社会労働委員会 第34号
- 発言数
- 457 件
- 登壇者
- 50 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1984/11/20
会議録
○有馬委員長 これより会議を開きます。 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。 理事今井勇君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○有馬委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○有馬委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 それでは、理事に小沢辰男君を指名いたします。 ————◇—————
○有馬委員長 この際、欧州派遣議員団を代表して、御報告を申し上げます。 先般、私どもは、本院から派遣されまして、欧州各国社会保障制度並びに労働事情調査議員団といたしまして、西ベルリン、東ドイツ、オーストリア、ハンガリー、イギリス及びフランスの主として社会保障制度並びに労働事情について調査をいたしてまいりました。 私どもの正式の報告書は、議長に対しまして提出することになっておりまして、目下鋭意作成中でございますが、私ども調査議員団は、本委員会のメンバーをもって構成されたものでありますので、この際、御参考までに、調査の概要につきまして私から御報告いたします。 議員団は、稲垣実男君、愛知和男君、丹羽雄哉君、村山富市君、池端清一君、塩田晋君、田中美智子君と、団長といたしまして私、有馬元治の八名でございますが、これに、事務局から委員部山田第五課長、厚生省から木戸審議官、労働省から労政局廣見労働法規課長が同行いたしました。 私ども一行は、去る九月二十五日夜、成田空港を出発し、アンカレッジ、ハンブルグを経由して、現地時間の二十六日早朝、最初の訪問地である西ベルリンに到着いたしました。 西ベルリンでは、まず、西ベルリンの周囲を囲み、東西を分割する壁を視察、その壁の前に立って現実の厳しさを深く感じ、次いで、弾痕の跡が生々しく残る旧日本大使館を視察しました。 午後は、西ベルリン市政府フィンク厚生・社会・家庭庁長官及び同市政府ヴロンスキー労働事業庁長官とそれぞれ会談をいたしました。これらの会談を通じて、陸の孤島とも言うべき西ベルリン市の特殊性を知るとともに、また、逆に、西側諸国に共通する諸問題についても再確認をすることができました。 翌二十七日は、検問所をくぐって東ベルリンに入り、直ちにメックリンガー東ドイツ保健大臣を表敬訪問しました。 本年六月来日されたばかりの同大臣は、大変友好的な雰囲気の中で我々を歓迎し、東ドイツの社会保障事情について精力的に説明をされました。同大臣とは、東ドイツ人民議会参観後に設けられました同大臣主催の昼食会におきましても、乾杯の合間に十分な意見交換を行うことができました。 その後、バイロイター労働賃金庁長官を訪ね、我が国とは異なる社会主義体制のもとでの東ドイツの労働事情について、同長官のエネルギッシュなレクチャーを受け、意見交換を行いました。 翌二十八日朝、私どもは、東ドイツ外務省にフィッシヤー外務大臣を表敬訪問いたしました。 同大臣は、我が国と東ドイツとの両国関係のみならず、広く国際情勢、平和問題についてもその所見を述べられ、私からは、これらの問題は私どもの委員会の直接所管するところではないが、政治家としては一番重要な問題であると考える旨とあわせて、若干の所見を述べて意見の交換を行いました。この会談でフィッシヤー外務大臣が述べられた「一発のミサイルより百回の交渉がまさる」という言葉が印象に残っております。 同二十八日午後、私どもは、空路ウィーンに入りました。 ウィーンでの滞在は土曜日と日曜日であったため、宮澤大使等から、政府・使用者・労働組合の三者がオーストリア的社会パートナーシップでかたく結ばれた協調路線がとられているのが特徴であるオーストリアの社会労働事情の概要について説明を受けたほか、国会議事堂参観、オペラ鑑賞、ウィーン少年合唱団のミサ見学などで週末を過ごしました。 三十日の夕刻、私どもは、ハンガリーの首都ブタペストに入り、翌十月一日、ハンガリー国家計画庁内にファルヴェーギ副首相を表敬訪問し、社会保障制度と労働問題を中心に意見の交換を行いました。 同副首相は、自分はハンガリー政府の中にあって対日関係強化の主唱者である旨を述べられ、また、ハンガリーが完全雇用を達成したことは戦後の最も大きな成果ではあるが、生産性については西ヨーロッパ諸国より相当遅れている、したがって賃金水準も低くなっているので、今後生産性向上対策に力を入れていきたいと考えていることなどを大変率直に話されました。 次いで、私どもは、ブタペスト市内のデーケア老人ホームを視察いたしましたが、ここではホームの概要と運営についての意見を聞いただけでなく、ここに通所されている老人の方々と一緒に歌を歌ったり踊ったり写真におさまるなど、言葉を超えた人間同士の触れ合いをすることにより、体制を超えて共通するこのような施設の意義を感じ取ることができたように思われます。 次いで、同日午後はハンガリー国会を訪ね、ペシュタ保健社会委員長と懇談を行った後、同国会を参観いたしました。 十月二日は、ブタペストからロンドンへと移動し、翌三日の午前、イギリス保健・社会保障省を訪問、まず、同省のギルバート国際局長及びアチソン医務局長から、イギリスの社会保障制度や医療制度の実情、さらに同国の国民保健事業であるNHSの見通し問題などについて詳細な説明を受けた後、同省政務次官のアーサー卿と意見の交換を行いました。 午後からは、約百年前に建築されたNHSの中核的病院であるセントトーマス病院を視察し、その後ボトムレー雇用閣外大臣と会談し、長期化しているイギリスの石炭ストや港湾スト問題、労使関係の適正化を目指して行われた労働組合法の制定などについての説明を聞き、意見の交換を行いました。 十月四日には、最後の訪問地であるパリを訪れました。 フランスでは、同日午後、フランス国民議会を訪ね、文化・家庭・社会委員会委員の方々と懇談をいたしました。ここでは、ミッテラン政権になってから企業内の労働者の権利拡大などを図るために成立したオールー法などが話題となりました。 その後、社会問題・国民連帯省のエノー官房長と懇談の機会を持ちました。 翌五日午前、私どもは、デルバール労働・雇用・職業養成大臣を訪問し、失業問題などについて会談を行いました。 私ども調査団は、以上のような多忙な日程を消化し、十月六日パリを立って、七日に無事帰国いたしました。 今回の調査団は、ヨーロッパの社会主義国と資本主義国とをそれぞれ訪問いたしてまいりました。 ごく短期間の調査でありましたので、ここで結論めいたことを申し上げることは適当ではないかと思いますが、西側諸国ではやはり失業問題がいずれの国にも共通する大きな問題であり、今後この問題については国際的レベルで緊密に協力し合っていくことの必要性が痛感されると同時に、このような考え方に対する共感の言葉も聞くことができたと思っております。これに対し、東側諸国では失業はないとされ、少なくとも表面的にはこの問題があるとはうかがい知ることはできませんでしたが、生産性の低さ、そこから来る賃金水準の相対的低さなどに問題があると見られました。 社会保障制度については、人口の高齢化という共通する背景事情と、それぞれ各国の個別事情に応じながら、国民の福祉の向上のために、それぞれ真剣な制度運用や制度改善の努力が行われているとの印象が残りました。 大使館等で聞いた各国の社会保障制度及び労働事情並びに各国要人との会談内容につきましては報告書に譲らせていただくこととし、以上、訪問先の概要につきまして簡単に御報告申し上げました。 最後に、今回の調査に当たり種々の御協力をいただきました各位に心から感謝申し上げるとともに、充実した調査日程を消化することができましたことを心からお喜び申し上げますとともに、報告をさせていただいた次第でございます。 まことにありがとうございました。(拍手) ————◇—————
○有馬委員長 次に、このたび国民年金法等改正問題についての実情調査、社会保障制度、医療、公衆衛生及び社会福祉事業等の実情調査並びに労使関係、労働基準及び雇用・失業対策等の実情調査のため、北海道及び鹿児島県に委員を派遣いたしました。 この際、派遣委員からそれぞれ報告を聴取いたします。第一班稲垣実男君。
○稲垣委員 第一班につきましては、私から御報告いたします。 第一班は、私のほか、委員長有馬元治君、理事丹羽雄哉君、理事池端清一君、理事塩田晋君、委員西山敬次郎君、委員森井忠良君、委員大橋敏雄君、委員浦井洋君の九名であり、このほか、委員箕輪登君が現地参加をされました。 まず、十一月十二日北海道庁に参り、知事会議室において、加賀谷出納長及び民生、衛生、労働の各部長から、北海道における最近の福祉、衛生、労働の各行政の概要について説明を聴取いたしました。 席上、道側からは、昭和六十年度予算編成に当たり、社会保障関係補助金の国庫補助率を現行どおり確保すること、社会福祉施設の整備費補助制度を改正すること、医師の確保、エキノコックス症予防対策費の国庫補助措置及び季節労働者対策として公共事業の追加補正、道内各市町村の冬期就労事業に対する財政援助について、強い要望が表明されました。その後、身体障害者援産施設である美園更生園に参り、岡崎園長から説明を聴取した後、園内の作業の状況等を視察いたしました。 当施設では、在宅の障害者を含め七十余名の方々が援産活動を行っており、そのうち約半数以上の方々は重度障害者であります。障害者の皆さんは、和裁、洋裁、事務服などの縫製作業、プリント用機器の操作、印刷作業を行っており、職員に励まされながら、懸命に技術習得に努め、社会復帰を目指している姿に深く感銘した次第であります。 翌十三日は、北海道厚生年金会館会議室において、国民年金法等改正問題について現地における各界の代表者から意見を聴取いたしました。 まず、意見陳述者として、財団法人北海道国民年金福祉協会理事長長友浪男君、北海道高齢者退職者の会連合会事務局長長野誠市君、北海道厚生年金受給者協会連合会常務理事野呂正義君、北海道大学教授真野脩君、社会福祉法人北海道社会福祉協議会身体障害者福祉施設協議会会長池永義啓君、北海道電力労働組合書記長谷口忠義君の六名の方から参考意見を聴取いたしました。 陳述者の意見は、長友君、野呂君、池永君からは、改正案の早期成立を望む旨の意見が、真野君、谷口君からは、基本的には賛成であり、評価できる旨の意見が、長野君からは、反対の立場から意見が述べられました。 長友君、野呂君、池永君、真野君、谷口君からは、人口構造の高齢化が進んでいる中において、健全かつ安定した年金制度の確立を真剣に検討する時期に来ている、三種七制度に分立している年金制度は、官民格差是正に向けても一元化が必要である。また物価スライド制の改善、世代間、同一世代間の公平化、障害年金の充実による障害者の所得保障の確立、基礎年金の導入等において賛成である旨の意見がありました。 なお、国民年金への所得比例制の導入や単身者の老齢基礎年金の給付額のあり方、ポイント方式の採用、共済年金との一元化、五人未満事業所及びパートタイマーへの厚生年金保険の適用等について検討されるべきである旨の意見がありました。 長野君からは、年金制度の抜本改正と本年度の物価スライド措置が同一の法律案として提出されている、年金制度は、抜本改正でなく現行制度の維持を第一と考えるべきである、老齢基礎年金の額が四十年加入で五万円では低過ぎる等の理由により反対である旨の意見でありました。 以上のような意見が述べられた後、各委員との懇談に入り、障害年金の充実、給付水準の現状と将来、基礎年金額と生活保障の関係、年金への寒冷地加給、国民年金への所得比例制の導入、物価スライド制、無年金者対策、官民格差の解消、雇用と年金支給開始年齢の関係及び年金財源と保険料の負担等について熱心な意見交換が行われ、会議を終わりました。 なお、会議の内容を速記により記録いたしましたので、詳細は会議録によって御承知願いたいと思いますので、会議の記録ができましたならば、本委員会議録に参考として掲載されますようお取り計らいをお願いいたします。 次に、翌十四日は、北海道立札幌高等職業訓練校に参り、北海道労働部当局及び鈴木校長から、職業能力開発の実情等について説明を聴取した後、職業訓練の状況及び校舎の建てかえ現場を視察いたしました。 当校においては、中学校、高等学校等の新規学卒者を対象とする養成訓練と、離職者を対象とした能力再開発訓練を二百四十人規模で実施してきておりますが、近年、職業能力開発を取り巻く環境条件は、マイクロエレクトロニクス等技術革新の進展、高齢化社会への移行、サービス経済化による職業能力開発領域の拡大と変容、女子の就業パターンの変化等急速な変化を見せてきております。 当校は現在、校舎の建てかえを計画的に実施しているところでありますが、この新校舎の完成を契機として、職業能力開発を取り巻く環境の変化に対応する体制を確立し、企業が必要としている技能労働者の養成を積極的に推進していくことにしております。 以上をもって、第一班の調査報告を終わりますが、終わりに、今回の調査に御協力を賜りました関係者各位に対しまして、衷心より感謝の意を表明する次第であります。 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○有馬委員長 第二班今井勇君。
○今井委員 第二班につきましては、私から御報告いたします。 第二班は、団長を務めました私のほか、理事村山富市君、理事平石磨作太郎君、委員自見庄三郎君、委員谷垣禎一君、委員網岡雄君、委員塚田延充君の七名であります。このほか、委員長有馬元治君、委員長野祐也君、委員小沢和秋君並びに上西和郎君が現地参加をされました。 まず、十一月十四日空路鹿児島市に入り、直ちに空港ホテル会議室において、民生労働部長から、鹿児島県における高齢者の現状等について説明を聴取いたしました。 同県における高齢化は、全国水準より約十五年先行しており、また、離島が多く、過疎化が進行している。このため、特に老人福祉対策に、より積極的に取り組み、昭和六十年度には、老人福祉施設整備計画により特別養護老人ホームを新設、増改築合わせて四カ所整備する等定員の増加を図っているとのことでありました。 その後、特別養護老人ホームである三船園に参り、施設長から説明を聴取した後、園内を視察いたしました。 当施設においては八十七名の寝たきり老人が生活しておりますが、そのうち六割は八十歳以上の高齢者であります。これらの常時介護を要する老人に対し、施設に従事する職員の方々が懸命に介護に当たっており、施設全体に明るい雰囲気を感じました。人生八十年時代を迎え、今後ますます増大する寝たきり老人等への対応について、社会的責任の重要性を改めて痛感いたした次第であります。 翌十五日は、鹿児島県議会全員協議会室において、国民年金法等改正問題について現地における各界の代表者から意見を聴取いたしました。 まず、意見陳述者として、社団法人鹿児島県国民年金協会連合会会長福元清輝君、鹿児島県退職婦人教職員連絡協議会事務局次長中原タエ君、社会福祉法人鹿児島県身体障害者福祉協会会長近藤重和君、福岡大学教授石田重森君、鹿児島経済大学教授小林節夫君、鹿児島地方同盟副会長二宮誠君の六名から、参考意見を聴取いたしました。 陳述者の意見は、福元君、近藤君、小林君からは、改正案の早期成立を望む旨の意見が、石田君、二宮君からは、基本方向としては賛成であるが慎重審議が必要である旨の意見が、中原君からは、反対の立場から意見が述べられました。 福元君、近藤君、小林君、石田君、二宮君からは、本格的な高齢化が進む中で、国民の老後生活の基礎となる国民年金、厚生年金などを、長期にわたり健全で安定化した制度に見直しを行う時期にきている。現行の年金制度は縦割りの制度となっており、この制度間格差を是正する方向で一元化が必要である。特に鹿児島県においては高齢化が全国水準より先行しており、年金への依存度が高く、基礎年金の導入や婦人の年金権の確立、障害者の所得保障の充実改善等は高く評価できるもので、賛成である旨の意見がありました。 なお、基礎年金の給付水準のあり方や国民年金への所得比例制の導入、老齢厚生年金の給付水準及び支給開始年齢、保険料の負担割合、積立金の管理運用、共済年金への基礎年金の導入等について検討さるべきである旨の意見がありました。 中原君からは、現行制度を維持しながら二十年後も積立金はふえるのに、年金統合を急ぐのは時期尚早である。また、積立金の運用に問題があり、有効に運用すれば保険料率の緩和ができる。老齢基礎年金は四十年加入で一人五万円という額は低過ぎる等の理由で、反対である旨の意見でありました。 以上のような意見が述べられた後、各委員との懇談に入り、障害者の所得保障、国民年金への所得比例制の導入、婦人の年金権、基礎年金の給付水準のあり方、社会保障及び租税負担の限界、改正案の審査のあり方、年金の支給開始年齢と雇用の関係、給付と負担の適正化等について、熱心な意見の交換が行われ、会議を終わりました。 なお、会議の内容を速記により記録いたしましたので、詳細は会議録によって御承知願いたいと思いますので、会議の記録ができましたならば、本委員会議録に参考として掲載されますようお取り計らいをお願いいたします。 次に、翌十六日は、まず、鹿児島身体障害者職業訓練校に参り、校長から概要の説明を聴取した後、施設を視察いたしました。 同校においては、電子機器科、洋裁科、経理事務科を中心に七科目の訓練科目に、現在六十三名の訓練生を対象に訓練が行われておりますが、そのうち約四〇%は障害等級一、二級の重度障害者で、また高齢者も多数入校しております。このため、訓練に当たっては、一人一人の障害者の特性に応じて弾力的な職業訓練を実施するよう特に配慮され、また、訓練以外にも生活指導、職業指導、余暇指導に力を入れ、職業を通して自立更生できるよう懸命に努力されており、訓練を受けている障害者の真剣な姿に深く感銘いたした次第であります。 このほか、九州富士通エレクトロニクス工場及び鹿児島勤労者いこいの村「いむた池」を視察いたしました。 以上をもって第二班の調査報告を終わりますが、終わりに、今回の調査に当たり、終始御協力をいただきました関係者各位に対しまして、心から謝意を表明する次第であります。 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○有馬委員長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。 お諮りいたします。 ただいま御報告のありました第一班及び第二班の現地における会議の記録が後ほどでき次第、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○有馬委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔会議の記録は本号(その二)に掲載〕 ————◇—————
○有馬委員長 この際、厚生大臣及び労働大臣並びに厚生、労働両政務次官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。増岡厚生大臣。
○増岡国務大臣 このたび厚生大臣を拝命いたしました増岡博之でございます。今後ともよろしくお願いいたします。 私は、昭和四十年代に社会労働委員会に席を置いておりましたが、今日ではその当時と時代の様相は大きく変わっております。 この間、社会保障は国民生活に一層深いかかわりを有するようになっており、厚生行政の重責を改めて痛感しております。 私は、二十一世紀に向けて、新しい福祉の時代の基盤を築くため、皆様とともに努力してまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。 皆様御案内のとおり、我が国は、人生八十年時代を迎え、人生五十年型の社会から人生八十年型の社会へと、大きな社会変革を求められております。とかく高齢化社会というと暗いイメージで語られがちでありますが、私は、本来喜ぶべき長寿を心から喜び、生きがいを持って安心して長生きできる明るい社会の構築に努力していかなければならないと思っております。 これは政府全体の課題であり、官民挙げて対応していくべき問題でありますが、社会保障の分野では、公平で安定した制度の確立に努めることが何よりも必要なことと存じます。 現在御審議をいただいております年金改正法案は、本格的な高齢化社会においても揺るぎない年金制度を確立していくことを目指したものであり、その早期成立をぜひともお願いを申し上げます。 また、医療保険制度の改革につきましては、さきの国会で皆様方の御審議をいただきましたが、御審議を通じて示されました今後の課題に誠心誠意取り組んでまいる所存でございます。 特に健康対策につきましては、明るく活力のある福祉社会を築くために欠くことのできない重要な課題でありますので、全力を挙げて取り組んでまいります。 さらに、寝たきり老人や障害者などの恵まれない立場にある方々の福祉の向上につきましても、極めて重要な課題であり、きめ細かく配慮しながらその施策の充実に努めてまいりたいと考えております。 今後、委員各位の御指導、御鞭撻を得ながら専心努力し、社会保障制度に寄せられる国民の期待と信頼にこたえてまいりたいと考えております。 何とぞ、格段の御理解と御協力を賜りますよう重ねてお願いを申し上げます。(拍手)
○有馬委員長 山口労働大臣。
○山口国務大臣 このたび労働大臣を拝命いたしました山口敏夫でございます。よろしくお願いいたします。 私は、今から二十二年ほど前に、石田博英労働大臣の秘書官としてスタートさしていただきまして、労働省は大変御縁のある役所ということもございますが、しかし、その間、大変大きな社会変化、また労働環境の状況も大きく変わっておるわけでございまして、特に今日におきましては、高齢化社会に伴う高齢者の雇用の問題、また男女の雇用の均等の問題、またさらに技術革新、ME化等に伴います大きな労働条件の変革の中に、労働行政も置かれておるわけでございます。どうかひとつ、委員各位、先生方の御鞭撻、御叱正をいただきながら、よりよき雇用環境の整備充実のために、一層の努力、研さんに励みたい、かように思う次第でございます。 特に我が国は、資源もなく、まさに人材本位の中で、今日、国際社会におきまして大きな責任と役割を担っておる、こういうことでもございます。私は、厚生大臣と同時期に、皆さんと同じ社労委員会でいろいろ仕事をさしていただいた経験もございます。どうか今回を契機に、委員長を初め社労委各位の諸先生方の一層の御鞭撻のほどを心からお願いをさしていただきまして、大臣としてのごあいさつにかえる次第でございます。 よろしくお願いいたします。(拍手)
○有馬委員長 高橋厚生政務次官。
○高橋(辰)説明員 このたび厚生政務次官を拝命いたしました高橋辰夫でございます。 ただいまの大臣のごあいさつにもありましたように、我が国は、人生八十年時代を迎え、大きな社会変革を求められております。社会保障の分野でも、人生八十年時代の到来にふさわしい制度設計や施策の充実など、課題が山積しております。私は、大臣を補佐し、これらの課題の解決に向かって全力を傾ける所存でございます。 何とぞ、よろしく御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
○有馬委員長 浜野労働政務次官。
○浜野説明員 このたび労働政務次官を拝命しました浜野剛でございます。 労働行政に対する国民の期待にこたえ、労働行政の発展に全力を尽くしていく考えでございます。どうか、委員長を初め委員各位の御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。(拍手) ————◇—————
○有馬委員長 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲垣実男君。
○稲垣委員 増岡大臣、御就任おめでとうございます。 今、厚生省にとりまして一番大事な時期でありますし、重要問題を多く抱えている大変難しい時期でもあります。大臣に就任されたわけでございますので、めでたいという言葉よりも、大変御苦労さまと申し上げるべきかもしれません。どうかこの重責を立派に果たして、大臣の言われますように、二十一世紀に向けての揺るぎない基盤を固めるための仕事をぜひやり遂げていただきたい、大いに期待しているところでございます。 きょうは、閉会中ではございますが、第二次中曽根内閣が発足して間もないところでありますが、重要問題を抱えている厚生行政を担当する増岡大臣に御出席をいただきまして、懸案の法案等を含めて厚生行政について審議をするという、まことに時宜を得た重要な委員会であると思います。 そこで、早速大臣にお尋ねしたいと思いますが、大臣は、ただいまの御就任のごあいさつの中でもあるいはいろいろな機会で、高齢化社会という言葉はやや暗いイメージがあるとおっしゃいました。確かに、人口が高齢化して大変だという後ろ向きのとらえ方をするとそうかもしれませんけれども、もっと前向きの姿勢で受けとめるべきだと私は思います。 そこで、大臣は、人生八十年時代の高齢化社会をどのようなものとしてとらえていくべきか、どのようにお考えなのか、二十一世紀に向けて厚生行政をどういった方向に持っていくべきかという、もっと積極的な姿勢についてまずお尋ねしたいと思います。
○増岡国務大臣 ただいま御指摘のとおりでございまして、高齢化社会といいますと暗いじめじめした印象を与えます。私が一番痛感しておりますのは、新刊書が発行されますと年金の解説書が書店で一番早く売れる、しかもそれが三十代の方々であるというようなこと、それからいろいろなことから、せっかく長生きしながらお年寄りが若い方々に御迷惑をかけておるのではあるまいか、そういう暗い気持ちでおられるという現象に目をつけまして、当面ぜひとも年金法の改正を成立させていただきますことが、若い方々も安心をして働ける、あるいはまたお年寄りも胸を張って、今まで長年苦労してきたのだからというお気持ちで過ごしていただく基盤になるのではないかと思っております。 それと同時に、今おっしゃいましたように、ただ、現在ある五十年型から八十年型への転換のおくれのみを回復するということじゃなくして、もっと積極的に前向きな時代を迎えなければならぬと思います。それには、過去のいろいろな世の中の仕組みが五十年型になっておりますから、例えば人生六十年で完結ということで、親子三代の間のライフサイクルといいますか、そういうものの枠組みが多少現実に合ってない、そういうことから、大げさに言うと八十年間の人生の過ごし方といいますか、そういうものにスポットを当てて、そしてその中で、国民も今それぞれ健康のためにいろいろなことを考えておられると思いますけれども、行政としてもその手助けをしてさしあげなければならぬという意味で、今後十分努力をしてまいりたいというふうに思っております。
○稲垣委員 ただいま大変力強い、また張り切ったお考え方を承りまして、大変安心いたしました。ともかく、そういった明るいイメージとしての二十一世紀の展望としての高齢化社会、そのためには公的年金制度は不可欠でありますし、また揺るぎないものにしていかなければなりません。 そこで、私は、この問題について少しお聞きしたいと思います。 先国会に国民年金法等の一部を改正する法律案が提出され、審議に付されました。七月の二十六日、八月一日の二日間にわたって慎重に、また十二分に審議が行われました。翌日の八月二日には、参考人の六人の先生方の御出席を願いまして貴重な御意見を述べていただいたり、また各委員からの質疑にも答えてもらったのでありますが、先ほど報告のありましたように、この十一月十三日には北海道札幌市で、十五日には鹿児島市で、委員派遣、地方公聴会を開いて、これまた六人の先生方の意見陳述を願ったわけであります。そうして、各派遣委員からの活発な質疑にも答えていただきました。地方の抱えている特異な問題点、要望、また積極的な貴重な意見を拝聴することができたのであります。 今までの委員会の審議を通じて、また参考人の諸先生や地方公聴会での意見陳述の諸先生の意見からも、現行の年金制度はいろいろ欠点がある、これを今直していかなければならない、早急に改正すべきだ、時期が遅過ぎたくらいではないか。いわゆる制度間格差とかあるいは官民格差をなくし、近い将来統合一元化が望ましい。二十一世紀に十二分に役割を果たす、揺るぎない公的年金制度を健全かつ安定的なものにする必要がある。今回の改正案はそのための基礎年金導入がされたが、このことは一応評価をする。給付と負担の適正化の問題、婦人の年金権の確立や障害基礎年金に対する強い期待感がありました。その他もろもろの問題点を浮き彫りにしたのでありますが、私なりに今の年金制度が抱えておる問題点を洗い出してみますと、何点かにわたります。 まず第一番には、本格的な高齢化社会がやってくるということで、年金制度の将来についていわば不安がある。戦後のベビーブームの世代なんかは、自分たちが老後を迎えるころには一体年金はもらえるんだろうか、もらえないんじゃないかという心配をしている向きがあります。 第二は、年金の各制度間にある格差、いわゆる官民格差というものに多くの国民の皆さんが不満を感じております。これでは公的年金制度全般にわたっての信頼感が揺らぐのじゃないかと私は思います。 第三は、御婦人の年金の問題であります。特にサラリーマンの奥さんについては、今の年金制度では中途半端な扱いになっておる。離婚したらどうなるんだ、また障害になったらどうするんだという障害年金に対しての問題点があるわけです。 これらの問題が多くの人たちから出ているように思われるのでありますが、これ以外にもいろいろな問題はあると思いますが、最も多く聞かれる問題は、今言った大体三点ぐらいではないかと思いますが、これらの点について今回の改正案はどうこたえようとしているんでしょうか。大臣から基本的な考え方をお聞かせ願いたいと思います。 〔委員長退席、丹羽(雄)委員長代理着席〕
○増岡国務大臣 本年夏以来、当委員会におきまして、年金法改正につきまして熱心な御審議をいただいておりますことに、まずお礼を申し上げる次第でございます。 御指摘のように、また私が先ほど申し上げましたように、若い方々が将来年金がいただけるかどうかというような点にスポットを当てて、どうしても健全で安定をした年金制度でなければならないということがまず第一点でありまして、また御指摘のように、婦人の年金権の確立あるいは特に障害者の方々に対する年金の処遇の改善と、それから制度の確立ということをその骨子としておりますと同時に、国民の間にございます負担と給付の公正、そういう観点から今度の法律の改正案になっておるわけでございます。 ともかく、長い長い先のことを考える年金でございますから、皆様から御信頼いただける制度でなければならない。そういうようなことにいたしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
○稲垣委員 非常に御理解ある基本的な考え方をお聞きしまして、安心いたしました。 先日の札幌市の地方公聴会で、私どもは、涙ながらに陳述をされました社会福祉法人の北海道社会福祉協議会身体障害者福祉施設協議会会長の池永義啓先生の意見がありまして、各委員の先生もこの意見の陳述をじいんと胸を打たれるような思いで実はお聞きしまして、これは早く成立させなければならぬと皆さんみんな感じたわけであります。 そこで、その意見というものは大変含蓄のあるものであって、今ちょっとここでその池永さんの御意見を一部再現いたしますと、こういうことを述べておられたわけであります。 障害者の人たちが今一番大きな関心を持っており、また一番何とかしていただきたいと思っておる大きな柱は、障害基礎年金という形で障害者の人たちに所得保障というものが確立するという点である。 私たちは、諸外国の成熟した社会保障がうらやましく、厚生省にも陳情してきたが、長年の念願でありました障害基礎年金の実現は夢のような気がしておる。早く実現するということは喜ばしいことであるし、骨を折っていただいた先生方には足を向けて寝られないなあと話しているところであります。 ただ、さきの国会で健康保険法改正で時間がとられてしまって、年金法案の改正は時間切れとなってしまいました。そう言いながら、施設入居者の措置費の徴収は早々と通り、法律改正となり、いわばやらずぶったくりだといううわさがあります。そうならないように、今度の国会でぜひとも実現を願うものであります。 無拠出の障害福祉年金を現在受給している人たちは、たまたま二十歳以前に病気になったりあるいは障害を受けた、そのために国民年金にもまたは厚生年金保険にも入りたくても入れなかったというだけのことであります。 無拠出というと、非常に金もかけず保険料も払わないで、ただ恩恵的にいただくというふうにどうも理解されがちでございますが、決してそうではありません。たまたま掛けたくても掛けられなかったという人たちであります。障害者自身も自立をかける意欲と願望、これはもう日増しに強くなってきておる。極めて重度な人たちで介護を要する人たちも、自立したいという気持ちと願望は離れないものがあります。 たまたま私どもの施設の中を考えてみましても、訓練を修了して雇用関係に入っている人たちも百名を超えておる。そういう人たちは、一般の健常者と肩を並べてはいけません。その数倍も努力して稼いできているのです。なおかつハンディ分を考えますと、収入面では低い部分の人たちが大勢いるわけです。 その人たちが、極めてつましい生活ではありますけれども、社会保険料を負担して、厚生年金の負担、拠出者になっておるのです。また、税金を払っている人たちも数多くいるわけです。また、現在入所訓練中の人たちも、これらの先輩に倣って、この障害基礎年金による所得保障を一つのベースにして、そこに自分たちの稼いだ収入と合わせて早く保険料を払いたいと言う。しかし、そのようにいかないかもしれませんけれども、とにかく税金を払う立場に立ってみたい、それが自分たちの自立であり、人間としての尊厳を期待できることだ、このように考えておる。その日の来るのを夢見ている人たちがたくさんいるのだ。 こういう生の声を私は聞いたのです。 先ほど来の話にありますように、年金の一元化ということの中には、国民の皆さんが支えるということの中で基礎年金制度ができ上がるということで私どもは理解しておりますけれども、これは一元的な恩恵ということには私は思いたくない。これが呼び水になって、支える仲間がこれからどんどんふえてくる、それに連なっていくんだというふうに認識をしてくださいよ。 こういうふうに言っておられます。 次に、福祉年金の場合には、扶養義務者、出身世帯、出身家族とか言われておりますけれども、その人たちの所得で制限を受けることがありましたが、今度基礎年金になりますと、本人所得一本になると伝えられておる。これは極めて意義があると私は理解しておる。 二十を過ぎますと、通常一般の人でありますと一人前になったと理解されるわけでありますが、それが極端に言いますと、三十から四十歳になっても親がかりだ、いまだに子供扱いというのは、これはいかがなものでありましょう。いつまでたっても子供扱いだということにほかならないのだ。私は極めてふんまんにたえない。 このように切実な、涙ながらに述べておられました。 現実に障害を克服して一人前に働いている人の姿を見ますほどに、余計にそのように感ずる。 それから、受給者の子供一人について一万五千円の加給、これは極めて大きな改善であると受けとめております。障害の重い人たちほど、私どもが見ている範囲内で七十数人の方が結婚して、周辺に生活しているところです。その人たちはそんなに子供が欲しいのかと若干疑問に感ずるときがありますが、みんな子供が欲しい。これは何だろうと思うとき、自分の不自由であった体の見果てぬ夢を子供に託す、それが根本にあるのではないか。これは私個人の推察ですが、ともかく皆さん子供を持って、その子供さんは健康で極めて親思いである。買い物でも本当に小さい子供さんが買い物をしておる。それを見ますとそうだなあと思うのですが、子育てについては、私どもと違って、人一倍この障害者の人たちは苦労しているんだという事実もあります。そういう意味もあって、受給者の子供に加給というのは極めて大きな意義があると受けとめておる。 なお、年金制度とは別のものでありますが、特別障害者手当の新設についてですが、極めて重度な人たちで、地域に住みたい人たちに対するものであって、これは一助になります。 こういうことを切々と述べながら、最後にこう言っておられます。 最近の新聞紙上で見るところによりますと、物価スライドの方が先行して、根本的な年金法の改正が慎重審議ということでまたまた先送りになるのではないか、そういう心配があります。またまた弱い立場の障害者の人たちの問題が切り捨てになるのではないかと心配しております。 とにかく一日千秋の思いで、はらはらしながら、きょう傍聴に来ている車いすの人……。 そこには、もうたくさんの車いすの人たちが来ておられました。 その他の障害者の人たちがいるわけですが、この人たちの気持ちをぜひ考えてあげていただきたいと思うわけです。 閉会中このような公聴会を持っていただいたことは、一日も早い法案の成立を何とか考えてやろうというありがたい御配慮であろうと私なりに解釈しているところでございますが、先ほど申し上げたとおり、基本的な年金法の改正がぜひとも六十一年四月から実施できますよう、先決審議をいただきますよう心からお願いをいたします。 こう言って、もう涙ながらに訴えておられました。私は非常に胸が詰まって、思わずもらい泣きしたのです。私は、この池永先生の涙ながらの発言を聞いて、今もなおこの耳について忘れることはできません。 今、速記の一部のみを御紹介申し上げようと思いましたが、どうもどこをどう省略していいかわかりませんので、全言非常に重要でありますから、一気に読み上げたわけであります。これを聞きました各委員の先生もきっと胸を打たれておられます。大臣、これを聞いてどう思われますか。
○増岡国務大臣 障害者の方々は、何とか自立自助でやろうという孜々たる努力をしていただいておるわけでありますけれども、しかし、自分の責任に帰する原因ではなくして障害を受けておられるそういう方々が百万人以上もいらっしゃるわけであります。したがって、その方々に対する障害年金というものはこの制度の中でも一番安定をしたものの中に組み入れていかなくてはならない、そういうところから基礎年金の制度の中に改善措置をとっておるところでございます。年金の大幅な改善ももちろんでありますけれども、今御指摘がありましたように、障害者といえども、御近所の方々と顔見知りの人と仲よく暮らすことが幸せの最高のものだろうと私は思います。家族と一緒におるということは当然のことである、それ以上に、住みなれた土地で住みなれた家で住む、そういうことにもこの年金制度は十分配慮しておるつもりでございますので、どうか一日も早く、ぜひこの法案を一括御可決いただきますようにお願いを申し上げたいと私は思います。
○稲垣委員 大変力強い、また張り切った御意見でございまして、全国の身体障害者の皆さんは一日千秋の思いをしているわけでありまして、今の大臣のお言葉を賜りまして、大変気を強くしているのではないかと思います。 そこで、私は、この障害基礎年金について少々お尋ねしたいと思います。 現在、厚生年金、国民年金の障害年金、それから障害福祉年金の受給者はそれぞれ何人でしょうか。障害等級別でなく、合計で結構でございます。
○長尾説明員 お答えを申し上げます。 昭和五十九年三月末現在の数字で申し上げます。厚生年金の障害年金の受給者の方は二十万五千人でございます。拠出制の国民年金の障害年金の受給者の方は二十八万六千人でございます。障害福祉年金の受給者の方は六十二万三千人でございます。以上、三制度の受給者の方を合計いたしますと百十一万五千人となるわけでございます。
○稲垣委員 今お聞きしましたように、非常に多いわけですね。 その障害福祉年金の額は、一級、二級それぞれ幾らなんですか。そのそれぞれの等級に該当する拠出制の国民年金の障害年金の額と対照して示してください。
○吉原説明員 現在の国民年金の障害福祉年金一級の金額でございますけれども、三万七千七百円でございます。二級が二万五千百円でございます。拠出制の障害年金の方は、一級が五万八千六百二十五円でございます。二級が四万六千九百円でございます。 今回の法案におきましては、この額がそれぞれおおむね二%程度アップされるということが法案の中に含まれているわけでございます。
○稲垣委員 これが、今お話のありましたとおり、すべて障害年金を受けられることになるわけですから、この法が改正されますと現在の約二倍の改善ということになるわけです。また、新しく子供がある場合の加給として一人当たり一万五千円つくことになる。さらに、これは年金制度とは別ですが、重度で常時の介護を必要とするような障害者には二万円の特別障害者手当が創設される。障害者の所得保障が大きく改善されることになるわけでありますが、ただちょっと心配しておるのは、こういった改善が及ぶのはいわゆる新規発生についてだけなのか、それとも今現在障害福祉年金をもらっている人たちにも及ぶものなのかどうですか、この点確認したいと思います。
○吉原説明員 これからの新規発生者だけではございませんで、現在既に障害福祉年金を受けておられる方についてもこういった改善がされるということになっております。
○稲垣委員 それで安心いたしました。今障害福祉年金を受けている人たちにとっては、大きな福音になるわけであります。私どもは、この実現を期待しておる障害者の皆さんたちに早くこたえてあげたい。 先ほど私がちょっと御紹介申し上げましたとおり、北海道の地方公聴会で、池永さんの現地での障害者の生の声をいろいろお聞きいたしました。あるいはまた、そのときにも車いすの人たちからも陳情を受けたわけでありますけれども、その人たちからも、私たちは五十九年には改正されるだろう、そのようになるだろうと思っておったが、今度の年金改正に合わせるということでまたまた先に延ばされてしまった、今この法の改正によって実現できるのは昭和六十一年の四月からだ、こういった改善が行われるという期待に何とかしてこたえてやりたいわけでありますが、これは果たしていつ成立したら六十一年の四月に実施できるのか。どうも厚生省の事務当局の人たちにいろいろ聞いてみると、十二月には成立しなければ間に合わぬじゃないだろうか、こんなことも実は聞いておるわけでありますが、この年金の被保険者の人たちは五千二百万人に及ぶわけですし、年間百四十万件の年金請求あるいは千四百万人の年金受給者の支払い事務、そういった実務的な準備の必要性からいっても、年金改正法案はどうしても早急に成立させる必要があります。こういった状況を前にして、この年金法案の早期成立について、ここで改めて厚生大臣の力強い御決意を最後にお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
○増岡国務大臣 私どもは、この改正案は一日も早く成立をさせていただきたいというふうに思っておるわけでございます。委員会におかれましてはいろいろ手順等あると思いますけれども、ともかく一日も早く成立をさせていただいて、障害者の方々も健康な若い方々も安心をしていただけるようなことに、ぜひお願いを申し上げたいと思います。
○稲垣委員 どうもありがとうございました。
○丹羽(雄)委員長代理 長野祐也君。
○長野委員 私は、前国会でも年金改正法案について質問をいたしました。そのとき、当時の渡部厚生大臣に対しまして、外国との通算年金問題についてお尋ねをして、大臣に直接外国にお出かけをいただいて交渉に当たっていただきたい、そういうお願いを申し上げました。その結果、ヨーロッパを訪れられました際に、西ドイツの労働社会大臣との会談が実現をしまして、西ドイツとの通算年金協定の事務折衝が始められるようになりました。大変喜ばしいことであると思っております。 その後、大臣おかわりになりましたが、その間の経緯とその後の事務折衝の状況がどのようになっておるか、ごく簡潔で結構でございますから御報告をお願いいたします。
○吉原説明員 今、御質問の中でお話のございましたように、我が国と西ドイツとの間の国際年金通算につきましては、昭和四十年代の初めから両国間で検討を進めておったわけでございますけれども、昭和五十年代に入りまして、西ドイツそれから我が国におきましても、それぞれ大きな年金改正が計画をされましたので、一時事務的な折衝が中断状態にあったわけでございますけれども、去る九月の末に渡部前厚生大臣が西ドイツを訪問されまして、西ドイツのブリューム労働社会大臣と会談されまして、日独間の年金通算協定の締結に向けて事務レベルの協議を再開しようじゃないかということでお話し合いがされたわけでございまして、西ドイツもこれに合意をいたしたわけでございます。 そういったことで、この両大臣の合意を受けまして、これからどうするかということでございますけれども、現在、在日西独大使館等を通じて接触を開始しておりまして、今後、双方の基本的な考え方を提示した上で、本当は両国間で訪問しながら折衝するのが望ましいわけでございますけれども、当面は文書による考え方の意見交換等を行った上で、適当な時期、これは恐らく来年になると思いますけれども、担当者レベルでの具体的な会合を持ちたいと考えているわけでございます。 こういったことによりまして、せっかくの大臣の合意でございますので、実りある協議が行われまして早く協定の締結まで持っていきたいと思っておるわけでございます。
○長野委員 一部報道によりますと、西ドイツとの後に、今アメリカとの通算についても折衝が始められるということを聞いておりますが、その実情を伺いたいと思います。
○吉原説明員 米国との国際年金通算の問題につきましても、昭和四十三年以来両国の間で話し合いをしてきたわけでございますけれども、両国間の二重適用の排除の具体的な方法でありますとか、あるいは業務処理の方法でありますとか、両国間の通算協定の締結に伴うそれぞれの制度への財政的な影響、そういった問題につきましてさらに詰める必要があるということで、現在まだ折衝を進めているわけでございます。 アメリカとの通算協定につきましても、西独の場合と並行しながら早く協定締結まで持っていきたいと思っております。
○長野委員 今、西ドイツとアメリカとの通算の状況の御報告があったわけでありますが、新大臣のこの問題に取り組まれる御決意を伺いたいと思います。
○増岡国務大臣 ただいま局長から御説明申し上げましたような経緯でございますけれども、今や世の中は国際化でございまして、人的交流も非常に多いわけでございますし、またそういう方々が海外で、あるいは外国の方が日本へ来られて果たされる仕事というものは、大変大切なものだと思います。そういう方々が、年金の掛金を二重払いするとかあるいは期間に満たないでもらえない、そういうことは大変大きな問題だと思いますので、私も精力的にこの仕事を進めてまいりたいと思っております。
○長野委員 今からの日本の特徴は国際化、高齢化ということで、高齢化については、この年金改革の早期成立を私どもも願っておりますし、また国際化についても、年金制度もその動きに合わせていかなければならないと思います。大変大事な時期に大臣になられて御苦労も多いかと思いますが、政治家として男子の本懐だろうと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。 次に、新電電の年金制度の問題について、国税庁にまずお伺いをいたしたいと思います。 電電公社は六十年の四月から民営化をされる予定でありますが、民営移管をいたしましても、移行しましても、厚生年金とはならずに、現在の共済年金を継続をするわけであります。一方、共済年金の方は抜本改正を計画をして、新しい共済年金は厚生年金並みになるわけでありますが、この報酬比例分の上に職域年金相当分、厚生年金に比べて約二〇%増しぐらいになっておるわけであります。 そこで、新電電は民間企業でありますから、企業年金が採用されることになるわけでありますが、厚生年金基金は厚生年金でなければだめなわけでありますからこれはできないわけでありまして、そうなると、もう一つの税制適格年金を採用することになると思うわけです。ところが、一方では、今申し上げたように企業年金相当部分を既に上乗せをしておる、それを含む共済年金を継続をしておる、こういう絡みの中で税制適格年金を採用することができるかどうか、この辺の御判断を伺いたい。
○友浦説明員 お答え申し上げます。 現行税法上、企業が退職年金契約を締結いたしました場合には、その契約が退職年金に関する信託・生命保険または生命共済の契約であること、あるいはその契約に係る掛金及び給付の額が適正な年金数理に基づいて計算されていることなど一定の要件を備えています場合には、国税庁長官は、適格退職年金契約の承認申請を承認するものとされております。したがいまして、日本電信電話株式会社が設立されまして、仮にその新会社につきまして適格退職年金契約の承認申請が提出されました場合には、その時点におきまして、その契約が現行税法に定める適格要件に該当するかどうかを判断することになると思います。
○長野委員 今の御答弁だと、税法上一定の基準に合えば、申請があれば認める、そう解釈してよろしいですか。
○友浦説明員 そのとおりでございます。
○長野委員 そうなりますと、私は、ここで新電電が民営化されたときに、二つの議論が成り立つと思うのですね。その一つは、民間だから、この場合は今おっしゃったように適格年金が認められるということになりますね。ところが、一方、共済年金を継続しておるわけです。つまり二〇%分の上乗せの部分は、いろいろ大蔵省等の説明によりますと、企業年金相当部分だという説明になっているわけです。そういう企業年金相当部分を持っておる新電電が、別にまた企業年金が認められるのかという、この二つの矛盾する議論が私は成り立つと思うのです。 そこで、私もそれを非常に疑問に思うものですからお尋ねをしますが、大蔵省にお尋ねをしたいのは、これについてどのような見解をお持ちなのか。一の厚生年金の問題はこれは大蔵省の所管ではありませんけれども、後半の部分の方は、共済を含む部分は大蔵の見解があってしかるべきではないかと思うのですが、この点について大蔵省としてはどのようにお考えなのか。
○坂本(導)説明員 お答えいたします。 現在の共済年金制度も、実は企業年金部分が入ってございます。ただ、どの部分が企業年金部分、どの部分が公的年金部分と分けられていないという状況にあるわけでございます。そうした現在の共済年金を同じようにとっている例えば私立学校共済がございますが、私立学校でございますので当然民間でございます。そういう民間の大学の一部には、共済の上に適格年金を設けている例もございます。したがいまして、共済年金の範疇の中に入れるということはできませんけれども、共済年金とは別に、民間であれば企業年金を考えるということは可能ではないかというふうに考えております。
○長野委員 非常にその辺が私には一つわからないのですが、国鉄の場合、そういう上乗せ部分があるのですか。
○坂本(導)説明員 現在の国家公務員共済あるいは国鉄等の公企体共済につきましては、上乗せ部分はございません。これは国及び公企体として予算統制を受けているわけでございまして、民間企業ではございませんので、共済という枠内ですべて処理をいたしております。
○長野委員 電電の場合は経営がいいわけですが、一般の国民から見た場合、税制適格年金も申請をすれば認められる、そしてその上に、その上乗せ部分ももう既にあるわけですね。何となく二重になっているような感じを受けるのですが、新電電のその部分、上乗せ部分を取り除くというようなことは考えられませんか。
○坂本(導)説明員 実は、現在の共済制度はすべて同一の内容になってございますので、企業年金部分は含まれてございます。 なお、私ども、まだ成案を得ている段階ではございませんが、一つの検討途上の案としては、公的年金部分の上に職域年金部分というものを考えております。しかし、これはいずれも共済制度としての年金という形で考えているわけでございます。したがって、民間企業でございますと、仮にその上に自社年金をどういう形で設定するかというのは、その企業等の判断によることになろうかと思います。
○長野委員 次に労働省にお尋ねをしたいと思いますが、中小企業退職金共済制度、いわゆる中退制度についてお尋ねをします。 現在のこの制度は、退職一時金がない中小零細企業に対して、国庫補助をつけて、その退職金制度を採用しやすくなるようにしてある制度でありますけれども、労働省はこれを六十年度に改正を行うお考えがあるというふうに聞いておりますがどうなのかということと、八月だったと思いますが、審議会から答申を受けておられると思うのですが、年金としても受け取れるようにする方針を持っておられるというふうに聞いておりますが、その辺のお考えもあわせて伺いたい。 それから大蔵省の方には、仮にそれが年金として受け取れるということになりますと、非常に企業年金のおくれている中小零細企業に対して、普及をするという意味では明るい材料になると思うのですが、大蔵省としてはそれを認める方針であるのかどうか。
○高橋(伸)説明員 先生のただいまお話しございましたように、中小企業退職金共済制度におきましては、単独では退職金制度を設けることが困難な中小企業が多いという現状にかんがみまして、昭和三十四年に、中小企業退職金共済法に基づきまして創設いたしました制度でございまして、事業主の相互共済及び国の援助から成っているものでございます。そして、この制度におきましては、掛金額及び退職金等の額について少なくとも五年ごとに検討をすることになっておりますが、従来から、この掛金等の検討の際にあわせて制度全体についての見直しを行うことになっておりますので、昭和六十年度が前回の五十五年度の改正以降五年目に当たりますので制度の見直しを行うということで、昨年十一月以降、中小企業退職金共済審議会において審議が行われ、本年の八月七日に「中小企業退職金共済制度の改善について」という建議をいただいたところでございます。 現在、この建議を踏まえまして制度の見直しについて検討をいたしているところでございますが、その建議の中の一つの項目といたしまして「老後生活の安定化に資する観点から年金的機能が果たせるような一時金の取扱いについて検討を進めるべきである。」というのがございます。現在、この建議の趣旨を踏まえまして、退職一時金の分割払い方式の導入について検討をいたしているところでございます。
○坂本(導)説明員 お許しをいただきまして、担当主計官にかわって御答弁申し上げます。 ただいまの御指摘の中小企業退職金共済制度における御指摘のような年金的機能の導入というお話が仮にあれば、その時点で、他の公的年金制度との関係あるいは国庫補助等の関係、種々難しい問題がございますので、そういう点を含めて慎重に検討させていただきたいというふうに考えております。
○長野委員 労働省に伺いますが、「年金的機能が果たせるような一時金の取扱いについて検討を進めるべきである。」という建議ですが、これは年金というふうに受けとめるのですか、それとも分割払いというような言い方をされましたが、どういうような判断をされておりますか。
○高橋(伸)説明員 年金共済に基づくようなものではなくて、現在考えておりますものは一時金の分割払い的なものを考えているところでございますが、いろいろと詰めなければならない問題もございますので、現在細部については検討中ということでございます。
○長野委員 検討中ということじゃなくて、分割払いというふうな考え方なんですか、それとも年金という考え方なんですか。その点は検討することはないのですか。
○高橋(伸)説明員 基本的には分割払いという考え方でございます。
○長野委員 分割払いと年金はどう違うのですか。労働省では財形年金ということもやっておられますよね。あれも要するに分割だと思うのですが、どうですか。
○高橋(伸)説明員 年金の場合には年金数理に基づいて計算をいたすわけでございますが、私どもが現在考えておりますものは、一時金として支給したものを、再度事業団の方で運用をしながら分割払いをしていくということでございますので、その辺の違いはございます。
○長野委員 大蔵省に伺いますが、先ほど難しい点もあるので慎重に検討するというお話でしたが、これは六十年度の予算にもかかわってくる問題だと私は思うのです。あと一カ月しかありませんが、現在までの協議で例えばどういう点がネックになっていますか。
○坂本(導)説明員 まだ具体的、詳細な内容を承知しておりませんけれども、やはり年金的色彩をどう見るか、あるいは年金であれば今後公的年金一元化という方向との関係でどう考えるか、あるいは公的年金には国庫補助はどうあるべきかというような基本的な問題があるやに承っております。
○長野委員 先ほど同僚の稲垣委員の方から、障害年金の今回の非常に配慮の行き届いた法案の早期成立についての必要性を強調されたわけでありますが、私は一点だけ、今回の改正で余り目立たないのですがきらりと光る点があるなと思うのは、障害福祉年金の所得制限の改善だと思いますが、今回の改正でどのような扱いとなっておるのか、簡単に御説明をいただきたいと思います。
○吉原説明員 障害福祉年金につきましては、先ほども申し上げましたように、基本的に障害基礎年金に移行する、こういうことになるわけでございますが、所得制限との関係につきましては、本人所得制限は従来と同様な形で基本的には残すということにしております。もう一つの扶養義務者等の所得制限につきましては、これはやはり障害者の自立を促進をするという観点から、従来から二十歳以上の障害者に扶養義務者の所得制限がいつまでも残るのはどうかという御意見もあったわけでございますので、この扶養義務者等の所得制限は障害基礎年金に移行するのを機会にやめるということにいたしているわけでございます。
○長野委員 私も鹿児島県での意見聴取の会に現地委員として参加をさせていただいて、身障関係者の非常に切々たる訴えに私どもも感動をし、何とかこの法案の早期成立をという大変な期待をひしひしと感じました。大臣、ぜひ頑張っていただきたいと思います。 時間がありませんので、最後に四点、共済関係の問題をまとめて御質問をいたして終わりたいと思います。 改革検討委員会の方から報告書が発表されておりますが、この報告書の性格といいますか位置づけということについてが第一点。 それから、この中で基礎年金の導入ということについてどういうふうに考えておるのか。共済年金の方でも確実に基礎年金の導入に踏み切ると考えてよろしいのかどうか、確認をしておきたいと思います。 それから、いわばこの基礎年金というのは一階部分に当たるわけでありますけれども、その上の二階部分について共済年金はどうするか。この部分も厚生年金と合わせるというふうに考えてよろしいかということと、そういうことによって、よく言われてきた官民格差という批判があったわけでありますが、これはほぼ解決をされたと考えてよろしいか。 最後に、共済年金改正のスケジュール、今後どのように考えておられるのか。審議会での審議、法案の提出、そういう手順について御説明をいただきたいと思います。
○坂本(導)説明員 まず御指摘の第一点でございますが、実は去る二月二十四日の閣議決定におきまして、共済年金制度についても基礎年金の導入を図る等の改革を行うという決定を受けているわけでございます。しかしながら、御案内のように、共済年金につきましては、国家公務員共済は大蔵省所管、地方共済は自治省所管、私学共済は文部省所管、農林共済は農林省所管というように、所管省庁が分かれてございます。したがいまして、仮にこういった所管省庁がおのおの別の案をつくるということはまた一元化に向けて問題があるということで、事務担当課長を中心に、学識経験者を含めて勉強会、検討委員会をつくってはどうかという運びになりまして、去る三月末から九月末にかけまして、そういったメンバーで検討を続けてきたという性格のものでございます。その報告が共済年金制度改革検討委員会の報告書でございます。したがって、法的な位置づけというようなものを持ったものではなく、また政府の成案ということでもございません。したがいまして、今後、関係審議会あるいは関係方面の御意見をちょうだいしながら成案を得ていくという運びになろうかと思います。そういった性格のものでございます。 御指摘の第二番目の基礎年金の導入の問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように、去る二月二十四日の閣議決定におきまして、共済年金制度につきましても基礎年金の導入を図る等の改革を行うという決定を受けておりますので、この検討委員会ではそれを前提といたしまして、共済につきまして基礎年金を導入するということを前提といたしまして検討を続けたいというものでございます。 それから、御指摘の第三番目の共済年金の基礎年金の上の部分をどうするかという点でございますが、先ほど申し上げました検討委員会のような性格がございまして、成案ではございませんけれども、その検討委員会では、厚生年金相当部分というものと、やはり公務員制度の一環というような面も考えた職域年金相当部分というものを考えて構築するということではどうか、ということになってございます。 それから御指摘の第四番目、官民格差が解消されたのかどうかということでございますが、いわゆる官民格差というものは、いろいろ難しい問題がございますが、現在のこの改革検討委員会の案でございますれば、ほとんどもう問題はないというふうに考えてございます。 それから第五番目の今後のスケジュールでございますけれども、先ほど申し上げましたように、まだいわば検討委員会の案でございますので、これから関係審議会、私どもでございますと国共審そのほか、自治省でございますと地共審等の関係審議会あるいは関係方面の御意見をちょうだいしながら成案を得ていくという段階でございます。ただ、閣議決定にもございますように、明年の通常国会に提出をさしていただきたいというふうに考えております。
○長野委員 どうもありがとうございました。
○丹羽(雄)委員長代理 村山富市君。
○村山(富)委員 きょうは、厚生関係基本施策に関する件で質疑を行う日でありまして、年金法の改正案は議題になっていないわけです。したがって、定例日に正式に年金法の改正案が議題になったときに慎重に審議をしたい、こう私は思っておりますから、年金の内容についての質疑はいたしません。ただ、この年金法改正案の出し方あるいはその取り扱い等については意見がありますから、そういう問題について若干御質問を申し上げようと思います。 その一つは、理事会等でも議論になっておりましたが、百年の大計を考えて年金制度の骨格を変えるといったような大改革案、しかも施行は六十一年から施行するわけです。そういうものと、五十九年度に実施をする二%のスライド制を抱き合わせて法案を提出するというのは、出し方に問題があるのではないか、まさに木に竹を接いだような出し方をしておる。私は、そういう法案の出し方をされておる厚生省の考え方はちょっと理解できないのですけれども、大臣は、出された後で就任をしたわけですね。ですから、そういう経過にとらわれなくて素直に判断をしてみて、どう思われますか。
○増岡国務大臣 これは物の考え方であろうと思うのですけれども、当面の問題を急ぐのか、抜本的な改革を急ぐのかということになりますと、やはり私は、長期的な観点に立って、この際、年金が確立できるようなそういう制度に変えておきたいということの方が、二者択一で考えるというわけじゃありませんけれども、そういう意味から、ぜひともこの改正案全体として御審議をいただき、御質疑をいただきたいというふうに思っております。
○村山(富)委員 これは見解の違いとかなんとかいうものじゃなくて、五十九年度に実施をしなければならぬものです。ところが、年金の骨格を変えるという改正の中身は、六十一年から実施をするという目標なんですね。その五十九年度から実施をするものと二年先に実施をするものとを抱き合わして一緒に審議をしてくれというやり方は、これはやはりどう考えてもおかしいのではないか。それじゃ、もし継続になって、五十九年度に実施ができないというふうなことになったら、どうするつもりですか。
○吉原説明員 実施時期は、今おっしゃいましたように、制度の本体の改革は六十一年四月でございますし、スライドの方は五十九年度の年金受給者のアップということでございますけれども、制度の改革自体も、六十一年実施のためには五十九年中に法律を通さなければならない、通さなければ六十一年の実施ができない、こういうことがあるわけでございますし、そういったことで、年金改革の大きなスケジュールとして、ことしの二月に、実はもう五十九年中に厚生年金、国民年金の改正をするということが政府の方針として決められたわけでございます。そういった意味におきまして、年金の内容はもちろんおっしゃいましたように違いがあるかもしれませんが、五十九年度中にやらなければならないという点は、制度改革もそれからスライドも同じでございますので、同じ法案の中に入れさせていただいたわけでございます。
○村山(富)委員 私どもは、百一国会の中で、年金法も出ている、これは将来の体系を考えた場合にやはり重要な問題だ、だから健保と年金と並行して審議をすべきではないか、こう言って主張してきたのです。ところが政府・自民党の方は、いや、まず健保です、健保だけやってくださいと言って、年金のねの字も言わなかった。それが、健保が上がったら途端に今度は年金年金、そういう扱い方をしているのは政府じゃないですか。与党じゃないですか。そして今になって早く早くなんて言ったって、それはやはり拙速で上げるのじゃなくて、慎重審議をしなければならない内容があるわけです。私はあくまでも、五十九年度内にスライド問題については、それを待っている人もたくさんありますし、これは議論の余地なく全会一致で決まるわけですから、それだけは片をつけて、そして年内に支給できるようにする。これは事務局にも、年内支給できるように準備を進めなさいということは、各党了解してやってもらっているわけですから、そういう扱いをすべきだということをまず申し上げておきます。 〔丹羽(雄)委員長代理退席、委員長着席〕 それから、この法案の扱いですけれども、さっきから聞いていますと、与党の質問の中にも、共済年金と関連をする質問が多いのです。これは閣議決定を見ましても、五十九年に厚年と国年、六十年には共済年金法、そして六十一年には同時に施行する、こういう閣議決定です。しかも、この厚生年金と国民年金の法案の審議と共済年金の改正の中身もいろいろな意味で関連があるのです。だから、さっき自民党の議員も、共済年金の質問をしているじゃないですか。だから、厚年の改正をどうするかという問題は、国家公務員共済、地方公務員共済あるいは私学の共済、農林職員団体の共済、すべてに関連があるわけですから、したがって、同時に施行するなら、並行して審議をしなければこれは審議はできないのじゃないですか。現に自民党の議員も、共済との関連を質問しているじゃないですか。どうですか。
