大蔵委員会 第9号
- 発言数
- 243 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1983/03/25
会議録
○委員長(戸塚進也君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 本日、宮本顕治君、藤田正明君が委員を辞任され、その補欠として近藤忠孝君、宮澤弘君が選任されました。 ─────────────
○委員長(戸塚進也君) 租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本日は、本案審査のため、参考人として税制調査会会長代理木下和夫君、立教大学社会学部教授斎藤精一郎君、立教大学法学部教授畠山武道君、以上三名の方々の御出席をいただいております。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。 本日は、御多忙中のところ、本委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。参考人の方々から忌憚のない御意見を承りまして、本案審査の参考にいたしたいと存じます。 これより参考人の方々から御意見をお述べ願うわけでございますが、議事の進行上、最初に参考人の方からお一人二十分以内で御意見をお述べいただき、その後委員の質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じますので、よろしく御協力をお願いいたします。 それでは、木下参考人からお願いいたします。
○参考人(木下和夫君) 昭和五十八年度の税制改正、とりわけて租税特別措置法の一部を改正する法律案について所見を述べよという御要請でございますので、税制調査会が昨年十二月に提出いたしました昭和五十八年度の税制改正に関する答申を中心に申し述べることにさしていただきます。 最初に、昭和五十八年度の税制改正に関する答申で示しております基本的考え方について、これを整理、要約して申し上げます。 第一に、わが国の財政が現在きわめて深刻な状況にあることは御承知のとおりでございます。すなわち従来、歳入歳出両面にわたる努力をいたしてまいりましたのにもかかわらず、第二次石油ショックの影響によります世界経済停滞の中で、予想を超える税収伸び率の鈍化が生じました。財政状況は一段と深刻さを増しております。このような財政状況の悪化によりまして、財政はいまや国民生活に必要な公共サービスの確保という財政固 有の機能すら適切に果たし得ない状況に追い込まれつつあると思います。したがいまして、財政を一日も早く再建し、財政の対応力を回復するということが緊要な国民的な課題であると考えております。 第二に、この財政再建のためには、何よりもまず経費の徹底した節減合理化によりまして、歳出規模を思い切って抑制するということが必要であることは申すまでもございません。現に昭和五十八年度予算におきましても、一般歳出の伸びがマイナスとされているのはこの線に沿ったものと考えております。 第三に、このような歳出面における削減の努力が行われるということを背景にいたしまして、今後の税制のあり方を検討していくことが必要でございます。この点につきまして、税制調査会は、すでに昭和五十五年十一月に答申をいたしましたいわゆる中期答申におきまして、税負担及び税体系のあり方について幅広く検討する必要がある旨の指摘を行ったところでございます。 第四に、しかしながら、昭和五十八年度は、政府におきまして歳出削減を中心とした予算編成を行うという方針であったということ、次に昭和五十六年度に現行税制の枠内で徹底した見直しを行ったばかりであるということ、さらには税負担及び税体系のあり方を根本的に検討するための環境が十分に整っていないということ等を配慮いたしまして、税制についての基本的な見直しは見送らざるを得なかったのでございます。 第五に、この場合におきましても、税負担の公平化、適正化の観点からの税制の見直しを行うことは当然でございまして、昭和五十八年度におきましては、このような観点から租税特別措置について厳しい見直しを行う等、所要の税制上の措置を講ずべきであるという答申を提出したわけでございます。 以上が答申の基本的考え方の要点でございます。 次に、最近論議が行われております所得税減税の問題について申し上げます。 この問題につきましては、税制調査会の審議の過程におきましてもさまざまな意見が出されました。すなわち、まず、課税最低限が昭和五十三年以来五年間据え置かれているために、その後の名目所得の上昇によって平均的な所得税負担率が上昇し、給与所得者を中心に納税者割合が上昇する等、検討を要すべき問題が生じており、この際、課税最低限を引き上げるべきであるという意見がございました。また、本格的な所得減税を行うことは困難であるとしても、財源が見出される範囲での限定的な減税を行ってはどうかとする意見もございました。さらに、景気回復を促進する観点からも何らかの所得減税を行うことが望ましいという意見も述べられました。 これらの意見に対しまして、他方、所得税制を長期にわたって固定することは好ましくないことであり、今後、課税最低限や税率構造等を抜本的に見直す必要があることは言うまでもないが、現在の深刻な財政状況のもとでは所得減税を行う余地はないとする意見がございました。次に、所得税負担率が上昇しているとしても、国際的に見れば依然として課税最低限は相対的に高い部類に属し、平均的な所得税負担率も低い水準にあるので、昭和五十八年度においては所得税減税を見送ってよいとする意見がございました。また、財源の見出される範囲での限定的な減税であっても、財政の現状がこれを許すとは思われないし、また、そもそもそうした小幅の調整措置をとることは余り意味がないとする意見もございました。さらに、景気対策として所得減税を行うとしても、総体的な経済活動に影響を与えようとすれば相当大きな規模としなければならないが、このために公債の大量増発ということになれば、金融市場を攪乱させ、結局景気回復にはつながらないとする意見等が出されたわけでございます。 以上のような賛否こもごもの論議を踏まえまして、総合的に検討いたしました結果、昭和五十八年度においては、財政状況等から見て、所得税、住民税の減税を見合わせざるを得ないとの意見が大勢を占めたと判断をいたしたわけでございます。しかしながら、昭和五十九年度以降できるだけ早期に、税制全体の見直しを行う中で、課税最低限や税率構造等について抜本的な検討を行う必要があるといたしました。 次には、昭和五十八年度税制改正の内容に即して申し上げることといたします。 まず第一に、租税特別措置の整理合理化でございます。租税特別措置につきましては、税負担の公平確保の観点から、昭和五十一年以来、精力的にその整理合理化が図られてきたところでございますが、最近の厳しい財政事情のもとで税負担の公平確保が一段と強く要請されるところから、準備金、特別償却等の企業関係租税特別措置につきましてさらに見直しを行うことといたしております。 第二に、金融保険業の貸し倒れ引当金の経過措置の見直しを行うことといたしました。すなわち、金融保険業の貸し倒れ引当金につきましては、昭和五十七年度に行われました金融保険業以外の業種の法定繰り入れ率引き下げに際しましてとられた経過措置とのバランスを考慮いたしまして、現に適用されております経過措置の見直しを行うこととしております。 第三に、現下の住宅建設の状況がはかばかしくないという状況にかんがみまして、住宅取得控除制度につきまして、定額控除を廃止するとともに、住宅ローン控除の控除率、控除限度額をそれぞれ引き上げることといたしております。 第四に、相続税の資産評価における小規模な会社の株式につきましては、現在いわゆる純資産価額方式のみによって評価されております。しかし、いわゆる類似業種比準方式との併用によって評価することを選択できることとする等その合理化を図ることといたしております。 また、この株式評価につきまして改善合理化を図ることとの関連で、個人が事業の用または居住の用に供する小規模宅地につきましても、所要の措置を講ずることとしております。 なお、以上のほか、揮発油税、自動車重量税の暫定税率の適用期限の延長、電源開発促進税の税率の引き上げ等を行うこととしたわけでございます。 最後に、納税環境の整備関係の問題について申し上げます。 所得課税につきましては、執行面での把握差が生じやすく、実質的な公平確保の面での批判が少なからず見受けられるとこころでございます。したがいまして、制度上、執行上の公平確保は何よりも重要な課題と考えておるわけで、そこで、申告納税制度の原点に立ち返りまして、納税環境の整備を図るための諸方策を検討するための場といたしまして、昨年六月に、税制調査会に申告納税制度特別部会というものを設置いたしました。この特別部会では、従来の各般の論議を幅広く拾い上げて審議を進めることといたしておりまして、今後早い時期にその結論を得たいと考えております。 以上で私の陳述を終わります。
○委員長(戸塚進也君) ありがとうございました。 次に、斎藤参考人にお願いいたします。
○参考人(斎藤精一郎君) 御紹介にあずかりました斎藤です。 私は、専門は税制ではなくて、一般の経済あるいは金融論が専門なので、今回ここに上がっております租税特別措置法について、全般にわたって特に意見を申し上げる資格はございません。この中で唯一、多少私が参考意見として申し上げられるとしたら、少額貯蓄等利用者カード制度の延期についての、いわゆるグリーンカード問題についての意見でございます。この点についてのみ限って少し私の意見を述べさしていただきたいと思います。 最近日本でも、昭和五十年代に入ってだと思うんですが、国民のいわゆる税意識というものが非常に強まってきたことは、客観的に見ても、ある いは主観的に見てもはっきりしているのではないかと思います。理由はいろいろあると思うんですが、大きく分けて二つぐらいあると思うんです。 一つは、いま木下参考人がおっしゃいました、五十三年以降の所得の課税最低限が据え置かれて、いわゆる物価調整減税が行われないということが第一点だと思います。 あと一つは、これは世界経済全体についても言えるわけですけれども、いわゆる低成長過程に入ってきて、毎年の所得の増加率がスローダウンをしてきたということで、一般の人たちがかせいで、いわゆる労働して得る所得の伸びが小さいために、その他の方法で所得を上げなきゃいけない。そういう場合に、税金というものがよけい意識に上るようになってきた。これは金利選好が強くなったこととも関係しますけれども、結局ほかにかせぐ場所がない、税金を何とか安くしよう、あるいは余裕資金の運用をできるだけ高い金利で運用しようとするということで、金利選好及び税意識が高まってきているのじゃないかと思います。 これは、アメリカではインフレが非常に激しかったために明確に出ておりまして、いわゆるマネーゲームとタックスゲームの非常な混乱がアメリカ全体に見られているのは、結局、所得あるいは売り上げを伸ばすよりも、節税あるいは脱税、あるいは実物投資よりも金融資産投資を行って所得を上げるようになってきているという状況と関係があると思うんです。 日本でもそういう中で、昭和五十年代に入ってから、一般の勤労者、いわゆるサラリーマンの税意識が非常に高まってきています。少し前、五、六年前ですと、ほとんどのサラリーマンの人たちは税についてほとんど何も関心がなかったわけですが、最近はだれでも年収という問題を、手取り幾らか、実質幾らかという言い方をしています。アメリカで経済哲学をやっているギルダーという人は、あらゆる歴史を見ると、一般の人たちが手取り収入ということを口にし出す社会は非常に危険だと。つまり、それだけ税の意識、税負担というものを非常に強く感じる言葉として、必ず手取り収入というのが出てきて、どのくらい政府あるいは国に吸い取られているかということが興味の中心になる社会というのは、余り健全な社会とは言えないということを言っておりますけれども、かなりそういう面で、一般の勤労者の中に、手取り収入、実質収入、税を引いたものが幾らかという、そういう意識が非常に強まっていることは、この三、四年の非常な大きな特徴だと思うんです。 こういう中で、いわゆる負担感とか不公平感というのは、もともとそういう調査をすれば、だれでも負担が重いとか不公平だということを特に言うわけですけれども、最近のいろいろな調査、政府がやっている調査、五十七年の二月に総理府がやった税金に関する大がかりな——大がかりといいますか、一般的な調査の内容を見ましても、不公平感が、年収三百から一千万のところは八〇%ぐらいの人が不公平感を持っている。あるいは年収五百から七百万の人が九〇%近く負担感をかなり強く持っているということで、国民の税意識が非常に強まってきているわけです。 税意識が強まること自体はある面で、非常に納税者意識の高まりですから、いいと評価できるわけですが、問題は、それを逆手にとると、結局脱税、あるいは日本では節税と言われていますが、別の言葉で言いますと逃税、そういった行為に人々がかなりの関心を持ち出してきている。脱税というのは英語でエバージョンと言うので、これは明らかに税法上違法行為ですが、節税とか逃税、これは英語ではアボイダンスと言われていますけれども、これは税法上の抜け穴とか、税法をうまくくぐって税金を安くするという行為なわけですが、これが非常に日本でもふえてきている。 これはアメリカやヨーロッパでは非常にふえているわけですが、単に法を破るということではなくて、法をうまく利用しようということにかなりの労力とか物を費やすようになってきている。アメリカでは、御承知のとおり、弁護士及び会計士の数がこのところ急増しているわけです。いままでは余り税理士あるいは会計士に頼まないような一般の人たちまで、タックスゲーム、税をいかに安くするかということに無中になってきている。日本はまだそこまでいきませんが、一般のサラリーマン層の中に、税を何とか安くする、あるいは一般の商店とか一般の自営業の方や何かにも、そういう意識は、単に脱税というのじゃなくて、うまく逃れる、合法的に逃がれるという意識が非常に強まってきているのが、これは最近の特徴だと思うのです。 こういった点については、日本は他の先進欧米諸国に比べると、まだ幸いにおくれていて、脱税とか逃税の行為自体は蔓延しているとは言えません。しかし、かなりそういった行為が広がり、一般化する徴候はいろいろな点に出てきていると思います。 よく言われるアンダーグラウンドエコノミー、地下経済と言われているわけですが、これは欧米でも大体一九七〇年代の後半にだんだん出てきて、人々の注目を浴びてきた一つの経済行為ですけれども、結局税当局にわからない形での経済行為、あるいは税金をできるだけ逃れる、合法的にせよ非合法的にせよ逃れる、その行為自体から成る経済を地下経済と言うわけですが、それは大きく分けて三つぐらいになると言われているわけです。 一つはハードクライム。ハードというのは、非常に厳しいといいますか、悪いという意味です。悪い犯罪、いわゆるブラックマネーとよく言われているものです。これは経済状態とかと余り関係ない。従来からある窃盗とか賭博あるいは売春の問題とか、そういった非合法的な経済行動に伴う現象ですから、これ自体は特に最近ふえたとかどうかという問題じゃない、麻薬や何かを含めてですが、これは別問題だと思うんです。 二番目のソフトクライム。これは経済行為自体は違法ではないのですが、そこから得た所得の全部あるいは一部を過少に申告するいわゆる脱税という行為が地下経済の中心になっている二番目の項目です。 それから三番目は、先ほど触れましたアボイダンス、いわゆる逃税、合法的に税を逃れること、これが欧米で非常にいまはびこってきて、いわゆるタックスゲームと言われている現象を呈しているわけです。 日本では、ハードクライム、ブラックマネーというものは昔からずっとあったわけで、特にここに来て、多少はふえているようですけれども、特にそれほどこの際問題にすべきことではなくて、問題は二番目と三番目の脱税あるいは節税、逃税行為がふえていると同時に、人々がかなり関心を持ってきているということが重要じゃないかと思うんです。そして、一般の人たちの多くは、みんながやっているなら自分もやらなきゃ損だという意識がかなり出てきているのではないかという気がいたします。税逃れはみんなでやればこわくない、みんながやっているなら自分もやろうということで、結局不公平感が高まりますと、自分たちもやらなければということで、その結果いわゆる納税義務感が破壊してくる。 納税義務感が破壊した場合、アメリカ等では主としてそれがいわゆるタックスレボルト、税の反乱ということに結びつく。カリフォルニアの住民税の反対運動にあったように、そういう一種の市民運動あるいは市民革命的な要素、あるいはレーガン政権の誕生のときのように、国政レベルでのそういった大きな変化に結びつくわけですが、日本やヨーロッパでは、なかなかそういう形では出てこないで、それが陰湿になってしまって、おのおのの人たちが、反対運動という形じゃなくて、自分たちで税をちょろまかすような行為を行ってくるんじゃないかということの方がかなり懸念されるわけです。これが表に出てくれば、かえってこれでまた非常にいいことなんですが、むしろそれが陰に入ってしまって地下経済の拡大という形に向かう危険性の方があるんじゃないかと思われ ます。 それで、日本とアメリカでの問題ですが、アメリカでは七〇年代後半にこういった問題が非常に意識されまして、七〇年代の後半にアメリカの国税庁自体が調査に乗り出しました。アメリカの地下経済の規模は、学者はGNPの大体一〇%というふうなことを言ったんですが、まあ七、八%か、最近のアメリカ国税庁のいろんな推定作業ですと一〇%を超えている。つまりGNPの一〇%ぐらいがどうも税当局あるいは政府に把握されない経済活動である。これはGNPに含まれないわけです。一般のエコノミスト、学者の推定ですと、アメリカでは大体一五%と言われております。 日本については、この種の推計はデータ面の制約とかいろんなことでほとんどむずかしい。実際むずかしいわけですが、私がラフな推計をしたところですと、アボイダンスという逃税を除きますと大体国民所得の七%ぐらいです。五%から七%ぐらいですとそんな大きな問題ではないわけですが、こういうものがだんだんとふくれ上がってくるといろんな問題が出てくるということは言うまでもないことだと思うんです。 そこで、最大の問題は、アメリカの場合は、御存じのとおり、脱税とかあるいは逃税で稼いだ税務当局にわからない金を金融機関に預けることは不可能なわけです。というのは、アメリカでは社会保険ナンバーが整備されていて、それでないと預金ができないということですから、ほとんど金融機関に預けられない。そうするとどうするかというと、海外に逃れたり、いわゆるブラックビジネスの方に流れたり、あるいは金(きん)やダイヤモンドとか、そういったものに向かったり、いろんな形でそのお金が地下に向かってしまう。 ところが、日本の場合は、御存じのとおり、いろんな仮名やいろんな名前を使って金融機関あるいは郵便貯金等に預金として預けられるということなので、一部の人の間では、日本では脱税や逃税や何かがあっても、その金が結局金融機関に入って、それが正常の地上の、表の経済に出ていくから、結構うまくいっているんじゃないかという意見があるわけです。 今般、五十五年の所得税法改正でグリーンカード及び総合課税移行に伴って出てきた問題はまさにそこにあったわけで、そのかなりの脱税並びに逃税があったその資金が金融機関から郵便貯金に流れた。郵便貯金もグリーンカードに入るということで、今度は郵便貯金から金(きん)あるいはゼロクーポンという形でお金の非常な流動化が起こった。 こういうことをしていると、お金が海外に逃れていったりあるいは暴力団とかその他ブラックマネーの世界に、お金が地下に完全にもぐってしまって、それで表の世界に向かっていた資金が枯渇してくる。こうなると金利が高くなって産業投資が抑えられる。したがって、グリーンカード並びに総合課税化は好ましくないというのが、今回延期になった一つの経済的な背景ではないかと思います。 しかし、よく考えてみると、ここに問題が少しあるわけです。というのは、グリーンカードあるいは総合課税化によって逃れる資金があるということは、それだけもとになっている脱税、あるいはグレーといいますか、ブラックに近い節税、あるいは逃税行為があって、その資金が金融機関等に入っていて、それがいま表に向かっているのを地下に向けるのはいけないというのは、ある面で本末転倒の話で、脱税とか逃税自体をチェックしないで金融機関に入るお金を地下に戻すのは危険だから、国民経済的に好ましくないから、グリーンカードあるいは総合課税は好ましくないというのは、議論としては妙なんです。 というのは、グリーンカードがこれで延期されあるいは総合課税が延期されれば、結局一般の人たちは何を思うかといいますと、うまいことをやっている人たちがいるんではないかという意識だと思うんです。多くの一般の勤労世帯の場合には、郵便貯金の三百万非課税、それからマル優の三百万、特マルの三百万で九百万、あと財形を入れれば四百万加わるわけですが、一人当たりにそれ以上持っている家庭というのはそれほど多くはない。多くの人たちはグリーンカード制については余りよくわからないと言っていいと思うんですが、一部かなりのお金を持っている人たちはこの制度を非常に危険だと見たわけですね。ですから、脱税あるいは逃税行為が基本的にかなりあって、その資金が地下にもぐるからグリーンカード等を導入するのはいけないというのは、そういう面で人々に不信感あるいは不公平感を与えるからだ。ほかの人がどうもやっているらしい、自分たちもやらなきゃ損だという意識をむしろ強めさせる原因になるんではないか。 今回のグリーンカード導入の問題は、非常に急ぎ過ぎた面が確かにあることは否めないと思うんですね。結局、グリーンカードと総合課税制度を一緒に持ってきたところにかなりの人々に恐怖感を与えた。つまり所得の源泉が全部把握されるのじゃないかという問題だと思うんです。 そこで、私の意見としては、グリーンカードのマル優枠、三百、三百、三百についてはグリーンカード制を適用して、その他分離課税はそのまま残しておくという便法をまず最初に講じておいて、そうしてしばらくしてから利子配当についての総合課税に移行するというような、そういう経過措置的な方向をとるべきだったんじゃないかと思うんです。 グリーンカード制を延期する、あるいは今後廃止に持っていくということになると、結局間接的に、国会の決議というのは国の一つの象徴ですので、国会自体がアングラマネーの存在を認めている、それをほったらかしておくということに等しいと思うんですね。それはほかの人たちの納税意識あるいは納税義務感の破壊をむしろ国会が容認するという問題を含んでいるんじゃないか。確かにグリーンカードを導入し、総合課税に持っていけばお金が地下に入ってしまってどこにいくかわからない。海外に逃れてしまう。香港、スイス等にいくという。もちろんそういう危険性は確かにあるわけですが、その場合には、いま言ったように、マル優、非課税をするお金ぐらいはきちっとチェックしておいて、あとについてはいろいろあるけれども、それは税の捕捉の問題あるいは税法の改正、不公平税制是正の問題とか、そういった問題で解決するとして、少なくとも現在あるアングラマネーについては、三五%なら三五%の分離の税金だけは払ってもらう。そのかわり、マル優を使ってそういう金が逃れているという事態だけは少なくとも避けるために、グリーンカードはマル優に限って適用し、総合課税はしばらく延期するという措置をとるべきだったのではないかというふうな感じを持つわけです。 それというのも現在、最初に触れましたように、一般の人たちの中にかなりの税意識が高まって、不満感、負担感が強い。それから最近この事件を契機に、どうもうまいことをやっている人たちがいるという意識が人々のタックスゲームに非常に拍車をかける。一般にサラリーマンは逃税あるいは脱税ができないとされていますけれども、セカンドジョブ等の問題、あるいは僕の関係している学生などについて見ると、小さな脱税というのは非常にはびこっております。額はわずかですけれども、かなりの脱税行為というのは一般に認識されるところで、こういったことが当然だという意識がますます助長されることを非常に私は警戒するわけです。 アングラマネーを僕は大体四十から五十兆円と見てますけれども、そういうお金を取り締まれば、確かに影響が国民経済的に直ちに出てくると思うんですが、その問題と税の公平性あるいは納税義務感の問題とは切り離していく方向で今後考えていかないといけないのではないか。 勝手な意見ばかりで恐縮ですが、以上で私の陳述を終わらしていただきます。
○委員長(戸塚進也君) ありがとうございました。 次に、畠山参考人にお願いいたします。
○参考人(畠山武道君) 私は法律学を専攻してお りますので、もっぱら税法の条文の解釈ということを商売にしております。そういうわけで余り租税政策論とか制度論は得意ではないのでありますが、今回御指名でございますので、ふだんから税法の条文を眺めていて感じたことを述べさせていただきたいと思います。 論点は二つでございます。一つは租税特別措置一般に関すること、もう一つは減税問題、特にサラリーマンの税負担という問題でございます。 そこで、まず租税特別措置法の問題でございますが、ちょっと口幅ったいところもございますが、租税理論的に言いますと、たとえば能力に応じた課税であるとか、それから富の再分配、それから景気調整、そういうことが所得税の機能として挙げられております。こういう所得税の機能を最大限に発揮させるためには課税ベースをできるだけ広くとらなければいけない、特定のものを除外したりしないでできるだけ広くとらなければいけない。これは財政学の常識だろうと思います。いわゆる包括的所得課税というふうに言われております。租税特別措置法は主に課税の平等に反するというようなことで非難されますが、そのほかの所得税の他の機能も損なうという意味でも批判されるべきであるということでございます。 わが国の税制は、特に高度成長期に特別措置を乱用した時期がございます。幸いなことに、税制調査会などでは整理統合の必要性ということが強く叫ばれ、今日に至るまでかなりの数のものが整理縮小されています。今回も中小企業事業転換施策のための特別償却その他四つの特別措置が廃止され、そのほかさらに幾つかの特別措置の縮小が提案されております。私はこれらの努力を高く評価したいというふうに考えております。 しかし、他方で新たにかなり多額に達すると思われます中小企業の設備投資促進のための措置とか、あるいは特定基礎素材産業対策、いわゆる新構造不況法の施行に伴います優遇措置、それから使用済み核燃料その他のいわゆるエネルギー対策、そういうかなり政治的な色彩の強い措置が税制を通じて優遇されるということになっております。 それからもう一つ、私は一介のサラリーマンとしまして、かねがね事業所得者に対するみなし法人課税というものに疑問を持っておりますし、裁判でも、事業所得者本人が本人に給与を払うというようなことは理論的にあり得ないという東京地裁の判決が出ております。そういうわけで、今回みなし法人選択課税がことしで一応期限切れということになっておりましたので、多少期待しておったわけでありますが、今回の提案によりますと、特に説明することもなく五年延長されるということになっております。そういうわけでございます。 そのほか、長年の懸案でありました利子配当所得の分離課税の廃止等が、斎藤参考人から述べられましたように、グリーンカード反対のあおりを受けて延期されたというようなことは御承知のとおりでございます。 そのほか、租税特別措置法には定めておりませんが、たとえば法人の受取配当の益金不算入とか、あるいは支払配当の軽減措置、それから個人の受取配当の軽課措置等々がございます。これは本法の特別措置とは必ずしも言われていないようでございまして、主に法人税の本質論に絡めて論議されているようでありますが、アメリカ合衆国ではすでに一九六四年から後は長いこと二重課税が是認されております。そういうわけでこれが果たして、法人税の本質論に絡めて、当然行わなければならない措置かどうかということをいま多少の疑問を持っております。 そのほか配当に関しましては、いわゆる配当の譲渡益、キャピタルゲインが原則として非課税ということになっておりますが、これも特別措置の一種であるというふうに、一種といいますか、特別措置的なものであるというふうに私は見ております。そういうわけで多少把握とか、課税の方法にむずかしい点はあるのだと思いますが、将来の検討課題としてぜひしていただきたいというふうに思っております。 そのほか個々の特別措置については、いろいろな細かい問題点があるんだろうと思いますが、最後に特別措置のいわゆる立法的な統制という問題に触れたいと思います。といいますのは、租税特別措置というのは、減税されたのと同じ額の補助金を特定の納税者に与えるものでありますが、一般の歳出予算ということになりますと、額とか受益者の範囲、それから支給方法、こういうものがかなり明確であります。ところが減税ということで行われますと、資料としては大まかな税額は出ているわけでございますが、その点がなかなか把握できません。そういうわけで、逆に効果とかというのも余りはっきりしませんし、逆に打ち切るときにも、なかなか打ち切る大義名分が立たないというようなことで、租税特別措置をいつまでもだらだら続けたようなふうになるわけであります。そういうことでございますので、この際、これもアメリカの制度でございますが、租税歳出予算制度というものを考えたらどうであろうかというふうに考えております。 これは支出の項目ごとにかなり細かく、何十という項目に分けられておりまして、そうしてその項目について支出を定めている法律としてどんなものがあるか、そして実際に予算の歳出の方でどれくらいの額が支出されているかということがまず掲げられております。その次に減税措置として与えられている補助金がどのくらいであるかというようなことが書いてありまして、簡単な学者のコメントあるいは参考文献等が載っております。全体は大体二百ページか二百五十ページぐらいの本でございます。それが租税歳出予算というものでございまして、それでも完璧とはもちろん言いませんが、いまよりは、個々の分野に与えられている租税特別措置の項目がかなり明らかになるんではないかというふうに考えております。 以上が、租税特別措置についての簡単な感想でございます。 次がいまの国会でも特に問題になっております減税問題でございます。 周知のように、インフレ進行期には名目賃金が上昇するだけで税負担がどんどん増加し、実質増税という現象が生じてきます。昭和五十二年までは、税制調査会等の答申では、日本の課税最低限は世界各国に比べても高いのだということを盛んに言っておりましたが、一方では、政策減税ということをずっとやってきました。これも恐らく増税ということを避けるための措置だったのではないかというふうに思っております。ところが、五十二年以降、消費者物価上昇率が大体二八・九%だというふうに言われておりますが、課税最低限の引き上げというのが行われておりません。大蔵省の試算によりますと、約五兆円取り過ぎといいますか、増税であるというようなことも言われております。そういうことで増税、言葉はちょっとどぎついわけでありますが、逆に言いますと、増税が繰り返されたということを意味するのではないかと思います。それは現に納税者が毎年百万から二百万ずつふえているとか、あるいは給与所得者の納税をする人の割合が現在八八%に達しているとか、そういうふうないろんな事実からも示されているというふうに思います。 法律学の立場から一つの問題といいますのは、こういういまの課税最低限が、二百一万五千円でしたでしょうか、それが健康で文化的な生活を保障した憲法二十五条に違反するかどうかということでございます。これは総評訴訟その他でも争われております。ところが、健康で文化的なという基準自体は、これはなかなか定量化できないものでございます。 それともう一つは、三権分立のもとでは、裁判所が法律を違憲と言うようなことは、礼儀の問題もありますし、理論的な問題もありますから、なかなかいたしません。よほど極端でない限り合憲だという判断を下すんだろうと思います。ですから、裁判を通じていまの課税最低限が低いということを主張してもなかなか通らない。しかし、これは裁判所が見て裁判所が違憲だと言いたくなる ほどにひどくないということでございまして、いまの制度のあり方が妥当であるということは恐らく意味しないというふうに思います。これは恐らく立法府の良識の問題ということになるんだろうと思います。 そこで一つの目安として、これも簡単なものでありますが、生活保護法による生活保護基準というのが考えられます。この二つは計算方法も目的も違いますので、一概には比較できないんではありますが、法律の整合性とか、あるいは国民感情からいたしましても、生活保護世帯と同じような所得しかもらってない人に税を課すというのはどうもおかしいんではないかということがあるだろうと思います。かつて両者は大変大きく開いてきたわけでありますが、最近では所得税の課説最低限が標準四人世帯で二百一万五千円、生活保護基準の方が、毎年変わりますが、去年の例で言いますと、百七十五万三千円、開きは二十五万円程度しかございません。また住民税では、いわゆる逆転現象ということで、生活保護をもらっている世帯の方が実質収入が多いということがあります。それを防止するために現在非課税限度額というのを設けて当座をしのいでいるわけでございますが、非課税限度額によりましても、最低のぎりぎりのところでは、控除自体は増額しておりませんから、収入がふえたために税がふえて、手取りが所得の少ない人よりかえって下がったなんていう、そういうこともあり得るわけでございます。 幸い、税制調査会では、先ほどのお話のように、五十九年度以降、税率の構造も含めまして、抜本的な対策を講じるというようでありますので、そちらに期待したいというわけでございます。 最後にクロヨンと言われる問題でございます。これも斎藤先生からいろいろお話がございましたけれども、私のような税法をやっている者から見ますと、どうも法律の規定上はどこからそういうクロヨンというようなのが出てくるかなかなかわかりにくいわけであります。そういうわけで法律に別に不備はないんでございますし、そういうものは法律上はないはずなんでありますが、どうも実感としてはあるというのがほとんどの人の意見であるわけであります。アメリカでは、先ほどもお話がありましたけれども、文字どおり事業所得者は六割、それから農業所得者は四割ぐらいしか捕捉されてないという、そういう報告もありまして、アメリカでもクロヨンというふうな現象があるんだなということがわかるわけでございます。それからイギリス等々では、昔から給与所得者に対する税金が重過ぎるという不満が昔からあるわけでありまして、そういう意味では給与所得者に対する税が重いというのは世界各国——まあ納税者は自分の税金が一番重いとみんな思っているわけでありますが、それにしましても、給与所得者の不満というのは昔から解決されない問題でございます。 サラリーマンの不満といいますのは、源泉徴収制度でがっぽり捕捉されるとか、あるいは必要経費が認められないとか、あるいは自主申告ができないとか、それから他の納税者が特別措置でうまくやっているとか、さまざまな不満が重複したものでございます。そういうわけでこういうものを一つ一つ解決していくより方法がないというのが現状だろうと思います。 源泉徴収につきましては、わが国の源泉徴収制度というのは制度としてはかなり完成したものでございまして、アメリカ等では利子については源泉徴収が行われておりませんが、日本では行われております。そういうわけで対象は狭過ぎるということはないと思います。 しかし、これも法律的に見ますと、やや法律的な話になりますが、権利救済制度が整っていないわけでございます。そういうわけで、いわゆる受給者、税を引かれた人が税務署を直接相手として争う方法がないと、こういうことになっております。これはわれわれのような法律をやっている者からしますと、長年の懸案でございまして、こういうことも長期的なものでありますが、是正していただきたいと思っております。 それから必要経費でありますが、サラリーマンの必要経費は何かというようなことに絡めましていろいろ論議されますが、私の考えでは、一般的なサラリーマンはそれほど必要経費が多くないんでありまして、そういうわけで必要経費の申告を認めよという主張には余り賛成いたしません。しかし必要経費類似的なものはあるわけでございまして、たとえば通勤手当をもらってない人の通勤費とか、それから最近いろいろ問題になっておりますような共働きの場合の保育園費とか、その他の余分にかかる費用等々でございます。こういうものは税制を複雑化させるという欠点がございますが、所得控除等々を通じて緩和されるべきであると思います。アメリカのように細かい控除をたくさん設けると、かえって税制が複雑化して、そのためにまた一本の控除を設けるというようなこともやっておりますが、そういうことにならない程度にいろいろ配慮してみるべきだろうと思います。 ちょっと番外でございますが、うちの周りの奥さんの話でありますが、働きに出ますと七十九万まで課税されないわけでありますが、内職の場合は二十九万円から課税されます。経費もほとんどありませんし、それから社会保険、生命保険料控除も引かれないというようなことで、二十九万円というのは多少低過ぎるということを、ちょっと余談でありますが、言っておきます。 それからもう一つは、最近のインフレによって給与所得者の税負担がふえているということでございますので、いわゆるインフレ調整税制、これはアメリカやカナダ等々では実施に移されつつありますが、そういうようなものもぜひ考えていただきたいと思います。これは事業所得者の場合は経費の方もインフレでふえますが、給与所得者は給与所得控除その他を固定されますとなかなかふえないので、税だけがふえるということでございます。 そのほか社会保険診療報酬等々、一部改正されましたが、に絡みまして、租税の特別措置によって不平等であるということがよく言われますが、これは先ほど述べたとおりのことで、今後課税されるべきだろうということでございます。 あとは、結局クロヨンというのは、税法の執行の仕方とか、いまの税務体制とか、いろいろな問題が絡んでいるわけでございまして、これももちろん一朝一夕にいかないんでございますが、この点も税制調査会では現在検討中ということでございますので、多少時間はかかるだろうと思います。東京高裁の総評判決というのがございますが、あれによりますと、恐らくいまのような税負担の不公平は永遠に続くだろうなんて判決文に書いてありますが、それでは困るんでございまして、ぜひ検討していただきたいと思います。 以上、思いつきでございますが、いろいろなことを述べさせていただきました。
