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98回国会参議院1983/05/17

農林水産委員会 第12号

発言数
153
登壇者
10
会派数
5
開催日
1983/05/17

会議録

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨十六日、中村禎二君及び北修二君が委員を辞任され、その補欠として梶木又三君及び遠藤政夫君が選任されました。  また、本日、遠藤政夫君が委員を辞任され、その補欠として宮澤弘君が選任されました。     ─────────────

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に高木正明君を指名いたします。     ─────────────

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 沿岸漁場整備開発法の一部を改正する法律案、漁業法及び水産資源保護法の一部を改正する法律案、以上両案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

川村清一日本社会党

○川村清一君 私は、この委員会で質問するのはきょうが最後だと思います。自分のことを言って恐縮でございますが、私は、参議院に籍を置いて十八年間、その十八年間のうち十四年間はこの農林水産委員会に所属させていただきました。そして、水産問題を中心にして法案の審議等に当たり、国政に参画してまいってきたものでございます。  そういう立場から、きょうは、非常に大事な質問の機会でございますので、日本の漁業の基本問題を中心といたしまして、さらには、ただいま提案されております法案の内容等についてお尋ねをいたしまして、お答えをいただきたいと思うんですが、大事な問題でございますので、いわゆる事務的な問題、行政ベースの問題は長官に、また政治的な立場からは大臣に、ぜひ確信のある御見解を表明していただきたい、かように考えておる次第でございます。  この十四年間にずいぶんたくさんの法案の審議をいたしました。顧みますと、ことしの漁業白書にも書いてありますように、年次ごとにたくさんあるんですが、私の記憶では、昭和四十二年には外国人漁業規制法、四十四年には漁業近代化資金助成法、四十六年には海洋水産資源開発促進法、四十八年には漁船積荷保険臨時措置法、同じく四十八年には水銀対策特別措置法、四十九年には沿岸漁場整備開発法などがありました。また、五十年代に入りましてからは、漁船船主責任保険臨時措置法、これが五十一年。同じく五十一年には漁業再建整備特別措置法、そして五十二年になりまして領海法、同じく五十二年の二百海里法、五十二年の水産加工資金融資法、そして五十四年には沿岸漁業改善資金助成法、こういったようなたくさんの法案を本委員会において決定しておるわけです。そのほか、一部改正法案を加えると幾十あるか、本当にたくさんの法律がございました。  そしてこの間、国際関係漁業の問題で、日中、日ソ、日米等の漁業協定等もあり、私は、本農林水産委員会やあるいは外務委員会などへ行って、こうした法案等の審議にも当たってまいりました。  これらの多くの法律を見ると、戦後、発展の一途をたどってまいりましたわが国の漁業が、これが四十年代に入ると、沿岸漁場の壊廃、海外漁場の規制の強化、あるいは外国漁船のわが国近海への進出、資源条件の悪化、そして四十八年の第一次石油ショック等によって行き詰まりの様相を呈してまいりました。それらの対策に追われてきたことは、これはしょうのないことでございます。五十年代に入りますというと、いわゆる五十二年の二百海里ショック、五十三年の第二次石油ショック等によって、わが国の漁業がいわば縮小過程に入ったことに伴って、その対策のための立法が次々となされてきたことも、これは理解できることであります。  しかし、こうした対策にもかかわらず、しからばわが国の漁業はどうなってきたか。漁獲量でこそ、イワシであるとかサバであるとか、多獲性魚の増大によって一千万トン台を維持してはおりますけれども、生産を担うこの経営がどうかというと、沿岸も沖合いも遠洋も問わず、きわめて厳しい状況となっていることは、これは御存じのとおりであります。  そこで、わが国の漁業が発展し、そして行き詰まり、縮小していくこの過程で、国政に携わってまいってきた一人として、当局に次のことをお尋ねしたい。  いままで申し上げましたように、主な新しい法律だけでも、私が挙げたとおり、ずいぶんあるんであります。一部改正法を含めれば数十本にわたってあるわけであります。この水産関係法が本委員会で慎重に審議され、成立して制定されたにもかかわらず、漁業の実態はどうかというと、悪化の一途をたどってきた。これは一体何なのか。われわれは漁業を発展させるために一生懸命になって慎重に法案を審議し成立させてきた。できた後は、その運用は行政に任せられておる。ところが、そういうたくさんの法律をつくっても、漁業の実態はどうかというと、悪化の一途をたどっているということは、原因は一体どこにあるのか。「仏つくって魂入れず」というようなたとえ話がありますが、法律の運用に当たる行政に問題があったんではないか。悪く言えば、行政が怠慢しておったんではないかと言われてもしようがないことではないかと思うんでありますが、まずこの一点について長官あるいは大臣からお答えをいただきたい。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 川村委員の長年にわたる当委員会における御経験を踏まえての御質問でございますし、また、その長い間の御審議に当たられて当委員会における幾多の法律をおつくりになったその業績に対しまして深く敬意を表する次第でございます。その中からの御質問であろうと思いますので、心を改めましてきちんと御答弁申し上げさせていただきたいと思います。  戦後、確かに先生がおっしゃられますように多くの法律ができてまいりました。漁業法しかり、また水産業協同組合法しかり、また沿岸漁業等振興法、各種の法律がたくさん制定されたわけでございます。その制定の過程に当たりまして国会における十分な御議論が行われました。その制度骨格によりまして、わが国の漁業は確かに発展をしてまいったというふうに考えるわけでございます。しかしながら、大変残念なことに、このような制度のもとに発展してまいりました日本の漁業に対しまして、外的な与件と申しまするか、この漁業を取り巻く与件というものが非常に大きく昭和四十年代の末から五十年の初めにかけて変動したということが私は非常に大きな原因であろうというふうに考えるわけでございます。つまり、昭和四十八年の第一次の石油ショックを初めといたしまして燃油が高騰いたしました。その間、過去十年間で石油の価格が七倍になった。一方におきまして漁価は二・五倍程度にしか上がらないという、非常に大きな世界的な経済の変革に基づく日本漁業にとっての与件の変化がございました。これが第一だろうと思います。  それから第二は、やはりこれも予期しなかった、五十年代に入ってからのいわゆる本格的な二百海里の時代の到来ということであったと思います。  これらの大きな与件の変化と、また、これがわが国漁業に与える影響というものは法令あるいはその他の制度をもってしてはなかなか解決がつかない大きな問題であったというふうに考えるわけでございます。  私どもといたしましては、このような大きな変化に対しまして、対外的には外交交渉を粘り強くやる。また国内においては緊急の資金の融通、あるいはただいまは生産構造再編対策といった形での新しい漁業の再編成ということに取り組んでおるわけでございますが、その間におきましてやはり法律、制度を当委員会で御審議いただきましてこの大きな問題を乗り切ってきたという一面もまた私は忘れてはならないことであるというふうに思うわけでございます。  一つ考えてみましても、沿岸漁場整備開発法、あるいは漁業再建整備特別措置法、あるいは二百海里の水域をわが国に適用いたしました漁業水域に関する暫定措置法、領海法、あるいは原材料の供給事情の変化に即応して行われるいわゆる加工資金の融資法、あるいは漁業離職者に対する臨時措置法といったような幾つかの法制によりましてこの苦しい時代を越えてきたことも事実であろうと思います。  私どもといたしましては、このような法の整備と、それから一面における予算制度、そしてまた外交努力といったようなことを重ねまして、この総合的な力によって今後の漁業に新しい光を見出していかなけりゃならぬというふうに思うわけでございます。  先生、行政の怠慢ということをおっしゃいました。その点につきましては、私どもも、従来までのこの法の運用ということにつきましては十分に反省もし、また将来に向かって新しい方向への転進を図るということで十分に検討もし考究をしてまいらなければならぬというふうに考えるわけでございますが、基本的な原因と申しますると、私はその点にあるというふうに考える次第であります。

川村清一日本社会党

○川村清一君 次に、海の環境保全の問題、これについて若干意見を述べて、御意見をお聞きしたいんですが、わが国では高度成長期の後においても、高度成長期が終わっても、まだ太平洋ベルト地帯を中心に浅海域の埋め立て、工場排水や家庭排水による水質汚濁が進行してまいりました。五十四年の漁業白書によれば、最近五年間で百三十一平方キロメートルが埋め立てられ、その前五年間とほぼ同面積であり、地域別に見ると瀬戸内海が一番多くて四十四・二平方キロメートルであり、次いで太平洋中区の三十八・三平方キロメートルとなっております。  こうして漁場が直接失われていったばかりでなく、干潟や藻場の喪失による産卵場や幼稚仔の生育場の喪失、油濁や赤潮によるハマチなどの斃死、漁獲物の商品価値の低下、水銀やPCBによる漁獲物の販売への悪影響、廃棄物や堆積物による漁船操業への故障や漁場価値の低下等が全国至るところの沿岸で進行してまいりました。  申し述べましたように、埋め立てや水質汚濁が最もひどく進行したのは瀬戸内海でありますが、ここでは水深十メートル以下の水域の一三%、藻場におきましては実に七五%が消滅したと、こう言われておるんです。干潟や藻場を失った海は死の海であります。水産生物の自然の再生産、すなわち産卵や幼稚仔の生育が不可能になるからであります。特に高級魚介類がその影響を受けやすく、たとえば瀬戸内海では、三十年代に一千トンをはるかに超えていたクルマエビなどの生産が四十五年には四百六十トンにまで落ち込んでしまっております。その後、種苗放流等により一千トン前後まで回復しておりますが、いかにすさまじい漁場破壊がこの過程で行われてきたかということが明らかであります。  埋め立てが行われる過程では、必ずといってよいほど漁民の反対運動が起こっております。海という自然環境を守ってきたのは、埋め立てに反対し水質汚濁に反対してきた漁民であります。この漁民の反対運動がなかったとすれば、日本じゅうの海が埋め立てられてしまったのではないでしょうか。海岸は大企業に独占される。水質汚濁は、海水浴さえできないような海になってしまう。沿岸性の高級魚は庶民の口にはとうてい入らなくなってしまったでありましょう。  この漁民の反対運動にもかかわらずこれほどの漁場破壊が進む過程で、一体水産庁当局、水産行政当局は一体何をしてきたか。漁業にとって最も基本的な生産基盤である漁場ですら守られないような水産行政に一体何を期待することができるのか。存在価値があるのかどうか。極端な言い方でありますが、そういうことも言わざるを得ないのであります。  低成長経済時代に入りまして、埋め立てはややペースダウンしたかに見えますが、漁民の反対運動が原動力の一つとなった公害基本法を初めとする公害関係法制の整備、相次いだ公害訴訟の勝利などによって水質汚濁の進行も以前ほどではなくなったとも思われますが、しかし、最近になってまた大企業を中心に、公害規制の緩和を求める声が強くなってきております。  それで、水産行政当局は、二度と過去の過ちを繰り返すことなく漁場の確保と水質のより一層の改善に努めるべきであろうと思うんでありますが、これはいかがでございますか。沿整事業による点のような漁場造成や復旧事業、あるいは多少の種苗放流によって失われた漁場や資源を取り戻すことなどはとうていこれは不可能であります。  まず何よりも漁場を失わないように全力を尽くすのが水産行政の本筋ではないかと私はそう確信しておるわけでありますが、水産当局としてどうお考えになられますか。この点につきましてはきわめて重大な問題でありますから、大臣の見解もお聞かせいただきたいと存じます。

金子岩三自由民主党

○国務大臣(金子岩三君) 川村先生が先ほどの御発言によりますと、この期で御引退のようでございます。大変十八年間、長い間特に農林水産行政に寄与されたその御功績に対して、心から感謝を申し上げて、敬意を表する次第でございます。  ただいまいろいろわが国の戦後の水産行政につきまして、率直に受けとめますと、他産業の戦後の成長に比較して、一体漁業は何をしておったんだというような御意見だと受けとめております。  私も、今日までずっと二十五年間、農林水産に関係しておりますし、特に私は、自分の立場がそういった関係でありましたので、やはり人一倍関心を持って農林水産行政を見てまいりました。いま御指摘がいろいろありましたが、四十八年の第一次オイルショック以来の不測な事態が発生したことは、これはもう繰り返しいつも申し上げておることですから抜きにしまして、ただ一つ、同じ農林省の中で日本の食糧、特に動物たん白の供給を背負って立っておる水産は、やはり農林水産省の中で農政と同じような、いわゆる政策的な恩恵に浴さなければならないと、私はかねての主張でございまして、ただ一つ一例を申し上げまして、いまだに残念に思っておることは、周東さんが農林大臣のころから、まず、農林と水産が大変アンバランスになっておるという主張をいたしまして、何とかして数年かかってこれをひとつならしてもらって、バランスをとってもらいたいという主張を続けてまいりました。  それは政策融資の金利の問題でございます。農業には、御承知のとおり、三分の金利から三分四、五厘、平均して三分五、六厘でございます。水産はその当時から七分二厘ぐらい、それを盛んにやって、一分下がり二分下がりしまして、いまやはり七分そこそこじゃないでしょうか。  考えますと、同じ農林漁業の政策融資が、農業には三分五厘、水産は七分。こうしますと、その金利の負担だけでも大変な差が水産にはある。いわゆる冷遇されておる、こういう考え方です。したがって、漁業というものは危険産業だと。これは金融面からいっても戦前、戦後を通じてやはり危険産業の枠にはめられておる。そういう産業が日本の動物たん白の過半数を生産して国策に貢献しておるという立場を政策的に配慮するならば、危険産業であるがゆえに、特にそういういわゆる助成をすべきではないか。他のことは申しません、ただ金利だけを取り上げて申し上げます。いまだにそのアンバランスが是正されていないことに大変私ども責任を感じておるわけでございます。  漁業は必ずしも御承知のとおり莫大な資金を投資してやりましても、それが残るものはないんでございまして、ほとんど船舶ですから、十年、十五年たちますとほとんど代船を建造してその資産は消えてなくなる。農業は基盤整備は相当な投資を得、これは相当大きい国の助成を受けて基盤整備ができますと、大きな資産がそこに子孫に至るまで国の助成によってつくられていっておるわけでございます。  ただ一つその一面だけを申し上げましても、このような危険性の高い不安定な漁業を営んでおる、それは大資本、大手から末端の沿岸に至るまで、私はおしなべてそういう考え方をしておるのでございます。必ずしも大手といえども大きな利益を上げて高い配当をしておる会社はないようでございます。皆原油の値上がり、二百海里が実施され、一喜一憂して細々と続けておるというのが日本の今日の漁船漁業であろうかと存じます。  こういう点から申しまして、やはり水産庁でなくして、農水省自体が水産をどう位置づけていたのか、また、今後どう位置づけていくかということは大事な問題であるというように私は考えております。したがって、いま挙げた一例の問題にしましても、私の任期がしばらく後続くということでありますならば、私はひとつできるだけのことをいたしたい。  先般、衆議院のこの法案の審議で、農林水産委員会に大蔵から主計官が来ておりましたので、当然、いわゆる税制の問題、こういう金利体系の問題、大蔵省に聞いてもらいたいという考えで、私は農水大臣として私の考え方、これから取り組もうとする姿勢を一応衆議院で答弁を申し上げておるのでございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 大臣のお答えは私がお尋ねしていることとはちょっとかみ合わない御答弁でございます。  私の言ってますことは、いま沿岸漁場整備開発法の一部改正法案を審議しているのであって、そこで栽培漁業をやっていくと。栽培漁業をやるということはこれ反対するわけでない、うんとやってもらわなければならないけれども、まず今日、沿岸漁業をこういう状態にしたのは何か、これは漁場の壊廃にあるんじゃないか。いわゆる高度経済成長の過程で、皆沿岸をつぶしてしまって、そうしてもう埋め立てて漁場がなくなってしまった。したがって、稚魚を育てる海も、あるいはまた海藻類が育っていく藻場も全くなくなってしまった。  そういうことで、いま栽培事業をやっていくといったって、もう資源がなくなったこの沿岸に幾つかの栽培センターをつくってやったって、これは点みたいなもんで、——点である。とても昔の海に返るわけはないではないか。だから、やることは、思想は結構だけれども、少なくともこれ以上日本の海を汚すことは、つぶすことは、これは絶対避けるべきである。いままでの反省の上に立って海を大事にする、海の環境を保全してその上に栽培事業の振興を図るべきであるということを申し上げているんであって、これらについても長官からちょっと後からつけ加えてください。  さらに私がお尋ねしたいのは、近年盛んに資源管理型漁業というものが言われております。その必要性を業界を中心にして言われております。  そこで、資源管理型漁業というのは一体何なんだということ。二百海里時代に入ったことに伴って、従来のわが国の漁業が資源を軽視しがちであったことに対する反省から生まれた考えであると私は考えております。いままでは魚はいわゆる無主物であると、したがってとるだけとった方がいい、先にとった方が勝ちだというようなことで、資源量を無視してむちゃくちゃにとっていったと。そういう漁業のあり方が二百海里時代に入ってからこれが反省され、そして、それが最近、管理型漁業が必要だということが言われておる原因ではないかと、こういうふうに私は考えておる。そこで聞きたいことは、水産庁としてはこの管理型漁業というものに対してどう考えておるのか、どういうふうに検討しておるかと、これをまず簡単でいいですからお聞きしたい。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) まず、埋め立て等の漁場の喪失に関する水産庁の考え方について御説明申し上げます。  確かに高度経済成長の時代におきまして、非常に沿岸漁業にとって重要な浅海域等におきますところの漁場、特に魚介類の産卵場やあるいは生育場として重要なところが次々と喪失していったという歴史がございました。私どももその点は非常に残念であるというふうに考えるわけでございます。  特に、私どもその点について考えますることは、当時の経済成長を求めますために、どうしてもそのような埋め立て等によりますところの工場用地の確保その他、公害のもとになりますようないろいろな原因というものがそこに発生してまいりまして、これが全国民の反省のもとに、現在のようないろいろな制度のもとにこれをきれいにしていくという状況が出てまいったというふうに考えておるわけでございます。  もちろん、今回御提案申し上げております栽培漁業につきましても、漁場がきれいでなければ放流事業ということは成り立たないということは私どもよくわかっておりますし、またその必要性はいまこそ非常に重要じゃないかというふうに考えておるわけでございます。私どもといたしましては、たとえば都市排水の問題あるいは富栄養化とそれに伴う赤潮の発生、あるいは廃棄物の流入、船舶からの廃油の投棄、あるいは沿岸における大規模工事による埋め立てその他の形状の変化、あるいは発電施設の建設集中等に伴う取水、排水、こういったいろいろな問題につきまして、やはりそのアセスメントをやる際に水産側の意見というものを十分反映して、これ以上水質が悪化するというような状況を食いとめなければならぬというふうに考えている次第でございます。  このような立場から、関係各省と十分に相談して、水産庁として所管を持っていない部分についても十分に発言していくということが必要であると同時に、水産庁自身としてやっております赤潮対策なり、あるいは漁業公害調査指導事業と、あるいは漁場環境の保全対策といったようなことに今後とも積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。  次に、御質問は資源管理型漁業についての御質問であろうと思います。  最近、業界あるいは学者の先生方が資源管理型漁業ということを唱えておられまして、その定義につきましては必ずしもまだはっきりした概念はございませんけれども、私も先生と同じような理解をいたしておりまして、水産資源の状況をまず的確に把握すると、資源量がどの程度かということを捕捉するということと、それに対して今度はさらに資源をふやしていくという立場から栽培漁業、あるいは漁礁等の設置によりまして、いわゆるつくる漁業を行っていくと、これが二点。  それから第三点は、そのようにして捕捉され、また増加していく資源量に対応した漁獲努力量と申しますか、それを適当に調整し、それによって資源を保護しながら漁業を発展させていくと、この考え方が恐らく資源管理型漁業と言われるものであろうというふうに考えるわけでございます。私どもとしましても、そのような考え方は基本的には正しいものであるというふうに考えておるわけでございまして、そのような角度から資源の保護培養ということも考えておりますし、ただいま御提案申しました栽培漁業の振興というのもこの一環であるというふうに考えていただきたいというふうに思うわけでございますし、さらにまた漁船隻数あるいはトン数の規制といったようなことにつきましても、漁業法等を中心にいたしまして漁獲努力量の適正化に努めているところでございます。  しかし、もっと将来のことを考えまして、この資源管理型漁業というものを文字どおりに定着さしていくということが今後の課題であろうというふうに考えるわけでございますが、そのためにどうしても必要な前提があるというふうに私どもは考えております。その一つは、何と申しましても資源の捕捉というものを完全にしなければいかぬ。これはやはり科学的にも技術的にもまだまだ多くの研究開発が必要であると思います。現時点で私どもはたとえばクイックアセスメントといったような方法によりまして、非常に高度の科学魚探、魚探を使いましてその資源の把握に努めておるわけでございますが、まだ魚種の判別その他につきまして完全なところまでいっておりません。こういうような科学的な手法というものをさらに導入して、資源の的確な把握が必要であろうと思います。  それから、栽培漁業につきましても、今回御提案申し上げておりますが、まだこれも緒についたばかりでございます。これをさらに技術的にも確立し、発展させなければいかぬというふうに考えておる次第でございます。  それから、第三点としてその漁獲の対象であるところの資源を把握したときに、これに対する適正な漁獲努力量、たとえば漁船の隻数であるとかトン数規模の規制とか、あるいは禁止期間、禁止区域の設定、漁具の使用方法、こういったものを資源の状態に応じて弾力的に合わしていくということが必要であろうと思いますが、このためには私はやはり上からの規制だけではなくて、たとえば漁業協同組合といったような漁民の自主的な力というものによりまして、この漁獲努力量を適正化していくということが必要ではないかというふうに考えております。これにつきましても、目下漁業の団体ではたとえば営漁計画といったようなことでいろいろな工夫はしておられますが、まだまだの状態でございます。さような意味で、資源管理型漁業につきましては、理想として非常に私どもも十分関心がございますし、こういったところに近づけていかなきゃならぬというふうに思いますが、そのような、いま申しましたような問題点を一つ一つほぐしていって、総合的にここに近づけていくという努力が必要であると思いまして、さような意味でやはりこれは長期的な課題ということで取り組ましていただきたいというふうに考える次第であります。

