P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
100回国会参議院1983/09/22

予算委員会 第2号

発言数
484
登壇者
51
会派数
8
開催日
1983/09/22

会議録

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  予算の執行状況に関する調査を議題といたします。  まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  予算の執行状況に関する調査のため、本日の委員会に日本銀行総裁前川春雄君及び住宅・都市整備公団理事武田晋治君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、出席時刻等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) それでは、きのうに引き続き質疑を行います。鈴木一弘君。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、景気対策、そのほか当面の諸問題に対して、総理並びに関係閣僚に対し質疑を行うものであります。  初めに、政治姿勢について総理にお伺いしたいと思いますが、総理は所信表明の中で、「主権在民、平和主義、三権分立を初め民主主義を支える憲法の諸原則を忠実に守り、」と述べられ、また「高い政治倫理の確立が必須」であるとも述べておりますが、どうもいままでの国会での答弁を伺うと、これとは大きく違っているような気がいたします。そのよい例が、十月十二日のロッキード事件での田中元総理に対する判決をめぐってその感を特に強くするわけであります。総理は、田中元総理事件をめぐる政治倫理問題について発言すべき立場にない、あるいは政府としては三権分立の原則を厳守していきたいと答弁しております。これは国民不信のもとになるのじゃないか、私はそういうふうに思うんですが、その点いかがでございましょうか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 政治倫理の問題につきましては、政治家としてこれを最も重大にとらえてわれわれ進退をしていかなければならぬということは前から申し上げておるとおりでございます。しかし、今回の判決の問題につきましては、余りにも判決の時期が切迫してきつつあるものでございますから、三権分立の趣旨にのっとりまして、裁判官に予断を与えないように、むしろこの際は静ひつを持して静かにこれを見守る、それが立法府あるいは行政府のしかるべき態度ではないか、このように考えておりまして、そのように申し上げておる次第なのでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 しかし、三権分立とは、三権が互いに侵さない、侵されないというのが基本的な考え方であります。  ところで、憲法の第七十六条では、「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」という司法権の独立を明定しております。したがって、良心と法律に基づく判決が予想されるわけでありますから、国会がどう動こうと、政情がどう変わろうと、国民が司法を信頼できるように、こういうふうに明定されているわけであります。ところが総理の御発言は、裁判官が総理の発言に影響されて、この規定に違反するような裁判をするおそれのあることを前提としているというふうに思われます。しかし、これは裁判官に対する不信そのものであり、このような前提での発言は憲法の右の条項に違反するものであり、こういう思想こそ三権分立の精神に反するものである、こういうふうに私は思います。一体、総理は裁判官の職責をどのように考えておられるか、これが一つ。裁判官の法的な判断と政治倫理からの判断あるいは意見表明というものは別のものであります。その基本において全く異なるものがあるわけでありますが、これを不必要に拡張して、三権分立を理由に倫理問題について発言を拒否するというのは理解しがたいものがあるのですが、これについての御意見を伺いたい。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 裁判につきまして民間の団体やらあるいは民間人がいろいろ御意見を出したりすることは、これは表現の自由でありますから、私は御自由であると思っております。しかし、国家の機関である行政府あるいは立法府という場になりますと、お互いがお互い円滑に職務が遂行できるようにおもんぱかりを行うということは大事であるだろうと思うのです。  たとえば行政府にいたしますれば、立法府がいろいろお仕事をなさるについては憲法上や国会法上の規定もございますが、しかし憲法の趣旨からかんがみましても、これに審議がよく行われるように協力する。また、立法府にいたしますれば、行政府がまた国民に対して法をあるいは執行していくという場合に、この執行を余り妨害しないようにおもんぱかってあげる。また、裁判所に対しましては、同じく裁判官は法と良心に従って判決を下すものであると法律、憲法にも明定してありますが、それが行われやすいように国家機関である場合にはおもんぱかってあげる。これがやはり三権間の憲法上われわれが考慮すべきお互いの関係ではないかと思うのです。しかも、判決が間近に迫ってきているという今日でございます。裁判官といえども人間でございます。そういう意味におきましては、お互い人間同士としても静ひつを持して職務がしやすいようにおもんぱかりをやる、そういうことが大事ではないかと思っておるわけでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 総理はどうも憲法の条項をよくわからないのじゃないか、理解がちょっと違うような感じがするんですが、無罪の大合唱が幾ら起きても、また逆に有罪の大合唱が幾ら起きても、そういうことによって揺り動かされるような裁判官だったら、これはもう司法の独立はないわけですよ。そういう点から考えると、確かに行政の長として最高の責任者としての言葉かもしれませんけれども、それによって左右されるというのでは、これは私は裁判官の不信になるのじゃないかというふうに思うんですが、改めてもう一度そこのところを伺いたいんです。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 合唱が起こるか起こらないか、いろいろな議論が出るか出ないか、民間の場合にはこれは御自由で、それこそ表現の自由、言論の自由ということの保障であるだろうと思いますが、事国家機関、しかも国会は国権の最高機関でもあります。そういうような場になりますと、三権の間がお互いに妨害し合わないようにおもんぱかりをやる、そういうエチケットが私はお互い大事ではないか。この三権の関係というのは非常に微妙なものがあります。そして、その関係の中には、やはり人間がやることでございますから、いろいろな法的機関の言論やら何かというものにつきましては権威があるわけでございますから、一般のジャーナリズムがお書きになるのとは違う国家機関としての職責上の発言という問題については権威がございますから、そういう点をおもんぱかってわれわれとしてはエチケットを守っていくというのが政治家として好ましい態度ではないかと思っておるわけでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 いまのお話からだと、行政の方の権威からの話がある、それによって裁判官の心証がぐらぐら動くんじゃないかというようなふうに聞こえまして、私は明らかに司法に対する不信、司法の独立を侵すようなそういうお考えをお持ちだというふうに思わざるを得ないんです。まあこの問題はすれ違いになってしまいますからこの程度にいたしますが、そういうふうに思わざるを得ないというふうに思います。  私は、それじゃその上で今度は別の観点から申し上げてお伺いしたいんですが、道義的、政治的責任、これについては、もし総理が田中元総理の立場ならどういうふうにおやりになるでしょうか、これをお伺いしたいと思うんです。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) これも非常に微妙なデリケートな御質問でございまして、こういういまの状況にかんがみまして、仮定の問題には発言を差し控えさしていただきたいと思います。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 どうも納得のいく御返事は伺えないようですけれども、議院証言法であるとか、あるいはその議院証言法の改正、それから政治倫理委員会の設立、これは当然積極的に進めていかなければならない問題だと思うんです。これは総理の政治姿勢の中で私は大きな問題になると思うんですけれども、これについてのお考えをお聞きしたいと思います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) これらはみんな国会のマターでございまして、いままでいろいろ国会におきまして各党のお考えも出され、御論議がなされている問題で、議院運営委員会等においても審議されてきている問題でございますから、国会の中において合意が形成されるように期待をしておる次第でございます。特に議院証言法の問題については各党の案がかつて出されました。したがいまして、ごくわずかな部分の妥協で日の目を見るのではないか。たとえばテレビを入れるのか入れないのか、そういう程度のいろいろな問題があるという段階でもありますから、その辺は各党でいろいろ話をまとめて、日の目を見るようにさしていただいたらいいのではないかと考えております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 自民党総裁としての総理としては、積極的に進める意思はあるんですね。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、かつて国会の証言に出ましたときに、この議院証言法には欠陥があります、したがいまして証言法を直してもらいたい、いまの証言法で国会議員が証人に出るのは私を最後にしていただきたい、そういうことも申し上げておるのでありまして、改正を熱望しておる一人なのであります。したがいまして、各党が話をうまくまとめましておつくりくださるようにお願いいたしたいと思っております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 では、景気に移りたいと思います。  最初は通産大臣に伺いたいのですが、七月二十七日に経済企画庁が景気底離れ宣言をしました。確かにそれ以後の経済の動向を見るとうなずけるものがあるのですが、当初、政府部内でも通産省を中心に時期尚早論が大分あった。現在どう見ておりますか。

宇野宗佑自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 景気に関しましては四月五日の経済対策、これが着実に実行されていますから、非常にこれも効を奏しているのではないかと、こう考えています。しかしながら、厳密な分析をいたしますと、やはり内需よりも外需にその比重がかかっておるということは否定できないと私は思います。しかしながら、内需に力を与えるのならばよくなるであろう。したがいまして、景気の見通しは明るいものがあるけれども、いささか内需に力欠くるところあり、これが私の認識であります。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 大蔵大臣、アメリカの景気の予想外の回復から通関実績がぐっとよくなってきているというように言われているんですが、どんなふうでございましょうか。

垂水公正大蔵省関税局長

○政府委員(垂水公正君) お答えいたします。  わが国の貿易統計、これドル建て金額ベースで申し上げますと、輸出動向につきましては昨年二月から縮小傾向でございましたが、本年五月以降四カ月迎続して前年同月を上回っております。他方、輸入につきましては、航空機の輸入が集中いたしました本年六月を別にいたしますと、昨年二月以降低迷の状態が続いております。  かような輸出の増加傾向と輸入の低迷を反映いたしまして、御質問のありました五月から八月までの通関の累計を申し上げますと、輸出は四百八十二億ドル、輸入は四百億ドル、貿易収支バランスは八十二億ドルの出超と、こういうことになっております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 これは、月別に前年同月比の状況を言っていただけませんか。

垂水公正大蔵省関税局長

○政府委員(垂水公正君) 五月以降の輸出の前年同月比でございますけれども、五月がプラスの〇・五、六月がプラスの四・八、七月がプラスの五・六、八月がプラスの一一・五。他方、輸入でございますが、五月がマイナスの一一・六、六月がプラスの三・三、七月がマイナスの八・四、八月が同じくマイナスの四・八。  以上でございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 こういういまの御報告から伺いますというと、本年の一月以来こういうふうに輸出が好転しているということがはっきり言えるわけですね。そうしますと、これは国内の生産活動もそれに引っ張られて活発化してきている。確かに景気は私は回復の段階にあると思いますけれども、問題はその仕方でありますけれども、先ほどの通産大臣の答弁だと、内需中心の景気回復ではないというふうな言い方をしておりますが、この五十八年度の政府の経済方針、これが内需中心の景気回復を掲げている。しかし、現状ではそういうふうではないのじゃないかというふうに思われてならないのですけれども、これは総理の見解をひとつ伺いたいのですが。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 確かに、いままでの経済成長を考えますと、〇・五が外需、〇・四が内需、それで〇・九%の成長と、こういう数字が出ております。そういう面を見ますと、多分に輸出に依存しているという性格は否み得ないと思います。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 そこで、政府が当初主張していた内需中心の景気回復がどの程度進んでいるか、その動向を数字で示していただきたいと思います。家計調査の実収入、消費支出、可処分所得の動き、それから大型小売店の販売額、住宅投資の最近の動向、公共工事の着工状況、法人企業の投資動向、企業倒産及び完全失業率、このおのおのについてひとつ御答弁を願いたいのです。

廣江運弘経済企画庁調査局長

○政府委員(廣江運弘君) それでは、私から最初に家計調査につきまして、本年初めから六月までの数字について御説明いたします。  まず実収入でございますが、一—三月期をくくりまして月平均三十二万六千四百十一円、前年同期三十一万四千四百十七円に対しまして、名目で一二・八%、実質で一・七%増となっております。四—六月期は月平均三十九万七千三百六円、前年同期の三十八万一千七百三十七円に対しまして、名目で四・一%増、実質で二・〇%増となっております。  次に、可処分所得について申し上げます。これは勤労者世帯でございますが、一—三月期、月平均二十七万六千七百七十七円でございますが、前年同期は二十六万八千九百六十三円でございまして、名目で二・九の増、実質で〇・八%の増となっております。四—六月期は月平均三十三万一千二百四十八円で、前年同期の三十二万七百八十三円に対しまして、名自で三・三%の増、実質で一・二%の増となっております。  消費支出全体の動きでございますが、これは全世帯で申し上げます。一—三月期の平均は月平均二十四万八千七百四十七円、前年同期の二十四万五百十円に対しまして、名目で三・四%の増、実質で一・三%の増となりました。四—六月期は月平均二十五万七百二十円で、前年同期の二十四万五千七百三十八円に対しまして、名目で二・〇%の増、実質で〇・一%の減となっております。所得の伸びの鈍化や天候要因、さらにこの期には自動車の車検制度の変更等に伴う要因もございまして、消費性向の低下等により消費の伸びはやや緩やかなものとなっているわけでございます。  次に、大型店の売り上げのお尋ねがございました。百貨店売り上げで申し上げますと、四—六月期を含みまして前年同期比一・二%の増、七月は三・七%の増でございます。  なお、念のため新車新規登録届け出台数を申し上げますと、四—六月は先ほど申し上げましたような要因もありまして七・一%の減、七月はその反動もありまして一七・六%の増、同じく八月は一二・三%の増となっております。  以上でございます。

時田政之総理府統計局長

○政府委員(時田政之君) 家計調査の数字につきましては、先ほど企画庁の調査局長がお答えしたとおりでございます。  御質問の完全失業率でございますが、本年一月の完全失業率は二・八%でございまして、対前年〇・五ポイントの上昇になっております。二月が二・九%で対前年〇・五ポイントの上昇、三月が三・〇%で〇・四ポイントの上昇、四月が二・九%で〇・四ポイントの上昇、五月が二・六%で〇・三ポイントの上昇、六月が二・五%で〇・二ポイントの上昇、七月が二・四%で〇・一ポイントの上昇と、このようになってございます。

松谷蒼一郎建設省住宅局長

○政府委員(松谷蒼一郎君) 民間住宅の投資について御報告申し上げます。  五十八年、ことしの一—三月期が十一兆二千三十億、前年に比べまして一・一%の減、四—六月が九兆六千七百三十五億、前年に比べまして一三・七%の減でございます。

台健建設省計画局長

○政府委員(台健君) 公共工事の着工状況につきまして御報告申し上げます。  五十八年の一月から三月までと、四月から六月までを前年同期に比べますと、一月から三月までが二五・二%の増、四月から六月までが一三・一%の減となっております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 法人企業の投資動向はどうなっていますか。

廣江運弘経済企画庁調査局長

○政府委員(廣江運弘君) 法人企業の投資動向でございますが、経済企画庁法人企業投資動向調査、これは六月の調査でございますが、によりますと、全産業で前年同期比で一—三月期二・五%の増、前期比二・一%の増でございます。四—六月期は、これは実績見込みでございますが、前年同期比七・四%の増、前期比は横ばいとなっております。  以上でございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 いま細かい数字を言っていただいたんですけれども、こういうのを見ておりますと、たとえば消費支出は四—六月で〇・一%の実質の減であるとか、あるいは可処分所得についても勤労者世帯の可処分所得の伸びはそう大きいものはありません。大型小売店の売り上げにいたしましてもそう大きな伸びが出てくるわけじゃありませんし、住宅投資に至っては、民間資金住宅については四—六月でマイナス一三・七%、あるいは一—三月でマイナス一・一ということでありますし、また公共工事の着工も四—六月で一三・一のマイナス、あるいは法人企業の投資動向もここのところへ来て横ばいである。こういうのを見ていると、内需回復ということはとうていないんじゃないかと、いまの報告から聞いてもわかるわけです。  そこで、これは総理に伺いたいんですが、せっかくここで外需で伸びてきております。この外需依存で伸びてきている景気をどうやって内需中心の景気にかえていくかということなんですが、その点について、その必要性とか抱負を聞きたいんです。

塩崎潤自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(塩崎潤君) ただいま鈴木委員から各省の政府委員に対して、各種の指標、特に内需関係の項目の資料の御意見を承ったところでございますが、確かに内需はいまのところ低迷しているようでございます。しかし、私どもは、御案内のように年度を見通して内需の成長の寄与度を二・八%、外需を〇・六%と見ているところでございます。いま総理も申されましたが、外需の成長寄与度は少しいま内需よりも高目に来ておりますけれども、これが年度末まで参りますと、最近の経営者の景気動向への心理の大きな変化から見てどういうふうになるか、これはまだまだこれから私どもが考えなければならない点でございます。  したがいまして、いまのところこのような様子がありましても、このような輸出の好転からきますところの景気の回復を内需の方面に大きく動かすような政策をとっていく、それが私は去る四月五日に決定いたしました今後の経済対策という閣議決定の内容だと思うわけでございます。公共投資も、前倒しをいたしました結果、御案内のように四—六の国民所得統計速報では五・二%という成長率を示しておるわけでございます。このようなことを着々やることによって、私どもはできる限り内需の拡大の方向に持っていきたい、こういうふうに考えております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 いま四月五日の経済対策から順調にいっているような話だったんですけれども、現在金融対策も、はっきり申し上げて円安が心配で金利の引き下げが行われていない。それから公共事業の前倒し執行も住宅対策もいままでの御答弁から聞いていると全部空振りになっていますよ。確かに前倒しも契約率だけは七月末で五六・四%、昨年とほぼ同水準でありますけれども、先ほどの数字の答弁がありました公共工事の着工ということになると、とにかく四—六月で前年同期一三・一%の減ですよ。細かく言えば、五月が八・五、六月が一一・二、七月が一二・七というふうに減ってきているということなんです。少しも内需拡大に公共事業の前倒しは寄与していません。いま一つは住宅建設も、公営、公庫、公団等のいわゆる公的資金建設はこれはよくないんじゃないですか。これはもう全部減少のはずです。  こういうことを見ますというと、この四月五日につくられた経済対策というものは今後何らか手直しをする必要があるということになるわけですが、これはもう大きな問題でもございますので、総理から伺いたいと思います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 景気の状態は、この春、多分二—三月ごろではないかと思いますが、いわゆる離陸をした、底をついた。それで、いわゆる離陸をしたが、また低空飛行をやっておって、上昇して水平飛行まではまだ至らぬ。低空飛行をやっている最中であるからもう少し加速しろと、そういうような考え方が当然出てくるだろうと思っています。  そこで、この七月の半ばごろから、経済対策について四月でやった分のフォローアップと、それから秋にかけての諸般の問題の準備をするようにと指示いたしまして、各省間で、各省の考え方を持ち寄って、内閣官房が中心になって八月いっぱいすり合わせをやり、アイデアをつくっておったわけです。それで大体一応の項目が出そろいまして、それを企画庁に移しまして、いま塩崎長官のところで各省との関係を調整中なのであります。  その中には、内需拡大、景気の回復というものはかなり重視しておりまして、諸般の対策をいま各省ですり合わせをしておるわけでございます。きのうちょっと申し上げましたように、赤字公債を出すとかあるいは税金を増税してやるという段階ではありませんので、この際は広義における金融的措置をいろいろ考えて、公共事業、そういうような仕事をふやすということが適当ではないであろうか、その方法いかんということでいま盛んに研究しており、大蔵省と詰めをやっておるという段階であります。それからもう一つは減税でございまして、景気回復に役立つ減税をやろうと自民党幹事長がお約束をいたしましたのも、やはり景気を重要視しているからなのでございます。  そういう二つの面をいまいろいろ努力しておるところでございまして、いずれ適当なときが来たらそういう政策を公に発表して、それを推進してまいりたいと考えておる次第です。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 これは建設大臣、いわゆる公庫、公団等の公的資金のそういうものによる建設が悪い、これはどういうふうにして取り直す御予定ですか。

松谷蒼一郎建設省住宅局長

○政府委員(松谷蒼一郎君) お答え申し上げます。  住宅建設につきましては、民間住宅投資につきまして、四—六が一三%強の減にはなっておりますが、住宅の着工の状況を見ますと、ことしの六月から比較的回復を見せてきておりまして、六月が前年同月比の着工が十万七千戸で、前年に比べまして〇・一%の減、七月が若干落ちましたが、それでも三・四%の減ということで、若干ずつ回復の兆しを見せてきております。  住宅の建設につきましては、住宅金融公庫を中心といたしまして、個人住宅建設の無抽せん体制の堅持でありますとか、あるいは貸付限度額の引き上げを行います。また、住宅取得控除の大幅な改善等の住宅建設促進策を行うこととしておりますので、私どもといたしましては、恐らく今年度の住宅の着工状況としては前年度並み程度に回復するのではないかというように考えております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 これは、せっかく努めていただきたいと思います。  それからアメリカの景気回復の見通しでありますけれども、非常に予想以上に回復が著しいということで、四—六月、GNPの伸びが年率九・二%という高水準でありますけれども、このアメリカの景気に寄りかかっている外需依存型の景気回復というものはいつまでも続くというふうにはお考えになれないだろうと思うんです。毎月二十億ドルを超えるような対日貿易赤字というものが続けば、これは間違いなく貿易摩擦の再燃は必至でございますし、すでに言われていることは、アメリカの景気は七月以降伸びが鈍化しているということも言われている、あるいは一年以内に失速をするだろうと言っている経済学者もいる。こういうことを考えますと、早急に内需中心の景気回復をする必要があると思うんですけれども、この点について、これはどういうふうにお考えでしょうか。

塩崎潤自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(塩崎潤君) アメリカの景気の動向につきましては、けさ新聞にも七—九の景気成長率の形で発表されているところは御存じのとおりでございます。御指摘のように、アメリカの景気は思いのほか急速に成長いたしまして、第二・四半期は先般も、年率でございますが九・二%と見ておりましたのを、今回九・七%と上方修正いたしました。しかし、七—九の第三・四半期は減速するであろうと言われておりましたが、減速いたしましたけれども、減速の程度は比較的少なくて七%、これは政府当局に言わせますれば、やはり当面の回復はかなり力強いと、こういうふうに見ているところでございます。  しかしながら、このアメリカの景気も失速するのではないかという御指摘がございましたが、そのような見方もございまするけれども、それは高金利と政府の大幅赤字、そして貿易の大幅赤字、これが大変心配な点でございます。さらにまた、失業者の数が千万を割ったといえども、千万と申しますか一〇%を割ったといっても、まだまだ高い失業率があるというところが心配だと言われるわけでございますが、いまのところはそのような懸念はないというのが大方の見方のようでございます。  恐らく、大幅政府赤字についても修正の動きも出ておるわけでございまして、私どもはこれが失速するというようなことは当分考えられない、まだまだアメリカの景気は続くものと見ていいと思いますが、しかし一方、これが直ちに外需依存の輸出主導の経済成長がいいというふうに日本では考えてはならないと思うところでございまして、この点につきましては、先ほど総理も申されましたように、できる限り内需の拡大によるところの景気の回復で、少なくとも過去三年間のいずれの水準よりも落ちておるところの輸入を拡大する方向で私どもは経済の拡大均衡を図っていきたいと、このように考えておるところでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 先ほど総理からも答弁がありましたけれども、この四月五日の経済対策、これは私は何ら効果を上げていないということを申し上げたのですけれども、これをいま検討中だと、これから先はやっぱり減税、公共投資ということになってくるのだろうというふうに思うんですけれども、これは経企庁長官の見解を伺いたい。

塩崎潤自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(塩崎潤君) 先ほども申し上げましたように、私は、四月五日の今後の経済対策は、経済政策は、成功し順調に進んでいると、こういうふうに思っているところでございます。もちろん金融政策の機動的運営等についてまだまだ発動を見ていない面もございまするけれども、公共投資の前倒し、それから電力会社を中心といたしますところの設備投資の勧奨等あるいは中小企業の問題その他を含めて、私は、これが四—六月のQEにあらわれておりますように、景気に一つの刺激を与えていると、こういうふうに考えているところでございます。  しかしながら、先ほど申し上げましたように、〇・五が外需であり、〇・五が内需であるといたしますれば、私はこの点からの新しいまた政策がこの際必要になってくる。そういった観点から、先ほども総理が申されましたように、公共投資あるいは減税あるいは内需拡大の方向としての設備投資の促進、住宅の促進、このような問題も各重要項目について私どもは新しい角度からまた検討してまいりたいと思っておるところでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 前倒しも実際問題は着工ベースでは大変少なくて効果がなかったということ、これはお認めになった方が私はいいと思うんです。  それからここで減税についてですが、二階堂幹事長は、五十八年中に景気浮揚に役立つ減税でなければならないということを言っておりますが、そうであるべきだと私どもも思いますが、そうなると早ければ早いほど、また減税額が大きければ大きいほど景気に与える効果は大きいわけです。一兆円ということが言われておりますが、その一兆円の減税規模というものに対してこれは一体どの程度の効果が景気に対して与えられるのか、景気浮揚の効果はどのぐらい出てくるのか、この辺ちょっと伺いたいと思います。

塩崎潤自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(塩崎潤君) 減税の経済効果と申しますか、GNP浮揚効果と申しますか、これにつきましてはそのときの経済状態あるいはGNPの状態、さらにまた減税の規模によっていろいろ変わることがあることはもう御承知のとおりでございます。私どもはかつて、たびたびでございましたが、御質問に答えて、例の世界経済モデルで計算してみる、その前提は一兆円で五十七年度のGNPをベースにするならば初年度では〇・二%、約四千億円程度のGNP上昇効果があると、こういうように申してまいりました。これが大きいと見るか小さいと見るか、これは評価の問題でございますからいろいろな考え方がございます。  しかしながら、所得税の減税というものは、いつも皆様方が申されますように、所得が伸びる以上に税金が上がって、したがって可処分所得が減って消費が抑えられてきた、このような効果を相殺するものとしては他の政策ではなかなかできないものでございまして、そういった意味の所得税の消費刺激効果は私はこれはまた別の意味において高く評価すべきだと、こういうふうに考えております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 昭和三十年には約一兆円の予算に対して一千億の減税、昭和四十九年度は十七兆九千億の予算に対して一兆七千億の減税、約一〇%を超えております。そういうことから見ると、現在の五十兆という予算から見ると恐らくこれじゃ非常に少ないんじゃないか。GNPの方から見ても、可処分所得を伸ばし、消費支出を伸ばすという効果は、例の朝鮮戦争の後の景気浮揚に役立ったような大きな効果というものは期待できないんじゃないか、あのときの減税のような。これはどう思いますか。

塩崎潤自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(塩崎潤君) 高度成長時代を通じまして毎年毎年減税をしてまいりました。しなかった年が二年間ばかりしかなかったような時代もございましたが、六年間は減税をされていないことは御案内のとおりでございます。私は、減税が経済成長を支えてきたことはもう当然だと思いますし、また国民の貯蓄を高めてきたことも大きな効果を生んできたと思うところでございます。しかしながら、財政が一方大きな制約としてあるわけでございまして、これはやはり赤字公債に直結して財源を考えなければならないような所得税減税はおのずからそこに限度が出てくる。大変残念なことでございまするけれども、一つの制約があるのは当然のことだと考えているところでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 これは経企庁長官、OECDの対日年次調査では日本の輸出主導型の景気回復が批判されて、内需拡大をしろと言われていますね。それから経企庁の経済白書でも内需主導の景気回復の必要性をうたっている。しかも、その中で財政が調整役を果たせということを強調されております。その点はどういうふうに理解したらよろしいですか。

塩崎潤自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(塩崎潤君) OECDの御指摘をいま申されましたが、OECDのみならず諸外国に参りますと、よくこの点を指摘されるわけでございます。日本の貯蓄率はきわめて高い、したがって財政赤字はあるけれども、この大きな貯蓄率を活用するならば財政赤字も克服して、しかも景気の回復につながるのではないかと、こういうような見方でございます。したがって、OECDはその調整の方法として、間接税のタックスベースと申しますか、課税の基礎を拡大して、これによって公共投資を行うことによって景気を回復をし、そして内需を拡大して諸外国からの輸入をふやしていく、こういう政策をとるべきであると、こういう提言をしているわけでございます。  しかしながら、増税なき財政再建という形で大変苦労しております日本政府の大きな政策目標のもとで、このような方向が直ちにとり得るかどうか、なかなかむずかしいことでございます。しかしながら、諸外国に見られないような高い貯蓄率、しかも五年前は三兆円も外国から金を借りて資本の流入を図っておりました日本が、五兆円から六兆円、資本の内需が不足であるからという理由で交流を求めて外国に貯蓄が流出している。この貯蓄を何らかの形で私は内需に結びつけることは重要なことだと考えております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 内需の拡大ということは非常に必要な事項になっておりますけれども、これは大蔵大臣と経企庁長官に伺いたいのですが、公共投資というと、すぐ建設国債の追加発行であるとかいうふうになるんですけれども、国債の発行のみにこだわらなくてもいいのじゃないか、第三の道があるはずじゃないか。たとえば政保債の増発による財投の弾力条項の活用、これが一つあります。これはもちろんこの場合は公共事業的なものへの活用を条件とするわけでありますけれども。それから五十六年度の一般会計、特別会計合わせて千八百億円に上る使途未定国庫債務負担行為限度額がございます。この利用を考えるということもできるんじゃないか。  特に、対外的にアメリカとの関係でも、これほど内需中心の景気回復が必要だと言われているときに、広い視野での公共投資を考えなければならない。いまのまま置いておけば、はっきり申し上げて、何にもやらない方がいいんじゃないかという無策の策しかとらないというふうにとれてくるわけでございますが、私がいま申し上げた財投の弾力条項の活用や使途未定国庫債務負担行為限度額の利用については検討したことがあるのかどうか、また、検討してないならどうお考えになるか、伺いたい。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) まず、公共事業の問題でございますが、今日たびたび議論があっておりました三・四%、それは内需が二・八%であり外需が〇・六、それがいまの趨勢からいえばあるいは外需が一というふうなところへもいくのじゃないか、いろいろな議論のあるところであります。  そうして、いまの議論の中で一つだけいわゆる契約ベースと着工ベースのお話がございましたが、いまお話しのありましたいわゆるゼロ国債、債務負担行為等々を含めた、昨年議了していただきました補正予算の公共投資二兆七百億、これが言ってみれば契約はしたが契約繰り越しというような形になってずれ込んで、そうしてなだらかな契約の履行というような点から、たまたま私は着工ベースがある程度落ち込んでおるということになるのじゃないかというふうにも見ておるわけであります。  したがって、現在の段階で見ますと、少なくとも七二・五%をきちんとやりましても下期の公共投資は実額では大体補正後の昨年程度のものは確保できる、そこへもってきて超物価の安定と申しましょうか、デフレーターが効いてきますと、私はそれなりの実力以上のものがそこには確保されるのじゃないかという考え方です。したがって、それを昨年どおりのものという前提の上に立った場合には、そこに新たなる財政が出動をしなくてもそこまではいけるのじゃないか、こういう議論があります。  一方、総理も申されておりますように、しかし内外の経済情勢を見ながら適切に対応するということをうたっておるということになりますと、一つの考え方として、いま鈴木委員御指摘のありました財投の弾力条項の問題等、これは当然お互いの知恵の中にはある課題だと私も思うのであります。しかしながら、今日郵貯の伸びがさほどにない、こういう実情もございますので、にわかにその弾力条項を発動することによって公共的事業というようなものに対してこれを浮揚する施策がいま直ちに必要かどうかということについては、いま少し検討をしなければならない問題ではなかろうか。総理からも御答弁がございましたように、関係当局と大蔵省との調整を命じたところだとおっしゃったとおりでありまして、これからさらに議論を詰めてみなければならない課題である。その場合、いまの御発言等については念頭に置くべき課題ではないかというふうに考えております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 いま一つは、OPECが一バレル当たり五ドルの原油の値下げをした、これは当初天の恵みであると、こういうふうに政府は歓迎をされていたんですけれども、これに対する対応というのが十分されていないんじゃないか。この原油の値下がりをもっと積極的に活用して景気の浮揚を図り、内需の拡大を図るということが非常に大事だと思うんです。減税と公共投資の追加と原油値下がりの積極的活用、こういう三本がなければならないと思うんですが、これは経企庁長官、この原油の問題については積極的活用をどう検討してきたか、伺いたい。

塩崎潤自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(塩崎潤君) 一バレル五ドル、六十五億ドルの原油の引き下げによるところの国際収支の黒字幅の拡大、これはまさしく天の恵みでございました。昭和五十八年度の経済成長の見込みの中にはそれを予測していなかったところでございまして、特に経済企画庁長官にはありがたい恵みでございます。  いま申しました、その原油の引き下げによるところの恵みをどのように活用していくか。これはもう御案内のように、日本の経済が市場原理、そしてまた自由経済の原理のもとでございまして、政府が管理して、政府の行為でこれを活用する部面はなかなかむずかしいかと思うのでございますが、それでも四月五日の経済対策にありますように、電力会社のように政府が公益的な公益事業としての監督という立場からある程度の発言権と言ったらいいんでしょうか、を持っている部面に対しては五千億円もの、コストの低下、燃料費の低下がある、その逆の収益の増があるとするならば、設備投資の方に回してもらいたいというようなことで、景気の回復に役立つ誘導をいたしているところでございます。  その他の部面は、御案内のように灯油の値下がりあるいはガソリンの値下がり等を通じて家計に還元していく、そしてまた燃料を多目に使うところの企業の燃料費の節約の形で収益の増加になり企業の体質の改善、そしてまたそれによるところの設備投資の増加、こういった形で私どもは期待しているところでございますが、そのような方向においての指導と申しますか、示唆をすることも重要なことでございます。そのような方向での私は原油の値下がりの活用をこれからもまた考えていかなければならないと考えているところでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 ガソリンはどうも上がる傾向にあるんですけれども、御認識が違っているようですね。  それから減税の消費刺激策をさらに効果あらしめるのはやはり人事院勧告の完全実施だろうと思うんです。政府が二年続けて凍結はしないと言っていることは、これはもうどのみち完全実施しなければならぬということで、これが実施されるということが逆に民間の賃金の上昇も引っ張るということになるわけです。いまは人事院勧告の凍結が民間の賃金の抑制につながっておりますから、これがまた景気の足を引っ張っているわけですが、この点については経企庁長官どう思いますか。

