法務委員会 第10号
- 発言数
- 278 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1983/05/25
会議録
○綿貫委員長 これより会議を開きます。 本日の請願日程第一から第八五の各請願を一括して議題といたします。 各請願の内容につきましては、文書表ですでに御承知のことと存じますし、また、先ほどの理事会において検討いたしましたので、この際、紹介議員の説明を省略し、直ちにその採否を決定いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 本日の請願日程中、日程第七、第八、第一一、第一二、第一六ないし第一九、第二二、第二三、第二五ないし第三〇、第三七、第四〇ないし第五四、第七八及び第七九の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ───────────── 〔報告書は附録に掲載〕 ─────────────
○綿貫委員長 なお、今国会、本委員会に参考送付されました陳情書は、スパイ防止法制定促進に関する陳情書外九件であります。念のため御報告を申し上げます。 ────◇─────
○綿貫委員長 閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。 第九十六回国会内閣提出、刑事施設法案につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○綿貫委員長 起立多数。よって、本案について、閉会中審査の申し出をすることに決しました。 次に 第九十三回国会土井たか子君外六名提出、国籍法の一部を改正する法律案 第九十三回国会稲葉誠一君外五名提出、最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案 第九十三回国会稲葉誠一君外五名提出、最高裁判所裁判官任命諮問委員会設置法案 第九十三回国会稲葉誠一君外五名提出、刑事訴訟法の一部を改正する法律案 第九十三回国会稲葉誠一君外五名提出、刑法の一部を改正する法律案 第九十四回国会正森成二君外二名提出、利息制限法の一部を改正する法律案 第九十四回国会稲葉誠一君外五名提出、利息制限法の一部を改正する法律案 岡田正勝君外二名提出、刑法の一部を改正する法律案 裁判所の司法行政に関する件 法務行政及び検察行政に関する件 並びに 国内治安及び人権擁護に関する件 以上各案件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次に、閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。 閉会中審査案件が付託になり、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、その派遣地、期間、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ────◇─────
○綿貫委員長 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉沢徳一郎君。
○玉沢委員 本日は、国際情勢が非常に厳しい中におきまして、わが国の独立と安全をいかに守るか、また、国民の幸せをいかに確保するかという政治の根本命題を論じつつ、それに関連しまして、最近の米国下院で明らかとなりましたレフチェンコ氏の証言問題を取り上げまして、政府の対応いかんについて質問をいたしたいと存じます。 まず、わが国の政治体制というものを考えてみたいと思います。 これは、日本国憲法で保障されておりますとおり、自由と民主主義体制であることはだれも疑う余地のないものであります。国民一人一人の意思をもって国の方向、政治の方向を定めていく主権在民がその根本思想であります。国民の自由が保障され、基本的人権が認められております。したがいまして、国民のそれぞれの自由にして秘密な投票によって代表者が選ばれまして、その代表者による話し合いを通じて物事を決めていくという議会制民主主義を持っておるわけでございます。 したがいまして、わが国の憲法というものの主張しておりますこの体制というものは、軍事的な独裁をもって国民の自由を圧迫をしているというような政治体制あるいは一政党のみの永久支配を正当化するという共産主義諸国家に見られますような一党独裁体制の政治体制とは明らかに異なるものであります。したがいまして、われわれは、日本国憲法の保障する自由にして平等、そして民主主義の体制をいかに守り育てていくかということが日本の政治の最も重要な課題であると考えるわけでございます。 また、国際社会におきましては、われわれは常に平和を希求することを国是といたしております。つまり、それぞれの国家の主権を認め、その国々の存立を認め合い、お互いに尊重して侵さざることを外交政策として展開をしてきておるわけでございます。 しかしながら、この国際政治の現状というものを冷静に見詰めてまいりますと、たとえば軍事的な手段を用いて他国を併合する、自分の意思を軍事的な手段でもって他国民に押しつける、そして支配をする、あるいはまたいろいろな秘密工作を用いて、政治、外交、経済等の工作を用いて他国を影響下に置いてそれを支配するというような事例が多々見られるわけでございます。自己の意思に反して他国に虐げられるというような悲劇が繰り返されておるわけであります。たとえばソ連のアフガンに対する侵略あるいはベトナム戦争もそういう終結を見たと私は見ております。実際には、北ベトナムが南ベトナムの国民を虐げる、こういう状況、また過去におきましては、ハンガリーやチェコの事件が物語っておるわけでございます。 こうした事件の中におきまして、われわれが自由と民主主義の体制というものをしっかりと守り抜いていくためには、このような武力あるいは秘密の政治工作というものを通じまして、自由体制であることをいいことにいろいろな工作が浸透していく、国民が知らないうちにいろいろな影響力が行使されておる、そして国が失われていく、こういうような状況に対しましては、われわれはまずもって国の独立と安全を守る、こういう観点から十二分にこれに注意し、警戒をしていかなければならぬと思うわけでございます。 つまり、わが国の独立と安全を守るためには、日本を支配しようとするいかなる外国からの内政干渉というものも断固排除するということが国の安全保障上最も不可欠のものであります。日本国家は日本国民のためのものであり、いやしくも外国の工作によって国の存立が危うくされるようなことは断じてあってはならないわけであります。したがいまして、このような観点に立って今回のレフチェンコ事件を見ますと、国の安全と独立に関して多くの問題点を投げかけていると私は思うのであります。 したがいまして、以下、この問題をレフチェンコ氏の米議会での証言内容をもとに質問を展開をしてみたいと思うわけでございます。 まず、レフチェンコ氏は米議会での証言におきまして、日本の現状について次のように証言をいたしております。 日本はKGBにとっては最も積極工作活動がしやすい国です。法律的にもそうですし、日本人ジャーナリストも非常に友好的で近づきやすいからです。日本人は非常に誠実であけっぴろげな民族です。KGBは非常にごまかしがうまく、まじめな人間をだましてソ連の目的に奉仕させることがあります。相手は一体だれのために働いているかも知らないことが多いのです。 同じことは日本の国会議員にも言えます。非常に近づきやすい議員もいて、ソ連の議員工作は活発です。KGBはたえず多くの議員を目標にしており、いろんな考えを吹き込んでいます。信頼のおけるエージェントを通じて吹き込むだけでなく、直接何人かの議員に会いに行くこともあります。KGBはある政治的な会話から始めて、その中に何気なく言いたいことを差しこむのです。こうした半公然活動ですら多くの場合、成功するのです。 日本での積極工作活動の数はおそらく世界最大だと思います。 こういうふうに表現をいたしておるわけでございます。 よく日本はスパイ天国と言われておるわけでございますが、このレフチェンコ証言にありますように、日本は法律的にも非常に積極的な工作が行いやすい国である。これは、法律的にはこうした外国の情報あるいは政治工作というものが何ら規制されておらない、こういう点にあると思うわけでございます。したがいまして、この自由と民主主義というものを守るという点におきまして、果たして自由というものを守る上におきまして規制が必要でないかどうか、こういう点がもっと国会で論議をされなければならぬと私は思うわけであります。 そこで、私は官房長官にこのことの認識を問いたいのであります。 去る四月十八日の参議院の決算委員会で、機密保護法に触れて、機密保護法をつくれば、運用いかんによっては民主主義の基本原則、開かれた社会が侵されてくるおそれがある、世の中が暗くなるおそれがあると発言したということでありますけれども、この真意はいかがなものであるか、世の中が暗くなるということはどういうことを意味するのかということなんであります。むしろ、私は法律によって外国の積極工作をある程度取り締まることができなければ、この日本はいずれその存在を失ってしまう、国の存立というものを失ってしまう、こういうおそれすら非常に危惧をするわけでございます。もちろん、それは、国民の自由というものが機密保護法あるいはスパイ防止法というものが制定されることによって制限され、あるいはそれによって国民が非常に苦しむような状況になることは望まないことであります。 しかしながら、外国からよこしまな思想を持ちまして日本に対していろいろな工作を行うということがこのまま野放しになった場合のことを考えてまいりますならば、私は安全保障の非常に大きな問題があると思うわけでございます。したがいまして、官房長官にこの点の認識をお聞きをいたしたいと存じます。
○後藤田国務大臣 今日のような厳しい国際社会の中ですから、国にはやはり守らなければならぬ秘密というものがある、これはもう間違いのないことであろう、こう私は思います。したがって、それを守るためにいわゆる一般的な機密保護法といいますか、そういう法律をつくる必要があるという御意見、ちょうど玉沢さんもそういうお立場だと思いますが、そういう強い御主張があることは私は百も承知をいたしております。 しかし、同時にまた、そういった機密保護法をつくった場合のその実効担保、これがどういうことであろうか。実効を担保するということになって、その運用いかんによっては今日のような開かれた社会、これに大きな、私の言葉を言えば暗い影を投げかける、その場合に国家全体というか社会全体といいますか、強靱性ということを考えた場合に果たしてどうであろうかといったような意見も一方にあるわけでございます。 しかし、いずれにせよ、事柄はきわめて重要でございますから、こういう問題についてはやはり慎重な検討を必要とするということは間違いのない事実であろうと思います。ただ、この内閣といたしましては、先般中曽根総理も委員会で御答弁なさっておりましたように、いわゆる機密保護法といったようなものをこの機会に制定するというような考え方はない、こうお答えをしていらっしゃいますが、私も同じ考えで今日おるわけでございます。いろいろ御議論がございましょうから、これは慎重にこれから検討はしなければならぬと思いますが、私の考え方は、先般決算委員会で申し上げたように、やはり開かれた社会の強靱性ということがより一層重要ではないのかというのが私の偽らざる心境でございます。
○玉沢委員 日本はこの憲法のもとに三十八年間自由と民主主義の体制で今日まで来たわけでございますが、国の体制の強靱性ということがよく言われますけれども、やはりこの辺でもう一度真剣に取り組んでみる必要があるんじゃないかと私は思うのです。と申しますのは、つまり機密保護法をつくれば直ちに弾圧政治が始まる、あるいは防衛体制というものを確立をすれば直ちに侵略が始まる、こういう端的な物の考え方だけで事を処理をしておったのでは、私は国の存立というものは危うくなる、こういう信念でございます。むしろ日本が国際的に世界の人々から信頼をされ、国際社会人として生きていくという上におきましては、いずれもこの二つは克服をしなければならぬ問題だと考えております。 たとえば、防衛問題につきましても、世界の国々が、日本は専守防衛だ、これを絶対枠を外さない、しかし、日本自身が自由主義陣営の一員としてその防衛に対する役割りというものを果たしていかなければ、日本はただ防衛に関してもみずからの役割りを、何ら義務も果たさずに世界の人々におぶさっておる、こういう批判があることは承知しておると思うわけでございます。 また、機密保護法があっても社会が暗くなる、暗い影を投げかけるという官房長官の考え方でありますが、たとえばアメリカあるいは西ドイツという民主主義諸国家におきまして機密保護法が厳然と存在をしておりまして、市民は、国民は、この運用というものを決して誤っておらない。われわれも、民主主義体制というものが本当に強靱であるならば、何が国家にとって害をなすか、何が国家にとって正しい判断であるか、こういうことを国民の一人一人が判断できる、そういう機会を与えなければ、私は非常に大きな問題が生ずると思うわけでございます。 したがいまして、一つは国際的な信用度、本当に自由主義陣営というものは日本を理解しているのか、信頼しているのか、情報の問題でこういうような機密保護法も持てないということでは果たして信頼できるのか、こういう批判も存在をいたしているということはわれわれもよく認識をしなければならぬと思うわけでございます。 そこで、当委員会におきまして、参考といたしまして各国の例を若干引いてみたいと私は思うわけでございます。 たとえば、アメリカにおきましてはアメリカ合衆国連邦法典第一八編第三七章「スパイ及び検閲」というところにおきまして、外国に通報した場合「外国政府を援けるための国防情報の収集または引渡」「第七九四条 次のいずれかに該当する者は、死刑、無期または有期拘禁刑によって処罰される。」「(a) 合衆国を侵害しまたは外国を利することとなるように使用させる意図または使用されることを認識しながら、書類、文書、暗号書、信号記号書、スケッチ、写真、写真のネガ、設計図、図面、地図、模型、記録、器具、用材、その他国防に関する情報を、外国政府または合衆国の承認する国たると否とにかかわらず外国にある政党、軍、またはそれらの代表者、公務員、機関雇傭者、国民、市民に対し、直接たると間接たるとを問わず、通報し、引渡し、移転し、またはそれらの行為を企てた者」に対しましては「死刑、無期または有期拘禁刑によって処罰される。」こうなっております。 また、西ドイツの例を見ますと、これは第二次世界大戦で日本と同じような運命をたどってきた国でありますが、西ドイツにおいてはどういう刑法になっているか。ドイツの刑法におきまして「第九四条 国家機密を 一 外国の勢力もしくはその仲介者に通報し、または、二 ドイツ連邦共和国に不利益を与え、もしくは外国の勢力に利益を与えるため、無権限者に得せしめ、もしくは公然と知らせ、それによって、ドイツ連邦共和国の対外的安全に重大な不利益をおよぼす危険を惹起した者は、反逆の罪として一年以上の自由刑に処する。」「特別に重い事態においては、刑は無期または五年以上の自由刑とする。」こういうように国家機密罪を制定しておるわけでございます。ソ連の場合はもっと厳しいわけであります。 だから、そういうように民主主義国家、自由主義国家というものが自分の国の存立を守るために努力しておる、こういうことをわれわれが見ましたときに、これを用いたからといって国民の自由と基本的な人権を損なうということは運用次第ということを言っておりますけれども、しっかりと運用していくことによって可能である、私はそう考えるわけでありまして、こういう点をわれわれが一つ一つ克服をしてまいりませんと、国際的な信用というものに非常に大きなマイナスになる、こういうことを私は考えるわけでございます。 そこで、一つ質問いたしますが、四月十日の日経新聞の報道によりますと、日本におけるソ連の高度技術収集活動に関する政府の極秘文書が明らかにされた、こういう記事があるわけでございますが、これは米国からも指摘をされておる。したがって、たとえば一つの情報につき五千万円も用意しまして、学校とか、大学とか、あるいは研究所、あるいは先端技術、こういうものの情報工作をしておる、こういうような記事が出ておるわけでございますが、政府としましてはこれについては確たる事実としてとらえておるのかどうか、この点について御質問をいたしたいと思います。
○丹波説明員 お答え申し上げます。 最近、ソ連がいわゆる西側の高度の技術を非合法的に入手するために大変力を入れておるということは、西側、日本も含めまして大変問題意識が出てきております。ココムにおきましてもこの問題が論議されておることは御承知のとおりです。 ただ、この問題について日本政府の中に極秘の文書があるという点については承知しておりません。
○玉沢委員 私が指摘したいのは、つまり情報処理という問題と国際的な友好関係というものをよく認識をした上で今後この問題に対処していかなければならない。したがって、もし法的な規制というものがない場合におきましては、政府の部内におきましてはどういうような処置をとっていくか、とるべきか、こういうことは真剣に考えなければならぬ、こういうことをひとつ提言をいたしておきたいと思います。 それから、次に質問いたしますが、去る五月十七日から二十一日の間、米国下院情報特別委員会における証言問題等に関する調査派米議員団が超党派で訪米をいたしました。 そして、レフチェンコ証言の信憑性について調査を行い帰国いたしたわけでありますが、その中におきましては、たとえば今月二十二日のサンケイ新聞の報道によりますと、社会党の代議士にKGBから一千万の選挙資金が流されているということが報ぜられておるわけでございます。これがもし事実とすれば、きわめて重大なことであると言わざるを得ないわけであります。本人は事実関係を否定しておられるようでありますけれども、国会としては本人の名誉も含めまして真相を究明していかなければならない責務があると私は考えるわけでございます。また、一部報道されたところによりますと、たとえばコードネーム名ディックなる社会党国会議員がKGBのエージェントであったという新事実も明らかにされておると伺っております。 したがって、まだまだ解明されなければならない点が多々あると考えるわけでございますが、二十三日、捜査当局が打ち切りを発表いたしたわけでございます。つまり、これは国政調査権の発動に対して余りにも早々と否定的な態度を示したものとも受け取られかねないわけでございます。したがいまして、一体どのような経緯を経て調査結果の発表となったのか、その経緯につきましてひとつ自治大臣より御説明をいただきたい。
○山本国務大臣 昨年の十二月にアメリカの下院情報委員会でこの証言が公表をされましたが、警察といたしましては、この証言にあらわれたソ連の情報機関のわが国における活動に伴って違法行為があるとするならば、それは看過することができないという方針のもとに去る三月の下句に係官をアメリカに派遣して、同氏より前記証言のさらに具体的内容について詳細に聴取をいたしました。その聴取した内容に基づきまして犯罪の存否について所要の調査を行って得た結論を一昨日発表いたした、こういう経緯になっております。また、その間、国会におきましても調査の進捗状況についてもたびたびお尋ねがありまして、ただいま申し上げたような調査の結果がまとまったという段階で今回の発表となった、こういうことでございます。
○玉沢委員 この調査結果についてはどのようなものでありますか、改めてひとつ当委員会に御報告をいただきたい。
○山田(英)政府委員 警察といたしましては、レフチェンコ証言の内容につきまして犯罪の存否を確認いたしますために、彼が政治工作担当のKGB機関員として直接運営しておった十一名の者につきまして、必要と判断しましたそのうちの数名の人から事情を聴取するなど所要の調査を行ったわけでございます。また、公務員が絡むとされておるケースも二、三ございました。これはレフチェンコ氏が直接取り扱わなかったものでありましても、事柄の性質上、同様に必要な調査を行ったわけでございます。その結果、いずれも捜査の端緒は得られず、立件には至らないという結論に達したわけでございます。 こうしたことは捜査上の課題でございますが、それとは別に、レフチェンコ証言の信憑性について触れますと、同証言において述べられた政治工作活動はいろいろあるわけでございますが、これと、警察はレフチェンコ氏在日中も彼はKGB政治工作担当機関員の容疑ありということで視察しておりましたが、そうしたレフチェンコ視察の結果あるいは他のKGB機関容疑者の視察結果と照合するとき、また裏づけ調査のプロセスで判明したことの結果、そういうものの照合の結果多くの点で一致するところがありますので、その信憑性については全体として高いと判断いたしております。 以上が、一昨日調査結果ということで発表いたしました内容でございます。
○玉沢委員 犯罪の存否を確認する、こういうことで、レフチェンコ氏が直接運営していた日本人十一名、こういう形で数名の人から事情を聴取したということでございますが、調査の段階で何名から事情聴取をしたか、あるいはその中に政治家は含まれているかどうか、これについてはどうですか。
○山田(英)政府委員 立件という結果に至っておりませんので、調査の内容の詳細は申し上げますことを差し控えさせていただきたいと思います。そういう意味で、何名から事情聴取をしたかということについては答弁を差し控えたいと思いますが、捜査的な課題を追及したわけでございますから、レフチェンコ氏が、金銭を交付したということを証言している、直接運営したエージェントに対して金銭を交付したと言っております対象の方から事情聴取をしたことは間違いのないところでございます。
○玉沢委員 政治家の場合、外国から金を受け取る、これは非常に大きな倫理上の問題である、こう指摘せざるを得ないわけでございます。 政治家の場合におきましては、特に政治資金規正法の違反になると私は考えるわけです。つまり、先ほどから述べておりますように、政治資金規正法というものは、この目的において言っておりますね。「この法律は、議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治団体の届出並びに政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の収支の公開及び授受の規正その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする。」つまり「もつて民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする。」ということでございますね。 それから基本理念の第二条の二項に「政治団体及び公職の候補者は、その責任を自覚し、その政治資金の収受に当たつては、いやしくも国民の疑惑を招くことのないように、この法律に基づいて公明正大に行わなければならない。」こう書いてありまして、この二つの項目が日本の民主政治の根本という考えに立って、そしてこれを守っていかなければならぬ、国民の監視にさらされて本当に公正なものでなければならぬ、こういう趣旨であると思うわけであります。 そこで、これを受けまして第二十二条の五は「何人も、外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織から、政治活動に関する寄附を受けてはならない。」となっておるわけであります。もしこれで罰するということになりますと、三年以下の禁錮または二十万円以下の罰金に処せられることになっておるわけであります。 つまり、外国から金を受け取っておるという政治家がもし本院にあったという場合におきましては、その事実が明らかになった場合におきましては、政治資金規正法第二十二条の五によって罰せられると思うわけでございますが、今回の捜査におきましてそういう点も留意して調査されたのかどうか、質問させていただきます。
○山田(英)政府委員 ただいまお示しの政治資金規正法第二十二条の五というのは、確かに何人も政治活動に関する寄附を外国人から受けてはならないという規制並びに罰則でございます。もちろん、私ども調査に当たりまして、金銭の授受があったということにつきましては、御指摘の政治資金規正法の条項を含めて、あるいはレフチェンコが在日当時には外国為替及び外国貿易管理法によりましても非居住者からの金銭の授受が罰則に該当するという規制もあったわけでございますが、そうした関係条項についての検討はもちろん加えました。 ただ、もともとレフチェンコ氏が証言する金銭授受の時期が古いということもございましたが、同時に、調査の過程では、いわゆるレフチェンコ氏の言うエージェント側は金銭の授受を一様に否定いたしております。レフチェンコ氏の供述とは相反する食い違いがあるわけでございます。 そこで、事実関係はそういうことでございましたし、同時に、レフチェンコ氏の供述どおりの金銭授受の事実があったと仮に仮定した場合でも、そしてその事実がいまお示しの政治資金規正法寺の条項に違反したと仮に仮定した場合でも、その時期はすでに公訴時効にかかる期間を経過いたしておるという事情もあわせまして立件に至らないという結論に達したわけでございます。
○玉沢委員 そうしますと、時効にかかったということなんでありますが、これは何年ということになっていますか。
○山田(英)政府委員 外国為替及び外国貿易管理法違反の罰則については時効三年と理解しております。政治資金規正法第二十二条の五についても三年と理解しております。そのほか、政治資金規正法関係につきまして、収支報告書の記載義務違反、虚偽記入というものにつきましては時効五年と理解しておりますが、もちろんこの条項につきましても検討を加え、関係事実の特定はいたしておって、結論的には公訴時効にかかる期間が経過しておるということでございます。
○玉沢委員 私は、外国からの資金を収受するというようなこういう非常に重大な問題というのは、時効三年というよりは、これをもう少し延長した方がいいんじゃないかということを一つ意見として申し上げておきたいと思います。やはり重要な問題でありますから。 それから、レフチェンコ証言を見てまいりますと、コードネーム名、公安関係者、たとえばシュバイクとかあるいはまたマスロフとか、いろいろな公務員のケースがあるわけでありますが、こういうのはどういうような法律違反を想定して調査したのであるか、この点について質問させていただきます。
○山田(英)政府委員 公務員につきましては、国家公務員法に規定されます守秘義務の違反ということの処罰規定を考慮して調査いたしました。
○玉沢委員 これもいずれも時効になっている、こういうことですね。
○山田(英)政府委員 期間の経過ということについてはそのように言えるかと思います。ただ、目下さらに引き続き関心を持って究明いたさなければならないというケースもあるわけでございます。
○玉沢委員 それから、一つの工作というものの体系を見てまいりますと、学者であるとか評論家あるいは新聞記者のケース、あるいは財界人と、いろいろなポイント、ポイントに非常に戦略的な工作をやっておりますね。こういうケースは、これは法律違反というものに当てはまるのかどうか、この点について御質問します。
○山田(英)政府委員 いわゆるアクティブメジャーズ、積極工作ないしは政治工作と訳すべき働きかけでございますが、これ自体は違法行為を形成することはなかろうと思います。ただ、それに伴いまして各種の違法行為が介在する可能性はあるわけでございまして、特に金銭の授受というような点については、レフチェンコ在日当時には外国為替及び外国貿易管理法違反が生ずるおそれはあったということでございます。
○玉沢委員 それから、証言の中に、見てまいりますと、エージェントとか政党に対する報酬というものが友好貿易商社を通じて行われているケースが報告されておるわけでありますが、たとえば売り上げの利益の一五%から二〇%が支払われている、こういうようなことが証言の中にあるようでありますが、このような事例はあるのかどうか、あるとすれば、これはどういうような法律違反という形になるのか、こういう点について御質問します。
○山田(英)政府委員 レフチェンコ氏が述べておることにつきまして、彼自身はこの種の工作に関与したことはないし、具体的な事柄を知っておるわけでもないということでございます。われわれ警察といたしましても、具体的な裏づけをもってそうした商社を通じての資金援助があるということを確認いたしておるわけではございません。したがいまして、擬律判断の点については、そうした事実の究明の前提としてどのような法違反が成立するか、確定した検討をただいましておるというわけではございません。
○玉沢委員 一昨日の警察庁から出された調査結果によりますと、まず、レフチェンコ証言の信憑性については、「同証言に述べられた政治工作活動の内容と、警察がこれに基づいて今回行った裏付け調査の結果及び過去警察が把握してきた各KGB機関員の政治工作活動の実態とが多くの点で一致する」こういうふうに述べておるわけでありますが、この信憑性は非常に高い、こう認めておるわけでありますが、捜査当局が調査の結果このような結論に達した理由というものを詳しくひとつお話をいただきたいと存じます。
○山田(英)政府委員 多少長くなって恐縮でございますが、お答えいたしたいと思います。 まず、彼がアクティブメジャーズと言って彼自身が担当した仕事の目的をどう証言しておるかということが前提になろうかと思います。 これは下院の情報特別委員会において彼は十項目を挙げて証言しておるわけですが、それをまず読み上げさせていただきたいと思います。 一つは、日米両国の政治、軍事協力の緊密化を阻止すること。二つ目は、政財界、軍事関係者の間に日米間の不信を増幅すること。三つ、日中両国の特に政治、経済の分野における関係発展を阻止すること。四つ、ワシントン・北京・東京のいわゆる反ソ・トライアングルの創設の可能性をあらゆる手段を使って阻止すること。五つ、著名な日本の政治家、特に自民党及び社会党の中に政治、経済の分野での対ソ関係の発展強化を活動方針とする新たな親ソ・ロビーを扶植すること。六つ、影響力のある高級エージェント、著名な実業界指導者及びマスメディアを通じ、対ソ経済関係をドラスチックに拡大強化する必要性を日本政府指導者に確信させること。七つ、日本の政界に、日ソ友好善隣条約の締結を促進するための運動を組織すること。八つ、社会党を初めとする主要野党に深く浸透して、その政治綱領に影響を与え、自民党が国会で政治的独占状況を確保できないようにすること。九つ、同時にソ連は、日本の政治的安定を必要としているので、野党指導者が連合政権を樹立することをやめさせること。十番目、最後でございますが、千島列島に軍隊を派遣し、あるいは北方領土に新たな住宅施設を建設することによって、ソ連の意図に対する日本人の考え方に影響を与え、日本政府に北方領土についてのソ連支配に対して異論を唱えることが無益であることを悟らせる、いわゆるコリャーク工作実行のためのハイレベルの活動を維持すること。これがアクティブメジャーズの例であり、彼自身が参画し、目標にした工作であるということでございます。 それにつきましては、私ども日常ソ連の情報機関員のスパイ活動を幾つか検挙してきておりますし、外交官のカバーあるいは情報関係者のカバーで情報機関員が潜入して活動しているという実態を剔抉また把握してきております。現に視察もいたしておりますが、そういう視察結果においては、いまレフチェンコが言っておる政治工作というのが行われておるということは従来から把握してきたわけでございます。 それから、レフチェンコ証言におきます周恩来の遺書、にせの遺書をマスコミに書かせたということは――現にサンケイ新聞の昭和五十一年一月二十三日の朝刊に明らかに周恩来の遺書が掲載されております。それから、ミグ25の亡命事件がありましたとき、ベレンコ中尉の妻の手紙というものを偽造して、日本のマスコミに掲載することを試みたわけでございますが、これも昭和五十一年九月十日朝刊各紙に掲載されております。特に、彼が在日当時は日中離間を策することがソ連の在日政治工作の最大のねらいでございました。これに向けて情報機関員の活動は活発でございまして、そのことはわれわれの視察にも明らかであったわけでございますが、今度の調査を通じて何人かの方々は、レフチェンコから、日中離間を目指す記事を書かせよう、そういう働きかけをあらわに感じたということを認めておるケースがございます。 重ねて申し上げますが、周恩来の遺書はその最たるものでして、遺書の中には、文化大革命は失敗であって、中国は重工業の拡大を優先すべきだ。世界平和維持のためには、すべての民主勢力、社会主義勢力はもっと協力すべきであるということで、暗に中国とソ連の和解の可能性を周恩来の言葉ということでにせの遺書に書いておるわけです。それは、目的は、中国国内に動揺を起こさせる、同時に日本において対中不信感を醸成することにあったわけでございまして、その記事が載るや否やタス通信は大々的にそのことを報道して最大限に利用したという経緯がございます。 それから、視察結果と符合する点が多いということを申し上げましたのは、事情を伺う過程で、レフチェンコ並びにその前任者等のソ連機関員との接触を認めることを渋る方も多いわけでございますが、警察の視察結果に基づく接触の具体的事実を示すことによってその接触を認めるというケースも多かったわけでございます。 それから、金銭の授受は先ほどいずれも一様に否定されたという調査結果を申し上げましたが、物証がないためにいずれとも断定できません。しかしながら、ソ連側はいろいろな名目で金銭を差し出してきたという供述はございました。自分としては突き返して受け取らなかったが、金を出してきたということを供述している方があるわけでございまして、少なくとも金銭を使っての情報機関員の働きかけがあるということは認められるわけでございます。 以上申し上げた諸点で、調査結果で申し上げましたように、信憑性は認められるというふうに判断しておるところでございます。