川村清一日本社会党

○川村清一君 ただいまの長官の御見解に対しては、私も全く同感であります。で、これは長官、いまあなたがおっしゃっていることは、これはもう水産庁の一つの方針になっている。そのようにきちっとしたお考えを持っていらっしゃる当局が、どうしてそれを今日まで行ってこなかったのかという、また私は反論をしたいわけです。  この水産庁で出しております五十五年度の白書には、こういうことが書かれているんです。「天然資源の維持を図るために、経験的に、また、制度的に種々の漁業規制措置がなされてきたものの、漁場における同一対象資源をめぐる漁業間の調整や同一漁場における異種漁業間の空間利用調整など漁業調整が主体となっていた。」と、まずこれ指摘している。白書が言っているんですよ。白書が言っているということは、水産庁が言っているということですよ。  「資源管理の徹底は、大きな課題となっている。」とした上で、さらに次のように言っているんです。それには、いまあなたがおっしゃったように、「資源状態を迅速・的確には握することが必要であり、調査研究の充実や資源状態の早期診断法の確立が急務である」、このように五十五年の白書では政府みずからが従来の漁業制度の運営が漁業調整に偏重していたと、資源管理の徹底が必要であるにもかかわらず、その前提となる資源の科学的把握のための体制の整備が立ち遅れていることなどを率直に認め、資源管理型漁業の必要性を指摘しているのであります。  それでは、なぜこのような反省をいまさらしなければならないのか。結局、水産庁は白書でこういうことを言っておりながら、そしていま長官はそのことをおっしゃっている。それが行われてきておらなかったということなんだ。これに対する反省をお聞きしたい。  資源管理型漁業の必要性が言われるたびに、資源管理型漁業は必要であると言われるたびに私はやはり不思議に思うことがある。たとえばわが国の漁業のいわゆる法体系から言って、果たして資源管理型漁業でなかったのかどうかということなんですよ。これは専門のあなたにこういうことを言うのはおかしいですけれども、わが国では世界に誇るに足る整備された漁業制度を持っておるはずです。漁業法体系が充実されているわけです。漁業法、水産業協同組合法、水産資源保護法、こういう一体の法律があるわけです。その法律の中で、具体的に漁場の利用はどうするか、漁業権制度、許可制度、その中には漁船、漁具、漁期、漁区、漁法等を厳しく規制しているではありませんか。これはもうまさに資源管理型漁業が行われているんだ、制度的には。それにもかかわらず、白書が指摘しているように資源の悪化しているものがある。その理由として、白書は漁業制度の運営がいわゆる漁業調整に偏重している、したことを挙げているんです。それだけでは資源を軽視してきた理由が明らかにはならないわけだ。そこで、たとえばマグロを一つ例にとってみましょうか。高度経済成長のもとで、たとえばマグロなどの需要の強い魚種に対する漁獲努力が集中しておるわけです。釣獲率等、資源状態をあらわす指標が悪化するものがあった。しかし、需要の調査が魚価を上昇させておる。それによって漁業経営の維持継続が可能であったわけです。いわゆる漁獲率が少なくても、魚価が高いから経営継続がそれで可能であった。本来的に言えば、この時点で減船等の適切な対策を講じなければならなかったのではないかと私は思うんです。それに対する有効な手は打たれなかった。そこで、マグロ業界がようやく自主減船に踏み切ったのは、第一次石油ショックによる燃油費の増大もあったが、それと同時に、それ以前のような魚価の上昇が見られなくなった。これがむしろ大きな要因ではなかったかと私は思うんです。すなわち資源と漁獲努力とのアンバランスの拡大が魚価の上昇に覆い隠されていたのが、そういう状態のときに行政当局にアンバランス是正のための手を打つことを怠けさせてしまう、怠けさせる原因をつくった。いわゆる資源は少なくなってきている。したがって、漁獲率は減ったと、本来ならば経営がもう困難になってきているはずである。ところが、魚価が非常に上昇したと、そこで経営が成り立つ、こういう点があった。だから、こういう一つの調整といいますか、そういう魚価と資源との関係とか、そういうような点に本質を見失ってしまっている、こういうような反省なしには本当に資源管理型漁業というものは成立しないと私は考える。すなわち価格や経営以上に、資源そのものを重視する考えがまず基底になければならないと。それを基底にして、本当の資源管理型漁業というものを確立していかなければならない、私はそう考えるんですが、いかがですか。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 戦後、漁業の制度は非常に完備をしてまいりまして、漁業法の体系から申しまして、これを制度の面から見ますれば的確に運用することによって十分に資源の保護を図りながら、一方において安定した経営が継続できるという、そういう仕組みになっていることは確かに先生御指摘のとおりでございます。しかしながら、問題はそれをどのようにして実際運用していくかということにあろうかというふうに思うわけでございます。特に、問題は、その場合に資源の管理という点に力点を置いてみますると、資源をどうやって捕捉するかということが、これが一番欠けていた点ではないかと思うわけです。たとえば、ただいま先生マグロの例をとられまして、釣獲率が非常に落ちてしまって、なおかつ価格に依存をしながら漁家経営を安定さしていて、魚価がいよいよ上がらなくなったというところで初めて二割減船に踏み切ったではないかと、こうおっしゃられるわけでございますが、もしもマグロの資源というものが相当的確に各、いろいろな手法によりまして把握ができておりましたら、それは漁民の方々も当然漁獲努力量が非常に多過ぎるということに早く気がつかれたに違いないというふうに思うわけでございます。やはりマグロのような非常に高度に回遊する魚種につきましては、その資源がどの程度であるか、また日本に回遊してくる状態がどのようになってくるかということについて的確な科学的な判断ができかねる状況にあったというところが大きな問題であろうというふうに思うわけでございます。これは単にマグロの問題のみならず、あらゆる魚種についてあるわけでございまして、やはり資源管理型漁業の根本にありますことは、どのようにして資源の状態を的確に把握するかということでございます。従来の経験則から申しまして、漁獲量が落ちてきたといったような状態だけではなくて、将来の予測として、たとえば卵稚仔量を調査船によって調査いたしまして、これによって各種の年級群を的確にとらえて、その年級群の資源の豊度をとらえ、それによって将来の回帰の量を調べていくといったような手法もございます。それからまた、先ほど私ちょっと触れました、いわゆるクイックアセスメントという新しい手法がございまして、これは科学的なきわめて高度の性能のよい魚探に頼りまして、その魚探によって海の底まで資源の量を把握していくというような方法もございまして、水産庁も決してそのようなことについてこれを放置していたわけではなく、それについての予算も組み、技術的な努力もしてまいったわけでございますが、何分にもたとえばクイックアセスメント一つとりましても、確かに資源の量そのものは総体としてわかるけれども、魚種別にまだその資源の量を把握することができないといったような問題を抱えているわけでございます。さようなことで、残念ながらまだ手法としての、管理型漁業がいいということはわかっていても、その手法が完備していないというのが現状でございまして、これはやはり科学技術の進歩と、またわれわれの開発によらなけりやならぬというふうに考えるわけでございます。さような手法をそろえまして今後資源管理型漁業の方向に向かっていきたいというのが私どもの気持ちであるということで御理解いただきたいと思います。

川村清一日本社会党

○川村清一君 長官のおっしゃっていることに異議はないわけで、それに反論することはないわけでございます。  先ほども申し上げましたように、日本の漁業法体制というものは非常に整っているわけですね。これがやはりきちっと法を守っていけば完全に資源が管理されるような仕組みになっているんです。それがどうしてこうなったかというところに問題があるんであって、これはただ単に行政当局を責めるだけではないのであって、漁業者自身がこれは守っていかなければならない。せっかくその漁業者の、沿岸漁業で言うならば、漁業者の自由なる意思によって漁業協同組合というものをつくっておると、そうすると、その漁業協同組合という一つの団体が、これは漁業者のいわゆる団結によってつくる、自由なる意思によってつくられたものであって、この漁業協同組合がもっとしっかりして漁業者一人一人にこの資源を大事にする、いわゆる資源管理型の漁業を組合自体が行っていくようなかっこうにならなければならない。それで、これを規則的にはなっている、いわゆる漁業法にあるところの漁業権——共同漁業権、この共同漁業権を管理するのは漁業協同組合である。で、その共同漁業権を行使するについては、共同漁業権行使規則というのがあって、そしてその規則に基づいて共同漁業権を行使しているわけで、非常に制度的には管理型になっているんだけれども、できない。特に、私が言いたいのは、この管理型漁業を完全に行うためには、水産資源保護法という法律があるでしょう、この水産資源保護法という法律をなぜもっと重視して、これを運用しないかということを私は言いたいんです。すなわち、水産資源保護法の第九条には、水産資源保護のために必要があると認めるときは、大臣許可漁業について漁業の種類及び水域別に省令で漁船の隻数の最高限度、すなわち定数を定めることができるとなっている。また、第十条によれば、現行許可隻数が定数を上回っているようなら、その超過隻数について許可の取り消し等をすることができることになっており、さらに第十一条では、政府はそれによって生ずる損失を補償しなければならないとしてある。こういうふうに規定されておるんです。しかしですよ、これまでにこの水産資源保護法の九条から十一条にかけての規定が実施された例がありますか、それを聞きたいんです。実施されたような例があるかどうか。これらの規定が適切に運用されておるならば、資源管理型漁業の必要性などいまさら出てくるはずがない。ちゃんと出ておる。マグロやカツオ、かつての以西底びきの自主減船などはこの制度によって行われるのが筋ではないかと私は思うんです。ところが、行政はみずからの責任にほおかぶりして、自主減船という名の定数を業界に強要している、こう言っても過言ではないんじゃないですか。  いずれにいたしましても、今後の資源管理型漁業の推進の上では、この水産資源保護法というこの法律を行政面から重視して、きちっとこれは私は運用すべきである。これによっていまマグロ業界なんかが抱えておる問題が解決するんですよ。ところが、水産庁、農林水産省、そして政府、大蔵省あたりはうんと言わぬのだ。そういう問題がある。法制的にはきちっとできているんだよ。それをやらぬで、全部業界に自主減船しろと。そして、その損失は共補償のようなかっこうでやる。金を貸してやる。ところが、貸してくれる金の条件が非常にむずかしくて、せっかく国会で成立さした予算も使い切れない。使い切れなくて、使わないで余ってしまう。こういう状態などが出てきておる。どうですか。これに対しては大臣の明確な御答弁を願いたい。足らざるところは長官にやっていただきたい。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) まず、法の適用の問題でございますので、私の方から先に御答弁をさしていただきますが、確かに水産資源保護法につきましては、これはただいま先生が御指摘になりました九条、十条、十一条、これを発動して減船ということを行ったことがないことは先生もよく御承知のとおりでございます。これはもちろん、この法の制定の趣旨は、資源の状態に合わせまして減船を行うという場合に、このような上からの力によりまして減船をするということがこの法の趣旨であろうというふうに考えるわけでございますが、私どもいままでやってまいりましたのは、やはりこのような資源の管理ということを考えます場合には、やはり上からの強制というような形で減船をしていくということよりも、漁民の方々の納得の上で、この程度の釣獲率しかないという状況になりましたら、そこでみずからの手で減船をしていこうじゃないかという、そういう業界の方々、漁民の方々の納得の上で仕事をやってまいりたいということから、従来まで共補償の方式であるとか、あるいはこれに関連する融資の制度とか、そういったものをしきましてこれを措置してまいったというのが過去の経緯でございます。  もとより、このような法制がございます以上、このような規定を適用するということはあり得ないことではないと思いますけれども、私どもは、やっぱりこのような大臣の命令による減船といったようなことよりも、やはり業界の自主的な方向による減船ということの方が納得がいき、また円滑な減船ができるというふうに考えているわけでございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 それはおかしいでしょう。その納得がいくようにやっていくということに対しては何も反対はしない。私が言うのは、水産資源保護法というりっぱな法律があるではないでしょうかと、その法律の九条、十条、十一条にはこう書いているじゃありませんかと、それでやったらどうですかと、それを運用したことがありますかということを聞いている。あるんですか、ないんですか。それじゃ水産資源保護法という法律は死文化しているんですか。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 先ほども御答弁申し上げましたように、この九条から十一条を実際に適用したことがないということを申し上げておるわけでございます。それはやはり先ほどから申し上げておりますように、このような資源の保護のためにこういう強権的な規定を発動するということをやりますためには、何と申しましても資源状態がどうであるかということを証明するということが行政庁にとって非常に重要なことであるわけでございます。しかしながら、残念なことに従来までの科学的な段階における手法をもってしては十分な資源の把握と、それにどれだけの的確な漁獲努力量を投入したらよいかということがわからない事情でございますので、残念ながらこういう規定を発動することができなかったということが実態だろうと思います。

川村清一日本社会党

○川村清一君 水産資源保護法は議員立法ですからね、そういう関係もあるんでしょう。行政は議員立法というものは非常に軽視するんじゃないですか。それじゃどうして法律があるのに運用しないのだ。上からどうの下からどうの話ではないんで、法はきちっと存在している。九条、十条、十一条にきちっと書いてある。一回もこれを運用したことがございませんとはあきれてしまいますね。今後絶対これはもう運用することはないんですか。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 決して議員立法であるからこの法を適用したことがないというような理由ではございません。法がございます以上は、この運用があり得るということは当然であろうと思います。ただ、私が申し上げておりますのは、やはりこのような補償行為までも伴ったようなそういう減船を行政庁の手でやるということのためには、その資源の状態を十分に把握した上でなければ納得した減船ということはできないだろうというふうに思うわけでございます。そのような資源の状態が的確に把握できるような科学的な技術の進歩というものに支えられますれば、このような九条から十一条の規定の適用ということもあり得るのではないかというふうに思う次第でございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 それを議論しておっては際限がありませんから、これで打ち切ります。  それでは、次に漁業制度改正への動きについて質問いたします。  北海道は二百海里ショックを全国で最も深刻に受けたところでございます。そういうような中で、漁協系統団体は道指導漁連を中心に二百海里時代における漁業制度のあり方について検討を重ねまして、一昨年の十二月に漁業制度に係る改正意見をまとめ、その意見を水産庁の方にもこれは提言として出してあるはずであります。これをつくる、まとめる過程においては、またその制度のあり方についての基本的な考え方は、何よりも資源管理型漁業へ転換すべきであるということを強調している。それで、そのために内容的に四つの制度改正点を挙げているわけであります。  その四点を要約しますと、第一に、国際漁業は大臣の許可漁業とする。それから、漁業権に属する水域と許可漁業水域を区分する。自由漁業を全廃する。これが第一点であります。第二点は、学識経験者等からなる資源管理委員会を設置して、適正漁獲量の設定の公正を期するということであります。第三点は、資源管理委員会の決定を尊重し、これに基づき漁業種類ごとの漁獲割当量や許可隻数等を決定するが、その決定に当たっては、漁業調整委員会の意見を聞くことにより関係漁業者の意見を反映させる必要があるので、現行の漁業調整委員会はこれを改組しまして、関係漁業種類ごとにその漁業を営む者を代表すると認められるそういう者によって構成されるように見直すということ。第四点として、栽培漁業については栽培漁業権あるいは特定共同漁業権、これを新設いたしまして、ふやした者がとる、こういう仕組みにする。以上の四点を挙げておるのであります。さらに、漁業基本法の制定による総合的政策方向の確立、韓国漁船に対する二百海里法の適用等についても提言しておるわけです。  で、この意見は道指導漁連が五年の歳月をかけて浜の意見を吸い上げ、暫定的にまとめてはそれをまた浜におろすという作業を繰り返した結果、最終的にまとめ上げたものであります。漁民の生の考えを反映しているというこの制度改革案でございます。なお、これも水産当局は御存じのように、鹿児島県漁連も漁業制度改革についての提言を五十四年にまとめているわけであります。  そこで、水産当局はこれらの意見、提言を踏まえ、資源管理型漁業確立のために制度改正を検討すべきであろうと思うんですが、これはいかがなものでしょうか。これは前の委員会でも私ちょっと申し上げましたが、せっかく下から、漁民からこういう漁業制度を、いまの制度を見直して、そうして改革すべきであるという意見が出てきておるんですから、十分これを尊重して検討すべきであると思うんですが、これはいかがですか。  ただし、それについて私の意見も申し上げておきたいんでありますが、検討して見直すにしましても、第一に現行漁業法というものをまず考えなければならぬ。この現行漁業法を中心にしたところの現在の漁業制度というものは、農業の農地法と同様に、戦後の民主化の動きの中で生まれたものであります。したがって、その基本的な骨組みというものはこれは残さなければならない。すなわち、旧漁業法では漁場を私有財産的漁業権をもって規制したこと、特に個人にも免許したと、こういうような本質的な欠陥がある。それが改正されたものでありますから、この原則はやはり堅持すべきである。第二には、大手漁業資本等の大型企業経営が沿岸、沖合い漁業へ流入することは絶対認めないこと。第三に、海を漁業以外の用途に向けようと虎視たんたんとねらっている運輸、建設、商工等の省庁の介入を絶対認めない、こうした点に十分留意していまのような制度改正、これを基本にして制度改正に向けて検討をすべきでないかと私は思うんでありますが、いかがですか。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) ただいま先生がお述べになりました北海道指導漁連を中心にした漁業整備の改革案につきましては、私どももこれを承っておりますし、その内容も承知をいたしている次第でございます。ただ、私考えますに、このような案はまさに管理型漁業そのものを実現しようという案であろうというふうに考えます。将来の問題として、そこに視点を合わせながらこのようなお考えを持ち出しておられるんだろうと思います。先ほど先生がおっしゃいましたけれども、現在の漁業制度も十分に完備しているじゃないかと、こうおっしゃられたわけでございますが、その運用がなかなか図れない原因というのは、先ほども申しましたように、このような管理型漁業を実現しようと、現実の法制下においてもこれを実現しようとしてもなかなか解明できない問題があるという点に非常に大きな問題が残っているということを先ほど私も御答弁申し上げた次第でございます。  まず、この北海道案によりましても、漁業権をどのように帰属させるか、そしてまたその帰属に従って果たして資源量をどうとらえて、その資源量をどう配分していくかということになりますと、その具体案はないわけでございまして、最も重要なのはまずどうやって資源を的確に把握するかというところからスタートしなければこの案は実現ができないというふうに私は思うわけでございます。さような面では現行制度がなかなか運用がむずかしいという点と非常に似通った点を私は持っているんじゃないかというふうに考えるわけでございます。さような面におきまして、私三つの点を申し上げたいわけでございますが、一つは、何と申しましても、沖合いあるいは沿岸におきます資源の量を魚種別に的確に把握できるそういった技術をまず確立すること、これがまず第一でございます。  それからまた第二に、先ほど栽培漁業権ということもおっしゃいましたが、現在の時点ではまだまだ栽培漁業権ということを確立できるところまで、たとえば浮き魚、ヒレモノの漁業というものはまだ発展をしていないという段階であろうと思います。したがいまして、そのようなまず栽培漁業については、たとえば寄与率が相当の点まで上がってくるといったようなことが考えられませんと、放流した魚が果たして栽培の対象となると申しますか、漁民が資本を投下してつくった魚であるかどうかと、漁獲された魚が果たして放流された魚であるかどうかということが、因果関係が結びつくような状態まで来なければ、なかなか栽培漁業権というものを確立するということは法律的にむずかしいんじゃないかというふうに考えられます。そういった点でまず栽培漁業をもっと発展させるという技術的手段というものが必要だろうと思います。  それから第三点に、民主的な運営と、これは非常に重要なことでございまして、そのようにして把握された資源量というものを今度は的確に漁獲努力量に反映していく、そのためには漁民の意見というものも十分反映されなきゃならないし、それからまたある程度まで回遊する魚につきましては県間の調整、そういった問題も出てまいります。そういう問題をうまくこれを漁獲努力量に反映できるようないま状態になっているかどうかということも、これも考えてみなければならない問題であろうと思います。さような条件が整って初めてこのような案が絵にかいたもちではないという状況になってくるんだろうと私は思うわけでございます。したがいまして、まず私どもとしてはそのような基本的なエレメントと申しますか、要素と申しますか、そういう点が十分に実現に向かって可能なように私どもとしてはまず努力をしていくということが重要ではないかというふうに考えている次第でございます。  さような意味で大変貴重な御意見ではございますが、私ども、今後の漁業の制度を考えていく上において、長期的な視点に立った上での一つの参考の意見ということで検討さしていただきたいというふうに私は思う次第でございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 いまの御意見の中で、管理型漁業、それを行うと、それを行うための、そういう形をとるための漁業制度の見直しということを言っているんであって、その管理型漁業の今度は一番大事な点は何かということになれば、先ほどるる申し上げましたように、これは五十五年の白書に明確に出されておるように、まず資源の把握なんで、資源をいかに迅速に、しかも科学的に把握するかと、その作業があって、その結果を待って初めてそういう形ができるんで、長官の言っていることを別段これは反論するわけではないんで、要すれば、あなたがおっしゃっていることを早急に的確にやってもらいたい。五十五年の白書にこれだけ書いておって、いまでもなおこれからやるような話をしておるんじゃ、これはどうにも議論にならないわけですから、そのことを私は申し上げているわけです。  それからもう一点、この漁業権の問題で、これは明らかにしておきたいことは、やはりこの現行許可制度の実態を見ると、許可が一つの権利化されておると、それでこれが売買されておると、また貸借されておると、そして中にはこれは休眠しているものがある。これがこのまま放置されておるということは問題がある。したがって、新しい制度を考える場合において、こういう矛盾、この矛盾をなくするようにやっていただかなければならないと思うわけです。権利が自由に売買されていたり、貸借されている。それで今度その権利を持っている者は、何も自分が漁業を経営するんじゃなくて、それを貸して、そしてそこから貸し料を取って生活している。それでそれを借りた者が漁業経営をやっているといったような矛盾は、これを一日も早くなくするように努力してもらわなければいけないと私はそう思う。そういうことも含めて漁業制度の見直しをぜひ検討し、進めていただきたいということを重ねて強く要望しておきます。  次に、私お聞きしたいことは、この漁業経営負債整理資金の活用の問題なんです。本資金制度は減船等の漁業生産構造の再編整備に参加する漁業者や漁協の負債整理に要する資金を長期低利で融資するという制度、非常に結構な制度なんです。償還期限は原則としては十五年、うち据え置きが五年以内、利率は五%または六・五%、融資枠は五十七年度においては三百五十億円、五十八年度は六百五十億円、こうなっておる。で、本制度では漁特法に基づく自主減船によって漁業を廃業する漁業者等に対して融資される資金であります。そこで残存者、残って営業するこの方々の負担能力が弱い業界ではもう出漁規模の減船等の自助努力が困難だ。それから、沿岸漁業では漁特法の減船になじみにくい、こういう状態になっている。で、この制度の、整理資金の融資についていろいろ私どもは陳情を受けておる。なかなか融資条件がむずかしいらしい。そこで五十七年度の融資実績は六十六億円強にとどまったと。で、五十七年度の予算は三百五十億円、これに対して実績は六十六億円強にとどまっておるようであります。特に業界、このマグロ業界等は非常に強く要請され、私も陳情を受けているんでありますが、何とか厳しい条件を緩和してくれるようにしてくれということであります。せっかく五十八年度六百五十億円、これを融資枠ということで決めてありますけれども、いまのような状態ではこれまた甘く、何とか融資条件の変更など抜本的な改正を行っていただきたい。私といたしましても、せっかくのこの枠を設けているんですから、それが厳しい条件のために使えないで残る。一方、私は、先ほどから強く言った、当然こういうものも水産資源保護法の九条、十条、十一条によってやるべきであるということを強く言ったら、長官の方は、これは自主的にやる、自主的にやれ自主的にやれと言ったところで、自主的にやろうとして、そうして共補償をするために多大の負債をしている、その負債のためにこの資金を借りたい、負債整理のために借りたいと言っても、これはできない。こういうことでは、何のためにこういう制度を設けたのかわからない。再編整備に無理に結びつけるのではなくて、負債整理だけでも対象として融資してもよいのではないかと、私はそういうことを思うんでありますが、これに対する長官の御見解をお聞きしたい。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) この漁業経営負債整理資金は特に二百海里の本格化あるいは燃油価格の高騰ということから出てまいりました漁業経営が非常に苦しくなっている状況、これを何とか解決したいと思ってつくられた制度でございますけれども、ただ申し上げておきたいことは、いままでたまっております漁家の固定化債務を単に借りかえをするということではないということでございます。そのような借りかえということではそう簡単にこういう制度資金、非常に長期低利の資金をつくるということはむずかしゅうございます。そこで、私どもは、減船、施設の合理化といったような漁業生産の構造の再編成の円滑な手段になる、これと絡み合わせまして、そういう努力をしてくださる漁業者に対しまして負債整理の資金を融通いたしましょうということを申し上げたわけでございます。それに呼応して、マグロの業界はまさに二割減船という非常に苦しい仕事を乗り越えられまして、この資金を貸してほしいとおっしゃってこられたわけでございまして、その御努力に対して私どもは深く敬意を表している次第でございます。  こういうことでございますから、この資金は、やはり貸し付けの対象業種なり、あるいは貸し付けの対象の漁業者につきましては、また、貸し付けの限度といったようなことにつきましても、やはり漁業生産再編整備のための自助努力、つまり減船なりあるいは生産の合理化ということでございますが、それを努力をしていただいた、それに比例してと申しますか、その御努力に報いるという形でこのお金を出していきたいというふうに考えておるわけでございまして、この原則は私ども変えるわけにはまいらないというふうに考えておるわけでございます。  そこで、そのような事態から、実はこの資金の運用を五十七年におきましてやったわけでございますが、三百五十億の枠で六十七億円弱しか貸さなかったということは事実でございまして、私どもも非常に残念に思っているわけでございますが、やはりこれは、一つは、制度の発足の初年度でございまして、制度の仕組みの決定が、実はまことに申しわけないことでございますが、年度後半にずれ込みましたために、減船等に関して業界の方々がやはりこれは非常に大変な仕事でございますから、そのコンセンサスを得るところまでいかなかったということで、実はマグロだけしかこの貸し付けの対象の業種にならなかった、大部分のほかの業種は制度に乗らないという状況だったということが一つあろうと思います。それからもう一つ、遠洋のマグロの漁業につきましてももう少し貸し出しがふえるだろうというふうに思っておりましたが、整理対象債務の大宗となりますところの国の制度資金関係の債務の大部分が、前長官の今村長官がおやりになりました五十六年度に実施されました緊急資金の二年間中間整理、いわゆるモラトリアムということで、まだ返済期が来ていないわけでございます。返済期が来ていないものについては当然まだ負債の整理資金を出す必要がございませんので、その分が対象にならなかったということが実は大きな原因でございます。  そこで、五十八年度でございますが、この業種、引き続きマグロ以外、マグロももちろん今後貸し付けを行ってまいりますが、このほかにも、ぜひコンセンサスを得ましてこの整理事業に乗ってきていただきたいということでいろいろとお話をいたしまして、たとえばイカ釣り漁業であるとか、あるいはカツオ釣り漁業等が対象魚種になることを希望してきておられますので、魚種もふえると思います。  それからまた、ただマグロだけについて申しましても、先ほどの二年間据え置きの期間がいよいよ五十八年度は切れてまいりますので、恐らく二百数十億の金がマグロにも貸し出されていくという状況になっていくと思います。もちろんその場合に、ただ、いまのような制度そのままのやり方でいいかどうかということについては、確かに先生の御指摘もございまして、問題があるというふうに私どもも考えておりますので、五十八年度の運用につきましては、本資金への資金需要額の実態を正確に把握いたしまして、また、業界からも御要望がございます、この点も参酌いたしまして、その仕組みを適切に定めてまいりたいというふうに考えておりまして、この資金が活用されるように運用してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。ただその際に、先ほど申しました基本的な考え方、これは堅持してまいりたいと思っておりますので、その点は御了承いただきたいと思う次第でございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 いずれにいたしましても、国際漁業、遠洋漁業をめぐる情勢というものはきわめて厳しいわけでございまして、どうしても再編成をしなければならないことは、これはもうだれが考えてもわかることです。再編成するためには、昭和五十二年のあの二百海里時代、これは北海道が主でありますけれども、ソ連二百海里内に入って漁業をやっておったのが、全部これはやめると、減船されるという状況では、これは特別立法の線で、予算措置でもって、昭和五十二年のときは鈴木善幸さんが農林大臣で、五十三年は中川一郎さんが農林水産大臣で、両方とも実力大臣で、それで、これはもう特別立法もしないで、そしてもう予算措置だけで数千億の金を出して減船をやったでしょう。ところが、それと状況は違うにしても、減船するという実態においてはマグロ業界だって同じなんで、国際漁業をやっている方々は同じなんで、どうしても滅船しなけりゃならないんですよ。ところが、国からは金が一文も来ないんで、貸してやると言う。貸してやる金ぐらいはもう少し楽に貸してやったらどうですか。くれるわけじゃないんですからね。あの五十二年、五十三年の北洋のときは全部国がくれたんですからね。それと比較して、金子農林水産大臣も先輩大臣の鈴木さんや中川さんにならって、少しこれに力入れてくださいよ。あなたも巻き網なんかやっていらっしゃるのでああいう漁業のことについては詳しいと思うんですが、非常に苦しいと思うんですよ。これはやっぱり助けてやることが必要でないでしょうか。強くこれは要請しておきます。  それから、もう基本的な話は大体終わりましたので、いよいよもって本法律案の改正案に触れますが、まず、栽培漁業の定義についてお尋ねしたい。  この沿整法改正案の提案理由、大臣がお読みになった提案理由には栽培漁業という言葉が二回か三回出ている。ところが、改正法律案を見るというと、法律の改正の中には栽培漁業というのは一言も出ていない。これはどういうことなんですかね。通常、栽培漁業には養殖業も含む場合、含まない場合、それから昆布とかワカメとか、ああいう植物を含む場合と含まない場合、それから人工餌料だけでなく天然餌料を含む場合と含まない場合、いろいろあるようでございますが、その定義をまず明らかにすべきだと思うんであります。沿整法本文にも栽培漁業という言葉は二回ほど使われているようだが、定義はしていない。こういう幅のある言葉を定義もせずに法律やその提案理由に使うのは、これはちょっとよく理解できないんですが、これはどういう理由によるのか明らかにしていただきたい。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) まず、栽培漁業の定義でございますが、栽培漁業と申しますのは、私どもこの法律上考えておりますことは、最近二十年間に栽培漁業センターを中心にして開発されました技術開発の成果を踏まえまして、魚介類の種苗を大量に生産し、これを天然の海に放流しまして、自然の環境のもとで育成した後、漁獲するという形態を指すものでありまして、資源の増殖を通じて沿岸漁場の漁業生産力の維持、増大に寄与することをねらいとする、これが栽培漁業の定義でございます。  したがいまして、先ほど申されましたような養殖といったようなものは、この中には入らないというふうに考えております。  なお、法律上特に栽培漁業の定義を設けていないという御指摘でございますが、少なくともこの二十年間に技術開発をしてまいりました栽培漁業というものは、かなり人口に膾炙されておりますし、一船的に、このような栽培センターを中心にした技術活動に基づくいわゆる種苗の量産、それから中間育成、そうして放流といったような体系というものは、かなり完備してまいりましたので、さような意味で、栽培漁業という言葉はかなり熟したものであろうというふうに考えまして、特に定義を施さなかったというのが法律の関係でございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 次に、放流効果実証事業のあり方についてお尋ねします。  この事業は、都道府県で一つだけ知事によって指定される民法法人が種苗を放流してその効果を実証し、漁協や漁連の放流意欲を喚起しようとするものである。なお指定法人は、漁業者、遊漁者等から任意の協力金を受け入れることができると、こうなっておる。  そこで、この事業のあり方についてお尋ねしますが、まず第一に、本事業の必要性。この事業は、漁協、漁連による特定水産動物育成事業が進んでないこと、従来の種苗放流が分散的で、効果が上がりにくくなっておること等の反省の上に立っているんだろうと思うんですが、そのように考えて間違いないですか。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 従来までの栽培漁業の進め方を申しますと、国による種苗生産技術を開発いたしまして、その開発した技術を基盤として、県の段階で種苗の大量生産、大量放流を行いまして、放流による増産効果を明らかにすると、そこで漁協等がみずから行う特定水産動物の育成事業という経済事業に移行されると、これが一つのプロセスと申しますか、過程の考え方であったわけでございます。ただ、回遊範囲の非常に広い魚類、たとえばマダイといったようなものをとってみますると、放流による経済効果というものが漁協等にまだ十分認識されておらないこともございまして、直ちに漁協みずからが行う、たとえば育成水域を設けまして、水産動物の育成事業に達するというところまでなかなかいかないわけでございます。そこで、その中間の段階ということで、今回の法改正によりまして、比較的回遊範囲の広い魚類等につきまして、現在県等が行っている試験的段階から、漁協等に移る本格的な経済事業の段階の中間という措置として放流効果事業というものを実施し、これによりまして公益法人が繰り返して放流事業を行って、漁民に放流の効果というものを普及させるという、一つのクッションを入れるという制度を考えたわけでございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 そこで、本事業を進めていく場合に、種苗放流の効果の上がりそうな場所を選定しますね。それで濃密放流しようとしている。もちろんそうしなければいけませんね。そうすると、放流場所というものは、従来よりも少なくなっていくおそれがないかということ。それから、種苗生産技術はともかくとして、放流技術がまだ十分開発されていないんではないかと、こう思うんですが、こういう現状では、かなり失敗も多くなり、展示効果どころか、あるいは漁民の意欲をそぐ結果を生ずるおそれもなしとはしないと思うんです。また、効果が出るにしても、繰り返し同一場所に放流していかなければ、目に見えるまで効果は上がってこない、こう思うんですね。そうなりますと、この指定法人の経費が相当大きく重なっていくんではないか。こういう面から、この経費の面からこの事業の拡大が限定されていくんではないかという心配が一つあるわけです。  それから、続けてやりますが、この採捕規制に対する協力です。効果が出るかどうかの重要な要件の一つは、成魚になるまで、いわゆる稚魚から成魚になるまで放流種苗を採捕しないことである、そうですね。成魚にならない稚魚のうちに採捕してしまったんじゃ、これは効果はちっとも上がらないんですよ。こういうことからして、国は都道府県に対して栽培漁業推進協議会の設立を指導している。この団体を通して採捕規制に協力を要請する方針のようでございますが、果たして効果的な協力が得られるかどうか。どういうお考えを持っていらっしゃるか。  実例を挙げれば、放流マダイの多くが一年以内に採捕されてしまっている、こういう現状のもとで実効ある協力をどう確保していこうとされているのか、その方針等もお伺いしたい。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) まず、放流技術の問題でございますが、確かに先生おっしゃいますように、まだこの放流技術というものが完全に確立されていないという段階のものが多いわけでございまして、種苗の量産というところまで技術がいきましても、その次の段階として放流技術の開発というものは非常に重要でございます。放流場所あるいは放流時期、放流サイズあるいは最適放流数量といったような諸点につきましてなお解明を要する魚種がございます。  このような点で、私ども現在、マダイを初めといたしまして十種類の魚種につきまして、放流技術の開発ということで特別の調査事業を実施しているところでございまして、さような技術の確立を一方において図りながら、この放流効果実証事業をやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  そのために、放流場所はむしろこのようにある程度まで確立された技術を持つ魚種につきまして大量、反復してやるということがやはり最も効果を上げるゆえんではないかというふうに考えておりまして、実はいままでの放流事業というのが比較的少量分散というところにありましたところにむしろこの栽培事業がなかなか伸びなかった原因があるんじゃないかというふうに私どもは考えております。  したがいまして、あるいは失敗するということがあろうかと思いますけれども、十分にその点は技術的に練りまして、その上でこの放流のかなり集中的な放流をやっていくということがこの放流効果実証事業の体制として必要ではないかというふうに考えます。  そこで、経費の問題でございますが、経費につきましては、基本的に私どもこういう放流効果の実証事業というのをやはり実験の段階でございますから、基本的には国とか県とか、そういうところで種苗代等も持ちながらこの放流事業をやっていこうというふうに考えておるわけでございます。  しかし、ある程度まで放流効果が安定的にあらわれた段階になりますれば、私どもとしましてはここの規定にもございますように、協力金という形で地元の漁協等から協力のお金も決してこれは強制ではございませんが、分担をしていただきまして、拠出をしていただきまして、そしてそれをさらに放流種苗数や放流地点数をふやすために積み増していくということによってこの事業を効果あらしめたいというふうに考えている次第でございます。  その次に、成魚になる前にとられてしまってはどうしようもないじゃないかと、まことにお説のとおりでございまして、実は各地点での従来までの放流事業の経験によりましても、特にマダイ等がまだ稚魚から成魚になる段階で、たとえば小型の底引き漁業等にとられてしまうといったようなこと、あるいは釣り人にとられてしまうといったようなことで放流効果が上がっていないといったような実態があることが事実上がってきております。  したがいまして、私どもは、先ほど先生が御指摘になりましたいわゆる協力要請ということの中で、成魚になるまでの一定期間はこの一定の水域でその放流した魚をとらない。放流した魚あるいは放流したと同種の魚をとらないといったような協力をしていただくということを要請する。あるいは体長の制限をするといったような方法も御要請するといったことを考えているわけでありますが、さらに加えまして、私の方としましては、自然魚も含めまして全体的に資源の保護が必要であるという場合におきましては、たとえば漁業調整委員会の規則とかあるいは指示といったような漁業法あるいは水産資源保護法に基づくある程度まで強制力を持ちましたそういう措置をとりましても、こういう稚魚の保護を図っていくということを考えている次第であります。

