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101回国会衆議院1984/06/20

外務委員会 第16号

発言数
195
登壇者
16
会派数
5
開催日
1984/06/20

会議録

中島源太郎自由民主党・新自由国民連合

○中島委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  この際、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣安倍晋太郎君。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣  私は、今般国会のお許しを得て、六月六日から十三日まで英国、スペイン、ジュネーブを訪問いたしました。私は、その間、英国においては七日から九日までロンドンで開催された第十回主要国首脳会議に出席し、その後、スペインを公式訪問し、さらに、スイス・ジュネーブで開催された軍縮会議等に出席した後、十四日に帰国いたしました。ここにその概要を御報告申し上げます。  まず、サミットにつき御報告申し上げます。  今次サミットは、回復基調にある先進国経済を背景に開かれ、全体としては特に大きな争点もなく、明るいサミットであったと言うことができます。しかし他方においては、自由貿易体制の維持強化、累積債務問題、構造調整問題等現在の世界が直面している種々の重要な経済問題を検討するとともに、国際政治の面においても湾岸情勢、東西関係等の諸問題につき、真剣に討議いたしました。その結果は、四つの宣言及び一つの議長声明として発表されましたが、これらには我が国の考えが十分反映されているものと考えております。  経済問題につきましては、我が国としては先進国経済におけるインフレなき景気回復を持続していくとともにその恩恵を開発途上国にも均てんさせることでサミット参加国間で合意に至ることを基本的な目標としつつ、また、貿易・開発途上国との関係及び構造調整問題に重点を置きつつ積極的に討議に参加いたしました。その結果、今後の政策の基本的方向につき意見の一致を見るに至り、世界経済の将来に一層明るい展望を開くという大きな成果を上げることができたと確信しております。具体的な諸点はロンドン経済宣言に盛られておりますが、我が国から見たその主なる内容は次のとおりであります。  まず、新ラウンドの重要性及び必要性を再確認するとともに、速やかにその目的、取り組み方及び開始時期につき決定を行うべくガット加盟国と協議を行うとの方針が打ち出されました。我が国は八五年準備、八六年交渉開始を主張したわけでありますが、一部諸国の同意を得るに至りませんでした。我が国としては、時期の明示を行い得なかったことは残念でありますが、最高首脳レベルにおける今回の合意は、ガット作業計画を促進するための刺激剤となるとともに、新ラウンドの今後の取り進め方につき一歩前進したことを意味するものと考えております。  第二に、開発途上国との関係を善意と協力の精神で促進していくとの政治的意思を再確認するとともに、累積債務問題に積極的に取り組むとの共通の姿勢を表明いたしました。特に、効果的な自助努力を行っている債務国の場合には、民間債務の多年度繰り延べを奨励するなど若干の具体的措置につき合意に至った点が重要であります。また、国際的高金利の是正が開発途上国経済の健全化に必要であるとの認識で一致しました。  第三に、中長期の観点から構造調整の問題に積極的に取り組むことで合意を見ました。すなわち、労働市場の硬直性、構造的な財政赤字を是正すべきこと、経済の変化に対応した産業とサービスの発展を図るべきことなどが合意されましたが、これは、今後の世界経済にとって画期的な出来事であると考えます。  我が国は、他の諸国、特に欧州に比較して経済構造が弾力的であるとしばしば指摘されているところでありますが、サミットの場においても、他の諸国よりこの点につき多々言及されたことは私としても印象深いところであります。  次に、政治問題につき御報告いたします。  サミットは本来、経済問題についての意見交換の場であります。しかしながら、従来より、主要先進国の首脳が一堂に会するこの機会をとらえ、そのときどきの重要な政治問題が討議されてまいりました。  今次サミットにおいては、政治問題の重要性が一段と高まった感があります。その討議の具体的な成果が、三つの宣言及び一つの議長声明として発表されました。  すなわち、第一に、サミット参加国が共有する民主主義的価値を再確認し、また平和と対話の必要性を訴えた民主主義の諸価値に関する宣言、第二に、ソ連を机めその同盟諸国との対話拡大への決意とともに、現在中断している核軍備管理交渉の再開への希望を表明した東西関係と軍備管理に関する宣言、第三に、テロリズム防止のための一層緊密な国際協力をうたった国際テロリズムに関する宣言、さらに、イラン及びイラク両国に対して平和的解決を呼びかけたイラン・イラク紛争に関する議長声明であります。  これら諸問題の討議に当たり、我が国としては、経済的繁栄の基礎として、平和が重要であること、なかんずく、理性に基づく対話と交渉による国際紛争解決の重要性を強調するとともに、冷却化した東西関係を改善するとの見地から、ソ連に対し、中断されている軍備管理交渉へ復帰するよう呼びかけるべき旨主張いたしました。さらに私としては、特にイラン・イラク紛争については、両国と友好関係にある我が国の立場にもかんがみ、これまでの我が国の外交努力を踏まえて積極的に発言いたしました。各国の出席者は、これに熱心に耳を傾けていましたが、平和のための環境づくりに貢献するとの我が国の意図を理解してくれたものと私は確信しております。また国際テロリズムについては、アジアにおいてもラングーン事件といった出来事があったことをも念頭に置きつつ、積極的に対応いたしました。  次に、スペイン公式訪問につき御報告いたします。  スペインにおいては、私はゴンザレス首相及びモラン外相と率直かつ有意義な会談を行いました。これら一連のスペイン政府首脳との会談において、ともに民主主義に立脚する両国の関係を一層緊密化させていくべきことで完全な意見の一致を見るとともに、現下の国際情勢につき意見交換を行いました。我が国外務大臣のスペイン訪問は十八年ぶりのものであり、両国関係にとって極めて有意義であるとともに、我が国の外交の幅を一層広げる上で重要な一歩となったものと確信いたします。  第三に、ジュネーブ訪問につき御報告いたします。  ジュネーブにおいては、軍縮会議の夏会期初日の冒頭、私が我が国外務大臣として初めて演説を行いました。唯一の多数国間軍縮交渉機関として活動してきている軍縮会議への私の出席は、我が国の軍縮に対する積極的姿勢をあらわすものとして、意義が深かったものであると考えております。私は、この演説の中で、世界の平和と繁栄をいかにして子孫に伝えていくかということが、現下の最も重大な課題であり、このためには何といっても米ソ両大国が率先して努力する責任があることを指摘するとともに、今こそ軍縮会議が具体的に行動すべきであると強く訴えました。特に、具体的分野としてソ連に対するINF、START交渉への復帰の呼びかけ、核実験禁止問題等に触れたことは御承知のとおりであります。  また、ジュネーブではダンケル・ガット事務局長ほかガット関係者と意見交換を行いました。  この会談で私より、サミットにおける貿易問題に関する議論に言及しつつ、我が国としては新ラウンドの準備促進を提唱していること及び当面現行のガット作業計画推進について時宜を得た決定を行い、情勢を前進させることが不可欠であること等を説明いたしました。今回の意見交換は、ガット主要関係者にとってロンドン・サミットに出席した閣僚との最初の出会いであり、新ラウンドへ向けてのコンセンサスづくりの先鞭をつけたものとして高く評価されるとともに、自由貿易体制の維持強化への我が国の熱意に対するガット関係者の理解を深めることができました。  また、私は、ジュネーブで開催中の国連開発計画の会合に出席し、開発途上国問題への我が国の姿勢、国連開発計画諸基金への我が国の本年度の拠出誓約、人口問題の取り組み等につき演説いたしました。  最後に、ジュネーブよりの帰途、私はモスクワに立ち寄り、カピッツァ外務次官と会談いたしました。この会談では、私よりサミットの模様を伝えるとともに、日ソ関係の対話の必要性を強調し、今後とも対話の輪をさらに広げたいと述べ、これに対し、カピッツァ次官も国連協議、中東協議、さらに国連総会の際における外相会談等に言及しつつ、今後とも日ソ両国間の接触を続けていきたい旨の希望を表明しました。また、ニューヨークにおける外相会談については、グロムイコ大臣よりの喜んでお会いしたい旨の言葉が伝達をされました。  以上をもって私の御報告を終わりますが、今次歴訪を通じ、私としては我が国に対する関係諸国及び国際機関の期待の大きさと我が国の責任の重さを痛感するとともに、これらの期待にこたえるべく一層努力するとの決意を新たにした次第であります。

中島源太郎自由民主党・新自由国民連合

○中島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川要三君。

石川要三自由民主党・新自由国民連合

○石川委員 今回安倍外務大臣には、サミット、そしてまた軍縮会議、さらには、ただいまお話がございましたようにモスクワ空港におけるソビエトの外務次官との会談、大変八面六臂の御活躍をされましたことにつきましては、個人といたしましても大変敬意を表するところでございます。  そこで、これらの訪問と会議から二、三の点につきましてお尋ねをしたいと思います。  まず第一には、ロンドン経済宣言でございます。サミットも今回で十回目ということでございまして、この十年間、世界経済の安定的な発展につきましてはそれなりの大きな寄与がなされてきたと私は思うわけでございます。しかし、今もお話がございましたように、経済というものをまず大きな種目といたしましてのサミットでございましたが、特に最近におきましてはいろいろな政治的な問題までも多く議論をされてきたということが顕著にうかがわれます。中には、サミットはそういう政治的ないろいろなことよりも経済が目的であるので、むしろ政治的な宣言等は好ましくないという御意見もあるようでありますが、しかし静かに考えてみますと、少なくとも今日の国際依存関係の中の世界経済というものは、自由と平和と繁栄というものは、これは表裏一体なものであります。平和のなきところに経済の繁栄もないし、また自由のなきところに経済の繁栄もない、こういうようなことから考えますと政治的な宣言というものも当然ではないか、こういうふうに思うわけでございます。しかし、それはそれといたしましても、やはりスタートは経済が目的であったことは事実であります。  そこで、特にそういうことから考えまして最終的な段階でロンドン経済宣言というものが行われたわけでございますが、これにつきましてただ単に宣言で終わらせてはこれは何らの意味もないわけであります。この宣言に対して今後どのようにフォローしていくかというところに大きな価値があるわけでございます。そういうようなことを考えまして、このロンドン宣言というものをこれからどのように具体化し、フォローアップしていくのかということにつきまして、ただいまも若干触れられておりましたが、もう少し具体的な御意見をお聞かせいただければ幸いだ、かように思うわけであります。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 今次サミットでは現下の世界経済が直面する諸課題につきまして活発な議論が行われたわけでございまして、その結果、先進国経済のインフレなき景気回復の持続とその成果の開発途上国への均てんのための政策方向につきまして出席国が合意をしたわけで、具体的にはロンドン経済宣言として取りまとめられておりますが、特に節度のある財政金融政策の維持、また必要な場合の強化、構造問題の重要性、新ラウンドの必要性と速やかな準備開始への努力、累積債務問題を含め開発途上国との関係を善意と協力の精神で促進していく意思などを確認できたことは大きな意義があった、こういうふうに考えております。これらは、これからの世界経済で先進国が取り組んでいかなければならない一つの政策の基本方向、これを確認し合ったということであろうと思います。こうした宣言を通じまして現下の課題に対する力強い対応をしていく、そして世界経済の展望に一つの確信を持って臨んでいくことが我々の責任であると考えます。  経済宣言で示された政策方向については、サミット参加国が実現に向けて努力を行っていくことはもちろんでありますが、我が国としては、我が国の国際的地位が一段と高まっていること及び我が国に課せられた責任が極めて重いことを十分に認識して、関係諸国との協力の上にその具体化に努めていく考えでございます。  先ほどもお話がございましたように、サミットはエコノミックサミットということでやはり経済第一、石油ショック以来の世界経済の安定化を目指してこれまで十回にわたりまして行われてきたわけでありますが、この数年来政治問題もサミットで相当論議が行われるようになりまして、今回また宣言等が行われたわけでありますが、やはり世界の先進国の最高首脳が集まれば政治問題を避けて通るわけにはいかない、特に平和、軍縮といった問題等を避けて通るわけにはいかないということで政治問題も活発に論議されてまいりました。また、今後ともそういう方向でいく可能性もあると思うわけでございますが、経済については今申し上げましたような今の世界経済の上に立った論議と方向がはっきりと確認されたということは今回のサミットの意義が非常に大きかった、こういうふうに思っております。

石川要三自由民主党・新自由国民連合

○石川委員 次に、イラン・イラク紛争の新局面について外相の所見を承りたいと思うわけであります。  これにつきましては、先般国連事務総長の提案を受け入れまして、文民地区に対する相互不攻撃という点につきましては両国が合意されました。これは部分的とはいえ紛争の不拡大、拡大の歯どめの動きといたしましては大変評価すべきことではないか、こういうふうに思うわけであります。特にイラン、イラクの紛争解決には、対イラン、イラク外交を通じまして積極的に活躍されました我が国といたしましてはこの点につきましては非常に歓迎すべきことではないか、こういうふうに思うわけであります。さきのサミットにおきましても、政治的討議の中ではこのイラン、イラクの問題が最も重要な課題の一つであったというふうにも言われておりますし、またその会議の中で我が総理と外相が今までの積極的な姿勢を踏まえまして常にこの会議のリードをしておったということを聞きまして、私も心から敬意を表するわけでありますが、こういうような新しい文民地域に対する相互不攻撃の合意という一つの局面に対して、外務大臣としてどのようにこれを分析し、そしてまたこの新しい合意を今後どのように拡大していくか、そのフォローアップについてもお聞かせいただければありがたい、かように思います。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 今回のサミットでイラン・イラク情勢について活発な議論が行われまして、それぞれの国の立場で戦争の拡大防止に努力をしていくことがお互いに確認をされ、その結果として議長声明が出されて、国連事務総長に対する活動を期待する要請が行われたことは非常に時宜を得たものであると私は思っております。そうしたいろいろな背景もあって国連事務総長が活発に動きました。その結果、イラン、イラク両国間で民間区域に対する戦闘行為の停止が実現をいたしましたが、これは従来より我が国が両国に対して強く働きかけてきた点でもありまして、こうした動きを歓迎いたしております。当面、この民間区域相互不攻撃の実効性を確保していくことが肝要でありまして、我が国としても、今後本件に関しまして国連より何らかの協力要請がある場合には可能な限り協力したい、こういうふうに考えております。もちろん、これをもって一挙に戦闘が終息に向かう、こういうふうには思われませんが、今後の推移いかんによっては鎮静化の契機にもなり得るので一層の外交努力を払っていくことが今以上に大事である、こういうふうに考えております。  我が国は、私がしばしば申し上げておりますが、調停とか仲介を行う立場にはございませんが、両国と政治対話のパイプを有する数少ない先進主要国でもあります。国際社会に対する我が国の責務として、今後とも同紛争の拡大防止、早期平和的解決の環境づくりに引き続いて努力をしていく考えでございます。現在、国連とも緊密な連絡をとっております。また、イラン、イラク両国とも、これまで我々が築き上げた政治のパイプを通じまして、密接な情報の交換等を行って、平和環境づくりに努力をしておる次第であります。

石川要三自由民主党・新自由国民連合

○石川委員 安倍外相は、サミットが終わりましてからジュネーブに参りまして、我が国の外相として初めてジュネーブの軍縮会議に御出席をされまして、そこで演説をされたわけであります。こういうようなことは、我が国の軍縮に対する積極的な姿勢といたしまして歓迎をするわけであります。そして、その演説の中にもございましたように、軍縮会議における核実験禁止交渉というものが現在停滞状態でございます。それと同時に、また依然として、米ソ初め核兵器国は地下核実験というものを継続をしているのが、残念ながら現状でございます。  こういうような状況にかんがみまして、技術的な検証能力を一つの目安として、まず大きな地下核実験を禁止をし、次いで順次、より小規模の核実験の禁止をする、これは最も現実的な道ではないか、かように私は評価するわけでございます。こういう観点からしても、安倍外務大臣の、いわゆる新しい提案というものは高く評価されてしかるべきではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、今回のこの大臣の提案に対しまして、一体各国はどのような反応を示されておるか。そしてまた、今後我が国としてもさらにどのようにこれをフォローアップしていくか、この二点についてお尋ねをいたします。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 今御指摘がございました提案につきましては、核実験全面禁止をめぐる議論の行き詰まりを打開すべく、より現実的と考えられる具体的な方向を外務大臣としての立場で示したという意味で各国とも注目をしておるものと考えております。幾つかの国からいろいろと好意的な反応も得ております。  各国から得たとりあえずの反応としては、例えばイタリーは、本件提案を高く評価し、軍縮会議として真剣に検討されることを望む、こういうこと空言っております。また西ドイツは、本件提案は、西独の考えているアプローチと共通している、今後とも協力して取り組みたい。また米国は、CTBに関する考え方は米と若干異なる点があるが、にもかかわらず日本が米国の友邦として、常に同じ問題意識で軍縮問題に取り組んでおられることを改めて確認した、演説はすべてのポイントを網羅しており、感銘を受けた。また東側は、全体として、本件提案は非常に重大であるので、ソ連を含めて十分に検討の要がある、もう少し時間をかしてほしいということでございました。ソ連は、日本が作業文書等でフォローアップをするつもりか、重大な関心を持っておる、こういう反応を得ておるわけです。まだ演説後、余り時間が経過しておりませんので、さらに詳しい反応については今後把握することに努めてまいりたい。  今後のフォローアップとしましては、各国の反応を見きわめた上で取り進めぶりを検討いたしたいと思います。そして、軍縮会議において早急に作業部会が設置をされまして、具体的な検討が開始されることとなるように努力してまいる考えてあります。

石川要三自由民主党・新自由国民連合

○石川委員 サミット、軍縮会議等の重要な会議の後で、ソビエトのモスクワ空港にカピッツァ外務次官と会談をされたわけであります。この点につきましては、先ほど御報告の中にも触れられておりましたが、両者の会談の中で、今日の緊迫せる国際情勢、さらには日ソ二国間問題という点につきまして有益な会談が行われたようでございます。特にその中では、日ソの二国間で話し合いを続けていくことの重要性、それからさらに、国連で日ソ外相会談の開催が双方で確認をされたというふうなことが報告されておりますけれども、これはただ単に日ソの二国間だけの問題ではなく、西側にとりましても、緊張緩和への努力の一環として、これは大変評価すべきことではないか、かように私は思うわけであります。  そこで、今お話がございました点につきましては、過日も報道されておりましたが、そのカピッツァ外務次官との会談の中で、ただ単に我々知る範囲では、文字だけで知るわけでありますが、その二人の会談のフィーリングの点につきましても、可能ならば、どんな二者会談の状況であったかというような点、そしてまた、その二国間で話し合いが重要であるということにつきまして、どのように今後スケジュールをなされているのかというような、今後のこの対話を進めていく具体的な方針、こういう点につきまして若干御報告をいただければありがたい、かように思います。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 今回、サミットそれからスペイン、さらにジュネーブの訪問が終わりまして、モスクワを経由して東京に帰ったわけでありますが、特にソ連のアエロフロートでもってモスクワで一時休憩をとって東京へ帰った。これは、やはりソ連の要人とも会う意向を私が持っておるということもあったということでもありますし、ソ連側もその点は非常に評価をしたのじゃないかと思います。カピッツァ次官がわざわざ空港に出迎えまして、そして一時間の休憩でありましたが、二時間にわたりまして、飛行機がそれだけ延びたわけですが、二時間にわたりまして会談をいたしました。  まず、カピッツァ次官から、日ソ関係はいろいろと対立もしておるけれども、しかし対話も続いておる、そういう中でこれまでのスケジュールに沿って対話を続けておるし、そして国連総会ではグロムイコ外相がお目にかかるということで、喜んでお目にかかりたいということであった、それはお伝えするということでございました。私から、サミットの帰りであるし、サミットの状況も伝えました。ソ連として、ロンドン・サミットに対してどういうふうな評価をしているかも聞いたわけでありますが、この点に対しても大変厳しい評価でございました。特にアメリカと日本が一緒になって、そうして東西対立をあおっておる、こういうふうな発言もありましたから、そういうことはありません、この辺はお互いに議論になったわけでございます。また、カピッツァ次官から日本が領土問題をむしろ東西対立の具に供しておるというような発言もございましたので、これははっきり反駁をしておかなければいかぬと思いまして、そういうことは毛頭我々やっておらない、領土問題はあくまでも日本の問題そして日ソ間の問題として我々は腰を据えて取り組んでおるので、この問題を東西対立を激化させる具に供しようなどということは毛頭考えてないので、まさに日ソの問題として日ソ間で解決すべき課題であるということで真剣に腰を据えて取り組んでおるところだということも強調したような次第でございますが、いずれにしても今の東西関係、特に米ソ関係が大変厳しい状況にあるということはお互いに会談をしてみて非常に強く感じたわけでございますが、しかしそういう中でソ連もこのままの状況で放置しておくべきでもない。特に日ソ関係については、一面においては日本に対する非常に厳しい批判を行うとともに、日ソ関係について対話を進めなければならぬという点についてはソ連側も十分認識しておる、こういうふうな感じを私は強く持ちました。  ですから、会談の内容は相当激しいやりとりにもなりましたけれども、その底を流れるものは日本だけでなくソ連も対話を進めよう、特に日ソ間の対話はこれを進めていこうという気配といいますかそういう空気が十分私は感得をされたような気がいたします。したがって、今後厳しい環境にはありますが、それだけに私の得た感触をもとにいたしましてこれから中東情勢の協議も行うということも確認し合いましたし、あるいはまた国連問題についても協議をする、あるいは文化関係の交流も、映画祭その他の交流もこれを行っていくということを確認をし合ったわけでございますし、さらに国連総会ではグロムイコ外相とも会うことを確認し合ったわけでございますから、そうしたこれからの対話を具体的にこなしていって、そして日ソ関係の一つの改善という道を講じ、さらにこれが東西関係の改善への一つの道にも貢献をすることになれば幸いである。そのためにもひとつこれからも努力をしてまいのたい、こういうふうに考えております。