○玉沢委員 このアクティブメジャーズ、日本語で言えば積極工作といいますか政治工作、この十項目の目的というものは非常に信憑性がある、いまこういう御答弁をいただいたわけでございます。 先ほど来から申し上げておりますように、日本の存立というものは自由と民主主義を基盤とする政治体制を守っていくことである。これはいかなる一党独裁の共産主義とも反するものである、相違するものである、こういうことを申し上げてきたわけであります。つまり、日本は、自分の自由と民主主義というものを守る上におきまして、たとえば防衛体制におきましては専守防衛、また外交におきましては日米安保体制というものを基軸といたしまして、安全保障というものを確保しておるわけでございます。したがって、ソ連という立場からこの関係に対して見てまいりますと、やはり日本を影響下に置こうという意図が非常に強い。したがいまして、日本をアメリカから孤立せしめる、こういう戦略のもとに動いているということはきわめて明瞭に理解できるわけであります。 したがいまして、第一の目的が日米両国の政治、軍事協力の緊密化を阻止すること、そして日ソの関係におきましては、日ソ友好善隣条約の締結を促進する、この外交的な戦略というものは日本をたとえばフィンランド化する、こういうような無力化した、そして完全にコントロールできるような状態に置こう――完全とは言いませんけれども、影響力を十二分に行使できるようなそういう形に一つの意図を持ってやっておるのではないか。 したがいまして、私は次の証言も非常に信憑性があると思うのでありますが、たとえば「一九七〇年代に日本のある政党幹部で国会議員でもあるKGBエージェントの一人は、在京KGB機関の指示で、日ソ協力・友好のための議員連盟を組織しました。ソ連は、このグループとソ連最高会議との間で代表団のひんぱんな交流を開始しました。交流の都度ソ連は、日本の国会議員(複数)に対しソ連との政治・経済関係の強化について日本政府を説得するよう働きかけました。このグループの会長は、スタッフの給与、月刊誌発行の資金として、KGBから相当額の金を受け取っていました。」こういうことですね。 それから、いま局長が言われましたように、世論の工作、うそも百遍唱えれば正しいことになる、こういうようなことで世論工作をやっておる。つまり、日本人の考え方あるいは日本人の主要な勢力、そういうようなものにソ連の物の考え方を浸透せしめて、日本をアメリカから引き離しまして、孤立せしめて影響下に置こうというような意図が生々しく感じられるわけであります。こういうことに対して、われわれはやはり警鐘を乱打しまして、十二分に注意をしなければならぬと思うわけでございます。 そこで、私は先ほど来KGBという言葉を使ってまいったわけでありますが、KGBというものの組織は一体どういうものであるか、これがやはり国民の間に明らかにされることが大事であると私は思うわけでございます。公然並びに非公然の活動をしておる。国会議員にも金を配っておる。あるいは新聞記者にも世論工作をやっておる。あるいは学者、文化人にも工作を行っておる。あるいはまた財界人にもシベリア開発等をえさに非常に工作が浸透しておる。したがって、こういうような工作をするKGBとは一体何であるか、これが問われなければならぬと私は思うわけでございます。 私自身が理解をいたしておりますKGBというのは、一九一七年のロシア革命と同時に、反革命・怠業撲滅非常委員会、こういうような理由によって創設をされた。この頭文字をとったのがチェカー、こう言っておるわけでありますが、秘密警察の始まりである。それが今日のKGBになっておる。 ロシアの革命史というものを見てまいりますと、たとえばプロレタリア独裁、こういう考え方があるわけでございますが、つまり資本主義社会から社会主義社会に移行する上におきましては、一足飛びに社会主義体制というものに移行することはできない。なぜならば、革命によって権力から追われたところの反動主義者、あるいはまたいままで権力の座におったところのいろいろな人間、これが反革命に立ち上がってくるかもしれない。それから同時にまた、一たん革命を成功させますと、労働者が工場を管理いたしたわけでありますが、サボタージュをしてなかなか思うように働かない、したがいまして、この怠業を撲滅しなければならない、こういうことで、つまり革命に反対をし、その芽を摘む者は即時に射殺をする、そして共産党中央委員会に事後報告をするだけでいい、こういうような権限を与えられて出発をしたというふうに考えられるわけでございます。 そこで、このプロレタリア独裁というものを見ますと、これはほんの一時期反革命勢力というものを一掃すれば、みずからの権力を解体して国家を死滅いたしまして、社会を単位としたところの自由で平等な社会に移るということを目的としておったはずであります。ところが、実際に権力を握りますと、結局労働者を弾圧し、農民の食糧を隠匿するという行為を厳しく罰して、そして弾圧機関になっていった。レーニンからスターリンに移るや、スターリンは自分の権力の確立のためにこの秘密警察というものを用いて弾圧政治をやった。 革命が成功してから今日まで数十年の歴史を持っておるわけでありますが、最初の、当初のこの革命の理想であるところの、国家を単位とするのではなくして、社会を単位とする自由で平等な社会に移るはずであったわけでありますが、この理想はどこかに吹っ飛びまして、一党独裁の国民大衆を弾圧する今日のソ連の政治の状況というものが生まれた、ここにわれわれは注目をしなければならぬと思うわけであります。 したがいまして、KGBというものは国民を統括し、あるいは共産党員に対しましても統制力を発揮する、そういう非常に強大な権限を国内において与えられておる。したがって、アンドロポフがKGBの議長であったわけでありますが、ブレジネフが亡くなりましてからその後継の書記長に選ばれる。これは決してKGBと無関係ではないと私は考えております。 さらにはまた、対外的には、KGBというものは、やはりソ連の国家目的である全世界を共産主義化するという理由のもとに一つの帝国主義的な野望をたくましくしまして、日本に対する工作も、これは日本を影響下に置いてみずからの帝国主義的な目的を達成しようという、こういうKGBというものが何か一つの国家目的のために積極的に利用されまして、革命を樹立するというような機関に変わっておるのではないか、私はそういうふうに認識をいたしますが、KGBというものは一体何であるか、これはひとつ端的に理解をしておるところをお答えをいただきたいと思います。
○山田(英)政府委員 KGBと申しますのは、われわれの理解では、ソ連邦の閣僚会議に属するソ連国家保安委員会という組織であると見ております。これは国内的には反体制活動の取り締まりを行っており、国外的に諜報活動並びに政治工作活動を主任務にしておると理解しております。国境警備隊というものもその管轄下に入れておりまして、四、五十万人の要員を持っているのではないかと思います。 そこで、海外情報収集については第一総局という組織が担当しておるようでございますが、その中には世界の各地域を担当する部、それから科学技術情報を収集担当する局、政治工作担当の部、あるいは国内での防諜担当というような組織がそれぞれ分かれておるようでございまして、わが国においてもそれに相応するセクションが存在すると見ております。これは政治情報担当のラインPR、アクティブメジャーズの政治工作班はその中に属しておるようでございますが、あるいは科学技術情報を担当するラインX、防諜担当のラインKR、あるいはイリーガルのスパイというものを支援担当するラインNというようないろいろな組織があるということは、いろいろな情報によって確認いたしております。
○玉沢委員 私は、ソ連の対日工作というものを見た場合には、やはりこれはKGB以外にも機関があるというふうに考えております。 三年ほど前でございましたか、自衛隊の情報が漏れるというスパイ事件が起きましたですね。宮永・コズロフ事件、こう言っておるわけでありますが、これをつまり工作したのはGRUという国防省軍事情報部であるというふうに言われておる。それからまた、日本のいろいろな団体にいろんな工作をしておるというふうに言われておりますのがソ連共産党中央委員会に所属しておるところの国際部日本課、こういうところがあると言われておるわけであります。 いま局長が説明されましたように、KGBの東京支部の中にはレフチェンコ氏が所属しておった政治情報部というのがある。証言を見ますと、政治情報部の点につきましては非常に詳しいわけでありますが、そのほかにセクションが二つ、つまりこの科学技術情報部あるいは海外対情報部、カウンターインテリジェンスというような役割りを果たしているというふうに見ておるわけでありますが、これは非常に膨大な機関であると見なければならぬわけでありますが、そういうふうにわれわれは受け取ってよろしいですか。
○山田(英)政府委員 先ほどお答えいたしましたKGB以外に、いまお尋ねのGRUというのがソ連軍参謀本部情報総局という形で存在いたしまして、このGRUにつきましても、海外に所要の機関員を派遣して軍事情報、科学技術情報の収集に当たっておるということはございます。 両方の組織を通じて確かに膨大な要員は抱えておるとわれわれは見ております。われわれが見ておる人数を申し上げるということは差し控えさせていただきたいと思いますが、ちなみに、レフチェンコは、五、六十人の機関員は日本に所在しておるというふうに言っておりますが、おおむねその程度の規模は擁しておるのではないかと見ております。
○玉沢委員 日本におきましては、過去、宮永・コズロフ事件のほか、たとえば戦前におきましてはゾルゲ事件、こういうようなものがありました。外国の例を見ても、たとえばイギリス情報部の幹部であったキム・フィルビーという人が、これはアメリカの情報機関を育成指導しておったのがソ連のスパイであったとか、あるいはイギリスの女王の王室美術顧問の人間がソ連のスパイであったとか、こういう例が言われておるわけでありまして、日本におきましても、表面化はいたしておりませんが、相当の工作が進行しておると考えられるわけであります。したがいまして、公安当局におきましてはこういう点につきましてしっかりとよく見ておかなければならぬじゃないか、こう思うわけでございますが、日本における過去のソ連のスパイ事件、こういうものの検挙状況につきましてここで若干質問いたしたいと思います。
○山田(英)政府委員 戦後におきましてソ連関係のスパイ事件として警察が検挙いたしました件数は十一件でございます。そのうち重立ったものを申し上げますと、小林・コノノフ事件とわれわれが名づけております事件、昭和四十六年七月二十一日に検挙いたしましたが、ソ連の武官補佐官のコノノフ、これが在日米軍のミサイルレーダー電子対策装置に関する技術指示書の収集探知を図ろうとしたケースでございます。その次には、五十一年五月十二日にマチェーヒン事件というのを検挙しておりますが、これはノーボスチの特派員のカバーで参っておりましたマチェーヒンが空母ミッドウェーの電子対抗装置などの軍事機密の収集探知を図ろうとしたというケースでございます。ごく最近では昭和五十五年一月十八日に検挙しましたコズロフ事件、これはソ連の武官コズロフが自衛隊の関係者から自衛隊関係情報等を収集していたというケースでございます。こういったように、政治工作とは別にわが国における秘密を探知する、機密漏洩者は処罰されるわけでございますが、そうした探知活動は活発に行われているとわれわれ見ております。特にその視察、検挙に努めるように努力しているところでございます。
○玉沢委員 もう一つ問題を提起したいと思うわけでございますが、ソ連のアクティブメジャーズの十項目の中におきまして北方領土問題、いわゆるコリャーク工作というものが挙げられているわけでございます。これはわが国の固有の領土である北方領土を軍事的な脅迫を通じまして日本人にもう無理だとあきらめさせる、脅迫というものが一つ加わっていると私は見ているわけでございます。レフチェンコ氏も、日本の工作を行う前には海上調査で漁民の尋問を行っているというふうに証言をいたしておるわけでございます。 また、レポ船の現状というものが存在をいたしておるわけでございまして、ソ連と通謀すれば魚をたくさんとらしてもらえる。たとえば、十二月二十五日の新聞によりますと「ウニ密漁の容疑で逮捕、追及中のレポ船の船長が、昨年十月、ソ連兵三人を漁船に乗せ、ソ連側が取り締まりに手を焼いているウニ密漁船を追い回していたことを突きとめた。二十五日午後にも検疫法違反容疑で釧路地検根室支部に追送検するが、レポ船と国境警備隊とのベールに包まれた癒着ぶりを示す事件として関係者を驚かせている。」日本人が日本人の漁船を漁場から追い出すためにソ連の警備兵を乗せてやる、これは非常に情けないことだ、残念なことだと私は思うのですね。日本の独立と安全を守るためにはこういうことを放置してはならない、そう私は考えるわけでございます。 いま警備局長から過去においては十一件のスパイ事件を検挙した、こういうことでございますが、しっかりとした対策を講じなければいかぬ。今後こうした事件が頻発する可能性があるわけでございまして、そこで今後ソ連の政治工作あるいはスパイ活動に対する対応ということで、法務省、現行法で取り締まりが十分なのかどうか、ひとつ質問しておきたいと思います。
○前田(宏)政府委員 先ほど来御論議がございましたように、ソ連のいわゆる政治工作といいますか、そういうものがいろいろ活発に行われているようでございますが、今回の場合は、いわばソ連にとって有利な世論の形成というところに主眼があったと言われておるわけでございます。そういうことになりますと、先ほど警察庁の方からもお話がございましたが、世論形成行為そのものは中身も非常に複雑でございますし、なかなか刑罰法規の対象としてとらえることができるかどうか、罰則になじむかどうかという問題もあるわけでございます。 もちろん、罰則の面を含めてあらゆる角度から対応策を検討すべきものと思いますけれども、いろいろな形で行われます工作の中で、現行法の刑罰法規があるわけでございまして、そういう法規に触れるものにつきましては十分処罰することが可能であるわけでございます。私どもといたしましても、警察当局と十分連絡をとりましてその観点で遺憾なきを期したいと考えておる次第でございます。
○玉沢委員 これは、いま局長が言われましたように世論工作だけではないのですね。非常に大きな世界戦略のもとに日本に対してソ連が工作している。だから、局長の答弁はそれで了といたしますが、やはり政治家としましては、日本の平和と独立と国民の幸せをどう確保するか、外国の支配を絶対許してはならない、こう考えるわけでございまして、いままでのやりとりを通じましてひとつ法務大臣の御見解をお尋ねいたしたいと存じます。
○秦野国務大臣 最近西側諸国の中で外交官追放などという問題が起きておりますけれども、政治工作のほかに、国家の独立、安全という立場から、スパイ活動が行われていることに対してどう対応するかという体制は、先進国の中で日本だけがスパイの防止法がない。日本は特別に太平天国の国だからそういうものは要らないのだという考えもあるかもしれませんけれども、正直言って国家というものは、私は古いナショナリズムに返ることは反対だけれども、国家を守るという問題は武力だけじゃないのだという観点が一つあるのだろうと思います。 そういう意味におきましては、先進諸国がスパイ防止法をつくってそれを施行しているのは、国家が普通にやることだろう、特別のことではないだろう。それによって言論が抑圧されるという意見もありますけれども、アメリカに行ってもヨーロッパに行っても、それによって言論が大変抑圧されたという話は余り聞かない。つくり方の問題はあろうかと思いますけれども、そこらの点は十分留意しながらも、ある意味で、現状、過去の人類がたどってきた道を考えても、国家が存続した過去を顧みても、スパイを飛ばすというようなことはどこでもやっているし、またこれをやらないと十分の外交もできないというようなところがあると思うのです。 だから、外交機密、それから日本なら防衛機密とでもいいますか、いわば世間並みに言う軍事機密、国際社会の普通並みに言う軍事機密、外交機密だけはちゃんとスパイされないような体制が国になくてはならぬだろう、こう私はふだん考えておるわけでございますが、スパイ防止法をいますぐ政治日程にのせるというようなことはどうもまだ熟してもいないという感じがいたしますが、少なくとも検討すべきであると私は考えております。
○玉沢委員 私はやはり国際政治の中におきましては、世界史の流れを見ましても、今日の現状を見ましても、残念ながら弱肉強食の世界がまかり通っておる、したがって、国家の存立というものを考える場合におきましては、非常に慎重になおかつ世界の情勢というものをよく見きわめてこれに対処して国の行方というものを決めていかなければならない、これが政治家の一番大きな任務である、こう考えるわけでございます。したがいまして、そういう観点からの議論というものを国会の中においてもっともっと主張すべきではないか、こういうふうに私は考えるわけでございます。 したがいまして、たとえば日本国憲法の前文によりましても、われわれは「平和を愛する諸國民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」こういうことで、日本が侵略戦争をやった、したがいまして、日本がそういう行為をしないという決意を持って、世界の人人が平和を愛好する、それであるならばその諸国民の平和を愛好する精神にのっとってわれわれも国の安全を保障しようと決意をした。 しかし、昭和二十年以後の世界情勢というものは、各所に戦争が起こる。みずからの国を守る努力をしないという国は併合されていく。たとえばベトナム、北ベトナムが南ベトナムを支配している。八年前日本における世論、南ベトナム解放戦線というものは北ベトナムとは別個の組織であって、南ベトナム自身のみずからの選択によって選んだ政府である、したがって、彼らの独立というものを何者も妨げるものはないという報道がなされておった。そしてサイゴンが陥落をいたしましてあそこに南ベトナム臨時政府ができますと、ベトナムは解放されたという言葉が言われたわけであります。 ところが、今日の現状を見ると、どうですか。南ベトナム解放戦線の政府は跡形もないのであります。南ベトナム解放戦線に参加した兵士は一兵に至るまですべてその職を失っておるのであります。南ベトナム解放戦線の政府の閣僚はすべて逮捕あるいは国外に逃亡いたしておるわけであります。なおかつ、ベトナム戦争継続中におきましても一人の国外脱出者もなかったのでありますが、あそこに共産政権ができることによりまして百五十万の人々が争って自分の命の保証もないままに難民としてボートピープルに出る。この現実というものをわれわれはこのわずか八年間の歴史の中によく学び取らなければならぬと思うのであります。 したがいまして、国際情勢を見るということにおきましては、もっともっと慎重に世界の情勢というものをよく分析をしなければならない。いまベトナムの青年がシベリアに送られまして、あの酷寒の地において、ベトナムがソビエトに借りた軍事的な借款あるいは経済的借款の支払いを奴隷労働のような形で支払っておるという現状は、これはまさに世紀の悲劇でなくて何であるかと私は指摘したいわけであります。そういう点におきまして、もっともっと直剣にこの問題は当委員会においても論議を進めたいと私は委員長に提言をいたしておきたいと存じます。 そこで、外交政策というものがきわめて重要である、国際化社会においてわが国が生存を確保していくためにはきわめて重要である、そういう点におきましてたびたび問題になるわけでありますが、外務省の機密漏洩が非常に問題になる。 たとえばリーダーズダイジェストの五月号に記述されておりますように、これは読み上げますと「KGBの東京駐在部はとうの昔に、日本の外務省のテレタイプ回線に線をつなぎ、外務省に入ってくる通信文を日常茶飯のことのように全部記録にとどめていた」。これが事実ならば私は大変なことだと言わざるを得ないわけでありますが、外務省としましてはこういうことに対してどういう見解を持っているのか、果たして機密が流れていなかったかどうか、ひとつお答えをいただきたい。
○枝村政府委員 ただいまの著書の中で、在日KGBがソ連大使館内に外務省のテレタイプ回線の端末を引き込んでおる、こういう記述があるということは私どもも見たわけでございます。 外務省の場合、専用回線とかいろいろな形で在外公館との連絡、通信をやっておるわけでございますけれども、基本的にはこれはKDDを通ずる商業回線でございます。したがいまして、技術的に申せば途中で傍受される可能性、これはあるわけでございます。これは必ずしも日本に限ったことでございませんで、アメリカの場合でも、特に通信衛星などを使っていろいろ通信しておるその内容を傍受しようとすれば、これは技術的に可能でございます。したがいまして、そこに、暗号に組むとか、仮に傍受されても内容が解読されないような仕組みをそれぞれ工夫してやっておるわけでございます。 そういうことと御承知いただきたいわけでございますが、ただ、私どももそういうふうな回線、商業回線で理論的、技術的に全く不可能ということは申せないわけでございますけれども、外務省内あるいはKDDとの間の連絡につきましては、少なくとも時折はこれをチェックいたしまして、そういう異状があるかないかということをときにはチェックしておる、このことは申し上げられるわけでございます。
○玉沢委員 通常の通信文はKDDを通じて送る、この場合は、場合によっては、こういうようなこともありましたが、ひとつこれは十二分にそういう場合も含めまして機密保持には万全を期していただきたい、こういうことを要請をいたしておきます。 それから、レフチェンコ証言の中におきまして外務省関係部分が出てきております。コード名ナザール、それによりますと、「各国の日本大使館から発信された通信文を外務省の電信課で入手し、撮影もしくはコピーして、自分のケース・オフィサーに渡していた」、こういうケースであります。 また、すでに退役した二人の夫婦、これはレンゴーというコードネームで言われておるわけでありますが、こういう疑いにつきましては外務省自身で調査したと聞いておるわけでございますが、その結果はどうでありましたか、お答えをいただきたいと思います。
○枝村政府委員 レフチェンコ証言のうちコード名ナザールという者、これが外務省職員ということでございます。私ども外交機密を預かる官庁として、やはり独自の保秘体制も持っておりますし、調査体制も組んでおるわけでございますので、警察からの御連絡に基づきまして早速調査を開始したわけでございますが、このナザールに関するレフチェンコ氏の情報については、もともと同人自身が直接担当したケースではないということでございます。また内容もかなり漠然といたしております。そういう問題があり、制約があったわけでございますけれども、事柄の重大性にかんがみ調査をしたわけでございます。 調査の結果、レフチェンコ氏の述べているところに符合するような職員というものは特定するに至りませず、また秘密の公電などが漏洩していたという事実あるいはそのような事実を疑わしめるような徴候も見出すに至らなかったわけでございます。 ただ、秘密の公電が外部に流出するというようなことは、これは絶対にあってはならぬことでございますので、今後ともこういう重要な情報があったということは十分念頭に置いてまいりたい、こういうふうに考えております。 それから、もう一つお尋ねのございましたレンゴーというケースでございますけれども、これは何分にも夫婦者で協力しておったというだけの、内容の非常に漠然としたことでございますので、私どもとしてもどうもこれは調査の対象として取り上げるにはいかにも情報が不足であるということで、この問題については調査をいたさなかった次第でございます。
○玉沢委員 世界の情勢を見ますと、この半年間におきまして非常に自由主義西欧陣営におきましてスパイの国外追放事件が出ておりますね。これはたとえば先端技術あるいは軍事技術あるいはNATOの情報等を獲得しようとして、そしてスパイ行為がばれて国外追放の処置をそれぞれの国がとっておるようでございます。この国を若干挙げますと、たとえばスイス、中立国のスイスでさえもソ連がスパイを働いておる。あるいはイギリス、カナダ、ベルギー、デンマーク、イタリア、西ドイツ、フランス、スペイン、こういうような状態であるわけでありますが、スパイ事件が発覚した場合におきましては、やはりそれは違法行為でありますし、友好関係を損なう最大の問題でありますから、断固とした処置を各国がとっておるわけでございます。 こういう点におきまして、わが国で今日までスパイ事件が発覚しまして国外追放等の処置をとった例というものがあるかどうか。やはりこれは日本の外交姿勢としてきわめて重要であると思いますので、お尋ねをしておきます。
○枝村政府委員 今日まで、外務省としてスパイ事件にかかわるという理由で在日外交官について国外追放等の措置をとったことはございません。
○玉沢委員 私は、こういう問題につきましてもやはり断固とした態度をとる、こういうことが必要である、こういうことを主張しておきます。 それから、このレフチェンコの証言を見ますと、亡命しようとした際に、当局が成田で尋問をする、何か亡命を妨げるような処置をとったのではないかというような内容の記述も見かけるわけでございますが、これは実際にとった処置というものはどういうものであったかについて質問させていただきます。
○枝村政府委員 確かに、リーダーズダイジェストなりバロン氏の著作の該当部分を読みますと、そういうふうにもとれる記述がございますが、そういう外務省として同人の亡命を阻止しようとしたようなことはないわけでございます。 実際に外務省が関与したところをかいつまんで申し上げますと、一九七九年十月二十四日に在京米国大使館からこういう亡命を希望して庇護を求めてきたソ連人がいるという通報があったわけでございまして、こういった場合、私ども何よりもいたしますことは本人の亡命意思の確認でございまして、そのための措置は確かにとったわけでございます。そしてその亡命意思の確認は、成田の空港に外務省の係官を派遣することによって行った、こういうことでございまして、その意思の確認の結果、確かに同人は亡命の意思があること、そしてそれが本人の自由な意思に基づくものであること、こういう点を確認いたしましたので出国を認めたということでございました。 冒頭に申し上げましたように、わが方として亡命を阻止するような措置をとったということはございません。
○玉沢委員 私は、たとえば亡命希望者、自分の国の政治的な圧迫、自由のない社会から日本という非常にすばらしい国へ自由を求めて亡命しよう、こういう人が出ることは当然だと思うのです。先般も東ドイツのバレリーナが亡命を希望して受け入れられた。私は、本人の亡命意思の確認というのは非常に必要だ、当然のことでございますが、ただその過程におきまして余りにも外交的な配慮、対外的なことに気配りをしまして、何か外務省がそういう処置において劣るようなことがあってはならぬと思うのです。 やはり亡命者が自由を求めて亡命をするような国はすばらしい国だ、日本のような自由で民主主義の国であるからこそ世界の人々が亡命をしてくるのだ、これは非常に誇りに思って、こういう者に対しては万全の処置をとるのが日本の外交姿勢でなければならぬし、これが人道的な日本の姿勢として世界の人々の信頼を得るのである、こう考えるわけでございますので、こういう点については万全を期していただきたい、このことを要望いたします。 それからまた同時に、私は、日本人は非常にあけっ広げだというレフチェンコの表現を非常に深刻に受けとめてみたいと思うわけです。特に、外交官に対しましては、いろいろな働きかけがあるというふうに言われております。あけっ広げな日本人の外交官は、よもやそういう間違った工作にひっかかるような者はないと思うわけでございますが、ただ、いままでもいろいろな例があったわけでございますので、私は老婆心ながらひとつ外務省がそういう共産圏に派遣される外交官というものの心構えをしっかりと教育をされているかどうか、この点だけを最後に質問いたしまして、そして外交政策というものは日本の最も重要な問題である、特に人間の教育もそうでありますけれども、そのためには日本の外務省の予算は非常に少ない。また人員も少ない。したがって、日本が本当に国際化社会の中にみずからの存立と安全というものを確保するためにはもっと強力な外交政策を進める外交体制というものがなければならぬのではないか、こう考えるわけでございますので、この点を主張いたしまして、私の質問に対してお答えをいただきたいと思います。
○枝村政府委員 外交における情報管理の重要性ということはまさに御指摘のとおりでございまして、冒頭にも御言及がございましたように、そういう点で日本の外交当局というものが関係諸国の信頼を得られないということではやはり十分な情報も得られない、こういうことになるわけでございまして、私ども過去十年くらいの期間をとって考えてみましても、現在外務省の得ております情報というものは質量ともに大変増大もし、質的にも改善しておるというふうに思うわけでございます。しかし、まさにそのために情報の管理、秘密保全の体制というものを一層強化していかないといけない、これはもう全く御指摘のとおりでございまして、特に御指摘のございましたようなそういう点についての省員の研修、訓練、これは従来とも努力してきたところでございますけれども、今後とも一層努力するつもりでございます。 また、具体的にそういう危険の高い地域に赴任する者につきましては、いろいろ具体的な例も挙げまして格別の訓練をしているところでございます。 なお、外務省の定員、予算の増強につきまして大変御理解のあるお言葉をいただきましたことを感謝申し上げて、御答弁にさせていただきます。ありがとうございました。
○玉沢委員 若干時間を余したのでありますが、質問項目すべて終わりましたので、これをもって終わらせていただきます。ありがとうございました。
○綿貫委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時十分休憩 ────◇───── 午後一時三十九分開議
○綿貫委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所山口総務局長、大西人事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ─────────────
○綿貫委員長 質疑を続行いたします。稲葉誠一君。
○稲葉委員 午前中の同僚議員の質問を聞いておりまして、私が私なりに疑問と考えておるところを中心としてお尋ねをいたしたい、こういうふうに思うわけです。 このレフチェンコの問題で、まず第一の疑問点は、去年の七月十三日から十四日、十四日に二人の方ですか、アメリカの下院の情報委員会で非公開の公聴会が開かれたということですね。これは事実なんですが、その中で最初の日にマクマホンCIA副長官が公聴会に出てきているわけですね。なぜレフチェンコの問題にCIAの副長官が出てきたのでしょうか。そこはどういうふうな理解の仕方ですか。
○山田(英)政府委員 米国の下院に関することでございますので、私ども警察庁の関知しないことでございます。
