P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
101回国会衆議院1984/05/10

科学技術委員会 第14号

発言数
33
登壇者
12
会派数
5
開催日
1984/05/10

会議録

大野潔公明党・国民会議

○大野委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興の基本施策に関する件、特にレーザー科学の研究開発の問題について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として慶応義塾大学教授霜田光一君の御出席を求め、御意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大野潔公明党・国民会議

○大野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————

大野潔公明党・国民会議

○大野委員長 この際、霜田参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多用中のところ本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。  本日は、レーザー科学の研究開発の問題につきまして、忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、議事の順序についてでありますが、まず参考人に一時間程度御意見をお述べいただき、次いで委員の質疑に対して御答弁をお願いいたします。  それでは、霜田参考人にお願いいたします。

霜田光一慶應義塾大学教授

○霜田参考人 御紹介いただきました霜田でございます。きょうは、この委員会でレーザー科学について話をするようにということで、大変光栄に存ずる次第であります。  資料を用意してまいりましたので、それに従ってレーザー開発の歴史、それから我が国における現状と今後の方向、それから海外の関係とか国際協力、そしてレーザー科学研究の進め方というようなことについて、私見を述べさせていただきたいと思います。  それでは、まずレーザー開発の歴史から申し上げます。  私ごとでございますけれども、私は、昭和十八年九月第二次大戦の最中に大学を出まして、特別研究生として海軍のレーダーの研究に終戦まで従事しておりました。終戦後、そのレーダーの研究で使っておりましたマイクロウエーブの真空管とかその他の研究装置で持てるものは若干大学に持ってまいりまして、それを使って物理や化学の研究が何かできないかということを考えたわけであります。その結果、と言うと私だけというような感じを持たれるかもしれませんが、実はそのような状況はアメリカとかイギリスというようなところでも同じようでありまして、戦時中に電波兵器関係の研究に従事した人たちが、戦後になって自然科学の研究にそのような電波機器を使うということを考えまして、今日いうところの電波分光学というものが生まれました。戦時中に進歩したマイクロウエーブの技術を使って、原子や分子を調べるというようなことが始まったわけであります。  しかし、これは単に戦時中の技術を利用して物理や化学の研究をするというのではなくて、工学的な考え方というものを自然科学の中に持ち込んでくるというような作用があったわけであります。つまり従来、物理学者あるいは化学者は、原子や分子を自然現象として調べるということをやっていたわけでありますけれども、単に自然現象として見るのではなくて、原子や分子を研究する際に工学的な考え方、つまり増幅とか発振あるいはフィードバックであるとか自動制御というような概念を自然科学者もだんだん取り入れてくるようになったわけであります。その結果、原子や分子のマイクロウエーブの特性を調べている人たちの中に、原子や分子を使ってマイクロウエーブを増幅したり発振したりする装置ができるのではないかというような提案が一九五一年、昭和二十六年ごろに三、四カ所で出たわけであります。  しかし、それを実現するための研究はそうすぐには進みませんで、アメリカやソ連などでごく小さなグループで研究が行われていたわけですが、その結果、一番最初にコロンビア大学のタウンズ教授のところで、アンモニアの分子を使ったメーザー、つまりマイクロウエーブの発振器、当時分子発振器というような言葉もありましたが、後にメーザーと名づけられるものが発明されたわけであります。メーザーというのは、レーザーと原理的には同じでありまして、当時マイクロウエーブで発振器ができる、増幅器ができるということで、マイクロウエーブの頭文字のMを使ってメーザーという言葉ができました。後に同じような原理で、つまり原子や分子の働きで光を発振したり増幅したりそのほかのことができるということが考えられるようになって、その結果、そちらの方が御承知のように応用範囲も広いということで、マイクロウエーブのかわりに、光は英語でライトですから、そのLをとってレーザーという新しい名前で呼ばれるようになったわけであります。  そのメーザーが一度実現しますと、マイクロウエーブよりもっと波長の短い赤外、可視光あるいは紫外線の発振器ができるであろうということで、レーザーの提案が何カ所かであったわけでございますが、特に日本では当時東北大学の西沢先生が、一九五七年に半導体レーザーができるという提案をされました。これは特許になっておりますが、その実現はおくれたわけであります。同じような提案がフランス、アメリカ、ソ連などでもありまして、実際にレーザー、つまり光を原子あるいは分子を使って発生する、マイクロウエーブの発振器と同じように、通常の光源とは違って一定の振動数の波を発振するというものができたのは一九六〇年でございます。  初めには、ルビーを使った固体レーザーというものができました。ここに持ってまいりましたのはレーザーに使うルビーですけれども、初めに使ったものはこれよりずっと小さなもので、このようなルビーの結晶を使ってそれから赤い強い光が出てくるということが一九六〇年の夏に実験されました。それは瞬間的にレーザー光が発生するというものだったわけでありますけれども、その年の暮れになって、気体の放電を使ったレーザーが発明されました。ここに気体レーザーを持ってまいりましたが、これは装置が全部中に入っているわけです。初めにできた気体レーザーの装置はこれよりむしろ大きかったわけで、これは今一番小型につくられた気体レーザーであります。気体レーザーは、このような放電管がありまして、それからレーザー光が連続的に出てくるというもので、一九六〇年の暮れになって実現いたしました。一言でレーザーと言いましてもいろいろな種類があるということを示すために、まず初めにできたルビーを使った固体レーザー、それからヘリウムとネオンの放電管を使った気体レーザーをここに紹介したわけでございます。  西沢先生の提案しました半導体レーザーの研究というのは、その後主としてアメリカで、一部ソ連やフランスなどで進みまして、一九六二年になりまして三カ所の研究所で続々と成功いたしました。半導体のレーザーというのは、いわばトランジスタと同じようなものと言ってよろしいわけですけれども、トランジスタよりももっとずっと小さな半導体を使います。これは今日日本で製造している半導体レーザーでありますけれども、この容器の中に入っている砂粒よりも小さな部分が半導体レーザーの本体のわけであります。  このようなレーザーというものが一九六〇年の初めからだんだん出てまいりまして、大ざっぱに申しまして一九六〇年代というのは、レーザー装置そのもの、つまりレーザーをいかにしてつくるか、いかにしてよくするか、あるいは新しい種類のレーザーをどのようにつくるかというような研究が進みましたが、一部そのレーザーを使っていろいろな研究をする。初めに、レーダー用のマイクロウエーブの真空管を使って電波分光学が始まったということを申しましたけれども、まず最初にレーザーを応用するということを考えましたのは、レーザーを研究していた人たちそれ自身でありまして、レーザー分光というようなことが行われました。そのレーザー分光を進めることによって、またレーザーの改良が進められていったというのが一九六〇年代であります。固体のレーザー、気体のレーザーというふうに申しますと、液体のレーザーがないのかとお考えになると思いますが、液体のレーザーは一部は一九六三年ごろ出たものがありますが、実用的になりませんで、今日液体のレーザーとしてよく使われております色素レーザーというのは一九六六年になって出てきたわけであります。  レーザーを使う応用で医学的応用とか工学的応用というのも一部試験的には行われたわけでありますが、大変大きなレーザーの応用となっておりますレーザーを使って核融合の実現ができないかということに関しては、強いレーザー光を重水素の塊に照射してやったところが中性子が出たという実験が一九六八年にソ連の人によって発表されまして、それ以来世界じゅうの何カ所かでレーザーで生じたプラズマによる核融合の研究という計画がスタートしたわけであります。  レーザーの実用的な方面でもう一つ重要な光通信への応用というのは、先ほどお話をしました半導体レーザーが一九六二年に出たときは、これは液体ヘリウムの極低温に冷やしてやるとかあるいは瞬間的なパルスでないと発振しなかったわけであります。常温で連続発振するというようなレーザーが林さんとパニッシュ博士によって、これはアメリカのベル研究所において一九七〇年に実現されまして、それまでは実験室でしか使うということが、ないと言うと極端ですけれども、それが主であったレーザーが実用的にいろいろなところで使えるというふうになってまいりました。特に光通信の研究というのがこれ以来本格的になってきたわけであります。レーザーを使って核融合を実現しようという計画については、単にレーザーで加熱するのでなく、核融合の燃料を通常の密度よりも高い密度、千倍あるいは一万倍というような密度に圧縮してから加熱してやると、少ないエネルギーで核融合が起こるということがテラー博士によって一九七二年に発表されまして、それ以来日本でも大阪大学で、現在レーザー核融合研究センターというものになっておりますけれども、そこで大きな計画が進行しております。  一九七〇年代は、そのようにレーザーをいろいろな分野に使うという研究がだんだん発達した時期でありますけれども、レーザー自身としてもまだ新しいものがありまして、その一つは、一九七六年に初めて実験が成功いたしまして、発表されたのは七七年になりますけれども、自由電子レーザーというもので、これはまだ現在基礎研究の開発というような状況であります。  我が国においても、外国でレーザーができたその翌年から、正確に申しますと一九六一年から民間会社でもレーザーの研究を始めましたし、その少し前、一九六〇年あるいはそれ以前から二、三の大学の研究室ではレーザーの研究をしておったわけですが、六〇年代というのは、民間の研究所においても大学の研究所においても主として基礎研究の段階であったわけであります。