予算委員会 第2号
- 発言数
- 486 件
- 登壇者
- 40 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1982/12/21
会議録
○委員長(土屋義彦君) 予算委員会を開会いたします。 昭和五十七年度一般会計補正予算、昭和五十七年度特別会計補正予算の両案を一括して議題といたします。 ─────────────
○委員長(土屋義彦君) まず、理事会における協議決定事項について御報告をいたします。 審査を行うのは本二十一日から三日間とし、審査方式は総括審議方式とすること、質疑割り当て時間は総計五百十分とし、各会派への割り当ては、自由民主党・自由国民会議及び日本社会党それぞれ百五十八分、公明党・国民会議八十八分、日本共産党及び民社党・国民連合それぞれ三十五分、無党派クラブ及び新政クラブそれぞれ十八分とすること、質疑順位及び質疑者等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。 右、理事会決定のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(土屋義彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(土屋義彦君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 昭和五十七年度補正予算二案審査のため、本日の委員会に日本銀行総裁前川春雄君、国立極地研究所所長永田武君、日本道路公団総裁高橋国一郎君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(土屋義彦君) 御異議ないと認めます。 なお、出席時刻等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(土屋義彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(土屋義彦君) それでは、これより順次質疑を行います。赤桐操君。
○赤桐操君 まず、私は中曽根総理が組閣をされ、総理に就任されて初めて迎える国会でございまするし、総理の基本姿勢について幾つか伺ってまいりたいと思います。 まず、最初に憲法改正の問題でございますが、総理は衆参の本会議での憲法問題に関する質疑の中でこの内閣が憲法改正を政治日程にのせる考えはないと答弁をしておられます。このことをまずひとつ再確認をいたしたいと思います。同時に、憲法九十六条の改正手続、国会の発議、国民投票等にわたる問題でありますが、この改正手続についても政治日程にはのせないという趣旨であるかどうか、このことについてお伺いをしておきたいと思います。要するに憲法改正には手をつけないと、こういうことを断言されるかどうか、この点ひとつ伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先般来申し上げますように、本内閣におきまして、憲法改正問題を政治日程に上すこと、そういう考えはございません。 前にも申し上げましたように、私はいまの日本国憲法に対しては非常にこれを高く評価している一員でございます。戦前の日本と戦後の日本とを比べますと、非常に大きな変化がございます。戦後の日本におきましては、特に基本的人権の尊重、あるいは平和主義、あるいは国際協調主義、あるいは福祉国家の理想、こういう燦然たるものが現憲法に盛られておりまして、またその現憲法が出現しました結果、非常に明るい世の中が出てきたことも戦前と対比してみると事実でございます。そういう意味におきまして、いまの憲法の存在というものについては高く評価しておる一人でございます。しかし、前にも申し上げますように、いかなる制度、機構といえども、完全なるものはないのでございまして、よりよきものへ常に志向していくということはわれわれの責任でもございます。そういう意味におきまして、憲法におきましても改正手続の条項はございます。それはよりよきものへ志向する、そういう意味において用意されているのではないかと思っております。 そういう意味におきまして、一般論といたしまして憲法を常に勉強し検討を加える、見直していく、そういうことは、これは排除すべきものではないし、むしろ国民全体が認識を深めて、勉強し検討していくということは好ましいことであると考えておるわけでございます。
○赤桐操君 それでは次に、同じく本会議答弁の中で、憲法の民主主義、基本的人権、平和主義、国際協調主義等の基本理念については高く評価をしている、ただいまもそういう御答弁がございました。こう言われておるわけでありますが、これらにつきましては、総理は続いて、よりよきものを志向し、またはこれを見直し、勉強し、検討をすべきものだと考えていると、こういうくだりがいつもついておるんですね。これはこの範囲には、この基本的な理念というものについては入らないと考えるのがまず当然だと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) すべては国民の世論、国民のお考えによって決定していくべきものと思います。主権在民の国家でございますから、主権者である国民の意思にすべてはかかっているものと考えております。しかし、われわれは自由主義者でございまして、自由主義憲法を謳歌しているものでございます。自由主義憲法、民主主義憲法の基本にあるものは、いまの憲法に盛られている、先ほど申し上げましたような基本原則が中核でございまして、それらのとうとい価値は人類多年の努力の蓄積の結果生まれたものでありまして、保持すべきものである、また護持すべきものであると考えております。
