科学技術委員会 第16号
- 発言数
- 54 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1984/06/28
会議録
○大野委員長 これより会議を開きます。 海洋開発に関する件、特に最近の海洋資源開発問題について調査を進めます。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本件調査のため、本日、参考人として東海大学教授飯塚進君の御出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ―――――――――――――
○大野委員長 この際、飯塚参考人に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は御多用中のところ本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。 本日は、最近の海洋資源開発問題につきまして忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。 なお、議事の順序についてでありますが、まず参考人に一時間程度御意見をお述べいただき、次いで委員の質疑に対して御答弁をお願いしたいと思います。 それでは飯塚参考人、よろしくお願いいたします。
○飯塚参考人 ただいま御紹介いただきました飯塚でございます。本日は、このような席でお話をいたします機会を与えてくださいまして大変光栄に思っております。よろしくお願いいたします。 早速でございますが、お手元に簡単なレジュメを用意させていただきましたので、それをごらんいただきながら話を進めていきたいと思っております。 まず最初に、本題に入ります前に、海洋資源開発の問題を議論するとき、そのバックグラウンドと申しますか背景になっております地球科学、あるいは海洋の物理学と申せばよろしいでしょうか、そういうものの戦後の発展について簡単に申し上げてみたいと思います。そういう背景があって初めて今日の海洋資源開発というような問題が議論できると思いますので、そういうことで最初に簡単に振り返ってみたいと思います。 これは、既に新聞、テレビといったマスコミ関係はもちろんのこと、いろいろな科学雑誌あるいは普及書といったものを通じまして一般の方々にもよく知られていることでございますけれども、特に一九五〇年代以降、海洋底のいろんな地球物理学的なデータが大変ふえてまいりまして、今ちょっと地図を張っていただきますけれども、例えば海底の地形といったものだとか、いろいろな地球物理学的なデータ、堆積物の状態といったもののデータが大変ふえてまいりました。そういうたくさんのデータをばらばらに見ておりますと、それはそれということでその間の関連というものはわからないわけでありますけれども、データがふえた段階でそれを総合化いたしまして、これは一九六〇年代に入りまして海洋底拡大説という一つの説が出てまいりました。 今ここに海底の地図を出していただきましたが、これは海水を全部くみ出したら一体海底はどんな形をしているかということを、これまでにわかっているデータをもとにしまして書いた地図でございます。見ていただけばわかりますように、海洋底には海を取り巻きまして延々と海底の大山脈が走っております。大西洋の真ん中にも走っておりますし、インド洋にも走っておりますし、遠くの方ではちょっとお見えになりにくいかと思いますけれども、ここに書いてあるのがちょっと色が違いますのでごらんいただけると思いますが、太平洋にももちろん走っております。こういう海底の大山脈があるということがわかってまいりまして、その山脈のところではほかのところに比べていろんな違った現象が起こっております。例えば、山脈の頂上部分には大きな谷が走っておりますし、そういった谷の周囲では地下から上がってくる熱の量が大変高いとか、それから地震の波の伝わり方が異常であるとか、そういったいろんなデータがわかってきたわけでございます。 それからもう一つ、この海洋底拡大説というものが提唱される大きなきっかけとなりました重要なデータがございます。それは、地球は大きな磁石になっているわけでございますけれども、この地球の磁場を船に機械を積んで走っておりますと、場所によって大きさが違うということで、標準的なものを差し引いた異常を出すことができますが、そういう地磁気の異常を測定してやりますと、それが何とこういう海底の大山脈の軸を中心にしましてきれいなしま模様ができる。しかも軸を対称軸としたような格好で、左右対称にそういうものが出てくるというようなことがわかってまいりました。そういったデータを総合いたしまして、実はこういう山脈の下で溶けたマグマが地下から上がってまいりまして冷え固まって左右に分かれていく、すなわち海底の山脈のところで新しく地殻ができて左右へ広がっていく、そういう説が出てまいりました。 さらに、その後いろいろと調べが進んでまいりますと、この海洋底の拡大だけではなく、地球上で起こっておりますいろんな地学現象がございます。例えば日本の近くですと、非常に大きな地震が起こります。それから火山が至るところにできております。そういった地球上で起こるいろいろな地学的な現象をすべて説明できるような、そういう説が生まれてまいりました。それをプレートテクトニクスという言葉で言っております。適当な日本語の訳がございませんが、簡単にプレート説というふうに言わしていただきます。それは、この山脈を海嶺と言いますけれども、この海嶺が生まれました、厚さが百キロ足らずの岩盤が一つの剛体のような動きをしまして、それが左右に広がっていく。そして、ここで生まれるわけですから、どこかで消滅をしないと地球の面積がどんどん広がっていってしまうわけですけれども、どうもそれが、例えば日本列島の近くにあります日本海溝だとかあるいは伊豆・小笠原の海溝だとか、そういったところで沈み込んでいっているらしいということで、そのプレートの沈み込みによって例えば地震が起こったり火山ができたりというような現象も説明できるというプレート説というのが、大体一九六〇年代の後半から七〇年代にかけて生まれてまいりました。この七〇年代というのは、この生まれたプレート説が本当に正しいものであるかどうかというようなことを検証をする時期であった、そして現在もまたその状態が続いていると言ってよろしいと思います。こういった海洋の調べが進んでまいりまして、それが直接、間接のきっかけになりまして、海洋資源のいろんな研究が進むようになったというふうに申し上げてよろしいかと思います。したがいまして、今申し上げましたような大筋のことが背景にあって、これからのお話を進めていきたいというふうに思います。 それから、本題に入る前にもう一つ。きょう海洋資源開発ということでお話を申し上げるわけでございますけれども、この海洋資源というものの定義と申しましょうか範囲について、ここではっきりさせておきたいと思います。 例えば、五十七年度の科学技術白書を見てみますと、海洋開発にいろんな項目がありますけれども、いわゆる海洋資源というふうに言えるものは、そこに響いておきましたように三つほどございます。一つは海洋生物資源、これはいわゆる水産資源でありまして、海の生物に関係した資源です。二番目が海底資源、これは石油だとか天然ガス、あるいはきょう中心にお話を申し上げますマンガン団塊、それから海底の熱水鉱床、そういったものが含まれます。三番目はいわゆる海水資源、水そのものに関する問題です。これは現在も研究が進んでおりますいわゆる淡水化の問題、それから海水の中からウランを回収する問題というふうにございます。 それで、きょう中心にお話し申し上げますのは、私の専門とも関係深いわけでございますけれども、主に海底資源の問題について、しかもその中で最近非常に注目をされておりますマンガン団塊と、最も新しく関心を持たれるようになりました海底熱水鉱床の問題に絞ってお話をさせていただきたいというふうに思います。順序といたしまして、まず海底資源の開発の歴史から語を進めさせていただきたいと思います。今申し上げましたように、マンガン団塊と海底熱水鉱床と二つございますので、それぞれに分けてお話しさせていただきます。 まず、マンガン団塊の方から申し上げますと、実はこのマンガン団塊というものが海底に存在するというようなことは、既に十九世紀の後半からわかっておりました。これも有名な話でございますけれども、イギリスがチャレンジャー号という船を使いまして、世界一周の調査航海を三年半ほどにわたって行いまして、これは膨大な試料を採集したわけですけれども、そのときに海底でマンガン団塊を拾っております。ですから、マンガン団塊というものがあるということは既にそのときからわかっていたわけです。ところが、一体海底でどういう産状を呈しているのかというようなことは、技術が未発達でございましたので人間の局で見ることができなかったわけです。