○吉原説明員 年金制度の大半は、国民の九割が厚生省所管の厚生年金、それから国民年金の適用を受けているわけでございます。残りの約一割の人が、共済組合幾つかに分かれておりますけれども、共済の適用を受けている、こういった現状でございますので、これからの年金制度の改革の方向を考えます場合に、やはりまず何といいましても厚生年金、国民年金をどうするんだというようなことが先決でございます。その改革の方向が決まってから、それに共済年金を合わせる、合わせていくということが大事でございますので、そういう考え方に立ちまして、まず厚生年金、国民年金の改革の方向というものを決める、それは五十九年度中に法律で確定をする、それに合わせて来年、つまり六十年に共済法の改正をする、こういうスケジュールが立てられたわけでございます。これはよく先生御理解の上でのことだと思いますが、よろしくお願いをいたします。
○村山(富)委員 どうなるかわかりませんけれども、今の最後の段階を見ていますと、恐らく次の通常国会の四月くらいには、共済年金法の改正案も出るのじゃないかと思うのです。今度の厚年と国民年金との改正案が仮に成立をしますと、今局長が言われておりましたように、共済も合わせる。合わせるということは、もう文句なしに右へ倣えで決まってしまうのです。そうすると、やはり共済関係者には大変な関心を持っているし、問題があるわけです。ですから、親切な扱い方とすれば、やはり並行して同時に全体を審議していくということが当然ではないか、理屈から考えたってそうなる。もう厚年が決まったら既成事実がつくられて、共済も文句なしに右へ倣え、こんな扱い方をするというのはやはり不都合じゃないかと僕は思うのです。ですから、共済と厚年と十分関連があるわけだし、同時に審議をして、そして全体の納得と理解を得て発足をする、こういう段取りをすべきだと思うのですが、どうですか。大臣、どうですか。
○吉原説明員 大臣の前に私から事務的なことを……。 現行の年金制度で一番大きな問題が官と民との関係、この格差、官民格差というものを直さなければいかぬじゃないか、従来、どちらかといえば非常に官に有利になっている年金制度というものを民に合わせる必要がある、そういったことが各方面から指摘をされてきたわけでございます。したがいまして、やはり、年金制度の改革を考える場合には、民の厚生年金なり国民年金の年金制度を一体どういう方向に持っていくんだということをまずはっきりさせてから、官の年金というものをそれに合わせていく、そういうことで従来とも検討が進められてきましたし、国民の大部分の考え方も、そういう方向で進めるべきだというようなことがあったんだろうと私は思うのです。そういう意味におきまして、まず厚生年金、国民年金をやり、共済をそれに合わせる、それをしかも同時に実施をする、こういうことにしているわけでございます。 それからもう一つ、事務的なことでございますけれども、六十一年四月から同時に実施をするためには、何といいましても準備の関係がございまして、厚生年金、国民年金の場合にはどうしても全国民を、ほとんど九割の人を対象としておりますので、準備に時間がかかるわけでございます。先に準備も進めておかなければ同時実施ができない、こういうことがございますので、先ほど申し上げましたようなスケジュールでお願いをしておるわけでございます。
○村山(富)委員 民を先にして、その次に官というのだけれども、あなたたちは言うこととすることが違うじゃないですか。スライドはもう官は先に進んでしまう、決まっている、民は取り残されている。言うことと違うじゃないですか。民とか官とかいうように区別をして議論をするのじゃなくて、同じ国民なんだから同じ土俵に乗せて、いろいろ関連あるところは共通して議論をしていく、そして負担も給付もできるだけ公平なものをつくっていく。やはり関係者全体の納得を得て、理解を得てこういうものはやっていかないと、関連があるわけですから、ぜひそういう扱いをすべきだと私は思うのです。 それから、まあこれは議論したってなかなか結論の出ない問題ですから、言うだけ言っておきますけれども、このスライド部分の切り離しの扱いについて、当初は、同時に出されている法案ですから、スライド分だけを分離してそして議了したんでは、あと残された本体の部分が廃案になる、こういう議論もありまして、これは私どもが法制局等といろいろ詰めた結論として、野党が対案として出せばそれはそういうことになるかもしれません、しかし、野党の案は引っ込めて、そして全会一致を前提にして委員長が案を出す、提案をする、そうすればスライド部分だけ議了しても本体は残ります、そして、本体の議論をするときにそれは修正して通せばいいので、だから決して廃案にはなりません、こういう結論が出ている。どうですか。
○吉原説明員 そういったことに、政府の立場といいますか、私がお答えするのはあるいはという気もいたしますが、私どもの考え方、理解ですと、スライド部分、それがたとえ野党だけの提案でありましょうと、あるいは委員長提案の形をとりましょうと、法律の内容の面から判断をいたしまして、スライド法案と、それから今後の、今お願いをしております政府全体の改正法案というのは恐らく対案関係になるんだろう。そういたしますと、一方のスライドだけの法案が可決されますと、一方がどうも廃案になるおそれが非常に強いんじゃないかというふうに私どもは考えているわけでございます。
○村山(富)委員 だから、今あなたがおっしゃるように、野党が政府案に対案として出せば、その対案が成立したら本体が廃案になる、だから野党案を引っ込めて、そして与党も含めた委員長が出せばそんなことにはなりません、こういう見解なんです。だから、それはもう少し調査をして、そしてこれは理事会でも諮りますけれども、もし合法的にできるのならそのスライドの分離案を切り離して、そして年内に議了して年内に支給できるようにするというのが、年金受給者に対して親切ですよ。ぜひそうしてもらいたいということを要請をしておきます。これは国会が決めればいいのだから、理事会で十分議論をしてそういう扱いをする。これは議論をしたら平行線になるから言いませんけれども、ただ、私は、理論的にはやはり私どもが申し上げているようにすべきものだ、まことに国民を無視した法案の出し方だし、扱い方だというふうに言わなければならぬということだけ、はっきり申し上げておきます。 次に、六十年度予算の概算要求についての概括的なお尋ねをしたいと思うのです。 私たちは、八月八日に前厚生大臣に対して社会党の概算要求についての申し入れを行いました。その中で、基本的な考え方として、社会保障関係予算のすべてが必要不可欠の経費であるという立場に立って、当然増経費については一切削減はすべきではない、こういうことを基本的な立場に踏まえて概算要求について申し入れたわけです。そこで、こうした見解と関連をして、今厚生省が出しております概算要求についての若干の御質問を申し上げたいと思うのです。 一つは、言われていますように高率補助率の一割カットというものが出されています。これは、一割カットをされれば各自治体の支出分が一割カットで済むというのならいいのだけれども、そうでなくて、一割カットした穴埋めは自治体がやって、そして支出をしなければならぬ、こういうことになるわけですね。今の自治体の財政状況というのは、国と同じ程度にやはり厳しいものがあると思うのです。特に、最近の地方自治体の予算を見ますと、国が補助金をつけられる分について優先的に予算を組む、こういう予算編成をやっていますね。それだけ国に対する依存率が高いのです。そういう関係にあるにもかかわらず、一律に一割カットするというやり方は、やはり大変混乱を来すのではないかということが懸念をされます。 そこでお尋ねをしたいのですけれども、厚生省関係の一律カットは十九件あります。その影響額を都道府県で総計してみますと大体七百八十六億七千六百万円、それから市町村は千三百九十億六千六百万円、合計しますと二千百七十七億四千二百万円影響額が出るように推計をされるのですが、この点は間違いないかどうか、確認したいと思うのです。
○長門説明員 お答え申し上げます。 昭和六十年度概算要求に私どもの方から出しました高率補助の一割引き下げによる影響額、昭和五十八年度の交付決定ベースで推計いたしましたものにつきましては、都道府県分では約八百四十億、それから市町村分では千三百四十億、合計いたしまして二千百七十七億、この点は先生お示しのとおりでございますが、都道府県分と市町村分ではただいまお示しの数字と私ども持っております数字でちょっと違っておりますが、私どもの推計ではそのようになっております。
○村山(富)委員 これはまた、後で精査して確認をすればいいと思うのです。 それで、この一割カットをすることによって市町村が受ける影響というものは大変な違いがあるわけですよ。比較的富裕なところ、県は余り影響を受けない。ところが、そう言っては悪いのですけれども、県民所得の非常に低い都道府県には、あるいは市町村には大変大きな影響があるのです。そういう影響が一様でないという問題についてはどういうふうにお考えですか。
○長門説明員 この高率補助金の一割削減の問題につきましては、その発端は、ことしの七月二十五日に臨時行政改革推進審議会から意見書が出まして、その中で、著しく高率の補助の引き下げを行う、そうしまして、この補助金等の見直しを行いました結果の地方財源の問題については地方財政計画の上で総体的に検討する、こういうふうな意見書がございました。政府といたしましては、この行革審の意見書を受けまして、補助金等の整理合理化の一環として、高率補助金の見直しを行うということになったものでございますので、したがいまして、私どもの厚生省の関係の分野につきましては、この高率補助金を減額いたしましたその残りの補助裏の手当てといたしましては、地方財政計画の中で手当てされるものと期待しております。
○村山(富)委員 いや、私は、今お話がありましたように、例えば補助金、補助率の見直しをする、それは内容を精査して、そしてこれはもう補助の必要がないとか、これはもっと補助をする必要があるとかというような判断があって見直しをされたのなら、それなりに納得をしますよ。だけれども、一律にカットしてしまうなんというやり方は、これは余りにずさん過ぎるし、それから厚生省は、言われればもう一律カットする、それでは政策に対する理念がないじゃないですか。 特に、私は、今、国と地方自治体との仕事の分野やら、あるいは行財政全体のあり方についての見直しがされて行革が進められる、そして分権と自治というものがしっかり確立されて、ある意味では地方自治体の財源も保障されて、健全な地方自治体が運営できるような方向に改革していくというような意味を踏まえて補助金の見直しをするというのなら、まだ理屈はわかります。だけれども、さっきから言っておりますように、一律に文句なしにカットするなんというやり方は、これはちょっと余りにも理念がなさ過ぎるのじゃないですか。大臣、どうですか。
○増岡国務大臣 今回のことは、行革審の御意見やら、それに伴いましての閣議において基本方針を決められたわけでございます。御指摘のようなお考えもあろうかと思いますけれども、それでは、一つずつ取り上げてどうするかということの合意というものがなかなかそう簡単にはできないということでございます。そしてまた、御趣旨のように、このことによって地方財政にしわ寄せがいくのではないかという御懸念でございますけれども、これは、私どもといたしましても、そのような支障が生じないように、地方財政計画の策定その他の面で、極力御心配のないような方向に努力をしてまいりたいというふうに思っております。
○村山(富)委員 これはもう、数字なんかがありますけれども申し上げませんけれども、大変な打撃を与える、影響があるということは申し上げるまでもないのです。 そこで、きょうは自治省にもおいでいただいておりますが、先ほど大臣も、地方財政計画の中で十分補てんをしてもらうものだ、影響のないようにしたい、こういうお話がございましたけれども、自治省の受けとめ方、見解はどうですか。
○横田説明員 生活保護費を中心としまして、六十年度概算要求で補助率一割カットについての要求がなされておりますが、私どもといたしましては、国庫負担金等につきましては、国、地方の間の機能分担のあり方を見直すことなく一律の引き下げをされることは、極めて遺憾であると考えておるわけであります。
○村山(富)委員 これは、地方財政計画の中でこの削減された分は穴埋めをするというような話はされているわけですか。
○横田説明員 地方財政計画は今後編成されていくわけでございますが、それ以前の問題といたしまして、行革は国、地方を通じまして行うべきものである、したがってその中で地方の自主性、自律性ということを十分尊重していただきたい、このように考えるわけでございます。したがいまして、そのような考え方に対しまして一律カットというのは反対であると考えております。
○村山(富)委員 これはあなた、自治省が反対であると言っているのに、地方財政計画で組んでもらうと言ったって出っこないじゃないですか。どうするつもりですか。そんな無責任な概算要求はありますか。
○長門説明員 概算要求の段階におきましては、私ども政府の統一的な方針ということでこの高率補助の一割カットということをいたしたわけでございますが、この後の地方財源の問題については、地方財政全体の過不足をはかる土俵になる地方財政計画の上で総体的に検討されるというふうに承知しておりますので、今後の予算編成の過程の中でいろいろ御意見を申し上げ、調整を図られるもの、こういうふうに考えております。
○村山(富)委員 いずれにしても、補助率の一律カットという問題は余りにも安易過ぎると私は思うのですよ。これはやはり、補助金の中身というものを十分に精査して、もうその効果がなくなったというものについては切る、しかしまだ引き続いて補助をする必要があるというようなものについては補助を見ていくというふうにすべきであって、一律にカットすれば簡単にできるかもしれませんよ。しかし、それが与える行政への影響というものは大変大きいものがあるわけですから、余りにも無責任過ぎるのじゃないかという気がします。これは、さっきから申し上げておりますように地方自治体の財政に与える影響というのは大変大きいわけですし、行政全体に与える混乱も大きいわけですから、その点も十分踏まえた上で、今後、自治省や大蔵省と十分話をして、誤りがあれば誤りは正すというくらいの気持ちでこの問題を扱ってもらわないと困るということだけは申し上げておきます。 それから次に、厚生省が六十年度から三カ年間、全国八地区のモデル地区を設定して、四万人の五歳児を対象に、虫歯予防のために弗素化物の塗布を計画しているのですね。この弗素化物については安全性や効果等についてまだいろいろな疑念を持っている方がたくさんある、不安を感じている人がたくさんある。これは学者の中にもあるし、それから専門の歯科医の中にもそういう意見があるわけです。なのに、なぜ予算を組んでまでやらなければならぬのか、その理由をちょっと聞かせていただきたいと思います。
○吉崎説明員 我が国の健康の状態、例えば寿命の長さとか乳児死亡率の低さでございますとかは世界第一級にあるわけでございますが、残念ながら虫歯は余りよくないのでございます。大ざっぱに言いまして大体横ばいでございますが、欧米諸国が減ってきておりますので、これもまた大ざっぱに言いまして、大体アメリカの倍あるのでございます。で、欧米諸国がなぜ減ってきたか。これが今日の定説では、弗化物を適確に使用したためであるとされておるのでございます。 そこで、この弗化物の安全性についてでございますけれども、およそ二十年ほど前に、WHOがその有効性、安全性につきまして確認をし、各国に勧告をしておるところでございまして、我が国でも従前から使われておるところでございます。お話にもございましたけれども、歯科医師会あるいはその他の学会でもこのことについて推奨をしておるところでございます。 したがって、私どもといたしましては、来年度以降、そういう状況にかんがみまして、五歳児の第一大臼歯、非常に大事な歯でございますけれども、これが今日二、三年でおよそ五割が虫歯にかかっておるのでございます。そこで、何とかこれに対策を講じようということで、健康診断、それから保健指導、あわせまして予防措置、希望のある者につきましては弗化物の塗布、こういうことを計画しておるのでございます。
○村山(富)委員 参議院で行われておる質疑を見ますと、社会党の和田静夫議員がやはり同じような問題を取り上げて質問しておるわけですね。そのときに、弗化ナトリウムについては今薬事審議会で再評価の調査が行われておる。再評価の調査がされておるということは、再評価をする必要があるから調査がされておるのでしょう。その結論はまだ出てない。厚生省の答弁を聞いてみましても、「私ども中央薬事審議会でも御検討をいただいておるわけでございまして、現時点で申しますれば問題がないということでございますが、さらに注意深く今後も検討を進めてまいりたいというふうに思っております。」その結論が出ておるのですか。
○小林説明員 今御指摘がございましたように、弗化ナトリウムについての再評価、これは昭和五十五年一月からやっております。提出されました有効性あるいは安全性に関する内外の資料をもとにしまして審議を行っております。 この弗化ナトリウムにつきましては申請書が非常に膨大でございます。例えば国内、国外の文献が千三百を超えるとか、その後でもいろいろ学会発表とか文献発表がございます。そういうことで非常に膨大なものでございますから、審議会におきましては、それらの新知見を含めまして十分な審議をしようということで現在やっておるわけでございます。ただ、大分審議も煮詰まってまいりまして、若干時日は要しますけれども、もうそれほど遠くない時期に結論が出るだろうというふうに考えております。 なお、つけ加えますが、再評価というものは、実は四十二年九月三十日以前に承認されました医薬品につきまして、これはねらい撃ちではございませんで、全般にわたって再評価をやるものでございますので、その点ひとつ御理解いただきたいと思います。
○村山(富)委員 それは全般にわたって再評価するのだろうけれども、これは答弁の中では慎重に検討したい、結論を待ちたい、こう言っておるわけでしょう。その結論も出ない以前に何も慌ててすることはないじゃないですか。 これは、私は時間がないからくどくど申しませんけれども、やはり厚生省自身が「自分の健康は自分で守る」と指導しているのでしょう。これはもうどなたの意見を聞いてみましても、やはり虫歯の予防に何より大事なことは、正しい食生活、食後のブラッシング、おやつの与え方、うがい等々正しい生活指導をすることがもう何よりも予防になる。厚生省は、金がなくて補助金まで一律カットしようなんという状況の中で、反対もあり疑念を持っておるものもある、薬事審議会も結論を出してない、しかも正しい指導は、厚生省が言っておるように「自分の健康は自分で守る」、こうすることが虫歯予防になるのですということをもっと宣伝をして徹底指導するということの方が大事であって、そういう状況であるにもかかわらずなぜ弗素化物を塗布しなければならぬのか、どうも私はわからぬのだけれども、どうですか。
○吉崎説明員 御指摘のことは全くそのとおりであろうと存じます。 それで、先ほども申し上げましたけれども、五歳に大体出てくる第一大臼歯にねらいをつけまして、健診と同時に、今お話しのございましたようないろいろな保健指導、これはもう強力に推進するわけでございますけれども、なお、二十年来有効性が認められておりますところの弗素化物による予防措置につきましても希望者に塗布しよう、こういうことでございます。
○村山(富)委員 いや、これはもうどう答弁されても納得できませんけれども、私は、相手が子供ですから、さっきから何遍も言っておりますように「自分の健康は自分で守る」というものを前提にやはり指導する必要がある。そのためには、食後には歯を磨きなさいよとかいうことをさせて、そして自覚を与えていく。ところが薬物に依存すれば、もう薬を塗ったから心配ないのだ、こうなれば、結果的にはかえってそういう正しい指導教育を阻害することになるのじゃないか。そんなことまでして、ない金を無理につけてしなければならぬ理由というのは、どうも納得できないのです。これはまたいずれ議論をすることにして、時間がありませんからその点だけを指摘しておきます。 次に、老人医療やら、医療費の本人自己負担が先般も決まったわけですね、健康保険法の改正等で決まったわけですが、最近、地方自治体の状況を見ておりますと、そうした自己負担を軽減するという意味で、単独で事業計画をこしらえて、その負担分を補てんをするような政策をやっている地方自治体があらわれてきているわけです。全国の状況はどうなっているか、もしわかっておれば御報告をいただきたいと思います。
○幸田説明員 健康保険の本人一部負担の改正に伴いまして都道府県で実施をしております助成事業、私どもが把握をいたしております現状を申し上げますと、実施ないしは実施予定の県が二十七県でございます。それから現在検討中のものが六県、それからそういった助成はやらないという県が十四県、こういうことでございます。 実施を予定したり実施をしております県のタイプを申し上げますと、障害者、老人、母子家庭を対象にいたしますものが六県、それから障害者と母子家庭を対象にいたしますものが十県、それから障害者と老人を対象にいたしますものが二県、そのほか、障害者だけでございますとか難病患者だけというようなところが九県というふうに承知いたしております。
○水田説明員 老人保健の関係分を申し上げます。 七十歳以上の老人を対象に、一部負担の肩がわりを実施いたしております市町村の数は六十五でございます。
○村山(富)委員 今御報告がございましたように、主として障害者あるいは母子家庭、老人、そういう層にやはり局限して、自治体がそれぞれ給付を行ってその負担分を軽減してあげる、こういう政策をとっていると思うのですね。本来厚生省の考え方からすれば、できるだけ負担と給付の公平を図っていくという立場からすれば、特別にどうこうするというようなことは好ましくないという意味はわからぬではありませんよ。わからぬではないけれども、しかしやはり、地方自治体の首長の立場に立てば、困っている住民に対して温かい手を差し伸べようというのもこれは当然の話だし、これは首長の権限でもあるわけです。だから、これはあくまで指導の範囲内にとどまるべきものであって、そうだからといってペナルティーを科して、あくまでも厚生省の方針に押さえ込むというようなことがあってはならぬと思うのですが、この点はどうですか。
○幸田説明員 私どもといたしましては、今回の健保の制度改革の趣旨ができるだけ損なわれることのないよう、市町村長の理解あるいは都道府県知事の理解を求めているところでございますが、御指摘のように、地方自治体が独自の立場で行うものにつきまして、厚生省としての考え方を強制するという立場はとっておりません。
○村山(富)委員 ほかの予算との関連の中で予算を削減するとかなんとかいうような、ペナルティーを科するようなことはないですね。
○幸田説明員 御指摘のとおりでございます。
○村山(富)委員 これはやはり、地方自治体は地方自治体の権限において、さっきから言っていますように、限られた、困っている人に対して温かい手を差し伸べようという意味で行うわけですから、むしろ私は温かく見守ってやるべきではないかというふうに思いますから、指導は指導として、そういう考え方で対処してもらいたいということを要望しておきます。 それから次に、これはむしろ健康保険法の改正案のときにもっと突っ込んだ議論をしておくべきだったと思うのですけれども、日雇健康保険法が廃止をされて、そして健康保険法体系に取り入れられることになったわけですね。そのことによって生ずる財政上の問題について若干お尋ねをしておきたいと思うのですが、現在日雇い適用者というのはどれくらいおりますか。
○坂本(龍)説明員 私どもの方で、五十九年三月末現在で把握しております日雇労働者健康保険法の適用を受けておりました日雇い労働者の数は、約二十四万七千人でございます。
○村山(富)委員 この二十四万七千人の中で、民間で働いておる一般の日雇いの方と失対事業に従事している者との割合はどういうふうになっていますか。
○坂本(龍)説明員 ただいまのお答えいたしました時点における民間と失対労働者の実数というのは具体的には把握をいたしておりませんが、五十七年五月に私どもが日雇い労働者関係の実態調査をいたしましたときには、大体失対関係の日雇い労働者が全体の二〇%程度就労していたという状況でございます。
○村山(富)委員 失対事業は……。
○坂本(龍)説明員 失対が約二〇%程度でございます。
○村山(富)委員 失対事業は市町村がするわけですけれども、市町村が雇い入れているのは失対事業だけじゃなくて、競輪とか競馬とかそういうところには日雇いがうんと入っていますから、ちょっと数は難しいと思うのですけれどもね。 そこでお尋ねしますけれども、五十七年度、五十八年度の日雇健保の単年度収支はどうなっていますか。
○坂本(龍)説明員 五十七年度につきましては、収入が五百八十五億円、支出が九百二十四億円でございまして、差し引き三百三十九億円の赤字でございます。五十八年度につきましては、収入が五百四十七億円、支出が八百六十七億円でございまして、差し引き三百二十億円の赤字でございます。
○村山(富)委員 これは日雇健保の性格からこういう収支の状況になると思うのですが、そういうこともやはり勘案をして、今まで政府が経営をしているときには給付費の百分の三十五を出していますね。それに定額で六億円ですかの負担をしておったわけですね。この百分の三十五というのは、額にしてどの程度を五十七年、五十八年は負担していましたか。
○坂本(龍)説明員 五十七年度は三百二十五億円、五十八年度は三百五億円でございます。これはいずれも六億円の定額を含んだ数字でございます。
○村山(富)委員 今お尋ねをした数字からも明らかですけれども、これは政府が百分の三十五、定額六億円等々負担をして、なおかつ単年度収支では、さっきお話がありましたように赤字が出ているわけですね。三百三十九億円、三百二十億円という赤字が出ているわけです。 そこで、この日雇健保を健康保険法の体系に取り入れるということは、今お話しがあったように政府が百分の三十五、定額六億円の負担をしておって、なおかつ赤字が三百億円近くこうして出ている、こういうものを政府が今度は出さなくて済むようにする、全部ではありませんけれども、出さなくて済むようにする、そして健康保険組合にその分の負担を転嫁をする、それだけのことじゃないですか。
○坂本(龍)説明員 考え方といたしましては、日雇労働者健康保険制度はもはや単独の保険制度として今後運営していくことは困難であるということで、これを健康保険の体系に取り入れるということでございます。その際に、健康保険制度には保険者として政府と健康保険組合と二種類ございまして、それぞれ就労者日数に応じて費用の分担をしていこう、こういう考え方をとったわけでございます。政府管掌の健康保険の事業所に就労した日数と組合管掌健康保険の事業所に就労した日数の割合に応じましてそれぞれ費用の負担をする、こういうことにいたしたわけでございます。その結果、政府管掌の健康保険の事業所に就労いたしました日数相当については、これは政府管掌健康保険の体質から見まして従来どおりの水準での国庫負担をしようとしておるわけでございますし、健康保険組合に就労した日数に応じる分につきましては健康保険組合において、現在定率の国庫負担というものはございませんので、健康保険組合における財政力というものを考慮した結果、これは国庫負担というものなくして御負担願えるものと考えて、かような整理をいたしたわけでございます。
○村山(富)委員 そうしますと、日雇いに関して健康保険組合が拠出をするわけでしょう。その拠出金はどれくらいになると推定していますか。
○坂本(龍)説明員 法律が十月実施になったわけでございますので、五十九年度につきましては十月以降の負担ということになるわけでございますが、現時点で健康保険組合全体での拠出金の負担は約四十億円程度、五十九年度は四十億円程度と現在の段階では見込んでおります。
○村山(富)委員 平年度はどのくらいになりますか。
○坂本(龍)説明員 平年度につきましては、今の段階での見込みでございますが、約七十億円程度ではないかと考えております。
○村山(富)委員 私は、今度のこのやり方については、いろいろな意味で制度上の矛盾があるのじゃないかと思うのです。なぜかと申しますと、日雇健保というのは、さっきも言いましたけれども、これは経営主体が今までは政府であったわけですよ。なぜかといいますと、体質が非常に弱い、だからこれはやはり政府が経営主体で面倒を見る以外になかろう。しかも、日雇いとか失対というのは国の雇用政策としてやられていることなんですよ。だから政府が経営主体になって面倒を見ましょう、そういう性格のものだと思うのですね。それを、今度は健康保険組合に負担を転嫁をしていく、健康保険の体系に取り入れる、これは理念的にうんと変わってくるわけですよ。これが一つの矛盾ですね。 それからもう一つは、同じ健康保険組合でも、日雇いを使っているところ、そうでないところがありますね。負担が違うのですよ。特に総合健保なんというものを組織しているところは、全然関係のない業者も拠出金を持たなければいかぬわけです。何で我々がそういう金を出さなければいかぬのか、こういう意見が出ますよ。矛盾があります。同時に、今度は市町村を見ますと、健康保険組合と共済に入っている組合がありますね。共済に入っているところはこれは全然関係ないのです。健保に入っているところだけが拠出するのです。しかも、健保に入っているところというのは偏っているのです。御承知のように、例えば北九州、大牟田といったような産炭地が非常に多い。この産炭地が非常に多い、失業者が多いというところは、市町村が国の雇用政策に協力をして失対事業をやっているのです。日雇い労働者を雇用しているのです。そして、政府の雇用政策に協力しているところがうんと拠出せねばならぬ、そうでないところは関係ない。これは大変不合理じゃないですか。矛盾じゃないですか。だから、負担を公平に分け合うという立場からすれば、私は大変矛盾があると思うのです。その点はどういうふうに理解していますか。
○幸田説明員 今回の改正は、先ほど御説明を申し上げましたように、日雇健康保険を廃止いたしまして、健康保険の枠組み、すなわち政府管掌等を健康保険組合に吸収をしようということでございます。政府管掌健康保険は、先ほど御説明をいたしましたように非常に財政体質が脆弱でございますが、健康保険組合は全体的に見まして財政状況はさほどのものでない、かなり良好である、こういうことからいたしまして、今回のような改正に踏み切ったものでございます。 共済組合につきましては、御指摘のとおり常勤の職員ないしはこれに準ずる職員を対象にしておりますから、日雇いの拠出金という問題は出てまいりませんが、健保組合につきましては、北九州あるいは大牟田といったような比較的失対事業その他、多数の日雇い労働者を抱えている健保組合の場合にはかなりの影響が出てまいります。私どもは、第一次的に各健保組合で自主的な努力をしていただくということをお願いいたしますと同時に、今回の改正によりまして、健保連が行います共同事業、この中に日雇いの拠出金もつけ加えていただいたのでございますので、健保連の相互扶助と申しますか共同事業を活用する、あるいは臨時給付補助金を計上いたしておりますので、そういうものによりまして健保組合の特に影響の多いところにつきましては対応をしてまいりたい、かように考えております。
○村山(富)委員 特に、さっき矛盾を申しましたけれども、市町村なんかに対する影響を見てみますと、例えば北九州なんかは保険料率は九五です。九五というのは最高ですね、上限いっぱいです。そういう保険料を取っておって、そして、今度の日雇健保を取り入れることによって五十九年度で拠出する分が、北九州市の場合に一億八千万、大牟田の場合が七千四百万、これを平年度に直しますと、北九州は四億三千四百万ですよ、大牟田が一億七千七百万です。 これをどういうふうにして補てんをしますかといういろいろな調査をしてみますと、法定積立金を取り崩す以外にない。そうしますと、これは三年ぐらいしかもたないです。しかも、これは自治体がつくっておる健保組合ですから、民間の一般の健保組合に依存をして、そして給付金をもらうなどということはなかなかしにくいのじゃないですか。同時に、この十三億円という金は、これは現状赤字組合と黒字組合がある。黒字組合から金を拠出してもらって、全体でならして財政調整をしてやっていこう、こういう努力もしていますよ。その努力に補てんをする意味で十三億円出しているのです。そこに、今度新しくこの日雇健保の拠出金が加わるわけですよ。同時に、退職者医療制度ができましたから、それに対する金も出さなければいかぬわけですよ。そのかわりに、これは一割負担になっていますから、したがって給付の方が減ってくるかもしれませんよ。しかし、一割負担がどの程度の影響があるのかということはわかりませんからね。患者の負担を当てにして、そして政府は金を出すのをやめたなんという、そんな考え方もみみっち過ぎるんじゃないですか。私は、そういういろいろなことを考えた場合に、理論的にも現実的にもやはり矛盾があるし、負担の公平を欠く点があるというふうに思いますから、そういう問題について十分検討してもらう必要があるということが一つ。健保組合というのは、自主的な組織として、医療の適正化やあるいは健康管理、指導といったような保健活動等々をやりながら、それなりに役割を果たしてきているわけですよ。この基盤が崩されるというようなことになったら大変な問題ですから、したがって、今後の推移を見ながら慎重に検討してもらう必要があるというふうに思いますから、最後に、その見解をお聞きしたいと思うのです。
○幸田説明員 御指摘のとおり、この日雇拠出金によりまして相当の影響を受ける都市健康保険組合がございます。私どもこの実情をさらに十分把握をいたしますと同時に、御指摘のような健保組合の存立基盤がそのために脅かされるということがあってはならないと思いますので、十分検討を続けてまいりたいと思っております。
○村山(富)委員 その次に、今、厚生省が、診療報酬等の支払基金とか国民健康保険中央会とかそういうところに対して、レセプトを処理するシステムについていろいろな計画をしていますね。この趣旨を見ますと、「診療報酬の請求支払は、現在、紙のレセプト用紙を用いて行われているが、医療機関や審査支払機関等で増大するレセプト業務の迅速かつ適切な処理体制の確立が求められている。このため、レセプト処理システムにより、レセプトを磁気媒体によることができることとし、コンピュータで処理することにより、保険医療機関等審査支払機関、保険者を通じて一貫した整合性のあるシステムを導入することとしたものである。」こういう趣旨に立って今指導をやっているわけですね。大体十年程度を目途に全国的に整備するという計画でやっておるようですが、このシステム化について関連していろいろな疑念が持たれ、不安が持たれておりますから、そういう点について若干確認をしておきたいと思うのです。 その一つは、プライバシーに関して保護立法が現在日本にはないわけですから、したがって、そういう面に悪用される危険性があるのではないか。時間がありませんから、もう端的に項目を設けて確認だけをいたしますから、その点はどうですか。
○幸田説明員 御指摘のような問題が確かに考えられますので、私ども、支払基金等におけるデータにつきましては、保護管理者を設置するとか、目的外使用の制限を規定をするとかといった厳重な管理をいたしまして、プライバシー保護に万全を期することとしたいと考えております。
○村山(富)委員 この国民健康保険の被保険者に個人コードが設定されるわけですね。これは国民すべてに当てはまる問題であって、その医療分野での個人コード制度の導入が、国民の実質総背番号制につながる心配はないかというふうに思うのですが、この点どうですか。
○幸田説明員 今回考えておりますコードは、現在の被保険者証の記号番号をコード化するということでございまして、保険者別がまず頭に参るわけでございますので、そういった意味で現行の被保険者証と何ら変わるものでない。したがいまして、国民総背番号制につながるということは私どもは全く考えておりません。
○村山(富)委員 これはいろいろ心配をすれば切りがない話なんですけれども、こうした個人のデータが精神衛生の実態調査のようなものに使われたり、あるいはまた民間に利用されるといったような心配をされる向きもあるわけですけれども、そういう心配はないのか、その保証はあるのかということについてお尋ねします。
○幸田説明員 データの保護管理等につきまして厳重に管理をするように規定をいたしまして、万全を期していきたいと思っております。
○村山(富)委員 これはその管理の規定をきちっとこしらえるわけですね。 同時に、これは前の前の厚生大臣が「医療政策—視点と方向」といったようなものを出して、標準医療の概念を出したことがありますね。例えば、こういう病状に対してはこの範囲の診療をといったようなものですね。このコンピューターの導入が、そういう標準医療の概念を入れるようなことになったら、医療のあり方が大きく変えられていくということになるわけです。やはり医療というのは国が責任を持って、いい医療をいつでも、どこでも提供できるようなものにしていくという方向で努力していくことが当然だと思うのですけれども、それが逆に標準医療で狭められていく、こういうことになるのではないかという懸念があるわけですけれども、その点はどうでしょうか。
○幸田説明員 林元厚生大臣が提唱されました「今後の医療政策—視点と方向」におきましても、今御指摘のようなものは「医療に関する専門団体の意見を踏まえて」ということになっております。私ども、今回のコンピューター・レセプト処理システムの導入がそういった標準医療のようなものにつながることは全くない、こういうふうに考えているところでございます。
○村山(富)委員 幾つか我々が心配する問題、不安に思う問題もあるわけですけれども、ただ、私は、このコンピューターの導入について推進をされることは、やはりそこで働いている労働者の労働条件なり雇用問題に大変大きな影響があるわけです。したがって、例えば厚生省が指導されるに当たって、そこで働いている労働者が労働組合をつくっておる場合に、厚生省と直接雇用関係はないわけですから団体交渉なんてものじゃありませんけれども、やはり意思の疎通を図りながら理解を求めていく、疑問や不安があればその疑問や不安を解消するというような努力は当然しなければならぬと思うのですが、そうした問題について関係の労働組合の皆さんと協議をするということは当然だと思うのですが、どうでしょうか。
○幸田説明員 このレセプト処理システムを進めてまいります上に、関係の職員、支払基金なり国保連合会の職員の方々の理解と協力が必要であるということはまさにおっしゃるとおりでございます。私ども、これを進めていくという観点から、直接の労使関係はございませんけれども、できる限りお話し合いをしていきたい、かように考えております。
○村山(富)委員 同時に、これは、国民健康保険組合団体連合会というのがありますね。中央に中央会がありますね。恐らく、厚生省がこの計画を推進されるに当たっては、中央会と連絡をとって、中央会が連絡調整指導機関になってやっていかれると思うのです。そうしますと、やはりその中央会との話し合いというものも当然起こってくるんじゃないかと思うのです。これは厚生省が直接どうこうする問題ではなくて、中央会が自主的に判断する問題ですけれども、しかし、厚生省がそうした指導をする際に、やはり中央会も関係の組合とはそういう意味における連絡、協議等はやるべきではないかと思うのですが、そういう指導もやってもらえますね。
○幸田説明員 国民健康保険関係につきましては、国保中央会がこの問題の処理に当然参画をしてまいりますので、御指摘のとおり中央会に対しましても十分話し合いをするように、種々指導をしてまいりたいと思っております。
○村山(富)委員 時間もだんだん参りましたから、最後に、きょう何か朝のテレビでもやっていましたけれども、健康な人の腎臓を移植用に売買されている、そのあっせん業者が公然と出てきておる、こういうことが明るみに出まして、各界に大変大きな衝撃を投げかけておるわけです。腎不全の患者さんは週に二、三回、一回に五、六時間を要する透析をして生命を維持していますから、これは肉体的にも大変苦痛があろうし、仕事上はもとより日常生活にもやはり大きな制約が加えられる、したがって何とか移植をしてもらって早く治りたい、健全になりたい、こういう期待があるのはむしろ当然だと思うのですね。そういうことを前提にしてこうしたあっせん業者が出てくる。そうして、何か新聞の報道によりますと六百万円ですか何かで売買されておるというふうなことが言われておるわけですけれども、これは厚生省も恐らく実態を調査されておるのじゃないかと思うのですが、現状はどういうふうになっておるのか、もしわかれば御報告いただきたいと思うのです。
○大池説明員 御指摘のように先般一報道機関によりましてそのようなことが報道されたわけでございますが、事柄が事柄でございますので、厚生省といたしましてもこれに的確に対応する必要があると考えまして、早速その実情の把握に乗り出したところでございます。 具体的には、報道されている特定の方もおられるわけでございますので、大阪府の衛生部にその実情把握方を依頼したところでございます。これまで大阪府の方で二度ほど本人の協力を得て実情を聴取したわけでございますけれども、本人の方は、報じられているような中身については強く否定をしているという報告を受け取っておるところでございます。 なお、私どもとしましては、事柄を重視しまして、このようなことが行われていないかどうかを全国の都道府県に対しても照会をいたしておるところでございます。それぞれの衛生部からの報告によりますと、そのような事実を聞いたことはないというような報告が返ってきておるところでございます。 また、高度の専門技術を必要とする分野でございます学会方面とも密接に連携をとりながら、その実情の把握に引き続き努力をしているところでございます。
○村山(富)委員 そうすると、こういう事実は存在しない、していないと言われるわけですか。
○大池説明員 ただいま申し上げましたような努力のこれまでの範囲において、まだ確認はされていないということを申し上げたわけでございます。
○村山(富)委員 それじゃお尋ねしますけれども、今、腎臓移植を希望している患者さんはどれぐらいありますか。今日まで死体腎、生体腎に分けて腎臓移植をされた例は幾つぐらいありますか。
○大池説明員 先ほど申し上げましたように、腎臓移植につきましては特別な施設、設備と特別の専門技術を要する関係もございまして、学会の情報がこの点を把握するために一番的確であろうということで日本移植学会に聞きましたところ、五十八年末現在でございますが、腎移植数は合計いたしますと二千七百五十八件ということでございます。その中で死体腎によりますものが六百七件、生体腎によりますものが二千百五十一件となっております。 さらに、先ほどお尋ねの腎移植の希望者の点でございますが、これは五十九年の十月末での移植を希望しておられる方の総数は、四千六百九十一名でございます。
○村山(富)委員 死体が六百七、生体が二千百五十一ですか。そうですね。
○大池説明員 そうでございます。
○村山(富)委員 国会が、五十四年に議員立法で、角膜及び腎臓の移植に関する法律というのをつくりましたね。この法律は死体だけに限っているわけですね。生体から腎臓を移植するというのは、取るというのは規定がないわけです。今報告を聞きますと、圧倒的に生体が多いわけでしょう。これはどういう関係なんですか、この法律とは。
○大池説明員 当時の状況におきまして、御指摘のように生体腎が死体腎よりも上回るという状況は同様に存したわけでございますが、そのねらいとしましては、死体腎の移植を促進させる上において、死体腎を移植に用いるに当たっていろいろと法律上問題を生じないような配慮をするということから、制度化ということに、議員立法によって行われたというふうに私どもは承知しております。
○村山(富)委員 この議員立法でつくった法律というのは、さっき言いましたように、死体だけに限っているわけです。これは明確に限っています。生体から腎を取るというのですか、そういうのは全然法律の規制がないわけです。ところが、法の規制がないために、どちらかといいますと、大分いい薬もできまして、生体腎の移植の方が生着率がいいという効果も上がっているものだからそういうことになっていくのだと思うのです。しかし、生体腎を移植するということについては法律の規制も何もないのです。これはある意味からすると野放しですよ。そうなりますと、やはり求めている者が、しかも与える方は圧倒的に少ないものだから、そこにやはりあっせん業者が入ってきて、売り買いが起こるという可能性はあるんじゃないですか。そういう意味からしますと、制度的にやはり不備があるのではないか。そこらはもう少しやはり検討していかないといかぬのじゃないかという気がするのです。ですから、生体の扱いをどうするのか、あるいはもっと規制を厳しくする必要があるのかないのか、そういう点についてはどういうふうにお考えですか。
○大池説明員 生体腎につきましては、御承知かと思いますけれども、親子の間あるいは兄弟の間というような、肉親のやむにやまれぬ情というようなものも基盤にしまして行われているわけでございます。そのような実態もございますし、また、生体から摘出する問題につきまして多角的にまだ論議を要するということで、専門家の間でもいろいろな御意見があるように承知しております。そのような御意見がまだ十分に熟し切っていないということから、当面死体腎ということについての制度化が図られたというふうに承知しているわけでございます。 そこで、先ほどの御指摘の点でございますけれども、医学的には生体腎の生着率の方が死体腎よりも一般的には良好であるということは言われておるところでございますけれども、医学以外のまた関連するいろいろな観点から見まして、倫理とか社会通念とかいろんな問題がございます。そういったような多方面にまたがっての合意と申しますか、コンセンサスが形成される必要があろうかと思うわけでございまして、直ちに今、法が不備であるかどうかということで、私どもは法をどうかするというような観点では考えておりません。
○村山(富)委員 これは宗教上の問題もあろうし、倫理上の問題もあろうし、いろいろな観点があると思うのです。だから、にわかに結論は出しにくいと思います。しかし、現状を考えた場合に、もう腎不全の患者さんは通常普通の生活はできないわけです。やはり週に二回か三回、しかも一回に五、六時間も透析をしなければ命が維持できないわけですから、それは仕事の上からも、日常の生活からも、あるいは苦痛の上からも、大変な重荷を背負っているわけです。したがって、何とか健全な体になりたいという切実な気持ちがあります。だから、腎を移植してもらえてそれで治るのなら、もう少々の犠牲を払ってでも治りたい、こういう気持ちがあるのは当然でしょう。そこで一番いいのは肉親が一番いいのでしょうけれども、幸い二つあるのだから一つは上げようといって、提供するというので話がまとまるということもあるかもしれません。しかし、そういう関係にあるだけに、しかも絶対数が足りないわけですからね。きょうもテレビで言っていましたけれども、アメリカから輸入している。だけれども、アメリカの方も絶対数が足らないので、今、国内で問題になっている。したがって、アメリカから取り入れることはもう不可能になる。そうするとますます困っていくわけですね。そこに腎臓を売りたいという——現にお医者さんが言っておりましたよ。売りに来た者がある、買いに来た者もある。こういう現状は、事実があるかどうか私は知りませんよ、しかし、それははっきり言っているわけですから、そういう現状を考えた場合に、また起こり得る可能性があるわけです。しかも日本の法律は、死体だけに限られて移植ができるという法律がつくられておる。現実には生体から腎を移植している分が圧倒的に多いわけです。それに対しては何らの規制も法の適用もない、野放しになっておるということでいいと思いますか。どうですか。
○大池説明員 腎移植に関しましては、まず腎の提供を受ける患者さんの立場がございます。それから、生体あるいは死体という形がありますけれども、腎を提供する立場がございます。それから、そのような移植手術を直接行う医療機関の専門医師がございます。それから、ただいま御指摘のような、その間をあっせんするような方がございます。これらが全部そろって初めて移植が完成するわけでございますが、御指摘のような、人の道に反するとかあるいは社会通念から見て極めて好ましくないこととか、そういった事柄につきましては、それぞれの立場の関与する方がみずから自制し、規制していくべき事柄であって、どの一つが欠けてもこれは成立しなくなるわけでございますので、例えば学会におきまして、そのようなことはかりそめにもあってはならぬというようなアプローチも、そのような動きがあるようにも私ども承知しておりますし、また患者さんのお立場からも、そういうようなことは望ましくないことだというようなコメントも既になされているように聞いております。したがいまして、報じられているようなことが現にあるかどうかということにつきましては、私どもは確認しておりませんと先ほど申し上げたわけでございますが、今後ともそういうようなことがあってはならぬと考えておりますし、また、ただいま申し上げましたようなそれぞれの分野におきまして、そのようなことが起こらないように配慮を期待したいと考えておるわけでございます。
○村山(富)委員 この法律を見ますと、さっき言いましたように、もちろん死体だけに限られていますね。しかも営利を目的としてやってはならぬ、金もうけの手段にしてはいけない、あっせん業者は厚生大臣の許可を受けなければならぬというようなことが決められているわけです。これは決められていますけれども、前提が死体なんです。生体の扱いについては何の規定もない、法律もないのです。 では、例えば私が、ある患者に私の腎臓を上げましょうと言って提供した場合に、謝礼に仮に百万円をもらった。これは売ったんじゃありませんよ。百万円、謝礼をもらったんです。それはどうなりますか。それはそれで合法的に成り立つのですか。できるのですか。
○増岡国務大臣 今回の問題につきましては、売買によって利益を得たということが一番問題だろうと思います。また、生体と死体のことでありますけれども、法律をつくればいいじゃないかということも考えないではありませんけれども、やはりまず死体から移植をすべきである。それが、もう少し私どもの努力も足りない面もあるかとは思います。したがって生体から移植をされておるということでございまして、臓器を提供するということについては私どもはやむを得ないことであると思うわけであります。したがって、その間、先ほど申し上げました売買によって利益を得るということがないようにすることは、これは法律があろうと何がなかろうとやるべきことであろうと思いますので、その点はやらなければならぬのでありますけれども、やはり移植学会との話し合いでありますとか、今おっしゃったように例えば身内から提供を受けたそのお礼を、人道的に普通の意味のお礼をしたときに、それを禁止できるかということになりますと非常に微妙な問題だと思うわけでございます。したがって、今回のようなことが、伝えられたとおりでなければ幸いだと思いますけれども、二度とそういう疑いすらかけられることがないように、私どもが努めていかなければならぬところだと思うわけでございます。 先ほどから先生の熱心な御質疑をいただいておりまして、特に国保におけるレセプトの処理システムの問題も御発言がございましたけれども、やはりこういうふうな問題は、私は国保連と労働組合が、仮に半年でも一年でも二年でもかかっていいから、まず話し合いをすべきだと思います。安易に中央会の方へすっと持っていくということよりも、現場で一緒に働いているのですから、そういう気持ちでおりますのでつけ加えさせていただきたいと思います。
○村山(富)委員 時間が来ましたから、これは、私はやはりちょっと確認だけしておきたいと思うのですけれども、死体腎移植は法制化されているけれども生体腎移植は何らの規制はない、しかし現実には、さっき報告があったように生体から取っている方が多いのですよ。しかも生着率が高いわけですよ。それが何らの規制もなく、野放しになっておるというところに問題があるわけですから、法律の改正は考えていませんなんというのではなくて、それは関係者が多いし、特に学会の意見なんかも聞く必要がありますよ、だから関係者の意見も聞きながら慎重に検討して、何らかの規制なり整備をする必要があると思いますと言うなら話はわかりますよ。だけれども、現状のままでいいのだなんという考え方は、ただそういうことが起こらないように取り締まりをきちっとするとか監視をするとか言ったって、現実にこんなものがうわさされているわけですから、またそういうことが起こる可能性を持っているわけですから、制度的に正していく点があれば正していくし、是正をする点があれば是正をするということを検討するのは当たり前ではないかと私は思うのですが、これはどうですか。
○大池説明員 ただいま御指摘のような非常に微妙な複雑な問題でございますけれども、関係方面の意見も十分承りながら慎重に検討したいと思います。
○村山(富)委員 これは私はよくわからぬけれども、こういうものが公然と行われても取り締まる方法がないというようなことになったのでは大変なことですよ。ですから、法の不備は不備でちゃんと整備をして、こんなことが入るすき間がないようにきちんとやっておく必要があると思いますから、その点は強く要請をして、私の質問を終わります。
○有馬委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時五十三分休憩 ————◇————— 午後一時三十六分開議
○有馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。網岡雄君。
○網岡委員 それでは、時間が三十分ということになっておりますから、私も要点をまとめて御質問いたしますので、答弁の方もできるだけ急所に触れて御答弁をいただきたいというふうに思います。 まず第一に私がお尋ねをいたしたい点は、ことしの三月十日の予算委員会第四分科会で私が質問いたしました低肺機能、呼吸不全対策につきまして、若干御質問を申し上げたいと思います。 まず第一に、在宅酸素療養についての健康保険適用がその後どうなっているかという点について、御質問を申し上げたいと思います。 まず、私が先ほど申しましたように、三月十日の予算第四分科会で、特定疾患の専門委員会の中の呼吸不全研究班が、昨年の十一月の段階で調査研究の結果を報告しました。その報告によりますと、幾つかの解決をしなければならない問題はございますけれども、しかし大筋で見まして、低肺機能というものについての治療の中で在宅酸素療養というものは有効である、こういう報告がなされたことを中心にしまして、私が、もしこのような権威ある研究班からの報告があり、問題となっている諸点の解決がされるとするならば、これは在宅療養として正式に認知をすべきではないか。そういうことになれば、当然酸素療養についての健康保険適用というものをするべきではないか、こういう質問をいたしましたところ、当時保険局長であり、今次官をおやりになっている吉村次官から、次のような答弁があったわけでございます。 それは、我々は、治療上における在宅治療というものは、治療対策上非常に重要な位置にあるものだと認識をしている。そして、酸素自宅療養というものはこれは検討すべき課題であるというふうに思っている。そして検討すべき課題というのは、一つは安全性、二つ目には緊急時における医師との連絡、それから三つ目には酸素供給装置の取り扱い、そしてその管理というものについて解決をするならば、これは遠からず保険適用にすることは難しくない、こういう答弁が三月の時点で出たわけでございます。 恐らく、このことを言われた以上は、保険適用についてその後厚生省としては検討を進められたと思うのでございますが、その後どのような検討をされ、現在検討作業がどのように進行しているかということを、かいつまんでひとつ御答弁を願います。
○幸田説明員 去る三月の予算委員会分科会で先生から御質問のありました以後の状況を簡単に御報告を申し上げますと、今年八月に日本胸部疾患学会から、在宅酸素療法についての意見が提出をされました。その内容をかいつまんで申し上げますと、対象患者は「諸種の原因による慢性呼吸不全例のうち安定した病態にあるもの」、それから「ただし、臨床的に不安定なものや酸素流量をしばしば変更する必要のあるものについては禁忌とする」、こういうことでございます。それから「臨床的にはほとんど危険性はない」、それから「治療効果は、酸素長期投与例に生存率が高いことから十分にある」、「医師による経過観察は少なくとも二週間に一回必要である」、そのほか、いろいろな点に触れました日本胸部疾患学会からの意見が、本年八月でございますが、出されたのでございます。 私ども、前局長がお答えを申し上げましたように、在宅治療、在宅療養の推進という見地からいたしまして、この在宅酸素療法は非常に前向きのものである、こう考えて検討を現在進めております。 先般お答えをいたしました安全性の問題については、今のような学会の御意見をいただいておりますし、また高圧酸素ボンベの問題につきましても、その後、酸素濃縮装置というのが新しく開発をされているわけでございまして、緊急の場合のお医者さんの応需体制をどうするかという問題がまだ残されておりますほかに、酸素濃縮装置なり酸素ボンベの提供あるいは保守管理体制をどうするかという問題がございますので、これらの問題について具体的な御意見を関係者に現在求めている段階でございます。
○網岡委員 そうしますと、恐らく今の肺生理委員会だと思うのでございますが、そこの報告によれば、一つは、病状として慢性安定期にある患者に限る、それから、在宅酸素治療という場合には臨床的に全く問題はない、それから三つ目には、酸素療養というものはしたがって有効である、こういう判断が下されたというふうに考えてよろしいでしょうか。
○幸田説明員 おっしゃるとおりでございます。 先ほど申し上げました日本胸部疾患学会と申し上げましたのは、その中の先生御指摘の肺生理専門委員会の意見でございます。
○網岡委員 そうしますと、あと、これから検討していかなければならない今後の課題というのは一体どんなものがあるのでございましょうか。
○幸田説明員 一つは、実施する医療機関の施設基準と、緊急な場合に医療機関がどう対応するか、その体制の問題が一つございます。 それから二つ目には、酸素濃縮装置なり酸素ボンベの提供体制の問題がございます。 三番目に、装置等の保守管理体制、そういった問題がございます。 そういった問題について現在意見を学会に求めている段階でございますが、同時に、患者あるいはその家族に対する教育ということが非常に重要でございますので、そのマニュアル等についても現在検討を求めている、こういう段階でございます。
○網岡委員 そうしますと、例えば実施する医療機関の施設基準というようなものは、これは具体的に言えば、保険適用ということになれば、診療所、病院から始まって大学病院まで、すべての医療機関にその体制が通用しなければいかぬわけでございますから、呼吸科というような資格を持った医員でなければならぬというようなことが骨子になるのが、ここで示されている施設基準というようなものでしょうか。そのほかのこともあるのだろうと思うのですが……。
○幸田説明員 御指摘のとおりでございまして、今先生のおっしゃるような人的な要件を中心に考えていきたいと思っているわけでございます。
○網岡委員 時間がございませんので、私、総括的に申し上げていきますと、これは例えば実施機関の施設基準、私が言っただけではないと思うのでございますが、しかし、施設基準の設定についてはこれはそう大して難しい問題はないというふうに私ども思います。 それから、緊急応需の体制にしましても、例えばポケットベルを採用するとかいうことになれば、電話の場合これは話し中なんかがあったらいけないわけですから、それをなくすということならポケットベルでもいいということにもなるわけでございますし、さして技術的にこれは問題があるわけではないというふうに思います。 それから、酸素濃縮装置とか酸素ボンベの提供体制、これは私どもの仄聞するところによりますと、もう既に酸素濃縮装置の機械をつくるメーカーはちゃんとあると聞いておりますし、その機械も、安全性から見てもいろいろな点から見ても大体問題がないというふうに言われているものだと言われています。それから、酸素ボンベの提供についてもやはり同じようなことが大勢として言える段階に来ておるわけでございます。 そういうことからいきますと、ひとつ確認をさしていただきたいわけでございますが、それは端的に言って、保険適用が危ぶまれるようなそういうような適用禁忌とか、あるいは大きな問題点があるというような状態では今の検討段階においてはない、こういうことだけはもうはっきりしている。それから、したがってむしろ、これからの検討というのは、現実に保険適用をしていくための体制をどうするか、保険適用を行っていく場合にやっていかなければならない最終の詰めを行う検討段階に入っている、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○幸田説明員 先生から御指摘の諸問題につきましては、私ども、事務的にもそう大きな問題はないものと確信をしているわけでございまして、学会に対しましてできるだけ早く御意見をいただきたい、こう申し上げているところでございます。私ども、できますれば来年早々にも御意見をいただきたい、こう考えているわけでございます。
○網岡委員 そうしますと、中医協にかける厚生省内部の案というものについては、今局長がおっしゃいましたように、来年にも権威ある関係学会の報告を受けて、それをもとにして事務的なまとめを行い、中医協の答申諮問の態勢を整える、こういうふうに理解をしてよろしいでしょうか。
○増岡国務大臣 ただいま御指摘のように、原則的には全く問題がないように思います。最後の詰めということでございますので、できるだけ早い機会にその方針といいますか考え方をまとめて、そしてなるべく速やかに中医協の方に諮問いたしたいと思います。
○網岡委員 大臣からかなり前向きな御答弁をいただいたということは私も評価をいたすけれども、もう少しその辺のところを詰めさしていただきたいと思うのですが、先ほどもおっしゃったように、厚生省内部の詰めというのは一応来年早々ということですから、早々という以上は一月ないし二月、こういうふうに判断をしていいかどうか。 そして、それを受けて中医協に諮問をする、こういうことになれば、問題は中医協の時期が問題になってくると思うのでございますが、これは健康保険法の審議の際に、私も当時の吉村保険局長と質問戦をやったときに、吉村局長や当時の厚生大臣もお約束をされましたけれども、一年に一回の薬価基準の見直しのため中医協をやる、それから、医療技術上、診療報酬上のいろいろな矛盾点があるわけでございますから、その診療報酬の見直しをするためにはこれは必ず近い時期にやっていきたい、こういう約束といいますか、明確な答弁が出ておるわけでございます。そうなりますと、ただいまその点については御検討中であると思うのでございますが、この在宅酸素の保険適用というものは、恐らく診療報酬の中に入っていくことになると思いますので、したがって診療報酬の改定の時期にこれが提案をされる、こういうふうに判断をされるわけでございます。そうなると、ことしの健康保険法の審議のときにおける政府側の答弁、約束というものからいいまして、中医協における診療報酬の見直しというものは可及的速やかにやらなければならぬという命題を抱えておるわけでございますので、厚生省の内部検討は一月ないし二月だ、こういうことで仮定をいたしますと、その後の直近の中医協における技術報酬の見直しをされる時期にやられるということになるとするならば、来年度における後半と前半と分けました場合に、これは大体前半の時期に中医協に諮問をされる可能性が非常に高まっている、こういうふうに判断をしてよろしいものでございましょうか。
○幸田説明員 先ほど来御答弁を申し上げておりますように、来年の一月ないし二月、来年早々には学会の御意見をいただけるものと期待をしております。それに基づきまして私ども検討をいたすわけでございますが、御指摘のとおりこれは点数化が必要でございまして、診療報酬の全体的な見直しがいつになりますか、現時点では確たることを申し上げる段階ではございませんが、その最も早いときに私どもとしてはこの問題に取り組んでいきたい、こういう考え方でございます。
