文教委員会 第3号
- 発言数
- 57 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1983/11/02
会議録
○葉梨委員長 これより会議を開きます。 現在、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ所属委員が御出席になっておりません。出席を要請いたしますので、しばらくお待ち願います——日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ所属委員に出席を要請いたしましたが、いまだに御出席がありませんので、やむを得ず議事を進めます。 第九十八回国会内閣提出、参議院送付、日本学術会議法の一部を改正する法律案を議題といたします。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本法律案審査のため、本日、参考人として日本学術会議会長塚田裕三君、日本学術会議会員、広島大学名誉教授池山末利君及び東京大学名誉教授向坊隆君の御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○葉梨委員長 この際、参考人各位に一言あいさつ申し上げます。 本日は、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。 参考人各位におかれましては、ただいま議題となっております日本学術会議法の一部を改正する法律案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、参考人から御意見をそれぞれ十分程度お述べいただいた後、委員の質疑に対してお答えいただぎたいと存じます。 なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきを願います。 それでは、まず塚田参考人にお願いいたします。
○塚田参考人 塚田でございます。 日本学術会議会長として、一言意見を申し述べさせていただきます。 本日は、十分程度というお話でございますので、学術会議の設立の趣旨、職務、目的などについてはもう竹様よく御承知だと存じますので、省略をさしていただきまして、現在私どもが当面しております改革問題に焦点をしぼりましてお話を申し上げたいと存ずるわけでございます。 学術会議の改革問題につきましては、学問の進歩、時代の変遷ということによりまして、学術会議も新しい時代に適応した形に改革すべき時期に来ていることは、どなたの日にも明らかなのでございます。改革問題が取り上げられましたのはすでに第八期、つまり昭和四十四年のことでございまして、そのころから学術会議で検討が始まっていたわけでございます。 ただいま第十二期と申しますけれども、第十二期になりまして、もはや内外の情勢は、改革を実現させ、学術会議のより一層の活性化と新たな発展を図らなければならない時期であるとの判断に立ちまして、昭和五十六年の四月の総会で、抜本的な改革に取り組む意思表明をいたしました。これと同時に改革委員会を発足させまして、法改正を含めた検討に入ったわけでございます。 そして、昭和五十七年の五月総会では、会員選出法の改善や多選禁止項目を含みます改革試案がまとめられまして、審議の上、採択されたのでございます。 この試案は日本学術会議内部の意見でありますので、有識者、学・協会、大学研究機関の長など外部の御意見、さらには学術会議会長の諮問機関として永井道雄元文部大臣を委員長といたします十名の方々による改革問題懇談会が組織されまして、ここでも試案についての御意見をいただいたわけでございます。これらの外部の御意見を十分に伺いました上で改革要綱というのがつくられまして、昨年の十月の総会で審議されたのでございますけれども、大多数の賛成が得られまして自主改革案が採択されたわけでございます。そして、これは要望といたしまして政府当局にその実現をお願いいたしたわけでございます。 この自主改革要綱の要点は、一つには、国の機関であって、独立して職務を行うものであるということ、二つ目が、日本の科学者の内外に対する代表機関であるということ、これは現行法と同じでございます。第三番目は、会員選出は公選制を基盤とするが、会員定数の三分の一は推薦制によって会員を選ぶとしておるのでございます。これは公選制度は、日本の科学者の内外に対する代表機関であるということの特色でありますと同時に、また独立性の制度的な保障でもあるという認識によるものでございます。推薦制の導入につきましては、従来の公選制のみによる欠陥を補おうとするものでございまして、これによって学際的あるいは複合領域から会員を確保しようというものでございます。また、立候補はされないけれども学術会議にとって必須な有識者も加わっていただけるというねらいもあったのでございます。さらに、四選を禁止し、会員の固定化を防ぎまして、新鮮な意見が出るようにとの配慮もされたわけでございます。 そのころ、総理府におかれましても、総務長官の私的な懇談会が設けられまして、学術会議の改革問題を詳細に検討されたということでございます。その結果、昨年の十一月に総務長官試案が出されまして、久保前会長のもとでその検討が始められたわけでございます。 これは学術会議の改革要綱の会員選出法とは異なっておりまして、科学者の自主性によって、学・協会を基礎として推薦によって会員を選出しようというものでございました。この検討の結果は、本年二月の臨時総会に報告されましたが、いろいろ議論の末、学術会議といたしましては、やはり改革要綱に沿って改革の実現を図っていただきたいと重ねて要望することになりました。これと同時に、政府として早急に改革法案をまとめなければならない場合には十分学術会議と御協議いただきたいという申し入れも行いました。その後総理府では、長官試案の線に沿って改革法案をまとめることを決意されまして、二月総会で協議のための授権を受けられた久保前会長が、要綱の精神を法案の中にいかに生かすかということで総理府との協議の中で大変御苦労なすったと伺っておるのでございます。その後、四月十四日に再び臨時総会が招集されまして、改正法案の内容説明がされたのでございますけれども、いろいろな意見が出まして学術会議としての結論を得るには至らなかったのでございます。そして、御高承のごとく、四月下旬から参議院文教委員会におきまして改正法案の審議が始まり、参議院で可決されたのでございます。 一方、学術会議では五月十八日から定例の八十九回総会が開かれまして、ここで法案をめぐって議論が沸騰いたしまして、その結果、「日本学術会議法の一部を改正する法律案について」という声明が採択されたわけでございます。 その内容は、すでにお読み取りをいただいたと思いますけれども、法案の持っております六つの問題点を挙げておりまして、最後の部分で、本会議の存在理由を脅かし、目的、職務の遂行に重大な疑義があるので国会での慎重な審議を要望するというものでございました。これが学術会議の意思表明ということでありますけれども、本声明の提案者の意見もかなり幅がございまして、文面から御推察いただけたと存じますけれども、自主改革要綱の立場からいたしますと直ちに支持しがたいものではあるけれども、また、何が何でも反対であるというものではないと理解いたしておるのでございます。 その後学術会議といたしましては、改革委員会の中に法案検討のための分科会をつくりまして、声明に即して法案についての具体的な検討が進められたわけでございます。