塩崎潤自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(塩崎潤君) 先ほど来個人消費支出が大変不調である、そのために人事院勧告の実施という観点、そしてまた経済への影響を尋ねられたと思います。しかしこの問題は、財政のこの危機的な状態においての政府の判断をする一つ大きな問題でございまして、しかも財政状態、特に財源を考えますと、果たしてこれが経済に対してどのような浮揚効果があるかということは一概に言えない、こういうふうに考えております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 総理は、その点どう思いますか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) いま経企庁長官がお答えしたとおりのように思っております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 総理は、五月のサミットの席上、内外に対して内需の拡大をお約束されました。ところが今日、先ほどから指摘しているように事態はまさに逆さまになっておりますが、そういう現象を一体どうやって変えていくおつもりか。これは先ほど伺ったのでございますけれども、こういう国際的な約束に対する問題だけに、改めてもう一度この点について決意を伺いたいと思います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) サミットでわれわれが合意したことは、各国それぞれ守らなければならぬと思っています。あの中の経済上の中心課題は、インフレなき持続的成長を図るということでございました。われわれもその線に沿って一生懸命努力しなければならぬと思っております。  しかし、その中でもう一つわれわれが重要視したのは、高金利を是正するということ、それから各国が財政赤字の解消に努めていく、そういう点もあったのでございます。そういうようないろいろな部面全体を実現していくという約束をしておるのでございまして、それらにつきまして、アメリカは高金利の解消あるいは財政赤字の解消、日本は持続的経済成長、インフレなき経済発展、それからやはり赤字の解消と、みんなおのおのの仕事を引き受けて帰ってきておるわけでございまして、われわれはわれわれの分担する面につきましては努力していく。  そういう意味におきまして、内需拡大等を中心にした経済積極策、特に景気回復ということを念頭に置いた政策をいま準備しておる最中なのでございます。また、一面において財政赤字を解消するという約束もしておるものでございますから、いま財政を出動させてこれ以上赤字をふやすというようなやり方でやることはできないと、そういうジレンマにもあるわけでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 次に、減税について伺いたいんですが、先ほどは景気の上からの所得税減税の問題を申し上げたんですが、ちょっと論点を変えて言いたいと思います。  ここのところで、五十二年を最後に減税がされていないということから実質の増税ということになって、これが大きく家計を圧迫してきている。これは総理はお認めになりますか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) いわゆる実質増税という定義の仕方でございますが、所得の伸び率と税負担の伸び率と、その率で比べる場合、それから、よかれあしかれ、手取りすなわち可処分所得が各階層別にどうなるかということで比べる場合、私は定義の持ちようによって実質増税という表現は変わっていくものだと思っております。仮に前者であるというふうに御指摘なさったといたしますならば、それは御指摘のとおりとお答えをすべきであると思っております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 カナダが物価自動調整税制というのを導入しているということでありますけれども、諸外国の中には物価調整減税というものの恒久化を図っているところがあります。これはもう当然物価調整ということは、減税というのは、政府に課せられた責務であるということで当然増経費じゃないかという説もあるらぐいでありますけれども、この点について物価スライド方式による所得税減税の恒久化ということはお考えにならないかどうか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) これはきわめて学問的な話になろうかと思うのでありますが、物価調整減税と言われるような減税をかつてやったこともわが国においてもございます。しかし、このことはすべての施策がいわば消費者物価の上昇率というものを基準に置いて行われた場合において、消費者物価が落ちついた場合減税をしなくてもいいとか、あるいは逆にもってそれだけのものは逆調整をすべきであると、こういうような議論もありますので、私は、物価というものがいわば国民生活に大きなウエートを占めておることはもとよりでございますが、それだけを中心にしての税制のあり方というのはにわかにとりがたいというふうに考えております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 政府が衆参の予算委員会に提出した物価調整減税を実施した場合の財源の所要額の試算がございます。これで見るというと、やっぱり一兆五千億円程度というふうになってくるんですけれども、その程度に考えておりますか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 私は、恐らく過去六年間の物価上昇率というようなことを基礎に置いてお考えになった数字ではないかなと、こういうふうに思っておるわけでありますが、その数字は私は定かではありません。あるいは御指摘の数字であるかもしれませんが、私はそれがすなわち減税論議の基礎になる数字であるというふうには思っておりません。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 総理は先ほど減税のことを景気優先の減税というふうにお考えになっていたようなんですけれども、物価調整の方にウエートがあるのか、景気優先の方にウエートがあるのか、どちらでしょう。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) これは両方の効果を持つだろうと思います。景気優先にせよ、あるいは物価調整にせよ、減税を行うということ自体は景気にも役立ちますし、結果的にはその間の実質賃金を埋める、そういうような結果を起こすと思っております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 外需の好転ということから考えて、減税の規模が、景気浮揚ということだけになりますと、抑え込んでこられるというおそれがあるわけです。それを私はいま申し上げたわけです。そういうことのないようにお願いをしたいと思うんですが、大蔵大臣どうですか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 恐らく本委員会等でも議論しております、私どもは三・四%の成長をより確実ならしめることが基本的な景気対策である、そうした場合に、それが達成された場合、なかんずくその中身が外需に依存した場合、それによって景気をより安定せしめるという効果自体は上がったではないか、さすれば景気浮揚に役立つ減税規模は大いに抑えるべきだと、こういう議論に発展することをある種の懸念を感じられての鈴木委員の御発言ではなかろうかというふうに私も受けとめたわけでございますが、三・四%ということは私どものやはり念頭にはございます。  しかし、高度な判断で「景気浮揚に役立つ」というお言葉をお使いになっておりますところが、私はいわば各党の代表者による政治的表現だと思っておりますので、私が言っておりますように、それのみを達成すれば減税の必要はすべてないのだというような議論をあえて挑もうというような恐れ多いことは考えておりません。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 五十七年度の所得税減税が見送られたときに、減税を実施するに要する財源策について与野党の合意が得られなかったということが大きな原因になっております。この減税のいわゆる財源調達策でありますけれども、私は三つのことを申し上げたい。  一つは、産業優先の補助金を切ることによってかなりの減税財源が出るのじゃないか。それから二番目は行政改革にある歳出削減。一連の行革関連法案が大幅な歳出削減を伴うものとはほど遠いので非常に心配でありますけれども、小さい政府を目指して歳出削減をやる。これは当然総理がそういう御決意でやっていただけば財源は出てきます。いま一つは各種不公平税制の是正。いわゆるグリーンカード制度の実施が三年延期されて、利子配当所得の源泉分離課税制度とか割引債の分離課税制度だけが残されておりますけれども、この分離税率の引き上げとかグリーンカードの繰り上げ実施とか、こういうことによってもかなりの税収が出てくると思うんです。こういう三つの提言を申し上げたいんですが、これについて総理どういうふうにお考えでしょうか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 財源問題の御提言でございますから私がお答えした方がよかろうと思って、あえて私からお答えをいたします。  衆議院大蔵委員会の御結論は、減税は必要である、そしてその財源は赤字公債によらない、それから三番目には、残念ながらそこで財源探しをしたが議まとまらず、こういうことになった。その財源問題の議論の中で、いま鈴木委員御指摘のような議論が出たことも事実でございます。ただ、ちょうどあの時期はグリーンカードはまだ延期法案が成立しておりませんので、その議論はいささか観念的な議論としてはあったが、現実的な議論としてはなかったようにも承っておるところでございます。したがって、こういう御指摘がありますならば、これらは当然税制調査会の方へ素直に報告をするということになっておりますが、今日の私どもの立場からいたしますと、いま精力的に税調において財源問題をも含めこの所得税減税問題について御審議をいただいておるさなかでございますので、ここで私がそれがいいとか悪いとかと言う立場にはない、そういうことは御理解をいただきたいというふうに思うところであります。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 補助金の問題と行政改革のことを総理から。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 補助金を削減するという問題でございますが、いわばこの補助金というものはそれぞれその都度の政策需要にこたえてでき上がったものでございます。予算編成に当たりましては、聖域を設けることなく、これに対してその効力がすでに失われておるのじゃないか、あるいは余りにもこれは既得権化して硬直化しておるじゃないかという点から、これから申しますならば五十九年度予算編成に当たって厳しい態度でこれに臨んでいかなければならないわけでありますが、今日の五十八年度予算において編成いたしております補助金の中におきましては、今後ともたまたまその支出が不用になる場合等も考えられますが、既存の予算の中からある種の節減をかけるとかということはあるにしても、これをばっさり切り落とすというようなことはとり得ない措置ではなかろうかというふうに思っております。  それから、行政改革によってすぐ即効性のある経費削減の問題というのは御案内のように必ずしもございません。たとえて申しますならば、五十九年度ああして定年制の問題がございますので、一挙に約二千億弱だと思いますが、そういう退職金が出ていくというようなことは当面の歳出については必ずしも利するところはない。ただ、中長期の観点の中にあっては行政改革というものが至上命題であり、そしてそれがいわゆる小さな政府をつくるということになれば、財政再建にも基本的に大いに役立つ基本の政策とも考えておるところであります。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 この補助金の問題とそれから分離課税の問題については、これは本気になってひとつ考えていただきたいと思うのです。  それから減税方法についてでありますけれども、人的控除、いわゆる扶養控除等の方を私どもは本当は考えるべきじゃないか。子供が学校へ通うとか、こういうことのために必要な方々がいるわけでありますから、税率よりむしろそちらの方に重点を入れるべきだと思うんだけれども、その点はどうですか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 五十八年度税制のあり方ということを答申いたしました際にも、いまおっしゃったような議論は出ておりますし、また、五十九年度以降抜本的に考えるべきだという御答申になっておるのを早めて議論をしていただいておるわけでございますから、そのような問題が議論になるであろうということは私もおよそ想像しておるところでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 大臣としてはどういう方がいいと思っておりますか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) これも鈴木委員のお考えを素直に伝えるということを限界とさしていただいて、ここで私が税制調査会にお願いをしておいて、その御答申をいただく前にこれがよろしゅうございましょう、あれがよろしゅうございましょうと、それはいまの立場では御理解をいただきたいところであります。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 内需拡大について、財政が厳しい折から民間活力を活用しようということでありますけれども、具体的にひとつ示していただきたいと思うのです。

塩崎潤自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(塩崎潤君) お答え申し上げます。  民間活力の活用につきましては、いろいろの方法が私は具体的な手段として考えられると思うのでございます。  常に最初に言われますことは、規制の緩和が一つの方法でございます。御案内のように、現在の状態において、過去にとられたところの各種の規制が果たしてこれが適当であるかどうか、それが民間活力を抑制しているのではないか、こういった観点からの見直しによって私は民間活力が出てくる。第一種住居専用地域におけるところの高さの制限の見直し、もうこれは御案内のとおりでございます。  第二の方法といたしましては、たとえば国有財産の活用の問題。国有財産の活用につきましては、主として規制といいますか国有財産法の制約もございましたけれども、民間の利用が制限されておった。このような民間の利用を促進するために、たとえば公務員宿舎あるいは国鉄用地について種々の方法が考えられていることは御案内のとおりでございます。  それから第三の方法といたしまして、たとえば第三セクターの設立。民間と、そして国または地方団体の資本の共同によりますところの、しかも民間の創意を入れたところの第三セクターの活用等の方法が私は考えられる方法だと思います。  それから第四の方法といたしまして、たとえばこれまででも民間資金は財投計画の中に大きく取り入れられまして、いわば民間活力の一つとして活用されておりましたが、私が先ほど来申し上げておりますように、貯蓄が投資先をなかなか見つけ得ないような場合、このような民間資金をできる限り公共投資分野あるいは財政投融資計画の分野に新しく誘導していく。  こういった各種の方法が考えられているところでございまして、私どもは総理の民間活力の活用という大きな方針に沿っていま鋭意検討中でございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 総理の指示を受けて、建設省が七月十四日、「規制の緩和等による都市開発の促進方策」というのを決めたはずでありますが、その概要について言ってください。

内海英男自由民主党建設大臣

○国務大臣(内海英男君) 建設省におきまして本年七月に取りまとめました「規制の緩和等による都市開発の促進方策」の概要について申し上げます。  まず第一点は、土地の高度利用を促進すべき地域について、第一種住居専用地域の見直し等地域地区指定を高度利用に適する方向へ変更する一般的規制の緩和を行い、幅広い再開発の推進を図ることが第一点でございます。  第二点は、再開発が計画される区域について、特定街区制度の活用、改善等により事業内容にふさわしい個別的な規制緩和を積極的に行うことでございます。  第三点は、大都市の既成市街地において狭小宅地の密集と道路整備のおくれが高度利用を困難にしておる実情でありますので、再開発に資する道路の整備の促進、再開発事業制度の改善、拡充、優良な民間再開発事業を推進するための税制上の特例措置等の施策を講ずること。  第四点は、中高層建築物指導要綱の行き過ぎの是正を図ること等でございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 都市再開発ということになれば、本来はどういう都市がこれから必要かということの観点、つまり長期的観点から物を見なければならないわけですが、いまの示された「促進方策」というのを見ますというと、いわゆる建物の高さ制限の撤廃とかあるいは建築指導要綱の是正というように、民間デベロッパーの人たちがつくっている民間再開発推進方策研究会、これが出した提言とそっくりになっているわけですけれども、そういうようなふうでは逆に良好な住環境というのはできないのじゃないかと思うのですが、どうですか。

内海英男自由民主党建設大臣

○国務大臣(内海英男君) 第一種住専の指定の見直しは、真に高度利用を促進すべき地域について都市環境の維持改善に配意をしながら用途地域等の指定の見直しを行うものでございまして、高さ制限の緩和等は環境改善に寄与する良好な再開発計画に対応して、それにふさわしい規制の見直しを行うということでございます。これらは良好な市街地環境の形成を図りながら土地の有効利用を促進することを目的としたものでございまして、環境の悪化をもたらすおそれはないと存じます。  また、中高層建築物指導要綱の是正等につきましては、その行き過ぎを是正するということを趣旨といたしまして、本来、適法に建築し得る建築物につきまして、さらに建築確認の際に日照等の問題につきまして周辺住民の同意書の提出まで求めるのはかえって行き過ぎではないのかということから、周辺住民との調整については、別途地方公共団体が相談、あっせん等に努める等の措置をとるよう指導することとしておりますので、環境の悪化ということにはならないかと思っております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 環状七号線内部での高さ制限の撤廃、これは高層化が進むと人口も集中してくるわけですが、面積を浮かせて空閑地、いわゆるオープンスペースに充てるとしても、建設省の促進策ではそういう面積を削減させるような、指導要綱の見直し等に見るようになるんじゃないか。この点は大平内閣のときの新経済社会発展計画のときにはオープンスペースの確保というのは強調されておった。ところが、中曽根内閣の八〇年代経済社会の展望と指針においてはこれが脱落している。私は人より建築というお考えなのかどうかというふうにさえ疑いたくなるのでありますけれども、どうでしょうか。

内海英男自由民主党建設大臣

○国務大臣(内海英男君) 御指摘のような環七内部の問題でございますが、既成市街地の現状を見ますと、狭小宅地が御案内のとおり密集しておりまして道路整備もおくれておる地域が多いということなどから、オープンスペースが十分確保されていないということは言い得ると思うのでございます。このような状況に対しまして、再開発をすることによって土地の高度利用を図ることは、オープンスペースを確保するという意味からいきましても、また良好な市街地を形成するためにも寄与するという観点からいきましても結構なことではないかと考えておるわけでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 これは私はどうもあれを見ていますと、良好な居住環境はできていかないのじゃないかという気がしてならない。特に、地方自治体への財政負担、こういうものはふえてくるのじゃないかと思っているんですが、この点は自治大臣はどう考えていますか。

山本幸雄自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(山本幸雄君) いまのこういう開発指導要綱というものを緩和していくという方向は、私は土地開発、宅地開発の面から見てある程度やむを得ないことであろうと思うのです。しかし、その場合に環境との調和ということはこれは非常に大切なことでありますから、これはまず第一に考えていかなければならないところだと思います。続いて、いまのお話のように、そういう開発が行われていく段階におきまして地方財政に大きな負担を負わせる、過大な負担を負わせるということになってくれば、これは地方財政を大きく圧迫することになります。  そこで、開発指導要綱の中でいろんな問題点が出てくるわけでございますが、私は今回建設省がまずそういう公共公益施設の基準というものをひとつつくって、その基準を一つのガイドラインとして土地開発の際における公共施設の整備を図っていくというのも一つの行き方でありまして、私どもも地方公共団体にそういう指導をしたいと、こう思っておるところでございます。ただ、大規模な開発が行われまする場合に、その地方公共団体に非常に大きな過大な負担を負わせるということになれば、それはそれぞれの地方公共団体としても大きな圧迫になるものですから、その辺は十分に考慮しながら、しかしまた一面において宅地開発もやっていかなければならないという面の調整を考えながら今後の地方公共団体のあり方を模索していきたいと、こう思っておるところであります。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 先ほどの答弁に、この方策によると、日照権に関して周辺住民の同意書の提出を義務づけない、こういうふうにしようというわけであります。しかし、これは私は基本的な生活権の侵害になるんじゃないか。  昭和四十七年の六月二十七日、最高裁で判決が下されて、そして日照と通風はともに法的保護に値するということがはっきりと判決に言われております。そして五十一年の建築基準法の改正がなされて、日影による中高層の建築物の高さ制限というのが設けられたわけですから、こういうことから考えますと、基本的な権利であるというふうに思います。法的保護に値する権利だということになれば、これを景気対策のために簡単にぽんぽんと外してしまうというのはどうかなというふうに思うんですけれども、この点いかがでございましょうか。この辺はひとつ総理からお答えをいただければありがたいんですが。

内海英男自由民主党建設大臣

○国務大臣(内海英男君) 先ほども御説明申し上げましたとおり、適法な建築基準法に基づくものであれば、あえて地域住民のさらに同意まで必要とするということは行き過ぎではないか、こういうことにつきましては地方公共団体の方で地元の方々に御説明なり御指導を賜るようにしていけば、再開発が促進されるのではないかということになるかと思っております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 基本的な生活権の侵害にはなりませんかと、聞いているんです。

内海英男自由民主党建設大臣

○国務大臣(内海英男君) その点はいろいろ考え方の相違もあるかと思いますが、法律上は建築基準法の中の日影の時間、こういうものが法律上合致したものであれば、さらに住民の同意は必要ではないのじゃないかと、こういう解釈でございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 一種を二種に変えれば日影が変わってまいりますが、その場合はどうお考えですか。

吉田公二建設省大臣官房総務審議官

○政府委員(吉田公二君) お答え申し上げます。  今回の再開発の促進方策の中では、居住水準の向上を図るということを一つのねらいとしているわけでございます。先生御指摘の最高裁判決の例でございますが、その件につきましては、大臣先ほど申しましたように建築基準法に違反している建築物でございまして、また東京都知事からの工事施工停止命令、また除却命令、こういったものを一切無視して工事が行われてきた建築物に関するものでございまして、このような建築物の建築につきましては私法上も権利の乱用に当たるというふうに判示されている、判決の要旨もそうしたことをうたっているわけでございます。  先ほど来、大臣申し上げておりますように、日照に関しましては、昭和五十一年の建築基準法の改正に基づきまして、各公共団体におきましていわゆる日影条例、これを定めているわけでございます。この中におきまして、市街地の生活、いわゆる居住というものに対します日照の確保ということを図ることにいたしておりますので、この辺を総合的に考えるべきものというふうに思っております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 この都市再開発というのは土地の価格対策と一緒にやらなければならない。すでに大分価格は上昇中というようなことでございますけれども、そうでないと、せっかくの民間活力も効果が相殺されてしまうわけであります。この点について促進方策の中で「再開発事業への重点的公共投資」を行うとあるのですが、その規模とか、あるいはどういう事業をするかということを言っていただきたい。

内海英男自由民主党建設大臣

○国務大臣(内海英男君) 再開発の促進方策につきましては、各種の再開発事業に重点投資を行うこととしておることは、今後の施策の基本的方向を示したものでございます。  昭和五十九年度予算概算要求におきましては、民間の活力を活用した都市環境の整備改善、市街地住宅の供給等の再開発を促進するため、都市再開発法に基づく市街地再開発事業に二百九十五億円、国費でございます。対前年度比二一%増、民間再開発促進事業に五十四億円、これも国費でございます。対前年度比六七%増を計上しておるわけでございます。これは概算要求で出しておるわけであります。これらのほかにも再開発に関連する事業はございますが、以上の再開発事業について見ますと、建設省関係一般公共事業費要求額、国費でございますが、約〇・八%に当たることになります。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 地価対策のことは。

永田良雄国土庁土地局長

○政府委員(永田良雄君) お答えいたします。  再開発に関する規制緩和等によって土地の騰貴等が起こるのではないか、こういう御質問でございますが、規制の緩和というのは、全体としてみますと土地の高度利用をやるわけでございますから、需給関係としては緩和方向に向かうわけでございます。したがって、地価の問題としては安定化方向に働くという面があるというふうに考えております。ただ、個別的に見ますと、当該緩和される土地は多少地価が上がるだろうと思いますが、これは高度利用をできることによって土地の価値自身が上がるわけでございますので、全般的な地価の高騰とか、あるいは投機的な取引さえなければ、そのこと自身は全然問題ないというふうに考えております。  現時点で再開発の規制緩和によってそういう地価高騰とか、あるいは投機的な取引ができるかどうかという問題でございますが、現在の経済情勢から考えますと、私どもはそういう心配はない、こういうふうに考えております。ただ、万々そういう事態になっては困りますので、法律の規定によりまして十分監視を厳重にしながら対処してまいりたい、一たん何かあれば直ちにそれに即応できる態勢をとる、こういうふうに考えております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 国土庁長官。首都圏の開発計画というのは今後の首都圏のあり方を決める上で非常に大事でありますけれども、九月十一日にまとめたと言われる開発構想の中で、民間の資金、技術の導入という新しい試みが入っております。これは具体的にどういうことになるのか。

加藤六月自由民主党国土庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(加藤六月君) 昭和五十六年、五十七年、国土庁と建設省で調査をいたしたわけでございます。それは東関東地域における交通軸を形成することに伴います周辺の都市開発を同時に一体的にやろうという構想を、いま御質問になりましたように九月十一日に発表いたしたわけでございます。  これからの交通軸を中心とする新しい開発、いろいろ構想があるわけでございますけれども、九月十一日に発表しましたのは、筑波研究学園都市から成田市に至るあたりを首都圏中央連絡道の建設整備を推進するのと同時に、周辺の新しい都市を開発していこう、これを同時一体的にやろうということでございます。これを今後整備促進していくにつきましては、民間の資金、技術というものを大いに導入していきたいし、またその導入できる方法を今後検討していきたいということで発表いたしたわけでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 同じく五十八年度の首都圏事業計画案の中で、多摩ニュータウン、千葉ニュータウン、港北ニュータウン、こういう住宅用地整備事業を計画しておりますけれども、ここにも氏間活力を活用するのかどうか、あるいはマイタウン構想とか、みなとみらい構想とかいろいろあります。そういう各自治体の持っている開発計画にどういうように民間の資金や技術の導入をするのか、これは自治大臣からも御答弁をいただきたいと思います。

加藤六月自由民主党国土庁長官・北海道開発庁長官

○国務大臣(加藤六月君) 五十八年度の事業計画の中で、いま先生がおっしゃいました多摩ニュータウン、千葉ニュータウン、港北ニュータウンという住都公団あるいは地方公共団体が施行主体となっております事業は列記いたしております。しかし現実には、それ以外の住宅開発につきまして大規模のものも民間がいろいろな角度でやっていただいているのがあります。したがいまして、今後、住都公団あるいは地方公共団体あるいは民間の活力をさらに利用いたしました住宅関係の開発、大規模なものも、積極的に先ほど申し上げました民間の資金、技術を導入し、活力を利用したものとしてやっていきたいということでございます。  先生が御質問になりましたのは、先般のものには国と地方公共団体がやっておるものしか書いていない、法規上そういうようになっておりますからその報告をいたしておりますが、現実には民間もいろいろやっていただいております。今後国土庁としては、そういうところの活力を利用し、資金、技術を利用した住宅関係を、あるいは都市再開発関係を積極的に推進していくように善導いたしたい、このように考えておるところでございます。  マイタウン構想と国土庁の首都圏におけるいろいろな立案作業というのは、十二分に調整し、お互い整合性があるようにいたしておるところでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 日銀総裁お見えのようでございますので、円安問題について伺いたいと思います。  最近の円レートの推移を言っていただきたいと思います。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 円レートは、年初来六月ぐらいまでは大体二百三十円台で推移しておりました。七月から二百四十円台になり、八月にはさらに円安になり二百四十五円、一時は二百四十七円の底値までまいりました。九月になりましてから若干戻しまして、本日のところは二百四十二円というぐらいなところへいっております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 民間の各種機関の円レートの見通しはどういうふうになっておりますか、おつかみになっていますか。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 民間と申しましてもいろいろございまするので、詳しく私も承知しておりません。  ただ、日本の国際収支の経常勘定の黒字がだんだんふえてきておる、またこれからもふえるだろう。油の値段も三月以来下がりました。その効果が出てくる。そういうことから国際収支の黒字が累積するということで、円レートは強くなるというふうに見ておる方が多かったと思います。ただ、アメリカの金利が一方なかなか下がらないという点に重点を置いておられる方は、資本流出があるので円レートは余り円高の方にはいかないのじゃないかという見方をしておられる方もあると思います。その辺それぞれの立場によってその見方が変わってきておると思いますけれども、総じて見れば、円相場はだんだん強くなるというふうに見ておられるのではないかというふうに思います。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 いま総裁の言われたように、原油の値下がり等を見込んで改訂の見通しでは民間では二百二十円台を予想したのもあるようであります。しかし、いまのお話のように、米国の金利のいわゆる高どまりという傾向、そういうことから円安傾向がいま続いているわけでありますけれども、そこで日銀総裁に伺いたいのは、日銀としてはどのような円レートの水準に達したならば公定歩合引き下げの環境が整ったと、こうお考えになっておりますか。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 円相場は円とドルとの間の交換比価でありまするので、円だけの、あるいは国内の状況だけではなかなか相場が決まらない。海外の状況、経済的ばかりでなしに、国際的な政治的な状況によって、国際政治不安が起きればドルはどうしても強くなるという傾向を持ちまするので、そういういろいろの状況、条件の総合的な結果として相場が決まりまするので、相場水準がどういうふうになるかということは見通しもなかなか困難な状況でございます。私どもの立場から申しまして、相場水準の見通しを申し上げることはいろいろ影響がございまするので、これは差し控えさしていただきたいというふうに思っております。  どういう状況になれば金融政策の対応ができるかという点でございまするが、私ども円が安くなることは、もちろん物価にも影響があるわけでございまするけれども、全体の企業の景況感にもぐあいが悪いというふうに判断しております。そういう意味で、非常に大ざっぱな言い方になって恐縮でございまするけれども、やはり水準はともかくといたしまして、円高方向に安定するということが確立いたしませんと、なかなか対応が困難な環境ではないかというふうに思っております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 そうすると、仮に円レートが一ドル二百四十円程度で推移して、また米国の金利も現行水準で推移をする、こういう場合には公定歩合の引き下げはあり得ない、こう判断してよろしゅうございますか。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 水準が幾らでなければいけないというふうな見方ではなくて、円相場がいまとかく円安に振れがちな環境でございます。先ほど申し上げましたように、六月までは二百三十円で大体推移しておりましたけれども、七月から二百四十円になり、さらに二百四十五円、二百四十七円というふうになったということは、日本の国内には円がそういうふうに安くなる理由は何もなかったというふうに思います。ところが、実際はそういうふうに円が安くなる。それは主としてアメリカのドルの金利がなかなか下がらない、アメリカの財政赤字がなかなか縮小しないということが大きな背景であったと思います。  したがいまして、円ばかりでなくて、ドイツマルクあるいはスイスフランは円よりもっと下がっておるという状態でございます。そういうことから申しますると、水準がどうなればということはなかなか言いにくいわけでございまするが、私が申し上げたいのは、円相場が、いまのようなときは円に限りません、ドイツマルクもそうでございますが、とかく安い方に振れがちな環境にある、そういうときにはなかなか金融政策の対応が困難であるというふうに思っております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 今後の米国の金利の見通しはどういうふうにお考えでございますか。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 世界じゅうがアメリカの金利が下がることを期待しておるわけでございまするが、なかなかそういうふうに期待どおりにいっておらないというのが現実でございます。  アメリカの金利はことしの五月以降若干きつめ上昇の方に転じました。これは連銀当局がややきつめの操作をしたということが背景でございまするが、そのまた理由は、アメリカの財政赤字の問題ばかりでなくて、マネーサプライがふえ出してきた、アメリカの景気がよくなったということも背景でございまするけれども、マネーサプライがふえ出したということが一つの大きな理由でございます。最近マネーサプライの方はかなり落ちついてまいりました。ただ、このまま定着するかどうかということはもう少し様子を見ないとわからないと思いますが、一方、財政の赤字につきましては、アメリカの会計年度はもう十日ぐらいで終わりますが、今年度の赤字が二千億ドルぐらいになるということは大体いま通説になっておるわけです。  そういうふうに財政の赤字が大きいことからアメリカの国債の金利がなかなか下がらない。いまの利回りは大体一一・五ぐらいしております。そういうことから申しますると、財政の赤字に対して何らかの手が打たれないと、金利はなかなか下がりにくいというのが一般の見方になっておるというふうに思いまするので、そういう点に対する施策が何もとられないでこのまま推移するということになりますると、アメリカの金利の先行き、私どももちろん金利が下がることを切に望んでおりまするけれども、やはりいろいろなむずかしい条件がまだあるというふうに思います。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 先ほど総裁からお話がありましたが、この円レートの見通しで、民間の予測機関であるいろいろなリサーチセンターとか銀行とか証券とか、そういうところを見ますというと、円高予想をして二百二十円台ぐらいまでいわゆる原油価格五ドル値下げ後の発表分ではなっているんですけれども、こういう妥当性はどう思いましょうか。その円高予測の妥当性はいかがですか。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 私どももちょっとそれを判断するわけにまいりませんけれども、いまの世界的なインフレ率というものがだんだん下がってきておる環境では、アメリカの金利がいかにも高い。そういう点でこういうふうな高金利が続きますることは世界経済にとって非常に悪い影響がある。そういう意味でアメリカの金利が下がるということを希望もしますし、それが実現することを期待しておるわけでございます。  そういうことがもし起こればだんだん円高の方向に進むと思いますが、二百二十円になるかどうかというその水準のあれについては、それぞれの人の判断でございまするから、私どもからそれに対する評価をすることはなかなか困難であるというふうに思っております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 その円レートの見通しの問題は、企画庁長官からもちょっと見解を聞きたい。

塩崎潤自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(塩崎潤君) ただいま日本銀行の総裁がお答え申されましたように、円レートの問題、非常にデリケートな問題でございますので、私が見通しを申し上げることは避けたいと思います。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 アメリカの高金利が、先進主要国が金融政策を行うについてその自由に行う幅を非常に狭めている。発展途上国では、そのために借金にかかる支払い利子がふえて累積債務が激増している。このことは、それが国際金融不安の一因になっていることは御存じのとおりでありますけれども、前に発表された経済白書でも、米国の「高金利はわが国の内需拡大努力を阻害」するとはっきりうたっている。また「諸外国に対し主張すべき点は強く主張」せよ、こういうように経済白書は書かれておりますけれども、そこで伺いたいのですが、十一月にレーガン大統領が日本に来られる、こういうふうに予定されておりますが、この絶好の機会に米国の高金利是正を直接大統領にただすべきではないのか。これは日銀総裁に伺うというより、総理にお伺いするのが筋だと思いますので、総理に伺います。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) いわゆる米国の高金利問題でございますが、サミットの宣言にもございますように、この高金利の是正ということは、わが国のみならず世界の主要国の共通した一つの要望と、こういうことになっております。ちょうど二十四日からでございますか、私どものIMFの総会、それに付随して個別会談等がございますので、その機会にさらにこの主張をしなければならぬと思っておりましたが、国会情勢、また私どもが出している法律案もございますので行くわけにはまいりません。昨晩も、参ります財務官に対してその趣旨の主張をするように、絶えずそれぞれの段階でその問題は主張しておるところでございます。  ただ御案内のように、高金利の理由はどこにあるかと言うと、アメリカの財政赤字が余りにも大きい、その財政赤字の個々になりますと、ある種のまたいわば内政干渉というようなことにもなりかねない。しかし私ども、今度レーガン大統領がお越しになりますときには、承るところによりますとリーガン財務長官の方も同行なさる由でございますし、いままで三月に一遍会ってその話をしておりますが、この国会の議論等も踏まえて、さらにそういうことは主張をすべき機会だというふうに受けとめております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 総理は言われますか、大統領に対しては。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) アメリカ大統領がおいでになりましたときにどんな話をするかということはまだ言明の限りではないし、事前にどういう話をするかというようなことは漏らすことは余り適当でないと、こう思っております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 これは当然ただすべきだろうと思います。  次に、アメリカの高金利に対してただ手をこまねいていたんではわが国における金融政策の独自性はなくなったということになります。日銀の市場介入だけでも円レートを円高に転換させる方法はありませんし、有効な手段になってない。スワップの発動も前にここで指摘したことはございますけれども、絵にかいたぼたもちみたいになってしまって十分な効果がない。もしも米国の金利がこのまま強含みで推移するとすると、極端に言えば、極端な円安が生じたらせっかく原油が値下がりしたということも交易条件については何の影響も与えないということになるし、逆に悪化するということになりかねない。これは日本の経済にとって非常に不利になるわけでありますが、そこで政府と日銀というのは、これはあらゆる努力をして円高方向への取り組み姿勢をしなければいけないはずです。    〔委員長退席、理事初村滝一郎君着席〕  そこで伺いたいんですが、資本流入の促進策と資本流出の規制案、こういうものを検討しているかどうかを伺いたい。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) まず、この円安対策として市場介入だけで効果に限界があるじゃないかという御指摘でございます。私は、サミットにおいてその前の七カ国蔵相会議の申し合わせをいわばオーソライズしていただいて、介入ということが、なかんずく協調介入ということが合意に達したということは一つの前進であったと思っております。そうして協調介入がなされたと。ただ、一回だけはしたという発表がアメリカの財務当局からございましたが、本来いつやるかやらないかわからないところに効果がある問題ではないか。したがって、この姿勢は今後ともとり続けていかなければならぬ課題であるというふうに思っております。  そこで、いわゆる資本流入、流出の問題でございますが、今日のいわゆる世界的ないわばオープンマーケット、自由化という方向からいたしますと、流入について私どもが大きな魅力を持っておることは事実でございますが、また流出を規制するというようなことになりますと、まさに国際化への逆行という批判を招くことにもなります。そうしてそこまで日本がやるということは、ある意味において心理的に円に対する信認が低下するということも考えなければならぬ。  さらに、御議論の中にございます利子平衡税という問題もございますが、これは、これをやったアメリカにおいてもこれに対しては経験からいたしまして非常な反省があって、むしろ日本の新聞等にそういう記事が出ただけでも、自分たちの経験としての向こうの考え方が親切に手紙でこちらへ送られてくると、こういうことでございますので、非常にむずかしい問題があるわけでございますけれども、とにかく私ども基本的にはこのアメリカの高金利是正というものを主張しつつ、そしてわが国のファンダメンタルズがそれなりにいいわけでございますから、投資先として日本が活性化を帯びてくるようなもろもろの施策を行っていかなければならぬ。ずばり規制、促進という策の前の一つの重要な政策課題があるというふうに認識しております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 そうすると、米国での国債発行等は考えられないということですか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 米国での国債発行という問題でございますが、これはいま直ちにこれを仮に単純な金利でもって考えますと、財政的にはかなり大きな負担になるという問題もございますが、もとよりこれは法律改正等をしていただかないといけないわけでございますが、そういう問題につきましては、これがある意味においてまた円高をもたらす一つの施策ではないかという御議論もございます。  それといま一つは、諸外国の経験からいたしましても、先ほどもちょっとお触れになりましたが、開発途上国が自分たちの金融市場を先進国によって占有されるのじゃないかという幾らかの危惧感ももとよりあるわけでございますので、いまのような御議論を総合的に勘案して私は勉強さしていただく課題ではあるというふうに考えております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 四十八年に変動相場制へ移行してからちょうど十年になるわけでありますけれども、この移行は結果的に日本にとってよかったと、こういうふうに判断しているかどうか。あるいは変動相場制のもとでの通貨当局の責任というものがおのずとあるわけでございますが、この点についてどう考えていらっしゃるか、日銀総裁にお答えをいただきたい。