川村清一日本社会党

○川村清一君 協力金の問題ですが、この協力金は強制するものでない、任意の協力金である、これは漁業者やあるいは遊漁者からいただくのかどうかわかりませんけれども、組合あたりでは事実上強制的になるのではないかという危惧をしている者があるんですが、その辺はどうなのか。  それから先ほどの長官の御答弁では国が助成するというふうなことはおっしゃっておらないんですが、国は一文も出さないのか。そこで、地方庁も、これは知事にやっていただくような、委任するようなかっこうになっておりますが、地方財政も非常に厳しい折で、そういうような場合にそんなようなことにならないように十分行政指導すべきでないか、こう思うんですが、指定法人がこれからやっていく場合にやはりお金がずいぶんかかる、金がなければ思うようにやっていけないわけでありますから、そこで漁業者や遊漁者の負担だけでこれを運営させるということでこれはいいのかどうか。これは、国はこの指定法人に対しては全然助成というものを考えていないのかどうか、これをもう一度お答え願いたいのであります。  それから、この漁業者に対して負担させるということには、私はこれは一番初めに議論した点からいって賛成できないんです。と申しますのは、この栽培漁業における受益者負担というかっこうで漁業者から負担金をとるのでありますが、しかし、そもそも沿岸漁業は漁場破壊の結果として重要資源を減少させてきたわけです。瀬戸内海はもとより、東京湾、伊勢湾などわが国の代表的な沿岸漁場で漁場破壊が大きく行われた。その結果資源の減少がきたわけです。すなわち、資源を減少させるその反面、経済発展を優先させて大企業は大いに発展していった。一方、漁民の方は漁場が破壊されて、そうして漁業経営ができなくなってきた。その責任を明確にしないで、——むしろその被害者であったのがこれが漁業者、漁民であったわけですね。ですから、そういう栽培漁業というものは、ある一面においては減少した重要資源を多少とも回復させようとする事業ではないかと私は思うんです。これはある意味においては損失を受けた漁業者に対する償いである、こうも考えられるんです。その漁業者を受益者であると、こういうふうに断定して、受益者だから負担金を出しなさい、こういういき方はいささか納得いかないんであります。したがって、栽培漁業はすべて国あるいは都道府県、大企業の負担、いわゆる海を破壊した大企業の負担で行うのが当然ではないかと思うんですが、これらに対する御見解を伺いたいと思います。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) まず、協力金の性格でございますが、放流効果実証事業の実施に伴いまして放流魚と同種の魚の漁獲増という利益を受ける者がその受益の認識に基づきまして任意に拠出するというのが、この協力金の性格でございまして、さような意味では公共事業の実施等に伴いまして特に利益を受ける方から強制的に徴収するといういわゆる受益者負担金というのとは全く性格が異なるものであるというふうに考えております。  したがいまして、私どもはやはり協力金というのは、利益を受けるものの団体、たとえば漁協等がそれぞれの受益の認識に基づきまして、話し合いによって額を決めて拠出するということでございまして、私どもの指導上もそういった強制徴収といったことにわたることがないように厳にこれは指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  それから第二に、国の助成はないのかという点でございますが、もちろんこの放流効果実証事業につきましては県が主体になってやっていただくわけでございますけれども、国はその助成をするという立場でございます。また、このような協力金というのは、決して協力金を当てにしてそれだけで放流効果実証事業をやっていきたいというふうに考えているわけではございませんで、あくまでもこの段階におけるやはり経費というものは国、県が主体になっていくわけでございますが、さらに放流地点なりあるいは放流尾数を増大するために協力したいということで任意に協力をしていただく、拠出をしていただく協力金によってさらに積み増して放流効果実証事業をやっていく、それによってこの事業の効果をより一層高めていくというのが協力金の性格であるというふうに御理解をいただきたいというふうに考えます。  また、これは受益者負担ではないかということでございますけれども、私どもはこれは受益者負担とは考えておらないわけでございます。サケ・マスのように母川回帰という特性を持って、しかも人工ふ化放流によるものがほとんどであるような魚種につきましてはこれは別でございますが、放流による魚介類と天然の魚介類を明確に区別するということがなかなか困難であるというものにつきましては、栽培漁業に受益者負担の制度を導入するということはむずかしいということは私ども考えておるわけでございまして、決してさような考え方は持っておりません。ただ、将来におきましてこの事業の魚種の中にペイするものが出てくる、経営的に引き合うものが出てくるといったような場合には有償配付といったようなことが行われていくということはございますけれども、その場合、いわゆる受益者負担といったような考え方は持っていないということを明確に申し上げておきたいと思います。

川村清一日本社会党

○川村清一君 次に、栽培漁業の有効性の確保という立場からお尋ねしたいんですが、栽培漁業の有効性を確保しようとするなら、栽培漁業の種苗はいろいろあるわけですから、先ほどから議論しているように。そこで一番有効性を確保しようとするなら、まず第一に共同漁業権の対象となる水産動物、すなわち定着性のイセエビ、シャコとかナマコとかウニとかタコなど、こういうようなものの種苗生産、それから放流の技術開発に力を入れるべきじゃないか、まず第一には。  それから第二には、非定着性の水産動物については、マダイでここに言われているように、給餌と音響馴致を組み合わせて育成水面内にとどめてその水面から外に分散していかないような技術の開発を急ぐべきではないか。  第三には、北海道指導連などが提案しているように、漁業権制度を見直して、栽培漁業を権利化する制度を創設する、これについては先ほど大臣がいまの段階ではできないというふうに否定されておりますが、これはまず後にしまして、とにかく栽培漁業をやって、それが相当のお金を使い、技術を使ってやるわけですから、まず有効性がはっきりしなければならないので、そのためには、第一には共同漁業権の対象になるような魚種をやるべきではないかというふうに私は考えている。第二には、せっかくマダイのような非定着性の魚種ですね、こういうものにつきましてはいろいろなやはり技術を開発して、放流した水面からよその方へ行ってしまわないような、そういうような方法を考えて、せっかくやった栽培漁業というものが有効的に結果が出るようなそういう方法を講ずべきではないかと思うんですが、いかがですか。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 先生のおっしゃること、まことにごもっともでございまして、できるだけ定着性の生物を主体にして栽培漁業の種苗の生産に当たっていく、あるいは非定着性のものもできるだけ定着化していくということは確かにそのとおりであろうと思います。  問題は、まだここまで技術が達していないというところに問題がございまして、たとえばウニにつきましては、すでにかなり種苗センターによっては技術を開発しつつあるところがございます。ただ、イセエビなどは非常に価格も高いわけでございますし、この技術が確立いたしますとかなりの程度私は効果があるんじゃないかというふうに考えまして、技術の関係の方にいろいろと伺っているわけでございますが、まだ、イセエビにつきましては卵から稚仔、稚仔から成魚と申しますか、一人前のイセエビになるまでの過程につきましてまだまだ生物学的に、あるいは生態学的に学問的な解明がなされていないという状況でございまして、一番問題はどの段階でどういうえさを食うか、これがまずわからなければ育苗の技術というものはできないわけでございます。  さような点で、またタコにつきましても同じような問題がございまして、いろいろな技術者が一生懸命になって研究をいたしておるわけでございますが、さような生態系あるいはそのえさの技術がまだ確立していないというところから、まだこのような非常に有望な魚種につきまして育苗がなされていないという状況でございます。しかし、私どもはこのようなこともこれからの技術の解明によりましてかなり開発されていくんじゃないかというふうに希望を持っております。  たとえば、北海道でございますけれども、ついこの間厚岸、一昨年の暮れでございましたが、厚岸で新しい国営の栽培センターをつくったわけでございますが、その際にあそこでタラバガニとそれからハナサキガニの種苗の生産をやるということにいたしておりましたけれども、なかなかこの技術が確立しておりませんでしたが、珪藻類を食べさせることによって種苗ができるということがわかりまして、ことしはハナサキで四十万尾からの種苗ができ上がっておるという状況でございます。日進月歩の技術でございますから、必ずやそういうことができるんじゃないかというふうに考えております。  それからマダイにつきましても、確かに給餌技術あるいは音響馴致といったようなことによってできるだけ回遊の範囲を狭くしていくということは今後確立すべき技術であるというふうに思いますが、また同時に、回遊経路を明瞭にいたしまして、数県にまたがる恐らく回遊をいたすと思いますが、その中でどこをどのように成育した稚魚が回遊していくかといったようなことも完全に把握しながら放流の効果を確かめ、実際の漁獲もそのようなことでやっていくといったような技術もまた確立できていくというふうに考えますので、いろいろな方法をもちましてさらに技術体系を完備していくということが必要であろうというふうに思います。