○網岡委員 これは蛇足のようなことになるかもわかりませんが、一つだけ申し上げておきたいと思うのでございますが、現在、低肺患者で病院にお入りになっている方の一つの具体的なデータを私、持っておるわけでございますが、その人の医療費というのは、一割負担でいって基本診療、投薬、注射料、処置料、検査料、レントゲンというものを全部合計をいたしますと、一カ月で払った医療費は六万八百十三円、こういうことです。そうしますと、これは医療費総体としては十割で計算しなければなりませんから、医療費全体では六十万八千百三十円、こういうことになるわけでございます。これは大変な医療費がかかっているということになるわけでございますが、一方、在宅で酸素療養をやった場合にどうなるかというのを私、資料を手に入れましたので申し上げますと、例えば酸素濃縮器を利用して自宅療養をやった、こういうことで仮定をしたといたしますと、レンタルの費用、それが大体四万円近く要る、そしてフィルターの膜を取りかえていくような費用などを全部計算いたしましても、月に大体六万円程度でできる、こういう資料を私ども入手をいたしておるわけでございます。 そういうことになりますと、同じ症状でありながら、片一方は入院をすれば六十万、そして自宅で療養すれば六万円で済む、個人負担でいってもこれは一割でございますから六千円で済むということになりますと、個人にとっても負担は非常に軽くなりますし、国家的な見地で眺めましても医療費総体はこれまた十分の一、一割で済む、こういうことになるわけでございますから、私は、これは非常に有効適切な医療体制だというふうに思っております。大臣、ひとつこういうことを踏まえていただきたいと思うのでございます。 それからもう一つは、低肺機能患者の特徴でございますけれども、風邪を引いたときとかあるいは息苦しくなったときだけが問題でございまして、あとのときには普通の人と全く変わっていないわけでございます。仕事をやっても問題がない、こういうことでございますから、そういう人たちが何も病院にいて治療を受けなければならぬということはないわけでございまして、先ほどの肺生理委員会が評価をいたしておりますように、慢性安定期、こういう症状の人たちでございますから、したがって、そういうことからいっても、在宅酸素療養というものでいけば費用の点からいっても非常に有効でございますし、さらに、家にいて自分の仕事ができるということになれば、これは一石二鳥の役割を果たしておるわけでございます。 そういうことからいいますと、これはいろいろな検討事項の重要な課題は全部クリアしたわけでございますから、最終の詰めの段階に入っておるわけでございますので、来年早々結論が出るならば、その直近の中医協においてこれが検討され、そして健康保険適用になるように、ぜひひとつ厚生省において十分配慮をしていただきたいということについて、改めて大臣に所信を伺っておきたいのでございますが、よろしくお願いします。
○増岡国務大臣 おっしゃるとおり、関係機関の意見を聞きました上で、診療報酬を御審議いただくための中医協、いつになるかまだわかりませんけれども、一番近い場面で御審議をいただきたいと思います。
○網岡委員 それでは、次に移ります。 次は、これは低肺機能患者の医療の受け入れ体制の問題について簡単に質問いたしますので、要点をまとめてお答えいただきたいと思うのでございます。 これから冬に向かうわけでございますが、低肺機能患者にとっては冬が一番危険な状態になるわけでございまして、風邪を引いたときなどは、一つ間違えば生命の危険に陥るというくらいの大変な時期をこれから迎えるわけでございます。 まず一つは、お答えいただきたいのでございますが、三月の時期に私が指摘をしましたときには、その低肺機能の患者を十分に受け入れる態勢というものが非常に乏しい、こういう状況にあったということを指摘をしましたところ、当時の渡部大臣は、事情を踏まえて早急に整備するように善処したい、こういう答弁があったわけでございますが、私の質問後、国立療養所なり国立病院でどういう整備、改善がされたかという点をちょっと具体的にお答えいただけないでしょうか。
○大池説明員 国立療養所におきましては、その後、御指摘のような趣旨を踏まえまして重点的に整備を行いまして、重篤な呼吸不全患者に対応できます診療体制といたしまして、現在では二十四カ所にまで達しております。ちなみに、当時御報告できた数字は十七カ所だったわけでございます。 なお、国立病院におきましても従来から、この点を含めまして整備を進めてきておるわけでございますが、現段階で二十四カ所の集中監視装置、ICU等で対応している実情にございます。
○網岡委員 一定の整備が、増設をされたといいますか改善をされたという点では、私、厚生省の取り組みに評価をいたします。 ただ、私はこの際さらに御要望申し上げたいのでございますが、それはIRCUの装置を持った、看護婦までを含めた低肺機能専門に治療を行っていくスタッフの態勢というものは、残念ながら、私が質問した時点から本質的にはそう変わっていないというのが現状だと思うのでございます。例えば、救急医療体制では若干の前進が見られたかもわかりませんが、応急処置をとって本格的な治療をする段階ではやはりIRCUを持った、看護婦までを含めた一貫された医療スタッフの態勢というものが一番望まれるわけでございます。そういう意味からいいますと、東京、大阪、名古屋、福岡、こういったところにやはり固定化されているという現状でございますので、これからは一番危険な冬の時期に入るわけでございますから、ぜひひとつ、厚生省としても、少なくとも各ブロックにこういう態勢がとれるように早急に整備に努めていただくように鋭意検討していただきたい、こういうことをひとつ要望したいと思うのでございますが、大臣、いかがでございましょう。
○大池説明員 極めて厳しい定員事情のもとにはございますが、先生の御指摘のような御趣旨を踏まえまして、引き続き努力を傾注してまいりたいと思っております。
○網岡委員 それでは最後に、時間も来ておりますので一つだけ質問さしていただきたいと思いますが、医薬分業の問題についてひとつ御質問申し上げていきたいと思います。 それは、厚生省が、これで二年になると思うのでございますが、医師、歯科医、薬剤師、それから学識経験者という四者の、厚生省を含めまして医薬分業推進懇談会、こういうものを開かれて、今日まで分業に対する施策をおやりになっておみえになったわけでございます。私はこれは一定の成果をおさめられたと思うのでございますが、私、この辺の時期でもう一歩突っ込んだといいますか、発展をした対応というものが必要だというふうに思うわけでございます。それは、中央で四者が話し合いをしているだけでは、これはなかなか国民のレベルの段階まで医薬分業の必要性というものが周知徹底をされるということにはならぬと思うのでございます。昔から言われていることですが、「百聞は一見にしかず」という言葉がございますけれども、もし医薬分業が医療施策の重要な柱であるというふうに厚生省が踏まえておみえになるとするならば、これは医薬分業の実験テストを特定の地域に実施をして、そしてその成果を生きた材料として、資料として国民に提供し、医療関係者や国民に理解をしてもらう、こういうことが一番私は説得力を持って医薬分業の推進に資することができるのではないか、こういうふうに思うわけでございます。 聞くところによりますと、厚生省は、テレビの放送によれば、医薬分業推進モデル地区を設定しようということで、その予算要求をされたというふうに聞いておるわけでございますが、これらの点について厚生省は一体どういう御判断と、どういう決意をお持ちになっているかということについてお答えをいただけないでしょうか。
○小林説明員 ただいまの先生のお話、まことに私ども同感でございます。 それで、今お話にございましたように、来年度の予算の概算要求におきまして、私どもは医薬分業推進モデル事業費というものを要求しております。これは、さきの健保法改正の際の衆参両院の附帯決議も踏まえまして、全国に八カ所のモデル地区を設定しまして、それぞれの地域特性に応じた推進を図っていこう、こういうためのいわば実験的な手法、これをぜひ実現したいということで現在要求をしております。 ただ、何分にも要求中でございますからその点は御理解いただきたいと思いますが、それによりまして、従来ややもしますと、広報宣伝といいますか、そういうものでありますとかあるいは調剤センター、検査センターといったものに対する助成といういわば間接的な施策を講じたわけでございますが、このモデル地区がもし実現いたしますれば、もう一歩踏み込んだ施策として生きていくのではないかということで、これは全力を挙げて実現に努力したいと思っておるところでございます。
○網岡委員 最後に一つ、厚生省がせっかくみずからの案としてこれは要求し、実現に向けて動いたわけでございますから、私どももこれは十分監視をしながら、注目をしながらこの事業の発展を願っておる次第でございますので、ぜひひとつ、この実現に向けて厚生省が頑張っていただくことを期待をして、質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○有馬委員長 河野正君。
○河野(正)委員 午前中の厚生大臣の所信の中にもございましたが、今や日本も高齢化社会で、高齢化社会というものが重要な意義を持ってまいるわけでございますが、人生八十年、こういう情勢の中で、もしがん対策が解決するならば人生百年もこれはもう間近な問題であろう、こういうふうに言われておるわけでございますが、そこで、きょうは時間もございませんからその点に絞ってひとつお尋ねをいたします。 そこで、大臣の方もひとつ簡明率直にお答えをいただきたい、こういうふうに思うわけでございますが、この五十七年、がんで亡くなった方、十七万九十七人ですね。実に三分五秒ごとにがんで一人のとうとい命が失われる、こういうような深刻な状態にあるわけです。そして、五十七年の総死亡率の中でもがん死亡者が二四%。従来第一位であった脳卒中の死亡率を抜いて現在は死亡第一位、こういう深刻な状態です。 そこで中曽根総理も、五十八年五月、ウィリアムズバーグのサミット、先進国首脳会議の中で、このがんの制圧というものは人類共通の課題である、したがって世界各国がひとつ相協力してこのがん制圧のために努力しようじゃないか、こういうことを中曽根総理自身がサミットで提案をされている。世界各国がそれに対して賛同の意を表した。そういう中曽根内閣の閣僚の一人である厚生大臣です。したがって、当然世界各国に対しても、その方面の所管は厚生大臣ですから、厚生大臣としてやっぱり世界に対して、日本はこの問題に対して最大の努力をするんだ、世界の先頭を切って努力をするんだ、そういう決意をお持ちいただかなければならぬのではなかろうか、こういうふうに考えるわけです。 そこで、まず大臣に、ひとつがん制圧に対しまする決意を承っておきたいと思います。
○増岡国務大臣 先生御指摘のとおりでございまして、総理も十カ年計画でやるということでございます。その過程をできるだけ早く進めてまいりまして、問題の解決に処してまいりたいと思います。また、ややともすると日本はアメリカよりおくれておるのじゃないかということも巷間言われておるわけでございますので、その面の取り戻しについても鋭意努力してまいりたいと思います。
○河野(正)委員 なるたけ速やかにということ、全くそのとおりだと思うのですね。今申し上げました脳卒中を追い越して死亡第一位、しかも、がん死亡率が三十年前と比べますと約二倍半になっておるわけですね。そして政府も、今ちょっとお触れでしたが、対がん総合戦略、こういうものを策定して集中的、多角的な研究等努力されていることは、我々も承知をいたしております。しかしなお、この問題に多くの問題、課題を残しておることは事実です。 そこで、時間の制約もございますから、私はこの際、最近の週刊誌、マスコミでも取り上げておりますが、また国民も非常に大きな関心を持っております丸山ワクチンに絞って質疑をしてみたい、こういうふうに思うわけです。 丸山ワクチンが制がん剤として多くの国民から注目され、関心を集めていることは大臣も御承知だろうと思うのです。国会の中でも丸山ワクチンの議員懇談会というのができまして、議員は議員として、制がん対策の一環としてのこの問題の処理に対して非常に大きな関心があることも、大臣御承知だろうと思うのです。そこで、まず私は、がんに対する基本方針は聞きましたから、したがって、その基本方針に基づいてこの丸山ワクチンに対してはどういう対応をお考えになっておるのか、率直な御意見をお聞かせいただきたい。大臣にお尋ねをいたします。
○増岡国務大臣 この問題につきましては、十二月二十日までに何らかの結論を出さなければならぬということでございまして、その経緯につきましては局長から説明させます。
○小林説明員 先生十分御承知だと思いますので要点だけ申し上げますが、五十六年の八月に、中央薬事審議会で審議が終了しまして答申が行われたわけでございます。その要点だけ申しますと、薬事審議会では「提出された資料をもってしてはその有効性を確認することができないので、現段階では承認することは適当でない」という意見でございました。ただ、そこには附帯意見がついておりまして、本剤の本質である人型結核菌体抽出物質を無効と断定するものではなく、本物質の医薬品としての有効性を確認するためには、今後さらに研究を重ねる必要がある、こういう附帯意見がついておりました。 そういうことでございましたが、また一方、現にその当時多数の患者さんが使用しておられたという実情も考慮いたしまして、五十六年十二月二十一日から三年間、つまりことしの来る十二月二十日でございますが、までの三カ年間につきまして、いわゆる有償治験ということを認めたわけでございます。したがいまして、この十二月二十日が参りますとそこで何か判断をしなければいかぬわけですが、実はそれは、現在メーカーでございますゼリア新薬工業からその三年間の研究結果の報告をいただくことになっております。これが近日中に出てくるものと思います。したがいまして、その中身をよく見て検討した上でこれからの取り扱いを決めたい、こういうのが現状でございます。
○河野(正)委員 経過については局長のおっしゃるとおりです。実は私が先ほど冒頭に申し上げましたように、中曽根内閣としてもこの問題に対して世界各国に対して提言をされているわけですから、したがってそれにまつわるいろいろな問題があるわけでしょう。制がん剤の問題、その他、いろいろあるわけです。そういう中の一つが丸山ワクチンの問題です。でございますから、経過ではなくて、大臣は就任早々ですから私どもは酷な質問をしようとは思いません。ただ、この丸山ワクチンに対して私としてはこう思っているんだ、その辺の見解だけを聞きたかったわけです。そういうことですから、改めてひとつお願いいたします。
○増岡国務大臣 丸山ワクチンにつきましてはいろいろの意見がおありでございます。ところで、今保険で扱っております医薬品につきましては、はっきり有効であるということがわかったものについて採用するということになっておるわけでございますので、有償による治験の結果がそういうことでございましたら、採用するにやぶさかではないと思います。
○河野(正)委員 まだ逐次論議を進めてまいりますが、この丸山ワクチンが五十六年の夏、先ほど局長からお答えがございましたが、条件つきの不認可。しかしながら、現状ではこの丸山ワクチン、月に一万人の方が利用されておるわけですね。年間約二十万人と言われております。こういう方々がやはりおるというのは、問題は現在がんの特効薬がないということですね。特効薬があれば問題はないのですよ。だから学者もそれぞれ模索しておるわけでしょう。しかも、この丸山ワクチンに関しましては月に一万人の患者さんが利用されておる。年間二十万を超えておる。そういう実情の中で、いよいよ治験期間が十二月二十日で切れる。もしこの治験期間が切れてしまいますと、今、月に一万人、年間二十万人を超える患者さんが利用しておる、そういう方々に対して極めて深刻な状態が出てくるのではなかろうか。ですから、がんに特効薬があれば何をか言わんやですけれども、特効薬がないという現状の中で、これだけの方が利用されておるということは当然尊重されなければならぬ。二十万の患者さんが、あるいはまた二十万だけではございません、今からがんにいろいろと侵されるというような新しい予備軍もあるわけでしょう。そういう方々に対して、与える影響というものは非常に重いと思うのです。ですから、そういう現状を踏まえて、大臣としてはどういう御見解を持っていらっしゃるのか。——局長、経過は結構です、時間がございませんから。一時間も二時間もあれば聞きますけれども。
○増岡国務大臣 ただいまお話がありましたように、毎月約一万の人が使用しておられるということでございます。そのことを考えますだけに、この問題については慎重な配慮をしなければならぬという気持ちは私は持っております。しかし、何しろどういう結果が出るか、いまだわからないわけでございますので、現時点ではそれ以上のことを申し上げることは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。
○河野(正)委員 現時点ではイエスかノーか、シロかクロか、はっきりできない。それは、十二月二十日までにお決めになれば時間的に間に合いますでしょうけれども、こういう学問研究というものは手のひらを返したように決定するわけにはいかない。だから厚生省も、これだけ問題になっておるわけですから、ゼリアが追試験をやる、そういう状況においても、横を向いて知らぬふりしておるということではなかろうと思うのです。やはり重大な関心を持って、どういう状況であろうかというふうに、今日までそういう意味での努力はなさっておると思うのですね。局長から、ゼリアが資料をまだ出してないんだという話がありました。私どもが仄聞するところでは、もうちょっと待ってくれぬかと言って、むしろ厚生省が抑えておるという話も聞いている。どっちかわかりませんよ。わかりませんが、そういう二つの説がございます。二つの説はあるとしても、どういう形で推移しつつあるのか。研究中ということですが、私も十年くらい研究室におって研究した経験がございますが、一朝一夕にして研究は成り立つものじゃないんですよ。ですから、大体どういう状況だろうかというくらいなことは厚生省としても関心を持っていらっしゃるだろうと思うのですね。そういう立場に立って、大臣は今就任早々ですから、いろいろ私どもがここで責め立ててもそれは酷だと思いますが、局長としてはそういう方面の直接の責任者ですから、これはこういう方向であろうと、そこで、ここでどうします、こうしますというようなことぐらいは、私ども、十二月二十日まででよろしいわけですから明確にいたす必要はないと思いますけれども、そういう意味での方向ぐらいというものはここで出していただかなければ、二十万の患者さんは、もう十二月二十日で切れるんだがどうなっちゃうのか、こういう憂慮もあるわけですよ。そして心配しておって、十二月二十日になったらぽつっと切れてしまうとすれば、これは大変なショックですよ。私は、これは一つは人道問題と思うのですね。そういう意味での所感をひとつ、局長の方から率直に言ってもらいたいと思います。
○小林説明員 先ほど薬事審議会の答申を御紹介申し上げましたが、その中でも、人型結核菌体抽出物質を無効と断定するものではなく、本物質の医薬品としての有効性を確認するためには今後さらに研究を重ねる必要がある、これは中央薬事審議会自身が言っているわけでございます。したがいまして、当然のことながら、我々もその三年間の有償治験の結果というものを重大な関心を持って見ているわけでございます。 そこで、先ほど大臣からも申し上げましたけれども、やはりこの問題は、最終的な結論はまだ申し上げる時期ではございませんが、先生おっしゃるように、医薬品の問題というのはあくまで科学的なデータに基づいて行うべきだということはもちろんでございますが、一方において、この丸山ワクチンにつきましては、毎月一万人の方が使用されているということもこれまた事実でございます。そういうことを、大臣はさっき、慎重な配慮という言葉でお示しになったんだと思います。
○河野(正)委員 この丸山ワクチンに対するいろいろな評価というものは、研究が進むに従って随分さま変わりしつつあると思うのですね。そこで、丸山博士は、新患が一日に百人、再来が二百人と、私が知っておる範囲では、癌研でもそういうように新患なり外来がたくさん来るところはない。中身は別としても、そういうような状況はない。言葉を返せば、やはり患者さんがそれだけ期待をしているというのか、あるいは治りゃせんだろうか、そういうような期待をしているとか、そういうことがやはり新患が一日に百人、それから再来が二百人という結果になっておると思うのですね。これは特異的な数字ですよ、がんに絞ってこれだけの患者さんが来ることは。総合病院とかなんとかでいろいろな各科の患者が来て、その百人、二百人は大したことはないけれども、がん問題に絞ってそれだけの患者さんが来るということは特異的な実情だと思うのですね。 ですから、そういうことを考えても、私も薬事審議会の中身について詳しくは知りません、知りませんけれども、いろいろな報じられるところによれば、有害だとか副作用が強いとか、そういう点は余り触れられていないですね。要するに、そこの効果があるかないかということが明確でないから許可できない、それで、もしあるならばもう少し三年間治験をやってみなさい、こういうことでしょう。ですから、副作用があったり効果がないということではないわけで、そういうことですから、その後、延命効果、再現性、従来それがかなり低い面もあったが、ところが、それがだんだん追試をしている間に延命効果というものの率、再現性というものが高まってきた、こういうような状況もこれあり、それから、至適用量、使用量の確定、これらについてもある程度方向が出てきた。第一が今申し上げますように延命効果の問題、第二が使用量の確定の問題、第三が比較臨床実験、こういうことですが、三年前と比較して随分さま変わりしているというのは、何といってもこの再現性といいますか延命効果というものが非常に高まっておるということだと思うのです。 それから、いろいろ評論家から、とにかく開業医ばかりが実験したデータであって、公的医療機関あたりが余りやっておらぬというような指摘もあっておったようですが、その後、島根の医科大学とかそれから大津の日赤あるいは国立、公的医療機関で、約二十五の医療施設からそういう追試の状況報告があっておる。それもやはりさま変わりしておる、三年前と比べて非常に変わっている、そういうような状況であります。 それから、時間がないものですから一つ一つ区切ってやった方がいいと思うけれども、それができないので残念ですが、川崎医大の木本教授などは、私も顕微鏡写真を見せてもらったのです。がん細胞が増殖するときにコラーゲンができて、これががん細胞を封じ込む。ところが、丸山ワクチンを使用すると、そのコラーゲンの増殖が激しくて、がん細胞の封じ込めというものが非常に増強される。それが顕微鏡写真に出ておるのですね。これは局長はごらんになったかわかりませんが、大臣にお尋ねしましてもちょっと無理でしょうが、そういうように、丸山ワクチンを、特にそれも、早期あるいは濃度の濃いものを与えれば与えるほど著しい効果がある、こういうような発表もあるわけです。 ですから、これはもう時間がございませんから申し上げられませんけれども、いろいろそういう報告を聞いてまいりますと、これは三年前と今日とは非常に実情というものが変化をしておる。やはり、三年前の議論に惑わされて依然としてそこに固執されるということではなくて、その後の実験なり研究というものが進んできて少しでもその延命効果というものが上がってきたんだということであれば、当然そういう点を十分考慮に入れて最終判断をしてもらうということにならなければならぬのじゃなかろうか。三年前にそうだったからと、その先入主にこだわって、いつまでも古い概念に基づいてこの問題が処理されることについては、——私ども何も丸山ワクチンそのものと関係があるわけじゃございませんけれども、私も長い間ずっと客観的に見てきて、やはりそういう感じが強くいたします。これらの点についてどうでしょうか。
○小林説明員 先生御指摘のとおり、私どもは三年前と同じ態度をとるつもりは毛頭ございません。むしろ、先ほどから申し上げておりますように、三年間の治験期間にどの程度研究成果が上がったかということに重大な関心を持っておるわけでございます。したがいまして、三年間の実績というものをよく拝見しまして、それが例えば医薬品の承認に至るまで十分なデータとなっているかどうか、あるいはそこまでいかなくとも、三年前に比べてどの程度進んでいるか等々を十分検討した上で最後の決断をしたい、こういうことでございまして、決して三年前にこだわっているわけではございません。
○河野(正)委員 そこで、ここではっきりしておきたい点は、やはり評価の問題です。非常にその効果が上がってきた、どこに物差しを当てて評価するか、これが問題なんですよ。私は、そこに先入主を置かれると困る。フランクにこの問題を検討して判断をしてもらわぬとね。 要するに、片や、これだけ効果が上がってきた。例えば、川崎医大で木本教授らがやってこれだけの実証がある、顕微鏡写真で出てくるわけですから、これはもうある程度確証があると思うのです。それから、さっき申し上げましたように、延命効果が非常に上がってきておるときょうの読売新聞でも書いてあります。それから「週刊現代」でも書いてある。当事者も、最初はその再現性というものは低かった、しかし、その後、やってみればやってみるだけ再現性が高まった、こういうふうに言われているわけです。ところが、片や、高まったといいましても、評価するのは厚生省なんですよ。私どもは、そういういろいろなことを聞いてみても、なるほど三年前と今と比べたら大分さま変わりしておるな、いいデータが出てきておるな、いい研究結果が発表されておるな、こう思うのです。ところが、最終的に判断するのは厚生省です。大臣、あなたですよ。ですから、その際、その評価の仕方ですが、これは物差しがあれば物差しではかればいいのだから一番いいですよ。ところが、評価は厚生省が主観で判断されるわけですね。その際に、三年前のいろいろな意見というものにこだわられますと、おのずからその評価が重視されないということになりますね。そういうことを私どもはおそれておるわけです。だから率直に、三年前はそうだったけれども、その後の追試の治験例によって確かに効果が上がっておるな、再現性が高まったな、これなら認めてよかろう。——しかし御存じのように、私ども客観的に見ているわけですけれども、やはりどうも学会の意地やメンツなんかがあって、いろいろ対立的な議論が行われるような感じがいたします。それはわかりませんよ、それは私がそう思うんです。これは丸山ワクチンに限らず、学会にそういうことがあるのです。人が発表したらすぐけちをつける、そしてまた、医学者というのはいわゆる係累がありまして、私どもも研究の経験がございますが、そういうことで評価しても、恩師が評価せぬとかあるいはだれが評価せぬとかというようなことで、つい、そういうふうに引き下がっていくような傾向がないわけでもない。そういうことですから、ゼリアが出すか出さぬかそれは別としても、出てまいりましたならば、ひとつ謙虚に厚生省がそのデータに対して検討を加えられて、そして最終的な判断を出されるということが極めて望ましいと私は思うわけです。それが非常に大事なところですから、局長、申しわけないけれども、ひとつ大臣に一言お答えいただきたい。
○増岡国務大臣 いろいろ御意見を承りました。まことにそうだろうと思います。先生の御意見を有力な意見として受けとめまして、今後慎重に検討してまいりたいと思います。
○河野(正)委員 ありがとうございました。大臣から、今、本当に私どもからいえば適切なお答えをいただいたので、良識的に最終的な判断が加えられるだろう、こういうふうに判断をいたします。 そこで、これから先は老婆心ながら申し上げるわけですけれども、先ほどから申し上げておりますように、月に一万、年に二十万という患者さんが、やはり特効薬がないものですから、おぼれる者はわらをもつかむじゃないけれども、厚生省の評価がたとえ低くても、少しでも効くならという気持ちがあると思うのです。今、大臣が最終的にお答えいただいておりますので、そのお答えに私ども心から期待をいたしますが、しかし、課長が、もうアウトとセーフともう一つはまた治験期間を延ばしていく、三つの解決法しかないというふうにおっしゃったことが「週刊現代」に載っております。ですけれども、私は、今言ったようにアウトということはあり得ぬだろうと思いますし、セーフか、もう少し治験例を出さぬかというような議論も出るやもわかりませんが、いずれにいたしましても、少なくとも今日、月に一万、年に二十万という患者さんが利用しておるわけですし、二十万といっても、今からまたがんの疑いで丸山ワクチンをやってみようかという人が出てくるわけですから、二十万プラスアルファということでしょう。そういう方々の期待を無視するということがないようにしていただきたい。 もう一つは、これも余分ですけれども、非合法になりますとこれが地下に潜り込んでいろいろな形であらわれる。これはアメリカでもあるそうですね。ですから、アメリカでは制がん剤をつくって許可にならなかった、ところが、非合法だったものだからみんなメキシコへ行って治療を受ける、こういう事例が具体的にあるわけです。そういうことがあってはなりません。ですから、そういう点も踏まえて、大臣からぜひひとつ前向きのお答えをいただきたいと思います。
○増岡国務大臣 先ほども申し上げましたように、まだ治験の結果を承っておりませんので、どうする、こうするということは申し上げかねると思いますけれども、慎重な配慮を加えて判断をさせていただきたいと思います。
○河野(正)委員 時間がございませんので、これで最後にしますが、データが出てないことは、どういう事情があるかわかりませんけれども、それは私も確認いたします。ですけれども、データが出た暁には、先ほど私がるる申し述べまして、できるだけ大臣にもわかりやすくということで質問したつもりですが、そういう実情というものを判断の材料として、ぜひひとつ前向きの処理をしていただきたい。判断したけれどもアウトだったというようなことでは、先ほど申し上げましたように困りますので、データが出たならば——データが出なければ最終的な判断ができぬということは了承いたします。ですけれども、出た暁には、十二月二十日ですから、ぜひひとつ前向きで、多くの患者さんに失望を与えることがないように、そういう意味での判断に基づいて処理されるように心から期待をいたします。最後に、時間がございませんから、それだけ一言大臣から適切なお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
○増岡国務大臣 御趣旨のことは私自身は理解したつもりでおりますけれども、さて、それではどうするのかとお尋ねでございますと、大変申しわけないと思いますけれども、現時点では、慎重な配慮のもとに判断をさせていただきますと言う以外にないと思いますので、御寛容のほどをお願いいたします。
○河野(正)委員 一言多くなりましたが、慎重な配慮はそれは結構ですよ。しかし、慎重な配慮の結果、後向きでは困るのです。前向きといっても答えは一つではない、二つあるのです。だから、慎重な配慮をし、ぜひ前向きで結論を出したい、それだけはひとつここで確約をしてくださいよ。どうぞよろしくお願いをいたします。
○増岡国務大臣 先生のお話の趣旨は、三年前の議論のときのことをおっしゃっていただいておるのではないかと思います。そのときと様子が違うじゃないかという御趣旨だろうと思います。私も三年前のときとは切り離して、今回は今回の判断をさせていただきたいと思います。
○有馬委員長 沼川洋一君。
○沼川委員 午前中、増岡新大臣の、二十一世紀に向かって新しい福祉の基盤を築くために努力をする、そういう力強い御就任のごあいさつを拝聴したわけでございますが、お聞きするところによりますと、大臣はかつてこの社労委員会にも所属されて御活躍をされておった、また厚生政務次官も御経験をなさったということでございまして、そういう面で、各方面からの大臣の今後の手腕に期待する向きは非常に大きいものじゃないかと思うわけでございます。私もその期待する者の一人でもございます。そういう意味で、きょうは厚生一般でございますので、まず当面の問題として、ぜひひとつ大臣に一点だけお伺いをしておきたいと思います。 御案内のように、現在、六十年度の予算編成に向かって各省庁の概算要求が出ておるわけでございますが、この中で厚生省関係の予算が九兆五千九百十一億、伸び率が三・七%。政府は従来の予算要求額、要するにマイナスシーリング、予算要求基準と名前が変わったわけでございますが、実質的には前年同様マイナスシーリングの踏襲であることは事実でございます。そこで社会保障費は、特に人口の急速な高齢化あるいは生活水準の向上に伴って、これは毎年必然的に巨額の当然増が生じるという、他とちょっと異なった特殊性を持っていることは大臣ももう御承知のとおりでございますが、これに対して、他の予算同様マイナスシーリングを実施するということはちょっとおかしいのではないか。これはもう前々から指摘されている問題でございますが、この点、大臣、どうお考えになっていらっしゃるか。また、さらに、特に今回、約六千五百億円に上ると言われております六十年度の社会保障費関係の当然増経費が、約三千四百億円しか認められていない。約半分ぐらいしか認められておりません。ここ数年の予算編成と全く同じように、財政再建の名のもとに、社会保障関係費の後退など国民生活を圧迫する予算の一律削減は極めて遺憾である、私はこのように思うわけでございますが、これらの点について、大臣の率直な御意見と今後の決意をまず伺っておきたいと思います。
○増岡国務大臣 厚生省の予算につきましては、事柄の性質上、毎年大変大きい額の自然増といいますか当然増があるわけでございます。そのことに着目しますと、厚生省予算はもっと伸びていいのではないかというようなことも考えられるわけでございますけれども、しかし、福祉の中身を落とすことなく、行政の面で合理化といいますか節約をすることはやらなければならないことでございますので、概算要求が、昨年の場合には二千百億円の増に対してことしは三千四百二十億円と枠を広げていただいておりますので、福祉の切り捨てという言葉は必ずしも当たらないのではないかと私は思います。しかし、もちろんこれで十分とは考えませんので、歳出の合理化を行う等、必要な予算については今後も精いっぱい努力をしてまいりたいと思います。
○沼川委員 今後、来年度予算が確定的な方向に向かって進むわけでございますが、厳しい財政状況下ではございますけれども、社会保障の水準を絶対に低下させない、こういったことを基本方針として、二十一世紀に向かっての新しい福祉基盤を築くためぜひ御努力をいただきたいとお願い申し上げておきます。 次に、きょうは厚生行政一般でございますが、その中でも、ちょっと年金の問題に触れさせていただきたいと思うのです。 きょうも問題になったと思いますが、御案内のようにさきの国会で年金法案が継続審議になっておりますが、特にこの中で厚生年金、国民年金などの物価スライド分が二%、法案に含まれておるということから、このアップ分を約一千七百万の人が期待してお待ちになっている。そういうことから、法案を年内に何としても上げたいという声があるようでございます。 ただ、今回の年金法案の中身を見ますと、大臣御承知のとおり極めて重要な問題がたくさんございます。やはりこれは相当時間をかけて慎重審議をやらなければならぬ、率直に私もそう思うわけでございます。そういう意味から、先般社公民でこのスライド分との分離法案を提案しております。これは、法制局あたりでいろいろと問題もあるようでございますので御答弁をいただこうとは思いませんけれども、二十一世紀に向かって揺るぎない年金法をつくる、そういう審議が十分できるようにするためにも、分離問題についてはぜひひとつそういう方向を検討していただきたいと思います。また、取り扱いの上で今後理事会でもいろいろと問題が出てくると思いますが、委員長にもそういう中で御判断を賜りたいことを、これは御要望申し上げておきます。 そこで、年金の問題の中で特に柱となります基礎年金について、大臣に三点ほどお伺いをしてみたいと思います。 今回の改正案が、国民年金をいわば基礎にして全国民共通の基礎年金をつくる、言ってみれば、これからの一元化へ向かってのこれが重要なステップといいますか基盤になるわけでございます。したがいまして、この基礎年金の性格といいますか目的といいますか、言葉をかえて言えば、基礎年金をどのように定義づけるのかということによっていろいろな問題が違ってくるのじゃないかと思っておりますが、大臣にお伺いしたい第一点は、昭和三十六年に国民年金制度ができまして国民皆年金制度が確立した、このように言われてまいりました。ところが、これは建前だけで、実際には無年金者が大勢いるのが現状でございます。今回の制度の抜本的な大改革を進めるに当たりまして、出発となる基礎年金の導入に当たっては、無年金者がなくなる、これがやはり大前提でなければならぬと思いますが、この点について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。 第二点として、この基礎年金というのは老後の最低生活保障年金である、私はこのように考えております。先般の局長の答弁では、老後の生活の基礎的部分を保障するものでなければならない。これは、言葉のニュアンスからして、ちょっとトーンダウンしている感じを私は受けたわけでございますが、この基礎年金は、私に言わせますと、政策的に決めるものではなくて、むしろ法律によって定めるべき性質のものだ。したがいまして、基礎年金制度の目的としては、例えば憲法第二十五条の精神にのっとって、国民は最低生活水準である基礎年金を受ける権利を有し、国はその義務を負う、そういういわば位置づけをすべき性質のものではないかと考えますが、御所見を承りたいと思います。 もう一つ第三点は、全国民共通の基礎年金をつくるわけですから、その費用負担、財源調達、そういう意味においては、支払い能力というものが当然重視をされなければならぬと考えます。言葉をかえて言いますと、すべての人が負担できるものでなければならない、こう考えております。 以上、三点について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○吉原説明員 私から先にお答えさせていただきますが、基礎年金の性格、目的でございます。 これはやはり、現行制度にいろいろな制度間の給付の面、負担の面で格差がある、それを公平なものにするために各制度共通な給付として基礎年金を設ける、こういうことでございますが、基礎年金の恐らく水準の問題を問題とされているというふうに考えるわけでございます。 基礎年金を五万円とした考え方でございますけれども、私どもは必ずしも憲法で言う最低生活、もっと具体的にいいまして例えば生活保護での最低生活、そういったものを基礎年金が保障しなくちゃいかぬ、あるいはそれ以上の水準でなくてはならないというふうには実は考えないわけでございまして、老後生活の衣食住を初めとした基礎的な消費といったものが賄えるような水準、そういったものを考えて五万円というふうにしたわけでございます。 これは、総理府が五年ごとに行っております全国消費実態調査というのがございますが、その六十五歳以上の単身者の消費支出というものが、雑費を除いた基礎的な消費について大体四万七千円程度である、そういったものを踏まえまして、基礎年金としては一人大体五万円、夫婦で十万円という考え方をとったわけでございます。 それから二番目の問題でございますけれども、費用負担、やはり拠出制の年金、若い働けるときに保険料を納めて老後に給付を受けるという考え方をとります以上は、やはり保険料負担が適切なものであるかどうか、保険料の額が適当であるかどうかということも将来にわたって考えていかなければならないということでございまして、そうした保険料負担とのバランスの上で給付を決める、保険料の負担水準を決めるという考え方をとっているわけでございます。 基礎年金について四十年で五万円を支給する場合の保険料、現在は国民年金六千二百円、六十一年から六千八百円という水準を考えておりますけれども、将来は一万三千円程度の負担が必要になってくるわけでございます。一万円を超えるような負担、これは決して低い水準だとは思いませんけれども、やはり給付の五万円とのバランスの上でどうしてもその程度の保険料負担は将来はお願いをしたいというふうに考えたわけでございます。 それから無年金の問題でございますけれども、従来は制度的には無年金というのはございませんで、海外に行っていた期間、保険料も掛けられない、したがって年金に結びつかないというようなことがあったわけでございまして、そういったことのないよう、この新しい制度におきましては、海外に行っている期間も任意加入によって保険料が納められる、保険料を納めなくても年金給付を受けるための資格期間には算入をする、こういう措置をとっているわけでございまして、制度的には無年金者というものが出る余地がないというふうに考えているわけでございます。 国民年金が発足いたしました当初から現在までは、やはり制度発足時ということもございまして、まだ保険料を納めない、あるいはそういう制度を知らなかったということもございましたので、そのための無年金ということもあったわけでございますけれども、もう制度ができまして二十数年、三十年近い年月がたっているわけでございますから、そういった意味での無年金者というものが今後とも出てくるということは必ずしも考える必要はないんじゃないか。やはりこの制度に対する国民の理解というものを、さらに私どもも努力をいたしまして、そういった制度を知らなかったということの無年金者というものが出ないように努力をしたいと思っております。
○沼川委員 大臣の御答弁は結構でございます。時間がございませんので、私が聞いておりますそのポイントを的確に、余計なことは結構ですから。 今の質問は、簡単に言うと三つです。無年金者がなくなるということを前提にすべきだ。もう一つは、これは最低生活保障年金なのかどうか。もう一つは、支払い能力というのを重視する必要があるんじゃないか。簡単にこの三つをお答えいただけば結構だったのです。 そういう中で、今も無年金者の問題を御答弁いただいたのですが、御案内のように、保険料の免除者数が五十八年でも三百九万人、これは免除率が一六・七%ですが、ふえ続けております。このほかに、いわば手続もせずに払ってない人が一体どれだけおるか、把握は全くわからないというぐらい相当数の方がいらっしゃるわけです。ですから私は、国民共通の基礎年金を位置づけるんだったら、やはり国民皆年金と胸を張って言われるようなものをつくれ、そういうものでなければならぬ。そういう観点から今度の改正案はどうなのか、こうお尋ねしているわけでございます。 これはもうお答えは結構です。きょうは予告編のつもりで申し上げているのですから、これは次の国会でこういう問題、まだまだ時間をかけて十分審議すべき問題だと考えておりますので、ぜひこういう点について御検討をいただきたいと思います。 そこで、今、局長から五万円年金、どういう根拠で五万円としたか、ちょっと御説明いただいたわけですが、局長がおっしゃる老後の生活の基礎的部分を保障するという観点から見ましても、私は非常に低いんじゃないかと思いますよ。先ほど数字を挙げられましたが、現に年金局で計算されたその数字をここに持っております。確かにおっしゃったように、六十五歳以上の単身者世帯、一世帯当たり一カ月分の消費支出、これを、昭和五十四年の全国消費実態調査から出されております。それで、先ほどおっしゃった計算をずっと費目別に見てまいりますと、その中で、消費支出の中で食料費が一万九千百九十七円、住居費が一万一千三十一円、光熱費が三千七百十五円、被服費が六千七百四十二円、これが合計四万六百八十五円です。この数字もこの前出されました。さらに、五十五年から物価上昇率一・一七〇をこれに掛けますと四万七千六百一円、この数字もこの前御説明がありました。ですから、大体これをめどに五万円とおっしゃっていますが、基礎部分という面で見ても、ちょっと私は低いんじゃないかと思いますよ。雑費を全部引いたとおっしゃっていますけれども、雑費の中に例えば保健医療費があるのです。交通通信費があります。ほかの教育費とか娯楽費は別にしても、せめて病気になったとき医療にかかれるぐらいの、これぐらいのお金はあったっていいんじゃないかと思うのですが、こういうのも全部差っ引いてありますよ。要するに家から一歩も動くな、病気になっても医者にかかるな、そういうぎりぎりの切り込んだ線があなたのおっしゃる五万円の根拠じゃないですか。ですから少なくとも、雑費の中から保健医療費の二千七円、交通通信費の四千六百十九円、これを入れますと四万七千三百十一円になります。せめてこれぐらいはやはり私は考えるべきだと思うのです。それに、おっしゃるところの要するに物価上昇率を掛けますと、五万五千三百五十四円になります。少なくとも、これは基礎部分という解釈から考えても、やはりこれぐらいは最低水準として基礎年金と言うからには私は考えるべきじゃないか、このように思うわけです。 それからもう一つ、これはこの前も生活保護費を引いていろいろと御説明になりました。これは夫七十二歳、妻六十七歳の老人世帯に対する一つの生活保護費の基準でございますが、内容は、生活扶助、住宅扶助、老齢加算がございまして、一級、二級、三級がございます。この中のいわば全体の中位の額、真ん中をとって一つの数字を出してみますと、夫婦で十万七千五百四十円。すなわち約十一万円になるわけです。一人が大体五万五千円。生活保護水準からしても、やはり五万円という額はまだまだ検討に値する金額じゃないか、このように思います。そういう面で、私も、五万円の水準そのものがいわば全額国庫である生活保護費よりも低い、それから老人の生計費から比べたって低い、そういう感じを持つわけですが、いかがでしょうか。
○吉原説明員 年金の給付水準、いろいろな考え方がございますし、今先生の御指摘にございましたような考え方、生活保護基準よりも高くなくちゃおかしいじゃないかという考え方も、一つの御意見、考え方としてはわかるわけでございますけれども、よその国の年金の額、そういったものを調べてみましても、必ずしも年金の額として生活保護の基準よりも高くなくちゃいかぬというふうな考え方ではないようでございまして、むしろ賃金とのバランスであるとか、あるいは特にこれからは保険料負担との関係で給付の額が決められてくるというのが普通でございまして、仮に五万円よりももっと高い年金をということになれば、先ほど申し上げましたように、今六千円から七千円の保険料、将来一万三千円の保険料というものを、一万円から二万円ぐらいまで上げなくちゃいかぬということになるわけでございまして、やはりこれからの年金制度をしっかりしたものにしていくためには、そういった保険料負担との関係を十分考えていく必要があるのではないかと思います。 それから、生活保護基準よりも低い、恐らく年金をもらってもなおかつ生活保護を受けなくちゃいかぬようになるじゃないかという御心配かと思いますけれども、生活保護というのは、例えば今御指摘にございました五万円とか五万円をちょっと超える額というのは、あらゆる自分の貯金も資産も、親族からの扶養も何もない、本当に裸一つの場合に、一体どのくらいな生活保護費が出るのかという場合の基準でございまして、実際問題として、そういったことで生活保護の適用を受けておられる方というのはまずほとんどいないと言っても差し支えがないわけでございまして、実際の生活保護の一人当たりの扶助額というのは、老人を含めます全国民を平均しまして大体三万二千円ぐらいでございます。六十五歳以上の方をとりましても、必ずしも正確な全国的な数字ではございませんが、私どもの推計では三万六千円ぐらいということになっておりまして、そういった現実の一人当たりの生活扶助額、そういったものと比べましても、五万円という水準は必ずしも低いというふうには私ども考えていないわけでございます。
○沼川委員 いろいろな考え方があるわけで、局長のおっしゃるのはわからぬでもありませんけれども、やはり一方は拠出してもらう年金です。片一方は全額国庫。どうしても何か抵抗を感ずるわけです、率直に言いまして。これはまた、時間をかけてぜひひとつ論議したいと思いますので、保留しておきます。 次に、今、私はたまたま生計費の中から五万五千円という額を一つ出しましたけれども、国庫負担との関係を見ても、これくらいは当然財政的にも可能じゃなかろうかと実は私は考えております。 これは、厚生年金と国民年金の改正前と改正後の国庫負担というのを比べてみますと、まず現行の厚生年金法による国庫負担は、四十年加入の夫婦の年金の場合、厚生省の試算では、現行のままずっと進んだとしますと二十一万一千百円になる、こういう一つの試算がございますが、この場合に国庫負担が厚生年金の場合大体二〇%ございますから、これを一つの参考資料として出しますと、二十一万一千百円の中に四万二千二百二十円の国庫負担があるわけです。それとさらに、現行国民年金法による国庫負担、四十年加入の夫婦の年金の場合が、これをずっと計算していきますと十六万一千八百円になるわけです。これは国庫負担が三分の一ですから三三・三%、これを一つの数字で見てみますと、この中に大体五万三千九百三十三円の国庫負担がある、こういうことになるわけです。これは五十八年三月末の厚生省年金局の資料で見ますと、厚生年金加入者が二千六百三万人、国民年金加入者が二千六百四十六万人、大体半々でございます。そういうところから、合わせてこれは五千二百四十九万人になるわけですが、この両方の国庫負担の額を平均してみますと四万八千七十六円、要するに厚生年金、国民年金全員に対して、一人当たり国庫負担が大体四万八千七十六円出されておるということが言えると思います。 この政府案によりますと、国庫負担が基礎年金に対してのみ三分の一ということでございますので、四十年加入の夫婦の基礎年金というのは十万円、その三分の一ですから三万三千三百三十三円。 今度は逆に、今の国庫負担の水準をそのまま落とさないと仮定した場合、十万円に対して大体四八%の国庫負担があるということになるわけです。 それで問題は、掛金を上げないで国庫負担のみをいわば引き上げることによって、基礎年金額を私が今言いました五万五千円、夫婦で十一万円、こういうふうにして考えてみますとどれだけの国庫負担が必要かというと、四万三千三百三十三円。要するに、年金額を十一万として考えた場合の国庫負担の割合というのは三九・四%です。先ほど出しました四八%という水準、要するに現在の国庫負担をそのまま落とさないとした場合には四八ですが、その水準を保ちながらややそれよりも低い水準の三九・四%で、夫婦十一万というこの年金の支給は財政的にも十分可能じゃないか、こういう感じがいたしますが、こういう点についてどうお考えになりますか、ちょっとお聞かせください。
○吉原説明員 国庫負担を、現状程度の国庫負担を維持していけばもっと高い年金額が支給できるではないか、計算上は先生おっしゃるとおりでございます。 問題は、現実にそういった国庫負担、現行制度を前提にした国庫負担が将来とも維持できると考えていいかどうかという点が問題でございまして、私ども、今度のような年金改革、大変厳しい面もあるわけでございますけれども、これを考えました背景は、現在のままにしておきますと、給付がどんどんふえていって、保険料の負担能力も、国民の現実の負担能力を保険料の額が超えてくるということが一つ。それから、保険料の負担能力だけではございませんで、国の負担能力も超えてくる。現在のような国の財政状況がこれから十年、二十年で非常によくなるというふうには私どもは考えにくい。考えにくいということを前提に考えますと、やはり国庫負担というものを現状程度の額を維持するということは、希望として、気持ちとしては私ども十分、できればそうしたいという気持ちは持っておりますけれども、現実問題として果たしてできるだろうかということでございます。 ちなみに、将来の国庫負担が現行制度のままですとどういうふうになるかということを推計いたしてみますと、現在、年金に対する国庫負担は、厚生年金、国民年金、福祉年金を合わせまして二兆三千億の国庫負担をやっているわけでございますけれども、本来国が負担すべき額は二兆九千億、三兆に近い国庫負担を本来負担しなければならない。それを行革特例法その他の予算の編成、シーリングの関係で二兆三千億にしているわけでございます。つまり、現在三兆程度の国庫負担、これが現行制度のままですと昭和七十年には七兆七千億、昭和八十年には十八兆というふうな膨大な額になっていく。つまり、年率でいきますと何と一〇%に近いか、あるいはそれ以上の額で国庫負担がふえていく。恐らく、先ほどの先生の御質問というのは、その程度の国庫負担は維持することを前提に新しい制度を考えろということでございますけれども、現実問題として、そんなに、年率一〇%以上も伸びる国庫負担を前提に新しい制度をどうしても考えることができないということでございまして、結論的に言いますと、なかなか御質問、御指摘のような考え方は私どもとしては現実的にとりにくいということでございます。
○沼川委員 時間もありませんし、先ほど予告編と申し上げておりますので、これはまた次の機会に、いろいろと大いに論議をやらなければならぬ問題だと思います。御指摘だけをしておきたいと思います。 次に、問題は今もおっしゃった拠出金、要するに保険料の負担のあり方でございますけれども、はっきり言って、国民年金グループ、要するに自営業、農業は定額保険料となっています。厚生年金グループ、要するにサラリーマンについては定率保険料になっているわけです。せっかく全国民共通の基礎年金をつくるといいながら、この定率と定額においてどうしても不公平感というのがあるわけです。 ちょっと具体的に指摘してみたいと思いますが、例えば自営業者あるいは農業の場合、現在六千二百二十円ですが、これが六十一年度から六千八百円、さらにこのままで推移していきますと、将来一万九千五百円になるのを一万三千円で抑えたい、こういう改正案でございます。ところがサラリーマンの場合は、現在、標準報酬月額の一〇・六%、これはいわば労使折半でございますから、これが六十一年度から一二・四%になる。さらにこれがピークのときが三八・八%、これを改正案では二八・九%に抑える、こういうことでございますが、例えば六十一年度からの一二・四%の定率負担で、これは単身、妻帯、共働きを問わないということでございます。このうち、基礎年金の保険料部分が大体どれくらいに当たるかというのをちょっと調べてみたのですが、これは私は相当確かな数字だと自分では思っておりますけれども、約三・四%に当たる、こういうふうに聞いております。そうなりますと、五十九年度のサラリーマンの平均標準報酬月額約二十六万円です。正確には二十五万四千円ですが、これにその三・四%を掛けてみますと八千八百四十円、これは労使折半ですから、実際の本人負担分は約四千四百二十円です。しかも、この本人負担の四千四百二十円の中には奥さんの分も含まれるわけですから、実際は一人について二千二百十円ということになります。定額で納めるいわば農業者あるいは自営業者グループの場合は、夫も妻もそれぞれ六千八百円を納めなければならぬ。ところが、定率で納めるサラリーマンの場合は一人二千二百十円。要するに四千四百二十円でいい、こういうように、どうしても定率と定額ではその辺に負担という問題で差が出てくるわけです。 ですから、この前も私はこの問題を指摘しまして、やはり少なくとも基礎年金の部分は厚生年金からも国民年金からも共通にいただく。だれが見たって六千八百円という部分が確かに出ているというのが明らかにわかる一本化した方法の方がいいのではないか、こういうことをこの前指摘しました。その場合、これは局長、ここを聞いておってくださいよ。はっきりおっしゃったのが、あくまでも現状の社会保険方式でいく、要するに定額については何とか考えたいと思うけれども、どうにもならぬ、非常に難しいという御答弁でした。片や、今度は厚生年金の方をいわば同じように扱うという問題については、たしかこういうふうな御答弁だったと思いますよ。サラリーマンの場合には賃金によって相当大きな開きがある、だから、将来の年金の保険料負担のあり方としてはやはり賃金に一定の率を掛けた取り方の方がいい、負担のあり方としては、賃金の低い人は低い負担になり、賃金の高い人は多い負担になる、それがある意味では本当の公平ではないかと考える。私もこれは全くそのとおりだと思うのです。賃金の高い人から余計取る、低い人ほど少なくなる。確かにサラリーマンの場合はそういう考え方が導入されていますが、じゃ一方、定額負担の定額保険料を持ついわば国民年金グループはどうなっているかといいますと、これには全く所得再配分機能がゼロです。それから、定額保険料というのはむしろ逆累進性を持っているわけですから、要するに所得の低い人ほど負担が高くなる。これでは基礎年金の趣旨にも反しますし、サラリーマンの負担のあり方と比べて、まさにこれは不公平と言えると思います。やはりこの公的年金の問題で大事なことは平等、公正、これがやはり原則でなければならぬと思います。そういう不公平感があること自体が、せっかくの年金制度に対する国民の信頼が揺らぐということになります。 ですから、私がお願いしたいのは、この負担のあり方について局長がとうとうといわば定率の場合にお答えになったように、高い人ほど高くなります、所得の低い人はそれなりに低くなりますという説明が、定額を納める国民年金グループにもできるような措置を考えなければこれは不公平だと思いますが、いかがですか。
○吉原説明員 私も考え方としては全く賛成でございまして、国民年金の適用者につきましても所得に応じた保険料、所得に応じた給付、そういったことができないかということにつきましては、実は国民年金が昭和三十六年にできたときから検討されてきた問題でございます。今度の年金改革案をつくるに当たりましてもそういった方式が導入できないか、いろいろ私どもでも研究をいたしましたし、関係の審議会でも御議論をいただいたわけでございますが、現在の時点ではやはり難しいというのが結論でございました。そういった方式をとるのが一番いいということはだれもがわかっていながら、現実にどういうやり方でやったらいいかといううまい考え方がない。 それは、理由はもう先生御案内だと思いますけれども、国民年金の適用者は非常に業態がさまざまである。一般的に所得が低い。もちろん所得のうんと高い人もおられますけれども、平均的にサラリーマンに比べて所得が低い。同時に、所得の把握というものが非常に難しい。所得に応じた税金を取っておりますけれども、クロヨンとかクシピンというようなことがかねてから言われております。現状も必ずしも改善されているとは言い得ないというような状況の中で、国民年金の保険料を、独自に所得をつかまえて、それに応じた保険料というのは実際問題としてやりたくてもできない、こういうことでございます。
○沼川委員 できないと、えらい力を込めておっしゃるのですが、私はやる気のある、ないの問題じゃないかと思いますよ。というのは、この前も一つの案として私は御提案申し上げております。実際に具体例があるわけですね。例えば社会保険では国民健康保険料、あるいは税、これがどういう納め方がされているかといいますと、御承知のように均等割、所得割、こういった方式をとっていることは御承知のことだと思います。ただ、最高三十五万で頭打ちということになっております。また、地方住民税なんかの場合もこの方式が採用されておるわけです。ですから、地方において既にそういうモデルケースがあるわけですから、それに乗っけるという考え方に立って、これを前向きで本気になってやる気で検討すれば、決してこれは不可能なことはないと思うのです。気持ちはわかるけれどもできないとおっしゃるが、やる気がないんじゃないですか。現にこれを本気になってやれば、ちゃんとモデルケースがあるわけですから、これに上乗せする形で検討していけば、サラリーマンの場合も、また自営業の場合も同じような考え方に立っての負担のやり方というのはできるんじゃないでしょうか。これができない限りは基礎年金とは言えませんよ。そんな不公平なものじゃどうしようもないと思いますが、いかがでしょうか。
○吉原説明員 私どもとしては、やる気がないということではなしに、本当にうまい方法はないだろうかということで、実は真剣に検討したわけでございます。国民健康保険、それから地方税、これはおっしゃるとおり所得というものを把握して税金、保険料を取っているわけでございますけれども、年金ということになりますと、国保なんかと違いまして実施主体が国でございますし、国保は市町村単位でやっているわけでございますから、いわば市町村の中での公平感、それから給付というものが病気のときの短期給付、医療給付でございますから、したがって、年金のように十年、二十年、三十年、一定の金額を支給する、給付をするというものではございませんので、どうも国保でうまくいっているから、あるいは所得に応じた保険料を取っているから年金でも取れるじゃないか、あるいはそれにすぐ上乗せをして取ればいいじゃないか。それもわからぬではないのですが、そんなことでいいのか、そんなものじゃないよという御議論が実は審議会でもあったわけでございます。そういったこともございますので、所得に応じた保険料、給付というものは、将来の課題としてひとつ検討させていただきたい、こう思っておるわけでございます。
○沼川委員 将来とおっしゃると随分長いような感じで今お聞きしたわけですが、これは一つのモデルケースがあるわけです。地方と国、そういう違いはあっても、これに乗っけるという考え、これはもう少し真剣に検討すれば、何かそこに打開の道があるような気がして私はなりません。先ほどから言いますように時間が十分ありますから、こういう面でもまた、時間をかけてぜひひとつ論議をしてみたいと思っております。 時間がございませんのでどんどん先に進めたいと思うわけですが、国民年金の強制被保険者であって保険料未払い、いわば未加入期間のある者の取り扱い、この問題がいろいろと過去にも論議されたわけでございます。 厚生省は、国民年金の保険料滞納期間があるために無年金者になっている人を救済するため、二年過ぎて時効になって保険料を納入できない、こういった方々に対して、特例納付というやり方を過去にたしか三回やってこられていると思います。毎回ごとに、これでおしまい、これでおしまいということで三回になったわけでございます。今後この救済措置は一切やらないということで来ておるわけでございますが、しかし、現実にいる無年金者を切り捨てたままで基礎年金を実施するということは、国民年金法の第一条に言うところの「国民年金制度は、日本国憲法第二十五条第二項に規定する理念に基き、」こういった国民年金法の目的からしても反するものじゃないか、こういう感じを受けるわけです。 特に、今回の改正ではサラリーマンの妻など任意加入になっていた者が強制加入になるわけですが、従来の未加入期間は空期間ではあるけれども資格期間として算入する、こういうふうになっております。また政府案では、無年金者の救済措置として、日本人が外国に出る、すなわち在外期間は任意加入できて、任意加入しない場合はその期間を空期間に認める、そういった措置をいろいろと設けていらっしゃるわけです。 そこで、今回の基礎年金の導入というのは、先ほどから何回も申し上げますように、全制度の中でのいわば基盤をつくる大改革でございますが、三十六年に国民皆年金制度ができた、確立したと言われたけれども、建前だけで実際には無年金者がまだ大勢いらっしゃる。そういった意味からも、今回の基礎年金導入は画期的なことでもあるわけですから、すべての人に年金権を取得させるため、今回限りの措置として、いわば恩赦的措置といいますか、そういう考え方に立って、従来の強制被保険者の未加入期間も空期間として資格期間に認める、そういうことも考えていいのじゃないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
○吉原説明員 無年金者対策として、御質問にございましたように今まで三回の特例納付を認めてきたわけですが、この特例納付を認めるにつきましてはいろいろ議論があったわけでございます。まじめに保険料を納めてきた者とのバランス、むしろまじめに納めることが損ではないか、後から一括して納めればそれで済むということを何度繰り返すのか、というようなことがあったわけでございます。特に、まじめに保険料を納めてきた人たちからは、いわば非常におしかりを受けながらやってきた。しかも、これが最後だということで三回やってきたわけでございまして、今改めてまたこういった特例納付をやるとか、特例措置を講ずるとか、強制加入の期間も全部生かすというようなことはなかなか難しい。しかし、将来はこういったことのないように、過去の例えば任意加入の期間あるいは外国にいた期間、外国人の期間あるいは学生の期間、そういったものも、この新制度の中でできるだけ全部過去にさかのぼって救済をしているわけでございます。できる限りの救済措置は新制度の中で講じたと私どもは思っているわけでございます。
○沼川委員 この無年金者の問題が出てきますと、現在の社会保険方式をとる限りは無年金者はなくなりませんね。ですから、考えてみますと、基礎年金の場合は、保険料を取るけれども、性格的にはむしろこれは税方式の方になじむようなものじゃないかという感じをどうしても持つわけです。厚生省が「二十一世紀の年金を考える」ということで、世間の有識者の方々にアンケート調査をなさったことも存じております。たしかその中で、一つの方式としては社会保険方式をとることが望ましいと答えた方が八〇%ぐらいいらっしゃった、こう記憶しております。非常に長い歴史がありますし、それなりにわかるわけです。ですから、目的税とは言いませんが、いわば税方式と社会保険方式の折衷案という中でこれをとらえた考え方というのは検討に値するのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○吉原説明員 私どもは、現行の国民年金制度、これからの基礎年金制度でもそうですけれども、所得が低いために保険料を納められなかった人については、その分だけは国庫負担をつけることによって年金を出すという措置を講じているわけでございます。それはある意味では、純粋な社会保険方式から見ればむしろ税方式を一部導入したと言えるわけでございまして、保険方式と税方式の折衷方式ということも言えるわけでございます。 ただ、本来保険料を納めなくちゃいかぬ、それがわかっていながら保険料を納めなかった人にまでも年金を出すということになりますと、それはどうだろうか。過去のいろいろな制度の沿革もございますし、これからの年金制度のあり方としても、実際に保険料を納められるのに納めなかった人にまで税でもって同じ年金を出すことについては、国民的なコンセンサスといいますか、なかなか納得のいかない面があるだろうということでございます。
