本会議 第5号
- 発言数
- 32 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1983/09/14
会議録
○議長(木村睦男君) これより会議を開きます。 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日) 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。多田省吾君。 〔多田省吾君登壇、拍手〕
○多田省吾君 私は、公明党・国民会議を代表し、さきの中曽根総理の所信表明に対し質問をいたします。 初めに、去る九月一日未明、ソ連軍用機が大韓航空機を撃墜した事件は、いかなる理由があっても、人道上、国際法上断じて許されない暴挙であります。亡くなられた二百六十九名の方々の御冥福を心よりお祈り申し上げ、怒りと悲しみに暮れる家族の皆様の御心情を心からお察し申し上げます。 今後とも、熱心な捜索活動はもとより、粘り強い真相解明と責任の追及、ソ連に対する謝罪と補償の要求、またこのような暴挙が二度と起こらないよう再発防止対策、さらに国際緊張緩和など、政府は国会決議を尊重して、さらに万全の措置をとられるよう強く要望いたします。特に、この事件を理由に軍備増強に走ることがあっては絶対になりません。今回の事件の裏に国際的軍事緊張があることを重視し、今後政府は国際緊張緩和のために、また軍縮、核廃絶を目指して全力を挙げて最大の努力を払うべきだと思いますが、総理の御決意を承りたい。 また、本年五月の日本海中部地震、七月の山陰豪雨、八月の山梨県を襲った第五号台風禍、さらに北海道、東北の冷害等で被災された方々に心からお見舞い申し上げます。速やかな災害復旧と生活安定策及び今後の実効ある防災対策を強く要求いたします。 さて、昨年十一月の内閣発足以来約十カ月の中曽根政治の方向は、改憲発言、軍備増強など右傾化が顕著であり、国民に不安を投げかけております。 総理は、「戦後政治の総決算」を叫び、平和日本の指針となってきた現行憲法の改悪やアメリカの力の外交に追随する軍事大国化を進め、防衛費の突出と引きかえに福祉、文教費の切り捨てを図るなど、戦後の日本が目標としてきた平和主義、福祉社会、自由社会にかかわる理想や施策を次々と覆そうとしているのが実情であります。 また、不沈空母発言の次には花と緑の発言、欧州へ中距離核戦力配備要求の次には非核三原則の厳守発言というように、総理の時々の言動が互いに矛盾撞着を繰り返し、国民にいよいよ不信を与えております。 国民の不信を招くもう一つの大きな理由は、政治倫理の確立に熱心でないことであります。 総理は所信表明で、政治家個人の道徳性と政党、政治団体の清潔な活動と抽象的に述べたのみで、肝心の政治倫理確立の具体的方策にはついに何ら言及しなかったのであります。 十月十二日、ロッキード事件で刑事責任を問われている田中元総理に判決が予定されておりますが、事件発生以来七年、検察、司法の対応に比べて国会の政治的、道義的責任の追及は全く不十分と言わざるを得ません。ロッキード事件は、国民から国会がその自浄作用を求められている最も重要な問題であり、総理のように三権分立を理由に言い逃れできるような問題では断じてありません。まして、後に取り消したとはいえ、政治倫理の正当な論議を雑音だと言つて水を差すようなことはまことに言語道断と言わざるを得ません。 現在、野党提出の田中議員辞職勧告決議案に対し、自民党内では「本会議上程にはあくまで反対」、あるいは「党議で反対を決め決議案を否決せよ」などの意見が出ておりますが、中曽根総理は自民党総裁として、今後も、また十月十二日の判決後も本会議上程に反対し続けられますか。 さらに、懸案の政治倫理委員会の設置、議院証言法の改正、証人喚問の実施などが自民党の反対で進んでおりませんが、総理が政治倫理確立のために自民党総裁として指導性を発揮して、積極的に推進されるお考えはありませんか。総理が政治倫理の確立を言われるならば、ロッキード事件を頂点とする戦後政治の宿弊、金権政治の打破のために具体的な改革の方針を示すべきであります。 現在も政治と金の関係はまことに不明朗であり、また昨年度の政治資金の収支報告を見ても一向に改められず、出所不透明なまま容易に企業献金に依存し、収受の責任の明確化につきましても改善の跡は全然見られません。 総理に伺いますが、第一に、政治資金規正法を改正して企業献金から個人献金に移行していくべきではありませんか。第二に、特定かつ具体的な利権につながるおそれのある政治資金の授受を規制する考えはありませんか。第三に、政治資金の収支報告をもつと国民の前にガラス張りにするように改めるべきだと思いますが、いかがですか。 関連して、総理は去る七月二十二日、党の機関に政党法の制定の検討を指示されたと伝えられておりますが、これが事実ならば、いかなるお考えで政党法の検討を指示されたのか、お聞きしたいと思います。 次に、減税についてお伺いいたします。 所得税減税はすでに六年間見送られ、国民生活を大きく圧迫しております。国民生活を守るためにも、個人消費を喚起して景気回復を図るためにも大幅減税は緊急の課題であります。減税については、本年二月以来の与野党折衝を経て、九月九日の与野党幹事長・書記長会談において、自民党は最終的に減税は景気浮揚に役立ち得る大幅な規模とし、減税法案は十月下旬に政府から提出させ、実施は年内とすると文書をもって約束しました。 わが党は、他の野党とともに、所得税一兆円、個人住民税四千億円、合わせて一兆四千億円の大幅減税を五十八年中に実施すべきことを強く要求してまいりました。また、わが党は、減税の財源として、景気対策によって期待される増収、予備費の圧縮と既定経費の節減、特別会計の洗い直し、税外収入の確保、納税環境の整備など不公平税制の是正によって十分に措置できること、また絶対に大型間接税の導入を初めとする大衆増税には反対すると主張してまいりました。 所信表明では、総理は、減税は「可能な限り早期に対処する」と言うにとどまっておりますが、いままでの経過を踏まえ、総理のさらに明確な答弁をお願いしたい。総理は政府税調の中間答申を待ってと言われるが、細部はともかく、減税の大綱を一国の総理が決断できないわけはありません。第一には、減税の年内実施。第二には、減税の規模は国民の期待に沿い景気浮揚に役立つ大幅な規模、すなわち所得税一兆円、住民税四千億円、合わせて一兆四千億円。第三には、戻し税ではなく課税最低限の引き上げを含む本格的な税制改正。第四には、減税法案は十月下旬までに必ず政府が提出する。第五には、大型間接税の導入など大衆増税を行わない。以上、五つの問題に対しお答えいただきたい。 次に、景気回復についてであります。 内需主導による実効のある景気対策の推進は、国民生活を守る上で不可欠であり、財政再建のためにも、貿易摩擦を解消するためにも急務であります。 現在の景気情勢は、経済企画庁から景気底離れ宣言が出されたものの、はつきり回復しているのは輸出だけで、内需の回復への足取りは依然として重く、個人消費は減税見送り、低いベースアップ、人勧凍結のため可処分所得の伸び悩みで回復せず、民間設備投資も先端技術産業以外は落ち込んでおり、住宅投資は前年を下回り、公共投資は前年度より実質減額で、低い前倒し発注だけではきわめて厳しい状態にあります。加えて、失業率、失業者数、中小企業倒産件数も最悪の状態であります。 一方、原油が値下がりし、米国経済が景気回復しつつあり、国内の在庫調整が進み、鉱工業生産が上昇に転ずるなど、若干明るい材料も見られます。この際、思い切った経済運営を行い、内需主導の景気回復で安定成長の実現と増税なき財政再建を図るべきであります。 しかるに、総理は、サミットでも内需拡大による景気対策を約束しながら、その後何の手も打っておりません。私は、大幅減税の年内実施や人事院勧告の完全実施はもちろんのこと、次のような内需主導の景気回復策を要求いたします。 第一には、公共投資の追加であります。また、公共事業の計画を見直し、用地費が少なく投資効率の高い生活関連事業、すなわち学校校舎の建てかえや災害対策の河川事業などを拡大すべきです。さらに、中小建設業に公共事業の分割発注を促進することです。 第二には、住宅建設の促進と宅地対策の拡充であります。住宅金融公庫の融資枠の拡大、融資条件の改善や公共賃貸住宅の建設を一層進めるべきです。 第三には、金融緩和措置で民間設備投資を刺激する必要があります。 第四には、最も厳しい環境にある中小企業対策の充実です。政府関係中小企業金融三機関の貸し出し金利の引き下げ、中小企業の投資減税を拡大し、対象にリース機器や新技術投資を加え、当然中小企業向けの官公需増大を図ることが大事だと思います。 第五には、雇用対策の強化です。不況業種、不況地域の雇用の確保、定年延長法を早期制定し、高齢者の職業開発を進め、身体障害者の法定雇用率の早期達成、母子家庭の方々のための寡婦雇用促進法の早期制定を図るべきであります。さらに、婦人を中心とするパートタイマーの労働条件改善のため、社会保険の適用や雇用確保、課税最低限の引き上げ等を含むパート労働法の制定を強く要望いたします。 第六には、根本的問題として、景気回復のための公共投資追加や災害復旧のために昨年同様補正予算を組み、この臨時国会にぜひとも提出すべきことを改めて強く要求いたします。 次に、行政改革についてであります。 わが党は従来より、行政の簡素化、効率化を目指す国民本位の行政改革を終始推進してまいりました。第二臨調の各答申に際しても、国民の立場から行革推進を積極的に要望もしてまいりました。しかし、政府が先般閣議決定した新行革大綱は、臨調答申をさらに一段と骨抜きにしたものであり、国民の期待を裏切ったものと言わざるを得ません。 この国会では行革関連七法案の審議がなされるわけですが、そのうち総務庁設置法案を見ましても、第二臨調の基本答申にある総合管理庁設置構想を具体化したものと言われるが、各省庁の縄張り争いの末にできたものは、総理府と行管庁を合わせたもので、予算も人間も、大臣の数も減らさないという似て非なるものができたわけであります。これがどうして行政改革の目玉法案になるのか、総理の御説明を求めたい。 他の行革関連法案を見ましても、許認可、機関委任事務の整理及び出先機関の整理などきわめてなまぬるい措置しかとられておりませんが、総理はこのような批判にどう答えますか。 さらに、日本電信電話公社及び日本専売公社の改革及び政府関係機関の統廃合は、現在どのように準備を進めているのか。また、次の通常国会に改革法案を総理の責任で必ず提出されますか、どうですか。 次に、財政再建についてであります。 わが国の財政がいまや百十兆円に達する国債を抱え、重大な危機に立っておりますが、総理の所信表明にも先般の「展望と指針」にも、「増税なき財政再建」の推進が見当たりませんが、総理は、「増税なき財政再建」を今後とも堅持されるのかどうか明確にされたい。 今回決定を見ました「一九八〇年代経済社会の展望と指針」、これは経済成長率、完全失業率、物価上昇率の数値はありますが、最終年度の経済の姿や、公共投資、租税負担、赤字国債脱却年次も明示しておりません。いかなる方策と手段で財政再建を実現するのか、きわめて具体性を欠いたものとなっております。したがって、私は、別に具体的な方途と手順を盛り込んだ財政再建のための新中期財政再建計画を作成すべきことを要望いたします。 また、総理は、八月の経済審議会で、「展望と指針」と整合性を持った財政再建構想を出したいと言われたようですが、この構想はいつまでにつくられるのかお伺いしたい。 関連しまして、政府は、現行法で禁じられている赤字国債の借換情換債発行を本格的に検討していると伝えられるが、赤字国債の借りかえはしないという再三の国会答弁を変更されるつもりか、お伺いしたい。 次に、外交、防衛問題で若干お伺いいたします。 来年度の予算が福祉、文教費など軒並み昨年を下回る中で、防衛費が六・八八%増と突出したこと、さらに、さきに発表した「日本の防衛」、防衛白書では、わが国の防衛力が西側の安全保障にも寄与するという新しい位置づけに変化させたことは、一千海里のシーレーン防衛の約束とともに、中曽根内閣が米国向けに防衛力増強、軍事大国化に積極的に取り組む姿勢を示したものと思いますが、総理の見解を伺いたい。 また、シーレーン防衛についても、自衛隊による米艦護衛問題などに見られるように、個別的自衛権を拡大解釈し、米国の海域分担構想にのめり込んだのは、憲法で禁ぜられている集団的自衛権に事実上道を開きかねず、歯どめを失うことになるのではないか。この点明確にしていただきたい。 次に、防衛費のGNP一%枠はわが国が軍事大国にならないためにも守るべき歯どめであり、総理は昨日、一%枠を守りたいと答弁されたが、五十九年度のみならず六十年度以降も一%枠を守るべきだと思いますが、いかがですか。 また、平和憲法を持ち、非核三原則を国是とするわが国の総理ならば、軍縮、核全廃のため具体的、積極的な行動を自発的に起こすべきだと存じますが、その具体策をお聞きしたい。 次に、国際経済協力についてであります。 わが国が国際社会に貢献する道は、軍事大国化を目指すことではなくて、発展途上国に対して積極的に国際経済協力等を行うことにあると思います。しかるに、最近のわが国の経済協力のあり方は、相互依存と人道的立場からという原則を離れ、わが国の市場拡大や資源確保のためではないかとか、アメリカの世界戦略の補完的役割りを果たしているのではないかという非難もありますが、経済協力に対する政府の基本姿勢を示していただきたい。 また、国際公約と言われる政府開発援助ですが、総額を一九八一年から八五年までの五年間で倍増するという新中期目標を達成する決意がありますか。援助全体のおよそ三分の二に当たる二国間援助の総額のみを五年間で倍増させるという新しい目標を考えておられるようですが、これは事実ですか。また海外経済協力基金の健全化についてもお伺いしたい。 関連して、ユニセフ、すなわち国連児童基金についてお尋ねいたします。 国連主要機関の基金に対するわが国の拠出金は年々増加しており、国連分担金は世界第三位でありますが、重要な意義と歴史を持つユニセフ、国連児童基金への拠出は、二年前で世界第九位、昨年で世界第八位であり、ことしで千二十万ドル、約二十五億円にすぎません。これはF15戦闘機一機分百十五億円のわずか四分の一にも足りないとさえ言われております。開発途上国では、いわゆる隠された飢餓によって子供の生命が一日に四万人、一年に千五百万人も失われている現状を見るとき、わが国のユニセフ分担金をさらに大幅に増額し、改善すべきだと思いますが、いかがですか。 次に、当面する重要課題についてお伺いいたします。 第一に、医療の問題であります。 福祉、社会保障は絶対に後退を許してはなりません。厚生省は、来年度予算の概算要求に関連して、被用者保険の本人給付を十割から八割に引き下げるなど、健康保険制度を大幅に改定する意向を表明しました。現在、標準世帯で年四万円の医療費を払っておりますが、厚生省案では四万円増の年八万円の負担となります。このような国民に大幅の負担増を強いる改定はとうてい容認できません。国民に負担をかけないで、むしろ医療費適正化策としては薬価基準の引き下げや、乱診乱療、検査づけ、薬づけ、不正請求の是正や診療報酬制度の見直しなどを強力に推進すべきだと思います。 また、厚生省は、退職者医療制度の創設を打ち出そうとしておりますが、その内容の大要をお示し願いたい。 さらに、健康、医療不安の解消のためには、予防医療の推進、保健事業の確立、在宅ケア対策の充実が大事だと思いますが、どんな方針で臨んでおりますか。 また、懸案の母子保健法の改正が大変おくれておりますが、いつまでに法改正を図るのか伺いたいと思います。 第二に、年金問題についてであります。 人生八十年時代、老後生活の経済基盤となる年金制度の確立は急がねばなりません。三種八制度に分かれている公的年金制度の統一問題は、ほぼ国民的合意にまで達していると言えます。わが党も、全国民一律にナショナルミニマムを保障する定額年金と、社会保険方式による報酬比例年金を付加した二階建ての国民基本年金制度の創設を主張してまいりました。政府の新しい年金制度の提案の時期及び内容をお示しいただきたい。 また、婦人の年金権保障についてであります。現在、サラリーマン等の無職の配偶者の年金権について、国民年金に任意加入していない配偶者が高齢で離婚すると全くの無年金者となるとか、婚姻中であっても障害年金の対象とならないというような致命的な欠陥がありますが、婦人の年金権保障について、いつどのように改正しますか。 