大蔵委員会 第3号
- 発言数
- 216 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 1983/11/24
会議録
○委員長(伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る十月七日、三木忠雄君が委員を辞任され、その補欠として鈴木一弘君が選任されました。 また、去る十八日の戸塚進也君の議員辞職に伴い、その補欠として、去る十九日、関口恵造君が選任されました。 ─────────────
○委員長(伊江朝雄君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(伊江朝雄君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に関口恵造君を指名いたします。 ─────────────
○委員長(伊江朝雄君) 次に、昭和五十八年分の所得税の臨時特例等に関する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣。
○国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりました昭和五十八年分の所得税の臨時特例等に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 所得税負担のあり方につきましては、去る十月十七日に政府の税制調査会から所得税・住民税部会報告をいただいたところであります。 政府としては、最近の社会経済情勢等にかんがみ、この際、この報告に盛られた所得税負担のあり方の基本的な方向に即し、昭和五十八年分の所得税につきまして、千五百億円の減税を実施することとし、本法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。 昭和五十八年分の所得税につきましては、同年分の所得税に係る基礎控除、配偶者控除及び扶養控除につきまして、現行の二十九万円の控除額をそれぞれ三十万円に引き上げることといたしております。 また、老人控除対象配偶者に係る配偶者控除及び老人扶養親族に係る扶養控除につきましても、現行の三十五万円の控除額を三十六万円に引き上げることといたしております。 この減税による負担の軽減措置は、一般の給与所得者の場合には本年十二月の年末調整の際に、また事業所得者等の場合には確定申告の際に適用することといたしております。 また、財政法第六条第一項においては、各年度の歳入歳出の決算上の剰余金の二分の一を下らない金額を翌々年度までに公債または借入金の償還財源に充てなければならないこととされておりますが、昭和五十八年分の所得税減税の財源の確保を図るため、昭和五十七年度の剰余金については、この規定は適用しないことといたしております。 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(伊江朝雄君) これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○丸谷金保君 増税なき財政再建、こういうキャッチフレーズでありますけれど、私は先般来の行革特別委員会等の質疑を聞いておりまして、総理と大蔵大臣との間の微妙な表現の違い、これが大変気になりますので、この点について二点お伺いいたしたいと思っております。 まず第一点は、増税なき財政再建というのは、総理は、これは原則であると、こういう表現をしばしば使っております。ところが、大蔵大臣は、理念であると、こういう表現をこれまたしばしば使っております。一体原則と理念というのはどういうふうに違うんですか。
○国務大臣(竹下登君) 御指摘のように表現にはそれぞれ違いがあるかもしれません。いずれにしても、安易に増税によることなく、まず歳出面において行財政の守備範囲を見直すなどの見地から歳出構造の合理化、適正化を行う、まずそれを行うということが大前提であるという意味においては、私は総理と私のお答えの中身は違っていないと思っております。 理念と原則ということになりますと、これは漢和辞典を引いてもちょっとどう違うかということになると、定かに私にこの際国文学的に表現しろと言われても、それだけの自信はございませんが、基本的に相違はないというふうに考えております。
○丸谷金保君 これは国文学的な言葉でないですよ。理念なんという言葉は哲学的な言葉なんです。ですから、大蔵大臣は哲学者かなというふうに、しばしば理念というのを使われるので、感じたんですが、たとえば日本国憲法の理念は何だ、文化国家だとか、あるいは福祉国家だとか、こういうときに使う理念ならわかるんですよ。もともと大体理念というのは哲学用語で、カントの「純粋理性批判」とか、そういうところに出てくる言葉で、理性によって得られたところの最高の概念と、こういうふうにわれわれは教えられてきたんです。一体増税なき財政再建というのはそういう最高の概念なんですか、国の。国の最高の概念であるところの文化国家がどうだとか、福祉国家というのはわかるんですが、財政再建、こんなものが理念に値しますか。そういうあいまいな言葉で上手にこの間逃げておられるんで、私はこれは逃がさないつもりなんです。こんなの理念なんというものに値しませんよ。不用意に使っているとすればもう少し適切に、増税なき財政再建に対して私はこう思うということを、理念なんという哲学用語でごまかさないで、ひとつはっきり言っていただきたい、きょうは。
○国務大臣(竹下登君) 理念と言えば、いま丸谷さんおっしゃいますように、これは確かに人間の理性に基づく最高の方途を模索する場合、その結果として出てくるのが理念だというふうに私もそれはそれなりに感じます。が、しかし、もちろん政治には政治哲学というものがございますが、これを具象的な面であらわした場合に、増税なき財政再建というものも、財政再建という言葉の中にとらえれば、それなりに理念というものはあってしかるべきではないかというふうに思います。 ほかに適切な言葉がないかと言われれば、原則もまた適切な言葉の一つであろうかと思いますが、なかなか日本語の中で、高度な哲学の問題ときわめて現実的財政の問題の中で言葉の整理をするというのもむずかしいことでございますので、まさに財政再建という具体的な現実問題に対するという限定をかけた場合のフィロソフィーではないかなというふうにも理解できるんではなかろうかと思います。
○丸谷金保君 昼からもひとつはっきりさしていただきたいと思います。なぜ総理と大蔵大臣が微妙な違いの中で何だかわけのわからないような表現に切りかえていったのか。 それからもう一つ、全く同じことなんですが、総理はもし総選挙があれば増税しないということを公約する、こういうふうなことを言っております。しかし一方では、今度の法案によって後年度に及ぼす減税額、所得税だけについて言っても、少なくとも七千億と言われております。これは間違いございませんね。 それに対して、先日の行革委員会では、酒の税金を上げるのか、単刀直入な質問がありました。大蔵大臣はイエスともノーとも言えない。これは僕はちょっと不親切きわまりない答弁じゃないかと思うんです。そんなばかなことはないでしょう。七千億というすでに歳入が落ち込むことを想定して予算案を出しているときに、これらに対して五十九年度の税の見直し必至と言われている。そうすれば当然これらの試算も出てきているはずなんです。酒の税金を上げるんでしょう。
○国務大臣(竹下登君) これは税制調査会の答申にも指摘されておりますように、絶えず税制というものは社会経済情勢の変化の中に適応していかなければならぬ課題であります。したがって、酒税の問題につきましてもこれは検討すべき対象である、言ってみれば、そのような指摘をいただいております。 したがって、五十九年度税制でどうするかということになれば、これは税制調査会のこれからの御審議にまつわけでございますので、したがってその前に、税制調査会と言えば、丸谷さん御承知のとおり、経済界、学界あるいは消費者代表、あるいは労働界の権威ある方々のお集まりでございますから、あらかじめ予見を与えていくというべき筋のものでなかろうと思いますので、その限りにおいて、内閣の諮問機関である税制調査会というものを高度に尊重する場合、イエスともノーと も言えないというのが一応筋道としてのお答えになろうかと思うのでございます。 それから先の議論になりますと、いわば増税とは何ぞや、こういう議論にもなってくるわけであります。よく国会等で指摘されるものは、言ってみれば、不公平感というのもそれぞれの判断する主体によって異なってまいりますけれども、そういうものを是正するというのは、ある種の増収策ではあるが増税とは言わない、こういうこともある意味において定義づけられておるかもしらぬ。 したがって、まさにその議論になりますとむずかしい議論になりますが、私ども最初申し上げましたように、税制調査会に御審議をゆだねておる今日、正確に言えば、イエスともノーとも言えないというのが一番正直な答えではないだろうかというふうに考えております。
○丸谷金保君 増収というのは、自然増収というふうに税法そのままの形で収入がふえた場合を言うのであって、税法そのものの税率その他を変えたら、これは増収じゃないんじゃないですか。どうなんですか。
○国務大臣(竹下登君) もとより現状固定の前提の上に立って増収が結果として出てくるというのは、これはまさに自然増収だと思うのであります。したがって、たとえば予算編成の際、歳入の大宗を占める税というものを考えた場合に、これが経済成長率を仮にいま、「八〇年代経済社会の展望と指針」の中では六ないし七%という名目成長率が数字として出ておりますが、それらをうんと高いところに置けば、それは名目成長率と今日までの弾性値の平均値を掛けていけば、自然増収がこれくらいあるであろうという見込みはできないことはないと思います。 だから、自然増収というのは、ある意味においては、いまおっしゃった現状固定の中における結果として成長率等々において出てくるものであるとすれば、別の増収措置ということになれば、新たなる税目を設定するということになると、これは別の議論になりますけれども、いわば現状の税制の中において諸般の情勢において変化して結果としてそれが増収措置につながるということは、別段いつの場合でもあり得ることではなかろうかというふうに考えます。
○丸谷金保君 どうも質問に答えないで回り回っているような感じがするんですが、もう一遍ひとつはっきりと。ここのところ非常に大事なところなんです。 総理は増税しないと。これは大型間接税を導入しないことだというふうな意味で発言していると言いますが、しかし増税しないということになれば増税しないということなんですよ、国民の受け取り方は。だから端的にイエスともノーとも言えないという……しかし世間では、酒税、物品税で五千億あるいは企業増税で二千億だと、やっぱりそれは増税という言葉を使っているんですよ、どの新聞を見ましても。この中で大蔵大臣だけが、それは増収、自然増収はあり得ると。 また、多分そういうことを言われるだろうと思ったので、私は経企庁と日銀と大蔵に景気動向の調査資料をいただいたんです。これで見ますと、それぞれ緩やかな景気回復、あるいは大企業、中企業までは非常に増益傾向であるけれども、中小、特に零細企業はまだ落ち込んでいる。それぞれの表現の違いはありますけれども、五十九年度でそんなに大きな税収が伸びる、自然増収が伸びるような情勢にあるというふうには大蔵の予測だってないんですよ。そうでしょう。そうすれば当然財源をこういうところに求めなきゃならないというのは明らかな状況なんです。 第一、先の見通しなしに、それじゃあれですか、この法案を出しているんですか。五十九年度はどうなるかわからない、そのときになって考えるというんですか。そうじゃないでしょう。もう一月にははっきりしてくる。一月にはっきりした形でもって法案が出てくるということになれば、これはもう当然試算もしているし、こういうところで大蔵大臣として腹がなきゃこんな法案は出せないでしょう。それも財源がない、財源がないというふうなことで、延ばしに延ばしてようやくここへきてわずか今年度千五百億。一兆円規模というふうなものはどこかへ飛んでしまって、そうすれば酒の税金の問題、物品税の問題、これらをイエスともノーとも言えないということはないでしょう。もう少し前向きな表現があってしかるべきだと思いますよ。これは具体的な問題なんで理念なんというようなこととは違うんですから。いかがですか。
○国松大臣(竹下登君) 税制調査会からちょうだいしましたこの中期答申におきましても、こういう問題は勉強しなさいよというふうに指摘されておるところであります。 御案内のように、いよいよ税収見込みということになりますと、大体十二月に予算編成作業が平素行われる、そうしてそれの際には見積もりとして景気動向あるいは来年度の経済見通し、また従来の弾性値等を勘案しつつ、個別の税目の積み上げで一応の見積もりをつくるわけでございますから、それまでにきちんとしたものをしなきゃならぬということは、これは御指摘のとおりでございます。 これとて考えてみますと、十二月に、言ってみれば、九月の法人税ぐらいまでがわかった段階で来年度の見通しを立てるわけでございますから、なかなかむずかしいことではございますけれども、これは年々われわれもやってきているところでありますし、強いて言えばもう一つ、財政法を見ると、「予算を、前年度の十二月中に、国会に提出するのを常例とする。」と書いてありますけれども、現実、明治以来一遍も行われたこともないという矛盾も幾らかありますが、十二月には少なくとも編成はしておるわけでありますから、それまでには税調の五十九年度税制のあり方というものをちょうだいして、それを下敷きにして、きちんとしたものを土台にして編成していかなきゃならぬということは従来のとおりでございます。 したがって、いま御指摘なすっておる税目、これは中期答申の中でもそれぞれ指摘されておりますので、これがどのような形でさらに答申いただけるかは別として、当然私ども検討課題として勉強は絶えずしていかなきゃならぬ課題だというふうに思っております。 そこで、今度のこの法律自体が、いささかお答えが長くなりましたが、恒久的な税制でやれという御指示に基づいてやったものでこざいますだけに、今度のこの特例等に関する法律案自身もそういう基本的な考え方は踏まえて進んでおりますので、従来のようなことではなく、ある種の方向は示唆されておるというふうに私も考えておるところであります。
○丸谷金保君 どうも話を聞いていてもわからないんですがね。私の聞いているのは、酒その他の物品税には手をつけるんでしょう、つけるお考えでしょうと。いまの段階で、大臣がそれらのことに手をつける考えがあるかないか。これはそれぞれの部局から意見聴取してないわけないですよ。そんな意見も聞かないで、そういう腹を決めもしないで減税の法案を、後年度に影響のある減税法案を出してくるなんということは、私は大蔵大臣として考えられない。 じゃ聞き方を変えますが、いまの段階で大蔵大臣としては五十九年度の落ち込みをカバーするために何らかの形で物品税の税率に手をつけなければならないとお考えですか。
○国務大臣(竹下登君) 指摘を受けておりますとおり、勉強の課題ではあるというふうに考えております。
○丸谷金保君 勉強ですか。大蔵大臣、目下勉強中ですか。そんなことでは私、納得できないんですよ。巷間すでにいろいろ取りざたされておりますし、内部でも十分意見の調整があって、よしと。歳入歳出の問題についてそれだけ所得税で落ち込んだら、これをどこでカバーするか、カバーしなくても済むか。しかし、自然増収がいまの景気予測から見るとそれほど大きく望まれないとなれば、当然それらのことは考えなきゃならないでしょう、予算編成を前にして。そのお考えがまだ目 下勉強中だなんて、そんなばかなことあり得ないと思うんです。 もう一回聞きます。五十九年度物品税に手をつけざるを得ないというふうなお考えもおありですか。
○国務大臣(竹下登君) 検討の対象として指摘されておる限りにおいて、これからも検討をしなきゃならぬ課題だ。ただ、私どもがお約束いたしております、法律が出ておるわけじゃございませんが、いわゆる五十九年度税制の中で所得税減税というのを七千億やっていこうということになっております。そうすると、歳出の方で現行の制度、施策そのままに置くかどうかというような、いわゆるどれだけ歳出をカットできるかという問題がもちろんまず第一義的にはあるわけでございますが、これらの約束を満たすためにもろもろの措置は考えなきゃいかぬ。これは税制全体として指摘されておる、中期答申の中において指摘されております経済社会の情勢の推移に対処してそのような税目というものを勉強していかなきゃならぬ。 勉強といいますと、これはスタディーでございますし、検討するという言葉でも時になかなか表現がしにくい点もございますが、私どもとしては部内で、いま丸谷さんまさに御指摘なすったように、自然増収が見込めるかとか、あるいは不足の場合にはこのようなものを税制調査会の中期答申を下敷きにして勉強しなきゃならぬじゃないかとか、そういうもろもろの議論を積み重ねてきておるということは、これは事実であります。いつでも勉強は続けております、それは。
○委員長(伊江朝雄君) ちょっと速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(伊江朝雄君) 速記起こして。
○丸谷金保君 いまの問題、主税局長、主税局としては税率改正の作業にかかっておりますね。
○政府委員(梅澤節男君) この問題につきましては、ただいま大蔵大臣の答弁もございましたように、五十九年度の予算編成は実はこれからスタートする、実質上スタートするわけでございます。したがって、その場合に所得税につきましては、先ほど大臣答弁にもございましたように、五十九年度以降本格的な所得税法改正という手法をもちまして、国税ベースで平年度約七千億規模の減税をお約束しておる、政府としてはお約束しておるということでございますが、この財源をどうするのかということのかかわりで委員先ほど来御質問があるわけでございますけれども、これはいずれにいたしましても、五十九年度予算全体の編成の中でこの所得税減税財源をどういうふうに取り扱うかということでございますので、当然歳出面での削減、それが一体どれぐらいの計量的に効果が出てくるのか、あるいは歳入面で申しますと、一体税外収入をどういうふうに考えるのかというふうな問題もございます。さらに基本的には、来年度の税の自然増収を一体どれぐらい見込んでいるか、そういういろんな施策の過程の中でおのずから財源措置というものを決めていくわけでございますが、現在の時点におきまして、個々の具体的な税目についてどういうふうに考えるかということは、申し上げられる段階にはないということはぜひ御理解を賜りたいと思うわけでございます。 ただ、一般論といたしましては、私ども税制当局といたしましては、五十九年度問題ということにかかわりなく、あらゆる現行税制のいろんな点につきまして常時検討は怠っていない、勉強をいたしておるということは、先ほど来大臣が答弁申し上げたとおりでございます。
○丸谷金保君 いま法案の審議をしているわけですよね。そうすると、これだけの法案を出してくるからにはそうした点の作業をやっていなければ出てこないでしょう、見通しを持たなければ。ですから私はいま主税局長に、作業はやってないかと聞いたんです。これくらいの税率の改正をすればどれくらい税の増収が図られる、増税ができるんだということの税率改正のそういう作業をおやりにいまなってないで、予算が来年だから、これから進めるんで目下準備中だから何とも言えないと、いまの段階で。小さな市や町だって、もう十二月に入ればそういう積算をやったりなんか始めますよ。ましてこれだけの大きな財政規模の国が、少なくても後年度七千億、こういうことが明らかな段階で、それに対する手当をどうするかというふうなことを新聞その他がもうどんどんと、ある程度おたくの方からもらった情報だと思うんですが、全くの憶測でなく書きまくっている状態の中で、おたくたちではまだそんな段階でないなんて、そんなばかなこと僕はあり得ないと思うんだな、どう考えても。作業もやってないんですか。
○政府委員(梅澤節男君) 繰り返しの答弁になって大変恐縮なんでございますけれども、御案内のとおり、いま御審議を願っておりますのは、五十八年分の所得税の実は本年限りの特例に関する法律でございまして、五十九年度以降の本格的な減税法案というのは、改めて来年度の予算編成、予算の御審議の段階で国会に法案を御提出申し上げるわけでございますが、その際の財源問題につきましては、先ほど申しましたとおり、五十九年度の予算全体の中で政府として具体的にその措置を決めてまいるということでございます。したがいまして、現段階におきまして、個々の税目について五十九年度どうするかということを具体的に作業を進めている段階ではないということを繰り返して申し上げざるを得ないわけでございます。
○丸谷金保君 いいんですか、そういう御答弁で。そうすると、五十九年度減税ということは、いまの段階、この法案を提案した段階で、この特例によって控除額が上がる、このことが五十九年度の減税にはまだ結びついてないと、こう理解していいですね。総理の答弁と大分違いますよ、それは。
○政府委員(梅澤節男君) 私はそういう意味で申し上げたんじゃございませんで、いま御審議を願っておる法律は、あくまで五十八年分の所得税の課税の特例であるということでございます。したがって、法制上は五十九年度以降の本格減税につきましては、それに伴う所得税法の改正によって制度化されるということ、そこを切り離して立法上は考えなきゃならぬということを申し上げているわけでございまして、五十九年度国税で七千億の本格的な減税を行うということは、これは立法府に対して政府がお約束申し上げておることでございまして、これは必ず行うということで作業が進められているということでございます。
○丸谷金保君 それでどうやらこの法案の本当の姿がようやく出てきたのです。実は、これは大臣いるところでやってもらいたかったんですが、一方では、五十九年度の減税を含めて一兆円減税だということを今度の選挙のうたい文句にするんですよ。ところが、いまの主税局長のきわめて理路整然とした御答弁のとおり、臨時特例措置というのはあくまで五十八年のもので、この法案を出してこの法案がもしも成立したとしても、そのことは五十九年度減税ということとは違うんだ、五十九年度減税には何ら関係のないものであって、それは来るべき通常国会で新たな法案として提出するものだと、こういうことですわね。もう一回ひとつ、これは非常に大事なところなんで。
○政府委員(梅澤節男君) 委員がおっしゃるとおりでございますが、それは従来政府はすることをはっきり申し上げているわけでございます。つまり、五十八年分につきましては、財源事情等もございまして、精いっぱいの措置として千五百億円の年内減税にとどまらざるを得なかった。しかし来年度以降は国税・地方税を含めまして平年度一兆円の減税を行う。その作業は必ず行いますということでございます。
○丸谷金保君 その作業は、要するに次の通常国会に向けて行って提案するということですね。だから歳入欠陥に対する補てん措置としての物品税その他の税率の改定の問題もまだ提案してない。やるかやらないかわからないんですから現段階では勉強中と、こういう答えが出てくるわけですね。そういうふうに理解してよろしいですか。
○政府委員(梅澤節男君) 来年度の本格減税につきましては、国民の非常に強い要請があり、与野党のお話し合いが行われまして、高度の政治的な 決定として実は先取りして決められたわけでございまして、政府もこれを忠実に履行するということでございますが、その場合の財源措置につきましては、先ほど来申し上げておりますように、これから行います五十九年度の予算編成の過程で、税の自然増収なり税外収入なり、あるいは歳出の査定の状況等総合勘案しておのずから結論を見出していかなければならないということでございまして、現段階でどの税目についてどのようにするか、五十九年度についてどのようにするかということを現在申し上げられる段階にはないということでございます。
○丸谷金保君 そうしますと、要するに今回提案されている臨時特例法、これはあくまで五十八年のものであるから、これは今回限り、今年限りのものだ。これを提案したことによって五十九年度も減税するという法案を出したんだというふうなことにはならないということですわね。よろしゅうございますね。それは別だと、そういうことですね。この法案ですよ。
○政府委員(梅澤節男君) 先ほど来繰り返して御答弁申し上げておりますように、委員が御指摘になっております五十九年度以降の国税・地方税を含めました平年度一兆円という大幅な減税に伴います法制上の措置は、別途国税の場合でございますと所得税法の改正法案として来年度の通常国会に御提案申し上げる運びになろうと思います。
○丸谷金保君 ちょっと遠藤大臣にひとつ。大臣いないときにそこに座っていれば、かわりに大臣ですからね。 お伺いしますが、今度この法案を出したことによって、政府・自民党は声を大にして、来年度の減税も全部やるように提案しているのだということを言っていませんか。どうですか。