○赤桐操君 総理の答弁を要約して考えまするというと、崇高な現行憲法の基本理念についてはこれは高く評価をしている、しかし、そう言いながら一方においては見直さなきゃならぬ点もあると、こういうわけでありますが、それでは伺いたいと思いますが、見直すべき対象項目、対象となるべき条章については、どれとどういうことになるのか、この点ひとつ伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私が特にこの際強調したいと思っておりますことは、自由主義国家、民主主義社会においてはタブーはないということなのであります。従来ややもすると、憲法を論じたり、あるいは憲法擁護論、あるいは憲法改正論、いろいろ議論がございますが、憲法改正論を言えば、それはさわっては悪いことにさわっているような印象を与えている誤解もありました。また擁護論を言えば保守反動であると、そういうふうにまた一方からささやかれている面もございました。しかし擁護論にせよ改正論にせよ、主権者としての国民が自由に論議してしかるべき世界なのでございまして、そういう意味におきましてタブーがない、自由主義社会においては聖域はない、言論の自由、人権の自由の中にそれは入るんだ、そういう意味のことを特に強調しておきたいと、そう思っておった次第なのでございます。
○赤桐操君 私がお伺いいたしておりまするのは、崇高な精神であるとして基本理念を評価をされている、一方においては見直し、勉強し、検討すべき条項もあるんだと、こう言われておるから、それでは見直すべき条項は何であるかということを伺っているわけでありまして、別にタブーであるとか、言って悪いとかということを申し上げているわけじゃないのであります。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は現在内閣総理大臣という地位にございまして、前にも申し上げましたように、非常に影響力の大きい地位でございます。また公務員といたしましても憲法を遵守する立場にある者でございます。そういう意味におきまして、内閣総理大臣という地位にある間は、そういう具体的項目について個人的意見の発表は差し控えさしていただきたいと思っておる次第です。
○赤桐操君 個人的な立場、総理としての立場、これは確かに違う面もございますが、少なくとも政治家としての信条に基づいて取り組まれる基本姿勢においては、一議員であろうと、総理になろうとも台閣に列しようとも私は変わりはないと、こう思うんですね。その政治信条に基づいてあなたは総理に就任されたと思う。そういうみずからの政治家としての信念と基本的な立場に立った御答弁としてはいささか矛盾しておりませんか。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり普通の議員であるときと、それから内閣の国務大臣あるいは総理大臣という地位になりますと、おのずと影響力も違いますし、またいろいろな権利義務関係も当然変わってくると思います。そういう意味におきまして、かかる地位にある間は個人的意見の表明は遠慮さしていただきたいと申し上げているわけです。
○赤桐操君 いずれにしても、総理の立場で本会議場でもいろいろと表明をされたはずでありますし、ただいまも総理の立場で御答弁いただいておるわけでありますから、別に個人的な立場で伺っているわけじゃなくて、総理の立場として二つの考え方を示しておられますから、尊重をするという高く評価している一面と、改正、勉強しなきゃならぬ、検討しなきゃならぬ一面とあると言っておられるわけですから、私はその意味で具体的な勉強の対象はどの点でございますかと、こう伺っているわけです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 重ねて恐縮でございますが、内閣総理大臣という地位にあります間は個人的意見は差し控えておいた方がいいと考えております。
○赤桐操君 それでは、先ほどから御答弁をいただいている内容が二つに分かれておりますが、どちらを訂正をされますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 別に訂正する必要はないと思うんです。いまの憲法に基づきまして言論の自由、基本的人権というものが保障されております日本の社会でございます。したがいましてタブーはない、そういう意味において自由に一般の国民の皆さんや議員の皆さんは御論議を願いたい、ここをさわってはならないと、そういうものはあってはならないという自由主義的信念に基づいて申し上げておるのであります。