第三に、引き続いて婦人問題についてでありますが、昭和五十五年の国連婦人の十年・世界会議で日本が署名した婦人差別撤廃条約の批准がいまだに実現しておりませんが、そのためには国内法の整備も一日も早く進めなければなりません。政府として婦人差別撤廃条約の早期批准実現に向けての取り組みと、総理の決意をお聞きしたい。 また、わが党は、職場での男女平等の実現を目指してすでに男女雇用平等法案を提案しましたが、労働省も同法の実現に向け積極的な対応を検討中と聞きますが、いかがですか。 さらに総理は、所信表明に「婦人の能力を生かすための条件整備」を実行すると言われておりますが、具体的にはどのような内容を考えておられるのですか。 第四に、先端技術革新とその課題についてであります。 総理は、サミットで、がん対策の国際協力と遺伝子組みかえについて問題提起をしたと言われました。確かに遺伝子操作を中心とする生命工学、バイオテクノロジーなどは、がん発生のメカニズム解明や遺伝病の治療、また農業、化学工業、食品工業などの分野に及びますが、反面、生命の基本的部分に人間の手を加えることにより、予測できない障害を招きかねず、総理の言われるように、人間の尊厳にもかかわる問題だと思います。総理が全人類の課題として対処すると言われましたが、わが国としてはどのような対処、対策を考えておりますか。 わが党もすでに提言を発表し、生命工学、バイオテクノロジーの研究開発に際し、平和利用、安全、民主、同意、公開の五原則を前提として倫理的ガイドラインを制定し、科学技術会議などに生命倫理委員会の設置を提案しておりますが、総理の見解を伺いたい。 また、先端技術革新の中には、コンピューター、ロボット、オフィスオートメーションの発達、第五世代コンピューターや新素材の開発、さらに光通信を軸とする情報通信の高度化など社会を変革する多くの新しい問題がありますが、倫理問題も含めて先端技術革新に対する政府の対応をお伺いしたい。 最後に、環境問題についてであります。 最近も地下水の汚染が進行している状況が発表され、環境保全はいよいよ重要であります。総理は「花と緑の環境の創造」と言われ、政府は四月に緑化推進運動を決定しておりますが、予算や既存制度の手直し措置などを伴っておりません。緑化対策、自然保護の重要性にかんがみ、政府みずから植樹、街路樹、自然保護対策などの具体策及び緑化促進法案を制定する考えはありませんか。 また、世界的に地球的規模で大切な森林資源が消滅しております。特に東南アジアの熱帯雨林は、毎年日本の全面積の半分に相当する面積が消え去っております。その原因は、日本などが木材輸入のため切りまくっていること及び焼き畑農業のためと言われます。わが国は森林消滅の関係者として、地球の生態系を保ち、世界的な森林資源の保全のためにも、どのような対応をされますか。 最近、政府の環境行政が財界等の圧力で後退していると批判されておりますが、緑の問題のみならず、全体的な環境保全に対して総理の決意をお聞きしたい。 また、現在、継続審議となっております環境アセスメント法案や湖沼法案をさらに実効性あるものにするため、野党や市民団体等の意見を取り入れ、早急に成立させるべきだと思いますが、いかがですか。 以上、平和と福祉社会建設のために、総理の誤りなき行動と実行を要望しつつ、私の質問を終わります。長時間ありがとうございました。(拍手) 〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
○国務大臣(中曽根康弘君) 多田議員の御質問にお答えをいたします。広範多岐な御質問でございますので、要点について簡略的に申し述べたいと思います。 まず、大韓機撃墜事件でございます。 この背後に国際緊張がある、この国際緊張を緩和せよという御趣旨でございますが、全く同感でございます。あの大韓航空機が領空を侵犯いたしましてやみくもに撃墜されたわけでございますが、あの状況を見ますというと、やはり北方方面の海域等におきまして、あるいは空域等におきまして、潜在的には一触即発の状況があったのだということがよくわかってきたと思います。このような緊張状態があるということはきわめて遺憾なことでございます。 また、ソ連の軍、党及び政府の幹部がこの問題でテレビで世界的な会見を行いましたが、あの際もオガルコフ参謀総長の発言にもありましたように、カムチャッカに核戦略基地があるという言明がありました。われわれのこのような周辺に核基地があるということを外国の高官が言明したということは、恐らく初めてではないかと思います。こういうような事態もわれわれ日本国民としては看過できないことなのでございまして、このような核基地の撤去をわれわれは強く要望するものなのでございます。 しかし、いずれにせよ、このような緊張状態を緩和するということは喫緊の急務であると思っております。幸いにアメリカ大統領も、INFあるいはST ART、中距離核戦力制限交渉とかあるいは戦略兵器削減交渉については、ソ連との間の交渉をこれがために妨害されないように配慮していくということを言われておりまして、われわれもこれを強く支持しておるところでございます。 また、日本政府といたしましても、この不幸な事件にかかわらず、やはり日ソ間の国交の基幹的部分については影響を及ぼさないように配慮するということを言明いたしておりまして、外務当局にも指示しておるところでございます。これらはいずれも、緊張緩和に向けての努力を阻害しないようにわれわれも懸命の努力を一面においてしておるのでございまして、そのような配慮を今後とも強く進めてまいりたいと思うところでございます。 災害対策につきましては、迅速な状況把握、それから応急対策、あるいは激甚災害の指定等の措置をとってきたところでございます。やはり早期の復旧と二次災害の防止、これを期するために早期査定、早期着工、それから事業の繰り上げ等につきまして今後とも努力をしてまいるつもりであります。 戦後の政治につきまして、私の考え方をいろいろ御批判していただきましたが、私は、やはり平和と福祉というものを中心に展開されてきました日本の戦後政治は非常に貴重なものであると思っております。この基調を、戦後政治の基本的な姿勢というものをさらに健全に根強く発展させていくということがわれわれの努めであると思います。しかし、現在の財政状況を見ますというと、ややもすれば安易に流れるとこの長期的な基盤が崩れる危険性すら出てきておるわけでございまして、そのような事態を招かないために改革を必要とするということで懸命の努力をしております。その一環が行革の断行でもございまして、行革の断行を優先していま政策的にも進めており、今後も努力していきたいと考えておるところでございます。 政治倫理の問題につきましていろいろお示しをいただきましたが、やはり私は、これだけの大問題というものは国民の皆様方も深く考え、事態を静視していらっしゃる状況ではないかと思うのでございます。判決の時期が近づけば近づくだけやはり静かにこれを見守って、そして少なくとも立法府あるいは行政府におきましては、裁判に影響を与えないような考え方をもってこれを静かに見守る、三権分立を厳守するということが立憲的ではないかと思うのでございます。そういうような基本的立場に立ちまして今後処理してまいりたいと思っております。 政治資金規正法以下の問題でございますが、企業献金の禁止につきましては、企業も一つの社会的実在として政治活動の自由は保障されておるのでありますから、最初から企業の政治献金を悪であると断定するのは過早であると思います。しかし、政治資金、政治献金というものが利権につながるというようなことは、断じてこれは禁止しなければならぬところであると思います。 なお、政治資金の将来の規制問題につきましては、選挙制度のあり方やあるいは各党の政治活動そのものとも関係するところがございまして、各党間で十分論議を尽くして合意を形成していただくようにお願いいたしたいと思います。 政党法につきまして御言及がございましたが、私は党に対して政党法を勉強してみたらどうかということを申しました。それは、今回の参議院比例代表制の結果をよく再検討してみまして将来に備える必要がある。かなり思い切った大きな変革が参議院の制度の一部に行われたわけでございますから、これをよく検討してみる必要がある。その一環として政党法という問題も勉強に値する問題ではないかと、そういうことを申して党に対して勉強方を依頼しておるところなのでございます。だといって、いますぐ政党法を制定するというようなことを考えているわけではございません。これらはいずれも議会制民主政治あるいは政党制度の基幹にわたる問題でございますので、各党各派が根本的に論議をされ、そして方向が次第次第に固まってくればそれに従うのがいいのではないかと考えておる次第でございます。 減税問題につきまして強い御指摘をいただきましたが、与野党の意向を踏まえた衆議院議長見解に基づいて、これを必ず実施すると申し上げておるとおりでございます。 特に最近、自民党幹事長が野党の皆様方と諸般のお約束をいたしましたが、これは内閣といたしましても尊重する考え方でありますし、また、税制の改革につきまして、その内容、時期等につきましては税制調査会においていま繰り上げ答申をお願いしつつ、これを努力していただいておるところでございます。この幹事長の約束を実行できるようなスピードで中間答申を出していただきまして、その中間答申をいただきましたら、これを検討して私は決断いたしたいと考えておるところでございます。 なお、大型間接税は考えておりません。 景気の問題でございますが、ようやく明るさを見出してきましたが、ともかく回復力に力強さを欠いているというのが現実でございます。政府は四月五日に決定した経済政策をいま着実に実行しておるところでございますが、五十八年度の追加財政需要、補正予算等につきましてはまだ不確定的要素が多々ございまして、現在それについてコミットする状態ではございません。 公共事業の長期計画につきましては、経済計画や財政状況等を勘案しつつ決定しておるところでございますが、現在の財政状況から見て、少なくとも増額改定ができるような条件がないと思います。しかし、事業の配分、実施につきましては、住宅、下水道、公園等国民生活に密接な分野に重点的に配慮してまいるつもりでございます。 なおまた、景気の問題等につきましては、民間活力の引き出しということを強く考え実行しつつあるところでございます。国公有地に対しまして民間のエネルギーを充当して開発に大きく協力していただく、民間の創意工夫を生かしていく。こういう意味におきまして、公務員住宅あるいは国鉄の所有地等についていま思い切った改革案を検討中でございまして、いずれ発表する段階が近いと考えておる次第であります。 公共事業の分割発注の問題でございますが、中小企業、特に建設業関係につきましてはわれわれも深甚の注意を払っておりまして、官公需法及び中小企業者に対する国等の契約の方針に沿いまして、分割発注の推進により地元の建設業、中小建設業者の受注機会の確保に努めておるところでございます。 五十八年度におきましては、住宅建設のために住宅金融公庫の融資条件の改善、それから無抽せんによる貸し付けに必要な融資枠の確保等を実行いたしております。なお、住宅取得控除制度の改善等も税制上の措置としてすでに実施しておるところでございます。 さらに、計画的な良好な宅地の供給を促進するために、宅地開発指導要綱の行き過ぎを是正する指導を先般行ったところでございます。 金融問題でございますが、ただいまは金融は緩和状態にあると考えております。資金需要に対しましては、各銀行その他の金融機関は応じ得るだけの資金量を持っておると考えております。しかし、ここで考えなければならぬのは物価問題でございまして、物価を対前年比二%でいま維持しておりますが、この良好の状態をさらに安定的に持続的に維持していくということが政府の最優先の仕事であるとも考えて、注意深くやってまいるつもりなのでございます。金融政策の運営に当たりましては、今後とも景気や物価動向等を踏まえまして、特にまた海外情勢等もよく勘案をいたしまして、適切かつ機動的な政策を実行してまいる次第でございます。 公定歩合の問題は、日銀総裁の専管事項でございまして、私はこれは日銀総裁の判断に任せておるところでございます。 金利等につきましては、政府系中小企業金融三機関の貸出基準金利については、長期プライムレートと同水準に設定することを原則としてやっております。長期プライムレートは八・四%ぐらいですが、政府系中小企業金融機関の貸出利率は大体八・二%程度にしておりまして、プライムレートより安くしておるわけでございます。今後もこのように中小企業向け金融の円滑化について努力をいたします。 投資減税につきましては、今年度の税制改正におきまして、厳しい事情のもとではありますが、実行し、その成果を見守っておるという状態でございます。 官公需の振り分けにつきましては、厳しい予算の制約下ではありますが、本年度の契約目標を三七・三%、昨年が三七・〇%でございますから、これを引き上げまして、その着実な達成を期しておる次第でございます。 雇用政策の問題でございますが、障害者の雇用につきましては全体的に少しずつ改善されつつあります。今後とも法定雇用率の達成にきめ細やかな指導をしていきたいと思います。法定雇用率は一・五%でございますが、現在の状態は大体一・二%程度なのでありまして、まだ法定雇用率までに達しておりません。懸命の努力をしてまいりたいと思います。 高年齢者の雇用対策につきましても、六十歳定年一般化の早期実現による雇用の確保等総合的な対策を推進してまいります。 母子家庭の母等の雇用促進につきましても、環境整備、条件整備あるいは職業相談、職業訓練の充実等に努力してまいります。 不況業種や不況地域の雇用対策につきましても、失業の予防、再就職の促進、訓練等につきまして積極的な政策を講じてまいるつもりでございます。 パート労働法を制定せよという御質疑でございますが、パートタイマーにつきましては、その労働条件の確保と雇用の安定を図るために、労働条件の明示の徹底、職業紹介体制の充実等を推進して、今後も施策の充実に努めます。関係方面の御意見をよく聞きながら、パートタイマーの実態に即した総合的な対策を樹立してまいりたいと当面は思っておるわけでございます。 補正予算につきましては、五十八年度の追加財政需要等について余りにもまだ不確定的要素が多うございまして、現在の段階におきまして補正予算編成ということを申し上げる段階にはございません。御了解をいただきたいと思います。 行政改革の問題でございますが、臨調答申は、その行政改革の理念、哲学及び実施の方策等についてきわめて的確に指摘をされておる貴重な御報告であると考えております。政府はこの臨調答申の線に沿いまして、長期持続の努力を傾け、軌道を設定し、一つ一つ着実にこれをいま実行しておる最中でございます。 御指摘の総務庁法案は、実は昭和二十七年以来初めての中央省庁の再編成なのでございまして、人事、機構、定員管理そのほかの総合調整機能の活性化、それからその総合的発揮を目的としてこのような統合を行ったわけでございます。 電電公社や専売公社の改革につきましては、次期通常国会に提出すべくいま懸命の努力をしているところです。自由民主党におきましては、電電公社の再編成に関する大綱を最近党として了承していただきまして、この法案化に向かって政府はこれから努力していくところでございます。専売公社につきましても、いま党内の調整を懸命に努力しておりまして、秋半ばごろまでにそれを達成して、法案化に努力してまいりたいと考えておるところでございます。 次に、中期財政計画でございますが、「一九八〇年代経済社会の展望と指針」を先般出しました際に、この対象期間中に特例公債依存体質からの脱却を決定をいたしました。このために歳入歳出構造全般の見直しと改革を図っていかなければなりません。その過程におきまして、「増税なき財政再建」の理念は、これを最大限堅持していくように努力してまいるつもりでございます。今後財政改革を進めるに当たりましては、増税を念頭に置くことなく、できるだけ役割り分担の見直し、官と民の仕事の振り分け、中央と地方との調整等々、簡素合理化を旨として進めてまいるつもりでおります。 そして、今後ともこの財政政策につきましては、流動的な経済の中にあって、財政についてある検討の手がかりができると思われるような中期的な展望を持って財政を考える、この観点から財政制度審議会で検討に着手をお願いしております。