○政府委員(遠藤政夫君) 今回の減税の問題につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げておりますように、国会の与野党の話し合いで今回の一兆円減税の実現の見通しかついたわけでこざいます。国会に対してお約束をいたしたわけでございます。その中で五十八年については、いま主税局長からもお話し申し上げましたように、いろいろな関係で精いっぱい一千五百億という減税をいたしたわけでございます。本年の五十八年一千五百億につきまして、ただいま御提案申し上げておりますこの特例法案を御審議いただいているわけで、来年の五十九年度の一兆円、所得税七千億につきましては改めて考える。現在御審議いただいております法案はことしの特例に関するものでございます。来年度の一兆円、所得税七千億につきましては、改めて来るべき通常国会あるいは特別国会におきまして、その本格減税についての法案を御審議いただいて、それによって実現をする、こういう運びになるわけでございます。したがいまして、ただいまの法案が成立すれば当然一兆円減税が実現するということにはならないことは、これはもう御承知のとおりでございます。
○丸谷金保君 大変こだわるようなんですけれども、これは非常に大事かつ微妙なところなのでお伺いをいたすんです。 そうすると、いまの御答弁を聞いていますと、所得税で五十九年度七千億程度の減税ということは、必ずしもこういう控除のこれがこのまま横滑りするとは限らないのだ。ところが実際には、これを横滑りさせたときの試算が七千億なんでしょう。そうじゃないのですか。そうすると、それとは違うのだというふうに理解してよろしいのですね。
○政府委員(梅澤節男君) その点は、いま丸谷委員の御指摘のとおりでございまして、ただいま御提案申し上げておりますものは五十八年分の所得税の臨時の特例といたしまして、現在基礎控除、配偶者控除、扶養控除それぞれ二十九万円という控除額が定められておるわけでございますが、これをそれぞれ五十八年分の所得税の計算上は、一万円引き上げまして三十万円として計算する。それに要する財源が千五百億円ということでございますが、来るべき平年度七千億の減税の措置というものになりますと、これがそのままずれ込んで七千億ということではございませんで、人的控除なり税率構造を含めまして、いま御提案申し上げておりますものとは全然別の角度からの法律改正をお願いするということになろうと思います。 その場合の基本的な考え方は、先般発表になりました税制調査会の中期答申で方向づけられている線に沿って改めて税制調査会で御議論をいただいて、五十九年分の所得税法改正については具体的にこういうふうにしなさいという御答申をいただいて、それを法案として立法府に提出申し上げるという段取りになるものでございます。
○丸谷金保君 だんだんわかってきました。私たちの認識の方が、あるいは世論でいろいろ言われていることの方が間違いで、正確に言えば、いま次官あるいは主税局長が御答弁になったような、これは今回限りのものだと、こういうことですね。よろしゅうございますね。 それじゃその問題は一応ここまでにして、これは質問を留保して、この問題についてはさらに大臣が来たときにもう少し確認させていただく、かように思いますので、ひとつ御了承いただきたいと思います。 次に、グリーンカードの問題なんですが、大蔵御当局がいろいろ税調答申を非常に尊重して、また税調の方も大蔵の意向を十分酌んで、あうんの呼吸で答申がタイミングよく出てくるということについて、まことに大したものだなと思うんですが、しかし今度の税調の中期答申というもの、たそえばグリーンカードはどうなるんですか。これを読んでみて私はわからないんですよ。何回読み返してみても、読み返せば読み返すほど一体どうなるんだかわからないんです。グリーンカード制度を五十五年度の税制で改正して、「これを踏まえて完全な総合課税へ移行することが打ち出された。しかし、その後、諸般の事情から、グリーン・カード制度の実施時期が三年間延期される」——三年延期されるということは生きているということなんです。「されることとなり、適正な利子・配当課税のあり方について、改めて検討する必要が生じている」。一方では三年延期、一方では改めて検討の必要が生じた。これはどういうわけで生ずるんですか。これちょっとわからないので解説してください、主税局長。
○政府委員(梅澤節男君) いわゆるグリーンカード制度の問題につきましては、ただいまも御指摘がございましたように、この制度を提案いたしまして制度化をお願いいたしましたのが五十五年の税法の改正でございました。その後、紆余曲折を経まして、国会の中はもちろんのこと、世間でもいろいろな御議論がございましたわけでございますが、結局のところ、ことしの税法改正でもちまして、三年間この実施を延期するということを、税制調査会の了解も得まして、政府の提案ということで、制度の実施延期という状態にただいまなっておるわけでございます。 そのときにも当委員会で私どもの方から御答弁申し上げましたように、延期をいたしますと同時に、利子配当課税の今後の適正公平なあり方について改めて税制調査会で御審議願うんだということを申し上げましたが、ことしの五月に税制調査会の中に特別にこの利子配当だけの問題を御検討いただく小委員会を設置していただきまして、この小委員会では、税制調査会の正委員の方のみならず、学者、それから金融界の実務経験者等も含めました特別委員等にも参加していただきまして、この十一月までいろいろ御議論を願ったわけでございます。 その中で、今回の答申にも書いてございますように、非課税制度のあり方とか、いろいろな議論もその小委員会で行っていただいたわけでございますが、グリーンカード制度につきましては、この小委員会の中でも委員の方々まちまちの意見が出たわけでございます。それはこの答申をお読みになりますと、それに触れられている部分もあるわけでございますが、「グリーンカード制度については、その実施にこぎつけるよう改めて努力すべき」である、これを予定どおり実施すべきではないかという御意見もございますし、それからコ スト・ベネフィットの観点から、どちらかといえば、グリーンカードにかわるような何か効率的な制度の検討の必要があるのではないかというふうな御意見もございまして、実はこの小委員会の中でも一つのまとまった意見にまだ集約されるまでに至ってない段階で今回の中期答申に実は中間報告的なかっこうでまとめられておるのが、このグリーンカード制度に関する部分でございます。 その意味では、ただいま丸谷委員がおっしゃいましたように、その答申出の方向づけが非常に読みづらいとおっしゃるのは、私は率直に申しまして、そのとおりの印象を受けられるということも私はやむを得ないのではないかということでございます。 と申しますのは、ただいま申しましたように、税制調査会の中でもこの部分につきまして大変議論が難渋をきわめた。そこで、引き続きこの問題については検討するというのが、一言で言えば、現段階におけるこの中期答申のスタンスでございまして、グリーンカード制度の存続も含めて、あるいはそれにかわるさらに効率的ないい制度があるのかといった点も含めて、なお今後本格的な精緻な把握体制の導入の仕組みについては今後の課題として検討を続ける。当面は、つまりグリーンカード制度が法制上延期になっておりますこの三年間の当面の間につきましては、現行の体制を充実するとともに、合理化改善すべきところは改善するということで臨むべきではないかというのが、現時点におきます税制調査会の考え方でございまして、私どももこれを受けまして、今後グリーンカード制度を含めどうするかということにつきましては、ただいま丸谷委員もおっしゃいましたように、改めてなるべく早い機会にきちんとした結論を出すという作業を引き続き調査会でやっていただかなければならないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○丸谷金保君 この問題については、税制の影響というものについて「過大視することは適当でないという大方の意見であった」。だから満場一致でないということはよくわかるんです。しかし大方の意見という場合には、どれくらいが一致している場合に大方の意見という表現になるんですか。七割くらいですか、どうなんですか。全くわからないんです。
○政府委員(梅澤節男君) 税制調査会の運営としては、慣習上ほとんど採決という手段を委員長なり部会長がおとりになるというしきたりがございませんので、計量的に何割ぐらいの方であれば大方かという御質問は、なかなかむずかしい御質問でございますが、それぞれ小委員長がこの報告書をおまとめになるわけでございまして、小委員長がごらんになって大方であるということで大方というふうにお書きになったんだろうと思います。
○丸谷金保君 主税局長自体が大変むずかしくてわかりにくい答申だとおっしゃるんだから、これはわれわれがわかりにくいのもあたりまえかもしらぬけれども、しかし事あることに税制調査会の答申に基づいてとおっしゃるんですよね、おたくは。そうすると、税調の答申がわかりにくいというふうなことでは、ますます国民というのは税金がわからなくなるんじゃないですか。どうなんですか。読んでみてもわれわれはわからないし、局長も、まあ無理ないでしょうと。ベテランの局長さんたちがお読みになればよくわかるんだろうけれども、一般にわからなくてもいいんだ、これは大臣に対する答申なんだからというお考えなら別ですが、こういうのが出れば、新聞に解説が出たりする。そうすると国民は今度どうなるかなといって非常に関心を持って税調の答申というものを見ているわけですよ。それがこんなことでいいでしょうか。どう思いますか。次官、どうですか。次官はわかりますか、これを読んで。
○政府委員(梅澤節男君) 政務次官のお答えになります前に再度御説明をお許し願いたいわけでございますが、この利子配当に関する部分、今回の中期答申は、一言で言ってしまいますと、四月に小委員会が設置されまして以降この十一月までの審議の段階では、一義的な結論が小委員会の中でまとめられるまで審議が熟さなかった。その意味で、この問題につきましては、今回の中期答申の取り扱いはいわば途中審議の経過報告的な意味を持っておると、そういうふうに私どもは位置づけておりまして、丸谷委員が先ほど来再々御指摘のとおり、グリーンカード制度問題を含めた利子配当課税の特に把握体制をどうするのかという問題につきましては、再度税制調査会でもうしばらく時間をいただいて御議論をいただく。現在のグリーンカード制度が延期になっておりますこの当面の期間のうちにきちんとした方向づけを見出すという作業を今後とも続けていただくということでございます。
○丸谷金保君 これはグリーンカードのところだけじゃないんですよ。たとえば嗜好品課税、またさきに戻りますけれども、そういった面での答申なんかも、種類間の格差の問題というふうなことを大きく言っているけど、全体としての物品税はもう少しよけい増徴すべきだというふうな印象のあれでもないんですね。ある面はもう少し取れるかもしらぬけど、ある一面はおかしいじゃないかというふうなこと。 それで、実は物品税の問題なんですが、これは前からも申し上げているんですが、たとえば自動車の税金、これは小売価格から推定して税額が決まってきますね。そうでなかったでしょうか、どうでしょう。
○政府委員(梅澤節男君) わが国の個別間接税といたしまして、物品税なり酒税があるわけでございますが、基本的な考え方は、物品税につきましては、小売段階で課税されます第一種物品もございますけれども、いわゆる第二種物品というのは、製造者から販売されるときの通常の販売価格というものが課税標準で課税されるというのが基本でございます。ただ、課税の実務上、製造者から通常の卸売の取引によって販売される価格というものの算定につきましていろいろ手数がかかるというふうな場合に、いわば事務の簡素化等の観点から、いわゆる一定率の制度と申しまして、一定の条件が整った場合には、小売価格から一定の率でもちまして販売価格というものを設定し、それが課税標準になるという制度がございます。 ただ、実行上はこれはあくまで製造業者の選択でございますので、すべての物品が、いま委員がおっしゃいました、小売価格からさかのぼって課税価格を算定するということではないわけでございます。
○丸谷金保君 そうなんです。酒についても同じことが言えるんですがね。問題は、選べるんですよ、納税者の方で。ところが、私、妙なことに気がついたんですが、自動車の場合に、新しい車種が発表になったりいろんなパンフレットが出ても、小売価格というのが明示されているのを見たことないんですよ。これは北海道だけかもしれませんがね。だから、幾らで売られて幾ら税金払うものなんだかということはどうも出ないんですが、これはどういう行政指導になっているんですか。
○政府委員(梅澤節男君) あるいは執行当局の方から御答弁申し上げる問題かもわかりませんが、私どもが承知しております限りでは、一定率の制度がございますのは、自動車の場合小型乗用車だけでございますが、小型乗用車につきましては、いろいろな小売価格がきちんと世の中にあらかじめはっきりしているということで、いろんな条件がつけられているわけでございますが、小型乗用車の場合は、新聞広告によってそれぞれ末端価格というものが決まっておるというものに該当するということではないかということでございます。税法によりますと、新聞広告、それからカタログ表示、いろんなことが書いてございますが、自動車の場合は新聞広告によりまして価格が世の中に明らかになっておる、あらかじめ。
○丸谷金保君 そうすると、大型車の場合は、あれですか、全部製造の段階でメーカーが税を払うということですか。
○政府委員(梅澤節男君) 大型車と申しますか、普通乗用車につきましては、その一定率の制度は ございません。
○丸谷金保君 それで結局、値段がなくてもいい、もとで税金取っちゃうから関係ないと。 そうすると、じゃ酒の関係で再三その問題を私、申し上げているのですが、どうして酒も蔵出しで税をかけられないのかというのは、これはもう申し上げなくてもおわかりだと思うんだけれども、輸入酒との間に非常に大きな格差がありますね。これは余り税調でも出てこないのだけれども、私はこの前にも申し上げたのですが、ちっとも直すような方向にないんで、一体どうなっているのか。別に数字を申し上げないでもおわかりでしょう。あれどうするんですか、あんなに税金が半分も違うような状態を。
○政府委員(梅澤節男君) 酒類につきまして、国産酒と輸入酒の場合、末端の小売価格に対します税負担の割合が非常に違うということは、従来丸谷委員が御指摘になっており、御自論でもあるという問題になるんでございますが、これもたびたび私どもの方から申し上げておりますように、酒税につきましても基本的には、先ほど物品税について申し上げましたように、たてまえは蔵出し価格が課税標準になるわけでございます。ただ、国産酒の場合は一定率を選択している割合が非常に高いということもこれまた事実でございます。 ただ、輸入酒の場合は、保税地域から引き取られます場合のCIFの価格と関税、これでいわば水切り価格というのが非常に具体的に確定するものでございますから、一定率の制度というものはないわけでございます。したがいまして、本来の蔵出し価格に準じますべき水切り価格が課税標準になっておるというのが実情でございます。 そこで問題は、その保税地域から引き取りました後、末端の小売価格に至りますまでのいわば流通過程における価格展開が、国産酒の場合と輸入酒の場合とでは非常に違う。つまり一般的に申せば、輸入酒の場合に流通マージンが非常に高い。これは輸入酒そのものの市場の特性に基づくものでございまして、税制上その小売価格に対する税負担の割合が国産酒と輸入酒と非常に違うではないかというふうな事実としての御指摘は、そのとおりでございますけれども、税制上の問題としてはいかんともしがたい。この問題を基本的に解決するためには、わが国の現在の個別消費税の課税方式を小売段階での課税方式に統一してしまうのか、あるいはEC型の付加価値税のように多段階課税で一定率で課税するというふうにしない限り、基本的にこの問題は解決がつかないということを常々申し上げているところでございます。
○丸谷金保君 今度、酒の税金を上げるというんでしょう。そうしたらますますその開きが出てくるのじゃないですか。いかんともしがたいというんでいいですか。実質、具体的に言いましても、たとえば宣伝経費だとか、いろんなそういうふうなものも日本の酒の場合には加味した小売価格というふうになっていますね。向こうから入ってきたものに税金をかけるが、それからあとのいろいろな経費を加えて高く売っている分にはかからないんですよ。ただいかんともしがたいというようなことじゃちょっとね。われわれもいかんともしがたいだけではどうもね。法律というのは直せるんでしょう。そういう矛盾が起きたら直すのが法律じゃないんですか。矛盾は矛盾だけれどもいかんともしがたいという、そんなことというのは、僕は半年や一年ですぐには直らないというのはわかるけれども、しかしこれはもう大分前から提起している問題で、もうそろそろいかんともしてもらわなかったら困るんだな。どうなんですか。
○政府委員(梅澤節男君) これは現在のわが国の酒税法が蔵出し課税、つまり製造者から移出する場合の価格を課税標準として一定の従量税なり従価税で課税するという税制上のたてまえに立ちます限り、輸入酒につきましては、水切り価格を課税標準とするということになるわけでございます。 仮に、この問題につきまして、委員がおっしゃるように、わが国の現在の間接税の課税方式をそのままにいたしまして、輸入酒についてだけ課税標準に特例をつくるということは、昨今のような国際的な経済情勢から申しますと、むしろ海外の方からは輸入物品を内国消費税において差別的な取り扱いをするというふうな問題といいますか、反論なり批判も起こりかねないという問題で、私どもは非常にこの問題については従来から関心を持っておりますけれども、取り扱いには、部分的な手直しという観点ではなくて、酒税なら酒税の課税方式そのものをどう考えるのかという大きな問題につながってくる問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。
○丸谷金保君 おたくのおっしゃるとおりなんですよ。外国からそういう意見が出てきます。私たちも行ったときよく聞きます。事ほどさように、いま日本の酒の税金は諸外国に比べて高いんですよね。そうでしょう。そうじゃないですか。しかも外国では、生産者が自分のところでもって楽しみに飲むくらいのものは免除しているんですよ。そこへまた今度上げるというんでしょう。酒というのは余り飲ませない方がいいから、どんどん税金を高くして消費を抑え込むという考えなら別ですがね。日本の税のあり方についてはよく言われるんですが、どうですか、外国に比べてみて。
○政府委員(梅澤節男君) わが国の酒税の負担が国際的に比較してどうかということでございます。これはいろんな角度からの見方があると思いますけれども、わが国の場合は酒税について、個別消費税として税体系の中にそういう課税方式を持っておるわけでございますが、ヨーロッパ諸国でございますと、本来の酒税のほかに付加価値税というものもございますから併課されるわけでございますので、その両方の負担をあわせて考えませんと、ヨーロッパ諸国におきます固有の意味での酒税だけで比較するというのはいろいろ問題があるかと思いますが、そういう付加価値税の負担も含めたトータルの負担で見ますと、わが国の酒税の負担が諸外国に比べて著しく高いというふうにも一概には言えないわけでございます。 ただ、酒の種類でございますが、種類間によりましてはいろいろ懸隔がございまして、ビールがやや国際的には高い。一方、ワインは国際的には低いというふうにいろいろまちまち。それはその国の歴史的な経緯なり国民の嗜好なり、あるいは酒類業界のそれぞれの生産性の問題とか、いろいろなものが関連していると思いますが、トータルとしてわが国の酒税負担が先進諸国に比べて著しく高いという水準にはないのではないか。ただ、繰り返し申し上げますように、ビールはどう、あるいはワインはどうということになりますと、いろいろまちまちの水準にあるわけでございます。
○丸谷金保君 それじゃもう時間ですからあれいたしますが、午後からの質問までの間に、ビールとワインの、日本の国内のだけで結構ですが、要するに原料価格、これを二品ぐらいずつでいいですから、値段が幾らで、この中で原料価格が幾らか。おたくの方、原料価格が出てくると思う。これをビールとワインだけでいいですから出してください。
○政府委員(梅澤節男君) はい。
○鈴木一弘君 経済企画庁にお聞きします。 去る十月二十一日に発表された総合経済対策は、対外経済摩擦の激化が言われておりますが、その中で輸出主導型経済から内需主導型経済への転換を図り、そのための壁となっている財政の足かせを緩めるために民間活力の活用を図る、こうされています。こういう考え方については私は異存はございません。 しかし、その後発表されてきたOECDの見通しによると、五十八年の貿易収支、経常収支は、それぞれ約三百三十億ドル、二百三十億ドルと見込まれている。政府の当初見通しの貿易収支二百億ドルに対して、貿易収支で百三十億ドル、経常収支で百四十億ドルもOECDの見込みの方が大きくなっておりますが、特に対米貿易収支では二百億ドル、対EC貿易収支で百二十億ドルというふうにともに史上最高の黒字を記録するだろう、こう言われております。このままいくと五十九年には全体で四百五十億ドルの貿易収支の黒字、三 百四十億ドルの経常収支の黒字ということになるということをOECDは指摘しております。 そういうために、八月以来、政府が総合経済対策を考えてきて、ようやく三カ月たってこれを決定したわけでございますけれども、その効果については評価はきわめて芳しくないような感じが私はします。 公定歩合についても機動的運営という面で問題がありとされてみたり、したがって機動的に対応ができなくて大分騒がれた後でようやく決まる。また機敏に連動して初めて効果のある市中金利も連動して下がってこない。こういうことで多くを期待することはできません。これは下げどまっております。公共事業についても、実際的に金が出ていくのは災害対策だけでありまして、住宅対策でも民間頼みで、その民間を引っ張って景気を起こしていくだけの触発する効果、政策、具体策が出ていない。減税でも同じで、今回の千五百億円、これでは個人消費の振興にまではとうてい刺激を与え得ないということは、これははっきりし過ぎております。 こういう観点から減税を見ていくと、本当にこれは一体どうなっているんだろう。減税問題での与野党折衝の中で、自民党の幹事長が景気浮揚に役立つ規模の減税ということを約束されておりますけれども、結局、政府の方からこれを確認し、尊重するという官房長官の発言があったにもかかわらず非常に細くなっている。 こういう上から伺いたいんですが、経済企画庁は、通年ベースで今回のこの減税による対策、この効果を、実質経済成長率で見て、今年度〇・三%ないし〇・四%今回の総合対策全体で押し上げる、こう見ているというふうに報道されておりますが、政府の当初見通し実質三・四、名目五・六に対してどのようになるというふうに見ているか、まず伺いたいんです。
○説明員(服藤収君) お答えいたします。 今回の対策の効果についてでありますけれども、対策の中にはいろいろな施策が盛り込まれているわけであります。御存じのように、経済というものはいろんな経済変数が相互に関連しておりまして、それの効果を具体的に計数的にとらえるということは本来非常にむずかしいものでございます。しかしそうは申しましても、そういうことでありますれば具体的な議論というのはなかなかできないわけでございまして、先般の対策の効果につきまして、経企庁として世界経済モデル、これは研究所の方が持っているモデルでございますけれども、それに基づきまして試算いたしましたところ、対策を講じてから向こう一年間について実質で〇・八%程度の実質GNPを押し上げる効果が期待できるのではないか、公共投資等についての効果でありますけれども、そういうふうな試算をしてございます。 御質問の五十八年度の当初見通しにどういう影響を与えるかということでございますが、これは御案内のように、この対策の中身、特に公共投資につきましては、たとえばいわゆるゼロ国債等が含まれておりまして、それらが具体的に実行されまして効果を出して、GNP統計上その計数としてあらわれるにつきまして、はっきりと五十九年三月末、つまり本年度の分とそれから来年度の分というふうに明確に区別することが技術的に非常に困難でございます。したがって、具体的にどの程度の効果が本年度にあるのかという御質問に対しては、なかなかその明確なお答えができないことを御理解いただきたいと思います。しかしながら、今回の措置によりまして、政府の当初見通し三・四%の成長率の実現ということはより確実になったのではないかと私ども期待しておるわけでございます。
