社会労働委員会 第5号
- 発言数
- 156 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1984/04/03
会議録
○有馬委員長 これより会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永井孝信君。
○永井委員 まず初めに、労働大臣に、経済の見通しについて若干お尋ねをしてみたいと思うわけでありますが、政府の五十九年度の経済見通しによりますと、経済成長率は実質四・一%、五十八年度は三・四%だったわけですね。名目で五十九年度は五・九%だというふうに政府はその見通しを述べているわけでありますが、その中身として、内需が三・六%、外需が〇・五%、このように示されているわけでありますが、これについて果たして達成できるということが断言できますか。どうですか。
○谷口(隆)政府委員 昭和五十九年度の経済見通し、また、その中におきます経済成長率の問題についてでございますが、五十八年度の見通しにつきましては、ただいま先生御指摘のとおりでございますが、本年の二月八日に閣議決定いたしました「昭和五十九年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」におきまして、成長率は三・四%、そのうち内需寄与度が二・二%で、外需寄与度が一・二%程度になるというふうに見込んでおるわけでございます。 最近の成長率を前年比で見ますと徐々に高まってきておりまして、五十八年の四−六月期が二・六%、七−九月期が三・一%、十−十二月期が三・五%と、徐々にふえております。この中におきます内需、外需の寄与度につきましても、四−六月の時点では内需が一・〇、外需が一・六でございましたが、だんだん内需の寄与度が高まりまして、十−十二月では内需寄与度が一・七、外需寄与度が一・八ということでございます。このように内需寄与度も高まっておる。これは結局、その背景には世界経済、特にアメリカの景気等との関連もございまして、国内の景気が徐々に回復をしておるということでもございますし、五十九年度の経済成長は、これからの経済運営のいかんにかかわるわけでございますけれども、現在のそういう状況と、さきに策定しました「経済運営の基本的態度」に基づきまして経済運営をすることによりまして、成長率を達成いたしたいというふうに思っておるわけでございます。
○永井委員 今労政局長から説明があったのですが、五十八年度の経済成長率のうち、いわゆる内需と外需の関係では内需がしり上がりによくなってきた、こう言っておるわけでありますが、当初の内需、外需の見込みと一応今見込まれている見込みの数字の差はどうなっておりますか。
○谷口(隆)政府委員 五十八年度の三・四%の成長率のうち、内需寄与度が二・二%程度、外需寄与度が一・二%程度でございますが、先ほど申し上げましたように、徐々に内需寄与度が上がってはきておりますが、四−十二月で見ますと、内需寄与度が一・三に対して外需寄与度は一・八ということでございます。
○永井委員 今いみじくも見通しについて説明されましたように、政府の最近の経済見通し、成長率というのは、内需と外需の拡大について当初の見込みとほとんど最近は逆転をしているわけですね。そうしますと、政府の五十九年度の経済見通しの実質四・一%、その内訳が内需三・六、外需〇・五という数字は果たして信頼できる数字なのかどうなのか。こう考えますと信頼に乏しい数字のように思うのですが、どうですか。
○谷口(隆)政府委員 五十九年度の経済成長率と、その中におきます内需及び外需の寄与度につきましては、今後の経済運営と、それから世界景気なりあるいはそれとの関連における我が国の景気の動きに関連するわけでございますけれども、やはりまだ年度始まったばかりでございまして、新年度におきましては、先ほど申し上げました、さきに決定した「五十九年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」によりまして、内需を中心とする成長率が実現できるような努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○永井委員 執拗にこだわるようで恐縮なんですけれども、私どもの考え方では、内需の拡大が飛躍的に実現しない限り、雇用の情勢もあるいは実質所得の関係も伸びていかないと見ているわけですね。今は未曾有の不況の時期でありまして、毎月毎月千五百も千六百もの零細企業を含めた倒産会社が出ている実態でありますから、そう考えていくと、何よりも内需の拡大に最大限の努力がなされなくてはいけない、私はこう思うのですね。 そこで、政府の言っている内需の拡大が三・六で外需が〇・五のとおりに成長していくと、かなりこれからの見通しは明るいものを持つことができるわけでありますけれども、今までの実績からいって、私どもはなかなかこの政府の経済成長の見通しというものは信用することはできない。 そういう前提で考えてみました場合に、例えば完全失業率にいたしましても二・五%にとどめたい、こう言っているわけですね。ところが現実は、現在でも二・五%をはるかに超えている実態でありますから、これも具体的にそれを示す根拠というものはなかなか今の段階では見つけることができない。あるいは消費者物価にいたしましても二・八%に抑える、こう言っているのですが、これも、これからの公共料金の値上げなどもあって、必ずしも二・八%に抑え込むことができるという確たる自信を持つことができない、こう思うのですね。 しかし、そういう政府の経済見通し、完全失業率、あるいは消費者物価の動向、こういうものを前提に置いて一人当たり雇用者の所得の伸びを四・七%にはじいている。今、春闘の山場を目の前に迎えているわけでありますが、果たして政府の言うような経済成長率の見込みからいって、一人当たり雇用者所得の伸び率が四・七%になり得るのか、あるいはそういうふうにしていくような積極的な行政を推進する自信が大臣にはおありなのか、お尋ねいたします。
○坂本国務大臣 おっしゃるとおり、外需中心でまいりましてはなかなか我が国の雇用を改善するということは難しいので、それで内需の振興ということで、今、政府といたしましても、経済の、特に景気のかさ上げなどという点につきましてはひとつ全力を挙げていきたい。それはよく経済企画庁長官も申されておるところでありまして、経済環境、景気の上昇ということが非常に大事になってくると思うので、これらについて努力をいたさなければならぬと思っております。
○永井委員 努力をしてもらうことはこれは当然なことでありまして、政府みずからが示した数字でありますから、その数字の達成のために努力をするのはこれは当たり前の話であります。 ただ、努力はしてもらうのだけれども、昨年までの実績を見ると、努力はしたんでありましょうけれども、その数字に到達し得ない状況が続いてきている。だからあえて、今春闘の大事な時期でありますから、それを私は問題視しているわけであります。 そこで、この数字がどうのこうのと仮定の話をしてもこれからの話でありますから、一応そういうものを前提に踏まえながら、若干具体的な問題について質問をしてみたいと思うわけであります。 初めに雇用情勢でありますけれども、景気の回復が今言われたように明るい展望が出てきているんだ、こういう状況を政府は常に言っておるのでありますけれども、しかし雇用情勢そのものについては現在の段階で決して明るさが出てきていない、こう断言していいのではないかと思うわけですね。特に、今私が指摘しましたように、内需の拡大が当初の政府の見込みどおりになかなかいっていない。こういう現状から、内需型の産業中心の地域では非常に失業率が高い。いわゆる製造業が集中している地域と比べて、内需型産業中心の地域は高失業率であると言って過言ではないのではないか、こう私は思うわけですね。そうして、輸出主導の景気回復ではもちろんそのことは解消できないと私は考えるわけでありますが、そういう立場から考えると、内需拡大を重視した立場で雇用改善の具体的な施策を労働省は示すべきだと思うのでありますが、これについてお答えいただきます。
○加藤(孝)政府委員 確かにおっしゃいますように、最近の雇用失業情勢を見ますと、例えば完全失業率が二・七%、最高でございました二・八〇よりは下でございますが、なおそういう完全失業率などは厳しい状況があるわけでございますが、全体といたしまして、景気の回復を背景にいたしまして、例えば求人というような面につきましては相当の回復をしておるわけでございます。 確かに、景気の回復の当初におきましては、例えば電気とか精密機械とかそういうようなところで、昨年の今ごろは、そういう特に輸出関連のところだけが求人が増に転ずるというような事情がございました。ところがその後、昨年の夏から秋にかけまして、こういう輸出に引っ張られましてそのほかの消費関連というような方面にも求人の増が出てまいりまして、例えば食料品の関係であるとかあるいはまた繊維の関係であるとかあるいはまたサービス業というような分野にも、昨年末から本年にかけましていずれも対前年求人増というようなことで、当初輸出主導型で始まってまいりました求人の増加の動きが、現在におきましては建設業あるいは農林水産業を除きまして、全産業的にほぼ求人増という形で広がってきておるというような状況にあるわけでございます。 そういう意味におきまして、やはり、現在のこの景気の動きというものを着実なものにしていくという安定的な景気回復の中で、こういう雇用情勢につきましても逐次改善を見ていくことが期待できるのではないか、こう思っておるわけでございます。現に、求人求職の割合でございます有効求人倍率というもので見ますと、昨年の七月の〇・五八というのを底にいたしまして、その後毎月じりじりと〇・五九とか〇・六〇、〇・六一ということで、本当にじりじりでございますが、ずっと少しずつ数字は上がってきておりまして、二月で〇・六五というようなところまで来ておるわけでございます。 確かに、いろいろ御指摘のように、地域によりましてあるいは業種によりましてまだいろいろ、まだら現象といいますかそういう跛行性というものは出ておりますが、全般の雇用失業情勢の動きといたしましては、そういう輸出主導型から始まって、今全産業的に少しずつ広がりつつあるというふうに見ておるわけでございます。
○永井委員 求人倍率が若干上向いてきたと言われているのですが、先日の労働省の発表によりましても、求人倍率は今言われたようにわずか〇・六程度なんですね。これでは失業者をなくすることはもちろんできない。不可能なことなんです。 ちなみに総理府の統計局の地域別労働力調査を見ますと、昨年の十月から十二月までの失業率でありますが、北海道では三・四%、四国では三・三%、九州・沖縄でも同じように三・三%、近畿は大阪、神戸の大企業群を抱えているのでありますが、それ なおかつ二・八%、東北で二・七%という数字が出ているわけです。東京なんかはこれよりも数字はかなり下回っているわけでありますが、今言ったように、地域別ではかなりのアンバランスがある。そこには確たる地場産業もそうたくさんないし、といって農業の関係を見ましても、農業政策の推移からいって農業の労働人口も減ってきている。こういう状態にあるわけです。 これを考えてみました場合に、今安定局長がお答えになりましたように、この二月の完全失業率は三%、調整値を含めて二・七%ということは、つい先日、三月の末に発表されているわけですね。こういう状況から求人倍率は比較的上向いてきたと言うんだけれども、なおかつ〇・六倍という状態の中で、政府の経済見通しの中に言う失業率を二・五%に抑え込むことができるのか、あるいはその二・五%に抑え込むだけの雇用拡大といいますか、そういうものが労働省の努力でなし得るのか、その辺のところを、上っ面の数字を並べるようで恐縮でありますけれども、非常に大事なところでありますから、そこをもう一度念のためにお聞きしますので、ひとつお答えください。
○加藤(孝)政府委員 いろいろ先生、内需の関係が今後どの程度本当に伸びていくのか、あるいはまた、現在の失業率が果たして政府見通しどおり二・五までいけるのかというような観点からの御質問でございますが、先ほど申し上げましたように、ただいまのそういういろいろな指数の動きを見ますと、完全失業率の地域ごとのまだら現象といいますか、その辺は確かにございますが、全般といたしましては、そういう数字全体の基調としまして回復基調をたどっておる、また雇用失業情熱もじりじりと本当にわずかではございますが改善の方向に向かっておる、こういうことでございまして、少なくとも政府の経済運営におきまして、この景気の拡大というものを安定的、持続的に維持するという経済政策と相まち、また労働行政の面におきましても、こういう点についての、特に不況地域・不況業種に対するきめ細かな、かつ、機動的な雇用対策の発動というようなことなどを通じまして、二・五%という政府見通しに向けての懸命な努力をする中で、何とかその見通しの線にまでやっていかなければならぬ、また頑張ればいけるのではないか、今こんなような見方をしておるわけでございます。
○永井委員 そこで、雇用の問題に非常に重要なかかわり合いを持つ労働時間との関係について若干お聞きをしてみたいと思うわけでありますが、現一在のこの労働時間の実態というものを見ますと、おたくの労働経済動向調査によりますと、ことしの一月から三月期の所定外労働時間が、前期に比べてふえると見られる事業所が一七%となっているわけです。これは昭和五十年以降の最大の大きさだと言っていいと思うのです。また、昨年一月から十二月までの製造業の所定外労働時間数は急テンポで伸びてきています。これらのことから、景気の回復の兆しが見えたというふうにも言われているのかもしれませんけれども、しかしこの所定外労働時間がふえることと雇用の拡大ということは結びついていないんですね。 具体的な数字をちょっと申し上げてみますが、昨年の一月で十三・一時間、二月で十五・六、三月で十六・一、数字を並べて恐縮でありますけれども、具体的に認識を深めてもらうために申し上げるのでありますが、四月が十六、五月が十四・九、六月が十六・一、七月が十六・三、八月が十五・四、九月が十七・一、十月が十七・七、十一月が十八・一、そして十二月が十七・九、これが所定外労働時間の伸びている中身なんです。しかし失業数で見ると、最前申し上げましたように、三月三十日の総理府の統計の発表によりましても、五十八年の二月で完全失業者が百六十五万人を数えている。昨年の二月で百上十万人であったものが、ことしの二月では百七十一万人に増加しているわけです。そうして、率においても二・七三%というかつてない高い率を示しているわけです。 そう考えていくと、最前私が指摘しましたように、実労働時間の拡大ということが出てきている。それは所定外労働時間が拡大しているのであって、現実に雇用の確保、拡大ということに結びついていないことが、この一年間の統計資料から見ても如実に示されているわけです。そうしますと、この関係でいえば、所定外労働時間を雇用の拡大に転化させるような政策がもっとあってしかるべきではないかと思うのでありますが、これについてどうお考えになりますか。
○加藤(孝)政府委員 確かに御指摘のように、景気回復の過程におきまして所定外労働時間が増加をしてきておるわけでございまして、この二月時点でもこれが月間十八・二時間、そして、景気の前回のピークでございました五十五年の五月に比べましても四・三%上回っておる、こういうような状況にあるわけでございます。 そういう意味で、所定外労働時間の増加というものがそろそろかなりの水準に達してきておりますので、今後その所定外労働時間の伸びが鈍化をいたしまして雇用増へ結びついていく、こういうような形での転換というものがやはり必要になろうかと思うわけでございます。そういう意味で、私ども、今後こういう雇用増への期待を持っておるわけでございます。 ただ、この完全失業者の数との絡みでいろいろ見てまいりますと、実は所定外労働時間がどんどん増加しております。その過程におきまして、完全失業者数はふえる、あるいはまたそれがなかなか減らない、こういう状況がありながら、一方、雇用者数そのものは対前年に比しまして、例えば昨年の三月で百二十三万対前年増、この辺が一番大きいわけでございますが、あるいはまたその後、昨年の八月では対前年百六十五万増というように、前年に比べましての雇用増というものも非常に続いているわけでございます。今年の二月時点におきましても対前年六十六万増ということで、失業者そのものの水準が下がらない、高水準ではございますが、雇用者そのものは、一番大きいピークのときには百六十五万対前年増、あるいはまた最近におきまして、五十万ないし六十万台が対前年増、こういうようなこともございまして、完全失業者と言われておる百七十一万の中身というのもやはり一つは問題ではないだろうか、こう思っておるわけでございます。 率直に申しまして、この百七十一万の完全失業者がなかなか減らない、あるいは増加ぎみだという中身を分析いたしてみますと、今まで家庭の主婦であった層の方たちがこういう景気回復過程におきましてどんどん求職活動に入られる、仕事を求めてこられて、これがまた必ずしも希望どおり仕事が見つからないという形で新たに失業者に加わってきておるというものもあり、特に三十歳台、四十歳台の女性層において相当膨らんできておる。こういうような事情もあるわけでございまして、いわゆる首を切られて失業しておられる方がどんどんふえておる、こういうことでは必ずしもないという事情も、完全失業者数の増加の中身にはあるわけでございまして、そういう意味で、今後私ども、この完全失業者数の実際の中身についての分析というものをさらにいろいろ深めていかなきゃならぬと思います。 いずれにいたしましても、雇用増そのものは、ひところの昨年秋ぐらいのあんな大きな伸びではございませんが、五十万、六十万台で伸びておるわけでございますので、私どもとしても、こういう景気の着実な回復というものがつかめれば、超勤で対応していたものが今度はどんどん雇用増という形につながっていくことに大きく期待をいたしておるわけでございます。 また一方におきまして、労働時間の短縮という面につきまして、これまで週休二日制の普及であるとか、年次有給休暇の消化促進であるとか、あるいはまた恒常的な長時間労働の改善、こういう面の行政も進めておりますので、こういう所定外労働時間の長くなる話が、そういう行政指導等の中でまた少し雇用増にもつなげていけるのではないか、こういうような期待をいたしておるわけでございます。
○永井委員 時間の関係がありますので、できるだけ答弁は簡潔にしてほしいと思うのであります、ぜいたくを言って申しわけないのですけれども。 今、御答弁を聞いておりますと、失業率は依然として高い、失業者数も多い、しかし全体の雇用数はかなり増加してきているという話なんですね。実際の雇用数が増加しているから、失業率の高いことが免罪にされるというものではないと私は思うのです。本来、雇用数がふえてきているとするなら、失業者の数はさておいて、失業率ではもっと低下してこなければいけないわけです。ところが現実は、失業率も依然として高いというところに実は問題があるのです。 そして、私があえて労働時間の問題を取り上げておりますのは、今までも何回もこの社会労働委員会で、政府は、昭和六十年までに二千時間を切って千九百時間台にする、こういうことを目標として努力することを繰り返し明らかにしてきているわけですね。ところが、実際は依然として二千時間をかなり超えているという現実がある。 そうして、これも引用してちょっと恐縮なのでありますけれども、OECDの労働組合諮問委員会、TUACでありますが、この七十一回会議が昨年の十一月二十五日に提言を行っているわけであります。それで見ますと、「労働時間の短縮を求める労働組合の提言と行動は、雇用機会の増大、労働基準の均衡と改善、社会的発展の促進に向けての真剣な試みの一つである。」「各国政府は、各個にかつ総体的に、立法措置と行政措置を介して労働時間の短縮を実現し得る環境を育成すべきである。」ということをOECDは言っているわけですね。そしてこういうものを受けて、具体的な数字をここにも持っておりますけれども、アメリカにおいてもイギリスにおいても西ドイツにおいても、飛躍的に労働時間が短縮されてきている。三十五時間時代に入っているわけですよ。ところが日本では、いまだに週休二日制が十分に行き渡っていない。そうして今言ったように、景気の回復の兆しは見えたと言うのだけれども、労働時間で見る限り、所定外労働がふえて、雇用が拡大するに至っていない。 これは私は大変な問題だと思うのですよ。だから、賃金をきちっと保障して生活を安定させるということと車の両輪のように、雇用不安を起こさせないということが労働行政にとって極めて大切だと私は思うのです。毎月毎月千五百も千六百もの企業が、それは大きいか小さいかはありますが倒産をしていけば、たとえ二人でも三人でもその企業に働いている労働者がいることは間違いない。その労働者が職を失っていくことも間違いない。そう考えると、労働省のとるべき政策あるいは政府全体のとるべき政策として、今の不況を脱出するためにも、この労働時間の短縮と雇用の拡大というものは切っても切り離せぬ関係として、さらにさらに積極的な対応が必要だと私は思うのです。 これは、時間の関係がありますからあえて御答弁は求めません。しかし、後の問題との関連でもし答弁をつけ加えておいた方がいいと思うことがあったらつけ加えてください。 さて、雇用者の所得について触れてみたいと思うわけであります。 経済企画庁の五十八年の国民生活白書、これの試算によりますと、勤労者家計の実質可処分所得は、昭和五十年を一〇〇として五十七年には一〇五・四で、七年間で五・四%伸びたということになっているわけです。これを私流に言わせれば、七年間でわずかに五・四%しか伸びていない、こう言わざるを得ないと思うのですね。さて、その五・四%でありますが、生活の実態をより正確に示す実質任意可処分所得ですね、いわゆる社会保険料も何もかも引かれた後、これを試算をしてみますと、七年間でわずかに〇・三%の伸びにしかなっていない。これでは景気の回復になるはずがないのですよ。 しかし、今の春闘の山場を迎えたこの段階で、いわゆる経済界の方は、やれベースアップは凍結すべきであるとかあるいは定期昇給分だけにとどめるべきであるとか、さらに、対外的な輸出の競争力を高めるために労働者は賃金の引き上げに固執すべきでないとかいうことが盛んに、アングラ放送じゃありませんけれどもやられているわけですよ。そういうことについて労働省はどうこれをお考えになるか、お答えいただけますか。
