本社会党・護憲共同

○堀小委員 終わります。ありがとうございました。

中村正三郎自由民主党・新自由国民連合

○中村(正三郎)小委員長代理 午後一時三十分より再開することとし、休憩いたします。     午後零時四十三分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議

中村正三郎自由民主党・新自由国民連合

○中村(正三郎)小委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。坂口力君。

坂口力公明党・国民会議

○坂口小委員 参考人の皆さん方には、どうも早朝からありがとうございます。引き続きまして、皆さん方にいろいろとお聞きをさせていただきたいと思いますし、また若干私見も申し述べたいと思います。  金融の自由化並びに金利の自由化につきまして、四人の参考人の皆さん方から御意見をお伺いいたしましたが、大体皆さん方向性としてはその流れにあるという御意見のように承りましたし、またそれについて一応賛成の御意見であるように承ったわけでございます。ただ、その進め方、スピードあるいは環境整備、そうした点につきましては、参考人の皆さん方の間に若干の御意見の違いもあったように承るわけでございます。私は、金利の自由化というものが行われます場合に、これはやはり個人の預金に金利の自由化が及んで本当の意義があるのではないかというふうに考えている一人でございます。  そこで、数点につきましてこの問題でお聞きをしたいと思いますが、先ほども堀先生の御意見、それから御質疑の中にも郵貯の問題が出てまいりましたが、四人の参考人の皆さん方の中で渡邊参考人以外の三人のお方は、この郵貯の問題について特にお触れになりまして、環境整備としてどうしてもこの問題が重要な問題になるということを述べられたわけでございます。私も避けて通れない問題であると思いますし、何らかの手を加えなければならない問題であるということにつきましては同感でございます。  しかし、それでは、皆さん方がおっしゃるほどこの問題が、金利の自由化を進めます上に大きな障害になるであろうかというふうに考えましたときに、もう少し皆さん方の御意見もお聞きをしなければならないわけでございますけれども、どうもそれほど深刻にお考えをいただくほどではないのではないだろうかという気も実はしないではないわけでございます。ヨーロッパ先進国が金利の自由化をいたしましたときに、それじゃどんな影響を与えたのであろうかということをいろいろの書物等で見てみますると、皆さん方のその御心配はそれほどではないのではないだろうか、そんな気が実はしてならないわけでございます。  その一つは西ドイツの例でございますが、これは各国によりまして金融機関の性格その他のものが日本とは違いますから、一概に論じることはでき得ないと思いますけれども、参考にはなると思うわけでございます。西ドイツの場合に、金利の自由化がされました後、どちらかと申しますと定期預金がかなりふえまして、自由化前に、これは一九六六年末でございますけれども、一五・三%でございましたものが、自由化後一九七四年末には三二・二%というふうにふえまして、そしていわゆる貯蓄預金銀行の方は預金額が低下傾向にある、減少している。  それで、その理由というものもいろいろ挙げてございますが、その理由を見ますと、やはりそれぞれの商業銀行におきまして業務の多様化を進めておみえになります。商業銀行におきましては、貯蓄銀行に対抗しまして中長期預金の新設に力を注がれた。例えばボーナスつきの貯蓄預金と書いてございますけれども、金額三千マルク、期間五年以上預金をすれば、約定金利のほかに一ないし一・五%のボーナスを支払うという。それから累積投資預金というのがある。あるいはまた住宅ローンつき貯蓄預金だとかいうような新しい商品も次々に出しておみえになる。こうしたことがあったがためかどうかわかりませんけれども、かなり商業銀行さんの方にシェアが大きくなっているというような例もあるわけであります。初めにも申しましたとおり、この制度が郵貯の場合と同じではございませんから、一律に論じることはでき得ないと思いますけれども、しかし皆さん方が御心配になるほどのことはないのではないかという気もするわけでございます。  この点からひとつお聞きしたいと思いますが、最初にそれでは澄田参考人、それから渡邊、瀬戸山両参考人、三人の皆さん方からこの問題をもう少しお聞きをしたいと思うわけです。

澄田智日本銀行副総裁

○澄田参考人 先ほど申し上げました趣旨は、やはり資金が、国民の貯蓄の場合もそうでございますが、そのときの市場の状況に応じて決まっていく、そういう形のマーケットというところで併存するということでないとまずいのではないか。そういう意味におきまして、郵便貯金が本来非営利の官業といたしましていろいろな条件が非常に違っている。そういう状態のもとに郵便貯金が独自に金利を決めるということになりますと、それは殊に少額貯蓄、先ほど少額の中でさらに少額のものを分けるというような堀先生の御意見もございましたが、現行の三百万という範囲で物を考えた場合に、その少額の貯蓄というようなところにおいて、そういった金利の決め方においてマーケット、市場というものを通じ、資金の流れを通じて決まるということでなしにこれは決まってくる。こういうことでありますと、それは併存してユーザーの、あるいは貯蓄者のニーズにこたえて競争をしていくという趣旨がそこで働かなくなるのではないかということを申し上げたわけでございます。  今、西ドイツの例を引いて御指摘がございました。新商品をいろいろ出していく、そういう形で普通銀行、商業銀行が競争をして、そして伸びているではないか、こういうお話でございましたが、そういう努力も一方当然あるわけで、また、なければならないし、また日本においてもこれからいろいろ新商品も出てくるでありましょうし、預貯金に対する規制というものも緩和されてくる。こういう中におきまして、現在、郵貯の伸びが五十八年あるいはことしに入ってからどうもよくないという問題は確かにございます。それは明らかに郵貯以外の新しい商品その他の影響を受けてきている、こういうふうに思いまして、そういう原理は十分働くことと思います。  ただ、それにしても、郵便貯金が今諸外国に比べてみても日本では圧倒的に大きな割合を占めておりますので、この郵便貯金が別な考え方に基づいて独自に要件を決める、市中で何らか新しい、あるいは金利が変わって有利なものが出るというときに、それに対抗して郵便貯金の方でまた金利を変更し、あるいは新商品も出してくる、こういうようなことになってまいりますと、それは郵貯の比重からいって非常に大きな影響を与えて、当然資金が今度は郵貯の方へ流れる、こういうことが非常に大規模に行われる、こういうことになるかと思います。郵貯も、当然のことながら採算によって成り立たなければならないことでありますが、その基本的な考え方なり制度なり仕組みなり、それが違っておりますと、その採算によって競争するというところも十分な市場原理が働くような形にならない。それがひいては財政的に郵貯に対する負担を増すというような意味の財政的な問題もそこにあり得るかと思いますが、その問題を離れましても、郵貯の経営というものは、官業という建前から来ている別なルールがそこに働いていることは問題である、こういうことを申し上げた次第でございます。

渡邊省吾社団法人日本証券業協会会長・日興証券株式会社取締役会長

○渡邊参考人 私、先ほど郵貯の問題につきましてはほとんど触れる機会がございませんでしたが、今のお話と同じような考え方を持っております。金融・資本市場の自由化の問題は、基本的に言いまして、やはり競争を前提にいたしまして、そのために効率化とかあるいは新しい商品の提供とか、あるいは資金の適正配分とか、そういったようないろいろなメリットが自由化から生まれてくる、それを期待するということであろうかと思うのでございますけれども、それは当然競争ということを前提にしております。ということは、同じ立場で、イコールフッティングで競争することが大前提であろうと思うのです。そこで、今もお話がございましたように、郵貯の場合にはやはりコストという問題が、一般の金融機関あるいは我々も含めてでございますけれども、競争上非常に違った基盤の上に立っているということが言えるのではないだろうか、これが一つでございます。  もう一つは、非常に小さい量でございますと、明治以来、郵貯が発生してきました理由から見ましても、あるいは国民の貯蓄を増進したというような点から見ましても意義はあったと思うのですが、今日非常な大きな量を占めて、そして金融市場の中で非常に大きな比重を占めているということ自身が、これは質的に非常に大きな問題でございまして、その郵貯の動きないしは金融政策との調整、これがうまくいかない場合には、金融政策上も、あるいはマネーマーケットの上にも非常に大きなインフルエンスを与えるという点が問題じゃないかというふうに思います。したがいまして、先ほどからそんなに心配することはないのじゃないかとおっしゃいましたが、私は、やはり今後の金融の自由化を進めていく上において、郵貯のビヘービアというものが非常に問題だと思います。