石川要三自由民主党・新自由国民連合

○石川委員 以上をもって終わります。

中島源太郎自由民主党・新自由国民連合

○中島委員長 次に、高沢寅男君。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 大臣、七月六日から韓国にいらっしゃるという御予定で大変御苦労さまでございます。韓国へ行かれる大臣のその外交日程の中で、全斗煥大統領の訪日の問題について何か固めてくるというようなことも報道では出されておりますが、最初にそのことについて一、二お尋ねしたいと思います。  既に大臣も御承知かと思いますが、我が党といたしましては全斗煥大統領を日本へ今は招くべきではない、あるいはまた来るべきではない、こういうような態度を決めております。これは、一つは今の時期という問題と、それから全斗煥大統領その人の問題と両面の意味がありますが、せっかく今朝鮮半島の問題の平和的解決のための三者会談というものも提案され、それに対して三がいいか四がいいかとかいろいろなことが論議されているさなかに、そういうふうな平和解決のための話し合いがはっきりと軌道に乗るという状況の中ならばこれは受け入れることもあるかと私は思いますが、まだその問題は何らめどがついていない。こういう今のタイミング。それからまた、いずれ韓国の代表が日本へ来るとすれば当然かつての三十六年間日本が朝鮮を植民地支配をしたことのいわば我々の道義的な責任を含めての決着が図られるわけになりますが、そのときに全斗煥という人がそれに適切な人物であるかどうかという問題もあろうかと思うのです。そういう点において先ほども申し上げたような社会党の態度は決めておりますが、今度大臣がいらっしゃって全斗煥大統領の訪日の問題を固めてくるというようなことになるのかどうか、まずその辺の大臣の御所見をお聞きしたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 私は国会のお許しを得まして七月六日から九日まで韓国を訪問いたしまして、全斗煥大統領、李源京外務部長官等と会談する予定であります。この訪韓の機会に、私としましては隣国である韓国との間の対話維持の一環として李長官等と日韓関係及び両国が共通に関心を有する国際情勢について意見を交換する考えですが、今の全斗煥大統領の訪日問題について果たしてどの程度まで話し合いをするかということについては何にもまだ話し合ってはおらないわけです。ただ、去年一月に中曽根総理が韓国を訪問いたしましたときに、中曽根総理から全斗煥大統領の訪日を招請したわけでございます。これに対しまして、全斗煥大統領も外交チャンネルを通じてこの点は検討して、自分としても訪日をする機会があればしたいんだ、こういうことでございました。日本としては、隣国の元首でございますし、そして日韓関係は非常によくなっておる、こういうことで中曽根総理が招待をした、そこで全斗煥大統領がお見えになるということになればこれは喜んでお迎えをしなければならない日本政府としては責任がございますし、日韓関係から見ればこれは当然のことでございます。そういう中で全斗煥大統領が訪日の希望を表明しておられることは事実でございます。ただ、具体的にどういう時期に訪日されるかということについては今外交チャンネルを通じて実は検討をいたしておるわけでございまして、まだはっきりした正確な時日は決まってないということですが、いろいろと報道されておるように全斗煥大統領の訪日の可能性というものは非常に高い、こういうふうに私も判断しておりますし、今回訪韓をする機会にそういう点についてもし話が出れば意見の交換をしてまいりたいと思います。そして、日本としても全斗煥大統領がお見えになるということになればそれに対応して歓迎体制というものをつくっていかなければならぬ、こういうふうに思っておるわけでございます。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 今大臣の御説明がありましたが、これは新聞報道ですからあれですが、八月に今度は二階堂副総裁が韓国へ行かれる、しかもそれは全斗煥大統領の訪日の地ならしをするために行くんだ、これは報道でありますが、もしそういう報道がそのとおりであるとすれば、私は七月に外務大臣が行かれるということと重ねてみると大変何か屋上屋を重ねるような感じもするし、あるいはまずくすれば二元外交というようなことにもなりかねない、こんなような印象を、ぱっとあのニュースを見て思ったのですが、この点は大臣の御所見はいかがでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 党と政府は別ですから、私が訪韓するのは、李源京外相が去年外務部長官になりまして初めて日本を訪問いたしまして、それに対する答礼という意味での、そしてまた毎年やっております定期外相会談、その一環として訪韓をするわけでございまして、二国間問題そして国際情勢等について会談するわけでございます。二階堂副総裁は、政府とは違った党の立場で訪問されるわけでございますし、ですから、その間に別に二元的な外交とかそういうことはあり得ないわけでございますし、私は、やはり党の幹部が韓国を訪問して、そして日韓の親善関係をより強化するということは大変結構なことではないか、こういうふうに思っております。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 党とまた政府はそれぞれだ、こういうお話ですが、過去においても実際上そういう二元外交の実例が幾つもあったわけでありまして、この点はそういうふうな失態がないことを私としても期待したいと思いますし、同時に重ねて、全斗煥大統領の来日の問題については先ほど評価を申し上げましたが、私は、余り無理をされますとそういう中からかえって思わざる失態が出ることだって決してあり得ないことではないということも申し上げて、ひとつ十分慎重に大臣としては対応していただきたい、こう御要望いたしておきます。  次に、トマホークの問題に移りたいと思うのでありますが、トマホークが、これは何か外見上核をつけたトマホークもそうでない非核のトマホークもまるっきり区別がつかないというふうに聞いているわけでありますが、これが横須賀なり佐世保なりヘアメリカの軍艦に装備されて入ってくるというときに、事前協議がないから核はないんだ、従来の自民党政府の立場でありますが、これからもその立場でずっといかれるのかどうか、まず大臣、いかがでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 トマホークは核、非核両用ある、私は見たことありませんけれども核、非核両用ある、こういうことでありますし、アメリカの説明によりますと通常兵器が非常に多い、こういうふうにも聞いておるわけでございますし、そしてこのトマホークが果たして積載されるかどうかということについては、アメリカがこれを行うわけでございますが、アメリカの軍事上の立場で行われるわけでありますが、しかし、日本への持ち込みということになりますと、これは核トマホークについては当然事前協議の対象になるわけですから、もし核つきのトマホークを持ち込もうということになれば事前協議なしには持ち込めない。これは日米安保条約、その関連規定においてはっきりしておるわけです。その場合に日本がノーと言うことはもう国会においても日本の立場は内外に明確にいたしておるわけでございます。アメリカも日米安保条約を守る、事前協議制はこれを遵守するということをはっきり言っておりますし、非核三原則を貫くという日本の立場も尊重するということを言っておるわけですから、アメリカが核つきのトマホークを持ち込むというふうなことはあり得ない、私どもはそういうふうに確信もいたしておるわけでございますし、日米安保条約に事前協議がある以上は我々日米間においてこれは厳に守られていく、それがまさに日米の信頼関係である、こういうふうに確信をいたしております。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 実際上、アメリカが今いざ戦争の場合という想定はすべてソビエトを相手に考えているわけですから、トマホークは核と非核と両方あるといっても、普通火薬を装てんしたトマホークをアメリカがたくさんつくるなんということは私はあり得ないと思うのです。恐らくそのトマホークは大部分は核のトマホークだというふうに見るべきだと思いますが、これはまあ私の考えです。  それはそれとして、入ってきたのが事前協議がないからあれは核ではない、こういう説明は果たして相手——いざやるときはソ連が相手だとアメリカは見ているわけですから、その相手のソ連は果たしてそう見るでしょうか。相手のソ連から見れば、横須賀へアメリカのトマホークが入っておる、佐世保へ入っておる、あれは核に違いない、ソビエトの方はみんなそう見るのじゃないかと私は思うのです。ですから、国連総会のときに外務大臣がグロムイコ外相とお会いになって、もしそういう話が出たら、あれは心配ないですよという説明ができますか。いかがでしょう。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 ソ連はいつも我々と話をするときは日本に核の持ち込みが行われているということを言っているわけでありまして、それに対して私は、とんでもない話だ、日本は非核三原則を遵守しておって、そういうことはあり得ない、こういうことを言っておるわけでございます。いずれにいたしましても、今の日米の信頼関係、そして安保条約、事前協議制、そういうものが厳として存在しておる限りは核の持ち込みということはあり得ない、こういうふうに我々としては確信をいたしております。それがまさに日米の信頼関係そのものである、こういうふうに思うわけです。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 日米の信頼関係、その信頼関係の相手が事前協議をしないのだから大丈夫だというこのお経は何度も聞きましたからもう結構でございます。  それで、今言いましたその話し合いの中で、こういうわけだから心配ないというふうに外務大臣は例えばグロムイコ外相に言われるかもしれませんが、しかし実際上の相手の見方は恐らくこれはすべて核だ、こういう前提で対応するという態度に相手はなっているだろうと思うのです。ですから、話をしているうちはそれで済むかもしれませんが、本当にいざ万一という事態のときに、相手がそういう前提で見ているということは、いざというときは間髪を入れず我々に向かって核兵器が飛んでくるということにやっぱりなるのですよ。そういうことを考えたときには、そうなってはいかぬというための非核三原則であるわけですから、したがって、この非核三原則の持ち込ませずという原理原則は、ただ相手が言ってこないから大丈夫だというように済ませる問題ではなくて、本当に実態的に確認をするというようなやり方でこの非核三原則というものを運用する必要がある、私はこう思うのです。  そうなってまいりますと、かねて事前協議はこちらからアメリカにかけるわけにはいかぬ、アメリカから日本に事前協議をかけてくれば初めて協議になるというふうなお話で来ているわけですが、私はやはり我が方から向こうに対して協議をかけるというような主体性をどこかでとらなければいかぬ、こう思いますよ。それを事前協議でとるべきだと我々は思うのですが、それがもしどうしても安保六条のそれではだめだとおっしゃるならば、せっかく安保四条には随時協議があります。この随時協議も安保の運用に関して随時協議する、こういうわけですから、この中で、この持ち込まれるトマホークが本当に核であるのかないのかの確認を求めるという協議を我が方からアメリカに向かって提起するということは当然あるべきだし、またそうなければいかぬ、こう思いますが、大臣いかがでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 これは詳しいことはまた条約局長にでもお聞きいただきたいわけですが、私の解釈では、やはり核の持ち込みについては事前協議の対象になるわけですし、この事前協議制度というものが日米安保条約の中で非常に大きな部分を占めておる。この制度というものがちゃんとある以上はこの制度にのっとって日米安保条約というものは運用されなければならないと思うわけで、核の持ち込みは事前協議の対象ですから、その場合はこの事前協議制というものに基づいて運用されるべきである、こういうふうに思っておりますし、それは今お話がございましたように、やはりアメリカから話が来る、それに対して日本が答える、こういうことになる筋合いの制度でございます。随時協議というのは、制度としては四条にあるわけでございますが、しかし、今の事前協議制というものを飛び越えて随時協議でこの問題を取り扱うということはいかがなものだろうか、こういうふうに思いますし、事前協議制度というものであくまでもこれは対応すべきではないか、こういうふうに考えております。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 そのお答えでは私は納得できませんね。その第四条の随時協議の方がむしろ私は運用の幅が非常に広い協議を規定しているのじゃないかと思いますよ。安保第六条の事前協議というのは、これは大臣も言われるとおり、日本の基地から米軍が極東へ出動する場合とか、核の持ち込みの場合とか、あるいは一個師団以上のそういう大きな単位のアメリカの部隊の配置がえであるとか、これは確かに対象は限定されております。けれども、随時協議の方は、この安保条約の運用に関して、言うならば何でも協議できる、協議の素材に何でものせられるという非常に幅の広いものだと私は思いますが、それならば、先ほど言いましたまさに日本の生死、安全に関するその問題で、こちらが主体的にできないんだという状態を一歩破って、主体的にこちらがアメリカに向かって提起するということをこの随時協議を使ってやったらどうだ、これを使っていけないという規定は全くないわけですから。どうでしょう。それでもってやるべきだと思うし、またできると思うのですが、どうでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 これは条約の解釈の問題でもあろうと思いますが、私は、やはり事前協議制度というものがちゃんとありまして、そして核の持ち込みはその制度の対象になるわけですから、これはやはり事前協議制度で対応していくべきものである、こういうふうに思いますし、そうした事前協議制度の対象以外の問題について、それは随時協議という制度があるわけですから、それはそれなりに随時に協議が行われるという可能性もあると思いますけれども、少なくとも、事前協議制度の対象がはっきりしている以上は、それは事前協議制度にかかって対処されるべきものである、こういうふうに思います。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 どうも私は、そこまで言っては失礼か知れませんが、日本の安全を本当に考える外務省の立場であれば、仮にアメリカが、それは事前協議だよと、仮に相手がこう言っても、いわんや随時協議だってあるじゃないか、この随時協議というもので我々は協議したいんだ、なぜかといえば我々の生死の問題だ、我々の安全の問題だというように、この条約の運用を、とにかく日本の主権的な権利、日本の主権的な主体性を広げる方向で運用を事実上どんどんつくっていくという立場が必要だと思いますが、こちらの方から、それではできないんだ、これしかできない。しかも、これしかできない方は、相手が言ってこなければ何ともならぬ。これは私は、本当に日本の平和と安全を考える立場の外務省あるいは外務大臣としてはまことに消極的だ、こう思うのです、思わざるを得ないのです。どうでしょう大臣、もう一回。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 これは考え方の差がもしれませんが、私は、まさに生死の問題だから、おっしゃるような生死の問題であるから事前協議制度で取り組んでいかなければならないことであろうと思いますし、そしてまた、事前協議制度にしてもあるいはまた随時協議制度にしても、これは日米のいわゆる約束事、安保条約ができたときの約束事でありまして、お互いの合意に基づいて成り立ったものでありますから、その合意に従ってやらざるを得ない、それが今私が申し上げましたような解釈であるしまた趣旨である、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 きのう、衆議院の本会議で中曽根総理に対する質問が行われて、社会党では嶋崎政審会長が質問をいたしました。そして、このトマホークの問題について嶋崎政審会長がお尋ねをした、それに対する中曽根総理のお答えの中で、こういうふうなお答えがありました。国会等においてこのトマホークの問題の疑義をただせ、こういうふうな問題が出た場合は、外務大臣はアメリカ大使にこれを確認している、こういうふうに御報告しているとおりでございますというように、きのう、総理は答えておられるのです。これによれば、外務大臣がマンスフィールド大使にこの問題で確認をしておられるというふうなお答えであったわけですが、これの事実関係ですね、大臣は、マンスフィールド大使にトマホークの問題で何かお尋ねになる、確認をされるというようなことがあったかどうか。いかがでしようか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 核持ち込みの問題について私がマンスフィールド大使と会っていろいろと確認を求めたのは、実は、去年はF16の三沢配備あるいはエンタープライズの寄港等、さらに北西太平洋地域において予定される米軍の活動との関連で核持ち込みへの懸念が国会等で表明されていることにかんがみ、将来の問題も含めて、マンスフィールド大使との間で事前協議制度についての確認、日米間の約束事についての確認を行った次第であります。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 今のお話では、F16やあるいはエンタープライズについて確認を求められたということでありますが、それならば、今迫っておる現実の問題のトマホークについて、なおさらマンスフィールド大使に対して確認を求めて、そして、核つきでないということについての、ただ事前協議でないからないんだというような程度の形式論理の確認ではなくて、実態的な確認を求めるということをおやりになるべきではないか、こう思いますが、どうでしょう。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 私は、今の段階において、マンスフィールド大使とこの問題についてまた話をするという必要はない、こういうふうに思っております。というのは、昨年、私が外務大臣になりましたときに、先ほど申し上げましたような具体的な事例等も引いて確認を求めたわけで、核持ち込みの問題というのは国会等でも非常に大きな議論になりますし、また国民も核持ち込みについては非常に大きな関心を持っておりますから、日米間で、日米安保条約に基づく事前協議制度が確実に行われているかどうかということについてはきちっとしなければならない。あるいはまた、日本が非核三原則というものを、いわば国是ともいうべきものとしてこれを掲げておるということについては、アメリカもこれを十分尊重してもらわなければならぬ。日米が同盟だとか日米協力だとか言う以上は、やっぱりアメリカが日本のそうした基本姿勢というものを尊重し認めなければ、本当の日米同盟とかあるいは日米協力なんてあり得ないわけですから、そういうことを確認してもらう。そしてまた、安保条約の関連規定というものをお互いに遵守していこうということを約束し合う、再確認し合うということも大事であろう、こういうことでやっておるわけでございます。  私は、それで日本の立場というものは貫かれる、そしてまたアメリカも日本の立場を尊重し、日米安保条約の関連規定も遵守して、そしていろいろな協力、軍事的な協力等を行っておる、今後とも行うものである、こういうふうに確信いたしておるわけでございます。  そうした日米の非常に強い信頼関係というものが基本にない限りは、この制度、条約の運営なんということはできないわけですから、日本としては日本の平和と安全にとって一番大事な日米安保条約の関連規定、まさにその信頼関係の上に成り立ってこれが進められておる、こういうふうな確信に立っておるわけでございます。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 信頼関係と大臣言われますが、私は実態として、では今日本の国民の大多数の人は、本当に、事前協議がないからアメリカの核は来ていないんだ、心配ないんだと思っている日本の国民は一体どれだけいるでしょうか。恐らく多くの人は、あんなことを言っているが、実は黙って入っているに違いない、みんなそう思っていますよ。相手のソ連だって、さっき言った、入っているものはみんなあれは核だというように見ているんじゃないかと私は思いますよ。そうすると、今信頼関係の上だから大丈夫だとおっしゃる大臣だけが裸の王様じゃないのかというような感じがするんです、大変失礼な言い方ですが、御勘弁願いたいのですが……。  中曽根総理は、御承知のとおり、公海上であれば核トマホークを積んだアメリカの軍艦と日本の自衛隊が共同の訓練をやる、共同の行動をやっても非核三原則には抵触しないとここまで言っているんですね。ですから、私は、そういう核を装備したアメリカの軍艦と日本の自衛隊の軍艦あるいは飛行機が共同の訓練やなんかやるというような事態がこれから実際に出てくることがあり得ると心配しています。あのリムパックなんかはそのあらわれだ、こう私は思うのですが、そういうふうな事態が出てくるときに、事前協議がないから心配ありませんよ、核はありませんよというような程度の説明で果たして通るのかどうかということを、その点を私は、やはり今物事は次の段階に進んできておる、その進んできているというのは、我々からいえば日米安保条約の性格や運用がますます危険な方向へ進んできておるということで、繰り返し繰り返し非核三原則の確認を求めるということをやっているわけですが、やはり大臣、お経だけ読まれていたのではもう通用しない段階に来ているということを申し上げて、時間がありますから次へ進みたいと思います。  戦争中に日本が中国大陸でイペリットなどの毒ガスを使っていたということが最近明らかになりました。これはアメリカの国立公文書館で出てきた資料だということでありますから、大臣もその事実をお認めになるだろうと思いますが、当時、日中戦争をやっていたあの時期は、日本はまだ毒ガスに関するジュネーブ議定書には加盟していなかった。確かにそういう時期ではありますが、加盟していなかったからあれを使ったのはあれはあれでしようがないとおっしゃるのか、加盟していなかったけれども、しかしああいう毒ガス兵器を使ったということは許されない、こういうお立場をとるのか、いかがでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍外務大臣 私もあの新聞を見まして非常にショックを受けたわけでありますが、やはり戦争中といえども、また今後の世界の平和あるいは日本の将来を考えるときに、ああした化学兵器というものは使ってはならないものであって、我々としても、軍縮会議でも今ちょうど化学兵器についてのこの条約等の審議も行っておるわけでございますけれども、こういう問題に対しては、日本もかつてそうした一つ過ちを犯しておるだけにこれに対して積極的に取り組んでいかなければならない、そういうふうに考えます。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 このことについて、大臣、日本と中国の間で外交上の問題として何かお話しになるというようなお考えはありますか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 今別に中国との間でそういう問題について話し合うということになっておるわけではございませんけれども、政府としても過去のことではあっても実態についてはもっと調べてみる必要もあると思います。戦争問題については日中間で解決した、こういうことになっておりますけれども、やはりそうした過去の問題については我々はいろいろと真実を明らかにして、それだけに反省もしてこれからの日中間の将来というものに誤りなきを期していかなければならぬ、こういうふうに思います。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 私は、日中の国交回復のときに、中国に対して犯したそういう我が国の責任というものを明らかにされたという経過は知ってはおりますが、ただ、その明らかの仕方は必ずしも十分じゃないというふうに私たちは考えております。しかし、その後、こうした新しい事態が出てきておるということに対しては、やはりこれはこれで、そのやり方はいろいろ適切な形を当然お考えいただきたいと思いますが、きちんとそれぞれの始末はつけていくべきだ、こんなふうに考えますが、いかがでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 いろいろと実態をもう少し明らかにする必要があると思います。そういう中で我々は基本的に、過去、そうした問題だけじゃなくてその他でも中国に対して過ちを犯していることは間違いないわけで、数々の過ちがあるわけでございますから、それはそれなりに我々は反省して、その結果今の日中関係というのが生まれているわけでございますし、そういう点も踏まえながら今後の日中関係というものに生かしていかなければならぬ、こういうふうに思います。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 核兵器というものの評価、今は毒ガス兵器の問題でお尋ねしましたが、これがジュネーブ議定書で禁止されているということは、だれが見ても毒ガス兵器、化学兵器は人道上許されない、国際法上許されない、こういう評価が確立しているから、いかなる国もいかなる理由があってもこういう兵器は使ってはいかぬ、こういうようなことに決められているものだと思います。  私は、核兵器というものをとる場合、これは毒ガス兵器よりも、そういう破壊力といいますか、あるいはまた人道や国際法に違反するそういう残虐性というようなものはもっとひどいという性格づけをきちんとすべきだと思いますが、さて、今までのケースで見ると、鈴木前総理はそういう立場から、核兵器というものは絶対悪である、こういうような評価を国会の当時の社会党の武藤政審会長の質問に答えるという形で明らかにされた。ところが中曽根総理は去る五月十八日、この外務委員会に出席されて、そして公明党の古川委員がお尋ねになった中で、核兵器は業の兵器だ、けれどもこれは絶対悪というよりはむしろ必要悪なんだというような表現をされた。  必要悪だという言葉になりますと、我々の常識では場合によれば使うこともやむを得ない、よくはないけれども時によれば使うことも仕方がないというような含みを持ってくることになろうかと思うのでありますが、こういう鈴木前総理の評価と中曽根総理の評価というものを比べた上に立って安倍外務大臣のこの点についての御所見をきちんとお聞かせいただきたいと私は思います。安倍外務大臣もいずれは総理の印綬を帯びるという目標で頑張っておられるわけですから、そういうときには核兵器というものの評価についてきちんと明らかにされる段階が来ると思いますが、今、当委員会において外務大臣の御所見をひとつお尋ねしたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 いずれにいたしましても核兵器が再び使用されるということがあってはならないと思いますし、核兵器の究極的な廃絶が人類共通の目標であると私は思います。特に日本の場合は広島、長崎で洗礼を受けたわけでございますが、こういうことが二度とあってはならない、そういうふうに思うわけでございます。  しかし、現在、核兵器の存在というのは一面においていわば戦争の抑止力になっておるということも現実の姿としては我々としては認めざるを得ないわけなんで、これがやはり戦争の抑止力というものになっておるということもあるわけでございますが、しかし、究極的にはこうした核兵器が段階的に削減されて、そして最終的には廃絶をされなければならないというのが私の基本的な考えでございます。したがって、核兵器が世に存在する限りは、これは一面においては確かに現実問題として抑止の役割はしておりますが、しかし常に人類は不安に脅かされるわけでございますから、最終的にその不安をなくしていくための究極的な廃絶ということが我々の理想であり、そしてまた目標でなければならぬ、こういうふうに確信をいたしております。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 昭和二十年の八月六日に広島ヘアメリカの原爆が投下されました。その直後に当時の日本政府、すなわち当時の東郷外務大臣はこのアメリカの核爆弾の投下、当時は新型爆弾という呼び方をしていたわけでありますが、これは許しがたいことである、人道に対する罪である、国際法の侵犯であるというような立場に立ってアメリカに対して強く抗議する、こういうふうな立場をとられた事実があるわけであります。  これは当然御承知かと思いますが、当時東郷外務大臣からの訓令によりまして、当時中立国のスイスにあった我が国の公使館に訓令が発せられた。このスイスの我が国公使館から今度はワシントンにあるスイスの公使館へ日本政府のその意思が伝達されて、それをこの在ワシントンのスイスの公使館がアメリカ国務省へ昭和二十年の八月十一日に伝えておる、こういう事実があるわけであります。その当時の日本政府の意思をスイスの公使館がアメリカ国務省に伝えた。その伝えたメッセージの中で、私が今申し上げたこの新型爆弾がいかに罪のない一般の庶民を殺したか、いかに広大な区域を破壊したかということで現実を述べた上に立って、この新型爆弾の使用は人道と文明に対する新たな犯罪を構成するものであるというところまで強い抗議をしておるということがあるわけです。これは言うまでもなく日本国政府の態度として昭和二十年の八月の段階でこういう評価を明らかにしておるということがあるわけで、私は当然今の日本政府もこういうふうな立場を受け継がれておると思うわけでありますが、そうなりますと先ほどの核兵器の規定づけというものも、私は大臣からこれは絶対悪であるという立場に立っての評価をはっきりとお聞きをしたい、こう思います。いかがでしょう。