それが一九七〇年代になりましてからは、先ほどはレーザー核融合の研究計画のことを簡単に申し上げましたけれども、そのほかにも電子技術総合研究所とか計量研究所とかあるいは電気通信研究所というようなところで、それぞれの方面にレーザーの応用研究のプロジェクトがスタートして、一九七〇年代にそれがいろいろな発展をいたしまして、一九八〇年代になりましてからは主としてその実用化ということが考えられるような状況になってきておるわけであります。  以上、レーザーの歴史を少し詳しく申し上げましたが、資料の二と三というところは、レーザーがどうして今日いろいろな応用、科学的な方にもそうでありますし、技術としても注目されるかということを箇条書きに書いたもので、実は前に用意したものがありましたので、それを複製したのでありまして、きょうはこの中について余り詳しく申し上げる時間はないかと思います。しかし、簡単にレーザーの特徴を申し上げます。  既にごらんになった方もあると思いますが、レーザーの光というのは大変真っすぐ進む。ここではbのところに指向性と書いてあるのがそれでありまして、しかも、その波長が一定であるあるいは振動数が一定であるという単色性であって、真っすぐ進むということが著しい特徴であります。しかし、真っすぐ進むといっても本当に直線ではありませんで、レーザーの光といってもやはり光でありますので、広がってまいります。殊に空気中を伝わる場合には、空気に揺らぎがありますと、かげろう現象として広がるわけであります。例えば、月の面にレーザー光を送るというときには、望遠鏡に逆に光を通すわけであります。普通、望遠鏡は天体から来た光を対物レンズで受けて接眼レンズで目に入るわけでありますが、その接眼レンズの方からレーザー光を送ってやりますと、ちょうど望遠鏡で天体を観測したときに見える一番小さい限度ぐらいまでの大きさでレーザー光が届くということになります。もう少し具体的な数字で申しますと、レーザー光を通常の大きさの一メートルぐらいの望遠鏡で月面まで送りますと、数百メートルというくらいの大きさに広がる、あるいはそれぐらいにしか広がらないと言うかは考え方次第でありますけれども、その程度でありまして、これをそれより狭くすることは原理的にはできないという限度になります。  これは基本的な特性でありますが、もう少し実質的な性能としての特性は、まずレーザーの出力が考えられます。  レーザーは非常にいろいろな種類がありますので、初めにできたときでも、このようなルビーのレーザーでありますと、瞬間的に発振して瞬間的にはメガワットというような出力が出ますけれども、平均の出力はミリワットぐらいしか出ないというようなものであります。この小さい気体レーザーは、一ミリワット、千分の一ワットぐらいの出力でありますけれども、連続的に出るというものになります。半導体レーザーも、大体千分の一ワット程度の連続出力が出るというようなものであります。しかし、気体レーザーでも大きな出力を出すようなもの、固体レーザーでももっと大きな出力を出すというような研究がいろいろ進みまして、現在では、気体レーザーでは、赤外でありますけれども、連続発振する出力は大きなものでは二十キロワットというようなものが、加工用のレーザーとして日本でも開発されております。小さいものは幾らでも小さいのがあるというものであります。  瞬間的な出力という、瞬間というのに用途に応じていろいろあるのでございます。瞬間のことは次の項目のところで申しますけれども、瞬間出力というのは小さいレーザーでも一ワットぐらいは簡単に出まずし、大きなものでは十テラワット、テラというのは兆です、つまり十兆ワットというようなところが出ます。大阪大学にありますレーザー核融合研究センターでつくりましたガラスレーザーでは、現在二十キロジュールの出力で、瞬間出力にいたしますと四十テラワット、四十兆ワットというような出力の出せるものができて核融合の研究をしているわけであります。  瞬間発振ということでちょっと申し上げましたけれども、レーザーは非常に応答が速いということが特徴でありまして、通常のエレクトロニクスですと一億分の一秒あるいは十億分の一秒という、ナノセコンドと言っている辺が実用上の限度になっているわけでありますけれども、レーザーの場合には、ピコ秒と呼ばれております一兆分の一秒あるいはそれより短い何十兆分の一秒というような短いパルスや短時間の測定ということが可能になりまして、そのような性能を使うという応用もいろいろと展開されております。  今まで述べましたこの四つの特徴というのは、ほかの光源にはない際立った特徴でありまして、レーザーを応用する科学あるいは技術というものはこれらの性能の幾つかを大抵利用しているわけであります。一つを利用しているというわけではありませんけれども、主な利用ということから考えてレーザー利用を分類して書きましたのが、資料の三にありますレーザー応用の発展ということであります。  レーザーのエネルギーが高い、大きいといいましても、先ほど連続で十キロワットあるいは二十キロワットということを申しましたけれども、二十キロワットというような出力は、ちょっと小さなといいますか、ストーブと同じぐらいでありまして、全エネルギーとしては決して高いとは言えないのでありますが、指向性がいいというようなことを考えますと、そのエネルギーが非常に小さい場所に集中しているわけであります。それから、波長でいつでも、一つの波長に集中している。ストーブの人あるいは電熱器の熱というものは、いろいろな波長に分布してエネルギーが出ているのでありまして、一カ所の波長ではそんなに高いことはないのでありますが、レーザーは空間的にもあるいはスペクトルの上でも非常に密度の高いエネルギーを発生するわけであります。  そういうことを使いまして、ごく特殊な目的では局部照明、例えば胃カメラの中に入れまして、光ファイバーで光を送り込んで内部を観察するのに使う、写真を撮るのに使うというようなことになるわけであります。特別なところへの送電というようなことも考えられておりますが、特にエネルギーの高いものを利用するというのは、強いレーザー光を照射しますとすべての物質がプラズマになるというようなことで、核融合をしたりあるいは超高温、超高圧の実験をしたりということが考えられるわけであります。それほど高い温度にしなくても、いろいろな物質、例えば半導体を熱処理する、あるいはそれを切ったり穴をあけたりするというようなレーザー加工、レーザー加熱というようなことに用いられるわけであります。  その加工や加熱をするというのにも、レーザー光が空間的に集めてまた動かすことができるということを利用するわけでありますけれども、特にレーザーの空間的に指向性がよくてそれを動かすことができることを利用するものとしては、測量に使ったりあるいは建築をするという場合の建物の中の位置決めというようなことをやったり、あるいはレーザー光を使って文字とか図形などを描き出したりするというようなことに利用されるわけで、これは例えばレーザーのショーというようなところでも使われているわけであります。  さらに、精密な目的では、レーザー光が非常に単色であるということから、光の干渉がよく起こるわけでありまして、干渉計として、光の波長を標準にして長さその他の量をはかるということをいたします。この場合に、通常の単色光源、スペクトル光源に比べてレーザー光はずっと単色性がいいということのために、また光が集中しているということのために、けた違いに精度のいい測定ができるようになります。これに関連して、昨年の十月には、長さの標準であるメートルが、国際度量衡総会で、レーザーを基準にした光の速さを使って定義されるというふうに変わったわけであります。  また、レーザーの光が非常に干渉しやすいということを二次元的、三次元的に使ってできた新しい技術が、立体写真ということで知られているホログラフィーでありまして、日本でも何度か展覧会などが開かれておるので、ごらんになった方もあるかと思いますが、レーザー光を当てますと、そこに写したときの立体像が浮き上がってくるというような技術でありまして、これは単に写真として使うだけでなくて、それによってやはり二次元的、三次元的な精密な計測をするとか、あるいは非常にたくさんの情報を記憶させるメモリーとして使うということなどの研究もありますし、応用も始まってきております。  そのような性質にも、レーザーが一定の波長であるということを利用しておりますけれども、さらに、そのレーザーの波長が一定で、あるいは周波数にしてきれいな振動をしているということを利用いたしますと、光の技術が電波技術と同じように通信あるいは計測というようなことに使えるようになったのであります。それ以前には二つの光の間のビートというものはほとんど観測できなかったのでありますけれども、レーザーになりますと、光ヘテロダイン、すなわち二つの振動数の違うレーザー光を加えてやりますと、その差の振動数の光が出てくるということで、それを使ったいろいろな研究ができます。先ほど申しましたような波長あるいは長さの標準に使うということのほかに、それを今度は逆に使いまして、光の波長を基準にして地殻の精密な伸び縮みをはかることによって地震の予知の研究をする、あるいはダムの変形をレーザーを使って測定する。ダムに水がふえたときには何ミリぐらいダムがへこんでくるかというようなことを精密にはかることによってその危険の予防にも使う。その他いろいろな利用が始まってきておるわけであります。  特に、分光学的な研究がレーザー以後発達してまいりまして、従来の分光では得られなかったような非常に感度が高く、また分解能のいい分光測定ができるようになりまして、新しくレーザー化学あるいはレーザー分光というような分野が生まれてきておるわけであります。  レーザーの光がさらに時間的に非常に高速度で変えられる、あるいは短いパルスができるということになりますと、その短いパルスのところに同じエネルギーが集中いたしますので、初めにも申しましたように瞬間的な出力が大きくなるということでありまして、これは工学的に言いますと、メガワット、テラワットというような出力ができることになるわけであります。原子や分子の立場で考えますと、短い時間のところに非常にたくさんの光子、フォトンが集中しているということになりますので、今までの光と物質との相互作用と違いまして、たくさんの光子が一度に一つの分子あるいは一つの原子と相互作用するということが起こります。それを多光子過程と言っているのでありますけれども、それによって起こる化学反応であるとか、あるいはそれを利用して同位体を分離するとか異性体をつくる、あるいは新しい化学合成をやるというようなことが始まってきております。  