○谷口(隆)政府委員 五十年代に入りましてから経済成長率が鈍化しておりますし、高齢化が進展しております。高齢化が進展いたしますと、労務構成が上がって非消費支出等がふえるというようなこともございますし、そういうものを背景に、実質可処分所得の伸びが小さくなっているということは御指摘のとおりでございます。 ただ、最近は、大きな幅ではございませんけれども、五十七年の実質可処分所得は増加に転じておりますし、五十八年度においても引き続き物価の安定等を背景に増加を続けているという状況でございまして、問題は、こういう勤労者の実質可処分所得の増加あるいはその確保を図っていきますためには、やはり名目収入の伸びも一つございますが、政策的な面では、持続的な経済成長を図っていくということ、あるいは物価の安定のための政策を進めていくという条件整備について力を入れていく、そういう政策努力をしていくことが必要であるというふうに考えておるところでございます。
○永井委員 そこで、労働生産性と賃金の関係ということが常に春闘の段階では問題になりますね。参考までに、労働省の発行している「労働問題のしおり」をちょっと見てみました。これで見ますと、「賃金と労働生産性の推移」というものでは、賃金の上昇率がいわゆる生産性の上昇率を上回っているという分析をしているわけです、言葉の上では。ところが、なるほどグラフにとれば部分的にそう言えますけれども、現実はどうか。国際比較で見ますと、同じ労働省の「しおり」ですが、労働生産性の推移は、日本はざっと一二五%くらい伸びているわけですね。フランスやアメリカ、西ドイツあたりは一一〇%台ですよ、生産性の伸び率は。賃金の伸び率、これは一九七五年を一〇〇としてグラフであらわしているわけでありますが、賃金の推移を片方で見ると、フランス、イギリスなどは二〇〇%を超えている。アメリカでも一七〇%くらいいっている。しかし、日本の場合は一四〇程度にとどまっている。これが生産性の向上と賃金の上昇率の比較なんですよ。 こう考えていくと、今御答弁ありましたけれども、労働省が今の段階でどのように分析してみても、労働者の賃金は今の状況で安定しているとは言えないんじゃないか、こう思います。 そこで、具体的に問題点をさらに掘り下げてみたいと思うわけでありますが、国民春闘共闘会議というのがありますね。政労交渉で、この春闘共闘会議ともいつも政府は対応されていらっしゃるわけでありますから、十分御承知のことだと思うのでありますが、この国民春闘共闘会議が平均六%の賃上げを要求していますね。この六%の賃上げを要求して、仮に満額とれたとして、実際の可処分所得はどうなっていくだろう、負担増がどうなっていくかということをこういう一覧表に出しているわけです。参考までに、きのう労働省の方に同じものをお渡ししておきました。だから、それを見ながらひとつ質問にお答えいただきたいと思うのであります。 この政府の消費者物価上昇率は、冒頭に私が申し上げましたように二・八%ということになっておりますね。ところが、その二・八%の物価上昇の一つの原因というのは、公共料金の値上げにも大きな原因が存在しているわけですね。既に米が上がりました。私鉄運賃、タクシー代、水道料金、物品税、そして酒税や石油関係税なども引き上げられようとしている。国鉄の運賃も引き上げられようとしている。こうなっていくと、この一斉の値上げというもので、現在は非常に物価にはね返りが心配をされる状態なんですね。そして現実の今の物価の動向でありますが、一月は一・八%、二月は二・九%、三月は三%くらいいくのではないかというふうに見通しがされている。そうして、公的料金の値上げによる負担増がどれだけになるかということをその表では試算をしておりますが、四人世帯で公的料金などの値上げによる負担増はということで、事細かく計算していますね。その計算の仕方というのは、政府が統計資料をとるときと同じ方法で試算をしているわけでありますが、それでいきますと、月額で八千十二円にも達すると見られている。数字のやりとりで恐縮なんでありますけれども、六%の賃上げ要求をしておるのでありますが、これを単純平均いたしますと、要求額は一万五千八百十九円という数字になっているのですね。この一万五千八百十九円の要求額の五〇・七%に当たるのですよ、この公的料金の引き上げなどによる月額の負担増というものは。これでは半分以上持っていかれてしまうわけだから。そのほかに、実際のいわゆる消費支出の中に含まれない支出があります。例えば土地の値上がりがきのうも発表されましたように、鈍化したといっても三%値上がりしている。土地を購入する場合もある。あるいは土地を借りて家を建てている人はその土地の借料も当然値上げになってくるであろう。もちろん家屋に対する家賃もそうであります。あるいは労働組合で言えば、労働組合であるがゆえに当然義務として納めるべき労働組合費も物価の上昇で引き上げられなければいかぬ。こういういろいろなものがありますね。あるいは食費にしたって、外食をする場合には当然外食費は上がってまいります。全体的に上がってまいります。こういうものの影響数値というものをやはり現実に把握をして対応いたしませんと、単にこの消費者物価指数だけでは現実に合わないのではないか、こういう気がいたします。 したがって、総理府や労働省が常に、そのときどきの消費者物価指数やあるいはその他の賃金動向等、いろいろなことを調査されるわけでありますが、これからは、現実に即して国民の生活を見ていく、政府の責任という立場から、新たな生活指数というものを作成すべきではないかと思うのでありますが、これはどうでございましょう。
○谷口(隆)政府委員 勤労者の生活実態につきましては、家計収支に関する調査におきまして、例えば非消費支出とか、あるいは消費支出の項目別な内訳、あるいは住宅ローン等の統計が一応家計調査等で得られますので、労働省といたしましては従来からも、労働白書の中では、ここのところ毎年、勤労者の家計調査において生活実態の分析を行ってきております。 今御指摘のような点は、実際に勤労者の生活実態という面で重要な面でもございますし、私どもといたしましては、労働白書におきましてはそういうことを年々続けてまいり、充実してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
○永井委員 数字のやりとりばかりで恐縮ですが、これは春闘問題を議論しておりますので御勘弁いただきたいのでありますけれども、ちなみに例えば、国鉄共済あるいは公務員共済、電電共済、専売共済が統合されましたね。統合されまして、これは参考の数字として申し上げるのでありますが、現在国鉄共済の掛金というものは、年金の関係で言いますと八・七五%になっているわけですね。そしてこれは折半でありますから、現実に労働者が掛ける金額というのは四・三七五%という数字になってまいります。これがことしの十月にはさらに自動的に、この統合のときに決められたように全体で一〇・二%にはね上がっていくわけですね。そうしますと、労働者の掛金は千分の五〇・一%ということになってくる。これは数字にして〇・六三五%の上昇になるわけですね。これは、去年公共企業体に対する仲裁裁定は一・八%でありましたから、これでいきますと、この国鉄で言えば、共済の掛金が引き上がっただけで、去年の仲裁裁定の三分の一は自動的に消えてしまうのですよ。こういうものが消費者物価指数などに、あるいは生計費調査などに実際反映しているかというと、私は反映していないと思うのですね。そうすると、政府の経済見通しの中で言う雇用者一人当たりの所得の伸び率四・七%というものは、実質任意可処分所得の伸びとして見た場合にどの程度と見ているのか、お答えいただけますか。
○谷口(隆)政府委員 先ほど申し上げましたように、可処分所得につきましては、結局実質的に可処分所得がどう伸びるかが問題でございまして、消費者物価等が低いときには比較的高い可処分所得を示しておりますが、例えば五十六、五十七、五十八で見ますと、五十六年は消費者物価が四・九%伸びたときに実質可処分所得はマイナス一・〇になったわけでございますけれども、五十七年は二・七%の消費者物価で実質可処分所得は三・〇%増、五十八年は一・九%の消費者物価で比較的安定いたしまして実質可処分所得は〇・七%増というような形でございまして、マクロで申し上げて恐縮でございますけれども、名目賃金の伸びと非消費支出等の関連等もございますけれども、そういう物価の安定というものがこれにもかなり影響いたしまして、実質可処分所得の増減につながっているというように思っております。それらがまた、生活の実態に非常に大きな関連、影響を持ってくるというふうに考えておるところでございます。
○永井委員 最前私が問題提起をする中で、実質可処分所得というものが七年間でわずかに五・四しか伸びていない。しかし、これを実際に任意——舌をかむような難しい言葉で恐縮なんですけれども、任意可処分所得という関係で見るとわずか〇・三しか伸びていないと私は申し上げました。それは春闘共闘会議が試算をしたその表で見るように、本来なら負担増として当然公的料金、公共料金などを含めた全体の必然的に出ていくべき金で、こういうものの計算すべてを把握し切っていない消費者物価指数をもとにしたものでは本当の生計調査はできない。だから私はそのことをあえて申し上げているのでありますが、そう考えていくと、この政府の四・七%の所得の伸び率というものはあくまでも名目であって、実際のものになっていかない、このことを私は申し上げているのでありまして、実際の任意可処分所得がふえていくような政策を遂行してもらわなくては困ると思うのですね。 そこで、一つはこの消費者物価指数の関係でありますが、物価対策というものは、単に通産省やあるいは経済企画庁が扱うというものではなくて、労働行政を進める立場からも物価対策というものはより積極的に進めるような立場を貫いて、労働大臣としてもそうでありますけれども、閣内でもそういう立場を貫いて対応してもらいたい。そうしませんと、幾ら賃上げ闘争をやってみても片っ端から消えてしまうということになってくる。これについて大臣、物価問題の直接の所管大臣ではありませんけれども、賃上げと密接不可分な関係にありますので、ひとつ努力をしていただきたいと思うのですが、どうでございますか。
○坂本国務大臣 おっしゃるとおり任意可処分所得、ここが一番大切なところでございまして、先ほど政府委員の答弁いたしましたように、それについては今までの名目だけにとらわれずにもっと詳しい分析もしたい、こういうことでございますが、私どもといたしましても、この前二月に、ことしは雪が多うございましたね、これではいかぬということで、農林省やまた企画庁などに言いまして、そして物価が上がらないように事前にできるだけの対策をとってくださいとか、それから、他方の公共料金につきましても、ひとつできるだけ実情以上の値上げをしないようにというような配慮を特にきめ細かく頼むとか、いろいろやってきたところでございます。引き続いて努力をいたしたいと思っております。
○永井委員 もう一つお願いしておきますけれども、消費者物価がこれだけしか上がってないからということがよく賃上げのときに対比されるわけですね。だから私は、春闘共闘会議がつくった資料をあえて参考に取り上げているわけですね。総理府が調査をする消費者物価指数というものでは本当の家計調査になっていない。ここを私は問題にしているわけですよ。だから、その消費者物価指数に基づいて賃上げ率が高いの低いのという議論は、本来は正しい議論ではない。正しい議論をするのなら、そこに資料で示しましたように、あらゆる公的料金のはね返り、社会保険料を含めてです、そういうものが基礎になった数字で、当然団体交渉の場でも、政労交渉の場でもそうでありますが、議論されてしかるべきだと思うのです。これはどうですか。簡単に言ってください。
○谷口(隆)政府委員 消費者物価等マクロ的な指数が一応いろいろな経済の動きを示す指数でございますし、またそれなりに時代の状況に応じて動きを示しているというふうに思いますけれども、先ほど来御指摘のありましたように、もう少しきめ細かく分析して、それが勤労者の生活なり家計にどういう影響があるかというようなことにつきましては、私どもも、より今後ともまた気を配っていかなければならぬ問題だというふうに考え、そのようにしてまいりたいと思います。
○永井委員 次に、最低賃金の問題について若干お尋ねしてみたいと思うのです。 この三年間、地域の包括最低賃金の引き上げ率は賃上げ率を下回っているわけですね。下回っています。また、この中央地方の審議会は最賃の審議そのものが難航してきたわけですね。低成長下で最低賃金制の役割が一層重要になってきていると思うのでありますが、これについて大臣はどのようにお考えですか。
○坂本国務大臣 地域別の最低賃金は公労使の三者構成で、各都道府県の地方最低賃金審議会において、各地域の中小企業などの賃金実態を調査して、まず労働者の生計費、次いで類似の労働者の賃金、その次に通常の事業の賃金支払い能力、この三つを要素にして総合的に考えて、慎重に審議せられてその上で決定されておるものだ、こういうふうに思っておりますので、それはそれなりに妥当なものだと考えております。
○永井委員 これはひとつ大臣、私から強く要望しておきたいと思うのでありますが、去年の最賃の審議会において、日経連を初め経営三団体、経営者側の三団体が、これは去年のことですよ、今年度の最低賃金の引き上げを凍結せよという要求をまず出しました。そうして、中央あるいは地方の最賃の審議あるいは議決に当たっては、公労使各委員のそれぞれの三分の一以上の出席がなければ無効とせよという提言もいたしました。これはよくあることでありますが、三者構成でありますから非常に公正にやらなくてはいけないということでありますけれども、それぞれが三分の一以上の出席がなければ無効であるということは、都合が悪くなれば経営側は出席しないということなんです。こういうことがまかり通っていったのでは審議会の役割は果たせなくなってしまう。だから公益委員が、経営側委員のそういう問題提起に対してかなり問題視したということも、経過として私どもは承知しておるわけでありますが、大臣、そういうことにならぬように、最低賃金制というものは極めて重要なことはだれしもわかっていることでありますから、これが単に力関係で左右されたりするものではなくて、全体の賃金構造にももちろん影響を与えるものでありますが、また逆に言えば、それだけに最低賃金というものは最大限、生活を守るためのものとして守らなくてはいけない、あるいはつくり上げられなくてはいけない、こう思いますので、これについてはさらに努力をしていただくように、時間の関係もありますから走りますが、要望しておきたいと思います。 その次に、三月二十四日に厚生省が、ここに私は朝日の切り抜きを持っているわけでありますが、「主婦は奮闘・収入は微増」という見出しで、「国民生活実態調査」というものを発表いたしました。これはもちろん新聞社の報道でありますが、その中身は、厚生省が調査をしたものを新聞で報道したわけですね。厚生省がどこまでのものをどれだけ資料でまとめているのか、私はまだ手元に持っておりませんけれども、これによりますと、妻の年間所得が百三十八万円余りで、世帯全体の収入の四分の一を占めている、こういうふうに言っているわけですね。しかも、その共働きの理由というのは、これは重複回答になっておりますが、家計に余裕を持たせると答えた者が五四・六%あります。赤字を埋め家計を維持するためにというのが二八・九%に上っているわけですね。そうしてそういう現状からいうと、この妻の所得なしに家計というのは維持できない状態にまで現在なっていると私は思うのです。そうして収入の伴う仕事をしていない妻の三〇%が勤めたいという希望を表明しています。 これらの主婦層を中心とする婦人労働のほとんどがパートタイマーなんですよ。そうすると、このパートタイマーの対策というものは極めて大切になってくる。これからの雇用の実態の中でパートタイマーの占める比率がどんどん拡大していくということになると、むしろ逆に全体の労働条件が悪い方へいくのではないかという心配もするのです。 きょうは時間の関係で細かいことはお聞きすることはできませんが、最前の議論の中で、雇用の実数が上向いてきたという答弁がありましたね。しかし現実に、じゃ労働省の行政の中で実際に安定所を通して雇用の拡大がされていったかというと、現実はそうなっていないのですよ、この厚生省の調査を見てもわかりますように。 そこで、パートタイマーについてはほとんど主婦層が占めているという現実、そうして、そのパートタイマーを中心にして最近は就職情報誌がはんらんしているわけですね。この就職情報誌をここで調べてみましたら、全国で四十二社が発行されていますね。これは労働省の調査でわかった資料でありますが、四十二社が発行されている。そしてこれには、具体的な労働条件というのは安定所が明示するほど細かく明示されていないのですよ。ということは、労働条件が極めて劣悪な状態のまま、仕事をしたいという奥さん方の希望を入れてというよりも希望に乗っかって、非常に劣悪な条件でパートタイマーというものが働かされている、こういう状態にあるのではないかと思うのです。したがって、このパートタイマーに対しては法制化を真剣に考えるときが来たのではないか、こう思いますが、これについてお答えください。
○望月政府委員 パートタイマーの対策につきましては、私どもかねがね、労働条件の明確化とかあるいは労働条件の確保、あるいは雇用対策、雇用の促進という点につきまして努力をしてまいったわけでございますが、新しい年度に当たりましては、それらの従来の施策を充実するとともに、さらに、私ども、チームを組んで検討してまいりましたパートタイマーについてのプロジェクトチームの提言もございますので、それをもとに、労働条件の明確化のための就業規則の整備、雇入通知書の交付等による事項、それからパートタイマーの実態に即した労働条件の取り扱い、それから高年齢者のニーズに合ったパートタイム雇用の促進等に関しまして指針を示すとともに、これに伴う所要の対策を内容とすることを予定しておりまして、関係各方面の意見を聞きながら、パートタイマー労働対策要綱という要綱をつくりまして、これに基づいて強力な行政指導をやっていきたい、こう思っております。
○永井委員 まあ要綱を作成されて提出されるという話でありますが、やっぱりここまでパート労働者の範囲が広がってきたという雇用の現実を見る場合に、きちっと労働条件を守る立場からも法制化が望ましいし、ましてやこのパートタイマーの多数が女性であることを考える場合に、男女雇用平等法、これはやっぱり一日も早く法制化をしなくてはいけない。しかもその雇用平等法を法制化する際に、この間の答申では三論併記でありますから、三論併記であるにもかかわらず、それは政府の都合のいい部分だけとってということでは、これは本来の趣旨にもとりますので、ひとつそういう立場から積極的に対応してもらいたい、こう思いますが、どうですか。
○望月政府委員 今先生おっしゃるように、パートタイマーの問題はやはり将来は法制化の問題も考えなければならぬと思いますが、私どもとしてはもう少し、対策要綱を強力に行政指導をしていく過程で、国民の労使のコンセンサスを得ながらそういう方向に持っていきたいということでございます。 なお、男女平等法の問題は私の所管ではございませんが、婦人少年局長おりませんので、今、目下関係方面の意見を聞きながら労働省で鋭意検討して、できるだけ早い機会に国会に提案したいというように努力中でございます。
○永井委員 ところで、そのパートタイマーの問題をここで質問しました関連で、さらにもう一つ問題をお聞きしてみたいと思うわけでありますが、せんだって三月二十七日の当委員会において、私は、このパート労働者の関係について、いわゆる公営競技場の労働者、あれはパートタイマー、臨時職員という形になっておるわけですからね、その問題について大臣に質問をいたしました。いわゆる自治省の地方に対する事務連絡指導という問題について調査を要求したのでありますが、この調査の結果はどうでありましたか。