小和田恒外務省条約局長

○小和田政府委員 ただいま高沢委員から御指摘のありました昭和二十年の八月十日に日本政府が米国による原子爆弾の使用に対してスイスの代表を通じまして抗議を行ったということは、御指摘のとおりでございます。その内容につきましても、先ほど高沢委員から御指摘がありましたように基本的には二つのポイントがございまして、一つは、この新型爆弾が軍事目標というものとそうでないものとを区別しない膨大な破壊力を持つ兵器であるということ、それからもう一つは、婦女子等を含め無差別に非常に不必要な苦痛を与える残虐な兵器である、この二点を挙げまして、国際法に違反するという当時の日本側の考え方を述べていることもそのとおりでございます。  この背景といたしましては、御承知のとおり、この新型爆弾は全く新しくつくられた爆弾でございまして、当時アメリカとの交戦国の関係にありました我が国といたしまして、交戦者の立場から、当時の判断といたしましてこれが国際法違反ということではないかという問題提起をしたわけでございます。ただ、その背景になっております二つの事実につきましても、従来の伝統国際法の中で一般的に考えられてきた原則に依拠いたしましてそういう主張を行ってきたものであるというふうに私ども認識しておりますけれども、ただ一つつけ加えますならば、今の段階におきまして純粋に客観的な法律的な立場からこの問題を眺めてみますと、その後の諸国家のこの問題についての国際法上の認識、それから国際法学者のこの問題についてのいろいろな議論、学説をもう一度改めて吟味してみますと、現段階において純粋に厳密な実定法上の問題としてこの核兵器というものが実定国際法に違反するものであるという法的な認識が国際社会の認識として固まっておる、確定しておるというところまでは言いかねるのではないかというのがただいまの政府の認識でございます。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 当時は交戦関係にあったからそう言った、その後講和をやって今は仲よくしておるという状況の変化ということをおっしゃいました。それから、まだ国際法上実定的に確定してない、こう言われましたが、それでは何であれほど国連軍縮特別総会で核の禁止が叫ばれるか。あれがまとまるまではそういうものじゃないのだという今のお答えだと思いますが、ジュネーブで今度外務大臣が核実験の禁止を提起された。私は非常に積極的な提起として評価いたします。  私は、核兵器をなくしていくにはステップがあると思います。そのステップは、一つは実験を禁止する。実験を禁止すれば新しい核兵器の開発はできませんから、これは非常に重要なステップです。それから今度は地域的な非核武装地帯を次々につくっていく、これも大事なステップ。もう一つの決定的ステップは、核を持っておる国がお互いに先に使わないということを確約し合う。それを一つの国際的な協定にまとめていくというステップを経て、私は核兵器の完全な禁止というものが実現していくと思います。外務大臣は今度はそのための非常に前向きの提案をされたものとして評価をするわけですが、そういうことをなぜ我々が考え、また提起しなければならぬかといえば、その大前提は、核兵器は絶対に使っては、また使われてはならぬ、そういうものだという前提があるから私はそうなると思うのです。そういたしますと、今の条約局長のお答えは今までの一つの国際的な流れを話されたと思いますが、私は大臣の評価として、核兵器は絶対に使ってはならぬ、使われてはならぬ絶対悪という確認をここではっきりお聞きをして、そこから今言ったような我が国政府の軍縮へ向かっての御努力をさらに前へ進めていただきたいということをひとつ要望として申し上げたいと思いますが、最後にいかがですか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 私も今の高沢委員の御意見には大体において基本的に同感でありまして、核実験を全面的に禁止をする、あるいはまた非核地帯を設けるということも大事なことであろうと思います。現実的にできればやらなければならぬ。それから、核は使用しないということも必要である。いずれにしても核というものは最終的に廃絶をされなければならない、そして使ってはならない、使わせてはならない兵器である、こういうふうな認識で我々核の問題に取り組んでいかなければならないというふうに思っております。

高沢寅男日本社会党・護憲共同

○高沢委員 この後、私は累積債務の問題で御質問しようと思ってわざわざ大蔵省にもおいでいただきましたが、もう私の持ち時間がなくなりましたので、また別の機会にお願いしたいと思います。  終わります。

中島源太郎自由民主党・新自由国民連合

○中島委員長 次に、土井たか子君。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 きょうの委員会の冒頭に外務大臣からサミット報告をいただいたわけですが、サミットでは本当に御苦労の数々がおありになったと思います。  このサミットの会議を前にして中曽根総理は野党党首と会談の場を持たれたのですが、その折に社民連の代表との会談で、核兵器を使う使わぬは核保有国の勝手という、いわゆる勝手発言が飛び出したことは御承知のとおりです。この発言は不沈空母や運命共同体と同次元あるいはまたそれ以上で、まさにタカ派総理を証明するものだということが国民の間では取りざたされていることも外務大臣はよく御承知でいらっしゃるはずだと私は思います。その後総理大臣は、勝手とは言わなかったというふうに否定をなすっていらっしゃるようですが、勝手という言葉をお使いになったかどうかは別として、核保有国に核兵器を使う権利があるというふうな趣旨のことを野党、特に社会党の田邊書記長が申し入れをされた節に対してもそういうことが伝えられてきています。そのこと自体大変間違っていると私は思っています。遺憾であると思います。  私は、総理の言ったとか言わないとかいうふうなことに対しての水かけ論はもう別といたしまして、安倍外務大臣にこの問題について若干お尋ねをしたいと思います。  外務省から出ております核兵器不拡散条約批准に当たっての資料、NPT審議の折に出されましたいろいろな資料を見てまいりますと、その中に情報文化局が編集をされている「核兵器不拡散条約の批准問題」というパンフレットがございます。これの中には、前後種々ございますけれども、「不幸にしてもし核戦争が起こった場合、それはまさに、人類絶滅の危機にも通ずるものであります。」とはっきり申し述べてあるわけです。「だからわれわれは、核戦争の防止につながるものについては、どんな小さな第一歩でも決して見逃がせません。」そういうことがこのパンフレットの中にもございまして、この外務省の文章からしても、核兵器を使用することは、地球を破滅させ人類皆殺しと同じだということが認識されているわけでありますけれども、そういう核兵器を使用するということの権利は核保有国にあるはずがないのです。安倍外務大臣は、核兵器を持っている国はその核兵器を使用する権利を持っているとお考えになっていらっしゃいますか、いかがですか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 核兵器をつくっている国は、少なくとも核兵器によって自分の国の平和と安全を図っていこうという見地でつくっておる、こういうふうに思うわけですが、しかし、おっしゃるように、核を使うということは相手の国の破滅だけではなくて自分の国そのものの破滅にもつながるわけでございますから、これは権利があるとかないとかいう言葉で核兵器の問題を論ずることはできないのではないかと私は思います。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 したがって、権利がある、なしの問題ではないというふうに今おっしゃっていますから、それは権利があるなんということは到底認められないということにもこの御意思はつながるであろうと私は思うのです。それ以前の問題です。権利ということで問題にすることはいささか場違いな話であるということになるだろうと私は思います。しかし、総理は権利があるということを発言としておっしゃっているのですから、そこのところは大分外務大臣と違うと私は思うのです。  しかも、昨日、私も本会議で総理の御答弁を聞いておりましたら、核保有国に核を使ってはならない、核不使用を求めるというのは内政干渉であるという発言をされているのです。内政干渉なのかどうなのか、こういう発言こそ大問題だと思って私はきのうも聞いていたわけです。反核というのは、御案内のとおり反米でもなければ反ソじゃないのです。全人類の悲願なのです。そういうことからすると、外国に対して反核の問題を持ち出して、核兵器に対して、使用しないでもらいたいとか、軍縮の方向で努力をしてもらいたいと言うことは内政干渉なのですか。  御案内だと思いますけれども、アメリカの月刊誌ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティストの表紙に時計がございますが、それに対して一般の人は運命の日という認識をいたしておりますが、核戦争まであと三分ということで運命の日の時計が一分前進したというときに、ニュースとして取り上げられて大変問題にされているわけです。人類絶滅の日は決して夢じゃないのです。それは遠い将来にわたって恐らく我々に無関係な問題とは絶対言い切れない。このことが非常に深刻に我々の身に迫ってきている問題として非常な喚起を促される問題になっているわけですが、核兵器の被害者になることは真っ平だから核保有国に核不使用を求めるというのは、人類として考えていくと、これこそ当然の権利であると言わなければならないと思うのです。国連でも大臣御案内のとおりで、核不使用決議が採択されているのじゃないですか。なぜ核兵器を使用しないでいただきたいと言うことが内政干渉になるのでしょう。いかがですか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 核兵器を使用しないでいただきたいと言うことは、別に私は内政干渉になるとは思いません。これはお互いに平和を追求する以上は、当然そういうことは言っても差し支えないことであるし、また、言わなければならぬことでもあろうと私は思います。ただ、非核三原則との対比において、非核三原則の場合は日本だけでできることですね。これは核をつくらず、使わず、持ち込ませずというのは日本だけの問題、それに使用させないという一つの項目を加えるというのは、日本だけの問題ではなくて、相手の国との関係があるからということを総理は言っておるんじゃないか。ですから、これは並列してこれを論議することはできないという意味で言っておられるのじゃないか、その点については私はそういうふうに思います。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 それはしかし弱姿勢というものだと思うのですがね。相手に対してそれを言うということは、言わなければいけない問題じゃないかと思います。  例えばNPTの審議のときに、中国、フランス、まだ未批准の国に対して批准に対して努力してほしいということの申し入れ、つまり加盟を求めていくという努力をされますかと言ったら、それは大事だと言われたのですよ。もしそういうことをやったら、総理発言からすれば内政干渉になりますよ。  また、他国に核の使用は慎むべきだということの要望であるとか要求をすることはすべて内政干渉だ、拡大すればそういうことの認識も、それは当然のことながら、昨日の総理発言を聞いていると、私は理解として出てこないということは保証の限りにあらずです。これは出てくると思うのですね。  私は、内政干渉で最も甚だしいのは、日本に対して軍事費の増額を要求する、これこそ内政干渉ですよ。そういう問題に対して内政干渉であるということに対する認識、発言、ただの一遍もなく、核兵器に対して使用してはならないということを他国に対して要求することは内政干渉だ、これぐらい逆立ちした話は私はないと思うのです。外務大臣、どのようにお考えになりますか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 私は、条約の問題とか、あるいは権利義務の問題として核の問題を片づけることは、非常に問題があると思いますね。やはり核の問題は、そうしたことを越えたもっと重要な問題ではないかというふうな認識を持っておるわけであります。したがって、核を使うべきでないということを内政干渉とかなんとかいうことで取り上げるということもちょっと問題があると思いますし、また核を使うのはつくった者の権利だという取り上げ方も、やはり核という人類の絶滅につながっていく兵器ですから、そういう点で、そういう取り上げ方には非常に私自身は問題があるんじゃないかというふうに考えます。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 そこで、大変中曽根総理と安倍外務大臣との間にこの問題に対する基本的な認識が違うという格好に私はなると思うのですが、さてそれでは具体的にお尋ねを進めたいと思います。  本年六月からトマホークが配備されるという計画がもう既に国民も周知の事実として認識をいたしておりますけれども、ちょっと私は不思議に思うことがございますので、基本的なことからお尋ねをいたします。政府は、トマホーク配備計画の具体的内容をアメリカから聞いておられますか。いつどんな形で聞かれましたか、そして承知されましたか、いかがです。

北村汎外務省北米局長

○北村政府委員 お答え申し上げます。  海上発射あるいは海中発射のトマホークの運用能力が達成される時期ということとして私どもがアメリカ側から聞いておりますのは、まず対艦攻撃用、これは通常弾頭でございますが、戦艦ニュージャージーについては一九八三年三月、それから攻撃型の潜水艦については十一月、そしてその他の水上艦艇につきましては八四年四月にそれぞれ能力が付与されておるということでございます。二番目の対地攻撃用の中の通常弾頭のトマホークにつきましては、戦艦ニュージャージーにつきましてはやはり八三年三月、その他の水上艦艇につきましては八六年、これは大分おくれまして能力が付与される。それから、対地攻撃用の核弾頭の方でございますが、これは八四年六月に付与されるということを米側から情報として受け取っております。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 いつ、どこで、米側からどういうルートでお聞きになったのですか。

北村汎外務省北米局長

○北村政府委員 私ども、ふだんから米側といろいろ情報交換をしております、また協議をしておりますので、ただいま申し上げましたことをいつ、どこでと、一回限りということではなくて、いろいろ今までの、昨年からのずっと情報交換の結果そういう情報を得ておるわけでございます。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 それが実にあいまいですね。昨年からのとおっしゃるが、昨年のいつごろからです。どこでです。それは大使館を通じてですか。事務レベルの会議ですか。それとも外務大臣がですか。内閣総理大臣がですか。外務省がですか。一体どこで、だれが、いつ、どんな格好でですか。

北村汎外務省北米局長

○北村政府委員 先ほども申し上げましたように、トマホークの配備については大分前からいろいろ情報がございましたので、そういうことについては米側からも逐次情報を得ておりましたけれども、いろいろそういうものを総合して、最後にまとまった情報を得ましたのは五十九年、ことしの二月十日にアメリカ側から、大使館側から情報を得たということでございます。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 まとまった情報とおっしゃるのは、向こうの計画の大要、全体をこのように考えるというのが全部出てきたという意味ですか。いかがです。

北村汎外務省北米局長

○北村政府委員 まとまったと申しますのは、先ほど申し上げましたように、対艦攻撃用、対地攻撃用、その中の通常弾頭、核弾頭、それぞれの運用能力が達成される、あるいは達成された時期についての全体の情報でございます。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 今の御発言じゃ、それはよくわからぬのですが。  それじゃ、ちょっと具体的に。攻撃用原子力潜水艦のスタージョン型、ロサンゼルス型にトマホークを装備するというふうにされているらしいのですが、この装備するトマホークは非核、核両用あるのですか。そのように言われているのですか、どうなんですか。よく答弁では両用でございます、両用でございますと言われているのです。どうなんです。

北村汎外務省北米局長

○北村政府委員 トマホークは、先ほども大臣から御答弁されましたように、非核、核両用の兵器でございますが、そのトマホークの配備が計画されております艦艇として次の艦級が挙げられております。ただいまおっしゃいましたスタージョン級の攻撃型潜水艦、それからロサンゼルス型の攻撃型潜水艦、それからタイコンデロガ級の巡洋艦、それからスプルーアンス級及びバーク級の駆逐艦、それからロングビーチ級、それからバージニア級及びカリフォルニア級の巡洋艦、こういう艦級でございますが、これらの種類の艦船、さらにこれはアイオワ級の戦艦がつけ加わりますが、そういうものに対してトマホークが配備される。しかし、その船級に属するどの艦船、具体的な個々の艦船が果たしてトマホークが配備されるかどうかということは、米側は明らかにしておらないのでございます。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 具体的にそれはどういうのが配備されるかというのは明らかにしていないということについてどうかはっきりしてくださいということを私は一言半句合言ってないです。今お答えのところをずっと承っておりますと、八五会計年度の米国防報告の中の既に出ている部分について、つまりそれが出たのは二月でしたから、二月に大使館から日本側に対してこういうことであるというふうな伝達があったということを、先ほど総括的に全部明らかに聞いたのがこの二月だという御答弁に中身としてはなるんだろう、こういうふうに理解します。それでよろしいか、まずそれを言ってください。

北村汎外務省北米局長

○北村政府委員 ただいま御指摘になりましたことしの国防報告にも情報は載っておりますけれども、先ほど申し上げましたのは、まとめてアメリカから二月十日の時点で聞いたわけでございます。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 まとめて聞かれた中でも、こういうことが具体的になったのかどうか、一応外務省としては知っておいていただかなければならぬ話ですからお伺いをいたしますけれども、攻撃型原子力潜水艦として今挙げられたのには、スタージョン級、それからロサンゼルス級というのを挙げられているわけですが、計画からすれば、それにトマホークを装備するわけですよ。その装備するトマホークは非核、核両用があるわけなんですか、どうなんですか。これはどうです。

北村汎外務省北米局長

○北村政府委員 アメリカ側は、今申し上げました艦級の攻撃型潜水艦にどういうトマホークを積むかということ、対艦用のトマホーク、対地用のトマホーク、その中で通常弾頭、核弾頭と三種類あるわけでございますけれども、どういうトマホークを積むかということは、これははっきり言っておりません。しかし、おっしゃいますように、トマホークというのは核、非核両用あるわけでございます。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 核、非核、トマホークには両用ある、これは一般の人もよく知っているわけでありますけれども、攻撃型原潜のトマホークは、今おっしゃったとおり、対艦、対地両方ありますかち、それは装備されるのがいずれであるかがよくわからない、その艦によって違うだろうというふうなことも今言われましたが、対地トマホークで非核、核両用あるというふうな答弁を外務省は既にされているのです。  それで、私は、現在まで対地トマホークの中で、非核の対地トマホークが実戦用に開発されだということを聞いてないのです。いろいろ文献に当たってみたのですけれども、これは聞いてないですよ。いつ実戦用非核トマホークが対地トマホークとして開発されたのですか、攻撃型原潜に対して装備するトマホークとして。これをちょっと聞かしてください。

北村汎外務省北米局長

○北村政府委員 私どもがアメリカ側から聞いておりますところでは、先ほども申し上げましたように戦艦ニュージャージーだけにつきましては、これは通常弾頭の対地攻撃用のトマホークが去年の三月に運用能力が達成されたということでございまして、その他の艦船に対する対地通常弾頭型のトマホークは大分開発がおくれておりまして、八六年の後半になるという情報を得ております。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 そうすると、それは八六年の後半になる、そのときになったってできるかどうかわかりやしません。経済的効率から言うと、それは核、非核両用ある、その弾頭の中でこれは同じ費用をかけてやるということになると、いずれに重点を置くかというのははっきりするのです。非核トマホークについては、実戦用の攻撃型原潜のトマホークとして開発されたということはいろいろな文献に当たってもわかりません、ございませんでしたから。すなわち、攻撃型原潜に対して、既に出ているスタージョン級にしたってロサンゼルス級にしたって、装備されるのは核を装備したトマホークである、対地トマホークとしては。今の御答弁でも、八六年まで非核というのはできないことははっきりおっしゃったわけですから、非核じゃなく核トマホークであるということははっきり認識しておいていいと思うのです。  そこで、そういうことがアメリカ側から聞かされて、日本として核軍縮を推進する立場から、特に日本は平和憲法と非核三原則の国なんです。アメリカに対してどういうふうに物を言われたのですか。これに対する対処のしようがあると思うのです。さっきも高沢議員からの御質問もありましたけれども、どう対処されたのですか。肝心のアメリカの方の下院では、御案内のとおりに八五年度国防予算の修正案として、トマホークの配備に対してこれを凍結するというふうなことを議決している。ヨーロッパに行きますと、オランダの方では、核ミサイルを受け入れるかどうか全世界の注目を集めてオランダ政府が結論を出したのは、軍縮交渉がまとまらないでソビエトが核を増強してくるというふうなことになればまた考え直すが、それまではだめ、こういうことをはっきり出してきているのです。  さて、日本はどうなんです。それを受けたときにどういうふうにアメリカ側に言ったのですか。

