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101回国会衆議院1984/07/26

科学技術委員会 第21号

発言数
27
登壇者
9
会派数
6
開催日
1984/07/26

会議録

大野潔公明党・国民会議

○大野委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興の基本施策に関する件、特にメカトロニクスの研究開発の問題について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として東京工業大学教授梅谷陽二君の御出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大野潔公明党・国民会議

○大野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————

大野潔公明党・国民会議

○大野委員長 この際、梅谷参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多用中のところ本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。本日は、メカトロニクスの研究開発の問題につきまして忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、議事の順序についてでありますが、まず参考人に一時間程度御意見をお述べいただき、次いで委員の質疑に対して御答弁をお願いしたいと存じます。  それでは、梅谷参考人よろしくお願いいたします。

梅谷陽二東京工業大学教授

○梅谷参考人 おはようございます。ただいま御紹介いただきました梅谷でございます。本日は、こういう席にお招きいただきまして、まことに光栄でございます。また、先ほど委員長から御丁寧なごあいさつをいただきましてありがとうございました。  本日は、メカトロニクスの件につきましていろいろとお話をさせていただきたいと思います。  メカトロニクスという言葉は、もう御承知のとおり日本の固有の造語でございまして、機械とエレクトロニクスが両方ミックスされた言葉でございます。これを日本語で機電という言葉を当てることがございますが、余りポピュラーではございません。メカトロニクスという言葉自身は一種の専門分野をあらわす言葉でございますので、例えばメカトロニクス産業というような使い方をいたしますと、これはNC工作機械とか、それから電子式のミシンであるとか、要するに従来のタイプの機械に電子回路もしくはかなり巧妙な仕掛けを持ちましたコンピューターといってよろしいものをつなぎ合わせまして新しい商品として売り出す、そういう産業がメカトロニクス産業でございます。また川崎市などでは、数年前メカトロポリス宣言などという言葉が出ましたけれども、一種の非常に使いやすい言葉ではございます。しかし別の言葉で申しますと、メカトロニクスといいますのは従来の専門分野を横断的に表現する一種の技術用語でございますので、メカトロニクス全般を総合的にお話し申し上げますことは時間の都合上もちょっと不可能かと存じます。  メカトロニクスという言葉は、先ほど申し上げましたように機械のメカニズムとそれから電子のエレクトロニクスがコンバインされた言葉でございますけれども、これの意味するニュアンスといいますのは、要するに機械というものが何らかの運動とか作業とかをするメカニズムでございますが、それにエレクトロニクス回路、これは言うなれば情報、インフォメーションでございます。情報を処理する機能をつけ加える、そういう意味でございます。したがって、情報を取り込んで処理して、そしてメモリーに蓄え込んで指令をする、それによって動くのが機械である、そういう感じになるわけでございまして、両方の機械とエレクトロニクスが単に足し算で融合したのではなく、言うなれば掛け算で完全に融和させた技術というものがメカトロニクスの本質じゃないかと思うわけであります。  そういうわけで、機械というものがいわゆるメカトロ化によりまして次々と姿が変わってきたのは事実でございます。要するに、先ほどから言っておりますように情報の助けをかりた機械でございますから、ここに新しい機能といたしまして多様性もしくは多機能性というものが出てまいります。大体今までの我々がつくり出しました機械というものは、人が完全に操るか、それとももしくは自動化されましても一つのパターンを覚えるだけでございまして、一つのことを繰り返すことが従来の機械の姿でございますけれども、こういうメカトロ化という技術によりまして、これが非常に柔軟ないろいろな機能が同時に満足できる、言うなればフレキシブルな姿になってきたのでございます。また、そういう機械を十分に使いこなしますと、産業界で言われておりますように、情報処理能力の結果として出ますいろいろな特性、すなわち記憶することだとか、それからいろいろな命令を学習することとか、それからある程度の判断を機械自身が行う、そういうような一種の知能的な能力がコンピューターというような形で与えられますので、人間の作業者、とりわけ単純作業ではなく、かなりの程度熟練した労働者の作業というものを代替することができるようになるわけでございます。こういうようなことで機械の形が、メカトロ化された機械というものは流動的なダイナミックな形をとりますし、またその動きも巧妙で、そつのない、また見ていて非常におもしろい動きをすることが可能になったわけでございます。  さて、メカトロニクスのことにつきましては、全般的なお話をいたしますと焦点がぼけますので、その最も代表的なものといたしまして、きょうはいわゆるロボットというものを中心にお話し申し上げた方がよろしいかと思います。ロボットといいますものはメカトロ化された機械の代表的な最も典型的な姿を持っておりまして、またメカトロニクス技術の歴史を見てみますと、ちょうどロボットの開発の歴史と軌を同じくするものでございますので、そういう意味で、きょうのメカトロ技術のお話はロボットの歴史からスタートさせていただきたいと思うわけでございます。  御承知のとおりに日本のロボット産業というものは非常に隆盛でございまして、いろいろな数字につきましては皆さん御承知のとおりでございます。一昨年から昨年にかけまして、またロボット産業全体のいわゆる工業出荷額というものが二五%ぐらい伸びまして、昨年あたりは一千八百億円ぐらいの産業になっているわけでございます。これを大きいと見るか小さいと見るかは別問題でございますが、非常に成長していることは事実でございます。また産業用ロボットのいわゆる製造業者、メーカーというものも、現在百二十社から百三十社ぐらいがかなり活発に生産活動しておりまして、また、つくられたロボットを実際の生産ラインに適用いたしますいわゆるロボットエンジニアリングという分野がございますが、そのロボットエンジニアリングの専用会社というものも既に数十社登録されております。こういう数字は国内の数字でございますが、設置台数を見てみましても日本は世界的にトップランナーでございます。しかし、設置台数というものは実はそれ自身は余り大きな意味はございませんで、どのくらいのシェアを占めているかという方が意味があることだと存じます。と申しますのは、ロボットといいますのはメカトロ化された程度によりまして、別の言葉で表現しますと知能化された程度によりまして、非常に単純なものから高級なものまでいろいろございます。どこでその線を引くかということによって台数というものがどんどん変わるわけでございます。ちなみに、日本の産業用ロボット工業会というものがございます。それと同様なアメリカの工業会がございます。その両者が調査いたしました結果を見ますと、シェアといたしまして、世界全体を一〇〇といたしますと、日本のロボットの保有台数もしくは設置台数は大体四〇%ぐらいと言われております。これは一昨年のデータでございます。その次がやはりアメリカでございまして、二〇ないし二五%近辺でございます。残りの二〇%ぐらいがヨーロッパ各国で占めているということでございまして、日本はそういう意味でもロボットの技術、それからロボット産業につきまして今世界をリードしていることは事実でございます。  こういうような、ロボットが日本におきまして非常な隆盛をきわめました背景というものは、よく説明されておりますように、何といいましてもエレクトロニクスの技術が進歩して小型化いたしまして、非常に高性能化いたしましたそのためでございます。現在のような隆盛を見ます以前、ロボットメーカー各社が苦労いたしましたのがこのエレクトロニクスのコストでございまして、全体を一〇〇といたしますと機械的な部分が三〇、それからエレクトロニクス部分が七〇というようなコスト構成がございまして、これが全体の価格をうんと引き上げました要因でございます。普及の促進が阻害されましたのがこのエレクトロニクスの点でございますが、その後急速にIC技術、LSI技術が伸びまして、現在では機械部分とエレクトロニクス部分が大体一対一、五〇対五〇ぐらいの比率にまでなりまして、そのために日本の労働賃金の上昇も伴いまして省力化機械として非常な勢いで普及できたという背景がございます。もちろん機械工業の進歩もございますし、それからいろいろな応用技術、利用技術関係の進歩もございますけれども、ロボットが普及いたしました最も大きな技術的背景は、やはりエレクトロニクスの進歩でございます。それから、最近のロボット技術の進歩の一番大きな起動力もしくはモーティブフォースといいますものは、いわゆる人工知能工学の進歩でございます。これは全くソフトウエアの工学でございますけれども、これが現在のロボット技術の最先端の研究課題になっているわけでございます。この点につきましては後でお話し申し上げます。  さて、このロボットの普及につきまして、二、三ほかの機械と異なった特色があります。これがまたひいてはメカトロニクス産業の特色でもございます。  まず最初に申し上げたいことは、ロボットが今非常な普及をしていると申しましたけれども、よく調べてみますと、現在ごく少数の製造業でしか使われていないということでございます。新聞雑誌などではいろいろなおもしろい発表がございますけれども、あれは実は少数例でございまして、実際に産業としてロボットが使われておりますのは製造業、その中でも一番多く使われておりますのが電機製造業でございます。その次が自動車、そして三番目がプラスチック、四番目がやっと機械加工業という順番でございまして、この四つの製造業分野で大体八〇%以上の普及が見られるわけ。でございます。したがって、まだまだこれからロボットの適用される分野というものは広うございます。そういう意味ではまだ始まったばかりであるというような見方もできます。  それからもう一つは、先ほどの少数の製造業の話に関連いたしまして、ロボット化できる作業の種類も予想以上に少ないのでございます。例えば溶接とかいう作業がございます。自動車産業ではスポット溶接だとかアーク溶接というものを使っておりますけれども、そういう溶接作業につきましてはロボット化がかなり成功しております。それから悪環境下作業というのでよく取り上げられます塗装でございますが、これもロボット化が非常によく成功した例でございます。そのほか成功しておりますのが、いわゆる組み立てでございます。これは機械部品の組み立てではございませんで、主として電子部品を基板に取りつけるという組み立てでございますが、それが最近、ここ二、三年非常な勢いで伸びてまいりました。あとは物品の取り出しとか供給とかいういわゆるマテリアルハンドリングの問題でございますが、そういうところとか、また少数でございますが、いわゆる自動移動ロボットといいましょうか搬送型のロボットがございます。  こういうぐあいに考えてみますと、実用化できましたロボットというものの作業の数は必ずしも多くございませんし、また実際に適用されております製造業の分野も極めて限られているというのが現状でございます。しかし、一昔前に心配されましたように、ロボットの普及が中小企業を圧迫するのじゃないかというような危惧がございましたが、これは私見でございますが、意外に最近中小企業にたくさん導入されるようになりまして、むしろ中小企業関係の導入意欲が非常に高まっているというのが大体産業界の常識じゃないかと思うのでございます。これは利用技術の進歩はもちろんでございますけれども、いろいろな投資優遇措置だとか特別償却制度というようなものがかなり有効に働いているせいである、こういうぐあいに見られております。しかし、絶対数で見ますとやはり大企業が大多数のロボットを保有し、そして限られた作業をこれで省力化し成功しているというのが現状でございます。  本日の主な課題でございます研究開発について、これからちょっと申し上げます。  日本は確かに産業用ロボット、ロボットの中でも産業に実用化されておりますロボットにつきましては世界のトップランナーでございまして、これは大体疑うべきところはございません。