○委員長(戸塚進也君) ありがとうございました。 以上で参考人の意見の陳述は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○穐山篤君 どうも御苦労さまです。 木下先生にお伺いしますが、参議院の予算委員会に小倉会長が見えまして、参考人としての御意見を述べられたわけですが、その当日を含めて、いまだに税調会長の発言、態度というものが新聞その他をもちまして相当批判をされております。もちろん税調会長という公的な資格に個人的な意見というものが入っているわけですから、すべてけしからぬとは言いませんが、公式の会長という立場を考えてみますと、先日の意見は問題ありというふうに言わざるを得ないと思うんです。 そこでお伺いをするわけですが、この十四日に臨調の最終答申が出されました。その最終答申の一番最初に「増税なき財政再建」という大きなタイトルがついております。その項目の中に、一部ではあるけれども、増税なき財政再建という点に非常に消極的な人がいるというふうに臨調は指摘をしたわけですね。その一部というのにはいろん な方があるんだろうと思いますが、政治家も入るでしょう。それからどうも税調も暗に指摘されているんじゃないかというふうに私は理解するわけですが、税調の全体の皆さんの空気といいますか、考え方というものをまず第一にお伺いします。 それから私は、当委員会でも、財政構造というものを強める必要がある、あるいは改善をする必要があるという意味で、過去五年間国会でいろいろ取り上げてまいりました法律の改正、あるいは税制改正というものを一つ一つ取り上げて分析したことがあったわけですが、いずれもそれは一過的な収入増を予定するようなものでありまして、言うところの財政の体力を強めるというふうなものが何らなかったわけです。今回の税制改正あるいは四兆何がしかの税外収入の問題につきましても、いわゆる体力を強化するという立場から言いますと、全く皆無ではなかろうかなというふうに考えます。その点についての木下先生のお考えを第二番目にお伺いします。 それから第三番目に、まず何といっても歳出規模を思い切って小さくすることだと、こういうふうに言われました。これは臨調も税調も、われわれもある部分では共通した意識でありますが、さて歳出の規模を縮小する、あるいは歳出をカットするということを気楽にだれでも言いますけれども、各省庁の予算をできるだけ節約して執行するということがあったにしましても、昨年の実績、一昨年の実績三千五百億円が最高限度であります。少なくとも何兆円というふうなものを切り込むためには、一般的な庁費の節約という範囲ではとてもできるしろものではないと思う。したがって、その歳出規模を縮小する、カットを思い切ってやるというのには、政策の選択ということにならざるを得ないと思うんです。 そこで、今回も、また昨年の国会でもそうでありますが、切りやすいところを切ってしまおう。たとえばこの前行われたのは公的年金制度に対します国の助成というものを一部カットする、そういうことによって、歳出規模を小さくしたわけではありませんが、その金が別の費目に転用される。ことし五十八年度の予算では典型的にそれが見受けられるわけでありまして、歳出のカットこついてどういう視野で行った方がいいのかどうか、その点についてまず三つお伺いをしておきたいと思うんです。
○参考人(木下和夫君) 穐山先生の御質問は三項目にわたりますが、全体として基本的に私も同じような感じを持っております。それを前提にいたしまして第一の問題から申し上げますが、御指摘のように、臨時行政調査会の答申は増税なき財政再建を行政改革のてこであるというふうに考えました上で、「当面の財政再建に当たっては、何よりもまず歳出の徹底的削減によってこれを行うべき」だという言葉がございました。それと同時に、税制につきましては、「税負担の公平確保」の観点というものを基礎に置きまして、「申告納税制度の適正な運営のための基盤」の強化と租税特別措置の見直しというようなものの推進、あるいは「所得税制における課税最低限及び税率構造」、さらには直間の比率等について検討するというような問題点が指摘されておるわけでございます。 この御指摘に対しまして、私どもの受けとめ方は、各種の観点から税制の見直しの必要性を指摘されたものと考えております。したがいまして、その結果として、税負担の増大が全くないというふうに御指摘があったものとは解釈しておりません。 と申しますのは、臨調の御指摘にありますように、税負担の公平確保の観点から、外から見直しを行う、それから税体系の見直しの観点から増税ないし減税をしなければならない場合が具体的には生じてくるわけでございますから、あるものについては増収をもたらすような結果が出てまいります。たとえば租税特別措置の整理をいたしますれば、その分は増収でございます。それをしも増税という言葉で否定し去るというふうには解釈できないわけでございます。 そのように各個別の措置あるいは税制の見直しから生じます全体の問題に私どもは関心を持っておるわけでございまして、臨時行政調査会の一つのスローガンとして増税なき財政再建ということを打ち出された背後には、歳出の徹底的削減を主張される余り、仮に増税というような言葉を使いますと、歳出の削減にブレーキがかかるということを御心配になって、強くこの言葉を打ち出されたものであろうと思います。 しかし、一般に考えますと、増税なき財政再建と言っているではないかと、それぞれの納税者の立場からはその言葉を盾にとりまして、全面的にこれを拒否されるというようなことになりますれば、私どもが今後の作業として考えております税制の見直しというものの作業は非常に困難にならざるを得ないおそれが出てくると考えております。恐らく税調会長のお話はこの点を指摘されたものと考えておりますし、私もその点については異論はございません。 それから第二の、過去五年間の税制改正の動向を御検討になりまして、財政体力を強めるような措置というものについては必ずしも十分でない、あるいは今後どういう考え方でおるかということの御質問でございますが、財政体力と申しますれば、いわば国民の一般的な租税負担能力に対応した歳出の問題と絡んでまいります。 したがいまして、さまざまの歳出の項目につきまして国民の皆様方がこういうものは要らないんだ、これは多過ぎるというようなことでございましたら、当然それに伴う国民の負担というのは下がってしかるべきでございますし、逆にもっとこれをふやせというような御要望がございますれば、やむを得ず国債に頼るほかの方法を探すとすれば、増税措置をとらざるを得ないというふうに思います。 抽象的に財政体力ということについてここで申し上げるきちんとした考え方を私は準備しておりませんけれども、仮に私見を申し上げますれば、私はいわゆる国の一般歳出というものの中に占める財政固有の役割り、これは恐らく公共サービスを国民に提供するという費用の問題、それからさまざまな形で所得再分配をやっておりますが、それらに要する費用というのは、これは原則的に租税及び社会保険料収入で賄うべきであって、そこに赤字が出るということは施策のやり過ぎであろうと思います。国民は受け取る利益というものと負担する租税というものについて一種のバランスを期待しておると思います。したがいまして、その辺につきましては、これは収支がバランスするような方向で検討しなければなりませんので、直ちにこれを一〇〇%税で賄うような体制に持っていくことは、いまの財政運営からは早急にはできにくいと思いますが、できる限り一般歳出の相当部分を税で賄うような体制に持っていくことが財政体力を強化するゆえんではなかろうかと、私見でございますが、申し添えておきます。 第三番目の問題でございますが、歳出規模を削減しろといってもなかなかそれはできないではないか、大変な問題が控えておるということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、御主張のように、まさに政策の選択によらざるを得ない。乏しい財源の中からどういう種類の歳出に振り向けていくかということにつきましては、国民の一般的な考え方を基礎にいたしまして、これは国会でもって御審議を賜わりたい問題でございます。私どもは実は歳出面について検討することは領域外でございまして、もっぱら与えられました歳出需要というものを前提にして、その中で一番望ましい税制のあり方ということをめどにいたしまして、年々議論を繰り返しておりますので、そのような立場から申し上げれば以上の御返事になろうかと思います。
○穐山篤君 次に、共通する問題で三人の方にお伺いしますが、一つは減税の問題です。 国会では、昨年衆議院議長の裁定というのが出て、衆議院大蔵委員会の小委員会で専門的に詰めてまいりましたが、不十分なままに中間答申が行われたわけです。その際に、議長の見解も、減税 というのは天の声である、そういう意識であったわけです。この衆議院の小委員会では減税というのは国民の非常に強い要望である、そういうふうに認識をして作業を始めたわけです。結論は私がいま申し上げたとおりでありますが、さて税調の審議について議事録を拝見しますと、賛否両論があるわけですね。天の声とか国民の強い要望ということを考えてみた場合に、税調としてはいかにしてこれにこたえていくか、こたえるためにはどうしたらいいかということの議論を十分積み重ねてもらうことが、税調の任務ではないかと国民一般は考えておるわけですが、この答申というのは非常に冷たいように思うわけです。 そこで、いつも問題になりますのは財源の点です。税収によってある特定な事業に充てるという意味で言いますならば、道路整備関係の諸税が目的税としてありますが、それ以外は、金の種類によって、これは向こうに回しましょう、これはこちらに配分しましょうという仕組みの財政ではないはずだと思うのです。したがって、銭がないから減税ができないというふうな話は、余りにも近視眼的な議論ではないか。減税が必要だというならば、あらゆる苦労をして努力を払って減税を行う、その努力をすべきだとわれわれは思うわけですが、税調はなぜかそういうふうな議論に発展しない要素を毎年お持ちになっているわけです。何ががんであるのか、その点をひとつお伺いしたいと思うのです。 いまの問題につきましては、国民の立場という意味で斎藤参考人、畠山参考人にもその点を十分お伺いしたいと思うのです。 それから次に、先ほど畠山参考人からもちょっとお話がありましたが、たとえば三越の問題とかニュージャパンの問題が新聞によく報道されますね。監査法人、公認会計士が監査をしてほとんど適法という判こを押すわけですね、これは商法上当然のことだと思うのです。ところが、適法と監査されたものに、ある事件によって、業務上横領とか背任とか、さらには大量の脱税というふうな問題が絡まっていくわけですね。このことについてわれわれも非常に不審に思いますし、新聞を読む国民は、おれたちは税金なんか納めたくないという節税の意識がどんどん強まっていくわけです。この商法上の適用の問題と、事件になってからの脱税という問題をどうやって防止していくかということについて、斎藤参考人と木下参考人にお願いをしたいと思うのです。 それからもう一つはグリーンカード問題です。公式の大蔵委員会で大蔵大臣から、グリーンカード制の実施をなぜ三年延期したのか、このことについて二つだけ答弁があったわけです。その一つは、ことしから準備を始め来年一月一日から始めるにしてみても法的な安定性に欠ける、それが第一だと指摘しておるわけです。それから第二は、これをいま実施すると国民の間に混乱を生じさせるので、この際三年間延期と、こういう御答弁があったわけです。 たとえば朝霞の計算センターがことしの八月にならなければ完成しない。その意味で半年、一年延ばしてくれぬかというならば、これは準備不足という意味で了承できると思うんですね。長年議論してつくられたものが二つの理由でいとも簡単に三年間延期というのは、どうも国会の権威にもかかわるというふうに私どもは考えますが、この大蔵大臣の御答弁をどういうふうに三人の参考人の方は認識されるのか。 グリーンカード問題についてもう一つお伺いしますと、三年延期というのは、もうこれは一生やらないことだというふうにたかをくくっている人が十中八、九いるわけですね。そういう傾向になる心配があるわけですが、そういう点について御意見を伺います。 グリーンカードの延期の問題が出てまいりますと、少額貯蓄の非課税問題に論議が発展するのは当然でありまして、これは廃止しろという意見も出てまいりましたし、それから残せという意見もあって、両論であります。いずれこれは国会の中でも大いに議論を積み重ねなければならぬと思いますが、三人の先生方は、この少額貯蓄非課税制度を将来も制度として存置すべきであるのか、あるいは少し中身を改正して存置すべきなのか、いや、この際やめてしまえというふうなことなのか、その点について共通をしてお三人にお伺いしたいと思います。
○参考人(木下和夫君) 御質問は多岐にわたりますので、順を追って申し上げますが、いわゆるグリーンカード制度というものが国会におきまして延長するということになりましたいきさつにつきましては、結論から申しまして、この案を提出いたしました税制調査会としては、まことに残念、遺憾と申し上げるほかはございません。しかしながら、当面三年間凍結するという法案が提案されております以上は、そこへ出てまいります問題は、五十八年の一月一日から持っている預金その他を納税者が届け出をするという限りにおきましては五十八年一月一日から社会に大きな混乱が生ずる、その混乱の回避がどうしても必要だということ、それからせっかくできました法律が施行されずに凍結することになりますと御指摘のように法的安定性の問題ということにかかわってまいりますので、まことに残念やむを得ないことではございますけれども、この措置を見送ることを私どもは黙認せざるを得ないということでございます。 ただ、昨年の十二月時点の税制調査会におきましては、大方の意見は、これについてきわめて残念だということでございましたので、小倉会長から政府に対しまして、今回の措置によって、適正公平な利子配当課税の実現という従来の政府及び税制調査会がとってきた基本方針というものはいささかも変わるものではない、こういう考え方を内外に表明すべきではないかという御提案がございまして、私どもは賛成をいたしたわけでございます。 この税調会長の御意見あるいは税制調査会全体としての意思表示につきましては、先ほど御指摘のように、大蔵大臣からその趣旨の発言が行われたと聞いておりますし、また同じく官房長官や大臣の記者会見でもその点が新聞紙上に出ましたので、私は、この問題につきましての政府その他の対応というのは新聞紙上で知っておる限りのことでございまして、それ以上のことは存じておりません。 それから第二点の御指摘でございますが、今後このような努力というものを阻害するがんは何かという御質問でございます。 〔委員長退席、理事大河原太一郎君着席〕 私、率直に申し上げまして、がんというものを明確に指摘するわけにいきません。税制調査会の審議と申しますのは、中立的に、客観的にかつ理論的に議論する場であろうと思います。したがいまして、これに対して政治的判断がどう加わるかということまで私どもは配慮して議論をするというふうなのは、これはできない相談でもございますし、また適切でもないと考えております。 したがいまして、私どもの答申におきましても、必ずしも結論を出していない問題、あるいはやや否定的な結論を出しておる答申を政府におきまして実行なさるという例があるが、これは税制調査会としてはまことに残念でありますけれども、いたし方がないことでございまして、恐らくそれは政治的判断によってそうなさったのであろうと解釈する以外に方法はございません。 先ほど申しましたように、グリーンカードの問題につきましては、会長の御意見という形で集約して税制調査会の意見を申し上げるのが現在のところ精いっぱいのことでございます。したがいまして、何ががんだということになりますと、なかなかお答えしにくいというのが実態でございます。 それから第三番目の問題は、これは法律の問題に関係いたしますので、私としては商法あるいは監査法人、その他の問題についてはお答えする資格がありません。 ただこの種の脱税の問題と申しますのは、これは国民一般、納税者にとっては非常に困ったこと で、あのような脱税をみすみす見逃すような税務あるいは政府の手抜かりに対する不満というものが、納税意欲その他に影響をしないとは私は申しません。商法上の問題とは別に、一般にまことに残念ながらこの種の行為が、これは例外とは存じますけれども、かなりある。国民一般は正確な、真正な申告をし、納税をしておられると思いますけれども、中にはこういう例外的なものが出てまいります。これを封じるような方法は何かということになりますれば、名案もございませんけれども、現在の申告納税制度というものを民主的な一つの制度として認める限りは、これを裏づけるさまざまの措置が必要ではないかと思います。その点に手抜かりがありますと、申告納税制度が機能しないというようなことになっては困りますので、その点をこれからは税制調査会などでは十分多方面にわたって審議していくつもりでございます。 それからグリーンカードの問題につきまして、三年延期ということでございますが、この凍結期間三年の間には何とかして早くかわりの方策というものを検討してみたいと思っております。しかしこれは今後の問題でございまして、私が今日の時点で税制調査会の考え方を予断をもって申し上げるということは差し控えさしていただきます。 それから最後に御指摘の点は、現行の少額貯蓄非課税制度というものを残すのか残さないのかという問題でございますが、これも世間にはさまざまの意見が新聞、雑誌等で伝えられておりますけれども、税制調査会といたしましては、恐らく政府からこの問題に関する答申を求められることになろうかと思いますが、現在のところ全く審議いたしておりませんので、ここで私、税制調査会会長代理といたしまして意見を申し上げるということは差し控えさしていただきます。 以上でございます。
○参考人(斎藤精一郎君) 御質問のあった点でわかる点をお答えいたします。 一つはグリーンカード問題ですが、大蔵大臣が言う三年延期についての理由というのは、あの時点ではある程度仕方がなかった。確かに御承知のとおり、マネーといいますか、お金がかなり激しくいろんなところを動き始めたことは事実だったわけですが、これはもとはといえば、グリーンカードを含む総合課税制度移行の影響について、提案された政府側の先の見通しの甘さがあった点は、指摘しておかなければいけないと思うんです。税制が大きく変わった場合には、それに伴ってかなり金融的な影響が短期間に起こるという点は、あの当時、五十五年時点では予想されなかったことはある程度やむを得ないわけですが、それ以降の実際に起こった金融のシフト、マネーのシフトを見ますと、あのままの形で実施するということは、確かに金融的な問題、国民経済的な問題があったのでやむを得ないと思います。問題は、今後の三年延期でいろんな事態が明らかになったことです。 私の注文を一つ言わせていただければ、こういった地下経済とかアングラマネーの研究というものについて、政府当局並びに多くの人たちは非常に無関心を装うくせがあるんです。これは日本だけでなくて世界的にそうです。税務当局並びに政府は、あるいはエコノミストを含めてですけれども、この問題を非常に無視する傾向があるわけです。というのは、たとえば地下経済自体あるいはアングラマネー自体が大きくなりますと、これはGNP統計とかその他いろんな統計にあらわれてこない計数ですから、政府が行う経済施策等についての根拠、あるいはエコノミストがいろいろ分析する場合の基礎となる実証データに信憑性がなくなるわけですね。したがって、多くの国では、アングラマネーあるいは地下経済は小さいんだ、小さいんだということをしきりに言うことによって、それが大きいということの現実を認めようとしない傾向が一般に非常に強いんです。 ただし、アメリカでは、御承知のとおり、先ほどちょっと御説明しましたように、七〇年代後半に国税庁が積極的にその事態に乗り出しまして、調査をし公表をして、いろんなディスカッションも行っている。この問題は隠しておかないで正々堂々といろいろ議論しておかなければいけないんだろうと思うんですが、残念ながら日本及びその他の国ではまだそれを隠したがる傾向があります。特に税務当局にしてみれば、そんなに多くの脱税あるいは逃税行為があるということを認めることは、いわゆる納税意欲、納税義務感に影響を与えますから、それは小さい、税の取り立ては公平に行っている、税の執行は公平に行っているということを強調せんがために、それをできるだけ隠しておこうという傾向が強いわけです。 これはある程度いたし方ないわけですが、現実として、先進国の一つの状況としては、こういったお金あるいは行為というのがかなり広がっているという現実を認めて、大蔵当局あるいは税務当局はこういった問題について、その守秘義務の問題がありますから個別のことはともかくとして、一般的なこういった情報をもう少し公開すべきだと思うんですね。僕らはこういうのを研究してますが、そのデータ面でチェック、制約がものすごく強くて、まじめに議論できないんですね。個別の守秘義務にかかわるようなことを知ろうとは全然思わないわけですが、一体どういうところにどうなっているのか、大きなマクロ的なデータについては公表して、真っ正面から取り組んで、どこが問題なのかということを明らかにするために、ぜひともデータ面の公表をお願いしたいわけです。 問題は、そういったものは確かにありそうだということがわかるわけですが、実証はだれもできないことです。延期は三年になっておりますけれども、もうこれで廃止だというふうに、穐山先生の御指摘のとおり、みんなほとんどそう思っているわけです。それに対して最近、それだったらマル優制度、いわゆる非課税貯蓄制度をやめてしまえという議論があるわけですが、私はそれはちょっとおかしいんではないかと思うんですね。結局、問題は、そのたまったよくわからないお金が変な動きをするのが困るわけです。そうかといって、それじゃそういうお金が現実のマル優や何かにいろいろな形でもぐっているということは、これは不公平な問題で、これを容認することは納税者の意識に悪影響を及ぼすということで、先ほど申しましたように、マル優についての管理は厳正にする。 そのために三年後にはマル優扱い、郵貯を含めて九百万についてはグリーンカードを施行する、ただしその他については分離課税を一応残しておくという手が一つあるわけです。分離課税さえ残しておけば、えたいの知れないお金がどこかに逃げるということは非常に少なくて、税率の問題はありますが、三五%ぐらいはしようがないということで、多分源泉で応じると思うので、そうしておけば、いわゆる変なお金は、これ以上マル優とかあるいは非課税という形で悪用されることはないし、一応税金は払っていただけるし、変なところにも逃げない。そして三年ぐらい後にはそういう検討をするということを明らかにしておかないと、何か脱税してうまく隠れてもうけておけば、幾らでもどこにでも隠せるんだという悪い風潮が一般に出てくるんではないかと思うんです。 それではそのマル優みたいのをやめてしまえという議論が最近強まっているわけです。マル優制度自体は先進国の中で日本だけですし、御存じのとおり、利子配当の総合課税、分離課税をしているのは日本だけと言われているわけで、確かにこれは特異なものであるという議論で、五十五年の所得税法の改正につながったと思うんですが、これも、日本をいつも西欧諸国の税制と比べて、日本がおくれているという価値判断が基本的にどうもあるんではないか。このマル優制度というのは庶民になじんできて、そしてこれが貯蓄を増強させ、それがひいては資本蓄積につながるということが、最近アメリカでも強く意識され始めてきた考え方だと思うんです。貯蓄率は、日本はいまイタリアと同じぐらい高いわけですけれども、今後いろいろな形で、年金の拡充等で、国民の貯蓄率 は上昇というよりもむしろ低下傾向になってくる。そういうことを考えますと、こういった貯蓄奨励策というのはむしろ補強すべきであって、それを廃止するなどはとんでもないことではないか。そのかわり管理ははっきりする。グリーンカード制度で、マル優、非課税を受けられる預金は一人当たり幾らかということははっきりさせる。そういうことをしておいて、そしてあと問題は、分離課税の税率をどうするか、これはまた違う問題が出てくると思うんです。それはまた別途考えればいいわけで、マル優は、今後の中長期的な視点に立ち日本の資本蓄積の観点から廃止すべきではない。むしろ状況によっては、一人九百万という枠をもう少し広げることも考えていいんじゃないか。ただ、その場合に、それが変な形で利用されるとか、仮名だとかいろいろな形で利用されることは好ましくありませんから、その管理だけは明確にするということが望ましいというふうに私は考えます。 それから御質問の二番目の公認会計士の問題は、これも私、専門じゃないんでわかりませんが、多くのほかの国でも、結局、会計士、会計事務というのは、いかに税金を安くするかというところに基本的な役割りがあるのであって、それを法律的にどううまく担保するかは別にしまして、今後日本の法人でも、あるいは個人経営でも、会計士等を使って税をうまく節税するという動きがますます強まると思うのです。これは別に違法でない限りは問題ではないし、それは結局は納税者の納税意欲、納税義務感の問題、あるいは税率との問題であって、一部の背任行為等の問題は、これは株主総会とかその他違った次元の問題であって、公認会計士自体の節税、タックスプランニングと称するわけですが、そういった役割りは今後ますます盛んになるのではないか。これは法として押さえることは基本的にむずかしいので、むしろ税率とか税制上の問題で、節税とか逃税というものがはびこらないような税制をつくる以外に最終的に手はないのじゃないかというふうに思います。 以上です。
○参考人(畠山武道君) それでは私のわかる範囲でお答えさせていただきます。 まず、一般減税の問題でございまして、財源がない、あるいはいまのように巨額の赤字を抱えていてこれ以上どこから減税なんという話が出てくるのだということが、政策の選択の問題あるいは政治的な判断の問題としていろいろ言われております。私もよくわかりませんけれども、そういう政策絡みの問題としてそういう問題が最も深刻だということは、そのとおりでございますと思います。 そういうわけで財源等の問題、私ではとてもわからないというのが正直なところでございますが、税法の観点からいたしますと、財源等々のことは一応抜きにしまして、あるべき税制というのを私たちの責務としては言い続けなければならないということでありますから、一応言っているという、そういう意味にすぎないわけでございます。 これは先ほども簡単に述べましたけれども、かつてはマーケットバスケット方式その他によって最低生活に必要な費用は幾らかというようなことを税制調査会でやっておりました。ところが、その後課税最低限はかなり高くなったので、もはやそういうことをやるのは意味がないということでやっておりません。その後は、五十二年以降減税してないわけでございますが、赤字だとか、あるいは各国に比べて課税最低限がまだ高いからがまんせい——私の見るところでは、そういうこと以上のことはどうも言われてないようでございます。そういうわけでございますから、いま最低限の生活をしてみたら、どれぐらいの経費が一年にかかるのかというようなことを一度やるべきではないかというようなことでございます。 実は、消費動向や生活形態にもかなりの変化が見られます。そういうことに応じまして、経済企画庁その他とも連携するのだと思いますが、生活関連項目の洗い直しとか必需品の洗い直しを、そういうことをしまして、下から積み上げていくと、恐らく一定の額は出るのじゃないかという感想を持っております。それを生活保護基準やインフレ上昇分にあわせて調整する、そういうことをすべきではないのかというふうに考えております。そういうことはどうも最近余りなされていないで、もっぱらがまんするということが先行しているような気がする。これが第一点でございます。 それから二番目の監査法人とか、何か事件が起きない限り税の問題が出てこないとか、これは政治の方でもそうなのかもしれませんが、そういう問題がよくあります。そこでどうするかとなりますと、これは私、商法苦手でありましてよくわからないのでありますが、一応商法改正とかあるいは罰則の強化、それから監査法人の制度の仕組み、いろいろそれはそちらの方に検討をゆだねるべきであろうかと思いますが、もう一つの問題は税の執行の問題であるというふうに思います。 実調率が十年に一遍だとかあるいは二十年に一遍だとか、われわれですと、抜き取り検査ですから、偶然抜かれると調べられる、抜かれないと調べられない、そういうようなこともございまして、かなり実調率が落ちているというようなことがよく言われております。 そのためには、私、個人的には、税務署の職員というのはもう少し多くてもいいという感想を——外国と比べてどうも日本の税務職員は多過ぎると言われておりますが、もう少し多くてもいいんじゃないかという感想を持っております。これは行政上の問題として、人員の効率的な配分とか、効率的運営を期待するしかないんじゃないか。何と申しますか、商法改正は別としまして、そちらの方に問題点があるというふうに思います。 それからグリーンカードでございますが、私のつき合っている範囲は狭いんでありますが、どうもだれに聞いても、グリーンカード廃止には理由がないというのが一般的な税法をやっている者の感想でございます。 それで、いろんな論議がございましたけれども、たとえば国民が混乱するというようなことは、どうも国民の方にうまくグリーンカードの趣旨が伝わってないんじゃないか。グリーンカードは単にマル優をチェックするものにすぎないわけでございますけれども、それがどうも預金が全部把握されるというようなことまでも言われております。そういういろんな誤解がございますし、あるいは反対する論者の中には、悪いことをしているのはほんの一部なんだから、そういう一部のやつをつかまえるために国民全部にカードを持たせて何だという人もございますし、どうもそれは本末転倒でございまして、われわれといたしましては、一部の方であれ、大変大きな税を免れていることが不平等の原因になっている。国民がばかを見ているということであれば、全般に最低限のグリーンカードを保持するということを国民に義務づける。そうして、むしろ大きな税収を上げるということには異論がないはずだというふうに考えております。 それから三年延期は廃止ではないかということでございますが、その点はどういう含みになるのかわかりませんが、われわれ税法をやっている少数の者から言いますと、これは困るわけでございます。 利子所得というのは、恐らくお金持ちの所得の源泉でございまして、庶民はせいぜい四百万から五百万ぐらいの預金しかないと普通に言われております。そういうわけで、利子所得はお金持ちの貯蓄手段でございますし、所得を得る手段でございます。そして上の方の税率はかなり実際には腐食されております。そういう中で総合課税というのはどうしても必要があるわけでございますから、これは廃止するということでは困るわけでございます。 それから最後のマル優枠をどうするかということなんでございますが、これは先ほど斎藤先生の意見とちょうど反対のようになるわけでございま す。現在、三百万、三百万、三百万、計九百万、そしてそれが一家四人で一応流用するとしますと三千六百万までになりますけれども、先ほど言いましたように、庶民の貯金はせいぜい五百万どまりと言いますから、三千六百万も貯金している人は、これは大金持ちであろうというふうに思います。したがって、いまのマル優は少しルーズ過ぎるということで、もう少し額を引き下げようというのが、私も余り深く考えておりませんが、私の感想でございます。 たとえば、いまですと、郵便貯金と定期性の貯金は別々になっておりますが、それを六百万円という額にする必要があるのか、二つ合わせてもう少し下げることが可能でないのかということも考えられますし、それから普通預金の方は、これは二〇%の源泉徴収であとは申告しなくてよろしいということになりますけれども、普通預金、これは数が多いからなかなかむずかしいでありましょうが、普通預金がそれでいいというのもどうも多少おかしな話でありまして、普通預金の方にもグリーンカードその他による捕捉を及ぼすべきではないかというようなことも考えております。
○穐山篤君 最後に、木下先生にお伺いします。 日本の税金に関する法律はたくさんありますね。直接税、間接税、国税、地方税含めてそうなんですが、税調の皆さんもその意味では大変御苦労が多いと思うんです。そこで、前から税調で引き続き検討になっている重要なものがあるわけですが、それは自動車関係諸税です。個人が一台車を持つ、それを使用するということだけで九つの種類の税金を直接払いあるいは間接払うわけです。金額全体にしまして、大ざっぱな計算ですが、五兆円程度自動車関係諸税は捻出をされているわけですね。期限が到来しますと、常に期限の延長、延長ということであって、自動車関係諸税の体系の整理というものが行われていない。そのことについて非常に疑問を持ちますし、車を持っている方々からも相当の注文がついているわけですが、この自動車関係諸税についてこれからどういうふうな御審議を予定されているのか。その点をひとつお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
○参考人(木下和夫君) 自動車関係諸税は御指摘のように取得税、これは地方税でございますが、それから自動車税そのもの、それから物品税が課税されております。それから燃料に対してはそれぞれ課税されておりますし、それから車検のときに徴収いたします自動車重量税等々でございます。このうちかなりの部分は道路の維持、修理に充てる目的税になっておりますので、道路の利用者あるいは道路にいわば損傷を与えると申しますか、そういう意味でいわば受益に対応した負担という形でこの諸税の構成はでき上がっておると思います。 ただ、今日のように自動車の保有者あるいは利用者がふえてまいりますと、納得してもらえるのは、受益と負担との関係で納税者のいわば同意を得るということではなかろうかと思います。そういう意味から考えますと、諸外国の場合、もうすでに道路の舗装その他が一〇〇%を超えるというような、たとえばイギリスなどにおきましては、かつては目的税でございましたけれども、今日では目的税から外して一般財源に繰り入れるという方法をとっておりますが、何分わが国の場合は御承知のとおり、国道、地方道の充実その他はまだまだ不十分であるという段階でございますので、自動車保有者の負担というものは、これは早急に引き下げるということはなかなかむずかしいのではないかと思います。 もちろん、これは御承知のとおり、建設公債の発行と抱き合わせまして道路の建設に使っておるわけでございますから、その意味においても、他面におきましては、最近のごときはもっと道路の拡張をしろ、建設をしろという御要求さえございます時代でございますので、なかなかこれを一挙に引き下げるということはできないのではないかと私どもは考えております。 ただ私自身、これは私見でございますけれども、車を持ちませんのでつけ加えますと、一台の自動車を持つということは私などの所得ではとても賄い得ない。恐らく月に三万円ぐらいタクシーを利用するというのであれば、大体費用負担というものは同じぐらいになろうと思いますが、それほど乗りませんし、これはとうてい自動車持って——営業は別でございますけれども、個人の場合、自動車を持つということは、相当高い所得の人でなければ能力的に不可能だと思います。相当無理をして持っているという傾向というものを一体どう見るかという問題もございますので、これはあくまで私見でございますけれども、とても私どもの所得水準では車を一台持つことはできないという状況にある。これにつきましては、税の問題とは直接関係はございませんけれども、実感といたしまして、そのようなことをつけ加えておきます。