北村汎外務省北米局長

○北村政府委員 先ほども外務大臣が御説明されましたように、これはトマホークということに特定したわけではございませんけれども、昨年の三月に、北西太平洋におけるアメリカの軍事行動に関して、核の持ち込みということに対する国民の懸念もあるので、非核三原則の我が方の立場を再確認するということでマンスフィールド大使にお会いになられたことがございます。  ことしの二月に私どもがトマホークの配備のことをアメリカから聞きましたときも、私どもはいかなる形にせよ核の持ち込みというものは事前協議の対象であって、事前協議の場合には我が国は必ずこれをノーと言うという立場を確定しておりますし、またそのことは何度も国会でも申し上げておりましてアメリカ側も承知をしておりますので、その時点で特にアメリカ側にその運用その他について申したことはございませんけれども、あくまでも核の持ち込みという観点からすれば、核のトマホークの持ち込みというものは事前協議の対象であるという立場を貫いておるわけでございます。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 事前協議の対象であるというふうにおっしゃるところから先に行きたいのですが、それ以前にちょっと押さえておきましょう。  事前協議の対象にする場合にも立場がございます。日本は日本の立場があります。アメリカはアメリカの立場があるでしょう。日本の立場というのはあくまで憲法を忘れてもらっては困りますし、非核三原則は厳然として国是としてあるという立場です。この非核三原則を守るという立場に対してアメリカも承知おきだから、ことさら言う必要はないという姿勢でこの場に臨まれたのですか、非核三原則に対してはいろいろな場合にしつこくこれを明らかにしておかなければならぬということでこの節にもアメリカ側に努力を払われたのですか、国是であるということをはっきりわかるようにこの場合にも言われたのですか、どうですか。

北村汎外務省北米局長

○北村政府委員 先ほども申し上げましたように、昨年の三月に外務大臣からマンスフィールド大使に対して非核三原則の我が方の立場を再確認する発言をなされ、またアメリカ側からも日本側の立場というものをよく理解しており、またアメリカは事前協議の条約上の義務を誠実に遵守するということを言っております。そういうことでございますので、ことしになって改めてまた非核三原則についてアメリカ側に再確認をしたことはございませんけれども、しかし、例えば先般訪日をいたしましたワインバーガー国防長官が日本のプレスクラブで演説をしておりますが、その中でも、日本の国民の核に対する特別な感情というものをよく理解しており、アメリカは条約上の義務を誠実に遵守しているということを言っておるわけで、アメリカ側は十分承知しておると思っております。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 いいかげんなことだと思うのです。十分承知しておる、十分承知しておる、昨年の三月に外務大臣からもそういうことをはっきり説明はしてある。しかし、今回のトマホーク配備に対してアメリカ側が正式に大使館からこちらに通告といいますか説明といいますか、知らせている段階では、これについてはっきりことさら言うということもなさってないようではありますけれども、しかし外務省とされては、この非核三原則が国是であるという認識はあるのです。これははっきりお持ちになっていらっしゃる。当委員会でも、私も質問者としてこのことに対して確かめをしております。内閣総理大臣中曽根康弘首相も、非核三原則は国是であるということを答弁として出しておられる。安倍外務大臣も、それは当然のことであります。国会決議の中でも、非核三原則は国是であるということをはっきりうたい込んでいる。その文章にもいろいろありますけれども、国会では何と三回もこれに対してはっきり確認をしているわけです。  さて、せっかく文部省の教科書検定課長においでをいただきましたので聞きたいのですが、検定課長、非核三原則に対してあなた自身国是とお考えですかどうですか。これは内閣総理大臣も外務大臣も、第一国会決議が三度まではっきりさせているのですよ。いかがですか。

小埜寺直巳文部省初等中等教育局教科書検定課長

○小埜寺説明員 お答え申し上げます。  教科書検定課長の立場から申し上げますと、私の仕事は教科書の検定に関する事務を取り扱う仕事になってございます。したがいまして、教科書の検定というのは、御存じのとおり、申請された図書に対しまして、それが教科書として適切であるかどうかという観点から意見をつけているわけでございまして、いわゆる非核三原則が国是であるかどうかということについて私はお答えをする資格がないと考えております。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 あなたはお役人ですね。内閣総理大臣、外務大臣、さらには国会でそのことを決議をし、はっきり確かめている中でのお役人なんです。お答えになる資格がどうしてないのですか、日本のお役人ではないのですか、いかがなんですか。

小埜寺直巳文部省初等中等教育局教科書検定課長

○小埜寺説明員 お答え申し上げます。  私の仕事は、法令に基づきまして仕事をしているわけでございまして、教科書検定に関する事務を扱うのが私の仕事だと思っております。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 教科書検定の事務を取り扱うのがあなたの仕事と言いながら、こういう問題に対してそれを聞いてもあくまで答弁としてお出しになる気配がないから、それじゃ私は取り上げます。  まだ検定済みでない教科書もあるようでありますが、来年の春から高校で使われる社会科の教科書、検定が既に終えられている教科書の中身もございます。それの中の「現代社会」を私は見てまいりまして、これは先日新聞も取り上げられておりましたから、その後記事だけじゃ困ると思って、私はいろいろ問いただしてみました。そうしましたら、こういうことが出てまいりましたよ。「日本は、核兵器について非核三原則(つくらず、もたず、もちこませず)を国会で決議した。この原則は「国是」として国民のあいだに定着している。」これが原稿なんです。これに対しまして修正意見というのがあなたの方から出されておりまして、「非核三原則が”国是”として「定着している」といえるか。解釈にいろいろ問題があり、議論のわかれるところもある。」したがって、修正意見ですから、これに従って、こういうことを私たちは思うのでもう一度考え直しなさい、こうなるわけですね。さて結果はどうなったのか、これは原稿から書きかえられましたよ。「日本は、核兵器について非核三原則(つくらず、もたず、もちこませず)を国会で決議した。この原則は、日本のとるべき方針として、多くの国民のあいだに定着している。しかし、国際社会においての日本の役割は十分なものとはいえない。」これは大分中身が違うのです。一課長として国是であるかないかというのを答える資格がない、こう言われながら、こういうことができるのですね。どうなんですか、検定課長。

小埜寺直巳文部省初等中等教育局教科書検定課長

○小埜寺説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御質問のありました件でございますけれども、先生のお言葉にもございましたとおり、ただいま五十八年度の検定を実施中でございまして、「現代社会」につきまして二十二冊の申請が出ておりますけれども、まだすべて終わっておらない段階でございます。したがいまして、検定結果が公表されておりませんので、公表されるまでの間は個々の教科書の記述についてのコメントはお許しいただきたいと思います。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 課長、これはただごとで済みませんね、そんな姿勢でおっしゃるのだったら。非核三原則は国是であるという方向で臨まれますね。これは内閣総理大臣も、外務大臣も、国会決議でそれを確認しているのですよ。これは明らかなる事実なんです。修正の意見の中にどういうことをおっしゃっているのですか、「”国是”として「定着している」といえるか。」とクエスチョンマークなんですね、あなた自身が出しておられる。これは、もちろん国是であるという方向でなさいますね。そうでないと、あなたはお役人だから、さっきは一課長だからと言われましたが、一課長としておかしいのだ。総理大臣にこういうことであなたは異論を出されるのですか、外務大臣に異論を出されるのですか。国会決議に対して、そんなこと言えるかどうかわからぬとおっしゃるのですか。国会決議というのは現実にあるのですよ。どうです、課長、まだ終わってないのだったら、これは国是であるという認識で臨まれますね、もちろん事実がそうなんだから。どうなんですか、これはええかげんなことですよ、本当にあなた自身。

小埜寺直巳文部省初等中等教育局教科書検定課長

○小埜寺説明員 お答え申し上げます。  先ほどからお答え申し上げておるとおり、まだ今検定作業中でございますので、個々の記述についてのコメントは差し控えさせていただきます。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 これは、私は検定が終わってしまったものを持ってきたのです。何が終わってないのですか。ほかのが終わってないのでしょう。終わった分について私はお尋ねしているのですよ。修正意見というのが出た結果こうなったということで、これはこの点について一件落着とあなたは思っていらっしゃるのではないですか。修正意見をお出しになる前だったらいろいろこういう論議もあるでしょう、まだ終わっておりませんのでということもあるかもしれない。あなたがお出しになったことについて言っているのですよ。だから、あなたの認識を聞いたのです。  もう一度問いただしましょう。非核三原則は国是でございますか、いかがですか、あなた御自身の認識をひとつ聞かせてください。

小埜寺直巳文部省初等中等教育局教科書検定課長

○小埜寺説明員 お答え申し上げます。  先ほどから申し上げましたとおり、教科書検定課長は検定に関する事務に携わっておりますので、先生の今の御質問に対してはそういうことでよろしくお願いします。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 外務大臣、お聞きになっていてどうお思いになりますか。これはやはり外務省であろうと文部省であろうと、お役人はみんなお役人なんですよ。総理大臣の発言であるとか、外務大臣の発言であるとか、ましてや国会の決議というのに無関係なんですか、お役人というのは。どうなんですか、外務大臣、ちょっとどういうふうにお思いになりますか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 私は、今文部省の検定課長が答弁したのはやはり義務と責任を果たした答弁であろうと思います。非核三原則につきましては、それは鈴木総理もずっと言っておられますし、その後、歴代の総理大臣も言っておりますように、国の基本的な政策、そしてこれは国民から広く支持をされておるというようなことで、いわば国是とも言うべきものだ、こういうふうに我々としても考えておるし、これは国会が決議しておることは事実でございます。ただ、その問題について、それは多少国会あるいはまた世論の中で議論があることも事実であろうと思うわけでございますが、今、我々中曽根内閣といいますか、我々政府としましては、この非核三原則は国の重要な政策として厳守をしていかなければならない、こういうふうに考えて、これにのっとって我々としては対応しておるわけです。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 そういうことの事実を認めなければ、それによって厳守するということの対処も当然のことながら出てこないのですよ。文部省としてもそういう事実に対して、やはり事実は事実として認識をしていただかないと、これはちょっと困るなと思います。間違っているなと思います。やはりそういうことを国是として国会決議の中ではっきりうたい込んでいるというこの事実は事実としてあるわけですから、そういうことを避けて通るわけにはいかないし、この事実認識というのは正確に持っていただかないといけないのじゃないかなと思います。それが定着しているか定着していないかというのは主観の問題になりますよ。そうでしょう。客観的な事実に対しての認識ということをあなたどのように思われますかということを今私が聞いたのにもかかわらず、一生懸命逃げの一手なんです。そのことは外務大臣は非常にかばって、義務と責任を果たしておられる、こう言われるのですけれども、果たしてこれで義務と責任を果たしておられるかどうか、私は大変論のあるところだと思いますよ、本当。やはり国の政治に対して忠実なお役人であればあるほど国会決議であるとか大臣答弁なんかに対しても、これは事実を事実として認識していただくところから始まるはずでありますから、そういうことをひとつはっきり持っていただかなければならぬと思います。  これをいつまでやっていたって検定課長は逃げの一手であろうと思います。一課長でございますといつも前面に出して御答弁を、それ以外にはなさらない、そうだろうと思いますが、教科書の持っている問題というのは非常に大きいので、そういうことからすると、今のような検定課長の姿勢というのは非常に今の教科書の中身に対しても物語っているというふうに私は言いたい立場です。  さて、そればかりをやっていたんじゃどうにもなりません。先ほど、トマホークの問題に対しても事前協議というのがあるからということをおっしゃいましたが、さて、安保条約六条の事前協議というのはアメリカ側からだけ申し出るのですか、この辺どうなんですかね。

北村汎外務省北米局長

○北村政府委員 事前協議の発議は常にアメリカからなされるものであるというふうに考えております。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 これはアメリカ側からだけですか、日本側からできないのですか、どうなんですか。

北村汎外務省北米局長

○北村政府委員 安保条約の仕組みにつきましては土井委員よく御承知のところでございますので、改めて申し上げるまでもありませんけれども、日本が米軍の駐留を認めて、そしてその米軍が必要な施設、区域を日本の防衛と極東の平和と安全のために使用する、そういう意味で米軍は原則としては自由な行動をすることはできますが、その中で三つの分野において、これは絶対日本政府あるいは日本国民の意思に反して行動できないという分野を三つ選んで、それに事前協議というもののシステムをかけておるわけでございますね。ですから、その中で、一つは配置における重要な変更……(土井委員「もうわかっています、それはいいです」と呼ぶ)そういうわけで、日本政府の意思に反して行動しないというためのいわゆる歯どめが事前協議でございますから、そういう行動をしたいというときにアメリカ側から日本側に対して協議がある、こういうことでございますので、発議はアメリカ側からであるというふうに考えております。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 うそを言ってもらっては困るのです。いいかげんなことを言ってもらっては困るのです。そんなことを今まで言われ続けてきたのですかね。議事録を当たってください。まさにこの事前協議の問題を取り上げて国会で丁々発止延々と審議をやっていたころの議事録をよく勉強していただきたいと思うのですよ。  三十六年四月二十六日当外務委員会答弁、外務省からは、「事前協議の問題でございますが、これはもちろん双方からできるわけでございます。」はっきり答えています。また、三十八年六月三日予算委員会、これは防衛庁長官答弁、「これは、双方で、両国で協議することでございまするから、相談ができるのであります。」ちゃんと言っているのです。片務じゃないですよ、事前協議というのは双務ですな。アメリカ側が一方的に日本に言うしかないという問題ではないんじゃないですか。事前協議の中身というのは日本側からももちろん言える。これが事前協議の中身であって、当然そのとおりだというふうな答弁ですよ、当たり前だという答弁ですよ。どうなんですか。うそを言ってもらっては困りますよ。はっきりしてください。

小和田恒外務省条約局長

○小和田政府委員 土井委員の御指摘になりました事前協議の問題につきましては恐らく二つの側面があるのではないかと思いますが、一つは、どちらがそのことについて発議ができるか、どちらのイニシアチブでそのプロセスが始まるかという問題でございます。もう一つは、協議の内容としてアメリカの言い分を一方的に聞かなければならないのかという実態の問題でございます。  その発議権の問題につきましては従来から、例えば典型的な例で申し上げますと、昭和四十五年九月十日の当衆議院外務委員会における愛知外務大臣の答弁がございますが、こういうふうに述べております。「法理論から申しますれば、事前協議というものが、日本側が提供いたしました在日米軍基地の使用ということについて、これの使用を許された側の米軍が義務として、事前協議をしなければならないという義務を負っておるわけでございます。したがって、義務を負っておるものが発議をして、提供しておるほうがそれに対してイエス、ノーを言うというのが、これが条約論であり法理論でございます。」あるいは、四十八年十二月、大河原アメリカ局長の答弁として、「協議を発議いたしますのは米側であります。したがいまして、事前協議という協議をしてまいりますのは米側が行なうことでございます」。  他方、この事前協議の実態ということになりますれば、もちろん土井委員が御指摘になりましたように、その事柄の内容について日本側として当然意見が言えるわけでございますから、その限りにおいて、この問題については双方が平等な立場で話し合いをするということになろうかと思います。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 それもうそをついてもらっては困ります。四月二十六日当外務委員会の質問では、岡田春夫委員の質問です。「この事前協議の条項というものは私は伺いたいのですが、事前協議というものを提議するのはアメリカの側からだけが事前協議の提案ができるのですか。日本からは事前協議の提案はできないのですか。」という質問に対して、「事前協議の問題でございますが、これはもちろん双方からできる」という外務省の答弁なんですよ。外務省はいつ変えたのです、今のような答弁に。そんなあほな話はないじゃないですか。これは、事前協議問題が国会で丁々発止大問題になっておるときの答弁ですよ。

小和田恒外務省条約局長

○小和田政府委員 お答えいたします。  従来の答弁例すべてについて今ここで詳細に私の方でチェックができませんので、今土井委員が御指摘になりましたような答弁につきましてはさらに調査をいたしたいと思いますけれども、私が先ほど申し上げました、例えば愛知外務大臣の昭和四十五年における外務委員会答弁……

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 いいです、私が申し上げているのは三十六年のときの議事録ですから。まさに安保条約について国会、国内もう沸いておりまして、大問題であるときの外務省の非常に新鮮なこれは答弁なんです。よろしいか、そのうち今先ほどおっしゃったような発言に変わったんであったら、アメリカ側といつ、どこで、だれが協議してそう変えたのか。はっきりしてもらいましょうよ、これは大事な問題だ。本来事前協議に対しては日本側からも提案することができる、こう言っているんだから、外務省はこのとき。よろしいか。  ちょっと座ってください、もうよろしいから。  これからすれば、私はこの三十六年当時の外務省答弁は当たり前だと思っているのです。つまり、安保条約上事前協議に対しては日本も提案するという権利があるのです。特にこの事前協議の対象になる問題に対して、今回なんてそうでしょう、外務大臣、トマホークの持ち込みなんというのは十分にその可能性がある、持ち込まれるかもしれない、言うならば持ち込まれる計画である、国民はそういう疑惑を持っている。国民のそれに対して政府は答える義務があるのです。条約というのは国家と国民を縛りますからね、拘束しますから。だから、政府は国民に対してそういう義務がある。アメリカに対してそれを聞く権利がある。はっき旦言う権利がある。日本はそういうことを事前協議ということでアメリカに対してしなければならない。先ほどアメリカ側から説明を聞いたときにも、非核三原則の向こうに対する確認すら余りはっきりなさっていらっしゃらないような趣旨の御答弁であったから、これは心もとないと思いながら、そうであるならばあるほど、私はさらにこの点ははっきりしなければならないと思います。  特にアメリカに対して私はその辺を聞きたいのですけれども、今回横須賀にあのタニーが来たときに横須賀の市長が外務大臣に会われたはずでありますけれども、アメリカ側に対して核があるのかないのかということを聞かれましたか、どうですか。いかがです。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 まだ横須賀の市長に会っておりませんが、きょうお見えになるようでございます。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 これはやはりはっきり問いただす必要がある。むしろそういう計画がアメリカ側から日本に出されてきたときに、これはまさに事前協議の対象ですよ。日本としてはそのことについてアメリカに対してはっきり提起をする権利があるのです。日本は核の持ち込みは一切できない、そんなことは許せない、これははっきりしましょうということを言う権利があるのですよ、事前協議の上から言うと。外務大臣、そうなんです。これは外務省の答弁なんだから。議事録を一回見てください。はっきりそういう答弁が出ているんですよ。むしろ外務大臣は、今私が言うことを初めてお聞きになるのだったら、これは外務省のお役人の職務怠慢ですよ、外務大臣にそういうことについてはっきり知らせてないということですから。これははっきり権利があるのです。そういうことからすれば、これはアメリカに対してはっきり言わなければならない。そして恐らくは、核はありませんと言うのだったらいいですよ。あるのかないのか、政策上アメリカがはっきりできないというときにはどういうことになるか。これは寄港はお断り、入港はお断り、つまりあるのかないのかはっきりしないということは、これぐらい不審なことはないのです。ないというとき初めてできることであって、あるのかないのかはっきりわからない、灰色であるということを結構だとは言えないですよ。さあ、こういうことをはっきりしていただきたいと思います。外務大臣、どのようにお考えになりますか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 事前協議がこちらから提議できるかどうかの点については、三十六年の国会の論議を今御指摘がございましたから検討してみます。  私も当時安保特別委員会の委員でありまして、事前協議条項についてはいろいろと論議したのですけれども、そのときは私の記憶では、アメリカ側が提議をしてこれに対して日本がイエス、ノーができる、権利がある、こういうふうに私たちは理解をしておったわけでございますし、その後ずっと今日までの日本の政府の解釈は、事前協議条項につきましてはアメリカが提議をする、これは実態的にも事前協議の内容から見れば当然アメリカ側の提議に係る問題じゃないか、実態的には私はそういうふうに思います。  それから、アメリカのトマホークの問題は、アメリカとしてはもし核を積んだトマホークを日本に持ち込もうとすれば、アメリカは義務があるわけですから、日本の権利というよりもアメリカ側が義務があるわけですから、アメリカは事前協議の対象にしなければならない安保条約上の義務を負っておるわけですから、そして当然そのときは事前協議になるわけです。そのときは、これは国会でも明らかにしておりますように日本政府の考え方はあくまでもノーであるということはその際明確に打ち出さなければならないわけであります。また、アメリカ側が核兵器については明らかにしないというのはアメリカの世界戦略といいますか核兵器政策でありまして、この前マンスフィールド大使に会ったときも、アメリカ政府としては核兵器の有無については明らかにしないというのがアメリカの政策である、しかしアメリカは日米安保条約、その関連規定はちゃんと守ります、あるいは日本の非核三原則については十分理解しておりますし、これは尊重します、こういうことをアメリカははっきり言っておるわけですから、私たちは日米関係、これだけの信頼関係にあるわけですから、アメリカがそうした日本の非核三原則をちゃんと尊重し、そしてまた安保条約の関連規定もちゃんと遵守するという立場で核を勝手に持ち込むということはありっこない、あり得るはずがないというのが我々の信念であります。