しかし、現状の研究開発の分野に目を向けてみますと、必ずしも日本がいつまでもトップランナーでおれるという保証はございません。その辺のところをこれからお話し申し上げたいと思います。  日本の研究者の中でいわゆるロボット工学に従事している研究者の数というものの統計がございます。これは主として日本産業用ロボット工業会が中心になりまして集計したものでございますが、私企業の研究者を除きまして、昭和五十七年度で総計七百八十名という大体の数字が出ております。主として大学、それから国立、公立の研究機関の研究者の数でございます。これが三年前の昭和五十四年では三百六十人でございましたから、大体三年間で倍増しているという数字でございます。  それから、研究費につきましてもかなりの伸びが見られます。このデータも同様に私企業における研究開発費は含まれておりませんが、大学、国公立の研究機関だけで、昭和五十七年度におきましては大体九億六千万円くらいがロボットの研究開発、とりわけ基礎的な分野での研究開発に投資されているという数字がございます。この研究開発費も年々かなりの勢いで伸びてきているのでございます。ちなみに、その前年の五十六年が五億六千万円でございます。そのもう一つ前の五十五年が三億八千万円でございますから、この伸びもかなり急速でございます。これは研究費として伸びたといいますよりは、むしろ経常経費の中からロボットの研究開発に多くのものを回したというぐあいに見るのが妥当ではないかと思います。このくらいの陣容と研究費で日本のロボットの研究開発が行われております。  それから研究課題の数につきましても、毎年大体二百五、六十件の研究課題が取り上げられておりまして、以上のような数字を見る限りにおきましては、日本のロボット研究のアクティビティーといいますものはかなり高いものであるのは事実でございます。先ほどから申しました数字といいますのは、実は私企業のものが一切入っておりません。これは理由があることでございまして、いわゆるメカトロニクスの分野はすべてそうでございますが、その分野に、例えばロボットに支出したものだけを純粋に取り出すということが非常に困難でございます。機械と電気が融合されたというお話をいたしましたけれども、研究開発におきましてもいろいろな技術者がさまざまなテーマで総合的に行うものですから、したがって、私企業におきましての集計がなかなか難しいということは理解できます。  さて、今度は研究開発の日本における進め方といいましょうか、現在どういうような形で進んでいるかということの現状をちょっとかいつまんでお話しいたします。  研究開発は二つのはっきりした分担分けという現象が見られます。一つが私企業の民間企業における開発でございます。もう一つが大学と国公立の研究所におけるものでございます。この両者が研究の課題、それから研究の方針その他におきましてはっきりした違いを見せております。これは具体的な課題名を調査いたしますとすぐわかります。民間企業におきましては、何よりも産業用ロボットという特定の目的を持ちましたロボットの実用化というものが重視されております。これは当然のことかと思います。ただし二、三社特例がございますけれども、押しなべて日本の企業は実用化研究に非常な熱意を持っております。ここ数年間にロボット関係に特定されます研究機関もしくは研究部門というものは民間企業でかなりふえまして、いわゆる大企業の中でもそう大きくない会社の場合でも、ロボット専用の研究所をつくるというような動きがここ二、三年出てまいりました。ただし、ことしに入りましてそういう動きがちょっと停滞しております。  一方、大学とか国公立研究機関におきましては、いわゆるロボットの基礎を支えます基盤技術というものが研究の主なねらいとなっております。ロボットといいますものはいろいろな基本的な要素から成り立つものですが、その基本的な要素の個々の技術的な水準を上げるため、それからもう一つは新しいロボットの活用分野をねらった研究というものが大学、国公立で盛んに行われているわけでございます。簡単に申しますと、現在例えば晴海のロボットショーなど毎年ございますけれども、そういうところで見られますロボットは、大学、研究機関ではほとんどと言っていいほど余り研究されていないものでございまして、民間企業が自分たちの努力で実用化したものがほとんどでございます。一方、大学、国公立研究機関で開発いたしましたものは、まだ実用化されておりません。いわゆる知能ロボットという名称で呼ばれておりますが、そういう分野では徐々に産業界に浸透しつつありますけれども、いまだに両者の研究分担というものがはっきりと分かれているのが実情であります。それからもう一つは、特に大学におきまして、メカトロニクス全般にわたることでございますが、特にロボットにおきましては産学協同というものが実は余りうまくいっておりません。これは歴史的な成り立ちの違いもございますけれども、やはり両者の興味の違いというものが大きいわけでございまして、大学の場合どうしても基盤技術指向、基本技術指向になりがちでございまして、いまだにそういう産学協同で実を上げたという例が非常に少ないのでございます。そういう現状でございます。この産学協同のことにつきましては、また後ほどいろいろな提言をさせていただきたいと思います。  一方、世界的な立場からロボット技術の研究開発を見てみますと、非常におもしろい傾向が二、三見られます。日本は確かに先ほどから申しておりますようにトップクラスでございまして、そして現在のところ世界的なリーダーでございます。技術の分野でもそういう実績がございますし、そして国際会議におきましての発表件数から発表の質におきましても、公平な目で眺めますと日本の研究水準というものはかなり高いと思われます。  しかし、気になるのがアメリカでございます。アメリカはここ四、五年猛烈な勢いでロボット研究を開始いたしまして、昨年度あたりくらいから産業界にとりましてもまた我々大学の人間にとりましても驚異的な実績を上げつつあるというのが実情でございます。どういう点がアメリカの強みかど申しますと、一言で申しますと、日本はハードウエアに強いのであります。アメリカはソフトウエアに強いのであります。ソフトウエアといいますものは一朝一夕にすぐ研究開発できるものではございませんで、過去の蓄積というものが大きく物を言います。アメリカのいわゆるコンピューター産業におきますいろいろなソフトウエアの蓄積、それからその他の分野、例えばシステムハウスなどにおける盛んな活躍などによりまして、アメリカの産業界はいわゆるソフトウエアの蓄積が日本よりもけた違いに多いのであります。それがここにおきまして、またロボットの分野におきましても力を発揮してきたというのが実情でございます。例えば昨年度シカゴでロボット7というアメリカのロボットショーがございまして、ことしはロボット8がございました。私、参加できませんでしたが、昨年の例で見てまいりますと、アメリカのロボットショーで展示されておりますロボットの本体は半分以上が日本製でございます。ところが、ロボットをコントロールする制御器、それからロボットの動き、作業を指令するいわゆるコンピューター部分といいますものは全部アメリカ製でございます。もちろん日本ではそういうものもつくっておりますけれども、彼らはハードウエアの部分だけを日本から買ってまいりまして、そして自国の技術を導入して極めてうまくそれを使いこなしているのであります。彼らの目的とするところは、どうやらロボット単体の開発ではございませんで、むしろ言うなればハードウェアの開発というものはここしばらくはあきらめているのではないかと思います。しかしその反面、日本からすぐれたハードウエアのロボットを導入して、それを一つのコンポーネント、一つの要素としてシステムに組み上げます。彼らはFMS、いわゆるフレキシブル・マニュファクチャリング・システムだとか、CAD、コンピューター援用技術、設計のための援用技術、そういうさまざまの技術を持っておりますから、そういう技術とドッキングいたしますと、生産ラインを全く無人で行えるようなファクトリーオートメーション、FAというものが実現できます。彼らはそれをねらっているように思われます。  ではどちらがいいかという比較、これは簡単にはできませんけれども、もしアメリカのそのねらいが成功いたしますと、日本はロボットのハードウエアを供給するんだ、アメリカは自国のいわゆるソフトウエア工学を使ってファクトリーオートメーションのシステムを構成するんだ、こういうことになるわけであります。問題はどちらが付加価値が高いかということでございまして、これは私は産業人ではないのでよくわかりませんが、彼らからいろいろな話を聞く限りにおきましては、既に日本の国内では過当競争が始まっておりますので、要するに買いたたいてダンピングのおそれがあるのじゃないかと思うほど非常に安く彼らは買っております。そして彼らは、それにシステム技術をつけ加えて全体をシステム化いたします。付加価値では、明らかに彼らのやり方の方が数倍よろしいのではないかと私には思えます。これはまだアメリカの国内での話ですが、これが全世界をカバーするようになりますと、日本の市場もこれに巻き込まれるようなおそれがなきにしもあらずでございます。アメリカの動きの一つが、今申しましたいわゆるシステム指向でございます。  もう一つの動きは、産学協同というものが非常にうまくいっておりまして、アメリカの特定の大学と数社の大企業が一つの大きなプロジェクトを組みまして、大学の中にロボット専用の新しい研究機関をつくる、そういう例が毎年たくさん出ております。そこで使われます研究費の額というものは、先ほど日本の額をお知らせいたしましたけれども、それの大体一けたから二けた上でございます。なぜそんなに巨額の研究費になるかと申しますと、彼らの場合は日本の大学の研究所と違いまして実用化というものが非常に強く指向されております。したがって、大学内の研究所におきましても実際と違わないような大きなモデルをつくりまして、そして実際に使われております産業用ロボットを導入して実用化研究をするというやり方をとっております。したがって、研究費の額は一けたから二けた違うというぐあいに思えるわけでございます。もっともアメリカの研究費のカウントの仕方は、人件費を入れておりますので単純比較はできませんけれども、それにしても私が視察した範囲内ではかなり大がかりなやり方をしているのは事実でございます。  しかし、アメリカと日本のもう一つの違いというものを考えてみますと、それはナショナルプロジェクトの有無ではないかと思うのでございます。日本は、御承知のとおり昨年度から極限作業用ロボットと言われる大型プロジェクトがスタートいたしまして、いわゆるナショナルプロジェクトとして非常に期待されているのでございますが、私の知る限りアメリカではそういうような規模のプロジェクトはございません。いろいろな助成策はございますけれども、連邦政府が積極的にプロジェクトを組んで行うというようなことはやっておりません。その反面、彼らはいろいろな分野、省庁で申しますと産業にかかわる省庁から防衛にかかわる省庁まで、独自にロボットの研究助成金というものを大幅に支出いたしまして、それがアメリカのロボット研究開発の大きな種となっているのは事実でございますが、プロジェクトをつくって推進するというやり方はアメリカではとられておりません。これにつきましても、後でまた二、三申してみたいことがございます。  さて、日本とアメリカの次が順番から申しますとフランスになるわけでございますが、フランスは純粋に国家プロジェクト推進型の国でございまして、既に今までに三つのプロジェクトを遂行しております。二つは完了いたしました。古い順から申しますと、一番目はいわゆるスパルタカス計画というものでございまして、これは産業応用といいますよりはむしろ医療応用に近いのでございますが、そういう計画がございました。それから昨年まで約四年間だったと思いますがARA計画というものがございました。そして昨年からフランスはもっと大がかりなRAM計画というものをスタートさせました。実は、フランスのお招きでそういう調査をしたことがございますが、フランスのやり方は徹底しておりまして、これはいろいろな分野についで言えることでございますが、大学も企業も同列に扱って強力な指導性を発揮いたします。したがって、研究開発のプランニングは少数の人が握っておりますけれども、それの企画力のすばらしさというものは抜群でございます。また恐らく研究効率も非常に高いのではないかと思われます。しかし、残念ながら研究者の数がアメリカほど多くございませんので、絶対的な進歩の程度というものはちょっと評価しにくいのでございますけれども、フランスのナショナルプロジェクト推進型の研究というものがここ数年のうちに必ず芽を吹いてくると思われます。これはいろいろな学術的な国際会議その他で彼らの発表を聞いておりますと、もう七、八年前とはさま変わりであるという印象を強く持っているのでございますが、恐らくフランスは数年のうちに非常に強力なロボット産業を育て、そしてロボットの基礎開発に実力を蓄えるのじゃないかと思われます。  四番目に挙げますのはイギリスであります。