その検討も参考といたしまして、五十九年度予算編成後、中期的な財政の展望を作成するとともに、今後の財政改革を進めていく上での基準となる考え方を明らかにする方向で努力してまいるつもりでございます。 特例公債の借りかえ問題につきましては、いま検討しているわけではございません。しかし将来、公債の本格的償還に対してどのように対処していくかという点については、中長期的観点、また総合的、包括的観点から検討していくべき問題であると考えております。「一九八〇年代経済社会の展望と指針」におきまして、「今後財政改革を着実に進めていく過程で、国民的合意を得つつ、検討を進める」、そういうことにしておる次第でございます。 防衛費の問題でございますが、これは前内閣以来決定しておりまする「防衛計画の大綱」の水準にできるだけ早く到達する、この方針を継承いたしまして今後も努力し、他の政策とのバランスも留意しつつ着実に進めてまいるつもりであります。 いわゆるシーレーン防衛につきましては、従来からこれは有事の際の話であります。そして、わが国周辺数百海里、また航路帯を設ける場合はおおむね千海里程度まで、自衛の範囲内で海上交通の安全を確保し得ることを目標とするものでありまして、そのための防衛力の整備に努力しようとするものであり、いずれも憲法及び基本的防衛政策の枠内で自衛のために必要最小限度の防衛力を整備せんとするものであり、軍事大国につながるものではございません。この点につきましては、先般、ASE ANに参りましたときも、関係各首脳に対して詳細に説明いたしまして御理解をいただいたところでございます。 防衛費のGNP一%の問題は、「防衛計画の大綱」に定める防衛水準にできるだけ早く到達する、こういうことを目標にいま防衛力の整備をやっておるわけでございますが、他の施策とのバランスに留意しつつ、質の高い有効な節度のある防衛力を整備していくということでありますが、防衛費のGNP一%に関する五十一年の閣議決定は、現在のところ変える必要はないと考えております。 軍縮、核廃絶の具体策でございますが、わが国は唯一の被爆国として、平和憲法のもとに軍事大国とならず、非核三原則以下の国是、国策を履行しつつ、軍縮に向かってわれわれは懸命な努力をいたし、また今後もいたすつもりであります。 具体的には、米ソの核軍縮交渉の促進、核実験の全面禁止、核不拡散体制の維持、強化などを重要視して努力してまいるつもりであります。 なお、経済援助に関する基本姿勢でございますが、わが国は平和国家として、また自由世界第二位の大きな経済力を有する国として、経済協力を通じて開発途上国の経済社会開発に対する自助努力を支援し、世界経済の調和ある発展及び世界の平和と安定に貢献しているところでございます。この観点から、わが国の国際責務として、新中期目標のもとで二国間援助を含め、経済技術協力の一層の充実に努めてまいるつもりであります。 海外経済協力基金が赤字になってきておることは御指摘のとおりでございます。これは郵便貯金その他から原資を得まして、大体七、八%で借りてきて、そして援助国に対しては四%あるいは事によっては五%、その程度で貸しているわけですから、結局大きな逆ざや、マイナスが出てくるわけでございます。そういうようないろいろな面も国際経済協力のためにはやむを得ぬ犠牲でございますからこれを実行しているわけでございますが、基金の収支健全化を図るために、やはり適切な対策を講じていく必要はあります。さもないと、基金の存続自体がむずかしくなるという事態が出てくるからでございます。したがいまして、中長期的問題を含め、現在具体的な対策について真剣に検討しているところです。 国連児童基金に対する協力につきましては、わが国もこの活動を高く評価して、この厳しい財政状況のもとにおきましても、同基金に対する拠出の増加に努めておるところでございます。今後、国連児童基金に対する応分の協力を引き続いて努力していく予定でございます。 健保と医療問題でございますが、これは御指摘のとおり、診療報酬の合理化、薬価基準の適正化あるいは指導監査の強化による乱診乱療の防遏等の政策をまず第一に厳重にやっていくべきものではないかと思います。同時に、高齢化社会の到来に備えて医療保険制度を安定的に将来も維持していく、そのためには中長期的観点に立って社会、経済、医療等の動向に対応した給付と負担の両面にわたる改革がやはり必要になってくると考えます。こうした観点からこの改革に真剣に取り組む所存であり、またこの改革につきましては、国民の皆様方の世論をよくお聞きいたしまして実行していくべきものと考えます。 退職者医療につきましては、高齢化社会に対応して医療保険制度における社会的公平を確保するための制度化を図っております。その具体的内容については、今後各方面の意見を聞きながら成案を得るように努力したいと思います。 なお、保健事業につきましては、本格的な高齢化社会の到来を控えまして、壮年期からの予防と健康づくりのための保健対策、予防対策というものが非常に重要性を増してきておきます。このような観点から、プライマリーケアを重視した包括的な保健医療体制の確立を目指して、本年二月から老人保健法を実施して、成人病の予防を中心とした各種健診事業、在宅訪問指導等の事業を実施しているところでございます。今後この方面につきましても一層国民の健康づくり対策として努力してまいるつもりであります。 母子保健制度につきましては、去る七月に今後のあり方について中央児童福祉審議会から意見が提出されました。母子保健法の改正につきましては、現在この意見を踏まえて検討しておるところでございます。 年金の改革につきましては、公的年金制度について、わが国社会が高齢化のピークを迎える二十一世紀においても、制度の健全かつ安定的な運営を図っていくための基盤の確保が最大の重要案件でございます。このため、昨年九月及び本年五月の閣議決定に基づぎ、公的年金制度の一元化を展望しつつ、婦人の年金保障問題も含めて制度全般の見直しを行っており、次期通常国会に関係法案を提出すべく鋭意努力しておるところでございます。 婦人差別撤廃条約の批准につきましては、八五年批准を目途に環境条件の整備にいま努めておるところでございます。 男女雇用平等法案の実現につきましては、婦人少年問題審議会に、この機会均等と待遇の平等を確保するための方策について法的整備を含めて審議をお願いしておるところで、その結果を待ちまして対策を講ずる考えでおります。 婦人問題につきましては、国民生活のあらゆる領域に女性が男性とともに参加、貢献するため、政策決定への婦人の参加の促進、雇用における男女の機会均等と待遇の平等化、育児等に関する環境の整備など、「婦人に関する施策の推進のための『国内行動計画』後期重点目標」の重点事項にわたりまして具体的推進を図っておるところでございます。 遺伝子組みかえの問題でございますが、公明党がつとにこの問題に着目されまして倫理のガイドラインをおつくりになっているということについては、その先見性について大いに敬意を表するところであります。遺伝子組みかえは、生命の神秘の解明に貢献して広範な応用の可能性も開きますが、御指摘のように、人間の尊厳にもかかわる問題を提起しておるところでございます。したがいまして、私はウイリアムズバーグのサミットでこの問題を提起いたしまして、もはや一地方、一国家、一大学の問題だけではない、全人類的課題として共通のルールを発見するために協力を開始しようということを申し上げまして、各首脳の賛同を得、わが国において世界各国のこれらの権威者の会議を開催すべくいま努力しておる最中でございます。この会議の議事録等を内外に頒布いたしまして、世界共通のルールをつくり上げるために世界的協力を調整していくように努力してまいりたいと考えております。 先端技術の問題でございますが、先端技術と申せばエレクトロニクスとかバイオテクノロジーとか、超低温あるいは高温の材料組成とか、あるいは核融合とか、そういうものがあると思います。特に、高度情報社会に備える技術革新の部分も非常に大きな分野であると思っております。これらの変革の兆しがいますでにあらわれておりますので、これに対して先導的対応を行うことはさきの所信表明で申し上げたとおりでございます。政府といたしましても、この創造的な技術開発及びその利用を促進すべく基盤整備に努めるとともに、先進諸国が得意の分野を生かし合って国際研究開発協力を積極的に進めるようにわが国も協力してまいりたいと思っております。 緑化の推進は、国土の保全、水資源の涵養、生活環境の改善等にとって必須でありますので、政府といたしましても緑化推進連絡会議を本年三月設置し、この運動の実施方針を決め、主として市町村を主体として多様な地域住民、民間団体を主力とする全国的な運動をいま展開しておるところでございます。この運動を推進するためには、国公有地を活用した「ふれあいの森林」とか、国有林等を相当提供いたしまして、小鳥の森とかいろいろな面で協力しているところでございます。これらは、しかし非常に多様な多面的な、しかもボランティア活動を中心にすることが望ましいのでございまして、そういうような線に沿って努力してまいりたいと思っております。 森林資源の保全につきましては、御指摘の熱帯雨林の問題もあり、最近は酸性雨の問題も問題化されてまいりました。いずれも人間生活に重大な影響を持つものでございます。わが国としては、国連環境計画や国連食糧農業機関等に対して、これらの問題について国際協力推進を働きかけてまいりました。また、開発途上国への造林等の分野でも協力を実施してまいっております。 先般も、環境庁長官を国連の環境計画本部を訪問のためアフリカへ出張させまして、日本も主導権をとって協力をする姿勢を示し、いろいろ献策もしてきたところなのでございます。 この環境保全につきましては、公害やあるいは自然環境の保全というような問題から、地方団体、国民一体となって政府も努力する必要があり、さらに交通公害とか、あるいは窒素酸化物の問題とか、湖沼の問題とか、いろいろな問題がございますが、今後も最大限の努力をしてまいるつもりであります。 このような情勢を踏まえまして、政府といたしましては環境影響評価法案、いわゆるアセスメント法案及び湖沼法案、湖沼の水質保全の法案等につきましては、国会に継続審議になっておりますが、その成立をぜひ期したいと念願しておるところでございます。(拍手) ─────────────
○議長(木村睦男君) 小笠原貞子君。 〔小笠原貞子君登壇、拍手〕
○小笠原貞子君 私は、日本共産党を代表して総理に伺います。 まず、大韓航空機撃墜事件について、ソ連軍用機による民間機撃墜は、平和、人命尊重を第一義とする社会主義の原則からも、また人道上からも許しがたい蛮行であります。犠牲になられた方、御遺族の方々に心からの弔意を申し上げます。 わが党は、いち早くソ連政府に対し、真相の公表と責任ある対処を強く要求いたしましたが、いまだにその誤りを率直に認めないことに対して、なお厳しく抗議するものであります。 そしてまた、大韓航空機の異常な領空侵犯も解明すべきは当然であります。総理、ソ連はもちろん、韓国並びに大韓航空に対してもこの事件の責任と真相の究明をどのように求められるのか、明確にしていただきたい。 〔議長退席、副議長着席〕 同時に、防衛庁及び米軍当局が同民間機の領空侵犯を探知したとき、国際民間航空条約等の取り決めに基づいて、航空交通業務機関に通報するなどあらゆる手を尽くすべきであったのに、人命より軍事を優先させたことも惨事につながったのではないでしょうか。総理は、これらのことについての改善策を含めてどのようにお考えでしょうか。 さらに、国会決議に照らしても、これを意図的に軍備拡張のために絶対に政治的に利用すべきではないと思いますが、明確な御答弁をお願いいたします。 総理、あの敗戦の夜、私たちは、ああ生きていけると心から平和への願いを熱くしたのでした。ところが、三十八年たったいま、軍事費を見れば、来年度概算要求の増額分の六割までも占めるという異常突出ぶりで軍備拡大が推し進められております。また、世界の軍事費も、一九八三年で円に換算すれば百九十兆円、一分間実に三億六千万円が消えているのです。核兵器も広島型に直せば実に百万個を超えているのですから、核戦争による人類生存の危機が叫ばれるのも当然のことだと言えましょう。事ここまで来ったのは、誤った核抑止論、軍事力均衡論の結果であります。この立場に立つ限り、今後も際限のない軍拡競争を続けることになるのではないでしょうか。 総理、あなたはさきの先進国首脳会議でこうおっしゃいました。「予定どおりヨーロッパに核ミサイルを配備すべき」との発言が報道されました。この発言は、被爆国日本国民の悲願である核兵器の廃絶を求めた国会決議と全く相反する立場であり、軍拡の論理ではないでしょうか。明確にお答えください。 しかもこの発言は、唯一の被爆国としての立場と非核三原則の国是をみずから捨てるものです。現に政府は、核攻撃機F16の三沢配備を進め、巡航ミサイルを積載した戦艦ニュージャージーの寄港承認に続いて、最新鋭原子力空母カール・ビンソンの十月一日佐世保寄港を承認しようとしています。総理は、レーガン大統領の言いなりに日本列島核不沈空母化を進めようとおっしゃるのですか。原子力空母カール・ビンソンの入港は拒否すべきです。総理が国是として認める非核三原則を本当に守ろうとなさるならば、米艦船に核があるのかないのか、米側に確かめるべきではないでしょうか。 総理、南太平洋の人口わずか十一万人のバヌアツ共和国と、インド洋上の人口これまたわずか六万人のセーシェル政府は、米艦船が寄港するとき、核兵器を積んでいないことを明らかにしない限り入港を拒否しているのです。世界の大国と言う総理、日本政府は一度も核があるのかないのか確かめようともしないでアメリカの艦船入港を認めているのです。なぜあなたはこうした国のような毅然とした態度をとれないのですか、明確にお答えください。 レーガン大統領は、有事の際、核兵器を先に使用する核の先制攻撃を公言しています。総理、あなたは日本有事の際アメリカの核先制使用もいたし方ないと認めるおつもりなのでしょうか。もしこれを認めるならば、唯一の被爆国の首相として失格と言わなければなりません。明確にお答えください。 次に、国民生活、行政改革について伺います。 総理は、減税をやるとはおっしゃるものの、その規模、実施時期、財源については何も触れておられません。そして「政府の税制調査会の答申を待つ」と述べておられます。しかし、その税制調査会小倉会長は、「減税するなら当然増税が必要」との公式発言をされているのです。それでは総理、あなたのおっしゃる権威ある税制調査会が、減税は増税との抱き合わせでという方針を出したとき、どうなさいますか。いかなる大衆増税も行わないことを明言し、一兆四千億円の規模で本年初頭にさかのぼって実施すべきだと思いますが、これまた明快な御答弁をお願いします。 次に、多額の負債を抱え、自殺者まで出している畜産農民、減反を一層強いられているミカン農家等、農民の苦しみをよそに、政府は近く来日されるレーガン大統領に輸入枠拡大などの譲歩を繰り返すことは、わが国農業を一層危機に追い込むものであり、断じて許せません。明快なお答えをいただきたい。 いま、長期不況のもとで、勤労者世帯の消費支出は五月、六月連続マイナスとなっています。人事院勧告の完全実施、年金、恩給の物価スライドは、国民の生活を守る上からも、不況打開のためにも焦眉の問題です。直ちに完全実施すべきだと思いますが、お答えください。 中小企業の倒産は、今年に入って八カ月連続して昨年同月を上回っていますが、一方、大企業四百社の来年三月期決算は三四・三%もの大幅増益の見通しと言われています。にもかかわらず、国は大手電算機メーカーへのコンピューター開発補助金として六社へ六百八十六億円も出しています。その上、利益が出れば返還しなければならない制度なのに、返したのはわずか六・四%にしかすぎません。まさに大企業優遇と言えましょう。総理、あなたの強調される行政改革とは、国民に犠牲を強い、大企業奉仕と言われても仕方のないものではないでしょうか。こうした大企業への優遇を是正すべきだと思いますが、いかがでしょう。お答えください。 次に、お金では済まされない生命そのものが脅かされるという問題について伺いたい。 あの十五年戦争で苦しめられ、いまお年寄りは年金でささやかに暮らしている、こういう方々を思うとき、行革の名のもとに老人医療の有料化を押しつけ、いままた年金水準を低める年金制度の改悪など無慈悲なことはやめるべきではないでしょうか。明確にお答えください。 