中島源太郎自由民主党・新自由国民連合

○中島委員長 土井委員に申し上げますが、時間が来ております。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 もう時間ですから私はここで質問を打ち切らなければなりませんけれども、アメリカを信頼しているとおっしゃいますが、それも結構でしょう。ただ信頼と依頼は違うのです、大臣。権利義務ということを誠実に遵守するという上に立っての信頼関係でしょう。アメリカは核を持ち込んではならないという義務があると今おっしゃいましたけれども、その義務の履行を迫る権利が逆に言うと日本にはあるのです。そして、事前協議の中ではアメリカに対して日本の側からも、あなた頼みじゃない——アメリカが事前協議をやってこない間は大丈夫、大丈夫じゃないのですよ。日本側からもアメリカに対して問いただすという権利があるのです、事前協議で。縦に首を振っていらっしゃるから、これは外務大臣、よろしゅうございますね。ちゃんと、外務省そういう答弁なのだもの。だから、それを外務大臣としてはしっかりやっていただかなければならない、そのように思います。  だから、タニーの問題だけじゃないのですよ。いろいろ持ち込まれることについて外務省としては聞く必要なしとか外務大臣は聞く気持ちがないとか、そういうことをおっしゃっているというのは実に遺憾であって、これこそ日米安保条約を誠実に履行していることにならないのです。よろしいか。事前協議の中身を日本としては。アメリカに対して言うべきことを言って聞くという権利をはっきりしていただかなければならない、そう思いますよ。先日は、新聞社でもアメリカに対して問いただしたら、タニーの問題についてはどういうことかというのをはっきり向こうは答えているのですが、それすら外務省、外務大臣が聞く気持ちがないとおっしゃるのは実におかしな話ですよ。どうでしょう、外務大臣。これはしっかりしていただきたいと思います。はっきり。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 ですから、これは非核三原則を持っておる日本としましてアメリカのそうした、国民が非常に注目している例えばトマホークの持ち込みといった問題、その他F16の配備であるとかエンタープライズ、ニュージャージーの寄港だとか、そういうように非常に大きな問題のときは一般的には安保条約の遵守あるいはまた日本が国是とも言うべき非核三原則を貫いておるのだ、こういうことをアメリカに注意を喚起する。そうしなければ、本当に日米関係というのは信頼を失ったら終わりですから、こういうものがありますよ、ちゃんと日米関係で大事に守っていきましょう、そういう意味での注意は我々は喚起してきております。去年もやったわけでありますし、私は事あるごとに一般的な立場でアメリカに対して日本の立場を明確に打ち出して注意を喚起していかなければならぬ、それは外務大臣としての条約を守る責任であると思います。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 最後に一言。  外務大臣、先ほどの事前協議に対して日本側もそれについて協議をするという権利があるという問題に対しては、外務省からそういう答弁が既にはっきり出ているわけですから、これは確認をしていただかなければなりません。一方的にアメリカ側からしかその問題に対して言ってくることができないというふうな認識、解釈をお互いが持って今日まで来たように外務大臣おっしゃいますけれども、そういう風潮、そういう空気は勝手に思っているわけであって、どこで何の根拠でそれを思い始めたかというのは実にあいまい至極です。確かにお互い議員の中では一方的に事前協議というのはアメリカが持ちかけてくることだと思っている人たちが多いらしいですが、これは非常な誤解だと私は思う。そのことに対しては、先ほど申し上げた外務省のしかとした答弁がある。これを外務省として外務大臣、確認をしておいていただきたいと思いますよ。よろしゅうございますか、それ。ちょっと声に出していただかぬと……。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 これは私は非常に大事なことだと思いますから、十分研究いたします。

土井たか子日本社会党・護憲共同

○土井委員 あと韓国米の問題は、せっかく食糧庁から御出席いただきましたのに時間切れになりましたので申しわけないということをおわびして、質問を終わります。

中島源太郎自由民主党・新自由国民連合

○中島委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十五分休憩      ————◇—————     午後一時三十二分開議

中島源太郎自由民主党・新自由国民連合

○中島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。  この際、去る四月二十五日の委員会における渡部一郎君の質疑に関し外務省当局から発言を求められておりますので、これを許します。西山欧亜局長。

西山健彦外務省欧亜局長

○西山政府委員 去る四月二十五日の当委員会におきまして、渡部委員より調査方御要望のございました一九八〇年八月のソ連原子力潜水艦の我が国領海通過についての事実関係は、次のとおりでございます。  一、一九八〇年八月二十一日早朝、沖縄東方約六十マイルの地点でソ連潜水艦が火災事故を起こしているのを英国船ガリ号が発見しました。同二十一日、日本側はソ連側に対しまして直ちに事故の発生を通報するとともに、人道的見地から必要なあらゆる援助を供与する用意がある旨を申し入れました。さらに二十二日夜、放射能汚染の危険性及び核兵器搭載の問題があることを考慮いたしまして、非核三原則の遵守等の我が国の基本的立場に基づいて、ソ連側に対して申し入れを行いました。  二、二十二日午前、ソ連側より、当該事故による放射能汚染の危険性はないこと、及びソ連側は不可抗力の状況を考慮して当該潜水艦を与論島と沖永良部島の間の海峡を通って曳航することを考えている旨を通報越しまして、同日午後、当該ソ連潜水艦は我が国領海通過を完了いたしました。  三、その間、日本側よりソ連側に対しまして、重ねて我が方照会に対する十分な回答を得るべく接触いたしましたが、ソ連側からは回答がなく、このソ連潜水艦が我が国領海通過を完了した後、八月二十三日にソ連側、在京ソ連大使館より外務省に対しまして、放射能汚染の危険性はなく、またこの潜水艦には核兵器はないとの回答が寄せられました。  以上の経緯から、政府といたしましては、本件をめぐって非核三原則背馳の問題は生じなかったものと判断しておりますが、政府といたしましては、かかるソ連側の態度は我が国民感情への配慮を欠いた非友好的なものとして遺憾と考え、対ソ抗議を行った経緯がございます。

中島源太郎自由民主党・新自由国民連合

○中島委員長 渡部一郎君。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 続いて、昨日の本会議の席上、総理及び外務大臣に数十項目にわたる質問をいたしたところでございますが、この答弁が漏れており、当日指摘をいたしましたのではございますけれども、その答弁要求に対して黙殺されるというような不祥の事態が生じております。これについて、御釈明もあることだと存じますから、大臣の御答弁を求めたいと存じます。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 昨日の本会議の答弁で、総理の答弁の中で答弁漏れがあったということは聞いておりまして、それは大変申しわけないことである、こういうふうに存じておるわけでございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 私が申し述べた部分は文章の最後の部分でございますが、サミットという、先進国首脳会議というものは、今回でわずか十回目であり、必ずしも、この形式は成熟した外交形式というわけにはいかない。多くの点を配慮しないと、サミットというのは首脳同士がただ会ったというだけで、意味がなくなってしまう可能性も濃い。次の諸点を考慮されたらどうかという提案の部分であります。  これは何を言っているかと申しますと、首脳同士がお話をする、そして首脳同士がフランクに、その大きな権限を行使した上でお話をするということによって、大問題となりがちな最近の国際的な諸問題を一気に解決するということが非常にいいことだというふうに何となく思われているわけではありますけれども、実態を見ていると必ずしもそうとは言えぬ点がある。例えば、首脳同士が問題をよく知らなくて、事務局に頼らずしてしゃべると非常に粗雑な結論しか出ないという部分が生じてくるし、事務局同士が打ち合わせを厳重にすると、逆に今度は複雑化して、何を決めたかわからない、従来と同じようなやぶ小路の中に交渉が入ってしまうという可能性がある。したがって、こうした方式を考慮する場合には、事前の相談はするけれども、首脳同士がテーマを選んで大胆な議論ができるような場所をしつらえなければならない。したがって、どうしても事前に意見や意思を十分に疎通をする、首脳議題と事務議題とを立て分ける、テーマをよく選ぶ、そうしたことが必要なのではないかということをまず述べたのであります。  第二のポイントは、構成メンバーのゆがみであります。何となく、先進国首脳といいますとこれ以外に先進国がないように見えるのでありますけれども、七つの構成メンバーのうち五つまでがヨーロッパの構成メンバーで占められており、アメリカと日本はわずかに一つずつというような状況にある。したがって、我々としては、どうしても南側の意見も反映しなければならぬと同時に、太平洋側の国家の意向も代弁しなければならない。少なくとも、構成メンバーについて太平洋国家の代表としてオーストラリア等の諸国を加えるように会議の都度提言を行い、注意を喚起することが必要なのではないか。そうでないと、この会合はますますヨーロッパ寄りに傾くのではないかと言っているわけであります。  第三のポイントといたしまして、協定の実施に当たっては、具体的な成果を推進するためにそれをチェックして推進していくシステムを考慮すべきなのではないか。同種の国際会議においてその実行を督励する事務局を置くケースが幾つかあるわけでございますけれども、そうしたことも配慮する方がいいのではないか。というのは、最近に至りまして議題に上がってくるような新ラウンドの交渉のようなものは、担当事務局を置くか置かないかによってその実行は大幅におくれもすれば進みもするという状況が明らかであるからであります。その点、このサミットについては考慮すべきではないか。  もう一つは、別の言い方にいたしているわけでございますけれども、今回私どもがこのサミットに要求するものとして、どうしても本当のサミットでないのではないかという気がしてならない点がある。それは東側の国々はコメコンを開催する、こちら側はサミットを開催するというのでは、いつまでたっても議論の集約することはないわけであります。本来のサミットとしては、対立する両陣営のトップが打ち合わせすることこそサミットのサミットたるゆえんなのであって、五五年七月、米ソの首脳が参画してサミットが行われた。また、六〇年の五月の分は例のジェット機の偵察機の侵入問題でつぶれたいきさつはあるけれども、ともかくそうした形の道を開くサミットでなければならなかったのではないか。要するに西側陣営だけが結束するのではなくして、西側陣営の結束とともに本当のサミットをやる呼びかけをこの会合において行うべきではなかったのか。  また、最近大問題になっております飢餓、人口問題のような大問題あるいは世界の砂漠を緑化するための大きな計画等は、単年度で政治を考える場合にはテーマにならないかもしれないけれども、こうしたテーマについても考慮すべきではないのか。  また、核実験の全面停止とか核兵器の先制不使用とか、こうした大きな問題こそサミットの主要テーマとして両陣営の首脳部が打ち合わすべきテーマなのではないか。  私は、思うことが多くあるわけでございまして、その一部分を本会議で述べたわけでございますが、ここは外務委員会でございますから、今から外務大臣にこの辺の問題につきまして、サミットをよみがえらせる方法として御意見を述べていただけるとありがたいと存じます。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 直接今回のサミットに参加した外務大臣として私の考えを述べさしていただきますが、サミットは参加首脳が自由かつ率直な意見交換を行う場であります。こうした観点から、特定の議題を設けたりあるいは宣言案の事前の準備を行うことはこれまでもしておらないわけであります。ただし、運営方針、討議の方向性のすり合わせ等の準備は、各参加国首脳の考えを踏まえて首脳の個人代表会合等を中心に実施をいたしておるところでございます。  構成メンバーにつきましては、サミットの性格等を勘案しながら、他の参加国の意向をも踏まえて慎重に検討する必要があると思います。  なお、我が国はアジア・太平洋地域から参加する唯一の国であり、従来より同地域の声をサミットの場で反映すべく努力をしてきたところでございますが、これは特に今後とも頑張っていかなきゃならないと思うわけであります。  例えばオーストラリアをサミットに参加させろ、これはオーストラリアの現ホーク首相も日本の中曽根総理にも要請をいたしておりまして、実は今回のサミットにおきましても、サッチャー首相からオーストラリアからそういう要請があるということが出されまして、中曽根首相もオーストラリアの首相はぜひとも参加させるべきであるということも述べられたわけでございますが、結局、議論の末結論に至らず、この問題は次の議長国の西ドイツで、この次の会議で、継続審議ということで相談してもらいたいということになったわけでございます。  サミットで合意された政策方向につきましては、関係諸国とも協力しながらガット、OECD等の既存の国際機関を十分活用し、また、国内政策面でもそのフォローアップに努めなければならないと思います。  さらに、外相間でも、参加国外相が今後連絡を密にしていくこととなっておりまして、実は今回も、やはりサミットでいろいろの問題が討議をされて方向が出たわけであるから、これをフォローアップするという意味で、国連総会ではまたもう一回七カ国の外相が集まって、サミットを踏まえて自由に討議をしようじゃないかということに話も決まった次第でございまして、今お話しのように、やはりサミットの合意というものを実りあるものにしていかなきゃならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。  十回サミットが行われてまいりまして、初めはやはり経済中心といいますか、第一次オイルショック以後の世界経済の立ち直りを目指して、当時のジスカールデスタン・フランス大統領の主唱によりましてこのサミットが始まりましてから、いわばエコノミックサミットということでずっときたわけですが、最近のサミットの論議の状況等を見ますと、私もこれまで三回出ておりますが、やはりだんだんと政治の対話といいますか、論議も行われる。そして、それに相当ウェートがかかってくるという状況が強く出ております。去年のウィリアムズバーグ・サミットもそのとおりであります。また今回も政治問題で三つの宣言が出され、一つの議長声明が出されるということで、政治の議論も随分出ておりまして、こういう点も、十回たってみてやはりサミットの性格が徐々に変貌といいますか、変わっていきつつあるというような感じもしないではありません。これは時代の流れとも言えるでしょうが、我が国としても、やはりそれに対応した一つのおっしゃるようなシフトをしいていかなきゃならぬと思いますし、またサミットとしてもそれに対してもっと弾力的に対処していく必要があるということは私も実は感じておる次第であります。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 このサミットにおいて本来の名前どおりの頂上会談になるように、米ソ首脳を入れたサミット、つまり東側だけと西側だけじゃなくて、いわゆるサミットとコメコンと両方合併したようなサミットをやらなければならないということが、政治サミットであるならば一番考えなきゃならぬことだろうと思います。INF交渉であるとかあるいはSTART交渉を再開せよとかいうお話も出ていたその究極点には、極めて厳しい軍事的な東西の対立というものが背景にあるわけであって、それを克服するためにはこのサミットの中で本来のサミットをやるべきである、こう強く主張なさることが必要だったんではないかと思いますが、いかがお考えでございましょうか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 行き詰まった東西関係を打開をしていく、そのためには、例えば核軍縮につきましてもINFとかSTARTの交渉を再開するためにソ連がもっと積極的に対応してもらいたいという呼びかけ等は強く打ち出したわけでございまして、サミットにおける大きい問題は、何としても経済とともに東西の問題をどういうふうに和解を進めるかということであろうと思うわけで、そういうことですから、これからのサミットもこうした東西間の対話あるいは東西間の融和というものが大きな議題になっていくことは避けられないと思うわけで、ですから、最終的には、東西の対話が完全に行われて、そして東西の首脳が集まるというサミット、それが世界の平和のためには一番理想であろうと私は思うわけですが、現在のサミットの状況、議論、あるいは世界の情勢、東西の対立状況から、一挙にそこまで持っていくということはちょっと今の情勢から見ると無理があるのではないか。やはりまず東西の対話、そして米ソの核軍縮交渉の再開といったところから始まって、最終的にはそういう方向を目指していけば、これは世界のために大変望ましいことであろう、こういうふうに私も思います。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 今後の御努力を期待したいと思いますし、外務大臣は特に三回もサミットにお出になったということは、日本の外務大臣では今後は起こり得ないほどの奇跡だろうと思います。引き続き御出席をいただいて頑張っていただくように応援をしておきたいと存じます。  私がこのサミット交渉の中で非常に注目しておりますもう一つのポイントは、発展途上国におけるところの累積債務問題であります。その累積債務問題の項につきまして非常に注意を払われた文章と拝見するのでございますけれども、この中で言っていることは何なのか。私は非常に危なっかしい状況にあるなどいう感じを抑えることができないわけであります。  現状についての認識として私が申し上げますのは、八四年三月三十一日にアルゼンチンが四百五十億ドル、メキシコが九百二十億ドル、これは五月三十一日まででございますが、こうした多額な対外債務を出している。現在の債務は発展途上国でどれくらいの規模になっているか、また主要国はどれぐらいの債務を抱え込んでいるか、まず現状認識をお尋ねするわけでございますが、御報告いただきたいと思います。