○稲葉委員 関知しないことはあたりまえの話で、僕だってそんなことは関知していないよ。あたりまえの話だけれども、あなたの方でレフチェンコの問題をいろいろ調べておられるのだから、なぜCIAの副長官が出てきたかということはこの事件の一つのポイントになるのじゃないですか。 それから、十四日がレフチェンコでしょう。同じ日にFBIの情報副部長というのですか、この人が証言しているわけでしょう。ではまず、なぜFBIが今度はまたそこへ出てきたわけですか。
○山田(英)政府委員 関知しないわけでございますが、再度のお尋ねでございますので、私どもの推測を申し上げますと、下院の情報特別委員会といいますのはアメリカの情報機関の活動を監視監督するという機能も持っておられると伺っております。そういう意味においては、私ども事情を知りませんが、いまお尋ねのCIAの幹部なりFBIの幹部が出ておったことがあるとするならば、そういうことは下院情報特別委員会の機能から当然のことと考えられます。
○稲葉委員 出ておったとすればではなくて、出ていたことは間違いがないわけなんですね。そこで疑問に思うのは、CIAの副長官がなぜここへ出てきたのか私にはよくわからないのですよ。FBIというのは連邦で捜査をやるところでしょう。これは日本にはない制度ですけれどもね、FBIは。こういうようなところがなぜ出てきてレフチェンコと一緒にやっているのか、これがまたよくわからない点なんです。 そこで、僕は外務省に聞こうと思ったのですよ。そうしたら、外務省はわからないから警察へ聞いてくれと言うのですよ。外務省は勘弁してくれ――勘弁してくれとは言わぬけれども、あなたの方へ聞いてくれと言うから私は聞くわけですが、これは非公開でしたね、公聴会は。それが十二月九日になって議事録の公開決定がなされて、そしてここで記者会見が行われているわけでしょう。これも事実として間違いないわけですね。一体なぜ非公開でやっていたものがいきなりここで議事録を公開するような決定になったのか、その間の経過はどうなんですか。
○山田(英)政府委員 その間の経過も私ども警察庁としては知るすべもないのでございますが、議会自身の決定によってそうなったということは間違いのないところだと思います。
○稲葉委員 そんなことはあたりまえの話じゃないですか、議会が決定したのだから。それはそうだけれども、あなた方がレフチェンコの問題についていろいろ向こうへ人をやって調べているのでしょう。調べているといっても、犯罪があるかないかを調べているという意味で警備局としては調べているのかもわかりませんね。警備局だから必ずしも犯罪とは限らないかもわからぬですね。いずれにしても、ここら辺のところは非常に重要なところなんですよ。六月十二日にニューヨークで反核の集会が行われたということは御案内のとおりですな。非常に大きな成功をおさめたというか、あるいはそうでないという見方もあるかもわからぬけれども、それを受けて急に情報委員会が非公開公聴会を開いた、こういう経過になってくると私どもは理解をしているわけですね。その証拠にFBIが二十五の証拠を出しましたね。これは知っているでしょう。その二十五の証拠の中で二十以上は反核に関連する証拠じゃありませんか。そういうことをあなたの方でも知っておるはずですよ。知らないわけはないですよ。このことは外務省に聞くのが本当かと思ったのですが、これはちょっと僕の方も悪かったのですが、もうさっき外務省は、警察がよく知っておるから警察に聞いてくれと言ってそれで帰ってしまった、僕が帰っていいと言ったから帰ったのですけれども。それであなたに聞くわけですよ。資料が二十五出たことは間違いない。そのうち二十近くが反核の関係の資料ですね。
○山田(英)政府委員 確かに、外務省に聞いてくださればよくわかると思うのです。私どもはそういう関係は全く職務上知る立場もありませんし、調べてもおりません。ただ、私個人の知識から申し上げますと、付録に二十五項目というのはあるようですが、日本関係はその中にございません。 それから、私どもがレフチェンコから事情聴取をしたというのは、ただいまお尋ねの中にありますが、捜査的課題、これを究明するために証言内容に加えてさらに直接詳細に事情聴取をする必要があると考えまして、そしてレフチェンコ自身に三月下旬に接触して事情聴取をしてきた、それがわれわれの関与したすべてでございまして、いまお尋ねの部分については公式に責任を持ってお答えする立場にないということを重ねてお答えいたします。
○稲葉委員 あなたの午前中の答弁を聞いていますと、非常に、何かレフチェンコを視察したというようなことが出てきましたね。これは渋谷の宇田川町に住んでいましたね。これは間違いないでしょう。渋谷の宇田川町のこのレフチェンコの住んでいるところのすぐ隣というと理解の仕方が悪いかもわからぬけれども、すぐ近所というか、国際勝共連合の事務所があるということは御案内のとおりでしょう。
○山田(英)政府委員 先般そのことに関してのお尋ねもありましたので、直接には私ども承知しておりませんでしたが、調べましたところ、二、三百メートル離れたところにいま御指摘の団体の事務所があるという状況になっておるようでございます。
○稲葉委員 レフチェンコという人物の評価については意見が分かれるところです。私どもの聞いている話はいろいろあるのですよ。しかし、それをここで言うのもあれですけれども、非常に酒が好きな人でしょう。これはあなたも知っているね。知っているでしょう。どうなんだい。知っているよ、あなた。そのほかにもう一つあるんだよ。あるけれども、それはここで言うのはやめます。 そこで、あなたの方にそれでは一体何を聞いたらいいかとなると、ちょっとこれはなかなかむずかしくなってくる。それじゃ、こういうことを聞きましょうか。 あなた方はKGB、KGBと盛んに言うわけだ。なるほど。じゃ、CIAは一体どういう組織なんですか。外国に対してどのくらいの人を派遣しているのですか、持っているのですか。その点、あなたの方は知っているでしょう。調べているわけでしょう。
○山田(英)政府委員 アメリカの情報機関としてCIAという組織があることは十分承知しております。その職務内容は、国家安全保障法という一九四七年のアメリカの国内法によりまして、諜報機関、それから対諜報活動のため、そういう二つの目的のために創設された機関のようでございまして、大統領の諮問機関に国家安全保障会議というものがアメリカではございますが、その直接指揮下の機関であると承知しております。
○稲葉委員 CIAというのは、あなたはいま言われなかったが、本部に約一万五千名ぐらいおりますね。それで外国に現地採用その他まぜると全部で大体三万名ぐらいいるわけでしょう。日本にもCIAの人がアメリカから常時来ているということじゃないのですか。そこら辺のところはあなたは警備局長として当然つかまえているのではありませんか。
○山田(英)政府委員 CIAの出先機関、メンバーが日本に来て活動しているかどうかという実態については、私どもは把握しておりません。
○稲葉委員 人員は、本部が大体一万五千人ぐらいですよ。海外派遣が一万人ぐらい、現地使用人を含めると海外で活動している者は約三万人、こういうことですね。これは僕の方で正式に調べたものです。そして、いまこのレフチェンコという人がCIAの事実上の管理下といいますか、そういうふうなものにあるということはあなたの方でも知っているわけじゃございませんか。
○山田(英)政府委員 アメリカに亡命しましたKGBの機関員について、必要な知識を得るためにCIAが事情を聴取したということは当然のことと承知しております。 それから、しきりにいろいろお尋ねになるわけなので申し上げますと、われわれとしては、在日中レフチェンコが政治工作担当のKGB機関員の容疑者であると見て視察しておりましたし、いろいろな事実を把握しておりました。それとレフチェンコの証言内容、さらに直接アメリカで事情聴取した内容、それから先ほど午前中答弁申し上げました調査した内容、そういうものから、CIAとのかかわりということを抜きにしましてわれわれ自身で確かめた資料、持っておる資料に基づいて証言内容全体に信憑性ありと判断しておるという経緯と事実を重ねてお答えしたいと思います。 〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕
○稲葉委員 しかし、アメリカへ行ってCIAに事情聴取を受けたということは、これはあなたの方が知っておられるわけですね。そして、レフチェンコはすべてCIAにコントロールされて自分たちの自由にはならないのだという意味のことを下院の情報小委員会のスタッフの一人が言っているというふうなことについても、あなたの方は情報として知っておられるわけではありませんか。
○山田(英)政府委員 彼は彼の自由意思に基づいてアメリカに亡命したことは、当時の外務省の意思確認並びに警察側の事情聴取で明らかでございます。それから下院で証言した経緯についても彼がるる述べておりますが、彼自身の自由意思で述べておるわけでして、いま御指摘のようにコントロールされてどうにもならないというようなことは一切ないとわれわれは判断しております。
○稲葉委員 そうすると、あなたは、情報小委員会の議事録というものをアメリカへだれか派遣したときに持ってきたのか、またそれをしさいに検討されているわけですか。その二十三ページの中に、私どもの調べではこういうのがあるということになっているのですがね。レフチェンコ証言をめぐって共和党のビル・ヤング下院情報委員とマクマホンCIA次長との間で次のような会話が交わされたように記録されている。 〈ヤング議員〉 この公聴会シリーズをもとに報告書を出版したらベストセラーになるだろう。 真ん中辺略しますが、 これは政治的キャンペーンなのだ。我々は世界の人々のためにキャンペーンを行なっているのだ。 〈マクマホンCIA次長〉 まさにその通り。 こういうことを言っているということがこの議事録の中に出ているのですよ。それは間違いないでしょう。
○山田(英)政府委員 私も証言内容の記録すべて読んでおりますから、その部分があったことは読んでおります。
○稲葉委員 そのとおりなんですよ。これは政治的キャンペーンなんです。ちゃんと議事録の二十三ページに出ているんだ。 また、このバロンというのがわけがわからぬのです。「今日のKGB」という本を書いた人であることはわかるけれども、この人が大体どういう人だということをあなたは知っていますか。これは一体何人なんだ。バロンなんという人はいないのですよ。それに書いてあるけれども、何人とは書いてないでしょう。アメリカ人だかフランス人だか、フランス人のような名前にも聞こえるが、わからぬですよ、この人は。実在の人物だかどうかもはっきりしないんだ。よくわからない人ですよ。どういう人だかわかっていますか。
○山田(英)政府委員 これは外務省の方にお尋ねいただくと、外国人に関することでございますからより正確な答弁があると思いますが、私が承知しておるのは、この現に今回の証言内容の載っておる「KGBツデー」という本の後に、元海軍情報将校であるということが履歴としては出ておると承知しております。
○稲葉委員 そのとおりですね。元海軍情報将校であるというふうに書いてあることは間違いないわけですね。 そこで、その本の中にあるのかどうかあれなんですが、レフチェンコの前任者にプロニコフというのがいましたよね。御存じでしょう。いまのその本の中にプロニコフの発言として「連中はたった四、五回会っただけの人間をエージェントに仕立てている。日本では前代未聞の話だ。無分別で危険極りない」という言葉が引用されているというのですが、その点はどうでしょうかね。
○山田(英)政府委員 ただいまのお尋ねはどの部分に書いてあることでございますか、ちょっとわかりにくかったのでございますが。
○稲葉委員 それは僕の方でもわからないのだ。あなたの方で調べてください、後でいいから。申しわけないけれども、僕がその本を読んだわけじゃないのでね。 そこで、いろいろな問題があるかもわかりませんが、重要性があるのかどうかも僕は疑問なんですが、後でワシントンポストや何かの記事によりますと、その会議録の未発表部分ということで十三名の民主党下院議員の名前があった。それの発表を一たん抑えておったのだけれども、後で解除したのだ。しかし、結局その十三名の下院議員のことなんかについてはアメリカではちっとも騒いでない、新聞にもろくに出てないのだというふうなことが言われているのですけれども、この点については御存じですか。
○山田(英)政府委員 その部分が一部新聞報道で問題になっているということは私ども読みましたが、レフチェンコ証言の中身は全部公表されておりまして、いま御指摘のような部分は、レフチェンコ証言、日本における対日政治工作活動の証言にかかわる部分には入っておりません。無関係の部分だと承知しております。
○稲葉委員 もちろんレフチェンコの日本における関係とはこれは無関係です。ただ、アメリカの中ではそういうのが発表されているけれども、アメリカの新聞ではほとんど取り上げられていないのだ、問題にされてないのだ、それが日本の中で急激に取り上げられるようになってきた、こういうことですよ。 だから、わからないのは、最初にお話ししましたように六月十二日に反核集会があった。それと関係があったかどうか、僕らは関係があったと思うのですが、七月十三日にマクマホンCIA次長ですか、七月十四日にレフチェンコ、FBIのオマリーが公聴会に出ていることは間違いないわけですね。そして非公開であったものが、十二月九日になってその議事録が公開決定されているのですよ。率直に言うと、それがどうもよくわからないのです。何か特別の意図をもってやっていることと、さっき私が読んだ中に出ています政治的な一つのセンセーションを起こすのだということとが、そこにひっかかってくるのですよ。そういうようなことを言っても、あなたの方はそこまではよくわからぬと言われるのかもわかりませんけれども、そういう議事録があることは間違いないのですよね。いずれにしても、午前中二時間もかかって特別にやるだけの価値があったのかどうか、聞いていて、大変失礼な話だけれども僕はそう思いました。 だから、これはいま言ったような一つのキャンペーンであって、そういうようなものにわれわれが大きく乗っかる必要はないのではないかと私は思う。いろいろことが出てくるけれども、これは伝聞が非常に多いし、それから不確かなものをやったり水増しなんかいっぱいあってそれほど正確なものではないし、間違いが非常に多いものだ、こういうふうに私は考えておるのです。これはほとんど宣伝用のものであるというふうに私は考えておるのですがね。だから、ここでそれ以上取り上げるだけの価値がないと思いますし、またいろいろ調べた結果で問題が出てくれば、事実関係をはっきりさせる必要があればやっていく、こういうふうにして、せっかく午前中からの引き続きで悪いのですけれども、その関係の方は結構です。
○山田(英)政府委員 キャンペーンだと、こうおっしゃるのですが、私、午前中にも申し上げましたように、レフチェンコの話というのはキャンペーンではないと警察としては判断しております。 それで、調査結果で申し上げましたように、立件に至らないということの中身を言葉をかえて申し上げる必要があると思うのですが、一つの話というものについては、われわれ警察の責務の角度から見ますと、証拠的価値と情報的価値と二つあると思うのであります。それで立件に至らないということで申し上げましたのは、捜査上証拠的価値が公訴維持との関係からしますとないために、結果的に時効ということも申し上げましたが、公訴期間の経過ということもある、事実確定に至らない、そういうことで捜査的な課題としては証拠的価値がないという側面を申し上げたわけで、信憑性ありと申し上げた側面は情報的価値でございます。 これは何も伝聞の関係についてわれわれは調査したわけではございません。レフチェンコの話に基づいて、捜査的課題を究明するためにレフチェンコ自身が手がけた十一人の中の数人の方に事情聴取をした、その事実関係、接触の事実はすべて認められたということを申し上げましたが、それから、信憑性を裏づける材料は、午前中若干申し上げましたが、あと幾つでも申し上げることができるわけでして、われわれの判断は、情報的価値という面からすれば信憑性があるということを申し上げておるわけで、キャンペーンでも根拠のない話でもないということは重ねてここで答弁申し上げます。
○稲葉委員 あなたが政治的キャンペーンをしていると僕は言っているのじゃないのです。アメリカとして政治的キャンペーンをしているのだ、こういうふうに議事録から見て考えられる、こういうふうに私は言っているわけですね。 私どもの方としても、これはいろいろな具体的な事実関係などをもっともっと調べる必要があれば調べるということで、また別な機会に質問する必要があると思いますけれども、いまの段階でこれ以上質問することの必要はない、私はこういうふうな考えなわけです。 そこで、別のことに入りますけれども、まだいたいのならいても構いませんけれども、どっちでもいいですよ。 入管の問題がいろいろ新聞紙上などで伝えられていて、それで「過去十年間の入国管理局関係職員の不祥事件の概要及び処分結果」こういうふうなものが国会へ提出されましたね。これは全部聞くわけじゃございませんで、そのうちの昭和五十七年に「大阪入国管理局神戸出張所入国審査官」というのが出ていて、「処分及び事案の概要」というところに「減給一月百分の十 不法入国者二名の在留特別許可につき助力方を懇請され、潜在生活を続けることを黙過」といって、「監督職責」などあるわけですが、これは具体的にどういうことを意味しているのか、まず説明を願えませんか。
○田中(常)政府委員 お答えいたします。 全くみっともない件を御説明しなければならないので、まことに遺憾のきわみでございます。 この件は、在日韓国人のブローカーがおりまして、昭和五十一年十一月ごろ潜在不法入国韓国人夫婦から在留特別許可を得るための助力を依頼されましたもので、かねてから知り合っていた入国管理局の職員に引き合わせ、在留特別許可につき助言を依頼した次第でございます。また、昭和五十四年三月にも同ブローカーは同職員に対して不法入国者夫婦の在留特別許可について打診いたしました。 その間、同ブローカーはこの不法入国している韓国人から約三百万円を在留特別許可取得のための資金に充てると称して受領しておりましたが、自分で全額消費してしまい、その金銭は問題の入管職員に対しては一切渡っていないことをブローカーは入管局の事情聴取に対して申し立てております。一方また、入管局が当該入管職員に対して行った事情聴収におきましても、同職員は金銭の授受は一切なかったと申し立てております。 しかしながら、同入管職員は、不法入国韓国人に対して直ちに最寄りの入管局に出頭申告すべきであると言うべきにもかかわらず、これを黙認してしまった、そのまま潜在生活を続けさせてしまったということでございます。 このような行為は、入国審査官としまして官職の信用を傷つけるものでございますし、また官職全体の不名誉となると認められるものでございますので、減俸処分にしたわけでございます。
○稲葉委員 まず第一の疑問は、その密入国者というのは東京の足立区に住んでいる人でしょう。その人が、当時大阪入管に勤めていた土元清輝という人、名前を言っては悪いかもわからぬけれども、そういう人ですね、なぜそこまで行くのですか。まずそこに問題がありますね。場所が違いますね。住んでいるのは足立区でしょう、この人は。それが大阪までどういう経路で行ったのですか。だれの紹介ですか。あなたがブローカー、ブローカーと言うのは俗に言う松山という人ですね。姜何とかいう人でしょう。どうして大阪まで行くのですか。
○田中(常)政府委員 委員がただいまおっしゃいましたように、不法入国者夫婦は東京に住んでおりました。それで、何とかして在留特別許可を得たいということで、その不法入国者の兄を通じましてこのブローカーと知り合ったわけでございます。そしてそのブローカーは、おれは入管の職員をよく知っている。そして、たまたまその入管の職員が大阪入管局管内に勤務しておりますもので、汽車で大阪入管に赴いております。そしてまた金銭もその汽車の中でそのブローカーは夫妻から受け取っているようでございます。
○稲葉委員 だから、東京に住んでいるのならば東京入管の方で扱うわけですから、わざわざ大阪に行くというのはこれはおかしいのですよ。ということは、その入管の職員が力があるということだというふうに考えていたわけじゃないですか。 それで、この再審の嘆願書が本人から出ましたね。これはあなたが来られる前の話ですから、大臣も前の大臣のときだから見てないかと思いますけれども、昭和五十七年二月一日付の再審嘆願書ですから。この中にもいろいろ書いてあるのだけれども、これには書いてないのだけれども、いまあなたは汽車の中でということを言われましたね。それじゃ、この本人、これは梁という人ですね、この兄貴に事情を聞きましたか。
○田中(常)政府委員 当時、本省は徹底的に本件を調査いたしまして、その兄、ブローカー、夫婦、それから入管の職員を含め全員から事情を聴取しております。
○稲葉委員 兄がこういう話をしたのは聞いていませんか。 五十一年の十一月ごろですが、大阪駅前の焼き肉屋でその人と、それからいまの松山と梁夫妻とその兄貴、全部で五人が集まった。そこで、一万七千円ぐらいの焼き肉を食べたというのですが、それは別として、運動資金が要るのだという話が出て、百万円欲しいという話が出た。百万円なかった。だから、八十万円あったので、八十万円を松山が渡した。そうしたら、松山とその入管職員とが二人でタクシーで大阪から京都へ行ってしまったということについては、一体そういう事実関係を調べたのですか、調べないのですか。
○田中(常)政府委員 お答えいたします。 いま先生が御指摘の点は、昭和五十一年十一月の件だと思います。それで当時、入管の伊丹空港出張所の審査課に同職員は勤務していたのでございますが、国鉄の三ノ宮駅の構内でまずそのブローカーと待ち合わせ、その後、焼き肉屋に上がりまして、そこで不法入国者夫妻に紹介されております。そして不法入国者からは、この人たちは密航者だけれども在留特別許可になるのであろうか、それからどのようにしたら許可になるのだろうかということ等を聞かれまして、同職員はいろいろ両名の在留経歴等々を聞きました上、これは非常にむずかしいケースである――実は、そこでもう本来なら出頭申告すべきであると言うべきところを、その入管職員はその件を黙過したわけでございます。 それから、金銭は総額約三百万円くらいになりますが、これは一回にわりあいに大口を渡した場合もございますし、非常に小口を渡した場合もございます。そのブローカーはその都度、もう少し待て、何とか自分が入管に働きかけて何とかしてやると、そういう説明をして、その都度、運動資金ということでお金を取り、また若干の金を借りたという形になっております。
○稲葉委員 私が聞いているのは、そこで会って八十万もらって、そのブローカーと二人でタクシーで京都へ行ったんです。そういうことを聞いているのですよ。そこまではあなたの方では調べているのですか、調べてないのですかと聞いているのですよ。兄貴に聞いてごらんなさいよ。
○田中(常)政府委員 お答えいたします。 そのブローカーと入管の職員が一緒にタクシーで京都に行ったということは、私知っておりませんでした。しかし、当時いろいろ調書もございますので、その調書を探ればあるかと思います。
○稲葉委員 よくこれは調べてください。 それで、このブローカー、ブローカーと言うけれども、姜信極という人ですね、これは厚生省主管第一種社会福祉法人恵愛協会参事という名刺か何かを使っておったのですか、これはあの中に出てきますが、訴状があるでしょう、弁護士が二人ついて訴えを起こしましたね、その中にこう出てくるのですがね。 そうすると、あなたの方はいま言った話のもう一つの問題点は、むずかしいという話をしたというのですね。むずかしいというだけの話ではないのじゃないですか。むずかしいけれども任しておけと、こう言ったのじゃないですか。そこで調べてごらんなさいよ、むずかしいと言ったことは間違いないのでしょう。これは僕らが見ても、ざっくばらんの話、特在の――夫婦とも密入国ですけれども、長い間、十年ちょっとかな、日本におりますし、あるいは場合によっては、基準に達するかしないかのケースであるかもわからないというふうにも考えるのですが、それはむずかしいのはわかる。むずかしいけれども任しておけと言ったはずですよ。後の方は、あなたの方は省略しちゃうんですよ。前の方だけ言うわけだ、むずかしい、むずかしいというわけで。むずかしいと言っておいて、その後接触をして、松山が金をもらっている。しかし、そのことをこの入管の職員は知っているんじゃないですか。おかしいですよ。
○田中(常)政府委員 むずかしい、その次に、任せておけという言葉ではなくて、もっと潜在していろという表現だったようでございます。それからまた、二回目に会ったときにその不法入国者が、奥さんが妊娠しておりまして、要するに母子手帳が必要だという事態になったわけでございます。そのときにその入管の職員は、産婆のもとで出産すれば母子手帳は必要はない、子供が小学校に入学するようなころ、不法入国を自首申告すれば事情はずいぶん違うだろうというような示唆を与えております。
○稲葉委員 嘆願書がありますね。この嘆願書の原稿は、入管の職員が書いたものじゃありませんか。
○田中(常)政府委員 嘆願書の原稿を起草しましたのは、同入管職員でございます。
○稲葉委員 それからもう一人、この嘆願書の中に出てきますね。嘆願書は入管の職員が書いたのだから、その中で今度は近藤という人が出てきますね。この人は、初め本省にいましたね、それから東京入管へ行かれて、いまはやめられたのかどうか知りませんけれども、この人はどういう役割りをしたわけですか。
○田中(常)政府委員 もう一人の入管職員の名前が出ていることは事実でございます。しかしながら、この入管の職員は、このブローカーが勝手に名前を使用したものでございます。その職員についても、当時本省が徹底的に調べましたが、何ら関係がなくて、勝手にそのブローカーが名前を使ったということがわかっております。また、ブローカーもそれを認めております。恐らくそのブローカーは、自分は入管に対して非常に力があるんだということを言いたいために、関係のない人の名前まで使ったものと考えております。
○稲葉委員 結局、それじゃ三百万円はそのブローカーがどうしたのだ、使ったとすれば、刑事局長、これはどうなんだ、犯罪になる場合もありますな。詐欺になる場合もあるし横領になる場合もあるし、何かになる場合があると思う、どっちかわからぬけれども。業務上横領になるか、業務上かな、なる可能性があるわね。それに対しては、あなた方は会ってどういうふうな捜査をしたのです。それに対して処分はどうしたのです、ブローカーに対しては。告発しなければならぬとか、いろいろ方法があるでしょう、刑事訴訟法では決まっていますからね。どうしたの、それで。
○田中(常)政府委員 そのブローカーはわれわれに対する説明で、この問題の不法入国者が送還されてしまった以上、この人にやはり全額返すべきである、そう述べております。 それから、むずかしい刑事訴訟法のことは私存じておりませんが、やはりこの被害者であった人がブローカーを告訴するなら告訴すべきだと考えております。
○稲葉委員 いまの三百万円というのは、そのブローカーが全部使ったというようなことになっているのかどうか、そういうふうにしちゃったのか、それが事実かもわかりませんけれども、少なくとも私の聞いた範囲では、二人でタクシーで行ったときには八十万円をもらっているはずですよ。もらったのはブローカーかもわかりませんけれども、二人で一緒に京都へ行ったのですからね。その間の経過をよく調べてごらんなさい、わかりますから。タクシーで二人で京都へ行った、京都のどこへ行ったかということまで大体わかっているのですよ。だけれども、それはあなたの方でよく調べてごらんなさい。 それで、これは大臣もよく御存じかと思いますけれども、こういうブローカーが二種類あるわけですね。いわゆる密航ブローカーというのがありますわな。主として済州島でしょう、あそこから関西へ来るのの密航のブローカーがいますわな。それからもう一つは、来て、日本に長く潜在しているというか、そういう人に対して、そこで特在をもらってやろうというので、もらってやるという言葉は悪いな、特在の許可を求めるための口ききをしてやるというブローカーがいるわけですね。後の方のブローカーというか、それは非常に多いのじゃないですか。入管では相当知っているのじゃないですか、こういう連中の所在については。あれが持ってきた話は危ないとかいう話はよく知っているはずじゃないですか。どの程度実態をつかんでおりますか。
○田中(常)政府委員 御指摘のようなブローカーが存在するということは、在留期間更新手続または不法入国者に資格外活動をやらせた者を退去強制手続にのせる際にある程度判明しております。入管局といたしましては、悪質なものについては極力実態の解明に努めまして、そして警察に通報して捜査権の発動を求めるというようなことをしております。
○稲葉委員 それから、すでに聞かれていることと思いますが、赤坂のクラブみたいなところの問題などもあるわけですね。これもその人に対して摘発があるという連絡をしたのですか、しないのですか、どうもよくわからないのですね。摘発の問題のときに、入国警備官というのは警察権はないわけでしょう。それはわかっているでしょう。特別司法警察員の職務を行う者ではないわけですよ。ないんだけれども、法律でいくのですかな。 後の方の赤坂のときの問題は、これはマノンという店ですね。御存じですね。そこのママというのか、この人はどこかに行ってしまったのですね。いまは行方はわからないのですね。摘発のときそこの店も当然摘発の範囲に入っていたのですか。どういうふうになっていたのですか。
○田中(常)政府委員 この件につきましては、同入管職員に対して調査をいたしました。同入管職員は、摘発情報を事前に漏らしたということは絶対にない、そう申しております。また、その問題のナイトクラブに対しては摘発の対象になっておりませんでした。ただ、赤坂地域において摘発があったかどうか聞きますと、この不祥事件が起きましたのは昭和五十五年十一月からでございますが、その十月に三件、それから昭和五十六年の五月に一件赤坂においては摘発を行い、それなりの成果を上げております。
○稲葉委員 これは参議院の方で聞かれていることらしいので、私これ以上聞きませんけれども、いま言ったような資格外活動が非常に多いのではないですか。それに対する取り締まりというか摘発というのは今後どういうふうにやっていくおつもりなんですか。僕らが見てもあれはいいのかな――温泉なんか行きますと、何とかという国の名前が書いてあって、ずいぶんショーの看板が大きく出ていますね。ああいうのは資格外活動になる場合が多いのですか、ならない場合なのですか。どうなっているのですか、あれは。
○田中(常)政府委員 資格外活動でございますが、私よりは委員の方がよく御存じだろうと思いますけれども、Aという在留資格を持っている人がもっぱらBという在留資格に当たることを行っていることが明らかな場合が資格外活動でございます。 委員がただいま指摘されましたいろいろな看板、実はどういう看板だか私はすぐ想定できないのでございますけれども、実際問題として昨年一年間におきまして資格外活動ということで摘発した人は千二十五名おります。その千二十五名のうち、台湾が六八%、フィリピンが一二%、韓国が一〇%、タイが五・四%、大体この四カ国が大口でございます。また周辺諸国の人だけで九一%を占めております。一方、摘発された人のうち九二%強は女性でございます。その態様は、ストリッパーの場合もあるし、ホステスの場合もあり、いろいろでございますけれども、最近の一つの特徴といたしましてますます広域化している。以前は東京、大阪等々の大都会だけであったのでございますが、このごろ地方都市にも進出している。 そして委員御指摘のように、資格外活動者の摘発という問題は、今後とも入管局として一生懸命に力を注いでいきたいということでございますが、これは率直に申し上げまして、なかなかむずかしい面があるわけでございます。たとえば、まず摘発されるような人を入れない方法はないかということでございますが、結局これは上陸審査を厳重にしていく以外にないということでございます。しかし、四―一―四の短期滞在者というものに対しては比較的容易に出るわけでございますが、成田空港に来たときに、全く善意の女性の観光客かもしれません。それに対していろいろ執拗に質問するということは非常にむずかしい面がございます。結局入国審査官の勘と経験に頼る以外にないのじゃないかということでございます。 また、その他一般からの協力も非常に必要だと思います。それと同時に警察当局とも一層今後協力してまいらなければならないという問題がございますが、実は入国警備官というのは六百七十一名おるわけでございますけれども、そのうちで実際に摘発活動ができる警備官の数は約百五十名でございます。それで摘発しなければならない事犯はますますふえていくということでございますが、できる限り努力して一層摘発の成果を上げたいと考えております。