瀬戸山孝一社団法人全国地方銀行協会副会長

○瀬戸山参考人 ただいまお二方が答えになりましたのと大体考え方は同じでございますし、大同小異でございますけれども、また、幾らか申しますと、第一点は、やはり郵便貯金のいわゆる法体系が一つは問題だという点があろうかと思います。  御承知のとおり、郵便貯金の法体系は、いわゆる庶民の零細な預貯金を対象にした時代の法体系でございます。また、その当時は、本当に預貯金での郵便貯金は、いわゆるネグリジブルと申しますか、金融市場に対する影響はほとんど無視しでもいいような小さい量であったわけでございます。したがってそういうような法体系ができ、かつ、それは民間預金金利に連動をしたわけでございますけれども、今や、先ほど渡邊参考人が申し上げましたように、巨大なる一大国営金融機関と申しますか、ちょっと言葉は正確ではございませんが、そういうことになっておりますので、そこが量的にふえる、巨大になりますと、質的にも変化するといったようなことで、今や金融市場に絶大なる影響力を及ぼすということでございまして、こういう金融自由化、金利自由化のときに、やはり同時にいろいろな面で連動してもらわないと、十分それが機能しないということに、事実問題としてなっているということが第一点でございます。  それから第二点は、やはり経営の問題。官営でございますし、非営利の運営でございますので、コスト観念がないわけでございます。したがいまして、私どもが経営努力をいたします、向こうさんも努力はするとおっしゃいますけれども、私などのコスト観念とはほど遠い観念でございます。私どもが努力いたしまして、いろいろな経費を節約して少しでも預金者に有利な商品を提供するといったようなことをいたしますれば、従来のバランス上郵貯の方もする、あるいは民間の方が考えてもそれに対してクレームをつけるというようなことでございます。そういう経営努力をしないで、従来の民間とのバランスといいますか、一応何か金利のバランスがありますが、それを向こうは守るということになりまして、私どもが幾ら経営努力をして新しいアイデアでやろうとしても、黙っておっても向こうはそのバランスに乗っかってくるという、非常にアンバランスと申しますか不合理と申しますか、イタチごっこが常に起こっておるのでございます。  そういう点から申しますと、この金融の自由化と申しますか、あるいは狭い意味での金利の自由化といったようなものに対しましては、やはり一つの大きな問題点であり、ここのところをうまく調整といいますか突破しなければ、金利の自由化あるいは金融の自由化はうまく進まないというのが現実であろうかと存じます。  したがいまして、先生先ほどおっしゃいましたように、大した影響はないのじゃなかろうか、それに対してどう考えるか、その御質問に対しましては、私どもはやはり郵貯の問題は金融の自由化、金利の自由化に対しまして大きな問題であり、同じように動いてもらわなければ困る。それから、我々と同じようなコスト観念を持って経営してもらわなければ困る。私どもは、お客様から御預金をちょうだいして、その御預金を運用するというのが銀行の業務でございまして、できるだけ安い資金を集め、経費もできるだけ節約してということが基本でございますが、郵貯におきましては、預金を集めるのにつきましては、税の特典がある、その他のあれにおきまして非常に有利に集められるという点が実はあるわけでございます。それらの点につきまして、やはり同じような経営と申しますか、同じような考え方でなければなかなかうまくいかないのじゃないか、こういうふうに認識いたしております。

坂口力公明党・国民会議

○坂口小委員 私も全然影響がないと考えているわけではございませんで、それはひとつ誤解のないようにしていただきたいと思いますが、ただ、この金利の自由化を行いますときに、最大の障害に挙げるべき障害であろうかということを申し上げているわけでございます。  西ドイツにおきましても、この商業銀行はスタートいたしますまでかなり大きな心配をしておみえになるわけでございますが、それぞれの御努力もあったのだろうと思いますけれども、ふたをあけてみまして、初めに心配したほどではなかったという結論が出ているわけでございます。御心配の向きはよくわかります。そして私も、決して郵貯の方が現況のままでいいとも思っていないわけでございます。きょうは皆さん方の御意見をお聞きする場でございますので、これ以上この問題を申し上げませんけれども、引き続き、またいろいろと皆さん方の方におきましても御検討をいただきたいと思います。  それから、先ほどいろいろ御意見を伺いましたときに草場参考人の方から、自由化の過程におきましてアメリカの財政赤字の問題が出まして、そして日本の金利もアメリカ並みに上昇するのではないかという御意見があったようにお聞きをしたわけでございますが、この御意見、ちょっとお聞きをいたしますと、少し考え過ぎではないかという気もしないではないわけでございますけれども、もう少しその点の御意見をひとつお聞きをしたいと思います。  それから、環境整備の問題を御指摘になりましたのは瀬戸山参考人であったと思います。通貨価値の問題と、郵貯の問題と、それから国債発行額の問題の三つをお挙げになったわけでございますが、国債発行額の問題は、現在のような状態に膨れ上がったがゆえに、あるいはまた借換債を行わなければならなくなったような現状であるがゆえに、この自由化というものがより大事になってくるのではないかという気がするわけでございます。先ほど参考人がお挙げになりましたのは、この国債発行額なるものが非常に膨大で、これがもう少し整理がされて額が少なくなるということが一つの環境整備であるというふうにおっしゃったように私どもは受けとめられたわけでございますけれども、こういう現況であればこそ、金利の自由化というものが必要になるのではないかというように私考えておるわけでございますから、もう少し御意見を伺いたいと思っております。  では、草場参考人と瀬戸山参考人、御両人からひとつお願いいたします。

草場敏郎全国銀行協会連合会会長

○草場参考人 先ほどちょっと私見を申し上げたわけでございますけれども、現状すぐ云々というわけではございません。しかし、先ほど申し上げましたとおり、貿易の決済通貨であるとか、資本の流通通貨であるとか、あるいは準備通貨という。ものが、貿易、資本の移動を通じながら徐々に徐々に、極端に言えば日本の国力を反映した範囲において円というものが国際化されていく限りにおいて、そう急激な変化が起こるとは思いませんけれども、極端にこういうものの激しい円の国際化を進めていけば、円が大量に海外で保有されるという中では、円の金利というのは自由金利になってまいりますから、これはやはり現在における一番強い通貨であるドルの金利にさや寄せされる、そういう可能性が非常に強いんではなかろうか。そうすれば、やはり日本の長年やってきました現在の適正な金利政策が非常にやりにくくなってくる。そうすれば、自然に日本の国内の円の金利も、やはりドルの金利に影響を受けて少し高金利に、少なくとも現在であるのならば、私は高金利になるのではなかろうか、そういうふうに感じたものでございますから、現在の円の国際化問題に関しては、余り性急なやり方をするのは若干危険じゃなかろうかということを私はちょっと申し上げたわけでございます。

瀬戸山孝一社団法人全国地方銀行協会副会長

○瀬戸山参考人 ただいま先生の御指摘の、国債の大量発行はこの金利の自由化に対して問題があるのではなくて、むしろその面から金利の自由化が促進される面もあるのではないかというような御意見でございます。それに対する御質問かと思いますが、ただいまの金利体系は、御承知のとおり長期と短期がございます。長期の方は国債の発行によりまして、まあ言いますならば自由化が相当進んでいる。しかも大量国債でございまして、いわゆる金利の高とまりということは当分避けられないと思うのでございます。一方、片や短期の方につきましては十分な自由化ではなく、まだ規制金利が大宗を占めて、若干ながら自由金利が今後も継続していくというのが実態だと思います。したがいまして、そういう意味では、むしろ金利の中の長期金利、短期金利の問題は、この国債の大量発行でございますとその乖離がなかなかうまくならないで、いい影響は与えないという考え方と、今先生のおっしゃったように、むしろそれが促進されていくんじゃなかろうかという考え方があろうかと思います。  今の環境整備で私がそう申し上げましたのは、そういう金利の実態であり、長期金利の高どまりの状態で、それが自由化の方向に進むということとあわせまして、やはりその他の制度面が同時に進まないと、金利だけ先行して進んでいきますと、その間金融市場というものがうまく機能しないでスランプになってくるといったようなことをその前に申し上げたのでございますが、そういう意味合いから、私はやはり今のこの長期金利の問題につきましては、国債の大量発行というものが今の長期金利の高どまりを支えておる。したがいまして、大量発行が漸減されるということになりますと、もう少し金利の面におきましても違った形になるのではなかろうか、こういう考えを持っておる次第でございます。

