環境委員会 第2号
- 発言数
- 9 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1983/02/22
会議録
○國場委員長 これより会議を開きます。 環境保全の基本施策に関する件及び公害紛争の処理に関する件について調査を進めます。 この際、国務大臣から環境保全の基本施策に関する所信を聴取することといたします。梶木環境庁長官。
○梶木国務大臣 第九十八回国会における衆議院環境委員会の御審議に先立ち、環境行政に関する私の所信を申し述べ、委員各位の御理解と御協力を賜りたいと存じます。 環境は、人間が活動する場であると同時に、人間を初めとする生物の生存の基盤であります。 人間は、これまでの歴史において環境を利用し、変化させることにより経済活動を営み、高い生活水準を実現してきました。しかし、その過程で、ともすると、みずからが環境に依存していることを忘れ、環境を回復困難なところまで破壊したり、環境の持つ自律性や多様性を損なったりしたことも事実であります。 ことにわが国は、狭い国土できわめて高密度の経済社会活動が営まれてきており、高度経済成長の過程においては、著しい公害と自然破壊、公害による健康被害まで生じさせました。こうした経験から、私たちは、環境は有限であり、人間がその力を環境への配慮なく行使すれば、私たちの生存自体が危機に瀕することを学んだのであります。そして、緊急の対策を求める国民的要請のもとに、環境保全への本格的な努力が始められたのであります。 以来、国、地方公共団体、国民が一体となって対策に全力を挙げてきた結果、かつての著しい環境汚染に比べ、一部にはかなりの改善が見られます。しかしながら、交通公害、閉鎖性水域の水質汚濁のように深刻な問題となっている分野もなお残されており、かけがえのない自然を保護する上でも多くの課題を抱えております。 また、近年、生活雑排水問題、近隣騒音といった都市・生活型公害、石油代替エネルギーの開発導入に伴う環境問題に加え、快適な環境づくりを求める国民意識の高まり、環境問題の地球的規模への広がりなど、環境問題の様相は、多様化、複雑化しております。 こうした環境問題の現状に対処し、大きく変貌しつつある経済社会条件のもとで、将来にわたって環境を保全していくためには、環境汚染の未然防止を第一義として着実に環境の保全に努めるとともに、よりよい環境の創造に向け、長期的視点に立った環境政策を総合的に講じていく必要があります。 また、国内の環境問題にとどまらず、地球上の緑の減少を初めとする地球的規模の環境問題について、国際協力の観点に立って積極的に対応を進めていくことが必要となっております。 私は、こうした基本的考え方に立ち、長期的な環境政策の目標と、その達成方策についての環境保全長期構想の策定を推進するとともに、次のような事項を重点として、環境行政の推進に最大限の努力を払ってまいる所存であります。 第一に、環境影響評価法制度の確立であります。 かつての著しい環境汚染の経験にかんがみ、環境汚染の未然防止に万全を期することが環境行政の根幹であります。このため、政府は第九十四回国会に環境影響評価法案を提出し、現在同法案は本委員会の審査に付されております。同法の早期制定は、現下の環境行政の最重要課題であり、今国会において、御審議の上、一日も早く成立させていただくようお願いする次第であります。 第二に、各種公害対策の推進であります。 特に、自動車、航空機、新幹線鉄道等交通機関の運行に伴う交通公害は、近年各地で深刻な問題となっており、先般の中央公害対策審議会の二つの専門委員会報告で示されたように、環境保全の観点から、物流や交通施設周辺の土地利用のあり方にまで踏み込んだ対策の強化が要請されております。環境庁としては、関係行政機関との連携のもとに、従来からの発生源対策、周辺対策をさらに推進するとともに、審議会での審議を踏まえつつ、抜本的かつ総合的な交通公害対策の樹立、推進に努めてまいります。 次に、湖沼につきましては、河川、海域に比べ環境基準の達成状況が悪い上、富栄養化に伴う障害が著しくなっております。環境庁としては、先般、湖沼の窒素及び燐に係る環境基準を告示したところであり、さらに、窒素及び燐に係る排水基準の設定を急ぎたいと考えております。また、湖沼法案について、今国会への提出を目指してさらに政府部内調整に努めるなど、総合的な湖沼環境保全対策を推進してまいります。 これらに加え、窒素酸化物を初めとする大気汚染、水質汚濁等の公害防止対策を引き続き推進してまいります。 第三に、公害健康被害者の救済対策の充実であります。 