その結果はすでに報告書としてまとめられておりまして、これもすでにごらんをいただいておるものと存じます。 その報告書の中に盛られておる論点の一つは、法案が公選制をやめて全面推薦制をとっているということでございます。法案では、目的、職務、権限については従来どおりとしておるのでございますけれども、それにもかかわらず、選出制度が変わることによりまして選ばれてくる会員の質が変わり、さらに学術会議自体も変質するおそれがあるということでございます。この点につきましても、各部あるいは各研究分野によってその見通しも異なっておるのでございまして、一概には断定しにくいのでございますが、一般的に指摘されておりますことは、学術会議の総合的な審議機関としての役割りが薄れて研究連絡委員会が重視されておりますために、国内外の研究連絡機関としての役割りの比重が大きくなってしまうのではないかという心配でございます。また、科学者の代表機関であるべき学術会議が学・協会の連絡機関に傾いてしまうおそれがないかということも懸念されております。さらに、大小さまざまな学・協会についてできるだけ公平な扱いをするための方策でありますとか、地方からの会員の確保が困難になるという点も指摘されておるのでございます。また、各分野によりましては、学会の形態がさまざまでございまして、早急な調整というのは無理なのではないかという御意見もございました。 いかなる改革にいたしましても、改革に伴いまして学術会議に変化が起こるであろうことは当然予想されるところでございますけれども、それが今後の日本の科学の発展にとって有効なものでなければならないと考えられるわけでございまして、この問題は、大局的な見地から日本の科学の将来のあり方について真剣に論じられなければならない国民的な課題であると存じます。本報告書に見られますように、本法案に対する疑問点についても各部あるいは研究分野によりましてその深刻さには幅がございまして、統一的な見通しを持つということはむずかしいのでございます。また、政令や規則がかなり柔軟にはできておりますけれども、まだ具体的な詰めが行われておりません現時点におきましては、断定的な判断が困難であると思われるのでございます。 次に、推薦制を実施に移す場合の具体的な問題点について一、二申し上げたいと存じます。 学術会議の自主性が尊重されなければならないということはもちろんでございますが、同時に、学・協会の意向把握を行うことがぜひとも必要であるということでございます。つまり、学・協会の理解と協力なしには法案の具体化はきわめて困難であるということでございます。 次に、当然のことながら予算の裏づけを十分に御考慮いただかなければならないということもございます。 また、日程の問題でございますけれども、法案では現金員の任期を一年延長するとされておりますけれども、山積しております問題点を考えますると、これは各部、各分野によって事情は大きく異なっておりますけれども、一年という期限をつけるということには無理があるのではないかというふうに思われるのでございます。 以上、学術会議としての自主改革要綱の策定経過並びに法案についての検討結果の概略を申し上げたわけでございます。 学術会議といたしましても法案の検討は進めてまいりましたけれども、法案が改革要綱に照らして許容範囲内にあるのか否かということにつきましては、会員の間で意見が分かれておりまして、統一的な見解は得にくい現状にございます。しかし、学術会議は、現下の日本の科学技術の振興という国策にとりましては非常に重要な審議機関の一つであるというふうに考えられますし、今後科学立国という立場で日本の科学技術を発展させるためにはなくてはならない機関であるというふうに考えておるわけでございます。特に、最近言われております創造科学の開発のために、学術会議が、長期的でしかも総合的な立場からの、各省庁を超えて非常に総合的な立場で審議をする機関として、やはり国の機関であって内外に対する科学者の代表機関であるということにつきましては、学術会議の重要性というものは今後ますます増大するものであるというふうに考えられるのでございます。この上は、国会の場におかれまして、国民的な視野から十分な御審議をいただきたいと存ずる次第でございます。 短時間のために十分意を尽くせなかった点もあるかと存じますけれども、これをもちまして私の陳述を終わらせていただくわけでございます。 以上でございます。
○葉梨委員長 ありがとうございました。 次に、池田参考人にお願いいたします。
○池田参考人 私は、第八期から学術会議におりまして、ずっと八期以来改革委員として働いております。第一部で、専攻は哲学であります。ただいま会長の方から改正法案に対する全般的なことは申されました。時間が十分ということでございますので、私も全般的なことについてもいろいろ申し上げたいことがたくさんありますけれども、きょうはそれよりも具体的に、私、第一部所属ということで、第一部、すなわち人文科学、これがこの法案を実施するとどうなるのだ、現状はどうなっているのだということを申し上げまして、話が少し細かくなるかもしれませんが、皆様の御審議の参考に供したいと思っております。 現在、第一部に専門部というのがございまして、その専門部といいますのは、文学、哲学、教・心・社、これは教育、心理学、社会学を一緒にして教・心・社、これが一つの専門部であります。それから史学、歴史学ですね、この四つであります。これに所属する、このたび研連を通して会員を推薦するということになっております研究連絡委員会、普通略して研連と申しますが、は、語学文学、西洋古典学、それが文学に属するものであります。それから哲学、宗教史学、これが哲学に属する。それから心理学、教育学、社会学、社会福祉、体育学、以上が教・心・社に屈するものであります。歴史学、考古学、東洋学、この三つが史学に属するものであります。以上、十二であります。十二と申しましても、実際の、正式の研究連絡委員会は七つであります。あとの五つは研連、研究連絡会と申しまして、これは法律的に正式のものではありません。予算がないものですから、各正式の委員会の方の委員を削って、そしてつくっているような状況であります。ところが、このうち東洋学というのは、哲学、文学、第二部、第三部にまたがる。こういうふうな状況で、一部の研連でありますけれども、二部、三部、四部、七部と、法律学、経済学、理学、医学にまたがるものが多いのですね。これらの研連といいますのは、もともと体系的に最初からつくられたものではありませんで、国際学術団体への対応など長い伝統を有するもの、それから比較的最近になって組織されたものなど、いろいろであります。 第二。ところで、第一部関係の単一学会、連合体を除きまして単一学会が幾つあるかと申しますと、二百六十六あります。その中で現在までに正式に登録している学会は百二であります。学術会議には登録学会の資格条件が定められておりまして、それに基づいて登録した学会が百二あります。このうち、学会として各所連に参加しているものはみんなで合わせて六十六ありますけれども、その中に重複しているものがありますので、実際は五十九であります。 たとえて申しますと、私は専攻が先ほど申しました哲学、特に中国哲学なものですから日本中国学会に所属しておりますけれども、この日本中国学会は哲学研連にも、それから東洋学研連にも、語学文学研連にも委員を送っておる、こういうことであります。こういうのがほかにもあります。そういうふうに二研連以上に参加している学会を、関係研連との関係の強弱によって特定研連に結びつけよう、こういうのが法案にありますけれども、それはどうも私どもには適当と思われない。