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101回国会衆議院1984/03/29

科学技術委員会 第7号

発言数
86
登壇者
12
会派数
6
開催日
1984/03/29

会議録

大野潔公明党・国民会議

○大野委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興の基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、一昨日の本委員会における小川新一郎君の質疑に関連して、岩動国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。岩動国務大臣。

岩動道行自由民主党・自由国民会議科学技術庁長官

○岩動国務大臣 去る二月二十八日、本委員会において行いました私の所信表明について、補足させていただきます。  原子力船「むつ」のあり方につきまして「今後政府・自民党内において検討を行うこととしている」と申し上げました真意は、次のとおりでございます。  昭和五十九年度政府予算案の編成過程におきまして、原子力船「むつ」による舶用炉研究のあり方については、自由民主党として再検討を行うという方針が打ち出され、政府としてもこれに合意した経緯にかんがみ、「むつ」の取り扱いについては今後検討を行うという方針を申し上げたものであります。  この検討に当たりまして、科学技術庁といたしましては、国会での御審議における貴重な御議論はもとより、科学者を初め広く関係方面の御意見を伺い、適切に対処してまいりたいと考えております。  何とぞ御了承を賜りまするようお願いを申し上げます。

大野潔公明党・国民会議

○大野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岸田文武君。

岸田文武自由民主党・新自由国民連合

○岸田委員 最近十数年間におきます世界のライフサイエンスの進歩というものは大変目覚ましいものがございます。これから二十一世紀に向けて期待し得る技術革新というものを考えてみますと、当然のことながらマイクロエレクトロニクスの分野が挙げられるわけでございますが、それと並びまして、ライフサイエンスの分野も大きなインパクトを与えるであろうということが考えられておるのでございます。資源やエネルギーに恵まれておらず、科学技術立国というものをこれから将来の課題としております我が国にとりまして、ライフサイエンスというのは大変大きな問題である、こう考えておるのでございます。自由民主党はこのような観点から、ライフサイエンスの振興を重点施策の一つとして位置づけまして、かねてよりその積極的な推進を図ってまいったところでございます。  ところで、大臣は先般の所信表明におきまして、ライフサイエンスの振興の重要性に言及をしておられるわけでございますが、まず大臣に、ライフサイエンスの積極的な振興を図っていくための基本的な考え方、これをお伺いいたしておきたいと思います。

岩動道行自由民主党・自由国民会議科学技術庁長官

○岩動国務大臣 所信表明におきましても、ライフサイエンスの重要性については力を入れて申し上げたわけでございますが、ただいま岸田委員の御指摘のとおり、ライフサイエンスは人類の福祉に貢献するという意味におきましては大変重要な科学技術の分野でございまして、その振興には最大の努力を払いたいと考えております。  特に、ライフサイエンスにつきましては、科学技術会議が昭和五十五年の八月に「ライフサイエンスの推進に関する意見」を取りまとめまして、重要な研究目標を提示いたしております。そして、研究の推進方の方策も提言をいたしておるわけでございます。科学技術庁としましては、この提言を受けまして、我が国全体のライフサイエンスの総合的な推進を図る、第二には、みずから科学技術振興調整費というものを活用しまして、ライフサイエンスのプロジェクトの研究を進める、第三には、理化学研究所におきまして、遺伝子の組みかえ、老齢化の制御、人工臓器等を推進して、その積極的な振興に努めてきております。  さらに、政府といたしましては、遺伝子の組みかえ技術を中心といたしまして、ライフサイエンスの研究開発を総合的に、計画的にかつ効率的に進める、このために、昭和五十六年の十一月には科学技術会議に対しまして、「ライスサイエンスにおける先導的・基盤的技術の研究開発基本計画について」を諮問いたしたのでございます。この答申を得まして、今後ともライフサイエンスの一層の強力な推進を図ってまいりますが、このライフサイエンスの分野は、文部省。あるいは厚生省あるいは農林省等非常に広い分野にわたって行われるものでございますので、科学技術庁としましては、その総合的な対策も十分に力を入れてまいりたいと考えています。

岸田文武自由民主党・新自由国民連合

○岸田委員 ライフサイエンスの分野の中でも、今長官がお触れになりました組みかえDNA技術、この技術は大変大きな可能性を持っておるように考えておるわけでございます。  例えば、近年では糖尿病の治療薬でありますインシュリンであるとかあるいは発育の阻害をされておる方に対しての成長ホルモンの問題、さらにはがんの治療に大変な効果が期待をされておりますインターフェロン、各般の従来であれば希少な医薬品と考えられておった分野が、組みかえDNAの技術を用いて大量生産をするというような動きが見られますこと、さらにまた、がんの発生メカニズムを解明するというようなことについても、このような技術を使って夢ではないというところまで来ておる、こんな感じがいたすわけでございます。さらにまた、組みかえDNA技術以外におきましても、ポテトとトマトの両方の性格を有しておりますポマトをつくり出したいわゆる細胞融合の技術、バイオリアクター技術等々の先端的な技術が広く開発が進められておりまして、これら合わせて経済や社会の発展に大きな貢献が期待をされておるわけでございます。  そこで、これらの研究でございますが、今長官もお触れになりましたように、科学技術庁だけではなくて、厚生省、農林省、通産省、文部省、各般の省がそれぞれの立場から推進を図っておるわけでございまして、この間において十分な連携がとられているかどうかということが大変大きな問題になってくるのではないか、こう感じておるわけでございます。  そこで、お伺いをいたしますが、ライフサイエンスの研究開発を効率的に推進をしていくということのために、関係省庁間の連携をどういう形で確保しているのか、またしようとしているのか、この辺についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

赤羽信久科学技術庁計画局長

○赤羽(信)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおりライフサイエンスは、やる内容としましては非常に古くからあった仕事でございまして、各省庁がそれぞれの政策目的あるいは専門に応じてずっとやってきたということがございます。これを科学技術会議が新しい概念としてまとめ、特にその連携が大事だということを打ち出しましたのは、四十六年のいわゆる五号答申の長期計画においてでございまして、これはやはり御指摘のように、各省庁ばらばらになってはいけない、それから重点的にむだのない進め方をするという趣旨からでございました。その後、五十二年の六号、それから大臣申しました五十五年、それから現在やっておる作業と、科学技術会議で繰り返し計画を新しくしながらばらばらにならないように努力しているわけでございます。  特に、各省庁の縦割りと、それから基礎から応用まで一貫してつなげなければいけない、縦横にわたっての連携が重要でございまして、各省庁の本庁レベルだけでなくて、研究所のレベル、研究者のレベル、そういうところでうまく連携がいくように、科学技術会議の方針として進めるだけでなくて、そういうチャンスをいろいろ設けることまで含めまして努力しているわけでございます。最近では科学技術振興調整費がございまして、これを活用いたしまして、同じような目的を持つ研究につきましては、官民あるいは学、それから基礎から応用、そういったものを含めた方々と連携を保った上で、テーマを設定して調整費を運用するというような努力も進めておるわけでございます。なお御指摘のような問題が残るかと思われますけれども、一層努力してまいりたいと思います。

岸田文武自由民主党・新自由国民連合

○岸田委員 組みかえDNAの技術、これは確かに将来大きな夢を育てる可能性を持っておるわけでございますが、反面、これは新しい遺伝子の組み合わせによりまして新しい性質を持つ微生物が生まれてくるという形になるわけでございまして、こういう新しい生物というものは従来の自然界には存在しなかったものである。こういう新しい生物の出現が、人間社会や生態系に悪い影響を及ぼすことがないかどうかということが大変心配をされておるわけでございます。  そこで、このような組みかえDNA技術の安全性を確保するためにどのような方策を用意しておられるか、御説明をいただきたいと思います。

赤羽信久科学技術庁計画局長

○赤羽(信)政府委員 御指摘のように、遺伝子組みかえすることによりまして生物の性質としては全く新しいものができるという可能性が考えられまして、その結果、そういいかげんにやってはいけない。これは、まず先進的でありましたアメリカから出まして、我が国も当初はそれに倣っていったわけでございますが、相当慎重な構えをしなければいけないということで科学技術会議から答申をいただきまして、総理大臣が五十四年八月に組換えDNA実験指針というものを設けた次第でございます。  ここでは、まず基本的なこととしまして、使用できる微生物の種類を制限する。それから、封じ込めと言っておりますが、それを扱います実験室のあり方、その実験の方法、そういうことを決めまして、やや危険性があると想像される場合は、その閉じ込めを厳重にするという基準になったわけでございます。その後いろんなことがわかってまいりまして、危険性を持たせるような遺伝子組みかえが行われましても、そういうものほかえって生存のしにくいものであるというような関係もほぼわかってまいりました。また、具体的にどういう菌とどういうものの組み合わせの場合には危険がないというようなこともわかってまいりまして、順次この微生物の種類を追加して指定をし、それから扱う実験室のグレードもだんだん下げるという改正をしてきたわけでございます。今回の箱根会談におきましても、そう突然に変なものが出るという可能性は少ないことがだんだんわかってきたという一部の結論もあったように聞いております。  この指針は、各省庁あるいは都道府県、それから団体を通しました民間の機関、こういうところに周知徹底を図りまして、実行に遺憾なきを期しておる次第でございます。

岸田文武自由民主党・新自由国民連合

○岸田委員 安全性の問題につきましては慎重の上にも慎重を期していただきたい、こう考えておるわけでございます。  そこで、先へ進みまして、先ほど理化学研究所の話が出てまいりましたが、筑波でライフサイエンスに関する総合的研究施設を設けて遺伝子の組みかえに重点を置いた研究を進める、こういう話を聞いておるわけでございます。これは大変重要な役割を果たすであろうということで関係者は注目をいたしておるわけでございまして、聞くところによりますとそろそろ完成をするところへきておるようでございますが、このライフサイエンスの筑波研究施設の意義それから今後の計画について、ひとつ説明をいただきたいと思います。

村野啓一郎科学技術庁振興局長

○村野政府委員 御指摘のように、遺伝子組みかえ技術が今後のライフサイエンスに果たします役割は大変人きゅうございます。  そこで、理化学研究所といたしましては、この遺伝子組みかえ技術の一層の推進によりましてライフサイエンスの一層の研究を進めてまいるつもりでございますが、その場合、理研といたしましては二つぐらい大きな目標を掲げております。一つは、従来の組みかえに使っておりましたいわゆる宿主-ベクター系、例えば特定の遺伝子を組み込みます大腸菌のような宿主、それからこれを運びますプラスミドのようなベクター、こういった宿主-ベクター系が、従来例えば大腸菌中心あるいは枯草菌といったものでございましたが、さらに新しく乳酸菌なり放線菌なりといったものを使っていく。そういった新しい宿主-ベクター系を開発いたしまして、かつこの安全性をテストしていくといったことが一つの目標でございます。それからまた、がん遺伝子の探索をやりまして人のがんの発生機構を解明する、そういった先導的、基盤的な技術を今後開発したいというわけでございます。  そこで、理研といたしましては、このための施設をつくっておるわけでございます。先ほど計画局長が申し上げました実験指針によりますと、こういったものをやる場合には最高度の物理的な封じ込め機能を持ちます、いわゆるP4と言われます実験設備が必要でございまして、これはまだ日本にはございません。そこで理研は、筑波地区にこれを今建設中でございまして、大体三月末には完成するということで進めておるわけでございます。完成後はいろいろ調整をいたしまして、この年末ぐらいから本格的にこれを使いまして研究を開始しよう、そういったわけでございます。  なお、五十九年度からは、この実験棟に隣接いたしまして遺伝子組みかえを研究いたします研究棟、この建設に着工する予定でございます。

岸田文武自由民主党・新自由国民連合

○岸田委員 ところで、近年見ておりますと、組みかえDNA技術を用いてつくられたすぐれた性質を持った微生物あるいは植物、これを自然環境の中で利用するということが話題に上っておるようでございます。この分野ではアメリカが世界の最先端を行っておるわけですが、既にこういう研究に着手しておるという話も聞かしていただいたところでございます。  そこで、このように自然環境の中で遺伝子の組みかえられた生物を用いるということになりますと、従来の実験室の中でとられてきた安全確保対策というものが根本的に見直しを必要とするのではないかという懸念を持つわけでございます。お伺いをいたしたいと思うのでございますが、従来の実験指針を今後どのように改定をしていくのか、特に自然環境の中でDNAの研究を進めていく場合の考え方、この辺について御説明を伺いたいと思います。