○稲葉委員 大臣、お聞きしたいのは、この一覧表は参議院に出した一覧表です。御存じだと思いますけれども、ことに入管の場合いろいろな面で職員は接触が非常にありますね。それから来る危険性が非常に強い。誘惑もされるし、それの規律をどうやって保持するかということについての大臣の考え方がまず一つです。 それから、いま入管局長も言いましたように、これは確かになかなかむずかしいですよ。入ってくるときに一々余りやるわけにはいかぬでしょう。これは東京入管に行ってごらんになるとわかりますよ。二階か三階か、あそこにいっぱい収容者がいますよ。それは南米あたりから来るんですよ。チリからもコロンビアからも来るんですよ。僕はこの前行ってみて驚いたんですが。その仲立ちは暴力団が仲立ちしている場合が多いのです。ですから、資格外活動に関連をしてそういうようなことをなくするように今後しっかりやっていただきたいと私は思うのです。 いまの二点について、ちょっと内容は違いますけれども、大臣の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
○秦野国務大臣 いま入念に御質問なさったのは昭和五十一年の事件で、古くなってもう当事者もやめているというような事案でございますから、私の答弁も、必ずしも徹底してなかったとは思いますけれども、正直言って、警備官の仕事もなかなか大変だということは事実でございます。 しかし、おっしゃるように誘惑も多いし、これをどういうふうにやっていくかという問題については、とにかく出入国の仕事というのは、資格外活動はいけないということは当然だけれども、一番悪いのは、観光でもって芸能をやるとか、芸能でおかしなことをやってしまうとかいうのがあるようですね。そういう点については、やはり個々の警備官の活動もさることながら、いまおっしゃった暴力団だとかあるいはまた業界ですね、そういうものを捕らえて、これは警察なんかの協力を得てそういう大きな枠でやはりもう少し見ていかなければ、とても百人や百五十人が走り回ったところでなかなかうまくいかぬと思います。いままでのやり方については十分検討しまして、悪質な資格外入国というものについては当然やはり取り締まっていかなければならぬ。 ただ、出入国は、国際交流の中で一面サービス的な側面もございますから、その辺の観点も十分留意しながら、やはりぎくしゃくした関係を国際間に余りつくってはいかぬので、その点はひとつ外国との関係も十分これは外交の方の力もかりてうまくやっていきたい、こう思っております。
○稲葉委員 いま大臣言われた中で、五十一年で、もうやめちゃったというのは違うのですよ。五十一年にも事件があったけれども、やめてないですよ。まだいるのですよ、減俸になっただけですから。(秦野国務大臣「やめたろう、いるのか」と呼ぶ)やめてないですよ。いるんだよ。よく聞いてないな、あなた。大阪にいるんだよ。 それで、調べてもらいたいのは、大臣、これはいま言ったように、入管局長の話だと金をもらってないというのでしょう、三百万ね。だけれども、いま言った人の兄貴からの話だということになると、そこで会って、焼き肉屋で会って、八十万もらって、ブローカー、日本名で松山というのと二人でタクシーで京都へ行っちゃったとするならば、その金使っているわけですよ。そうすると、もらったと同じになっちゃうのですよ。そこら辺のところの調べが不十分なんですよ、入管の方で。そこのところをはっきり調べさせるように大臣言ってください。いいですか、しっかり調べてくださいよ。ちょっとはっきり答えてください。これは大事なところですよ。
○田中(常)政府委員 当時いろいろ調べておりますもので、調書の中には恐らく全部調べ済みかと思いますけれども、私自身が知らなかったことでございますもので、後ほど調査いたします。
○稲葉委員 じゃ、それは調べていただいて、そういう事実があれば、またあれが変わってくるというふうに私は考えざるを得ないわけです。 そこで、きょうはほかの局長の人たちにもみんな来ていただいておるものですから、そのおるところでひとつ大臣にお聞かせを願いたいのは、こういうことです。大臣は行政官としてずっと警察におられたわけですね。そして法務省に来られたわけでしょう。法務大臣になって来られたときに一番感ぜられたのは、この前ちょっと言われたと思いますが、何か法務省というのは予算を取ることが余りうまくないというか、余りまじめ過ぎて――警察はまじめ過ぎないという意味ではなくて、とにかくかたく過ぎて予算を取るのが余りうまくないところだという意味のことを大臣ちょっとどこかで言われたように僕は思うんですよ。だとするならば、今後重点的に予算の獲得に入るわけですね、これから。概算要求なんかありますわね。大臣として、どこに重点を置いてどういうふうに予算獲得のためにお骨折りをしていただけるか、こういうふうなことについての大臣の考え方をひとつお聞かせを願いたい、こういうふうに思うわけです。大臣から全部いい答えをしてもらって、それから後に聞きますから。
○秦野国務大臣 来年度の予算の問題につきましては、まだ庁内で十分討議をしておりませんから、余りこれこれの方針ということも申し上げにくいんですけれども、とにかく積極的に――予算の問題は、いま財政再建の問題があって大変むずかしいんですけれども、しかし、法務省の仕事というのは政策官庁でないだけに、やはり必要不可欠な項目が多いわけですよ。そういうところが各省一律にゼロパーセントの何のというて締められてくるものだから、政策官庁でないだけに内部が非常に苦しいということは事実でございます。しかし、その点は私どもも十分にひとつ大蔵省その他に理解を求めて、やはり国の柱でございますから努力をしてまいりたい、こう思っております。
○稲葉委員 民事局長がおいでですから、いま法制審議会にかかっている主なもの、三つありますか、それらについて現在はどうなっているか、それから今後どういう見通しなのか、こういうふうなことについてお聞かせを願いたいというふうに思います。
○中島政府委員 現在具体的に進行しております法制審議会の部会あるいは小委員会ということになりますと、まず申し上げるべきものは、国籍法部会ということになろうかと思います。 国籍法部会におきましては、国籍法の全面改正について審議が行われておりますが、御承知のように、本年の二月一日付で民事局第五課の名前で中間試案を発表いたしまして各界の御意見を聞いたところでございます。国籍法改正について意見を聞く会を開催いたしまして、口頭でも意見を聞いたわけでございますが、その結果を参酌しながら再び審議が始まっております。つい先日でありましたか、国籍法小委員会の審議が一回ございまして、引き続いて六月に小委員会、七月に部会というふうに予定をいたしております。 今後の見通しでございますけれども、審議会の審議でございますので、私の方から余り確定的なことを申し上げるわけにいきませんけれども、めどとしては本年じゅうに答申をいただきたいというようなことをお願いいたしております。 第二番目といたしまして、商法部会というものが審議を続けておられます。 小委員会は二つございまして、会社法小委員会と、それから振替決済制度に関する小委員会と二つございます。 会社法の全面改正作業につきましては、大小会社の区分と申しますか、小規模非公開の会社の法規制のあり方について審議が行われております。本年の一月から審議が始まっておるわけでありますが、まず、会社設立に関する問題点というのを審議されまして、現在は会社の機関の問題点というのを検討中でございます。 〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕 それから振替決済制度に関する小委員会につきましては、これは大蔵省との共管事項でございまして、大蔵省の方では、昨年の十二月に大蔵大臣の諮問機関であります証券取引審議会専門委員会の中間報告が出ております。私の方の法制審議会では昨年の九月にやはり試案を出して各界の御意見を聞いたわけでありまして、その御意見を参考にして小委員会の審議が行われております。本日もたしか一時半から振替決済の小委員会が開催されております。 いずれ振替決済制度の立法ということになるわけでありますが、これは大蔵省が主体になって法案を提出されるということになろうかと思います。 それからもう一つ、身分法小委員会というのがございます。身分法小委員会におきましては、五十五年に相続編の審議が結了いたしますとともに一時休眠中でありましたが、五十七年七月六日に開催されました民法部会で再開決定がされまして、昨年の九月二十八日開催の小委員会において養子制度の全般的見直しの検討をするということになったわけであります。事務当局において資料等を収集いたしまして本格審議に入っておりますが、検討事項が多岐にわたっておりますために、試案をまとめるには数年を要する見込みでございます。 主な活動状況は以上のとおりでございます。
○稲葉委員 いま三つの中で、国籍法については再三の約束がありまして、来年の国会には間に合わせるということが前からのかたい約束ですし、それから国際条約の関係もありますから、これは必ず守っていただきたい、こう思います。これが一つです。 それから身分法の養子制度ということですが、これはいわゆる俗に言う特別養子というのか断絶養子というのか、この制度のことのように聞いておるのですが、そういう意味でしょうか、どうでしょうか。
○中島政府委員 まず国籍法の点でございますけれども、私どもの気持ちといたしましては、年内に御答申をいただいて、来年の二月、三月ごろまでには法案を準備したいというふうに考えております。 それからいまの身分法の関係といたしましては、養子制度の全般的な見直しということになっております。もちろんその中には、ただいま御指摘ございました特別養子というものがかなりのウエートを占める。新しい制度でございますから、かなり審議の必要ということからいいましても大きなウエートを占めるということではございますけれども、対象はそれに限らず全般ということでございます。
○稲葉委員 それから、保護局長おいでですのでお聞きをいたしたいのですが、実は七月にいわゆる社会を明るくする運動というのがあるわけですね。そして、それから総理府の方でも、名前は違いますけれども同じような運動をやる。それを、法務省当局としては一元化して一本でやりたいという意向なのですか、あるいは全然別々にやりたいという意向なのかということが第一ですね。 それから、今後の保護局関係の中で、保護観察の行政が非常にウエートを占めてくるわけですね。いまNHKで水上勉さんの「長い橋」をやっていますね。だから、保護観察行政の今後のあり方の問題、同時に保護司の方々に対する実費弁償の増額とかいろいろな問題がありますけれども、そういうふうな問題について保護局としてはどういうふうに考えてどういうふうにしたいのか、こういう点についてひとつお答えを願いたい、こういうふうに思います。
○吉田(淳)政府委員 お答えいたします。 まず、社会を明るくする運動の関係からですけれども、この社会を明るくする運動につきましては、昭和二十四年に犯罪者予防更生法が制定されまして、それを契機に昭和二十六年から、古くから実施されております。その後、御指摘の昭和五十四年から総理府の主唱によりまして青少年を非行からまもる全国強調月間ということが行われまして、同じく七月に一カ月やっているわけでございます。現在この両者の関係は、私どもとしてはお互いに協力し合って緊密な連絡をとってやっていくということでよろしいんじゃないか、そういうふうに考えております。 社会を明るくする運動というのは、最近はずっとこの少年問題は大変な問題でございますので、青少年の非行を防止する、それでその更生保護を図るというのが重点になっているわけでございますけれども、もともと社会を明るくする運動の本来の願いは、その少年非行も含めまして、およそ犯罪を犯したり非行を犯したりした人々に対する更生保護について社会の人々の理解と協力を得る、こういうところにあったわけでございますので、ある意味では非常に準司法的なそういうところに焦点があるわけでございます。 全国強調月間の総理府の方の主唱は多少焦点が違いまして、青少年の健全育成、こういう観点から関係省庁が連絡をとり合う。もちろんそれぞれ相互に、法務省も強調月間の方の運動に御協力する、それから逆に社会を明るくする運動の方にも総理府あるいは警察庁の御協力を得ている、こういうことで、それぞれ緊密な連絡をとり合ってやればよろしいんじゃないか。五十四年発足した当初は、市町村あたりで多少の行き違いなり何かあって、連絡が十分行き届かなかったという点が確かにあったようでございますけれども、最近ではその辺は十分理解がいっているようでございまして、トラブルは余り聞いておりません。現在、そういうふうに考えておるわけでございます。 それから少年非行の現状との関係におきましては、御指摘のように、私どもとしては、いわゆる広い意味ではアフターケア、事後措置を担当しておる、しかもそれは社会内処遇の観点からその更生保護を図るという分野を担当している、ある意味では非常に狭い分野でございますけれども、しかし非常に重要な場面を担当させていただいておると思っております。したがいまして、このための保護観察の充実強化、そしてその保護観察そのものを充実強化するばかりじゃなくて、その中からいろいろ貴重な教訓があるわけでございますので、その教訓を関係のいろいろな諸機関の施策に反映をしていただくように、そういう積極的な努力をする。そのためには、それなりの予算的な充実も必要だというふうに考えております。 それから保護司の点につきましても、件数も実は九万一千人に新受人員だけでなり、最近少年事件がふえております。こういう保護観察事件の傾向にありますので、保護司の方々にもいろいろお骨折りをいただかなければならない。いまの実費弁償金等がまことに十分でないということは私どももよくわかっておりますので、この辺についてもできるだけの努力をしたいというふうに思っております。
○稲葉委員 大臣、いま保護局長から答弁があったわけですね。ことに青少年の非行問題を中心として保護司の活動が非常に重要なわけなんですけれども、それに対しての今後の助成といいますかそういうあり方、ことに実費弁償金とか、いろいろまだ問題があるわけですけれども、更生保護婦人会の問題があり、BBSの運動とか、いろいろな問題があるわけですね。そういうようなものを法務省としても財政的に、それから精神的な面でも援助をしていってもらいたいと思うのですが、それについての大臣の考え方をお聞かせ願いたい。
○秦野国務大臣 お説の点は私どももそう思うのですけれども、率直に申し上げれば、いまの時節柄なかなか困難だと思うのでございますが、どうかこの機会に、保護司は法務大臣が委嘱するそういう個人であり、団体であるわけでございますけれども、更生保護婦人会なりBBSもそうですけれども、全く純民間の活動、ボランティアでこの仕事をやるというところに値打ちがある。役人がやるのじゃなくて、地方で信用があり、地域社会の中で世話役ができ、あの人が言うことなら聞きましょうみたいなそういう信頼と、それだけのまた人徳を持った人がやってもらうところに値打ちがある、そういうところは私も制度文化として日本の中で誇れるものだ、こう思っておりますから、まあ金がもっとあればなおいいんですけれども、そういう精神をひとつ強調し、また理解をしていただいて、この方面の努力は大いに期待したい、こう思っております。
○稲葉委員 確かに保護司といま私が二つ別に申し上げたのとは性質が違いますから、それはよくわかりますけれども、保護局というのはどうしても矯正の陰に隠れまして、矯正の場合は金が入ってくるわけですよ、刑務所の方は収入があるでしょう、入ってくるので、どうしても正面に出るのですけれども、保護局は陰に隠れちゃう傾向があるものですから、そういう点十分認識して今後いろいろやっていただきたいと思う。私も保護司やっているのですよ。そういうこともありますし、いろいろ保護行政に関連して理解を示していただきたい、こういうふうに思います。 そこで、刑事局長だけ残っていただければ結構ですが、あとはどうぞ。 時間がなくなってしまったんですけれども、またちょっと中を挟んで、あと三十分いただいた時間の中で質問するかもわかりませんが、きのうも、東京高裁の刑事三部で静岡の事件についての即時抗告の棄却に対する取り消し決定がありましたよね。これは私、率直な考え方は、刑事三部へ行ったからああいうあれになったんで、あれは極楽部ですから、ほかへ行ったらなかなかああはならなかったんじゃないか。あれは非常に人権感覚豊かな方だからだ、こういうふうに考えるのですが、それは別として、いろんな再審事件がありますね。確定したものもあるし、いま現に進行中のものもあるし、それからきのう、静岡の例のものもあるし、いろんなものがあるわけですけれども、そういうふうなもの全体を通じて、どうしてああいうふうに問題となる事件が起きてきたのだろうか。ことに死刑事件ですからね。そういう事件について一体どういうふうに、どこに問題点があるのだろうか。 実は私、最高検の公判部長の臼井滋夫さんの書いた「近時の裁判例から見た捜査処理上の問題点」というもの、これは警察学論集というのかな、あれの中に出てくるのですけれども、上、中、下とあって、いろいろな例を引いてよく分析されておられるのですが、これは公判部長として書いたのではなくて個人として書いたのかもわかりませんけれども、これはこれとして、これを参考にしながら、一体どうしてこの再審事件がここでこうやって起きてくるのか、この原因は一体どこにあるのかということについては、検察当局としてはどういうふうにお考えなんでしょうかね。
○前田(宏)政府委員 最近いろいろな事件につきまして再審が行われているわけでございますが、稲葉委員も御案内のとおり、無罪を主張して再審開始決定になっている事件もございますが、逆に、その請求がむしろ認められなくて、請求人の方から不服申し立てがなされて現在審理中の事件も一部にはあるわけでございまして、いろいろな態様に実はなっているわけでございます。 そこで、御指摘のことは、特に死刑事件等について再審開始決定が確定しておる、そして再審公判が行われているような事件について主としてお尋ねであろうと思いますけれども、その原因と言われましてもなかなか一言では申し上げかねるわけでございまして、いま御引用のように、最高検の臼井検事が警察学論集という雑誌にいろんな事件を具体的に取り上げながら問題点を分析、検討し、指摘もしているところでございます。まあ、それぞれの事件ごとに問題も違うわけでございまして、一概には申しかねるわけでございますが、やはりそれらを通じて考えますと、いろいろな捜査のやり方、本人に対する取り調べの問題あるいは物理的な証拠との整合性といいますか、そういう問題、そういういろいろな証拠の全体的な面から見た吟味といいますか、そういう点についてなお一層努力すべき点があるのじゃないか。要するに、その真相の解明のために、いろいろな面からなお一層事案の実態を見誤らないように十分な配慮をしていく必要があるということを強く感じている次第でございます。
○稲葉委員 そこで、一つの例として、これは徳島のラジオ商の事件ですね、これは再審開始が確定して再審が始まるということ。ことに亡くなられた場合の再審ですから、法律の規定がなくて、いろいろ学問的にも手続上の問題が残っているのじゃないかと思います。 それは別として、私が納得できないというかよくわからないのは、これは恐らく大臣も警察におられたときの事件じゃないかと思いますよ。最初、警察は外部犯人説をとっていたわけですよ。それを今度は検事の方は逆に内部犯人説をとった事件ですよ。珍しいというか、そういう事案でね。こういう事件は警察の方が専門なんです。警察の方がこういう事件はわりあいに得意なんです。知能犯の事件は検事の方がと言うと、あなたまたちょっとぐあいが悪いかもわからぬけれども、まあ向き向きがあると思うのですよ。 そこで、この事件で私が問題とするところは、こういうことです。この二人の少年が、これはたとえば、もう名前もわかっているのですからいいかもわかりませんけれども、一人の少年は、「電話線、電灯線を切断したことを理由に四五日間」勾留された。それからもう一人の少年は、「遺留されていた匕首」、匕首というのはあいくちですね。「を所持したという嫌疑で二七日間身柄拘束された。」こういうことですね。当時十七と十六の少年でしょう。しかも、この匕首については、徳島地裁の再審開始決定を見ると、「匕首を「所持した」という証拠は新旧証拠の何処にも発見することはできない」こう開始決定にあるのですね。 これは今後本裁判が始まるわけですから、私はここで余りそういうことについて、証拠の判断のことについて言うのではなくて、この少年について、この程度の事件で四十五日間、片方の方を二十七日間身柄拘束したという事実ですね。これはちょっとこれだけでよくわからないのですよ。少年の場合ですから、恐らく検事のところで持っていて、それが長かったのか、鑑別所がずっと長く、そういうふうになったのか、その辺のところはちょっとよくわかりませんけれども、これは記録を全面的に見なければわかりませんからね、わからないのですが、いずれにしても、結局、そんなことで四十五日間、片方は二十七日間、しかも開始決定の中でその匕首は証拠の中に発見することができないとまで言われているような捜査を一体なぜ検事がやったんだろうかということですよ。 どうも検事は功名心にはやってやったように私には思えるのですがね。だれがやったのか知りませんけれども。どうしてこの二人をこんなふうに勾留したのでしょうかね。いまになってどういうふうにそれについて判断しているのですか。
○前田(宏)政府委員 まず日数の問題でございますけれども、稲葉委員も仰せのように、少年でございますから家裁送致という手続が必要なわけでございまして、その関係で一般の勾留のほかに、家裁に行ってからの観護措置決定、それによる観護措置というものも加算されているというのがまず外形的な事実でございます。 それから、この事件につきましては詳しく申し上げる必要もないと思いますけれども、当時から大変微妙な事件であったと思いますけれども、特にこの二人の少年の人の供述がある意味では重要な要素を持っていたわけでございまして、いきさつは別といたしまして、いろいろ供述が変転したりしていることも御存じのとおりでございます。それについての裁判所の見方もまた二途に分かれるというような、非常にそこに問題があることでございます。 したがいまして、いまからその当否を論ずることはなかなかむずかしいわけでございますし、先ほど稲葉委員も仰せのように、現在再審公判が進められている段階でございますので、内容にわたってここで申し上げるのは適当でないというふうに御理解をいただきたいわけでございます。それなりに、先ほど申しましたように、この二人の少年の人の供述というものが、当否は別といたしまして、この事件の成否をめぐる重要なポイントであったということから、当時としてはそれなりの手続が行われたと考えておるわけでございまして、その最終的な判断はもうしばらく先になってから十分検討してみたいと考えておるわけでございます。
○稲葉委員 私もその点は、再審開始決定が確定してこれから本裁判が始まるわけですから、そのことに対して影響を与えるようなことをここでかれこれ言うことは、私自身が法律家として考えたときにあれだということはよくわかるのです。だから、内容について余り聞かないのですけれども、とにかくいかに何でもひど過ぎますね。仮に鑑別所へ入ったとしても、四十五日間というような事件じゃないですよ。それから後の方も二十七日間も入れる事件ではないでしょうが、匕首を持ったというだけのことで。一たん逮捕して勾留してしまうから、結局何とかして事実関係を自分が考えている内部犯人説に結びつけなければいけないということで次から次へとそこで過ちが犯されてくるのだ、こういうふうに私には理解できるのですよ。これから始まる事件について、いまこれ以上のことは私として言いませんけれども、こういうやり方はよくないですね。検事としては功名心に駆られるのですよ。一たん逮捕してしまうと何とかしてあれしなければいかぬという考え方になってくる、こう思うのです。 そこで、再現の問題について私の聞いている範囲ではこういうことなのですよ。刑事訴訟法の改正のときに、再審が一番最後のところだから技術的に十分手が回らなかったのだ、一部回ったところもあるかもしれぬけれども、手が回らなかったのだ、そのためにここが現実に手抜きになっておる。こういうことからして、再審法の改正というのはなかなか――新規性、明白性をどうするかといったって、それはあとは認定の問題であって、あそこをどうやって書くかということはちょっと私もよくわかりませんが、判断の問題で、例の白鳥決定を受けて考えればいいし、裁判官の人生観にもよるのですよ。きのうの刑事三部のあれを見たときに、言い方は悪いかもわからぬけれども、あれは人権感覚豊かな方だから、自分が志願囚となって大学か高等学校のときに刑務所に入っていろいろな体験をされた方だからああいうふうな決定になったのじゃないかと考えるわけで、非常に個人差があることは事実です。 そこで、再審法についてのいまあなた方が考えておる問題点は一体どことどこなのか。たとえば、死刑囚の再審開始決定があった。確定した。そうすると、身柄は二面性を持つわけですね。死刑囚の執行というのはどれを執行というのかなかなかあれですけれども、ともかく確定しておる。一方において再審開始決定が確定してしまったとなると、これは一種の未決の扱いを受けることになる。無期懲役の場合はまた釈放しなければならないということになっていますかな。そうすると、死刑囚の場合が非常に多いわけですから、そういう場合一体どういうふうにしたら一番いいのかとか、そのほかの問題点がたくさんありますね。どういう点が問題点でどういうふうにしたらいいと法務省当局としてはお考えなのか、聞かしていただきたいと思います。
○前田(宏)政府委員 いつぞやも当委員会でお尋ねを受けたと思いますけれども、前段の御指摘の現行刑訴法ができます場合に、再審の部分が一番後の方なので手抜きがあったのじゃないかというような御趣旨であったと思います。そういうことが一般的に言われているようなことも耳にするわけでございますが、確たる根拠もないことでございます。 また一方考えますと、再審の規定は旧刑訴時代のものがもとになっているわけでございまして、現行刑訴になる場合に若干の必要な手直しをそれに加えているということでございますから、基本的には旧刑訴の規定がそのまま現行刑訴の再審の規定になっていると理解されるわけでございます。そういたしますと、旧刑訴の時代にはそれだけ十分な余裕もあり、いま御指摘のような問題が考えられないわけでございますが、現行法につきましては占領下であったというような事情もありますので、あるいはそういうようなことが言われるのじゃないかと思いますけれども、いま申しましたように、もとが旧刑訴でございまして、それに必要な手直しが加えられているということから見ますと、いまのような御指摘は必ずしも実態的に正しいかどうかと思っているわけでございます。 現在考えている問題点というお尋ねでございますけれども、従来から社会党の法案も御提出になっておるわけでございますし、日弁連の御意見もあるわけでございます。その点は十分承知しておりますし、従来は、特に先ほども御指摘の再審事由の拡大といいますか、緩和といいますか、そういうことが主たる問題点になっていたようでございますが、その点はむしろいま稲葉委員がおっしゃるようにいろいろな判例等がございますので、現にその趣旨に沿って、一面から言えば行き過ぎじゃないかというような批判もあるぐらいの運用がなされているという面もあるわけでございます。 そのほかに細かい技術的な問題として、手続面の整備が必要であろうと言われており、その点についてはもちろん考える必要があるということをこれまでも申してきていたわけでございます。 しかし、最近はいろいろと死刑事件について再審開始決定があることによって御指摘のような身柄の問題が表面に非常に強く出てきているということがございます。また、徳島の事件につきましては、亡くなった方についての再審が初めて出てきたということになりまして、改めて考えますと、たとえば死亡した方の再審手続、これは一言で通常の審級に従って裁判するというふうに書いてあるだけでございまして、それ以上詳しい定めはないわけでございます。確かにそこにも不備と言えば不備のような問題があるのじゃないか。 また一面考えますと、死亡者について有罪、無罪の判決をする形に現行法ではなるわけでございまして、それ自体も奇異に感ずるような面もないわけではございません。 また、先ほどの身柄の点につきましても、考えてみますと二面性を持っているという旧刑訴以来の現行刑訴の再審構造になっておりますが、そこにも基本的に問題があるのじゃないかというふうにも考えられます。現に旧々刑訴時代には、上告裁判所、通常の場合は当時の大審院であったと思いますけれども、そこで開始決定をする際に、原確定判決を破棄するということがあわせて行われていたようでございます。それが現在、つまり旧刑訴以来、そういう形ではなくて確定判決が生きているというふうに変えられているわけでございます。そうなりますと、再々ここで御議論がございますように、確定判決がある以上それを無視することはできないじゃないかという議論に当然なるわけでございまして、そういうふうに考えますと、再審のあり方といいますか、一度再審開始決定になりますと、従来の確定判決はそのままちょっと横に置いておいて改めて裁判をするということにいまの身柄の問題も絡んでくるわけでございますし、また、派生的に再審開始決定についての抗告の問題もそこに入ってくるわけでございます。 そうなりますと、基本的に一体こういう再審構造が適当なのかどうか、あるいはその再審の開始決定をすべき裁判所の審級、どの裁判所でやるのが適当かというような問題が実は基本にあるのじゃないかというふうに私なりに考えるわけでございまして、言葉は適当でないかと思いますけれども、そういう点から従来のようないわば現象的な面の改正じゃなくて、もう一度さかのぼって再審構造そのものについて考え直してみないといろいろな問題が解決できない、あるいはそのことによって解決できる問題が少なくないのじゃないかというふうにも、実は考えておるわけでございます。 しかしながら、そういうことになりますといろいろな問題が関連してまいりますので、率直に申しまして、私ども事務的に従来の経過なり改正の経過なりあるいは諸外国の法令なり、そういうことから基礎的に少し詰めてみなければいけない。ただ、それはそういうことでございまして、具体的にこうあるべきだというまでのことをここで申し上げることになっておりませんけれども、そういう非常にさかのぼった検討というものが必要ではないかなというふうに考えている次第でございます。
○稲葉委員 では、一応これで終わります。
○綿貫委員長 中野寛成君。