坂口力公明党・国民会議

○坂口小委員 では時間も少し迫ってまいりましたので、もう一つ、金利の自由化の問題に絡みまして、先ほど皆さん方の御意見をお聞きいたしましたが、その中でユーザーの側、とりわけ中小企業等の側にこの金利の自由化なるものがどういう影響を与えるのだろうかというお話はちょっと聞かれなかったわけでございます。皆さん方、それぞれ銀行の立場でございますから、皆さん方の経営の立場からのお話中心になるのは当然ではあろうと思います。しかし、皆さん方のお仕事の半分はと申しますか、主たるところは、ユーザーに対してどうかということにかかるわけでございまして、皆さん方の経営状態がどうなるかということとあわせて、皆さん方の銀行を御利用になりますところのユーザーの側の経営がまたどうなるのかということも、これは見逃しできない問題ではないかというふうに思うわけでございます。  各国のいろいろのものを調べておりますと、アメリカにおきましてハント・レポートというのがございますが、このハント・レポートの中に「多くの金融機関の流動性は低下し、各金融機関は顧客に対する貸し出しを制限した。なかでももっとも大きな影響を受けたのは住宅抵当貸し付けの借り手と中小企業と州・地方政府であった」また「すでにインフレによって大きな被害を被っていた消費者(大衆預金者)は、不必要なリスクと負担を強いられた」こういう報告をいたしておりまして、一般大衆並びに中小企業が金利の自由化ということと非常に大きな関係があることは今さら申し上げるまでもないわけでございます。この中小企業に対してどういうふうな影響を与えるというふうに皆さん方は認識をしておみえになるのかということを、一つだけお聞きをしておきたいと思うわけです。ちょっと時間がございませんで、皆さんにお聞きしている時間がございませんので、草場参考人に代表してひとつお聞きをしたいと思うわけでございます。

草場敏郎全国銀行協会連合会会長

○草場参考人 先ほど来堀先生からもお話がございましたけれども、我々の金融業務というものは、金利の自由化について何が大事かということは、国民の皆様といいますか、顧客にとってプラスになるというのが本来の建前でございます。したがいまして、先ほど先生がおっしゃったとおりに、中小企業の方々云々という問題に関しましては、預金をされる方、顧客から申し上げれば、運用される方は利回りが高い方がいいのだし、また借りる方は低い方がいいということは当然のことなんであります。  そこで銀行というのは、非常に短い期間のものから長期のもの、あるいは非常にコストの安い預金であるとかコストの高い預金というものすべてを集めて、そして自分の銀行の中での合理化、効率化努力によって自分のコストを圧縮して、なるべくならば今申し上げたとおり、預かる方には高い金利をできるだけ差し上げる、それから借りる方にはなるべく低い金利で貸し出しをするという努力をしなければならぬ。そういうふうに思っておりますので、金利自由化になりましても、一遍に金利自由化というものはすべてにわたってできるわけではございませんけれども、先ほど申し上げたように、大口から小口へとか、あるいはいろいろな問題がございますけれども、貸出金利というものは本来そのときどきの資金の需給によって決まるのでございまして、私どもが勝手に決めるわけにもまいりません。そういう意味で、できるだけすべてのものをコンバインした中で、銀行の合理化、効率化の中でやはりお客様に対しては最もいい商品を提供し、また貸し出しをする努力をしなければならない、そういうふうに私どもは考えております。  ただ、日本の経費率は、今でも各国の経費率に比べれば一番安いといいますか、比較的経営効率のいい仕事をしておるつもりでございますので、金利自由化になっても、そういう意味で中小企業の方々に迷惑をかけるようなことはない、そういうふうに考えております。

坂口力公明党・国民会議

○坂口小委員 では、インターナショナルの話に少し触れさせていただきたいと思います。  大蔵委員会におきましても、こうした問題を議論する時間がないものでございますから、大臣や大蔵省の御意見をまだ全然聞いてないわけでございますけれども、四月六日の日経新聞を拝見いたしますと、「大蔵省は五日、米国から強い要求の出ていたユーロ円市場拡大策についての具体的な対応方針を固めた。」こう書いてあるのでございまして、いろいろ具体的な問題、ここに実は出ているわけでございます。先ほどからも議論がございましたが、アメリカがなぜ今ユーロ円についてこれほど強硬に言ってくるのかということについて、いろいろの議論もございますし、そうした議論を拝見をいたしましても、なおかつなぜかということに対する十分な答えを見出すことができないのもまた事実でございます。  そこで、どれくらいユーロ円があるかというのを見てみましても、昨年、一九八三年に七兆円台でございますから、それほど大きな額ではないという気もするわけでございまして、この七兆円ぐらいの額であるにもかかわらず、強硬にアメリカが言ってくるその背景なるものをどういうふうに認識しておみえになるかということをひとつ先にお聞きをしておきたいと思うわけでございますが、澄田参考人にその御意見をお聞きをしてみたいと思います。

澄田智日本銀行副総裁

○澄田参考人 私ども、直接円ドル委員会においてアメリカ側の主張を伺っているわけではございません。したがいまして、私が申し上げますことは私なりの感じとしてお受けとめいただきたいのでございますけれども、やはり日本の経済の世界経済における比重、そういうものに比べて円が使われる割合が低いのではないか。例えばドルに対してはもちろんでございますが、ドイツ・マルク等に対してもそうではないかというようなことで、円を国際的にもっと使うようにする。そのことは同時に円に対する需要がそれだけ国際的にふえることでございますから、その限りにおいてそれは円を強くする作用をするのではないか。  そういう見地から、円が国際的にもっと使われるためにどういう方法がいいかということになりました場合に、アメリカ側は手っ取り早い手段として、海外にありますユーロ円の取引の規制を自由にして、もっとユーロ円が自由に運用かつ調達できるようにするということが一番早道ではなかろうか、こういうふうに考えているものと私は考えます。

坂口力公明党・国民会議

○坂口小委員 それじゃもう一問。  今、アメリカからユーロ円を中心にいたしまして、金融の自由化問題につきまして強い意見が出されているわけでございます。これも先ほどの議論にもございましたけれども、金融の自由化というのは、外国との関係において、国外におけるユーロ円その他の自由化というところからスタートをすべき問題なのか、それとも国内の整備を先に行って、国内から先に行うべきものなのか、あるいはこれは同時進行で進めるべきものなのか、いろいろの考え方があると思いますけれども、これは原則的にはやはり国内の整備を主体にし、国内からこれを進めるべき筋のものではないかというふうに私も考える一人でございます。したがいまして、アメリカから非常に強硬に言われたからというので慌てて大蔵省が、海外の問題に決着をつけるためにこの自由化に踏み切る、そして一方において国内における問題はそのままにしておくということになりますと、ここに一つのひずみが出ることも事実でございます。  これも新聞情報でございますけれども、中曽根総理もかなり積極的に、このユーロ円問題につきましてはアメリカ側の要請を受け入れるべく努力をしてはどうかというようなお考えのようにも聞いているわけでございますが、それならば急いで国内問題に決着をつけなければならないのではないかというふうに私は考えております。皆さんの御意見をお聞きをいたしますと、かなりいろいろの前提条件がございますし、堀先生のお言葉をかりれば、「が、しかし」という言葉が全部ついているというお話でございます。しかし、「が、しかし」という言葉ではありますけれども、そういつまでも放置できない環境にあることも事実でありますから、どういたしましても、これは一年や二年でできる問題ではございませんけれども、私は、四、五年の間にはあらあらの決着をつけなければならない問題ではないかと考える一人でありますが、澄田参考人の御意見をお伺いして終わりにしたいと思います。

澄田智日本銀行副総裁

○澄田参考人 私も、ただいま坂口先生の言われたように、金融の自由化、特に金利の自由化がその中で重要なステップであると考えておりますが、それはやはりいつまでもほうっておくことは到底できない。これは避けることのできない課題である。これは単に外国から要求されたという問題ではなくて、先ほども冒頭私からも述べさせていただいたように、金融をめぐる環境が非常に変化をしてまいっております。そういう中で避けて通れない道である、こういうふうに考えるわけでございます。したがいまして、これは余り過早に、一遍に全部自由化をするということは不測の影響がございまして、やはり金融の秩序という意味において避けなければならないことではございますが、今後積極的に推進をしていく。もちろん日本の金融制度として、あるいは金融の仕組みとして、慣行として、自主的にこれを進めていく。  その場合には、やはり国内における金融市場、資本市場の自由化、その金利の自由化というものがあくまでも中心でありまして、それと均衡のとれた形でユーロ円の使用ということも付随的にこれを認めていく、それが正しい方法ではないか。そのためにいたずらに時間をとるということは避けなければならないし、前向きに積極的に進んでいく。ある程度の時間を必要とすることではありましょうが、やはりこれは積極的に取り組んでいくことである、こういうふうに考えております。