赤羽信久科学技術庁計画局長

○赤羽(信)政府委員 現在、最も盛んに行われております遺伝子の組みかえは、どちらかといいますと医薬品のような非常に付加価値の高い微量物質をつくるということにまず重点があるわけでございまして、この際は、実験室、それから将来工場生産されるとしましても、いずれにしてもその部屋を厳重に閉じ込めて行うことが可能なわけでございます。ところが、御指摘のようにさらに本格的な応用ということを考えてまいりますと、環境中に応用していくことも将来の問題として考えられるわけでございます。  例えば、農作物の新品種を育成する。それから、環境浄化は現在微生物に頼っておる面が多いわけでございますが、さらに天然の微生物では分解できないようなものが環境にどうしても残るという問題がございます。例えば、高分子のビニールといったようなものを分解する微生物、さらにバクテリアを使いまして鉱石の中から微量の成分を取る、いわゆるバクテリアリーチングと申しておりますが、こういうものに有効な微生物をつくっていく、そういった応用がいろいろ期待されているようでございます。  こういうものを研究する際におきましても、まず基礎的な実験はすべて密閉した実験室の中で基準に従ってやっていただくというのが現在の方針でございます。それで、実験室の中でその植物の性質を十分見きわめまして、一般環境に出しても悪いことにならないということを確認した上で外へ出す実験にかかる。現在、予想されている段階はそうでございます。ただし、これはまだかなり先のことになるのではないか。相当基礎研究を積んだ上でないと、なかなか有効な方法には到達できないのではないかという予想はされるところでございます。

岸田文武自由民主党・新自由国民連合

○岸田委員 御承知のとおり、ライフサイエンスの研究開発というものは大変急速な進歩を示しておりまして、最近新聞などを見ておりましても、体外受精の問題であるとか、あるいは死亡の判定の問題であるとか、あるいは遺伝子操作技術を遺伝病の治療に応用するという問題、さまざまの面で発展を見せておるわけでございますが、今取り上げましたような諸問題は、考えてみますと、その方法あるいは考え方を一歩誤りますと、人間の尊厳にかかわる大変重大な問題をその中に持っておるように考えられるわけでございます。例えば、組みかえDNA技術を人間に応用する、こういうようなことになりましたら、これは慎重の上にも慎重を期していかなければならないと考えるわけでございます。  そこで、続いてお尋ねをいたしますが、組みかえDNA技術を人間に適用する、こういう研究は実験指針の面でどういうふうに考えておられるのか、御説明いただきたいと思います。

赤羽信久科学技術庁計画局長

○赤羽(信)政府委員 御指摘のように、最近非常に進んだ医療技術が出てまいりまして、体外受精等を初めとする方法があるわけでございます。ただ、これは従来の方法の発展したものでございまして、DNAそのものに手をつけるわけではないわけでございます。それでも、やはり医の倫理と申しますか、そういった問題は十分考えていかなければならないわけでございますが、御指摘の人間の遺伝子をいじる実験というのも可能性としては言われているわけでございます。  ただ、大きく分けまして卵、精子、あるいは受精卵といいますか胚、そういった今後発展する可能性を持っているものの遺伝子をいじるということは非常に難しいし、極めて危険な話でございまして、これはそう簡単には実験されるべきものではないと思われます。  一方、よく遺伝子医療と言われておりますのは、成人の体の一部、しかも非常に増殖の速い、例えば骨髄とか血液とか、そういったものに対しまして遺伝的な難病を治療する目的で一部遺伝子をいじる実験の可能性ということが言われておるわけでございます。この方が早く実施される可能性があるかもしれないわけでございます。  それに対しまして現在の基準には、宿主-ベクター系、大腸菌、枯草菌等性質のよくわかったものだけが掲げてございまして、それは基準に従って内部で安全委員会を設けて判定してやればよろしい、それ以外のものにつきましてはすべて科学技術会議のライフサイエンス部会で個別に検討して承認を得た上でやってくださいというのが現在の基準でございます。したがいまして理論的には、仮に人間に関します遺伝子の操作をしようとした場合、個別の承認を必要とするという体系になっておるわけでございます。  しかし、先ほど申し上げましたような事情で、まず基本的に人間に対してどのくらいのことをしていいのかということが専門的にも十分検討され、コンセンサスが得られた上で非常に慎重に手をつけていかなければならないわけでございまして、そういう基礎的な知見あるいは人間の尊厳に関しますコンセンサスがかなりはっきりするまでは、ライフサイエンス部会が仮に申請を受けたといたしましても認めるわけにはいかない。はっきりそういう基準を出したわけではございませんけれども、内部的な議論としてはそういう方針を部会の中でもとっている次第でございます。

岸田文武自由民主党・新自由国民連合

○岸田委員 ただいままでライフサイエンスについて総括的な立場から質問いたしたわけでございますが、一歩話を進めまして、ライフサイエンスを活用したがん対策の問題について若干お尋ねをいたしたいと思うのでございます。  今さら申し上げるまでもないわけでございますが、がんは難病中の難病でございますし、また原因も十分解明をされていない。しかも、一たん発病いたしますと大変悲惨な事例を我々の身の周りでよく見聞をいたしておるわけでございます。統計を見ますと、がんは、我が国だけではございません、アメリカ、イギリス、フランス、西独等の先進諸外国でも最大の死亡要因であるか、あるいはそれに次ぐ死亡要因になっておりますし、また我が国自体をとってみましても、近年がんによる死亡が着々と増加をしておる。昭和五十六年以降は、脳卒中を抜いて死亡要因のトップを占めるようになっておるわけでございます。五十七年の統計を見ますと、全部の死亡要因の中で二四%をがんが占めておる。言いかえれば、四人に一人はがんで死んでおるという姿になっておるわけでございます。これはもう放置できない事実でございまして、このがんの制圧のために国として全力を挙げて取り組む必要がある、これはもうどなたも異存のない考え方であろうと思うのでございます。  そこで、ライフサイエンスに関連をしてお尋ねをするわけでございますが、最近は組みかえDNA技術を活用することによって原因解明のときが近づいておる、こういうことが言われておるわけでございます。特に、がんの遺伝子と呼ばれる、がんを引き起こす原因となる遺伝子が見つかった、これは大変大きなことでございまして、こういうことを契機として政府としてもがん制圧のための基本戦略というものが取り上げられ、今全力を挙げて取り組んでおられる、こういうことになっておるかと思うのでございます。  従来のこの分野での研究成果を見ますと、やはりアメリカがかなり進んでおるようでございますが、翻って日本自体も、過去を振り返ってみますと、大正四年に山極、市川両博士がウサギの耳にコールタールを塗ってがんを発生させたという、当時としては大変画期的ながん研究を行ったという伝統もあるわけでございます。したがって、我が国としても全力を振るってこの分野に取り組んでいって、世界に貢献をしていかなければならない、こう考えておるわけでございます。  そこで、こういう立場からがんの問題に取り組んでいくという際には、単に医療技術だけではございませんで、あらゆる科学技術というものを総合的に駆使していくことが必要であろう、こう考えておるわけでございます。こういう見地からしますと、もう従来の縦割り行政というものは振り捨てて、関係の機関がそれぞれの特色を生かしながら全体として力を合わせていくという態勢が何よりも肝要であろう、こう思っておるわけでございます。そこで、お尋ねをいたしますが、こういった意味でがん研究というものをこれから総合的に推進をしていく、そのための基本的な考え方というものをこの際明らかにしていただきたいと思います。

岩動道行自由民主党・自由国民会議科学技術庁長官

○岩動国務大臣 大変適切な御指摘をちょうだいいたしております。  ただいま岸田委員がおっしゃったように、日本の死亡原因でがんが一番になったということは、なかなかゆるがせにできない現象であると思います。そして、ただいまお示しのように、五十七年度で死亡者の二四%という割合を示す。実数にしておおむね十七万人くらいと承知いたしておりますが、非常に多くの方々ががんという業病に侵されて亡くなっている。これは御本人の苦痛のみならず、家族の方、御親戚の方等非常に多くの人がまたこの苦しみを同様に味わっていくという極めて深刻なものでございます。  したがいまして、これを何とかしてこの進んだ科学技術で克服をしていこう、制圧をしたい、こういうことで、政府におきましても内閣総理大臣、中曽根総理が率先をして、がんの制圧のための長期的な戦略というものを必要とするということで、私どもは「対がん十カ年総合戦略」というものをつくり、そして関係閣僚会議で決定をいたしております。そういう意味におきまして、まず政府が全力を挙げて総合的に対応するという姿勢を示しているところでございます。  また、治療とか早期診断でありますとか、いろいろな現象面に対する問題もございますが、何といいましてもがんの制圧はその根源に入っていかなければならない。したがって、がんの本態の究明ということが極めて大事でございまして、そのようなことに対しましては先端技術を十分に駆使してまいる、これが大事であろうと考えております。したがいまして、科学技術会議におきましても、そのような方面の提案もいたして、私どもはそれらに従って、科学技術庁はもちろんのこと、厚生省あるいは文部省等関係の省庁、あらゆる研究機関が全力を挙げて総合的にこれをやっていく、こういうことで対応いたしているところでございます。  いろいろ具体的なことにつきましてはまた政府委員の方からも御答弁申し上げたいと思いますが、いずれにいたしましても、総合的にこれを行うということが極めて大事であり、一方、日本だけではなかなか解明できないという分野もございますので、これは国際的にもいろいろな協力を仰いでいかなければならない。こういうことで、サミットにおきましても、そのような中曽根総理の提言もあり、国際的な協力という分野におきましても、がんの制圧に対する戦略を進めてまいる、こういうことになっているわけでございます。  特に予算の配分につきましても、科学技術会議等が中心となり、そしてまた事務的には科学技術庁が調整をしてこれを各省に分担してもらうということでやっておりますので、総合的な参謀本部的な立場で、今後とも科学技術庁が中心となってこの重要ながん制圧の戦略を進めてまいりたいと考えているところでございます。

岸田文武自由民主党・新自由国民連合

○岸田委員 私も先般来いろいろ教えていただきました。その結果感ずることでございますが、がんの遺伝子が発見をされるというのは、組みかえDNA技術というものが大変大きな役割をしておる。それから、最近よく耳にいたします、がんの新しい治療法でありますミサイル療法、これも細胞融合の技術によって得られたモノクローナル抗体というものを使う、こういうことを聞いておるわけでございます。  したがって、がんの研究ということをやります際には、がんそのものを対象として診断、治療を行う従来の伝統的な医学の分野の研究ももちろん大切でございますが、それだけではなくて、組みかえDNA技術を初めとする各般のライフサイエンスの基礎的な技術の水準、これを向上させる、そしてそれを推し進めていくことによってがんの原因を究明し抜本的な制圧を目指していく、こういうことが一番本筋の課題になってくるのじゃないかなという気がいたしているわけでございます。  そこで、簡単で結構でございますから、こういったがん研究のためのライフサイエンスの基盤的な技術開発、これの進め方の考え方をこの際明らかにしていただきたいと思います。

赤羽信久科学技術庁計画局長

○赤羽(信)政府委員 まさに先生御指摘のとおり、がんの本態解明、それから診断や治療につきましても、従来の医学の分野だけではなくて、より幅広い基礎的科学技術を応用しなければならないという段階に至ったわけでございます。それを科学技術会議の方針等でも特に強調しておりまして、各省分担して進めるということでございます。科学技術庁も、元来、医学を対象にした研究は放射線医学研究所以外ほとんどやってなかったわけでございますが、そういったことで科学技術庁の持ちます基盤、基礎的な力をがん対策にも応用すべきときに来たということで、積極的に参加しようというわけでございます。  内容としましては、放射線医学研究所におきます放射線を用いたがんの治療、これは従来からやっておりまして、我が国ではセンター的な役割をしているわけでございます。それから、理研では制がん剤の研究をやってまいりました。それから、振興調整費を用いまして共通基盤的な技術の開発というのも従来からやってきたわけでございます。  さらに、加えまして、遺伝子組みかえ技術を用いまして、がん本態解明のための研究を理研で行う。それから、放射線医学研究所におきましても、新しい重粒子線の利用ということの調査研究に入りますし、振興調整費を用いますがん関連研究も金額をふやしていただきまして、さらに基礎研究の幅を広げていこうとしているわけでございます。総額で三十五億円、前年度比一・五倍の予算をお願いしているところでございます。

岸田文武自由民主党・新自由国民連合

○岸田委員 がんの問題はいろいろお伺いしたいことがあるわけですが、時間が限られておりますので、いよいよ最後の質問に入りたいと思います。  がんの制圧ということと科学技術とのかかわりというのは、例えば早期診断一つをとりましても大きな課題が残されておるように思うわけですが、最近特に注目される問題として、重粒子線等の新しい放射線を用いた治療法、これが注目をされておるわけでございます。この研究が今どういう段階になっており、これからの進め方をどう考えておられるのか、このことを最後にお伺いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。