○赤桐操君 どうも堂々回りした御答弁になっているようでありますが、それはやはり私は少し総理としては御答弁を逃げていらっしゃるんじゃないかと思うんですね。評価していることについては、それは私たちもわかっておる。それでは見直し、勉強する対象は何だと、こうあなたがおっしゃっておるからそう私は伺っておるわけなんであって、それについては総理として御発言されているわけですから、総理として御答弁いただくのが筋であろうと、こう思うんですが、重ねてひとつ伺いたいと思うんです。 総理としてあなたは先ほど来答弁をされている。総理として本会議場でも答弁されているわけです。所信表明をされているわけです。それは個人として表明されたわけじゃないはずです。だとするならば、二つの物の言い方をされておるならば、前段の方の、高く評価されておるその考え方については私はわかりました。後段の方の、勉強し、見直すべき対象についてはわからないから、あなたが言われるそれは具体的にどういうものであるか、こういうことを伺っておるわけでありますから、そのまま素直に御答弁いただければ私は納得するわけです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私はいまの日本国憲法に基づきまして、その基礎の上に立って御発言を申し上げておる次第なのでございます。いずれも一般論といたしまして、現在の憲法に対する基本的な姿勢というものを申し上げておるわけでございます。具体的なそういう問題につきましては、先ほど申し上げましたように影響するところが非常に多いし、また憲法遵守という義務もございます。そういう面も考えまして、具体的、個別的発言は差し控えさしていただきたいと思うのでございます。
○赤桐操君 そうすると、具体的な勉強すべき対象、見直すべき対象は言えないと、こうおっしゃるわけでありますが、結局は総理は憲法の基本理念を高く評価されているということを前段にはおっしゃっておるけれども、これは率直に申し上げまして大変私どもは疑問に思わざるを得ないんですね、そうなってくると。問題は、やはりあなたの御本心はしょせん基本理念を評価していないんですよ。それだけではなくて、実はこの改正こそがあなたの中心的な項目だと、こういうふうに私どもは感ぜざるを得ない、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私も戦前戦後に生きてまいりまして、あの大きな戦争を経験した人間でございます。そして、戦前の日本と戦後の日本については私なりの考え方を持っております。それはいま申し上げたとおりでございます。この大きな経験を踏まえまして、自分の信念から申し上げておるのでございまして、私がここで申し上げていることはありのままにお受け取り願いたいと思うのであります。
○赤桐操君 あなたの信念を先ほどから伺っておるんです。その信念をあなたが具体的にお示しにならないから堂々めぐりをしておる、こういうことなんです。 結局私は、どうもいまお話を伺っているというと、前段の評価しているということはこれはまさにごまかしだと言わざるを得ないと思うのであります。結局はこれを改正しようというのがあなたの本心ではないかと、こう考えるのでありますが、そうではないんですか、その点は。
○国務大臣(中曽根康弘君) 戦後の日本は戦前の日本と比べまして非常に明るい、いい日本になっていると思うのでございます。もちろんいろいろな欠陥もございます。それは極楽じゃないのでありますから、人間の社会でございますから、いろいろ欠陥もございましょう。また制度的に検討すべき問題もいろいろあると思いますけれども、戦前の日本と戦後の日本を比べますれば、一般論を申しまして、戦後の日本の方をはるかに日本人は謳歌しておると考えております。戦前の日本に戻そうという考えは私は持っておりません。
○赤桐操君 具体的な御答弁がいただけないのは残念でありますが、いずれにしても総理はやはり基本的なこの理念を高く評価する、そして具体的には平和主義、国際協調主義、これをきちっと評価をしておられるわけでありますから、そうだとするならば、憲法の前文でこれをうたっておるのでありまして、それを受けた憲法九条については見直しの対象にはしないということについて言明していただけますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は憲法の重要な基本原則というものはあくまで護持すべきであると申し上げておりまして、どの章どの部分ということを具体的に申し上げているのではございません。ただいま申し上げましたような重要な基本原則についてはあくまで護持すべきである、こう申し上げておるのでございます。
○赤桐操君 そうしますと、結論的に伺いたいと思いますが、憲法九十九条の憲法尊重、擁護の義務については果たすと、こういうように理解してよろしいわけですね。
○国務大臣(中曽根康弘君) そのとおりでございます。
○赤桐操君 次に、外交、防衛の問題について若干お伺いをいたしたいと思います。 総理は来年の一月半ばごろであろうかと思いますが、訪米をされることになっておられる。この主たる目的は何であるか、伺いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 来年一月に訪米を予定しておりますが、その際レーガン大統領との間に大局的な話し合いをして意見交換をしたいと思っております。 現在の世界情勢及び日米関係にはお互いに胸襟を開いて話し合うべき問題点が多々あると思います。世界的な問題といたしましては、ソ連のアンドロポフ政権が出現いたしまして、東西関係がどのように推移していくか、アメリカがいかにこれに対して対応していくか、あるいは中近等の和平の問題等につきましてもアメリカはどういう考えを持っておるか、またわが方はいかなる考えを持っておるか、あるいはLDC諸国の経済的困難についていかなる方策をとるべきであろうか、あるいは日米間の問題にいたしましても安全保障上の問題とか、あるいは貿易摩擦の問題でもいろいろございます。そのほかもっと大局的見地に立って、将来、永遠というぐらい長期にわたって日米関係、太平洋を挟む二つの国がどのような平和保持の責任を持ち、文化交流、文化融合の責任を持って相対処していくべきであるか、そういう基本的問題等についてもよく話し合ってみたいと考えておるのでございます。