また、一億分の一秒あるいはそれ以下というような時間がレーザーのパルスで測定したり発生したりできるようになりますと、高速度写真も、普通ですと百万分の一秒あるいは千万分の一秒くらいまでしか写真に振れなかったのでありますけれども、一億分の一秒あるいは一兆分の一秒というような露出での写真ができるようになっております。また、マイクロウェーブのレーダーのかわりに光を使いますとレーザーレーダーができまして、その場合にも距離の測定の精度が高くなるということがあるわけであります。  通信に使うという立場で申しますと、レーザー光が一秒間に何兆というほど信号が入るということは、多重通信が可能だということでありまして、日本では一九七〇年、つまり今から十四年ほど前に既に、百四十四メガビットというような大きな電気容量のレーザー通信の実験をしております。その一九七〇年というのは、まだ半導体レーザーが出てくる前であったわけでありますけれども、半導体レーザーができて、その後一九七一、二年ごろからは、光ファイバーといって、ガラスあるいは石英の細いファイバーをつくりますと、その中にレーザー光が非常に少ない減衰で通せるということがわかってまいりました。そのレーザーの光を伝える光ファイバーの研究が、電子技術総合研究所とか電電公社の電気通信研究所で一九七一年、七二年ごろから本格的に始まりまして、一九七六年、七七年ごろには世界のトップレベル、つまり外国のよりもいい光ファイバー、いいと申しますのは、光の損失が少ない、千メートル行って一デシベル以下の減衰というような光ファイバーが一九七七年にはできるようになったわけであります。千メートルで一デシベルというふうになりますと、銅線のケーブルを使って電気信号を送るよりも先の方が減衰が少ないということになったわけでありまして、それ以来レーザー通信の研究が大変盛んになったわけであります。  今までの話の中にもある程度織り込みましたのでおわかりかと思いますけれども、レーザーの科学あるいはレーザーの技術、そのような分け方をしますのは、レーザーを自然科学に応用するのが主としてレーザー科学というふうに考えられ、レーザーを産業、技術等に応用するものは通常レーザー技術と呼ばれて、場合によってはレーザー科学と言い、あるいはレーザー技術と言い、その両方を含んだりしているわけでありますけれども、そのようないろいろな分野に対してレーザーが革新的な発展を導き出したわけです。  その結果、資料の四のところに書いてありますように、いろいろな新しい研究分野あるいは技術分野が生まれてまいりまして、レーザー物理、レーザー分光、レーザー化学、レーザー通信、レーザー加工というようなことが出てまいりました。レーザープロセシングと申しますのは、レーザー加工を含むと言ってもよろしいのですが、単に加工するというだけでなくて、レーザーを使って半導体の表面にある種の被膜をつくる、あるいはその被膜に微細な図形を書き込む、そこにまた化学反応をさせまして下にエッチングをする、そしてまた、そこに別のものを反応させてつけるというようなことをレーザーを使ってするとか、あるいは生体の細胞であるとか生体の組織にレーザーを使って小さな穴をあけて遺伝子を中に取り込んだり、それから神経細胞にレーザーを当ててみたりということで生命科学の研究をするなど、レーザーを使っていろいろな物質、無機物、有機物、生体物質を処理するというレーザープロセシングも進んでまいりました。それから、レーザーを使っていろいろな計測をするということは先ほども申し上げましたし、レーザトレーダーも申し上げました。また、レーザーメスというので一番よく知られております、レーザーで手術をして人体などの筋肉を切ったりすることのほか、レーザーを使って各種の病気の診断をするとか、診断だけでなくて治療をするというようなこともレーザーで一部行われるようになってまいりまして、そのようなレーザー医学あるいはレーザー医療というものも進んでまいりました。レーザー核融合あるいはレーザー同位体分離というのは、先ほど申し上げたものでございます。  そのほか民間機器としては、レーザーディスクというものが既に実用化されて市販されてきておりますが、民間機器と申しましてももう少し特殊なものには、レーザープリンターとかあるいはレーザーでの製版ということがございます。これも広い意味ではレーザー加工の一種でありますけれども、レーザーを使って印刷の版を加工しますと、非常に高速で精密に、しかもきれいに版ができる。また、そのレーザーで文字を紙の上に映し出したりしますと、それも高速できれいにできるというようなレーザープリンターあるいはレーザー製版というものが既に大きな市場になるほどに発達してきております。ホログラフィーも先ほど申し上げたことでありまして、このように、レーザーというものがいろいろな科学の分野、技術の分野、産業の分野に対して革新的な発達をしてきているという状況でございます。  その分野の別ということはさておきまして、それらを通じてレーザーの新しい技術というものの特徴がどんなところにあるかということが、資料の三ページのところに書いてございます。すべての先端技術というものは同じような特徴を持っていると言えば言えるのでありますけれども、特にレーザーではここに挙げましたような特徴が著しいというふうに考えております。  それは、研究開発の進歩やその変遷の速さが大変に速いということであります。レーザーが発明されてからもう二十何年たっているじゃないか、全体的にはその二十何年という時間があるわけでありますが、一つ一つの開発というものを見ますと、その内容の進歩が非常に速いということが特徴であります。  それに多少関係があるのでありますけれども、基礎的な研究と応用的な研究あるいは基礎的現象と応用的な装置というものの間の関係が大変密接であります。別な言い方をしますと、学術的研究と実用的研究というものがかなり不即不離になっておりまして、学術的研究ができるとそれを受け取って実用的研究が進むというようなものではありませんで、学術的研究が進みながら実用的研究が進んでいく、実用的研究の中にまた学術的研究をやるべき問題が出てまいりまして進んでいくというようなことで、密接に絡み合っておりますし、また絡み合って研究するのでないと基礎的な研究も応用の研究もなかなか発展しない、発展がおくれてしまうという状況にあります。それからまた、先ほどの例でありましたように、レーザー科学の影響する分野、関係する分野というものが非常に広いわけであります。地理学とか生物学とか医学とか天文学とか農学とかあるいはいろいろな工学、建築であるとか電気、機械というようなものは言うに及ばず、いろいろな分野にそれが及んでおります。単に波及効果として及ぶというのでなくて、そのような分野からのいろいろな技術とか考え方というものがレーザーの発展のために必要になってきておるわけであります。  このような特徴というのは、どちらかというといい方の特徴でありますけれども、余り望ましくないといいますか芳しくない特徴というのは書いておきませんでした。レーザーはコストが高いあるいはそのライフが短いというのが余り望ましくない特徴でありますが、特に書かなかったのは、悪いからということも一つでありますけれども、本質的な特徴でありませんで、コストが高いとかライフが短いというようなことは、レーザーの発展につれてだんだんとコストは下がっておりますし、ライフも長くなっております。先ほどお話ししました半導体レーザーというのは、初めにできたときにはいいものでも百時間ぐらい、悪いものはもう十分か二十分でだめになってしまったというものでありますけれども、そのライフをいかにしたら長くできるかというような研究が、日本では日本電気その他の電気会社で進みまして、その結果、現在ではもう何万時間というような寿命が保証できる、推定寿命では何百万時間になるというようなものも生産されるようになってきておるわけであります。コストが量産とともに下がってくるというものは、トランジスタその他の例と同じでありますので特に申し上げる必要もないかと存じます。  それでは、もう時間も余りございませんので、資料の五に移りまして、このようなレーザーの研究、レーザーといいますのはレーザー装置そのものだけではありませんで、レーザーを応用したレーザー科学あるいはレーザー技術の日本における現状がどのようなものであるか、あるいは今後の方向ということについてお話ししたいと思います。  五のところに書いてありますように、我が国のレーザーの技術で世界的に見て最高のレベルのところにあるのは、半導体レーザーの開発と製造及びその使用ということでありまして、これはレーザー通信の光源として使うことが主でありますけれども、レーザーディスク、そのほかの応用というものも含まれております。そのレーザー光を伝えるケーブルというのが光ファイバー、あるいはそれをケーブル化したものは光ファイバーケーブルと申しますけれども、この光ファイバーは、先ほど一九七七年に世界の最高レベルの品質のものができるようになったということを申しましたが、その後も研究が進みまして、世界で一流の光ファイバーが日本でつくられ、外国にも出されるというような状況になってきておるわけであります。しかし、もちろん半導体レーザーあるいは光ファイバーのすべてについて日本が最高であるというふうには言えないわけであります。  それに次いで、日本が世界的に見て十分高い水準にある、一、二を争うような順位にあると言ってもいいのがレーザー核融合の研究でありまして、我が国では集中的に大阪大学のレーザー核融合研究センターで行われておりますけれども、そこで最近動作するようになりましたガラスレーザーというものは、繰り返しますけれども四十テラワットというような瞬間出力を出して、核融合の燃料となります水素を小さな球の中に閉じ込めて、それにレーザー光を当てて核融合の起こるありさまを現在実験中のわけであります。その精密な再現性のいい実験ができるようになっていることと、それから瞬間出力というのは現在世界の一流のレベルにあるわけであります。もちろん、ほかの国でいろいろなレーザー核融合研究のプロジェクトが進行しておりまして、近い将来にはそれを上回るような研究装置が外国で完成するという予定もありますので、最高とはなかなか言いにくいと思いますけれども、その研究の質のよさにおいては諸外国で大変注目しておるわけで、諸外国の研究者もその研究に参加して進行しております。  レーザーの分野が非常に広いので、分野を分けたとしましても、その中で全般的に高い水準とかいうことがなかなか言いにくいところがあるわけで、部分的にはかなり高い水準にある、一部はもう世界一の水準にあるというようなものをその次に書いておいたわけであります。光エレクトロニクス素子というのは、時にはオプトエレクトロニクス素子というような言い方をいたしますけれども、レーザーをエレクトロニクスで制御するといいますか、レーザーとエレクトロニクスをつなぐような素子でありまして、レーザー光を変調するものとか検波するものとか、あるいはレーザー光を振り回すような素子だのレーザー光の波長を変えるようなものなど、いろいろなものがあるわけです。