外務委員会 第15号
- 発言数
- 161 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1984/05/18
会議録
○中島委員長 これより会議を開きます。 日本国とマレイシアとの間の国際郵便為替の交換に関する約定の締結について承認を求めるの件、日本国政府とペルー共和国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件及び国際電気通信条約及び紛争の義務的解決に関する国際電気通信条約(千九百八十二年ナイロビ)の選択追加議定書の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、これを許します。土井たか子君。
○土井委員 いよいよ国際電気通信条約をきょう審議いたしまして議了という運びになる予定でございますが、奥田敬和郵政大臣におかれましては、この外務委員会はふるさとのように思われているのではないかと思います。この条約審議につきまして、まさしく所管の大臣でいらっしゃる郵政大臣として当委員会に御出席をいただけたことは、本当に私もうれしゅうございます。きょうはまず大臣に端的な御質問を申し上げさせていただくことから始めて、制限時間の中で審議を終了させていただきたいと思います。 今回のこの国際電気通信条約の主たる改正点を見てまいりますと、電気通信分野における開発途上国への技術協力、技術援助の促進によって、国際協力のもとに南北の格差を是正していこうというところにその主眼点がございます。したがいまして、今までのように、先進諸国が相互間にいろいろとお互いの権益について先進諸国同士の主張を相交えて、そして場合によったら独善的な行き方をしてきたということに対しては、今後はいよいよそれは許されない、そういうことに対してはみずから自覚を持って今回の改正のポイントであるところに努力を払っていくということでなければ、今後の国際電気通信関係に対しても今回の条約の目的が全く意味をなさないということにもなってくるだろうと思うのです。 そこで、お尋ねさせていただきたいのは、今回、日本のこれに関係する国内法として電気通信事業法等々がございます。こういうことについてアメリカの政府から厳しい内容の書簡が日本に出されたというふうに私も聞き知っておりますし、そして新聞もこの中身については一部報道いたしておりますが、新聞の記事を読んでみますと、これまた一つ一つが非常に厳しい中身でございます。具体的に項目を挙げて言うと、かなり厳しい内容が羅列されているわけですが、アメリカからこういう内容の書簡が日本に来たのですか。外務省、いかがですか。まず、このことについてお尋ねいたします。
○恩田政府委員 先生御指摘の書簡はブロック米国通商代表よりの書簡のことと思われますが、ブロック通商代表は三月五日付で、安倍外務大臣、奥田郵政大臣、小此木通産大臣及び藤波官房長官あてに手紙を書いてきております。
○土井委員 それは内容としたら恐らく同一のものであろうかと思われるのですが、それは同一のものかどうか、そして内容面についてどういうことを言ってこられたか、それはいかがですか。
○恩田政府委員 この四つの書簡は内容は同一のものでございます。内容といたしましては、日本企業が米国市場で得ていると同等の機会を米国企業に日本でも与えてほしい、こういう趣旨から、外国企業が通信事業について日本に参入する場合差別的な制限を行われることは日米間の貿易摩擦にもつながる、心配である、したがって、米国側としてはその希望を表明したいということが書いてきた内容でございます。新聞で大まかな報道があった内容がほぼそれを伝えていると思いますが、特に、特別第二種事業の外資に関する規制はOECD資本自由化コードに相入れない、したがって、特別第二種事業に許可制度等が導入されることになれば、それは不要かつ過度の負担となるといったような内容が中に入っておりました。
○土井委員 これは、アメリカの立場からするとアメリカの権益について主張されている、この一点に尽きると思うのですが、日本側から考えてみますと、ちょっとこれは行き過ぎた中身ではないか、内政干渉にわたる中身ではないか、こういう批判も私たちの側からしたら当然のことながら言わざるを得ません。郵政大臣、こういう問題に対してどのようにお受けとめをなさっていらっしゃるかというお考えをまずお伺いをしたいのであります。いかがでございますか。
○奥田国務大臣 御指摘のブロック書簡でございますけれども、私も三月五日付で書簡を受け取りました。外務大臣、通産大臣そして私と三大臣に同じ内容の書簡を送ったということも明記されておりました。 ただ私は、通商貿易を担当するブロック代表が自由貿易推進という立場から、関心事である第二種電気通信事業、まあその中の主なVANに関して期待を込めて要望を寄せてきたという形で受け取りました。したがって、今先生の恐らく通信主権あるいは国の自主的な政策立案の立場に干渉してきたという意味合いでは受け取っておりません。希望、期待を込めた要望であると私は理解してまいりました。
○土井委員 そうすると、今回のこの国際電気通信条約の前文を見ますと、「各国に対してその電気通信を規律する主権を十分に承認し、」「この条約を締結することを合意した。」こう書いてあるのですが、今回のアメリカ政府の書簡等々を通じての日本に対する申し入れと申しますか、ある場合では要求というふうに言わなきゃならないと思いますが、これはこの条約の中身には触れない、中身からするとこの条約に反するということではない、こういうふうに郵政大臣としてはお考えになっていらっしゃるというふうに受けとめていいのですか、いかがでございますか。
○奥田国務大臣 先生御指摘のとおり国際電気通信条約において各国に電気通信を規制する、規律する主権は十分にそれを尊重し、承認すると明記されておることはそのとおりでございます。 ただ、ブロック書簡が、こういった通信主権あるいは我が国の自主的立場についての内政干渉の立場であったかという形については、先ほども私はお話ししましたように、期待を込めた要望を私に寄せてきたという形に理解したところでございます。 ただ、我が国の法律は我が国で自主的に制定するものであることは当然でございますし、今回の問題についても私はそのような態度で対応してまいりました。ブロック書簡に先立って在日マンスフィールド大使も私のところへ訪問して、こういった外資に対してできるだけ緩やかな措置をとっていただきたいという旨の要請もいただきました。その際にも、私は、世界で新しい情報化社会に向かって門戸を開いて先導的な役割を果たそうという我が国の姿勢として、原則自由な立場で外資に対しては最も緩やかな形だけを担保してやろうと思っておるという形を述べまして、これが日米の問題化するということはあり得ないという形で理解を求めてきたところでもございます。結果的には、先生の御指摘のように、今回の電気通信事業法案では内外無差別という形になりました。 しかし、当初の私の考えとしては、郵政省の考えとしては、こういった全国的な大型VANに関しましては、やはり神経組織、国の神経系統に相当する通信事業の観点からいいまして、最小限の外資の規制というものは担保しておく必要があるのではなかろうかという姿勢に立っておりました。しかし、一社独占で外資系に支配されるようなおそれというものを恐れておったわけでございますけれども、その後、電電を初め国内企業の中でも十分対抗して競争原理が働くという判断の上に立って、党とも相談しながら、結果的には内外無差別としたわけでございます。したがって、先生の御指摘のように、ブロック書簡によって政策変更したということではなくて、通信主権はブロックしたと私は思っております。
○土井委員 今のブロック書簡の問題は、なるほど今大臣がおっしゃったように、事情はブロックしたということで、ひとまずまた後の推移を見なければならないという関係にあるだろうと思いますが、それに関連して、国内的事情であと一点だけ大臣にお伺いをさせていただきます。 それは、公衆電気通信という事業は、戦前戦後を通じまして、日本の場合は一元的運営体制で実施されてまいっております。政府は電気通信事業の効率化、活性化ということを考えて、民間の自由な算入を認める電気通信事業法案を用意されたといういきさつがあるわけですね。電気通信事業の自由化に対して、第二電電であるとか第二KDDであるとか、それぞれそういう主体を目指して経団連を初め民間企業がそれに対してどんどんと名のりを上げてまいります。また一方では、所管省からすると、運輸省は国鉄、建設省は道路公団というぐあいに、第二電電の設立に次々と電気通信事業への算入を表明するという格好になってまいります。 そこで、私が大変気にかかるのは、全国的に通信ネットワークが錯綜するわけですね。錯綜する中で、恐らくはそういう状況がこれからどんどんどんどん、もっともっと増大していくだろうということを考えれば考えるほど、今申し上げているようなそれぞれの主体の持っている経緯からすると、どこが一体この通信ネットワークの主体になるのであるかということがはっきりされておらないと、これからそれは問題が大変複雑化していくのではないかというふうに私自身は思うのですが、郵政大臣、いかがでございますか。
○奥田国務大臣 結論からちょっと先に言わせていただきますけれども、先生が御心配なさるように、国鉄や道路公団も、新しい電気通信事業法案が通過した暁には新規参入したいという希望表明をしておることは事実でございます。しかし、国鉄、道路公団といっても別に鉄道や道路事業を行うわけじゃなくて、通信事業を行うという形で新規参入することになります。したがって、その新しい通信事業に関しましては、通信を所管する郵政省がこういった通信事業法の定めるところに従って適切に監督していくことになることは当然でございます。 先生の言われました、今度の事業法案によって全国的なネットワークが新規参入で何かごちゃごちゃになるのではないかという御指摘でございます。確かにこれまで、非常に大きな二大目標と申しますか、全国の積滞解消あるいは全国自動化のネットワークが電電の一元的な独占体制のもとで達成されました。そしてまた、全国あまねく電気通信役務というものがこういう一元体制のもとで公益性を発揮しながらやってきたことも御指摘のとおりでございます。 ただ、今回の新しい事業法案を御審議願うことにいたしておりますのは、こういった独占体制というものの中で、果たして最終ユーザーである国民にこれから高度情報化社会に向けての多種多様なサービスが単に一社独占体制でできるかということでございます。私たちは政府として、競争原理を大いに働かして多種多彩なメディアがお互いに自由に国民に選択されるという形の中で、今回の法案審議をお願い申し上げておるところでございます。私は、一時的には先生の御心配になるようなクリームスキミングと申しますか、特に東京―大阪あるいは神戸間といったところに非常に新しい通信メディアが発達する、また企業の数からいってもそういった地域においてはそういった状態も起こると思います、一時的には。しかし、競争原理が働くことによって、結果的には安い料金体系、そしてまた良質なそういった料金体系が必ず国民に還元されてくると私は思います。そういった意味合いでは、確かにいい結果に、最終的なユーザーである国民に安い料金体制という形に持っていくことが私たちの今度の新法案のねらいでも民営化のねらいでもあるわけでございます。しかし、新電電会社が、公益性、今言われましたように全国あまねくこの電気通信役務を提供するという形は、新しい特殊会社となった後にもこの面については法的にも義務を課しておるわけでございますし、国民のサービス低下に陥らないようにこれからもそういう考え方に立って指導してまいるつもりでございます。御心配の形は起こらないということで対応してまいりたいと思っております。
○土井委員 大臣、ありがとうございました。どうぞ。これで大臣への質問は終わらせていただきたいと思います。 あと大きく二問、外務省に対して質問をさせていただきます。 一つは、これは条約の三十三条の二というところを見ますと、「宇宙無線通信のための周波数帯の使用に当たっては、周波数及び対地静止衛星軌道が有限な天然資源であり、これらを国又は国の集合が公平に使用することができるように、開発途上国の特別な必要性及び特定の国の地理的事情を考慮して、無線通信規則に従って効果的かつ経済的に使用しなければならないことに留意する。」こうございますが、これは静止衛星の軌道が問題として討議の中で出てきたことを私たちも聞き知っております。軌道は有限でございますから、この問題に対して当然討議が出てくるであろうということは想像にかたくないのですが、開発途上国の主張がこれに対しであったことに対して、我が国の方からはどういう態度でこれに臨まれたかという点で、赤道にあるそれぞれの国からこの問題に対しての主権の主張があったということが具体的討議の中で出ているように私たちは知っているわけでありますが、日本としてはそのときに討議の中身を留保されたのですか。
○斉藤(邦)政府委員 ただいま最後の御質問に限ってお答えいたしますと、我が国としては宣言を行っております。留保を行ったとは考えておりません。
○土井委員 そうすると、政府は一体の原則でございますが、郵政省からお出しになっている今回のこの国際電気通信連合全権委員会議報告書、これを見ますと、記載は「留保」ということになっていますよ。これは留保条項による留保というふうに読んで、考える人が多いだろうと思います。今宣言とおっしゃったのはどういうことです。宣言と留保とどう違うのです。宣言とおっしゃっているのはどういうことです。
○斉藤(邦)政府委員 留保につきましては、条約法条約の規定によりますと、ある国が、「条約の特定の規定の自国への適用上その法的効果を排除し又は変更することを意図して、条約への署名、条約の批准、受諾若しくは承認又は条約への加入の際に単独に行う声明」という定義がございます。我が国が今回行いました宣言は、この「条約の特定の規定の自国への適用上その法的効果を排除し又は変更する」、これに当たらないというのが我が方の考えでございますので、我が国政府の一定の立場を表明したものではございますけれども、国際法上の留保には当たらない、したがって宣言であるというふうに考えている次第でございます。