坂口力公明党・国民会議

○坂口小委員 大体どれくらいの間にこの問題に決着をつけなければならないというふうにお考えですか。

澄田智日本銀行副総裁

○澄田参考人 問題の進め方によることでございますし、したがいまして全体をいつまでに決着ということは難しいかと思います。ただし、これはアメリカの場合を見ましても、十年かかったとか十二年かかったとかいうことが言われておりますが、そういうような期間を通じて自由化が逐次進められて、そうしてこれがだんだん広くなっていくにつれて最初の予定よりも早まって、そういう段階が進んできているというのが現実の姿であると思います。日本の場合におきましても、やはり相当な期間は最終的にはかかるといたしましても、第一段階あるいはその次にこれに続くものというようなものは、逐次相当積極的にこれを進めていかなければならない、そういうふうに考えるものでございます。

坂口力公明党・国民会議

○坂口小委員 そうしますと、澄田参考人の、副総裁のお考えとしては、十年というアメリカの例のお話が出ましたけれども、大体そのくらいはかけて順次段階的にやっていかなければならないものだという御意見でございますか。

澄田智日本銀行副総裁

○澄田参考人 あくまで何年ということは私申し上げているつもりはございませんが、日本の場合必ずしも今これからスタートするというものではございませんで、今までも既にある程度進んできているわけでございます。したがいまして、これはどこから何年という問題ではないと思いますが、逐次環境とともに進んでいくもの、かように思います。

坂口力公明党・国民会議

○坂口小委員 ありがとうございました。では、終わります。

中村正三郎自由民主党・新自由国民連合

○中村(正三郎)小委員長代理 安倍基雄君。

安倍基雄民社党・国民連合

○安倍(基)小委員 諸先生方、どうも御苦労さまでございます。私、民社党でございますが、むしろ個人的な格好でいろいろ質問させていただきたいと思います。  私、この問題を考えるにつきまして、我が国はいろいろな条件があるだろう。基本条件としては、我が国はいわゆる貿易立国であるということが第一点。それとともに、高い貯蓄率を持っておる、それで間接金融方式でずっと来ておった、また企業の形態として中小企業が多いという基本条件があるのじゃないか。そこで要求されますものは、低金利政策であり、また為替の安定でもあるのじゃないか。もう一つ、現在条件としては何があるかと申しますと、米国の高金利と国債の累積、こういう二点がある。  そういう意味におきまして、自由化問題はこういった状況をにらみながら、果たしていいのかどうか。一般的に自由化というと、すぐいいということになりますけれども、それについでもまた十分配慮がさるべきではないかと思うのでございます。では自由化の中にどういうものがあるかと申しますと、いわゆるオープンエコノミーに移行する、資金の移動が自由になるという要素。そして内部では、いわゆる金利の自由化を中心とした金融の弾力性が出てくるということかと思いますけれども、相当の部分いわゆるオープンエコノミーに移行してきておる。それがどちらかと申しますと内部の金利自由化を押しているという感じかと思います。いろいろ論議がございましたけれども、一般に私の感じは、ほかの委員の御意見にもありましたけれども、やはりアメリカから要求されたからどうのこうのじゃなくて、本当に日本として徐々になっていくというならいいけれども、外圧によって無理に自由化をするというのはいささか問題ではないかという気持ちがあるわけでございます。  いろいろ問題はございますけれども、第一の問題といたしまして、金利政策がこれからどうなるか。簡単に申しますと、現在の日本は国債が非常に累積しておって財政は機能しておらない。こうなりますと、ある程度金融でもって景気調整をしなくてはならぬ。しかし、現在のアメリカの高金利を考えますと、資金移動が自由になればそれだけ海外に流れていって、さっきのお話に出ましたけれども、アメリカの高金利に引きずられるのじゃないかということかと私は思います。例えば日銀が公定歩合を下げようと思っても、いわば円安を触発するという問題もございますし、五十五年以降随分海外に資金流出がある。これは基本的にはやはりアメリカの高金利、これですべて物事が動くというか引きずられがちであると思います。  そういう意味合いにおきまして、日銀副総裁にお聞きしたいのでございますけれども、これからのいわば景気調整の面において金利政策をどう運用していかれるのか、従来のように低金利政策はとれなくなるのじゃないか、その点についてお聞きしたいと思います。

澄田智日本銀行副総裁

○澄田参考人 金融政策の運営に当たりまして基本的に考慮すべき事項といたしましては、やはり経済の動向、いわゆる景気でございます。それから物価あるいはマネーサプライと、幾つかの要素を見て、そうして運営をしていく、こういうことであると思います。もちろん、現在のように対外不均衡が大きな問題になっている場合には、円相場の動向というようなものも十二分に配慮していくということが必要であります。そういう意味合いにおきまして、やはりそのときどきの資金の需要供給によって金融の需給というものが決まってまいります。そういう需給というものを見て、そうしてそれが金利に反映をする。そういう金利というものを活用して、そして金融政策を進めていく。こういう状態が、今後の金融調節あるいは金融政策の上で必要な条件であろう、かように思うわけでございます。

安倍基雄民社党・国民連合

○安倍(基)小委員 私のあれは、現在アメリカの高金利が続くうちは我が国の貯蓄率が高い、蓄積された金が、結局はいわばアメリカのクラウディングアウトの解消といったら変ですけれども、これからもしどんどんと資金流出が大きな規模で続くとなりますと、ある意味からいうと、日本のせっかく蓄積したそういった貯蓄がむしろ海外で使われるのだ、そういう意味で、長期的には日本のいわば低金利的な政策というか、もちろん、必ずしも低金利がいいとは言いませんけれども、これから技術開発とかいろいろな面で低金利政策とかそういったものを考えなければいけないというときに一体どうなるのか。むしろ景気政策は、いわば税制の償却とかそういったことで考えるべきなのか、金利でやっていけるのかどうか、この点についてちょっとまだ私としては納得しないのでございますけれども……。

澄田智日本銀行副総裁

○澄田参考人 アメリカの高金利が我が国の金融政策の運営を制約しているのではないかという点につきましては、現状そういうような傾向があるということは否定できないことだと思います。そのアメリカの高金利の背景には、もちろん大幅なアメリカの財政赤字というようなことがあるわけでありまして、日本のみならず諸外国、西欧諸国等もそうでございますが、かねて国際会議の場等を通じて、アメリカの高金利の背景にある財政赤字の是正を強く求めてきたというのも、やはりアメリカの高金利がいろいろな制約を及ぼしているということに基づくものであるわけでございます。そういう限りにおいては、アメリカの高金利というものが今後の世界経済の中において是正されることを望んでおるのでございます。

安倍基雄民社党・国民連合

○安倍(基)小委員 私は、ある意味からいいますと、アメリカがそういった不自然な金利政策をしているうちは、余り自由化、自由化ということに対するアメリカの圧力に屈する必要はないのじゃないかという気持ちがしておるわけでございます。  話題を変えまして、もう既に話の出た問題でございますけれども、いわゆるユーロ円市場の問題。この点、これの動きが国内に反映して、要するに国内金融市場を乱すという面もございますけれども、ある意味からいいますと、私は、円が余り海外に手持ちされますと、例えば各国の法定準備とか取引に大幅に使われる。もし円に対する不安が生じたときに、それが急に売られるというような意味合いにおいて、どちらかというと相場の変動要因を大きくするのじゃないか。となりますと、我が国のように中小企業が多かったり、しかも我が国の中小企業は、単に国内で物を売るだけでなくて、随分海外にも輸出をしている。私が選挙区を回りますと、これから円はどうなるのでしょうと、いろいろ聞かれるのでございます。そういったときに、やはり我々としては、中小企業あたりが耐えられないような大きな為替変動があってはならないという意味合いにおきまして、国外における円の量が拡大することは余り好ましくないのではないかと考えておりますけれども、この点につきまして、日銀副総裁の御意見を承りたいと思います。

澄田智日本銀行副総裁

○澄田参考人 海外にあります円というものについて、これが急速に過大になっていくということは、確かにいろいろ影響の大きい問題であろうと思います。ただ、日本の経済の拡大、取引の発展に応じまして、自然に海外に円がふえていくということは、これはいわば自然の勢いでございまして、いかに円を運用し、あるいは円の資金を用いるという点についてコントロールをしながらその利用を図っていくかということが、今日のユーロ円の自由化問題であろうと思います。  その場合に、先ほどから申し上げておりますように、国内の金融・資本市場の自由化に並行し、あるいはこれとつり合いのとれた形、均衡のとれたような形でこれが行われることが望ましいということを申し上げた次第でございます。