イギリスはロボットの研究開発については非常に早くから先鞭をつけましたけれども、残念ながらその実績が余り上がっていないというのが実情でございます。これは独断的な言い方をして申しわけないのですが、イギリスにおいては産業用ロボットの導入については非常な奨励策がなされていると聞きますが、研究開発に対する支出というものはそんなに多くないようでございます。  西ドイツにつきましては、これはアクティビティーの面から見ますと現在ではやはりちょっと寂しいのでございますが、西ドイツはむしろフラウンホーファー財団が中心になりましてそういう分野の研究を促進しているということはうわさに聞いておりますが、実際どういうような活動があるかということにつきましては、私は余りよく存じません。  その他特殊な例を二、三申し上げますと、オーストラリアという国がございます。この国は科学技術の基礎技術の面では非常に古い歴史を持っているわけでございますが、産業に役立つ実用化技術につきましては余り目立ったものはございません。しかし、一つだけロボットにつきましては例外がございまして、彼らは世界で最高のすばらしい知能ロボットの開発に成功したのでございます。それは何かと申しますと、羊の毛を刈るロボットでございまして、手といいますのは彼らの非常に重要な産業でございます。例によって羊の毛を刈る職人が払底してまいりまして、数年のうちに非常な危機が来るだろうと言われておりますが、それに対処するために、オーストラリア・ウール・コーポレーションという組織がございますが、これが非常に多額の研究投資をいたしまして、国内で非常に立派なロボットの開発を行っております。これは目的は羊毛を刈るという目的でございますが、生き物を扱うという技術は非常に困難なことがございます。機械を扱う場合は、平たく申しますと、相手が物体でございますからたとえ落としても実害はそうないのでございますが、生きているものを生きたままで扱うという技術は、ある意味では機械技術の最高のものを求められるのでございます。いまだに病院などで患者を運ぶ、そういう機械が実用化されないのはそれでございまして、やろうと思えばできるのでございますけれども、人間というものを相手にいたしますとやはり現在の技術では満足のいくものができないわけでございます。羊も同様でございます。大きい羊もあれば小さい羊もあります。そういうものを相手にいたしまして、相手が嫌がって動くのをバリカンでもを刈るわけでございますが、そのロボットの姿が見ていて非常におもしろいのですが、それだけのロボットを開発をしたというオーストラリアの実績というものは今かなり高く評価されております。これは約三年前に国際的に知れ渡りまして、それ以後オーストラリアの羊ものロボット関係者は毎年国際会議に招待されるということになっております。ことしの八月にも京都で国際会議を行いますが、そのときもオーストラリアからこの方を御招待するという手はずになっております。まあ社会的な非常に強いニーズがありますとそういうものができるのだという一つのいい例ではないかと思うのでございます。  話をもとへ戻しまして、世界的な視野で見ますと、次におもしろいのが中国でございます。中華人民共和国におきまして、御承知のようにロボットに対する熱意はかなり高いのじゃないかと思われます。もちろん技術的にはまだまだその進歩の度合いはそう見るべきものはございませんけれども、何しろ非常に大きな国でございまして、それから生産性の向上というものがやはり彼らにとっては非常に大きな命題ではないかと思うのでございますが、いずれ中国も本格的にロボットの研究を開始するのではないかと思われます。これは単に私の個人的な推測でございますが、ここ一、二年中国からの視察団の数がどんどんふえまして、そういう方々から受けます質問の内容、その程度がだんだんと高まってまいっております。よく勉強しております。ということは、やはり中国ではそういう大きな計画を持っているのじゃないかと思われます。  それから、忘れてならないのが台湾と韓国の事情でございまして、台湾は御承知のとおりに新竹という町に大きな国立の研究所を幾つかつくって、日本の筑波に似たような様相を呈しております。規模は小さいのですが、その新竹にございます研究所で今ロボットの研究開発が最重要課題になっております。私もそこを訪問いたしましたけれども、彼らは日本でつくられておりますロボットのかなり水準の高いものを彼らなりにつくる技術を既に習得しております。もちろん性能は日本の物よりも劣りますけれども、少なくとも外観は同じ、それからその技術的な仕様につきましては大体同じような水準のものをつくっております。台湾の全体の研究者の層の厚さというものがどのくらいあるか私にはわかりませんけれども、台湾が国を挙げてロボットの研究に取り組んでいるということが見られるわけでございます。  一方、韓国でございますが、韓国は大ざっぱな言い方を申しますと、台湾より少しおくれている程度でございまして、この韓国におけるロボット技術それからメカトロニクス技術全般の指導的な役割をしておりますのが韓国科学技術院でございます。従来KISTと言われておりましたが、今KAISTというぐあいに呼称されております。これは研究所を持った一種の総合大学院研究機関でございますが、ここにおきまして彼らは非常に熱心にロボットの研究開発を進めております。私、先週行ってまいりましていろいろ調べてまいりましたが、この韓国科学技術院が中心になりましたいろいろな研究開発が、民間企業とのいわゆる産学協同に支えられまして、今非常な勢いで伸びております。やはり韓国もあと何年がいたしますとロボットの産業につきましてかなりの分野食い込んでくるのではないか、こう思うわけでございます。と申しますのは、韓国にはいろいろな大企業が既にございまして、そこのいろいろなロボットの導入計画を聞いてまいりましたが、彼らなりに非常に着実な計画を持っております。自動化のみならずロボット化につきましても、韓国は民間企業も非常な熱意を持っておりますので、恐らく台湾と同様、韓国も五年先には見るべき成果を上げるのじゃないかと思っているわけでございます。  このように世界全般のロボットの研究開発を横断的に見てまいりますと、ロボットという機械の一つの特殊性を見ることができます。それは何かと申しますと、ロボットにはその国固有の、もう少し言いますとその国固有の経済社会に適合した姿というものがあるのじゃないかということでございます。日本は日本なりに非常にハードウエアに強い産業を育ててまいりました。ところがアメリカは、日本の物をそっくり導入したのではアメリカの産業に適応しにくい、そして彼らなりに考えて、ハードウエアは日本から持ってきて、ソフトウエアは自分たちでつくってしまおう、そういうぐあいなことをしております。ヨーロッパの国に参りますとこの傾向はもっと顕著でございます。スウェーデンとかそういう非常な福祉国家を見ますと、彼らなりのロボットの研究開発ターゲットというものを持っておりますが、それはドイツとかフランスのものとまた異なります。それからイタリアに参りますと、ロボットが自動車産業においてたくさん用いられておりますけれども、その使われ方、それからロボットの種類というものはやはりほかの国と非常に異なっております。大げさな言い方をいたしますとロボットには国籍があるのじゃないかというような気がするほどでございまして、日本のロボットは確かに優秀だけれども、それをそのまま輸出したのでは相手方に受け入れられないのであります。それは考えてみますと当然でございます。と申しますのは、ロボットは何よりもまず省力機械でございますから、作業者の代替機械でございます。したがって、どういう作業をするか、どういう作業をさせられているかというようなことは国によっていろいろ違います。またその国の労働需給によっても異なってまいりますし、それから労働者の熟練の質によっても異なってまいります。日本では、今ロボットで代替しようとしております作業というものは非常に高い熟練性を持った労働者の場面でございまして、高い熟練性を持った労働者の作業をロボットで置きかえよう、そういう試みが日本では非常にたくさんございますが、しかしそれとは別に、そういう場面はロボット化しないでもっとほかにロボット化することがあるじゃないか、非常に危険作業があるから、そこは人件費を度外視して幾らコストがかかってもやるべきじゃないか、それからまた労働環境の悪いところがあるじゃないか、それから非常に疲れやすい仕事があるじゃないか、そういうような立場から、広い意味で労働福祉の面から見ますと、それなりのロボット化の姿というものが別の解答として出てくるわけでございます。  そういうわけで、ロボットというものは、ちょうど工作機械のように使う人が使いたいように使えばいいのだという機械じゃございませんで、使われ方、すなわち産業界のニーズにうまく合致したものでないと使えないというような機械でございますので、したがって、国によってロボットの開発ターゲットも異なりますし、またでき上がったロボットの姿も少しずつ違ってくるのでございます。  さて、それでは次に、以上申し述べましたロボットの研究開発の現状に立脚いたしまして、これからどういうような方向に研究開発が向けられるべきであろうかということにつきまして、二、三意見を述べさせていただきたいと思います。  将来のロボットの研究開発のあり方というものを考えます場合に、その背景をよくつかんでおく必要がございます。  まず、その背景を二つ三つ考えてみますと、一つは、ロボットというものは社会のニーズに合致したものでないとだめだということでございます。幾ら高級なロボットでも、そのロボットが使われないようなものであればもちろん生産されないのは当然でございますけれども、社会のニーズに合致しなければいけないということは忘れてならないことでございます。毎年もしくは一年置きにニーズ調査が行われておりますけれども、そのニーズは毎年変化しております。そういう変化を追跡してまいりますと、日本におきましては、ロボットに対する社会のニーズというものがここ数年うんと変わってきているということに気がつくのであります。それはなぜかと申しますと、生産性向上一本やりでなくなったということであります。生産性の向上はもちろん大切でございますけれども、日本ではそれ以外に、労働環境の改善というのがここ当面の大きな要因になっているように思います。これは言うなれば量から質を追求するようになってきたというぐあいに見られるかもしれません。  それからもう一つは、いろいろなニーズを集計してまいりますと、公共性の非常に高いテーマが浮かび上がってくるのでございます。例えばその一例を申し上げますと、メンテナンスという作業がございます。これは保守作業とか保全作業と言われております。この保全作業というものは、考えてみますと一種後ろ向きの技術に見えるのでございます。物をつくり出すというのは前向きでございますけれども、つくったものを保全する、保全して機能が落ちないようにするというのは、これは少しネガティブな感じがするのでございます。この保全するという技術に関連しましてロボットを導入したいという非常に大きな流れがございます。これは一私企業の場合のみならず、公共的な場合にも見られます。例えば小さい場面で見ますと、化学製造、いわゆるケミカルプラントの分野でございますが、従来ケミカルプラントの保全というものはほとんど人の巡回によってなされてきたわけでございますけれども、それをロボット化したいというニーズがございます。それから今度逆にスケールの大きい方から見てまいりますと、いわゆる社会資本の充実に伴いまして、それの保全費用というものが国家的な規模で問題になっておりますけれども、そういう保全作業というものを今のうちにロボット化しておきませんと、新規の投資に支障を来すのじゃないかという説も非常にございます。これは私余り深くは存じませんけれども、メンテナンス作業、保全作業というものはほとんどが人手作業でございます。  簡単な例を申しますと、例えば下水配管工事でございますが、下水道の保全工事だとかそういうものをとってみましても、道路の下に埋没されたパイプを掘り起こして、そしてそれをチェックして、修理して、また埋める、そういう単純な作業ですが、これを機械で置きかえるといたしますと大変なことでございます。それから、つくりました鉄橋を毎年塗りかえますけれども、これをまた機械でやろうといたしますと大変なことでございます。いまだに人が高いところに上りまして、危険な作業を承知の上で塗りかえ作業をしております。こういうような作業は、一見人間にとってはそんなに難しい作業に見えないのですけれども、よくよくその作業を分析してみますと、機械で置きかえる場合にかなりの知能的な機能が必要だということがわかっております。知能的な機能が必要な機械といいますのはここではロボットでございますので、そういう作業は今のうちにできる限りロボット化しまして、後ろ向きなそういう保全作業というものを全部ロボットに任せる、我々人間はもっと前向きの仕事をするというような流れが見られるわけでございます。  それから最近の社会のニーズのもう一つのおもしろい特徴的なことは、第一次産業からのニーズが非常に強くなっているわけでございます。