○桑名義治君 最初に、木下先生にお伺いしたいと思うわけでございますが、木下先生は公述の中で、今回の場合は税制の根本的な見直しは行わなかった、しかし今後税制の根本的な見直しが必要ではないか、そういう御意見が集約されたわけでございますが、税調の中で今後の税制の根本的な見直しが必要と思われている税の項目については大体どういうものが俎上に上っているのか。あるいはまた、これはある程度の時間をかけるのが必要だとは思いますけれども、それと同時に、毎年毎年見直していかなければならない問題でもあろうかとも思いますけれども、大体いつごろをめどに根本的な見直しをなさろうというふうに税調の中で意見がまとまっているのか。もしまとまっておれば、その期日的なものも、作業の段取りといいますか、そういうものも伺っておきたい、こういうふうに思います。 それから今回の租税特別措置法改正案では、五十八年度ベースで見ますと、増の分と減の分とございますが、相殺すると大体九十億円の減になっている。こういうことになるわけでございますが、国民の間では税の不公平感というものが、先ほどの斎藤先生あるいは畠山先生のお話のように、非常に高まっているわけでございます。そういったときに租税特別措置法という政策税制面で減税を行わなければ、ますます不公平感を増すのではなかろうか。こういうふうに思うわけでございますが、この租税特別措置法についての税調のお考えをもう一度伺っておきたいと、こういうふうに思います。 それから先ほど畠山先生からお話がございましたけれども、最近の税あるいは国民の所得という場合を考えた場合に、よく言われるのは、いわゆる課税最低限程度の収入の方々とそれから生活保護者、もちろん生活保護者にも一人の方もおられますし、二人の方もおられますし、あるいは家族が四人、五人という方もおられますが、そういった方と比較をした場合に、実所得が、実収入がむしろ生活保護者よりも下回っているというような現実の姿がもう所々に出てきているわけです。 地元で、私は九州でございますが、タクシーの運転手さんからよく言われるわけで、われわれよりも生活保護者の方が実収入が多い場合が多々あるんだと。そういった中でわれわれが税金を納めていくことの不合理性というものをしみじみと感ずるけれども、先生どうなんですか、こういう意見をよく私は聞かされるわけです。 実際に考えますと、生活保護の方々は、今回の場合も同じでございますが、一般のいわゆる給与所得者は減税がなかったわけでございますが、生活保護は少し上がりました。そういった中で、小さな子供さんを持っていらっしゃると、これは給食費がただだとか、あるいは炊事場を改造する場合にはこれがまた無料であるとか、いろいろな事柄がありまして、そういうものを総合しますと、逆転現象が起こっておるというような状態でございます。そういった事柄を木下先生あるいは畠山先生がどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。こういうことを考えれば、課税最低限は引き上げていかなければ大変な状態が起こるんじゃないか。税に対する不公平感なり、あるいは不信感というものがますます増幅されて、納税者は 納税意欲を失っていくおそれがあるのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、御意見を伺っておきたいと思います。 さらに木下先生にお伺いをしたいんですが、最近原油が五%の値下げになったわけでございます。この五%の値下げになりますと、石油税その他が大幅な減収になるわけでございます。そういったことでマスコミあたりも、エコノミストも、いろいろといま議論が出かかっておるわけでございますが、アメリカ式に値下げの部分はそのまま放置してそれぞれの収入の方に上げていく、あるいは経済活動の方での潤滑油にしていきたい、あるいはフランス流にある程度は課税を上げていくんだと。こういうふうなことがよく議論になっているわけでございますが、これが税調としてはどういうふうにお考えになるのか。また税調として御意見が集約されてなければ、今後の課題としてこれを俎上に上せる意思がおありなのかどうか、この点を伺っておきたいと思います。 それから斎藤先生にお伺いをしたいわけでございますが、公述の中にいわゆる地下経済の急増という面のお話がございました。それは三点にわたって大体集約をなさったわけでございますが、いわゆる非合法によって得た収入、あるいはまた脱税、あるいは税から逃れるという、この三つの形態があるというお話でございました。しかし各国ともこの問題は、政府としては逃げて通ろう、避けて通ろうというような傾向があるように見える、しかしアメリカではこれが最近は大変な議論になっているというお話でございます。 いずれにしましても、この問題は国会の中で多少議論になりかかったこともございますけれども、何せこういう地下経済というものは、目に見えない、あるいはデータを収集しようとしてもなかなか収集ができないというような欠点もございまして、政府としてもその資料はございませんというふうに答弁が返ってくるだけでございます。逃げているのか、実際にそういうふうに捕捉するのがむずかしいのか。もちろん捕捉するのがむずかしいのが一番最大の理由ではあろうと思いますが、これに対する対策が先生におありならばお示しを願いたいし、あるいはまた、アメリカ以外にその対策が講じられているところがあればまたお示し願いたいと思います。 確かに、私たちがヨーロッパに行きましても、イタリアあたりは相当な地下経済があるんだというような話がよくあるわけでございますが、いずれにしましても、こういった問題は納税意欲を大変に阻害する大きな要因になっているわけでございますので、これは何とか解決をしていかなければならない問題だろう。非常にむずかしい問題ではございますが、そう思います。 それから畠山先生にもう一点だけお伺いをしたいわけですが、先ほどの公述の中に、いわゆるインフレ調整減税制度という問題に触れられたわけでございますが、確かに世界各国の中にインフレ調整減税制度というものがあるにはあるわけでございますが、これについてのもう一歩踏み込んだ御意見を伺っておきたい、こういうふうに思うわけでございます。 以上でございます。
○参考人(木下和夫君) 桑名先生の御指摘の問題は、私のお答え申しますべき項目は四つほどございます。順を追って申し上げます。 今後の税制調査会の審議におきましてどういう税目を中心にして検討するかというお話でございますが、これは先ほど申し上げましたように、まず歳出の行方というものを十分見守りたいと思います。歳出が今後どのような形でどの程度削減されていくかということとのにらみ合わせというのがまず前提になります。その上で国民に対する国の施策のあるべき姿というものが恐らく問題になろうかと思いますので、その結果出てまいります歳出財源というものを税でどの程度確保し、また当分の間、公債による財源調達ということもある部分は不可避でございますので、そういうものを考えて税のあり方というものを検討したい。 そのときに問題になりますのは、もうあらゆる種類の税を取り上げてみたいと思います。所得税、法人税、あるいは間接税、あるいは流通税、その他現在の税制において問題を含んでおりますものはすべて検討の対象にいたしたいと思っております。 次は租税特別措置の問題でございますが、これは御承知のとおり、過去昭和五十一年度から積極的に整理合理化をいたしてまいりました。今回の五十八年の税制改正案での増減収の見込みとして、租税特別措置によって減収になるものはなるべく外していきたいわけでございますが、価格変動準備金の整理やその他の租税特別措置の整理合理化等で実は増収が期待されており、それから貸し倒れ引当金の見直しでまた増収が期待されておりまして、合計しまして恐らく六百五十億ほどの増収になるのではないかと思います。 他方、減収になります租税特別措置は、御承知のとおり、住宅取得控除を拡充いたしましたので、これは減収になりますが、数字は平年度でございますが、二十億程度であろうと言われておりますし、それから御承知の中小企業の設備投資促進措置の導入をいたしましたために減収になりまして、三百億の減収でございます。 減収合計三百二十億、増収合計六百五十億でございますから、ネット租税特別措置の整理の趣旨に合致する増収が行われるものと考えております。 それから御質問に関連いたしまして、租税特別措置と申しますと、直ちに法人税関係の租税特別措置が問題の主体であるようによく言われておりますが、これは税制調査会で正面から議論をしたことはございませんけれども、私自身は実は問題になるのは所得税に関する租税特別措置ではないかと思います。金額にいたしましても四倍近い減収になっておりますが、これは先ほど御議論がございましたように、所得税の課税ベースというものは今後広げていくべきだ。現実の納税者にとりましてそれほど社会的に見ましても意味のないような所得控除というものは、長期にわたってでございますけれども、次第に見直していく方向に進むべきではないかと思います。 したがいまして、租税特別措置の整理合理化と申しましても、法人税の問題もございますけれども、これは金額にいたしまして二千五百億余りでございまして、これよりも八千九百七十億の減収を伴っている所得税における租税特別措置の問題に手をつけないのは、片手落ちではないかという感じが個人的にはございます。 第三番目は、生活保護と課税最低限の関係は御指摘のとおりでございまして、これは年々生活保護基準が上がってまいりますから、課税最低限はそれに平仄を合わせるように持っていかなければならないことは御指摘のとおりでございます。地方税については、すでに措置を講じましたことは御承知のとおりでございます。 最後は石油税の問題でございますが、今回のOPECの原油の価格の引き下げ問題につきましては、さまざまの人々がさまざまな意見を述べておりまして、恐らく、集約いたしますと、短期的にはそれほど効果はないけれども、長期的には石油危機の逆のプラスのいい効果があるだろうと見通しされております。もちろん金融機関のデフォルトの問題は別にいたしまして、長期的にはこれは好ましいことでございますが、御指摘のように原油価格の引き下げに伴いまして税収面で減少要因になりますので、これをどうするかということについては、いま申し上げました原油価格の引き下げに基づく経済の各面における影響というものを慎重にこれから見定めねばならないと思います。きわめて不確定な要因が多々ございますので、直ちにそれで増税をするというようなことを考えておるわけでございませんで、この問題のいわば経済的効果というものを十分見定めた上でこれに対する対策を講じなければならない、このように考えております。 以上でございます。
○参考人(畠山武道君) 御質問は二点だったというふうに存じます。 一点目は、先ほど私、多少述べましたけれども、生活保護基準と課税最低限の問題でございますが、これは一応先ほど述べたとおりでございます。 生活保護法は、生活保護基準のあり方を定めておりますが、それによりますと、十分なものでなければいけないけれども高くてもいけないというふうに書いてありますので、どうも勝手に高くすることも実は法律上許されないわけでございます。そういうことを考えますと、いまの基準は恐らく妥当なものであるだろうというふうに思いますので、それがどうも最低限だというふうに考えざるを得ないわけでありまして、そういう点では、御指摘のとおり、一部では逆転現象が生じているということだろうと思います。 そういう法律の整合性の問題もございますし、先ほども言いましたけれども、厚生省でやったものを大蔵省でとるということ、実際にはそうではないかと思いますが、形としてはそういうような図式はおかしいわけでありまして、それは改められなければいけないということが一点ございます。 それからインフレ調整税制は、実は私も独自に研究しているわけではございませんで、他の人の書いたものをいろいろ読んでいるだけでございますが、それによりますと、一般的にインフレに応じて減税する方法と、それから日本やアメリカで行っていますように、そのときどきでアドホックに行う方法と二つございます。 一般的に行う方法といたしましては、控除額、所得控除その他全部を足したものにインフレ上昇率を掛けていくという方法と、それから適用税率を一定の割合で引き下げていくという方法と二つございます。そういうものがすでにフランスとかデンマーク、カナダ、スウェーデン、イギリス等々に導入されているわけでございます。ところが一つの問題は、最近それはちょっと見直しになっておりますけれども、それは申し上げるまでもなく、赤字の場合にはきわめて財政負担が重くなるということであるようでございます。そういうわけで、自動化というのは、何といいますか、そのときどきの税負担はどのぐらいあるべきかというのは、これは国民がそのときどき、多少がまんしようとか高過ぎるとかということで論議して恐らく決めるもんじゃないかと思います。 そういうわけで、自動化はある面では必要だと思いますが、完全に自動化してしまうとこれまたちょっと行き過ぎではないか。それから財源が非常に巨額に要るというようなこともあるだろうと思います。中間に一つのチェックの論議が絡むべきで、そういう意味で、いま直ちに自動インフレ調整税制をするのがいいかどうかということは、もう少し世界各国のいろんなところを見たらよろしいんじゃないかという感じでございます。
○参考人(斎藤精一郎君) 地下経済の対策ということですが、具体的にはアメリカでは国税庁がかなり積み上げ方式で調査を大規模に行いまして、どういうところに税逃れが行われているかということを詳細に検討していたり、それからレーガンの増税法案に見られるように、チップを取ったり、それから利子所得については源泉を一〇%加えたり、いろんな形で捕捉体制を強化していますが、抜本的な対策は、結局は税率の引き下げ、あるいは小さな政府だろうと言われていて、いま成功はそれほどしていないと言われております。 日本について、まあ一般的に、地下経済というのは、ある程度一種の先進国病的な要素があって、ゲームの楽しさというものが確かにある、タックスゲーム。税法というものは、御指摘のように、複雑でそれをうまくかいくぐる一つのゲーム的な楽しさというものがかなりあって、実際の事業を行ってお金をもうけるより、あるいは働いてもうけるよりも、そっちで節約してうまくやった方が収益性が高いというような、そういった現在の税構造の問題とも関係してくると思うんです。 それで大きく分けて三つの対策が言われているわけですが、一つは一種のモラルといいますか、納税意識の問題で、これは納税者の支払った税金と返ってくるベネフィット、公共サービスのコストとベネフィットがうまく合っているかどうか。この点について、日本での多くの議論では、日本の租税負担率、国民所得に占める税負担率が先進国と比べて低いから税負担は少ないんだという意見が一般的ですが、私は必ずしもそうも思わないんです。というのは、あくまでも支払ったコストとベネフィットの関係であって、幾ら税負担が少なくても、ベネフィットがなかったり、あるいは一般に政府に対する不信感があると——アメリカの場合に特にタックスゲームが始まったのはベトナム戦争及びウォーターゲート事件と言われているんです。スウェーデンの方が圧倒的に税負担は高いわけですが、スウェーデンの方がアメリカと比べていわゆる地下経済はむしろ少ないというのが一般化しております。 〔理事大河原太一郎君退席、委員長着席〕 そういうふうに考えますと、人々は政府にどれだけ協力するか、協力して支払うか。これには受け取るもの、これは単なる公共サービスの具体的なベネフィットだけではなくて、政府に対する信頼感が問題。それからおこがましいですが、よく言われるように、政治の場における不透明なお金の流れとか、そういったものがあると、どうも国民の中でみんながやっているんだからという形でモラルがかなり傷つく。これが先進国一般に見られる問題です。この問題は、行政改革とも関係する問題で、効率のいい政府を、そして非常に清潔な政府というものをつくっていくということが、一番長いようですけれども、基本的な地下経済対策の第一点だと思います。 それから二点目は、税率の問題があるんではないかと思うんです。日本の現在の所得税がアメリカ等の所得税中心税制で、しかも個人の所得税について累進構造が非常に強いといった場合に、四、五〇%ぐらいから超えたところでは税金を払いたくないという意識が出てきて、これが脱税あるいは逃税に走る。したがって税率の問題、累進カーブをどうするかという問題。 それから一般によく言われている問題として、いわゆるEC型の完全な付加価値税をとれば、税の捕捉はより完璧になるんじゃないかということで、いわゆる直間比率と言われている問題がありますが、必ずしも間接税が地下経済を防ぐとも言い切れない。いろんな形で流れている段階で税をうまくごまかすことの方法もいろいろ考えられるようですし、必ずしもそれが完璧とは言えませんが、一つの案としては、付加価値税を多少強めるということはいろいろ検討されているようです。 それから三番目は捕捉体制の問題で、日本の税執行は非常にうまくいっている、よくやっているということは言えると思うんですが、いろんな面で問題がある。実調率が十年、二十年に一回という問題。あるいは赤字会社の問題。それから個人でも一種のペーパーカンパニーをつくっていろんな控除等を利用してやるとか、そういったことは幅広く一般に行われているというふうに言われているわけですが、その辺の税の捕捉がいまの五万幾らかの人間で果たしてできるかどうか。ただし、人をふやせば、これは取り立てを強化するということで必ずしも好ましいとも言えないわけで、その辺、税執行の効率化というものをある程度は考えておかなくてはいけないのではないか。 こういった大きく分けて三つぐらいいろいろ考えられていますが、抜本的には納税者の協力ということが大前提で、それにはいつ見ても清潔で効率的な政府をつくるということが最終的な課題です。日本は欧米に比べてその点ではすぐれている面があるので、いまのうちにそういうふうにやっておけば、アメリカあるいはヨーロッパのような地下経済が蔓延するというような事態は、まだ食いとめる時間的余裕があるんではないかと考えます。 以上です。
○近藤忠孝君 最初に、木下参考人にお伺いしますが、今日の不況打開のために積極的な手を打つ必要がある、そのためには内需主導型に転換すべきだし、いまはまさにそのチャンスであるし、そ してまた日本はその打開の可能性がある、こう言われておるんですが、五十八年度税制で内需主導型のための税制は、財政固有の役割りという面から見まして、そういう点についての考慮が払われたのか、払われたとすればどんな点か、これをお伺いしたいと思います。
○参考人(木下和夫君) 近藤先生の御指摘は、税におけるいわば景気調整策というものの具体的内容だと思いますが、拾い上げますと、いわば消極的でございますけれども、増税ということをきわめて小幅に、しかも個人の税負担がふえるということを一切避けましたということでございます。これが基本的な態度でございます。 それから第二番目は、御承知のとおり、住宅取得控除等の拡大によって住宅建設を促進するということに何がしかの効果があるのではないかということを一つ考えたわけでございます。 それから投資を刺激するという意味で、中小企業に対する特別償却問題を取り上げたことがその一つの例ではないかと思います。 その他所得税につきましては、むしろ増税をやめるということではなくて大幅な減税をしろということ、先ほど御紹介申し上げました税調の審議の中でも消費刺激のために大幅な所得減税をやるということでございますが、現在の状況で可処分所得が増加いたしまして消費をふやすということは、なかなかよほどの規模の所得税減税でないと期待しがたいというのは、大体税調の中の御論議で一致した議論でございました。 それでは大幅と申しましても、何兆というオーダーでございますが、何兆というオーダーの所得税の減税をやるということは、いまの財政の状況を率直に正しく見る限りとてもできない相談ではないか、何らかのいわば財源を別途に考えない限りはとてもだめだという御議論が多かったと私は解釈しております。もちろん、衆議院の大蔵委員会の中に特別委員会を設けられまして御審議の最中でございましたので、私どもはそれにお任せをして、そのいわば財源となる税については、私どもは五十八年度の税制改正では触れないという態度を維持したわけでございます。以上でございます。
○近藤忠孝君 財源がないから減税はできなかったということに尽きるんですが、ただその部分は実質増税になりますわね、その所得減税されなかった部分は。そうしますと、全体の均衡上不公平がもう一つ進んだんではないか。こういう点についての議論なり御考慮はなかったんですか。
○参考人(木下和夫君) その点についても税調の中では一部御議論がございました。しかし現在の所得税の負担で一番大きく影響を受けておる人たちは、私は給与所得者であろうと思います。恐らく、先ほどのインフレにおける所得税のインデクセーションの問題とも関連いたしますが、業績が伸びてどんどん収益がふえるといった場合の個人の事業者というものは、これは業績がいいわけでございますから、給与所得者と同じ考え方で減税の対象にするのはいかがなものであろうかと思います。 そうすると、給与所得者に特別利益があるような減税の方式を考えるということは非常にむずかしいわけでございますが、もちろん方法はいろいろ考えられますけれども、今回の議論というのはあくまで一般的な所得税の減税という次元でとらえましたために、先ほど指摘しております給与所得その他の所得との間のバランスをとるということまでは、これは五十八年度の税制改正ではとうていできない相談で、五十九年度以降でできるだけ早くこの問題を解決しようということを税調の答申でも書いてありますし、私どももそれを心に銘じておるわけでございます。
○近藤忠孝君 畠山参考人にお伺いしますが、いまの問題ですが、物価上昇に見合う調整減税的な部分ですね、これは財政についての憲法上の規定という面から見まして、やっぱり問題があるのではないかという点が一つですね、憲法上の論議。 それから外国では物価スライドにより自動減税がされる仕組みのところがありますけれども、それについての御見解を承りたいと思います。
○参考人(畠山武道君) 憲法上の問題ということでございますが、憲法は近藤先生よく御存じだと思いますが、憲法といいましても結局、憲法を盾にいろんな政治的な主張をするというレベルと、もう一つは、憲法を盾にといいますか、基準として訴訟を起こす段階と二つございます。前者の方はいろんなことが言えますし、比較可能だと思いますけれども、それを訴訟で争うということになりますと、最近の郵便貯蓄の目減り訴訟もそうでありますが、なかなか立法裁量の幅が広いわけでございます。どこからが違反でどこからが違反でないかと言われましても、これは朝日訴訟その他ずっとあるわけでございますが、なかなか言いにくいわけでございます。 そういうわけで、法律をやっておる者としてはなはだどうも申しわけないのでございますが、実を言いまして、そこら辺が一番弱いところでございまして、何ともお答えしようがないということなんでございます。一般的には、先ほど言いましたように、裁判所が違憲と言わないからそれでよろしいということではないわけでございますから、特に前者の政策の基準としての憲法的な観点とか、そういうものでぜひ生かしていただくということをお望みしたいというようなことなんでございます。どうもちょっとお答えになりませんが。 あと、インフレの方は一般的な見解でしょうか、調整税制の。
○近藤忠孝君 いや、物価スライドによって自動的な減税がされる制度ですね、それについての御見解。
○参考人(畠山武道君) それもやや専門外でございますが、先ほど言いましたように、財源が非常に要るということで、制度の見直しということが諸外国では言われているところもあります。世界各国とも財源難に悩んでおりますので、そういうところで問題があって行き詰まっているという感じのところが、実を言いますと、多いのではないかという感じがいたしております。 先ほどもう一つ言いましたけれども、自動化すると、いい面と悪い面とがあるわけでございますので、いまの時点で直ちに導入するのがわが国の場合いいか悪いか、これは国会による財政の統制という問題もございますので、いいか悪いかは正直言ってわからないわけでございます。
○近藤忠孝君 最後に斎藤参考人にお伺いしますが、先ほどのグリーンカード凍結についての国民の間の不公平感というものは、御意見としてわかりましたが、そういうところからかもしれませんが、分離課税案を推すという御意見ですね。したがって、総合課税がなされないことによる実際の国民の間の不公平と、そしてそれに関する国民の不公平感、これについてはどのようにお考えでしょうか。
○参考人(斎藤精一郎君) これはもうあくまでも便法です。マル優非課税貯金に対してグリーンカードを適用して総合課税化することが、今回の金融市場の混乱に近い形のいろんな移動を引き起こしたわけで、そうすると地下にもぐってしまうとか、あるいは海外に逃げてしまう。総合課税にしてしまうと、税率が高くなること及び源泉までわかってしまうということで、かなり混乱が当面起こるのではないか。 その場合に、分離にとどめておいて、怪しいと思われるものでも、軽いかもしれないけれども税金だけは払ってもらう、変なふうに逃げてもらわないで、できるだけ国内の産業に役立つ資金としてとどまってもらうということで、現行の三五%、あるいは四〇ぐらいにしてもいいかもしれませんが、それは税率の問題だと思いますけれども、一応分離にする。そして、そういう形をとりながら、先ほど言ったように、いろんな税制全体の不公平感をなくすことによって、もっと脱税とか逃税の動きを抑えていけば、自然に総合課税への土壌がそのうち整備されてくるのではないか。それまで多少待たないと混乱が多少は出てくるのではないかということが一番大きな理由で、それ で分離課税案をとるということです。 それから二番目の理由としては、私は、貯蓄というものは他の所得と一緒だというのが一般の経済理論で言われてきて、総合課税というのは一つの先進国的モデルと言われているわけですが、今後の貯蓄の動向、資本蓄積を考えると、多少変則としても分離課税で、つまり総合課税すると税率が一挙に上がってきますから、特に貯蓄をする人は高額所得者が圧倒的に多いわけですから、その分は資本蓄積に向け、いろんな形の奢侈品や何かを買ったりするよりも、貯蓄に向けるべきものはまだ残しておいて、また今後も、先ほど言いましたように、高齢化社会で公的年金制度ができてくると貯蓄率は一般に落ちてくるわけで、そういう面で経済のバイタリティーを抽象的に考えますと、多少貯蓄優遇的な税制があってもいいんじゃないか。ただ、それもいろいろ不公平的な問題がありますから、時期を見て総合課税に移る時期を模索しながら、当面はそういう形が好ましいんじゃないかというのが一つの考えでございます。
○柄谷道一君 まず、木下参考人に御質問いたしますが、政府が発表いたしました財政の中期試算から見て、昭和五十九年度から六十一年度まで膨大な要調整額が見込まれているわけでございます。このような現状を踏まえますと、財政再建を図るには、当然まず徹底した歳出の削減が行われてしかるべきである、これはもう当然のことでございますが、この膨大な穴を埋めるということは、これは常識的に考えればまずまずむずかしい、これは当然考えられることですね。 そこで、参考人は、この場合、行政サービスの低下か赤字国債か増税かの選択しかないんだ、そしてその選択は国民の選択にゆだねられる、こういうお気持ちがあるんではないか、こう思うわけでございますし、小倉税調会長も衆議院で同様のことを言っておられます。ところが、前二者はいわば税調の権限外のことである。とすれば、そこから当然、税調がこれから検討する内容は増税の具体的内容をどうするかということにしぼられてしまうんではないかという危惧を抱きます。 そこで、斎藤参考人は、租税負担率は単に単純な諸外国対比ではなくて、政治への信頼とかベネフィットとか、いわゆる総合的な視点から考えねばならぬということを指摘されたわけでございますけれども、今後直間比率の見直しを含めて、参考人としては適正な租税負担率は那辺にあるとお考えかお伺いいたします。
○参考人(木下和夫君) 柄谷先生の御質問は、まさにこれから私どもが税制調査会で十分に慎重に検討しなければならない問題点でございますが、臨時行政調査会の答申以来、一般の新聞などには直間比率という言葉がよく出ております。ただ、直間比率と申しましても、これはある税制を組み上げまして、その結果経済の諸活動にさまざまな影響が出てくる、その諸要因の変化に基づきまして法律で定められた税法を適用して、出てきた結果、所得税がどのぐらいの収入、相続税がどのぐらいの収入、あるいは物品税がどのぐらいの収入、流通税がどのぐらいの収入として決まってまいりますので、最初から直間比率をたとえば七・五対二・五というふうに決めてかかりまして税制を組み直せと言われましても、これはなかなかできない相談でございます。したがいまして、直間比率だけを基礎にして税制を議論するという態度は私どもは適当ではないという判断をとっておりまして、直間比率の見直しというよりも、税体系全体の見直しという考え方でこれからの審議を行うことになろうかと考えております。 それでは税制全体の審議といっても何をやるかとおっしゃれば、先ほど申し上げましたように、所得税、法人税から始まりましてあらゆる種類の間接税を検討してみるということが、私どもの任務だと思いますので、五十八年度はとにかく一応そういう問題は見送りにいたしまして、五十九年度以降に成案を得たいという考え方で進んでおります。
○柄谷道一君 小倉税調会長は衆議院段階の公述で、財政再建を達成するにはいつか増税をお願いするときが来ると、こう述べたと新聞に報道されておりますが、いつかとは五十九年度を考えていらっしゃるわけですか。
○参考人(木下和夫君) 小倉会長がどのように述べられましたのか、私は新聞で知る限りでございますが、先ほどから繰り返し申し上げておりますように、大蔵省におきまして、経費の節減をできるだけ合理化、削減という趣旨でやっていただきたい。それを前提にいたしまして、先ほどから申し上げておりますように、国民が期待している行政サービスというものの見合いで税負担のあり方というものを考えたいというふうな方針で審議することになろうかと思います。したがいまして、明年とか明後年というような問題ではなくて、中長期的に考えました場合、国がどのような施策を今後講じていくかというめどが次第に明らかになっていくと思いますので、国の制度や施策の水準というものに絡み合わせて税負担の水準を考えるということになりますから、ある意味で増税あるいは減税というものの組み合わせという形になる可能性が強いと思います。 その組み合わせと申しますのは、先ほど申しましたように、租税特別措置の整理合理化ということは増収になります。あるいはある種の税を減税するということになれば、増税と減税とが加わりますので、ネットどのぐらいになるかは全く現在のところ見当はつきません。
○柄谷道一君 三点続けて御質問いたします。 私は、木下参考人の御発想の中に、はなはだ失礼でございますけれども、一つ欠落している点があるんではないかと思います。それは財源の持っている景気調整機能という点に対する認識でございます。 税調は五十五年十一月七日に中期税制答申を行っておられますが、国税収入の伸び率は平均年一二%というところに前提を置かれました。しかし、この前提は翌年から大きく崩れまして、五十六年度は決算で三・三%の伸び、五十七年度は補正後予算で三・九%、五十七年度は当初予算で五・九%、まさに五十五年当時の前提はその翌年から大きく崩れているわけでございます。私は、もちろん税調の権限外の問題でございますけれども、財政再建のためには所得税減税、投資減税、金融政策、公共事業等いろいろありますけれども、そうした施策展開というものを政府に期待して、この程度の税収の伸びを確保する政策展開が必要である、こういう考えが必要ではないだろうかと思うんですが、個人的見解でも結構ですからお伺いをいたしたい。 それから二番目は、同じく木下参考人に対しまして、税調では、所得税減税について賛否両論はあったけれども、五十八年は見送り、五十九年度抜本的に見直すという結論が出たと、こういうことでございます。その答申後、国会では五十八年じゅうに景気回復に役立つ相当規模の減税を実施するといううことが合意され、かつ政府も、財源を確保し、立法府の合意を尊重、実施すると。こうした立法府、行政府の意向を踏まえるならば、早急に税調としてこれに対応する減税内容の検討が行われることが至当であろう、こう思うんですが、いかがでございますか。 最後に斎藤、畠山両参考人に対しましては、私は、税意識の向上が節税、逃税の意識を高めて、いわゆるタックスゲームを一般化させてくるおそれがある、また税負担の不公平感が納税義務を薄めさせるおそれがある、こういう認識は全く同感でございます。 そこで、この対策として、両参考人から、たとえばマル優はグリーンカード、分離課税は当面存続という御提言や、租税歳出予算制度の創設、サラリーマンに対する権利救済制度、いろいろ御提言があったわけでございますが、それらは大いに立法府としても検討しなければならぬ課題だと思いますけれども、現行制度のもとでも実調率等から見て改善すべき点は多いと思うわけでございます。私は、持論として、行革、定員縮減という問題も、歳入官庁と歳出官庁では別途の見方があってしかるべきだという持論を持つものでございま すが、簡潔で結構ですから、現行の執行面改善に対する御意見を承りたい。 以上でございます。
○参考人(木下和夫君) 柄谷先生の第一の御指摘は、景気調整機能に関連いたしまして、その中で税の問題を考えるということについて税調ではどう処理していくかという御指摘だと思いますが、景気調整機能という観点から申しますと、現在でも、税制の変更なくしても、いわゆる構造的伸縮性と申しますか、ビルト・イン・スタビリティというものは働いておりまして、税収減ということは、不況の一面から自動的に減収になっておるわけでございまして、これは普通に諸外国で言われておりますところの税制に組み込まれた構造的伸縮性が働いておると私どもは考えております。もちろん、最近は不況のゆえに減収が起こったということだけでは説明できない諸問題が多々ございますので、いまの財政赤字が全部不況のせいであるとみなすのはやや行き過ぎではないかと思いますが、景気が相当回復いたしましても、現在の赤字を完全に埋めてしまうまで税収がふえると期待するのは、私の個人的見解でございますが、少し無理ではないかと考えております。 したがいまして、御指摘のように、税制だけではなくて、諸般の経済施策とあわせて景気調整機能を営むべきだというお考え方に全く同感でございますけれども、税調の守備範囲でなかなか逸脱することができないという実態もひとつ御考慮に入れていただきたいと思います。 それから第二番目は、与野党間における財源の確保も含めた減税の実施についての合意ということは十分承知をいたしております。したがいまして、政府におきましては、恐らくこの決定を最大限に尊重するということでお進みになろうかと思いますので、いずれ税制調査会としても会合を開きまして、この事態を含めて今後積極的に検討していくということになろうかと私は考えております。 以上でございます。
○参考人(斎藤精一郎君) 簡単にお答えいたします。 確かに先生のおっしゃるとおり、捕捉面、税の執行面での改善というのはまだあると思いますが、それは人間をふやすということにつながると思うんです。問題は、税の捕捉、執行面だけを強化して取り立てを強化することは、確かにいまの不公平感を多少緩めることにはつながると思うんですが、それが基本的な問題ではなくて、そういうものを強めても、今度は脱税とか、いわゆるアボイダンスといわれる逃税、節税、いかに税法をくぐり抜けるかということにますます神経を集中する人たちがふえてくるので、そういったものが起こらないような、もうちょっと中長期的な観点で負担を下げて公平感をつくっていくということをやはり基本に考えながら、実際の税執行面での多少の強化ということが必要なんじゃないかと思います。
○参考人(畠山武道君) 御指摘のとおりだというふうに思います。日本の税務職員の数自体はそれほど少ないわけではないわけでございます。そういうわけで、税務職員一人ふやせば、何億円でしたかわかりませんが、ふえるという実際の数字も示されたこともございますが、いま斎藤先生がおっしゃいましたように、人をふやすことは、そういう意味では、税の取り立てを強化するという一種のアレルギーみたいなものがあるのではないかということで、ちょっとしんどいかもしれませんけれども、執行面での改善ということをさしあたりはお願いするしかないんだろうと思います。 それからもう一つは、やや唐突でございますが、税務行政のコンピューター化、一種の納税者背番号でございます。納税者背番号にもいい面と悪い面があるので、一概に言えないんでありますが、私個人は、ある程度の合理化が必要であるし、導入は将来避けられないんじゃないかという気がしております。そのための問題があることはよく知っておりますが、国民背番号にならない程度の納税者番号といいますか、言葉は悪いわけでありますが、これは考える余地があるだろう。それへの一歩というと怒られるかもしれませんが、その手がかりとしてグリーンカードがどうもあったような気がしておりますので、その点が廃止されたというのは多少の後退であろうということは、先ほど申し上げたとおりでございます。
○野末陳平君 一問ずつお聞きしたいと思います。 木下先生には、先ほどおっしゃった、租特の中で残る所得控除を見直すとすれば、というようなことをちょっとおっしゃいましたけれども、所得控除のどれがそうなのか。つまり税調でもそういう見直しの議論がかなりあるのかどうか、その辺のところの事情をもうちょっと。私も個人的にはもうその辺しか切り込むところはないだろうと思う。増税を言いながら、九千億に及ぶあれをそのままほうっておいていいのかどうかということをかねて疑問に思っておりましたので、その辺のことをもう少し説明をお願いしたいと思います。 それから斎藤先生には、アングラ経済の三つ目の例の逃税のところですね。確かに法の盲点というか、すき間をくぐり抜ける節税というか逃税というか、それがはやっているとは思いますけれども、サラリーマンじゃなかなかそうもいかないんで、せいぜいバイトをごまかすとか、もぐりで何かやる程度です。となると、これは商売とか事業とかいう関係に多く見られる現象だと思うのですね。先生は具体的にどういうやり方が一番目立って、これは好ましくないというお考えなのか。その辺、実際面で幾つかの例でも示していただければ参考になると思います。 それから畠山先生には、もし専攻の範囲外であったらば申しわけないと思うのですけれども、法人の使途不明金と税金のことなんです。いまのところは、税金払えば、使途不明で中身は問われないんだということで通っていますが、このままで果たしていいんだろうかどうか非常に疑問に思っているところもありますので、もしお答えいただければと思います。
○参考人(木下和夫君) 御指摘の所得税における租税特別措置の整理でございますが、税制調査会では全くこの議論は審議されておりません。先ほど申し上げましたのは私個人の見解でございます。私自身は税率の調整をするというようなことと絡めまして、どうしても課税ベースを広げる必要がある。これは一般的に諸外国もそのような方向に進みつつあるという事実もございます。 現在、それではわが国の所得控除の中で何を削るとか合理化するかというような御質問でございますが、私の個人の念頭にございますのは、第一にわが国の所得控除の数が多過ぎるということ。したがって、たとえばの話でございますけれども、損害保険料控除あるいは勤労学生控除というようなものは、これは諸外国の例を見ましても、合理化の対象になるものの例ではないかと考えております。
○参考人(斎藤精一郎君) お答えいたします。 日本で一番顕著だと言われているのは、先生御承知のとおり、所得分散と言われている方法で、家族に所得を分散して専務とか重役とか取締役とか、あるいは課長とか、いろいろな名前をつけて分散させて累進税制を逃れるというのが、よく医者の問題でも言われておりますけれども、そういうのが非常に一般化していると言われております。それからあと個人業でも、ペーパーカンパニーをつくっておいて、うまくそこへ利益を、所得を圧縮したり操作して、仮に高く仕入れをするというような形で税を逃がれる、所得を圧縮して税を逃がれるというのが、かなり一般的じゃないかと言われております。 そのほかややグレートといいますか、ブラックに近いのは、経費勘定でいろんなものを落とすという方法、これはかなり脱税に近くなってきていますが、かなりうまく経費勘定を使う。これはアメリカでは圧倒的に多いと言われております。これはそこまで控除をチェックするのが事務的に大変でむずかしいというようなことで、総収入でチェックをしたらどうかという意見が最近強まって ますけれども、これの経費勘定を使うということが、グレーに近いですけれども、かなり一般化してきてるんじゃないか。 それからよく指摘されている農業については、農業の課税基準が現実と合わないで、経費率を高く、そして収入を低く抑えてきている。これは完全な脱税じゃないわけです。税務署の税執行面での基準に合っているという意味では、一つの逃税、節税になっているんじゃないかと、そういうところだと思います。