安倍基雄民社党・国民連合

○安倍(基)小委員 さっき、ユーロ円債の幹事会社につきましては既に堀委員からお話がございましたので、私もこれを聞こうと思っておりましたけれども、省略いたします。  次に、さっき坂口委員から、中小企業がどうなるかという話がございましたけれども、それとの関連で、中小金融機関がどうなるかということが非常に大きな問題じゃないかと思うのでございます。と申しますのは、いわば預金金利が上昇してくる、そうしますと、どうしても資金コストが高くなる。ところが、海外あたりにどんどんと資金を使えるところは、いろいろな海外の高金利を利用することができますけれども、国内でのいわば顧客への貸出金利は余り上がらないという状況でございますと、単なる経費率を幾らよくするというか、経営を合理化しても追いつかなくなるという状況が次々と生まれてくるのではないか。さっき堀委員は、少しはつぶれても仕方がないというようなこともおっしゃいましたけれども、やはり日本のように企業形態が中小企業が非常に多いというときには、中小金融機関も必要であろう。となると、こういったいわゆる金融再編成といいますか、それが現在の状況をどう保ちながら徐々に移行するかということが大切だ、こう思うのでございます。その意味におきまして、今金利の自由化というのが余り早急に過ぎますと、これらに対して彼らが適応していくことができないのじゃないかと思うのでございますけれども、この点につきまして日銀と、そしてできたら地銀協の瀬戸山副会長に御意見を伺いたいと思います。

澄田智日本銀行副総裁

○澄田参考人 金利の自由化、なかんずく預金金利の自由化ということが急激に進みますと、金融機関の経営に大きな影響があるというのはおっしゃるとおりでございます。したがいまして、そういう点について十分に配慮しながら規制緩和を図っていくということが、やはりこの点からいって基本であろうと思います。最近の金融環境の変化というものは非常に大きいわけでありますので、これに適切に対処していく、そして金融機関の経営の効率化を図っていく、それが健全かつ効率的な経営であるというふうになっていくということは、何といってもやはり金融機関の経営の基本であろうと思います。自由化というのも、個々の金融機関がそういう経営をしていく、そういう前提の上に立って、自由化は避けて通れない道というようなことで取り組んでいく、こういうことであろうと思います。  そういう意味で、御指摘の点は自由化を進める上の基本的な一つの問題である、この点に対して十分配慮する必要がある、こういうふうに考えるわけでございます。

瀬戸山孝一社団法人全国地方銀行協会副会長

○瀬戸山参考人 金融の自由化、特に金利の自由化でございますが、どんどん進みますと、中小金融機関と申しますか、私ども地方銀行もそういう意味では中小金融機関でございますが、やはりその影響は大きいわけでございます。特に金利自由化で自由金利商品というものがどんどん出てまいります。自由化商品と申しますのは結局高金利の商品であって、今、現行の金利よりも低い金利というものは余り言わないので、大体高い金利が自由金利商品、新商品ということになるわけでございます。したがいましてコスト高になってくる。したがって私どもとしてはできるだけ冗費を節約して、経営の努力でそれだけの高い金利、上積みできるような金利を捻出しなければならぬわけでございます。それにつきましてはできるだけそういう努力をして、お客様のニーズにこたえるということでやっておりますけれども、これにはやはり限度がございまして、理論的には結局貸出金利の方に影響せざるを得ないことになってくるのでございます。そこはやはり非常な問題でございます。したがって、経営体質の強化を図りながら、そういう点、やらざるを得ないわけでございます。  先ほど安倍先生もちょっとおっしゃいましたように、例えばそれ以外に何かうまいあれを見出すかということでございますけれども、地銀は都銀と違いまして、例えば国際業務におきましてはなかなか十分な活動ができない状況でございますので、その辺につきましては都銀と地銀の差が実は出てきておるわけでございます。そういう点からいたしましても、金利の自由化に備えるためには制度、法律、あるいはいろんな面の規制、そういったものも、それに耐え得るような活動ができるような規制の撤廃をしてもらわなければ、制度は現行のままで金利だけがどんどん走ってしまうということになりますと、そこのところで私どもは非常に苦しい立場に立たされるわけでございます。  したがいまして、私どもは行政当局に対しましても、そういう意味で金融の自由化、金利の自由化に即応できるような体制、つまり今ございます規制を緩めていただいて、それに耐え得るような活動ができるような体制づくりをしていただきたいということは常に要望しておりますが、基本的には私どももそういう企業努力をして、効率化のためにできるだけ、お客様に高い金利をということにならないように努力するのは当然でございますけれども、同時にそういうことに早く即応できるような体制、つまり規制を緩和並びに撤廃していただくことが前提であろうかと考えておる次第でございます。

安倍基雄民社党・国民連合

○安倍(基)小委員 私どもが問題としておりますのは地方銀行とか信用金庫とか、そういった非常に小さい金融機関でございますけれども、こういったものはそれなりに、さっきの護送船団かもしれませんけれども、ずっと来ておった。それが中小金融の非常な世話をしてきたということもございますけれども、もし自由化が進みますと、地銀くらいまではいいかもしれないけれども、信用金庫あたりはどうなるんだろうか、私、非常に懸念しておるのでございます。この点につきまして、日銀の方から聞きたいと思います。

澄田智日本銀行副総裁

○澄田参考人 規制金利と自由金利が共存している、両方併存している、そういう状態のもとにおいてどうしてもそこに影響がある、資金のシフトが起こる、これはやむを得ないと申しますか、当然の現象として、今後自由化を進めていく上においてどうしても考えていかなければならないことであろうと思います。  先ほど来申し上げておりますように、金融機関が健全であって効率のよい経営をしていく、そのために経営として努力をするということは当然の前提でございますが、それにしても、規制金利と自由金利とがともにあるという状態においては、それによる影響がいろいろ出てくる、こういうことであろうと思います。そういう意味におきまして、今後金融の自由化全体が避けて通れないところであるということになりますと、やはり一定の秩序を持ちつつ漸進的に進めることが必要でございますが、やはり規制を外していくという方向で逐次自由化を進めていく以外にはないわけでございます。  御指摘の相互銀行あるいは信用金庫というようなところにおきましても、余り規制金利だけで参りまして、そういう点で縛られてまいるということになりますと、今度はそういうところに資金が集まらない、こういうことになってまいります。したがいまして、相互銀行、信用金庫、これは中小金融機関の一つの例として申すわけでありますが、そういうところにおいでも漸次自由な金利というものに即応しての経営体質というものをつくっていく、そのためには必要な時間をかすという問題ももちろんあるわけであります。しかし、基本的な方向としては規制金利を逐次自由化していくという方向でこれに経営を合わせていく、これ以外にないのではないか、かように思うわけでございます。

安倍基雄民社党・国民連合

○安倍(基)小委員 これからの銀行と証券とのいわば分野調整の問題がいろいろあると思います。これはそれぞれの主張もございましょうし、なかなかむずかしい問題かと思いますけれども、この点につきまして銀行協会の会長さんと証券業協会の会長さんの御意見を伺いたいと思います。

草場敏郎全国銀行協会連合会会長

○草場参考人 今銀行と証券とのいろいろな垣根問題と称するものが新聞紙上等にぎわしております。その分野の一つは海外での業務でありまして、海外では銀行も一部証券業務を行っておりますし、証券業もまた一部銀行業務を行っておるという状態でございます。  国内におきましては、銀行が公共債の証券業務を、先般の銀行法の改正で昨年から初めて窓販等を行うようになってまいりました。それからもう一つ、証券業界では約四年前でございましたか、流動性が極めて高くて利回りのいい中国ファンドといったような投資信託に進出しまして、ほぼ銀行の預金に似たような業務に進出してきている。そういうような形の中で、業際問題ではお互いが進出するような傾向が少しずつ強まってきているというのが現状でございます。  私は、この証券と銀行との垣根問題というものは、お互いに自分の業界において最も根幹となる基本業務は尊重していかなければいけないと考えておるわけでございますが、銀行の基本業務というのは申すまでもなく預金、貸し出し、為替でありまして、それの中核をなすのが決済業務であります。また証券業界のそれは株式であると思っております。そういった本業をお互いに尊重しながら、両方にまたがる業際の問題はお互いに少しずつ垣根を狭めていって、本来の顧客に対する金融資産の提供をするのが筋道であろうと思っております。そんなふうにだんだんなっていくだろうと考えております。