川村清一日本社会党

○川村清一君 せっかく苦労して栽培漁業を発展させた、栽培漁業を進めていくと。そこで大事な問題が一つ出てきて、この法律案のやっぱり改正の問題点の一つなんですが、遊漁との調整対策ですね、これに私はいろいろな意見を持っているのですが、まとめて申し上げますが、今回の法改正では、漁協等と遊漁案内業者団体等が漁場利用協定を結ぶ場合等について所要の規定を設けているわけです。沿岸漁業者にとって深刻な悩みは遊漁船が激増して、漁業者の操業を邪魔するばかりでなく、それらの遭難の都度漁業者が救難に当たらなければならないというようなこと等々いろいろ問題があるわけであります。  そこで第一に私は強く要請したいのは、漁業者の優先権をまず確保してほしいということであります。漁場利用協定の内容や知事の勧告、あっせんについて何らの基準らしいものが明示されてないんです。すべて運用に任せられているようでありますが、生業である漁業と遊びである釣りとを同格扱いにしているのは私は何としても納得できない。まず漁業者に漁場利用の優先権を与え、その邪魔にならない範囲で遊漁者が漁場を利用するようなぜこの改正案できちっと規制しなかったかというところに私は強い不満を持っているわけです。もしそれが法に規定できないとするならば、今後この法の運用に当たっては行政指導でそれを厳しくすべきであると、こういう見解を持っております。これに対しましてはひとつ明確にお答え願いたい。  もう一点は、マイボートに対する規制であります。漁場利用協定は、遊漁案内者や釣り人の団体と漁協との間で結ばれますが、問題はそれらに加入していない人たちが、加入していない釣り人がたくさんいる。いまや漁場によっては職業遊漁船以外の自家用遊漁船、すなわちマイボートが漁船よりも多くなっている、こう言われておる。漁業者がまきえの自粛を申し合わせて、たとえばまきえなんかにもずいぶんやっぱり規制しておる、あるいは資源保護や漁場環境の維持を図るためにいろいろと考え心配しておる。ところが遊漁者、特にマイボートはこのようなことは一向意に介さない。まきたいだけまきえをまく、まき散らす、魚を引き寄せて職業漁師から魚を奪ってしまう。大量にまいたまきえが底質を悪化させる。しまいには清涼飲料水やビールの空き缶、瓶なども海に投げ捨てる。そうすれば網にかかって操業効率を落とす。果ては漁港を占拠して漁船の方が隅に追いやられてしまっている。天候異変のときはどれだけ打撃を受けるかはかり知れないような状態である。こういう現状になっておるんです。ですから、私はそのマイボートは当然登録制度、これを設けるべきである、それを法案に載せるべきであると、そう思うんでありますが、これは一切見送ってなってない。その理由は一体どういうことなんだ。職業遊漁船はそれでも漁業協同組合の正組合員か、あるいは準組合員である場合が多いと思うんです。したがって、漁業協同組合の組合員でありますから、比較的秩序ある行動をとると思うんでありますが、このマイボートでやっておる方々は全然そういう規制は何ら考えないわけでありますから、勝手気ままなことをする。そうして漁業者にもしもいろんな点において、たとえば遭難をして救助措置をとってもらうような場合にいろんな損害を与える。その損害に対する補償措置、そういうものは一切ない。こういうような今回の法改正に対しましては、私は何としても納得いかないんです。本来ならば反対なんだけれども、まあ反対としてもそこに遊漁者がいる、この事実は認めなければならない。遊漁、魚釣り、これは健全な娯楽である。これも認めなければならない。私自身も魚釣りは好きだ。だからこれは否定しない。否定しないけれども、あくまでも栽培漁業をやった漁場、その漁場はだれのものか、だれが優先してそれを使うものかというその原則はきちっとしておいてもらわなければならない。どっちが主でどっちが従だかわからないようになる。東京湾にたくさん船がいる。漁業者が魚をとっているかと思うと、それはみんな釣り船である。これが事実なんだ。それで一体いいのかどうか。大事なものですから、この問題については本当にきちっとした答弁をしてほしいんです。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) まず、遊魚と漁業との調整に関しての基本的な考え方をお尋ねだと思いますが、沿岸の海域におきましては四十五万人の沿岸漁業者がまさに漁業で生活を立てておられるわけでございまして、しかもこの漁業は国民に重要なたん白食糧を供給するという非常に重要な役割りを果たしておられるという状況、これはもう当然頭に入れなければならないと思います。ただ、一方におきまして、遊漁と申しますか、釣りの方につきましては、国民の自由時間の増大ということから著しく伸長いたしまして、その人口も年間千七百六十万人ということで、国民の健全なレジャーになっているという事実も一方にございます。そこで、このような事情を踏まえまして、私どもが遊漁と漁業との調整をする原則というのは、遊漁者側は漁業者の正常な漁業操業に支障を加えることが絶対にないようにすると、これがまず第一でございます。それで一方で、漁業者の側は遊漁者をいたずらに排斥しない。そういう原則のもとで今後運用に当たっていきたい。もう一度申しますが、遊漁者側は漁業者の正常な漁業操業に支障を与えるようなことがないようにする、これが大原則であります。そして一方で、漁業者側は遊漁をいたずらに排斥することはしない。これによって指導を行ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  次に、釣り船等につきまして、特に自家用釣り船、マイボートにつきましての規制の問題にお触れになりましたけれども、私ども実は釣り船業の届け出につきましては、これを釣り船業につきましては届け出制をしこうということを実は考えておりました。それによりましてこの団体を育成し、マナーの改善といったようなことに努めていかせたいというふうに考えておったわけでございますが、本来自由に営み得る営業でございまして、これについて何らかの規制をするということになりますると、届け出制をとることの前提として、釣り船業者の遵守すべき事項についての法的規制を行うということがどうしても必要になってまいりまして、この遵守すべき事項の具体的内容につきまして、やはり既存のいろいろな法体系がございます。この法体系との関連で関係各省と調節をいたしておったわけでございますが、その調整が間に合いませんで、残念ながら届け出制に踏み切ることができなかったわけでございます。今後この問題につきましては関係省庁となお引き続き調整を行ってまいりたいというふうに考えております。特にマイボートの問題でございますが、このマイボートは釣り船業者の船よりもはるかにまた数も多い。非常にこれまた大きな問題になっていることも私どもよく承知しておりますけれども、余りにもその数が膨大でございまして、所有者の確認も非常にむずかしいという面もございまして、都道府県知事の届け出制にするということにいたしますと、もう知事の能力そのものから見てなかなか困難じゃないかというふうに考えまして、この点につきましては、しかしながら一方に先生御指摘のような問題もございますので、まず実態の調査を十分行いまして、その上で必要な措置を今後検討していくということにいたしたいというふうに考えている次第でございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 時間がもう来ましたからこれでやめますが、長官ね、僕はこれは法体系からいっても非常に矛盾を感じているんですよ。沿岸漁場整備開発法、いわゆる沿岸に漁場をつくる。これは漁場はだれのためにつくるんだ。漁業者のためにつくるんだ。その漁業者がそこで生産を上げて漁業者の暮らしが楽になる。そのためにこの法律があって、そこで国も地方庁もお金を出すんだ。決して釣り人のためにつくっているわけじゃないんだ。釣りを否定するわけじゃないんだ。これは健全な娯楽である。結構なんですよ。これは決して否定しない。否定しないけれども、主としてこれを考えなければならないということを私は言っているんであって、そこでどうもわからないのは、漁業協同組合等ではその釣り人のあっせん業をやっているのがあるそうでございますね、あっせん業。一体漁業協同組合が釣り人のあっせんをやるということになると、それは組合の業務になるでしょう。組合の業務として釣り人のあっせんをするなんというそんな業務が水協法のどこに書いてありますか。これはまさに問題外だ。いわゆる釣り人のあっせんが組合の業務にありますか、そんなものが。そういう点ですね、まずもう少し漁業協同組合そのものをしっかり指導してもらわなければならない。そうして漁業者がいわゆる正業によって得る所得よりも釣り人を案内する、要するに船宿ですよ、この業務によって入るお金の方が——いわゆる漁業所得でなくて、漁家所得がそれによって多くなる。これもいわゆる漁業という立場から考えればこれは正常な姿ではないでしょう。ですから、そういう点も十分考えてほしいし、いわゆる漁場整備開発法の法律の中にこれを入れるということは、法体系上私はどうもまずい。よく法制局がこれで承知したと思うんですが……。別な法律をつくるか、あるいはまた先ほどから問題になっておるところのいわゆる水産資源保護法というようなものの中に入れるか、特別立法にするか、いわゆる漁場整備開発法の目的というものと、目的を阻害するような業務が、仕事がその中に入ってきておる、それじゃ法体系上問題があるでしょう、これは。その点を私は指摘しておきたいんです。  問題点はお聞き申し上げましたし、もう私の時間が来ましたのでこれでやめますが、とにもかくにも、今度はいろんなトラブルが起きるというとそれは全部知事があっせんせねばならぬ、知事が。国がこういうことを決めておいて、後は知事がやりなさいと言う、それで知事があっせんに入ったけれども、まとまらなければどういうことになるのか、いろんな問題があるんですよ。  ですから、どうかこの法律そのものは、これは成立しても、この運用に当たっては十分配慮していただきたい。  それからもう一つ、漁業法及び水産資源法の一部改正案、後ろの違反に対する罰則の強化、これについては賛成ですから意見は申し上げません。  以上で質問を終わります。

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 両案に対する午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      ─────・─────    午後一時六分開会

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、沿岸漁場整備開発法の一部を改正する法律案、漁業法及び水産資源保護法の一部を改正する法律案、以上両案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 法案には直接関係はないんですが、最初に昨年の三月二十一日千葉県千倉沖で座礁したアカデミースター号について一、二問質問をしたいと思います。保安庁はおられますね。  このアカデミースター号は、当時五万五千トンの微粉炭を積載しておりましたが、大部分が流出し、また大量のC重油も館山から天津小湊の南房一帯の沿岸約五十キロの範囲に被害を与えたわけでございます。  私は昨年の四月一日のこの委員会でこの問題を取り上げたわけでございますけれども、その後の今日に至るまでのこのアカデミー号の船体撤去の状況、これを御報告いただきたいと思います。

竹内寿太郎海上保安庁警備救難部海上防災課長

○説明員(竹内寿太郎君) 先生、昨年の四月一日に当委員会におきまして大変御関心を示された御質問がございまして、私どもといたしましても、沿岸漁業に与える影響非常に甚大であるということから、直ちに諸対策を講じたわけでございますが、外国の船主でございまして、外国の支配下にあるということから、本当の責任者等の的確な把握ということがなかなか円滑にいかない面がございまして、当初非常に苦労したわけでございますが、現在のところ船体撤去の作業を進めておるわけでございます。当初油の防除、それから積み荷でございます粉炭の回収、これも可能な範囲までやってもらったわけでございますが、船体撤去について相当いろんな議論がございましたが、昨年の七月から本格的に撤去の作業に入っておりまして、現在当初予定しております回収分のほとんどを回収いたしておりますが、なお海底に残ってございますのがございます。これの回収作業を現在続けておりますが、大体六月中には当初予定しておりました部分の撤去、これは全部撤去ということではございませんけれども、当初考えておりました撤去は六月中には大体終わるというふうな状況と聞いております。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 地元の漁協、それから地元の漁業関係者の意見としては、補償問題もございますし、また観光客の問題もございますし、問題はたくさんございますけれども、いずれにしてもこの船体撤去が一番問題となりまして、これが解決のつかない限り補償問題も最終的にはこれは解決つかないと、どのぐらい損害があるのかこれはわからないと、こういうことになっておりまして、地元としては早急に撤去をしてもらいたいと、こういう強い希望があるんですけれども、いま六月中というお話がございましたが、昨年の三月ですから、今日まで一年二カ月たってるわけです。このようにおくれた理由は、これは何なんですか。

竹内寿太郎海上保安庁警備救難部海上防災課長

○説明員(竹内寿太郎君) 先生御指摘のとおり、まだ一年有余を経て終わってないのが事実でございますけれども、この作業が始まりまして、私どもも非常に心配しまして、現地で十分関係者の指導、調整をやってまいったわけでございますが、一つは、膨大な積み荷である粉炭がございまして、これの回収がまず船体撤去の前に必要であるということで粉炭の撤去回収作業を行いまして、これが終わったのが七月に入っております。そこで七月の末から船体撤去に入ったわけでございますけれども、先生御存じのとおり場所が太平洋の外洋に面しておるといったことから、非常に気象、海象条件の厳しいところでございまして、現実に船を張りつけましても作業できる日が限られておるといったことで手間取ったというのがまたもう一つございます。  さらに、船体が三つの部分に分かれ、もうすでに浮力をなくしておりましたもんですから、これを切断して回収する必要があるということから、海中で火薬を使うということもやむを得ないということで、これにつきましても関係漁協等と十分御相談したわけですが、この作業に入る前にも具体的な調整なり御相談が要りますし、火薬を使う際には他の作業は中断しなくちゃいかぬといった作業上の特殊な制約条件等々もございまして、私ども非常に急がせておったんでございますけれども、先ほど御答弁申し上げましたように六月中までかかってしまう、こういうような状況でございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 先ほど言ったような理由で、地元の方としては船体の撤去ということを早急にやってもらいたいと、こういうことでございますけれども、六月中というのは、船体、船底まで全部含めて六月中には撤去できると、こういうことですか、それともどのぐらい残るのか。

竹内寿太郎海上保安庁警備救難部海上防災課長

○説明員(竹内寿太郎君) 先ほど申し上げましたように、船体全部が六月中に撤去されるという意味ではございませんで、船底の二重底の部分、これにつきましては昨年作業を開始する前から一応その後の検討事項にしようということで残っておりまして、先ほど申し上げました六月中と申しますのは、二重底以外の部分という意味でございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 そうすると、船底が残るということになると、船底に油も入っておりますし、またそれが出るかどうかもわからない、こういうことになると、一番最初申しましたように補償問題もこれ絡んでくるわけですし、被害額もこれも最終的には出ない、こういうことになるんで困るわけですけれども、最終的に、相手があることですから、船は外国の船だと、こういうことで、しかしサルベージは日本のサルベージの会社がやっているわけですから、海上保安庁として、これからの見通しとして大体いつごろまでにこれを完全撤去する予定なのか、その辺はおわかりになったらお話しいただきたいと思います。

竹内寿太郎海上保安庁警備救難部海上防災課長

○説明員(竹内寿太郎君) 海底に残っております船底部分につきまして、先生いまおっしゃいましたように油が入っているかどうか、これは非常に重大な問題でございますので、現在油が入っているかどうかをこれをサルベージにおいて調査をさせております。させておりますというのは、船主サイドでさせておるわけでございます。その結果、油が入っているかどうか、あるいは二重底の部分がどうなっているか。これは先ほど申し上げましたように、非常に海象の厳しいところでございますので、相当破損なり穴があいていたりいろんな状況が当初と大分変容を来しているだろうといったことで、綿密な調査をいまやっております。その調査の結果を踏まえて、一つのポイントは、油が入っているかどうかが非常に大きなポイントになりますけれども、そういうものを踏まえて、今後全部撤去するのか、あるいはどうするのか、これは関係者間でいろいろ御相談をされておるというふうに聞いておりますので、私どもといたしましても、油が漏れ沿岸に漁業を中心とする被害が出ることのないように十分関心を持って見守ってまいりたいと、かように考えております。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 保安庁結構です。  それでは法案の方に入りますが、最初に大臣にお伺いしたいんですが、言うまでもなく、わが国の漁業を取り巻く情勢は、二百海里規制の強化、燃油価格の高騰、水産物需要の停滞などにより、年々厳しい状況に追い込まれております。そこで、今回の法改正の主眼である栽培漁業の一層の振興、それと、遊漁者との間の漁場利用の調整、これは言うなれば、同じ水面で同じ魚をとる、こういう立場から、行政上非常にむずかしい点もあるかと思いますけれども、この沿岸漁業政策の中にあってどういまの点について位置づけされるのか、大臣から最初にその見解をお伺いいたします。