○沼川委員 これはなかなか議論がかみ合いませんが、私も冒頭に申し上げたように、基礎年金の目的というか性格づけ、位置づけという面から、これは政策的にいろいろと決めるということじゃなくて、むしろ全制度に共通する基盤となるわけですから、これにこぼれておったのではちょっと基礎年金とは言えないと思うのですね。そういうものにするためには、むしろ法律事項として、冒頭に申し上げたように憲法第二十五条の精神にのっとって、国民は基礎年金を受ける権利を有する、国はその義務を負う、そういうものをつくっていかない限りは、無年金者というのは今後絶対なくなりませんね。そういう感じを持つわけです。 この問題で議論しようと思いませんし、こういう問題もまた時間をかけてやろうと思っていますから、ぜひひとつ御検討いただきたいと思うのです。 それから、これはこの前も指摘した問題ですけれども、今回の改正案の中で私がどうしても納得できないのが、障害年金とか遺族年金あるいは母子年金、母子福祉年金などは引き上げられておるわけです。ところが、老齢福祉年金はそのままで据え置かれておるわけです。局長も御存じのように、老齢福祉年金というのは、言ってみれば今までの年金問題の論議の中で常に柱になってきたものです。かつての年金の引き上げの際、いつもこれが中心になって論議されて今日の年金の改善がなされてきたと言ったっていいような、そういう柱となるようなものだと私は今まで理解してきました。 御案内のように、これは五十八年に二百四十二万人だったそうですが、五十九年度またさらに減って、現在二百二十三万人と、五十九年度予算で六千九百十一億円の予算が組んであるわけでございますが、毎年やはり二十万人から二十五万人がずっと減少していく。恐らく昭和八十五年にはこれはゼロになるだろう、こういうふうに言われておるわけです。 私が言いたいのは、一つは、この方々はサボって資格がない方じゃ決してないということですね。ある一定の年齢に達していて、いわば資格を受けることができなかった。こういった方々は、戦前戦後を通して日本の国を支えてきた功労者でもあるわけですから、国家の義務という観点からも、こういった方々に対する施策というのはもっと前向きで取り組んでよかったのじゃないか、こういう問題はこの前も指摘を申し上げました。 もう一つは、私も財政面から見たってこの辺はもうちょっと考えたっていいのじゃないかと思うのですが、この老齢福祉年金の予算額という面から見てまいりますと、五十五年が八千二百二十一億円、五十六年が八千百二十億円、五十七年が七千七百八十億円、五十八年が七千百九十五億円、五十九年が六千九百十一億円、五十五年からここ四年間でざっと一千三百十億円も予算は減少しているわけですね。特に五十七年から五十八年の一年間というのは五百十三億円も減少しているわけです。予算はどんどん減少しつつあるわけです。これに該当する方々はどんどん減っています。ですから、そういう予算面から考えても、障害年金とか遺族年金とか母子年金と同じような形で、少しは引き上げを考えてよかったのじゃないか。非常に冷たいような感じを持つのですが、いかがでしょうか。
○吉原説明員 老齢福祉年金をできるだけ上げたいという気持ちは私どもも一緒でございますけれども、やはり年金というのは、今回の改革案におきましても、あくまでも、先ほどから申し上げておりますように拠出制といいますか社会保険方式で、一定の保険料を納めた方に四十年で五万円の基礎年金を支給する、これを基本にしているわけでございまして、納めた期間に応じてその額が変わってくるということがあるわけでございます。 福祉年金は、確かに今おっしゃいましたように、年金制度ができたときにもう一定の年齢以上で拠出制に入れなかったという人たちでございますから、その人たちに対して国の最大限の責任を果たす必要があるということはよくわかりますけれども、やはり拠出制年金とのバランス、それから国の財政状況、そういったものの中でこの年金額等が決められてきたわけでございます。 今度の改革案におきましても、実は障害福祉年金と母子福祉年金につきましては基礎年金に取り込むといいますか吸収できたわけでございますけれども、老齢福祉年金につきましては、何としても基礎年金の中に吸収できなかったわけでございます。これはなぜかといいますと、問題は老齢福祉年金の受給者だけじゃございませんで、五年年金、十年年金、それから現在国民年金は十八年の年金者まで出ているわけでございますけれども、いわばその人たちがみんな同じような措置、五万円に近づけるような措置、そういったものをとらない限りは老齢福祉年金の受給者だけ五万円に近づけるというようなことができない。当然そのバランス上できないわけでございます。 実際問題として、老齢福祉年金については確かに毎年受給者も減っておりますし、国の財政負担の額も減っておりますけれども、逆に五年年金とか十年年金あるいは十八年年金、そういった国民年金の拠出制年金の方の受給者はふえている。そのための国庫負担もふえている。それから、老齢福祉年金の国庫負担が減る以上に、厚生年金の国庫負担がものすごい勢いでふえているわけでございます。 そういったことを考えますと、気持ちとしては老齢福祉年金もできるだけ五万円に近づけたいという気持ちは持っておりますけれども、制度的にそれをきちんとした形で取り込むことができなかった、非常に残念ながらこれもできなかったということでございます。
○沼川委員 これも時間がございませんので深く突っ込んで論議しようとは思いませんが、これは今後の一つの問題点として、ぜひ年金審議の中でまたいろいろな角度から御質問したいと思っております。 さらに、今の老齢福祉年金の問題で、これは所得制限があるわけですね。これはたしか昭和五十一年度からそのままになっておるわけですが、本人の場合は、二人の世帯で年収二百四十八万円が所得制限の目安になっています。扶養義務者の場合、六人世帯の場合年収八百七十六万円、こういうことになっておりまして、五十一年度からそのままですから、八年間据え置かれておるわけです。資料で見ますと、五十八年度末でこの所得制限に引っかかって、いわば全然老齢福祉年金をもらえない人が十二万五千七百三人いらっしゃる、このように記憶しておりますが、これは八年間据え置いておるというのはおかしいのじゃないかと思います。当然この八年の間に物価も上がっておりますし、いろいろな経済状況の変動もあっておるわけですから、これは幾らか手直しをすべきではないかと思いますが、いかがでしょう。
○吉原説明員 扶養義務者の所得制限の額、現在八百七十六万円、これが五十一年以来据え置かれているということでございますけれども、この扶養義務者の所得制限が大幅に引き上げられましたのは、実は昭和四十八年、福祉元年と言われたときでございまして、そのときは年金額も大幅な改善がされましたけれども、同時に、扶養義務者の所得制限もほとんど撤廃に近いところまで上げようということで、当時の金額ですと恐らく六百万円、二百五十万から一挙に六百万円に上げたわけでございます。その後、五十一年までは三年間、そういった考え方でさらに引き上げてきたわけでございますけれども、今、先生も御案内の、そのころのいろいろな経済情勢なり国の財政的な状況の変化もございまして、八百七十六万というのはやはり高過ぎるのではないかというような考え方が出てきたわけでございまして、そういった考え方に基づいてこれを下げるというのは、一たん上げたものを下げるということはもちろん問題であるし、適当でない。しかしこれを、一般の所得水準が上がるからといってさらに九百万、一千万に上げていくのはどうだろうかということで、それ以来据え置かれている。そういう経緯でございまして、扶養義務者の所得制限をさらに引き上げなくちゃならぬ、また引き上げができるかといいますと、いまの状況で考えましても、やるとすればもう少し先にやらなくちゃいかぬようなことがあるのじゃないかということも考えておりますので、来年度は、私どもは、この扶養義務者の所得制限は現在の据え置きでいきたいというふうなことを考えております。
○沼川委員 もう時間が余りございませんので、年金問題については一つ一つ本当に突っ込んで御質問申し上げたい問題ばかりでございますし、どうかひとつそういう意味でも、ぜひひとつ大臣、年金の問題だけは簡単に早く上げることだけがいいことじゃないわけですから、これから二十一世紀に向かって、十分な論議の中で、本当に揺るぎないものになるような慎重審議をすべきである、こういう観点から、何回も申し上げるようですが、予告編的な、こういうところに問題がありますよ、そういう問題だけをきょうは申し上げたつもりでございます。 あと残りの時間で、薬務局の方がお見えだと思いますが、ちょっと医薬分業に関する問題で御質問を申し上げたいと思います。 実は、ここに韓国の新聞がございます。私、よく言葉がわからぬものですから、ある人に頼んでこれを翻訳をしてもらいました。恐らく厚生省の方では、薬務局ではもう御存じだと思いますが、韓国の木浦市というところで、人口が二十三万人の都市です、本年の五月一日から十二月末日まで八カ月間にわたって、いわばモデル分業を実施しております。内容を見ますと、これは任意分業ではなくて、強制分業となっております。 そのモデル分業の目的として、一つには薬局の処方せん受納調剤能力の点検ということがございます。二番目に患者の便宜性と受益性、三番目に薬剤費の抑制につながるかどうか、以上の評価を通して適切な分業モデルを作成する、こういうことが目的になっておるようでございます。 ほかにもあるわけですが、最近のはどういう形になっておるかちょっと私もよくわかりませんが、これは最初の八月八日の韓国の、これは日本で言う薬業新聞です。この記事を読みますと、ここに三カ月間の強制分業の一つの中間報告が出ておりますが、大きな見出しで「薬剤費構成比が激減 薬局請求薬剤費比率が七・二% 示範分業以後激変した」、こういう一つの大きな見出しがございます。中をさらに立ち入って読んでいきますと、「完全分業は薬の過多投与、乱用を防止する事実が示範分業の結果立証され関心を集めた」、こう書いてございます。去る五月から、木浦の示範分業実施以後、診療費中の純薬剤費の構成比率が七・二%に顕著に下降した、こういう記事でございます。統計によりますと、韓国の医療保険患者に対する診療費中の薬剤費が占める比率は三六・八、こう書かれておりまして、医薬分業を実施しておる外国に比べて、韓国も日本同様高い比率を示しておるということが述べられております。ところが、去る五月から実施したこの木浦の示範分業以後、途中経過でございますので何とも言えないところもあるわけですが、療養機関からの請求した診療費総額が三億四千八百三十九万ウォン、この中で薬剤費が二千五百三十三万ウォンにすぎず、薬剤費構成比率が七・二%である、こういう記事でございます。 この前の健康保険の改正の法案の中で特に論議されたのが、薬価の問題でございました。局長も御承知のように、日本の医療保険の問題、これはいろいろと問題点がありますが、ずばり一点だけ一口で言うならば、薬の問題であると言い切る人すらおります。 現在、五十七年度時点で日本の薬剤費の構成比が三四・一でございますが、これがこの前の大幅な薬価の引き下げでまた相当下がるんだろうと言われておりますけれども、やはり一番国民の課題として、薬づけ医療を何とか解消する方法はないか、こういう声がこの前の健保の論議を通して非常にありました。現在もございます。やはりこれから、医療の適正化対策の中で薬づけ医療の解消ということは極めて大事な問題じゃないかと思います。そういう中で、お隣の韓国で、一つの強制分業でありますけれども、期間を切った分業ですけれども、分業の結果七・二%に激減した。これは統計のとり方でいろいろまた数字も出るでしょうが、一つだけ言えることは、分業をすれば薬剤費の比率は明らかに減る、こういう傾向が顕著に出ている一つの姿じゃないかと思うわけです。 どの程度把握されておるか知りませんが、こういう一つの韓国の例がございますので、ぜひともひとつ厚生省サイドでこの実態調査をして、しかも午前中も質問が出ておりましたけれども、六十年度予算の概算要求の中で、今度新規の予算として医薬分業モデル地区推進のための六百万という予算要求をなさっております。八カ所に限定していろいろと推進をされる。また、そういう一つのこれは参考にもなろうかと思いますし、この点についてどのように受けとめていらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。
○小林説明員 ただいま先生からお話がありました韓国の木浦市と言うのでしょうか、この情報は、概要でございますが大体把握しております。 それで、今お話がありましたように、韓国で新しい医療保険制度、中でも第二種の医療保険、これは地域保険でございまして、日本で言えば国民健康保険のようなものだと思いますが、それを導入するために、全国で木浦市など六カ所をモデルに選んで、模範事業と言っておりますが、これを実施している。ただ、強制しているのは木浦市だけのようでございます。あとは任意のようでございます。 そこで、お話がございましたように、これは実施期間を限っておりまして、本年五月一日から十二月三十一日まで、こういうことでございます。先ほど御紹介のあった薬業紙も私、翻訳書を持っております。これは八月の記事でございまして、五月から始まって八月ですから余り間もない時期だということもございますので、これから先どの程度変わっていくかという点はこれからフォローしなければいかぬと思いますけれども。それからもう一つは、やはり韓国と日本では国情ももちろん違いますし、医療保険制度そのものが異なりますから、そのまま日本で適用になるかどうか、これは疑問でございます。それは先生も御承知の上だと思います。 ただ、いずれにしましても、分業が医療費あるいは薬剤費というものに対する影響を判断する上では一つの重要な参考資料になろうかと思いますので、これが十二月末で一応切れまして後どうなるか、これもありますけれども、そこら辺で、これは日本薬剤師会も非常に興味を持っておりますので、日薬ともお話し合いをした上で、調査を一回してみたいなというふうに考えております。
○沼川委員 調査をするということでございますので、ぜひひとつ調査をして、これが今後の分業推進の中で何か生かされますれば非常に幸いだと私は思います。 御案内のように、先般の健保論議の中でも、やはり先ほどから言いますように薬が随分問題になったわけですが、ここ三年間で四〇・一%という大幅な薬価切り下げが行われた結果、特に公私立病院あたりで、これは明らかに薬剤費の収入が減った。大きいところは三〇%あるいは二〇%、こういった数字を挙げて薬剤費の収入が減った、こういう声がございます。一方では、公然と薬価差益というものを二〇%ぐらいは当然認めよ、こういう論議もあります。また一方、国民サイドから見て、もしも薬価差益があるとするならば、これは健康保険の中での問題ですから、当然その差益は国民に還元されるべきものだ、そういう見方もあります。 私も何回も健保論議の中で申し上げましたけれども、やはり薬価基準を幾ら引き下げても薬価差益がゼロになるということは到底不可能である、こういう観点に立ちますと、やはりこれからのこの薬の問題をどう扱うかということは、診療報酬の改定が今いろいろと言われておりますが、一方ではやはり技術料が非常に低い、そういう面で技術料の評価というものをもう一遍検討し直すということで論議が進められておるようですが、やはりそれとあわせて、一つの新しい時代の流れとして技術と物の分離、そういう観点に立っての技術料の引き上げであってほしいと私は思います。ただ、この前薬価ベースで下がっているからそれと抱き合わせで上げる、こういう考え方じゃ困ると思うのですね。あくまでも技術料は技術料としてひとつ正しい評価をしてもらう。また技術と物という問題については、やはり薬づけをなくすという方向、それからまた薬の安全性といいますか、そういう立場に立っての検討が行われなければならぬと思うわけです。 まだちょっと時間がありますので、そこで、この前、これは画期的なことだと思って私も非常に評価をしているのですが、医薬分業推進懇で長野県の上田市を視察されております。また、局長自体も直接視察されたと聞いておりますが、ひとつ率直な御感想を聞かせていただきたいと思います。
○小林説明員 今御指摘のように、医薬分業推進懇談会のメンバーの先生方が一度お邪魔しております。そのとき私、ちょうど都合で行けなかったものですから、後から座長である佐分利先生と二人でもう一回お邪魔をしてまいりました。 地域の薬剤師の皆さんの熱意には大変感激をいたしました。特に、随分長い間試行錯誤を重ねながら熱意を失わないでここまで来たということ、それから非常に地域に密着した形の薬局になっている、ホームファーマシーというような言葉を使っておりましたけれども、地域の住民から信頼を得られるような、例えば服薬指導とか、あるいはそれをトレースして、副作用とか服薬の状態とかいうのを後からフォローしているといった努力がされております。そういう、医薬分業はいろいろ問題がございますが、何といいましても、地域の住民に信頼される薬局、信頼される薬剤師さんになるのがまず先決だな、こういう感じを強く持ちまして帰ってきた次第でございます。
○沼川委員 以上で終わります。
○有馬委員長 小渕正義君。
○小渕(正)委員 まず初めに、厚生省の基本的な考え方といいますか、そういうものについて若干のお尋ねをいたします。 現在、我が国は人口の高齢化ということで、その内容や速さは、従来の諸外国に見られないようなスピードで進行しつつあるわけでありまして、それに対する対応の仕方が総合的な観点から行われなければならないことになるのは当然でありますが、そういう点で考えますならば、特に、これからのこういう高齢化社会に向かって、ただ単に縦割り的な行政の枠組みの中で行うということでは行き詰まるのではないかという感じもするわけであります。例えば雇用、社会保障の問題、住宅、税制、こういった分野の施策を総合的にやらなければならないような時代に来ていると思うわけであります。 この場合、特に所得保障という問題で考えますならば、雇用と年金という関係について考えますと、少なくとも年金については六十五歳ということが一つのスタートラインでありますから、その六十五歳までは雇用を確保され、そして、高齢化社会の社会保障の負担のあり方が当然そういう中で求められなければならないというふうに思うわけであります。このように、すべての年金のそういう高齢化社会に向けてのスタートが六十五歳ということになりますならば、六十五歳までは当然生きがいのある、働きがいのある、そういった雇用が確保されるということが活力ある社会づくりの大きな要因ではないかと思うのでありますが、この点については、厚生省としてのこれらに対する基本的なお考えがありますればお聞かせいただきたいと思います。
○増岡国務大臣 六十五歳を境としてどういうふうに生活するかということがいろいろ言われておるところでございますし、人生八十年になったのですから、できるだけ長く働いていただくということが個人的にも幸せであるし、社会的にも有益であろうというふうに私自身も思っておるわけでございますけれども、しかし、まだことしの四、五月ごろは定年が五十七歳平均だということでございまして、労働省の方でもいろいろ御苦労なさっておりますし、私どももそういう意味で横断的にお手伝いしなければならぬと思います。しかし、六十五歳まで働くという事態がまだ実現したわけではございませんので、厚生省の年金といたしましては、やはり従前どおり六十歳から開始という線は崩せない、雇用の将来の状況を見てまいらなければならないというふうに思っております。
○小渕(正)委員 ようやく我が国も定年六十歳が定着をしつつあるかのごとき状況にあるのでありますが、そこで、明らかに高齢化社会に向かって六十五歳から年金のスタートということを考えますならば、これは当然厚生省だけの問題ではございませんけれども、少なくとも六十五歳を一つの年金のスタート台に置くならば、それまでの所得保障という立場からも何らかの道筋といいますか、そういうものは当然対策が考えられなければならないと思います。したがいまして、この点は単に厚生省だけの問題ではなしに、労働省その他のいろいろ総合的な施策が必要でございますが、少なくともアウトラインといいますか下敷きといいますか、そういうもの等については、やはり厚生省は厚生省なりに一つのものを、いますぐそれを出せということではないですけれども、そういう方向についてはやはり絶えず前向きの姿勢で取り組んでほしいということだけを申し上げておきたいと思います。 それからあと一つ、高齢化社会に向けての大きな問題は社会保障の負担のあり方だと思います。高齢化社会に向けて社会保障負担が徐々に上昇していくことは避けられない状況でありまして、それなりの覚悟をお互いにしなくてはならぬということはわかるわけでありますが、負担をどの程度のものにしていくかということがこれまた大きな問題だろうと思うのであります。 我が国の今日の租税及び社会保障負担は、対国民所得比でいきますと、二つ合わせますと大体三五%をちょっと割った程度じゃないかと思いますが、この枠は当然、現在は年金の成熟度とか高齢化への進捗状況との関係からその程度でおさまりますが、将来は五〇%を超えなければならないような状況に来るのではないかということが考えられるわけであります。現在、先進諸国におきましてもこれらの負担については五〇%を超すところがかなり出ておるわけでございまして、そういう点からいきますならば、こういった高い負担を将来的にはどの程度まで一応のめどに置いて考えていくのかということが、これからの厚生省のこういった老後の社会保障、高齢化社会に向けての対応という意味ではこれまた極めて大事な問題だと私は思います。 しかしながら、これが余りにも高い負担率になるということは若い世代に対して全く理解を得られないようなことにもなりかねないと思うわけでありまして、そういう意味で、高齢化社会に向かってそれぞれに対応していくための負担を一応どの程度に目標を置きながら、位置づけながらやっていくかということは極めて私は大事な問題だと思いますが、そこらあたりについて、現在厚生省としてお考えがあれば承りたいと思います。
○増岡国務大臣 ヨーロッパ諸国で高福祉・高負担ということが言われ、五〇%を超えるという状況でございます。私は、そういう先例を見ましても、日本としては、やはり活力ある社会の状態を維持しなければならぬということになりますと、かなりヨーロッパ諸国の水準よりか低い水準にとどめておかなければならぬというふうに考えます。ちなみに、今回の年金改正法案もある意味ではそういう趣旨のものが含まれておると思うわけでございまして、そのような方向でやってまいりたいと思います。
○小渕(正)委員 低い負担をできるだけ維持していくということは一番好ましいことでありますが、早晩、そういった好ましい状況をとは考えながらも、実際問題としてはそういう高負担へと行かざるを得ないのじゃないかという感じがいたします。現在でも、日本は、これは八一年度の調査ですが、租税負担と社会保障費負担とを合わせると約三三・六%、アメリカが三八・五%、イギリスはもう五〇%を超えておるし、西ドイツ、フランス、もうスウェーデンに至っては六〇%を超えておる、こういう状況でございます。 だから、今回の年金改正の中でも、勤労者の場合には、常時働いておられる人の平均賃金の大体六九%ですか、約七割程度を見込むというのが今回の年金水準だということが一つの目標にされておるわけでありますが、そういうもの等いろいろ考えていきますと、ただ低いだけでいいということだけでは済まされぬわけでありますので、少なくともそこには、最低の希望数値なら希望数値としての一つのめどを持って、例えば四五%なら四五%、五〇%なら五〇%程度で何とか抑えていくような、その負担を超えないような感じの中で何とか考えなければいかぬというような大きな枠組みは、これからのこういった問題を議論する場合にはぜひ前提条件として必要じゃないかと思うのですが、そこらあたりもう少し具体的な考え方があれば示していただきたいと思います。
○増岡国務大臣 将来、今のままの法律でありますと、厚生年金で三十万円を超える資格者が出てくる、ということは現に働いておられる方々よりもより高い年金を受けられるという、そこらに将来の負担増という心配があるのであろうと思います。 したがって、今回の改正案におきましても、そういう面の是正という意味で七割程度と考えておるところでございますので、御指摘のとおりでございます。
○小渕(正)委員 それでは、年金の今回基礎になっている収入の大体七割ぐらいを仮に維持していこうということは、これから行くと、そうさほど大きな、例えば租税と社会保障費負担と合わせて五〇%程度になるようなことにはならなくて済むだろうというような、何かそういう大まかな見方を持っておりますか。それとも、どの程度行くかまだわからぬけれども、ともかくこれくらいと言っておけば何とか行けるだろうということですか。全然そういったことがなしにやっておるのですか。そこらあたり専門的にどうですか。
○吉原説明員 現在の制度のままにいたしますと、例えば年金についての社会保障負担、社会保険料負担が現在は国民所得に対しまして六%程度でございますけれども、将来はこれが年金の社会保障負担だけで一六ぐらいになることが予想されるわけでございます。このほかに健康保険の負担その他の負担がございまして、それらを合わせますと、社会保険料の負担というものが二〇から二五近くになるというような試算もあるわけでございます。 それは、租税と合わせました場合に、現在もう租税の負担率が既に二三ないし四になっておりますので、四五をはるかに超えるというようなことになるわけでございまして、そういったことから一番ふえる要素を持っておりますのが年金である、年金が一六では大き過ぎるというようなことで、今回の改革案は、そういったものもにらみながら、年金の社会保障負担というものを一一ないし一二程度にとどめたい、また今回の改革案が実現すればその程度でとどめ得る、そういったことによりまして社会保障の負担そのものを一六から二〇程度以内にとどめ得る、租税負担を合わせましても四五ないし五〇にはとどめ得るのじゃないかというような見通しを持っているわけでございます。
○小渕(正)委員 次の問題に移りますが、これからのそういった新しい高齢化社会に向けて、いろいろと社会全体がどのように対応していくかということが一つの大きな課題になるわけであります。そういう中における一つでは、現在でも民間を中心に行われておるボランティア活動、これの福祉活動の中における位置づけをどのように考えるか。これは単に民間のそれぞれの善意にわたる一つの問題として、政府が行う福祉行政の中では一切こういったものについては考えないのかどうか。位置づけとしてどういうふうにお考えになっておるのか。 やはり私は、これからの生きがいのある高齢化社会に向かっての大きな一つの要素の中に、お互いが行うボランティア活動というのはかなり重要な意味を持ってくるのではないかというそれなりの感じもしておるわけでありますが、それはあくまでも自主的な民間の中における活動だから、もうそういったものについては何らのものも考えないというのかどうか。やはり関与しないにしても指導、援助、そういったものについて何らかの方向を福祉行政の中の一環としての位置づけとして考えておられるのかどうか、その点をひとつよろしくお願いします。
○正木説明員 ボランティア活動についてのお尋ねでございますが、先生おっしゃるとおりでございまして、これからの地域福祉活動というものを進めていく上で、ボランティア活動の占める役割というものが非常に大きいと思います。 特に、先生おっしゃいますように、これからの高齢化社会となりますと、福祉ニーズというものも多様化してくる、そういった面で、公的施策の充実というものももちろん必要でございますが、それと相まってボランティア活動を推進していくということは非常に大事なことだと思います。当然のことでございますが、地域福祉を考える場合には、基本はやはり助け合い、思いやりというものが人間の心の基本でなければならない。そういった面でボランティアの活動の占める役割は非常に大きい。 そこで、このボランティア活動についてどう位置づけていくのかということでございますが、御案内かと思いますが、現在、市町村の社協を中心といたしまして、市町村社会福祉活動センターというのが全国で四百七十三カ所設置をされております。そういったものについて、いわばボランティア活動の拠点についての助成を若干ではございますがやっておるわけでございます。 来年度におきましては、私どもの構想でございますが、さらにこれを発展させていきたいということで、パイオニア的な意味合いを持つわけでございますが、福祉ボランティアの町づくりというものも大いに推進していきたい。要するに、人と場所と資金といったものが三位一体になって、こういうボランティア活動を推進していくように、公的な応援というものも十分やっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○小渕(正)委員 わかりました。非常にこの問題は難しゅうございまして、取りようによっては民間への安易な、安上がりな一つの委託作業になりかねないという面もありますが、これはまた後ほど機会を改めて意見を申し上げることにいたしまして、そういう考え方をお聞きした程度にいたしておきます。 次に、六十年度の厚生省の概算要求の中で、地方に対する補助率を切り下げるということで約三千億程度、中身はもう私は言わなくてもいいと思うのですが、そういう当面の措置として、とりあえず生活保護とか老人ホームの関係とかその他保育所関係とか、いろいろそういったものの補助率を引き下げて、俗に言う三千億程度減らそうということで、これは地方自治体においては非常に大きな問題になっておりますし、単なるこれは安易な地方への負担の肩がわりということで、現在社会的に地方自治体の中において厳しい批判が出ておるわけであります。 あわせて、これは昨日の夕刊では、補助金を抜本的に改革するということで、厚生省は、医療など四百二十七件を総ざらい洗い直して、本格的な予算のときに取り組むのだという記事が出ておるのです。これは日経のきのうの夕刊ですが、要するに厚生省としては、基本的な方針を確立したいというのがこの報道の中心になっておるわけでありますが、これから厚生省としても、そういう基本的な姿勢といいますか構えというものを今までと変えてしようとしているのか、ただ財政上の一つの問題として当分の間こういうことをしようとしているのか、その点についての基本的な姿勢はどうなのかということをまずお尋ねいたします。
○長門説明員 お答え申し上げます。 六十年度の予算の概算要求につきましては、先生もただいまおっしゃいましたように、当面の措置ということで、行革審の意見等も踏まえまして、政府の七月三十一日の閣議了解によりまして、高率の補助金を一〇%削減して概算要求を提出するというふうにいたしたわけでございます。 これとは別に、先般総理から私どもの事務次官に対しまして、国と地方の関係を十分見直して新しい二十一世紀に備えた社会保障制度の体系を考えていくように、こういうふうな御指示がございました。それを受けまして、今後の社会保障のあり方につきまして、特に国と地方との関係等につきまして検討に取りかかっている段階でございますが、健康保険につきましては先般の国会で改正をしていただきまして、年金制度につきましても今回こうして御審議願っておるわけでございますが、その他の分野につきましても、二十一世紀におきまして、この社会保障、社会福祉の制度を国民の期待に十分こたえるようなものにするために、そういった検討に取り組んでいるところでございます。
○小渕(正)委員 国民の期待にこたえるのじゃなしに、逆になるわけですけれども、これは別として。 要するに、新しい国としての社会保障制度のあり方ということで、その内容についてもう一度洗いざらい点検しながら整理していくということですね。ということであるならば、これは厚生省独自でやられるのですか。いろいろな諮問機関、審議会がございましょう、やはりそういうものに諮問しながらやられるのですか。その点はいかがでしょうか。
○長門説明員 社会保障の主要な制度につきましてはそれぞれ諮問機関を持っておりまして、制度の重要な改革につきましては、社会保障制度審議会を初めいろいろの審議会に諮問するような形になっておりますが、現在検討を始めておりますのは事務的な検討ということでございますので、まだそういった審議会についてどうこうという段階ではございませんが、内部的に検討を進めている段階ということでございます。
○小渕(正)委員 わかりました。 では、次に移りますが、国が行う社会保障といいますか福祉政策というものは、現在のような予算のシーリングの中で絶えずその中身が変動するということであっては余り好ましいことではない、少なくとも国の行う社会保障政策としてはそういうふうなことであってはならないのではないか。そういう意味からいきますならば、これは一部学説といいますか一部の機関で議論されてこういう提言も出ているわけでありますが、社会保障制度の勘定を別枠にして、そういった予算のシーリングの枠外に置いた中で、随時そういう変動のないような形の中で当然行うべきなのが社会保障の一つの姿ではないか、そういう点で、今のように予算のシーリングのたびに絶えずその中身がいろいろ切り込まれたり行われたりすること自体が不安定でおかしいのじゃないか、その要因は要するにそういう今の財政の運用のあり方にあるわけですから、社会保障勘定という別枠を設けて、その中で国の行うものは固定的なものとして変動なしに行うべきでないか、実はこういう意見等も出されているわけであります。 この点については、過日、中曽根首相は、まだそこまでは考えないということを本会議の答弁で言っておりましたけれども、厚生省当局として、その点についての見解があったらお聞かせいただきたいと思います。
○長門説明員 先生がただいま仰せのような社会保障勘定とでもいったものを設けまして、一般会計の他の経費から分離してそれで社会保障関係費を賄ってはどうか、こういうふうな御提言かと思いますが、こういった御提言が、学者の先生あるいは研究集団等から出されておりますことは承知しております。 今日、高齢化の進展等によりまして、社会保障関係費は当然増が非常に巨額に達するわけでございます。こういった中で、この御提言は、社会保障予算のあり方の一つの提言として受けとめているところでございます。しかしながら、この問題は、国全体の予算のあり方と申しますか、財政の問題にもかかわる大変大きくかつ重要な問題、難しい問題でございますので、御提言ではございますが、今後の社会保障関係費のあり方はどういうふうに持っていくかということにつきましても、私どもも今後勉強してみたい、かように存じておるところでございます。
○小渕(正)委員 時間がありませんので一般的なものはここらでおきまして、年金問題に移ります。 過日、共済年金制度改革検討委員会の報告書が出されましたが、今回の国民年金の改正案の中で一般の方から素直な質問としてよく出てくるのは、現在確かに厚生年金、共済年金、国民年金の制度間の不公平があるわけですが、この制度を統合して一本化していこうという構想はそれなりの理解ができますが、なぜ厚生年金と国民年金を手がけたのかということです。 今、年金の問題の中で不公平だとかいろいろな問題点が社会的に大きな関心事となっているのは、共済年金との比較じゃないか。そうなると、国民年金との統合の中で、なぜそういう一番問題のあるものをまず第一段階で考えなかったのか。しかも対象人員が少ないわけですから。そういう素朴な質問が皆さんからよく聞かれるのでありますが、なぜ、今回は、厚生年金と国民年金の抱き合わせでの統合をまず第一段階で考えられたのか。共済年金と国民年金の統合ということからスタートしてもよかったのではないかという素朴な質問に対してどのようにお考えか、お答えいただきたい。
○吉原説明員 確かに、現行の年金制度の持っている一番大きな問題の一つが官民格差の問題であるわけでございます。そのほかに、これは各制度に共通する問題として将来受給者がふえる、高齢化が進む、その中で今の制度のままで制度を安定的に維持できるかという問題、これは制度によって違いはございますけれども、多かれ少なかれどの制度も持っている問題点であるわけでございます。 こういった二つの問題を解決していくやり方として、一体どういう手順といいますか筋道でやっていくのがいいのかということを考えてみますと、おっしゃるように、まず共済の問題を解決したらどうかという御意見も御意見としてはわからないわけではございませんが、国民の九割を対象としている厚生年金、国民年金、五千万人以上の人を対象にしているわけですけれども、この制度の行方というものがはっきりしないままに共済を変えるということはどうだろうか。やはり、これからの年金制度のあり方を方向づけるのは、何といっても厚生年金、国民年金がどういう方向に進むかということでございます。それをはっきりさせた段階で、それに合わせた形で共済の改正や改革を図っていく、これが現実的なんじゃなかろうか。実施はどちらが先ということじゃなしに、同時にやるという考え方に立って、その場合にも、やはり大きい厚生年金と国民年金の方が実施の準備にも時間がかかるわけですから、早く改正案というものの中身を固める、その後でそれに合わせて共済の法律改正をする、同時に六十一年から実施をする、こういう大きなスケジュールを立てたわけでございます。
○小渕(正)委員 そうなると、今回共済年金制度改革検討委員会等の報告書から出されたものを考えましても、当然に基礎年金制度が導入されるということ、それから今いろいろ言われておりました制度間における官民格差、そういった問題が当然解消されるということ、この二つが当然手がけられて改革されなければならないというふうに思うわけでありますが、その点はいかがですか。
○吉原説明員 おっしゃるとおりでございまして、将来、制度の統合一元化、共済も含めた各制度の統合一元化を目指す、そのいわば第一段階として、今回、厚生年金と国民年金をやり、あわせて共済年金の改正を進めていくということでございます。
○小渕(正)委員 スケジュール的にいきますと、今度もう次の国会、十二月から百二国会が召集されますが、この百二国会の中には成案としてまとめて提案されなければならないような形に、六十一年実施という方向でいけば当然そう来なくてはいかぬようになるのですが、そういう意味での作業といいますか、スケジュール的にはそういう方向で今日取り組まれておるのかどうか、その点いかがですか。
○坂本(導)説明員 ただいまのお尋ねは共済年金の改革についてであろうと思いますが、共済年金につきましては、去る二月二十四日の閣議決定におきまして、昭和六十年に基礎年金の導入を図る等の改正を行う、そして六十一年度に実施するという決定を受けているわけでございます。 私どもといたしましては、御案内のように共済年金は、私ども大蔵省所管の国共済、それから自治省所管の地方共済、農林省所管の農林共済、文部省所管の私学共済、こう分かれておりますので、四共済が別々の方向に走ってはこれまた問題がございますので、四省事務当局が集まりまして、学識経験者を含めて事務原案というようなものをつい先日まとめ上げたわけでございます。 ただ、これは今申し上げましたような性格のものでございますので、今後、関係審議会あるいは関係方面の御意見等をちょうだいしながら成案を得ていくということになろうかと存じますが、私どもといたしましては、できるだけ早い機会に成案を得たい、そして来年の通常国会に御提出させていただきたいというふうに考えております。
○小渕(正)委員 今の御答弁、結構ですが、それで大臣、この共済年金関係は、今お話がありましたように、大蔵省所管とか農林省とかやれどことか、それぞれ所管が違うわけでしょう。それで事務担当連絡会議をやってまとめていくということですが、年金の一元化、年金というものを全体的に統一的に眺めて問題を処理していくからには、今回は、新しい改革のあれですから、当然厚生省が中心になって一本にまとめ、そういう中でこれだけ特別にやるようなことを何か考えないといかぬのじゃないかという気がするわけですが、その点いかがですか。
○増岡国務大臣 先ほど説明員から申し上げましたように、年金の問題は、基盤の安定ということと公平ということの両面からやっていかなければならぬことだと思います。したがって、基盤の安定ということにかんがみますと、圧倒的に多数の厚生年金、国民年金の改革を今回お願いしておるところでございます。 なお、負担・給付の公平ということにつきましては、これから先の取りかかる作業であろうかと思いますけれども、私も年金担当国務大臣を命ぜられておりますので、先生御指摘のような気持ちで処してまいりたいと思います。
○小渕(正)委員 では共済課長にお尋ねしますが、これは今からの作業のことですからとやかく言うことではございませんが、ただ報告書を見る限りにおいては、あと一つのポイントは、民間には企業年金がある、二割程度そういうものをどのように上積みするかどうかというのが一つのポイントじゃないかというような意味合いのものが出ておったわけでありますが、民間が現在行われている企業年金という実態をどこまで承知されておるのかどうかですね。 私どもが知る範囲においては、企業年金という名前はあっても、実態を見るならば、そういうものを設けられたところもまだわずかでありますが、その実態はほとんど大手企業の中にあって、退職金の中からその一部分を保留してそれを年金方式でやるか、あと何年かした後に一括でその残りの分をやるかとか、いろいろ企業年金と言われている呼称の中にも実態というものは必ずしも本当に年金にふさわしいような内容じゃない、単なる退職金の一時払いを一部分だけ残しておくという形のものが実態じゃないかという感じがするわけでありますので、ただ、企業年金があるからその点との兼ね合いをどうするかということは、実際に現在民間で言われている企業年金の実態をいま少し十分調査、検討なさらないことには、またここで問題が出てくるのじゃないかという気がしますので、その点に対する意見を交えてお尋ねしているわけですが、その点はどのように把握なさっておりますか。
○坂本(導)説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、共済年金制度改革検討委員会の報告書はまだ成案というものじゃございませんが、そういう検討委員会の検討の過程でどういう議論が行われたかということでございますが、御指摘のように民間の企業年金の実態は千差万別でございます、その態様あるいは水準、費用負担の割合は。したがって、共済年金が民間の企業年金を含めて同一になるという場合、その比較基準とすべきその民間の企業年金が千差万別ということで、一概に一定の結論を出すわけにはいかないという状況でございました。したがって、そういう中で、私どもといたしましては、公務員制度等の一環として、その企業年金、職域年金部分も労使の折半の費用負担でやるとしたらおのずと限度がある、言ってみれば世代間の負担の公平と申しますか、年金負担者及び年金受給者のバランスをとる上からおのずと限度があるだろう、そういうことで考えまして、おおむね厚生年金の二割程度、そしてそれは基礎年金も含めました公的年金の八%程度というものが限度ではなかろうかという考えに至ったわけでございます。
○小渕(正)委員 まあ専門的にいろいろ調査なさりながら検討された結論でしょうけれども、ただ報告書の中身だけ見ますと、問題の中身が本当に実態とは違うのじゃないかという感じがいたしましたのでそういう御質問をしたわけでありますが、その点は今後、次の改正のときの一つの大きなポイントになる問題点でございますから、十分万遺憾なきをひとつお願いしたいと思います。 次に、今回の国民年金の問題でありますが、これは前回の百一国会の中での継続審議になったわけでありますが、今回の統合案の中で基礎年金制度を導入するということでは、これは前向きに私どもとしても十分評価できる内容じゃないかと思うわけでありますが、個々で見るならば、やはりまだまだいろいろ問題点がございます。 夫婦の年金水準の問題、または夫婦六十五歳にならなければ十万円という形にならないような問題とか、寡婦年金、遺族年金の取り扱いの問題、いろいろそういう問題がありますが、そういった点については過日の委員会でも指摘したところでございますが、特に本日、あと一つ申し上げたいのは、今回の改正のポイントの中で非常に婦人の年金権が確立されたということは、これは一つの高く評価される内容じゃないかと思うわけでありますが、その中での働く婦人の人たちの問題として、やはり保険料率の問題、支給開始年齢の問題、単身者と夫婦世帯者との格差の問題、いろいろまだまだ婦人独自の問題としてこういう内容に対して厳しく該当者の人たちから批判の声が出ておるわけでありますが、これらの問題に対しての厚生省としての基本的なお考えがございましたならば、もう一度それをお伺いしたいと思います。
○吉原説明員 年金制度の中で女子、婦人というものをどういうふうに扱うかというのはなかなか難しい問題でございますが、従来、現行制度におきましては、女子にとって非常に有利な面とそれから不利な面、言い方をかえますと、非常に安定的な面と不安定な面と両方あったわけでございます。 今回の改革案におきましては、不安定な部分はできるだけ女子の年金権というものを確実な、安定なものにしていくという考え方に立っておりますし、やや男子に比べて特別優遇されていた面、これも確かにあるわけでございますけれども、それは現在、現時点における男女のいろいろな雇用の状況あるいは平均寿命の状況、平均余命の状況、そういうものを考えまして公平なものにしていく、基本的にはこういう考え方に立っているわけでございます。
○小渕(正)委員 具体的な問題として申し上げますならば、今回の改正によって、当然でありますが、夫婦世帯の場合には基礎年金をそれぞれ夫も妻ももらえるわけですね。ところが、単身の働いている女性の場合には、保険料率が一緒だと仮定したといたしますと、基礎年金の五万円だけしか、あとはもらえないわけですね。そうすると、同じ保険料を納めておって、片一方の御夫婦は夫も妻ももらうということで十万円、片一方の単身者の御婦人はずっと納めておってもやっと基礎年金の五万円だけだ。これでは余りにも不合理じゃないか、何らかのプラスアルファ的なものが当然加味されていいのではないか、そういう非常に強い御婦人からの意見があるわけでありますが、ここらあたりについてはどんなものでしょうか。
○吉原説明員 ある意味におきましては、単身で働いている御婦人の現行制度での年金の扱いというのは、実は大変有利であったわけでございます。単身でありながらいわば二人分の年金がもらえる。厚生年金は世帯単位でございますから原則として夫婦二人を前提にした給付設計ができているわけでございまして、男子の場合もそうでありますけれども、女子の場合にも単身で二十年、三十年勤めておられた方は、いわば単身でありながら二人分の年金がもらえたということであったわけでございます。 そういったことから見ますと、今回の改正というのは、そういった人たちにとってはどちらかというと不利になっているわけでございますけれども、やはり婦人の年金そのものの全体から見ますと、家庭におられた御婦人の方にきちんとした年金権というものを保障するという考え方に立っておりまして、その場合の保険料負担をどうするか、給付をどうするかということになりますと、いろいろそういった御意見もわからないわけではございませんが、今御審議をお願いしているような改革案のやり方しか現実的にないし、またそれが一番いいのではないか、こういうことでこういう提案になったわけでございます。
○小渕(正)委員 今申し上げたいろいろな問題点はまた別に議論する機会がありますので、一応私の質問をこれで終わります。
○有馬委員長 小沢和秋君。
○小沢(和)委員 きょうは、私は、来年度予算編成の中で今大問題になっております、地方自治体への高率補助一割カットの問題を中心にしてお尋ねをしたいと思います。初めに自治省の方にお尋ねしたいと思います。 補助金の率は一般的にどういう考え方で決められるのか。私の考えでは、国としてどうしても全国の自治体にやらせなければならないと重視しているような事業ほど補助率を高くするような傾向になるのではないかというように考えますが、この点いかがですか。
○横田説明員 補助金の率の決定につきましては、そういうお考えもあるかと思います。ただ、いずれにしましても、かなり歴史的に長い経過の中で決まってくるものでございますから、一概にすべてを律するような考え方というものはないのではないかと思います。
○小沢(和)委員 しかし、だれが考えてみても、国として積極的に推進したい事業については、地方が財政力がなくてもやれるようにということで高くなる傾向になることは私は否定できないと思います。 それで、それを前提にして、せっかくそういうふうに高く補助金が決められたということになった場合に、それを今度のように個々の検討もせずに、高率補助はいわば優遇し過ぎるということなんでしょうか、頭から一律に一割カットをするというようなやり方には何の合理性もないのではないか。これはおよそ行政改革などと言えるものではなく、全く国の財政危機の単なる地方へのしわ寄せにすぎないのではないかというように考えますが、いかがでしょうか。
○横田説明員 私ども、国庫負担金等の補助率というものは、国と地方との機能分担というようなことから合理的に決められているという面がございますし、したがいまして、一律カットにつきましては基本的には反対でございます。もし補助率を見直すということでございますれば、機能分担等も十分に検討した上で考えていこうと考えております。
○小沢(和)委員 もう一つ自治省にお尋ねしたいと思うのですが、名称が同じ補助金というふうに言われて今度一律カットをされておっても、いわゆる地方財政法などの十六条で奨励的あるいは援助的な意味での文字どおりの補助金と、それから生活保護費や失対事業などのように地方財政法でも十条以下で負担金として国が進んで経費を負担する必要を認めているようなもの、これを全部一律に切ってしまうということも自治省の立場から見たら何の合理性もないとお考えではないかと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
○横田説明員 御指摘のとおりでございます。
○小沢(和)委員 結局のところ、行革審は、国より地方の方が財政的に楽という認識で来年から地方にも本格的に行革をやらせよう、そのためにとにかく一割補助金を切ったらそのショックで自治体の方も一生懸命節約を考え出すのではないか、こういう発想じゃないかと思うのですけれども、実際にはこのカットで最大のものはというか飛び抜けて大きいのは生活保護費であるわけですね。そうすると、この打撃というのは生活保護者が一番密集する筑豊、これは私の地元でもあるわけですが、こういうような全国で最も疲弊している地域、全く余裕がないような地域に一番集中して打撃があらわれてくる。余裕のある、あるいはぜい肉というのでしょうか、そういうのを切るというようなことには全くなっていかない、とんでもない結果になるのじゃないかというふうに考えます。この点についてはどうかということと、自治省としてはこういう一律カットは反対だという基本的な考え方を示されたわけですが、その反対という立場を貫徹するために私としては積極的に動いていただかなければならぬと思うのですが、現在どういうふうにされておるのかということも、もうちょっと伺っておきたいと思うのです。
○横田説明員 財政負担は、確かに産炭地域を抱えております筑豊を中心とする福岡県に、かなりよそに比べて大きな影響を与えるのではないかと思っております。 ただ、私どもが反対しているのは、単純に財政負担に対する影響だけではございませんで、やはり補助金の整理というのは地方の自主性、自律性という観点から十分配慮されなければならない。補助率を一定の率だけカットして、国から地方に負担を転嫁するというのではそういう精神に反するのではないか、このように考えておるわけでございます。 したがいまして、どのように動いているかということでございますが、これにつきましては関係省庁との間で十分協議してまいりたいと考えております。
○小沢(和)委員 では、自治省の方はそれで私の質問は終わりです。 次に、大臣にお尋ねをしたいと思うのですが、今も申しましたように、今回の一律カットで最大のものは生活保護費、それからあと費目をずっと見てみるというと、保育所あるいは老人ホームとか、厚生省が所管している社会保障や福祉などの最も中心的な施策に大なたを入れて、これを後退させるということになるわけであります。 行革審がどういう意見を出そうと、こういう分野を所管する厚生省としては断固反対をするのが当然ではないかと私は思うのですが、厚生省は余りそういうような態度を示されることなくこの方針に従って今動きつつあるというふうに見えるのですけれども、その点厚生省としてはいかがお考えなのでしょうか。
○増岡国務大臣 ただいま先生と自治省の人とのお話を承っておりますと、お金をどっちが負担するか、国か地方かということでありますならば、自治省がそういうことのないようにと願うことは当然のことだと思います。 しかし、地方自治体だけでこれを持っておるわけではございませんで、国全体ということを考えますと、各省の意見がいろいろ議論されて後、その集約として結論が出るものだというふうに思っておるわけでございまして、そういうことから今回の一割カットの問題が出てくるわけでありますけれども、厚生省としましては、いわゆる福祉行政の施策というものをカットするわけではござませんで、補助率をカットするわけでありますから、したがって、県や市町村におかれて必要なことは必ず私はおやりになるという確信を持っておるわけでございます。そして、その一割のカットの分につきましては、これから地方財政計画の作成の過程でいろいろ議論をして、地方自治体に御迷惑のかからないようにするということについては私ども厚生省といたしましてはやぶさかでない、むしろ積極的にやらなければならぬというふうに思っております。
○小沢(和)委員 今、施策をカットしようというのではなくて補助金の一割をカットしようというだけだ、こういうお話でありますけれども、実際に補助金の一割カットをされたら、自治体の方はそれを埋めて今までと同じような仕事をしていかなければならないという立場に立たされるわけですけれども、さっきも申し上げたように、生活保護などで一番打撃を受けるこの筑豊などが、そういうほかのところにメスを入れてお金を集めて、今までと同じように施策を簡単にやれるというふうに大臣はお考えですか。 実際に、私はさっき言いましたようにその筑豊などが地元ですから、そういう知事や市町村長などにも会う機会あるわけですけれども、みんな来年度の予算をどうして組んでいいかさっぱり自分たちとして手がつかぬというふうに言っているんですよ。これが私は本当の地元の責任者の切実な声じゃないかと思うのですが、どうですか。
○増岡国務大臣 先ほども申し上げたように、地方自治体に若干の補助金カットとなる、そのことについては埋め合わせをしようということでございます。したがって、その埋め合わせの仕方が十分であるかどうかということはこれからの地方財政計画で策定される問題でありまして、それを理由に、私は県なり市町村なりがその施策を緩められるということはあり得ないことだと私は思っております。
○小沢(和)委員 今、大臣は、地方財政計画の中でそれがカバーをされていくだろうというふうに言われました。これはいろいろな手段はあるとは思いますけれども、大体において地方交付税の配分面でカバーをしていくということになるのだと思うのです。しかし、その地方交付税で本当にカバーをし切れるのかどうかという点ですね。これは自治省の話だと言われるかもしれぬけれども、そんなことはないと思うのです。そこまで考えて厚生省としては手を打たなければならないと思うのですね。 私もかつて県会議員などをしておりましたから、乏しい知識ですけれども、若干は地方財政のことはわかるのですが、生活保護費というのは、これは確かに基準財政需要額の中で地方行政に要する経費の一つになっております。だから、補助率が下がればある程度交付税額が上がるという仕組みになっている、これはもう事実だと思うのです。しかし、この地方交付税の総額がどうして決まるかといったら、御存じのとおり、いわゆる国税三税の三二%という枠があるわけですね。しかも、最近の実態はどうかといって見てみましたら、ここ二年ぐらいの間連続して減少して、この二年だけで八千百億円も地方交付税は減っているのですよ。こういうように総額として減って非常に窮屈になっている中で、この生活保護費などが集中的に減るようなところについてはある程度カバーをするというようになるというと、結局全国のほかの自治体が少しずつみんな負担をし合ってというような形でこれがカバーをされていく。だから、自治体財政全体で見れば、今度のこの二千四百億円ですか、これが結局切り込まれて、それだけ地方の財源が窮屈になる、こういう格好にやはりなってくるのじゃないですかね。
○増岡国務大臣 端的に申し上げますと、面倒を見ると言ったって後で面倒は見ないのじゃないか、そういう不信感というものが今のような御意見になって出てくるのだと思うのです。それだからこそ、私どもは、地方六団体等とも真剣に話し合いをしなければならぬ。そうして、そこで知恵を絞ってやらなければならぬということを申し上げておるわけです。初めから、政府はああ言うけれどもあれはうそだろうというようなことでは、国民の福祉を守る重大な責任を忘れておるのである、そういう意味じゃないと思います。地方財政だって大変苦しいんだと思いますから、国の財政はもっと苦しいかもしれませんけれども、やはり福祉の後退は許されないとすれば、そういう話し合いの機会を早急に持つべきだ、私はそう思います。
○小沢(和)委員 大臣は非常に楽観的にお考えになっていらっしゃるかもしれないけれども、実際に今の仕組みを私、ちょっと申してみましたけれども、この地方財政計画の中でカバーすると言っても、それは自治体財源全体としてはそれだけ切り込まれてしまうということは否定できないのじゃないですか。それを、特に打撃を受けるところについては、ある程度カバーできるという面があるということでそんなふうに楽観的に見るということは、私はできないんじゃないかと思うのですよ。特にさっきから言っているように、ある程度まではカバーできても、福岡や北九州のように非常に金額の大きいところというのは、やはりカバーし切れないからどこかで削らなければいけないという問題が出てくると思うのですよね。こういう財政的に非常に逼迫をしているような自治体は、果たしてどこかそんな切り込むようなゆとりがあるというふうにお考えになりますか。
○増岡国務大臣 地方行政はそれぞれその地域の特性を持っておりますから、その特性に従って首長がどういうふうに判断をされるか、そういう範疇に属する問題ではないかと思います。
○小沢(和)委員 だから、私は、それは首長やらがどう判断をするかという問題だと言われるけれども、判断してあれこれやりくりができるほどに生易しい状態じゃないんじゃないかということなんですよ。だから、私は、こういうようなことで削らなければならぬとなったら、どこら辺で削られるだろうかということで、関係者の意見やらもいろいろ聞いてみましたけれども、結局のところ、削れるといえば、例えば生活保護者とかあるいは失対事業などで働いている人たちなどに対して、わずかですけれども市町村が盆暮れなどに独自の手当を出したりしています。これも三千円とか五千円とかその程度のものですよ。こういうようなものを、結局生活保護が予算として圧縮されるなら、あなた方に出ていたこの部分はもう出せませんよ、こういうようなことで早速そんなふうに生活保護者などにもうはね返ってこざるを得ないんじゃないですか。 あるいはまた、保育所の一割カットということになりますというと、今どこの自治体も大抵のところは、どんなに苦しくても、保育所の保育料を若干にしろ国の徴収基準よりも軽減するような措置をとったりしている。これもやめますということになっていって、結局のところ、あなた方が、こういう一番困っている生活保護者とかあるいは保育所関係などでしわ寄せを起こさないようにしたいというそばから、そういう形でこれはしわ寄せになっていかざるを得ないというふうに私は見通しを持つんですけれども、大臣、いかがですか。
○小島説明員 先生御指摘のように、保育所等につきまして徴収基準を市町村独自の御判断で軽減している措置がとられていることは承知しております。またその数も相当の数に上っております。しかし、国が定めております徴収基準と申しますのは、保護者の負担が過重とならないような配意をしながら適正に定めておりますので、これが福祉の措置として、市町村のある程度の軽減措置が当然必要なものだとは考えておりません。これはやはり独自の御判断でおやりになっていることでございますので、強いていろいろな御批判は差し控えたいと思いますけれども、国の基準そのとおりであっても、非常に過重な負担となるという事態はないものと考えてております。
○小沢(和)委員 国の基準が過重だからこそ、全国で、今私が言っているようないよいよ疲弊し切った自治体まで含めて、大抵のところが何らかの軽減措置をとらざるを得ない。だから、これはこのこと自体が高いことの証明みたいなものだと私は思うのですよ。 私が質問したのは、何も保育所だけではないんですよ。大臣、もう一遍、私は特に、生活保護やらがこういう盆暮れ、一番どこの世帯でもこの時期はいろいろ出費がかさむ、こういうようなときに、市やら町がお気の毒だからということでわずか出している、こんなようなものに結局切り込む以外にないような状況になるのじゃないか。そういうような人たちにはしわ寄せはいかないとおっしゃるけれども、私はそうなりはせぬかと思うのですが、どうですか。
○正木説明員 大臣からるる御説明がございましたように、今回の補助率の変更というものにつきましては、これは、生活保護を初めといたしまして社会保障の水準を落とさない、一方におきまして、厚生行政というのは地方との協力関係によって成り立っておるわけでございますから、地方に対する財源措置というものを十分考えるということでなければ実現できないものでございます。 ところで、先ほど来の説明にもございましたように、地方団体に対しましては補助裏と申しますか、そういったものについての基準財政需要額の措置がございますし、また先生の御質問にございますように、いろいろ地方において事業が行われておりますが、地方団体におきまして標準的な行政が可能なような財源措置というものをとっておるわけでございます。そういった中で、福祉の問題をどうとらえるかというのは、それぞれの自治体の判断において行われるというのが今日までの姿でございますし、今後も基本的にその考え方には変わりはないというふうに私ども理解をしております。
○小沢(和)委員 いや、だから、くどいようですけれども、それじゃ、そういう措置をとったら完全にカバーをし切れるとあなた方はここで保証するという意味なんですか。
○正木説明員 今回の補助率の変更に伴いまして、生活保護を例にとりますれば、先生がしばしば言われますように、国が八割、自治体が二割持っておりますのが、一割カットによりまして、国が七二%、地方団体が二八%ということになるわけでございます。その面につきまして地方団体の負担がふえる。それにつきましては当然地方団体に対する財政措置というものが行われなければならない。 それから、先生のお話にございますように、地方交付税というものは国税三税の三二%ということでございますが、そういった点を踏まえながら、地方財政計画をどう組むのかというのが年末予算の最終の一番大きな問題でございます。そしてその段階におきまして、厚生行政につきましても、地方団体の執行というものに支障のないようにということについての配慮を私どもとしても十分要求をし、見守っていかなければならないというふうに思っておるわけでございます。
○小沢(和)委員 私は、あなたが幾らそう言って説明をしていただいても、何しろ地方自治体全体として財源が二千四百億ですか切り込まれるということになるわけですから、完全にカバーできるということで納得しろという方が私は無理だと思うのですよ。 それで、話を先に進めたいと思うのですが、今、私は、まずしわ寄せがくる一つの事例として、生活保護者などの盆暮れのお見舞いといったような単独事業などからしわ寄せがきはせぬかというふうに言いましたけれども、もっと苦しくなってくれば、私はやはり生活保護そのものを何とか圧縮したい、切っていきたいということになっていかざるを得ないのじゃないかと思うのです。私はそのことを、北九州の保護行政というのを見て感ずるわけです。 御存じのように、全国的にはここ数年保護世帯数というのは一、二%ずつですけれども伸びていっております。ところが北九州市ではどうか。北九州市は、さっきも申しましたように、十大都市と言われる大都市の中では飛び抜けて生活保護率が高い、保護者が多いところですけれども、ここではここ二年間をとるというと、毎年五%ぐらいずつ保護世帯数が減ってきているのですね。私は、これは今も申し上げたような、北九州市で生活保護者を何とか減らしていきたい、切っていきたいという行政のやり方のあらわれではないかと思うのですが、政府としては、北九州だけが全国的には微増、ややだけれども、ずっと大体ふえるという状況の中で、ここだけどうしてこんなにかなりの勢いで減るという状況になったとお考えでしょうか。