恩田宗外務省経済局経済統合課長

○恩田政府委員 いろいろな統計がございますが、世銀の出しましたレポートによりますと、開発途上国の累積債務が全部で八千百億ドル、これは一九八三年末でございます。そのうち中長期が六千三百五十億ドルである。こういうふうな統計を世銀が発表しております。  それから、主要国の累積債務の額でございますが、これもいろいろなところから統計が出ておりますが、最近発表されましたOECDの開発途上国の対外債務の報告によりますと、これは短期あるいは軍事債務等を除きまして、例えばブラジルは八百六億ドル、メキシコは七百億ドル等、主要な国についてはかなり多額に上っている、こういう状況でございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 この膨大な債務に対しまして、何と申しましても経済政策のアンバランスというのをあえて指摘せざるを得ないと思いますし、急速に工業国家としてスタートするための過剰融資というものも明らかに認められるわけでございますが、先日も私は大臣に申し上げましたけれども、IMFがこれらの国々に対して、経済計画を策定して、ともかく債権というものを担保するというやり方で返済の方に重点を置いた交渉というものを行い、世界決済銀行であるとかIMF等によって促された経済再建策というのは、ともかく今の段階において債権をパンクさせないように誘導する、何年か厳しくても我慢しろよという、言ってみれば、日本が明治初年の当時に各藩がとったような緊縮政策というものを主力にして経済再建にかかるというふうに見えるわけであります。ところが、これらの国々の方から見るならば、これは結局債権確保だけじゃないか。おれの方で本当に基礎体力をつけるだけの仕事をやりたいのに、それはやらしてくれていないじゃないか。長期的な努力を削られてしまうではないか。一番大事な教育に対する投資というものをいきなり切られてしまうのはどういうことなのか。また、アメリカの高金利というものがこの負債というものを一番困難にさせているのに、この高金利というものの反省もなくして、いきなり返済だけぎゅうぎゅう迫るのはどういうわけなのだ。また、単年度ごとに返済計画を一々立てるというように要求されるのはどういうことなのか。こういう不満がうっせきしているわけでございますね。その結果といたしまして、メキシコのリーダーシップによりまして、実は中南米の債務国がここのところ二十一日からコロンビアのカルタヘナというところで債務国会議を開く。これは非常にドスとおどしがきいておりまして、場合によっては返さないぞ、一括繰り延べをさせてもらうぞ、文句があるなら言ってこいと言わんばかりの圧力が生ずるのではないかと世界じゅうの銀行が今おびえているわけであります。いわゆる債務国カルテルが生ずるのではないか。そういうことですから、この六月四日から前川日銀総裁やらボルカー米連邦準備制度理事会議長とかが集まられてIMCを開き、メキシコやブラジルのような、IMFの勧告に従って緊縮策をとって、まじめに経済再建を進めているよい債務国、よい債務国というのも変な言い方でございますが、よい債務国と悪い債務国と普通の債務国というような言い方になるのでしょうが、よい債務国に対しては繰り延べを考えてもいいよというようなことをぽっとおっしゃる。こうした言い方の中でも、特にメキシコ向けについては、単年度ごとの債務繰り延べというのは後ろに下げてもよい、多年度型債務繰り下げにしてもいいよというようなことを言われておる。こういうやり方は債務国の間を分裂させて、この債務国連合によるところの一方的なモラトリアム宣言というものを抑止するというふうに先進諸国財務当局はやられているなというふうに見えるわけであります。  さあ、ここからが私の質問です。これは今現状認識を述べたわけであります。さて、そういうふうになったとき、我が国はこれらの債務国が返済を一生懸命やってくれている間は何もしなくてもよいのかもしれませんけれども、固めて債務国が、もう債務返済はしないぞ、借金は棒引きだ、棚上げだ、そういうふうにこれらの諸国が一斉に要求を始めた場合に、これに対抗する手段というものはない。結局、その当該地域の国民が困り、そして当該地域の銀行が破綻し、先進諸国側に金融恐慌の波が一斉に生じてくるというふうになるのではないかと心配しておるわけですね。そうすると、先ほど申し述べましたサミットの経済宣言で効果があるのかな。あの経済宣言のテーマだけでは、非常に穏当なことは書いてあるけれども、それ以上のことはまだ詰めてないなという感じがしてならない。ここのところ、どうされるおつもりなのか。どう対抗されるのか。まさにこの問題こそは今回サミットに参加された先進諸国の議会で全部一斉に論議になる最大ポイントであると私は思うわけでございまして、まずお願いいたします。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 大変難しい問題だと思います。サミットでは債務累積問題が論議されまして、現状では少なくとも危機は回避されたというのが大体参加国の共通の認識でございます。一応当面の危機は回避されたけれども、決して油断はならない。八千百億ドルもまだ依然としてこの債務累積があるということで、そこで、いつ何が起こるかわからないので、これからも債務累積国に対する対応は慎重に、そしてまた積極的にも取り組んでいかなければならない。やはり、債務累積国が財政金融政策で前向きの姿勢をとって再建の自助努力をしている以上は、これに対しては積極的に、先ほどおっしやいましたように債務の繰り延べであるとかあるいはまた民間の投資であるとか、そういうことを積極的にやる必要もあるし、いわばケース・バイ・ケースでこの問題には対応していかなければならぬというのが一応このサミットの結論であったように思うわけでございます。  しかし、おっしゃるように、きのうも本会議でお話があったように、その債務累積国が集まって徳政令を求めるというようなことになりましたら、そういう段階を一挙に飛び越えたことにもなりかねないわけでございます。サミットでは、キト宣言だとかあるいは四カ国の大統領の合意、宣言、そういうものを見ると、それぞれの債務累積国が自分たちの責任も果たしていく、だから先進国がこれに対して協力してほしいというトーンが出ておりましたから、そうした自助努力をしていこうという、みずから努力をするということで債務累積国が取り組んでくるならば、先進国はもっと積極的にこれに対応していかなければならぬということが一つの流れであったわけでございます。  しかし、これは今、動きも多少出ておるわけでありますから、もう債務は払わないとか金利は払わないとかいう国もぼつぼつ出そうな状況にありますから、一応の危機は回避された、しかし、これから問題は残っておるけれども、ケース・バイ・ケースで取り組んでこの問題を解決するためにじっくり努力をしていこうということで、解決がしていけるかどうか、やはり事態を見ながらそれに対応した対策というのはこれからも取り組んで考えていかなければならぬ。これはどういう事態が起こってくるかわからぬわけですけれども、そういう立場で我々としても慎重に——特に日本の場合は、政府もそうですが、民間も相当大きく債務累積国には貸し込んでおりますから、それだけに十分注意をして、そして破局的なことが起こらないように最大の努力をしていかなければならぬ、こういうふうに思います。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 私は、ほとんど答えが出にくい問題について今お話をしているわけでありまして、私も、こうしろという提案をここに明快に表示することができないでいることが残念ですが、ここのところで一番問題なのは、こういうふうに追い詰められた国々がモラトリアム宣言を要求して、これを債務国連合が擁護して、そしてソビエトも大体三百億ドル弱の対外債務を抱えておりますから、ある場合にはソビエトがそうした債務国連合の後押しをするという形でそういう支え方をいたしますと、この債務不払いというものが国際的な騒動になることはもう明らかです。そして、そのあげくの果てに決着をつけるための戦争、つまり債務棒引きのための戦争という非常にけしからぬところへ突っ込んだ例が歴史の上では何回も何回もあるわけですね。私どもは今やそれを恐れなければならぬ段階に来たのではないか。した、がって、言っている経済宣言は大枠として——きのうもさんざん申し上げて、大変失礼に申し上げたのですけれども、枠として立派なことが書いてある。しかし、枠として立派に書いてあるということと内容が実効性に富んでおり効果があるということとはまた全然別のことになる。この経済宣言は、この項は非常によく書かれている。非常によく書かれていると同時に、その内容はよく書かれている以上に深刻であって、具体策がない、このうらみがあるわけでございまして、私は、日本一国ですべきことではないのはわかっておりますけれども、そして全体的な債務国全部相手にしてみんな立て直すなんということが不可能なのもわかっておりますが、一つずつの国に対し、この国はこうやって立ち上がらせるのだという取り組みが——内政干渉だとかあるいはけしからぬ軍事的な圧力というのではなくて、平和国家としての日本の誠実な行き方を証明するためにも、こうした国々一つずつに対して、その国を再建するための取り組みのプロジェクトを日本は用意してかからなければならないのではないか。まさにそういうプロジェクトを策定し成功させるということが可能になれば、日本の国際的な信用と地位というものは非常に上がるものではないかと思うわけでありまして、御研究、御努力をいただくことが大事なのではないか。単なる思いつきや何かではとてもいかないし、ケース・バイ・ケースであらゆる手が違っておるという状況を前にして、今日本国は非常に面倒なところへ突っこんでおるのではないかと思うのです。  日本は幕末のときにちょうど同じような目に遭いまして、約七十の藩閥政府があったうち、当時黒字決算をしたのは、今余り正確にはわかってないけれども、数個藩にすぎない。あとのすべての藩が赤字になって倒産状態にあった。その倒産状態にあったところから立ち上がり始めたところと、倒産がさらにひどくなってしまって藩としての形態をなくしてしまうというようなひどいことになったところがある。それを明治政府は果敢な経済政策で突破したいきさつがあります。そのときのいろいろな手法というのは、今日でもなおかつこれらの発展途上国の国家経営について参考になる部面すらあるように私は思えてなりません。  したがって、国家経営は人の国だからどうせこちらはどうしようもないといってほうっておくわけにはいかないのが貿易国、平和国家としての日本の宿命でありますから、こうした問題についてどうすべきかを日本国の英知を集めて考慮すべきときが今来ているのではないか。そのために何かを発想し、プロジェクトをつくられることが必要なのではないかと思いますが、いかがお考えでしようか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 確かにおっしゃるような客観情勢もなきにしもあらずだと私は思いますし、IMFもやりますし、あるいはまた先進国がそれぞれの立場でケース・バイ・ケースで努力をするとしても、日本は特にまたそういう中で大きな債務累積を抱えておるだけに、これは日本の今後の運命にもかかわってくるわけですから、この問題についてはあらゆる情勢を踏まえながら特に真剣に研究といいますか、検討を重ねていく必要があるのではないか、私もそういうふうに思います。  サミットでは、確かに、今渡部さんがおっしゃったような話が出ますと金融恐慌になるおそれがあるわけで、サミットの首脳はこの金融問題、債務累積問題、それから石油問題等ではむしろ非常に冷静な立場で——客観的にはそういう根がないわけではないのですから、それが危機感をあおるあるいはまたそれによって危機感が出てくることは逆に経済あるいは金融情勢を混乱させるということで、むしろ抑え目に発言したという向きがないわけでもないわけですし、それは私もそういうことを率直に感じます。そして、それがまたある意味においては世界の経済情勢、金融情勢を鎮静化させるという面も私はあると思うわけです。  そういうサミットの役割もあると思いますが、実際は、実態としてはひょっとすればひょっとするようななかなか危険な兆候も決してないわけではないということは認識して、特に日本の場合はそういうことも踏まえて、これは金融当局、財政当局が中心にやっていくことでありましょうが、いろいろなことを頭の中に描きながら検討することは非常に大事だ、こういうふうに私は思います。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 今おっしゃいました中で私大変賛成なのは、これは下手な扱い方をすると金融恐慌の引き金になるとおっしゃいましたけれども、本当に危険なテーマだと私も思います。外務委員会だから話せて本会議では話しにくいテーマまで私は今お話ししました。  そこで私は思うのですけれども、日本は、戦後、財政を立て直すためにシャウプ使節団を受け入れ、シャウプ勧告を受け入れ、彼の名前によって日本の経済の基礎的な税制については立て直したいきさつがあります。また、日本の変動相場制の前の固定相場制を為替の上で設定した際、非常に乱暴な交渉ではございましたけれども、これを一本化するときには並み並みならぬ努力があったと聞いております。こうした基礎的なテーマの幾つかについて、我々はいわゆる外圧をかりながら、日本国の経済的な基礎づくりをやったいきさつがあるわけであります。そして、占領軍の権威まで借用しながらそれをやったいきさつがあります。  我々が今発展途上国を見ますと、彼らは自国内で議論すると同時に、こうした先進国の地位を手がかりにして立ち上がりたい、きっかけとして立ち上がりたいというところも多く見えるわけでありまして、そうしたチャンスも与えてあげるということが必要なのではないかと思うのでありまして、ともかく御研究いただきたい。そうしないと、ある日突然すべてが崩壊するということになりかねない。世界は今や連動しておって、一つの国家であると言っても差しつかえないぐらいいろいろな利益が交錯しているのは御承知のとおりであります。答弁は要りませんけれども、今後の努力をぜひお願いしたいと存じます。  それから、次のテーマに移らせていただきますが、国際関係の機関にお勤めになっている、国際的な諸機関、私的、公的の機関に勤められている日本人、日系人、こうした方々に対する連絡の機関というものをつくられたらどうかと提案する次第でございます。  これは何を申しておるかといいますと、典型的なのは、国連本部あるいはアジア開銀、開発銀行等にお勤めの日本人というものの数は、徐々に上昇中であります。特に、国際関係機関には、日本人のパーセンテージが出資金に比して非常に少ないというので、むしろ積極的に引き上げられたいきさつもあるわけでありまして、こうした人々は、外務省から出向されたり、その他関係官庁から出向される場合もありますけれども、民間団体から行かれた方もあり、また直接個人的に雇用されている方々もあるものであります。この人たちは、国際公務員あるいは国際関係機関の職員として頑張っておられるだけではなくて、日系人ということで日本の立場をしばしば代弁し、しばしば日本を代表して議論をするということがあるわけであります。  ところが、この人たちと日本政府との連携というものは極端に悪い、悪いというよりも、日本人らしい潔癖さが支配しているのか、こうした人々と日本政府が交渉するということは国際関係機関の独立を侵害するというようなためらいもあるのかもしれませんけれども、余り連携をとらない、そういう厳粛なところがあるわけであります。しかしながら実態は何かというと、ヨーロッパにおいて、また東欧圏においては、これは明らかな政府関係機関員であって、政府の訓令のもとに一斉に行動に移っていく、こういう状況になっているわけであります。したがって、決してこの中身というものは我々が放置していいようなテーマではない。  また民間団体から常に言われていることでありますが、国際関係機関に勤めておられる日本人が報告したり相談したり、あるいは私的な日本における宿舎の問題、教育の問題に至るまで相談する窓口がなくて困っている方々がたくさんいますよ、これを政府は何とかされないのですかという要望も多数聞くことがあるわけであります。  したがって、私の思いますのは、こういう国際的な機関、国際的なグループに勤務されている方々のある種類の相談の窓口、コントロールタワー、やわらかい管理をするシステムというものをつくる必要があるのではないか、それは政府が半官半民のような形で、何らかの形を形成される必要があるのではないか、そういうものについて御研究いただいたらどうだろうか、そしてそれをなるべく早い機会につくられてはいかがかな、こういうふうに考えているわけでございまして、きょうは提案として申し上げるわけでございますが、いかがお考えか、聞かせていただきたいと存じます。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣  確かにお話がありましたように、国際機関に勤めておる日本人に対する政府あるいは日本国としての取り扱いの問題は、いろいろと考えなければならぬ点があると思います。私もよく国際機関に勤めておる日本の職員なんかと会うわけですが、今お話しのように、日本人というのは非常に潔癖性を持っておりまして、やはり国際機関に勤めている以上は、その国際機関を代表するということで、何か日本人同士のつき合いというよりはいわば独立した立場で物を言うことも言わなければならぬというような、ある一面においては非常にきちっとしたところがあるように思うわけで、そういう意味では我々はやはり日本人が国際機関に入っていけばそれなりの大きな役割を国際機関の中で果たしていくのではないかという感じも率直に言って持っておるわけで、そういう意味ではもっと国際機関に送り込みたい、こういう感じも非常に強く私は持っております。  そこで、外務省でもそうした日本人の国際機関における職員に対する配慮という立場から、国連局に国際機関人事センターというものを設けまして、また国際機関の多く所在する地にあるところの在外公館に国際機関人事の専任担当官も配置しまして、日本人職員の国際機関への送り込みを行うとともに、国際機関に勤務する日本人職員については、民間の出身者につきましてもその地位向上のためにこれら職員の転任であるとかあるいは昇進等に関する希望を聞きまして、国際機関の人事権に対する介入にならない範囲で、日本政府の意向を伝える等の方法により支援を行っておるわけでございますが、しかし必ずしもこれは十分に行き届いたものであるとは私は思っておらないわけで、せっかく御指摘がございましたので、こうしたせっかく我々がつくっておりました機関というものももっと活用していかなければならぬと思いますし、また今お話しのような、やはり日本に帰ってきて、特に政府職員以外の民間職員なんかのこれからの活動に対して、どういうふうにこれに援助していくかという点等も、これはやはり有能な人材ばかりでございますから、やはりもっと政府とかあるいはさらにまた民間の力等もかりまして、これに対応する、今お話しがありましたようなクラブにするか何にするか、そういう点もひとつ研究の余地がある。これからまた日本に再び帰ってきたとしても、また国際機関に出ていく可能性もありますし、日本で働く可能性もありますし、何としても有能な人材が多いわけでございますから、これをもっと生かして使うということが必要ではないか、それは今何もないわけですから、これも少し研究をしてみたい、こういうふうに思います。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 その点はどうぞよろしくお願いしたいと存じます。  さて、ここで最後に二つ申し上げたいのですが、一つは朝鮮民主主義人民共和国の日本側に対する関係改善の呼びかけというものが、ここのところ極めて目立っているようでございます。中国側の見解、胡耀邦総書記の話によりますと、ソビエトを訪問した金日成主席が、その席上で日本を名指しで批判しなかったことに気がついたかということを、胡耀邦氏を通して言ってきておりますし、またシアヌーク大統領が、金主席は日本との関係を何らかの形で樹立したいと考えている旨述べたようでございますし、こうしたことを見ておりますと、日本側に対する朝鮮民主主義人民共和国側の働きかけは、最近一連の動きを示しているように見えるわけであります。こうした動きを外務省としてはどのように評価し、どのように対応しようとされているのか、まずお伺いをしたいと存じます。

橋本恕外務省アジア局北東アジア課長

○橋本(恕)政府委員 ただいま先生御指摘のような事実につきましては、私どもも注目しているところでございます。ただ、これに対して日本政府はどうするかということでございますが、率直に私の考え方を申し上げますと、確かに先生御指摘のような事実はございますが、今の段階におきまして日本政府が何か動くというにしてはちょっと材料不足であり、かつ、時期尚早ではないかというのが率直な感じでございます。確かに先生が御指摘のような事実はございますが、しかしながら日本政府あるいは日本国民に対して直接働きかけられたものでは必ずしもない。もっと具体的に申し上げますと、私どもが北朝鮮との関係におきまして非常に心配をしております点はいろいろございますが、その一つ、例えば日朝民間漁業協定、これが切れたままになっておりまして、裏日本一帯の漁民の方が困っておりますが、この問題、あるいは第十八富士山丸の船長、機関長が現に北朝鮮で捕まったままになっておりまして御家族の方が大変心配しておられる、こういう点については全く動いておりません。したがいまして、私の考えを申し上げますと、今の段階ではまだこれは時期尚早ではないかというのが率直な印象でございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 ただいまのお話を承っておりますと、非常に慎重な言い回しをされているように見えますが、例えば民間漁業協定、二年間空白が続いている民間漁業協定について何らかの前進が行われたり、スパイ容疑で逮捕され勾留されている第十八富士山丸船長らの問題について何かの変化が起こったり、あるいは日本人妻の里帰り等の問題についても何らかのプラスの変化が行われるような事態が起こったら、それは一つの兆候として前向きにその兆候を受けとめて処理する、こういうふうに言おうとされているのでしようか。

橋本恕外務省アジア局北東アジア課長

○橋本(恕)政府委員 いま少し事態をよく見きわめてまいりたいということでございます。——どうも私の印象ですと、先生ただいまの答弁に御不満のようですからもう少し丁寧に答えさせていただきますと、これは釈迦に説法で恐縮でございますが、日本政府の北朝鮮に対する政策というのは、当然のことながら我が国の総合的な外交あるいは国益から来ているものであると確信しておりますが、そういう観点からいたしますと、やはり今後の事態をよく見きわめませんと、今すぐ日本政府がどうこうというところにはまだちょっと早過ぎるような気がするというのが率直な私の印象でございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 では最後に、先ほど同僚の土井たか子議員が文部省の課長さんをさんざん御指導されておられた御様子を承りまして、私からもちょっと追加補足させていただきたい。  これは大臣に申し上げます。  これは出版労連の調査報告という新聞記事を手にして申し上げているので、事実どういうことになったか、事実を認識しないできょう私は出てきております。ただ、その記事によりますと、五十八年度検定の際に、「日本は、核兵器について非核三原則を国会で決議した。この原則は「国是」として国民のあいだに定着している。」と書いたのに対して、国是とは何だというので指示内容は「”国是”として「定着している」といえるか。解釈にいろいろ問題があり、議論のわかれるところもある。」という指示が行われ、結果としては「核兵器について非核三原則を国会で決議した。この原則は、日本のとるべき方針として、多くの国民のあいだに定着している。」と書き直したといういきさつがあるとこの新聞記事に出ております。  恐らく検定官は知らなかったのだろうと思いますが、この国是という言葉が発出されるまでこの国会の、特に外務委員会は物すごい問題がいろいろあってそして国是という言葉ですべての決議やその他に対する政府の態度を固めたいきさつがありまして、国是という言葉はちょっと譲れないわけであります。  そういう状況のある中で文部省の一検定官が不用意な発言をした——ここに書いてあるかどうかよくわかりませんから、不用意な発言をしたとすればこれは大問題である。当外務委員会の重要マターとして集中審査をやるべきテーマである。あるいは国会全部とめてけんかすべきテーマであって、社会党の国対でも当然そんなことはお考えだろうと私は挑発的に申し上げているわけでありますが、それほどのテーマである、国会全部とめていい問題であるというようにも思っておるわけであります。  したがって、きょうはもう時間がありませんし、私は自分でこれ以上調べることができませんでしたので、深刻な事態であることを御認識いただきまして、文部省に対して何を言っているのかということをお問い合わせいただいて真相をこの委員会で御報告をいただきたい、また、改めて非核三原則は国是であるということをこの場で明示していただけないか、この二つのお願いをするわけでございます。前の方は後ほどで結構でございますし、国是か否かの問題については今承っておきたいと存じます。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 非核三原則が国是であるか否かというような問題については、今渡部さんがおっしゃいましたように長い間国会で、外務委員会だけではなく予算委員会でも随分質問され、論議をされまして、国是とは何ぞやという問題から入ったことも私もよく承知をいたしておりますし、特に鈴木総理のときは、国是は国の基本的な政策であって、その政策が国民大多数の支持を得ておる、それが国是というものじゃないか、こういうことも言われたわけでございます。  私も、国是という言葉がどういうところに淵源を持っておるか、今ここでつまびらかにはしませんけれども、しかし結論的に言えば、今のような国の基本政策であって大多数の国民がこれを支持しておる、これがやはり国是とも言うべきものじゃないか。そういう立場から、例えば非核三原則というのはまさに国是とも言うべき国の基本的な政策である、こういうように私は確信をいたしておるわけでございます。(渡部(一)委員「国是であるとはっきり言ってくださいよ、国是というべきものじゃだめなんです」と呼ぶ)要するに、国是というのが、国会の答弁で鈴木総理が述べたようないわゆる国の基本政策であって国民の大多数がこれを支持しておる、こういうことであるならばそれは国是である、非核三原則というのはまさに国是である、こういうことが言えると思います。しかし、国是というのをどういうふうに解釈するかというのはまた新しい問題であろうと思いますが、我々の立場から考え方を言えば、今のそういうことならまさにこれは国是とも言うべき大原則である、こういうふうに思います。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 では終わります。どうもありがとうございました。

中島源太郎自由民主党・新自由国民連合

○中島委員長 次に、木下敬之助君。

木下敬之助民社党・国民連合

○木下委員 安倍外務大臣、先日のサミットは御苦労さまでございました。サミットに関した質問はもう相当されておると思いますが、私なりに私の角度から幾つかの質問をいたしたいと思います。  まず最初にサミットの性格についてお伺いをいたします。  西側主要先進七カ国首脳が一堂に会するサミットは、一九七五年の第一回ランブイエ・サミットに始まり、今回のロンドン・サミットで十回を数え、一つの節目を迎えたわけでございます。  本来、サミットは経済を主体として開催されてきましたが、ソ連のアフガン侵攻事件を政治問題として取り上げた第六回のベネチア・サミット以来政治的色彩を強めています。今回のロンドン・サミットでも東西関係、イラン・イラク戦争、これらが主要なテーマとなり、サミットの性格は大きく変化してきたのではないかと思われますが、どうでしょうか、大臣のお考えをお伺いいたします。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 今回のサミットは確かにランブイエ以後第十回のサミットでありまして、サミットとしては相当定着をした、こういうことが言えるのじゃないかと思います。そしてそのサミットの性格は、御承知のように当初からエコノミックサミットというように規定をされておりまして、世界経済の安定、発展を図る、第一次石油ショックからこれを乗り越えて世界経済を活性化していこうということでサミットが進められたわけでございます。しかし最近、回を追うごとに、やはり世界の先進国の首脳が集まればどうしても問題は経済だけではおさまらない、当面の政治問題にも議論が及ぶということで、やはり議論は経済、政治相半ばするといったところが大体今のサミットの状況ではないかと思うわけでございます。  こういう中で、今回は特に政治の面においてはイラン・イラク戦争も随分議論されました。あるいはまた東西対話の問題あるいは国際テロリズム、そうした問題等が議論をされまして、三つの宣言と一つの議長声明が政治の面としては発出をされた、こういうことでございました。

木下敬之助民社党・国民連合

○木下委員 サミットが一九七〇年後半の石油危機による衝撃波を食いとめるため、世界経済の運営に一定の貢献をしてきたことはひとしく認められる事実であると思います。サミットは必ずしも各国の期待するものをもたらしてはくれなかったかもしれないが、何かを防いだ、こういった点に大きな意味があろうと思われます。  外務大臣は、危機管理システムとしてのサミットの機能をどのように考えておられるか、お伺いをいたします。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 確かに私は、サミットは、サミット参加国七カ国だけで世界の貿易量の半分以上あるいはGNPの半分以上を持っておりますから、その一つの合意というものが世界経済を大きく規制するという効果はあるわけですから、そういう意味では七カ国のこれまでの経済についてのいろいろの取り決めといいますか、合意というのは、世界経済を安定させていくという意味では相当な効果があったのではないか、こういうふうに率直に思っておるわけであります。

木下敬之助民社党・国民連合

○木下委員 それで、今回のロンドン・サミットでは、民主主義の価値宣言のほか四文書が採択されております。全部で五つですね。このように採択文書が多かったことは従来のサミットではなかったように思えるのですが、これはいかなる理由によってこういうことになっておるのか、どう思われますか、お伺いいたしたいと思います。

恩田宗外務省経済局経済統合課長

○恩田政府委員 先生御指摘のとおり、採択された文書は非常に多うございますが、首脳間で、また外務大臣間で議論されました政治的問題が多岐にわたっておりまして、結局このように経済宣言のほかに四つの文書が採択されたわけでございます。これは一九八〇年のベニスのサミットのときにもやはりハイジャックであるとか難民の問題であるとか問題が多岐にわたりまして、四つの文書を採択した経緯がございました。

木下敬之助民社党・国民連合

○木下委員 そういうこともあろうかとも思いますけれども、両論併記をされておるような部分もあるような感じのところもございまして、各国首脳の意見とか思惑に幅があって集約できずにこうなったのではないか、そういう感じもするのですが、どうでしょうか。そういうことで、各国首脳がそれぞれ外交的、内政的要請を背景にしていて、ロンドン・サミットでは、サミットの役割にもおのずから限界があって、過大な期待を抱くことは禁物のように感じております。採択文書が洗練された形式を整え、美辞麗句を盛り込むだけではサミットの危機管理機能も風化してみずからの活力も衰退することになるおそれがあるのではないか、こう思いますが、大臣、どうお考えですか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 サミットは経済サミットと言われてきておりますが、政治が相当加味されてきましたが、しかしこれは各国の首脳が本来的に集まって、そして自由に討議をしていく、そしてそこにおのずから結論といいますか合意が出れば大変結構なことであって、やはり自由に討議をしていくというところに大きな意義があるのではないかと私は思うわけです。  そういう立場からすると、宣言とかコミュニケということになると、おっしゃるようにどうしても足して二で割るようなものになってこざるを得ないわけで、お互いに妥協もし合わなければならぬ。ですから、そういう点で物足らないという面もおのずから出てこないわけではない。ただ、問題点がはっきりするということはそれなりに意義がある。例えば国際テロリズムの問題等も今サミットで取り上げだということは、今の世界の情勢から見ると一つの意義があるのじゃないかと思います。あるいはイラン・イラク戦争、これもそれなりの意義があるし、これをああいう形で議長声明に持っていったということが今の国連議長の呼びかけというものにつながって今日の部分的な停戦にも結びついていったのではないか、私はこういうふうに思っておるわけでございます。  一概には言えないわけでございますが、やはり私ずっと出ておりまして、このサミットはこれからいろいろと変貌していくのではないかというような感じもしないではありませんが、しかし基本的にはサミットというのが西側の国々の意思を決定する機関ではない、これはよくミッテラン大統領も言っておるわけですが、決してそういうものであってはならない。しかし、一つの合意というのがあるとするならば、それは特に経済の合意等によって安定あるいは連帯、そういうものにつながっていくということは大変それなりの大きな役割というものが出てくる、こういうふうに思っております。