逆に、研連の中にはほかの部に属するものもありまして、研連とそれから専門別、研連と学会という関係はきわめて複雑であります。それにしても、研究連絡委員会に直接参加する学会は、先ほど申しました単一学会に換算して五十九でありますから、全学会の四分の一以下にすぎません。 第三。学会というのは、もともと研究者の自由意思に基づいて締成された自然発生的な任意団体であります。第一部関係で法人格を持っているのはごくわずかです。私の知っている限りでは、二つか三つぐらいしかありません。また、一つの分野に幾つもの学会があります。たとえば日本文学関係の学会では二十四あります。仏教学に関するものが八つあります。そういうふうに、会員もまた研究機関に属する者のほか、いわゆるアマチュア的研究者、民間研究者、これは別に差別する意味ではありません。この中にもりっぱな研究者がおられますけれども、つまり大学なんかに寄り得ない研究者、これは地方史研究なんかにそういう方が多いのですけれども、実に学会というのは多種多様、千差万別であります。また、専門別を包括した、たとえば地域研究を主体とする中国学会のごときもそうですけれども、内陸アジア史学会とかモンゴル学会とかイタリア学会とか、そういう学会なんかも四十余りありますけれども、このうち研連に参加しているものは三つにすぎません。中国学会を除いて三つであります。 こうした現状を通して見る限り、学会は研連に対応しておりませんし、研連は専門別に対応しておりませんし、専門別は部すなわち人文科学に対応していないということが言えます。なぜそうなるかということですけれども、これは人文科学の本質から来る特色でありまして、自然然科学とこの点大いに異なっております。そういうふうに申してきますと、いかにも非論理的、いかにも無秩序のように聞こえますけれども、これこそが自由な学問の発展を図るためには必須な条件あるいは要素ということが言えるでありましょう。自然科学あたりは、たとえば工学、医学あたりになりますと、これはヒエラルキー的に学会ができておりまして、わりと体系的なんですけれども、人文学はそうでもありません。いま申しましたように非常に、言ってみればばらばらと言うことができようかと思います。 そういうことで、このたびの改正法案のように政令や規則で町門別をどういうふうに決めても、また研連を手直ししても、部、専門別、研連、学会というこの関係を合理的に体系づけるということは、ある程度の整理は可能でありましょうけれども、困難と言わなければなりません。この困難は、学問が多様化し、また複合化すればするほど増幅する傾向にあります。 四。法案の説明、これは私ども、法案についての説明を事務当局からいただきまして読みましたけれども、その法案の説明によりますと、会員候補者数の割り当ては、学会の規模や関連研連との、先ほど申しました関連の強弱によって決まる。つまり、ある研連とその学会との関係が強いか弱いかによって候補者の数なんかが違ったりする、こういうことのようですけれども、規模というものが学会の存在価値を決めるものではないことは言うまでもありません。 たとえばイタリア学会なんかは三百五十人しかおりません。先ほど申しました内陸アジア史学会、日本モンゴル学会、それぞれ百六十、百七十、ウラル学会四十三、こういう小さい学会。しかし、これらの学会はきわめて重要な学会であります。もしこういうものが、単に学会の規模が小さいからといって捨てられるようになりますと、会員も出せないということになります。 また、学問の必要から参加しているのでありますから、研連との関係の強弱というものの判断はっけがたい。研連とどういうふうに関係が強いか弱いかというのは、なかなかっけがたい。もともと学問というのは平等でありますから学会も平等でなければなりませんし、登録学会相互の問はもとより、登録とか非登録によって、登録していないからといって差別さるべきものではありません。 また、研連には会員候補者の選出に関与しないようなものも今度、説明によるとできるようでありますけれども、それこそ研連本来の目的と使命とから逸脱するものと言わねばなりませんし、またそういう差別の判断の基準をどこに置くか、これはなかなかむずかしい問題であります。これを強いて強行しますと、研連あるいは学会の間に、平地に波乱を起こすと申しますか、非常に混乱を招くということになりましょう。 五。上記二百六十六の学会のうち、個人加入で現在登録基準の会員数が二百以下のものが四十八あります。これは実際は、一九八一年の調べでありますので、この数はもっと減少するでありましょう、会員は年々ふえるのが一般の傾向ですから。 そこで、その会員の数だけから見ますと、登録学会百二のほかに百十六の学会が登録の可能性を有するということになります。法案の説明に言うように、学会に最低一名の会員候補者を割り当てるとしますと、百十六の学会がすべて登録した場合に、第一部だけで最低二百十八名の会員候補者が出てくる、こうなります。これはみんな登録権を有する、登録の資格を有する学会が登録した場合のことであります。あるいはみんなしないかもしれません。 そしてまた、その学会から会員を推薦する推薦人というのが出るそうでありますけれども、この推薦人は一体いかなる基準のもとに第一部の会員三十名、いま三十名、この中にもちろん地方区も入っておりますけれども、地方区とかあるいは専門化でない、非専門と申しますが、これをしばらく除外しまして三十人程度を選出するのであるか。推薦人というのはそれぞれの学会から出ておりますから、自己の学会から出た候補者を当選させる責任を持っております。したがって、この場合の協議が成立するという可能性はきわめて少ない。無論科学者ですから、それぞれ英知を持っている方々ですから、その協議が成立すればよろしゅうございますけれども、やはりそれぞれ推薦人は学会に責任を持っておる。したがって、寸分の学会から出したいのは人情であります。そうした場合に、いま言ったようにたくさんの会員候補者が出た場合に、どうやってこれを選ぶか、これは実にむずかしい問題であります。 そういうことになりますと、結局どうなるかと申しますと、これは想像ですけれども、仕方がないからひとつ選挙でもやるか、こうなる。それなら私は、初めからいまの公選制に基づいて、そして公選制のデメリットを補う意味で三分の一推薦制をとっているいまの改革要綱、これの方がまだ賢明じゃないか、こういうふうに考える次第であります。 いずれにしましても、今度の法案は、実施しますとしますと、私ども人文科学、ほかの自然科学、社会科学でもさようかと思いますけれども、特に第一部人文科学の場合は非常に困難に遭遇する。一体どうなるかということなんですね。こういうことで、少し話が細かくなりましておわかりにくかったかと思いますが、また御質問でもありましたら後にお答えするといたしまして、一応私の話を終わりたいと思います。 どうもありがとうございました。
○葉梨委員長 ありがとうございました。 次に、向坊参考人にお願いいたします。