○赤桐操君 アメリカへ行かれていろいろ日米関係の問題に入られると思いますが、米国とわが国の間には大変多くの解決すべき諸問題が現在ございます。 その中の一つといたしましてまず伺いたいと思いますることは、農産物の輸入自由化要求に対処する方法でございますが、米国は牛肉やオレンジなど農産物の完全自由化を段階的自由化で圧力をかけつつ、各種農産物等の自由化を迫ってきておるように思います。これに対してはどんな方法で対処をされるか。さらにまた、米国の要求を受け入れるということになりまするというと、日本農業の破壊の問題が出てまいります。すなわち自給率の問題、食糧安保の点等から考えまして大変大きな問題が発生すると思うのであります。さきの国会決議にもございますが、農産物の輸入自由化に対しましては一定の歯どめをかけていかなきゃならないと、こう思うんでありますが、この点については総理はどのようにお考えになっておりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 世界のどの国でも農業はみんな大事にしておると思っております。アメリカにおきましても、あるいはヨーロッパ諸国におきましても、農業というものは特別にいろいろ政府は考えて扱っておると思います。日本も同様であります。 私は、先般来の総裁予備選のときに公約をいたしましたその演説の中で、農は国のもとである、あるいは農業は生命産業であるということを言ってまいって、これは年来私の考えておる信条でございます。国のもとという意味は、戦前は軍国主義的な影響から徴兵制度の優秀な兵隊さんを出す根源地であると、そういうような意味で言われた面もございますが、そういう考えではなくして、日本社会を支えている重要な岩盤である、そういう意味で国のもとであるということを申し上げております。都会と農村はともに重要な意味を待っておりまして、その中でも農村は非常に重要な使命と役割りを果たしていると考えておるものでございます。 それから農業というのは、牛を養い稲を植えるにいたしましても、みんなこれは生命を育てるという仕事なのでありまして、ロボットが工場で機械をつくったり物をつくったりするというものとは性格が違うわけであります。特に日本の社会におきましては、これは家族労働が中心になって行われておる。その自営、自立の農業という点に、これだけのまた優秀な成績を上げている面もあるわけで、共産主義世界と違っているという面があるわけであります。そういう特色を持って二千年来やってきた日本の農業というものは、それぞれの個性もあり意味もあって存在しているわけでございます。そういう特殊性もよく踏まえまして、守るべきものは守る、しかし非合理なものは改革していく、そういう虚心坦懐な立場に立って農業を見守っていかなければならない、基本原則としては温かく見守っていかなければならない、これは私の信条でございます。そういう考えから、アメリカあるいは外国との農産物交渉にいたしましても、基本的にはそういう立場を堅持してまいりたいと思っております。 しかしながら、国際関係等も考えまして、相互主義というものも原則的には存在しておりますし、あるいは自由貿易の原則を日本はまた一番尊重しなければ生きていけない国でもございますから、それ相応の合理的措置というものも要請されております。その場合も、やはり日本の国内の社会的ないろんな問題との調和、あるいは食物に関する安全保障、そういう考えも長期にわたって視野を持って考えていかなければならぬところでございまして、そういう面もよく踏まえまして、聞くべきものは聞き主張すべきものは主張して合理的に解決していきたいと考えております。
○赤桐操君 一定の歯どめをかけてくると、こう理解してよろしいですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) もちろん守るべきものは守らなきゃなりませんし、また相手の言うことで合理的なことは、聞かなければならぬものは聞かなければならぬと思います。