○鈴木一弘君 より確実になったと言うけれども、実際公共投資そのほかを見ましても、さっき申し上げたように災害だけであり、民間の方だって、民間を触発して住宅建設が急にふえたなんというのは聞こえておりません。実際問題、より確実になったと言うけれども、これはあげてみなければわからないことを議論しているみたいなことかもしれないけれども、いまの話からすると、私はどうも信じられないような気がするんですが、何かあなたの方でそういう具体的な徴候を確実につかんでいるんですか。
○説明員(服藤収君) ことしに入りましてからの経済の動向を見てみますと、いまのところ、マクロの統計としては、本年度の第一・四半期四—六の統計があるわけでございます。これによって見てみますと、経済の実質成長率、前期に比べまして〇・九%というような数字が出てございます。これは年率に換算いたしますと、それを四倍すると三・六というような数字になります。当初見通しの三・四よりもマクロの経済成長率の数字としては大きいわけでございます。また、一—三の数字がたしか〇・二であったと思いますが、そういったものに比べますと若干大きくなっているというふうに考えております。 しかしながら、四—六以降の経済の動きというものを見てみますと、海外の経済環境といたしましては、アメリカの景気が予想外に急テンポで回復しているというようなこと、それを受けてわが国の輸出もふえている。その輸出の効果というのも、当初は輸出産業、輸出関連産業にとどまっておりましたけれども、それが徐々にその他の産業あるいは部門等にも波及していくというようなことが、従来の例からいきますとある程度期待できるわけでございます。 消費等の動向を見てみましても、非常にその動きは緩やかではありますが、しかし緩やかな原因の一つとしては、四—六あるいは七月の初めごろにかけましては、気候が非常に不順であったとか、あるいは自動車の車検制度の変更等々の一時的な要因もございました。その後の動きを見てみますと、一ころの低迷というのは脱しまして、個人消費支出につきましては、緩やかな回復過程に来ているのではないかというふうに考えるわけでございます。 また、他の大きな重要項目でございます投資等でありますが、住宅などは昨年後半の制度変更に伴う大幅増の反動減等もございまして、一時非常に停滞をしておったわけでございますが、最近の動きを見ると、年率換算いたしますと、たとえば新規着工戸数等も、政府の当初見込んでおりました数字に近いところまでほぼ回復して緩やかにふえつつあるのではないかというような感じがいたしております。 それから設備投資等につきましても、その動きは非常に緩やかでございますけれども、数日前に発表されました中小企業の設備投資のアンケート調査等、あるいはそれ以前に発表されております大規模企業等の設備投資のアンケート調査結果等を見ましても、当初よりもやや増額修正等をされておりまして、特に中小企業については、この間はかなりの大幅な、これは製造業についてですが、増額修正等というような形が出ておりまして、春先に行いました対策、それから先般とりました対策等の効果が徐々にあらわれてきつつあるのではないかというふうに心丈夫に思っておる次第でございます。
○鈴木一弘君 いまの答弁から大体わかってきたんですが、このOECDの言っている見通しに対して、貿易摩擦を回避するには内需主導型経済への転換がどうしても必要ですね。そういうことについて多少とも貿易摩擦を回避し得るという見込みはあるんでしょうか。
○説明員(服藤収君) OECDの見通しでございますけれども、これはまだOECDにおいて部内で検討中の数字がああいう形で報道されたということでございまして、今後検討の過程を通じていろいろより現実的な議論がされて、最終的な姿になっていずれ公表されるわけでございます。したがって、検討の過程の数字をいろいろもとにした議論というのは、私としてはなかなかやりづらい面があることを御理解いただきたいと思います。ただ、私の聞いている範囲では、OECDのあの見通しの数字というのは、あくまでも検討の過程の数字であるがゆえに、たとえばこの間私どもがとりました対策の効果等はまだ織り込んでないと いうようなことを聞いております。 いずれにしましても、その最終的な見通し等が出ましたら、その段階でまたそれとの関連等も考えることになるんではないかと思います。いずれにしても、この間の対策の効果というのは、それなりに貿易摩擦の解消にプラスになるものというふうに私どもは期待しておるわけでございます。
○鈴木一弘君 私は、今回の対策で、内需振興策としては少ない財源で大きな効果を上げなきゃならない、その一番いいものは投資減税だろうというふうに思うわけです。その投資減税が見送られたということは、これは疑問を持たないわけにいきません。 今回の所得税減税、今年分だけになっておりますけれども、もともと六年間見送られてきたことによる実質上の増税を回避して所得税に対する負担の不均衡を少しでも直していきたい、こういうことが大きな目的だろうと思います。したがって、自民党幹事長がお約束したような、景気を振興し景気浮揚を図るということは、これは実を言うと、今回というよりも、全体を通じても、大きく減税がありましても副次的な効果しかないというふうに思わなきゃいけない。そういう役割りだろうと思うのです。 そういう点から伺っておきたいんですが、所得税を減税した効果と公共投資をやった効果と設備投資減税をした効果、それぞれの名目成長率に与える増加率、それから名目内需の増加率は一体どの程度になると見込んでいるか、ちょっとお伺いをしたいと思います。
○説明員(服藤収君) 施策の効果、これは定性的にはいろいろ議論できるわけでございますが、定量的にはなかなかむずかしい、これは冒頭に私お答え申し上げたとおりでございます。ただ、一応議論の素材といたしまして、非常に大胆な仮定を置きまして計量モデルというようなものをつくって議論するわけでございます。ところが、その計量モデルと申しますのは、数ある経済変数の中から、モデルを作成する人が自分の経済ビジョン、これに合ったものを方程式として表現したものでございます。したがって、モデルをつくる人に応じまして、その頭数だけ違った計量モデルというのがあり得るんだということ、これは私ども計量モデルを用いて議論する場合には常に念頭に置いておかなければならないことだというふうに私は考えております。 で、御質問の件、経済企画庁が持っております世界経済モデル、これも一つの経済についてのビジョンをあらわしたものというものでございますけれども、それを用いまして試算をいたしますと、一兆円のたとえば所得税減税によりまして、初年度の経済成長率、実質成長率が〇・二%ばかり高まるというような試算結果がございます。この場合、その財源としては国債の増発というのを前提にしているわけでございます。国債の増発以外の財政的対応によってどういうふうな答えが出るかというのは、これはこのモデルを用いては試算ができません。 また、公共投資の効果でありますけれども、これは一兆円追加をいたしますと、この世界経済モデルによりますれば、初年度〇・五%実質成長率が高まる。ただし、その財政的対応は国債の増発によるというようなことでございます。 それから設備投資減税の効果についてでありますが、これは世界経済モデルにおきましては、その効果を試算することができません。ただ、私思いますに、この設備投資減税の効果というものは、設備投資関数をどういうふうに押さえるか、一体設備投資を決定する要因は何であるのか、そのとらえ方によって答えは非常に大きく違ってくるんではないかというふうに考えます。 いずれにしましても、減税というものが設備投資の非常に大きな決定要因と言われております期待収益率に対してどういう影響を与えるか、これはなかなか方程式で表現するのがむずかしいわけでございます。期待収益率と申しますのは、心理的要因でありますから、それを計量化するというのは非常にむずかしいというようなこともございまして、世界経済モデルにおきましては、いまお答え申し上げました減税の効果、それから公共投資の効果、この二つだけ試算として計算しているわけでございます。
○鈴木一弘君 マクロ研、マクロ経済運営についての研究会中間報告書、これを見ると、所得税減税はいま言われたように一兆円に対して約〇・二%の増加率、それから公共投資は二兆円で〇・七ですから、大体いま言われた世界経済モデルの方の一兆円で〇・五に似たようなところにいっております。設備投資減税の方は〇・五兆円ですから、五千億円ぐらいで大体〇・四という、ほかのものの倍をいくというような、こういう増加率をマクロ研の方では見ている。 こういう点から見ると、いま関数の問題いろいろあるという話でございましたけれども、私は民間活力を顕在化させる誘導策としては、一番いいのは設備投資減税じゃないかというふうに思うわけです。これは主税局長、この点でもう五十九年度では設備投資減税を本格的に行わなきゃならないところに来ているんじゃないかと、こういう一つの点からでも考えられるわけですが、どうお考えでございますか。
○政府委員(梅澤節男君) 大変むずかしい御質問であるわけでございますが、従来投資減税につきまして、私どもこれは事務ベースでございますが、税制当局側としてとってまいりました立場は、財源問題ももちろん、現下の困難な財政事情のもとで財源問題がもちろんあるわけでございますが、その財政資金のコスト・ベネフィットと申しますか、一定額の財源を使った場合のその効果という観点から見た場合に、投資減税についてはいろいろ問題があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。 一つは、わが国の昨今の設備投資の動向等を勘案いたしますと、大きな意味で設備投資を決定づけている要因というのは、たとえば技術革新とか、昨今でございますと鉄鋼とか自動車とか、あるいは中小企業のメカトロニクスと申しますか、そういう技術革新を背景に持った構造的なものが非常に大きく作用しているのではないか。 それからもう一つは、これは常識的な見解といたしまして、企業家が設備投資を決定する場合、一番大きく働く要素といたしましては、経営者が将来の景気の見通しなり、あるいは自分の企業に対する売り上げと申しますか、注文の動向等についてはっきりした展望を持ったときに初めて投資が決定されるというふうに考えるのが、素直に考えて常識的な問題と思うわけでございます。 仮に投資減税という措置をとりました場合にどういう減税措置をとるか、税額控除の方法をとるのか、あるいは特別償却の方法をとるのか、いろいろな手段方法があるわけでございますが、いずれにいたしましても、企業家のサイドといたしましては、そのことによって投資のコストを引き下げる、それが誘因効果になって投資が促進されるというのが、投資減税の本来の考え方でございます。そのコストの引き下げ要因が投資を誘因するというふうに考えるためには、いろんな経済局面によって違うわけでございまして、現段階では、むしろ経営者自身が将来の経済展望についてはっきりした見通しを持っていることの方が、より大事な問題なのではないかといるふうに考えておるわけでございます。 それからもう一 つ、先ほど委員が研究会の計量的な試算を御指摘になりました。御指摘になりましたような報告があることを私どもは承知いたしておりますが、その場合にいつも問題になりますのは、投資減税、たとえば一単位の投資減税を行った場合にどれだけの投資がふえたかということは、これは実は非常に計量がむずかしいわけでございますね。本来投資を計画しておった人も、たまたま投資減税という制度があるがゆえに、減税のメリットを受けるのかもしれない。つまりその投資減税によってどれだけの投資が行われるかということは非常に計量がむずかしいのと、制度的に仕組むことが非常にむずかしいというふうな問題もあるわけでございます。 そういうことで、従来私どもはこの問題については非常に慎重に考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても、税制調査会でまだこの種の議論を正式に議論されたわけでもございませんし、五十九年度一体どうするのかということについて政府として具体的な決定を何もしたわけではございませんので、現段階で確たることを申し上げられないわけでございますが、われわれ税制当局としては、従来からかなりこの問題については慎重に考えておるということだけを申し上げたいと存じます。
○鈴木一弘君 経済企画庁、結構です。 私は、同じお金を使うんであれば、景気浮揚の効果のある方をということになりますと、いま申し上げたように、設備投資減税に前向きに取り組んでいくべきであろう、こういうふうに思うわけです。この点は十分検討していただきたいと思います。 次は、不公平税制の問題ですが、最初にグリーンカード制度のことです。 これが六十二年の一月まで凍結ということになりました。凍結解除になるのが六十二年一月でございますが、そのときからポスト・グリーンカード制度を考えていくのか、あるいはポスト・グリーンカード制度ということになりゃ、もう早々に考えなきゃならないわけですが、このグリーンカード制度が六十二年一月に凍結解除になるまでに、今回出たこの中期税制答申、これにおいても、この制度に「代わる把握体制を検討していくことが必要である。」、こう述べられておりますけれども、一体どういうようにポスト・グリーンカードを考えていくかということは大きな問題だろうと思うんです。 中期答申では「当面は、現行の把握体制の充実と合理化を図ることにより対処してはどうか」と、こういうことが書いてある。しかし現行の把握体制に問題があればこそこういうグリーンカード制度が浮上した。利子配当所得の総合課税化を実現するためのグリーンカード制度ですね。そうすると、何か言っていることが答申の方と比べておかしいなということがすぐわかるわけでございますが、この確たる代案が提示できないままにグリーンカード凍結解除の時期が来たときには、これはグリーンカード制はそのまま実施するということになるわけですけれども、その辺は主税局としてはどう考えておりますか。
○政府委員(梅澤節男君) グリーンカードの問題につきまして、やや不透明な点があるという御指摘でございます。私どもも、今回の税制調査会の御審議の状況をずっと拝見いたしておりまして、ここの辺の問題については審議が大変難渋をきわめたということは事実でございます。先ほど来もお答え申し上げましたように、今回のこの部分に関する中期答申の方向づけは、まだいわば経過報告といいますか、審議の途中ということで、一義的な結論にまでまだ熟しておらない段階でこの答申がまとめられておるということは率直に申し上げなければならないと存じます。 ただ、ただいまも御指摘がございましたように、いわば混乱を防止する観点から、今年度の税制改正で政府提案をもちましてグリーンカード制度の実施時期を三年間延期させていただいておるわけでございます。 したがいまして、委員の御指摘を待つまでもなく、この期間中に確たる方向づけをするということは、ぜひとも必要なわけでございまして、税制調査会の御答申の中でも「グリーン・カード制度については、その実施にこぎつけるようあらためて努力すべきではないか」という御意見があります反面、コスト面の問題とか、あるいは国民の理解とか協力がそこまで熟しておるかというふうな点で、やや消極的な見解をお持ちの委員もいらっしゃるわけでございまして、この点につきましては、もう一度税制調査会の場で、いわゆるポスト・グリーンカードをどうするのかということを改めて御議論いただきまして、できるだけ早く結論を見出していただきたいというふうに私ども考えておるわけでございます。
○鈴木一弘君 グリーンカード制の再生が無理であるということになりますと、本人確認の徹底とか、それから利子課税強化による課税の公平を図るというものとしては、源泉徴収税率が現行二〇%になっている、これを大幅に引き上げて後で申告還付にするという還付方式をとる方式がございます。これは五十四年の税調でも審議されたようでございますけれども、事務量はふえるけれども申告による調整ということで容易になるわけでございますから、この方法を検討するというような考えがあるかどうか。 それからもう一つは、もしも現行のマル優制度というものを残すということになると、あるいは源泉分離選択課税制度ということを残すということになれば、三五%の税率を引き上げる必要もあるんじゃないかと考えられるわけですね。そうすれば、これが上がってくればどうしても総合課税に回ってまいります。 こういう両面も、グリーンカード制がなくなったときの税の公平を保つということになると、これは考えないわけにいかないだろうと思うんです。その点いかがでございますか。
○政府委員(梅澤節男君) 御指摘の点は二つあるわけでございますが、まず前者の問題でございます。 高率での源泉徴収を行いまして、いわば各個人が確定申告の段階で精算すると環付を受ける、こういう一つの提案というのは、ただいまも御指摘がございますけれども、このグリーンカード制度が議論されましたときの税制調査会の中でも、一つの方法としてかなり真剣に議論をされました。 で、技術論からいたしますと、この高率源泉徴収制度というのは、その意味でかなり正確な、個人が精算を行うわけでございますから、きちんとした制度として運用することが期待はできるわけでございます。その限りでは非常にすっきりした制度ではあるわけでございますが、ただ問題は、ただいまもお話がこざいましたように、一つは、日本のように国民の大部分の人が何らかのかっこうで金融資産を持っておるというふうな国で、そういうことを行いました場合の徴税コストの問題があるわけでございます。その環付の手続の煩瑣というような点から考えますと、その社会的なコストという面で非常に大きな問題がある。それは単に徴税当局のコストだけではございませんで、めいめいの貯蓄者が、三月十五日になると、めいめいそういう手続をしなければならないという負担の問題もあるわけでございますが、その辺のことをどう考えるかという問題が一つ。 それからもう一つ、この利子配当課税、いわゆる金融資産の収益に対する課税の困難さの一つは、今回の中期答申にも書いてございますように、金融資産というのはいろいろな種類のものがございます。それからいろいろな制度のもとで運用しておるわけでございまして、そこの税制のいかんによっては金融資産が非常にシフトを起こす。グリーンカード制度が問題になりました発端の一つは、この金融資産のシフトの問題でございますが、いま委員がおっしゃいますように、高率の源泉徴収をやるといたしますと、現在の所得税の最高税率七五%で源泉徴収するということになるわけでございますが、そういった制度をとりました場合に、果たして金融界で貯蓄選好、金融資産の選好等について大混乱が起きないかという問題を考えておかなければならないということになりますと、この制度を導入することについては、そういうコストの面と金融市場への不測の影響という点を考えますと、よほどこれは慎重に考えなければならない問題であろうかと思います。 ただ、そういった発想も含めながら、今後一つの捕捉体制のあり方としてそういう方向が考えられるのかどうかということは、検討の課題にはなると思いますけれども、いま直ちにこれを実行することについては相当問題ありと言わざるを得ないと存じます。 それからもう一つ、現行の分離選択税率三五%の取り扱いでございますが、これにつきましては、今回の答申におきましても、所得税の最高税 率との関連においてこの点も検討をするようにという御指摘をいただいておりますが、ただこの答申自体は、三五%の水準を上げるとか下げるとかいう具体的な方向づけはいただいていないわけでございます。いずれにいたしましても、この辺の答申を念頭に置きながら、今後この三五%の税率をどう扱うかということにつきましては、改めて年度の税制を御審議いただきます税制調査会で御議論をいただきまして、もし結論を得られるならば、結論を見出していきたいというふうに考えております。
○鈴木一弘君 いま徴収上の問題が大変だということで還付問題に答弁がありましたけれども、それについて今度は執行上の不公平の問題を一つ聞きたいんです。 昭和四十年の国税庁の職員が五万一千人、五十八年現在で五万二千人。しかし納税者の推移は、所得税納税者数が二百九十二万、源泉の方が百六十五万というのが、昭和五十六年で六百十七万、五百三十一万というふうに物すごく二倍にも三倍にもふえている。こうなるとどうしても実調率が下がってきますから、これは裏マネーをふやすということで不公平感は増大してくるわけですが、これは当大蔵委員会でも議決をされた決議がございますけれども、この点についての今後の対応をちょっと伺いたいのです。これも一つの大きな不公平感を生む原因になっているわけですから。
○政府委員(岸田俊輔君) 先ほど委員が御指摘になりましたように、税務行政を取り巻きます環境は非常に厳しいものがございます。 納税者数を所得税で見てまいりましても、約三〇%増加をいたしてきております。法人の数で見ましても五割ふえているという状況でございます。十年間をとってみますと、その間国税職員の方は二%程度の増加になっております。それに加えまして、経済取引の国際化とか広域化、複雑化というようないろいろな要素も入ってまいってきております。さらにまた税の公平に対します要請というのは年々強まってきているような状況でございます。こういう状況の中で、国税といたしましては、いろいろな合理化とか効率化ということを考えてきておりますけれども、おのずと限界がございます。そういう意味で、厳しい行財政下でございますけれども、関係方面の御理解を得まして、国税職員の増員につきましてできるだけの努力をしていきたいというふうに考えております。
○鈴木一弘君 これは本当に本気になってやっていただきたいと思うのです。配転等いろいろやっているようでありますけれども、これ以上に考えていかないとこれはパンク状態になってしまう。還付税務署と言われるような還付の多いところなんか動きがとれないという状況になっておりますので、それが脱税の温床にも逆になっていくわけですから、ひとつ努力をしていただきたいと思います、本委員会での決議もございますので。 次に警察庁見えておりますか。——ちょっと予算委員会で私し残した質問ですが、サラ金苦から始まるいわゆる殺人、強盗、こういうような凶悪犯罪事件の実態は一体どうなっておりますか。
○説明員(仲村規雄君) お答えいたします。 本年の一月一日から六月三十日までの間に全国の警察で検挙いたしました凶悪事件——凶悪事件というのは殺人、強盗、強姦、放火、この四罪種を凶悪事件と申しておりますけれども、この凶悪事件が六月までで三千四百六十八件ございます。その中でサラ金苦を犯罪の動機、原因とするものを調査いたしましたところが、百六十五件ということで、全体の四・八%がサラ金苦を犯罪の動機、原因としていることが明らかとなっております。 これを罪種別に見ますと、殺人が検挙した八百十七件のうち三十一件がサラ金苦によるもの、パーセントにすると三・八%でございます。それから強盗殺人が三十三件検挙したうち十五件、これは四五・五%ということでございます。なお、その他単純な強盗は四百五十五件検挙のうち七十四件等となっております。
○鈴木一弘君 いまの御答弁から伺っていても、単純な強盗の場合に四百五十五件について七十四件、一六%。強盗殺人が三十三件のうち十五件、四五・五%という高比率に上っております。こういう一つの例。 それから、これは裁判所の方から調べたのでありますけれども、全国の簡易裁判所で受け付けた民事調停事件のうち、サラ金関係が昨年の一—三月で八千百五十一件でございました。それがことしは二万二千八百三十件、一—三月で民事調停事件を受けておりますが、その中でサラ金関係が一万三千八百六十七件というふうに約五〇%ぐらい増加しております。昭和五十五年に比べるとこれは大変なふえ方で、当時は三〇%ぐらいが調停事件数の中のサラ金関係でしたが、ことしは一—三月が六〇%を超えております。 それからいま一つは御承知のように破産の問題がございますが、この破産の申し立てが大変増加をしていて、これも大変な数になっております。昭和五十四年でサラ金で自己破産の新受件数というのは三百八十七件でしたが、昭和五十七年には二千二百八十件というふうに膨大な数にふえている。 こういうのもありますし、そのほかに自殺者の方は、これは統計はわからないということで出てこないんでありますけれども、こういうようにすごくサラ金によるところの凶悪犯罪がふえたり、家庭を崩壊させたり、あるいは夜逃げをしたり、いま申し上げたように自己破産もしたりする。しかし破産したいけれども金がないから自己破産もできない。あるいは調停にかけたくても、一件について何万という金がかかりますので、調停にもかけられないし、弁護士のところにも行かれない。無料でやってくれる相談がございますけれども、そういう扶助を受けたくても、弁護士の方がパンクしていて皆さん逃げて歩いている。こういうことでどうしようもなくなっている。 しかも、その上にクレジット、信販によるサラ金同様の消費者金融の激増ということが第二の波として来ております。昔はクレジット、信販の支払いのためにサラ金を借りた。いまはサラ金のためにクレジットを借りるというように逆になっている現象も出ておりまして、これはただごとじゃございません。 そういう点から考えていきますと、利息制限法による過払い返還請求ができなくなった。逆に言えば、業者の方が支払い申し立ての請求を幾らでもできるということになるわけでございますから、支払い命令を出させるわけです。そういうことで、これはサラ金苦の恐ろしさを知らないで利用した人までが見殺しにされていくということになってきますので、この辺で本当に人道上から、一遍、法の改正を改めて考える必要があると私は思っておるんですが、この点はどういうふうに思っておりましょうか。これらについてお伺いします。