○谷口(隆)政府委員 先日の当委員会におきまして先生から御指摘のございました競走事業従事者の賃金問題につきましては、自治省に早速事情をお聞きいたしましたが、自治省といたしましては、競走事業を施行する地方公共団体から経営改善計画のヒアリングは行ったけれども、賃金カット等の具体的な指導は行っていないというふうに伺っておるところでございます。 なお、自治省が昨年の十二月五日付で行われました事務連絡は、この経営改善計画のヒアリング日程等を知らせたものにすぎないというふうにも伺っております。
○永井委員 自治省見えていますか。——じゃ自治省に私からお伺いをいたします。 私がこの前、二十七日に質問いたしましたのは、自治省の財政局地方債課から各自治体に対して出された事務連絡の中身をお聞きしたわけであります。これについては、私が委員会で取り上げるまでに、該当の労働組合、いわゆる競走関係の労働組合の代表と私も入って、この文書を出した本人と交渉いたしました。そのときに、賃金カットなどの指導はしていないという、そのときもそういう答弁だったのです。しかし、各労働組合が自治体にこの春闘で賃上げ要求を出して交渉に入っているわけですが、どこの自治体も判で押したように同じ回答が出てきている。その回答の中に、自治省の指導もあるので賃金のカットはやらざるを得ないという回答が出てくることは、これは一体どういうことなんですか。
○柿本説明員 お答えいたします。 御承知のように、公営競技は最近大変経営が悪化しておりまして、一部には赤字団体が出るなど深刻な状態になっております。そういう状況でございまして、我々といたしましては、一つは、地方財政の健全な運営あるいは公営競技そのものの健全な維持という観点から、このまま放置というか、この状態のまま推移するということは看過できない深刻ないわば憂慮すべき事態にある、こう考えまして、公営競技の全般にわたる可能な経営改善をして、公営競技を健全な形で維持発展できるように努力してもらいたいということを求めております。 そういうことで、一般的な指導といいますか助言をしておるわけでございますが、恐らく我々がそういうことを地方団体に申し上げるまでに、施行者の方は、より現場におられるわけでございますので深刻な事態に至っておりまして、そういう認識から我々としては総合的な経営改善を行うよう求めておるわけでございますが、そのやり方として、施行者なり施行者の側の立場でいろいろ具体的な対策をお考えになっているのだろうと我々としては考えております。
○永井委員 地方の自治体がそれぞれ自主的に、経営の実態が悪いからそういう経営改善について考えていられるのだろうという、それを官僚答弁と言うんだよ。あなた方が指導しておるんでしょう。自治省から指導があったからやむを得ませんという回答が随所に出てきているんだ。そして、問題は違うけれども、東京都のように、この地方公務員の賃金の決め方をめぐって起債を認めないとか、いろいろなことまで実は既に出てきているわけですよ。だから、地方で勝手にそんなものを、賃下げを画一的にやるわけがないんだ。 もう時間がありませんから、具体的に私はお尋ねいたします。 この事務連絡は十二月の五日に出されておるのです。これはおたくが出した事務連絡だ。この中身は、この間質問のときに私は申し上げておりますから、重複は避けます。そうして同じく五日に、「財務調査官による公営競技経営改善計画策定状況ヒアリングについて」ということで、電話連絡が入っている。これが一カ所や二カ所じゃないんだ、電話連絡が入っている。あなたのところに生嶋という人はおりますか。どうですか。
○柿本説明員 おります。
○永井委員 その生嶋主査から、名前を出して恐縮でありますが、生嶋主査からこの事務連絡に対しての具体的な電話指示があったわけです。その電話指示を受けた自治体の担当者が、それをそのまま書いて上司に報告をしておるわけです。 その報告の内容を見ますと、まず第一に「ヒアリングの趣旨」、十二月五日の事務連絡に基づいて経営改善をいろいろ指導するわけだ。「公営競技の開催権を取消すか、そのまま更新すべきかを総合的に判断する点にある。」こう言っているわけです。「なお、都道府県施行の競輪の場合、開催権の取消はないが、経営改善の見込のない場合は、行政指導の形で廃止勧告をする予定である。」、これは一種の恫喝ですよ。そうして第二項に「報告内容及び留意すべき点」、まず最初に「改善計画を実施しない場合の、昭和五十八年度から昭和六十二年までの決算状況見込」、これはある意味では当たり前かもしれませんね、どういう状況になるかということ。その次が問題なんです、「改善計画」。「改善計画を実施した場合の、昭和五十八年度から昭和六十二年までの決算状況見込の三点を、今秋実施済の公営競技施行状況調査の様式を用いて報告すること。この際以下の点に留意すること。 改善計画→必ず賃金問題にふれること。最終目標は一時間当り単価を民間パートタイムと同額にする点にあり、目標達成までの間は以下の策を講じられたい。(1)基本給を毎年五%カットすること。(2)夏・冬・年度末一時金を毎年一〇%カットすること。(本年は五%でよい。)(3)その他手当(繁忙手当等)の整理・廃止。(4)退職金を昭和六十二年までに削減すること。」、ここまで電話で指示しているわけだ。これが主査であろうと課長であろうと局長であろうと大臣であろうと、自治省からこんな連絡を受けた自治体は跳び上がってびっくりしますよ。そのとおりにしないと開催権を取り消すかどうか判断する、こう言うんだから。ここまでやっておいて、そんな事実はございませんなんて、ふざけるんじゃないよ。もう一遍答えなさい。
○柿本説明員 先ほど申し上げましたように、経営改善の必要性がございますので、そういう必要性を地方団体に、これは御指摘になりました十二月の以前から会議等で地方団体にお願いしてきておりまして、そういう目標を持つようにということをお願いしてきておるわけでございます。 大変具体的な御指摘があったのでございますが、実は御質問があるということで今名前が出ました本人にも聞いてみたのですが、従来からいろいろそういう目標を持つべきであるということを申し上げておりますので、地方団体からそれなりの問い合わせとか相談がその以前からもあったわけでございまして、いろいろそのやりとりはあったと思いますが、自治省の方からそういうことを一方的に指示するようなことはしていないというふうに私も聞いておりますし、私もそういう指導をしろという指示はしたことはございません。したがいまして、恐らくそのやりとりの中で、そういうふうな受け取りをされたのか誤解をされたのかわかりませんが、我々としては、先ほど申し上げましたように公営競技全般にわたりまして経営改善をやっていただくということを求め、具体的な内容はそれぞれ施行者で自主的に考えていただくことが必要であると考えておる次第でございます。
○永井委員 それでは、そういう自治省の指導とか問い合わせがあったとして、それにお答えになったそれが今言われたような中身になっているわけだけれども、全体の開催県では同じような答えが全部はね返ってきているわけです。画一的な指導があったと言わざるを得ない。 それがあったとかなかったとかここで議論しても、あなたはそういう答弁なんだから、労働大臣、もう一回言いますが、こういう開催権の権限は自治省が持っておったとして、具体的に地方で財政状況が悪かったら賃上げがしにくい面もあるだろうけれども、労使の自主的に決めるべき賃金問題を、ここまで現実に介入をしている事実があるとすれば労働省はどうされますか。もう一回ひとつ労働省の対応をお聞きいたします。
○坂本国務大臣 労働省とすれば、労働条件は労使の間で話し合って決めるべきもの、こういうことであります。
○永井委員 労使で決めるものと、当たり前のことを大臣は言ってくれているわけでありますが、そうすると、同じ中曽根内閣の中で、片方の自治省がそういう指導をした、このことが具体的に出てきたときは労働大臣は黙っておれぬと思うのですが、どうですか。
○坂本国務大臣 この労働条件を決定するに当たって、労使の話し合い以外の干渉というか圧迫というか圧力というか、そういうものがあればそれは間違いである、こう思っております。
○永井委員 私はこの委員会で要求しておきますが、自治省が十二月五日に出した事務連絡に基づいてヒアリングをされた中身、そして各自治体に対して具体的に指導した中身、これを資料にして出してください。資料要求しておきます。いいですか。
○柿本説明員 先ほど来申し上げておるように相談を受けているわけでございますが、これは、各施行者が施行者の立場でそれぞれお考えになったことを相談とかそういう形でお持ち寄りいただいておるわけでございますので、その中身を公にするということはむしろ適当でないような感じがいたしますので、その中身についての資料は出しかねますので御了承いただきたいと思います。
○永井委員 各自治体に対して競馬の開催県、開催場などの組合が今賃上げ交渉に入っているわけだ。そして、繰り返して言うけれども、どこでも判で押したような同じ答えが返ってきているわけだ。これは自治省が指導せぬ限り同じ答えが返ってこないでしょう、全部開催県によって事情が違うのだから。だとすると画一的な指導があったと言わざるを得ない。 じゃその具体的なヒアリングの中でどういうことが言われてきたのか、それをひとつ整理をしてください。労働省にも要求しておきますから、ひとつ自治省と話し合ってもらって、政府がそういう不当労働行為的なことを働くということは見過ごせぬわけですから、そこはきちっとしておいてください。これは時間の関係もありますので、後で関係の理事の方々にもお願いをして、きちっとその資料が出るように、あるいは状況が把握できるように配慮していただきたいと思いますが、どうですか。
○柿本説明員 先ほど申し上げたように、そういう相談の内容というものはもともとそういう公に出る性格としてお伺いしておりませんので、この点は御了解いただきたいと思う次第でございます。具体的な判で押したようなものが出ているということでございますが、御承知だと思いますが、各公営競技の協議会の方でそういうことをいろいろ相談されて、形は存じませんが、決められているようなことも聞いております。そういう形で施行者の方が話し合われたというふうな面もあるんじゃないかと思います。 先ほど大臣からもお答えされたように、我々は、それぞれの施行者の段階で賃金等の状況が自主的に決めていかれるべきものだということは重々承知しておりますので、そういう考え方でまいりたいと思いますが、先ほどの資料の点はそういうことで御了解賜りたいと思います。
○永井委員 私としては納得できません。生嶋という主査が、例え問い合わせがあったにせよ、具体的に基本給を毎年五%カットすること、これじゃ相談に乗ったんじゃないのです。カットしなさいということを命じていることと一緒なんだから。だから問題にしているのでありまして、この問題ばかりに時間をとっては後がありませんから、委員長の方でもしかるべき御配慮をいただいて、この種の問題が具体的に質問者の私に明らかになるように、ひとつ処理をしていただきますようにお願いしておきたいと思います。 そこで次の問題に入りますが、ついでのことに、同じくこの間労働省に質問しました内容で、神戸精糖の問題があるのです。これは春闘の前でありますから、もう一つだけつけ加えて私は申し上げておきたいと思うのです。 この神戸精糖問題、この間大臣は具体的な事実を承知していない、また以前のことは承知していないということであったのですが、あえてつけ加えておきますと、この神戸精糖問題の根深いところというのは後ろに大商社が控えているということなんです。丸紅が控えているということなんであります。日本の大きな商社の中で、三井物産であるとか三菱商事、日商岩井、住友商事などたくさんありますけれども、会社更生法を適用されたところ、あるいは工場閉鎖、全員解雇という問題とか、あるいは希望退職、配転、出向、人減らし、こういう集中的な労働組合に対する攻撃、組合から見れば攻撃がかけられたという商社は圧倒的に丸紅が多い。だから、この神戸精糖の問題というのは、幾ら神戸精糖の会社側と話をしてもまとまっていかない。神戸精糖の社長を検察庁が呼んで事情聴取をしても、カエルの面に小便ということになってしまう。こういうことから考えると、この親会社といいますか、後ろに控えている会社に対して労働省が対応してもらわない限り問題の解決はあり得ないと思うのですね。 とりわけ今問題になっておりますのは退職金の不払いのケースでありますけれども、一般的に考えて、会社が倒産をすれば資金がないから、退職金がその場では支払いができないということはよくあるケースです。ところがこの神戸精糖の関係で言いますと、前の質問のときも触れましたけれども、会社自体は存在をしているし、存続するために産構法に基づいて企業経営を継続していく意思表示を表明している。そうして片方で全員解雇の通告が出されている。その解雇に当たって、解雇を認める認めぬということで労使紛争が起きているわけでありますが、しかし協定で結ばれている退職金の三分の二については金額的に争いがない、ここが問題ですね。そうして、その三分の二に相当する資金は後ろに控えている丸紅商社から神戸精糖にちゃんと融資してあるわけですよ。融資を受けた神戸精糖の会社が供託もしていないし、その金を会社のいわゆる運転資金に使っている。そうして、争いのない部分である三分の二の退職金の支払いを求めても実際にその求めに応じていない。解雇を認めない限り一切支払いすることができないという態度なんですね。これは一昨年の解雇通告でありますが、もう既に昨年の年度末の三月で定年退職になって自動的に退職をした人にも、その三分の二の争いのない部分まで払われていない。こんなことは今の社会常識で通用するんだろうか。 一方的に私の方からばかりしゃべりますが、そういう状況を認識した上で、今検察庁にも書類送検がされているわけでありますが、そのもとである丸紅に対して労働省が乗り出してもらわない限りこの種の問題の解決はあり得ない。 むしろ、さらに私が問題視しますのは、その丸紅の関連企業が大小合わせて三百数十社も存在するということであります。今は春闘の山場を迎えている段階でございますから、同じようなことが起きてきたのではとんでもない話で、生き残るのは大商社だけということでは困りますので、あえて労働省にもう一回この対応についてお伺いをいたしておきたいと思います。
○望月政府委員 この前も私はこの点について御答弁申し上げたわけでありますが、御指摘の事案につきましては、退職金の原資がなくて支払われないというものではなくて、あるわけでございます。したがいまして、本来法律上の支払い義務者であります神戸精糖が払うべきものでございますので、この点につきまして、監督機関において、支払い義務者に対して支払えという指導を再三にわたってやったわけでございますが、これに応じないということで、私どもが神戸地方検察庁に送検をしたということでございます。 それで、その送検の主意書にも、これは非常に悪質であるので厳重なる処分をお願いするというのを情状欄に書いて、私どもも、非常に厳重な処分を求めていただきたいということで送致済みでございます。 そういうことでございますので、私どもとしては、そういう現状が民事的にも解消されるように一応今後とも努力はいたしますが、丸紅が後ろにいるからといって丸紅に払えというのは、またそれは私ども現段階ではやるべきではない、こう思っております。
○永井委員 紛争の起きている当事者、直接の当事者以外の丸紅に労働省が対応せよということを私は要求しておりますので、表面的には非常に難しい話であるかもしらぬ。しかし、丸紅と実際の話し合いをしない限り、神戸精糖の会社側には一切の自主判断をする権限も持っていないのと同じ状況でありますだけに、問題の根は深いのですよ。そして、神戸精糖そのものは労働債権以外はすべて支払っているのですね。そして丸紅による代位弁済の措置も講じてきているのです。そういう状況でありますだけに、これからも大変でありますけれども、神戸精糖の問題も、何回も何回も国会で取り上げられてきた問題でいまだに解決しないということでは、近代国家が泣きますので、ひとつ労働省、積極的に対応してもらうようにあえてここでもう一回要求をしておきたいと思います。これ以上の議論は時間の関係できょうは避けますけれども、ひとつ頼みます。 そこで、次に国鉄についてお伺いをいたしたいと思います。国鉄さん、見えていますか。 国鉄が今の経営実態からいって大変な状況であるということは、これはもうそれぞれが認めているところでありますが、国鉄再建のためには労使のたゆまざる協力関係が不可欠だと思いますが、従来も、歴代の総裁は繰り返して、労使の信頼関係確立ということを言明してきておりますが、このことについて今日においても変わりがないかどうか、お答えいただきます。
○太田説明員 国鉄の再建、大変今厳しい局面にありまして、寸時の停滞も許されない状況のもとにありますが、いわば時間と競争しながらこれを進める上に当たりまして、労使の協力が極めて重要であるという認識はいささかも変わっておりません。
○永井委員 今太田常務理事から、労使の信頼関係は大切だという御答弁があったわけであります。その歴代の総裁が言ってきたこと、今も御答弁があったこと、これはやはり文字どおり、言葉どおり大切にしていかなくてはいけないと思うのですね、これから非常に難しい時期にかかってきているわけでありますから。 そこで、再建策を進めるために、またそのための日常業務を進めていくために、当然労使間でいろいろな話し合いが持たれて協定が結ばれますね。一定の約束事として協定が結ばれますね。この協定されることは当然な社会常識であるし、労組法の建前からいっても当たり前のことでありますが、これについてどう現状から見ておられるか、お答えいただけますか。
○太田説明員 経営改善を進めていく上に当たりまして、極めて多角的、多彩な経営改善の具対策を我々持っておりまして、それを今必死になって推進しているわけでございます。それを推進していくプロセスにおきまして、当然労使のかかわりが生じてまいりますから、そういうケースにつきましては団体交渉を行い、一定の了解点に達したものについは協約を締結し、お互いにそれを尊重し合う、こういうやり方を進めているわけでございます。 具体的に申し上げれば、ほんの一例でございますけれども、効率化、能率化の推進というのは経営改善を進める上におきまして極めて重要なファクターでございますが、それの具体的な実現手段といたしまして、我々は五十九年二月のダイヤ改正、いわゆる五九・二ダイヤ改正を一年以上前に提案し、本社、地方それぞれの段階におきまして真摯な討議を深めて、一週間前に妥結に至り、円滑な実施をつい一月半ほど前に実施したばかりでございますが、これなども今の証左というふうに申し上げたいと存じます。
○永井委員 年が若いのに老婆心という言葉を使っていかぬわけですけれども、私もかつて国鉄に働いておったことがあるものですから、そういう立場で私はお聞きするわけでありますが、この団体交渉という場が労使にとっては最も大切な場所だと私は思うのですね。だから、その団体交渉で当局には提案権がある、労働組合には要求する権利がある、これは当たり前のことでありますけれども、例えば合理化を進める、あるいはこれから再建策に向かっていろいろな施策が出てくるのでありましょうけれども、そういう問題が、当局の提案を何が何でも組合に認めさせるということがあったのでは団体交渉はうまくいかない。あるいは労働組合の方は、もちろん当局がどう言おうと要求は一〇〇%通らなくては問題が解決しないということではどうにもならぬ、こう思うのでありますが、その原則がきちっと踏まえられて今労使関係が存在しているか、どうですか。
○太田説明員 基本的なスタンスについては今もう既にお答えしたのでございますので、今の御質問に対しましては私は具体例をもってお答えした方がいいかと存じますので、一つ例を引かしていただきます。 まだ妥結したばかりでございますけれども、先生御承知のようにいわゆる内達一号、動力車乗務員の勤務にかかわる問題が長い間労使の間の懸案事項として存在しておりました。この内達一号は、昭和二十四年に公企体発足以来できまして、それから動力車の近代化、仕事のやり方の変化に応じて逐次労使で相談をしながら修正を施してまいりましたけれども、なかなかそれではカバーし切れない面が出てまいりました。そこで私どもは、この協約の改定につきまして二年前に提案をし、以後一生懸命団体交渉をしてまいりました。複数組合がございますし、そういう長い間の懸案でございますから、非常に問題の根は深うございました。しかしながら、お互いに譲歩し合い、お互いに論議を尽くし合って、この三月三十一日深夜に至りまして妥結することができました。実施はこの次のダイヤ改正からということにしておりますからちょっと間がありますが、これなどはまさに、自画自賛するようで恐縮でございますが、いかなる困難な問題であっても、労使が必死に団体交渉に取り組み、真摯な論議を深めることによって解決する道が開ける何よりの例だというふうに存じておる次第でございます。