中村守孝科学技術庁原子力局長

○中村(守)政府委員 お答えいたします。  放射線を用いましたがんの治療につきましては、エックス線、ガンマ線あるいは電子線を使いました療法は既に実用化されておるところでございますが、さらに進んだ放射線療法といたしまして、速中性子線、陽子線、重粒子線及びパイ中間子線を利用するものがございます。これらにつきましては、国立研究機関及び大学を中心に今研究が進められておるわけでございますが、研究が実際に具体的に進展しているものといたしましては、速中性子線と陽子線でございます。速中性子線につきましては、放射線医学総合研究所及び東京大学の医科学研究所において臨床研究が進められておりまして、また陽子線につきましては、放射線医学総合研究所及び筑波大学で研究が進められております。それぞれすぐれた治療効果が明らかになっておりまして、数多くの症例も出ておるところでございます。  先生御指摘の、重粒子線それからパイ中間子線を利用する療法につきましては、我が国ではまさにこれからの研究という段階でございまして、この重粒子線などによる放射線療法は、従来の療法では効かないがんに対してもすぐれた治療効果が期待できるということで、今後の重要な研究課題と考えられているわけでございますが、何分にもこれらの重粒子線などの研究を推進するに当たりましては、医療用の大型の加速器の開発を必要とする。そればかりではなくて、医学、生物学、物理学、工学等広範囲な専門家の有機的な連携も必要とされるということで、今後の研究開発の進め方につきましては十分に検討をしていく必要があろうかという状況にございまして、科学技術庁としましては、こうした観点から昭和五十九年度から放射線医学総合研究所におきまして新たに重粒子線などの医学利用に関する調査研究を進めるということで、五十九年度予算案に所要の予算を計上させていただいているところでございます。

岸田文武自由民主党・新自由国民連合

○岸田委員 大変大事な課題でございます。がん解明前夜という段階にありますだけに、科学技術庁としてこれから全力を振るってこの問題に取り組んでいただきたいと思います。  質問を終わります。

大野潔公明党・国民会議

○大野委員長 小川泰君。

小川泰民社党・国民連合

○小川(泰)委員 きょうは少し総論的になるかもしれませんが、二、三お伺いしたいと思います。  一つの問題は、エネルギーという立場から見た原子力開発問題についてであります。この原子力開発のプロセスをずっと見てみますと、大方三つぐらいのゾーンに分けて見るのがいいのかな、こう思っております。一つは、原子炉そのものの体系的な開発、こういう流れが一つあると思います。もう一つは、それに伴って燃料サイクルというサイドからこれとリンクさせて見るサイドがあると思います。それからもう一つ、エネルギーの問題の中で特有なものでありますが、放射性物質というものが出てくるものですから廃棄物というものの処理、それからもう一つ加えて、いわゆる二十年、三十年という発電所の寿命が終わった後の廃炉、こういう問題で見直してみないと一つの輪にはなってこないのではないかというので、三つの立場からちょっとお伺いを申し上げさせていただきたいと思います。  まず第一の開発、推進とでも申しますか、昨今、経済の動向なども反映してエネルギーの需要というものがやや緩和される傾向にある。そういう中で、御案内のとおり長期見通しというものもここ二、三年の間で何回か下方修正されるという動きも一面ございます。その都度、原子力の持つウエートというものを見ておりますと、これにはいろんな問題が後ろにあるわけでありますけれども、やや同様なスローダウンというふうな傾向が見られないこともない。そういたしますと、普通のエネルギーの開発と違いまして、御案内のように原子力というものはある程度リードが長いものでありますから、その段階におけるエネルギーの需要の動きで余り近視眼的に見ますると、何もない日本の場合に、またいつ何ときさあしまったという事態が来ないこともなかろうか、こう思いますので、そういう背景にもかかわりませず原子力の長期性に立った開発の基本姿勢といいますか、この辺を第一にお伺い申し上げたいと思います。  同時に、時間もありませんので、これに附帯いたしまして今商業炉として、片一方ではBWRあるいはPWR、こういう軽水炉が動いております。さらに燃料サイクルの点から見るならば、次の段階としてATR、いわゆる転換炉へ、こういう中間的な傾向が出ている。さらには、原子力委員会などの発表によると、二〇一〇年ぐらいを目標にして高速増殖炉FBR、こういうテンポで進んでおるようでありますが、この連関とでも申しますか、これには必ず燃料問題がくっついてきますから、こういうものの見方というものを同時に加えていただくとありがたいなという点が一つあります。  それからもう一つのサイドからは、日本もなかなか自主技術の開発がすぐれてまいってきておりますが、この種の問題はついことしの初めごろだったと思いますが、私の情報が間違っておれば訂正いただいて結構かと思いますが、イギリス、フランスその他を中心にしてヨーロッパ五カ国で、たしかFBRの開発プラスこれにまつわる燃料サイクルの国際的な協定を調印したやの報道も受けておる。あるいは続いてその後からオランダ等も加わるか、こんな話も出かかっておるという事情にあります。そういう国際環境の中で、日本の原子力の現状に照らし幾つか申し上げた点とのかかわり合いで、日本ももう少し、テンポの速い技術革新の時代なものですから、国際的なかかわり合いというものとも十分に関係を持ちながら進めていかなければいけ狂いのではないかなというので、その方途やいかに。  大体こんなところを中心にして、ひとつお伺いしたいと思います。

岩動道行自由民主党・自由国民会議科学技術庁長官

○岩動国務大臣 まず、最近の電力の需給状況あるいは原油の価格の引き下げ等で、国際的に石油の需給が緩和している。また、経済的な世界的構造不況というようなことから電力需要が減ってきている。こういうようなことで、ややもすればエネルギー問題はもう過ぎ去った、こういうような考え方が出てきてないかということを私も恐れている一人でございます。そういう意味において、ただいま大変重要な問題点について御指摘をいただいたわけでございます。  まず最初に、我が国の最近のエネルギー事情というものについて申し上げてみたいと思いますが、特に原子力発電につきましてはこれまで二十余年にわたって営々として、国民の皆様方の御理解と、そしてまた安全性を確保するという基本姿勢が十分に成果を上げてきていると思います。したがいまして、現在は二十五基、千八百二十万キロワット、そしてまたその稼働率も年間おおむね七〇%、これは検査期間を除きますと一〇〇%に近い非常に立派な効率を上げております。しかも日本全体の電力の供給量の二〇%と、このように日本の国民経済あるいは国民生活に非常に大きな役割を果たしてきていると思います。  このようなことを踏まえまして、私どもはさらに原子力の平和利用という分野でこれを進めてまいりたいと思っておりますが、特に石油への依存度というものは、まだまだ現在では、五十七年度実績で六二%と非常に多くのものを依存しております。エネルギーの省力あるいはいろいろな設備の改善等で成果を上げてきておりますが、依然として六二%、しかも中東にその大部分を依存する。このことは現在の中東情勢から見ましても、我が国にとっても考えなければならない極めて危険な状況が存在していると思います。ホルムズ海峡の封鎖などということが万一にもあっては大変なことになるわけでございます。そういうようなことから、何といいましても脱石油、そして代替エネルギー、その中核として原子力の平和利用としての原子力発電をさらに促進してまいるということは、極めて重要な日本の存立にかかわる政策であろうと認識をいたしております。  また、油の値段にし著しても、今は緩和をいたしておりますが、いつどのような時点で爆発的に高くなるかもしれません。また、これは世界経済の活発化あるいは発展途上国の経済の伸展というようなことから考えましても、油の値段は長期的に見ましたならば必ず上がっていくものと覚悟しなければならないと思っております。したがいまして、私どもはこういう認識のもとに昨年、昭和六十五年度までには原子力で三千四百万キロワット、さらに昭和七十年度におきましては四千八百万キロワットという長期的な見通しを立てて、今後とも進めてまいるということにいたしているわけでございます。  なお、続けて炉の話もございましたが、この具体的なことについては政府委員から後ほど答弁を申し上げたいと思いますが、私どもは核燃料サイクルを確立する、そういう中においてもまず核燃料の有効利用ということが極めて大事であろうと思っております。そういう意味におきまして、今後プルトニウムの活用ということを考えなければなりません。したがって、高速増殖炉という極めて重要な、燃やしたものがさらにふえていくという意味におきまして、高速増殖炉の推進を図っていかなければなりませんし、あるいはまた新型転換炉も促進しなければなりません。これらにつきましては、着々と具体的な計画が進められているところでございます。  また、自主技術の開発、これはもう極めて大事でございまして、既にアメリカから技術をいただいて今日までやってきておりますが、日本はそれなりの安全性ということも含めまして自主技術がさらに進んできているわけでございます。そしてまた、再処理等につきましても、動力炉・核燃料開発事業団においていろいろな新しい工夫をして、世界に先駆けた技術を開発してこれを使おうという段階にもなってきているわけでございます。  また、国際的な問題につきましては、仰せのとおり高速増殖炉というようなもの、あるいは夢のエネルギーとしてのいわゆる核融合の問題、これにつきましても日本はかなり進んだ技術を持っております。しかし、次の段階というようなことを考えた場合にはどうしても国際協力が必要でございます。既にこの点につきまして、アメリカからもいろいろと御相談を受けているところでございます。また高速増殖炉につきましても、アメリカの方では日本との研究協力というような話が出ているわけでございまして、これらの点につきましては、私どもは可能な限り積極的に協力をしてまいりたいと考えているところでございます。

中村守孝科学技術庁原子力局長

○中村(守)政府委員 軽水炉以降の我が国の原子炉の開発の進め方についての御質問と、それから国際協力のあり方についての御質問とにつきまして、やや具体的に御説明させていただきます。  我が国の原子力発電は、先生御指摘のように、現在軽水炉が主流となっておるわけでございまして、軽水炉自体につきましても、今後その経済性の向上について一層の技術開発を必要としておるわけでございますが、原子力発電規模を長期にわたって拡大していくためには、ウランを利用しているだけでなくて、原子力発電に使っているウランの中に新たに生まれできますプルトニウムを有効に利用するということで、徹底的に天然のウランを使い尽くすということによって原子力発電の全体の規模を拡大し、またその豊富なエネルギーを享受できるようになるのかと思いますが、そのためのプルトニウムをまさにたくさん生産しそれを燃焼する炉、こういう炉として高速増殖炉というものが考えられておるわけでございまして、これは御承知のように世界各国におきまして開発が進められておるわけでございます。我が国におきましても、現在原型炉とも言うべき出力二十八万キロワットの発電用原子炉を福井県に建設すべく準備を進めております。この高速増殖炉につきましては、国際的に見ましても、西暦二〇一〇年ぐらいに実用化が本格的になっていくのではないか、こう見られておるわけでございまして、この高速増殖炉が将来の発電用原子炉の主流となるという観点に立ちまして、軽水炉から高速増殖炉へつなげるというのが我が国炉型戦略の基本路線でございます。  ただ、高速増殖炉の実用化までの間及びその実用化された後におきましても、その高速増殖炉の組み入れ方によりましては相当量のプルトニウムの蓄積が予想される。このため我が国としては、資源の有効利用、プルトニウム貯蔵にかかわります経済的負担の軽減あるいは核拡散を防止するというようないろいろな意味から、ウラン及びプルトニウムを有効に利用できる炉として、私ども動力炉・核燃料開発事業団をして今日まで開発をさせている新型転換炉の導入を図っていくことが適切なのではないかということで、現在この新型転換炉を発電システムに組み入れることができるように、電気出力六十万キロワットの実証炉の建設計画を進めております。これは電源開発株式会社が建設主体となって進めておるものでございます。このような形で我が国の原子炉の今後の開発を進めていきたいと思っておるわけでございます。  先ほど先生から御指摘がありましたように、高速増殖炉につきましては、この開発には経費も非常に多額にかかるあるいは人材も必要とするというところから、国際協力という話がいろいろ出ておるわけでございます。欧州におきましては、先生御指摘がございましたように、フランス、西独、英国、イタリア、ベルギー五カ国で本年一月に高速増殖炉開発に関する協力協定が調印されております。我が国は地理的に非常に不便な点がございますし、各国との協力というのが進めにくい環境にはございますが、従来からドイツ、フランスと日本との三国間で、あるいは日本とアメリカ、日本と英国との間で協力協定を結びまして、我が国の方は動力炉・核燃料開発事業団が主体でございますが、その間で情報交換とか専門家の交流とか、そういうものを積極的に進めてきておるわけでございます。  ただ、特定の炉を協同で開発するというような国際協力になりますと、我が国は未経験でもございますし、いろいろなメリット、デメリットもございまして、現在、今後の進め方についてはいろいろな観点から検討していかなければならないということで、原子力委員会の高速増殖炉開発懇談会におきまして、国際協力の重点分野など具体的な進め方について検討が行われておるところでございまして、こうしたところの御意見等を踏まえて、今後積極的に国際協力にも取り組んでいく必要があろうかと考えておる次第でございます。