そのような研究は日本で前から行われておって、現在でも大変すぐれた研究がありまして、また実用化も進んでおります。レーザープロセシングも、レーザー技術のいいことと、それから日本は光学技術とかエレクトロニクスの技術にすぐれておりますし、物性物理の研究、半導体の研究も進んでいたというようなバックグラウンドもありまして、大変高い水準にあります。レーザーの分光学的研究というのも日本では早くから行われましたし、現在でも非常に広い範囲の人たちが関与して、世界で認められるような研究が幾つも出ております。その結果、レーザーを使って、物質の特定の準位だけを励起してやって、通常の化学反応と違う化学反応が起こるというような研究がだんだんと始まってきております。この分野は多少日本はおくれていたわけでありますけれども、一部では大変質の高い研究が始まって、外国にはないような実用的な成果というものも出始めております。レーザー医学も、初めには一九六五年ごろ日本でレーザーを使っての医学的研究というものが始まったわけでありますけれども、最近は非常にたくさんの病院その他でレーザーによる治療とか診断というものが始められて、症例を研究するし、またそれに合ったようなレーザー手術の方法あるいはレーザー診断の方法が開発されてきておりまして、レーザー医学会というようなものができたり外国からも日本の状況を見に来たりしているような状況であります。  レーザーの計測ということに関連して、初めにはレーザー光を使ってはかるという直接のレーザー光の利用を申しましたけれども、いわゆるセンサーとしてレーザーを使う、あるいは光エレクトロニクスの素子を使うというようなことがいろいろな分野で始まってまいりました。単に精密測定というのでなくて、センサーというのははかる対象によっていろいろなものがありますので一言で言いにくいのでありますけれども、レーザー計測というのが実験室の中で、計測といいますと何か物差しを当てて精密に数値を出すというふうに思えるのでありますけれども、必ずしもそういうような計測だけではありませんで、例えば新幹線にレーザーを乗せてやりまして、新幹線を走らせながら、そのレーザーを使ってパンタグラフの上を走っている、架線と言いますけれども、銅線の摩耗ぐあいを調べるということをしております。そうしますと、新幹線が時速二百キロで走っていて、それで十センチ置きぐらいのところで架線が何ミリに減っているということを、〇・一ミリか〇・二ミリぐらいの精度ではかっていくということをいたしております。そうしますと、部分的に架線がすり減っているというようなことがよくわかるわけであります。  あるいはまた、レーザーセンサーのもっと広い範囲で申しますと、これはオーストラリアの話ですけれども、オーストラリアでは海岸の海の深さをはかるのに、今までの方法で測量しておりますと五十年以上かかるというところを、レーザーを使って海の深さをはかるというようなことを実用しております。それは二つの波長のレーザーを飛行機の上から海面に落としてやりまして、一つの波長は赤外線ですけれども、それは海面で反射して戻ってくる。そうすると飛行機の高さがわかるわけであります。それからもう一つは緑色の、海の中に何十メートルという程度まで通る波長のレーザー光を送ってやりますと、海の底で反射してそれが返ってくるわけであります。そのような一種のレーザーレーダーを使ってやりますと、海の深さが数センチというような精度で、しかも飛行機が飛びながらの速さではかれるというので、数十メートルの深さまでの海岸の海底が一年とかからない時間で測量できるというような使い道もありまして、使用目的に応じまた考え方に応じて、アイデアによっていろいろなレーザーの応用というのが出てきておるわけであります。  今、我が国における現状をお話しするつもりであったのでありますけれども、ちょっと脱線をして外国の話がまじりまして失礼いたしました。ホログラフィーで計測ができるということは、先ほど申しましたので省略をいたします。  このようないろいろな分野にレーザーが実用的に使えるという状況になってきておるわけでありますが、今後どんな方向に進むかといいますと、現在いろいろな実用が始まってきたと申しましても始まったばかりで、それがどんどん進んでいくようになるであろうということは明らかなことで、だれも考えるわけですが、そのほかに、既に始まっておりますけれども、新しいレーザー応用の発展の方向というのは、レーザーとコンピューターを組み合わせるというようなことがだんだん起こってくると思います。先ほどの例の新幹線の上にレーザーを乗せて架線をはかるという場合でも、新幹線が走りながら架線の太さを十センチ置きにはかるというのは千分の二秒に一回ずつ測定しているわけで、その測定結果というのはもちろんコンピューターに記憶させているわけでありますし、それで架線の太さがその前に測定したときに比べて異常に減っているようなところとか、太さだけでありませんで、架線の位置が異常に違っていたというようなところがありますと、コンピューターが異常ありということを判断して、そういう異常データは異常データとしてまた別に出力するというようなことをしてコンピューターを利用しておられるわけであります。今後はさらにもっと密接に、レーザーをコンピューターで動かしてレーザー加工するとかレーザーで熱処理をするというようなだんだん高度のもの、また精密なものにまで発展してくると思います。  レーザーを使うという場合に、今までの例の中でもちょっと申しましたけれども、いろいろの新しい材料が必要になってくるということが多いわけでありまして、単に光学素子であるとかエレクトロニクスの素子というようなもの以外にもいろいろな材料が必要になり、あるいはそういうものがあれば新しい分野が開けるというものが出てくると思います。もちろん、レーザーを使って新しい材料をつくるとか処理をするというようなことも進んでくるようになると思います。  前にもちょっとレーザープロセシングの例として申しましたけれども、生体高分子であるとかというようなものをレーザーを使って処理する、あるいはそれほど大きな分子でなくても、その分子のレベルでレーザー処理をいたしまして、ライフサイエンスの研究をするとかあるいは医学的な応用に役立てるというようなことが始まってくると思います。細胞にレーザーを使って遺伝子を注入するというようなことのほかに、例えば分子を区別して細胞なり生体の組織の中の顕微鏡写真を撮るというようなことも可能になってくると思います。今までは単に光で物を見ていたわけでありますけれども、その細胞の中にある特定の分子だけがどんなふうに、どんなところに集まっているかというようなことをレーザーで見るとか、あるいは生体組織の中に特定の分子がどのようなところに集まって、どのような形になっているかということをレーザーを使って調べることによって病気の診断、例えばがんの診断をするというようなことの研究が始まり出しておりますし、それが今後もっと広い範囲に進んでいくのではないかと思います。そのほか、今までの例である程度想像できますように、いろいろな基礎研究と応用研究との間の関連において、新しいレーザー応用というものの創造的な研究が今後必要であり、また発展していくものであろうというふうに考えます。  それでは、今までも歴史とかあるいはレーザー技術というものに関連して外国の例を申し上げましたけれども、諸外国の現状あるいはこれまでの状況というものを、資料の六に書いてあるところに従って申し上げます。  レーザーが初めにできたのがアメリカであったということもあり、そのほかの電子技術も比較的そうであるということで、レーザーの基礎研究にしろ応用研究にしろ開発研究にしろ、世界的に見てアメリカが非常に大きな分野を占めております。人数で数えるか、製品の数で言うか、論文の数で言うか、研究所の数で言うかというようなことによって違いますけれども、大ざっぱに言って世界じゅうで半分より少し多いくらいがアメリカで研究が行われ、またレーザーの装置がつくられていると言ってよろしいかと思います。アメリカでは、民間の研究所というようなものもかなりありますし、それから国立の研究所というようなところでもレーザーの研究が行われております。  そこに書いてありますベル研究所あるいはIBMの研究所というのは、光通信とかあるいは情報関係のレーザーの研究が盛んでありますし、ローレンス・リバモア研究所あるいはロスアラモス研究所というのは、大出力のレーザーを使って主としてレーザー核融合あるいは同位体分離というような研究をしておるわけであります。大学ではMIT、マサチューセッツ工科大学であるとかカリフォルニア大学その他というようなところで、基礎研究あるいは応用研究もいろいろと進んでおります。  特に、大学関係とかあるいは中小の会社あるいは小さな単科大学というようなところの研究者がレーザーの研究の開発をするというために、アメリカでは、レーザーのリージョナルセンターと申しまして、そのような地域センターが少なくとも四カ所でつくられております。例えばカリフォルニア大学とスタンフォード大学あたりを中心にしまして、カリフォルニアのベイ・エリアというところにレーザーの地域センターがありまして、その付近の研究者が週のうち何日かそこへ来て研究する、あるいは夏休みのときあるいは集中した時期にそこの装置を使って研究する、あるいはそこの装置を借りて自分の研究所へ持っていって研究するというような地域センターがあります。ニューイングランドの方では、ボストンでMIT及びハーバード大学が世話をした地域センターというものがありまして、付近の研究者に対するレーザー装置の利用であるとか、あるいはそれの講習会であるとか研究会というようなものをして研究の開発を行っております。これらの地域センターはアメリカのナショナル・サイエンス・ファンデーション、国立科学財団というのでしょうか、NSFというところで主として支えられているものであります。  ソ連も、メーザーの研究はアメリカとほとんど同じ時期に提案が出て、また実験も成功したのでありますけれども、レーザーもアメリカに次いで早くから研究をしておりまして、ソ連の科学学士院、アカデミヤ・ナウクにたくさんの研究所がありますが、その中でも特にレベデフ研究所とか分光学研究所、これはモスコーにございますが、ノボシビルスクにあります半導体研究所などの研究所でレーザーの研究が盛んに行われております。大学も、モスコー大学その他幾つかの大学でやっております。ソ連は、一九六〇年代、七〇年代は世界的に見てかなり大きな割合の研究をしておったわけですが、民間の会社での研究というのがほとんどございませんで、その民間の会社の研究が出るようになりましたここ十年ぐらいのところでは、少なくとも数の上ではソ連の研究は少し減ってきておるというような感じがいたします。