初めて、海底でどういう状態でこんなものがあるのか、マンガン団塊のようなものがあるのかということがわかったのは、第二次大戦後でありました。そこにもちょっと書いておきましたけれども、一九四八年にオーエンというウッズホールの海洋研の研究者ですけれども、バーミューダ沖で深海カメラをおろしまして初めてその撮影に成功したわけでございます。そのときの様子を次のように言っておりますけれども、あたかも海底にバレイショをまき散らしたような産状をしているという表現をしております。このとき写真を撮りましたので、その写真でみんな大変驚いたわけです。 ただ当時は、一体こういうものがどこにでも存在するものかどうかというようなことは調べが十分ついておりませんでしたし、それほど関心を持たれるということはございませんでした。専ら関心は科学的な関心に終始していたわけでございます。それがなぜ現在のように注目されるようになったかと申しますと、それは御存じのとおり、陸上の資源がいろいろと不足してまいりまして、そのために注目されるようになってきたというふうに言っていいかと思います。したがいまして、先ほど申し上げましたように、いろんな海洋の研究が進んでまいりまして、それの副産物のような形で試料もとれましたし、専らなぜこういうものができたのであろうかという科学的な興味でその成因諭といったような基礎研究が行われていたというふうに言っていいかと思います。 それで、マンガン団塊の七不思議だとかあるいはミステリーというような言葉で言われておりますけれども、例えばそのジャガイモのような団塊を切ってみますと、大変きれいな年輪のようなしま模様が出てまいります。これは一体どういうメカニズムでできたのであろうか。しかも、堆積物の下の方に潜っておりませんで、専ら海底面、表面だけにそういうものが存在する。しかも、切ってみますと真ん中にしんのようなものがございまして、それがある場合には石であったり、ある場合にはサメの歯であったり、それからまれには、例えば第二次大戦中に使いました弾丸の薬きょうのようなものがしんになっていたりというようなことで、しんを中心にしてあたかも年輪のように成長していく。これは一体どういうわけでそういうことになるのであろうかというようなことであったわけです。資源として注目され始めましたのは、最近め十年間ぐらいというふうに言っていいかと思います。 そういうことで日本でも、最近の十年あるいは十数年と言っていいかと思いますが、工業技術院の地質調査所が中心になりまして組織的な研究を行ってまいりました。一九八三年、昭和五十八年で一応その組織的な研究にピリオドを打ちまして、別のテーマの研究を始めておりますけれども、その後それを引き継ぐような形で、資源エネルギー庁あるいは金属鉱業事業団といったようなところで専用の探査船を使いまして、現在はどの程度あるかという分布の状況だとかその品位だとかといったものが開発の一歩手前というようなことで、調査研究が進められているというふうに言ってよろしいかと思います。それから、これは前から続けられていたわけでございますけれども、大学を中心としました基礎研究はもちろん続いております。これは大学の方では、大学の研究者は専ら、先ほども申し上げましたけれども成因論といったようなものを中心に研究が進められているかと思います。 次は、海底熱水鉱脈の場合でございますけれども、こちらの方は大変歴史が新しいと言ってよろしいかと思います。先ほども申し上げましたけれども、いわゆる海洋底拡大説というのが出てまいります背景には、海洋の調査、海底の調査の膨大なデータが背景にあるわけでございまして、そういう調査の一環として出てまいりましたというふうに言えばよろしいかと思います。 海底のいわゆる熱水鉱床と言われているもので最初に全世界の注目を集めましたのは、そこにもちょっと書いておきましたけれども、あのアフリカとアラビア半島の間にあります紅海、レッドシーですね、ここの深みに温度が五十度とか六十度というような高温の、非常に塩分濃度の高い、英語でホットブラインというふうに言われておりますけれども、高温の塩水がたまっておりまして、その中にちょうど日本でいいますと黒鉱、秋田県を中心として存在しております黒鉱鉱床というのがございますが、そういうものの中に含まれている銅、鉛、亜鉛といったような重金属の泥ですね、重金属泥と言っておりますけれども、そういうものが、ある厚さでこの紅海の底にたまっているということが発見されました。 これはちょっと遠くの方の方はお見えになれないかと思いますが、インド洋の真ん中にインド洋中央海嶺という海嶺が走っておりまして、それがちょうどこの紅海のところへ入っていくわけでございます。ですから、そういう意味では、海嶺のまさに頂上部が、裂けているところが紅海だというふうに言ってよろしいかと思います。そういうところにいわゆるホットブラインと言われるものが発見されたわけでございます。それは一九六〇年代の中ごろでございます。そういう紅海のようなものがほかにもあるんではないかということが注目されたわけですけれども、ほかの場所で発見されたという例はその後ございません。それ以後、この海底の熱水鉱床で注目されましたのは専ら一九七〇年代の後半になってからでございます。一九七六年、七七年、そのころからでございます。 その幾つかを簡単にそこに書いておいたわけでございますが、まず、海底の重金属の堆積物というようなものがありまして、これは専ら鉄だとかマンガンの酸化物を中心とした鉱物です。そういったものは既にぽつりぽつりと発見はされておったわけですけれども、そういうものが大量に見出されるのはやはり一九七〇年代になってからでございます。 それから、先ほど申し上げました、この中央海嶺で海が広がっているという説があるわけでございますけれども、そういうことを検証するためのいろんな調査研究が進んでまいりました。七〇年代の後半にはそういう中央海嶺系の研究が新しい段階に達した、そういう段階だというふうに言ってよろしいかと思います。例えばアメリカとフランスが共同いたしまして大西洋の中央海嶺で潜水調査船を使って潜って、実際にこの海嶺の頂上部を目で見て調べるというようなことをやりました。それから、この東太平洋海膨――東太平洋中央海嶺というふうに言っているわけですが、大変不思議なことに、大西洋の方は大体大西洋の真ん中に中央海嶺が走っているわけですけれども、太平洋の方は東の方へ偏っておりまして、アメリカ大陸、北アメリカ、南アメリカの大陸の近いところへ走っております。したがいまして、この東太平洋海膨あるいは海嶺というような言い方をしますけれども、これはカリフォルニア湾からアメリカの陸上へ上がってしまいます。一度上がりまして、それがまた北東太平洋に行きますともう一度出てまいります。そういうところに、実は後で申し上げますゴルダ海嶺だとかあるいはファンデフーカ海嶺といったような名前がついております海嶺が、この海底の大山脈の一部がもう一度海へ出てまいります。アメリカは、こういうゴルダ海嶺だとかファンデフーカ海嶺といったようなところで調査を精力的に進めてまいりました。 それから、この東太平洋海嶺と言われている海嶺、それからもう一つ、ちょうどパナマの方へ向かいまして、この東太平洋海嶺から東の方へ向かって一つ小さな海嶺が枝分かれしているわけですけれども、それをガラパゴス海嶺というふうに呼んでおります。これは「種の起源」で有名なダーウィンが書きました「ビーグル号航海記」なんかに出てまいりますあのガラパゴスですが、そういう海嶺が、小さな海嶺ですけれども出ております。こういうところというのは、地下から上がってまいりますいわゆる熱量をはかりますと、ほかのところに比べると熱の量が大変多いというようなことがわかっておりますし、それから、先ほどちょっと申し上げましたが、海底に地磁気のしま模様があるわけですけれども、そういうものから海底が拡大していく速度を出すことができます。 東太平洋のこの海嶺のあたりというのは、ほかの海に比べると大変海が開く速さが速い。速いと申しましても一年間に数センチとかいったようなそのくらいの量なんですが、ほかのところに比べると開くのが速い。それから、上がってくる熱量が多いというようなことで、こういうところは非常に注目されて、海洋底拡大説を検証する非常に大事な場所だというふうに考えられておりましたので、そのために潜水調査船を潜らしていろいろ調べるというようなことをやっておったわけです。 そうしましたところ、いわゆる現状の硫化物鉱床が発見されてまいります。そういうものがこの海嶺のところで、まさに海底が開いているというふうに思われているところで見つかりましたものですから、それ以外のところでも、そういう下から物が上がる、熱が上がってきて底が開いていると考えられるようなところでは、まだまだ可能性があるんではないかというようなことで、例えば海底火山のようなところ、これはマグマが下から上がってくるわけですから、そういうようなところ、それから日本海だとかフィリピン海と言われておりますような、いわゆる縁海と言うのですけれども、フィリピン海はここにあります。