○土井委員 どうも今の御説明を承っても釈然としないのです。この辺は今回の改正点からすると非常に大切な問題であったと私は思うのですね。これは開発途上国からの主張としては大きな主張ですよ。日本がその問題に対してどういうふうに認識をし、どういう態度をとったかということに対して、外務省が提出された説明書を読んでも、どこにも一言半句書いてないのです。そのほかの今回の条約を審議するに当たって提出された資料一切当たってみても、そういう向きは何らないのですね。どういうふうにこの問題に対して日本政府として、外務省として対応なすったかということを知るすべがないのですよ。以前は、同じような対応をされたことに対しては、ここに私は議事録を持ってまいっておりますけれども、こういう問題はわずかの修正であっても一回一回条約が新たになるというのが本条約の特徴でございます。したがって、そういうことからすると、昭和五十年四月十八日、当外務委員会の会議録を見てまいりますと、ちゃんとそういう旨のことが附属書として、その部分に羅列された資料が当外務委員会に提示されております。何だか見ておりますと、だんだんだんだん外務省自身が便宜措置にゆだねるような姿勢が強くなっておりまして、当外務委員会に出す資料の中身を見ましても、大事なポイントについて、当然触れておかなければならないことに対しても割愛をされるということがあるんじゃなかろうかと私は思いますよ。どうもこれは説明書の中でその旨は書いておいていただかなければならぬポイントじゃないですか。いかがですか。
○斉藤(邦)政府委員 従来各国が行いました留保ないし宣言を盛られております最終議定書、これを国会に御提出していたという点は御指摘のとおりでございます。今回なぜそれを提出しなかったかという点につきましては、今回の条約につきまして事務局より入手した認証謄本にこの最終議定書が含まれておりませんでしたために、国会に提出した文書に含めなかった次第でございます。 この背景といたしましては、従来ITU条約におきましては、留保、宣言が署名時にのみ行われるかのようなプラクティスがございまして、そうだといたしますと、署名時で各国間の法的関係が確定するという形になりますので、最終議定書が条約と不可分の一体であると考えることが適当だったという事情がございます。それが、最近に至りまして、ITU条約におきまして留保ないし宣言は署名のときに限らず、その後も、署名後締結に至ります、例えば加入、批准の時点でも留保が行えるという考え方が受け入れられるようになりましたので、各国間の法的関係というのは署名の時点で確定しないというふうに事情が変わったわけでございます。したがいまして、事務局といたしましても、最終議定書は不可分の一体ではないと考えるのが適当であるというふうに考えて認証謄本に含めなかったという事情があるようでございます。その点は……
○土井委員 もういいです。そういうことをおっしゃるんだったら、そのことをどうして説明書にお書きにならぬのですか。今回このように事情が変わりましたということを外務省ははっきり申し述べられるべきですよ。
○斉藤(邦)政府委員 最終議定書を含めなかった事情は今申し上げたとおりでございます。 ただいま御指摘の、今回我が方が行った宣言が今回の改正で非常に重要な点ではないかという点につきましては、全くそのとおりだと我が方も考えております。したがいまして、形式的に国会承認の対象といたしまして最終議定書を提出しなかったのはただいま御説明いたしましたような事情でございますけれども、説明書その他の文書におきまして、我が国の宣言を含みますその間の事情を御説明すべきであったという点は、我々至らないところがあったと反省しております。
○土井委員 毎回、至らぬことがあったということを繰り返しておっしゃる、そのたびが重なっていくわけでありますね。次回からはもう再びこういうことをいたしませんという気持ちを込めてその都度おっしゃるのだけれども、どうも悪い癖はどんどんエスカレートするような傾向にありますから、ここでしっかり強くそれは言っておきますよ。 さて、あともう一点。これは、宇宙条約を審議いたしました節、私はそれを取り上げて質問をいたしましたら、これまた答弁が釈然としないままで今日に来たのですが、今度という今度は釈然としないままでは済まない問題なんです。アメリカから衛星を購入して、飛ばすわけですからね。それはどういうことかというと、墜落時に賠償責任がどのようにとられるかという問題なんです。これは、無過失責任という名において政府が賠償責任を果たさなければならないというふうに考えなければならないと思います。というのは、宇宙損害賠償条約では、国が無過失で損害賠償の責任を負うというふうに定められているからであります。 その質問をしたときには、将来にわたって必要とあらば考えなければなりません、国内的措置としても法制化をする必要がございますというふうなところまで行ったのですが、五十八年四月二十七日、つまり昨年この問題を問いただしたときには、国内法整備はまだだ、現時点ではそれは考えておりませんという答弁だったのです。我々これから検討しますということなんですから、この答弁どおりにいけば、外務省と通産省、関係省庁の間でこの問題に対して詰めをされているはずです。検討されたのかどうか。現時点でそのことに対して法制化がどのようになっているか、これをひとつお聞かせください。
○斉藤(邦)政府委員 その点につきましてはただいま各省間と検討を続けているところでございまして、他国の法制整備状況等も調べている最中でございます。
○土井委員 ずっと調べ続けられて、それに終始されるということですか。どれくらいの目安で法制化を具体的にしたいと思っていらっしゃるのですか。考えはいつまとまるのですか。
○斉藤(邦)政府委員 いつまでにその検討が終わるというのをお約束するのは非常に難しいのでございますけれども、実態上の必要が生じる前には必ず検討を終了して結論を出したいと考えております。
○土井委員 これはちょっといただけませんね。一体どのようにその問題についての認識を持っていらっしゃるのか。余りにも認識がお粗末過ぎますよ。これはいただけないですよ。しっかりしてもらいますよ。
○斉藤(邦)政府委員 御指摘のとおり、そういう実態上の必要性が発生する可能性というのは非常にふえていると思います。先ほど申し上げましたとおり、それが現実のものとなる前には必ず結論を出したいと思っておりまして、この点は閣議におきましてもそのように了解されていると承知しております。
○土井委員 官房長官、せっかくの御出席ですから、これは今どういうふうに御認識ですか。これは非常に差し迫っている問題だと思うのですね、本当に。法整備は、事が起こってから、被害が出てしまってからやろうというのじゃ、これは泥縄よりもっとひどいですわ。
○藤波国務大臣 今政府部内で協議をいたしておりますので、御心配のようなことのないように万全の措置をとっていくようにいたしたいと思います。この席に着きまして今まだ数分間でございますけれども、いろいろ御質疑を伺っておりまして、お話の趣旨に沿うように十分注意もし、努力をしていかなければいかぬ、こんなふうに考えますので、どうぞお見守りをいただくようにお願いを申し上げたいと思います。
○土井委員 まことにこれは了承しかねるような御答弁でございます。採決をするということであって、これが最後の質問になるのですが、この質問に対する答弁で採決をすることも本当に何だか不満足というふうな気持ちでありますけれども、まあしかし、今努力をするということを最後におっしゃったことを私たちとしたらしっかり見まして、さらに、その中身について、おっしゃったことの責任を行動でひとつはっきり示していただく、このことを私は強く申し上げて終わります。
○中島委員長 これにて各件に対する質疑は終了いたしました。
○中島委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 まず、日本国とマレイシアとの間の国際郵便為替の交換に関する約定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中島委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。 次に、日本国政府とペルー共和国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中島委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。 次に、国際電気通信条約及び紛争の義務的解決に関する国際電気通信条約(千九百八十二年ナイロビ)の選択追加議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中島委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中島委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ―――――――――――――
○中島委員長 午後三時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時五分休憩 ――――◇――――― 午後三時開議
○中島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 この際、各質疑者に申し上げます。質疑時間につきましては、理事会申し合わせのとおり厳守されるようお願い申し上げます。 なお、政府におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川要三君。
○石川委員 与えられました時間が十分でございますから、私の考え方は除きまして、率直に、十分以内で二点についてお尋ねをしたいと思います。 まず第一点でございますが、例のイラン・イラク紛争というものがもう四年続いているわけであります。この数日、ペルシャ湾航行の例のサウジの大型タンカー攻撃を契機に、極めて緊迫の度を増してきたわけでありますが、ちょうど連休前だと思いますけれども、イランのベラヤチ外務大臣が訪日されまして、その際に、イランとしてはペルシャ湾岸地域にこれ以上戦争を拡大したくない、拡大する考えはないという点、それからイランの石油輸出が全面的に阻害されない限り、ホルムズ海峡は封鎖しない、こういうようなことを日本政府に言明されたように記憶をしております。そして、その外相の訪日から一週間後、例のカタールの首長が訪日をされたわけでありますが、その一週間後のカタールの首長の訪日に対して、ベラヤチ・イラン外相がわざわざ安倍外務大臣にメッセージを託されたということを聞いているわけであります。そして、イランとしては、決して湾岸諸国にこれ以上の迷惑はかけないというような意味のメッセージを託されたと聞いておりますが、そういうふうな状況の中に、今申し上げましたようにサウジの大型タンカーの攻撃というものは、極めて私どもにショックを与えたわけであります。このような情勢の中で、今回のこのサウジのタンカー攻撃というものを総理はどのように受けとめていらっしゃるか、それについてのお考えをまず一点お聞かせいただきたいと思うわけであります。 そしてまた、このタンカー攻撃直後に湾岸協力機構の諸国、GCCと言われておりますが、このGCC諸国からの我が国に対する要請というものは何らかあったかどうか、またアメリカからもそういう問題についての要請のお話が何かあったかということをお尋ねしたいわけであります。 そして三番目に、現在のイラン、イラクの双方に関係を持つことができる数少ない我が国、しかもよく言われておりますように、これらの国に対しては、本当に手が汚れていない我が日本、こういう日本という立場で、これからのこのイラン・イラク紛争に対して、総理としてはどのような対応をしていくお考えをお持ちであるかということをお尋ねしたいわけでございます。 今日まで我が国におきましては、安倍外務大臣また外務省の高官等も、いわゆる水面下のいろいろな平和に対する行動を展開しておるわけでございますけれども、この点については世界各国から大変大きな期待を寄せられていると思うわけであります。この点についてさらにこれからもっと具体的な、日本のなし得ることは一体何であろうかということにつきましての総理の御見解、そしてその中に例えばこういったような問題の解決に当たる特使派遣、果たして言葉は適切であるかどうかわかりませんが、そういうことに対する考えをお持ちかどうかということについて、まずお尋ねを申し上げます。
