法務委員会 第3号
- 発言数
- 43 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1983/11/26
会議録
○委員長(大川清幸君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨二十五日、竹山裕君及び工藤万砂美君が委員を辞任され、その補欠として園田清充君及び徳永正利君が選任されました。 また、本日、園田清充君、安井謙君及び関嘉彦君が委員を辞任され、その補欠として仲川幸男君、大城眞順君及び柳澤錬造君が選任されました。 ─────────────
○委員長(大川清幸君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。秦野法務大臣。
○国務大臣(秦野章君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して説明いたします。 政府は、人事院勧告の趣旨等にかんがみ、一般の政府職員の給与を改善する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を提出いたしました。そこで、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改善する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は、次のとおりであります。 第一に、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給は、従来、特別職の職員の給与に関する法律の適用を受ける内閣総理大臣その他の特別職の職員の俸給に準じて定められておりますところ、今回、内閣総理大臣その他の特別職の職員について、その俸給を増額することとしておりますので、おおむねこれに準じて、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給を増額することといたしております。 第二に、判事、判事補及び簡易裁判所判事の報酬並びに検事及び副検事の俸給につきましては、おおむねその額においてこれに対応する一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける職員の俸給の増額に準じて、いずれもこれを増額することといたしております。 これらの給与の改定は、一般の政府職員の場合と同様、昭和五十八年四月一日にさかのぼって行うことといたしております。 以上が、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願いいたします。
○委員長(大川清幸君) 以上で両案の趣旨説明は終わりました。 この際、暫時休憩いたします。 午前十時十六分休憩 ─────・───── 午後十一時開会
○委員長(大川清幸君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、梶木又三君、藤田正明君、前田勲男君及び宮本顕治君が委員を辞任され、その補欠として岩崎純三君、水谷力君、吉村真事君及び近藤忠孝君が選任されました。 ─────────────
○委員長(大川清幸君) 休憩前に引き続き、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○寺田熊雄君 法務大臣にお尋ねをいたします。 現在、この委員会の審議の対象となっております裁判官、検察官の給与引き上げに関する法律案ですね、これは、大臣の提案理由の御説明によりますと、一般の職員の給与に関する引き上げの措置がなされておるので、それに準じて裁判官、検察官の給与を引き上げることになったという御説明になっていますね。ところが、一般の職員の給与は、御承知のように昨年度、昭和五十七年度人事院勧告は、これは全く完全に無視されたわけであります。五十八年度も人事院勧告は六・四七%の引き上げをすべきである、こういう趣旨の勧告がなされておるわけでありますが、ただいま上程せられております法律案は、一般の職員の給与、これは二%の引き上げにとどまっておるわけであります。したがって、裁判官、検察官の給与引き上げも同じように二%アップということで改正案がいま提案されておるわけであります。 これは法務大臣は法律家でいらっしゃるから、私があえて多くを説明する必要はないと考えますけれども、人事院制度、ことにその中核をなす給与に関する勧告の制度ですね、これは憲法二十八条によって勤労者に与えられた団結権、団体行動権、これに、なかんずくストライキ権を公務員法によって剥奪をしておる。