「日本型福祉社会の構想」という自民党から出されている本の中には、財布と相談してから医者に行けという趣旨が書かれてあります。この趣旨に基づいて健康保険の二割負担、入院時給食費、かぜ薬など患者に負担させる制度が強行されようとしているのです。これは金の切れ目が命の切れ目ということであり、国民が築き上げてきた制度を根底から覆すものと言わざるを得ません。特に、被爆老人に「病は気から」と発言し、それを指摘されても、「拍手を受けた」と平然と言われたことに私は慄然とし、心からの怒りを禁じ得ません。 このような社会福祉に対する総理の考え方こそ、老人、子供、障害や難病に苦しむ者など弱い者を無残に切り捨てていくのです。まさに憲法の生存権保障の原則、これに真っ向から挑戦するものであり、直ちに取りやめるべきであります。はっきりお答えください。 婦人の地位向上について、わが党はしばしば要求してまいりましたが、少なくとも婦人パートの内職収入の非課税限度額と中小商工業者の家族専従者控除をともに百二十万円に引き上げること、母性を十分保護した雇用における男女平等法の制定及び真の婦人の年金権の確立は緊急の課題です。この要求にどうこたえられるか、見解を求めます。 また、教育費の父母負担は、政府統計によっても年々目に見えて増加し、家計を圧迫しています。にもかかわらず、来年度予算の概算要求では、私学助成の一〇%削減、世界に例を見ない育英資金に利子をつけて返せということになっております。日本の将来を担う子供達の教育を軍事費拡大の犠牲にされることに対して、国民は断じて納得しないでしょう。 総理、あなたの推し進める行政改革とは、福祉、教育など国民生活を犠牲にし、大企業の、あなたの所信表明の言葉で言えば「繁栄を約束するかぎ」であるとともに、平和を口にしつつ日米安保条約のもとで危険な軍事力増強への道をひた走る以外の何物でもないではありませんか。この際、軍事予算を大幅に削り、暮らしと教育、福祉へ回すべきと考えますが、お答えください。 次に、ロッキード事件について伺います。 総理は、ロッキード事件は司法の問題だとして国会での追及を拒否し続けておられます。しかし、国民の圧倒的多数は、田中元総理の議員辞職を要求していることは世論調査でも明らかです。ロッキード事件の政治的、道義的責任の追及と田中元総理の議員辞職問題は、まさにわが国の民主主義が機能しているかどうかの問題にほかなりません。 ロッキード社から賄賂をもらったイタリアの元国防大臣は、判決と同時に、下院の議席剥奪、公民権停止という厳しい処分を受けているのです。またオランダでも、ロッキード社からお金をもらったと判定されたオランダ女王の夫君は、軍監察長官の要職を辞任しています。にもかかわらず、わが国ではいまだに政治的、道義的責任を回避し、国会議員の地位に居座っているのです。 総理、あなたは常々世界の中の日本と強調されていますが、こんなことは世界に向かって恥ずかしいとお思いになりませんか、お答えください。 総理、あなたは戦後政治の総決算などとおっしゃいますが、いま日本の政治にとって緊要な課題は、軍事大国と反動への逆流を食いとめ、平和と民主主義、国民生活の擁護に向かって政治革新の大道を切り開くことであります。 日本共産党は、あなたが進める国民いじめ、大軍拡のこの政治ときっぱり対決し、平和と国民の幸せを守るために一層奮闘することを表明して、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
○国務大臣(中曽根康弘君) 小笠原議員に御答弁申し上げます。 まず、大韓航空機の問題でございますが、事件の真相究明につきましては、韓国におきましても韓国政府及び大韓航空が事故についての調査委員会を設置したと承知しております。わが国も外交ルートを通じまして、韓国政府に対して事故原因についての韓国側調査結果をできるだけ速やかに通報するように申し入れておるわけであります。 なおまた、大韓航空機撃墜事件につきましては、わが国の航空管制用レーダーは領空を中心としてカバーしておるのでありまして、航空自衛隊レーダーはまた識別不明の機影として本件大韓航空機の機影をとらえた事実からも明らかなとおり、そもそも本事件、大韓航空機がソ連機のミサイルにより撃墜されるまでの間、わが国の航空管制当局も自衛隊も、大韓航空機が本来予定されていた航路を逸脱して飛行していたことを知り得る状況にはなかったものなのであります。なお米国におきましても、大韓航空機が撃墜されるまでの間、同機が航路を逸脱して樺太上空を飛行していた事実はその時点では知り得なかったものなのであります。 また、この問題を軍備拡張の口実に利用するという考えは毛頭ございません。 次に、サミットでの発言の問題でありますが、これは十二月までにソ連がSS20撤去について妥協に応じないならば、英国の総理大臣のサッチャーさんが、われわれは断固としてNATOの決定であるパーシングIIミサイルの展開を十二月までに実行するこういうことを個別会談でも私に明言され、また首脳会談でも明言され、西独のコール首相も、この問題に関する既存のタイムテーブルを変える意思はないと、そういうことを明言されまして、私はそれに対して同調したのであります。というのは、SS20を削減するあるいは撤去する、それを促進するためには、そのような西欧自由主義陣営が結束してこれに当たっているという姿勢を示すことが、このSS20を撤去し、あるいは削減していく交渉を早く成立せしめるために有益である、そうわれわれは考えているわけであります。 ソ連のいままでの外交姿勢や政策を見ますというと、やはりそういう現実がそばまで来ないうちはなかなか動く国ではない、これがわれわれがいままで経験したところでございまして、そういう意味において抑止力あるいは均衡という理論をわれわれはそのまま実践いたしまして、平和と軍縮をさらに推進するために、このような自由主義陣営の結束を政治的に図ったというのが趣旨であることを御理解願いたいと思うのであります。 次に、米艦船の核の持ち込みでございますが、この点はすでに何回も申し上げているとおり、われわれは非核三原則を堅持し、持ち込みの話があれば拒否すると、そういうことを申し上げたとおりで、この点につきましては、すでに安倍外務大臣が先般マンスフィールド大使に会いまして、さらにただしてきておるところなのであります。このことはすでに国会でも御報告申し上げたとおりであります。次に、核の先制使用の問題でありますが、米政府は核の先制使用を公言しているのではなくして、抑止力の確保の観点から、核の先制使用を一切行わないということを事前にコミットすることは適当でない、そういうことを言っておるのであります。 次に、減税の問題につきましては、すでに申し上げましたように、自民党幹事長の約束をわれわれは尊重すると申し上げ、さらにその内容、時期等につきましては、税制調査会において審議しておるので、この審議を促進して、その審議の結果を待って中間報告をいただいて、この幹事長の約束が実行できるようにわれわれは全力を尽くす、中間報告が出ましたら、私は決断いたします、そういうように申し上げているとおりなのでございます。 農産物の自由化問題につきましては、前から申し上げているように、関係国との友好関係あるいは農産物の需給動向等を踏まえまして、わが国農業の健全な発展と調和を図りつつこれが対策を講ずる。牛肉、柑橘等の自由化につきましては、国内の生産事情等からすれば応じがたい諸問題があると申し上げているとおりです。 今後の日米協議等につきましては、わが国の実情、あるいはいままでとってきた市場開放措置等を相手側に十分説明して、理解を得るように努力したいと思っております。この十四、十五日にアメリカ側からも担当者が参りまして、日米会談を静かに行う予定でおります。 次に、人事院勧告の問題でありますが、これは給与関係閣僚会議においていま慎重に検討しておるところであります。 仲裁裁定につきましては、国会の御判断を仰ぐべきものとして提出しておるわけでございます。 年金、恩給の物価スライドにつきましては、今後の人事院勧告の扱いや、あるいは物価の動向等を見きわめつつ、慎重に対処したいと考えておるところです。 大企業に対する技術革新の補助金の問題でございますが、これは先端技術等の問題で長期にわたり多額の資金を要し、そして危険性の多いもの、リスクの多いもの等について、諸外国でも行っている程度のことを日本もやっぱりやっているということであり、それについては企業側も相当多額の費用を負担してやっておるわけなのでございます。今後とも技術開発補助金につきましては、厳しくこれを点検いたし、整理合理化を図ってまいりたいと思います。 老人保健法につきましては、老人保健対策の確立を図る重要な法律でありまして、その適正な運用に十分配慮してまいりたいと思っております。 公的年金の見直しの問題につきましては、年金制度全体の基盤を強化し、安定的にこれを将来も維持していく、そういう観点から総合的な見直しの時期に来ている、こう考えておるわけでございます。 なお、税制の改正あるいは減税につきましては、ただいま申し上げたとおりでございます。 雇用における男女平等法の制定につきましては、婦人少年問題審議会におきまして、男女の機会均等、待遇の平等を確保するための諸方策について法的整備を含めた審議をお願いいたしておるところであります。その審議結果を待ちまして速やかに対処いたしたいと思います。 婦人の年金権利を確立せよという問題については、同じく公的年金制度全体の見直しの中でわれわれは対処していきたいと思います。 健保の問題につきましては、いまの医療保険制度を安定的に維持し、国民に必要な医療を安定的に確保していくために、中長期の観点に立って、社会、経済、医療の動向に対応しつつ、給付と負担の両面にわたる改革に真剣に取り組んでまいるつもりであります。 次に、聖域なき歳出の抑制、防衛関係費について御質問をいただきましたが、防衛関係費につきましても、財政事情やその他の経費とのバランスを考慮しつつ、真に必要な経費に限ってこれを認めるという考えでおります。 ロッキード事件につきましては、政治倫理を確立し、そして国民の信頼を確保していくという基本的観点に立ちまして、今後とも大いに自粛、自戒してまいりたいと思っております。 いま、すでにこの問題は刑事事件になっておりまして、法的な判決を得る直前に来ておるところでございます。やはり法治国家におきましては、裁判の独立と尊厳を維持していくということも、われわれは大いに考えなければならぬところであると思っております。田中元総理の辞職問題につきましては、判決が近づいておる折から、三権分立の原則にのっとり、静かにその推移を見守るのが適当であると申し上げたとおりであります。(拍手)
○副議長(阿具根登君) これにて午後一時まで休憩いたします。 午前十一時三十四分休憩 ─────・───── 午後一時一分開議
○議長(木村睦男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。井上計君。 〔井上計君登壇、拍手〕
○井上計君 私は、民社党・国民連合を代表して、総理の所信表明に対し質問を行います。 まず、質問に先立ち、去る九月一日未明、ミサイルによって大韓航空機を撃墜するという人道上全く許しがたい暴挙を行い、かつその上、いまだに一片の反省も示さないソ連政府に対し、強い憤りを込めて厳重なる抗議の意思を表明するとともに、この事件の犠牲となられた方々の御冥福をお祈りし、御遺族の方々に深く哀悼の意を表するものであります。 さて、総理は、御就任当時、戦後政治の総決算を行うと言明されました。ところが、今回は「静かな改革のたゆみない推進」と述べておられます。静かな改革とは何を意味するのでありましょうか、なぜこのように総理の表現が変化したのでありますか、私はいささか理解に苦しむものであります。 現在、わが国の経済環境は依然として厳しい情勢にあります。中小企業を初めとして多くの国民は深刻な不況にあえぎ、あすへの希望を失いつつあります。そうして、それがそのまま政治への不信と不満につながっていることを御承知であろうと思います。いま国民の強い要望は、直面する諸問題を速やかに解決するために必要な具体的な政策の明示であり、かつその実行の約束であります。したがって、この声にこたえるためにも、百年河清を待つような政策であっては断じてなりません。私はまず冒頭、このことを総理に申し上げ、具体的な質問に入ります。 質問の第一は、減税の問題であります。 所得減税の実施についてはすでに総理が所信表明において早期実現を約束されておりますから、信じることにいたします。しかし、現在政府が考えておるような減税方針で勤労者の生活が果たして楽になるとお考えでありましょうか。さらに、景気回復に役立つとお考えでありましょうか。いま政府の考えておられる減税内容の場合、その乗数効果はどれぐらいになるのか、GNP引き上げへの寄与率はどの程度であるのか、仮の数字でも結構でありますから、関係大臣の御見解を伺いたいと思います。 仮に減税額一兆円とした場合に、すでに発表されておりますけれども、その乗数効果は初年度ではわずかに〇・四二、GNPへの寄与率は〇・二%にしかすぎないと言われていますが、仮にこの程度の効果では、景気浮揚に役立つ大幅規模とはとうてい言えないのであります。したがって、政府は、積極的な減税を行うことをさらに考慮すべきでありましょう。 そこで、私は、現在の深刻な不況から一日も早く脱却して国民が生気を取り戻すためには、大幅減税に加えて、景気回復政策として次の三点をあわせて実施すべきであると要望いたします。 その第一は、公共事業投資の拡充であります。 この数年来、上期に前倒し発注は行うものの、下期には一向に手当てをしないという、常に景気回復に冷水をかけるがごとき方法を続けております。この誤りをことしは繰り返してはなりません。また、総理が言われる「心の触れ合う豊かな社会」を築くためには、各種社会資本の充実整備がまだまだ不十分であります。したがって、直ちに補正予算を組むこと、少なくとも二兆円以上、三兆円程度の公共事業費の追加を行うべきとわが党は考えておりますが、いかがでありましょうか。 次は、民間の設備投資の促進政策の拡大であります。 本年度から二年間、投資減税が行われておりますが、余り効果はありません。したがって、税率の引き上げ並びに拡充を行い、特に中小企業の設備投資金融の助成の拡大を行うことが必要であります。 次に、機械設備等の法定耐用年数の短縮を直ちに行うことを提言いたします。 現在、わが国の機械等の法定耐用年数の平均は十一年強となっており、非常に長期であります。したがって、これでは日進月歩の技術革新に対応できないばかりでなく、設備投資の大きな障害となっているのであります。大蔵大臣は御承知と思いますが、アメリカ、EC等の先進工業国では、数年来の厳しい財政状況にもかかわらず、否むしろ財政の悪化を切り抜ける目的と生産性向上のために大幅な短縮を実施しております。 申すまでもなく、わが国は貿易立国であります。貿易摩擦の解消の努力はさらにいたさなくてはなりませんけれども、国際競争力は常に保持しなければわが国の産業界は滅亡するのであります。この点を考えてみても、耐用年数の短縮は急務であります。総理並びに関係大臣から、以上の景気回復への提言についての御見解をお伺いいたします。 次に、中小企業対策について伺います。 わが国の中小企業は、事業所数で全体の九九・四%、約六百二十万事業所、そこで働く従事者は民間企業全体の八一・四%、約三千八百万人であります。家族を入れると実に約八千万人でありますから、総人口の七〇%近くを占めておるのであります。したがって、中小企業の安定なくして日本の安定と繁栄、さらには福祉国家の実現はとうていあり得ないと言っても過言ではありません。 しかるに、この中小企業に対する施策は依然として不十分であり、かつまた、政治の面で冷遇されている点が多々あることはまことに残念であります。総理は、「創意あふれる中小企業の育成」と述べられましたが、そのためには、中小企業が将来に向かって希望を持ち続けることができるような施策を至急講ずべきであります。金融、税制の改正を含めて緊急を要する改善事項が多々あると考えますが、総理は具体的にどのようなことをお考えになっておりますか、お聞かせをいただきたいと思います。 なお、特に次の点を要望いたします。 わが党が六年前から衆参両院の関係委員会でたびたび提案をしております中小企業の事業用資産の相続税の問題であります。 戦後歴代内閣の失政により地価が著しく高騰いたしました。