○向坊参考人 向坊でございます。 私は、お二人の話にも出ました総理府の吉識委員会と呼ばれていました委員会のメンバーをしておりましたので、お呼び出しにあずかったものと存じます。 私は、学術会議会員をしたこともございませんので、内部のことをそうよく存じませんし、また吉識委員会が非常にすっきりした一つの答申を出したものではないものでございますから、はなはだ歯切れの悪い御説明を申し上げることになると思いますが、まず最初に、吉識委員会の答申をごく簡単に申し上げますと、委員会の中でこの改革についての意見が非常に多様に分かれまして、一本の答申にすることができないで、四案を併記するという形で報告書が出ております。一四つの案と申しますのは、まず第一は、学術会議の自主改革案と大変似ておりまして、会員の選考も、一部推薦、一部公選という形のものが第一案でございます。 第二案と申しますのは、学術会議の任務は多様でございますけれども、それを二つに大きく分けまして、科学の進歩のために重要な問題を審議して必要があれば政府に提言を行う、そういう機能と、それから研究連絡という機能に二大別いたしまして、この二つの機能を分けて二つの機関にしたらどうかというのがB案でございます。 それから、C案と申しますのは、全機能を民間に移すべきである。国立機関であることをやめるべきであるというのがC案でございます。 それからD案は、学術会議の改革は非常に重要事項でありますし、根本的な改革をすべきものなので、相当な時間をかけて慎重に審議すべしというのがD案でございます。 この四つの案が大変に違っておりますことからおわかりのように、学術会議の改革についての各方面の意見もかなり多様である、そういうふうに私は存じておる次第でございます。 今回、この委員会に出席させていただきまして、改革の法案につきまして気のついたことがあれば述べてほしいという御希望がついておりました。私、きのう御通知をいただいたばかりでございますので、まだ余り不勉強で申しわけございませんが、きのうの晩よく拝見しまして、気のついた点を二、三申し上げたいと存じます。 第一点は、お二人の参考人からるる御説明のありました会員の選出方法についてでございまして、研究連絡委員会ごとの推薦制に改めようとされている点でございますが、公選制度にもいいところもあり、欠点もございますので、こういう研究連絡委員会ごとの推薦制に改めるのも一つの方法かと存じますけれども、実際問題としては、ただいま池田先生からも御説明がありましたように、専門分野別に背景とか考え方とかが非常に違っておりまして、研究連絡委員会ごとの選出が実際にできるかどうかというのが、専門分野によっては非常に簡単にできるところもありますし、非常にむずかしいところもあるのではないかという点が心配でございます。本当にできるのかという心配を私は抱かざるを得ないのでございます。 それから第二に、会員の資格を五年以上の研究歴を有する者に一応限定するという御意見、これは私は賛成でございますが、学術会議の活動をより活発にするという見地からしまして、私は、一緒にこれにくっつけて定年制もあっていいのではないかという気がするのでございます。 それから、第三点といたしまして、会員推薦管理会を置くという点でございますが、研究連絡委員会ごとの推薦制が実効性のあるものだということになりますとこれは意味がございますが、第一点とこれは関連した問題と思うわけでございます。 それから第四点は、専門別の定員を現在よりも多少フレキシブルにしたらどうかというお考えから出ている条文かと存じますので、私も専門別の定員を現在よりフレキシブルにするというお考えには賛成でございますが、これに関連して、私は、むしろこの際、専門別を考え直す必要があるのではないかというふうに感じているのでございます。 それは、現在の学術会議の専門分野の分け方は、極端に言えば、明治以来変わっていない日本の大学の学部の分け方と大変似ているわけでございまして、学問も社会も進歩しているのに、その専門分野がそのままで来ているというのはおかしいわけで、大学も改めるべきだと思いますし、学術会議のようなものももう少し考え方を思い切って変えてみたらどうだろうか。 たとえば、これが一番いいと申し上げるわけではございませんが、たとえば専門分野は自然科学と人文科学と社会科学に分ける。自然科学の方は、数学、物理学、化学、生物学、それから境界領域ぐらいに分けるとか、そういった何か思い切った、現状を踏まえた分け方をした上で学術会議のあり方を考える必要があるのではないか、そういうふうに考える次第でございます。 以上まとめまして、これは私の個人の考えでございますけれども、少し時間をかけて慎重に改革を、せっかく非常に大変な努力で始まるわけでございますので、慎重にやっていただけないものかというのが結論でございます。 これは国の機関でございますから、国会や政府が深い関心を持って改革案を出されるのは当然のことでございますし、学術会議自身が自主改革案を練られるのも当然でございますが、その案が全国の大学レベル、学会レベルで十分検討されたかどうかという点は、ちょっと不十分ではないかと私は思っているわけでございまして、全国の学者、研究者に関係する問題でもございますので、そういったプロセスをある程度踏んだ上で決めていただくのが望ましい、それには時間が少しかかるのではないか、そういうふうに考えている次第でございます。 一応私の陳述は以上にさせていただきます。 どうもありがとうございました。
○葉梨委員長 ありがとうございました。 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。 —————————————
○葉梨委員長 これより質疑に入ります。 初めに参考人に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、これを許します。船田元君。
○船田委員 それでは、参考人に対する質疑を始めたいと思います。 先ほど塚田会長、それから向坊先生、池田先生、それぞれ日本学術会議についての御認識、あるいは今回提出されている改正法案についての大変貴重な御意見をいただきまして、感謝を申し上げたいと思います。 そこで、まず、向坊先生に二、三お尋ねしたいのでございますが、御本人を前にして大変失礼な質問になるかと思いますが、過去の会員選挙におきまして向坊先生が立候補をされて落選された、こういうお話を漏れ伺っているわけでございます。私としては、向坊先生ほどの人物はどうしても会員に当選してもらわなければ困る、こういうふうに考えているわけでございますが、このような状況ですから、こういう選挙においては時として学問的な業績よりは、どれだけ有権者といいましょうか、に頭を下げたか、それからどれだけ選挙運動をしたかということの方が評価をされるのではないか、あるいは科学者というものがどちらかというと選挙運動というものには不得手であって、むしろ学問研究に専念した方がよい、つまり学者離れというのが選挙という過程においてあらわれているのではないかな、そういうふうに私は考えておりますけれども、向坊先生はどうお考えでしょうか。
○向坊参考人 ただいまの御質問、私自身にかかわりますのでまことにお答えしにくいわけでございますが、私が選挙に出ましたのは、日本化学会という学会では候補者の推薦を学会内の投票でやっておりまして、その投票の結果、私に出るようにということがありましたので候補に出たわけでございまして、こう言っては悪いのですけれども、私自身が出たかったわけではございませんで、落選したのは私の不徳のいたすところでございまして、制度のせいとは思っておりません。 以上でございます。
○船田委員 確かにそういうお話もあると思いますが、一方、学術会議の自主改革要綱、そのほか学術会議側のいろいろな御意見というものが出てきたわけです。その中で、会員の公選制というのが会議の独立性あるいは自主性の制度的保障である、こういうことをおっしゃっているわけですが、それとは全く逆に、今回の改正法案が全面的な推薦制というものを取り入れたわけでございます。私としては、この全面推薦制であっても、推薦の方法あるいはそのほかいろいろなやり方によっては決して会議の独立性を全く否定するものではない、むしろ、やり方によっては全面推薦制であっても独立性は十分に保たれるのではないかな、こう思いますけれども、向坊先生はいかがでしょうか。