それから日本海あるいはオホーツク海なんかも縁海ですけれども、こういうところでは、先ほど申し上げましたプレート説では下から溶けたものが上がってきて開いたというふうに考えられておりますので、こういった縁海地域にも今申し上げましたような海底熱水鉱床の可能性があるということで、そういうところを中心に調査が進んでいったわけでございます。 そういうことで調査は進んだわけでございますけれども、ここで特に注目されましたのは、この中央海嶺、特に太平洋の中央海嶺で見つかりました硫化物の鉱床ということになります。 今ここに数枚の写真を用意しましたので、見ていただければありがたいと思います。後ほどお回しいたしますが、これはちょうど太平洋の海嶺で見つかりましたいわゆる熱水鉱床なんですけれども、これは潜水調査船で発見されたものです。この写真は、アメリカやフランスの共同研究で見つかったものでして、「サイエンティフィック・アメリカン」という科学雑誌、日本で日経サイエンスという出版社で出しております「サイエンス」という雑誌がございますけれども、それに載っていたものをちょっと切ってきました。こういうものがたくさん見つかったわけでして、それを概念的に漫画的にかいたものがここにございますので、ごらんいただきながら聞いていただければと思います。 それに対しまして、レジュメの二ページを見ていただきますと、日本では海底資源開発がどういう動きになっているかということを簡単にまとめてみました。 マンガン団塊については時間の関係もございますので、特に今注日されております海底熱水鉱床の場合だけについて申し上げますと、いわゆる海底熱水鉱床と言われるものが注目されてマスコミに載って議論されるようになったのは、たかだか二年前というふうに申してよろしいかと思います。一九八〇年以降、新聞それからいろいろな科学雑誌で大々的に取り上げられるようになってまいりました。そういう状態になりまして、そこに幾つか書いておきましたけれども、いろいろな機関で、国の機関あるいは民間団体でこの熱水鉱床を開発するための調査だとか研究がまさにこれから始まろうとしていると言ってよろしいかと思います。 一つだけ例を申し上げますと、今年度から、先ほどもちょっと申し上げました工業技術院の地質調査所で、熱水鉱床に関する研究を五カ年計画でスタートさせております。残念ながら日本の近海には、この東太平洋の海嶺のような、まさに海が大規模に開いているというような場所はございません。反対に、中央海嶺で開いたプレートが消費される、潜り込んでいくという場所ですので、残念ながらそういった海嶺で見つかっているようなものは日本の近海では無理だと思いますけれども、先ほどちょっと申し上げました海底の火山だとか縁海、フィリピン海だとか日本海だとかそういったところ、これも拡大しつつある場所もあるというふうに言われておりますので、そういうところを中心に調べようということで、特に地質調査所の場合には、そこにも書いておきましたが、二百海里のいわゆる領海内ということで、伊豆・小笹原地域を対象に選んでおります。 それから、国際的な共同研究としてリソスフェア探査計画、略称DELPと言っておりますが、そういう基礎研究でも、フィリピン海というような縁海がどうしてできたのであろうかというようなことを中心にして、もちろんその中には熱水鉱床の成因のようなものも含めて計画をスタートさせようということで、研究がこれからまさに始まろうとしている段階でございます。 それから次は、この海底の熱水鉱床がこれまでのところわかっている分布域は一体どういうところであろうか、それから現在までの調べでわかっている産状はどういうものであろうかということを、簡単にまとめてみたいと思います。 現在知られている分布地域は、中央海嶺系、これは特にこの開いている速さ、拡大速度と言っておりますけれども、そういうものが速いところでしか今のところ見つかっておりません。と申しますのは、中央大西洋海嶺というのがございますけれども、こちらの方は拡大の速度が遅くて、そういうところでは、先ほど申し上げましたいわゆる現状の硫化物鉱床と言われるようなものが見つかっておりません。拡大の速度の速い、いわゆる東太平洋海膨とか、さっき言ったガラパゴス、こういうところでしか今のところは見つかっていないわけです。一カ所は中央海嶺系の場所、それからもう一つは、中央海嶺からちょっと外れるのですが、そういうところでの海底火山でも見つかっております。三番目は、先ほども申し上げました海底火山、それから海底火山が頭を出しているいわゆる火山島、それから海盆底でも見つかっているところが、これは若干ですけれどもあります。それから海溝ですね。海溝は、今のところは多くはないのですけれども、日本の近海で八丈の北東の方になりますが、いわゆる小笠原海溝の海溝の海側の壁ですね、そういうところから鉄、マンガンの酸化物を含んだものが見つかっております。この海溝でも見つかるのではないかということは一つ考えられるわけでございます。といいますのは、こういう中央海嶺でもしプレートができて、それが広がって海溝のところで潜り込んでいくのであれば、海嶺でできたものが移動してきまして海溝のところで潜り込んでいくわけですから、そういうところで見つかっても不思議ではないというふうに考えられておりますので、今後の調査が期待されるわけでございます。 それから、こういった海底の熱水鉱床がどういう産状を呈しているかということを簡単にまとめておきました。 一つは、硫化物の形。この硫化物にも二つございまして、今言いました現状硫化物鉱床と言われるもの、これは専ら海嶺の中軸帯、中心部で見つかっているものでございます。もう一つは、先ほど言いました紅海で見つかった重金属泥、この中に硫化物が入ってまいります。銅、鉛、亜鉛、あるいは金、銀といったようなものも若干含まれているわけですけれども、銅、鉛、亜鉛といったようなものです。それから酸化物、これは酸化物の形でありますのは、専ら鉄、マンガンになります。それから堆積物も若干ございます。 それから、次にちょっとまとめておきましたけれども、今一番注目されております現状硫化物鉱床と言われているものでございます。そういったものが中央海嶺で発見されたわけですが、そういうところの特徴がどういうふうになっているか。ごく最近、ここ数年の調べでわかったことを申し上げますと、写真や絵を見ていただけばわかりますように、大変奇妙なことが起こっております。そこに地形・地質だとか地球物理学的あるいは海洋物理、海洋化学、生物学的特徴というふうに項目だけを書いておきましたけれども、その写真を見ていただけば端的にわかると思います。 一つは、煙突がにょきにょきと出ているということでございます。その煙突にも二種類ございまして、ブラックスモーカーと言われている煙突と、それからホワイトスモーカーと言われている二種類の煙突がございます。それはどうしてそういう違いが出てくるかといいますと、白い煙突あるいは黒い煙突と言われているものから噴き出している水、これは熱水なわけですけれども、それに含まれているいろいろな成分を調べてみますと、これが少し違うわけです。例えばブラックスモーカーと言われているものは、この熱水の流れ出る速度が速い、しかも温度が高い。ちなみに、これまでにわかっているものをちょっと申し上げますと、ブラックスモーカーと言われているものは大体三百五十度以上の温度を持っている。それから、流れ出る速度が毎秒二メートル前後というような速さで物すごい勢いで流れ出ているというわけです。それから、ホワイトスモーカーと言われている白い煙突の方は、三百度以下の低い温度になりまして、流れ出る速度はさらに遅くなりまして、一秒間に十センチとか数十センチぐらいの速さであるというようなことがわかっております。それからそういった煙突が、小丘というふうに書いてございますけれども、小さな丘の上ににょきにょきと立っているということがわかっております。結局そういう小丘、小さな丘がいわゆる鉱床になっているわけでございます。 それから奇妙なことに、写真を見ていただけばわかりますが、特別の生物がそういうところにはすんでおります。こういうところは深海底でございまして、水深が二千数百メートルとか三千メートルというようなところでございますので、光は全然届きません。したがいまして、いわゆる光合成というようなことはやりませんので、大変特殊な生物がすんでいる。しかも、今までわかっております、ガラパゴスだとか何カ所かあるわけですけれども、そういうところには必ずそういう生き物がいる。カニだとか二枚貝だとか、それから非常に奇妙な管状の生物がいるとかいうようなことがわかっております。いろいろ特徴があるわけですけれども、時間の関係で省略させていただきます。 一つだけつけ加えますと、地球物理学的な特徴と申しますと、そういうところではどうも岩石のどろどろ溶けたマグマがかなり浅いところまで、海底面から一キロ前後といったところまで頭をのぞかせてきているらしいというようなことがいろいろな調べからわかってきております。