○正木説明員 先生お話しのように、生活保護の保護率は、全国平均で申しますと一・二二%程度でございます。ところが、おっしゃいますように北九州地区についてはかなり高い、これが現実でございます。それはやはり旧産炭地域の影響あるいは高齢化の現象、いろいろな要因があると思います。しかし、先生のお尋ねは、北九州市がここ数年だんだん保護率が減少してきておるではないか、そこに何らかの締めつけとか、言葉は悪いですけれども、そういったことがあるのじゃないかという御心配だと思います。 これにつきましては、やはり生活保護というのは公的扶助でございますから、できるだけ本人の能力、資産等を活用して、いわゆる補足性の原則を全うした上で行う、この原則については御理解いただけるわけでございますが、この北九州市につきましても、暴力団関係者であるとかあるいは不祥事といったようなものが現実にあったことも事実でございます。公的扶助の性格上、その辺はきちっとしなければならぬ。これは非常に例は少ないわけでございますが、そういった面での適正化の努力、さらには、先ほど申しましたように補足性の原則と申しますか、本人の自立助長ということが大事なことでございますので、就労の援助であるとか他法、他施策の活用とか、こういったことを福祉事務所の職員が本当に親身になって努力をしてきた、こういったこともこの保護率の減少につながってきておるのではないか。 繰り返すようでございますが、公的扶助というのは生存権保障の最後のよりどころでございます。私ども、これについて漏れがあってはならないし、また一方におきまして不適正な事例があるということ、これも避けなければならないということで努力をしておるわけでございます。 しかし、現実問題といたしまして、北九州市の保護率は、福岡県等北九州地区の保護率というものは、全国的に比較してかなり高い現状にあることは事実でございます。
○小沢(和)委員 福岡県、北九州市が非常に高いというのは事実です。私、さっきから認めております。私は、それの決定的な原因というのは、やはり炭鉱合理化以来の、非常に生活に困っておられる方々があの地域にたくさんおられるということの反映だと思うのです。あなたが今暴力団関係などの事例があったというふうにお話しされましたが、私どもは、生活保護の制度を悪用したりして、そういう不正に受給したりするようなことはもう絶対許してはならないと思います。あなたも認められたとおり、そのために、憲法二十五条に基づいて、生活に困窮している人に対してはその困窮の度に応じて政府として援助をしていく、こういう手を差し伸べないなどということになってもまたいかぬと思うのですよ。 私、その点で、しばしば地元の人たちからいろいろなトラブルの相談などを持ちかけられる中で非常に特徴的じゃないかと思うのは、非常に生活に困って、例えば病気やらで働けなくなったりして、それで保護を申請したいということで行ったけれども、そもそも用紙をくれない。まあ頑張んなさいよというようなことで追い返されて、どうにもなりませんというようなことで泣きついてこられたというような事例がしばしばあるんですよ。もう用紙さえよこさない、こういう非常識な態度は許されないのじゃないかと思うのですけれども、この点、厚生省としてはどういう御指導ですか。
○正木説明員 先生おっしゃいますように、生活保護は御本人の保護請求権というものがあるわけでございます。御本人が申請されるわけでございますが、先生おっしゃいますのは、福祉事務所の窓口で、本人が行ったけれども生活保護の申請を受け付けないじゃないか、そういう事例についてどう考えるのだということだと思います。 結論的に申しますと、御本人の申請というものは十分尊重しなければならないと思います。しかし、生活保護につきましていろいろなケースがあるわけで、まず、本人が相談に来られるという場合に生活保護の基準に照らして保護にかからない場合もあるわけでございます。あなたの収入はどうなっておるのですか、生活保護の基準はこうですということだと、これは生活保護にはかからないという場合もございます。あるいはまた資産等があってこれもかからないという場合がある、あるいは世帯更生資金とか他法、他施策というものを活用すれば生活保護にならないでも救えるというケースもあるわけでございます。そういった点をきめ細かく福祉事務所の方で指導するということはやっております。またやらなければならないことだと思います。しかし、保護の必要とされる者につきまして申請を受理しないということは生活保護の性格上あってはならない、これは基本にあると思います。
○小沢(和)委員 現に、私どもが話を聞いて、それは行き過ぎじゃないかということで是正させた事例も幾つもあるんですから、その点はひとつあなた方の方も、そういう行き過ぎがないように指導していただきたいと思うのです。 もう一言、北九州の事例で申し上げたいのは、そうやって入り口をできるだけ締めようとかかっているだけでなく、廃止を進めていくという点でも相当に強引な点がいろいろあるということなんです。私、今度質問をしようと思って何人かの北九州市のケースワーカーの方に実態も聞いてみたんですけれども、この人たち自身が言うんです。よそでは、本当にお気の毒な人たちを助けて自立させたいということで、一生懸命いろいろ生きがいに燃えてケースワーカーというのはやっているようですけれども、自分たちの仕事はどうも保護の打ち切り係みたいなものです、こういうふうな切り出しで、その人たちが話をしてくれたわけです。 具体的にはどんなことかと言えば、例えば病気の人たちについては、少しでもよくなれば医者に診断書を書かせて、軽作業ができるという診断が出ると、仕事があろうとなかろうと就労しろ就労しろということで、初めは口頭で、そして文書で言って、結局仕事がなくても、もうあなたは仕事ができるんだから頑張んなさいというようなことで、何カ月かのうちに切ってしまうとか、あるいは母子家庭などの場合にも、例えば母親が子供さんを預けて働きに出られるようになる、そこまで援助するのはいいんですよ。ところが、今どきそういう途中から勤めるような母親の収入なんといったら、六万とか八万とかいうぐらいのものが多いでしょう。それに若干の子供さんの手当がついたって、どう計算してみても保護基準にもならない程度の収入であるのに、これも、そうやって働き出したらもういいじゃないかと言って切ってしまうとか、こういうような事例というのがいっぱいあるというわけです。 私たちとしては、こういうようなやり方の中でさっき言いましたように保護世帯がずっと減ってきているとすれば、これは厚生省としても単純に喜んではいられないような中身じゃないかと思うのですね。保護行政というのは本当に困っている人たちに対して温かい、血の通ったものでなければならないと思うのですよ。 大臣、こういうような行き過ぎが、今回の一律カットによってあっちこっちで引き起こされる危険がありはせぬかという警告の意味も含めて、私は北九州の事例を申し上げているわけですけれども、こういうようなことはあってはならないことじゃないでしょうか。どうですか。
○正木説明員 今いろいろ先生から事例のお話があったわけでございますが、繰り返すようでございますが、公的扶助というものは適正に、しかも漏れなく行われなければならないという原則がございます。 ところで、御病気といった場合にいろいろな指導があるということでございますが、先生も御案内のように、生活保護法の二十七条に「保護の実施機関は、被保護者に対して、生活の維持、向上その他保護の目的達成に必要な指導又は指示をすることができる。」という規定がございます。やはり本人の自立助長というものが基本原則であるわけでございます。御病人の場合に、主治医さんの意見をいろいろお聞きしながら本人が就労可能ということであればできるだけ働いていただいて、できるだけ早く保護から脱却していただく、これが本人の幸せにつながるということで指導を行う、これは事実でございます。 しかし、そういった自立助長ということはもちろんやっていかなければなりませんし、保護の適正実施というものももちろんやっていかなければならないわけでございますが、いやしくも先生おっしゃいますような、今回のこういう補助の見直しによっていわゆる締めつけというようなことが行われることがあってはならないということは、私どもは重々承知をいたしておるわけでございます。
○増岡国務大臣 財政が豊かであろうと苦しゅうございましょうと、ある意図のもとに政策を変更するということはあってはならないことだというふうに私は思います。 また、先ほど年末のもち代のお話が出ましたけれども、これはやはり、その地域の市長なり町長なりそういう方々の政策判断でどっちにするかという問題ではないかというふうに考えます。
○小沢(和)委員 時間が来ましたから、では終わります。
○有馬委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後五時十一分散会 ————◇————— 〔本号(その一)参照〕 ————————————— 派遣委員の北海道における意見聴取に関する記録 一、期日 昭和五十九年十一月十三日(火) 二、場所 北海道厚生年金会館瑞雪の間 三、意見を聴取した問題 国民年金法等改正問題について 四、出席者 (1) 派遣委員 座長 有馬 元治君 稲垣 実男君 丹羽 雄哉君 西山敬次郎君 池端 清一君 森井 忠良君 大橋 敏雄君 塩田 晋君 浦井 洋君 (2) 政府側出席者 厚生大臣官房審 議官 古賀 章介君 厚生大臣官房総 務課長 古川貞二郎君 厚生省社会局更 生課長 池堂 政満君 (3) 意見陳述者 財団法人北海道 国民年金福祉協 会理事長 長友 波男君 北海道高齢者退 職者の会連合会 事務局長 長野 誠市君 北海道厚生年金 受給者協会連合 会常務理事 野呂 正義君 北海道大学教授 真野 脩君 社会福祉法人北 海道社会福祉協 議会身体障害者 福祉施設協議会 会長 池永 義啓君 北海道電力労働 組合書記長 谷口 忠義君 ————◇————— 午前十時開議
○有馬座長 これより会議を開きます。 私は、衆議院社会労働委員長の有馬元治でございます。 私がこの会議の座長を務めますので、よろしくお願い申し上げます。 この際、私から派遣委員を代表いたしまして、ごあいさつを申し上げます。 皆様御承知のとおり、本委員会におきましては、国民年金法等一部改正案の審査を託されております。 このたび、当委員会といたしましては、国民年金法等改正問題について、国民各界各層の方々から御意見を聴取するため、鹿児島市と御当地におきましてこの会議を催し、各界の代表の方々から忌憚のない御意見をお伺いしようとするものであります。 御意見をお述べいただく方々には、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。 まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。 会議の議事は、すべて衆議院における委員会運営についての議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言をなさる方々は、座長の許可を得て発言していただきたいと存じます。 なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく方々は、委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきをいただきたいと存じます。 次に、会議の順序につきまして申し上げます。 最初に、意見陳述者の皆さんから御意見をそれぞれ十五分程度順次お述べいただきました後、委員より質疑を行うことになっておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、派遣委員を紹介いたします。 自由民主党・新自由国民連合の稲垣実男君、丹羽雄哉君、西山敬次郎君、日本社会党・護憲共同の池端清一君、森井忠良君、公明党・国民会議の大橋敏雄君、民社党・国民連合の塩田晋君、日本共産党・革新共同の浦井洋君並びに私の九名であります。 次に、各界を代表して御意見を述べていただく方々を御紹介いたします。 社会福祉法人北海道社会福祉協議会身体障害者福祉施設協議会会長池永義啓君、北海道高齢者退職者の会連合会事務局長長野誠市君、財団法人北海道国民年金福祉協会理事長長友浪男君、北海道大学教授真野脩君、北海道厚生年金受給者協会連合会常務理事野呂正義君、北海道電力労働組合書記長谷口忠義君、以上の方々であります。 それでは、長友浪男君から御意見をお述べいただきます。
○長友浪男君 ただいま御指名をいただきました長友でございます。 私は、御紹介がございましたように、北海道国民年金福祉協会の理事長あるいはそのほか北海道社会福祉協議会の役員等をいたしておりますが、実は今からちょうど二年前まで、きょう会場にしていただいておりますこの厚生年金会館の館長を十一年間務めさせていただきました。したがいまして、本日は私の古巣にお呼びいただいたような気持ちでございまして、大変うれしく存じております。心からお礼を申し上げます。 それでは、これから私の意見を述べさせていただきます。 我が国の人口構造は急速に高齢化しつつあり、やがて参ります二十一世紀の初めにおきましては、その高齢化がピークに達するものと予想されております。 その二十一世紀におきましても、公的年金制度が、増大する高齢者の老後保障、そして障害者のための保障として、この制度の安定した運営が確保されますよう、今日、今こそ、真剣に考えるべきときであると私は思っております。 我が国におきましても国民皆年金体制ができてはおりますが、今日まで各集団ごとにその制度が整備されてきたといういきさつによりまして、今や三つの種類七つの制度、いわゆる三種七制度と言われておりますように、まさに分立の状態になっております。これらの各制度にはそれぞれの沿革があり、給付や負担につきましてもそれぞれ独自の設計を持っております。そのため、現在各制度の間の格差が生じ、さらに産業、就業構造等の変化によって起こる制度基盤の不安定化、さらにはまた重複給付や過剰給付などの問題点も指摘されております。特に現行の公的年金制度が職域を中心とした制度でもありますので、産業・就業構造の変化により給付を支える被保険者の数が減少するような制度にありましては、今日速やかに何らかの措置を講ずる必要があるものと私は考えております。 私は、公的年金制度が、今日におきましても、さらに二十一世紀の本格的高齢化社会におきましても、国民の老後保障、障害者のための保障として、その役割を十二分に果たしてもらいたいと念願いたしております。そのためには、今日ただいま、速やかに、この公的年金制度が将来に向かって健全かつ安定的に運営できるよう、そのための必要な措置が講ぜられるべきであると思います。 今般、現行の公的年金制度の将来における一元化を目標とし、今日公的年金制度の大部分を占めております国民年金、厚生年金保険等の改正を内容とした法案が国会に提出されていると承知いたしております。 今回の改正案の内容は、第一に、国民年金制度の適用範囲を拡大し、第二に、船員保険の職務外年金部門を厚生年金保険に統合し、第三に、将来を見通して給付と負担の適正化を図り、第四に、婦人の年金権を確立する。さらに第五として、障害年金が大幅に改善され、現在障害福祉年金を受けておられます生まれながらの障害者の方々などの年金額が、約二倍になるという内容であると私は理解いたしております。 なお、以上に加えまして、この五十九年度におきまして、特例として厚生年金保険、船員保険及び拠出制国民年金の年金額の改定、さらには福祉年金及び特別児童扶養手当等の額の引き上げを図ることが示されております。 私のこれまでの経験から申しまして、法律条文の読み方などについてはまことに不得意でございますけれども、この法改正が行われることによりまして、年金のいわゆるスライドの仕組みがこの機会に見直され、しかも、現行の法律では附則扱いになっておりますものが本則になるという改正によりまして、保障の確実性が一層増大するものと素人なりに解釈いたしております。 さらにまた、保険料につきましても、従来からの社会保険方式が踏襲されますことは、過去に拠出した者がそれだけ多い給付を受けるという考え方であり、また一面、事務処理の一貫性という点からも妥当なことであると思っております。 ここで、多少私事にわたることで恐縮でございますが、私は国民年金に関する福祉施設の運営に関係いたしておりますが、国民年金関係の一人として実は大変心配になったことがございます。それは、今回の改正で、現在、年金を受給している人たちに対しても何らかの改変があるのではないかということでございます。しかし、これは現在受給中の者については今までどおりであるということで大変安心いたしております。 また、私は冒頭ごあいさつにも申し上げましたが、社会福祉事業につきましても幾つかの団体に関係をいたしております。その立場から申し上げまして、今回の改正案の中に障害年金の大幅な改善ということが含まれておりますが、これは、不幸にして障害を持たれておる方々はもちろんと思いますが、私のようにいわば事務的に関係いたしております者にとりましても、まことにうれしいことでございまして、その実現を強く希望する次第でございます。 また、私には孫が四人おります。この孫たちが将来年金を負担する時代におきまして、安んじてよき被保険者となるよう希望いたしますがゆえに、この法案の成立に大きな関心を持っております。 ただ、ここで国民年金の関係者の一人として要望を申し上げたいのでございますが、将来、自営業者につきましてもいわゆる所得比例制の保険料、所得比例の年金となるような仕組みの導入ができないか、関係の方面で今後御検討をお願いしたい、かように思っております。 私は、この改正法案の提出は極めて時宜を得たものと考えております。また提案の時期、すなわちタイミングも、適切というよりもむしろいささか遅かったのではないかというふうにさえ思っております。内容といたします項目の大部分が来る六十一年四月一日施行となっておりますが、年金関係の作業量が膨大であり、また技術的にも大変なものだと聞いております。したがいまして、なるべく早く成立させていただきたいと思っております。 申し上げるまでもなく、年金事業は全国民の生活、生計に直結する極めて重要な事柄であり、かつ、この改正は受給者の待望するものでもございますので、諸先生の温かい御指導、さらには関係各方面の御尽力によりまして、一刻も早くこの法案が成立いたしますよう衷心よりお願い申し上げまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。
○有馬座長 ありがとうございました。 次に、長野誠市君にお願いいたします。
○長野誠市君 私は厚生年金を現在受給しておる受給者であります。また、私の所属しております団体は、厚生年金あるいは共済年金、国民年金、こういったそれぞれの方々の賛同をいただいて結成しておる団体でございます。きょう私がこの会に出るというふうに新聞で報道されましたら、たしか四日ぐらい前だったと思いますが、二十六人の方から電話を受けまして、全然面識もない方から、せっかく出られるのならこういうことをしゃべってもらいたい、こういうことを意見として述べてもらいたい、こういったようなことが随分出されました。しかし、十五分という限られた時間の中でそのことを全部お話しすることができるかどうか、自分も自信はないけれども、精いっぱい皆さん方の気持ちを代弁をしてみたい、こういうふうに申し上げたところであります。 最初に、厚生年金とそれから国民年金の二%スライドについて今日まだ審議未了になっております。政府が、二十一世紀の年金を目指すんだということで出された年金改革案と今年スライドをするというものとなぜ一緒にしなければならないのか。同じ二%のスライドが恩給あるいは共済についても既にされておる。厚生年金、国民年金だけが取り残されるというのはどうしても納得のできないところであります。勘ぐって考えれば、このスライドをしてもらいたければ改正案を通せというような駆け引きに用いられておるというようなことも報道されております。よもやそんなことはないとは思いますが、私は、現在の厚生年金あるいは国民年金の受給者の生活実態を全く無視した冷たい態度である、こういうふうに断定せざるを得ないということを申し上げたいわけであります。特に、二%というのは月にして見れば千円札の一枚か二枚なんだから、このことは我慢できるじゃないかというようなことを言われる方もおりますが、千円、二千円という金が年金生活者にとっては決してそう軽々しいものではないということも御承知おき願いたいと思うわけであります。税金の滞納については利息がつけられるということがあります。そうすれば、こうやって何カ月も放置された年金については利息をつけて払ってくれるのかという率直な声もあるところであります。ささいなことでありますが、こういったこともひとつ話をしておいてくれという意見等があったことを申し上げておきたいと思います。 次に、年金そのものの本来のことに入る前に、北海道の年金生活者の特性ということについて、特に寒冷地手当を加算をしていただきたいということについて要請を申し上げたいと思います。 きょうは札幌の市内は降っておりませんが、私の住んでおる小樽に近い山の手の方では五センチ以上の雪が積もりました。ここから四十キロ離れていない岩見沢ではもう三十センチ以上の雪だということが報ぜられております。この冬季間における北海道の生活というのは、たとえ一食を節約することができたとしても、燃料を節約することは凍死につながるということで、絶対欠かせないものであります。特に春先になって、雪が積もってどうにもならないという年寄り夫婦の雪のけ、屋根から雪をおろすことによって転げ落ちて死んだというようなことが毎年三件、四件と報道されるのであります。そういった苦労もある冬季間の生活であるわけであります。 特に、年金というのは一体性格は何なんだといって厚生省のいろいろな方々にお聞きをすると、老後保障の一環である。それじゃ税金をつけるのはおかしいのじゃないか、こう言いますと、大蔵省の方には再三税金をかけないように言っているんだ、こう言います。大蔵省に行くと、年金というのは給与の後払いなんだ、したがって税金を取るのは当然である、こういうふうに言われるわけであります。それぞれが縦割り行政ということではこういう答弁になろうかと思いますが、給与であるということで私どもは税金を納めているわけです。北海道あるいは東北等を含めた積雪寒冷地には、現職の公務員の方々には既に昭和二十四年に法律二百号で特に寒冷地加給ということが制定をされて、今日までこれがずっと持続されております。しかもこのことは、今日では民間の産業に従事する者にも加給するのは当たり前になっております。そうするならば、給与生活から引退をして年金生活に入った我々にも寒冷地加給、燃料手当という制度が設けられてしかるべきではないのか、こういう考えに立ちまして、既に九年間、国会あるいは厚生大臣に対する陳情を行っております。厚生省の方々からは、これは実情はわかるにしてもなかなか年金になじまないのだ、こういう答弁を随分聞きました。なじまないというのはなじむようにしていただけばいいのじゃないかというふうに思うわけであります。あるいは時の大臣によっては非常に前向きの答弁をしていただいたこともございます。厚生省の施策の中では、北海道の生活保護世帯の方々に対しては燃料手当というのは加給になっております。現職で働いておられる方は多かれ少なかれほとんどの方に燃料手当というものは加算をされておるということでございます。ぜひこのことについて御一考を願いたいということで御要請申し上げるところであります。 次に、年金法の改正の多くの点について、私は反対をする立場で意見を述べたいと存じます。 今回の法案では、いろいろな審議会が持たれて、その審議会がそれぞれ答申をしたということは既に新聞、テレビで十分承知をいたしております。しかし、この審議会の内容というのは、言ってみると、老後を支える重要な柱の一端ではあると言いながら、反面、相互扶助的な色彩の非常に濃いものになっておる。二十一世紀の年金というものは、高齢化社会になるのだから、現行の制度ではやっていけない、二五%引き下げなければならぬという根本的な考えに立っておるのではないか。 特にこのことについては、本当に現行の制度でやっていけないのかやっていけるのかということの論議が十分行われてないように見受けられます。週刊誌等を見れば、厚生年金は破産する、こういうタイトルで報道されていることもありますし、また、厚生年金は逆にふえ続けるであろう、現行の制度で十分運営はやっていけるのだ、こういう論文を出しておられる先生方もおられます。こういった両方の意見を見るときに、どちらが本当のことを言っているのだろうかということについては、私どもも確たる数字的な根拠は持ってはおりませんが、しかし、少なくとも現行制度を維持していくという前提の上に立って物事が進められてしかるべきではないのか、こう考えるところであります。 具体的に申し上げますれば、国民年金の四十年加入という問題については全く絵にかいたもちだ、こういう批判は随分受けます。いろいろなところで話をしてくれということで、私もこの現行の制度や改正のことについて述べました。例えば、女子の大学の研究家のグループのところへ行ってこの話をしましたら、今二十二、二十三になっておってまだ国民年金に入ってない、しかも親から仕送りを受けておる、それの中から六千円近い掛金を毎月払えというのは本当にできない相談だ、親にこの金をさらに出してくれということは言えない相談だ、そうすると、六十歳までの間には四十年は納められないということからいって満度の五万円というのは当たらない、おかしな法律ですねという一言で片づけられます。言ってみるとそうではないかと思います。 それから、厚生年金の現職の方は現在の七〇%云々ということで言っておりますが、この給与については、なるほどその月の給与についてはそうかもしれませんが、これは年収でもって考えておるのでしょうか。日本の社会においては、公務員の方はもちろんでありますが、民間でも、よほどの景気の悪い会社は別にして、年二回の賞与あるいは期末の手当は常識であります。さらに、北海道では燃料手当が加算をされておる。寒冷地手当が加算をされる。そうすると、年収を十二で割って、その一カ月分が生活費だということが当たり前ではないでしょうか。ところが、年金生活者になると、この申し上げた加給的なものはカットされて、年金の現職との対比というのはその月々の俸給でもって計算をされるというのは、総理府が発表しておる給与所得の平均のものとは随分違うのではないかという点について、私は疑念を持つところであります。 それから、非常におもしろいと言うと語弊がありますが、私がこれは大問題だと思うのは、物価スライドについては十六条の二項で、年金は五%上がったならば引き上げる、五%下がったならば引き下げます、こういう条項が盛られております。給与の後払い的なものについて、物価が下がったから下げるということは、公務員の今後の給与についてもそうするつもりなのでしょうか。あるいは先生方の歳費についてもそうするつもりなのでしょうか。あるいは軍人恩給についてもそうするつもりなのでしょうか。そうじゃないのですね。そんなことはどこにも出ていない。ただこの厚生年金、国民年金の二つについてこのことが言われておるということは、余りに弱者いじめじゃないでしょうか。しかも、一番積立金を持っておるのは厚生年金であります。それを統合することによって一体何をねらっておるのかというと、むしろ厚生年金の積立金を流用して国の支出を少なくするというところにねらいがあるのではないかというふうに考えられます。 さきの鈴木内閣のときに、厚生年金はこれほど苦しい、先が心配だと言いながら、千五百億円一般通常会計に持ち出しがされました。国会の中で、利子をつけるあるいはすぐ返すというようないろいろな論議がされた経過があったようでありますが、今日その金は一体どうなっておるのでしょうか。どうするのでしょうか。そんなむちゃくちゃなことはないと思います。 しかも、積立金については、先生方の審議もされないで、第二国家予算と言われておる財投に一方的に使われておる。この利子を本当に有効にもし使うとするならば、例えば企業年金並みの運用ということも考えられる。とすれば、私どもが言っておる寒冷地手当の加算の財源等はたやすく出るのではないかというふうなことすらも考えられます。 障害者の年金の額上げについては非常に賛成であります。あるいは基礎年金の構想についても賛成をするものでありますが、ただ、この構想と現実の金額では全く話にならないという不満が非常にあるということであります。二五%下げなければやっていけないということは何としても納得ができないというのが、多くの人の意見として私のところに寄せられておるということを申し上げたいと思います。 その他、個々のことについては、遺族年金をもっとよくしてくれとか、あるいは最低の年金生活者に対する底上げをしてくれ、例えば二%上げるというのは、高い人にも二%、安い人にも二%というのではなくて、福祉年金のように一律の金額の制度にはならぬだろうかというような意見等も寄せられております。 そういったようなことを含めて、現行制度を改善する中で、現行制度を維持して将来的にもやっていける方法はあるというふうに考える立場に立って、私は今回の改正案のことについての意見を申し上げる次第であります。 終わります。
○有馬座長 ありがとうございました。 次に、野呂正義君にお願いいたします。
○野呂正義君 私は、北海道厚生年金受給者協会連合会、そのほか札幌厚生年金受給者友の会、いわゆる厚生年金受給者の親睦と福祉の向上、さらに厚生年金保険制度の普及啓蒙の活動に努めているところでございます。 私は、年金改正法案の一日も早い成立を期待するという立場から、一言御意見を述べさせていただきたいと思います。 もう二、三年前になるでしょうか、年金制度の改革ということが世の中の関心を集めるようになりました。そんなときに聞こえてくるのが、国鉄の年金はもう破産だというし、国民年金とか厚生年金もいずれはつぶれてしまうらしいといったいわゆる年金崩壊論でした。私ども年金受給者とすれば、まことに聞き捨てにならない話であります。国がやっている制度だからつぶれるなどというばかなことはないはずだと思っていたのですが、年金財政がどういうふうになっているか、ほとんどその知識がないものですから、ついついそんな声に不安を感ずるようになってしまうのであります。 年金受給者として私たちは、年金制度に対していろいろな要求を持っております。もう少し年金額をふやしてほしいとか、年金には税金をかけないでほしいといった要求はさまざまです。しかしながら、一番大きな要求は、特に年金制度がいつまでも安定した形で続いてほしいということ、これが一番なわけでございます。日本はどんどん高齢化社会になってきますと年金制度が危なくなってしまうのではないか、こういう話を聞きます。長生きすることが悪いことでもあるように思われる、こういうことは嫌な気持ちがします。将来の生活への不安といったものが心の中にだんだんと広がってきます。 今度の年金改正法案の中身がだんだんと明らかにされていく中で、改正はこういった不安の解消を考えたものであるということがだんだんとわかってきたわけでございます。これからどんな高齢化社会がやってきてもびくともしないような年金制度にするための基礎を確立するという事業に今、昭和五十九年に着手するということ、これが今回の年金改正法案が目指しているものだと知り、私たちは非常に心強く感じている次第であります。 こうは申しましても、一つ心配であったことがあります。それは、年金改正によって私たち厚生年金受給者の年金が削られるのではないか、そういうことでございます。私たちの今もらっている年金は決して高いものではございません。これを削られたのでは大変だという我々の仲間はたくさんおりました。しかし、この点は、今回の改正案でも、今もらっている年金はそのまま今までどおりという考え方であることを知りまして、実は安心しているわけでございます。しかも、物価スライド制については四月から実施というように時期が早められ、また付加年金もスライドの対象になる、このことが法律の本則できちっと規定されることになるなど、充実の方向が示されたということは、まことに喜ばしいというふうに考えているわけでございます。これで、今の年金が実質価値として生涯保障されることになるという大きな安心感を持つことができるようになりました。 私たちも私たちなりに、年金制度の将来というものに思いをいたしております。自分たちが現実に毎回毎回年金を受け取り、そのありがたさ、重要さを肌で感じるにつけ、この制度を次の世代の人たちにも確実に残していってやるというのが自分たちの大きな使命であると感じております。 私ごとでまことに恐縮ですが、私にも二十六歳と二十二歳の二人の息子がおります。この息子が、おやじたちは今年金をもらっていいけれども、おれたちがおやじさんの年になったころには、どうせ年金の制度なんてつぶれてなくなってしまうのじゃないかなどということを、酒を飲みながら話をすることもあるわけでございますが、何をおまえたち言っているのだ、そんなばかなことを言うんじゃないよとしかりつけるわけでございます。本当にそんなばかなことがあってはならないと思います。年金制度がつぶれるなんということがあってはならないと思います。また、今の若い人たちに信頼されないような年金制度であっては絶対にならないと強く心に思うわけでございます。 私にも来年の春には孫ができる予定です。考えてみますと、私の息子たちの年金を支えるのが、これから生まれてくる孫の世代だということです。その孫たちが、こんな年金制度なんてとても支えられないと投げ出すようなことになっては大変です。私の息子が半分冗談で言った悪夢が正夢になってしまいます。今の制度をそのままにしておくと、孫たちの負担する厚生年金の保険料が今の四倍の四〇%近くになってしまいます。しかも、そうやって支えている年金受給者の方が自分たちよりも実質的な収入が多くなってしまう。こんなことでは確かに年金制度は成り立っていかないわけでございます。 私の息子たちも間違いなく年金を受け取ることができるように、また、来春生まれる予定の孫が年金の負担を投げ出すことのないように、かつまた、その孫が今の私くらいの年になったら確実に年金が手にできるような、そんな制度に今から仕組みを直していかなければならないと思うのであります。 この点、今回の改正案は、私の息子の世代に、孫の世代に信頼できる年金制度を引き継いでいくという考え、いわば我々先の世代として当たり前の責務を全うするという内容であり、手おくれにならないよう一日も早い実現が望まれる次第であります。 今の年金制度について、私たち厚生年金受給者団体として常々問題だと思っている点に、官民格差の話があります。同じ年金受給者として、官の方の給付の仕組みが民間より有利過ぎるとはおかしいというこの素朴な疑問、素朴な不満でありますが、しかし、これがために年金制度全体について少しおもしろくない、信頼できないといった感じになると思っているわけてございます。 この点について、先月、共済年金制度の検討会から報告書が出されて、共済年金も給付は厚生年金と同じルールにするという方向が示されたと聞いております。官民格差の是正ということはもう相当昔から言われていながら、なかなか手がつけられておりませんでした。それが、ここにきて本当に思い切った改革案が出されて、官民格差が解消されるという方向が示されたのは、今回の年金改正法案で新しく設けられる基礎年金の仕組みが、共済年金も全部巻き込む形で考えられたからではないかというふうに思うわけでございます。その意味でも、基礎年金というものを軸にして年金制度全体を一元化の方向に持っていく今回の年金改正法案は、極めて重要な意義を持っていると考えるわけでございます。 今申し上げました基礎年金の導入による年金制度の一元化といった、いわば二十一世紀の高齢化社会の到来を見据えたまことに壮大な構想の改革であると同時に、既得権、期待権の尊重など、極めて細かいところまで配慮の行き届いた改正法案をまとめられた関係者の方々に、心から敬意を表したいと思います。 今回の改正法案は、いろいろな制約条件の中で考え得るベストの案ということで、高く評価されていることも納得できるわけでございます。ここまでの仕事をされた関係者の方々に今私たちが望むことは、年金制度についての正しい知識の普及といったことに、今以上の努力を傾けていただきたいと思うわけでございます。それは、年金制度を割のいい貯金ぐらいに考えてとかく損得勘定で眺めたり、また、年金なんてどうせ当てにならないなどと全く無関心でいて、老後を迎えて慌てるというようなことのないよう、正しい年金の知識がないため、いろいろ悲劇、喜劇がまだまだ多くあるというふうに感じております。どうかこの点につきまして、より一層の御配慮をいただきたいと思うわけでございます。 いろいろ勝手なことを申し上げましたが、ともかく年金改革には一刻の猶予もならないと思います。昭和六十一年四月からの実施にはまだ時間があるようでございますが、六千万人の加入者、千五百万人の受給者のマンモス制度を切りかえるためには膨大な作業が必要になってくるわけでございます。つい十一日付の読売新聞にも出ておりました。大変な業務の量だと思います。もちろん、私たち年金受給者としては、本年度の特例物価スライドによる改善分を早く支給してもらいたいという気持ちは事実でございます。しかし、そういった目の前のことだけでなく、将来の年金制度を安定的なものにすることも私たちの大きな関心事でございます。この改正の実施が昭和六十一年四月に間に合わなければ大変なことになるという気がいたしております。年金改正法案全体の一日も早い成立を期待して、私の発言を終わらせていただきたいと思います。 どうもありがとうございました。
○有馬座長 ありがとうございました。 次に、真野脩君にお願いいたします。
○真野脩君 国民年金等の改正問題についての意見を述べさせていただきます。 今次の改正のねらいは、来るべき高齢化社会において安定した公的年金制度を維持していくための基盤を確保していくことにあるとされております。このために、具体的には、同一世代に属する人々相互間の公平性を確保することと、世代間の公平性、すなわち、年金の費用を負担する世代と給付を受け取る世代との間の均衡を図ることを目的としております。 このうち、第一の同一世代間の公平性は、基礎年金構想により大きく前進したと言えると思います。けだし、次に共済年金制度にもこの制度の適用が予想されているからであります。ちなみに、その徹底のためには、各議員互助年金への適用も今後検討せられるべきだと思います。しかし、いずれにいたしましても一歩前進であると評価できます。 ただし、若干の問題が残されております。すなわち、基礎年金であるからには、その給付額は単身者が最低生活を営むのに必要な額でなければ意味がなく、夫婦十万円に対して単身者五万円というのは少な過ぎると思われます。サラリーマンの妻が高齢になってから離婚して生活する場合を考えれば、容易に理解できると思われます。単身者の年金を高くすれば形式上の離婚がふえるという問題もありますが、これは別に対策を考えるべきで、形式上の離婚がふえるがゆえに単身者の年金額を少なくするというのでは話が逆でございます。また、配偶者があっても、配偶者が六十五歳以下であればやはり五万円しか支給されないのも問題であります。何らかの補足的年金による対策が必要と考えられます。 また、基礎年金としては、本来は保険料の負担能力のない人をも考慮して、税による負担、特に所得額の正確な把握の限界から一般間接税を用いることが望ましいと思われますが、税による負担が望ましく、特に保険料が、夫婦で現行一万二千四百四十円が将来二万六千円まで引き上げられることが予定されておりますので、今後この増加分は何らかの目的税を設けて賄うことが望ましいと思われます。ちなみに、昭和五十七年末の国民年金の保険料免除者は、年々の保険料引き上げのために二百八十四万人に達し、被保険者の一五%となっております。保険料が現在の倍となれば、この人数も急増するものと思われます。 さらに、厚生省の原案は、静態的社会における年金給付の維持を考え、物価指数の変化のみを考えているとの解釈も成り立ちます。動態的社会では世間一般の最低生活水準に対する概念は変化します。現在は生活保護世帯でも、白黒テレビや電気炊飯器等を持つのは普通だと聞いております。そうした事実は二、三十年前には考えられなかったことであります。三十年前の一般の生活水準での購買力を今維持していても、今では最低生活も維持できないと考えるべきでしょう。したがって、年金給付の実質価値を計算するためには、全勤労者の平均賃金水準と結びつけた、いわゆるポイント方式によって賃金スライド制を図るべきであります。もちろん厚生省は、平均標準報酬制をとり、それを再評価しているから、ポイント制をとっているのと同様であるという答弁をしていらっしゃいますが、しかし、役所の行っている再評価がポイント制をとった場合と同じ効果を保障しているとの信用は残念ながら確立しておりません。受給者本人が理解し納得している場合と、役所の担当者のみが納得している場合とでは、効果は全く異なります。早急にポイント方式の採用を検討すべきものと思われます。もちろん、そのためには事務量は巨大なものとなりましょうが、しかし、今からその準備を当然考慮に入れるべきだと考えられます。 今次の改正の第二のねらいである世代間の負担の公平性については、基礎的な問題は全く触れられずに残されたと言えましょう。すなわち、厚生省を初めとする各種の研究者の試算結果を見ますと、いずれの場合も世代によって受給、負担の比率に大きな差のあることが示されています。現在高齢の者ほどわずかの負担で大きな給付を受け、その結果、若い世代、将来生まれてくる世代は、自分が負担しただけの費用に相当する給付さえも受け取れないで終わる可能性が存在していることを示しております。この場合、負担は保険料のみではなく、支払われる基礎年金給付の三分の一は、現在は一般租税により負担されていることにも留意されるべきであります。もちろん、社会保障制度であります以上、理論的にはすべての人が拠出に等しい給付を受ける必要はない理屈であります。しかし、実際問題として、自分の払った分さえも受け取れない、あるいは払った分しか受け取れない、利子がつかないで受け取る、そういった可能性がある場合には、その世代の人々は任意貯蓄の方が有利なものになるのでございますから、必ずや拠出を拒否する動きが強くなり、公的年金制度の崩壊を来す強い危険性があります。 ところで、こうした理由による公的年金制度の崩壊という事態を避けるためには、将来計算の基礎となっている厚生省の将来人口推計の数字を大幅に修正する事態を発生せしめるというのが一つの案であります。もう一つの対策は、少なくとも報酬比例部分に対してはかなり大幅な保険料の短期間における引き上げを行う、大体平準保険料程度のものまでに引き上げるべきだと思われますが、それの必要性があると考えられます。 第一の対策といたしましては、自分が支払った費用を大幅に上回る給付を受け、しかも次の世代の人々に特別に負担を負わせないで済むためには、次の世代の人口が現世代の人口よりも多くなるという人口構成があって初めて可能であるという簡単な事実を想起すべきであります。そして、厚生省人口問題研究所将来人口推計によれば、四十年先には六十五歳以上の人口は全人口の二八%を占め、その結果、生産年齢人口のうちの労働化率、すなわち生産年齢人口の中で病人であるとか就学中であるとか育児などで働けない人々を除いた比率であります。 ちょっと一言申し上げておきますが、厚生省は四十年の勤務者ということを標準として考えていらっしゃるそうでございますが、我々大学の研究者は四十年は勤められません。というのは、大学院を卒業しなければ大学の先生になれませんから、大学院を全然浪人をせずに卒業いたしましても二十八歳でございますから、四十年は絶対に制度的に不可能だということを立場上一言申し上げておきます。 では、もとへ返りますが、生産年齢人口中実際に働ける人の比率が現在のままであるといたしますと、一・八人の勤労者で一人の老人を養うこととなります。しかも、老齢者の増加は、その世話をする人々の増加を要求し、直接生産業務に携われる人の割合を減少せしめるはずであります。したがいまして、一・八人で一人ではなくて、一・六人で一人ぐらいになるのではないかと予想せられます。今や我が国におきましても、欧州の幾つかの国に見られるような出生率の増加をもたらす対策が、年金面からもさらに一層真剣に考えられるべき時期に来ていると思われます。 次に、世代間の負担の公平性を図るためのもう一つの手段である保険料の増加は、当面人々に歓迎されるものではないと思われます。しかし、高度化した現代社会における勤労者、特に被用者が自力で行える老後の準備には、社会構造上大きな制約があります。現に、年功給の割合はどんどん低下し、子女の教育費は増加する一方、退職金は大幅に減少せざるを得ない事態となっております。したがいまして、まず基礎となる公的年金制度が安定していて初めてそれを補足するものとしての私的年金制度あるいは個人貯蓄などのあり方が考えられ、そして初めて老後の生活設計が図られる、こういう構造となっております。 この意味から、厚生年金制度の今次の改正は、多くの厚生年金基金や企業年金あるいは退職金や定年制度に、その制度のあり方を根本的に再検討することを要請することとなり、各種の団体あるいは会社の人事政策や中高年齢者の生涯計画に結果的には修正を迫ることとなっておりまして、これは大変迷惑なことであります。 現在、四十年勤めれば六十歳から夫婦で二十一万円の年金がもらえるということを前提にいたしまして、多くの方々は生涯設計を立てておるわけであります。公的年金制度の今後の安定した長期的維持のためには、今次の改正は不可欠なものと言えますが、しかし、こうした事態がやがて来るであろうことは、少なくとも少数の研究者の間では既に十数年前、私の記憶では二十年ぐらい前から予想していたこともまた事実なんであります。もちろん、いつの時代でも、支払った費用以上に多額の給付がもらえるということは歓迎され、受け取る給付に必要とする費用は本人が原則として負担しなければならないという指摘は嫌われます。 しかし、今、私たちは、私たちの子孫に、支払った費用よりも少ない給付しかもらえないという事態を押しつけようとしています。私たちが老齢となり、公的年金とそれを補足する職域年金や個人貯蓄に頼ってようやく生活を維持しているであろう三十年後、四十年後になって、基礎となる公的年金が若い世代の反対で減額されたり崩壊したりしてはもっと困ります。私たちは、今から彼らの納得の得られるであろう分の保険料は負担し、積み立てておくべきだと思われます。 国家の指導的立場にある人々は、こうした事実を素直に国民に知らせて、必要な負担は要求することにより、将来二度と今回のような大幅な制度の改正は行わず、今度こそ安心して将来の計画を立てる基盤を提供するべきだと思われます。 ところで、将来老齢者が増加するにつれて、支払われる給付が増加し、払い込まれた保険料は直ちに給付となり、積立金も崩されるということになりますと、国民経済的に投資に回せる広義の国民の貯蓄は著しく減少します。国民経済の成長率は基礎的には貯蓄率により影響されます。貯蓄が減少すれば、国民経済の成長率も鈍り、所得の増加率も低下し、年金のための拠出も重荷となります。年金給付はしょせん、賦課方式をとろうと積立方式によろうと、現在働いている人々が生み出したものの一部を消費する権利でしかありません。現役の人々の働いて生み出すものの増加率が低下すれば、年金生活者の生活は当然向上しがたくなります。貯蓄率が低下したときにも、できるだけ経済成長率を落とさないで済ませるためには、少ない貯蓄を効率的に、直ちに生産性が向上する面にのみ投資することができるという事態を設けることが必要となります。このために、まだ高い貯蓄率を維持できるここ十五年から二十年ほどの期間は、いわば日本民族に残された貴重な時期と言えます。この間に経済の基礎的基盤を整備し、来るべき貯蓄率低下の時期に備えるべきであると考えられます。このためには、年金基金の投資対象を再検討し、産業基盤の充実の方向に重点的に投資できる体制の整備を図るべきであると考えられます。年金基金の投資は、決して短期的収益のみを目的とするものではなく、二十年先、三十年先の国民経済の底力の向上に投資されるべきであると考えられます。 最後に、日本人の勤労観や退職に対する考え方の欧米との違いを考えておくべきだと思います。御存じのように、イスラム教、ユダヤ教、キリスト教というものはいずれも旧約聖書を基礎として成り立っております。そこにおいては、人間がなぜ働かなければならないかと申しますと、エデンの園から祖先が追放されたために働かなければならないことになっております。したがいまして、彼らにとりましては働くということはいわゆる苦汗労働であります。苦しく汗を出す労働であります。ところが、我々日本人は旧約聖書を信じてはおらないわけであります。したがいまして、我々日本人の多くは働くことのうちに人生の楽しみを見出しており、できれば死ぬまで働きたいという希望を持っておる人たちがたくさんいるわけであります。ちなみに、「いそしむ」という言葉は横文字にはないそうであります。「いそしむ」というのは、働きながら楽しむという日本人の持っております特異な概念であります。年金基金の活用にも、こうした老齢者の働く場所を生み出す方向への使用ないしはそのための研究が検討されてしかるべきだと考えられます。年金財政の維持のためにも、多くの人々が、六十五歳以上でも喜んで、自発的に受給権を返上して、働くという機会や方法をつくり出すことが最も大切であるということを最後に指摘しておきたいと思います。 どうもありがとうございました。
○有馬座長 ありがとうございました。 次に、池永義啓君にお願いいたします。
○池永義啓君 御紹介をいただきました道社協の身体障害者福祉施設協議会の会長という立場と、昨日社労委の皆さん方に御視察をいただきました美園更生園を含めまして、広島町の方にあと三つの施設、授産施設でございますけれども、それを運営いたしております北海道リハビリーの常務理事という立場もあわせまして、私どもの周辺で常々感じていること、あるいは年金の改正についての私の意見を申し述べさせていただきたいと思います。 年金法改正ということは、先ほど来の先生方のお話にもございましたように、一元化ということが一番大きな問題点だろうと思いますが、婦人の年金権の確保というふうなその他の大きな目玉があるように伺っております。 ただ、そういう中で、私どもが一番大きな関心を持っておりますし、また一番何とかしていただきたいというふうに思っております大きな柱は、障害基礎年金という形で障害者の人たちに所得保障が確立する、こういう点でございます。障害者の人たちや、あるいは我々のように障害者の人たちの福祉の問題にかかわっておる者といたしましては、欧米の福祉先進国あたりを見聞きいたしまして、成熟した年金制度や、あるいは働いている場合にも、障害による稼得能力の不足を労働省サイドでの所得保障という形で補てんをしている、補完をしている、こういうふうな成熟した社会保障のあり方を非常にうらやましいものだというふうに常々考えてきております。で、それらのことを何とかしていただきたいということで、厚生省の方々や、あるいはこれらのことに関心を持っていただいている国会の先生方のところへ陳情あるいは要望をいたしておりました中で、なかなかうまい工夫がないというふうなことがございました。それが、この年金法の一元化ということの中で、長年の私どもの懸案であり、また念願でありました障害基礎年金ができ上がるというふうな形で日の目を見るようになったことは、私どもにとりましては本当に夢のような気持ちがするわけでございます。私ども、まだまだ長くかかるだろうというふうに思っていたことがこのように早く実現しそうだということは、本当に喜ばしいと思っているわけでございます。これは社労委の先生方の御理解や御尽力、厚生省の担当される皆さん方の御苦労、それらのたまものだろうと思いまして、心からお礼を申し上げたいと思うわけでございます。とてもこういう先生方には足を向けて寝られないなというふうに仲間内で申しておりますけれども、先生方は全国各地に散らばっていらっしゃるものですから、どっちの方を向いて寝ればいいのだろうかというようなことを言い言いいたしておったわけでございます。 ただ、さきの国会におきまして、陳情に訪れまして先生方のお話を承っておりますと、ほとんど皆さん方の合意は得られている、したがってあなたたちは心配する必要はないよというふうに軽くおっしゃっていただけました。安心をいたしまして、私ども、身障法改正の方であれこれと考えなければならぬ問題がたくさんございまして、特に二十五条の製作品の購買の問題等に一生懸命になって走り歩いておりました。そのうちに、ちょいちょいと様子を聞いておりますと、どうも怪しいよ、健康保険法改正の方に時間を食ってしまって審議の時間がどうもなさそうだというふうな話を伺いまして、はらはらしながらあっちこっち駆けずり回っておりましたが、案の定時間切れで積み残しということになってしまいました。そう言いながら、身障法改正の中では、施設に入っている人たちの措置費の費用徴収というのはさっさと議決されて法律になっております。これはもちろん所得保障との絡みがあってということでございますから、そのまま六十一年四月に実施ということではないことは承知いたしておりますけれども、私じゃございませんけれども、我々仲間の口の悪い連中の中には、これはやらずぶったくりじゃないかというふうなことを言う者もおります。そんなようなことにならないように、今度の国会ではぜひとも実現方をお願い申し上げたいと思うわけでございます。 無拠出の障害福祉年金を現在受給している人たちは、たまたま二十歳以前に病気になったりあるいは傷害を受けた、そのために国民年金にもあるいは厚生年金にも入りたくても入れなかったというだけのことでございます。無拠出といいますと、金も掛けないで、保険料も払わないで、ただ恩恵的にいただくというふうに理解されがちでございますけれども、決してそうではない、たまたま掛けたくても掛けられなかったという人たちでございます。 昭和五十六年の国際障害者年を契機といたしまして、アメリカのCILの運動等にも刺激された面もあるかと思いますが、障害者自身の自立にかける意欲と願望、これは日増しに強くなってきております。極めて重度な人たちで、介護が常時必要だというふうな人たちも、自立したいという気持ちと願望は痛烈なものがございます。 たまたま私どもの施設の中を考えてみましても、訓練を修了いたしまして雇用関係に入っている人たちも百名を超えております。そういう人たちは、一般の健常者と肩を並べてではありません、その数倍の努力をして稼いでおります。なおかつハンディ分を考えますと、収入面では低い人たちも大勢いるわけでございます。その人たちが、極めてつましい生活ではありますけれども、社会保険料を負担し、厚生年金の負担拠出者になっておりまして、あるいは税金を払っている人たちも数多くいるわけでございます。また、現在入所訓練中の人たちもこれらの先輩を見習いまして、障害基礎年金による所得保障を一つのベースにして、そこに自分たちで稼いだ収入を合わせて早く保険料を払いたい——これは正直には言わないかもしれません、あるいは税金を払う立場に立ちたい、それが自分の自立であり、人間としての尊厳を維持できることだ、こういうふうに考えて、その日の来るのを夢見ている人たちがたくさんいるわけでございます。 先ほど来のお話にもありましたように、年金の一元化ということの中には、国民の皆さん方が支えるということの中で基礎年金の制度ができ上がるというふうに私ども理解いたしておりますけれども、これは一方的な恩恵ということには私は思いたくないわけでございます。これが呼び水になりまして、先ほど言いましたように、支える部分の仲間たちがこれからどんどんふえてくる、それにつながっていくのだというふうに御認識を願いたいと思うわけでございます。 次に、福祉年金の場合には、扶養義務者、我々出身世帯とか出身家族とかというふうに言っておりますけれども、この人たちの所得でもって制限を受けるということがございました。今度、基礎年金になりますと本人所得制限一本になると伺っております。これは極めて大きい意義があると私は理解しているわけでございます。先ほど二十二歳とか二十八歳とかという話がございましたけれども、通常一般の人であれば、二十過ぎて一人前になったというふうに理解されるわけでございます。それを、極端に言いますと三十歳、四十歳で親がかり、いまだに子供扱いというのはこれはいかがなものでございましょうか。いつまでたっても子供扱いだということにほかならないことではなかろうかと私は思いまして、極めてふんまんにたえないところでございます。現実に一人前になって働いている人たち、障害を克服してなおかつそういうふうに働いている人たちの姿を見ますほどに、余計にそのように感ずるわけでございます。 それから、受給者の子供一人について一万五千円、三人目からは若干減って五千円ということでございましょうけれども、私どもにとってはこれは極めて大きな恩典だというふうに思っております。障害の重い人たちほど、私どもの見ております範囲でも七十数組が結婚をして、周辺の住宅、あるいは自分で自宅を建てた人たちもおりますけれども、住んでおります。そういう人たちの中で、こんなに子供を欲しがるのかなというふうに私ども若干疑問にも感じたりすることがございますが、みんな子供をつくっていらっしゃる。これは何だろうかと思うのですけれども、自分の不自由であった体の見果てぬ夢を子供に託すということが根本にあるのではないかな、これは私の想像でございます。とにかく皆さん子供を持っておられる。ところがまた、その子供さんが健康で極めて親思いでございまして、親孝行をよくしているのを目にいたします。小さな子供が買い物その他をいたしております。それを見ておりますとよかったなと思うのですが、ただ、その子育てにつきましては、私どもとは違いまして人一倍の苦労があることも事実でございます。そういう意味におきまして、受給者に子供の加給というのは非常に大きな意義があるというふうに私どもは見ておるわけでございます。 なお、制度とは別に、これは福祉予算の方ですが、常時介護を要する重度の障害のある人たちに特別障害者手当二万円というのがございます。これは、先ほど言いましたように、極めて重度で職業的にもちょっと無理だなというような人たちでも、地域に住みたい、そういう場合にこの介護手当が、今盛んに言われております福祉を買う時代、サービスを買う時代、そこで初めて対等になるのだということの一助になろうかというふうに思うわけでございます。 最近の新聞をちょっと見たのですけれども、物価スライドの特例法案がどうやら先行してしまって、根本的な年金法の改正はどうも慎重審議ということでまたまた先送りになるのではないか。いや、これは新聞社の人がそういって書いていられるのを読んだだけなんです。そういうことになって、またまた弱い立場の障害者の人たちの問題が切り捨てになることを憂慮しているわけでございます。とにかく、一日千秋の思いではらはらしながら、きょうも傍聴に来ている車いすやその他の障害の人たちがいるわけでございますけれども、この人たちの気持ちをぜひ考えていただきたいと思うわけでございます。 国会の閉会中というような中でこのような公聴会を持っていただくということは、一日も早い法案の成立を何とか考えてやろうではないかというありがたい御配慮だというふうに私どもは受けとめておりまして、ありがたいことだと思っております。物価スライドもさることではございますが、先ほど来言いましたような基本的な年金法の改正がぜひとも六十一年の四月から実施できるように、先決審議をしていただくことを心から念願いたしまして、発言を終わりたいと思います。 どうもありがとうございました。
○有馬座長 ありがとうございました。 次に、谷口忠義君にお願いいたします。
○谷口忠義君 私は、厚生年金保険の加入者の立場から意見を申し述べたいと思います。特に、私は、老後生活を中心とします生涯生活の安定というライフサイクルの目標に対して年金制度がいかにあるべきかという、そういう勤労者の立場での意見を申し述べたいと思います。 我が国の公的年金制度が抱えております諸課題、諸問題というのは多くの方々から御指摘のあるとおりでございまして、私もその認識を同じくする立場でございます。そのような意味から、今回の改正に当たりましては、大きく言いますと、基礎年金の導入、あるいは船員保険、国民年金との一元化など、基本的には賛成をする立場でございます。むしろ、もう少し早い時期に手がけなければならなかったのではないかというくらいに思っているところでございます。 しかし、今回の改正に当たりましては、ともすれば財源対策が先行する余り、社会保障としての本来機能が損なわれるようなことがあってはならないと考えているわけでありまして、まず、この改正に当たっての前提条件といたしまして、老後の生活安定を保障する総合的福祉政策の確立の一環であるという考え方に基づきまして、公平で長期に安定した年金制度を確立するということの国民的な合意形成が必要ではないかというふうに思われます。 その意味から、まず私は、基本的な問題といたしまして、年金支給開始年齢と勤労者の定年年齢の関係について御意見を申し上げたいと思います。 年金制度は引退後の所得保障の中心となるものでありますから、支給開始年齢は一般男子におきましては現行の六十歳を維持すべきであると考えます。日本の企業における定年制度が、平均寿命の伸びなどから、高齢労働力の活用だとかあるいは高齢者の生きがい、働きがいというものを求める意味から定年延長の必要性というものが叫ばれてきたわけでありますが、しかし、私たち労働者の要求というのは、むしろ、そのことよりは、公的年金の支給開始時期との連続性というものを重視いたしまして、六十歳定年というものを求めてきた経過があるのではないかというふうに思います。その六十歳定年の現状はどうなっているかということでありますが、労働省の指導等もありまして、ようやく近年六十歳定年というのが実現されつつあるわけであります。しかし、必ずしも望ましい進捗状況とはなっていない現状でございます。 これは全国的にも同じ傾向だろうというふうには思いますけれども、特に本道の場合、私ども六月の道内企業の調査、これは千社余りの統計でございますけれども、五十五歳定年をとっている企業が四五・三%でございます。六十歳以上の定年制をしいているところは三二・四%という数字にとどまっております。しかも、この企業を規模別に分類してみますと、千人以上の従業員がいるところは六十歳定年というのは四六・六%でありますけれども、五百人から千人のいわゆる中規模的な企業におきましては二八・三%と非常に低い数字になっているわけであります。もちろん、その下の小企業に至りましてはもっと悪い数字であることは明白であります。したがいまして、私どもとしましては、この経過措置が講ぜられるということにはなっておりますけれども、基本的に、現在の勤労者の定年年齢が相当のスピードで進捗しない限りは、六十五歳支給開始年齢というものについては反対の立場をとらざるを得ないわけでございます。 女子の支給開始年齢の繰り延べについても同じ見解でございます。女子の労働者につきましては、定年制の問題やあるいは賃金を含めました労働諸条件の実態が非常に男子労働者との格差がございます。現在、男女雇用平等法などの設立が急がれているわけでございますが、労働環境の整備などこの法律に期待するところも多いわけでありまして、この法律の整備あるいはその他の企業における労働環境の整備が先決であろうというふうに思いまして、現状では女子の支給開始年齢繰り延べについては反対を表明しておきたいと思います。 続きまして、いわゆる官民格差の問題でございます。 今回の改正では、船員保険との統合あるいは国民年金との一元化など、一人一年金の確立に向けまして大幅な前進が図られる改定内容であるというふうに受けとめておりますが、しかし、共済年金の一元化につきましては、昭和七十年度目途というふうになっておりまして、やや不満でございます。 先ほども申し上げましたが、年金制度というのは社会保障制度の重要な柱であるというふうに思いますので、国民一人一人が職域や事業所の規模その他によって左右されることなく、公平、公正に適用されるべきものであると思います。特に共済年金の一元化の問題につきましては、長い歴史もありますし、もちろん労働諸条件との関係も無視するわけにはいかないわけでありますけれども、しかし、それを労働条件と同列の既得権として主張されることについては、私としては反対をするところでございます。早急に給付水準あるいは計算方法、支給開始年齢、スライドの方法、積立金の管理運用など制度間格差の是正について、一元化を進めていただくとともに、その考え方あるいは内容について一日も早く明確にされるよう要望いたしたいと思います。 続きまして、給付水準の問題であります。 今回の改正におきましては、給付水準の適正化という視点から逓減が行われることになるわけでありますが、私は、先ほども出ましたけれども、単身者の給付水準の引き上げを含めまして、六十歳時点における年金額についてはやはり現行水準を維持するべきであるというふうに思いますので、この数理計算等についてはぜひ再検討をお願いしたいというふうに思います。 続きまして、保険料に対してでございますが、これももちろんその背景となっている給付水準あるいは支給開始年齢と同じ財源的な意味合いが相当強いことは承知をしております。しかし、これが一二・四%に引き上げられるということになりますと、私どもの勤労者負担というのは非常に大きくなってくるわけでありまして、特に近年可処分所得が低下をする中で、我々勤労者としてはこの負担増には反対をせざるを得ないわけであります。したがいまして、特に厚生年金の場合の企業との負担割合の変更についてぜひ検討をお願いしたいというふうに思います。 あと、この法改正と直接的な関係にはならないかもしれませんけれども、公的年金を補完する意味で、今、企業年金や個人年金が非常に充実の方向で伸展をされているわけでございます。私は、こうした公的年金の財政的な問題から、今後はますます企業年金や個人年金の制度充実というのが広がっていくのではないかというふうに思いますが、これらに対する税制上の援助措置あるいはそれらを積極的に導入するための助成措置というものをぜひ御検討いただきたいというふうに思います。 例えば適格年金制度の積立金は損金扱いでございますけれども、しかし一%の特別法人税が毎年かけられているわけであります。これとて、先ほども言いました負担割合を企業側に多く求めるという反面的な対策といたしまして、こういった税制上の優遇措置を講じていただきたいものだというふうに考えますし、また、従業員の掛金につきましても、現在は生命保険料控除の対象となっておりますが、これを社会保険料控除の対象とするようなことを含めまして、その自助努力に対する援助措置、助成措置というものを検討していただけないかというふうに思います。 このほか、先ほども出ましたけれども、スライド制の問題について、五%の物価上昇がなければスライドしない。もちろんマイナス分は認めるわけにいかないわけでありますが、しかし、現実的には、私どもの生活水準なりあるいは賃金水準というものが高まっていく中で年金が据え置かれるということになりますと、実質給付水準が下がってくると同じ意味合いでありますから、ぜひこれあたりを検討していただきたいと思います。 あるいは、五人未満の事業所の適用についても、特に北海道は中小企業が非常に多いところでございますので、こういう事業所に適用することの検討もお願いしたいと思います。また、パートタイマーへの適用につきましてもぜひ御検討いただきたいと思います。 さらに、これも先ほど触れられておりましたけれども、積立金の管理運用につきまして、被保険者の代表を入れるということを含めて、四者構成の独立した有利な運用というものをぜひ検討していただきたいと思います。また、国庫負担につきましても、将来にわたって現行の負担率を維持していただくよう努力していただきたいと思います。 いずれにしても、これは給付額と拠出額とのバランスの問題というのが非常に重要でございますけれども、例えば拠出金の割合につきましても、年齢別の負担率の変更とか、そういう工夫をいたしまして、世代間の公平あるいは長期的な財源のバランスというものを考えれば、私の要求は組み入れていただけるのではないか、こういうふうに思います。 最後に、先ほども申し上げましたけれども、この年金制度というものは社会保障制度の重要な柱でありますが、このほかにも保健医療との関係、あるいは老人福祉との問題、雇用や住宅など総合的な社会福祉政策の一環として、それらとの整合性が持たれるべきでないかというふうに考えますので、それらにつきましての御検討にもぜひ積極的に取り組んでいただきますよう要望いたして、終わらせていただきたいと思います。