○政府委費(宮本保孝君) サラ金の問題につきましては、大変な社会的問題になっておりまして、私どもも十分認識いたしているところでございます。 問題につきましては、債権者債務者両方の問題があろうかと思いますけれども、特に貸金業者におきましては、やはりモラルの問題がございますし、また従来法的な整備も十分でなかったという点もあるわけでございまして、今回サラ金関係二法を国会で通していただきましてこの十一月から実施の運びになったわけでございます。私どもといたしましては、政省令、通達を整備いたしますとともに、関係各省庁と連絡の上、この十一月から鋭意この問題に取り組んでおるところでございます。 御指摘の法律の内容等につきまして、いろいろ国会等、この参議院の大蔵委員会におきましても十分御指摘を受けたところでございますが、とりあえず私どもといたしましては、この法律の適正な運用を図りまして、少しでもサラ金問題が早く解決することを願っておりますが、具体的な個々の問題につきまして、また支障のあるような問題につきましては、別途措置を立法府におきまして も講ぜられることを期待いたしておるところでございます。
○鈴木一弘君 時間がありませんから、もうこれで終わりますが、このサラ金問題は、本当に銀行局でも前向きに取り組んでください。そうしませんと、被害者はもうたまらないということになります。悪徳業者だと言い張って催促しているのがいるんですから。そういうのがいっぱいいるわけでありますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。 終わります。
○近藤忠孝君 まず、年内減税一千五百億円、それは人的控除一人一万円引き上げという形でやるというんですが、なぜこの数字になったかということについて聞きたいと思うんです。 と申しますのは、昭和五十二年以降所得減税がないわけですから、その後の物価上昇を考えますと、これは二五%上昇しています。そうしますと、単純に掛けますと、人的控除一人三十六万、課税最低限が二百五十二万、標準の四人世帯、給与所得者で、こういうことになるんですね。それがなぜこの千五百億円ということになったのか、この点について答弁いただきたいと思います。
○政府委員(梅澤節男君) 今回の所得税減税の取り扱いにつきましては、国民の非常に強い要請がございまして、同時に立法府におきましても、与党、野党、時間をおかけになって御議論をいただいたわけでございます。したがいまして、最終的には相当規模の減税ということで合意がなされたわけでございますが、 年内につきましてもできるだけの措置を講ずべきであるということもございました。ただ、この年内減税分につきましては、財政的観点から申し上げますと、すでに年度は進行しておるわけでございます。したがいまして、当然のことながら、この財源問題をどうするかということが基本的に重要な問題になってまいります。 所得税の減税問題につきましては、昨年、衆議院で与野党の小委員会というものが設けられまして、中間の報告が取りまとめられておるわけでございますが、そのときにおきましても、財源は特例公債の増発によらないという合意もいただいております。同時に、今回政府の税制調査会の部会で御議論をいただきました際にも、その基本的前提としては、現在の財政改革の方向に逆向するようなかっこうでの財源措置による減税というのは避けるべきだということでございました。 政府といたしましては、その意味で年内減税についてはもっぱら財源の制約という観点がございます。たまたま五十七年度の決算剰余金が確定いたしまして、一千四百七十一億円の財源、決算剰余が生じたわけでございます。それをも勘案しながら、同時に、現時点で申しましても、五十八年度中に予算を上回りますような自然増収は恐らく期待できないという状況でございますので、そういったことを彼此勘案しながら、今回五十八年分の特例といたしまして、基礎的な人的控除を一万円ずつ引き上げまして、これは正確に申しますと千五百四億円の財源が必要でございますが、およそ千五百億円の減税ということで、政府といたしましてはこれが精いっぱいの措置である、五十九年度以降本格的な所得税法改正に伴います大幅な減税にいわばつなげる措置として、ぜひ御理解を賜りたいということでございます。
○近藤忠孝君 そうしますと、もっぱら財源問題のみと、こう聞いてよろしいんですかな。
○政府委員(梅澤節男君) 主として財源問題が制約になったことは事実でございます。
○近藤忠孝君 次に、平年度七千億円の問題ですが、中間報告の内容に関して若干お伺いします。 課税最低限を二〇%程度引き上げるというんですが、これは主にどういうことを考えておりますか。
○政府委員(梅澤節男君) 中期答申では、課税最低限につきましては、事実問題としては、主要諸外国に比べて課税最低限が遜色のない水準にあるということは事実でありますけれども、五十三年以降据え置かれたままになっておりますので、所得税、特に中堅所得階層でかつ多人数世帯における生活のゆとりが増加しているものの、逆な意味で申し上げますと、負担の累増感が生じてきておる、その辺をよく念頭に置いて課税最低限の引き上げについて検討すべきであるという御指摘をいただいておるわけでございます。 ただ、今後五十九年度の所得税法の改正におきましてどういう形でお願いいたしますかは、先ほど来申し上げておりますように、改めて税制調査会で具体的に御議論をいただき、御結論をいただくわけでございますが、御案内のとおり、課税最低限は、基礎的な人的控除と、それからサラリーマンの場合でございますと、 給与所得控除のいわば合成された形で課税最低限というのは決定されるわけでございます。先般の政府・与党の決定で、標準四人世帯の課税最低限をおよそ二割程度をめどに引き上げるという方向づけをきれたわけでございますが、ただいま申しましたように、この標準四人世帯の課税最低限を二割程度引き上げる場合に具体的に一体金額が幾らになるのか、それは人的控除で幾らか、あるいは給与所得控除でどうなるかということは、いずれにいたしましても、これからの税制調査会での御結論をいただいて具体的な方向を決めるということでございます。
○近藤忠孝君 ですから、その答申を受けて大蔵省としてどう考えるのか。そこはそれなりに考えはあると思うんですよ。またもう一度政府税調の答申を受けるとしましても、大蔵省としてはこういう考えを持っているというようなものは現にあってしかるべきじゃないんでしょうか。たとえば人的控除を中心に置くのか、所得控除をどの程度考えるのか。その点どうなんですか。
○政府委員(梅澤節男君) 今回の税制調査会の中期答申ではっきりいたしておりますことは、基礎的な人的控除、つまり基礎控除、配偶者控除、扶養控除、 これを引き上げるにいたしましても、一律に引き上げる、それぞれについて濃淡はつけない、この点だけははっきりしておるわけでございますけれども、一体具体的な金額として幾ら引き上げるかという点につきましては、先ほど来申し上げておりますように、改めて税制調査会で御議論をいただきまして、そこの中で具体的な方向づけを見出していきたいということでございます。
○近藤忠孝君 全部答申の方へ逃げちゃうんですが、もう一つの問題としては、答申の中に、最低税率を上げること、それから最高税率を引き下げることというんですね。これもまたいまのような答弁になるかと思うんですが、しかし常識的に考えますと、最低税率を上げる場合には大体一〇%を一二%に上げる、それから最高税率は七五%を七〇%ぐらいに下げるというのがほぼ常識的な線、われわれは決して賛成しませんけれども、大体世間で言われているところではそんなところなんですね。これは大蔵省の大体腹の中もそんなところじゃないんですか。
○政府委員(梅澤節男君) 税率構造につきましては、ただいま御指摘になりましたように、今回の答申で触れられておるわけでございますが、要するに所得水準の平準化の動向、 それから中堅所得階層の負担の緩和という観点から、諸外国に比べましても非常に累進度が急であると言われておりますわが国の所得税の税率構造をこの際見直して、その累進度を若干なだらかなものにしてはどうかという方向づけがなされておるわけでございます。 その場合に、当然最低税率、最高税率が問題になるわけでございますが、これも同じような答弁でまことに恐縮でございますけれども、これを具体的にどうするかというのは、これからの税制調査会の御議論を待って結論を見出していきたいということでございます。
○近藤忠孝君 次の質問は、同じ答弁ではちょっと困るんですが、いま言われた中堅所得層とか、あるいは世帯持ちの中高年についても配慮をするという答申が出ておるんですね。問題は、どのあたりを中堅所得層と考えるか、年所得どれくらいのところを大蔵省はそういうものと理解している のか。それは答弁できるでしょう。それももう一度税調にかけるんですか。
○政府委員(梅澤節男君) 結論から申しますと、ただいま申されましたように、もう一度税制調査会で御議論をいただくわけでございますが、ただ、ここで中堅所得層という言葉がたくさん出てまいります。税制調査会での審議の過程から見ました場合に、一義的に中堅所得層というのはどの階層かということを申し上げるわけにはいかないわけでございますけれども、たとえば平均的な給与の水準をどの辺に置くか。 それからもう一つは、これは税制上の問題として出てまいりました議論でございますが、先ほど申し上げました現在の税率構造の中で限界税率の弾性値の非常に高い、急に高くなってくる階層があるわけでございますが、そういった点とかいうものを彼此勘案いたしまして決めるということになろうかと存じます。 したがいまして、その場合にも、世帯の構成を一体どの程度のものを前提にして、たとえば年間の収入が幾らかというふうに考えるべき問題でもあろうと考えますので、ただ単に年収何百万とかいうふうに一義的にどうも決めてしまうわけにもいかないんではないかという問題ではないんだろうと思っております。
○近藤忠孝君 しかし、実際次の法案を出すときには、それは一定のところにきちっと線を引くことになるわけですから、それは出ておると思うんですが、どうも選挙を前に控えておって、大変一つ一つ慎重にお答えになっているというぐあいに考えざるを得ません。 そこで、ちょっと話題を変えますが、この中期答申についてですが、「所得再分配機能は税制面を中心に考えられてきたが、現在のように歳出面を通ずる所得再分配が広範に行われるようになっている状況の下においては」云々ということで、歳出面を通じて所得再分配機能が効果を発揮したというような指摘になっているわけです。 しかし、ここで私が指摘したいのは、いまの臨調行革の状況、これは福祉後退等々で、今後を見ますと、歳出面はむしろ逆になっていくんではなかろうか。それからもう一つの面を見てみますと、国債の保有者、これは最近個人の保有割合が大変ふえているということになっておりますが、そこで理財局長に聞きたいのは、その保有割合の増加の状況ですね。そして所得階層別にどの程度の所得の方がどの程度保有しているか、そういう調査があればその結果、そしてそれが国債の保有、要するにその利子の配当を通じて、歳出面を通じて所得再分配機能がむしろ逆になっていくんじゃないか、この指摘とは逆になっていくんじゃないかと私は思うんですが、その辺はどうですか。
○政府委員(西垣昭君) 御質問の国債の個人保有状況でございますけれども、正確には把握しておりません。所得階層別の保有状況につきましても、私ども統計は持っておりません。 私どもが区分いたしておりますのは、市中金融機関、資金運用部、それから日銀以外のものが保有している部分を個人等ということで整理をいたしておりまして、この個人等保有分につきましては、各年度末における国債残高に占めるシェアがだんだん上がってきております。最近五年間の状況を申し上げますと、五十三年度末が二一・九%、それから五十四年度末が二七・八%、五十五年度末が三八・三%、五十六年度末が四〇・九%、五十七年度末が四二・六%というふうに増加しております。ただ、先ほども申し上げましたように、この個人等の中には純粋個人以外のものも入っておりますので、御指摘のような結論になるかどうかという点につきましては、はっきりしたことはわからないと言わざるを得ないと思います。
○栗林卓司君 まず、お尋ねをしますけれども、大蔵省と税制調査会の関係なんですが、税制調査会というのは一諮問機関ですから、答申が出てもまるごとうのみにはいたしませんという立場なのか、極力その趣旨を行政に生かしていくという立場をおとりになるのか、私は後者だろうと思うんですが、一応念のためにまず伺います。
○政府委員(梅澤節男君) 御指摘の点につきましては、委員仰せのとおり、後者の立場であるべきであろうと考えております。
○栗林卓司君 それで、今回出た中期答申なんですけれども、中を拝見しますと、数年前の昭和五十五年十一月「財政体質を改善するために税制上とるべき方策についての答申」、これを見ますと、自然増収は三兆から四兆だけどということで、財政事情が大変困難になったことを指摘しているんですが、今回は自然増収は二兆、一層事態は深刻になってきたということを踏まえながら、所得税については数年ごとに一度見直し——見直しは減税の場合もあれば増税の場合もあるんですから、一概に見直したから減るだろうという議論はできませんけれども、全体に流れている調子からすると、所得税に対する負担感の増大からいって、負担を弱める形で見直していくことを考えているんではなかろうかと思うんです。 それでは答申の組み立てがきちんといくかというと、そこで税調が今回言っているのは、資産課税、間接税について大幅な積極的な取り組みを要請しているというのが、大体ここに書いてある大きな筋だと思うんです。粗筋は、大蔵省とすると、まことにもっともでありますというかっこうでお受け取りになるんですか。
○政府委員(梅澤節男君) 今回の中期答申は、五十五年、前回の中期答申に比べまして、議論のスタートになる財政改革の方向づけという点で条件がさま変わりになっておるという点は御指摘のとおりでございます。 それからもう一点といたしまして、この答申の総論にも触れてございますように、わが国の社会経済情勢の今後の変化に対応して税制がそれに対応していけるように、しかも税制の基本的な要請である公平、それから経済に対する中立性という観点を踏まえて今後の税制を検討すべきであるということで、各税目ごとに現在の問題点とその問題を解決していくべき方向がいわば定性的に述べられておるのが今回の答申でございます。その意味でただいま委員が御指摘になりましたとおりでございまして、私どももこの基本的な方向づけの中で今後のわが国の税制を考えてまいるべきものであろうと考えております。
○栗林卓司君 いまのように素直にお話を伺いますと、所得税については数年ごとの見直しの一環として、来年度七千億の減税をいたします、あわせて資産課税、間接税については、課税対象の拡大を含めて税収を高める方向で検討してまいりますということが、来年度の税制に取り組む基本的な立場になる。そう理解するのがこれはごく普通だと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(梅澤節男君) 若干補足して御説明することをお許し願いたいのでございますが、所得課税について数年に一度見直すというふうに書いてございますが、資産課税につきましては、それを受けて、資産課税についてもその意味での見直しを行うべきであるということではなくて、いま直ちに現在の課税最低限なり負担水準を手直しをすべき段階ではないと。委員がおっしゃったのと、私の方が聞き方があれかもわかりませんが、ニュアンスは若干違うように思っております。 それから間接税につきましては、現在の物品あるいはサービスにかかる課税ベースの拡大の検討、あるいは負担水準の常時の見直しということが提言されておるわけでございます。 いずれにいたしましても、これらの問題につきましての今回の答申の考え方というのは、五十二年なり五十五年、従来の政府税制調査会の答申と大きく軌道が変わっておるというわけのものではございません。私どもといたしましては、税制につきましては絶えず検討を怠らずに、そのときどきの社会情勢なり経済情勢に即応した税制であるように絶えず見直しを行っていくのは当然でございます。したがいまして、この答申の方向をどのように具体化していくかというのは、もちろん今後の問題でございますけれども、ここに書いてあ りますことの方向づけが、直ちに五十九年度から具体的に手がけていくというふうにも考えておりません。この答申の冒頭にも書いてございますように、こういうふうに基本的な方向づけを提言するけれども、具体的には今後毎年毎年の税制調査会の審議の過程で、その時点で必要と思われることを答申するつもりであるというふうに述べられておるわけでございます。私どももそういうことで対応してまいる考えでございます。
○栗林卓司君 毎年毎年検討するのはいいんですけれども、では中期答申というのはなぜ出すんだと。中期答申を出して、毎年の検討がそれと関係ないんだったら、中期答申は要らないんですよ。だから、中期答申で言っている、たとえば間接税で言いますと、「物品、サービス等に係る課税ベースの拡大等について検討を続けることとすべきである。」という意味は、来年の検討にも再来年の検討にも当然生かされてくる、つながっているものだということでしょう。それを余り極端に、間接税の増徴の方向は来年ならわかりませんという言い方をするものだから、聞いている方はわけわからなくなっちゃいますよ。 だから、来年は所得減税について数年間に一度の見直しをしてやります、だけど資産課税はおっしゃるように答申の中でも大きなウエートを持っておりませんから、あなたのおっしゃったような書き方なんだけれども、間接税についてはだれがどう見たって増徴の方向ですよ。それをいま認めておかなくて、来年の一月になって法案をお出しになって、どうやって説明するんですか。これはむちゃだ。 あと時間、もうありませんから、大臣にまた引き継ぐんだけれども、その趣旨でまた午後お願いしたいと思います。 一言だけつけ加えます。 さっき鈴木さんもお触れになったんだけれども、国税職員の数なんです。国税職員でつくっておられる組合が税制改正に関する提言という書類をお出しになったんです。私も読んで勉強さしていただいたんだけれども、これを見ますと、時間がないからはしょって申し上げますけれども、とてもいまの人員ではだめだと書いてある。いまの人員は、鈴木さんおっしゃったように五万人ちょっとですね。海外とは税制が違いますから簡単に裸で比べるわけにいかないんだけれども、大体先進諸国は七、八万名の規模で国税職員を抱えていると理解して間違いないと思うんです。ここで書いてあるのは、七、八万名とは言わないけれども、あと一万名何としてでも欲しい。将来の税体系がどうなっていくかということにかかわるんだけれども、肝心な場所がいまああなっていますんで困るんだけれども、臨調でも税を含めた負担率は上昇せざるを得ないと認めているわけですよ。どういう税目になるかは別ですよ。一方では、とにかく申告納税が原則なんだから、それができるように記帳も義務化しよう、推計課税についてもきちっと環境整備をしようということを考えてまいりますと、どう見たっていまの人員ではとても足りない。この点は異論ないと思うんです。 私が一言言いたいのは、一人前の税務職員にするのに一体何年かかるか。これは確定的な数字はないですけれども、普通はこの道一筋十年と言いますよね。じゃ十年後の一体課税がどうなっているんだ。それを見た上でいまから準備をしておかなかったら間に合わないでしょう。大蔵省は主計局を抱えているもんだから、何となくほかの省庁の手前もこれあり、自分のところはなるべく低くしてという予算査定をやるんだけれども、それは私は間違いだと思うんです。 で、国税職員と外交官は何としてもふやしていかないといかぬ。特に税の公平感を確保するためにもそれは絶対に必要なことだと思うんですが、一言御答弁いただいて終わります。
○政府委員(岸田俊輔君) 先ほど申しましたように、税務を取り巻く環境は御指摘のようにきわめて厳しい状況でございまして、将来を見渡しまして、現在の状況でいいかどうかということは私どもも非常に心配をしている状況でございます。こういう厳しい行財政下ではございますけれども、私どもといたしましては、関係方面の御理解を得まして、定員の増員につきまして一層努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○委員長(伊江朝雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時三十分まで休憩いたします。 午後零時三分休憩 ─────・───── 午後零時五十五分開会
○委員長(伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、昭和五十八年分の所得税の臨時特例等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○多田省吾君 私は、まず初めに大臣に昭和五十八年の千五百億円の所得税減税についてお尋ねをいたします。 これは本年初めから与野党書記長・幹事長会談等において約束された内容、特に最後には文書にまでなされた内容とは大分かけ離れておりまして、政府・自民党の大きな公約違反であると私は思っております。あの合意の中には景気浮揚に役立つ相当規模の減税、そして五十八年中に実施するとあったわけです。それがわれわれにとってほぼ十分の一としか思われない千五百億円になってしまった。景気浮揚に役立つ相当規模の減税といったならば、だれが見ても、これは全野党が主張する所得税減税一兆円、住民税減税四千億円、合わせて一兆四千億円規模の減税は最低限度だと私たちは思っております。 行革特別委員会の大蔵大臣の御答弁を聞いておりましても、景気浮揚に役立つというところを昭和五十九年の減税にまで持ち込んで拡大解釈しているように思います。しかし合意は、あくまでも景気浮揚に役立つ相当規模の減税は昭和五十八年中に行うというのが合意でございまして、自民党の議員さんの中にも、二千億円程度の減税では景気浮揚に役立つとは思われないとはっきりおっしゃる方も大分おられたわけでございます。 また、十月組まれた総合経済対策の中にも減税というものを盛り込んでいるわけでございますが、それらを見ましても、昭和五十八年の景気浮揚対策としての減税は、やはり一兆四千億円程度の減税でなければ意味がない、このように思います。 大臣はこの与野党合意の公約違反をはっきりお認めなさいますか。そうしてまた、なぜこういう小さな規模になったのか、お伺いしたいと思います。 この一千五百億減税に関しましては、昔ラーメン減税というのがありましたけれども、ランチ減税だとか言われております。標準世帯四人家族で年間三百万円の所得の方はわずか四千八百円の減税にしかならないじゃありませんか。これはまさしくランチ減税です。なぜこういう小さな規模になったのか、まずお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 今回の減税は五十八、五十九年度を通じて総額一兆二千百億円、これは規模としては大規模であるというふうに言えると思います。そのうちの年内分が御指摘のとおり千五百億円でありまして、年末調整でこれはお返ししようと、各党また議長さんの御了解を得ましたので、今月の十日から年末調整の説明会を、三百万法人がございますので、すでに始めさしていただいておるわけであります。したがって、それから一月—三月分ということは、来年の年末調整になりますが、四月分からは源泉徴収税額の減額という形で本格減税になりますので、それら総合して期待感というものを含めますと、景気浮揚に資するものであるというふうに思うわけであります。 そこで、経過的に申しますと、昨年の三月の四日でございましたか、各党間の話し合いで減税小委員会というものができて、それからずっと議論が詰められてきたわけであります。正確に申しますと、最初は一兆円規模というお話でございまし た。それが厳格に所得税と住民税との比率がどうだというようなことを申し上げるつもりは私もございません。 それから過去の速記録等を見ますと、少なくとも景気浮揚に役立つということになれば、とにかく遅くとも五十九年の一月からはやるべきだという御主張も、国会の審議の中にもございます。各種の議論が行われて、それでも少なくとも年内実施と言えるような法律の出し方をしろということに議論が集約されてから、十月の中旬までに法律を出せと、こういう取り決めに変化をしてきたわけであります。したがって、年内実施ということにしなきゃならぬということで、鋭意作業を税調の方で、ちょっと非礼にも当たると思いましたけれども、急いでもらって、それでいわば部会の報告をいただいて、このような法案を御審議いただけるという段階になった。 そのときもう一つ議論になりましたのは、景気浮揚とは何ぞや。政府が当初見込んでいる三・四%の成長率というものをより確実にするということが景気浮揚であるという考え方からすれば、減税要らぬじゃないかという議論も、部内の議論としてはわれわれもいろいろな積み重ねをしてみましたが、この景気浮揚という心理的影響を考えた場合、それが大規模なものであり、かつ約束の線に従って年内にそれが実施されるということから見ますならば、景気浮揚、すなわち三・四%をより確実ならしめるという意味においては私は公約違反とは言えないではないか。言ってみれば、知恵をしぼりましてぎりぎりの努力をいたしたわけでございますので、その点は御理解を賜りたいものだというふうに考えております。