○中曽根内閣総理大臣 まず、イラン・イラク戦争の状況とサウジのタンカーの被害に関連しての御質問にお答えを申し上げます。 イラン・イラク戦争は非常に不幸な戦争でございまして、日本としても速やかなる停戦及び和平の成立を望んでやまないところでございます。日本も数年にわたりまして努力してきたところでございます。しかし、戦線は最近の情勢を見ると膠着の状況に近づいてきているように思います。情報によりますと、イラン軍は陸上兵力においてかなり優勢で、国境地帯にかなりの兵力を集めているという情報はございますが、一方において、イラク軍は航空兵力においてかなり優位に立っているという情報がございます。最近このような膠着状況を打破するという意味もあるのでしょうか、相手がみんな石油輸出国ですから、石油輸出機能をとめるということによって相手に打撃を与えよう、そういうような意図があるのかもしれません。我々がほかの国でありますから確認できるわけではありませんが、想像するに、情報ではそういう情報は多いようでありますが、政略的攻撃と思われるようなものが行われているのではないかと予想されております。 しかし、いずれにせよ、このようなふうに抗争が拡大し、エスカレートしていることは、あの地帯の和平に重大な障害を来すのみならず、ひいては世界の平和、安定あるいは世界経済の将来に対しても大きな影響を持っておるものでございまして、まず第一に我々としてはこのエスカレーションを避けるということ、そしてでき得べくんば、各国が武器輸出等をできるだけ慎んで、そういう意味において日本が武器輸出していないということは、非常に大きな和平への努力であると思います。できるだけこれを慎んで、そして和平の方向に持っていく努力を行うことが望ましい、そのように思っております。 GCCにおきましては、きのうあたりから、先般来のサウジあるいはクウェートのタンカーが被爆したというような点から緊急の外相会議を開いておるようで、重大関心を持っていると聞いております。もっともな話であります。我々といたしましても、GCCが行わんとしておる和平への努力というものについては十分理解できるところでありまして、我が国の和平への路線と合致する範囲内において、やはりGCCとも協力していきたい、そのように考えております。 米国がどういう態度をとっているか。先般ブッシュ副大統領が参りましたときに、この問題にもちょっと触れまして、やはり早期停戦、和平へ事態を導くことが望ましいということで意見が一致いたしました。アメリカとしてもやはりかなり積極的な努力もしていると私は思っております。例えばイスラエルの武器が相当イランに行っているという情報はありましたが、最近の情報ではアメリカはイスラエルに対して勧告をして、それを極めて強く抑制しているというような情報も聞いております。 いずれにせよ、あのホルムズ海峡及びそれから奥の地帯にわたる地帯は、世界経済の心臓部の一つでもございますし、我が国の心臓部の一つでもございますから、そういう意味においてできるだけ早期にこのエスカレーションを避け、停戦さらに和平、そういう方向に持っていくように、日本としてもあらゆる機会を通じて努力してまいりたいと思っております。 我が国は、幸いに経済協力等を通じて両国とともに友好な関係を持っておりまして、今後とも両国に対しましては話し合いを通じてそういう緊張を緩和して、そしてエスカレーションを避け、停戦さらに和平、そういう方向に持っていくように対話等を通じて環境づくりに全力を尽くしてまいりたいと思っております。もとより我が国が仲介をするとか調停するという立場にはございませんけれども、西欧の国あるいはいわゆるアジアにおける先進工業国におきまして、両方と話ができるのは多分日本ぐらいなものではないかと思います。そういう意味におきましても、日本の立場というものは客観的に見ても非常に大事な立場にあるのでありまして、慎重な上にもできるだけ今日の事態を平和の方へ持っていくように今後とも努力してまいる所存でおります。
○石川委員 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
○中島委員長 次に、土井たか子君。
○土井委員 もう申し上げるまでもなく、四年前のモスクワ・オリンピックに際しましては政府は不参加をお決めになったわけですが、あの節は政治をオリンピックに持ち込むべきではない、そういう立場に立ちまして、私たちは参加すべきであるということを言い続けたわけでございます。 今回、ロサンゼルス五輪にソビエトの不参加が決まったときに、同様な意味におきましてこれはまことに遺憾であると私たちは思っているところです。オリンピックが政治の駆け引きの場になってまいりますと、だれしもが憂慮いたしますのは、東西の冷戦構造がかき立てられるということでございます。中にはキューバ以来の今回は危機であるとさえ言われる方があるわけでありますが、総理とされましては、今回のロス五輪に対しましてソビエトそして東欧諸国の不参加ということによって引き起こされる今後の国際政治をどういうふうにお見通しになっていらっしゃるか、そこのところをまず承りたいと思います。いかがでございますか。
○中曽根内閣総理大臣 まことに不幸な事態であり、遺憾な事態であると申し上げる以外にはほかに言葉はございません。こういうスポーツの世界が過剰な政治あるいは商業主義というものによって阻害されているということは、スポーツ本来の性格から見てもまことに残念でございまして、こういう点については政治の分野におきましても極力抑制、自戒すべき問題があると思っております。 ただ、遺憾には違いないのですが、モスコー大会と、ロサンゼルス大会の今回の場合を比べてみますと、やや趣が違う面があると思います。と申しますのは、モスコー大会の場合にはアフガニスタンに対する侵入という重大な事件がありまして、外国しかも非同盟・中立の国に対して武力侵攻を行ったという国際法上の違反の重大な事件があそこに起きたわけであります。今回のロサンゼルスの場合には、選手の安全保障が確かでないというようなことであって、そういう国際法上の大きなエベントと申しますか事態とは若干違う、そういうような点でニュアンスの差は私はあると思いますが、いずれにせよ遺憾な不幸な事態であると考えております。
○土井委員 そういう政治理由を挙げてまいりますと、俗に言う言葉では、売り言葉に買い言葉ということがお互い出てまいりますために、これはもう果てしなく事はエスカレートしていくということ以外にないように思います。 さて、六月上句にはロンドンでサミットが行われる予定になっておりますが、昨年のウィリアムズバーグの場合には、あのサミットの場所に対して私たちが従来から持ってまいりました、少なくともサミットという場所は通商問題、南北経済問題など国際経済全般を論ずる場であるというふうに位置づけてまいりましたことから少し趣が違ってまいりまして、政治声明を出されたことで実はえっという気になったわけであります。今回この六月のロンドン・サミットで政治声明をお出しになるようなことはよもやないと思うのです。こういう政治声明を出すというふうなことがなされるのは、どうも私たちとしてはいただけないというふうに思っているわけです。今回もしサミットの場所をそういう対ソ的な、対外強硬政策をいろいろ分析しながら、それを中身に盛った政治声明を出すなんというふうなことになりますと、もはやその場所は反ソキャンペーンの場に堕するわけでございまして、これはまるでただいまの、いろいろ冷戦構造が激化していっているというふうな読みからいたしますと、火に油を注ぐような状況に相なるかと思いますが、総理大臣とされては、どういうふうにこの問題に対して考えていらっしやいますか。
○中曽根内閣総理大臣 今回のロンドン・サミットにつきましては、まだその討議の要綱も正式に決まっておりません。これから最後の詰めの段階に入るものであります。政治声明を出すとか出さぬとかいうことは、各国がその場でみんなで考えて合意を形成するかしないかというような問題でありまして、今ここでとやかく言うべき問題ではないと思います。 ただ、このサミットは御存じのように、名前もエコノミックサミットとか経済先進工業国、先進民主主義国家の会合とか首脳会議とか、そういうふうに言われておりまして、経済的な問題が主体ではありますけれども、しかし一面において、自由貿易の推進とか経済の繁栄を保つという意味においては、平和の確保というものもその基礎としては非常に重要な案件であります。そういう平和の確保という問題から、政治的な分野にまである程度見解が及ぶということもやむを得ざる問題であるし、平和を確保するというそういう基本的問題について正面から取り組むということは、否定すべき問題ではないと思っております。ロンドン・サミットにおきまして、これからどういうふうな手続が行われるか、今のところは確定したお答えを申し上げかねる事態にあるということを申し上げる次第です。
○土井委員 ロンドン・サミットについては、これから具体的な内容がどうなるかということが決まっていく段階であればこそこの問題は非常に大事だと申し上げたいのは、昨年は総理がウィリアムズバーグで、政治声明を出すことのための旗振り役をむしろなすったと我々は理解しているからであります。今回ロンドン・サミットで同じようなことが繰り返しなされるということになると、それ自身は今総理が言われた平和を願うという立場から、その場所をその望む方向に持っていきたいということからそがれるのではないか。むしろ冷戦状況というものを激化する方向に、ただいま諸般の事情からするとその場所がなっていくという嫌いがなきにしもあらずであります。したがいまして、この点について、よもやそういう反ソキャンペーンを含めての政治声明を出すようなことはなさるまい、それはすべきでないと私考えておりますから、この点について、昨年の経緯にかんがみ、総理大臣の毅然たるお答えをひとついただきたいと思うのです。いかがでありますか。
○中曽根内閣総理大臣 平和を確保するということは、経済に優先する重大案件であると私は思います。また核兵器を地上から絶滅して、そのためにこれを削減してついに絶滅まで持っていくということも経済に優先するぐらいの重大案件であると思います。そういうような関心を抜きにして世界の首脳が集まるということはあり得ない。経済の問題で集まるでしょうけれども、しかし、そういう平和を確保するという緊要な問題について話が出るということは十分あり得ることであると思っております。
○土井委員 話が出る場合は、それは十分にあり得るでしょう。その場合に、やはり対ソ戦略というふうなことで、西側陣営が強固に地歩を固めるというふうな場所にしてしまったのでは、先ほどおっしゃったような、サミットの場所は平和を基盤にして経済的なさらに促進、交流というものを考える場所にはなりおおせないと私自身は思うわけであります。 ところで、総理、既にソビエトに対しては外務省の欧亜局長が訪ソされておりまして、対ソ外交について交流計画を組んでおられます。例えば日本映画祭をモスクワ、レニングラード、ナホトカで行う予定があるとか、日ソ租税条約の交渉が予定されているとか、夏以降には、山村農林水産大臣が訪ソされるとか、日ソ友好議連の円卓会議が予定されているとか、そして秋には日ソ外相会議が国連の場で持たれるというふうなことが考えられているわけですけれども、これについては変更することなく実現する方向で努力を傾けられることが当然であると思われますけれども、いかがでございますか。こういうときであればあるほど日ソ関係修復の持つ意味は大きゅうございますから、したがってこれについてお尋ねをするわけです。いかがです。
○中曽根内閣総理大臣 平和の確保は、やはり世界的スケールで考えないと今日の平和は確保できないと思っています。こういう長距離核兵器というものが誕生しておるという状況になると、ヨーロッパの問題はアジアの問題であり、アジアの問題はヨーロッパの問題である。そういう意味においては世界的なベースでこの問題に取り組まないと平和の確保はできない。そういう点では非常に事態が変わってきているように思うのであります。そういう意味において自由主義、民主主義を同じ信条とする国々が同じような考えに基づいて平和を確保しようという方策において一致し得る、それを、おのおの自分の憲法及び国是の協調し得る範囲内において連帯性を持って事を行うということは、平和を確保する上について現実的に考えられることであると私は思っております。 さらに、日本の問題について考えますと、ソ連との間におきましては、私前から申し上げますように、一番手ごわい相手とは一番粘り強く対話の道をつくり、それを広げていくべきであると申し上げているとおりでございまして、具体的にどういう要目があるか、これは検討を要することでございますけれども、私は、施政方針演説におきましても、この対ソ関係を、領土問題という問題をもちろん前提にしてあるわけでありますが、対話の糸口を広げて打開していきたい、そういう新しい表現も使っておるのでありまして、そういう意味において糸口を広げて打開していくという努力は今後も続けてまいりたいと考えております。
○土井委員 そうすると、既に話し合いが進んでいる、そうして計画もある程度具体的な実現を目の前にしているという中身については、これを変更なくさらに努力をしていくという方向で今の総理の御答弁があったように私は受けとめるわけでありますが、米ソ対立激化に引き込まれることなく、またそれを促進する側に立つのではなくて、先ほど総理がお答えに劣ったように、世界的規模で緊張緩和の方向に向けて努力することが緊要であると言われた、そのとおりであります。やはり米ソ対立激化にくみするのではなくて、デタントに向けてどういうふうにしていくことが大切であるかということが問われているわけでありますから、今の対ソ外交、一番手ごわい相手に対しては一番粘り強くとおっしゃったことは、それは現実の問題としてはそのとおりに相なろうかと思いますけれども、この具体的に考えられているそれぞれの計画の中身について粘り強くこれの実現に向けて努力をする、そういうお気持ちで今お答えになった、そういう意思表示のお答えであったと受けとめてよろしゅうございますね。
○中曽根内閣総理大臣 私は、前から申し上げているように、平和の維持という問題に関しては非同盟中立あるいは非武装中立的立場をとっておらないのであります。現実の世界を冷厳に見ておれば、やはり均衡と抑止力という形によって平和が維持されてきておる。ここ三十八年間の世界の動きを見てみれば、遺憾ながらそれが生々しい現実であります。それで平和が維持されてきているという実績を考えてみると、やはり均衡と抑止という基本的考えに立って我々は外交政策あるいは国の防衛政策を進めざるを得ないのであります。そういう基本的考えを前提にして今のような御答弁があったと御理解願いたいと思うのであります。
○土井委員 よくわからないですね。禅問答のようなお答えだと思うのです。均衡と抑止の上に立って、しかし具体的に話し合いを進めていっていることに対しては現実の問題として、それは、総理大臣は繰り返しおっしゃるように、やはり努力こそ私は肝要だと思うのです。したがいまして、そのことに対しては、中曽根総理の持ち味よろしく、具体的にやはりそれに対してはこう思いますという御答弁があってしかるべきだと思うのですが、先ほどから承っておりますと、御答弁の中身をどういうふうに理解したらいいのか。もうひとつこっちにとってはつかまえどころがない御答弁としか言いようがないのです。どうなんですか、米ソ関係において今考えられている具体的な計画については。