小川泰民社党・国民連合

○小川(泰)委員 大変丁寧な御回答で、時間が余りなくなるのですが、次の核燃料サイクルの問題です。  今、考え方と炉の進め方と、これは多分に不即不離の格好になるのですが、この中で一番大事なことは、もうだれもが言う無資源国日本でありますから、もとのウラン鉱の確保という問題がどのようにこれから展開されるかということが、僕はまず第一に大事な問題だろうと思います。  さらに、それでは御案内のとおり燃料になりませんので、濃縮の段階へ次は入っていくわけですが、なかなかこれはアメリカ等との関係があって、ついせんだっても、ある程度縛りが来たり緩められたりと、こんなので、これはできたものを買ってくるというのも石油と同じような体質を持ってくるので、できればそういうシェアを独自でひとつ開発をしていく、そういう環境、条件整備というものが次に必要になってくると私は思います。  さらに、今、幾つかの炉型が出てまいりますが、一番大事なのは、その中でとりわけ再処理ですね。まあいろいろな方法で表現されていますが、リサイクル、とりわけプルトニウムを中心にしたこの取り扱い方というものが、これから大変大事な一つのポイントになってくるのではないかと私は思うのです。もちろんこれは、幾ら日本が資源がないからといって、採算を度外視してやるわけにもまいりませんから、当然これには経済的な採算という裏づけがつきまとってまいります。そうすると、その燃料全体を進めるための幾つかの仕組み、こういうものがきちっとしていかないといけないのではないかな、こう思いますので、そういう意味合いから、核燃料のこの全体の燃料サイクルというものに対してどうお考えかということを伺わせていただきたいと思います。  御案内のとおり、私たちも関心を持っておりますので、動燃事業団でも、ついせんだって、本当の意味の技術上の燃料サイクルというものが、リサイクルで完全に輪を描きましたね。一つの姿でありますが、私は、なかなかあの技術、ああいう努力というのは立派だなと思いますので、それが今度は炉型と需要とのバランスの中で逐次ボリュームを加えながら今言ったようなものが消化されていかないと、大変大事な問題が落ちていくのではあるまいかというので、ちょっとそこら辺の考えといいますか方針等でお示しをいただくとありがたいな、こういうふうに思っております。

中村守孝科学技術庁原子力局長

○中村(守)政府委員 燃料サイクルの点についてお答えいたします。  ウラン燃料のもとになります天然ウランの確保につきましては、その供給源を多様化して安定化するということも一つでございますが、我が国自身で探鉱の段階から開発に進んでいくということが、長期的には非常に大きな重要な問題になってくるわけでございます。残念ながら我が国の国内にはウラン資源がやはり乏しいものですから、海外にウランを探さなければいけないということで、動力炉・核燃料開発事業団がカナダあるいはオーストラリア、アフリカといった地域におきまして、有望と見られる地点についての探査を進めておるわけでございます。ここから商業的に採算のとれそうなものが出てまいったときには、これを民間に承継をするということで、その民間側の検討機関もできておるわけでございまして、そういうシステムの中で、今後の探鉱も進めていくことになっております。  それから、ウラン濃縮につきましては、先生御指摘のように、外国に濃縮ウランを依存しておりますと、その利用の仕方についていろいろな制約も加わるというようなことがございまして、安定的供給の確保という観点ばかりでなくて、我が国の自主性を確保するという見地からも、ウラン濃縮技術を国内で確立し、国内で濃縮ウランをつくり出すということが必要になるわけでございまして、我が国で、動力炉・核燃料開発事業団におきまして、独自の技術による遠心分離法によりますウラン濃縮技術が相当の程度まででき上がりまして、既にパイロットプラントが運転を継続しておりますし、それに次ぎますデモプラントを人形峠に建設すべく現在準備を進めております。さらに、そのデモプラントを受けましてコマーシャルプラントを建設するということで、これは電気事業者が中心になってその事業を進めるという準備が既に進められておるわけでございます。  それから、再処理につきましても、御指摘のように、我が国の長期的なエネルギーの安定供給を図るという見地からは、やはり使用済み燃料の再処理も国内で完結するということが、我が国の核燃料サイクルを閉じるという意味において非常に重要な意味を持ってくるわけでございます。この点につきましても、動力炉・核燃料開発事業団の東海再処理工場の経験を生かしまして、十分国内にもそういう再処理技術についての評価能力というのも高まっておるわけでもございますし、それをベースにいたしまして、民間の原燃サービス株式会社によって現在準備が進められております民間による再処理工場、これを一日も早く建設できるよう政府としても推進してまいりたい、このように考えておる次第でございます。

小川泰民社党・国民連合

○小川(泰)委員 それでは、三番目の問題で、廃棄物処理と廃炉対策という問題にちょっと移らしていただきます。  この廃棄物という言葉も何かこう余りいい印象ないのですが、工夫できるといいなと思いますが、要するに、今大きく分けて、運転がされて出てくるその廃棄性の物質の中で大変高い濃度を持ったもの、低い濃度を持ったもの、こんな分類が大体されております。この扱い方が、いろいろその扱い方によっては物議を醸すのですが、当局としてどんな基準で分類をし、どこら辺でもっと合理的な処置をしようとしておるのか。余りにも神経質になり過ぎる点もありはしないか。そうかといって、安全サイドを無視するということであってもこれはならぬわけでありますので、これらは、それぞれ技術の進歩あるいは環境の整備、こういうものの条件とだんだんリンクしながら、最も合理的な方法を追求していくということになるのだろうと思いますが、その辺の考えがあったらひとつお示しをいただきたいというのが一つであります。  時間がないので同時に伺います。もう一つは、今稼働いたしておりまする軽水炉にいたしましても、増殖炉にいたしましても、やがてその発電所の寿命が参ります。その際に、従来の水力であるとか火力であるとかあるいは地熱であるとかガスであるとかというものの設備を見る目と、この原子炉を持った発電所を見る目というものは、私は、少し次元が違うのではないか、こんなふうに思っております。したがいまして、まあ一応廃棄物と言わせていただきますが、高濃度の廃棄物を処理する場合にも大変なお金がかかるし設備がかかるという認識が一つと、それを超えるような姿で、期間も長いし、やり方も幾つか廃炉の場合にはあるのだろうと思いますが、原子力委員会の専門部会で検討されておる方法としては三つぐらいございますね。  いわゆる密閉管理、閉じ込めてしまって半減期を待つという方法と、その次には遮へい隔離というので、できるだけ炉心だけをきちっとしてやろうとする方法と、三番目には、手がつくのならできるだけ即時解体をしていこう、そうするとサイトが再利用できる、こんな三つぐらいあるようでございますが、これらも、そういう方法があるという段階をもう一歩、二歩出ていきませんと、経済採算の面から逆に考える場合にやがて問題が発生してくる、私はこう思いますので、この秩序といいますかルール、基準について考えがおりますならば、ひとつお聞かせいただきたい。これが二番目。  三番目には、これは適切な言葉がどうかわかりませんが、一般に言われておる原子力のバックエンド費用ということがこれから大変問題になってくると思います。これも、私が説明するまでもなく御存じだと思いますので、バックエンド費用というものをどんなふうに考えてこれから対応しようとなさっておるのか、この辺の基本的な考え方をひとつお聞かせいただきたいな、こう思います。  以上です。

中村守孝科学技術庁原子力局長

○中村(守)政府委員 まず、廃棄物の件についてお答えさせていただきます。  数字で言っても、なかなか低レベル、高レベルということが概念的にわかりにくいわけでございますが、現在この廃棄物について高レベルと低レベルと二つに大きく分けておりまして、通常の発電所等において発生します廃棄物は一般に低レベル廃棄物、それから再処理施設から出てまいります廃液等、これはいわゆる燃料の中に閉じ込められておりましたフィッションプロダクトが多量に入っておるものでございまして、これがいわゆる高レベル廃棄物というぐあいに大きく分けられるわけでございます。  先生御指摘の点は、若干推測して恐縮でございますが、放射能レベルによってはもう一般の廃棄物と変わらないような低いものもあるにもかかわらず、放射能で汚れたものと一緒に処理をしておるというような点をもう少し合理的に取り扱えないか、こういう御趣旨ではないかと拝察するわけでございますが、この点につきましては、原子力委員会の現行の長期計画の中においてもこの問題点を指摘しておりまして、これについて合理的な処理処分の方法を検討していくべきであるということで、この長期計画の中で「極低レベルのものについては、放射能レベルに合った合理的な処分方策の確立を図る。」ということが書いてあるわけでございます。  これをもう少し具体的に、極低レベルというのはどういうものをいうのかということ、あるいはその低い放射能を放射能レベルに応じて合理的に処分するとしたらどういう方法があるのかということにつきまして、現在原子力委員会の中に放射性廃棄物対策専門部会を設置いたしまして、昨年末以来検討をいたしてございます。本年末にはその一応の結論が得られるのではないかという状況にあるわけでございます。  それから、原子炉の廃止措置の件についての御質問に答えさせていただきたいと思いますが、先生御指摘のように、廃炉のやり方としては三種類の仕方がございます。これを今後我が国ではどのように取り組んでいくのかという御質問かと思いますが、原子力委員会の廃炉対策専門部会でも検討いたしまして、その結果として出ているところでございますが、我が国でこの廃炉を行う――廃炉という言葉はいろいろ悪いイメージもありますので、この専門部会では廃止措置という言葉を使っておりますので、その言葉を使わせていただきますと、廃止措置に当たっては、安全の確保、敷地の有効利用及び地域社会との協調、こういう基本的な考え方に立ちますと、やはり早い時期に解体撤去をするということが原則である。解体撤去して、その跡をまた原子力発電所として再利用していくというのが基本的な考え方でございます。ただ、その土地を再利用するまでの間、所によりましてはある期間密閉管理にするとか遮へい隔離をするとか、そういうことが必要かと思います。そのようなことは個別に検討なされることが必要かと思いますが、基本的には解体撤去をしてその跡を原子力発電所として再利用する、こういう考え方でございます。  それから廃炉の費用につきましては、現在までいろいろな試算等もなされておるわけでございますが、建設費に対比いたしますと数%ないし二〇%程度の費用が試算をされている例があるわけでございます。今後この費用等を電気料金にどのように織り込むかというようなことにつきましては、当庁はお答えする立場にございませんが、十分に検討していかなければならない問題かと存じております。

小川泰民社党・国民連合

○小川(泰)委員 この問題は、もっと一つ一つ確かめていきませんとなかなかの問題ですが、時間がありませんのでこの程度にさせていただきます。先々の問題で変化もある問題かと思いますが、ぜひひとつしっかりした対応策をとってリード役を務めていただくように希望を申し上げておきます。  次の問題といたしまして、今、私は原子力エネルギーというものを三つの角度から取り上げさせていただきました。長官の感じも我々とそう変わっておりませんが、もう一つのサイドで物を見る見方があるのではないかな、こう思っておりますので、お伺いを申し上げたいと思うのです。  冒頭のエネルギー問題に対する考え方、ごもっともでございますが、私はもう一つ先をじっと見てまいりますと、地球の資源は有限である、資源有効利用、こういう立場からエネルギーというものももう一回見直す必要があるのではないか、もう一面、こういう立場に立っております。  どういうことかといいますと、石油あるいは石炭という物質は、燃えやすいから、扱いやすいから、あるから、それを熱エネルギーにかえることがいいんだということで今まで来てい各傾向がある。そこへもってきて、単価が安かった。それがオイルショックでびっくりする。よく考えてみたら、三十年たつとなくなるぞ、五十年たつとなくなるぞ、こういう話も出始まった。ところが、この石炭あるいは石油というものをもっともっと突き進んだ、当科学技術委員会で今勉強をして各般にわたった内容を追求いたしますと、燃やすだけではもったいない、それぞれが持っている成分はもうあらゆるところに使える、こう考えますと、そういうような使い方の方が有効であるという資源をいわゆる熱エネルギーとして使うことから転換をさせる、こういう発想からもう一面見る必要があるのではないか。  そう考えますると、ウラン湖というあの物質は、当面の技術上の追求から考えるならば、平和利用という点から考えますならば、分裂の熱あるいは融合の熱を熱エネルギーから電気エネルギーへと、こういうものに使っていく以外に余りないんじゃないかという立場から、核エネルギーに対する見方、考え方というものの位置づけ、こういうものがもっと再吟味されていいのではないか。  さらには太陽系のエネルギー、これは水から始まって光や熱やいろんなエネルギーのもとがあります。最終的にはエコロジーに達するのだろうと私は思いますが、そういう面から長期性があろうとはいえ追求をする。こんな立場からもう一回エネルギーというものを、人類が存在する以上どういうふうに資源の活用をしていったらいいんだろうかという立場から、もう一つの視点をあてがいながらじっくりと取り組む、そろそろこういう段階に来たんではないかな、私はこう思いますので、これはお答えがあっても結構ですしなくても結構なのですが、所見として申し上げて、お答えあらばひとつお伺いしたいと思います。