木下敬之助民社党・国民連合

○木下委員 大臣も変貌していかれるのではないかという感じを持っておられますが、今後開催されるサミットでは、政治の比重が一段と加わって、政治優先のサミットに変貌していく可能性が強いように思われます。大臣はこの点はどのようにお考えになりますか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 ことしなんかは経済が非常に明るい。アメリカの経済がよくなっておりますし、あるいはまたヨーロッパの経済もよくなっておる。日本の経済もよくなっておる。そして開発途上国には問題がありますけれども、何とか累積赤字問題も一応危機を回避している。こういうことで全体的に空気が明るい経済状況ですから、そうなればどうしても政治の方向ヘウエートが出てくるということも、それはおのずからやむを得ないことでもあろうと思うわけです。また国際経済というのが非常に悪くなってくる、こういうことになれば、サミットの性格もやはり本来の経済に重点が置かれるような形にもなるだろう。私も、そのときの政治、経済の状況の変化に応じてサミットというものの論議のウエートも違ってくるのではないか、こういうふうに思います。しかし、少なくともエコノミックサミットと言われるような経済を中心としたサミットから、やはり半分は政治の面に議論を割くようなサミットにこれから変わっていくんじゃないだろうか。それがまさに避けては通れないサミットの流れではないだろうか、こういうふうなことを、私も去年出まして、ことし出まして、実感として感じておるわけであります。

木下敬之助民社党・国民連合

○木下委員 サミットは大事な問題を話し合うわけですから、そのときの世界の情勢で変化する、それもわかります。しかしまた、サミットはこうあることが望ましいという理想もあると思うのですよね。そういう中で大臣は、今そういう流れにあるような、その流れにあるというのが、世界の情勢がそういうものを必要としている、政治的なものを必要としている情勢にあるという流れを感じておられるのか。サミットは、理想的にそういったものを含めていくのがサミットの望ましい姿と考えておられるのか。その大臣の、サミットはこうあるのが望ましいと思っておられることと、またなぜ時代の流れと感じられるのか。どこでそんなふうに肌で感じられたのか、ちょっとヒントでもお教えいただいたらありがたいと思うのです。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 私は首脳ではありませんけれども、これまで三回サミットに出席をしまして、首脳の論議をずっと聞きましたし、また論議にも参画いたしました。そして経済のコミュニケであるとか政治宣言であるとか、そういう作成にも今回もタッチしたわけでございますが、そういう論議の過程をずっと踏まえてみて、サミットというのは、やはり西側のまさに最高首脳が出てくるわけでございます。例えばレーガン大統領だとかミッテラン大統領だとかサッチャー首相だとかコール首相だとか、そういう西側のまさに政治、経済を決めていく最高首脳が出てくるわけですから、その連中が集まってくれば、これは経済で問題の論議を終えるということは—一年に一回の会ですし、連中はNATOの首脳会議等もあるわけですけれども、しかしどうしてもこれは政治に相当のウエートが置かれざるを得ないというのは避けては通れない、これは自然の流れだろうと思うわけです。ですから、経済サミットに限定してこれからいろいろと準備を進めるというところにちょっと無理も出てくるのではないか。ですから、政治というものをある程度前提にしたサミットに持っていってもいいのじゃないか、私はこういうふうなことすら考えるわけですが、しかし、これは私がどうする、こうするという問題ではありませんで、首脳がこれからもサミットの性格等については寄り寄り考えていくことであろう、こういうふうに思います。

木下敬之助民社党・国民連合

○木下委員 大臣がどうこうするというわけじゃないにしましても、そういう方向を本当に肌で感じておられるということが伝わってきたような感じでございます。  そういう中で、そういうサミットに対応し得る体制は我が国は整っておるのか。今後、具体的にはどういうふうにやっていけるとお思いですか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 我が国もそれなりに世界の舞台の中で十分対応できるだけの力というものを、特にサミットにおきましても堂々とやっていけるだけの力というものを持ってきておるというふうに思うわけでございます。特に経済の面においてはもうあらゆる面で自信を持って取り組んでいけるわけでありますが、国際政治ということになりますと、やはり日本は日本なりの独特のスタンスというのがあるわけでございますし、そしてまた西側といっても、NATOに入っているか、入ってない国々の立場もあるわけでありますし、そうした面から、政治ということになるとこれはなかなか難しい面も、同じ西側とはいっても私はあると思うのです。そういう中で、政治がどうしても避けて通れないということになれば、日本もこれからのサミットヘの対応の仕方としては、やはり正面からそうした政治についてのいろいろの情報あるいは準備、そういうものは一応整えてこうしたサミットに臨んでいく必要があるのじゃないか。また、サミットにおいても今までは経済を中心にしたシフトをしいておったわけでありますが、政治にも少しウエートをかけた、こちらの代表団といいますか、そういう体制もこれは考える必要があるのじゃないか。やはりサミットの性格に応じた体制をつくるということは必要であろう、こういうふうに思います。

木下敬之助民社党・国民連合

○木下委員 それでは次に、軍備管理の宣言に関して質問をいたします。  今回のロンドン・サミットは、米ソを中心とする東西関係の悪化やイラン・イラク戦争のペルシャ湾への拡大など国際政局の緊迫した状況下で開催されたわけですが、軍備管理の宣言で東側との対話の姿勢を打ち出し、軍備管理交渉にソ連の復帰を呼びかけていますが、ソ連側からの反応をどう掌握しているのかをお伺いいたします。

西山健彦外務省欧亜局長

○西山政府委員 お答え申し上げます。  現在までに私どもが承知しております主な動きといたしましては、例えば去る十一日、ザミャーチン、これはソ連の党中央委員会国際情報部長でございますが、サミットにおける西側の呼びかけは具体性に欠け、しかもNATOによるINF配備という前提条件を維持しており、アイルランド議会でのレーガン演説を再確認したものにすぎない。宣言の目的は、米欧の世論の懐柔にあるというふうに述べたということを聞いております。  また他方、チェルネンコ書記長自身も、プラウダ紙の質問に対する回答の形で、これは十四日付でございますけれども、対話というものは真剣なものでなければならない。ソ連とその同盟国に対し、米新型核ミサイルのねらいをつけておきながら同時に交渉を呼びかけるということは政治的欺瞞ではないか、そういう趣旨のことを述べておりまして、要するに一言で申しますと、ソ連の反応は冷ややかである。前向きの姿勢を示唆するところは現在のところ読み取れないという感じを持っております。おおむね東欧諸国についても同様の反応が二、三出ております。

木下敬之助民社党・国民連合

○木下委員 今言われた中の六月十四日のプラウダの記事、私は別にプラウダを直接読んだわけでもありませんで、私の方は日経新聞の報道で見たわけですが、ちょっと今言われた表現で、ねらいをつけておる状況の中での話し合いは欺瞞である、こういう感じですが、そのねらいをつけておるというところを、ちょっと原文とかはわかりませんけれども、配備を続けながら交渉をと言ってもと、こんなふうに解釈している文章なんですよね、この日経の方は。だからそういう目で細かくよく見れば、ソ連の今まで言っていた交渉再開の条件というのは、配備済みの米ミサイルの撤去、ねらいをつけたままでというのはそういう意味だと思うのですがね。しかし、そうじゃなくて、そのねらいをつけたというのが、今配備を続けておる状況でというふうに解釈すれば、配備を続けるのをやめて、中止、凍結すれば交渉のテーブルに着けるようなこういう軟化した意味にとれるのじゃないかという解釈記事だと思うのですね。その辺はどうですか。やはり最初言われたとおりで、少しでも軟化したのじゃないかということは全く確認できないのですか。

西山健彦外務省欧亜局長

○西山政府委員 ソ連側は、現在のところ、現状を凍結すれば交渉再開に応ずるとは言っておりませんで、配備を撤回すればというその態度をとり続けております。

木下敬之助民社党・国民連合

○木下委員 まだそういったことを言ってきたりとかいう段階じゃないと思うのですが、しかしながら、微妙ながら、そういうふうな状況で米ソの首脳会談が行われ得る光がちらっとでも見えたのではないかという解釈をしているし、レーガン大統領も、米ソ首脳会談に応じてもいいようなことを言っていると思うのですがね。そういうのはやはりアメリカも軟化したとはっきり言えるかどうかわからないけれども、そういう感じを受けているのではないかと思うのですが、その点どうですか。

西山健彦外務省欧亜局長

○西山政府委員 確かに先生御指摘のとおり、そういうふうなことが言葉としては読み取れるような感じがございます。しかしながら、客観情勢はなかなかそれを許さないのではないかというふうに考えます。

木下敬之助民社党・国民連合

○木下委員 客観情勢は許さないのですが、もう一つの別の意味の客観情勢、ソ連がそういうふうなことを言っていまして、ちょっと言葉で言いますと、これはチェルネンコ書記長ですが、対話や交渉が必要かというなら答えは明らかであり、これはイエスという意味でしょうけれども、それが公正で真剣なものなら我々はいつでもそれに応じる用意がある、こういうふうに改めて強調しているとも思うのですし、こういったのがソ連の態度に変化がある、このように私は考えますが、あるとしたら、その背景は東欧諸国の影響がある、このように思うのです。先ほど言われたその実現、それはできるような状況にないと言われますけれども、東欧の考え方というものと東欧のソ連への影響というものを考えたらあり得るのじゃないかとも思うのですが、その辺はどうですか。

西山健彦外務省欧亜局長

○西山政府委員 先日、コメコンのいわゆるサミットが開かれまして、そのとき二つの文書が出たわけでございます。少なくとも経済面に関する限りは、東欧諸国の間から西側との経済協力の継続ということに対する強い気持ちが表明されたようでございまして、比較的柔軟性のある表現が使われております。したがいまして、その分野でソ連がいろいろと考えだということは想像されるところでございます。しかしながら、少なくとも核軍備及び核軍備管理の問題につきましては、そういうことはございましても、東欧の状況ないし影響が現在のソ連のその政策に大きく影響を及ぼしているというふうにはちょっと思えないように思います。

木下敬之助民社党・国民連合

○木下委員 NATO諸国のミサイル配備に直接脅威を感じている東欧諸国の間には、ソ連は核軍縮交渉を拒否したまま米ミサイルの配備続行を許している、こういう不満が強い、このように聞いております。そういった意味で、ソ連がとりあえず停止というものを考えたとしても不思議はない、このように思うのですが、この点はどうですか。

西山健彦外務省欧亜局長

○西山政府委員 先生が御指摘のとおり、東欧の中にはそういう気持ちがあるのは事実でございます。特に東独などにそういう感じが非常に強いと思います。

木下敬之助民社党・国民連合

○木下委員 そういうことで東欧諸国の間に軍備管理の再交渉を望む声が強いことは、米ソ間の緊迫した関係を和らげる中和剤の役割を果たしている、こう考えられると思います。  大臣にお伺いをいたしたいのですが、これら東欧諸国を通じて東西関係の緊張打開を図っていく考えはございませんでしょうか。東欧諸国を積極的に活用していくべきだと考えますが、どうでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 東欧諸国も自主的な立場で努力をしている国々もあるわけでございますし、同時にまたコメコンのメンバーでもあるわけでございますから、そういう意味ではソ連との関係も非常に深い。しかし、どれだけソ連の外交政策といいますか、そういうものに影響があるか、特に東西問題について影響力を持つかということになりますと、我々も十分その辺のところは判断ができないわけです。しかし、いずれにしても東西の緊張を緩和するといいますか東西の対話を進めていく、そして軍備管理交渉を再開していくためにこうした国々が動いていただけるということならば、これは世界のために大変ありがたいことですから、これはそれなりの努力というものはやってみる値打ちはあると思いますし、恐らくそういう点については各国とも努力をしておるのじゃないか、そういうふうに思います。  日本の場合も、日ソ関係、直接に日ソでいろいろと努力をするとともに、やはり東欧というものの関係も強化しながら、そしてそれは同時に日ソ関係に微妙ないい影響も与えるのじゃないかということも我々としては期待をしながら進めておることも、これは事実でございます。

木下敬之助民社党・国民連合

○木下委員 ソ連に対して甘い考えを持つということは危険だと思いますけれども、こういった微妙なサインをどう解釈していくかということは、やはり希望みたいなものがあって、その希望を持っているから受け入れられるような部分があるのだと思います。そんな意味で、宣言が宣言のしっ放しにならないようにぜひとも希望を持って受けとめながら進んでいただきたい、このように思います。  次に、ニューラウンド交渉と日米欧関係に関して質問をいたします。  ロンドン・サミットで我が国が強く提唱した先端技術の分野あるいは金融サービスについての新しい貿易のルールづくりを目指すニューラウンド交渉については、早い時期に交渉の準備を進めることで合意されたわけですが、交渉準備開始の日程はどのようになっておられますか。また、ダンケル・ガット事務局長は去る十八日、ストックホルムの国際商工会議所総会で、新ラウンド交渉の推進に積極的姿勢を示していますが、新ラウンド交渉についてガットとは協議をどのように進めていくのか、お伺いいたします。

恩田宗外務省経済局経済統合課長

○恩田政府委員 先般のロンドン・サミットにおきましては、新ラウンドにつきましてはタイミング等に関して早い時期に決定を行うべく、他のガット加盟国と協議をする、こういうことになっております。先般、安倍大臣はサミット終了直後にジュネーブを訪問されまして、ダンケル事務局長ほかガットの主要関係者と新ラウンドの問題を通じて既に協議を始めております。私どもとしては、これらの会談を通じて関係者の間で我が国の新ラウンド交渉に対する熱意、考え方についての理解が深まったというふうに考えております。  先生御指摘のダンケル事務局長の最近の発言につきましても、これは大臣の御会見の後のことでございまして、大変効果があったのではなかったか、かように考えております。したがって、私どもとしては、今後ともあらゆる機会をとらえましてガット加盟国等と協議を続けてまいりたいと思っております。もちろん、予定といたしましては本年十一月ごろにはガット閣僚理事会が開かれることになっておりますので、それに向けまして今後ともあらゆるルートを通じての協議を進めてまいりたい、かように考えております。

木下敬之助民社党・国民連合

○木下委員 我が国は、世界のGNPの一〇%を占める一割国家であり、国連分担金では米国に次ぐ拠出国となり、世界銀行でも第二位の出資国になろうとしております。このような経済力に脅威を感じ、その警戒感から今回のロンドン・サミットで新ラウンド交渉の早期開始に西欧が反対したのか、それとも太平洋を挟んでの日米通商あるいはアジア・太平洋貿易への傾斜を避けて、日欧通商により比重を移すべきだとする反発がこのような結果を招いたのか。政府は西欧が新ラウンド交渉の早期開始に反対した理由をどうとらえておられるのか、お伺いをいたします。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 これはいろいろと議論がありました結果、サミットではできるだけ早くニューラウンドの準備を進めるということで決着を見たわけですが、日本、そしてアメリカ、カナダもそうですが、来年に準備を始めて再来年から交渉をスタートしよう、こういう提案をいたしたわけでございます。ですから、これは日本だけに対して反対したということじゃなくて、EC諸国、ヨーロッパ諸国はそれまでに方向を決めておったわけで、これはやはり今進めでおるところのガットの作業計画をまず終わらせなければならぬ。それを進めないでニューラウンドということを打ち出すと、むしろ作業計画の足を引っ張るようなことになってしまう。ですから、大事なことはガットの作業計画を進めることだ、こういう立場で慎重論を唱えたわけであります。それぞれに理屈があるわけで、日本の場合は作業計画を進めるためにも、これはやはりニューラウンドを打ち出すことが必要だということを言ったわけでございます。これはそれなりに両方とも理屈があるわけですが、結局日本とかアメリカが一九八五年あるいは八六年という数字を下げて、早い時期というサッチャーさんの提案に同意をして一件が落着したわけです。  しかし、議論の過程あるいはまたそこに流れるいろいろの空気等から見まして、アメリカが持ち出したとは言っても、日本がまず最初にリードした、イニシアチブをとったということはみんな知っておりますし、余り日本がこれで強く主張し過ぎると日本に対する反発というのが急に盛り上がってくる可能性が全然ないわけでもない。日本に対する批判というのはほとんど出なかったわけです。貿易黒字等に対する批判も何も出なかったし、むしろ日本に対して、構造調整政策をうまくやっているとか、そういう称賛の言葉はあっても、ほとんどそういう批判はなかったわけですが、やはり底流としては、ヨーロッパ諸国は、日本とかあるいはアメリカに対しても高度技術等で相当追い込まれているという感じがあることはあるのですから、そういう反発が急激に大きくなっても困るということで我々は一応妥協したわけです。私は、全体の情勢判断の中ではそれはよかったのではないかと思っております。

木下敬之助民社党・国民連合

○木下委員 日米偏重に対してその是正を図りたい、こういった西欧諸国のねらいがある、こんなふうには考えます。  中曽根総理は、ロンドン・サミット終了後ロンドンの国際戦略問題研究所で記念講演をされております。その中で総理は、日本は世界の平和と繁栄のために能動的な役割を果たすべき立場にあるとし、日本外交の基本方針として日米欧三極の政治的経済的連帯の強化を力説されている。このことはどういう理由であるとお考えになりますか。西欧諸国の日本に対する警戒心を解消したいという願いからか、どのようにお考えになりますか、お伺いいたします。

西山健彦外務省欧亜局長

○西山政府委員 先生御指摘のとおり、中曽根総理はロンドンの英国戦略問題研究所において御指摘のような演説をなさいました。その中で、日米欧三極の重要性を強調されまして、自由と民主主義という価値観を共有している三極が現在の国際政治のもとにおいて政治的にも経済的にも連携、連帯を強化していくことが世界の平和と繁栄のために不可欠である、そういうことを強く言われたわけでございます。その理由につきましては、この演説の中でさらに総理が触れておられるとおりでございまして、今日の世界における三極のいろいろな意味での重要性を考えますと、総理の指摘されておられるとおりではなかろうかと考えます。

木下敬之助民社党・国民連合

○木下委員 中曽根総理は、この記念講演の中で、サミット構成国の共同の決意はありきたりの同盟条約よりも強い意義がある、こういうことを述べておられますが、これはどういうことを意味するのか。大臣、大臣は総理のこういった発言をどのように理解しておられるのか、お伺いいたしたいと思います。

西山健彦外務省欧亜局長

○西山政府委員 どうも総理、外相にかわって私がお答えするのは僭越でございますが、私の了解しております限りでは、総理が言われましたことは、自由主義また民主主義、そういう価値観を同じくする日米欧の連帯の強化ということが非常に重要である、そういう基本的な価値観に対する共同の支持といいますか、それをシェアするというその気持ち、そういうことこそ同盟といういわば技術的な取り決めといいますか、国家間の取り決めよりもさらにより基本的、根本的な、原理的な意味を持つものである、そういうこと空言われたかったのであろうと思います。したがいまして、ありきたりの同盟条約というのは具体的にどこの同盟条約ということを指すというわけではなくて、一つのレトリックと了解しております。

木下敬之助民社党・国民連合

○木下委員 もう時間もありませんし、別にだれの責任がどうこうということではありませんけれども、外務大臣、聞いておってください。  ありきたりの同盟条約よりも強い意義がある、これは、総理はそこで自分は英語で言われたんで、日本の原文があるのかないのかわかりませんけれども、やはり同盟条約なんというのは大変大事な条約でございます。それに、ありきたりのものとありきたりじゃないものとあるのかどうかもわかりませんけれども、しかし総理はそこで講演するときに何かをイメージとして描いておっしゃっているはずですから、一体何のどの同盟条約はありきたりだと思ってやっているのか、総理がどういう考えをしておるのか、ぜひともお聞きいたしたいですね。大臣も聞きたいだろうと思います。本当は、まずは今大臣はどう思っているのかをお聞きし、また総理自身がどう思っているのかもぜひともお伺いいたしたいのです。総理は海外に行くと割と思ったことをそのまま、思ったことじゃない、思っておられることを出される方ですから、多分何か出たのでしょう、物足りない気持ちが、ですね。そういう意味で、ぜひとも真意をお聞かせいただきたいということをお願いいたします。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 ちょうどその演説をされるとき私はスペインに行っておりまして、演説そのものは聞いておりません。ですから、中曽根総理から直接お聞きいただかないと、私もその辺のニュアンスがよくわかりません。しかし。先ほど西山局長が言ったように、西山局長はそばで聞いておりますから、そして英語で演説されたそうですから、西山局長は英語は達人ですから、その辺の雰囲気は彼が判断をして今答弁したようなことではないか、そういうように私も推察はいたしますが、私自身が聞いておりませんから、はっきりしたことを申し上げる立場ではありません。

木下敬之助民社党・国民連合

○木下委員 その日本文、英文、どっちが先にできたのかわかりませんが、できれば先にできたものをいただきたいですからよろしくお願いいたします。  時間が参りましたので、これで終わります。

中島源太郎自由民主党・新自由国民連合

○中島委員長 次に、岡崎万寿秀君。

岡崎万寿秀日本共産党・革新共同

○岡崎委員 私は、サミットの問題について、主としてそこを流れる考え方、論理の問題を中心に質問したいと思います。  近年サミットがますます軍事色、政治色を強めていくことについて懸念の声が聞かれるわけです。昨年のウィリアムズバーグ・サミットの政治声明も次のような一項を述べていました。「我々は、いかなる攻撃をも抑止し、いかなる脅威にも対抗し、更に平和を確保するために十分な軍事力を維持する。」この見地に立ってNATO諸国の戦域核の配備が進められて、それが米ソ両陣営の核軍拡競争の激化に拍車をかける結果になったことは言うまでもないと思うのです。  今度のロンドン・サミットは、ソ連との対話などを強調されておりますけれども、やはり同じような基調が流れているように思えるわけです。民主主義の諸価値に関する宣言の第六項には、「侵略を抑止し、効果的な防衛のための我々の責任を果たすのに必要な軍事力のみを保持する。」多少文章は違いますけれども、やはり力の立場というのは共通したものが感じられますが、これは、昨年のサミットとことしのロンドン・サミット、同じような基調だと、大臣、理解してよろしゅうございますか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 昨年のサミットのいわば延長線上のサミットだ、これは同じメンバーでやるわけですから、そういうことが基本的には言えるのじゃないか、こういうふうに思います。