農業とか漁業とか林業、そういう面におきまして、林業などもまさしくそうでございます。これは人手作業そのものでございまして、それをロボット化して何とか森林を保ちたいとか、そういうようなことがございます。私、二年前フランスに参りまして、ボルドーという町に参りました。そこは御承知のとおりワインの産地でございますが、ボルドー大学にロボットの研究室が二つございます。そのうちの一つが人工知能の研究なんですが、実際にどういう仕事をしているか聞いてみますと、ブドウの木の剪定をロボット化したい。日本で言いますと茶摘みと似たものですが、そういう作業をロボット化したい。御承知のようにブドウの農場といいますのは斜面にございまして、結構厳しい労働なんだそうであります。労働者の数も少ない、農民の数もだんだん少なくなってきまして、そういうロボットをぜひやりたいのだということで盛んに研究しておりました。それに類した例はたくさんございます。  それから次の第二番目の背景は何かと申しますと、ロボットというものがメカトロニクス全般にわたりましてハイテクノロジーの一つのかぎである、ハイテクノロジー関係の一つのキーテクノロジーじゃないか、そういう表現をしてよろしいのじゃないかと思います。その意味は皆さんおわかりのことかと存じます。割に卑近な例を一つだけ申しますと、例えばスペースとか原子力を挙げることができます。日本も千九百九十何年かには宇宙開発の本番を迎えるという記事をよく読みますけれども、例えば宇宙の静止軌道上におきまして大型の構造物を組み立てるというような計画を実行しようといたしますと、これはいわゆる宇宙作業用のロボットがなければ不可能ではないかと思われます。幾ら生身の人間が宇宙遊泳ができるといいましても、組み立て作業というような大がかりな作業は宇宙飛行士だけでできるものじゃございません。スペースキャビンだとかスペースロボットだとか、そういう名前で呼ばれておりますようなテクノロジーというものがロボット工学を基礎にして生まれるのじゃないか。それから原子炉の保全は、現在もう非常に行われております。核融合炉の実現に際しましても、御承知のとおり核融合炉というものは一たん稼動いたしますと後は人間が中に入れません。すべてはリモートでやらなければいけない。保守作業、点検作業、あらゆる作業は完全に自動化されないといけないわけであります。そうしますと、核融合炉というものをつくるためには、その炉に必要なロボットがあらかじめ開発されていないといけないということになります。ここにおいてもまたロボットというものが非常に基本的な役割を演ずるわけでございます。  我が国の基本的な背景の第三番目といたしまして、日本が老人社会になりつつあるということが今後ますます大きな要因になってくるのじゃないかと私は思うのでございます。人口動態のデータによりますと、何か十五年先には六十五歳以上の人間が一五・六%を超えるのだ、さらに二十年先になると二二%くらいにまで膨れ上がるのだという数字がございます。これはスウェーデンの老人化率よりももっと高いのだそうであります。十五年先でもう既に老人化社会に入ってしまう。私も含めて我々余り楽観的ではないわけでございまして、十五年先には老人層に入ってしまう。そのときにどうするかじゃなくて、それまでにどういう手を打つべきかということがかなり大きいのじゃないかと思います。一つは、やはり中高年労働者というものがいつまでも社会の生産に役立つような、そういう形を保有していきたいということがございます。それからもう一つは、ある種の手段によって若年労働者の負担というものを、言うなれば生産性を非常に高めるような形で考えておきたい。  今ちょっと卑近な例を申しますと、産業用ロボットというものは大体中高年層は扱えないのであります。あれはなぜかと申しますと、コンピューターで制御いたしますが、コンピューター言語というものは、我々がしゃべっておりますような自然言語で書くことがまだできません。要するに記号であります。ブラウン管の上に記号がさっと並びますと、とてもじゃないけれども扱えない。勉強いたしましても三日間で忘れるということでございまして、中高年層はもうアレルギーでございます。そういう現状でございますので、ロボット言語というものをもっともっと改良いたしまして、自然言語で書けるようにする。そうするとどういうメリットが出るかといいますと、中高年層ですから肉体的な機能は衰えているかもしれませんけれども、経験だとか知識は非常に豊富でございます。ばかとはさみは使いようと言いますように、ロボットという機械は教えようでいかようにもなるわけでございます。それで知能を持っておりますから、いいことを教えればいい作業をします。下手な者が教えますと下手なことしかできない。したがって、中高年の人が自分の経験と知識をもとにして、ロボットに自分が今まで持っているものを教え込んでやりますと、非常に能率の高い性能のいい仕事をしてくれるわけでございます。したがって、そういう技術を今のうちに開発しておきませんと、中高年のそういうパフーが期待できない。それからもう一つは、やはり若い人が老人を養っていくわけですから、それだけ生産性を高めないといけないわけです。そのためには、いわゆる直接の生産性じゃなくて、まず第一に労働環境の悪いところは全部ロボットでつぶしていくというようなところから始めまして、現在の生活レベルが維持できる程度までは社会全体の生産性を上げておかなくちゃいけないのじゃないかと思います。  最後の四番目の背景は、日本が世界のリーダーであるということの責務じゃないかと思うのです。これは私のような一大学人にとりましても痛切に感ずることでございまして、統計をとるとわかるのですが、夏休みのようなときは別として、春とか秋のシーズンのいいときは私の研究室に週に大体二・二、三回から二・五回くらいの割合で外国から人が見えます。それの応待がまず大変でございます。それによって私たちも情報を得るのですが、その応待が大変でございます。それと同時に、彼らは日本に対して非常な期待を持っております。特に中進国、後進国の人たちというものは非常な期待を持って参っておりまして、研究生を派遣したいから教育してほしいという例はたくさんございます。しかし私たちの大学では、そういう者をそんなに受け入れる余地はございません。これは具体的な話ですが、これが一つ大きな問題としてあるわけでございます。  それからもう一つは、やはり世界のロボットの科学技術の先導的な役割を日本が果たさなくちゃいけないのじゃないかと思うのであります。いわゆる技術サミットというもので日本はフランスと一緒にロボットの幹事国になっておりますけれども、今日本がやっております実績は何かといいますと、国際会議を日本で開くということと情報を交換する、それだけでございます。それではやはり実績としては非常に寂しいのでございまして、また先進国の中でも、日本に対してそういうような期待を持っているところはたくさんございます。したがって、日本はロボットにおいては世界のリーダーでございますから、その責務を果たせるようなものをこれから考えていかなくてはいけないと思います。  そういう四つの背景を申し上げましたけれども、それを踏まえて今後の科学技術のロボットに関連する研究開発のあり方というものを、ここでは二つお話し申し上げたいと思います。  一つは、研究開発というものの現状を容認いたしまして、民間主導型というものと政府主導型というものをはっきり分けようじゃないかというのが、私の個人的な一つの考えでございます。どういうことかと申しますと、現在においても産業用ロボットの開発は民間企業が独自でやっております。しかしその路線の行き着くところは、どうもアメリカの今進んでおりますところとぶつかるような気がいたします。彼らのシステム指向的なやり方というものは決して無視できないわけでございまして、そういう意味におきまして日本のロボット産業というもののすそ野を広げていく、しかしそれの実際的な主導権は民間企業がやってほしい、政府としてはそれを側面から援助するという形でひとつ考えたらどうかと思うのであります。これの最終ターゲットはファクトリーオートメーションでございます。非常に広い意味での工場の無人化でございます。ファクトリーオートメーションは言葉が先にできたものですから、もう既に完成された技術であるというぐあいによく思われるのですが、決してそうじゃございません。ファクトリーオートメーションはまだ始まったばかりでございます。これにつきまして日本が民間主導型で、要するにアメリカに負けないような研究をやってほしい。これについては国立の研究機関、大学というものは余り参画する余地はないと私は思っております。二番目が完全な政府主導型といいましょうか、ナショナルプロジェクト主導型の研究を進めていただきたいということでございます。現在でも極限作業用ロボットのプロジェクトが進行しておりますから、非常に明るい希望を私は持っているのでございますが、これは要するに十年先の姿をターゲットとして選んだものでございます。さらにもっと十五年先、二十年に焦点を合わせた研究開発、これから未来の社会のニーズを先取りしたと言いましょうか、そういう形のもの、そういう研究開発の体制というものもぜひ期待したいと思うわけであります。それから、そういうプロジェクトを実際に立案いたしますと、どうしても公共性のあるロボット開発というものの基礎研究が主テーマになると思いますが、そういう面で強力な指導性を発揮していただきたい、こう思うのでございます。  二番目は、二種類の研究開発組織もしくは機関というものがもう現在不可欠になっているということでございます。一つは何かといいますと、世界的な視野に立ちましたロボットのRアンドDセンターと言っていいかと思いますが、そういうものでございます。民間企業が共同していろいろな開発を行いましてもやはり限度がございます。そしてお互いに協力してやらなくてはいけないというのも事実でございますが、そういうことを実際に実現するためにはそれだけの強力な機関というものが必要になってくるわけでございます。具体的なお話を申しますと、現在産業用ロボット工業会の中に組織といたしましては国際ロボット開発センター、ICORという組織ができました。これは将来財団法人にいたしまして独立の研究機関にしたいという目的のもとで立案されたものでございまして、私もそれの計画に参画しておりますけれども、ここではどういうような研究開発が期待されているかと申しますと、一つは日本国有のロボットの研究開発でございます。それから二番目が国際協力を通じての活動でございます。先ほど言いましたように、いろいろな国から日本の協力を受けたい、ロボットの応用技術の勉強をしたい、研究の仕方を覚えたい、そういうものがたくさんございますので、そういうところをこのICORという組織を使って本格的に対処できないだろうか。それからもう一つは、今言った技術サミットの受け皿としてそういうICORを活用いたしますと、またその新しい展開が期待できるのじゃないかということ。それから最後が情報のデータバンク。先ほどから言いますようにロボットというものは情報機械の一種でございますから、ソフトウエアの蓄積というものが非常に問題になります。蓄積、それからそれの共通的な利用というものを考えますと、データバンクというものが不可欠でございます。そういうようなものを一括して行えるような一つの財団法人組織というものが必要じゃないかと私は思っております。三年前からそういうようなフリートーキングを始めまして、まだ法人化しておりませんけれども、やっとそういう組織ができましたが、今申し上げましたような種類の研究機関、開発機関というものが日本にはやはり一つ必要じゃないかと思うのでございます。  それからもう一つは、特に大学におけるロボット研究のあり方というものにつきまして、もう少し基本的な立場から御検討いただけないかというわけでございます。大学におきましては数年先のターゲットのもとに研究をするということは比較的まれでございまして、民間企業が割合近い将来をねらえば我々は遠い将来をねらった研究をしているわけでございますが、そういう未来指向型の基礎研究というものを今もっと盛んにしておきませんと、どうもロボット研究の活動力というもの、アクティビティーというものが保持できないのじゃないかと思うのでございます。それから、産学協同が日本においてはうまく機能しておりませんが、産学協同というものをうまく機能させるというためにも、大学の一つの理想型を申しますと、全国共同利用できるようなそういうロボット開発の研究センターというようなものを設けるべきじゃないかと思うのでございます。いろいろなところに分散してやるよりも集中してやろうというのが私の考え方でございまして、ロボットのようなそういう新しい分野につきましては、限られた研究開発の人材が有効に機能するような形の組織と研究開発機関というものが必要じゃないかと私は思っている次第でございます。  長時間にわたりまして長々といろいろなことを申し上げましたが、一応これでお話を終えさせていただきたいと思います。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