○中曽根内閣総理大臣 土井さんほどの方ですから、眼光紙背に徹して、文脈をお読みいただけるものだろうと了解しております。
○土井委員 これはますますわからなくなる一方ですが、つまり、今まで考えてきたことももう一度総ざらいして考え直してみるというふうな意味でおっしゃっているのか、このたびは諸般の情勢からしていささか消極的にならざるを得ないというふうにお答えになっていらっしゃるのか、それとも、やはり我々日本の置かれている地位、立場というのは、国際的に考えて、デタントの方向に向かって努力するということからすれば非常に大事な位置にある、大事な役割を果たすというふうな我々は立場にある、したがってそれに対して最大限の努力をするというふうにお答えになっていらっしゃるのか、これはもうどれとも考えられるのですね。どうなんです、大臣。ここのところは時期的に非常にまずいというふうなお考えもあるのかもしれませんけれども、もうちょっとわかるようなニュアンスを持ったお答えが出てしかるべきだと思うのですが、いかがですか。
○中曽根内閣総理大臣 基本的立場は今申し上げたとおりでありますが、その基本的立場に立って緊張緩和、それから世界平和の方向に持っていくように努力していきたいし、日ソの二国関係の問題についても打開していきたいと考えております。
○土井委員 今のお答えでややわかったような気がいたします。 次に、朝鮮半島の緊張緩和について少しお尋ねを進めさせていただきたいと思います。 朝鮮半島についての緊張緩和が極東の平和にとって必要なことは言うまでもございませんし、私たちはもちろんそれを望んでおりますが、昨今緊張緩和のために三者会談とか四者会談とかという提案がなされておりますが、中曽根総理御自身の三月の訪中それからさらにはレーガン大統領の訪中で朝鮮半島の緊張緩和についての問題が討議されてきたわけであります。またその後胡耀邦総書記の訪朝、金日成主席の訪ソが今から予定されているというふうなことが動きとしてございます。各国の首脳がそれなりの動きをしているということが今私たちの目に鮮やかに映っているわけですが、中曽根総理が訪中なさいました折に韓国の意向などを中国側にお伝えになって、中国残留韓国人と韓国の留守家族との交流についていろいろお話し合いの上で成果があったように私たちは受けとめております。中国側も、スポーツ交流は言うまでもございませんで、徐々ではございますけれども、韓国との関係を和らげていこうというふうな姿勢がこのところ見られてきているわけでございますが、今後中曽根総理とされましては、朝鮮半島の緊張緩和に向けてどのような方針でお臨みになるのか、まずその基本姿勢と申しますが、基本的な御認識と申しますか、そういうところを承りたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 先般中国へ参りまして、鄧小平主任あるいは胡耀邦総書記あるいは趙紫陽首相らの皆さんと会見いたしましたが、特に胡耀邦さんとの話等におきまして、朝鮮半島に絶対戦争があってはならない、この見解については両国首脳部において完全に意見が一致した。そのためにおのおのがおのおののやり方、環境に従って努力し合おうという約束をしたことも非常に大きな成果であると思います。 先般、胡耀邦総書記がおいでになりましたときに、日中不再戦、日中は再び戦わず、そういう約束をして、二十一世紀に至るまで友好親善、提携を強めようという約束もいたして、二十一世紀委員会もいよいよ成立いたしました。これらは北東アジアにおける平和構築作業の一つであると思っておりますが、今後もこういうような精神に基づいて輪を広げていくように努力いたしたいと思っております。 中国における会談において中国側は非常に度量の広い考えを示していただいて、韓国と中国との間のスポーツの国際的交流、国際的交流という意味は国際試合には出ていくというような意味だろうと思いますが、あるいは近親相互交流等についても非常に度量の広いお考えを示していただいたということは非常に感銘したところでありますが、そういうような精神に基づいてできるだけそういう人道的問題については交流を促進していくということが望ましい。これは北朝鮮との間においても人道的問題については同様である、そういう性格もある、そういうようにも考えております。もとより各国によって事情がございますから、それらの特有の事情というものは考慮さるべきものでございますけれども、一般的に言ってそういうことが言えるのではないかと思います。 しかし、朝鮮半島の平和の問題というものは、これは韓国も北朝鮮も同じように主張しておりますが、自主平和統一ということを両方とも言っておるわけであります。自主平和統一。したがって、朝鮮半島の平和の問題は韓国と北朝鮮でまず第一に当事者として合意が形成されるということが必要であろう、そう思っております。いろいろな変化があっていい方向へ動いてきたなと思ったときにビルマのラングーンの爆弾事件がありまして、ああいう不幸な事件によって韓国は非常なショックを受け、国際的威信を失墜したという憤激すら持った。この後遺症がまだ続いておると私は思っております。甚だ残念な状況でありますが、事態をできるだけ改善していくように我々も環境づくりに努力してまいりたいと思っております。
○土井委員 今の総理の御答弁で朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮の問題に対しての御認識をいささか承ることができたように私は思うのです。中国においでになった節、朝鮮半島ではいかなることがあっても戦争を起こしてはならないという御認識で一致されたということをただいまの御答弁でも承ったわけですが、さて、朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮は機会あるたびごとに南進はしないということを今日まで繰り返し繰り返し述べてきております。中国も北朝鮮の南進はないということを事あるたびごとに北朝鮮との話し合いの中で確認をしたことを述べられてきているわけであります。最近は特に、総理御承知のとおりに、姫鵬飛国務委員、元外務大臣、副首相は日本に来られた節に、先日胡耀邦総書記が訪朝された節、金日成主席から南進の意図はないということをはっきり説明を受けた上で、この点を中国の友人にも説明されたいというふうに語られたということが安倍外務大臣とのお話し合いの中で明らかにされたというのが私たちの聞き知るところになっているわけでありますけれども、中曽根総理はこういう事情からいたしまして北朝鮮の南進はない、そういうことは行われるはずはないというふうな認識を持っておられるかどうか。今まではその能力もなければその意思もないというふうなことが大平総理時代、福田総理時代に中国からの認識として述べられてきているわけです。それとも、中国がそのように説明をされても北朝鮮の南進はあるかもしれないというふうに総理自身は思っていらっしゃるのかどうか。 なぜこういうことを私はお尋ねするかというと、それは今後南北の統一に対して、当事者二国間の問題であるからそこのところが肝心だなどと先ほどお答えになっておりますけれども、朝鮮半島にかかわる私たち日本の側の基本認識がはっきりしていないと、緊張緩和、さらには南北の統一という問題に対しての日本としての対応と申しますか認識と申しますか、それが違ってまいりますので、総理自身の御認識を承りたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 北朝鮮が韓国を侵略することはないというようなことは私も聞いております。そして、それが必ず実現されるように熱望してやまないところであります。ただ、果たしてそのとおりいくかどうか、これは国際情勢の問題というものはなかなか予断を許しません。それを非常に熱望はし、期待はしておりまするけれども、将来の問題という問題につきましては注意深く言う必要がある、これは為政者として当然のことであります。 韓国の方の言い分を聞いてみますと、やはりビルマの爆弾事件というものが非常に大きなショックを与えておるわけです。一国の元首が南西アジア諸国を訪問するというやさきに、最初の国において、ああいう聖跡において爆弾が仕掛けられて、自分はもとより、自分の最も信頼している外務大臣以下がねらわれ、外務大臣以下が爆弾で殺された。そういうことを世界の前で見せつけられたというようなことはやはり韓国民にとってみれば非常に耐えがたいことでありまして、そういうことがあったこと自体がやはり疑いを増しておる。果たしてそれが信用できるかどうかという点については非常に大きな疑念を持っておる。そういう点があの問題についてはあって、その後遺症がまだかなりあるということを私は認識しておるのであります。やはりそういう被害を受けた国にとってみれば、それは十分理解されることでありまして、その国の立場もまた考えてやらなければならない。しかし、願わくは、皆さんがおっしゃっているように、朝鮮半島の問題は韓国と北朝鮮の間で自主的に平和的な話し合いで解決されることを強く望んでおるものであります。
○土井委員 終わります。
○中島委員長 次に、高沢寅男君。
○高沢委員 一つの国会で一回は総理が外務委員会に出席される、きょうはその約束を実現されたということにまず評価を申し上げたいと思います。今後ともひとつよろしくお願いいたしたいと思います。 私は、防衛費の一%枠、この問題を中心にしてまずお尋ねをいたしたいと思います。 総理も御記憶のとおり、昭和五十九年度の予算案の審議の過程で、我が党の田邊書記長を初めとして多くの委員の方から一%枠の問題の質問がありまして、総理からは繰り返して我が内閣は一%の枠を守っていく、こういうふうな御答弁がずっとあったわけであります。私はこの総理のお立場をしっかりと評価して、それを踏まえた上で次の問題をお尋ねしたいと思うのです。 それは、五十九年度の予算はまだ成立をして間もないわけでありますが、いずれ例えば公務員の給与の改定の問題とかその他の要因によってこの予算が補正されるというふうになることは私は必至だと思っております。そこで、そういうふうな五十九年度予算が補正されるというような段階になっても防衛費一%という枠はしっかりと守られる、守られるべきだ、こう私は思うわけですが、この点についての総理の御所信はどうか、お尋ねをしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 今日まで一貫しておりまする私のその問題に対する考えは、昭和五十一年に三木内閣が決めました日本の防衛費、対GNP一%、これを守るという方針は、今後も努力してそれを守っていきたいと思います、そういう考えてあります、そういうことを申し上げてきて、それは今でも変わらずに一貫しているところでございます。今後いろいろな問題が出てまいりましょう。その場合におきましても、ともかく汗を流して努力をして、そして三木内閣のあのときの方針を守るべく努力をしてまいる、そういうことを重ねて申し上げる次第でございます。
○高沢委員 今総理のお答えはそういう非常に強い決意を表明されたと私は受けとめたわけですが、その決意をもう少し具体的にお尋ねをしたいと思うのです。 御記憶でありましょうが、五十九年度予算の衆議院の予算委員会審議の冒頭、田邊書記長から三つの選択ということでお尋ねがあったわけです。一つは、一%の突破もやむなし、こういう立場をとる。それから一つは、公務員のベアを三%以下に抑えて、それで五十九年度予算の防衛費を一%以下に抑え込む。もう一つの選択は、ちゃんとやるべきベースアップはやって、しかし給与以外の防衛費の費目を削って一%の枠内におさめる。こういう三つの選択のどれをとりますかという質問があったことは総理も記憶されていると思います。そのうちの第一の選択、一%突破はやむを得ない、これは今の総理の一%は断じて守っていく、こういうお答えによって既になくなったわけです。そうすると第二の選択、第三の選択、このどちらかということでもって総理の今のお答えが裏づけられていくということになるわけでありますが、この辺の選択について総理はどのようなお考えか、お尋ねをしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 今も申し上げましたように、三木内閣の一%を守るという方針は、これを守ってまいります、そういう考えで努力いたしますと申し上げましたが、その線で今後も努力を続けていくということであります。もっとも、GNPがどうなるか、物価の情勢とか為替の問題であるとか、あるいは人事院勧告がどう出るか、八月初旬までは今までの例ではまだ情勢がわかりません。ともかくそういう不確定な要素もいろいろございますけれども、一般方針としては、今まで申し上げましたように、三木内閣の方針を守るべく汗を流し、努力をしていくということを申し上げる次第であります。
○高沢委員 多少くどいかもしれませんが、総理、四月十日の参議院の予算委員会で栗原防衛庁長官は一%の枠についてこういうふうに言っておられるわけです。一%の枠は当初予算を編成する際にこれを守らなければならぬ、これは当然、同時に、その予算が補正された場合、その場合といえどもこの一%の枠は守られるべきものである、こういうふうに非常にはっきりと、補正の場合も一%の枠は守るのだというふうに防衛庁長官は言っておられるわけですが、その防衛庁長官を指揮される総理の立場として、総理も同じお立場である、こう私はもう一度繰り返してお尋ねして、総理のお言葉をいただきたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 今申し上げましたように、今後とも三木内閣のその方針を守るべく汗を流して努力いたします、その答弁に尽きるのでございます。