○中野(寛)委員 私は、先般来大きく国民の関心の的となっております元KGB少佐レフチェンコ氏の証言にかかわる一連の諸問題についてお尋ねを申し上げたいと思います。 ただ、質問に入りますまでに申し上げておきたいと思いますのは、これはやはり国の安全にかかわる重要な問題でありますと同時に、個人の人権もまた守られなければいけないことは事実であります。いま私たちはこの問題の全容を何とかしてみんなで協力して明らかにしたい、そう願う一番大きな理由は、日本の国を取り巻く国際情勢の中で、KGB等の諜報機関がわが国を危うくする、わが国の将来への道を間違えさせる、そういうふうな行為を行っているとするならば、それを明らかにし、そして、われわれ政治家はもとより、国民の皆さんにもその実態を認識していただき、間違ってもその協力者となるようなことにならないように注意をしていく、このことが大事ではないか、こう思うわけであります。 私ども先般国会からの調査団の一員としてワシントンへ行ってまいりましたけれども、あの米国下院のボーランド情報委員会委員長も言っておりましたが、そういう諜報活動がわれわれの安全を脅かすようなことがあってはならないのだ、アメリカにおいてそのことをしっかりと調査をして、アメリカが危険を冒すことのないようにするということが目的である。と同時に、しかし先ほど稲葉先生からの御指摘にもございました政治的キャンペーンであるかどうか。しかし、この政治的キャンペーンという言葉が使われたとしても、それは、私どもにボーランド委員長は、アメリカだけではなくて日本の皆さんもこの実態を知っていただくことによって過ちを繰り返さないようにする、その一助になるならば幸せである、こう申されているわけであります。これはまさに政治的キャンペーンと言いかえてもいい内容ではないかと思います。 私どもは、そういう意味で特定の個人の名前がだれであるかということを探り出すことが目的ではなくて、あくまでも政治工作の実態を知る、そのために必要な個人の名前ならばやはり知らなければならないだろう、このように思うわけであります。目的と手段をはき違えてはならないことは申し上げるまでもありません。そういう観点に立って幾つかのことをお尋ねしていきたい、このように思うわけであります。 ゆえに、私どもの使命は、そしてまたきょうお尋ねし、お答えを求めますそのお答えをいただく皆様方の使命も、同じくこの実態を国民の前に明らかにし、国民に過ちなきを期す、そのことが目的であることをともにかみしめたい、このように思います。 もう一つは、一連の工作が事実だとするならば、われわれ自身の身の上にもいつどのような形でその誘惑の手が伸ばされるかわからないという危機意識を私自身が持つわけであります。意識して積極的なエージェントになった人もいるとされております。エージェントにされていることを全く知らなかった人もいるわけであります。しかし、いずれにいたしましても、利用されておったということがあるとするならば、われわれは彼らの手段、方法を十二分に知ることによって敵のわなに陥ることのないように注意をしていく、そのことの参考としなければならないと思います。また一連の証言の内容から、政治家の幾人かが積極的もしくは無意識の協力者とされております。もし、その行為が刑事事件として立件できないとしても、政治的道義的責任は明らかに問われなければならないと思います。そういう観点からお尋ねをしたいと思います。 まず、一昨日外務省及び警察庁がこの事件に関して調査結果を公表されました。外務省につきましては、外務省の機密がソ連側に流れていることを確認するに至らなかったと結論づけております。確認するに至らなかったというのであって、その危険があったであろうことも否定はいたしておりません。また、レフチェンコ証言は全体としてそれなりの信憑性があると今日まで政府答弁がなされておったその見解について、一昨日記者会見をされた外務省の枝村官房長は、私もそのように受けとめていると述べておられます。 また一方、警察庁の方は、レフチェンコ氏が直接手がけたとされる十一人のうち、数人に対し直接事情を聴取した。これは報道ですが、暗号名キングの社会党関係者やジャーナリストらで、国会議員は含まれていない、こういうふうにも報道されておりますし、また最後にレフチェンコ氏証言の信憑性については、同証言で述べた政治工作活動の内容と今回の調査結果やレフチェンコ氏が在日中に警察が把握した活動内容とが多くの点で一致しているため、信憑性は全体として高いと結論づけられております。 そこで、どのような調査をし、そしてこの結果に至ったのか、信憑性が高いと新聞発表されましたけれども、その根拠は何であるのか、端的にお答えいただければと思います。
○山田(英)政府委員 一昨日調査結果を発表したわけでございますが、ただいまのお尋ねとの関連でお答え申し上げますれば、レフチェンコの政治工作活動に違法行為が介在するとすれば、それは見逃しがたいという立場から、そういう捜査的課題と取り組むために、直接彼が運営した十一名のうち、金銭授受ということについてレフチェンコ氏が言及していた方を重点に事情聴取いたしたわけでございます。その理由は、午前中にも答弁申し上げましたように、外国為替及び外国貿易管理法違反あるいは政治資金規正法違反が問題になるという観点からでございます。同時に、公務員につきましては、事柄の性質上、直接手がけていなくても国家公務員法違反の問題を究明する必要があろうということで調査いたしたわけでございます。 その結果は、金銭授受についてはエージェントと称せられた人たちは一様に否定しているところでありまして、レフチェンコの供述とは食い違いがございます。物証がないためにいずれとも判断しがたいわけですが、同時に、期間の経過という点から考えますと、いずれもその時期はすでに公訴時効にかかる期間を経過しておりますので、立件に至らないという結論になったわけでございます。 ただ、信憑性が高いということを同時に調査の結果申し上げておりますのは、いまもお尋ねにございましたように、われわれ警察のレフチェンコ在日当時のKGB機関容疑者としての視察結果と今回の裏づけ調査内容並びに彼の証言内容とが多くの点で一致するから信憑性があるという、いわば情報的価値が高いということを申し上げております。 これをやや具体的に申し上げますると、一つには、何といっても周恩来のにせ遺書の問題があるわけでございまして、彼としてはKGBは大成功であったということで、筆者は信憑性に疑問があると留保つきで掲載した旨弁明しておられますが、にせ文書を掲載させたこと自体が成功である。このにせ文書は明らかに日本において対中不信感を醸成することをねらったわけでございまして、その記事をタス通信に大々的に報道して、最大限に利用したということは十分に裏づけられております。 こうしたにせの情報を流すという点では、ミグ25事件のときのベレンコ中尉の妻の手紙、これは実は妻とは不仲になっておって、手紙など来るわけもないのですが、それを偽造した手紙があるということを日本のマスコミにふれ込みまして、そのことを裏づける新聞記事は現実に当時あるわけでございます。 それから、レフチェンコ氏在日当時のKGBの対日政治工作の焦点は、最大のねらいは日中離間にあったわけでごさいまして、これが周恩来の遺書の大きなねらいでもございましたが、同時に、裏づけの事情聴取に当たって、某ジャーナリストはカンボジアや東南アジアでの中共の動きというものをしきりに話して、反中国記事を書くようにしむけてきたということを供述しておるケースもございます。そういうことで彼の政治工作の意図というのは裏づけられている点があります。 それから、一番の金銭の授受でございますが、先ほど申し上げたように、物証はありませんので、いずれとも断定できませんが、裏づけの結果、事情聴取の内容では、ソ連側がいろいろな名目で金銭を差し出してきた、自分は断ったけれども、現金を渡そうとしたという供述がございます。少なくとも金銭を使っての働きかけがあったことは認められるわけでございます。 それから、原稿を書くということは、いろいろな方が原稿を書いて渡しておったわけですが、そのうちテープレコーダーに吹き込んで渡したというケースも幾つかございます。これは実は彼の供述でその部分が出てまいりますが、裏づけられるところでございます。 それから、われわれ視察した結果というものを、五十年から五十四年、彼が在日しておりました当時幾つか持っておりますが、これは事情聴取においては十分に役立ったわけでございまして、当初接触を言うことを渋っていた方も、われわれの視察結果、写真なり記録なりで示しまして渋々と認められる、そういうことでレフチェンコの供述の線に沿ってくるというケースがあったわけでございます。 それから、何よりも大きなことは、ある一人の人はわれわれがソ連のKGB機関員との接触、協力者との接触でフラッシュコンタクトというのを、専門用語で恐縮ですが、二人が会わない、コズロフ事件では目立たない場所ですれ違って現金なり秘密資料の交換をしておるわけですが、それは視察上把握されてはまずいということで、フラッシュコンタクトと言いまして、すれ違いながら物を落とす、落とした物を別の人間が拾う、そういうことで物の交換を、授受をするというフラッシュコンタクトというケースがございますが、ある一人の方はそういう訓練をさせられたというような異常な関係を立証する告白もされておるわけであります。 そういうようなことで総合的に信憑性が高いということを申し上げている理由になろうかと思います。
○中野(寛)委員 それはこの一連の作業を私どもが直接間接に知り得る内容としては、米国下院情報委員会における証言、それから昨年十二月の記者会見での内容、その後幾つかのマスコミ機関の取材、これについてはレフチェンコ自身が私どもに、すべて実際に自分が取材を受けたものについては正しく報道されている、こう言っているわけですが、また、ジョン・バロン氏の著作についても、中身は自分の体験をしたことをありのままに書かれているとレフチェンコ氏自身は言っているわけでありますけれども、警察庁として参考にされたといいますか、その裏づけの捜査となった資料は、私がいま申し上げた一連のものすべてにわたって参考にされた、こういうことでございましょうか。
○山田(英)政府委員 私どもが主として参考にいたしましたのは、レフチェンコの下院における証言記録、それから直接私どもがアメリカにおいてレフチェンコ氏から事情聴取した内容、それと在日当時の視察結果、今回の裏づけのために事情聴取した方々の供述内容ということでございます。
○中野(寛)委員 その事情聴取をされた内容は、たとえばその本に書かれているようなことも含めて事情聴取をされたのでしょうか。
○山田(英)政府委員 彼の在日工作活動のすべてについて聞いたわけでございまするが、リーダーズダイジェストに載っておること、あるいはインタビューで出てきたそういうデテールについては、それ自体を私ども事情聴取したということではございません。
○中野(寛)委員 しかし、彼の在日中の政治工作についてすべてにわたって事情聴取をしたということは、彼が述べているこれら一連の報道されているものについてすべて事情聴取をしたということと同じではないかというふうに思うわけでありますが、いかがでしょうか。
○山田(英)政府委員 大筋においては同じだと思います。ただ、微細な点で、彼自身がわれわれの事情聴取において述べてなかったコードネームを後でインタビューの際に言ったとかいうようなわずかの差はあるということは御了解いただきたいと思います。
○中野(寛)委員 そして、その事情聴取して得た内容のすべてにわたって信憑性があるというふうに警察庁としては判断をされたというふうに考えてよろしいでしょうか。
○山田(英)政府委員 すべてといいますか、デテールについては、われわれが聞いたこととは違うことが活字になるというようなことはあると思いますが、そういう意味で大筋ということを申し上げておるわけであります。
○中野(寛)委員 わかりました。大筋においても、その総枠について信憑性があるというふうに御判断なさっているようであります。 さて、たとえばこれは警察庁の方で調査をされていないことかもしれませんが、私どもがレフチェンコ氏と会いました際に、現職の国会議員ディックという名前を挙げて、この人は二、三年間エージェントとして自分に協力をしてくれた。しかしながら、自分のとっている行為が日本の国益に合わないということに気がついてやめた、大変勇気のある行為だった、こう言っているわけですね。 ところが、バロン氏に聞きますと、あのケースは必ずしもそうではない。むしろそのKGBのオフィサーとそのディックという国会議員とが会ったときに、そのKGBオフィサーの後ろに公安関係者が尾行をしてきておった。そのことに気がついてディックは恐れをなしてエージェントをやめたという話があるのですね。 これを持ち出すまでもなく、先ほど、数人の方方に事情聴取をされたときに警察庁としての視察結果または証拠写真等を見せることによって、その事情聴取に応じてもらったケースがあるとおっしゃられました。ということは、当然レフチェンコ氏の行動、その他KGBのオフィサーの行動等について日ごろから注意をし、また場合によっては尾行もされている、また写真も撮っておられるということになるのではないかと思いますけれども、そういうふうに考えてよろしいですか。
○山田(英)政府委員 ソ連KGBの機関員の容疑者につきましては、視察をしておるということはすでに御答弁申し上げておりますが、それはすでにコノノフ事件、マチェーヒン事件、コズロフ事件、幾多のスパイをわれわれ警察は検挙してきておるわけでございます。それは外交官を装ったり、あるいは特派員を装ったりして秘密を探知しているというケースがございます。そういう意味で、われわれは容疑行動がある場合には外交官といえども視察いたしております。 そういうことで、新時代社の東京支局長でありましたレフチェンコにつきましても、容疑行動を発見して以後、視察をいたしております。ただ、先ほど申し上げたものでちょっと誤解がありませんように申し上げますが、写真を見せて、視察結果を見せて事情聴取に応じていただいたということではございません。事情聴取に応じていただいている中身において記憶を正確に喚起していただくために、こういう事実もいついつにあったのではないかということをわれわれの方で示して、それを認めていただいていくというプロセスがあったということでございます。
○中野(寛)委員 この一連の報道の中で、信憑性が大変高いとされている、私も訪米をいたしましていろいろ事情聴取した中で、文字どおり一〇〇%に近い状態で信憑性が高いという印象を受けてまいりましたが、その中に残念ながら国会議員の名前も出てまいります。レフチェンコの行動について注意をしておられた警察としては、レフチェンコ氏以外のKGBの機関員の行動も同じでありますけれども、そういう中で接触をした国会議員の名前等についても把握をしておられるのかどうか、お聞きしたいと思います。
○山田(英)政府委員 レフチェンコ氏が直接手がけておりました十一人の中に国会議員の方はございます。ただ、われわれ調査いたしましたのは、政治工作活動自体は違法ではない、金銭の授受というのが特に違法の問題を生じる、そういう捜査的課題を究明するために必要な方に伺ったわけでございまして、先ほど先生もお尋ねの中に申しておられましたが、結果的に国会議員の方からは特別の事情聴取はしていないということでございます。
○中野(寛)委員 すでに報道等の中では金銭の授受、もちろん私どもにはコード名キング氏、そしてもう一名実名を挙げた国会議員について金銭の授受をはっきりと彼は言っているわけですね。金銭の授受が行われていることがはっきりと明言をされている。そういう中でなぜその確認をされなかったのでしょうか。
○山田(英)政府委員 金銭の授受があったと彼が述べております対象の人物からはすべて事情聴取いたしました。
○中野(寛)委員 彼が金銭の授受があったと述べている人の中には国会議員の名前が出ておりますが、いかがでこざいますか。
○山田(英)政府委員 彼自身が手がけまして金銭を交付したという対象には国会議員の方はいないわけでございます。
○中野(寛)委員 そうすると、キングというコード名の人は金銭の授受があったということになっておりますが、これは国会議員ではないわけですね。
○山田(英)政府委員 そのとおりでございます。 ただ、ここで誤解を招いておりますのは、バロンが書きました「隠された手」には、キングという項目には国会議員という文字は一切ないわけでございます。リーダーズダイジェストの翻訳の中に出てきますが、これがなぜ出てきたか、私ども原文と照らし合わせると理解に苦しむところでございます。レフチェンコ自身もキングなるコードネームの者は国会議員であるとは言っておりません。
○中野(寛)委員 日本版リーダーズダイジェストに、国会議員であるキング氏は財布を受け取って云々と書かれておりますね。私もこのことについてバロン氏に確かめてみました。レフチェンコ氏も、自分は国会議員とは一切言っていない、またバロン氏も、国会議員とは自分の著作には一切書いていない、しかし、これはレフチェンコ氏が亡命をするまでのことであって、その後のことは知らない、こういうふうに言われました。そしてまた同時に、日本版リーダーズダイジェストに国会議員と書かれているその理由は自分は知らない、こういうことでした。日本のリーダーズダイジェスト社にはそのことはお確かめになったんでしょうか。
○山田(英)政府委員 リーダーズダイジェスト社に確かめたことはございません。確かめるまでもなく、私どもはレフチェンコからの事情聴取でキングなる者は特定しております。そういう方の経歴に国会議員であったことがないということは確認しております。
○中野(寛)委員 次にお聞きしたいと思いますが、先ほど来幾つかお尋ねをいたしました場合に、その信憑性というものはますます高いというふうに判断するわけであります。きょうここに、閣僚としては法務大臣お一人しか御出席ではございませんので、大臣にお尋ねしたいと思います。 このきわめて信憑性が高いとされる一連の報道、彼の証書、これから見ますと、日本の国会議員、公務員、そしてマスコミ人等々にいろいろな工作がなされている。そしてそれは、場合によっては国を売る行為だと批判されても仕方のない内容も含まれております。こうなりますと、刑事事件として立件できなかったとしても、しかもそれは、その立件できなかった理由は、物証がない、または期間の経過、すなわち時効にかかっている、こういう内容であろうと思いますから、言うならば、立件できなかったということは、なかったということでは全くない、まして後で信憑性が高いと発表されたということは、実際はあったであろうと想定をされているわけであります。これらのことを考えますときに、これに関与した政治家があるということはほぼ間違いないということになってまいりますが、たとえ刑事事件として立件されないまでも、このような事案は政治的道義的責任がきわめて重いし、問われなければいけない内容だと思いますが、大臣いかがお考えでしょうか。
○秦野国務大臣 いまいろいろ伺ってまして、私は実はこの問題に対する事実関係の当事者でもないし、刑事責任を問われない場面の問題として、私の口から余り責任めいたことを言うのはどうかと思いますが、信憑性が高いということが言われて、気になることは事実でございます。ただ、いまの私の立場で政治的道義的責任がある、こう言い切れるかどうか。私はそんな偉い立場でもないし、ただ心配になることは事実ですね。先ほど来のお尋ねの点を考えて、確かに国益に対する大変大きな問題でございますから、理解は十分させていただきました。
○中野(寛)委員 さて、本論といいますか、本来の目的に少し入りたいと思いますが、その前にもう一つ、外務省の方では、ナザールにかかわる情報の真否を確認できなかった、こうなっておりますし、警察庁の方では、ナザールについては外交問題だけに重要であるとして、今後も人物の特定の調査を続ける、こういうふうになっております。外務省と警察庁の御見解をお聞きしたいと思います。
○枝村政府委員 本来、こういう問題の調査は警察庁が主体になってなさることだと思うのでございますけれども、機密を預かる役所といたしまして、外務省は私どもなりに保秘体制を持っておりますし、また調査の義務も持っておる、こういうことで、ナザールについて伝えられましたところについて調査を行ったわけでございます。これは、先ほど警備局長の申し上げましたレフチェンコ氏自身が扱った問題ではございません。かつ内容も大変漠然としているわけでございますけれども、指摘されておる事実が非常に重大であるということで調査をしたわけでございます。しかし、その結果、レフチェンコ氏の言っておるところにそのまま符合する職員というものは特定できませんでした。また、公電の流出というような事実も確認するに至らなかったわけでございます。 私どもとしまして、先ほど申し上げたようなレフチェンコ氏自身が扱っていない問題であるせいもございましょう、率直に申し上げて若干腑に落ちないところがあるわけでございます。たとえば電信室にアクセスがあったとか、あるいは現在の先進国の間では恐らく常識になっていると思いますが、暗号の解読ということは無限乱字を使っている限りまず不可能であるということでございますが、ナザールに対する工作の主たる目的が暗号の解読であったとか、私どもとしましてちょっと腑に落ちないところはあったわけでございますけれども、事の性格、事案の重要性にかんがみて、それなりの調査をやり、警察が御発表になったときに外務省の担当の記者からも質問がございましたので、ああいう発表をしたわけでございます。 したがいまして、私どもとしてナザールのケースについての信憑性云々ということは別としまして、じゃ、レフチェンコ証言全体についてどういうふうに考えているんだという質問がありましたので、それについては、私どもとして、ナザールのケースについてだけ調査したものとしては何とも申し上げる立場にはない。ただ、先日の決算委員会における官房長官の御答弁、あるいは、ただいまもございました警備局長の従来からの御説明によって、政府として信憑性が全体として大筋において高いと言われておる、そのことはそのように承知しておる、こういうことを申し上げたわけでございまして、そういう背景で、私どもとしては一応今回の調査は終わった、ただ、大変重大な事実の指摘があったということは今後とも念頭に置いていく、こういうことを申したわけでございます。
○山田(英)政府委員 警察の立場として、ナザールにつきましては、ただいま外務省からも答弁がありましたように、レフチェンコが直接取り扱ったケースではない。しかしながら、いろいろな公文書が漏れておったということを彼が供述しておりますが、ただ、何ぴとであるかということについてのメルクマールがやや不十分でございます。どこのだれであるかという特定にはただいま至っておりません。しかし、事柄の重要性にかんがみまして、警察としては今後も関心を払って、レフチェンコ供述、この部分のナザールについての供述の真相は那辺にあるか究明に努めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○中野(寛)委員 またその辺の真相を明らかにするために再度レフチェンコ氏等から事情聴取をする可能性はあるわけですか。
○山田(英)政府委員 ナザール・ケースにつきましてレフチェンコが知悉している限りの状況は全部聞き終えておりますので、再度事情聴取ということは必要ないと考えております。
○中野(寛)委員 さて、それでは外務省に次にお尋ねしたいのですが、先般訪米をいたしましたときに、アメリカの数名の学者の皆さんともお話をいたしました。この事件という意味ではなくて、いろいろ総合的な国際情勢の分析をいたしましたときに、いわゆるブレジネフ時代は、ソビエトの場合にいわゆる軍事的な拡大作戦といいますか戦略、そしてそのことによる圧力によって対外工作をやっていく、また外交を進めていくという傾向があったのではないか。 一方、KGB出身のアンドロポフ氏に体制が移行してからは、やはり心理作戦的な活動の傾向が強くなっているのではないか。また、世界の他の国々もそのことに注目をしている。また、最近、一連の国際的な動きとして、KGB活動が摘発をされて強制送還をされるというふうなことも頻発をいたしております。こういう最近の外交、またはこのような国際的な工作の傾向について外務省としてはどういうふうに分析をされておられますか。
○丹波説明員 お答え申し上げます。 ブレジネフ政権十八年間の特色、いろいろなものがあると思いますが、その一つは、間違いなく申し上げることができますのは、この十八年間を通じましてソ連がアメリカと並んで押しも押されもされない二軍事超大国というものに成長したということでございます。そういう軍事力をバックにいたしまして、私たちの言葉で言いますところの軍事力の平和利用、つまり軍事力を使いまして、後ろでちらつかせましてソ連の政治的な目的を達成する、そういう外交政策をやってきたことは間違いないと思います。 それからもう一つは、心理作戦と申しますか、いろいろ裏であるいは表であらゆる工作を通じまして政治的な活動あるいは謀略活動、そういったことをやって、イデオロギー的なあるいはソ連の国益上の目的を達成する、こういうことをやってきたことも間違いないと思います。 アンドロポフ政権になりましても、この二本の柱につきましては何らブレジネフ政権との間に差はないと私は考えております。 ただ、アンドロポフ政権につきましては、御承知のとおり、アンドロポフ自身が十五年間KGBの長官をやっておる。そのほか、政権成立直後にアゼルバイジャンからアリエフという人物を連れてきて第一副首相にした。これはもともとKGB出身の男でございます。それから内務大臣シチェロコフという人間を首にいたしまして、それまでKGBの長官をやっておりましたフェドルチュークというのを内務大臣に据えたということで、普通の警察をKGBが掌握したということでございます。もちろん、KGBの長官はKGBから上がってきたチェブリコフという人間。したがいまして、人によりましてはアンドロポフ政権はKGB政権だ、こういうことを言われるぐらいKGBの勢力が非常に強くなっております。それが国内政策にあらわれております。 国際政策、外交面におきましても、たとえばアフガン問題の政治解決といった問題につきまして非常に宣伝色の濃い情報が当初から流されたとか、あるいは日本に関係いたしますれば、北方領土問題についてソ連は柔軟な姿勢をとるのじゃないかという相当デマ的な情報が流されたとか、外交面においてもKGB色がわりと強いというふうな見方が行われております。 先ほど先生が御指摘になられました最近のフランス、イギリス、スイス、スペイン、イタリア、アメリカ、カナダ、オーストラリア、タイとどんどん続いてきておりますところのKGB要員の追放ということも、案外この辺に関係があるかもしれません。
○中野(寛)委員 それでは、最近の日本におけるKGB及びその他の国のこういう機関の活動について、その傾向等について警察はどのように把握しておられますか。
○山田(英)政府委員 わが国におきますKGBの活動の最近における特徴は、やはり先端技術、科学技術の情報収集に焦点が当てられておる、かように思っております。以前と変わったという点は、その点が特徴的でございますが、レフチェンコ問題がこうやって議論されてきております昨今は多少活動は手控えられていると思いますけれども、今後いろいろ活発化するということも予想いたしまして、その視察、警戒には、体制自体は大変不十分であると思います。ぜひ御支援、御激励いただいて増強に努めたいと思いますが、今後とも鋭意努力してその違法行為というものについては検挙すべく努力してまいりたいと思っております。
○中野(寛)委員 今日までのバロン氏の著作等々にも述べられておりますけれども、特に私どもが関心が深いのは、やはり日本の政治家に対する接触のあり方、このようなことはわれわれ自身が今後十分注意もしなければいけないことであります。 そういう意味で、KGB要員等々と国会議員が接触をしているという実態についてつかんでおられるか、またその手口等についてわれわれが注意をすべきこととして御参考までにお聞きをいたしたいと思います。
○山田(英)政府委員 政治家への工作というのは、与野党通じてアクティブメジャーズの大きな目的でありますので、その接触というものはあるわけでございます。ただ、われわれ違法行為の摘発ということを主任務にしておりますので、接触があったからといって、そのこと自体どうこうという問題はないと思います。その中身なり、いろいろな金銭の授受が問題であろうかと思います。 ただ、接触自体にも問題がありますのは、KGBの物の考え方が、御承知のようにリアルエージェントからトラステッドコンタクト、フレンドリーコンタクトあるいは脈のあるデベロッピングコンタクトというような、接触の段階にいろいろあるわけですが、接触者の思惑いかんを問わず、利用する価値があればエージェントだという考え方、これはレフチェンコの供述にもあらわれております。そういう角度からいたしますれば、善意の接触であっても、何回か続いていけば必ず相手方の意図というのはわかるわけでございます。 今回の十一人の手がけた方にも濃淡いろいろございますが、何年にもわたり引き継ぎと申しますか、ソ連の情報機関員に次から次に会い続けておるというケースがございます。恐らく心中はおわかりだろうと思うのです。どういう情報を欲しがって、どういう情報を提供したか、長いつき合いの中には意識されていることもあると思いますが、そういう接触が重なれば、私は必ず相手方のアクティブメジャーズの意図はうかがえると思います。そういう段階において十分の御配慮があれば相手方の政治工作活動に乗ることはなかろう、大変僣越でございますが、さように思うわけでございます。
○中野(寛)委員 もう一点質問いたします。 KGB以外のこういう諜報機関の活動というものがやはり指摘をされております。また、少なくともその工作は必ずしも対日本ではない、日本で行われる対外国の工作ということもあるわけでありましょう。こういうことについて、KGB以外のことについて警察として調査をされている、またはそういうことが明らかになった実態はございますか。
○山田(英)政府委員 ソ連について申し上げれば、KGBという組織以外にGRUというソ連軍参謀本部情報総局という諜報組織がございます。これにつきましては、過去のスパイ事件で検挙したものの多くは、実は軍事情報収集でございますので、GRUの機関員が行った犯罪であるわけです。 そのほか、中国、北鮮につきましても、わが国を場にして情報収集活動が活発でございまして、戦後において北鮮の機関員を検挙したケースは数十件に上っております。北鮮工作員の場合は、わが国においてわが国の秘密にアプローチするということのほかに、韓国内における革命を促進するためにわが国内においてエージェントを養成して韓国に送り込む、そういうことで、韓国内においてスパイとして検挙されているケースもございます。そういう二重の工作ということが行われておるわけでございますが、ソ連以外について申し上げれば、以上のようなことであります。
○中野(寛)委員 先般レフチェンコ氏に実はこういう質問をしたわけであります。北海道の漁船に日ソ親善協会の証明する札をつけておけば拿捕されないといういわゆる御朱印船事件がございます。これもKGBのしわざか、こう聞きましたところ、それについては私は知らない。それはそのとおりなんですね。彼が亡命以後のことでございますから、知らないと答えるのは当然なんですが、こういう一連の工作の中では、これは言うならば考えようによってはきわめてKGB的発想だと言えないこともないのですね。これらについて何かの動きがあったか、警察は把握しておられますか。
○山田(英)政府委員 そのレポ船というものがあるわけでございまして、過去警察としましても、第十一幸与丸事件とか第十八和晃丸事件、最近においては第三十五功洋丸事件とか著名なレポ船については、検疫法違反であるとか関税法違反ということで検挙いたしております。 その検挙を通じて判明したことは、やはり御指摘のように北方領土返還運動の鎮静化を図るとかいうソ連の北海道に対する政治工作に利用されている形跡はございます。 それから同時に、若干の情報収集活動がありまして、これは船主でございますから、そう秘密の情報にアプローチできるわけではございませんが、たとえば右翼の動向とか中国問題、北方領土返還運動、そういうものについて少しでも情報をよこせということで、彼らの知り得る情報を持っていく、そのことによって公然と制限区域で漁獲を黙認するというような実態はあるわけでございます。これは主として国際局とかいう所管で運用もしておりますし、実際の現場における運用は、国境警備隊が運用しております。 そういう観点からしますと、レフチェンコの担当ではない、彼の直接知るところではないと思います。
○中野(寛)委員 レフチェンコ氏の担当でないことは、私もそう思っているのです。レフチェンコ関係ということではなくて、そのような工作がなされたということ、たとえば御朱印船のような特典を与える、それによって親ソ的な考え方に引っ張り込んでいく、こういうふうなこともKGBらしいやり方だと思いますが、何かこのことについての捜査、調査、または把握をなさっておられますか。
○山田(英)政府委員 御朱印船といいますか、日ソ親善協会の会員であるという会員証を持っておれば、しかもソ連の情報収集活動に協力するならば漁獲を認めようというような工作、これは現にあるわけでございまして、それはやはりKGBレフチェンコ証言にあるアクティブメジャーズというのと全く類似した考え方と手法であろうと思います。
○中野(寛)委員 今後のKGB対策ということになりますと、先ほど御答弁がありましたように、警察としてはなお一層調査活動を綿密にしていくということしかないとお答えになるかもしれませんが、法的措置、たとえばいまよく言われておりますスパイ防止法もしくは防諜法、または国家公務員法や自衛隊法の改正強化、いろいろな案が考えられております。このことについては警察に聞くというよりも、むしろ本当は法務大臣または国家公安委員長にお聞きすべきことかもしれませんけれども、どのようにお考えでしょうか、KGB対策をどう考えるか。