○多田省吾君 私は全然理解できません。はっきりもう公約違反だと思います。たびたびの与野党幹事長・書記長会談の末に、最終的には九月でしたか文書にまでされたわけです。それが、先ほど申しましたように、景気浮揚に役立つ相当規模の減税というものを五十八年中に行うということでございまして、景気浮揚に役立つものを五十九年度までわたって行うということは、全然こういう文書にも書いてないわけでございまして、そういった点は、大臣のいまの答弁では、故意に趣旨をねじ曲げている、詭弁であると、このように思わざるを得ません。 さて、私は次に、昭和五十九年度の予算の骨格についてお伺いしたいと思うのです。 ことしの一月に大蔵省が国会に提出した財政の中期試算によりますと、毎年度特例公債を一兆円ずつ削減して、昭和六十五年度に特例国債の発行から脱却するという最もゆるやかな、いわゆる七、五、三の七のケース、ケースCでも、五十九年度の試算における要調整額は四兆六千八百億円になっているわけでございます。これによりますと、最初歳出予算額は五十四兆千八百億円ですか、それから歳入見込みが四十九兆五千億円、ですから要調整額が四兆六千八百億円ということになっております。ところが、五十九年度の概算要求額は、現在五十二兆三千百五十八億円となっております。その概算要求額の五十二兆三千百五十八億円というものを一応ベースにしますと、この要調整額というものが相当減りまして、大体三兆五千億ほどですかになると、このように思うのです。 それで、どうも政府は、われわれ反対でありますけれども、国債費の定率繰り入れを五十九年度もなくそうとしているようでございます。これが一兆六千億あると言われますが、それから所得税減税は政府公約として七千億円を予定されているようでございます。そういったことを加味いたしまして、一体昭和五十九年度の予算の骨格といたしまして、いま私が申し述べたようなことを考えておられるのか。そしてまたその要調整額というものを幾らぐらいと考えておられるのか、まずお答え願いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) これは多田委員御案内のように、一定の仮定計算に基づいてこの試算をお示し申し上げておるわけであります。すなわち名目成長を六ないし七の半分の六・五と見て、税の弾性値はこの十年間の平均で一・一でございますか、そういうある種の仮定計算に基づいて、そして現行の制度、施策がそのまま行われるという前提の上に試算をお示ししておるわけであります。したがって、現段階において五十九年の一体経済成長率をどう見るか、それに伴って弾性値をどう見ていくかというようなことが、まだ定まっていない段階で、なかんずく歳入面から見た見通しを申し上げることはなかなか困難な問題であると思います。したがって、今後の推移を見ながら、いずれにしても十二月末には、これは予算編成——解散があるとかないとか、それは別といたしまして、を例年終了するわけでございますので、それまでの間にそれらの見通しは立てていかなきゃならぬ。 で、基本的にどういう態度で臨むかということになれば、まずは制度、施策の根源にさかのぼって歳出をカットいたしまして、そうして念頭から離れてはならないのは、七、五、三とおっしゃいました七年ということについて、「一九八〇年代経済社会の展望と指針」の中でも、それまでに少なくとも特例公債からは脱却するべきであるという努力目標が提示されておりますので、それらを念頭に置きながらこれから対応していく問題でありますので、いわば予算編成方針というような形で多田委員にいまここで申し上げる状態にはないということを御理解いただきたいと思います。
○多田省吾君 しかしながら、五十八年の一月に出した「今後の財政改革に当たっての基本的考え方」、いわゆる中期試算と言われておりますが、この考え方を引っ込めたわけじゃないでしょう。これによって五十九年度は少なくともやっていこうとなさっているわけでしょう。そしていま大臣おっしゃったようにほとんど試算Cを用いて、そして昭和六十五年度において特例公債をなくすという方向、七、五、三の七に当たりますが、それも政府として方針を打ち出したものと私たちは受け取っているわけでございます。そうしますと、本年の一月に出されたばかりの中期試算を、そして昭和五十九年度のこのベースというものを私たちは政府の考え方として信用する以外にはないじゃありませんか。 そうすると、私が先ほど申し述べたような歳出歳入規模あるいは要調整額というものになってしまうんじゃありませんか。それを、来年度の経済成長率とかあるいはいろいろなことを考えれば、用いるわけにはいかないとおっしゃるわけですか。では何を根拠にしてわれわれは審議するということになりますか。少なくともこれは本年一月に出された中期試算です。しかも五十九年度の概算要求額というものは、五十二兆三千百五十八億円として、一〇%ないし五%のシーリングではっきり出ているじゃありませんか。私はもっとはっきりした御答弁がいまの段階ではあってしかるべきだと、このように思いますが、これはいかがでしょう。
○国務大臣(竹下登君) そこのところがいわゆる試算の持つ性格でございますが、確かにいわゆる「経済社会の展望と指針」に基づく名目成長率六ないし七の中間値をとって、六・五としてそういう試算を立てておるわけであります。従来もこういう試算を、いろいろ言われまして、各年度ことに予算編成が終わって、そして予算審議の手がかりとしていただくために提出してきておるわけであります。その上に、現行の施策、制度そのままにという考え方がありますので、そこでいま御指摘のありましたいわゆる一 〇%削減とか五%削減とか、シーリング枠を設けて概算要求を各省からお出しいただいておることは、これは事実であります。したがって、さらにその要調整額というものを制度、施策の根源にさかのぼっていろいろ見直しつつある問題もございますけれども、それを切り込んでいくということになると、まさに相当な気構えが必要だなというふうに考えております。とことん削減すべきは削減した後、さらに国民のニーズにこたえて、されば受益者も国民であり、負担する方も国民である限りにおいては、その辺問答を通じながら現実的な予算編成をしていかな きゃならぬ問題であるわけです。 したがって、予算単年度主義の中において、なかなか試算どおりにはそれはまいりません。ただ、試算はあくまでも試算でございますものの、六十五年脱却ということは努力目標として絶えず念頭に置いていなきゃならぬ課題でございますので、それらの整合性をどこに求めていくか。いまいわゆる繰り入れの問題を仮になしとしてもというような前提のお話もございましたが、そのようなことも議論の過程においては当然出るでございましょうし、そして減税財源ということになりますならば、これが今後の景気の動向を見なければわからぬといたしましても、いわゆる自然増収によってどれだけのものが賄われるのか。そうしたことについても来年度の予算編成までにそうしたものを固めていかなきゃならぬと思います。 いまここで予算編成方針についてのあらましを言えとおっしゃいましても、今年度税収そのものを見ましても、まだ半分もわからない今日でございますので、正確なお答えができる事情にはない。ただ大変厳しいものであるということだけは抽象的に言えると思いますが、なるほどそうか、こういうふうに応援してやろうかと言われるようなものがいまお答えできないことは、まことに残念ながら現実の姿でございます。
○多田省吾君 私たちは、経済に活力をつけ、景気回復を図り、自然増収を多く実現しなければならないし、また不公平税制の是正も行わなければならない、そういう方向に向かうのが筋であって、増税を図るというようなやり方は決してとるべきではない、このように私たちは考えるわけでございます。 総企庁長官等もはっきりと、昭和五十九年度は少なくとも四%以上の経済成長を図らなくてはならないと、こうおっしゃっておるようでございますが、五十九年度の経済成長に関しては大蔵大臣もそのように思っておられますか。
○国務大臣(竹下登君) これこそまさに不確定要素でございますが、いまのところ考えておりますのは、五十八年度の実質成長率が三・四%がより確実になることに対しては、先般発表いたしました総合経済対策をも含めて非常に注視していかなきゃならぬ問題であるというふうに考えております。 それから五十九年度四%台の成長、もちろん期待感としては私は持っていいと思うのでございますけれども、それは現段階においてはあくまでもやっぱり期待感であって、OECDが、これは暦年ベースで物を計算するところでございますけれども、そういうふうな試算を理事会等で勉強してもらうためにつくったという情報は入っておりますけれども、四%台の実質成長というものが望ましいということにはだれしも変わりないでございましょうが、当然消費者物価との相関性等もありましょうにしても、これを成長率のベースに置くという自信は今日まだございません。 それから、なお一つだけ言いかえさせてもらいますと、成長率を名目成長で六・五と申しましたが、五ないし七%というものの中間値をとった六%でございましたので、それは訂正をさしていただきます。
○多田省吾君 政府は総合経済対策の中で民間活力の活用ということを大きく期待しているようでございますけれども、私は、なぜ今回も投資減税の追加を見送ったのか、大変遺憾に思っておるわけです。午前中の質疑でもわが党の鈴木委員が、この投資減税見送りの点について質問いたしまして、主税局長等からお答えがあったわけでございますが、私は大臣に同じことを聞きたいわけです。 本年十月のマクロ経済運営についての研究会の中間報告書を見ましても、個々の財政面からの施策の効果等について試算をしているわけです。これは日経ニーズモデルによりますが、その中で、たとえば公共投資は、二兆円をやりまして、名目経済成長率増加率が一年目で〇・七%、二年目で累積〇・九%となっております。設備投資減税はその四分の一の規模、大体四千億円から五千億円でも、一年目に名目経済成長率増加率は〇・四%、二年目に累積で〇・九%と大きな効果があるわけでございます。 こういった点から見ましても、私は景気浮揚のためには設備投資減税というものをこの前の総合経済対策にも大きく追加する必要があったのではないか、今後も大いに必要ではないか、このように思いますが、大臣はいかがお考えでございますか。
○国務大臣(竹下登君) いわば投資奨励という施策の中で考えてみますと、いまおっしゃいました投資減税、それからいま一つは金融措置等々があろうかと思うんであります。投資減税をして景気が浮揚され、それによって法人税等々が増収になるならば、その減税規模は容易に賄えるではないか、こういうような議論もよくある議論であります。 ただ、まず、中小企業の投資減税というのは、今年度お願いしてやらしていただいたばかりでございます。したがって、それの効果を見定める必要がまずあるというふうに思います。それからこれは政策税制でございますので、政策税制については、税調の中期答申を見ましても、新規の政策税制を設けることは厳に抑制しなければならぬ、こう言われております。 確かにそういう点から見ますと、今年度の中小企業投資促進措置の実施に当たりましても、金融機関の貸し倒れ引当金の見直し等、価格変働準備金の整理等による増収措置とおおむね見合うではないか、こういうことで財源を確保したわけでございますので、所得税減税もやろう、その上にさらに減収を招くであろう特別措置を講ずるということは、財政にいま余裕があるかと言われれば、消極的にならざるを得ない。ただ、委員御指摘のございましたとおり、われわれ政府部内でも、投資減税問題というのは投資促進の手段の一つとしていろいろ議論をしたということは事実であります。
○多田省吾君 政府は昭和五十九年度におきまして七千億円の所得税減税を公約されておりますけれども、本年の千五百億円の所得税減税では、わずかに基礎控除、配偶者控除、扶養控除が一万円アップいたしまして二十九万円から三十万円になったという、本当にミニ減税にとどまったわけでございます。午前中も質問があったわけでございますが、七千億円の所得税減税、われわれは昭和五十九年度としては少額だと、非常に少ないと思っておりますが、それはさておいて、その内容でございます。 その七千億円の所得税減税におきましては、給与所得控除、いまの五十万円をどの程度アップするのか。また人的控除——基礎控除、配偶者控除、扶養控除等を、聞くところによりますと三万円とか五万円とか論議されているようでございますが、どの程度アップするのか。その両方をきちっとやるのかどうか。その辺、また税率等においてもどのように基本的に考えておられるのか、その程度は、私は、七千億円減税をやりますと言った以上、考えておられるものと思いますが、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 四十年以降の所得税減税の規模を見ましても、四十年代は、八百二億に始まって、四十五年平年度にすると三千四十九億円、そうして四十九年に平年度にすると一兆七千億円というのがございます。これは第一次石油ショック後のいわば狂乱物価、高値安定というときの措置であったとしまして、この七千億円所得税のみに限って見ますと、私はそれなりに大規模減税だというふうに言えるんではないかというふうに思います。 そこで、それの図柄、姿をどうするか、こう端的に御質問でございますが、報告をいろいろ読んでみますと、いま委員おっしゃいましたそれぞれの項目について御指摘がございます。いわゆる給与所得控除ということになると、やや十分ではあるが中堅層の方を考えなきゃいかぬぞよとか、課税最低限はこの際ある程度上げていかなきゃならぬぞよとか、いろいろなことが書かれてあります ので、それを具体化するのは、五十九年度税制のあり方というものを税調で御答申いただいて、そしてそれをもとに——もちろん絶えず勉強していなきゃいけませんけれども、手続から言えばそういうことになるではなかろうか。漠然たる検討すべきポイントというものはいま多田委員御指摘になったような問題、もとより総合的に検討すべきポイントであるというふうに理解をいたしております。
○多田省吾君 その中で私が大変腑に落ちないのは、論議されている中で、中期答申を考えての上で論議されている中で、所得税の税率について最低税率を引き上げて最高税率を引き下げるという考えが論議されているようでございます。一〇%を引き上げる、また最高の七五%を引き下げる。特に、私は両方反対でございますが、七五%の引き下げなんという問題は、渡辺大蔵大臣時代にグリーンカード制、総合課税制の話が出たときに、渡辺大蔵大臣がこの七五%のことをおっしゃったのであって、いまグリーンカード制が凍結されている現在においてなおこの七五%だけを取り上げてそれを引き下げようなんという論議がなされていることは、私は大変遺憾なことだと、このように思います。 具体的に七五%の適用の給与をもらっている人がわが国に何人ぐらいいるのか、それをお調べになったことがあるのかどうか、また何人ぐらいいるのか。それすらわからないのでは論議の対象にもなり得ないと思うのですが、どうですか。
○政府委員(梅澤節男君) 現在の税務統計では、非常に細かい刻みで納税人員がすぐに出てくるというふうにはなっていないわけでございますけれども、ごく大ざっぱに申し上げまして、ただいま委員が御指摘になりました所得で五千万円を超える人の納税者の数、これは五十七年分の税務統計によりますと、二万一千人という数字が出ております。所得でございます。
○多田省吾君 それじゃ給与所得だけで何人になりますか。
○政府委員(梅澤節男君) 冒頭にお断りいたしましたように、いまの税務統計では申告所得税ということでこの税務統計はできておるわけでございますが、申告所得税の納税人員の中にはいわゆる事業所得の方々、それから一時所得のような方々のほかに、年間給与収入一千万円以上の方は、これは確定申告していただく義務があるわけでございますが、そういう方々が全部入っておりまして、後ほどもう少し御報告できることがあるかどうか至急あれいたしますが、私がいま手持ちの資料の中で先ほど二万一千人と申し上げましたが、このうち給与所得者が何人かというのはちょっとわかりかねますので、御理解願いたいと思います。
○多田省吾君 そういうように統計すら出ていないじゃありませんか。数さえわからないじゃないですか。大体五千万円以上の高額所得者なんというのはほとんど利子配当所得の方が多いのであって、給与所得だけで五千万円以上なんという方は、私は非常に少ないと思うんです。これは常識的に考えても、その七五%の率を下げようなんという論議はもってのほかだと思うんです。その点を、時間もありませんので、大臣ひとつお考えを述べていただきたい。
○国務大臣(竹下登君) 所得というものは、自由主義経済理論に立脚すれば、努力と報酬の一致とでも申しましょうか、そういう性格のものであると思います。いろんな外国と比較してみますと、いわゆる累進税率構造のカーブが大変急激でございます。いま指摘されている問題は、中堅層のところへなだらかなカーブが行くようにということが非常に強く指摘されておるわけであります。言葉は変でございますが、ちょうど学校へ行っておるような子持ち、女房ももちろん持っておりますが、そういう教育費支出等に一番金のかかるところの層、そういうようなところをなだらかにして、そして税率の刻みを、いま十九ございますのをできるだけこれを縮めていきますと、カーブの成り行きによっては、このいわゆる七五プロというものが下がってくるということも、現実問題としてはあり得ると思っております。 だから、一つはなだらかな税率構造にするという観点。それからもう一つは、努力と報酬の一致という物の考え方というものは、議論をするときには出てくる考え方でありますので、特に特定の層を対象にして、これを優遇しようという発想から出るものではないではないかというふうに考えております。
○多田省吾君 私はまだまだ論議したいのですが、時間もありませんので、最後にお伺いしますが、一つは、行革特別委員会で、中曽根総理が二十一、二十二の両日にわたって、五十九年度増税しないと公約すると、はっきり国民に公約されたわけです。これはどうも衆議院選挙対策のようなお話でございますけれども、大蔵大臣としまして、中期答申に盛られているような酒税とか、あるいは物品税の増税とか、あるいは自動車免許税ですか、そういったものは一切増税しないと、ここではっきり公約できますか。
○国務大臣(竹下登君) 中期答申で大所高所から権威ある税調の方が問題点を提起された問題について、あらかじめ予見を持って、それらの問題提起についてはノーという答えを出すんだということは言えないんじゃないかなあと思っております。確かにあれを読んでみますと、いわば所得階層の中産階級化とか、あるいは酒類にいたしますと、いわば嗜好の変化等からして段階制の矛盾とか、いろんなものも指摘されているようでございますので、よく勉強さしていただかなきゃならぬ課題だ。 総理が申しておりますのは、これは絶えず、本院における決議もございますし、その決議に基づいて税調でもいろいろ議論をしていただいておりますいわゆる一般消費税(仮称)のような大型間接税等は、全く念頭に置くべきものでないということではなかろうかというふうに考えております。
○多田省吾君 それじゃ総理は、われわれが常識的に考えている増税ということを基盤にすると、国民にうそをおっしゃっているということになりかねませんね。これは重大な問題だと思います。 最後に、私は、グリーンカードが本来ならば五十九年の一月に実施されるべきものが三年凍結されたわけでございまして、中間答申でも言っておりますけれども、グリーンカードにかわるものを政府は何を考えておられるのか。また利子配当分離課税の選択制でございますが、この分離課税の分をいまの三五%を引き上げるお考えがあるのかどうか、これを最後にお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) グリーンカード問題でございますが、今回の税制調査会の中期答申では、「把握体制の方策として制度化されたグリーン・カード制度については、その実施にこぎつけるようあらためて努力すべきではないかとの意見もあるが、グリーン・カード制度はほとんどすべての国民に関係する制度であり、関係者による理解と協力や制度への信頼があって、はじめて円滑に運営されるものであるだけに、同制度がこれまでにたどった経緯にかえりみれば、当面、これに代わる把握体制を検討していくことが必要である。」というふうにされておりまして、そして「大がかりで精緻な把握体制の仕組みの導入は、今後の課題として検討は続けることとし、当面は、現行の把握体制の充実と合理化を図ることにより対処してはどうか」というふうに述べられておるわけであります。いずれにしても、利子配当課税のあり方についてこのような中期答申の考え方を踏まえて今後具体的に検討されることになりますが、できるだけ早く具体的方策を得たいと考えております。 何分、グリーンカードの延期法案ですか、これとて期限のあることでございます。ただ、いま、いわゆる利子配当分離課税という問題について、これを直ちに税率を上げるとかいうことの検討に入っておるというわけのものではございません。
○近藤忠孝君 本年度一千五百億円というこの減税の規模は、先ほど来指摘されたように、与野党 間合意に反する公約違反ではないか、これに対しまして大臣は、公約違反ではない、こう言っております。私は、まさに政局の焦点となった、そしてその打開の方法としてとられたこの合意が、しかもこの公党間の合意が全く違う認識であるということは、全く不可解だと思うんです。幸か不幸か、わが党はこの合意に参加しておりませんので、全く国民と同じ立場からこの問題についてお尋ねしたいと、こう思います。 そこで、これは一昨日の行特の委員会でも大臣がこう答えていました。本年一千五百億円減税というのは、例の総額一兆二千百億円与野党合意の精いっぱいの減税であるという点が第一点であります。もう一つは、五十八年中に所得税一兆円減税の約束はなかった、片方はあるというわけですね。 そこでお伺いしたいのは、大臣の認識として、あれは政党間の合意ですから、大臣は大蔵省の責任者としてこれをどう認識されておったか、その合意を。というのは、わが党を除く野党も、いま大臣が答弁されたように、認識しておったというように大臣はお考えになりますか。
○国務大臣(竹下登君) これは私の個人としての認識を問うということになりますならば、去年の三日四日でございましたか、予算通過の際に減税小委員会というものをつくりましたとき、私が幹事長代理でございましたので事情をよく知っております。総体的に減税の必要性は認めた。最終的な結論として財源が議まとまらなかった。だから、赤字公債はだめよという結論で中間報告で終わったわけです。 一方、政府税調は、いまその余裕はないよ、五十九年度以降を考えなさい、こういう答申をもらってそれで予算を編成した。ところが、この予算は、今度はいわゆる五十八年になってからでございますが、予算審議の過程において、いまおっしゃったような与野党間のいろいろな話し合いがあった。 その間の各党の速記録を精査しますと、それは一兆四千億という数字は、率直に言って、その際は出ておりません。およそ一兆円規模とか、あるいは中には五十九年の一月一日からは少なくともやるべきではないかとか、五十八年中に幾らかでもかかるべきではないか、具体的にそういう速記録もあります。したがって私は、いわゆる本格税制改正として、税金の年度は暦年でございますから、五十八年の一月にさかのぼって一兆円とかそういうものが行われるということは、私の認識はありませんでした。しかし質問の中には、暦年にさかのぼってやれ、それには赤字公債をやってもいいという御議論もございました。しかし、それらをかれこれ勘案して私自身が考えておりましたのは、これは何としても、景気浮揚という議論をすれば、三・四%という成長率のめどの問題も頭に入りますし、それだけはより確実にしなきゃならぬなということと、将来にわたっての期待感というものは十分考えなきゃいかぬというので、従来の例に比べればかなり大規模の、まあ五十九年を含めてでございますけれども、結果としてなったと。 その間共産党さんが仲間外れ——仲間外れという表現は(「いや、加わらなかったんですよ」と呼ぶ者あり)取り消しますが、外にいらっしゃったことは事実のようでございます。