○有馬座長 ありがとうございました。 以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。 委員からの質疑は午後一時からとし、この際、休憩いたします。 午前十一時三十二分休憩 ————◇————— 午後一時開議
○有馬座長 休憩前に引き続き会議を開きます。 これより委員からの質疑を行います。 なお、質疑応答は着席のままで進めたいと存じます。 それでは、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲垣実男君。
○稲垣委員 意見陳述人の諸先生方には、大変御多忙中にもかかわりませず御出席をいただきまして、また、先ほどは大変貴重な御意見をお伺いいたしましてありがとうございます。深くお礼を申し上げる次第でございます。 時間の制約もございますので、若干の質問をさせていただきたいと存じます。 先ほど来諸先生からいろいろお伺いしておりますと、とにかく今回制度一元化へ向かって出発したことは大変評価できる、ただ、中には長野先生のように、現行制度でなおやっていけるではないかという御意見もございますが、私ども、さきの第百一国会で国民年金法等の一部を改正する法律案を審議いたしまして、そのときにも八月二日に参考人の意見聴取をしたわけでございますが、大方の参考人の諸先生やきょうの意見陳述人の皆様方は評価をしておられる、こんなふうに実は承ったわけでございます。 とりわけ、今回の改正の中で制度改正に踏み切った、今度の改正案の中にはもちろん年金改定の問題もございますけれども、制度改正に踏み切ったその中でも、先ほど池永さんから障害者年金のことについてお話がございましたが、私はあなたの障害者の立場に立ったそのお話を聞いて大変感銘を受けたわけであります。きょう障害者の人たちや車いすの皆さん方がこの会場にも詰めかけて、私たちのこの地方公聴会における推移を注目しておられるわけでありますが、今回制度改正に踏み切って、いわゆる障害基礎年金の導入で保障のレベルが二倍になる、このことに大きな期待を寄せているということは、全国の障害者の人たちからも手紙だとか陳情などで私どもよく承っておるわけでありますが、先ほどの池永さんの切々たるお訴えといいますかお話には胸を打たれて、思わずちょっと私も涙を漏らすというようなことになったわけでありますが、さらに障害者の人たちからの実態的なお話、具体的にどんな形で期待されているか、その辺のところを、障害者のいわゆる生の声をこの機会に御紹介していただければと思います。
○池永義啓君 今お話を承りましたが、けさほども申し上げましたように、障害を持ちながら一生懸命働いている人たちを私は直接に見聞きしあるいはかかわり合っております。それで、障害の程度がもっと重くて、一級、二級という障害等級がございますけれども、その障害等級というのは、外見的なと申しますか、医療的な判定でもって等級づけがなされているというのが大体今までの基本でございます。それで、職業能力という面、稼得能力という面を加味した障害等級のようなものが何とか障害等級の中で改正できないかというような訴えも今までに私どももいたしておりますけれども、それは別といたしまして、同じ障害等級でありながら稼得能力は極めて低いという人たちもおりまして、こういう人たちは療護施設とかあるいは更生施設等に入っていくより仕方がないというのが従来の例だったわけですが、最近、札幌いちご会その他の動きがありますように、幾ら介護を要するような状態であっても、地域で住みたい、市内の地域の人たちと同じように生活をしたいという強い気持ちがございます。それで、年金の成熟がまだまだ至らない日本の現状からしまして、決して生活保護に甘んじているわけではないけれども、これはやむを得ない措置として、次善の策として生活保護を受けざるを得ないということで、生活保護を受けながらボランティアの人たちに介護を願って地域で生活をするということをしている人たちもいらっしゃる。私どものところを眺めてみますと、あくまでも働くということが基本であるという姿勢を貫いているそういう立場なものですから、年金と低い稼得能力、その収入をプラスして、あるいは夫婦共稼ぎで、なおかつ、生活保護を受けないで一生懸命生きていこうとしている人たちばかりでございます。むしろ計算上からは、子供さんもいるわけですから生活保護を受けた方が収入面では楽になるというふうに思われる人たちが、あえて生活保護を受けようとしないで頑張って生きていく、そういう姿を私ども常々見ているわけでございます。これは極めて人間として自分の尊厳を守りたい——やせ我慢かもしれません。ですけれども、みずからの尊厳を守りたいということからくるものではないだろうかというふうに私は思っております。 その中で、障害福祉年金というのは生活保護とは違いますけれども、国民の皆さん方の恩恵によって福祉的に年金らしい手当をもらっているというわけでございまして、これが皆さんの合意を得た障害基礎年金ということになるかならないか、これは人間の尊厳という意味からしまして、これほど大事な大きな問題はないというふうに私も思っておりますし、私どもの周辺にいる障害のある人たちも思っているわけでございます。その辺を十分お考えをいただきたいと思います。 大体、これは五十九年ごろにぜひとも実現してほしいということでお願いをしていた経緯がございます。それが六十一年に延びた。でも目先に明るいものがあるなということで、みんな辛抱してその日の来るのを一生懸命待っていた。ところが、この前の国会で、先ほど申しましたようないろいろな状況があったということでございます。もう少し時間をとっていただくか、あるいは私ども東京へ出ておりましたときに聞きましたが、ああ、きょうも健保法改正の方だけで社労委の先生方は終わっちゃったよ、で、この次は、この次もどうもそうらしい、これじゃどうにもならないなと、じだんだ踏んでおったことがございます。でも、これもやむを得ないということかと思ってあきらめましたけれども、今度の国会でまた先送りになるということは、これは絶対許されないことだというふうに私どもは思っております。勝手な考えでございますが……。 実は、うちの障害者の人たちと時々話し合ったりするのですけれども、アメリカのCILの人たちと話をしてみますと、リハビリテーション法成立促進ということで、車いすを連ねて障害者の人たちがホワイトハウスに座り込みをやったという話をこの前も聞きました。それほどアメリカの障害者というのは権利擁護運動ということでは厳しい姿勢とバイタリティーを持っているということで、感心をしたことがあります。君たち障害者はもう少ししっかりしなきゃだめじゃないかと言ってよくからかうのですけれども、日本の障害者の人たちは極めておとなしいなという感じがいたします。 これは、今度おかしくなりますと、全国三百万を超える障害者、まあ身体障害者の人たちだけではございませんで、精神障害の方にも精神薄弱の人たちにも障害福祉年金を受けている人たちがおりますが、そういうことからしますと、全国の障害者の人たちがこれは怒りを催すのではないか、そんなふうに思っているわけでございます。
○稲垣委員 大変切実な、また生の声を聞かしていただきまして、ありがとうございました。 私どもも、制度改正の今度の大きな柱の中に、障害者の人たちの基礎年金の考えを導入しようということで、今真剣に取り組んでいるわけであります。そういう意味で、御承知のとおり、休会中でもひとつ審査をして地方に出かけてやろうということで、きょうはこの北海道、また十五日は鹿児島でというようなことで、委員派遣方式でございますが、地方で公聴会方式で皆さんの生の声を聞こう、中央で聞くだけではなくて、各地域へ出ますと、先ほどの寒冷地手当はどうだろうというようなお話や、いろいろ地域で持っておられる悩み、あるいはまた障害者の人の生の声を聞いて、これはきょう各党の先生方もいらっしゃるわけでありますけれども、国会の審議というのはいろいろしきたりがありまして、一週間に一回とか二回というようなこともありますけれども、できるならひとつ各党の先生方にもお話し申し上げて、通常国会が開かれたら毎日でも連続して、また休会中でも二十日に、厚生一般ということでありますけれどもやることになっておりますが、私どもとしては、徹夜してでも毎日でも努力して、一日も早く皆さんのその生の声におこたえしたい、成立させたい、こういうふうにひとつ考えてみます。
○有馬座長 丹羽君。
○丹羽(雄)委員 今の問題に関連してお聞きしたいと思います。 長野陳述人にお伺いしたいのですけれども、長野陳述人は、法案の中で、今年度のスライド分はできるだけ早く成立させてほしい、こういうふうにおっしゃったわけでございますが、それと同時に、今稲垣委員が指摘いたしましたような問題、本体の改正部分は慎重に取り扱ってほしい、こういうことでございます。今、池永陳述人のお話も聞いたわけでございますが、障害基礎年金の導入、この部分については当然賛成である、こういうような御趣旨の発言をなさったわけでございます。ということは、スライド部分も本体部分も一緒に今回の改正案に出されておるわけでございますので、これはどうしても早期に成立させないと今申し上げたような問題も解決しないわけでございますけれども、これについてどういうお考えをお持ちでいらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
○長野誠市君 私は、最後に障害者年金については賛成であると申しました。あるいはスライド制については切り離して行うべきであるということも申し上げました。ということは、何も法案として、二十一世紀を考えるということと障害者年金の今切実なこの要求全部を一緒くたに同時にしなければだめだというのではなくて、部分的な改正でもってできるのではないのかということで考えを申し上げました。
○丹羽(雄)委員 それから、もう一点長野陳述人にお伺いしたいと思います。 私は、この年金問題は、率直に申し上げて財源対策そのものではないかと思っておるのでございます。これは何といっても、後世代の人の負担をいかに軽くして、そして、先ほど野呂陳述人からも話が出ましたけれども、若い人の時代になったら年金がもらえないのではないか、こういう心配もあるわけでございますので、そういう心配をなくするようにすることがまさに今度の年金法の改正ではないかと思います。 そこで、ちょっとお伺いしたいのですけれども、長野陳述人はお話の中で、現行制度を維持していきたい、そしてその中で何か方策があるならばいろいろ考えていくべきだ、こういう趣旨の御発言をなさったと思いますけれども、現行制度のままですと、将来の年金受給者の年金額が現役労働者の賃金の八〇%を超えることになるわけでございます。そうすると、働く意欲という問題において、この辺非常に難しい問題でございますけれども、いかがかなという問題がいわゆるバランスの問題として起きてくるという点が第一点と、それからもう一点は、同時に、加入者の保険料が給料の四割近くになるということをそのまま認めることになるのではないか、これについてどういう御見解をお持ちか、お聞きしたいと思います。
○長野誠市君 八〇%を超えるという点については、私は現行の制度では八〇%を超えるというふうには見ておりません。というのは、年間総収入でもって割るのと月平均の給与でもって算出するのとでは数字が違うのではないか。総理府の発表の数字と厚生省の発表では違うという疑念を持っております。真野先生のような専門的な学者ではありませんからあるいは間違っているかもしれませんけれども、私はそういう感じを持っておるということを申し上げておきます。 それから、現行制度ということで申し上げました。実は、時間を見ていたらちょっと足りないものですから、はしょった関係で飛ばしてしまいましたけれども、現行制度の中でも矛盾を解決していく。とにかく最低保障、二十年なり二十五年という厚生年金、国民年金のこの部分は動かさない。それで例えば、今で言えば基礎年金に当たる、厚生年金で言うといわゆる定額部分、これは三十五年で打ち切りになっているわけですね。ところが報酬比例部分はずっと野放しであります。だから、これを例えば二十五年がいいか三十年がいいかは別にして、そこのところまでは現行制度だけれども、それから先は漸減していくということによって上下の格差を詰めていくことによって、平均的なものからいって少し節約ができるというような程度でいけるのではないのかということであります。 それから、保険料が四〇%を超えるという点、四〇%というのは折半でありますから二〇%、二〇%です。本人負担は二〇%ということになろうと思います。最後に北電の書記長さんもおっしゃいましたけれども、やはり労使の負担割合をここで一考すべきではないのか。諸外国では六、四ということが随分定着しておるというふうにも聞いております。 そういったようなことと、さらに企業年金あるいは民間保険というものが、ある面で奨励しているのかどうか知りませんが非常に盛んになってきておる。ということは、企業年金に入れる力を、そうではなくて全員が厚生年金の方に入れるとするならば、もし二〇%に近い負担であっても、企業年金の方にだってやはり五%なり一〇%掛けているわけですから、これを厚生年金に掛ける。今の企業年金というのは、大企業の関係では、厚生年金十五万だ、企業年金十五万だというようなキャッチフレーズでやっているところがありますけれども、実際に中小企業の方々の企業年金というのは、月に直して一万か一万五千円というのが大部分であります。そういうことから見れば、もっと本体の厚生年金に力を入れてしかるべきではないのかというようなことから申し上げたところです。
○丹羽(雄)委員 ありがとうございました。 まだいろいろお聞きしたい問題もあるのですけれども、時間が来ましたので、以上をもって終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○有馬座長 池端清一君。
○池端委員 陳述者の皆さんには、本日は、大変御多用中のところ御出席をいただきまして、また貴重な御意見を賜りましたこと、厚くお礼を申し上げる次第でございます。 私どもは、今回の年金改定というのは二十一世紀を展望してのまさに百年の大計を定めるものである、こういうふうに思っております。それだけに、揺るぎない年金制度を確立する、そのためには慎重な審議が必要だろうということで今日まで審議に臨んできたわけでございます。 さきの国会で参考人として出席をされました社会保険審議会厚生年金保険部会長の小山教授も、実は国会で、「今回改正をどういうふうに持っていくかというのは、残された最後の機会だと私どもは承知しておりました。」こういうふうに言われておるわけであります。「残された最後の機会だ」、それだけに、私どもは、悔いを千載に残してはならない、拙速の余りこの年金制度の問題について後々問題を残してはならないというふうに考えているわけでございます。 先ほど池永さんから、障害年金の問題について切々と訴えられました。私も全く同感でございます。これらの問題については私どもも多年、かねてから要求してきた問題でございます。池永さんは、また障害者の問題が取り残されるのではないか、置き去りにされるのではないかという御不安、御心配があるようでありますが、決してそういうようなことは私どもは考えておりません。全くその点は御安心をいただきたい、このようにまず申し上げておきたいと思うのであります。 しかし、事柄は非常に慎重を要する問題であります。先ほど自民党の稲垣先生は、毎日でも審議を尽くしたい、こういうお話でございましたが、国会には国会のルールというものがございますので、私どもは、ルールに基づいてこの問題は精力的に審議をしてまいることをまずお誓いを申し上げる次第であります。 ところが、今度の法案では、先ほどからいろいろお話がございましたように、既裁定年金者のいわゆる二%のスライド分も一緒になって提案をされているわけであります。まさにこれらの人たちも、一日千秋の思いで今か今かと待ちあぐねておるわけでありますので、私ども社公民三党は、さきの国会で、このスライド部分は切り離して審議をすべきだという法案も出してまいりましたが、残念ながら今日段階でその成立を見ておらない。このことは極めて遺憾だ、こう思っておるわけでありますが、これからも本当に老後の皆さん方の生活安定のために、しっかりした年金制度を確立するために全力を挙げてまいることをまず申し上げておきたいと思います。 そこで、時間の関係もございますので、私は基礎年金制度の問題について、長友先生以下、皆さんにちょっと御見解を承りたいと思うのであります。 御案内のように、今回の改正では基礎年金制度が導入されるということになっております。画期的なことだと思うのであります。しかし、基礎年金というのは、それ自体で国民の最低生活を保障するものでなければならない、ある年齢に達したら、拠出を何十年としない人にもナショナルミニマムの保障を与えるというものでなければならない、そういう性格のものでなければならないと思うのでありますが、御案内のようにこの基礎年金には、拠出は四十年間、最低受給資格は二十五年、受給開始年齢六十五歳、給付金額は原則として一カ月五万円、年額六十万円、こういうような条件があるわけでございます。 こう考えてみますと、今度の基礎年金というのは、諸外国でとられておりますようないわゆるナショナルミニマム、最低生活保障年金的な性格のものになっていないのではないか、そういう観点が欠落をしているのではないだろうか、私どもはそう考えておるわけでございますが、この点についてそれぞれの陳述者の皆さん方の御意見、御所感を承りたいと思うのであります。
○長友浪男君 お答え申し上げます。 池端先生、今画期的な改革であるとおっしゃいました。私はその言葉どおりに考えております。よくここまで踏み切ってくれた。したがって、これをなるべく早く御検討の上でお通しを願いたいという気持ちがあるわけでございます。したがいまして、今御指摘ございましたいろいろな条件、金額の問題とかいろいろあると思いますが、年金制度は、これから長く私ども、私どもの後を継ぐ者がお世話になる制度でございますので、できるだけ早く、とにかく今考えられる最良の条件等を入れて法律をつくっていただきたい。私は、いろいろな条件その他はこの段階では極めて妥当である、そして息長く公的年金制度が十分に的確に維持されることを希望いたすものでございますので、今回の改正の内容は極めて妥当であるというふうに考えております。
○長野誠市君 私は、基礎年金の額は余りに低過ぎる、特に加入期間四十年というのは絵にかいたもちだということはどうしても言わざるを得ません。 それから厚生年金についても、民間労働者の実態というのは、私も長年炭鉱におりましたが、幸いにして閉山を免れたところで三十年勤めました。ところが現実には、自分が何ぼ一生懸命その企業の中で働こうとしても、自分の自助努力ではどうにもならない、倒産とかなんとかというのは日常茶飯事であります。この企業で一生骨を埋めようと思っても、それがかなわないのが民間企業であります。そうすると、なかなか三十年、三十五年という厚生年金の期間を全うすることも困難であります。 そういったようなことを含めて、特に基礎年金の四十年を中心にして五万円というのは、将来的なことを考えても余りに低過ぎる。 それから、夫婦十万円で単身者五万円というのは、単身だから五万円で暮らせるのかといったら、そうではないと思います。今、遺族年金を厚生省自体が六割にする、あるいは七割にしようとしておるわけでありますから、この単身者の五万円というのはやはり不合理である、このように考えます。
○野呂正義君 基礎年金を導入した考え方を私の立場なりに考えてみますと、現在の社会経済事情、特に皆年金体制が三十六年からしかれているわけでございますけれども、実態的には全部が年金に入っているというようなことでもないと思うので、このたびの改正案では、そういったもろもろの社会条件、例えば制度間格差の問題とかあるいは財政事情の問題とか、いろいろありますけれども、なぜ改革が必要かということは、全部の国民に共通した、しかも拠出に対応する給付といいますか、そういった関係を公平にしていこうということが唯一の基礎年金導入の考え方ではないか、このように考えているわけです。金額は五万円とか、あるいは二十五年加入、あるいは加入期間の四十年ということはございますけれども、やはり全国民に共通した一つの基礎年金をしくというそもそもの考え方が、やはり国民が期待していることではないかというふうに考えるわけでございます。 その他の関係については、私が先ほど申し上げたとおりでございます。 以上でございます。
○池永義啓君 各種の年金がそれぞれスタートした経緯あるいはその後の進み方、そういうものをいろいろと聞いたり見たりいたしておりますと、だんだんにその格差といいますかあり方というものが、それぞれの年金制度の中で全く違う動きをしている。これほど複雑な年金制度というのはちとおかしいなという感じは従来から持っておりました。スタートのときから厚生年金も国民年金も同じようなスタートをしてくれていれば、こういう悩みを持たなくて済んだのではないかとすら思っております。ますます差が開いていきそうな感じがする。どこかの時点で統合化といいますか一元化、一歩前進しなければ、いつまでたってもますます開いていくというふうに私は思っております。今回の基礎年金という部分については完全に一元化できた、その後の部分については、やはり拠出と受給とのバランスの関係その他がありますから、徐々に一元化していくということしかないのではないか、そのように私は思っております。
○谷口忠義君 私も、基礎年金の水準アップあるいは生活最低保障制度を設けることについては、ぜひ要望を組み入れていただきたい、そのように思います。ただ、やはり財源的な問題は当然出てくるでしょうから、その前提となるのはやはり共済年金の一元化ではないか。老齢基礎年金に対しまして共済年金にもそういった制度を用いるべきではないか、そういうふうに思います。
○池端委員 ありがとうございました。 先ほど真野さん、谷口さんからもお話がございましたし、今長野さんからもお話がありましたが、単身者は夫婦の半分、五万円だという問題でございますが、国際的に見ましても、基礎年金あるいは基本年金と呼ばれるものは、まず単身者の生活費を算出をする、そしてその上で、夫婦は共通生活費を除いて大体六〇%の増、これが私は国際的な常識になっていると思うのです。ところが、今度の政府案は夫五万円、妻五万円、こういうのは国際的にも余り例がない。そして、単身者は夫婦の半分だ、それで非常に水準が落ちている、相対的に不利になっているというこの基礎年金のあり方そのものについてはどういうふうにお考えになっておられるのか。また長友さんからお聞かせをいただきたいと思うのです。
○長友浪男君 単身者と夫婦者の比較のお示しがございましたけれども、私は社会的に見て、夫婦者の数からいってやはりそちらに重点を置いていただくべきではないか。その根底には、単身者は二分の一であるという考えがあれば、その二倍ということになりますので、私は社会通念としてはこの考え方で通るのではないかというふうに考えております。
○長野誠市君 男性と女性の死亡時の年齢差というのは、統計的に見ると女性が八歳長生きをする。したがって、未亡人期間が八年あると言われております。この八年間の生活というのは五割では到底やっていけない。現在でもそうであります。 だから、ちょっと余談になりますが、夫を亡くして二、三年すると、親しくしてきた人たちからは相談が来ます。小さな家も持っておったのだけれどももう固定資産税が払えない、あるいは燃料費が高くてどうにもやっていけない、どうしたらいいだろう。結局、家を売り払ってホームへ入るとかあるいは子供のところへ行くとかなんとか、なかなか子供のところでも受け入れてもらえないというような相談があります。こういう未亡人生活のことを考えたら、五割というのは自分の妻に対する責任放棄だと、私自身はそう思います。少なくとも六割、七割というのは保障すべきである、こう思います。
○野呂正義君 このたびの改正案の基礎年金の額でございますが、四十年拠出で五万円ということでございます。拠出年金では、国民年金の場合は個人単位方式をとっておりますし、厚生年金の方では夫婦単位ということになっているわけでございまして、五万円そのものがどうかという考え方に立ちますといろいろ疑問があるわけでございますけれども、現在の改正案の中身の中で考えた場合の基礎年金の一つの拠出方法は、社会保険方式をとっているというような考え方であることがまず第一点である。 それから、夫婦の関係で五万円、五万円で十万円、単身者で五万円との関係でございますけれども、やはり一般的に申しましても、老後生活といいますかそういった関係は、基本的には夫婦単位で考えられ、また単身の者についてはどうかというふうに考えられて段階的にいっているわけでございますが、私は、この基礎年金の五万円、五万円、あるいは十万円と五万円との関係は妥当なものであろうというふうに考えている次第でございます。 なお、この部分は改正案では五十九年度の価格というふうに言っているわけでございますから、今後の経済事情によっては、この金額もそれぞれの経済情勢にスライドしたような形の中でいろいろと考えられていくのではないかというふうに考えている次第でございます。 以上でございます。
○池永義啓君 私は、五万円という額自体は、拠出と受給をされる方とのバランスその他のことから考えますと、現状においてはやむを得ない数字ではないか。当然これは漸次増額されていくべきだろうとは思いますが、これにはやはり拠出がふえていくということが連なりましょう。 単身の場合に、当然六万円にしたいというお考えを伺いました。これも一つの考え方だとは思いますけれども、何らかの形での付加給付的なものがその他の要素で考えられるとすれば、むしろその方が妥当ではないか、私はそのように考えております。
○谷口忠義君 やはり割合は五〇%では低いと思います。標準生計費の分析等も含めまして、六割とかそういう数値になるのが妥当ではないかと考えます。
○池端委員 長野さんにお尋ねをいたしますが、先ほど寒冷地手当の法制化という問題でるる訴えられました。私も北海道に住む者の一人として、同感の気持ちでいっぱいでございます。今日まで九年間、この問題で陳情等続けられてきた、こういうお話を承りましたが、今日まで厚生省といろいろ折衝されておったと思うのでありますけれども、その間、各大臣はどういうような態度を示されておったのか、その辺の経緯等を詳細にお尋ねをしたいと思います。 それから、きょうは札幌は大変な寒さでございます。全道各地、吹雪のところも相当ある。これからの北海道というのはまさに雪との闘いであり、冬の寒さの厳しさとの闘いでありますが、一般の家庭における年間の燃料代、灯油が中心になると思うのでありますが、燃料代の支出というのはどのくらいの金額になっているものだろうか。先ほど、一食切り詰めても灯油は切り詰めることはできないというようなお話もございましたが、この燃料代がどれくらいの実態になっているのか、ひとつそれもお尋ねをしたいと思うのです。
○長野誠市君 五十年の三月十七日に、現在参議院の議員になられておる函館出身の田中さんが厚生大臣のときに、私どもは初めて陳情をしました。このとき、何とか私の在任中に形をつけるような実現をしたいものだ、こういう御答弁をいただきました。引き続きまして、五十年の九月十六日に、同じ田中さんでありますが、来年度の予算でひとつ調査費をつけてみたい、こう言われました。 ところが、毎年のように大臣がかわられるので、五十一年、五十二年それぞれありますけれども、特徴的なのを申し上げますと、五十三年の九月十四日、小沢大臣は、難しい問題であるが、十分検討をしてひとつ前向きに対処をしたい。五十四年の九月十三日に、橋本厚生大臣は、前向きに実情に即応するようなことを何とか検討してみたいというようなお話でした。それから、五十五年九月十七日に園田厚生大臣に会いました。これは年金制度になじむ、なじまないという事務当局の考えがあってなかなか難しいということでありました。しかし、その後、対馬参議院議員に、寒冷地手当にかわる、当面は年金の非常に低い方々、それから母子世帯、身障者、こういう方々に対して福祉灯油という形で、今年の冬から実施する方向で検討してみたいという御答弁をいただきました。これが五十六年の四月三日でございます。対馬参議院議員からの連絡によりますと、国会の中の大臣室で、ことしの冬というのは五十六年十一月以降のことを指しておるわけですが、福祉灯油として実施をするということで腹を決めたということを、対馬参議院議員にメモで渡したという経過があります。このメモは私も後日見ました。それから、五十六年十二月十一日、森下厚生大臣は、十分理解をするけれども、臨調で今厚生省は非常に大変なときに来ているので無理である、しかし今年の冬、厚生省の係官を北海道に現地調査として派遣をする、こういう約束をしていただきました。翌五十七年一月二十七日から二十九日までの三日間、厚生省の亀山課長補佐が来道して調査をされております。札幌、旭川、その先の名寄の方にも出向かれて、特に厚生年金世帯あるいは国民年金世帯、それから障害者の世帯というピックアップをして帰られております。それで、五十七年九月十六日に森下厚生大臣に、その結果を踏まえてどのように対処していただけるのかということで陳情を申し上げました。報告を受け十分理解をしておる、内部検討を進めるというお話でございました。五十七年十二月九日には、今度は大臣がかわりまして林厚生大臣でした。十分勉強して前向きに検討する、こういう答弁であります。五十九年一月十二日に、渡部厚生大臣からは、長年にわたる要請であり、まず福祉の面から考えてみる、こういう御答弁をいただきました。園田厚生大臣の時代のことをよく知っておるということでございました。五十九年九月十四日、ついせんだってでありますが、非常に長年のことでもあり、社会局長のところに第三者による寒冷地問題検討委員会(仮称)を設け検討することにしたい、こういう御答弁をいただいたのが今日までの経過でございます。 それから、灯油はどのくらい必要なのかということでございますが、大体十月の半ば過ぎから、年によって若干違いますが、四月いっぱいくらいまで暖房をせざるを得ない状況にあります。うんと切り詰めて大体一カ月四百リットルで、五カ月分の二千リットル、これが最低であります。そうすると、ことしあたりは最初の出発は八十円だったのですが、このごろは七十五円と言っておりますから、大体十五万円から十七万円ぐらいはかかるということで、札幌商工会議所の調べによると、現役労働者の方にも、この程度の灯油代というのは民間では支給になっておるというようなデータもあります。 私どもは、とにかくこれを全額くれということはただの一度も申したことはございません。ひとつ何らかの制度としてつくっていただいて、助成をしていただきたいというのが趣旨でございます。
○池端委員 御苦労のほど、よくわかりました。 それでは野呂さんにお尋ねをします。 野呂さんの方も、北海道厚生年金受給者協会連合会という団体でございますが、そちらの方ではこの問題についてはどういう考えをお持ちでしょうか、またどういう運動を今日まで進めてこられましたでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
○野呂正義君 私の所属しております厚生年金受給者の団体でございますが、三年前だと思いますが、やはり灯油価格の問題等からいいまして、ぜひ燃料手当といいますかそういうものを年金制度の中に取り入れて、寒冷地手当、燃料手当ということで支給してほしいという声が年金受給者の中から数多くありまして、札幌の場合におきましては、札幌友の会といたしましては年に一回総会を開きますが、その総会の中でも毎年そういう声が非常に強いということが一つであります。それから、北海道厚生年金受給者協会連合会としても毎年一回札幌で北海道の厚生年金受給者大会を開きますが、その中でも寒冷地手当、いわゆる燃料手当を支給してほしいという声がだんだんと高くなってきておりまして、ここ三年来、この問題について、大会決議数項目の中の一つに入っているのが現状でございます。 以上でございます。
○池端委員 わかりました。 長友さんにお尋ねいたします。 先ほど意見陳述の中で、自営業者の方々についても所得比例制度の導入を検討してもらいたい、こういうお話がございました。私どももこの点は同感なんですけれども、具体的にどういうような構想をお持ちでございましょうか、今お考えになっておられる点がございましたらお示しをいただきたいと思います。
○長友浪男君 要望として申し上げましたけれども、実はこう申し上げると大変失礼でございますが、漠然と、現在の厚生年金に関する基礎年金のあり方を考えまして、やはり国民年金の側もこれと同じような何か仕組みができはしないだろうか。ただ、これは私自身としては非常に難しい問題だと思います。ですから、腰を据えてひとつ将来を目指して考えていただきたい、そういう意味で申し上げたわけでございます。まだ具体的なことは考えておりません。
○有馬座長 森井忠良君。
○森井委員 同じく長友さんにお伺いをするわけでありますが、今までは、国民年金に加入をしていれば四十年掛けた場合は一人七万八千円、合わせて十五万程度受け取れるはずだったわけです。二十五年掛けても約五万円、夫婦で十万円です。また四十年掛けて十五万程度なら、これは辛うじて暮らしていけると思うのです。今度はそれが一人五万円、夫婦でも十万円、こういうことになるわけですね。これはどうでしょうか、暮らせますか。
○長友浪男君 お答えいたします。 先ほど御質問いただいたときに、私は、今回の改正が公的年金制度を今後長く効率的に維持運営するためには必要なことではないか、こういうふうに申し上げたのでございます。したがいまして、そういう立場から申しますと、これから長く維持運営されるべきこの新しい年金制度における給付額とかそういったいろいろな条件については、私は現在考えられておるのが一番妥当ではないか。これから先、今回の改正を基礎にしてまたいろいろ発展的なお考えが出てくるのではないか、そういうふうに考えておりますので、今御指摘の金額については、私は出発としては妥当である、こういうふうに考えております。
○森井委員 暮らせるかどうかという御質問をしたわけですが、暮らせないですよね。このままでは、他に収入がなければ、夫婦十万円というのは私の常識ではとても暮らせる金額ではないわけで、国民年金加入者の立場からいけば、本当はふやしてもらいたいのじゃないのですか。 そこで、もう一回お伺いをするわけですけれども、制度が発足をしたときは、二十五年掛けなさい、五万円上げましょう、四十年掛けなさい、七万八千円上げましょう、こういうことでせっせと掛け始めたわけですね。途中でだんだん対象者も減ってきたりして、今度の改正案でもある意味では国民年金救済のための改正ではないかと言われているくらいですけれども、当初と約束が違うじゃないかという点について怒りはありませんか。三十六年に制度が発足して営々とずっと掛けてきている人があるわけです。ところが、今になって約束の金額ではなくて、先ほど言いましたように金額をカットしますよ、こういうことになったわけですね。 率直に申し上げますと、国民年金加入者の方というのは割とばらばらなんですよね。きちっとした団体がありまして、それも圧力がかかるような団体があれば、私はそう簡単にいかないと思うのですけれども、国民年金加入者というのは大体ばらばらで、それぞれ自営業者の方ですから組織がない。だから削られてもやむを得ないという、これが通るのかどうなのか。まあ失礼ですが、長友さんの場合も国民年金の加入者じゃないわけですね。本当に国民年金に入っている人は、言葉は悪うございますが、何か詐欺に遭ったような、たくさんやるといって掛けさせておいて今ごっそり切る、七万八千円が五万円になってしまうわけですから、これに怒りはないものかどうか、あなたのお感じになっていらっしゃることをお聞かせください。
○長友浪男君 先ほども申し上げましたように、新しい制度をつくり厚生年金保険と合体するというと語弊がございますけれども、共通の立場に立つということでございますので、その間における多少の制限とか協力とかそういうものは必要であろう、私自身はそう考えております。
○森井委員 谷口さんにお伺いしたいわけでありますが、今度の改正は年寄りの問題というよりもむしろ若い人の問題です。現在厚生年金をもらっている方々は基本的には制度の改悪はないわけです。したがって、若い人はこれから掛金はふえる、給付は減るという格好になって相当深刻な問題だと思うわけですが、サラリーマンというか、あなたの電力の職場でもいいわけですけれども、どの程度職場で仲間同士が話し合いを続けておられるか。実は心配しますのは、我々は議論しているが、案外一人一人のサラリーマンというのは中身をまだ十分知っていないか知る機会がないのではないか、その点を心配しているわけです。いざ法律が通ったらたちまち一・八%掛金が上がるというふうなことがありますから、職場での話し合いというのはどの程度進んでおるものか。
○谷口忠義君 それはかなり深刻な問題として受けとめているというふうに思います。ただ、こういう背景といいますか、年金をめぐる情勢の厳しさについてはみんな承知をしておりますし、特に労働組合の場合は連帯感というかそういう横の連携というのは非常にかたいものがありますから、世代間の不公平とか、あるいは今までの日本における年金制度の不足していた部分、欠陥部分、こういうものに対する是正を求めながらある程度容認をしていこうではないかという空気は正直言ってあると思います。しかし、掛金の問題であるとかあるいは給付水準の問題であるとか、若い層から非常に不満が出ているということは間違いない事実だと思います。
○森井委員 長野さんと野呂さんにお伺いしたいのです。 けさほど来、年金のスライドについてそれぞれ御発言があったわけでございます。スライドというのは、厚生年金等の場合には、おっしゃったように物価スライドになっているわけです。ところが、今物価スライドになっていないのですね。なぜかといいますと、今度の年金の引き上げの二・〇三%なんだけれども、これは物価に順応しておりません。これは人事院勧告に連動しておるのですね。人事院勧告並みなんです。だから物価スライドにもなっていないということなんですけれども、現役の皆さんと年金生活者の皆さんでは受け取る金額も相当違うわけです。この点について、だから、人事院勧告がゼロのときには皆さんの年金も一円も上がらなかったときもあったわけですね。したがって、人事院勧告との関係よりも、本来私は賃金にスライドするのが一番正しいと思っていますけれども、もし仮に物価スライドにいたしましても、そのとおりになっていないという点についてはお気持ちはいかがですか。
○長野誠市君 全く現行の物価スライドどおりになってないということと、さらに、やはりスライドというのは賃金スライドが正しいのではないかということを思っております。ただし、人事院勧告も完全実施をされておらないわけですから、そういう面では賃金スライドになっても正しい数字にはならないということでありますが、少なくとも物価スライドというのは、単年度五%以上という項目やら、あるいはけさほども申し上げました五%物価が下がったら下げるんだなどというのは、どういう神経で出したのかという、スライドについての疑念を持っております。 以上、スライドについての考え方であります。
○野呂正義君 物価スライドにつきまして、二%がどうかというようなお話でございますけれども、今回の改正案の中には、厚生年金の方は年金改正案の中で物価スライド二%ということでございますので、厚生年金受給者の方々も二%については非常に関心を持っておるということでございます。これは高低がどうなのかということは別にいたしまして、私ども二%の物価上昇ということで認識しております。 以上でございます。
○森井委員 ちょっと私の聞き方が悪かったのかもしれませんが、野呂さん、本来、仮に物価スライドとしてももっと上がっていなければいけないわけですね。人事院勧告横並びで抑えられてきているわけですが、正確に物価を反映してもっと上げてほしいというお気持ちはございませんか。
○野呂正義君 二%以上ですから、従来の物価スライドの関係は、一年または継続して二年の間で物価上昇が五%あった場合ということでございますので、これまでも物価スライドの関係はいろいろと政策的に実施されてきております。私、詳しくはわかりませんけれども、現在二%という物価スライドは強く意識しているわけでございます。
○森井委員 池永さんにお伺いしたいわけですけれども、障害者の立場から一刻も早く法案の成立をと、私も痛いほどわかるわけですね。ただ、既にお気づきのように、今度の年金の改正案は、障害者の皆さんの給付等が上がったりあるいは事後重症制度の改善があったり、そういうことは非常に結構なことで、私どもも必ず実現できるようにしたいと思っておりますけれども、反面において、現役のサラリーマンの皆さんは、先ほど谷口さんからお答えがあったように、掛金が急に上がったり、将来にわたっては給付が下がったりというふうな事情もあるわけですね。国民的な立場からいいますと、障害者の皆さんも自分たちだけがよくなりたいというお気持ちは毛頭ないと思うのです。 ですから、その意味では、制度の改正については、保険料を掛ける現役のサラリーマンの皆さんの相当な合意も得て、いいものをつくっていきたいということになるのだろうと思うわけですね。そうしますと、お急ぎになるお気持ちもわかりますが、他はどうなってもいいというお気持ちではないと思うので、その辺は国会でも配慮しながら審議を続けてきていると思うのですよ。ですから、もしそういう立場で、仮に——法案は最後は成立しますよ、どこの党もこれは、どこの党と言っては語弊がありますけれども、例えば基礎年金の導入というのは、中身のよしあしは別にして、考え方としてはいいではないかというのがほぼ共通しておりますからね。その意味ではいいと思うのですが、先ほど言いましたように、できることならどの階層もある程度納得をした上で法案を通すというのが、私どもとして一番いいと思うわけでありますが、この点についてあなたの御感想をお伺いしたいと思います。
○池永義啓君 非常にありがたいお話を今も承っておりますし、国民的な総意と申しますか、皆さんの合意を取りつけた上でということが基本になければ極めて惨めなものだと私は思います。非常におっしゃるとおりだと存じます。障害者の人たちも決して無理ばかりを要望しているということではございません。 ただ、先ほど申しましたように、あくまでも、これが呼び水になりまして、地域におって一生懸命働こうという人たちが今度は支える部分に変わって生き得るということ、保険料を拠出する側になって生き得るということ、それと、税金の負担もするという立場になっていくということ、これを一生懸命望んでいるわけでございます。その踏み台がなければ乗り越えにくいものを私は強く感じているものですから、そういう点をけさほども申し上げたつもりでございます。 支える部分に早くなりたい、税金を納める部分に早くなりたい、そういう謙虚な意識もお酌み取りおきいただきたい。そういうことから、国民的な皆さん方の合意と、土持ちをしていただかなければならない部分が非常にたくさんあることは私も存じております。そういう意味では、その辺の認識は十分障害者の人たちも持ってはいるというふうに御理解いただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
○森井委員 ありがとうございました。私の質問を終わります。
○有馬座長 大橋敏雄君。
○大橋委員 陳述人の皆さん、本日はまことに御苦労さまでございます。 年金制度というものは、いろいろな制約あるいは規定等が設けられておりまして非常に複雑でございます。わかりにくいというのが一般的な国民の認識ではないかと思うのでございますが、よくよくその本質を探ってまいりますと、負担と給付の二つの要素から成っているものでありまして、この負担と給付のバランスをいかにとっていくか、こういうことで適正水準で安定していけるか、あるいは不安定になるかという問題が出てくると私は思うのであります。 我が国の公的年金制度というものは、現状のまま推移していきますと給付と負担のバランスの限界を超えて制度の崩壊の危機がある、こういうのは常識的な認識になってきているわけです。なぜならば、確かに理論的にもあるいは実際的にもこれが証明されているからでありまして、じゃこのような事態にしたのは一体だれだ、その責任を追及していくとなれば、やはり政府の失政であろうと思うわけでございます。しかし、この際、政府の責任のみを追及していくだけではこれは解決になりません。現実問題といたしまして、公的年金制度の長期的、安定的、抜本的な改革こそが我々為政者の責務であると考えるわけです。 そういうことで、我が党は、昭和五十一年に福祉社会トータルプランという総合的な政策をうたった中で、基本年金の導入による二階建て構想を提起したわけでございます。約九年ぐらいになるわけでございますが、国もようやく動き出したと申しますか、今回改革案が出てきたわけでございます。図らずも、基本年金という言葉じゃございませんけれども同じような趣旨の基礎年金が導入された、私はこれは非常に高く評価をいたしているわけでございます。しかし、細部にわたりますとやはり疑問点があるし、あるいは、これはどうしても修正をしてもらわなければならぬというものがございますので、陳述人の皆様の御意見をよく伺った上で今後対処していきたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。 まず初めに、長野陳述人にお尋ねをいたします。 先ほどの陳述の中で、現行制度のままで大いに改善していくべきではないか、このような主張があったわけでございますが、そうしてみると、基礎年金の導入そのもの、こういう基礎年金の導入による改革案についてはどのようなお考えをお持ちであるかということ。 それから、もっと生活ができる高い給付をというように聞こえたわけでございますが、先ほど申しましたように、負担の問題がございます。この年金に対する負担、保険料の限界をどの程度に思われているか、まずお尋ねしたいと思います。
○長野誠市君 基礎年金に賛成か否かということでありますが、私は賛成であります。ただ、賛成であるけれども、金額について不満であるということを申し上げたところであります。 現行制度を維持していくということについては、舌足らずの点を先ほど補足申し上げましたが、現行制度というのは、全部を現行制度というのではなくて、やはり上下の格差を詰めた中で現行制度を維持していけるものにしていくべきである。 それから、給付の面については、今言いましたように、加入の限界の関係からいって、三十年頭打ちというものやら、あるいは比例部分を下げていくというような点を指しております。 それから、負担の限界でありますが、私は既に年金受給者の立場にありますから、現役の人たちにこれだけ負担をせいということを押しつけるような発言はどうかと思いますが、少なくとも今の年金に対するものとさらに企業年金にかけている努力を、公的年金の方に振り向けるならばいかようになるであろうかということを意味しております。
○大橋委員 先ほど、現在の公的年金は現状のままでも問題点を改革していけば何とかなるんだというようなお話もあったように伺ったのですが、御承知と思いますけれども、五年ごとに財政計算をやらねばならぬ、これは法律で決められているわけでございます。これは、長期的に安定した運用をやるためのものでございますが、昭和五十五年に財政再計算されたときの厚生年金の平準保険料というものは男子が一九・一%ですね。しかし実際に決定された保険料は一〇・六%。女子は二六・四%が実際は八・九%。坑内夫も六五・六%が一一・八%です。平均してまいりますと、平準保険料の約半分の保険料なんですね。今の保険料でも高いように思うのですけれども、実際に必要な計算された保険料ということになれば今の平準保険料になるわけでございますが、その半分しか徴収されていない、ということはもう理論上不足だ。それのみならず、物価が上がっていくための不足財源、これはインフレの問題もあります。目減りしていく、こういうことを合わせますと、まさに大変な借金を後代に残す姿になっているわけでございます。そういうことで、私は、やはりこのままいけば我が国の公的年金制度は遅かれ早かれみんなつぶれていかざるを得ない。しかし、公的年金をつぶすわけにいかぬぞということで、こういう二階建て年金構想というのが出てきているものと思います。 時間に限りがありますので、次に移ります。 創設される今回の基礎年金について、その性格のとらえ方、最低生活を保障する年金であるととらえるのか、あるいは単なる老後の所得保障ととらえるのか、そのとらえ方はさまざまあろうかと思うのでございます。私は、基礎年金と言うからには、やはり最低生活の保障を目指すものでなければならないと考えるわけでございますが、これは長友さんと長野さん、谷口さんに、簡単で結構でございますのでお答え願いたいと思います。
○長友浪男君 基本年金あるいは基礎年金という画期的な構想の実現が目前に迫っているということは今先生のお話にございまして、私どもは大変長い間いろいろお考えいただいたなということはよくわかりました。 この基礎年金の考え方は、私はやはり老後保障という面が一番強いのではないか。例えば貯蓄その他そういう手段もございましょうし、いろいろな面を合わせて我々は生活をしております。その中の最低の老後保障という気持ちであれば十分に活用していけるのではないか、このように考えております。
○長野誠市君 先生からの御質問は、生活保障であるか所得保障であるかということについての考え方ということでございますが、私どもは生活保障であるべきだというふうに考えております。
○谷口忠義君 基礎年金の導入につきましては、国民一人一人が年金権利を有するという立場から私どもも賛成しておりますし、やはり最低保障というような性格づけが正しいのではないかというふうに思っております。
○大橋委員 そういうことで、基礎年金の財源調達の問題になってくるわけでございますが、今言われましたように、最低保障ということになっていきますと、これはすべて税金で賄っていく方式やあるいは社会保険料を主体とする方式、いろいろ今考えられているわけでございますが、先ほど申しましたように、基礎年金を最低保障年金ととらえるならば、私はこれは税方式が最も好ましい適切な方法と考えているわけでございますけれども、一方、現に社会保険方式で運営されている実態を踏まえてまいりますと、基礎年金への円滑な移行と申しますか、こういうことを配慮すれば、社会保険方式をとることもやむを得ないかなという考えに実は立っております。 しかしまた、社会保険方式をとる以上は、つまり加入期間に比例して老齢年金を支給するということは、要するに保険料を長い間納めてきた人とそうでない人とはおのずとそこには格差が生ずると思うのですが、これも私はやむを得ないことと考えるわけですが、このような実情を踏まえた上で、この基礎年金の財源調達の方法としては一体どのような方式が適当なのか、御意見を伺いたいところです。 長友陳述人は、先ほど要望の中で所得比例制の保険料の導入の話をなさいました。また、先ほどの質問に対しては、具体的な内容はまだわかっていないのだというお話でございましたが、我々も、社会保険方式をとるからには、その方式を基礎年金の保険料にも取り入れるべきであるという考え方を持っております。基礎年金の定額の額はできるだけ抑えていかなければ、先ほども話がありましたように、国民年金の対象者というのは非常に豊かな人も非常に貧しい人も全部が含まれているわけですから、その貧しい人でもまあまあこれなら払えるという額にしていかなければ、この制度は長もちしないわけです。そうなっていきますと、その額を抑える、その抑えた分については財源が不足する、その財源不足について今言う所得に対する保険料を何とか導入していくべきではないか、実はこのように思うわけでございます。 と申しますのは、今の国年に見ますように、六千二百二十円の定額の保険料に対して定額の給付、こういう形になっておりますけれども、これでは本当を言えば所得再配分効果といいますか、国庫負担が入っている分は別ですよ、これを除けば私は皆無だと思うのです。したがいまして、現在の国年制度そのものが低所得者層に対して極めて厳しい制度と言わねばならない、こういうことでございます。恐らく、ほかの陳述人の方も私の今の意見には反対なさる方はいないと私は確信をいたします。 そこで、次に移りますが、問題は、国民世論としまして八割程度の方々が社会保険方式を望んでいるという事実がございます。したがいまして、政府案で出てきましたような社会保険方式をとって推進していくこともやむを得ないと思うわけでございますけれども、この際、特に留意せねばならないことは基礎年金の保険料の額、水準の決め方、さっき言いましたように、失礼な言い方になるかもしれませんけれども、国年対象者はピンからキリまでの各層にわたるわけでございますので、この点を非常に留意せねばならない。私は、今度の改正案に見る保険料も非常に高過ぎる。六十一年発足で六千八百円になります。これは将来、五十九年度価格で一万三千円になる。これはとても払えるものではない。もし、陳述人の中でこの保険料でよろしい、いや、そう無理な額ではないと思われる方は反論していただいて結構でございますが、私はとても無理だと思う。なぜならば、現在でも法定免除、申請免除者は合計三百万人いるわけです。国年加入者六人に一人ですよ。一般の国民が安心して払える額を設定していくことが一番大事なことではないか、私はこう考えるわけであります。今の基礎年金の保険料の六千八百円から一万三千円、もしこれが妥当だと思われる方があったらば答えていただきたいと思います。
○長友浪男君 今、るるお話がございましたが、私は余り詳しく勉強したことではございませんけれども、いろいろな方面の資料その他をいただいて勉強した結果からいえば、今現在決めるものとしては妥当な金額ではないかというふうに考えております。
○大橋委員 いや、これは、計算上は今回の給付を下げた場合にこのような保険料になりますよということを計算しただけでありまして、深く掘り下げていけば決して今のような答えは出てこないと私は思います。 次に移りますが、社会保険方式をとることによって、基礎年金からも外されたいわゆる老齢福祉年金の対象者がいるわけです。本来、年金問題が国会で大議論になったのは、むしろこうした老齢福祉年金の額が低過ぎるではないか、その額を上げなさいということで年金論議が華やかになったわけでございますね。そういうことから、今日も私は、こうした方々の年金は低過ぎる、何としても上げなければならぬ、このように考えているわけでございます。 先ほど池永さんでしたか、障害福祉年金あるいは母子福祉年金は今回はフル年金になるので、ぜひとも早く成立させてください、老齢福祉年金が置き去りになっていると思うのですが、この点についてはどうお考えになっておりますか。
○池永義啓君 おっしゃるとおりでございまして、極めてエゴイスティックだと私自身も思っております。ですけれども、老齢福祉年金の場合に、いわゆる福祉サイドとしてのいろいろな物の考え方があろうかと思います。私どものように福祉施設を運営いたしております中で、いろいろな救済策といいますか、そういうものがあったりいたします。先ほど障害の場合に、扶養親族の問題にちょっと触れました。ですけれども……
○大橋委員 座長、ちょっと時間がございませんので。——このままほっておいていいのか、それともやはり何か対策を考えるべきだと思われるか、簡単で結構です。
○池永義啓君 私は、別の面での対策を考えるべきだと思っております。
○大橋委員 おっしゃるとおり、こういう老齢福祉年金の対象者の方は、現在の我が国の大繁栄をもたらした、その基礎を築いてくれた大功労者であるわけでございますから、私も、これは保険料によらざるとも、いわゆる税金でもいいから、一挙に上げろと言いませんけれども、徐々に引き上げて、基礎年金の額に近づけるべきであるという意見を持っております。 時間がございませんので次に移りますが、保険料の負担の方式でございます。 現行国年は定額保険料、厚年は定率の所得比例保険料でございます。新しい革袋には新しい酒をということわざがありますけれども、今回も、それこそ新しく基礎年金が創設されるわけでございますので、サラリーマングループの負担方式も自営業者等のグループの負担方式も同一の方式をとるべきだと私は思うのでございます。今の政府案はこの点が非常にわかりにくくなっておるわけでございますが、長友陳述人にお伺いしたいと思います。
○長友浪男君 国民年金におきましては、先生のおっしゃるとおり、ひとつこれから十分御検討いただきたい、そのように考えております。
○大橋委員 では池永さん、どうでしょうか。保険料の納め方ですね。新しい革袋に新しい酒をと言われるように、新しい基礎年金をつくったのですから、これはみんな同じような条件の保険料の負担方式にすべきではないかという考えを私は持っている。サラリーマンの方は定率で、自営業者の方は定額でというふうになっているわけですが、今回はそこのところは、基礎年金の部分だけは同一にすべきであると考えるのですけれども、いかがでしょう。
○池永義啓君 おっしゃるとおりのような考え方もあろうかと思いますけれども、先ほど長友さんのお話の中にありましたように、所得比例制というものが導入されて、支給の方もそれに応じた、厚生年金と同じように比例的に二階建てができれば一番望ましい姿ではないか、そのように私は考えております。
○大橋委員 私どももまさにそのところは同じ考えです。ありがとうございました。 次に、従来、国年加入対象者、いわゆる強制被保険者でありながら保険料を納めずにきた方々がまだかなりいらっしゃるわけですが、今回新しく基礎年金を発足させるわけでございますので、これはぜひとも特例を設けて救済をしてもらいたい。過去納めねばならなかった期間を納めてない方々に対しては、少なくとも空期間として認めるような特例措置を講じなければ、またまた無年金者が続出するというふうに考えるわけでございます。つまり空期間として認めるべきである、こういう特例措置を設けねばならぬという私の考え方について、もし御意見がございましたらお聞かせ願えませんか。
○長野誠市君 全く賛成であります。
○大橋委員 もう一言お伺いしておきたいと思います。 先ほどから、所得比例保険料を導入するなどの工夫を凝らすべきだと私は主張してきたわけでございますが、ただ、この問題を出しますと、所得の捕捉率の問題が反論の種になってくるわけです。会社員、サラリーマンの方はトーゴーサンと言われるように完全に掌握されて問題ないわけですが、自営業者、農業者については五とか三とかいうような捕捉率になっているから、それを所得比例保険料を導入するということは問題ではないかという議論になるわけですけれども、これは私は別問題だと思うのです。 現在、トーゴーサンであれクロヨンであれ、そのような捕捉率のままに所得税もかかっているし、社会保険料もかけられているわけですから、私は、所得比例保険料をサラリーマン関係にも自営業者関係にも導入するということは、決して無理な考えではないと考えているわけでございますが、これに対して陳述人の皆さんの御意見があればお聞かせ願いたいと思います。
○長友浪男君 意見ではございませんけれども、本日たびたび申し上げましたように、ぜひその方面のことを関係者の方に真剣に取り組んでいただきたい、このように要望いたします。
○野呂正義君 私もそういう考えでございます。
○大橋委員 終わります。ありがとうございました。
○有馬座長 塩田晋君。
○塩田委員 意見陳述者の皆さん方、非常に貴重な御意見を賜りましてありがとうございました。非常に時間が限られておりますので、皆さん簡潔に述べられまして、言い足りない点も多々あったかと思いますが、この際、私の方からもお伺いしたいと思います。 今回の年金法の改正は、年金改革につきましては各陳述者とも改革はすべきであるという前提に立ってのお話だったと承りました。これは、国民ほとんどの方が年金はこのままではいけないという感じを持ってこれを見ておられると思います。一部の何でも反対の人は別といたしまして、これはやはりこの際改革しなければならぬということについては共通意識があると思うのです。 先ほどもちょっと出ましたが、今回の年金改革は財源対策だと言う方もございますが、しかしそれだけではない。確かに財源対策は必要でございます。財源がなければ給付ができないわけでございますから必要でございますが、これが先行してはならないということを谷口さんもおっしゃいました。私は財源対策とともに、あと二つ大きな背景、要因があると思うのです。 それは、先ほど野呂さんがはっきりと言われましたけれども、官民格差の解消の問題でございます。これが現在国民のかなり多くの方々、特に民間の方々の感情としては強いものがあると思うのです。野呂さんも官公が民よりもよくなければならぬという理屈はないと、はっきり明言されたわけでございます。また、政治の要諦というものは、乏しきを分かち合い、等しからざるを憂う、これが政治の一番の基本だと言われておるわけでございまして、財源があれば幾ら差があってもいいというものではない。そこに政治があると思うのです。この官民格差の解消の問題については谷口さん、野呂さんが触れられて、官民格差の解消という立場で意見を述べられたわけでございますが、他の方は、恐らくいろいろお考えはあろうと思いますが、時間の関係で言われなかったかと思いますので、この際お聞かせを願いたいと思います。 もう一点は、勤労と勤労しないこと、生活に対する所得保障という観点から、これも谷口さんあるいは真野さんがおっしゃったことでございますが、働くこと、勤労すること、これは「いそしむ」という言葉の意味を、生きがいとあわせ、働くことの楽しみということについて言われましたが、その働くことと働かないで生活の保障という、これに関連しての問題だと思うのですが、これは後ほどお伺いいたします。 まず、財源と並んで大きな官民格差の解消の問題につきましてどのようにお考えになっておられますか。長友さんから長野さん、池永さんに御意見を承りたいと思います。
○長友浪男君 お答えいたします。 共済年金の問題だと思いますが、私は国民年金関係でございますのであえて触れませんでしたけれども、やはり官民格差という問題は本当に大切なことだと思います。これは、いただきました資料によりますと、閣議決定で六十一年の四月までに一緒に、これは大蔵省の提案になるのでございますか、その法案を成立させるというふうに承っております。現に、これは野呂陳述人から話があったと思いますけれども、その第一次案と申しますか原案ができたというふうにも聞いておりますので、これはぜひ推進していただきたい、このように思っております。
○長野誠市君 私も官民格差は解消すべきだと思います。ただ、歴史的なことを踏まえて見れば、厚生年金の人たち、まあ私も厚生年金の方で、当時青年だったのですが、官の人たちが自分たちの将来の年金は高くもらおう、そのかわり掛金は高くてもいいんだ、こういう運動をしたときに、厚生年金のグループというのは残念ながら掛金を安くせよという運動をした、こういうことが今日の格差の一つ原因になっておるということと、それから、四十八年以降については何とか民を官に近づけるということが本来的な官民格差の解消ではないか、例えば在老制限などというのはその最たるものではないかというふうなことで考えておりましたが、今日の時点になってくるとなかなか、厚生年金が国民年金に足を引っ張られる時勢ですから、共済年金に追いつくという姿よりも、今回出されたような格好になるのであろうと思いますけれども、しかし、このこともやはり、企業年金の性格というのが二階建て部分として共済に残されるというふうに聞いておりますので、これらのことの中で官民格差の解消というふうになればと思います。