そういったことが、この現状硫化物鉱床が発見された場所の特徴と言ってよろしいかと思います。 それから次に五番目といたしまして、日本で海洋資源開発をやる場合の今後の方向あるいは体制といったようなことについて箇条書きに幾つか書いておきましたので、ごらんいただきたいと思います。 それで、鉱床を探すあるいは鉱床を採掘して利用するというようなことは非常に大切なことでありまして、実用的な面からも重要視されなければならないわけですけれども、何分海底のことでございますからいろんな未知のことがたくさんあります。したがいまして、基礎研究を重視するという立場が非常に重要だと思います。基礎研究をおろそかにして専ら開発の方に研究を進めるということは大変危険でございまして、そういう意味で、基礎研究の重視ということをまず第一に挙げておきたいと思います。 それから、今申し上げましたように、海嶺で見つかっておりますいわゆる煙突を中心にしました鉱床を見てもわかりますように、いろんな特徴を持っておりまして、例えばそういう場所にだけしかすんでいないような特殊な生物がいたりというようなこともありまして、自然科学の面にだけ限ってみましても総合的なあるいはいろんな分野の、いわゆる学際的な研究の体制というようなものを考えていかないとうまくいかないのではないかというふうに思います。それは、その次に基礎と応用の調和のとれた発展というようなことで書いておきましたけれども、そういうことがこの場合には非常に重要になってくると思います。 それから、これまではいわゆるマンガン団塊あるいは海底熱水鉱床というような形でばらばらに研究が進められておりましたけれども、そういったものを一つにまとめて、統一した形で研究を進めていくというようなことが大事ではないかというふうに思います。 それから、これはマンガン団塊や何かをとってくるというようなことと非常に重要な関係があるわけですけれども、環境を守るというようなこともあわせて、特に海は食糧資源、水産資源が特に日本の場合なんかは重要になりますので、まずそういうものを保護する、保全するというようなことが優先されなければならないというふうに思います。それから、国際交流あるいは共同研究といったようなことについては、後ほどまた触れさせていただきます。 それから六番目のところでは、今言いましたような海底の熱水鉱床あるいはマンガン団塊といったようなものを開発する場合の技術が今どういうふうになっているか、あるいは今後どういう方向に進めていったらいいだろうかというようなことを簡単にまとめておきました。 例えば、マンガン団塊の方から申し上げますと、現在使われております探査技術というのは、大きく分けまして三つほどございます。海の場合、これは非常に重要になるわけですけれども、陸上ですと二回、三回と一回行った所に行くのは割合簡単に行くことができます。ところが、海の上は何も目標物がございませんので、一度見つかった鉱床地帯にもう一度行くというようなことをやるためには位置を正確に知らなければならないということがございまして、船の位置だとかあるいは観測機器をおろした場所の位置を正確に知るというようなことが非常に重要になってまいります。現在は専ら、そこに書いておきましたけれども、人工衛星だとかあるいはロランAだとかCだとかといったいわゆる電波航法、そういったものあるいは両方を組み合わせて使っております。 それから、あとは船を走らせながら観測をやるいろんな方法、船をとめてやらなければならない方法が幾つかございまして、それもそこに書いてございますので見ていただきたいと思いますが、一つは走らせながら調査をやる方法といたしまして、海底の地形を正確に知る必要があるということで、その関係のいわゆる糖蜜音響測深機といったものが必要になってまいります。それから、もちろん海底面の地形だけではなくてそれから下のことがわからないと困りますので、こういったいろんな手法なり機械なりを使います。それは物理探査というふうな言葉で言っておりますけれども、いわゆる地球物理学を応用した分野です。それには、そこに書いてありますようなエアガンを使ったものだとかソノブイの屈折法、反射法、それから磁気探査、重力探査といったようなもの、それから、これは一つ特殊なものですけれども、いわゆる深海テレビのようなものがございます。 それから船をとめてやる方は、専ら物をとってくるということが一つございます。それからとめてその場所の海底の泥の物性を調べる、それからカメラを使って撮影をやるというような、そういった手法が現在便われております。 それからマンガン団塊について申し上げますと、四ページ目の一番上にちょっと書いておきましたが、現在マンガン団塊をどうやってとるかという方法についても研究が進んでおりまして、このやり方には大きく分けて二つございます。一つは、連続バケット法と言われているものでございます。これは簡単に申しますと、ワイヤロープのところどころにバケツのようなものをくっつけまして、それを海底面までおろしていきましてぐるぐる回すというようなことをやるわけでございます。それからもう一つは、パイプ吸引法主言われているものでございまして、これは言ってみれば電気掃除機のようなものを考えていただけばよろしいわけでして、海底にポンプをおろしてくみ上げるという方法と、もう一つは、空気を吹き込みまして、その空気の浮力を使ってそれでマンガン団塊を持ち上げてくる、別名エアリフト法というふうな言葉でも言っておりますが、そういった方法が現在、実用の段階というところまではまだいっておりませんけれども、精力的に進められている段階でございます。 それから、今にわかに注目され始めました海底熱水鉱床の探査技術というのは、確立された方法はまだございません。何しろ新しい、ここ数年やっとわかってきて日本でもこれから始めようという段階ですから、まだ確立された方法というのはございませんけれども、これまでの知識を総合して次のようなことをやったらいいのではないかということで、考えられていることを幾つかそこに挙げておきました。 探査の進め方としましては、熱水鉱床そのものを探すというようなことになりますと地域的にかなり限定されてまいりますので、ある範囲を概査しまして有望なところを精査するというようなことで、そこに書いておきました四段階ぐらいに分けてやったらいいのではないかということが言われております。実は、そこに精査を二つに分けて書いてありますけれども、これは東太平洋でフランスやアメリカが精力的にここ数年やっておるわけですが、そのときにやった探査の例を見てみますと、精査を大体二回に分けてやっております。 一つは、これは後ほどちょっと申し上げますけれども、これまでの海洋のいろんな調査というのは船から、特に広域的な調査をするあるいは海底面とか海底下の構造を調べるというようなことは、専ら海面近くを計器を引っ張りながら調査するというやり方でやってまいりました。そうしますと、水深が二千、三千、深いところですと五千といったような深海底でございますから、どうしても間接的になってしまいますので、これをできるだけ海底面近く、例えば数十メートルとか百メートルくらい海底面から浮かして、いわゆる深海曳航型の調査機器というものを使ってやるやり方がございます。それを精密探査の第一段階というふうに考えております。 それからもう一つは、そうやってやったのもまだ人間の目で確かめたわけではございませんので、やはり間接的なものでございます。したがいまして、その次の最終段階として、どうしても潜水調査船をおろしていくというやり方が、最後の精密探査ということになるわけでございます。したがいまして、先ほど確立された方法がないと言いましたけれども、ですから現在あるいろんな手法を考えながら使っているという段階でございまして、そういう海底の熱水鉱床に特徴的に使われているものを幾つか拾い上げますと、そこに書いてありますように四つほどあるわけでございます。 一つは、人工衛星だとかロランを使った位置決定というのはやはり誤差が大きくて、もう少し正確な位置を知らなければならないということで、音響航法というのをとっております。これは超音波を発するようなセンサーを海底におろしまして、その位置を基準にしてはかっていくというやり方でして、狭い範囲を、正確に出すというのに適しているものでございます。 それから、精密に海底地形を出さなければいけない、狭い範囲を正確に出していくということが必要になってまいりますので、そこにMBESというふうに書いてありますが、これはマルチ・ビーム・エコー・サウンダーという英語の略語でして、それは何かといいますと、今までの測深機というのは船が走ったその航跡に沿った線状の海底地形がわかるだけなんですけれども、この別名シービームと言っておりますMBESというのは、ある幅を持った面的に海底地形が一遍にできてしまう、リアルタイムで測定をやりながら即刻海底の等高線がグラフになって出てくるという大変便利なものです。