○永井委員 その動力車乗務員の勤務の問題で、かなり時間をかけて御苦労なさって一定の合意ができたというお話を今聞いたわけでありますが、しかし、私どもがいろいろ仄聞するところによると、今まで締結されて存在しておった協定が、当局の意思に基づいて、労組法の十五条適用でありますけれども、破棄通告があったり破棄されたりというケースがかなりあると聞いているのです。具体的なことは私も一つ一つは申し上げません。また具体的なことを一つ一つ存じ上げているわけではありませんけれども、この締結された協定というのはもちろん双務協定でありますから、労使双方が守るのは当たり前のことなんですね。守るのは当たり前のことなんですが、そのときの状況で協定の内容が労使の双方にとってそれぞれ都合のよいものや悪いものがあると思うのですね。俗宣言葉でありますけれども、いわゆる労使の力関係で協定が決まる場合が多うございますから、労働組合の要求が比較的多数通った場合あるいは当局の主張が多数通った場合で、それぞれに都合のいいときあるいは悪いときがあると思うのです。そういうことで、協定がそれぞれ都合のいいもの、悪いものが存在をするわけでありますが、しかし、もしそのことについて当局側が、国鉄再建を進める上においてこれは当局にとって都合が悪いなということで、労組法の第十五条に基づいて仮に協定を破棄していく、それは法的には、その第十五条でそのことが規定されているわけだから法律違反だとは言わないけれども、そういうものが破棄されていく。もし同じことを労働組合が、例えば合理化やそれに基づく配転やいろいろなことがありますね、今まで何回も何回もそういうことに関する協定が結ばれてきておるのですが、そういう協定が労働組合側にとって非常に都合が悪い、不都合であるからということで、労働組合側から仮にそういう協定を労組法の第十五条に基づいて破棄をした場合は、労使関係というものは安定できますか、どうですか。
○太田説明員 先生御承知のように、国鉄の労使の間で締結しております協約には二通りございまして、期限を定めたものとしからざるものとございます。 そして、期限を定めてないものにつきましては、労使の間で、ちょっと長いのですが、「有効期間の定のない協定等の取扱いに関する協定」という協定を持っておりまして、内容は省略させていただきますが、ある一定の手続並びに猶予期間を持った上で、お互いにそれを破棄することができるという方法を講じております。しかし、これはいわば論議を尽くした上での最後の方途だというふうに私どもも心得ておりますし、そんな適用例はそう多くはございません。 それで、この種の問題につきましては、なかなか総論あるいは抽象的な議論では御説明をしにくいのでございますので、このケースにつきましても若干具体例を申し上げた方がよろしいかと存じますが、今のこの定めのない協定等の取扱いに関する協定に基づく破棄例はそんなに多くはございませんで、最近においては四十七年のいわゆるポストマル生の際の労使の間の紛争を処理するための協約、私どもはいわゆる紛対覚書と言っておるのでございますが、この紛対覚書につきまして、ある部分を破棄し、ある部分を残したという手続を講じたのが一つ例としてございます。 それから、有効期限の定めのあるものにつきましては、例えば昇級協定などにつきましては当然改正を申し入れ、交渉をやって、それぞれ手続を講じて妥結に至るというようなことで、それぞれ具体的ケース、ケースに応じてそれなりの理由を持って話を進めている、こういうことでございます。
○永井委員 具体的な問題で例示を挙げてお答えいただいておるのでありますが、私も具体的な例を挙げれば幾らかあるのですよ。それの時間が実はありませんので抽象的になって恐縮なんですが、私が心配しているのは、例えば今言われたように、有効期限を定めてない協定を取り扱う協定があることも私は承知しております。現に国鉄の労使関係では、私が判を押した協定が今でも残っているんだからそのことは承知しているんだが、しかし今言われたように、労使の関係が再建をめぐって必ずしもすべてが円満にいっている状況ではないと私どもは見ているわけです。残念なことだけれども、すべてが円満にいっているとはなかなか思いにくい。そういうときに、仮に協定の破棄通告が結果として労使関係の対立を助長するようなことがあったんでは、これは大変なことになる。私は仮定の問題として申し上げたのでありますが、労働組合側からも協定の破棄通告があるとかいうことが可能性の問題として追求していけばないこともないわけだから、仮にそういうことになっていきますと、これは非常に不幸なことであるし、国鉄再建にとってはまさにその有害さははかり知れないものがあると私は思うのです。だから、国鉄再建ということから、私は労使の関係を大切にしてもらいたいという立場で御質問申し上げておるのであります。 例えば、わかり切ったことで恐縮でありますけれども、労組法の第一条あるいは労基法の第二条に規定する労使対等というのは、本来雇用する側に対して雇用される側を保護することがその根底に置かれているわけですよ。昔のように労働組合がない時分は雇用主の言いなりだからね。そうじゃなくて、やはり雇用されている側を保護するためにこういう労組関係法ができてきたと私は理解をしているわけです。その趣旨を国鉄再建を進める上においてやはり十分に生かし切ってもらいたい、このことを私は要望しておきたいと思うのです。 そこで、具体的な問題を一つほどつけ加えてみたいと思うのでありますが、五十九年の二月の貨物ダイヤ改正あるいは営業近代化などを進めてきておるわけでありますが、そこから過員が生じていると聞いているのです。この過員に対する措置というものは労働条件であるのかないのか、お答えいただけますか。時間の関係があるので簡潔に答えてください。
○太田説明員 五九・二のダイヤ改正はかつてない規模のものでございまして、まだ精査は終わっておりませんが、約二万人を超す規模のものであったと存じます。それだけの業務が不要であるということで労使妥結に達したわけでございますから、そこにその日まで従事していた職員は余剰人員ということに相なるわけでございまして、この職員の対応、対策措置に随分私ども腐心したわけでございます。やはり従来も合理化をやってまいりましたから、それなりに年度途中で余剰人員は発生しておりましたけれども、年度末特退によりましてかなりな人数が退職してまいりますと、その余剰人員と特退人員はほぼ見合いまして、トータルにおいては余剰はなし、こういうことになるのでありますが、私どもの要員構成が大変ひずんでいてたくさん退職していく時代が、そろそろ終わりに来ております。一方では合理化のテンポアップをしなければいけないということで、アンバランスが生じまして、いわゆる余剰人員を新年度にも持ち越す見込みでございますが、その余剰人員の対応につきましてはいろいろなルールがございます。雇用安定協約でございますとか、配置転換に関する協約でございますとか、あるいはそういう職員の運用にかかわる定め、ルールがございますので、ルールと一括して申し上げますが、そういう諸ルールに基づいて対応している次第でございます。
○永井委員 具体的には要員センターというんですか、例えば営業センターであるとか機動センターであるとか呼称は違うようでありますけれども、各地に余剰人員を有効に活用するためにということで、いろいろな名前のそういうセンターがつくられています。このセンターに勤務している者の労働条件はどこが交渉するんですか。長い答弁じゃなくて、ぽっぽと答えていただけますか。
○太田説明員 管理局長、所属長と申していますが、その立場の者に要員の運用権、操配権をゆだねておりますので、具体的にはそこで対応してまいります。したがって、御指摘のように要員センターでありますとか人材活用センターでありますとか、やり方、名称はさまざまでございますが、要はさっき申しましたような諸ルールに基づいてそこの対応をしておるということでございます。 例えば、大体余剰人員が発生してまいりますのは貨物の関係ですからヤードが多いのでありますが、そこで構内掛が余剰になったという場合に、その構内掛が営業掛、一つ上の職名でございますが、営業掛の試験に合格しているといったような場合には、その要員センターに動いてそこで昇職して、そこに行って新たな仕事をやるというようなやり方が一つの例でございます。
○永井委員 だんだん時間がなくなりましたから走りますけれども、この要員センターを例にとりますと、合理化でダイヤ改正で余剰人員ができてきた。だれが余剰人員がその状態によって違いますね。ところが、この要員センターに配属することを一方的に、ああ、君はきょうからそこへ行けというふうに発令された者が非常に多いという実例。それについて労働条件はどこで交渉するのかという話になったときに、総裁達なるものが出てきました。この総裁達第百九十四号に基づいて、現場従事員を一時他の職の職務に従事せしむることができるということで処理をするんだと言われているわけでありますが、しかし、たとえこの総裁達があったにせよ、今言われたように職名も違う、職制も違う、職務内容も違う、そこへある日突然に配属を命ぜられるということは、私は労働条件の大きな変更だと思うのですが、これはどうですか。簡単に答えてください、時間がありませんから。
○太田説明員 余剰人員の発生状況は管理局によりまして、地域によりましていろいろでございます。したがって、それに対応する仕方も、所属長が創意工夫を凝らしながら、いろいろなやり方で最もいいと思われる方法を採用してやっておるわけでございますが、今のいわゆる要員センターへの人員の配置につきましては、結論的に申し上げれば、いろいろな協約やルール、総裁達に基づくルールに基づいてこれを遂行しているということに尽きるのでございますが、例えばヤードでもって余剰人員が発生した場合には配転協定の対象になりますから、君たちの希望はどうだという配転調書をとりまして、それに基づいて配置転換を行う場合もございましょうし、それからまた、さっき申しましたように、既に昇職試験に受かっている者について、この機会に昇職登用ということを行う場合もありましょうし、同じ駅、同じ箇所の中で一時他の職にこれを転ずる、転用するということもありましょうし、非常に厳しい状況ではありますけれども、その中でルールを守りつつ、かつまた、本人の将来に向かっての展望も開けるような配慮はしているつもりでございます。
○永井委員 具体的なセンターの箇所を一つ一つ例にとる時間はありませんから、なかなかそういう立場で物が言えないのでありますが、私の手元に、その総裁達に基づいて処理されたセンターの要員の実態についてというものが随分寄せられてきておる、ここには全部持ってきておりませんけれども。その中身で見る限り、これは全部じゃありません、全国全部ということは言いませんけれども、特定の地域かもしれません、それは私の手元へ持ってこられたところだけかもしれませんけれども、要員センターに配置されるについて、もちろん本人の希望を全く聞いてもらえなかったし、なぜ私が今の仕事からそこへかわっていかなくてはいけないのかという理由の説明もないし、そしてそこへ配置された人々が、俗な言葉で言うと、おまえら余り者をそこへ集めているんだ、というふうに思われるような対応が連日続いているという問題も出てきているのです。たとえそれが余剰人員への対応であったとしても、そういうことが続いていくと労使関係全体に非常に悪い影響を与えていく、国鉄再建にとって有害になってもプラスにはならないと思うから私は申し上げておるのです。 例えばあるセンターで言いますと、センターの中に長机を置いてある。そして長いすを置いてある。そこに、七メートル四万ぐらいのセンターの中に三十数人が入っているわけでありますが、一定の狭い枠のところに全部座るところが定められて、そしてそこで時刻表一冊で丸一日勉強させられる。営業活動をするまではまずそれを勉強するということなのでありましょう。そして、その勤務時間中は隣同士も言葉をかけることができない。トイレへ行く場合にも一々上司の許可を得る。トイしから帰ってくると、トイレの時間が長過ぎる、こう言われる。そういう状態が存在する箇所が幾つかあるのですよ。そういう状態が広がっていけば、労使関係がゆゆしい事態、悪い方への発展になっていくと私は思います。 総裁達で一時的に、こう言っているけれども、一時的にということについてのめども明示されていないし、労働条件も明示されないということは問題がある。総裁達の百九十四号というものが存在しておっても、総裁達というのは労働組合法、労働基準法を上回るべきものではないのでありまして、法律に言う、例えば主張の不一致は友好的に調整しなくてはいけない、あるいは労使双方はきちっと対等の立場で話し合いを持たれなくてはいけない、労働条件が明示されなくてはいけない、いろいろなことがちゃんと法律で明示されている、規定をされているわけでありますから、その法律を最大限に守るという立場で、問題のある箇所についてはそういう問題を除去するように中央の段階でも御努力を願いたいと思うのですが、どうですか。
○太田説明員 ただいまのお話しの中で、若干補足御説明を申し上げたいと思う点がございます。 一つは、いわゆる要員センターあるいは人材活用センター、名前はいろいろでございますが、そういうセンターは新たに設置された組織ではございませんで、駅とか機関区とか既に存在しております現場機関の中のいわゆる呼称でございます。具体的にはどういうことかと申しますと、あるヤードで余剰人員が発生した、配転調書をとった、この機会に車掌になりたい、あるいは電車の運転手になりたいという人は、相手側の、キャッチャー側の事情も考えなくてはいけませんが、極力そちらへ配置転換をする、あるいは職種転換をする。しかし、どうしてもここの駅にいたいという人もいるわけでございます。その駅の場合にも、貨物の仕事はなくなっておりますから、旅客と貨物と一緒にやっている駅では、じゃ君は今度は旅客の仕事をしてもらいたい、こういうことになるわけであります。貨物の仕事をしていた者が旅客の駅に移るというのが他職ということでもあるわけでございます。 それからもう一つ、今あたかも、君は余り者だという烙印を押されているかのごときお話しがございましたが、それは決してそういうことではございませんで、君は余剰人員だという背番号をつけるわけではなくて、今の例で申し上げれば、その貨物のヤードの中で何人かの人間が数としては余剰になりますから、そういう職員を循環させながら、具体的には私も把握しておりませんが、何日間は君はこの仕事、何日間は君はこの勉強、あるいは教育施設ですね、中央鉄道学園というのがございますからそこで勉強する、ありとあらゆる創意工夫を凝らしながらこの問題に対処する。やはり世間から見れば、大勢の人間を仕事のないままに放置しておくのはけしからぬじゃないかという御批判もあるわけでございまして、そうではなくて、私らは余剰となった人材を有効に活用してやはり国鉄再建に少しでも役立たせよう、また本人のモラールの向上も図りたいという気持ちでやっている次第でございます。
○永井委員 人が余っているものを、余剰人員であるものをほかへ活用してはいけないと言っておるのじゃないのですよ。私の手元にいろいろな問題が提起されておりますのは、その具体的な活用の仕方について、あるいはその新たな職務について、いわば労使の信頼関係に基づいた指導という状況になっていないところがかなり存在するように見受けられる。例えば、今常務から新たな機関をつくるのではない、こう言われるのだけれども、そのセンターそのものが新たに現業の中につくられて、そこに余剰人員と言われている人 が 入っている、その人たちに対する対応が、その現場長がオールマイティーであるかのようなやり方をされたのでは、働く者は立つ瀬がないわけです。何のために労働関係法が存在するのかわからなくなる。あくまでも、働く者は労使という関係で言うと本来は弱い立場にある側なのだから、その弱い側に立っている労働者を保護する規定を定めた法律に基づいて、最大限人間らしく扱うということがあってしかるべきだ。私は、きょうここではどこの職場ということは言いません。しかし、もしどこの職場ということが必要なら、後刻いつでも私は御報告申し上げますけれども、随分と具体的な例が私の手元に出されてきております。そういう人間らしき扱いをされない状況がもし拡大していけば、これからの労使関係というものは国鉄再建にとって極めてゆゆしきものになる、こう私は言っているのでありまして、総裁達があろうとどうあろうと、その総裁達が無用に拡大解釈されるようなことがあってはならないし、労働組合法あるいは労働基準法、公労法というものがその場合ではきちっと守られなくてはいけない、こう思います。したがって、その関係についてはひとつ国鉄当局できちっと対応してもらえるように、そういう問題と言われるような職場が労使の関係においてなくなるように、労使関係というものをもう一回見直してもらいたい。 冒頭に申し上げましたように、国鉄再建のためには労使の協力関係のためのたゆまざる努力、相互の信頼関係というものが不可欠でありますから、そのことを踏まえて対応してもらいたいということを申し上げます。 最後に、もう一つだけ要望しておきますが、労働安全衛生委員会、これは労働安全衛生規則によって月一回の開催が規定されていますね。この労働安全衛生委員会が月一回きちっと行われているかどうか、後ほどで結構ですから資料を出してもらいたいと思いますが、どうですか、資料を出していただけますか。
○太田説明員 ちょっと私も詳しくは存じませんけれども、協約でやっておりますから、それぞれの現場で必要に応じてやっていると存じますが、開催回数その他をどのぐらい把握しているか、ちょっときょうこの時点では申し上げかねますので、御返事は保留をさせていただきたいと思います。
○永井委員 労働安全衛生委員会が労働安全衛生規則によって定められており、協定があっても、一方的に労働安全衛生委員会の開催はしないということで、開催されていないところもあるということを私どもは聞くわけです。そういうことが、法律を一つ一つ崩していくということが現場で起きてきたときに、労使関係というのはゆがんでしまうわけだから、冒頭に申し上げたように、国鉄の再建のために労使関係で本当に信頼関係が持てるように、そこはひとつ当局側も積極的にそういうことを踏まえた対応をしてもらうようにお願いします。 きょうは時間の関係で詳しいことは質問できませんでしたけれども、問題点はいつでも私の方からも提起をいたしますので、ひとつ当局としてそういう立場の対応をしていただくようにお願い申し上げて、一応時間が来ましたので終わります。 ————◇—————
○有馬委員長 この際、平石磨作太郎君外四名提出、短時間労働者保護法案及び藤田高敏君外四名提出、短期労働者及び短時間労働者の保護に関する法律案の両案を議題とし、逐次趣旨の説明を聴取いたします。大橋敏雄君。 ————————————— 短時間労働者保護法案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○大橋議員 ただいま議題となりました短時間労働者保護法案(パート労働法案)につきまして、公明党・国民会議を代表し、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 産業経済社会の進展に伴って、婦人に対する労働需要が急速に増加するとともに、婦人の社会参加意識は急速に高まっております。そのような状況を反映して、勤労婦人の増加は著しく、その就業分野も拡大しており、経済社会における婦人の役割は増大しつつあります。 そして、今日、女子労働者が圧倒的に多いパート労働者は、昭和五十八年で四百十六万人と過去十年間で二倍に急増し、年々ふえてきています。しかし、低賃金、劣悪な労働条件のために不安定な生活を余儀なくされており、その改善が叫ばれております。例えば、賃金については、一般労働者の平均賃金が六百四十六円に比べ、パートタイマーは四百九十二円と七六%にしかすぎません。また、雇用、厚生、健康等の社会保険が三分の一の企業しか適用されていませんし、所得税の課税最低限は、年収八十八万円(五十九年度税制改正、与野党合意による所得税改正後九十万円)でわずか月七万円程度で税金がかかります。また、高齢化社会の到来により、高齢の男子労働者の短時間就労希望も増加すると考えられます。 公明党は、以上のような状況にかんがみ、またパート労働が、低賃金、不安定雇用の時代から、基幹労働力として社会の中で重要性を増しつつある時代の急展開を直視し、パート労働者の生活の安定と社会的地位の向上を図る必要があると考え、ここに党独自のパート労働法案を立案し提出する次第であります。 次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。 一、パートタイマーの定義。 「パート労働者は、同一事業所における同種の一般労働者と比べて所定労働時間の短い労働者をいう」と規定し、パートタイマーは、働く時間が短いだけで、関係法の適用その他すべて一般労働者と同じ扱いを受けることができます。そして、特に一日の労働時間が六時間を超えるパート労働者は、一般労働者と同じ条件で働けるよう地位の向上を図ることとしております。 二、労働契約の明示。 使用者の就業規則が不十分で、大半が口頭契約になっています。雇用期間、賃金、労働時間等の労働条件を書面で明示するよう義務づけることとしております。 三、社会保険の全面適用。 雇用、健康、厚生年金保険等の適用を受けているパート労働者は約三分の一程度でしかありません。パート労働者の福祉を推進させるため、社会保険の全面適用を図ることとしております。 四、最低賃金法の適用。 最低賃金は、地域別、職種別に定められておりますが、最賃額ぎりぎりの低い水準で雇われている場合が多く、この低賃金の底上げを図るとともに、最賃額を下回らないようにすることとしております。 五、同一労働同一賃金の原則を確立。 一般労働者との賃金格差を是正するために、同一労働同一賃金の原則を守り、一律的な職務給から生活給や技能給を加味した賃金体系の改善を図ることとしております。 六、パート労働者から一般労働者への優先雇用。 企業内に欠員が生じ、一般労働者を新たに雇い入れようとする場合、現に働いているパート労働者を優先的に配置し、長い間働いているパートタイマーにも一般労働者への道を開くようにすることとしております。 七、労働関係法の全面適用。 労基法、職業安定法、労災法等の労働関係法規はパートタイマーには十分適用されていません。一般労働者と同じように全面適用されるよう促進することとしております。 なお、この法律の実効を確保するために所要の罰則を設けております。以上がこの法律案の提案理由及び内容であります。 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