金子岩三自由民主党

○国務大臣(金子岩三君) 御承知のとおり、海外漁業は年々縮小されていくものという想定をしなければなりませんので、日本のいわゆる必要水産物、動物たん白の現在の一千百万トンを確保するためには、沖合漁業の振興も当然でありますけれども、やはり沿岸をまず振興することが大事である、それがいわゆる栽培漁業になってきておるわけでございます。なかなか、栽培漁業といっても、これを、稚魚を放流いたしまして、どの程度漁業資源の保護になり増大になるのか、厳格に言うと全く未知数のものではないか、このようにも考えますけれども、これを続けておるうちにやがて私は成果が見られると一応期待をいたしておりますので、ひとつ積極的に栽培漁業を推進していくことが将来の水産動物たん白の必要量を確保することになる、こういう考え方で取り組んでまいっております。その中で、いわゆる沿岸の漁業者と遊漁者との問題でありますが、沿岸漁業は四十五、六万の人口を抱えておりまして、この方々がほとんどもう八〇%は沿岸漁業従事者でございますので、その方の生活を保障するためにやはり資源は当然保護をして育成をしなければならない、それが栽培漁業に踏み込んだ一環である。そこに今度は遊漁者が大変、時代の流れと申しますか、年間延べ人口一千七百数十万人ぐらい、こういう膨大な方々が遊漁をやるようになっている。遊漁者のいわゆる漁獲する資源も沿岸漁業者の漁獲する資源も皆これは同じと見なけりゃなりませんので、この資源をどのようにして調整して資源の枯渇にならないような資源保護をしながら沿岸の水産物をどうしてふやしていくかということが大変な仕事でございます。したがって、最初から完璧を期するようなものはできませんでも、一応遊漁と漁業者との調整をいろいろ検討を続けてまいっておりましたが、当初計画しておったような内容からこの法律はずいぶんいろいろな面で後退しているのでありますが、一応これによってまず発足をして、後ひとつ時宜に適したように手直しをしていく以外にないじゃないかというような考え方でこの法制ができておるのでございます。したがって、時代の移りかわりで、遊漁という漁者がこれほど多くの方々が沿岸で、各県至るところ、ありとあらゆる漁業をやるようになってまいりましたんで、大変沿岸の漁業者に対しては大きな脅威を与えておるわけでございますけれども、この調整をするということはむずかしいことでございます。したがって、この程度の規制を加えて、まずその調整にひとつ乗り出そうというのがこの法制化の趣旨でございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 栽培漁業に力を入れていきたい、こういうことでございます。わが国の漁業は遠洋漁業、それから沿岸漁業、養殖漁業、こう分かれておりますけれども、これらの漁業、特に資源管理型漁業、これは午前中、川村委員の方から事細かにいろいろお話あったようでございますけれども、その中にあって栽培漁業が占める位置は重要となるということは私わからないでもない、わかりますけれども、栽培漁業の役割り、また意義、今後の推進について政府の基本的な考え方、それともう一つ、反面、漁場のいわゆる生態系の実態が学術的には現在研究が鮮明になってない、解明されていないと、こういう意見もあるわけです。したがって、栽培漁業を事ここに至って早急にやるのは時期尚早ではないかというような意見もあります。こういう点については長官としてどういう考えを持っておられるか、この二点について伺います。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) ただいま大臣からお話がございましたように、二百海里時代の到来に伴いまして、わが国の周辺水域の漁業生産力を維持増大させるということは何よりも肝要な方策であるというふうに考えております。過去二十年間の生産量を見ましても、養殖の方は飛躍的に増大してきましたけれども、沿岸の漁船漁業の生産は横ばいのままでございます。また他方、沿岸の漁船は隻数も増大していますし、大型化、高馬力化が進んでいるという状況で、漁獲努力は増大する一方でございます。さような中にありまして、栽培漁業というのは資源の増殖を通じまして沿岸漁場の漁業生産力の維持増大に寄与するということがねらいでございますので、先ほどから御答弁申し上げましたとおり、その振興は非常に重要であるというふうに考えております。このような立場から、従来から政府といたしましては、施設設備の強化ということで、国の段階のセンターの拡充、あるいは県段階の施設の整備ということをやってまいりまして、おおむねその目的を達するところまでやってまいりました。今後さらにその増強を図っていくという状況に相なっておるわけでございます。また同時に、種苗生産の面におきましても、その技術開発を日本栽培漁業協会に委託してやっておりますと同時に、また都道府県の行う技術開発に対しても助成をしているという状況でございます。このようなことをさらに一層推進するという立場からこの今回の法改正をお願いをいたしたわけでございまして、栽培漁業を計画的、効率的に推進するという立場から一つの法案の内容を用意しておりますし、また同時に、新しい開発魚種の導入、安定した種苗生産技術の開発、及び放流効果を高めるための中間育成技術、あるいは放流技術そのものの向上ということに今後とも取り組みまして、指定法人が行います、これも新しい制度でございますが、放流効果実証事業制度、これを活用いたしましてさらに一層栽培漁業を伸ばしてまいりたい、これが基本的な姿勢でございます。  なお、最後に先生おっしゃられました生態系がまだ不分明な点が多くて、これによって、このような状況のもとに栽培漁業を行うということは時期尚早ではないかという御意見があるやに承っておるわけでございますが、私ども現在行っております魚種、約十九種類の種苗生産を行っておりますが、これはかなり生態系は明瞭になっておりまして、生態系が明瞭になっておるからこそまた栽培の技術もできるという状況でございます。これからまだまだ加えてまいらなきゃならぬ魚種もあるわけでございますが、その際には十分に生態系の関係も技術的に解明いたしながら、この栽培漁業に取り組んでまいりたいというふうに考えておる次第であります。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 漁業生産の基盤である沿岸漁場の整備、まあ力を入れておると言われましたけれども、第二次沿岸漁場整備計画の進捗状況、これを具体的に教えていただけますか。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 沿岸漁場の整備開発事業でございますが、これは沿岸漁業の生産の基盤でございますところの漁場の整備開発ということを図るために、昭和五十一年度から第一次の沿岸漁場の整備開発計画を実施したわけでございますが、昨昭和五十七年度からはいわゆる第二次沿岸漁場整備開発計画ということで、総事業費四千億円、事業実施期間六カ年ということでお願いをいたしまして、予算上もこれをお認めいただいて事業を実施しているという段階でございます。  第二次の沿岸漁場整備開発計画の進捗状況でございますが、初年度の昭和五十七年度は、事業費が三百五十一億、うち魚礁設置事業が五百六十五カ所百五十三億、増養殖場造成事業五十五カ所百八十四億、沿岸漁場保全事業二十七カ所十四億という規模で実施をいたしておりまして、昭和五十八年度におきましては、大変厳しい財政事情のもとでございますが、公共事業中最高の伸び率ということで、前半度比一〇〇・七%、ごく微小ではございますが、実はこれはあらゆる公共事業を通じましての最高の伸び率でございまして、二百十二億円という予算を計上いたしまして、事業実施に当たりましては一層の創意工夫をこらしながら、目下効果的な推進を図るということで努力をいたしております。なお、第二次沿岸漁場整備開発事業の第二年度の進捗率は二〇・七%ということになっております。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 沿整事業のうち増殖場造成事業は特に栽培漁業と深い関係があるわけです。沿整事業五十七年から六十二年と、今回の改正によって新たな基本方針、それから基本計画とは相互に密接な関係を持つものと考えられますけれども、これら相互間の整合性ということになるとどういうふうになるのか、どういうふうに確保していくのか、この辺はいかがですか。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 大変重要な御指摘であろうと思います。  いわゆる海の種づくりと言われる栽培漁業の推進に当たりまして、放流の場でございますところの海の畑づくりという観点から、沿整の事業、特に増養殖造成事業というものが非常に重要でございまして、これは相互に密接に関連を持っているわけでございます。たとえば、アワビの増養殖ということを考えてまいりますと、アワビの放流と同時に、たとえば人工造林といったようなことを海中でやりますと非常に効果があるということは知られているところでございます。したがいまして、このような観点から、基本計画の策定に当たりましては、増養殖造成事業の効果と相乗効果が出るように私ども計画をしてまいりたいというふうに考えております。  なお、現在の時点で栽培事業と沿整事業の実際のつながりを見てみますると、小規模の増養殖場については、五十六年度までに百六十四地区が完成しておりますけれども、五十一から五十六年度の間にこのうち七十五地区で六千六百八十一万尾の種苗を放流いたしております。また、大規模の増養殖事業につきましては、完成が二十七地区でございますが、このうち十一地区で六千二十九万尾の放流が行われているということでございまして、両方とも密接な関連を持ちながらやっているという状況であります。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 それから、栽培漁業の振興ということで五十八年度末までには三十七都道府県で栽培漁業センターのいわゆる基本施設が完成し、六十年には完全稼働すると、こういうふうに見込まれているわけでございますけれども、このセンターの整備状況と稼働見通し、また、できればその総投資額を概略説明していただきたいと思います。素朴な質問で大変恐縮ですけれども、これには相当金がかかっているわけです。そのお金をつぎ込んで採算が合うのかどうなのか、これは素朴な質問ですけれども、この点についてお答え願いたいと思います。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 道府県の栽培センターにつきましては、昭和四十八年度から整備を始めておりまして、現在、海に面しておる三十九都道府県のうちで三十五道府県ですでに稼働をいたしております。それからあと二県で建設中でございまして、これらも含めまして六十年度からはすべてがフル稼働に入るという状況でございます。  なお、国の栽培センターと合わせましてこのような設備費につぎ込みました金は三百九十億ということに相なっております。  それから今後の段階でございますが、道府県の栽培漁業センターにつきましては、基本施設の整備の段階も終えましたので、次の段階は、この施設を利用して年間何回転させてどれだけ多くの種苗をつくるかということが非常に重要でございまして、この技術の開発が急がれているところでございます。単位容積当たりの種苗生産をふやすといったような種苗生産の生産性の向上ということが課題でございまして、今後のわれわれの取り組んでいくべき課題であると考えておるわけでございます。  なお、六十年度にこの都道府県の栽培センターが稼働いたしました状況を考えてみますると、現在持っている計画を合算いたしますと、クルマエビが六億六千万尾、マダイが二千六百万尾、クロダイ四百五十万尾、ヒラメが八百万尾、ガザミ二千四百万尾、アワビが三千二百万個という種苗生産が見込まれておりまして、こうなりますと大体漁獲量は金額にして六十億から百四十億、漁獲量が二千六百トンから六千五百トンというふうに増大するというふうに考えております。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 いま総投資額が三百九十億と、こういうことでございますけれども、先ほど言った素朴な質問ですけれども、これだけのお金をかけて採算が合うのかどうなのか。先ほどの大臣の説明にありましたように、息の長い栽培漁業をやっていかなきゃならないと、これはわかるような気がしますけれども、そのほかに、投資額ではありませんけれども、稚魚、それから稚貝の放流、このために年間二十二億円ずつ使うと、こういうふうに予算は組まれているんですけれども、見通しといいますか、採算面はどうなのか、この辺はどういうふうに考えておられますか。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) ただいまも御答弁申しましたように、現在の計画で約六十億から百四十億昭和六十年度には水揚げが上がっていくということでございまして、これがフル稼働の状態に入りまして、かなり息の長い話ではございますが、ほかの魚種もふやす、あるいはいままでやっておりました魚種も、大量生産、種苗の増産の段階に入っていくということになりますれば、私どもとしましては、従来の投資は回収できるような状況に持っていけるものというふうに考えている次第であります。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 次に、育成事業ですけれども、特定水産動物育成事業制度が設けられてすでに九年になりますけれども、私が思うのには、あんまり効果が上がってないように、こういうふうに思われてならないんですけれども、この事業がもたらした効果といいますか、これはどのように水産庁としては評価しておられるのか、この点いかがですか。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) いわゆる育成水面の設置は昭和四十九年に始まりまして、五十五年までに十四県で四十水域が設定されたのでございますが、その後の設定が行われませんで、現在の段階では九県、十三水域ということになっております。これはやはり育成水面そのものが非常に先行的な制度でありましたために、なかなかその活用が十分でなかったということで、もしも必要とあればその内容を十分に御説明いたしますが、現在放流が中止されたというのは一水域だけでございまして、育成水面そのものは栽培漁業の中に定着しているというふうに考えておりますが、なお、これを活用するためには、先ほどから御説明申しております放流効果実証事業といったような過程を経ることが必要ではないかというふうに考えております。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 それに関連しますけれども、実績が上がっていない理由として、クルマエビ、ガザミ、マダイ、ある程度小さいときはいいんですけれども、ある程度の大きさになると、育成水面にとどまっていないで、回遊するわけですから、育成水面の外に出てしまう、こういう問題が起こって、漁業者自身の放流意欲をそぎ、栽培漁業者の手による普及を阻害する要因ともなっていると。特定水産物育成事業の推進を図るために、政府はどのようにこれから指導をしていったらいいのか、この点について、どう考えておられるか。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 現在の段階での育成水面の設定が、先ほど申しましたように、九県、十三水域、クルマエビ八、ガザミ四、マダイ一という水域になっておるわけでございますが、なぜこれがこのような状況にとどまっているかということを考えてみますると、ただいま先生クルマエビとガザミのことをお挙げになりましたけれども、むしろクルマエビとかガザミというような魚種につきましては共同漁業権の漁場の中で実はまかれておりまして、大体その範囲を回遊しているという状況でございます。そうなりますと、やはり漁村の社会におきましては、第三者は他人の漁業権の漁場には無断で立ち入って漁をしないという慣行がございますので、放流した種苗はこういう慣行に守られまして、むしろこの育成水面というものをつくらなくても、共同漁業権の中で何とかきちんと保護がされていくというようなことから余り活用されてないんじゃないかというふうに考えられます。  ところが、タイとかヒラメといったような、こういうヒレモノになってまいりますると育成水面をむしろ越えまして大きく回遊すると、これはもう先生が御指摘になられるようなことが起こると思います。そこで、そういった場合におきましては、共同漁業権の範囲を超えてしまいますので、必ずしも放流の種苗が十分に保護されないということから、育成水面をつくっても仕方がない、こういうことでまた育成水面がなかなか普及しないという事情があるのではないかというふうに思います。  そこで、やはり問題は、漁業者が放流いたしました魚類の稚魚がやはり一定範囲に濃密に生息しまして、それを漁獲することによって収穫の増になるということを十分に漁業者が納得するという状況になりますれば、当然その段階から育成水面を使っていくということになろうかというふうに考えるわけでございます。したがいまして、今回放流効果実証事業ということを導入いたしまして、反復、継続してこういう放流効果を漁民の方々に知っていただく、普及するということをやってまいれば、それによって今度は育成水面を設定して、その中でこういった回遊魚も守っていこうという機運も出てくると、それによって活用ができるというふうに考えている次第であります。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 次に、放流効果ですけれども、今回の法改正で放流効果実証事業が創設されるわけですけれども、県段階における指定法人の役割りをここでは明確にしております。しかし、日本栽培漁業協会、これは長官もよく御存じのように、瀬戸内海から始まって、いま全国的に掌握するいわゆる日本栽培漁業協会と、こういうことになっているわけですけれども、この位置づけ、役割りについては触れられていないわけです。今後の栽培漁業の推進のために協会が果たす役割り、各都道府県の栽培漁業センター、指定法人との関係性についてはどういうふうになるのか、この点いかがですか。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 日本栽培漁業協会につきましては、今回の法律の中で何ら触れていないということでございますが、その役割りにつきましては、私ども非常に高く評価しておりまして、これはやはり栽培漁業の中枢の機関であるということは私ども自覚をしっかり持っている次第でございます。  その役割りでございますが、特に今後種苗の生産の基礎的な技術というものを確立するためには、この日栽協の仕事ということがどうしても中核になっていくというふうに考えられますし、また非常に回遊性の大きな魚、たとえば将来マグロとかブリとか、そういう魚についての栽培漁業ということにつきまして、技術を確立しようという場合には、どうしてもこういう日栽協の技術ということが中核になってまいると思います。  それからまた、栽培漁業に関する情報を収集、分析いたしまして、これをさらにまた各都道府県の栽培漁業のセンターに伝えていくと、あるいは指定法人に伝えていくということは非常に重要でございまして、さような意味からも、この日栽協の仕事というのは非常に大きいと考えられます。また、当分の間は、やはり種苗の供給のあっせんといったようなことの仕事もあるわけでございまして、さような意味で、この組織の持つ意味というものは非常に重要であり、今後ともその仕事を続けていくということであろうと思います。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 この放流効果事業を高めるために、分散放流から今度は重点放流に切りかえるようでありますが、放流種苗の保護対策として、改正案では、指定法人は、水産動物を採捕する者に対して、放流した水産動物の育成を助長するため、その採捕に関し必要な協力要請をすると、こういう表現になっております。採捕者に協力要請をするとするならば、期間であるとか、また区域も明らかにする必要があるのではないか。協力要請の実効性についてお伺いをいたします。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 放流いたしました幼稚魚が、放流直後やあるいは経済的な価値の低い段階で採捕されるということは、この事業の効果をそぐ一番大きな原因の一つでございまして、この採捕を防ぐために、改正案では指定法人は関係漁協等に対しまして、自主的な採捕規制措置を要請するということができるということになっております。  その具体的な内容としましては、一定期間、放流場所周辺での漁獲を自粛するとか、あるいは放流魚が濃密に分布、生息する水域内での経済サイズ以下の採捕を極力避けるといったようなことを協力の要請としますわけでございますが、当然、先生御指摘のように、期間あるいは区域を特定してこれはやるべきであるというふうに考えております。また同時に、放流効果実証事業に関連する地域で、漁協とか市町村、あるいは指定法人で構成される栽培漁業推進協議会というものを設けまして、ここでこのような趣旨を徹底していくということもやってまいりたいというふうに思っております。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 放流効果実証事業に、最終的には漁協等による栽培漁業の実施を考えているようでありますけれども、そのためには、放流効果実証事業の実施については、放流すべき種苗の種類だとか地域制について地元漁協の意見を尊重すべきではないかと、こういうふうに思うわけですけれども、水産庁としてはこの点についてどういう見解を持っておられますか。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) この放流効果実証事業というものが、将来の地元の漁協の栽培漁業というものにつながっていく事業であるだけに、先生の御意見はまことにごもっともであるというふうに思うわけでございます。そのような角度から、放流効果実証事業を実施する公益法人は、業務実施計画において、放流すべき種苗の種類、放流場所、放流数量等を定めるということになっておりますが、その前提としまして、知事はこの指定法人の業務実施計画の認可に際して、市町村、漁協、栽培漁業に関する学識経験者等を構成員とする県段階の栽培漁業推進協議会というところに諮りまして、この業務内容を決めていくという形になっております。したがいまして、そのような過程を通じまして、地元漁協等の意向が十分に反映されることが必要であり、また、そのようになっていくというふうに考えるわけでございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 この放流効果実証事業に関連して、協力金制度、こういうのを設けているわけですけれども、協力金制度が設けられた背景と運用方法ですが、どうするのか。協力金については、政府は、私は基準を示すべきであると。私は素人考えですけれども、やるならば漁獲高に比例配分するのが、これが一番公平ではないかと、こういうふうに思うわけですけれども、この点が一点と。今度はこの問題とは反対になるかもしれませんけれども、漁協等が協力金の受け入れをする。そうすれば今度、国や県から助成が減る心配はないか、こういう声も一つあるわけです。それから漁業者や遊漁者の間には、強制徴収になるのではないか、こういう心配もなきにしもあらずです。この点含めて、この協力金制度についてどういうふうにされるのか、お伺いいたします。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 現在の栽培漁業の進め方でございますが、国による種苗生産技術の開発というところに始まりまして、その開発した技術を基盤にして県が種苗の大量生産をやる。そこで大量放流も行われる。そして放流の効果が出てくる。そういうことが明らかになりました段階で、今度は漁協等がみずから行ういわゆる特定水産物育成事業という経済事業に移行する、こういう一連の考えを持っております。そうなりますと、回遊範囲の広い、比較的ヒレモノといったような回遊範囲の広い魚類につきましては、放流による経済効果が漁協等に十分に認識されていくということによりまして、漁協等が行う栽培漁業への移行が進んでいくのではないかというふうに考えます。  そういう観点から、私どもは今回の協力金の制度を考えてみますると、最初の国の実験段階、あるいは県が行っている試験段階というところから、最後の漁協等による、みずから経済事業としてやっていける段階、この段階の中間的な段階ということでこの放流効果実証事業というものを位置づけようと。その場合にはやはり、経済的な観点から申しますと、最初の段階はこれは国あるいは県という公的な機関が費用を持つ。また、漁協等が実際にこれをみずからの手で行い得るということになれば、これは有償配付といったような種苗の流通になっていくと思います。そこで、その中間段階として、この放流効果実証事業の段階では協力金を拠出していただいて、国、県の経費の上に上乗せして、さらに放流効果を高めていくという事業を考えてはいかがかというふうに考えたわけでございます。  それから拠出者の範囲でございますけれども、これは放流効果の調査の結果明らかになった放流魚が相当濃密に分布して生息する地域という中で、放流魚と同じ種類の魚を採捕する漁業者、あるいは場合によっては遊漁者も含みますが、そういう方から協力金の拠出をしていただくということでございます。  拠出の方法としては、漁業者、遊漁者といった個々の採捕者からではなくて、船ごとに、その大きさにより一隻幾らという方式も考えられますし、それから漁具、漁法によってランクをつけまして、漁協、遊漁案内業者ごとに一括して拠出していただくという方法が考えられております。  それから拠出金額でございますが、拠出された協力金はやはり種苗生産あるいは中間育成等、放流の経費の一部に充てられるということになりますので、これらの経費が協力金を募る場合の目安になるものと考えられます。具体的には、これらについて補助金が出ている場合には、その地元負担額に相当する金額ということになろうかと思います。  こういうことを明確に水産庁として示すべきではないかということでございますが、そのとおりに考えておりまして、水産庁長官通達で明確にこの基準を定めて示達したいというふうに考えております。  それから、放流効果の実証事業に伴う協力金が強制徴収の性格を持っては大変であるということでございますが、私どももそのとおり考えておりまして、これはあくまでも放流効果の実証事業が遂行されることによって受益があるということがはっきりわかってくると。そこでその認識に基づいて、話し合いで額を決めて拠出していただくということで、決して強制徴収などが行われないように十分に指導するつもりでございます。  それから県、国の助成が減る心配があるということでございますが、この点につきましては、私どもはやはり実験的な段階は国や県が種苗代を全額負担していく。また、放流効果が安定的にあらわれた本格的な段階になって、初めて地元漁協等が種苗代を持つというような考え方に立っていくべきであるというふうに考えておりますので、放流効果実証事業はその中間に当たるということを申し上げた次第でございますから、やはり放流尾数の増加、こういうことを図るために、国なり県なりの助成の上に上積みするという形で協力金を拠出していただくということでございまして、決して従来の国なり県なりの経費を後退させるという考えは全くないわけでございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 まだ細かいことたくさんあるんですけれども、最後に遊漁者と漁業者、この漁場の利用についてですけれども、最近は海釣り、磯釣り等の遊漁が年々盛んになっておるわけです。人口は一千七百万人とか、一千七百六十万人とか、こういうふうに言われておりますけれども、さらにその釣る道具、釣り具のいわゆる開発、技術が進歩して、釣りブームに一層の拍車をかけているのが現状であります。しかし、ブームの陰には遊漁者といわゆる漁業者のトラブルが非常に頻繁に出てきています。詳しくは結構ですけれども、どういうトラブルが内容としてあるのか、この点お伺いいたします。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 私どもが五十六年に都道府県から徴した報告に基づいて見ますると、大きな形として三つあると思います。  一つは遊漁者の行為が漁業の操業に支障を及ぼすということのために紛争が起こったということで、たとえば在来漁場に遊漁船が参りまして、漁業の方が操業が制約されるといったような事態、あるいは遊漁者がまきえ釣りに大量にアミ類等を使用して、そのために漁業の妨げになったり、えさの沈でんによって魚礁等の漁場に被害が起こるといったような状態、あるいは航行、操業中の漁船にモーターボートなどが接触したり、あるいは暴走したり、あるいは波浪障害が起こったりすること、それから遊漁者が釣り等を行うために定置漁場に入りまして魚群を散逸させるといったようなことが起こっております。  それから、第二のタイプとして、一部の遊漁者の悪質な行為によりまして漁業者が直接的損失をこうむったために紛争となるという事態でございまして、主として潜水遊漁によりまして第一種共同漁業権のアワビとかサザエといったようなものが不法に採捕される。あるいは定置網や刺し網といったような固定漁具あるいは養殖施設に損害が与えられる、そういったこと。あるいは魚類がその中で盗まれるといったようなことが起こります。  それから、第三のタイプとして、漁業者が遊漁者から料金を徴収することをめぐって紛争となるといったような事態もございます。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 最後にお伺いしますけれども、このトラブルに対して今後の法改正で県知事が仲に入って勧告をし調整をする、これは手続はあるわけですけれども、この基本になるというか、知事の考え方、また勧告する手続上において、私は海区漁業調整委員会、このあり方についてどういう御意見を持っておられるかお伺いしたいと思います。  すなわち、海区漁業調整委員会というのは、海区における最高の権限を持っておるわけです。たとえば法律案の中でも第七条には「都道府県は、その区域に属する水面における沿岸漁場の生産力の増進に資するため、海区漁業調整委員会の意見を聴いて、政令で定めるところにより、」云々、こういうふうになっておりますし、また十八条では「都道府県知事は、前条第一項の認可の申請があったときは、海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。」。この法案の中にも海区漁業調整委員会のいわゆる権限といいますか、これは最高な権限を持っているわけです。  そこで、遊漁者と漁業者の調整にこういう意見を聞かなければならないか、県知事は仲へ入りますけれども、もしこういうことになると私は片手落ちになるのではないか。釣り人の方にいわゆる不利になるのではないか、こういう意見も一般にあるわけです。  一番先に申しましたように、漁業者にしても遊漁者にしても、同じ水面で同じ魚をとる、こういうことにはかわりはないし、またそれじゃどうかというと、遊漁者にも遊漁者の言い分はあるわけです。それから、漁業者にも漁業者の言い分がある。遊漁者の方は、高度工業化社会に成長したわが国においては、自然に親しむいわゆる有力な手段としての釣りがあるんだ、こういう大義名分というか、理由もありますし、そのほかに、経済活動や社会生活の健全さといわゆる安定確保に必要である、こういうふうにも言いますし、一方、漁業者の方は、生存をかけて、生活をかけてやっているんだ、また、動物性たん白質の確保のために使命感を持って漁業をやっているんだと、これは、それぞれ言い分があるわけです。言い分があるけれども、実際にトラブルはそういうふうにある。そのトラブルを解決するのには、知事が仲に入る。それは結構ですけれども、いま言ったように、いわゆる海区漁業調整委員会のあり方の人事構成ですか、これを見ると、漁業者一方の人事になっている。こうなると、詰めていくといわゆる不公平になるのではないか、こういう意見を言う人もおります。この点について水産庁としては何か手だてはないのか、いかがでございますか。