○赤桐操君 どうもよくわからない点もございますが、さらにひとつ進めたいと思いますが、防衛費の問題でありますが、米国がわが国の財政状況が非常に厳しい状況にあるということを無視していろいろな角度から要求をしてきております。総理が就任直後に駐日米大使がやってまいりまして、大変いろいろな発言をされておりますね。まことに私どもは内政干渉にもわたるのではなかろうかと不快な念を禁じ得ませんでした。 そこで、私どもは主張したいと思いますることは、五十八年度予算が全体の伸び率等から見て、五十七年度よりもかなり厳しく圧縮されなければならない状況にある、したがって、防衛費等についても五十七年度以下の増額に抑えるのが至当ではなかろうかと、こう実は考えられるわけであります。またGNPの一%以内という歯どめもございますが、経済成長率が小さくなり、また財政悪化の現状が続いていくということであるならば、こういうものを無視して米国の要請に屈するということについて、もし総理がそういう態度をおとりになるとするならば、これはそれこそ防衛費捻出のために行革や経費の節減をしたと、こういうことで国民は恐らく大きな不満を爆発させることになるだろうと思うのであります。 先ほど来総理は日本国憲法については私は守るんだ、平和主義の憲法を守っていくんだと、こう言われておるわけでありまするから、そういう観点からいたしましても訪米時におけるこの防衛費の扱い、これについては仮にも増額するようなことのないように、そういう約束はまさかなさらないと思いますが、この点はいかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) まず第一に、マンスフィールド大使が私のところへ参りまして内政干渉がましいことを申したことはございません。あの方は長い議員歴を持ち、院内総務としても活躍された方で、そういうことはよく心得ていらっしゃる練達の外交官でございます。私に対してそのような内政干渉がましいことは一切ございませんでした。 それから防衛費に関する問題でございますけれども、実はこの問題が一番いま予算編成上苦慮しているところでございます。五十八年度予算は非常に厳しい予算にならざるを得ない状態にございます。この中にありまして、ほかの費目とのバランスというものをいかにとっていくかという点が一つございます。しかし、また一面においては安保条約のもとにおきまして日米間でいろいろな話し合いもございました。鈴木前総理がレーガン大統領と共同声明を出しましたけれども、これは国の約束でございまして、この約束は守っていかなければならないと考えております。その場合に、日本の財政状況とどういうふうに調和させてこれをやっていくかということがいま申し上げた苦悩の一つの焦点であると申し上げておるわけであります。 そういう点につきましては、いま五十八年度予算編成中でございまして、具体的にどういう結果になるかということはまだ見当はつきません。これから約十日間の努力でどういうふうな結末をつけるか、党の皆さんとも御相談をして結論を出すという状況でございます。
○赤桐操君 さらに私は、対米問題の中では防衛費の問題と並んで大きな問題になっておりまするのはシーレーン防衛の問題であろうと思います。これも広大な海上防衛が不可能であるだけではなくて、結局は米海軍の万一の場合における肩がわり、穴埋めの戦略ということは明らかでありまして、いわば集団自衛権的行動となってくると思うのであります。政府が認めておりまするとおり、集団自衛権というのはわが国では認められないのでありまして、シーレーン防衛構想こそは、中止を米国に要求すべきだと私は考えますが、この点、総理はいかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) シーレーンという考え方が一体何であるかという定義がまず余り明らかになっておらないようでございます。 いままで日本側が考えておりましたシーレーンというと、レーンという言葉に重点がありまして、一つの道、ルートというような印象を受けております。しかし、アメリカ側が考えているシーレーンというのは、海峡とか、あるいは港湾の近辺とか、そういうものも含めた輸送全体の道というふうに考えておるようでございます。その定義を明らかにすることがまず一つ大事ではないかと思いますが、わが国におきましては、いままで歴代内閣が御答弁申し上げましたのは周辺海域数百海里、それから、もし万一将来航路帯を設けるという場合には、南西、南東の二航路帯でその海上輸送路を守ろう、そういう考えを申し上げておるわけでございます。 いずれにせよ、専守防衛、憲法の枠内、個別的自衛権の範囲内、そういう限定のもとにいろいろな構想を考えていかなければならないと思っております。
○赤桐操君 さらに、私はもう一つ伺いたいと思うのでありますが、これは対米関係にもいろいろの関係してきた問題たくさんございますが、その前に基本的なものを一つ伺っておきたいと思うのでありますが、政府の行う行政権のいわゆる行使でありますが、この行政権というのは内閣に属するものであります。しかし、内閣の行政権の行使については必ずしもこれはすべて無原則なものではなくて、当然一定の制約がございます。その制約というのは憲法及び法律でありまして、さらに国権の最高機関たる国会の決議である、私はこう考えております。国会の決議というのは、国の唯一の立法機関たる国会が内閣の行政権行使に一定の制約を定めたものであろうと思います。したがって、もしこれらの制約が行政権行使に不都合なような問題が発生した場合においては、それぞれの手続を経て改めることが至当だろうと私は考えます。一方、国会決議というのは、形式的には法的な拘束力はないということになっておりますけれども、国民を代表する国会において全会一致で議決されたものであり、実質的には憲法と同次元に位置する国政の基本的な原則であろうと考えるものであります。 したがいまして、国会決議を行政府として改めていかなきゃならないような事態、改正してもらわなきゃならないような事態、こういう場合においては、当然行政府より議長に申し入れをいたし、国会の諸手続を経て、国会の判断によって改めることが正当であると私は思うんですが、この点総理はどのような見解をお持ちになっておられますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 行政府といたしましては、国権の最高機関である国会の諸決議については原則としてあくまで尊重していくべきものであり、政府はそのようにいままで答弁してきておると思います。その答弁は遵守していかなければならないと思っております。