公害健康被害者の迅速かつ公正な保護に万全を期することは、環境行政の重要な責務であります。このため、公害健康被害補償制度の円滑な実施に努めるとともに、これに必要な財源を引き続き確保するための所要の法改正をお願いしているところであります。また、水俣病認定業務の促進、国立水俣病研究センターの研究体制の充実等を図ってまいります。 第四に、自然環境の保全であります。 私たちは、美しく豊かなわが国の自然の中で生活し、固有の文化を築いてきました。自然環境は、経済活動のための資源となるだけでなく、物心両面において私たちに限りない恵みを与えてくれます。しかし、自然は一たび失われると、回復は著しく困難であり、自然を守り、子孫に伝えていくことは、私たちに課せられた重大な責務であります。 この責務を果たすべく、わが国の自然環境の現状を把握するための第三回の自然環境保全基礎調査の実施や、自然保護に国民の参加を求めるための新たな方策の検討等、自然環境の保全に関する調査研究を推進するとともに、自然公園の施設整備等による自然との触れ合いの増進、鳥獣保護対策の充実を図ってまいります。 最後に、環境行政の基盤の充実であります。 環境行政を的確に推進するには、その基盤となる科学的知見の整備、充実が不可欠であり、国立公害研究所のなお一層の充実強化に努めてまいります。 また、環境問題の解決のためには国民の理解と協力が不可欠であり、国民の声に十分耳を傾けるとともに、広報活動や環境教育にも力を入れてまいりたいと考えております。 以上、私の所信の一端を申し述べました。 私は、国民の健康と生活を守り、自然を保護し、よりよい環境をつくり出していくという環境行政の使命を果たすべく、全力を尽くす決意であります。本委員会及び委員各位におかれましては、環境行政の一層の進展のため、今後とも御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。(拍手)
○國場委員長 以上で大臣の所信表明は終わりました。 次に、昭和五十八年度環境庁関係予算の概要について説明を求めます。加藤官房長。
○加藤(陸)政府委員 昭和五十八年度の環境庁関係予算案について、その概要を御説明申し上げます。 昭和五十八年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、環境庁予算要求額は四百四十八億三千三百九十六万二千円であり、これを前年度の予算額四百四十九億八千六百二十四万五千円と比較すると、一億五千二百二十八万三千円の減額となっております。 次に、予算要求額の主要な項目について御説明申し上げます。 第一に、公害対策について申し上げます。 まず、環境保全企画調整等の経費については、長期的、総合的視点に立った環境政策の展望を検討するための経費、環境影響評価法制度の効果的実施を推進するための経費、瀬戸内海の環境保全対策を推進する経費及び公害防止計画策定を推進する経費のほか、地球的規模の環境問題に関する調査、環境の質の向上を目指す快適な環境づくりを検討するための経費など、これらを合わせて四億七千六十五万円を計上しているところであります。 次に、公害健康被害補償対策費については、公害健康被害補償制度の円滑な実施を図るほか、水俣病の認定業務を促進することとし、これらの経費として百七十九億三千六百六十五万円を計上しております。 公害防止事業団につきましては、事業団の事業運営に必要な事務費等の助成費として四十三億七千八百四万円を計上しております。 次に、大気汚染防止対策の経費については、新たに、大気汚染防止に関する各種対策の実績を把握、評価し、今後の総合的な大気環境保全対策のあり方の検討を進めるほか、従来に引き続き、石炭利用の増大に対応した大気保全対策を策定するための調査を行うとともに、窒素酸化物対策として、総量削減計画の達成を図るための調査検討及び健康影響の調査等を実施することとしております。 また、交通公害防止対策については、新たに、交通公害防止計画を策定するための検討、航空機騒音環境基準の達成期間等の到来を控え現況調査を実施するなど、総合的な交通公害対策の検討を行うこととしております。 さらに、自動車公害、騒音、振動及び悪臭についての対策を推進するため所要の調査を実施するなど、八億一千四十一万円を計上しております。 水質汚濁防止対策の経費については、湖沼保全対策として、引き続き、富栄養化に係る環境基準の類型指定を行うための調査について、地方公共団体に対する助成を行うほか、湖沼ごとの特性に応じた水質管理指針を策定するための調査検討などを実施するとともに、水質総量規制の実効を期するための調査等を行うこととしております。 