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98回国会参議院1983/03/26

予算委員会 第11号

発言数
501
登壇者
59
会派数
3
開催日
1983/03/26

会議録

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 予算委員会を開会いたします。  昭和五十八年度一般会計予算、昭和五十八年度特別会計予算、昭和五十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。     ─────────────

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  昭和五十八年度総予算三案審査のため、本日の委員会に、大学入試センター所長小坂淳夫君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 御異議ないと認めます。  なお、出席時刻等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) これより熊谷太三郎君の一般質疑を行います。熊谷君。

熊谷太三郎自由民主党

○熊谷太三郎君 まず、原子力発電所の運転員の資格制度に関しまして、通産省と科学技術庁に一言だけお伺いをいたしたいと思います。  原子力発電所におきます安全確保の重要な一環としまして、当局においてはその運転責任者につきまして資格認定制度を設けられ、昨年の六月から本制度で認定を受けました運転責任者を各発電所に配置することが義務づけられましたことは、安全確保に対する当局の御英断と御熱意、御努力のあらわれであると考えまして、この点に関しましては心から敬意を表するものでございます。  ところで、運転責任者というのは一交代のトップの意味かと思いますが、現在、一交代は大体幾人で行っておられますか。また、一日何交代で運転されておりますか。したがって、運転員の数は大体全部で一基について何人ぐらいになるかという点。それからもう一つ、昨年の六月、この制度を実施されました以後の運用状況につきましてお気づきの点がありましたらお尋ねしたいと思うわけでございます。  この二つの点に関しまして、簡単で結構でございますから一言お答えをいただきたいと考えます。商業炉と研究炉の両方がございますので、それに従いまして通産省と科学技術庁の御両者から別々にお答えをいただければ結構でございます。

松田泰資源エネルギー庁長官官房審議官

○政府委員(松田泰君) 通産省の所管しております実用原子力発電所につきましてお答えいたします。  ただいま先生御指摘ございましたように、発電所の運転にとりましては、運転員の資格認定、資質の向上というのは大変重要なことでございますが、各電気事業者は、それぞれ持っております運転訓練センター等で十分な訓練を行って発電所に配置さしておるわけでございます。しかし、私どもの方でも、運転当直長につきましての資格制度を定めて運用しているところでございます。御質問の発電所におきます一制御室当たりに配置されております運転員の数は、PWR、BWR等の型によりまして多少の違いはありますけれども、通常十名程度で一つの直、一つのチームを編成しておりまして、ほとんどの発電所では五直三交代制で運転制御に当たっております。一制御室、これは大体二つの発電機、ツーユニットを一制御室でコントロールしておりますが、一制御室当たりの運転員の数は五十名から六十名程度が普通でございます。そういたしますと、このような数字で全国の原子炉の運転制御を行っております運転員の総数は約八百三十名程度になります。  このような運転員の中で最も責任を持っております運転当直長につきましては、原子炉等規制法に基づきます規則を改正いたしまして、資格認定制度を昨年の六月から発足さしたわけでございますが、この制度が運用されて現在まで約百五十六名の運転員がその資格の認定を受けてございます。実際に当直長として配置して勤務しておりますのは七十二名でございますけれども、資格を持っておりますのは約その倍程度の者がすでに準備されているという状況でございまして、今後もこういった直のチームワークの向上等一層強めまして、安全確保に寄与してまいるものと考えております。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(赤羽信久君) 科学技術庁の所管いたします発電炉といたしまして、動力炉・核燃料事業団の「ふげん」発電所がございます。ここでは四直三交代制をとっておりまして、一直が十三人でございますので、運転員の合計は五十二人となっております。この発電所の運転員につきましても、通産省の協力を得まして、通産省と全く同じ資格認定制度の導入ができればと検討してきたのでございますけれども、この炉が沸騰水型ではありますけれども、重水減速型という日本に一つしかない炉であるということもございまして、同じ制度にすぐのせるというのがまだ問題がございましてむずかしい点がございます。したがいまして、現在のところでは、沸騰水型の運転員を教育いたしますBWR訓練センター、ここに運転の責任者である当直長、それから運転員の一部を派遣いたしまして研修を行わせておりまして、実質的に同等の運転資格が、資質が得られるように動燃事業団を指導してまいっております。

熊谷太三郎自由民主党

○熊谷太三郎君 申すまでもありませんが、現在、安全に関係の深い機器の取り扱いに当たります者は、すべて国によりまして資格の認定を受けなければならぬことになっております。政府は、この制度を踏まえられまして、原子力発電所に関しましては安全性の確保に万全を期して、その推進を図ると明言しておられるわけでありますから、そのたてまえ上、行く行くは運転員の全員が有資格者になるように心がけていただきたいと考えるわけであります。もちろん、現状におきましても、わが国の場合、いろいろの事情と政府や事業者の熱意、努力によりまして、運転員の質が諸外国に比べましてはるかに優秀でありまして、いまさら資格を決めねばならぬような必要がその点からはないかもしれませんが、しかし、安全に対しまする政府の誠意と熱意を国民に、特に原発所在の住民に浸透させる上からは、どうしてもこのことが必要であると考えるわけでございますので、いろいろ困難もあると思いますし、またいろいろな日時も要すると思いますけれども、どうか前向きの姿勢でこの問題に対処していただきたいということが私の念願でございます。したがって、この点に関しまして、通産、科学技術庁の両大臣の、一言でよろしゅうございますから、簡単な御所信を明らかにしていただきたいと思います。

山中貞則自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(山中貞則君) 御指摘を待つまでもなく、私たち無資源国の民族の未来を切り開くためには、原子力平和利用、あるいは宇宙衛星を利用した資源探査その他の努力、そうして単にマンガン団塊のみならず、海底資源、これらの人知の結集を図ったものによって、日本が未来を切り開いていく世界の先駆者とならなければならないと、そういうことを考えております。  しかしながら、第二次大戦の原子力のイメージというものをぬぐい得ない日本民族として、あるいは世界唯一の被爆国として、原子力に対するもともとのアレルギーがあること、これはやむを得ないことだと思いますが、しかし、民族の未来というものを考えるときに、そこの平和利用の問題と本当の人命との、いわゆる殺傷関係とは全く別であって、平和利用という以上はどのように平和で安全であるかということをよく前提に進めていかなければならぬと思います。  先生のおっしゃるように、大変重要な問題を含んでおりますし、いままでともすれば、そうであったとは言いませんが、私が就任しましてからの体験では、わずかな程度の、すぐ修理できるような程度のものは中央に報告しないような電力会社等があったやに体験いたしましたので、今後は、通常の検査において発見したいかなるささいな事故であっても、全部原子力安全委員会まできちんと手順を経て報告するようにということにいたしまして、いままでひょっとしたら漏れがあったのではないかなという私の抱きました杞憂は、いまのところこれからの態勢ではなくしたということも御報告申し上げておきます。

安田隆明自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(安田隆明君) 当庁といたしましては、「ふげん」が熊谷先生のおかげで敦賀の方に立地いたしておるわけでありますが、この立地につきましては大変お世話になりました。厚くお礼を申し上げます。  そして、原子力政策の推進のためには安全の確保が第一と、これは御指示のとおりでございまして、設計あるいは施工、これは第一義的にダブルチェックで、そしてこれを管理運営する、ここにまた大きな責任があるわけであります。したがいまして、いま熊谷先生御指摘のとおり、運転員の資質の向上、これにつきましては十全を期したい、こういうことを考えておりますので、御了解願いたいと思います。

熊谷太三郎自由民主党

○熊谷太三郎君 ただいま両大臣の御懇篤なる御答弁をいただきましたが、運転員の全員が資格を得た運転員であることになりますように、将来前向きの姿勢で進めていただきますことを重ねて御要望申し上げる次第でございます。  次に、原子力発電所の公開ヒヤリングの点につきましてお伺いをいたしたいと存じます。  御承知のように、昨年六月、全国の原子力発電所所在の市町村で結成しております原子力発電所所在市町村協議会、いわゆる全原協と言われる団体でございますが、それから「公開ヒヤリング制度の改善に対する要望書」なるものが出されまして、それによりますと、昭和五十四年一月公開ヒヤリング制度が発足しまして以来、第一次公開ヒヤリングが四回、それから第二次公開ヒヤリングが五回実施されたわけでありますが、これらのヒヤリングは、いずれも反原発グループと取り締まりに当たる警察機動隊とが衝突、騒動の場を与えただけで、その主眼とします住民との対話という本来の趣旨から遠く離れまして、その運営は、その言葉どおり引用しますと、全く形骸化しているという地元の不満が訴えられているわけであります。これに対しまして当局とされましていろいろな対策をとられ、着々その推進に努めておられますことは私も多少知ってはおりますが、この際、とられました対策、あるいは今後どういうふうにお進めになるかという点につきまして、これまた通産、科学技術庁御両者からお伺いをいたしたいと考えるわけでございます。

豊島格資源エネルギー庁長官

○政府委員(豊島格君) 第一次ヒヤリング制度につきましては、先生いまおっしゃいましたように、通産省としましては、五十四年の一月から省議決定で決めまして、地元の方々の理解と協力を得る場として公開ヒヤリングをやっておるわけでございますが、先ほど御指摘のありましたように、これについてはいろいろ問題があるということで、御意見も承っておりまして、その御意見をもとに鋭意いま検討しておるということでございます。  ただ、具体的にどのような方向でいくのかということについてはまだ検討中でございますが、基本的には、やはり原子力行政懇談会の意見というものは尊重するということで、できるだけこの公開ヒヤリングにかわるような措置ということは避けると、できるだけ公開ヒヤリングを開催して、運営方法につきましては地元の要請に応じて弾力的にやりたいと思っておりますが、たとえば増設地点なんかにつきましては、すでに第一次ヒヤリングも、最初のところで公開ヒヤリングをやっておるわけでございますので、そういうところは、たとえば地元からいろいろな文書による正式な要請があったような場合には、公開ヒヤリングにかえて文書による意見で済ませるとか、まあいろいろな方法があると思いますが、いろいろとその辺のところも考えまして、弾力的にやるということで検討を進めているところでございます。

赤羽信久科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(赤羽信久君) お答え申し上げます。  先生御高承のとおり、原子力安全委員会は、原子力発電所の新増設に伴う安全審査のダブルチェックに当たりまして、参考とすべき地元の方々の意見等を伺い、あわせて安全性に対する御理解を得る一助にと、いわゆる第二次公開ヒヤリングを開催してきたところでありまして、回を重ねるごとに開催方式の改善に努めてまいりました。しかしながら、先生御指摘のように、全国原子力発電所所在市町村協議会から、できる限り地元における騒動を避けるようにとの改善の御要望をいただいたこともありまして、やはり一律に同じ形のヒヤリングをお願いするのでは無理がある、地元ごとの御事情に応じた弾力的な運用が必要であると考えたわけでございます。もちろん、従来からの対話方式によります公開ヒヤリングの形もそれなりの成果を上げてきたわけでございまして、さらに改善を加えることにより、より有意義なものにしていこうとする原則は堅持していくものでございますけれども、市町村長さん方の御要望にありましたように、他の方法によることがより適切だという場合につきましては、文書によって意見を伺うという二つの方式を追加することにいたしました。  その一つは、地元での説明会を開いた後、文書によって意見を提出いただくという方式でありますし、もう一つは、まず文書によって意見を提出していただいた後に直接口頭でお話を伺う会合を開催するという方式でございます。  この方式の初めての例といたしまして、新潟県に設置を予定しております柏崎・刈羽原子力発電所二、五号炉の増設の件がありました。文書方式を採用しまして、まず地元住民の方々から文書による意見等を提出していただいた後に、去る一月でございますが、新潟県庁において意見等の内容を直接聴取するための会合を開催いたしました。県当局の適切な御協力もありまして、円滑に所期の目的を達成することができたわけでございます。  また、次に予定されております島根原子力発電所の二号炉の増設につきましては、関係方面の御協力を得まして、この五月中旬に松江市で対話方式を従来以上に拡大した方法によりまして開催することが決定されました。三月十七日、これを発表したわけでございます。ここでは、いわゆる反対派という方々も参加するという意思表示を公表されまして、活発な意見が出されることを期待しているわけでございます。  今後とも地元それぞれの御事情を伺いまして、より適切な形のヒヤリングを行うよう弾力的に対処することによりまして、十分効果を上げてまいりたいと考えておるところでございます。

熊谷太三郎自由民主党

○熊谷太三郎君 いろいろ承りましたが、言うまでもございませんが、原発の推進のためには、何といいましても地元市町村の理解と協力を得ることが先決であることは言うまでもないわけであります。今後とも地元から上がってまいりますいろいろの正しい要望に対しましては、これを十分尊重していただいて、隔意のない御懇談をしていただき、そういう理解と協力のもとにひとつこの原発の推進を進めていただきたいと考えているわけであります。これに関しまして、これまた簡単で結構でございますから、両大臣から一言だけ御所見を承りたいと考えるわけであります。

山中貞則自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(山中貞則君) 先ほど申し述べましたとおり、日本の特殊な国民感情として、核そのものにもともと平和利用であっても容認し得ない体質というものがあることはやむを得ないことでありますが、しかし、平和利用の必要性は、エネルギーの未来を考えるときに、日本自身の手によってどうしても確保されなければならないまた一方重要な分野であります。ここのところの調整というのがそこに端的にあらわれてくる場所になるわけでありますから、運営方法のちょっとやそっとの改善ぐらいではなかなかこれ解決できない問題である。  前は、外国においては余りそう大きな反原発騒ぎ等は見られなかったのでありますが、最近は、スリーマイル島事件が契機になったのでありましょうか、アメリカにおいても、あるいは西ドイツ等においても、大変この原発反対の大衆行動といいますか、そういうのが見られるようになってきました。やはり人類としても共通な感情を持っている部分があるんだと、そういうふうに見なければならぬと思いますが、あくまでもこれは、おっしゃったように地元、受け入れの、地域の人たちの受け入れ態勢についての十分の御理解の上に立たなければならないことは当然の前提でありますけれども、さてそのことについて意見を聞くという場合に、どのような形で、核そのものについては、戦争に使うものはもちろんのことですが、平和利用そのものも否定するという人たちの意見を吸収するといっても、どうしたらいいのか。それを混乱なしに——恐らくそういう大きな意味でない、不安という意味の反対の人もおると思うんですね。そういうような区別はあるにしても、どのような形で意見を吸収し、それを反映していくのか、どのようにまた懇切丁寧に一般の、普通の住民にもわかるように説明してあげたらいいのか、そこらのところにはもう少し工夫がなければ、いつも機動隊のお出ましを願うというような形では、私は日本の未来にとって好ましい姿ではない。しかし、根は非常に賛否についてはっきりとした根拠のあるもの、むしろ否定する側にはっきりした根拠を持つ、信念に近い人たちのグループでありますから、それらの人たちにお願いをしてもそれは無理かもしれませんけれども、何とかしてもっと、本当の賛否両論が、しかも一方交通的な受け答えでない形で、質疑応答の形でなされるような方法はないのか、そういうようなこと等を、考えただけではなかなかむずかしいかもしれませんが、絶えず取り組んでいかなければならないことと思っております。

安田隆明自由民主党科学技術庁長官

○国務大臣(安田隆明君) お答えする前に、熊谷先生に心からお礼を申し上げたいわけであります。  当庁といたしましては、さきに「ふげん」の立地につきまして、そして目下進行中の「もんじゅ」につきまして、本当に理解ある立場から御協力、御指導、そしてあらゆる配慮をいただきました。いろいろ考えてみておるわけでありますが、当庁のいわゆる試験、あるいは実験炉のこれに対する私は熊谷先生は先駆者であると、こういうふうな気持ちで深甚の敬意を表しておるわけであります。  そして、いま先生おっしゃいますとおりに、本当に地元の御理解を得られない上には立地はこれはなかなかむずかしい。してみれば、やはり地元の住民とこの原子炉が同居するわけでありますから、地元の皆様方たち、本当に住民がともにこれ協力し合うと、こういう姿勢の中では地元の地域のやはり振興に寄与せなくちゃならない、こういう立場に立って住民のいろいろの御意見をしかとこれ受けとめて協力していく、こういう私たちは姿勢で対応せなくちゃならぬ、こういうことを肝に銘じておるわけであります。  いろいろ今後「もんじゅ」の問題につきましても大変これお世話さまになりますが、その御意見は重々承って、住民の意思に、希望に沿うように私たちは配慮してこれに対応していきたい、こういうように考えております。よろしく御理解をお願いいたします。

熊谷太三郎自由民主党

○熊谷太三郎君 それでは、ほかの問題に移ります。  ホテル防災という問題に関しまして一言、いろいろお考えを承りたいと思うわけでございます。  昨年二月のホテル・ニュージャパンの火災以来、ホテル防災に対します関心がにわかに高まってまいりましたが、私は現在の対策に一抹の不安を感じ得ないのであります。最近、帝国ホテル、あるいは赤坂プリンスホテルなど、新しい高層ホテルが次々とでき上がってきましたが、それらの高層建築を見上げながら不安の念をさらに新たにしている次第であります。といいますのは、ホテル防災の現状は、私は人命の救助というよりはむしろ防火の方に重点が置かれ過ぎているように思われるのであります。  ごく卑近な例を申し上げるわけでありますが、最近、従来からの古い建物のホテルでは、しきりに内部施設の不燃構造への改装や火災報知器の設置などが督促されまして、全国各地におきます中小の関係業者は数百万円、数千万円、中には数億円の負担に率直に言えば泣いている現状であります。それほどまでのことをしまして一体何ができるかといいますと、幾ら間仕切りや出入り口の扉を不燃化構造にしてみましても、畳や建具や特に寝具までを不燃化することはできないわけでありますから、必ずしも完全に防火というわけにはいかぬわけであります。  それから、火災報知器にしましても、煙だけでなく虫が飛び込んでも鳴り出す、あるいは水滴が触れても鳴り出す。余りしょっちゅう鳴りますので、そのため電気をとめて鳴らないようにしておく、せっかく大変な経費をかけた火災報知器を眠らせておく、そういう場合が現実には多いわけでありまして、その点は皆様も御承知のところであると思います。  そこで、それほどまでに防火に力をお入れになることは結構でありますが、それほどお力をお入れになるわりあいには、肝心の人命の救助を主眼とする避難にはどんな処置が講じられているか、はなはだ私は疑わしいと思っているわけであります。  そこで、試みにお伺いしますが、深夜高層のホテルの一室で熟睡中、火災に気づいて飛び起き廊下に走り出ましたが、もうその廊下には煙が充満していて階段にも行けないし、非常口にも行けない。そういう場合にもなお生命を、一命を全うするというためにはどんな方法を選んだらよいか。建築基準法の関係からと消防の立場からと、それぞれの担当の方から御所見を承りたいと考えるわけでございます。

松谷蒼一郎建設省住宅局長

○政府委員(松谷蒼一郎君) お答えを申し上げます。  高層ホテルでの火災事故によりまして多数の死傷者が出る事故が後を絶たないのは御指摘のとおりでございます。このため、現行の建築基準法では、第一に居室及び廊下、階段等の内装の制限、それから一定面積以内ごとの防火区画、それから構造の制限等により、まず火災の拡大を防止をするということを規定しております。  その次に、第二に、いま御指摘がございましたように、適正な避難階段の設置、排煙設備の設置、居室及び避難経路の非常用照明の設置等によりまして、生命の安全を図るための避難、これを主眼といたしました安全確保を図ることとしているわけでございます。  先生の御指摘のように、やはり火災発生の場合の最も大事なことは生命の安全の確保でございます。そのためには、御指摘のように、避難の確保ということがきわめて重要なことであるというように私どもも考えております。したがいまして、現行の法規制のほかに、さらに行政的に既存の大規模なホテル等につきまして、避難の安全確保のための防災改修等を実施をいたしておるところでございます。  今後とも高層ホテル等の防災対策の推進に当たりましては、御指摘の点を踏まえまして、より一層の安全を確保するよう努めてまいりたいと考えております。

砂子田隆消防庁長官

○政府委員(砂子田隆君) ホテルの火災に当たりましては、ただいまお話がございましたように、まず人命の尊重ということを第一に心がけるべきだと考えております。  そういう観点に立ちまして、すでに御案内のように、ホテルにつきまして二十四項目のチェックポイントをつくって、ただいま建設省からもお話がございましたとおり、消防法、建築基準法その他の法令によりまして、安全性の確保に努めてまいったところでございまして、御質問のような事態が起こらないように常々指導をいたしているところでございます。しかし、御質問のようなことが万一起きた場合に備えまして、避難ばしごでありますとか、あるいは緩降機の活用、あるいは非常用エレベーター、窓等の開口部分を利用いたしました消防隊の救助活動を行うなど、人命の安全に努めてまいりたいと思っております。

熊谷太三郎自由民主党

○熊谷太三郎君 実はここに三つのホテルの案内書を持ってまいりました。これはいずれも十階建てぐらいの建物でありますが、いずれも部屋の外にベランダと申しますか、バルコニーと申しますか、こういうものが出ているわけであります。このバルコニーの床から下のバルコニーの床におりられるような階段ないしはしごがついております。これは、こういうことにしてあれば、私はたとえ火災が起きましてさっき申し上げたような事態になりましても大丈夫、一命だけは助かると思っております。ほかの、不幸にして火災が非常にいろいろな設備にかかわらず蔓延しましても、そこに泊まった人の命だけは完全に助かる、このように思っております。この三つのホテルのうちの二つは鬼怒川温泉。鬼怒川温泉の「鬼怒川観光ホテル」と書いてあります。それからいま一つは「ホテルニュー岡部」というのであります。それからもう一つは塩原温泉のホテルでありますが、かつてそこに大火がありまして、四十数名の焼死者を出しましたことは御承知のところでありますが、そういう苦い経験の結果、このようなそういう火災の際も命だけは助かるというようなそういう設計の建物が生まれてきたと考えているわけであります。  実はこのことを昨年も私が御当局の担当者にお話ししたことがございますが、そのお答えとしては、こういうバルコニーをつくると、プライバシーの確保の上から、あるいは防犯の立場から問題があるということでお取り上げにはならなかったわけでありますが、しかし、そういう問題のために人間の命が犠牲になってもいいのでしょうかと考えるわけであります。私は、必ずしもこのとおりの設計でなければならぬというのではありませんけれども、しかし、大金をかけても完全に火災を防止するということはやはり至難でありますから、たとえ不幸にして火事が広がっても人命だけは助かるという、そういう設計その他の避難対策があるべきであると考えるわけでございます。  まあ、いまこれに急にお答えをしていただくことは無理でありますけれども、そういう点もお考えになって将来ひとつ十分善処していただきたい、こういうことを心から念願するものであります。そういう前向きの姿勢が無論おありになると思いますけれども、一言だけ安心できますようなお答えをいただければ幸いでございます。後で自治大臣にもお願いいたします。

内海英男自由民主党建設大臣

○国務大臣(内海英男君) 先生御指摘のように、不特定多数の方々がお泊まりになるホテル、旅館等につきましては、特に最近非常な火災の発生を見まして、とうとい人命を失っておるという現状から見まして、今後一層強力に防災対策を推進していかなきゃいかぬと深く決意をいたしておるものでございます。

山本幸雄自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○国務大臣(山本幸雄君) ホテルの管理については、一つは、やはり建築する段階においていろいろ防火上、あるいは人命保護上考えなきゃならぬ点がありますと同時に、今度は管理面で、せっかく施設ができましても、その管理面でしっかりした管理をしてもらわなければ実効が上がらない。先ほどのお話のように、せっかく防火用のサイレンがあっても、とめてしまっているというようなことではだめなわけでございます。したがって、いまのお話は、ベランダを建築段階で考慮をするようにというお話でございます。これは、いまお答えの建築基準法令、それから私どもの方の消防法令、そういう法令の上でそういう点を考えていくということであろうと思います。  さらにまた、せっかくつくっても、管理面でホテル経営者がその目的にかなうような管理に万全を期してくれなきゃだめでございますので、それらの点も考えあわせまして、今後先生仰せのように、特に人命の救助ということ、これは、一つは、防火をすればそれにも直接的にはつながっていくことと思いますが、さような点を、またいまベランダのお話がございましたが、それらも含めまして私どもの方も検討をさしていただこう、こう思っております。

熊谷太三郎自由民主党

○熊谷太三郎君 それから、先日結論の出ました中央建設業審議会の建議に対しまして、簡単に一言だけ御所見を承りたいと考えるわけでございます。  一昨年以来、現行入札制度の改善を検討してこられました中央建設業審議会、すなわち、いわゆる中建審におかれては、今回その建議を出されたわけでありますが、その骨子として、現行の指名競争契約の堅持をうたっておられるのであります。ただし、その末尾には、一般競争契約、すなわち制限つき一般競争契約の採用については今後幅広い検討を行う必要があるとして、一般競争契約の検討にも関心を示してはおられますけれども、やはり冒頭に掲げられた指名競争契約の堅持ということがこの改善案の建議の主眼である印象を与えているわけでございます。  もちろん、私は現行の指名競争制を決して一概に排斥するものではありません。むしろ、それが現在までの公共工事を推進する主要な手段として取り上げられ、これを円滑に消化して今日の経済成長に決定的な役割りを果たしてきた、その点を高く評価するものであります。しかしながら、どの制度におきましても大小の欠点はございます。この指名競争制度にもやはりいろいろの欠点があることは認めざるを得ないのであります。時間がございませんので、この点につきましては細かい点を申し上げることは一切今日の場合は省略いたします。ただしかし、そういう欠点をいろいろ考えますと、やはり将来にはいろいろの御配慮も必要かと考えております。  重ねて申し上げますが、こういうことを申し上げたからといって、いま直ちに指名入札制度を制限つき一般入札制度に改めよなどと言っているのではありません。そのような制度を変えるということは大問題でありまして、単なる理念や思いつきでやれるわけではありません。また、それに付随するいろいろな問題も実情に沿ったように改めていかねばならないわけでございますが、ただ、せっかく御建議にあった点でありますから、ひとつ積極的にその採用を検討していただきたいと思うのであります。  この建議には、先ほども申しましたように、一般競争契約の採用については今後とも幅広い検討を行う必要があるということを、この建議の中に明確にされているわけでございますから、その点について、やはりそのとおりひとつ検討していくというお答えをいただければまことに幸いでございます。

内海英男自由民主党建設大臣

○国務大臣(内海英男君) 一昨年以来、建設業界をめぐるいろいろな問題もございまして、中央建設業審議会におきましていろいろと御検討をいただいてきたわけでございます。先日建議をちょうだいいたしまして、その中身を私どもいろいろ検討をいたしておりますが、先生御指摘のように、基本的には指名競争入札といいますか、指名競争契約といいますか、それを基本とすべきであるけれども、制限つきというか条件つきというか、一般競争入札についても、今後とも幅広く検討していけと、こういう内容でございましたので、それを受けまして、建設省におきましても今後とも引き続き、建設省の中にありますいろいろ検討機関もございますので、それらにあわせて勉強していかせるように指導いたしておるわけでございます。

熊谷太三郎自由民主党

○熊谷太三郎君 最後に、いま一問、農産物検査官の件につきまして一言お伺いをいたします。  行財政の改革を目指す臨調の趣旨に沿って、各省とも機構、定員の整理、合理化を促進しなければならないことは言うまでもありませんが、さしあたりここでは、従来からいろいろ取り上げられております農産物検査官の縮減について一言お伺いをいたします。  周知のように、昭和五十五年十二月の閣議決定で、当時一万三千名ありました検査官を六、七年間で半減することが決まったというふうに承っております。このことは、ただいま実行されておりましょうか。  検査官というのは必ずしも資格者という意味ではなく、検査に当たるお役人さんという意味でなければならぬと思いますが、仮に七年間に一万三千人の半分、六千五百人を縮減するとすれば、検査に当たる人々の数を年平均九百三十名減らさねばなりませんが、現実にそうなっておりますか、一応その辺をお伺い申し上げます。

金子岩三自由民主党

○国務大臣(金子岩三君) 五十五年の十二月の閣議の決定で、検査官は半減するという、その後の実施状況は、五十六年、五十七年、二カ年で大体千八百人減しております。したがって、六十三年までにあと六年、それに六千五百人の、いわゆる一万三千人の半減の体制を実行するのは可能のようでございます。  ただ、米穀生産者、いわゆる農家の方に迷惑をかけないように、米の集出荷に支障のないように、それはよほど強い行政指導をやって、いまのいわゆる六千五百人体制は確実に可能であるということをひとつ申し上げ、御理解いただきたいと思います。

熊谷太三郎自由民主党

○熊谷太三郎君 言うまでもありませんが、農産物検査に当たる人々の主要な業務は、米麦の検査であると。米、麦の検査でありますが、率直に言いますと、検査時のピークは二カ月ないし三カ月でありまして、それ以外の時期には、率直に言えば、これという仕事がないというのが偽らざる実態ではないかと考えるわけであります。  このような実態を踏まえられまして、農水省とされましては、この食糧検査のあり方に関しまして、望むらくは一大工夫をこらされまして、人員整理につきましても、さらに一層の合理化ができるならばひとつ進めていただきたいということを考えるわけでございます。  この問題につきましては、また後日農水委その他の機会を通じて明らかにしたいと考えておりますが、とりあえず簡単に一言だけ御答弁をいただければ幸いであります。

渡邊五郎食糧庁長官

○政府委員(渡邊五郎君) お答えいたします。  御指摘のとおり、検査時期は、いわゆる集出荷時期のピーク時になりますので、検査業務の性格上、これはやむを得ない点はございますが、やはりこのピークを平準化することが御指摘のように大事だろうと考えておりまして、五十七年度から食糧検査士制度というものを導入いたしまして、食糧事務所退職者なりの専門的知識なり経験を検査ピーク時に活用すると、臨時的にこうした人たちを活用することによりまして業務量を平準化して、先ほど大臣がお答えいたしましたような六千五百人体制に持ってまいりたい。五十七年度から二百人で、いまこの検査士制度を実施いたしましたが、幸いスムーズに受け入れられておるようでございまして、こうした工夫によりまして検査業務の合理化を図ってまいりたいと、このように考えております。

熊谷太三郎自由民主党

○熊谷太三郎君 どうもありがとうございました。(拍手)

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 以上で熊谷太三郎君の質疑は終了いたしました。     ─────────────

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 次に、勝又武一君の一般質疑を行います。勝又君。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 スモンの患者救済につきまして、五十四年の九月の薬事二法の成立、確認書調印と、ルールができまして解決が進んでいるわけでございますが、まだ投薬証明のない人を中心に未解決でありますが、この現状につきましてお聞かせいただきたい。

持永和見厚生省薬務局長

○政府委員(持永和見君) スモンの訴訟の進展状況でございますが、いま御指摘のように、五十四年の九月に確認書の調印がございまして、スモンの問題につきましては、国、製薬会社、患者団体の間で和解によって解決するという基本的な合意がございます。これに基づきまして和解を進展させておるわけでございますが、現在までに提訴患者数が、五十八年の三月一日現在でございますが、六千三百七十七人おられまして、そのうち和解をすでに済まれた患者は五千八百六十九人でございます。  なお、先生御指摘のございました鑑定済み患者の問題などもあるかと思いますが、提訴患者の六千三百七十七人のうち、鑑定がすでに済んでおる患者さんは六千四十一人でございます。このうち、先ほど申し上げましたように、和解が済んでおる患者さんが五千八百六十九人でございますから、提訴された患者さんに対する和解率は九二%、鑑定がすでに行われました患者さんに対する和解率は九七%、こういう状況でございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 未和解者の状況は。