○赤桐操君 そうすると、政府としては対外的な各種いろいろの折衝がございますが、こうした国会決議等できちっと決まっているものについては、この枠を超えることはない、こう判断してよろしいわけですね。
○国務大臣(中曽根康弘君) 原則として枠を超えることがないようにすべきである、これが基本的立場でございます。もしいろいろな変化が出てくるという場合には、これは国会は政党間の交渉によって事実上機能が形成されておるわけでございますから、それらの諸手続を行うことが好ましいことであると考えております。
○赤桐操君 そこで一つ伺いたいと思いますが、これは対米交渉の中で必ず出てくると思いますが、わが国が武器輸出禁止の三原則、これを持っていることについては、これはもう承知しておりながら、対米軍事技術の提供をアメリカはいま追ってきております。こういう中で政府自体といたしましても日米関係は安保条約による特別な関係だ、こういう位置づけの中で軍事技術の提供をしようとしておる、こういうふうに私は感じておるわけでありますが、米国の結果的には軍事力増強に資するためのわが国の先端技術の提供ということになってくるわけでありまして、これは平和国家の国是からしても認めがたい、いままでのわが国における国会決議等から考えていきましても、当然これは米国に対しまして断るべきものだ、こう考えますが、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 米国との防衛上の技術協力の問題につきましては、一面において武器輸出三原則あるいは政府の統一見解というものが現存してございますし、また一面におきましては日米安保条約による相互協力という問題もございますし、この間をどういうふうに調整するか、いま政府内部におきまして努力中でございまして、その努力の結果を見守りたいと考えておる次第であります。
○赤桐操君 どうも総理の御答弁をお伺いしておりまするというと、以上、外交、防衛上の問題一つ一つの中でも、残念ながら私ども納得できないものがたくさんございます。毎回、総理に就任されるとワシントンもうでをされるようでありますが、今回またそういうことで行かれるような感じがいたします。少なくとも日本の自主的な立場、その民族のプラスになるかマイナスになるかが、まさに私は外交の基本的な原則であると思いまするし、そういう観点に立って自主独立でひとつ日米関係の諸問題に対処されるように、これをひとつ希望しておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) いわゆるワシントンもうでというような気持ちは毛頭ございません。日本もこれだけ世界的にはアメリカに次ぐ経済大国にまでも成長いたしましたし、また世界的にもわれわれが考えている以上の大きな存在になっていると見られております。この両大国が太平洋を挟んでお互いに協力し合っておるという情勢から見まして、この両大国の関係というものは、世界の平和、あるいは世界の経済についても甚大な影響を及ぼす責任を持っておると思います。そういう意味におきまして、大局的に両方で隔意なき懇談をして、世界の平和や世界の発展のためにも貢献をしたいし、日米相互間の円滑な協調関係も確立し、信頼関係をさらに強めて行きたいと念願してやっておるのでございまして、そういう卑屈な態度で私は絶対参るものではございません。
○赤桐操君 次に、政治倫理、政治姿勢の問題で少しく伺いたいと思います。 中曽根総理は三木内閣の当時に幹事長でいらっしゃいました。そのとき、あのロッキード事件が発生をいたし、前代未聞の総理大臣の国際的な汚職事件に発展をいたしたわけでございます。この事件を境にいたしまして、世論は非常にいろいろと、日本社会におけるところの今日までの倫理観、あるいはまた価値判断の基準、こうしたものが変わってきているのではないだろうか、大変このことを心配していると思います。こうした物事の判断の基準、尺度というものが壊されてきている今日の中でいろいろな現象が発生しておりまするが、まさしく現職大臣でありながら、かかわるべきでない団体とかかわる、警察官、裁判官、さらには教育界等のいろいろの社会秩序の混乱が発生し、その遠因となっている、私はそういうように考えるのでございます。ロッキード事件以降におきまして、社会の頂点に立った政治のいわゆる倫理観、これがまさに失われてきている。そして、政治の場においては数と金の力がすべてを支配していく、こういう風潮がいま充満してきているように思うのであります。数と金さえあるならば物事というものは逆転もさせることが可能だと、こう言っても過言でないような感さえ受けるようないろいろの事件が発生しております。