さらに、瀬戸内海の富栄養化対策の強化、生活雑排水対策及び赤潮防止対策を推進するための調査を行うなど、九億九百二万円を計上しております。 このほか、地盤沈下及び廃棄物対策費として一億一千三百五十七万円、土壌汚染防止及び農薬対策費として一億九千八百六万円をそれぞれ計上しているところであります。 次に、公害監視等設備整備費については、地方公共団体の監視測定体制等の整備に必要な経費として十億八千八百二十四万円を計上しております。 公害防止等に関する調査研究の推進のための経費については、科学的な調査及び試験研究を促進するため、総額四十一億六千二百四十三万円を計上しております。 このうち、国立試験研究機関等の公害防止等試験研究費として三十億七千六百四十七万円を環境庁において一括計上し、各省庁の試験研究の総合的推進を図ることとしております。 また、光化学スモッグに関する調査研究費及び公害による健康被害、大気汚染、水質汚濁、自然環境保全等に関する調査研究費についても、酸性雨調査研究費など新たな経費を含め、九億一千六百四十九万円を計上し、必要な調査研究を進めることとしているほか、環境保全総合調査研究促進調整費として一億六千九百四十七万円を計上し、関係省庁が所管する各種の環境保全に関連する調査研究の総合的調整を図ることとしております。 さらに、科学的な行政を推進するため、国立公害研究所の機能を充実強化することとし、これに必要な経費として四十六億八千六百六十七万円、国立水俣病研究センターの運営等に必要な経費として四億一千七百五万円、公害研修所に必要な経費として九千九百五十七万円をそれぞれ計上しております。 第二に、自然環境の保全対策及び施設整備について申し上げます。 まず、自然環境の保全対策及び自然公園等の維持管理等経費については、自然環境保全施策を適切に推進するため、第三回自然環境保全基礎調査を初めとする調査研究を実施するとともに、国立公園等の保護管理の強化を図るために必要な経費として十九億四千五百七十五万円を計上しております。 また、鳥獣保護については、国設鳥獣保護区の管理強化を図るほか、特定鳥獣の保護事業及び渡り鳥の保護対策を推進するなど、一億八千二百八十万円を計上しているところであります。 さらに、自然公園等の整備を図るため必要な施設整備費として二十九億四千四百七万円を計上しております。 以上が環境庁予算案の概要でありますが、このほか、建設省所管予算案として、国立公害研究所の施設整備のため、四億七千五百三十九万円が計上されております。 以上、昭和五十八年度環境庁関係予算案につきまして御説明申し上げました。
○國場委員長 次に、各省庁の昭和五十八年度環境保全経費等の概要について、便宜、環境庁から説明を求めます。正田企画調整局長。
○正田政府委員 各省庁の昭和五十八年度環境保全経費等の概要について御説明いたします。 一、まず、歳出予算について御説明いたします。 昭和五十八年度における環境保全経費の総額は一兆一千七百六十九億円であり、前年度の当初予算に比べ百五十五億円、一・三%の減となっております。 このうち、一般会計分は一兆五百八億円であり、前年度の当初予算に比べ四十一億円の減、また、各特別会計分は一千二百六十一億円であって、前年度比百十三億円の減となっております。 これを事項別に見ますと、各種基準等の設定のために十億円、監視取り締まりの強化のために五十三億円、公害防止事業助成のために八十六億円、公害防止関係公共事業等の推進のために九千九百七十億円、公害防止調査研究の推進のために三百十一億円、公害被害者保護対策の充実のために百八十八億円、自然保護対策の推進のために千八十五億円、その他として六十五億円が計上されています。 主要な項目については、次のようになっています。 まず、環境保全経費全体の八五%を占める公害防止関係公共事業等のうちでは、建設省等に計上されている下水道事業費六千九百六十五億円、公共用飛行場周辺及び防衛施設周辺における騒音防止対策等の経費として運輸省の九百十六億円及び防衛施設庁の八百八十五億円、さらには、厚生省、運輸省等に計上されている廃棄物処理施設整備費七百六十億円などがあります。 また、公害被害者保護対策のうちでは、環境庁の公害健康被害補償対策経費百七十九億円、自然保護対策のうちでは、建設省等の公園事業費八百十五億円などがあります。 二、次に、公害防止関係財政投融資の概要について御説明いたします。 昭和五十八年度における公害防止関係財政投融資は、貸付規模等において、総額一兆二千四十一億円を予定しており、前年度の当初計画額に比べ九百五十九億円の減となっております。 