○池永義啓君 私も、厚生年金の掛金者一本やりでございますが、おっしゃるとおりに官民格差があることも十分承知いたしております。今長野さんからおっしゃいましたように、厚生年金と国民年金の中にも格差がある。やはりそれぞれの生い立ちがある、掛金もたくさん掛けていたというような経緯は、それはそれなりに尊重すべき部分は尊重しなければならないであろう。けれども、基本的な部分では徐々に是正をしていくべきであろう、そんなふうに考えております。
○塩田委員 ありがとうございました。皆さんがおっしゃいましたように、これには歴史的な背景がございますし、また現に受け取っておられる方もあるわけでございますし、また掛金も違っておる。それぞれ違った中で運営されてきたわけでございますから、それを無視するような形はもちろんいけない。谷口さんが言われましたように、一元化という方向で、官民格差は国民感情としてこれならやむを得ないというところまで直すべきだという共通的な御意見を承ったものと思いますので、ありがとうございました。 それから、同じく谷口さんが触れられたわけでございますが、定年制と年金の支給開始時期の問題でございます。これについては、谷口さんは何か補足的な御説明がございますれば言っていただきたいのですが、あとの方は触れられておりませんので、お考えをお聞かせ願いたいわけでございます。 この支給開始年齢の問題につきましては、定年制が特に谷口さんが言われましたように、北海道では三二・四%しか六十歳定年をやっていないという現状でございます。規模別に見ましても、規模の小さいところほどまだまだ平均の三二・四%までに達していないという状況の中で、支給開始年齢を六十五歳に持っていくことについてのギャップをどう埋めるのだということから、支給開始年齢六十五歳というのをもっと先に延ばすように、六十五歳はもう少し待てという趣旨だったと思うのです。それとともに、雇用政策として六十歳定年が実現され、また、それが実現された後六十五歳定年ということになっていけば、これはまた将来考えられるという趣旨に承ったのでございますが、谷口さん、そういうことでございますか。
○谷口忠義君 先ほども性格論がいろいろ出ましたけれども、年金は生活の最低保障的な意味合いを持っている。したがいまして、生活全般をクリアするような年金の水準というものを求めることになれば当然負担が大きくなるわけですから、そこら辺の水準論についてはいろいろあると思われます。しかし、いずれにしても、現在退職後の再就職希望率は非常に高いわけでありまして、これはもちろん生きがい、働きがいという問題は別にありますけれども、現実の問題として、やはり定年後再就職をして収入の道をつけなければならない、こういうことだろうというふうに思うわけであります。したがいまして、この退職年齢と支給開始年齢が離れていけばいくほどその再就職という問題にぶつかってくるわけでありますし、現在の雇用情勢からしますと高齢者の再就職条件は非常に悪くなってきているというようなこともありますので、ぜひその連続性というものを強調しておきたいと思います。 それともう一つは、直接定年年齢との関係ではありませんけれども、現在の日本の賃金制度というのは退職金という制度が非常に多く採用されているわけでありまして、この退職金の使い方というのも、おおむね老後生活とかあるいは持ち家を含めました財産形成に使われている実態であります。したがって、最低保障と生活水準という問題については、こういった退職金の充当という個人的な計画というものも非常に大事になってくるのではないか。その退職金の使い方一つによって老後の生活が安定する、しない、こういう問題になろうかと思うわけです。 したがって、退職金が単に生活給や財産形成なり持ち家のためにほとんどが費やされているというような現状に対しては、やはり持ち家政策を充実しなければならないというふうに考えるわけで、そういう意味では、ライフサイクルといいますか、生涯生活の設計というものは、個人の領域における分野と国や地方自治体における分野と、そういうものが整合性がとられなければ老後生活というものは安定していかないのではないか、こういうふうに考えますので、そこの連続性というものをぜひ全体的な制度として確立をしていただきたい、こういうことでございます。
○塩田委員 今、定年雇用制の問題あるいは賃金、退職金等の制度の問題、住宅政策等も含めてこの年金問題を考えなければならないという御主張だったと思うのですが、時間の関係で、年金支給開始の時期の問題と定年制の問題、これとの関連についての御意見を簡単に三十秒ずつひとつお願いしたいのです。
○長友浪男君 定年制は現在まちまちと申し上げますか、まだ一律になっておりません。したがいまして、今いろいろ言われましたように、退職金等も絡めて考えるならば、この年金支給開始時期というのはこれでいいのではないか、こういうふうに私は考えております。
○長野誠市君 定年制については、民間企業では六十歳という定年制を持ったとしても、例えば函館ドックのように、もう五十五歳の声を聞いたら、おやじやめないのかというような状況になるわけですから、少なくとも開始年齢の六十歳を後に延ばすことについては反対であります。
○野呂正義君 雇用環境の問題等からいいまして、現在の六十歳という支給開始年齢、これは妥当じゃないかと思います。年金の支給開始年齢六十五歳、六十五歳定年というのは、まだまだ雇用環境が充実しておりませんので、六十歳が妥当だろう、こういうふうに考えております。
○池永義啓君 私は、若干反対意見を申し述べたいのです。 生産年齢人口は、子供が少なくなりますし、年々減少してまいる傾向にある。六十五歳でも働きたい、七十歳でも働きたいという老齢の働きたい人口がふえてきております。この辺の受け皿を、松下その他では老齢者雇用対策ということで別個に考えているようでございます。私どものところでは六十歳定年をしいておりますけれども、六十五歳までは働き得る、あるいは能力のある人は、雇用体制は若干違いますが、嘱託雇用ということで延長しております。そんなふうなことがこれからはふえてくるのではないかなという気もいたします。 支給開始年齢は早いにこしたことはございませんけれども、やむを得ざる場合と、いま一つ、生産年齢人口なるものがだんだん減少していくということからしますと、先ほどの年金を支える部分がますます減少していくということにもつながりかねない、そんなふうに思ったりしております。
○塩田委員 ありがとうございました。
○有馬座長 浦井洋君。
○浦井委員 どうも皆さん御苦労さまです。私が最後でございますので……。 今度の年金改正法案というのは、一言で言えば給付を引き下げ負担を引き上げるという点で、私ども共産党は反対をしておるわけでございます。ただ、先ほどから議論になっておりますように、国年、厚年の二%スライド条項であるとか、事後重症その他の障害者の皆さん方の部分で改善されておる部分、改善される部分があるので、それは早く取り出して別の法案にして提出をしたらすぐに通してあげましょうというふうに主張いたしておるわけであります。 そういう観点で、時間もございませんので、雇用されておられる方あるいはかつて雇用されておられた方の代表として、長野さんと谷口さんに数点お尋ねをしたいわけです。一括してお尋ねをいたします。 現在、我が国では千数百万人の方が何らかの年金を受給しておられるわけでありますが、よく調べてみますと、そのうち八割までの九百万人余りが老齢福祉年金あるいは五年、十年の経過年金ということで、しかも押しなべて二万円台である。今の政府案はこの現実に全く触れておらないわけでありまして、この低い額を引き上げるということが今の緊急の課題にならなければならぬのだと私どもは思っておるわけでありますけれども、長野さん、谷口さんはどういうお考えをお持ちかお尋ねしたいと思います。これが第一点であります。 第二点は、これも先ほど出ましたが、無年金者が四十万、五十万おるわけであります。これがさらに、今度の政府原案が成立をいたしまして、四十年拠出で五万円ということで基礎年金ができる、しかも保険料は今で六千二百二十円、これが一万三千円に上がるというようなことになると、ますます無年金者がふえていくだろうということが容易に予想されるわけでありますが、これに対してどういうふうに思っておられるかお聞きしたい。これが第二点であります。 第三点は、先ほどからも出ておりますように財源対策で、やはり我々も社会保険方式というのを使わなければならぬだろうと考えておるわけであります。そこで、谷口さんが午前中に言われましたように、労使の負担割合、現在は厚生年金で言えば五、五でありますけれども、これをやはり皆さん方が要求しておられるように七、三ぐらいに持っていく、今の労働者の負担分五を三ぐらいにそのまま横滑りさせて、その割で使用者の方を七に持っていく、しかも激変緩和措置として十年ぐらいの間で徐々に負担割合を毎年毎年変えていくというような格好にしたらどうかと思っておるのでありますが、こういう提案に対してどのように考えられるかという点、これが第三点であります。 第四点、これは今、年金保険というのはやはり人を雇用している、その人に保険料を掛けるということになるわけで、企業が大きくなればなるほど、合理化が進み人減らしが進んでまいりますと、どうしても社会保険料の負担率は中小零細企業に比べて大企業が低くなるというのは否めないと思うのであります。そこで発想の転換をして、私は的確な表現ができないわけでありますが、資本力であるとかあるいは合理化率と言うと変な言葉でありますが、こういうものに応じて特別の保険料というようなものを、企業の規模に応じて、結局大企業が負担をするということになっていくわけでありますが、そういうことを考えられないものかどうかというふうに私どもは考えておるわけで、この点についてどう思われるか。 ちょっと早口で飛ばしましたけれども、その四点について、簡単に長野さんと谷口さんにお願いしたいと思います。
○長野誠市君 一番目の年金受給者の無年金者あるいは福祉年金、五年年金、十年年金のことについては、一番私どもも関心を持っております。ぜひこれについては、特に先ほどから何回となく申し上げている最低を引き上げてくれというのはやはりここにあるということで、これについては全く賛成であります。 それから、無年金者がふえるということについてはおっしゃるとおりでありまして、例えば札幌市においては、九月、十月は国民年金に入りましょうという一大運動を起こしております。というのは、余りに入らない人が多い、あるいは休む人が多いということで、随分PRをしまして、ある程度の成果を上げたと言っておりますけれども、二月、三月掛けるとこれまたすぐやめる、休むということの繰り返しであります。したがって、四十年で五万円というのは何としても安過ぎるということと、さらに無年金者がふえていくであろうということは、二十五年掛けなければだめだということで、非常にその面での不安というのはあります。したがって、先ほど先生が申されたように、空期間の活用というようなことも含めて対処していただきたい、こう思います。 それから財源対策でございますが、これについては私は四、六という言葉を申しましたが、それは七、三であればなおさら結構だと思いますが、なかなかこれは合意がどうかということで、四、六ぐらいのところなら合意が得られるのじゃないかということを含めて、そうすると労働者の負担は、ふえはしても極端なものから若干緩和をされる、こう考えます。 四番目の企業から取るということ等は、実は思いもつかなかったことで、考えてもおりませんでした。ただ、目的税として何らかの方法がないのかということは論議をしたことはありますけれども、これについても確たるものは持っておりません。
○谷口忠義君 老齢福祉年金あるいは十年年金、五年年金については、やはり国庫負担をもって救済すべきだと思います。 それから、無年金者の扱いにつきましては、特に未加入者の対策はやはり別途必要だろうと思いますが、免除者といいますか納められない人の扱い、これについてはやはり救済措置を講じるべきである。 それから財源対策については私は七対三で、やはり三ぐらいでなければ私どもはとても負担が大き過ぎる、こういうことでございます。 ただ、それとの関係で言いますと、今最後に先生がおっしゃられた問題については、私ども民間の企業としてはなかなか合意が得られないのじゃないか。つまり、年金というのは社会保障制度の大きな柱でございますから、本来的に言えば、これは国の福祉政策として国が責任を持つべきものではないか。それを今は受益者と企業と国と、こういう三者によって構成しているわけですから、財源対策上仮に七対三で使の方が七ということになれば、やはりその負担もますます大きくなるわけでありますから、今おっしゃられたようなペナルティー的なものは合意が得られないのではないか、こういうふうに思います。
○浦井委員 どうもありがとうございました。
○有馬座長 この際、一言ごあいさつ申し上げます。 意見陳述者の方々におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。 拝聴いたしました御意見は、本委員会の審議に資するところ極めて大なるものがあると信じます。厚く御礼を申し上げます。 また、この会議開催のため、格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、深甚の謝意を表する次第でございます。 それでは、これで散会いたします。 午後二時五十八分散会 ————◇————— 派遣委員の鹿児島県における意見聴取に関する記録 一、期日 昭和五十九年十一月十五日(木) 二、場所 鹿児島県県議会議事堂(全員協議会室) 三、意見を聴取した問題 国民年金法等改正問題について 四、出席者 (1) 派遣委員 座長 今井 勇君 自見庄三郎君 網岡 雄君 村山 富市君 平石磨作太郎君 塚田 延充君 (2) 現地参加委員 有馬 元治君 長野 祐也君 小沢 和秋君 (3) 現地参加議員 上西 和郎君 (4) 政府側出席者 厚生省社会局老 人福祉課長 阿部 正俊君 社会保険庁年金 保険部長 長尾 立子君 (5) 意見陳述者 社団法人鹿児島 県国民年金協会 連合会会長 福元 清輝君 鹿児島県退職婦 人教職員連絡協 議会事務局次長 中原 タエ君 社会福祉法人鹿 児島県身体障害 者福祉協会会長 近藤 重和君 福岡大学教授 石田 重森君 鹿児島経済大学 教授 小林 節夫君 鹿児島地方同盟 副会長 二宮 誠君 ————◇————— 午前十時開議
○今井座長 これより会議を開きます。 私は、衆議院社会労働委員会派遣委員団団長の自由民主党・新自由国民連合今井勇でございます。 私がこの会議の座長を務めますので、よろしくお願いを申し上げます。 この際、私から、派遣委員を代表いたしまして、ごあいさつを申し上げます。 皆様御承知のとおり、本委員会におきましては、国民年金法等一部改正案の審査を託されております。 当委員会といたしましては、国民年金法等改正問題について、国民各界各層の方々から御意見を聴取するため、札幌市と御当地におきまして、この会議を催し、各界の代表の方々から忌憚のない御意見をお伺いするものであります。 御意見をお述べいただきます方々には、御多用中にもかかわりませず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。 まず、この会議の運営につきまして御説明を申し上げます。 会議の議事は、すべて衆議院におきます委員会運営についての議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言をなさる方は、座長の許可を得て発言していただきたいと存じます。 なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく方々は、委員に対しての質疑はできないこととなっておりますので、あらかじめ御承知おきをいただきたいと存じます。 次に、この会議の順序につきまして申し上げます。 最初に、意見陳述者の皆さんから御意見をそれぞれ十五分程度、順次お述べいただきました後、委員より質疑を行うことになっておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。 それでは、派遣委員を紹介いたします。 自由民主党・新自由国民連合の自見庄三郎君、日本社会党・護憲共同の村山富市君、網岡雄君、公明党・国民会議の平石磨作太郎君、民社党・国民連合の塚田延充君並びに私の六名であります。なお、現地参加委員として、本委員会の委員長であります有馬元治君、自由民主党・新自由国民連合の長野祐也君、日本共産党・革新共同の小沢和秋君、現地参加議員として、日本社会党・護憲共同の上西和郎君が出席されております。 次に、各界を代表して御意見を述べていただく方々を御紹介いたします。 社団法人鹿児島県国民年金協会連合会会長福元清輝君、鹿児島県退職婦人教職員連絡協議会事務局次長中原タエ君、社会福祉法人鹿児島県身体障害者福祉協会会長近藤重和君、福岡大学教授石田重森君、鹿児島経済大学教授小林節夫君、鹿児島地方同盟副会長二宮誠君、以上の方々であります。 それでは、福元清輝君から御意見をお述べいただきます。
○福元清輝君 ただいま御紹介にあずかりました鹿児島県の国民年金協会連合会会長の福元でございます。本日の会議に先陣を承りまして非常に光栄に存じておりますが、どうかひとつよろしくお願い申し上げます。 今回、厚生省から示されました案に対し、それぞれ専門的な見地から御意見の開陳があると思いますが、私は、鹿児島県の実情を踏まえ、地方の素朴な考え方を述べさしていただきたいと存じます。 まず第一に、昭和五十五年度の国勢調査によるものの統計でございますが、六十五歳以上の方の全国的な比率が九・一%でございます。これに対し、本県は一二・七%を占めております。この数字から見ましても、鹿児島県は人口の高齢化現象が全国の水準より極めて速い速度、十四年あるいは十五年も速いテンポで進んでいると言われております。また、受給権者の内容も大体これに準じたような傾向を示しておりますし、特に本県は多くの離島を抱えておりますので、この離島の中には極めて水準の高いところもございます。加うるに、県民の一人当たりの所得が全国平均をはるかに下回っておりますので、国民年金に対するところの依存度も大変高く、また関心も深いわけでございます。したがって、これまで国民年金の将来に対しいろいろ厳しい批判があったことも皆さん御承知と存じますが、この厳しい批判に大きな不安を持った方々もございます。そういうことで、一日も早くこの制度が長期にわたり安定されるように希望してまいっております。 本県には、ほとんどの市町村に、国民年金事業を推進することに協力するところの国民年金協会と称する民間組織の活動体がございます。ここでこの問題を大きく取り上げまして、年々、厚生省を初めそれぞれの関係方面並びに地元選出の国会議員の諸先生に、この要望を熱心にやってまいりました。それだけに、この春の通常国会に本改正案が提出されたときには、大きな期待を持ったのです。しかし、残念ながら継続審議となって、次期国会に持ち越されましたことを非常に遺憾に存じます。このような実情を酌んでいただき、来るべき国会にはぜひとも本改正案が成立するようお願い申し上げる次第でございます。 ところで、今回の改正案の内容についてでありますが、まず注目すべき第一点は、国民年金並びに厚生年金に共通する基礎年金の導入でございます。現在の国民年金制度を、基礎年金を支給する制度に発展せしめたことでございます。 この基礎年金の導入によりまして、すべての国民が給付の条件や負担の条件等が等しくなり、制度間の格差是正がなされようとしております。また、共済組合制度を含め、これまで乱立していた公的年金の縦割りの制度が横に結びついて、共通の土台を築きながら一人一年金制という原則をとられて、重複年金支給の不合理を改善されようとしています。このようなことで、公的年金制度の基盤の安定、充実について努力されておるところでございます。さらに、任意加入の見直しでございます。これについては、従来任意加入されておったサラリーマンの家庭の配偶者が、今回の制度改善によりまして国民年金の適用を受けることになって基礎年金が支給される、長い間の念願でありました婦人の年金権の確立ができたことを非常に喜んでおります。また同時に、障害者の保障の充実等も図られておるようでございます。 格差の是正あるいはまた重複年金の不合理の是正、公的年金制度の基盤の充実等、公平、公正を前提とするところの公的年金制度がこのように合理化されることを考えますとき、私は基礎年金の導入を高く評価いたしております。 次に、社会保険方式の現行制度からの引き続きの維持でございますが、保険料の納付を年金支給の要件として、基本的には保険料が本制度の前提になるようでございます。我が国の公的年金制度は、すべてこの社会保険方式をば採用して今日に至っておりますので、この制度には大変なじんでおります。また、老後の生活の安定を期するためには、働けるときそれなりにみずからの努力をすることが大変大事なことではないかと思います。このようなことを考えるとき、私は、保険料の納付には大変意義があるものと存じます。それに、現行制度が社会保険方式で運営されることをあわせ考えますとき、この方式には国民の理解と協力が得られるのではないか、かように存ずる次第でございます。 それから、給付と負担の問題でございますが、公的年金制度は世代間の相互扶助の上に成り立っております。被保険者の世代と受給権者の世代の連帯性が大変大事なことではないかと思うのです。同時に、受給権者に支払われるところの年金水準と、それを支える被保険者の所得水準との調和がとれなくてはなりませんし、そのバランスが大変大事なことでございます。したがって、長期にわたって本制度の安定を確保するためには、給付と負担を見直し、その適正化を図るという本改正案は、私は当を得たものではなかろうかと存じております。 改正案によりますと、給付は月一人五万円になっております。高齢者の現実の生計費など、これを総合的に勘案しますときに、妥当なものであると前厚生大臣は説明の中で述べておられるようでございます。一方、鹿児島県の実情から見ますとき、鹿児島県は農業を中心とした県でございますが、この農業収入から見ますときに、月一人五万円、夫婦で十万円という金額は、私は決して価値のないものではないと思います。これに対しては、五万円という金額は低いじゃないかという見解もあるようでございますが、鹿児島県では毎年県下の名地区にわたりまして指導者の研修会をいたしておりまして、今回の研修会で離島の方々の生の声も聞いております。この改正案を説明しますと、仮に農業あるいはサトウキビを二ヘクタールつくったとしても、諸経費を差し引くと大体百二、三十万円だ、月にすると、まあ十万円内外ではなかろうか。しかもこの農業は天候によって非常に極端な差がある。こういうことを考えたときに、寝ておって何もしないでも、夫婦が将来死ぬまで月十万円いただけることは大変ありがたいことだという生の声も聞いております。 それから、今回の改正案によりますと、既に年金を受けている者、また、間もなく年金を受けようとする方々に対しては、現行制度から円滑な移行を期するためにそのままにしておく、手直しがされておりません。この点につきましても、先ほども申し上げましたが、本県の受給権者は、法の改正はぜひやってもらわねばならぬが、その暁には自分の年金はどうなるのだろうか、減額されはせぬだろうかという不安を持っている方もたくさんあるようでございます。このようなことを考えますときに、今回のこの措置は大変適当ではないか、かように存じでおります。 また、この改正案によりますと、外国に在住する日本人にも任意加入の道が開かれております。この点につきましても、本県には中国から帰国された方々も相当おります。これらの方々からこれまで、我々もぜひ国民年金制度に加入さしてもらいたいという強い要望がありまして、このことも関係方面に我々は今日まで訴えてまいりました。したがって、このような措置がなされたこと、大変温かい措置ではないか、私はかように存じております。 国民年金事業の運営は、御承知のとおり、他の公的な年金制度と違い、歴史の浅いところに加入者が非常に多うございます。したがって、保険料納付を初めいろんな複雑な難しい面もたくさんありますので、国民の理解と協力を求めることがまず前提でございます。したがって、この法案によって、国民年金制度が公的年金制度の土台となって重要な役割を演ずるようになるということを考えますとき、この制度に対する国民の認識も一層深まってまいるのではないか、かように存じております。 要するに、今回の改正法案は制度体系の再編成でございます。我が国の現状を見ますとき、公的年金制度は現在その転換期にあると私は存じております。このような流れの中で、公的年金制度の将来を考えて、今後長期にわたり安定した……
○今井座長 福元清輝君に申し上げますが、時間をお守りいただきますように、ひとつなるべく早くお願いいたします。
○福元清輝君 はい、承知しました。 安定した運営を企図されましたが、私は、この精神に対しまして深く敬意を表しております。 これから、あらゆる角度から多くの意見もあろうと思いますが、それはそれなりに将来の検討をしていただき、また、我が国の将来の社会経済の変動によってそれ相応の対応策も出てくるのではないかと思います。したがって、当面高齢化社会の急激な到来を控えておりますが、そのためには時間の制約も予想されますので、私は来るべき国会において今回の改正案がぜひ成立しますよう先生方の特段の御配慮をお願い申し上げまして、私の所見を終わりたいと思います。 どうもありがとうございました。
○今井座長 ありがとうございました。 次に、中原タエ君にお願いをいたします。
○中原タエ君 私は、鹿児島県退職女教師の会の事務局次長をいたしております中原でございます。 最近、ちまたに聞かれる、厚生年金や国民年金等すべての年金が近い将来統合されるという問題は、共済年金の受給者である私もいささか関心を持っている一人でございます。そのような立場から、今進められている国民年金法等の改定につきまして意見を述べたいと存じます。 今、日本は急速に高齢化社会への道をたどり、年金の受給者がふえ続け、逆に保険料を納める現役労働者が少なくなって、あすにも年金財政は破綻してしまうのではないかということが誇大に宣伝される中で、一般庶民もそう思わざるを得ないような心境に駆られる次第でございますが、果たして実情はどうでございましょうか。 衆議院社会労働委員会におきまして厚生省が明らかにしたところによりますと、次のとおりでございます。五十九年度末の積立金は、厚生年金が四十五兆円、国民年金が三兆円で、合計いたしますと四十八兆円の積立金があることになっております。さらに十年後の七十年には、厚生年金が百三十八兆円、国民年金が九兆六千億円で、合計いたしますと百四十七兆六千億円となるようでございます。さらに十年後の昭和八十年には、厚生年金は百九十三兆円、国民年金は二十四兆円、合計いたしまして二百十七兆円の積立金が残ることになっているようでございます。これは、現在の制度をそのまま維持した場合の推計でございまして、今から二十年後になりましても積立金はふえるばかりでございます。しかも厚生年金の保険料は、六十一年度一二・四%、十年後の昭和七十年には一四・二%、昭和八十年には一八・〇%ということになっております。これは、五年ごとに保険料を一・八%ずつ引き上げるという従来の方針を踏襲した場合のことでございまして、この点について改善を加えれば、先進諸外国に比べましても国費の高負担であるとは言えないと思います。 このように、二百兆円を超える累積剰余積立金ができることが明らかであるにもかかわらず、なぜ六十一年四月から年金の統合をお急ぎになるのか、まことに素朴な疑問を抱く次第でございます。また、このような数字は、故意にか偶然にかわかりませんが、マスコミの紙面にはほとんど報道されていないように思います。ただ高齢化社会がやってきて大変だということだけが言われて、国民の不安を駆り立てているように見受けられます。 また、この膨大な積立金の運用についても問題があるように思います。年金の積立金は、五十九年度まで四十八兆円、この利子だけでも三兆円を超えると言われます。その運用は、大蔵省の資金運用部の他の資金と一緒に運用され、保険料を納めた側の声は全く反映されない仕組みになっているのではないでしょうか。資金の運用につきましては、五分五厘の低利であったものが、ただいま七分一厘程度に引き上げられているということですが、今国債を買っても七分五厘、八十年度は八分八厘八毛になり、簡易保険はさらに高利となっております。資金の運用は、安全性とともに、少しでも有利な運用をして金利の増加を図り、健全な保険財政を築くことができれば、保険料の引き上げ率を多少なりと緩和することができると存じます。 次に、制度の内容について二、三意見を述べさせていただきます。 まず、基礎年金は四十年で一人五万円、夫婦では十万円になると言われております。仮に夫と妻の年齢が五歳違っていたとしますと、夫が六十五歳になって妻が六十歳になったとき、夫が年金を受給できるようになってやっと五万円、夫が七十歳になったとき妻が六十五歳で初めて十万円受給できることになります。もし夫が死亡したとしますと、基礎年金は一人分の五万円に下がってしまうことになります。したがって、一世帯十万円の年金というのは幻想にすぎないと言っても過言ではありますまい。現に、女子の平均寿命は八十歳と言われますが、そこまで寿命があったとしますと、六十五歳から十五年間、五万円の年金で生活しなければならない結果となります。二人で十万円なら一人では五万円で生活できるというものでは決してないことは、御承知のとおりでございます。現在の制度では、四十年掛ければおよそ七万八千円になるわけでございますので、せめてこの金額あるいはそれ以上の引き上げを再検討していただかなければならない問題かと存じます。 次は、死亡一時金と寡婦年金、遺児年金の選択制の問題でございます。一家の大黒柱である夫が死亡した場合、わずか二万三千円から二万七千円程度の死亡一時金をもらったばかりに、寡婦年金、遺児年金はもらえなくなるということでございますが、このことを承知している主婦が果たしてどのくらいいるのでしょうか。かねて法律に疎い主婦のことでございます。自治体の徹底した指導がない限り、知らないがゆえにその選択を誤って不幸なくじを引いてしまったということになりかねません。なお、現在の死亡一時金は、生活保護費に組まれている葬祭料よりもはるかに低いということでございまして、制度的にも矛盾を含んだ問題でございますので、ぜひとも御検討いただきたいと存じます。 次に、高齢化社会についてでございます。現在は、四人または三人を一家族の基準人数として考えられている実情でございますので、さらに高齢化社会が訪れた場合の保険料負担者の減少を、保険財政の圧迫と重ねて憂慮する傾向にあることは、申すまでもない事実でございます。このことも、安心して育児のできるシステムを政策の上で考慮されたならば、取るに足らない心配事として解消するのではないでしょうか。 さらに、厚生年金、国民年金の還元融資による住宅貸し付けのことでございますが、現在、住宅金融公庫を利用して住宅の新築、増築、改築、購入などをしようとする場合は抽せん制になっていまして、五十八年度厚生年金が二八%、国民年金が六五%の当せん率になっているようでございます。ところが、住宅金融公庫は申込順に受け付けを行い、抽せん制は履行されていないのが現実のようでございます。このことにつきましても、厚生年金、国民年金の住宅資金の枠をもっと広げて、加入者、被保険者に事実上の還元をされ、年金制度の活用を有意義になされるようお願いいたします。 最後に、政府は厚生年金と国民年金の統合案とベース改定を抱き合わせて国会に提案しておられますが、日本社会党を初めとする野党が共同提案しているベース改定の法案を先に可決して、年内支給ができるように御努力をお願いいたしたいと存じます。 年金制度の内容につきましては、さきに申し述べましたとおり、まだたくさんの不備があるように存じますが、国家百年の大計に関する重要な制度の設定でございますので、慎重審議、国民の納得の上に立派な制度が成立しますよう心からお願い申し上げまして、私の意見陳述を終わります。
○今井座長 どうもありがとうございました。 次に、近藤重和君にお願いをいたします。
○近藤重和君 社会福祉法人鹿児島県身体障害者福祉協会の会長であり、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会の常任理事であり、なおかつ自分自身が障害者でありますので、それらの経験等を踏まえて、きょうは国民年金法等の一部を改正する法案に対する意見を少し述べさせていただきます。 と申しますのは、きょう私、自分自身の障害者手帳を持ってまいりましたけれども、私がここへ立てますそのこと自体が、皆様方が本当に、敗戦直後のあの混乱の中でつくっていただきました身体障害者福祉法の大きな恩恵を受けて今日立てるという一つの喜びを申し上げながら、お願いに及びたいと思うわけでございます。 と申しますのは、あのときにもし結核予防法あるいは身体障害者福祉法がございませんでしたら、私は今日ここに立つ機会はなかったのだろうと思うのです。と申しますのは、両肺は全部粟粒結核でやられて、背骨が五本全部傷んで腹膜炎を起こして、一週間もてばまあいい方だろうという死の宣告をされまして、国立霧島療養所に入院いたしまして以来、五年間一度も起きたことなく、ギプスにはまったまま、天井を向いたままの療養が今日に及んだわけでございます。その間、結核予防法、生活保護法、あるいはまた医療保護法、こういった法律を適切に受けながらやってまいりました。法律というのはやはり適時適切に、多少は異存ございましょうけれども成立させていただくことが、多くの困難を救い得る可能性があるのではないか、こう思うわけでございます。 実はきょう、十五分では到底言い尽くせませんので、少し資料を持ってまいりました。座長にお願いしまして、よろしければ後で御披見願いながら、少し身体障害者の不安の心情あるいは給与の現状、あるいはまた心意気等をごらん願いながらお聞き取り願えれば私は幸いだと思いますが、いかがでございましょうか。
○今井座長 結構でございます。
○近藤重和君 よろしくひとつお願い申し上げます。 既に御承知のとおりに、一九八一年五月、衆議院におきまして、皆様方、国際障害者年を一つの契機として、「完全参加と平等」の実現を目指しての「働くことの困難な重度障害者の所得保障対策の確立に努めること。」こういうことを御決議願っております。私どもはこれをいただいたときに、ああ、ありがたいな、本当に私どもが希望しているときが来たな。と申しますのは、御承知のとおりに、身体障害者に対する福祉年金が設定されましたのは昭和三十四年十一月、わずか千円で始まりました。千円という福祉年金、これは私どもはなるほど大きな山を乗り越えた、年金に加入できない障害者が、少なくとも国家の名において福祉年金をいただける、こういう喜びを抱きましたけれども、その額の余りの小ささに、私どもは大変な失望を感じたものでございます。 今日まで、私どもは、全国の都道府県、政令都市を交えまして、毎年全国身体障害者福祉大会を開いておりますが、既に皆様方のお手元にお届けしたと思いますけれども、所得保障による年金をお願いしたい、そして障害福祉年金を一応外していただきたい、所得保障の根底をつくっていただきたい、こういうことを三十年間言い続けてまいりましたときに、このたびようやく皆様方のお手元にこの資料が参りました。しかも、国民年金全般にわたる改正の中でそれが行われる。これは私どもにとって一種の革命とも考えていいほどの大きな改正ではないか、これはぜひ皆様方の御尽力を賜りたい、また賜れるはずだという形で期待しておりましたが、いかんせん前回の国会におきまして健康保険法のためにこれが継続審議になりまして、まことに私どもは残念の涙を流したわけでございます。 お手元の資料の中に出ておりますけれども、 ごめんなさいね おかあさん ごめんなさいね おかあさん ぼくがうまれて ごめんなさい ぼくを背負う かあさんの 細いうなじに ぼくは言う ぼくさえ 生まれなかったら かあさんの白髪も なかったろうね 大きくなった そのむすこを 背負って歩く かなしさも 「かたわな子だね」と ふりかえる つめたい視線に泣くことも ぼくさえ 生まれなかったら これは、わずか十六歳でこの地上生活を終わりました重度障害者土谷康文君の詩でございますけれども、こういう不安を抱きながら、しかも扶養者にまで所得制限をかけられて、常に自分は扶養されているんだ、自立はどこにもないんだという不安感でおります子供たち。 御承知のとおり、重度障害者というのは普通の方より生命が短うございます。その短い生命の中で、少なくとも皆様方の御努力によって、このたびの基礎年金について、君自身が悪くてそうなったんじゃないんだ、君自身が負ってきた運命そのものを国家として少しサポートしようじゃないか、こういう形でこの法案を通していただけましたら、その法案の上に彼ら自身が勇気を持って——それこそ「開拓精神」と最後に書いてございますが、その字は足で書いた字でございます。一番最後の「開拓精神」、決して手で書いた字ではございません。両手のないサリドマイドの吉森こずえ君が、歯を食いしばって足で書いた「開拓精神」。今ここで皆様方に、二十一世紀に向かっての一番大事なこのところで、ぜひ今国会で改正を願いたいのであります。 と申しますのは、昭和六十一年の実施ということは、国際障害者年十年のちょうど真ん中でございまして、ここで結論を出さなければ、私は、国際障害者年に向かって、前回オーストリアのウィーンの国連支部の国際障害者年でシャハニンと語ってまいりましたときに、日本は必ず五年後には何らかの答案を出すであろう。その一つが、皆様方の今回の身体障害者福祉法の改正でございます。まさしく私どもこれも待ち望んだものでございますけれども、さらにこの年金法の改正により、基礎年金ということが一つのファウンデーションとして、五万円というのは決して私どもは満足するものではございません。しかし、まずそこから出発する。最初、私がここに立てるその理由は、決してそれがすべてではございませんでしたけれども、法の適用がまさに私の体にうまく合ったがゆえに今日皆様の前に立てる。昭和三十三年に同志を結合して日本全体の組織をつくり上げて、今日まで御一緒して身体障害者の問題に取り組めた、それはやはり法のおかげだと思うのであります。 日本が、もし世界に冠たる福祉国家として、経済国家だけじゃなくて今後推移するとするならば、今ここでこの年度内の法の成立を見ませんと、承りますところによりますと、千数百万ですか、壮大な数の保険の受給者のコンピューターへの組み込みをお一人お一人しなければならない。その時間たるやべらぼうな時間をとる。それは一年では足りないかもしれない。そういうときにここでちゅうちょするということは、昭和六十一年の四月には間に合わないのじゃないか。 私どもは、きょうこの私の陳述が終わりますと、すぐまた東京に上りまして、恐らく皆様方のところに一軒一軒各団体の長が参上いたしまして、それこそ涙を流しながら、よろしくお願いいたします。それは、昭和六十一年という年は特別な年である。国際障害者年のちょうど真ん中に来ている。ここで一つのけりをつけておかなければ、それはずるずると行ってしまうのではないか。法がすべてを満足するとは思いません。しかし、それは時間と、そしてまた長期の実績のもとに一つ一つ変えるのでありますが、まずここで、決してスライドだけじゃなくて、分離しないで一括してお願いしたい、一気に通していただきたい、これが悲願でございます。 私どもは、現在までにたくさんの資料をお手元へ提供しました。現在の障害者に対する保障制度がいかに不十分であるかということは、お手元の資料でごらん願うとわかりますけれども、今、鹿児島県で大きな問題が一つ起きております。障害者多数雇用企業が賃金不払いを起こして、国家から膨大な助成と膨大な施設をいただきながら、障害者は一銭の給料も六月以来いただいておりません。食うに困っております。そのときに、少なくとも基礎年金で生活の、生存の基礎を支えるだけのお金があったならば、彼らはもう少し今日も頑張りができるのではないか。八十一名から出発したその会社は、現在もう三十一名、ばらばらに散ってしまいました。その賃金体系、全部お手元の資料にございます。後でごらん願いましたら、それらのことも御了解願えると思います。 今回の法改正は、二十一世紀に向けての年金制度の、健全でかつ安定した、長期を見通した一つの基本としての不可欠なものじゃないか、こう理解申し上げております。こいねがわくは、諸先生方は御専門でいらっしゃいますし、先生方によらなければ新しい時代はやってまいりません。先生方の時代に、日本の福祉国家としての金字塔の一つを建てておいたという記念碑をつくっていただきましたならば、私どもは心から感謝を申し上げ、そして障害者自身がみずからの力で開拓精神、すなわちみずからの足で国民の中にその場を得ながら、国民の御理解をいただきながら前進を試みることができるのではないか、こう思っております。 特に重要なのは、おくれたら間に合わない子供がある。小学校四年生の山本明君の詩がございます。——僕の体は骨と皮だけじゃないか、一体何のために生まれてきたのだ、役目がなければ生まれてこなかった方がよかったのじゃないか、先生が言っていた、死んでしまったら何もできないぞ、考えてもみろ、そうだ、僕は生きているんだから。——小学校四年生で自分の人生観を模索しなければならぬ、こういう子供たちが、該当者が現在も六十万おります。それが次から次へと追いかけてまいります。そのときに、ああ、あのときにつくっておいてよかった、あのときに改正をしておいてよかった、障害者の基礎年金、生活でき得る所得保障。これは私どもにとって本当に天からの声でございます。 どうかひとつ先生方、このたびの改正を一日も早く、年内に一括して御審議賜り、御可決賜りますよう心からお願いして、私のお話を終わりたいと思いますが、なお、詳細については後ほどまた少しお話し申し上げたいと思います。 以上でございます。
○今井座長 ありがとうございました。 次に、石田重森君にお願いいたします。
○石田重森君 福岡大学の石田でございます。時間が短いですから、早速本論に入らしていただきます。 まず、今回の改正案につきまして、細かな点では改善すべき問題もございますが、基本方向といたしましては賛成であります。すなわち、内容に関しまして、制度間格差の是正を図り、公平化を推進しようとする点、負担と給付の適正化を図り、年金財政を長期的に安定したものにしようとする点、婦人の年金や遺族年金、障害年金が改善されることなど、種々の問題を同時並行的に解決できる改正案といたしまして、大いに評価できるわけであります。 また、こうした大改革の実施に際しまして、従来からの制度との連続性や移行の円滑性が十分考慮され、将来の共済年金も加えた全年金統合一元化についての実現可能性を持つというようなことから、基礎年金の導入及び二階建て年金制度による再編成は、まことに妥当なものと考えられます。 次に、若干の問題点について意見を述べさしていただきます。 第一は、給付をめぐる問題でございます。二階建て年金のうち、基礎年金は、国民の最低生活を保障することを目指したものと考えられ、報酬比例の付加年金は、被用者の従前所得の一定割合を確保するものと考えられます。 ところで、基礎年金に関しまして、拠出期間四十年で年金額が現行価格で五万円となりますが、拠出期間が四十年に満たないケースも相当に起こり得ると考えられます。なぜならば、定年を六十歳といたしまして、二十歳から一年も休まずにずっと拠出し続けなければならないからであります。拠出期間が四十年に満たない場合、年金額が減額されるわけでありまして、この減額された基礎年金が生活保護基準をかなり下回ってしまいますと、最低生活を保障できないのではないかと懸念されるわけであります。公的年金は必ずしも従前の生活水準を維持するものではないとの考え方もございますが、付加年金にはこれが言えましても、基礎年金は最低生活を保障するものと意義づけられますので、拠出期間四十年でフルペンションの条件は、少し厳し過ぎると思われます。 そこで、基礎年金につきまして、フルペンションの必要拠出年数をもう少し緩和する必要があろうかと考えます。御参考までに申し上げますと、イギリスの二階建て年金における基本年金では、就労年数が三十一年から四十年までの場合に、実際の就労年数マイナス四がフルペンションの必要拠出年数であります。就労年数が四十一年を超えますと、これがマイナス五となります。具体的な数字で申し上げれば、四十年の就労年数でマイナス四ですから三十六年、四十二年の就労年数ではマイナス五ですから三十七年、これがフルペンションの必要拠出年数になっております。 次に、保険料不払いあるいは空期間など、さまざまな理由で基礎年金の適用から漏れる人や、極端に給付額の低い人々のために特別の救済措置、例えばイギリスにおきます補足年金のような給付を設ける必要もあろうかと考えます。そのほかでは、夫婦と単身者の年金額の比率につきまして、生活保護でも配慮されておりますように、単純に二対一ではなくして、やはり二対一・三程度は必要なのではないかと考える次第であります。公的年金の給付につきましては、最低生活の保障をした上で、全体といたしましては所得再分配が作用するように、所得の上昇につれて年金による従前所得代替率が逓減するような給付体系が望ましいと考えるわけであります。 第二は、財源調達の問題であります。現行年金制度のままでは国民の負担が限界を超えると予測され、財政問題は年金制度の最大の課題であります。年金制度の財源調達方式につきまして、税方式か社会保険方式かとの議論もございますが、原則といたしまして、所得再分配を重視し、基礎年金の充実にウエートを置くなら税方式がすぐれております。一定の従前所得代替率の維持にウエートを置いて付加年金の充実を図るなら、社会保険方式がすぐれております。 我が国の場合、給付水準に関しまして、現在のところ、直近の標準報酬の七〇%前後の議論がなされており、これを見ますとかなり高い水準での議論ということから、基礎年金で最低生活を保障しつつ、付加年金を加えて、ある程度の従前所得代替率を維持しようという方向にあると考えられます。そうした観点からいたしますと、給付と負担が関連を持つ社会保険方式でよいというふうに考えるわけであります。さらに、従来から公的年金は保険料方式を採用してきておりまして、スムーズな移行という点、並びに国民が税負担に対する不公平感を多少持っているという点、これらを勘案いたしまして、税方式ではなくして社会保険方式を支持するわけであります。 ところで、基礎年金の財源調達につきまして、定額保険料を今後徐々に引き上げてまいりますと、拠出困難な人々が増加することが予測されます。現行でも、国民年金におきまして相当数の免除者がいるわけであります。したがいまして、定額保険料はできるだけ上昇を抑えなければなりませんが、定額保険料の上昇を抑えますと基礎年金額も低水準となってまいりまして、ナショナルミニマムに及ばなくなることも考えられます。そこで、一つの方策としましては、現行の厚生年金の国庫負担分二〇%、これを例えば廃止しないでこの基礎年金に充当させますと、その分基礎年金の充実が少しは図れるのではなかろうかということも考えられます。また、一般に均一の定額拠出は、低所得者にとってより大きな負担を課すわけでありまして、所得再分配において逆進的となるわけであります。したがいまして、基礎年金に一部所得比例拠出を導入することも合理的かと考えられます。 特に、自営業者等で一定水準以上の高所得者には、ただしこの場合もイギリスの場合のように所得の上限を設ける必要はございますが、応能負担の原則に基づいて、所得比例拠出によって年金制度における所得再分配に関与するような方策をとることが望ましいと思われるわけであります。この場合、所得捕捉の困難なことが言われますが、例えば国民健康保険における資産ないしは所得がある程度勘案された保険料徴収というようなことを考えますと、所得捕捉の困難なことを少しでも克服し、国民が皆で負担し合うようにすることが大切かと思われます。従来の障害福祉年金、母子福祉年金など弱者の年金が改善されることになりますが、これは本来は、いわゆる税で賄うところの公的扶助の給付でありまして、この分、自営業者等にも所得に応じた負担をしてもらうようにするわけであります。 なお、これとは別でございますが、自営業者等の付加年金を任意加入のままにしておいていいのかどうか、あるいは所得比例付加給付はなくていいかどうかというのは、今後の検討課題かと思われます。 第三は、婦人の年金権確立をめぐる問題についてであります。あらゆる面で女性の地位が向上し、男女平等が貫かれるということは望ましく、婦人の年金権が確立することは大いなる前進と思われます。この結果、被用者の妻で無業の主婦にも基礎年金が独立に認められることになりまして、懸案の高齢離婚妻の無年金も解消されることになります。 ところで、多くの場合、ナショナルミニマム論を初め、給付水準に関しましてはなお夫婦単位で論じられていることも多く、一人一年金の確立とはいうものの、幾つかの問題も残されております。 その一つが、支給開始年齢と年金額についてであります。具体例で申し上げますと、我が国の人口動態統計によりますと、平均夫婦の年齢差は約三年であります。今この年齢差の夫婦を考えまして、繰り上げ支給の減額年金ではなく正常給付のフルペンションを考えますと、夫が六十歳で退職して老齢厚生年金が給付され、これが五年間続きます。続いて、夫が六十五歳になりますと夫の老齢国民年金が加わりまして、これが三年間、このモデルの場合続くわけです。そして夫が六十八歳、妻が六十五歳になって妻の老齢国民年金が給付されるということになりまして、この時点で初めてモデル年金となるわけであります。 今お話ししましたのは平均的なケースでございますが、我が国の男子六十歳の平均余命は約十八年でございます。その十八年のうち八年間は夫の年金だけで生活をすることになりますので、この間、夫婦単位として年金額はやや不十分になるのではなかろうかというわけであります。国民年金の繰り上げ支給の希望者も多く、ただしこの場合には年金額が以後全部減額されてしまうわけでありますので、これらのことを考えますと、妻あるいは婦人の老齢国民年金の支給開始年齢六十五歳をもう少し弾力化できないであろうかというふうに思うわけであります。イギリスでは最近、年金支給開始年齢改正の動きがございますが、長い間男子六十五歳、女子六十歳と支給開始年齢に五歳の差がありました。これは、夫婦の年齢差を考え、夫一人の年金では不十分だからという理由でございました。すなわち、形式的な平等よりも、実質面での合理的方式というものをとってきたわけであります。 これらとは別に、婦人の年金をめぐって、公平性につきましてやはり一部問題が残されております。被用者の妻で無業の主婦は保険料拠出をしなくてよいのですが、母子家庭の母親、離婚した女性、未亡人といったような人々は、働いて拠出をしなければならなくなります。また、働く婦人の場合、アメリカでも働く婦人がやや不利な扱いを受けているようでございますが、働く婦人は男子と同一の拠出率となります。それで一人分の給付を受けますが、被用者の妻で無業の主婦は、夫が一人分の拠出をしてそれで基礎年金の給付が受けられることになりまして、被用者の妻で無業の主婦がやや優遇された形をとっております。 それから遺族年金につきましては、四十歳未満の子なし未亡人には遺族厚生年金は給付されますが、遺族基礎年金が給付されなくなります。これもまあやや厳しいのですが、この場合は、別に寡婦手当とか寡婦の職業訓練手当など、一時的な給付を考えればよろしいかと思います。 最後に、今後の高齢化社会におきまして、国民の老後の生活保障を担う年金制度は極めて重要な役割を果たすものであり、国民は大なる期待を寄せております。総合的な年金政策のもとで公平性や健全性を持つ制度、そして安定感や信頼感のある制度の確立が望まれております。 そこで、まず一方ではパイを大きくする、すなわち経済成長を図りながら、他方では、公的年金に深くかかわりますところの高齢者雇用、定年制、さらには職域年金、企業年金などの周辺諸問題の改善充実を図ることが必要でありましょう。特に、雇用と年金をうまく組み合わせて接続することは、極めて重要な課題かと思われるわけであります。 次に、生活保護、老人医療、老人福祉施策など社会保障関連分野との均衡を図った上で、年金制度を整備充実し、そして総合的な福祉の向上を図ることも大切な課題かと思われるわけであります。そして年金制度は、長期的な展望のもとに、年金数理技術に基づいて設計され、運営されておりますので、急激な改革は難しく、二十年経過しないと改革の本当の効果はあらわれてこないため、二十一世紀に向けて安定した年金制度とするために、慎重な検討と早急な改革実施が望まれる次第であります。 私の意見は以上でございます。
○今井座長 ありがとうございました。 次に、小林節夫君にお願いいたします。
○小林節夫君 小林でございます。 国民年金法等改正案について意見を述べさせていただく前に、一言、衆議院の社会労働委員会が、国会閉会中であるにもかかわらず、きょう鹿児島でこのような地方公聴会を開いていただいて、発言の機会を与えていただいたことに対して、お礼を申し上げたいと思います。これは私は、今度のような画期的な制度改正をやる場合には、国会で十分な審議をしていただきたいということを期待していると同時に、その過程におきまして、できるだけ多くの国民の声を聞いていただきたいと考えているからでございます。 さて、法案について、まず結論から申し上げます。そのポイントは、二つございます。 一つは、今回の年金制度改革案が、これから急速にやってくる高齢化の中で、国民の老後生活の基盤となる国民年金、厚生年金などを長期にわたって健全で安定化した仕組みに再構築し、現在七つに分立している我が国の公的年金制度全体を一元化の方向に持っていくはずみをつけようとしていると評価するということであります。 衆議院社会労働委員会の先生方には釈迦に説法ということになりますけれども、急激な社会経済情勢の変化に伴って、我が国の公的年金は、今やその仕組みを維持することができなくなりつつあります。その背景としてとりわけ注目しなければならないのは、就業構造の変化によって加入者がふえる制度がある反面、加入者が減る制度が出てきて、一部の制度の基盤が不安定な状態になってきたこと、また全体として年金受給者が最近急速にふえ始め、かつ受給期間が伸びてきた一方において、年金給付費用がどんどん大きくなって、しかもこれから先、費用を負担する世代の人口が余りふえない、そういう見通しにあるということを指摘しておきたいと思います。 もう一つは、制度改革は今待ったなしの段階に来ているということでございます。年金制度を改革しようとすれば、かなり長い経過期間を置かなければなりません。今回の改正法案は、制度のぜい肉をとり、よりスリムなものにすることを目的としているとよく言われます。しかし例えば、私自身もそうなんですけれども、太り過ぎた人が健康づくりのために急にジョギングなんか始めますと、命を縮めることになりかねません。これと同じように、制度を一遍に大きく改めようとしますと、どうしても混乱が起こります。したがって、二十一世紀の本格的な高齢社会に対応するためには、制度改革を急がなければなりません。その上に、今回のような大幅な制度改革をやろうとしますと、年金業務の面での準備が大仕事になります。実施時期を、改正法案が見込んでいるところの六十一年四月に間に合うようにするためには、早目に準備を始めなければなりません。その意味でも、この法案はできるだけ早期に成立させていただきたいのであります。 次に、法案の中身をどう見るかについて私の考え方を申し上げますが、今回の年金制度改革案では三つの大きな柱がつくられております。それぞれについて意見を述べることにしましょう。 第一は、各制度に共通する基礎年金を導入することであります。一口で言えば、これは従来の縦割りを横割りにしようとするもので、こうすれば従来懸案とされてきたことのうち、かなりの部分を解決することができます。今、年金の受給者を分子、加入者を分母といたしますと、制度を取り巻く情勢変化の著しい中で仕組みを健全化し、安定化させるためには、分母をできるだけ大きくした方がよい、これは当たり前のことであります。また、基礎年金型にすれば、最も肝心な部分について、すべての国民にとって給付と負担の両面で公平化を図ることができ、その結果、いわゆる官民格差の是正に役立てることもできます。 問題は、基礎年金の水準をどう決めるかでありますが、昭和五十九年度価格で月額五万円というのは、おおむね妥当なところではないでしょうか。受給者側からはもっとふやしてほしいという声が出るかもしれませんが、これは全国民を対象としていること、給付水準を上げれば負担水準も上げなければならぬことなどを考慮しなければなりません。私は、もともと基礎年金型をとる限り、給付水準を余り高くすることはできなくなると理解しております。できればそうすることが理想なんですけれども、現実にそれは困難で、私の知る限り、そういうことをやっている国はございません。 また、税方式か社会保険方式かがよく議論されますが、それぞれに長所と短所があります。どちらを選択するかの問題ですが、私は社会保険方式をとります。その理由は、税方式よりも社会保険方式の方が安定した財源を得やすいこと、給付と負担の関係がわかりやすいこと、現行制度からの円滑な移行を図れることなどであります。 改正法案は、サラリーマンの年金について、基礎年金に報酬比例年金を上乗せすることにしております。これは当然のことと言わなければなりません。なぜならば、サラリーマンと自営業者とでは老後生活の実態が異なるからであります。もっとも、将来において一般化する四十年加入のサラリーマンの標準的な年金額を合計しますと、五十九年度価格で月額十七万三千円と、現役勤労者のボーナスを除いた平均賃金の六九%とするのはちょっと高過ぎるというふうに思います。しかし、当面はやむを得ないでしょう。これは将来、問題となって、支給開始年齢の引き上げに発展するものと予想されますが、その場合には、もちろん部分就労を含めて高齢者雇用の場をふやすということが前提になります。私は、基本的に働く意思と能力がある高齢者には、少なくとも六十五歳くらいまでは働けるような社会システムをつくることが大事だと考えております。そして、働けなくなったら、公的年金を中心に企業年金、個人の蓄積などを含めて生計を立てられるようにしていけばよいわけです。 それにしても、自営業者の場合、基礎年金だけでよいとは言い切れません。今回の年金制度改革案は、自営業者について二階部分をつくることにしておりません。これは、恐らく所得把握が困難であることなど制約が多く、設計が難しかったからではないかと思います。私たちもいろいろ検討したことがありますけれども、いい知恵が浮かびませんでした。しかし、その見通しがつかない現段階ですぐにとは言いませんが、自営業者らにも何らかの形で二階の部分をつくることを検討すべきでしょう。その結果、どうしてもできないことがはっきりしたら、例えば個人年金に税制上の優遇措置をとるなど、代案を出すことが今後の課題になると思います。 第二は、給付と負担の関係を適正化し、両者のバランスをとることでございます。改正法案は、実施の時点で既に年金を受給している人々に対しては、既裁定の年金を尊重するということにしていますが、私はこれも当然のことだと思います。しかし、新たな年金を受ける人たちにとっては、今後の制度の成熟化に伴う平均加入期間の伸長に合わせて、年金額を二十年かけてだんだん調整していくということにしております。厳しい措置ではありますが、これもやむを得ないと思います。 時間がございませんので、その説明は省略して第三の点にまいりたいと思うのですが、第三は、要するに婦人と障害者の年金保障でございますが、これは特に今度の改正案の改善面として目に立つところでございます。 時間が非常に制限されておりますので、詳しく申し上げにくいのですけれども、最終的にちょっと締めくくりをさせていただきますが、今回の改革案の中身を細かく見ると、既に申し上げたように、私自身も気になるところが幾つかございます。しかし、それらの点を一々検討していきますと、制度改革はおくれてしまいます。今はそんな時期じゃございません。この際は、早急に今回の改正法案の目指す方向で制度改革の実現をお願いしたいわけでございます。 どうもありがとうございました。
○今井座長 どうもありがとうございました。 次に、二宮誠君にお願いいたします。
○二宮誠君 鹿児島地方同盟の副会長であります二宮であります。どうぞよろしくお願いいたします。 まず、今回の改正案についてでございますが、基本的には幾つかの問題があるものの、私ども同盟の改革要求にほぼ沿ったものだと評価をしていることをお伝えしておきたいというふうに思います。六番目でございますから、ほとんどの方が言われたことと重複する部分がたくさんありますので、できるだけ省きながら話を進めていきたいというふうに思います。 今、我が国は、大変なスピードで高齢化社会を迎えようとしておることは御案内のとおりでございますが、既に六十五歳以上の高齢人口が総人口約一億一千九百四十八万人の九・八%を占めております。二十一世紀に入る昭和七十五年には一五・六%と、西欧先進国並みの水準となります。ピーク時の昭和九十五年には二一・八%まで達するものと推計をされております。 この高齢化社会に対応するためには、先ほどの方々も申しましたけれども、年金のみではなく、やはり高齢者雇用の問題、保健医療の問題、老人福祉の問題、住宅整備等々の総合的な施策が重要課題となってくるというふうに思っております。中でもこの公的年金制度の問題については、国民の安定した老後生活の基礎として、特にその確立と充実が求められております。これに寄せる国民の期待と関心が、かつてない高まりを見せていると感じておる次第でございます。 ところが、我が国の公的年金制度は、昭和三十六年に国民年金制度が発足いたしまして、国民皆年金体制が整いました。しかし、三つのグループと八つの制度に分立いたしておりまして、その成立と成長の過程が異なる事情がありまして、相互の整合性に大変欠けております。年金の給付水準、年金額の計算方法、支給開始年齢、スライドの方法、年金の併給、積立金の管理運用等々、多くの課題を抱えたまま、それぞれ独自の運営がされているというのが現状だろうというふうに思います。これに対して、残念ながら政府は、総合的にまとめる方策を講ぜずに責任を回避してきたために、抜本改革への国民的な合意が形成されないまま今日に至ってきたわけであります。 そこで、この件に関する私どもの基本的な考え方を申し上げますと、まず第一点に、国の行う高齢者の生活保障というものは、先ほど言いましたように、雇用、医療、老人福祉などが所得保障とともに総合的に充足されることによって保障されるものでなければならないと思っているわけでございます。 二点目として、年金制度は引退後の所得保障の中心になるものであります。そういう意味では、支給開始年齢を引退年齢と連結させるべきであるというふうに思っております。 三点目として、人間としての尊厳を損なわない老後の最低生活というのは、公的年金によって保障されなければならないというふうに思っております。 四点目として、生活水準が安定的に確保されるためには、年金額の実質価値は常に維持されていなければならないというふうに思っております。 五点目は、公的年金は官民を問わず、あるいは職域、事業所の規模その他によって左右されてはならない、公平に全国民に適用されなければならないというふうに思っております。 六点目として、社会保障としての公的年金は、当然社会連帯の立場から所得再分配の機能を果たすべきであるというふうに思っております。 最後に七点目でございますが、公的年金の運営と積立金の運用に当たってでございますけれども、国民福祉を主軸に、被保険者代表の参加によって民主的公正を期すべきである。 今、七点申し上げましたけれども、こういうような観点に立って、以下、改正案の完全実施に至るまでの間における制度のあり方など、幾つかの点において多少問題を含んでおりますので、その改善が図られるよう意見、要望を申し上げたいというふうに思います。時間の関係もありますので、先ほど言いましたように、できるだけ重複するところは避けながら進めていきたいと思います。 一つは、老齢厚生年金の水準でありますが、改正案を見てみますと、六十五歳未満の水準が現行制度と比較しまして著しく低くなっております。標準的な年金額は、ぜひとも現行の水準を維持させていただきたい。六十歳の支給時で、実はまだ日本は批准をしてないと思っておりますが、ILOの百二十八号条約に、二十年以上加入の男子の直近の平均標準報酬月額の六〇%程度を確保するというようなことが出ております。こういうものを給付する場合の基準として、設計をぜひとも見直していただきたいというふうに思います。 二点目として、年金の支給開始年齢でございます。これも基本的な考え方の中に述べましたけれども、労働者の定年年齢や雇用の実態とかけ離れた繰り延べというのは行わないようにひとつお願いをしたいなというふうに思います。六十歳定年を盛んに今、各労働界等が言っておりますけれども、達成率から見るとまだまだ低いものがありますので、当面は六十歳を維持すべきだというような考え方でございます。 もう一つは、女子の現行五十五歳の支給開始年齢の件でございますが、これを繰り延べる場合は、今盛んにマスコミ等でも騒がれておりますが、男女の雇用平等法の問題であります。この制定、要するに婦人の労働環境の整備を前提として、十分な経過措置を講じていただきたいというふうに思います。 もう一つは、第三種の被保険者についてでございますが、先ほどの定年の問題もありますけれども、ほとんどが六十歳定年になってないというのが実態でございます。なぜかというと、労働条件が非常に厳しい、あるいは職業病の問題等がたくさん出ております。そういう意味では、現行の五十五歳を第三種の被保険者の場合には動かすべきではないというふうに思っております。船員保険についても同様に考えております。 次に、保険料の問題でございますが、現行水準から見て、保険料率の大幅なアップが改正案に出されております。被保険者の負担増を軽減するための策をぜひとも考えていただきたい。例えば、事業主の負担割合を引き上げるなど、計画的に検討をしていただきたい。 それから、男女差別の解消を目的とした女子の保険料率の是正の問題でございますが、これについても、例えば改正案を見ますと、女子は今九・二%でございますが、今度は一一・三%と、二二・八%も引き上がってくるわけでございます。男子が、一〇・六%が一二・四%、引き上げが一六・九%です。そういう意味では余りにも大き過ぎる。従来どおりの〇・一%ずつというような方向でぜひとも考えていただきたい、急激な負担増は避けていただきたいというふうに思っております。 それから国庫負担の問題でございますが、今回の案を見ると相当国庫負担が削減をされるような内容になっているわけでございますが、やはり年金を長期にわたって安定させるためには、国庫負担というのは現行負担を維持していただきたいというふうに思います。 それからもう一点が障害厚生年金。これについては先ほど切々と訴えられておりましたけれども、ただ一つだけ、今回の改正によって受給要件が多少変わると見ております。制度切りかえによって受給権が失われる者が出る場合がありますので、一定期間は救済措置をぜひとも講じていただきたいというふうに思います。 もう一点は、障害等級三級の給付水準でありますが、現行水準から見て大幅に引き下げられている。現行の規定が最低で六万六千円、ところが改定案で見ると三万七千五百円というふうになっております。五六・八%で、これは余りにもひど過ぎるというような感じを受けております。ぜひとも現行水準を守っていただきたいというふうに思います。 もう一点、スライド制の問題でございますが、私ども常々、今までも主張してきたことでございますけれども、年金額のスライドはぜひとも賃金スライドということを検討できないものか、よろしく御検討いただきたいと思うわけでございます。 それから積立金の管理運用の問題でございますが、これについては拠出者の自主運用というのが原則であるというふうに思います。被保険者、事業主、公益、政府の四者構成による委員会によって自主運営をされるよう、現行の資金運用部から独立した有利運用をぜひとも図っていただけないものかどうか、お願いを申し上げたいと思うのです。 それから、共済年金制度については先ほど述べられましたから、これは基礎年金の導入を何とか図っていくような方向でぜひとも検討をしていただきたい。改正期日が厚生年金は六十一年四月一日となっておりますので、同一となるように、早急に改正に着手するようお願いを申し上げたいというふうに思います。 もう一つは国民年金制度であります。これも先ほど出ましたが、やはりこれにおいても基礎年金に上乗せをする所得比例年金、所得に応じた保険料拠出についてぜひとも御検討いただきたいというふうに思います。 相当長い間、具体的な全体的な改正がされてないわけでございますから、あれもこれも言ってもなかなかすべていかないと思うのですが、ぜひともできるだけ早目に改正をされるようお願いをしたいというふうに思います。 以上で終わります。