岡崎万寿秀日本共産党・革新共同

○岡崎委員 延長線上ですから基調も同じだということを御確認されたと理解しますが、さて安倍外相はジュネーブでの軍縮会議で今の国際情勢の厳しさについて米ソ両国に責任があるということを端的に指摘されています。これは大変率直だと私は考えているわけです。「就中米ソ関係が、双方の間の拭い難い不信感の為に、そして、それぞれが自らの安全の確保の途を軍備の拡大に求め、それがまた新たな不信感を生み出すという悪循環」、この指摘は十分傾聴に値すると私は思うのですが、今政府は何かと言えば抑止と均衡ということを口にされますけれども、この抑止と均衡というもとで外相も言われるような相互の不信感の悪循環を招いている、これが実際なのですね。単に不信感だけでなくて核軍備拡大、軍拡の悪循環を招いているというのが実際でございますけれども、この点につきまして、外相、いかがでございましよう。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 今日の軍拡そして核兵器というものが大変な不安感を世界に与えている。そして、それはやはり超大国である米ソに率直に言いまして責任があると私は思います。そして、両国の不信感というものが悪循環をもたらしていることは事実であります。日本も軍縮を強く主張している以上はそういう点を率直に指摘していかなければならない、こういうことであえて演説をいたしたわけであります。  私は、現実問題としては確かに核兵器というのが抑止力の役割を果たしておりますし、いわば均衡と抑止というものが現実的な平和を維持しておるということはそれなりにわかるわけでありますが、しかしそれのみに安住しておって世界の平和がこれからも永続していくであろうかということになると、我々はこの軍縮問題というものにもっと高い立場から、正面から取り組んでいく必要があるということを痛感して、そういう立場で演説をしたわけであります。

岡崎万寿秀日本共産党・革新共同

○岡崎委員 現実的な平和維持機能を果たしているとおっしゃいますけれども、現実には核軍拡競争が際限なく激化しておりますし、またおっしゃるように新たに不信感が悪循環しているという実態があるわけですね。そうしますと、抑止と均衡なるものの考え方について私たちはもう少し立ち入って考えてみる必要があると思うのです。均衡といいましても、それを判断するものはだれかという点なのですね。この点で昭和五十七年の三月十一日参議院の予算委員会で、我が党の小笠原委員の質問に対して塩田政府委員は次のように答弁しているのです。「結局、それは各国がよその国の軍備力をどう判断するかという問題」です。つまり、判断者というのが相手国、それも相手国政府の軍部によるわけですね。これは第三者が公平に査察してデータを出し、客観的な判断ができるものではなくて極めて主観性の強いものであるということ、ここに私は今の均衡論の非常に大きな盲点があると思うのです。この辺非常に重要ですので、どういうお考えか、率直な御回答を願いたいと思うのです。

中村昭一外務省大臣官房外務参事官

○中村説明員 お答え申し上げます。  基本的には塩田政府委員が答弁したとおりでございまして、今日の国際社会におきましては、核兵器を含めた力の均衡に基づく抑止が平和と安定を支えているということは事実でございます。かかる力の均衡を通じて有効な抑止力を維持する努力とともに軍備の水準を可能な限り引き下げる軍備管理、軍縮の促進が不可欠である、こういう帰結に導かれるわけでございます。したがって、先生御指摘のとおり、その第一義的な判断は場合によっては各主権国の政治責任者であり、場合によっては軍事責任者である、こういうことになるかと存じます。

岡崎万寿秀日本共産党・革新共同

○岡崎委員 大変重大な発言なのですね。今平和が保たれているとおっしゃっている、その判断者というのは実は核保有国の政府、第一義的には軍事責任者によって決められている。これは私たちとしてはよほど考えないと、これによって平和が保たれているという論理が実はそれぞれの核保有国の軍事責任者の主観的判断によるものだ、これは非常に重大な発言ですので第一にこの問題をしっかりと確認した上で次の質問に移りたいと思いますが、それでは抑止力とは何ぞやということなのです。  抑止力と言う場合、これはアメリカの国防報告にも書いてありますけれども、必ず相手の優位に立とう、そういう意思が作用しているということ。幾つかのデータがありますけれども、一つだけ一九八三会計年度のアメリカ国防報告から引用しますと、「単に我々の戦力をソ連のそれと見合うものにするために配分されるのではない。」「我々の目標は、永続的な残存性に重点を置いた十分な度合の安全の幅を我々にもたらすような核抑止力を獲得し、維持することである。」翻訳ですからちょっと意味が不鮮明のようですけれども、要するに抑止力というのは同じバランスじゃなくてやや優位に立つ、生き残るといいますか「永続的な残存性」というふうな表現がされていますが、そういう論理が作用するわけですね。そうしますと、抑止と均衡と言いながら、実はこれは軍事当局者の極めて主観的な判断に基づいて相手よりやや優位に立とう、そういう意思が絶えず働くものだということ、これはそのように理解してよろしゅうございますね。

中村昭一外務省大臣官房外務参事官

○中村説明員 米国の国防報告の記述につきましては、これは米国政府の判断、考え方が書いてございますのでそれを直ちにコメントすることは差し控えさせていただきますけれども、大部分の国につきましては政治は文民優位という考えに立ったデモクラチックコントロールのもとに置かれていると考えております。したがって、そのような形で各国の政治的判断というのは十分確保されている、こういうふうに考えております。

岡崎万寿秀日本共産党・革新共同

○岡崎委員  答弁になっておりません。要するに、抑止力というのは、お互いがそのバランスというのはどれがバランスかわからぬわけですよ。ですから、絶えず相手より上回ろうという意思が働くということ。トマホークが配備されればさらにまたSS20がより強化される、こういう形にならざるを得ないのじゃないか、こういうことがはしなくもアメリカの国防報告にも書かれているし、日本が抑止力均衡の論理に立つならばこれは同じような論理じゃないか、そのことを聞いているわけです。端的にそのことをお答えいただきたいのです。

中村昭一外務省大臣官房外務参事官

○中村説明員 あるいは今先生御指摘のような一面もあるかと存じます。それから、最初に申しましたようにこれはその国その国によりましてそこの判断基準があることだと存じまして、日本の場合に今の考え方がそのまま当てはまるか否か、これはまた別の問題かと存じます。

岡崎万寿秀日本共産党・革新共同

○岡崎委員 一面じゃなくて全面じゃないですか。ほかに何かありますか。均衡と言いながら実際上は極めて主観的な判断に基づくものであり、同時にそれぞれが軍事的優位に立とう、そういう意思が作用する一面があるのじゃないですか。こういう立場に立っているからこそ抑止と均衡論というのが実際上は軍拡の論理として作用している、私はこのことを非常に重大な問題だと考えるわけですが、いましばらくこの問題をはっきりさせるために歴史的な事実として見てみたいと思うのですが、戦後しばしば核軍縮交渉がございましたけれども、一度として政府が今言われている縮小均衡という状態を生み出したことはなかったと思うのです。ありましたか。核軍備管理交渉という形で部分核停条約や核拡散防止条約等々が結ばれましたけれども、実際には今世界の保有している核は五万発とも六万発とも言われ、広島型原爆の百万倍ないしは百五十万倍と言われるような本当に危険な段階にまで来ているわけですね。これが抑止と均衡の論理のもとで、今外相おっしゃいましたけれども、現実的には平和が保たれている。保たれている平和はそういう危険な事態のもとでの平和なんですね。ですから私たちは、この抑止と均衡の論というのが歴史的に見ても果たして世界の平和を保障できるものであるかということについてもう一回真剣に考えてみるべき時期に来ているように思うのです。外相はステップ・バイ・ステップで今の核軍縮交渉をやっていくというふうにおっしゃいましたが、これは現実に可能性があるかどうか。これまでやったことは実際上はほとんど縮小均衡ではなくて核軍備拡大ではなかったか。ここで外相、本当にステップ・バイ・ステップでやる現実性があるかどうかについて、そして抑止と均衡の立場に立って本当に平和が維持されるかどうかについて御見解をいただきたいと思うのです。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 世界でこれ以上核軍拡が続けば非常な危険な状況が生まれることはみんなよく承知をしておりますし、そういう中で何とか米ソ間の核軍縮の交渉を再開させたいということで今回のサミットでも呼びかけておりますし、あるいはまた軍縮会議におきましてこれはソ連も参加しまして、軍縮会議ではやはり軍縮問題を真剣に取り上げようということでこれまで努力が続けられて、例えば核不拡散条約等それなりの実績も上げておるわけでございます。ですから、方向としては何とか軍縮の方向へ行こうというときであります。ただ、お互いの国の足並みがそろわないというところに問題があるわけで、そういう中で日本としても今まで核実験全面禁止一本やりで来ておりましたけれども、ただこれは理想として掲げて一緒にやりましょうと言ってもなかなか足並みがそろってこないということで、それではやはり実現可能なステップ・バイ・ステップ方式でまず検証可能なところから核実験禁止を始めて、それから全面禁止に及びましょう、こういう呼びかけをして、それは今までとは違った反応が東西両陣営の中で出てきたというふうに私は見てとっております。これがこれからどういうふうに論議されまして果たしてどの程度まで実現されていくか、これから日本としても提案した以上は全力を上げて頑張っていきたいと思いますけれども、相当の手ごたえはあったように思っておりますし、これからひとつ最大の努力は続けてまいる決意でございます。

岡崎万寿秀日本共産党・革新共同

○岡崎委員 核実験の全面禁止や核使用禁止の問題、これは積極的な意義があると思いますけれども、果たしてそういう部分的措置で縮小均衡の方に行くかどうか。これは私はこれまでの歴史から見ても非常に疑わしいと思うのですが、どうです。これまでの歴史の中で抑止と均衡の立場に立って進めて一度として均衡縮小に向かったことがあるかどうか、これは外務省当局いかがですか。長い軍縮の歴史がありましたが、一度としてありましたか。

山田中正外務省国際連合局長

○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。  軍縮の歴史におきまして具体的な成果はいろいろ上げてきたと思うのでございますが……(岡崎委員「縮小均衡です」と呼ぶ)大臣もたびたび申し上げておりますように、軍縮というものは具体的な措置を伴うものから手をつけていかないと進まないということでございまして、そういう手をつけられるものからいろいろ努力をいたしておるわけでございます。結果といたしまして縮小が行われたかというと、残念ながら現状はそうでないと思います。であるがゆえにこそ、今回の軍縮会議におきましてもその非常に厳しい、好ましくない状況というものを特に大臣から御指摘されまして、特に米ソ両国が本件に真剣に取り組むようにということを訴えたわけでございます。

岡崎万寿秀日本共産党・革新共同

○岡崎委員 抑止と均衡論というのが結果的には、結局は軍縮をもたらさなかったというのは、結果的にではなくて、抑止と均衡論そのものに問題がなかったかということについてやはり私は考えてみる必要がある時期に来ていると思うのです。  昨日の本会議で中曽根総理は、我が党の松本国対委員長の質問に答えて、抑止と均衡論が世界の趨勢だと言われました。果たしてそうでしょうか。私は国連に関する幾つかの文書を用意してきましたけれども、時間の都合でほんの一部を紹介したいと思います。  第一回国連軍縮特別総会、これは一九七八年ですか、全会一致で採択した最終文書には「永続する国際の平和と安全は、軍事同盟による兵器の蓄積の上に築き得るものではなく、また、不安定な抑止力の均衡又は戦略的優越の教義によって支えられるものでもない。」こう言っています。  また、一九八〇年には、ワルトハイム国連事務総長の「核兵器の包括的研究」という本の中で、「恐怖の均衡を通じての相互抑止を約束することは放棄されなければならない。抑止過程を通した世界平和、安定および均衡の維持という概念は、おそらく現存する最も危険な集団的誤謬である。」  もう一つ挙げましょう。さらに、一九八一年十一月、国連事務総長に提出された国連軍縮問題専門家グループの報告書ですが、これには「均衡を得るための試みは、軍事的不安定、終りのない大量の軍備競争及び安全保障への脅威を高める結果となる。」  ここに流れているのは、抑止と均衡というのがすべて国連の会議においても否定され、これを乗り越えなくちゃいけないという強い意思表示であるというふうに思うわけです。  これは三月二日でしたか、当委員会で安倍外相は国連重視、国連中心の立場で努力するということをおっしゃいましたけれども、外相、この現実をどうごらんになりますか。

山田中正外務省国際連合局長

○山田(中)政府委員 先生御指摘のように、国連の第一回軍縮特総等において、永続する平和というものが不安定な均衡と抑止の理論だけではだめだという指摘をしておることは事実でございます。ゆえにこそ、軍縮が必要であるということを言っておるのでございまして、その軍縮の進め方といたしまして同じく第一回特別総会におきまして、いずれの段階においても個々の国、またはグループ間の安全を害することなく、相互にバランスをした形で縮小を図っていかなければならないということを進め方として言っておるのでございまして、私どもが軍縮に取り組んでおりますのも、大臣が先般の軍縮会議で提案いたしましたのも、この線に沿った努力を我が国として続けていこうということでございます。

岡崎万寿秀日本共産党・革新共同

○岡崎委員 抑止と均衡というその論理については、先ほど国連の三つの文書を挙げましたが、世界の大勢は必ずしも総理が言われるように抑止と均衡ではなくて、もう一つの潮流として、抑止と均衡ではない真の完全軍縮の方向、そして軍事ブロックからの離脱の方向があるということは、これを見てもはっきりしていると思うのです。現実に、今非同盟諸国を初めそういう形で努力している。抑止と均衡論は、これ自身が軍事ブロックに参加している国の政府の見解であって、世界的に見れば少数意見じゃないか。現在、現実に国連加盟国の中における非同盟の占める比重や、先ほどの国連総会での決議等々を見てもはっきり言えると思いますが、こういう状況に対して一九八〇年にワルトハイム国連事務総長は、この抑止と均衡論というのは、これは人類が採用できる唯一の選択ではない、と。外相、唯一の選択ではないというのは、別の選択もあるはずだということをワルトハイム国連事務総長も言っているわけです。日本政府も自民党も、これを唯一の選択肢とするのではなくて、もっと別の選択肢があるのではないかということをやはり考えるべき時期に来ていると思うんですね。こういう点から唯一の被爆国日本でありますし、究極的にということを取り除いた核兵器全面禁止の国会決議もありますし、この見地に立ってこの抑止と均衡論、これに安住するのではなくて、そしてまた、これが現実的に平和をもたらしているというふうに現象的にのみ見るのではなくて、現実にはこれが非常に危険な核軍拡競争を招いているし、もう引き返しのつかない段階になりつつあるという現実を踏まえて、これは外相、この抑止と均衡論、いつまでもこれにとらわれるのではなくて、やはりこれと違うもう一つの選択、核兵器の完全禁止、軍事ブロックからの抜け出す道などについてもお考えになる必要があると思いますけれども、もう一つの選択があるということについてはどうでしょう。御見解を承りたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 抑止と均衡が、結局現実的には世界の平和を維持しておるということ、これは現実問題としてはそういうふうに私は思うわけでありますが、しかしおっしゃるように、我々としては、今の抑止と均衡の中で依然として核軍拡も続いておるし、それは米ソ両大国の不信感、あるいはまたそれが悪循環につながっていっているわけですから、我々はやはり抑止と均衡が現実的に世界の平和を守っておる、保っておるということは、これはもう認めざるを得ないわけですから、しかし今おっしゃるようにこれに安住すべきではないというふうに私も思います。ですから、我々は軍縮という高い目標を掲げて、そしてその目標に至る現実的な軍縮の一歩一歩を積み重ねていくという努力を怠ってはならない、そういうふうに思いますし、私が今回軍縮会議に出席したのもそういう立場からであります。

岡崎万寿秀日本共産党・革新共同

○岡崎委員 平和を保っているだけではなくて、もう一面では核軍拡競争も非常に危険な段階を招いているということも現実だと思うんですね。それはお認めになりますか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 やはり非常に不安な時代だと思います。これは何としても軍縮を段階的にでも進めて、そして最終的には核廃絶というところに持っていかなければ真の平和というものは生まれてこないのではないか、こういうふうに思います。

岡崎万寿秀日本共産党・革新共同

○岡崎委員 結局、抑止と均衡論というのが核軍拡競争に対しては何ら手を縛るものではなかったということ、かえってこれを激化させるものになったということは、これは現実じゃございませんか。その辺、大臣どうでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 これは抑止と均衡といいますか、やはり核の抑止力が戦争を回避して、戦後四十年近く、大きな戦争を防止し得た大きな原因であった、こういうふうに私は思います。第二次大戦の終わった直後は、やはりアメリカの非常に巨大な、均衡ということはなかった、むしろ核を持っているのはアメリカですから、そうしたアメリカの巨大な力というものが戦争を回避したと思いますし、その後、ソ連がずっと核を持って、そしてどんどん追いついてきた。そういう中で均衡的な状況に入ってきているわけですが、それがむしろ逆に戦争を防止し得たということになって今日に至っておる、そういうふうに私は思います。

岡崎万寿秀日本共産党・革新共同

○岡崎委員 時間がありませんのでこのぐらいにして、最後に非同盟問題について聞きたいと思いますけれども、今度の民主主義の諸価値に関する宣言の中で「真正な非同盟を尊重する。」そういう表現がございますね。これは具体的には何を指すのですか。どの国を指すのでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 非同盟運動におきましては、一時キューバ、ベトナムを中心に社会主義諸国と非同盟諸国とは自然な同盟の関係にある旨主張する国々が勢力を有したわけです。これに対して非同盟運動は、本来の趣旨より東西いずれにも偏するべきでない、社会主義諸国に対しても非難すべき行動があれば非難するという真正非同盟を追求する国が増加をいたしております。ソ連のアフガニスタン侵攻、ベトナムのカンボジア侵攻等に対する非難等より見て、現在、非同盟の大多数の国がこうした傾向を強めておる、こういうことを言っておるわけであります。

岡崎万寿秀日本共産党・革新共同

○岡崎委員 ソ連に対してもアメリカに対しても、非難すべきことは大胆に非難する、これは結構だと思うんですよ。ところが、大多数の国々がそうなっているというふうに今大臣はおっしゃいましたけれども、総理はロンドンでの日米首脳会談で、非同盟中立グループは四つに分けられる、その一つは我々に近いグループ、もう一つがソ連に近いグループ、そして中間的なグループの中にもソ連寄りとそれから我々寄りがある、みんなどこかへ寄っちゃったんですね。こういうふうに答えられているのですが、大臣は同じ考えですか。これでは真正非同盟ではなくなっちゃうんですね。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 いろいろと分類の仕方は主観的にあると思いますが、しかし私が言っているのは、あるいはサミットで言われる真正非同盟というのは、社会主義勢力にも属しない、あるいはまた西側の勢力にも中立を保つという勢力ですね。ですからベトナムが侵攻すれば、これに対して非難をする、そういう勢力、あるいはまた西側が間違ったことをすれば、やはりこれに対して敢然として非難をするということも、それは当然のことであろうと思いますが、やはりそういう、本当に西にも東にも寄らない勢力、これが真正非同盟の勢力じゃないか。今、大体そういう健全な非同盟勢力が結集されつつあるというふうに思います。最近の非同盟運動といいますか、非同盟勢力というのは、そういう力が非常に強くなってきておる、こういうふうに率直に思います。

岡崎万寿秀日本共産党・革新共同

○岡崎委員 実際にそうです。大臣がおっしゃるように、今非同盟運動というのは、国連の中でも三分の二を占めますし、昨年三月、インドのニューデリーで開かれました非同盟諸国会議には百二十四カ国、これはオブザーバー、ゲストを含めてですが、これだけ参加していますし、核兵器の廃絶や使用禁止の問題、それから軍事ブロックに属さない世界平和について非常に積極的な貢献をしていると思うんですね。こういう非同盟の潮流ということについては、私たちは注目しなければいけないと思うのですが、これを真正の非同盟なんかと呼んで、おまけに総理のように四つに分類して、どこかに偏るようにやるのは、実際上の非同盟運動に対する介入じゃありませんか。私は、それを非常に懸念するわけです。軍事ブロックの立場から、どちらに寄っているということを見て、西側に寄っている方に援助をやり、今まとまって大きな潮流になろうとしているこういう非同盟運動の中に援助という形で分裂を持ち込むようなことはすべきじゃないと思いますけれども、安倍外相、いかがでございましょう。

安倍晋太郎自由民主党・新自由国民連合外務大臣

○安倍国務大臣 日本の場合は、相互依存、人道主義、こういう立場に立って援助を進めておるわけでございますから、我々としては援助と非同盟運動というものと直接結びつけて考えてはいません。しかし、非同盟運動がやはりこれからの世界の流れの中でまさに今のような健全な動きを進めていくことを我々としては期待をいたしておるわけであります。

岡崎万寿秀日本共産党・革新共同

○岡崎委員 今の外相の御答弁とそれから四つのグループに分けるような総理の発言とではかなりのニュアンスの違いがあるように思うのですね。どっち寄りかに非同盟を分けて、そして、真正な非同盟という表現の中にも四つに分ける考え方の一端がのぞいていると思いますが、こういう見地でやるのは、これはやはり軍事ブロックの論理であり、態度だと思うのですよ。抑止と均衡論といい、真正の非同盟論といい、今回のロンドン・サミットに流れている基調というのは、軍事同盟諸国の首脳会議としてのそういう論理が貫かれているということについて、率直にそして厳しく指摘したいと私は思うのです。  時間が来ましたので、以上で終わります。

中島源太郎自由民主党・新自由国民連合

○中島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十一分散会

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