岩動道行自由民主党・自由国民会議科学技術庁長官

○岩動国務大臣 確かに、資源エネルギーは有限であると私ども認識していかなければなりません。そういう意味におきまして、石油とか石炭とかあるいは水力、さらにいろいろなエネルギーがございますが、そしてまたいわゆる核融合というところまで進んでいかなければならないと思います。と同時に、私どもは新エネルギーという分野も怠ってはならないと思っております。そういう意味におきまして、地熱でありますとか太陽熱の利用でありまするとか、あるいは波、風力等々ございます。あるいは水素エネルギー、そしてまた再生可能のエネルギーとしてはいわゆるバイオマスエネルギーというものも十分に留意をして進めていかなければならない、かように考えているところでございます。つまり、いわゆるソフトエネルギーは、公害の問題等も考えますならば、いわゆるクリーンエネルギーとしても大事な分野でございますので、これは進めてまいらなければならない。  ただ、先ほど申したように、地熱とか風力とか、そういうものはどうしてもエネルギーの力がそれほど大きく出ない。しかし、これはローカルエネルギーとしては極めて大事である。こういう意味におきまして、日本でも地熱等は極めて重要なローカルエネルギーとしての位置づけをして、今政府におきましてもいろいろな対策を講じ、また探査の方法もさらに科学的に研究を進める、こういうように考えているところでございまして、おっしゃるように再生可能なエネルギーというものにも十分に配慮していかなければならない、これが日本あるいは世界人類の考えなければならないエネルギーへの新しい視野であろうと考えております。  先生の御指摘は十分に私ども拝聴いたしまして、そのようなエネルギー政策を推進してまいりたいと考えております。

小川泰民社党・国民連合

○小川(泰)委員 よくお答えをいただいてありがとうございますが、そういう概念論ではみんな合っていくのですが、さあ、いざ一つ一ついくかということになると、いろいろこれまた問題が出てまいると思います。  以上、エネルギー、原子力開発というサイドから三つにわたって御質問申し上げまして、それぞれお答えをいただきました。そのお答えの中には、将来の研究課題もありましょう。すぐやらなければならぬ問題もありましょう。そういった点はよくわかりますが、総じてこの科学技術が大変重要な時代であるということが言われております。そのとおりだと思いますが、ぜひ諸外国の例でいい点は取り入れるということなども加えながら、政府として新しい開発体制をとる場合にはやはり思い切った後押しといいますか、あるいは前に出て引っ張るとか、そういう姿勢が大変大事ではないかな、私はこう思います。そういう意味合いから、予算の問題あるいは助成の問題から、さらに一つ一つの問題について、ひとつこれから努力をうんと続けていただきたいな、こう思います。いずれかの段階で、個々にはまた御質問なり御意見などを申し上げさしていただきたいと思います。今の点はお答えは結構でございます。  最後になりますが、今私もちらっと触れました。どうも日本のように資源のない国は、科学技術が生き延びる最大のとりでだというふうな話が昨今ずっと出てまいりまして、政治の指導性から見ましても大変大事だ。しかも扱うべき分野は本当に広い分野になってまいりました。宇宙の話から人間の極小の部分から物のもとに至るまで、これは大変な分野にわたって科学技術というものが今展開をされておることは御案内のとおりでございます。  そう考えてまいりますと、これは科学技術庁という一省庁がどういう位置づけにあるんだろうかな、こういうこともまた政治全般から考えた場合に、私はちょっとこれでいいのかなという感じを受ける一人なんであります。だとするならば、今の機構の中で科学技術庁というものが一体どんな役割と任務とエリアを持って与えられた課題に向かっていくんだろうかという点が、どうも問題によっては定かでないという点がありますので、ひとつそこら辺のお考えがもしあらばお聞かせいただきたい。  例えば、後で論議になるでしょうが、原子力船「むつ」などということになりますと、科学技術という炉の問題その他でぐっと入っていくのでありますが、港の建設からさらに地域住民の問題からぐっとプロジェクトで入っていくのがあるかと思うと、ある部分は技術だけの問題で、あとはひとつ次の省庁へと、こういう格好でこなしていく部分もあるやに見える。しかも総理初め、科学技術は大変重要な問題である、国の生命にかかわるという言葉がしばしば出てくるということになると、一体これはどういうふうに、我々は政治の場として、皆さんのお立場としてお互いに認識し合って大事なことでありますから進めなければなりませんが、持っていきませんといけないかな、こういう感じを持ちましたので、所見があればちょっとお聞かせいただきたいな、こう思います。

岩動道行自由民主党・自由国民会議科学技術庁長官

○岩動国務大臣 大変大事な点についての御意見をいただきました。  何といいましても、科学技術が二十一世紀への日本の生きる道であり、また日本が平和の中において国際的な役割を果たす極めて重要な基本的な分野であると認識をいたしております。そういう意味におきまして、日本における科学技術、特に基本的な科学の研究そしてまたそれを応用する技術、これは日本の水準はかなり高くなっておりますが、今までややもすれば導入型の科学技術でございました。これを私どもはもはや脱却をして、反省をして、そして創造的な科学技術、そういう時代にまさに入ってきていると思います。しかも、日本の科学技術の体制といいますのは、科学技術庁はもちろんでありまするが、文部省の大学試験研究機関、あるいは農林省におけるそのようなもの、あるいは厚生省あるいは通産省等、広い分野にわたってこれらが行われております。これを今総合的に統合してやるということは、まず不可能ではないかと思います。  したがいまして、私ども科学技術庁におきましては、総理大臣を頂点とした科学技術会議、日本の知能を集めたこの会議を中心として、基本的な総合的な科学技術の政策をまずそこで確立をして、その指示を中心にしまして、科学技術庁はもちろんのこと、関係省庁がそれぞれ優秀な技術者と積み重ねを持っているところでございますので、これを活用してまいる。ややもすればこれが縦割りであり総合性がない、そこにむだがある、しかも財政的に苦しいときにはますます効率化を図らなければならない、こういう観点もございまするので、科学技術会議というものを中心としてその推進を図るためには、科学技術庁はいわば科学技術の政策の総参謀本部、こういう意気込みを持って今後とも進んでまいりたいと考えているところでございます。そういう中において私どもは、いわば国際協力も必要であります。その牽引力になりたい、またなっていかなければならない、こういう意気込みと覚悟を持って進んでまいりたいと思っております。  今日、毎日毎日の新聞その他の報道におきましても、科学技術に関する記事や報道のない日はございません。それほど国を挙げて科学技術というものが大事に考えられることになっております。色男金と力はなかりけりということでございますが、そうでないように頑張ってまいりたいと思いますので、先生方の御指導と御協力と御支援を心から重ねてこの機会にお願いを申し上げる次第でございます。

小川泰民社党・国民連合

○小川(泰)委員 最後に一言だけ。  今その色男金と力はなかりけりという言葉で私は一言申し上げたいのですが、どうもこの世の中のよろずの風潮というのは、何か仕事をする力があるという裏には必ず金や予算というものがあって初めて仕事が生まれる、こういう風潮があり過ぎます。そうではありません。私は、金をかけなくても立派な仕事ができる、こういう工夫の段階に時代は来ていると思いますので、どうぞそんなお気持ちにならないで、自信を持って長官ひとつ頑張っていただきたいということを最後に申し上げて、質問を終わります。

大野潔公明党・国民会議

○大野委員長 工藤晃君。

工藤晃日本共産党・革新共同

○工藤(晃)委員 私は、科学技術政策の基本にかかわる問題で、特に研究活動にかかわる問題で長官に伺いたいと思います。  先日もこの委員会に参考人の方がおいでになりまして、こもごも言われたことで大変印象に残っていることは、基礎的な研究の体制が我が国において弱いということであります。今長官も、導入型から創造型へ進まなければならないときだということも言われたと思います。端的に言って、政府の科学技術政策にこの点でこれまで問題があったのではないか。  日本学術会議も、たびたびこの問題でその弱点を指摘してきたと思います。私、この手にしております第十一期の報告書の中にも書かれております。会長は伏見康治さんであります。この中で、やはり目先の有用性だけに科学技術の研究を限定して、科学技術の創造性、独創性を妨げる傾向があるし、基礎的研究と有用性を追求する研究との正しい結合が要る。しかし、これまでの国の科学技術政策は、科学・技術、科学と技術であるにもかかわらず科学的技術政策になっているのではないかとか、産業技術政策になっているのではないかとか、こういう指摘もここに見られるわけで、具体的な表現としては、科学技術政策はビッグプロジェクト中心主義に陥ってはいないか、こういうこともありましたが、長官に伺う点は、例えば日本学術会議がこのように繰り返してきたこういう意見をこれからはもっと尊重すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

岩動道行自由民主党・自由国民会議科学技術庁長官

○岩動国務大臣 私ども、科学技術ということを続けて申しておりますが、まさに科学・技術というくらいに考えております。先般、江崎玲於奈さんと会談をしたときにも、その点については先生もそういうような御指摘をなさっておりまして、まさに私も同感を感じたわけでございます。科学あって初めて技術と、こういうことであろうと思います。つまり科学といいますと、やはり何と申しましても理論的な基礎的なものが中心であります。それがおろそかになっておりまするならば技術だけになり、そしてその技術は進歩もいたしませんし、模倣になってまいります。  したがいまして、戦後三十数年、私どもは営々として今日の日本経済の発展を図ってまいりましたが、ややもすれば導入型であったということは否めないと思います。しかし今日からは、もう既に基本的な基礎的な科学については相当のレベルにも達しております。立派な学者も出ております。ノーベル賞を受けた方もおられるわけでございますが、もっともっと出なければならないわけでございます。そういう意味におきまして、私どもは、何と申しましても基礎研究に今後とも十分に力を入れてまいりたいと思っております。とかく国の予算におきましては、そういう点におきましては投資と効果という考え方が強く前面に出ておりますが、この点につきましては、投資、国の予算を投入すれば直ちに成果と、こういうようなことでは日本の科学技術というものは十分な成長発展はできないと思っております。  そういう意味におきまして、私どもは今後とも基本的にそういう考え方で進んでまいりたい。そういう中におきまして、今学術会議のお話もございましたが、私どもは謙虚にそのようなお考えは承って、そしてこれを行政に反映してまいりたい、かように考えております。

工藤晃日本共産党・革新共同

○工藤(晃)委員 具体的に研究費の問題について伺うわけでありますが、従来も指摘され、科学技術白書にもたびたび指摘されてきたことでありますが、研究費総額に占める政府負担割合が幾らで、長期的にどういう傾向であるか。アメリカあるいは西欧諸国と比べてどうなっているのか。この点と、研究費のうち基礎研究の割合が幾らか。長期的にはどういう傾向が。またアメリカ、西欧諸国と比べてはどうか。この点、簡潔にお答えいただきたいと思います。

赤羽信久科学技術庁計画局長

○赤羽(信)政府委員 まず、研究投資に占めます政府の負担割合でございます。総理府の統計局が科学技術研究調査報告というのをとっておりますが、これによりますと、昭和五十七年度におきまして政府の負担割合が二三・六%となっておりました。これを長期的に見ますと、少しずつ下がってきている傾向がございます。民間の活動の方が活発化している、あるいは民間への技術依存的な分野が拡大しておるというようなことに伴いまして、少しずつ下がってきている傾向がございます。  それから、諸外国と比べた場合でございますが、アメリカ四六%、ヨーロッパの国も大体四〇%台ということでございます。ただし、ここでは非常に国防研究費が多いものでございますから、これを差し引いてみますと、アメリカが三〇%、西ドイツが四〇%というような数字になっておりまして、その点では我が国は低い。あるいは低いと申しますか、絶対額として見ますと、我が国はこれらのヨーロッパの国よりも民間の活動がより活発であるという解釈も半分できるかと思われます。  それから基礎研究費の割合でございます。これもやはり総理府の統計局の資料がございますが、これは御承知のようになかなか基礎研究というものの定義が難しゅうございまして、一つの仮定に基づく数字でございますが、五十七年度には一四・一%でございました。諸外国との比較は、ただいま申し上げましたように分類の仕方が非常に難しいものですから、一概に比べる数字がないのでございますけれども、それぞれの国が自分の定義によって出しました数字で申し上げますと、アメリカが一二%、ヨーロッパの国が二〇%前後ということでございまして、ヨーロッパと比べると我が国の比率が低いような数字が出ております。