そういうものが最近使われるようになってまいりました。 それから、先ほどもちょっと触れました精査をやる段階で、非常に多くの機能を兼ね備えたいわゆる深海曳航式の探査装置というものがどうしても必要になってまいります。こういうふうに海底面近くまでおろしていって探査をやらないと、細かいことがわからないというわけです。これにもいろんな種類がありまして、現在までに使われているものの幾つかを下の方に書いておきましたけれども、アメリカのウッズホールで持っているもの、あるいはスクリップス研究所で持っているもの、そういったものがございます。それから日本でも、先ほども話が出てまいりました地質調査所とか海洋科学技術センターといったところで持っておりますし、それからシービームと言われるような海底面の正確な地形のでこぼこを求める機械も、海上保安庁の水路部なんかには既に入っておりまして、使われるようになってきております。 それから最後に、これがなければこれからの海底熱水鉱床の調査はどうしても進まないというふうに言われております潜水調査船、これを使って直接観察する、それから直接目で見ながら計器を動かすといったようなことが、これからはどうしても必要だということになってまいります。現在、アメリカやフランスでは既にかなりの深さまで潜れる船を持っております。そこに幾つか例を出しておきました。それから、これは最近新聞やテレビでも報道されましたので御存じかと思いますけれども、フランスの潜水船を日本へ持ってきて海溝を調べるという日仏の共同研究が進んでおりまして、ジャン・シャルコー号というフランスの船がやってまいりまして、現在その予備調査がまさに進められているところでございます。フランスは現在、SM97という六千メートルまで潜れる潜水船を建造中でして、来年にはこれができ上がって日仏の共同調査にこれを持ってくるというふうに言われております。 日本では、残念ながらまだ二千メートルまでしか潜れない「しんかい二〇〇〇」というのがございまして、現在これが活躍しております。例えば、今大地震の発生が心配されております駿河湾などで、「しんかい二〇〇〇」を使った調査が精力的に行われているという状態でございます。海底の熱水鉱床の調査を進めるためには二千メートルではどうしても不足でして、例えば四千とか、合せめて三千五百まで潜れるものがあればというようなことが言われております。そういった特別な調査技術、探査技術というものを使いました海底熱水鉱床の研究がこれからは進められていくであろうというふうに思います。特に潜水調査船は、深海の底というのは大変大きな圧力がかかりますことと、もう一つは暗黒の世界でもありますし、温度は零度近い大変冷たいといった地上では考えられない環境なわけでして、現在の潜水調査船というのは乗組員を含めてせいぜい三人くらい、研究者は一人か二人しか乗れないというような大変小型のものでございます。これからは恐らくもう少し大理で深く潜れて、それから現在は非常にゆっくりした速度でしか動けませんけれども、調査を能率的に進めるためにはもう少しスピードのあるもの、それでしかもいろんな調査が一遍にできるような多目的、多機能のものが開発されていかなければいけないのではないだろうかというふうに思っております。 それから最後になりましたけれども、国際協力あるいは共同研究というようなものが非常に重要になってくると思います。先ほども申し上げましたように、この一番最後のところにちょっと書いておきましたが、八〇年代に入りまして現在フランスとの間で日仏KAIKO計画が進められているわけです。私ここにことしの六月九日の読売新聞の社説を持ってまいったのですが、この社説で「わが国は”海洋国”と呼べるか」というタイトルで書いてあります。これは、今申し上げました日仏KAIKO計画のことを中心に議論をしておりまして、予備調査をやるための調査船をフランスから持ってくる。それから、来年実際に滞って調査をするわけですけれども、その調査船もフランスから持ってくる。日本ではせいぜい場所を提供するだけではないか、こんな情けないことはない、そういうことが書かれておりますけれども、私も全く同感でして、やはり国際協力あるいは共同研究というようなものは対等で、しかも平等なものでなければならないと思っております。単なる場所を提供するだけというのは大変情けないことでして、もちろん日本の研究者は大勢乗って対等の立場でいろいろな議論をやってはおりますけれども、肝心の船はみんなフランスから来るのだということで、この読売の社説でもそういう議論をしております。 そういうことで、国際共同研究についてはそこに幾つか挙げておりますように、六〇年代から大規模なものが始まっておりますけれども、先ほど申し上げましたプレート説あるいは海洋底拡大説というようなものは、こういう国際的な共同研究を通じて初めて生まれたものであるということを一つつけ加えまして、時間も参りましたので、私のお話を終わらせていただきたいと思います。(拍手)
○大野委員長 どうもありがとうございます。 ―――――――――――――
○大野委員長 それでは、これより質疑を行います。 この際、委員各位に一言申し上げます。 質疑につきましては、時間が限られておりますので、委員各位の特段の御協力をお願いいたします。なお、委員長の許可を得て御発言を願います。
○小宮山委員 各国の研究がここ数年急速に伸び始めました。私も昭和四十年代の世界各国の研究所を見てまいりましたけれども、まだ初歩的な段階で、当時はスクリップスぐらいがトップを争うような状態でありました。そこで、アメリカの二、三の研究所、それからフランスの研究所等の特色、特に何をメーンで研究されているのか、ちょっとお知らせいただければありがたいと思います。
○飯塚参考人 アメリカの場合ですと、私のお話の中でもちょっとお話ししましたけれども、例えばウッズホールだとか今お話しのスクリップスでは、特にスクリップスは潜水調査船を持っておりまして、深海曳航式の探査装置の開発はここが一番最初だったのではないかと思います。ですから、その後大変改良されておりまして、この深海曳航式の探査装置のノーハウは、恐らくスクリップスが一番持っているのではないかと思います。それから、アメリカにはほかにラモント・ドハティー地質研究所というのがございますけれども、ここは、もちろん研究者は個人的には恐らく参加していると思いますけれども、今申し上げました熱水鉱床関係では余り名前が出てまいりません。 それからフランスでは、国立の海洋生物センターというのがブルターニュにございますけれども、ここは総合的な研究機関でございますのでいろいろなことをやっておりまして、熱水関係の調査はかなり熱心にやっているところでございます。 それから、今一番情報が不足しておりますのはソビエトだと思います。残念なことに、ここ数年交流がとぎれてしまっておりまして、恐らく太平洋でもかなりの調査を進めているに違いないのですけれども、情報がほとんどございません。これはもうどうしようもございませんで、今後早急に交流が再開されることが望ましいと思っております。
○渡部(行)委員 ちょっとお伺いしますが、日本は海洋開発についてはフランス、アメリカ、イギリスあたりに比べておくれていると言われておりますが、このおくれを取り戻すためにそのポイントとなるものは何だろうか、これが第一点。 それから第二点は、太平洋、大西洋が広がっていけば、今度陸地の方が両方から押されて隆起していくんじゃないかと考えられるのですが、その辺はどういうものでしょうか。プレートが海溝の中に入り込んでいって、陸地はただ浮いているようなものなのかどうか。 それから、マンガン団塊の分布がわかれば、その辺もお伺いしたいと思います。