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) この漁業とそれから遊漁との間の調整につきましての基本的なプリンシプルにつきましては、先ほど午前中に私お答えを申し上げたとおりでございまして、漁業者という非常に重要な生業に従事しておられる方々の操業にいささかも支障が生じてはならないということと同時に、遊漁者の方もいたずらに排除するということはしないというプリンシプルでこれを運用してまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、その場合に、海区漁業調整委員会の機能でございますけれども、当然この場合には遊漁者代表も入れてしかるべきではないかという御意見もございますが、委員会にはやはり自然技術的条件と社会経済的条件の両面から科学性を十分反映させるためにいわゆる学識経験のある委員というものが入っておられますし、また、漁業と一般公益との調整を図るために公益委員も入っておられまして、そのような角度から遊漁者の意見もこの中で反映していただくということになろうかと思うわけでございます。  ただ、具体的な釣りの側、遊漁者の側の意見反映を図るということでは、やはりそれだけでは不十分であるという御意見もあろうかというふうに考えておりまして、この点につきましては、漁場利用調整協議会というものが設置されております。これは海面における漁業者と遊漁者の調整に関する事項につきまして、海区漁業調整委員会の諮問に応じて調査、検討するという仕事を持っております。ここに諮問をしていただいて、その中で遊漁者の方の意見も反映していただくという手続をとってまいりたいというふうに考えております。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 もう一つ済みません。  その漁場利用調整協議会、これの諮問を受けてと言いますけれども、それは諮問はあくまで諮問であって、最終的にはこの海区漁業調整委員会のいわゆる決定に従う。だから、私がさっきから言っているように、それでは不公平になるんではないか、そうするといわゆる漁業法の改正をしなければならない、こういう意見も私聞いておりますけれども、憲法だって改正をしようと思えば改正できるわけですから、両者の立場を考えて何らか検討していただいた方が、私はトラブルの問題を含めてよろしいのではないかな、こういうふうに私は考えるわけです。そういったことで御検討をお願いしたいと思いますけれども、もう一度お願いいたします。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 実はこの遊漁と漁業との調整を図ります際に、私ども漁場管理制度研究会というところでずいぶんこの議論はしていただいたわけでございます。その中にもちろん遊漁の代表の方々もいらっしゃいまして、漁業者の代表との間にいろいろと御議論をしていただいた結果、このような体系になってきたわけでございまして、私どもとしましては、遊漁の立場というものもその意見に公正に反映されるということが必要であるというふうに考えまして、この漁場利用調整協議会という組織を通じながら、海区漁業調整委員会の中に意見を反映していただくということで御理解を願ってきておりますので、この制度で当面運用させていただきたいというふうに考えております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 沿岸漁場整備開発法の一部を改正する法律案、また、漁業法及び水産資源保護法の一部を改正する法律案、いま同僚委員からこの法案の問題については、いろいろお話があったようでございますので、それに関連します諸問題について若干御質問申し上げたいと思います。  最初に、沿岸漁場整備開発法でございますが、この事業は今度は第二次ですね。五十七年から四千億ということでございますが、第一次はそれなりの、先ほど午前中ですか、第一次の計画につきましては、それなりの成果があったことをいろいろお述べになっておりましたが、私は確かに全国各地へ参りまして魚礁を設置するということで、そういう漁業振興のための施設、その意欲、そういうものも目の当たりに見ておりますし、それを否定するものではございません。  また、消波施設の設置とか、そういうことについても整備開発法の事業として漁場の効用を回復するということでそれなりに御努力なさっていることはわかるわけでありますが、この事業の中に堆積物の除去等の沿岸漁場保全事業というのがございますね。これはいま第一次でどういうところでどのぐらいの事業量があったのか。また、この第二次でどのぐらい堆積物除去の問題についてお取り組みになる御計画、これはあらかじめ計画できるのか、また、今後出てきた問題について対処するのか、そこらあたりよくわからないんですけれども、この堆積物除去の問題について一次の実績とまた、二次の計画について粗々ひとつ御説明いただきたいと思います。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) ただいまお尋ねの沿岸漁場整備開発計画の中身として、特に沿岸漁場の保全事業の点をどの程度になっているかということをお触れになったと思いますが、まず第一次沿整計画の計画面で申し上げますると、沿岸漁場の保全事業の七カ年間の計画は百億円でございます。これに対しまして実績が六十九億と、約七十億ということになっております。それから、第二次の沿整計画におきましては、やはりこの事業、百億円を計上しておるわけでございますが、五十七年度の実績が十四億、それから五十八年度の予算額が十二億ということで、累計の進度率が二六%という形になっております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 この沿岸漁業を振興するに当たりましては、これらの魚礁とか消波施設とか、堆積物を除去するとか、こういう事業が必要であることはこれは論をまたないことだと思うんでありますが、それにも増して大事なことは、あの高度成長のときに水質が非常に汚染されたということで、日本列島、大変に各地の漁場が汚染され、漁業に適さないこういう地域が非常に多くなったわけですね。四十五年から、公害問題について非常に全国的に対処しなきゃならぬということで国会におきましてもそれぞれの法案ができまして、この公害問題についての取り組みというものは法の上からも、また実際の運用面からも、また現場的にもこの問題については非常にお取り組みになってきたわけでありますが、確かにどんどんどんどん汚染されていたあの時代から見ますと、沿岸漁場、この日本列島を取り巻く漁場の水域、水質というものは、一ころから見ますと汚染度というのは確かに進行しているとは言えないと思うんですね。確かにそれなりの効果があったんだろうと思いますが、しかしこれはどんどんよくなりつつあるという、そういう表現であらわされるものかどうか。水産庁としては、何といってもこういう施設をつくるということは大事なことですが、まずその前提として海の水がきれいであるということが大事なことであることは、これは論をまたないことだと思います。そういう、その一歩手前のこれらの問題、法案とはちょっと離れるかもしれませんけれども、この水質問題について水産庁としては現状どのようにお考えになっていらっしゃるのか。一ころ私は、四十五年ごろですか、いろいろ当時の農水省の方々にお尋ねいたしましたが、全国的に日本列島を調査をいたしまして、この日本列島全体の水質の汚染のために五百億ですか、ちょっと正確な数字は忘れましたけれども、被害をもたらしているという、そういう計算といいますか、実態を御調査になったこともあったようですけれども、現在も全体的にはあの進行状況の中から見ますと、そういう進行状況にはないとは言いながら、局部的に見ますと決してこれは全体的によくなっていると言い得ない、そういう問題もはらんでいると私も思うんですけれども、その点について水産庁の御見解をお伺いしておきたいと思います。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 先生おっしゃられますように、今回の栽培漁業を適確に実施していくという上におきましても、水質が良好な海面というものの状況を確保していくということが非常に重要でございまして、私どもも水質の汚濁なりあるいは廃棄物の流入堆積、あるいは油濁といった漁場環境に対する悪化というものを防止していくために関係省庁とも協力いたしましたし、また私ども自体の予算の執行という面でもかなりの努力をしてまいったつもりでございます。  一応、海域の水質の環境はどうなっているかというお尋ねでございますが、昨年十二月に発表されました環境庁の調査結果でございますが、海域の環境基準、いわゆるCODの達成率でございますけれども、昭和四十九年度には七〇・七%であったと言われておりますが、その後年々上昇して、昭和五十六年度には八一・六%という数字になっております。特に、海域別に見てみますると、やはりその中でも広域的な閉鎖性の強い海域ということで考えてみますると、東京湾、伊勢湾、瀬戸内海については、大体東京湾は横ばい状態、伊勢湾、瀬戸内海では達成率の向上が見られているという状況ではないかというふうに考えております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 まあ、隅田川にも魚が来たというようなことも言われておりますから、私は全面的に否定する気はないんですけれども、個々に見ますとまた新たな問題を惹起しているところもないとは言えないと思うんです。  私のすぐそばなんですけれども、塩釜——松島湾ですね。湾の中、非常に閉鎖性の湾でありますが、外洋水を引くようにということで、海の底を掘りまして外洋水が入るようにしたり、いろんなことをやっておりまして、一ころはずいぶんよくなった時代もあるんですけれども、四十九年ごろからここのノリが脱落が始まったということで、五十四年、五十五年、五十六年ほとんど芽が落ちる、脱落する。粒状菌のためだとか、いろいろなことが言われているんですけれども、脱落ということは、全然育たないということじゃなくて、育ったものが落ちるということですから、それは水質的にはどういう現象なのか。これは非常に専門的にはむずかしいことなんだろうと思いますけれども、確かにノリは非常に微妙な生物のようでありまして、ある程度の淡水化が必要だということも言えるわけでありますし、余り淡水化がひどいとまたかえってよくないという、こういうこともあるわけですが、ここを流れております砂押川という大きな川があるんですが、この川の水質も問題だろうと思うんです。また、さらに漁民の方々の言うのには、広域下水処理場ができたという——それは広域下水処理場のお話を聞きますと、これはもう完璧で、この水はもう飲める、魚もすめます、このようですと言うんですが、そういう処理をした大量の水がまた流されるということは、そのノリの養殖をする地域にとりましてはこれは必ずしもいい条件ではないのかもしれません。これは専門的に言いますと、何のため、どういうことが原因かということは非常にむずかしいことなんだろうと思いますけれども、やはり長年そこで漁をしていらっしゃる漁民の立場からしますと、やっぱり淡水が大量に流れる、そういうところに問題があるんだろうと言うわけです。  私は、これ、この問題について、ここでこの問題だけで云々しようという気持ちもないんですけれども、日本列島の中にこういうところがあって、しかも一ころ十何億ですか、相当なノリが、良質のノリがとれておったところが、ほとんどもう最近はとれなくなった。二百人からいらっしゃったノリ生産者が結局はもうおかに上がって仕事しなきゃならない。外洋に施設をつくってやるように一部はしておるんですが、これはみんながみんなではない。外洋にやるためには施設費から、いろんなそういう資力が、力がなければ結局はできない。またそれに伴います危険も伴う。こういうことで、対応策といいましてもなかなかむずかしいですね。ある地域で二百人からの、二百世帯からの多くの方々が、そこでノリの生産ができないために職業を変えなきゃならないというのは、これは地域としては大変なことだろうと私は思うんですね。今日までも県も傍観していたわけではないだろうと思います。今日までいろいろ調査をしたようですが、これ仙塩流域下水道、貞山運河、それから砂押川、いろんなものが交差しておりまして非常にむずかしい状況の中にあるんだろうと思いますけれども、いずれにしましても、こういう状況をただ見過ごしておくということは、やはりそこはもうノリはだめなんだというように自然のうちに、そういう時間稼ぎといいますか、真剣な取り組みのないうちに転業せざるを得ない。そしてそれが当然のように見過ごされていく。こういうことはこれは非常にまずいことだと思います。地域の問題として、県としてもまた組合としてもなかなかこれ真剣になって取り組もうという姿勢がないんですが、農業を振興しようという、こういういろんな法律を伴って、そして、目の前でいままでとれたものがとれなくなったということに対するやっぱり漁民の心情というものは、これは単なる過去を郷愁するわけじゃないんですけれども、いままでそこが生産の場であったということからしますと、これはいかにも大変なことだろうと私は思うんですね。  過日、私もここへ参りましていろんなお話を聞いてまいりましたけれども、このことはまた後日いろいろお話を申し上げなければならないことだろうと思うんですけれども、こういう現状のところがあり、ノリについてはやっぱり九州の方にもいろいろあるようですね、有明海なんかについても。こういう問題が起きたらぜひこれは堆積物を除去するとか、魚礁を設置してどんどんひとつ沿岸振興しようということとともに、やはり水質問題も決してこれは完全に解決した問題ではなくて、今日なおかつ残っておる問題であって、これは真剣に取り組まなければならない最大の課題なんだということの認識の上に立って、この問題等もぜひひとつ取り組んでいただきたいと私は思うんですが、いかがでしょう。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 私も松島湾行ってまいりまして、あすこの地域でのノリの漁業がかなり縮小し、場合によっては出ていかなければならぬという状況であるということも現地で伺ってまいりました。  また、その原因につきましても、生活用水の問題、排水の問題であるというお話も一部承りましたし、そうじゃないんだという御議論もあって、なかなか原因の究明がむずかしいんだという話も、先生おっしゃられておるように私聞いてまいりました。  やはり私どもの事業の面といたしましては、公共事業である先ほどの沿整の事業の一部で、漁場のヘドロの排除とか、堆積物の除去、みおをつくるといったようないろいろな事業もやっているわけでございますが、何といってもやはり大きな問題は私どもの所管外の問題であるいわゆる水質の汚濁の問題とか、あるいは産業廃棄物の処理とか、あるいは下水道とか、そういった問題がいろいろと関連してくるんじゃないかというふうに私ども思うわけでございます。  したがいまして、私どもとしましては、やはり水産の立場から水質の保全を図るということで関係省庁とも十分話し合いをしまして、水産業のその地域における経営の安定が図られますように、今後とも努力してまいりたいというふうに考える次第でございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 確かに生活雑排水もありますし、原因が単一的なものでないことは当然だろうと思います。その中で水産庁が携わる部門というのは漁業振興というものになろうかと思うんでありますが、いずれにしましても漁業者が、数多くの方々がそこで生産の場を失うということからしますと、これはやっぱり水産庁としても当然お考えいただかなければならぬことだろうし、一義的には県または市町村、そこらあたりが、まあ広域的に言いますと県ということになるんだろうと思いますが、真剣な取り組みがなければならぬだろうと思いますが、何といってもやっぱりこういうノリのような非常にむずかしいものになりますと専門家が非常に少ないといいますか、県の研究施設にも一人や二人いらっしゃるようですけれども、非常にむずかしい部門のようなんで、こういう問題についてはやっぱりもっと広域的といいますか、国でも当然その原因究明ということや——かつて何十億という、十億以上の生産を上げておった非常に良質なノリ漁場だった、しかもそれは遠い昔のことじゃなくて、手の届くつい最近のことだったということ等を考えますと、これはぜひひとつ水産庁も一つの大きな音頭取りになっていただいて、この問題についてもお考をいただいて、ひとつ推進を、いま長官お話しございましたが、ぜひひとつ進めていただきたいもんだと思うんです。  それから、ちょっと法案から離れるかもしれませんが、漁港整備の計画がございますね。これはこの法律に直接関係ないのかもしれませんが、私は沿岸漁業が振興するためにはいろんなものが伴わなければならぬだろうと思うんですが、水質が魚族の住むに適した水質であることが大事であることはもちろんでありますが、漁業者が一番大事にする漁港ですね、生活の場です。この漁港の整備、これは第何次ですか、計画を立てて進めていらっしゃるわけですが、この漁港整備についてもちょっと一言申し上げておきたいんですけれども、改修工事には五カ年計画ですか、非常に長い年数でこの改築工事が進められるようになった。  漁港の改修工事のあり方について、ぜひ一言申し上げておきたいと思うんですが、これは八戸の鮫字蟻子にあります大久喜漁港に参りましたけれども、いま防波堤をつくるんですけれども、これは砂をとめるために必要なことなんですが、何せ浅くて船が入れないというんですね。最近の船の大型化やなんかで、ずいぶん漁港の整備やなんかやっているようですけれども、ここは何しろ以前から計画を進めるように改修工事をお願いしておったんだけれども、ようやくことしからか去年からか、四千万ほどのあれで五カ年計画でやるんだということですけれども、機械を積んでいる大型船が二十二そう中九そうは浅くて入れない。満潮時にようやく入ってくる。そういうのは、これは漁業者にとりましては、最大の仕事の場を確保されてないということになるんで、漁港の整備の進め方というのは、いろんなことがあるんだろうと思いますけれども、予算もありまして、一つ一つ完全に一年から二年のうちにでき上がるなんというわけにはこれはいかぬだろうと思いますけれども、漁港として用をなさないということが、四年も五年もたたなければ完成し得ない——全体としては五億以上かかるんだけれども、一年四千万の計画で五年計画だということになりますと、五年たっても完全なものにはならないということですね。現在、その地元の方々が、実際船が入れないという、それで漁港だということですから、本来、第一種漁港というのは地元の方々が本当に利用できるものでなければならぬ。これは船が大きくなる、どんどん深くしなければならぬ、そういうものもあるのかもしれませんが、まずはいままで防波堤がなかったために砂が寄ってくる、こういうことももちろんあったんだと思いますが、計画を進めるに当たりましては、やっぱりそういう完全にできるというところまではいかないにしましても、順次利用できるような範囲内でこれを整備を進めるということも非常に大事なことじゃないかと私は思うんですけれどもね。  水質がよくなるということや、また漁港があって船の着く場所がきちっとする、そういう漁業者にとって一番基本的な大事なところがおろそかになって、計画だけがどんどんひとり歩きするというようなことでは、どうもちぐはぐになるんじゃないか。漁業というのは非常にむずかしい産業だという気持ちがしてならないんですけれども、漁港の整備につきましても、地元の方々の使いやすいというか、利用し得られるような整備計画の推進といいますか、こういうことをぜひひとつ念頭に置いて物事を進めていきませんと、計画だけがあって地元ではなかなか実利的でないと、こういうちぐはぐな面が出てくるんじゃないかと私は思うんですけれども、こういうことについては水産庁として年次計画の中で進められて、そういうことは現場でやることなのかもしれませんけれども、ぜひひとつ目を光らしていただいて、漁業者の実利的な、実効のある計画の推進、こういうことで進めていただきたいという気持ちがしてならないんですが、どうでしょう。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 漁港につきましては、御案内のように第七次の漁港計画をお願いいたしまして、当委員会でも通していただきまして二兆一百億の総事業費をもって現在取り組んでいるわけでございますが、何分にも公共予算ゼロシーリングという中にありまして、漁港を改築、改修、いろいろな御要望が非常に多いわけでございまして、どうやって予算を配分し、ある程度まで皆様方に御満足いただけるような状態にするかということで非常に苦労をいたしているというのが実情でございます。しかしながら、その際に漁港の整備に当たりまして一定の期間はかかるといたしましても、できるだけそれを効率的にお金を使い、また漁港の機能というものをできるだけ早く発揮していくという状況を技術的にやっていくということが当然のことでございまして、ただいま御指摘の点につきまして私残念ながら知識を持ち合わせておりませんけれども、漁港の技術の第一線を担当する人たち、もう少し改善できるようなことはないのかどうか、十分にその点検討してみたいというふうに考える次第であります。全般的に申しまして、やはり限られた予算の中でできるだけ機能が大きく発揮できるように措置をしてまいりたいというふうに考えております。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 それは漁業全体に関することでありますが、昭和五十八年から五十六年、この年度を比較いたしますと、漁業もずいぶんこれは変貌を遂げているようですね。経営体全体としては二十一万九千から十九万四千、経営体が二%減少しておる。就業者数が四十四万六千から三十五万四千と二一%の減少なんです。沿岸漁業につきましては、金額的には六倍ということでありますが、漁船漁業というのは二百万トン前後で停滞の様相でありますが、養殖業は四十万トンから百万トンまで二・五倍、こういうように養殖漁業というのは確かにそれなりに漁獲量もふえておりますし、またそれに伴う金額も何倍かになっておる。こういうことで最近の漁業者、特に沿岸漁業に携わる方々が今日まではどっちかというと外洋へ出ていく大型船、こういうことが中心になって、議題になっておったんですが、きょうは沿岸漁業中心でありますから、この点に眼を据えて見ますと、この沿岸漁業の漁業経営体数も二十二万七千から二十万五千ですか、およそ一〇%ですね、減っておる。それから就業人口も六十二万から四十五万という、このように沿岸漁業——農業もそうなんですが、沿岸漁業につきましても経営体数、またはその就業人口が年々減少傾向にある。それに伴います後継者の問題等につきましても非常にいま地元に参りますと一つの大きな壁にぶつかっておる。漁業の場合はどちらかというと半農半漁というような経営形態も非常に多いわけですけれども、漁業経営体数が年々このように減少している、またその就業人口が減っているという、沿岸漁業は非常にこの沿整法等で整備をされ、そしてまた振興が進んでいるにもかかわらず、水揚げ金額は上がっているにもかかわらず、やはりどんどん就業人口が減っているということですね。これは確かに最近の技術の発達によりまして機械化が進んでいるという一面もあるんだろうと思いますが、こういう経営体数や就業人口の減っているということについては水産庁としては、これはそのよって来る原因ですね、どのように考えていらっしゃるのか。現在の日本の漁業のあり方、遠洋から沖合い、そして沿岸とこうなっている現状からいたしまして、沿岸漁業の就業者というのはどんなに機械化するといっても限度があるだろうと思いますし、適正な就業人口というものはあるんだろうと思いますが、どの辺に歯どめがかかってこの沿岸漁業の振興の実というものが期されるのかという、どのようにその辺お考えになっていらっしゃるのか。いろいろな手だてがなされている反面で、やはりどんどん減っている傾向が目につきますので、そういう中で漁獲高で金額だけは上がっているというこういうことを見ますと、将来展望というのはどういうふうに位置づけていらっしゃるのかということをちょっとお伺いしておきたいと思うんです。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) ただいま先生御指摘のとおりでございまして、いわゆる沿岸の漁船漁業をとってみますると、その漁獲高が大体二百万トン前後で推移しておりまして、漁家数及び漁業従事者数も減っているという動向でございます。その大きな原因は何かと申しますると、私はやはり沿岸の資源量がある程度まで限界に来ておると申しますか、一定の状況になっておる。その中におきまして、やはり漁獲能力が非常に大きくなったいわゆる船の大型化あるいは無動力船から動力船へと切りかえられ、しかも漁獲の能力も非常に大きくなった、そういう船がふえてきたと、そういうことから一船当たりの漁獲量が非常にふえてきたという状況にあると。さようなことから、どうしても漁家の数が減ってきているという傾向にあろうというふうに考えるわけでございます。したがいまして、やはり大もとは、そのもとになりますところの漁業資源をどうやって管理し、ふやしていくかという点に一番大きな力点があるべきであるというふうに考えるわけでございまして、さような点から、今回お願いしております栽培漁業といったようなことも振興してまいらなければなりませんし、あるいは魚礁をよりたくさん海中に入れて漁業資源をふやしていくといった沿整事業も必要であると。さようなことから漁業資源を増加させ、また漁業資源を枯渇させない形でもって保護し、それをさらに将来増大につなげていくといったような方法によってこういう漁家の減少といったようなことも歯どめをかけていくことができるというふうに考えている次第でございます。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 もう日本は四面海ですから、幸いなことに沿岸漁業振興という残された道があるわけで、それにひとつ大いに力を入れていただきたいものだと思いますが、それとともに日本は暖流、寒流のかみ合う非常に海流の好条件なところにあるわけでありますが、私、これ国の栽培漁業センターちょっと見まして、どうも栽培センターの位置というのは西日本に非常に片寄っておるんじゃないかという感じがしてならないんですけれども、北日本には四カ所ということですが、特に東北、北海道については二カ所、こういうことで本当に寒流の魚に対しての栽培漁業センターの役割りというのはこれでいいのかどうか。これは確かに北と西とは海流とかまた水温とかいろんなことの上からは、全く栽培漁業ということに限りますと、それだけの制約はあるんだろうと思いますけれども、しかしこれは少し西の方に数が多いとか少ないということだけじゃなくて、これを暖流、寒流の関係の上から言いまして、寒流に対する栽培漁業というのはもっと研究個所または事業所というものがあってしかるべきだという感じがしてならないんですが、これは設置するにはそれなりの根拠があってやっているんだろうと思いますが、どうでしょう。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 栽培漁業のセンターの設置の場所についてでございますが、そもそもこの栽培事業はやっぱり瀬戸内から出発したものでございまして、やはりある程度まで水温の高い育成の速い地域というものが技術的な開発の面におきましても適当な地域ということで、そちらの方から出発していったということは事実でございます。しかしながら、最近におきましてはやはり寒流系の魚というものも重視しなきゃならぬと。確かに育成の期間はやや長い状態になりますが、当該地域の沿岸漁業の振興を図るという意味からも、そういう北の地域においても必要であるということで、栽培事業のセンターを北へと移動していったというのが現状でございます。比較的北の方の魚種というものはわりあい単純と申しますか、それほど魚種が多くないわけでございまして、ヒラメであるとかあるいはカニの類であるとか——甲殻類とか、そういった魚種につきましての今後の技術開発というものが望まれているという状況でございます。  私どもとしましては、配置の場所については、全国のネットワークをつくりましたのでこれで問題がないというふうに考えておるわけでございますが、なお都道府県のセンターとも十分に協力をいたしまして、北の海についての栽培漁業の技術的開発についても南同様に十分に取り組んでまいらなくちゃいかぬというふうに考えている次第であります。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 時間もなくなっちゃったからあれですが、私ども宮城県、東北、三陸沿岸、そちらの方の紙面を多く見ておるんですが、密漁のことがしょっちゅう出ておりまして、これはもう非常に深刻な問題なんです。  ただしかし、これはいろんな問題がありまして、さて警備体制をどうしろとか、もっと金をかけて船をふやせとかという、こういうことだけで済むことじゃないんだろうと思うんですが、これは五十六年の四月から九月にかけて長崎の行政監察局でやったのがございます。密漁防止対策の強化推進に関する調査——各地域でそれぞれの問題点を出しましてそして調査した、これは長崎県の調査のやつでありますけれども、この中にありますのは、密漁情報の収集、それから活用、それから効果的な取り締まりの実施、それから関係機関等の連絡調整体制の確立、それぞれの省庁でそれぞれの立場でこの密漁に対しての対策は講じているかもしれないが、お互いの連携が非常に悪いぞという御指摘じゃないかというふうに私は思うんです。これは地元でもやっぱりこういう問題、せっかく育てたのが一夜にしてということですから、それぞれこの問題を話し合っておられるわけでありますが、こういう関係する諸団体が連携を密にしてこの対策を講ずるということは、これはもう何年か前の提起でもありますから十分に御検討なさっていらっしゃることだろうと思いますけれども、現在、なかなか密漁なさる方々も高速艇で夜陰に乗じてということのようでありますし、また大変な力のある人がいらっしゃるようでもありますし、非常にむずかしいようでありますけれども、沿岸漁業の振興のために養殖ということで一生懸命地元でなさっているこういう善良な方々からいたしますとやりきれないことだろうと思うんですが、今日まで水産庁また海上保安庁とか県とか、それぞれの取り締まり、取り調べの体制があるわけですけれども、その連携、それからより効果的な手段、こういうことで現在もお話し合いをしてその体制を組まれておると思いますけれども、北海道とかまた三陸沿岸、ここで行われます、毎日のようにこの問題が取り上げられておるわけですけれども、この体制についてどのような体制が整えられて、そしてこの問題についての対処としまして、今後には強烈にこれに取り組むんだという、そういう現状をひとつお伺いしておきたいものだと思います。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 今回、漁業法及び水産資源保護法の一部を改正をいたしまして、罰金の額を引き上げるという措置をとったわけでございますが、この措置をお願いいたしますに当たりましても、単に罰則の強化ということだけではこの密漁の対策は十分ではないということは私ども十分よくわかっておるわけでございまして、やはり効果的な取り締まり体制というものがその基本であるということはよく存じております。  そこで、特に問題の多い海域につきましては、関係漁協なりあるいは都道府県、水産庁、海上保安庁、警察といったようなところが緊密な連携をとりまして、海上のみならず陸上におきましても取り締まりの効果的な執行ということをやっていかなきゃならぬと思っております。  現実に、かなりこの密漁の問題が深刻な県におきましてはこのような体制がとられてきておりまして、たとえば岩手県、宮城県、愛媛県、長崎県、大分県といったような諸県におきましては、関係漁協と都道府県とそれから市町村、地元海上保安部、それから地元警察というような方々から構成されております密漁に関する通報及び密漁取り締まり体制ということで、協議体をもって実際にこの密漁に対応しているという県もかなり出てきております。  それからまた、一方におきまして、密漁のかなりの部分が漁業者によって行われているという非常に残念な事象もございますので、こういった点につきましては、全漁連を中心にしまして現在、各密漁の問題のある漁連等と対策の協議を進めているという状況でございます。  今回の法改正を契機にいたしまして、ぜひ関係機関の連携を一層緊密にしまして、密漁に効果的に対応する体制をつくってまいりたいというふうに考える次第であります。