前川春雄日本銀行総裁

○参考人(前川春雄君) 変動相場制に移行いたしましたときは、それまでの固定平価制度を守り切れなくなった、世界の経済、各国ともインフレ率が違う、あるいは経済成長率が違うというようなことから固定平価を維持することができなくなったということが大きな背景でございます。そういう意味で変動相場制はもうほかに方法がないということで採用されたということが大きな背景になっているわけでございます。その結果、どうしても相場の変動が大きくなる、いわゆる行き過ぎが起こりがちであるという点は否定できないというふうに思います。  しかし一方、たとえばオイルショックのような世界の経済の基本に関連する大きな基礎要件が変わるというような場合には、変動相場制があったためにそのショックを吸収することができたということは言えると思います。また、その後、為替取引の自由化、資本取引の自由化ということが行われまして、世界じゅうかなり大きな規模の資本が常に移動するという環境のもとでは、固定平価制度はなかなか守り切れないという場合もしばしばあったのではないかというふうに思います。したがいまして、そういう意味で変動相場制度はもちろん問題がございまするけれども、一方、いま申し上げましたようないい点もある。われわれはこの変動相場制の持つ悪い点を修正しながら、これからもこの制度のもとで対応していくほかないのではないかというふうに思っております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 大蔵大臣に、いま変動相場制へのいい点、悪い点とあったんですけれども、この批判も出ております。サミット等で新しい通貨体制の議論がなされていく、これは固定相場制への復帰とかワイダーバンドの採用とか、こういうことだろうと思いますが、この点についてはいかがお考えでございますか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) サミットの前にございました七カ国大蔵大臣会議の際は、いわばブレトンウッズ体制のようなもう一遍新しい通貨制度をつくるかというような議論は必ずしもございませんでした。サミットの直前に新聞等で報道されて、フランスの大統領がそのような御主張をなさる、こういうことをあらかじめ入手しておったわけであります。が、しかしながら、サミット等においても最終的に七カ国蔵相会議の出しました結論をオーソライズしてもらって、結局、これから通貨問題についてはどのような勉強をした方がいいか、そういう勉強の対象はどのような問題かというための協議はこれからも続けていこう。が、言われるような固定相場制を前提にするとかいうような協議の場というものではそれはない。  したがって、やはり今日はなかなかインフレ率もだんだん主要国で落ちてきたところもございますので、とはいえ、一方いま御指摘になっている金利問題等がございますので、やはりそれぞれの立場から必要に応じて介入をする、と同時に、また協調介入を機動的にやっていくということが当面の私は為替相場に対する対策ではないか。やはり一九四五年以来、まさにわが国の通貨そのものは二重価格制になっておって、固定相場制になって変動相場制になって、いろいろ苦心した中でこれだという決め手はないものの、今日は変動相場制というものが今日まで世界経済の調整に与えた効果というものを見詰めながら、介入とか協調介入でこれに対応していくべきではないかというのが大筋の結論になっておるわけであります。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 日銀総裁はIMFへお出かけということですから結構でございます。ありがとうございました。  変動相場制の問題点がございます。それは、為替相場が絶えず変動するというための為替リスクが増大する、あるいは企業収益が為替レート次第という業界もある。そういうことで取引の採算が確定しにくいという問題がここにはございます。杞憂かもしれませんけれども、場合によると、為替相場の乱高下が長期化すれば産業、経済全般にわたっての悪影響が出る、つまり活力の低下を招くということも避けられないということになるわけですけれども、それを避けるための有効な為替リスク対策を講じて、影響をできるだけ回避、縮小する必要があるわけです。  そこで、これは通産になるんでしょうか、わが国貿易に占める円建て取引の割合、これをまず伺っていきたいと思うんです。

宇野宗佑自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 円建て取引は、現在、輸出で約四割、輸入でせいぜい二ないし三%というところが現状でございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 いまの答弁のとおりに、輸入の円建て比率が二、三%ということは、言いかえれば、円安の場合には輸入特価の上昇を直接もたらすということですね。それから企業収益に大きな影響を与えるということもはっきりしておりますし、インフレで国民生活も圧迫する。したがって円建て契約、特に輸入面での円建て契約を推進するということが非常に大事だと思うんですけれども、これは通産大臣いかがにお考えでしょうか。

宇野宗佑自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) いま二ないし三%と申しました原因を分析いたしますと、御承知のとおりに、石油並びに原材料の輸入が、大体輸入に占める率が五六%ぐらいじゃないかと思います。そのうち石油なんかはすべてドル建てと、こういうことでございますから、勢い円建て取引が少ないということになりますが、率直に申しまして、変動相場制のもとにおきましては、わが国の輸入は円建てが確立された方がこれはメリットが大きいことはお説のとおりでございます。  したがいまして、われわれといたしましてはそれに対策を講じなくてはなりません。今日までは残念ながら円の国際化が若干おくれたということは言えようと思いますから、その環境の整備を私はすることが必要だと思います。一つの手段といたしましてBA市場、つまり貿易手形の銀行引受市場、これなんかの創設も私はあるいは相当なメリットがあるのじゃないかと思いますが、しかし所管は別の省でございますから、そうしたところに対しましてわれわれとしての希望は申し述べますが、そうした問題も積極的に検討されるということが望ましいのではないかと期待をいたしております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 輸入における円建て契約というものをできるだけ進めていただくことの努力をお願いいたします。そういうことによって円が決済通貨としての役割りも非常に大きくなるわけでございます。この点は大蔵大臣はどういうふうに思っておりますか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) わが国の輸入において円建て契約の比率がなかなか高くならない、こういうことに対して、いま通産大臣からお答えがございましたとおりでございます。したがって、もともと自由になし得るということになっておるわけでございますが、しかし歴史的経過の中でなかなかそうはまいらぬというのが実情でございますので、基本的には取引当事者間で決定されるものではございますが、いま通産大臣からもお話がございました、たとえば円建て市場のBA市場の創設等について、中長期的な観点からこれは検討をしてまいらなければいけない課題だというふうに認識しております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 次は、国際経済に移りたいのですが、現在の南米の各国を初めとする国際金融不安、これが非常に大きくなっておりますが、その理由と状況を伺いたい。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 今日、中南米とその他の非産油開発途上国にはこれは大幅な経常収支の赤字が続いております。これに、債務返済に困難を来す国が出ておることは事実であります。だからこれはやはり大幅な経常収支の赤字ということが理由であろうというふうに考えるわけであります。しかし、債務国、債権国、政府及び民間銀行、また国際機関でありますIMF等の対応によって、累積問題につきましては経済再建の青写真がそれぞれでき上がって、国際金融不安につながるというようなところはない。確かに私どもの、最近の蔵相会議にいたしましても、あるいは代理会議にいたしましても、これらの問題は絶えず出てくる問題で、その都度情報交換等をしながら対応をしてきておるところであります。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 国際金融不安になるおそれはないと言うけれども、あるという心配があるので伺っているんですけれども、特に各国の対外債務残高、これを主要国別にひとつ言っていただきたいのです。

酒井健三大蔵省国際金融局長

○政府委員(酒井健三君) 各国別の対外債務残高に関する最近の統計といたしましては、アメリカのモルガン・ギャランティー・トラストの推計がございまして、この統計には中長期の債務と短期の債務、さらには公的債務、民間債務、そういうすべての債務が含まれておりますが、これによりますと、主要債務累積国二十一カ国の債務残高は、一九八二年末で五千百四十五億ドルとなっております。  国別に主要国につきまして申し上げますと、中南米ではブラジルが八百六十三億ドル、メキシコが八百四十六億ドル、アルゼンチンが三百八十八億ドル、ベネズエラが三百三十二億ドル。アジアにおきましては、韓国が三百七十二億ドル、インドネシアが二百十九億ドル、フィリピンが二百七億ドル。中東及びアフリカの国につきましては、イスラエルが二百八十億ドル、トルコが二百二十六億ドル、エジプトが二百十八億ドルというような状況でございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 ある都銀関係者の見方では、向こう十年間の途上国の資金繰りはますます悪化して、現在の債務の二、三倍になるだろうと、こういうふうに言われているんですが、政府はどう見ておりますか。

酒井健三大蔵省国際金融局長

○政府委員(酒井健三君) 開発途上国の累積債務の今後の見込みでございますが、累積債務の問題が顕在化いたしましてから、それらの国々に対する民間の銀行の信用供与というものもかなり慎重になってきている面がございます。そしてまた、累積債務の大きい国々につきましては、近年におきましては、国際通貨基金から経済政策その他につきましていろいろアドバイスを受けて、各国の経済政策、特に開発計画等についての見直しが行われるというようなことが行われまして、急速に大きく残高が伸びていくような状況ではないだろうというふうに思っております。しかし、累積の債務の金額が非常に大きゅうございますし、そしてまた、金利もかなり高いものでございますから、金利の負担というのはかなり大きいし、それがまた債務の増加という問題も起こしますので、やはり今後に向かってある程度は増加していくということも十分起こり得るだろうというふうに思いますが、五年先、十年先につきましてどの程度になるのか、私ども現在明確な見通しの数字は持っておりません。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 とにかく、一ドル二百四十円で計算しても五千百四十五億ドルというのは日本の予算の二・五倍、これだけの借金が、債務があるということですから、二十一カ国ぐらいで。大変なことでありますから、これは日本も当然債権国であると思いますが、どの程度の債権があるのか、公的債権と民間債権に分けて主要国別に示していただきたい。

酒井健三大蔵省国際金融局長

○政府委員(酒井健三君) 日本からの貸付残高を各国別に公的債務、民間債務別に分けて申し上げますのは、債務国に対する外交的な配慮もございまして、これまでも差し控えさしていただいているわけでございます。こういうようなデータの公表ということにつきましては、債務国にとって大変デリケートな問題でもございますので、御容赦いただきたいと存じます。  わが国からの貸付残高を、先ほど申し上げました中南米とかアジアの主要国につきまして若干グループにして申し上げることをお許しいただければ、まず中南米ではブラジル、メキシコ、アルゼンチン、ベネズエラ、この四カ国をまとめまして、一九八二年末で民間債権は二百三十九億ドル、公的債権は八億ドル。アジアの韓国、インドネシア、フィリピン、この三国をまとめて申し上げますれば、同じく八二年末で民間債権が五十三億ドル、公的債権が四十一億ドルという状況でございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 民間銀行の貸付残高は、全部のその民間銀行貸付残高の中に占める日本の残高のパーセンテージはどのぐらいになりますか。

酒井健三大蔵省国際金融局長

○政府委員(酒井健三君) ちょっといま手元に数字がございませんので、後ほど申し上げさしていただきます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 それじゃ、これは後で下さい。  それからこの累積債務問題解決のための方策、債権国側と債務国側とに分けて、どういうことをなすべきか、これは当然大蔵省はお考えになっていると思うんですが、どうお考えですか。

酒井健三大蔵省国際金融局長

○政府委員(酒井健三君) 累積債務問題、これからもかなりの期間続く問題につきまして私どもいかに対応していくかでございますが、まず、債務国自身が厳しい自助努力による経済調整を進めていくことが基本であろうかと考えております。具体的には、先ほどもちょっと申し上げさしていただきましたが、累積債務国がIMFから融資を受けるに際しまして、融資条件でいろいろの経済政策についてのアドバイスや何かを受けますが、そういうものに従いまして節度ある経済運営及び国際収支赤字の改善に努めていただいて、その国に対する信認を回復していただくということが最も重要であろうかと思います。    〔理事初村滝一郎君退席、委員長着席〕 こうした債務国の自助努力によりまして、先ほど大臣が申されましたように、経済再建の青写真ができ上がることが、債務国が経済調整期間中に必要とする国際的な種々の支援を引き出すためにも大事だと思います。  それが債務国に対する問題かと思いますが、債権国といたしましても、債務国がこれらの債務の支払いを行っていくためには、基本的には輸出によって所得を確保していくということが重要でございます。そのためには先進諸国が景気回復に努めて、開発途上国からの輸入が増大するように努めていくことが必要でございますし、さらにまた、開発途上国が各種のファイナンスのために先進国の金融市場に資金調達を求めてまいりますので、そういうような市場開放を促進することが必要かと思います。また私どもも、民間銀行がいろいろ巨額の貸し付けを行っているわけですが、もちろん金融として銀行の健全経営は重要でございますが、その中にありましても、中長期的な観点に立って、国際的な協調のもとで開発途上国に対する経済的な関係の維持ということも考えていただかなくてはならない問題だと思います。さらに、国際機関として、IMFとか、さらには世銀が関係する場合もあろうかと思いますが、こういう機関が開発途上国の経済運営等につきまして適切な指導、アドバイスを行っていくということが大切かというふうに考えております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 いまの話から伺っていまして、邦銀もかなり多額の貸し付けをしている。逆に言うと、途上国の累積債務がパンクをする、この問題がパンクをすると世界の金融恐慌が起きるということになりかねません。こういうことからすると、これは政府として相当慎重にというか、対策をしなきゃいけない。先ほどのアメリカの高金利も引き金になっているわけですから、こういう点は積極的に言っていただきたいと思いますし、特にアジアについては、東南アジアというのは日本の盟友で深いつながりがあるだけに、いろんな面で経済的な、金の貸し借りだけじゃなくて経済発展をさせるための技術面、金融面、こういう協力をしなきゃいけない。これはもう当然中南米とは変わった味のものがなきゃいけないと思うんですけれども、この点どうお考えか、大蔵大臣と外務大臣に伺いたい。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 先ほど御質問にありました債務累積問題の発生した原因について、大体私は経常収支が悪いと、こう申しましたが、したがってその悪くなった原因と、さらに突っ込んでいけば二度にわたるオイルショックによって石油代金が上がったということと、それからオイルショックによってこれまた今度は買う方の、われわれの方の景気が低迷したということ、そうしてまた途上国自身にもある意味において行き過ぎた開発計画があり過ぎたのではないかということと、いま一つはやっぱりいま御指摘の米国を中心とする高金利による債務国の支払い、こういうことだと思うんです。  したがって、これに対応する対策とは、全部この裏を、いま申しましたことの逆の政策に努めなければならぬということで、私どもも先般のウイリアムズバーグのサミットにおきましても、いわば先進国がそれぞれ景気低迷から脱却することによって、これが中曽根総理の主張される南の繁栄なくして北の繁栄なし、それによって途上国の輸出もまた伸びるであろうというような政策課題にこれからも取り組んでいかなければならないし、また先ほど申し述べましたように、向こうの開発をあるいはセーブするとか、あるいはまた返済の諸々の計画を立て直すとかいうようなことも要請していかなければならぬわけであります。  しかしながら、いま御指摘のように、東南アジア諸国の問題は最も近い国でございますし、総理も先般ASEAN諸国の訪問もなされたわけでありますが、世界人口おおよそ四十七億としてその五七・六%がアジアにおって、しかもその二十五億の中で一億一千八百万の日本のGNPが、オールアジアのGNPよりも高いというところに、当然のこととして相互協力のための国際的に果たさなければならぬ使命があろうというふうに私も認識をいたしておるところであります。したがって、私のいまの立場は、債務累積問題に対しましても、それらが生きる方向でわれわれも協力していかなければならぬというふうに考えておるところであります。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) いまお話しの点はまさに南北問題であろうと思うわけでありますが、大蔵大臣もさらに局長もお答えをいたしましたように、この南北問題につきましては債務累積を初めとして開発途上国の非常な経済の不振、これを解決するためにはまさに先進国が経済の回復を図っていくということが大事であろうと思いますし、同時にまた、先ほどからお話がありましたような開発途上国の自助努力というのが大前提にならなければならぬと思います。  そういう中でのたとえば経済援助の拡大であるとか、あるいはまた第一次産品の共通基金等を進めていくとか、あるいはIMFその他の救済対策を効果的に進めていくとか、いろいろな角度から努力を重ねていかなければならぬと思うわけでありますが、東南アジアにつきましては、わが国としてもいわゆる最も近い友好国ということで積極的な経済協力も進めております。  ASEANの国は全世界に対するわが国の経済援助の三分の一をこれに集中しておる、アジアについては七割を集中しておるということでありますし、さらに先般も総理が東南アジアを訪問いたしました際に、いわゆる特恵関税シーリング枠を五割拡大といったような貿易の拡大策等についても日本が積極的な対策を発表をして、これを進めていくわけでありますが、このアジア諸国との間のこうした経済協力関係、あるいはまた市場開放、そうしたものはこれからも積極的にひとつ進めまして、アジア、特に東南アジア、ASEAN諸国は非常な強靱性といいますか、ダイナミズムを持っておる国々でございますから、私はやはりこれらの諸国に対する日本としての積極的な対応を進めていけば、ASEANの持っておる潜在力からすれば今後の経済の回復といいますか、ASEAN諸国の発展というものは大いに期待できるのじゃないか、こういうふうに考えております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 ここで、関連の問題として、わが国の輸出に対して輸出代金の支払い繰り延べという、いわゆるリスケジュール問題が起きておりますが、これは輸出保険によってその場合は保証されることになっている。メキシコがことしの後半にかけての支払い代金の繰り延べを要請してきている、こう言われておりますが、その他の各国からのを合わせると三百億から三百五十億円に上ると推定されている。そうしますと、輸出保険特別会計は五十八年で八百十二億円の保険金でございますが、それでことし支払いができるというふうに思いますか、賄えますか。

宇野宗佑自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) メキシコの債務に関しましては、六月に債権者会議が開かれまして、いまおっしゃいましたとおりに債務繰り延べということが決定されましたから、五十八年度中にその分保険金を払うというふうな段取りになりますが、五十八年度の分は私はいまの手持ち資金で対処できる、こういうふうに考えております。  ただ、先ほど来お話ありましたとおり、中南米を中心といたしまして累積国が続出いたしておりますから、こうした現象に対しましては五十九年度はやはり何らかの措置を講じなくてはならぬと、資金運用部資金から借り入れする以外になかろう、こういうふうに考えております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 報道では、この輸出保険特別会計がいまのリスケジュールのために資金繰りが大幅に悪化するということで、五百億円の借り入れをするという報道が出ております。五十七年度は六十億円の赤字が出ているわけですね。こういうことから考えると保険料掛金、こういうものの設定の仕方に問題があるんじゃないかということも考えられるんですが、その点はいかがでございますか。

宇野宗佑自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(宇野宗佑君) 累積赤字国の問題は、長期的に見まして、やはりわれわれといたしましても、相手国の自助努力も必要でございますが、先進国といたしましての努力も必要である。こういうふうに考えますと、長期的にはいまの保険金と、そして保険料との関係、これは長期的に見た場合にはバランスがとれて適正なものではないか、こう考えております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 こういういわゆる繰り延べというリスケジュールが長期にわたってきますというと、一般会計から最後には繰り入れを行わなきゃならなくなるだろうという予想がされておりますが、こういう保険制度を持っている限り輸出についての指導を行っていると思います。これは一般会計から政府の資金を投入しなきゃならなくなるというふうになることを避けるというか、そこまで行ってしまうかもわかりませんけれども、こういうリスケジュール多発期の輸出のあり方、これについてどう考えているか、政府の考え方をお聞きしたいと思います、対応の仕方ですね。

杉山弘通商産業省貿易局長

○政府委員(杉山弘君) ただいまお尋ねのございました保険会計の件でございますが、リスケジュールをやりましたものにつきましても、リスケジュールの計画に従いまして後ほど返済されるということになっておりまして、私どもといたしましてはその返済が予定どおり行われることを期待いたしております。そういたしますと、保険会計といたしましては、一たんお支払いしました資金につきましては回収ができることになりますので、そういう意味では、現段階で判断いたします限りは、資金運用部からの借り入れ等でお願いをできますると、長期的には保険会計は健全性を維持していけるのではないかというふうに考えております。ただ、こういう事態になっておりますので、輸出保険の引き受けの問題につきましては、私どもとしては相当慎重に対処をいたしている状況でございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 次に、医療に移りたいのですが、冒頭に、昭和五十九年度予算の概算要求もありました、あるいは五十八年度の予算を見ても、これは防衛費だけが異常に突出して、そうして福祉等は抑えられて国民の負担を強いられている、こういう予算の編成というふうになっておるわけですね。私は、こういうような物の考え方は、総理自身の頭の中に防衛だけが大きくあるためにこうなっておるんじゃないかというふうに思うんです。これはどういうふうにお考えでございますか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛費につきましては、節度を持ってやらなければならぬと思っておりますが、国費全体の中のバランスを見てみますと、昭和三十年代、昭和三十年におきましては大体防衛費が予算の中の一三%、それから教育・科学技術費がやはり一三%、社会福祉費というのは大体一〇%ぐらいであったと思います。それが、昭和五十八年、いまの予算になりますと大体社会保障費が九兆一千億円で一九%、そうして教育・科学技術費が四兆八千億円で一〇%、それから防衛費が二兆七千億円でこれが五・七%、こういうふうになっておりまして、防衛費の比率というものは昭和三十年代から見るとぐっと下がっておるわけです。社会保障費というのは急激に上がっておる。これは福祉国家の理想を実現するために与野党協力して努力した成果でありまして、私はこれを非難する気持ちは毛頭ありませんし、よくやったと思いますし、こういう理想の方向に国の経費の配分を認めていくということは正しいいいことだと思っております。  しかし、いまの数字を見てもわかるように、防衛費だけが突出しておるということはないのであります。特に国際的な比較をもって見ますと、アメリカやフランスやドイツやイギリスや、日本が肩を並べている国々等々を見ましても、日本の防衛費というのは非常に比率からしたら少ないわけです。まだ一%に達しない、GNPにつきましても。大体イギリスやヨーロッパの国でも四、五%はいっておるわけです。ソ連に至っては一三%から一六%ぐらいいっていると言われておる。これを見ますと、絶対額を見ましても予算の中の比率から見ましても突出しているということは言えないんです。  ただ、近年におきまして、その防衛費の伸びはほかの経費の伸びよりも伸びております。これはいままで余りにも少な過ぎたという国際的批判を受けまして、そうしてそれに対して努力をしておって、国際的な摩擦を避けようという趣旨でやっておるのでありまして、いままで新聞でよく突出突出と書かれますけれども、私は絶対額から見たら突出はしていない、むしろよく抑えつつやっておると。こういうふうに考えております。

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 峯山君の関連質疑を許します。峯山昭範君。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 ただいまの防衛費の問題につきましては後ほどお伺いしたいと思いますが、初めに、雫石事故の最終判決についてお伺いしたいと思います。  昭和四十六年の七月三十日、岩手県雫石町上空で全日空機と自衛隊機が接触をいたしまして、全日空の乗員乗客百六十二名が死亡した大変痛ましい事故があったわけでございますが、この事故の上告審判決が本日の十時半から最高裁第一法廷でありました。  この判決によりますと、隈被告に対し禁錮三年、執行猶予三年ということになっております。この最終判決に対しまして谷川防衛庁長官、どのようにお受けとめになっていらっしゃるか、その所信を初めにお伺いします。

谷川和穗自由民主党・自由国民会議防衛庁長官

○国務大臣(谷川和穗君) 本日、十時三十分から最高裁判所におきまして、原判決を破棄して被告人を裁判確定の日から三カ年の執行猶予をつけながら禁錮三年に処するという判決がございました。  私どもは、この事件は十三年前に発生した事件でございますが、本日ここに改めて事故で亡くなられました方々の御冥福を心からお祈りを申し上げたいと存じますし、御遺族の皆様方の御心情を深くお察しを申し上げておるわけでございます。  この隈一等空尉の刑事責任が問われた判決でございますが、事故そのものが自衛隊の訓練中に発生したものでございまして、防衛庁といたしましては深い関心を持ってこの十三年間、この裁判の経過につきまして注視してきたところでございますが、本日最高裁で示されました判決そのものはきわめて厳しいものと受けとめておりますけれども、実を申しますと、まだ判決理由の詳細を承知いたしておりませんので、これに対する意見等は差し控えさしていただきたいと思っております。  なお、判決には直接関連はございませんけれども、事故がございましてから後、多くの方々の人命が失われた事故が訓練中に発生をいたしておるわけでございますので、私どもといたしましては、この種のような事故の再発防止のために、特に運輸省とは協議をしながら、この過去十三年間方全の方策を講じてきたところでございます。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 総理の所信もお伺いしておきたいと思います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 改めまして御遺族の皆様方、遭難者の皆様方に心から哀悼の意を表したいと思います。  裁判の結果、内容につきましては、論評を差し控えさしていただきたいと思いますが、この事故にかんがみまして、自衛隊においてますます安全という点について注意をしていただき、また運輸省等とも連絡をとりまして、民間航空の安全という点につきましては、さらに努力をしなければならぬと思っております。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 この大惨事を契機にしまして、空路や施設はかなり整備されてまいっております。民間機と自衛隊機の近接あるいは接触しそうになった事件といいますのは、この雫石事故以後、私が聞くところによりますと三十件の多きに上っておりますが、こういうふうなニアミスに対しまして運輸省はどういうふうに対応していらっしゃるか、防衛庁はこの問題についてどういうふうに対応してこられたか、この点ちょっとお伺いしておきたいと思います。

長谷川峻自由民主党運輸大臣

○国務大臣(長谷川峻君) ニアミス等々でございますが、この雫石の事故の後で政府は航空交通安全緊急対策要綱を決定して、自衛隊機の訓練、試験空域と民間機の飛行する空域と分離するなどの緊急対策を樹立しました。また、運輸省としても本件事故にかんがみ、航空交通の安全を確保するため規程を整備するほか、五十年の七月に航空法の一部を改正して、航空保安システムについても昭和四十六年以来三次にわたる航空整備五カ年計画によって施設の近代化を進めて万全を期しているところであります。

谷川和穗自由民主党・自由国民会議防衛庁長官

○国務大臣(谷川和穗君) 雫石事件の発生をいたしました昭和四十六年当時は、まだただいま運輸大臣から御報告のございましたようなところまでわが国の航空路あるいはその周辺の、自衛隊で申しますと訓練空域その他の整備は進んでおらなかったかと存じますが、それだけにまことに大変な事故でもございました。  その後、ただいま運輸大臣の御答弁にございましたように、徐々に整備をされておりまして、私どもは特に訓練におきましては、先ほど総理からの御答弁にもございましたように、事故を絶対に起こさないということを前提にいたしてきております。  なお、ニアミスその他につきまして幾つか報道をされたその後の事柄もございますが、主として飛行場の周辺、防衛庁の所管いたしておりまする飛行場と運輸省の所管しておりまする飛行場、さらに両者の共用しておりまする飛行場、その他いろいろと航空機の運用につきまして大変にふくそうしたところもございます。われわれといたしましては、今後とも十分訓練の上で厳戒にも厳戒をいたしながら訓練を続けていきたいと、こう考えている次第でございます。

峯山昭範公明党・国民会議

○峯山昭範君 先ほどのいわゆる防衛費突出の問題であります。この問題については、先ほどの総理の御答弁、ただマスコミの皆さん方が防衛費が突出していると言うだけではなくて、現実に突出しているわけです。しかも、たとえば総理は外国の政策といろいろ比較をされましたが、わが国には少なくとも平和憲法があるわけですね。そういう歯どめがあるわけです。そういう歯どめのある国とない国との比較というのは、私はちょっと納得できません。  それからあともう一点お伺いしておきたいんですが、最近の総理の姿勢の中で、いろいろ問題がたくさんあります。いまの防衛費の突出の問題はもちろんのことでありますが、そのほか在日米軍基地の整理縮小という問題があるわけです。これは、昭和四十七年の沖縄国会以来、政府の大方針であったわけであります。また、日米安保協議委員会の場においても、日本側がずっと主張してきた問題であります。ところが、最近この問題について、三沢のあのF16の配備の問題、それから厚木の夜間飛行訓練基地の問題等、ずいぶん米側からの要求が続いております。現在の日本の状況から見ますと、この狭い国土で、さんざん都市化した中で、これ以上米軍基地あるいは軍事基地として適するところがないというのはもう当然であります。そういうような中で、そういうことはきちっとやっぱりしかるべきところへ言うべきだと思いますし、また在日米軍基地の整理縮小という政府の基本的な考え方は変わったのかどうか。こういう点をあわせてお伺いしておきたいと思います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) もちろんわが国は、いまの平和憲法のもとに専守防衛を主義といたしまして、非核三原則を堅持し、個別的自衛権の範囲内にこれを行って、軍事大国にならない、そういう国の基本方針を持っておりまして、私もこれを堅持しておるわけでございます。しかし、防衛というものは、これは石橋さんとの論争でもございましたが、相対的なものでありまして、客観的な情勢によって推移していく、その範囲内で必要最小限を確保していくということであります。  したがって、周囲の圧力が強くなってくれば、それに対応するだけの抵抗力あるいは抑止力というものを形成されなければ、必要最小限の防衛も全うできない状態になります。相手側が全然いままでどおりでいってくれれば、それはいままでどおりでいいはずですけれども、向こうが急激に強くなってくると、客観情勢が変化してくれば、やはり必要最小限というものも、多少こっちも調整していかなければならぬという形になるわけです。  そういう面からしますと、日本をめぐる周辺の情勢は、バックファイアが七十機も極東地方に展開するとか、あるいはミンスクというヘリコプターを持った航空母艦が展開されるとか、あるいは北方領土に一個師団も常駐して、ミグ23という超スーパーの戦闘機が配属されるとか、そういういままでにないような情勢展開がわれわれの周りに行われておる。しかし、その中にあってもできるだけ節度を持ってそれに対応する力をつくっていく。そういうことを考えますと、いまのようなバックファイアというような大きな問題等を考えますと、なかなか日本の独自の力でこれは対抗できるものではございません。  しかし、われわれはF15というものを整備することによって、ある程度の力は、いま努力して自力でもやろうとしておる。しかし、やはり三沢において日米間で協議いたしましてF16を展開することが日本の防衛を全うする上に必要最小限必要であるという判定をいたしました以上は、やはり苦労ではあっても、その日本の防衛の必要最小限を整備するという、われわれからすれば国民に対する生命財産を守る義務からも、ある程度やらざるを得ぬということでもあります。等々の理由がありまして、客観情勢に即応して必要な対応力、抵抗力を維持していくという努力をやっておるのでございまして、客観情勢がいままでどおりであったら、われわれはいままでどおりでいいと思いますけれども、御存じのように先般来の状況でもおわかりのような事態があるわけでございますから、やはりわれわれの方としてはそれ相応の最小限の努力はしていかなければならぬ。この点も御理解をしていただきたい。  しかし、各地におきまする米軍施設につきましては、できるだけチャンスを見てこれを日本に接収して、返してもらうように努力をしているのでございまして、大きい目立ったものは最近はございませんが、部分的にはできるだけ努力をしてやっておるという次第なのでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 厚生大臣に。  五十九年度予算の概算要求で、厚生省予算の社会保障費の当然増額九千億円のうち、年金部門の二千億円を除いて、残りの約七千億円に対し削限を要求された。結局それが医療費の六千二百億円の削除ということになり、これは言いかえれば、標準世帯一世帯で現在四万円の医療費になっておりますのが八万円の負担になるということであります。こういうようになるわけですが、こういう要求案に対して厚生大臣はどういうような見解を持っておりますか。