○飯塚参考人 三つあったかと思いますけれども、一つの、陸地がぶつかって隆起するのではないかというお話でございますが、実は、どこかで生まれたものはどこかで消滅するか何かしないと大変困るわけでして、消滅というとちょっと言葉が足りないかと思いますが、ぶつかる場合も実はあるのでございます。ぶつかっているというふうに考えられております一番有名なところは、インド大陸を乗せたプレートをインド・プレートと言っておりますけれども、そういうものがユーラシアにぶつかって現在のヒマラヤとか、あるいはアルプスも含むわけですが、そういう大きな山脈をつくっているというふうに言われておりますので、プレート同士がぶつかり合っているところはもちろんあるわけでございます。それから、海溝のところで潜り込んでいく。これは簡単には潜り込まないわけでして、そのために大きな地震が起こったりというようなことがあるわけでございます。もちろんその摩擦熱で溶けて火山ができたというようなことも考えられておりますので、簡単ではございませんけれども、潜ってまた地球の中へ戻っていくところ、それからぶつかり合っているところ、あるいはもう一つつけ加えますと、すれ違っているところというのがございます。 実は、それで一番有名なのは、太平洋のこの海嶺がアメリカ大陸へ上がってもう一度海へ出てくるというふうに申し上げましたけれども、このちょうど大陸に上がったところにサンアンドレアス断層という大変長い大きな断層がございますが、そこではプレートがすれ違っていると言われております。ですから、大きく分けますと三種類、プレートが接するところであるということになります。 それから、マンガンの分布のことでございますけれども、実はこれは日本ではこれまで地質調査所が中心になって調べてまいりました。地質調査所はハワイ諸島の南西、赤道付近になりますが、その区域を十数年にわたって調査をしてまいりまして、その一部が分布図の形で発行されております。それは、太平洋全体から比べますと、大変狭い範囲になるわけです。それから、最近の成果を盛り込んだようなものは、ほとんど国家機密あるいは企業秘密というような格好で、現状を正確にあらわしたような分布図は一つもないと言ってよろしいかと思います。 それから三番目の、海洋開発のおくれをどうやって取り戻すかという問題ですが、これは大変難しい問題で、ちょっと私には答えられないのじゃないかと思いますけれども、一つは、やはり研究費の問題ということになるかと思いますが……。
○渡部(行)委員 技術はどうなんですか、例えば「しんかい」のような技術は。今二千メートルのようですが、フランスが六千行っているのですから、それが日本の今の技術を集約してできないものかどうか。
○飯塚参考人 今、日本では、六千メートルまで潜れるものを既に計画中だと聞いております。もちろんフランスの場合には、過去の技術というのがかなり伝統があって進んでいるわけですけれども、日本でも、例えば三千五百だとかそのくらいまではできるという技術は既に持っているというふうに考えてよろしいかと思います。
○大原委員 今のに関係した問題ですが、地質調査所というのが出てきますが、これは工業技術院の中の調査機関ですね。だから、通産省ですね。それから金属鉱業事業団というのも、これも通産省の管轄ですね。だから、民間企業や鉱業資源の探査と関係をして、通産省は一定の実績の積み上げがあると思うのです。例えば「しんかい二〇〇〇」というのは地質調査所の所管ですか。また、東海大学は非常に海洋開発に関係があるようですが、そういう大学の研究機関との関係とか、そういう研究調査の体制をもう少し整備をして、そして予算も一定の予算を計上してやれば、日本もそれだけの技術や頭脳はあるはずですから、これはかなりいくはずですけれども、そういう具体的な問題も含めて御意見があれば聞かせてもらいたい。
○飯塚参考人 「しんかい二〇〇〇」は海洋科学技術センターでございます。
○大原委員 運輸省ですか、センターは。
○飯塚参考人 あれは特別認可法人で、科学技術庁に所属しています。 それから運用については、これは学識経験者も含めて、大勢の人の意見を聞きながら調査研究を進めているということでございます。
○大原委員 それでは、科学技術庁等が中心となって、各省の縦割りの状況を、これは運輸省に関係があるでしょうから、あるいは文部省も関係があるでしょうから、総合的に、やはり一定の目標を掲げた予算措置をして、そして連絡をとりながらやるということも必要ではないか、こう思われるのですが、御意見はどうでしょうか。
○飯塚参考人 私も全くそのとおりだと思います。
○大原委員 国際法上の問題ですが、二百海里というのがありますね。これで、技術や船を持って、投資をして、そういう鉱脈を見つけた。あれは先に見つけたところが旗を立てるのですか。そういう国際間の紛争というものが起きてきませんか、ソビエトを含めて。
○飯塚参考人 現在、二百海里以内であれば独自に開発ができると考えて進めているようでございます。もちろん公海の場合には、外の場合にはそういうことはできないはずです。
○大原委員 そうすると、どうなるのですか。
○飯塚参考人 ちょっとはっきりわかりませんけれども、恐らく国連の、例えば国際的な機関の監視のもとといいますか管理のもとに進めるというようなことになっていると思います。現在まだ実際に開発がやられておりませんので、どうなるかちょっとわからない状態です。今まだ探査だけをやっている段階でございますので……。
○小川(新)委員 経済的な問題でちょっとお尋ねしたいのですけれども、マンガン団塊だとかこういう資源ですが、これは調査、探査されてそれぞれの分布状態とか資源の量だとか、こういった問題がだんだん明確になってまいりますと、国及び企業、特に企業ですね、これらが相当食指を動かしてくると思うのですが、現在ではそういう企業がこういった資源に対してどのような活用をし運用をしているのかという点が一つ。 二番目は、先生がこれから、日本の今後の問題としてフランスやイギリスと共同開発をする計画、一体どこを一番精力的に探査し調査をしていきたいのか、それはどこの国と提携をすることが一番有効的であるのか、日本独自でやれればこれは一番結構なことなんですが、そういった経済的とか学術的な面の水準の中から判断いたしまして、御研究のテーマをどこら辺に絞られ、またその研究の相手国をどのように選ばれるのか、そしてまたそれは国会がどのように応援したらいいのか、援助したらいいのかという点の二つをお願いしたいと思います。
○飯塚参考人 第一の点でございますけれども、実はレジュメの二のところを私ちょっと時間の関係で飛ばしてしまったのですけれども、幾つか書いておきましたので、後でごらんいただきたいと思いますが、例えばマンガン団塊、もちろん最近注目されております海底の熱水鉱床も含めてでございますけれども、深海底鉱物資源開発協会という社団法人がございます。こういう機関が、特にマンガン団塊の調査や何かは中心になって進めてまいりました。
○小川(新)委員 それはどこの所属でございますか。
○飯塚参考人 これは民間会社が集まってつぐっている形をとっておりますので、特に所属というのはないと思います。それから、これも最近ですけれども、海洋産業研究会というのがございまして、その中に熱水鉱床開発研究会というのが、関連会社十二社で、これは八二年に発足したと言われております。 こういったところが中心になって、情報の交換あるいは、直接は調査をやっていないと思いますけれども、いろんな方針を決めたりあるいは要望を出したりというような形で民間はやっているのではないかと思っています。国とそういう民間との間に金属鉱業事業団というようなものも入ってくるのではないかと思います。位置としてはそういうところに位置することになるだろうと思います。 二番目の問題ですけれども、日本の場合、例えば太平洋ですと現在一番可能性のある海嶺というのはアメリカに近いところにありまして、日本から出かけていくのは労力も時間も経済的な問題も大変不利でして、やはり日本の近海、太平洋も日本列島に近いところ、フィリピン海、日本海あるいはオホーツク海といったような、いわゆる縁海地域を中心に調査のフィールドは設定していった方がいいのではないだろうかというふうに思います。 というのは、こういう地域というのは、いわゆるプレート説で言いますと、プレートがつくられているところではなくて、逆に消費されている場所でございまして、その学術的な研究という立場からも海嶺だけやるのは片手落ちでして、非常に重要な場所だというふうに思われます。もしプレートが生産されている場所でつくられるものであれば、そしてそれが拡大していくものであれば、海溝の地域にまでもそういうものがやってくる可能性というのはないわけではないわけでして、それからもう一つ、フィリピン海だとか日本海というのは、日本海はちょっとまだそういう調査結果は出ておりませんけれども、特にフィリピン海ですと、小笹原諸島の近くとか、それからもうちょっと南に下りましてマリアナ諸島の近くは、現在まさに海底が開こうとしている場所がある。そういうところでは、既に熱水鉱床の兆候が見つかっているというふうに言われておりまして、実は、先ほどちょっと先生からもお話ありました東海大学は、昨年の秋に約一カ月近い調査航海をやったわけですけれども、マリアナへ出かけていきました。したがいまして、日本の場合には、日本列島に近くてそういう可能性もあるようなところをやはり重点的にこれからは進めていくべきであろうというふうに思います。 もちろん、国際的な共同研究ということで言えば、そういうところを興味を持って一緒にやろうというようなところはどことやってもいいのではないかと思っております。特にフランス、アメリカ、あるいはソビエトを含めて、ある場合には中国を含めるとかいうことでやっていったらいいのじゃないかと思います。
○小川(新)委員 この場合の研究資金の配分というのは、その国でフィフティー・フィフティーで出すのですか。