藤原房雄公明党・国民会議

○藤原房雄君 協議体をつくってということですが、ぜひこれは連携が足りぬぞということも指摘をされておるようでございますし、実効の上がるようにひとつ進めていただきたいものだと思います。  最後に、この法律、いろんな角度から見ますと、私どももそれなりの前進はあると思うんですが、効果ある、実効が上がる運用というものが非常に待たれるわけで、ぜひひとつ大臣、効果ある運用のために御努力いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

金子岩三自由民主党

○国務大臣(金子岩三君) 御質疑の中で大変有益な御指摘をいただいております。大いに参考にしまして、今後、運用の面で十分検討を加えてまいりたいと思います。     ─────────────

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) この際、理事の辞任についてお諮りいたします。  初村滝一郎君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に坂元親男君を指名いたします。     ─────────────

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 質疑を続けます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 今回の沿岸漁場整備開発法の改正の提案理由の中にも、「近年、国際的に二百海里体制が定着してきたことに伴い、我が国沿岸漁場の生産力を一層増進することが必要」だ、こういうふうに述べております。また、五十七年度の漁業白書におきましても、漁場保全や悪化した漁場の環境の回復ということがいま非常に重要であるということを指摘しております。  申すまでもないことでございますけれども、改めて漁場の環境保全ということについての基本的な考え方を伺いたいと思うんです。  私は、何よりも第一に、水質汚濁などによる突発的漁業被害や水銀、PCB等の有害物質による漁業被害をなくすことだと思います。それからもう一点は、沿岸漁場の埋め立てなどによります漁業権放棄等、こういったものに歯どめをかけていくこと、これがやはり基本ではないか、こう思うんですけれども、いかがなものでしょうか。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 今回御提案申しました法律につきましても、やはり栽培漁業の振興を図る上において、また沿岸漁業の振興を図る上において、きれいな海にするということが非常に重要であるということはおっしゃられるとおりでございます。  現在いろいろな原因によります水質の汚濁ということが考えられますが、やはり生活排水の問題もございますし、また工場排水の問題もございますし、また油濁の問題、そのほかいろいろな原因がございますけれども、これにつきまして、関係各省とも相談をしながら、またわれわれのやれる分野においてこの水質の汚濁というものをできるだけ防止して、よりよい水質にしていくということが非常に重要であると思います。  また同時に、埋め立ての問題でございますが、この問題につきましても、やはり環境のアセスメントということが常に埋め立ての場合には行われるわけでございますが、その中におきまして、私どもも水産の立場から発言を許されているわけでございますので、その場を十分に活用いたしまして、特に産卵場であるとかあるいは重要な漁場といったようなところはこれを保護していくという立場に立って、今後この問題にも対処したいというふうに考えております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 漁場環境保全の必要性、十分承知して、それなりに対応されているというお話でありましたが、現に環境庁の水質保全局ですか、これが五十六年度の調査によりましても、先ほども他の委員に御答弁ございましたけれども、五十六年度で一定の基準に達成しているところが八一・六です。年々改善されてきたんだよということなんですけれども、逆に言えばまだ、言ってみれば適さない水域というのが一八・四%もあるということは否めない事実ですね。  それから、予算面でどうなのかということなんですけれども、いろいろ努力をしているというわけでございますが、この漁場環境保全対策関係の予算の推移を見ますと、三本柱と言われております漁業公害対策費、これは一番よろしかった五十五年度、これが十二億三千二十九万一千円なんですが、五十八年度の予算を見ますと十億八千五百十八万六千円と、何と五十五年を一〇〇としますと八八・二%ということで、非常に低くなっております。それから、赤潮防止対策におきましても、それは五十五年を一〇〇といたしますと、五十八年が何と七一・九%と落ち込んでおります。さらに、沿岸漁場の保全対策事業、これまた五十五年を一〇〇といたしますと、五十八年は七六・九%ということで、おしなべて非常にその対策が後退してきている。予算面で明確になっているわけですね。  それから、埋め立て等によります漁業権の放棄、それによりましてつぶされた漁場がどういう状況かということで資料もいただいておりますけれども、三十八年から五十二年までのこの間に、埋め立て実行面積が四百六十九・五平方キロメートル、それから漁業権の放棄面積が九百五十二・八平方キロメートル。ですから、実に五十七年度、第二次沿整がスタートされたわけですけれども、これを基点にいたしますと、沿岸漁場ですでに利用されている面積等、これが一万五百二十平方キロメートルということになりますと、つぶされた漁場というのが約一割、こういう実情になっているわけなんです。ですから、こういう実態を見た上で、どのように今後実効ある対応をされていこうとしているのか、その御決意といいますか、御認識をお聞きします。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 先ほど御説明いたしましたように、海域の水質環境につきましては、環境庁の調査を申し上げましたけれども、四十九年が七〇・七%、五十六年には八一・六ということで向上しつつあることだけは間違いないと思います。しかし、まだ環境庁の基準に達してない水域も二〇%近くあるわけでございまして、さらにこの水域をきれいな、クリーンな水域にしていくことが必要であるということは、私もそのとおりであるというふうに思います。  そこで、予算の面でございますが、何分にもマイナスシーリングという中で予算を編成しておりまして、その中でもちろん重点を志向しながら、いろいろと予算の対策も組んでいっているわけでございますけれども、特に沿岸漁場の保全の事業につきましては、実は大規模保全事業の方が若干要望が落ちてきたということがございまして、そのために事実上この予算が少し落ちたということが実態でございますけれども、将来の問題としては十分に保全事業の必要な地域も調査をいたしまして、これが効果的に充足されるように努力をしてまいりたいというふうに考えるわけでございます。  それからもう一つ、埋め立て面積と、それから漁業権放棄面積の推移をおっしゃられたわけでございますが、確かに漁業権放棄面積あるいは埋め立て面積はおっしゃられるとおりでございまして、その中で特に最近十年間の動きというのは非常に大きなものがあったわけでございますが、だんだん最近十年間の後半の五年間は少なくなってきているというふうに考えられます。これはやはり経済の事情がさようなことであるということでありますが、私どもとしましては先ほど申しましたような埋め立てあるいは埋め立ての場合におきましては当然その環境のアセスメントをいたすわけでございますので、その中において水産のサイドからの発言ということをいたしてまいりまして、優良な漁場というものは保全してまいりたいというふうに思っております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 何分にも、しかし必要性を認めつつも、財政事情だということで毎回いろんな分野で言われているわけですが、これは非常に残念だと、それからやっぱり問題だということは再度指摘しておきたいと思いますが、沿岸事業の中心はやはり魚礁の設置になっているというふうに思います。この魚礁の効果が一体じゃどのぐらいあるのかということでお尋ねしたいんですけれども、いただきました資料によりますと、魚礁を投入したその時点を漁獲量ゼロとして仮に計算した場合、人工礁の漁場造成事業効果調査というものもおやりになっておるわけですが、それによりますと魚礁一空立米当たり約四・〇七キログラムだと、こう言われております。同時にまた、一空立米当たりの投資額は約一万四千円というふうに聞いておりますが、間違いないかどうか。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 概数としては大体正しい数字でございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 といたしますと、五十一年度から始まりました沿整事業なんですけれど、五十六年までの六年間の間に魚礁投資に費やした額が六百六十七億円でありますね。で、一空立米当たりの投資額が一万四千円ですから、それで割りますとざっと四百七十万空立米になるわけです。それに一空立米当たりの漁獲量であります四・〇七キログラムを掛けますと一万九千三百九十トンという数字になる。つまり、水産庁の出された資料をもとにいたしまして、五十一年から六年間で人工魚礁に投資してきた、そのことによって、言ってみれば効果がどうなのかということで試算をしてみますと、六百六十七億の投資に対しまして漁獲量でざっと二万トンということで出てくるわけでございますね。  そういうことを頭に置いていただきまして、これは具体的な点でお尋ねしたい点なんですけれども、南総開発の問題です。  これは大臣がすでに事業の打ち切りというふうなことで、長崎県の南総開発については別途見直していきたいんだというお話もされておるわけなんですが、第一点に確認したい点は補償問題なんです。これは農水省からお聞きしましたところが、県からの報告だということを前提にしてのお話でございますが、諫早湾で、十二漁協で漁業権の消滅に伴うその補償額総額がざっと三百二十二億八千万円。で、この補償の積算根拠になっているのが漁獲量及び生産額で言いますと、四十七年から四十九年に、ノリを除く平均漁獲量をざっと約九千トンと見ている。で、生産額では五十二年の生産額を基準にして約十八億円と言っています。それからまた、ノリ生産量の方ですが、約一億万枚と見まして、生産額はざっと十二億円というふうにお話しされているわけなんですが、間違いないでしょうか。

森実孝郎農林水産省構造改善局長

○政府委員(森実孝郎君) 長崎県と地元の十二漁協の間で三百二十二億八千万の補償協定がございまして、これについては私どもの方に一応の算定基礎なり金額については報告は来ております。その内容はただいま先生御指摘のとおりでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 大臣にお尋ねいたします。  いまお話しのように、埋め立てのために三百二十二億八千万円という補償額をお出しになるということなんですが、まだ決めてなくともそういう基準が出ているわけですが、出すか出さないか今後のあれでしょうけれども、そういうことは出ているわけですよね、出したいと。それで、仮に出すといたしますと、五十一年から五十六年までの六年間に魚礁投資額は六百六十七億円ですから、この諫早湾の埋め立てに対する補償というのは過去六年間の投資額の約半分に相当いたします。それから生産量の方はどうかといいますと、六年間でのこの沿整事業によって魚礁漁獲推定量でございますが、約二万トンということなんですが、この諫早湾の埋め立てによって失われると見られるその漁獲生産量は約九千トンですから何とその二分の一と、こういう状況になるわけですね。こういうことを考えて、大臣は本当にこの沿岸漁業の資源を守っていくということから、これらの事業についてどうお考えになっているのか、改めてお尋ねしたいわけです。

金子岩三自由民主党

○国務大臣(金子岩三君) 詳しく言うと持ち時間内に片づきませんのでごく簡単に申し上げます。  これは昭和二十八、九年、約三十年近く前に、時の知事が発想したものでございまして、その当時、終戦当時ですから、米がなく長崎県は大変困っておる時代でございましたから、当時の発想としては当然だったことと思うんでございますけれども、八郎潟の干拓と比較すると途方もないコスト高の干拓を計画しておったわけでございます。したがって、私は自来ずっとこの干拓に絶えず毎年の予算時期に——もう時代もずいぶん移り変わりまして米は潤沢になる、御承知のとおり、生産制限をするという時代になりましたので。ただ、佐賀を初め熊本、福岡、長崎県はもちろん、県の中で、湾の外のいわゆる有明海の漁業者全部反対でございます。したがって、この方々が反対するのは、この諫早湾があの有明海全体の漁業資源の産卵場である、繁殖場であるということは、これはもうひとしく学術的に認めておるところでございますので、漁業者はそれがために三十年来反対を続けておるのでございます。したがって、私はこの反対がある間はこの干拓は手はつけない、つけるはずもない、つけ得ないということで、毎年予算時期に農水省と大蔵に話をしますけれども、これを継続してまいって、その間にいま言ったような補償金の算出ができておるわけでございます。  どういう算出でどうこうというと、農水省の資料で下田先生はお尋ねになっていると思いますけれども、私はただこの事業は投資効果もない、国益にもならない、そういう観点でそうこうしておるところに、諫早市には本明川という多良岳山麓に大きな河川があります。したがって、昭和二年と昭和三十二年と大洪水が発生しまして、三十二年には九百二十名の死者を出しております。最近、この河口に大変な干潟ができまして、いつまたどういう洪水が起こるかわからないという心配でならないので、私は二、三年前からこの湾内の方々に防災事業をやるべきではないかということを盛んに進言しておりました。私は今度大臣に就任しましてから、やはり防災事業を主体にして——その干拓というのは副産物なんですよ、いわゆる洪水、防災を主体としてこの事業を継続していく、したがって海面の使用も三分の一程度でおさまるだろうという考え方に立って発想の転換をやったのが今日の現状でございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 歴史的にお述べいただきましたが、防災中心の諫早湾の干拓事業を進めていこうというふうな考え方がいま述べられたように思います。私も昨年の長崎の大変な水害もありまして、かつての諫早の水害等の被害の状況なども現地で聞いてまいりましたが、そういう点から防災事業自体それを否定するものではございません。ただ、いま大臣もいみじくもお述べになりましたが、佐賀県では、これは具体的に日本水産資源保護協会に、南総影響調査検討委員会というものをつくっていろいろ調査をされてきたわけですね。この調査の初めには「環境アセスメントは少くも水産に関しては、なお基礎的な面さえ研究におくれが目立ち、不明の点が多くかつ、水生生物社会の複雑性から予測についての方式も確立されていない。」というふうなことを御認識しつつも、「しかし」ということでもって、その与える影響がどうなのかという点でお述べになった部分があります。時間がございませんからそう申し上げられませんけれども、とにかく諫早湾というのはいろんな点で非常にすぐれているんだということを述べられておるわけです。ところが、そのことに対しまして、これは九州農政局がまあ大したことないよと言って、諫早湾は確かに漁場としていいけれども、有明海の中にはほかにもいいところがあるから問題ないなんてこう言っているんで、これはほかにあるから問題ないということは、これは全く詭弁だと思うのですね。そこの漁場がいいんだという、そうしたらいい漁場をつぶすということはどうなんだとこうなるわけで、しかも、さっきの補償の基準にも出てきたようなそれだけの漁獲量を生産するような豊庫だというふうな好漁場であるわけですから、私はたとえ防災中心の干拓事業であったにいたしましても、住民の納得のいくようなそういう抜本的な見直しを進めていくべきだ。しかもその際に、この漁業に対する影響というものを十分考慮してやるべきだと、こう思うのですが、再度御決意を聞いておきたいと思います。

金子岩三自由民主党

○国務大臣(金子岩三君) 先ほどから申しましたとおり、私の考え方に下田先生やや似たようなことを申されております。それは、私は漁業資源を保護し漁民をどうして今後永遠に自分の資源を失うことがないようにするか、また土地をつくってもちょっとその用途に困るぐらいの時代ですから、私は防災にいわゆる全力を挙げてやりますので、その副産物として干拓が何がしかできる、こういう考え方でこの事業を進めていきたいと思います。

下田京子日本共産党

○下田京子君 再度十分納得いくようにということをつけ加えておきます。  ところで、ちょっとお尋ねしたいんですけれども、戦後からの漁業権放棄面積と、それから水質汚濁による漁業生産の量的損失について調査されたことございますでしょうか。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 漁業権の放棄面積でございますが、年によって変動がございますけれども、昭和四十三年から五十二年までの十年間に約六万九千ヘクタールでございます。前半の五年間は五万四千ヘクタールだったものが、後半の五年間では一万五千ヘクタールということで減少をしております。ただ、これに伴いまして、特に埋め立て等によりますところの漁業資源の減少という点につきましては十分な把握はなされておりません。ただ、私ども沿岸漁業の中の、特に漁船漁業が大体漁獲量二百万トン前後ということで推移をいたしておりますので、やはり沿岸漁業の経営体の減少、一方におきまして漁船の動力化、大型化、漁労機械の開発といったようなことを考えてみますると、やはり基本的にはこのような漁業権放棄、あるいは埋め立てといったような行為によりまして実質的に減少しつつある沿岸漁業の漁獲量を、先ほど申しましたようないろんな方法によって維持しているというのが現状ではないかというふうに考えます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 一方で、投資効果でわずか上げるために、一方で一回ですぽんとつぶしていくというようなことが、いままでの過去の水産行政の実態であったことは長官も認めていたわけなんですよね。私は、戦後からの状況を聞いたんですが、四十年云々からしか述べられていない。いただいた資料では三十八年からのはあるんですが、それ以前からそういう実態というものどうなのかということは、やっぱり見直しをしてみる必要が私はあるんじゃないかと思うのです。  念のためにお知らせしておきたいんですが、「農村と都市をむすぶ」という本が出ております。これは一九八二年、昨年九月号なんですが、そこで水産庁のある研究者の論文が紹介されております。一部分だけ読んで見たいと思うのですが、「公害や埋立によって、実際にどの位の漁業生産減になっているかの試算は、今のところ筆者以外にはしている人がいないようである。結論的には、少なくとも数十万トン、おそらくは一〇〇万トンを越える損失があろうと考えられる。最も基本的な考え方は、過去における沿岸埋立面積との関係である。東京湾に例をとれば、戦後の埋立面積は一・三万ヘクタールであり、これは全国の一二万ヘクタールに対し約一〇%を占めている。一方東京湾の漁業生産は、最高時約二〇万トンの生産量をあげており、現在の四〜五万トンと比較すると、十数万トンの減少である。沿岸埋立は当然その水域の漁業権を放棄させ、また様々な海洋汚染をひき出すという点において、漁業生産に最も大きな影響をもたらす原因」になっているんだと、こう言っているわけなんで、私はこういったことも参考にぜひ一度被害調査ということもすべきではなかろうかと思うんです。  ところで、そういった沿岸資源を守るんだということを繰り返し、繰り返しいままでもお述べになっておりますので、具体的にお聞きしたい点は、公有水面埋立法がございますね。この第四条第三項の二のところには、「其ノ埋立ニ困リテ生スル利益ノ程度ガ損害ノ程度ヲ著シク超過スルトキ」でなければ、知事は埋め立ての免許を与えちゃいかぬよと、こうなっているわけです。問題は、その経済効果をどっちでどう見るかということになると思うんですね。この法律が四十八年に改正されたということもあって、それからだあっとあちこちで埋め立てだとかやられたというところもありますけれども、この法の運用をもって一定程度その損害を防ぐことが可能なんではないだろうかと。法律自体では水産資源保護法というのがございますけれども、協議の際にきちっとやるというのは当然でございますが、ある一定、当面五年程度、こういった法の運用等も考えながら埋め立ての禁止といった思い切った措置を考えられないかどうか。これは大臣にお聞きしたいと思います。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 確かに公有水面の埋め立てによりまして、かなりの漁獲の減が出ているということは事実だろうと思います。ただ、その推計方法につきましては、先ほどのおっしゃられました論文を私読んだわけでございますが、非常に大胆な推計でございまして、果たしてどの程度であるか、これにつきましては私どもも今後研究してみなきゃいかぬというふうに考えます。  実際に公有水面を埋め立てて、新しいたとえば工場建設用地をつくるといったような場合には、当然一定の手続が必要でございます。その中におきまして、今後アセスメントが行われていくわけでございますが、私どもとしては、やはりその際に、先ほどから申し上げておりますように、漁業の立場から有力な漁場はこれを確保していくという立場で、今後とも対応してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 新たな有効な漁場の確保、当然なんですが、現在ある漁場を保全していく、これも当然ですし、その点でさっき長官こうおっしゃいましたでしょう。  埋め立てにより、重要な漁場を次々と失ってきた歴史、これは非常に残念であると。経済成長を遂げるために工場用地の確保、それによる公害なども生み出してきたと。で、埋め立てによる形状の変化などもあるし、水産側の意見を十分に聞いてやるように積極的に対応したいと、こう言っておるわけです。そしたら何らかの具体的な、いままでと違ったものがなければならないと思うんです。私はそこを再度申し上げたいと思うんですよ。とすれば、きちっとした五年程度の埋め立て禁止みたいなものをやっていきませんと、これからまた新たに大手企業を中心とした開発行政に対して、これはなかなか言ってももう話にならないというような事態が私は予想されるんではなかろうかと思うんです。  その点を指摘しておきまして、次に遊漁振興の対策の問題でお尋ねしたいんですけれども、今回の法改正のもう一つの柱になっておりますのが、漁場利用の調整による遊漁の振興対策だと思うんですね。漁場調整協議会等もつくりまして、いろいろ今度協定も締結してやっていくことになりまして、知事がいろんなことで勧告なんかもやれるようになるわけでございますけれども、私は、大事なのは漁業者はそれに生活をかけているわけですが、同時にまた二千万人くらいの釣り人口といいますか、文化的スポーツの一分野という点で、双方の共存共栄ということは、これは大事だと思うんですね。だからこそ、こういう法改正もどうやっていくかということが必要だと思うんですけれども、この際できるだけ多くの漁業団体がこの協議会に参加できるようにすべきじゃないか。とりわけ具体的に申し上げますと、創立十五周年を迎えました勤労者つり団体連合会、こういったところからも非常に大きな希望も出ております。  実は、細々と、三浦半島に出かけていきまして、すでに協定が結ばれております地域の漁業協議会の申し合わせ事項やなんかを見てまいりました。関係者の御意見も聞いてまいりました。  一点だけ申し上げますと、たとえば操業時間なんかでも、申し合わせの中では夜間の遊漁は禁止ということで出船は日の出以降、で、さお上げは午後四時までだと、その間八時間ですよと、こうなってんですけれども、一方遊漁者の方からいいますと、何とかこの時間、もっと延ばしてほしい、アジだとかキス釣りなんというのは夜間遊漁がとってもこれはもう何とも筆舌に尽くせないうまみがあると、こんな話もしておりましたが、そういう点を言いながら、一方漁業者の方はいやもっと厳しくせいと、こんな話なんで、そういう点考えたときに、もっとやはり、とりわけ弱い立場にあると言われる遊漁者の団体等ができるだけ参加できるように、そしてまたそれらがいろんな形でのマナーにも結びついて、申し合わせやなんかも含めて、みんながわかるようにしていくことが大事じゃないかと、こう思うんですけれども……。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 先ほどから御答弁申し上げておりますように、漁業と遊漁の調整につきましては、基本的に私どもやはり漁業者という方々は漁業をなりわいとしておられるわけでございまして、しかも国民のたん白食糧に大きく寄与をなすっておられる方々でございます。やはり、この方々の正常な漁業の操業に支障を来すようなそういった協定ということは、私どもとしては適当ではない。また一方におきまして、やはり健全なレクリエーションという意味での遊漁者の活動というものをいたずらに抑制するといったようなことはまずいと、そういうことで公平な立場からこの問題を対処したいというふうに考えておるわけでございます。  さような点で、私どもとしては、できるだけ多くの遊漁者の方々がこの利用協定に参加していただいて、そうしてその協定を遵守し、マナーをきちんと守ってもらって、漁業者の活動が支障がないようにしてもらうということが必要であるというふうに考えておるわけでございます。その際に、どういう団体を対象にするかということでございますが、私どもとしては効果的な漁場の利用の協定が結ばれるということであれば、特にどのような団体であるということを特定するつもりはございません。さような意味で対応してまいりたいというふうに思っております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 最後に一問だけ、これは大臣にお尋ねしたいんです。  実は、この遊漁振興の問題では、五十三年にも当委員会で私質問いたしまして、当時の森水産庁長官も十分対応したいということで、翌年若干予算等に反映されました。ところが、もう事細かく言っている時間もないんですけれども、遊漁関係の主要予算の三本柱と言われている、その中でも特に漁場利用の対策振興事業費というのが、もう五十三年、五十四年とピークにしてだあっと落ち込んじゃって、何と驚いたことに六三%もことしは減らされているんです、大臣。そうしますと、片一方で指定水域つくってここに入っちゃいかぬよということになっても、別なところでそういう釣りの皆さんに対する優良な漁場というのは保証されなくなってくる。ですから、私はここで言いたいことは、大規模な釣り用の堤防というものを設置することが必要じゃないかということなんです。とりわけ、具体的には東京の勤労者つり団体連合会なんかからは、羽田沖が大変いいよということで、漁場に適しているという指摘もされておりますんで、そういった点を十分配慮して対応をいただきたいと思います。

金子岩三自由民主党

○国務大臣(金子岩三君) 御指摘の点、十分検討をいたします。     ─────────────

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 委員の異動について御報告いたします。  本日、村沢牧君及び坂倉藤吾君が委員を辞任され、その補欠として小山一平君及び対馬孝且君がそれぞれ選任されました。     ─────────────