工藤晃日本共産党・革新共同

○工藤(晃)委員 今数字が挙げられましたが、長期的にということでも研究費総額に占める国の割合が下がっていることと同時に、基礎研究の割合もやはり下がっておりますね。そういうことで、今長官はこれを重視しなければいけないと述べられましたけれども、現実としてはこういう方向をたどっているということを確認していただきまして、この後の質問を進めたいと思うわけであります。  具体的に文部省関係とかいろいろありますけれども、科学技術庁としては、まず注目しなければならないと思うのは、やはり国立試験研究機関において基礎的研究を重視していく、いや、もっと充実さしていく、こういう見地に立たなければならないと思いますし、これは先ほど長官もこれを進めると言われましたが、科学技術会議の第五号諮問に対する答申の中で、国立研究機関の分担すべき研究分野としまして、その第五に「将来の革新技術の芽となる基礎的研究および多くの科学技術の発展と展開の基盤となる研究開発であって、民間では実施することが困難なもの」をやらなければならない、こう述べられたわけであります。こういう点で、国立研究機関における基礎的な研究を充実させるということをやるべきだと思いますが、長官、いかがでしょうか。

岩動道行自由民主党・自由国民会議科学技術庁長官

○岩動国務大臣 従来とも科学技術庁におきましては、科学技術白書におきましてこの点については何回も指摘をしてまいったところでございます。ただ、予算の関係でなかなか思うような成果を得ておりませんが、今後ともこのように、ただいまお話のありましたような国立試験研究機関におきましても、あるいはもちろん大学におきましても基礎研究に重点を置いていく、これが創造的科学技術の進む道であろうと思っております。費用対効果ということだけであってはならない、このように考えて努力をいたしてまいりたいと思っております。

工藤晃日本共産党・革新共同

○工藤(晃)委員 そういたしますと、もう一つ具体的な質問になってまいりますが、国立研究機関におきましては経常研究という形で基礎的な研究がやられていることは御存じだと思います。このほか、大型プロジェクトあるいは特別研究、それにかかわる予算もあるわけですが、これまでの経過として、大型プロジェクトとかそういうものがかなり華々しく額もふえていくのに比べて、経常研究に充てられる研究費が大変抑えられているということが、これまで長年にわたって繰り返し指摘されてきました。これは日本学術会議も指摘してきたところであります。しかし、もう一度ここで、国立研究機関における経常的研究の意義ということをはっきりさせて、予算の上でも対策をぜひとらなければならないということを私は強く述べたいわけであります。  言うまでもなく、経常研究についてはこれまで国会の中で答弁がありまして、この重要性ということは科学技術庁としても認められてきたことは私も存じておりますけれども、改めてこの時点において強調しなければならないのじゃないか。というのは、やはり大型プロジェクトということでやると、ややともすると、それこそ費用対効果で、短時間に成果を上げなければいけない、ノルマが決まっていく。それはまだある意味では当然なのかもしれませんが、どうしてもそういう形をとる。しかし、基礎的研究というのは、そういう研究形態だけでなしに、長期にわたって自分があるテーマを追求していくとか自由な発想で見ていくとか、場合によれば、これまでの定説を疑ってかかるというようなことをしないと基礎的な研究にもならない。そういうことで、プロジェクトですと、それが終わってしまいますとそれで終わりだとかそういうことにもなるだけに、特に国立研究機関での経常研究はこれからもっと活発にやられるようにしなければならないと思いますが、その点、いかがでしょうか。

岩動道行自由民主党・自由国民会議科学技術庁長官

○岩動国務大臣 先ほども申しましたように、そういう観点からさらに一層努力をし、また科学研究費あるいは大学の予算等においても、そのように私どもも進めてまいりたいと考えております。

工藤晃日本共産党・革新共同

○工藤(晃)委員 そこで、予算の実情に入っていくわけですが、この経常研究費というのが、予算の分配の形では、国立研究所では人当研究費という名前、研究員当たり積算庁費という形でまず配分され、それからいろいろ共通費が払われて、研究室ベースの研究費として実際に研究員に渡り、そこで経常研究が行われるわけです。  これは長官も御存じだと思いますけれども、人当研究費というのは五十六年度以来単価が抑えられてきております。これは実験系、非実験系で違うわけですが、実験系Ⅰに関して言いますと、単価が百四十四万円というのが五十六年から、それから実験系Ⅱは百二十六万円がやはり同年度から、非実験系のⅠはやはり九十一万円という単価が同年度から、それから非実験系Ⅱが八十二万円でずっと抑えられたままなのですね。そればかりか、五十八年度は節約ということで五%削られることになって、今年度も、単価が抑えられた上にまた節約ということになるのじゃないか。こうなりますと、単価そのものが物価上昇にもかかわらず抑えられ、長官が先ほど、あれほど経常的研究が大事だと言われながら、実際の予算の配分からいうとこのように基礎的な研究が難しくなるような状態になっている。  ついでにもう一つ、実情について述べたいわけです。私も筑波研究学園都市の研究所の研究者の皆さんからいろいろ実情を聞きましたけれども、さっき言った単価の上では百四十四万円とかありますが、共通費などを差し引かれて、実際に研究室ベースになると、年額一人当たり三十万円か五十万円なのですね。そうしますと、今かなりいろいろ進んだ機器を使おうとしても、新しい機器を買うところか、日常のいろいろな雑費だけで終わってしまう、こういう実情になっているわけです。  必要ならばこの実情についてもっともっと述べたいわけでありますが、しかし経常研究費に向けられる人当研究費の単価を上げたり、あるいはいわゆる節約ということで無残に削るようなことをやめるということも必要でありますが、ともかくも先ほど長官が科学技術政策の参謀本部だと自認されましたので、ぜひこれは科学技術庁としてもイニシアをとってこの経常研究費の実情を調査して、それからまた関係省庁ともいろいろ連絡をとって是正といいますか改善といいますか、ぜひ取り組んでいただきたいと思いますが、どうでしょうか。

福島公夫科学技術庁研究調整局長

○福島政府委員 お答えいたします。  現状は、先生御指摘のとおり非常に寂しい状態でございます。ただ、五十六年度までは、私ども各省庁と非常に緊密な連絡をとりまして、少しずつではございましたけれども、人当研究費、先ほど先生の言われました実験系で百四十四万円というところまでこぎつけたわけでございます。ただ、五十六年度以降、御存じのようにいわゆるゼロシーリング、マイナスシーリングという状態になりまして、各研究所の所長さんたちとはぜひこれも伸ばしていきたいということでやりましたけれども、各省のいろいろな枠の事情もございましてなかなか思うようにいかず、しかも先生御指摘のように節約までかかった。この節約につきましても、各省によってみんな少しずつ違うのでございます。これはやはり枠が苦しいところがどうしても余計かかってくるというようなことになっておりますので、五%から一〇%ぐらい実際に減っている。非常に困ったことだということで、私ども五十九年度におきましても、マイナスシーリングという中でこれだけは守らなければいかぬということで、五十八年度に対して前年同額ということでつくっていただきました。  節約というのは、これは全体の問題で、庁費全体にかかってくるために、今後五十九年度は幾ら節約がかかるかということは今ちょっとわかりませんけれども、我々としては人当研究費というものが非常に重要なものであるということで認識しておりますので、頑張っていきたいと考えております。

工藤晃日本共産党・革新共同

○工藤(晃)委員 長官も、その点についてぜひ調査して改善を図っていただきたいと思いますが、どうですか。

岩動道行自由民主党・自由国民会議科学技術庁長官

○岩動国務大臣 そのように努力してまいります。

工藤晃日本共産党・革新共同

○工藤(晃)委員 これと関係あるのですが、研究者にとって大事なのは、研究したものを学会で発表するとか、当然学会で時には意地の悪い論敵から大いに批判を浴びながらその中で切磋琢磨するということでありますが、今国立研究機関で仕事をしている研究者にとって非常に苦しくなっている問題は、学会参加の旅費問題なのです。何か小さい問題だと思わないでいただきたいんですが、さっき言ったようにこれは非常に深刻な問題になってきて、私費で参加しなければいけないという実情が大変多いわけです。  なぜかといいますと、学会の出席旅費というのが大体二万円ということで長く抑えられてきて、それから研究職の三等級以上に限り二年に一回ということですから、さっさ言った二万円に二分の一という係数が掛けられていくわけです。ある研究所の実例を申し上げますと、四十九年に二万三千七百四十円だったのが、五十一年から五十八年ずっと二万三千四百九十円ということなんですね。そうしますと、四十九年から五十七年、新幹線で新大阪に行くとか博多に行くというのを、運賃を見ますと二・三倍、二・四倍ですから、言ってみると、運賃上昇から見てもこの旅費というのは四〇%しかカバーできないということです。それから、最近はいろいろな学会がふえてきておりますから、筑波でも平均して一人二学会に参加しているという例があります。そして年平均二・五回は学会に出かけるということですが、二年に一回しか行けないということからいうと、二学会に参加したということを考えてみますと、もちろん学会によると春秋あるところもあるわけですが、実は二〇%しかカバーできないというようなことで、それで研究者からの訴えによりますと、交通費の自己負担が平均三万円前後あって、しかも行きたいところをかなり我慢している、こういうことになっているという実情です。  学会によりますと、これはすべての学会じゃないと思いますけれども、学会で口頭で報告をしないと論文、ペーパーを出せないわけですね。そういうところもあるわけで、研究者がここで研究者として実力を蓄えていくには学会参加というのは非常に大事な問題であるにもかかわらず、実情はこうなっているというこの点もぜひ長官の方で実情を調べて、そしてやはり各省庁とも連絡をとって改善をぜひ図っていただきたい、こう思いますが、どうでしょうか。

福島公夫科学技術庁研究調整局長

○福島政府委員 お答えいたします。  この問題も全く御指摘のとおりでございます。こちらの方は五十七年度はまだ減っておらなかったのでございますが、五十八年度はかなり係数が掛けられて減っております。五十九年度につきましては、それ以上減らされたら大変ということで、実はこれも各省庁、官房の方を通じてこれを減らさないように要求するということは大変でございましたけれども、私ども各省庁と共同歩調をとりまして、何とか五十八年度並みのものにはしたつもりでございます。  ただ、この問題につきましては、こういう種類のものは毎年毎年繰り返し繰り返し要求をしていくということが非常に大事でございまして、今までもこういったものについては、昔の経験でございますけれども、繰り返し繰り返しやっているうちに膨らませていただくというケースがございますので、来年すぐふえるか、再来年ふえるかと言われても困るのではございますけれども、私ども非常に重要な経費だと考えておりますので、年々頑張っていきたいと考えております。

工藤晃日本共産党・革新共同

○工藤(晃)委員 では長官、お願いします。

岩動道行自由民主党・自由国民会議科学技術庁長官

○岩動国務大臣 今担当局長からも申したようなことでございますが、さらに私がここで考えてみたいと思いますのは、いろいろ御批判もあるかもしれませんが、学会はそれぞれの専門分野で非常に大事な科学技術の進歩のための場でございます。そして、ただいま日本の国家財政というのは大変な苦しい状況にございます。そこで、民間の活力を導入して、そして産学官の体制でやっていく、あるいは公共事業もなかなかふやせないということで民間の活力を導入する、こういったような時代に入ってきております。  したがいまして、学会等におきましても、できればそれぞれきれいなお金で、そして民間からも基本的な学術の振興のために御協力をいただいていく、こういう道も今後さらに検討していい分野ではないだろうか。国だけではやはりなかなか思うように立派な増額というものはできない難しい状況にございます。努力はいたしまするが、そう飛躍的な期待は今日できないような財政状況でもございますので、そういうことも今後とも考えていかなければならない、かように私は考えております。