しかし、例えば民需的な用途でのレーザーというものを別にした範囲で考えれば、ソ連はやはり大変多くの研究をしております。特に新しい分野に対するレーザーの適用については、ソ連は非常に積極的にやっております。例えばレーザープラズマで、小さなロケットでありますけれども、そのロケットを推進するという実験などはソ連で一番最初にやったものだと思います。  ここに挙げております順序は、大体アクティビティーが多い方、レーザーの研究の盛んなところから順に大ざっぱに書いたのでありますが、その次に盛んだと思いますのは西ドイツでありまして、マックスプランクの研究所が何十というほど西ドイツの中にありますが、その中のかなりの研究所でレーザーの研究をしております。特にレーザーの研究をするためにつくられたのが量子光学研究所で、ミュンヘンにございます。そのほかにマックスプランクの固体物理研究所とか生物物理化学研究所とかプラズマ研究所というようなところでレーザーのいろいろな、いろいろといいますのは、基礎研究から応用研究、開発研究というようなものまでやっております。大学でも盛んでありますし、民間会社も初めのころは有名なジーメンスが主であったわけでありますけれども、最近は大中小いろいろな民間会社での研究も行われております。  フランスには、国立研究所での大きなレーザー研究は、核融合の基礎研究は核融合の研究所で多少行われておりますけれども、レーザー一般についてはないようでありまして、大学の研究あるいはトムソン・CSFというような民間の電気会社などの研究が多いようであります。いろいろな大学に小さなレーザーの研究室がつくられて、それぞれ違う研究をしているというのが、フランスの研究の状況だと言ってよろしいかと思います。  英国は、正確に言えば連合王国かと思いますが、イングランド、スコットランド、ウエールズ等を含めまして、国立ては、国立物理研究所と言ったらよろしいでしょうか、ナショナル・フィジカル・ラボラトリーで計量関係の研究はやっておりますが、そのほかの研究は大学や民間会社でやっているものが多い状況であります。  カナダはそれと少し違いまして、民間会社での研究が比較的少なくて、カナダ国立研究所、ナショナル・リサーチ・カウンシル・オブ・カナダというのがオタワにございますけれども、そこの中でいろいろな部門でレーザーの研究をしております。大学も幾つかの大学で、これも一九六〇年代からレーザーの研究が行われております。  東ドイツは、レーザーの研究を始めたのは多少遅かったと思いますけれども、民間会社では光学ガラスのイエーナという会社がありますが、そこで初めにやりまして、そのほかでも始まっておりますし、東ドイツの科学院の光学・分光学研究所というのが東ベルリンにありまして、そこで一番広い範囲のレーザーの研究をしております。  そのほか、イスラエルとかスイスとかイタリーとかニュージーランド、オランダというようなところも二十年ぐらい前からレーザーの研究がずっと進められておりまして、いろいろな分野での研究が行われております。工業的な応用については、ニュージーランドは余りそのような応用はございませんが、そのほかの国は、工業的な応用の方も含めて発達してきております。  特にアジアでは、中国には中国科学院で物理研究所あるいは電子工学研究所あるいは精密機械研究所ですか、そういうものがいろいろなところにございますが、そこでレーザーを研究しております。中国では外国の装置を輸入するというようなことはしにくい状況にありますので、すべてでもありませんけれども、かなりの部分の装置を自分のところでつくるということで、自主開発を目標にして研究が開発されておりまして、最近は部分的にはかなり高い水準のものもつくり出すことができて、研究者の数も大変ふえてきております。科学技術の分野で世界になるべく早く追いつくといいますか、高いレベルに達しようということで、レーザー科学の研究が力を入れる分野の一つということになっておるわけであります。  韓国でのレーザーの研究はほとんどソウルに集中しておりまして、ソウルにあります研究所と幾つかの大学でありまして、研究所の方は韓国の科学技術院と申しますところが一番中心になって研究をしておりまして、ここでは韓国の中の研究だけでなくて、ほかの国の研究者との研究、連絡というようなこともしております。  最後に、国際協力や今後の研究の進め方について簡略に申し上げさせていただきます。レーザーは、最近は比較的大型の装置があるとは申しましても、高エネルギーの実験であるとか宇宙科学であるとかあるいは原子力というようなものほど大きな研究プロジェクトではないということがありまして、レーザーの中で国際的に協力した大型のプロジェクトを組んで進行しているという例はほとんどありません。フランスとドイツで共同出資のレーザーの研究所が一つあるというくらいが私の聞いている例でありまして、そのほかは、いわば小規模の国際協力が国際会議であるとかシンポジウムというようなもので行われておりますし、それからまた、国際的なセミナー、研究会であるとか、あるいは新しくレーザーの研究を始める若い人たちや技術者のための夏の学校、必ずしも夏に限りませんけれども、主として夏に開かれる学校を参加者も講師も国際的に集めて行うというような例が大変多く、そういうことによって国際協力が行われております。  それからまた、いろいろな国での研究プロジェクトに、その国の研究者だけでなくて他の国の研究者あるいは他の国の学生が参加することによる国際交流が行われております。先ほど申しました西ドイツのマックスプランクの量子光学研究所では、決まった数の外国の大学院学生を受け入れて研究させるということが進行しておりますし、アメリカの研究所にもそういう例があります。アメリカの地域センターでも、外国、例えばブラジルであるとかアルゼンチンの研究者がアメリカの地域センターに行って研究するということが盛んに行われております。そのような小さなスケールといいますか個人が動いてというような研究のほかに、共同の研究というようなものも、全面的な大きなものではありませんけれども、例えば日米協力の事業というような形で行われたりする研究が、日米以外にもいろいろな国の間で行われております。それが現在の協力の概要でございます。  最後に、時間が一時間を超したところでございますが、簡単にレーザー科学の研究の進め方というものについて考えてみますと、レーザーの科学は、たびたび申したように、レーザーの研究だけで済むというものではありませんで、ほかの分野の研究あるいはその技術というものが非常に必要になってまいります。したがって、今後の研究は今までにも増していわゆる学際的な、違う分野での間の協力というものが必要になってきて、また、それを推進していくことが有効であろうと思われるわけであります。  違う分野の協力ということのほかに、また民間会社の研究者あるいは官庁の研究所あるいは大学の研究者というようなものの間の協力も、単に一方の研究を他に移すとかいうようなことだけでなくて、もっと密接な研究の協力が、新しい開発をしてしかもそれを早く進めるのに必要なことであろうと考えるわけであります。  そのような協力が、国内だけではなくて、先ほども言いましたような国際的な協力ということが必要になってまいります。日本では、言葉の問題ということもありまして、諸外国でやっているのに比べますと国際的協力は多くはありませんけれども、既に一人、二人というような外国の研究者が日本のレーザーのいろいろなプロジェクトに参加しているという例はたくさんあります。核融合の研究センターには、数人という程度の外国の研究者が従事しているというようなこともあるように聞いております。  このような協力は、現在いる研究者によってレーザー科学が今後どういうふうに進められるかということを考えてみたわけでありますけれども、むしろ将来の研究のために一番大事なのは、もちろんレーザー科学に限りませんけれども、そのための人材の養成ということであります。人材をどのようにして養成するか、また必要な研究者をどのようにして確保するか、その能力をいかに活用するかを考えることが必要になってくるかと思います。つまり研究の内容の変革が非常に激しいのでありますから、新しい技術や新しい進歩に適応できるような人あるいはその技術を保持する必要があるわけであります。  新しい技術と申しましても、古い技術が役に立つということもありまして、例えばガラス細工というようなことでありますが、最近は研究用のガラス細工をするというガラス職人が非常に少なくなっております。多くのガラスの製品が自動的に機械でできるようになって、手細工でガラスをつくるという人が少なくなったのでありますけれども、新しいレーザー装置やレーザーの応用装置を研究しようというときに、新しいガラス装置をつくるというようなことが必要になってくるわけで、そのような新しい研究をするための技術員の確保も、急速な研究の進歩を図るというためには必要になってくるのだと思います。  人の面だけでなくて、研究の内容としても、その革新的な技術を生むような萌芽的な研究をどのようにして育成するかということが今後の研究の進め方にとって大事なことではないかというわけです。最後のところには、そのためにはどうしたらいいかということの私見をちょっと書いてみたのでありますが、研究者や研究費の流動化を図るということが重要かと思います。  しかし、流動化を図るといいましても、単に動かせばいいのではありませんで、固定していてうまくいっている研究もあるのでありまして、それをかき回してしまってはぶち壊しになるわけで、流動化させることが必要なときには早く動かせるような、流動化という言葉をもう少し別な言い方をしますとフレキシブルにするということでありまして、ある研究開発に必要な研究者とか研究費がそのときにすぐ動くことができるようにするということが重要でないかと思います。他の大型プロジェクトと違いまして、レーザーの研究の内容の性質から申しまして一つのことに集中するということは必ずしも適当ではありませんで、多くのところに集中して、余り大きくないものであっていいわけですけれども、質の高い多くのセンターをつくるというような形で研究開発が進められるということが有効ではないかと思っているわけであります。  そのために一番大事なのは、人間といいますかその研究の内容の評価でありまして、創造的な研究、先駆的な研究あるいはその技術というものをいかに評価するか。これは我々のように大学にいる者とかいう人たちの責任かと思いますけれども、独創的な能力をいかにして啓発するかあるいはまた埋もれていた能力をいかに引き出すか、あるいはいかにしていい研究をかじをとっていくかという、研究のマネジメントというようなものを上手にやっていくことが、特にレーザー科学の研究の今後の進め方にとって大事なことではないかというふうに個人的に考えていたわけでございます。  以上で説明を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)