○有馬委員長 次に、永井孝信君。 ————————————— 短期労働者及び短時間労働者の保護に関する法 律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○永井議員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました短期労働者及び短時間労働者の保護に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 近年、過労働時間が三十五時間未満の非農林業雇用者、いわゆるパートタイム労働者が急増し、昭和五十七年現在四百十六万人と、四十五年の二百十六万人に比べ約二倍にもなっており、全雇用者に占める割合も約一割に達しております。五十一年以降で見ると、全体の増加率一〇・八%に対し、短時間雇用者は三二・五%と三倍もの伸び率を示しているのであります。 これは、女子の職場進出と重なり合っているわけでありまして、企業でいわゆるパートタイマーのうち九割以上が女子であり、女子労働者の五人に一人がパートタイマーとなっております。その年齢構成を見ますと、三十五歳以上四十五歳未満が四三・二%と最も多く、四十五歳以上五十五歳未満は二三・二%、二十五歳以上三十五歳未満は二一六%となっております。一方、男子の場合はむしろ高年齢者が多く、五十五歳以上が約五割を占めているのであります。 さらにパートタイム労働者の産業別構成を見ますと、製造業と卸売・小売業がともに三七・六%、サービス業が一七・三%となっており、合わせて全体の九割以上を占めております。 また、企業規模別構成を見ますと、三十人未満が五六・一%、三十人以上五百人未満が三一・四%となっており、多くが中小企業で働いていることがわかるのであります。 俗にパートと言いますと、労働時間が特別に短いような響きがあるのでありますが、実際には、過労働時間が三十五時間ないし四十八時間の者が約五割を占め、週五日以上勤務者が約九割と圧倒的であります。就業時間も就業日数も正規従業員と同じ者が、実に約四分の一を占めているというのが実態であります。 しかるに、その賃金や労働条件を見ますと、実に劣悪な状況に置かれております。まず賃金については、女子パートタイム労働者の時間当たり賃金は男子正規従業員の二分の一程度でありますし、女子正規従業員と比べてみましても、約四分の三程度でしかありません。また、ボーナス等を支給している企業は約八割ありますが、支給額は正規従業員の約二割でしかありません。退職金のある企業は一割にも満たないのが実情であります。 その他の労働条件を見ましても、年次有給休暇を与えている企業は約四分の一であり、雇用保険、健康保険、厚生年金等の適用があるのは、それぞれ四割弱、定期昇給やベース・アップがあるのは約五割、パートタイマー用の就業規則がある企業は三割弱、雇用条件の取り決めを口頭で行っている企業が五割強などとなっているのであります。 ところで、このような実情にあるパートタイム労働者のうち、一般社員化を希望している労働者は、多少古くなりますが、昭和五十四年の労働省の第三次産業雇用実態調査によれば、男子は三二・五%、女子は一七・四%となっております。しかし、一般社員化を希望しないと答えている者のうち、男子で四六・八%、女子で六四・四%が勤務時間帯の都合が悪くなるのを理由としており、パートタイム労働者の多くは、労働条件が確保されさえすれば、一般社員化を希望しているというのが実情であります。 パートタイム労働者は、とりわけ昭和四十八年のオイルショック以降、我が国企業がいわゆる減量経営を進める中で人件費の節約と雇用調整の安全弁として、その雇用の増大を図ってきているのでありまして、昨今の雇用情勢を考えますと今後もふえ続けるものと予想されます。したがいまして我が国の労働政策、労働行政におきまして、その賃金や労働条件等の改善、確保を図ることは大きな課題となっているのであります。 日本社会党は、このような状況にかんがみ、パートタイム労働者の賃金、労働条件の改善、確保を図るための立法が必要であると考えます。なお、あわせて、同様に劣悪な状況に置かれております臨時労働者等についても、その改善を図ることとし、この法律案を提案する次第であります。 次にこの法律案の内容について御説明申し上げます。 第一は、この法律の目的であります。 この法律は、労働基準法を初め、すべての関係諸法令と相まって、パートタイマー等の不安定雇用労働者が人たるに値する生活を営むための必要を満たすため、雇用、労働条件、福利厚生、各種保険制度の適用等、諸条件の保護、向上を図ることを目的としております。 第二は、定義であります。 この法律においては、パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託等その他名称のいかんを問わず、日々または期間を定めて雇い入れられる者を短期労働者といい、同一事業所における同種の一般労働者と比べて所定労働時間が短いか、賃金が一般労働者と比べて差別的に時間単位で支給されている労働者を短時間労働者ということとしております。 一方、社員、本雇い、本工その他同趣旨の名称によって期間を定めないで雇い入れられるすべての者を一般労働者ということとしております。 第三は、労働条件記載文書についてであります。 使用者は、短期労働者または短時間労働者との労働契約が成立したときは、労働時間、賃金、休暇その他の労働省令で定める労働条件を記載した文書をその労働者に交付するとともに、その写しを公共職業安定所長に送付しなければならないことといたしました。 第四は、短期労働者の雇い入れについてであります。 使用者は、一般労働者または短時間労働者を採用できない季節的業務その他これに準ずる特別の事情がある場合を除き、短期労働者を雇い入れてはならないことといたしました。また、季節的業務等に必要な契約期間を超えて短期労働者を雇い続ける場合には、その期間後は一般労働者の資格が与えられることといたしました。 第五は、短期労働者等の優先雇用に関する規定であります。 使用者は、短時間労働者または一般労働者を雇い入れる場合には、既に雇い入れているか、または雇い入れることが予定されている短期労働者及び短時間労働者に当該募集の旨を遅滞なく知らせ、これらの者の応募がある場合にはそれを受理し、同じ職種であれば優先的に雇い入れなくてはならないことといたしました。 第六は、一定の条件を満たす短時間労働者を一般労働者とする努力義務の規定であります。 使用者は、労働時間が一日五時間かつ一週三十時間を超える短時間労働者を一般労働者とするよう努めなければならないことといたしました。 第七は、短期労働者または短時間労働者に係る職業訓練についてであります。 使用者が短期労働者または短時間労働者に、一般労働者となることを容易にするための職業訓練を受けさせる場合には、政府は、雇用保険法第六十三条に規定する能力開発事業を行うものとしております。 第八は、同一労働同一賃金の原則であります。 使用者は、労働者が短期労働者または短時間労働者であることを理由として、賃金について、手当、賞与、退職金を含めて、同種の一般労働者と比べ不利益な取り扱いをしてはならないことといたしました。 第九は、格付等同一の原則であります。 使用者は、労働者が短時間労働者であることを理由として、昇進、配転、解雇その他の不利益処分等について、同種の一般労働者との差別的取り扱いをしてはならないことといたしました。 第十は、休暇等同一の原則であります。 使用者は、労働者が短期労働者または短時間労働者であることを理由として、有給休暇その他すべての休暇、休憩時間、育児時間及びその他女子に認められる特別の時間並びにすべての福利厚生施設の利用等について、同種の一般労働者との差別的取り扱いをしてはならないことといたしました。 第十一は、短時間労働者の所定労働時間外の労働及び休日労働の制限であります。 使用者は、短時間労働者については、その意に反してその所定労働時間を超えて労働させ、または休日に労働させてはならないことといたしました。 第十二は、各種保険の適用の拡大についてであります。 短期労働者及び短時間労働者について、関連法の改正により、過労働時間が八時間以上であれば、雇用保険制度、健康保険制度及び厚生年金制度が適用されるものといたしております。 なお、格付等同一の原則、休暇等同一の原則、各種保険の適用拡大等については、過所定労働時間が八時間以上の短期労働者または短時間労働者に適用するものといたしております。 以上、この法律案の提案理由及びその内容の概要について、御説明申し上げました。 早速御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 ありがとうございました。(拍手)
○有馬委員長 これにて両案の趣旨説明は終わりました。 この際、暫時休憩いたします。 午後四時三十八分休憩 ————◇————— 午後六時三分開議
○有馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑を続行いたします。森本晃司君。
○森本委員 まず、労働大臣にお伺いいたします。 昨年の春闘による賃上げ率は主要企業で四・四%、中小企業で四・五%という史上最低の賃上げ率で幕をおろしました。今八四年春闘の真っ最中でございまして、労使がいろいろと話し合っているわけでございますが、この問題につきましては今後の推移を私たちとしては見守っていかなければならないところでございます。今春闘については新聞の見通しては昨年を上回るように報じられている部分もございますが、その見通しはどのように今お考えになっておられますか。お答え願いたいと思います。
○坂本国務大臣 労働側は六、七%というのを基準にして要求をしておるようでありますし、それからまた、経営側は生産性向上の範囲内というそういう生産性基準というものでにらみ合っておるというようなことを聞いておりまするが、しかし労働省といたしましては、賃金は労使のフェアプレイで決せられるべきもので、労使の交渉、お話し合いで、ぜひ国民的な視野というか大きな立場もお忘れなく、経済の事情もありましょうし、それからまた、労働者諸君の生活の実態にも気を配られてお互いに円満に話し合って解決をしていただきたい、そう願っております。
○森本委員 今国民的な視野でというお話しもいただきましたし、また経済の上からもよりよきふうにという大臣のお答えをいただきました。 ところで人事院勧告の件でございますが、五十七年度は凍結、そして五十八年度六・四七%という人事院勧告に対しまして、二・〇三という抑制措置がとられました。また、仲裁裁定も手当が削減されるなど賃金をめぐる問題は非常に厳しいものでありますが、本年公労協の仲裁裁定が出された場合あるいは人事院勧告が十分予測されるわけでございますが、こういった場合に対する労働大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○坂本国務大臣 これは申すまでもない大原則でありますけれども、公務員や公共企業体の職員の皆さんに対しては、ストはできないわけでありまして、労働基本権制約の代償としての人事院勧告でありあるいはまた仲裁裁定でもございますので、私といたしましては、労使関係の安定ということを非常に大切にいたさなければならぬという立場でございますから、ひとつことしは完全実施に向けて最大限努力をいたしまするし、円満な解決がぜひ欲しい。ものだと念願をいたしております。
○森本委員 今大臣おっしゃっていただきましたように、この問題は労働基本権の制限に対する代償措置でありますから、何とか官公労部門の労使関係を正常にするために、これは決して大臣お一人ではなくして、政府全体が仲裁裁定や人事院勧告を完全実施するんだという気持ちになっていただかなければならないと思う次第でございます。五十九年度はぜひ完全実施を行っていただきたいわけでございますが、大臣にもう一度完全実施かどうか、お尋ねいたします。
○坂本国務大臣 今までの経過を見ますると、財政が厳しいとかいろいろ情勢がありまして、確かに凍結だ、抑制だということが続いてまいりましたが、まあひとつことしは、二度あることは三度あるのではちょっと残念でありますので、仏の顔も三度というくらいのつもりで全力を挙げて私も頑張っていきたいと思っております。
○森本委員 完全実施を大臣がぜひ身を張ってお進めいただきたいと思いますし、今まで「おしん」の時代だと言われてまいりましたけれども、テレビの方も「おしん」が終わりまして「ロマンス」の時代に入りましたので、どうか「ロマン又」の時代にふさわしい実施をお願いしたいと思うわけでございます。 特に仲裁裁定につきましては、ここ数年議決案件ということで国会に提出をされております。こういう提出のされ方をいたしまして、ともすればそれが国会の他の議案との取引の材料に使われてしまうというふうな見方もあります。良好な労使関係を保つ上から政治の材料にすべきではないと私は考えますが、いかがでございましょうか。
○坂本国務大臣 これはもう政治の取引の材料にされては困るわけでありまして、やはり人事院勧告の制度とかそれから仲裁裁定の制度とか、その本旨に立ち返れば、これはそんな政争の中に巻き込まれるべき筋合いのものではない、そう私は思っております。
○森本委員 ところで、技術革新、ロボット化がされたり、あるいはまた今女性の企業進出が大変ふえたりいたしまして、労働問題、いろいろな問題を今抱えているのが実情でございます。しかし、いつの時代にありましても、賃金問題は最大の課題でございます。本年、十一日が近づいておるわけでございますが、これを目標に短期集中決戦ということで、十二日には場合によってはストも構えるというふうな雰囲気の中の春闘でございますが、私は、こういった春闘から目をもう一つの角度の方に向けて、きょうはいろいろ御質問をさせていただきたいと思います。 それは中小企業、特に三十人未満の小規模企業の未組織労働者の賃金、あるいはまたパート労働者の賃金、労働条件、それからさらにまた、家内工業でやっておられる方々の賃金の問題等々についてきょうは御質問をさせていただきたいと思います。 そこでまず、五十五年から五十八年までの主要企業の春闘の賃上げはどのような状況になっているのか、また中小企業の状況はどうか、それから五人から二十九人あるいはまたさらに一人から四人までの賃上げ、五十五年から五十八年、五十八年だけでも結構でございますが、お答えいただけませんでしょうか。
○平賀政府委員 主要企業の賃上げにつきましては、労働省の労働組合課で調査をしておりますが、五十五年から五十八年までの状況について申し上げますと、平均の賃上げ率が主要企業の場合五十五年が六・八七%、五十六年が七・七三%、それから五十七年が七%、それから五十八年が四・四%ということでございました。これに対して、同じ時期で調査しました中小企業の場合、中小企業の賃上げ率は五十五年で七・三八%、五十六年で七・八七%、五十七年で六・八七%、それから五十八年で四・四九%、これらはいずれも労働組合のある企業についての調査でございます。 それで、規模別の調査というのは労働組合のある企業もない企業も含めましてやっております。これは毎年、六月現在での賃金引き上げの実態に関する調査というのをこれまた労働省で実施しております。ただ、その規模別でも、非常に小さい規模についてはそういう関係でなかなかお答えをいただけませんものですから、製造業だけ五人から二十九人の規模の調査をしております。その他の企業については百人以上でございます。 それで、五十八年の製造業の規模別の状況をお答えいたしたいと思います……(森本委員「五人から二十九人で結構です」と呼ぶ)失礼いたしました。これは五人から二十九人でなく、三十人から九十九人までの規模です。あとは百人以上でございますので。それで、三十人から九十九人の規模の企業の賃上げ率が、五十七年は加重平均で四・七%という結果が出ております。ちなみに、このときの五千人以上は四・五%でございました。(森本委員「五十八年は」と呼ぶ)今のが五十八年でございます。
○森本委員 私は、今時に三十人未満の方々についてお尋ねしたいわけですが、これは労働統計要覧を見ますと、五人から二十九人の状況が出ておりますが、五十七年で四・五、五十八年で四・二という状況でございます。 それから、一人から四人というのは大体どれくらいの賃上げ傘とお考えでございましょうか、詳しいデータはないようでございますが。
○平賀政府委員 実は、先生御質問の数字は、恐らく毎月勤労統計調査の平均給与額の年平均の上昇率だと思いますが、これはいわゆる賃上げと違いまして、例えば労働者の数とか構成とかが違ってきて、その労働者の構成が違ったことも計算に入れての平均給与の上昇率ということなので、いわゆる賃上げの数字とは多少違いますが、おっしゃるように、五人から二十九人の場合は五百人以上に比べて多少低い数字が出ておりますし、それから、私もここにちょっと数字は持っておりませんけれども、一人から四人という規模の労働者については、これに近いあるいはこれより少し下回るかなという感じを持っております。
○森本委員 私がいろいろ調べたところによりますと、三十人未満の事業所というのは、やはり実際の賃上げで春闘の平均賃上げを下回っているのではないだろうか。特に、一人から四人の小零細企業に至りますとその辺が非常に厳しいものがございます。 先ほどもおっしゃっていただきましたけれども、最初に発表していただきました主要企業やあるいは中小企業というのは労働組合のある企業のみでございまして、三十人未満の企業というのは大体において労働組合がほとんどない企業の方々でございます。特に五人未満となりますと、組合もなく、労働協約がないというのがほとんどでありまして、五人以下の企業ではほとんど未組織労働者だと思うわけです。この辺が今、賃金のアップでは非常に一番厳しい状況下にあると思います。 今、日本の雇用労働者が三千五百万人といたしますと、三十人未満の企業で働いている人は千五百万人、四三%。それから、百人未満の企業の勤労者となりますと二千二百万人でございまして、何と全体の六三%を占めているわけでございます。これは統計局の資料にございまして、これだけの多くの人、ただいま春闘の真っ最中でございますが、こういった零細企業で働く人々はほとんど春闘と無縁であると言っても過言ではないと私は思います。春闘の波及効果というのがあるようでございますが、まだまだそちらの方にまで至っていないという状況下であると思いますし、また、今組合の方も一生懸命組織の拡大、またそういったところに手を伸ばし、協調しておられるところでございますが、実際の組織率というのは年々下がってきているように思います。 今、組織されている人はことしで何%でございましょうか。
○平賀政府委員 五十八年の六月現在の調査では、雇用労働者に対する労働組合員の割合は二九・七%でございます。
○森本委員 二九・七%、約三〇%というわけでございますが、三〇%と申しますと、十人のうち七人の方が春闘とは無関係、未組織労働者であるということが言えます。このほかに、パート労働で働く方々が四百十六万人、それから家内労働をなさっている方々が百三十万人、こういった人たちもやはり春闘と無縁の立場にあるわけでございます。こういった労働協約を持たない未組織労働者の方々に対しまして、生活向上のための、賃上げのための場づくりが必要ではないかと私は思うわけでございますが、この点いかがお考えでございましょうか。
○望月政府委員 未組織労働者の賃上げの問題でございますが、賃上げそのものは労使が自主的に話し合うということでございまして、組織がないならどうするのかということでございまして、私どもは特に未組織労働者について賃金はどうこうあれということは言えませんが、下支えとして最低賃金制度がございますので、春闘の結果が中小企業に徐々に及んでいきまして、それらが上がった時点をとらえて、そこで新しい年度の最低賃金の諮問を都道府県労働基準局ごとに審議会に諮問をいたしまして、そこで最低賃金を決めていくという格好でやっております。 それから家内労働者につきましては、家内労働法によって最低賃金と同じような方式で最低工賃というものを設定をして、最低工賃の下支えをするということで行政を進めております。