林義郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(林義郎君) 鈴木委員の御質問にお答えを申し上げます。  医療費は毎年一兆円ずつ伸びている。これは五十九年度の見通しで申しますと十五兆円、こういうことになるわけです。その中の十三兆円ばかりを医療保険制度によってやっている、あとは自賠責であるとか公費負担であるとか、そういった形のものでやっておるわけですから、この十三兆円というものをどうしていくかと、こういうことであります。  実は、医療というものは、非常に医療技術が進歩をしてきている、また老齢人口がふえてきている。そういうことになりますと、医療費の伸びというのは常識的にはなかなか抑えられない傾向があると思うのです。そのときに、それを国民が健康保険で負担をしたり、あるいは一部財政で負担をしている、こういうことでございますが、これをほうっておきますと、やはり保険料の増額になってくるし、このままでやると、現在やっている保険制度というものが崩壊する危険性があるのではないかと私は思うわけでございまして、今後この制度を保っていく、医療保険制度を長期的に安定さしていくということが一番大切なことだろうと思いますし、負担能力と医療費とのギャップをどうするかということをやはり考えていかなければならないと思います。  そういった観点から、今回の医療制度の改革は全体を見直してみようということでございまして、私も就任以来いろいろと勉強してみたところでございますが、第一に、健康保険料を下げたいと、こういうことでございます。それから第二に、給付と負担との公平化を図っていきたい。たびたび御説明をしておりますけれども、組合健保であるとか政府管掌保険の給付は本人については十割である。ところが国民健康保険、まあ国民健康保険というのは零細の方々であるとか自営業者である、あるいは農家の方々である、これは七割である、その辺はやっぱりアンバランスではないか。本人は十割であるが家族は八割、七割というようなところとは、やはりどう考えてもここは公平感を逸するのではないか、こういうことでございます。第三番目に、乱診乱療という話はたくさんあります。いろんな点でおかしいではないかという点がたくさんありますから、そういった乱診乱療の抑制というものは私たちは医療の適正化方策としてこれを強力に推進していかなければならない、こういうふうに考えまして、この三つを柱としてやろう。  それで、患者負担につきましては、保険料の引き下げに伴いましてできるだけ適正な範囲でこれをやっていこうということでございます。適正な範囲と申しますのは、やはりその中では社会保障の関係でございますから、温かい心を持ってやらなければならない低所得者に対するものと、それから一般の方々との差はつけなければならない。そしてまた、高額医療制度というものは、ただ非常に高い医療になりますと、一律に二割だ、三割だと負担をするということになってもこれは大変な金額になるので、頭打ちという制度を一つ設けているわけでございまして、そういった形でこれからをやっていこうということでございます。  先ほど先生からちょっとお話がございました数字でございますが、先生のお話は四万円から八万円にふえる、こういう話でございますが、数字は、五万六千円から改正後八万二千円、こういうことでございます。  以上でございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 厚生省のまとめた概算要求のうち、いま話がありました被用者保険の本人給付、これを十割から八割にするという問題、これによって国庫負担の軽減を図るというけれども、しかしこれは政府管掌健康保険を除いて大半は何ら関係がないということになる。もう一つは、その中で定年等で退職したサラリーマンのOBは、これは国保に入るわけでありますが、これが国保の財政を圧迫しているということで、退職者医療制度を考えて、約四百六万人のサラリーマンOBをそこに入れる。それを対象にして被用者保険から約三千六百億円も出させようことを考えているんですけれども、こうなると、これは当然国が持つべきものを労使折半で持てと、こうおっしゃっているようにしか聞こえないんですが、どうですか。

林義郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(林義郎君) 先生の御質問、二つあったと思います。  一つは、政管健保を除いて国庫負担の縮減をねらったものではないかという問題と、それから退職者医療についてはそこへそれを持っていくのではないかと、こういうふうなお話だと思いますが、私は、なぜそういった形にするかというのは、やっぱり将来は均等な給付というものを目指していくべきではないだろうかというのがその考えでございまして、その第一段階として本人の八割というものを考えたわけでありまして、二割を入れますことによりまして、そこでプライスメカニズムが働いてくる、そういったことによりまして乱診乱療の抑制にはなっていくのではないかということでございます。  退職者医療につきましてお話がございましたが、やはり現在いろいろと分立しておりますところの医療保険制度のもとで、やはりライフステージというものを考えていくことが必要ではないか、そういった意味で医療費の公平の確保というものをやっていく必要がある。実は医療の必要性は、いまの状態を見ますと健康状態もよろしい、いろんな環境もよろしいということで、働いているときよりはやはり退職をしてから医療にかかるということがふえていくわけですね、年もとってまいりますし。  そうしますと、そのときに、在職中のものと、今度は国民健康保険料はたくさん払わなければならない、しかも給付は七割だというのはやはり非常に酷な話ではないか。できるだけ在職中の、すなわち八割と同じ水準の医療給付というものをやっていくということを考えたらどうかということでございまして、決して退職者の医療費につきまして、高齢退職者自身の拠出は、もちろん保険料というものは払っていただきますが、現役の方々の負担も考えていく。それで、これの中には当然事業主の負担金というものも入るという形で生涯の問題を考える、こういった制度が望ましいのではないかというふうに考えておるところでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 まあ納得できないんですがね。  次は、入院時の給食費について、この一部負担を入院患者に求めて、二百九十億円程度だけれども国の負担を減らしたいと、こう検討しているようですけれども、現在、一日一千五十円です。元気で働いているなら入院するわけないはずですから、働けないから入院する。それだけ重い病気でございますし、場合によれば、中には収入が減ってくる人もいるわけなんで、そういう点で、この負担増で、病気はよくならないけれども早く退院しなきゃならぬ、こういう人も出てくるんじゃないかと思うんですけれども、こういうことはおかしいのじゃないか。そういうふうにさせたいんですか、早く退院を。

林義郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(林義郎君) 別に退院を早くさせたいとかということを考えておるわけでもないわけでございまして、いろいろと御議論がここはあるところでございます。  たとえば、この病気のためにどうしてもこの食事でなければならないというような病気もあるのだろうと思いますが、そういったものは私は別にどうだこうだということではないと思います。ただ、普通に入っておられまして、一般の家庭の方方も食べられるような食事を食べるというような場合があるわけです。まあ私はその方が多いのだろうと思います。そういったときには、家庭でも食べるんですから、せめて材料費ぐらいは御負担をいただくのは公平の原則にかなうのではないだろうか。どこから出すかと言えば、結局は保険から出すわけですからね。そういった人の飯代までも負担をするのは一体どうかなというような御議論があるわけでございますから、そういった形で整理をしてみたところなんです。  繰り返して申し上げますけれども、保険制度でございますから、保険制度というのは、皆さん大部分の方々が保険料を払う、それで負担をするのですから、もしも病気になった、事故があったときにたくさん取られるというのはやっぱり掛ける方からすれば問題がある。そういうバランスはやっぱり考えてみるということが私は必要なことではないかと思っているところでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 同じ要求の中で、ビタミン剤、漢方薬、総合感冒剤いわゆるかぜ薬、これを医療保険の適用から除外し本人負担にすると、こういうことが出ておりますが、五十八年度予算で見積もられた国民医療費は、先ほど話がありましたが十四兆五千億円、そのうち約四割が薬剤費と言われております。薬づけ防止等の大義名分はあるのかもしれませんけれども、私はそれよりも診療報酬明細書、いわゆるレセプトと言われているもの、これの徹底審査があればこういうことをしなくても済むんじゃないか。患者というのは薬をもらっただけで安心して病気が治るという人もいるわけでありますから、大変そういう点が、たとえばこれは治療にマイナスになるというような感じがあるんですけれども、どうかということ。

林義郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(林義郎君) ちょっと質問の御趣旨がよくわからなかったのですが、恐らくビタミンなどというものを外すのはどうかということと、それからもう一つは、あの請求の審査をもっとしっかりやったならば防げるのではないかと、こういうお話だと承って御答弁をさしていただきますが、ビタミンとか感冒薬というのは町でも売られておりますし、一体ビタミン剤というのをバランスのとれた食事というような形で置きかえることもできるのではないかという話もあるわけでございます。  そういったことで、どうしてもビタミン剤を飲まなければ医療上困る。たとえば、いまは余りないんですが、かっけというのがありますね。かっけなんというのはやっぱりビタミン剤がこれはもうどうしても当然必要です。これは病気によって私は見たらいいのではないか。余り必要かどうかよくわからないところまでもビタミン剤を出せというのも、しかもそれも保険の請求という形でやるというのは一体いかがなものであろうかというのが今回の感じでありまして、実はいまも御指摘のありましたレセプト審査その他の、薬づけになるのではないかというお話だろうと思いますが、そういったものの考え方の一環として、私はこういったことを御提案をしているところであります。  レセプトの審査というものをしっかりやれと、こういうふうなお話でございますが、私の方もこれは全くそのとおりでありまして、考え方としては、医療の適正化方策の中でそういったものをやっていかなければならない。だけれども、実は医療というのは非常に単純な、やれかぜだとかなんとかということでなく、場合によりましたらレセプトの中にたくさんの名目が書いてあるわけですね。そうしますと、やっぱりその審査というのはなかなか非常に複雑なことにならざるを得ない。私は、その内容によりまして、審査機関も違っておりますけれども、高額な医療ですね、高額な医療につきましては審査専門部会というのを設けまして、重点的な審査を行う、こういうことを考えておるところでございます。今回の予算でも、審査員の数をふやしましたりすることはぜひともやっていきたいと、こう思っておるところでございます。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 いま診療報酬請求明細書、いわゆるレセプトの件が出ましたが、これは一体何件ぐらいに上っているか。その件数が八億件を超えているということなんですが、そうすると審査一件当たりの時間は何秒ぐらいになってしまうのか。

林義郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(林義郎君) レセプトの総数は五十七年度で約八億四千万件ございます。先生の御指摘のとおりでございまして、支払基金の場合、単純に計算しますと一件当たり七秒と、こういうふうなことになるわけであります。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 これでは審査しているというより、七秒というのは枚数を勘定しているということの方が早いという感じであります。  それで、医療機関の不正請求による返還金額を最近の年度で言ってもらいたいと思うんです、これは厚生省から。それから大蔵省から、国税庁で調査した結果わかった不正請求はどのぐらいあるのか。この二つをちょっとお聞きしたいと思います。

林義郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(林義郎君) 五十七年度の不正請求による返還金額は十億千九百三十三万円でございます。ただし、これ以外にも支払基金及び国保連合会、ここは審査をやっているところでございますが、それによって査定された金額は約千三百億円でございます。

岸田俊輔国税庁次長

○政府委員(岸田俊輔君) お答えいたします。  国税庁といたしましては、一昨年、五十五年度の所得税の事後調査の一環といたしまして不正請求の問題について調査をいたしております。ただ、この調査は、不正請求の疑いの相当強い、規模の大きな、かつ比較をいたしまして不正請求がある疑いの濃い五百九十五件について調査をいたしました。そのうち、結果といたしましては、三百六十六件、総額にいたしまして二十七億円の不正を発見いたしております。これは三百六十六の不正を発見いたしました対象医者の請求総額が七百六十三億でございますので、それの三・五%という結果になっております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 いわゆるレセプトの監査体制の甘さを直すのが私は先だと思うんです。これは総医療費の抑制になるわけです。一千件のレセプトを確認すれば年間三百万円の医療費が節約できると言われている。これは八億二千万枚でございますから、これは単純計算すると三兆円に上るわけです。この方が私は先だと思うんです。被用者保険の十割を八割にするとか、そういうことよりも、いま申し上げたようなレセプトの監査体制というものを先にするのが、これが本当じゃないかと思うんです。その辺はいかがでございますか。

林義郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(林義郎君) 監査体制の強化について、単純計算すれば三兆円と、こういうふうなお話でございますが、監査をしっかりやらなければならないということは当然のことでありますし、先ほど最初に申しましたように、乱診乱療を抑えるという話の中の一環で、不正診療の方を徹底的に抑える、乱診乱療を抑えていくということは、もう当然にやっていかなければならないことでありますし、また薬価基準の適正化を図ることであるとか、場合によっては保険医療機関の指定の見直し等の対策は、これはもう総合的にやりぼり考えていかなければならないと思うんです。  しかし、これらの対策によりましても、国民医療費総額十五兆円、その中の五分の一の三兆円までを切るということは現実問題として不可能だと、こう思っているわけでございまして、そういった意味で、中長期の観点に立ちまして医療保険制度の改革をこの際ぜひやっていかなければならない。 それは給付と負担の面におけるところの社会的な公平を図ることである。退職者医療制度の創設をいたしましたり、国保国庫負担の合理化を進めることであります。必要な受診は妨げず、乱診乱療は招かずの原則のもとに、給付内容、給付割合につきましても見直しをするということでございます。こうしたことをやっていけば、私は、全体として見ればまた保険料の軽減にもつながっていくことではないかというふうに考えているところであります。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 最後になりますが、再審問題について伺いたいと思います。  例の免田事件後の法務省の反省を伺いたい。死刑という人道上にも問題を含む極刑、それが確定していた者が再審になって無罪になるというのは、裁判史上類例のない問題であります。それと同時に、誤判の原因を究明するためにはかっこうの機会と素材を提供したと思うんです。イギリスでは、死刑が誤判であると、こうされたときには、委員会をつくってその報告を求めるということになっておりますが、人権擁護を任務の一つとする法務省として、今回の事件を振り返り反省の素材としたかどうか、これが一つ。  それから八月十日に、再審制度の基本に立ち返った見直しが必要という答弁がされておりますが、その作業の進展はどうなったか。  それから三番目は、運用上の問題点と運用では賄えぬ問題点とがあるということを法務大臣は答弁しておりますが、それでは運用面の方ではどういうふうにいままで検討されてきたのか、また運用面でない問題ということは刑事訴訟法の改正ということになるわけでありますが、これについてはどういうふうに対応を考えておられるか。  またもう一つは、少年法の不備をみどりちゃん事件の最高裁の判決で指摘されております。この点について事実上再審の門戸を広げたことになるわけでございますが、この四つについて伺っておきたいと思います。

秦野章自由民主党法務大臣

○国務大臣(秦野章君) 免田事件の問題は、とにかく一審、二審、三審と死刑の判決ですから、死刑の判決というのはやはりよほど有罪の確信がなきゃできないはずのものが、三十何年ぶりで再審をやったら無罪になった。これはまあ異例中の異例だと私は思うんですよ。したがって、めったにあるものじゃない。これはそのこと自体、まずとりあえず当面はそこからどういう教訓を学ぶか、運用上の問題としてどこにどういう問題があるのかということを刑事司法の関係者みんな研究することが先だ。当面、裁判制度、刑事訴訟法の運用、こういう問題についてそこから学びとるものが必ずあるだろう。  そういうことで、私はこの前も法務委員会でいまおっしゃったようなお答えをしたわけでございますけれども、委員会をつくることよりももっと現場の関係者、これはいろいろ会合がございます。ブロックの会合があったり、全国の会合があったり、そういうところでよく研究をすることをまずやる。そういう事件があったからすぐ制度改正だと、こういうように持っていってしまうと、かえってそういう教訓を学ぶことに抜かりが出るおそれもあるから、再審制度というのは研究問題としてございますけれども、そういう方向でお答えをしたので、いまもその方向で検討を進めつつございます。  あと、少年法その他については政府委員から答弁さしていただきます。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 少年法の問題でございますが、先ほども御指摘がございましたように、過般の最高裁の決定がございまして、現行少年法の解釈、運用によりましてああいう事態が防げるという見解が示されたわけでございます。したがいまして、現行法制のもとにおきましても、いわゆる再審に当たります救済手段と申しますか、そういう道は実質的に開かれているわけでございます。  そういう意味では、実質的な不備、欠陥があるということもないんじゃないかというふうに思いますけれども、御案内のとおり、少年法の改正につきましてはかねてから作業を進めているところでございまして、その中には少年の権利の保障という観点からいまの問題も含まれているわけでございます。法制審議会の答申に基づく改正につきましては、いろいろな御批判、御意見もあるわけでございまして、私どもといたしましては、関係方面の御理解を得ながら、少年法制の整備充実のできる限り早い実現を図りたい、そのためになお努力を重ねたいと考えております。

鈴木一弘公明党・国民会議

○鈴木一弘君 終わります。(拍手)

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 以上で鈴木君の質疑は終了いたしました。  午前の質疑はこの程度にとどめます。午後零時三十分から委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時十分休憩      ─────・─────    午後零時三十三分開会

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 予算委員会を再開いたします。  予算の執行状況に関する調査を議題とし、瀬谷君の質疑を行います。瀬谷英行君。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 総理に最初にお伺いしたいと思うんでありますが、最近、衆議院の方は解散風が吹いてきたわけですよ。総理は、やらないと、こう言っておりますけれども、解散の風が吹いてくると、衆議院の方はみんな落ちつかなくなるわけです。そこで、解散のあり方について総理の見解を最初にお伺いしたいと思うんです。これはルールがあるわけなんです、本来ならば。やたらとやっていいことじゃないと私は思うんです。不信任が通ったとかあるいはまた予算が通らないとか、こんなような特定な場合に限定をされるべきものだと思うんでありますが、総理はここはどういう見解をお持ちですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 衆議院に解散風というものが吹いているとは一向思いません。微風もそよ風もない状態ではないかと思っております。  また、解散をどういうときにやるかという御質問でございますが、これは憲法上の手続に従いまして行うべきものであると考えております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 十月十二日の判決の前に公選法を上げようといったような動きもあるわけですね。解散ということを考えなければ、そんな公選法の改正といったような問題は急ぐ必要はないと私は思うんでありますが、一体そういう、たとえば行革法案にしても、それまでに参議院に送るとか、この種のいろいろと問題をせくことが解散ということを想像させるわけなんです。その点どうでしょう。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 十月十二日の判決と解散とは全く関係ございません。今回は行革国会でございますので、行革法案を会期内にどうしても成立さしていただきたいと思いまして党の方に強くお願いしておるわけで、この特別委員会の委員長以下の人選も、自民党としては特に力を入れて人選をしておるわけでございまして、行革法案が成立いたしますならば、われわれとしては今国会の目的は達したものと、こういうふうに考えまして、御協力をいただきたいと思う次第なのであります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 総理大臣の発言の中で一番当てにならないのは、解散はいたしませんという言葉なんですよ、いままでは。そこであなたが何と言おうともいろんな解説は解散ということをしきりに言っているわけです。  そこで、やはり政治倫理の問題についても、いままでの御答弁だと決まったような答弁しかないんでありますけれども、けじめをつける意味で、この判決の後で何かをしなきゃならぬと思うんでありますが、その点はどうですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 風を見るのは風見鶏が一番うまいんじゃないかと思います。一向に解散風というのは吹いているように私は感じておりません。  また、解散と十月十二日の判決とはまるきり関係はないと、重ねてここで申し上げるものであります。十月十二日の判決の後何かしなければならぬとおっしゃいますが、判決の内容もまだわかりませんし、いま予断を持っていろいろなことを考えることは私は慎みたいと考えております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 そういうことはわかりますけれども、そうは言っても大体見当はつくんですよ、これは。そうでしょう。総理だって見当つけてるんじゃないかと思うんですがね、どうなんですか。外国のお客さんが来るわけでしょう。アメリカの大統領だとか、ドイツだとか中国だとか、そういうお客さんが来るときにこのロッキードの判決があって、そのけじめをつけるという政治倫理の問題がはっきりしないというんじゃぐあいが悪いんじゃないか、こういう気がするんです。だから、その点に対する配慮というものがあっていいんじゃないかと思うのでありますが、その点はどうですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 内政は内政、外交は外交で、内政と外交を混淆させないようにするというのは前から私が申し上げていることでございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 いままでのやりとりの中ではっきりしているようではっきりしてないのはこの政治倫理の問題なんです。これはだれが聞いてもみんな答えは同じなんですよね。静かに見守ると言うんです。鐘つき堂でもってつり鐘たたいているようなものです。たたき手が違っても音はみんな同じだと、これではやはり国民は納得しがたいという気がするんですね。  もう一つ、財政再建の問題なんです。増税なき財政再建というのは前々からの約束だと思うのでありますが、この増税なき財政再建ということが具体的にできるのかどうか、この点もお伺いしたいと思うんです。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 政治に関する信念は一つでございますから、いろいろお聞かれいたしましても、一つの信念を申し上げているので、いろいろ変わったことを申し上げるすべはないわけであります。  それから増税なき財政再建につきましては、私は行管長官のときからこれを守ると申し上げておりまして、また組閣後も一貫してそのことを申し上げているのでございまして、誠実に努力してまいるつもりでおります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 非武装中立の問題をめぐる公開討論についていろいろございましたが、結果的には衆議院で石橋委員長と中曽根総理のやりとりという形になりました。しかし、これは限られた時間であって、石橋委員長にしても意を尽くし得なかったと思うのであります。しかし、国民がやはり関心を持っている問題については十分に時間をとってテレビ等で放送されるということは好ましいことじゃないかと思うんです。総理としてはこの種の公開討論を続ける意思があるかどうか、お伺いしたいと思うんです。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 先般行われました石橋委員長との御質問応答につきましては、石橋委員長の明晰な鋭い御質問に当方たじたじであったのであります。もし先方におかれましてなお続いてやるお気持ちがあれば、これを回避する理由はございません。国民の皆様方によく知っていただくことが大事だと思いましたが、あのときテレビ、ラジオの放送がなかったのははなはだ残念でございまして、あのとき石橋さんが第一陣に出ていただけばテレビにもラジオにも放送されたと思うんですが、社会党の御都合でしょうか、第二陣に出られてテレビのチャンスを逸したのははなはだ残念であると思っています。しかし、私と石橋さんだけでやりますと、民社党の委員長や公明党の委員長さんに怒られまして、そういうような全体のバランスをどうするかという問題もございます。そういう点につきましてはいろいろまたお話し合いをさしていただいて結構であると思います。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 ほかの党の委員長ともおやりになればいいんじゃないでしょうか。あなたは大変に能弁なことでもって有名だし、自信を持っておられるんだから、遠慮することはないと思うんです。  それからテレビが、たとえばNHKがやりたがらなかったら民放でやったっていいんじゃないかと、こう思うんですよ。それは間にコマーシャルは入るかもしれないけれども、総理大臣がしゃべった後でアデランスの広告なんか、これもまたおつなものじゃないかと思うんです。継続される意思がおありになるなら、その点お約束いただきたいと思うんです。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 私はまだアデランスを必要としない状況だろうと思いますが、別にコマーシャルが出たからといってどういうものじゃありません。民放には民放のそういう性格があると思います。  野党の委員長の皆さんは、竹入さんにしても佐々木さんにしても、とにかく猛者ですから、猛者を相手に、その上に石橋さんまで加わってやられるとなると、こっちは相当汗をかかなきゃならぬということになりますが、しかしそれが民主政治の発展に資するということになれば、適当な条件、環境のもとにそういうことをおやりになることを回避するものではございません。もしそういうような状況が各党各派でお話し合いでつくられるならば、喜んで参加さしていただきたいと思っております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 大韓航空の問題についてお伺いしたいと思うのでありますが、先ほど雫石での全日空と自衛隊機の問題も報告がございましたが、私はきょう、実際にこのアンカレジと成田の間を飛んでいるパイロットの人に参考人として出席をしてもらって、いろいろとお聞きしたいと思ったのであります。しかし、いろんな事情でそれは実現をいたしませんでしたから、それはそれで改めて考えるといたしまして、ああいったような、たとえば航路を大きく逸脱をするということがあり得ることなのかどうか、その点をまず聞きたいと思うんです。

山本長運輸省航空局長

○政府委員(山本長君) お答え申し上げます。  大韓航空機が誤ったコースを相当長時間にわたりまして飛行した原因につきましては、目下のところわからないと申し上げざるを得ないのでございます。現在、ICAOにおいても調査をすることになっておりますし、また韓国政府も調査中でございます。私たちといたしましては、現在のところはこの論評を差し控えるのが適当かと考えますが、先生お尋ねの、通常どういう方法でもって正確な航路を維持しているのかということを、日本航空の場合を例にとりまして御説明を申し上げたいと思います。  飛行コースを正確に航行するための装置でございますが、INS、慣性航法装置と申しておりまけれども、この装置は日本航空の場合は三式、三重に装備されております。また、この装置を操作するに当たりましては、機長と副操縦士がお互いにチェックをしながら操作をいたしまして、そして一たん操作し終わった後で、またさらに、再度これを両者が相互にチェックしながら確認をする、こういう方法をとっております。  また、離陸後、洋上に出ます前に地上にあります航行施設などを利用いたしまして飛行機の位置と方向を照合し、確認をいたしております。また、遠く陸から離れまして洋上を航行する場合におきましても、気象レーダーというものを航空機は装備しておりますので、この気象レーダーは地上の地形等が映ります。これによりまして位置を確認をして、そして飛んでおる。と同時に、その位置を確認したところを管制機関に通報する、こういうシステムをとっておるわけでございます。  また、機長が位置について不安を抱きましたときには、このINS装置でもって、自分の位置でございますとか方位でございますとか、あるいは対地速度というものをこの機械に聞きますと、機械が正確にまた教えてくれるということで、いつでも自分の位置を確認できるということになっております。  このように、航行中の自分の飛行機の位置というものを、一つの方法ではなくて複数の方法で確認をし合いながらチェックをするというのがパイロットの基本操作でございます。仮に何らかの理由によりましてコースが外れるということがございましても、いずれかのチェックをして正常なコースに戻すということをしまして、未然に大きく外れるということを防ぐことができるというふうにシステムとしてなってございますので、あのように相当長時間コースを外れて飛ぶということについては、私たち、まだその原因がわかりませんので、目下のところよくわからないと申し上げる以外にないのでございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 わからないじゃ済まない問題なんですね。たとえば損害賠償という場合でも、一体だれが一番大きなミスを犯したのかということがわからないと、これは話が進まないと思うんです。外務大臣の方ではソビエトに賠償も請求するんだと、こういうことを言っておりましたけれども、じゃ、ソビエトに対するいわゆる過剰防衛ということでその賠償要求をするということだけであって、大韓航空の過失責任については別に触れないんですか。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) いまの大韓航空機がどういう理由でこの針路を大きく変えたのかと、これはまだ調査中でありますし、韓国に対しましても調査をわれわれ求めておるわけであります。まだこれはいずれの原因かはっきりしない。そういう中にあって、とにかくいかなる理由があるにせよ、非武装、無抵抗の民間機を撃墜したということでありますから、ソ連の国際法の違反というのははっきりしているわけでありますし、そういう立場で日本はまずソ連に対しまして損害賠償の請求をいたしたわけでありますが、残念ながらソ連はこれを受け付けない、こういうことでありまして、さらに今後とも重ねてわれわれはソ連に対して損害賠償を請求したいと、こういうふうに考えております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 ソ連の方はスパイ飛行をやったと、こういうことを言っておるのでありますが、一体、この飛行機に乗っておった者が、二時間半の間自分の飛んでいる場所を知らずに飛ぶということがあり得るのかどうか、その点はどうでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) これはわれわれも、どうしてその進路が大きく変わったのか、いま申し上げましたようにまだ原因がはっきりわからない、機械のミスであるのか、あるいは操縦士のミスであるのか。ただ、ソ連が言っているようなスパイ機である、こういう認定については、私たちはそうは思いません。いまの二百六十九名という貴重な乗客を乗せた民間航空機がスパイを働くなどということはあり得ないことでありますし、同時にまた、現在の宇宙偵察技術等が米ソ両国においてこれまで高度に発達した時代にあって、そうした民間航空機がスパイをするなどということは、客観的にもあり得ないと私は思っておるわけでございます。しかし、まだその原因がいずれにしても明らかではない。この原因、まず領空を侵犯した、非常に大きく進路が変わった、こういう原因については、今後ともあらゆる角度から努力をしてこれを突きとめなければならないと、こういうふうに考えます。  なお、韓国に対しましては、これから遺族の方の大韓航空機に対する補償の要求が始まるわけでございますが、われわれとしてはこの遺族の方の大韓航空機に対する補償の要求に対しましては、政府としても側面的にできるだけの協力をしていかなければならぬと考えております。

長谷川峻自由民主党運輸大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 航空局長が御説明申し上げたように、いまの飛行機は、乗っている間完全に機械によって操作されて安全になっているわけです。ですから、この場合に非常に不思議なことは、運輸省がとった航空機と管制との交信記録、新聞にも発表されましたが、墜落するまで機内は全部静かで何らそこに不安もない、こういうことなんです。しかもそれが落ちたところは、ずっとコースを外れてソ連側に落ちているわけですから、この辺が大変なミステリーです。それだけにこの解明というものは、ありとあらゆる、もちろん韓国政府もやっているでしょうが、日本政府もそれはソ連に対してお願いしたり要求したりしているわけでして、このミステリーが解明されて初めてみんなが安心することになるんじゃないか。これは皆さん非常に、けさ雫石の話も出ましたけれども、大変な事件だというところに共通の認識がある、こう思っております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 もう一度、今度具体的に聞きますけれども、これはミステリーで片づけてしまったのではいけないと思うんですね。操縦士が自分の飛んでいるところがわからないで飛ぶということがあり得るのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。

山本長運輸省航空局長

○政府委員(山本長君) お答え申し上げます。  先ほど御説明申し上げましたように、日本航空の例でございましたけれども、そういったパイロットが自分の位置を確認しながら、コースを外れないということを確認しながら飛ぶのがこれは基本動作でございます。日本航空の例を申し上げましたが、それを誤りなからしめるために機械とそれを扱う人間の操作の手順、確認の方法というものが定められておるわけでございます。大韓航空におきまして、どういう原因であるかということについてはつまびらかにできませんけれども、私たち、こういった航空機を運航する基本動作というものが守られておるならば、ああいったコースを外れるということはあり得ないのではないかというふうに考える次第でございます。  しかし、現実にそれが起こっておるわけでございます。これにについては日本側の資料、もしくは運輸省が持っております資料によりましてはわかりません。これについてはやはりICAOにおきまして調査をする、そして三十日以内に暫定報告をし、さらに次の理事会でございますが、十一月から十二月にかけて開かれる理事会に最終報告を出すということが理事会で決まり、ICAOの事務局におきまして調査を開始しようとしておるわけでございます。そういった調査に私たちも協力をすることによりまして、一刻も早くこの原因というものが明らかにされるようにわれわれも努力をしていかなきゃならぬというふうに考えておる次第でございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 自分の飛んでいるところがわからないということがあり得ることなのかどうか。つまり、レーダーで下を見た場合に下に島影が映るはずなんです。そうすると、レーダーを見る限りはわかるわけなんですよ。その点はどうなんですか。

山本長運輸省航空局長

○政府委員(山本長君) レーダーで地上の状態を見ることができます。これは飛行機に積んでおりますのは気象レーダーでございますけれども、それを用いまして地上の地形等を見ることができます。私が先ほど申し上げましたように、航空機の正常な運航を確認するために、パイロットはこれを使いまして位置を確認しておるわけでございます。それを使えば下の島影等については確認することができます。通常それはパイロットがやるべきこととして定められておりますので、それを通常はやっているはずでございますので、それをやっておればコースを外れるということはあり得ないというふうに考えるわけでございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 夜の田舎道を歩いておるわけじゃないんだから。そうすると、どこを飛んでおるかわからないで飛んでいるということはあり得ない。そうすると、下にサハリンがあり、カムチャッカ半島があり、千島列島があるということがわかっていて飛んだということになるんじゃないですか。その点はどうですか。

山本長運輸省航空局長

○政府委員(山本長君) これはそうであるはずであるというふうな判断をすることは早計に過ぎるかと存じます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 日本航空のパイロットの場合はわからずに飛ぶことがあるかどうか、その点はどうですか。

山本長運輸省航空局長

○政府委員(山本長君) 先ほど申し上げましたような方法によりまして確認しながら飛んでおりますので、日本航空のシステムによりますれば、そういうふうにわからずに飛ぶということはあり得ないと考えます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 日本航空ではわからずに飛ぶことはあり得ないのに、大韓航空ではあり得たということも、これまたあり得ない話なんですね。 その点、過失でもってうっかり飛んだのか、あるいは意図的に飛んだのかによって問題が違ってくると思うんです。そのところは、意図的に飛んだというふうにみなされると、それこそスパイなどという容疑が今度は出てくるわけです。だから、そこのところがどうなのかというのが一番大事なところだと思うんですが、その点はパイロットなどの経験に照らすとどういう答えが出てきているか、その点をお伺いしたい。

山本長運輸省航空局長

○政府委員(山本長君) この点については、目下のところわからないと申し上げる以外にございません。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 わからないじゃわからないんで、意図的に飛んだ理由がわからないというならわかるんですよ。意図的に飛んだのか、過失で飛び越えたのか、この点の分類ぐらいはできるんじゃないですか。

山本長運輸省航空局長

○政府委員(山本長君) せっかくのお尋ねでございますけれども、そういったことについて究明をするのが原因の調査でございまして、これから各国協力し合ってできるだけ早くそれを究明しようということになっておるわけでございまして、はなはだなんでございますけれども、先生おっしゃる御質問についてはわかりませんと申し上げる以外にございません。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 私が言いたいのは、わかりませんで済まされてしまうと、これは日本人の二十八人の遺族の方の補償も取りっぱぐれますよ。ソビエトの方はおれの責任じゃないと言う。大韓航空の過失責任はわからない。じゃどういうことになるんですか。この補償も何も取れなくなっちまう、こういうおそれがあると思うんですが、その点はどうですか。

長谷川峻自由民主党運輸大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 原因がいまわからないためにこうして議論しているわけですが、これを推測でいまやることは非常に私は危険だと思っております。とにかく、どういう間違いが仮にあるにしろ、二百六十九名が亡くなったことですから、そのことを思いますというと、やはり世界のみんなが集まってICAOでやっている原因究明、この調査を待って、お互いがその次の手を打つというところに常識が働くのが当然じゃないでしょうか。それまでひとつ瀬谷さんお待ちください。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 これは、はっきりしていることは、意識して飛び越えたのか、二時間半という間ですね、あるいは過失で飛んだのかということによって過失責任が、これは大韓航空の場合も違ってくるわけですよ。  ただ、考えられるのは、いま私が質問したことでわかったのは、わからずに飛ぶことはないというんですから、そうするとレーダーも見なかった、自分の位置も確認をしなかったということになると、居眠りをしていたのか、あるいは何かほかのことをやっていたのか。ムルマンスク等の例ではカードをやったとかやらないとかいう話があるのでありますが、ムルマンスクの場合の損害の補償についても解決していないということを聞いておりますが、その点はどうですか。