大野潔公明党・国民会議

○大野委員長 どうもありがとうございました。      ————◇—————

大野潔公明党・国民会議

○大野委員長 それでは、これより質疑を行います。  この際、委員各位に一言申し上げます。  質疑は、質疑時間が限られておりますので、委員各位の特段の御協力をお願いいたします。なお、委員長の許可を得て御発言をお願いいたします。

平沼赳夫自由民主党・新自由国民連合

○平沼委員 先生どうもありがとうございました。  ちょっとお尋ねしたいのは、先生も戦前からこの系統の研究に入られた、こういうことでございまして、その出発点が当時の軍事に関することだったと思うわけでございます。この最先端のレーザー技術が今米国やソ連などにおいて軍事面ではどういった進捗状況にあるか、その辺、簡単で結構でございますけれども、教えていただければと思います。

霜田光一慶應義塾大学教授

○霜田参考人 諸外国の研究状況というものに対して、実は私は新聞とか雑誌などに出ていること以上にはほとんど知っておらないのであります。まあかなり前から、レーザーの性能から考えて軍事的にそれが使えるのではないか、ことにミサイルの迎撃といいますかアンチミサイルに対しては、ほかの方法よりもレーザーの元ならばいわゆる光速度、光の速さで一番遠く到達するのであり、途中の妨害を受けにくいということのために有効であろうということで研究が進んでまいりました。まずそのためには大きな出力のレーザーをつくらなければいけません。ミサイルを落とすだけということを考えますと、とにかくエネルギーが大きなものを入れるということで、そういうことを研究目標に掲げまして、大きな出力のレーザーを開発するという研究が進みました。逆に申しますと、日本ではそのような研究がなかったために、現在の状況でも大きなレーザーの研究は日本は得意でないといいますか高いレベルにあるとは言えないわけで、民生機器に使うような小さい出力のレーザーに日本は特徴を持っている。大きな出力のレーザーも、核融合の研究に使うというものだけはいいものが日本ではできたという状況になっているわけであります。  アメリカあるいはほかの国での状況については、むしろ先生方の方が御存じではないかと思うのでありますけれども、試験的なミサイルかあるいは小さな飛行機か何かダミーを飛ばしまして、それをレーザーを使って焼くといいますか落とすというような模擬テストが、去年だったでしょうか、一年か二年ほど前にアメリカで行われて、二千メートルぐらいの距離だったと聞いておりますけれども、そのくらいのところで成功したという話があります。それは地上に大きな装置をつくっておきまして、鏡を使ってそのレーザー光をダミーに向けてやって損傷させたということでありまして、そのようなレーザーをさらに出力が大きくて小さいものをつくって、いわゆるレーザー兵器として使えないかという本格的な開発研究をスタートさせようかどうかという試験段階であったというわけですけれども、その結果、現在はアメリカの予算面では、少なくともそれをつくろうというレーザー兵器の予算計画というのは多少スローダウンしたのだというふうに聞いております。少なくとも移動型の装置をつくるというものは現在研究計画はおろしている。しかし、アンチミサイルとして使う戦略兵器としての基礎研究は進めなければいけないということで、その基礎研究はやっていくというふうに、多少予算は減らして進行させているというのがアメリカの状況であり、ソ連の状況は全くと言っていいほど私の耳には入っていないというのが私が知っている範囲でございます。詳しいことはむしろ新聞社その他でお調べになった方がおわかりかと思います。

永末英一民社党・国民連合

○永末委員 今のに関連したような話でございますが、ことしの四月、アメリカのランド・コーポレーションに行った人が、一体レーザーを使って核ミサイルを無能力ならしめることをアメリカとしてはやっていくつもりなのか、こういう質問をいたしましたところ、それが可能になるためには十年以上の歳月を要し、莫大な開発費用を要する、したがって現在のところやはりこちら側が発射して相手方を破壊する核ミサイルの抑止力に依存する、それを使用するということの方が費用が安い、したがってそれと見合いつつ問題を考えているという話があったようでございました。  さてそこで、理論的に地上からレーザーを発射しあるいはそれを空中で鏡に反射させることができると思いますが、そうした場合、先ほどのお話で、レーザーの指向性の点で空中を通過していきますとかげろう現象を起こす、広がるというお話でございましたが、到達距離としては、理論的には一体どれくらいの距離まで到達できるのか。それからもう一つは、宇宙衛星を発射基地に使った場合にはどれぐらいの距離まで到達できるのか。その場合に最終点におけるエネルギーというものはどれくらいの量を送り得るのか。それは地上発射の場合、宇宙衛星から発射した場合、同じことでございますが、そんなことはどの程度わかるのでございましょうか。

霜田光一慶應義塾大学教授

○霜田参考人 初めの方にありましたレーザーを使ってミサイルを落とすというのは、十年という数字が正確に十年と言えるかどうかは別といたしまして、そう近い将来に可能にならないであろうということは全くそのとおりであると私は考えます。  それに関連して、御質問の主な二点でありますどのくらいの距離まで達するかということでありますが、距離はどこまででも行くと言ってもいいわけで、月でも火星でも到達するわけでありますけれども、距離に応じて広がっていくというわけです。その広がりがどれだけ広がっていくかという距離は、真空中の、つまり宇宙空間でありますと、広がる角度、あるいは角度をラジアンで申しますとレーザー光を送り出す反射鏡の直径とそれから波長の比で決まるということになります。ですから、大きな反射鏡を使えば、細いビームといいますか、広がらない光ができるということになるわけです。具体的な数字を申しますと、直径が一メートルの反射鏡を使ってレーザー光が一ミクロンというような波長であるとしますと、百万分の一ラジアン、つまり百万メートル行って一メートルの広がりということになるわけです。月までは四十万キロですから、百万メートルというのは千キロで、それの四百倍ですから、月まで行きますと四百メートルくらいという広がりになるというわけです。ですから、そこにあります目標物の大きさが十メートルのものだということになりますと、その月の距離までレーザー光は行きますけれども、一メートルの反射鏡で四百メートルに広がっておりますと、十メートルのターゲットには四十分の一の二乗ですから、とにかく二千分の一くらいのエネルギーしか当たらない、そういう効率になるというわけです。ですから、一メートルでなくて十メートルの反射鏡をつくれば月まで行って四十メートルということになりますから、送った光の何十分の一というようなエネルギーが月面の目標に達することになるわけで、その兼ね合いで決まるということになります。

小宮山重四郎自由民主党・新自由国民連合

○小宮山委員 今の話と少し関連するのですけれども、私、事実アメリカの宇宙開発委員会の前の委員長からお話を受けて、宇宙ステーションから太陽光線をレーザー光線に変えて地上にエネルギーを送る計画に日本が参画せぬかという話がございました。その辺はどの辺まで進んでいるのか。つい最近ベッグズ長官が見えましたときその話が出てまいりました。日米間の協力の項目の中にも入ってないと思います。  その辺について、まずレーザーがエネルギーを送れるものですか。太陽光線を宇宙基地で変えて、レーザー光線で地球の中でエネルギーに変えることができるものか、一緒に研究せぬか、そういう提案を受けたのでございます。その点はどうなんでございますか。

霜田光一慶應義塾大学教授

○霜田参考人 今の問題に関連して、先ほどちょっと言い落としたことをつけ加えさせていただきますが、レーザーの欠点の一つは効率がよくないということであります。  今の質問の答えになりますが、太陽の光を使ってレーザー光にするということができるわけです。このようなルビーの棒にも太陽の光を集中いたしまして、それでルビーのレーザー光を出すということができます。しかし、そうした場合に太陽光のエネルギーの千分の一もレーザー光にはならないというのが現状でありまして、開発によってはそれは一%くらいにはなるかもしれないというようなところで、現在ではその一%でも使えるかどうかというような考え方と、それから一%まで持っていくようなことができるかどうかというような基礎研究をやる段階だと思います。  アメリカの方でそのような具体的な協力の話しかけがあったというようなことは私は聞いておりませんけれども、研究の状況というのはそのような状況でございます。

渡部行雄日本社会党・護憲共同

○渡部(行)委員 一つは、このレーザー光線というのは一般の光と同じ速度であるのかどうか。そしてそれはエネルギーそのものなのかまた物質なのか、その辺が一つ。  それからあとは、日本の研究層の厚さはどのくらいになっているのか。その研究層として民間会社がどのくらい研究し、あるいは国立、公立、そういうところではどういう研究をしておるか、大学だとどの辺が主にやっているのか。このレーザーはほかの分野との接点が非常に多いわけですが、そういう観点で総合的にこれを総括する機脚があるのかどうか。また、ないとすれば、それは今後必要がないのか、この点についてお伺いします。

霜田光一慶應義塾大学教授

○霜田参考人 御質問は三点あったと思いますが、初めの質問はレーザー光が普通の光と違うのかどうかということでありましたけれども、それは光としては同じであります。ということは真空中の光の速さというのは普通の光もレーザー光も全く同じでございます。  それから、レーザー光は物質なのかエネルギーなのかというお話でありましたが、それは物理学や自然科学で言っている光子という考え方で、フォトンがエネルギーなのか物質なのかというのと同じことで、普通の光は単なるエネルギーであって物質ではない、物質というのは静止質量を持つものだという定義をするならば、レーザー光も静止質量はありませんので物質ではありません。しかし、エネルギーと物質とは等価であるというアインシュタインの有名な関係がありますので、そういう意味ではやはり物質だというような言い方もできますが、それは特にレーザー光には限りません、ほかの光がどちらかというのと同じことであります。