○高沢委員 私は性善説でありますから決して人の言葉を疑うような性格ではございませんが、ただ、今の努力をいたします、汗を流します、こう言われる総理の言葉が、どうしても補正の場合も守りますという言葉が出てこない。汗を流します、努力をいたします、しかし、人事院の勧告を受けてみたら、あるいはまたことしの経済成長、GNPの数字の帰着を見てみたら、これはだめでした、そこで一%の枠はもう取り払ってまいりますという答えを出すための何か伏線がまさかありはしないか、こう私は思うわけですが、総理、この点はいかがでしょうか。この問題については、総理の政治生命をかけておる、ひとつこういうお考えをしっかりお聞きをしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 ただいま申し上げましたように汗を流して努力いたします、こういう答弁に尽きるということを重ねて申し上げる次第であります。
○高沢委員 きょうはそれ以上はどうしても物は言わぬという決意でこの外務委員会に出てこられたような感じがいたします。 そういたしますと、総理も御承知のとおり、五月十五日自民党の防衛力整備小委員会が二年ぶりに作業を開始された。この五月十五日の小委員会の論議の中でも盛んに、もう一%の枠にこだわるべきじゃない、一%ではなくて別な歯どめを考えるべきだという御意見が活発に出たとお聞きをするわけであります。この種の御意見については、総理はどういうお考えをお持ちか、お聞きしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 小委員会でどういう議論があったか私は知悉しておりませんが、党内にはいろいろな方がおりまして、いろいろな戦略論やら戦術論やら防衛理論をお持ちでありますから、いろいろな議論が出るのは当然のことであると思っております。しかし、それが最終的にどういうふうに収れんされていくかということは今後の党の議論の動向にもよりますので、その点を注目していきたいと思っております。
○高沢委員 いろいろな議論がどういうふうに収れんされていくか、その収れんされていく方向を決定的に決めるその権限はまさに総理自身の手の中にある、総理自身の腹の中にある、私はこう思うわけです。 そこで、ことしの予算の論議の中で、総理は一%という枠について幾つかの意義づけをされております。例えば、一%の枠というのは大部分の国民が期待している水準だ、それが一%なんだ、総理はこういう意義づけをされております。あるいはまた、今まで一%の枠を守ってきた、これはシビリアンコントロールの有力な証拠である、こういうものとして一%の枠を評価されている。つまり、言うならば一%の枠というものを総理は非常に積極的に、前向きにそういう意義づけを与えて評価をされておる。この評価は今後にわたって変わることはない、こういうふうに私は受けとめるわけですが、いかがでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 努力し続けることは値打ちのあることであると思っております。
○高沢委員 これは本当の紋切り型というか、テープレコーダーのごく短い繰り返し以外は言わない、こういう決意で総理がきょうはおみえになったやに見えますが、これで自分の持ち時間を終わってしまうわけにはいきませんので、前へ進みたいと思います。 防衛力整備計画、これについて、今申し上げた防衛力整備小委員会ではこの防衛力整備計画も見直すべきだ、こういう御意見もあったと伝えられておりますが、総理はこの防衛力整備計画は見直すべきだというお考えがあるのかどうか。いかがでしよう。
○中曽根内閣総理大臣 先般、いわゆる五九中業について栗原長官が検討を命ずる訓令を出しました。あの線に沿って私も考えております。五九中業においては大綱の水準達成を期す。これはこれから研究をするという一つの基準として与えた訓令でございますが、将来の五年計画についての話です。そういう栗原長官の訓令に対して、私はそれでよろしいと指示したものであります。
○高沢委員 その五九中業の作業を始めるということを決められた国防会議の中で、承るところによれば、竹下大蔵大臣はこういうふうなこと宣言われたというふうに聞いているわけであります。五九中業、その前の五六中業ももちろん同じでしょうが、これは言うならばあくまで防衛庁のそういう仕事を進めるための一種の参考資料というか、あるいは内部資料というか、そういう性格のものであるということは五九中業といえども変わりはない。したがって、この五九中業がどういうふうなものに決まってくるにしても、その中業に基づく防衛費というものは決して聖域にはしませんよ、財政当局としては決して聖域にはしませんよということを竹下大蔵大臣はくぎを刺されたというふうにお聞きをするわけであります。 私も、先ほど来の心配は、これから昭和六十年度の予算編成、その予算の中における防衛費の編成、それから六十一年から六十五年まで、今度はこの五九中業が始まってくるわけですね。こういうふうにこれから進んでいく過程の中で、先ほど言った一%の枠を踏み越えていくというふうなことになりはしないかと大変憂慮する立場であるわけですが、私は、一%の枠は、これは権威ある閣議の決定であるということであるし、また中業というものは幾ら決定されたにしても、今言った防衛庁の内部資料であり、あるいは参考資料である、こういうふうな性格からすれば、その中業でこう決まったからということによって一%の枠を変える、変更する、これを超えるというふうなことは許されない、私はこう考えるわけですが、この点は、総理の御所見はいかがでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 一%問題については、先ほど来申し上げたとおりでございます。予算編成に当たりましては、防衛費であろうが、社会福祉費であろうが、あるいは教育費であろうが、あるいは公共事業費であろうが、聖域はない、そう考えております。
○高沢委員 聖域はないと言われる総理が実際に組まれた五十九年度予算でも防衛費だけが突出している、これは国民のみんなが認めている客観的な事実であります。 そこで、この際もう一歩進めて、私は、総理に安全保障についての一種の哲学といいますか、そういう立場でひとつ御所見をお聞きいたしたいと思います。 私は、安全保障というものはどういう方法でこれを実現するかという場合に、それに対する答えの仕方を仮に一次方程式で答えるとすれば、私は、安全保障は、それはやはり軍事的な準備をする、軍事力を強めるというやり方が一次方程式の答えになると私は思うのです。しかし、別な答え方もあるわけです。二次方程式、三次方程式というもっと高次の方程式で答えるとすれば、安全保障の方法は、これは何といっても全方位平和外交というやり方とか、あるいは科学や文化、経済、福祉、そういう面において日本が世界の各国と対外協力をしていく、そういう中で日本の国際的地位を確立をし、国際的な信頼を確立し、それによって日本の安全保障を図るという、こういうもっと高次元の方程式もあると私は思うわけです。 そこで総理にお尋ねをしたいわけですが、先ほど来の土井委員に対するお答えでは、総理は、やはり安全保障には抑止力が必要だというふうなお答えがありまして、これは失礼ながらあえて言えば、一次方程式の答え方である。しかし、二次方程式、三次方程式もあるのだということはもちろん総理もお認めになると思います。この間、パキスタンやインドを訪問された際には、そういう発展途上国に対して日本は経済協力、経済援助で大きな役割を果たすのだ、これが経済大国日本の立場だというふうなことも総理は言われたと私は承知しておりますが、そういう高次の次元の安全保障、それと一次元の安全保障、これの相互関係というものを総理はどういうふうにお考えか、哲学をお尋ねしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 軍事的防衛とか、あるいは均衡論とかいうようなものは総合的安全保障の一部をなすものにすぎない。おっしゃるように連立方程式による総合安全保障を基本と考えております。
○高沢委員 私は、そういたしますと、幾ら日本が経済大国とはいえども、現状これだけの財政危機の中にあるわけです。そういたしますと、その一次方程式の軍事的な備え、これにもうんと金を出す、一方、今度は別の方程式の対外経済協力、対外文化協力、この方もうんと金を出します、どちらもどんどん金を出すのだということは、実際上はできないと私は思います。やはり財政には一定の限界がある。とすれば、そういう財政の限界という前提で考えれば、こちらを大きくすれば、こちらはやはり制限されなければいかぬ、こちらは削減しなければいかぬ、こういう相互のオルタナティブな関係になる、こう思うわけですが、私は当然社会党の立場で、そうした対外協力関係を大きくして、他方、この軍事的な関係はこれを削減していくという、これが今世界で求められておるまさに軍縮と、その資金を国際的な経済発展、福祉の発展に向けようという、まさに世界の大勢じゃないのか。平和憲法を持つ日本で、しかも経済的には既に強国と言われる日本がまさにその道を進むことで、総理の言われる大国としての国際的な政治力も日本は持てるということになるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、連立方程式による総合安全保障だ、そういうふうに申し上げました。その組み合わせの問題は、これはおのずからそのときの情勢、客観情勢、世界情勢、国内情勢、予算のバランスの問題、そういういろいろな総合的判断、そして外交戦略やら文化戦略まで織り込んだそういう総合戦略の上に立った上での方程式というものが考えられるし、おのずからそれらの中においては平板的な羅列にはあらずして加重された重点主義というものもまた出てくる。そのときの情勢によってそれは変化し得るものであり、それが政治である、そういうように思っております。
○高沢委員 あと時間はもうわずかですが、それが政治であるということに関連いたしまして、先ほど石川委員からペルシャ湾の危機の情勢についてお尋ねがありましたので、私も、あとわずかな時間ですが、その問題であと一、二お尋ねをして、終わりたいと思います。 ペルシャ湾の危機に対してアメリカが軍事的に出動していかなければならぬというふうな事態にならないことを私も望む立場です。しかし、仮にそういうふうなことにもしなったときに、このペルシャ湾の危機の中で、私は、レーガン大統領の今までの行き方からすると、そのことに対する日本の役割分担、そのことに対する日本の協力態勢ということを求めてくるのじゃないかと思いますが、この点は総理の御所見はいかがでしょう。それに対する対応はいかがでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 まず、そういう事態にならないことを熱望し、また関係当事者の自粛を常に望んでおる次第であるし、また我々はそのエスカレーションを避け、そして戦火をやませる方向に今後とも努力してまいりたいと思っております。そういう極限的な、破局的な場面が来るか来ないか、私は、来ないことを熱望しておるし、今の情勢では、そうたやすく来るとは思っておりません。その場合にどういう態度をとるかということはそのときの情勢によって判断すべきものでありまして、もちろん我が国の憲法及び今までの国是の範囲内においてそれはやるべきことであると考えております。
○高沢委員 それでは、もう一問で終わります。 そういうふうな危機にならないことを希望し、熱望しつつ、しかし、なおかつ、もし何らかのペルシャ湾の異常事態が発したとき、私のもう一つの心配は、第三次オイルショックというものになりはしないかということを恐れるわけです。ちょうど昭和四十八年の初めてのオイルショックのときに、この状態を千載一遇の好機として石油の元売業者たちの異常な利潤追求の行動があり、そのことが大変なパニックを経済的に招いたことは御承知のとおりです。このようなことがかりそめにも今度はあってはならぬというふうな立場からすれば、もしそういう危機の状態がペルシャ湾に発生したときにそうしたオイルショック、経済危機というものを未然に防ぐための、今までの経験を踏まえた敏速にして果断な政府の経済政策が必要になる、私はこう思うわけでありますが、この点についてはまさかあるまい、ならぬことを希望する。それはみんな同じ気持ちですが、もしあったときの対応策をしっかりと今からお考えいただく必要があるのではないか、私はこう思いますが、総理いかがでしょう。
○中曽根内閣総理大臣 さればこそ危機管理というものを行政面においてどういうふうに検討するかということが臨行審において今検討されようとしておるわけであります。ハイジャックの場合もありますし大韓航空機のような事件の問題もありますし、時間的に限られた範囲内でいろいろ判断しなければならぬ。大地震の場合もそうですね。そういうような危機管理というようなものを、緊急事態に対する対応力という意味を行政的にも考えなければならぬということで言われておる。今のような石油危機という問題もその中に一つ入るのだろうと思いますが、現在の状態におきましては百二十日分くらいの備蓄がありまして、この前のオイルショックのときとは非常に事態が変わっております。それから、消費国におきましてもOECDあるいはIEA等におきましてそれに対するいろいろな話し合いもできておりまして、ですから最近はいろんな事態によって石油の値が余り変動いたしません。今日におきましても同じ事態であります。百二十日分の備蓄というものを大事にし合いながら、世界じゅうの先進国はそれくらいの備蓄は持っておりますが、それで対応できるものである、そう考えております。
○高沢委員 あと三宅島の問題でお尋ねをと思いまして塩田長官もお見えですが、他党の質問時間に食い込んでは大変恐縮でありますから、これで終わります。
○中島委員長 次に古川雅司君。