山本長運輸省航空局長

○政府委員(山本長君) ムルマンスクの事件の際に日本人乗客が死傷され、一人が死亡されたということでございますが、本件については現在東京地方裁判所において係争中であると、かように承知しております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 もう少し具体的にどうなっているのかわかったら教えていただきたい。

谷田正躬外務大臣官房領事移住部長

○政府委員(谷田正躬君) お答え申し上げます。  ムルマンスク事件のときにおきましては、ただいま航空局長が御説明申し上げましたように、日本人が一名死亡いたしまして、そのほか六名の負傷者が出ております。  それで、死亡した遺家族の方と大韓航空との間の損害賠償に関する話し合いは、最初当事者間で示談交渉が進められてきたわけでございますけれども、これが双方の提示する金額が非常に差がございましてこの示談交渉はうまくまいりませんで、事件後一年半たちまして、五十四年の九月に遺家族の方は大韓航空を相手取りまして東京地方裁判所に損害賠償請求訴訟を提起されまして、以後この訴訟が現在まで係属中でございます。また、負傷者に関する補償につきましては、当事者間の話し合いによりまして大韓航空側で治療費全額とそれから見舞金として三十万円を出すことによって解決したと承知いたしております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 問題は、負傷者のことじゃなくて亡くなった方の補償の問題なんです。ムルマンスクのようにずいぶん前の事件がまだ片がつかないということになると、今度の事件だって同じような轍を踏まないとは限らない。その点はミステリーでもって片づけるというとみんなうやむやになるんですよ。それじゃ遺族の方としてはこれは浮かばれないと思うんですね。浮かばれないというのは亡くなった方のことなんだけれども、遺族の方としてはこれはやり切れないと思うんです。これはどうなんですか、どうしたらいいんですか。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) ですから、やはり真相を明らかにしなければならぬ、そういうことでICAOでも決議がされまして、ICAOはいま調査団を編成いたしまして、ソ連あるいはアメリカ、韓国、日本等も訪問して鋭意調査を進めておるわけであります。その結果によって真相がどこまではっきりするか、これを見なければならない。これは国際的な判定の機関でありますから、われわれはこれを見守ってまいりたいと思います。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 そういうことだけでは問題はなかなか解決しない。真相がわからないということだったら、ソビエトに対する賠償請求の方法だって、これもまた真相がわからないで片づけられますよ。そうすると遺族の人はどこにも持っていき場所がなくなっちまうんですよ。外務省なり運輸省なりが、やはり過失責任が大韓航空にあるのなら、まず大韓航空のこれは過失責任は間違いない。あそこへ紛れ込まなきゃ落とされることはなかったわけですからね。この逃れようのない過失責任について、まず大韓航空に対しても補償を求むべきだと思うんですが、その点はどうですか。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) まず、ソ連に対しましては、これはいかなる理由があっても民間航空機を撃墜したわけですから、これは明らかに国際法違反ですから、正当な損害賠償を要求することは当然だ、こういうことで日本あるいはアメリカその他の関係国が要求しておるわけであります。  また、大韓航空機につきましては、確かに進路を誤まったことも事実でありますから、いまこの補償問題が起こっておることも事実であります。大韓航空機に対してこれからの遺族の補償の請求が行われるわけであります。政府としてはその遺族の大韓航空に対する補償要求につきましては、これが遺族の皆さんの期待に沿えるように政府としてもできるだけの努力を行いたい、協力をしたい、こういうふうに存じております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 要するに、その真相の究明ということがどうもいいかげんで、このままでは水かけ論に終わりそうな気がいたします。  そこで、今度はもう一つ、外務大臣に答弁してもらったので、これも外務大臣にお伺いしたいのでありますが、外務省の方で国連の平和維持機能強化に関する研究会、この提言がまとまったということで、それを国連総会に外務大臣が出席をして事務総長に手渡すということを聞いているんでありますが、これは一体どういう性格のものであるのか、その内容はどういうものであるか、御説明いただきたい。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) これは私が民間の有識者の皆さんから国連の平和維持機能の強化についての提言を受けたわけでありますが、この提言につきましては、昨年の国連の決議におきまして、国連の平和維持機能について各国の政府あるいは民間の有識者よりこの改善改革の方向についての意見を求めたい、こういう決議がありました。それに基づいて事務総長からの要請もあって、各国ともいま提言をまとめておるわけでございます。  そういう中で私が受け取りましたので、これを実は今回の国連総会に参りますので国連事務総長にお渡しをしたい、こういうふうに考えておったわけでございますが、実は九月の二十一日に国連の平和維持機能強化に関する研究会の斎藤鎮男座長より、国連局長を通じまして私に対して、さきに提出した研究会の提言をめぐりいろいろと議論が行われておるところ、同提案には「平和に対する国連の役割の強化」と「我が国のとるべき役割」の双方が含まれており、研究会としては、後者についてわが国において広く議論していただきたいと考えて問題提起をしたものである、したがりて同座長としては提言の国連事務局への伝達については後者を別扱いにされて差し支えない旨の申し出がありました。私としましても、右申し出にかんがみまして、今次国連訪問に際して伝達するものには、「我が国のとるべき役割」の部分を含めないことといたした次第でございます。  この提言の主要点は、まず安保理決議が誠実に履行されているかどうかを確かめるための履行監察委員会、潜在的紛争、または、すでに顕在化した紛争に関して正確な情報を早期に収集するための情報・調査委員会などの補助機関の設置であるとか、あるいは事務総長の調停権限について、その有権性を確認をする決議の採択、さらにまた、事務総長調査機能の強化、及び仲介、調停の積極化、または国連平和維持活動に対してより明確な任務と強化された権限を付与すべきである。あるいは紛争当事国は停戦協定の国際的合意を遵守すべきである。地域機構と国連の連携を図っていくべきである。最後に、平和維持活動に対するわが国の協力体制を段階的に積極的に拡大をすべきである。こういう点についての提言があったわけでありますが、最後の点について、いまこの斎藤座長からの申し出もありまして、これは省いて、いわゆる国連の平和維持機能全般的にわたるものについてのみ事務総長に、いわゆる日本の民間の有識者の提言としてお渡しをしたい、こういうふうに考えております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 いまの「役割」の点でありますけれども、省いたということでございますけれども、この最後のところはなかなか重要な問題があるわけです。医療、通信、警察、兵たん、監視・パトロール活動といったようなことについて参加をするということになっているわけですね。だから、まとめられたこの提言がもし取り上げられるということになると、この国連警察軍へ参加をしなきゃならぬ、自衛隊は出かけていかなきゃならぬ。事と次第によると、たとえばレバノンとかシリアとかあんなところで紛争が起こると、弾の飛んで来るところへも行かなきゃならぬということになるかもしれないし、朝鮮におけるアメリカ軍も名目的には国連軍だから、これまた場合によると米軍にかわって朝鮮民主主義人民共和国の軍隊と対峙するというようなこともやりかねないわけです。そういう可能性を持っている提言の中の役割りだと、こういうふうに理解してよろしいんですか。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 最後の「我が国のとるべき役割」についてでありますが、いまのお話のように直ちにそういうことになるわけではないと思いますけれど、この文を読んでみますと、段階的に警察活動への参加であるとか、あるいはまた兵たん補給活動への参加、監視・パトロール活動への参加というふうなことも研究をすべきである、そういう方向で努力をすべきであると。こういうふうにわが国のいわゆる国連の平和維持活動についてのこれからの役割りを積極的に進めるべきであるという、わが国の役割りについての提言があるわけでございますが、これはいろいろと検討しました結果、また座長の要請もありまして、事務総長に私から手渡すことは、この点だけは省いてお手渡しをする、こういうことにいたしたわけでございまして、わが国は御存じのように憲法、そしていまの自衛隊法もあるわけでございますから、現行の法制の中で国連平和維持機能強化に対する協力は進めていきたい、またいっておる、こういうことでございます。この考え方を、方針を変える考えはございません。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 憲法や自衛隊法の中に踏み込むような問題を、こういう一部の人たちだけでまとめるということも問題があるような気がする。しかもそれを外務大臣が出かけていって事務総長に渡すということになると、受け取られた場合には、これは公的な性格を持つのじゃないかと思うんですが、その点どうですか。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) わが国としては、御承知のように国連の平和維持活動については現在の法制下で行う、これはもう決定をいたしておるわけでございますから、そういう中でいまお話しのようないろいろな議論もございました。そうした議論をおもんぱかって、斎藤座長からこれは省いてほしいということでありましたし、私も全体の情勢から見まして、またわが国の立場から見まして、これは省いてその他の提言をお渡しすることが妥当であると、こういうふうに考えて、そういう方向で、これから国連事務総長と会談をする際に、その他の提言をお渡ししたいと、こういうふうに思っております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 それじゃ、このメンバーはどうやって決めたんでしょう。中にはNHKの解説委員長山室英男さんといったような方も入っているわけですね。これは外務省の方がこの人選にやはりタッチされているんでしょう。その点どうですか。

山田中正外務省国際連合局長

○政府委員(山田中正君) お答え申し上げます。  あの提言を依頼するに際しまして、国連の活動、国連の平和維持活動、その他国際問題に造詣の深い方々という基準で外務省の方でお願いしたものでございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 外務省の方で委嘱をしたということなんですね、いまのお答えだと。外務省はいわゆる諮問機関のような形でもって委嘱をしたんですか。

山田中正外務省国際連合局長

○政府委員(山田中正君) お答え申し上げます。  先ほど大臣がお答え申し上げましたように、国連の決議で、国連において国連の平和維持活動というものを検討するに際して、政府の意見のみならず民間の意見も聞きたいという決議が通っておりますので、その決議を踏んまえまして、先ほど申しましたような基準で日本の有識者の方に意見の取りまとめと申しますか、をお願いしたわけでございます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 最後の「役割」だけは保留をしておいて、その前の分は、そうすると日本の外務省の公式見解というふうにとられても差し支えないんですか。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) これはあくまでも国連決議に基づいて各国の有識者の意見も聞きたいということでありますから、政府の見解とは別にして有識者の意見、提言として事務総長に手渡すわけであります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 それじゃ、これを採択いたしますということになれば、これは有識者の意見じゃなくて日本政府の意向という形に変わってくるわけじゃないですか。その点どうですか。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 政府の国連の平和維持機能、あるいはまた国連強化に対する意見は、これまでも国連総会においてしばしば日本としての立場を表明しております。また、今回も私は表明したいと、こういうふうに思っておりますが、今回手渡すのは国連決議に基づいて各国から出てくるいわゆる有識者の意見として日本からも提出するわけでありますから、これを踏まえて事務総長がどういうふうに各国のいわゆる有識者の意見をまとめて、あるいはまた政府の意見をまとめて国連の平和維持機能について判断するかはこれは国連の問題だと、こういうふうに存じます。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 有識者といっても七名の方が有識者ということで、これがそのままこの日本政府の意向という形で取り上げられるということになると、これは余り軽々しく取り扱われては困ると思うんですね。これはやはりストレートに国連に手渡してしまうということでいいのかどうか。やはり相当吟味をしなきゃならぬ問題が多々あると思うのでありますが、その点十分な吟味がどういう機関で行われるようになっておったのか、その点お伺いしたい。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 国連決議で、各国の政府だけじゃなくて各国の民間の有識者の意見も聞きたいということでありますから、日本政府としてもその決議に基づいて、日本政府の意見はこれはもう軍縮総会等でわれわれ常に言っておるわけでありますが、それとは別に各国の有識者の意見ということで、私も民間の有識者、国際法等に詳しい、国連問題に詳しい外務省としての有識者を集めて自由に討論していただいて、その結果の提言と、こういうことになりたわけであります。これを国連事務総長が、日本だけではありませんから、各国からも有識者の意見が出ると思いますから、それをどういうふうに踏まえて今後対応されるかは、これは国連、そして事務総長の私は判断の問題であろうと、こういうふうに思うわけです。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 総理にお伺いしたいと思うのでありますが、いままでの総理の答弁の中で、特にきのうきょうにわたってソビエトの脅威ということを大分強調されました。しかし、たとえばミンスクであるとかあるいは択捉島における配備であるとかいろいろなことを言われたんだけれども、こちらの日本でも航空母艦が、カールビンソンとかニュージャージーとかエンタープライズというのが日本の港に出入りをしておるわけです。この点を考えると、ミンスクとエンタープライズあるいはカールビンソンの比較をしてみればどういうことになるんですか。向こうのミンスクの方がはるかに脅威であると、こういうふうにお考えになるんですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) わが国は、いまの憲法のもとに非核三原則を堅持して、節度のある自衛力で必要最小限の防衛力を整備しているという関係であり、そういう面から見まして、わが日本列島の安全を守り、外国に侵略されないだけの保障、国民の皆さんに安心していただく措置をしておくというためにアメリカと日米安保条約を結んで、そしてアメリカの力と提携しつつ抑止力を形成して日本に手をかけさせないようにしているわけであります。そういう意味において日米安保条約をいつも有効に機能させる、そういうふうなことは政治家の責任であります。そういうような関係から日米間に合意が成立いたしまして、アメリカ側の適当な艦船の入港も認めておるわけでありまして、いままでどおり佐世保にも横須賀にも来ておった。それはやはり抑止力を形成している。そういう意味においてわれわれとしては是認もし、またそれ相応の便宜供与もしておるということなのでございます。  しかし、そういうようなことはずっと前から続いておるのでありまして、われわれがそういうふうに平生やっていることに加えて、先方側が最近顕著に、これはソ連の世界政策としてオケアン演習をやったころから世界的に海軍力を増強して、特に極東地域においては大変な増強ぶりを示し、あるいは航空兵力等も増強している。その事実をそのまま皆様方に申し上げた、そういうことなのであります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 レーガン大統領からの強い要請は防衛力の強化ということなんですよね。そのほかにも農産物の輸入自由化という問題もある。これらの問題に対して、やはり何もかもイエスと言っておったのでは、これは日本の国民とすれば不安を禁じ得ないんです。今度レーガン大統領がどういうことで来られるかわかりませんが、その点はどうなんでしょう。そういう心配はないんでしょうか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、レーガン大統領と二回ほど、あるいは立ち話ではずいぶん話をしておりますが、具体的に防衛についてあれしてくれ、こうしてくれという要請がましいことは一回もありません。防衛庁長官レベルにおきましてはそういう具体的な話があるいはあったかもしれませんが、私に関する限りはございません。また、農産物につきましても、牛肉、オレンジの自由化というような問題をレーガン大統領から直接ああしてくれこうしてくれというような要望は一回もございません。  やはり、日米首脳の間は大局的な見地に立って基本的にしっかり手を握り合っているという、基本的、人間的信頼感というものが大事なので、私はそれを一生懸命両方の努力で形成しようと思っておるので、具体的な施策や細かい問題は各大臣なりあるいはそれぞれのつかさ、つかさでやっていただく、そういうことにしてあるわけであります。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 しかし、それにしては総理が三海峡封鎖だとかシーレーンの防衛だとか不沈空母だとか、こういったようなことをことしになってから述べられたということは、これは大変なことだと思うんですよ。ロンとヤスと言い合う仲だと言われるけれども、できることとできないこととあるわけですね。できないことを引き受けるのは、これは安受け合いと、こういうことになってしまう。何と言われようとも、できないことは、それは論外だと言って断らなきゃいかぬと思うんですね。その点、やはり毅然とした態度をとっていただきたいと私は思うのでありますが、それらの防衛等の問題について対等な立場で物が言い合えるのかどうか、その点お伺いしたいと思うんです。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) たとえば牛肉、オレンジの問題等については、閣僚協の席で私は先方側に対して、できることとできないことがある、牛肉、オレンジの自由化というものはできませんよと、そういうことをちゃんと言ったので、これが論より証拠だと思うんです。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 石橋委員長が言われたことは、結局はアメリカ依存か自主中立かと、こういう選択になると思うんですよ。総理との間にやはりすれ違いにならないようにしようと、こういうことで特に強調したのでありますが、総理の非武装というのは、結局考えようによると一億玉砕みたいなことになるんで、やっぱりそんなことになってはいけないと思うのでありますが、その点、外交、防衛の問題についての合意はやはり与野党の間で求めなきゃいかぬと思うんですが、その点はどうですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) その点は、石橋さんとのお話し合いの冒頭並びに一番終わりのときにお互いで話し合いをいたしまして、今後とも話し合いをよくして合意形成に努めましょう、そういうことをお互い申し合わせいたしたのでございまして、今後ともその線に向かっては努力してまいりたいと思っております。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 中曽根さんの自民党軽井沢セミナーで言われたことの中に、国力以上のことをするな、かけでやるなと、こういうことを言われているんです。その点はまさにそのとおりだと思うんです。国力以上のことをするなという戒めは現在の防衛費の問題について当てはまると思う。それから、かけでやるなということも、この前はヒトラーにかけて失敗したけれども、今度はレーガンにかけて元を取ろうといったようなことはきわめて危険だと思うんですね。やはりその点はかけでやっちゃいかぬ。自主中立というわれわれの立場はその点の戒めであるというふうに思うのでありますが、その点についての総理の見解はどうですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛費をGNPの一%以内におさめていままで努力してきたというのは、国力以上のことをやるなという証拠でもありますし、それから非武装中立というようなおよそ中流国以上の国がやっていない、世界でも珍しいことをおやりになるというには余りにも一億二千万人の運命をそういう一つの理念にかけ過ぎている、これこそかけで、大危険だ、大勝負じゃないか、大ばくちじゃないか、政治家、われわれからすればそう思われるので、私はそういう意味も頭にありましたから、かけでやるなと言ったのであります。恐らく世論調査を見ますというと、非武装中立で、そして現実的にやれるかと考えている人はほとんどいない。なぜなれば、自衛隊を支持している人は八〇%ぐらいおるわけです。八〇%が自衛隊を支持しているということは、現実的に非武装中立ができないから自衛隊を支持してくれているのだと、私はそう思っておるのです。  それから、二つお挙げになりましたが、私は外交の五原則ということを言って、そのあとの大事な三つのことはあのとき言われなかったんです。その三番目は何かと言えば、世界の正しい潮流に乗っていけということを言っておるんです。いま民主主義あるいは平和主義という形で世界の正しい潮流が形成されつつあります。アフガニスタンはいかに世界から非難されているか、あるいはワレサさんがどういう立場で世界から同情を買っているか、そういういろんな面を考えてみますと、やはり世界の正しい潮流に乗っていくということが大事じゃないでしょうか。  それから、内政と外交とを混合するな、内政を外交に利用するな、あるいは外交というものは水際までで超党派でいけ、そういうこともあとの三つで言っているわけです。これらは私のつたない勉強から得た私の外交原則なのでございまして、二つ言うならばあとの三つも言っていただきたかったと、そう思っています。

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 瀬谷君、もう時間が来ておりますので、質疑は簡潔にしてください。

瀬谷英行日本社会党

○瀬谷英行君 あとの三つを言わなかったのは、時間の関係で言わなかったんです。  それでは、もう一つだけ確認しておきますが、それじゃGNPの一%は今後も堅持をするということ、それからもう一つは、いまの非武装中立の問題はこれはなかなかかみ合わなかったけれども、総理の方は言いたいほうだい、どんどんいろんな機会で言うけれども、反論する方はこのように時間が限られているんですからなかなかチャンスがないんです。だから、公平な機会を改めて持って論争に応じていただきたい。その点お約束できるかどうか、最後にお伺いして質問を終わります。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) GNP一%以内に防衛費をとどめるということは一生懸命努力してまいります。論争の点は、条件、環境を整えまして、いつでもこちらも御協力申し上げたいと思っております。

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 以上で瀬谷君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 次に、上田君の質疑を行います。上田耕一郎君。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 共産党を代表して、中曽根首相以下に質問をしたいと思います。  まず政治倫理問題で、あと二十日に迫っております一〇・一二の判決は、今国会、さらには戦後政治の最大の問題の一つだと思うんです。新聞の世論調査を見ますと、有罪なら辞職せよというのが、ある新聞で八六%、他の新聞で七九%、八割がそう考えているんですが、首相は心を静めてこの世論には耳を傾けるおつもりだろうと思うんですが、どうですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 民間の機関がいろいろ自由におやりになることは表現の自由であり、あるいは言論、出版の自由でございますから、われわれはとやかく申し上げる筋ではございません。しかし、立法府のあるいは特に行政府の、私の場合は行政府の長でございますが、その国家機関の立場にある者はやはり言動につきましてはよほど慎重にやる必要がありますし、三権分立を守っていく必要もあると思うんです。そういう意味におきまして、二十日に迫ったというこういう大事なときにはやはり静かにこれを見守る、それが行政府の長としての役目であると私は自分を戒めておるわけでございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 首相は、きのう田中元首相について無所属だと、そういうふうに言われたんですが、今度の田中問題というのは、単に五億円の収賄の疑惑だけでなくて、無所属の刑事被告人がキングメーカーという名前さえつけられているように、自民党の政治あるいは首相さえ動かしているんじゃないか。議会制民主主義の根本問題にかかわることが疑惑、不信、怒りを呼んでいるんですね。首相は、勇気を持ってこういう疑惑を一掃する決意がございますか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 自民党は組織国民政党でございまして、ちゃんと機関機関によって物事は決まっており、自民党員によってそれは決められておるのでありまして、いまおっしゃいましたようなことは、わが党に対する侮辱であり、重大なる内政干渉であると思っておりまして、そういう御発言は慎重に願いたいと思います。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 有罪判決でもし田中被告が議員を辞職する、首相ひそかに願っておられるかもしれませんけれども、解散、総選挙がある。ところが、みそぎ選挙で当選すればそれで済むんだという議論も一つあるんですね。しかし、私はこれは非常に奇妙な話であって、田中さんは、逮捕されただけで万死に値すると述べた人であります。公務員は一審有罪ならば懲戒免職なんですから、当然たとえば、最高裁まで行くんでしょうけれども、それまでの間すべての政治活動を辞職するというのが最低の民主主義のルールだと思うんですが、首相としては、このみそぎ論、どうお考えですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 十月十二日の判決と、解散、みそぎ論などというものとはまるっきり関係ありません。第一、私は任期満了をもってよしとするというので解散なんか全然考えていないんですから、御心配ないように。

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 内藤君の関連質疑を許します。内藤功君。

内藤功日本共産党

○内藤功君 私がお聞きしたいのは、元総理の田中角榮被告が国会の国政調査権の行使を妨害し、証拠隠滅などの工作を行った、この問題に関してであります。  まず、いま私の申したような点につきまして、ロッキード事件の公判の中で検察官の論告ではどのように書いてありますか、お伺いしたい。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) お尋ねでは、田中元総理が国会での証言に関して何か工作をしたというような表現でのお尋ねでございますが、そういう趣旨での論告はございません。

内藤功日本共産党

○内藤功君 論告の四百五十五ページ、四百五十九ページ、五百六十ページ、こういったところに書いてありますが、この点の要旨をお述べいただきたい。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) ロッキード事件の論告につきましては、論告が行われました当時、新聞等にも詳しく報道されたところでございますので、改めて申し上げる必要があるかどうかという気もいたしますけれども、御指摘の点がございますのでページに従って申しますと、四百五十五ページでございますね。四百五十五ページのどの点かと思いますが、恐らく(2)の(イ)というところではないかと思いますが、名前はこの論告を通じまして略称で呼んでおりますので、そのように御理解をいただきたいのでございますが、   榎本は、二月五日朝田中私邸で、田中に伊藤からの前記情報を報告したが、田中は既に同様の情報を得ていた。田中は、そのころ、榎本から五億円を返した場合どうなるかと聞かれ、「そういうことができるのであれば金を作ってもよいんだよ、先方が何というか聞いてみろ」と指示した。そこで榎本は、早速伊藤に電話して、「この件については、うちの先生は、金はもらわなかったことにしてくれないかと言っている」と言い、五億円位の金は用意できるので、できるなら金を返してもよいという趣旨の話をした。それに対し、伊藤は困惑し、「今更、金を返してもらうことはできない」旨婉曲に断った。榎本は、「こちらの方に迷惑が及ばないように丸紅側で頑張ってほしい」旨伝えた上、田中にその旨報告した。 というふうになっております。  それから四百五十九ページの(5)の(イ)というところでございますが、   田中は、二月一〇日ころ、榎本に指示して伊藤に電話させ、自ら伊藤に対し、「いろいろ御苦労をかけているな。しっかり頑張ってくれよ。檜山君にもよろしく」と、暗に本件五億円の授受を隠蔽するよう慫慂した。 というくだりがございます。  五百六十ページは「情状」のところでございますが、そこには真ん中辺に、  田中は、ロッキード事件発覚後、国会における国政調査権の行使に際し、本件金員収受の事実等一切を秘匿するよう丸紅側に働きかけるなどの証拠隠滅工作を行い、 云々、こういうふうになっております。

内藤功日本共産党

○内藤功君 ちゃんと書いてあるわけであります。  内閣法制局長官にひとつお伺いしたいんですが、いま憲法第六十二条の国政調査権とはどういう権利かということをここで確認しておきたいんです。

茂串俊内閣法制局長官

○政府委員(茂串俊君) お答え申し上げます。  御指摘の憲法六十二条の国政調査権は、国会が国の最高機関として立法その他の権限を行使します場合に、いろいろと国政の運営その他につきまして必要とされる事項が出てまいります。その場合に、いわばこの国会の立場で、行政府その他の関係者に対しまして、それに必要な事項の説明とか、あるいはまた資料の要求とかいうことができる、そういった権限を一般的に言っているものであると思います。

内藤功日本共産党

○内藤功君 国会の機能のうち、最も重要な証人喚問を含む権能であります。  そこで、総理にお伺いしたい。  ロッキード事件の発覚直後に、いま法務省が読みましたように、国会での証人喚問を前にして、伊藤専務らに、金はもらわなかったことにしてほしい、返してもいいと、こういう電話をしたというのが論告に明確に示されております。証人尋問でも明らかになっております。  元総理であり、国会議員である地位を持ちながら、証拠隠滅、偽証の工作をして、もって国政調査権の行使を妨げる、このこと自体が大きな政治的、道義的な責任を負わなければならない問題であります。また、そのことをした国会議員としての資格にかかわる問題でもあります。この点、総理はどうお考えになりますか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) そういう話はいままで共産党から何回かもうすでに出ているはずでありまして、私も聞いた記憶があります。  それで、そういう問題は議院運営委員会においていろいろ論ぜられたところでありまして、大体、議院運営委員会の考え方に従っていままで国会運営は行われ、いままで流れてきている問題である、したがいまして議院運営委員会を中心にする議会の話し合いをわれわれは見守ると、そういう立場できているわけです。

内藤功日本共産党

○内藤功君 これは総理の基本的な政治姿勢を伺ったのであって、議院運営委員会の議事進行や国会対策の次元の問題ではないのであります。田中角榮は議員をやめよという声、また政界を引退せよという声は圧倒的な世論であります。大新聞の最近の世論調査もこれを示しております。中曽根総理が田中角榮に辞職を勧告すべしという意見も非常に多いです。━━━━━━━━━━  総理、有罪判決が出ても、田中元総理に辞職勧告するお考えはないのか。これは、あなたの政治姿勢の根本にかかわる問題であって、十二日の判決を見てからというふうな次元の問題ではないと思いますので、この点を明確に最後にお聞きしておきたいと思います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) ━━━━━━━━━━

内藤功日本共産党

○内藤功君 ━━━━━━━━━━

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) ━━━━━━━━━━

内藤功日本共産党

○内藤功君 ━━━━━━━━━━

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) ━━━━━━━━━━  これまでの田中氏個人の進退に対しては、いままで十分答えておるところです。

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 速記を起こしてください。  ただいまの内藤君の発言中、不穏当な個所があったやの指摘がありましたので、委員長は速記録を調査の上、理事会において協議をいたしたいと思います。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 いまの問題は一般紙で広く指摘されている問題なので、それとのかかわりがあると思いますけれども、私は先に進めます。  首相は、どうも政治倫理問題、一〇・一二の判決問題について態度がやっぱりあいまいだ、いままでお聞きしたとおり。これは私はどうもロッキード事件との、元通産相だった中曽根さんとの、国会で問題になったかかわりがやはり問題になってくる。  法務省にお伺いしますけれども、コーチャンの嘱託尋問調書で、昭和四十七年十月五日、六日の陰謀並びにその陰謀劇が覆された経過、そこで述べられている中曽根氏にかかわること、どういう内容か、説明していただきたい。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) いわゆるロッキード事件の公判で証拠として取り調べられましたコーチャン氏に対するいわゆる嘱託尋問調書には、御指摘のような日時にコーチャン氏が、全日空に売り込みをしようというふうに努力しておりましたL一〇一一機につきまして一つの情報を得たので、大変当惑をして、そのことについて何とかならないかというようなことで児玉譽士夫氏に助力を要請した、そうすると児玉氏が中曽根現総理と思われる方に電話をしたという記載がございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 中曽根さんはこの問題についてはどうお考えですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) この問題は共産党から何回も質問があって、あなたももう数回目の質問じゃないかと思いますが。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 いや、僕はあなたには初めてです。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) ともかく、国会における証言におきましても、私はそういう事実は全くないと証言しておるそのとおりでありまして、全く事実無根です。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 あなたの国会での証人喚問は五十二年四月です。コーチャンの嘱託尋問調書が岡田裁判長のもとで証拠採用されたのは五十三年十二月です。あなたが全面否定した後で証拠採用された。私また読んでみました。この中には、たとえば五百四ページ、これは東京新聞の全記録ですけれども、第五巻の五百四ページ、これは人脈調書にも、御存じでしょう、あなたがはっきり出ていて、線がいっぱい引かれている。そこについてのコーチャン証言は、児玉氏が頼んだと。彼が、これは彼というのはあなたのこと、彼がそれを田中氏に話をしたと報告してきて、それをまたコーチャンは児玉、福田などからそう聞いたということが、あのときに田中氏に話をしたということが載っているんですよ。私はこれは二つ、まるっきり事実無根と言うあなたと、コーチャンは、これは宣誓して、もし偽証をすれば日本の法律で起訴されるということまで告げられて証言しているんですから、どちらかが真実だ。しかしまるっきり食い違うんでしょう。どちらかが真実でないと思うんですけれども、このコーチャンの証言、尋問調書の証拠採用されたという事実を踏まえて、どうお考えですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 私の言うことが真実です。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 「現代」という雑誌の五十三年二月にあなたの言葉が引用されているわけです。総務会長になった直後、「ロッキードの断崖に立たされて、もうこれで自分の政治生命も終わりか、と毎日が苦難の連続でした。」と。全く事実無根なら何で断崖に立ったとか、政治生命も終わりかと思ったんですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 私は当時三木内閣の幹事長をしておりまして、それでいわゆる三木おろしというものもあり、それからいまのようなロッキード事件で国会が非常に行き詰まっておった。幹事長としてはこれを打開しなければならぬ、時にまた予算を通過させなければならぬということがあったわけです。たしかあの事件が起きたのは二日の初めで、それで国会がストップしてしまって、予算を成立させなければあの当時不況に入っていた日本経済がどうなるかという問題で、幹事長としては重大な責任をしょっておった。その苦難、苦労をそういう表現で申し述べた。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 なかなか弁舌さわやかですけれども、幹事長をやめるのが政治生命の終わりにつながるというのは多少無理なこじつけだと思う。あなたは総理ですから、あなたがどういう態度をとるかを全国民がやっぱり注視しているということを述べておきたいと思うんです。  次に、公選法の問題ですが、自治省にお伺いします。  二十日、衆議院に提出された自民党提案の公選法の改正案の内容を説明してください。

岩田脩自治省行政局選挙部長

○政府委員(岩田脩君) 衆議院に提出された法案の内容は、選挙運動期間の短縮、それに伴います立候補届け出期間の短縮、それから連呼、それから街頭演説における時間の短縮、それから立会演説会の廃止、そのほかたとえば経歴放送についての新しい拡充、そういったものを内容にしている法案だと承知しております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 自民党提出ですが、自治省としてはこの内容をどう考えていますか。自治大臣どうですか。