持永和見厚生省薬務局長

○政府委員(持永和見君) したがいまして、未和解者の数は全体といたしまして五百八人でございます。鑑定が出ましてまだ和解が済んでない患者さんの数は百七十二人、こういうことでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 五十七年度の最後の鑑定人団会議が三月の十一、十二日に行われていますが、その結果はどうだったでしょうか。

持永和見厚生省薬務局長

○政府委員(持永和見君) 先生お話しのように、三月の十一日、十二日に鑑定人団会議が開かれたようでございますが、私どもまだ全体としての報告は受けてない段階でございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 この患者の方々は、五十八年度に回数が減らされるんじゃないかということを心配されていますが、その傾向はございますか。

持永和見厚生省薬務局長

○政府委員(持永和見君) 特にそういうことはないかと思います。必要に応じまして鑑定人団会議を開きまして和解の進展に進めていただきたいというふうに私どもとしては考えておるところでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 この鑑定人団会議で一回でパスする方もいらっしゃいますが、何回も鑑定にかかる方もいるわけでありまして、投薬証明のない人が多い大部分の状況でありますから、特にそういうことがございます。ところが、患者一人分六万円とかということでお聞きをしておりまして、この鑑定人団会議の費用が増額されないと回数が減るという関係があると思いますが、この点はいかがですか。

持永和見厚生省薬務局長

○政府委員(持永和見君) 御指摘のとおり、現在の鑑定費用は患者一人当たり六万円ということになっています。ただ、この鑑定費用というのは裁判官の決定事項でございまして、私どもとして、行政当局としてこれに対して意見を申し上げるべき筋合いではないかと思いますが、裁判所におきましての変更決定がございますならば、それに従いまして私どもとしては費用をお払いする、こういうことになる性質のものだというふうに考えております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 何とか、私の県の静岡でも患者の平均年齢はもう六十歳に達してきております。せめて、いまの早期解決を図るためにはこの鑑定人団会議がきわめて重要でございますので、ひとつ五月中くらいには次回が開けますように厚生省としても御努力をいただきたいんですが、この点はいかがでしょうか。

持永和見厚生省薬務局長

○政府委員(持永和見君) 先生の御意見十分踏まえまして、鑑定人団の方々ともそういった御意見があったということを連絡申し上げ、私どもとしてもできるだけ早期に解決するような立場でお話をしていきたいというふうに考えております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 このスモンが社会問題になりまして二十年、原因が確定しましてからも十一年、確認書調印が済んで三年半、こういうことで、先ほどありました方がまだ残っているわけであります。この点ぜひ、国の責任でございますので、厚生大臣に伺いますが、この最終処理をできるだけ速やかにやっていただきますようにお願いしたいと思いますが、どういう御処理をお考えでございますか。

林義郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(林義郎君) 勝又さん御指摘のスモンの問題につきましては、私は大変痛ましい事件だと思います。たくさんの方々が被害を受けられたわけでありますし、製薬会社、また国の方の責任もいろいろ考えまして、できるだけ早くこの問題が、裁判上の和解の話が決着するように、いろんな点におきまして私としては努力をいたしたい、こういうふうに考えております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 次に治療の問題で伺いますが、五十八年度予算で、健康管理手当、介護手当等はどうなっていますか。

持永和見厚生省薬務局長

○政府委員(持永和見君) 先生いま御指摘の手当の問題というのは、国の支出いたしますものといたしましては介護費用というのがございます。介護費用は現在五十七年度三万三千六百円でございます。これにつきましては、考え方といたしまして介護人を十日程度派遣する費用、こういうことになっております。介護人の方の費用が現在五十八年度据え置きという形になっておりますので、まことに残念ではございますけれども、この介護費用の方も五十八年度は三万三千六百円を据え置いていただく、こういうことで予算上は案をお出ししているわけでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 健康管理手当は。

持永和見厚生省薬務局長

○政府委員(持永和見君) 健康管理手当の方は、これは会社側が、製薬企業側が和解者に対しまして払う費用でございますが、これは五十七年度で三万二千三百円ということになっております。これは全国の消費者物価指数を見まして各年度上げていく、こういうことになっておりますが、その消費者物価指数が五%以上上がれば上がる、こういうことになっております。  実は、この健康管理手当につきましては、五十七年度の三万二千三百円が五十六年度から五十七年度にかけて据え置かれております。したがって、五十八年度は二年分の消費者物価指数がかかるということになりまして、二年分ということになりますと恐らく五%超えるだろうということが予測されますので、企業が払います健康管理手当は五十八年度におきまして何がしかのアップが見込まれる、最終的には全国の消費者物価指数によって上げられる、こういうことになるかと思います。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 大蔵大臣、よろしいですか、お話し中ですけれども。いいですか。じゃ、いまお聞きしましたように、国の介護手当は、大臣、据え置かれちゃっているわけですよ。これもやっぱり私は人勧凍結の関係だと思いますね。十二月二十四日も三月十五日もお聞きしましたけれども、最も手を差し伸べるべきスモンの人たちにまでこの問題が影響している。大蔵大臣としてぜひこの点はお考えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 御指摘になりましたが、いわば国が給付いたします介護手当、介護費用ですか、その単価、これは介護費用が介護人の労役に対して支払われる、こういう経費でございますので、結局他の同種の介護費用、ホームヘルパーの方等でございますが、これと同様に据え置きとしたということでございますので、これはひとつ御理解を、今年度については御理解をいただきたいとお願いをいたします。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 これも厚生大臣と大蔵大臣に伺いますが、老人保健法の有料化に伴いまして七十歳以上が有料になる、この問題も私はやっぱりスモンのようなきわめてお苦しい状態にある皆さんについては何とかするのが国の責任だと、こういうように思いますけれども、両大臣の御見解を承りたい。

三浦大助厚生省公衆衛生局長

○政府委員(三浦大助君) 老人保健法の施行に伴いまして、七十歳以上の難病の患者の方々にも一部負担を持っていただくということになったわけでございまして、これにつきましては一応そういうことで割り切っておりますので、スモン患者の方々だけ取り上げて、この一部負担を公費で見るということは現在のところ困難であるというふうに考えておるわけでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 大蔵大臣、いかがでしょうか。

山口光秀大蔵省主計局長

○政府委員(山口光秀君) 厚生省がお答えしたとおりかと思います。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 スモンの患者の皆さんが苦痛をやわらげる一番よい治療は、はり、きゅう、マッサージ、こういわれておりますが、この施術費につきましても、スモンの方のように非常に体のぐあいの悪い方々、こういう方の利用しやすいように価格とか手続の点で改善される御用意はございませんか。

持永和見厚生省薬務局長

○政府委員(持永和見君) 先生御指摘のスモンの患者に対しますはり、きゅう、マッサージというのは大変効果的な治療法であることは事実でございます。そういった方々がはり、きゅう、マッサージを受けやすくするということは基本的に必要なことかと思います。私どもといたしましては、こういったはり、きゅう、マッサージ関係の施術者の方々の団体がございますので、そういう団体と常にお互いに話をしながら、協議をしながらこういった問題についての施策の進め方をしておるわけでございますが、そういった手続の問題につきましても、できるだけ受けやすくしていただくというのが、これは私どもの考え方としての基本でございますので、そういった問題について具体的に問題があるとすれば、関係団体ともなお十分話し合いをしていきたいというふうに考えておるところでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 保険では歩行困難の場合に医師の同意書があれば往診料が認められている。この足の悪い目の見えないスモンの人たちのために、せめてそういうタクシー代とか、そういう往診料を認めるということはできないんですか。

持永和見厚生省薬務局長

○政府委員(持永和見君) スモンの方々に対しますはり、きゅう、マッサージにつきましては、スモン患者の方々の特殊性にかんがみまして、はり通電方式についてのはりを実施した場合にはそれなりの研究謝金として健保単価に上乗せをしておる実態がございます。  いま先生お話しの往診料その他について私ども、いまここの立場でそれを支給するということはちょっとお答えしがたいところでございますけれども、なお研究をさしていただきたいと思っております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 いまお話がありましたように、はりときゅうの併用は認められているのですが、はりとマッサージの併用が認められていない。これは私どもどうしてもわからないのです。専門家が効果があると言っているわけですが、これはどういうわけですか。

持永和見厚生省薬務局長

○政府委員(持永和見君) 現在私どもの承知している限りでは、はり、きゅう、マッサージに必要な費用ということで認められているかと思いますが、もし先生がおっしゃったような事実があれば、それは調査をしてみたいと思いますが、私どもの考え方といたしましては、はり、きゅう、マッサージを認めるということになっております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 恒久対策としてのスモンの専門病院であります京都の宇多野病院の利用状況はどうなっていますか。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 宇多野病院は専門病床として四十床整備いたしておりますが、現在十三人が入院をいたしております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 十三人が入院しておって四十床ですから、大分ベッドが余っているようでありますが、私が聞きますと入院希望者が多いというように聞いておるのですが、どうしてそういうような状況にあるのでしょうか。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 私の聞いておりますのでは、待機患者がいて入れないということはないというふうに理解をいたしております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 スモンの患者は長期療養がきわめて宿命的だと思うのです。ぜひ大臣にお願いしたいのですが、入院の期限が一年で切られるというような状況もあるやに聞くのですが、そういうことの絶対ないように、十分な療養ができるように配慮をしていただきたいと思いますが、この点はよろしゅうございますか。

林義郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(林義郎君) 先ほど来お答え申し上げておりますが、スモン病というのは長いいきさつのある話でありますし、その療養、介護については十分な意を尽くさなければならない国の責任でもあろうかと思いますし、いまお話しのようなことがもしもありましたならば、長くするとかいろんなことは考えていくべきものだろう、こういうふうに思っております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 この長期入院を保障するこういう病院でありますが、同時に非常に家族の手をかりるといいますか、そういう意味で非常に大変な方々、ですから私はできればこういう特別の病院に特別の養護老人ホーム、こういう施設を併設してもらえるということはできないだろうか、国の責任としてのスモン対策、恒久対策でありますし、スモンの患者は医者がいないと生活ができないという状況にもございますので、格段のそういう意味での御配慮を厚生大臣なり大蔵大臣なりで御検討いただきたいと思いますが、これはいかがでございましょうか。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) スモン患者につきましては私どもの国立療養所の難病病床を利用いたしまして、できる限り御希望に沿うように入院をしていただいているわけでございますが、各施設に非常に数が少のうございまして、それだけのための特別養護老人ホームというのはいかがかと存じますが、国立療養所といたしましては難病病床あるいは老人病床等に関連いたしまして、できる限り特別養護老人ホームというものを都道府県市町村であわせて設置していくというふうな考え方で過去十数年来指導をいたしているところでございます。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 厚生省側の御検討に対して、私どもも慎重にこれに配慮しながら検討さしていただきます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 スモンの専門病院でありますから、ぜひここに必要な科とか設備とかスタッフにつきましても十分完備していただきたいと思うのですが、この点はどうでしょうか。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) できる限り配慮いたしてまいりたいと存じております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 都立の府中病院に神経内科の専門病棟ができたとお聞きしておりますが、この点を宇多野と同じようにスモン患者に活用するということはできませんでしょうか。

大谷藤郎厚生省医務局長

○政府委員(大谷藤郎君) 都立府中病院をそれだけのために使用するかどうかにつきまして私ここでちょっと申し上げられませんが、できる限り私どもとしては自治体病院、国立病院等の神経筋疾患病床には、スモン患者の方々の御要望にこたえられるようにできる限り指導をいたしてまいりたいというふうに考えております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 私は三年前のこの予算委員会でもスモンの専門病院をつくるように要請をいたしました。たしか大蔵大臣も竹下大蔵大臣だと記憶をいたしておりますが、各地区に宇多野をつくるということはむずかしいと思いますが、各自治体の病院と協力するということはできると思うのです。  そこで、たとえば私の県の静岡でもこの二月に県立総合病院がオープンをいたしました。国が施設の面やスタッフの面、研修の面で協力し合うということはできると思うのです。そういう意味での厚生大臣の格段の御努力をいただきたいと思いますが、この点いかがでございましょうか。

林義郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(林義郎君) スモンの問題は全国に散らばっている患者の方もございますし、いまお話し申し上げましたような京都の病院、東京の病院その他の問題があります。各地でやっぱりそれぞれの適切な治療法をつくっていくことが本当に私は大切なことだと思いますし、またお互い同士が協力をし合ってやっていかなければならない点もたくさんあると思いますので、いまお話しのような趣旨で協力体制をつくっていくように私も心がけたい、こういうふうに考えております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 最後に、スモンの問題で根本的な医療体制といいますか、日本のいまの医療水準、科学水準から申しますと、国が国の責任であるということを痛感されて、国が全力を挙げてスモンの根本治療に当たっていただきたい、これは私は決して困難ではないと思います。  私がかつて高校の教員でありましたときに教えた生徒が、同じように高校の教員になりまして、スモンにかかり失明をし、両手両足が不自由です。そのときに生まれた娘さんがいま高校生になりました。彼はせめてもう一度自分の娘の成長を一目見たいということを痛切に訴えているのであります。ぜひ私はこの点は厚生大臣と大蔵大臣に重ねてお願いをいたしますが、もう失明したからだめなんだということではなくて、日本の医療水準の総力を挙げてこの根本的な治療対策に御努力をいただきたいと思いますが、最後に両大臣から御所見を承りたいわけです。

林義郎自由民主党厚生大臣

○国務大臣(林義郎君) 先ほど来申し上げておりますようにスモンという痛ましい病気でございますし、その治療については国も責任があるわけでございますから、国といたしましても昭和四十七年度より特定疾患スモン調査研究班を設け、鋭意研究を推進してきたところでございます。  この結果、患者の異常知覚の軽減、運動障害、歩行障害などの改善に役立つ療法の開発が進展してまいりました。今後の研究目標はスモンの発生機序や治療方法の解明、第二に患者の長期予後を踏まえた看護体制の検討、特に治療方法の開発につきましては、歩行障害、異常知覚に対する特別な薬物療法や医学療法の開発を行うとか、またはり、きゅう、マッサージ等の東洋医学療法の応用等の観点から研究の一層の充実を図ってまいらなければならないと思いますし、いま先生からお話しがございましたように、先生の御友人の方が痛ましい病気になられたということは本当に私も残念なことだと思いますし、こういったことが起こらないような体制もとっていくと同時に、スモンにつきましては十分な医療体制をさらに拡充していくことが必要だというふうに考えて、そういうふうに努力をいたしたい、こういうふうに思っております。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 自分の経験を体しての御意見を交えた御質問でございました。ただいま厚生大臣が後半にお答えいたしました線に沿って私どもの方も対応さしていただきます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 次に、公害健康被害補償法につきまして臨調答申にも触れておりますが、公害の実情を踏まえて、環境庁といたしましては今後慎重な対処をしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。

梶木又三自由民主党環境庁長官

○国務大臣(梶木又三君) 十分慎重な態度で進めてまいりたいと、かように考えております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 審議会の構成メンバーはお医者さんだけというように聞いていますが、今後は弁護士とか公害の専門家とか学識経験者とか公害の被害者代表とか、こういう方を加えられたらいかがでございましょうか。

大池眞澄環境庁企画調整局環境保健部長

○政府委員(大池眞澄君) この制度におきまして運用の適正実施を確保するという観点で各実施主体でございます都道府県、市あるいは特別区に審査会を設けておりますが、この認定審査会は医学、法律の専門家で構成されるということでございます。ただ、実態上、その審査する中身が疾病であるか否かということの、すぐれて臨床的な判断ということが主体になるものでございますから、実態上の構成としては医師が非常に多いわけでございますが、一部審査会におきましても法律の専門家が入っている事例もございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 どうも法案を提出される前には経団連とか財界とか、非常にそういう面の意見だけをお聞きになっていらっしゃる、意向だけが強いというような感じがするわけでありますけれども、そうではなくて、私がいま挙げましたような国民各界の層の代表の意見が反映されるように今後御配慮いただきたいと思いますが、大臣いかがでございますか。

梶木又三自由民主党環境庁長官

○国務大臣(梶木又三君) 私ども決して経団連だとかそういう経済界の御意見だけで進めておるわけではもちろんございません。患者側の御意見も聞いておりますし、そういうことで、長い間SOx、NOxいろんな問題につきましても検討を重ねておるわけでございまして、どうしてもやはり医学も含めまして科学的な知見、これに基づいて判断、これはもう一番大事なことだ、こういうことでいろいろ答申も受けておりますけれども、私ども慎重にそういう科学的な知見の集積、これに全力を挙げておる、こういうことでございまして、必ずしも経団連の一方的な意見で左右はされておりません。  なお、先ほど保健部長お答えいたしましたが、中央公害対策審議会、いわゆる中公審ですね、これにはもう各界皆入っておりますから。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 直間比率の見直しということを大蔵大臣はよくおっしゃいますが、現行は七五対二五になっている、こういうことでよろしいでしょうか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 正確な数字申し上げようと思いましたが、大体そういうことです。ちょっといま手元にございませんので。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 ちょっと、じゃ正確に言ってください。

山口光秀大蔵省主計局長

○政府委員(山口光秀君) 五十八年の当初予算ベースで申しますと七〇・七対二九・三でございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 大臣はたしか昨年の末の衆議院でこの比率を五〇対五〇、フィフティ・フィフティにしたいというようにおっしゃったというようにお聞きをしているんですが、そうでしょうか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 五〇対五〇にしようと言ったことはありません。一度そういう質問を受けたことがございますが、申し上げたことはございません。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 この直間比率の見直しの場合の全体としての租税負担率は二三・五%、こういうように、これが前提だというように考えていいんでしょうか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) いわゆるその問題が増税なき財政再建とは、こういうことでいろいろ議論しておられる租税負担率、こういうことであろうと思うんであります。  ところが、私もいま非常に苦慮しておりますのは、租税負担率というのも、分母が国民総生産で分子が国税プラス地方税、こういうことになりますと、景気の変動等によっていわばこれは変わってくる。したがって、その結果として出た数字であるので、これを固定化するというのはどうかな、しかし念頭にはおくべき数字であろう、が一方また経済社会七カ年計画では二六・五というのが一応租税負担率として計画されたこともございます。それらも一つの数値ではあるな、したがってやっぱり臨調の方に対してあなた方のおっしゃっている租税負担率とは一体正確にはどうだと聞くようなことも、これは非礼でもあると思うんです。だから、概念的におっしゃっている問題だから、それが大きく崩れるような新たな措置とかいうようなものはやっちゃいかぬぞという趣旨に受けとめて、やはり税そのものを御諮問申し上げるというのは政府税調ということになるのかなと、こういう感じでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 いままでの実績から直接税のGNP弾性値は大体一・〇以上、ある程度相当上回っておる、それから間接税も同じようにGNP弾性値は一・〇以下、こういうように考えてよろしいでしょうか。

梅澤節男大蔵省主税局長

○政府委員(梅澤節男君) ただいま委員が御指摘になりましたとおりでございまして、理論的にも実際的にも所得税、それから法人税を中心にいたします直接税はGNPに対して弾性値は一を上回る傾向を持っております。一方、間接諸税はわが国の場合は従量税率の税制もございますので、傾向的に一を下回るという傾向にございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 以上の数字を一応前提としまして議論をされています政府の中期試算の数字を、直間比率の見直しを数字をもとにしまして一応ここに試算した資料がございます。たとえばフィフティ・フィフティ、直間比率をいわゆる五〇対五〇に仮に直したとしますと、五十八年度から順次二千六百六十億、三兆六千四百三十二億、三兆七千七百八十三億、三兆九千二百八十四億となります。仮に六〇対四〇、こういう形に直間比率を六十一年度を目途にするとしますと、五十八年度から同じように当初は二千六百六十億、次の年が二兆三千三百八十六億、次が二兆四千七百三十六億、二兆六千二百三十八億、こういうふうに毎年毎年これだけの額が増加をしていく、こういう試算ができるのでありますが、この試算について大臣いかがお考えになりますか。

梅澤節男大蔵省主税局長

○政府委員(梅澤節男君) 直間比率の五対五とかあるいは六対四を前提に置きましていろいろ試算が成り立り得るわけでございますけれども、それは税収総額をフィックスしましてやる方法と、現在の直接税の額を前提にいたしまして、それに追いつくように間接税をふやすという考え方をとるのか、あるいはそのふやしたものを直接税も若干落としながら間接税も少しふやすというやり方をとるかということで、試算は無限の態様があると思います。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 もう私は、この大型間接税は昨年暮れも三月十五日の総括質問でもずいぶん議論をしましたので、これ以上言いませんけれども、私は相当、こういう程度の、二兆とか三兆とかに近い額が毎年毎年なければ、大臣がおっしゃる直間比率を、比率を現行より変えていけば必ずその額は出てくる。直間比率の見直しということはそういう意味だと、私はこういうふうに思いますけれども、大臣いかがでしょうか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) その直間比率というのは結局、これも非常に議論しておりますと問題がございますのは、直間比率というもの自身もまさに結果として出てくる数字であって、あらかじめ先験的にと申しますか、アプリオリに決めてかかるという性格のものではない。が、ほぼこういう姿と、これはあり得ると思いますが、したがって、税制調査会の答申をずっと見ておりますと、五十五年には直間比率の見直しと、こういう言葉になっておりますが、その後の答申を見ますと税体系の見直しというふうに変えていらっしゃいます。正確に言えば、やっぱり言葉としてはそれかなあと、こういう感じがしておるわけでございますが、私がこの直間比率について客観的事態の推移の形で申し上げておりますのは、昭和五十四年には直間比率と言えばもういわゆる一般消費税(仮称)だなあと、こうとられた。それがその後の五十五年の十一月答申から五十六年、五十七年、五十八年、また臨調の第三次答申、さらにこの間出た最終答申を見ますと、それは検討すべきだと、こう書かれてあるわけです。したがって、ずいぶんその環境は違ったなあと。勉強するための環境は違ってきた。これほど権威あるそういう機関でそういうことが議論されるようになったという意味で申し上げておりますが、現在の場合、直間比率の見直しという問題について具体的に検討をしておることもなければ、指示を受けたことも指示されたこともない。税体系の見直しと、こういうことで検討を進めるとおっしゃっております限りにおいては、やはり税制調査会というのは広く国税、地方税のあり方について御検討くださいと、こういう諮問を申し上げておりますので、いまこの問題が非常に議論されておるだけに、あらかじめ大蔵大臣としてのある種の予見を申し上げて議論を制約してしまうことはいかがなものかなあと。  だから、いまのような、勝又委員が本委員会で議論されたような問題を素直に税制調査会にお伝え申し上げて議論していただくというのが一番あるべき素直な姿じゃないかなあと、こういうふうに理解しておるところであります。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 私は、いろいろのことを大臣おっしゃっていらっしゃいますけれども、結果的にはこれだけの額はやっぱり出てくると思うのですよ、結果としてということをよくおっしゃいますけれども。ですから、具体的にはやっぱり相当、二兆とか三兆に及ぶ、毎年毎年ですよ。これはやっぱり何といっても大型の間接税ということに、名前はともかくとして実質的にはなっていくと、そう思います。  そこで、特にこの所得税の減税というのはわりあい高額所得者ほど有利になりやすい。間接税の方は逆進性を持っていますから、わりあい低所得者ほど不利になる。こういう意味で言いますと、私は、直間比率の見直しというのは租税負担の公平の原則からいいますと、二重の不公平をもたらすものだと、こういうふうに思います。そういう意味では、ぜひそういう意味を込めた検討を願いたいと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) まさに勝又さんわりあいと、こういう前提を置いてのお言葉でありましたが、間接税というものの持つ性格あるいは直接税の持つ性格、そういう角度からの議論もできると私は思います。素直にそのままお伝えして検討していただこうと、こういうことであります。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 関連質問の関係で、ちょっとお待ちください。

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 速記を起こして。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 人事院にお伺いをいたしますが、六十年四月一日実施を目標に人事給与制度の見直しを行う。本年の八月勧告に盛り込む予定だというようにお聞きしていますが、この見直し作業の現況について、いかがでございますか。

藤井貞夫人事院総裁

○政府委員(藤井貞夫君) お答えをいたします。  現在の公務員制度というのは戦後発足をいたしまして、もう約三十年以上たっているわけです。その間に社会経済情勢というものは大変変わってまいりまして、特に高年齢化という現象が進んでいる。さらにまた高学歴化といいますか、こういう現象も進んでいる。そういうようなことを基本にいたしまして、大変情勢が変わってきております。  したがいまして、この際やはり過去の経験も踏まえて、全般的に公務員制度自体を見直してみる必要があるのではないだろうかという発想に立ちまして、実は五十五年のころからそういう構想で一般的に外にも、ひとつ検討したいのだということを申し上げてまいりました。  それから、やはり民間のいろいろな公務員制度に対応する職員の管理の問題その他を徹底的に調べてまいりましたし、また各省庁の実際の人事運用の問題というものも実情をずいぶん勉強いたしまして、いろいろ検討を重ねてまいっております。その結果、大体まあ素案と申しますか、そういうものが固まってきつつございます。  私は、これ再度申し上げておりますように、定年制というのがいろいろ論議ございましたが、これが制度化されたと。そういうことで、六十年度から動き出します。となりますと、やはり公務員制度全体の改変措置というものもやはり大体軌を一にして、時期を一にして動き出させた方がいいのではないかということで、作業を進めるために事務当局を大変督励してまいりました。素案は大体でき上がっております。したがいまして、これを、大変にやっぱり重要な問題ですから、各省の人事管理当局、それから特に組合の方々というものにも提示をいたしまして、率直に意見を交換しながらいいものにひとつつくっていきたい、国民の方々の一般的な意見も参酌いたしますことは当然でございますが、そういうふうでやっております。  そこで、まだ全体固まっておりませんからここで全貌を申し上げるまだ段階ではございませんが、私といたしましては、項目を挙げればやっぱり試験制度、任用制度、昇任制度、給与制度、研修制度その他全般にわたって見直しを進めたいと思っております。  特に、私これは先生方にも時折おしかりをいただいたわけでございますが、例の職階制というものですね。これは向こうのといいますか、アメリカの指示に基づいたからどうこうというのは、これは無責任になりますからそういうことは申し上げませんが、しかしそれがございまして職階法というものが一応できたわけですが、これのやはり実施についてはいろんな本当に問題がございまして、申しわけないことながら現実に実施しておりません。私は、そのために現在の任用制度、給与制度その他が暫定的な制度として実は三十数年もやっているということになってきておるわけなんです。これは大変異例な措置であり、また異常なことで遺憾千万であるというふうにも思っております。やっぱりこれを恒久制度に改めるとともに、社会情勢の変革に対応して今後相当長きにわたって対応できるような現実的な制度に改めたいというふうに思っております。したがって、職階制は私は廃止したい、はっきり申して。廃止したいと思っておりまして、これにかわるやはり官職分類制度、簡素な分類制度というものを骨子にして、それを基本にして給与制度なり任用制度なりというものに改めてまいりたいというふうに考えております。  手順といたしましては、五十八年度に入りますれば大体の素案、デッサンというものが固まってまいりますので、これを各省庁並びに組合当局、さらに一般にもこれを大体公表いたしましてその論議を待ちたい。われわれもそれに率直にひざを交えて懇談をしてだんだん固めてまいることでございます。五十八年度の給与勧告の際には、この検討の結果を踏まえまして報告で、相当詳細に過去二年度にわたってやってきておりますから、それを受けましてさらに詳細に大体の改革の骨子というものを明らかにいたしたいというふうに思っております。  その結果、やはり世の中の論議も踏まえて、私といたしましては年度内にさらに追加して、できるものであれば勧告なり、勧告すべきものは勧告、それから法律の改正を伴うものは意見の申し出というものがございますから、二十三条、その意見の申し出等もいたして、それに基づいて結局やっぱり国会で御審議をいただく時間的な余裕がなければなりませんので、そういうことを踏まえて六十年度から実施いたしたいということで、現在相当精力的に構想を固めるために努力をしておるというのが現在の段階でございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 私も内閣委員会に所属をいたしておりますので、いまお話のありました抜本的な検討素案につきましては、今後の機会を得て十分また御質疑申し上げていきたいと思います。  きょうは時間もございませんので、格段と人材確保法案が実現されて以来、教育職員のうちの学校事務職員の給与改善につきまして教員給与との均衡上いろいろな約束があったと思いますが、その内容はどうでしょうか。これは文部省でも人事院でも。

藤井貞夫人事院総裁

○政府委員(藤井貞夫君) これ実は文部省自体の問題でありまして——もし何なら私が、大体知っておりますから。よろしいでございますか。

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 一応答弁してください。

藤井貞夫人事院総裁

○政府委員(藤井貞夫君) 学校事務職員の待遇措置につきましては、これは先生一番御専門だからよく御承知でありまして、私から申し上げるまでもないんですが、よく私過去の経緯も十分聞いて承知をいたしております。この件に関しましては、自治省の当局、文部省の当局、さらには槙枝さんあたりからもいろいろ意見を聞いておりまして、私なりの見解は申し上げておる次第でございます。  要点だけを申しますと、実はこの点は国家公務員たる教育公務員ですね。国立学校事務職員等については大して問題はないんです、実は。数も少ないし、この職員の配置その他についても十分全体の立場において考慮してやっておりますから大して問題は起きておりません。問題の起きておりまする主体はやっぱり何といっても地方なんです。私の関係じゃないんです、実はこれは。ですが、実はわれわれの方で勧告なり何なりいたしますと、それが地方にも波及して、それを右へならえでやるもんですから、やっぱり人事院でやってもらわなきゃらちが明かぬということで熱心な御要望がございます。  そこで、文部省も自治省もやはりいろいろ検討いたしましてだんだんいい方向に来ております。たとえば四等級に昇格をする道を講ずるとかなんとかというようなことをやっております。ただ、学校の事務職員というのは数が少ない。大体一人ですね。そういうこともございまして異動その他のことがうまくいかないということで、教員との間で比較をした場合に自分たちがどうも取り残されておる、教員には人確法ができて大変よくなった、それと比べてみると自分たち一般職員だからうまくいかないというような要望が大変ございます。  そこで、私といたしましても、制度的に地方のことをこっちが主眼として取り上げてやるわけにはまいりませんが、しかし趣旨はわかりますから、こちらが何か答えを出して申し上げればいい結果が出るということもございます。ただ、これにはある程度限界がございますのでむずかしい点もございますが、従来もやっぱり協議に応じていといと検討してまいりました。しかし、まだいろいろの御要望の点があることも事実でございますので、私といたしましては、ここ期限を区切っていつと言うわけにはちょっとまいりませんが、ちょうど先刻御指摘になりました六十年の改正の問題がございますので、そのときにやっぱり給与制度の一環としてこれも取り上げて、ひとつ前向きのことでできる限りのことはしたいという気持ちは持っております。ただ、波及性というものはいろいろございますのでむずかしい点もございますが、努力いたします。

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 総裁、文部大臣兼務でありがとうございました。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 文部省の、来ましたか、局長。学校事務職員の関係。