○参考人(畠山武道君) ちょっとお答えになるかどうかわかりませんが、概括的なことだけ申し上げます。 確かに現在、法人が大きくなればなるほどだと思いますが、使途不明金というようなものがあります。それは本人はわかっているのかもしれませんが、決して明かさないで、たとえば政治献金に流れたんじゃないかとか、あるいはアングラの方に流れたんじゃないかとか、そういうようなことが取りざたされていることは、私もよく存じております。恐らく課税の方法としても認定賞与あたりにするとか、あるいは寄附金として限度額を超える場合には課税するとか、多少技術的なことでちょっと直ちに答えられませんが、そういうことでなされることになるんだろうとは思います。 そういうわけでございますから、使途不明金を所得の規定のどこかにひっかけて課税するわけでございますが、それはいろんな面と関係しております。益金の概念にも関係しております。損金の概念にも関係しております。そういうような中で、そういう使途不明金の実態に個々の規定から迫ることも必要でありますし、それからもう一つ、税執行面でそういう面の不明の額をどんどん明らかにしていくということ、この両方が必要なんだろうと思っております。
○委員長(戸塚進也君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々には、長時間にわたり御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。 午前はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。 午後零時四十三分休憩 ─────・───── 午後二時一分開会
○委員長(戸塚進也君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、岩動道行君が委員を辞任され、その補欠として岩本政光君が選任されました。 ─────────────
○委員長(戸塚進也君) 租税特別措置法の一部を改正する法律案、製造たばこ定価法及び日本専売公社法の一部を改正する法律案、災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。 前回に引き続き、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○穐山篤君 昨日、たばこに関します質問を専門的な立場から鈴木委員がされました。したがって、どこに問題点があるかということは十分おわかりになったと思うんです。 したがいまして、この法案の処理の最終段階でまとめて大蔵大臣に確認をする事項がありますので、その点はまたきょうは保留にしておきたいと思うんです。 二つ目は、災害被害者に対します租税の減免の問題であります。これは、言ってみますと、なぜこういう問題を放置しておったのかということが問われてもやむを得ない問題ではないかなというふうに思います。 私も、昨年十八号台風その他でいろいろ現地を見ましたが、この種の問題についての要望がたくさん出ておりました。したがって、この点につきましては、今回の改正につきまして私ども原則的に賛成であります。 さてそこで、お伺いをしますが、この法律の第二条で、所得というものを基準にして、それぞれ三段階で処理する規定になっているわけですが、たとえば四百万円の限度額ですね、これは私の記憶によりますと、九年前か十年前に設定をしたものと思うんです。その意味では実情に合っていないと考えます。前々私どもこの種の問題について、少なくとも十年も放置してあるようなものについては見直しをすべきではないかということを再三申し上げたわけです。 たとえば手数料の改定というのは、大蔵大臣がまとめて一括提案するわけですが、大体三年とか五年のサイクルというものは標準的にあるわけですね。ところが、この種の問題については五年、十年、長いものになりますと十何年も放置してある。非常に実態に合わないわけです。そこでこの第二条の総所得の限度を見直しする必要があろうと思いますが、その点いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) いまの御意見、私どもにも理解のできる話でございます。所得限度額の水準はある程度の期間を置いて逐次引き上げが行われてきております。が、現在の金額はまさにおっしゃいますとおり昭和四十九年度改正でございます。いろいろ問題になっております昭和五十三年以来の所得税減税が行われておりませんということから、この所得限度額もそのままとなっておる、こういうことでございますので、今後当国会での御議論、いまの議論を含めて、税制調査会に報告したいと考えております。したがってその調査会で、所得税制の見直しに関する審議の中に入れて幅広い観点から検討していただけるものというふうに考えております。
○穐山篤君 横並びの問題もありますから、今回この修正でまとめるということは私どもも留保したいと思いますが、いまの大臣の答弁でいきますと、少なくとも次の税制改正の機会にはこれを含めて手直しが行われるものだ、こういうふうに前向きに理解をして差し支えございませんか。
○国務大臣(竹下登君) 同じような気持ちでもって調査会で御審議をいただく、こういうことであります。
○穐山篤君 それでは租税特別措置法の問題に移りたいと思うんですが、昨年十一月十九日に、衆議院大蔵委員会の減税小委員会が中間報告をされているわけです。これは国会内の問題ではありますけれども、大蔵省当局も十分に熟知しているものと思います。そこで考え方をお伺いします。 この減税小委員会の中間報告は三つあります。一つは、所得減税の必要性については各党の意見の一致を見た。さらに、その減税の手段は恒久税制改正によることにしたい。二つ目に、そのための財源は赤字国債によらないことも意見の一致を見た。減税のための財源として種々税目を対象に真剣な論議をしてきたが、今日に至るも合意をすることができなかった。三番目に、財源対策については今後も検討を続けることにする。こういうふうに三つにまとめられているわけです。 その第一の必要性について各党の意見の一致を見たということは、与党・自民党も協議に参加をし、減税小委員長が山中先生でありますので、当然それは与党・政府も同じ理解に立っていると思うわけです。さらに、その減税のやり方としては、戻し減税でなくて税制改正、こういうふうに小委員会は報告をされているわけですが、そのことについて大蔵大臣の御感想はいかがでしょう。
○国務大臣(竹下登君) この中間報告というのは、読んで字のごとくきちんと受けとめるべき問題であるというふうに考えております。政府としてはということになりますと、この結論に基づいてそして税制調査会に御報告を申し上げて御審議をいただく、こういう筋になりますので、政府としてもこれで決めておりますという表現は差し控えなきゃならぬかと思いますが、認識そのものはまともにそのとおり受けとめております。
○穐山篤君 衆議院議長の議長裁定も、それからこの小委員会の中間報告も、いずれも減税については国民の強い世論である、あるいは平たい言葉で言いますと天の声である、こういうふうに理解 をすることが正しいと思うわけです。 そこで、税調の答申につきまして、午前中も参考人として会長代理に来ていただきましたが、減税問題について両論があってなお検討をしなきゃならぬ、こういうふうに言われているわけです。少なくとも天の声であるとするならば、政府は所得税あるいは住民税について減税をしたい、ついてはその考え方に基づいて税調は具体的な勉強を開始してくれないか、こういうふうにもう一歩突っ込んだ税調に対する諮問の姿勢があってしかるべきではないか。もちろんその実施時期だとかそれから規模だとか、あるいは財源の出場所というようなこともあろうと思いますけれども、もう少し積極性があってもしかるべきではなかったか。その意味では政府並びに税調が国民全体の税に対する考え方なり、あるいは国民の強い要望というものを反映していないというふうに私どもは考えるわけですが、もう少し前向きの方法をとることができないかどうか。現在は、与野党の間で十分に相談をしているからその結論を待ちたいというふうになっていますけれども、これでも問題の解決というのが非常におくれてしまう、こういう可能性が強いと思うんです。そこで、大蔵大臣としてもう少し積極的な意思表示というものを考えられているかどうか、その点をお伺いします。
○国務大臣(竹下登君) 税制調査会は租税制度に関する基本的事項を調査審議することを目的とされておるものであります。例示として申し上げますと、三年ごとに、諮問の方式でございますが、たとえば四十九年十月十四日「社会経済の進展に即応する税制のある方」、それから五十二年十一月二十二日「国民経済の健全な発展を目途としつつ、国、地方を通じて財政体質を改善するため、税制上のとるべき方策」、それから五十五年十一月十八日、これが今日まで任期の上から続いているわけでございますが、「国民経済の健全な発展を目途としつつ、国、地方を通じて財政体質を改善するため、税制上とるべき方策」、こういうように非常に広い範囲の諮問を申し上げるわけであります。 したがって、その中には、いろんなこちらからの予見とか前提とかいう問題は必ずしも入れないで御審議を賜る、こういう性質のものでございます。したがって、非常に幅広い税制全般についての御審議をいただいておるわけでございますが、絶えず国会で議論をされた問題については正確に報告を申し上げる。そうすると議論いただく一つの方向というようなものがある意味においては自然にそこにできてくる。したがって、所得税問題につきましても、「五九年度以降」とは書かれてございますけれども、これらについて検討すべきである、これは課税最低限等を含めまして検討すべきである、こういう答申をいただいておるわけでございますから、いろんな議論をされていることがかやの外にあって議論をされておるとは思いません。 したがいまして、私どもとしては、本国会等において行われた議論を正確にお伝えして、そうして問題につきましては、いわゆるグリーンカード凍結後の問題にいたしましても、あるいは具体的な所得税の改正の問題につきましても、当然議論していただけるようになるということを期待をしておる、こういう表現で申し上げるべきことではないかなというふうに考えております。
○穐山篤君 税調から答申があるわけですが、「総合的に検討した結果、昭和五八年度において所得税の見直しを行うことは財政状況等から見て見合わせざるを得ないとの意見が大勢を占めた」。それから個人住民税についても所得税と同様に「五八年度においては住民税減税を見合わせざるを得ないとの意見が大勢を占めた」。こういう前提が置かれて「昭和五九年度以降できるだけ早期に、税制全体の見直しを行う中で」というふうにつなげているわけですが、これは五十九年度を含めてはいるものの、必ずしも五十九年というふうに押さえているわけではないわけですね。 税制全体の根本的な見直しをじっくりやるのだからということになりますと、それは六十年になる可能性もありますし、昭和六十一年の可能性も解釈としては出てくるわけです。しかし、政治論議、国民の意見としては、五十八年度中に減税をしてほしい、あるいは減税してしかるべきではないかというふうに、国民の意識あるいは国会の論議というのは税調の答申よりもずっと強いものになっているわけですよね。その点、税調に諮問することは当然でありますが、研究をしてもらうにいたしましても、少なくとも国民の強い要望とか、国会の論議というものを踏まえた場合に、五十九年以降できるだけ早い機会にというのは全く気持ちに沿わないと思うんです。ですから、けさも税調の会長代理に少し各委員からも注文があったところなんです。これを促進をするというのは、政府自身の決断にならざるを得ないというふうに思うわけです。その点もう少し実態に合った御答弁をいただかないと、われわれとしては納得ができかねる問題だろうというふうに思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) いまの小委員会の中間報告が十一月の十九日でございましたか、それからその後の小委員長報告というのが十二月の二十四日でございます。したがって、今年度の予算編成に当たっての御答申をいただきましたものには、いま穐山さん御指摘のとおりの文句になっております。確かに見送らざるを得ないとして、その後五十九年度以降という前提を置いて検討すべきであるとされ、所得税等についても課税最低限、税率構造と、こういうふうに書かれてございます。何分その後生じた国会での各党間の話し合い、そしてまた国会の中における御議論でございますので、これをもとにして御議論をいただくというのは今後の問題でございます。 したがって、これに対しては、政府からお答えをいたしましたものも含めて当然報告申し上げ、御理解の上に立ってこの御議論をいただくわけでございます。政府としても、この法律案を五十八年中に国会に提出するとの確約があったことを承知しています。そして、政府としてもこれを尊重いたしますという官房長官発言、これをも当然一緒にして、きょうの御議論等も踏まえて、報告するわけでございますから、当然の帰結とでも申しましょうか、その中でそのような前提を踏まえた御議論がしていただけるものというふうに期待をしております。そうしてもらいますというのは、税調に対しての表現としては、そうあることを期待しておりますということが表現としては限度かな。気持ちとしては、穐山委員の御指摘と私どもの認識との間に相違はないと思っております。
○穐山篤君 予算委員会におきます大蔵大臣の答弁をずっと聞いておりまして、減税問題を含めて税金問題につきましては、非常に慎重な発言をされておりますね。時には増税なき財政再建と言ってみても、全く一円もあるいは一銭も増税がないという意味ではないとか、あるいは直間比率の見直しとか、いろいろなことを慎重に述べられています。立場上やむを得ないことだろうとは思いますが、率直に言って、大蔵大臣は何を考えているのかということになりますと、国民の皆さんは非常に懐疑的であります。またわれわれも、大蔵大臣の腹の中には何が入っいるんだろうかと、いろいろ想像をしてみましても、本当の中身は何であるかにつきましては、はかり知れない状況にあるわけです。しかし、先日から議論されておりますように、私は総理大臣並びに大蔵大臣の答弁の中から見て、中期試算のCを頭に描きながら中長期的な財政再建を考えているのではないかと、こういうふうに推測をするわけです。少なくともAとかB型を採用するということは、ほとんど物理的に不可能な状況でありますので、CまたはCに近いものを考えているだろう。それにいたしましても要調整額というのは相当の規模の量になります。 そこで、前回も指摘しましたが、単純な歳出カットだけでは処理ができないということになりますと、ある程度の増収策を考えざるを得ない。しかしながら重箱の隅をつついて一過性の財源を考えるといたしましても、ほとんど今年度をもって 限界に近いという状況になっていると思うんです。そうなりますと、次に考えられますことは、直間比率の見直しということで、三十兆円なり三十二兆円の国税収入の規模を同じにすればこれは別でありますが、もう少し規模を大きくしようと思いますと、間接税の割合を相当大きく引き上げなければならぬ。もちろんその場合に、直接税の比率を思い切って下げて五対五にするということも、これは物理的には可能でしょうけれども、税の収入規模全体から言いますと、結局無理が起きる。だから七〇%の方の直接税をおおむねそのままにしておいて、それに三〇%の規模の間接税を大幅に引き上げて五〇対五〇にする。そういうことを考えているのではないかと、これまた推測をしているわけです。 もちろんそういうことについてまだ明確に答弁があったわけではありませんから、あくまでも推測なんですけれども、大蔵大臣の本当の腹をいままで明らかにしておりませんので、逆に私の方から、そういうふうなことも大蔵大臣の頭の中の隅にあるのかどうか、その点をまずお伺いをしたいと思うんです。
○国務大臣(竹下登君) 非常にむずかしい御質問でございます。お答えが非常に慎重にならざるを得ないという基本的な問題は、これは行政府とハウスとの基本的な問題になるかなと思って、絶えず念頭に置いておりますのは、いま御審議いただいておる歳入歳出を含めた予算というものは現状において最善のものであるという前提で御審議いただいておるわけです。そうなると、それは当然のこととして、予算の単年度主義からしても、補正を伴うとか、なかんずく修正を伴うというようなことについては、最善のものとして信じておる立場からは、これがお答えの中で片りんも見えるようなお答えはしてはならぬというある種の制約は私はあると思うんです。したがって、この減税問題の衆議院議長見解に裏づけられた各党間の申し合わせというようなものも、問題意識として別な角度からとれば、修正とか、あるいは補正を伴うという認識ができないわけのものでもない。大筋各党の了解があるのだから、そんなことは念頭に置かないで答弁してもいいじゃないかと、こういう議論も何度かいままでにも行ってきたことがございますが、正確に言えば、立法府に対して行政府として現状において最善のものなりとして歳入歳出を含めた予算審議をしていただいておる間、そのような問題については勢いお答えとしてはおのずからの限度がある。こういうことを基本的には私なりに認識の底に置いておるわけでございます。 そこで、まず御意見を交えての御質問、御提言でございましたが、中期試算というものでABCをお示しした。たとえそれがある種の仮定を前提として等率等差で計算したものとはいえ、この数年で赤字国債からの脱却ということを考えますと、まさにいまの場合、数年と言わざるを得ないし、そうなれば、穐山委員の方でも、なるほどCケースかなというふうな御理解に勢いおなりになっても、これは仕方のない問題だなと。私どもといたしましても、これから新しい経済展望、財政の展望、これらも整合性を持ちながらいずれは決めてお示ししなきゃならぬ課題だというふうに思っておるわけであります。 今度は具体的な税制ということになりますと、確かに私ども一つの壁と申しましょうか、お答えするに当たっていまいろいろ勉強してみておりますが、一方、増税なき財政再建、こういうことが臨調答申でうたわれております。そしてその増税なきとはということになりますと、いわるる租税負担率というようなものを大きく変更するような手法は原則としてとらないということがうたわれ、そして一方にまた租税と社会保険負担とを含めたものは、まだヨーロッパほどには至らぬが、そこまではいくべきものではないと。読みようによっては、現行よりは高くなっていくこともやむを得ないかなというふうに読めなくもない。そしてもう一つが、いままさに御指摘のように、いわば直間比率の見直しの検討と、こういうこともうたわれておるわけであります。 したがって、大筋読んでみると、やっぱり歳出カットということに重点が置かれておって、歳入という問題については、そういうふうな三点が文章で提示されておりますが、ある意味においては具体的な問題は政府税調の方へ任すというような考え方も基本的にはあるではないかと、こういうふうな感じもしないわけでないわけであります。 それに加えて、私どもも、今度は税制調査会の御答申を見ながら、言ってみれば、基本的に見ますと、そう違ったことをおっしゃっているわけじゃございません。そういう一つの範疇の中でお答えするということになりますと、当然まずは、「糧道を断ちつつ」という表現まで使われているわけでございますから、歳出削減ということにあらん限りの力を尽くしていく、そしてなおかつ現行の制度、施策をそのまま残すべきであるという国民のニーズ、こういうものがどうしても必要と出た場合に、いま委員はいみじくも増収措置、増収策というお言葉をお使いになりましたが、ある意味において負担増とでも申しましょうか、そういうこともお願いしなきゃならぬときもあるかもしらぬ。 その場合、さていま直間比率の見直しによってこれも見ていくかということになりますと、また厳密な議論をしますと、税制調査会でも直間比率の見直しという言葉が三年前には使われておりますが、その後、考えようによると、直間比率というのは結局景気の変動とかいろいろ経済情勢の推移で結果として出てくるもので、あらかじめアプリオリに決めておくべきでないということになると、税体系の見直しという言葉の方が正しいのかなというような受けとめ方をしながら、こういう問題を通じながら、最終的には国民のこれはまさに選択の問題でございましょうが、その意思がどこにあるかということを、結局こういう問答を通じながら最終的に判断していかなきゃいけない問題だと。 だから非常に歯切れが悪いんでありますが、明確にかくかくしかじかのものがいま念頭にありますとかいう言葉は、私どもとして現状において申し上げられない。したがって、考えようによれば、大蔵大臣の言っていることは意味不明——意味不明というと少し自己卑下でございますが、非常に歯切れが悪いと言われてもこれはやむを得ないかな。いささか長い答弁になりましたが、素朴な私の心境をお伝えしたわけであります。
○穐山篤君 まあ論争は長く続くと思いますが、いままで予算委員会なり当大蔵委員会で議論をしたものを少し整理してみると、大蔵省が提示したABCという中で、Aというのはもう現実的に可能性は全くない。中期試算のAはないと見なきゃならぬ。客観的に言えば、大蔵省はこれを放棄しただろうというふうに思うんですね。 それからこのBです。五分の一の方式でありますが、これもほぼ実現の可能性が薄いというふうに私は受け取っているわけです。 そうなりますと、残ります問題は、CまたはCに近いものが大蔵大臣の頭の中にあるんじゃないか。これも推測の域を出ないわけです。もちろんいま答弁がありましたように、確定できない要素がたくさんあるわけですから、それは無理ないというふうに思います。しかし、私が前段で申し上げましたように、減税の問題については、財源があるなしの議論は当然重要な問題でありますけれども、政治が国民の負託にこたえるという立場から言うならば、何らかの無理をしても減税というのを実現する、こうでなければ政治の責任はとれないというふうに思うんです。したがって、これ以上論争してもしようがないと思いますが、減税についてはわれわれには強い要求がある、そのことを再確認しておきたいというふうに思います。 それからいま直間比率の問題が出ました。いま七二対二七・幾つになっているわけですが、これも最初から決めていた割合ではないわけですね。結果として出たものでありますが、それは政策的には二七%の間接税の規模をもっと多くしようと思えば政策的に幾らでもできることでありまし て、結論は五対五にきちっとなるかは別にいたしましても、みんなそれぞれ税目ごとに規模なり内容というのがわかっているわけですから、余り素人向きの話ではわれわれは納得できないと思うんです。これはなるほど結果としての数字でありますけれども、こういうふうにすれば五対五になる、あるいは四対六になるというのは、当然計算すればわかることなんですよ。したがって、この間接税の見直し、あるいは直間比率の見直しという面で何らかの御研究が進んでいるんじゃないか、こういうふうに思うんですが、大蔵大臣どうでしょう。
○国務大臣(竹下登君) この直間比率の見直しということにつきましても、具体的に検討しておることもありませんし、それから指示を受けたことも、また指示を請うたこともないというのが正確なお答えであろうかと思うわけであります。 ただ、この直間比率の見直しということについて私が常日ごろ思っておりますことは、前回大蔵大臣をしておりました五十四年当時は、直間比率の見直し、こう言えば、すぐいわゆる一般消費税(仮称)の導入と、こういうふうにとられました。しかし、その後税制調査会の五十五年十一月の中間答申、これは課税ベースの広い間接税は今後の検討課題だとされております。それから五十六年、五十七年、五十八年の税制改正の答申においても、言葉こそ、税体系の見直しが今後の検討課題となると、こうされております。それから臨時行政調査会においても、直間比率の見直しを検討すべきであるという言葉が答申に出てくる。いわば権威のある諸機関で広く議論の俎上に上ってくるようになってきたという意味においては、当時に比べてみますと、勉強する上での環境はずいぶん違ってきておるなという感じは、率直に私も思うわけでございます。 で、おっしゃいますとおり、結果としてほぼどれぐらいになるかというようなことに対する勉強の素材を出して勉強することは、これは私はできることであると思っております。しかし最終的には、いまの税制というのは結局長い間の国民の合意と選択の中から形成された結果でございますので、結局最終的には国民の合意と選択の問題でありますだけに、それがどこにあるかということは、各方面の意見を聞き、そして本国会の議論とか税調の御意見とか、そういうものの中に見きわめていくべきものだなあというふうに考えておりまして、いま直ちにいわゆる直間比率の見直しというものの検討を始めておるとか、あるいは指示をしたとかいう段階にはございません。
○穐山篤君 論争しておりましても、どうも行き違いのようですから後日に譲ります。 次にグリーンカード制の問題です。 昨日、大蔵大臣から、なぜ延期をするか、延期の法律を出したのか、それに対して二つお答えがありましたね。一つは法的な安定性に欠ける、それから二つ目には無用の混乱を生ずると、こういうふうに答弁がありましたが、この答弁をもって納得した人はないと思うんです。昨年十二月の二十八日の日に政令をもちまして一時延期をするときの釈明としては、準備が十分に進んでいない、たとえば朝霞の計算センターの完成というふうなことも含めて準備が不十分であるということが大きな理由でした。それから二つ目に、政治的な理由として、とかくの議論が内外にある、こういう説明がついていたわけです。考え合わせてみますと、準備が進んでいない、大蔵省自身の準備の問題もあるだろうし、各金融機関の準備のこともあるだろうと思いますが、その準備が不十分のために六カ月なり一年延期をする。こういうことならば、理屈は国民的に了承ができると思います。しかし政治的な理由、法的安定性が欠けているとかあるいは混乱が起きるというのは、やや政治的な釈明だというふうに思うんです。 そこで、具体的にお伺いしますが、三年延期して四年目には必ずこれは実施をすると、こういうふうに確約がいまもらえるかどうか、これが一つであります。 それからこの三年間延期をする過程の中でいろんな研究が進められるだろうと思いますが、少額貯蓄の非課税の問題について、これも賛否両論があるわけです。いずれは回答を出さなければならぬと思うわけですが、この問題について大蔵大臣はどういうふうにお考えになっているのか。 その二つの御答弁を聞いてから、なお問題点を明らかにしていきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 三年間延期をいたすべく法律案でお願いをしておると、こういうことでございます。 これにつきましては、やはり可及的速やかに私どもは税調で審議をしていただいてある種の方向を打ち出していただきたい。そういたしますと、今度はそれに伴っていわば予算というものがどうなるか、こういう予算要求の問題もございましょう。そうして諸般の準備を考えますと、三年というのがどうしても必要ではないかということで、あえて三年ということでお願いをしておるところでございます。したがって、三年というのは、御結論をいただき、なおそれに伴う諸般の準備をすべて完了し、四年目には出た結論に基づいて措置を正確に行っていかなければならぬ問題である、こういうふうに私どもは理解をいたしてお願いをいたしておるところであります。 それから、二番目のいわゆるマル優の見直しでございます。これはグリーンカード制度が、法律を通していただきまして凍結されておる間に、利子配当課税のあり方につきまして、国会での御議論を踏まえながら改めて税調において検討していただきたいと考えておるわけでございます。 そうして税調の場は、先ほども申し上げましたように、総理大臣の諮問を受けて幅広く税制のあり方について調査、審議するとされておりますので、自由に広範囲な角度から議論をいただくべきものであるというふうに考えておりますので、政府としてあらかじめの予見をもって、マル優をいままでどおりにするとか、手直しするとか、廃止するとかいう具体的な考え方は持っておりませんし、具体的な問題について政府部内で検討しておるという事実もございません。やはり予見を持たないで御議論をいただくという、その中にインクルードされておるとでも申しましょうか、入っておるというふうに御理解をいただきたいと思っております。
○穐山篤君 確認をしておきますが、四年目には原則に戻って実施をする。そのために二つの理由があったわけですね、混乱を防止する、混乱を避けたいことと、法的安定性を欠くおそれがあること。その二つを具体的に克服しなければ四年目に原則復帰というのは不可能なんですね。 そこで、その二つの理由について、具体的にこういうふうな方法で周知徹底を図りたいし、四年目に原則に復帰できるようにしたいという具体的な努力目標が、努力の中身がなければ、三年凍結をしたというのは、四年目からはもうやらないことである、こういう解説が当然正当性を帯びてくると思うのです。その点いかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 本グリーンカード制度の凍結に関する法律案を通していただきました後、われわれが税調にお願いいたしますのは、今後の適正な公平な利子配当課税のあり方について国会での御議論等を踏まえて御検討いただくと、こういうことでございますので、いままでどおりのもので、実施していくという前提に立って御議論をいただくという性格のものではございません。 すなわち、まさに予見を持たずして適正公平な利子配当課税のあり方、こういうことでお願いする、そしてその得られた結論につきまして、国税庁における予算要求、執行体制の整備等の期間を得て、最低三年の期間、これだけは必要であると考えたわけでございますから、そういう整備、準備等を整えて四年目からこれに対応する。こういうことでございますので、その出るであろう結論の内容とか、あるいは、期待としてはできるだけ早く結論を出してくださいと申しておりますが、時期についても、一切予断を持っては税調に対しては臨まないと、こういう考え方であります。
○穐山篤君 そのことについて私ども否定するつ もりはないんですが、大蔵大臣が今回三年凍結を提案した理由の主たるものは二つなんですね。法的安定度が弱いこと、実施すると混乱が起きること。この二つを十分克服するために税調に対して不公平な税制を見直してくれと、こういう話はそれはそれでいいと思うんですけれども、大蔵省自身として、四年目に原則に戻って実施するためにどんな努力をするんでしょうか。具体的な努力の中身が明らかにならないと、私が先ほど言いましたように、これはもう四年目からはなくなっちまうんだと、こういう常識がまかり通ると思うんです。そのことについて私は指摘しているわけです。 グリーンカード制の実施というのは不公平是正の一環としての利子配当所得の総合課税移行に伴う措置である、こういうふうに五十五年のときも確認をいたしましたし、昨年グリーンカード問題が議論されたときもそういうふうに確認をしているわけです。したがって、適切な税のあり方を研究することについてはわれわれはやぶさかではありませんけれども、いま私ども問題にしているのは、三年たてば四年目に必ずこれは原則に戻るんですねと。原則に戻すためにはいろんな努力が必要ですね。その準備の問題としては、計算センターの問題もあるだろうし、金融機関に対する指導もあるだろうし、いろんなことも含めてなければならぬと思うんです。そのことを私は指摘したつもりでありますが、大蔵大臣の考え方というのはどうも不明な点が非常に多いということで、不満を表明しておきたいと思います。 さて、もう時間がなくなりましたので最後に自動車の諸税についてお伺いをしておきます。 まず、建設省の方から道路整備五カ年計画について、これからの展望と、その裏づけになります財政上の問題についてごく簡単にひとつお話を承りたいと思います。
○説明員(鈴木道雄君) わが国の近代的な道路整備の歴史はようやく四半世紀を経たにすぎません。その水準は目標のおおむね二分の一程度でございます。このため、二十一世紀初頭を目途といたしました長期計画を策定いたしまして、道路整備を計画的に推進しようとしているところでありますが、本年度終了いたします第八次道路整備五カ年計画に引き続きまして、五十八年から第九次道路整備五カ年計画を策定し道路整備を推進しようとしているところでございます。 第九次道路整備五カ年計画の投資規模は三十八兆二千億円という規模で閣議了解されておりまして、一般道路事業は十六兆円、有料道路事業は九兆二千億円、地方単独事業十一兆七千億円、調整費一兆三千億円からなっております。道路整備を進めていく場合には、今後道路交通の安全の確保、それから生活基盤の整備、生活環境の改善、国土の発展基盤の整備、維持管理の充実というような五つの施策を目標に、全国的な市町村道から高速自動車国道に至る道路網を着実に整備しようというふうに考えております。 特に、実施に当たりましては、効率的な実施という点に配慮を置きまして、継続事業の早期完成に重点を置く、新規の採択に当たりましては事業の緊急性、重要性を勘案し、計画的に採択していくというような考え方でおります。 それから次に道路財源でございますが、道路整備を計画的に推進するために、現在国費につきましては、揮発油税及び石油ガス税を法定の特定財源といたしておりまして、自動車重量税につきましては、同税の創設等の経緯から、税収の国分の八割に見合う額が道路整備に充てられるというように配慮されておるわけでございます。 第九次五カ年計画の適確な実施のためには所要財源の確保が重要でございますが、従来同様の方針によりまして、この計画実施に必要な財源の相当分をいま申し上げましたいわゆる道路特定財源により確保いたしまして計画を進めてまいりたい、かように考えております。
○穐山篤君 そこで大蔵大臣、自動車関係の諸税、一台車を持ち、それを使用するというだけで九つの税目があるわけですね。五十五年、六年の実績からいいますと、揮発油税が大体一兆六千億です。地方道路税が約三千億ですね。それから石油ガス税が両方二分の一ずつになっておりますが三百億、それから軽油引取税が四千五百億、物品税の中で自動車にかかわります税金といいますのがおおむね四千億円近い数字です。それから自動車取得税が二千八百億から三千億、自動車税が八千億、軽自動車税が四百五十億。五兆円に近いお金が車一台持ち、走行することによって課税されるわけですね。これは余りにも負担が多いんじゃないか。これは四千万人の車を持っている人の共通の考え方ではないかと思うんです。所得減税をやれ、あるいは住民税減税をやれという要求と同時に、自動車諸税の軽減というのも、客観的にいいますと、天の声に近い、私はそういうふうに見るわけです。合わせて九つも税目があるということについて税調でも議論になりましたし、当委員会でも議論になりまして、ほとんど整理整とんをされてないわけですね。これも言ってみますと、怠慢ではないかと、こういうふうに考えるわけです。 そこで、最終的な確認をいたしたいと思いますが、建設省の方で第九次とか第十次というふうに道路の計画が将来続けば続くほど、この制度は残り負担が重くなっていく、こういうふうにならざるを得ないと思うんですね。少なくとも特定なものであるわけですから、一定のところでこれを切る、あるいは一般財源の中で考えるというふうな方式をとりませんと、これは非常に硬直するおそれがあるということについてどういうお考え方を持っているのか。 それから二つ目は、九つもあります税目を整理整とんしましょうという附帯決議が衆参両院でつけられているわけですが、これがいまだに手がつけられていないわけです。これをこれからどういうふうに整理整とんするつもりであるか。そのことについてお伺いをして質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) この問題につきましては国会でもたびたび御議論がございます。自動車重量税を含む自動車関係諸税については、社会経済情勢等の推移に即応しつつそのあり方について幅広く検討すること、これは附帯決議でございます。 税調の答申としては、かねてから、現在の自動車に関係する税制は税目が多くかつ複雑であるところから、これを簡素化すべきであるという指摘があるが、この問題は納税者の理解と協力を求める意味で確かに重要であるが、国・地方間の財源配分等にも係る問題であるので、これについては今後なお相当の時間をかけて検討することとしたい、こういう御答申をいただいておるわけでございます。 私どもそのことは、いま御指摘のことは理解をいたしますが、考えてみますと、その取得、保有、消費等に着目して各種の税を課しておりますが、全体としては適正な負担が実現されておるではないか、そしてまた、これらの税はその性格、課税主体、課税物件等を異にしておりますことから、これを直ちに統廃合することはなかなかむずかしい問題だな。事実九税目でございますけれども、一台の自動車に九税目すべてが課せられておるわけではございませんので、諸外国の例を調べても、自動車についてはその意味において各種の税が課せられております。 したがって、この附帯決議を踏まえ、そしてそれに伴う税調の答申、かなりの時間をかけて検討することとしたいという御意見がある意味において適切なのかなと、こういう感じを持っております。 それから道路事業との問題でございます。これの問題については、これもよく国会で議論される問題でございます。揮発油税、これは形式は一般財源でございますけれども、全額国の道路特定財源とされております。そういうようなことが、考え方によると、ある意味において、何と申しましょうか、道路事業という公共事業に対して特定されておるということが、事業そのものに与える影 響として非常に問題を硬直化さす要因になるということは、私どもも理解のできる話です。 したがって、年々、予算編成の際にこの問題についてはときどき議論いたしまして、いわゆる道路事業費をオーバフローする場合とか、あるいは不足する場合、まあ内輪の言葉で言えば貸し借りとでも申しましょうか、そういう考え方で、そのときどきの需要に応じた措置が行われておりますので、私はそれなりに、その税のよってもって立つこの意義というものは弾力的な予算編成の中でおおむね評価されてきておる問題ではないか。私自身、建設大臣もしておりましたので、その点いつも念頭にあることでございますが、結果として見れば、その中である種の調整というものはとられてきておるではないか、こういうふうに理解をいたしておるところであります。