大野潔公明党・国民会議

○大野委員長 どうもありがとうございます。     —————————————

大野潔公明党・国民会議

○大野委員長 それでは、これより質疑を行います。  この際、委員各位に一言申し上げます。  質疑につきましては、時間が限られておりますので、委員各位の特段の御協力をお願いいたします。なお、委員長の許可を得て御発言をお願いいたします。

小宮山重四郎自由民主党・新自由国民連合

○小宮山委員 きょうは御苦労さまでございます。ありがとうございました。  先生のお書きになった「機械はどこまで人間に近づくか」という本がございますけれども、欧米に行きますとまず一番問題になりますのはロボットと失業者の問題であります。社会的にロボットを使うと失業者が出るという大変根深い考え方が一つあります。これについてどうお考えか、これが第一点でございます。  第二点は、産学協同が合うまくいっていない。確かにうまくいっておりません。私も長いこと、三十年以上前に産学協同をやってみたことがございます。それもうまくいっておりませんけれども、アメリカのソフト系統の考え方、大変重要な考え方だろうと思います。その辺では、いわゆる第五世代コンピューター研究開発組合方式のようなものでやっていかなければいけないのではないか。最近アメリカも第五世代コンピューターの中に入れてくれないかという要求もございます。そういうようなことから見ましても、産学協同ではなくて、ソフトの面に相当力を入れるようなシステムをつくって、いわゆる産業開発協同組合のようなものをつくって積極的にロボットの研究、ただただ人間にかわるという意味ではなくて、新しい分野のOAなりFAのようなものを相当進ませる意味でもそういうことが必要ではないかと思っております。  それから第三番目は、私スペースシャトルを見てまいりましたけれども、あのときにカナダがロボットを出しておりました。これは大変細かい話ですけれども、いわゆる無重力の中では油などは球状になるのではないかという感じがします。落ちてこない。そういうようなことについての技術というものは日本では勉強されているのか、またその辺のところの実情をちょっと御説明いただければありがたい。  以上三点でございます。