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 速記を起こして。  午前の質疑はこれまでとし、午後一時まで休憩をいたします。    午前十一時五十二分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 予算委員会を再開いたします。  私から政府側にお願いでございますが、質問者の出席要求に対しましては誠意を持って対応していただきますよう強く要望をいたします。  昭和五十八年度総予算三案を一括して議題とし、午前に引き続き勝又武一君の質疑を行います。勝又君。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 人確法以来、これにかかわりまして国会の附帯決議が何回かありましたが、その回数と内容について、文部省。午前中にいらっしゃらなかったから、学校事務職員の附帯決議にかかわる……。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) 学校事務職員の問題につきましては、四十九年の二月に参議院の文教委員会におきまして、さらに五十年の三月に衆議院の内閣委員会におきまして、さらに同じ五十年の三月に参議院の内閣委員会におきまして、五十三年の十月に参議院の内閣委員会におきまして、それぞれ学校事務職員の処遇の改善についての附帯決議がなされているところでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 中身は。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) 四十九年二月の参議院の文教委員会におきます附帯決議は、「学校事務職員の給与改善についても配慮すること。」ということでございます。五十年の三月の衆議院の内閣委員会におきます附帯決議は、「学校事務職員に対する給与改善については、具体的実効を伴う措置を検討すること。」というふうになっております。また、五十年三月の参議院の内閣委員会におきます附帯決議は、「学校事務職員に対しても、具体的実効を伴う給与改善措置を検討すること。」となっております。さらに、五十三年十月の参議院の内閣委員会におきます附帯決議は、「学校事務職員については、具体的実効を伴う給与改善措置を検討すること。」と、かようになっております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 その具体的実効ある措置を検討するという点についてどう対処されていらっしゃいましたか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) この点につきましては、たびたびの附帯決議をいただきまして、私どもといたしましても、学校事務職員の給与改善措置につきましては誠意を持って検討してまいったところでございます。  これまで、特に小中学校の学校事務職員の処遇につきましては、非常に複雑、困難、多岐にわたる職務を一人で通常遂行しているというふうな実態もございますし、この点につきましては、たとえば行政職の四等級の格づけの措置、これは四十九年の九月、五十年、五十三年の国会の附帯決議の趣旨を踏まえまして、四等級格づけの実現につきましては、各都道府県を指導いたしまして、四十九年におきましては四等級の格づけを実施しておりました県が十九県でございましたが、五十六年におきましては、これは四十七県全部、一応四等級格づけが行き渡りましたところでございます。  そのほか、時間外勤務手当の実態に即するような支給措置でございますとか、あるいは任用、配置につきましての配慮でございますとか、そのようなことにつきましても、都道府県を強く指導しているところでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 午前中、人事院総裁からいろいろお話がございましたが、いまの点に関連しまして、これは人確法以来の教員との均衡をとるという意味での約束であり、全体の給与改善を見直す際に実効ある措置をとるという、こういう経過があったと思います。  そこで、昨年の七月に人事院総裁は教職員団体の代表との話し合いの中で、来年、つまりことしの八月になりますが、勧告の際にひとつ懸案の問題だからいい知恵を出して解決をしたいと、こう語られたそうでありますが、この辺についてはいかがでしょうか。

藤井貞夫人事院総裁

○政府委員(藤井貞夫君) 午前中御答弁申し上げたとおりでございますが、私としてはやっぱり職務の実態から見まして、また教員との均衡という面から見まして、何とかしてあげたいなという気持ちは強く持っていることは事実でございます。  ただ、この点につきましては、他の職種にある公務員との均衡の問題もございますし、制度自体のやっぱり立て方の問題もございますので、その点はやはり文部省としても、あるいは組合側としても、制度のあり方、人員配置のやり方等についてもいろいろいい知恵を出してやっていく余地があるんじゃないだろうかと、これは私たちが考えることは考えますが、それと同時に、いい結果を出すためには対抗的ないろいろなことばかり言うんじゃなくて、いい知恵をひとつ出し合うという努力も必要ではないだろうかということを申し上げたのでございます。  そういうことで、文部省も前進的にはかなりの努力をして今日まで来ておりますけれども、他の制度とのやはり均衡その他の点もございますので、これは繰り返しになりますが、私といたしましては今後の長期的な見通しの中で、やはり一つの無視できない問題として検討したいということを申し上げたのであります。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 午前中、人事院総裁は国家公務員だけだけれども、公立の地方の小・中学校に与える影響も大きいから、高校も含めてこれをやるという意味の御趣旨がありました。私も全くそうだと思います。  問題は、他の一般行政職とのバランスの問題でありますが、一つは、公立小中学校は特に一名しかいない、こういうことの特殊性の問題があり、一般行政職のいわゆる行(一)にはなじまないんじゃないか。そういう意味での職務の複雑性と職場の特殊性、このことを文部省も常に人事院に言っているわけでありますが、そういう意味で学校教育ときわめて密接した関連があること、特殊専門的な仕事をしているということ、そういう意味合いから教員給与との均衡を考えますと、少なくとも学校事務職員給料表というような、いわば独自の給料表が最も適切だと考えますけれど、これについて文部省と人事院総裁の御見解を賜りたいわけです。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) 学校の事務職員に対しまして、独自の給与表を設けることの是非でございますけれども、これは日教組等からの提案もございますけれども、いまお挙げになりましたようないろいろな特質はございますが、学校の事務職員が処理しておりますのは会計事務、あるいは庶務、給与関係等が主たるものでございまして、これが他の分野の一般事務職員に比較いたしまして、きわめて独自性なり特殊性があるというところまでは、私ども、そこまではなかなか言い切れないというふうに思っております。  したがいまして、御提案のような独自の給料表を設けるということにつきましては、たとえば、それによりまして逆に学校事務職員と教育委員会の事務局職員との人事交流でございますとか、そういう意味の人事配置上の弾力性を欠くというふうな点もございますし、やはりいろんな全体の処遇、人事配置等の面で慎重に検討しなければならないというふうに考えておるところでございます。

斧誠之助人事院給与局長

○政府委員(斧誠之助君) お答え申し上げます。  ただいま総裁からも述べられましたように、他の行政職との関係ということも考慮しなくちゃいかぬということがあります。  それで、国家公務員の場合を考えますと、教育の場というのは教育専門職の場でございますが、そういう職場に行政職の職員がまじっている、こういう職場は、たとえば警察でありますとか、あるいは刑務所でありますとか、国家公務員の中にも専門職と行政職が混在しているという職場はございます。そういう人たちとの関係もこれは考えなくちゃなりませんので、その点はひとつ慎重に検討さしていただきたいと思います。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 この学校事務職員の特殊性、複雑性、専門性、よく言われますが、非常に私は認識が不足だと思います。  たとえば、文部省に伺いますが、ことしの定員増におきましても、養護教諭とか栄養職員は若干増員をされていますけれども、事務職員はゼロだったというようなこともある。これはやっぱり、一般行政職とのバランスでそうされていると言うならば、私は全く学校事務職員の専門性、特殊性に対する認識の欠如だと、こう思いますけれども、どうでしょうか。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) 五十八年度予算におきまして、養護教諭と学校栄養職員につきましては定数改善を行ったわけでございますが、事務職員までにその定数改善を及ぼすというところまではなかなか一般の予算の事情もございまして、いかなかったわけでございます。  これは学校事務職員の職の重要性とか、そういう観点ではございませんで、総数抑制の中でいかにして少しでも改善計画を進めるかという見地から検討いたしまして、栄養職員とか、あるいは養護教諭につきましては、代替性がきかないという点等もございまして、たとえば過員を生ずるような場合にそれの穴埋めに必要であるというふうな観点からこのような措置をとったものでございまして、学校事務職員につきましては、そのほか一般事務職員とのバランスもございますけれども、全体の抑制という観点から今回は見送ったということでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 いろいろ文部省、人事院からありましたが、五十六年四月には文部省は国三等級格づけの実現にも努力をしたい、このような向きのことも言われておるのでございまして、八月の勧告までの間に、先ほどありましたように、人事院総裁、文部省ともにこれらの関係諸団体と今後も十分話し合いを続けて、よりよき給与改善に向けて努力をいただきたいと思いますが、この点いかがでございますか、両方とも。

藤井貞夫人事院総裁

○政府委員(藤井貞夫君) 検討し、努力いたします。

鈴木勲文部省初等中等教育局長

○政府委員(鈴木勲君) 文部省といたしましても努力をしたいと考えております。

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 和田静夫君の関連質疑を許します。和田君。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 官房長官、人事院勧告を五十八年度は完全実施されますか、五十八年度人勧。

後藤田正晴自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(後藤田正晴君) ことしの八月に人事院からやはり勧告がなされるだろうと思います。その際に、政府としては従来から、二年続いて凍結はしない、五十七年度は異例の措置でございます、したがって、五十八年度の勧告があった際に、できる限り最大限の努力をして実施をいたしましょう、こう申し上げているわけでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 人事院総裁、五十七年度で退職する公務員には、五十七年度人側凍結によって著しい不利益が出ることについての御見解。

藤井貞夫人事院総裁

○政府委員(藤井貞夫君) お答えいたします。  この点は五十七年度に退職をする人に限りませんで、勧告が仮に見送られるということになりますれば、退職をした人には退職手当なり年金というものが、そのときの給与というものを基準にして支給されるということになりますので、そういう意味の不利益をこうむることは事実でございますが、これは退職者だけに限らず、現に在職をしている者についても、やはり一年おくれということになるわけですから、その意味の不利益というものは同じことであるというふうに思っております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 官房長官の御認識は、いまの問題の認識。

後藤田正晴自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(後藤田正晴君) いまちょっと聞いていなかった。申しわけない。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 不利益。

後藤田正晴自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(後藤田正晴君) 失礼しました。  その点はいま総裁が言ったことと同じだと思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 せんだっての勝又質問に対しまして、五十七年度の人勧凍結、人事院総裁は労働基本権の代償措置がなくなるとお認めになったわけですね。

藤井貞夫人事院総裁

○政府委員(藤井貞夫君) まだこの点は国会でいろいろ御協議をいただいているわけですから、私はその経過というものに大変期待を持っております。もう時日は少ないんですが、これは私は大変期待を持っているわけなんです。したがって、そういうことは余り言いたくないわけですが、仮にこれが見送りになるということになりますれば、これははっきり五十七年度分については代償機能というものが作動しなかったと、官房長官もおっしゃいましたけれども、そういうことになると思うんです。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 そこのところ、ちょっとあれですが、この前の答弁とちょっと違いますが、官房長官、代償措置がなくならない、ただ五十七年度に限って作動しない、こう述べられたんですが、作動しなかったということは、いま言われるように、どういうことかと考えれば、五十七年度に限って言えばやっぱりないと同じだ、こういうことでしょう。

後藤田正晴自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(後藤田正晴君) これは、先般お答えをいたしましたように、五十七年度まさにこれは異例の措置として勧告の実施を見送らざるを得なかった。ただし、そのことは単に政府の都合でやったんではないということは御理解願いたい。政府としては最大限の努力はしたつもりでございます。  しかしながら、今日のこの厳しい財政事情、たとえて申し上げますれば、国債整理基金への繰り入れすらとめ、しかも国債費、あるいは地方交付税、こういった経費を除きますと、もう何十年来初めての、ゼロシーリングどころじゃない、マイナスシーリングの予算で組まざるを得なかった。しかし、こういった厳しい財政事情の中でも公務員の生活を保障するということは、これはもう政府の大きな責任でございますから、何とか努力をしようということでやったわけでございますが、こういった最大限の努力を傾けてもなおかつ今日の厳しい財政事情、さらにはまた国民から期待を寄せられておる行政改革、財政の再建に政府としては取り組まなければならぬ。そこで、公務に従事していらっしゃる国家公務員に異例の措置ではあって、まことにお気の毒であるけれども、本年度に限ってひとつがまんをしていただきたいと、結果として人事院の勧告が作動しなかったということでございますが、そういう次第でございまするので、この労働基本権に対する代償措置としてのこの人事院勧告制度、これが私はこれでなくなったなんて毛頭考えておりません。これはやはり先ほど言いましたように、五十八年度の勧告の際には、最大限の私どもとしては努力をして、公務員の生活の保障に全力を挙げていきたいと、こう考えているわけでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 作動しなかったことへの補償はないんですか。

後藤田正晴自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(後藤田正晴君) 作動しなかったことに補償するだけの財政的余裕があれば初めから実施をするわけでございますから、これは先ほど言いましたようにまことに申しわけないけれども、五十七年度に限ってはごしんぼうをいただきたいと、こういうことでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 私は五十七年度人勧凍結がさまざまな公務員制度に対する問題を生み出すということを指摘したいわけです。ぜひ五十七年の人勧も何らかの工夫をしてやっぱり凍結を解除すべきである、そういうふうに論理的には考えなきゃいかぬと思うんです。この辺は、人事院と官房長官お二人の答弁を求めます。

藤井貞夫人事院総裁

○政府委員(藤井貞夫君) この点は、われわれの勧告というのは内閣と国会にお願いをいたしておるわけでございまして、また事実上いま国会において各党の代表の方々がお集まりになっていろいろ御協議をいただいておるという事実がございます。したがって、その推移も見なきゃならぬということでございますが、やっぱり国会で最終の結論が出ればわれわれとしては遺憾ながらそれ以上のことはできないという場合もございましょう。ただ、その場合には去年の四・五八というものが実施されないということになるわけでございますので、その分は今年度の、五十八年度の勧告の際には当然上積みされてくるということに相なろうと思います。

後藤田正晴自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(後藤田正晴君) その点は政府としては現在まだ国会で与野党間で御審議をなさっていらっしゃるようですから、その結果には私どもは当然政党内閣として従わなきゃならぬと、それは私はそう考えておりますが、政府としてこの点であえてお答えをさしていただくならば、本年は政府としては残念ながら見送らざるを得ないと、こういうことでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 けさ公企体の年度末手当について「国鉄・林野はゼロ」、そういうふうに報ぜられたんですけれども、これは労使関係にゆだねるべきものだろうと、交渉に。したがって、私は他の公企体職員に比べて国鉄、林野に格差をつけるということは、労使関係を不安定にすることはもう当然です。その責任の一切は政府にある。官房長官、大蔵大臣、この公企体労使関係の不安定化を政府は望んでいらっしゃるんですか。

後藤田正晴自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(後藤田正晴君) 私かどうかわかりませんけれども、「政府首脳」ということできょう新聞に出ておりますが、私がいままで申し上げておるのは、政府はやはり労使関係というものは大事だと、この労使関係の安定ということを一方では考えなきゃなるまいと、これはもうあたりまえではないかと。しかしながら、同時に今日の公企体の経営の実態、それからまた国民が公企体の今日の状況に対して厳しい批判の目を向けておるということも政府としては考えざるを得ないと、こういったあれこれを考えて、これは当事者間で決まる問題でございまして、政府としてあえて介入をするといったような意思はございませんが、やはり公企体の当局者としては、こういったことを踏まえて対処していかれるであろうと、そういう期待を持っておる次第でございます。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) いま官房長官から言われたとおりでございますが、ただ私の場合は、考えてみますと、やっぱりいまの場合、私の所管するところとなりますと専売、それから造幣、印刷、こういうことだけに限ってのお答えをする立場かなと、こう思いますが、基本的には官房長官から御発言があったとおりでございますが、政府としてはボーナス等の給与に関する事項は、基本的には労使交渉によって決定さるべきものである、そういうふうに考えております。  ただ今日、いわゆる公企体等の給与の決定基準として、法律に規定されております国家公務員の給与の改定は見送られているということ等を踏まえて、それぞれ私の所管で言えば三つでございますが、適切に対処されるであろうというふうに期待をしておるというのが、私のお答えする限界だと思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 私は干渉するということじゃなくて、政府としてはやっぱり仲裁裁定の完全実施というのは好ましいんだというような形での意思表示は当然あってしかるべきだと思うんですが。

後藤田正晴自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(後藤田正晴君) 公企体の給与については、公労委ですか、仲裁裁定が出まして、それについて完全実施をしたつもりでございます。だから、新しいベースアップがあった、これはもう基本給であって、仲裁裁定そのものと、ボーナスですか、これはまた別の問題ではないのか。  先ほど私が言ったような考え方のもとに、所管官庁、あるいはまた特に公企体の当局はそういった観点のもとでボーナスの基準となる給料をどう考えていくのか、それにまた月数をどのようにするのか、それらは先ほど言ったようなことで対処をしていただいておるのではないかなということを政府としては期待をしておると、こういうことでございます。  したがって、仲裁裁定そのものの基本給については完全な実施をしたんだと、かように御了解願いたいと思います。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 所得税減税問題ですが、昨日与野党幹事長、書記長会談が開かれた。これは年内実施を自由民主党幹事長が約束をされた。したがって、政府としてもこれは必ず年内には実施する、そういうことでしょうか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) きのう改めて幹事長、書記長会談が開かれまして、それにつきまして幹事長から御報告を聞いております。その報告は記者会見等でも行われた内容でございますので、ある程度公表してもいいとでも申せましょう。そこでいろいろ言われた。私(二階堂)は次のとおりに回答した。減税は党として約束をしたんだ。このことは政府にもちゃんと言っており、官房長官が予算委員会でも明確に発言しているということを言った。この時点で時期、規模を明確に言えといっても、予算が通らない前には言えない。そして、予算の修正も考えていないという、これはある一つの政党からそういうことがあったから、わざわざおつけ加えになった言葉であると思っております。等々でございまして、なお、ある政党から予算修正をやるべきで、どのくらいの額でいつから実施するか、財源はどうするかとの質問があったので、私より、分科会みたいな質問をするなと言ったら、一同大笑いになった。こういうようなことを含めて、一応私なりに正確に報告を受けたわけでございますが、重ねてここで申し上げておりますように、われわれといたしましては最大限の努力をいたしますとともに、そして、三月二日、衆議院予算委員会での官房長官発言、これがあって「確約があったことは承知をいたしております。 政府としても、これを尊重いたします。」という見解には変わりはございません。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 大蔵大臣、関連ですから余り突っ込みませんが、そろそろ減税の時期とか、額について私は明らかにすべきときに来ていると、こう思うんですよ。所得税減税は、細かい数字はともかくとして、アウトラインぐらいはどうですか、この辺で明らかにされたら。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) まず私は、基本的に申しておりますのは、現在御審議いただいております、まさに御審議いただいておる予算、五十八年度予算案、それは歳入歳出含めて御審議いただいておると。そういたしますと、われわれとして、提案者のハウスに対する節度というものは、いわば最善のものとして信じたものが、仮にもし修正を伴う内容であるとか、あるいは将来にわたって補正を予約するようなこととかいう問題は、やっぱり節度として、未来永劫、——未来永劫という表現は適切ではありませんが、やっぱりこれからもずっとハウスと政府の立場においては持ち続けるものであると、こういう基本認識に一つは立っております。  それから今度は具体的な問題になりますと、そういう予算が通過さしていただいたという前提の上に仮に立ったといたしますならば、その後、この国会等でいろいろ議論をいただいたことを正確に整理し、税調に御報告申し上げ、そこでの審議を通じながらその結論を出していくべき性格であると。やはり私もハウスと行政府の一つの節度としては、そう正確にお答えする方が最も適当ではないかなと、こういう意に沿わない答弁であると思いますが、意に沿わないことがまた節度を守ることになりはしないかと、このように考えております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 この三問題とも、また仲裁の問題では官房長官の認識かなりあれですから、私は理論的に考えて全く納得ができません。よって、これは理事会で少し詰めてもらいたい、協議してもらいたい。

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 後刻理事会で協議をさせていただきます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 わかりました。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 防衛庁の研究開発費の最近の伸び状況、主な研究項目、研究開発についての項目について御説明ください。

冨田泉防衛庁参事官

○政府委員(冨田泉君) お答えいたします。  防衛庁の技術研究本部が防衛庁の研究開発を一元的に行っております関係上、通常防衛庁の研究開発費というものを技術研究本部の予算ということで表現しておるわけでございますが、技術研究本部の予算の最近の推移を申し上げますと、五十四年度が二百六十八億、五十五年度が二百八十七億で、対前年度伸び率が七%、七・二でございますが、それから五十六年度が三百十七億円、対前年度伸び率一〇・二%、五十七年度が三百五十六億、対前年度伸び率一二・三%、ただいまお願いをしております五十八年度の予算案は三百八十六億、対前年度伸び率八・四%という数字でございます。  それから、主な研究開発項目ということでございましたが、五十八年度のただいま要求中の予算につきます主な項目を申し上げますが、五十八年度におきましては、長官から次のような事項についての推進を図れということを指示してございまして、それは装甲戦闘能力の強化、あるいは対潜能力の強化、警戒管制能力の向上という大きな柱を立てておりまして、それに該当するものといたしましては、装甲戦闘能力につきましては偵察警戒車、それから対潜能力の向上のためには新対潜ヘリコプターシステム、それから警戒管制能力の向上を図るためには次期警戒管制レーダーの開発に着手したいということで、ただいま要求をしております。もちろんすでに開発を決定していただきまして推進中の地対艦誘導弾であるとか、あるいは新中等練習機であるとか、あるいは新戦車につきましては、引き続き推進をしてまいりたいと考えております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 長官にお伺いしますけれど、私そういう項目別の資料要求しました。そうしたら、各項目ごとの五十八年度予算要求額については提出を差し控えさせていただきたい、こう書いてある。どういうわけですか、これ。

冨田泉防衛庁参事官

○政府委員(冨田泉君) 先生おっしゃるとおりに、資料要求に対しましては、各項目ごとの予算要求額につきましては、提出を差し控えさしていただいておりますが、これは項目ごとの予算が明らかになりますと、その後の商議に差し支えるということで、従前から項目ごとにつきましての予算額の公表は差し控えさしていただいておるものでございまして、この点何分御了承いただきたいと思います。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 ところが防衛庁は、ここにありますけれど、五十五年度、五十六年度にこんなに分厚い各項目ごとの説明資料を作成しまして、「技術研究本部」とありますよ、この資料をもとに経団連に行きまして説明を行っている。それが経団連の防衛生産委員会特報というのに載っています。五十五年、五十六年度にこんなに詳しい項目ごとの文書によるこういう資料を経団連には出しておいて、何で国会に出さなかったんですか、五十五年、五十六年も。もちろんいまも出していませんけれども、どういうわけですか。これ長官に聞きます。

冨田泉防衛庁参事官

○政府委員(冨田泉君) これは先ほど先生からも御説明ありましたように、技術研究本部が、先ほど経団連というお話でございますが、経団連の中の防衛生産委員会というところの集まりで、今後のそれ以降の防衛生産関係の関係者に対する意思疎通と申しましょうか、あるいはおおよその内容というようなことで参考までにお出ししたものだと承知しておりますが、それを防衛庁本庁といたしましてそういうことをすることは、公表することは、先ほど申し上げましたような理由で差し控えさしていただいておるわけでございまして、この点も御了承をお願いしたいと思っております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 もう一回言いましょうか。これ全然おかしいですよ。経団連の防衛生産委員会に防衛庁がこの資料をつくって、これを説明に行っているわけです。これは事実ですよ。それを防衛生産委員会特報という雑誌に載せてある。国会には出さない。何で秘密事項なんですか、これが。どういうわけですか。全然おかしいんだ。全然納得できませんよ。項目ごとに概要が全部書いてある。

冨田泉防衛庁参事官

○政府委員(冨田泉君) 繰り返すようでございますが、ただいまお示しの資料はあくまでも技術研究本部が参考までにということで作成したものだと承知しておりますが、そういうことで、防衛庁としてそれをそのとおりであるというふうに追認するといいましょうか、それはいろいろ今後の商議に差し支えるということで提出を差し控えさしていただきたいと思います。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 予算委員会も正式に要求した資料で出してないんですよ。

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 速記をとめてください。    〔午後一時四十二分速記中止〕    〔午後一時五十七分速記開始〕

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 速記を起こして。

冨田泉防衛庁参事官

○政府委員(冨田泉君) 私の方は若干勘違いをしておりまして、五十八年度のものにつきまして項目別の説明資料というのを、実は参議院の内閣委員会に委員会要求ということで資料をお出ししておりましたが、それと同じもの、あるいは五十七年度にさかのぼっての五十七、五十八につきましてのその資料ということでございますれば、後ほど提出さしていただきます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 私はやはり国会軽視なり、議員に対する、資料要求に対する非常に軽視だというようにきわめて不満です。何でこの程度のものを出せないのかという気がするからです。そして、特に五十五年、五十六年のときも防衛生産委員会、つまり経団連には行って説明し、資料も出していても、当時も国会には出していないわけですよ、これは。だからそのことについても私は時間があればやりますけれども、きわめて不満ですから、この点はひとつ理事会で後刻委員長ぜひ検討していただきたいというように思います。

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 理事会で検討さしていただきます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 この問題は本論ではありませんでしたので……。  防衛庁が民間企業に具体的にどのような技術研究依頼をされていますか。

冨田泉防衛庁参事官

○政府委員(冨田泉君) 各項目別には先ほど申し上げましたように、それぞれの項目についての目標性能というものがございまして、民間に対しましては試作、あるいはその試作品の試験といいますか、そういったものを民間企業に請負において実施させることにしておりまして、計画の全体の基本的な計画というものは当然もちろん防衛庁で実施いたしまして、具体的なものを試作するという段階になりますと民間企業に委託をするということになっております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 これは、昨晩の夕刊の記事ですが、米国務次官がミサイルのシステム研究についても日本の協力を期待しているという発言が載っていますね。それから、私は過日、三菱重工の七四式戦車の状況も安保委員会で視察にも行きました。八〇年代の後半の列国の新しい戦車に対抗する新戦車開発という技術研究、こういうことも着着と進んでいるというふうに思うんです。  先ほど言いましたように、きわめて、経団連の防衛生産委員会あたりには詳しい説明を行っている、国会の方はつんぼ桟敷になりがちだと。私はやはり兵器の技術研究というものが列国とのシーソーゲームの中で果てしなく拡大をしていく、こういう技術研究の心配を感ずるわけです。この民間に対する技術研究、この歯どめ、こういうものを一体、しっかりしておかないと、いわゆる憲法からの逸脱、民間企業の軍需産業、兵器研究への大きな傾斜を来していく、この点の歯どめですね、これを長官どういうふうに思いますか。

谷川和穗自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(谷川和穗君) 逐一具体的な個々の事例につきまして、今後予測されるような技術的な問題につきましては政府委員から答弁をいたさせますが、まず、基本的に資料提出の問題をちょっと触れさしていただきますが、私はあくまで国会にお出しをするという資料が、わが方としてお渡しできないものを民間に出すなんていうことは、これはもうとんでもない話だと思っておりますし、また、民間に出した資料がここで提出できないということは絶対にこれはあり得ないから、それは督促をいたすつもりでございます。  それからもう一点、少し長くなって恐縮でございますが、防衛庁として常に、試作をいたしましたときに、その実用性に対する確認をとりたいということもございますが、これにつきましては、わが方は俗に呼ぶ工廠というようなものを持っておりません。生産技術を持っているわけでもございませんので、どうしても民間の能力を期待するということでございます。そして、民間につきまして、今後、わが国民間企業の装備技術の基盤の強化、拡大が促進されていくことは、防衛庁長官といたしましては基本的にはこれは好ましいことだと、こういうふうに考えておる次第でございます。

木下博生防衛庁装備局長

○政府委員(木下博生君) 今回の政府決定によりまして、対米向けには武器技術の供与を行える道を開くということになったわけでございますので、まあ今後、まだ具体的にアメリカの方から何にも言ってきておりませんが、防衛庁と国務省の間、あるいは日本の民間企業とアメリカの民間企業との間で、技術のアメリカへの移転を伴うような共同研究開発というようなことが行われ得る可能性は出てきているわけでございます。ただし、現在までのところ、日本におきましては武器輸出について非常に厳しい政策をずっと十数年来とってきておりましたので、現実に日本の民間企業の武器に関する研究開発というのは、事実上防衛庁の委託したものに限られていたというのが現状でございます。  したがいまして、今後もアメリカとの間で武器技術の協力を行います場合も、日本のベースはあくまでもそういうベースをもとにしてアメリカとの間で協力を行っていくということになろうかと思います。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 大臣の答弁ありましたけれども、私の御指摘をし、質問していたのは、たとえばリンク11、これにしましても、もう武器と武器技術の差なんていうのはありませんよね。まさに武器技術そのものが武器だというように率直に思うわけですよ。そうすると、新戦車の技術研究の開発にしましても、ますます私は拡大をしていく傾向が強くなる。だから、そこのところの民間における歯どめをぜひ防衛庁としては考えるべきだと、こういうことを申し上げているんですから、十分御検討をいただきたい。そこで、次の問題に移りますが、昨年の十一月十四日の浜松基地の航空祭でのブルーインパルスの事故がございました。いまだに原因の究明も捜査も進んでいません。警察庁と検察庁はどう対処してこられたのか、お聞かせをいただきたい。

金澤昭雄警察庁刑事局長

○政府委員(金澤昭雄君) お答えいたします。  昨年のブルーインパルスの事故でございますが、静岡県警察が捜査本部をつくりまして、現在までのところ、現場検証のほかに、自衛隊の関係者並びに事故の目撃者等の関係者からの事情聴取はほぼ終了いたしております。現在やっておりますのは、機体及び飛行方法などにつきまして航空自衛隊の鑑定委員会の方に現在鑑定を委託しております。この結果を待ちまして、新たにまた関係者の取り調べ等を行って、事故原因と刑事責任の追及、これをやっていきたいというふうに考えております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 これは十四日の事故で、翌々日の十六日に私は現地に行きました。ほとんど警察がやってないんですよ。自衛隊が全部片づけているんです、ほとんど、墜落機の破片から含めて全部。私はずいぶんおかしいと思いましたよ。加害者が、極端に言えば泥棒か犯人と言えば言い過ぎかもしらぬけれども、少なくとも加害者。加害者である自衛隊に墜落機の鑑定の依頼をしている。墜落機の破片等は全部自衛隊が片づけている。私は、そういう意味では、まさに加害者である自衛隊に原因究明を依頼をしている、これは大変な間違いだと思うんです。不公正だと思うんです。妥当性を欠いていると思うんですよ。この辺は官房長官はどんなようにお考えになりますか。

金澤昭雄警察庁刑事局長

○政府委員(金澤昭雄君) 私からお答えをいたします。  昨年の現場検証の際に、自衛隊の隊員が多数で現場保存に当たっておったと、こういうお話でございますが、当時警察官を二十数名程度現場で現場保存に当ったわけでございます。何分にも現場が非常に広うございました上に、いろいろと部品が相当多く散乱しておったということで、手が足りないということで、これは警務隊を通しまして自衛隊員の応援を仰いだと、これが真相でございます。  それからもう一つ、自衛隊に鑑定を委託したという問題でありますが、これは、一般に航空機の事故に関しましては、航空機の事故調査委員会の法律がありまして、通常の場合にはそちらの方の調査委員会で行うわけでございますが、自衛隊の飛行機の場合には、特定の場合、たとえば民間機と衝突をしたような場合を除きまして、自衛隊の方で事故の調査を行うと、こういう法律のたてまえになっておるわけでございますので、その辺を踏まえて、警察の方といたしましては自衛隊の方に委嘱をしたと、こういう状況でございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 これはパイロットの操作ミスとも言われますし、パイロット同士の無線交信のやりとりが究明のかぎだと言われているわけです。それを知っている編隊長を徹底的に取り調べられたんでしょうか。具体的に何回どこでどういう捜査をされましたか。