○塩出啓典君 それでは、まず大蔵大臣に臨調答申についての感想をお尋ねしたいと思います。 増税なき財政再建ということについては本国会においてもいろいろ論議があったわけでありますが、第五次答申には、「糧道を断ちつつ、歳出の削減によって財政再建を図る限り、おのずから既存の制度や政策の見直しが不可避となり、そのことが本格的な行政改革の推進につながっていく」、こうあるわけで、この趣旨には大臣も異存はない、そのように思います。しかし、私の率直な感想として、増税なき財政再建という言葉のみが先行して、それに至る具体論としての切り込みが非常に不足しておるんじゃないか。臨調の皆さんはそれなりに苦労してやった結果ではございますが、私はそういう感じがするわけですけれども、大蔵大臣としては率直にどういう御感想であるかお伺いしておきます。
○国務大臣(竹下登君) 増税なき財政再建、これはまさにいまも御指摘なさいましたように、「糧道を断ち」と大変な言葉が使ってあると思うのであります。しかし、まさに哲学として、基本的にそれを踏まえて進まなきゃならぬ問題であるというふうに考えております。そうして今度は、歳出削減の具体的なポイントにつきましてもまた御指摘いろいろいただいておるわけでございますが、たとえば具体的な補助金等についての三十三項目は、財政制度審議会の御報告の中にございますものとおおむね同じような指摘のものが多いわけでございます。これらも制度、施策の淵源にさかのぼってわざわざメンションされておりますということは、われわれが将来、財政改革、なかんずく歳出構造の見直しというものに取りかかっていく場合の指針の大きな方向の項目であるというふうに理解をいたしておるところでございます。
○塩出啓典君 今回の臨調答申は、昭和五十六年七月十日の第一回答申から先般の三月十四日の第五次答申と、五回に分けられているわけであります。これは、私の理解するところでは、一刻も早くこの臨調の答申を実施に移したい、そういうことで、まとまったところからどんどん出してもらいたいという政府の要望でもあったと理解しておるわけでありますが、しかし五十七年度予算、また今年度の五十八年度予算を見る限り、現実には財政再建は非常に遠のいているという、こういう感じがするわけですが、どこに原因があると考えているのか、大蔵大臣の御見解を承ります。
○国務大臣(竹下登君) 私は、臨調の答申は、いま塩出委員いみじくも御指摘になりましたように、政府側も一つ一つの切れ目切れ目にできたものから出してください、こういうことで小出しではございませんが、今日までいろいろ出していただいて最終答申と、こうなったわけでございます。 そこで、たとえば五十八年度予算そのものを御審議いただいているわけでございますが、その中でもそれぞれ御指摘いただいた問題につきましては、何らかの手をつけ、あるいは将来の方向づけはことごとく行ってきたというふうに自己評価をしておるわけであります。そうして、さらに最終答申において三十三項目を含め御提示されておりますので、これについて忠実に取り組むということは、私は財政再建というものを推し進める一つの要因となるべきものであろう。むしろ、財政再建の一つのめどでありました五十九年赤字国債脱却ということをおくらさざるを得なかったというのは、臨調の問題とは別に、国際経済の不透明感というものに起因するというふうに私どもとしては理解をいたしておるところでございます。
○塩出啓典君 私も予算の全部を見たわけではありませんけれども、たとえば定率繰り入れの停止とか、あるいは補助貨幣回収準備資金の取り崩しとか、あるいは自賠貴保険から受け入れるとか、あるいは今回のいま審議中の日本専売公社の納付金をふやすとか、そういうような見せかけの歳入増というか、あるいは歳出減というか、そういうものによるのであって、本来の財政改革ではないと、そういう判断をせざるを得ないわけでありますが、大蔵大臣として五十八年度予算編成もそれなりに大変な御苦労をされてつくられたことは認めるわけでありますが、大蔵大臣御自身としてどの程度の評価をされておるのか、何点ぐらいの評価ですか。この点どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) この五十八年度予算、私がという意味ではございませんが、各省庁、各方面の御協力をいただいて、現状においては最善最良のものなりとして御審議いただいておるわけでございますから、点数をつけていただくのは塩出委員につけてもらったりとか、ほかの人につけてもらうべきで、自分でつけるほどおこがましくあってはならないというふうに思っております。
○塩出啓典君 それでは、臨調の最終答申には、特に「一般会計歳出の伸びを名目経済成長率以下に抑制することを目指し、当面、より厳しい伸び率の上限の設定等の工夫を図る」と、こういうようにあります。この十年間を見ましても、大体一般会計歳出予算の伸びが国民総生産の名目の伸びより低かったのは、昭和五十年と昭和五十八年度、今年度のみでございます。 先般の委員会で、大蔵大臣は来年度もマイナスシーリングをやるとのお話でございますが、臨調答申のいう「一般会計歳出の伸びを名目経済成長率以下に抑える」という点については、はっきりやっていけるという見通しであるのか、その御決意をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) これは御指摘のように、何よりもまず歳出の節減合理化に努力することが必要でございます。したがって一般会計歳出総額の伸び率を、五十七年度では六・二%、五十八年度予算では一・四%と厳しく抑制したところでございます。 したがって、臨調の答申そのものでございますが、言ってみれば、厳しくやれという答申の趣旨は、歳出削減の努力は今後とも厳しくやれと、こういう大筋の趣旨であると考えております。今後は、国債費の増高などで大きな歳出増加の要因が見込まれまして、なかなか容易ではないと思われますけれども、歳出全般にわたって徹底した見直し、抑制を行うことによりまして、極力答申の方向に沿った努力をしていく必要があると考えております。 ただ、毎年度の歳出規模というのは、そのときどきの経済社会情勢など、諸般の事情を背景にしてきわめて広範にわたる経費を積み上げた結果として出てくるものでございますし、また各年度の名目成長率も年によって変動するものでございます。したがって、具体的な毎年度の歳出規模にあらかじめきちんとした枠をはめていくというのは、現実問題としてはなかなかむずかしい問題でございます。 この点につきましては、この答申を読んでみましても、「一般会計歳出の伸びを名目経済成長率以下に抑制することを目指し」と、こう書かれてあります。そして「より厳しい伸び率の上限の設定等の工夫を図る」と、こういうふうな書き方をされておりますので、答申にあるとおり、厳しい概算要求シーリング枠を設定いたしまして、その活用を図っていくことが現実的なやり方ではないかなと、こういうふうに考えておるところでございます
○塩出啓典君 これは「抑制することを目指し、 当面、より厳しい伸び率の上限の設定」ですから、僕の理解では、少なくとも財政再建期間中はそのようにGNPの名目の伸び以下に予算を抑える、特に当面は非常に厳しく抑えるという、こういうように理解をしているわけですが、いまの大蔵大臣の御答弁では、趣旨は尊重するが、そうむずかしいことを言うてもなかなか経済の変動もあるからそういかぬ場合もあるんじゃないか、できるだけ努力しましょうと、こういう程度と理解していいわけですか。
○国務大臣(竹下登君) これは原則的に、毎年度の予算編成に当たって、一般会計歳出の伸びを名目経済成長率以下に抑制するといたしますと、先ほど申しましたように、いろいろな問題点が出てくると思うんであります。したがって、私が申しましたのは、それを目指して、そしていまいみじくも言っていただきましたように、「当面、より厳しい伸び率の上限の設定等の工夫を図る」と、ここのところが私は問題ではないか。だから、これに従って、まさに概算要求の前に厳しい概算要求シーリング枠というようなものを設定してこれに対応していかなきゃならぬ課題となるというふうに思っております。ただ一般論として申し上げたのと当面と、いみじくも塩出委員御指摘になりました点については私も同感でございます。
○塩出啓典君 私は、それは大蔵大臣がそういうお考えじゃないかということを言ったわけで、私の意見としては、財政再建の、これは五年か七年かわかりませんけれども、その間は歳出をカットするという精神から、この臨調の姿勢を断固貫く決意で私は進むべきではないかと、そのように思うわけですが、そういうお考えはないかどうか。
○国務大臣(竹下登君) 私はこれを体してやるべきであるというふうに考えております。だから、その後段にあります、厳しい概算要求シーリング枠を設定して、その活用を図っていくというようなことは、御指摘そのものも現実的な御指摘であると思っております。
○塩出啓典君 ことしの予算は、歳出が五十兆円余で、税収が三十二兆円余りであります。歳出の中には五十六年度決算不足補てん分の繰り戻し等も含まれるわけでありますが、そういう点を除いても、歳出に対して税収は約十六兆の開きがあるわけであります。もちろん税外収入とか、そういうものもあるわけでありますが、大体この開きをどの程度まで詰めれば財政再建ができたと考えておるのか、これを伺っておきます。
○国務大臣(竹下登君) これも計量的にきちんと申し上げるということはかなりむずかしい問題でございますけれども、確かに歳入総額に占めます租税収入の割合は低下しております。まさに五十八年度予算は六四・一%、こうなっておりますので、現状のままでは、中長期的に見まして収支を均衡させて財政の健全性を回復するということは、確かにほど遠い感じがいたします。 そこで、きわめて流動的な現下の社会経済情勢のもとにおきまして、歳出に占める税収の具体的な比率を目標としたり指標とするような財政を行っていくということは、かなりそれは困難な問題でありますが、ちなみにイギリス、フランスなど主要国におきまして、わが国もまた四十年代までは、おおむね租税収入の割合が約八割となっておりましたので、この辺を目安にするという物の考え方ではないか、こういうふうに考えておるところでございます。
○塩出啓典君 そうしますと、かなり税収と歳出の大きな差があるわけでありますが、経済企画庁は、去る一月に「昭和五十七年経済の回顧と課題」という中でいわゆる財政赤字というものを分析して、循環的赤字と構造的赤字、裁量的赤字、こういう三種類に分けて分析をしておりますが、特にこのうち循環的な赤字——私の理解するところでは、経済は常に循環するわけで、一時の好況、一時の不況、そういうものを循環と考えた場合、そういう循環的な景気の不況による赤字という意味であると思うのでありますが、これが昭和五十四年、五十五年、五十六年、五十七年と急速に拡大しておる。昭和五十七年度はこの財政赤字のうちの約四割は、四三%程度は循環的赤字であるという、こういうような見解を発表しておるわけでありますが、大蔵省としては、今年度の財政赤字について、この経済企画庁のような考え方についてはどうお考えであるのか、あるいはそういう分析をされておるのかどうか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(平澤貞昭君) ただいま委員がお話ございましたように、財政赤字には、一つは景気動向により生ずる赤字、いわゆる循環的な赤字と、それから景気動向にかかわりなく生ずる赤字、構造的赤字があるわけでございます。 この点につきましては、先ほど委員が御指摘なさいましたように、五十七年度の白書においても、いわゆる完全雇用赤字というものとしてとらえて、これを構造的な赤字というふうに言っておるわけであります。 しかしながら、現在の財政の抱えている赤字のうち、どの程度が構造的なものかということを見るのは、きわめてむずかしいわけでございまして、一概にこの程度の額ということはなかなか申し上げられるものではないと考えるわけであります。 ただ、いずれにいたしましても、現在の歳出総額に対する国税収入の割合が約六割でございます。五十八年度予算では六四・一%ということでございますので、現状のままでは中長期的に見て財政の収支が均衡していくのはなかなか困難であるというふうに考えるわけでございます。 この点につきましては、先ほど大臣の御答弁にございましたように、この六割合というものが八割となるのが一つの目安というふうな御答弁がございましたが、その辺も頭に入れながら考えていくということではないかと思うのであります。
○塩出啓典君 そうしますと、経企庁のような分析は大蔵省としてはやっていないと。また、そういう経済企画庁のような見方はとらないと理解していいわけですか。
○政府委員(平澤貞昭君) このいわゆる経済白書にございます完全雇用赤字の推計は、 〔委員長退席、理事大河原太一郎君着席〕 これは、この白書でも指摘いたしておるわけでございますけれども、たとえば生産関数とか、それから完全雇用水準と考えられる完全失業率等のとり方等々、それによってこの結果がかなり大きく変わるということもございまして、大蔵省としては、これにつきましてはいろいろ研究はしておりますけれども、具体的に申し上げられるようなものは現在持っておりません。
○塩出啓典君 その点、これは大蔵大臣にお尋ねしたいわけですが、経済企画庁の考え方から言いますと、先ほども予算と税収との差が六四%で、かなり四〇%に近い差があるわけですが、その赤字の四割が循環的赤字であるということになりますと、ちょっと景気がよくなると、いまは不況であるが正常な状態になれば、そのうちの四割が回復して税収がふえる、こういう見方じゃないかと思うのですけれどもね。そういう点、先般から当委員会においても景気対策ということが問題になりまして、しかし大蔵大臣の御答弁は、いまの五十七年度予算で補正をした目標値を達成するのが景気対策であって、そういうような感じから言いますと、いまの日本経済というものが非常に異常な不景気であり、将来は正常に返ればもっと税収の面で非常に希望の持てる状態になる、そういうことを経企庁は言っておるんじゃないかと思うんです。 そういう点で、大蔵省としては、今後の税収増について明るい展望を、かなりの伸びを期待しておると理解していいのかどうか、その点についての御意見を承ります。
○国務大臣(竹下登君) これもむずかしい問題でございますが、私が先日以来申し上げておりますのは、成長率が実質で三・一%というのが五十七年度では達成できるという、自信と申しましょうか、確信はほぼ持てるに至った。私どもがいまいろいろ御議論いただいております五十八年度の経済見通しというものは、実質三・四%程度の成長 というようなものを下敷きとしていろいろ議論をしていただいておるわけであります。 したがって、その数値が増せば増すほど、それなりに景気という面から見ていい面があるということは、否定するものではございませんけれども、長い間高度経済成長というものの中に私どもの体がなれてしまって、景気対策といえばかなり大きい数字を念頭に置きがちなものである。だから当面の景気対策あるいは経済運営の目標というのは、この三・四%というものをより確実なものとして定着さしていくということが、低成長下におけるわが国経済のあるべき現状からする目標ではないかなと、こういうふうに考えて申し上げたわけであります。 したがって、これからの景気によって生ずる自然増収というものは、これはいまの時点で最良最善なるものとして御議論いただいておる予算は、歳入歳出を含めまして、いろいろそういうものに基礎を置いて積み上げたものでございますので、いまにわかに自然増収が生ずるであろうということを申し上げる段階にはございませんが、逐次——アメリカ等の若干の景気の底離れでございますとか、あるいは引き続き堅調な消費の伸び、物価の大変な安定。 前年同月比、きょう発表されましたものも一・九%、こういうことでございまして、前月比たしか△〇・四%であったかと思うんでありますが、そういう物価の安定ぐあい等からいたしますならば、いま御指摘のように、自然増収等が出ることは心から期待をいたしておりますという表現にとどまるべきものではなかろうかというふうに考えております。
○塩出啓典君 五十六年度は三兆円、それから五十七年度は六兆円、これは当初予算に対して税収不足でありますが、特に補正後の税収の見込みにも足りなかったのは昭和五十五年、五十六年、五十七年——五十七年度も恐らく足りないであろうという先般の本委員会での御答弁でございますので、三年間続いておる。特に五十六年度では補正後三兆円も不足をしておるわけですね。このような大きな狂いというのは昭和五十年のとき以外にはないわけであります。いままではいつも政府の税収見積もりが少ないんじゃないか、弾性値が低過ぎるんじゃないかということで、大分国会でもいろいろ論議をしてきたわけでありますが、最近は、今度は粉飾見積もりじゃないかと逆になって、どうも大蔵省の見通しの狂いが最近は非常に多いような、そういう気がするわけですが、そういう点についてはどう考えるのか。高度成長から低長成に移って、経済の体質が変わったと見るのか。その点のお考えはどうでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) ただいま委員が御指摘になりましたように、特に五十六年度、五十七年度、当初見積もりを大幅に減額し、しかも五十六年度の場合は決算上、補正後さらに大きく下回ったという意味において、当初の税収見積もりに大きな狂いが生じたわけでございます。 〔理事大河原太一郎君退席、委員長着席〕 税収というのは、結局は実体経済をそのまま反映しているものでございますので、このように大幅な税収減が生じた基本的な原因は、第二次オイルショックの調整過程の中で世界同時不況と申しますか、世界経済、国内経済ともに、急激に基調が変わったということでございます。 ただ、これは当然のことでございますけれども、税収見積もりを担当する私どもといたしましては、そういう実体経済に即応した見積もりを立てる務めを持っておるわけでございますが、若干弁解になりますけれども、そういう実体経済の急激な基調変化と同時に、税体系として、わが国の場合は法人税のウエートが非常に高いわけでございます。今回の税収の急激な減も、法人税、それから所得税もそうでございますが、こういう利益とか所得が非常に急激に変化をするということでございます。 したがいまして、私どもは今後ともこういう流動的な経済情勢のもとでは、常に実体経済をよく見つめますとともに、税収見積もりというのは、年度税収といいますか、一定の期間内に一体税金が幾ら入ってくるかということを見積もるわけでございますので、もう一つ技術的な工夫を要する面もあるわけでございます。 この二回の経験を将来に生かす意味で、私どもといたしましては、特に法人税収等について従前以上に、マクロ経済の動きだけじゃなくて、個々の企業の実際の動きを情報として早くキャッチできるような工夫をしながら、今後とも見積もりの精度を高めるように努力してまいりたいと考えておるわけでございます。
○塩出啓典君 大体いままでは一・二とかそういうような弾生値で考えていたようでありますが、今回の中期試算では一・一をとっておると、このように聞いておるわけでありますが、一・一というのはどういう考え方であるのか。
○政府委員(梅澤節男君) マクロ的に税収を一応推計いたします場合に、GNP弾性値というものを手がかりにするという手法を従来からとっておるわけでございますが、過去の弾性値の動きを見てまいりますと、四十年から四十八年の平均の弾性値が一・四でございます。この期間は第一次オイルショック直前のまさに高度成長経済時代の高い弾性値を反映しておるわけでございますが、その後、つまり四十九年から五十六年までの実績弾性値をとってみますと、これは〇・九二、一を割っておるわけでございます。 ただ、わが国の税体系から見まして、通常の経済の動きを考えます場合に、法人税それから所得税合わせまして、直接税が七割を占めているような税体系のもとで、弾性値が理論的には一を下回るということはあり得ないわけでございますが、この四十九年から五十六年度は二回のオイルショックを含む非常に経済が急激に下の方に変化した時期でございます。 今回の中期試算を策定するに当たりまして、弾性値をどのように置くかということはいろいろ内部で議論したわけでございますが、ただいまも申しましたように、高度成長期よりも名目成長率が低くなる傾向があります安定成長期では、弾性値は当然理論的にもこれは低まってまいります。 それからいま申しましたような過去の経験から見て、一を下回るということはあり得ないわけでございますが、ここ二、三年の見通しであるとすれば、平均して一・一と置いてそう不合理ではないという結論を得まして、今回の試算では一・一を採用しておるわけでございます。
○塩出啓典君 大蔵省は今回、財政の中期試算でございますか、これを発表いたしました。しかし毎年のごとく要調整額をどうするかということは今後の問題に残されておるわけですが、先ほどからお話がありましたように、税収も名目成長率よりは多少はよく入ってくるわけですけれども、しかし余り多くは期待できない。そうすると、どうしても名目成長率以下に予算を抑える。それか、あとは増税しかないということになってくるわけであります。 これはいつも言われることでありますが、そういう点を中曽根内閣として、また竹下大蔵大臣として、大体予算の伸びはこの程度にして、そうして要調整額をこういう形で埋めていくという方針をはっきり示すべきである。今回の予算委員会には間に合わなかったにしても、早急に財政再建の中期計画を政府がっくり、そしてそれをもって国民の皆さんにも協力を求めていくべきではないか。そういうことが、財政再建というものがどういう状況であるかということをもっと国民にも理解をさせるためにも私は必要ではないか、そのように考えるわけですが、大蔵大臣の御意見をお尋ねいたします。
○国務大臣(竹下登君) そこのところがまさに、結局、ここのところ五年あるいは極端に言うと十年、財政再建という言葉が本委員会等においてかまびすしく議論をされるようになった、あるいは五十四年からとでも申しましょうか、一番このポイントの議論になるわけでございます。 そこで、まず初めにお出しいたしましたのが、いわゆる収支試算、それから中期展望、それから 中期試算、こういうふうに変わってきたわけであります。これは本院のみならず、衆議院で毎回矢野書記長から厳しい批判と要求を受けながら精いっぱいのそれに対応する姿としてお出ししてきたわけであります。したがって、国民に協力を求めるために財政再建の中期計画を示すべきだというその理念、これは私は尊重すべきものであると思います。 しかし、この変動する国際経済社会に対応する自由主義経済の基盤の中に、なかなか仰せの理論に見合うような計画性を持った指標が出し得ないで今日まできておる。しかし、そうした鞭撻にこたえて絶えずそうした理念に近づくための努力は継続して今日に至っておるというふうに御理解をいただきたいところであります。
○塩出啓典君 私たちもいろいろ中小企業の経営者等にお会いして、景気対策をしてくれという意見はもちろんないことはないんですけれども、はっきり方向が決まらないという。政府が増税でいくならば増税の構えでいかなければいかぬし、本当に景気対策でいくんなら景気対策の構えでいかなければいけませんしね。ところが、要調整額を歳出カットで徹底的にやるのか、あるいは増税でやるのかというそのあたりの方針がはっきりしていない。もちろん歳出カットで全部できるとはだれも思ってはいないと思うんですが、しかしどの程度まで歳出カットでやって、そして増税でいくのかという、そういう方針がいつも政治的にカムフラージュされて不明確であるということは、私は非常によくないんじゃないかと思うんですね。そういう意味で、その点はひとつ勇気を持って責任ある方針を明示をすべきではないかということを御意見として申し上げておきます。 次に、最近の新聞の報道等を拝見いたしまして、国税庁はいろいろな業種の税務調査をして、ある新聞では、ソフト産業に非常に手を入れているとか、こういうことが言われておるわけであります。国税庁も税の聖域化をしないようにいろいろなところへ気を配ってがんばっているんだなという、そういう感じは私もしておるわけでありますが、最近のこういう税務調査の方針、特にこういう面に力を入れている、こういうものがございましたら御報告いただきたいと思います。
○政府委員(角晨一郎君) 税務調査は基本的には、税務行政の一環といたしまして適正、公平な課税を期するということでございます。その実行に当たりましては、申告納税制度が本当の形でワークするように、納税者の理解と協力がそれによって高められるような形で運営しなければいけないと思っておるわけでございます。したがいまして、これは従来からそうでございますけれども、高額事案ないしは悪質事案を重点に調査対象に選定をいたしておるわけでございます。 それで、そういう高額、悪質事案については、念を入れまして相当の日数をかけて徹底した調査をするという方針で臨んでおるわけでございます。ただいま先生も御指摘になりましたように、税に聖域を設けないように社会事象に目を配りながら調査対象を選定し、高額、悪質重点の調査運営を行っておるところでございます。 最近の調査の状況を若干申し上げますが、最近まとまりました申告所得税の五十五年分ないしは法人税の五十六事務年度の事績なしいは最近の査察事績でございますけれども、申告所得税で申しますと、全国で十四万七千件ほど調査をいたしまして、増差税額千九十四億円ということでございます。また法人税につきましては、十八万七千件を調査いたしまして、増差税額が三千三百億余となっております。また五十六年度に行いました査察事件、全国で二百三十五件でございますが、増差税額で申しますと三百十億円ということになっておるわけでございます。
○塩出啓典君 昨年ですか、国税庁が社会保険の診療報酬の不正請求を調査したという、こういう記事が出ている。私は、これは厚生省がやることじゃないかと思ったんでありますが、国税庁がやったのですね。国税庁として、税金だけではなしに、不正請求とか、こういう問題までも従来やってきたのかどうか。その点はどうなんですか。
○政府委員(角晨一郎君) いま御指摘の昨年の不正請求、診療報酬の水増し請求の調査でございますけれども、従来は社会保険診療報酬につきましては、措置法の規定によりまして、必要経費の特例が認められておるわけでございますので、特にこれに焦点を当てた集中的な調査というのは行っていなかったわけでございますけれども、事例として出ております不正請求につきましては、この措置法二十六条の経費の特例の規定が働かないということが法律的にあるわけでございますので、そういう不正請求で経費の特例について税務上否認すべきものがないかどうかというのを、いわば五十五年分の一般的な事後調査の一環として行ったわけでございます。
○塩出啓典君 そうすると、この不正請求は返したわけじゃないんですね。
○政府委員(角晨一郎君) これはあくまで私どもは税務調査として行いましたので、税務上否認をしたということでございます。
○塩出啓典君 新聞の報道では、もちろん請求金額等が異常に高いところに目星をつけてやったと思うんですが、六割が不正請求しておる、不正請求金額は二十六億六千万だと。厚生省独自としてやっておる不正請求の金額は、五十四年度十億四千万、五十五年度十六億、五十六年度十一億六千万。これは新聞の記事で、私調べたわけではございませんが、そういう点に比べて厚生省の調査が非常に甘いという、そういうことが言われておるわけでありますが、調査の実感としてはどうなんでしょうか、そういうことは事実であるのかどうか。
○政府委員(角晨一郎君) 五十五年分の事後調査の中で、先ほどお答え申し上げましたような調査を行ったわけでございます。 全国で五百九十五件を調査いたしましたが、三百六十六件について不正請求が認められまして、不正請求額は二十七億円ということでございました。 私ども、調査対象といたしましたのは、社会保険診療報酬に対する患者負担の割合が極端に低いケースないしは医師一人当たりの社会保険診療報酬が異常に高いというようなケース、両方ともいわば不正請求を行っている疑いが非常に濃厚であるというものを抽出して調査をいたしたわけでございます。二十七億円の総額を一件当たりに割りますと、七百二十六万円ということになっておるわけでございます。 私ども、税務の担当でございますので、この金額についての評価というのを別途どういうかっこうでするかということにつきましては、特に申し上げることもないわけでございますが、事後調査の一環として調べたところ、そういう事実が判明しておるということでございます。
○塩出啓典君 大蔵大臣、大蔵大臣は大蔵省の責任者であるとともに、内閣の閣僚の一人でもあるわけです。もちろん診療報酬の問題は直接は税金の問題とは違うわけですけれども、しかし国民が非常に不信を抱いているものの一つがそこにあるんじゃないかと思うんで、そういう点について内閣の閣僚としても、また公平な政治の実現のためにも、こういう問題は厚生省ともよく話し合って——これは全体が悪いわけではない。一部でもそういうことが起こらないようにやってもらいたいと思うんですが、大蔵大臣の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) この問題、税務調査に当たりましては、収集した各種の資料、情報等を分析、検討した上で、高額、悪質事案を重点的に調査対象に選定して行う、そのことが誠実な納税者の信頼にこたえる、こういうことになるわけでございます。 したがって、ただ税務調査の面から見ました場合に、診療報酬の問題、これは厚生省の問題でございますので、国の内部とはいえ、一つの守秘義務の問題というものは存在するわけでございます。したがって、一般的に不正、高額と言われる点についての調査、一つの診療報酬というものの みを対象にした調査、こういう考え方ではなく、結果としてそのような点が出てまいりましても、出てきた結果を総合的に体しながら対応していくということで期待にこたえていかなければならない課題であるというふうに考えております。
○塩出啓典君 それから少額貯蓄非課税制度の問題でございますが、現在約二百兆と聞いております。いわゆるマル優制度、これを非常に悪用するというか、こういう事犯が当委員会でも何回か報告されたことがあったわけであります。大体国税庁としては今日までどういう調査をしておるのか。どういう調査というか、大体三兆円ぐらいが悪用であるというように聞いておるわけですが、そのあたりの何か見解を持っているのかどうか、これをお尋ねしておきます。
○政府委員(角晨一郎君) 私ども従来から、金融機関等に対します源泉所得税の調査、指導というのをやっておるわけでございまして、その過程でマル優の不正利用の是正に努めておるわけでございます。最近の事績で申しますと、五十六事務年度では全金融機関の店舗の一〇%に相当します約三千八百件につきまして調査、指導を実施しておりますが、そのほとんどの店舗でマル優の不正事例が発見されておるということでございます。その中には限度超過のほか、架空名義とか、借名とか、そういう形でのマル優事例もあるわけでございまして、この一〇%に相当する三千八百件の調査によりまして、不納付加算税ないしは重加算税も含めまして約九十億円を追徴しておるわけでございます。 五十六年度別途査察調査をいたしまして告発処理した百六十七件を集計してみますと、公表帳簿に計上されていない、いわゆる別口預金が百四十六億円ございましたが、このうち仮名預金が百一億円、その仮名預金のうちマル優などを利用して非課税になっていたものが三十七億円ということでございます。 いま申し上げた査察調査の例は、脱税事件として告発の処理をした、いわば最も悪質な事件でございますので、これから全般のマル優の利用状況を推測することはできませんけれども、私ども源泉の調査、それから査察調査、そういうものなどを総合的に調査、指導を行っておるというのが現状でございます。
○塩出啓典君 これは三千八百の支店に調査をしたというわけですが、そういうマル優の悪用でもその支店だけでわかる悪用——仮名預金であるとか、あるいはそこで何口もやっている場合はわかっちゃうと思うんですね。しかしそういう人は必ずしも一支店だけではない。ほかの支店、あるいはほかの金融機関、あるいはほかのランクの金融機関を利用する場合は、よく見つからないと思うんですね。いまの調査というのは、そういう個々の支店ごとに見てそれだけの不正が摘発されたと理解していいわけですね。
○政府委員(角晨一郎君) 私どもは、店舗ごとの調査とともに——現在非課税貯蓄申告書は金融機関から税務署に提出されますので、多種類多店舗という制度ではございますけれども、それぞれの申告書が税務署に提出されております。したがいまして、この枚数というのは、三十八年以降累計いたしますと、三億枚に近いという枚数でございまして、きわめて膨大なものでございますので、これを悉皆的に名寄せを、整理するということは事実上むずかしいわけでございますが、私ども事務量の許す範囲で、また抽出方法なども十分工夫しながら名寄せを行っておりますので、その事績も現在申し上げました数字の中には入っておるわけでございます。
○塩出啓典君 名寄せは大いにやってらっしゃるということなんでしょうが、この三兆円というのは、大体国税庁として正式に推定をしている数でございますか、三兆円というのは。
○政府委員(角晨一郎君) 先ほど申し上げましたように、最近の調査、指導の事績では九十億円を追徴しておるということでございます。その九十億円というのはいわば加算税も含めました源泉所得税額でございますので、これから元本を推計するということでございますけれども、私ども源泉徴収税額を集計しておりまして、その元本については集計をいたしておりません。したがいまして、これからどのくらいの元本になるか、またその調査したものの非違が九十億円でございますが、それからほかの状況が推しはかれるかということになりますと、ちょっと正確なお答えができかねるということでございます。
○塩出啓典君 大蔵大臣、私らがこの委員会で聞いてるお話でも、何億のお金をこういうように分散してるとか、こういうような例が発見されておるわけであります。まあ現在の体系ではなかなかこれはどうしようもない。一応書類が税務署へ送られますけれども、何億枚という数の書類で、コンピューター化されてるわけでもないし、実際にはそれはできないわけでありまして、そのためにグリーンカードという制度ができたと思うんですね。 こういうような道理に合わない、しかも悪い人が得をするような姿をずるずると解決を先に延ばすということは、私は非常な政治不信にもつながっていくと思うんですね。そういう意味で、グリーンカード制度というのはマル優のチェックと総合課税という二つの目標があったわけですが、その苦労の末できた法案もいろんな諸般の反対に揺れ動いて三年間凍結されるという現状なんですがね。 で、何となく世間では、グリーンカードはもう流れたと、こういうような印象で受けとめてる人が多いわけでありますが、少なくともマル優の悪用を防ぐために何らかの処置をちゃんとやるべきじゃないか。きょう午前中の参考人の方は、総合課税の方は先に延ばしてもいいから、グリーンカードのこのチェックだけはやるべきではないかと。これは一つの現実論、段階的に物事を進めていくという考えから見れば、私は一つの意見だと思って拝聴したわけですが、少なくともそのあたりぐらいは、大蔵大臣として、いろいろ反対があっても頑として守ってもらわなければ将来が思いやられると思うんですが、その点御見解はどうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 御指摘のように、このたびお願いいたしておりますのは、まさに三年間延長しようということであります。そこで、その間に、源泉分離課税制度を含めまして、利子配当課税制度全体を現行のままとするということを提案しておりますが、適正、公平な利子配当課税を実現するという政府の基本方針、これは変わりがございません。したがって、今後当国会での御議論等を踏まえまして、改めて税制調査会で検討していただくと、こういうことにしておるわけでございます。 で、その間にもこういろいろな工夫をすべきであるという御議論がございますが、何分国民の非常に多くの人々に関係する問題でございますので、三年間、そしてそのあるべき方向についての結論は可及的速やかにということで、あらゆる予断を持たないで、そして税制調査会に本委員会等での御議論を御報告申し上げ、その中で検討していただく。しかし、重ねて申し上げますように、いわゆる適正、公平な利子配当課税を実現するという基本方針を貫いていくという考え方には変わりはございません。