○近藤忠孝君 いろいろ聞いたけれども、結局よくわからないんですね。要するに、この間神谷議員はペテンだと言ったわけですね。私はもうちょっとはっきり申しますと、どこかでだましているんですよ、どこかで。それは大臣が野党をだましたのか、野党も一緒になって国民をだましたのか、このいずれか一つなんです。そうでしょう。大臣、そこがきわめて大事なことですよね。 そこで、大臣にお聞きしたいのは、要するに五十八年中には所得税一兆円なんというのはとても無理だということ、だからこんなに小さくなっちゃうということを、野党の側もわかっておったのかということを大臣は認識しておったのか。だから大臣は、いずれどう決まっても恐らくにたにたしておったと思うんですね。これは野党は表でああ言っておるけれども、わかって言っておるのか、あるいは野党は本気で一兆円考えておるけれども、これはとても無理である、やがてはこうなるんだよと、こう考えているのか。いずれか一つなんですよ。どちらなのか、それを答えていただきたいのです。
○国務大臣(竹下登君) 仲間外れにいらっしゃいますと独善が通用しやすいんですよね。が、仲間になっておりますと、これは独善は通用しない。そして仲間になっていらした皆さん方が国民をだまされたとは私は思いません。それらの希望を聞いて、私どもはこれが精いっぱいですと申し上げたんですから、それに対しては公約違反ではないかという厳しい批判も承っておるわけですから、仲間になった方が国民をだましたような事実はないし、仲間の外にあった人が独善でそれを批判されるのは余り好ましいことではないと、こう考えます。
○近藤忠孝君 たった一つですから確かに独ですよね。しかし私は独善だとは思わないです。 私いま申し上げたことは、圧倒的国民多数のそれは疑問ですから。参議院選挙のときに各野党の党首は一斉に言いましたね、わが党こそ自民党に減税を約束させたと。当然これは一兆円規模ですよ。中曽根さんも、減税は断固実現しますと、こう言ったんですよ。そうしたら国民はその気になって投票したんでしょう。これが私は客観的な事実であって、たまたま加わらなかった者を独善というのは、これはまさに独断と偏見だと私は思います。 で、どうなんですかぬ、やっぱりいずれか一つなんですけど、お答えできませんかな。答えられなきゃ答えないで結構ですがね。
○国務大臣(竹下登君) 仲間になった方々がそれぞれ自分らの背景を踏まえて主張されたんであって、国民をだまされたとは思わないということであります。
○近藤忠孝君 じゃ私は自民党が野党をだましたと、このように私は受けとめます。 そこで、次の問題は財源の問題なんです。いろいろ言われてますが、端的にお聞きしますと、この税調の答申について、「物品、サービス等に係る課税ベースの拡大等について検討を続けることとすべきである。」というんですが、このサービスに対する課税というのは私はそんなに多いんじゃないと思うのですね。これは現にレクに来てもらいましていろいろ聞いてみたら、そんなに考えられないと。となりますと、物品税の項目をふやしていく以外にないんだと思うのです、この期待するところは。となりますと、物品税の対象を拡大することによってこの税調答申が期待するようなことは可能なんだろうか、その点はいかがですか。
○政府委員(梅澤節男君) 中期答申におきましては、ただいま御指摘の部分は総論のところに書いてございまして、「社会経済情勢の変化を踏まえ」——この背景には、所得水準の向上、生活水準の向上に伴いまして消費が非常に均質化してきておる、またその内容が非常に多様化してきておるという社会経済情勢の変化を踏まえまして、今後の間接税のあり方としては、物品、サービスを含めました課税ベースの拡大という方向で勉強すべきであろうという方向づけをいただいておるわけでございますが、ただ当面現行の物品税の課税範囲についてどれどれの物品をどういうふうに新たに課税対象に取り入れるとかどうとかという具体的なことを申し上げられる段階にはない。 これは午前中にも申し上げましたけれども、この答申の総論部分に書いていただいておりますとおり、これはあくまでも今後の中期的なわが国の税制の方向づけを、いわば定性的に方向づけをいただいたものでございますので、具体的に制度をどうするかというのは、今後毎年毎年の税制改正の審議を通じて、税制調査会として具体的に答申をしていくというふうに書いていただいておりますので、今後の毎年毎年の答申をいただきながら、その都度制度の問題を私どもとしては検討してい くということでございます。
○近藤忠孝君 いまの段階ではどう聞いてもそうしか答えないんで残念ですが、しかし結局、物品税だけでは不備になって一般消費税にいかざるを得ないんじゃないかという布石じゃないか、こういうことをひとつ指摘をして、次の質問に移ります。 結局、国民の負担増になるんですが、中間報告ではこう言っていますね。所得税及び住民税の見直しを検討するに際しても、今後における財政改革の方向と矛盾ないし逆行しないものであることを前提とするという枠がはまっているわけです。 ところで、中曽根内閣の財政改革は、「一九八〇年代経済社会の展望と指針」に見てもわかるように、国民の負担率の大幅アップを内容としていると、こう思います。これは結局、たとえば衆議院の行政改革に関する特別委員会における瀬島龍三氏の発言でも、国民の負担率を現在の三五%から四〇ないし四五%へと引き上げることが必要だと。臨調の考えとやっぱり軌を一にするものだと思うのですね。どうしたって国民の負担率の増加にならざるを得ないんじゃないか、この所得税及び住民税の見直しというのは。先ほど来否定的なことを言っておられますが、そう見ざるを得ないんですが、その点どうですか。
○政府委員(梅澤節男君) ここの答申で触れておられます数年に一度所得税、住民税を見直すべきであるという意味は、この報告をずっとたどっていただきますとおわかり願えますように、もちろん現在のわが国の所得税の水準が国際的に見て、課税最低限あるいは個人所得に対する負担率から見ても、諸外国に比べて非常に高いという水準にはないわけでございますけれども、ただ所得税の名目所得に対して累進税率で税額が算出されるという所得税本来の性格から見まして、所得とかあるいは物価水準の動向、それから所得分布、それから家計の構造の変化というものに常に対応するように見直しをしていかなければならないというふうに述べられておるわけでございまして、これはただいま委員がおっしゃいましたように、負担の引き上げということを含意しての見直しではございません。
○近藤忠孝君 時間がないので最後になりますが、平年度七千億円の財源としても、これも先ほどはっきりしなかったんですが、したがってそこで私たちで試算をしなきゃいかぬですね。試算してみますと、こういうことになるんです。仮に七千億円の財源分を間接税の増税で賄うとなりますと、これは数で割ればはっきりするわけで、四人世帯で二万四千円の増になると思うのですね。 それから先ほどの最低税率をこれも大体二%ぐらい上げるんじゃないかという意見がもっぱら多いですから、それによりますと、大体計算してみますと、たとえばサラリーマン四人世帯で年収二百五十万ですと、現行税額が三万二千円、そして減税額が二万二千円。しかし引き上げ分が二千円、間接税が二万四千円、結局差し引き増がこれは四千円ふえてしまうのですね、この試算によりますと。それから年収三百万で見ますと、これは一万円ふえます。やっと減っていくのがサラリーマンで年所得六百万以上ですね。そこからだんだんふえていきます。それから申告所得の場合では、大体年所得四百万ぐらいで差し引きゼロで、それ以下は逆に増税、そしてそれ以降は減税、こういう試算になってしまうのです。 だから、まさに減税が求められているのに、減税じゃなくて逆に増税になってしまうわけです。増税はしないと、こうおっしゃるのですが、いま言ったような試算のようなことには絶対ならないと、こう約束できるのか。そして特に、いま言ったように、低所得層の方にいまのまんまうっかりしていると負担がふえていくわけですね。絶対そうしないで逆にそこにも減税の恩恵がいくようにすると、こう約束できるのか。これをお伺いしたいと思います。
○政府委員(梅澤節男君) 今回の答申をめぐりまして、いま近藤委員がおっしゃいましたような若干の誤解があるわけでございまして、この答申の税率構造の部分に書いてございますように、基本的には所得分布が非常に平準化した段階で、しかも先進諸外国の税率構造等から見ましても、日本の現在の累進構造を若干なだらかにする必要があるだろうという大前提に立ちまして、その場合に、税率構造の問題でございますから、当然最高税率、最低税率の手直し、ブラッケットの手直し等が当然問題になってくるわけでございますが、その際におきましても、この答申でわざわざ触れておられますように、その最低税率を手直しする場合におきましても課税最低限の引き上げの程度と関連しつつ、特に低所得者層の負担にも十分配意して小幅にとどめるのが適当である。 言うまでもないわけでございますけれども、所得税の税額というのは、各種の人的控除と税率構造の組み合わせで税負担というのは確定するわけでございますので、今回の場合は、人的控除、税率構造の本格的な手直しをする過程で最終的な所得税の本格的な改正ということになるわけでございますが、この答申にも書いてございますように、手直しを行った結果、現行の税制と改正後の税制で税負担が引き上がるというふうな結果になるような税改正は当然予定されていないわけでこざいます。その点は十分御理解を賜りたいと思います。
○栗林卓司君 大臣にお尋ねをしますけれども、新聞等で伺っている限りでは、千五百億円の減税、来年度の七千億の減税含めて、大蔵省とすると猛反対をして押し切られたというように実は受け取るのですけれども、これの真偽はわかりません。わからないですけれども、さっきお触れになった去年の衆議院の減税小委員会、あの議論が何でだめになったかというと、お話のように減税財源をめぐってついに話が決まってこなかった。本当は衆議院で所得減税を各党で相談するのですから、減税財源など審議をしなくてもよかったのかもしれませんけれども、だれの目にも、いまの財政状態では、財源を議論しないで減税が議論できるかというのが、やはり言わざるコンセンサスになっておったと思うのです。 そういった財政事情ですから、今度の千五百億にしてもできたら七百五十億でとめてもらいたかった。財政法六条一項を直すのはとてもじゃないがかなわぬということもあったでしょうし、そういう関連で来ているものですから、来年の七千億減税、これは立場によって多いと言う人もいれば、少ないと言う人もあるでしょうけれども、大蔵当局の目からするとこれは相当大幅な減税だろうと思います。となりますと、いままでの話の順序からいって、では財源はと聞くのはどうしても自然な質問になりまして、そのときに、いや、そいつはまた来年だと言われちゃうと、話が切れてしまってこちらも考える糸がなくなってしまう。 そこで、細かく詰めた御質問にはならないんですけれども、よく大臣も言われますが、片一方で減税、すなわちヒーターをつけておいて、片一方では今度は増税だといってまたクーラーをかける。そういったことが政策としていいだろうかということをよくおっしゃいますけれども、確かに片っ方でヒーターをかけて、もう片っ方で同じようなクーラーをかけるということになると、部屋の温度は変わってこない。では、そういったことをやるか、やらないかというのは、もう一つの景気対策とのねらいで一体どうなんだろうかという観点で見ていかなければいけないんだろうと思います。 そこで、景気対策という点で見てまいりますと、これはもうクーラーはなるべくかけんでおいてくれということになるわけでありまして、恐らく七千億減税そのままそっくり納税者にとっては負担の減、景気対策にはプラスというかっこうでいくのが正しいことは、これも理の当然だと思います。 そこで、景気対策とは一体何であるかと考えてまいりますと、確かに三・四%を確実にするということは、おっしゃるとおりでありまして、ただその段階で考えましても、この間の政府の総合経済対策、あそこに一兆二千何がしの減税規模が書 いてありますけれども、あれは減税規模だけで増税は書いてないわけであります。ということは、見合う財源処置を頭から外した上で景気効果を考えたという仕組みであることは異論ありません。そう考えてまいりますと、確かにいまの財政事情からいうと、財源論が出てこなければだれが見てもおかしい。とはいうものの、景気対策ということが求められている事情からいうと、それはもうクーラーかけるわけにいかぬ。と考えてまいりますと、恐らくいま大臣がお考えになっているのは、一応概算要求はマイナスシーリングで決めましたけれども、あれをさらに切り込んでいくということがまず第一の努力だ、こうお考えになっているんでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) この景気対策の際のヒーターとクーラーという話ですが、私、確かにときどき矛盾を感ずることがあります。それは端的な例として、仮に公定歩合を下げて金利を低下せしめた場合、他の国が高金利であった場合には、それそのものは景気対策とは逆行する円安要素に幾ばくかはなる。しかしながら、その円安要素ということを幾ばくかも認識しつつも、それをやることが設備投資等全体に波及する効果があるとすれば、暖房冷房論もあえて抑えて政策を実行していかなけりゃいけない、そういう問題があると思うんです。 税制の中でも、いまおっしゃいましたように、所得減税というものによって消費を刺激していくという効果と、一方、それに見合う、仮に別途財源というものが消費を抑制する効果をもたらすものであったとすれば、これまたそこのところ、兼ね合いの問題としてなかなかむずかしい問題があるというふうに私は思います。 それと、いま御指摘のありました、国会で財源問題が議論された。ことしも財源問題も含めて議論してくださいと、何回か私言いました。しかし元来それは、減税の方は党でおおよその約束をするが財源を見っけるのが財政当局じゃないか、こういうような議論もありながらも、しかし建設的な意見をいろいろ聞かしてもらいつつ今日に至ったわけであります。したがって、来年度お約束したことを実行するに当たっては、いまおっしゃったとおり、まずマイナスシーリングで持ってきたものの上にどれだけのものが切り込めるかというところからやっていかなきゃならぬという基本的考えは、私どもに対する鞭撻の御意見だと承らしていただきました。
○栗林卓司君 それで、景気浮揚なんですけれども、確かに三・四%ということは政府の計画の面では一つの尺度になりますけれども、ただ来年を考えてみたときに、これは大臣の御意見を伺いたいんですが、一番いま頭にあるのは対米摩擦だと思うんです。対米摩擦が今後どうなっていくんだろうか、来年は大統領選挙もありますし、それへの対応というのはよほど深刻な問題としていまわれわれの前にあるんではないんだろうか。 そこで、この間自動車の自主規制を通産が行いましたけれども、あれは三年前の自主規制をやったときと今度とは、もう背景ががらっと変わっているのは御承知のとおりだと思います。現在はどうかというと、デトロイトを中心にしたアメリカの自動車メーカーが、輸入はとてもじゃない、まいっているから、したがって自主規制してくれと言うんではなくて、それはもうそこそこに元気になってきた、元気になってきたけれども、ゲートをあげてもらっては困る、なぜなんだというと、それは円ドル・レートなんです。アメリカの商務省の調査ですと、一台について見ると、大体千五百ドルから二千ドル、アメリカの車は高いんですけれども、アメリカの勝手な言い分からすると、一ドル二百円が適正ではないかと言うんですね、現在は二百三十何円です。そうすると、もし仮に一ドル二百円になったとすると、この価格差は消えてしまう。このたまたまの価格競争力が残っている間はゲートをあげてはいかぬという彼らの言い分もまたもっともな気がするんです。 そういうことを考えて、通産が自主規制を決めたと思うんですが、問題は、いま対米輸出の約四割が自主規制かかっていますけれども、六割はかかっていないんです。四割がいろんな規制がかかって、六割はかかってない。六割はどうかというと、いまの円ドル・レートでまさにすさまじく輸出が伸びている。来年の対米黒字は一体幾らになるかということを考えてみたときに、アメリカの議会の連中が忍耐心を維持していてくれるだろうか、来年。そのときに日本として何をやったらいいかという材料を、もうしようがないから、ひとつ積んでいくしかないと思います。 そのときに、この景気対策というのは一体どうであるべきなんだろうか。これは財源とは別ですよ。財源は別にして、当面の焦点である対米経済摩擦を考えながら、特に来年を考えていくと、いまわれわれは総合経済対策をすかっとやるしかない、財源は別としてという立場になると思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 総合経済対策、これは一面、景気対策と言われるとも思うんであります。その中にいわゆる内需拡大のために金融の弾力的運営、すなわち公定歩合の問題とかあるいは減税の問題、あるいは一兆八千八百億にわたる公共投資の追加の問題、それと同時にとられたのが門戸開放施策であります。これはいまおっしゃったような、言葉こそ違いますが、背景を認識しつつ対応した施策であります。 したがいまして、私は、内需拡大ということは非常に説明のしやすい問題であって、いま一つ円ドル・レートの議論に見られるごとく、これは実際問題として、アメリカの専門家筋は、いまの円ドル・レートの問題はアメリカの高金利に原因するところが多いという認識はあるでありましょう。そして日本が作為的に円安施策をとっておるとも思っていない方もあるでしょう。しかし個々の企業により、なかんずく、まさに小選挙区でございますから、個々の利害を伴う議員さんから見れば、自分の地域の問題からすれば、すべて悪いのは円安で日本だと、こういうことも選挙運動にあるいはお使いになる。ちょっと外国の選挙運動についていささか非礼かとも思いますが、そういう点もあろうかと思います。 したがって、円ドル問題について何をやるかというので、この間もリーガン財務長官と私の間でたびたび書簡のやりとりをいたしました。それから何度かわが方の専門家と向こうの専門家との議論を途中でやろうというんで、ハワイとかサンフランシスコとかでいろいろやりまして、当面即効薬とは思わないけれども、結局、私自身とリーガン財務長官自身が共同議長になって、ひとつ高い——まあ高いベースといって、別に大蔵大臣が大変高いというわけじゃございませんが、責任者同士のベースで専門的な議論を始めようということが合意されて、それが先般の日米会談の中にも首脳において確認されたということでございますので、おっしゃる意味を踏まえながら、これは大変な勉強もしつつも冷静に、しかも実効の上がる対応の仕方というものに努めていかなきゃならぬという気持ちになっておるところであります。
○栗林卓司君 いまのアメリカとの関係ですけれども、国が変わると見たいように見るものだなと思うんですが、向こうの専門家は別にしまして、まあ専門家にも多いんだけど、結局、日本は意図的な円安政策はとっていないけれども意図的な低金利政策をとっているではないか、日本は貯蓄率は高い、その貯蓄された資本を海外流出させることをしないでおいて、したがって日本は低金利なんだ、それが結果として円安になっておるではないか、こういった言い方をする向きもあるんです。 ゼロクーポンというのがございましたね、例のグリーンカードの関係で。とにかく緊急避難でとめたわけですけれども、ああいったこと自体が、外国から見ると何かやっておると。それがとどのつまり円安につながっておるではないかと。じゃ、もうしようがないから資本市場全部オープンにして、いまでも一応オープンですけれども、より一層オープンにして、資本はどんどん海外へ出ていってくれということができるかというと、な かなかこれもそう短兵急にいく話ではないし、十分な検討を重ねてということになると思うんです。そうすると、外から見て、おお、やっておるなという政策というのはそう幾つもない。減税というのは一番簡単でわかりやすい。しかも、いまアメリカは急速に景気が回復しておりますけれども、あれも一つは何かというと、レーガン政権がやった相当大幅な減税が背景にあることはこれも事実だと思うんです。 そこで、いまの財政状態を見ておりますと、財源の議論なしに減税と言うのは、もう不謹慎きわまりないような御批判を受けるかもしれませんけれども、どうも来年、再来年ぐらいは目をつぶってこれ渡っていかないとだめなんではないかという気がするんです。したがって、中曽根総理が増税はしません、また大臣もそれはもう考えておりません、慎重にやりますというお言葉は、お言葉どおり受け取っておきたい。来年になってふたをあけてみたら、いや実はという増税案が出てきたんでは、それは大蔵省の金勘定はいいかもしらぬけれども、来年一年間渡っていく日本のスタンスとして一体いいんだろうかということをつくづく思いますので、ぜひその点よろしくお願いしたいと思います。 終わります。
○青木茂君 この減税案、規模は千五百億円という非常にミニなんだけれども、人的三控除の引き上げを中心とするという意味においては本格的減税のスタイルをとっておるわけですね。そうすると、これ幾ら五十八年の問題だけだといっても、この本格的減税のスタイルをとっておる以上、この形は五十九年度に連動すると思わざるを得ない。そうしますと、私、本会議の質疑におきましても、行政改革特別委員会の質疑におきましても、くどくも辛くも言ったんですけれども、給与所得控除のことは何ら触れられていないわけですね、この人的三控除の問題が中心であって。それが果たしてこれでいいのか。これは五十九年度のいわゆる七千億減税が出てくる過程の中においても給与所得控除は見過ごされてしまうんではないかという大変な危惧感を私としては持たざるを得ない。 そうなりますと、この前の行革六法案におきまして、私が給与所得控除につきまして、総理並びに大蔵大臣に御質問申し上げたときの御答弁は、決して完全ネガティブではなかったはずなんですよね。そういたしますと、これからの減税法案の内容の中において、給与所得控除というのは完全ネガティブな扱いは絶対に受けないということはここで保証をしていただけますかどうか。まずここを第一点として御質問申し上げます。
○国務大臣(竹下登君) いまのおっしゃいました問題、今度この千五百億円も一応本格減税のスタイルをとっている、それは評価してやろう、こういうお言葉でございますね。実際七千億として、されば千五百億はどれぐらいかというと二・五カ月分。それで事実相談してみました、各党の税関係者の方と。それなら本当は早いがよければそれだけ戻し税にした方がいいんじゃないかと。が、しかしあれだけ四百八十四、あのときの戻し税を批判して、やっぱり本格減税のスタイルをとるべきだという意見もある。本心、私もそこにある。それが、見たところ三十万が一万ずつ減ってはおりますけれども、まあ言ってみれば、本格減税のミニ判としてのスタイルだけは出したと、これを評価いただいたとすれば、ありがとうございます。 それで、次が本格的な質問でございます。されば給与所得控除はどうするか。たびたびの御質問でございますが、五十九年度の税制改正に関する審議の過程で明らかにされていくと思います、基本的には。 そこで、中期答申を見ると、青木博士いつもお読みになっておるとおり、「通常の勤務に伴う経費という実態面からみても相当な水準にある」と指摘しつつ、一方、「控除率適用対象収入範囲については、中堅所得者層を対象として若干の調整を行うのが適当」とされておるということになると、完ネガではないように受けとめられるかなと。しかし保証というようなことは、権威ある税調というものがありますと、予見になるものですから、その辺は差し控えさしていただきたいと思います。
○青木茂君 どうもわかったようなわかちぬような御答弁なんですけれども、これは税調の皆さんもそうだと思いますけれども、大蔵省の皆さんにもあると思います。給与所得控除というのはもう十分なんだ、これ以上何をサラリーマンはぜいたくなことを言うか。ここに大変な迷信がある。それがベースになってすべてが進んでいるんではないかという気がしてしようがないんですよ。十分だと言うけれども、じゃ何を基準に一体十分であるとかないとかいう御議論をなさるのか。たとえばもう三割あるじゃないか。これは日本の場合は平均三割ですわね。たとえばフランスなんか考えてみますと、給与所得控除プラス必要経費概算で、これはみんな三割ですわな。ここのところの差がある。 それからアメリカはああいう税制体系をとってますから、必ずしも給与所得控除だけだということは言えません。これはアメリカの政府提出資料です。これでは大体二三%ぐらいが経費率じゃないかというようなことを述べておりますね。しかしこの二三%ぐらいが経費率だということはAGIに対してなんでよ。アジャステッド・グロス・インカムに対してなんです。つまりグロス・インカムから大体、アメリカの通説によると、二割ぐらいを引いて、そしてAGIが出てくる。そのAGIの二三%ぐらいが大体経費率じゃないか。そうするとグロス・インカムで考えたらもっとふえるはずなんですから、そんなに日本の給与所得控除は十分だという客観的な根拠はないんじゃないかと私は思う。 それからまた別の資料によりますと、アメリカでは項目別の必要経費控除をとっている納税者の方が、概算控除をとっている納税者より約十九万人ぐらいは多いというようなデータも出ておるわけなんです。実際の給与生活者、サラリーマンの控除というのは、日本で言うほど小さいものではないんじゃないかという感じがいたします。 十四分ですから一問一答なんてなかなかできませんから、ずばずば申し上げますけれども、しかも日本の給与所得控除は十分であるとかないとかいう議論より、じゃ給与所得控除とは何ぞやという性格論は無視されちゃって、そして十分であるとかないとかいう水準論ばかりが議論されている。こういう点に対してわれわれははなはだ不満を持っているんですけれども、大臣いかがでしょうかね。