機関別の主な内訳としては、公害防止事業団が事業規模で七百五十億円、日本開発銀行が貸付規模で八百四十億円を予定しているなどのほか、地方公共団体の下水道整備、廃棄物処理施設整備等の事業を推進するため、地方債計画において一兆三百九十八億円を予定しております。 このほか、中小企業金融公庫、環境衛生金融公庫、北海道東北開発公庫、中小企業事業団等において、産業公害防止対策等所要の融資を引き続き行うこととしております。 三、最後に、環境保全関係税制改正措置について御説明申し上げます。 公害防止用設備の特別償却制度について、適用期限の到来する対象設備の一部について見直しを行った上で、適用期限を延長するほか、電気自動車に係る物品税の課税標準の特例措置について、新たに、電気乗用兼用貨物自動車を適用対象に加えた上で適用期限を二年延長すること等、各般の措置をとることといたしております。 以上をもちまして、昭和五十八年度の各省庁の環境保全経費等の説明を終わります。
○國場委員長 次に、昭和五十七年における公害紛争の処理に関する事務の概要等について説明を求めます。青木公害等調整委員会委員長。
○青木政府委員 公害等調整委員会が昭和五十七年中に行いました公害紛争の処理に関する事務及び昭和五十八年度総理府所管一般会計公害等調整委員会予算案について御説明申し上げます。 まず、公害紛争の処理に関する事務の概要について申し上げます。 昭和五十七年中に当委員会に係属しました公害紛争事件は合計百六件で、その内訳は、水俣病に関する調停事件八十五件、大阪国際空港騒音被害に関する調停事件十八件、仙台湾における養殖海苔被害等調停事件一件、佐伯湾における養殖真珠被害責任裁定事件一件及び壱岐における養殖真珠被害原因裁定事件一件であります。 昭和五十七年中に処理が終結しましたものは、水俣病に関する調停事件四十件であります。これらは、水俣病と認定された患者四十五人に対するチッソ株式会社の損害賠償について、患者個々人ごとに具体的な支払い金額等を定める調停を成立させたものであります。 その他の係属中の事件につきましては、目下手続を進めているところであります。 次に、全国の公害苦情の実態について申し上げます。 当委員会の調査によれば、昭和五十六年度の総苦情件数は約六万五千件となっております。この苦情件数は、四十七年度の約八万八千件をピークに以後減少を続けてまいりましたが、五十六年度においては、前年度より〇・三%の増加となっております。 これを公害の種類別に見ますと、騒音に関する苦情が最も多く、三三%となっております。次いで、悪臭二〇%、大気汚染一四%、水質汚濁一三%の順であり、これらで全体の八〇%を占めております。 これらの苦情につきましては、都道府県、市町村がその処理に当たっておりますが、当委員会といたしましては、これらの地方公共団体に対し、公害苦情相談指導者研修会等の実施、苦情処理に必要な情報の提供、あるいは個別の事案についての指導、助言等を積極的に行っているところであります。 引き続き、昭和五十八年度の公害等調整委員会の予算案について、その概要を御説明いたします。 昭和五十八年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、公害等調整委員会の予算要求額は三億八千五百四十九万四千円であり、これを前年度の予算額三億八千八百六十六万六千円と比較いたしますと、三百十七万二千円の減額であり、その減少率は〇・八%であります。 次に、予算要求額の内訳について御説明申し上げます。 第一に、当委員会に係属する公害紛争事案の審理及び公害の因果関係の解明に必要な調査並びに一般事務処理等のための経費として五千九百八万一千円を計上しております。 第二に、中央及び地方における公害紛争の処理について、都道府県等と連絡協議するための経費として四百六十一万四千円を計上しております。 第三に、公害苦情の実態調査及び公害苦情の処理を担当する地方公共団体の職員に対し指導、研修、情報提供等を実施するための経費として二千百五十八万円を計上しております。 その他は、主として人件費であります。 以上が、昭和五十七年中に公害等調整委員会が行ってまいりました公害紛争の処理に関する事務及び昭和五十八年度の公害等調整委員会予算案の概要でございます。 よろしくお願い申し上げます。
○國場委員長 これにて本日の議事は終わりました。 次回は、公報をもってお知らせすることといたし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時二十七分散会