○塩出啓典君 審議会にいろいろ諮ることもいいと思うんですけれども、こういう問題は全員一致でいいというのは余りないと思うんですね。 〔委員長退席、理事大河原太一郎君着席〕 そういう意味で私は、ある程度大蔵大臣がリーダーシップを持ってやっていただきたいと、このことを要望しておきます。 それからいまの庶民から見て非常に納得のいかない制度としていわゆるパートですね。最近は婦人のパートに行く率が非常に高まっております。これはいろんなデータから出ています。ただ、パートの場合は七十九万円までが非課税でありますが、これが八十万、一万ふえるだけで税金がたくさんかかるわけですね。もう七十九万で、それ以上働いたら損だからということで、こういうのは 非常によくないんじゃないか。しかも、いろいろ聞いてみますと、パートの人たちは、それを理由に、あなたの賃金を上げると税金がかかりますから、もうこれでがまんしなさいということで、パートの人が賃金を安く抑えられる。そういうことになっておるわけです。税金というものは一つの連続性を持って、働けば働くほど収入もふえる、こういう制度でないとね。ちょっと働き過ぎるとうんと税金を取られる。 特に国家公務員の場合は、扶養手当のカット分を含めると、七十九万は無税でも、八十万の場合は、税金が三万五千円、健康保険が一万三千円、扶養手当が十四万四千円、合計十九万三千円も減る。扶養手当は別としても、税金だけでも三万五千円ふえるわけでありますが、こういうのを是正をすべきではないか。 それからいつも内職とパートの問題ですね。同じように仕事をしてても、内職の場合とパートの場合とは違う。パートの場合は七十九万円、自宅で内職する場合は二十九万円が限度である。こういう点も庶民から見れば非常に納得がいかない。またこういうところを強化したからといって、税収は本当に大したこともないし、そういうことに気を使うだけ税務職員もオーバーロードになっちゃうんじゃないかと思うんですが、そういう点は、いまのこういう婦人労働がふえておる、パートや内職がふえておるという現状から見て、私は来年度の税制において改正をしてもらいたい。この点はどうでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) 御指摘が二つあるわけでございます。パートの七十九万円という現在の限度につきまして御指摘がございましたけれども、いずれにいたしましても、限度を決めるというやり方にいたしますと、限度をどこで設定いたしましても境目で必ずこの問題が起こるわけでございます。したがいまして、この問題を基本的に解決するためには、たとえば夫婦合算のようなやり方とか、いろいろ方法が考えられるわけでございますけれども、毎度申し上げておりますように、現在のこの七十九万という限度額は、現在の人的控除の体系から言いまして、これはぎりぎりの限度でございまして、これ以上引き上げるということは、現行の控除体系では逆転現象が起こりますので、この制度については各方面からいろいろ御指摘があるわけでございますけれども、今後の検討課題というふうに考えております。 それから内職とパートの比較でございますが、これも御案内のとおり、パートというのは雇用契約に基づくものでございますから、所得税法上の所得の種類は給与所得でございます。したがいまして、この七十九万円というのは、配偶者控除の所得限度である二十九万円と給与所得控除の最低保障額五十万を足して七十九万円、つまり収入ベースで七十九万円まではだんなさんの税金を計算する場合の配偶者控除の対象になるし、御本人にも税金がかからないということで、七十九万円というふうに言われておるわけでございますが、通常内職と言われる場合は、これは雇用契約に基づく収入じゃございませんので、所得税法上は雑所得もしくは事業所得ということでございます。したがって、所得計算は、通常のルールに従いまして、収入から必要経費を差っ引いた所得の額が二十九万円以下であれば、同じく配偶者控除の対象にもなるし、御本人にも税金がかからない。その意味では、パートと内職の間に所得税法上の扱いとしてはバランスがとれておるわけでございます。ただ、いま言いましたように、内職の場合は必要経費というものが、事柄の性質上、給与所得のようにたとえば五十万という固定された概算控除額がないものでございますから、そういう表示がされておらないということでございます。 この内職の問題につきましては、事柄の性格上、非常に零細な事業で、所得計算をなさる場合にいろいろと手間がかかるという問題もございますので、法令の許す範囲におきまして、国税庁におきましてなるべく実態に即した取り扱いをするというふうにいたしておるわけでございます。
○塩出啓典君 だから、前の方は、私は限度を上げる——上げるのも大事なことですけれども、ここで上げろとは言ったんじゃないんで、上げても今度はその上に逆転現象が出るわけですから、それを連続的に働けば働くほど収入もふえる、もちろん税金もふえてもいいんですけれども、そういうように接点を工夫してもらいたい、こういうことなんです。 それと、いまの問題については、各税務署において非常に現実に即してやる。同じ仕事をやっているのに、そこへパートに来て働くのと自分の家で働くのと、一方は七十九万円、一方は二十九万円というのは不公平ですから、現実に即してある程度——大半はやってくれていると思うんですけれども、それならもうちゃんと、内職などをやる人は生活的にも非常に苦しい人が多いわけですから、同じようにすべきではないか、こういうことを申し上げたわけなんですけれどもね。 そうすると、あれでございますか、たとえば仕事をする場所は自分の家で仕事をしても、要は仕事を発注する人との間に雇用契約があるかないかという、そこが判断の分かれ道になると、このように理解していいわけですね。
○政府委員(角晨一郎君) 実際の取り扱いといたしましては、雇用主から源泉徴収票が出る、ないしは日雇いのように日々給与が精算されるという方につきましては、源泉徴収票にかえて給与の支払い明細書が出てまいりますが、雇用主からそういうものが出てこられた場合には給与所得として取り扱うという趣旨を各税務署に徹底しておるところでございます。 また、若干追加して申し上げますけれども、これは要すれば事業所得か雑所得か給与所得か、こういう問題でございますけれども、いまお答え申し上げましたのは、そういう源泉徴収票なり給与支払い明細書が出てくれば給与所得として取り扱うということでもございますし、また事業所得または雑所得の計算上なかなか一々経費を記帳できないというような場合には、おおむね三〇%をめどにした概算的な経費を認めると、こういうことで全国の税務署に指示をいたしておりますので、その取り扱いは全国共通して現在行われていると思います。
○近藤忠孝君 昨日指摘した補助金の問題に加えて、財政投融資の予算における大企業優遇やあるいはむだ遣い、むだの問題ということについて質問したいと思います。 五十八年度の財投予算は、郵貯の伸び悩みや補助貨幣回収準備資金の取り崩しなどもあって、原資面で前年を下回ることになったために、政府保証債など市中資金の調達によって、財投全体としては二十兆余、前年比は約二%増、こういう予算になっています。 ところが、機関別に見てみますと、事業ベースで輸銀が一五・三%増、石油公団が三二・一%増、金属鉱業事業団が三四・八%増と、これはここで大幅な伸びを示しておるわけです。また開銀は、全体としては二%の伸びですが、そのうちエネルギー、電算機関係、これはいずれも大企業向けだと思いますが、これについては六・四%の伸びと、こういうのが実態だと思います。片や中小公庫の方は、事業ベースでは三・三%、国金が三・二、商工中金が三・八という状況ですね。輸開銀の融資はこれは言うまでもなくほとんど大企業向け融資。大企業向け融資が大幅に伸びて中小企業向けが伸びないという状況です。しかも電算機振興あるいは低レベル放射性廃棄物処分、基礎素材産業活性化、こういうために大企業向けに新たな特別融資制度が設けられている。 こういう状況を見てみますと、財投についても財政再建の立場から徹底的に見直しが必要じゃないか。特に大企業向けの融資について、これは金利やあるいは融資比率、あるいは補助対象、こういう点について過大な企業保護にならないようにすべきではないかと私は思うんですが、これについての大臣の考えはどうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 財政投融資計画の問題であります。財投計画というものについて、よく大企業向けでございますとか、あるいは中小、国民 金融公庫等々の問題が議論されるわけでございますけれども、この大企業においていろいろな採算ベースに乗らない問題が、かつてで申しますならば国際競争力に対応するため、あるいは今日の時点で申しますならば公害防止とかエネルギー対策とか、そういう問題には、政策金融というものがあることが結果として国民全体にそれが利益することでありますので、大企業だから悪いとか、そういう議論とは角度が違う問題ではないかというふうに理解をしております。
○近藤忠孝君 公害とエネルギーを挙げられましたですね。たとえば代替エネルギーについてあれほど補助したり、あるいは融資等で援助したことが、むしろ逆によかったんだろうか。いま石油がこういう状況になってきてみますといろいろ問題もあるわけですよ。それから公害だって、これはまさに自分たちでやるべきことを逆に国が援助するという点でこれも過保護ではないか。しかもその過保護になる対象が大企業が圧倒的に多い。補助すべきなのは、こういう時期においてはむしろ中小企業ではないかというんだけれども、そこは伸び率も少ない。そういう点を見て私は指摘しているんですが、大臣の答弁はそれに対する答弁にはならないと、こう思うんです。
○国務大臣(竹下登君) これは確かに社会経済的要請に即して弾力的に運用していくわけでございますから、最近では住宅あるいは生活環境施設、中小企業等の国民生活の向上と福祉の充実に資する分野については、これは重点的に行われておる。いわゆる第一から第六分類でいま計約七割、こういうことになるわけであります。だから今度もこの政府関係中小企業金融三機関の貸出額の拡充というようなものには配慮をしておるということでございます。 大企業だからといっても、いまエネルギーの問題についての御批判がありましたが、エネルギー問題というのは、特に気をつけないといかぬのは、私なりに個人的にも最近原油価格の値下げの問題からくる課題として非常に注意しなきゃならぬと思っておりますのは、要するに原油価格が下落した、したがってその代替エネルギーとか、そういう問題の開発であるとかということがむしろネグレクトされる傾向が生じてきた場合に、わが国の国民経済全体の将来にわたって、あるいは大きく言えば人類全体においていま大変気をつけなきゃいかぬ問題じゃないかというふうな認識を持っておりますだけに、大企業だからそれらのものはその責めに帰するものではないという論理は、私どものとるところではないというふうに考えております。
○近藤忠孝君 これは基本的考え、立場が違うようですから平行線になると思うので、意見を述べておくにとどめます。 もう一つの問題は、これは臨調答申でも触れていますが、財投についてはわかりにくいので、財政投融資の残高の一覧表など、各種資金がどのように使われているかなどについて情報公開するように求めておりますが、この点についてはどういたしますか。
○国務大臣(竹下登君) いまおっしゃいますとおり、臨調最終答申「第七章 予算・会計・財政投融資」の中の「4 財政投融資」というところでございますが、「一般に分かりにくいという指摘があるが、特に以下のような点を含めて、財投を国民に対して分かりやすく示すよう更に情報公開を図るべきである一、こういうことでアイウとなっておるわけです。 したがって、まず財政投融資計画の内容は現在すべて予算に計上されておるということ、それから国会の議決を得ることになっておるということ、それから実績については決算書に添付して国会に提出するということのほかに、財政投融資計画の説明などの各種資料を配布しているところでございます。それからまた資金運用部資金の毎月の状況につきましては、資金運用部月報として資産、負債の主要項目別の計数を公表しております。そして、この財政投融資の内容を明らかにそのようにしてやっておるわけですが、国民に対してわかりやすくとの御指摘をいただいたばかりでございますので、これを踏まえて今後ともさらに多くの方々に理解をいただけるように努めていかなきゃならぬなという基本認識は持っております。 ただ、ものの手続としては、それなりの手段は今日までとられてきておる。それなら具体的にどういうふうな方法がいいかというようなことは、指摘されておりますだけに、検討すべき課題であると思っております。
○近藤忠孝君 次に、これは先ほど来触れられているグリーンカードの問題に関連して、利子配当の総合課税への移行問題です。これは私十八日の本会議でこういう質問をしたつもりです。竹下大蔵大臣は衆議院本会議の答弁で、今回の凍結の理由として、総合課税移行を前にして金(きん)、ゼロクーポンへの資金のシフトが起こったことと、これら関係者による理解、協力が得られなかったことを挙げている、これら関係者とは巨額の脱税資金や裏金を繰る大資本家や政治家のことだと思うが、彼らが不利になることに理解や協力をするはずがないではないか、したがって理解や協力を前提とするそのことが凍結の理由になっているということであれば、永久に総合課税はできないことになりゃしないか。こういう質問をしたんですが、答弁はそっけなく、将来移行する決意でありますと、決意だけ述べられましたね。しかし問題は、先ほど来議論になっている三年後に果たしてどうなのかという問題がありますね。その場合に、そういう対象となる人々の理解や協力をどのように得ていく努力をするのか、それが第一点です。 なかなかむずかしいと思うんですよ。きょうも午前中に参考人、学者の先生が見えました。そうすると、移行するとみんなブラックマネーになりかねないという意見も出ました。そういう人々に協力を得ることはなかなかむずかしいんじゃないか。そうすると、得られるまで努力をしていくのか、努力をしたけれども一定の段階で踏み切っていくのか、この辺についてのお考えはどうですか。
○国務大臣(竹下登君) この問題は、今度御審議いただいておって、これを通過さしていただいた後、この利子配当課税そのものの適正化について税調に国会の論議を踏まえて諮問をして結論を出していただく、そしてそれは可及的速やかに期待をしております。そして、もろもろの準備をやっていくというその準備の段階において、いかなる答申が出るかということは、いま予見をもって申し上げるわけにいきませんが、国民の理解と協力を得られるような広報活動も含め、あらゆる努力をしていかなきゃならぬ問題だというふうに理解しております。 法的安定性という問題について言及いたしましたが、いかなる施策といえども国民の理解と協力なくして、それは実行に移しその効果を上げることはできないというものでございますだけに、その努力は、今度は逆に言えば、その努力が実らなかったんじゃないかと言われりゃ、私もそれについて、いや、努力したがだめだったと無責任に突っぱねる考えもありませんだけに、今度出た答申というものについては、それが実行可能になるあらゆる手段を通じての理解と協力を得る努力はしていかなけりゃならぬ課題だというふうに考えております。
○近藤忠孝君 それは当然のことで、私がお聞きしているのは、どのような努力を具体的にしていくのか。たとえば金(きん)やゼロクーポンに走る人々、要するに大体対象は金持ちの人たちですね。預金もない連中は全然関係ないことです。だから、大臣としてはどういう場を設定し、そしてこの人たちの協力が得られるようにどのような努力をしていくのか、あるいはどういう対策を示して協力を得ていくのか。現にそれは協力が得られないから凍結したんです。そこを具体的にお答えいただきたいと思うんです。
○国務大臣(竹下登君) 協力が得られないからというわけではございません。その法律のそれと因 果関係が必ずしもあるとは思われないが、世上そのような問題が惹起したということについてのかまびすしい議論がなされた。そういうかまびすしい議論を生むような前提となったそれらの行為そのものを対象にしていろんな努力をしてみたわけではもちろんないわけでございます。今後の問題については、どういうところに問題が出てまいりますか、納税意識の高揚とか、そういう基本的な問題から広く理解をいただかなければならない問題でありますので、いま素人の私に具体的な理解と協力を求める方法と言われましても、ちょっと名案が直ちにあるというわけのものではございません。
○近藤忠孝君 ですから、また三年後になりまして、そのときになってまたいろいろだれか音頭を取りまして、またやかましい議論が出てきたら、また今回と同じようにそれはまた延期と。延期、延期ということになる可能性、心配があることは、これは各議員が指摘しているところですね。ですから私は、大臣がこういうことが今回凍結の一つの理由だとおっしゃる以上、この三年間に具体的にこうやって解決していくということがなければ、だれも信用しないんですよ。その点を聞いておるんですが、どうですか。
○国務大臣(竹下登君) これはたびたび、朝令暮改という言葉が正しいかどうかは別としまして、やりますと、私どもの内閣も支持されなくなりますし、私が大蔵大臣であることもできなくなりますし、それは国民のそれだけの批判にこたえるような努力をわれわれとしてもしなきゃならぬ、しかし、具体的に何をやるかとおっしゃっても、いま竹下登には名案はない、こう申し上げているわけです。
○近藤忠孝君 こちらでまた考えましてお教えいたしますので、ひとつそういうことも含め、かつ具体的な努力を私は始めるべきだというぐあいに考えます。 次の問題は使途不明金ですが、これは参議院の予算委員会に提出された資料でも、大変年々ふえていますね。これは毎年毎年指摘をされ、大蔵省としても、それに対する取り組みの決意は述べておるんですが、ふえています。空前の三百八十七億円という状況です。このふえている原因は何でしょうか。
○政府委員(大山綱明君) お答え申し上げます。 私ども新聞に発表いたしました数字は、調査課所管法人、一億円以上の法人でございますが、それにつきまして四千社ばかり調査いたしました結果の数字でございます。全体の法人のうち、百数十万ある中のきわめて限られたデータでございますが、それだけの数字をとりましても、いま先生御指摘のとおり数字はふえている実情でございます。 その原因いかんということでございますが、私どもそれを分析いたします具体的なデータを持ち合わせていないのでございますが、感じといたしまして、一つは、企業の取引が年々歳々ふえていく、それに応じてどうしても取引上支出をしなければならない、そしてその使途を明らかにすると取引をあるいは停止されてしまうとかいうような危惧を持った資金の支出が多くなるということもあろうかと思いますし、あるいはまた昨今景気が余りよろしくない、そこで過当な競争が生ずる、そういった実力競争の激化といったために起こる支出というものもあるんではないか。かような感触的な分析でございますが。
○近藤忠孝君 この問題は、大蔵省が真剣に取り組み、なくしていくという、この方向は毎回述べられているんですけれども、またそれに対しては、一つはもっと強い課税強化、フランスなどで行われているような課税強化ということがすでに論じられているところですね。 問題は、そういう方向に進むにしましても、使途不明金というものをどのように見るのか、これに対する課税の根拠はどう考えるのか。大体、課税の根拠というのは、不法支出説と、それからもう一つは、必要経費でないとする説があるようですね。大蔵省としては、その根拠としてはどういう考えに立ちますか。
○政府委員(大山綱明君) 先生の御指摘のいまの二点の中では後者でございまして、実際にその支出があったかどうかの確証がないということから損金性を否認しているということでございます。
○近藤忠孝君 確証がないというだけですと、たまたま否認しましても、確証を示して、それはこれだけありましたと言われれば、その場合、どうなんですか、使途不明金にはならないということになりますか。
○政府委員(大山綱明君) 推認ができる程度では足りないのでございまして、損金に算入される経費であるかということまで私どもチェックをいたす必要がございますので、どういう性格の支出であるかということを確認できれば損金に算入いたしますが、そうでなければ損金性がないということで否認をいたすという考えでございます。
○近藤忠孝君 そうすると、その場合には、支出先が明白でなくても、それが明らかにされなくても、それは損金として考えるということになりますね。
○政府委員(大山綱明君) ちょっとただいまの先生の御質問を聞き落とした感じがございますが、支出先が明らかでなくてもといまおっしゃられたように思いますが、名前が明らかでなければ、ケース・バイ・ケースでございますけれども、名前が明らかでなければ否認すべきだと思います。
○近藤忠孝君 じゃ確認しますが、支出先の氏名や会社が具体的に明らかでない場合には、それが客観的に損金性のものであるということが立証されましても、そういうことで立証される場合もあり得るはずですが、そういう場合にもそれは否認をすると、そういうことになりますか。
○政府委員(大山綱明君) ちょっと具体的なケースを頭に浮かべにくいものでございますから、ただいまのようなケース、恐らくそれは損金算入を否認していいケースだと思いますが、具体的な事例、もう少し明らかになりましたら、それに即してお答えを申し上げさしていただきたいと思います。
○近藤忠孝君 そうしますと、原則的には、相手が具体的に明らかにならない場合には使途不明金として扱う、それが原則であると、こう聞いてよろしいんですな。
○政府委員(大山綱明君) 基本的に結構だと思います。
○近藤忠孝君 そこで大臣、この間の本会議質問で私が使途不明金のことに触れて、私はいまよりもっと徴税強化しろと、こういう指摘をしたんですが、それに対して大臣の答弁としては、使途不明金そのものが不明確なのでなかなかむずかしいと、こういう御答弁だったんですね。 ところが、この使途不明金につきましては毎年のように当委員会で議論されておりますし、これは一昨年の三月三十日のこの委員会でも当時の高橋主税局長は、「たびたび御指摘をいただいておりますから、いまその辺のところを掘り下げて検討いたしておるところであります」と。 というのは、徴税強化の方なので、大臣の本会議答弁はこの段階でも大分後退したことになりはしないかということになりますけれども、いままでの既定の方針の上に立ってもっと強化していく方向で、「掘り下げて」ということはそういうことだと思うんですけれども、そういう立場じゃないんでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) 使途不明金の制度的な取り組みについては、内部でいろいろ検討、勉強はしているところでございますけれども、これも毎回申し上げているところでございますが、その使途不明金について、たとえばフランスのような特別の課税制度を設けるかどうかという場合に、その税の性格とは一体何か、つまり本来なら支出先が明らかになれば課されるであろう所得課税が免れているものを支出先が負担するという考え方に立つのか、あるいはそういう免れるべき行為によって税の秩序を乱したことに対するいわば制裁的な課税として考えるのか、いろいろの考え方があると思います。 制度の前提といたしましては、まず一般的に、企業なり個人も含めまして、納税義務者に個々の支出について税務当局に明らかにするという一般的な義務を課する必要はございます。それからフランスなんかの例を見ますと、その中で特定の種類の経費につきましては、一定の期日までに税務当局に届け出をしなければならないという義務を課しておるわけでございます。フランスの課税制度はそういう義務違反に対する課税制度というたてまえをとっております。 したがいまして、わが国の場合にそういう課税制度を仮に設けるといたしましても、制度の理屈としては、そういう義務をまず課さなければならないという問題がございます。同時に、そういう義務を課したといたしましても、それが実効性を保つためには、きちんとした税務上の記録が行われておることが前提になりますから、税法上一般的な記帳義務のない現在の税法で、そこの議論を通り抜けて、ただ抽象的な義務だけを課するのはいかがかという問題がございます。 それから同時に、そういう義務を課する以上は、それとの対応関係において、税務当局の質問調査権の実質的な範囲の拡大を認めてもらわなければならないという問題がございます。 したがいまして、そういう税の秩序をどう考えるかという議論と、その反面といたしまして、当然、企業なり納税義務者にそれだけ義務を負担していただかなければならない、そういうものを総合的に考えなければ、ただ使途不明金について課税を強化すべきであるという議論だけでは、この議論はなかなか前進しないわけでございまして、そういう点も含めまして、特に記帳問題につきましては、現在税制調査会の特別部会等でもいろいろ議論をしていただいております。そういう結果も踏まえて、しかもわが国の風土でそういう制度を採用するのが一体いいのかどうか、これはもう少し高い次元からの判断も必要とする問題であるというふうに考えております。
○近藤忠孝君 記帳義務の問題については、これも毎回答弁されていることですが、どうなんですか、全般的に記帳義務を課さなければ、この使途不明金についてフランスのような先ほど言われたような課税ができないのかどうか、その点はどうですか。
○政府委員(梅澤節男君) 要するに、一般的に使途を明らかにするということは、取引についての記録をはっきりするということでございますので、理論的前提としては、当然その前提として帳簿なり記録をきちんとしておるということが前提になるというふうに考えております。
○近藤忠孝君 それはそうなんですね。だから問題は、そのことを納税者全般に課すと、それは過大になるかどうかという議論が一つありますね。そのことが一つ記帳義務の問題としてはあるわけですわ。 同時に、現にきちんと記帳を行っておる一定以上の納税者あるいは企業に対しては、いまの段階でも、いま梅澤さんが言われたような義務を法的にきちっと課しても、それは一向問題はないし、まさにその使途不明金で問題になるのはでかいところですよね。小さいところはそれほど余り問題になることはないんで、その辺のところはいまの段階でも解決は可能ではないでしょうか。 〔理事大河原太一郎君退席、委員長着席〕
○政府委員(梅澤節男君) これは委員と議論が並行するわけでございますけれども、税制として考えます場合には、きちんとした帳簿なり記録の義務というものがまず前提にあって、それから税務当局に対して支出先を明示しなければならないという義務をどの範囲まで負わせるか、同時にそれに対応いたしまして、税務官署にどれだけの質問調査権の範囲の拡大を認めるか。これは税制全体の根幹にかかわる大きな問題でございまして、ただ技術的にその分だけは通り抜けられるのではないかというふうな問題ではないのではないかというのが私どもの考え方でございます。
○近藤忠孝君 そのことでいままで毎回毎回指摘されながらまだ着手されていないわけですけれども、私はいま指摘したような解決策があるということを指摘して次の質問に入りたいと思います。 次は引当金の問題です。これは一昨年の商法改正に基づいて、昨年、企業会計原則、それから商法計算書類規則が改正されまして、その中で引当金の計上についても大きな変更が加えられております。一つは企業会計原則注解、その注14が削除されたこと、それから注18が改正になったことです。その改正をした根拠、それはどういうことでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) 私からお答えするのが適当かどうか存じませんが、企業会計原則の注解なり商法の引当金の改正規定、これは商法の改正に当たって、今回、貸借対照表なり損益計算書が従来は総会決議事項でありましたのを取締役会におろすということとの関連におきまして、従前の商法の引当金の規定化、利益留保性の引当金を排除するということを明確にした。企業会計原則も恐らくそれに照応するものでございますが、私ども税務当局、税制当局から見ますると、税制上の引当金というのはあくまで経費性のもの、あるいは損金性のものということで従前整理しておりますので、大きな方向としては、税法上の引当金の概念なり、企業会計原則の引当金の概念なり、商法上の引当金の概念なりが、厳密には一致しないにしても、かなり近寄ってきたというふうに受けとめております。
○近藤忠孝君 問題は、利益性のものを排除するというその点が大変大事だと思うのですが、そうなりますと、これに伴って、たとえば注18の点でこういうことがありました。「将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合に」計上できるということになったわけですが、これに伴って税法上も、従来の引当金について、たとえば退職給与引当金などもそうですが、その積立率を一層縮減するなどの措置をとるべきだと私は思うのですが、どうでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) 引当金の繰り入れ率の見直しにつきましては、これはつとに税制調査会からも御指摘を受けておりまして、私どもは特に昭和五十年代に入りまして、実際に実態に即した引当金の縮減にずっと努力してまいっておるわけでございますから、企業会計原則が今回そういう考え方を表明されるまでもなく、私どもは従前から適正な引当率の検討を行っているわけでございます。
○近藤忠孝君 もう一つの問題は特定引当金の問題です。従来、特定引当金として取り扱われてきたものが、今回の改正では利益処分を行うべきだとなったわけです。この取り崩しによる利益は当然課税対象としてしかるべきだ、基本的な考えとしては。その点どうですか。
○政府委員(梅澤節男君) 私どもの考え方は全く逆でございまして、商法上の今回引当金の性格がはっきりしたわけでございまして、そこで従前の各企業が任意に引き当てておったり、あるいは租税特別措置法に言われる準備金等も従前はこの商法の引当金になっておったわけですが、今回それが、いま御指摘のとおり、負債から利益処分というかっこうで資本の部に引き移される。当然その場合に、取り崩しの場合には形式上は益金に算入になるわけでございますけれども、しかし任意積立金のようなものはすでに前期において課税済みでございますから、これを二回税金をかけるわけにはいかないわけであります。 それから準備金につきましては、これは税法上損金処理をしておるわけでございますが、各準備金の性格によりまして、それぞれ取り崩しの要件、取り崩すべき金額というものははっきりしておりまして、取り崩しが行われたときには、当然税務計算上益金算入されるわけなんで、今回の形式的な取り崩しについて課税するというのはかえっておかしいというのが、私どもの考え方でございます。
○近藤忠孝君 これは従来、大蔵省の説明としましても、引当金は企業会計の合理的な計算に基づ くものであって特別措置ではないという、こういう答弁をしてきた経過があるわけですね。となりますと、企業会計原則上、これは利益処分をしろということだとしますと、この機会に大蔵省としては、その会計処理上どこにのるかという問題が変わるだけじゃなくて、中身についてもそれは踏み込むべきじゃないかと、こう思うんですが、どうですか。
○政府委員(梅澤節男君) ちょっと御質問の趣旨が理解しにくいわけでございますけれども、税法上の引当金なり租税特別措置法による準備金というのは、それぞれ要件が非常にはっきりいたしておりますので、仮にそれが利益処分のかっこうで行われようが、実質を私どもは判断いたしまして、税法上損金に算入すべきものは課税所得上損金に算入するということで別に支障がない問題ではないかと考えております。
○近藤忠孝君 次の問題としては、銀行の海外債権引当金の問題で、これもいろいろ論じられていますが、これは将来不良債権となるおそれのある海外融資について引当金を相当巨額に積むことになったわけです。銀行は最近海外活動にかなり活発に進出していますけれども、海外部門の利益も非常に大きくなっておるわけですね。ですから、今回のこの引当金は銀行の利益隠しじゃないか、こういう指摘がすでにされておるところです。そこで、こういう問題が起きてきたことは、結局は銀行の海外向け融資をむやみに伸ばしてきた、それに対して大蔵省のチェックがなかったんじゃないか、こう思うんですが、こういう問題について大蔵省としてはどう対処いたしますか。
○政府委員(大場智満君) 銀行の対外融資活動、これは本来的には銀行がみずからの判断で行うべきものだと考えております。したがって、そのリスクも銀行に帰属するということでございますが、私どももこれまで銀行の対外融資活動についてはガイドライン等を設けることにより指導はしてまいっているわけでございます。 たとえば、一カ国に対する貸し付けは自己資本の二〇%以内にとどめていただきたい、これは一年超の貸し付けについてでございますけれども、二〇%にとどめていただきたいという指導とか、あるいは一年超のドル建ての貸し付けの場合には、その貸し付け残高の四割以上を一年超の長い借り入れで取り入れてください。ですから、これは経営の安定性に資するということになりますが、長い借り入れで長い貸し付けをしてください、こういう指導も申し上げてきたわけです。 さらに、ドル建てのシンジケートローンの場合に多いわけですけれども、かなり多額の貸し付けを行う場合には、日本がリードマネージャーをとる場合であっても、日本の銀行のシェアは五割以内にしていただきたい、残りはアメリカなりヨーロッパの銀行からの貸し付けということで、欧米の銀行と一緒にしていただきたい、そういう指導も行ってきたわけでございまして、できるだけの措置をとってきたつもりでございます。
○近藤忠孝君 そこで大蔵省は、カントリーリスクを調査するための情報センターを官民共同で設立して、融資対象国の危険度などを調査するということになっていますが、その内容と運営方針はどうですか。
○政府委員(大場智満君) この国際金融情報センターでございますけれども、私どももこのセンターには大いに期待しておりますが、民間銀行を中心にしまして、生命保険会社等も加えた各会社が集まって設立し、これから業務を開始しようという段階にあるわけでございます。 その仕事の中身は、この業務内容については、この設立趣意書等を見ますと、第一は、カントリーリスク情報の収集、分析、それから第二には、カントリーリスク評価方法の基礎的な研究、それから三番目に、海外借入人の調査研究、この三つが、中身の中では濃いといいますか、主たる業務内容になっております。 私どもとしましては、この機関が健全な発展を遂げて、カントリーリスク情報の充実、さらにはその集めた情報の研究、交換等、そういう領域で活躍してくれることを期待しているわけでございます。
○近藤忠孝君 そういう活動にいま期待することだと思いますが、ただ現実にもうすでに指摘されているような多額の融資がありますし、特に中南米の金融危機というのは大変なものだと思うんですね。 私も昨年アルゼンチンに行きましてね。アルゼンチンは国民も無責任だし、政府も無責任で、一〇〇%以上のインフレ率あるいはもっと大きいという。こういう状況を見ていますと、本当に破綻するんじゃないかということを、これは感じですけど、するわけですね。しかもそういうところに大変多額な金が行っている。それは本当に心配ないんでしょうか。
○政府委員(大場智満君) 確かに、国によりまして支払い能力に問題がある国も一部にはあるかとは思いますけれども、大部分の国は、いま御指摘のアルゼンチンを含めまして、私は流動性に問題のある国ではないかというふうに理解しているわけでございます。ですから、もしファイナンスが円滑に続く限りは、たとえば金利が払えなくなるとか、元本が最終的に返済できなくなるとか、そういう事態には至らないのではないかという期待を持っているわけでございます。 いま御指摘のアルゼンチンにつきましては、確かに最近その経常収支は悪化しておりますし、また御指摘のようにインフレ率は非常に高いという状況でございますが、もともとかなり資源豊かな国でございますし、私どもとしては、IMFの指導よろしきを得、アルゼンチンの政府がみずから立ち直る努力をしてくれれば、結局は債務累積国の自助努力といいますか、経済調整が一番大事だろうと思っておりますが、そういった努力をしてくれれば立ち直っていくのではないかというふうに考えております。
○近藤忠孝君 危険が言われておりますが、危険が大きいということは逆に利益も大きいんだと思うんですね。 これは最近の新聞ですが、特に東銀が、中南米に多く融資している東銀が大変な収益を上げている、中南米は東銀の利益の票田であると、こういう記事も出ておるんですね。そうなると、こういう利益がある以上、そういう危険もある意味では負担して利益を上げているんじゃないか、こういう考えもできるんじゃないでしょうか。
○政府委員(大場智満君) 確かに御指摘のような考え方ができるかとは思うんです。たとえばメキシコの例を見ておりますと、従来はユーロダラーの六カ月物の金利プラスの八分の三%とか二分の一%の金利で銀行は貸していたわけでございますが、最近まとまりましたメキシコ向けの五十億ドルの貸し付け、これは数百行が一緒になって貸し付けることになったわけでございますが、これを見ますと、ユーロの六カ月物の金利プラスの二%と、非常に高い金利になっております。ですから、これはアメリカの銀行の考え方が主体といいますか、主流になってこのような考え方が出てくるんだと思いますが、金利のスプレッドが高くなるということは、銀行からすればリスキーであるということであります。リスクのある融資だからこそ金利を高めるんだという考え方かと思います。 ですから、御指摘のように、金利が高いという場合は、その裏打ちとしては、リスクが増大したということがあるわけでございまして、いま御指摘の引当金との関係で言えば金利が高い、逆に言えば、利益が出るような国はかなり問題の国になっているということが言えるのではないかと思います。
○近藤忠孝君 そこで、これは盛んに議論されておる引当金を有税から無税にするという問題ですね。その関係で見てみますと、先ほどの企業会計原則から見てみますと、将来確実に起こるという予想、それから当該支出の金額を合理的に見積もることができるという条件、この場合は、いま中南米等の問題になっている特に銀行の海外融資については、そういう条件に合致するのかどうか。むしろこれはしないんではないかという点が一点 です。 それからまた、企業会計原則では、この改正によって、「発生の可能性の低い偶発事象に係る費用又は損失については、引当金を計上することはできない」、こうなっておりますので、これから将来の問題としましても、これを無税の引当金とすることには大変な無理があるんではないかと、こう指摘をせざるを得ないんですが、どうでしょうか。
○政府委員(水野繁君) 引当金の問題でございますけれども、先生おっしゃるとおり、引当金に充てますのは、「将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し」、それが一つ。二つは「発生の可能性が高く」、それから三つ目が「その金額を合理的に見積ることができる場合」ということでございまして、先ほど来御議論がございましたように、こういった債権の関係は、債務の返済の繰り延べなんかが出てまいりますと、いま申し上げた「発生の可能性が高く」に該当するものではあろうと、こういうふうに考えておるわけでございます。 それでは三つ目の、その金額を見積もることができるかということにつきましては、いろいろのいま御議論ございましたように、むずかしい情勢はございますけれども、相手国の経済社会情勢とか、それから債務不履行がどういうふうなかっこうで起こってくるかというふうな、それから国際的な支援を一体どうするのか、こういうところがございますけれども、そういうところを検討いたしまして、各特定国ごとに積み上げ方をするということでございますので、われわれといたしましては、特定の海外債権引当金というのは企業会計原則の引当金の要件を満たしていると、こういうふうに考えております。 ─────────────