○国務大臣(竹下登君) グロス・インカムから来るいまの御議論も一つの御議論だと思います。 私、国会へ初めて出ましたときに、これも私なりに感じたのは、医師の税制の二八プロ、あれが一体どういう根拠か、結局腰だめなのかなと思いながらいまだに私なりには判明しておりませんが、したがってそれと若干質を異にするとはいえ、いわゆるサラリーマンの必要経費というものをどのような角度から議論するか。無視されておるんじゃなく、むしろ議論の上に議論を重ねられたものが今日の結果になっておるんではないかという認識もまたあるんじゃないかと思いますので、私よりももう少し専門家であります主税局長から答えさせます。
○政府委員(梅澤節男君) 若干の補足を申し上げたいわけでございますが、今回の答申で、わが国の給与所得控除の水準はマクロ的に見て三割の水準でかなり高いという点でございますが、税制調査会の審議の過程におきましては、総理府の勤労世帯の家計調査でもって実際に各経費を洗い出しまして、たとえば衣料品でございますと、背広、ワイシャツのたぐい、それから身の回り品でございますとネクタイとか、靴下とか、それから文房具でございますと、ボールペンとか、それから小遣いに至るまで、全部一応積算いたしまして、所得分位別に見まして、その率がグロスの年間収入に対して大体一割という数字が出ているわけでございます。 それからもう一つ、これはいま青木委員が実額控除と概算控除という選択の話をされたのですけれども、いま申しました背広とか、ネクタイ、ワイシャツのたぐいでございますが、これは実額控除の制度をとっております税制でも、どこの国でもこういうものを実額控除で認めている例はないわけでこざいます。ここはひとつ御理解をぜひいただきたいと思うわけでございます。 それからもう一つ、アメリカの場合の実額と概算の選択の中で実額を選択している割合があるとおっしゃいましたけれども、恐らくその場合は、アメリカの概算控除の場合は、日本で言うたとえば、雑損控除とか医療費控除とか、寄附金控除とか、ああいうものも全部含めた概算控除と実額とのあれでございますから、いまの給与所得控除の概算控除と実額との選択という議論で議論されますと、若干そこに食い違いがある。ただ、非常にむずかしい問題であることは事実でございますけれども、日本の現在のマクロ的な給与所得の水準が、先進諸国の税制から見まして、決して遜色がある水準ではない、これははっきりしていると思います。
○青木茂君 伺います。 給与所得控除というのは、全額給与生活者の必要経費とお考えなんですか。
○政府委員(梅澤節男君) 税制調査会での伝統的な考え方は、給与所得控除というのは二つの性格がある。一つは、給与所得者にとって収入を得るための必要経費の概算控除である。同時に、給与所得と給与所得以外、つまり財産性の所得等を指すわけでございますが、それとの担税力の差、フランスの場合ではもっとはっきりと把握控除的な要素があると言っておりますけれども、そういうもろもろのことを全部含めまして勤労性所得の担税力をも加味した水準である。したがいまして、現在の給与所得控除の物の考え方は必要経費プラス・アルファの水準に設定されておるというふうに考えております。
○青木茂君 われわれがサラリーマンの税の問題について、クロヨンとか、トーゴーサンピンとか言われるが、それどうなんだと言ったら、給与所得控除の中に入っております。サラリーマンは一代限りの所得で相続させ得ないのだから担税力が弱いんじゃないか、こう言うと、それも給与所得控除の中に入っております。必要経費はどうなんだと言うと、それも給与所得控除の中に入っております。サラリーマンの不平不満を全部給与所得控除なる概念で説明されてしまう。それではもう議論が平行線ですれ違ってしまうわけです。 だから私どもは、一体それじゃ給与所得控除の中のどれだけの割合が必要経費の概算控除であって、どれだけの割合が担税力のカバーであるか、どれだけの割合がクロヨン・カバーであるかというようなことの内訳を少し出していただきませんと、議論の突っ込みができないわけですよ。つまり給与所得控除というのは何かあいまい控除、ごみ箱控除みたいに都合のいいところを全部給与所得控除で逃げられてしまうわけです。だからこれは、もう時間ございませんからあれですけれども、とにかくそこのところを逃げてしまって、つまり給与所得控除の内訳、比率、そこを逃げてしまって、十分であるとか十分でないとかいう議論をしたって、これはもう平行線であるというふうに私は言わざるを得ないと思います。 あと一つだけ。これは申し上げるだけです。盛んに政府税調、権威のある税調とおっしゃいますけれども、政府政策と税調との過去の歴史の働き、歴史の動きを見ますと、どうも追いかけであるとか追認であるとか、たとえばみなし法人のときはどうだったのか、あるいは医師課税の特例の場合のときはどうだったのか、農地の宅地並み課税のときはどうだったのかというようなことを考えますと、いまのように政府税調の答申を待ちましてとか、非常に権威のあるものでございますとかいうと、結論が何か隠れみのというような感じがして仕方がない。これはまた後の機会にもっと詳しく御質問を申し上げます。 じゃ、きょうはこれで終わります。
○野末陳平君 この法案とそれから五十九年度いっぱいにかけまして一兆円というような規模の減税、これはかなり無理をしたことよくわかるんですけれども、さてここまで無理をしてまで減税をしなきゃならぬというその目的、前の委員の質問と若干ダブる場合もありますが、了解していただくとして、まず今回の減税の目的、幾つかあるとすればその中で一番大きな重要な目的は何か。大臣。
○国務大臣(竹下登君) 一つは、与野党合意というものを踏まえて、そこで最近の社会経済情勢を配慮しながら所得税制全体を社会経済の実態に即して抜本的に改正しよう、すなわち五十九年度以降抜本的にやりなさいよと言われておったものの上に、与野党合意というものがもっと早めろということでそれを早めてやったと、これが一つだと思います。 それから二番目は、これは税制そのものから言えば、いまのが一つの目的であり、それが将来の期待感をも含め景気浮揚にいささかでも役立つ、そういうことではなかろうかと思います。
○野末陳平君 与野党合意の中にも、景気浮揚に役立つ額、相当規模というような文言がありまして、それならばこの一兆円でどの程度の景気浮揚かということになりますが、減税となって戻されていったこのお金がどういうふうに流れていくか。これが消費に回るやら、あるいは貯蓄やら、あるいは将来の生活設計も考えた保険のようなものとか、いろいろ考えられるわけですね。大臣としてはこの一兆円からのお金はどういうふうに回っていくだろうというようなことを予測なさいますか。
○国務大臣(竹下登君) これは定量的にこれを断ずるのは非常にむずかしいと思いますけれども、消費に回るものもございましょう。それが単なる消費ではなく、あるいは生活設計、住宅建設等々を含め、そういう回転の仕方で景気にはね返っていくものと、直接消費の面に通ずるものと二つあるのかな、こう思います。貯蓄に回る点もあると思います。これだけ物価が安定しておって、そして低金利とはいえ実質金利から言えばかなりいい金利ということになるとすれば、それもまたある種の金融緩和を刺激して設備投資等に回る可能性としてあるだろうというふうに考えられます。
○野末陳平君 これは定量的に言えないのはもう当然なんですね。結果的に現実どうなるか答えが出てみなきゃわからないんですが、ただ消費にほとんどが回れば一番景気対象になるんですよ。間接的には貯蓄や保険に回ったお金が景気対策になるというのは、なかなかはっきり出てこないので、しかしどうやらこれは、私個人の考えですけれども、消費に回る部分よりもはるかに多く貯蓄や保険などの将来の蓄積の方に回ってしまうんじゃないか。それでも景気対策にならないとは言いませんが、問題は、そこへもし減税の財源として増税が充てられてしまえば、今度はマイナス効果になってしまうということははっきり予測できるわけですね。帳消しになっちゃう、減税などは。となると景気浮揚に役立つ額を設定したものの、無理をして結果的には何にもなってないんじゃないか、こういうおそれはありませんですか。もちろん増税ということが頭にあるから大臣にその辺を率直にお聞きしたいんです。
○国務大臣(竹下登君) 私は、ぎりぎり詰めた場合、減税に見合うものの財源をどうするかという議論になったときに、いろいろな工夫をしなければならぬ場合、それが結果として増収措置になり得るという問題の対象の選び方自体ではなかろうか。それがいわゆる大衆消費というようなものが対象になった場合は、まさに相殺する効果がよけい働くのではないかという気がいたしますので、その辺は本当に篤と考えなきゃいかぬことだなと思っております。
○野末陳平君 そうしますと、大衆増税というのについては、ずいぶん大臣は慎重な控え目なお答えがあったんですが、そもそも今度の減税は、どうやらほとんど財源を増税で賄うんじゃないかというような感じの方が一般の人には強くなりつつ あるのではないか。いかに増税なきというふうに総理初め大臣がおっしゃっても、そこまで増税なきで減税ができるとは思っていないと思うんですよ、国民は。 そこで、一番肝心なことをお聞きしたいんですよ。一兆円からの規模の減税は、今回のことしの分は増税には頼っておりませんが、増税を全くやらすに減税財源を見つけるということは、全然無理だというふうに初めからお考えになっているわけですか。
○国務大臣(竹下登君) 経済成長率を仮にいまの中期展望の中でカウントしましたように五ないし七の中間値をとって名目成長率六%とかいうことで現行の施策、制度をそのまま置いたとすれば、別途増収措置を講じなきゃ、赤字国債の発行もしない限りにおいては、これはできないことだと思うんであります。したがって、その辺根本にさかのぼると、歳出削減がどれだけできるのかというところから詰めていかなければ最終的な結論は出ない。 ただ、注意しなきゃならぬのは、いろいろな場合に、よくその税はかく是正すべきである、その是正と増収措置が一致した場合増税と言えるかどうかという議論は、別途の議論としてあると思いますけれども、基本的に根源にさかのぼった歳出削減からかからなきゃ結論の出ない問題でございますが、単純な論理としては、現行施策、制度をそのまま置いて、そうしてその成長率も予測した六%なら六%に置いて、弾性値一・一としてということになれば、そういう論理に帰着するのではないかと思います。
○野末陳平君 もちろん歳出削減によって減税財源が出ればこんな喜ばしいことはないわけですが、果たしてそれができるものやら、非常にその辺もむずかしいだろう。となると、ある程度は、これは私の個人的な意見ですが、ある程度は増収というか、増税というか、その辺をどう見るか、むずかしい。表現の問題にもかかってきますが、ある程度増収なり増税案が出てもこれはやむを得ないかもしれない。 しかしながら、一番大事なことは、ここで大臣が約束していただけるかどうか。減税財源をすべて増税あるいは増収というようなことに頼っちゃって、歳出削減は無理なんだということでは初めから話にならないですね。ですから、減税はしますよ、この減税財源には歳出削減でかなりの部分充てるから、それだけのことを予算編成でやってみせるからという決意でもあれば、若干この辺で考え方も変わるんですが、その辺の歳出削減というのは、口だけでなくて、実現のめどを踏まえた上で、どうなんでしょう、減税の財源として歳出削減ということをやっていただけるかどうか。それを最後にお伺いしておきます。
○国務大臣(竹下登君) 減税財源というものを見て、それを歳出削減でトタで充てるというイコールの性格であるかどうか、あるいは景気のぐあいによって自然増収が図られていくということもあり得るかもしれません。しかし基本的には、減税財源ということを念頭に置いてやるということでは必ずしもなくても、まずは歳出削減からかかっていかないことには、あるいはある種の増収を国民に期待するといっても、それは国民の方ががまんならぬということになるんじゃないか。したがって、私も田舎出の代議士でございますから、よく補助金をどれだけくれるかななんということを考えがちでございますけれども、その意味において、心を新たにして施策、制度の根源にさかのぼって対応していくというのは大変だなあ。私が予算編成の責任者になるかならぬかは別としまして、勇を鼓して対処しなきゃならぬことだ、まずはそれをやらなきゃ、とてもじゃないが国民の理解と協力は得られないというふうな考え方は、基本的には持っておるつもりでございます。
○野末陳平君 まあ、減税の財源を全部増税に求められちゃたまらぬ。それだったら絶対に反対ということだけ言っておきますからよろしく。
○委員長(伊江朝雄君) 速記をとめて。 〔午後二時三十一分速記中止〕 〔午後三時六分速記開始〕
○委員長(伊江朝雄君) 速記を起こして。 暫時休憩をいたします。 午後三時七分休憩 ─────・───── 午後五時四十五分開会
○委員長(伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、多田省吾君が委員を辞任され、その補欠として中野鉄造君が選任されました。 ─────────────
○委員長(伊江朝雄君) 休憩前に引き続き、昭和五十八年分の所得税の臨時特例等に関する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○丸谷金保君 先ほど大臣がおられないときに、主税局長さんからの御答弁で明らかになった点をます確認をしておきたい。 今度の提案されている臨時措置法案、これは五十八年の分の千五百億に対する法案であって、五十九年度はまだ何ら具体的な提案はないし、七千億減税というふうなのはかけ声だけで、具体策はまだ持ってないんだという意味に受け取ったんですが、主税局長さん、そうですね。
○政府委員(梅澤節男君) 大臣の御答弁の前に、午前中の御質問に対して私が申し上げましたことは、ただいま御審議いただいておりますものは昭和五十八年分の所得税の特例に関するものでございます。政府・与党で決定がございました平年度国税・地方税合わせまして一兆円、国税だけで申しますと七千億の減税というものを確実に実行するということでございますが、その内容につきましては、今回いただきました中期答申の方向に沿って今後もう一度税制調査会で御議論をいただきまして、成案を得まして、所得税法の改正法案といたしまして、五十九年度予算審議の過程の段階で改めて提出いたしますというふうに申し上げたわけでございます。
○丸谷金保君 結局、詰めれば、現在の法案審議の中では具体策はまだできてないということでしょう。そうでないんですか、いまの御答弁は。
○政府委員(梅澤節男君) 諸控除、税率控除等を含めまして、具体的な本格的な所得税法の改正案につきましては、まだ税制調査会の改めての御審議がございますので、本日の段階で具体的な成案がないということは仰せのとおりであります。
○丸谷金保君 ということなんです。ですから大臣、要するに五十九年度を含めての一兆円減税だということは、通常国会に提案したときに初めて具体化するんで、いまはまだ単なる口約束ですね、公約といってもね、具体策が出てないんだから。だから、具体策のないまま政府並びに自民党は選挙戦に臨む、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
○国務大臣(竹下登君) これは口約束と申されましても、いわゆる総合経済対策、十月二十一日の総合経済対策にきちんとうたわれておりますので、まあ口約束というものではないではなかろうか。ただ、その中身について、控除をどういうふうにするかということについては、およその方向というものは中期答申の中で示されておりますものの、手続的に正確に申し上げますならば、五十九年税制のあり方についてというのを政府税調で答申をいただいて、それと符合するものを国会に法律案として提出するわけですから、それを正確に主税局長は申し上げたところであろうということであります。
○丸谷金保君 結局、税調答申をもって具体的な法案として出てくるわけですわね。 で、巷間伝えられるところによれば、もう何か決まったように、たとえば各種控除五万円の引き上げだとか、したがって、それで試算すると、五百万所得四人家族では三万二千円の減税になるんだというふうなことがいろいろ言われているんです。しかしそれはまだ全く決まってないというふうに理解してよろしゅうございますね。
○国務大臣(竹下登君) これはプロがおりますと、いろんな場合を想定していろんな試算を新聞社等でもやっておられます。しかし正確に言えば、政府原案として閣議決定をして、それで提出閣議が終わった段階で決定したと言うべきでございましょう。
○丸谷金保君 それで、税調答申をきょうしばしば大変尊重されておるんです。ですから、これらについてもあくまで、年度末か一月になるか、その税調答申を受けた形で減税法案というものは出てくるんだというふうに理解してよろしゅうございますね。
○国務大臣(竹下登君) それはそのとおりに理解していただいて結構であります。
○丸谷金保君 そうすると、税調答申が出るまでは、七千億の減税になるか、また千五百億でお茶を濁すかというふうなことも、税調答申次第によるんで、まだ確定していないと、政府の腹も。税調答申を尊重するんですから、税調答申が出てくるまでは、政府としてもどれだけするという最終的な腹固めは、いままでの御答弁の流れから言うと、できないですわね。
○国務大臣(竹下登君) それは去る二十一日の総合経済対策できちんと明示した限りにおいて、その額そのものは、これは確定しておるというふうに御理解いただいて結構なんです。税調は、いまの丸谷さんと私との問答も正確に報告しましょうし、それからそういう経済対策で決まったという事実も十分認識して、その上で五十九年度税制のあり方についてということをやっていただくわけでございますから、その点は海の物とも山の物ともつかないという性格のものではないというふうに御理解をいただきたいと思います。
○丸谷金保君 実は、この減税の問題を一つとっても、それに充てるべき財源の問題はまだ具体的にイエスともノーとも言えない、これは税調答申を踏まえてだと、こういうお話なんですがね。一体、本当にできるかどうかという以上、もう一回やり直さないとならぬと思う。 今年度末で百十兆円というんでしょう、国債発行額が。しかもその中には赤字国債が相当含まれている。一兆円規模の減税をするかしないかの財源の問題でさえも、なかなか腹決めしてこういうのだと出てこない。巷間伝わるところによると、物品税だとかその他というふうなことしか出てない。こんな中でこの百十兆円どうするんですか。増税なき財政再建が原則であったり、理念であったり——私はこんなものは目標だと思うんですよ。増税なき財政再建なんというのは理念なんというほどりっぱなものじゃないんで、これは目標だ。ならわかるんですが、これは原則、理念というふうに言い切ってしまって、百十兆増税しないで本当にできるんですか。私たちの想像の中ではとても不可能に近い話だと思うんです。どうですか、大臣。
○国務大臣(竹下登君) ただいまの百十兆というのは恐らく公債の累積高をおっしゃっていると思います。それは確かに膨大なものでございます。しかしながら、これはもとより建設国債もございますし、赤字国債、特例債もございます。が、いずれにしても、これは借金であることには間違いございません。 したがって、それをどのようにして返していくかということになりますと、当面目標としておりますのは、赤字国債、特例債の脱却年次というものを一つ定めて、そしてなお当該年度の予算に占める公債依存高というものを減らしつつ、そしてさらには財政制度審議会の小委員会で御議論いただくことになりましたが、今後の財政運営のあり方という中で、その公債残高の問題についても、あるいは借りかえ問題等も含まれるかもしれません、御審議をいただいていこうという考え方に立っておるんでございまして、百十兆あるからといいましても、それはきょう、あすなくさなければならないという性格のものでもございませんし、今後の経済運営の中における財政の占める役割りの中で国民の理解を得ながら対応していかなきゃならぬ問題だというふうに考えております。
○丸谷金保君 特例公債にしろ一般の公債にしろ、これは皆利息がかかっているんですね。言われているところは、大体八兆円くらい年間金額かかるでしょう。一兆円の減税の問題の財源のことでこれだけ大変だという、苦労しなきゃならないこの状況の中で、八兆円の金利を払いながら増税もしないで、こうした国債の問題を減らしていけるような仕組みになりますか。大蔵大臣としては、大丈夫だ、任せておけと。いずれ竹下大蔵大臣がもう一つ上にいくようなときが来たときに、大蔵大臣のときに言ったあれは、大蔵大臣として言ったけれどもいまは違うなどということにならないように、ひとつしっかり御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) これは確かに、たとえばことしの予算が五十兆みんなで苦労とでも申しますか、五十兆の予算でうち三十数兆は——家計で考えますならば、五十万円の支出をしておりまして、三十万円しか月給は入らなくて、あとは借りてやっていると、こういうことでございます。その上になお百万円の累積した借金を抱えながら家計を営んでおる、家計に仮にたとえますならば。そういう状態であることは事実であります。 ただ私、これから財政制度審議会等でいろいろ議論いただく問題だと思うんでございますが、私は一九四〇年代後半、壊滅的なあの廃墟の中で日本の国が、経済活動として政府がやったことと言えば、復興金融金庫とか、その程度でございますが、それで五〇年代、前進の時代とでも申しましょうか、神武景気だ岩戸景気だというようなものに支えられて六〇年代へ突入した。六〇年代、二ドル三十五セントから一ドル七十五セントまでの原油価格に支えられてまずは高度経済成長と。その間、オリンピックの翌年に確かに戦後最大の不況と言われたものがございまして、あのときに公債政策というもののはしりが出ておるわけですね。その後、一九七一年、昭和四十六年のドルショックによりましていわゆる為替レートがフロートして、そのときからさらに内需を喚起してとりあえず国際競争力があるかないかを見定めようということで、建設国債の大量発行に踏み切って、それで第一次石油ショックとなりました。 私は、それなりに一次、二次にわたる石油ショックをしのいできたということには、私は公債政策のそれなりの効果はあったんじゃないかと思うんです。それをいま背負い込んでいるわけですね。したがって、まずはその体力を取り戻すために歳出の削減、それも国民の皆さん方の理解を得なきゃできないことでございますが、そういうところから取り組んでいって、そうして日本人の英知と努力というようなものを評価して、そして国会でこのような議論をしながら政策運営の誤りをもたらさないようにしていけば、それは克服できるだけの日本経済あるいは日本国民とでも申しますか、それには負担に耐え得る力量はあるということを信じながら、やむを得ずでも大蔵大臣を今日までやってきているわけであります。
○丸谷金保君 これは信じる信じないということになりますと、何とも信じているんだと言えばそれまでですが、しかし具体的な数字ですからね。たとえば地方自治体なんかではいま約その半分の六十兆です。予算規模なんかから言っても、基本税収を超えるような地方債の残高になってくると、もうこれ以上起債は認めないというようなことで国から抑えられるんです。これ以上やったら大変だぞ、おまえたち、そう言って抑えている国が、自分のところは野方図にこれだけ大きな借金、予算規模の何倍という借金をして、これが増税しないで払えるとなったら、よっぽど飛躍的な経済の伸びがなければ不可能なんですよね。 しかし、冒頭申し上げましたように、経済の伸び率を見ていきますと、緩やかな回復であって、なかなか爆発的に景気が上向くというような状況にないことは、大蔵の報告でも明らかなとおりです。 そうしますと、そういう緩やかな回復の中でこれだけのものを払っていけると、そう本当に大蔵大臣が信じているとすれば、これはまことにどう も結構な話です。しかしさらに竹下大蔵大臣はもう一回り大きくなる方だと思いますんで、そのときになっていまそういうことを言っておられたらお困りにならないかなと思うんですが、大丈夫ですか、増税しないで。 というのは、もう少しあれしますと、これも中曽根さんと大蔵大臣との話が微妙に違うんですよね。増税しない、総理はそう言い切っていますけれども、大蔵大臣は、大型新税を財政再建なり減税財源に充てる考えは毛頭ないと、こうなっているんですよね。これはだからそっちの方に充てないで、それは既存の歳入で賄って、別な方は大型増税の道を残す御答弁をなさっているんです。だから、まあ中曽根総理はそうあとがそんなにないから、何年か後のことまで考えないで言い切った、政治的に。それを今度は大蔵大臣は事務方の意を受けて上手にぼかす、こういう仕組みになっているという気がしてなるないんです。 ですから、この百十兆円を何とか払っていけるんだと信じているとおっしゃるんですが、これはなかなかそう簡単にいかない。増税なき財政再建という理念が崩れるのはいつの日か、意外と今度の選挙が終わったら早いんじゃないですか、理念の崩れるのは。こういう感じがするんです。どうでしょうか。大丈夫ですか。