○古川委員 内閣総理大臣に若干の質問をいたします。 従来、我が国は軍事大国にならない、平和外交に徹すると内外に表明をしてまいりました。昭和五十一年十一月に閣議決定をした防衛費は当面GNPの一%以内とする、この方針は国内的、国際的に日本の平和原則というものになりつつあると思います。総理はことし三月二十八日の参議院予算委員会でも防衛費のGNP一%以内を守っていくと明確に述べられております。先ほど来御答弁を伺っておりましたが、このことにいささかの変更もないのかどうか。 今月の十五日に自民党安全保障調査会の防衛力整備小委員会で五九中業は一%枠があっては実現できない、一%枠を撤廃すべきである、そういう意見が大勢を占めたと言われております。一%枠の見直しに着手をするということも言われておりますが、こうした動きを総理はどう受けとめられるのか。先ほど御存じないという御答弁がありましたが、とんでもないことでありまして、総理が御存じないということは私は了解できません。 また、五九中業作成作業の開始に当たりまして、防衛庁長官の指示は防衛費のGNP一%枠遵守に何ら言及をいたしておりません。これは総理が一%枠を守る、この真意が防衛庁長官には伝わっていないということなのか、このことも含めて総理の御見解を伺いたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 一%問題に関する私の考えは、ただいま高沢さん、土井さんにお答え申し上げたとおりでございまして、ともかく汗を流し努力をし続けていくということに尽きるのであります。 それから党内の論議は、先ほど申し上げましたように収れんする先がどういう点になるか注目して見ていると申し上げたとおりであります。 五九中業につきまして、そういう予算上の問題に中業の場合に触れるということは今まで例がないと思います。それは毎年予算編成の際に防衛当局と大蔵省当局が折衝すべき具体的な問題になるのであって、計画をつくるという場合にはむしろ割合に定性的性格の訓令というものでやっておるわけでございますから、定量的な性格は出てこないというように思っております。
○古川委員 そういう御答弁を伺いますと、この一%枠を守るという総理の御発言は最近非常に重みを失ってきたのではないか、守るということよりもむしろ努力をするという方にだんだん比重が移っているという感じさえするわけであります。この一%枠を守るというのは一体内閣の、また総理の公約なんでしょうか。会議録には「当内閣はこれ守っていくと皆さんに申し上げているとおりであります。」こうした文言もはっきりしているわけで、ございます。公約なんでありましょうか。してみれば、もしこの一%枠を超えるという事実が生じた場合、総理として政治責任を明確にしなければならない。この点もきょうははっきりと言及をいただきたい、このように思うわけでございます。
○中曽根内閣総理大臣 先ほど来ともかく汗を流して努力し続けるということを申し上げておるのでありまして、それ以上論及すべき何ものもないのでございます。
○古川委員 もう一度だけ伺います。守るということは非常に怪しくなってきた。努力をするということで守るということをすりかえようというお考えですか。その点をきょうはっきりできますか。
○中曽根内閣総理大臣 守るために努力をし汗を流していくということを申し上げておるわけであります。
○古川委員 努力をして汗をお流しになるのでしようけれども、努力をした、汗を流したけれどもだめだったというときの政治責任を明確になさいますかと先ほど伺いました。
○中曽根内閣総理大臣 政治や行政はやはり客観情勢あるいは国内の諸般の情勢に応じて対応していくものでございますから、その対応の一つとして、そういうものはもしそういう場合が出た場合には考えていいのではないかと思います。
○古川委員 先ほど来のこの論議を聞いておりますと、総理のこの一%枠を守るという国民に対する公約に対する姿勢がある程度明確になったというように私は受け取らざるを得ません。 次の質問に移ります。 過日、アメリカのワインバーガー国防長官が来日をされまして総理、外相、防衛庁長官などが会談をなさったわけでございますけれども、この一連の会談内容は総理も御承知のとおりであると思います。栗原長官はワインバーガー長官に対してソ連の脅威ということに関してこう言っております。「日本国民は戦後直接、戦場で血を流したことはないため、米国民のような脅威の認識は持っていないが、これからいかにしてソ連の脅威の実態を国民に認識させるかが政治家としての任務だと考える」、このように発言をしておられます。総理はこれを御存じでありましょうか。極めてこれは問題の発言ではないかと私は思うわけであります。総理も栗原長官と同じお考えなのか。総理もソ連の脅威の実態を国民が十分認識していないとお考えなのか。その実態をこれから認識させなければならないとお考えになっているのか。この点、いかがでございましょうか。
○中曽根内閣総理大臣 やはり西ドイツやフランス、ヨーロッパの国々あるいはアメリカの人たちと日本人のニュアンスというものはおのずから違う面があると思います。しかし、戦争直後、あのころは満州に入ってきてああいう事態が起きたとか、あるいは北方領土を占領して返らないとか、それがまた増強されているとか、あるいは大韓航空機事件のように非武装の民間航空機がやみくもに撃墜されるとか、ああいう事件を見ると、おっかないなという気は国民の皆さんは率直に言ってしたんじゃないかと思います。しかし、防衛面という正式の面から見ますと、我が国は仮想敵国を設けない、そういう考えでいくのでありまして、脅威についても潜在的なものと顕在的なものがある。意思と能力が結合した場合にそれは顕在化する。そういうことがありますから、防衛上の問題と一般国民のそういうフラットな感情とはまた別の面もあります。そういう点はよく区分けして考えていかなければならないと思っております。 いずれにせよ、我々は仮想敵国を設けるというような考えはありませんが、しかし最近における北東アジアにおける兵力の増強というようなものについては関心と注目をしているということは現実であります。
○古川委員 先ほど栗原長官のワインバーガーさんに対する発言を読み上げたわけでございますが、今の総理の御答弁では、防衛上の問題としてはこの栗原長官の発言は妥当であるというように受けとめられるわけでございますが、そのとおりでよろしゅうございますか。
○中曽根内閣総理大臣 一般国民がフラットに感じているということと、それから防衛の必要性というものを認知させるためにいろいろ啓蒙するということと、それから防衛当局自体が行政上あるいは政治上の正式の構えとして取り上げる態度というものとはまた別の要素がある、そういうことを申し上げているわけです。
○古川委員 私が極めて問題の発言だと申し上げたのは、栗原長官のこの発言が日本の国民に対するものであります。防衛上の見地ということだけでは済まされない問題があるわけであります。アメリカの国防長官に、少なくとも日本の国民に今後このソ連の脅威について教育をすると言っていることは、これは栗原長官の一個人の発言としてはとどまらない。アメリカに対する一つの約束である。これは政府の方針である、ソ連の脅威に対する国民の認識が足りないから今後その教育を徹底する、防衛上の観点としてあるいは外交上の観点として教育をするという方針であるなら別でありますけれども、これは誤解を招くこと甚だしいと思うのでありますが、この栗原長官の発言を総理は全く長官と同意であるというならいざ知らず、これは撤回させる御意思はございませんか。
○中曽根内閣総理大臣 防衛をやろうという問題は、やはり国民の皆さんによく事態を認識してもらう必要があるので、国民の御理解とまた御協力なくして防衛なんというものは成り立つものではありません。そういう意味におきまして、その周辺の状況をよく説明して御理解していただくということは、防衛当局にとっても大事な仕事ではないかと思っております。
○古川委員 この防衛庁長官の発言は、最後に聞きます。 総理は、ソ連との対話姿勢を明確にしてこられました。しかも、御自身は粘り強い努力をしているとおっしゃっております。この栗原長官の発言というのは、対ソ認識についてはかなりそうした総理の対ソ姿勢とは相入れないものがある。むしろソ連に対して挑発的な、挑戦的な発言ともとれるわけでございます。そのままでいいのかどうか。この栗原長官の発言をそのまますべて是認されるわけでございますか。現実は多大な誤解を受けているということを申し添えておきます。
○中曽根内閣総理大臣 防衛は防衛、友好は友好、そういう面もあり得ると思うのです。やはり防衛当局としてはちゃんとした基本哲学を持って一つの体系をつくって行政を行っておるわけであり、また国民の皆様方に対していろいろ啓蒙するという面は、またそういう面で必要な面もあるんだろうと思います。そういうことで御理解を願いたいと思います。
○古川委員 ただいまの件につきましては、全く納得できないということを申し添えておきます。 次に、ソ連がロサンゼルスのオリンピックのボイコットを決めました。六月にロンドンで開かれる第十回のサミットでは、この一年間の国際情勢を展望しながら、総理は米ソ関係などチェルネンコ政権に対しての認識等もいろいろお話をなさると思います。 総理は、昨年のウィリアムズバーグではパーシングⅡの配備を支持するなどソ連に対して極めて強硬な対決姿勢を積極的に支持なさいました。その後INFの削減交渉の中断を初めといたしまして、米ソ関係は一段と不信と感情の対立の中で推移をいたしているわけでございます。この対ソ関係の改善、信頼回復の具体的な対応として、いわゆる経済制裁措置の再検討なども当然考えられるのではないかと思いますが、このサミットにおいて、その点、お話をお進めになるお考えはございますか。
○中曽根内閣総理大臣 サミットにおける話は、これからその話し合いのアイテムを決めるという段階でありますから、今からとやかく申し上げる段階に至っておらないのを残念に思います。 ただ、しかし、平和の確保あるいは核を中心にする軍縮の徹底、核兵器の廃絶という問題は、軍事、政治、社会を超えた大問題なのでありまして、そういう意味においては人類的共通課題として我々は取り組んでいかなければならぬ問題であり、しかも、これはグローバルベースで取り組まなければ解決できない問題である。そういう意味においてやはり大きな関心事項であると私は思っております。
○古川委員 こうした米ソの対立状況の中で、核軍縮交渉というのも非常に今後の推移が懸念をされるわけでございます。たまたまいわゆるこうした核状況の中で、第四十七回国際ペン東京大会が行われましたが、この開催された意義について総理はどのように評価をしておられますか。
○中曽根内閣総理大臣 ペンを握る人たちが、その哲学と理念に基づいて、世界の平和、特に核軍縮、核の廃絶に向かって雄たけびを上げることは極めて有意義であると考えました。
○古川委員 このセンターのグループの方々が事前にあるいは大会が終わってから広島を訪れて、さらに日本の核被爆の実態をつぶさに見よう、また、その見た認識の上から核廃絶に対してそれぞれ決意を新たにしているわけでございますが、昨日はまた代表者会議が、西ドイツ、東ドイツそしてスウェーデンの共同提案による反核と軍縮を呼びかける決議を採択したというふうに報道されております。総理はこの点をどう評価しておられますか。
○中曽根内閣総理大臣 決議の内容をよく拝見しませんと一々論評できませんし、また、ペンの皆さんが決議したことを私が論評すること自体もちょっと越権ではないか、政治の分野における者といたしまして、政治の魔性というものがありまして慎まなければならぬところもある、恭しくよく拝聴する、厳粛にお聞きする、そういう態度がいいのではないかと思います。
○古川委員 私は、総理にこの決議の内容をよく読んでいただいて、そして被爆国である日本の総理としての率直な御意見をこの場で伺いたかったわけでございます。大変残念でございます。 総理の核兵器に対するお考えはしばしば伺ってきているわけでございますが、これまでお見受けするところでは、総理のお考えはいわゆる縮小均衡抑止論と言えるのではないか、このように受けとめておりますが、いかがでございますか。
○中曽根内閣総理大臣 均衡と抑止に基づく縮小廃絶論である、こういうことであります。
○古川委員 承っておきます。 これはまだ総理に対して私はお伺いをしてないのでありますが、核兵器は、総理にとりましては、これは必要悪とお考えでございますか。今廃絶というところまで言及されましたが、絶対悪でございますか。
○中曽根内閣総理大臣 あれは、悲しき業の兵器であると思っています。
○古川委員 必要悪、絶対悪という次元での言明はおできになりませんか。
○中曽根内閣総理大臣 旧約聖書の話じゃありませんが、ともかく禁断の木の実を食らったようなもので、一たんああいうものが出てきますと、相手が持っている限り捨てるわけにいかぬ、そういう意味で持ったものは業を背負う、そういう宿命を持ってきていると思うのです。そういう意味において業の兵器であるが、しかしこれは両方が本然と悟って、一、二、三でやめれば別ですけれども、やはり業というものはそういう一、二、三でやめられないところが業なのであって、歴史の連続性というものはそれで流れているわけであります。そういう現実性から立ってみますと、甚だ残念な悲しき事態である。しかし、こいねがわくは、まず均衡によって、この恐怖の均衡、これによって目覚めて、これをさらに縮小して廃絶に持っていく、そういう現実的道をたどらざるを得ない。そういう意味において、絶対悪というよりも必要悪、遺憾ながらそういう事態であると私は考えております。
○古川委員 これは大事なことを伺ったわけでございまして、私も銘記をさせていただきます。 現在、世界じゅうに五万発以上の核兵器が貯蔵されていると言われております。しかも、一たん戦争が始まれば四百発ですべて片がつくということもよく言われまております。この五万発の九五%が米ソの保有になるところでありますが、総理、この事実をお考えになりまして、米ソに対して、これはもう人類に対する明確な挑戦であるという御認識はここで表明されますか。
○中曽根内閣総理大臣 私は、民族非武装、人類武装というものを理念としていると私の本にも書いてあるのであります。民族非武装、人類武装、そういうようなことを理念として持っている政治家といたしまして、こういうような業の兵器はできるだけ早く地上から一掃していきたいと念じてやみません。