工藤晃日本共産党・革新共同

○工藤(晃)委員 今の長官の答弁を聞くと、ちょっとかみ合わなかったような気がするのですが、国立研究所の研究員が学会に参加するということ自体、それこそ民間の研究所の人も来るだろうし、大学関係の人も来るだろうし、そこで交流されるわけですね。これは言ってみれば民間活力だということにもなると思うわけでありまして、予算で思うように参加できないということは、基礎研究を発展させる上で非常に障害になっていますよ。特に国外の学会に参加するに至っては、非常に予算が抑えられていますからほとんど私費で行っているという状況、しかも、その場合は出張扱いにもされないので、それこそ観光とかなんとかでビザをとらなければいけないという、本当に我が国がこれから科学技術をもっともっと発展させなければいけないというときにふさわしくない状況であるわけです。この点はぜひ理解していただきまして、改善に努めていただきたいということで、時間も少なくなりましたので、宇宙の問題について少し伺いたいと思います。  長官に政府の宇宙開発政策について聞きます。  今米ソが宇宙軍拡時代に入ったと断言していいかどうか、私はよくわかりませんけれども、例えばストックホルム国際平和研、SIPRIの報告などを見ましても、これまで米ソが上げた衛星の四分の三は軍事的衛星であるということも指摘しております。それから、私はレーガン大統領の八二年七月の国家宇宙政策というものも見ましたが、この中では、米国の安全保障の強化が基本目的の第一に述べられていますし、スペースシャトルの軍事的利用ということも進んでおりますし、また、昨年米国でも大変問題になりましたが、レーガン大統領がスターウォーズ構想を発表した。あるいは、伝えられる新しい会計年度の国防予算で宇宙兵器の重点開発というものを強く打ち出した。他方、ソ連の側でありますが、SIPRIの報告でも、ソ連は六七年以来、攻撃衛星に関連すると見られる宇宙物体を八一年まで三十三機打ち上げたという状況も伝えられています。  これが宇宙の国際的な新しい状況ということですが、同時に、我が国の状況を見ましても、先ほど大変問題になりました通信衛星を硫黄島-本土間の通信のため自衛隊の使用を認めるという問題や、それから政府与党の自民党の宇宙開発特別委員会に、軍事衛星打ち上げの提言と見られる新しい提案があったということもあります。もっと言うならば、宇宙開発に関連する技術というのは、やろうと思えば軍事的にいつでも転換できる、こういう内容がある。こういうことから、今国民の間にも宇宙の軍事化といいますか、それがまた地球を滅ぼすのではないかという不安が非常に広まっているときだと思います。  こういうときに、我が国の宇宙開発事業団法の中には、はっきりと平和の目的に限る。この「平和の目的」というのは、「非核・非軍事を趣旨として」ということでこの「平和の目的」ということがはっきりさせられましたし、四十四年五月九日の衆議院の決議に、これは何も事業団法ということでなしに、「わが国における宇宙の開発及び利用の基本に関する決議案」として平和の目的に限るということが書かれたことは大事だと思いますけれども、こういう平和の条項といいますか、これからも国の宇宙開発政策の中に貫いていく、守っていくということを、こういう時期でありますし、国民も大変不安を感じているときでありますから、長官、ぜひこの場ではっきり示していただきたいと思うわけであります。

岩動道行自由民主党・自由国民会議科学技術庁長官

○岩動国務大臣 従来とも私どもは、宇宙開発事業団法そしてまた国会の決議、つまり宇宙開発は平和利用ということで進める、その線を逸脱することのないようにやってまいりましたし、今後ともそういう基本精神で対応してまいりたいと考えております。

工藤晃日本共産党・革新共同

○工藤(晃)委員 そこで、これに続きまして、昨日も当委員会におきまして取り上げられましたレーガン大統領が一月二十五日有人宇宙ステーションを提案しまして、そして三月にはNASAのベッグズ長官が来日して参加を求めたということでありまして、そのときも答弁いただいたわけでありますが、もう少し具体的に、政府がどう対応していこうとしているのか、その点伺いたいと思います。

岩動道行自由民主党・自由国民会議科学技術庁長官

○岩動国務大臣 先般、大統領の特使としてベッグズNASA長官が来日をいたしまして、私ども会談をいたしました。その際、既に明らかでありましたように、レーガン大統領の提案しております宇宙基地計画というものはあくまでも民生用である、商業的にこれを活用する、こういうことを私どもは確認をして、そして今後その対応を考えていく、こういうことでございます。  詳細については政府委員から答弁させます。

福島公夫科学技術庁研究調整局長

○福島政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大臣から御答弁したとおりでございますが、私どもは、ベッグズ長官御一行が日本に来られている間、この問題につきまして最も神経を使って何度も確認し合ったものでございます。ベッグズ長官のお話によりますと、確かにアメリカにおきましては、NASAが開発をした技術というものは何人にも使わせなければならないという国内法があるということでございますので、なおさら我々としてはこの点に非常に神経を使ったわけでございます。  今回の宇宙基地は、北緯二十八・五度から南緯二十八・五度という最も経済的な基地を打ち上げる。これは、もちろん民生用にやるためには最も経済的なものでなければならない。そういったもので打ち上げるわけでございますが、そのために軍関係の方はこの基地については全く興味がない、したがってこれはあくまでも民生用で通すというお話をいただいております。  しかし、それでもなお、宇宙基地をつくりました技術が将来そのまままた軍関係に使われることがあるのではないかということもありまして、いろいろ話を詰めた結果、アメリカの方は、あくまでも本体についてはアメリカだけで開発をする、そこにヨーロッパあるいは日本、カナダ、それぞれが開発したものを付加してほしいということで、つまり日本の技術でつくられるものはそれに付加するという形で入るということでございますので、万一、将来その技術が軍の方に行くということがありましても、そのときにはヨーロッパあるいはカナダ、日本の技術というものは切り離していけるんだ。それで、そういう問題については必ず参加した国によく相談してやるということを明言されましたので、我々はこの線で、いわゆる宇宙開発事業団法あるいは国会決議というものに抵触しないで、日本の宇宙基地の利用ができるのではないかということで進めております。  なお、この問題につきましては、いずれアメリカ側と何か交換公文あるいは協定というものを結びながらやっていかなければならないのではないかと我々今考えておりますので、そのときにも文書ではっきり確認をとるつもりでございます。

工藤晃日本共産党・革新共同

○工藤(晃)委員 今、交換公文ないしは協定を結ぶ方針だということを伺いましたが、それでも私はまだいろいろ不安を感じるわけです。  というのは、もうこれは御存じだと思いますが、昨年ですかイギリスの「ネーチャー」という雑誌が取り上げて、それからことしは「エービエーション・ウイーク」というアメリカの雑誌が取り上げて、どちらも、言ってみると国防総省は余り関心のないような顔をしているけれども実は物すごい関心を持っているということを書いてありまして、そして結局、NASAと国防総省との間では、将来軍事的に使うときに障害がないようなデザインにするために非常に密接な連絡が行われ、空軍ないし海軍の将校が既にNASAへ行っている、こういうことも伝えられている。  それからもう一つ、私、ベッグズ長官の日米協会での講演も読んだわけですが、あの中にはステーション本体と一緒になって極軌道を動く無人のステーションというのがある。もう一つ、無人ステージョン二つと書いてありますね。まさに「ネーチャー」なんかが指摘していたのは、アメリカの方が非常に関心を持っているのはこの極軌道の方の無人のステーションであるということがそろってあるし、それから、その極軌道を描く無人のステーションのことは、今度のベッグズが東京でお話しになった話の中にもちゃんと出てくるわけですね。  そうすると、幾つか考えられるのは、ステーションで開発されたNASAの技術がいずれは米軍に行くだろう、米軍というか国防省に行くだろう、これはもう当然考えられるわけなんですが、もう一つ、本体そのものが軍事的に使われるだろうというケース、それから三つ目は、本体ではないけれども極軌道の方を米軍が使うだろう。いろいろなケースが起きるわけですが、日本のこの平和の目的に限るという政策に立つ場合、私は、いずれの場合にもそういう軍事的な利用ということがはっきりしている以上、はっきりしたときにはこれは参加しないのが正しい、こう考えるし、ぜひそれを貫かなければいけないと思いますが、そういう軍事的な利用ということが将来もっとはっきりした段階では、国の政策からいって参加を断わるということもあると考えていいわけですか。

福島公夫科学技術庁研究調整局長

○福島政府委員 お答えいたします。  ただいまのフリーフライヤーについては、私どもが受け取った計画書の中にも、まだクエスチョンマークがついた形でついております。フリーフライヤーを二つあげる、一つは低傾斜角で、一つは極軌道というふうにやっておりますが、これはいずれも、低傾斜角の方は宇宙物理の実験に使う、それから高傾斜角、いわゆる極軌道に近いものでございますが、これについては地球観測に用いられるという説明が書いてありますが、これは取りつけられるかどうかということはクエスチョンマークになっております。  それで、私どもこの辺がまだ最終的にお金の点ではっきりしておりませんが、今NASAが考えている八十億ドルという資金でございますけれども、これでつくる分については全くすべて民生用であるということをベッグズ長官ははっきり言っております。それを我々としてはもちろん信用しているわけでございますし、信用しながらも、将来その技術がアメリカの国内法によれば当然軍に行く可能性もあるわけでございますので、そこで技術というもののインターフェースを非常にクリーンにしておこう、そういうことによって担保したい。と申しますのは、やはりこの機会を使わないと、日本は科学技術の関係も産業界もこの宇宙を使ったいろいろの実験というものに対して非常に乗りおくれるということがございますので、あくまでも今言ったようなクリーンなインターフェースというものを確保しながら参加できる道を探っていこうとする立場にあるわけでございます。  そういう意味で、幸いに今回はベッグズ長官も重ね重ね民生用に限るということを言っておりますので、これに参加できればということで検討しているわけでございます。

工藤晃日本共産党・革新共同

○工藤(晃)委員 じゃ時間がなくなりましたので終わりますが、このアメリカの計画自体、軍事的な目的に非常に絡んでいると見られる節が多くありますし、またアメリカの国家宇宙政策からいって、それは当然のことだと思いますので、今後私もこの委員会でこの問題についてはいろいろ繰り返し追及していきたいと思いますし、かつてSRCⅡという国際的なビッグプロジェクトがアメリカ側の一方的な中止で終わってしまったというようないきさつ、きょうも伺いたくて通産省の方に来ていただきましたが、時間もなくて終わりますけれども、こういうこもごものことを考えてぜひ慎重に対処していただきたいという希望を述べまして、私の質問を終わらせていただきます。

大野潔公明党・国民会議

○大野委員長 辻一彦君。

辻一彦無所属

○辻(一)委員 私は、しばらくこの国会論議に参加はしてなかったのですが、久しぶりにいろんなお話を聞きまして、原子力開発も五、六年に随分と進んでいったという感じがします。そこで、科学技術のあり方について長官に一言伺いたいと思いましたが、皆さんかなりなお話もありましたので、時間があれば後にお伺いいたしたいと思います。  端的に具体的な問題に入りますが、原子力発電は一つのネックとして、トイレなきマンションとも言われて、放射性廃棄物をどう処理するかということが大変大きな課題でありました。大分いろいろ進んでおるとは思いますが、この専門部会の報告書を見ると、このまま推移をするならば、六十五年にはドラム缶百十万本が蓄積されるというように報告をされております。福島でも、あの原子力サイトで十七万本、私ども若狭湾では七万本が現に貯蔵されておりますが、これらを一体どうするかということは大変大事な問題であると思います。高レベル、中レベルはきょうは別として、低レベルの放射性廃棄物に対する対処いかんということで御見解を伺いたいと思います。

中村守孝科学技術庁原子力局長

○中村(守)政府委員 お答えいたします。  低レベル放射性廃棄物につきましては、先生御指摘のように、現在発電所の構内等にドラム缶に入れたものを中心にしまして安全に貯蔵されておるわけでございますが、現在の数でございますと、発電所のみならず全体で累計いたしますと、五十八年九月末現在で累積保管量は四十八万八千六百本、保管能力という点から見ますと全体で八十四万本程度の貯蔵容量がございまして、今なお貯蔵容量的には余裕があるわけでございますが、最終的にはこれは海洋処分と陸地処分をあわせて行うということを考えておるわけでございます。  海洋処分につきましては、これまでいろいろな調査を実施いたしまして、国内法令の整備も進め、また安全評価も既に済ましておりまして、国際協調のもとにこれを進めるということで、国際条約に加盟するというようなことも含めまして、いろいろな実施準備を進めてきたところでございます。技術的には既に試験的な海洋処分が実施し得るという状況にあるわけでございますが、この実施につきましては、内外の関係者の御理解を得なければならないというところでございますが、現在この問題について討論する場といたしまして、国際的に廃棄物などの海洋投棄を規制するためのロンドン条約の締約国協議会議というのがございまして、ここで安全性に関する科学的検討が開始されておるところでございます。こういったところでこの安全性についての認識というものが国際的にもオーソライズされて、海洋の試験投棄等が実施できるようになるということを期待しておりまして、今後ともこの検討には積極的に参加、協力するなど早期に試験的海洋処分を行いまして、本格的な海洋の処分を行いたいと思っておるわけでございます。(辻(一)委員「全体の時間が短いから」と呼ぶ)はい。  一方、陸地処分につきましては、安全評価手法の整備等を行っておりまして、今後は処分技術の実証のための試験的陸地処分の実証を経て本格的な処分に移行してまいりたい。その陸地処分につきましては、当面の問題として、発電所の敷地内にためておくだけでなくて、敷地外において長期的かつ集中的に貯蔵することが現実的な対応策ではないかということで、この面についての具体的な準備が進められておるところでございます。