○国務大臣(竹下登君) まだ解散が行われたわけでもございませんし、選挙は、来年の六月二十一日が任期でございますので、それまでにはあると思わなければなりませんけれども、世間、世上いろいろ言われておることは事実でございます。私ども、選挙というものの評価は、一つは実績評価ということであろうと思っております。今日までわが党が、わが党内閣とでも申しますか、これが政策運営の責任をとってきたということに対する現実的な評価がどう出るかということはおおよそ予測のできないところでございましょう。 しかし、いろんな議論がございます。確かに今後、私はその論にくみしておりませんけれども、たとえばISバランス論という議論もございます。投資と貯蓄とのバランスとでも申しますか、そうすると、半分国が借りて、あとの七割ぐらいを民間が借りて、三割ぐらいは外国に投資しているじゃないか、すなわち貯蓄というものの投資先というのは、これは企業か個人か、国か地方団体か外国かと、こういうことになりますけれども、そういうことならば、もっと投資というものを国とか地方とかによけいすべきだという議論を吐く人もいらっしゃいます。 だが私はその議論をとらないで、これからの経済運営というもの、そしてそれに伴う財政運営の中でぜい肉を切った、言ってみれば、健全な体力を取り戻すために財政改革に精いっぱい尽くしますということを申し上げて、国民の理解と共感を得るようにしなければならぬではなかろうかというふうに思っております。 それから微妙な表現の違いという問題は、私もよく後藤田官房長官から注意されます。あんたは言語は非常に明瞭だが、後から速記録を読んでみると意味不明なことが多いと、こう言われておりますので、みずから顧みて、そういうことがあっちゃならぬと。いつか丸谷さん、あんた、言葉を選びながら物を言うと言われましたが、本当に言葉を選びながら一生懸命でお答えしておるところであります。
○丸谷金保君 それで、先ほどおられるときだったんですが、物品税の問題、酒の税金は日本では必ずしも高くないようなことをそちらの方で答弁されておりましたよね。実際に国税収入の中に占める酒の税金、日本は五・五%、アメリカは一・四%、イギリス四・三%、西ドイツ〇・五%、フランス一・五%、イタリア〇・五%。この数字はいまここで議論していても始まりませんが、私の方ではこういうふうに思っておりますので、ですから日本は高いのだ。その高いのにかかわらずまだ上げるのですかということなんです、さっきから聞いているのは。それでなかなかお答えいただけないので、これはこういうふうに変えてひとつ御質問したいと思います。 物品税その他について五十九年度で上げないとおっしゃることができますか。前は、上げるとおっしゃいませんかと聞いたんです。そうでなくて、上げない、上げないんだと言い切れますか。
○国務大臣(竹下登君) これは上げないも上げるも、どっちを否定するかということで、言葉の使い方としては並行した言葉で、上げないということも言えるでございましょうし、それは言葉の使い方でございましょうが、いま税調からいただきました中期答申というのは、言ってみれば定性的な哲学を述べ、その中にそれぞれの税目について経済社会の推移に照らして検討すべき課題と言って提示されておるものでございますから、それはやっぱり絶えず検討をしていかなきゃならぬ課題であると思っております。 したがって、税調が五十九年度税制のあり方という問題についてこれから御審議いただく前に、この税目はいじらないとか、いじるとか言うことは、やはりこれはある種の予見ということになるのではなかろうか。むしろ、こういう一問一答の報告をしますことが重要であって、いま政府税調へお願いしておる政府当局の私が予見を持つということは避けるべきではないかなあと、こういう考え方であります。
○丸谷金保君 その考え方は、上げないということは言い切れないというふうに理解をして、これで質問をやめます。
○委員長(伊江朝雄君) 他に御発言もないようですから……
○近藤忠孝君 質疑続行動議を提出します。動議を取り上げてください。
○委員長(伊江朝雄君) 許されないんじゃないですか。
○近藤忠孝君 それはおかしいじゃないですか。動議出したらそれ取り上げるのが……
○委員長(伊江朝雄君) 理事会においては御案内のとおりです。
○近藤忠孝君 そんなことないですよ。諮ったじゃないですか。
○委員長(伊江朝雄君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(伊江朝雄君) 速記を起こして。 近藤君、発言を認めます。
○近藤忠孝君 じゃ、質疑続行の動議の理由を申し上げます。 一つは、本件の重要性に比べて質疑がまだきわめて不十分であります。これが第一点です。 それからもう一点は、本院の議長が全法案の成立を中曽根総理に約束いたしました。これは議長としてまさに越権であり、わが党は議長に対して、その問題を明らかにせよということを迫っております。それに対する決着がない以上は、当委員会としては本案に対する採決はすべきでなかろう。もっともっと時間をかけて質疑を続けるべきだということを申し上げます。
○委員長(伊江朝雄君) ただいま近藤君からの動議につきまして採決をいたします。 賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(伊江朝雄君) 少数と認めます。よって、近藤君提出の動議は否決されました。 以上の結果、質疑は終局したものと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。
○竹田四郎君 私は、日本社会党を代表して、昭和五十八年分の所得税の臨時特例等に関する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。 冒頭、まず指摘しなければならないのは、減税問題が全国民的課題であり、そのためには十分な審議を行う必要があるにもかかわらず、衆議院の大蔵委員会で満足な審議を行わずに、自民党単独で本法案を可決したことであります。このことは議会制民主主義を踏みにじるものであり、ここに自民党に対し猛省を促したいのであります。 また、参議院においても、政治日程の関係から、従来からのよき慣行であった審議期間二十日間という時間的余裕も与えず、財政再建を内容と するこの減税法案を短時日で審議を終わらなければならないことはきわめて遺憾であります。 さて、政府は、われわれのかぬてからの所得税減税実施の要求に対し、財政事情を理由に六年間もその実施を見送ってきました。この怠慢な政策のために納税者とりわけ給与所得者の実質的な税負担は増大し、各種所得種類間の負担の不均衡を来し、さらには個人の可処分所得の減少からの景気停滞をも招来せしめました。 このようなもとで所得税減税を求める国民の声は日増しに増大し、この三月の衆議院議長の予算審議正常化の際の見解を初め、その後の与野党協議による減税合意の内容は、年内に景気浮揚に役立つ規模の減税実施であったはずであります。 しかし、十月に政府・自民党が提示した減税内容は、所得税については、五十八年に千五百億円、五十九年度に七千億円、住民税については、所得税年内減税に対応する減税が六百億円、五十九年度が三千億円と、五十八、五十九両年にわたって一兆二千百億円の減税を行うというものであり、われわれの年内所得・住民減税一兆四千億円要求とは全くかけ離れたものであり、与野党合意に反した内容のものと言わざるを得ません。自民党という公党の大幹事長が国民や野党にうそを言ったということで納得することはできません。 さらに問題なのは、五十九年度減税の具体的内容は、税制調査会の答申を待つとしながらも、その実施財源として財政当局はすでに酒税や物品税の税率の引き上げ、あるいは課税対象の拡大、さらには運転免許証税の新税の導入等をもくろんでいることであります。このような新増税を減税との抱き合わせで実施しようとすることは、まさに国民を欺罔することにほかならず、その他にも行政改革の名のもとに公共料金等の値上げも推し進められ、低所得層にとっては強制的支出を強いられます。このようなやり方では、景気浮揚に役立つどころか、むしろマイナスに働く可能性を十分に持っており、決して容認することはできません。 わが党は、かねてより所得税減税を要求し、その財源としては、大企業等への不要な補助金、大型プロジェクト等の公共事業関係支出、政治に絡む補助金等のそれぞれの削減、防衛費支出の大幅抑制、税制面においては、租税特別措置の整理、事業所得課税への記帳の促進によるクロヨンなどの不公平税制の是正、さらにはグリーンカード制凍結解除による利子配当所得の総合課税化の実施等で対処すべきことを主張してまいりました。 にもかかわらず、政府のやり方は、税制の不公平を放置したまま、取りやすいところから税負担を強いるものであり、この十六日に出された中期税制答申においても、所得税についてはその負担の急激な増加やゆがみをもたらすことのないよう数年に一度は見直すべきと述べているのでありますが、これでは今回のように減税見送りによる実質増税の繰り返しにすぎないではありませんか。さらに利子配当所得課税の強化については明確な判断を示さず、間接税についても、課税ベースの拡大等について検討するというあいまいな表現の裏には、大型間接税による大衆増税に道を開くという意図が明確であり、国民の納得と理解を得ることはできません。 今日求められているものは、政治倫理と税負担の水平的垂直的公平であり、まじめに働く国民が正しい納税意欲が沸いてくるような税制でなければならないはずであります。その点では、今回の減税は余りにも貧弱であり、早急にわれわれが要求する一兆四千億円規模の年内減税を実施すべきでありますし、次年度以降の減税が増税との抱き合わせで行われることのないように強く申し上げて、反対の討論といたします。
○藤井孝男君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、昭和五十八年分の所得税の臨時特例等に関する法律案に対し、賛成の討論を行います。 この六月に国債残高が百兆円を突破したことにも見られるように、今日のわが国最大の政策課題は、行財政改革の基本路線を堅持しつつ、特例公債依存体質からの脱却を図り、財政の対応力を回復することにあります。 所得税の本格的な減税は昭和五十三年以降見送られてきましたが、その主たる理由もわが国の厳しい財政状況によるものであり、今年度予算では一般歳出を前年度以下に抑えるとともに、前年度補正後に比べ一兆円の公債発行の減額を予定しておりますが、このような努力にもかかわらず財政の状況は必ずしも好転してはおりません。 しかし、六年間に及ぶ減税見送りの結果、国民の減税に対する強い期待もあり、また減税をめぐる与野党の議論も踏まえ、厳しい財政状況にもかかわらず、政府税制調査会の中間報告を受けて、政府・自民党は、昭和五十八年、五十九年の二年間にわたって、課税最低限の引上げを初めとして、総額一兆二千百億円の所得税・住民税の減税実施を決定いたしました。 この決定に基づいて、とりあえず昭和五十八年分の所得税について、基礎、配偶者、扶養の各控除額をそれぞれ一万円引き上げ、その結果、課税最低限を二百一万五千円から二百七万五千円に引き上げる本法律案が審議されているわけであります。 確かに、五十八年分の所得税減税規模が千五百億円と金額的には必ずしも十分でないとの批判もありますが、今回の減税に引き続き、五十九年度に本格的減税を行うことにより、景気浮揚にも役立つとの期待もされているわけでありまして、従来の与野党合意に沿って最大限の努力をしたものと理解すべきであります。 また、今回の減税に対する財源は、五十七年度の決算上の剰余金を全額充当することになっています。原則として政府は、財政再建中は決算剰余金は全額国債の償還に充てる方針をとってきておりますが、税の自然増収が期待できないもとで、減税のために特例公債を新たに発行することは財政再建にもとることにもなり、決算剰余金を減税財源に充てることもやむを得ない措置と考えます。 昭和五十八、五十九両年にわたる総額一兆二千億円の所得税・住民税減税により、税負担の不公平が是正され、かつ景気浮揚にも役立つことを期待いたしまして、私の賛成討論といたします。
○塩出啓典君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和五十八年分の所得税の臨時特例等に関する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。 最初に、本法律案が国民注視の問題でありながら衆議院で審議することなく送られてきたこと、にもかかわらず、参議院で十分な審議の時間がなかったことは、まことに遺憾であったことを申し上げたいと思います。 反対する理由の第一は、与野党合意を踏みにじった減税案ということであります。 与野党合意では、規模は景気浮揚に役立つもの、実施時期は五十八年の年内、方法は課税最低限の引き上げ方式、財源は新税によらないということを明確にしていたのであります。 にもかかわらず、政府案では、年内わずか千五百億円のミニ減税であり、本格減税という五十九年度の一兆円減税も、間接税増税、最低税率の引き上げなど大衆増税との抱き合わせが予定され、まさに新税に等しい大衆増税と言うべきで、ことごとく与野党合意を踏みにじるものなのであります。 第二に、この政府の減税案では景気浮揚には全く役立たないということであります。 当面する内需不振は、個人消費の低迷に主な原因があります。その個人消費の低迷は、雇用者所得の伸び悩みなど名目可処分所得の伸び悩みが原因なのであります。一兆四千億円の減税は雇用者所得の伸び率一%に相当しますが、千五百億円では〇・一%にすぎません。家族でランチを食べれば終わりという程度の減税で、景気の浮揚にどれだけ効果があるのでしょうか。 第三には、来年度の減税財源を大衆増税で賄おうという政府案であります。 一兆円減税の財源対策のうち、政府が考えていると言われる酒税、物品税、運転免許税、自動車 関係税は明らかに大衆増税であります。これではたとえ減税が実施されても、右のふところから左のふところへ移し変えるにすぎず、増税との抱き合わせ減税と言わざるを得ないのであります。 かかる理由により、このたびの減税案は減税とは名ばかりの減税であり、反対せざるを得ないのであります。 以上で私の本法律案に対する反対討論を終わります。
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっている五十八年分所得税の臨時特例法案に反対の討論を行います。 討論に先立って、本法案が衆議院においてほとんど審議されずに強行採決され、また当院においても、多くの問題点があるにもかかわらず、異例のスピード審議で採決されようとしていることであり、この点は社会、公明両党も指摘されているところであります。私は、本採決に強く抗議するものであります。 本法案に対する反対理由の第一は、自民党の公約違反についてであります。 国民の要求に押されて自民党が約束したのは、年内に景気浮揚に役立つ相当規模の減税をやるということだったはずであります。ところが、十月十二日、田中判決直後、ロッキード隠しのためにあたふたと出してきた自民党回答、及びその一部をなす本法案は、年内実施分は総額一千五百億円、一家族当たりにするとわずか五、六千円というわずかばかりのものにすぎず、問題になりません。これでは国民は裏切られたも同然です。これは、わが党を除き財源も示さずになされた合意なるものが何の保障にもならないというわが党の指摘が、全く正しかったことを証明するものであります。 第二に、来年度に行おうとしている一兆円減税なるものも、財源はほとんど間接税の増税で賄わざるを得ず、いわゆる抱き合わせ増税が計画されている点であります。 検討されているのは酒税、物品税、運転免許税、自動車関係諸税など、大衆増税の総ざらえが待っているのであります。政府は、これらの来年度減税の財源については口を閉ざしていますが、これは総選挙を前にした増税隠し以外の何物でもありません。 また、来年度、最低税率の引き上げ及び最高税率の引き下げが検討されていることも見逃せません。たとえ若干の人的控除の引き上げがなされたとしても、この最低税率の引き下げで低所得者層にとっては減税の効果は吹っ飛んでしまうのであります。これとさきの間接税の増税とで、勤労者の大多数は、減税どころか、差し引き大増税となることが明らかであります。 質疑の中で、この点についてのわが党の試算に対して、何らまともな答弁をなし得ず、この試算が大筋において正しかったことが明らかになったと思います。 逆に、億万長者の高額所得者は、分離課税の適用等で優遇されている上、最高税率の引き下げで巨額の減税のボーナスを受け取ることになるのであります。まさにこれは庶民泣かせの金持ち減税であり、課税の公平に逆らうものにほかなりません。 最後に、大型間接税の導入を含む大増税の問題についてであります。 政府は、表向き増税なき財政再建を守ると言っておりますが、このための具体的な財政再建計画は何ら示しておりません。逆に、「一九八〇年代経済社会の展望と指針」においては、国民の負担率を大幅に引き上げる計画が示されております。また今度の税調の中期答申においても、総選挙前の政治的配慮から、きわめて抑制的調子ではありますが、所得税について中長期的な負担増を容認するばかりか、大型間接税についても「物品・サービスに係る課税ベースの拡大」という表現で、その導入の意図を明らかに示しているのであります。 これらの国民大増税計画を撤回するとともに、不公平税制の是正、軍事費削減等による一兆四千億円減税の早期実施と財政の民主的再建を求めて、私の討論を終わります。
○栗林卓司君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました昭和五十八年分の所得税の臨時特例等に関する法律案について、反対の討論を行います。 反対理由の第一は、千五百億円という減税規模についてであります。 われわれがかねて主張し、自民党も事実上了承していた景気回復に役立つ相当規模の減税、すなわちわれわれの理解によれば、所得税一兆円の減税規模に対し余りに少額であり、政党間の約束を正しく受けたものとは断じて申せません。減税を心待ちしている国民の期待を裏切るものと言わなければなりません。 反対理由の第二は、その財源であります。 財政法は財政の憲法に等しい基本法であります。そのときどきの事情で空洞化してよいものではありません。もし大蔵省が百兆円を超える国債を抱えた財政の現状の危機を真剣に心配するのであったら、体を張ってでも抵抗すべき問題であります。仮にその結果七百五十億円になったとしても、少額という意味では千五百億と五十歩百歩であります。 反対の第三は、減税による景気対策の中心が五十九年度に見送られたことであります。 現在、有効な景気対策を見出せないまま日本は方向感覚を見失って漂流している感があります。そして、この漂流自体が国民の先行きに対する自信を失わしめ、景気回復の足を引っ張っている原因と考えます。議論が空虚な言葉のやりとりに終わったのでは真の前進はありません。政府税制調査会を常に隠れみのとして使ってまいりましたが、これは税に対する国民の理解を得る道ではありません。当面かつ将来の税制改革の方向について、財政再建について、その明確な展望を一日も早くわれわれの論議のテーブルに提出されるよう心から財政当局に要望して、反対の討論を終わります。
○青木茂君 私は、参議院の会を代表し、昭和五十八年分の所得税の臨時特例等に関する法律案に対して、反対の討論を行います。 参議院の会には税金ミニ政党と言われるメンバーも若干は含まれておるにもかかわらず、反対の討論をするのはきわめて遺憾ではございますけれども、この法案はいわば巧言令色少なし仁ということで、余りにも内容が伴わない。規模においても小規模過ぎる。それから不公平是正の視点に乏しいということ。そして第三に、増税の影が余りにもちらほらし過ぎているということ。同じ日本人でありながらサラリーマンであるがゆえに、同じ経済条件下にありながらサラリーマンであるがゆえに、なぜ不公平な扱いを受けなければならないか、これが四千数百万のサラリーマンの素朴な疑問でございます。この法案はこれに対して答えていない。だから反対でございます。
○委員長(伊江朝雄君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 昭和五十八年分の所得税の臨時特例等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(伊江朝雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、鈴木和美君から発言を求められておりますので、これを許します。鈴木君。
○鈴木和美君 私は、ただいま可決されました昭和五十八年分の所得税の臨時特例等に関する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、参議院の会、新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 昭和五十八年分の所得税の臨時特例等に関する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、所要の措置を講ずべきである。 一 祖税体系の基幹税としての所得税について は、その負担が急激な増加や歪みをもたらすことがないよう、今後における社会経済情勢の変化に対応して、適宜見直しを行うこと。 二 利子・配当所得については、総合課税を基本理念としつつ、適正、公平な負担のあり方について早急に結論が得られるよう検討を進めること。 三 所得課税面での不公平感に関する世論の動向にかえりみ、申告納税の基本に立った申告水準の向上等を図り、税負担の公平確保に資するため、制度面、執行面を通じた納税環境の整備のための具体的方策について早急に検討すること。 四 複雑、困難で、かつ高度の専門的知識を要する国税職員について、変動する納税環境、財政再建の緊急性及び税務執行面における負担公平の確保の見地から、職員の年齢構成の特殊性等に配慮し、今後ともその定員の増加、処遇の改善等につき特段の努力をすること。 右決議する。 以上であります。 何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。
○委員長(伊江朝雄君) ただいま鈴木和美君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(伊江朝雄君) 多数と認めます。よって、鈴木和美君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、竹下大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。竹下大蔵大臣。
○国務大臣(竹下登君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。ありがとうございました。
○委員長(伊江朝雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(伊江朝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(伊江朝雄君) これより請願の審査を行います。 第二九号一兆四千億円減税の早期実施に関する請願外百九十九件を議題といたします。 本委員会に付託されております請願は、お手元に配付の付託請願一覧表のとおりでございます。 これらの請願につきまして、理事会で協議いたしました結果を御報告いたします。 第二九号一兆四千億円減税の早期実施に関する請願外百九十九件はいずれも保留とすることに意見が一致しました。 以上御報告いたしましたとおり決定することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(伊江朝雄君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(伊江朝雄君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。 祖税及び金融等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(伊江朝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(伊江朝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時三十七分散会