○飯塚参考人 その場合もありますし、そうでない場合も、いろいろなケースがあると思います。 ちょっときょうは話は抜かしてしまったのですが、国際共同研究のところで深海掘削計画というのがございまして、これは深海底数百メートルで実際にボーリングをやって物をとる、堆積物をとるという調査研究を、ここ十数年アメリカを中心にして、最近では国際的な共同研究という形で進めてきたわけですけれども、日本も実はそれに一口乗っておりまして、これは共同出資のような形で研究費を出資しながら進めてまいっております。
○小澤(克)委員 二点お願いをいたします。 一つは、最も基本的なことなのですが、お話を伺っていますと、主として重金属が資源として着目されているようですが、陸上に賦存するものであれば何も苦労して海底まで行く必要はないわけですけれども、陸上には賦存しないものあるいは枯渇しつつあるもの、そういったものがあるのかどうかということですね。つまり、陸上の賦存状態との比較検討というような研究が行われているか。
○飯塚参考人 マンガン団塊の場合をちょっと申し上げますと、マンガン団塊の場合に注目されておりますのは、マンガン団塊というふうに言っておりますけれども、実はマンガンの含有量だけをとってみますと、陸上の方がむしろ高いということを言われている場合もございます。ですから、マンガン団塊で注目されておりますのは、もちろん銅、鉛、亜鉛関係もそうですけれども、特にニッケルですね。ニッケルの資源というのは、陸上の資源というのは大変不足していて、重要なものであるにもかかわらず足りないということで、特にマンガン団塊の場合ですとニッケルが注目されているというふうに言われております。ですから、現在はまだ枯渇はしていないけれども、将来それが心配されているというものはたくさんございます。銅、鉛、亜鉛関係、もちろんそういった重金属というのは随分あるというふうに言われております。陸上に全くなくて海だけにあるというようなものは、今のところないと言ってよろしいかと思います。
○小澤(克)委員 二点目ですが、これは御専門外かもしれませんので大変恐縮ですが、レジュメの二ページ目の四のところを拝見いたしますと、熱水鉱床が海盆あるいは海溝というようなところにもある。それから先ほどの小川先生の御質問に対しても、マリアナ海溝等にも兆候があるというようなお話を伺いましたので、こういうところに熱放出があるとすれば、当然海水の対流というようなものもあるのではないか、つまり深海底といえども海水が相当動くのではないかというふうに思うのです。例えば、最近廃棄物の投棄場所として海底などを注目しているということもあるようですので、その点について、もし何か御意見がございましたらお願いいたします。
○飯塚参考人 特に海溝部で熱水鉱床が見つかっているというふうにお話ししましたけれども、今のところ見つかっているのは鉄、マンガン関係の酸化物と言われているものでして、それがそこでできているというのではどうもないようです。多分海嶺部分でできたものがプレートに乗って移動してきたものであろう、そういうふうに考えた方がよろしいかと思います。あるいは途中で海底火山や何かができて、そういうものに伴ってできたものだというふうに考えた方がよろしいと思います。 それから、いわゆる底層流の問題ですけれども、これはまだいろいろと調査が進んでおりませんで、わからないことがいっぱいあります。ただ、これも最近になって発展した分野なんですが、海底に地震計をおろして観測をやりますいわゆる海底地震計というのがございますが、そういうものとの兼ね合いで、底層流の問題が実はノイズの問題として問題になっておりまして、時々それに関連して議論されているのですが、今まで動いていないだろうと思われていたようなところでも流れがあるというふうに言われております。ただ、海溝地域というのは、何分にも深いところで調べがまだほとんど進んでいないというふうに言ってよろしいかと思います。恐らく、日仏KAIKO計画というようなものでかなり深いところまで潜って調査をやりますので、今度はそういうデータもとれるのではないかというふうに期待されております。
○工藤(晃)委員 一つ目の問題ですが、先ほどのお話からもわかったのですが、マンガン団塊の方はかなりニッケルが重視されているということですが、熱水鉱床というと銅、鉛、亜鉛。一体、熱水鉱床では特にどういう資源が注目され、期待されているのか、これが一つの点です。
○飯塚参考人 海底の熱水鉱床の産状のところでちょっと申し上げましたけれども、硫化物の形である場合、それから酸化物の形である場合、それから重金属の堆積物のような形である場合、三つほど産状としてはあるわけでございまして、特に鉄、マンガン関係ですと、これは酸化物のような形の場合が多い。それから硫化物では、これはいわゆる現状の硫化物鉱床と言われているもので、陸上で言えば黒鉱だとか、それからもう一つ典型的な例としては、地中海のキプロス島で発見されておりますキプロス型と言われているようなもの、そういったものと非常に似ているというふうに考えられておりまして、特に硫化物の形であるようなものが現在は非常に注目されております。それからマンガンノジュールとしては、あれは酸化物の形ですからそれは別ですけれども、大体その二つだというふうに思います。
○工藤(晃)委員 今、黒鉱というお話がありましたけれども、黒鉱も海底熱水鉱床成因説というのがあるように聞いておりますが、先生はどうお考えかと思います。 それとの関連で、もしそうだとすると、レジュメの二ページの四の分布地域の①から⑤のうち、どれに当たるのかということをちょっと伺いたいと思います。
○飯塚参考人 現在、いわゆる現状硫化物鉱床として発見されておりますのは、いわゆる海が今まさに開いているところ、拡大しつつあるところ、しかも現在わかっておりますのは、その拡大の速度がかなり速くないとさっき言いましたような煙突ができたりというようなことは起こっておりませんので、硫化物鉱床というのは拡大速度の非常に速いところでないとだめだというふうに考えてよろしいかと思います。それは現在わかっていることです。ですから、もう少し遅くてもあるいは出てくるというようなところがあるかもしれません。 それから、現在日本列島の近くで見つかっている現状の硫化物鉱床というのはございませんで、専ら鉄、マンガン関係の酸化物しか見つかっておりませんので、いわゆる海嶺型の現状硫化物鉱床というのが日本列島の近辺で見つかるか見つからないかというのは、これからの問題だと思います。
○工藤(晃)委員 私、今黒鉱というのはグリーンタフの時代のあれに関連して、成因としてどれをお考えになっているか、ちょっとお伺いしたかったのですが。
○飯塚参考人 実は、きょうお話しいたしました部分で私が一番関係の深い分野というのは探査技術、物理探査が専門なものですから、鉱床の専門家ではございませんけれども、こういった海底に硫化物の形で存在します現状硫化物鉱床というふうな形で、海嶺の拡大軸のところで今まさに生成されつつあるということを我々が目撃した、そういうことが一つ大きなきっかけになっていると思うのですけれども、非常に有力な説として、黒鉱鉱床もこういう形で生成されたのではないだろうかというふうに考えられてきつつあるといいますか、そういう説をとる人たちがふえているというふうに思います。
○小川(新)委員 もう一回承りますが、先生の所属していらっしゃいます東海大学が他の大学にない海洋学部を設けた趣旨、それから意図、これは一体何であるか。それからその効果といったようなもの、海洋国の日本の将来についてどうお考えになっていらっしゃるかという点が第一点でございます。
○飯塚参考人 これは私ごとき者が申し上げることではなくて総長が申し上げるべきことだと思うのですが、やはり日本は陸上の資源に乏しいから海に資源を求める、あるいはもっと大げさに言えば海にロマンを求めるというようなことで設立をされたというふうに思います。 海洋学部は、今一つの学部として三千数百人の学生を抱えているわけですけれども、そういうことで言いますと、一年に八百人近い卒業生を社会に送り出しているわけです。残念ながら、日本は海洋開発ということが叫ばれて久しいわけですけれども、また日本は海洋国というふうに言われているわけですけれども、そういう海洋学部を卒業したいわゆる技術者が就職する職場というのは、今まだ非常に狭いというふうに考えます。ですから、そういう意味でも海洋開発というのをもっと進めていただいて、多くの人間が海洋開発に携わるというようなことで日本が進んでいってくれれば大変ありがたいと思っているんです。
○小川(新)委員 もう一つお尋ねいたしますが、この海洋開発の問題は私どもの委員会で重要所管になっております。そこで、先生の口から国に対する御要望、また当委員会に対する御要望等ございましたならば、率直に聞かせていただきたいと思います。