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 この栽培漁業センターというのがつくられ始めたのが三十七年ですね。そうなりますと、それから二十年間、いわば一種の試行期間を経て栽培漁業を本格的に推進する方向が打ち出されたことは、大変私どもとしても評価をしているわけでありますが、第一点お伺いをしたいのは、この栽培漁業が日本の水産業の中でどのような役割りを果たすのか、その点をまずお伺いをしておきます。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 何と申しましても、二百海里時代を迎えまして、わが国周辺水域の漁業の生産力を高めるということが非常に重要でございますが、残念ながら沿岸の漁船漁業はその生産が横ばいの状態にあるというのが現状でございます。  そこで、栽培漁業は、この資源の増殖を通じまして沿岸漁業の生産力の維持、拡大を図っていくというのが大きなその役割りであろうと思います。ただいま先生おっしゃいましたように、施設面を通じまして昭和三十七年以来国の栽培センターの設置を初め、あるいは都道府県の栽培センターもつくって、ようやく六十年にフル稼働に入るという時期であるわけでございますが、今後この法案をお認めいただきまして、私どもとしては栽培漁業をさらに効果的に、効率的に、計画的に推進する。また、現実の問題としてまだまだ栽培漁業は未知の分野も多く、未開発の分野が多いわけでございます。サケのあれだけの回帰をもたらすために、あの放流事業は実に百年かかった次第でございます。まだ二十年間の歴史でございますので、今後さらに新しい魚種の導入、あるいは安定した種苗生産技術の開発、あるいは放流効果を高めるための中間育成技術、あるいは放流技術の向上といったようなものが必要でございます。これらの技術開発をさらに進めていくということが今後の大きな課題であろうというふうに考えます。また、同時にこの放流事業を漁民の方々に普及していくという必要性がございますので、今回法案でお願いしておりますように、放流効果実証事業というものの活用によりまして、さらにそれが円滑な推進を図ってまいるというのが今回の考えでございます。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 もちろん栽培漁業を計画的に推進するということで、まず第一には農水大臣が、これは当面は五年間ですか、基本方針を定めると、こういうことになっているわけですが、この五年間の基本方針の内容なんですけれどもね、たとえばどの程度の一体種苗生産をやるのか、あるいは漁獲増大目標をどの辺のところまで見込んでおるのか、その辺のところをちょっと御説明をいただきます。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 御指摘のように、国は基本方針の中で水産動物の種類ごとに全国的な種苗生産数量の見通しを定めることになっているわけでございますが、現在一つの目安として申し上げられることは、現在の道府県が持っている計画でございます。これを合算いたしますと、昭和六十年度におきましてクルマエビが六億六千万尾、マダイが二千六百万尾、クロダイが四百五十万尾、ヒラメが八百万尾、ガザミが二千四百万尾、アワビが三千二百万尾、こういった種苗の生産が見込まれることとなっております。これを放流後の漁獲量、漁獲金額という点で推定をしてみますると、技術改善を見込みまして約二千六百トンから六千五百トンといったような生産の水準になってまいりますし、金額的にも六十億から百四十億という水準になってまいります。基本方針の策定に当たりましては、この数字が一応の目安になると思いますけれども、都道府県あるいは栽培漁業の専門家の意見も十分に聞きまして、沿岸での資源増大にどの程度寄与できるか、技術開発の見通しはどうか、あるいは総合的な見地から具体的に種苗の生産数量がどの程度までいけるか、これを十分見きわめまして、私どもとして基本計画を立ててまいりたいというふうに考えております。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 そこで、国の基本方針に基づきまして、今度は道府県がその地域の実情に従いつつ基本計画を立てると、こういうことになっておるわけですが、ただ実情をお聞きしますと、各県の漁業栽培センターの技術ですね、これにはアンバランスが相当あると、こういうように聞いておるわけですが、これをどのように、いまおっしゃったような計画的にやっていくために、このアンバランスをどのように、特に技術的なアンバランスをどのように克服をしていこうと考えておられるのか、その点をお伺いいたします。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 確かに現在各都道府県に置かれております栽培センターと言われている機関でございますが、この技術水準は設立の遅速によりまして大分技術的に差があることは事実でございます。これをできるだけアンバランスをなくしていくということが必要なわけでございますが、その際に最も大きな役割りを果たしますのは私ども日本栽培漁業協会であろうと、いわゆる日栽協であろうと考えております。これは全国段階で種苗の技術の開発をいたしているわけでございまして、この団体によりまして各県におきますところの技術、これを情報収集し、その分析をして、これをまた各センターに流してやると、あるいは指定法人に流してやるというようなことが必要でございますし、またこの日栽協自身が開発しました基礎的な技術、これをやはり各県の段階に普及していって、そこで各県の段階で種苗の量産体制に入っていく、それによってアンバランスを解消していくということが私どもの基本的な方針でございます。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 いまのお答えで次の質問のお答えを聞いたようなものでございますが、もう一度重ねてお伺いをしておきたいんですが、行政管理庁が今年の三月調査をして、その結果をまとめておるわけですが、いまおっしゃいました日栽協と道府県との重複などの事業の見直しを指摘しておられるわけですね。この行管庁の調査結果を踏まえまして、事業主体の役割り分担等についてどのように今後指導されていくのかお伺いをします。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 種苗の生産放流につきまして、基本的には国は技術開発、県は国の技術開発の済んだ魚種の量産というのが役割りであろうというふうに考えております。実際に全国段階の機関でございます日栽協が行っております種苗生産の事業には二種類あると考えておりまして、その一つは県の量産体制が軌道に乗っていないために国が全額国費で負担している技術開発、これを行いまして量産をしているという事業でございます。これは一部の県が種苗の自給生産ができる段階になれば補助事業に切りかえるということになろうかと思います。それからいま一つは、関係県の量産体制が一斉に整わない段階でございまして、国の補助で大量放流用に種苗生産をしている事業、たとえば瀬戸内海の放流用のクルマエビといったものがこれに当たると思いますが、これについてはほとんどすべて関係県で自給できるという段階になりますと県の生産にすべてをゆだね、補助金での生産はやめるということになろうと思います。ただ県から、種苗生産体制に差が大きい段階では、一部日栽協と道府県の栽培漁業センターとの間に事業の重複もあり得ると思いますけれども、原則としていまのような方針でやってまいりたいと思っております。特に三月に行管がまとめた御報告による指摘がございまして、私どももこれを尊重してまいるつもりでございますが、瀬戸内海におきましてもなお需給のアンバラというものがございますので、一遍にこれをやめてしまえという行管の勧告でもございません。さようなところは十分に勘案いたしまして、瀬戸内海の放流用のクルマエビ、これが非常にアンバラな状態で各県が困らないように日栽協の今後の事業は運営してまいりたいというように考えております。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 次に、栽培漁業が成功するか否かのかぎはやっぱり放流効果がどのように実証されるかと、こういうことだと思うんですね。そういう意味で、この法律では効果実証事業ということにいま力点が置かれているわけでございますが、一定の要件を備える法人というんですか、指定法人がこれをやると、こういうことになっているわけですが、しかし現在の栽培漁業推進体制から見て、相当の国のバックアップがなお肝要ではないかと、こういうように思いますし、そのことによってこの事業が円滑に推進されると、こういうように私は考えているわけですが、その意味において財政的援助、推進体制の整備、こういうものについてどのように今後指導されていくのか、この点をお伺いいたします。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 私どもの栽培漁業の基本的な考え方でございますが、栽培漁業の実験的な段階は、やはり国とか県とかそういうところが公費をもってやはり種苗代を負担していくということがどうしても必要だろうと思います。ただ、放流効果が非常に安定してあらわれてまいりまして、本格的に漁協等が種苗代も持って有償負担をしながら、みずから収穫する者がみずから種をまくという形になっていくということが、これは先行きでは一つの理想であろうというふうに思います。  そこで、放流効果実証事業というのはどういうことかと申しますると、そのちょうど中間にあるという感じでございまして、まだ漁協、漁民の方々が本当に放流の効果を認識されないという段階で、継続反復しながら放流の効果を認めていっていただくということでございますから、さような意味においては、やはり基本的には国と県というものがその事業の技術の開発その他にやはり相当財政の面においても負担をしていくということが必要ではないかと思うわけでございます。ただ、このような中間の段階でございますので、そのような放流事業の実施の体制の中で漁民の方々が、なるほどこれは効果があるということであれば、さらにこの放流効果実証事業を効果あらしめるために、放流場所をふやすとかあるいは漁場の数をふやすといったことのためにみずから協力金を拠出していただくというようなこともこれは可能ではないかということで協力金の体制をしいたというのが今回の法改正の内容でございます。  なお、放流効果実証事業の推進に当たりましては、関係市町村、漁協あるいは指定法人、学識経験者といったような方々で栽培漁業推進協議会をつくりまして、やはり地域地域の実態に即した形での放流効果実証事業をやってまいらなきゃならぬというふうに考えまして、さような面での適切な指導は行ってまいるつもりでございます。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 そこで、例の協力金の問題でございますが、これは強制的にではない、あくまでも任意だと、こういうことがたてまえになっておるわけですが、たとえば百人漁民がいて、その中で五十人がおれは協力金を出す、こうなった場合は、どうしてもあとの五十人は出さざるを得ない。そうなると半強制的にこれはもう当然なってこざるを得ない。したがって、そういうことを想定をいたしますと、たとえばこの協力金の拠出の方法とか、あるいは具体的にどのぐらいの額だとか、協力金の中身について具体的なガイドラインというんですか、そういうものを国が示す必要はないのだろうかどうかということを考えておるわけですが、その点はどうか。  それから、この制度が進み、かつ栽培漁業事業が推進されていきますと、このようないわゆる一種の受益者負担というものが水産業の中でも進んでくるのではないか、こういうように思うわけですが、しかし、この栽培漁業そのものがわが国の水産業の中で定着するまでは国が責任を持ってやっぱり助成指導を行っていく必要がある、こういうように考えますので、その点の私の質問の内容を踏まえまして御答弁をいただきたい。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 協力金は、もとより最前から何回か申し上げておりますように、これを強制的に拠出してもらうということはないように十分に指導をしてまいりたいと思っております。そこで拠出の方法なり、あるいは拠出の規模、あるいは拠出者の範囲といったようなことが非常に重要になってまいると思いますが、そのおおむねの考え方は先ほど述べたとおりでございますけれども、ただいまの先生の御質問に対しましてのお答えは、当然これは長官通達といったような形で明確にその基準を定めまして指導したいというふうに考えております。  それから、受益者負担といったようなことが定着するまでは国が責任を持って助成をしていくべきじゃないかということでございますが、私ども栽培漁業につきましてはいわゆる受益者負担という観念は余り適合しないというふうに考えておりますが、最終段階で漁協、漁民の方々が十分に放流効果があるということがわかりまして、しかも経済的にもこれはペイするものであるということがわかって、みずから種をまいてみずから収穫するということになられますと、これはやはりその種苗を購入して、有償でこれを放流するといったようなこともあり得るんじゃないか、それがまた将来の姿ではないかと思っております。しかしながら、そこに至るまでの間は、当然、種苗生産の技術開発といったようなことについては、これは国でめんどうを見なければならぬというふうに考えておりますし、また、県の栽培センターにつきましては、やはり技術開発に対して国が助成をしていくといったようなことが必要になってくると思います。また、放流効果実証事業につきましても、これは地元、漁協、市町村、広域法人等が地域への栽培漁業の定着に資するためのパイロット事業に対しまして国が助成していくといったようなことが当然必要でございますので、さような予算の確保は今後とも十分に図ってまいりたいというふうに考えている次第であります。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 それから、例の遊漁対策の一環として、漁場利用協定締結の勧告及び紛争のあっせん等、こういうものの措置が講ぜられることになっておるわけですが、漁場管理制度研究会報告にもあるように、海面遊漁のライセンス制の検討、たとえば遊漁案内業者の登録制度、こういうようなものだそうでありますが、こういうものを別途方策を講ずる考えはあるのかどうか。簡単で結構でございますが。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 遊漁者から料金を徴収しまして行政機関が遊漁免許証、いわゆるライセンスを発行するという制度は、アメリカ等の諸外国では行われておるわけでございますが、またこれも有効な手段であると思うわけでございます。しかし、アメリカ等の外国では、やはり天然資源は国や州が管理するという観念がございまして、こういう観念がまだ十分に普及していない日本におきましては、このような制度はまだ時期尚早であると考えまして、今後の検討課題ということで考えてまいりたいと思います。それからもう一つの、遊漁案内業の届け出制、これは実際私どもも考えまして、今回実現したいということで研究会の報告を受けましてこれも考えてまいったわけでございますが、残念ながら今回は漁場利用協定のみが法律に入ったわけでございます。この届け出制度につきましては、やはりその背後に、釣り舟業者の遵守すべき事項ということにつきましての法規制を行うことが必要であるということから、いろいろ検討したわけでございますが、他の法体系との関連もありましてなかなか関係省庁との調整がつきません。そのために時間がたってはいけないということで今回見合わせたわけでございますが、今後ともこの点につきましては関係省庁と引き続き調整を行っていくという姿勢で臨みたいと思っております。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 先ほども午前中に質疑がございましたが、その点でお伺いをしておきたいんですが、この漁業経営負債整理資金ですね、これは五十七年度は三百五十億円、五十八年度六百五十億円と、先ほどの長官の御答弁によると、これの利用されている額は五十七年度は六十七億円弱だ、こういうことに御答弁がございましたけれども、この利用状況はきわめて低いわけですね。したがって、将来に向けてこの漁業生産構造の再編整備の促進を目標とする抜本的な構造改善を進めるために、本制度が円滑にかつ効率よく利用されるようにやるべきだ、こういうように私は思っておるわけですが、考え方はいかがでございましょうか。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) この負債整理資金の制度は、先ほどから申し上げておりますように、固定化債務の単なる借りかえということではなくて、やはり将来に前向きに漁業経営を改善していくということのために、減船なりあるいは施設の合理化といったような生産構造の再編整備ということを漁業者の自主的な努力でやっていただく、それに対する手段ということで負債整理資金をお貸ししましょうということでございまして、その意味では、やはり、貸付対象魚種あるいは漁業者というのを限定いたしまして、自助努力の程度に応じてお貸しするという、この基本は私ども変えられないというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、実際今回の資金の活用の状況を見てみますと、残念ながらマグロだけに限定されておりましたし、また実際の金額も三百五十億に対して六十数億という状況でございまして、やはりこれにはこれなりの、先ほどから申しております理由があったわけでございますが、五十八年度におきましては、やはりこの資金の活用を図るということが必要でございますので、基本的な考え方は先ほどのとおりでございますが、五十七年度における資金の活用状況の実態、五十八年度における本資金の資金需要の実態等を正碓に把握いたしまして、関係業界の要望も参酌し、その資金について適切に定めてまいりたい、そしてこの資金の活用を図ってまいりたいというふうに考えておる次第であります。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 次に、日米漁業問題について一、二点お伺いをしておきたいんですが、今回は捕鯨問題も絡んでおると思うんですが、対日漁獲割り当て、この四月割り当て分ですね、これが一部留保されたと、こういうように聞いておるわけですが、こういうことになりますと、実際もうすでに当初の漁獲割り当てに基づいて出航している漁船の操業に大きな影響を与える。操業計画が実際立たぬのだと、こういう不満も当然聞かれてくることになるわけですが、やはり対日漁獲割り当てに当たりましては、当初の計画どおり一〇〇%確保するよう強力な一層の水産外交を展開してほしいと、こういうように思うわけでありますが、この点についてのお考えをお伺いをいたします。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) アメリカの水域におきますいわゆる対日漁獲割り当て量が、四月の割り当て分二五%のところ九%ほど留保されて割り当てられたと、七月割り当てにおいても米側がさらに厳しい態度をとるのではないかということで、計画的な操業に支障を来すということから漁業者の方々が大変心配をされているということは私どもよく承知をしております。私どもとしましては、私も何遍もアメリカに対して申したわけでございますけれども、本来、捕鯨問題と対日割り当て問題とは別個の問題であるということでございますし、また捕鯨の問題につきましては、これまでも何回も非公式協議も開催いたしまして先方と十分話し合いをして、話し合いの上で決着をつけていこうじゃないかということも先方に理解と協力を求めているところでございます。私どもとしましては今後とも、特に六月が重要な時期であるというように考えておりますので、その時期を頭に入れまして、十分にアメリカ側と協議を行いまして、四月分の留保分の早期回復ということも含めまして、わが国の漁船の操業に支障の生ずることのないように十分話し合いをしていきたいというふうに考えておる次第であります。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 その点はひとつ、非常にむずかしい問題も背後にあるとは思いますけれども、強力に進めていただきたい、このように要望しておきたいと思います。  それからもう一点、アメリカ議会では一九八四年から外国漁業を段階的に締め出すいわゆるEEZ法案、こういうものが提出されていると、こういうように聞いておるわけでありますが、そのEEZ法案なるものの内容と、これに対するわが国政府の対処方針いかんと、これをお伺いしておきます。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 本年の三月十日、米国大統領が排他的な経済水域設定に関する宣言を行ったことは先生御承知のとおりでございますが、同日付でアメリカ上院のスチーブンス議員が排他的経済水域施行法案、いわゆるスチーブンス法案なるものを上院に提出いたしました。また、その翌日にブロー下院議員外十八名が連名で排他的経済水域施行法案、いわゆるブロー法案というものを下院に提出いたしたのでございます。まだ、しかしながら、具体的な審議は行われていないというのが私どもに入っている情報でございます。これがこの法案の内容でございます。  そこで、この法案でございますが、排他的経済水域施行法案は、排他的な経済水域内の資源に対する米国の管轄権の強化というものを行うことが内容になっているわけでございますが、特にわが国漁業に影響する条項は、先ほど申しました上院のスチーブンス議員が出しました法案の中にいわゆる外国漁船フェーズアウト条項というのがございまして、商務長官が外国に漁獲割り当てを行うことが米国の水産業に利益をもたらすものであることを示さない限り、一九八四年より一定の比率で外国への割り当てを削減し、五年後の一九八八年以降には米国排他的漁業水域から外国漁船を完全に締め出すということを規定しているわけでございます。スチーブンス法案にこのようなフェーズアウト条項が挿入された背景につきましては、私どもいろいろな関係を通じまして探っておるわけでございますけれども、どうもその真意は、入漁国からの水産加工を含む漁業面でより一層の協力を得たいということで、これをてこに使いたいという考え方がどうもあるようでございます。また同時に、米国漁民による未利用底魚資源の開発を行いたいという意向が反映されているというふうに聞いておる次第でございます。  したがいまして、私どもとしましては、なお米国の水産業界とも十分話し合いをいたしまして、米国議会におきますところの本法案の審議状況を十分に把握いたしまして、機械的に五年後にわが国の漁船が米国水域から締め出されるようなことが絶対にないようにアメリカ側と十分に話し合いをし、この法案を事実上実現しないような方向に持っていきたいというふうに考えて、目下努力をしておるところでございます。

伊藤郁男民社党・国民連合

○伊藤郁男君 この問題非常に影響の大きい問題ですから、日本の外交能力を最大限発揮していただきまして対処していただきたい、このように思います。  それから最後に、例の密漁者に対する罰金を十倍に上げようと、こういうことの漁業法と水産資源保護法の一部改正の問題でお伺いをしておきたいと思うんですが、一律十倍に引き上げることにしておるわけですけれども、たとえばアワビのように浜値がこの法案の制定時の二十倍以上にもうすでになっているものもあるわけですね。したがって、この一律十倍とした理由は何なのか、こういうことが第一点。  それから、私は罰金の引き上げだけで密漁を完全に防止するなんということはとても考えられない。密漁防止の中のこの罰金の引き上げというのは一つにすぎない、こう思うわけです。したがって、特に最近問題になっております組織的な密漁、こういうものを防止するためには、やはり漁業協同組合、各県、それで海上保安庁、警察と、こういうものがやっぱり一体的な連携をとって、緊密な連携の上で効果的な取り締まりを行うことが必要だ、こういうように思いますし、さらに、何といいましてもこういうものを最終的に防止する道は漁業者の私はモラルの問題に帰すると、こういうように思うわけですが、そのモラルを向上させるための組織的な運動といいますか、そういう取り組みも必要ではないかと、こういうように思うわけですが、その点についてのお考えをお伺いして終わります。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) まず、罰金の額の点についてでございますが、漁業法と水産資源保護法に規定されております罰金の額は、それぞれ昭和二十四年、二十六年の法制定以来改正されていなかったわけでございます。そこで、今回の罰金の改正に当たりましては、一つは、法制定時と今日の間にほぼ相当する期間、この間の水産物価格の推移を見ますると、産地市場価格で八倍、消費地市場価格で十一倍になっていること、もちろんアワビのように非常に高くなったものもございますが、それから経済事情の変動に伴いまして罰金の額の改正を行った罰金等臨時措置法におきましては、四十七年に二十三年当時の罰金の額を四倍に改正しておりまして、四十七年以降現在までの物価上昇が約二倍であるということ、こういったことと、それから近年の立法、たとえば森林病害虫等防除法、旅行業法、船員法等におきまして罰金の上限の最低額、これが原則として十万円以上ということになっておりますので、このようなほかの立法例も参照いたしまして一律十倍ということにいたしたわけでございます。  その効果でございますが、これに伴いまして五十六年の一件当たりの密漁金額が十万円以下のものは、アワビ、ウニがそれぞれ八割、サケが七割、サザエが九割ということでございますので、このような実態から見ますると、罰金額十倍の引き上げは密漁の抑制の面ではかなり効果があるんじゃないかというふうに考えられますが、しかしやはり、先生おっしゃいますように、非常に大量の密漁をやる者もございまして、さような場合にはこの罰金額のみをもってしてはとうてい対応できないということは事実でございます。さような観点から、先生御指摘なさいましたとおり、単に罰金額の引き上げだけで密漁の防止ができるというふうに私ども考えておらないわけでございまして、やはり関係機関の連携を密にいたしまして、特に取り締まり体制を強力にしなきゃいかぬというふうに考えるわけでございます。そのためには、漁協、県、それから海上保安庁、さらに警察、そして水産庁が一体になりまして密漁の防止の対策を講じていくということが何分にも必要であるわけでございますが、やはり漁業者の間のモラルということも先生の御指摘のとおりでございまして、さような面で各県でもいま努力をし、この体制を推進しているわけでございますけれども、特に私ども期待いたしておりますのは、全漁連が密漁が大きくなっている道県あるいは漁連の代表によって密漁対策会議というものを開催いたしまして、漁業者、一般国民に対する啓蒙、密漁防止のPR活動、漁協内の自主規制の強化、防止体制の整備等、密漁に対する今後の対応策を目下検討中でございまして、これをぜひ全漁連・系統団体の手で徹底していきたいということもあわせて考えているところでございます。

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。  討論は両案を一括して行います。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより両案の採決に入ります。  まず、沿岸漁場整備開発法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  川村君から発言を求められておりますので、これを許します。川村君。

川村清一日本社会党

○川村清一君 私は、ただいま可決されました沿岸漁場整備開発法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     沿岸漁場整備開発法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   近年、二百海里体制の定着等、国際漁業規制が強化される情勢の下で、沿岸漁業に対する期待は、従前にも増して大きなものになっている。   しかるに、沿岸漁業の現状は、高度経済成長下で進行した埋立て、水質汚濁等による重要魚種の減少、燃油費の増大等、極めて深刻なものがある。   よって政府は、沿岸漁業の生産力の増大及び沿岸漁業経営の安定に資するため、沿岸漁場の計画的な整備開発を促進するとともに、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。  一、栽培漁業の振興を図るため、放流種苗の生育の場である沿岸漁場の環境保全に努めるとともに、関係漁業者等の意向を適切に反映した種苗の生産、放流及び管理がなされるよう措置すること。  二、基本方針及び基本計画については、水産物の需給動向に応じて沿岸漁業の生産力の向上に資するよう策定すること。  三、栽培漁業の技術開発に当たっては、種苗生産及び放流に関する技術の向上、国営栽培漁業センターから道府県営栽培漁業センター等への技術移転の円滑化等に努めること。  四、放流効果実証事業の実施に当たっては、放流種苗の保護育成に関し、漁業者等の必要な協力が十分確保されるよう実効ある措置を講ずるとともに、協力金を受け入れるに当たっては、任意であること等その趣旨を周知徹底させ、拠出額、拠出方法及び漁場利用をめぐり混乱が惹起されることのないよう指導に遺憾なきを期すること。  五、遊漁問題については、漁業が、国民食料の供給産業でもあり、漁民の生業でもあることにかんがみ、その存続発展を基本として、漁場利用の秩序を確立し、漁業と遊漁との調和を図るよう努めるとともに、地域の実情にも適切に配慮してこの問題に取り組むよう、都道府県及び関係団体を指導すること。  六、漁場利用協定の実効を確保し、併せて、遊漁者に対するマナーの指導、資源の保護培養への参加、安全対策の徹底等を期するため、遊漁案内業者及び遊漁者の組織化を促進するとともに、遊漁船の秩序化及び関連施設の整備に努めること。  七、沿岸・沖合・遠洋漁業の経営の現状にかんがみ、その円滑な経営改善を期するため、漁業経営負債整理資金が制度の趣旨に即して適切に活用されるよう、その運用に努めること。    右決議する。  以上でございます。

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) ただいま川村君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 全会一致と認めます。よって、川村君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、金子農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。金子農林水産大臣。

金子岩三自由民主党

○国務大臣(金子岩三君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 次に、漁業法及び水産資源保護法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  鶴岡君から発言を求められておりますので、これを許します。鶴岡君。

鶴岡洋公明党・国民会議

○鶴岡洋君 私は、ただいま可決されました漁業法及び水産資源保護法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     漁業法及び水産資源保護法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、内外漁場における操業秩序の維持・強化を図るため、本法の施行に当たって、次の事項の実現に万全を期すべきである。  一、沿岸漁場における密漁の増大傾向に対処するため、一般国民に対して、水産資源涵養についての精神の醸成と漁業法令の周知徹底を図るよう努めるとともに、漁業者自らも法令等の遵守を一層励行するよう漁協系統組織を通じて強力に指導すること。  二、最近の内外における漁業規制の強化及び密漁の実態にかんがみ、指導・取締り体制の整備充実を図るとともに、特に、組織的、広域的、暴力的密漁に対しては、関係機関相互の連携を強化する等実効ある防止・取締り対策を早急に確立すること。  三、漁業法令違反に係る罰則規定については、防止・取締り効果が上がるよう、今後の漁業及び一般経済社会の情勢変化に対応して適宜見直しを図ること。    右決議する。  以上でございます。

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) ただいま鶴岡君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 全会一致と認めます。よって、鶴岡君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、金子農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。金子農林水産大臣。

金子岩三自由民主党

○国務大臣(金子岩三君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

下条進一郎自由民主党

○委員長(下条進一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十八分散会

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