○古川委員 総理におなりになりまして広島を訪問されました。間もなく一年を迎えようとしておりますが、世界唯一の核兵器の被爆国の総理として、国民とともに核廃絶への決意をこの際新たにするというお考えはお持ちでないか。 そこで、世界で広島が最初であり、同じく八月九日長崎の被爆、これが世界の最後でなければならないということを期すならば、この八月六日なりを一つの国民の日として考えるべきではないか。名称は、反核・軍縮の日としてもいいし、あるいは世界不戦・反核の日、いろいろな表現はありましょうけれども、北方領土の日という日もございます。こういったことを含めて総理が核兵器廃絶に対して強い御決意をお持ちであれば、総理御在任中にこの検討に着手するお考えを御表明いただければと思うわけでございます。と申しますのも、最近では、この世界ただ一つの被爆国である日本の国内においてすら、いつ、何月何日に原爆の投下がなされたか、ともするとそういうことも忘れられがちになっております。そういう意味でこれはぜひ御検討いただきたいと思うのでございますが、いかがでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 私は昨年広島へ参りまして、自分の感慨を下手な俳句にしたのを今覚えておりますが、「父母を呼びかいなくや蝉しぐれ」、そういう俳句を実はつくった。「閼伽ささぐまた暑さ日のめぐり来て」、こういう感慨を持ったのでありまして、核兵器というものにつきましては皆さんと同じような感情を持っており、またそういう意思も持っておるわけでございます。 しかし、八月十五日という日があるのでございますから、今おっしゃったことはどうだろうか、八月十五日に全部集約したらどうだろうか、そういうふうに考えます。
○古川委員 八月十五日はまたそれなりの大きな意味があると思います。また、今世界じゅうの大きな関心事であり人類の願いであるこの核廃絶、戦争反対ということはそれ以上にまた大きな重みがあると思うわけでございます。八月十五日があるからいいじゃないかということでは済まされないものがあると思うのです。 さらに申し上げれば、広島、長崎というこの場所において世界の核廃絶に向かって世界の首脳が一堂に会して徹底した議論をする、その必要も、またその時を迎える必要もあると考えておるわけでございまして、先般、総理も参議院の予算委員会で、この国際会議場を広島ないしその他につくることについて総合的に検討するということを御答弁になっておりますが、これは総理の御在任の間に具体的に着手をするというところまでひとつ引き上げてはどうかというように考えるわけでございますが、先ほどの八月六日、原爆投下の日に絡むこの国民の日制定とあわせて総理の御所信を伺いまして、私の質問を終わります。
○中曽根内閣総理大臣 広島に国際会議場をつくれというかねての御主張は耳を傾くべき要素が非常にあると思いますが、実は横浜でも手を挙げておりまして、ほかのところでもやろうという、そういう試みが幾つかございます。そういうような面から、これは全国的レベルにおいてよく検討させていただかなければならぬ、そういうふうに申し上げたのでございまして、そういう趣旨で御理解をしていただきたいと思うのでございます。
○中島委員長 次に、河村勝君。
○河村委員 私、せんだって総理がインド、パキスタン訪問から帰られたすぐ後の「総理にきく」というテレビの番組をたまたま見る機会を持ちました。そこであなたは、インドでマハトマ・ガンジーの七つの原則というものを引かれて、その中で、プリンシプル、原則のない政治は最大の罪だという言葉に非常に感銘を受けた、そういうことをしゃべられて、私の耳に誤りがなければ、対話の相手が、あなたの原則は何ですかと聞いたら、直ちに、私の原則は均衡と抑止だといきなり言われたと思います。安全保障や何かの議論のときならそう驚かないのですけれども、政治原則は何だと聞かれて、いきなり、均衡と抑止だと言われたのには少しびっくりしたのですが、どういうような心境でああいうことを言われたのか、まずそれを伺いたい。
○中曽根内閣総理大臣 あれは、防衛、安全保障、平和の問題についてガンジーさんと話した。その中で、非同盟・中立をとらない、私は均衡と抑止という立場に立って自由民主主義で志を同じくする自由世界の国々と連帯をして平和を守っていく、そういう趣旨のことを申したというふうに申し上げたのでございます。
○河村委員 どうもそうではなかったような気がしますけれども、インドの議会でも、第三次大戦を抑えるものは力の均衡と抑止である、そういう意識に基づいて我が国も防衛力整備を進めているというような演説をされておりますから、恐らくそれが頭にあってすぐにそういう発言が出たんだと思います。 それは結構ですが、私も、均衡と抑止、それによって軍縮を進め平和を維持するというその理念については全く同じであります。しかし、均衡と抑止というものを軍縮あるいは平和に結びつけていくのには、綿密な計算と非常な沈着さと冷静さが必要なものだと私は思います。もちろん、あなたが均衡と抑止と言われても、これは日本だけでできることではなくて、西側同盟諸国の協力と、特にアメリカとの連帯が必要なわけでありますが、その一番大事な相手のアメリカのレーガン大統領、あなたの非常な盟友でもあるわけですが、レーガンさんのやり方というものは、均衡と抑止というよりも、もう少し力に頼って、単純で性急なものではないかと思うのですが、あなたは一体どういうふうにお考えになります。
○中曽根内閣総理大臣 私は、そうとも思いません。やはりアメリカがベトナム戦争で非常に痛手を受けて、精神的にも、アメリカ国民が厭戦気分で参って防衛をやや怠ってきたときに、ソ連が物すごい増強をして、いつの間にか知らない間に、SS20を二百六十幾つも展開されてしまっている。それで、これは大変だというので、ドイツのシュミットさんがパーシングⅡ展開というものをヨーロッパで唱えて、パーシングにの展開という形に今動いてきた。レーガンさんが大統領になってから、このおくれを取り戻して均衡を維持しよう、それが平和を形づくるもとである、そういう考えに立って防衛力を均衡の方向へ持っていく努力をしつつある。そういう状況なのでありまして、私は、レーガンさんが過剰な防衛力をつくってソ連を押しつけようとしている、そういう考えは毛頭ないと考えております。
○河村委員 七〇年代のデタントの時代にアメリカが軍事力の充実を怠っておった、その間にソ連が着々と軍拡を進めたというのは事実であるけれども、それによって軍事的なパリティまで持ってきた。それに対してレーガンさんの方は、やはり強いアメリカ、アメリカの威信というものを非常に強く考えて、均衡ではなくてアメリカの方が優位に立って、その力でソ連を交渉のテーブルに着かせようというような一般的な常識的な見方があると私は思うのですけれども、あなたは、ソ連が既に七〇年代アメリカが怠けている間にパリティではなくて、もう優位に立ってしまった、そういうふうにお考えになっておられるのですか。
○中曽根内閣総理大臣 優位になってしまったと断言するという的確な証拠を私は持っておるわけではございません。しかし、大体の勘で考えてみますと、ともかくベトナム戦争あるいはウォーターゲート事件等でアメリカが非常に疲れておった間に、ソ連が相当の軍備拡充をやった。我々のアジアの地帯を見ただけでも、空母――ヘリコプター空母でありますが、二隻も来ている。そのほかSS20が、百三十五を既にシベリア部に展開されて、それが百四十四になろうとしている。この物すごい増強ぶり、あるいはバックファイアが七十機もあるいはそれ以上も同じようにシベリア方面で展開している。あるいは我が北方領土において一個師団程度の軍事力が既にまた増強され、展開している。こういうことを見ると、十年前とは非常に変わってきている情勢であるということがわかると思うのです。そういうような情勢を世界レベルで見ているのはアメリカだろうと思います。 そういう意味においても、MXであるとかB1であるとか、あるいはそのほかの努力を開始して、それがアメリカ国会で合いろいろ論議されて、予算化されようという段階になってきておるので、均衡は回復されたと断言できるかどうか、まだ私は疑問であると思います。
○河村委員 私、その辺が、計算し尽くした方式でやらないと、テーブルに着かせるのではなくて逆に、ソ連という国は追い詰められるとむやみと反発をする、そういう一般的な傾向を持っておるわけですから。ですから、総理が非常に親しい友人としてのレーガンさんと、もっとその辺の計算し尽くした戦略というものをつくるのに、言うべきことを言わなければいけないのじゃないか、そういう感じを私どもは持つのですね。実際、テーブルに着かせて軍縮をやるというのは、両方が大体バランスとれたと思わなければできないわけですね。ですから、過去のワシントン条約にしてもロンドン条約にしても、結局、まず始まるのは現状凍結でしょう。あの場合でも新しい建艦計画をやめるということであって、結局、削減まではいかなかった。それでも成り立ったのは、まあまあこの辺でバランスしたという感じをお互いが持つから手打ちができるのであって、片一方が優位に立って、それでこの辺で凍結しようと思ったら、なかなかテーブルに着かせることもできない、交渉というのはそういうものだと思うのですね。どうもその辺が私は、今のレーガン大統領の行き方というものは、あくまでも力で優位に立たないと対抗できない、そういう意識が働き過ぎているんだと思う。 たまたまパーシングⅡミサイルの配備等については、ヨーロッパ等でも多少の問題はあったけれども、共同歩調はとられております。ですが、今おっしゃったMXの予算にしましても、アメリカの議会でも来年の四月までは凍結。来年の四月までにソ連が軍縮のテーブルに着けば凍結。テーブルに着いたとしても、それから一体話が進むか進まないか、様子を見るまでは六カ月凍結というような条件つきですね。ですから、アメリカの中だってそれなりの議論が十分あるわけです。そういう点について、総理大臣が一番親しいパートナーとして、もう少し日本でも十分な計算の上で、軍縮交渉が成り立つ方向でやっていかないといけないんだろう、私はそう思っているのです。 さしあたり、この間の「総理にきく」の中でも、次のサミットでソ連をテーブルに着かせるための話し合いを持つんだというようなことを語っておられましたが、一体あなたは今そういう見通しがあるとお思いですか、どうですか。
○中曽根内閣総理大臣 そういう努力をしてみたいと思っております。 ただ、ソ連に関する認識におきましては、ソ連という国は政治的にも軍事的にもなかなか強靱な国で、国民も外からの情報をそう知らされているわけじゃなし、非常に低い水準の生活にも耐えさせられておるという経験をずっとしてきている国民であって、ナポレオンの例を見てもあるいはヒットラーの例を見ても、追い詰められるとそれで屈服するという国民性ではない、私はそう思うのです。そういう意味において、ソ連というものをそういうような形で追い詰めて物ができるというふうな考えはとらざるところでございます。むしろそういうときにはなお強くなるという性格を持っていると思っておるのです。しかし、やはり話し合いをして、そしてお互いが妥協するめどをつくるということは大事なので、その妥協の糸口をどうして見つけるかという意味においては、余り力が離れている場合には問題にならぬのであって、ある程度均衡状態ができてくるということが必要なので、そういうような考えに立って話し合いの糸口を見つけるという意味において大事なことではないかとも私は思っておるのです。
○河村委員 いや、それなら別段話として食い違うところは一つもないのであって、一体バランスが保たれているのか。そうではなくて、アメリカの方がレーガン流でいくと、ひところスペリオリティーを保たないとパリティーでは話ができぬと思っていると、結局今のお話のように、追い詰めてテーブルにも着かない、頑張ってしまうということに相なるのであるから、ですからあなたもその辺のところをもう少し考えて、これから日本の将来のことを考えていただきたい、そう言っているわけですから、十分お考えください。きょうは時間がないものですから、それ以上議論をしている暇はございません。 それと、先ほどもお話が出ましたが、インドに行かれた際に、安全保障の問題と同時に、議会での演説を伺っておりますと、また新聞報道で伝えられるところによりましても、南北問題ということに非常に比重を置いて話をしておられると思います。南北は車の両輪で、南の活性化がなければ世界経済は前進しない、ぜひこの立場をロンドン・サミットでも貫いていくというようなことを語っておられるようであります。 さっき高沢さんの質問で、経済協力問題はどれだけのスケールにするかというのは、そのときの客観情勢、総合戦略の問題だから一概には言われない、そういう御返事がありましたが、理屈はそうでありましょうけれども、現にこれだけのことを言われ、かつそれだけの決意を持って臨んでおられるわけですから、やはり南北問題というのは一つの大きな国家目標として取り上げるべき問題だと思うのです。 ところが、実際の経済協力の中身を見ておりますと、この苦しい財政状況の中で努力しておられるとは思いますけれども、八一年から八五年のODA倍増計画というのがございますね、政府開発援助の倍増計画、これはあなたが言われたのではないけれども、国際的な公約にもなっております。ですから、少なくともそれに近いところぐらいまで持っていきませんと、口では、軍縮を進めていって、その余力を南北問題に充当して、開発途上国をもっと早く発展させるのだと言いながら、現実はそうでない。やはり世界が日本に期待しているのは、軍事力に期待するのではなくて、経済力、技術力です。ですから、もう少し一生懸命やらないと、結局有言不実行という結果になってしまうと思う。今この五カ年計画というのは、その前の五年間の実績が百七億ドル、それに対して二百十四億ドル以上にするというのが約束ですね、これは来年まで。ところが現実には、去年の実績は私もよく知りませんけれども、大体三十億ドルベースですから大体百五十億ドル余りしかいっていないのだろうと思うのですね、このままでいけば。二百十四億ドルからもう相去ること非常に遠いのですね。一体こういう実態にあることをどういうふうに認識をしておられるのか、これからどうするおつもりなのか、それを伺いたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 お話しのとおり、倍増をやるということは予算的に非常に苦しい情勢になってきているということはもうよく自覚しております。しかし、苦しい中でも最優先をして予算の配当をしなければいけない、そのように心得ております。ことしゼロシーリング、マイナスシーリングでほかの各項目はやったのでございますけれども、ODAは九・七%増と、かなり思い切った数字で盛り込んだのも、そういう意図でやったことです。遺憾ながら経済成長の伸びが期待するほど伸びていない。そういう意味において、ここ二、三年というものは額的にそれほど伸びませんでしたけれども、今後とも大いに努力していかなければならぬと思っております。