その中心的な中にありまするのがまさに田中角榮被告ではなかろうかと、私はこういうように考えるわけであります。 政界だけではなくて、日本社会の全体のこれはもう大きな問題でございまして、そうした社会秩序と価値判断の破壊、こうしたものがいま非常に危険な状態で進んでおるように思いますが、これに対する総理のお考えはいかがでございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 政治はやはり国民の信頼なくして成り立つものではないと思います。その国民の信頼の基本にあるものは、政治の道義性、道徳性あるいは政治家の倫理性ということにあると肝に銘じております。そういう意味におきまして、政治倫理の問題は民主政治を支えていく上についても非常に重要な問題であると心得ております。政治倫理といいますと、具体的には議員倫理ということになるのではないかと思います。政治を運用しておるのは具体的には議員でございますから、そういう意味において一人一人の議員がその使命に目覚めて、身辺を清潔にして、そして、いやしくも人から指弾されることがない模範的な出処進退、行動に出るということが基本ではなかろうかと、そう思っております。 いま、ロッキード事件について御質問がございましたが、自由民主党は前から申し上げておりますように公党でございまして、政策や人事はすべて機関中心で決められてまいっておるものでございます。人事、政策というものが一部に偏した影響力によって行われるものではございません。すべて役員会なり、あるいは総務会なり、あるいは政調会なり、あるいは議員総会と、そういう手続を経て民主的に決定されておるものでございまして、一部の偏した力が自民党を左右するような、それほど脆弱な自民党ではありません。どうぞその点は御信頼をお願いいたしたいと思います。
○赤桐操君 さらに私は進んで伺いたいと思うのでありますが、総理は記者会見でしばしば言っておられますが、その中で大変気になることがございます。たとえば、灰色高官と言われる人々のことについては、事件後も何回も当選をされるし、党の要職で働いておると、こういうことをしばしば弁解をしておられると思います。また、選挙に当選したら政治倫理を踏みにじった人々が許されるというそういう発想、これは私は大変大きな問題だと思うのであります。社会における人としての行動規範なり、あるいはまた原理である倫理観というものは、そういう形で解決できる問題ではないと思う。これはまさに次元の違う問題である。そしてまた、その物の言い方というものの発想は本末転倒した考え方ではないだろうか、こういうように私は考えるのでありますが、この点はいかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 議員は代表者でございまして、代表者というからにはやはり選挙民の評価というものが非常に重要な要素を占めると思います。それと同時に、代表者としての個人の信念、個人の考え方というものもまた非常に大事な問題ではないかと思っております。いろいろ御指摘をいただきましたけれども、それらすべてを総合的に勘案をいたしまして私は決断をした次第なのでございます。
○赤桐操君 それではひとつ具体的な問題でさらに入っていきたいと思いますが、総理はさらに組閣後の記者会見で、秦野法務大臣が昨今この席で、九十四回の通常国会だったと思いますが、ロッキード事件の嘱託尋問は違法なやり方であるということを厳しく法務省と最高裁の局長に対して追及をしたことがございました。これに対して、このことを組閣後の記者会見で尋ねられておりましたが、その際に、国会議員としての立場では当然と答え、法務大臣になったらその立場でまたやるでしょう、こう言っておられたようであります。しかし私は、政治家というものは、少なくともその立場が違ったならば、いままで言ってきた白いものを改めて黒と言うことはできないのじゃないだろうか、こういうふうに思うのですが、この点はいかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 国会議員は憲法及び国会法等に基づきまして質疑を行う権利を持って、国民代表として、国民のかわりに立っていろいろな諸問題について政府の方針をただす、解明していく、そういう職責を持っております。また、政府は答弁する義務をしょっていると思います。また、国政調査権というものを国会は持っておりまして、それに基づきまして国政全般あるいは個々の問題について調査する権能をお持ちでございます。したがいまして、秦野議員が参議院議員といたしまして、それらの立場から諸般の問題について調査をし、あるいは疑義をただすということは、国会議員として正当な職務の行使であり、ある意味においては義務を履行している行為であると考えております。 そのときの秦野議員が行った質問について、私は速記録をよく熟読して人事を行ったものでございますが、それは、それらの立場から見て、いろいろな疑義についてただしてみた、そういうことであったと思います。自分で総合的に文脈全部をたどってみて、断定しておるという、そういう調子よりも、文脈全体をたどってみると、果たしてそれでよろしいのでありますかどうですか、そういう疑義をただしている性格を持っていると私はとらえております。 もちろん、法務大臣という内閣に列する立場になりますれば、これは法の番人としての厳粛な、さらに大きな高次な仕事が出てくるわけでありますから、さらに大きな重要な職責のもとに行動されるのは当然でございまして、そういう行動をしていると確信しておる次第でございます。