金澤昭雄警察庁刑事局長

○政府委員(金澤昭雄君) 隊長を含めまして、自衛隊の関係者の事情聴取を行っております。具体的な内容につきましては差し控えさせていただきます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 防衛庁はどう対処されましたか。

西廣整輝防衛庁参事官

○政府委員(西廣整輝君) 防衛庁といたしましては、事故後直ちに事故調査委員会というものを設けまして、まず現地調査を行いまして、その後、警察の方から領置されておりました機体の残骸の引き渡しを受けました後には、飛行経過、あるいは航跡の解析、さらには事故機の機体の残骸の分解検査といったものを現在進めておるところであります。  ただ、念のために申し添えますけれども、私が申しました事故調査委員会と申しますのは、事故原因の究明をして、事故を再発しないための委員会でございまして、警察が行っておられる刑事責任の追及といいますか、犯罪捜査の方の関係は警察の方がお進めになっており、その関係で鑑定等を依頼された場合は、別に鑑定委員会等がございまして、そこが、受け身にこういうことをやれと言われたことだけをやるという形で作業を行っておるわけであります。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 いつ出るんですか、結論は。

西廣整輝防衛庁参事官

○政府委員(西廣整輝君) ただいま申し上げました事故調査委員会の方の結論でございますが、通常の場合は、事故調査というのは事故後四カ月以内に出すことになっております。ただ、今回の場合は、警察の方に領置されておりました機械の残骸の引き渡しが約一カ月半ぐらいおくれてまいりましたのと、それから今回の事故がブルーインパルスの公開展示によります初めての事故というような特殊な事故でございましたので、慎重の上にも慎重に調査をするということで、五月いっぱいに事故調査委員会の結論を出す予定であります。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 長官に伺います。  この五月末というお話ですね。事故のたびごとに、その次の翌日現地へ行っては防衛庁長官が過ちは二度と繰り返しません、何回言われたんですか、こんなこと。防衛庁内部の厳しい反省と責任の取り方がきわめて不明確だから、こういうことが再三起きるんじゃないんですか。

谷川和穗自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(谷川和穗君) 責任の取り方というお話いまございましたが、実は、私といたしましては、まず事故の原因解明を徹底的にいたすべきであるということで、先ほど政府委員が答弁をいたしましたが、十一月の十四日に起こった事故でございまして、三月の十四日は四カ月になるわけでございますが、私の責任において、先ほどの政府委員の答弁にございましたように、昨年いっぱいかかるまで残骸が警察に領置されておったという事柄もございます。したがって、特に一カ月半ほど伸ばして、五月の三十一日生まに調査を終えろということを命じまして、調査を現在進行させておるところでございます。  そして、その調査の基本になることは、これまた政府委員が答弁いたしましたように、事故の原因を徹底的に解明をして、再び事故を起こさないということのための原因調査をいたしておりますが、その調査の結果いかんによって、ただいま御指摘のありました問題などにつきましても、私自身判断をいたしたい、今日こう考えている次第でございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 昨年の十月の十三日、小松の墜落事故、十月の二十八日、百里での墜落事故、十一月の十四日がブルーインパルス、浜松。一カ月に三回ですよ、墜落事故が。三回とも亡くなっているんでしょう。自衛隊のパイロットの方が亡くなるということが計算済みだとか、航空機の中で何機は墜落しても構わないとか、こういう防衛庁に資料があるそうですけれども、私は大変問題だと思いますよ。  一体、こういうことについての防衛庁の厳しい責任がないから、一カ月に三回も起きたんじゃないんですか。

谷川和穗自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(谷川和穗君) 確かに、昨年は十月から十一月にかけまして相次いで航空自衛隊のまことに不幸な、あるいは不祥な事故が発生をいたしておったわけでございますが、しかしながら、私といたしましては、航空自衛隊隊員諸君は、きわめて綱紀厳正に今日訓練にいそしんでくれておると思っております。浜松で起こりました戦技班のブルーインパルス展示飛行におきます事故は、特に航空自衛隊の事故といたしましては、いまだかつてこの展示飛行でかような事故が起こったことは一度もなかったものですから、しかも幸いにして人命そのものには、負傷の方は出られたわけなんですけれども、物的財産ずいぶん御迷惑かけてもおります。  私は、そういう意味からいって、あと残されました時間、鋭意事故解明について庁内督促をいたしまして、その判断におきまして、この戦技班の飛行訓練の問題につきましても改めて判断を示そう、こう考えております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 官房長官にお伺いしますが、私は、自衛隊の事故が一カ月に三回起きたのが速やかにされているとか、警察の捜査が具体的に進んでいるとかというならばこれ以上申しません。しかし、いまお聞きのとおりです。まさに私は、自衛隊の事故の原因はすべて霧の中、捜査も刑事事件としての進展もうやむやになり、国民がわからない、こういう気持ちになったら大変だと思うんです。しかも、現地では具体的にそういうことを明らかにして、公表もしてくれという強い意見があるわけです。  一昨日、私は内閣委員会で細かく聞きましたから、これ以上これを聞きませんけれど、特にこういうことがこのまま過ぎていくと、私は政府のきわめて重大な責任だと思うんです。そういう意味で、政府としての責任の追及といいますか、対処の仕方といいますか、警察の問題も含めまして御所見を承りたいわけです。

後藤田正晴自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(後藤田正晴君) この種の事故によって被害を受けられた住民の皆さんには、心からお見舞いを申し上げ、同時にまた、この種事故の再発防止のために、われわれとしては全力を尽くすということをまずもって申し上げたいと思います。  ただいまの質疑応答の中にありますように、事故発生以来、防衛庁としては何といいましても、こういった事故の原因を徹底的に科学的観点からも究明をして、そして再発防止を図ろうという、いま真剣な努力を傾けておるんだということは、ぜひひとつ理解をしていただきたいと思います。  ただ、何せこの種の事故調査というのは、従来からの他の航空事故の例でも明らかなように、相当期間を要するということはぜひ御理解をしていただきたい、こう思います。  他方、刑事責任の追及の問題でございますが、これは自衛隊法によって警務隊にも捜査権がございます。同時にまた、警察にも一般的な捜査権があるわけでございますから、双方が協議をしながら適切な処理をしておるというふうに私は考えております。  ただ、これも勝又さんがお考えのように、時間がかかり過ぎるじゃないかというお気持ち、一般の方もそういうようにお考えになる方いらっしゃるかと思いますが、およそ業過という責任の追及、つまり業務過失ですね、これは事件の性格上非常にむずかしい捜査になるわけでございます、一般的に。しかも、この種の航空事故ということになりますと、これはまたなかなかその責任の所在の追及に非常な専門的な知識を要する。そうしますと、やはり同じ自衛隊の者にそんなの鑑定さしてあかんじゃないか、こういうお話だけれど、これ以外にないのが事実ですよ。本当の意味での知識を持っている人が。それだけに航空自衛隊の中のこういった専門のチームに事故の原因の鑑定を警察として頼むということも、これまた当然ではないか、やむを得ない、私はこう思います。  いずれにいたしましても、捜査の結論もできるだけ早くやるようにやってくれていると思いますから、そして同時に、最初に申しましたように、何といいましてもこの種の事故は実際は避けられませんね。しかし、これを何としてでも絶無を期するということの気持ちでやらないことにはこれはどうにもならぬわけですから、そういうような意味合いで、この上とも事故は絶対起こさぬというぐらいのかたい決意で、自衛隊当局が対処せられるように心から私は祈っておるわけでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 重ねて官房長官に伺いますが、十万人の見物を集めたわけです。町の真ん中なんです。マッハ一・六、しかも低空二百メーター、こういうことでしょう。こういうことだけは少なくとも私はやめるべきだ、こういうように思います。だから、原因究明、責任者の処分、これもさっき言ったとおりですけれど、そういう意味での少なくともこの自衛隊の行き過ぎたPRですね、このことだけは政府全体の責任としておやめいただきたい、こういうふうに思いますけれど、いかがですか。

谷川和穗自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(谷川和穗君) 二つに分けて答弁をまず最初にさしておいていただきたいと思います。  航空自衛隊は、その持っておりまする任務から、高度な戦技技術の開発というのはどうしても必要なんでございまして、戦技技術班の存在は今後とも私は続けていきたい、こう考えております。  と同時に、後段の展示飛行でございますが、これは勝又委員の御指摘のとおり、防衛庁といたしましても防衛広報の一環とも考えていることは事実なんでございます。したがって、戦技技術で開発された技術を展示飛行の中で国民の皆様方にもお示しを申し上げたいという気があるんでございますが、その展示飛行のあり方につきましては、私は今後事故調査が片っ方において進行中でございますが、それとあわせて今後の展示飛行のあり方につきましては内部でただいま検討を命じておりまして、これにつきましても現在この時点では国民の非常に多くの方々が、またある一面では期待もしておられる向きもございまして、その辺のこともあわせながらどういうふうに将来していくかはもう少し時間をいただいて判断を決めたい、こう考えております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 硫黄島の島民の皆さんが島に帰りたいという運動がずっと続いているわけですけれど、その後どうなっていますか。

川俣芳郎国土庁地方振興局長

○政府委員(川俣芳郎君) 硫黄島につきましては、現行の小笠原振興計画におきまして、帰島及び開発の可能性について検討をするということになっております。これを受けまして、国土審議会の小笠原振興審議会に、硫黄島問題小委員会を設けまして御審議をお願いする一方、国土庁といたしましても、現在の振興計画期間が切れます五十八年度中にこの問題についての方向づけをいたしたいということで、五十五年以来三年度をかけまして現在調査を実施いたしておるところでございます。五十八年度に若干の補完調査が残るかと思いますけれども、いずれにいたしましても、この調査結果等を踏まえまして、審議会あるいは地元等の関係方面の御意見も聞きながら、同島の取り扱い方針を定めてまいりたい、かように考えております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 防衛庁はこの硫黄島をシーレーンの重要拠点とする旨のことをこの委員会でも言われましたが、これでは島民の帰島ということがおろそかになるんじゃないか。むしろそのことを本当に優先して最小限にとどめるべきだと思いますが、この点はどうですか。

友藤一隆防衛庁参事官

○政府委員(友藤一隆君) お答えいたします。  自衛隊といたしましては、御案内のとおり、硫黄島が復帰になりましてから、ここに滑走路がございますので、これの整備、維持をやっておりまして、近年、五十五年からは、国内の訓練環境が十分でございませんのでこれに対応していきたいということで、そのための整備を続けてきておるわけでございますけれども、全部の島を基地にするというようなことは全く考えておりませんで、現に使用しております基地の有効な活用ということで今後も進んでいきたいというふうに考えておるわけでございます。  帰島問題につきましても、今後の開発の可能性でございますとか、あるいは居住の安定性等を含めまして、各般の見地から関係の機関で総合的な検討が行われておるということも私どもよく承知をしております。そういった調査にも私どもも十分協力してまいりたいというふうに考えております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 官房長官、これ最後に伺いますが、いまの答弁二つとも去年の四月に私が安保の特別委員会でお聞きしたときと全く同じなんです。何もやってないということだと思うんですよ。ですから、官房長官に重ねてお聞きをしますけれど、政府は本気でこの硫黄島への帰島、島に帰りたいという島民の悲願を本当に積極的にお考えになっているのか。それともシーレーンの重要拠点にするんだから、島民が島へ帰るということはずっと後になったっていいんだ、こう思っていらっしゃるのか。私は少なくとも島民の悲願を積極的に最優先すべきだ、こう考えますけれど、政府全体としての決意はいかがですか。

谷川和穗自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(谷川和穗君) 硫黄島出身者の方々が東京都を中心にいたしまして、相当数の方が帰島を願っておられる事実は防衛庁としても存じております。しかしながら、硫黄島そのものの開発は、防衛庁自体の事柄というよりも、政府挙げて、特に担当省庁ということになれば、あるいは国土庁その他ということになるかもしれませんが、防衛庁としての基本的な考え方についてだけ申し述べさしていただきますと、私どもとしては四年ほど前から現在保有いたしておりまする、主として飛行場を中心にして、その整備に励んでおるわけでございますが、現在行っておりますのは、防衛庁の持っております自衛隊の基地の整備でございまして、これを将来かけて、いま拡大していくとか全土に及ぼしていくというような考え方は、いささかも現在持ち合わしておりません。

川俣芳郎国土庁地方振興局長

○政府委員(川俣芳郎君) 私どもといたしましては、五十五年度から五十七年度の三年間にかけまして調査を完了いたすつもりでやっておりまして、スケジュールどおりに調査を進めておるところでございます。

後藤田正晴自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(後藤田正晴君) いま政府委員が答弁しましたように、過去三年間政府としては調査費をつけまして、五十八年度も何か補充調査というものをやって、そして火山の状況であるとか、あるいは弾丸あるいは水とか、いろいろ調査をやっておるようです。その結果を待ちまして、そして離島振興審議会等の議を経て、そして開発であるとか、復帰であるとか、あるいはいま御質問のような点について最終的な結論を得たい。それについては、せっかくいま国土庁で検討中でございますから、その結果を待って政府としては考えたい、こういうことでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 文部省に伺いますが、共通一次の改善案に具体的に着手したそうでございますが、その内容はいかがですか。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) お答え申し上げます。  共通一次試験を取り入れました入試方法がことしで五回の実施を見まして、一応の評価を得ておると私ども考えております。しかしながら、問題点として共通一次試験の成績の自己採点をもとにいたしました大学の、いわゆる格差づけによる進路指導が行われているというような点、第二点として社会及び理科の教科内における科目間の成績が均一化できないというような事柄、第三点として各大学の第二次試験の工夫、改善がいまだ必ずしも十分でないというような問題点も指摘されているわけでございます。また高等学校側などからは受験科目の五教科七科目が過重負担であるというような指摘、あるいは高等学校の教育を考慮いたしまして実施期日を繰り下げるべきであるというような指摘、さらに受験のチャンスをふやすために推薦入学でございますとか、第二次募集を拡充すべきであるというような事柄について意見が出されているところでございます。このような点を受けまして、私どもといたしましても国立大学協会なり各大学等にこれらの検討を呼びかけておりますし、また文部省に置かれております入試改善会議においても科目数の減の問題でございますとか、実施期日の繰り下げ等の問題を中心に検討をお願いしておるところでございます。国大協におきましても、すでに昨年から検討を始めておりますが、本年一月ないし三月のこれは第二常置委員会で中心になって検討をいただいているわけでございますが、試験期日なり、教科科目数、あるいはまた自己採点による志望校変更等の問題などについて、それぞれ国立大学長の意見を徴するようアンケート調査を実施するということも決めているわけでございます。これらの検討を参考としまして、私どもとしても結論を得、入試について積極的な検討を経まして改善を図ってまいりたいと、なるたけその結論は早く出していただくように国大協等にもお願いをしておるところでございます。以上でございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 入試センターの所長に参考人でおいでをいただきまして時間をとらしていますことを深くおわびをいたします。  それで、これは文部省と入試センターにそれぞれ伺いたいんですが、私は本来共通一次の改善案というのは入試センターの入試改善研究部門というのがやるべきではないのか、こう思うんですけれども、いまは、大学局長の答弁ですと、文部省なり国大協がやっている、この辺についてはいかがですか。

小坂淳夫大学入試センター所長

○参考人(小坂淳夫君) お答えいたします。  入試センターではいまお話がありましたように、一つは入試に関する研究をやらしていただいておりますが、もう一つは実施に関しましてはこれは国大協が最終的に決定をいたします。その決定をいたします資料は私たちの方でいろいろと検討いたしまして、それを参考として国大協並びに文部省の方へ答申をする。国大協自身も同時に御一緒に研究をしておいでになりますことだけはつけ加えさしていただきます。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) ただいま入試センターの所長の方から入試センターで対応している事柄についてはお話があったわけでございますが、共通一次の入試につきましてはもちろん国立大学協会自身が行うわけでございます。なお文部省においてやっております事柄は、大学入学者選抜方法の改善に関する調査研究会議というものを設けておりまして、これは全体で二十八名の構成になっておりますが、もちろん大学側の代表、そして高等学校側の代表等も入りまして、入試にかかわりのある方々の関係者全員にお加わりいただいている入試改善会議というものを持っているわけでございます。文部省としてはその会議で御検討をいただいているというのが現状でございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 私は、共通一次には、文教委員会にもずっとおりまして、一貫して批判をしてきた一人であります。そういう点から言いまして、いまの大学間の格差がきわめて大きくなってしまったこと、一流大学、二流大学、三流大学、嫌な言葉でありますけれども、一般的に言われがち、まさに高校もそうなってきつつある。これはまさに共通一次試験の目的と私は違っているのじゃないか。もう一回、共通一次試験をやったときの目的は、最初のですよ、初心は何であったのかお聞かせをいただけませんか。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 大学入試につきまして、いろいろ御議論がありまして、いろんな検討を経て今日の体制をとったわけでございますが、基本的な点を申し上げますと、個々の大学が入試を行うに当たって、いわゆる難問、奇問と言われるような問題が出されて、高等学校教育に非常に悪影響を与えるというような事柄が言われたわけでございます。そういう点でこの共通一次では、高等学校で一般的に基礎的な事柄をどこまで学習しているかということを判断するために、共通一次でまず高等学校の一般的な学力水準を把握するということが基本的な目的でございます。そして、その結果、入試センターでも十分研究は行われまして、いわゆるそういうような高等学校教育自体を乱すような形での入試問題というものは改められて、その点については今日私ども評価をいただいているところだと、かように考えております。  ただ、御指摘のように、高等学校の進路指導なり、あるいは一次試験の後の志望校変更等の際に、いわゆる受験産業等が、輪切りと申しますか、そういうような事柄が行われて、そういう意味で進路指導の面でいろいろ悪影響が出てきておるのではないかという点は指摘されている点でございまして、私ども、一次ないし、先ほども申し上げたわけでございますが、各大学が第二次試験でさらに特性なり、その学部なり、大学にふさわしい第二次試験を実施するという、その両方の組み合わせがより適切に行われるように改善することも必要であろうかと思いますが、実施後五回を経ました今日、社会的にも、いろいろ取り上げられている問題点については、共通一次試験そのもののあり方についても、先ほど申し上げたような問題点について検討をいたしておるというのが現状でございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 もう時間が少なくなりましたから、二つだけに分けてお聞きをしたいのです。  一つは得点の問題ですね。もう一つは、いま難問、奇問がなくなって高校教育が非常に理想的になってきているという、そこは全然違うんじゃないですか。まさに高校の現場では、いま共通一次の問題に対する、難問、奇問も含め、高校の普通の授業をやっていたらできるというような問題じゃない、そういうことがずいぶん出てきているという指摘の方がむしろいま多いんじゃないですか。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) お尋ねの問題の中身についての事柄でございますが、共通一次試験の目的としては、先ほど申しましたような高等学校での基礎的な学習の到達度について客観的なテストで判断をするということがねらいでございまして、問題そのものとしては、従来ございましたようないわゆる難問、奇問というようなものは排されて、適切な、客観的な学力判定のための適切な問題が出題されるようになったということについては、私ども評価されているというぐあいに理解をしております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 時間がありませんから一つだけ例を挙げますと、たとえば世界史の問題ですよ。高校生で九割近い人が世界史をとって卒業していたのが、いま平均約半分ですね。ちょうど安倍外務大臣もお見えになりましたけれども、半分以下ですよ、世界史をやるのは。これはまさに国際的な日本人育成という観点からは、高校の一般教育がずいぶん私はおかしくなってきている。これも共通一次の中で世界史をとると点数がうんと損をするからという損得から来ている。まさにそういう意味では高校教育を大きくゆがめてきていますよ。これらについてはどう思いますか、文部省。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 御指摘の社会科の科目をどのような科目をとるかということについて、科目間にばらつきが出てきているという点は、これは入試センターにおいてもずいぶん工夫、改善の努力をいたしておるわけでございますが、現実に科目間の得点の差が出てきているということは事実でございます。それらの改善については今後とも努力をしてまいらなければならない点でございますけれども、それはある程度基本的にその教科の性質からしてどうしても避けられない点もあるということも事実であろうかと思います。問題そのものについては、いろいろと社会科の問題についても御指摘のある点は私どもも承知をしている点でございまして、実施後それぞれ、入試センターにおきましても、出題されました問題についての事後の評価なりその研究分析は、それぞれ関係の科目について、高等学校の教員も含めました方々に入っていただいて検討を進め、分析を進めて、翌年度以降の出題に当たっての改善については努力をいたしているところでございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 入試センターに伺いますが、配点表というのを公表しないで来ている。これはどんな具体的な理由があるんですか。

小坂淳夫大学入試センター所長

○参考人(小坂淳夫君) 枝問のことでございましょうか。——枝問までは公表しないことになっております理由と申しますのは、共通一次の成績が何点刻みの細かいところまで出すという趣旨ではなくて、大まかにやはり自分の実力はこのくらいであるということを自分で評価してもらって、二次試験の選択のための準備をしていただく、こういうことでございまして、あえて、いままでのことでは枝問まで細かいところまでやって、一点刻みのいわゆる受験のいまのひずみをより助長したくない、こういう気持ちで前からこういう取り決めによって実施さしていただいております。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 ですから、五年前から私たちは、こうなるだろう、だから共通一次には賛成できないと、こう言って反対してきたわけですよ。受験生は具体的に一点刻みで二次校を選んでいるわけでしょう。そうすると、少なくとも受験生の不平や不満を解消するためには、入試センターは配点表を公表するとか、そうでなかったら共通一次を抜本的に考え直すか、どっちかしなければ受験生の不平不満を解消する道はないのじゃないですか。

小坂淳夫大学入試センター所長

○参考人(小坂淳夫君) 御指摘いただきましたことは十分私たちも心にとめておりますけれども、問題は、いま申しましたように、一点刻みという形よりも、私たちの方としましては、できるだけいい問題をつくって、そして、しかも大体の基準としましては、各科目とも六十点から七十点ぐらいのいわゆる解答率といいますか、正解率と申しますか、そういうことになるように、そういう形のできるだけいい問題をつくって、そして余り高校の教育に、いわゆる受験勉強をがんがんやらなければ解答できないという形ではなくて、いわゆる高校でいいます一般的、基礎的な学力を十分身につければよかろう、だから余り一点刻みというような点数的な問題は考えないようにさせていただきたい。こう考えておりますのと、それからもう一つここで発言させていただきたいと思いますけれども、先ほど科目間の問題がいろいろ出ました。事実、発表いたしますと、点数にかなり差が出ておることは御承知だと思います。ところが、入試センターといたしましては、試験が済みましたならば研究部の関係で検討をさせていただきます。その場合の基準といたしましては、問題の難易度、つまりむずかしいかやすいかということと、もう一つは、その教科を受けた者の実力といいますか、そういう二つのものの要素を加味いたしまして、どちらが問題かということを非常に毎年検討させていただいております。だんだんこういう点を改良いたしまして、ことしは政治の問題が問題になった以外はほぼ、点数は差がございますけれども、これはほとんど学力だということがわかってまいりました。この問題は、しかしセンターといたしましては、そのまましまうのではなくて、いま関係者が論文をつくっております。したがいまして、これは近いうちに公表さしていただきますし、また一方、どちらかと申しますと、センターの側からは、いままで十分な広報がまだできていないうらみがございますので、ことしは特にフォーラムというものもさらに加えさしていただきまして、その中でも一般の方に御理解がいただけるように努力したい、こういうようなことで御理解をできるだけいただくように努力しておるつもりでございます。  以上でございます。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 配点を公表しないのは事後の得点調整が隠密にやれるから、そういうためじゃないですか。

小坂淳夫大学入試センター所長

○参考人(小坂淳夫君) それは絶対ございません。したがいまして、先ほど申しましたようなことを、後で報告を見ていただきますとおわかりいただけるのじゃないかと思います。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 私が一番願うのは、高校教育というものをより充実をしていただきたい。共通一次のために高校教育の……

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 勝又君、残念ですが、時間参りました。

勝又武一日本社会党

○勝又武一君 はい。  もう一つは、大学の格差の問題です。  大学間の格差をなくし、高校の普通教育が充実をするという観点ならばまだいいんですけれども、これをどうしても直すために共通一次の改善について最大の努力をいただきたい。できなければ共通一次をやめていただきたい、こう思いますが、結論的に文部省の見解を承って私の質問を終わります。

宮地貫一文部省大学局長

○政府委員(宮地貫一君) 改善のための努力は今後とも続けてまいりたい、かように考えております。

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 以上で勝又武一君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 次に、馬場富君の一般質疑を行います。馬場君。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 最初に、私は外交問題について質問いたします。  いま米ソ間で行われておるヨーロッパの中距離核戦力制限交渉の結果が、ヨーロッパに向けられていたソ連のミサイルが極東に移動されてくるのではないかという不安が依然として解消しておりません。もしそうであるならば、アジアの平和や安全に重大な脅威となるわけでございますので、アジアでの核軍拡競争が一段と激しくなるということも懸念されますが、この点につきまして外務大臣はどのような見通しと見解をお持ちか、お尋ねいたします。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) いまソ連のSS20という中距離ミサイルがヨーロッパに二百数十基、あるいは極東には百八基、こういうふうに言われておるわけでございますが、このSS20の配置をめぐりましていまINF交渉が行われておるわけでありますが、御案内のように、アメリカはゼロオプションということで、ソ連全土におけるこのSS20を全廃する、そうすればこの秋以降ヨーロッパに配置する予定になっておるところのパーシングIIであるとか、巡航ミサイルもこれを配置しない、こういうことを提案しております。なかなか現実的には、この提案が受け入れられるといいますか、交渉の対象になるということは非常に困難な事態にあるわけでありますが、そういう状況の中でソ連が、グロムイコ外相でありますが、もしこのINF交渉によってヨーロッパのSS20を削除することがあるならば、その削減した分を極東に移動する可能性がある、こういうことを言ったわけでありまして、これはそれでなくても百数基ありまして、極東に対しては非常な脅威を与えておるわけでございますから、さらにこれが増大をするということになると、この脅威は増大するということでありまして、わが国としても非常に重大な関心を持っておりまして、ヨーロッパ諸国に対して、特にアメリカに対しまして、こういうやはりINF交渉によって極東が犠牲になるような、そういうような交渉が進められることは反対である、ソ連全士的な立場に立ってこの交渉が進められることを強く要求して、アメリカもこれを理解し、あるいはまたヨーロッパもこれな理解し、特にアメリカは日本の十分な要請というものを踏まえてこの交渉に臨むということを言明して今日に至っております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 いまの説明のように、やはりこの中距離ミサイルのSS20が百基ほど装備されておるというような状況でございますし、これはやはり完全に日本が射程距離内にあるという、こういうふうにわれわれは考えなければならぬと思うんです。この点につきまして、ソ連側に日本自体が撤去を求めるべきではないかというように思います。また、ヨーロッパのSS20の極東への移転、あるいは現在ある極東からの撤去をやはり再度ソ連側に強く要求する必要が現在あると思いますが、この点どうでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) まことにそのとおりであると存じます。  すでにわが国としましても、パブロフ在日ソ連大使を招致いたしまして、極東へのSS20の増強ということについて、そういう報道がある、そういう言明があるということについて強く抗議を申し入れてきておりますが、この四月の十日過ぎには日ソの高級事務レベル会議が行われますので、その際にもわが国の立場をはっきりとソ連側に言明をして、ソ連のこれに対する回答を求め、同時にまた、そうした事態が起こらないように善処を強く要求する考えでございます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 最近のソ連共産党の理論誌のコムニストでは、日本が非核三原則を守るならば、ソ連は協定の形で日本に核攻撃を行わない旨保証する用意がある、こういうことを言っておるわけでございます。また、これに対しても話し合いをやる用意があると呼びかけをするというようなことが一つはソ連から提案されておると言われておりますが、政府はどのようにこれを受けとめてみえるか、お伺いしたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) ソ連が、いまのこのコムニストという理論誌ですか、そこで日本が非核三原則を守るなら、ソ連は核攻撃を加えない、こういうことを言っておるということを私も承知いたしておるわけでありますが、御承知のように、日本はもう非核三原則は国是として堅持しているわけでありますし、今後とも堅持をするわけでございますから、この点についてはいまさら何も言うことはないと思うわけでございますし、同時にまた、お互いに国連に入っておりまして、国連においては国連憲章において、相手に対して武力攻撃はしない、こういうことをお互いに誓い合っているわけでございますから、核攻撃を加える、相手がどういう条件であるとか、こういう条件であるとか、そういうことを言いながら核攻撃を加えるというふうなことを、あるいは核攻撃は加えないというふうな、むしろいわば恫喝的なような感じを持った主張というものは、私は、今日われわれお互いに国際連合に入っておる、国連憲章を守る立場においては行き過ぎた発言ではないか、主張ではないか、こういうふうに考えております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 ソ連のやはり提案してきている核兵器の不使用協定の締結については政府の態度はどういう態度かという、この見解をもう一遍お尋ねしたいと思うんですが。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) これも、お互いに国連に入っておりますし、国連憲章の立場からいけば、いわゆるその核にしても武力はこれを行使しないという立場に立つわけでございますから、こうしたソ連の提案というものは、国連憲章上お互いの国がこれは守っていかなきゃならぬことであると思うわけでございますが、われわれは、しかし何といいましても、核の廃絶というものが世界の平和のために絶対に必要であるということは、共通に皆もそういう考え方を持っておるわけでございますから、お互いにやはり現実的な実効ある核の軍縮である、あるいはまた廃絶である、そういう措置がお互いにバランスがとれて、そして実効ある立場でこれが実行できることを私どもは強く期待をいたしておるわけであります。そのために日本としても、国連その他において努力を払っておるわけであります。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 先日のエンタープライズの佐世保入港など、米軍の日本への核兵器の持ち込みに対する疑惑は依然として日本の中で大きいわけですよ。やはり核兵器積載艦船の日本への寄港、通過は事前協議の対象に従来からはなっていないわけですけれども、非核三原則の対象にはなっていなかったというライシャワー発言がアメリカの認識であるようですから、日本政府はこの見解とは大分異なっておるというふうに私たちは思うわけですが、この点についての見解と、それから非核三原則の日本への核持ち込みについて、通過、寄港に関して日米両政府間では解釈の相違が明らかにあるというふうに見えるわけですけれども、この点のやはり政府見解をお尋ねいたします。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 日本は非核三原則は堅持するということでありますし、その非核三原則の中で核は持ち込まさせないという一項があることは御案内のとおりであります。この核持ち込みにつきましていろいろと議論があったわけでありますが、わが政府といたしましては、この核持ち込みは寄港であるとか、あるいはまた領海通過であるとか、これも核持ち込みに入るんだということをしばしば明らかにいたしておるところであります。したがって、この立場に立てば、日米間にあってもしそうした事態が起こるときは、いわゆるこの事前協議の対象になるわけでございます。その事前協議においては、日本の政府としてはすべてノーということでございますし、やはり政府の言明、立場というものは、日米安保条約を守る立場にあるアメリカ政府としても十分これを承知いたしておるわけでございますから、私は、アメリカがこの日本の意思に反して核持ち込みを行うということはあり得ない、条約を遵守し、あるいはまた事前協議条項を誠実に履行するということをしばしば言明しておりますから、そういうことはあり得ないと確信をいたしております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 いまの点で、核持ち込みの点につきまして、通過、寄港についてはいままで事前協議の対象になっていないという点で、そこらあたりの見解が、これは通過、寄港についてはこれをこういう対象にするかどうかという問題はどうですか。