渡邊省吾社団法人日本証券業協会会長・日興証券株式会社取締役会長

○渡邊参考人 今のお話と重複するところもあると思いますけれども、銀行、証券それぞれに固有の業務を持っております。それは今のお話のように、預金とか決済機能が銀行の中心的な核のような業務だと思いますし、株式とかといったようなものについては証券の固有の業務だと思います。しかし、先ほどからお話がありますように、経済のいろいろな変革に応じまして、投資家のニーズなりあるいは資金調達の多様化なりといったような要請から、中心部分、核の部分の機能は変わらないといたしましても、周辺の業務、商品の開発等の面において、投資家ないしは顧客のニーズに即応していく、新しい時代の変化に即応していくという面が進んでいくことが、むしろ社会の進歩発展につながるのではないかと思います。そういう意味において、銀行もそういう努力を続けておられますし、我々証券界もその努力をしておるわけでございます。したがいまして、俗にそういう周辺の業務のオーバーラップしたところ、グレーゾーンなどと呼んでおりますけれども、そういった面では、お互いに似た仕事を開発し、進めていくという面が見られます。  しかし同時に、それぞれの持っております固有の機能をうまく組み合わせることによって、さらに新しいニーズにこたえていきたいといったような点では、提携という形で物事が進んでいるように思います。そういう効果が見られると言った方がよろしいかもしれません。まだ大いに発展しているとは言えませんけれども……。しかし米国あたりでいろいろな——全く米国と同じような方向で物が動いていくとは申せませんけれども、やはり一つの方向としては我々に示唆するところがあるのではないかと思います。したがって、今後の銀行と証券の関係は、そういったニーズにこたえて変化していく、その面でそれぞれの機能は尊重されるけれども、提携することによってお互いにその機能をさらに高めていくといったような努力が重ねられるのではないかというふうに思うわけでございます。

安倍基雄民社党・国民連合

○安倍(基)小委員 銀行協会の会長さんにばかり聞いておりますけれども、信託業務への外銀の参入という問題が大分持ち上がっておりますが、これは銀行協会全体としてはどういう考え方を持っておられますか。

草場敏郎全国銀行協会連合会会長

○草場参考人 銀行協会全体で考えたわけではございませんが、ちょっと私見を申し上げますと、アメリカの銀行は全部銀行と信託の併営でございます。日本では御存じのとおり、銀行と信託銀行というのははっきり分離されておる。そういうような形になっておりますので、私見でございますけれども、たまたまモルガンと野村証券云々というような形のものが今出ておるやに聞いておりますけれども、証券と信託とが併営して一緒にやっているというのはアメリカでもないわけでございまして、アメリカの銀行は、さっき申し上げたとおり銀行と信託との併営、それからドイツはたしか銀行と証券が一緒になって併営しているというような状況でございますので、今度のそういった信託に対する外銀、証券の参入という問題は、幾ら相互主義と申しましても、少し日本の今の金融制度にはなじまない、そういう感じを持っております。ただ、日本に進出しておる外国銀行が、アメリカと同じように信託業務の一部なり何なりをやらしてくれよというのなら、多少私も話はわからないこともない感じはいたしますけれども、証券と信託との併営というのはアメリカでもないわけでありますので、これは少し違うのではないだろうか、そういう感じを私見として持っております。

安倍基雄民社党・国民連合

○安倍(基)小委員 最初の基本条件、現在条件ということを言ったんでございますけれども、どうも私は、基本的には自由化問題は、内部からの動き、必要性もあるんでしょうけれども、余りアメリカからの強い要求でもってオープンしてしまうと、本来ならばアメリカは、高金利であるならば、ある程度は為替管理を——日本が随分おくれているといっても、日本の高い貯蓄率を考え、そしてこれだけ財政が機能を失ってきている状況においては避けられない道であるとしても、為替の自由化そのものについては反対じゃございませんけれども、果たしてこのままでいいんだろうかという心配があるわけです。その結果、こうやって国内に自由化が起こってくる。これも一つの動きでございましょうけれども、今お話しいたしましたように、非常に我が国においては中小企業が多い、中小金融機関も多い。しかもそのほとんどの中小企業の場合には、アメリカの中小企業というのは余り貿易に依存していないけれども、日本の中小企業というのは貿易に依存している。こういった連中が海外の動きに対して円高、円の相場の動向に非常に振り回されるというような状況がある。となりますと、アメリカにおける金利自由化というのとは少し意味が違うのじゃないか。  繰り返すようでございますけれども、日本の場合、せっかく高い貯蓄率を持って、低金利政策でやってきて競争力を持ってきた、為替相場も最初のうちは固定相場で行った、それが今やどんどんと金融的な要素でもって為替も動いてくる。そうすると、せっかくつくった成約なんかもたちまち為替の、いわば相場の変化でもって利益がすっとんでしまう、そのような状況が日本の社会には多い。こういうことを考えまするならば、アメリカ社会における自由化と少し意味が違ってくるのではないかというふうに私は考えるわけでございます。その意味合いにおきまして、これからの証券、金融の自由化も、中小企業にも目を向けた、日本の基本条件を見た上での自由化でなければならぬ。そのためにばたばたと中小企業が倒産していったり、あるいは中小金融機関が倒れていくという状況ではやはりおかしいんではないか。でございますから、いろいろ意見がございましょうけれども、時間をかけた自由化ということが必要ではないかと思われますし、その意味におきまして、さっきの坂口委員の意見とずれるかもしれませんけれども、私としてはもっともっと時間をかけたものがいいというふうに考えております。この点、いささか逆さまの質問で申しわけございませんけれども、副総裁の御意見を承りたいと思います。

澄田智日本銀行副総裁

○澄田参考人 金融をめぐる内外の環境でございますが、これが大変に変化をしております。冒頭でも申し上げさせていただきましたが、国債の大量発行ということ一つをとりましても、非常に量的に大きな、そしてまた奥行きの深いと申しますか、いろいろな機関の国債というものが既にあるわけでございまして、百兆を超える国債があって、そういう国債市場というものが成立をして、これが自由な金利で活発に取引されているという国内の状況というのがもう既にできてしまっているわけでございます。それから、各種の機械化が進み、エレクトロニクスバンキングというようなものも進展をしていく、これもやはり時の勢いでございます。それから、金利選好が非常に高まっている。これは企業だけでなくて、個人も非常に高まってきている。借り手としての個人というものも非常に大きくなってきている。中小企業は、先ほどからいろいろ御指摘がございますが、そういったような環境ができているわけでございます。  ここにおいて日本の金融あるいは資本市場というものが、活力のある市場として、今後経済の発展、その中には中小企業を含めての経済の発展というものに役立つ、そのニーズにこたえるものであるようにしていかなければならない。こういうことを考えますと、自由化というものもある程度のテンポを持って今後進めていきませんと、それはかえって経済の発展に支障を来すような硬直した金融制度ということになりかねない面を持っているということを御指摘させていただきたいと思います。

安倍基雄民社党・国民連合

○安倍(基)小委員 持ち時間が参りましたので、一応これで終わらせていただきます。

中村正三郎自由民主党・新自由国民連合

○中村(正三郎)小委員長代理 正森成二君。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森小委員 最初に、澄田日銀副総裁に伺いたいと思います。  澄田さんは、ユーロ円債の問題についてお触れになりましたときに、中央銀行のエフェクトが及びにくいという意味のことをたしかおっしゃったと思います。それは確かにそのとおりでございまして、例えばここに「金融財政事情」の五十九年一月二日号がございますが、その中でもこういうように指摘しているのですね。「海外からの円資金の自由な調達は現在の方式による金融の量の調節を事実上不可能にしよう。海外から円資金が自由に流入するのに、国内の銀行の貸付限度を設定しても無意味であることは当然だ。変動金利の導入は、長短分離という現在の金融秩序の維持を困難にしよう。」云々ということを言っておりまして、大蔵省が当面考えておるユーロ円債の自由化というのはどの程度のものか、まだきょうの新聞を見ましても、将来は変わってくると思いますが、長期的にはこういう問題点を含んでいることは事実だと思うのですね。  それで、中央銀行である日銀の澄田さんとしては、こういう問題について、将来的な展望も含めてどういうぐあいにお考えになっているか、まず最初に伺っておきたいと思います。