渡部行雄日本社会党・護憲共同

○渡部(行)委員 日本のレーザー研究の層はどういうふうになっているのか。

霜田光一慶應義塾大学教授

○霜田参考人 それは、レーザー研究の分野が大変広いということを先ほども申し上げましたし、どの範囲までがレーザー研究者かということによっても違うのでありますけれども、数年前、六年ぐらい前になると思いますけれども、ある雑誌社で、自分は主としてレーザー研究をやっていると本人が言う人の数を数えたところ千人余りでございました。現在ではそれはもっとふえていて三千人程度にはなると思います。研究者というのは、大体、大学を出て、ふだんの研究に道具としてでもレーザーを使って何がしかの技術開発なり基礎研究なり応用研究なりをしているという範囲だと思いますけれども、そんな程度であります。  それから、民間と大学と官庁の研究所の数の割合ということだったわけでございますけれども、初めの歴史のときにもちょっと申しましたように、もちろん初めは大学関係が多くて、それから官庁その他の研究所がふえて、民間会社でだんだんふえてきたということでありまして、民間会社でレーザーに関係している人の数というのは、製品開発をしていたり製品の試験をしたりする人まで入れたとすれば非常に大きな数になるでしょう。最近の統計というものは私は特に持っておりませんので、はっきりしたことは数字としてはちょっと申し上げかねます。

渡部行雄日本社会党・護憲共同

○渡部(行)委員 総括機関について。

霜田光一慶應義塾大学教授

○霜田参考人 総括機関というものは特にはございません。分野ごとにはいろいろな機関あるいは研究グループがあるという状況であります。いろいろな研究プロジェクトがあったり学会の中の部会というものがあったりという状況であります。レーザー全体ではレーザー学会というのがありますが、それは単に学会でありまして、研究の統合ということとは別だと考えます。

大原亨日本社会党・護憲共同

○大原委員 多面的なお話なんですが、最近、日本の経済摩擦、貿易摩擦の問題があります。従来からアメリカ初め各国が一定の実績を持っておるマーケットに日本が入っていきますと貿易摩擦を起こしますが、これは非常に多面的で、基礎と応用が非常に密接しているというお話がありましたが、新しいマーケットとしては、計数的な測定はできませんが、日本のこれからの将来を考えた場合には、発展性について、マーケットの広さについて競合するしないの問題等について、先生の御意見があればお聞かせいただきたいのと、もう一つは、科学技術庁の行政に対する評価とか期待があればひとつお聞かせ願いたいと思います。

霜田光一慶應義塾大学教授

○霜田参考人 マーケットについてでありますが、レーザー技術のマーケット自身がある意味では研究課題にもなっているわけで、単に従来のいろいろな技術や産業をレーザーの応用が置きかえるというものではないというところが多いわけであります。そのようなマーケットの開発をするのにレーザー技術はいろいろな光学技術とかエレクトロニクス技術あるいは物性の物理学というものを基礎にしておりまして、そのような分野に微細加工というようなことも含めて日本は非常にすぐれた歴史や能力を持っている研究者、技術者が多いわけで、したがってこの開発というのは、とにかく世界に新しい分野を開いていくような開発が日本でできるようなものだというふうに概括的に言うと言えると思います。  それから、科学技術庁のことにつきましては私ちょっとまだよくわかりません。私自身理研におりましたが、理研は科学技術庁の予算でやっておりまして、理研におけるレーザー科学の研究というのが、科学技術庁の予算でレーザー科学のグループというものができて、レーザーによって生ずる化学反応とそれの応用で同位体の分離であるとか新しい合成をするとか、あるいは先ほども例に申し上げましたレーザーで細胞に穴をあけて遺伝子を入れるというようなライフサイエンスへの応用というようなことを始めておりまして、その成果がだんだん上がってきたということで、大変今までにないレーザー技術の開発ができたということが私自身がかわっておったので非常によかったと思っております。  以上、全般的な御批判はむしろ先生方の方からいただきたいというのが私の考えでございます。

小川新一郎公明党・国民会議

○小川(新)委員 これだけ活用とか利用に広範囲にわたってまいりますと、副作用の面も出てくるし、公害の面とかそういうトラブルが出てくるのじゃないかと思うのですね。ある公共団体では、このレーザー光線によるところの宣伝広告等については、他の宣伝広告及び交通の問題とかいろいろなふくそうしている人間社会における副作用があるので、こういうものを使うことを禁止しているところもあるやに聞いているわけです。こういう問題をどうこれからコントロールしていくかという問題が非常に大きな問題になってくると思うのですね。この点についての御見解が一つ。  それからもう一つは、切断とか穴あけ、これは鉄だと思うのですが、こういう強力な鋼鉄類のものを切断したり穴をあけるほどの活用ができるということは、殺人光線というような、人間にこれを活用されたらどういう結果になってしまうのかということ。今まではいい面、レーザーの効用の面だけ説かれてきたわけですが、これが今言った軍事にも使われたり、公害の問題だとか人間社会におけるところの複雑なトラブルの問題、例えば通信手段におけるところの宇宙の波長の問題とか周波の問題がございますが、こういう問題にお互いに無制限に使うことによって波長が乱れたり、生活環境がこのことによって破壊されるようなことがあるのかないのかという点が私ども非常に心配なんですが、この点についてはどうですか。

霜田光一慶應義塾大学教授

○霜田参考人 レーザーの副作用についてということでありましたが、初めにありましたお話の中で一番重要なのは、レーザーの人体に対する安全基準といいますか安全性の問題だと思うわけで、レーザーのショーだとかその他でやたらに人間のところへ向けて、殊に目に向けてレーザー光をやるのは危険だということで、暫定的ではありますけれども安全基準ができて、また、その使用を制限するというふうになっていっているわけであります。  レーザー加工のような場合に、先ほど鉄ということがありましたが、鉄を切るというよりも、レーザーですと、ほかのもので切れないようなもの、例えばセラミックを切るとか、ガラスに穴をあけるとか、シリコンなどを加工するというような、そういうところに使うのでありまして、その場合にはそれを動作する人の工場における危害という点が問題になるんだと思うのですが、そのような装置は既に多くの工作機械がそうでありますように、またレーザーですとなおさらそうでありまして、レーザー光を目で見ながら加工に使うというようなことはもう全然ないわけでありまして、いわゆる数値制御、コンピューターで制御して無人のところで処置するということでありますので、通常の状況では事故が起こらない。もちろんそれが何か暴走したときにレーザーが出たらどうなるとか、そういうような話は別問題でありまして、それはすべての機械で起こるわけです。それが概要であります。  通信の方などに対して、いろいろなところでレーザーを使ったたために混乱などが起こらないかという心配でございますが、それが電波の場合ですと、いろいろ混乱を起こす、また通信用の電波が人間その他の生物にも悪影響を及ぼすのではないかというような環境の心配があるわけですが、むしろレーザーにはそういう心配が非常にない、もうほとんど考えられない。少なくとも通信用の妨害になるというようなことは全然ないということが、レーザー通信が非常に注目されている理由であります。ビルの中とかあるいは都市の中などに光ファイバーを幾ら張りめぐらしても、通信は相互に全然妨害されないでやれるということが特徴であります。  それからまた、今のお話の中に余り出てなかったかと思いますが、もう一つの公害は、レーザーの光それ自身でなくてレーザーを使っている物質の害ということがあるわけでございますが、特にレーザー通信でありますと光ファイバーは石英ガラスでできておりまして、これは砂と同じような成分で、資源の問題がないというだけでなくてそれが壊れたり何かしても全然問題にならない。要らなくなった銅線が転がっていることの方が被害があるというような状況でありますし、出す方もこういうようなルビー、高いのがただ捨てて粉になってしまったらもったいないというだけで、公害にはならないという物質がほとんどであります。しかし、ガスレーザーの中には有害なガスを使うというようなレーザーももちろんございますので、場合によってはそれが問題になるということもあります。

吉田之久民社党・国民連合

○吉田委員 レーザーというのは光エネルギーだ。そのエネルギーは普通ワットで数えられますね。先ほど大変大きな数字の何億ワットとかおっしゃったと思うのです。そこで、ワットというのは我々の常識からいえばボルト・アンペアでしょう。非常に高いボルトなのか、あるいは非常に強い電流なのか、その辺が一点。  それからいま一つは、エネルギー不変の原則というのがあると聞いているのですが、だとするならば、そういう大きなエネルギーを出すためにはその大きなエネルギーのもとが要るわけですね。それは普通の電力なのか光なのか。  それから、それにしても非常に凝縮された何億分の一秒というような短い時間における瞬間的なエネルギーであるのか、そんな瞬間的なエネルギーが事に応じてそういう一つの作用を与え得るのはなぜか。それはエネルギーそのものなのか波長なのか。  いま一つは、レーザーと核融合反応ですが、核融合反応が二十一世紀に実用化できるかどうか非常に関心が深いのですけれども、それのかぎになる重要な部門なのかという点ですね。このレーザーの研究が進展しないと核融合反応が成功しないほどの重要なことなのか、あるいはその心配は要らないのか、その辺のところをお願いします。