○飯塚参考人 きょうは海洋資源の開発ということでお話をさせていただきましたので、そういうことに限って申し上げるとすれば、先ほどちょっとレジュメにも書いておきましたけれども、やはり海洋の研究というのは、例えば鉱床が見つかったからすぐとってくるというには大変厳しい条件にあります。自然環境といったものは非常に厳しいわけでして、もちろんそういう実用化のための研究あるいは調査というのは重要ですけれども、余りにもまだ未知なことが多いわけです。したがいまして、基礎研究と応用研究と申しますか、そういうことは車の両輪、これはどの分野でもそう言われているんですけれども、特に海洋の場合にはその点をひとつ重視をしていただきたいというふうに思います。 それから、先ほど来これも議論に出ていたわけですけれども、何しろ海の調査というのは、これはもちろん宇宙開発なんかもそうだと思いますけれども、船がなければできない、あるいは高価な調査機器がないとできないという仕事が多いわけでございます。したがいまして、研究費の面でも、そういう基礎研究を重視するという体制をぜひとっていただきたいというふうに思います。 それから、これは一つの分野だけではなくて、海というものを総合的に攻めていかなければいけない。例えば先ほどの海底熱水鉱床の現状硫化物鉱床一つとってみても、そういうところには特有の生物がすんでいるというようなことがわかっておりますし、いろいろな分野の研究者を総合するような形で、いわゆる総合的な研究体制というものがとれるようにしていかなければいけない。しかも理学関係だけじゃなくて、工学関係、いわゆるエンジニアも含めてそういう体制がとれることが大事だろうというふうに思います。 それから、これはまだ今探査の段階ですから余り問題はありませんけれども、実際に海底から鉱物資源を採集してくるという段階になりますと、必ず環境破壊の問題が出てまいりますので、いわゆる事前のアセスメントと申しますかそういうものも十分やった上で、環境保全というものをまず第一に考えるという立場でやっていかなければ取り返しのつかないことになってしまうという心配がございますので、この点についても十分考えていただきたいと思います。
○渡部(行)委員 一つは、マンガン団塊の資源開発に関する各国間あるいは企業間の意見調整のあり方についての御意見と、この問題と海洋法との関係、そしてもう一つは、同じ問題で海底熱水鉱床についてどうなっているか、この問題をお願いします。
○飯塚参考人 私の知っている限りでは、例えばマンガン団塊の場合ですと、既に実用化のための研究というのが行われております。日本の場合でもそうですけれども、どうやって採鉱するかということが実用研究の形で行われております。それで、実際に今度それをとってくるという場合に、どういうところで調整をするかということになるわけですけれども、現在そういうことが直接議論できる場所というのはないのではないかと思います。しかし、マンガンの場合には、既にそういう実用化のための研究が日本でも進められている段階になっておりますので、早急にそういう体制というのは考えないと、先ほど言いましたような環境汚染とかいうような問題が出てくるのではないかということが心配されます。 それから、海底熱水鉱床について言いますと、これは先ほどから申し上げましたように、まだ今まさにこれから、日本の場合なんかですとこれからまさに研究が始まろうとしているという段階ですので、そういう各国間の調整だとか、あるいは例えば国内のいろいろな調整機関というものはまだ全くないというふうに言っていいのではないかと思います。
○渡部(行)委員 次に、海洋資源開発に関して、基礎研究と応用研究との調和のとれた体制が必要であると主張されましたが、具体的にどのような体制が適切であると思いますか。
○飯塚参考人 体制の問題、直接私今考えていることはないんですけれども、例えば基礎と応用の調和のとれた発展がなぜ重要かという例を一つ挙げてみたいと思うのですけれども、例えばマンガン団塊、これはもうかなり存在するということがわかっておりまして、開発研究の段階まで来たというふうに言われておるわけです。しかし、先ほどもちょっと申し上げましたように、マンガン団塊七不思議というふうなことも言われておるぐらい、どうしてできたのかというのがわからない。現在わかっているのは、とにかく調べた範囲での分布状況とそれからそれがどういう品位のものかということがやっとわかった段階でして、しかもそれもすべての海について調査が尽くされたというわけではございません。そういうわけでして、とにかく基礎的な研究をやってその成因がわからないと、逆に今度成因がわかれば、調べればどういうところにあるだろうということまで見当がついてくると思います。 それから、これは夢のような話ですけれども、実際にそういうことを言う人がいるわけですが、例えば先ほどもちょっと申し上げましたように、第二次大戦中に使った弾丸の薬きょうに既にマンガンの殻ができているというようなことがございますので、実際に生成の機構というかできる機構がわかりますと、逆にマンガン団塊を人工的につくるというようなことだってできるのではないかということが言われております。ですから、基礎研究を重視していただきたいと申し上げたのはそういうことでございます。
○渡部(行)委員 最後にもう一つ、最近深海のカメラあるいはテレビが開発されつつあるわけですが、この間も五百メートルの深さをテレビですか、カラーで調査するというのができたようでございます。そこで、そういうふうに無人のテレビカメラがどんどんと開発されていくとなれば、何人潜水調査船というものがなぜ必要なのか、そういう一つの理由についてお伺いしたいと思います。
○飯塚参考人 現在の段階で、深海に非常に深いところまでテレビをおろして鮮明な映像を船上へ送ってくるというようなことが、人間の目で見るほどまだ進んでいないというふうに言ったらいいんじゃないかと思います。もし人間の目で見ると同じように機械が見ることができるようになれば、確かに今おっしゃられたようなことは必要がなくなってくる。そういう時期も来ると思いますけれども、少なくとも現在、それは不可能だと思います。まだそういう段階に達してないと思います。
○大原委員 今まで出たのですけれども、急速な海底開発が進んでおる中で、先生からも海の環境問題が非常に重要だ。やはり私も非常に知識はなかったわけですが、今資料を調査室からもらって見ますと、日本にも海洋科学技術センターが科学技術庁の中にあって、五十八億円ぐらいの予算を持っている。それが先般、総合科学技術開発のプロジェクトで答申を出している。一定の方向づけをしておるようですね、昭和五十五年以降。それで、国際条約も若干あるということですが、そういう環境保全のためということも頭に置きながら、総合的な海洋開発を進めていくということは、やはり科学技術庁がもう少しそういう方向で力を入れて、農水省もあれば通産省もあれば運輸省もあればという各縦割りの行政の調整をする必要があるだろうと思いますが、もう一度簡単に先生の環境問題についてのこれからの取り組みについてのお考えを聞かせてください。
○飯塚参考人 実はマンガン団塊というのは、現在のところ深海底、四千メートルとか五千メートルとか六千メートルとかという比較的深い海にございます。そういうところの、例えば生物がいるのかとか、それからそういうところがどういう環境になっているか、特に生物にとってどういう環境になっているかというようなことだとか、それから先ほどもちょっと話がありましたように、深いところで海の流れがどうなっているかとか、そういったことを正確に調べた上でないと、マンガンを採集するときにどういう汚染が起こるかというようなことは今すぐは言えないだろうと思うのです。ですから、それはとりもなおさず、先ほどから私が強調しております基礎的な研究も重視してほしいということは、鉱物あるいは鉱床をとってくるというだけではなくて、その周りにどういう影響を与えるかというようなことを十分考えて、あらかじめ予測をして、十分研究を進めた上でそういうことをやらなければいけないと言っているのはそういう意味なんですけれども、わからないことがいっぱいあるわけでございます。ですから、もちろん科学技術庁のようなところで各省庁にまたがるいろいろな研究を総合する、統合するというようなことはある段階では大切なことであると思いますけれども、ある部分ではそれぞれの機関で自由にやらせるというようなことも必要になってくると思いますし、現在ではまだそういう両面を考えてやっていくのがいいのではないかと私は思います。
○大野委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。 飯塚参考人には、本日長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。 ――――◇―――――
○大野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 原子力の開発利用とその安全確保に関する件、特に原子力船「むつ」問題について、来る七月三日、参考人の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時五十分散会