○森本委員 今御回答いただきましたけれども、労働協約を持たない未組織労働者の方々の実態は非常に厳しいと思います。単に賃金だけの問題ではなく、労働大臣も非常によく御存じだと思いますが、労働条件が明確でないために、労働法その他の法律に反するような問題も数多くあるのが現状でございます。 私の手元に、五十七年の五月に行政管理庁が、パートタイム労働者等の労働条件の確保に関する実態調査結果が発表されております。いろいろと先ほど指導しているように伺いましたけれども、当時の日経新聞、五十七年五月二十九日の新聞を見ますと、事業の八割が法令違反というふうに書かれております。パートタイム用の就業規則をつくらず、勤務条件が未確定なのが六〇・九%、休憩時間または有給休暇を与えないが七〇・一%、雇用保険の未加入が四二・九%、賃金条件を書面で明らかにしないが五五・九%など、こういう法令違反をしている事業所が全体の八三・八%に上っている、このように行管庁がこの結果報告を出しておりますが、あれから間もなく二年になりますが、その辺随分努力していただいたのでしょうが、どうでしょうか。
○望月政府委員 先生御指摘のように、五十七年の五月に行政管理庁から、パートタイマーの労働条件の確保、対策の改善について指摘を受けたわけでございます。 パートタイマーの対策につきましては、私ども行政の重点分野の。一つとして、労働条件の確保、改善に努めてきたところでございますが、行政管理庁の御指摘も踏まえまして、今後とも対策に一層の努力をしてまいりたいと思っておりますが、特に労働条件の明確化は、パートタイマーをめぐるトラブルを未然に防止するという見地から極めて重要でございますので、就業規則の整備と相まってその実効を期するために、主要な労働条件を明示した雇入通知書というもののモデル様式を策定をいたしまして、従来は、昭和五十八年度は大都市地域を中心にその普及に努めてまいってきておりますが、新年度においては全国一斉に、この雇入通知書の様式をもって労働条件の明確化指導ということを全国的にやっていきたい、こう思っております。
○森本委員 相も変わらずパートタイマーの人々の労働条件は非常に悪いわけでございますが、大臣、こういった方の保護についてどのようにお考えになっているのか、一言で結構でございますから、後ほどまたパートタイマーの問題については詳しく質問をさしていただく予定でございますので、大臣の考え方をお伺いしたいと思います。
○坂本国務大臣 パートの方々の最近の就業意欲というかは非常に大変なもので、そしてその人数も随分ふえておられるということであります。 今政府委員からお話ししましたように、新しい分野なものですからついついいろいろなトラブルが起きたりしておりますが、これを今労働省といたしましては最重点の課題の一つとして取り組んでいきたい、こう思っております。
○森本委員 パートの皆さんの実情、さらに詳しく調べていただき、指導もしていただきたいと思うわけでございます。 先ほどちょっと触れました家内労働者の方の問題でございますが、最低工賃を設けているというように御回答いただきました。これもちょっと古いのですが、私の手元に昭和五十七年度の「家内労働調査結果報告」、これは労働基準局がつくってくださった資料でございます。これを見ますと、平均工賃額が男子で七百五十円、それから女子で三百十三円、平均三百四十八円というわけでございます。平均で女子が三百十三円、非常に賃金状況の悪いと言われているパート労働の方よりもさらに四割方落ちているのではないかと思われるわけです。 さらに、私もこの資料を手にして驚いたわけでございますが、これは何かちょっと小さな数字を挙げて恐縮でございますが、今百円未満の賃金を払っていらっしゃるというのは一・六%もあるというふうに書かれているわけですね。百円未満が一・六%、二百円未満で一六・二%、三百円未満が三二%、合わせますと約五〇%が三百円未満という非常に厳しい条件下にございますが、この辺はいかがでございますか。
○望月政府委員 これは私どもの資料でございますので、確かにそういう実態も一部にあるわけでございます。これは、一カ月当たりの工賃の額というものはいろいろ人によって違うわけでございますが、平均で数字をとりますと四万七千三百六十円、それからその内訳として男子は、男子の方が非常に高いのでございますが、これは十八万百五十五円、それから女子は平均よりももっと下がりまして三万五千九百五十二円ということになっておりまして、男子の方は、家内労働の場合専業的に職業としてやっているということでございますのである程度の賃金になりますが、女子は、九割方が家庭の主婦ということで、内職的にやっておるということで工賃も低いわけでございます。 これについては、私どもとしては、最低工賃の制度をできるだけ広い業種に積極的に設定をして、そしてさらにまた、それの改定に当たってはそう長い期間そのままに置かずに、工賃の改定の促進ということを行政指導の一つの柱にして、底上げを図っていくということで現在対処しているわけでございます。
○森本委員 パートの方々、また家内労働者の問題について触れてまいりましたが、言うならば未組織労働者の方々、零細企業で働く人々にもより積極的な施策をこれから講じていっていただきたいということを申し上げまして、次の質問に移らしていただきます。 先日、三十日の閣議で二月の労働調査結果が報告されました。それによりますと、二月の完全失業者数が百七十一万人、前年同月に比べ六万人増加、また完全失業率が原数値では三%という状況下になっております。これは、この調査が始まって以来非常に厳しい状況下である、今の失業状況は非常に厳しいという結果を出しているわけでございます。これについて総理府の統計局では、景気は回復局面にあるものの雇用情勢は依然厳しいという判断をしているわけでございまして、これだけの多くの失業者が出てまいりまして回復が見込まれないという情勢下、この状況を今どのように見ておられるのか、お答えいただきたいと思います。
○加藤(孝)政府委員 最近の雇用失業情勢、今御指摘ございましたような完全失業率等の面で見ますとなおいろいろ厳しさを残しておるわけでございますが、全般には、いろいろな指標を見ますと、景気の回復というものを背景にいたしまして改善の動きが見られるわけでございます。 例えば求人の動きについて見ますと、製造業を中心に全般的に増加傾向にございまして、建設業あるいは農林水産業、こういったものについては依然として求人は前年に比べて伸び悩んでおるというような状況にございますが、あとほとんどの業種等におきまして対前年五%前後あるいはまた一〇%前後の増、こういうような動きが出てきておりますし、一方また求職者の方はいわば増加がとまっておる、こんなような状況にあるわけでございまして、そんなことで、有効求人倍率は、昨年の七月を底にいたしまして、少しずつではございますが、〇・〇一ぐらいずつ上昇を続けておりまして、昨年の七月〇・五八ということでございましたが、二月現在では〇・六五、こんなような状態になってきておるわけでございます。 また、雇用者数そのものも全体としては増加を続けておりまして、ことしの二月も前年に比べまして六十六万人の増ということでございます。 しかし、御指摘ございましたように、完全失業率の方は、五十八年の八月に二・八〇という、この完全失業統計が始まって以来の最高の数字を記録いたしまして、その後一進一退というような状況を続けてまいりまして、ことしの二月には二・七%、こんなような数字になっておるわけでございます。 この雇用情勢を見ます場合に、いろいろな指標でその辺を判断する必要がございまして、この完全失業率の統計だけでなかなか全体を判断するというわけにはいかぬと思っておりますが、それにしてもやはり、こういう全体的な雇用増あるいは景気回復の中での求人増の中で、失業者そのものはなかなか減らないというような事情のあることも統計的事実であるわけでございます。 そういう意味で、今後の見通しといたしまして、私ども五十九年度の見通しが、完全失業者を五十八年度は百五十五万という程度を見込んでおるわけでございますが、一応こういう全体的な景気の上昇というものを背景にいたしまして、完全失業者数も少しずつ減少ぎみに推移はするであろうということで、政府の見込んでおります百五十万程度、完全失業率二・五%程度、こういったような形に落ちついていくことが一応期待されるのではないか、こんなような見方をいたしておるわけでございます。
○森本委員 今おっしゃっていただきましたように、去年の八月には確かに二・八〇%というふうに一番悪い状況、そこから徐々に回復はたどってきたけれども、またことしの一月から再び悪化に転じているというような状況下でございます。完全失業率については私はまだまだ予断を許さないと考えているわけでございまして、特にこの四十九年から五十八年までの十年間の完全失業率を見ますと、一・四%から二・六%と約二倍近くの失業率になっておりますし、さらに五十九年に入ってからも二・八%から三%というふうに悪化しているわけです。 政府が従来から、雇用対策として給付制度の創設やあるいは職安の行政の改善等々いろいろ行ってこられたわけでございますが、今申し上げましたように一向に雇用状況は改善されたとは言えない。一体この原因は何なのかということをやはりお尋ねしなければならないと思うわけです。 今までのような小手先の対策だけでは十分な効果が期待できない、また景気の回復を非常に頼みにしているような対策では私は十分な対策にはならないと思うわけでございますが、五十八年十二月に労働省から出していただきました「労働問題のしおり」の中で、雇用対策法に基づいて策定される雇用対策基本計画、これは五十八年十月十四日に閣議決定されまして、五十八年からの八年間を見ているわけでございます。ここでは、労働力需給のミスマッチの解消を図り、質量両面にわたる完全雇用の達成と活力ある経済社会の形成を目指すことを課題としている、そしてこの一番目に、雇用の維持拡大を図っておられるわけでございます。これをつくられましたときの完全失業率の目標としては何%くらいだったのでございましょうか。
○加藤(孝)政府委員 昭和六十五年度の完全失業率を二%程度に持っていくということを目標につくっておるわけでございます。
○森本委員 六十五年までに二%という、状況がだんだん悪化しておるような状況でございますけれども、どうですか労働大臣、本当に六十五年までに二%前後に抑えるという確信があるんでしょうか。また、この策定基準の問題もございますし、いかがなものでございましょうか、あるいはもう一度この雇用計画というのを見直さなければならないという問題でしょうか。いかがでしょうか。
○坂本国務大臣 これは物価を抑えて、そして景気を浮揚させて、幸い世界経済がオイルショックから立ち直って一斉に浮揚ぎみである、これをとらえて経済運営を適切にやっていく、そしてきめの細かい施策をやるということで、私どもも何とかしてこの目標を達成をいたしたい。客観情勢は、努力すれば決して無理な数値ではないのではないかと思っております。 しかし、この雇用問題は時代の変化とともに随分複雑になってきておりまして、そして高齢化が進むというのは御承知のとおり、それから第三次産業はどんどんと伸びてくる、そうしますと、それに技術革新も進んでくる、こういうような変化が大きいものでございますから、失業したらどこでもいいから就職するというそんな昔と違いまして、そこに求人と求職のいわゆるミスマッチとか言われるようなものが起こっておりまするので、この雇用率を上げていくということにつきましてはこれから非常にやはり私どもも努力をいたしていかなければならぬ、こう思っておりますが、とにかく全力を尽くして二%の目標に頑張っていきたいと思っております。
○森本委員 完全失業率というのはやはり景気にも相当影響される問題であるだけに、私はこういった問題、雇用計画については前向きの姿勢でどうか取り組んでいただきたいと思うわけでございます。 せんだっても渋谷の職業安定所を訪問させていただきました。私が学校を出たぐらいに訪問いたしました職業安定所のイメージと随分変わっているのには、非常に感心し驚きもしたわけでございまして、視察させていただいてよかったなと思っているわけです。一生懸命やっていただいていることはわかりますが、さらにこういった雇用問題については施策を講じていっていただきたいと思うわけです。 特に女子の雇用の問題が、やはりこれは、先ほども申し上げましたように完全失業率は二・八九%と、これも非常に厳しいわけでございます。雇用も厳しい、労働条件も非常に厳しい、こういう状況下を一つ一つ改善していくために、私は、男女雇用平等法を今ここでやらなければならないのではないか、このように思うわけでございます。 先日の新聞で、婦人少年問題審議会からの建議が出されまして、発表を見た私もびっくりいたしました。何と前代未聞の「対立解けず三論併記」という回答か出されました。どういうことなんだろうかと私は思わずにいられないわけでございます。こういう審議会の回答が出て、恐らく一番お困りになったのは労働省であり労働大臣ではなかったかというふうに思うわけでございます。ことしの国会で何とかこの法案を提出するということになっておられましたが、労使、公益、どの線でいくのかという厳しい選択を今迫られているわけでございます。 そこで、これも労働大臣にお尋ねしたいわけでございますが、先日の三十日に行われましたNHK番組の録画撮りで、労働大臣は、公益委員案が両者の意見をとり現実的なスタート台になりやすい、いわゆる公益委員案の方が現実的であるというふうにお述べになっているように私は解釈したわけでございますが、まず第一に、この法案をつくられるにつきましては、公益委員の考え方を中心にこの法案をつくろうという考え方なんでしょうか。第二番目に、もしこの公益委員の考え方でいきますと、募集、採用は努力義務規定ということになっております。それでは、その後の配置、昇進・昇格というのにはどういうふうなお考えで今いらっしゃるのか。それから、女子保護規定についてはどのようなお考えをお持ちなのか。お聞かせいただきたいと思います。
○赤松政府委員 今お尋ねの点につきましては、前代未聞があるいは有史以来かは存じませんが、三論併記というような建議をいただきまして、私どももいろいろと悩んでいるわけでございます。 どのような方向で法案作成をするかということにつきましては、建議の中で労使、公益それぞれが一致した御見解を示されたところもあるわけでございまして、全部が三論併記とか両論併記とかいうことになっているわけではございませんので、一致した見解を示されたところにつきましては、よほどの事情がない限りはそれに沿った方向で法案の作成をいたしたいと考えております。また、両論併記あるいは三論併記というようになった部分につきましては、結論の部分だけでは処理が難しいわけでございますので、これまで審議会の中で、労使がそれぞれ結論を出される前にいろいろと見解を述べられ、あるいはそれについての理由あるいは背景などもおっしゃったわけでございますから、それらを十分に参酌をいたしまして、その中から酌み取るべきものを酌み取って法案の作成をいたしたい、このように考えております。 努力義務あるいは強行規定ということについて御質問がございましたが、建議の中では募集、採用は努力義務規定という公益案の見解に対しまして、労働側からは強い反論がございます。また、採用になった後の配置、昇進・昇格、教育訓練、福利厚生等につきましては、公益委員としては強行規定という見解を示され、それに対しましては、使用者側からは、強行規定は非常に不適当であって、それらもすべて努力義務にすべきであるという見解が示されております。労働側からは、罰則がついていないということに対する御不満もなお残っているようでございます。 したがいまして、それをどのように法案の中に反映するかということは、まさに私どもが現在いろいろと考えながら進めているわけでございまして、今の段階ではその部分をどうするかということについてはまだ結論が出ていない状況でございます。
○森本委員 今の局長のお考え、いろいろとこれから検討していくというお考え方だったわけですけれども、先日のNHKにおける大臣の考え方は、公益側の考えの方がいいように思うというふうなお考えであったようですが、その問題については大臣、どうですか。
○坂本国務大臣 テレビのところで私が、公益案というのは使用者、労働者側の両方をよく考えておるものだから、それで公益案の方がスタート台にはいいのではないでしょうか、こう言ったのは、募集、採用というところで司会者が聞かれたから、まだ会社に入らない、労使関係に入らない、その前段階、その段階で聞かれたものですから、公益案というところがまあまあスタート台にはいいのではなかろうかというお返事をしたのでございまして、募集、採用から定年・解雇に至るまでの全ステージについて私が、いや公益案そのままでいくということを申し上げたわけではないので、雇用関係に入ってからの規制の仕方は、今局長が申しましたように、いろいろこれからひとつ早急に煮詰めていきたい、こう思っておるところでございます。
○森本委員 公明党が、去る三月二十九日に、党独自の法案を国会に提出させていただきました。労働大臣にもお読みいただいたと思うわけでございますが、我が党の案では、募集、採用から退職まで全ステージについて禁止規定を設け、違反には直罰規定を設けておるわけでございます。労働基準法の女子保護規定につきましては、全体として漸進的な改正をすべきであるという考え方で、ここの考え方はスロー・アンド・ステディー、労働大臣の考え方と同じわけでございますが、ただ、労働大臣、罰則なしの努力義務規定だけで果たしてせっかくつくった法案に実効性があるかという問題がやはり問われるわけでございます。これについて見解をちょっと。もう時間が迫ってまいりましたので一言だけで結構でございます。
○坂本国務大臣 企業に対してどれだけの義務を負わせるか、この段階では努力義務が適当か、これは強制をすべきか、そこにまた罰則を付加するかなどというような細かいところは、今ちょっと一生懸命煮詰めている最中でございますので御了承を願いたいと思いまするけれども、私はやはり、まずスタートして後はスロー・バット・ステディーでいった方がいいのではなかろうか、そういう意味で、小さく産んで大きく育てた方がいいのではないかというようなことを申し上げたわけでございます。 これは単なる雇用問題だけではなしに、日本の国の男性と女性に対する人生観から、文明論から、経済論から、雇用論に至るまでいろいろ随分入っておりまして、それが三論併記で、委員もびっくりされたというような結論になるのであります。日本の長い労使関係とか、いわゆる終身雇用、年功序列、企業内組合とか言われておりますが、そういうシステムというのは世界に非常にまれなシステムでもございますし、それからまた、それだけに女性の職業意識というものも、国際的にはまだ成熟してない部分も大分あろうかとも思います。それから、個人に対する考え方というものは、個の確立というものはまだ日本の社会は西欧並みではありません。これは悪いと一概には言えませんけれども、やはり個人主義というものがしっかりあるとお互いを尊重して平等でいこう、こうなるのでありますが、日本はまだそこまでもいっておりませんので、成熟を待って、方向だけはしっかりして、そしてステディーでいくけれども、その間はやはりある程度のいろいろな社会的情勢が熟してくるのを待ちながらいった方が、かえって、初めは小さい子供でも最後は大きくなるのではないかという私の考えを申し上げまして、個別具体的にはもうしばらく御遠慮を願います。そういう考えてあります。
○森本委員 ちょっと時間がなくなりまして、パート労働法についてはもう少しいろいろと伺いたかったわけでございますが、先ほど同僚議員の大橋議員から、公明党の短時間労働者保護法案の説明をさせていただきました。今労働省として要綱をつくっておられるようでございますが、男女雇用平等法の提出以降、ぜひこの短時間労働者保護法案も提出していただきたい、このように思うわけでございます。 そこで最後に一つ、労災の認定についてお伺いをさせていただきます。 これは二月二十四日の新聞でございますが、「仕事で精神障害・自殺未遂、過度の負担、労災認定」という大きな見出しがございまして、仕事の重圧に耐えかねてノイローゼとなって、飛び込み自殺を図り両足を切断したサラリーマンに対して、労働省は、全国初のケースとして労災認定を決定したと聞いておりますが、その経緯を御説明願いたいと思います。
○望月政府委員 この労働者は心因性の精神障害である反応性うつ病にかかりまして、電車に飛び込んで足を切断されたというケースでございますが、具体的には、請求人の業務に反応性うつ病の発病原因としての十分な強度の精神的負担があったというように認められたこと、それから請求人には精神障害の既往歴がないことなど、このような精神障害の有力な原因となり得る本人自身の個体側の要因は認められなかったこと、それから業務以外の精神的負担についても当該疾病の有力な原因となるものは認められなかったことなどが明らかにされたわけでございます。それで医師の心証等も、この種の反応性うつ病というのはしばしば自殺に誘引されるということが大勢の医者から医証として言われておるケースでございまして、そういう点を総合勘案して、やはりこれは業務上にすべきであるという、ある意味では非常に画期的な判断をしたわけでございます。