岩田脩自治省行政局選挙部長

○政府委員(岩田脩君) お話のとおり、自民党提案の法案でございますけれども、この法案の提案趣旨は、選挙の現状にかんがみまして金のかからない選挙の実現にも資するという線で提案されたものというように承知しておりまして、これから国会の御審議があるものと存じております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 選挙期間を衆参それから知事選挙、五日間短縮する。公選法が通ったときは選挙期間三十日だったんですね。どんどんどんどん縮めちゃっている。選挙期間がこんなに短くなると多数派に有利だと思うんですね。こういうやり方は私は非常に不当だと思うんですが、政治革新をもしばしば時には言われる総理は、こういうこの選挙期間の非常な短縮、賛成なんですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 非常に交通通信機関も発達いたしまして、あの選挙法ができて三十日というときは自転車でやったものです。あなたは自動車の時代に入ってから出てきたんだが、われわれは自転車とメガホンでやった、マイクロホンなんかなかった。そういう文明に相応するように選挙法も改正する必要がある。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 立会演説会の廃止というのは、これも非常にひどいと思うんですよ。首相と石橋さんの論戦、私も聞きに行きましたけれども、やっぱり論戦によってお互いに議論を発展させるというのは、有権者の選択のために非常に重要です。立会演説会でも、批判をすれば翌日反論があるとか、私も大分やりました。それから動員ばかりだと言うが、これも事実と違う。私はこの間の参議院選で武蔵野市で立会演説会一回聞きましたけれども、動員部隊もあるけれども、最初から最後まで武蔵野市のときは百何十人いらっしゃった。本当にまじめに聞いて、党派を超えて、いい演説、批評には拍手をする。そういう点やっているわけですね。  これを廃止するというのは私は反対で、むしろ市民団体などは、地方選挙にも広げてくれということさえ言っているんですね。私は立会演説会廃止絶対反対なんです。首相、この点については、論戦を大事だと思われるか、どうお考えですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 立会演説会も意味があったと思いますし、いまでも多少は意味もあると思いますが、しかしあの立会演説会というものは、候補者が動員した連中が集まっておって、そして応援団の騒ぎみたいな拍手、あるいは演説が終わるとさあっと退場しちまったり、そういうような弊害が最近非常に顕著に見えております。第三者が純粋に静かに聞こうという場所ではだんだんなくなりつつある。それよりもテレビ、ラジオを利用したらどうだろうか、テレビ、ラジオにはやじもないし、冷静に聞くことができる。やはりそういう文明の利器に頼っていくのが科学的社会主義じゃないんでしょうか。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 総理が科学的社会主義者に変わろうと思われているんならあれですけれども、私どもは、今度のはまるで逆行で、選挙運動の自由の拡大こそ必要だと、そう思います。この点非常に重要なので、今後とも国会の内外でこれに反対の態度を進めていきたいと思うんです。  次に、大韓航空機事件について取り上げます。  九月二日に共産党はソ連に対して、真相の究明と責任ある態度をとれと申し入れましたが、十二日付でわが党中央委員会にソ連共産党中央委員会から回答が来ました。これはきのう発表しましたけれども、スパイ機だということで撃墜そのものは正当だということに終始しているもので、やっぱりわれわれは社会主義の政府としてこれは非常に遺憾きわまるものだというので、きのう非常に厳しい反論を発表しました。ぜひ読んでいただきたいと思うんです。  ところで、このソ連の回答の中で一つ見過ごせない事実なるものが載っているので、これを外務省あるいは運輸省にお伺いしたいんですが、この偵察任務を果たしていたことの明確な証拠として、グアムのアメリカからの報道として、八月三十一日の夜ですね、東京の航空管制センターは同機からカムチャッカ南部上空無事通過と、そういう無電を受け取ったということが引用されているんですが、こんな事実はありましたか。

加藤吉弥外務省欧亜局長

○政府委員(加藤吉弥君) グアム島のアメリカのコーポレーションというのは何を意味するか、私どもは必ずしも承知してはおりません。ただし、すでに政府が累次発表しておりますとおり、日本時間九月一日二時九分から十分にかけ、これはモスクワ時間で八月三十一日二十一時九分から十分でございますが、東京国際対空通信局に対し大韓航空〇〇七便から、カムチャッカ南東の位置通報点、これはニッピと呼ばれている地点でございますが、それを通過したという交信を受け取っております。九月六日付のプラウダの論評の中に、グアム島にあるアメリカのラジオ放送会社の報道によれば、八月三十一日二十一時十分、われわれはというのは韓国航空機のことでございますが、われわれはカムチャッカ南部上空を無事通過した、航空機は正常に進路を維持しておるという無線が東京の飛行制御センターによって受信されたと、こういうことを報じております。ソ連共産党から日本共産党への回答もこの記事と同じものを言っているのではないかと思います。いずれにいたしましても、私どもの承知している限りでは、いま申し上げたとおり、日本時間の九月一日二時九分から十分にかけての報道のことを指しているのだというふうに解釈されます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 カムチャッカ南方というのを、上空という内容だということが一つわかりました。私は、先ほども議論がありましたけれども、なぜああいうふうに外れたか、まるっきりいまのところミステリーでわからない。そのわからないことの中には、あるいはスパイだった、スパイ飛行をやっていたという可能性も排除されていないかもしれませんけれども、あの乗員の中の一部がたとえそういう任務を行っていたとしても、何ら責任のない二百数十名の乗客の乗っている民間機を撃墜するということは、もう全く人道を尊重しようとする社会主義の精神からも外れる、そう思うんです。世界の共産党も多くの党が、ソ連に近いと言われている党も、これを非常に批判しているということを述べておきたいと思うんです。ソ連もまたアメリカも、やっぱり軍事優先ということがこの点であらわれている。アメリカも何ら公表しませんしね。これは非常に残念に思うんですが、日本は重要な役割りを果たした一部部分的な発表をした。これはまあ評価できますけれども、ただ、この日本の発表についても軍事優先の懸念をやっぱり持たざるを得ない。外務省はアメリカに対していつ外交ルートで情報を提供したんですか。

加藤吉弥外務省欧亜局長

○政府委員(加藤吉弥君) わが国とアメリカとの間では、この事件発生以来さまざまのレベルで常時緊密な連絡、協議を行っております。いつアメリカに情報を提供されたという御質問に対しては、非常に頻繁に情報の交換を行っておりますので具体的に回答はできませんが、事件の発生を承知した九月一日以降何度もさまざまの情報を交換しております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 新聞報道によると、稚内のレーダー基地には音声始動自動録音装置があって、二十四時間ソ連の無線交信を自動録音し、それを自動的にアメリカの基地に転送している。だから、いつやったかわからないわけですな。自動的に行っている、こういう事実があるんですか、防衛庁長官。

矢崎新二防衛庁防衛局長

○政府委員(矢崎新二君) お答え申し上げます。  日米両国の間では、対等の立場に立ちまして必要な情報の交換を従来からも行っているところでございます。ただ、いかなる場合にいかなる方法によって情報を交換するかということにつきましては、これは事柄の性質上具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。ただ、いずれにいたしましても、情報の交換と申しますのは防衛庁の判断で適切に行っているわけでございまして、個別的、選択的にそういうことを慎重に処理をしておるということは申し上げておきたいと思います。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 対等だとおっしゃるんですが、じゃアメリカのアンカレジのセンターあるいはアリューシャンのシェミア・レーダーの資料などは日本にも来ているんですか。

矢崎新二防衛庁防衛局長

○政府委員(矢崎新二君) 具体的に防衛庁の方にどういうふうな情報がアメリカとの間で交換をされているかということにつきましては、申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 つまり、今度のKAL機の事件についても、アメリカからは実は何ももらってない。日本側は自動的に一方的に提供している。ところが、そのことを私がつくと、なかなか言わないというのが真相だと思うんですね。ここに非常に悲しい安保体制下の日本の惨めな従属的状況が出ていると思うんです。  さて、それと同じ問題なんですけれども、今度カールビンソンが十月一日に佐世保に寄港する。首相は、カムチャッカのソ連の戦略基地、これは唯一の被爆国として撤去を要求するということを言われたんだが、それなら核積載艦であるカールビンソン、この寄港は当然断るべきじゃないでしょうか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 日本に寄港するアメリカの艦船には、核兵器は搭載されておりません。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 外務大臣、どうですか。そうですか。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 総理大臣の答弁のとおりであります。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 ニュージャージーが寄港予定だったときに、神奈川県は本当に核兵器があるのかないのかということをマンスフィールド大使と外務省に質問をしました。マンスフィールド大使から神奈川県に対するこれが回答です。何と書いてあるか。御承知のように、核兵器の存在については世界のどこにおいても否定も肯定もしないのがアメリカ政府の長い間の方針でありまして、ニュージャージーについてもこの方針を繰り返すだけだというんです。首相と外務大臣、本当にアメリカが核兵器をカールビンソンに積んでいないという回答がありましたか。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 日本とアメリカとの間におきましては、核兵器を搭載して日本に入るという場合は、もちろん安保条約によりまして事前協議の対象になるということははっきりいたしております。したがって、事前協議を受けない限り、米国の艦船が核兵器を搭載してないということは、日米の信頼関係、安保体制上からこれはもう当然のことであります。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 首相もそれで核兵器を積んでないと思うんですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) そのとおりであります。その上、外務大臣はマンスフィールド大使に会って、そのことを話し合っておるわけです。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 こういう議論を何回やってきたか。第七艦隊の空母は百発の核兵器を積んでいるというんですよ。安倍外務大臣、その百発の核兵器をどこでおろしたというんですか。七月に、元アメリカ大使のライシャワー氏は、現実問題として艦船が日本に出入りするたびに核を積んだりおろしたりすることが不可能なことは明白ではないかと言っている。どこでおろしてくるんですか。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) カールビンソンが少なくとも日本に入ってくるときは核兵器は搭載してないと、これはもう日本とアメリカとの約束ではっきりいたしております。  この点につきましては、御承知のように本年三月に計画されているF16の三沢配備、あるいは本年三月のエンタープライズの寄港ということも含めて、アジアのこの地域における今後の米国の種種の活動との関連で、わが国に核兵器が持ち込まれるかもしれないとの国民の一部に存在する懸念を今後に向かって解消するために、私からマンスフィールド米大使に対してこうした懸念を伝えたことは御案内のとおりであります。これに対してマンスフィールド大使は、米国としては安保条約及びその関連取り決めに基づく日本に対する義務を誠実に履行してきており、今後とも引き続き履行する旨を保証したところでございます。したがって、政府としましては、改めて御指摘のような確認を行う必要もないし、カールビンソンにつきましても、いまマンスフィールド大使の回答を申し上げましたように、事前協議をいたしていない以上は核兵器の搭載はあり得ないと、こういうことであります。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 こういう答弁を政府がやっている間に、日本はどしどし非常に危険な不沈核空母にされつつあるんです。大変なことです。  それで首相に私はお伺いしたい。総理は、このアジアでアメリカが日本を守るという口実で核兵器を先に使うと、ソ連その他第三国が通常兵器で日本を攻撃してきたときにも、通常兵器の攻撃に対しても核兵器を先に使うということについては、唯一の被爆国の首相としてどういう態度をとりますか。首相にまずお聞きしたい。

北村汎外務省北米局長

○政府委員(北村汎君) ただいま……

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 ちょっと待って、待って。私は、外務省の話じゃなくて、首相の話を聞きたいんだよ。

北村汎外務省北米局長

○政府委員(北村汎君) 委員長の御指名をいただきましたので御答弁さしていただきますが、ただいま……

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 ちょっと待って、待って。

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 速記を起こして。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 じゃ、もう一度やり直してください。

北村汎外務省北米局長

○政府委員(北村汎君) それでは、最初からやり直さしていただきます。  ただいまの委員の御指摘になりました問題は、恐らく昭和五十年八月六日の日米共同新聞発表第四項に書いてあるところを御指摘の問題であろうと思います。その第四項におきましてはこういうことが書いてございます。核兵力であれ通常兵力であれ、日本への武力攻撃があった場合には、アメリカは日本を防衛するという相互協力及び安全保障条約に基づく誓約を引き続き守るということが書いてございます。この点は、まさに私どもの考えておりますのは安保条約の抑止力の本質でございます。したがいまして、これはアメリカが何ら侵略もないのに勝手に核兵器を先に使うということを言っておるのではなくて、日本に対する攻撃があった場合、その攻撃が核兵器で行われようとあるいは通常兵器で行われようと、アメリカはその武力攻撃に対して日本を守るという、これは安保条約の本質を述べたものでございます。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) ただいま北米局長が申したとおりです。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 いや、しかしこれは大変重大な問題なんですよね。去年二月に社会党の横路議員、六月にも横路議員、八月に私が参議院で取り上げて、そのとき日本が通常兵器で攻撃されてもアメリカが核兵器を使う、それに対して日本政府が了解を与えた文書はあるかというのに対して、櫻内当時の外相がこの文書、それから宮澤官房長官、当時これを結んだ外務大臣が答弁しているんですね。これは大変なことですよ。核兵器を先に使うというのは核戦争を始めるということです。日本が通常兵器で攻撃される、つまりまだ核戦争になっていないのに、必要な場合はアメリカが先に核兵器を使う、核戦争をやるということです。限定核戦争の戦場に日本がなるということです。それを昭和五十年八月に三木・フォード首脳会談でのジョイントアナウンスメントという文書で約束している。これは広い意味で言えば条約になる。  中曽根さん、あなたは通常兵器で日本が攻撃された場合、つまり核戦争になっていないのにアメリカが核兵器を使って核戦争を始めてもよいとお思いですか。マクナマラ元国防長官は、先に核兵器を使ったらもう全面核戦争になるというので先制核使用反対を言っているんです。唯一の被爆国の首相として、また非核三原則があり、たびたび核兵器廃絶の国会決議のある国の首相として、ひとつ厳粛なお答えをいただきたい。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) アメリカは核兵器を使わないとは言っていない。それが大きな抑止力になっているわけです。アメリカは自分がどこに核兵器を持っているかということも世界には公表しない。あるともないとも言わない。それがまた大きな抑止力になっている。それと同じように、使わないとは言ってないというのがまた大きな抑止力になっておる。そういうことで御承知願いたい。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 これは全くの詭弁です。抑止力というのは、核戦争になるのを抑止するということです。核兵器を使うのを抑止するのが抑止理論です。ところが、いまのは通常兵器で攻撃してきても核兵器を使っていいというんだから、抑止力と全く反対ですよ。それで、こういうカールビンソン、ニュージャージーなどによる核兵器の持ち込み、こういう唯一の被爆国なのに核戦争を始めてもいいとアメリカに文書で約束しているというような事態はどこから生まれるかというと、安保条約、日米軍事同盟から生まれているんです。私どもは社会党の非武装中立に批判的ですけれども、この安保、日米軍事同盟をなくさなければ日本が核戦争の危険に巻き込まれる、そこを逃れる道はやっぱりないんです。共産党としては中立、自衛という国民の大多数が望んでいるそれを実現できる道を主張しています。中曽根さん、これはひとつうちの委員長ともまたテレビででもぜひ論争をやってください。  もう時間もありませんし、最後に健康保険、健保改悪の問題を取り上げたい。  厚生省、健康保険本人の二割自己負担など健保の大改悪、これは健保制度五十六年間の歴史の中でも、戦後の一時期を除いて初めてのことですが、この改悪で患者負担はどのぐらいふえるのか、これを具体的に説明してほしい。

林義郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(林義郎君) 上田委員の御質問にお答えを申し上げます。  健保改悪だと、こういうふうなお話でございますが、私は改悪とは思っておらない。長期的に考えまして、医療費が増高してまいる、先ほども御答弁申し上げましたが、毎年一兆円ずつふえていくというときに、これを賄っておるのが社会保険である。この社会保険で賄っておる制度をいかに合理的にやっていくか、給付と負担との関係をどうやっていくかというのが私たちの考え方でございまして、この患者負担はどうだという御質問ございましたが、患者負担につきましては具体的な例を引きまして御説明を申し上げた方がいいと思いますので、事務当局から説明をいたさせます。

吉村仁厚生省保険局長

○政府委員(吉村仁君) 今回の改正案によります患者の負担の増減につきましては、患者の状況によりましていろいろ区々でございまして一概には言えませんが、たとえば胃潰瘍で十四日間入院をした場合の例をとりますと、一般の場合には五万二千二百円、それから低所得者の場合には二万八千二百円でございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 私は大改悪と思うんだが、改正とあなた方は思っているんだが、これによって国民の負担増は全体でどのぐらいになりますか、試算していますか。

吉村仁厚生省保険局長

○政府委員(吉村仁君) 私ども、患者負担一般についてはなかなか試算ができないのでありますが、ざっと言いまして四千億円でございます。ただ、国庫負担の減が六千二百億円でございますが、一応それに基づいて計算をいたしますと、患者負担にかかわるものが九百三十億円でございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 私は、きのうから厚生省に、国民がどのぐらいこれで負担がふえるかと。計算していないというんですね。急いでやると言ったけれども結局できない。こういう改悪を準備しておいて、どのぐらい負担がふえるか、ろくに計算もしていない。国庫負担がどう安くなるかということだけ計算している。  ここに全国保険医団体連合会の資料がある。この資料に基づいて私ども一つの試算をしてみましたが、健保本人十割給付が八割になりますと七千百六十億円、これは一々細かくありますけれども省きますが、それから入院時給食費一日六百円で千二百七十七億円、ビタミン、総合感冒剤などで九百二十四億円等々、九千六百四十二億円という数字が出るんですね。これはまだわかりません、われわれも。もし一兆円も負担増になったら、減税一兆円なんてやったってパアになっちゃいますよ。  林さん、どうですか、この負担増、きっちり計算して、どのぐらい本当に負担がふえるのか、保険医団体連合会、保団連などもいろいろやっているし、みんな大関心があって全国に猛反対運動が起きているんだから、きっちりやると約束してください。

林義郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(林義郎君) 医療の基本的な問題から考えて、給付と負担とのあり方を見直そうというのが今回の考え方でありますし、どういうふうな形になるかという先生のいまの御指摘、私はそんなことではないと思っていますが、一遍数字はしっかりしたものを出したい、こう思っております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 衆議院で正森さんと中曽根さんが静高の先輩後輩という話が出ましたけれども、私、林さんとは戦後、一高で一緒に民主主義の問題その他勉強した仲なんです。その林さんが中曽根内閣でこういうことの先頭に立たれるとは、同窓として涙が出るほどなんです。  それで林さん、最後に一つお聞きしたいのは、あなた、きのう高額医療費の負担、低所得者については三万九千円を三万円にしたと言ったでしょう。ところが、あれは国保の話で、健保本人、健保家族は、低所得者の場合、高額医療費の自己負担一万五千円で済んでいたのを、今度何と三万円に上げているんですよ。ひどいじゃないですか、これは再検討すべきだ。

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 上田君、時間がなくなりました。簡潔にお願いします。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 幾ら中曽根内閣の閣僚でも。この点ひとつ最後にお伺いしたい。

林義郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(林義郎君) いままでのいろいろないきさつがございましてそういったことになっておりますが、負担の公平化というようなことを考えますならば、その辺はやっぱり一律にした方がいいではないか、低所得者の場合とそうでない一般の方……

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 二倍ですよ、二倍になっちゃう。

林義郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(林義郎君) というふうな形のことを考えて、私はこの際整理をしてみたらどうだろうかということでございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 委員長。

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 時間がなくなりました。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 いや、もう一言、最後。

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 一言だけ。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 総理、どうですか。今度の健保問題、非常に国民生活に利害関係があるので、本当に国民の福祉、健康を守るという観点で進まれるという決意を最後にお伺いしたい。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 福祉や国民の健康問題は大変大事な問題でございますから、よく慎重に取り扱ってやってまいります。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 終わります。(拍手)

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 以上で上田君の質疑は終了をいたしました。     ─────────────

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 次に、柳澤君の質疑を行います。柳澤錬造君。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 私は、民社党・国民連合を代表して質問してまいります。  最初に、大韓航空機の事件についてでございますが、何といいましても無防備の旅客機がソ連の戦闘機からミサイルを撃たれて撃墜をされたという、まことにもって人道上許されざる事件でございます。  私は、この旅客機に乗っておられました犠牲者に対して慎んで哀悼の意を表しますとともに、その御家族の皆さん方にも心からお見舞いを申し上げたいと思います。同時に、この事件をめぐって政府がとられました措置もそれなりに適切であったということを私は判断をし、評価をしているものでございます。  そこで、若干の点お聞きをしていくんですが、大韓航空機があのコースを外れたということについてどこに原因があったかということ、いまだにその辺がつかめないのかどうか、そこからお聞かせをいただきたいと思うんです。

長谷川峻自由民主党運輸大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 誤ったコースを飛んだ原因については目下のところ不明であります。現在、韓国政府がこの原因調査に当たっております。そしてまた、九月十六日のICAOの特別理事会においてもICAO事務局が関係各国の協力を得てその原因を調査しまして、三十日以内に暫定報告を、この十一月から十二月の間に開催されるICAOの理事会にひとまず報告をするということになっておりますので、わが国といたしましては、これらの調査の結果が出るまで原因についての揣摩憶測、論評を差し控えたい、こう思っております。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 それからもう一つ、誤差がある点で明らかにしたいというか、お聞きをしておきたいんですが、あの日に外務大臣が夜八時二十分ごろに、どうも撃墜されたらしいということで時刻を三時三十八分というふうに発表されているわけなんです。後になりましたらそれが三時二十六分二十一秒にソ連の戦闘機が目標を撃墜されたというその電波をキャッチをしており、二十七分十秒には大韓航空機の方から〇〇七というところまでの発信が出されておったというんで若干時間の誤差があるんです。どういう点からこういうことになったかということを御説明いただきたい。

加藤吉弥外務省欧亜局長

○政府委員(加藤吉弥君) 本件事件の政府の発表は、まず九月一日官房長官から記者会見におきまして、三時三十八分に墜落した可能性が大きいということを発表いたしております。次いで二日の午前の記者会見において、官房長官から三時三十八分ごろ撃墜された旨を発言しておられます。外務大臣は一日の夕方、午前三時三十八分に墜落したということを発表しておられまして、政府の発表は一貫して三時三十八分というふうになっております。その間に政府の発表で一貫してないところはないというふうに承知しております。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 私が聞いているのは、後ほどソ連の、向こうの発信した電波をつかんで三時二十六分二十一秒に目標は撃墜されたといって地上に向かって発信しているのをキャッチをされたんでしょうと。その後に二十七分十秒にまた大韓航空機の方から〇〇七という、そこまで発信をつかんでそのままとだえたというその辺の関係がそれぞれ違っているので、そこがどういうふうに把握をされているんですか、解明されたんですかと聞いたんです。

加藤吉弥外務省欧亜局長

○政府委員(加藤吉弥君) 御指摘のとおり、ソ連機のパイロットとソ連の地上基地との交信記録では、三時二十六分二十一秒に目標は撃墜されたということをパイロットが言っております。自衛隊のレーダーから大韓航空機の航跡——機影でございますね、これが消えたのが三時二十七分である。そして、政府としてはその他の諸情報を総合的に分析判断した結果、実際に大韓航空機が水面に撃墜されたのは三時三十八分ごろと、こういう判断をしたわけでございます。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 委員長、答弁になってない。それはわかっていて聞いていたんだから。

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) それじゃもう一度質問してください。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 二回言っているんだ。その違いが何かと私は聞いたんだ。

加藤吉弥外務省欧亜局長

○政府委員(加藤吉弥君) これは推測する以外はございませんが、パイロットがそういうことを言った段階で本当に撃墜されていたかどうか、弾が当たったということをもって撃墜と言ったのかというような推測も可能であろうと思います。ただ、科学的に分析した結果はいま私が申し上げたとおり、機影が消えたのが三時二十七分……、失礼いたしました。二十九分でございます。そして、その他の情報を総合して三時三十八分に海面に落ちたと、こういうことでございます。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 それ以上の真相はわからぬという、そういう理解をしておくしか仕方がない。  それで、官房長官の方にお聞きするんですが、六日の日に官房長官が記者会見の中で、飛行機からじゃなくて地上からの発言についてもキャッチをされているやのような御発言があったはずなんですけれども、その辺はどうだったんですか。

後藤田正晴自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(後藤田正晴君) まさに「いるや」の発言と、こういうことで、そのとおりでございますが、私が申し上げておるのは、ソ連の戦闘機と地上基地との間の交信ですね、交信がなければあんな発信は戦闘機からしませんね。その事実をとらえて、地上との間の交信であると、こういうことを言ったのであって、電波の性質上、わが方が把握をしておるのは戦闘機から地上基地への交信でございます。  なお、先ほど来の問題でつけ加えて申しますと、ソ連の戦闘機は撃墜をしたと、こう言っておりますが、いま加藤君が言っているように、あの大韓民航機が完全に撃墜したのは、私どもは諸般の情報から判断をして、三時三十八分であると、かように判断をいたしております。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 これは総理の方にお聞きしたらと思うんだけれども、十三日の日にソ連の大使を呼んで本院の決議を渡しましたということを本会議で御答弁なさっておるんですけれども、大使は受け取られたんですか、どうでしょうか。  それから、あれだけ日本人の犠牲者を出しているんですから、少なくとも何らかの謝罪の言葉をソ連大使は言われてもいいと思うんだけれども、何か言われたのかどうか、その辺のところをお聞きしたいんです。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) ソ連のパブロフ大使とは私が一回会いました。あとは欧亜局長とか、あるいはまた外務審議官が何回か会っておりますが、その間にあって、ソ連は乗客が亡くなったということには弔意を表すると、こういうことでありましたけれど、しかし、これが撃墜を認めるに至るまでは実に九日間を要しておるわけでありますし、さらにまた、責任については一切これを認めないという態度でございました。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 責任を認めないということになれば、当然賠償にも応じないということにもつながっていくと思うんです。  特にこれは私お願いをしておきたいんですが、この犠牲者の遺族の人たちなんです。いろいろとこれから取り組んでいかなくちゃいけないんだけれども、いま政府の方でも機体だとか遺体の捜索、その辺は全力を挙げてお取り組みをいただいてて結構なんですが、遺族の皆さん方にするならば、だれを相手にこれから交渉をしたらいいのかということがなかなかつかめない。また、交渉するについても弁護士の選任すらどうやってやったらいいかわからぬ人たちばかりなんです。したがって、これからの補償の問題なんかについて、当然これはもう訴訟になると思うんです。そういう点でもって、ほかの事件と違うんですから、こういう国際関係が絡んでいるだけに、よほど政府がその辺のところを後押しをして、バックアップをしてあげていただかなければなりませんし、そういう点でもって、政府としておやりいただけるかどうかお聞きしたいんです。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 大韓航空機が撃墜されましてから二十八人の家族の皆さんとは政府としても接触をとっております。さらに、遺族会を結成されてから外務省あるいは運輸省で綿密な連絡をこれまたとっておるわけでございまして、いまお話しのように、これからいよいよ大韓航空と補償の折衝が行われるわけでありますが、いわゆるこれは民事の問題になってくるわけでありますけれど、お話しのような弁護士の選任、その他国際問題も絡んでおりますから、なかなか遺族だけで処理できない面もあろうと思います。そういう点については、政府としましては外務省、運輸省、関係当局一緒になりまして、遺族の皆さんの御便宜を図るために万全を期してまいりたいと、こういうふうに思っております。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 同時に、外務大臣、こういう状態だから、裁判になっていって、証拠資料とかなんとかそういうむずかしいものが必要になると思うんですけれども、そういうときにそういう資料なんかも提供してやるとかなんとか協力してやっていただけますか。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) それも当然のことだと思います。ICAOの調査団もいよいよ本格的な調査を始めるようでございますし、そうした調査の結果とか、あるいはまた日本政府がソ連政府との間において交渉をいたしておりますその交渉の結果であるとか、いろいろとアメリカとの協力の関係に基づいて出てきた事実であるとか、そういう面については、これからの遺族の皆さんの補償、あるいはまたその他について十分御納得のいけるように、政府としては十分な説明あるいは資料の提供等も行う考えであります。

長谷川峻自由民主党運輸大臣

○国務大臣(長谷川峻君) 遺族の補償問題は、ただいま外務大臣がおっしゃったとおりやりますが、私は御遺族にお目にかかって、とにかく自分の肉身がぽっとある瞬間に全部死んだんですから大変な悲痛です。お会いして、こちらも涙、向こうも涙です。それだけに御遺族の補償問題等々については万全を期して御協力したい。明日午後二時から青山斎場で日本人の犠牲者の方々の慰霊祭等々もやるようでありますから、内閣の方からは私が代表して参列したいと、これもその一つのあらわれで、いろんなところでまた皆様方の御同情、御協力をお願いすることがあるでしょう。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 その点はよろしくお願いをしたいと思います。  次に、私も政治倫理の問題を取り上げていくわけですけれども、総理は過日の所信表明演説の中で、「議会制民主主義の発展のためには、高い政治倫理の確立が必須であります。政治倫理は、一面において、代表者たる個々の政治家が、公私において高い道徳性を持って、いかに誠実かつ効果的に活動するかの問題」ですと言って、非常にいいことを言っていただいたわけなんです。  そういう点に絡んで幾つかのことをお聞きをしたいんですが、まず最初は、昨年の臨時国会のときも私本会議で代表質問いたしまして、あのときに私が、汚職、選挙違反、賭博などで裁判になって、たとえ第一審でも有罪になったら、そのような人は政府の政務次官にもつけない、国会の常任委員長にもつけない、党の役員にもつけないということをやってくれということを聞いたわけですけれども、そのとき総理は、御提言はしかと承っておきますという答弁をされたわけであります。私も大変喜んでおったのですけれども、そのことはあそこで再質問するわけにはいかないから何ですが、私の提言というものを御理解をなさって、そういうふうにこれからやりますというふうに私は受け取っているんですけれども、再確認の意味でお聞きをしたいんです。それでよろしいですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 柳澤さんからその御質問をいただいたことをよく承知しております。  それで、党則を自民党として調べてみましたら、そういうようないろんなケースに際する党としての自浄作用と申しますか、規律を決めております。また、ある程度の慣行もできております。そういう点で御期待に沿うように努力してまいっておる次第でございます。今後も努力したいと思います。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 ぜひそれはお守りをいただきたいと思うんです。  それからこれももういろいろ質問が出ているんですが、私も、十月十二日が来るんで、ロッキード判決に関係をしてお聞きをするんですが、総理は折に触れて、この質問は、三権分立の立場から静かに見守っていきたいというのがいつもの御答弁なんです。それで、私は三権分立ということは法律的な責任についてのことだと思う。総理も所信表明で、いま申し上げましたように政治家というものは高い道徳性が必要なんだよと言っているわけなんで、そういう道義的な立場になるとまたおのずから変わってくると思うんです。現実に汚職をなさっても、その発覚した時期が遅くて、時効になって法律的には何ら責任を問われない方もいらっしゃるわけなんです。法律的にはもうあなたは責任は問いませんといって終わっても、道義的に道徳的の責任というものは私は逃れられないものだと思う。その辺の違いを総理はどうお考えになっているかということを明らかにしていただきたい。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) その辺が非常に苦悶しているところであると前に申し上げたのでございます。われわれは国会議員でございますから、法の番人でもあり立法者でもございます。また、私この間の所信表明演説におきましても、憲法の基本原則である平和主義あるいは基本的人権あるいは三権分立の原理、これを守っていくと、そういうことも申し上げておるわけです。  それで、これは法の番人というたてまえをいろいろ考えてみますと、これは静態的な感覚だと申したのですが、三権分立というものを厳格に守って、しかも統治権の重要な部分である立法権を構成するのは結局代表者でありますが、この代表者である国会議員がどうして選ばれるかといえば、選挙民が選挙するから出てくる。この選挙民によって選挙されて出てくるというその立場は、普通の公務員が任命されて契約関係で出てくるのとは違う立場であります。普通の公務員の場合は特別権力関係で一種の雇用関係とも言えると思うんです。  しかし、国会議員ともなりますというと、代表者としての立場で、選挙という厳粛な手続を経て出てくる。そういう意味において、一たん出てきた以上は、その出てきた代表者の良心に従った独自の判断で行動を行う。したがって、国会における言論、表決については院外において責めを負わない、あるいは、懲罰あるいは選挙争訟、資格争訟において除名して議会から議席を剥奪するためには三分の二の多数を要するという強い身分保障もしておる。そういうような立憲主義の立場からくる法的要請というものをどういうふうに考うべきであろうか。その選挙民と選ばれた代表者との関係というものを第三者が簡単に切断できるであろうか、そういう問題が片方であるわけであります。    〔委員長退席、理事初村滝一郎君着席〕  しかし、片方においては、今度は政治の道徳性という面から見まして、国会議員としての行動自体が覊絆を受けておるわけであります。その国会議員としての覊絆を受けておる日常の行動、道徳性を要求されているという面、これは動態的な状態です。この静態的な法の番人、法秩序というものと動態的な道徳性というものとの関係をどういうふうに判断すべきであるか。これは非常に基本的な法理学上の問題も含むような重大な問題であると思うんです。  そういうようないろんな意味から、われわれといたしましても、将来禍根を残さないように、後世から笑われないようなりっぱな行動をとっておかなきゃならぬと、そういう意味の感覚でこの問題をどう考うべきであるかと考えまして、そしていま判決が目前に迫っているという、こういう状態のもとにおいては、やはり三権分立ということが非常に重要であると、そして裁判官は良心に従って法を守って判決を下すと信じておりますが、その裁判官も人間ですから、その前に裁判官に影響を与えるおそれのあることは一切慎む必要がある。  民間の団体がいろいろおやりになることは、これは表現の自由であり、あるいは基本的人権や、あるいは憲法に保障する言論の自由でございましょう。しかし、少なくとも国家機関である立法権の構成者あるいは行政権の構成者という面になると、この裁判を管轄する方々の関係においてできるだけ影響を与えないで、独自の良心と法を守るということを遵守できるような環境を整えることが、これがエチケットではないか、しかも判決がもう目前に迫っておるという重大なときである。そういう意味において、この場合の選択は静かに見守るのが適当であろうと、そういうふうに申し上げておるわけです。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 総理、私がお聞きしているのは、裁判官に予断を与えるようなことを言えと言っているんじゃないんです。それは三権分立、そのとおりです。しかし、その三権分立ということは法律的にどうなるのかということを言っているんであって、総理が高い道徳性を求めるといいことを言っていただいているんで、田中元総理のことをとやかく言っているのじゃないんです。ですから角度を変えて、昨年アメリカのアレン大統領補佐官というのが、あれだけの高い地位の方ですよ、日本人から千ドルのお金と時計三個もらったというだけでもって、首というか実質的には首でもって本人が辞表を書いたわけですけれども。例がよろしくないですけれども、日本の国務大臣の中でその程度の物をもらったというときに、総理どうなされますか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) これはそのケース、ケースによるので一概に言えませんが、アレンさんの場合はあれはエンプロイーです。アメリカ大統領府によって雇用されているエンプロイーでありまして、選挙・民から選挙された立法者ではない。そういう非常に根本的な差があるということを申し上げたい。ただし、倫理性が要求されているという点は同じです。ただその場合に、選挙民から選挙されたというそういう立場にあるという面、それからまた一面において、いまこういう特別の環境にあるという面等はアレンさんのケースとはまるっきり違うケースであると申し上げたいんです。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 いや総理、大臣の皆さん方も総理に任命されているわけでしょう。総理が自由にお決めいただけるわけでしょう。国会議員ではなくて、国務大臣の皆さん方がアレン大統領補佐官と同じようなことをしたときに、総理はどういう御処置をなされますかというのが私の質問です。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) それは、いま議員の話を申し上げたわけですが、国務大臣という特別の役職にある者についてはまた議員以上の道徳性が要求されるでしょう。しかし、それはそのケース、ケースによって判定さるべきで、一概に申し上げるわけにはまいりません。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 総理も言いにくいだろうからそういう御答弁をなさっていると思うんですが、もう一つ、この間の参議院選挙のときに、これは二階堂幹事長ですけれども、選挙中の六月十一日の長崎市の政談演説会で、昨年の夏の長崎大水害の例も挙げて、一昨年と合わせ災害復旧に一千五百億円が長崎につぎ込まれた、私が大臣を呼びつけてやらしたんだ、こういうことは自民党しかできないんだ、災害対策をやってあげたから今度の選挙では八、九割の有権者が自民党に投票してほしいということを演説をなさった、これは新聞報道です。  私も新聞を見て知ったわけですけれども、選挙のときに、大臣なりあるいはそういう自民党の幹事長というような有力な方がそういう御発言をなさることはいかがなものかと思うんです。一千五百億円というお金が自民党の金庫から出て、そうして災害の復旧にといってお使いになったんならこれは何も言うことはない。国民の税金を使うわけなんです。それを大臣とか自民党の幹事長が自分のポケットマネーを使うようなつもりでもって、これはおれがしてやったんだなんという、そういうことは私はいささかどうかと思うんですけれども、総理の御見解はいかがでしょうか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 政党ですし、また選挙をやる場合には皆さんみんな票が欲しいものだから、なるたけ注意を喚起するような発言をややもすればしやすいものですけれども、やっぱりそれには限度がありまして、いやしくも選挙法その他法規に触れるような発言はこれはいけないと思います。いまのケースがどの程度のものであるか、これは速記録でも読んでみないと前後の事情はわかりませんが、恐らく、自民党幹事長がもし言ったとすれば、わが党の政策はこういうわけで、それぐらい力を持っているんですぞという例示で言ったんではないかと思います。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 まあ私は法に触れると思うんだけれども、じゃ触れるかと言ったって、触れるとは言わぬだろうから、まあその程度にして、近く総選挙もあるわけですけれども、物の限度があると思うんですから、やはり総理がおのずからその辺をわきまえるように言っていただきたいと思うんです。  次に、人事院勧告の問題で若干お聞きをしておきたいんですが、これは昨年の十二月十七日、夜遅くなって与野党の代表者会議、言うならば書記長・幹事長会談ですが、そこで一つは、五十八年度の人事院勧告は尊重し実施する。それから二つ目には、五十七年度の人事院勧告の実施については野党の意見を踏まえて誠意を持って検討する。そこまでまとまったものですから、それから実務者会議といって、私も実務者に入ってやったんですが、何らの今日まで進展なしに来たんですけれども、その辺についてどうお考えなんですかということ。あとは関連質問で。