○秦野国務大臣 午前中もお答えしたのですけれども、例のスパイ防止法という問題が一つあるわけですが、各国がこういうものを持っていますし、これは国の独立と安全を守るための通常の手段だ。だから先進国全部持っている。しかもこれに対する罪は非常に重いのですよね、国家公務員法とかそんなものは非常に軽いのですが。だから、本格的にこの問題に取り組むということならばやはりいまの法体制では大変弱いのではないか、こう思います。 したがって、国際社会は非常に相手を信用して、信頼関係の上に友好を築いていくということが原則ですけれども、しかし、一面において国家間にジャングルのおきてが支配することも事実でございます。そういう観点からするならば、私自身はやはりそういうものも必要ではないのかな、少なくとも検討の余地はあるだろう、こう考えております。しかし、これは法案提出等の問題になると内閣全体の問題になりますから、そこまでは言えませんけれども、私はそういうふうな見解を持っております。
○中野(寛)委員 これは警察の方でお答えいただきたいと思いますが、たとえば諸外国ではスパイ活動が発覚した場合、スパイ活動といってもいろいろな中身がありますけれども、こういう行為が発覚した場合に本国への強制送還をしているわけですね。 それで、日本の場合にその強制送還という方法はあるのか。それから、あるとすればどういう範囲、どういう場合にそういうことが適用できるのか。また、日本の国にとってこういう不都合なことが行われたとしても、残念ながら法律上はそれができないという枠がある、そういう実態についてお答えいただきたいと思います。
○枝村政府委員 もちろんわが国の場合でございましても、刑法あるいは外為法その他の国内法に触れるというようなことがあれば、当然それによって処断できるわけでございます。また、これは私が申し上げることが適当かどうか存じませんが、出入国管理及び難民認定法等にも、法務大臣が日本の利益または公安を害する行為を行ったと認定すれば国外に追放できる、こういう権限が規定されていると承知しております。 ただ、このKGBその他の場合、外交官という身分を持っておることがしばしばあるわけでございまして、そういう場合には、国際法上これは裁判からの免除、身体の不可侵ということが規定されておりますので、そういうわが国の国内法に従っての処断ということはできないわけでございます。ただ、その場合には当該の人物をペルソナ・ノン・グラータ、好ましからざる人物ということを指定し、その本国政府に対しまして召喚を要求することができる、そうして召喚を要求された政府はこれを受諾して召喚しないといけない。これは国際法で決まっているところでございます。
○中野(寛)委員 最後にお聞きしたいと思いますが、現在衆議院では、議院運営委員会を中心にして本問題についての調査特別委員会を設置すべきだという主張をわが党もいたしております。各党によって賛否両論あることは御存じのとおりであります。しかしなお努力をしたいと思いますが、その際、政府として協力をする御用意があるかどうか。 またもう一つ、その特別委員会が設置されようとされまいと、たとえばこの法務委員会等々でレフチェンコ氏を証人として喚問しようとした場合に、または参考人として喚問しようとした場合に、彼に来てくれる用意はあるかと先般尋ねましたところ、自分自身はファイターであるので何物をも恐れない、しかし日本政府の方が困るのではありませんか。というのは、たとえばソビエト政府等からの横やりが入る等々のことを指摘しているわけであります。このような場合に政府としてどのようなお立場をおとりになりますか、二点お尋ねをしたいと思います。
○丹波説明員 お答え申し上げます。 レフチェンコ氏自身がいざ自分が来るときに日本政府が困るのではないかと言っておるようですが、彼が本当にどういうことを考えているのか、必ずしも私よくわかりません。もし証人喚問云々というようなことにつきまして国会からの要請が私たちのところに来た場合には、その時点で政府としてどういう対応をすべきかということを考えて適切に対応したいと考えます。
○中野(寛)委員 以上、お尋ねをいたしましたけれども、私どもとしては、今後とも先般来のいろいろな調査の内容について分析をし、なおお聞きをしたり、その対策についてお尋ねをしたりしていきたい、このように考えておるわけでありますが、この調査特別委員会等を設置した場合、またいま証人喚問のことをお尋ねいたしましたけれども、司法共助制度を活用する等々含めまして、政府として協力される御用意があるかどうか、最後に法務大臣にお尋ねをしておきたいと思います。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの中で司法共助という問題を御指摘でございましたので、その点について申し上げますが、いわゆる嘱託尋問という形になろうかと思いますけれども、これは改めて申し上げるまでもないかと思いますが、いわゆる刑事司法手続の一つとして行われるものでございまして、そのことからおわかりのように、刑事事件として立件をし、公訴の提起がなされる可能性のある事案というものがかなり具体的な形で存在することが前提であるわけでございます。 したがいまして、そういう前提が満たされればそういうことも考えられるわけでございますけれども、今回の件に関しましては、先ほど来警察庁の方から御説明がございましたように、そういう段階にはなっていないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○中野(寛)委員 幾つかのお尋ねをいたしましたけれども、きわめて重大な問題でありますので、今後とも私ども検討を重ねて、国会としての協議、また政府へのお尋ね等々、また別の機会にさせていただきたいと思います。 ありがとうございました。
○綿貫委員長 沖本泰幸君。
○沖本委員 私も、レフチェンコ問題に関連いたしまして少し御質問してみたいと思います。 飛び飛びになるかもわかりませんが、新聞紙上によりますと、警察庁など捜査当局は、三月下旬米司法当局の了解を得てレフチェンコ氏自身の事情聴取を終えており、この証言を受けた今回の事情聴取対象者は国会議員を含む八、九人に及ぶと見られる。さらに同部は、この証言でKGBエージェントとされた暗号名ナザールの外務省職員についても事情聴取を進める方針、こういうことが出ておりますし、後藤田官房長官もこの問題で「日本独自の立場で実態を調べ、必要に応じて適切な措置をとる」と政府の立場を表明されているわけですが、警察庁の方がアメリカに赴いて、了解を得て事情聴取を直接なさったという点については、政府の方針で種々協議の上でそういう措置をおとりになったのか。また、その際は法務省とも協議の上警察庁がそういう方向でお始めになったのか、あるいは警察庁独自で事情聴取に向かわれたのか。アメリカとの関係で、三月に事情聴取に赴かれるに至った発端なり経過、それはどういうふうに私たちが承ったらいいのでしょうか、その辺をお教えいただきたいのです。
○山田(英)政府委員 レフチェンコにつきましては、すでに御答弁申し上げておりますように、在日中からソ連のKGBの機関員の容疑ありということで行動を視察しておりました。ただ、その視察過程では違法行為は警察としては把握していなかったわけでございますが、下院の証言で金銭授受の問題が出ております。 そこで、この政治工作に違法行為が介在するとすればそれは厳正に捜査してけじめをつけなければいかぬ、そういう考え方に立っておりまして、当初は、外務省が国益上の立場から証言の詳細な内容をアメリカ国務省に確かめておったわけでございます。その詳細な証言を得て、いま申し上げました捜査的な課題をきわめたいと思っておりましたが、三月に入りまして、外交チャンネルでお答えするのは適当でないという回答がアメリカの国務省から寄せられましたので、それでは、かねてから警察が考えておる捜査的課題を究明するためには、警察自体がレフチェンコ自身から事情聴取するほかはないと考えまして、警察庁並びに警視庁の担当官をアメリカに出張させまして直接事情聴取したということでございます。 したがいまして、お尋ねの点に簡潔にお答えするならば、警察独自の関心から警察庁独自の考え方で事情聴取を行ったということでございます。 〔委員長退席、太田委員長代理着席〕
○沖本委員 それにつきましては、調査の結果に基づいて法務省の側と事件の分析なり検討なりをおやりになったのか。法務省の方に伺うと、法務省は全然関知してない、ノータッチであるというお答えもあったわけなので、それは報告に至るだけの資料もないし、検察庁の方に上げて立件に至るだけの問題でもないし、警察庁の事情聴取の枠内で終わったということになるのか。 ロッキード事件では、警察庁と検察庁はそれぞれ独自の立場で調査を始めて事件がずっと明らかにされていったという経緯もあるわけですし、時効にかかわる問題であっても、灰色高官の名前を政府自体が明らかにしたという事態もあるわけですから、その辺の関連は警察庁の方はどういう判断をお持ちであったのか、一切報告しなかったのか。
○山田(英)政府委員 御承知のように、刑事訴訟法上警察は第一次的捜査機関と位置づけられておりまして、捜査を開始するのは、犯罪ありと思量した場合の警察の独自の判断で十分なわけでございます。検察庁と一々相談するということは、運用上は格別、法的な必要はないわけでございます。 今回の場合、何分古い話でもありますので、捜査といいますより捜査の端緒をつかみ得るかどうかの調査という活動の一環としてレフチェンコ氏自身から事情聴取したわけでございまして、そういうことから申し上げて検察庁なり法務省なりに相談するとか情報交換をするとかいうことは一切しておりません。
○沖本委員 さらに、日本人の協力者としてリーダーズダイジェストに実名で名前が挙がっている人と当局側、警察庁当局がレフチェンコ氏から直接聞かされた名前が一致しているかどうかについても新聞紙上ではノーコメントである、コメントする立場でないということなのですが、現在発表できるのかできないのか、これは現状のままで終えてしまうものなのか。問題は国会議員がかかわっておる、あるいは金銭授受があった、なかったということがあり、それは先ほどからいろいろお話しされておるとおりに、日本の国の存亡にかかわる重大な事件でもあり、情報を漏らすということあるいは危険な問題を外国に通報するということは日本の国を売る行為にも当たるわけであり、国民の信託を受けた国会議員にあるまじきことにも当たるわけですから、国権の最高機関としての国会が重大な関心を持ってこの問題の究明を図っていくということは当然なことに当たるわけですから、そういう立場をもってしても、人の名誉にかかわったり、虚偽であったり、あるいはうわさで終わってしまったということで真実性のないものは別といたしましても、その辺警察庁として捜査を打ち切られた段階でどの程度公表できるものなのか。先ほどの話ですと、コードネームの中で八、九人の問題あるいは信憑性の問題を御発表になっておりましたけれども、その点もう一度確認したいと思います。
○山田(英)政府委員 調査しました結果、立件に至らないということを先ほど御答弁申し上げたわけでして、立件に至らない以上、どういう方から事情を聞いたか、その内容がどうであったかということを個別に申し上げることは、われわれの警察活動一般の原則からいいまして差し控えさせていただきたい、かように考える次第でございます。
○沖本委員 それが刑事事件になるということと情報の問題での信憑性、二つに分けておられましたけれども、立件に至らないというのは、政治家としてお金をもらった事実はあったのだけれども、それはもう全然時効にかかったりというようなことで立件できないということに当たるのか、警察庁の方が裏づけのために御本人から事情をお聞きになるということでなしに、アメリカでいろいろ聴取されてきた内容をその後ずっと調べていかれて、国会議員はお金に関する問題では関係がなかったのか、いや、あったんだけれども、もうこれは立件できないんだというのか、その辺はいかがなんですか。
○山田(英)政府委員 レフチェンコが直接運営したエージェントと彼が言う方々について、金銭授受があったと供述しております方には事情聴取をいたしましたが、一様に金銭の授受については否定されておるわけです。物証がございませんので、いずれとも判断しがたいわけでございます。 そこで、期間の経過を申し上げれば、仮にレフチェンコが言っておるとおりであったとして、同時に、外為法違反とか政治資金規正法違反が仮に成り立つと二重の仮定を置いた場合でも、公訴時効は経過しておる、そういうことの判断から立件に至らないという結論を出しておるわけでございます。 そこで、そうした調査の内容の詳細を申し上げるわけにはいかない警察の立場でございますが、私思いまするのに、いま御指摘のように、政治の場での重大な問題である、あるいは報道機関の中における重大な問題であるということは、当然われわれも受けとめておるわけでございまして、それぞれの場における究明というのが捜査的な課題とは別にあるのではないか、大変僣越でございますが、かように存じておる次第でございます。
○沖本委員 先ほどのお話にも出てきましたけれども、御本人は知らない間に接触を重ねていきながら善意に基づいてつき合っているうちに、いつの間にか向こう側の利用されるところとなったというような内容についてお聞きになったと思うのですよね。それは名前は別にいたしまして、たとえて言うなら、国会議員がそれにかかわって、仮定の話的に今後の参考のために、そういうことに至った具体的な内容、こういう点は気をつけなさい、こういうことがありますよという点があれば、二、三御披露していただいたらありがたいと思うのですが。
○山田(英)政府委員 接触の濃淡がございますし、接触について考え方なり認識の差はあるわけでございます。それを、先ほど申し上げましたように、KGBがどう考えているかということからすると、その差というのはうなずけるわけでして、文字どおりのスパイ、リアルエージェントというのが一番最高ランクに位するKGBの考え方のエージェントでございます。その次に来るのがトラステッドコンタクトと言って、信頼すべき接触者、これはレフチェソコの認識によりますと、十一人の手がけたエージェントの中にトラステッドコンタクトとしてKGB本部に登録した者は数人いるわけです。彼の認識でも、彼が接したエージェントをトラステッドコンタクトと言っておるだけの認識が片方のエージェントにあるはずだという推定を彼がしておる、そういう者はございます。その次に来るのがフレンドリーコンタクトと言って友好的接触者、一番下が開拓中の、いわば脈があるという程度のデベロッピングコンタクトというもので、これは本人の思惑いかんではない、KGBが利用価値があると考えれば、それで脈があると考えればデベロッピングコンタクトになるということでございます。 そうしますと、どの程度の接触をKGBがエージェントと理解するかということになりますけれども、それは私先ほどお答えしましたとおり、接触を重ねていけば、KGB機関員は、午前中もお答えいたしましたように十項目に上る対日政治工作、アクティブメジャーズの目的を持ってアプローチしているわけですから、必ずわかってくると思います。それがおわかりにならずに数十回も接触を続けておるということはあり得ない。そういう接触を続けておる方は、グレードは客観的に見て上がってきていると思うのですね。デベロッピングからフレンドリーぐらい、あるいはトラステッドという段階に上がってきている。これは要するに、ソ連人との接触をお持ちの方は、その接触を重ねる過程において当然わかるのじゃないか、私は事情聴取をしている過程においてそういうことは実感として感じます。
○沖本委員 国会議員である場合、政府自体が国交のない国であったり、あるいはいわゆる共産圏に属すると言われるような国であったり、そういうところとの関係をより改善していって、アジアの平和であり、あるいは世界の平和であり、あるいは日本の国の将来のために国と国との間柄をより改善していきたいと思って、個人的な面からいろいろと接触をしたり話し合いをしたり、意見交換をしたりするということは絶えずあるわけですね。議員連盟という名のつくいろいろな外国と接触する友好組織をつくってたくさんあるわけですから、絶えずいろいろな国の人と接触することになるわけですからね。ですから、おっしゃるとおりのようなことであれば、一生懸命になっておるのがかえってマイナスであったという事態もなきにしもあらずということもあるわけですから、さりとて、そういうために私たちが警戒しながら及び腰でやっておったのでは、そういうことはできるわけがないわけですね。 そういうこともあるわけですから、いろいろレフチェンコと接触した中で、こういう点はやはり気をつけた方がいいんじゃないのか、あるいは向こうの情報活動にはこういうのがありますよというようなことは、できたら公表していただきたいのですね。それで、私たちはそういうものを参考にしながら、自分たちの外国との接触についてより十分な知識なり感覚なりを養っていきたいということにも当たるわけですから、そういう点、今後ずっと御検討の上発表していただくなり、あるいは公ということでなしに、国会の委員会なら委員会へ出てきてそういう御発言なりしていただくようなお考えはあるのでしょうか、どうでしょうか。
○山田(英)政府委員 このレフチェンコが担当しておりましたアクティブメジャーズ、積極政治工作というのは、大変新しいソ連の活動でございまして、従来の外交活動、伝統的外交活動と表裏一体で推進してくる。それで、ソ連の国に有利な状態、そういう他国の政策というものをつくり出すという非常に新しいパターンでございまして、そういう観点からしますと、いま御指摘のように、善意の接触というのが一体誤解されるのではないかという御懸念もあろうかと思いますが、KGB側がそうした目的で接触しているという一つの目的、善意に接触しておってもその善意を覆すような、悪意と言ってはなにですが、利用しようとする意図、これがあるということをやはり現段階では御留意いただく必要があろうかと思うのです。 接触過程では、私どもいろいろ把握している段階で申し上げますと、やはり必ず何らかの要求が出ます。こういう情報が欲しい、あなたはこういうことを知らないか、あるいはこういうことを書いてくれないかとか、そのうちに向こうが一定の目的を持っていろいろな知識を注入にかかるわけですね。そういう形が必ず接触の中身として出てまいりますので、気をつけてお会いになっておられれば、日本人側の善意にもかかわらずそれを覆すような利用する悪意というものはうかがえるのじゃないか、かように考えます。
○沖本委員 まだ議運の方で調査特別委員会等をつくるという話も出ておりますから、この問題は、この辺で終わりたいと思います。 あとは、法務省の入管の方に、インドシナ難民に関しての御質問を申し上げます。 この難民、流民と称される問題では、大臣大分お力添えをいただいて前向きに進展しつつあるわけで、この間も流民の一団の人たちがお世話になっている弁護士さんから連絡がありまして、流民問題について、いわゆる入れられている連中あるいは特別在留許可をいただいた人たちの問題で、いわゆる国相手に告訴していた問題はほとんど片づいたので取り下げるのでという礼状が来ておったわけですが、そういう点から大臣にもお礼を申し上げておいていただきたい、さらに御尽力いただきたいということがあったわけですが、そういう意味合いからこの問題についてお伺いするわけですが、インドシナ難民でありながら華僑であることから台湾でパスポートを入手して観光ビザで来日してそのまま在留しているいわゆる流民について、政府は、これは奥野法務大臣のときなんですが、五十六年五月二十二日、民社党の岡田先生の当委員会での質問で、一定の基準で特別在留許可を与える旨の方針を発表したことになるわけですが、政府は現在でもこの方針を維持してきておられるのかどうか、この点についていかがですか。
○田中(常)政府委員 お答えいたします。 一昨年五月二十二日、当委員会において流民に対する処遇方針というものを発表いたしました。その方針は現在もそのまま生きております。また法務大臣よりは、本件を処理するに当たってはくれぐれも人道的配慮をしろ、そういう御指示を受けております。
○沖本委員 台湾からのパスポートの所持者であっても台湾に生活基盤がなく、いわゆるインドシナ、ベトナム等からタイあるいは香港を経て台湾に行ってというような形で生活基盤がないので実質的にインドシナ難民と認められる者については、定住難民と同様の処遇をしてあげるべきだと考えるわけですけれども、その辺はいかがですか。
○田中(常)政府委員 先ほど申し上げました処遇方針でございますが、その要点は、これらの流民と言われる人たちがインドシナ三国の戦乱、政変を逃がれて第三国に脱出したという特異な経緯にかんがみまして、事案の実情に応じて人道的な配慮をする、そういう方針でございます。そしてこれらの人々については、特段の忌避事由がある場合とか、あるいは台湾に生活の基盤があるような場合は別といたしまして、この処遇方針に基づきまして在留を特別許可している次第でございます。 在留特別許可された人が要するに定住難民とどう違うかということでございますが、在留特別許可された際の在留資格というのは四―一―一六―三でございます。定住難民も四―一―一六―三でございます。 それから定住難民が外国へ行こうとしたとき、またこの特別在留許可を得た流民が外国へ行くことを希望した場合には同じように再入国許可が出るわけでございます。また、現在定住難民として入っている人たちは日本語を一生懸命に勉強し、また手に職を覚えようとしておりますが、この流民と言われる人で在留特別許可を得た人たちも同じように一生懸命になって日本の社会に適応してもらいたいということでございます。 それから、これはまじめに生活さえしていれば全然関係ないことでございますけれども、何か悪いことをした場合に要するに退去強制手続にのせられることがございます。そのときには大臣の裁決の特例、入国管理法第五十条というものがございますが、これは、まじめにさえ生活していればこの条項との関係はないわけでございますもので、一応定住難民、それから流民というふうに分けておりますが、実態上ほとんど差がないと考えております。 〔太田委員長代理退席、委員長着席〕
○沖本委員 この四―一―一六―三、これは入管法四条一項十六号及びそれに基づく法務省令三号、こういうことですね。
○田中(常)政府委員 おっしゃるとおりでございまして、四―一―一六―三のその三というのは大臣が特別に在留を認める者という項目でございます。
○沖本委員 いわゆるいまおっしゃっているような流民で強制退去手続を受けた者の数はどれぐらいあるのか。それから在留特別許可した者の数はどれぐらいあるのか。それから不許可となった者の数、それから不許可とした理由は何なのか、この辺をお知らせいただきたい。
○田中(常)政府委員 いわゆる流民と称せられる人たちは八十名おります。現在までのところ四十七名審査が終わりまして、そのうち四十五名在留特別許可になり、二名が不許可になりました。現在残り審査中でございますが、審査中の数は三十三名でございます。 それから、委員の第二の御質問の不許可とした理由でございますが、二名不許可にいたしましたが、その二名とも本邦に親族はおりませんし、また台湾には、一名につきましては妻、父、弟、妹等が、それから他の一名につきましては母、兄、弟、姉、妹等が在留しておりまして、同地で、台湾ででございますが、相互扶助による生活を営むことができると認められ、またいつでも台湾に帰れる台湾護照、台湾の旅券でございますが、台湾護照を有しているものでございます。
○沖本委員 難民認定の申請をした流民について昨年の十一月一たん難民とは認定しない、在留特別許可も与えない、そして収容した後、最近になって特別在留許可をした事例があるのかないのか。それで、処分が変わったとするのはどういうことになるのか、その辺を教えていただきたい。
○田中(常)政府委員 委員が御指摘になりましたような事例はございます。これらのケースにつきましては、流民の方々から再審査情願というものが出ておりまして、それに基づきまして、原処分後、いわゆる退去強制令書を発付した原処分後に事情の変更が生じました案件を中心に処遇方針の適用を見直した結果でございます。十四名のうち十三名については処遇方針を見直しまして、在留特別許可を与えたわけでございます。
○沖本委員 いまおっしゃったことは、結局流民のいままでの処遇自体は全部変えていったということに当たるわけですか。
○田中(常)政府委員 流民の処遇方針は、先ほど御答弁いたしましたように変わっておりません。問題は、その運用の弾力化を図ったと考えております。
○沖本委員 現在手続中の流民はいまどれぐらいいるのか。それから、そういうものを含めた流民と称される人たちが今後起こる場合はあるわけですから、そういうものの処遇の方針、いままでどおりのことが起こればいままでどおりということになるのでしょうけれども、これから、法務省の流民対策なり難民対策の方針は、将来に向かってどういう方針で臨まれるのか、その辺をお聞かせください。
○田中(常)政府委員 現在審査中の流民は三十三名でございます。私たちといたしましては、できる限り早く残りの三十三名について審査を終わらせたいと考えております。この三十三名を審査するに当たりましての処遇方針は、もちろん先ほど申し上げたとおりでございまして、運用の弾力化を図り、人道的配慮も考え、事案の性質においてケース・バイ・ケースで考えていきたいと思っております。 それから、いま委員がおっしゃいました、今後そういうものが出てきたらどうするかということでございますが、今後出てくる可能性はあり得ると思います。それで、自分は同じく流民であるという人が法務省に出頭申告してきた場合は、まずわれわれとしましては、その人の身分事項、それからいかなる経緯で、どういうことで台湾に行ったのか、台湾でどういう生活をしていたか、それからどういうことで日本へ入ってきて、日本では現在どういう生活をしているか等十分調べまして、その人がいわゆる流民というカテゴリーに入るということが確認された場合においては、現在の先ほどから御説明しています処遇方針にのっとってこれを審査するつもりでございます。 そして違反事案があるかないか、違反事実があれば収容令書を出さざるを得ませんが、そのような場合において、いわゆる確実な身元保証人がおり、またこちらが調査するときに必ず出頭するというような確約がある場合においては自宅調査ということをしたいと思います。これは現在三十三名の流民の取り調べをやっている形でございまして、これと同じ形をやりたいと考えております。
○沖本委員 最近もマスコミで難民問題が相当扱われてきておりますし、この間はアフリカの難民が、形の違う難民が三百万から出てきておるし、その中では非常な餓死状態が起こってきておるということで、これはアジア、インドシナ方面で起こる難民とはちょっと質、形が違うわけですけれども、いずれにしてもいわゆる戦火の中を逃れるなり何なりしてくるわけですから、あるいは世界の経済の動向でこれもいろいろ変わってくると思うのです。 それで、いまは難民収容所なりあるいは職業訓練なり、いろんな形で少しずつ日本のあり方が変わりつつあるわけですけれども、さりとて財政難なり行政改革なり、今度はいろんな壁があるわけですから、その中から、より世界の先進国としてあるいは文化国家として難民等に手を差し伸べることは重要なことだと思いますし、留学生の問題なり何なりとあわせて、法務省だけで考えられる問題ではないとは思いますけれども、やはり国自体が真剣に取り組んでもらうことが、さらに民間のボランティアも進めていくことにも当たるわけになりますから、とりあえず難民対策としての大臣の今後に対するお考えというようなものを、あるいはおれはこうやってみたいんだ、こういうようなお考えがあれば教えていただきたいのです。
○秦野国務大臣 難民問題は、目下のところはまだ難民条約で引き受けた枠までいっておりませんから、当分もっとふえても日本は引き受けられるわけでございます。そしてまた、それに相応の対応をしていくべく各省協力して、若干遅まきだったかもしれませんけれども、とにかくいまはできております。 流民の問題も、先ほど来御説明申し上げましたとおり、ピッチを上げてその対応をしていこうと、さらに現在も検討中でございます。
○沖本委員 とりあえず流民に対して図っていただいた大臣のお計らいに、当人たちも非常に喜んでおりますが、改めてお礼申し上げまして、質問を終わります。
○綿貫委員長 稲葉誠一君。
○稲葉委員 これから、最高裁の人事局長を中心といたしまして、第三十五期の新任拒否の問題を中心として質問させていただきたいというふうに思います。 ことしの任官希望者は六十三名おったわけですね。地裁六十二名、簡裁一名、男性が五十四名で女性が九名であったわけですけれども、四月六日に五名の採用を拒否した、こういうことになっておるのですが、その拒否した理由について人事局長は四月六日に司法記者クラブで記者会見をしまして、水準に達しなかった、結論としてでしょうけれども、こういうふうに説明しているというふうに言われておるのですが、事実関係は、これは人数等はこのとおり間違いないと思いますが、その水準に達しなかったというような理由を説明されたのでしょうか、あるいはもっと詳しく説明されたのでしょうか、どういう理由を説明されたのか、ちょっとその点から。
○大西最高裁判所長官代理者 今年の三十五期修習生のうちで裁判官の任官の希望者が六十三名でございまして、そのうち任官した者は五十八名、任官しなかった者は五名という数字自体、稲葉委員御指摘のとおりでございます。 それで、これは四月十二日であったと思いますが、十二日に任官したわけでございますが、その時点で、これは毎年やっておることでございますが、記者クラブでその数等を発表いたしまして、そのときにいろいろ質問がございましたが、任官をすることができなかった方々の理由については、従前と同様に、これは人事に関することで公表は差し控えたいというふうに申し上げておりまして、強いてということで言えば、これも従前から申し上げているとおりでございますが、いわば全人格的評価ということで、いろいろ裁判官会議でもそういうことで考えていただきました結果、五名の方は、その全人格的評価の観点から見て裁判官として採用するにはまだ至らないというふうに申し上げたわけでございます。 幾つかのやりとりがございまして、表現を一々細かく覚えておりませんが、そこら辺のやりとりの中でごく一部の新聞に水準というような言葉が出たということは私も承知しておりますが、その趣旨は前々から申し上げておりますような、そういう全人格的評価という観点から見て採用に達しなかったという趣旨のことを申し上げたわけでございます。
○稲葉委員 日時の点は、十二日が修習の終了日であったようですが、日にちは、六日に修習終了式があって、その夕方採否の発表が行われたように聞いておるのですが、それは日時の問題ですからいいわけですが、問題は、いまの全人格的評価ということの内容なんですよ。これがわからないんですよ。あなたにはおわかりでしょうか。僕にはわからないですな。何でしょうかね、全人格的評価というのは。直感ですか、直感でいくのですか。
○大西最高裁判所長官代理者 全人格的評価と申しますのは、字義どおり御解釈いただきたいと思います。
○稲葉委員 いろいろなものが集まってオールになるわけですね、全というのはオールという意味でしょうから、いきなりオールが出るわけじゃありませんから、いろいろなものが集まってオールになるわけですから、いろいろな要素があるわけですね。この要素は一体何と何ですか。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のとおり、いろいろな要素が集まっておるわけでございますから、そのうちの例を挙げて申しました場合にはそれだけかというふうな誤解を及ぼすこともあるという意味で申し上げていないわけでございますが、言葉で言い尽くせないほどたくさんあるというふうにお考えいただけばよろしいかと思います。