○森本委員 今回のこの労災認定に対しては、従来よりも一歩も二歩も幅広く広げられた非常に勇気ある決断だと私は敬意をあらわし、また高い評価をさせていただいているものでございます。とにかく今過酷な労働条件の中にありまして、因果関係のはっきりしないことなどから労災の対象外になっているものも随分ございますが、今回のこの自殺未遂を含めて認められたことは意義が深いと思います。今、日本の屋台骨を支えているエリートサラリーマンのうちの十人に一人はどこか精神障害があるように言われておるわけでございますが、どうかこういった人たちが安心して働ける環境条件をつくっていただきたい。 と同時に、ここでお尋ねしたいわけでございますが、今までの労災認定には非常に厳しい基準がございまして、私もよく相談を受けるわけですが、決定に大変時間がかかるということ、それから結果として認定されなかったというケースが数多くあるわけでございます。そこで、今後の労災の決定に当たりまして、今回のこの労災の認定という問題が、これからの新しい認定基準のもとに今後の認定基準となり得るかどうかということをお尋ね申し上げたいと思います。
○望月政府委員 これは現段階では基準として設定するには非常に難しいケースでございます。と申しますのは、反応性うつ病のような心因性の精神障害につきましては、その原因となるべき精神的負担に係る事実関係の把握が非常に困難であるという点と、このような精神的負担を的確に評価する基準が現段階ではまだ医学的に確立していないということでございまして、先生おっしゃるように、何らかの客観的な認定基準がつくれれば、それによって、それに適格すれば画一的に業務上である、あるいは外だということで処理できるわけでございますが、今申し上げましたような理由で、非常に医学上まだ確立していないということでございますので、現時点におきましては、この種の疾病を一般的に業務上と認める基準を示すことは非常に困難でございますので、やはりこの種のものについては、専門医等の協力を得て、個々の事案ごとに慎重な判断を行って適正に処理するというところまでしかまだ至っていないということでございますが、この点は私どももさらに医学的に研究を進めていきたいというように考えております。
○森本委員 時間が参りましたので、質問を終わります。
○有馬委員長 塩田晋君。
○塩田委員 私は、春に行われます組合の賃金の闘争、いわゆる春闘と言われるものでございますが、これについての労働大臣並びに関係局長、課長の御答弁をお願いしたいと思います。 まず、働く者の生活の向上を図る道は、各人が働いてその労働の対価として得られる賃金、これによってもたらされるものであるということについては労働大臣は御異論はないと思います。 我が国におきましては、戦後早い時期からいわゆる巻あるいは秋、年末というふうに定期的に賃上げの交渉が労使間で行われて、これが慣例化しておるということは御存じのとおりでございます。最近、このところずっと春季にこの賃上げの労使交渉、いわゆる春闘に集約されてきているということは御存じのとおりでございます。このいわゆる春の時期の賃上げ闘争、春闘と言われるものについて労働大臣はどのように評価をしておられますか、お伺いいたします。
○平賀政府委員 我が国におきまして、春の時期に主として基本給の賃上げを、多くの労働組合が、全国的な組織やあるいは大きな産業別組織等の指導、調整などもございまして、その賃金交渉をほぼ同じ時期に一緒に行う、ここに我が国の労使慣行の非常に大きな特色があると考えております。 この慣行につきましては、御質問の中にありましたように、昭和三十年代の初めぐらいから、もうほぼ三十年にわたって、春の時期に一緒に賃上げを行うという慣行がだんだんと定着をしてきているように思います。 この点に関しまして、諸外国の場合に、必ずしも春ばかりでなくていろいろな時期に行われる、あるいは賃金の交渉について、最近物価が上がる等との関係で、法律によって賃金の規制をするというような制度が導入されましたけれども、我が国の場合は、こういう時期に一緒に賃上げをやるということで、労使の自主的な話し合いで決めるという賃金決定の原則を守りながら賃金交渉が行われてきたというところに大きな特色があり、その点については評価すべきことであると思っております。 また、こういう形で一緒の時期に賃上げがされるということで、一つは、いわゆる賃金の相場といいますかそういうものがこの時期にだんだんとつくり上げられてくるということ、あるいは企業にとっても賃金のコストなり公正な競争条件が確保されるというようなメリットがございます。 ただ一方、この時期に一時に交渉が行われる、平穏に交渉が行われる場合はよろしいのですが、そうではなくて、労使交渉がいろいろ紛糾しますと、又トライキが多発する、そういう可能性なり問題点などもございましたけれども、その点につきましても、最近は非常に労使が円満に交渉を行われるというケースがふえてきている、こういうふうに考えております。
○塩田委員 今、いわゆる春季に行われる賃上げ労使交渉、闘争というものの概括的な御説明はあったわけでございますが、大臣、いよいよ四月十一日回答ということで、八四賃闘と言われる山場が参るわけでございます。従来は同盟の諸君も、賃闘は国民経済との整合性の中で、非常に自重した闘争の中で決めてきたところでございますが、ここ数年来の賃上げの実績を見ますとまことに不十分であるという状況の中で、ゼンセン同盟の諸君を初め中立労連におきましても、電機労連等はストを構えて今度の春季の賃上げ闘争は不退転の決意で臨む、こういう事態になってきております。そして、何百万という労働者がこの問題で一斉に交渉に入り、ストを構えても強く臨むという中で、今お話しございましたように、賃金問題は労使間の交渉、自主的に決着をすべきものであるということではございますけれども、ストが全国的に起こったりあるいは国民経済に重大な影響を及ぼすということになりますと、これは労働大臣の大きな責任でございます。諸外国におきましても、労働大臣のこういった労使交渉あるいはストに対する責任というものはどこでも重大なものとされておるわけでございまして、この十一日に山場を迎えます賃闘に労働大臣はいかに対処をしようとしておられますか、お伺いいたします。
○坂本国務大臣 ここ数年はオイルショックなどの影響がありまして、確かに景気は低迷をし、それから賃上げの方も高度成長時代から見ればはるかに低率であったというのが現状でありますので、今度の春闘には活気が出てくるのではないかというような話も承ってはおりますが、私は、それならそれなりに、労使の間の今まで築き上げられた世界でもまれだと言われるくらいの労使関係、この労使の良識というものがやはりことしはことしなりに働いて、そしてやはり正常なルールでつまり話し合いのうちに解決がされるものだ、こう私は思っておりまするが、またそういうふうな円満な合理的な解決を私も望んでおる、労使の良識によって、そしてそれは活力のある交渉であっても、やはり国民全体というものを忘れない観点から解決をせられるものだ、私は日本の労使関係を信頼をしておるという観点から特に期待できるだろう、こう思っております。
○塩田委員 働く者、勤労者が生活をよくする道はいろいろありますけれども、基本はあくまでも、その労働の対価として得られる報酬であるところの賃金である。その賃金が生活を支える中心であり、賃金を上げることは現代の日本の労働者にとって好ましいことだ。何%であるかは労使間の話し合いの問題ですけれども、労働大臣として、上がることは今の日本経済の情勢からいって好ましいことだということをお考えかどうか、お伺いいたします。
○坂本国務大臣 そのときどきによりまして、春闘相場というものは労使の話し合いで決せられるべきものだと私は思っております。もちろん今日ここまで、日本が世界第二の経済大国にまでなれたのは、立派な労働者が、質の高い勤労者が働いたからでありまして、そこに労使関係も非常によかったということもつけ加わったんだ、こう思っております。そういうような観点で、私は、この時勢ならばこの時勢なりに労使の話し合いの中で良識が必ず発揮をせられるものだと信じて、適当な話し合いが期待されるのではないか、こう思っております。
○塩田委員 賃上げというものが現在の労働者にとって必要なものであるということは否定はされないと思います。そういうふうに受け取りたいと思います。 ところで、民間の賃金は労使間の交渉で自主的に決まるということが原則であることはそのとおりでございますけれども、公共企業体あるいは四現業と言われるもの、いわゆる仲裁裁定の取り扱いでございますが、これは従来、三十五年以降完全実施の線でずっとやってまいりました。ことしも恐らく同じように公労委のあっせん、調停によりまして仲裁ということに至るかと思いますが、これについて、政府が関係することが非常に多い事業体でございますから、労働大臣が関係閣僚と協議をされるその際に、労働大臣は完全実施を強く主張されるかどうか。 あわせまして、国家公務員を初めといたしまして地方の公務員、教職員も含めまして公務に携わられる方々の給与、これはいろいろな制度、人事院制度あるいは人事委員会その他がありますけれども、そういった公務員の人事院勧告、給与勧告に象徴されるこの取り扱い、これについても、公務員諸君の生活の向上のために、国家のためあるいは地方公共団体のために、あるいはその他国家的な事業のために働いている人たちの生活をよくするという立場から、仲裁裁定と人事院勧告の完全実施について労働大臣は政府部内で強く主張をしていただきたいと思うのですが、それはしていただけますか。
○坂本国務大臣 人事院勧告とか仲裁制度とか、これは申し上げるまでもなく、労働基本権制約の代償措置でございまして、完全実施に向けてできる限りの努力をするのは当然のことだと私は思っております。しかし、そうかといって、人勧につきましては過去二年間凍結ないし制約もありました。ことしは三年目だぞ、三年目は去年、おととしとは性根を入れかえてもっとしっかりやれという御趣旨だと私は思っておりますが、そういう意味でもひとつ私も全力を尽くして頑張っていきたい、こう思っております。
○塩田委員 大臣から前向きの御答弁をいただきましたので、ぜひともその気持ちで、その決意を持ってこの問題に当たっていただきたいと思います。お願いをいたします。 賃上げが労働者の生活をよくする基本であるということから、民間を初め公務関係の給与、賃金についてできるだけ上げていく努力をしていただきたい。 特に公務員諸君につきましては、今大臣も言われましたように今回が三回目になりますね。一回は公務員諸君も財政事情その他から歯を食いしばって我慢をしたと思いますけれども、スト権の代償措置であったり、あるいはいろいろな制度的な面から決められた現在の人事院勧告制度、これも客観的に勧告されたそのものを無視して、これは一回でも私はいけないと思うのですけれども、それを二回も三回も続けるような、これは公務員諸君は本当に皆怒りに燃えてきていると思います。一生懸命働いている人が大部分ですから、そういう人たちに報いるに賃上げストップというようなことは絶対にすべきじゃない。労働大臣としては必死になって頑張っていただきたいと思います。 春闘につきまして、外国の例はどのようになっておりますか。賃上げの方式は、日本の春季における賃上げ闘争といったものが外国にあるかどうか。外国はどういう賃上げ方式で来ているか、お調べになったものがあれば御説明をいただきたいと思います。
○平賀政府委員 外国、たくさんの国がございますけれども、我が国に近い、比較的人口の多い産業国といいますか、英米独仏などの状況を見ておりますと、それぞれ労働組合の組織の状況が違ったり、あるいは国の物の考え方が違ったりすることで必ずしも一様ではございませんけれども、概括的に申しますと、これらの国々では、労働組合の組織がおおむね産業別あるいは職種別あるいはそれらが一緒になった横断的な組織があって、そういう横断的な組織が中心になって全国的に交渉をして、いわば関係組合あるいは関係企業の基本的な賃金の基準等を決め、それに基づいて地域別あるいは企業別に交渉をやって、それに多少上積みをしたり、あるいは企業内の特殊事情を加味する場合が多いと承知しております。 それから、先ほども御質問がございました賃金交渉の時期でございます。我が国の場合は春の時期にほぼ基本給の場合は一斉に行われるわけでございますけれども、これにつきましては、西ドイツが日本に近く、大体四月、五月ぐらいにほぼ一斉に行われるということ、それから、これに対してアメリカ、イギリス、フラン又などでは時期が必ずしも特定していない。言いかえれば、その組合の協定の切れる時期に行われるということで、ほぼ年間を通じて、いつはどの組合ということで、かなりばらつきがあると承知しております。 なお、協約の改定の期間でございますけれども、アメリカでは二年ないしは三年間という協約の有効期間が一般的でございまして、これに対してイギリス、西ドイツ等は一年ぐらい、それからフランスでは物価の状況等によって一年より短い期間で改定される場合が多うございます。 また、賃金の決定のメルクマールは必ずしも一様ではございませんけれども、消費者物価の上昇率を賃上げに反映させるという仕組みをとっているところが一部ございます。特にアメリカでは三年間の協定でございますので、その三年の間に消費者物価の変動がありましたときに、生計費調整条項を設けて、それによってスライドするという協約を結んでいるところがかなりございます。それから、フランスでは割合と賃金の決め方の中に消費者物価と比例するような決め方をする場合がございます。またイギリスでもこのごろ物価が上がりましたときにそういう条項を導入したところがあったと聞いております。 概括的に申しますと以上のとおりでございます。
○塩田委員 外国の状況も概括的にわかりましたが、そういったものとの比較におきまして、日本で現在行われている春季の賃上げ闘争、いわゆる春闘の評価をメリットとデメリットに分けて政府はどうお考えか、お伺いいたします。
○平賀政府委員 外国との比較におきましては、一つはやはり、こういうふうにばらばらにのべつ幕なしにどこかで賃金交渉が行われて、場合によってはストライキに波及するということではなくて、一時に春の時期に賃上げが決まるということで、外国の場合は、一つの組合が賃上げを決めたときにそれがその参考になるということではなく、その組合の独自の状況で賃上げが行われるというようなことがあるのですが、日本の場合は、一つは、ほかの組合との関係も含めて一種の相場的な考え方がある。また、その相場的な考え方について当の組合ばかりではなくて、例えば新聞なども含めて広く国民全体が関心を持って、国民全体が見守る中で賃上げが行われる。それによって、先ほどから大臣が言っておりますように、国民経済的な視野からの賃上げが労使の自主的な交渉という手続を通じて行われる、これが最大のメリットであると思っておりますし、またそういうことによって、なかなか難しいことではございますけれども、国民一般といいますか、その年の賃上げの相場ということが考えられますと、それが中小企業などにも波及することも可能であるという考え方もあると思います。しかし一方で、そういう相場的なものができますと、企業によってはなかなかそれが実行できないというようなところはどうなるのかとか、そういう意味ではそれは問題点と考えられる方もあろうかと思います。それとあわせまして、労使関係がいいときはいいのですけれども、労使関係が悪くなったときに、同じ時期に多くの主要な産業の賃上げ交渉が行われるということがどうだろうか、そういう懸念もあるいはお持ちの方もおられるかと思いますが、そんなことを考えております。
○塩田委員 今の御議論の中で申しますと、日本は特に、大企業と中小企業あるいは零細企業との格差が非常にある、賃金も非常に格差があるということが特徴的ですね。そのためにも、格差が賃金において拡大しないように歯どめをする必要がある。そのためにも、最低賃金を上げていくということが必要だと思います。 それから、労働力の需要供給のバランスをよくしていくということによって失業者をなくしていく、これが生活をよくする道だと思うのですね。 それからまた、物価が上がっては、名目賃金が幾ら上がっても物価で帳消しになっていくということになりますから、物価が上がらないように物価の安定政策を進めなければならない、こういうことになりますね。 それから、税金が重く、あるいはまた保険料その他の社会的な公的負担が重いと、これまた実質の可処分所得が少ない、生活の実質がふえないということになりますから、実質所得をふやすためにも減税を、これは制度をほうっておきますとどんどん増税になっていきますから、制度的に直して減税を図っていくということが必要だと思うのですね。それから、保険料がどんどんふえないように運営をよくしていくという問題、こういうものがありますね。 それから、労働者の命あるいは身体に関係のある安全の問題、衛生の問題に気をつけていく、あるいは労働時間を短縮して余暇をふやしていくということも含めまして労働時間の短縮の問題。 その他雇用形態、先ほどもパート等議論されていましたが、パートのような状況を、これはいい場合もありますけれども、非常に労働条件の悪い面もありますね、そういったところを改善していく、雇用形態等の改善ですね。 こういったものを含めて、労働者の生活を全体的によくしていくということが必要だと思うのです。その中心になる賃上げの問題でございますが、同盟等の要求しております賃上げの内容というものは、御存じだと思いますが、六%アップの一万二千円ですね。そしてこの内容は、八三年度の物価上昇、これは過去の物価を後追いしているわけですが、過去に上がった分を今度の賃上げで取り返していこうということで、これで二%を見ております。そして実質賃金上昇率を四%と見ているわけです。合わせまして六%。そして定昇等は各企業の労使間で取り決めていく。これで六%プラスアルファということになります。こういう同盟の賃上げ要求、六%以上、これは必要と思われますが、どのようにお考えでございますか。
○平賀政府委員 御質問のように、ことし各組合は、一般的にいいまして、過去の物価の上昇の状況その他を勘案しまして、六%から七%の要求基準を決定して賃上げ交渉に臨んでおられる。これに対して、使用者側もまた使用者側としての主張をしておられ、その両者でこれからその山場を迎えて議論がされるわけでございますけれども、先ほどから御答弁申し上げておりますように、我が国の場合は、こういう労使の間の活発な御議論を通じて自主的に賃金が決まり、それが国民経済の観点から、非常に合理的かつ円満な解決が図られるという形を私どもとしては望んでおる次第でございます。
○塩田委員 国民経済との整合性の問題でございますが、六%程度の賃上げが、日本経済の成長、政府の「経済見通しと経済運営の基本的態度」の主要経済指標によって見ましても、御承知のとおり国民総生産、いわゆるGNPの実質伸び率は一五十八年度の三・四%に対しまして五十九年度は四・一%上昇ということでございまして、この実質成長を達成して景気を本格的に回復していくというためには、やはり国内消費の主たる担い手であるところの勤労者の勤労所得の伸び、それの一番てこになるのがいわゆる春季の賃上げ闘争によるものでございますが、これぐらいのものが四・一%の実質成長のために必要であるというふうに我々は考えております。政府におきましてもそのような考え方があるわけでございまして、この国民所得の表から試算をいたしますと、雇用者一人当たりの実質国民所得が五十八年度は三・五%、これに対しまして五十九年度が四・七%になる、ならざるを得ない、こういうことになっております。ということは、賃上げ率が、昨年よりあるいは一昨年よりも、民間、官公庁を通じまして全体的に上昇率が大きくなるということによって、全体的な国民所得の実質成長、経済の実質成長が保てるというふうになると思いますが、いかがでございますか。
○平賀政府委員 一人当たりの雇用者所得の中で、いわゆる基本給、賃金の要素が非常に大きいということはそのとおりでございます。ただ、この一人当たりの雇用者所得の中には、例えば春闘の賃上げ率ばかりではなくて、未組織の中小の労働者の賃金も含まれますし、あるいは組織労働者であってもボーナスその他も含まれる、そういう意味ではこの数字と春闘の数字は直接関係するものではないと思います。また昨年も、当初の計画のときはたしかそれが五・二%だったと記憶しておりますが、結果として一年を通してみると、全体の国民一人当たりの雇用者所得の伸び率は実績見込みで三・五%にとどまったということでございます。そういう意味では、ことし四・七%ということでそれが結果としてどういうふうになるかというと、できるだけこのような線になるということが望ましいと思いますが、それはまた、現実に経済の状況に応じていろいろな要素が加算されて出てくる結果であろうと考えております。ただ、そういうような自主的な交渉によって賃上げ等が着実に行われて、それが消費なり国民経済の成長に反映するということは、一般的に言ってそれは望ましいことではないかと思っております。