そのために、売ることができない事業用資産の土地までが時価で評価され、課税対象となり、過酷な相続税納入のため、やむなく事業の縮小、閉鎖というケース、そうしてそのために従業員の解雇等がこの数年多く発生をしております。このため、わが党の主張に続き全国中小企業者の要望がとみに高まり、政府はついにこれを取り上げざるを得なくなりました。一部には、あたかも承継税制を実施したかのごとき発言もありますが、事実は、本年度より相続税法の一部の改正と通達の一部変更のみを行ったにすぎず、まだまだ中小企業の切なる願いにはほど遠いものがあります。 総理、中小企業の育成、特に後継者の育成のためには、さらにまた、そこに働く多くの従業員の雇用を守るためには、わが党の提唱している真の承継税制の実施を速やかに行うべきであります。中小企業は金の卵を産む親鳥であります。いたずらに財源難を理由にして将来への必要な投資を怠るがごときは、じり貧への道をたどるものと考えるべきであります。 以上、大幅減税の実施と景気回復の方策、さらに承継税制の創設等を提言いたしましたが、依然として政府が財源難を理由に避けて通るようでは、活力ある政治を目指しているとは言えません。知恵を働かせ、誠意と努力をもってすれば財源はまだまだ出てきます。わが党においても、これら財源について検討中であることを申し添えておきます。 以上、総理並びに大蔵大臣の御見解はいかがでありましょうか、お伺いをいたします。 次に、行政改革並びにそれらに関連をする問題について伺います。 わが党は、野党ではありますけれども、結党以来堅持してまいりました是は是、非は非、この精神から、当初からこれを強く提唱し、いわば行革与党として強力に推進する立場をとっておりますことは総理も御承知のとおりであります。しかし、行革国会と言われる今国会に政府が提出せんとしている行革関連法案はいずれも微温的であり、果たしてこれで総理の言われる活力ある社会、経済の構築を図ることができるのかどうか、大きな疑念を抱くものであります。今回の行革関連法案によって生じる人員の削減、歳出の削減等、その行政効果のほどはどれぐらいであるのか、お示しを願いたいと思います。 また、ここに特に指摘をいたしたいのは、地方公務員の問題であります。 最近、法外な退職金、国や民間に比べて著しく上回る給与等を初め、ずさんきわまりない勤務の実態が明るみに出て、国民の大きな憤激を買っております。このような事態をこのまま放置しておいては、まじめに一生懸命働いている人たちにまことに申しわけないことであります。至急改善をすべきでありますが、政府はどのような方針で対処されるのか、お伺いをいたしたいと思います。なお、わが党は、この改善是正のために、地方公務員の給与等の是正のための臨時措置法といった法律を必要と考えますが、いかがでありましょうか。 さらに、行革を進める上で大事なことは、公務員のモラルと働く気概をどう高めていくかということであります。国、地方を通じて、最近特に公務員の汚職、不正が目立っております。まことに残念なことであります。この原因は種々あるでありましょうが、中でも一番大きな理由は、公務員のモラルの低下と使命感の欠如にあります。そうして、さらにその根源は、その上に立つ政治、政治家のモラルの低下にあると言われても当然でありましょう。まず私ども政治家が襟を正し、政治姿勢を明確にしなくてはなりません。 政治倫理の確立についてはすでに多く述べられておりますから、私は省略をいたしますが、この際、政治家全体がモラルの回復に努め、同時に、国会の効率化、合理化、運営の改善を行い、国民の多くが持っておられる私たち政治家に対する不信を解消するために全力を尽くすことが肝要と考えますが、総理のお考えはいかがでありましょうか。 また、行政行革を断行するに当たって、やむを得ないこととはいえ、公務員のみでなく、多くの国民に対しさまざまなしわ寄せ、犠牲を強いることになりますが、しかしこれは極力避ける努力をしなくてはなりません。苛斂誅求的な増税策がいま企図されておるようでありますが、さらにその上に、国鉄運賃を初め公共料金の値上げがメジロ押しに並ぶなど、どう考えても私は現在の内閣の考え方には承服しがたいものがあるのであります。財源がないからといって、安易に福祉の根幹を切り捨てたり、国民に負担増を当然のように強いるようなやり方は真の政治ではありません。総理の善処方を強く要望いたします。次に、教育の問題に移ります。 総理が述べられました教育の基本については私も全く同感であります。しかし、国民への訴えと協力をどのような方法によってされるのでありますか。さらにまた、総理と考え方を全く異にしている人たちに対してはどのような指導と啓蒙をされるのでありましょうか。この点について総理のお考えをお尋ねをいたします。 また、文部大臣は一昨日、日教組の新委員長と会談しておられますが、日教組は先般の大会において、依然として従来と変わらぬ運動方針を決定したやに聞いております。とするならば、果たして教育現場の荒廃が改善できるのでありましょうか、私は大変気になるところであります。まして、国家公務員法、地方公務員法を初め教育三法に違反することを前提とした多額の救援規定予算の計上がされておること等、文部大臣は御承知かどうか、新委員長との会談でそのような点をお話しをされたのかどうか、さらに、今後の対応はどうされるのか、お伺いをいたします。 最後に、北方四島返還について質問の予定でありましたが、時間がなくなりましたので簡略に申し上げます。また昨日、わが党の竹本代議士が質問しておりますが、ただ、北方四島がソ連の重大な不法行動によって、しかも終戦後武力によって占領されたという事実を国民に知ってもらう手段をあわせて行わなければ返還運動の成果は上がりません。私はこのことを強く政府に進言をいたしておきます。 以上、総理並びに関係大臣の適切な御答弁を期待し、民社党・国民連合を代表して質問を終わります。(拍手)
○議長(木村睦男君) 中曽根内閣総理大臣。 〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
○国務大臣(中曽根康弘君) 井上議員の御質問にお答えを申し上げます。 まず第一に、「静かな改革」について御質問をいただきましたが、いま国際関係の打開あるいは行政改革、これらの問題はすでに実行期に入りまして、着実にその改革を進めておるところでございます。したがいまして、静かにこれを着実に推し進めるという決意をそういう表現で申し上げた次第なのでございます。 公共事業費の追加等を中心にして補正予算に関するお話をいただきましたが、政府は、四月五日の経済対策を決定いたしまして、いまそれを実行しておるところでございます。そして、災害その他の問題もございましたが、まだ追加財政需要そのものにつきましては不確定要素が多く、いますぐに補正予算をつくるということを言明申し上げる段階ではないのであります。しかし、経済の機動的運営を心がけ、かつまた民間活力の導入ということをいま全力を挙げてやっておりまして、それらにつきまして実効を上げてまいりたいと考えておる次第でございます。 民間設備投資の促進につきましては、今年度の税制改正におきましても中小企業の設備投資促進税制の改正を行ったところでございまして、いまその効果がどの程度出るか、初めての試みでもありますので効果を見守っておるというところでございます。 中小企業に対する金融措置につきましては、政府系中小企業金融三機関の貸出金利等について特段の配慮をいたしております。五十八年度におきましても、三機関の貸付規模の拡大、貸付限度の引き上げ等につきまして特段の措置を講じたところであり、また年末にかけまして、この点につきましては深く配慮してまいりたいと思う次第でございます。 耐用年数の問題は、資産の物理的寿命、同時に経済的陳腐化、この問題も加味して考えらるべき問題であります。それらの点につきましていろいろ検討してまいりたいと思っております。 さらに、中小企業について創意あふれる活力を回復せよという御指摘でございますが、その創造性、機動性あるいは個別性、これらを高めていくということにつきましては、非常に緊要であると思いまして努力してまいりたいと思うところでございます。特に、技術情報の交流、技術開発の促進、地域ごとの提携あるいは異業種間の連携、これらの問題につきまして今後も努力してまいりたいと思っております。 中小企業の相続税につきまして農地と同様の特別措置をとることは、いささか困難があると思います。昭和五十八年度の税制改正におきまして、すでに取引相場のない株式の評価の改善合理化、あるいは個人事業者の事業用宅地の課税の特別措置等を講ずることといたしまして、円滑な事業実施に配意いたしております。 行革関連法案について御質疑をいただきましたが、これは臨調最終答申後における改革の推進の第一段階の措置として今回御提案申し上げたものでございます。その内容は、機構の改革、事務の簡素化、合理化等を中心に法案としてまとめたものでございます。この法律案は、行政改革全体の構想の一環であり、政府として、今般の一連の法律改正による各機関の組織、事務事業の簡素化、合理化と同時に、さらに要員面、歳出面における全面的な合理化を進めようとしておるところでございます。何とぞ御協賛をお願い申し上げる次第でございます。 倫理委員会の問題につきましては、これは国会における重要事項でございまして、各党間で十分論議を尽くされ、早期に妥当な結論が出ることを期待しております。 今後の福祉、社会保障政策の実現につきましては、高齢化社会の進展の状況のもとに、長期的に安定して、しかも有効に機能していく安定的な制度を維持していくということが大事であります。このため、保健、医療、年金、社会福祉、各般の施策を重点的かつ効率的に行うように努力してまいりたいと思っております。 今後の税制改正を具体的にどのように進めていくかということは、現在税制調査会においていろいろ答申を求めておるところでございまして、それらの答申を待って実行してまいりたいと思う次第でございます。 教育改革につきましては、御賛成をいただきましてまことにありがたく、お礼申し上げる次第でございますが、今後とも各方面の皆さんの幅広い御議論を傾聴いたし、また参考にさせていただきまして、さらに各種審議会あるいは各層との懇談、モニター制度の活用など、広く国民の声を聞きながら妥当な改革を着実に進めてまいりたいと思う次第です。 また、教職員諸君がその職責の重要性を自覚して、使命感を持って職務に専念し得るよう関係各機関の十分の対策を講じてまいりたいと思います。 北方領土問題につきましては、政府は、北方領土問題を解決して平和条約を締結し、真の相互理解に基づく安定的な関係をソ連と結ぼうと、これを基本的課題としていままで努力してきたところであり、今後もこの基本線で貫いてまいるつもりでございます。 この北方領土問題につきましては、いま全国的関心のもとに強烈な御支持をいただいておりますが、国連の場等も通じ、国際世論に訴える等の努力も続け、あらゆる機会を通じましてソ連側に早期解決を働きかけてまいりたいと思っております。 なお、米国政府におきましては、従来より北方領土問題に対してはわが国の立場を積極的に支持していただいておるのでありまして、今後この問題につきましても連携を強めてまいりたいと思っております。 残余の答弁は関係大臣から答弁させていただきます。(拍手) 〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問、四点でございます。大部分総理からお答えがございました。 まず、景気回復は減税だけでなく、二、三兆円の公共事業投資、これを補正予算で組めと、こういう提言でございます。 今日緩やかな景気回復が続いておるという見方でございますが、今後についても原油価格の値下げなど、わが国経済にとって明るい面もございまして、本年四月五日の「今後の経済対策について」の着実な実施とも相まって、内需を中心とした息の長い安定的な経済成長が定着していくことを期待しております。財政面から内需拡大策をとれということについては、これは今日困難な問題であります。 なかんずく公共事業につきましては、厳しい財政事情に加えまして、今後追加等の新たな措置をとらなくても、本年度下半期の事業量において昨年度の追加補正後と同等の実力を維持していけるというふうに見込まれておるところでございます。 さて、公共事業の追加は、議論が進んでまいりますと、建設国債の増発、こういう議論につながってまいります。これは赤字国債であれ建設国債であれ、これを増発して無理をいたしますと、金利の上昇をもたらして景気全体の足を引っ張るということにも相なりますので、慎重たらざるを得ないと考えております。 投資減税の問題、それから耐用年数の短縮の問題でございます。 民間設備投資の促進はいろいろ配慮してまいりましたが、今年度の税制改正において、すでに先国会において議了していただきまして、新たなる特別措置を講ずることとしたばかりであります。したがって、その効果を見定める必要があると考えております。 欧米の例をお引きになりましての耐用年数の問題ですが、やはり、設備投資の促進といった政策的な観点から耐用年数を短縮するという考え方は、税法のたてまえから適切でないというふうに考えております。 それから中小企業金融の問題でございました。これの限度額の引き上げ、貸付条件の改善の実施、これをやったところでございますので、今後とも中小企業向け金融の円滑化には十分配慮して対応していくつもりであります。 そして次が承継税制の問題でございました。これも五十八年度改正で議了していただきました。それで所要の措置が講ぜられて、従来からの要望に対処してきたところであります。 中小企業事業用財産につきまして、農地と同様の事情にはこれはございません。したがって、小規模な会社の株式について、純資産価額方式と類似業種比準方式との併用によって収益性を織り込んで評価することを選択できることとするとともに、類似業種比準方式における類似業種のとり方を弾力的にするような改善合理化を図った。そして個人事業者の宅地のうち二百平米までの部分につきましては、通常の方法により評価した価額から一定割合の減額を行う。 そこで、御指摘のありました贈与税、相続税の納税猶予制度ということになりますと、これは昭和五十五年の税制調査会で審議が行われた中期答申におきましても、この問題については納税猶予制度を設ける必要はないとされております。そうした制度を設けることは、結局、給与所得者のみに通常の納税を求めることとなって、税制としてはゆがんだものとなっていくので適当でないと、このように中期答申になされておるところであります。 それから、各種公共料金の値上げや健保の本人負担等々の問題についての御意見を交えた御質疑でございますが、現在進められております税調における中期的税制のあり方に関する検討結果、これを踏まえまして、歳出面における縮減合理化の状況とか、それから今後の税収の動向、これらを見きわめた上で各税目の負担水準等について配意して判断すべきものでありまして、現時点で個別の税目等について確たることを申し上げることはできないというふうに御理解を賜りたいと思います。 以上でお答えを終わります。(拍手) 〔国務大臣塩崎潤君登壇、拍手〕
○国務大臣(塩崎潤君) 井上議員の御質問にお答え申し上げます。 ただいま井上議員御指摘のように、私どもが世界経済のモデルを使いまして、たとえば一兆円の所得税減税をした場合にどの程度の乗数効果が生ずるか、そしてまた名目GNPに対する引き上げ寄与率は幾らかということを発表したことがございますが、その数字は、前者につきましては〇・四二、そして名目寄与率については〇・二%であることは御指摘のとおりでございます。これが果たしてGNPに比べて大きいか小さいか、これはまだ一兆円減税ということが正式に決まったというふうに私は聞いてもおりませんし、この問題は多分に政策手段との兼ね合いとの相対的な評価の問題でございますので、大きいか小さいかという問題については差し控えさせていただきたいと思います。 ただ、私どもは、所得税の減税のねらいは、御案内のように六年間減税が行われなかった、そして所得が伸びたにもかかわりませず税金はそれ以上に伸びてきて可処分所得が所得の伸びに応じない、したがって消費が圧迫されてきたという、この心理的な圧迫原因を取り除くことにある、こういうふうに私は考えておるわけでございまして、他の政策手段ではこの心理的な圧迫を取り除くことはなかなかむずかしい、こんなことを考え、私は国民もこういった観点から所得税、住民税の減税を強く希望しているものと、こんなふうに理解しているところでございます。(拍手) 〔国務大臣山本幸雄君登壇、拍手〕