○稲葉委員 言葉に言い尽くせないほどたくさんあるというのはよくわからないですね。一日しゃべっておっても尽きないぐらいたくさんあるのですか、これは。そういう意味ですか。二、三分しゃべれば結論が出るくらいのあれではありませんか。 それでは、私の方からお聞きしましょうかね。実はどうもよくわからないんですがね。今度は青法協の会員は入っていません。そのとおりですね。あなたの方に言わせれば、青法協に入っているか入っていないか、そんなことは知らない、こう言われると思いますが、青法協の会員は入っていません。それはもちろん、事実ははっきりしています。 ただこういうのがあるんですね。「青法協と交流をしつつ将来の法律家像を考える会」とかこういうふうなものがあるんですね。実際にある。こういうのは御存じですか。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいま、まずその青法協に入っている人はいないというふうに仰せになりましたが、これも前々から申し上げておることでございますが、私どもとしては、青法協に入っているかどうかというふうなことをもちろん調べたこともございませんし、今年の中にも入っていないというふうにはとても断定することはできません。あるいは入っているかもしれない、入っていないかもしれない、そこら辺のところもわからないわけでございます。後でおっしゃいました、青法協と交流云々とかおっしゃいましたが、そういうふうなことも私どもの方にはわかっていないわけでございます。少なくともそういう調査をやっておりませんものですから、そういうことをやったかやっていないかというふうなことについてもわからないということでございます。
○稲葉委員 五名の方の中で、たとえば一人の人についてお聞きをしましょうか。これは水戸で修習した人のことについてお聞きするわけですが、これは東大を出た人ですね、二十五歳。ですから、私、この人には手紙をいただきましたが、まだ会っておりませんが、二年修習ですから恐らく在学中か、あるいはその卒業した年に受かったかですわね、二十五歳ですから。 そこで、一つは、検察庁に配属になったときに取り調べしますね。取り調べ修習というのですかね。そこで、相島六原則というのは一体何なんですか。恐らくこれは研修所長の相島さんのときの話じゃないかと思うんですがね。相島さんが所長だったのは鈴木さんのずっと前ですか、だれの後でしたかね。安倍恕さんの後かな、ちょっと私忘れましたが、研修所長を相島さんがやっておられたことがありましたね。いつごろだか私ちょっと忘れましたが、相島六原則を守るとか守らないとか、これはどういうことなんでしょうか。これは刑事関係なものだから、あるいは直接人事局長におわかりでなければ、あるいはおわかりになれば、どちらでもいいのですけれども……。
○大西最高裁判所長官代理者 相島さんが司法研修所の所長をしておられましたのは、たしか鈴木忠一所長の前であったかという記憶でございますが、私もその当時、検察の取り調べ修習に関しまして、いわゆる相島六原則というふうなものがあったということを伺っておりますが いまここでその相島六原則というものが具体的に何を指すか、それがいまどうなっているかということについては、私、詳細いまここで御説明するだけの資料等もございませんので、そのお答えはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
○稲葉委員 それで、前から取り調べの修習を拒否するということが議論になっていますね。憲法違反だとかなんとかいうことで議論になっていますね。昔は検事代理ということでちゃんと辞令が出ましたからね。あの当時は正式な公務員だったし、指導官がつきましたけれども、そういうあれでしたが、いまは違うわけですね。 そこで、これを見ますというと、今度は五名の方の中で、その相島六原則を守るよう検察庁で指導検事に申し入れをした人が大分いるのです。そうすると、どうもこれは何か検察庁側のお気に入らなかったのではないかというふうに思われるのですが、これは一つの問題であると思います。 一人の人はこういうふうに言われたのです。たとえば福島修習の人、東北大学を出た二十六歳の方ですけれども、これもやはり相島六原則を守るよう指導検事に申し入れをした。それで、取り調べ修習のときに――どうなんでしょうか、これは。人を調べるときには、自分がどういう人間だということをまず名のるのが普通ですよね。私なら――私が調べることはないけれども、たとえば自分が何検事なら何検事だとこう書いて置いてありますね。そこで、自分は修習生だというようなことを言っているのです。修習生だということを告知して、そして末尾に司法修習生何々と書いて調書をつくったのです。そうしたら、指導の検察官と対立したわけですね。そしてごたごたが起きたという人もいるのです。これは福島の修習。それで、相島六原則を守るように指導検事に申し入れをしたということもあるのです。 そして同時に、福島の場合は――担当の裁判官がつきますね。だから、それは専門にその人ばかり――ほかの事件もやっていますから、専属といったって一〇〇%専属ということはないのでしょうけれども、福島の場合は担当の裁判官から、青法協の会員だと思っていた、会員でないなら大丈夫だ、こういうふうに言われた。夏季に合同研修会か何かあったようですけれども、君は青法協会員ではないかと疑われているんだ、後期になったら研修所の教官に相談に行くように、こういうふうに言われた。だけれども、教官に相談に行かなかった、後期教官訪問もしなかった、こう言うのですね。この教官訪問というのはあるのですか。このときだな、手みやげ持っていけとかなんとかというのは。川嵜さんが事務局長のときの話かな。これは何なんですか。これを見ると、裁判官が言っているのですよ。青法協会員ではないかと疑われているんだ、後期になったら研修所の教官に相談に行くように、こう言っているのですね。何なんですか、後期教官訪問とかなんとかというのは。どういうことなんですか。
○大西最高裁判所長官代理者 裁判官への採否につきまして、いかなる理由で採ったか、いかなる理由で採らなかったかということにつきましては、これはもう前々からたびたび申し上げていることで恐縮でございますけれども、理由を公表するということにつながる限りにおいては、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思うわけでございますが、ただ、いま仰せになりました検察の取り調べ修習との関係で申しました場合に、個々の人がそんなことがあったかどうかということもわかりませんとともに、最後に仰せになりました教官宅訪問の問題、この問題を一般論として申し上げますならば、これは前期でも後期でも、修習生の間で教官宅を訪問しようというふうなことを申し合わせまして教官のところを訪問するということはあるように聞いておりまして、いまそこで話題になりましたような後期での訪問ということもあるいはそういうことを指すのではないか、これは推測でございますが、そういうことではなかろうかと思う次第でございます。
○稲葉委員 いまのは福島の修習の方なんですけれどもね。前の話の水戸の修習の方は、ことしで二十五歳ですからね、それで東大を出ているわけですから、これはもういま言ったように成績は優秀だというふうに考えるのが常識でしょうね。在学中か卒業したその年に受かっているわけですから。私に手紙をくれましたが、実にきれいな字です。しっかりした字を書いておられる。そこでいろいろ聞きますと――この方に聞いたのじゃないですよ。別の方にお聞きしますと、非常に成績優秀だったというのですよ。水戸では一番よくできたというのです。 私も修習生の担当をやったことがあるのです。そのときに最後に成績を書きますね。A、B、Cとかなんとか書くのがあります。私も書いたことはあります。大体常識的に書きますよ、これは。Aが特にできるものだとかなんとか分けたのがありますね。そのときに、もうすでに志望が決まっている人なんかいろいろいたわけで、私も弁護の指導をやったときに、その人はできる人だし、りっぱなんで、判事になりたいという人だから、できる人でしたからAのところでやりまして、いま裁判官になっていますが、そういうのがあるのですね。だから、同期の人たちに聞くと、同じところで修習した人に聞くと、これは非常にできた人だというのですね。 それから、研修所の中でもいろいろな組が分かれますね、何組とか何組とか。この人は十組なわけですね。十組でも非常にできたというのです。東大出て二十五で修習生終わるのですから、これはできた人ですよ。司法試験に受かったときは二十二か二十三ですから、できてるわけですからね。こういう人がどうして落ちたのかわからぬと言うのですよ。 結局、理由を聞いてみると、「青法協と交流をしつつ将来の法律家像を考える会」というのの活動をやって、何か入所記念パーティー実行委員会の中心メンバーであったというようなことですね。洋上パーティーというのがあって、それでも実行委員会の中心メンバーだった。それから、修習生の取り調べ拒否の問題、いまの検察庁の。あのときの検事正に相島六原則を守るということと、取り調べ修習拒否者を不利益扱いしないように同期の七名と連名で上申書を提出しているわけですね。それから、後期というのは、東京に来てからの話ですね。討論に積極的に参加して研修所に批判的な発言の口火を切ることもあった、こう言うのですが、その人の言うことですが、だから、どうもちょっとよくわからないのですね。 ただ学問だけだというならば、この人が落ちるわけはないですよ。できますよ。ところが、いま言ったような状況がやはり全人格的評価の中に入るわけですか。どうも、たくさんあるというから入るようですね、入るわけでしょう。入らないとは断言できないということですか、どうなんでしょうか。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいま仰せになりました個別の方についてのことはちょっと差し控えさせていただきたいと思いますが、裁判官に採用するについては全人格的評価というのをたびたび申し上げているわけでございまして、それはいろいろなものが入っているという意味で、まあいろいろなものが入っている。いま仰せになりましたようなものも入るとか入らないとかということを個別に関連します関係で申し上げることはできませんけれども、一般論として申し上げますと、いろいろなものが入るということでひとつ御理解をいただきたいと思います。
○稲葉委員 御理解してくれと言っても、何を理解していいのかちょっとよくわからないのですが、もう一人の人はやはり東大を出た人、千葉で修習した人。これは二十八ですから、卒業してからちょっとおくれたのでしょうね。学生時代にセツルメントの活動をしていたのですね。そういうようなこともあるのですね。 それで、後期に東京に来てから、検察の教官がその人の名前を言って、裁判所の方から色がついていると見られている、こういうふうに発言しているのですね。研修所の教官は裁判官と検察官と弁護士もいるわけですけれども、それらが集まっていろいろ話し合うことはありますね、これは事実でしょう。
○大西最高裁判所長官代理者 具体的にどういう話があるか私よくわかりませんが、一つのクラスで五科目の教官がおられまして、裁判教官お二人、検察教官が一人、それから弁護士たる教官がお二人、合計五人おられるわけでございますから、それはいろいろな話し合いはあるのではなかろうかと思います。
○稲葉委員 いまの人なんかは色がついていると見られておる。それから片方の人、福島の人は青法協会員ではないかと疑われている、だから相談に行くようにという、何を相談に行くのかちょっとわかりませんけれども、そういうようなことを現地の裁判官から言われておる。 それから水戸の人は、後期になってクラス討論に積極的に参加したりなんかしておったのですね。研修所に批判的な発言の口火を切ったりなんかしたことがあるらしいのですが、そうしたら教官が、いま判事補の数は余っている、最高裁としては五十五人ぐらいがいいと思っている、こういうふうに言ったというのです。いま判事補の数は余っているのかな。確かに判事補になっても未特例の場合になかなか仕事がないということは――ないと言っては悪いけれども、いろいろその点はわかっていますけれども、教官がそう言ったというのですね。いま判事補の数は余っている、最高裁としては五十五人ぐらいがいいと思っている、こういうふうにいわば突き放したようなあれをしたというのですね。これは非常にできる人ですよ。僕は手紙をもらいましたが、実にりっぱな手紙ですよ。ここにありますが、本当に字もうまいし、これは大したものですよ。 これらの人に言わせると、いままでは青法協に入っているということを最高裁は知りながら、入っているということを事実上理由にして拒否していたんだけれども、このごろはそうじゃなくて、何か実質的な活動をしているかということを緻密に調べ上げていて、そしていろいろやって採らないのですね。だから、現在の裁判制度を批判したり、それから研修所に批判的なことを言ったりなんかすると、もうだめなんですね。 そうすると、結局現体制に少しでも批判的なことを言うと、あいつはもう裁判官として適当でないということになってしまうのですか。どうなんですか、そういう点は。もちろん裁判官としては、たとえば特定の団体に所属している人は困るという場合もあるかもわかりませんけれども。どうも特定の人について言うのはいやだというのだけれども、全人格的評価と言ったってそれじゃわからぬですよ。全人格的評価というのは本当に都合のいいあれですから、内容はわからないでしょう。 そうすると、いずれにしても今度は四人で、一人が女性ですけれども、それらの人が、どうも任官拒否というものについては具体的に理解できない、それらを取り巻くというか、それらを応援する人がいっぱいおりまして、今月末にある行動を起こすことになっておるようです。だから、こういう点がだめならだめだということを、採用しないならばもう少しはっきりするのが筋じゃないでしょうか。再任拒否のときもそうですね。理由を明らかにしないですね。理由を明らかにすると、そのことによって理由があるかないかが判断されてくるということになるのかもわかりませんけれども、どうも私どもも納得ができないというふうに思います。どうも現在の最高裁の体制は、ただ事務的に、迅速に処理して成績をよくする人という、そういう裁判官がいいんだ、少しでも批判的な考え方を持っている裁判官というものはもうだめなんだということで採用しないというふうに考えざるを得ない、とられるように私は考えるのです。 それからもう一つの問題は、合格留保の問題がありますね。これはことしの場合も、ダブっている人がありますからね。民裁の筆記が四名、刑裁の筆記が二名、民弁の筆記が一名、民事の口述一名、この一名というのは刑事の筆記とダブっているようですが、合格留保になっておりますね。 そこで、問題はいろいろあると思うのですが、いままでは大体民事裁判と刑事裁判、ことに民事裁判の起案ですね、これだけが合格、不合格の大体基準みたいになっていたわけですね。これは率直に言うと一番むずかしいですよ。むずかしいのは僕もよくわかるんですが、ところがこれはだんだんと広がってきているわけです。民事弁護でも合格留保が出たとかいろいろ広がってきておるんですが、今度は口述でも出ておるんです。こういうふうなことを考えると、だんだん広がってきて修習生の間に非常に不安感が出ているということが一つあるわけです。 それからもう一つ、二回試験制度というのがありますが、これは問題なんです。私も受けたんですけれども、あのころと違うかもわかりませんから。起案というのをあれして、そこで最終準備書面なんかいろいろ書くわけでしょう。何か一回限りで七時間半のうちに膨大な記録を読んで結論を出すということになっているわけです。現実に裁判官がそういう実際の審理をして、そしていろいろなものを引っ張り出してゆっくり考えて――このときは二回試験は参考資料抜きでしょう。そして判決を書くのであって、それを実際の資料なしで七時間半缶詰にして、昼休みはあるのでしょうけれども、そして記録の中から、本人を調べもしないで、だから実際のあれなんかわからないですよ。 もちろん実質審理なんかないわけだから。その心証なんか全然わからないですよ。それでできたその二回試験によって合格、不合格が決まるということでしょう。まず第一そうですね。二回試験ばかりじゃないかもわかりませんが、それに非常にウエートが置かれているということは事実でしょう。このやり方はもっと変える必要があるのではないかというのが私の意見なんですが、これでは無理じゃないでしょうか。法律家というのはそういうものじゃないはずですよ。ゆっくり考えて、そしてちゃんとした、正確な、公正な判断をするというのが法律家なので、缶詰にしてそこの中で何も見ないで書けという問題ではない、私はこういうふうに思うのです。それが一つですね。 そうすると、二回試験制度の成績というのは裁判官の場合はほとんど一生ついて回ると言われますね。検事の場合はそうじゃないですけれどもね。そういうふうなことになってきて、そのときでも二回試験何番か何番かということを同期になってくると必ず話が出るわけでしょう。ただ現行のこの合格留保の問題、それから二回試験制度についてのやり方の改革、こういうふうなことについて最高裁としてはどういうふうにお考えなんですか。
○大西最高裁判所長官代理者 いま司法修習生の期間は二年あるわけでございますが、二年間の修習を経て終了することになるわけでございますが、改めて申し上げるまでもないことでございますが、裁判所法では二年以上の修習と、考試に合格をしたときに修習が終了するというふうに規定しておりまして、いま御指摘になりましたいわゆる二回試験というものはその考試に当たるわけでございます。 二回試験のやり方はいろいろあるわけでございましょうが、ただいま稲葉委員御指摘のように、稲葉委員のころもそうであったのであろうと思いますし、私のときもそうでございますが、そういう記録を与えられまして、それも時によって判決を起案をさせたというふうなときもございましょうし、いまのように判決を全部書かせないで争点をやるとか理由の一部を書くとか、そういういろいろなやり方をやっておるわけでございます。 いずれにいたしましても、確かに法律家、法曹といたしまして常にそういう短い限られた期間でのみ仕事をするというわけのものではございませんで、実際に審理をしたその心証に基づきましてゆっくり考えてやるという、確かにそういう面はあるわけでございますけれども、実際上二回試験という一つの試験、考試というものをやり直すためにはなかなかいろいろな隘路がございまして、やはりそれこそ長年の間いまのような二回試験というものをやってきておるわけでございます。 そういうことで、いまのやり方に全然工夫の余地がないというふうに申し上げるわけではございませんけれども、もう長年にわたってやってきましたやり方はそれはそれとしてやはり一つのやり方ではなかろうかというふうに思うわけでございます。そういうことで二回試験をやっておりますけれども、二回試験のみの成績、二回試験のみの結果によってどうこうというわけのものじゃございませんで、いま申し上げましたように、最近では二回試験もすぐ落第ということではなくて、留保ということにいたしまして、今回留保になりました者も、六月にはもう一度いわゆる追試験を行いまして、追試験でひどい成績でない限りは卒業するということで、最近の例を見ましても、ごく例外はともかくといたしまして、大部分の方は追試験によって合格をしていくということになっておるわけでございます。 重ねて申し上げますと、この二回試験の制度はいまのままが絶対でいいんだというふうに申し上げるわけではございませんけれども、やはりそれなりの長年の間考えられてきただけのことはあるのではないか。ただ、細かい点につきましてはなお工夫をこらさなければいかぬ面はあるかというふうに思いますが、そういう二回試験の制度そのものをいまと根本的に違うやり方をやるということはなかなかむずかしいのではなかろうかというふうに思うわけでございます。
○稲葉委員 時間が来たので終わりますけれども、私は全人格的評価というのがわからないのですよ。そんなこと簡単に人間ができるものではない、こう思うのです。具体的にやはり評価の中に、一つはやはり現在の最高裁体制というか、そういうようなものに批判的な人は困るということが含まれていて、それが色がついていると見られると困る。色がついているということは、何といいますか少しでも進歩的というか、そういうふうな者についてはこれはどうにも困るという考え方が非常に最高裁側に強くて、そしてとにかく能率の上がって、最高裁の言うことをよく聞いて、そして違憲立法なんか余りやらないようなそういうふうな裁判官で、どんどん判決を早く書くような人をふやしたい、こういう考え方が私はあるのではないか、こういうふうに思うのです。 だから、たとえばこの千葉の修習生の人なんか言われているのですね、後期に。あなたは裁判所の側から色がついていると見られていると言われているのです。どういうのか知らないけれども、色がついていると見られていると言われているのです。これは事実らしいですよ。だから、どうもそこら辺の最高裁のあり方、こういうふうなものについては私にはよく理解できません。これは、もっと何か不服申し立てか何かあった場合に困るから、全人格的ということを言っているのだとしか私にはとれないのですよ。いずれにいたしましても、時間が来ましたし、この問題についてはまた日を改めて、別の方法なり何なりという形で問題が起きてくるといいますか、あるいは質問するとかいろいろな方法をとらしていただきたい、こういうふうに考えます。
○綿貫委員長 安藤巖君。
○安藤委員 私は、前回にもここでいろいろ質疑が行われました愛知県の知多郡美浜町にあります戸塚ヨットスクール株式会社の問題についてお尋ねをしたいと思います。 まず、法務省にお尋ねをしたいのですが、これは昭和五十四年五月二十三日にわが党の正森議員が質問をいたしました昭和五十四年二月二十四日に死亡した見学祐次君の関係についてお尋ねします。 これは先回の法務省の方の答弁でもありましたが、そして法務省からいただいた「戸塚宏らに対する傷害等事件の受理処理状況等」と書いたものがありますが、これによると「昭和五十六年十二月二十八日不起訴」こうなっておりますが、この不起訴はどういうような理由から不起訴になったのか、まずお伺いします。
○前田(宏)政府委員 不起訴事件の理由でございますので、それ自体余り詳しく申し上げることもいかがかと思う点がありますけれども、差し支えない限度で要旨を申し上げますと、御指摘の事件におきまして、亡くなった見学君という人は死因が十二指腸潰瘍というふうに判断されておるわけでございます。 そこで、いわゆる体罰といいますか暴行問題があるわけでございますけれども、それとの因果関係がまずあるかどうかということが一つの問題になるわけでございますけれども、いま申しましたように十二指腸潰瘍による病死だという結果が出ておりますので、その問題のいわゆる因果関係の問題は認められないということでございますし、さらに進んで、このスクールに入校して訓練を受けていた見学君の体調等に十分注意をして、それなりに適切な治療を受けさせるべきではなかったか。その辺の判断について誤りがあったかどうかという過失の有無の問題があるわけでございますけれども、この見学君という子供さんにつきましては、入校後も若干体調の不調といいますかいろいろ訴えていた点はあるということでございますけれども、御指摘のように、二十四日に亡くなるほどのいわば病状であったかどうかということについて関係者が十分認識できるような状況があったとは認めがたいというようなことがございまして、そういうことから証明不十分ということに相なっておるわけでございます。
○安藤委員 正森議員が質問をしておりますから詳しいことまではお尋ねをしませんけれども、こういうふうに指摘をしているわけですね。 二月の二十四日に亡くなっているわけですが、「十八日、十九日には食欲がなくて腹痛を訴えている」。「それをにせの病気だと言って、殴るけるの暴行を加えて訓練を行った。そして二月十九日から二十三日までは中道町の事務所で宿泊していたが、その間にほとんど食事をせず、激しい腹痛を訴え、医師の診察を求めているのに、これを無視して合宿所へ連行した。死亡いたしました二十四日は、午前七時半ごろ重篤な状態にある祐次をさらに戸外へ連れ出して二時間正座させるということをやって、そして医者の診察を受けさせなかった」という事実が、これは親御さんあるいは同じような暴行を受けて現在生存している子供さんの方から訴えの事実として指摘されておって、正森議員が指摘しているのです。 暴行は直接の原因でなくて十二指腸に穴があいておったとしても、親元から離れた十三歳の子供が繰り返し苦痛を訴え、医師に診せてくれと言うのに診せないで一週間放置した、こういう事実ですね。こういう事実を指摘いたしましたら、加藤説明員が「ただいまお話がございましたように、私ども、たしか当初は傷害致死事件、業務上過失傷害というふうな形で調べておりましたけれども、その事情をいろいろ調べていきますと、御指摘のありましたような保護者遺棄あるいは致死というようなことも考えられるということで、そういう面まで含めまして、捜査を進めておるところでございます。」こういう答弁があるわけです。 いまおっしゃったような証拠不十分、因果関係がはっきりしないというふうにおっしゃってみえるわけですが、これはお医者さんから聞いた話もまぜて正森議員は質問しているのですが、十二指腸潰瘍というのは相当な激痛を伴うらしいですね。先ほど言いましたように、激しい腹痛を訴えた、医者に診せてくれと言った、それも診せなかったというようなことになってくると、直接しごきの暴行傷害というようなことが原因でないにしても、そういう症状を訴えておるのを医者にも診せないで放置しておった。保護者遺棄あるいは致死ということは考えてもいいのじゃなかったかという気がするのですが、その辺はどういうふうに検討されましたか。
○前田(宏)政府委員 先ほど申しましたように、因果関係がないということだけで不起訴というわけではございませんで、第二の問題と申しますか、本人がいろいろと体調の不調を訴えていた場合に、それに適切に対応したかどうかということが過失の問題になるわけでございまして、そのことについても十分検討したけれども、そういういわば重症である、亡くなるような状態になっているというふうには認識できなかったという結論になったということを申し上げたつもりでございます。 余り御本人の言い分と違うようなことを申し上げるのもいかがかと思いますけれども、確かにこの日の順に追いましていろいろな訴えがあったりしておるわけでございますけれども、反面非常に元気そうになったという状況もその間にはあるようでございます。それもいわゆるヨットスクールの中でございますと問題もあるわけでございますが、たとえば部外の食堂に行っていろいろと話をしたというときに、その食堂の店員が見ているというようなこともございますし、また特にヨットスクールから逃げ出したと申しますか、そういう形で近くの警察の派出所に行ったということもあるわけでございますが、その場合にも特段の訴えがなくて、吐き気がするというぐらいのことを警察官に述べた。警察官も外見から見てそれほどの異常があるとは認められなかった、また、その後も食事をとっていたというような事実もあるというようないろいろな過程を経ているようでございます。 確かに、安藤委員の仰せのように、十二指腸潰瘍の場合には激痛を伴うと言われておりますけれども、その点につきましても、お医者さんについていろいろと事情を聞いておるようでございます。そのお医者さんの判断でも、いわゆる十二指腸に穴があくと申しますか、その時期についていろいろな見方があったようでございまして、それが一定していない。それに関連して、その穴のあいた時期との関係で、激痛が出る場合もあるし、それがある時期たちますとやわらいで、外からはわかりにくい状態になる場合もあるというような御意見もあったように聞いておるわけでございまして、なかなかむずかしい点があるように感じておるわけでございます。
○安藤委員 いろいろ弁解をしておられるわけですが、先ほど言いましたように、十九日から二十三日、それから二十四日、死亡当日ですね、そのころの見学君に対するヨットスクールの方の接し方、扱い方、これをしさいにお調べになれば、先ほど言いましたような、少なくとも保護者遺棄というようなことになってくるのではないかというふうに思うのですが、これは特に強制捜査というようなことはなさらなかったようですが、それは何か特別理由がありますか。
○前田(宏)政府委員 弁解というわけではございませんで、入校時から亡くなられるまでの間にいろいろな面があったというようなこと、また、死亡の原因なり病状なりにつきましていろいろと専門の方からも意見を聞いて総合判断したのだということを申し上げた次第でございます。 強制捜査をするかどうかということになりますと、その事案に応じての判断でございまして、一概にも奮いがたいわけでございますが、この場合にはそういうような状況もありましたわけで、それに応じた取り扱いをしたというふうに考えている次第でございます。
○安藤委員 これは後でも話をしますけれども、この戸塚ヨットスクール株式会社の代表取締役の戸塚宏氏という人は、警察を完全になめ切っている。それから、警察をなめ切っているというのは、検察庁の方もなめられているのじゃないか、甘く見られているのじゃないかという事実がいろいろあるのですけれども、もう一つ、これは昭和五十五年十一月四日に吉川幸嗣という人が死亡した。警察の方から送検をされて、いま検察庁の方で捜査中というふうに伺っておりますが、これも出血性肺炎で死亡したというようなことで送検されているのですが、十二指腸潰瘍と同じように出血性肺炎、これは暴行傷害等々と何ら関係はないということになってしまうのではないかというふうに、地元の人たちを初め、遺族の人たちも非常に心配しているのですよ。 だから、この関係についてもきっちりと検察庁としても捜査をしていただきたいのですが、それはどうなのですか。これは強制捜査も含めてやるのかどうか。そんなことは余り言えないとおっしゃるかもしれませんが、きっちりとした態度をとっていただきたいという趣旨でお尋ねするのですが、どうですか。
○前田(宏)政府委員 前回の委員会でも警察の方からお答えがあったわけでございますし、その前提として、委員の方から、検察の調査なり捜査なりについて協力しない、非協力であるというようなことがあってはいかぬのではないかという御指摘があったということを私も聞いておりましたが、そういうようなことがあってはならないことは当然でございまして、できるだけの手段、方法を講じて真相を明らかにすることは当然であると考えております。
○安藤委員 しっかりやってもらいたいと思うのですが、まだほかにもお尋ねすることがありますから、この点はその辺にしておきましょう。 そこで、去年の十二月十二日に小川真人君がやはり死亡しているのです。これはまだ検察庁に送検をされておりませんので、送検をされた暁には、これもしっかり捜査をしてほしいということを要望して、警察庁の方にお尋ねしたいと思うのですが、この小川真人君の場合は、いま鋭意捜査中というふうに聞いておるのですが、この関係については戸塚ヨットスクール株式会社の強制捜査をおやりになったですね。これは強制捜査をおやりになって、相当いろいろな押収物もあったかと思うのですが、もし言えるものがあったら、どういうものがあったのか、成果があったかどうかということをお尋ねします。
○三上説明員 お話のありましたように、私どもとしては捜索を行っております。関係書類等を押収いたしておりますが、それに基づいた捜査を現在やっておるところでございます。
○安藤委員 直接警察の人から聞いたわけではなくて、警察の人から聞いた人から聞いたのだから、伝聞の伝聞になるわけですが、初めて強制捜査をやったということで、付近の住民の人たちは大いに期待を持ったということを聞きましたが、なぜかすでに、いろいろな証拠物件になるかどうか知りませんが、彼らがそう思った物なのでしょうね、きちっと整理をされてしまっておって、何ら効果が上がらなかったというような話も聞いているのですが、どうも警察が手ぬるいという感じがするのです。 先ほど前田刑事局長の話にもありましたし、私もちょっと触れましたが、私はこの近くへも行って住民の人たちからもずっと意見を聞いてきたのですが、付近の住民の人たちの話は、信用ができないのは警察と、これは非常に頭が痛いのですが、議員――警察と議員が一番信用できぬということを言っているのですよ、もちろん国会議員ではないと思うのですが。なぜそういうことを言うかというと、結局はこの戸塚宏氏に丸め込まれてしまっているのだという不満がここにあるわけなんですよ。 それから、これも聞いた話ですが、半田警察署の警官の人たちは、われわれは一生懸命やっているのだけれども、上の方が緩やかなので思うに任せないという話まで私は聞いている。ということは、そういうような話が付近住民の人たちに蔓延をしている、相当行き渡っているというふうに思わざるを得ないと思うんですよ。そういうようなことでは信頼関係は失われますよね。 だから、その辺のところをきっちりとやってもらいたいと思うのですが、その関係でもう一つ言いますと、これは愛知県議会でわが党の県会議員がこのヨットスクールの問題を取り上げて質問をしましたが、そうしましたら、この中で愛知県警察本部長、この人は「戸塚ヨットスクールは残念ながら我々の捜査に極めて非協力的であり」と、ぬけぬけと県議会でこんなことまで言うておるのです。 これは問題だと思うんですよ。非協力的だというようなことで、いろいろな事情聴取にも応じないということだろうと思うのですけれども、こういうようなときこそ強制捜査というようなことも必要じゃないかと思うのです。強制捜査をおやりになったのですが、それ以外の強制捜査ですね、そういうふうに思うのですが、そういうようなこともいまのところ全く考えておられませんか。