○委員長(戸塚進也君) この際、委員の異動につきまして御報告いたします。 本日、河本嘉久蔵君が委員を辞任され、その補欠として井上孝君が選任されました。 ─────────────
○近藤忠孝君 ちょっと矛盾しませんかね。大場さんの方は、一つは、リスクが大きいから金利が高いのだという問題もありましたけれども、しかし具体的な国名を私が挙げたがそれは大体大丈夫だと。資源もたくさんあるし、ということですね。片やこちらは、発生の可能性があると。片方の話を聞けば、発生の可能性はないのに、こちらへ聞くとあるというのは、同じ大蔵省でもこれは少しおかしいんじゃないでしょうか。
○政府委員(水野繁君) 大場国際金融局長はいろいろの期待を含めまして申し上げたわけでございますけれども、現実の問題として、私たちまだ回収ができないと申し上げたわけではございませんけれども、可能性はあるんだという点につきましては、諸外国でもそういう手段がほぼ始まっておるところもございますので、そういうのに合わせて妥当な解釈ではなかろうか。期待は、もちろん全部回収することを考えておる、こういうことでございます。
○近藤忠孝君 期待の問題と現実の問題ということでちょっとずれておるんですけれども、しかし私は基本的には、銀行側はもうけておるんだから、だから当然損失が出ることはある、それは自分たちの責任において行動している、こういう面が基本的にはあるんだと思うんです。それが基本的にありながら、しかし客観的には大体いままでつぶれた国もないと言われておるくらいのことですし、その可能性はむしろきわめて少ないのに、それが発生の可能性があるというふうなことで対象になり得るというのは、私はこれは大変おかしいことだし、これは竹下さんといつも言葉の問題で対立のする大企業優遇の問題になってくるということを指摘して次に移ります。 国外所得の課税の問題です。海外取引や海外子会社を利用した脱税がふえているという報道が大変多くあります。そこで、国税庁の調査、摘発の体制と実績はどうなっているか御報告いただきたいと思います。
○政府委員(大山綱明君) お答え申し上げます。 海外取引を利用いたしました不正所得の把握につきましては、私ども従来から十分留意して調査を行っているところでございますが、こういった海外子会社を有するような大法人あるいは海外取引を多くしておる法人につきましては、具体的には毎年毎年調査をいたしますとか、あるいは一回の調査日数も相当日数を投入するとか、あるいはまた海外まで調査官を派遣いたしまして調査をいたしますとかいうようなことをいたしまして、充実した調査をいたしているところでございます。 事績でございます。最近におきます海外取引をめぐります不正所得の把握でございますが、五十六事務年度に調査をいたしましたものの集計で、不正所得の把握は十五億円となっております。この数字は年によりましてかなり波がございまして、数十億円の不正所得を把握した年もございますし、最近の事績では約十五億円といった数字でございます。
○近藤忠孝君 脱税の手口が一段と巧妙になっているようにも見えるんですが、その点はどうでしょうか。
○政府委員(大山綱明君) 確かに御指摘のとおりでございまして、私ども海外にいろいろな資金を置かれたりいたしますと、海外までなかなか調査権が及ばないといったような問題もございますので、なかなか発見しにくいといった状況でございます。私どももいろいろ工夫をしてやっておるところでございます。
○近藤忠孝君 その巧妙さに対しての国税庁としての具体的な対応策、これはどんなことを工夫していますか。
○政府委員(大山綱明君) 具体的にと言って、私いますぐにお答えをいたしますだけの材料を持っておりませんけれども、金融機関にいろいろな名義で資金を置いておくといったものがございます。輸出をいたしますときには、金額を小さくいたしましたり、あるいは輸入の場合には逆の対応をするといったような形で、海外からこちらに送られるべきものを過小にして海外に留保したり、海外に余分な資金を送って留保するといったケースがございます。
○近藤忠孝君 時間が来ましたので、この後、国際的な税金のトラブルについて質問する予定でしたけれども、次回にしたいと思います。
○柄谷道一君 大蔵省関係の諸法案につきましては私は去る三月十八日の本会議で質問し、また三月二十二日及び昨二十四日の本委員会でも関連して質問を続けましたが、大臣すでに御承知のとおり、私の考えの根底にあるものは、長期にわたる経済の低迷、そして財政の危機的状況をもたらしたのは、確かに世界的不況という要因はあるけれども、そのほかに政府の経済財政政策というものが適切を欠いたのではないか、また現状では、総理が公約しておられます増税なき財政再建ということを文字どおり貫きながら五十九年度以降の歳入不足を補って要調整額を埋めるということは、常識的に見て非常にむずかしいのではないか。そこで財政再建のためには、一つは、徹底した行政改革によって行政機構の簡素化、冗費の削減を行いますと同時に、あわせて並行して、積極的な経済財政政策を展開して経済を活性化するという、この二つの道を同時並行的に進めなければならないというのが私の考え方でございます。 過去の政府の財政政策を見てみますと、五十六年度には減税すべきところ、逆に一兆三千九百六十億円の増税を行いました。そして上期公共事業は七〇・五%の前倒しを行いましたが、下期については災害復旧費だけで、その追加措置がとられませんでした。五十七年度につきましても減税をせず、逆に三千五百億円の増税をもたらし、公共事業につきましては実質マイナスであり、かつ下期も追加措置が不十分であった。五十八年度につきましても、いま提案されております予算案では、所得減税は行わず、公共事業につきましても、五十七年補正後と対比いたしますと、実質マイナスである。これは、五十九年度赤字国債脱却に向けて機械的に国債減額を行うことを絶対視化する 余りに、弾力的財政運営というものが行われずに、財政の景気調整機能を妨げるような対応がとられてきたことが大きな一つの要因ではないだろうか、こう思うのでございます。 事実、これを裏書きするように、昭和五十五年十一月七日、税制調査会は中期税制答申を出しておりますが、この時点におきましては、年平均して一二%の国税収入の伸びを見込んだわけでございます。しかし現実に一般会計租税及び印紙収入の伸び率を見てみますと、その翌年の五十六年度は三・三%に落ち込み、五十七年度は補正後でございますが三・九%、これはまだ若干落ち込む可能性がございますが、五十八年の当初予算でもこのままいって五・九%、税調の中期展望は根底から覆ったというのが実態だろうと思います。この点については、これは大臣も現実の問題でございますから否定されないと思うわけです。 そこで、いま私の申しました基本的な認識というものについて、大臣はこれを否定されますでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 大筋、基本的な認識というものは私も否定いたしません。 ただ、考え方のもう一つ基本を申し上げますと、柄谷委員かねて御主張の、なかんずく内政面における拡大均衡とでも申しますか、そういう主張が根底にあり、そして国際経済の見通しの不透明感からして、結果として縮小均衡的な施策が政府の中においては進められた。その根底の相違というものは私はあると思うんです。 したがって、柄谷委員の拡大均衡的基盤からの御発言というのは、それなりに私も認識としては妥当なものではないかというふうに思います。
○柄谷道一君 私はもともと拡大均衡論の立場をとる者でございますが、百歩譲っても、財政というものが景気の足を引っ張るということだけは避けなければならない。少なくとも経済、景気に対して財政は中立以上の線をとるべきだと、私はそう思うわけでございます。 そこで、まず所得税減税についてお伺いしたいわけでございますが、与野党の合意、そして政府がこれを尊重、実施すると言われました内容は「景気浮揚に役立つ相当規模の減税」ということになっているわけですね。 日本経済新聞が二月二十八日に掲載いたしました社説では、一兆五千億円程度の規模を求めております。日本経済研究センターは、景気浮揚の一環として一兆円減税すれば実質GNPを〇・二%引き上げることができる、こういう結論を出しております。また、経済社会政策研究会では、大体日経センターと同じ結論を出しておる。また三月二日、衆議院予算委員会でわが党の岡田議員の質問に対しまして塩崎経企庁長官は、景気浮揚の一例として、一兆円の民間消費支出が追加されれば、GNPは〇・三%増加すると述べられたわけでございます。国民の消費性向は約八〇%と見られますので、逆算をいたしますと、減税額は約一兆三千億円程度とはじき出されます。 野党の要求と、いま私の述べました研究機関ないしはマスコミの論説等を考えますと、私は「景気浮揚に役立つ相当規模」とは、少なくとも一兆円以上の規模を持つものでなければ景気浮揚に貢献しない、こう思います。 財政的事情というものを考えられれば、これまた別の視点も出てくると思うんでございますけれども、正確にといいますか、素直に与野党合意を読み取りまして、私がそう認識することは間違いでございましょうか。
○国務大臣(竹下登君) そこのところが、偉い人のお集まりで「景気浮揚に役立つ」という、そういう表現そのものが非常に味のあるとでも申しましょうか、そういうことではないかな。いろんな問題、今日御審議をいただいておる予算を最善最良のものとして御審議いただいている中に、補正要因とかあるいは修正要因とか、そういうようなものがこの中に入るようなことでは、行政府と立法府の立場からして、行政府の立場もお考えいただいて、そういう一つの概念的文句になったんじゃないかなあと一つは思います。 いま一つは、「景気浮揚に役立つ」という問題について、率直に言って、財源等を含めて合意がなされているわけでありますが、その財源を仮にもしこの特例公債等をもって充てたとすれば、逆な意味において民間金融等の金融市場を圧迫して金利の上昇をもたらし、足を引っ張る結果になってもならぬ。したがって、そこがなかなかむずかしいところでございますので、今後国会の議論を踏まえながら税制調査会で御検討していただくという課題になるわけです。 それともう一つ基本的な問題は、確かにいろいろな数字が出ておりますが、一般論として現状認識の上に立った場合に、民間消費支出というものの一兆円がGNPの〇・二%というものを引き上げる要因になるんじゃないかというのも、一つの理論であると思うのでありますが、基本的に考えなきゃいかぬ問題は、言ってみれば、成長率の実質三・一%がほぼ確実になったという前提の上において、それが土台になる五十八年度の三・四%の成長というものをより確実なものにしていくということが景気というものの概念の一致するものなのか、あるいは多年高度経済成長になれてきておりますので、念頭にある実質成長率の数字、それを高目に置いたものがこの景気に影響のあるという数値に値するものか、その辺がこれからも、税の問題でございますので、小委員会等でいろんな議論もされた経過もありますので、各方面、なかんずく国会等の各党各会派とでも申しますか、そういうところの専門家の皆さん方とも議論を詰めていかなきゃならぬ問題の一つだなあというふうに認識をいたしております。
○柄谷道一君 いずれにしても、これは五十八年実施ということが確認されているわけですね。いま私は大臣にその財源を政府の予定していた以上に経済が成長して自然増収が得られるということを期待して、そこに財源を求められるのか、最悪の場合国債を発行しても財源を確保するのか。こんなことを御質問しても、大臣は明確に答えられない立場にあることはよく承知しております。 ただ、税調は現在のこの予算編成に当たって五十八年はしない、五十九年は抜本的に見直そう、こういう姿勢だったわけですね。ところが、立法府は五十八年に減税を実施するという意思を固めた、行政府もそれを尊重するという意思を固めた。とすれば、早急に税調というものが開かれて、前回の答申以降のこうした立法府、行政府の変化に伴ってその検討を開始すべきではないか、またそれが当然であろう。こう思うんですが、大臣はいつごろ税調に対してこの問題を諮問される予定でございますか。
○国務大臣(竹下登君) これは先ほど来申し上げましたように、現状において最善のものとして御審議いただいておるこの予算が成立さしていただくと仮にいたしましょう。そうしてその後財源問題というのが大きな問題になりますので、この国会を通じていろいろ議論をされたこと等を正確に報告して、そして議論をしていただくということになれば、議論の一つのきっかけとなるのは、土台であります五十七年度のこの予算に関連いたします決算というものが確定した時期が一つの機となるのではないかなと、いまのところ私が頭に描いております一つの時期というものはそこに求めておるわけであります。
○柄谷道一君 次に景気浮揚のために大きな要因となります公定歩合の問題についてお伺いします。 いろいろ調べますと、竹下大蔵大臣は昨年十二月二十日の閣議後の記者会見で、これは報道でございますから正確かどうかわかりませんが、最近の円相場は円安から離脱といった状態から一歩進んで円高基調がほぼ完全に定着したと思う、景気回復のために、物価も安定していることだし金利を含めて金融政策の弾力的な運用が進められてもよいのではないか、こう述べられたと報道されております。そして、三月四日の衆議院の物特におきまして、経企庁長官は、当面の経済運営について、原油値下がりを契機に金利引き下げの方向にいくべきだと確信しているとお答えになっている わけでございます。そして、今月十八日の本会議で私の質問に対しまして総理は、金融政策を機動的かつ適切に行いたい、五十八年度の経済運営については民間需要の着実な回復を図るよう環境づくりを考えていると、こうお答えになった。 最近、円高基調というものにつきましては、ほぼ二百三十円台で定着しておる。とすれば、一連の総理、大蔵、経企庁という責任ある大臣の答弁からすれば、私は、公定歩合引き下げの時期は迫ったと、こう認識するのは当然だろうと思うんですが、いかがでございますか。
○国務大臣(竹下登君) これがなかなか表現がむずかしいのは、公定歩合の操作はまさに日本銀行の専管事項とでも申しましょう、そういうところでございます。したがって、われわれ一般論という問題についていつも申し上げておるのは、まさに景気とか金融動向とか内外金利関係とか外為相場の状況等を見守りながら適切かつ機動的に対処していく必要があると考えるという一般論を申し上げてきておるわけです。 私は、十二月、就任いたしまして、一番うれしかったと言うとちょっと表現がおかしくなりますが、要するに就任するやいなや円高、あるいは円安の是正とでも申しましょうか、そういう方向に進んできた。これは日本経済全体のためにとっていいことだという認識を持っておりました。そして、一時二百二十七円でございましたか、三十円よりもなお円高になった。 ところがその後を見ますとかなりのぶれが生じてきまして、円安の是正は行われたが円高基調が定着したということが言えないような状態にある時期なったと思うんです。それが恐らく各方面とも慎重になられた一つのゆえんのものではないかなあという感じもいたします。 で、言ってみれば、内外金利差の問題と為替相場の問題というのは大きな要因でございますだけに、恐らくその辺は慎重に見守って、適切かつ機動的に対処されるんじゃないかと思いますが、きょうが二百三十七円四十銭でひけております。きのうロンドンが終わったら二百三十五円。こう見ますと、かつてほどのぶれはございませんけれども、一進一退という感じがいたしますので、そういうところが大変な慎重に対応しておられる一つのゆえんのものじゃないかなあと思います。だから、私が前回ここでお答えしておりますが、何だか一喜一憂しているような感じが率直にしております。 それと、いわゆる昨年以来から見ますと、アメリカの金利も総体的には下がったとはいえ、どうも最近ちょっとまた下げどまり、あるいは上昇傾向も皆無ではない、いろんな判断があるところでございますので、私どもは公式的に言えば、適切かつ機動的に対処していく必要があるものとして静かに見守っておるというしか言いようがないかなあと、こういう感じであります。
○柄谷道一君 公定歩合の引き下げは日銀の専管事項であることもよく承知しておりますし、解散と公定歩合引き下げの時期だけはうそを言ってもいいと言われるほど事前に明らかにすべきものではない、これは十分に承知しております。 言葉をかえてちょっと質問しますが、政府はこの予算案の成立後、四月の中旬ごろに総合的景気対策を打ち出そうとしておられると承っております。金融政策というものはその総合景気対策の重要な一環をなすものであろうと思うんですが、その理解は間違いでございますか。
○国務大臣(竹下登君) いまだ、景気対策あるいは経済運営の指針、それがいつになるかということは定かでございませんけれども、そういう経済運営の指針をつくるに当たって、金融の果たす役割りが大きくて、そしてその問題については、従来かなりそれを強く印象づけようとしても、表現としてはいつでも適切、機動的、あるいは弾力的にと、こういう表現に間々なるものでございますが、経済運営の指針というものが論議されて打ち出されるとすれば、金融政策というものは大きな役割りを果たすものであろうということについては私も一般論としては肯定をいたします。
○柄谷道一君 これ以上質問しましてもお答えにくいと思いますが、私は大臣の顔色を真剣に見つめつつ慎重な御答弁を聞いておったわけでございますが、私自身としては、四月中旬に打ち出されるであろう総合景気対策の中にこの公定歩合の引き下げ問題についての政府の御意向は大体含まれるものと、こう読み取っておきたいと思います。 それから次に公共事業について質問いたします。 さきにも指摘しましたように、五十六年度は上期に実績七〇・五%前倒しをされました。しかし下期は積極的な追加は行われなかったわけでございます。このために五十六年十月から十二月期の公的固定資本形成は前期比マイナス三・二%、五十七年の一月から三月はマイナス四・三%となりました。これが五十六年の十月から十二月の七年ぶりのマイナス成長、そして五十六年度の低成長をもたらし、これが大幅な税収不足を招く一つの大きな要因になったと私は考えております。 五十七年度も上期に七七・二%前倒しをいたしましたが、下期は二兆七百億円の総合経済対策を講ぜられたわけでございます。しかし、この中には四百億円の債務負担行為、いわばこれは予算の先食いでございます。五千億円の地方単独事業、いわばこれは地方独自の資金に期待するものでございます。これが含まれておったわけでございますから、その効果というのはきわめて不十分ではなかったか。このためにこのところ公共投資は落ち込みを見せておりまして、これが景気の足を引っ張っている要因になっていると私は分析をいたしております。 しかも、五十八年度一般会計における公共投資費は六兆六千五百五十四億円でございまして、これは五十五年以来当初予算では四年連続の横ばいでございます。五十四年度六兆五千四百六十八億円でありましたものが、五十五年、五十六年、五十七年と暫時一般会計予算投資部門の歳出が微減いたしまして、そして五十八年度は八兆三千五百八十九億円となっている。しかも五十七年補正によって先取りされた二千五百億円分がありますので、予算額としてもマイナス、実質でもそれ以上にマイナスということになろうと思うんです。 そこで、塩崎長官は本会議における経済演説の中で、他の五十八年度本来の歳出項目全体の伸びがマイナスであるにかかわらず、公共事業については前年度同額の予算額を確保し云々と、こう述べられたわけですね。非常に確信を持って述べられているわけでございますが、実質は私が申し上げたところであろう、こう思います。 私はこういう傾向の中から当然五十八年度は前倒しの必要が生じてくると考えます。現に、最近の新聞報道を見ますと、自民党の関係調査会もその必要性を強調し、二階堂幹事長もまたその必要性を強調されております。いま予算が審議中でございますから、何%前倒しにするということは大臣の立場から言えないと思いますけれども、総合景気対策の中で相当程度の前倒しというものを行わなければ景気浮揚効果は上がらない、私はそう理解いたしますが、いかがでございますか。
○国務大臣(竹下登君) これは非常に問題の多い公共事業前倒しということでございます。特におっしゃいますとおり、公共事業依存度の非常に高い地方からなかんずくそういう要請が強いことは事実でございます。したがって、これらの要請にこたえなきゃならぬという幅広い意見があることも事実でございます。 ただ、本当に公共事業の前倒しというものが実際の効果を上げるということになれば、下期に仕事が息切れしないという安心感と相まったときに本当は初めてその効果が上がる。ずっと前倒しをやってまいりますと、長い峻工期間というものがあるといたしますと、仕事をやる業界そのものがみずからの経営の中で息強く継続的に仕事を持っていくためには、その判断で大変集中的に工事を行う場合と、そしてその期間に合わしてなだらかに行う場合とあるわけです。したがって、そこのところ非常にむずかしいわけでございます。 それからもう一つは、いわゆる債務負担行為に よります四千億、その他地方財政等における二兆七百億、それらが結果として、補正予算が年末に成立いたしましたので、ちょうど契約の実行行為が行われつつあるのがいま現在じゃないか。そういたしますと、よく言われます平年度の四、五月、第一・四半期のなかんずく前半の契約というのは停とんするわけでございますが、その端境期がむしろなだらかに景気効果を及ぼすという観点から考え、いまは公共事業が執行されておる状態ではないかと思いますが、それがなだらかにどのように持っていくかということに対して、財政の対応力のない今日、やはり真剣に分析してみなきゃならぬ課題ではないか。だから原則的に、経済の状態の推移を見ながら非常に適切な契約行為を行っていくということは、私も異論がございませんが、いわゆる数値を示してかけ声倒れに終わるような形のものであってはならぬということで、まだ通る前、検討を開始したというわけではございませんが、私も建設大臣の経験から見まして、いま自分自身もどのようなのが最も適切かということについて模索しつつ勉強しておるという状態でございます。
○柄谷道一君 三月九日に自民党公共事業執行調査特別委員会が前年度以上の前倒しを求める決議をされた。そして経企庁長官が、三月十一日の閣議後の記者会見で、これを裏づけるような発言をされている。同日、二階堂幹事長及び田中政調会長が、八〇%以上の、前年度以上の前倒しの必要性を表明された。政党政治でございますから、大蔵大臣がいま慎重な態度をとられておるということはお立場上わかるわけでございますけれども、これまた、これ以上質問しましても、いい答えが出てくるとも思われませんので、これも景気対策の一つの大きな項目として、やがて浮かび上がってくる問題である、こう私は理解いたしておきます。 そこで経企庁に。これははなはだ失札でございますけれども、昨年、河本長官のもとで華々しく活動しておられました経済のかじ取り役とも言うべき経企庁が、中曽根内閣誕生以来、どうも精彩を欠いているように私には思えて仕方がございません。これは新聞の報道でございます。 高成長論者が主流を占める同庁は、財政がせめて景気の足を引っ張らないようにするため、公共事業費を四千億円上積みすべきだと内々に考えていた。去年十月の景気対策で、五十八年度分の一部を先取りすることが決まっていたので、それを埋める必要がある、との判断からだった。しかし、予算編成は完全な大蔵省ペース。経企庁は自らの考えを公式に表明する機会さえなかった。 新聞はこう報道しておるわけですね。 この公共投資の問題について、経企庁はどうお考えですか。
○政府委員(横溝雅夫君) 来年度の経済運営に関連しての御質問かと思いますが、御存じのとおり、わが国の財政の状況でございますが、巨額の赤字でありまして、対応力を欠いておるということで、歳出の徹底した節減合理化が必要な状況にあるということは私どもよく認識しておる次第でございます。 他方、来年度の経済環境を見ますと、在庫調整が今年度ずっと進んで在庫投資がマイナスでございますけれども、これがやがて済むとプラスに転ずると思われます。それから昨年に比べまして世界的な高金利もかなり下がってきておりますし、昨年の非常な内安の状態もある程度是正されてきておる。こういうことは日本の企業活動にも金融情勢にもプラスの環境になろうかと思います。 それから世界景気、特に先進国の景気も、OECDの見通し等によりますと、昨年はマイナス成長でございましたが、ことしはプラス一・五とプラス二になると予想されておりまして、海外環境もよくなるだろう。それから物価が引き続き安定基調を維持すると思われますので消費も底がたい動きを示すであろう。 こういう内外の情勢を勘案いたしますと、五十八年度三・四%成長をわれわれ見込んでおりますけれども、その程度の成長はできるだろうと考えておりまして、厳しい財政情勢の中で公共投資を大幅にふやすというのはむずかしい。そうした中で、先生先ほど来御指摘になっておられますように、当初予算ベースですけれども、前年同様を確保し、内容的にも民間資金の活用等なるべく規模をある程度確保するよう努力をしたということと存じております。
○柄谷道一君 財政状況が苦しいということは、昨年度もことしも一緒なんですね。ところが、大臣がかわりますと、前大臣は拡大均衡論によりまして公共投資の機能というものを高く評価される政策が打ち出され、大臣がかわりますと、財政状況が苦しい、ほかの条件があるから公共投資はしようがないんだと。これでは私は経済のかじ取り役としての経企庁の存在が疑われると思うんです。 まあ、審議官をいじめてもしようがありませんので、この点につきましては、経企庁はもっと中期的展望でいかにしてわが国の経済を活性化させるか、そのことについて専門家集団として大いにその効果を政治的に反映してもらいたいと、このことを要望いたしておきます。 そこで、大蔵大臣、建設国債を赤字国債と同様な意味で減額しなければならない対象と考えることはいかがなものかと、こう思うわけでございます。五十七年、五十八年度は定率繰り入れの停止がされているとはいえ、見返りとなる資産を生む投資部門への源泉になり、かつ償還のための財源はこれが積み立てられるという仕組みになっているわけですね。しかも、これは後世代のために物を残すわけでございます。わが国の公共投資が諸外国に比べて貧弱だということは多くの指標の示すところでございます。 かつて河本前経企庁長官は、これは毎日新聞のインタビューの中でございますが、赤字国債発行と建設国債というもの、社会資本投下のための建設国債の発行ということは区別して考えるべきだという主張を述べておられるわけでございますが、大臣のお考えも同じでございますか。
○国務大臣(竹下登君) 基本的には建設国債と赤字国債、これは違いますから、そのとおりでございます。ただ、私この歴史を見てみますと、昭和三十九年、オリンピックの年でございますが、その翌年、いわば戦後最大の不況と言われました。そのときに当時は建設国債と銘打ったわけではございませんが、それらに対応するために、四十一年ですか、公債政策が導入されて、それは私は大変な効果があったと思います。しかもその後今度はドルショックでございますから、昭和四十六年、七年、そうして第一次石油ショックに至るまで、いわばいまの論理と同じ論理で、建設国債は要するに後世に負担を残すにしても、そこに資産が残るということからして、それのもたらした意義というのは大変に効果があったと思います。 そこで、第二次石油ショックのとき、それの少し前からですが、赤字国債の発行に踏み切りまして、そうして今日に至った。だからそういう公債政策の経済に与える対応力というものは、五十四年度というのはある意味において爛熟期に達しておったんではないか。それで期待するよりもはるかによけいの自然増収、これは民間の自助努力が大変偉大であったと思いますが、それが下支えになって五十五年もどうやらいった。だからある意味においてそこが爛熟期であると同時に限界ではなかったろうかということになる。 公債そのもので考えますと、それはそれの発行額というものは、赤字国債であれ建設国債であれ、金融市場を圧迫する要因であるという意味においては異質なものではない。ということになると、総体的に公債そのものを減額していくというのが、将来財政が対応力を回復するための基本的考え方ではないかなと思います。だから、認識として両者は相違がありますが、この金融市場というものをにらんでみた場合、そこにはまた共通な圧迫要因というものになるというふうに認識せざるを得ないではないかというふうに考えております。
○柄谷道一君 まだまだ御質問したいことは多いんですが、租税特別措置法の方にも入りたいと思いますので、問題を移します。 私は、いま大蔵大臣は大変重要な選択を迫られていると思うんですね。財政の現状は、もう横から見ても縦から見ても大変なときである、これが現実です。行政の改革は断行しなければならない。しかしそれだけでは財政再建はむずかしい。財政の持つ景気調整機能というものをどう生かしていくか、このことに対する選択の是非が、私は今後の日本の運命を決するような気持ちでいっぱいでございます。竹下さんは今後大蔵大臣にとどまらずいつかは総理を目指そうとする大人物でございますので、この危機を乗り切る景気浮揚、経済活性化、それを念頭に入れての財政運営政策について誤りなき選択をしていただきたい。このことを申し述べておきたいと、こう思うわけでございます。 租税特別措置法につきまして、私は中小企業の事業承継税制について本会議でも質問いたしました。その質問内容はあえて重複して申しません。ただ、大臣の御答弁を要約いたしますと、財政の現状から見て精いっぱいであるという一言に尽きると思うんですね、あの本会議の御答弁は。しかしこの承継税制、いま行われようとしております改正では、中小企業の要望というものと対比して、まだまだ満足いくものではないということもまた明らかであろうと思うんですね。 そこで、大臣にお伺いいたしますけれども、明年度以降さらにこの承継税制の内容というものを見直して改善していく御用意はおありでございますか。
○国務大臣(竹下登君) いま現下の厳しい財政状況のもとで、中小企業者の相続税については、言ってみれば、本会議の答弁をいみじくも御引用になりましたが、まあぎりぎりのところを配慮したというような認識をしております。したがって、これは税制でございますから、絶えず見直しの対象に置くという一般的問題は別といたしまして、いまこの法律案を審議していただいておるさなか、近い将来さらに拡大をいたしますというようなお答えをする段階ではないというふうに考えております。
○柄谷道一君 この点もひとつ財政状況ばかりに固執するんではなくて、中小企業の実態というものを踏まえまして、絶えず見直しを行っていく、その積極的姿勢だけは持っていただきたい、私はこう思うわけでございます。 次に、中小企業の投資促進税制の問題について通産省にお伺いしますが、通産省は昨年九月二十八日、「中小企業の設備投資促進税制の創設について」という試案をつくられました。しかし、今回法改正を行おうとしておるものと対比いたしますと、これは相当後退しておるわけでございます。これも財政事情がしからしめるためというお答えが返ってくるように思うんですけれども、通産省は、この改正で中小企業の設備投資が促進される、実効が上がるとお考えですか。
○説明員(桑原茂樹君) お答えいたします。 確かに、昨年われわれが大蔵省に持ち込みました設備投資促進税制のスキームは、現在の御提案いたしておりますやり方に比べて大分柄が大きなものでございました。われわれがそれから大蔵省といろいろ相談をいたしまして、限られた財源のもとではございますけれども、なるべく効果が上がるやり方にしようじゃないかということで、いろいろ相談してできたのが現在の制度になっておるわけでございます。 われわれとしては、この制度でどれだけ効果があるか正確に数字で出せと言われても、なかなかむずかしいところがございますけれども、中小企業者にとりましては、初年度三〇%の特償というのはまたそれなりの効果があることも事実でございますので、この制度につきましてよく周知徹底をいたしまして、中小企業者がこの制度を利用して少しでも多くの設備投資を実施するよう努力をいたしたいと思っております。
○柄谷道一君 私は期待されることは当然だと思うんですが、三月十二日に民間信用調査機関であります帝国データバンクが二月の企業倒産状況を発表いたしております。深刻な倒産事情がいま現出いたしております。さらに、三月十八日に経企庁が発表されました月例経済報告では、「設備投資は、大企業ではこれまでの高い水準を維持しているものの、伸びには頭打ちの気配がみられる。一方、中小企業では製造業を中心に停滞が続いている」、このような月例報告を出されているわけです。しかもまた、日本開発銀行が三月一日に、五十七年及び五十八年両年度の設備投資動向調査を行って、その結果を発表いたしておりますけれども、詳細には申し上げませんが、御承知のとおり、その見通しはきわめて暗いものでございます。 景気というものに大きく貢献しております設備投資について、このままの状況が続けば失速するんではないかという世論が高まりつつあることは大臣も御承知だと思うんです。 さらに、私が修正案を出しましても、これは否決されることと思いますけれども、これも承継税制同様、経済の動向というものを慎重に見守りながらこれに対する見直しを行っていくという用意は当然あってしかるべきだと私は思うんですが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(竹下登君) そもそも従来から投資減税というものは、投資減税という言葉からくる心理的影響と、それが実態からくる実質的影響とかなり乖離のあるものでございます。 したがって、昨年私がまだ党におりますときに、経済対策会議が行われまして、党を代表して私は参加しておりましたが、そのときも、言ってみれば、各省、あるいは各大臣とでも申しましょうか、観念的にだれも理解できるが、実態としてさてどうするかということになると、かなりそれなりに真剣な議論が行われておりました。私も私なりの意見を吐いたわけであります。 そこで今度踏み切られて、いままさに中小企業庁からお答えがございましたように、実態の問題をいろいろ調査しながら、特別償却というものがむしろ中小企業には、従来の経験からして、従来の経緯からして、なじむではないかというような考え方で、ぎりぎりのものがこのようにして提出して御議論をいただいておる、租税特別措置として御議論をいただいておると、こういう内容であろうと思うんです。 したがって、これは税制全般としては、その執行状態、そして及ぼす影響等を見直していくための検討というのは、絶えず進めていなきゃならぬ問題ではございますが、現在、将来にわたってこれをこのような方向で見直しというようなことを言う段階ではない。現状においてぎりぎりいっぱいの、言ってみれば、周知を集めた今度の税制の中小企業の承継税制とこの投資減税、これは大きなとは申しませんが、われわれの認識からすれば、政府全体の目玉としての一つの商品であるというぐらいな理解でこれを御審議いただいておるという現実を率直に申し上げておきます。
○柄谷道一君 時間も迫ってきましたので、もう二点に質問をしぼりたいと思います。 第一点は、特定基礎素材産業対策促進税制の実施が今回図られているわけでございますが、私はこの措置では不十分だということは本会議で指摘いたしました。しかしこの質問は重複しますので省略をしますが、通産省に一点だけお伺いします。 石油化学用ナフサに係る税制でございます。これは諸外国におきましては、石油化学用ナフサにつきましては、いずれの個別消費税も恒久的に免税になっておるのが常識だと私は考えております。ところが、わが国においては、輸入ナフサについては租税特別措置法により免税になっておりますが、適用期限は一年間であるので毎年見直しが行われる。この意味においては恒久的免税税制とはなっていないと理解します。 また、国産ナフサにつきましても、五十七年四月七日、通産省で省議決定されました石油化学原料用ナフサ対策に基づきまして、石油税負担分は 半減され、さらに五十八年からは石特で所要の措置が講ぜられておることによりまして、実質的には撤廃が図られる予定になっておりますけれども、しかしこれも制度的に恒久的なものであるとは言えないわけでございます。 この問題につきましては、これは国際競争力とも非常に関連する問題でございます。安定的に企業を維持していくために、制度としての恒久化、これが必要ではないかと思うことがその一点でございます。 最後は、通産省とあわせて大臣にお伺いしたいわけでございますが、通産省では減価償却の年限短縮について研究会が設けられるやに承っております。そこで、大臣、いままでの減価償却の概念というものは、この機械はいつまで使ったらもうだめになるかという物の発想だったわけですね。しかし欧米諸国では企業基盤をいかにして充実するか、国際競争というものに対応して償却年限というものはいかにあるべきかという視点からの論議が進められ、これが逐次実現しつつある。どうも日本の場合、この発想というものに転換することがおくれればおくれるほど国際競争力という基盤は危うくなると思うのでございます。通産省のお考えと大臣の本問題に対する御所見を承り、足らざるは三十日の質問で続けることにいたします。
○説明員(高橋達直君) 私から石油化学原料用ナフサに係る石油税の問題についてお答え申し上げます。 先生御案内のとおり、石油税につきましては広く石油の消費者の負担を求めるという見地から、原油及び輸入の石油製品に対しまして課税をされているものでございますが、その石油税につきまして特定の製品の特定の用途のみについて課税から除外するということは好ましくないということで、用途免税が認められてないということは御案内のとおりでございます。 そこで、そういう税の公平性の観点からくまなく課税をしているわけでございますけれども、一方におきまして輸入石化用ナフサにかかる石油税につきましては、石油化学工業の現況等の諸事情を考慮いたしまして、毎年度租税特別措置といたしまして免税をされてきたものでございまして、したがいまして、本件が非常に暫定的なものであるという御理解をいただきまして、石油税本来の趣旨を御勘案いただきまして、恒久的な制度とすることの困難なことにつきましての御理解を賜りたい、かように考えておるわけでございます。