澄田智日本銀行副総裁

○澄田参考人 ただいまユーロ円債のこととして御質問ございまして、その点はおっしゃるとおりの面があるということは私も申し上げたわけでございます。コントロールしにくい面があるということでございます。しかし、ユーロ円という形でございませんでも、現在のように資本取引が自由化されてまいりますと、ドルにしてもあるいはその他の外貨にしても、これを国内に持ち込みまして、そうして円に転換して国内で使うという道がもちろんあるわけでございます。したがいまして、そういう資本の交流が自由になってきているという前提において、金融調節とか金融政策とかいうものをやっていかなければならない、ユーロ円の問題もその一環であろう、こういうふうに考えるわけであります。  そういう意味から、国内の資金の需給が自由なオープンマーケットというようなところで敏感に反映されまして、そうしてそういうオープンマーケットをコントロールする、そこの資金の需給を調節する、あるいはそこの金利を見ていく、こういうような形で金融調節が行われるというような形で国内の金利あるいはマーケットが自由化されておりますと、内外の移動によるいろんな金融調節上の障害というものが、両方とも自由度が同じであるというようなことになれば、それだけなくなってくるわけでございます。そういう意味におきまして、国内の金融市場、金利というようなものの自由化をまず進めていく、それと並行してユーロ円の規制というものも自由化をしていく、こういうことであろう。それが望ましいということを申し上げたのも、そういう意味で申し上げた次第でございます。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森小委員 次に、草場参考人に伺いたいと思います。  先ほどの最初の説の中で、金利の自由化というのは金利の上昇をもたらし、銀行だけでなしにかえって産業基盤を弱めるといいますか、業界の競争が激しくなるという意味のことをたしか言われたと思うのです。それはたしか瀬戸山さんもほぼそれと同じことを言われたと思います。私は、各党からいろいろ御意見の表明がございましたが、国債がこれだけ大量に発行され、特に期近物がどんどんふえて、一年定期、二年定期と競合する。その上に赤字国債の借換債、そういうものも行われるということになれば、これは好むと好まざるにかかわらず、金利の自由化というのは避けられない情勢であるという認識は多くの方と共通であります。ただ、これが必然の結果としてどういう影響を及ぼすであろうかという点については、いささか憂慮もしているわけであります。  その中で、例えば「金融と銀行」という雑誌の四月十三日号などを見ますと、座談会の中で銀行の倒産の問題がまともに論ぜられておりまして、「八三年四月の金融制度調査会の中間報告を見ると、これまでの「仮にも倒産さすべきではない」という方針から「仮に金融機関の倒産があれば」というところまで変化している。それが「倒産もやむなし」のところまで踏み切れるかどうかが、今後の大きな問題になる。金利の自由化が進めば、数年間のうちに戦後初めての金融機関の倒産の試練を経なければならないだろうと思います」云々という表現があるのです。従前の護送船団方式のときには、こういう言説は絶えてなかったことであります。これは、私は好むと好まざるにかかわらず直視せざるを得ない問題だと思うのです。  金利の自由化ということで資金コストが高くなれば貸し出しコストも高くせざるを得ないが、そういう貸出先を持っているところ、あるいは都銀のように海外で大いに経営をしてカバーできるところはいいけれども、それのできない中小企業というのはどうしても金利差が縮小し、ある場合には逆ざやになって経営困難になるという問題が必然的に起こってくるだろうと思いますね。こういう問題について、草場さんと瀬戸山さんは率直にどうお考えになっているか伺いたいと思います。

草場敏郎全国銀行協会連合会会長

○草場参考人 確かに金融の自由化、特に金利の自由化というものを急速に進めてまいりますということは、極端に言えば実体的に自由競争が極めて激化するということでありますから、そこに大きなフリクションが起こるだろう。特にアメリカのケースでは、ここ数年間でも年に四十行とか云々とかという銀行がつぶれているというような状況でございます。もっとも、アメリカの銀行は現在約一万五千弱の数でございます。日本の銀行に比べればはるかに多いわけでございますが、そういうことが言われているし、もう一つ、アメリカのケースは極めて自由競争主義でございまして、弱肉強食というのが極端に言えば当然の社会でもある。  そういう意味で、アメリカでそういうことが言われているわけでございますけれども、日本の場合は、昭和初期の金融恐慌以来、戦時中にかけまして強力な金融の合併が行われて、今の日本の金融機関の数は極めて少数になっている。しかもアメリカよりも一行当たりの金融資産も日本の方が多いという状態になっております。したがって、確かに自由化ということは競争が激化してまいりますけれども、自由化だけでどんどん倒産するというような金融機関が出るとも私は思っておりませんし、また歴史的に見て、銀行の倒産というのはほとんど全部と言っていいくらい不良貸し金に起因しているわけでございまして、経営が悪かったというところに起因しているのが多うございます。  都市銀行に比べて中小の金融機関云々とおっしゃいましたけれども、都市銀行も別に例外ではございませんで、むしろグローバルなところで業務を営んでおりますだけに、リスクももちろん大きいわけでございます。むしろ中小金融機関の方が、それぞれの地域と申しますか、一つのコミュニティーを持った営業活動をしておられる、また専門性を持った営業活動をしておられるということで、我々はこういった金利自由化に備えて自分たちの体質を当然顧客のニーズに合わせていかなければいけませんが、私どもの経営効率化の努力を重ねていけば、何とかそういうことはなしにいけるのではなかろうか、そういうふうに考えております。

瀬戸山孝一社団法人全国地方銀行協会副会長

○瀬戸山参考人 ただいま先生のお話しのとおり、長期金利は大量国債発行に伴いまして自由化されている。短期金利につきましても、規制金利ではございますけれども、期近物が、殊に来年あたりから大量に出回りますと、これは必然的に自由化せざるを得ないという状況でございますので、先ほども申しましたとおり、御預金をいただく方のコストはかかる、それに伴って、ではそれにペイするような貸し出しでお客様に貸し出しを受け入れていただくかとなりますと、なかなかそうはまいらぬような状況が当然出てくると思っておるわけでございます。  したがいまして、今後は、私ども地方銀行含めまして中小金融機関は相当経営が苦しくなることは事実でございます。しかしながら、やはりそこを何とか乗り切っていかなければならぬわけでございます。特に、私ども地方銀行は、地方におきましては地域の中心的な金融機関として、それぞれ地域との長い関連、連帯と申しますか、そういうことがございますので、そう簡単にこの地域のお客様のニーズを、大変だから云々というわけにもまいらぬわけでございますので、やはりここは何とか歯を食いしばってやらなければならぬわけでございます。  例えば、先ほど申しましたように、都銀さんはそういう意味では国際業務で我々と違って新しい分野がございますから、それで若干とも息をつく、あるいはうまくいけば相当な収益になるわけでございます。それが私どもとしてはそうございませんので、苦慮しておるところでございます。また、そういう預貸金の利ざやというものは今後は余り期待できないということになりますと、その他の業務の多様化が考えられるし、あるいはまた、銀行はいろいろなサービス業も行っておりますから、それに対する手数料収入で、ある程度コンスタントな収入源を確保するとか、いろいろな方面に今後特段に頭を向けていかなくてはならぬ、それが中小金融機関の今後の経営のあり方ではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森小委員 草場さんが、金利の自由化だけで倒れるというのじゃなしに、不良貸し付けがあるというようなところに非常に問題があると言われましたが、それはそのとおりだと思うのですね。しかし、不良貸し付けのあるところが金利自由化を機にして倒れる速度が速くなるということは、これは言うまでもなく言えることなんですね。  それで、日本の銀行はアメリカから比べて数が少なくて、特に戦前、戦争中に数が少なくなったという御指摘がありましたが、それは私どもの知っているところでは、昭和十年前後に馬場蔵相の有名な政策がありまして、満州事変以来の非常な国債大量発行、それを引き受けさせるために一県一行主義というのをやりまして、政府の銀行政策、金融政策として意識的に銀行を統廃合して、そして一県一行主義ということをやって国債の消化を促進したわけで、ある意味では、今の日本の情勢は、政府は上から一県一行主義というようなことはやらないかもしれないけれども、国債の大量発行に基づく金利の自由化、そして国際化によって、それが、言ってみれば自然の法則として行われるような情勢にあるのではないかという気がしてならないわけであります。  そこで渡邊さんに伺いたいと思いますが、草場さんが預金者保護、投資家保護というのが必要であるというようにたしかおっしゃったのですが、私は、それはそうであると思いますけれども、この二つはやはり厳密に区別すべきではないか。預金者保護というのは元本保証でその運用をお願いするのだけれども、投資家というのは、基本的には自分の責任でより有利な運用ということを考えてやるので、ですから株式の手数料というようなこともあるわけですね。そういう点から考えてみますと、先ほどのお話の中で、海外市場での社債の発行が急増しているということを言われまして、五十八年は四七%とおっしゃいましたか、それが何年か前には一五%ぐらいのシェアであるという御指摘がございました。これについては、海外市場での社債の発行というのが例えば無担保でもいいとか、条件がいいということもございますが、ことし出されました財政制度審議会の、一部の幹事役がまとめた報告を見ますと、こういうぐあいに海外での社債が急増しているというのは、ある意味では国債の大量発行に基づくクラウディングアウトが既に国内に起こっていると見られないこともないという、非常に興味ある指摘があるのですね。こういう点については、渡邊さんとしてはどういうぐあいにお考えになっておられますか。