栗山尚一外務省条約局長

○政府委員(栗山尚一君) ただいま御質問の点については、従来から繰り返し政府の方から御説明申し上げているところでございますが、委員御承知のとおりに、事前協議につきましては岸・ハーター交換公文というものがございまして、そこにおきまして合衆国軍隊の装備における重要な変更、すなわち核兵器の持ち込みというものは事前協議の対象だと、そこで、従来から種々寄港、通過が含まれるかということについて御質問があるわけでございますが、この交換公文からきわめて明瞭なように、およそ安保条約の適用を受ける米軍、すなわち日本の領域内にある米軍というものはすべてここで申します「合衆国軍隊」に入るわけでございますから、したがいまして、当然のことながら港あるいは飛行場に出入りする米軍、あるいは領海内を通過する米軍というものも核を持ち込む場合にはこれは事前協議の対象に当然なると、交換公文上明白であるということを従来から御説明申し上げております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 私がいまお尋ねしておるのは、通過と寄港の問題についての日本政府とアメリカ政府の意見の相違があるという点でございますが、この点について外務大臣は先日マンスフィールド大使と会見されましたけれども、この際にやはりここの点を明確にしておく必要があったんではないかと、こう思いますが、どうでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 三月の十七日でありますが、私は外務省の公館にマンスフィールド大使を招致いたしまして、F16の三沢配備、エンタープライズの寄港ということも含めて、アジアのこの地域における今後の米軍の種々の活動との関連で、日本に核が持ち込まれているかもしれないとのわが国における最近の懸念を伝えました。私は、政府としては核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませずとの三原則を引き続き堅持する旨述べ、政府が国会における答弁を含め、多くの場において米国政府が安保条約のもとにおける事前協議の枠組みの中で、核兵器の持ち込みにつき許可を求めてきた場合には、政府としては非核三原則に従って対処する旨明確にしてきた旨を述べました。これに対しましてマンスフィールド大使は、米国政府は核兵器に反対する日本国民の特別の感情を十分理解している旨答えました。大使は、さらに一九八一年五月二十日のマンスフィールド大使と園田外務大臣との会談の際に明らかにされた米国政府の見解に言及しつつ、米国政府の立場には何らの変更もない旨述べた。さらに大使は、私に対しまして核の存否につきましては肯定も否定もしないというのが米国の一貫した政策であることを指摘しながら、米国政府としては安保条約及びその関連取り決めに基づく日本に対するその義務を誠実に履行してきており、今後とも引き続き履行する旨保証したわけでありました。したがって、この会談においても、わが国が非核三原則を守り、これを十分アメリカも尊重し、事前協議の条項は誠実に順守するということを明確に述べておるわけでございますから心配は要らないと、こういうふうに考えます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 もしソ連が極東へのSS20の増強とあわせまして、極東海軍力の大幅増強等が続けられていくならば、アメリカ側からも非核三原則の見直し等について、持ち込み、あるいは通過、寄港等を認めようというような問題の要求が出てくることを私たちは大変心配するわけでございますが、この点についての外務大臣の見通しと判断をお伺いいたします。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) われわれは、この非核三原則という国是を持っておるわけでありますから、今後ともこれは堅持していくわけでございます。したがって、核政策に対する日本政府の考え方は今後とも変わることはありません。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 私の聞いておるのは、いまソ連の極東への配備の増強がなされてきた場合、やはりアメリカからこの非核三原則に対する了解というか、その持ち込み、通過、寄港等についてのそういうことも当然考えられてくるんじゃないかと、こういう点を非常に国民としては心配するわけですけれども、外務大臣はこういう問題に対してどのような見通しを持ってみえるか。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) もうすでにソ連は極東には軍事力を増大をしていることは事実でございます。  なお、アメリカ政府が日本に対して核の持ち込みについて了解を求める、いわゆる事前協議の条項に基づいて了解を求めるということは、日本の立場をアメリカ政府が十分知っておりますだけにそういうことはあり得ないと思いますけれども、そうした事前協議があった場合においては、わが国の立場は明快でありまして、これはノーということでございます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 第九回の先進国首脳会議がアメリカで五月二十八日から三日間開かれることになっておりますが、すでに第一回の準備会等も行われておるようでございますが、世界経済の問題が主要議題であるということは当然でございますけれども、日本政府として基本的にどのような態度でこのサミットに臨むか、その方針をお聞かせいただきたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) これは、いまいろいろと準備が進められておりまして、どういう議題になるかまだ確定はいたしていないわけでありますが、御承知のように、これまでのサミットも、また今回のサミットも、世界経済を中心とするものが主題でございますから、いまの世界経済をいかにして再活性化していくかといったような問題であるとか、あるいは南北間の問題であるとか、あるいは東西間の経済問題であるとか、あるいはエネルギーの問題であるとか、そういうことが私は討議の対象になるんじゃないかと思うわけでございますが、具体的にはまだその議題が決まってないわけでございまして、これは単なる想像といいますか、想定をいたしているにすぎないわけでございます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 経済問題とあわせまして、やはり現在の情勢からいって、外務大臣の考えとして政治問題もこの中には討議される見通しがあるかどうか、この点についてはどうでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) これは、いままでもしばしばそうでありましたが、全体会議等においては政治問題に触れるということはないわけでございますが、しかし首脳間のいわゆる個別会談であるとか、あるいはまた食事を中心にした会談であるとか、そういう中では政治問題も触れられたこともあるわけでございますし、今日のこうした世界情勢でございますから、そうした政治問題もいわゆる首脳間で、正式な議題としてはありませんけれども、論議されることは、これはあり得るんじゃないかと、こういうふうに私も想像いたすわけであります。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 たとえば、その政治問題の中には、対ソ制裁措置、あるいは対ソ戦略についても議論になるような予測が考えられるかどうか、お尋ねいたします。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 昨年のサミットでもそうでございましたが、やはり東西間の問題、特に対ソ戦略といったものも、これは正式な議題でなくて首脳間においては論議をされたということも聞いておるわけでございますので、場合によっては自由な討議の時間にそういうことが、今日の事態でございますから、あり得る可能性はあると私も思うわけでございますが、しかし、いま私はあるとかないとか言う立場にありませんし、これはサミットが開かれてからの状況によるんじゃないかと、こういうふうに考えております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 次に、竹島の領有問題でございますが、これは長年の日韓の懸案でございますが、このままやはりずるずる時間が経過することによって、日本にとってはよい結果にならないと私は思います。そういう意味で、竹島問題を解決するつもりが政府には本当にあるのかどうかという点が大変疑問でございますが、やはりここらあたりで本腰を入れて取り組むのが良策ではないかと、このように思うわけですが、この点どうでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 政府としましては、この竹島の領有権に関する日韓間の紛争でございますが、これはあくまでも平和的な手段によって解決を図るという基本方針を立てております。そして、外交経路を通じまして韓国政府に対しまして、韓国の竹島に対する領有権の主張は認められない旨厳重に申し入れるとともに、累次の巡視結果に基づきまして韓国が各種施設を設け、不法占拠を続けておることに対し繰り返し抗議、申し入れを行っておるわけであります。たとえば、昭和五十七年度中には、七月の李外務部長官来日の際、事務レベルにおいて本問題を提起をし、また十月二十八日の竹島周辺の海上巡視結果に基づきまして韓国側に抗議を行うなど、外交努力を行っております。また、先般の総理の韓国訪問の際の首脳会談におきましてこの問題は取り上げられなかったわけでありますが、外相会談におきましては、私からこの問題を取り上げまして提起をいたしまして、日本側の立場を再度明らかにいたしております。政府としましては、竹島問題は日韓国交正常化の際に取り交わした紛争の解決に関する交換公文にのっとり、外交上の経路を通じまして今後とも粘り強く話し合っていかなければならぬと、こういうふうに考えております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 できれば安倍外務大臣が、いまのやはり両国間の懸案が一つは平行状況になっておる、これはやはりあなたのときに一歩前進させる努力をされてはどうか。この点はどうでしょうか。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) これまでも何回か取り上げておりますし、私のときになりましても韓国の李長官との間で領土問題について私から提起をいたしたわけでございます。何とか前進させたいという気持ちは持っておりますが、これまでのしばしばの抗議といいますか、しばしばの要請に対して韓国側がいまのところこれに応ずる気配がないということは非常に残念に思っておりますが、この問題は先ほど申し上げましたように、平和的な手段で何とかひとつ解決に持っていくように粘り強く今後とも折衝は続けてまいりたいと、こういうふうに存じます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 次に、財政問題に移りますが、特に国債の増発と財政危機について質問いたします。  五十八年度末の国債残高とあわせて、特例並びに建設国債のおのおのの残高について説明をお願いします。

加藤隆司大蔵省理財局長

○政府委員(加藤隆司君) 五十八年度末の残高見込みは百九兆七千億円でございます。内訳は建設債が約六十二兆一千億円、特例債が四十七兆六千億円でございます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 いまの説明によりますと、国債残高はやはり約百十兆にも及ぼうとしておりますが、まあ一口に百十兆といっても、われわれには想像もつかないような金額でございますが、先日も大蔵省の方にお尋ねしたら一万円札で重ねると富士山の三百倍にもなるというふうな数字が出ておりましたし、またこれをずっと横につなぐと地球を五十回ほど回るというふうな気の遠くなるような実は数字でございますが、大蔵大臣はこのやはり借金に対してどのような解決策を考えてみえるかお尋ねいたします。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 御指摘のように国債費の累増は確かに著しいものがございます。特に五十年度以降一般会計予算に占める比率は急増しております。その結果他に充てる財源が圧迫されることになっておりまして、こういう状況を放置すれば、その本来の役割りでありますところの資源配分機能を果たすことができなくなるおそれすらございます。したがって、やっぱり今後はこの歳入歳出構造の合理化、適正化を通じて、基本的には公債発行額の縮減ということを最大限の眼目として財政運営に当たらなければならないと、このように考えております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 いまも説明がありましたが、この膨大な借金は、そのうちの建設国債は一応法的に借りかえができるとしても、四十八兆に及ぶ赤字国債の償還には、現在としては借りかえが許されないというのが実情でございますが、政府はこれに対する、この赤字国債に対してどのような一つは考え方を持ってみえますか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 基本的には、今日まで特例公債につきましては従来からの国会答弁、また法律上の規定によりまして借りかえをしない、こういう方針をとっておるところでございます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 財政制度審議会等の意見の中には、赤字国債の借りかえも緊急の措置としてはやむを得ないというふうな見解も一部にあるように実は新聞等で報道されておりますが、この点はどうでしょうか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) これはやはり、まず借りかえはしないという基本方針の上に立っておるわけであります。そこでこの特例公債の償還ということになりますと、昭和六十年から始まりますが、一方国債整理基金が六十一年度には枯渇するというようなこともありますので、国債の償還については、まず第一番は、それを所有する方に対しては現金償還を確実に行うと、こういう大前提であることは間違いございません。したがって、この問題につきましては中長期的に、まだ四年あるといえばそれまででございますけれども、考えなきゃならぬ問題でありまして、基本的には、まずは歳出削減をもって充てるということ、そして二番目には、これの償還に当たりましてはいわゆる負担増をお願いする、三番目には借りかえを含む新たなる公債発行と、こういうことになるでございましょうが、それらを念頭に置くことなく、まずやはり臨調の答申等で示されてまいりました基本原則にのっとって、まずは歳出構造の見直しをやって、国債依存度を少しでも下げていくということの基本的な姿勢で臨みたいと、このように考えております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 償還をするとおっしゃっていますけれども、仮に建設国債の六十二兆は六十年間といたしましても、赤字国債の四十八兆については十二年間でそれぞれ均等償還をするという単純な一つは計算をしてみましても、毎年度約六兆の国債償還が必要だと、こういうことに実はなるわけです。このようなやはり巨額な財源調達というのは、現在比較的物価の安定した状況のもとには当然私たちは常識的にも不可能だと、こう考えるわけでございます。そうしていけば、やはり先ほど申しましたように、これは借金のやはり繰りかえが一つは雪だるま方式で、政府財政というのはサラ金財政と同じような状況に迫られて、やはり財政としては返さなければならない事態に陥ってくるのではないかと、この点については大蔵大臣はどのような具体策がありますか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) これは重ねて申し上げるようでございますが、先般お示しいたしました国債整理基金の資金繰り状況についての仮定計算、これにございますように、多量の予算繰り入れが必要となる六十二年度からの償還財源、これが、これから一番重大な問題になるわけであります。したがって、それまでには今後の経済事情や歳入歳出の動向等を踏まえながら検討していくということでございます。  具体的にこれ何に求めるか、こうおっしゃいますならば、現段階ではっきり申し上げることはできませんけれども、先ほど申しましたように、理論的には歳出カット、負担増、あるいは借りかえということも含めた公債発行という三つが考えられると申し上げておるところでございます。しかしながら、もちろん借りかえというのを最も念頭に置くべきことではございませんので、やはり今後はまず財政改革という考え方に立って、歳出歳入構造の合理化、適正化、これに全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。こうした結果、今後の経済情勢等を踏まえながら各方面の意見、特にこうして国会で御議論いただいております、言ってみれば国民との対話とでも申しましょうか、そういうことを非常に真剣に検討してかからなければならぬと、いま直ちに具体的に何で幾らを充てていくかということをお答えする段階にはございません。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 いま大臣の説明で聞きますと、現段階では考えはあるが言えないというふうな御説明に受け取れますけれども、そうしたとしたら、やはり将来は解決策をはっきりと具体的に示せるかどうかということと、それはいつごろの時期にそういうことができるのか。やはり一国の台所を預かっておる大蔵大臣として何となしということでは私は無責任だと思います。はっきりしてほしいと思います。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) やはり先ほど申しておりますように、具体的には六十二年にこの大量な償還が始まりますので、その時点までには諸般の情勢を勘案しながら正確なこの償還計画というものの具体策を、こうした国会の問答等を通じながら、国民の意思が那辺にあるかを見定めながら決めていかなきゃならぬ課題であろうというふうに理解しております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 次に、この再建が財政機能に与える影響について質問をしたいと思いますが、この大きな赤字というのは極端な収支の不均衡になってまいります。そのために経済的にも社会的にも悪影響が無視できない状況になると思います。このような状況を是正しようとするのが財政再建であったわけですが、国民のまたこれは願望でもありましたが、ここに政府挙げてこれに取り組んできたわけでございますけれども、財政再建の究極の目的は、言葉をかえて言えば、現在の財政が持つ機能、所得の再配分、資源の適正配分、経済の安定化による適正な成長の実現を復活させようということだと思いますが、この点どうでしょうか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) これは、財政再建についての委員のいまお述べになりました基本的な考え方というのは、私も異論を挟むものではございません。したがって、いかにして国債依存度を下げていくかということが、これからの財政運営のやっぱり大きなポイントとなる問題であろうというふうに認識をいたしております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 最近の財政事情から見まして、資源の再配分についても、また景気調整についても、財源がないことを理由に財政はその出番というのが全然考えられていない、財政の機能が発揮されていないというように私はとるわけです。たとえば、公共事業は四年連続の伸びゼロとか、あるいは社会資本の充実度は近年おくれてきておるとか、あるいは五十八年度の需要歳出額は前年度当初の三・一%の減であるとか、あるいは公共事業等が実質マイナスであるとかというように、本当にそういう財政の機能というのが実は発揮されてないというのが私の見方でございますが、この現実をどう大臣はお考えですか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) やはり財政が、いわゆるいま委員お述べになったもろもろの点に対して対応力があったというのは一体いつまでであろうかと、そしてまたその対応力を持つ大きな一つの手段が私はやっぱり公債発行として、それの爛熟したと申しますか、ある意味における限界というものが五十四年度予算編成のときから来たんではないかなと、こういう感じがいたしております。したがって、こういう乏しい歳入の中においても、それなりの財政の果たす機能というものは、国民のニーズをその都度認識しながら、重点的な配分等によって行っておるわけでありますが、基本認識としては、やはり財政の対応力そのものを回復するというためには、やはり公債依存財政というものにメスを入れていくことであるという認識には私も相違ございません。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 資源の最適配分という見地からいきますと、公共事業を中心とするやはり社会資本の充実並びに景気の調整について、現段階でその必要性については大臣はどのようにお考えですか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) いわゆる社会資本の充実という立場からする公共事業、これの重大性は私もよく認識しております。したがって、戦後一貫した経済運営、なかんずく景気対策の中に公共事業が占めてきた役割り、そして四十一年以降でございますが、それを支えてきたいわゆる建設国債の役割りというものも私は私なりに評価をするものであります。ただ、それの対応力というものの限界に来た今日、結局今年度の予算を御審議いただいておるわけでございますが、乏しい財源の中で前年同額、大部分のものが減額になっておりますが、そういう考え方の中でこの対応をして、なかんずく民間資金の導入とか、そういうようなことを考えながら、やはり社会資本の充実、そして公共事業の持つところの経済運営の役割りというものに期待をつなぎながら、今日までの財政運営をやってきておるわけであります。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 次は、景気対策については、五十八年度の公共事業を前期前倒し発注を執行することを含めて振興策を図るとのことでございますけれども、五十七年度にもこういう措置は実は行われたわけでございますが、結果は不景気は膠着状態でございまして、これをやはり反映して、結果としては税収欠陥が出てしまったというのが五十七年度の実は現実でございます。財政面からの景気調整の機能は現在では失われていると、そういう状況に現在われわれはあるとしますが、そうしたならば、金融やその他の施策としてこの景気対策についてもどのように考えておるか。しばしば民間経済の活力に期待するということを総理並びに政府委員の皆さん方から答弁が出ておりますが、そういう民間経済の活力に期待するというのはどういう具体的な内容があるのか、お示し願いたいと思います。

塩崎潤自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(塩崎潤君) お答え申し上げます。  わが国経済も言うまでもなく自由経済の原則に立っておるものでございまして、公共部門の国民経済の中に占めますところのシェアは二〇%、あと八〇%は民間経済によって動かされると考えるものでございます。したがいまして、私は民間経済の自立的な回復力に期待することが大きいことは当然だと思います。いま大蔵大臣からいろいろとお話がございましたように、五十三年あたりから機関車論の結果、財政で景気対策を講じてまいりましたが、だんだん財政もいまのように行き詰まってまいりました。そのような関係で、私は財政に大きく期待することはなかなかできない。一方、また円レートの関係から金融政策にもむずかしい面がありといたしますれば、ここで私どもは特別な工夫をこらさなければならないと思うところでございます。公共投資の前倒しも民間の投資の誘引策でございますが、そのほか言われておりますようなことは、御案内のようにアメリカで非常に力を入れてまいりました各種規制の緩和、かつて古くからいろいろの公共投資についても規制を設けておりまするけれども、その規制を緩和することによって民間投資が期待される分野があるんではなかろうか、こんなことも言われているところでございます。私どもは、それを一つの方法として考えております。  ともかくも、私は、アメリカの財政赤字と違って日本の財政赤字はむしろまだ貯蓄で十分賄えるだけの赤字で、むしろ貯蓄と投資と不一致なところにある。この貯蓄をさらにうまくわが国の経済の中に取り入れること、それは私は金利政策、これにも関連するかと思いますが、このような金利政策ともあわせて、民間経済の力を発揮させるように努力すべきだと考えております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 景気対策についてですが、特に民間経済の活力に期待する云々という言葉が政府の最高責任者の口から出るということは、財政の景気調整機能が期待できないということな明白にあなた方は物語っておるということに私はなると思いますよ。  それからもう一つは、財政の機能である所得の再配分についてでも、現在の財政構造のもとで所得の再配分というのが十分に機能化しておるかどうかという点についても、大蔵大臣、答弁をしていただきたいと思います。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 一つは、このような財政状況をこのまま放置いたしますと、確かに財政の各種機能の発揮という点からきわめて問題が大きいと思っております。したがいまして、今後とも財政の対応力の回復ということ、これが何はさておいて最も大切なことであるというふうに思っておるわけであります。  そこで、その対応力を回復するためにも、また現状であっても、いまおっしゃいましたような機能がそれなりの効率的な効果を発揮するというようなことになりますなれば、そうした中にありましても、社会的あるいは経済的に弱い立場にある人々に対する施策、これらに対しては、やはり極力財源を重点的に配分して国民生活の安定に期していかなければならない。したがいまして、確かにきわめて限られた財源、そういう中で財政の諸機能が可能な限り発揮できるような重点的、あるいは効率的、あるいはめり張りのきいた予算というようなものを絶えず心がけていかなければならない、そういうふうな認識を持っております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 具体的には、大臣、五十八年度予算において所得の再配分が十分に機能しておると、その点を私お尋ねしておるんです。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) これはやはり乏しい中で、先ほど申し上げましたようにめり張りのきいた予算、そしてまた公共事業につきましても、いわばもろもろの予算が減額されておる中で、前年同額を確保し、さらには民間資金の活用、あるいは道路公団等におきましては外債というようなものも導入することにいたしたわけでございますが、そのような考え方の中で、限られた財源の中で機能を発揮する最大限の努力をして、そして現状において五十八年度予算を御審議いただいておるというのが素直な実情でございます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 じゃ、ここで大蔵省にお願いしますが、四十年度以降の一般会計において、主要経費別に見て最も大きく変化をした経費というのは何か、御説明願いたいと思います。

山口光秀大蔵省主計局長

○政府委員(山口光秀君) 四十年度予算と五十八年度予算とを比較してみますと、四十年度予算は歳出——一般会計の規模が三兆六千億余りでございますが、五十八年度は御承知のように五十兆余りでございます。財政規模は十三・八倍伸びているわけでありますが、その中で国債費が一番倍率としては大きくなっておる、三百七十二倍になっております。これは四十年度までは、当初予算の話でございますが、戦後非募債主義をとっておりまして、国債を出してなかった。四十年度の補正予算から建設公債を出すようになったということでございますので、そういう特殊事情でございますが、国債費が一番伸びておる。  それから、増加の額としては社会保障関係費が一番伸びております。四十年度に五千億余りでございましたのが、ただいま御審議の予算では九兆一千億余りでございます。八兆六千億余りふえておるわけでございます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 いまの説明のように、国債費が一番伸びておる。五十七年度に引き続いて定率繰り入れを停止を行っておりますので、この措置をとらなかったとすると、五十八年度の国債費は九兆五千八百九十八億円に上がるわけです。これは社会保障費の九兆一千億を抜いて、主要経費別の項目のトップになっておるのがこの国債費でございます。  このように、四十年度以降の主要経費別の経費で非常に拡大した経費は、やはり国債費であるということがわかるんですが、この変化というものは実は政策的な意図に基づいて行われたものではありません。いわば意図せざる財政構造の変化が着々と日本財政の中に進行しつつあるということをわれわれは危惧しなきゃならぬと思うんです。この点について大蔵大臣はどのようにお考えですか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) これはいま御説明申し上げましたように、昭和四十年度予算の補正予算から建設国債の発行に踏み切ったわけです。これは、私はやはりオリンピックの翌年の、当時戦後最大の不況とも言われました。それに財政が対応した、ある意味においてはティピカルな時期としてとらまえるべきではないか、こういうふうに考えておるわけであります。  したがって、確かにおっしゃいますように、他の歳入手段を講じないで、イージーに国債に依存し過ぎたではないか、こういう角度からの御指摘についてはそれなりに私もうなずける点はございます。しかし、切れ目切れ目を見てみますと、まずはオリンピックの翌年の戦後最大の不況、そのときに始まって、そして、やはり一つは、昭和四十六年のいわゆるドルの兌換制停止、一般的に言われるドルショック、そこにこの国際経済がどういうふうな方向に進むかわからないという不安定な中に、私は建設国債の増発によるところの内需、国内景気が拡大されて、それによっていち早くドルショックから脱却したというときには、それなりの私は財政手段としての効果があったではないか。その後、やはり第一次石油ショック、そして第二次石油ショックというときに、徐々に赤字公債に踏み切っていくわけでございますけれども、当時、国民に新たなる負担増をお願いすることでなく、それを貯蓄性向の強い日本国民でありますだけに、そこで赤字公債の増発に踏み切ったということが、いわば社会保障水準など国際的に見劣りしない水準に到達した一つのてことしての対応力というものであったのではないか。しかし、それがまさに限界に来たというのが現状の認識ではないかなと、こういうふうに私ども過去を振り返りながら分析をいたしておるところであります。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 この五十八年度の国債のうちの七兆五千億というのが利息でございます。地方交付税を上回り、あるいは公共事業費をはるかに上回る数字でございます。また、文教及び科学振興費の一・六倍の金額がこの借金の利息であります。この金額は税金という形で国民一般から徴収した金であります。この巨額の金が財政という機構を通して国債の保有者に流れていくということになるわけですが、大蔵大臣はこれはお認めですか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 国債の流れというようなものは、いまの御指摘はそのとおりであると思います。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 それでは、最近における国債の保有者内訳を教えていただきたいと思います。

加藤隆司大蔵省理財局長

○政府委員(加藤隆司君) 五十六年度末現在におきます国債の保有者別内訳でございますが、政府が十八兆五千億で二二・五%でございます。それから日銀が八兆一千億で九・九%、金融機関が二十三兆八千億で二九%、海外が三兆六千億で四・四%、その他が二十八兆一千六百億で三四%、合計が八十二兆二千七百億円でございます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 いまの説明でいきますと、政府あるいは日銀、海外の分を除きますと六三%余が銀行を含む企業と個人が持っておるということになるわけです。企業の場合は、国債を保有している人はやはり余裕金を持った企業でございます。また、個人の場合も高資産保有者が実はこういう対象者でございますが、こういうようなわけですので、税金がこれらのやはり富める企業やあるいはこういう富める階層に流れて、現在その額が巨額に上ってきておるというのが、実はいま内訳の中から出てくる心配でございます。  このように意図せざる財政構造の変化というのが着々と早いテンポで進んでおるということをわれわれが見たときに、やはりこの日本の財政が所得の逆再配分の状況に進んできておるということに私はなると思いますが、大蔵大臣この点どうでしょうか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 公債の利払いという問題から見ますと、公債の保有状況等によりましては意図せざる所得再配分が行われる可能性があるということは、これは私も事実だと思います。財政の所得再配分機能につきましては、歳入歳出両面にわたって考える必要がありますが、公債の利払いの所得再配分に与える影響とか、また国債費の増大による財政の硬直化が財政本来の機能である所得再配分機能を阻害するおそれがあるということ等にかんがみまして、やっぱり基本的には今後とも公債発行額の縮減、これに最大限の努力を払っていくということが私は原則であろうというふうに考えておるわけであります。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 この問題の締めくくりといたしまして、やはりこの財政機能の復活をさせるためにも低所得者に対しては、歳出面から社会保障関係の費用を拡充するという点や、あるいは中所得者層についてはやはり所得税についての軽減もひとつ考えていかなきゃこの機能というのは麻痺してしまうのではないか。そういうものとあわせましての所得税減税についての大蔵大臣の御見解をお願いしたいと思います。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) やはり所得税減税問題につきましては、財政事情は大変厳しいときでございますが、与野党合意、これを尊重いたしまして、そして財政改革の基本的な考え方を踏まえつつ、減税実施のためにこれから真剣に検討を進めてまいる。たびたび申し上げておりますように、これを十分尊重をして対応すると、こういうことでございます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 重ねて聞きますが、こういう経済状況の中でそういう社会保障関係の費用を拡充するとか、あるいは税の軽減を考えていくという、そういう措置は具体的には考えてみえますか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) やっぱり社会保障、こういう問題はこれは国民生活、なかんずくある意味において富の再配分というものが歳入に伴う歳出であるという観点からいたしますならば、これは十分配慮していくことは当然のことでございます。ただ、私どもこういう限られた財源の中でありますと、それは真に恵まれない人というところに重点的に配分をしていくと、こういうことになって、今度の五十八年度予算も御審議をいただいておるところでございます。  所得税減税という問題につきましては、したがってこの与野党の合意というものは財源をも含めてきちんとやれと、こういうことになっておりますが、さはさりながら特例公債をもって充てるということになりますと、これが金融市場を圧迫してかえって景気そのものに対して逆な方向に進んでしまうということでもなりませんし、したがってまさにどこにこの財源を求めるかということになりますと、国会における御議論等を踏まえながら税制調査会等において御検討を願いながら精力的に努力をしていくと、このようなことを申し上げるべきであると思います。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 次は、質問を行革関係に移しますが、行革の関連で繭糸価格の安定と生産者保護について質問をいたします。  蚕糸砂糖類価格安定事業団の最近の在庫夫状況を御説明願いたいと思います。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) 蚕糸砂糖類価格安定事業団の在庫は、二、三年にわたりまして続きました国産糸の買い入れと輸入糸の売り渡しの停止によりましてかなり増大をいたしております。最高では一昨年の九月に十六万俵という線まで到達いたしたわけでありますが、その後、多少減少いたしまして、本年二月末現在十四万七千俵という水準でございます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 いま説明されたような多量の在庫を抱えて事業団の経営もかなり五十五年度以来苦しい状況にあると、こういうふうに業界紙等で言われておりますが、今年末の収支状況が赤字になってくるのじゃないかという予想が立てられておりますが、この点はどうでしょうか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) 単年度の決算ということになりますと、まだ年度途中でございますのではっきりした数字は申し上げられませんが、最近の状況からいたしますと、保管糸の金利、倉敷がかさんできておりますので、恐らく年度末決算としては相当厳しいものになるだろうと、かように見ております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 業界紙等では五十七年度の最終については五十億を突破するんじゃないかというような報道もされておりますが、ここでこのような多量の在庫ができたという原因はどこらあたりにあるのか、お尋ねいたします。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) わが国の絹全体の消費量、これは生糸に換算いたしますと五十三生糸年度で大体四十七万俵ぐらいございました。わずか二、三年の間に急激に減少いたしまして、最近では三十五、六万俵という水準になっておるわけでございます。その過程におきまして、もちろん輸入数量の減少などにも努めてまいったわけでございますけれども、その需給ギャップの分が事業団の在庫という形で累積をいたしたわけで、具体的には国産糸の買い入れ、それから輸入いたしました糸の放出を停止した、こういうことの結果として生まれたものでございます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 先日、九段会館で全国蚕糸生産者大会が行われましたが、このときのやはり生産者の方々の国に対する政策要求の中でも、事業団の十四万俵の生糸在庫の原因は国内需要を無視した不要な外国産生糸の輸入並びに絹織物の輸入、さらに乾繭、特にくず繭等の輸入が増大したために生糸、絹の需給不均衡はいよいよ拡大して繭糸価格は大幅な低落を余儀なくされたということがこの議案の中に出ておりますが、この点はどのように理解してみえますか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) わが国の生糸はかつて輸出商品でございまして、国際的に強い競争力を持っておったわけでございますが、大体四十年代の中ごろ以降、急激に輸出競争力を失いまして、むしろ外国製品との競争に立たされるような結果になったわけでございます。そういうことで、実はすでに自由化いたしました商品でございますが、繭糸価格の一部改正法というのが通りまして、それによりまして、生糸につきましては一元的な事業団の輸入体制をとっております。また、これを補完するものといたしまして、繭あるいは絹製品等につきましても何らかの輸入規制措置をとっておるわけでございますが、このような輸入規制措置をとるに当たりましては、基本は輸出国との話し合いをベースにする、こういうことでやっておるわけでございます。先ほども申し上げましたように、国内の消費量が急激に減少をいたしましたような場合に直ちに輸入を停止するということになりますと、相手国との間の外交的な問題もございますものですから、話し合いによりまして年度別の輸入数量を逐次減らす、こういうことで対処をいたしておるわけでございますが、それまでに買い付けをいたしました物、あるいは取り決めをいたしました物というものについては履行をせざるを得ないわけでございますから、輸入品について申しますならば、そういう形で、事業団に在庫という形で累積をいたしておるわけでございます。  ただ、これは国内の市況をにらみながら放出をいたしておるわけでございますから、国内の生糸のはんらんということによりまして価格が低下してきたというよりは、近年の、最終製品でありますところの絹織物の需要の不振というものが最近の糸価低迷の原因になっておるというふうに私どもは見ておるわけでございます。    〔委員長退席、理事嶋崎均君着席〕