○向坊参考人 ただいまの御質問、私はこういった問題は余り専門的に深く考えたことはございませんので十分なお答えはできませんが、大事なのは、学術会議の候補者を選ぶに当たって学者の自主性の保障ということは非常に大事なことだと思っております。したがって、どこかの段階で公選が行われるという制度が選出の過程に含まれていることがどうも大事なように思っております。全員を公選すべきかどうかということは私にはよくわかりませんが、分野によっては非常に複雑なので推薦制度はとれない、いっそ公選にするほかないという分野もあるのではないかというように考えますし、分野によっては公選制よりは推薦制、その推薦制のどこかに選挙が入るという形の方がいいという分野もあるのではないか、そういうふうに考えております。
○船田委員 どうもありがとうございました。 次に、塚田会長にお伺いしたいと思います。 塚田会長には参考人質疑が終わった後でもお残りいただけるというので、後ほどまた質問いたしたいと思いますが、とりあえず二つほど質問いたします。 一つは、ことしの五月の八十九回総会で、塚田現金長も提案者の一人となっておられる、法案に対する反対声明というものが採択されたようでございます。これの内容ですが、読み方によっては、政府の改正法案を、確かに表面的には重大な疑義をはらむものというふうに書いてあるわけですが、しかし、かといって全く受け入れられないものではないんじゃないか、こういうふうにも私には読み取れるわけでございます。また、その際の投票でございますが、そのときには反対声明のほかに二つ選択肢がありまして、反対声明に賛同するものはたしか九十一票、それから前久保会長の提案による声明が八十票、非常にわずかな差であった。こういうことからしますと、反対声明というものが学術会議全体の総意とはなかなか言いにくいんじゃないか、こう思いますけれども、いかがお考えでしょうか。
○塚田参考人 ただいま御発言ございました五月総会の声明の件でございますが、ただいま船田議員からは反対声明という御紹介でございましたけれども、私どもはこれは反対声明というふうにはとっておりませんで、先ほども申し上げましたように、いろいろの疑義がある。ですからその疑義に対しまして、後の法案検討分科会で問題点をいろいろ抽出していただいたわけでございますのでございますから、決して反対だということは一言も触れておりませんで、問題点がいろいろあるので十分に御審議をいただきたいというのが本旨でございます。 いま三つの提案があって、反対声明が必ずしも大多数というわけではないではないかということでございましたけれども、これは民主主義のルールから申しまして、過半数に達したものがいわゆる私どもの声明であったということで、これをもって学術会議の意思表明ということにさせていただいておるということでございます。
○船田委員 それともう一つですが、九月二日に出された改革委員会法案検討分科会の報告書というものがあると思います。その中では、確かに改正法案の問題点、反対声明のときに六つの問題点が出されて、それについて詳しく検討された、その結果が報告書に出ているというわけでございますが、その「むすび」の部分の一部に「本法案の推薦制の仕組みは、かなり柔軟にできており、また政令・規則のつくり方や運用の過程で、本報告書がこれまで指摘してきた疑問点のうち、今後、解消するものもあるであろう」こういうふうに述べているわけです。この文章からすれば、今後、政府、特に総理府と学術会議が十分に協議を続けていけば必ずしも学術会議は法案というものに反対ではない、あるいは積極的ではないけれども、そういう改正ということについて協力をしていくというふうに受けとめられますけれども、これについてはいかがでしょうか。
○塚田参考人 ただいま御指摘の点でございますけれども、確かに法案は非常に柔軟にできておりまして、今後政令とか規則とかいうもののつくり方いかんによりましては、非常に学術会議の改革要綱に近い線というものもある程度出てくる可能性は十分にあると思います。しかしながら、それはある部、ある研究分野ということでございまして、先ほど池田参考人の御紹介になりました第一部というようなところでは、仮に政令、規則をかなり一生懸命つくったといたしましても、そういう研究分野では非常に実施が困難であるというようなことがあるようでございまして、必ずしも現在の学問領域全体についてうまくいくというふうに断定することはできないように考えておるものでございます。
○船田委員 ありがとうございました。 では最後に、池田参考人に御質問いたしたいと思います。 池田先生もたしか八十九回の総会で採択されたいまの声明の提案者のお一人になっておられると思います。先生は現在でもこの改正法案は重大な疑義をはらむものというふうにお考えであるかどうか。 それからもう一つは、先ほどもお話し申し上げましたけれども、改革委員会の法案検討分科会の報告書、これが法案の推薦制ということについて打ち出しているわけでございますけれども、仕組みがかなり柔軟である、こういうことである程度評価をしている。そういう報告書の評価ということについて、池田先生はどういうふうに考えておられますか。
○池田参考人 私、いまでも重大な疑義があると思っております。 それから、第二番目の質問ですけれども、法案検討分科会がっくりました報告書には確かにそういうものがあります。これは先ほど塚田会長も申しましたように、そういう分野もあるかもしれません。ところが、先ほども少し細かく申しましたように、第一部なんかはこれでは困るのですね。実施がきわめて困難であるというようなことになるので、私どもとしてはどうもにわかに賛成しがたい。もう少しこういう点について国会の方でも十分審議していただきたいと思います。 それから、先ほど塚田会長もちょっと申しましたけれども、ついでに申しますならば、一年ではとてもできない。私ども法案には賛成しがたいのですけれども、もし法案をやられるにしても、私はかって改革委員会で十年かかると言ったことがあります。十年は多少オーバーかもしれません、少なくとも二、三年はなければ。何しろ学会というものに対する学術会議は命令権もない、指示権もない。ああしろ、こうしろと言えない。学会が自主的に学術会議に協力してくださる以外にないのです。その学会が、御存じと思いますけれども、この五月以来猛烈な反対運動を展開しているという状況になっておる。仮に法案が通りまして、ここで終わったからひとつ協力してくれないかと言いましても、ある学会は絶対に協力しないということをはっきり言っている、こういう学会もあります。こういう状況でございますので、その点十分お考えいただきたい。私ども、何でもかんでも政府のやることには反対だというのじゃありません。ですから、その点はひとつ十分お考えいただきたいと思います。
○船田委員 どうも参考人の皆さん、ありがとうございました。 以上で参考人に対する質疑を終わります。
○葉梨委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。 この際、参考人各位に二百お礼を申し上げます。 本日は、御多用中のところ当委員会に御出席いただき、また貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。 —————————————