○国務大臣(山本幸雄君) 地方公務員の給与などの適正化ということにつきまして、これまでの指導によりまして逐次是正が行われてきたと存じておりますが、この問題は、今後ともなお真剣に取り組まなければならないわれわれの課題であると考えております。 これは、納税者である住民の理解が得られる、あるいは住民の批判に十分こたえられるていのものでありたいと。しかしながら、一方においては、公務員の皆さんがやる気を起こしてくれるということが根本であろうと思います。しかし、それは各地方公共団体における自律機能の発揮によって適正を保っていくことが適当であろうと思います。しかし、特に給与水準が著しく高い地方公共団体あるいは退職手当が国の基準を上回っておる地方公共団体につきましては、今後とも適正なる措置を求めてまいりたいと考えております。 それから、さらに法律によって何らかの措置を講ずべきであるという民社党の御提案でございます。 確かに、現状に照らしましても、これは一つの考え方であると存じますが、この適正化の問題は、やはりまず地方公共団体の自律機能の発揮ということによって行われるべきものでありまして、したがいまして、現在の地方自治法あるいは地方公務員法といったものによって、助言あるいは指導等の現行制度を活用いたしまして、各地方公共団体の実情に応じて適切に対応をしてまいりたい、かように考えます。(拍手) 〔国務大臣瀬戸山三男君登壇、拍手〕
○国務大臣(瀬戸山三男君) 私に対しては、去る十二日、日教組の新委員長田中さんと面会した、これをめぐってのお尋ねがありました。 その前に、日教組の今年度の運動方針は内容はわかっておるか、知っておるか、こういうお尋ねでございます。あらましは承知いたしておりますが、従来の運動方針とそう余り変わりはない。特に、救援資金等予算に計上されておることもこれは事実でございます。ただ、やや今回私どもが興味を持ってといいますか、変わっておる点は、いわゆる児童、生徒の非行、校内暴力等について日教組内部でも非常に心配をされて議論があった、こういう点が運動方針にも載っておりますが、やや趣を異にしておる、こういうことでございます。 そこで先日、十二日ですか、会いましたのは、これは従来から予算概算要求をする前にいろいろな教育団体から希望なり陳情なりがあるわけでございまして、文部省としてはそれを承ってきております。今年も同じく各種の教育関係団体からいろいろな希望なり御意見等承っておりますが、いわゆる日教組の団体と日程がお互いに突き合わせが遅くなりまして十二日ということになったわけでございます。 そこで、今度の新委員長が見えましたが、文部省で会いましたけれども、田中委員長からこういうお話がありました。三つの用件できょうは文部大臣に聞いてもらいたいんだ、第一は、いわゆる五十九年度教育予算の確保をお願いしたい。それから第二は、いわゆる人勧完全実施をぜひお願いしたい。第三は、いま申し上げました児童、生徒の非行、校内暴力、こういう問題について日教組内部でも非常に反省をした、こういうことできょうお話しがしたい。特に、第三の校内暴力等非行問題についてきょうはぜひいろいろお話を申し上げ、今後文部省ともいろいろ話し合いができるようにしてもらいたい、これに重点を置いてきょうは参った、こういうことでございました。 そこで、田中さんのお話の人勧の問題は、これは尊重しますけれども、なかなかいまの財政状態では完全実施するということはそう簡単じゃない、こういうことでございます。 第三の問題については、こういうお話でございました。教師の指導力に不足がある、こういうことが反省されている。そこで教師が一致協力してもっと努力をしなければならない。それから父兄あるいは地域住民の皆さんとも提携してこの問題に取り組みたい、そういうことについて文部省ともいろいろ話し合いをお願いしたいと。結構です、非常に結構であります、しかし、おっしゃるだけでは余り世間は信用しないのじゃないでしょうか、教師の責任を感じておられることは非常にありがたいが、これは国民全体がいま心配をしておる。でありますから、私から言わせると、せっかくそこまで大会で議論をし、あなたがそういうお話をしてくださるならば、先生がストライキをやめるということにしてもらってはどうでしょうか、そうすれば、国民も、なるほど日教組の皆さんが、先生方大きく反省をされたなと、これを信用するでしょう。公務員共闘でなおストをするという方針を決めておられるようですが、教師はそれどころじゃない、この問題が大変なのだ、ストライキなどは要らない、やらない、こういうふうにしてもらいたいのだということをお願いしたと、こういうことでございます。(拍手) ─────────────
○議長(木村睦男君) 喜屋武眞榮君。 〔喜屋武眞榮君登壇、拍手〕
○喜屋武眞榮君 私は、参議院の会を代表し、過日行われました総理の所信表明演説に対して、総理並びに関係大臣に質問を行いたいと思いますが、質問に入ります前に一言触れておきたいことがあります。 それは、昨日、本院で採択された大韓航空機撃墜事件に関する決議を踏まえ、政府は今後ともその真相の徹底究明と責任の追及、補償問題等について、粘り強く、しかも、かつ万全の措置をとられることを強く要望いたしたいと思います。 〔議長退席、副議長着席〕 さて、私はまず総理の政治姿勢について尋ねたいと思います。 総理は、よく「平和」、「思いやり」という言葉を出されますが、私ども国民にはそれはただ単に言葉だけのそらぞらしいものとしてしか響いてこないのであります。国民に対して「平和」を唱えられる一方では、「不沈空母」、「運命共同体」、「海峡封鎖」などという平和とは全くうらはらな言葉が外国において総理の口から出ておるのであります。衣の下からよろいが見えるとは、まさにこのことを言うのでありましょう。また、「思いやり」についても同じであります。行財政改革に名をかりた福祉の切り捨ては、中曽根内閣成立以来急速にその度合いを増してきております。 総理、私ども国民は、耳に響きのよい言葉は望んでおりません。言葉よりも「平和」、「思いやり」が実行に移されることを望んでいるのであります。「平和」のためには軍縮を、「思いやり」のためには、福祉の切り捨てではなく福祉の充実を切望しているのであります。口先だけではなく、本当に「平和」、「思いやり」を唱えられるのであれば、軍縮、福祉の充実が実行に移されねばならぬと考えますが、総理はどのようにお考えになっておられるか、真意を伺いたいと思うのであります。 次に、外交問題についてお伺いいたします。 わが国外交の基本は、平和を求める心にあると言っても過言ではないと私は考えております。また、平和外交の基礎となるものは人間の信頼関係にあると私は思っております。しかし、人間の信頼関係というものは、育った環境、物の考え方を十分認識し、熟知しなければ培われるものではございません。それゆえにこそ文化交流が平和外交には必須のものと言えましょう。文化交流よりも軍事費に金をかけるという現内閣の外交姿勢は、平和外交に背くものでございます。政府は、国際文化交流にもっと力を入れるべきであると思いますが、どのような施策を実行されようとしておるか、総理のお考えをお聞きしたいのであります。 次に、言論の自由、集会の自由の問題についてお伺いいたします。 申すまでもなく、表現の自由、集会の自由は憲法により保障されており、それは民主政治の上には欠くべからざる要件であります。しかるに、去る八月に行われた日教組大会開催に関連して、それらが踏みにじられるという忌まわしい事態が起こっております。 特に見過ごすことのできないのは、岡山県議会が岡山での日教組大会開催の事実上の反対をしたことであります。県議会が憲法そのものを踏みにじる暴挙に出て、集会の自由を奪い、表現の自由を封殺したことは、民主政治における自殺行為と言わざるを得ません。総理並びに自治大臣はこのことをどのように受けとめ、また今後どのように対処されるつもりであるか、お答えをいただきたいと思います。 続いて教育の問題に触れたいと思います。 その第一は、教科書問題であります。 先ごろ中教審が答申した教科書の広域採択制は、教科書の画一化、ひいては国家統制への道を切り開くものであります。まことにゆゆしい問題であります。教育は、個々の人間形成への手助けがその本質であり、国家が要請する人物をつくり上げることではございません。教科書の国家統制への道は、教育の本質に反して必ずや国家が要請する人物をつくり上げるという道を歩み、再び戦前教育へ逆戻りするでありましょう。総理及び文部大臣はどのように考えておられるか、お答えいただきたいと思います。 さて第二は、学制改革の問題であります。 子供たちが伸び伸びとその個性を伸ばせるためには、学校制度がいかにあるべきかを国民全体で考えることは必要なことであると私も考えます。総理並びに文部大臣の考えておられる学制改革とはいかなるものであるか、その基本方針及び具体策をお聞かせいただきたいと思います。 次に、政治倫理の問題に移りたいと思います。 総理は、政治倫理は「個々の政治家が、公私において高い道徳性」を持つこと、「政党その他の政治団体が、いかにして国民の納得のいく、清潔澄明な活動と機能を確保するかの問題」であると言っておられますが、国民はもはや政治家の道徳性など期待しておらないのではないでしょうか、総理。また、賄賂に等しい企業献金を数百億も受け取る政党に自浄作用を求めることは、とうてい不可能だと思っております。だからこそ政治倫理の確立を要望し、制度的にそれが確立できる方策を望んでおるのであります。 総理、政治倫理の確立のために個々の政治家の高い道徳性を要求されるのであれば、たとえば田中辞職勧告決議案が上程された場合、党議で賛否を拘束することは総理の意図に反するものと言わざるを得ません。それこそ個々の政治家の高い道徳性に任せ、国民の前にその政治家の考え方を示すべきでありましょう。自民党総裁である総理はいかがお考えか、お答えいただきたいと思います。 さらに、制度的にはまず企業の政治献金を禁止し、政治献金は個々の拠出によることとする、次いで情報公開法を制定し、政治をガラス張りのものとすること、これは私個人の考えというより国民の等しく要望するところであります。総理はこの国民的要望にどのように取り組んでいかれるおつもりでしょうか、お答えいただきたいと思います。 次に、減税問題についてお伺いいたしたいと思います。 六年連続の実質的増税の中で、いまや国民はその負担に苦しんでおります。乏しさを憂えず等しからざるを憂えるというのは政治の基本であると考えますが、六年連続の実質増税が多くの国民にとって不満をもたらしている理由は、徴税そして税の使われ方がまさに等しからざるものであるからにほかなりません。政府は、まず不公平税制改革に着手すべきであると考えますが、どのようにお考えでしょうか。 また、国民は六年連続実質増税の現実から、直ちに、増税なく、大規模にという三原則をもとにした大幅減税を望んでおるのであります。大規模とは所得税のみで一兆円以上、増税なしとは大型間接税はもちろん、いかなる意味でも庶民の負担は伴わないということ、直ちにとは昭和五十八年分からの実施ということを意味するものであります。総理並びに大蔵大臣は、減税の規模、方法、時期についてどのように考えておられるか、明らかに示していただきたいと思います。 次に、参議院の比例代表選挙についてお伺いいたします。 私たち参議院の会は、考え方は自由で、法案に対しても全く自由な立場を持つ個人の集まる院内会派であります。私たちは、このようなあり方が衆議院と異なる参議院のあり方であると自負しております。しかしながら、参議院選挙における比例代表選挙は参議院を政党化させ、衆議院と何ら変わらないものとしてしまうものだと考えます。参議院本来のあり方を考えるならば、政党を選ぶ選挙より、個人を選ぶ選挙でなければならないのは自明の理であり、国民の多くは、参議院本来のあり方を抹消する比例代表制選挙に反対をしております。私どももまた反対の立場をとっておりますが、総理はいかがお考えでしょうか、お答えをいただきたいと思います。 さて最後に、私沖縄出身の議員として、沖縄問題に触れたいと思います。 いまは亡き佐藤総理は、沖縄の返還なくして日本の戦後は終わらないと言われました。沖縄は返還されました。日本本土の人々にとって日本の戦後は終わったのでありましょうか。しかし、沖縄は決して戦後は終わっていないのであります。復帰十一年目を迎えた沖縄の現状は、ますます米軍基地の再編強化が行われ、いまだに沖縄の空も海も山も軍事優先そのものの様相を呈しておるのであります。沖縄に所在する広大な米軍基地がなくならない限り沖縄の戦後は終わらないし、また日本の戦後も終わったと言えないでありましょう。そしてそれは、単に沖縄だけの問題ではないのであります。 口に軍縮を唱えながら軍拡路線に走る歴代自民党政府の政策が、沖縄に戦後を終わらせることを拒否し、新たな東西緊張を発生させているのであります。沖縄から基地を撤去させること、それは沖縄に戦後を終わらせ、真に軍縮、民生への政治の道を日本そのものが歩むことになるものであります。 総理並びに防衛庁長官は沖縄の軍事基地撤去についてどのように考えておられるかお答えを求める前に、総理、国民が総理にやってほしいことは、国民の要望する平和、民主政治、公平、清潔な政治であります。私が言ったことは必ずやるではなく、国民が要望することは必ずやると言明し実行されることこそ、私たちは望んでいるのであります。そのことを強く、もう一つ強く指摘して、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
○国務大臣(中曽根康弘君) 喜屋武議員の御質問にお答えを申し上げます。 大韓航空機の問題について実効性あらしめる措置をとれ、こういう最初の御質問でございましたが、政府は、その一つといたしまして、先般御決議になりました本院の御決議の趣旨を体しまして、本日午後四時にソ連大使を外務省に招致いたしまして、真相の究明、再発の防止、補償、これらの問題について正式に申し入れを行い、これを実現する目的のために努力してまいるつもりでございます。 次に、軍縮及び平和の問題、思いやりの問題について御質問をいただきました。 私は、喜屋武議員が申されました御趣旨につきましては、全く同感であり、共鳴を禁じ得ないものでございます。やはり方法は違いますけれども、私たちが考えておりますことも、平和を維持し、日本を戦争に巻き込まないようにするために懸命の努力をしている一環の仕事なのでございます。 なお、日本が平和憲法のもとに、軍事大国にならず、非核三原則を堅持していくという方針は、改めて申し上げるまでもなく堅持してまいる予定でありますし、国連の軍縮委員会等の場におきましても、平和外交の重要な柱として、軍縮、核軍縮の促進に積極的に努力をしてまいるつもりでおります。 なお、さらに、核軍縮の分野におきましても、米ソ間の軍縮交渉の促進、核実験の全面禁止、核不拡散体制の維持強化、また非核軍縮分野におきましては化学兵器禁止等を重視いたしまして、今後もできる限りの努力を続けてまいりたいと思います。 福祉につきまして御質問をいただきましたが、現在の苦しい財政事情のもとに、今後も最大限の努力はしてまいりたいと思っております。したがって、施策の効率化、重点化ということが必然的に必要になり、保健、医療、年金、社会福祉、全面的に総合的にこれらを検討し、合理化していくということが必要であると考えております。 生きがいの問題につきましては、物的な諸般の措置を講ずる点も大事でございますが、やはり老人の皆様方に心の安らかな世界、生きがいを感ずる世界、こういう点をわれわれとしても積極的に施策として講じていく必要があると思います。前にも申し上げましたように、老人が一番ほしいのは孫と仕事である、そういうことを申し上げましたが、仕事で生きがいを感じていくということもまた非常に大事な要素ではないかと思っておるわけでございます。いろいろ統計調査を見ますと、六十五歳以上の御老人の就業ぐあいを見ますと、欧米に比べまして日本は数倍の高さにわたっておるわけです。あるいは中小企業、あるいは農家におきまして、孫を抱きながら仕事もやっておられる。そういう点においてわが国のあり方は独得のあり方をしておるのでございますが、その中のいい要素をさらにわれわれは深めていきたいと考えておる次第でございます。 国際交流につきましても全く同感でございまして、文化交流の充実はわが国の外交における基本的な重要性を持つと思います。 日本は、ややもすれば物の輸出は非常にたけておりますけれども、情報とか文化の輸出においては非常に足りないところがあるように思うのです。