辻一彦無所属

○辻(一)委員 この海洋投棄は、国際的な関係があって理解を得るにはなかなか簡単ではない、容易ではないという感じがします。そうしますと、当面やはり陸上で保管をするというか、今の敷地外保管ということになりますが、そうすればかなりな場所とそういう条件が必要になりますが、そういうものについての見通しというものはどれぐらい持っておりますか。全般の時間が非常に限られているから、簡単で結構です。

中村守孝科学技術庁原子力局長

○中村(守)政府委員 お答えいたします。  いわゆる敷地外貯蔵のサイトにつきましては、現在、財団法人の環境整備センターで全国的な調査もいたしてございますが、既に各地からいろいろなお話もございまして、ぜひ来てほしいというようなところもいろいろあるわけでございますが、なお慎重にその用地の選定等を進めている段階でございます。

辻一彦無所属

○辻(一)委員 長官、この廃棄物処理政策の確立ということは、原発の一つのネックであると思いますので、非常に大事だと思うので、特に今住民の側からすると、ドラム缶を何万本も積み上げていくというような状況は敷地内といえどもいろいろな不安があるとか心配がありますが、これらをひとつなるべく早い時間で安心できる方法でこの処理ができるように、そのために努力していただく所信を一言伺いたい。

岩動道行自由民主党・自由国民会議科学技術庁長官

○岩動国務大臣 発電の方はおかげさまで安全性を確保しながら大変な成果を上げてきておると思いますが、やはりその使用済み燃料、そして特に低レベルの問題が今大きな当面の問題でございますので、私どもは、担当局長が申しましたような方向で、極力急いでそういうような適地を見つけることができるならば幸いだと思って努力をいたしてまいります。

辻一彦無所属

○辻(一)委員 中国との原子力の覚書が交換されて妥結をしたということ、我が国が中国といろいろな面で協力していくということは大変大事なことで結構であると思いますが、いかなる国であれ、日本の原子力は平和利用に限るという国是が私はあると思うのです。どういう国にもこの方針が貫かれなくてはならないと思いますが、その点はどうかということ。  それから、交渉過程で国際原子力機関の査察、次に検認、次に訪問というように三つの変化があるのですが、この三つはどれぐらいの違いがあるのかということを、極めて簡単で結構ですからちょっとお答えいただきたい。

中村守孝科学技術庁原子力局長

○中村(守)政府委員 外国に対するいろいろな輸出等についても平和利用が徹底しなければならないということは我が国の政策でございまして、原子力委員会が昭和三十七年に原子力基本法と原子力関係物資の輸出の問題について見解を明らかにしておるところでございます。

辻一彦無所属

○辻(一)委員 三つの相違。

大塚和彦資源エネルギー庁長官官房原子力産業課長

○大塚説明員 ただいま先生お尋ねになりましたのは、新聞などでいろいろそういう書き方があったというのが一つのことであろうと思いますが、査察と申しますのは、どちらかと申しますとIAEAが制度的にやっておりますのを中心に申しております。検認というのは、それを確かめたり、かなり一般的な用語でございますが、要は平和利用をいかに確保するかということでございまして、そのやり方をどう国際的な場であるとかあるいは二国間で確保するか、その中でいろいろな言葉の使い方が新聞などに出たもの、かようにお受け取りいただければと思います。

辻一彦無所属

○辻(一)委員 覚書を拝見しますと、訪問によって確認する、こうあるのですが、大体訪問することによって平和的利用に限定されているあるいは否かということを確かめることができますか。

中村守孝科学技術庁原子力局長

○中村(守)政府委員 訪問によりまして、今回いかに向こうの施設が平和的に利用されていくか等を確認することにいたしておるわけでございまして、この点については、具体的な方法等につきましては今後十分確認できるようなことで詰めてまいりたい、こういうぐあいに考えておる次第でございます。

辻一彦無所属

○辻(一)委員 中国との友好関係を大切にしながら原子力の平和利用に対する我が国の方針を貫徹する、なかなか簡単ではないと思いますが、これができるという、やらなくちゃいかぬわけですが、やれる確信、長官いかがですか。

岩動道行自由民主党・自由国民会議科学技術庁長官

○岩動国務大臣 今回、日中の間で原子力容器の輸出の問題に限って覚書を結んだわけでございますが、一番私ども苦労いたしましたのは、何といいましても国内における原子力の平和利用、そしてまた、これは海外に協力としてあるいは輸出として原子力の関係のものを輸出するという場合にも、あくまでも平和利用という基本観念を持っていく。これは原子力委員会の意思でもございます。したがいまして、その平和利用をいかにして確保するかということが最大の問題でございました。中国は核防条約に入っておりません。一方、IAEAにはようやくお入りになったということでございました。  そこで私どもは、いろいろな話し合い、交渉の経過におきまして、秦山の原子力発電所における日本から輸出される圧力容器につきましては、これは平和利用に限って使いますということの確約ができました。それならば、そこで発電をされて、そして使用済み燃料が出てきたときに、その使用済み燃料はどうするのか。これまたプルトニウムという大きな問題がございますので、それもやはり平和利用の範囲の中で私どもは確認をしていきたい、こういうことでいろいろお話をいたしました。その結果、日本側の要請によって、中国に訪問をして、そしていろいろお話をしていく、そういう中において使用済み燃料についても平和利用に限る、こういうことの確証が得られるような話し合いが交渉の過程においてあったわけでございます。これは文書の中には入っておりませんけれども、話し合いの過程においては十分に我が方の意向は伝えられておりますので、私どもは、この訪問によってその目的が達成される、かように考えております。

辻一彦無所属

○辻(一)委員 なかなか難しい問題ですが、長官の所信をひとつ貫いて、友好を維持しながらまた我が国の方針も貫いてほしいと思います。  最後に、私、今全国の電力生産の中で原子力発電が占める割合は約二〇%と、細かい数字は別として言えると思いますが、その中で私の地域であります若狭湾は現在九基六百三十万キロワット、これに高浜三、四を加えますと、大体新型転換炉を含めて八百万キロワットが今動いているという状況になると思います。言うならば日本の原子力発電の三分の一以上ということになりますが、これに敦賀二号、高速等の百四十万がもし進むとすれば九百四十万キロワット、約一千万キロワットという容量になる。全国的にも七、八十キロの距離の中にこれだけの発電所が集中しているというところはないし、国際的にも、私も各国を体一つで見ましたが、余りそういう例がない。言うならば、我が国の電力生産の非常に大きな基地でないかと思うのです。  そういう意味で、大きい役割をこの若狭地域は電力生産として果たしておると思いますが、その中で、電力はどんどん生産をしておるのですが、人口が減っているという事実がある。これは二市六カ町村という歴史と文化と伝統のある市町村を抱えながら人口が減っているということは非常に問題があるのではないか。こんな点から私は、これだけの電力生産基地に対して工業団地等を含むところの地域の振興対策、それも何かの施設をごく少しずつつくるとかいうのではなしに、長期に若い人が定着できるような対策を考えるべきでないか、こう思いますが、政府の考え方はどうか、お伺いしたいと思います。

松田泰資源エネルギー庁長官官房審議官

○松田政府委員 お答えいたします。  今先生お述べになりましたように、電源立地の重要性及びその電源の周辺の住民の方々の福祉の向上を両立させるために、いわゆる電源三法が設けられまして、その交付金の交付というものを通じまして、もちろん嶺南地域を含めまして、皆様の福祉の向上に努めているところでございます。  特に、今お話ございましたように、地元から産業振興に対する要望が大変強いものでございますので、電源立地促進対策交付金の使い道に「産業の振興に寄与する施設」という項目を設けまして、工業団地でありますとか工業用水道あるいは各種産業試験所などを追加いたしまして、その運用に鋭意改善を加えているという状況でございます。私どもも、今後電源三法のいろいろな制度を通じまして、電源地域の産業振興に寄与していきたいというふうに考えている次第でございます。

辻一彦無所属

○辻(一)委員 資源エネルギー庁で二回にわたって委託した調査が行われております。去年どことしと調査は進むのだろうと思いますが、いつごろ取りまとめて、その調査をどういうふうに生かす考えか、お伺いしたい。

松田泰資源エネルギー庁長官官房審議官

○松田政府委員 当省といたしましては、日本立地センターに嶺南地域の中長期にわたる地域振興に資するための基礎資料の作成を委託しておりまして、今後地方自治体が実際の実施計画を作成される前に参考にしていただきたいということを目的として行っております。これは、五十八年度から五十九年度にかけての予定でございまして、今のところ五十九年度でまとまるものと考えておりますが、その具体的な使い道については、自治体とよく相談して考えていきたいというふうに考えておる次第でございます。

辻一彦無所属

○辻(一)委員 重ねて伺いますが、そういう調査結果を踏まえて、国として地域振興策により積極的に取り組む用意が資源エネルギー庁としてあるのかどうか、いかがですか。

松田泰資源エネルギー庁長官官房審議官

○松田政府委員 私どもも、地域振興には積極的に取り組んでまいりたいと考えておる次第でございますが、もちろんこれには財政状況あるいは電源特別会計等の状況によりましておのずから制約はあると思いますが、基本的には積極的に取り組んでまいりたいというふうに考える次第でございます。

辻一彦無所属

○辻(一)委員 長官にお伺いしますが、資源エネルギー庁の方は積極的に取り組む考えである、こういうことですが、科学技術庁としては、これと連携をとりながら、前向きにこの問題をさらに推進する用意があるかどうか、最後にひとつお伺いしたいと思います。

岩動道行自由民主党・自由国民会議科学技術庁長官

○岩動国務大臣 政府といたしましては、大事な電源の立地でございますので、当然御協力を申し上げてまいりたいと思います。  なお、私個人といたしましても、このような電源立地の問題についてはかねてから非常な関心を持って、いろいろな機会に勉強さしていただきました。そういう過程におきまして、例えば福島は福井県と並ぶ電源立地の多いところでございます。そういうところで、地域振興対策として何か総合的な法案をつくってみたらどうか、こういうことで、私どもも参加をしてそのような法案づくりをしたこともございます。まだこれが政府の中において正式に取り上げられるという段階ではございませんが、そういう研究もいたしておる一人でございますので、今後とも政府としてはそのような努力をしてまいりたいと考えております。

辻一彦無所属

○辻(一)委員 これで終わったのですが、ちょっと一分だけ。  長官のお話をさっきもずっと聞いておったのですが、導入から創造性へと、大変結構であると思います。原子力の発展過程を見ても、今軽水炉原子炉には欧米の視察があるとか、あるいは再処理工場も、東海がとまったりやっておりますが、新しい技術が開拓されるとか、導入されたものの上にはすばらしい応用能力を我が国はいろいろな科学技術の面で持ちますが、どうもオリジナルをつくっていくという点についではやはりどうしても弱い。この欠陥を何とか克服しないとこれからはいけないのじゃないかと思うのですが、さっきもお伺いしましたが、二言その決意を伺って終わりたいと思います。

岩動道行自由民主党・自由国民会議科学技術庁長官

○岩動国務大臣 まさにおっしゃるとおり、導入、物まねから独創的なものにならなければなりません。そのためには、何といっても基礎研究の科学というものに大きなウエートを注いでいかなければならないと思います。  私が長官に就任いたしましてから直面いたしましたのは、気象衛星ひまわり二号の故障でございます。これについては、地上のセンターで随分苦労いたして直そうといたしましたが、とうとう直し切れなかったのであります。それは、衛星の中心部がアメリカからの導入のものであった。やはりこれは、自前のものであれば、どこがどう故障してどうすればいい、こういう対応ができるわけでございますが、それができなくて、とうとう隠居しておった一号を持ってこざるを得なかった。こういうことから見ましても、どうしても自前のもの、そういう体制をさらに強力に進めていかなければならないということで、決意を新たにして進んでまいりたいと思っております。

大野潔公明党・国民会議

○大野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十七分散会

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