○政府委員(梅澤節男君) ただいま委員が御指摘になりました税法上の減価償却の耐用年数の取り扱いでございますけれども、わが国の税制上は、特に昭和三十年代、技術革新とか開放経済への移行ということで、二回にわたりましてかなり大幅な見直しをいたしまして、短縮を図られておるわけでございますが、その後も四十年代、五十年代を通じまして個々の対象資産ごとに物理的寿命のほかに経済的陳腐化という観点も入れて見直しを行っているわけでございます。 ただ、御理解を賜りたいのは、マクロ的に見まして、ほかの先進諸外国に比べた場合にわが国の産業の償却率がそんなに低いというわけではないわけで、ちょうど先進国の中では平均的な償却率の地位を占めております。これはマクロ的な議論でございます。 それからもう一つ、GNPに占めます設備投資の割合、これは更新投資も含めたトータルの比率でございますが、これはもう先進国の中でわが国はずば抜けて高いことは御案内のとおりでございます。したがいまして、現在のわが国の税制上の耐用年数が、先生が御指摘になりました国際競争力も含めて、産業上障害になっているとは必ずしも言えないのじゃないかというふうに考えております。減価償却資産の耐用年数は、わが国の税制といたしましては、先ほど申しましたように、物理的寿命、経済的な陳腐化という基本的な原則のもとに、しかし絶えず実態に即した見直しはしていかなければならないというふうに考えております。
○委員長(戸塚進也君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(戸塚進也君) 速記を起こして。
○説明員(藤原武平太君) お答えいたします。 先生御指摘のとおり、民間設備投資の円滑な促進の必要性につきましては、当省としても十分認識しているところでございます。 このため、当省といたしましては、民間設備投資の現状、設備の老朽化とか陳腐化とか、それからその果たすべき役割り、活発な民間設備投資を促進するためにどこに制約要因があるのか、その制約要因を取り除くためにはどのような政策的対応が必要であるのか等につきまして、諸外国の事情も参考にしながら、幅広い観点から検討を現在進めているところでございます。
○柄谷道一君 終わります。
○野末陳平君 きのうに続きまして、身近な問題で、日ごろ疑問に思っていることを質問していきたいと思いますけれども、きのう医療費控除をやる時間がなかったんで、最初に医療費控除やってみたいと思います。 医療費控除ですけれども、かなり医療費の幅が広いわけでして、最近の傾向として、実際に控除対象となっている医療費の中身、そういうものはどんなようになっているか。資料はないと思いますけれども、課税当局の感じで御説明願えますか。
○政府委員(角晨一郎君) 感じで大変恐縮でございますけれども、いま御指摘もございましたが、医療費の範囲というのはなかなか事実認定がむずかしい問題を持っておりまして、たとえば美容整形の費用などというのは医療費の控除の対象になりませんけれども、それをどういう証明手段で——証明手段と申しますか、わが方はそれを一々チェックして、場合によっては問いただして、それが美容整形の費用であるのかないのか確かめなければいけないというような問題が実際問題としてはございます。
○野末陳平君 いや、ちょっと質問したことと受け取られ方が違っちゃった。 つまり、医療費といいましても、幅が広いがゆえに、最近は医療と言えるかどうかわからないようなものが実は控除対象になってきてるんではないかと、そういう感じをお聞きしたわけです。
○政府委員(角晨一郎君) 確かに、医療と医療以外の保健衛生と申しますか、そういうものの限界がなかなかはっきりしていない場合が、執行の実際上からも出てきております。
○野末陳平君 私が感じるのは、たとえばこのごろは保険が充実して、高額療養などは返ってきますので、むしろ申告上医療費控除の中身は厳密な意味での医療費ではなくして、差額ベッドの問題であるとか、あるいは細かいけれども交通費であるとか、かなり変わってきてるんだという感じがしてるわけですね。それだからこそなおその係と納税者の間でいろんな食い違いも出てきたり——こういう医療費控除による還付が普及したことは結構なんですが、しかしながらその医療費の中身がどうも医療費とは言えなくなっている、これも目立つ現象だと、こういう気がしてるわけなんですよ。 そこでいま課税当局の感触をお聞きしたんですが、どうでしょうかね、この医療費控除がそもそもつくられた当初のねらいというか、その目的が果たしてそのとおりに機能しているかどうかということも含めて、これは一体何のための制度なのか、もう一度確認してみたいと思うんですがね。
○政府委員(梅澤節男君) 医療費控除は、これはたしか昭和二十五年の所得税法改正時に設けられた制度でございますが、考え方といたしましては、災害とか病気とか、不時の出費といいますよりも、こういう出費というのは通常生活上避けられない。ただ、所得税法では、各種の人的控除でもって非課税部分を引きまして、その後の部分について累進税率を適用してるわけでございますが、通常避けられない程度の費用はこの人的控除の中で対処していただきたいという考え方が基本にございます。ただ、そういうものでは対処でき ないような、つまり担税力に非常に影響を及ぼすような不時の出費が非常に大きくなった場合に、一定の限度でもってそれを所得控除するというのが基本的考え方でございます。 したがいまして、医療費控除にはいわゆる足切り限度というのがございまして、現在の制度は、所得額の五%もしくは五万円、いずれか低い額を超える部分について所得控除を認めるということでございます。 最近の医療費控除の問題につきましては、先ほど委員からも御指摘がございまして、国税庁からも答弁があったわけでございますが、私も執行の段階におりましたときの感触でございますが、いま委員が御指摘になりましたような、その差額ベッドとかいったふうな費用のほかに、たとえば薬屋さんで薬を買うというのも医療費の控除の対象にしておりまして、これが時たま税務当局との間でいろんなトラブルが起こるというふうなことも現実に私どもは経験しております。
○野末陳平君 福祉の出費が余りにも多くて、それが担税能力に影響を与えるというようなことで救う、これは当然あっていい、そう思いますが、最近の医療費控除が何たって、ぜいたくとは言いませんけれども、保険が創設当初に比べてぐっと充実した結果、高額療養でバックがある、むしろそういうものでない医療費が結果的には控除されている、こういう現実は相当あると思うんですね。ただ、残念ながらその資料的なもの、はっきり裏づけがありませんので、あくまで感じでお尋ねしているわけです。 そこで、どうなんでしょうか、当初から比べて保険が非常に充実したということを考えますと、医療費控除というのは、いまやこれは見直すべき時期に来ていると、こういう感じがしているわけです。いまの主税局長の五%と五万円以上のというようないまの決まりですけれども、この辺を見直して改めるべきだと、こういう気がするわけですね、この足切りを。確かに、これはいまや還付が何となく年じゅう行事化してきていまして、納税者には、まあ楽しみとは言いませんけれども、そんな雰囲気もある。それを改めるというのは恐らく批判を浴びるというか嫌われることですから、ほっておいた方がいいと言うかもしれないんですが、私はこの還付の額がどうこうじゃなくて、時代に合わなくなってきたとすれば、それはやはり改めなきゃいけないという観点から、この五%五万円、ここら辺、少し問題があると見ているんです。どちらかを選べということになったのはどうしてだったんでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) 創設当時は一〇%でございましたが、五%になりましたのが二十八年でございまして、この五%はそれ以来ずっと五%の水準になっておるわけでございます。それから四十五年に五%もしくは十万円のいずれか少ない額ということで、現行の五%と足切り限度額の制度になっておるわけでございますが、五十年に入りまして、これがさらに五万円に引き下げられております。 当時の記録を見ますと、当時の総理府の家計調査の一世帯当たりの医療保険費が四万七千五百八十一円、約五万円という数字が出ておりまして、恐らくこの五万円に準拠して、つまり平均的な医療費を上回る部分というふうな考え方もあって、五十年にこの五%もしくは五万円いずれか少ない額という現行の制度になったというふうに考えられるわけでございます。 いずれにいたしましても、この制度に限りませず、税制上のいろんな限度額等につきましては、時代の変遷に応じまして適確なものにするように絶えず見直しをしていかなければならないわけでございますが、同時に執行当局の方も非常に煩瑣な事務量をこれにかけておりますので、医療費の実態に即して、この限度額が引き上げられるという方向で私ども考えたいと思うわけでございますが、一方、これは納税者の方にとっては、結果的には税負担の増加というかっこうで働くものでもございますので、いずれにいたしましても、将来の検討課題の一つとして先生の御指摘を承っておきたいと思います。
○野末陳平君 そうしますと、将来の検討課題としても、これを五万円をたとえば十万円にするというような、そういう方向をいま示唆したんですか。
○国務大臣(竹下登君) この問題、まあ医療費控除の足切り限度額を引き上げるべきである、こういうことでございますならば、一つの御意見として税制調査会に報告して、結論は結局どういうことになるかと申しますと、所得税制の問題と一緒に議論していただくというようなことになるのではないかと私は思っております。
○野末陳平君 個人的な意見ですけれども、これは五%と五万円の五万円を十万円に引き上げると、こういうのも一つの考え方だと思うんですね。しかし、いっそのこと、十万円という線もなくして、五%だけ残すというのも考え方だと思うんです。なぜならば、十万円に引き上げられますと、今度は医療療費をたくさん使ったという人が救われる面よりも、むしろ厳密な医療費以外のややぜいたくとも思える、あるいは恵まれた立場にある人たちの医療費の方が救われるという面もかなり強くなってくるという、これが実態ではないかと思っているんです。 ですから、私個人は、これは五万円を十万円という案もあると思いますし、その方が無難かもしれませんが、これは所得の五%という線を残す方が、むしろ最初局長のお答えになりました不時の出費が大きくて、それが担税能力に影響するからというような考えを生かすんじゃないか、そういうふうにも考えるので、それも含めて税調に検討を依頼されるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) これは所得税負担の見直しの際に検討されるべき課題で、当然のこととして、国会の議論でございますから、正確にそのことは御報告申し上げるということでございます。
○野末陳平君 医療費控除そのものも結構なことだと思うんですけれども、これが余りにも煩瑣になり、税務行政も非常に負担になってくるとか、あるいは納税者にとってもかえって解釈が食い違ってトラブルになったりと、そういう面も出てきましたので、これをもうちょっとすっきりした方がいいという気がしているわけですね。このままでいくと、たとえばもう年末調整で医療費控除はやってもらったらどうかという意見すら出ているわけですね、専門家の間で。そうなると、ますます問題が出てくると思いますので、ひとつこの辺で医療費控除のあり方をきちっと時代に合ったように改めてほしいという要望です。 次は、青色申告の問題、サラリーマンの税金の問題でありますが、ちょっと先にサラリーマンのことでやっていきたいんです。 サラリーマンだけを減税するというのはなかなかむずかしいとは思うんですけれども、一つ、通勤費で最近矛盾を感じることが多々出てきました。非常に細かいことなんですけれども、当事者にとってみればこれは大変なことです。つまり住宅事情でかなり遠いところにマイホームを持たざるを得ない、こういうサラリーマンがふえてきているわけですね。そうすると、交通費は値上がりするから、定期代が会社から出るというものの、いまの通勤費の非課税限度額が一万九千五百円となっておりますから、この範囲でおさまる人はいいわけですけれども、これを超える、こういうサラリーマンは一体どうなるか。これはもう当然ながら、会社から定期を買ってもらう、あるいは定期代をもらうにしても、非課税限度を超えた部分は所得として所得税の対象になっているわけですね。 そうすると、一番の問題は、数からいってどのくらいいるかわかりませんけれども、月に五千円、一万円ぐらいオーバーしちゃうんですね、通勤費が。そうすると、年間で五、六万から十万以上、これが通勤費なのにもかかわらず、ふところに一円も残らないで、全部通勤のために使われてしまうお金であるにもかかわらず、税金の対象となって所得税を払うわけですね。これはもう間違 いのない事実なんですが、この辺のところで矛盾はないでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) ただいま御指摘のとおり、現在通勤費で交通機関を利用する人の非課税限度額が、一カ月当たり一万九千五百円になっております。したがいまして、それを超える部分については実際上課税になるということは御指摘のとおりでございます。 ただ、この一万九千五百円の水準をどう考えるかということでございますが、国鉄の場合でございますと中央線で大体高尾までの一カ月の定期代、私鉄でございますと東武日光線で終点までは行けるということでございまして、かなりの水準にあるということも御理解を願いたいと思うわけでございます。 ただ、この通勤手当は、四十一年に正式に所得税法の中に制度として織り込まれたわけでございますが、それまでは取り扱いでいろいろやっておりましたが、制度として取り込まれまして以来、国家公務員の通勤手当の支給額の限度におおむね準拠して定められてきたという経緯がございますので、そうした経緯も踏まえまして、今後とも検討されるべき問題であるというふうに考えております。
○野末陳平君 これは確かにかなりのレベルだと思いますね。しかし現実にこの限度額を超える通勤費を負担して通うという人がいる以上は、ここを突っ放すというのはどうかと思うんですね。 ですから、本来通勤費として支給される部分は実額非課税であるべきだという考えを持っているんです。おまえは遠くから通って高くなったって知らないよというんじゃなくて、最短の交通機関を使って最低の通勤費を払うという、そういう線で実額でしてやるべきだ。何も好きこのんで遠くから通っているわけでもないでしょうから、この限度額を引き上げるというよりも、実額というのが筋ではないかと思うんです。 公務員との関係でまたここに差ができてはいけないとは思いますね。だから、すべてを含めて、大臣、通勤費の限度額を超えたらそこに税金がかかってくるということ自体がおかしいというふうに思うべきじゃないでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 通勤の実情というのは個々の人によっていろんな事情があると思います。昭和四十一年でございますか、制度創設以来、国家公務員の通勤手当というものの支給額の限度というものに準拠して今日きておりますので、そういう考え方で対応すべきものではないか。通勤時間とか、通勤距離とか、あるいは個々の住宅環境あるいは家庭環境、家庭の事情とか、いろんなものが総合されてありますので、公務員の通勤手当というのが準拠されるべき一つのものじゃないかなという感じが私はいたします。
○野末陳平君 そういう考え方でいくならば、遠いところから通ってくる人は損をするということになるわけですね。税金を取られて、好きこのんで遠くに住んでいるわけじゃないのにと。 こうなりますので、事情はわかりましたんで、そうしたら、限度額はいまのままで結構ですし、また交通費が上がればそれに準拠して上がるかもしれませんが、これを超えて通勤せざるを得ない人たちに特例のようなものを認めるというのはどんなものでしょうかね。もし自分が遠いところに家を持った、あるいは勤務先が変わった、そういう事情からそこへ通わざるを得ない。たまたま一万九千五百円以上の交通費がかかったらその分に税金がかかる。自分がその立場になってみると、こんな矛盾したばかな話はないという気がするんですが、それを思ってあえて質問したわけですね。特例を認めるようなことは考えられませんですか。
○政府委員(梅澤節男君) この問題につきましては、いま委員がおっしゃったようないろいろな考え方があり得ると思いますが、この制度の基本というのは、通常の給与のほかに加算して通勤手当が支給される。その場合に、一般の通勤する人の通常必要であると認められる分を非課税にしようという考え方でございまして、企業の給与体系によりましていろいろ千差万別であるとするならば、民間のいろんな給与の実態を調査した結果、人事院がいつも決めてまいります公務員の通勤手当の限度額というのが、一つの社会通念上認められる必要なあるいは非課税とされるべき部分であるという考え方も私は成り立つと思うわけでございまして、そのようなたてまえで現在の制度ができておるわけでございますが、なお御指摘の点につきましては今後の検討課題として承っておきます。
○野末陳平君 それは検討してほしいと思いますがね。いずれにしても、通勤に通常必要だと言われても、これは個人差のあることは当然のことですから、ちょっと納得できないんですがね。なお引き続きまた研究してみたいと思います。こちらも。 それから、かねてから、サラリーマンの給与所得控除はもっと上げるべきだと、こういうことをこの席上何回も聞いてもらったんですが、ひとつその場合に関連して考えておかなきゃならないことがあるので、それをついでにお聞きします。 最近はやりの同族会社の場合などは家族が全部社員ですね。家族が全部社員であるという場合には、それぞれが給与所得控除というものを認められるわけですね。親子四人でやっている会社で、みんなが給与をもらって給与所得控除を受ける。これはこれでいいと思うし、何ら税法上問題があるとは思わないんですが、そういう勤め方のサラリーマンと一般の会社に勤めているサラリーマンとが同じ給与所得控除という点にちょっと引っかかりがあります。つまり同族会社の場合だったら、勤務に伴う経費などといっても、四人分それが果たして必要であるのか、あるいは生活なども一緒にそこでやっていればその辺が得し過ぎているのじゃないか、そういう気もするわけです。それはそれでいいけれども、仮にサラリーマン減税だといって給与所得控除に配慮すると、そういう同族会社のサラリーマンと全く他人に雇われているサラリーマンとが同じく減税の対象になるというか、恩典を受ける。そこら辺がいいのかなと思うわけですね。 私の本音は、前々から言うとおり、給与所得控除というのは、主に必要経費的な意味が強いというならば、これは当然もっと引き上げて、サラリーマンの税負担を軽くしなきゃいけないと思うんですが、その場合に、じゃ同族法人の場合も一緒くたにするかというと、これはやり過ぎかなと思ったりするんです。 そこで、主税局長に伺いますけれども、同族法人の中で家族にそれぞれが給与所得控除が認められているが、これと一般の会社のサラリーマンが認められる給与所得控除とを全く同じく扱っていいものかどうか。いかがでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) いまの委員の御指摘は大変興味の深い、またある意味では非常にむずかしい問題でございます。と申しますのは、委員いま同族法人とおっしゃいましたが、典型的に問題になるのはむしろ個人事業所のような場合で、同じ家に住んでおられて、青色申告の場合には、完全給与制で給与所得として扱われますから、それは外へ働きに出て月給をもらった場合と同じ給与所得控除が受けられるということでございます。同族法人といいましても、個人類似のようなものから、かなり大きな構えでそこへ行くのに通勤をするというような場合もございましょうし、その個別の態様によりましてなかなか区別するのはむずかしいんですが、いま委員が御指摘になりましたようなのは、むしろ個人事業所でしかも同じ家に住んでおられて給与をもらっておるという、それは外へ働きに出ていくサラリーマンと同じ給与所得控除を受けるのがいいのか。公平という観点からは、必要経費の概算控除という観点からするならば、少しフェーバーが厚過ぎるんではないかというふうな問題の御指摘だろうと思うわけでございます。 御指摘の点については、この種の議論を提起される向きもいろいろございまして、私どもも興味深くその種の議論はいつも拝聴しているわけでご ざいますが、ただ税法上は、一つは、労働にふさわしい対価の給与でないとこれは給与として認めないという一つの歯どめもございます。それからもう一つは、わが国の経済自体が、何といいましても、給与所得化というのが非常に進行いたしております。恐らく納税者のほとんどの部分が何らかのかっこうで給与所得者になりつつあるという現状でございますので、そういった現状も踏まえまして、将来の所得税のあり方を検討します際に、そういった観点も踏まえまして検討する課題の一つであろうかとは思いますけれども、これを区分して制度上はっきりと裁断して取り扱うというのもなかなかむずかしい面もあるということをひとつ御理解願いたいと思うわけでございます。
○野末陳平君 いまちょっと表現が足りませんで、同族法人と言いましたけれども、確かにむしろ青色専従者の問題も含めてということです。この後で青色のことを質問するつもりでした。 いまの答えのとおりで、実際区別がしにくいんですけれども、給与所得控除というものの性格、定義を言うならば、幾つかあって、その辺が微妙だと思いますがね。いずれにせよ、しかし現実にはこういうものがある以上、今後これを引き上げるなんという議論が出たときには、どうしてもここがすっきりしないとまずいという気がしているわけなんです。指摘だけにして、もしまたいい考えがあったら、むしろ教えてもらいたいと思ってるくらいです。 その関連でさらにお聞きしますけれども、いま出ました青色の専従者なんかの問題です。この青色申告は一時すごく普及しましたが、しかし最近は頭打ちだ。半分ぐらいだとかいう話も聞いておりますけれども、初期のころは、もうやたらに税務署が青色申告宣伝というか、会員の数をふやしたように記憶してますがね。もちろん最近でも青色申告会などがあって、それなりの有意義な活動をしていることは認めるんですが、この青色申告というもののあり方で、どうなんでしょうかね、いろいろと問題点がいまあって、いろんな特典をつけて青色青色と言ってるが、実はこれもまた根本的に見直さなきゃいけない時期に来ていると、こういう気がしているわけです。たとえば、早い話がですね、帳簿をつけろ、簡単な帳簿でもいいんだからそれをつけておかなきゃいけないんだということで、さまざまな特典があるけど、青色申告で帳簿をつけてないというのも、はっきり言って相当数ありますね。 なぜそれがわかるかというと、青色申告会で困ってるんですから。これは非常に矛盾した話です。となると、これはいままでは確かに申告納税をきちっとしていくために会員をふやし、青色を普及させるために税務署は努力した。だけれども、さて、いまこれが本当に機能しているのかどうか、いい制度と言えるのかどうか。こういうことも含めて、現在税務当局はこの青色申告のあり方についてどういう問題点をお持ちなのか、それをちょっとお聞きしたいんです。
○政府委員(梅澤節男君) 現在の青色申告制度は、ただいま委員御指摘になりましたように、戦後わが国に申告所得税制度が導入されました際、納税者がこの申告納税制度というのは帳簿記録に基づいて自分で計算して申告するという制度でございますので、なじみのない制度ということで、これを促進する意味から特に青色申告制度という奨励制度というようなものを税制上認めたということでございます。自来、青色申告制度はそれなりにわが国の税制の中に定着をしてまいっておりますし、申告納税制度がいい方向に今日まで進んでいるとすれば、青色申告制度が一つその大きな役割りを果たしたということは否定できないと考えるわけでございます。 しかし、また一方、税制調査会の答申なんかの指摘がありますように、近来、給与所得者との比較におきまして、いわゆる申告所得税の納税者の所得の捕捉の問題から、不公平の問題というのが、執行上の問題でなくて、制度上少し手入れをすべき点があれば手入れをすべきではないかということでございまして、現在税制調査会の中で申告納税制度を特別部会でいろいろ検討していただいておるわけでございます。 私どもはその中で、現在の青色申告制度の果たしている機能をどう評価するか、将来どういう方向へ持っていくべきなのかということは当然議論されるべきものと考えております。ただ、今日までそういった意味で青色申告制度が定着しておるということもまた否定できないわけでございまして、この制度をさらに実効あるようにどういう方向に持っていったらいいかという方向で私どもは検討されるべきではないかと考えておるわけでございます。
○野末陳平君 事実かなり定着もしているし、それからそれなりの役割りも果たしているということまではわかるんですね。しかし、かといって、じゃいまのようないろんな特典を与える、これからも与え続けていってさらに効果が上がるのかどうか。正しい申告がそれで保証されるのかどうかという一番問題の点は、これがちょっとどうかなという気がしているわけです。 主税局長も言いましたけれども、サラリーマンの不公平感というのは、これはもう何といったって、青色とか白色とかそんなこと関係なく、生活のレベルですね。ほとんど似たり寄ったりで、商売やっているあっちの方がいいのに、税額を聞いてみたら全然違うというようなこと、これはもうざらにそういうエピソードがあるわけですね。それはそれでちっとも構いませんよ。正しい申告からそういう結果が出たらいいんですけれども、必ずしもそうではないという、これが現実だろうと思うんです。 その一つが、さっきから出ましたけれども青色専従者給与のあれ、これも現状のままでいいかどうか疑問なんです。どうでしょうか、いまの青色専従者給与というのは、もちろんばらついているわけですけれども、平均してどのくらいなものでしょうか。数字ありますか。
○政府委員(角晨一郎君) 青色専従者給与でございますけれども、青色専従者給与を利用している青色申告者一人当たりでございますが、年間百六十二万八千円でございます。これは五十五年分の数字でございます。
○野末陳平君 これは平均ですから、専従者としての仕事内容からいって妥当なレベルとかどうか、そんなことは言えないと思います。ただし問題は、あくまでこれは平均でしょうけれども、自由に給与が決められるというこの辺ですね。この上の方、ピンからキリまであるんでしょうけれども、当局が知り得た範囲で、かつて新聞に何かお医者さんの特別な例が出ていたようですが、そういう特例はともかくとして、これより上のがずいぶんあると思うんですね。どのような例がありましたですか。つまり専従者ですから、これをたとえば奥さんだとしましょう。そうすると奥さんに給料を払っているのが一体年どのぐらいになるか。そしてその仕事自体。仕事というのは、奥さんの仕事じゃなくて、その青色を選んでいる事業者の収入、どのぐらいの売り上げ、どのぐらいの規模の仕事をしているのか。その辺との比較でちょっともう少し詳しく説明してもらえますか。
○政府委員(角晨一郎君) 先ほどの数字を若干訂正させていただきますが、先ほど青色専従者給与を利用している青色申告者一人当たり百六十二万円と、こういう数字を申し上げました。しかも五十五年分で申し上げましたが、これを専従者、つまり専従者給与を受ける一人当たりで五十六年分で訂正して申し上げますと、年額百二十四万円、月額十万円強でございます。 いまお尋ねは、高額な青色専従者給与の例を言えと、こういうことでございますが、確かに専従の程度、それから従事している事業の規模、そういうものから比べて、常識をはるかに超える高額な給与を支給している事例もあるわけでございます。どういう売り上げで、どのぐらいの給与を奥さんに払っているかという御質問もございましたけれども、具体的な計数を持っておりませんが、私どもそういう高額な専従者給与というのは、税法の規定に照らしてもこれは是正しなければいけ ないものでございますので、所得税の調査の重要な事項としてこれに取り組んで、判明したものについては逐次是正を求めているということでございます。
○野末陳平君 調査にたまたまなって、そして実態と違うから修正をというケースはよく聞くんですけれども、それよりも、いまお聞きしたいのは、高額の給与でどのぐらいのがあるか、これがちょっと知りたいんです。この平均じゃ何となく別に悪くないという意見にもなってしまいますから、おかしな方を具体的に言ってほしいんですよ。
○政府委員(角晨一郎君) 突然の御質問でございますのではっきり幾らと申し上げることはできませんが、先ほどの平均の年額百二十四万円の十倍を超えるようなものはかなり目についておるということでございます。
○野末陳平君 十倍を超えるというと、一千三百万以上の年収だということになりますね。これが奥さんであるのか娘であるのか知りませんが、どういう職業なんですかね、これは。
○政府委員(角晨一郎君) やはり自由職業者と申しますか、医療保健業と申しますか、そういう所得階層の高い青色申告者にそういうケースが、非常に目につくというわけではございませんで、私どもそういうものを重点に見ておるという方が正確かもしれませんけれども。
○野末陳平君 となると、結局、この専従者給与を高く払うことによって、所得を分散して税金を安くしているということですから、これはやはり非常に問題ですね。どこに問題があるかというと、これは青色専従者給与というものが青天井で自由に決められるというところにあるんじゃないでしょうか。どうですか。
○政府委員(梅澤節男君) これは先ほど来直税部長が御説明を申し上げておるところでございますが、所得税法では、類似の業種等勘案いたしまして「労務の対価として相当であると認められるもの」、したがって相当でないものはもちろん否認をされるわけでございます。ただ、具体的な運用基準といたしまして、一定の金額があって、それ以外のものは、それを超えるものは認めないというふうな運用がなかなかむずかしいわけでございます、業種とか業態によってまちまちでございますから。 ただ、私がかつて執行の段階におりました経験で申し上げますと、たとえばいまの医療保険業で、平均の一人当たり専従者給与の十倍を上回るというような給与をたとえば奥さんに支払っておるということで申告が出てまいりますと、税務署の方でこれを指導いたしまして、修正申告を慫慂いたしまして適正な額に訂正はいたしております。
○野末陳平君 当然それは調査の段階でそうなくてはおかしいと思いますけれども、しかし、一般納税者が受け取る場合には、修正させられたのなんのということはわかりませんで、ただそういう専従者という名のもとにかなりの、ちょっと考えられない給料だ。仕事の内容によって給料はまちまちであってもいいんですけれども、それにしたって大きいですね。こういう例が目につくというのは、サラリーマンの家庭にとっては、もちろんほかのまじめな納税者みんなにとってもそうですが、不公平なずいぶんいいかげんな話である。これが調査で否認されて修正したということじゃなくて、こういうものがそもそも認められる制度があるというところに問題があるんじゃないか。そこで大臣、青色専従者給与、これが青天井だというのはおかしいので、基準というのは決めにくいけれども、しかし妥当な線というのをおのずから考えるべきじゃないでしょうか。それを決めて限度を設けても何ら差しさわりないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) 先ほど来申し上げておりますように、制度としては相当なものと認められるものに限定しておりますので、制度の考え方としては、きちんとしておるというふうに私どもは考えておるわけでございますが、委員が御指摘のように、実際の運用に当たってそれが生きて活用されないということになりますと、非常に問題があるわけでございます。その意味で、運用の基準、今後の執行のあり方等も含めまして、一つの問題提起として私ども真剣に検討すべき課題と考えております。
○国務大臣(竹下登君) いろいろ意見を聞いておりますと、いわゆるサラリーマンというものを標準に置いての御議論でございますが、私の経験からしましても、私も昔——昔私は自営業者でありました。それで、結局、有限会社なら有限会社にして、そうして給与所得者になるということも、ある時代にはそれは奨励された一つの措置であったと思います。それから青色申告もまさに奨励策だったと思うのであります。それらの奨励策の中でだんだんだんだん進歩してきまして、そこで御指摘になっているようないろいろな問題が出てきたんだなという認識を深くしたんですが、生の御意見を聞きながら、いま主税局長も答えましたように、これは勉強させていただく課題であるというふうな認識はひとしくいたしております。
○野末陳平君 税金というとすぐ減税かあるいは増税かというようなことで、現行の制度のいろいろな矛盾を直していくことも大事なんだけれども、どうしても、それがおざなりになるというか、影が薄くなるんで、細かいことを一々チェックさせてもらっているわけなんですね。 時間も余りありませんので、また次回やることにして、最後に、最近、前大蔵大臣の渡辺さんのときにちらっと委員会で出た記憶もあるんですが、総収入申告制ですね。この導入を検討しているということを聞きまして、これはこれなりに意味のあることだし、しかしどういうところが問題点か、その辺がちょっとわかりませんので、当局がどういう意図でこの総収入申告制の導入を研究しているのか、その辺の事情説明をお願いして終わりにしたいと思います。
○政府委員(梅澤節男君) この総収入申告制の問題は、臨調の中間答申にも指摘されておる問題でございます。現在わが国の所得税では、申告義務者というのは、所得税法によって所得計算をいたしまして、その結果納付すべき税額がある人だけが申告をする。したがって、税額がゼロの人は申告義務を排除されておるわけでございます。 問題の発端は、先ほど申し上げましたように、申告所得者に対する所得の捕捉、これを執行の問題ではなくて、制度面でもきちんとできるような制度が考えられないかということで、たとえば帳簿記録による申告の問題とか、推計課税の問題とか、立証責任の問題とか、まあいろいろ議論をされているわけでございますが、その一環といたしまして、たとえば諸外国等では、日本のように納付すべき税額があるという人だけでなくて、もう少し広範囲に、端的に言えば、納付すべき税額がなくても一定の要件を満たす人は税務当局に、納税額ゼロでも、あるいは所得赤字でも、申告しなければならないということになっているわけでございます。 それが所得捕捉の一つの手がかりにもなるという問題があるわけでございますが、ただ総収入申告制というのは、私どもの受け取り方では、言葉としては総収入申告制というのは臨調答申にも書いてあるんですけれども、これをもう少し広く読みまして、申告義務をいまより少し広げる。その場合に、たとえば所得がなくても一定の収入額以上ある人は申告をするというのが、一つの総収入申告制の言葉の意味でございますが、それはいわば例示と考えまして、申告義務をいま以上広げるためにはどういう基準がいいのか。たとえばフランス等でやっておりますように、女中さんが二人以上いれば申告する義務があるとか、そういう外形的な基準で申告義務を課している国もございます。それがわが国の風土になじむかどうかという問題は別といたしまして、そういう広範な観点から税制調査会の特別部会で御議論をいただくと、こういうことでございます。
○委員長(戸塚進也君) 三案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。 ─────────────
○委員長(戸塚進也君) 次に、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣。
○国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりました関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。 この法律案は、最近における内外の経済情勢の変化に対応し、関税率、減免税還付制度について所要の改正を行おうとするものであります。 以下、この法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。 第一は、関税率の改正であります。 まず、わが国の市場の一層の開放を図る等のため、カットダイヤモンド、金属加工機械、農業用トラクター等百十一品目の関税率を撤廃するとともに、チョコレート菓子、紙巻たばこ、電子式ディジタル自動データ処理機械等二百十二品目の関税率を引き下げることとしており、この結果、三百二十三品目の関税率を改正することといたしております。 また、以上の改正等に伴い旅行者の携帯輸入物品に課される簡易税率につきまして所要の引き下げを図ることといたしております。 第二は、減税還付制度の改正であります。減税還付制度につきましては、今後予想される灯油等中間留分石油製品の供給不足に備えるため、新たに特定の装置により中間留分石油製品等を増産した場合、関税を還付する制度を設けるとともに、設置の目的を達成した低硫黄燃料油製造用原油等の減税制度を廃止することといたしております。 以上のほか、昭和五十八年三月三十一日に適用期限の到来する暫定関税率につきまして、その適用期限を一年延長するとともに、昭和五十八年三月三十一日に適用期限の到来する原油関連減税還付制度、アルミニウムの塊の免税制度等につきまして、それぞれ適用期限を延長することといたしております。 以上がこの法律案の提案の理由及びその内容であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(戸塚進也君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 なお、本案に対する質疑は次回に譲ることといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後七時六分散会