これに対する代償措置として与えられたということは、これは最高裁の判例にもありますし、ILOの決定にもしばしば出てくることであり、国際的に承認を得ておることであります。しかるに、憲法二十八条の勤労者の中には公務員も含まれるということは、これは累次にわたって最高裁の判例がこれを是認しております。これは疑いがない。 そういうスト権の代償措置として与えられた現行の人事院制度、その中核をなす勧告を五十七年度は全く無視し去ってしまってしまう。五十八年度に至っても大幅な値切りをいたしておる。このような状態では人事院勧告制度が事実上完全にじゅうりんされてしまっている。岸盛一最高裁の裁判官方の少数、これは補足意見でありましたけれども、政府が努力をしなかった場合、誠実に努力をしなかった場合は、公務員はストライキをやっても処罰されないのだという言葉で極言しておるわけであります。 私どもは、この法律案をそういう意味で非常に遺憾に考えておるのでありますが、法務大臣は国務大臣として、やはり憲法を尊重し擁護する義務というものを憲法上与えられておりますね。どんなふうにお考えですか。法務大臣のその点に関する御所見をまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(秦野章君) 大変微妙なお尋ねでございますけれども、政府が今度のこういう態度をとったということが、憲法に触れるというような前提があってこういう態度をとるということはあり得ないわけですね。しかし、おっしゃるように結局こういう態度をとった背景の事情というのは、要するにまあ財政事情が異例として厳しい、そういう状況下において真にやむを得ないという、そういう政治的理由がぎりぎり必ずしも憲法違反だと、こう言い切れないものがあるという、そういう論理しか成り立たぬと思うのですよ。私も、いまおっしゃったように代償措置としてできた人事院の勧告の問題につきましては、よくおっしゃる意味もわかるのでございますけれども、だからといって前提としていまの厳しい財政事情のもとに真にやむを得ないという状況があるものですから、そこで憲法論というか憲法違反というような問題をやっぱり何とか避けられるのじゃなかろうか、こんな気持ちで考えるほかないだろう。しかし、大変これは苦しい問題だと思いますね。 私としてはもうそれ以上のことはちょっと言えないような感じがいたします。
○寺田熊雄君 こういう法律案は、当然これは閣議にかけて決定されたわけでありますが、政府としては人事院勧告をぎりぎりまで尊重するためにどれだけ努力をなさったんでしょう。あなたが国務大臣としてこの法律案にやはり同調なさったゆえんのものは、やはり政府はぎりぎりまで努力してなおかつこの人事院勧告制度を無視せざるを得なかった、その間の事情は、やはり国務大臣として把握しておってしかるべきものだと私は考えるのですよ、いかがでしょう。 それからまた、こういうものについて、大臣は大臣として、少なくも人事院勧告制度が無視されたという事実については遺憾の意の表明ぐらいはあってしかるべきじゃないでしょうか。これを当然だとは思われないでしょう。いかがですか。
○国務大臣(秦野章君) まあ、決定といいますか、政府の決める経過の中では、給与の関係の閣僚会議を開いたり、その前には関係者が集まっていろいろ相談をしたりして十分に努力をしたが、最大限の努力をしたがやっぱりこれしかできないんだ、財政当局等の事情を聞きますと、正直言って仕方がないんだろう、最大限の努力をしたが仕方がないんだなというぎりぎりの線でわれわれは了解するほかはなかった、こういうふうに御理解をいただくほかはないと思うのでございます。
○寺田熊雄君 これは一般の民間の会社のような場合とどう比較していいのか。いろいろ考え方がありますけれども、一般の会社の場合、従業員の賃金が支払えない、あるいは団体交渉で協定をした額まで支払い得ないという場合には、やっぱり銀行から借り入れして支払うというような場合がありますね。この閣議の場合に、こういう公務員の生活を守るため、人事院勧告を尊重するために赤字国債を発行して三千億余の資金を捻出することはできないかというような議論はありましたか。それも全くありませんでしたか。