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 ここで、五十五年五日二十六日以降に輸入貿易管理令に乾繭について事前確認制が導入されたわけでございますが、この経緯と内容について農林省並びに通産省から説明いただきたいと思います。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) 繭につきましては事業団の扱い品目とはなっておらぬわけでございますが、五十三年でございますか、衆議院の農林水産委員会の御決議もございまして、繭につきましても何らかの抑制措置をとるようにという御指摘がございました。それに基づきまして五十三年以降、行政指導によって繭の輸入を抑制する、こういう措置を構じておったわけでございますが、五十五年以降、輸入貿易管理令に基づきますところの事前確認という措置をあわせ構じまして、その両方によりまして繭の輸入が無秩序に行われないように、国内の製糸関係、これが繭の最終消費者になるわけでございますから、製糸団体を指導いたしますとともに、通産省の事前確認措置をあわせ構じまして、大体所期の目的を達成するような輸入抑制効果を生みつつある、かように思っておるわけでございます。

福川伸次通商産業省貿易局長

○政府委員(福川伸次君) 繭の輸入制度に関しましては、ただいま農水省の方から御説明がございましたように、繰り糸に適します繭の輸入につきましては、その輸入の実態を的確かつ迅速に把握いたしますために、御指摘の五十五年五月二十六日から輸入貿易管理令によりましての事前確認制の対象にいたしている次第でございます。  これにつきましては、農水省の方での需給関係の行政指導ということが講じられておるわけでございまして、この事前確認に関しましては、そういった農水省の行政指導というものが反映されたものになっているものと考えております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 次に、大蔵省の関税関係にお尋ねいたしますが、このいわゆる事前確認のことによって、具体的な手続はどのようになされるようになったか説明していただきたいと思います。

松尾直良大蔵省関税局長

○政府委員(松尾直良君) 繭が、通産大臣の事前確認制になりまして以降は、通産大臣の事前確認を得ていない物については輸入できないわけでございまして、その事前確認が得られているかどうかということを私ども税関が確認、チェックをする、それのついてない物には輸入を認めない、これが五十五年以降の変化でございます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 乾繭については、先ほど説明がございましたが、繰り糸に適するものを乾繭と言うわけですか、繭と。じゃ繰り糸に適さないものは何と言いますか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) その前に私、先ほど繭と申しましたのは、関税番号で申しますと五〇・〇一、これが繭という商品名になっておりまして、これは繰糸に適するものとなっております。いまお話しの繰糸に適しない繭は、五〇・〇三という関税番号がございまして、絹のくずという分類でございます。その中にくず繭というのがございまして、その範疇に入るものというふうに理解いたしております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 五十七年の十月二十八日に、農林水産省農蚕園芸局長の名で、五十七生糸年度の繭輸入についての通達が出されておりますけれども、この趣旨と量等について説明願います。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) 先ほども申し上げましたように、繭はその実需者というのは製糸に限られておるわけでございますので、私どもの方では毎年製糸関係の団体に対しまして通達を発しまして、繭輸入についての秩序化を図っておるわけでございます。  その内容は、生糸年度別に繭の輸入数量、五十七生糸年度の場合で申しますと、それを九百トンと決めておりますが、そのほかに国内の繭の出回り時期には繭の輸入をしないようにというふうなこと、さらには生糸をつくっております団体別に輸入商社とドッキングをいたしまして、商社が入れました物が全量製糸関係の団体、企業に流れるように、そういうことを指導いたしておるわけでございます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 その乾繭の輸人の五十年よりの実績量とあわせまして、五十七年度の輸入乾繭の関税の単価を教えていただきたいと思います。

松尾直良大蔵省関税局長

○政府委員(松尾直良君) 繰り糸に適する繭の五十年からの輸入数量でございますが、五十年は二千五百四十九トン、五十一年が三千七百三十六トン、五十二年が二千七百七十三トン、五十三年が三千九百三十六トン、五十四年が三千百二十一トン、五十五年が千二十七トン、五十六年が九百九十五トン、五十七年が九百六十トンでございます。  価格は五十七年ではキログラム約三千円、二千九百九十八円でございます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 先ほども説明がございましたように、この乾繭についてはやはり厳しい輸入のコントロールがなされておるわけでございますが、先ほどの説明のように、繰糸に適さないいわゆるくず繭というのはどのような輸入状況になっておりますか。

松尾直良大蔵省関税局長

○政府委員(松尾直良君) 五十七年で申しますと、くず繭の輸入は三千四百七十七トンになっております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 この数量とあわせまして、くず繭についての輸入の制限はあるのかないのか。あるいはこれは主に何に使うのか。あるいは、これは農水省の関係ですけれども、繭の生産量に対しましてどの程度のくず繭というのが出るものなのか。あるいは五十年より五十七年までの年間の総量を暦年で説明していただきたいということ。以上です。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) くず繭は通常は糸にはなりませんで、絹紡そのほかの需要に充てられておるわけでございます。こういうものが出てまいりますのは、何といっても天然物でございますから、養蚕の生産過程において発生いたしますものもございますし、あるいは一たん製糸工場で受け入れましたものが、その後の原料選別の過程におきまして製糸に適しないものとして、いわばはじき出されるもの、そういったものがございまして、通常でございますと繭の生産量の大体二%ぐらいというふうに考えておりますが、全体の量で幾らかということになりますと、国内のもの、それから輸入のものもございますので、おおよその見当としては四、五千トンぐらいではなかろうかと見ておりますが、的確にはわかりかねます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 数量。

福川伸次通商産業省貿易局長

○政府委員(福川伸次君) 繰糸に適しないくず繭の輸入制度について申し上げますが、これにつきましては輸入制度上何らの規制もございません。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 数量。——しっかり聞いておれよ。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) 失礼いたしました。  くず繭の輸入数量は、暦年でございますが、五十年が七百六十二トン、五十一年が六百九十二トン、五十二年が千九百八十九トン、五十三年千七百二十四トン、五十四年が九百二十四トン、五十五年四百九十八トン、五十六年が千二百三十トン、五十七年が三千四百七十七トン、こういう数字でございます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 五十七年度の中の輸入くず繭の中で、北朝鮮から来た十一月分の量と単価、それから台湾から来た七月分の数量と単価を、関税単価で結構ですから、御説明願いたいと思います。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) 五十七年七月に北朝鮮から輸入されましたくず繭の量は三百五トンでございまして、その価格はキログラム当たり千四百四十七円となっております。それから、台湾から五十七年の七月に入りましたくず繭の量は九トンでございまして、その価格はキログラム当たり千五百十二円となっております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 それでは、日本のくず繭のキロ当たりの単価は幾らですか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) これは、くず繭というのは品質が区々まちまちでございますから、ピンからキリまであるというのが実情でございまして、極端に安い悪い物でございますとキロ当たり百五十円ぐらいのものもございますし、あるいは三百円ぐらいのものもあるわけでございます。総じて申し上げますならば、大体千円前後というふうに見ております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 いや、そこしっかりしてください。くず繭の価格はずっと私聞いてきましたが、いまあなたがおっしゃる百五十円から三百円ぐらいがキロ当たりだと言っていますが、後から総じて千円ということはどういうことなんですか。国内産ですよ。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) これはいろいろなものがあるということを申し上げたわけでございまして、平均価格で幾らになるかということについて試算をいたしたものはございません。まあ通常、先ほど申し上げました製糸工場から出てまいります選除繭と申しますか、原料の選別に当たって除外されました繭の相場で申しますと、大体千円ぐらいということでございますが、これとても品質によりまして多少の振れはあるわけでございます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 特に、先ほどの数字でいきますと、五十七年度に入ってからは史上最高で、五十五年度に比較しますと七倍になっておるわけです。五十六年度の量からいけば二・八倍というすごい量の輸入が五十七年度では急激に行われたわけです。この原因は、どういう原因でしょうか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) わが国の繭の生産量は近年落ち込んできておりまして、五十六生糸年度に生産されました繭の量は六万五千トンぐらいでございまして、前の年の七万二千トンに比べまして一割程度の落ち込みになっておるわけでございます。繭の生産が減りますと当然国産のくず繭の量は落ちてまいりますし、また、製糸工場といたしましても繭不足ということになりますれば、それまで原料選別過程におきまして原料に回さなかったような繭も無理をして製糸に回すということになっておりますので国内のくず繭の出回り量が極端に不足してくる、こういうことが供給面からの理由でございます。  いま一つは絹紡関係、つまり、くず繭を主に使っております絹紡関係が、最近洋服地その他におきまして需要面からややふえてきておるという傾向もございまして、そういう需給のアンバランスということからくず繭の輸入がふえてきたというのが一般的な見方でございます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 それはあなた、全然実情と違う御答弁をなさっておりますが、需要が多くなったから国内産では間に合わぬから外国の繭を輸入するというように聞こえますよ。だが、こんなのはあなた、農水省が五十七年五月六日に日本の繭の生産業者に対して減産指導を行っておるじゃないですか。これはどういうわけですか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) 先ほども申し上げましたように、絹の全体的な需給は極端に悪くなってきておるわけでございます。その意味で外国にも、輸出国にもお願いをいたしまして、わが国の輸入数量を逐年圧縮をしてきておるわけでございますが、国内の生産の方は自由濶達に幾らでも増産するということになりますと、私どもの外交交渉上のポジションを非常に悪くするわけでございますから、国内におきましても計画的な生産ということで、生産数量についてある種のめどをお示しをしてやっておるということでございますが、これは形式的には団体の決定という形でございまして、私ども相談を受けながらやっております。ただし、都道府県別あるいは市町村別等に割り当てをするというふうなことをやっているわけでございませんで、一つのガイドラインのようなものでございますから、これによって国内の繭の生産を極端に押し下げているというふうな問題ではないというふうに考えております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 くず繭が、いままでの相手方の状況等によって、いまあなたの説明を聞いておると、これはやはり買わなきゃいかぬというような説明もございましたが、五十五年、五十六年、五十七年と、二倍あるいは七倍と、こういうふえ方をしておるわけです。内地の農家の人たちはそんなに輸入してもらっちゃ困ると言っているんですよ。財界でも決議しておるじゃないですか。そういうわけのわからぬことを言ってもらっちゃ困りますよ。  それじゃ、その実際多く輸入された実態というものを私はこれから聞きますよ。五十八年二月に神戸税関で、くず繭の中に申告していないようないわゆる生繭が多量に混入されて差しとめを食った例がございますね。これを一遍税関から説明してもらいたい。

松尾直良大蔵省関税局長

○政府委員(松尾直良君) 本年の二月に神戸税関であった事例でございますが、くず繭として申告された貨物を検査いたしましたところ、一部に五〇・〇一号という関税分類に本来含まれるべき繭が混入をしていたという事実が発見をされまして、これは輸入の許可を差しとめたと、こういう事例がございます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 これ一件じゃないでしょう。私の方が資料をもらっておるのは、ちゃんと二件出ておるわけです。相手方の輸出国と、それからそのトン数ですね。その状況を説明してもらいたい。

松尾直良大蔵省関税局長

○政府委員(松尾直良君) いずれも神戸税関でございますが、件数は御指摘のとおり二件でございます。この二件で、数量は約十トン、価格約一千三百万円でございます。仕出し国は北朝鮮と台湾であったかと存じます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 私はなぜこの質問をするかというと、いま税関にひっかかったのは氷山の一角でございまして、もうこの業界に入っていったならば、私はこの実態調査をしたときに、くず繭と称して生繭が多量に日本に輸入されておるということはもう業界では事実なんですよ。だから、私は後から事例を出し、実際私は現場でそういう正規の繭がくず繭として輸入されてこれが製糸工場に売られたという事実も、きちっと現物を持っていますよ。  そういう点で、こういうような実は状況がいま日本の中で行われております。そして、生産者は糸の価格が落ちちゃうし、それから事業団の在庫はふえてくるし、それから農家の人たちは減産を強いられる、これじゃ全然話が違うわけじゃないですか。  それで大蔵大臣と農水大臣、ちょっとこれを一遍見ていただきたいんですが。——私はこれを現場でずっと見てきましたが、実際このくず繭というのは、あなた方が説明するように、絹紡をつくる材料なんです。それはその写真の中にもありますし、私はいまここで現物も持っておりますけれども、真っ黒で使い物にならぬのがくず繭なんですよ。  それから輸入の乾繭というのは、やはり生糸が引ける、そういう繰り糸ができるものなんで、そこの白い繭がそうです。これは従来から実は生糸になるものと生糸にならないものは区別されておったわけです。だからちゃんと先ほどの法律でも、生糸になるものは乾繭と言うし、生糸にならぬものはくず繭と言ったわけですよ。だから、従来はこれをプレスにかけたりして、糸がみんなくず繭にしても引けないような形できちっと厳格に区分されておったわけだ。それだからそのときにはくず繭の量というのはうんと少なかったわけだ。ところが、これが最近の状況になってその規制というのが崩れてきてしまった。そのためにくず繭と称して生繭がどんどんどんどん輸入されるようになってきて、今年の三千何万トンというのは、その中の大半というのは正規の繭がみんな入っておるわけですよ。あなた方が疑問を持つなら、私は本当のものをここへ持ってきて見せてあげますよ。こういう状況ですが、こういう状況について農水省は知っていますか、どうですか。——大臣に聞く、大臣答弁してください。

金子岩三自由民主党

○国務大臣(金子岩三君) 蚕糸業界が大変落ち込んでいるのは、これは需要が非常に停滞したということが原因でしょうが、それにつけて、ただいまいろいろ御指摘になっております操糸原料の繭とくず繭がいろいろ取引上混合されておるというようなことを承りましたが、これは大変な問題でありますので、当然私の方でひとつ積極的に検討をさしてまいりたいと思います。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 これでもう一遍農水省と大蔵省にお尋ねいたしますが、こういうさなかにあって、五十二年に大蔵省の関税関係が実は農林省と協議したということで、半分ぐらいは生繭がまじっておってもこれをくず糸とみなすというような内示を出しておるわけですけれども、これはどういうわけですか。

松尾直良大蔵省関税局長

○政府委員(松尾直良君) 五十二年当時と申しますか、この五十五年の事前確認制以前におきましては、くず繭はくず繭として取引をされ、良質な繭は良質な繭として取引をされるのが通常でございまして、くず繭という中に良質のものがまれに一部まじっておるというようなものがあったわけでございます。したがいまして、これは関税分類の国際的な基本的な考え方は、一つの商品が二つの分類に該当する場合に、それをどちらへ分類するかというときには、通常重量の最も多い部分に分類をするという大原則がございまして、その原則に基づいて、くず繭が大部分のものはこれはくず繭であると、かような取り扱いにいたしておったわけでございます。  ただいま先生御指摘のように、この事前確認制がとられましてから、最近このくず繭の中に良質の繭を混入をしてくるという事例が発見をされましたので、本年一月からこの取り扱いを改めることといたしまして、新たに農水省とも御相談の上通達を発出いたしておりまして、原則として良質のものとくず繭とは分離をするという扱いにいたしております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 いまごろ変更したって遅いですよ。だから、この五〇%がいいといった——そんなら、たとえば貿管令で言う乾繭を数量を決めて絶対にこれ以上輸入しちゃいかぬと、こう決めた貿管令というのはどうなるのですか。この関税当局が勝手に五〇%ぐらいは糸の引けるやつも入っておってもくず繭とみなすというような、こんな事例を出して、貿管令と全然食い違うじゃないですか。はっきりしてもらいたい。

松尾直良大蔵省関税局長

○政府委員(松尾直良君) ただいま申し上げましたように、五十二年当時、これは関税分類の国際的な原則に従った分類の基準を発出いたしたわけでございます。五十五年五月、このような事前確認制がとられましてから、取引の実態がくず繭に良質の繭を混入するというものがあらわれてきたという事態に応じて、直ちにこのように今回新しい通達を出して改めることにいたしまして、事前確認制をしっかりと守るような措置を講じたと、こういうことでございます。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 結局、いまの説明は全然外れておりますけれども、貿易管理令で実はいい繭は輸入がきちっと制限されておるわけです。それが制限されておるものだから、くず繭を外にあんこにしたり、あるいは最近では、私は現場を見てきたけれども、一こり全部生繭がくず繭としてどんどんと白昼堂々と税関を通って日本の工場に流れておるじゃないですか。だから、私はいまここに現物も持っておりますが、こういう状況を農林大臣や大蔵大臣はこのまま放置しておいていいかということ、これはいままでこういう事実を来したという責任はだれがとるかということをはっきりしてもらいたい。

金子岩三自由民主党

○国務大臣(金子岩三君) よく写真を見てわかりました。これからはひとつ厳重に強い行政指導をいたしたいと思います。    〔理事嶋崎均等退席、委員長着席〕

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 いままでの責任はどうするんですか。

小島和義農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(小島和義君) 先ほど関税局長からもお答え申し上げましたように、五十二年当時におきましては、繭であろうとくず繭であろうと、輸入制度上の扱いの差はなかったわけでございますから、御指摘がございましたように、その中間的に灰色の部分があるというふうな問題があったわけでございます。最近のように繭の輸入を抑制するということになりまして、初めてこういうことが顕在化してきたわけでございますので、今後十分検討いたしまして御指摘のような問題が起こらないように対処いたしたいと考えております。

馬場富公明党・国民会議

○馬場富君 大蔵大臣。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 関税法第百十条に、調査によって反則の心証が得られた場合は、これに該当すると、こういうことになると思います。それに対しては厳正に対処いたしてまいります。

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 以上で馬場富君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 次に、寺田熊雄君の一般質疑を行います。寺田君。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 まず、談合の問題についてお尋ねをいたしますが、前の始関建設大臣は、談合はすべて悪であるとまで言い切られたのでありますが、現大臣はこの問題についてはどういう基本的な姿勢をお持ちでしょうか。

内海英男自由民主党建設大臣

○国務大臣(内海英男君) 談合の問題につきましてはいろいろ御議論のあることだと思います。したがいまして、先生の御指摘のように、善とか悪とかというふうに簡単に決めつけるべき問題ではないかと思います。建設業界の中で価格のみによっての過当な競争よりも、建設業界の健全な発展を図るといった意味からいきましても、また疎漏工事の発生をできるだけ防止すると、こういった意味からいっても、また国民の利益にかなうといった観点からいっても、いろいろな議論がなされるところだと思います。  私も、そういう議論につきましては、ごもっともな面も多分にあると。建設業界というのは、御案内のとおり、特殊な受注産業というような形をなしておるものですから、一概に善悪というような形で評価を下してしまうというわけにもいかないんではないかなと、こう思っておるわけでございます。しかしながら、法治国家でございますから、刑法に違反することであるとか、あるいは法規に違反をするような行為については、厳重にこれは取り締まっていかなきゃいかぬ、またそれは周知徹底させなければいかぬと、こう思っておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうしますと、いまの大臣の御所論は、刑法の規定に反しない限りは談合は容認するという、そういうふうにお考えですか。

内海英男自由民主党建設大臣

○国務大臣(内海英男君) 刑法上の問題に触れるという意味で、刑法には談合という言葉で罰則が規定してございます。したがいまして、そういう意味の談合であれば、当然刑法に触れるわけでございます。一般的な場合、調整行為といいますか、業者の中で円満な調整をするためのある意味の話し合いといいますか、そういったもので、それが刑法に触れるとか、あるいは特定の業者がいろいろなことを密約するとか、そういうことについては厳に取り締まらなければいけないと、こういうふうに解釈をいたしております。したがいまして、刑法上の談合罪に当たるようなことは絶対に容認すべきではないと、こう解釈をいたしておるわけであります。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 一言でつづめますと、結局、大臣のお考えは、刑法の談合罪に該当しない限りは談合も容認すると、こういうことになるんでしょう。

内海英男自由民主党建設大臣

○国務大臣(内海英男君) 談合という言葉が法律上使われておりますのは、刑法の九十何条ですか、それに条文がございまして、それ以外に法規上は談合という言葉は使われておりませんので、その談合に該当する、刑法上の談合に該当する行為は明らかに刑法に違反するわけでございますから、そういうことはいけないと、こう思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 公取の委員長はいらっしゃっていますか。——公取委員長は談合をどうお考えになりますか。独禁法の第三条該当行為、あるいは団体がやる場合には八条の一号で、これは独禁法の取り締まり対象になるというお考えでしょうか。

高橋元公正取引委員会委員長

○政府委員(高橋元君) 建設業と公共工事の関係でございますけれども、建設業に事業者の数が非常に多いとか、中小企業がたくさんおいでになるとか、受注産業であるとか、それからあるいは指名競争入札制度が一般的に九割ぐらい、そういうふうに聞いていますが、とられておることとか、予定価格を上回る価格で委注できないとか、いろいろな理由から、建設業を独禁法上ほかの製造業とかと別扱いにしたらどうだという御意見も一部にあるように伺っております。  しかし、申し上げるまでもないわけですけれども、たとえば指名競争入札でございましても、競争に付せられるわけでございます。その競争が、自由で公正な競争と独禁法で言っておりますその競争という理念の中で行われることは当然だと思います。建設業に限らず産業全体の健全な発展を図りますためには、自由で公正な競争の維持促進ということが非常に必要でございますし、それを通じて事業者の創意の発揮、事業活動の活発化ということが出てまいるわけでございますから、建設業の特殊性に応じて何らかの対策が仮に要るという考え方に立ちましても、独禁法の枠内でそれをやっていくべきであるというふうに私どもは考えております。  したがって、事業者なり事業者団体が共同して受注予定者を決める、これがいわゆる入札談合ということの実態だと思いますけれども、それは、一定の取引分野における競争の実質的制限というのに当たります場合には、独禁法の、お示しのありましたように、三条なり八条の第一項一号というものに該当することは明らかであるというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは結局、建設大臣としましては、公共工事の場合に、業者団体が業者を集めて調整して、A社ならA社を今度は落札者として決めるというような場合が多いんですよね。それは許しますか、許しませんか。

内海英男自由民主党建設大臣

○国務大臣(内海英男君) そういうときになりますと、役所は介入しているわけじゃございませんから、指名をするだけの立場に役所は立ちますので、その後、そういう話し合いがあったとか、そういう事実があったとかということにつきましては、私どもは関与する立場にありません。また、そういうことが事前に決められるということになりますと、これは刑法上の談合罪に該当するかしないかという問題になってくるかと思いますが、私どもとしては、そういうことはないという立場に立って、公正な適正な業者を指名してりっぱな仕事をやっていただくという立場に立っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは驚くべき御答弁でね。結局、業者が業者団体をつくる、業者団体が業者を集めて、今回の工事はA社ならA社にするというところまでは、そうするともう一切干渉をなさらぬということになるわけですね。それは知ったことじゃない、だから放任しておくと、こういうことですか。

内海英男自由民主党建設大臣

○国務大臣(内海英男君) そういう意味ではございません。要するに、刑法上の談合罪というものに該当するか、あるいは独禁法の条項に違反をするか、こういう点はもちろんわれわれは遵守していかなきゃいかぬということを強く指導するつもりでございますが、実際問題、その問に先生御指摘のようなことがあったとか、なかったとかということは、われわれはわかりにくいということを申し上げたいと思うわけであります。その話し合いがなされて談合が行われた、特定の業者に決められたと、こういうようなことは、発注者側としては事前にわかるという形ではございませんので、その点はわからないと申し上げた方がいいんではないかと思うわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大臣、結局、刑法の規定というのは、公正な価格を害する目的をもってという目的罪になっているわけですよ。だから、公正な価格を害する目的というのはどういうことかというと、これは判例も分かれているわけですね。それからまた、あなたはそういうことは自分にはわからぬとおっしゃるけれども、わかる、わからないの問題じゃなくて、そういうことをあなたはお許しになるか、ならないかということなんです。それを伺っているんです。

内海英男自由民主党建設大臣

○国務大臣(内海英男君) 刑法や独禁法に違反する行為は許しません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 刑法に当たらぬ場合は。

内海英男自由民主党建設大臣

○国務大臣(内海英男君) 刑法に当たらぬ場合は、先ほど申し上げたように、そういうことが行われたかどうかということも、私どもは実際問題として指名をする権限だけで、その後どうなっていくのかということは、私どもとしては法令を遵守してやっていただくものと、こういうふうに判断をする以外にないと思うんです。それで、そういう事態があるいは出たといたしますれば、それは法令に違反していることでございますから、厳重に処断をしなきゃいかぬ、こう思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうすると、公正な価格を害するというのは、自由競争でなくしてしまうということなのか、あるいはあなたは、適正な単価というようなものがあって、その適正な単価でなければいけないというのか、どっちを選びますか。

内海英男自由民主党建設大臣

○国務大臣(内海英男君) 余り細かい実務的なことですから局長から答弁させます。

永田良雄建設省計画局長

○政府委員(永田良雄君) お答えいたします。大臣からお答えあったわけでございますが、私から補足さしていただきます。  刑法上の談合罪、これは厳に戒むべきものだと、大臣の答弁のとおり考えております。それから独禁法上のいわゆる違反となるべき調整行為もやってはいけないと、私どもはこういうふうに思っております。  ただ問題は、独禁法上の調整行為については、建設業の場合にいろいろ特殊な条件なり何なりがありますから、これについてはよくよく実態を踏まえた上でやっていただきたいという声がありますし、それに従って私どももいろいろ研究をいたしたいと、かように思っておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 談合は実際問題としては頻繁に行われていること、あなた方御存じだと思うんだね。結局、業者が集まって、そしてA社を今度落札人と決めるということを相談するわけだね。だからあなた方は、その価格が役所の決めた入札価格と合致すれば公正な価格を害しないと見ているのか、あるいは、そういう話し合いをすること自体がもうすでに公正な競争を阻害するから、したがって公正な価格も害するんだと見るのか、どちらかということを伺っているんです。

永田良雄建設省計画局長

○政府委員(永田良雄君) お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、法律違反は、わが国は法治国家でございますので、厳に戒むべきことはもちろんでございます。ただ、競争だけが確保されればいいという考え方で業界を処理するというのは適当ではないんじゃなかろうか。公共事業の場合は非常に公共性の強い構造物をつくるということでございますから、万々粗漏があって大変後々問題になるという場合もありますし、そういう面も配慮しなけりゃなりませんし、それから一部の者に公共工事が独占されるというようなこともいろいろ考えなきゃいかぬ。したがって幅広い視野からこの問題は検討さるべきであると、かように思っておるわけでございます。もちろん競争性の確保についても十分配慮しなきゃいかぬ、こういうことでございますので、御理解いただきたいと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 とうてい理解できない。  あなた方は指名競争入札というのは競争を前提にすると思ってないのかね、話し合いで決めちゃうのは競争じゃないんだから。そこを伺っているんだから。

内海英男自由民主党建設大臣

○国務大臣(内海英男君) 先般の中建審の建議にも、その点は制限つきといいますか、条件つきで、一般競争入札についても今後幅広く検討するようにと付記されております。したがいまして、現在のところは、指名競争入札を基本とすべきだけれども、現に条件つきの一般競争入札という制度もやっておるんだから、それらについても今後幅広く検討するようにと、こう言われております。したがいまして、建設省におきましても、今後とも独禁法あるいは談合問題との絡みで、建設市場競争問題研究会というようなものを設けまして、そういったものを前向きで幅広く検討してみたいと、こう考えておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 問題を全然理解してないので困る。これは時間がかかるから次に移るけれども、中建審の答申ですね、これは大変理論的におかしいので、一般競争契約というのは不誠実な建設業者を排除することが前提だと、しかし建設業者の施工能力の優劣とか誠実度に関する客観的な基準がむずかしいからだから排除できない、こう言って指名競争入札に持っていっているわけだが、今度は指名競争入札の場合は、これは施工能力の劣る建設業者や不誠実な建設業者を排除することが可能だからいいんだと。片っ方は不可能だと言って片っ方は可能だと言って、支離滅裂なあれなんだけれども、これはどう思いますか。

内海英男自由民主党建設大臣

○国務大臣(内海英男君) 読む方によってはいろいろ見方もあると思います。私どもとしても非常に解釈に苦しんでいるところもあることは事実でございます。したがいまして、その建議を踏まえまして今後どういう解釈でこういう建議がなされたのか、こういうことも含めまして建設省の部内でいろいろ検討して、条件つき一般競争入札のことも一番最後に付記してございますので、そのものも含めまして今後の契約といいますか、入札制度のあり方について広く検討いたしたいと、こう考えておるわけでございます。先生の御指摘のような面も私どもも多少感じておるわけでございまして、どういうところにどう持っていくのか、はっきりしたことがわかりにくいような感じもいたします。率直にそれは私どもも感じておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 時間がかかりますので、公取の委員長にもう一度。  あくまでも、やはりこの一般公共工事の場合、業者の指名競争入札であれ一般競争入札であれ、いわゆる話し合いでA社ならA社と決めてしまうんじゃなくて競争関係というものは守るという、その立場は維持されますか。それから、ただ、小規模の団体については例外を設けますか。この結論だけおっしゃってください。

高橋元公正取引委員会委員長

○政府委員(高橋元君) 中建審の御答申の中でも、指名競争入札の競争性を確保するという字が出てきておったというふうに記憶しております。それとまた、全体として事業者が、建設業者が関係法令を遵守するということも書いてあったように思っております。そういうことから、政府全体として、先ほど申し上げましたように実質的な競争を制限することになるような、そういう受注予定者の決定行為というものについての考え方ははっきりしておるのではないかと私は考えておるわけでございますが、そういう行為についての独禁法上の解釈については先ほど申し上げたとおりでございます。  それから、中小企業の方々が独禁法について余り御理解がなくて、そういう方々が、談合が独禁法にもあわせて触れるんだということになることでかなりいろいろ混乱をしておられるような向きもあるようでございますけれども、私どもは五十四年の八月にいわゆる事業者団体のガイドラインというものを出しまして、事業者団体が行いますたとえば助言でございますとか指導でございますとか、そういうものについて一定のルールを公表しております。それをもう少しわかりよくしたらどうかという考え方もありまして、建設業と独禁法の関係についていままでいろいろの機会に担当官を派遣して業者の方々の理解に資するようにしてきたわけでございますけれども、建設業界、特に中小建設業界で、先ほども申し上げましたように十分な御理解が得られていないという面もあるのではないかと考えておりますから、今後業界の意見や御要望を十分に聞いて、官公庁の受注に伴う情報活動等に関する独禁法上の考え方をまとめてまいりたい。これは大体夏ごろにはそういうものをまとめて、混乱を避けるようにしたいというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 公取委員長は結構です。