○三上説明員 小川真人君の事件につきましては、解剖結果によりまして外傷性ショック死ということで、傷害致死容疑事件ということで愛知県警察におきましても現在捜査本部を設けまして捜査をいたしておるということでございます。 私どもといたしましては、事案の解明のために必要な手段というものにつきましては十分検討いたしておるわけでありますが、今後とも私どもといたしましても必要な指導は行ってまいりたいと考えております。
○安藤委員 この小川真人君の事件について戸塚宏氏は、これはどこかの雑誌、サンデー毎日かどこかだと思うのですが、この事件は医者と警察がでっち上げた事件だというふうに公言をしているのを私も読んだのですが、そういう態度をとっているんですね。 それで、この小川真人君の事件について私は、常滑市民病院、これはそこで亡くなられたわけですね、このお医者さんから話を聞いてきたのですが、こういうようなことは知っておられるんですかね。小川君の場合は全身各所に傷があって、それは背中の真ん中、おしりの真ん中、足のふくらはぎ、後ろ側など、自分で転んだりぶつかったりではできない傷である。外から殴られたり引きずられたりしたときにしかできない不自然な傷が無数にあった。こういうような事実は把握しておりますか。
○三上説明員 当時、必要な検視並びに解剖を行っておりますので、その状況につきましては警察で十分把握をいたしております。
○安藤委員 ぬれたパンツをはいたままで連れてきたということをお医者さんは言うているんですね。それで、なぜぬれたパンツをはかせてきたのか、途中でシャワーを浴びせたという話があるのです、知っておられると思うのですが。シャワーをなぜパンツをはかせたままでかけたのかというふうに聞いたら、女の子がいるからだというふうに弁解した。なお、シャワーをかけた後なぜ乾いたパンツに取りかえなかったのかと問い詰めても弁解もできなかった。十二月で冬の寒い中、ぬれたまま二時間自家用車で運ぶのはどうしても異常だということを言うておられるのですが、そういうような状況も調査をして把握しておられますか。
○三上説明員 事件に関します内容でございますし、また関係者につきましてはいろいろな取り調べもいたしておりますが、その詳細につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○安藤委員 そういうふうにおっしゃるだろうと思ったのですが、こういう事実を警察の方でもきちっとつかんでほしいと思って私はいま申し上げておるわけなんです。ちゃんと覚えておいてくださいよ。 そして、これは平病院へ一時運んで、そこでお医者さんがいないから看護婦さんの応急手当てを受けて、そしてこの常滑市民病院に運んでこられたわけですね。ところが、この平病院というのは戸塚ヨットスクールと何か提携をしている病院らしいのです。平病院の院長さんというのが戸塚宏氏と名古屋大学のヨット部の先輩後輩の関係にあるらしいです。だから、そういうようなつながりがあるから利用をしているんだと思うのですが、こういうような状態になった子供を、これは病人ですよ、それをなぜ平病院という遠いところまで運んだのかという問題なんですよ。その位置関係も恐らくいろいろお調べになっていると思いますが、念のためにやはり言うておきたいと思うのです。 平病院というのは、この戸塚ヨットスクールから車で約一時間かかるところなんです。ところが、この平病院へ行くのではなくてほかの病院を探せば、戸塚ヨットスクールのすぐ目の前に佐本医院というのがあるのです。私も行って見てきました。道路を隔ててすぐ向かい側にあるのですよ。それからさらに車で二、三十分かかるところに市立半田病院というのがあるのです。そしてこの常滑市民病院までも、これは車で約四十分。そして、もっと近いところに知多厚生病院、辻病院、こういう病院がちゃんとあるのです。それを平病院へ行って、それからまた今度のこの常滑市民病院へ運んでいる。こういう扱い方、これもやはり大きな問題だと思うのですが、こういうような点も、これは地図で見ればすぐわかることなんですが、警察の方で把握しておられますか。
○三上説明員 現地において十分な把握をしているというふうに聞いております。
○安藤委員 だから、その辺もきちっと捜査をしていただきたいと思うのです。 そこで、もう死亡事故が三件あるのですが、そのほかにもいろいろ大きな問題が、あるいは隣近所を騒がす事件が起こっているのですね。 たとえば、これは昭和五十六年三月十一日の午前九時二十分ごろですか、駐在所へこのヨットスクールの生徒が助けてくれと言って駆け込んだという事実があるのです。この新聞記事によりますと、これはA君というふうに載っておりますが、「両足に打撲などのけがをしていた。頭はトラ刈りにされ後頭部にはA君の姓が刈り込んであった。」これは全く動物扱いですよ。「このため、ヨットスクールに引き取らせることは適当でないと判断、半田署で診察を受けさせたところ、三週間のけがとわかった。」こういうような事実があるのですね。 それから、これは昨年の三月十七日、このヨットスクールの生徒が、朝、ナイフを片手に脱走してきて、「駐在所に立てこもったうえ、通りがかりの高校生にナイフを突きつける」こういうような事件があった。 さらには、これは昨年の三月三十日の夜、そこのスクールの訓練生がけがをして運ばれてきたが、重体だというふうに知多厚生病院から半田署に届け出があった。これはB君というふうに名前が伏せてありますけれども、「左側頭部に十五センチ×十センチ大の皮下血腫があり、脳内出血などで重体。」こういうようなことまで起こっているわけですよ。 それから、ごく最近の話なのですが、ことしの五月十七日、これは中日新聞にも大きく出た事件です。このヨットスクールから脱走してきた少年が非常に衰弱しておった。これは市立半田病院で手当てをいま受けておるのですが、入院したときは体重四十七キロ、身長百七十一センチですから、相当やせていますね。百七十一センチの身長で体重四十七キロ。五月二十日現在四十九キロにふえている。なお、戸塚ヨットスクールに入所したときは五十四キロあった。胃に直径三センチ以上の穴があいており、治療に一カ月半から二カ月はかかる。病名は胃潰瘍である。こういうふうに二カ月もかかるといったら相当な重症だと思うのですが、こういうような事態がごく最近にも起こっておる。 だから、こういうふうになってきますと、先ほど私が言いましたような見学君の場合にしろ、吉川君の場合にしろ、やはりこれは先回この委員会で限界を超えているとかいうお話があった、愛情がないのじゃないかというお話があった。限界を超えているどころか、愛情なんかはもう一かけらもなくて、全くこれはしごき、暴力、暴力教室、教室という名前もおかしいのじゃないかと思うのですね。暴力集団じゃないかとさえ私は思われてくるのですよ。だから、こういうようなことを全部踏まえて、そしていま送検されている事件あるいは告訴されて捜査している事件もきちっと捜査をしてもらいたいという趣旨でいま申し上げておるのです。 これは前にも示されましたけれども、私も念のためにこれを示しておきたいのですが、五月二十二日のサンデー毎日です。大臣、よく見てくださいね。これはサンデー毎日の写真です。これは何かほっぺたをやっていますね。これはぶん殴っておるのですね。これはけがをしたところが出ておるのですが、これは後で出てくる。二十九日号ですが、今度は鉄パイプですよ。ぶん殴っていますよ。この人は先ほど出てきたのだ。これもひどい目に遭っているのですが、左耳に。こういうような実態で、そしてこれはサンデー毎日にこういうふうに載ったものですから、一時これを大ぜいの人が見えるところでやっておるのです。 これは先週私どもの方で撮ってきた写真なのです。さすがに鉄パイプや木の棒はなくなって、何かモップみたいな、柄のついている掃除するものみたいなものです。こういうものにかわったようです。ところが、やはりこういうのを持って、これはいま横を向いていますけれども、その次にはこういうかっこうになって、そしてこれはやられているのです。少しは穏やかになったふうですが、やはり行われている。サンデー毎日にこれだけ大々的に取り上げられて、これはいかぬということで一時やめておったようですが、またやっておる。これは相当きつく対処していただかぬとおさまらぬと思うのですね。 しかも「宝石」という雑誌があるのです。この雑誌に戸塚宏氏自身が自分の署名入りで書いているのですね。これはごく最近の三月号だと思うのですが、こういうことを書いているのです。 私のヨットスクールでは、現代の教育では、学校教育はもちろん親子間の家庭教育の場でもすでにタブーとなった「体罰」を行なっている。 ということを言って、 そして、学校からも、病院からも見放された登校拒否、非行、校内暴力、家庭内暴力といった戦後教育の歪みが生み出した問題児たちを「体罰」――鉄拳と海とヨットとで立ち直らせている。 こういう暴力肯定の発言をしているのです。しかも驚くことに、この終わりの方へ来たら、これは新聞記者が戸塚氏に話を聞いて一問一答をやっているところですが、真人君、先ほどの小川真人君ですね。 真人君の事故の直後、ある新聞記者が私にこんなことを言った。 「もう死者を出すような事故は起こりませんね」 私は無造作に答えた。 「起こりますよ」 「え……」 「当たりまえやないか。生きた人間を扱うんやから、間違って死ぬこともある。どうしても死人を出したくなかったら、やらないか、死んだ人間だけ扱うか、どちらかですよ。」 こういう言い方を公然と述べている。これは真人君の死亡事故があった直後の話ですよ。まだ死者を出すようなことは起こりますよと言っているのです。これはもうとうていこのままに見逃しておくわけにはまいらぬことだと思うのですね。 そして、これも先ほどから私が申し上げておりますように、三件の事件をきちっとやってもらいたいから言っておるのですよ。これはある高等学校の生活指導担当者の人たちの講演会にこの人たちが招かれておるのですが、これは後で文部省の方にお尋ねしようと思うのですが、その講演会の速記をしたのを起こしたのです。こういう言い方をしておるのです。 生存本能を刺激する。最終的に子供を殺す方法にもってゆく。そこで痛い、なぐってやる。痛いという感情は、感覚は、痛いというこの辺で何とかせんと死ぬぞーという警告となる。それで痛くしてやれば子供は死にたくないという。第一の本能である。同様に、殺すためのテクニック、体をなぐること、刀で斬るということ、鉄砲で打つという方法と酸素をたつ方法、呼吸ができんようにする、エネルギーをたつ方法、めしをたつ方法がある。この三つしか体罰はない。これを有効に使ってゆく。 こうぬけぬけと話している。しかもこういうことまで言っているのですよ。 子供にいちゃもんつけて竹刀でなぐる。はじめは痛いのでヒイヒイいいはじめる。かまわず殴りつづける。五分もなぐると目が下る。 こういうようなことをぬけぬけと言っていて、まだやる、まだ死者は出る、こういう言い方をしているのですね。だから、こうなったら子供たちはいつも死の隣り合わせですよ。だからこういうような実態も警察の方で把握しておられるのかどうか。
○三上説明員 現在捜査をいたしております事件とも関連をすることでありますので、その実情の把握については十分努めておるところでございます。
○安藤委員 この場で調子のいいことだけ言っていただいてはいけませんので、しっかりやっていただきたいというふうに思います。 先回、これは参議院で瀬戸山文部大臣が質問を受けて答弁をしているのですが、教育の方法として不適切であることは間違いない。後は刑事問題だとまでも言い切っているのですよ。その、後は刑事問題の方がしっかりしてもらわぬと、まだ死者が起こる、まだ第四、第五、第六の死者がやはり出てくるという、非常に危険きわまるところなんです、ここは。だから、どうしてもこれはきちっとやっていただきたいということを要望しておきます。 それから、この戸塚ヨットスクールのコーチ数人が暴走族にもスパルタをやったというのはもちろん把握しておられると思うのですがね、これは新聞にも大きく出ております。だから、これはこのスクールの中の児童生徒に対してばかりではなくて、外部の人たちにまでこういうことをやる。これは暴走族、決して私はいいとは言いませんよ。ところが、暴走族にもリンチを加えまして、この新聞にも出ておりますけれども、ぶん殴ってひどい目に遭わせて、頭の毛を刈り取って丸坊主にして、しかもはしごに縛りつけて、一人一人はしごに首をかけさせて、そして路上にさらしものにして「私達は半田の暴走族です。毎ばんお騒がせして申し訳ありません」という、ベニヤ板にこういうのを書いたのをそばにぶら下げてさらしものにした。こういうようなことまで結局やってのける集団だ、こういうふうに理解してもらわなくちゃいかぬと思うのですね。 それから、海上保安庁の方にお伺いをしたいのですが、海上保安庁の方にとっても、この戸塚ヨットスクールというところはいろいろな問題を投げかけているところのようですね。海上保安庁はこの戸塚ヨットスクールに対して、校長・代表取締役の戸塚宏ほか何名を検察庁に送検をしておられるということがありますね。その中身を少し話していただきたいと思うのです。
○吉田説明員 御説明いたします。 当庁で送検いたしました事件について概要を御説明いたします。 戸塚ヨットスクール所属のヨット・エルブ号、一号から五号までございますけれども、及び伴走いたします漁船型の晃勢丸という十二トンの船舶ですが、これが五十七年七月十四日午前九時ころ奄美大島において訓練を行うという目的で、先ほどの晃勢丸船長加藤、これはコーチでございますけれども、指揮のもとに和歌山県串本港を出港いたしました。 同日の午後八時三十分ごろ、同県の潮岬沖合いにおいて、約三十マイルほど沖合いでございますけれども、荒天のため、エルブ二号、これは全長が六メートル、四名乗り組んでおりましたけれども、このエルブ二号のマストが折損いたしまして航行不能に陥りました。 漂流中、翌十五日の午前八時ごろ、潮岬西方約三十海里付近において貨物船貴春丸、これは一万三千トンほどの貨物船でございますけれども、これに無事救助されました。その後、巡視船がこれを引き継ぎまして、田辺へ曳航いたしました。 その後、田辺海上保安部は、晃勢丸船長の加藤忠志を業務上過失往来妨害及び船舶安全法違反容疑で、また船主であります戸塚ヨットスクールの代表取締役・校長戸塚宏ほか二名を船舶安全法違反でそれぞれ捜査を行いました。 そして、同年の九月二十四日、和歌山地方検察庁田辺支部に書類送致いたしております。
○安藤委員 ということになりますと、これは一つの件でございますが、やはり海上保安庁から見ても、いまおっしゃったような事件を通して見ると、これはヨットですから海の上を走っておるわけですね。まあ、非常に優秀な、あるいは法をよく遵守するところだというような理解なのか、いまこれは一つの事件ですが、相当これは注意して見ておらなければならぬ、いわゆる注意人物とそうじゃない人物とよくあるという話がありますが、そういうふうに分けてみますと、どちらの方になるというふうに思っておられるのですか。
○吉田説明員 お答えいたします。 ヨットスクールそのものは非常に健全なスポーツでございまして、これが有効に利用される限りにおいては好ましいものと海上保安庁は思い、また育成をしております。しかし、本件のような利用のされ方につきましては海上保安庁として非常に苦々しく思っておりまして、要注意というふうに扱って、考えております。
○安藤委員 これは送検をされて和歌山地検の田辺支部で受理しておられるのですが、これは検察庁の方では鋭意お調べ中だと思うのですが、どうでしょう。
○前田(宏)政府委員 その件につきましては、いま御説明がありましたように、和歌山地検の田辺支部に送致をされまして、それを名古屋の検察庁の方に移送をしておるわけでございます。したがいまして、名古屋地検で一括して捜査中ということになっております。
○安藤委員 海上保安庁にもう一つお尋ねをしたいのですが、このヨットスクールが奄美大島の合宿訓練に参加して、それから帰ってくる途中で二人の、これは高校生でしたか、行方不明になったという事故がございましたね。この点について海上保安庁でもいろいろお調べになったと思うのですが、この事案の経過はどういうようなものでしたか。
○吉田説明員 二名ほど行方不明になりました事件の概要について御説明いたします。 大阪府の高校生、一年生でございますが、当時十五歳、及び愛知県の高校二年生、当時十六歳、この両名が愛知県の、先ほど来出ております戸塚ヨットスクールの行事であります奄美大島の合宿に同校の訓練生として参加いたしました。 これを終えて帰途についたわけでございますが、五十七年八月十三日正午過ぎ、仲間五十二名及びコーチ等十名とともに大島運輸の貨客船「あかつき」に乗船いたしました。 そこで両名は、同船が奄美大島名瀬港を出港して神戸へ向け航行中、十四日の午前六時四十五分ごろになりますけれども、朝食前の点検、これは各食事の前にヨットスクールが点検を行っておりますが、その朝食前の際に、事故者の所属する各班長、これは先輩格の者が班長をしております。その各班長がそれぞれ不在に気づきまして、コーチに報告の上、客室、トイレ等を捜索しましたが、発見されなかったものでございます。 同日午前八時ごろ、同船の事務長にこの旨を報告いたしまして、車両甲板、それから機関室等を捜索いたしました。それから十時十分ごろ加藤コーチが事務長とともに船長に報告し、船長の指示により、総勢二十五名ほどを動員いたしまして、客室、トイレ、その他の室内と、それからふだん立ち入りません立入禁止区画であります車両甲板、搭載車両、それから空コンテナの中まで調べまして、同日午後一時三十分ごろまで捜索いたしましたが、それでも発見できなかったため、事故の蓋然性が高いということで、同時刻ごろ同船から神戸海上保安部に乗客行方不明の発生を通報してまいったものでございます。 その後、午後二時三十分ごろ同船が神戸に入港いたしましたので、神戸海上保安部を初め同船の船員とかコーチ等、総勢四十八名によりまして約一時間三十分ほど、午後四時ごろまで下船客、それから車両等すべてチェックいたしまして、さらに船内の捜索をいたしましたが、両名の発見に至らなかったということでございます。 この両名につきましては、関係者を調査いたしました結果、十四日午前一時ごろまで客室で就寝中を同僚――同僚といいますか、仲間の訓練生が確認しておりますのが最後でございまして、同時刻、すなわち午前一時ごろから食事前の点検の午前六時四十五分ごろまでの間に、大体位置的に申しますと、宮崎県の都井岬の東北東約六十六キロメートルの地点から高知県の足摺岬の東北東約六十五キロメートルの地点に至る海域で行方不明になったものとわれわれは推定いたしまして、海上保安庁では巡視艦、航空機を動員いたしまして捜索いたしましたが、いまだに発見に至っておりません。 以上でございます。
○安藤委員 そういたしますと、神戸の海上保安部に通報があったのは十三時三十分ごろ、船長に報告したのが十時半ごろというお話だったですね。二人が行方不明だということがわかったのは朝食前の点呼といいますから午前六時四十五分ごろ。だから、船長に報告をすれば早速中の捜索をしてすぐ海上保安庁の方に連絡があるということだろうと思うのですが、いまの時間帯をお聞きしていますと、どうも少し悠長過ぎやせぬかという気がするのです。 午前一時ころにはいた、それから六時四十五分だと、その間相当時間がありますから、船も相当動いていると思うのです。やはりこういうものは早く通報して早く捜すにこしたことはないと思うのです。だから、そういう点で船長への通報がまずおくれたという点です。六時四十五分に発見して、船長への通報が十時三十分ですか。それから事務長への報告が八時ごろでしたかね。どうもこの間時間がたち過ぎているという感じがするのですが、この関係についてはどういうふうに調査をして、どういうふうに考えておられるのですか。
○吉田説明員 先ほど御説明いたしましたとおり、事務長への報告が午前八時ころ、船長に報告が十時三十分ころ、海上保安部に通報がありましたのが午後一時三十分ころということで、かなりの時間がたっております。 これにつきましては、関係者事情聴取いたしました結果、コーチから強く主張がございまして、その主張の内容といたしましては、絶対に船内にいるというような主張がございました結果、船長としてはまず万全を期して船内を捜索する。御承知のとおり、このくらいの船になりますと船内にいろいろ隠れる場所がありまして、相手が動く人間だということで、船長としてもそこら辺を当事者が主張するわけでございますので重点的に捜索した、その結果時間がかかったということでございますけれども、そういういろいろな事情があるにせよ、まず結果的に見て通報がかなり時間を要したのは先生の御指摘のとおりでございますので、こういう事故または事故のおそれのあることを知った場合には、関係者はできる限り速やかに当庁に報告するということが人命尊重の見地から非常に重要である、そういうふうに考えております。
○安藤委員 そうしますと、果たして見つかったかどうかはわかりませんけれども、そういう事故があった場合は、このようなことではなくてもっと早く連絡をしてほしい、その点についてはヨットスクール側にも手落ちがあったのではないか、こういうことになるわけですか。
○吉田説明員 先生の御指摘のとおりでございまして、通報がおくれたことは事実でございますので、それにつきましては民事責任、刑事責任、両方の責任が発生することが考えられます。そこら辺につきましては、当庁といたしまして目下調査中でございますので、まだ結論は申し上げられませんが、引き続き調査をしていきたい、こういうふうに考えております。
○安藤委員 海上保安庁の方、どうもありがとうございました。 文部省の方、見えておりますね。いままでいろいろ質疑をしてまいりました中で、この戸塚ヨットスクール株式会社なるものの実態を全部ではありませんが、相当部分、それからその本質というのを明らかにしてきたつもりですが、訓練と称して実際はもう暴力がまかり通っているというようなことが行われているということを文部省としてはキャッチしておられますか。
○戸村説明員 新聞とか雑誌等を通じまして、死亡事故とかあるいは行方不明者が出ているということは承知しております。ただ、このスクールの実態につきましては詳細を存じておりません。
○安藤委員 詳細は存じておりませんとおっしゃるのは、学校法人でなくて株式会社だからということのようですね、先回の御答弁なんかお伺いしておりましても。しかし、これは大問題だと思うのですね。先ほどもちょっと言いました瀬戸山文部大臣の答弁によりましても、とんでもない施設だ、全く好ましからざるというのかとんでもないというような表現だったと思うのですけれども、それで刑事問題だというようなことを言ってみえておるのです。これは文部大臣の逃げだと私は思うのですね。教育の施設としてはとんでもないところだと言っておきながら、学校法人ではないので文部省が直接管轄するところではない、後は刑事問題だ、こういう言い方は僕はいかぬと思うのですよ。 先ほども私が言いましたが、愛知県知多郡の知多地区高等学校生徒指導研究会というのがあって、その生徒指導担当者の人たちに集まってもらってというのか、公式の高等学校長の名前で案内状が出ておるのですが、そういうところへこの戸塚宏という人を呼んで講演をさしている。この問題については、先ほども言いましたが、愛知の県議会でわが党の県会議員が質問しました。これは昨年の十一月九日に行われているんです。愛知県の教育長もそういうことが行われたということは「そのように聞いている。」というふうに答弁しています。 だから、あったことは間違いないと思うのですが、いままで私が言うてきましたような暴力肯定、死の恐怖に子供を陥れなければ子供は言うことを聞かぬのだ、こういうやり方、こういうことを標榜して恬として恥じようとしないどころか変えようとしない、こういうやり方をしている人を生徒指導担当者の会議に呼んで講演をさせるというようなことは、文部省としてはどういうふうに思っておられますか。
○中島説明員 御指摘のとおり、昨年の十一月九日に知多地区の高等学校生徒指導研究会というのがございまして、これは任意の研究会でございまして、年に六回ほどいつも計画的に研究会を持っているようでありますが、その第四回におきましてこのヨットスクールを見学し、戸塚宏氏を講師に依頼をしたということは事実のようでございます。 私どもといたしましては、研究会においてどういう発言をしたかということについては、先ほど先生からちょっとお話を伺ったくらいでよく存じてはいませんが、この団体は任意の団体でございます。全国的にもこの種の団体はたくさんありまして、りっぱな活動をしているわけでございますが、そこがどういう講師を呼んでくるかというのは自主的な判断によっているわけでございますから、それに一々私どもが介入するということはいかがかと思います。 ただ、いまどう思うかというお話でございましたが、これに参加をしました先生方の後の感想ということでは、もう暴言が多くて驚いたというようなことを言っているということを愛知県の教育委員会等を通じて私ども聞いておりますので、恐らく情報としては十分に知らないままに参加をしたのではないか、呼んだのではないかというふうに推察をするわけでございます。
○安藤委員 知らないままというのは通らぬと思うのです。これは地元の人たちなんですよ。先ほど講演の内容は言いましたから二度と繰り返しませんが、教育の方法として不適切であることは間違いない、後は刑事問題だというのは逃げだと言うのですが、こういうふうに瀬戸山文部大臣は言うておるのですが、愛知県議会で教育長が答弁しておられるところによると、ちょっと前提があることはあるんですが、「人命の尊重、事故の防止が大切な基本問題であり、そのようなものへの配慮はぜひ必要である。その上のものとしては、一面有効であると評価している。」というふうに答弁しているんですよ、戸塚ヨットスクールのやり方を。 「人命の尊重、事故の防止が大切な基本問題であり、そのようなものへの配慮」、そのようなものというのは事故の防止、人命の尊重ということだと思うのですけれども、「配慮はぜひ必要である。」いままで私が申し上げた実態からすると、全然配慮してないんですよ。そして「その上のものとしては、一面有効であると評価している。」 これは一体何ですか。文部大臣の言っていることと愛知県の教育長の言っていること、違うじゃないか、正反対ですよ。これは文部省としてはどういうふうにお考えになりますか。
○中島説明員 私どもが愛知県の教育委員会の担当者を通じて知っておりますのは、教育長の答弁の要旨といいますのは、いま先生もおっしゃいましたように、人命の尊重、事故の防止は最も基本的な問題であり、これに対する配慮がぜひ必要であるというところにあると聞いておりまして、このことはこの五月十一日に参議院の決算委員会で瀬戸山文部大臣からお答えをいたしました生徒に対する教育やしつけに当たっては、愛情とそれに裏打ちされた厳しさが必要であるが、子供の生命の安全や身体の状況に対する配慮は不可欠であると考えているということと、私は同じ趣旨より出たものだというふうに考えているわけでございます。
○安藤委員 いや、そういうところはいいんですよ。ところが、要旨からしますと、戸塚のやっていることは一面評価できると言っているんですよね。全面的にとはさすがに言っておりませんけれども、一面評価できると言っている。これは間違いだと思うんですよ。 それから、時間がありませんからちょっとはしょって言いますが、このヨットスクールは美浜町字河和にあるんですね。ここに河和中学という中学があるんですね。この河和中学の先生が、先生の言うことを余りよく聞かない生徒に対してどういうことを言っていると思いますか。おまえ、言うことを聞かないとヨットスクールに入れるぞ、こういうふうに言うているというのですよ。そうすると、子供は、それは大変だというふうになるというのです。そして、ほかのだれでも見えるところで先ほど写真を示したようなことをやっているものですから、暴力肯定をまざまざと子供たちに見せている。これはとんでもないことだと住民の人たちは非常に心配しているのですよ。これはほっておくわけにいかぬと思うのです。 それから、後でお尋ねしますけれども、これは美浜町の町長さんが書面で回答してくれと言って、戸塚ヨットスクール株式会社に対してこういう言い方もしているのです。何項目かありますが、「訓練は非常に厳しく体罰を与えているが、今後の方針について示されたい。」と質問している。そうしたら、「脱走や不服生徒がふえ、住民に対する被害もそれに伴ってふえると思われます。今の方針を続けるのが一番よいと思われます。」こう言っています。 それから、愛知県の高等学校職員組合知多支部の支部長さんからもことしの一月二十四日にこのヨットスクールに対して「戸塚ヨットスクールの体罰による教育と訓練生の死亡事故に対する抗議文」というものを出しておるのです。これは教育上も大問題になっておりますよ。だから、これは学校法人じゃないから私は知らぬということでは済まされないと思うのです。 そこで、二つお尋ねしたいのですが、これは法務大臣にもお答えいただきたいと思うのです。もちろん、不法行為が行われている以上は刑罰もきっちりやっていただかなくちゃいかぬと思うのですが、文部省は、学校法人じゃないから知らぬ、文部大臣は、後は刑罰の問題だ、こう言っているのですが、これは逃げですね。この前たしか女性の課長さんがお見えになったときに、ほかの同僚議員の質問に対して、他の省庁からこの問題について話し合いがあれば検討しますというような御答弁がありました。だから、これはまず文部省が一遍やっていただく必要があるのじゃないか、これは私の管轄じゃないということではいかぬと思うのです。 法務大臣の方からも、暴力行為が行われているのですから、これを食いとめなければいかぬ。教育と称してそういうことが行われている。これはだめだ。あるいは児童福祉の関係からすれば厚生省もかむと思うのですが、そういうところで一遍対策を練っていただくことが必要じゃないかと思うのです。サンデー毎日にもこれだけ載って、新聞にもちょくちょく出て大きな社会問題になっているのです。これは責任逃れ、私は知らぬということでは済まされない。だから、そういうことをどうお考えになるかということ。 それから、義務教育の児童生徒がここに長期間行っているのです。この関係は文部省、知らぬとは言わせませんよ。相当長期に登校しないでここへ行っているという実態があるわけです。この関係は文部省はどういうふうにしていかれるつもりなのか、この二点お尋ねして私の質問を終わります。
○中島説明員 まず最初に、各省の連携をとってこのことに当たるようにというお話でございました。これは、そういう話がございましたら私どもももちろん検討いたしたいと考えております。 義務教育ということでございますが、御承知のように、義務教育の制度を完全に行いますために、学校教育法の施行令二十条と二十一条に次のような規定がございます。校長は、常に、学校に在学します学齢児童生徒の出席状況を明らかにするとともに、その学校に在学する学齢児童生徒の出席状況が、正当な事由なく良好でない場合には、速やかにその旨を市町村教育委員会に通知しなければならない。市町村教育委員会は、このような通知を受けましたときには、保護者が就学義務を怠っていると認められるときには、保護者に対して学齢児童生徒の出席を督促しなければならないということがございます。 文部省といたしましては、このような義務教育の完全就学が実現されますように、学校や教育委員会の関係機関がこれらの規定に従いまして適切に対応する、そして保護者に対し義務教育の重要性について周知徹底させることが大切だと思っております。愛知県の方でも、地元の教育委員会あるいは父兄、学校といったところを通じてこのような手はずを打っているというふうに報告を受けているところでございます。
○安藤委員 大臣、どうですか。文部省の方は、本当は文部省が率先してやってもらいたいのですが、他省庁からもそういう話があればということですが、暴力教室を食いとめるためにも、法務大臣としても何か一役買っていただきたいと思うのですが、いかがですか。
○秦野国務大臣 いま現地で捜査しているようだし、かなり評判にもなっているようだから、現地のわれわれの出先機関、警察だってそうでしょう、私はそれを信頼しておりますから……。
○安藤委員 不満ですが、終わります。
○綿貫委員長 これにて散会いたします。 午後六時二十八分散会