渡邊省吾社団法人日本証券業協会会長・日興証券株式会社取締役会長

○渡邊参考人 ただいま御指摘の点は、冒頭の陳述でも申し上げました内容から引用されましたとおりでございまして、ごく最近には、海外での企業の社債による資金調達がふえている、国内よりもむしろ上回っているという、ちょっと異常な現象が起きたわけでございますね。しかし、そのこと自身は、先ほどクラウディングアウトとおっしゃいましたけれども、それよりもやはり、今途中ではおっしゃいましたが、海外の金利の方が安いとか、あるいは社債の発行手続が簡易であるとか、あるいは無担保で社債が出せるとか、いろいろな理由がございまして、海外の起債の方が、もちろん条件がいいという点がございますけれども、その上にそういった点がございます。  この点につきましては、産業界、特に経団連あたりを中心にいたしまして、日本の社債制度の改善を求めるという声が強くなってきております。しかし、私ども証券界としましても、従来ほうっておいたわけではございませんので、今までも、ここ一、二年、無担保社債の適債基準を緩和するとかいったようなこととか、あるいは非常に専門的になりますが、六年の社債の満期一括償還ということで、分括して償還をしないでする、その方が事業会社にとって難しくないですから。そういった制度を導入しますとか、いろいろな改善はしてきておりますが、さらに先ほど申しました海外の事情等も勘案いたしまして、この問題でさらに産業界と懇談を続けております。  産業界の希望は、無担保適債基準を一層緩和してほしい、あるいは社債発行限度は、御承知のように商法で決まっておりますけれども、枠の拡大をするとか、あるいは無担保でやる場合に、投資家保護の意味で格付制度をさらに整備して、欧米のようなそういった社債発行環境をつくってほしいとか、いろいろな要望がございます。こういう点につきましては、経済の構造変化あるいは国際化等から見ましても適当である、そうすべきであると私どもも考えておりますので、その考えに基づいて具体的に進めていきたいというふうに思います。先ほどのユーロ円債のお話ともつながりますけれども、そういった面で国内へのインパクト、影響を与えるという点も無視できないというふうに考えます。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森小委員 渡邊さんに引き続いてもう一つだけ具体的に伺っておきたいと思います。  新聞などを見ますと、例えば証券業界、野村さんとモルガンが協力して信託の方に参入したい、そのねらいは企業年金であるというようなことが相当大きく報道されております。都銀は都銀で、モルガンがやるならおれの方もやろうかというようなことで、思惑はさまざまである。ある新聞などは柔道をもじって、都銀やら証券は「外圧迫」というのをどうもやっているのじゃないかという表現もあるわけですが、これに関連して一部の雑誌に、年金問題は制度の管理運営と資産運用の一括引き受けが前提である、ところが、資産の運用だけをやらしてくれというのはいかがなものであるかというような表現があるのですが、証券の場合は、どこと提携するかは別として、企業年金に参入する場合は、運用だけでなしに制度の管理運営にまで踏み込もうとお考えなのですか。その場合は法律のいろいろな改正なども必要になってくると思いますが、いかがですか。お答えにくければ答えなくていいです。

渡邊省吾社団法人日本証券業協会会長・日興証券株式会社取締役会長

○渡邊参考人 今のお話は、年金の受託業務の分野に参入したいという話でございますか。——冒頭のちょっと生臭い話題ですが、アメリカ側の信託業務への参入、証券界も手をつないでおりますから、そういうもののお尋ねでございましょうか。前者の方でございましょうか。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森小委員 前者の方はお答えにならなくて後の方、生臭い方じゃなしに理論的な問題だけです。生臭い方は導入部で申し上げたので、別にお答えになる必要はないです。  もう一度申し上げますと、年金問題は制度の管理運営と資産運用がある。そのどちらか一方だけというのはいかがなものかという説がありますが、それについてはどうお考えになりますかという、純粋に理論問題です。

渡邊省吾社団法人日本証券業協会会長・日興証券株式会社取締役会長

○渡邊参考人 大変理論的でないものですから、御質問に十分お答えできるかどうか存じませんけれども、今、御承知のように厚生年金基金とか適格年金とか非常に伸びております。したがいまして、そういった年金の運用につきましては、今信託銀行と生命保険会社でしょうかに限られておるということでございますけれども、今のような伸びを考えますと、殊に年金の運用というのは長期でございますから、運用成果というものが非常に大きな影響を与えるであろう。これから高齢化社会になってくるといったような点とか、あるいは年金給付率の改善とか、料率を引き上げなくても済むようにするにはどうしたらいいかとか、その点から考えますと、運用の効率化が必要であるという点から、ある程度他の金融機関の参入を認めて、そして競争原理を高めるということが必要じゃないかというふうに考えまして、私ども証券界ではこういった、先ほどから申し上げておりますような、投資家の金利選好の高まりに応じて投資対象の多様化にいろいろ苦心してまいったわけでございますし、事業法人や公共法人やいろいろな機関投資家の資産運用や管理の効率化というようなことについて努力してまいっておりますので、ぜひそういった点について我々も参入させていただきたいというふうに要望しておるわけでございますから、制度並びに実際の運用について希望しておるというふうに御理解いただいていいのではなかろうかと思います。お答えになっておりましょうか。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森小委員 結構です。  時間がございませんので、最後の一問で終わらせていただきます。  草場さんに伺いたいと思いますが、先ほど他の党も言われたと思いますが、金利の自由化の場合に、国民サイドからいいますと、零細な預金金利は低く固定しておいて、それの運用等だけは自由化するというのは、銀行は虫がいいではないかというのがやはり庶民の中にあるわけですね。臨時金利調整法で低く抑えられていることによって、今までは高い収益を保証されてきたということは否めないと思うのです。  やはり「金融財政事情」の匿名の座談会がありまして、この座談会で非常に厳しいことを言っております。これは断っておきますが、私が言っているのじゃないのですね。この雑誌が言っているのです。「だいたい日本においてこんなに金融機関が必要なんだろうか。半分は必要ないのではないか。必要以上の金融機関を抱えている意味合いは顧客利便性ではなく、失業救済という側面が多分にある。そのために国民は低い金利に甘んじてお金を少しずつ拠出し合って銀行員の失業を食い止めているようなものだ。大銀行になるといまや看板をたたんで、頭取一人で自己資金を運用していたほうが、よほど収益があがる。」「そのとおり。」こういう座談会になっているのですね。後でお読みいただいたらいいと思いますが、こういう声についてどうお考えになりますか伺って、私の質問を終わります。

草場敏郎全国銀行協会連合会会長

○草場参考人 金融機関が多過ぎる、銀行員の失業救済のためにこれだけ数があるんだというようなお話があるかと思いますが、率直に申し上げて、アメリカは商業銀行が一万五千ありまして、信用組合まで入れると約四万機関あるわけでございます。日本は全国銀行は八十六行でありまして、あと農協、漁協まで入れていきますと約七千三百くらいになりまして、アメリカに比べまして日本の方が、私ははるかに効率的であると思っております。また、高い収益を銀行だけが上げているというふうに、まあそういう点があるかもわかりませんけれども、どちらかといえば国民の厚い貯蓄心の中で貯蓄を集めて、しかもそれをできるだけ運用といいますか、企業サイドといいますか産業界、政府部門には低金利でそれをお出しして、そして日本の産業自身を高めて、その産業の発展の中で国民生活がまた全部豊かになっていくという循環を繰り返してきていると私は思うのでございまして、その意味で決してそういうようなことはないというふうに思っております。  もう一つは、先ほども申し上げましたけれども、アメリカは非常に厳しい自由競争社会でございまして、強いやつは勝っていいよ、弱いやつは死んでしまえという、極端な言い方をすればそういうところがございますけれども、日本は単一民族でありますし、レベルも高く、そして勤勉でもあり能力も高いわけであります。一億二千万全員がひとしく極めて民主的に飯を食っていくというのが日本の宿命ではなかろうかと思っております。先ほどの御質問は、そういうふうな観点から少し筋が違っているのじゃなかろうかという感じがいたしますので、そういうふうに申し上げておきます。

正森成二日本共産党・革新共同

○正森小委員 雑誌にそう言っておるということですから……。  どうも長時間ありがとうございました。

中村正三郎自由民主党・新自由国民連合

○中村(正三郎)小委員長代理 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々には、御多用中のところ御出席いただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十一分散会

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