梅谷陽二東京工業大学教授

○梅谷参考人 失業の問題は私も関心はございますが、余り詳しく存じません。私の個人的な感触でございます。ヨーロッパは御承知のように産業革命の昔からそういうアレルギーに近いものがございます。事実またヨーロッパのロボットの導入の仕方を見てみましても、いい意味では非常に合理的でございますし、また悪い意味ではそういうような失業につながるようなものもあるのじゃないかと思うのですが、日本におきましては、私の知る限りにおきまして、例えば自動車関連企業の労務担当役員の方のお話など聞いてみますと、非常にきめの細かい配慮があるということを感じております。ただ、どうでしょうか。ここ一、二年ヨーロッパの各国も考え方が少しずつ変わってきているのじゃないかと思うのでございますね。ロボットの導入がすぐ失業だという考え方から、もう一つ変わってきているのじゃないかと私は思うのでございます。もうそれ以上のことは私ちょっと申し上げられません。  それから産学協同というものがアメリカがなぜうまくいっているかというのは、私はやはり大学の運営、組織上いろいろな面で大学が非常に柔軟な組織を持っているからではないかと思うのでございます。州立大学でも、我々が見ますとこんなことができるのかというようなことを彼らは常識的な線でやっています。例えば四社か五社から巨額の金を集めまして、そして企業からもたくさんの人が参ります。大学の研究員それから大学院学生も参りまして、全く開発型の研究体制というものをつくり上げます。日本ではちょっとそういうことはできないことだと思います。それと同時に、民間企業にとっても、日本の大学とか研究所というものはスタートした時点から研究テーマの選択につきましても非常に未来指向型で来たものですから、今までのところちょっと両者が歩み寄るにはギャップがあり過ぎたということが言えると思います。しかし最近になりまして、これも私の周りを見てみますと感ずるのですが、ようやく大学の研究についての価値というものを認めていただけるような風潮が出てまいりました。私の研究室のようにちょっと変わったロボットを開発しているように見えますが、将来を見越して我々が研究しているそういう姿、そういう考え方というものは大分理解されてきたように思います。そういう意味においては私は必ずしも悲観的ではございません。  それからカナダ・アームでございますが、ああいう種類のスペース用のアームの研究というものは、日本では筑波の電子技術総合研究所で行われているのが唯一ではないかと思います。しかし、カナダ・アームあるいはスパー社だと思いますが、あのような実績はないと思いますが、あそこの極限技術部でかなりの基礎的な研究はしているはずでございます。まず日本でもしカナダ・アームと同じようなものの開発がスタートいたしますと、どうでしょうか、二、三年ぐらいのギャップですぐ追いつくのじゃないかと思います。あのスパー社の技術は、全体の構成はもちろんですが、機械部品のいろいろなところにノーハウがございまして、そこがポイントだと思います。

小宮山重四郎自由民主党・新自由国民連合

○小宮山委員 ソフトの方の開発はどうなっていますか、ロボットについてのソフトウエア。

梅谷陽二東京工業大学教授

○梅谷参考人 ソフトウエアの開発につきましては、まず日本では共同でやろうという体制は一つ、二つございますけれども、十分に機能しているとは思われません。それはなぜかと申しますと、ロボット言語というものにはいろいろな階層がございますけれども、一番使いやすい形で共通の言語をつくろうじゃないかという動きがございまして、これはISOという世界のスタンダードを決める組織機関が音頭をとってやっておりますけれども、なかなか話し合いがつきません。国内でもそういう話し合いをする組織、委員会等ございますけれども、話がつきません。それからもう一つレベルの上といいましょうか、言語につきましての開発につきましては、日本は相互に大学と共同してやるとか民間企業同士が共同してやるというような動きはちょっとまだないようでございます。当分起こりそうもございません。

小宮山重四郎自由民主党・新自由国民連合

○小宮山委員 ありがとうございました。

渡部行雄日本社会党・護憲共同

○渡部(行)委員 一つは、日本は今ロボットの技術水準はトップランナーにあるということを言われましたが、このトップランナーをずっと将来維持していくには今後どういうふうにすればいいのかという点が第一点でございます。  それから第二点は、ロボットの開発をしていくについて当面一番のポイントはどういうところにあるのか、そしてまたロボットというのはどこまで人間に近づくことができるのか、そういう見通しについて。  それから第三点は、ロボットはニーズによってつくられ、また進歩していくという趣旨のお話がありましたが、日本の場合はすぐに商品化して、経済的価値を求め過ぎるのじゃないかと私は思うのです。もっと基本的な分野で金をかけて、今は必要でなくても、将来この分野を開拓すれば飛躍的に進歩する、そういうことがあり得ると思うのです。そういう点で、経済価値のないところにはすぐ金をつぎ込みたがらない企業には余りそういう点では期待しないで、そういうところに政治というものがかかわるべきじゃないか。いわゆる経済性は少ないけれども、これが基本になり、基礎的なものであるという点で、もっと専門家と政治というものが密着しなければならぬのではないだろうか、私はそんなふうに考えますが、この三点についてお聞きします。

梅谷陽二東京工業大学教授

○梅谷参考人 日本がロボットにおきますトップランナーの地位を保つためには、一つはソフトウェアの開発ということが先ほど話題に出ておりますが、ソフトウエアの開発によって何が必要かといいますと、ロボットの知能性を高めるということでございます。例えばロボットは、ちょっとお話し申し上げますと三つの基本的な要素から成っております。一つは何かといいますと、ロボット自身が外界の状況をキャッチし、要するに環境情報を取り入れるというセンサーが必要でございます。センサーから取り入れられた情報をコンピューターで処理するのですが、この処理をするときに必要なものが知能性ということでございます。例えば物事を理解するとか物体を認識するとか、そういうようなものでございます。それから、自分自身の行くべき経路を自分で決定するという意思決定の問題とか、そういういろいろな言葉で言われておりますが、それを知能性と申しますと、そういうものがコンピューターのブレーンの中で行われるわけでございます。その結果が手足の動きとなって外へ出るわけでございますが、この三つがバランスよく進歩しないといけないわけです。  私が申し上げたいことは、最初に、日本で今一番大事なのは何かといいますと、やはりそのブレーンに当たるところでございまして、現在は視覚、目を持ったセンサーというもの、工業テレビとかいうもので外界の画像情報を取り入れまして、そしてそれを画像処理いたしまして、その上でいろいろな判断をするというような技術を盛んに開発しているのでございますけれども、そういうような人工知能の研究という分野、これはやはり日本が真剣になってやらなくちゃいけないだろうと思うのでございます。第五世代のコンピューターの話が出ましたけれども、それとそういう意味では非常につながっております。それが第一番目でございます。  それから二番目は、トップランナーという意味でございますが、何といいましょうか、三番目の経済性と絡むのですけれども、我々がいかに夢のある研究課題を設定できるかということじゃないかと私は思うのでございます。今ロボットの研究をしたいという若い学生は非常にたくさんございます。私たち選定に困るぐらいたくさん参ります。諸外国からも参りますけれども、彼らは工学の研究をしているというよりはむしろ科学の研究をしている、そういう態度でございまして、ロボットというものに非常に強い興味を持っておりますので、彼らに夢を与えるようなテーマをいかに選定するか、実はそれが私たちの役目でございまして、その選定が適切でございますと彼らの創造的な能力をぐんと引き出すことができます。またそれが非常な成果につながっていくという、ほかの分野とはちょっと異なった状況がございます。そういうテーマをいかに我々が選定するかということでございます。  例えば宇宙というものは非常に夢のあるテーマでございます。では、日本でスペース用のマニピュレーターというものがそんなに必要なのかどうかと言われますと、これは答えにちょっと窮しますけれども、しかし、スペースで使うための、こういうようなアンテナとこういうものを組み合わせてこういうような作業ができる、そういうものをつくれというようなテーマは、これは非常に夢がございます。こういうような、夢があって、しかもその結果が非常に将来の実用に結びついていく、波及効果の大きいテーマをいかに選ぶかということが、これはむしろ研究費の枠をどのくらいにするかというよりももっと重要な問題じゃないかと思うのでございます。  先ほど極限作業用ロボットのプロジェクトの話をちょっと申し上げました。あれは十年先のことをターゲットにしておりますので夢ばかりじゃございませんけれども、私も最初のプランニングのときに参加したのですけれども、多少夢というものを入れようじゃないかということであのテーマが選定されているはずでございます、実際にはどの程度実用化されるかは別でございますが。したがって、私が申し上げたいことは、トップランナーとしてはやはり日本は人工知能型の研究をもっと推進すべきだということと、もう一つは、そういうような研究課題をいかに選定するかということで決まるのじゃないかと思うのでございます。  それから、機械は人間にどこまで近づくかというのですが、これは見方が二つございまして、一つは、完全な知能の面からどのくらい人間に近づくかという問題、それからもう一つは作業の面、動作の面からどの程度近づくかという二つの面がございます。  最初のものは、これはどの程度知能的な機能をロボットが獲得したかによって全部決まるわけでございますけれども、今我々が実現できる知的な機能といいますものは、せいぜい物体というものを機械の目で見まして、それがどこにあってどういう形をしている、それから簡単なものでありますとそのカテゴリー、名前を言うことができる、これはグラスである、これはお盆であるとか、簡単な場合はその程度の知能はつけることができます。それから音声につきましても、もう御承知のとおり限られた範囲内では音声の意味がわかるというようなところまできておりますけれども、今後の問題は、もう少し高い知的な機能をねらわなくちゃいけないだろうと思うのでございます。言うなれば完全な学習機能ができるものかどうか、それからどの程度の推理能力ができるか、この辺がその次のステップじゃないかと思うのでございます。そういうものができますと、かなり人間に近いようなロボットが実現すると思います。近いといいましてもまだまだ人間の知的な機能だけでございまして、人間の持っております精神的な機能というものはほかにもまだ随分ございますから、そういうものは別としまして、知的な機能だけに関しましては少しずつ人間のものに近づいていくことができると思います。  それからどの程度の振る舞いができるかという運動機能的な面の問題ですが、これは実はロボットがどの程度やわらかいかということによって決まるわけでございます。我々の体は機械と違って非常に柔軟に動きますけれども、なぜ柔軟に動くかといいますと、要するに関節が多いからでございますね。関節が多くて、しかも一つの関節で二方向に動かしたり、そういうようなものがずっとつながっておりまして、全体が非常にやわらかいわけでございます。こういうやわらかい運動体、機械というものを使いますと非常に巧妙な作業というものが期待できるわけでございます。そういう作業ができますと、先ほどから言っております例えば保守点検作業というようなものは、複雑な機械の空間の中に手を突っ込むというような場面が多いものですから、そういうためのロボットに非常に効果を発揮するのであります。今既に原子力用の場合それにちょっと近い機械がつくられておりますけれども、どの程度柔軟な動きのできる機械を我々が操ることができるか、その制御技術ですね、これが別の面から人間にロボットが近づくかというものになると思います。  それから三番目の御質問の経済性の面でございますけれども、これは先ほどから言いましたように、ロボットというものは教えようによってどうにでもなるという機械でございます。そういう点で従来の機械とちょっと一味違ったものでございますので、この辺を考えますと非常におもしろい、夢のあるテーマが出てくるのでございますが、ちょっと御質問に直接お答えにならないのですけれども、ロボットの基礎研究開発をする場合にどこに特徴があるかといいますと、例えば研究投資をいたしましても、そのうちの固定費の割合というものが割合少ないのでございます。固定費の多い研究といいますのは、例えば材料関係の仕事などは非常に大型の材料試験機という装置が要ります。何十億、何百億というような装置が要りまして、そういう装置がなければ研究が進まないという分野でございますが、ロボットの場合はそういうものはほとんどないのでございます。言うなれば性能のいいコンピューターがあればいい。あとは自分の頭で考えてプログラムをつくる、自分の頭で考えて設計をして実際につくってみるというような流動経費が多うございまして、固定的をものが少ないという相違がございます。したがって、そういう意味では大学とか研究所では割合やりやすいテーマであるということが言えるかと思います。余りお答えになっておりませんが。