○今井座長 ありがとうございました。 以上で意見陳述者からの意見の開陳は終わりました。 午後一時から再開することといたしまして、この際、暫時休憩いたします。 午前十一時二十九分休憩 ————◇————— 午後一時開議
○今井座長 休憩前に引き続き会議を開きます。 これより委員からの質疑を行います。 その割り当て時間につきましては、自由民主党・新自由国民連合三十分、日本社会党・護憲共同二十分、公明党・国民会議十五分、民社党・国民連合十分となっておりますので、御了承願います。 また、質疑者は、答弁者を指定して行うようお願いいたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。自見庄三郎君。
○自見委員 ただいま御紹介をいただきました自由民主党の自見庄三郎と申します。 本当にきょうは、お忙しい中、六人の方々に大変貴重な御意見を午前中お聞かせいただきまして、ありがとうございました。 まず、近藤重和会長に御質問をさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。 今さっき、障害者の所得保障につきまして大変貴重な資料も午前中お配りいただきましたけれども、障害者の所得保障について大変力のこもった御意見がございました。特に、私ごとになって恐縮でございますけれども、私、国会議員にならしていただくまでは九大の医学部の講師をやらせていただいておりまして、御存じかと思いますけれども、現在、後天性失明の最大の原因がベーチェット病という厚生省指定の難病でございますが、ベーチェット病の患者の研究、診療を私自身も十数年やらしていただいておりまして、日に日に視力の落ちていく障害者の苦しみ、その背景にある家庭の暗さ、そういったものがよくわかったので、思わず近藤会長さんの力のこもった御意見に私も涙が出たのですけれども、そういったことで、まず障害者の所得保障について御質問をさせていただきたいと思います。 言うまでもなく、私は、今回の改正の中でこれは極めて重要な事項の一つだろうというふうに思うわけでございます。午前中、座長の許可をいただきまして配られた近藤さんのおつくりになられた資料でございますけれども、先ほど読ましていただきましたけれども、障害者の方々の所得等が非常に具体的な状況について触れられておりまして、大変貴重な資料だろうというふうに私も思うわけでございます。こういった資料をもとに、これに関連して、今回の改正案が障害者の生活にどのような影響を及ぼすかという点につきまして、ひとつ御意見を具体的に、今さっきは少し時間がなかったようでございますので、お聞かせいただきたいと思います。
○近藤重和君 先ほどの私の意見開陳で少し足りませんでしたところを自見先生から御質問いただきまして、感謝申し上げます。 ちょっと私の頭をごらん願いたいのでございますけれども、これはトラ刈りになっていましょうか、どうですか。トラ刈りでも何でもないですね。実はこれは、私は常に耳の御不自由な聾唖の方に頭を摘んでいただくことにしております。何と千五百円であります。技術が悪いわけでもない、サービスが悪いわけでもない、ただ意思の疎通が図れぬというだけで皆さんと同じ値段が取れない。この事実、どうでしょうか。人間の尊厳がこれで保たれているでしょうか。同じ教育を受けて、同じようにやってまいりまして、同じように店を開いて、そして千五百円より取れない。 私は、最初に、今度の改正で福祉年金を外していただく、なくなることに心から感謝申し上げると言ったのは、その意味でございます。福祉というのは、皆さんそれこそ御専門でいらっしゃいますから、福祉の福の字は神様に供えた物をちょうだいする、祉は神様のお恵みをちょうだいする、どちらもいただき物、パッシブの、人間の行動によるものではございません。ところが、今度は基礎年金という言葉を使っていただいて、そして、しかも所得保障という全く均等な立場に障害者を据えていただいたことに対して、私は心から感謝申し上げるわけでございます。これこそ多年にわたって私どもが念願してきた大きな問題でございます。 これが今度の改正に盛り込まれましたことは、前回以来みんな首を長くして待っていたところでございまして、お手元の資料を少しお開き願うとわかるのでございますけれども、ここに出ておりますのは、それぞれがしかるべき苦難を経てようやく就職をいたしたわけでございますけれども、その資料を一人一人ごらん願うと、その障害の状況その他全部出てまいります。それは、彼らが一人一人、社会的に見てこれが妥当な給料をもらっておったかどうかということを御確認願いたいわけであります。わずか四万五千円あるいは六万円、六万四千円、七万円、こういった金額の中で、彼らが人間としての尊厳を保ち得るかどうか。しかも、この会社が倒産して、これは全然給料が入ってこない状態だ。六月以来彼らは、一級の方は三万七千七百円、この年金だけで生活をしなければならない。これを一日に割っていただきたいのであります。食べていくだけで精いっぱいなんです。おふろに入ることも、あるいはまた一冊の本を買うことも、着物を買うことも福祉年金からでは充足できません。 ここに入っております障害者諸君というのは、ほとんどが一、二級の障害年金をいただきながら勤めておるわけでございます。しかもこの会社は、この子供たちを雇用したときに、ほとんどが重度障害者雇用奨励金をもらっておる。すべて健常者で、しかも企業者が国家のつくられた重度障害者雇用促進事業によって莫大な国家資金をいただきその企業を始め、さらにそれに雇用奨励金をもらっておる。片一方は、雇っていただいたという弱みがあって一言も物が言えぬ。この中に、新聞にたくさん出ておりますが、まさに奴隷だと本人たちは言っております。夜十一時、十二時まで残業させられて、残業手当をもらったことがないと言っております。それが倒産し——倒産と言ってない、社長は逃げていない。これで一体、障害者の福祉が、雇用だとか福祉だとかいろいろな施設をやっていただきましたけれども、本当に尊厳が保たれているかどうか。 私は、現在うちの組織で、最近大変ふえてまいりました糖尿病による中途失明者の緊急生活訓練を実施しております。医師が本人に、あなたは失明ですという失明宣言をするのに非常にちゅうちょされます。それは何か。失明宣言をされた途端に会社をやめなければならぬ。そして途端にインカム、収入がなくなってしまう。さて、自分を支えてくれるものは何だ。一級の障害福祉年金です。賜り物でなくて、自分が一生懸命働いて、自分のみずからの労働によって得てきた金で今日までやってきたが、さて失明宣言を受けて、後は国家のお慈悲にすがる、福祉年金で生活するだけだ。しかも扶養義務者の所得による制限がある。扶養義務者に多少でも所得がありますと、それによって本人の年金は削られてしまう。そうすると、せっかく一家の生活の根底を支えておったその人が失明という絶対条件によって何もかも失ってしまって、さらに、今まで一度も寄りかかったことのない兄弟に、兄弟が金があるばかりにその扶養義務者にすがらなければならぬ。これはまことに残念だ。その不安というのははかり知れぬものがございます。少なくとも、私どもはかかり合いまして、一年やそこらで本人のそのダメージを取ることはできません。 そういったときに、今度の改正で、それらの一つ一つがちょうど薄紙をはがすように、基礎年金ができ、そしてまた所得保障が厳然として平等に行われ、さらにその上に重度障害者には特別手当がつき、そして家族を持っているときには家族にまでそれが及ぶということになりますと、今回のこの改正は一日もなおざりにはできないのじゃないか。三十年間、私どもが今日まで、年間数千人を集めて全国身体障害者福祉大会をやってきた、その集中してきた一番大きなエネルギーのその花がまさにここに咲こうとしております。 一番最後に書いておきましたように、決してぜいたくを言っているわけではありません。「小さきは小さきまヽに折れたるは折れたるまヽにコスモスの花」、私どもは小さい、多少折れたところもございますけれども、それでもやはり人間としてのコスモスの花を咲かせてみたい。そこに訴えております一障害者の歌として、「小さきは小さきまヽに折れたるは折れたるまヽにコスモスの花」。 どうか皆様方、先生方が今回この国会において改正をお通し願えるならば、先ほども申し上げましたとおりに、障害者は国際障害者年において、ああ、私たちは日本におってよかった、我慢してよかったと喜びをともにすることができるのじゃないでしょうか。今お手元の資料の中に出ておりますが、「僕は一体何のために生まれたのだろう、生まれない方がよかったのじゃないか」、この不安感がまさに取れる、その可能性のあるこのたびの改正だと存じております。 もちろんいろいろございます。しかし、私は決して学者でも何でもございません。細かいことは諸先生方がそれこそよく御存じでございます。また、先生方はそのエキスパートでいらっしゃいます。それよりも現実を見ていただきたい。頭を摘むのに、技術的にもサービスにおいても店構えにおいても何ら落ちるところがないのに、なぜ千五百円より取れないのか。障害者のゆえに悪戦苦闘している現実。会社が倒産したら失業保険も出ませんよ、その会社は労働保険を払ってないのですから。やめるわけにもいかない、引くこともできない、出ることもできない。そこで、今日も歯を食いしばって、親元から金を送ってもらって、会長、助けてください、その声がそこに詰まっております。私どもは今、組織を挙げてその問題をどう解決するか。しかし、その一番根底となる基本的な人間を支える基礎年金が、基礎福祉年金があれば、しっかりしろ、大丈夫だ、それでまず食っていけるじゃないか、おれたちもカンパをするぞ、これができますけれども、今の状態では残念ながらそれを充足してやることはできません。これはやはりこの際、どうしても考えていただきたい。 そしてまた、先ほど申し上げましたように、スライドと分離して別々にされたのでは、どうしても六十一年には間に合わないということを私は聞いております。さればとて、それじゃおくらしてもいいじゃないか、前もってプログラミングを始めたらどうだ。恐らく先生方から、それは国会軽視だと担当の方々はおしかりを受けるのじゃないでしょうか。やはり政党においては、このままでお通し願って、一気にしてやろうという気持ちが盛り上がって、少なくとも六十一年四月から実施ができる形に御設定願えるよう、私はぜひお願いしたいと思っているわけでございます。 こいねがわくは、こういう機会を与えていただいてこうして私が立てたというのも、最初に申し上げましたように、法の施行と、そしてまたチャンスがちょうどあのときにあったから、今日私が立てるということを申し上げました。今がそのときでございます。 最初に挙げました「お母さんごめんなさい」は、もう間に合わなくて死にました。しかも、彼はこう言っております。 ぼくは 生きていくのです 脳性マヒを生きていく やさしさこそが大切で かなしさこそが美しい そんな人の生き方を 教えてくれた おかあさん 僕は脳性麻痺を生きていく、こう言っております。わずか十六歳で「やさしさこそが大切で かなしさこそが美しい」という人生観を押しつけたのは一体だれでしょうか。親でしょうか、何でしょうか。心配するな、養護学校もある、その後に君たちの人間的な尊厳をちゃんと確立させる障害基礎年金もあるんだ、これが待っておれば、家族も子供もそれほど、「ごめんなさいお母さん」と言わなくてよかったんじゃないでしょうか。「生まれてきてごめんなさい」と言わなくてよかったんじゃないでしょうか。もう追いかけても追いつきません。 自見先生は御専門でいらっしゃいますので、どうか重度障害者の平均年齢寿命を調べていただきたいのであります。筋ジストロのように、障害者に入れてやることができない、常に障害が進んでいくわけでありますから、障害は固定しません。それらのことも考えてやっていただきたい。難病、どこで押さえていいかわからない。しかも彼はぐんぐん落ちていきます。そしてわずか二十数歳、よく生きて四十数歳までであります。こういうときに、この立派な法律を延ばしていいかどうかも考えていただきたいのであります。 私の後ろに鹿児島県だけでも七万おります。鹿児島県というのは、日本で最も障害者の発生の多いところでございます。その障害者の七万が声を大にして、頑張ってこいよ、きょう仲間がたくさんここに来ております。頼んでくれよ、その声を聞いて私は出てまいりました。 どうか、これらの現実を押さえていただいて、障害者に少なくとも自立と尊厳と日本国民としての最低の文化生活ができるだけの基礎年金、これをお通し願いたいのであります。しかも今度のこの国会においてお通し願いたいのであります。 以上でございます。
○自見委員 どうも、本当に貴重な御意見をありがとうございました。 それから次に、小林節夫教授にお聞きしたいのでございますが、積立金の位置づけについてでございますけれども、中原タエ参考人から、現在四十八兆円の積立金があり、将来もっと膨大な積立金が生じるから、何も今急いで制度の改正をしなくてもいいのではないかという御指摘もございました。これは小林教授に対する御質問でございますけれども、小林先生は従来から、年金制度の長期的な展望についての作業にも携わっておられたというお話も聞いたことがございますので、長期的に見て、積立金というのは年金制度の中でどういうふうに位置づけられるものか、先生の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○小林節夫君 お答えいたします。 年金の財政方式は、大きく分けて積立方式と賦課方式とあるわけですけれども、日本の場合は御承知のとおり修正積立方式をとってまいりました。この方式をとりますと、制度が成熟するまでは積立金の形で入ってくるお金が出ていくお金より残ります。私の承知しているところでは、現在、厚生年金で約四十一兆円、国民年金で約三兆円が積立金としてございます。ただし、問題はそのお金の規模だけでは評価ができません。厚生年金でいえば、今ざっと給付費の七年分ちょっとだと思いますし、国民年金でいえば一年分ちょっとなんですね。支払い準備金としては一年分ちょっとというのは、本当にもうぎりぎりの線でございまして、実は私はそれは積立金とは言えないくらいのところまでしかきてないと考えております。 ただ、現行制度のままでやっていきますと、これはまだ当分ふえます。幾つかの仮定を置いて、つまり標準報酬だとか金利だとか幾つかの仮定を置いた試算によりますと、ピークが昭和七十年ごろになると予想されています。しかし、その後はどんどん減っていくわけですね。昭和百年ぐらいになりますと、たしか厚生年金で一年を割っていたと思います。その理由は、積立金は名目的にはふえていくのですけれども、一方において給付費がふえますから支出がふえる。だから積立金のウエートというのは、今申し上げましたように、あくまでその給付費との割合でどのくらいのものを持っているかということが非常に大事なことでありまして、金額の大きさだけ見ると、今の方式をとればそれはふえていくのですけれども、実際はだんだんこれから給付が上がるにつれてその割合が下がっていくということでございまして、それがあるからすぐに改正しなくてもいいという理由にはならないと私は思っております。 ただし、先ほどどなたかおっしゃいましたけれども、積立金運用については、私は現行制度でいろいろ問題があると思っております。もっと自主運用を認める方向に持っていくべきだ。もちろんその場合には安定性を考えなければいけませんが、同時に、やはり国民の掛金の生む金利ですから、非常に大事な財産の金利なんですから、もう少しうまく考えればよりいい利回りにすることができるんじゃないかと思いますし、制度によってその仕方が違うというのもおかしいんじゃないかというふうに考えております。
○今井座長 ちょっと御注意申し上げますが、議事を進めます上で、発言者も意見を言われる方も、御発言の前に許可を求めていただくようにお願いいたします。
○自見委員 積立金の位置づけについての小林教授の御意見でございましたけれども、先生の御意見の中で、今回の改正案の問題として、自営業者についても、いろいろ難しい問題はあるんだけれども、上乗せ年金を設けるべきではないかという御意見があったかと思いますけれども、そのことについて、もう少し詳しい御意見を小林節夫教授にお願いいたします。
○小林節夫君 お答えいたします。 今、御質問で「べきだ」という表現、私はそこまでは申し上げておりません。今後の課題になるという言い方で御理解いただきたいと思います。 基本的な問題でございますが、年金を決める場合に、定額制と所得比例制と、その両方をチャンポンにした三つのタイプがございます。現行の厚生年金もそうでございますし、新しい制度改正後の厚生年金は二階建てになるわけですからそういう格好になるわけですが、サラリーマンはいいとして、自営業者らに二階ができていないという点は問題点の一つである。しかし、それは結論から申し上げますと非常に技術的に難しい、だから今後の課題として検討すべきだという意味のことを申し上げたかったわけでございます。 なぜ難しいかということなんですが、実は私も、いろいろな機会にいろいろな専門家の間でディスカッションいたしました。要するに、さっき申し上げましたようにいい知恵が出なかったのですが、その最大の理由はやはり所得の把握が難しいということでございました。特に所得が多くて余計に掛金してもらって、全体の所得再分配ができるような高所得者の場合には、当然ほかに回るような分まで含めて自分の掛金をしなければいけませんから、それを避けることをやる。そうすると、なかなかそれが入ってこないということになりますし、それから自営業者の場合のあれは、サラリーマンのように天引きできませんので、どうしても自主納付にならざるを得ない。それは強制徴収はできません。 さらに、国民健康保険でやっているからこっちでやればどうかという議論も、我々の間でいろいろ議論いたしました。ただ、国民健康保険の場合は所得割で取っておりますし、しかも、たしか前年度の収入に幾らという料率の掛け方でやっておりまして、そういうやり方が、職場を変わる人たちを含むところの年金の加入者の場合になじむかどうかという問題がございます。 それからさらに、それでもとにかく何とかしてつくれと言って、例えば幾つかの口数を決めましてそれでやらせるとか、何段階かのランクを決めて自由に選択させたらどうかという意見もあります。しかし、少なくとも公的年金制度においてはそれはやるべきではない、それはやり方によってはかえって不公平を拡大することになるんじゃないかということが我々の意見でございましたし、場合によっては、所得は低いけれども年金の掛金をしている人がいるわけですね。今度ばっちり所得割にしますと、所得比例で乗っけますとかえって不利になるということもある。 さらに、何とかして所得の高いところで余計出してもらうという仕組みをつくったとしても、恐らくつかまえる——つかまえると言うと悪いのですけれども、所得がつかめる人たちはわずかにしかならないし、そのことは恐らく財源の状態をよくすることに役立たないのではないか。そういういろいろな議論をいたしまして、難しい。 ただ、私は、だからといってできないと言い切れないんじゃないかということを申し上げました。したがって、もっともっとより多くの専門家が集まって知恵を出していただきたいと思うということを申し上げましたし、もしもそれがだめならば、何らかの形でこれは間接的な方法でもいいからそれを埋め合わせると申しますか、そういう手だてを考える必要があるんじゃないかということも申し上げたわけでございます。
○自見委員 小林先生、どうもありがとうございました。 もう一点、小林先生に質問なんでございますけれども、婦人の年金、それから障害年金について、先生はちょっと時間がなかったので省略されたような感じを受けたのですけれども、特にさっきの障害年金につきましては、近藤参考人からも御意見がございましたけれども、そこら辺で先生の御意見をお聞かせいただければと思います。
○小林節夫君 お答えいたします。先ほどはちょっとそこをカットせざるを得なくなりまして申しわけございませんでした。ポイントだけ申し上げたいと思います。 婦人の年金権の確保というのは、今度の制度改革の中のいわば目玉の一つだろうかと思います。要するに、サラリーマンの無業の妻を含めてすべての婦人に独自の基礎年金をつくるということでございますから、仕事を持たないサラリーマンの奥さんにとっては、もちろん今でも国民年金に任意加入することができますし、実はサラリーマンの奥さんの七割までが既に任意加入しておられるわけですけれども、先ほど障害年金について近藤会長が申されましたけれども、それと似たような意味で初めて年金権というような形でつくられた、非常にこれは私は前進だと思います。 このことについては、かつて厚生大臣の諮問機関の年金制度基本構想懇談会でもいろいろな議論が出ました。大きく分けまして二つの意見が対立しました。要するにそれは、国年の任意加入を強制加入に変えてしまえという議論と、それはあくまでも被用者保険の厚生年金で面倒を見てもらうようにすべきだ、大きくその二つに分かれて、結局はその意見の調整ができませんでした。それを知っているものですから、今度の改正案を見まして、これは決着がついたと思うし、非常にうまく考えられた案であるというふうに私は考えております。 ただ、一方において、どなたかもちょっとお触れになりましたけれども、確かにこれは働く婦人については不満があるだろうと思います。しかし、要するにこれは、社会保険といいますか社会保障の一環としての社会保険方式でございまして、いろいろ厳しい状態の中で給付の重点化ということも一つの柱になっておりますので、できればそれをつけた方がいいとは思うのですけれども、その場合の負担がどうなるかということもあわせて考えなければなりません。そういう事情があるんだろうと私は考えております。 それから、関連して申し上げますと、さっきどなたかおっしゃいましたが、支給開始年齢と保険料率の問題が出されました。しかしこれについては、一口で言えば公平化の動きでございまして、私たちの仲間の中には、むしろ平均的に見れば女性の方が長生きするんだから、本当は男女平等どころか女性の方をもっと厳しくしてもいいんじゃないかという議論さえ、私じゃないのですけれども、そういう議論もあるということを紹介します。誤解のないように言っておきますが、私じゃありません。しかし、それはちょっと言い過ぎでありまして、実態は女子の雇用問題と非常に絡んでくると思います。やはり雇用面では、今男女雇用均等法案が問題になっておりますけれども、いろいろな意味でハンディがある。それは極力直していくべきであるし、その他の面においても平等だ。平等ならば、年金の仕組みの中においても原則としては男女平等にしていくべきものだというふうに私は考えております。 それから、障害年金については先ほど近藤会長がるるお述べになりました。一つだけつけ加えさせていただきますと、厚生年金における事後重症の五年の制限が撤廃されるという措置が織り込まれているということでございます。御存じだと思うのですけれども、例えば筋ジストロフィーだとか難病の人たちは、初めのうち症状が軽かったということが原因になりまして、五年以内にそれが重くならない場合は今まで年金でカバーされることがなかったのですけれども、今度その期間が撤廃される。しかもそれは、六十一年四月よりも先立って実施したいということで織り込まれておりますので、私はこれは非常に前進だと思います。ある意味では、今度の全体の制度改正の中で、さっきおっしゃったことを含めて障害年金については非常にいい点が盛り込まれたと思いますし、先ほどお述べになりました特別障害手当のほかに、国民年金の障害年金に対する子の加算制度、第一子、第二子が一万五千円、第三子が五千円というのも盛り込まれておりまして、要するにみんな懸案になっていたことですが、このような、しかも非常に厳しい中での制度改正の中で、今まで忘れられがちなこと、あるいは対応が難しかったことをきちんと織り込んでいただいたということにおいても、私は非常に評価しているわけでございます。
○自見委員 ちょうど時間でございますので、どうもありがとうございました。
○今井座長 自見庄三郎君の質疑は終わりました。 次に村山富市君にお願いいたします。
○村山(富)委員 福元先生にちょっとお尋ねしたいと思うのですけれども、先ほど来の皆さんの意見を聞いておりますと、国民年金を二階建てにすることについて検討した方がいい、こういう意見の方が大変多いわけですね。確かに、今の日本の年金というのは、さっきからお話がございますように社会保険方式ですから、したがって掛金に応じて年金をもらう、そういう仕組みですから、定額制というのはやはり若干矛盾があるのではないかと思うのですね。そういう意味から申し上げますと、やはり国民年金も所得に比例して年金が給付されるような仕組みというものを検討すべきではないか、こう私も思うのです。 ただ、先ほど来お話がありますように技術的に非常に難しい点がある、こういう御意見ですけれども、私は申告制にして、私の所得は何ぼありますから何ぼ掛金を掛けますというふうに申告制にすれば、年金をたくさんもらおうとすればたくさん申告すればいいわけですね。それは、本人は任意みたいなものですからね。そういう扱い方にすれば何らかの方法がとれるのではないかというふうに思うのですが、その技術的な問題は別にして、国民年金に二階建ての所得比例の部分を加味するという考え方についてはどのようなお考えをお持ちですか。 ちょっと御質問だけ先に言わしてもらいますから、後でお願いします。 それから中原先生に、時間がなくて御説明がなかったのではないかと思うのですが、母子年金の問題について、何か御意見があればお聞かせいただきたい。 それから石田先生にちょっとお尋ねしたいと思うのですけれども、あなたの御意見の中で私どももなるほどと考えられる点がたくさんあったのですが、基礎年金というのは、やはり国民すべてに共通して保障するという年金になるわけですから、ある意味からしますと最低生活を保障するという考え方が強いのではないか。そうしますと、四十年掛けて五万円、先ほどお話がございましたように夫婦で十万円になるような計算になりますけれども、しかし実際には、夫婦というものは年齢が同じではありませんから、五万円しかもらえないということもあり得るのではないかということを考えた場合に、生活保護費等との関連を考えて五万円というのはどうだろうか。しかも、その五万円というのは全部満たした最高ですからね。ですから、掛金を掛けなかった空期間があったりあるいは免除期間があったりすれば下がるわけですから、したがって全部の方が基礎年金五万円もらえるとは限らないわけです。逆にもらえない方の方が多いのではないかと思います。そういう問題についてもう少し工夫があっていいのではないかというように思うのですが、先生から御意見がありましたけれども、重ねてお尋ねしたいと思うのです。 それからもう一つは、夫婦が二人で暮らす場合の必要経費と一人で生活する場合の経費とでは、やはり重なる部分がありますから、一人になれば二分の一でいいというわけにはいかないのではないか。だから、先ほどお話が出ましたように、一対一・三にするかというような工夫もあっていいのではないかというように私も思うのですけれども、その点はどういうふうにお考えでしょうかということです。 それから、私は今度の改正というものをもっと違った角度から考えてみますと、厚生年金は財源がまだ当分の間ある、国民年金がだんだん苦しくなる、そこで国民年金の不安になる財源を一番強い厚生年金に依存をして、そして安定財源を確保していこうということが一つと、もう一つは、国民年金の給付というのは、今の制度からいきますと四十年掛けて七万八千円になる、それが五万円になるわけですから、だんだん給付はダウンするわけですよ。その給付部分に対して三分の一の国庫負担ですから、したがって国庫負担はだんだん減っていくわけですね。私は、基礎年金というものが最低生活を保障するというものであるとするならば、単に保険料だけに依存するのではなくて、もう少し所得再配分機能を持たせる社会保障の考え方を入れるという意味からすれば、国の負担がもっとあっていいのではないかというように思うのですけれども、そういう点はどういうふうにお考えになりますか。 それから、先ほど障害者の近藤会長さんから切々と訴えがありました。これは、長い間の念願がようやくかなおうとしているわけですからお気持ちは十分わかるのですけれども、ただ私は、やはりこういう百年の大計をつくっていこうという年金の改革、しかも、これが仮に成立しますと、共済年金もいや応なしにそういう枠にはめられていくわけですね。そういう中身を持っているだけに、今度の二%のスライド制をくっつけて、これを待っている人がたくさんいるのだから早く通せ、こういう扱い方はやはりおかしいのではないか。だから、スライド制については全会一致で決まることですから、これはこれで片をつけて、そしてこの百年の大計である法案については、先ほど小林先生も冒頭に言われましたように、慎重にいろいろな国民の皆さんの意見を聞いて、そして二十年先、三十年先に悔いの残らないような検討をする必要があるというように私どもは思っているのですけれども、そういう法案の扱い、審議の仕方についてどのように御意見を持っておられるか、お伺いしたいと思うのです。これは、小林先生もあわせてお答えいただきたいと思います。
○今井座長 ただいま村山富市君から、四人の参考人に対しまして逐次御質疑がございました。 順次御指名を申し上げますので、お答えをいただきます。福元清輝君。
○福元清輝君 今、先生から、厚生年金と同様に国民年金にも二階建て制度を考えたらどうかというお話、私も同感でありますし、そのようなことを考えたことがあります。ただ、所得の把握というのが非常に難しいのじゃないか。しかし、先生は、それを申告制によったらどうかというお話ですね。私も一つの方法じゃないかと思うのです。ただ、しかし、再来年からもう早速これを発足させたいという時期でございますので、この申告制の問題は一つの問題だろうと思いますから、これは将来検討することにして、やってもらったらどうかというように考えております。考え方については、私も同じような気持ちを持っております。
○今井座長 次に、中原タエ君にお願いいたします。
○中原タエ君 先ほど申し上げればよかったのですけれども、申し上げられなかったのですが、母子年金につきましては、いろいろと公的年金制度もありまして、遺族年金やその他あると思うのですが、先般のときに二万五千円を新設していただきました寡婦加算額があるのを、今度は重複するというのでそれを消されることになるわけですね。ところが、寡婦加算を除いた残りの母子年金、それに従来は三分の一カットしてもらえたわけでしょうけれども、今度は五分の二のカットにするというのが出されているようでございます。これは、だんだん減らされていくのに、せっかく寡婦加算をつけてくださったのも外されて五分の二にするというのも多少酷じゃないかと思いますので、納得できませんから、もう少しよく考えていただきたいと思います。せっかく婦人の年金をつくるというようなところまでいっていますのに、そういうようにだんだん削減されることは楽しくありませんので、婦人も楽しい生活ができるようにお願いしたいと思います。 それから、立ちましたついでに、先ほど小林先生でしたか、婦人年金の問題でおっしゃいましたけれども、国際婦人年で西暦七六年から八五年にかけて婦人差別撤廃条約を批准することになっていて、日本もそれを実行しなければならないことになっているわけです。婦人年金が制定されたことは非常にありがたいのですが、せっかく批准していただくのでしたら、よりベターな方法をお考えいただいて批准していただきたいということをつけ加えてお願い申し上げます。
○今井座長 それでは次に、石田重森君。
○石田重森君 ただいま御質問がございましたので、順次お答えしてまいります。 まず第一点は、基礎年金の問題でございます。これは先ほども私申し上げましたように、やはり最低生活の保障という意味が非常に強いと思うのでございます。と申しますのは、やはりこれからは、国民すべてにわたりまして最低限度の生活の保障ができないと老後は非常に難しくなる。特に、これをしませんと、イギリス等で見られますように老年者の貧困者がふえるということになります。ですから、この点はきっちりしなくてはいけないと思います。そうしました場合、やはり基礎年金で最低限度、少なくともこれ以下にならないというところがないと、これを押さえないといけない。すなわち、それ以下になりますと、先ほど申し上げましたように、やはり補足年金なり何なりの救済措置をとらないと難しくなるのではないか、こういうふうに考えます。 それからもう一点は、基礎年金と付加年金とのバランスの問題であります。これを今後どの程度のバランスにするかというのは、皆様方の御審議を通じて決まるのだろうと思うのですが、例えば、またイギリスの例で恐縮ですが、イギリスの場合は付加年金が二五%だけ反映するようになっております。というのは、最低限度を超えた所得に対しまして、年間所得の八十分の一が最高限度二十年間反映する。ですから最高で八十分の二十ということで、ちょうど四分の一になります。こういうような形になる。日本では、この基礎年金と付加年金のバランスをどこで押さえるかというのは、一つの今後の問題だろうと思うのであります。 それから第二点でございますが、今回の年金改正案の中で、一人一年金の確立ということから単身と夫婦とのバランスがとれる、こういうことで入っております。ただ、先ほども申し上げましたように、夫婦二に対して単身者が一というのはやはり厳しいと思うのであります。ですから、私が考えますには、夫婦一に対して単身が大体六五%というふうに考えております。このくらいないと、単身者はこれからきついのではないかということでございます。 それから第三点の問題でございますが、国庫負担の問題に絡みましてですが、年金制度を安定化させる、しかも基礎年金によって国民に共通のものにそれを付するということになりますと、国庫負担が大幅に減るということはどんなものであろうか。すなわち、先ほどもちょっと言いましたのですが、ある程度付加的な年金の部分、要するに現在の厚生年金の部分の国庫負担も減るわけですから、これらでこの部分に少しはてこ入れしてもいいのではないか。と申しますのは、国庫負担というのは結局税でございます。税ということは、そこでまた所得再分配が働きますから、そういう意味からいって、少しは国庫負担でのてこ入れというのがあっていいのではないかということでございます。 それから最後に、障害者年金と今度のアップ分との問題でございますが、これは私の考えでは、やはりアップの方は臨時的な措置でございます。臨時的措置と、それから障害者年金を含むすべての年金というのは長期的、恒久的なものでございますから、この辺のところはある程度きちっと分けてやるべきではないかという気がしております。だからといって、障害者年金をおろそかにしていいとは決して申しません。私は、先ほど申し上げましたように、慎重審議の上に、やはりできるだけ早い機会に年金改正が行われるべきだというように考えております。 以上です。
○小林節夫君 お答えする前に、先ほど村山先生がお出しになりました四つのことすべてに私が答えるのでしょうか。最後におっしゃったことですか。
○村山(富)委員 最後だけでいいです。
○小林節夫君 結論を申し上げます。私は、残念ながらその分離論に反対でございます。ただし、考え方としては、分離して早く二%アップをすべきだということはよく理解できます。 なぜならば、公的年金の最大のメリットはスライド制にあります。しかも、既に共済年金、恩給が引き上げられている、公務員ベアも行われておる、取り残されているのが厚生年金及び拠出制国民年金だけである、これは社会的に見ても非常におかしい。だから、なるべく早く上げることは私も基本的には支持したいのですけれども、ただし、今の情勢の中でそれをやりますと、分離したその残りの制度改革が非常におくれるおそれがある。そのことを私は非常に心配いたしまして、確かに当面のことと長期的なこととは違いますし、それは分けて考えるのですけれども、法案そのものがセットにされておりますので、その分離された場合の後が非常におくれるおそれがあるということを懸念して、その意味において私は反対でございます。 余計なことかもしれませんが、これがもし一〇%だったらもっと強い圧力がかかったのだと思うのですけれども、幸か不幸か二%でございましたので、私の知る限りそれほど大きなプレッシャーにはなっていないのじゃないかという気がするのですけれども、それもいつまでもつかは別問題でございます。
○村山(富)委員 二宮さんにお尋ねしますけれども、今私どもが国会の中で議論をしなければならぬと思うのは、これから先国民が社会保障や税金等を含めてどの程度の負担にたえ得るのか、どの程度の負担を維持することが一番いいのか。これは行革あたりで審議している経過を見ますと、四五%ぐらいが普通の限度、こう言っていますね。今は全部含めて三五%ぐらいですから。そういう意味からしますと、例えばさっきあなたがおっしゃったように、年金も医療も、それから税の方もすべてトータルして検討していくというのでなければ、年金だけを取り上げてわあわあ言ってみても、これは全部関連があるわけですから、そういう意味から申し上げますと、やはりそういうすべてを含めた総合的な立場から検討して、賃金がどの程度になる、所得がどの程度になる、それに対して負担はどの程度の水準で維持することがいいのかというようなことについて、何かお考えがあればちょっとお尋ねしたいと思うのです。 それからもう一つは、雇用と年金の支給開始年齢との関連ですけれども、厚生省が出している案によりますと、六十五歳にするとは言っていませんけれども、しかし現行六十歳の支給開始年齢でいくと負担はこれぐらいになりますよ、この程度で負担を維持しようとすればやはり支給開始年齢を検討する必要がある、こういうようなことが資料で出されているわけですね。いずれ私はそういう考え方があるのじゃないかと思うのだけれども、雇用と年金の支給開始年齢との現状について、何か特別御意見があればお聞かせいただきたいと思います。
○二宮誠君 支給開始年齢の問題を先に言いますけれども、今資料はないわけですけれども、実際今六十歳定年制が定着しているかというと、まだまだ六十歳定年制は定着していないのですね。その中で今ブランクが、例えば鹿児島で言うと平均の定年年齢というのは今五十七、八歳じゃないですかね。そうすると、二年ないし三年のブランクがあるわけですね。その間どういうふうな生活をしていくのか、収入をどうするのかという問題が非常に大きな問題になってきていると思うのですね。それに、同じようなことですけれども、女子についても、じゃ五十五歳を六十歳までにしましょう。現行五十五歳で年金がもらえるからうちは五十五歳で決めているのですというようなところが結構あるのですね、いいことじゃないですが。そういうようなところをきちっと解決してあげて、その上で支給開始年齢を延ばしましょうというようなものを出さないと、なかなか難しいなという気がするのです。答えになっているかどうかわかりませんが……。 もう一つ、先ほど何%程度かという話がありましたけれども、実際北欧諸国では相当負担が大きいのですね。それじゃ日本も、北欧諸国並みに四五%なり五〇%なり、多いところは六〇%ぐらいあるのじゃないですかね、そんなことになってもいいのかというと、それは社会の体制が違いますからちょっと困りますというお答えしかできないのですが、昭和でいくと百十五年になるのですが、厚生年金だけでも被保険者と受給者の関係で四六・七%になるわけですね、分母に被保険者を置いて受給者を分子に置くと。こういうときになったら、本当に真剣にそこらあたりを考えなければいけませんけれども、今時点で言うと、個人的な見解になるかもしれませんけれども、四〇%を超えるというのは問題ではないかというような気がしております。
○村山(富)委員 石田先生と、それから二宮さんにお伺いします。 いずれにしても負担は加重していくわけですね、そういう意味における税負担も社会保険負担も加重していく。そこで、外国の例なんかと比較してみて、必ずしも労使が五、五の負担ではないというところもあるわけですね。私は、所得の再配分その他から考えてみて、例えば六、四にするとか七、三にするとか、そういう点もこれから検討する課題ではないかというふうに思うのですが、時間がありませんから簡単で結構ですが、お答えをいただきたいと思います。
○石田重森君 問題は、これからの年金負担の事業主負担のあり方だと思うのであります。これは諸外国にも、事業主負担の方がかなり多いというところもございます。この辺大変難しいのですが、これはただ単に年金だけではございませんで、法人税等と絡みます。ですから、これは総合的に考えなくてはいけないと思うのですが、もう一つ、税金と同時に、今後はいわゆる企業年金、職域年金との問題が絡んでまいります。この職域年金の負担がどうなるか、それによって、場合によっては事業主負担が多少、多少というか今の五分五分が五%ぐらい上がるということはあり得るのじゃないか。 もう一つ念のために申し上げますと、例えばイギリスの場合は公的年金と私的年金、企業年金ですね、これが非常に密接に結びついておりまして、コントラクティングアウト、いわゆる適用除外方式をとっております。この適用除外方式をとる場合に、優良企業はみんな自分たちでやりたいですから適用除外をいたします。これをやりますと、公的年金が非常に不利になります。そこで、差別保険料といいましてやや高い、要するに普通よりもやや割高なものを公的年金に払って、そして適用除外を受けて、今度は独自の年金をやります。そうなりますと、ここでも事業主負担がやや多く見られるということもあります。 ですから、これは法人税とそれから今後の職域年金、企業年金の負担と絡みまして難しい問題だと思いますが、総合的に企業の負担がどのくらいになるか、場合によっては多少事業主負担が増大しなければならぬことも出てくるかと思います。 以上でございます。
○二宮誠君 結論的に言いますと、最終的にはやはり労働者三、事業主七ぐらいの割合に変更すべきだというふうに思っております。しかしやはり一挙にというわけにはいきませんから、計画的にその方向で努力をしていただきたいなと思っているところでございます。
○村山(富)委員 これで終わります。
○今井座長 次に、平石磨作太郎君。
○平石委員 石田先生、小林先生にお伺いをいたします。 先ほどからもいろいろと論議がなされておるのですが、この基礎年金、これはいわば最低保障といったような性格を持ったものであるけれども、現実には従来の社会保険方式、これを踏襲をするために、いろいろな矛盾というか、あるいは格差の解消とか、こういったようなことがそのまま存続して、いわば積み残し的なものが出てきた。これは税方式と違って一挙に解決は難しいところですけれども、どうもこのままでいきますと、昔のあめ玉年金と言われたようなことが出てくる。こういうことから考えたときに、私は、少なくともこれらの人の救済といいますか、補足年金というふうにさっき先生はおっしゃっておられましたが、何かそういう方法があるかないか、ひとつお聞かせをいただきたいということ。 それから小林先生、先ほどのお話の中にございました部分年金とか部分就労、これは非常に高齢化、しかも余命が伸びておりますので、そういたしますと、少なくとも六十五歳ごろまでは働いていただいて、それから先が年金生活に入る、これへやはり誘導策をとらなければならぬじゃないか。そういたしますと、今二宮陳述人が言われましたように、大体鹿児島でも定年は五十七、八歳だ。こういう状況が全国的に見えると思うのですが、これを六十五歳までに何とか行政指導といいましても、企業も大変だと思うし、そうすると、年金で半分、企業で半分というような形のものを誘導的にとっていって、そして六十五歳の延長というところへいった方がベターではなかろうかというような気がするわけですので、その方法についてお考えがございましたらお述べいただきたい、こう思うわけです。これが雇用の拡大と年金の節減、こういった面で非常にベターなものになるのではなかろうかというような気がいたします。 それからもう一つお伺いをいたしますが、定額保険料の負担の問題です。これはやはり給付との見合いでございますから、この定額の保険料については、現在の月額六千二百二十円というものが非常に過大な負担になっておるがために、現行の国民年金の中で脱落者が非常に多い。しかも法定免除、申請免除、中には申請しなくてそのまま放置する。年間大体六十万から七十万件程度のことを聞いておるわけですが、これでは基礎年金にならない。したがって、この負担について、少なくとも将来は、厚生省の試算によりますと一万三千円から一万九千円に上がらざるを得ない。こうなってきますと、自営業者の中で二人、三人と掛金を掛けるということになりますと、これは大変なことになってきます。 そこで、私がお伺いをしたいことは、仮にこの六千二百二十円、六千八百円、これを半分の三千円台にする、そして残ったものを先ほど出ておりました比例負担、これをしてはどうか。その上へ、今言う付加年金、二階建てというものを乗せていけば合理性も出てくるのですが、これはなかなか所得把握が難しいという御意見も今聞かしていただいたのですが、私は少なくとも、自営業者の中で高額所得者、それから低額所得者、たくさんいらっしゃるわけですが、そういう方式が半分程度のものについてできないものだろうかという気がしておるわけですので、これにもう一回お答えをいただきたい。これは小林先生にお願いしたいと思います。 それから国庫負担につきまして、これは今保険料の負担区分が労使折半、これが七、三はいかがか、こういった意見もありましたが、自営業者の場合は全くそういったものはありません。全額自分が定額負担をしておるわけです。そうなりますと、その均衡も考えなければならない。それから、所得再配分といったようなことも制度の上では考えていかねばならない。そうなりますと、国庫負担を、さきにお尋ねしたことと関連も出てきますが、三分の一以上、少なくとも現在の厚生年金についての二〇%のラインは維持をしていただきたい。そしてそれを基礎年金のところへ持ち込んでいけば、給付の改善とそして国庫負担——この脱落者の防止ということに対応するものが今回の改正案には見えません。したがって、厚生省としては、少なくともこの脱落を防止する意味からも、給付改善を図る意味からも、国庫負担を三分の一に落とす、これはいかがなものか。少なくとも私は、厚生年金の二〇%は、それをふやせと言うのではないのだから、確保すべきである、こういう意見を持つものですが、今の問題は石田先生、小林先生、お二人にお答えをいただきたいと思います。
○石田重森君 まず第一の、最初の基礎年金の問題でございますが、確かに基礎年金、種々改善すべき点を含んでおります。ただ、やはり大筋としては、まず基礎年金のような形でやって、そして最低保障をする。この場合、なぜ基礎年金かと申し上げますと、現在のような国民年金、いわゆる住民保険としての国民年金と被用者保険としてのその他のものを統合するには、やはり基礎年金と二階建てにするしかなかろうということで、一時にすべての解決は難しゅうございますが、基礎年金のような形でやる。 ただし、その中で幾つか問題がございます。一番問題になりますのは、先ほど来出ておりますところの給付水準で、場合によると最低保障に欠けるのではないか、こうなります。ここは私も、先ほどの陳述の中でも申し上げましたとおり非常に難しいのですが、どうしてもある限度以下へは落とせない。最低限度の生活費なり何なりは基礎年金で確保しなくちゃいけない。それができない場合に、いわゆる公的扶助の補足年金になるのですが、ただ問題は、我が国の場合に公的扶助といいますとどうしても生活保護的なものになってしまう。これは極端に一番どうしようもない人たちに対する給付というような形になりますので、そうではなくして、いよいよ足りなかったら基礎年金に少しプラスして、生活保護までいかないにしても、その途中で歯どめをきかすというような形で最小限度保障をしなくちゃいけない。出すのも大変ですし、それから受ける方もございますが、とにかく国民みんながある程度は我慢し合うということも必要だと思うのです。そういう意味で、最低限度を何とか保障する。それからもう一つは、先ほど申し上げましたのですが、生活保護との関連で社会保障の中でのバランスを考えないと、現在の生活保護はかなり高いですから、それより以下になってしまうのはやはり問題だろうということです。これはイギリスにもその先例がございます。 それから、第二の国庫負担の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、これまた均一の定額負担というのは非常に低所得者に厳しくなります。既に一九五〇年代の半ばに、イギリスではこれが破綻をしております。いわゆるビバリッジ構想が破綻したのは、均一拠出、均一給付からだったわけであります。そういう意味では、ある程度定額拠出というものは考え直さないと、その上に何とか方策を講じないと難しかろうと思うわけであります。 それから国庫負担につきましては、先ほども申し上げましたとおり、先生のおっしゃるとおりやはりある程度、国庫負担三分の一以上というような形を残していかなくてはいけないんじゃないかということでございます。 以上であります。
○小林節夫君 お答えいたします。 私の場合は三つの質問がございました。 まず雇用と年金とのつながりでございますが、恐らく平石先生がその問題をお出しになった内側に、雇用と年金とは密接に結びついているんだ、その関連を重視すべきだというお考えがあろうかと思いますが、その点については私、全面的に賛成でございます。 ただ、先ほど私は、原則として働ける間は働くような社会システムをつくる、働けなくなったら年金で、こういうことを申し上げました。これは実は理想でございまして、実際はなかなかそうなっておりません。先ほど来話が出ておりますように、定年もやっと六十に近づきつつある状態で、もちろん大企業と中小企業では違いますけれども、ただ、誤解しているかもしれませんが、厚生年金の実際の受給年齢は大分前でも六十二歳ごろになっておりまして、定年になってもまだどこかで働いている、そういう人がかなりいるわけです。いずれにしても、将来支給開始年齢をおくらせるというような問題が出てくるとすれば、その時期までには絶対そういう最大限の努力をしていただきたいと思います。ただ、それを行政指導というのは非常に無理な感じでございまして、頭の痛い問題だと思います。 一方、もう一つつけ加えますと、在老という制度があるのは御存じだと思うのですけれども、そのデメリットがございます。先ほどちょっとお触れになりましたが、これもなかなかうまくデメリットを抑える方法がない。しかし、検討課題ではあろうかと思います。 二番目、定額保険料のことでございますが、定額制に矛盾があることは事実ですが、これは所得がつかめないということでどうしてもしようがない。そうすると、全体としては負担を抑えざるを得ない。負担を抑えると給付水準も低くなる。したがって、さっきからおっしゃるように、基礎年金は本当はミニマムにするのが私も理想だと思うんだけれども、実際なかなかそれが難しいという感じでございます。だから、所得比例をとおっしゃいましたけれども、それが私の感じでは今いい知恵がない。それが見つかればいいのですが、今はそれがはっきりしない見通しの状態では困難である。その上にまた付加年金とおっしゃいましたけれども、現在でも付加年金がございます。かなりの人が入ってはいるのですけれども、初め関心を寄せられたほどの関心がずっと薄れてきている。その原因は、スライドがないとかいろいろ理由があることは御存じだと思うのですけれども、要するに二階建ては今でもあるんだけれども、その実態は機能してない。だから、乗っけるなら違った形で乗っけるべきだと思います。 三番目、国庫負担でございますが、私は原則として社会保険方式を支持しましたが、それはその中でも述べましたように、国庫負担を入れてはいけないという意味では決してありません。その組み合わせ方が問題だということを申し上げました。ただ、年金にどれだけの国庫負担をつけるべきかということは、理論的に割り切れる問題じゃございません。それこそ政治的判断だと思っております。私は、おっしゃるように、幾ら国の財政が厳しくなったからといって、あるいは高齢化社会だからといって、今までつけてきた国庫負担をそんなに極端に減らすという考えがあるならば、それは支持できません。少なくとも、それに見合う程度のものはつけていただきたいというふうに考えております。
○平石委員 今の雇用の拡大と年金なんですが、私は小林先生にお伺いしますが、誘導策というのは単なる行政指導という意味ではなしに、年金の中でそれができないか。現在、六十五歳でこれは満配渡そうとしている。そうすると、六十四、六十三、六十二で減額支給があるわけですね。その減額支給をちょっと現行を見てみますと、六十歳から六十四歳までの方、これで九万五千円もらうと年金が半分になっちゃうのですね。これは、九万五千円を他でもらっているからあなたの年金は半分にしますというのはどうか。私は、少なくとも今度の改正案ではこの限度額を上げてほしい。そして、十五万五千円以上の場合はゼロになるわけですね、六十歳から六十四歳までは。十四万でというと非常に低いわけですが、十五万五千円ではゼロになります。これを公務員と比べたときに、公務員の場合は月五十万もらうのがぽんぽん出ていくわけですから、そうすると一般の民間のサラリーマンが九万五千円で年金が半分になるというのでは残酷ですから、これを今度の改正は政令に委任してあります。だからその限度額を恐らく上げると思うのですが、これをもっと上げて、そして年金の金額と雇用の企業側の賃金との関係、ここで六十五歳までの誘導がとれないか、部分年金、部分就労という形をまねたものとしてできないか、こう思っておるわけですが、いかがでしょうか。
○小林節夫君 お答えいたしますと答えたいのですが、残念ながらできません。なぜならば私は、先生おっしゃるように基本的な考え方は全くそのとおりなんですが、では具体的にどうすればそれができるかということについて、実は案を持ち合わせていないからであります。しかし今度の制度改正、さっき申し上げましたが、現行の在老制度でもいろいろな矛盾がございます。それがうまく組み合わせられればいいのですが、デメリットばかり出ているような感じもございまして、そこをうまくつなぎ合わせることについてはより詳しい専門家たちの検討を待ちたい、こういうふうに考えております。
○平石委員 以上で終わります。
○今井座長 次に、塚田延充君。
○塚田委員 意見陳述者の皆様方におかれましては、大変貴重な意見を開陳いただきまして、私どもにとりましても非常に参考になったこと、御礼申し上げたいと思います。 ほとんどの方々の意見の流れとしては、今度の改正案について、問題点はあるけれども評価する。そして、特に近藤さんなどは切々と早期実現ということを訴えられておったわけでございますが、私たち民社党としても、国民の間の大変に重要な問題ですから、これは慎重な審議をしなければいけない、しかしながら、国民がそれだけ望んでおるのだから決めるものは早く決めなければいけない、このような、言うなれば原則賛成、そして部分的にはいろいろ出された御意見などに基づいて修正を要求していかなければいけない、このような態度で今国会に臨むつもりでおります。 しかしながら、そのような意見陳述の中で、中原さんの場合ちょっとニュアンスが違ったような感じもするのです。いわゆる時期尚早論のような感じがするのですけれども、今度の改正案に対して、成立を反対されるずばりその本当の理由は何なのか、それからどういう条件が整えば賛成されるのか、まずお伺いしたいと思います。
○中原タエ君 反対いたしましたのは、先ほど申し上げましたように、そう急がなくてもまだ財源があるということが一つと、それから、慎重審議していただく部分が多々あるので、それを整えられてからなさっても遅くはないのじゃないかというのが私の理由です。
○塚田委員 ずばりいろいろな改正案といいましょうか、修正案、御意見というものがあるわけですね。これだけがひっかかるからどうしても反対だ、そういう部分があったらば意見を御開陳いただきたいと思います。
○中原タエ君 先ほど申し上げました、私は女ですから、婦人の問題が特にひっかかるわけですけれども、そういう問題とか、運用の面でお金がたくさんあるのだけれども、それをどう運用していらっしゃるかというのを改善していただきたいと思うのです。
○塚田委員 時間がございませんから、ほかの方向に質問を変えたいと思います。 現在、年金に対する国民の大きな疑問と申しましょうか、意見の流れというのは、いわゆる官民格差、国民、厚生、共済のこの格差の存在について疑問を持ち、指摘しているわけでございます。今度のこの改正案におきまして是正の第一歩が踏み出される感じがするのですけれども、この格差是正という面においてどのような面で評価されるか。そして御意見として、この格差是正のための方法とかプログラムであるとか、その辺について石田先生、小林先生から御意見を承りたいと思います。
○石田重森君 今回の年金改正で、やはり官民格差是正まではいっていないと思うのです。少なくとも共済年金の改正をしないことには、官民格差の是正まではいかないと思うのです。ただ、少なくとも今回の改正でその道が開けた。要するに、基礎年金、二階建て年金にすることによって、将来共済年金を加える場合に、共済年金の民より多い部分が付加年金に吸収される可能性がある。そういうような意味で、今回の問題よりも次をにらんだ、要するに共済年金までの統合を済ませて初めて官民格差の是正というものが行われるのじゃないか、こういうような気がしております。
○小林節夫君 お答えいたします。 石田先生御指摘のように、共済年金側がどういう改正案を出し、どういう法律ができるかということ次第でございまして、それを待たないとはっきりしたことは申し上げられません。しかしながら、少なくとも、今回基礎年金がつくられようとしておりまして、その部分に関する限りは官民格差はなくなります。 それからもう一点、しかし自営業者とサラリーマンと違うように、民間のサラリーマンと公務員とも違います。共済にもいろいろありますけれども、公務員と考えれば、その場合は民間のいわゆる企業年金相当部分はございません。また、それこそ人事管理か何かよく知りませんけれども、そっちの面からも特殊な性格は持っているということは認めざるを得ません。しかし、それは三階と言うかどうかは知りませんけれども、別の形で乗っけざるを得ないであろうということは、私にもよくわかります。ただ、その乗っけ方あるいはその程度は別問題でございます。そういう設計にならざるを得ないということは私も認めます。したがって、いずれにしても、今までの官民格差についてもほとんどないのだという議論がありましたが、少なくとも今度の年金改正のいろんな論議の中でやはりあったではないかと私は言いたいわけで、その中で理屈のつかないものはこの際ぜひ是正してほしい。理屈のあるものはこれは私は認めるべきだと思います。そういう整理をぜひしていただきたいと思います。 もう一つ、余計なことかもしれませんが、そういう共済側の制度改革をおくらせないためにも、やはり今回の改正法案を早く成立させていただかないと、口実を与えるということを私は非常に心配しているわけでございます。
○塚田委員 二宮さんにお尋ねいたします。今度の厚生年金の改正案ですと、いわゆる年金受給額は、夫婦合わせてモデルケースですと現役の大体六九%程度、これは厚生省の発表しておりますボーナス抜きのモデルで言いますと、現役が大体二十五万円の収入があり、そうなると夫婦二人で十七万三千円くらいになるのだということですけれども、現役と年金受給者のバランスですね。と申しますと、例えば二十五万円もらっている現役というのは、大体租税と社会保険の負担率が平均的に三五%くらいと言われておる。そうなると、実際の手取りというのは十七万弱くらいになってしまう。こういうところについて、そのバランス感からいって、特に二宮さんはまだお若いし、現役の立場からみたいなことから、今そういうふうになったとしたら納得できるのかできないのか、この六九%の数字について御意見をお願いいたします。
○二宮誠君 一言だけでございますが、ずばり言って、やはり納得できかねるという気がしますね。
○塚田委員 いわゆるナショナルミニマム、最低保障としての国民年金で五万円というラインが十分かどうかといういろいろな議論がございますけれども、先ほど石田先生から、単身で受け取らざるを得なくなった場合五万円ではちょっと厳しいのではないか、バランスを失するのではないかという貴重な御意見が出されたわけでございますが、この点につきまして、福元さんと小林さんの御意見をお伺いいたします。
○福元清輝君 ただいまおっしゃったように、一人五万円、二人で十万円、しかし、単身の場合で同じように扱うのは単身の方に非常に負担が重いのじゃないか、無理がいくのじゃないかという御質問のようでございますが、私は、今回のこの改正案が、みんな同じ土台の上に置くのだ、そしてまた負担金も同じように取るのだというような趣旨を考えますときに、受給権者になったとき、その方々が、おれは同じように保険料を納めたのに、一人と二人の場合違うのはおかしいじゃないかということで、考えによっては私は不公平になるのじゃないかと思うのです。ただ、単身の場合が生活としては重いということは、これは感情としても我々はわかりますけれども、この制度の趣旨から見た場合には、私はやむを得ない制度だというように考えます。
○小林節夫君 お答えするのが非常に難しい質問でございます。私は、今度の制度改革でやはり一人一年金制度を取り入れたことはよかったと思っております。しかし、反面において、今御指摘のように夫婦二に対して単身一というのはジレンマでございます。それをうまく調和できる方法というのは、実は私にもよくわかりません。だからお答えが難しいと申し上げたわけですが、まあ両方生きて、そしてサラリーマンの場合ならこれは問題ないと思うのですけれども、御指摘のようにどっちかが先に死んだという場合、後に残された人に確かに疑問はありますし、それから、今の福元先生からお話しのように、国民年金のように保険料が定額制で従来から個人単位になっているものの場合は、今度変なことになりますね。だから、その辺の調整に疑問を持っているということは申し上げたいと思います。ただ、初めに申し上げましたように、だからどうしたらいいのかということは、私も実はまだ十分検討しておりません。それも今後の課題ではあろうかというように考えております。
○塚田委員 ありがとうございました。これで質問を終わります。
○今井座長 これにて質疑は終了いたしました。 この際、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。 意見陳述者の方々におかれましては、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。 拝聴いたしました御意見は、本委員会の審議に資するところ極めて大なるものがあると信じます。厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。 また、この会議開催のため、格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、深甚の謝意を表する次第でございます。 それでは、これにて散会いたします。 午後二時二十二分散会