○国務大臣(秦野章君) もちろん考え方として赤字公債の問題、あるいは何か緊急借り入れみたいな、そういうことも、事務当局というか、われわれの閣僚に来る前段階においていろいろ考えてみて、しかしいまの財政事情ではとにかくぎりぎりもう来ちゃっているものだからしようがないんだ。最大限の努力を払ったがどうにもならぬということは、これは私どもとしてもしようがないんだなという、決してこういうようなやり方というものが満足すべきものじゃないということは私どももよくわかるんですよ。 特に法務省なんか労働組合のない職員がいっぱいいるのだし、私もそういう人たちと会っていろいろ意見も聞いたりして、困ったものだなという痛切な気持ちの中で関係閣僚会議なんかに臨んで、一人一人の閣僚にも、私は、実は何とかならぬだろうかと、法務省なんかそもそもそういう役所なんだ。たとえば刑務所の看守の人たちなんかも、組合がなくてなかなか厳しい仕事をしているわけですから、何とかこれ政府の示したような程度の問題では、昨年からの続きの問題で何とかならぬものだろうか、いま少しでもいいからということは私もいろいろ努力はしたんですけれども、しかし財政の細かな状況になりますと正直言って私もよくわからないですよ。これはわからないと言うと無責任のようだけれども、法務大臣としては財政の責任ということになれば、やっぱり連帯性で若干の責めはあるかもしらぬけれども、技術的な問題になりますとなかなかわからぬ点もあって、とにかく最大限の努力でこれしかできぬということになればしようがないんだなということで、私自身が実に谷間に挟まったような気持ちで、正直言って組合の幹部の人たちとも私会っていろいろ話をしたんですよ。気持ちもよくわかるんです。 だから、その気持ちを反映させるというのが私どもの責任ですから、特に組合がないところでは人事院と、それからその組織の長ですね、私はやっぱり責任があると思うんです。そういう意味において、私も一人一人の関係閣僚にも頼んだりしてやったんですけれども、まあしかししようがない、ことしはこれでいかざるを得ぬというのがこの結論なんです、率直に申し上げて。
○寺田熊雄君 それではその問題はひとまずおきまして、法務大臣は行政庁の長として多くの職員のいま頂点に立っていらっしゃるんですね。それはやはり人事権も持つ、指揮権も持つ、そういう立場にいらっしゃるのでありますので、ただ一介 の政治家というわけにはまいらぬと思うんですよ。 ところが、これは先般もお尋ねしたように、そういう一般職員の頂上にあり、人事権や指揮権を持って部下から仰がれておる存在であるあなたが、どうも政治家に古典道徳の正直や清潔さなどという徳目を求めるのは、八百屋で魚を求めるに等しいとか、あるいは政治家は下賤の徒であるというようなことをおっしゃると、一体そういうことをみずからおっしゃる方が果たして部下から尊敬をかち得るだろうかと、本当に心服してあなたの命令に部下が従うだろうかという疑念を生ぜざるを得ないわけです。大臣は、INF交渉であると、これはみんなが相当いろんな術策を弄するじゃないかというふうなことをおっしゃる。だから、政治家に必ずしも正直なんという徳を求めても無理じゃないかとおっしゃる。 なるほど、たとえばグラナダへの侵略、あれはアメリカ人の生命が危殆に瀕したとレーガンが言っておるけれども、だれ一人死んだ人もいないし危殆に瀕したという具体的な実情も報道されておらない。しかしそう言って侵略をやった。いろんなそういう点を見ますと、何か正直の徳目を求めるのは無理だという大臣のおっしゃり方も、その面において一見もっともなように見えるのですが、しかしそれは何らかより大きな法益といいますか、国家的な利益を求めるため真にやむを得ないという場合にうそをつくというようなことが許される場合もないとは言えないと私は思うんですよ。 たとえば公定歩合の引き上げをするといえば、日銀総裁があらかじめはっきり言うことはできない。だから決まっていても決まっておりませんと、あの人はいつも決まるまではそう言って逃げている。われわれもそれは了とせざるを得ない。中曽根さんも、解散はたとえ腹の中にあってもいつ解散するということは言えないでしょう。それはまたそれなりに合理的な理由があると思いますが、しかし、政治家が自分自身の利益のために不正直な態度をとる、あるいはとるべからざる金を得る、それはとうてい許されないし、また考えてごらんなさい、政治家は一般に大衆に約束した公約というのはこれはもう守るべきものですわね。これはもう大臣も承認なさると思いますよ。より大きな国家的な利益を追求する必要がある場合でないのに公約を平然と被る、仮証文を出す、これは私は政治倫理に反すると思う。 鈴木さんが五十九年度赤字国債脱却という公約をなさって、できないから責任を取るとおっしゃる。これは、私はやっぱり当然そうあってしかるべきだと思う。正直さが要求されるわけですよ、政治家にね。亡くなった池田さんは、私は絶対にうそは言わないということをしょっちゅう言っておられた。私はうそを申しませんという池田さんの言葉、まだ私は耳朶に残っております。中曽根さんでさえも、私はこういう性格だからやると言ったら必ずやりますと言って、何か自分の正直さを宣伝していらっしゃる。これは減税について。やはり、政治家は正直さがなければ国民から信頼されないだろうと思うんですよ。 