○葉梨委員長 引き続き、質疑の申し出がありますので、これを許します。船田元君。
○船田委員 参考人の質疑に引き続きまして、今度は総理府並びに学術会議の会長あるいはその事務局に対する質疑に入りたいと思いますが、参考人の質疑で大分内容の問題について触れましたので、かなり重複する部分があるかと思いますが、あらかじめ御了承をお願いいたしたいと思います。 総理府の統計篇がこの前山した科学技術研究調査報告によりますと、わが国の山然科学部門だけに限ってみましても、その研究者の数は昭和三十七年に十万四千人、それが昭和五十七年には三十三万人、実に三倍以上に上っているわけでございます。このような科学者数の増加というものは、最近の科学というもの、これはもちろん人文科学も同じでございましょうが、最近の科学が著しい発達を遂げている、これを端的にこの数字というのがあらわしていると思います。 それからもう一つは、科学の各分野の動きでございますけれども、先ほど塚田会長からもお話がありましたように、どんどんその分野というものが細分化をしている、あるいは分野と分野の重なり合ったいわゆる学際的な分野というものが登場し、あるいはさらに、先ほどの塚田会長のお言葉をかりれば、創造科学と言われるようなこれまでになかった新しい分野の科学、あるいはその科学分野というものが登場している、こういう状況にあると私は認識をしているわけでございます。したがいまして、このような状況の中では、多数の科学者が相互に密接な連絡をとるとともに、国際的にも十分に協力をして、そしてそれぞれの分野における研究に力を注いで、それによってわが国全体の科学の発展に努めていかなければいけない、このように考えるわけでございます。 こういう中で、わが国の科学者の内外に対する代表機関である、このように規定をされている日本学術会議が、過去において確かにそれなりの役割りを果たしてきたということは否めない事実でございますけれども、一方では、日本学術会議がさまざまな問題点を持ち、その解決のために各方面での改革の機運あるいは動きというものが近年非常に高まってきたということも事実でございます。そこで、まず私は、法案の内容そのものに触れる前に、学術会議の現状ということについて簡単に再確認をしておきたいと思います。 まず、学術会議の事務局にお尋ねいたしたいと思いますが、今日までの会員選挙の実情ということについてお聞きしたいと思います。特に具体的には、開くところによりますと、立候補者の数が非常に減少してきている、そのために競争倍率も低下をしている、それに伴って投票率そのものも毎回減少しているということでございますが、実際数字としてどういうものがあらわれているかということ。それからもう一点は、いま進行中の第十三期の選挙、この立候補がどのような状況になっているかということについてお知らせを願いたいと思います。
○藤江政府委員 競争倍率、投票率のそれぞれについてお答え申し上げたいと思います。 まず競争倍率でございますけれども、第一期は昭和二十三年でございます。四・五一倍でございました。それから第二期ではそれが二倍台になりまして、三期からは一倍台に低落いたしまして、前期十二期が一・一五倍という最低倍率になっているわけでございます。 また投票率につきましては、第一期が八三・一%でございましたが、二、三期に九〇%を超えてピークをつけまして、その後は漸減いたしまして、最低投票率が十期の五八・五%でございますが、十二期では六二・八%ということになっているわけでございます。 なお、今回の十三期選挙、現在手続を続行中でございますが、これにつきましては十月一日で候補者を公示いたしております。それによりますと二百三十三名ということで、競争倍率といたしましては、法案の成立によりまして中断するかもしれないという特殊要因がございましたけれども、一・一一倍という最低倍率でございます。
○船田委員 また一方、学術会議そのものの活動、これも非常に不活発になってきているという指摘もあるわけでございます。学術会議の大きな仕事の中には、政府に対する勧告あるいは要望、意見というものが一つ挙げられるわけですけれども、一体それはどのくらいの頻度で今日まで行われてきたか、政府の諮問の状況というものとも関連させてお知らせを願いたいと思います。
○藤江政府委員 まず勧告、要望等の総件数でございますけれども、この十月までに勧告では二百三十九件、要望では百四十一件、申し入れは百九十三件となっているわけでございます。 なお、逐年の状況を見ますと、まず勧告につきましては、二、三期は極端に少のうございますけれども、昭和三十年代から四十年代にかけましては二七件を超しております。それが五十年代に入りまして、十期、十一期、十二期と八、十四、八というふうに減少いたしているわけでございます。 また要望につきましては、三十年代の初めまでは二十件を超しているわけでございますけれども、その後は九期が十件、十一期が十二件であるのを除きましては一けた台に減少いたしているわけでございます。 また申し入れでございますけれども、これもはっきりした傾向線を示しているわけではございませんが、一期が五十三件と極端に多いわけでございますが、その後減少いたしまして、七期には再び三十五件というふうにふえております。しかし、その後漸減いたしまして、十一期、十二期では一けた台ということになっているわけでございます。 なお諮問件数につきましては、ここ何年来と申しますか、毎年、文部省からのものが法定のものとしては一件だけでございます。
○船田委員 そこで、総務長官にお尋ねしたいのですけれども、いま学術会議の事務局長からもいろいろな数字を出してもらいましたが、特に選挙の状況についても、投票率が下がる、あるいは立候補者の数が減るということで、選挙そのものにおいて不活発、あるいは選挙から学者が離れてしまう、こういう実情が数字としてはっきりあらわれているし、それから学術会議の本来の仕事である勧告なりあるいは要望、意見、こういったものの数も最近非常に少なくなってきているということは事実の数字としてあらわれているわけです。こういった学術会議そのものの活動の不活発さ、こういうものの原因は一体どこにあるとお考えでしょうか、お尋ねいたします。
○丹羽国務大臣 先生の御質問にお答えさせていただきます。 ただいま御指摘の点につきましては、先生も御承知のように、各方面において種々論議が行われておるのでございますが、私といたしましては、先ほど参考人からも述べられましたように、戦後の設立当初とは異なり、飛躍的とも言えるほど科学が著しい発展を遂げたという時代の変化、こういった変化への対応という問題が一番大きな問題ではないかと思います。また一方、若い科学者の方々が、ともすれば御自分の研究の方に熱心になりがちであるかとは思いまするが、学術会議の活動にこれらの若い研究者の関心を引くようなものをつくり出すことができないのではないかというようなこともあるように思われます。 いずれにいたしましても、どのような考えをお持ちの方も、学者離れの状況は冷厳な事実としてこれを認められておるのでございますから、そういう点も私どもは十分関心を持っておることを申し上げておきたいと思います。
○船田委員 いまと同じ質問を会長さんはどのようにお受けとめでしょうか。