丹羽兵助自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(丹羽兵助君) 先生のお尋ねにお答えさしていただきたいと思いますが、いまもお話の中にございましたように、昨年の十二月の十七日でございましたか、政府・与党の合意、さらには本年三日一日の衆議院議長の見解を踏まえて、本年度については昨年度のように給与改定を見送るようなことのないことを私は前提としております。いずれにしても、本年度の人事院勧告の取り扱いについては、勧告を尊重すると総理もすでに述べておられまするが、勧告を尊重するというこの基本姿勢に立って現在給与関係閣僚会議において国政全般の立場から慎重に検討をいたしておるところでございます。  私としては、給与を世話すると申しますか、給与に責任を持つ者といたしまして、昨年のあのような経緯、特に良好な労使関係の維持、これは大変大事なことでございまするし、ひいてはこれは労働基本権制約の代償措置としての勧告制度ではございますけれども、これは勤めていただく方々の生活のかかっておることでございますので、そうしたことを十分配慮いたしまして、勧告の実施に向けて最大限の努力をいたしておるのが現状でございます。

初村滝一郎自由民主党

○理事(初村滝一郎君) 伊藤君の関連質疑を許します。伊藤郁男君。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 官房長官に最初にお伺いをしたいんですが、九月十一日付の読売新聞によりますと、政府の首脳と自民党の首脳が九月九日の給与関係閣僚会議に先立って都内のホテルで極秘に会談し、今年度の人事院勧告について完全実施を見送ると、こういう方針を決定して、この合意内容を文書にして出席者全員が署名したと、このように報道されているわけでありますが、この会談に出席したと書かれております官房長官、この事実をお認めになりますか。

後藤田正晴自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(後藤田正晴君) 当日の朝そういう会合があったことは事実でございますが、それは、この臨時国会を控えまして、そしていろんな問題があるわけですから、この国会に政府・与党一体となってどう対処すべきであるかといったような意見交換をやったことは事実でございます。したがって、その中の一つの項目として、当然人事院勧告の扱い、仲裁裁定、いろいろ問題になることは予想せられますから、いろんな議論の中の一つとして論議が交わされたことは事実でございますが、新聞に伝えられるような、何か署名をしたとかなんとかということについては、私は出席しておりましたが、そういう署名はいたしておりません。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 給与担当の総務長官にこの件に関連してお伺いしますが、この報道には、この五十七年度分四・五八%を引き続き凍結する、このことを確認したと、このように報道されておるわけでありますが、このことが事実なのかどうか、総務長官のお答えをいただきたい。

丹羽兵助自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(丹羽兵助君) 伊藤先生のお尋ねにお答えさしていただきますが、あの会合と申しまするか、話には私も顔を出しました。その様子は官房長官からお話があったとおりでございますが、私は給与を世話さしていただく者として、あのように国会の決議もあり、議長の裁定もあり、そして現在給与関係閣僚会議で人事院勧告を尊重して気持ちよく働いていただかなくちゃいかぬということで協議を願ったわけです。特に、厳しい財政事情でございますから、いろいろのことは言われましたけれども、いかに厳しい事情の中でも、先ほど私が柳澤先生の御質問にお答えしましたように、これは働いていただく方々の生活がかかっているんですから、そういう点を、世話さしていただいておる私としては、そんな去年の分をどうする、ことしの分をどうするかなんていう話は出てもおりませんし、私が承知するはずもない。そんな具体的な話はなかったということを私は責任を持って伊藤先生にお答えさしていただきたいと、こう思っております。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 官房長官と総務長官のお答えはそのまま受け取らしていただきます。  そこで、人事院総裁にお伺いをしたいんですが、この五十八年度人事院勧告の六・四七%、昨年度分四・五八%、今年度の上乗せ分一・八九%と単純に分けることが可能なのかどうか、この点をお伺いいたします。

藤井貞夫人事院総裁

○政府委員(藤井貞夫君) 御承知のように、人事院がやっております給与勧告のもとになりますのは、官民の給与の均衡を図るということが基本原則でございます。そういうことから毎年一回、ちょうど民間でも給与の変動がございます四月時点を基礎にいたしまして詳細な民間の給与の実態を調査して、それと公務員の実態とを突き合わせをいたしまして、そして結論を出すということでございます。そこで差額が出ておればその較差は埋めてもらうということで従来からやってまいりましたし、これはまあ制度として定着をしておるというふうに考えておるわけでございます。  そういう意味から申しまして、いまお話が出ました本年の六・四七というのは、実は去年、御指摘になりましたように四・五八分が見送られた、凍結をされたということでもって去年分が実行されておりませんから、その分がことしの較差の中に当然入ってくるということはこれはそのとおりでございます。ただ、この六・四七の中で、去年分がそのままの率で入ってくるかというと、これはそうではございません。    〔理事初村滝一郎君退席、委員長着席〕 と申すのは、御専門でもございますから御承知のように、民間の場合、去年の四月調査時点からその後やはり一年間にわたって、民間ではベースアップをやったところも出ております。実態が変わってきております。それに対応する公務員の側でも、第一に職員構成というものが変わっています。新陳代謝がございますので、職員構成が違っている。また、同じ在職の職員でも、昇格をしたり、あるいはいままで子供さんのなかった人に子供さんができるとか、そういうことで手当の変動等がございます。そういったことがございますので、そういうものを全部含めてことしの四月時点で調査をする、突き合わせて調査する、その結果がことしの勧告の率になったわけでありまして、形式的にただことしと去年の率を差し引いて一・八九というような、そういう数字は実は私は意味がないというふうに思っております。  ただ、一つの大きな見通しとして、一・八九ということにある意味がありとすれば、今年の春闘は御承知のように非常に低率に推移したわけでありまして、これは定昇を除きますと約二%というふうに言われておりまして、それとの見合いということではほぼ合致するということで、まあ妥当な線ではないかというふうに思いますけれども、六・四七を分けて去年分とことし分というふうにすることは、これは不可能でございます。六・四七ということを総原資として人事院としては給与政策その他従来の経緯にかんがみて、俸給にどのぐらい持っていくか、また手当にどのぐらい持っていくかということを給与政策の面から決定をいたしておるわけでございまして、その中を分けて昨年度分とことし分というふうにすることは私は不可能であると考えております。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 それで、総務長官、確認をしたいのですが、いまの人事院総裁の御答弁によりますと、勧告を去年の分とことしの分に分けるということは不可能なことだ、法制上、技術上これは不可能だと、こういう御答弁をいただいたわけでありますが、総務長官はどのようなお考えでしょうか。

丹羽兵助自由民主党総理府総務長官・沖縄開発庁長官

○国務大臣(丹羽兵助君) 伊藤先生のお尋ねにお答えさしていただきますが、人事院勧告の基礎となる官房の給与較差というものは、毎年四月の時点における官民の給与を比較して出されたものであると私ども承知しておりまするし、本年度の人事院勧告は、昨年給与改定が見送られたことを考えると、二年分の較差が含まれておることには間違いないと思われまするが、これを昨年とことしの分に分離することができるかどうかということは、ただいま人事院総裁の申されましたように、なかなかむずかしい問題があるように私どもも、いまもお話しでございましたが、承って聞いております。ですから、私としては労使関係の安定、職員の士気の高揚等に十分考慮を払いつつ、現下の情勢を総合的に勘案して適切な決定をしていただくよう、現在政府に対して課せられた重要なこれは課題であると考えまするので、いろいろといま申し上げたような気持ちを関係閣僚会議でも御説明申し上げたり、述べて、その給与関係閣僚会議において、国政の全体の場でこの人事院勧告の勧告されたものが十分取り入れられていくように努力さしていただきたい。  重ねて申しますけれども、ただいま人事院総裁の申されましたように、去年が据え置きになっておりまするので、それと、その分は入っておるには違いありませんが、これを完全に分けて考えるということ、分離していくということは非常に困難だと私も聞いております。なぜ困難かということは私にもよくわかりませんが、必要であればこれは政府委員が来ておりますので、理論的に申し上げても結構でございますが、そう聞いております。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 最後に、総理。

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 速記を始めて。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 総理の御到着をお待ちしておりました。  勧告の問題ですね、いま総務長官、人事院総裁の方からお話を聞いたわけですが、この人事院勧告を去年の分とことしの分に分けて実施するということはこれはどうしても合理性がない、こういうお話を聞いたわけです。もし、そういうことを行うということは、たとえばコップに入っている水のうち、きのう入れた水はおかしいからきょうの水だけ取り出して飲むという議論に等しいようなもので、まことにむちゃな、無理な議論だ、こういうように思うわけです。  そこで総理、違法ストライキはしないと決めているまじめに働く公務員の皆さんがおるわけですね。こういう人たちが納得のいくような合理的な処置を政府としてこの問題で決めていただきたい。われわれは人事院勧告の完全実施を政府に求めておりますけれども、総理のお考えをお聞かせいただいて、私の質問を終わります。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 人事院総裁のお話も私はそこで承っておりましたが、人事院総裁が、公務員の給与を思い、かつまた人事院総裁としての職責から、去年の分とことしの分と分けるわけにいかぬと。これは、去年、ことし合わせた分をいろいろ計算してみてそういうことにしたのだと、そういう御議論を私拝聴したところでございます。政府といたしましてそれをどういうふうに解釈するか、非常に法律的な問題もございまして、これはよく法制局等においても詰めてもらおうと思っております。いま私がここでよく勉強もしないことを申し上げるのは適当でないと思いますから、時間の猶予をいただきまして政府の方で勉強さしていただきたいと思いますし、その点については給与閣僚協もございますから、その辺でもいろいろよく勉強して妥当な判断をつくりたいと思っております。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 これは自治大臣にお聞きするんですが、五十六年十月十三日に自治省から次官通達でもって、地方公務員の給与実態というものを公表せいということで出しているんです。どの程度実行されているんですか、その実績を発表してください。

坂弘二自治省行政局公務員部長

○政府委員(坂弘二君) お答え申し上げます。  地方自治体全部の都道府県、それから全部の指定都市、それからすべての市及び特別区につきましては、その給与の実態を公表するように指導しておるところでございますが、昭和五十七年度におきましては、すべての都道府県、指定都市、特別区は公表いたしております。一般の市につきましては、その八七・四%に相当します五百六十の市が公表いたしております。なお、当該団体の判断により任意にとしております町村につきましては、約百の団体が公表いたしております。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 自治大臣、大臣自身がどこかへ行かれて、自治省が出した通達をおまえらちゃんと守ってやっているかと、どこかでお聞きになったことありますか。ほとんどと言っていいほど出されていないんですよ。それは、ごく一部では、市では広報に載っけたとかなんだとかもあるんです。これは住民に公表せいと言っているんですから、その辺の点についていまのような答弁では納得できないですよ。

坂弘二自治省行政局公務員部長

○政府委員(坂弘二君) その公表すべき内容あるいはその方法でございますが、それらにつきましては、必ず公表すべき項目と申しますか、内容というものは自治省の通達において示しておりますが、具体的にどのような公表の様式をとるか、どのような方法によるかということにつきましては、その公表の趣旨をよく理解して、各地方団体それぞれ地域の事情がございますので、それに応じて適切に定めるように指導しておるところでございます。  しかしながら、ただいま御指摘のように、公表はいたしましたが、その方法なり内容というものは、必ずしも住民の理解しやすいようなものになってないと認められるものもございますので、自治省といたしましては重ねて、この公表の趣旨に沿うようにさらに創意工夫をして公表するよう指導しておる最中でございます。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 いまのも答弁になってないです。大臣、出てきてくださいよ。  それで、ちゃんとこれは自治省から出したのは、「地方公務員の給与は、原則として地域住民の租税負担により賄われている関係上、地域住民の納得と支持が得られるものでなければならない。この観点から、今後地域住民のより一層の納得と支持を得られるようにする一助として」云々しかじかと言って出しているわけなんです。住民にわかるようにしてあげなさいと言っているんですよ。そんなところがもしあったならば、ちゃんと発表してください、ここへ。

山本幸雄自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(山本幸雄君) いまのお話のように、給与というのは、やはり納税者としての住民の皆様によく御理解をいただくということが大事なことでございますから、いろんな方法でなるべく広く皆様方に御理解をいただけるように、わかりやすく、また皆様方の目に触れるような方法でやるということが大切だろうと思うんですよ。ただ、市役所あるいは町村役場といいましても、これもやはりお役所でございますから、結局広報とか、あるいはそれぞれの自治会とか、そういう回覧板で回すとか、そういうことでおおむね私はやっておることであろう。しかし、内容が大変わかりにくいということは、私もそういうふうに思う点もなきにしもあらずでございますので、今後ともより一層住民にわかりやすく、また目に触れやすい方法というものを考えていきたい、こう思っております。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 私が言っているのは、いわゆる国家公務員と同じ条件で比較したラスパイレス指数がいつも使われるんですが、泉大津市ですか、あそこが一二八・九というのが最高で、一一〇以上というのが三百七十一自治体あるんです。それで、四千万の退職金事件とかいろいろ騒がれているけれども、地方自治体全体からいくと三千三百からあるわけなんです。その中の三百七十一、いわゆる一割ちょっとが余りにも高過ぎるがゆえに、何か地方公務員みんなが高いように言われているんですよと言うんです。  そういうためにも、そういう極端に高いところは何とかして是正をさせて、そうしていま地方公務員に向けられている批判というものを改めてやらなくちゃいかぬじゃないか。そのために自治省はちゃんとそういう通達をお出しになったんでしょう。だから、さっき言った市が八七・四%、いまここでは私もう時間がないからいいですから、県が全部で、市が八七・四%、そんなでたらめな、うそなことはないんですから、どことどこがなにしたのかということを、後でもって発表した市のデータを私いただきたいと思うんです。  そういう点で、地方公務員の給与等の是正のための臨時措置法という、何か時限立法でもつくって、是正ということを急速にやるお考えがないかどうか。私ども民社党は、そういう案までつくって、何とかして改めるべきところを改めたらと言っているのですが、その点について大臣のお考えはどうですか。

山本幸雄自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(山本幸雄君) この前の参議院本会議でも民社党の方からそういう御提案をいただきまして、それに対しまして、やはりそれぞれの地方自治体の自律的なお考えに任せておいていいのではないかというような私はお答えをしたのであります。この問題は、非常に現在の地方財政の現況あるいは行政改革をやらなければならないという日本全体の要求、そういうものから考えてみますと、ぜひ私は自治体全部が協力をして国家公務員並みの給与に、一遍にはいかないにしても、逐次是正をしていくことが望ましいと思うのです。いままでの実績を見てみますと、やはり逐次改善は、適正化は図られつつあります。それは給与もそうでありますし、退職手当についてもそうでありまして、いまお述べになりましたような、非常にラスパイレスの高いところもだんだんに低下をしておるということは言えるのであります。  これは、私どもが御指導申し上げるというについても、やはり一つの信頼関係でありまして、地方自治体全部がそういう気持ちになって、そして地方自治を守っていく、あるいは地方財政というものの充実を図っていくというお考えにぜひ立ってやっていただきたいと思っております。ただいまのところは、御提案のような法律で規制する、気持ちはそれぐらいの厳しい気持ちでやっていただきたいし、私どももそういう気持ちでやっていきたいと思っておりますが、現在のところはそういう法による規制まではまだ考えてはおりません。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 そう言ったって大臣、法がなくたってラスパイレスで一一五以上のところについては是正の計画を出せといって自治省がお出しになったはずなんです。その事実経過というものを御報告してくれませんか。

坂弘二自治省行政局公務員部長

○政府委員(坂弘二君) ラスパイレス指数を基準にいたしたわけでございませぬが、非常に給与の高い地方団体ございますので、ラスパイレス指数を基準でございますが、その高い方から百五十三団体選びまして、これに是正計画を出させております。一番高いのは先ほどございました一二八・九という泉大津、一番そのとき低いのが一一五・三でございます。その百五十三の団体につきまして計画を出していただきまして、それにのっとって計画的に是正するよう指導いたしておるわけでございますが、ただ、昨年度給与改定が凍結されておりますので、多少その是正のテンポがそのためにとっかかりがない。大体給与改定をいたしますときに、その改定を見送るとか、あるいは圧縮するということによって是正するものが多いわけでございますので、そういう点ございますが、それにいたしましても、昭和五十六年度、昭和五十七年度の両年度におきましては、百十六の団体におきまして昇給延伸、給料表の是正等の是正措置が行われております。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 いや、具体的な内容。

坂弘二自治省行政局公務員部長

○政府委員(坂弘二君) 具体的な内容といたしましては、まず昇給延伸でございます。それから切りかえ措置、これは下位号俸へ切りかえる。あるいは五十六年でございますと給与改定率を圧縮する、あるいは給与改定を見送る。それから給料表そのものを通し号俸的なものを是正する、あるいは初任給基準を是正する、わたりを行っておりましたのを直す。それから運用昇短を行っているものを直す。あるいは高齢者につきまして、国のように五十六歳以上昇給延伸、五十八歳以上停止というような措置をとる、そういうことでございます。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 ですから、さっきも言いましたように、一割ちょっとの人たちが余りにも高過ぎるということで、しょっちゅう新聞に書かれる、騒がれる。何かもう公務員というのはみんなそういう高い給料もらっているように思われる。そういうことを大臣は自律、あれに任せようと言ったって、任したってだめなんですから、行政指導なら行政指導でも結構だけれども、その点を改めさせることをやっていただきたいと思います。  そういう点でもって、お手元にも行っていると思いますけれども、この協定書をごらんいただきたいのです。八王子の例を一つ持ってまいりました。八王子の市長と八王子の市の職員組合との協定書。最初のが四十五年五月の十二日、その次が五十一年の三月三十一日、その次が五十五年七月二十一日、この内容を自治大臣ごらんになりまして、法に触れると思いませんか。このような協定を結んでよろしいということになっているのかどうか、そこからまずお聞きをいたします。

坂弘二自治省行政局公務員部長

○政府委員(坂弘二君) ただいまお示しになりました協定書の中には、いわゆる管理、運営事項に関するものがかなり盛られておるようでございます。地方公務員法第五十五条第三項の規定によりますと、管理、運営事項につきましては労使の交渉の対象にすることができないものでございますので、このような管理、運営事項を取り扱った部分につきましては、地方公務員法第五十五条第九項に基づくいわゆる法律上の書面協定というものには該当しないと思います。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 今度は大臣出てきてお答えいただかなきゃいかぬ。いま違法だということを言われたわけです。管理、運営の、結局地方公共団体というものは、事務や運営に関する事項あるいは職員の定数とか、そういうことについては協定してならぬ、交渉の対象にはならぬということがはっきりしているのです。それがこの中には、ごらんになればわかるように、たとえば委託後といえども事務量の増大に伴う人員増は行うのだとか、委託によっての配置転換を行わないとか、組織の変更は行わないとかいろいろのことがずっとあるわけです、清掃事業の直営の基本方針は変えないとか。もうこれは見れば、この中の大多数というものはいま言われた本来結んではならない、交渉してはならないことを結んでおるわけなんです。それについて所管の自治大臣はどういう御見解をお持ちになり、この八王子の市長をどういう御処置をなさるおつもりですか。

山本幸雄自由民主党自治大臣・国家公安委員会委員長

○国務大臣(山本幸雄君) 確かに、いまお答えいたしましたように、地方公共団体の事務の管理及び運営に関する事項というのは交渉の対象とすることができない、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、この協定につきましては東京都が具体的にいま実態に即して指導をしているということでございます。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 自治省としてどういう処置をなさったんですか。

坂弘二自治省行政局公務員部長

○政府委員(坂弘二君) 通常の地方行政に関します仕組みといたしまして、都道府県及び指定都市につきましては自治省が直轄いたしておりまして、その他の市町村につきましては、各都道府県がやはり地域の広域地方団体としての事情もございましょうから、都道府県知事がいたすということになっておりまして、この八王子の問題につきましては、この問題が顕在化いたしましてから、われわれといたしましては直ちに東京都の行政部に問い合わせまして、その事情を問い合わせ、それからただいま申し上げたような問題がございますので、そのような趣旨に従いまして、東京都において現在具体的に指導しているというふうに聞いております。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 時間がなくてあれなんですけれども、総理、やはりきちんと行政改革をいま進めているのですから、そういう点に立って自治省なり何なり指揮をとってちゃんとやらしていただきたいと思うのです。これは本当に氷山の一角なんです。ですから、全国的にそういうことについて一回全部チェックしろと、そのことを総理から指示していただいて、それでみんながきちんと、そして是正するものはするようにやっぱり御指示をいただきたいと思いますので、総理の御見解をお聞きしたいんです。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 行革は中曽根内閣の重要な使命でありまして、地方も同じようにやっていただくことになっておりますが、最近、八王子の市民の皆さんがいろいろ決起されまして、住民の要求として正しい市政のあり方についてこれが運動を起こされているのが各地に非常な影響を与えまして、私は大変敬意を表しているところです。各地とも司じように住民の基本権でもございますから、各地の実態につきまして住民が知悉して、そして正しい地方行政のあり方について推進されんことを希望いたします。  また、政府といたしましても、自治省を督励いたしまして、全国の市町村あるいは県に対しまして適正な行政が行われるように、そして中央、各地とも均衡のとれた行政が行われるように、今後とも督促いたすつもりでございます。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 時間がなくなったんで、大蔵大臣、減税の問題、ちょっとだけ。  いろいろ経過はなんですが、やる気があるのかないのかということだと思うんです。原資があるかないかではなくて、政府にやる気があるかないかが私は減税がやれるかどうかだと思うんですよ。もし原資がないからと言うならば、それじゃ今度は予算以上に自然増収でよけいに入ってきたときは、それはもう国民に返さにゃいかぬわけなんです。その辺から考えて、もしいまのように原資がない原資がないと言うならば、じゃ自然増収が入ったときは国民に還元することをいまここでお約束いたしますか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 減税はこれを必ず実行すると、これは総理が所信表明におきましても、また本委員会の御質問に答えても言明しておられるところであります。  財源問題というのは、これは念頭に置いてはいけないという性格のものではありません。大事な大事な一つの要因であると思っております。だからこそ、各党の専門家の皆さん方があれほど一生懸命衆議院大蔵委員会小委員会においてその問題について長い議論を重ねていただいたのですから、それらの議論をもさかのぼりながら、基本的には税制調査会の答申を待って、総理の言明のごとくこれを必ず実行する、こういうことであろうと思います。

柳澤錬造民社党・国民連合

○柳澤錬造君 もう時間ですから。  総理、減税はこれはぜひやってください。そして、景気回復に本気にそういう役に立つようなことをやっていただいて、それで所信表明で言われたように、第百回の臨時国会なんですから、それなりの歴史的に意義のあるような国会にならなくてはいけないし、そのために総理のリーダーシップというものを期待をして、私は終わります。(拍手)

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 以上で柳澤君の質疑は終了いたしました。     ─────────────

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 次に、前島君の質疑を行います。前島英三郎君。

前島英三郎参議院の会

○前島英三郎君 私は、参議院の会を代表しまして、総理並びに各大臣に質問をいたします。  行革問題、減税問題あるいは政治倫理問題、伺いたいことはたくさんございますけれども、論議の重複を避ける意味から、そしてまた、いま福祉と平和が非常に危ないという状況の中を痛切に感じておりますので、やはり私の福祉問題、障害者福祉問題を主軸に質問をしてみたいと思うんです。  まず、総理に伺いたいんですが、私は三月の当委員会で総理の障害者福祉観をお尋ねいたしました。私がそのころ心配しておりました点は、軍拡志向じゃないかなと言われる総理が、障害者など社会的に弱い立場にある人たちを社会の仲間として考えるのではなく、単に手を差し伸べる対象者としての位置に置いておくというお考えじゃないかなと、こう心配しておったんですが、幸い総理のお答えは、障害者も当然社会の仲間であり、一員であり、自立しようとする気持ちがとうといものであって、自立できるような環境や条件を政府並びに国全体がつくっていくことが大事である、こういう御趣旨であったように思います。総理、このように受け取って当然よろしいわけだと思うんですが、またいまもそのお気持ちは変わりはないか、変化はないか、あわせて伺っておきたいと思うんです。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 変わりございません。  この間あるテレビを見ておりましたら、目の不自由な方がマラソン競争をやろうと。それでそのために、学校においても職場においても、伴走者と一緒になりて、そして十キロとか十五キロとか走り抜いているそのテレビを見まして涙がにじむような思いがいたしました。一人前にみんながやっていることをやりたいんだと。そして、それをみんなでやれるようにしてあげるのがわれわれの務めだと、そういうことを非常に痛感した次第でございまして、前に申し上げたことは誤りないと確信しております。

前島英三郎参議院の会

○前島英三郎君 まあ十一月には四十二・一九五キロの車いすのマラソン大会というのが初めて大分で開かれるというようなこともありまして、非常に積極的に障害者自身は社会参加に対する意欲を持っております。  ところが最近、前とは反対の心配が出てまいりました。自立できるような環境と条件を整える、ここがまあ大事なところなんですけれども、ここのところを飛ばしてしまいまして、いまのままの環境で、しかも必要な条件を整えないで、さあ自立しなさいと言われそうな、そういう雰囲気さえちょっと感じるようになってきたんです。健康保険法の改正とかいろんな弱い立場に対するしわ寄せが、あるいはこの行財政改革という大義名分ではこういうものをも一つは押し通せる何か力のようなものがあるんじゃないかというような流れを感ずるときに、非常に心配をするんです。近年、国際障害者年前後を契機としまして、非常に障害者自身の生活の場がよくなってきたこと、目立ってきたことは確かに評価できるんですけれども、まだまだ条件整備という点では足りないところがいっぱいあるような気がいたします。  そういう現状認識の上に立ちまして、障害者対策の長期計画というのが、これは総理は推進本部長、総務長官並びに厚生大臣は副本部長という重要な立場におられるんですが、そこでその長期計画というものが策定されたわけなんです。日本の障害者対策の現状認識という点から見ますと、この長期行動計画の実行に対するやはり総理の御決意というものがなければならないと思うんですが、その辺はいかがですか。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 長期行動計画の責任者といたしましていろんな点検やら話も聞いてみますと、まだまだ不備な点が非常にあるように思います。政府のやることもありますし、地方公共団体のやることもありますし、あるいは企業においてやることもたくさんありまして、それらをできるだけ早目に充実してまいりたいと考えておる次第です。

前島英三郎参議院の会

○前島英三郎君 自立するための環境と条件と一口に言いましてもいろいろあるんですけれども、より共通で基礎的なものから考えていくことが順当だと思うんですが、その意味では長期計画の中にある「生活安定のための施策」、これがきわめて重要なものであると思うんですね。これは言うまでもないことなんですが、長期計画の「生活安定のための施策」の最初のところに重要な一つの項目がございます。それが「障害者の自立生活の基盤を確保できる所得保障を確立するよう努める。」、これなんですね。  施設や親への依存を離れて自立生活をする、これはだれしも願っているところなんですが、しかし、障害が重いがゆえに、あるいは経済的な負担が多いがゆえにそれができない。そうなりますと、親御さんはこの子よりも先に死ねないというような気持ちの中で、障害を抱えたということによって非常に一家が追い詰められているというようなケースが大変あります。あるいは一家心中などというのもよく社会面をにぎわわせます。そういう意味では、障害を持っている人たち一人一人は、だれしもみずから望んで障害者になったという人は一人もいないわけでありますから、そこがやはり福祉国家の社会の強さというものは、そこの部分にいかに政治が力を入れるかという僕は一点だろうと思うんですね。  その意味でも、この国際障害者年の目標である「完全参加と平等」の第一歩として、その所得保障という確立をうたっているわけです。もちろん雇用され、自立をしていく道は、私たちは道づくりをしなければいけないんですけれども、しかし障害が重いがゆえにその道にも乗れないというような人たちがまたごまんといるわけですね。こういう人たちの所得保障の問題なんですが、これは財政の問題が絡みますから、大蔵大臣に基本認識を承っておきたいと、こう思うんですが、いかがですか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) いま基本認識といたしましては、総理からお話のあったとおりでございます。  政府の長期計画というものがございますが、これは基本方針を定めたものであるという認識をいたしております。したがって、財政当局としても、これはもちろん各省庁と協力してという、直接の所管省それぞれございますので、これに対しては十分推進に努めてまいりたいと、このように感じております。

前島英三郎参議院の会

○前島英三郎君 そこで、厚生省では、障害者生活保障問題専門家会議で所得保障施策のあり方について検討してこられたはずでございます。その検討結果がつい先ごろ報告されまして、厚生大臣もその報告を受け取っていると思うんです。このあたりの経過と、報告を受けた後の厚生大臣としての扱いですね、承っておきたいと思うんですが、いかがですか。

林義郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(林義郎君) 前島委員の御質問にお答え申し上げます。  ことしの七月二十八日、障害者生活保障問題専門家会議から提出された報告書は、私が自分でいただきました。主な内容は、第一に、すべての成人障害者が自立生活を営める基盤を形成するという観点から、現行の障害年金制度における拠出制年金と福祉年金のあり方、障害の特に重い方のニーズに応じた福祉手当の重点化など、所得保障制度全般の見直しを図ることが第一であります。第二に、障害の評価・認定の仕方を、稼得能力と日常生活能力をより的確に反映する合理的なものに改めること。第三に、その他在宅福祉サービスの充実、リハビリテーション対策の推進、障害児対策の充実などを一層進めるということでございます。  厚生省といたしましては、この提言を踏まえまして、障害者の所得保障制度の問題については、現在進めているところの年金制度改革とも関連するものでございますから、その一環として見直しを行ってまいりたい、このように考えております。

前島英三郎参議院の会

○前島英三郎君 厚生大臣は、その会議の報告を受けまして、所得保障についての早期確立を非常に希望をしているわけでありますけれども、しかしいろいろ聞いてきますと、しかし大蔵がというお言葉がたびたび出てまいります。そうは言ってもこの財政難で大蔵がというような言葉が何となく聞こえてきそうな、そんな気配を感ずるんですけれども、大蔵大臣は、厚生省の専門家会議の結論を聞いておられるのかどうか。あるいは聞いておられるとしたら、こういうものに対する、財源対策に対する御検討にもうすでに入っておられるのか。あるいはどのようにこれを受けとめるお気持ちなのか、伺いたいと思うんです。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 厚生省において具体的には目下検討しておられるというふうに承っております。したがって、財政当局といたしましては、それは当然財政再建という基本方針のもとにあらゆる施策に対応していかなければならないという根底はございますものの、十分な理解を示さなければならぬ。いまだ大蔵省内部におきまして直接な査定ないしは調整行為には入っておりません。

前島英三郎参議院の会

○前島英三郎君 そういう意味では、ぜひ厚生省と大蔵省との密な連携をとっていただきまして、重度障害を持った方々の、せめて憲法二十五条に沿った一つの生活保障がなされるような温かいひとつ御理解をいただきたいと思うんですが、重ねて厚生大臣、その決意のほどを伺っておきたいと思うんです。

林義郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(林義郎君) 私は、やはり身体障害者のようにハンディキャップを持っておられる方は、完全参加と平等という考え方のもとにこの問題を進めていかなければならない。特に私としてもそういった問題は福祉の原点でもあろうかと思いますので、これからも一生懸命努力をしてまいりたいと思っております。