よく、トルーマン大統領が正直な男だということが、アメリカ人のトルーマン大統領に対する信頼の基礎になっているということを言われますね。ジョージ・ワシントンの、初代大統領のあの正直さをわれわれ子供のとき小学校の教科書で習いました。だから、政治家に正直さを求めるのは八百屋で魚を求めるに等しいという、それを求めるのは不合理なことであるというあなたのおっしゃり方は、事実としても間違っておるし、大変誤解を受けるし、政治家に対する信頼を損ないますよ、これは。私ども政治家の端くれとしても、正直でなくてもいいんだ、清潔なんかどうでもいいんだということは、断じてこれは承諾、承認することができないわけですよ。あなたは、やはり乙ういう政治家の信頼、国民からの信頼を損なう言葉、これは誤りとして私は取り消してほしいと思います。お取り消しになる意思はありませんか。いかがでしょう。
○国務大臣(秦野章君) 寺田先生もよく全体を読んでいただけばおわかり願えると思うのだけれども、人間正直でなくていいということは言ってないんですよ。そういうことは言ってない。ただ問題は、古典的な徳目と言ったのは、子供でもわかるようなそういう徳目というものは、政治の世界ではなかなかわかりにくいということも事実だと思うんです。 だけれども、たとえば大げさなことを言えば、「修身斉家治国平天下」という、東洋のそういう道徳みたいなものがありますね。これは私は国家の永遠の理想だと思うんですよ。プラトンの哲人政治というのも永遠の理想だと思うんです。永遠の理想なんだけれども、同時にそのことのほかに、政治というものではいろいろわからないようなことがある。それもまあ子供にはわからないような。古典道徳の徳目というのは、要するに子供でもわかるような徳目、こういう意味があるわけですけれども、なかなかわからないことがあるので、むしろ政治の世界ではそういうことにかなり戦術といいますか、戦略といいますか、そういうものも必要なので、たとえば正直なところ、国会が開会をしましたね、そして、開会をしたら私は審議をするのはあたりまえだと思います。ところが、やっぱりいろんな事情があって審議拒否。今度の国会でも審議をした日よりもしない日の方が多いわけです。これはなかなかわかりにくいんですよ、古典道徳というか、子供にわからせるような話からいくと。そういう問題が政治の世界ではいっぱいあるわけですよ。 けれども、この問題の中で一つ反省すべき問題は、議会政治のたてまえあるいはスローガンというものはいろいろ簡単に言えるのですけれども、どうもそれがたてまえとスローガンだけになってしまうと、本当の議会政治、やっぱり議会で本当に審議をしていくという本来の議会政治というものが見失われてしまう。民主主義というものは何かたてまえとかスローガンがわりあい好きなような感じがするんですよ。そういう意味で、私は、この際現実を一遍直視して見る、現実を直視して見るということで、そういう気持ちで現状直視のリアリティー、政治のリアリティーを私は話し言葉で語ったわけですから、文章、論文じゃありませんので、話し言葉で語りましたので多少不十分な説明不足はあるわけですけれども、とにかく現状を直視して、そこからやっぱり理想を描いていかなければ、理想の実践を求めていかなければならぬ。お金がかかるという問題でも、やはり金がかからないような政治をどうしたらいいのかという、そういう具体的な理想を引っ張り出さないと、ただ、かかるかかると言ったってしようがない。 たとえば選挙区制の問題なんかでも、私はやっぱり中選挙区はいま先進国で日本だけだから、それは衆議院の場合ですね、そういうようなことにもコストダウンを図る道はないであろうか等々、いろんなそういうお金がかからないような方向に行くための施策を生み出すには、リアルに現状を見てみるということから出発するために、そういう意味で私は話し言葉で語ったわけでございます。すぐに八百屋と魚ばかり出てきちゃうんだけれども、八百屋と魚の前に古典道徳の徳目から言えばという意味は、子供でもわかるようなそういう正直さ、清潔さというものがなかなか政治の社会では実現せぬのは残念だと、そういう意味で申し上げているわけでございます。
○寺田熊雄君 何か理事会の御決定ですと十一時二十六分までだということで、大変これは不本意なことなのですが、最後の質問になると思いますが、大臣、あなたのおっしゃることが仮にそのとおりだとしましても、ただ、政治家全部が、政治家一般が下賤の徒である、それから政治家に正直さや清潔さを求めることはとてもできないよという趣旨のことをああいう表現でおっしゃった、これは適切じゃないでしょう。よしあなたのおっしゃるそういう意図でなさったとしても、あの表現はすこぶる不適切ですよ。それがやはり政治家、同僚の信頼や国民からの同僚政治家に対する信頼 を損なう、誤解を受けるということであるならば——これは事実そうだと思いますよ。法務大臣ともあろう方が、政治家は下賤の徒なんだ、正直さや清潔さを求めても無理なんだということをおっしゃる、これは大変な誤解を受けるでしょう。 ですから、少なくも意図に反しておったこと、表現が適切でなかったという点で、やはり私はお取り消しになってしかるべきだと思いますよ。最後にそれだけお尋ねします。いかがですか。