○河村委員 全体の金が非常に苦しいことは私もよくわかるのです。ですけれども、経済協力の中でも日本が一番有効に働き得る分野に技術協力というものがありますね。これは金の額から言うとそう大きいものではないのですね。総額においてはDACの十七国中五番目であるけれども、ODAの中で占める割合から言うと十二位、びりの方なのですね。ですから全体が、これは世界的な傾向でみんな経済成長が伸びがとまっているものですから、日本ばかりでなくてなかなか思うほど開発援助が伸びていないことはある程度やむを得ないけれども、日本が一番働き得る、しかも金がそう巨額でなくて済む技術協力、これくらいは思い切ってやることが総合的な安全保障という意味からも日本の信用を高めるし、これが本当に技術移転をして民生安定に寄与できれば、一番大きな効果を持つのですね。私もこの問題でしばしば東南アジアに参りまして、実際農業協力などでその地方に半永住してしまって非常な実績を上げている実情を間々見ております。 時間がなくなったので終わりますが、少なくともこれだけぐらいは一〇〇%やるぐらいのことをお考えになったらいかがかと思うのです。それを最後に伺います。
○中曽根内閣総理大臣 お示しのとおり、日本が世界的に貢献する大きな分野はその分野にあるということは、よく知悉しております。今後とも苦しい中でも最善の努力をして予算を増額するように努力いたしたいと思います。
○河村委員 終わります。
○中島委員長 次に、岡崎万寿秀君。
○岡崎委員 私は、米艦載機の夜間訓練基地化をめぐる三宅島の問題について質問したいと思います。 先日来日したワインバーガー米国防長官は、この米艦載機の夜間訓練基地を早期に新設してくれということを強く要求されたようです。それに対して総理は、解決に努力するということを言われたようですが、これは今問題になっている三宅島のことを指して言われたのかどうか、お伺いしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 夜間発着訓練場の点につきましては、厚木周辺の住民の皆さんの非常な御困難もございまして、できるだけ適当な場所に移しかえようという考えで努力しておるところで、大体関東周辺を目指して総合的に場所を今探しているということです。三宅島もその候補地の一つではあるだろうと思います。しかし、住民の皆さんにもいろいろお考えがあるようでございまして、今後ともできるだけ早期にこの問題を解決するように努力を続けてまいりたいと思っております。
○岡崎委員 三宅島もその候補地の一つということでございますが、実際には防衛施設庁はもう既に島民宣伝用のリーフレットもつくって、ここを本命とばかりにいろいろと対策を進められているようでございます。これに対して島民の反対は物すごく強い。山本村長や村議会は絶対反対なんです。単に反対ではなくて絶対反対ということを表明されていますし、反対の会が二日にやりました全島民集会、これは文字どおり有権者の過半数の人々が集まりまして午後九時過ぎまで一人も帰らない。その後ワインバーガー来日に際して反対の会が署名を集めたのですが、何と二日間で三千三百九十名、これは全島民の七九%に当たるわけです。これだけの大きな反対運動が起こっている。これを尊重するのは民主主義の立場から当然だと思いますが、四日に私の質問に対して安倍外務大臣は、住民の意思とかあるいは議会の意思については十分踏まえるというふうに表明されました。総理もここで村長や村議会や圧倒的多数の住民の反対の意思を十分尊重するというふうに言明してもらいたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○中曽根内閣総理大臣 住民の皆さんの御協力なくしてこれはできるはずはございません。いずれの地につくるにせよ、住民の皆さんの御協力を得るように今後とも努力してまいりたいと思います。
○岡崎委員 それはつくるという方向で御協力となっていますけれども、今の反対の意思を尊重するかという点でございます。その点いかがでございましょうか。
○中曽根内閣総理大臣 当局としてはともかく住民の皆さんの御協力を得るために誠意を尽くして努力する、これが当局の態度であるだろうと思います。御反対はまた御反対として、よく耳を傾けておかなければならぬ点でもあると思います。
○岡崎委員 協力を得るというのは相手があることなのですね。その相手、ここでは三宅村村長や村議会の了解なしに強行はしない、ましてや一方的な切り崩しなどはしないということ、これはお約束できますね。
○中曽根内閣総理大臣 これは防衛庁が今責任を持ってやっておることでございますから、今どのような事態に進行しているか知りませんが、私として申し上げられるのは、ともかく住民の皆様の御理解と御協力を得てやらなければならないことである、このように考えております。
○岡崎委員 住民の皆さんの御理解と御協力がない場合強行はしないということは言明できますか。ここではっきりお願いしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 住民の皆さんの御協力がなければできないと思っておりますと申し上げておるとおりであります。
○岡崎委員 それでは、御協力がなけれはできないというわけでございますから、協力しない、つまり了解しないということだとしますと、政府としては協力なくしては進めないというわけですから、地方自治の手前あるいは民主主義の手前決して一方的なことはしない、一方的行為はないということははっきり言えますね、協力ですから。
○中曽根内閣総理大臣 くどいようですが、住民の皆さんの御協力を得て進めるべきものであると考えております。
○岡崎委員 堂々めぐりになりますけれども、少なくとも協力のない限りはできないということだと思います。そのことははっきりと確認しておきたいと思いますが、時間の都合がありますから、トマホーク配備の問題について最後に質問したいと思うのです。 核巡航ミサイル・トマホークがいよいよ来月から米太平洋艦隊に配備されるわけです。一方ソ連のSS20の極東配備とも相まって、今国民の間では日本が米ソの核戦争に巻き込まれるのではないかという危惧の念が非常に強まっていると思うのです。本国会でもこのトマホーク配備については多く質疑が交わされたようですが、私は新しい問題として、この核トマホークの積載艦と日本の自衛艦との共同作戦について質問したいと思います。 従来からアメリカの核積載艦の護衛、核積載艦との共同対処については政府はあり得るという立場をとられていましたし、総理御自身も、日本の救援に向かうという前提つきではございましたけれども、米艦船の護衛はあり得るということを表明されましたが、そうしますと、今度の核トマホークの積載艦との共同作戦あるいはその護衛ということもあり得るというふうに理解してよろしいかどうか。いかがでございましょう。
○中曽根内閣総理大臣 トマホークについては核つきトマホーク、非核トマホーク、二種類あると思っております。その場合の核つきトマホークの問題でありますが、これについては非核三原則を厳守するということはもとよりであります。しかし、共同訓練を公海等で行うという場合においては、装備の有無というものによって非核三原則が侵されるとは思っておりません。それは公海において行われる訓練の場合であるからであります。
○岡崎委員 私はここでは非核三原則の問題は一応おいているわけです。公海上においてで結構です。そこで核積載のトマホークを積んでいる米艦船と自衛艦隊との共同対処はあり得るというふうに見てよろしゅうございますね。
○中曽根内閣総理大臣 非核三原則を厳守して、それはあり得ると思います。
○岡崎委員 非核三原則というのは日本の領海、領空の問題ですから、これは一応おきます。公海上であり得るということでございますから、これは重大な問題であるというふうに私は思うのです。 それでお聞きしますけれども、この政府の答弁をずっと拝聴いたしますと、核巡航ミサイル・トマホークの配備というのが従来の日本への核持ち込み問題と同一線上で論じられているように思いますが、私はこれは非常に大きな問題を含んでいると思うのです。と申しますのは、この核トマホークというのは射程距離二千五百キロ、はっきりと対地核攻撃能力を持っている。太平洋側からソ連領も攻撃できるという点、これが非常に大きな特徴なのですね。したがって、またソ連の方も対抗上これに構えるでしょう。破局のないことを願うことは当然でございますけれども、しかし、政治家としては当然そこを見通して考える必要がある。私は本委員会で安倍外務大臣に聞きました。これは政府側の答弁でございましたけれども、対ソ核攻撃能力を持っているトマホーク積載艦に対してソ連の方から攻撃目標になることはあり得るという趣旨の答弁がございました。そうしますと、共同作戦をやっている日本の自衛艦もやはり攻撃の標的にされることがあり得るということになるわけです。これは新たな問題であり、新たな危険であろうと思うのです。その危険を冒してまでもそういう方向をお進めになりますか。
○中曽根内閣総理大臣 戦技訓練等の場合あるいは万一の場合におけるいろいろな想定については、ここでそれを予想して具体的にどういうことがこちらの対処としてあり得るかということを一々お答えすることは、まだ予想もできない条件もございますから適当でない、そのように思うのであります。今のトマホークとの共同対処というような問題、これは公海等においていろいろな協力行為もあり得ると思っておりますが、その場合に相手側がどういうふうに出るかということは、そのときの事態によっていろいろ変化もあり得る、そう思っておるので、一概に想定することはできないと思っております。
○岡崎委員 当然でございましょう。一概に想定することはできないし、今後どうなるかという問題でしょうけれども、しかし核トマホーク積載艦に対してソ連が攻撃目標にするということになりますと、それと共同作戦をしている日本の自衛艦も当然対象になるということになるわけです、論理的に言いまして。そのことを考えないでやるということは無謀だと思うのです。そのことも可能性としてあり得る。これまではアメリカは空母以外には直接対地核攻撃能力はなかったわけですが、今度は多くの太平洋艦隊の艦船がそうなるわけですから、それに対してそういう危険が新たに迫っている、このことをやはり御認識なさらないと困ると思うのです。そういう問題についてはどうでしようか。
○中曽根内閣総理大臣 どこの国からもあるいは武力侵攻が行われるというような場合には、それは核装備の船と公海で協力しておろうがおるまいが、状況によっては対象にされるということはあり得ることなので、何も核装備の船と協力したからどうということのみに限る問題ではない、そう思っております。
○岡崎委員 アメリカの「ザ・デイ・アフター」というテレビ映画がありましたけれども、やはり核基地というのは核の攻撃目標になる、そのことが赤裸々に映し出されたと思うのですね。今、総理おっしやいましたけれども、やはり一般的に攻撃目標になるだけじゃなくて、直接の攻撃能力を持っているところがより多く攻撃の対象になるということは言えるのじゃございませんか。
○中曽根内閣総理大臣 ですから、それはそのときの情勢によっていろいろな変化があり得るので、ここで一概にお答えすることは難しいと申し上げているわけです。
○岡崎委員 ヘイワード・アメリカ海軍作戦部長は、このトマホークの配備というのは、対艦にせよあるいは対地にせよ、海戦における壮大な画期をなすものだということを議会で証言されているのですが、このくらいの意味を持っているわけなんです。これは直接対地核攻撃能力を持つという点から見ましても、それから戦略核の補助戦力だという意味からいっても、非常に重要だと思うのです。これまではB52など戦略爆撃機や戦略潜水艦との共同作戦はなかったのですが、今度は補助的であれ非常にそういう意味を持った核トマホーク積載艦との共同作戦になりますと、新しいエスカレートだと思うのですが、このことはあえてお認めになるわけですか。こういう危険をあえてやるということ、新しいエスカレートに対してもそれはやむを得ないというふうに判断なさるのですか。
○中曽根内閣総理大臣 日米安保条約の範囲内におきまして、日米安保条約を有効に機能し得るという方法の一つとして考えられる場合には、それはあり得ることであると思います。
○岡崎委員 今の御答弁で、日米安保条約の有効な活用という点であり得るということですが、それは日米安保条約がいかに危険だということを逆に裏づけるのじゃございませんか。――笑い事じゃないですよ。私は本当にそう思いますね。こういう危険な核トマホークが積載されて、そして単に抑止力というわけでなくて現に共同作戦が行われる、こういうことをやはり認めるわけにはいかないと私は強く思うのです。そして、そういう問題について今お聞きしましたところ、核トマホークの配備というのは、国民が米ソの核戦争に巻き込まれるのではないかという懸念を一層強くしたと私は今の御答弁から感じるわけでございます。 時間が来ましたので、これで終わります。
○中島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時三分散会