渡部行雄日本社会党・護憲共同

○渡部(行)委員 どうもありがとうございました。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)委員 ではひとつ簡単にお伺いしますが、お聞きしていまして、夢があり希望があり人間により近づくということになりますと、人間であれば、労働をやれば労働三法があって保護されていくわけですね。ところが、ロボットがその範囲の中にどんどん食い込んできて人間に取ってかわるような時代が来る。これは費用の問題、また技術の問題等ありますから今すぐというわけではないでしょうけれども、将来のそういう夢につながっていく問題、これはあくまでも人間の作用によってそういうものが善にも悪にもつながっていくわけですね。これが軍事用に使われたり人間を破壊するような場面に使われたりすれば悪になっていくわけですが、こういう面のコントロール、当然世界的にも規制が行われなければならぬような時代が来るのではないかというような予想を私はしているのですけれども、先生のお考えはいかがなものかということが一つです。  第二点目は、輸出産業用として日本がトップを走っておりまして、これが今アメリカの追撃を受けているわけですが、日本がさらにその位置を保って輸出産業用として今後伸びていくため、そのシェア、それから金額の規模等々、こういう見通しについてお答えができればありがたいと思っております。

梅谷陽二東京工業大学教授

○梅谷参考人 ロボットの言うなればミリタリーユースといいましょうか、そういう面の御質問が第一番目かと思います。これは直接表には出ておりませんが、国際会議その他の発表を聞いておりますと、明らかに軍事目的であるという発表はございます。日本からはそういう研究発表は全くございませんけれども、諸外国ではそういう発表が往々にしてございます。それから、特にアメリカではデパートメント・オブ・ディフェンス関連のDARPAという組織、これは研究助成の組織でございますが、これがアメリカの大学に対してロボット関連の非常に大規模な助成を行っております。そのうちの一つの例を申しますと、彼らは多足歩行機械をやっております。これは足で歩く機械でございます。もちろん目がありましてコンピューターを積んでいるのですけれども、今彼らがつくっておりますロボットはかなり大きいものでございまして、大体数十キロから百キログラム前後のペイロードを持った、そして自分でターゲットに向かって障害物を回避しながら進んでいくようなロボットをターゲットとして持っているのです。これに対してかなり巨額の研究補助をしております。これは明らかにミリタリーユースでございます。私たちもその研究のバックグラウンドは知っておりますけれども、我々一度もディスカッションしたことはございません。国内ではそういう関連のものは、我々の知っている限り一件もございません。しかし諸外国、特にアメリカでは明らかにそういう色のついた研究というものは大手を振ってまかり通っております。ヨーロッパでも二、三見ることはできますけれども、アメリカほど多くはございません。そういう意味においては御指摘のような何かの平和目的に限定するような動きとか、そういうものは必要かもしれませんが、現在はそういうあれはございません。  それから輸出につきましては、これは私の余り深く知らないところなのでございますけれども、御承知のとおり今、日本のロボットメーカーはいろいろな外国のメーカーと技術提携とか販売提携というのをしておりまして、直接製品を輸出するという姿は余り強く感じられません。昨年度の実績で生産額の大体一五%が輸出に回ったはずでございます。その一五%がそんなに大幅に伸びるであろうとは思えないのでございます。むしろ各社のポリシーというものは現地生産である。日本は技術を提供する。先ほども申しましたようにロボットというのはその国情に合ったものでないといけないわけでございまして、日本から直接自動車のようにある特定のモデルをどっと送り出して、それが受け入れられるというわけじゃないわけでございます。したがって、当分その傾向は私は続くと思いますので、輸出比率がどんどん高まっていくだろうとは思いません。

吉田之久民社党・国民連合

○吉田委員 ロボットらしきものが我が国で登場し、また実用化され始めたのは二、三年前からだろうかと思うのですが、そのころある人が、これから十年ぐらいの間に日本で約一千万台のロボットができるだろう、ロボットは人間の三倍ぐらい働く、仮に八時間労働させるとしても、その時点で三千万人分の労働をロボットが代替するというようなことを言ったのですが、労働の中に占めるロボットの役割がそういう形で予想できるのか、またいろいろ計算できるのか。ロボットだけが労働を代替するわけではなくて、ほかの機械もやっていますからね。その辺のところについてちょっとお教えいただきたいことが一つ。  いま一つは、日本の労働組合というのは企業別労働組合に大体できていますね。そういう点ではアメリカやヨーロッパの方の職能別の労働組合と違って、ロボットとかあるいはオートメ化を企業全体で吸収できる特徴がある。そういう点で非常に他国よりもこのことの受け入れを進めていくスピードが恵まれているのじゃないかという説は成り立つかどうか。  それから炭鉱の事故とかいろいろありますが、炭鉱とか原子炉とかあるいは重要な海底作業とか、そういうものは企業の意思よりも国家の意思としてロボット等で代替させるべく政策的に誘導すべきだとお考えになりますか、なりませんか。

梅谷陽二東京工業大学教授

○梅谷参考人 御参考までに申しますと、現状で一台のロボットがどのくらいの人数を省力化できるかという大体のめどがございます。これが一番成功している例が自動車産業でございまして、この場合大体一・六から一・七人でございます。一台当たり一・六から一・七人の省力化が可能である、こう言われております。二人以上というのは、単純に考えますと八時間三直交代いたしますと三人分でございますけれども、そこまでいかないのでございますね。やはり一・六、七人分というのが大体いい線だと言われております。それからもう一つは準備台数でございますが、これはやはりロボットも故障しますので、日本では大体全台数の八%、七%ぐらいを見込んでいるはずでございます。ヨーロッパ各国ではまだ技術がおくれておるせいか一五%ぐらいでございます。そういうことでございますが、ロボットにもいろいろな知能の程度がございまして、単純なものをカウントしますと、おっしゃいましたように一千万台、二千万台ということになるのでございますけれども、恐らくそのカウントの仕方は単純な、我々の目から見ますとロボットとは到底言えないものまでも含んでいる。単にマニピュレーターの動きをしているからということじゃないかと思うのです。そういうものも含むデータじゃないかと思うのでございます。  今、日本の企業がこれからつくろうとしておりますのは、少なくとも何種類かの作業が同時にできるような繰り返し作業型のものでございまして、最低限記憶それから作業の選択、そういう知能は持っている、その程度以上のものでございます。したがって、今ねらっておりますのは、熟練労働者の作業のできるものをできるだけ置きたいという意味でございます。日本で人手不足というものは決して全般に、まんべんなくございません。偏在しております。特に特定の熟練労働者というのは非常に不足しておりますので、そういう方面に企業がターゲットを持っているというのは大体共通したものじゃないかと思うのでございます。そういう意味では、今おっしゃいますような将来悲観的な姿というものは私には思えないのでございます。  それから第二番目は労働組合の話だと思うのですが、おっしゃるとおりだと私も思います。日本ではそういう雇用吸収力が、弾力性が高いものですから問題はないと思います。余り表面に出ておりません。それよりも労働災害でございますね。ロボットを導入することによって別の新しいタイプの災害というものが起きつつある。これは労働省関係で盛んに調査されておりますし、既にその対策の第一弾のものができておりますけれども、これに対して我々は、もっとあらかじめ言うなればアセスメントをしておく必要はあるだろうと思います。相手が知能的な機械でございますから、単純な動きしかできない機械の場合は対策も割合立てやすいのですが、しかし、相手がどういう振る舞いをするか予想できないような場合があります。そういうものに対策を立てるというのは、やはりロボット以上の知能がないと立てられないわけでございまして、そういう意味では、今そういう面での対策を立てる必要が大いにあろうかと思います。  それから、第三番目のお話の海洋とか宇宙というのは、これは私は非常にすばらしいテーマである、研究課題であると思いますし、それから民間企業がおっしゃるように独自ではなかなかできないテーマでございます。こういう点につきまして公共性の立場から開発を促進するというのは、私はぜひとも必要であると思います。先生の御意見に全面的に賛成でございます。