○国務大臣(秦野章君) 先ほど申し上げておりますように、インタビューの話し言葉でございますので、説明不足のようなところはありますけれども、いまの下賤の徒の問題ですが、これも前置きがあるわけですよ。そこを抜きにしてそこだけ拾うと、それはおっしゃるようなことになるのだけれども、前提を見てもらえば私はそんなに間違ったことを言っていない。むしろ、正直言って野党の皆さん方の仲間の方でも、名前を言っちゃ悪いけれども、あれはやっぱり本当のことだなと、こう言われる方もずいぶんおるわけですよ。これは話し言葉で言えば多少足らぬところもあるということでひとつ御理解をいただくほかはないと思うんですよ。
○寺田熊雄君 じゃ、取り消さない。
○国務大臣(秦野章君) ええ。
○寺田熊雄君 きょうは最高裁の方、それから公安調査庁の方々にもおいでいただいたのですが、いまお聞きになったように、私の質問を二十六分というふうに不当な制限を受けておりますので、大変お気の毒でしたけれども、きょうは質問ができませんので了承していただきたいと思います。終わります。
○飯田忠雄君 法務大臣と、最高裁の方おいででしたらお尋ねをいたしますが、憲法で裁判官の報酬は、定期に相当額を支払うようにということになっております。そこで、これは憲法事項ですから、やはり憲法を守ってもらわなきゃならぬわけですが、この「定期に相当額」というのは、一体どういう意味に御理解になっておりましょうか。
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 裁判官の報酬のことでございますので、まず私からお答えを申し上げます。 憲法に、裁判官は、「定期に相当額の報酬を受ける。」というふうに書いてありますこと、ただいま御指摘のとおりでございます。定期にと申しますのは、申し上げるまでもないことでございますが、ある一定の間隔をおいた一定の時期に報酬を受けるということでございます。いつでもいいという意味ではないということであろうと思います。相当額の報酬というのは何を指すかというのは、非常にむずかしい問題でございまして、一義的に決められる性質のものではございませんけれども、やや抽象的になりますけれども、結局は裁判官の職務の複雑困難性と申しますか、責任の重大性と申しますか、そういうものにふさわしい報酬というふうに解釈されておるのではないかというふうに考えております。
○飯田忠雄君 裁判官にふさわしい報酬ということでございまするならば、別に人事院勧告によってつくられた俸給表に従う必要はないわけですね。
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 裁判官の報酬につきましては、一般職の職員とは異なりまして、裁判官の報酬法という特別の法律で特別の報酬額というものを決めていただいておるわけでございます。 ただ、恐らく御指摘の趣旨は、人事院勧告等によりまして、一般職の職員の給与が上がります場合に、それと同じような比率と申しますか、ということで上げておるということの当否という御質問になろうかというふうに考えますが、その点は、裁判官の報酬法の第十条というのがございまして、一応そういうふうな形で決まっております報酬につきまして、政府の方で一般の官吏について俸給等を上げます場合には、最高裁判所は、別に法律の定めるところによって、一般の官吏の例に準じて増額するというふうに書いておるわけでございまして、今回も一般の官吏が上がりますその例に準じまして、この改正法によりまして最高裁判所が支給できるようにしていただくと、そういう趣旨でございまして、結局はこの法律の十条に従った改正をお願いしておるということになろうかと思います。
○飯田忠雄君 ただいまのような御趣旨でありまするならば、その法律をもう少し訂正されまして、たとえば国家公務員の俸給を人事院勧告でおやりになったときに変動がございますね。あの変動をそのまま横滑りをしていけばいいような、そういう法律に変えられればめんどうなことが省けるじゃありませんか。