霜田光一慶應義塾大学教授

○霜田参考人 レーザーのエネルギーについての初めの質問でございますが、通常の電気エネルギーがボルト・アンペアであらわされるという御質問で、それに対応して申しますと、レーザーの光の場合には電圧も電流も、ボルトもアンペアも両方大きいという形で、大きなエネルギーが出ているわけであります。もう少し別な言い方を申しますと、光の振動数での電界、磁界の非常に強いものができているということでありまして、何億ボルト毎センチメートルというような強い電界ができます。そういうことを使って高エネルギーの加速器をつくろうというような研究も始められたりしているという状況であります。また、そのような強い電界や磁界を使うことによってすべての物質がプラズマになるということが起こるのでありまして、それがプラズマになって、密度が高くさらに高温のプラズマということになれば核融合ができるということが研究されているわけであります。  そのようなエネルギーをどういうふうにしてつくるかということが第二の御質問だったと思いますが、つくり方は幾通りもあるのですけれども、主なものが三通りあります。一つは電気エネルギーを使うという方法で、ここに持ってまいりましたような気体レーザー、これは放電管に電流を流してそれでレーザー光を出すわけです。つまり電気を使ってレーザーを出します。それから固体レーザーのルビーレーザー、これは先ほども太陽の光ででも出るということを申しました。普通は太陽の光ではありませんで、この周りにフラッシュランプを置きまして、大きなフラッシュランプで、フラッシュランプは電気で光らせるのですが、そのフラッシュランプの光でこのルビーの中の原子にエネルギーを与えて、それでレーザー光をつくるということをしております。そういうふうに光のエネルギーを使って別なレーザー光にするというのが第二の種類であります。  それから、もう一つは化学エネルギーを使うという方法でありまして、これは化学レーザーと呼ばれておりますが、化学反応を行ったときに出るエネルギーを使うというものであります。  そのほか、エネルギーなら何でも使えるだろうというようなことで、ただ弱いエネルギーではだめなので、生物エネルギーがレーザーになったという例はございませんけれども、原子炉から出る放射線のエネルギーでレーザーを発振させるというようなことは既に実験されております。効率は非常に低いのですけれども、やはりレーザーにはなるということが実験されております。似たようなことで、電気エネルギーと同じと言えば同じかもしれませんけれども、電子ビームを使いまして電子を高速度に加速して、そしてある種類の半導体に照射する、それでレーザー発振させるというようなやり方というのはございます。  それがエネルギーの出し方でありまして、最後の御質問が核融合のことだったと思いますが、レーザーで核融合ができるということは既に実験がされてわかってきているわけで、どのような条件にしたときに一番有効に核融合反応が出せるか、それから核融合反応して、それを炉としてエネルギーを取り出すためにはどのようにしたらいいかということのための基礎的なデータを現在とっている段階であります。恐らく今世紀の終わりごろあるいは遅くなれば来世紀の初めごろになりまして、トカマクその他のいわゆる磁気的な閉じ込めを使った核融合の装置がございますが、そのような方法とレーザーで使う核融合とどちらが有利であるかという結論が出されてくるような状況だと思います。

松前仰日本社会党・護憲共同

○松前委員 簡単な質問ですが、今のレーザーは大体可視光線が多いように思いますが、赤外領域とか紫外領域はあるように聞いておりますけれども、それ以外のとんでもないところの、レーザーと言ったらいいのかどうか、そういうような分野の研究というのはどこかでやっているのでしょうか。

霜田光一慶應義塾大学教授

○霜田参考人 現在でも、可視領域よりもそうでない領域の方が多いわけです。赤外が実は一番多いのでございます。しかし、可視領域は目に見えるし、少なくとも民間的な機器ですと可視領域のレーザーが一番出てくる。また、写真などで写すときには可視光でないと写真に写らないということで出てまいります。けれども、レーザーの装置では、例えばレーザー加工やプロセシングに使うというようなものは赤外が多いわけです。それからまた、紫外は比較的後からできてきたもので使われるのが少ないのですけれども、化学反応をさせる、膜処理をしたりというようなことであるとか同位体分離というようなことに対しては紫外のレーザーも使ってきておるわけです。  そのようになってまいりましたのは、実はレーザーというものがマイクロウェーブのメーザーを使って波長の短いものを出したという歴史とも関係がありまして、波長が長い方がやりやすい、装置がつくりやすいうまくできるのであります。ですから、赤外レーザーが一番先にできまして、それから可視光ができて、それから紫外のものはようやくこのごろ市販製品が出るようになってきたというような状況であります。  赤外というふうに申しましたけれども、もちろんいわゆる赤外とそれからマイクロウエーブの中間になりますような遠赤外あるいはミリ波というような領域でも大きな出力を出すレーザーが最近出てきております。短い波長で、レーザーと言っていいかどうかわからないとおっしゃったものの中に含まれるかと思いますけれども、ガンマ線レーザーとかエックス線レーザーができないかという話はもう十年以上前から出ておりまして、私個人の話で恐縮ですが、私にエックス線レーザーをつくってみないか、それで研究をやらないかという勧めが出たこともありますけれども、数年で私がつくれるようなものじゃないからとてもだめですということでお手上げにしているわけです。そのころから数年ではもちろんだめだったわけですが、今から数年あるいは十年くらいの間には、エックス線と言っているものの中でも比較的波長の長いエックス線のレーザーというのは、少なくとも研究段階では実現されるようになるかと思います。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤委員 政治との関連でちょっとお伺いしたいのですけれども、研究者の立場から、日本の今の研究段階から見まして、いわゆる軍事利用への歯どめを政治の側から行う必要があるのかどうか。ミサイルに使うというのはかなり先の話になりますけれども、日本の技術でいえば光線銃ぐらいはできそうな気もするわけですが、その辺に対する御見解はどうですか。  それからもう一つは、日本の科学技術行政が、今レーザー研究に対してどういう立場をとった方が賢明であるか。例えば助成とかあるいはほうっておいた方がいいとかいろいろなことがあると思うのですけれども、どういうふうな形の方が一番研究者としてはやりやすいのか、こういう点をひとつお聞きしたいと思います。

霜田光一慶應義塾大学教授

○霜田参考人 なかなか難しい御質問でありまして、上手に答えられるかどうかわかりませんが、政府としてレーザーの軍事的研究に対する規制を何かした方がいいかどうかというような御質問に対しては、日本の現状では、あるいは日本でなくても、その必要はないんじゃないかというのが私の考えでございます。というのは、そのようなプロジェクトを起こすというようなことが、政府主導の研究計画として計画されない限りは起こらないわけであります。それは政府の方でそういう計画をやるかどうかということの決まり方によるわけで、関係しないうちに軍事研究が起こってしまって困るということが起こり得るというふうには私は思いません。  光線銃くらいはできるんじゃないかという話がありましたけれども、光線銃というようなものは、光線銃の程度でありますけれども、それはある意味ではおもちゃのようなもので、もちろん人が死ぬようなものもつくればできるということになりましょうけれども、それは別に政府レベルの規制ということでなくて、先ほど言いました一般のレーザー使用の安全基準というもので考える。また、そのようなものをやるかやらないかということの研究なり実験なりというものは自主規制に任せるという考え方で失敗は起こらないというふうに私は考えます。  それでよろしゅうございましょうか。もう一つ何かありましたでしょうか。

遠藤和良公明党・国民会議

○遠藤委員 あと、政府が田与しない方がいいのか、ある程度……

霜田光一慶應義塾大学教授

○霜田参考人 それは一言で言いにくいと思います。というのは、そのレーザー開発の分野が非常にたくさんありますので、例えばレーザー核融合にはどうだ、レーザー通信にはどうだということで、それぞれについて考えなければいけないということになるので、全般的に対しては関与しないでむしろ独創的な技術が生まれるということを期待した方が、将来の技術革新の基盤になるものが日本の中にできてくるのではないかというふうに思います。しかし、大きなプロジェクトに対しては、予算とか将来の日本の経済というようなことにも関与しますので、しかるべき規制なり推進なりというようなことを将来計画の上に立ってやるということが望ましいと思います。

工藤晃日本共産党・革新共同

○工藤(晃)委員 軍事的な利用面でいろいろ質問が出されて、その続きみたいになるのですが、先ほど、地上の方からミサイルに対してこれを破壊する、これは大分先のことであろうと言いましたが、宇宙を飛んでいる有人、無人のステーションからの、レーガンのスターウォーズ構想なんかに出てくるわけですが、ああいうものになると、やはり出力が大きくてもっと小型化しなければいけないということで、地上以上にはるか先のことになりそうに思うのですが、大体そういう判断でよろしいのでしょうか。

霜田光一慶應義塾大学教授

○霜田参考人 全くそのとおりだと思います。先ほど申しましたように、レーザーは効率が悪いということが非常に欠点でありまして、大きな出力のレーザーというので一%というような、よくても一〇%までできるかどうかわからないというようなのが現状でありまして、宇宙空間のステーションからレーザー光を発射するということはもちろんできるわけですが、そのエネルギーをどうするかというのが問題なわけで、太陽エネルギーを使ってやるという場合に、太陽電池を使いますと一定の電流は出ますけれども、それをかなりためておいて瞬間的に使う。そのためには、そのエネルギーをどこへためるということをしないと、瞬間的な大きな出力を出すレーザーというものが使えないということになりますので、必要なエネルギーの十倍ないし百倍をためるというような宇宙ステーションができればそこから出せるわけでしょうけれども、それはとても近い将来に成り立つような大きさでは実現できないだろうということになるわけです。御質問の中にはちょっとなかったと思いますけれども、したがって、宇宙には反射鏡だけ置いて、地上から大きな出力を出すというような使い方が一番初めにやり得る方法だというふうに考えられているわけです。

大野潔公明党・国民会議

○大野委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  霜田参考人には、本日長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手)  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十五分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