○塩田委員 諸外国も、我が国の経済の国際競争力が非常に強い、その一つの大きな柱になっておるのは日本の労使関係だ、こういうふうに見られておるわけですね。そのそもそもの賃上げ方式はどうかということを注目されている中におきまして、日経連は、ベースアップ・ゼロ、いわゆるベア・ゼロという理論を述べたり、あるいは定昇のみだ、あるいはいわゆる生産性基準原理というものを主張いたしております。 私は、この生産性基準原理というものは、名目の伸び——賃上げというのは名目でもって要求されておるわけですね。それをめぐっての議論、交渉をしているわけです。ところが、生産性基準原理というのはリアル、実質で、物価などを加味しないで、つまり名目でする賃上げの議論をそういうリアルで、すなわち実質生産性の伸びで、その以内におさめるべきだというのは、明らかに理論的に間違いだと思うのですけれども、余り世界に通用しないような賃金の理論をやっておると、これは世界的に恥になるのではないかというふうに思うのですが、いかがでございますか。
○平賀政府委員 御質問のように、日経連は従来から、賃上げの結果がインフレを招くことのないようにということを基調にしまして、賃上げは生産性上昇の範囲内にするべきであるという主張をなされ、具体的にはそれが、一人当たり実質の国民生産性の伸び率を基礎として賃上げが行われるべきであるという考え方を主張しておられます。これに対して組合側、労働側の方では、おっしゃるように、これは実質賃金とか実質可処分所得をより抑えるものだ、したがって、それで内需の低迷とか貿易摩擦等に影響するというような御意見があり、これが鋭く対立しているということは承知しております。労働省といたしまして、これらの見解のどちらがいいというふうに片方に軍配を上げるというわけにはまいりませんので、それについての見解を申し上げるということは差し控えたいと思います。 ただ、こういう議論、従来もそういう基本的な論理といいますか考え方の対立がありながら、結果として労使が自主的に交渉されてそれによって賃上げがまとまって円満に解決を図られたという実績がございますので、ことしにつきましてもそういう見地から、自主交渉によって賃金が適正な解決をされるということを切望しておる次第でございます。
○塩田委員 最後に申し上げておきたいと思います。 いわゆる実質経済成長、GNPの伸びというものは、国民が総力を挙げて一年間につくった国の宮、日本国内で生産される所得ですね。これは実質の言うならばパイなんです。パイの大きさを来年は四・一%ふやす、こういう計画なんです。実質のパイが四・一%大きくなるわけです。そうしたら、それをつくった主たる者、勤労者にもやはり四・一%分を分ける。物価が上がれば、その物価の上がった分だけはプラスしないと四・一%のパイを公平に分けたことにならないわけですね。そういう点が一番の基本だと思うのです。 そこで、労働省は、賃金はいかなる要因で決まるかということについてもっともっと研究をし、またやっておられると思うのですが、一番最新のものとして、どのような要因で、どのような程度で賃金が決まると見ておられるか、これについてお伺いいたしまして終わります。
○石岡説明員 労働省は、従来から労働白書その他によりまして、春闘の賃上げ率にどのような要因が影響するであろうかという分析をやってまいりました。その結果によりますと、我が国の春闘の賃上げ率につきましては、消費者物価の上昇率、それから有効求人倍率に代表されるような労働力需給、そして企業の収益、この三つの要因が大きく影響しているようであります。
○塩田委員 終わります。
○有馬委員長 小沢和秋君。
○小沢(和)委員 久しぶりに古巣の社労でやらしていただきます。よろしくお願いします。 初めに、時間もありませんから、春闘の問題で二、三簡単にお尋ねをしたいと思います。 ここ数年まともな賃上げがほとんど行われてこなかったために、労働者の生活が急速に苦しくなっていることについては、先ほどからいろいろな角度で指摘をされました。特に税金あるいは社会保障費などがふえてきておりますために、経済企画庁が出しております国民生活白書などを見ましても、昭和五十年から五十七年までのこの期間に、実質任意可処分所得がわずか八百円、毎年百円玉が一個ずつしかふえておらない、こういうような深刻な状態も明らかにされておるわけであります。また、ことし一月の総理府の家計調査では、消費支出が勤労者世帯で対前年同月比がマイナス二・二%、こういう二十七年四カ月ぶりに名目、実質とも落ち込むというような状態にもなってきております。ですから私は、どうしてもことしは本格的な賃上げをやらなければならないと思うわけであります。 そこで、経済企画庁にお見え願っておりますので、まず一言お尋ねをしたいと思うのですが、私は、大幅な賃上げが日本経済の本格的な回復のためにも必要ではないかと思っております。政府が閣議で決定した「昭和五十九年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」でも、第一に「国内民間需要を中心とした景気の持続的拡大を図る」ということが書かれているわけですけれども、こういう考え方に基づいて、政府としては、雇用者所得についても一定のこれだけ伸ばさなければならないという目標を掲げているはずだと思うのです。どれくらいの目標を掲げておりましょうか。
○里田説明員 先生の今お尋ねの件は、五十九年度でございますでしょうか。一小沢一和一委員「はい」と呼ぶ一五十九年度は、雇用者所得全体で六・八%でございます。
○小沢(和)委員 今まで私が調べてみたところでは、この雇用者所得がどれだけ実績として伸びていったかという数字を追ってみますというと、きょうはもう時間がありませんからそれは言いませんけれども、賃上げとほぼ相関関係を持ってこの雇用者所得の実績というのが動いていっているということが言えると思うのです。ですからそういう意味でも、国内の経済を回復させていく上でもまた労働者の生活を守っていく上でも、大幅な賃上げがことしはどうしても必要だというふうに考えますけれども、大臣としての所見を改めてこの機会にお尋ねしておきたいと思います。
○坂本国務大臣 それは、労使交渉の結果として話し合いのうちに、国民経済的観点の中で合理的に適正なところに賃上げが行われるということになれば、それはもう実質賃金が上昇していくわけでありまするから、当然個人消費も増加するし、そうすれば結果として景気の拡大になることである、私はそう思っております。
○小沢(和)委員 今のように大臣が言われると、労使の話し合いをいわば見守っておくという話にしか聞こえないのです。私は、政策的に積極的に、大幅な賃上げがどうしても、労働者の生活や、暮らしを守るのが労働省ですから、そういう使命から考えてみても、あるいは日本の国の経済を本格的な回復の軌道に乗せていくためにも必要だという立場から、もっと積極的な動きが政府として、とりわけ労働大臣としてあってしかるべきだという気持ちから私はお尋ねしているのですが、もう一度お尋ねしたいと思います。
○坂本国務大臣 経済を活性化するのに、大きな賃上げがあればそれだけ効果はあると思いますけれども、しかし、我が国の賃金の決め方といたしましては、さっきも申しましたように労使の話し合いということになっておりまして、しかし結論は、景気を回復すればそれだけのメリットがあるわけでありますから、そのときには物価政策、それから経済の活性化のための景気対策、いろいろな面で総合的に政府が経済環境を整えていく。そうすれば、その中で賃金交渉も正当な評価を受けて、そしてそれがまた景気の回復にもつながっていく、循環をする、私はそういうふうに考えておりますが。
○小沢(和)委員 私はもっと踏み込んで、今の大臣のお話しでも、景気が回復すれば賃上げができるでしょうというふうに、まずそっちの方を言われたように思うのですが、私どもの方は、むしろ積極的に大幅な賃上げを政府は推進をしていくことが国内の景気を回復をさせていく原動力になるじゃないか、だからぜひそういう積極的な立場に立って、労働者の賃金の引き上げに対して労働省としてもしかるべき積極的な姿勢を示していただきたいのです。きょうはもう同僚の議員がさんざんこのことについては論じ尽くしておりますから、私もそのことを強く要望しておきたいと思います。 大臣にもう一つお尋ねしておきたいことは、大臣は、公共企業体職員の仲裁裁定の問題を所管する大臣でありますし、また閣僚の一人として人勧の実施についても責任を負っている。当然賃金の引き上げという場合は、こういう部分についてもどうするかということは、これもさっきから議論をされておりますけれども、議決案件などにすることなく、ことしは政府の方が積極的に完全実施をするという立場に立っていただきたいというふうに私は願っておりますが、労働大臣としてもそういう立場で閣僚として奮闘していただきたいのですが、いかがでしょうか。
○坂本国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、先ほどからるる答弁を申し上げておるところでございまして、仲裁裁定については、それが出された段階で、公労法の精神を踏まえて、そして最大限の努力をすることは当然であります。それからまた、人勧にいたしましても、これが出された段階で最大限の努力をする、誠意を持って取り組んでいくということは、これは当然の務めだろうと思って、全力を振るって頑張りたいと思っております。
○小沢(和)委員 時間もありませんから春闘の関係はこれぐらいにして、先日婦少審の建議が出されましたので、雇用平等法の問題で二、三お尋ねをしたいと思います。 三論併記という上で法案が作成されるわけでありますから、とりわけ労働省の責任が重いと思いますが、率直に言って、日経連の質問状に対する労働省の回答などを見ると、私は大変その姿勢を危ぶまざるを得ないわけであります。 まずこの問題でお尋ねしたいのは、労働省が日経連に対して口頭で回答したということで、その内容が日経連タイムスに載っておりますけれども、なぜこの婦人差別撤廃条約に署名したのかという質問に対して、ちょうどそのころは「政局混迷のさ中にあり、政府としても本条約署名について時間をかけて討議する雰囲気にはなかった。労働省事務当局としても、本条約に署名することが簡単に決定されることはあるまいとの観測が強く、したがって事前に日経連はもちろん、労使双方に連絡はしなかった。」、こういうふうに書いてあるのです。 この文章どおりであるとしますと、労働省としても、そういうような条約は簡単には署名しないだろう、積極的にこれを推進する立場に当時立ってなかったから、非常に意外な気持ちでその事態を受けとめたというふうに読めるような回答になっていると私は思うのです。そもそもこういう姿勢では非常に心もとないと思うのですが、こういうとおりの回答をしたのでしょうか。
○赤松政府委員 この回答は口頭でなされたものでございまして、そのときに私は立ち会っておりません。国会で、たしかこの席ではございませんでしたでしょうか、答弁をしている時間でございましたので、立ち会っておりませんので、詳しいことはよくわかりませんが、その前に、回答をどのような内容にするかということは、大綱は私も承知いたしておりました。 その中では、そのときの状況が、日経連の御質問が「影響が大きいとは思わなかったか」という御質問でございましたので、「急激なやり方をすれば確かに影響は小さくはないであろう」というような回答ぶりというふうに承知をいたしております。その後口頭でいろいろなやりとりがあるいはあったかもしれませんが、詳しいことは私にはわからないわけでございますが、ただそのときの状況は、後で聞いたところによりますと、労働省ばかりではなくて、関係省庁は、この問題は大変難しい問題で、そう容易に批准に踏み切るということについてはいろいろ問題はある、というふうに当初は考えられていたように理解をいたしております。しかし、諸般の事情で署名をするということになりまして、コペンハーゲンの署名式に臨んだわけでございますが、そのときの経過は、あるいは世論の動向等を考えてそういうふうに踏み切られたのではないかと察しているわけでございます。 しかし、問題がかなり難しいという認識があったとしても、一たん署名をし、かつ、六十年までに批准をするということを申し合わせとして政府が臨んでおります以上は、この批准について積極的でないということは決してないわけでございまして、六十年までに批准をしてその申し合わせをぜひ果たしたい、このように考えているわけでございます。
○小沢(和)委員 私は、真の男女の雇用平等は、男女の違いというのは認めて、そして女性に対する必要な保護措置は続け、必要があれば拡充をしながら平等を実現していくというのが本来のあるべき姿ではないかと思うのですが、どうも日経連などの見解をいろいろ見ていると、雇用の平等を唱えるのだったら女子に対する保護を外して男と同じように働け、これが平等を実現する前提と言わんばかりなのですね。これは大変危険な論調だと思うのですよ。 それで、労働省の方も、何か母性保護と女性保護とを区別して、母性保護の方は充実していかなければいかぬが、女性保護の方は見直すのだという態度のようですけれども、果たしてそんな区分けができるのかどうか。私は、日常から女性保護というものをきちんとしていなければ母性としての機能というのも十分に果たしていくことができないのじゃないかと思うのですよ。きょうは時間もありませんから詳しいことは言いませんけれども、母性の健康管理に関する専門家会議などが、かつて、労働婦人が妊娠やら出産に当たって異常が大変多い、特に看護婦さんやら、男と同じような深夜業などもできるようになっている職種では特に異常が多いというようなデータを出しておりますけれども、妊娠したら保護をする必要があるという以上に、私は、こういうようなデータというのはふだんからの女性としての保護というのが重要だということを示しているのじゃないかと思うのですよ。その点についての労働省の基本的な見解はいかがですか。
○赤松政府委員 母性保護という言葉につきましては条約上もいろいろと議論がされたようでございますが、これにつきましてはかなり限定的に解されていると理解をいたしております。妊娠・出産、妊娠の時期、出産の時期、それから産後の一定期間の、妊娠・出産に直接かかわる保護を母性保護と条約では解して、その前提のもとに、条約の第四条の二項で「母性保護を目的とする特別措置を締約国がとることは、差別とみなしてはならない。」、こういうふうに規定していると理解いたしているわけでございます。
○小沢(和)委員 この建議の中で、ILO第四十五号条約第三条(b)項の、保健や衛生の仕事に従事する人たちについては特例を認めるということが書いてあるのですよ。私はこれは何を言っているのかと思って調べてみたら、要するに看護婦さんなのです。看護婦さんなどは緊急の場合に、災害が起こった坑内に立ち入ったりすることを認めようという趣旨のようですね。私は石炭対策特別委員などをしておって炭鉱のことなどにもいろいろ関係をしておりますけれども、これは驚くべき意見ではないかと思うのですよ。災害などが起こったりしたようなときに、例えば男の医師でも坑内に入るかというと、あの災害が起こった坑内に入るのは、特殊な訓練を日常から積み重ねている救護隊員、屈強な男性だけがえり抜かれて入って、男のお医者さんでも入ったりしてないのですよ。上げてから助けているのですよ。そういう坑内に看護婦さんが入って救出ができるような道を開くなどというのは、これが本当の男女平等になるのでしょうか。私はこの建議の中でもとりわけこの部分にはびっくりしたのですが、こういうようなことを労働省が雇用平等法の中に織り込んだりしたらこれはえらいことだと思うので、こういうことはやめた方がいいのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
○赤松政府委員 坑内労働の件につきましては、「一時的に入坑する者等我が国が既に批准しているILO第四十五号条約において入坑の認められている者については、禁止を解除すること。」というふうに建議をいただいたわけでございます。「一時的に」というのは、例えばそういう災害のときというよりも、むしろ、病人が出たとかいうようなときにも今は入ることができないわけでございまして、そういうものについてまで坑内に入ることを禁止するのはILO条約の趣旨にも入っていないのではないか、というような議論であったと記憶しております。
○小沢(和)委員 いや、今言いましたように、日本の国内では男のお医者さんでも坑内に入れていないのですよ、災害が起こったようなときは危ないから。そういうときにわざわざ女の人も、看護婦さんが坑内に救護のために立ち入ることができるという措置をとることが、男女平等の道を開くことになるのですか。私はそれは大変おかしいのじゃないかと思うのですが、局長さん、もう一遍答えてください。
○赤松政府委員 災害のときというような特別の事態について看護婦さんが入坑されることが適当かどうかにつきましては、なお検討いたしたいと考えます。
○小沢(和)委員 それはしっかり検討して、私はやめてもらいたいということをもう一遍言っておきます。 それから、特に女の人がこれから残業やら深夜勤などもどんどんできるように、大幅に規制を緩和していくということが焦点になっているようですが、世界的に日本の長時間労働ということが大きな問題になっているわけですよ。世界で一番短い西ドイツなどに比べてみたら、年間労働時間で二カ月分も三カ月分も日本は余計働いているじゃないか、だから労働時間を短くしろということが大問題になっているときに、男子と同じようにその規制を外してもっと長く働くことができるような措置をとるということは、日本が世界に対して労働時間を短縮するという姿勢を今積極的に示そうとしていることから見ても、全く逆行する話じゃないですか。この点はむしろ、あなたの立場からしたら、男性の労働時間をもっと短くすることによって、今の婦人の保護を受けている時間と合わせるようにすべきだという主張をあなたはした方がいいのじゃないですか。
○赤松政府委員 今の問題に関しましては、このたびいただきました建議の中にも、「男子を含めた全体の労働者の労働条件等労働環境の整備、特に労働時間の短縮について実効ある対策を推進すること。」ということが伴って行われる必要があるというふうに言われているわけでございまして、現在の労働時間の状況等も、女子の特別な措置を見直していく場合の一つの大きな材料になるというふうに考えておりまして、方向といたしましては、男女同じにするという方向が条約の線にも合致すると思いますけれども、それをいつ実際に実行するかということは、それらの労働条件、特に男子を含めた労働時間ということを無視しては考えられないというふうに考えております。
○小沢(和)委員 労働時間とあわせて男女の賃金格差のことも非常に重大だと私は思うのです。我々がこれを問題にすると、それが賃金格差と言えるかどうか余りよくわからない、というようなことを労働省の方が言われることがあるのですけれども、かつて昭和三十年ごろと比べてみると、一たんは四十九年か五十年ごろにある程度格差が詰まってきておった。ところが、最近はまたずっと開いていくというような傾向になってきているのですね。大体、雇用平等が叫ばれてくるような時期にだんだん格差が開いてきてしまう、これは本当に日本の経営者の姿勢が問われるような問題じゃないかと私は思うのです。だから私は、こういう傾向を是正していくためにも、労働省としては積極的な措置をとらなければならないと思うのです。 ところが、その実効あらしめるための差別の禁止、罰則、こういうものも今度の法改正に当たってはほとんど盛り込まれないように言われているのですけれども、今も言いましたように、まさにこれだけ雇用平等法ということが問題になっているときに差がどんどん開いてくるという中で、罰則もなしという法律ができて果たしてどれだけ実効があるだろうか、ということに私は非常に不安を感ずるのです。だから、特にこういう賃金の格差が開いてくるようなことについて今労働省としてはどういうふうに対策をおとりになろうとしているか、これとの関連で罰則がどうしても必要な部分があるんじゃないか、そういう罰則の裏づけでこれを推進していかなければならぬのじゃないだろうかと私は思うのですが、その点どうかというようなことをお尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。
○赤松政府委員 先生の御指摘の賃金の格差と申しますのは、多分、男子のすべての賃金の平均を一〇〇として女子のすべての賃金を比べますと五三とか、あるいは以前には四〇台であったこともございますが、それが一時五六程度に上がった、そのようなことを指しておられるのかと存じますが、そういう格差は、すべての平均でございますのでいろいろ要素が入ってくる、就業分野の違い、労働時間の長さの違い、パートタイマーがふえたというようなこと、そういうことがすべて入ってきているわけでございますから、必ずしも差別ということと直接には結びつくような要件ばかりではないのではないかというふうに存じております。(小沢(和)委員「局長がそんな認識じゃ困るのですよ。」と呼ぶ)〇有馬委員長 次回は、明後五日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後八時四分散会 ————◇—————