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) その点は、たまたま対応金額というふうに申しますが、一般職の給与の中にある一定の金額がございまして、それと同額のものもございます。それと同額でないものもあるわけでございます。そういうものにつきましては、やはり法律の手当てをいたしませんことには、直接スライドすると申しましても、やはり一定の率を掛けて計算した上で法律の改正をお願いしなければいかぬということになっておるわけでございまして、一般の官吏の月給をそのままここに書いてあるというものではないわけでございますから、やはりそういう手当てをお願いしなければいかぬということになるわけでございます。
○飯田忠雄君 私が御質問申し上げましたのは、たとえば最高裁長官の報酬は内閣総理大臣の俸給に準じておりますね。そうであるなら、法律で表をつくりまして、最高裁長官の報酬は内閣総理大臣の俸給に準じて決めるということをしておけば、内閣総理大臣の俸給が上がれば同時に最高裁長官も上がるということになりますね。一々こういう法律案を出して審議する必要ないんですよ。そういう便利な方法を憲法が保障しておる裁判官の報酬ですからおとりになったらどうでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) ただいま御指摘のように、確かに最高裁判所の長官でございますとか最高裁判所の判事というような場合に、総理または閣僚と同額に決めていただいておりますために、その点に限って申しますならばそれでもできないことはないと思いますが、そうでない部分もあるわけでございまして、確実に対応していないところもあるわけでございますから、やはり手当てが必要であるということでございます。
○飯田忠雄君 人事院の方おいででしょうか。——人事院勧告をお出しになるときに、それぞれの官職に応じまして俸給表をおつくりになりますね。これは、その官職にふさわしい俸給としてお決めになったのか、それとも大体この辺の目安だということでおつくりになったのか、いかがですか。
○説明員(吉岡博之君) お答え申し上げます。 私どもの人事院勧告では俸給表をつくっておるわけでございますが、俸給表のつくり方の基本は、まず民間給与を調査をいたしまして、最初に官と民との間の給与の較差を出すわけでございます。その暇差を、さてそれではその次にどのように当てはめるか、三等級、四等級、それぞれ等級がございますけれども、それぞれの等級にどのように配分をするかという、その次に配分の問題が出てまいります。それは、民間の配分の傾向であるとか組合の意見とかいろいろなものを聞きまして、それでこの辺の等級はこれだけ上げるのが適当であろうということで、全体として官職の職務の複雑、困難、責任の度、それぞれに合致したものというふうに私どもは見ている次第でございます。
○飯田忠雄君 そうしますと、それは生活費の問題ではなくて、ある役職ならこれだけの給料が必要だというふうに判定なさって決められたんですね。いいかげんにこのあたりだろうというものじゃなしに、課長には、一等級の課長はこうだ、こういうふうに決められたというものでありますか。
○説明員(吉岡博之君) お答え申し上げます。 実際の等級別につきましては、たとえば本省庁 の課長であれば大体一等級か二等級、本省庁の課長補佐であれば、二等級も若干ございますけれども、三等級から四等級というふうにそれぞれ職務に応じて等級が割り振られているわけでございます。したがいまして、それぞれの課長の職務、課長補佐の職務あるいは係長の職務、それに応じて給与が定められているということでございます。個別にさらに昇給という制度がございましたりいたしますから、何のたれべえが幾らであるというようなところまでは簡単には申せませんけれども、全体として職務に応じて給与は決められていると、そういうことでございます。
○飯田忠雄君 そうしますと、職務に応じて俸給は決められておると。それは、その職務にはそれがふさわしい俸給であるということでございますね。だから、それよりも低ければふさわしくない、不足な俸給だということになりますね。
○説明員(吉岡博之君) 大体おっしゃるとおりでございます。
○飯田忠雄君 このたびの御提案になりましたこの法律、裁判官の報酬に関する法律の提案理由を見ますと、特別職の職員に適用するものが上がったから、あるいは一般職の職員の給与に関する法律によってそれが増額になったから、だからそれに準じて裁判官のものも上げる、こう書いてございますね、提案理由。そうなっていますね、大体の話が。そうしますと、いま人事院のお方の話では、人事院勧告がその相当な額だと、こういうふうなお話でございました。このたびの人事院勧告を政府では勧告どおり受け入れておやりになっておるのでしょうか、お尋ねします。