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 公取委員長、ありがとうございました。御退席願います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 岡山の実態など見てみましても、たとえば政治家がすべての公共工事に特定の業者の顧問というか代理人になって、そして発言をして、すべての建設業者が何人かの政治顧問——国会議員それから県会議員、市会議員などを持っておる。そしてまた、選挙のときは献金をしパーティー券を買うというような、政治家と業者との密着というか、これが随所にうかがえますが、建設大臣はこういう現象をどうお考えになりますか。

内海英男自由民主党建設大臣

○国務大臣(内海英男君) いいことではないと思っております。ただ、地元の関係とかいろいろなことで、いろいろ選挙のつながりというものも地元支援をするというような形で結びつきが出ていくという、建設業界の特殊な受注産業という立場に立ちますと、そういう因縁ができやすい環境にある業種だなという感じは従来から持っておるわけでございますが、できるだけ、そういう特定の業者との結びつきによって、いわゆる政治家の方々が介入するということはいいことではないと、こう思っております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 前の鈴木さんは、この公共工事の請負をしておる業者からは政治献金は少なくも閣僚は自粛すべきであるということをおっしゃって、指導すると言ったのですが、現内閣はどうですか。官房長官、どうですか。これはちゃんと予告しております。

後藤田正晴自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(後藤田正晴君) 鈴木前総理が言っておられることは承知しております。これは選挙法の規定では、国との請負関係があるような団体からのあれはいかぬと、これはきちんと書いてありますね。それから政治資金規正法は、たしか補助金あるいは委託費等をもらっている企業は献金をしてはいかぬと、これは禁止規定はこの二つですから、それ以外はこれはそれぞれの良識に任されておると、こう判断しなきゃいけませんね。しかし、あなたがおっしゃるように、何もこれだけじゃありませんよ。やはり物事には節度というものがあるだろうと思いますね。その節度というのは、それぞれの立場の人についての節度の基準はまた違いますね。閣僚等についてはやはり閣僚としての相当やはり厳しい節度ということにならざるを得ない。そこらを私は鈴木さんはおっしゃったのではなかろうかと、こう思います。したがって、そういう点については私は特別鈴木さんの御意見に異を唱えるものではありません。要は節度であると、こういうふうに考えます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 じゃ、当いまの中曽根内閣としては、鈴木さんのような方針を内閣として決めたわけではないわけですね。

後藤田正晴自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(後藤田正晴君) 内閣としてはこういうことを決めたということはありません。ありませんが、最初の閣議のときに、従来からこれはもう慣例的になっているのですが、閣僚たる者は顧問その他の役職はこれはやめなさいということでずっとやめておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 もう一度この公共工事の問題に戻りますが、たとえば一億円とか二億円とかいうような工事は地元の中小企業に任して、大企業に参加させないようにした方がいいんじゃないでしょうか。

内海英男自由民主党建設大臣

○国務大臣(内海英男君) 従来からそういうような指導でやってきております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ところが、ことし岡山市でいま現にやっているんですが、公共職業安定所というのを野田というところにいま建設しているんだけれども、広島地建の方ではたとえば地崎宇三郎さん、あの人のやっている地崎工業株式会社ですか、ああいう全国業者を指名業者にして、地元の人はほんのわずかに四、五人しか入れていない。だから、二億円足らずのやつが一流業者にいま落札されてやっている。実際にあなたのおっしゃるようになっていないから、もっと徹底させてほしいと、こういうことです。

永田良雄建設省計画局長

○政府委員(永田良雄君) お答えいたします。  私ども建設省では、御指摘のように、工事の規模なり性質によってその仕事にふさわしいランクの業者を選定してそれで指名をするということをやっております。都道府県あるいは市町村にもそういうことをやってほしいというふうには言っておるわけでございますが、まだ御指摘のように十分そういう点での指名の基準が合理化あるいは明確化されてない場合が間々あるんじゃなかろうかと思います。今度の中央建設業審議会の建議の中でも、そういう点については今後建設省は指名基準を明確化、合理化しなさいよと、そういう指導をしなさいと、こういう建議もございますので、従来にも増してそういう面での徹底指導をやっていきたいと、かように思っておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それから、公共工事の場合、業者が決まりますと四〇%の前渡金が渡されますね。前渡金四〇%を受け取った業者が下請には百五十日の手形で払っているというのがまだある。これは明らかに下請支払い遅延防止法に違反するんですね。これは厳重監督してください。

永田良雄建設省計画局長

○政府委員(永田良雄君) お答えいたします。  大企業ばかりじゃなくて、公共工事を請け負いますと大体四割から三割ぐらい、発注機関によって違いますが、前渡金が渡されます。下請と元請の関係に関してでございますが、前渡金をもらいながら下請には現金払わぬではないかと、こういう御指摘だと思いますが、私どもは五十三年に元請・下請指導要綱というのをつくりまして、できるだけ、たとえば労務賃なんかは現金で払ってくださいよと、あるいはできるだけ現金をたくさん払うようにしてあげてほしいということを決めておりますし、お盆とか暮れにはそういう通達を流しております。ただ基本的に言いますと、これは民間の取引の関係でございますので、私どもが一一余り強制的にそういうことをやるわけにもまいらぬという点があることは御理解いただきたいと思います。  ただ、支払い遅延防止法というのは国が直接契約をした相手との関係でございます。下請は私ども国と直接取引はやっておりません。したがって、適用の範疇ではないんじゃないかと、かように考えております。ただ、下請を保護し、指導しなきゃいかぬという先生の御趣旨は十分理解いたしておりますので、できるだけ今後とも一生懸命やってまいりたいというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 建設省の役人の法律を理解しない程度というものにはあきれ返ってしまった。つまり、業者に義務づけておるんだから、業者は払わなきゃいかぬと言ったら、それを当然監督しなきゃいかぬ。下請は自分の関与することじゃないなんて、そんな解釈ができる道理がないじゃないか。何を言っている。取り消しなさい。

永田良雄建設省計画局長

○政府委員(永田良雄君) 支払い遅延防止法というのは、国と直接契約をする相手方との話でございます。元請というのは国と直接契約をするわけでございます。下請というのは元請との契約でございますから、論理的にはそれは適用にはなりません。ただ、御指摘の趣旨はよくわかっておりますので、先ほど申しましたように、指導は今後とも十分やっていきたいというふうに考えておりますので御理解いただきたいと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大臣、いまのようなああいうばかなことを言われちゃ困るんですよ。大臣お答えください。

内海英男自由民主党建設大臣

○国務大臣(内海英男君) 元請、下請の関係におきまして局長の言ったようなことにもなるかと思いますけれども、元請が国との契約をしているわけでございますから、一たび元請に厳しく言えば、当然下にも厳しくしなきゃいかぬと、こういうことになると思います。したがいまして、先生の御趣旨のようなことを徹底するように私どもは指導いたしておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 元請は国との間で契約をしているんですよ。その元請が法律を守らない、法律上による義務を履行しないから、建設省は義務を履行させなさいと言っているんですよ。はっきりしているでしょう。こういう子供みたいなことを何回も言ってもしようがない。もう少し勉強してもらわなければ困りますな。  それから、大蔵大臣にお尋ねしますが、あなたは、臨調の答申ですね、「増税なき財政再建」というのは諸説紛々としていますけれども、これは一体どういうふうに理解していらっしゃるのか、もう大衆がわかるようにひとつはっきりと説明願いたいんですが。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 基本的にまず、今後財政改革を進めるに当たっては、まず歳出の見直しを行う必要があり、その際は安易に増税を念頭に置くということではなく、制度、施策の根本にまでさかのぼり行財政の守備範囲を見直すという見地から、徹底してこれを行ってまいると、これがこの「増税なき財政再建」というものの私は概念であると、こういうふうに思います。  そこで、この最終答申を見ますと、さらにそれを強調されまして、「増税なき財政再建」とは行政改革を推進するてこと位置づけた上で、この基本方針をてことして制度、組織の改革に踏み込んで政策の根本的な見直しを行うよう提言しております。したがって、特に私はこれを読んでみますと、普通役所でよく見かけます答申の文句にはめったに使われないように、「予算編成において、いわば糧道を断ちつつ、歳出の削減によって財政再建を図る限り、おのずから既存の制度や政策の見直しが不可避となり、そのことが本格的な行政改革の推進につながっていくと期待されるからである。」と、こういうふうに書いてありますので、まさに理念であり、てこであると、こういうふうに理解しております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いや、手法としてはあなたのおっしゃるように、確かに歳出の徹底的削減を図ることによってやれということはありますね。しかし同時に、この七ページを読んでみますと、「全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらない、ということを意味」するんだと言っていますね。そうすると、租税負担率の上昇を伴わない限りはその中でどういうふうにいじっても、税制をいじっても構わないというふうにもとれるわけですよ。そこを伺っているんです。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) これは私は理屈の上では寺田委員のおっしゃるようにも読めないことはないと思います。がしかし、ここでやっぱり考えなきゃいかぬのは、その議論をどんどん進めていきますと、されば今度は租税負担率とは何ぞやと、こういう議論になると思うんです。租税負担率というのは、御案内のとおりに、国民総生産を分母として国税、地方税を足したものを分子として出る。そうすると、これも経済の変化によって結果として出るものであって、必ずしもその前提に置いて決める性格のものであるかどうかという議論が一つあると思うんです。  そういう議論をずっと背景に置きながら精査をしてみますと、やはり私はこれはまさにてこだと。そして、事実これを考えてみますと、全体の流れの中にはやっぱり歳出削減というのがこの大要を占めておって、いわば税制に関する問題というのはわずか三点と申しましょうか、触れられておる。したがって、やはり歳出削減に取り組む、まさに糧道を断ってという、てこと理解すべきであって、したがって私はその中で、いまの段階で細かく、されば租税負担率とは幾らであるかとか、そしてその中における変化というものはそれは可能であるとかいう議論をするために出された答申というふうに受けとめるべきではないではないかという感じがしております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうすると、租税負担率というのは過去において実績がありますから、その平均値をとるにしても、また最高のところをとるにしましても、その範囲内であなたは税制をいじり得ると思っていますか、いじり得ないと思っていますか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 原則的に言えば、読んで字のごとく私はいじり得るものであるというふうにこれは思います。ただ私どもは、いま税制全般に対して別途税制調査会でいろいろ指摘されております、そこへ予見を与えるということだけは避けた方がいいと思いますが、原則的な寺田委員の読み、お読みになった認識と私どもの認識を詰めて言えば、私はいじり得るということになると思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そこで、税調の小倉会長の発言なんかを見ますと、税調と臨調との関係は果たしていかんということはわれわれ非常に興味を持つんですが、どちらも総理府の附属機関となっていますね。法令上はどちらも法律で設置されている。片方は一般的な総理府設置法という法律で設置された、片方は臨調設置法という単行法で、その違いはあっても、どちらも法律で設置された総理府の附属機関。そのどちらをあなた方は重しとするんですか、事は税制に関してですよ。税制に関する限りどちらを重しとします。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) これは私も、税制に関しての臨調の考え方と政府税調の考え方というものをいろいろ読んでみますと、大筋においてはやっぱり大体同じようなことが書かれております。  そこで寺田委員は、どっちを重んずるかと、こう言われますと、それはなかなかむずかしい問題でございますけれども、税制そのものの仕組みをつくるということになりますと、これはやっぱり税制調査会というものが今日までいわゆる幅広い立場に立っていろいろな御答申をなすって、それに基づいて国会へ、租税法定主義のたてまえから国会へ提案をして今日まで成案を得ているわけですから、税制をいじるということを前提に置いた場合、税制調査会の答申というものがいわゆる現実性があるというふうに理解をすべきではないかなと、こう思います、税制だけに限って申しますと。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 行管庁長官、いかがでしょうか。

齋藤邦吉自由民主党行政管理庁長官

○国務大臣(齋藤邦吉君) どちらがというふうなことではなくて、税制に関する限りは税調というものが専門的な調査機関であると、それは私は十分理解をしております。臨調の方の答申というのは行政全般について触れている問題であると。そういうわけで、それぞれ、趣旨なり任務なりというものは異なっておると、私はそう思います。

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 和田君の関連質疑を許します。和田君。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 行管庁長官に質問しますが、私もせんだってから、この大型間接税で御答弁をずっと願ってきたんですが、臨調答申ずいぶん読んでみたのですが、どうも私の頭が悪いのか、混乱しているのです。私は、臨調答申そのものが混乱していると思っているんですが。  答申は七ページで「「増税なき財政再建」の基本方針を引き続き堅持し、」というふうに言っているわけですね。そうすると、この場合の「増税なき」とは、臨調論議のいきさつからして、大型間接税が想定されている、行管庁、そうですかね。

齋藤邦吉自由民主党行政管理庁長官

○国務大臣(齋藤邦吉君) 臨調答申、の「増税なき財政再建」と、これをてことして行政改革をおやりなさいということを言っておるわけでございまして、一般消費税などというものを考えていないと私は理解をいたしております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 そうすると、大蔵大臣もう一遍、ここの答弁お願いします。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) これはいま行管長官から申されたとおりでありまして、これで臨調というものも私は十分、これの御審議をいただくに当たりましては、国会決議でございますとか国会における問答でございますとか、そういうものを当然基本的な認識の上に立って議論をなすっておると私は思います。そして、答申を出すという大きな目的を達成して解散をされた。  だから、具体的な税の詰めの問題になりますと、それは税調はこれは当然のこととして存在するわけでありますが、やはり基本的に政府の今日までとってきた施策または国会決議というようなものは、臨調答申の際、その底意に存在しておったというふうに理解すれば、いわゆる一般消費税(仮称)というようなものは念頭の外に置いておのずと議論されたものであるというふうに理解しております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 そうすると、大蔵大臣はその税はやらないと、こういうふうに言われるわけですか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) いわゆる一般消費税(仮称)ということになりますと、これはやっぱり国会決議というものが厳然と存在しておりますね。したがって、これは財政再建なりあるいはもっと広範な竹政改革にその手法をとるということは念頭に置くべきものでないと、こう考えます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 そういうことを前提にして十二ページを今度読んでみますと、直間比率の改定を検討するというわけですね。ここで私は大変な混乱があるような感じがするんです。そうすると、いま、いじり得ると答弁されたことと、ここの関係はどうなりますか。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 直間比率の問題というのは、これは五十五年十一月の税調の答申からもずっと何度か出されておる。そして今度もこれが指摘されております。厳密に言えば、税体系の見直しと言っていただいた方がよかったなという気はいたします。なぜなれば、直間比率はこれもまた結果として出るものでありますだけに、税体系の見直しという表現がよかったかな——非礼でございますので、そういう論評も差し控えるべきであると思いますが、言葉とすればその方がよかったかなというふうに思っております。したがって、税体系の見直しというのは、これは絶えずやっていかなきゃいかぬ問題でございますから、税体系の見直しは否定されておるとはもとより思いません。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 行管庁長官、どうしても私はこの答申の論理というのは矛盾をしていると思うのです、七ページと十二ページの関係というのは、どう見ても。したがって、この答申を読むだけでは私たちには理解できない。よって、ぜひ臨調討議の全過程を明らかにするために、どうでしょう、議事録を公開しませんか。

齋藤邦吉自由民主党行政管理庁長官

○国務大臣(齋藤邦吉君) 臨調はもうすでに解散になったわけでございますが、    〔委員長退席、理事嶋崎均君着席〕 議事録につきましては、当初、臨調を開きますときに、臨調の委員の方々、あるいは部会の方々の意見は非公開にいたしますと、こういう原則を打ち立てて自由濶達な意見をお願いしたい、こういうことにいたしたわけでございますので、これを公開することは適当ではないと、こういうふうに考えておるわけでございます。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 自由濶達に論議をされた結果、一つの文章はできた、文章はできたけれども、その過程の論議を見てみなければ文章は読み切れない、こういうふうに国会審議になってくれば、これは公開されてしかるべきだ。したがって委員長、理事会でこれは協議してください。

齋藤邦吉自由民主党行政管理庁長官

○国務大臣(齋藤邦吉君) さらに公開したらどうかという御意見でございますが、先ほども申し上げましたように、自由濶達な意見の結果、ここに一つの答申がりっぱにでき上がったわけでございますので、公開ということは私はやっぱり適当ではないんじゃないか、こういうふうに考えております。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 大臣の考え方はわかりました。しかし、私の方は引き続き理事会で協議をすることを求めます。

嶋崎均自由民主党

○理事(嶋崎均君) それでは理事会で協議いたします。

和田静夫日本社会党

○和田静夫君 郵政大臣、昨日私は決算委員会で郵貯の問題について、長時間議論をさせていただきました。大臣は、郵貯問題に対する臨調答申は大変御不満だということが明らかになりました。これは一言だけ確認をしたいんですが、預金者保護の観点がきわめて希薄である、そういうぐあいに受けとめておいてよろしいでしょうか。

桧垣徳太郎自由民主党郵政大臣

○国務大臣(桧垣徳太郎君) 郵便貯金制度は、私から申し上げるまでもなく、簡易、確実な少額預金を国の責任において保証をしていくという制度でございますから、本質的に預金者保護、預金者の利益擁護という点が私は伴っておると思うわけでございます。臨調の答申につきまして、拝読をいたした——まだもっと勉強しなきゃいけないと思うんでありますが、一読をいたしました印象から言いますと、預金者保護について言及されておるところが余り大きくないという点について、昨日も申し上げましたように、郵政大臣としては素直に納得できるという心境にありませんということを申し上げたわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大蔵大臣にお尋ねします。あなたは小倉税調会長が所得税減税に関して、五十八年度については否定的な発言をしていますね。それから、税調の昨年の十二月の税制改正に関する答申中にも、五十八年度は所得税の見直しを行うことは見合わせざるを得ないとの意見が大勢を占めたという答申になっていますね。しかし、あなた方がやはり五十八年度に減税を行うということは総理を初め、あなた方のいわば公約のようなものですが、それはやはり税調会長や税調の答申にかかわらず、その公約はお守りになるということでしょうね。

竹下登自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(竹下登君) 税制調査会というのは、広く国税、地方税にわたってのあり方について審議していただく、いわば常置の審議会でございます。そこで、これは例年御案内のように予算編成の下敷きとでも申しましょうか、御答申をいただいておるわけです。その御答申にはいま寺田先生おっしゃったように、まさに今年度は見送らざるを得ないという意見が多かったと、五十九年度以降かくかくしかじかの点において、俗にわれわれが減税と呼んでおるような問題について検討すべきであると、こういう御答申をいただいたわけです。その答申に基づいて、最善、最良と認識して、いま御審議をいただいておる。そこで、この審議の過程において、いわば天下の公党とでも申しましょうか、与野党の合意というものにおいて、議長見解の裏づけにおいてこういうものが出てきたということになりますと、これは当然尊重していかなきゃならぬ課題でございます。そうすると、税制に対してはやっぱり国権の最高機関たる国会においてこういう御論議がございましたということを正確に御報告申し上げて、そしてその上で、新たにという表現を使うべきかどうかは私もいささかちゅうちょします。継続して全体の税制を審議していただく調査会でございますから、が、そこでこの論議を踏まえた上で、そういう環境を整えて、税調で当然のこととして御審議をいただくということでございますので、もうすでに五十八年度の予算編成に間に合うような一つの答申は出したからもう審議してやらぬと、こうおっしゃるようなことはないというふうに理解しております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 年防の問題ですが、官房長官ね、あなた新聞紙上で、先般の黒柳氏の示した写真等あるいはその御質問などに関連して、あの資料は本物だろうということを記者会見でおっしゃっていますね。これは事実なんでしょうか。

後藤田正晴自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(後藤田正晴君) 当時の記者会見は、当委員会でしたか、衆議院の委員会——当委員会でしたね、黒柳さんのあれですから。その質疑応答を聞いた上で記者会見をやったわけでございますが、その席上申し上げたのは——いまあなたがおっしゃったのは、何とおっしゃいましたかね。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 資料は本物だろうと……

後藤田正晴自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(後藤田正晴君) いや、本物だろうではないんです、それは。そう言っているのではありませんね。本物だろうではない、本物らしいと、こう言ったのでございます。その点ひとつお間違いのないように。というのは調査をしておりませんから。そこで、これまた断定をするということは容易ならざることでございまするので、そこらは十分心得た上でお答えを発表したつもりでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 まあ本物らしいということになると、本物だろうというのと大分違う。これは新聞の書き間違えか、あなたの言うことが本当か、これは将来のことにするけれども、ただあなたのおっしゃった、これは機密漏洩の問題が問題だというようなことをおっしゃったようなんだけれども、私としてはもっと、たとえばシビリアンコントロールが効いてないじゃないかとか、あるいは憲法の表現の自由、集会結社の自由、議会制民主主義を守る、またそれを実施しておる政党の存在を脅かすようなことに対して、あなたが危惧感を表明するというようなことであってほしかったと思うのだけれども、どうですか。

後藤田正晴自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(後藤田正晴君) 私もやはり現在の自衛隊ですね、シビリアンコントロール、これは非常に私は重要なことだと心得ております。しかもそれが一部に言われているように、制服に対する私服の優位なんという誤ったシビリアンコントロールではありません。そうではなくして、ああいった武装部隊に対するやはり政治の優先という意味においてのシビリアンコントロール、これはきわめて重要だということは百も承知の上で私は発言をいたしておるのでございます。ただ、あのときの質疑応答の中ですでに、根っこの計画ですね、統幕会議ですか、それから各幕の根っこの計画というものについては防衛庁長官の承認を受けてやっておる、勝手にやっておるのじゃないんだということをもう当時私は質疑応答の中から承知をして新聞記者会見に臨んでおりますから、そういう点については当然シビリアンコントロールは十分効いているはずだという私自身の判断であったわけでございます。したがって、そういった点については自衛隊としても十分部隊に対する指導はやっておるはずであると。  さてその上で、ああいった年防といえば、これはきわめて私は重要な資料だと思いますね。それが仮にも漏れておったということが調査の結果事実であるとするならば、これはまた別の意味においてきわめて重要ではないのかと、私自身そう思います。そういう両面にらんだ上で私は新聞記者会見に臨んだつもりでございます。やはりああいった、いわばこれは私は極秘なんというものじゃなしに機密の資料であろうと思いますね、年防ということになれば、年次の防衛計画というのは。それが仮に本物であったと仮定するならば、これはやっぱり自衛隊の体質をよほど見なければならぬ、こういう私自身の考え方でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 自衛隊が出動するというのは治安出動の場合をこの場合は意味していると思うけれども、それは警察で抑え切れない場合に出動するんですよ。そうでしょう。だから、治安出動というのは、警察力をもって制圧できない場合に自衛隊が出動するというたてまえをとっておる。これはあなたも御存じだと思うんです。そうだとなると、一体警察力をもってしても抑え切れないような合法政党なんというものがあるとお考えになること自体がおかしいんじゃないでしょうか。その点をあなたは問題になさらぬから私は質問している。

後藤田正晴自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(後藤田正晴君) いや、もちろん、あれが事実であるとすればこれは私はいささか常識を外れておると思いますね。そういうようなものが年防の中にあるとは私は考えていないんです。しかし、これは調査をしてみなければわからぬというのが実態だと私は思いますね。だから、その点については私だってそれは合法政党が——破防法適用団体は別ですよ。破防法適用団体というのはちょっと語弊がありますね。破防法を適用せられるかもしれないような団体ということであるならば、これは私はあたりまえだと思いますけれどもね。しかし、そうでない合法政党であるならば、私そんなのがあると思いません。載っているとは思わない。思わないが、載っておると仮定するならば、これは大変非常識きわまるといいますか、問題にならない私は計画であると思いますね。  なお、いまの御質問の治安出動の話は、これは当然、あれは自衛隊法ですかね警察法でしたか忘れましたけれども、書いてありますな。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 自衛隊法です。

後藤田正晴自由民主党内閣官房長官

○国務大臣(後藤田正晴君) 自衛隊法でしたかね。これはやっぱり自衛隊というものは直接侵略に対応するのが本来的な任務ですよ。しかしながら、どこの国だって同じように、武装部隊というものが国民に銃を向けるということは私は実際は考えられないし、考えてはいけないことだと思うけれども、やっぱり治安の維持ということについてああいう武装部隊が時によっては出なきゃならぬということもこれまた事実。しかしその場合にも、今日の自衛隊法というものは、国民に対して直接実力を行使するというのはこれは警察が正面に当たる。警察の支援後拠としての——これは古い言葉ですよ、支援後拠というのは。支援後拠としての役割りを防衛庁が担当する。つまりは警察力が不足をした場合の重要な、何といいますか、警備対象とかいろいろなようなものの防護に当たる。つまり、国民に対して自衛藤が直接攻撃なんということは考えていないんだと。やはり襲撃をせられた場合に防ぐということ以外は自衛隊は考えていない。  こういったことについては、すでに昭和二十九年以来警察庁の長官と防衛庁長官との間にそういった覚書といいますか、協定もきちんとして守られておる。したがって、自衛隊というものはあくまでも守るのであって、国民を相手にこれに対して攻撃するなんということは絶対考えていないということはひとつ御理解をしておいていただきたいと、こう思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 防衛庁長官、いかがですか。

谷川和穗自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(谷川和穗君) 治安出動に関連をした御答弁を申し上げさせていただく前に、当委員会で黒柳委員から御指摘がございまして以来もうすでに二週間経過をいたしておりますが、私どもといたしましていま鋭意この件につきまして調査中で、調査も大分完了の方へ近づきつつあるところまできてはおると思います。しかし、いま少しまだ時間がいただきたいところもございますので、私は万々この年防の中に政党を対象とするような何らかの問題が含まれているということはとても信じられないのでございますが、調査につきましてはもう少し時間をいただきたいと思っておりますので、年防に関しての発言は本日この場では御容赦をいただきたいと存じます。  なお、治安出動に関連をいたしてでございますが、治安出動は命令による出動と、それから要請による出動と二つございますけれども、先ほど来御指摘のございますような、これはもう自衛隊法でもはっきり確立もいたしておりますが、さらに実際に治安出動をいたすときに防衛庁長官と国家公安委員長の間ですでに覚書がございまして、あくまでも警察力をもってしてなかなかおさまりがつかないような状態があったときに、総理大臣が判断をしたときに治安出動命令が下るわけでございますが、その下ったときの行動といたしましても、第一次的にはあくまで警察力によるということになっておるわけでございます。このことにつきましてはむしろ警察サイドから御答弁をいただいておいた方が確実かもしれませんが、あくまでも自衛隊の出動というのは、治安出動に関する限り、警察の手に余ったときに出動はいたしますけれども、第一次的にはあくまで警察力が国内の治安の維持に当たるという形になっておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 警察当局はいかがでしょう。

山本幸雄自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○国務大臣(山本幸雄君) 官房長官が非常に経験豊かなものですから、すっかり御答弁をしていただいたような形でございますが、何せ国内の治安維持についてはやはり第一次的には警察は全責任を持つ、そういう心構えと準備を常にしていなければならないと思うんです。したがいまして、自衛隊の治安出動については自衛隊法で法的には一応書いてある、だからそういう事態も予想をしているということもございますが、しかし今日のこの民主主義の平和な日本の現状でそういうことは私はいまの状態では起こるはずがない、こう思うのでございまして、警察は全力を傾けて治安維持をひとつやりますと、こういう心構えでおるわけでございます。  ただいまの御答弁で、防衛庁長官と国家公安委員会との間には確かに協定はございます。協定はございますから、その協定をもとにして両方が行動をするというたてまえはできておることはできておるわけでございます。今日の状態で、治安維持につきましては警察にひとつお任せ願って警察を信頼していただきたい、こういう気持ちでやっておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 すでに、警察庁の方には報告が入っておることと思いますが、今月の十八日十八時、岡山市の公園で労働者の諸君が春闘勝利の決起集会を開いておりましたときに、右翼団体のダンプカー、これが乱入をいたしまして、逃げる婦人、子供なども合わせて、労働組合員などを追い回して暴虐の限りを尽くした。ここに写真がありますけれども、公園のさく、コンクリートのさく、柱、それから立木などというものをなぎ倒しているというふうな、こういう右翼の暴状に対して、もう少し警察がしっかりと取り締まってくれなきゃ困ると私どもは考えるのですが、いかがでしょうか。

山田英雄警察庁警備局長

○政府委員(山田英雄君) お答えいたします。  御指摘の事案は、三月十八日の、岡山市内の右翼団体朋友同志会という団体などが、岡山県労評の青年協が主催しております八三年国民春闘勝利のための集会、これが、お尋ねにもありましたように、岡山市内の下石井公園において開催されようとしておった際に、時間的には、集会開始が午後六時十分だったようでございますが、六時前からその公園の東側の道路上に三台の街宣車両で参りまして、集会批判の宣伝を行っておったようでございます。六時五分ごろになりまして、会長の末藤という者が運転します大型ダンプカーを改造した街頭宣伝車が突如急発進して、公園のさくを乗り越えて、あと一・三メートルぐらいの高さ、植木三本ぐらいを押し倒して、労組員の方が集会しておる公園内に、時速約五キロメートルぐらいで、三十一メートル程度進入したという悪質なケースでございます。労組員の方との接触はなかったわけですが、これから逃げようということで駆け出した労組員の方一人が転倒して、全治十日間の擦過傷を負ったという事案でございます。  当日も、昨今の情勢がございますので、右翼のそうした違法行為に対処するために岡山県警察としては所要の警備態勢をとりまして、会場周辺にも私服警察官を配置して警戒に当たっておりました。そうしたときに右翼の街宣車が到着していろいろ宣伝活動を開始した。現場の警戒員としては、これを早急に退去させるように再三警告を繰り返しておったわけでございます。ところが、集会の方から右翼帰れ帰れというようなシュプレヒコールもございまして、それに反発したため、突然、先ほど申し上げましたような考えられない、さくのところから植木をなぎ倒して公園内に入るという暴走をしたわけでございます。  現場の警戒しておりました警察官によって直ちに、暴行及び器物の毀棄現行犯で運転手を逮捕し、その宣伝車も差し押さえ、署に連行したわけでございます。傷害の事実というものが捜査過程で明らかになりましたから、ただいまは傷害、暴行、器物毀棄の罪名で身柄つき送検いたしまして、厳重に取り調べておるところでございます。  ちなみに、右翼に甘いのではないかという御趣旨からのお尋ねかと思いますので、右翼の取り締まりの現状を申し上げますと、昨年一年間で四百五十九件、六百八十三人の右翼関係者を検挙いたしております。これは戦後最高の検挙件数、検挙人員でありまして、ことしの二月までにすでに六十八件、八十一人検挙いたしまして、厳正な取り締まりを行っているわけでございます。  右翼に限らず、社会運動に伴う違法行為というものは厳正に取り締まることを平生から基本方針としております。今後ともそうした方針にのっとって適確な規制、検挙を行ってまいりたいと考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 警察庁長官においでをいただいておるので、この際警察庁長官にお尋ねをしたいんですが、大阪に端を発しましたゲーム機の問題等から、現職の警察官あるいはOBの警察官などの在職中の行為で大分涜職事犯が起きましたね。それから業者との癒着が指摘されておる。それが今度は兵庫県下にも及んだということで、警察の威信を失墜することおびただしいものがありましたときに、また何か調書を偽造したというような問題さえも起きてきた。これは警察官の職務上のモラルというものの低下を物語るものでありますが、これは警察庁長官、よほどこういう警察官の綱紀というものの粛正にあなたがやはりあなたの職務の中で最も大事なものとしてこれをやっていっていただかなきゃ困る。  それからいま右翼の暴状のことを言ったけれども、この間日教組の問題でもあなたにおいでいただいて右翼の取り締まりを厳しくやってくれということをあなたに要請したんだけれども、いま警備局長から御報告があったように依然として右翼の暴状が後を絶たない。綱紀粛正、右翼の暴状、この二つについて、あなたの所感なり決意をお伺いしたいんです。