○塚田参考人 いま学術会議の学者離れという御指摘でございますけれども、確かに最近その傾向があるということは残念ながら認めざるを得ないと思うのでございますが、この背景になっておりますのは、学術会議、政府双方にある程度問題があったのではないか。われわれ学術会議側といたしましては、いま発展しつつある科学技術に対しまして、若い科学者にもアピールできるような、二十一世紀には日本の科学技術政策はどうあるべきであるかというような勧告であるとか提言であるとかというものを、本当にいままでやってきたのであろうかということがございまして、確かに学術会議自身の活動につきましてもある低下があるということでございまして、それはわれわれも大いに反省しなければならない点だと考えておるわけでございます。 一方、予算の面とかあるいは審議経費あるいは国際会議への出張費というようなものが削られてくるというような事態も起こっておりますし、あるいは政府からの諮問というようなものも余りしていただけなくなってしまった。つまり、政府と学術会議との間の信頼関係が低下しているという非常に重大な問題が起こっておるわけでございまして、この点につきましてもやはりわれわれ、事務当局は総理府でございますので、あるいは総理府との間のパイプを強化する必要があるのではないかというふうに考えるものでございます。 ただいま総務長官もおっしゃいましたように、若い人たちの関心が非常に少なくなっているということにつきましては、だんだん科学が専門化し、日本は研究費あるいは研究設備が非常によくなってまいりましたので、若い人たちは日夜研究に没頭するというような傾向が出てきたこと、あるいはまた、学術会議は直接研究独を若い諸君に配るというような機関でございませんで、非常に長期的なあるいは総合的な審議機関ということでございますので、若い研究者の日常の研究生活に余りなじみがないというようなことも一つの大きな原因ではないかというふうに考えるわけでございます。
○船田委員 次に、学術会議の改革の経緯について再確認をしておきたいと思います。 今回のこの学術会議の改革の発端は、たしか昭和五十六年、一昨年の中山元総務長官の問題提起があったわけで、それは正会員以外の海外派遣という問題が発生をしたというふうに記憶をしております。これを受けて政府側としてはどのように対処をし、さらに、今回の改正法案を取りまとめるまでの経緯というものを、学術会議の自主改革案と関連づけて、かいつまんでお聞かせ願いたいと思います。
○橋本(豊)政府委員 いま先生がお話しになられましたとおり、五十六年の六月、当時の中山総務長官が欧州視察の結果を踏まえまして、日本学術会議の改革の必要性を表明されるとともに、日本学術会議に国際会議代表派遣のあり方を検討するよう申し入れをいたしました。翌七月に、これを受けまして、当時の学術会議の伏見会長と中山長官との会談が二回にわたって行われました。日本学術会議は、同年十月の第八十三回総会におきまして、自主改革路線推進の表明が行われ、昨年十月の八十六回総会において改革要綱を採択しました。先ほど参考人から御説明のあったとおりでございます。 一方、総理府においては、昨年八月に有識者による懇談会、いわゆる吉識懇談会を設けまして、日本学術会議の改革について検討を依頼いたしました。そして、その懇談会の報告、それから昨年八月の自民党の特別委員会の中間提言、さらに日本学術会議の改革要綱等を総合的に勘案いたしまして、当時の田邊総務長官が試案をまとめられまして、日本学術会議にこれを提示し、その検討を依頼いたしました。これを受けまして、日本学術会議は、本年二月の臨時総会で試案についての分科会の検討結果を採択するとともに、自主改革要綱と試案との関連について論議し、その結果、いわゆる自主改革要綱を最善としつつも、具体的な政府折衝の権限を会長にゆだねたのでございます。 以後、総理府は、この権限をゆだねられました会長を初め、両副会長と折衝を重ねまして、その意見を十分閉きながら具体策を作成したということでございます。
○船田委員 いまの答弁を醜いた限りでは、今回の改正法案というのは、決して総理府の単独の考えあるいは独断ということではなくて、十分に各方面の意見も踏まえ、特に学術会議の会長、その他の役員の皆さんと十分意見を闘わした、あるいは協議した結果であると理解したいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
○橋本(豊)政府委員 そのとおりでございます。
○船田委員 それでは次に、改正案の具体的内容について質問したいと思います。 まず一つは、学術会議そのものの存在の必要性、存在意義という基本的な問題でございますが、現行の学術会議法においては、日本の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させるという目的を第二条で規定していると思います。また、その目的を達成するためには、第三条において、科学に関する重要事項を審議し、科学に関する研究の連絡を図るという二つの職務を政府から独立して行う国の機関である、こういうふうに規定してあるわけです。この規定については、改正法案においてもそのまま手をつけずに残してあるわけですし、それから学術会議の昨年十月の自主改革要綱の中でも、この改革の基本的な前提として、そのような目的あるいは機能というものをそのまま列挙しているわけでございます。ですから、政府側においてもあるいは学術会議側においても、学術会議というもの、その目的、職務、機能というものは絶対に必要だ、こういう点では一致していると思います。 ただ、一方において、政府においては、科学技術会議、それから学術審議会、要するに学術会議と非常に似たような職務を持ったいろいろな機関というものが今日までできている。こういう中で、では改めてこの学術会議がどうして国の機関として必要なのかということについては長官は一体どうお考えでしょうか。
○丹羽国務大臣 学術会議と似たような機関もある、しかし学術会議の存在の必要性は、総務長官、一体どう考えておるか、こういうことでございますが、先生が述べられましたように、科学の振興及び発展の重要性は言うまでもないことでございますが、資源小国のわが国にとっては、今後高まりこそすれ低下することは絶対にあり得ないものと考えます。このような科学の振興及び発展の重要性を考えるとき、科学についてのいわゆる総合的審議機関として学術会議が存在することの意義、これは非常に大きいものであるという考えでございます。
○船田委員 次に、会員の選出方法ということですが、これは最も議論の分かれるところでもあり、先ほどの参考人に対する質疑の中でも若干触れたわけでございますが、改めて会員の選出方法ということについてお聞きしたいと思います。 そこで、まず学術会議側にお聞きしたいのですが、学術会議の自主改革要綱では、三分の一を推薦、それから三分の二を公選、要するに公選の足らざる部分を補完する形で推薦という形が入っている、しかもそれが単なる推薦ではなくて、コオプションというのでしょうか、そういう特殊な方法で行われている、こういうことが要綱の中には書いてあるわけでございます。確かに要綱の中にはその理由ということを幾つか詳しく述べているわけですけれども、それを読んでも、なぜ三分の一が推薦なのか、なぜ半分にしなかったのか、こういう単純な疑問が起こるわけですけれども、その三分の一という合理的な理由についてお聞かせ願えればお願いします。