政府といたしましては、直轄事業、国際交流基金を通ずる文化交流事業等の実施をさらに促進いたし、スポーツや人物交流あるいは海外における日本研究、日本語教育、あるいは芸術的公演、展示等幅広い交流をしてまいりましたが、今後も努力いたしますし、特に、次代を担う青少年の相互理解の促進については特に力を入れ、中国、東南アジア地帯の青少年との交流拡充にも努力してまいります。 私は、本年ASEAN諸国を回りまして、来年度から一カ国毎年百五十人の学生諸君、先生諸君をお招きしたいということを約束しまして、来年からこれを実現いたしたいと思っております。ASEANから一年に七百五十名の先生方を一カ月の予定で招聘する予定でございますが、かなりこれは有効ではないかと思っております。 次に、日教組大会について御言及がございましたが、集会の自由、表現の自由を守ることは憲法の保障する基本的人権の一つでありまして、十分政府としても考えなければならぬ問題でございます。 岡山県の場合は、県議会におきまして開催反対の決議をいたしましたが、これはやはりこれなりに県民の意思を代表して県議会がそのような意思表示をしたものと考えざるを得ないのであります。いずれにしましても、暴力は断じて排撃しなければならぬのであります。その意味におきまして、政府といたしましても努力をいたしたいと思っております。 教科書の問題につきましては、広域採択について御発言がございました。 中教審は、教科書制度の一層の改善を図るために制度全般にわたる種々の指摘、提言を行っており、今後答申の趣旨を尊重して適切に対処してまいります。この広域採択についてはいろいろ議論がございますが、中にはやはり住民の声としてできるだけ広域にしてくれ、あるいは転勤した場合にその本が使えるようにしてくれ、そういうような強い要望もあるのであります。私は広域採択に賛成する方でありまして、この制度をさらに健全なものにしていくように努力してまいりたいと思っております。 学制改革につきましては、一番基本的なものは、先般来文部省や中教審が唱えておりますように徳・体・知、いままでは知・徳・体と言っておりましたが、やはり徳性を最大限に重視する、徳・体・知というふうに価値基準を転換させたらどうか。あるいは六・三・三制、あるいは受験制度、偏差値、大学制度、社会教育、あるいは生涯教育あるいは文化、スポーツ、こういうあらゆる問題についていま学制の問題が問われております。これらにつきましては、政府としてもいま幅広く、かつ根本的な立場も踏まえて検討を行っておるところでございます。 政治倫理の問題につきまして、喜屋武議員は、国民はいまや政治家の道徳性などに絶望している、政党に自浄作用を求めることは不可能だと思っているとおっしゃいましたが、私はこれはいかがなものかと考えます。やはり各政党ともそれなりに懸命の努力をし、自戒をしておるのでございまして、そのような自戒をさらに効果あらしむるということが私たちの現在の務めではないかと思っておるのであります。今後ともさらに高い道徳性と政党活動の清潔澄明度を高めるように努力してまいりたいと思います。 田中議員辞職勧告の問題は、すでに申し上げましたように、特に第一審判決が近づきつつある折から、近づけば近づくだけ静かにその推移を見守るということが適当ではないかと思います。 企業の献金について御言及がありましたが、やはり企業も一つの社会的存在であり、かつ政治活動の自由も保障されておるものでありまして、企業献金が悪であると即断することはいささかどうかと思います。いずれにしても、これらの政治資金制度等は、政治活動やあるいは各党の消長に直接関係する問題でございます。したがって、各党の合意形成を期待しておる次第でございます。 不公平税制の問題について御質問がございましたが、税制における公平の確保という点は、御指摘のとおり不可欠の前提でございます。 不公平税制という言葉は、必ずしも使う人によって意味するところが同一ではございませんが、租税特別措置が挙げられている場合が多いようであります。しかし、この租税特別措置は、特定の政策目的を実現するために税負担の制度を政策的に変えているという、こういう問題でございます。ただ、これが既得権化したり慢性化したり、あるいは社会経済情勢の変化に即応できないという場合は、これは速やかに改革をしなければならぬ問題であり、政府もこれらの点については検討を加えてまいっておるところでございます。 所得税、住民税の減税につきましては、従来申し上げているとおりでございまして、自民党の幹事長がお約束しましたことは私たちはこれを尊重いたしたいと思っておるところであります。 さらに、比例代表制の全国区の問題について御質問がございました。 これは先般初めて施行した新しい制度でございまして、この功罪についてはいろいろ御議論もあると思います。いまこの功罪についていろいろトレースし、検討を加えておる段階でございますが、私はいままでの制度の弊害を是正する制度としてせっかく議員の皆様方がこれを御採用になったという以上は、この制度をさらに善用していくという立場が正しいのではないか。ただし、いろいろ指摘されている欠陥につきましては今後是正していく必要もあろう、このように考えております。 沖縄の軍事基地の問題につきましては、確かに沖縄におきましては軍事基地の密度が高く、沖縄の住民の多大の御協力につきましては常に感謝しておるところでございます。できるだけこの基地を整理統合して、簡素合理化するという方向で今後も努力してまいりたいと思いますが、日米安全保障条約を有効に機能せしむる、そしてわが国防衛の目的を全うするという、そういう重大な使命もまた一面に負っているわけでございまして、現地住民の皆様方の御要望をよく体しまして調整していくことに努めてまいりたいと思っております。 残余の部分は関係大臣から御答弁申し上げます。(拍手) 〔国務大臣山本幸雄君登壇、拍手〕
○国務大臣(山本幸雄君) 日教組大会に当たっての岡山県の事案でございますが、これはただいま総理からもお答えがございましたとおりでございまして、私どもも、集会の自由あるいは表現の自由ということは、憲法に規定をせられた国民の基本的権利であるということには強い認識を持っておるつもりでございます。今回の場合、岡山県議会は、住民から選ばれた県議会といたしまして県民を代表するという立場に立って、現地の諸般の事情を考慮されて慎重に判断をされた結果、今回の決定が行われたものと受けとめている次第でございます。ただいま総理のお答えのとおりに私どもも考えております。(拍手) 〔国務大臣瀬戸山三男君登壇、拍手〕
○国務大臣(瀬戸山三男君) 教科書の問題でございますが、わが国の学校教育において重要な役割りを果たしており、そのあり方を適切なものとすることはきわめて大切な課題であると考えております。 中央教育審議会は、このような観点に立ちまして、教科書制度の一層の改善を図るため、教科書の著作・編集、検定、採択、研究・評価など制度全般にわたって種々の指摘、提言を行っているものでありますが、今後答申の趣旨を尊重し適切に対処してまいりたい。なお、具体的な対応方法については目下慎重に検討中でございます。 次に、学校制度についてのお尋ねでありましたが、現在の学校制度の改革については、それが児童生徒や、さらには社会全般に与える影響がきわめて大きいわけであります。わが国の将来に深くかかわる重大な問題でありますので、十分慎重に対処しなければならないと思っております。 しかし、教育は、時代の変化や進展に対応できるよう、また子供の発達に即応することができるよう常に改善を加えていく必要があると思います。このため、現在学校教育のあり方については、教育内容を中心に中央教育審議会で審議をお願いしており、学校制度の問題についても関連して検討が進められております。学校教育のあり方については、文部省といたしましても、中央教育審議会等の審議の動向などを勘案しつつ今後十分に検討してまいりたい、かように考えております。(拍手) 〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問は、総理からお答えがございました問題と重複をいたしますが、かねて総理は所信表明演説でも、衆議院議長見解に基づき必ず実施するというお答えになっております。そしてまた、本院における予算委員長見解というものも厳然と存在をいたしておるところであります。したがって、これにつきましてはかねてから税制調査会におきまして、所得税制のあり方について税制全体の中長期的なあり方を考慮しながら精力的に審議を進めていただいておるところでございますが、先般私から税制調査会長さんにお願いをいたしまして、この審議をさらに促進していただきたいという旨の御要請をいたしたところでございます。 したがって、政府といたしましては、いわゆる規模、方法、時期、さらには財源措置、これらについて税制調査会の結論を踏まえてこれに対して十分検討し、適切な措置をいたしたいと、このように考えております。(拍手) 〔国務大臣谷川和穗君登壇、拍手〕
○国務大臣(谷川和穗君) 沖縄県に所在いたしまする米軍基地についてお尋ねがございましたが、この施設区域は、先ほど総理も御答弁ございましたごとく、日米安全保障条約の目的を達成するために必要なものと、こう考えておるわけでございますが、施設区域の密度が高い沖縄県の実情は十分に承知いたしております。今後とも日米安全保障条約の目的達成と、それから沖縄振興開発計画等との調和を図りながら、日米間で了承されました施設区域の整理統合計画の実施に努めるとともに、施設区域が存在することに伴う地元住民への影響を極力軽減するための努力を続けてまいりたいと、こう考えておる次第でございます。(拍手) ─────────────
○副議長(阿具根登君) 青木薪次君。 〔青木薪次君登壇、拍手〕
○青木薪次君 私は、日本社会党を代表いたしまして、中曽根総理大臣に質問いたします。単なる総論でなくて、国民が最大関心を持っている幾つかの緊急の課題であります。包み隠さず本音で語り、真意で答えていただきたいのでございます。 まず最初に、十月十二日、いよいよ歴史的なロッキード判決が行われます。新聞その他マスコミの情報によりますれば、有罪説が濃厚であります。田中角榮元総理を初めといたしまして、汚職の政治構造に断罪が下されるのであります。政治は力なり、力は金なりといった論理に別れを告げるという意味で内外の注目を集めているゆえんでございます。野党はそろって田中角榮氏に対しまして議員辞職勧告決議案を提案いたしておりまするけれども、これは野党だけの問題ではありません。戦後史の転換を声高らかに主張される中曽根総理御自身が、金権政治に反対し政治倫理を求めるという意味で国民の声に明確にこたえるべきチャンスだと思いますが、御答弁ください。 防衛問題について若干の質問をいたします。 本年十一月に予定されるレーガン大統領の訪日の目的は、友好訪問ということより、むしろ北西太平洋の防衛についてアメリカの肩がわりを日本に要請するという、その立場において、シーレーン一千海里の防衛の具体化、あるいはまたこれに関連するところの、アメリカ艦船が攻撃を受けたときは日本の自衛隊が反撃するといったような問題が議論されると思うのでありますが、事実とすれば、集団自衛権の行使となり、明確に憲法違反となると思うのでありますが、中曽根総理の見解を伺っておきたいと思うのであります。 また、さきの日米の防衛首脳会議におきまして、厚木基地の代替訓練飛行場の問題で、私の郷里静岡県の浜松基地や静浜飛行場に対して、夜間演習を初めといたしましたミッドウェー艦載機の訓練飛行場として使用許可の申し入れがあったと伝えられました。地元は、心配の余り、まさに騒然となっておるのであります。さきの自衛隊機のブルーインパルスによる墜落事故で火災と死傷が起こりました。住民は不安な生活を送っているのでありますが、主権国家として、この際、F16三沢配備も含めて明確にノーと答えるべきだと思いますが、総理の答弁を求めます。 次に、減税問題に入りますが、総理、あなたは景気浮揚に役立つ大幅減税を年内に実施するという二階堂幹事長の約束を明確に確認すべきだと思うのでありますが、答弁してください。そしてこの内容は、一兆円以上の所得減税を年内に実施すると受け取れますが、これまた確認をいたしたいと思うのであります。 また、大蔵大臣に伺いますが、たとえば住宅ローン減税とか、年金受給者など高齢者減税あるいは教育減税などについて御検討なさっているかどうか、ひとつ前向きに御答弁願いたいと思います。 さらに、一般消費税の導入、物品税の増税などについて、税調のメンバーの非公式発言が目立っております。総理は、中型間接税の導入と言われるような先ほどのニュアンスある答弁が行われましたが、御答弁ください。 さきに、災害対策や国土保全についていろいろな御意見がございました。現下の政策課題は、内需拡大による景気浮揚を図ることが大切であります。すでに四年間据え置かれた公共投資予算も、いよいよマイナス五%のシーリング設定のようであります。景気対策を口にする政府が、軍備拡大のみに狂奔し、六・九%も突出した予算を編成することは全く問題であります。国土保全と災害対策、生きがいのある環境づくりと景気対策を考えて、上半期七二・五%の公共事業先食い分を含めた後半期に予算補正をするのかどうか。また、来年度の公共事業予算の編成態度について説明していただきたいと思います。 他方、わが国の社会資本の整備水準はきわめて低く、公園、下水道等の整備率は発展途上国並みであります。国土保全と防災上不可欠な治山治水の施設整備の立ちおくれが目立っております。 八月初めに、わずか震度四の地震で神奈川県と静岡県一帯の電気がとまりました。御飯も炊けません。一片の情報も入りません。これは変電所がとまっただけであります。しかも今日、島根の災害に見られますように、時間雨量五十ミリにたえる中小河川の整備率はたった一八%であります。急傾斜、土石流対策も含めて、今後の社会資本の整備に対する基本的考え方を総理並びに建設大臣にお聞きいたしたいと思うのであります。 次に、人事院勧告及び仲裁裁定に関して伺います。 中曽根内閣は昨年、人事院勧告を凍結し、また仲裁裁定の実施と引きかえに期末手当等を削減するという不当な措置を強行したのであります。この結果、国家公務員、地方公務員及び三公社四現業の労働者のみならず、恩給や年金受給者のほか、各種手当受給者など三千万人の弱者に犠牲を強いておるのでございます。 このような不当な措置を受けて、人事院は本年八月、昨年の凍結分も含めて六・四七%の給与引き上げを内容とする勧告を行い、公共企業体等労働委員会も六月三日、四・一三%の仲裁裁定を行い、速やかに完全実施を求めております。 労働基本権の制約代償措置である人事院勧告や仲裁裁定は完全実施すべきもので、凍結や抑制すべきものでなく、特に人事院勧告は二年も続けて凍結や抑制はあり得ないと思うが、中曽根総理の見解を承りたいと思います。 次に、国鉄問題で質問いたします。 九十八通常国会で行革のいけにえにされた国鉄は、いま困難の最中です。全国七十三線の地方交通線の廃止といい、貨物輸送の大合理化といい、国民の怨嗟の声は極点に達しておるのであります。自民党国会議員の多くが、地元民の声に押されて、自分のところだけは体を張って守ってみせるなどなど声を大にして叫んでいるではありませんか。中曽根総理は、これら国鉄の大合理化に当たっては、地域住民や産業、経済に与える影響を考え、国民との合意形成を前提とする気があるかどうか、聞きたいのであります。 昨年の台風で東海道本線の富士川の鉄橋が流れました。わずか二、三分後に特急が通過しようとして、国鉄職員の努力で一千人の旅客の命が助かりました。国鉄は、耐用年数を超えた鉄橋、トンネル、線路がたくさんあります。取りかえ、補強の必要について、安全対策上設備投資を赤字だから切り込むといった考え方に対してどう対処するか、答弁をしていただきたいと思います。 国鉄再建のため十八兆円の累積債務の処理の具体化と債務の一部免除と再棚上げ、利子支払いの一時延期等々の応急措置について、国鉄再建監理委員会は黙して語っておりません。ひたすらに国民と国鉄労働者のみがその負担を背負っていま苦しんでいる状態にあります。総理は、これら構造欠損についてどう考えているか、御答弁願いたいと思います。 次に、中曽根内閣は、偏った、誤った行政改革を推進し、危険な軍事大国化への道を進んでおります。昭和五十九年度厚生省予算概算要求では、六千二百億円が削られ、被保険者本人現行十割給付を一挙に八割としたり、一日六百円、月一万八千円の入院患者の食事代を、どこへ行っても食事はするなどと全く不当な口実で大改悪をしようといたしております。