三井脩警察庁長官

○政府委員(三井脩君) いま御指摘いただきました大阪及び最近兵庫における警察官の非行事案につきましては、御存じのように厳しくこれを処断し、そしてまた今後この種事案が起こらないように対策を構じておるところでございます。何といいましてもわが国の治安は国民の警察に対する信頼と支援というものが基礎でございまして、警察に対する信頼のまた基盤は、警察官が正しく仕事をしておるというところにあると思うわけでございますので、今回の事案につきましては、兵庫の問題は目下調査し、これから処分すべきものはするということでございますが、大阪の事案についてはすでに処分をしたところでございます。この両府県のことに限らずこの種問題についてはわれわれとしては真剣にこれを受けとめまして、ただいま申し上げたような観点から対策を構じておりますが、何といいましても警察官自身がしっかり職責を自覚することが大事でございますので、これは平素からの絶えざる警察官の教養の問題でございます。そしてまたこれを指導する上司がしっかりした指導監督を行うということでありますし、それでもなおかつ非行に走るという者につきましては、いわゆる信賞必罰、必罰でもって措置をしていくと、こういうようなことであろうかと思うわけでございます。先般そういう趣旨を含んだ通達を出しまして、それの徹底を図っておるところでございます。  二つ目の右翼の違法行為に対する取り締まりの問題につきましては、ひとり右翼に限らないわけでございますけれども、法律を無視して違法な行為を行う者については、われわれとしては違法行為を看過しないという姿勢でこれに臨んでおるところでございまして、いま御指摘の右翼の問題につきましては、警備局長からも御答弁申し上げましたように、鋭意取り締まりに努めておるところでございまして、その結果として、さっき申し上げたような数で、ここ数年毎年戦後最高の数字を更新するというような結果になっておるわけでございますが、つまりそのようにわれわれとしては取り締まりに力を入れておると、こういうことであろうかと思います。それでもなおかつ起こってくる事案に対しましては、先ほど申しましたような違法行為を看過しないという意味で確固とした姿勢で対処するということでまいりたいと考えておるところでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 あなたのおっしゃることはよくわかるけれども、あれだけの、何というか、不始末が部下にあったんだから、やはり遺憾の意の表明ぐらいあってもいいんじゃないかな、警察の長として。  それから、あらゆる違法行為を取り締まるということは、あなた方の御職務であることはよくわかるけれども、なかんずくいまああいう乱暴なことをやるのは右翼なんですよ。街頭でわあわあどなり立てて静ひつを害することはなはだしい。そういう現実があるから、特に右翼については厳重に取り締まっていただきたいと、こう言うんですから、一般的な問題にすりかえられちゃ困るんです。私のいまお願いしているのは右翼なんだから。いかがです。

三井脩警察庁長官

○政府委員(三井脩君) 第一の警察官の非行の問題につきましては、まことに申しわけないと、遺憾であるということをいままでも繰り返し申し上げておりますので、今回もそれを前提としてただいま申し上げたわけでございます。  右翼取り締まりの問題につきましては、右翼の違法行為で目立つのはいま御指摘ありましたように街頭での騒音による迷惑行為ということが特に目立つと思います。その他にもいろいろございますけれども、この右翼の問題につきましては、いま申し上げましたように、われわれとしてはあらゆる方法を駆使いたしまして、活用いたしまして対処しておるところでございます。その中で一番われわれが困るといいますか、あるいは取り締まりの効果が上げ得られない問題が騒音でございます。右翼騒音取り締まり法と、端的に言えば、その種のものがあればいいわけですけれども、騒音一般を取り締まるといいますか、規制するという法律はございますが、それもああいうような街頭宣伝行為を対象としておらない、原則として施設を設けて放送するというものの騒音を取り締まるというのが原則になっておりますので、街頭で走りながら行動しながら取り締まるということについては、いま右翼が一番多いわけでございますが、なかなか手段、方法に苦心をするわけでございます。したがいまして、わりあいに目にとまるところであろうかと思いますけれども、警察官が出動車によって街頭にいわば常駐をいたしまして右翼を見つけては近づけない、あるいは現場で規制をする、説得をする、こういうような苦心をしておるわけでございまして、検挙そのものは軽犯罪法でできる限りのことをしておりますけれども、これによっては必ずしも十分の効果を上げておらない。しかし、われわれの手の及ぶ限りにおいてはやっておると、こういうようなことでございますので、目に余る右翼について取り締まりの手が抜けておるとか、あるいは不十分であるというようなことは私は全くない、警察官としては最大限の努力をしておると、こういうふうに信じておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 警察庁長官、それじゃ結構ですから、どうも御苦労さま。  警備局長に引き続きあれをするけれども、先ほどの右翼の自動車の問題、これは一たんあなた方が運転手を引きずりおろして検挙なさった後に、助手もまたその自動車を運転したというんだけれども、助手を逮捕することはできなかったんだろうか。その点いかがでしょうか。

山田英雄警察庁警備局長

○政府委員(山田英雄君) 当時おりました助手につきましては署に同行いたしまして、現在も共謀の事実の有無等について鋭意捜査中でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それからまた、最近、警視総監公舎爆破未遂事件について、この間警備局長に法務委員会に来ていただいて、もう少し捜査の方法を考えてもらわなきゃ困るじゃないかということで質問したんだけれども、また土田邸の問題で無罪が出て、ここでもまた自白調書の信用性が全面的に否定されて、誘導の跡が歴然としているというような判決が下されたので、またもう一度その問題を蒸し返さざるを得ないんだけれども、警備局長、これはよほどあなた方お仕事熱心でやることはわかるけれども、冷静に科学的に捜査をなさるように要望したいのだけれども、どうでしょうか。

山田英雄警察庁警備局長

○政府委員(山田英雄君) 土田邸の爆弾事件の判決でございますが、これはただいま検察当局におきましても控訴をめぐりまして鋭意検討されておると伺っておりますので、警察といたしましてもその判決内容を十分に検討し、勉強してまいりたいと思っております。  それで重なって無罪判決が出たという御指摘でございますが、法務委員会におきましても御答弁申し上げましたけれども、やはりわれわれとしては確信のある捜査を遂げて送検し、起訴に至っているケースでございます。当時の爆弾情勢を繰り返して申し上げるわけではございませんが、四十六年、四十七年、この総監公舎爆弾事件及び土田邸爆弾事件が敢行されました前後の年には、二年間で八十三件に及ぶ爆弾事件が続発しておったわけであります。市民の不安感も高まっておって、当時警察としては爆弾事件の捜査というのは大変むずかしいわけでございまして、世界各国において事後犯人を検挙しているというケースはほとんどない。そういう中を懸命の捜査を続けて四十六件検挙いたしまして、現在までに三十九件の有罪判決が出ておるわけでございます。そういう意味で、この両方の二つの事件につきましても、警察としては一線の捜査官の血のにじむような努力で、確信を持って送検し、検察庁においても起訴しているわけでございまして、総監公舎爆破事件につきましては、われわれさらに上級審の判断を仰いでいただきたいという気持ちでいっぱいであったわけです。しかし、これは検察当局が検察の判断で控訴を断念したわけで、やむを得ないことと思っておりますけれども、あえて申し上げれば、総監公舎爆弾事件については、共犯の一人についてすでに昭和四十七年の四月五日に東京地裁刑事第三部で有罪の判決が出ておって、いま控訴審係属中でございますが、そういう意味で、裁判官の心証形成過程にもいろいろな事柄があろうかと思っております。しかし前にも御答弁申し上げましたように、無罪判決が確定しました以上、御指摘の点を含めまして判決内容を十分に研究いたしまして、将来の捜査に資すべき点を、第一線の現場に対するわれわれの捜査指導に今後十分生かしてまいりたいと、かように存じておる次第でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これまた反省してもらわなきゃ困るんで、確信はあったのかもしれませんが、裁判所は最終の国家的判断をするところだから、裁判所が判断したことは、あなた方はやっぱり国家的判断として受けとめてくれないと困るんです。これは法務大臣、国家公安委員長、いかがです。

山本幸雄自由民主党自治大臣・国家公安委員長

○国務大臣(山本幸雄君) いま局長から御答弁申し上げたように、あの当時は大変な連続爆弾事件があったと、それはもう血のにじむような私は係官は努力をしたと思うんです。先ほどは世界にも類がないといった御答弁も出ましたが、そういう中で必死になって私はやったことだと思います。私どもはいまの局長の言うように、あれたけ懸命にやった捜査であるからやはり確信を持って検察庁に送ったものであろうと思うんです。そういう意味では、判決はただいまおっしゃるように判決として私どもも受けとめていかなければならぬという気持ちはおっしゃるとおりでございますが、ただあれだけ捜査としては控訴の維持ができるようにやったつもりだということだけの気持ちはまだ係官の者の心の中には残っているのかなと、こういう私は感じでおります。しかし、仰せのように判決は判決として受けとめていかなければならぬということには異存はないのであります。

秦野章自由民主党法務大臣

○国務大臣(秦野章君) この間もお答えしたのですけれども、ともかくああいう判決が出たと、ともかくも。私はよく資料検討して、検察捜査の過程の中で今後に生かすべきものがあれば十分生かさにゃならぬと、こう考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 この自動車ですが、運輸大臣おいでいただいているんですが、右翼のこの件なんかは、これはダンプ車ですよ。それが鋼鉄を張りめぐらしたようなものを宣伝車にしておるんですが、こういうものはあなた方の自動車の整備その他運行等を総括なさるお立場から何とかこれを規制できないもんでしょうか。

長谷川峻自由民主党運輸大臣

○国務大臣(長谷川峻君) お答えいたします。  自動車というものは、道路運送車両法によって検査をして市中でお互いが使っているわけであります。その場合に、それに違法なものは受け付けておりませんけれども、その基準というものがやっぱり長さとか幅とかそういうものがあるわけでありまして、そういうものに合格している場合には認めざるを得ない。  なお、政府委員が来ておりますから、詳細はお答えさせます。

丹羽一夫運輸省自動車局整備部長

○政府委員(丹羽一夫君) お答えいたします。  道路運送車両法によりまして正規の手続を経たものでなければ運行の用に供してはならないと、大臣申し上げたとおりでございますが、この当該車と思われる車を調べてみますと、最初はダンプカーとして使用されていたものが、五十六年に構造変更と申しまして、改造の手続はなされております。ダンプカーから広報車、いわゆる街頭宣伝車というような形で改造申請がございますので、ダンプカーと併用というわけにはまいりません。マイクをつけるとかいうことがございますので、積載量をゼロにするというようなことで土砂を積めないようにという、そういう理由でふたをしたというような形になって申請されておりまして、したがって、ダンプの荷台というものがカバーがかぶって荷物の載らないような形になってまいりますと、一般の窓のないバスのような形になってまいります。前後左右にスピーカーがついているということでございますので、著しい突起が外へ出ているとか異常な形状というような技術的な安全上の判断からまいりますと、異質なものというふうなことで現行法ではちょっと排除できないというようなことで、いわゆる宣伝カーとしてのマイクをつけてそれで積載量はないというような車として検査をして、それまでトラックの場合は一ナンバーでございますが、特殊車として八のナンバーを付与したというように承知しております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 じゃ、この場合どうしようもないんですか。

丹羽一夫運輸省自動車局整備部長

○政府委員(丹羽一夫君) 現状は、道路運送車両法によりますと、結局安全上また公害防止上の技術的な基準というようなものに適合するというような判断でやっておりますので、法体系がそういう法体系になっておりますので、威圧感とか異常な何かを持つものというようなものの差別は現行法上は困難かというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 警備局長にお尋ねするけれども、これは鋼鉄の車で人を追い回すなんというのは凶器と見ていいんじゃないですか、そしてこれは犯行の用に供したものとして没収の対象にしていいんじゃないかと思うんだけれども、この点検討していただけませんか。

山田英雄警察庁警備局長

○政府委員(山田英雄君) 法律上の凶器と見るかどうかについては問題があろうかと思いますが、ああいう悪質な犯行に供した物件であることは間違いございません。そういう観点から証拠物件として警察としてはただいま押収いたしておりますが、この後の刑事手続におきまして御指摘の没収ということができるかどうか、私いま確たる判断を持ち合わせておりませんが、そういう手続で押収はいたしております。  それから、お尋ねの改造したことが違反かどうかということについても警察の立場で十分捜査いたしました。運輸御当局に照会しました結果、所要の手続を経て街頭宣伝車に改造しておる、法律違反はその限りではなかったということでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いまアメリカのビーフとシットラスフルーツ、柑橘類ですか、柑橘類に対する貿易自由化の要求というのは非常に熾烈なものがあるようですが、これは農水大臣としてはどこまでも日本の農業を守るという立場でアメリカの要求は最後までがんばって拒否なさる御決意はあるでしょうか。

金子岩三自由民主党

○国務大臣(金子岩三君) ただいまのお尋ねですが、私は就任以来、柑橘だけでなくして牛肉も含めまして、いわゆる日本の中核をなす農家ですから、この農村に大きな打撃を与えるようなことはまかりならない。したがって当然柑橘、牛肉の輸入の自由化はこれは永遠に必要ない。でき過ぎて柑橘も減反しておるわけなんですから、二割減反してでもやはり生産過剰で値段は思うように日本の柑橘も値段が出ない、牛肉においても年々生産が伸びまして、消費も伸びておりますけれども、これ以上の輸入の枠もふやす必要はない、したがって当然農産物のこの二品目については私は自由化の必要はない、こういうことを考えて、終始一貫その主張を続けてまいっております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これからもですか。

金子岩三自由民主党

○国務大臣(金子岩三君) はい。これからもです。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 外務大臣にお尋ねしますが、これは一月十九日のワシントン・ポストで、これはドン・オーバー・ドーファー、まあオーベル・ドーファーと言う人もありますが、こういう記者が書いておる中に、中曽根さんがこの春と夏の選挙があるからいまこの時点では牛肉と柑橘類の自由化の問題についてはコミットできないということを言ったと書いてあるんです。ですから、私は外務大臣も、統一地方選や参議院選挙などを意識していまは言えないというようなことをアメリカで総理がおっしゃったということがワシントン・ポストという権威のある新聞にも出ているというこの事実を見ますと、選挙後はどうなんだということを疑惑を持たざるを得ないんですが、あなたは選挙後も、やはりビーフとシットラスフルーツですか、この問題についてはいままでどおりアメリカの自由化の要求は拒否なさる御決意はございますか。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 新聞にはどう出ているか知りませんが、中曽根総理も、首脳会談におきましてもいわゆるビーフとかオレンジの自由化はもう日本としてはできません、こういうことをはっきり言っておるわけであります。  私も、これまで日本は自由化を進めておりますが、やはりできることとできないことがある。農産物についてもずいぶんこれまでも自由化は進めてまいりました。しかし、いまの農村の実態から、農林大臣のお話のように、ビーフとオレンジについては自由化はこれはできないことですということを言い続けてきておるわけでございまして、私は、いまの日本の実態から見れば農林大臣のおっしゃるとおりであろう、こういうふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 委員長、運輸大臣と農水大臣、国家公安委員長、建設大臣、いずれももう、理事会の御承認を得れば、私は結構ですから。  有事における海上交通の安全確保と外国船舶についての政府統一見解というのが、その自衛権を行使し得る範囲については明確でないですね。これは防衛庁長官、どういうことなんでしょうか。

夏目晴雄防衛庁防衛局長

○政府委員(夏目晴雄君) これまでもたびたび申し上げておりますが、自衛権行使の範囲というのは、必ずしもわが国の領土領域にとどまることなく、自衛の範囲に必要であれば公海公空にも及び得る、そしてその範囲というのは具体的にどうかというのは、そのときの事態によって変わるものであって、一概にどこまでということを明確に申し上げることはむずかしいのではないかというふうに申し上げております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 だけれども、どの辺まで及ぶかというぎりぎりの最長のところぐらいはあなた言うてもらわないと、無限にというわけでも困るのです。

夏目晴雄防衛庁防衛局長

○政府委員(夏目晴雄君) むしろ法制局長官の方が正確で精緻なお話を申し上げるのが可能だと思いますが、どこまでということをはっきり申し上げるのはなかなかむずかしいと思いますが、自衛の範囲ということでやはりそれにはおのずからの限度があろう。それから一方、わが海上自衛隊の防衛力整備というのは、これも再三申し上げているとおり、周辺数百マイル、航路帯を設ける場合には千マイル程度をめどとして防衛力の整備を進めているというふうなことから、能力的にもおのずから限界があるだろうというふうに認識しております。ただ、これを何マイルまでというふうなことを明確に申し上げるのはなかなかむずかしいのじゃないかというふうに考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いま千マイルという一つの基準が示されたけれども、これは結局防衛庁としては、千マイルというのは憲法が許容する個別的自衛権の範囲だと考えているわけですか。

谷川和穗自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(谷川和穗君) 憲法とかあるいは法律がどうのというんじゃなくて、ただいま政府委員から御答弁申し上げましたのは、能力からいって実は千マイル——航路帯を設けたときの話でございますが、程度を防衛力整備の対象として考えておるものですから、それを超えての防衛的な行為が憲法上できないという意味のことじゃございませんのですが、能力的にそれを超えた先のわが国の防衛までなかなか整備が届かない、こういうことでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 能力はここまでだというのは、ここまでは憲法上許されるということでないと整備の対象になりませんよ。

谷川和穗自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(谷川和穗君) 先ほど政府委員から御答弁申し上げましたように、自衛のための行動については、わが国から千マイルで切れるとかいうことではございません。それを超えましても自衛のための行動は許されると思います。ただし、能力的にさらば超えて可能かというようなお話になりますと、われわれの防衛力の整備の目標が、先ほど来答弁させていただいておりまするように、周辺ならば数百マイル、もし航路帯を設けると大体千マイル程度を目標といたしておるものですから、その整備の能力から申しましても、それを超えてからはなかなか能力的に可能ではなかろう、こういうことを申し上げているわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 能力はわかりましたが、つまり整備の対象とするという以上は、それは憲法が許容しなきゃ整備の対象としちゃいかぬのですよ。だから、あなた方が整備の対象とすると言う以上は、それを憲法が許すと見ているのかと伺っているんです。

谷川和穗自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(谷川和穗君) 憲法の問題に直接触れます前に、自衛権の行使という問題で二つの面で申し上げさせていただきたいのでございますが、一つは、国会で御審議をいただき、あるいは内閣としては国防会議でお取り決めをいただくという形で、防衛力の整備という問題が一つございます。国会で御論議いただくのは、それは主として予算という形であらわれてまいるわけでございます。もう一つ、その自衛力の行使の問題については、これはあくまで自衛のための必要最小限度の範囲にとどまるということでございまして、したがって憲法の認める個別的自衛権の範囲の中に限られてくる。それも、しかも先ほど申し上げましたように、自衛のために必要最小限の能力で、それを超えるような大きな他国に脅威を与えたり、あるいは他国へ向かって言うならば海外派兵をしていくがごとき、こういうことは憲法で許されない、こういうふうに二つに分けて考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ですから、個別的自衛権の及ぶ範囲が、一千海里までは及ぶとあなたは見ているんでしょう。周辺数百海里までは及ぶ、許されると見ているんでしょう。だから、それを許されると見ておるんでしょうねと言って念を押しているんです。

谷川和穗自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(谷川和穗君) 見ております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは、なぜそれじゃ数百海里までは自衛権の範囲だというふうに憲法上許す、これは自衛権の範囲だと見るんですか。それを見得る理由はどこにあるんですか。

夏目晴雄防衛庁防衛局長

○政府委員(夏目晴雄君) ざっくばらんに申し上げて、一千マイルまではこうだということが明確にあるわけではございませんが、私ども、防衛力を整備するに当たって、あくまでもこれは憲法の認める自衛権の範囲であるということはもう再三申し上げ、御理解をいただいていると思います。  一方、こうした制約の中において日本は現在は防衛計画の大綱というものをつくって防衛力の整備をしているわけでございますが、この周辺数百マイル、一千マイル云々については、わが国の周辺の海域、抽象的な言い方をすれば、わが国が海上交通の安全を確保して国民生活なり継戦能力の維持をするために、ぎりぎりこの程度周辺海域の防衛能力は持ってしかるべきではないか、またこれは自衛権の範囲内に入るのではないかということを判断しているわけでございまして、この一千マイルがすなわち憲法や何かの明文によってこれは自衛権の範囲であるということをはっきり決めたものがあるわけではございません。従来そういった考え方に基づいて、判断に基づいて防衛力整備を進めてきた、こういうことでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 だから、なぜ数百海里は自衛権の範囲であると判断するのか、その判断の基準というか理由を述べてもらいたいと言っているんです。

夏目晴雄防衛庁防衛局長

○政府委員(夏目晴雄君) 先ほど申し上げたとおり、有事の際にわが国の海上交通、すなわち国民生活の維持をするためにわが国周辺の海域における海上護衛の能力というものを持つことは、わが国の自衛の範囲に入るだろうというふうな判断で行っている、こういうことでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それはいま言ったように一千海里に限られるのか、一千海里を出てもいいのか。なぜ一千海里が自衛であり一千海里を越えたら自衛でないのか、その辺ちょっと説明してもらいたい。

夏目晴雄防衛庁防衛局長

○政府委員(夏目晴雄君) 一千海里というのは、そういった判断に基づいて一千海里程度の能力をわれわれとしては保有したい、防衛力の整備をしたい。これはまた先ほど来申し上げているような自衛権の範囲内に入るであろう、その枠内のものであるというふうな認識の上に立って申し上げているわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 法制局長官はいかがでしょうか。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) 御質問の趣旨はよくわかるのですが、憲法解釈としては、いままでも申し上げているとおり、自衛のため必要最小限度の範囲内に限られる、限らなければならないとしか言いようがないと思います。そういう御答弁を申し上げれば、その具体的な範囲を示せということに当然なるわけでございまして、それについてかねがね申し上げているように、それはいろいろな場合があるんで、具体的な範囲を示すということはむずかしいだろうとしか申し上げられないわけであります。結局、そのことは憲法解釈というものから具体的に千海里とか五百海里というものが一義的に出てくるわけではないと思いますが、あくまでそのこと自体については憲法の枠というものを踏まえて、結局は毎年の予算なり法律の審議を通じて、あるいはそのほかのいろいろな国会における論議を通じてシビリアンコントロールによってその実証性を確保していく。これ以外にはないんじゃないか、私はそう思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 防衛庁の主張だとこの辺が適当だろうとか、この辺が能力の限度だろうとか、いまあなたのおっしゃるのだと予算だとかお金だとか言う。そういうことで憲法解釈が決定されるということがおかしいじゃないかということを私はお尋ねしている。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) 私は予算で決まるという意味で申し上げたわけじゃございませんで、それはちょっと言葉が不足だったかもしれませんが、そういうものの審議を通じて憲法解釈の具体的適用については、最終的には国会のシビリアンコントロールを通じて決めていくほかないであろう。こういうことを申し上げたわけで、一例を申せば、それじゃ千海里までは全然憲法違反のおそれがないかと言えば、そうではなくて、やはりそれは、たとえば海域分担的な防衛の仕方をすれば憲法違反というようなこともしばしば申し上げているわけでありまして、そういうのはいろんな条件というものを考えた上でなければならないと思います。それから同時に、いまの千海里、五百海里は、先ほど来防衛局長が申し上げているように、それは一応整備の目標として掲げられたものであり、直接憲法解釈としては、自衛のため必要最小限度という基準しかないと、こういうことだろうと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 この問題は、そもそもこういう戦力の保持を禁止して軍隊の保有を禁止している憲法を無理無理自衛権という概念で破っているからわけのわからないことになってしまった。これは後日また論議することにして次の問題に移るんですが、これは法制局長官、総理が日本以外の有事でアメリカが海峡封鎖する場合にイエスと言う場合があるということをおっしゃって、それが日本の船舶が撃沈される、それから油なんかが来なくて大変国民生活が逼迫するというようなこともおっしゃった。しかし有事、たとえば中東有事なんという場合は、国民生活は非常に逼迫することはもう目に見えている。たとえば海員組合などがシーレーンに対して反対をしまして、もうすでにそういう徴候があらわれております。この間自衛隊のカーフェリー研修で二人の船員が反対して解雇され、これは組合の抵抗で処分は軽くなったようでありますが、軍事専門家でも、たとえば國防の五十七年の十二月号で、もとの海軍の軍人の多田質さんという人が、「体験的安全保障・防衛問題雑感」というのを書いておる。  ここでも、一朝有事の際には外国船であろうと、それからわが国であろうと、民間船舶の動き自体はストップするに違いない。外国用船はもちろん、ほとんどの船員が乗り組みを拒否することは必至である。船会社も保険の停止もあって就航をやめ、よほどな特殊なケース以外は民間船舶の運航は消滅に近くなることすら予想される。こう言っている。これは軍事専門家の常識であろうと思う。そういう場合に、いまの自衛隊法では船員の徴用あるいは船舶の徴用あるいは運航命令、これは出せませんね。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) 御指摘のような場合を前提としてのそういうことは絶対できません。    〔理事嶋崎均君退席、委員長着席〕

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それはしかし、それをできないということになりますと、物資の不足ということは当然起きてくる。その場合に有事立法として、船員の徴用であるとか、船会社に対する船舶の運航命令だとか、あるいは船舶それ自体を国家が徴用するというふうなことも、これはいまの憲法では許されないでしょうね。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) この点については一昨年の当委員会で、いわゆる国家総動員法に基づく徴用制度だとか徴発について寺田委員から御質問がございまして、私はそういうようなことは現憲法下においては許されないということははっきり申し上げました。ただ、いまの御質問は、必ずしもそういう具体的なものではなくて、いわゆる有事におけるもっと広い意味の船員の、何といいますか強制的な……

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 徴用。

角田禮次郎内閣法制局長官

○政府委員(角田禮次郎君) 徴用ということは、あえて、そういう言葉は誤解されるおそれがありますから、そういう言葉は使わないことにいたしたいと思いますが、つまり強制的な役務の提供というようなものであるとか、あるいは物資とか船舶の徴発というふうなことにつきましては、これは衆議院の予算委員会でもお答えいたしたんですが、現在そういうような研究とか調査というような検討というようなものは一切いたしておりません。したがって、余り先走ってそういうことを申し上げるのはかえって誤解を招くんじゃないかと思いますので、今日の段階では一般論として申し上げるほかはございませんけれども、一般論として言えば、そういう役務の提供の強制とかあるいは物的負担の強制が許されるかどうかは、いつも申し上げるように、公共の福祉の要請と基本的人権の尊重という二つの要請を比較考量して、それぞれの場合に応じて判断されるべきだと思います。ただ、さらに一般的に申し上げますが、いま御指摘のような強度の危険を伴うような、特に役務の提供の強制というようなことが憲法上許されるという範囲は非常に狭いということははっきり言えると思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 防衛庁にお尋ねをするが、有事立法というのはあなた方御研究になっていらっしゃるということですから、たとえば米ソ戦なんかの場合に、中東から油を運ぶとかアメリカから穀物を運ぶとか、そういう目的のために、船員が乗船拒否するような場合に船員を徴用するとか、あるいは乗船命令を出すとか、あるいは船舶を徴用するとか、そういうようなことは有事立法では御研究になってはいらっしゃらぬでしょうね。

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 寺田君、時間が参りました。

佐々淳行防衛庁長官官房長

○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  ただいまのような状況は、いわゆる防衛出動下令、七十六条事態ではございませんので、米ソ戦とおっしゃいまして、これは昭和五十七年三月二十日、参議院秦豊議員質問主意書に対する四月二十三日付政府の答弁書にございますように、「我が国の海上交通の安全が脅かされるような事態における我が国の国民生活、経済活動等を維持するために必要な物資の海上輸送の実施体制の在り方については、不測の事態において構ずべき緊急措置の一環として、総合的な観点から、政府全体として研究を行うべき事項であると考える。」これが政府の見解でございます。  防衛庁が現在研究をいたしております有事法制とは、たびたび御答弁申し上げておりますように、防衛出動下令後、七十六条事態後の自衛隊の行動にかかわる法令に不備がないかどうかの研究でございまして、立法のためのものではないということもたびたび申し上げておりますし、この防衛庁所管の事項よりもう少しスケールの大きな案件でございますので、現時点においては、そういう米ソ戦のときに、日本がまだ攻撃を受けていないときに船舶をいわゆる使用をしたり、あるいは船員を強制的に業務従事させるというのは、この有事法制の研究にはなじまないだろう、かように考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 最後に一つだけ。  それでは、防衛出動の場合は考えておるということですか。

佐々淳行防衛庁長官官房長

○政府委員(佐々淳行君) 先生御承知のように、自衛隊法百三条というのがございます。この百三条は、土地の使用、家屋の使用、物資の収用等と並びまして、第二項に、都道府県知事の権限と第一次的にはなっておりますが、三つの業種、すなわち、医療関係それから土木建築関係、それと輸送業務にかかわる者に対して非戦闘地域、いわゆる自衛隊が出動して戦闘が行われておる地域以外の、二項地域と通常呼んでおりますが、その地域における業務従事命令という制度がございます。この制度が違憲でないということはたびたび御答弁申し上げておりますし、これは現行の法律にすでに書いてある自衛隊に与えられた権限、任務遂行上の権限と思われますが、これを直ちに——これには罰則がございません。この業務従事命令に従わない場合に罰則を科してまでやるかどうか、これについてはたびたび御答弁申し上げておりますように、物資の収用等については災害救助法等の精神にのっとって罰則が科せられることはあるかもしれないけれども、この業務従事命令に関しては、いわば緊急事態の際の愛国心の発露として御協力をいただくということを私ども期待をしておりますが、罰則をもって担保をするという性格のものではないんではないか、かように考えております。

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 以上で寺田熊雄君の質疑は終了いたしました。     ─────────────

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) この際、お諮りをいたします。  本委員会は、昭和五十八年度一般会計予算外二案につきまして、内閣委員会外十四委員会にその審査を委嘱いたしておりました。  各委員長からの審査概要報告書につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土屋義彦自由民主党

○委員長(土屋義彦君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  なお、このほか、報告書は別途印刷して委員の皆様方に配付することといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十六分散会

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