小澤克介日本社会党・護憲共同

○小澤(克)委員 時間が余りございませんので一点だけお尋ねしたいのですが、本日のお話はどちらかというと産業用のロボットのお話だったと思うのですが、私は生活用ロボットといいますか、むしろ福祉ロボットというのでしょうか、そういう利用分野があろうかと思います。だれでも思いつくのは、盲導犬のかわりになるロボットであるとか、あるいはロボットの概念に入らないかもしれませんが、身体障害者が一人で自分で操作して入浴であるとかトイレへ行くとか、そうしたことができる、あるいは買い物にも行けるという、そういったものがあり得るし、また重要な部面じゃないかと思うのですが、そういったことの研究開発状況について、特に何かありましたら教えていただきたいのです。

梅谷陽二東京工業大学教授

○梅谷参考人 御指摘の研究開発の状況は、一言で言いますと散発的でございます。日本でも盲導犬を初めといたしまして、福祉型のロボットそれから家庭用ロボットというものを研究されている方が二、三いらっしゃいます。それからもう一つは医療関係でございますね。これはかなり組織立った研究をしておるようですが、しかし何といってもやはりまだ散発的な成果しか上がっていないのじゃないかと思うのでございます。したがって、そういう面では少し寂しい気がいたします。世界的に見ましても同様でございまして、むしろ我々日本人はそういう点に対して余りアレルギーがない。特にヨーロッパ、アメリカの人々は、医療用のロボットという言葉を聞いただけで生理的な反感を覚える方がいらっしゃるようでございます。やはり文化の差があるのでしょうか、そういうことで世界的に見ましても余り今は進んでいない分野でございます。  ただ一つ、アメリカで家庭用といいますよりはホビー用のロボット、これがパソコン、マイコンの普及と同じような形で今かなりの勢いで生産が伸びております。簡単なものでございますけれども、一例を申し上げますと、アメリカのヒースキットという会社がございますが、ここでつくっておりますホームロボットというのはカタログを見る限りは非常に楽しゅうございまして、家の中でスリッパを持ってきなさいというぐあいにロボットに命令をいたしますと、ロボットがスリッパの置き場まで行きまして、そしてマニピュレーターでスリッパをつかんでまた持ってくる。ちょうど日本の江戸時代のからくりがございましたね、茶運び人形というのがございました。あれと似たような、それの現代版でございますが、そういうこともできるロボットがございます。実は、それはできると申しましたけれども、私たちの研究室で実際に組んでみたのですけれども、そこまではまだいかないのです。そういうロボットが割合アメリカの家庭の中で使われ出しているように思います。したがって、これから情報化社会になっていきます場合に、ロボットがそれにつれてどういうような関連を持ちながら普及していくか、私も非常に興味がございますが、まだそういう芽ははっきりした形で出ておりません。

工藤晃日本共産党・革新共同

○工藤(晃)委員 二問ばかり伺いたいのですが、一つは、自動車の今の生産ラインを見ていて、特に組み立てにロボットが全面的に入るのはかなり難しいと私は考えているのですが、先生はいつごろ——恐らく入るとしたら、自動車の部品とかコンポーネントとかそれ自体ももっと変わるし、生産システムも相当変わったときだろうと思うのですが、その辺の見通し、これは雇用問題と関係があるのですが、それが一間です。  それから二問目は、先ほどのお話にもあったかと思いますが、今のナショナルプロジェクトで何をねらっているか。これは私もいろいろ見たことがございますけれども、先ほどのお話だと、それは専ら大学や国立の研究所でやっていて、民間はかかわってないというふうに伺った。実情はそうなのかどうか、その点だけ伺いたいと思います。

梅谷陽二東京工業大学教授

○梅谷参考人 おっしゃる組み立て作業といいますのは、完成車に近いところの組み立てじゃないかと思うのでございますね。

工藤晃日本共産党・革新共同

○工藤(晃)委員 そうですね。部品をどんどん取りつけていくところですね。

梅谷陽二東京工業大学教授

○梅谷参考人 それは私も当面、完全にそういうロボット化するのは非常に難しいだろうと思います。何が難しいかといいますと、技術的にはこれははっきりしておりまして、三つございます。  一つは、そういう作業のできる目がない、視覚装置がないということでございます。我々テレビカメラで見たような場合、光を十分に当てまして見やすいように条件を整えてやっと見えるのでございます。ところが、自動車の組み立てラインの現場などはそんなことは配慮する余地がございません。また内装関係の組み立てとなりますと、中を見渡してどこにどんなボルトを埋め込めばいいかというような判断もやろうとしますと、大変な問題になります。これが一つでございます。  それから二番目が、作業者の動きを見てわかりますように、もっと柔軟に動けるロボットが開発されないといけないわけです。あの作業ラインにつける人は柔軟に動ける若い人しか適応できないはずでございまして、体のかたくなった人間はちょっと作業できないくらいでございます。したがって、若い人と同じように自由に体が動き回れるような柔軟な動きのできるロボットが開発されないとだめである。これが二点でございます。  三番目は、やわらかい物のハンドリングといいましょうか、こういうかたい物を持ったりさわったり、そういうことは機械は今までに何度もやってきたわけでございますが、やわらかい物、それから壊れやすい物をつかんだりするようなハンドリング作業がまだ不十分でございます。やっと最近ガラスコップを持てるようになりました。紙コップもやっと実験室で持てるようになりました。ところが私の研究室で、夢のある研究テーマの一つで豆腐をつかめるロボットということをやったことがあるのですね。そうしますとこれは、日本人しか使わないというのは言い過ぎですが、かなりの熟練が必要です。こういう作業をできるようなロボットがぜひ必要なのでございます。そういう場面が産業界でも多いのでございまして、そういうような技術が足りないというような問題がございます。  それから、ナショナルプロジェクトは、御承知と思いますが二つに分かれておりまして、基盤技術の方は工業技術院の研究所二つが参画しておりまして、それがやっております。大学は参画しておりません。それから応用技術につきましては、今原子力関連のものと、それから海洋関連のものと、そして最後が災害救急関連の三つの大きな柱がございます。この応用関連の方は石油特別会計を使って今やっておりますのでかなりテーマが絞られてきておりますけれども、原子力発電所の保全用のロボットと、浅い海での構造物の建築に手助けとなるようなロボット、それからケミカルコンビナートもしくはビル火災の現場において人命を救助できるようなロボット、こういう三つの応用の柱を立てでございます。どういうふうに進展するか私はわかりませんが、それには民間企業が二十一社絡んでおります。大学は絡んでおりません。

辻一彦無所属

○辻(一)委員 二点お伺いします。  今のにも関連があるのですが、原子力発電所は大体早くやったのは二十年ぐらいたって、いま十年もすれば廃炉にしなくちゃならないという時期が来るのですが、廃炉にするときの解体作業等はなかなか人間がやれることではないので、その面ではロボットを生かすことができればうんと変わってくると思うのですが、それがどれくらい開発というか研究されておるか。当面アメリカのスリーマイル島で起こった事故で格納容器のふたを外そうとしておるのですが、あそこについては現実にはロボットが中に入って作業できるような状況なんですか。そこらはどうなんでしょうか。

梅谷陽二東京工業大学教授

○梅谷参考人 原子炉の廃炉につきましては、実際経験を持っておりますのはイギリスとアメリカだけでございます。御承知のとおりです。ロボットと言っていいかわかりませんが、かなりロボット化された自動機械でやっております。それは非常に有名な例でございますが、残念なるかな、日本がもしそういうような廃炉問題を抱えて、しかも炉を解体しなければいけないというような状況になった場合に、彼らの開発した技術をそのまま持ってくるわけにはいかないのでございます。それは、例えばアメリカなどそういう解体した例がございますね。ところが、日本であれと同じようなことをやればたちまち大問題になる。というのは、要するに一言で言いますと、作業が粗いのでございます。周りに何もないものですから、とにかく壊してしまう。壊す現場には人がいないのですけれども、これはほこりが立ちますし、本来我々がねらっているものと随分やり方が違うのでございます。したがって、ちょっとそのままでは技術が導入できない。それで建設業関連で共同で研究を開始しておりまして、何社か忘れましたけれども数社が集まりまして、いろいろなサブテーマに分けまして原子炉の解体技術というものを実際に実験でやっております。したがって、恐らく日本がそういう時代になるときには間に合うのだろうと思うのですが、着手はされております。そういう状況でございます。  それからスリーマイルアイランドの例のような場合、私の知る限りにおきましては、やはり人手が相当かからなければできないと思っております。そういう意味でロボット化はまだまだ進んでいないわけでございます。西ドイツなどで非常にすぐれた原子炉用の移動ロボットというものが開発されまして、日本でも販売されましたけれども、それが適用できますのはごく限られた狭い範囲で、おっしゃるような炉心近くまでまず移動できないという問題がありまして、ちょっとまだかなり無理をしなければいけないんじゃないかと私は思いますが、それ以上のことは存じません。

大野潔公明党・国民会議

○大野委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  梅谷参考人には、本日長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時六分散会

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