○塚田参考人 ただいまの御質問でございますけれども、学術会議といたしましては、公選制が原則であるという考え方で改革要綱がつくられておるわけでございまして、半分ずつということになりますと公選制が原則であるということから外れてしまう、したがって三分の一ぐらいのところを推薦制にするのが適当であろうということでございまして、論理的な根拠があるということではなくて、三分の一ぐらいを推薦制にして三分の二を公選制にしておけば公選制としての原則が守られるという考え方から三分の一という数字が出てまいったわけでございます。
○船田委員 それでは、総理府の方は今度は、確かに自主改革要綱であえて三分の一推薦、そして三分の二公選ということを打ち出したにもかかわらず、総理府としては今回の提出した法案では全面推薦ということに切りかえたといいますか、そういう形にしたわけでございますが、あえて全面推薦制にした理由は一体何かということについてお開きいたします。
○橋本(豊)政府委員 お答えいたします。 選挙制については従来から科学者の代表を選出する方法としては適当でないという意見もありまして、また理行の選挙の実態としても、立候補者数の減少による競争率の低下や無競争当選などが多いという問題がありますなど、先ほど御説明のありましたように、いわゆる学者離れを起こしていることは御承知のとおりでございます。総務長官の私的懇談会におきましても多数意見は、選挙制を根本的に見直す必要があり、かつ推薦制の採用を適当とするというものでございました。したがいまして総理府としては、これまで多くの問題点が指摘されてまいりました選挙制にかえて、科学者が実質的に会員を選出することを基本に、科学者の活動の母体でありその構成員である科学者の学園研究上の業績を最も適正に評価できる学会を基礎とする推薦制を適当と考えた次第でございます。
○船田委員 もう大分時間がなくなりましたけれども、次に、いま進行中の第十三期の選挙日程、これは大分繰り下がったと開いておるのですが、実際の日取りはどうなっていますか。事務局の方はおわかりでしょう。
○藤江政府委員 選挙につきましての進行状況と今後の日程につきまして御報告申し上げたいと思います。 先ほど申しましたように、十月一日に候補者の公示をすでに完了いたしております。今後の段取りといたしましては、この下旬にかけまして投票用紙を配付するということを予定いたしております。したがいまして、実際に投票に入りますのは投票用紙の配付を受けてからということになりますが、投票の締め切りは十二月の十九日ということになっておりまして、締め切りを待って二十四日には中央選挙管理会を開きまして、そこで当選人の最終的な確定をするということでございます。
○船田委員 私は、この改正法案というのは実質的には日切れ法案だと理解しているわけです。そこで、改正法案がいつまで成立をすれば今回の進行している選挙そのものはとまるのか、あるいはいつまで成立しなければ選挙を行わなければいけない、そういう必要性が生ずるのか、そういう点は総理府はおわかりになりますか。
○橋本(豊)政府委員 法律的に申しますと、当選人が決定されるまでに改正法案が成立、施行されればよいということが言えますけれども、いろいろな手続等の事情を考え合わせますと、できるだけ早く成立させていただきたいということでございますが、現在の選挙手続では十二月二十四日に当選者の確定を行うような形になっておりますけれども、今月の下旬には投票用紙の発送などがございますので、なるべく早く成立を図っていただきたいと存じます。
○船田委員 それでは、最後に総務長官にお尋ねいたします。 今回の改正法案は確かにまだいろいろと議論をしなければならない問題はあると思いますけれども、今回の改正法案が成立をした段階において、そしてそれに従って学術会議というものの改革が実現していくという段階において、学術会議の将来に対する政府としての希望といいましょうか、こういう学術会議になってもらいたい、そういう展望がもしあればお開かせを願いたいと思います。
○丹羽国務大臣 この法改正に伴いましてきわめて適切な、大切なお尋ねでございますから、政府としては、この学術会議の将来に対する展望と申しますか考えと申しますか、御指摘のことについてはっきりと申し上げさせていただきたい、こう考えております。 もちろん私としても、今回の改革の実現により学術会議がその本来の目的を十分に果たし、わが国の科学の振興及び発展に大きく寄与するようになるものと信じております。 先ほどもお話ししましたように、資源の乏しいわが国にとっては、いまさら申し上げるまでもないところでございますが、科学の振興及び発展の重要性は、今後高まりこそすれ低下することは絶対にあり得ないものと思われます。したがって、学術会議の果たすべき役割りもそれに伴ってより一層重要になっていくものと考えます。私といたしましては、このような基本的な考えのもとに今後とも対処してまいりたいと考えております。 なお、学術会議は今回の改革を契機としてその体制を整え、科学者のみならず広く国民全体の期待にこたえて十分その機能を発揮していくことを心から希望いたしております。
○船田委員 私もやはり今回の改正法案によって、その内容についてはこれから学術会議それから政府の間で十分に協議をしてもらいたいと思いますけれども、それによる改革によって学術会議がさらに実りあるもの、そして日本社会、日本経済、日本のいろいろな文化に大きく貢献することを期待いたしまして、質問を終わらしていただきます。(拍手)
○葉梨委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○葉梨委員長 この際、本案に対し中村靖君から、自由民主党提案による修正案が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。中村靖君。 ————————————— 日本学術会議法の一部を改正する法律案に対す る修正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○中村(靖)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、趣旨の説明を申し上げます。 原案は、現に会員である者の任期は、昭和五十九年一月二十日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日の前日まで延長することになっておりますが、本法による新制度への移行をさらに円滑にするため、一年六カ月を超えない範囲内において政令で定める日の前日まで延長することに改めようとするものであります。 何とぞ委員各位の御賛成をお願い申し上げます。
○葉梨委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○葉梨委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入るのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、採決に入ります。 日本学術会議法の一部を改正する法律案について採決いたします。 まず、中村靖君提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○葉梨委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○葉梨委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○葉梨委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時三十五分散会 —————————————