○説明員(吉岡博之君) お答え申し上げます。 去る八月に人事院勧告を国会に申し上げましたのは、平均六・四七%の引き上げということでございました。現在の人事院勧告そのものは、公務員について憲法に保障されている労働基本権を制約するということに対する代償措置として定められております重要な制度でございまして、給与のほとんど唯一の改善の措置であるということで、ここ十数年、公務員の労使関係の安定、あるいは高い士気の保持、あるいは公正かつ能率的な公務の運営等に欠くことのできないものということで、完熟した制度だというふうに思っているわけでございます。
○飯田忠雄君 人事院勧告がそのまま政府の方で取り入れられていないということでありますと、そのでき上がった俸給表、つまり提案されておる一般職の方の俸給表はその役職にふさわしい俸給とは必ずしも言えないということでございますね。 そうしますと、この裁判官の報酬に関する法律ですが、それが一般職とか特別職の国家公務員法に基づく俸給表、それに右へならえをしたのでは、実は憲法が保障するところの相当額を支給するということにならないのではないかと思われますが、この点についていかがでしょうか。これは法務省の方の見解を聞きます。どうですか、法務大臣。
○説明員(菊池信男君) ただいまの点でございますが、相当な報酬ということの決定要素については非常にいろいろなファクターがございまして、そういうものの総合判断の結果出てくることでございますし、その相当額という観念自体、相当幅のある観念であると思います。したがいまして、人事院勧告の指摘されるような内容の給与における官民較差あるいは物価の変動等という事情があったといたしましても、そういうような事情があるということから直ちに総合評価の結果出てまいりますところの相当額の概念に影響が出てくるというふうには必ずしも言い切れないだろうというふうに思います。
○委員長(大川清幸君) 飯田君、時間ですから……。
○飯田忠雄君 はい、わかりました、もう最後ですから。 憲法で相当額の報酬を与えろとなっておりますが、この相当額というのは生活費の問題じゃないでしょう。裁判官にふさわしい報酬を与えろですね。ふさわしい、評価の問題ですよ。それを、たとえば普通の裁判官の報酬がそれに見合う一般職の官吏の俸給とあります場合に、人事院の方で、一般職の官吏の俸給はこれだけのものがふさわしいんだ、こう言うたのを政府でそれよりも低くした場合、それに右へならえした裁判官の報酬というものは、結局相当額にならないんじゃないかという疑いが生じますが、そうしますと、それは憲法に違反するのじゃないかということになりますが、いかがですか。
○国務大臣(秦野章君) 裁判官、これは憲法上の地位を持っておりますから、おっしゃるようにそれにふさわしい立場を保持せなきゃならぬ、それは報酬もその一つだと思います。そこに一般公務員と司法官とを区別した理由があるわけですね。ところが、最初の区別とだんだん差が縮まってきたという過去の今日までの歴史がちょっとあるんですよ。これは私は大変困ったことだと思っておるんです。これは、もと開いた程度の開き方が妥当かどうかという問題はありますけれども、とにかく開いたものが月日とともにだんだん狭くなってきたということで、たとえば調整手当とかなんか、いろんな名目でくっつけているようなところもありますけれども、やっぱりきちっと報酬でそれだけのものをしないと、裁判官の地位、それからまたその地位を保持するゆえんにもならぬし、また大事な立場でありますから、いい人もまたそこへ入ってくるようにせにゃならぬ、報酬というものはそういう作用があるわけですから、正直言って。 そういう意味において、裁判官と、それからまた準ずる立場にある検察官の俸給の問題については、今日までの経過ではそういうようなことがあるので、いま少し根本的にひとつ考えてみる必要がある。これは外国の例にしても、日本の過去の歴史の経過にしても、そういうものを、資料を十分検討して、そしてことしの人事院勧告云々というそんな短期的な見方じゃなくて、もう少し日本の将来にわたっての問題として基本的に考えてみようということで、実は事務的にこれからプロジェクトチームでもつくってやってみようじゃないかと、こういうことを実は指示しているような次第でございまして、先生のおっしゃるような方向に、恥ずかしくない方向にやっぱり打ち立てていかなければならぬ、こう考えております。
○飯田忠雄君 終わります。
○委員長(大川清幸君) ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(大川清幸君) 速記を起こしてください。 本日の審査はこの程度にとどめ、明二十七日午前零時五分から委員会を開会することとし、これにて散会いたします。 午後十一時四十六分散会