中曽根総理が了承したと言われておりますこの措置は、戦前戦後を通じてこんな冷酷無慈悲な内閣は私はないと思います。やりくりの入院費、保険外負担の差額徴収や付き添い負担で苦しんでいる人のことを考えて、ぬくもりのある総理の御所見を聞きたいと思います。 次に、高齢化社会を迎えての年金問題について伺います。 わが党は、かねてから年金行政の実質的一元化、全年金に共通する基本年金制度の導入、年金と雇用との一元的改革などの三原則を中心に、現行水準維持に向けて皆年金下における年金像を主張してまいりました。場当たり的でない、年金庁設置を含めた年金行政のビジョンを中曽根総理から聞きたいと思うのであります。 次に、教育問題について聞きます。 いま教育の荒廃は深刻です。校内暴力一つとってみても、中学校で七校に一校、高校では十校に一校の割合であります。非行の原因は複雑でありまするが、何といっても学歴社会と結びついた競争主義が、子供、青年から伸び伸びとした個性やみずみずしい情感、相互の連帯感を失わせ、落ちこぼれた子供は自分の全人格が否定されたかのごとき絶望感で私は暴力に走っていると思うのであります。子供を小さいうちから振り分け、能力即学力、学力即点数として序列をつける偏差値教育がいけないのであります。 ところが、こうした文教政策をとってきた自民党は、参議院選挙のときに偏差値攻撃を行ったことはきわめて矛盾だと思います。総理の言う戦後教育の見直しとは一体何だろうか、国民は非常に不安がっております。教育の機会均等を言う憲法の理念の否定なのではないだろうかと心配いたしておりますが、答弁をしていただきたいと思います。 過日の日教組大会の会場問題は、先ほども問題になりました。民主国家にとって異常な事態であります。県議会が右翼の暴力に屈し、民主主義を否定する自殺行為を私は行ったと思うのであります。かかる事態について、総理はどう受けとめ、どうなさるおつもりか、御答弁願いたいと思います。 次に、中小企業対策について質問いたします。 昨年度以来国内需要が減り、加えて輸出が減少し、わが国経済は停滞し、特に中小企業の景況は厳しくなっております。個人消費の低迷、住宅不況に耐えた努力の三年間でありましたが、本年六月に千六百三十三件の倒産件数を数え、七月もほぼ横ばいであります。原因としては、販売不振と赤字累積で息切れが目立っているのでありますが、中小企業の設備投資は六割以上が借金であり、最近の割り高金利も響いておることは間違いありません。まず中小企業に仕事が流れる官公需対策を含めた経済対策、物品税増徴反対あるいはまた投資減税を含む税金対策などなど、心のこもった中小企業対策を総理より答弁として求めます。 次に、農業問題について質問いたします。 国民食糧の安定確保は食糧安保と言われるゆえんであります。わが国の食糧自給率はカロリーベースで五〇%に落ち込んでしまいました。まさに終戦直後の水準となったのであります。このため国会では、食糧自給力強化と輸入自由化反対の決議を行って、政府に猛省を促してまいりました。 総理は、「食糧は自給が基本である」と言い、農水大臣は、「枠拡大は反対でガット提訴は受けて立つ」と国民に確約いたしました。ところが、参議院選挙の終わった七月一日に、アメリカは日本政府とまさにしめし合わせたかのごとく、ガットに十三品目を提訴してしまったのであります。途端に政府は姿勢を変えてまいりました。レーガン訪日の手みやげとして、農産物一部自由化と枠の拡大を考えているようであります。ミカンや畜産酪農農家のことを考え、牛肉、オレンジの自由化圧力には絶対屈してはなりません。さらに、わが国農業の基本である米の問題について、最終的には貿易自由化を迫ってくると思うのであります。総理は、レーガンに追従することなく、日本国の総理大臣として決意の表明を全国民に対してしていただきたいと思います。 以上をもって私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
○国務大臣(中曽根康弘君) 青木議員の御質問にお答えをいたします。 最初は政治倫理の問題でございますが、先ほど来申し上げておりますように、第一審判決の期日が近づいておれば近づいておるだけ、静かにこれを見守る、そういう態度が正しいと思っておる次第でございます。 次に、レーガン米大統領の訪日でございますが、レーガン大統領が訪日される場合には、やはり世界的な問題、あるいはアジア全体の問題、あるいは日本とアメリカとの関係等について大局的な話し合いをする予定でございます。軍縮の問題もございますし、核兵器廃絶の問題もございますし、世界経済高揚の問題もございますし、南北問題もございますし、アジアの平和安定の諸方策もございますし、科学技術の問題もございます。米艦護衛というような区々たる問題を話すつもりはございません。 それから次に、厚木の代替施設の問題、三沢の問題の御質問がございました。これらのものは、総じて言えば、日米安保条約を有効に機能させるための必要な施設であり、また訓練設備の維持であると、こう考えておりまして、できるだけ住民の皆様方の協調をいただきまして、その目的を達するように努力したいと考えておるところでございます。 厚木の問題につきましては、確かにもうある限度に到達しておりまして、代替地を探すためにいま懸命の努力をやっております。私自体も、もうこれは放置は許せないとこう考えまして、先般防衛施設庁長官を呼びまして作業の状況を自分でも点検いたしました。そして今後の努力の方向について種々打ち合わせをしたところでありまして、できるだけ早期に解決するように、方向を見出すようにとりあえず努力しつつあるところでございます。 F16の三沢配備のための施設整備は、日本の防衛力を維持し、抑止力を保持していくために必要な措置でございまして、この点につきましても三沢の市民の皆様方の御協力を仰ぎたいと思っておる次第でございます。なお、地元のためにはできるだけ防衛庁をして協力させるつもりでおります。 減税問題につきましては、幹事長の約束は自民党総裁としても総理としてもこれをできるだけ尊重いたしたいと思っております。ただ、その具体的内容につきましては、いま税調におきまして鋭意検討しておるところでございますので、この中間答申を促進していただきまして、中間答申をいただいたら決断をいたしたいと思っております。 いわゆる大型間接税というようなものは考えてはおりません。 次に、景気浮揚及び補正予算の問題でございますが、前に申し上げましたように、四月五日の経済対策を鋭意いま実施しておるところであります。災害につきましては、いまできるだけの措置を既定の予算の範囲内においてやっておりまして、地元の皆さんに御迷惑をかけないように努力をしております。補正予算につきましては、まだ不確定の要素が多々ございまして、ここで申し上げる段階には至っておりません。 人事院勧告の問題につきましては、勧告制度尊重という基本的立場に立ちまして、国政全般との関連で検討してまいりたいと思っております。 仲裁裁定につきましては、国会の御判断を仰ぐべきものとして提案申し上げているところでございます。 国鉄の合理化につきましては、すでに約十八兆に及ぶ累積債務を抱えまして、一 日にたしか五十七億円の利払いを要するという、こういう状況でございます。したがって、国鉄の改革は急務を要する問題でございます。現在、監理委員会におきましてこれが対策を講じていただいておるところでございますが、従来いろいろ講ぜられてまいりました地方交通線あるいは貨物輸送体制等につきましては、やはり各方面の御協力を求めて必要な改革は実施しなければならないと思っております。これもしかし、効率的な交通体系全体を考えた上の措置を実行していきたいと考えておるわけです。 この構造的欠陥につきましては、監理委員会において検討しておりますが、これまた非常に厄介な問題ではございます。ございますが、しかし時間をかけて一歩一歩解決案を実現していって、終局的にはこの問題を打開するという考えに立って粘り強い改革案をお願いいたしたいと思っておる次第です。 健康保険制度その他の問題につきましては、すでに申し上げましたが、国民全体の、特に高齢化社会に対応し得る必要な健康保険制度を持続的に安定的に維持していくために、やはり現在の状態から見ますと、高齢化が急激に迫ってきておりますために、この制度自体が危機に瀕するという状態になってきておるわけです。したがいまして、必要な改革を加えまして、この制度を長期的に安定的に維持する方法を講じていきたいという考えに立ちまして行わんとしておるものなのでございます。 年金改革の問題につきましては、公的年金制度について、わが国の高齢化のピークを迎える二十一世紀におきましても安定的な運営を図っていくための政策として考えておるわけであります。このため、政府は、昨年九月及び本年五月の閣議決定に基づき、年金問題担当大臣のもとに、公的年金制度の一元化を展望しつつ、年金行政機構の一元化問題を含め制度全般の見直しを行う基本方針のもとに現在鋭意検討中でございます。 学制の問題につきましては先ほど御答弁申し上げましたが、この厳しい受験競争のために、一部に偏差値を過度に重視する傾向があることは否定できません。教育問題につきましては、国や教師の側からのみならず、受ける児童や生徒、親の立場に立って深く考えてみる必要があると考えております。この意味におきまして、受験制度のあり方、そのほか教育の機会均等等の問題につきましてもよく検討してまいりたいと考えるわけであります。 日教組の大会につきましては、岡山県議会が七月十一日に決議をいたしましたが、これは県民を代表する議会の議員の皆様方が自由な意思の表示として独自の権限に基づいて行ったことでございまして、われわれがとやかく言うべきことではございません。地方自治を尊重するということが政府の基本的たてまえであるわけでございます。しかし、暴力によって言論、集会の自由が妨害されるということはこれは放置できない問題でございまして、この暴力の排除につきましては、政府は厳正に今後も実行してまいるつもりであります。 中小企業対策につきましては、中小企業の円滑な事業の承継及び設備投資促進のための税制改正の措置、それから政府系中小企業金融三機関の貸付規模の十分な確保、技術革新、消費者ニーズの多様化等の環境変化への対応の促進等、中小企業の活力の維持強化に最大限努力しております。この四月の経済対策閣僚会議の決定に基づきまして、官公需対策、下請企業対策等についてもきめ細かい対策を推進中でございます。 農産物の自由化問題につきましては、日本の生産性及び農民の生活安定の問題と国際的調和との問題をうまく整合性を持たせて打開するように努力してまいりたいと思っております。 牛肉、柑橘等の自由化につきましては、わが国の生産事情から応じがたい問題があります。私は、正月にレーガン大統領にも、できないことはできないのだと、そういうことも言ってきておるところであります。今後の日米協議におきまして、わが国の実情もよく説明し、また先方の意見もよく聞いて、合理的な調整が行われるように努力してまいりたいと思っております。 残余の質問は関係大臣から答弁いたします。(拍手) 〔国務大臣内海英男君登壇、拍手〕
○国務大臣(内海英男君) お答えいたします。 社会資本の整備及び国土保全施設の整備という御質問でございますが、近年、わが国の社会資本の整備水準は漸次向上しつつありますが、御指摘のとおり、本格的整備の歴史が浅いこともございまして、欧米先進国に比べても依然として立ちおくれておる状態であります。このため、厳しい財政事情のもとではありますが、二十一世紀に向かって社会資本の計画的かつ着実な整備を推進していくことが必要と考えております。 特に、国土保全につきましては、国民の生命と財産を災害から守る上できわめて重要でございまして、近年の災害の発生状況にかんがみまして、治水事業及び急傾斜地崩壊対策事業等を強力に今後とも推進していく考えでございます。(拍手) 〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
○国務大臣(竹下登君) お答えをいたします。 私に対する御質問は、住宅ローン減税等々の問題であります。 住宅ローン減税につきましては、本年度の税制改正におきまして、住宅取得控除についてのローン控除の控除率を七%から一八%に、控除限度額を五万円から十五万円に引き上げて、その改善合理化を行ったばかりでございます。 それから、次の高齢者の問題につきましては、老年者控除、老年者年金特別控除を認めるなど、税制上配慮されているところでございまして、今後はむしろ世代間の負担のバランスをどうするか、これがより重要な問題となるではなかろうか、このように考えております。 次が教育費控除についてでございますが、これは税調の答申でも、このような新規控除の創設は適当でない、このような答申をいただいたわけであります。 しかしながら、いずれにいたしましても、所得税制のあり方につきましては、現在審議を急いでいただいておる部分をも含めて、税制調査会において全体の中長期的なあり方を御審議いただいておるさなかでございますので、今後の税制改正を具体的にどのように行っていくかということになりますと、中期的な税制のあり方に関する検討結果を踏まえて、そして歳出面における節減合理化の状況、今後の税収の動向等を見きわめた上で、各税目の負担水準等について配意して判断すべきものでありまして、いまの時点で個別の税目について確たることを申し上げることはできない、これを御了解いただきたいと思います。(拍手) 〔国務大臣長谷川峻君登壇、拍手〕
○国務大臣(長谷川峻君) 私に対する御質問は、国鉄の安全投資についてのことだろうと思います。 青木さんも御存じ、さらにまた総理からも御答弁ありましたように、一日に五十七億の赤字を出す国鉄でございますから、これは一般の設備投資は節約しながら、そういうときでも列車は走るわけですから、安全投資だけは最優先でやってまいりたい、こう思っております。(拍手) 〔国務大臣宇野宗佑君登壇、拍手〕
○国務大臣(宇野宗佑君) 中小企業問題に関しましては、すでに総理からもお答えがございましたが、若干補足をさせていただきます。 まず、官公需でございますが、ことしは御承知のとおり厳しい予算の制約がございましたけれども、昨年の実績を若干上回りまして契約目標比率を三七・三%と定めました。今後はこの目的達成のために最大の努力をいたします。 また、政府系の中小企業金融三機関に関しましての金利でございますが、これは御承知のとおり特別の措置を講じた次第でございます。と申し上げますと、長期プライムレートに大体連動するというのが原則でございますが、そのプライムレートは現下八・四%でございます。しかし、午前中の総理の答弁にもございましたとおり、それを下回って今日措置をいたしております。 その次には、税制に関してでございますが、本年度の税制改正に際しまして、すでに設備投資の促進、また承継税制に関しましてもその措置を講じさせていただきました。しかしながら、中小企業を取り巻く情勢は厳しゅうございます。このことを常に考えながら、明年度の税制におきましても、生産性の向上、さらには体質改善または合理化等々のそうした問題が十二分に措置されるような内容を持った税制の充実を図りたい、こういうふうに考えております。(拍手)
○副議長(阿具根登君) 答弁の補足があります。中曽根内閣総理大臣。 〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
○国務大臣(中曽根康弘君) 答弁を補足させていただきます。 シーレーンの問題について御質問がございました。 有事に際して、米艦船が日本防衛のために駆けつける等の際に外国艦船から攻撃を受けた、こういう場合に日本の自衛隊がこれを救うことは憲法違反であり、集団的自衛権に入ると、こういう御質問でございますが、有事に際して日本防衛のために来る米艦船に対しまして、日本防衛という目的に立って自衛隊が適切な地域内において米艦船を守るということは、日本防衛の一環をなすものでありまして、それは個別的自衛権の範囲内であり、日米安全保障条約を有効に機能させ、日本防衛の目的を達成させるという目的にかなっておる行為でありまして、これは憲法違反ではないと法制局長官も認めるところであります。(拍手)
○副議長(阿具根登君) これにて質疑は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時五十二分散会