前島英三郎参議院の会

○前島英三郎君 おくれている状況を改善して、平等な水準まで追いつくようにというのがこの長期行動計画の目的なんですけれども、専門家会議が出したこの所得保障の水準というのは、自立生活の基盤ということであって、それだけで生活できるというものではないと思うんです。基盤だけでも可能な限り早期に実施していただきたいというのが私の願いなんです。  次に、昨年三月、身体障害者福祉審議会が、「今後における身体障害者福祉を進めるための総合的方策」という重要な答申を出しました。これは十二年ぶりの答申でございまして、特にこの間の十数年は障害者に関する施策も大きく変わりまして、また障害者自身も、さらに障害者に対する社会の認識も大きく変わった、進歩した一つの期間だと私は評価します。この変化、進歩を取り入れて、それを整理して総合的に体系づけをしようという目的を持ったこれがまた意義深い答申であったと思うんです。無論すべてに満足したわけではありませんが、わが国の障害者福祉の歴史を変える大きな期待に満ちた評価がございました。  そして、その答申から一年半たったんですけれども、答申に基づく今度法律改正に向けて検討が進められてきたんです。その検討結果が先月末に出されまして、私は大変驚いちゃったんです。というのは、最初の答申はこういう部厚いりっぱなものだったんですね。いよいよこれが実務段階になって法律改正に向けて検討したという段階になりますと、ぺらぺらっと四枚になっちゃったんですね。別に紙の厚さで私は中身を評価しようとは思わないんですけれども、そこが非常に枯れ木に水をやっても仕方がない的な思考がいまや生まれつつあるのではないかという危険を私は感ずるんです。紙の分量で決して私は中身を評価したくはありません。正直言って、この一つのまとめた結果には大変不満な持っているんですけれども、厚生大臣の御見解を承りたいと思います。

林義郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(林義郎君) この八月二十四日に出ました報告書、何か紙が薄過ぎると、こういうふうなお話でございますが、私は、内容としては必要なものは全部入っているというふうに理解をいたしております。  この報告書では、身体障害者の範囲の見直しをする、施設体系の再編成をする、身体障害者更生相談所の機能の充実を図る、第四番目に施設利用の費用負担のあり方などについて提言をしておるところでございますので、厚生省といたしましては、今後、身体障害者福祉審議会審査部会など関係方面の意見を聞きながらこれらの内容の具体化について検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。

前島英三郎参議院の会

○前島英三郎君 期待に反したとはいえ、改善を図ろうという内容には違いありませんから、わずかこれだけですからこれはすべて実行していただきたいという、まあつらい一つの要求にならざるを得ません。細かい点はこれからまた社会労働委員会でいろいろとお尋ねしてまいりたいと思います。  続きまして、障害者が地域で自立して生活できる環境と条件を整備するために欠かせないものの一つは、障害者が住める住宅だと思うんです。長期計画の中でもこの住宅改造の促進を挙げておりますけれども、厚生省としてはこの住宅改造の促進という点においてどのように取り組みをしておられるのか、伺いたいと思います。

林義郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(林義郎君) 身体障害者の住宅問題につきましては、一般の住宅の問題として建設省がいろいろとやっておられる御施策もございますから、その方にいろいろお願いをするということもございますが、厚生省自身としては、一般住宅に比べまして構造や設備などに改造を必要とするために、厚生省といたしましてその改造資金の貸付制度を持っております。第一に年金積立金の還元融資による障害者住宅整備資金貸付制度、第二に世帯更生資金の住宅資金貸付制度を設けておりまして、今後ともこれらの制度の普及充実に努めてまいりたいと考えております。

前島英三郎参議院の会

○前島英三郎君 いま建設省の話が出ましたけれども、建設省も当然関係する十四省庁の一員でございますが、長期計画の中で障害者向けの公的住宅の整備というのもうたっておりますけれども、建設大臣いかがですか。

内海英男自由民主党建設大臣

○国務大臣(内海英男君) 障害者に対する住宅政策といたしましては、障害者が障害の種別、程度、世帯の構成等に応じまして、日常生活に適した規模、設備等を有する住宅を確保し得るようなことが重要であると考えております。したがいまして、このため公営住宅におきましては、従来障害者向けの特定目的公営住宅を供給し、規模、工事費の加算及び設計、設備等の面での配慮を行ってきております。また、公団住宅におきましては、障害者が同居する場合にも快適な生活が営めるよう設計上の配慮を行っているほか、入居者の募集に当たりましては障害者の同居世帯に対する優遇を行い、かつ入居住宅も一階またはエレベーター停止階を優先的に割り当てておるような次第でございます。さらに、住宅金融公庫融資につきましては、障害者同居住宅に対して貸付利率の優遇を行いますとともに、割り増し貸し付けを行っているところでございます。  以上でございます。

前島英三郎参議院の会

○前島英三郎君 公営住宅の中に、わずかな改造で車いすでも一般の人でも両方使える両用的なタイプを考えてはどうかということをたびたび提言したこともあるんですけれども、まさしく健康な人を標準にして考えますから、ハンディキャップを持った人は使いにくい点がありますが、若干そこにハンディキャップを持った人に照準を合わしていきますと、非常に健康な人にも居心地のよい使いやすい公営住宅になるということでございます。  きょうは住宅・都市整備公団の方にもおいでいただいているんですけれども、ところで具体的な事例となりますと、非常に残念なケースなどもございます。たとえば、これは個別な問題ですが、恵比寿駅前に実は公団住宅がございまして、これは公団がつくったもので、そこにお年寄りや一人暮らしの方やいろんな方々に入居していただきました。ところがこれが民間の業者に、いわゆる土地を持っている方々に売り渡されたわけでございます。その結果として、共用していたエレベーターが、二つの地主にそれぞれ分割して売り渡されたものですから、もうエレベーターは使わせないと、一切向こうとこっちは違うんだということで、車いすの人とか足の弱い一人暮らしのお年寄り、こういう方々は大変いま困っている状況でございます。そもそもここに入居した人は、国の公団住宅に対する施策の中で国との契約、公団住宅との契約にもかかわらず、それが実は住民の知らない間に地主に売り渡されてしまった。そうすると、地主は今度はおれのものだからがたがた言うなら出ていけと、こういうような状況でいまちょっともめております。  こういう一つの経過、恵比寿住宅の払い下げの経過について、もし公団の方がお見えでありましたらちょっと説明を伺っておきたいと思うんです。

武田晋治住宅・都市整備公団理事

○参考人(武田晋治君) お答え申し上げます。  ただいま先生の御質問ございました賃貸住宅の譲渡の問題でございますが、この問題につきましては、当公団といたしまして市街地住宅の建設に当たりまして、市街地におきますところの再開発と住宅建設のための用地取得を目的といたしまして、市街地における土地所有者の方もしくは借地権者の方から土地の提供を受けまして、住宅と、住宅の施設を一体にいたしまして建設をいたします。そして、施設の部分は敷地の提供者の方に譲渡しているという制度が実はあるわけでございます。  そこで、三十一年、三十二年に建設計画を立てました場合に、その市街地住宅につきまして敷地の提供をいただきまして、施設部分の譲り受けをいたしました日から十年後におきまして、住宅部分の譲り受けを申し出た方がいらっしゃいました場合には、その住宅につきまして譲渡をするという旨の、公団といたしましては十年後譲渡制度と申しておりますが、そういう仕組みが実はあるわけでございます。  そこで、いま先生のお話に出てまいりました恵比寿住宅の事例といたしましては、その制度の上に乗っかかりまして譲渡の申し出があった住宅でございます。そこで、その恵比寿住宅の譲渡につきまして、四十二年の三月十八日でございますが、施設の譲り受け人から住宅の譲り受け申し込みがございました。そこで、同五十八年の三月一日に所有権を移転したわけでございます。しかしながら、居住者の方に対しましても非常に生活上密接な関係のあることでございますので、十二分に譲渡をする旨の予告とか、あるいは譲渡の通知とか、あるいはまた譲渡をいたします場合に、そこへ住んでおられる方々が家賃とかあるいは生活条件等の関係で、住宅公団の他の住宅等にお移りいただいても結構だというようなことでの事前説明というようなことを実はやっておりまして、そういう制度を進めた上で譲渡をいたしているということでございます。  そこで、先ほどのエレベーターの問題が実は出てまいるわけでございますが、この住宅を譲渡するに当たりまして、第一住宅と第二住宅というのがございまして、先生のお話にございましたのが第二住宅でございますが、その隣接いたしまして第一住宅という市街地住宅が同じようなものが実はあるわけでございまして、その住宅のエレベーターを実は共用していたわけでございますが、その住宅につきまして払い下げるに当たりまして、同じエレベーター等の共用施設をつくることを条件にして実は払い下げたわけでございますが、若干そのつくります施設につきまして中途までしかできなかったというような事情があるわけでございます。

前島英三郎参議院の会

○前島英三郎君 いや、仕組みとかいろいろあるのはわかるんですけれども、入居者は公団と契約したんでしょう。十年後にこれがその土地所有者に売り渡すというのを、そこに入居していた方には、その約款といいますか、約束事の中には記載されてないんでしょう。となると、これは契約していた人たちは国の住宅施策を信頼して契約したわけですよ。さあ払い下げました、国は払い下げたんだから家主は変わりまして、後は自由ですで済まされますか、どうですか。

武田晋治住宅・都市整備公団理事

○参考人(武田晋治君) 先ほど申し上げましたような仕組みの中で住宅の譲渡等をやっているわけでございますが、その譲渡につきまして、あるいは建設あるいは譲渡の段階で居住者の方々にどのような説明をしてまいったかというようなことにつきましては、確かにいろいろと注意を払わなければいけない問題があろうかと思いますが、そういうことにつきましては、先ほど申し上げましたような説明会を通じましてよく御理解をいただくように実は進めているわけでございます。  そこで、先ほども申し上げたわけでございますが、そこへお住まいの居住者の方に対しましては、公団が同じような目的で建設いたしておりますところの住宅にお移りいただくことにつきまして極力あっせんをいたしますと、賃貸住宅へのお移りとかあるいはまた分譲住宅等のごあっせんをするというようなことを通じまして、居住者の方方の御了解をいただくというようなことで進めてまいっているわけでございます。

前島英三郎参議院の会

○前島英三郎君 つまり、非常に貧困な暮らしの方々のための住宅供給政策だったわけでしょう。さあ今度は公団の管理じゃありません、家賃がどう値上げになっても構いません、しかし、もし移りたい場合には後始末として公団で探してあげましょうで済むと思いますか。この暮らしている方方はもう余命幾ばくもないというお年寄りの方々や車いすの人や松葉づえの方々が大ぜいここには入居されているんです。そしてこの人たちはここに骨を埋めたいとさえ思っている。こういう人たちを、二つの業者に売り渡して、建物は一括して公団がつくり、エレベーターは共有し、各階には渡り廊下をつくっておきながら、両方の業者が相互いに自分の所有権を訴えた場合に、ぶっつりそこへ鉄塀といいますか、鉄の扉をがあっとかけてしまうことについて何ら公団が指導できないというこの責任はどうするんですか。ただ、住宅をあっせんすれば済むとお思いですか。こういうものがどのくらいいま全国にありますか、こういう形で払い下げをしようとするものが。恐らく第二、第三の問題が出てくると思います。こんな住宅政策が正しいと思いますか。どうですか、建設大臣。

内海英男自由民主党建設大臣

○国務大臣(内海英男君) 御指摘のような事例にもかんがみまして、従来から建設省はそういう点については住宅公団等指導してまいってきておりますのですが、こういった事例にもかんがみまして、今後とも一層体の不自由な方のためにも住みやすい住宅提供を図るように指導してまいりたいと、こう考えております。

前島英三郎参議院の会

○前島英三郎君 いずれにしても、公団は、五十世帯も入る七階建てのアパートとしては欠陥状態のまま民間に売り出したことにもなるという責任もあると思うんですね。解決法は僕はあると思うんですよ。三階だけでも通路を、その第一の方に指導していただいて、せめて三階までエレベーターでその都度通れるぐらいの温かい心が僕は公団の指導ならできると思うんです。もしくはもう一方の方に、三階からのエレベーターではなくて、一階まで何らかのやはりハンディキャップを補うような形を公団の責任においてやれるんじゃないかという気がするんですけれども、その辺はどうですか。

武田晋治住宅・都市整備公団理事

○参考人(武田晋治君) お答え申し上げます。  確かに、当該住宅の譲渡前と比較いたしまして、一階からエレベーター等が使えないわけでございますので、特に御身体等の不自由な方につきましては一階から三階まで歩いていただくというようなことは非常に大変なことだろうと思います。そこで、先ほどのような事情が出てまいりました関係で、公団といたしましては、第一住宅と第二住宅のオーナーの方に対しまして、先ほど先生からお話のございましたような、三階からでも共用できるようにというようなことで話し合いを実はしてまいったわけでございます。  そこで、現在のところ実現いたしましたことといたしましては、車いすを御利用いただく身障者の方につきましては、若干の制約がございますが、必要な場合には利用さしていただけるというようなことに話がついているわけでございます。しかしながら、これでもって決して十分だとは考えておりませんで、車いすを利用される方以外の身障者の方等につきましてもなお利用できるように今後公団としては努力してまいりたいというように考えております。

前島英三郎参議院の会

○前島英三郎君 ぜひ善処をお願いいたします。  さて、次に精神衛生実態調査についてお尋ねしたいと思うんですが、まず、この調査を厚生省が十一月からおやりになるようですが、どのように行おうとしているのか、その概要を説明していただきたいと思います。

林義郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(林義郎君) 今回の精神衛生実態調査は、近年の社会生活環境の複雑化、人口構成の高齢化、家族形態の変化などに伴う今後の精神衛生対策の対応について基礎的な資料を得ようとするものでございまして、調査方法につきましては、精神科または神経科を診療科目とする医療施設に入院または通院している精神疾患患者の一部につきまして担当医に調査票、その他の症状、治療状況、治療環境などを記入してもらうような調査になっております。

前島英三郎参議院の会

○前島英三郎君 精神科に通院あるいは入院するその患者に調査対象になっていることを知らせないで、医師が調査票に記入して厚生省に提出するというようなことも若干聞きます。これは私は医師法に触れるのではないかという気がするんですね。これは患者の拒否権というのはあるんですか、いかがですか、その辺は。

大池眞澄厚生省公衆衛生局長

○政府委員(大池眞澄君) お答え申し上げます。  今回の計画しております精神衛生実態調査におきましては、患者の個人名は一切あらわれない、また患者を特定できるようなことは一切ない、そういう調査でございまして、したがいまして患者さんの個々の同意を求めるというようなことを要しない調査というふうに手法的に計画したものでございます。

前島英三郎参議院の会

○前島英三郎君 しかし、百万人の患者のリストができ上がるわけですね、それから抽出してお医者さんがそれぞれ診断を書くと。それがコンピューターに入るということになりますと、非常にプライバシーの面で大きな危険が生じるのではないかということが起きてきますけれども、その辺はどうですか、医師法の点からも。

大池眞澄厚生省公衆衛生局長

○政府委員(大池眞澄君) 御指摘の点につきましては、本年早々調査委員会を設けまして、専門的な立場、また患者、家族の方々の全国横断的な組織の意見を代表される方等々、関係の専門家、関係者による調査委員会で十分検討を重ねまして、そのような御懸念のプライバシーが侵されるというようなことが一切起こらないようなそういう配慮を十分加えて計画立案されておるものでございます。

前島英三郎参議院の会

○前島英三郎君 一次調査で精神疾患診断名一覧というのがありますね。それに該当する人、これにはどんな病名が掲げられているんですか。

大池眞澄厚生省公衆衛生局長

○政府委員(大池眞澄君) お答えいたします。  ただいま御指摘の一覧でございますが、これは、それぞれの医療機関におぎまして主治医の立場で診断を行われる方々が診断名の参考に供するべく一覧表として列挙したものでございまして、学問的に使われている診断名、通常慣用されている診断名等々網羅的に一覧表として御参考に供している、そういう趣旨のものでございます。数も三百前後とかなり数多い症病名を挙げております。

前島英三郎参議院の会

○前島英三郎君 これがそうですね。ガス中毒後遺症、家庭内暴力、顔面けいれん、恐怖不安がある。起立障害、私なんか入るかもしれませんな。それから言語発達遅滞、嫉妬妄想、自閉症、校内暴力、高所恐怖症、視力障害、小人症、重症筋無力症、小頭症、自律神経失調症、ぜんそく、怠学、つまり勉強を怠る者、性倒錯、精神薄弱、成績不良、ダウン症候群、抜毛症、毛が抜けることですね。登校拒否、脳振盪脳腫瘍、糖尿病、脳性麻痺、脳卒中後遺症、乗り物恐怖、難聴、不眠症、非行、ヒステリー、ベーチェット病、不安状態、未熟な人格、無断欠勤、問題行動、やせ症。何を根拠にこうした病名を列記したんですか、精神疾患として。

大池眞澄厚生省公衆衛生局長

○政府委員(大池眞澄君) ただいま例示的に列挙されたものは一般の方々にあるいはわかりにくい点があろうかとも思いますが、その他のたくさんの診断名あるいは症候名は、たとえば精神分裂病あるいはてんかん、そういったようなごく一般の方にもおわかりいただけるような精神疾患名ももちろんたくさん列挙してございます。これはすべて調査委員会の作業を通じましてこれまでに精神神経科領域におきまして使われておる診断名でございまして、その是非云々ではございません。実際上そういうような診断名が使われているという実態に照らして列挙したものでございます。もとより私どもはルーチンに実施しております統計調査、そういった面で国際疾病分類に基づいての傷病名、それはもちろん例示として挙げてございます。そのほかにいまおっしゃったような傷病名、診断名として挙がっておるわけでございます。  なお、一般の方々に誤解をいただくと困りますので補足して申し上げますと、ただいま例示的にお挙げになりましたような診断名と申しますのは、一般の人から見てそういう行為があればそれが精神疾患だということを言っているわけではございませんで、精神神経料を担当しております専門的な医師の目から見て精神疾患であるという判断が基礎にありまして、その当面問題になっている症候に着目すれば先ほど例示されましたような診断名がつくと。だから、それは全部底辺に精神疾患というものを踏まえての診断名でございますので、この点御理解を賜りたいと思います。

前島英三郎参議院の会

○前島英三郎君 大変これは危険ですよ、この線引きは。調査というもののいろいろな形がありますが、恐らくこれは保安処分への導入のまず突破口だと私は思うんです。私が思うんですよ。そういう形で医師が精神科の窓口へ来た人を抽出していくわけでしょう。そして百万人のリストアップの中から百人に対して一名ずつ、それからそれに当たらない場合には前後のこの中の症状に適応する人たちをリストアップしていくわけでしょう。こういうことが調査として行われるということは非常に私はプライバシーの侵害になる。しかも精神料というところで安心して治療を受け、社会復帰をしようとする人々に大変な不安を与える。あるいは医師に対しても大変これは医師法違反の疑いがある。これは行政管理庁がこの調査をオーケーするか否かということによって十一月から始まるものなんですね。行管庁はこれは統計何とか法というのがありますね、長官はどう思いますか、厚生大臣の経験もありますから伺いますけれども。

齋藤邦吉自由民主党行政管理庁長官

○国務大臣(齋藤邦吉君) 実は、精神衛生実態調査の話はただいま初めて承ったわけでございますが、こういう問題は厚生省におきましてはプライバシー保護ということで非常に慎重にやっておられると思います。おられると思いますが、この調査が統計報告調整法という法律ですね、その法律に該当するかどうか私はきょう初めて承りましたからよくわかりませんが、該当するということであれば行政管理庁に審査を求めるに来るはずでございますが、まだ承っておりません。うちの方にはまだ来ておりません。該当するならば来るわけでございます。しかし、参りましたら慎重に審査をいたすべきものであろうと、かように考えております。

前島英三郎参議院の会

○前島英三郎君 私は、調査をすべて否定しているわけではないんです。身体障害者の実態調査も行われました。それにはある程度の施策が伴いながらやっぱり明確化されていかなければいけないと思うんです。そういう意味では精神障害者の福祉法などというものもまだ制定されていない、つくられていない、そういう状況の中に、いまそうした形で病名を多々列記して、精神料の窓口に来て診療を受けようとする人々を震撼せしめるようなこうした調査に対しては、真剣な私はアクションが必要である。あるいは調査という名目においても許せない部分があると、こういうことを指摘をして、厚生大臣の答弁をいただいて、時間になりましたので私の質問を終わりたいと思います。

林義郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(林義郎君) 精神障害者対策というのは、先生もよく御承知のとおり、大変むつかしい問題がたくさんあります。いまのような先生のお話の御趣旨も、非常に私は気持ちとしてはよくわかるのですが、かつて四十八年にやりましたときの調査が不完全であってできないと、こういうふうな話です。私は、さっきも保安処分とかなんとかの話がありましたが、そういったことでなくて、これからの本当の精神障害者の対策をわが省でやっていくための資料にしたい、そのためにできるだけ医者の方々にも御協力をいただきたい、こういうふうな気持ちでやっているつもりでございまして、ひとえに願って精神障害者対策を充実していきたい。私も実は厚生省に参りまして、本当にもうずいぶん古い資料しかないんです。どうなっているんだと言うと、こんな状況であると、こういうふうな話でございますから、やっぱり基礎的なデータがないと政策を進めていく上にはどうしても困りますから、その範囲内で先生のいまのお話のいろいろありました点は十分配慮しながらこれからもやっていかなければならない問題であろうと、こういうふうに考えております。

前島英三郎参議院の会

○前島英三郎君 終わりました。

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 以上で前島君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 次に、森田君の質疑を行います。森田重郎君。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 私は、衆議院の解散問題について総理にお尋ねを申し上げたいと思います。  すでに総理は、これまで何回かにわたりまして、解散はしない、またそういう考え方は持っておらないというような御発言をなさっておりますけれども、一方ではすでに解散風が吹き荒れておるというような状況でございますので、この点を再度総理にお伺い申し上げたいと思いますが、まずその前に、現在わが国におきましては、現下喫緊の問題として解決をしなければならない大変な緊迫した政治課題がたくさんあろうかと思うのでございます。この辺をまず第一に、総理がどう受けとめておられるのかお伺いを申し上げたいと思います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 解散につきましては、前から申し上げているように任期満了をもってよしとする、任期満了までは解散はしない方針であると、そういうふうにいままで申し上げてきました。いままでのこの考えは変わっておりません。特に、今回の臨時国会は重大な行革法案を御審議願っていることで、政府が計画している行革の全体計画を今後も進めていく上で非常に重要な議会であるわけであります。したがいまして、この行革法案を全部ことごとく成立させていただきまして、行革の軌道を確実に設定していきたいと熱情に燃えておる次第なのでございまして、そういう過程に解散なんか考える余地は全くないのであります。  なおまた、いろいろ内外の問題が山積しておりますけれども、謙虚な気持ちになりまして、また国民の皆様の声にもよく耳を澄ませて、各党各派の協調をいただきまして、無事に国政を円滑に進めていきたいと念願をいたしております。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 先ほど私、内憂外患という言葉をあえて使わせていただいたわけでございますが、まさに外にあっては、大韓航空機撃墜事件に対する今後の対ソの責任追及の問題をも踏まえてむずかしい対ソ外交というものが予想されておりますし、同時にまた、一方では、輸入農産物の問題を初めとして貿易摩擦、日米、日欧間のこの貿易摩擦解消というような大きな政治課題がございます。内にあっては、ただいま総理がおっしゃいましたように、政治生命をかけると言っておられる行革の問題、あるいはこの委員会で再三論議の的となっております減税問題、あるいは減税に関連しての景気浮揚等々の問題が山積をしておる。そういう中で、実は総理、ただいま解散は絶対ないというような意味の御発言がございました。私もまさに同感でございます。もう一度この辺を総理に再確認をするような意味でひとつお聞かせをいただきたい。これは総理として、そしてまた自民党総裁としてひとつお聞きをいたしたい、かように思います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 任期満了をもってよしとする考えは一貫して変わっておりません。したがって解散は考えておりません。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 私は埼玉県の三区でございまして、かつて大変高名をはせた荒舩清十郎先生のまさに地盤でございますが、保守系の方が数名ぐらいは立候補を予定されておるように実は仄聞をいたしておるわけでございますが、まさにこれは大変な選挙区で、もうすでに選挙に突入しておるような現状でございます。ただいま総理のお話を伺いまして、総理はこれは当然でございましょうが、閣僚の諸先生も、ただいまの総理の御答弁で年内解散はないということでございますので、私も実は安堵の胸をなでおろしたというような気持ちでございますが、よくこの点につきましてはわかりました。やっぱり解散ということになりますと、これは私がちょっと調べたところでは、過去のデータからいきましても三十日から四十日間ぐらいの政治の空白期間というものができる。ただいま総理がおっしゃったような非常に問題山積というようなこういう折に解散というものはぜひ避けていただきたいというようなことから、あえてこの問題をくどいようですがお伺いを申し上げたわけでございます。  次に、減税問題についてお伺いをいたしたいと思います。  実は、午前中の委員会がちょうど正午に終えまして、私、控室にちょっと入りましたらば、NHKの十二時の報道で、総理が、とにかく景気浮揚対策の一環として、これは減税だけではございませんけれども、要するに景気浮揚につながるような意味での減税を実施するというような報道が流されておりましたが、減税に対する総理の基本的な考え方、これをお伺いしたいと思います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、総理大臣就任以来、減税を実施したい、特にサラリーマンや御婦人の立場、家庭の主婦のお考えを拝察しますのに、減税を待望していらっしゃいます。この御期待にぜひおこたえする必要がある、そう思いまして、野党の皆様方からいろいろ言われているときすでに私自体が減税を実施したい、そう考えてきて、それはこの国会におきましても言明してきたところなのであります。野党の皆様方が自民党に対しまして減税をせよというふうにお申し入れになって、自民党の方もそれに即応するようにいろいろ御相談をしてまいりましたが、私は賛成であると、そう言ってきたわけです。  それで、じゃどういう減税をやるのかという趣旨でございますが、これは二階堂幹事長が皆様方に申し上げましたように、減税をやるのは、景気回復に役立つような大幅な減税をやりたい、そういう趣旨のことを二階堂さんがおっしゃっておるんです。つまり、景気回復というものを非常に考えておる、消費需要を起こすということも非常に考えておる。がしかし、そのことは結果的には、いままで減税が行われなくて給料はふえてきた、その分だけ税金をよけい取られてきた、そういうものに対する調整的措置が結果的にも行われると。しかし、われわれが一番願っているのは景気回復である、そういう趣旨に沿って減税をやりたいと、こう考えているところです。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 ただいまの総理の御答弁を伺っておりまして、大分何かこう減税に対する政府の基本的な姿勢というものがはっきりしてきたような感じがするわけでございます。衆議院、そしてまたこの参議院の予算委員会を通じまして大蔵大臣からもいろいろ御答弁がございましたけれども、当初は、総理の御答弁を踏まえまして、政府の減税に対する基本的な姿勢、考え方というのがどうももう一歩釈然としないというような感じが実は私なりに非常に強かったわけでございます。  政府税調の考え方というのは、きのうの小倉会長の参考人としての御意見の中でも何とはなしにわかるような気がするんです。たとえば、行革によって行政経費の削減、補助金カット、その辺から減税財源を見つけるということはなかなかむずかしい。一部やはり物品税、酒税等の間接税の結局引き上げによって補う、あるいはサービス新税をこの際新設していくというような考え方の中で、課税標準といいましょうか、の引き上げであるとか、まあ何とはなしにわかるような気がするんですけれども、いまひとつ政府の減税に対する姿勢というものがはっきりしなかったような気がいたしますが、今回大分その辺が鮮明になってきたというふうな感じがいたしますが、この点大蔵大臣いかがでございましょうか。きょうは大蔵大臣には御質問申し上げる予定はないんでございますが、一言大蔵大臣いかがでございましょうか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 基本的には、考え方は総理から申し述べられたとおりであります。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 私が申し上げたかったことは、結局所得減税で、これは仮定の話ですけれども、仮に七千億の減税をする、住民税で三千億の減税をする。しかしその財源というものがなかなか見つからない。そこで大半は物品税に結局依存をする。そういう考え方の中で、増税と合わせたような意味の減税をするんだというような形の姿勢というのがもう少しはっきりと実はお伺いをしたかったようなわけなんでございますけれども、大体その辺の政府の姿勢というものがわかってきたような感じがいたします。どうぞひとつ、この五十八年度実質成長率三・四%の問題はいろいろと議論の的となっておりますが、私自身はちょっとその見通し困難のような感じがいたしますけれども、ひとつ景気対策浮揚、言うなれば景気刺激減税というものを年内にぜひ実施していただきたいと、こう思います。重ねて総理の御答弁をちょうだいしたいと思います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 減税に関する政府・自民党の公約は、必ずこれを実行いたします。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 もうほとんど時間がございませんので簡単にひとつ質問をさせていただきますけれども、総合安全保障的な見地からしますれば、正面装備の充実ということをいかにわれわれ考えてみましても、エネルギーの問題あるいは食糧の問題、これらの問題がやはり非常に大事ではなかろうかと思いますが、特に総理にお伺い申し上げたいことは、今後の農政のあり方の中で食糧の自給率向上、この問題を総理どういうふうにお考えになっておられるか、この辺を一言お伺いしたい、かように思います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、農は国のもと、農業は生命産業であると、そういうことを前から言ってきておるのでございまして、農業は、ほかのたとえばロボットで機械をつくるというような産業とはまるきり違う産業であり、農家、農業者が、あるいは水産業者が愛情を持って育てなければ育っていかないという性格を持っておるわけです。そういう観点のほかに食糧の安全保障という面もございまして、農業をきわめて重視しておる政治家だと私は思っておりますが、この食糧の自給率という面を見ましても、たしか穀物等においては日本はまだ三三%程度であると思います。そのほか大豆とかそういうものになるとほとんど数%、飼料穀物に至ってはこれまた二%程度の自給率であります。そのほかわりあいに自給率がいいと言われるのは野菜とか果物とか鶏卵でありまして、そのほかの牛肉とかそのほか大事なものはまだ五〇%か六〇%程度の自給率、ようやく酪農が八〇%の自給率、まあ七、八〇%まで肉も回復してまいりました。  こういうわけで、ようやく勢いがついてきて、大体EC並みの農業に日本がようやく入れるかなというところまで来たと思うんです。これは農業関係者の非常な御努力のたまものでもあり、農水省も政府もそういう力を入れてきた結果であると思いますが、こういうような自給率を向上させるという政策は、政府はできるだけ今後も引き続いて実行してまいりたい。その間におきまして外国との調整の問題もございます。これらにつきましてはよく先方とも話し合いをいたしまして、長期的観点からお互いが納得のいく措置をとりつつ日本の自給率を上げていく、こういう考えに立って実行してまいりたいと思っております。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 総理のおっしゃるとおりでございますね。私も農水でちょっと調査いたしましたけれども、穀物ベースで日本は総理のおっしゃるように三三%、こういうことなんですね。ちなみに、アメリカがその自給率が一六二%、フランスが一七〇%ですね、西独が九〇%、それから一度農業を捨てた英国ですら七七%の自給率、こういうことでございますね。私は、ただいま総理がおっしゃいましたように、ぜひ食物の自給体制、自給率の向上ということに格段の御努力をお願い申し上げたい、かように思うわけでございます。  時間も一分しかあとございませんので、もう一問だけひとつ質問をさせていただきますが、牛肉、オレンジを中心とした日米農産物貿易交渉ですが、これは過去三回か四回ぐらい先般の東京交渉も含めまして行われておると思いますが、この辺の見通しにつきまして、政府の強い姿勢、非常に共鳴いたしておりますが、お見通しをひとつ総理にお伺いしたい、かように思います。

中曽根康弘自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(中曽根康弘君) レーガン大統領と話しまして、その折に、この問題は静かに専門家に話し合いをさせようと、そういうことで専門家同士で話し合いがずっと進んでまいりまして、この九月の十四、十五日にも先方から参りまして静かな話し合いをやったわけでありますが、話は一致しません、また引き続いてやろうと、こういうことで引き続いてやることにいたしております。  私は、当初申し上げましたように、日本の安全保障あるいは食糧の長期的安定、農家の自活、生産性の向上、あらゆる面を考慮いたしまして、日本の農業を長期的に安定させつつ、しかも外国と調和していく、そういう観点に立ちまして、専門家が国益を踏まえつつ静かに話し合い、合理的な話し合いの決着をつけるように努力してまいりたいと思っております。

森田重郎新政クラブ

○森田重郎君 終わります。(拍手)

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 以上で森田君の質疑は終了いたしました。  これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。     ─────────────

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) この際、委員長から申し上げます。  二日間にわたる当委員会での討議の過程におきまして、所得減税の問題に関し、各党からそれぞれに熱心な質疑が行われました。また、理事会におきましても、この際、所得減税の誠意ある実施について、当委員会として政府に要請すべきである旨各党間で合意を見ております。  所得減税の件につきましては、前の通常国会におきまして、予算委員長が、政府は速やかに検討を進めるべきであるとの見解を示し、これに対し大蔵大臣から、今後できるだけ早期に税制調査会で課税最低限等の見直しを含め、減税の検討に着手していただくこととしたい旨の答弁がなされております。  以上のような経緯を踏まえ、私は、この際、当委員会を代表して政府に申し上げたいと思うのでありますが、減税問題については、諸般の事情もございましょうけれども、減税の実施のために、課税最低限等の見直しを含め、具体的な方途を可及的速やかに決定し、もって国民の期待にこたえるよう最大限の努力をしていただくことを強く要請しておきたいと存じます。  以上でございます。  大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します。竹下大蔵大臣。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 御趣旨を体し努力いたします。

西村尚治自由民主党・自由国民会議

○委員長(西村尚治君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十六分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