○赤桐操君 秦野法務大臣にお伺いしたいと思うのでありますが、ここで、嘱託尋問というのは刑事訴訟法に規定のないことをやったのであって、憲法違反だということを言い切っておられるのじゃないですか、この席上で。そうすると、憲法違反によって田中裁判がなされておるわけでありますが、これを今度法務大臣になった場合において、放置することはできないのじゃないかというのが私たちの考えであります。これは田中被告に限らない問題でありまして、国民一般の場合におきましても、少なくとも憲法違反の手続で訴訟が進められておるということになっては大変な問題でありまして、これは国務大臣としてきちっとした整理をしなければならない問題であろうと思いますが、この点いかがですか。
○国務大臣(秦野章君) お答えをいたします。 基本的な私の考えは、いま総理から御説明をいただきましたけれども、嘱託尋問の問題それのみならず、私の、同じ理論でございますけれども、議員としての質問は、与党といえどもやはり政府のやっていることに疑義をただす、私は、あえてロッキード事件のみならず、いつの国会の場合にも、与党だからといって政府に対してそういう質問をほとんどしないことはなかったのでございます。 それと、いまお尋ねの問題ですけれども、手続論にしても実体論にしてもそうでございますけれども、法律学などというものはいろんな学説が成り立つわけでございます。これはもう社会科学ですから当然でございますけれども、質問をするときには質問をしやすいような学説の上に立って疑義をただすということでなければ質問が成り立たぬわけでございます。私は議員のときにはそういう考え方で質問を試みる、今度は法務大臣になりますと、法務大出は法務大臣という立場というものに立ってその責任を遂行するというための立場でございますから、当然議員のときとは違った職責の上に立っての考え方と、こういうことになるのは私は当然だと思っております。
○赤桐操君 重ねて伺いたいと思うのでありますが、一般の裁判で、手続法に反している場合はもちろんでありますが、手続法を完全に守っていない、瑕疵があるような場合において、少なくとも裁判を進めるということは許されないと思うんですね。この点法務大臣としてはどうお考えになりますか。
○国務大臣(秦野章君) ただいまのお尋ねでございますが、嘱託尋問の問題を重ねておっしゃいますけれども、これは議員のときには、たとえば先生の党の政審会長もおっしゃっていましたけれども、嘱託尋問は憲法違反の疑いが若干あるような感じも私もするけれどもということをおっしゃった。それほどに学説というものはいろいろ成り立つわけですよ。しかし、検察が起訴をするという段階になれば、いろんな議論があったとしても、この議論が原告、公益の代表としては正しいということで協議をし進行しているわけであります。その上の、私は検察行政の上に立って法務大臣という立場を与えられたわけです。そうなりますと、私は検察の言うならば味方でございます。それでなければ私の仕事が、職責が尽くせない。日本の検察は、御案内のとおり裁判権、あるいは裁判権の独立、あるいはそれに準じた立場を持っている検察というものは、これは国際的に見ても高い評価を受けているし、こういう体制の中で伝統もあり、いろいろ今日までそれ相応の蓄積といいますか、職責を果たしてきた。私は、その伝統と職責を果たしてきたそういう検察の上に責任を持たされた法務大臣でございますので、立場が違うということで御了解を願うほかないと思います。 なお、係属中の事件でございますから、裁判所が結局判断するというような問題について、私がここでこういう問題について一々とやかく答弁をすることは、裁判に影響することは私としてはその言動を慎まなきゃならぬというのが法務大臣の立場でございますから、そういう点につきましてもひとつ私の立場を御了解願うほかはない、こう思うのでございます。
○赤桐操君 嘱託尋問というのは刑事訴訟法の規定のないことをやったのであって、これは憲法違反なんだと、こういう考え方で質問し、追及をされてきたその議員が、法務大臣になったら、いやそれは憲法違反じゃないんだということがこれ成り立つんですか。少なくともあなたもそういうみずからの信念に基づいて政治家として主張をされてきたんでしょうから、それならばその信念に基づいて法務大臣になってもおやりになることが政治家としての信条からするならば当然であろうと私は考える。そうだとすれば、法務大臣を引き受けるか引き受けないかの問題さえ発生するんじゃないですか。自分の信念に反することをやらなきゃならぬということになるならば私は法務大臣は引き受けられないと言うのか、法務大臣になる以上は、総理、私はこのように信念を持ってやりますよということだけは当然あなたはその主張をされるべきじゃないですか。総理大臣とあなたの間は上司と下僚の関係ではないでしょう。あなたは法務大臣でしょう。法務大臣としての見識と、少なくとも国会議員というその基盤となっている政治家としての信念とに食い違いが許されるということは私はあり得ないと思うけれども、この点あなたはどうお考えになりますか。
○国務大臣(秦野章君) 法の解釈につきましては、先ほど来申し上げますように、いろいろな解釈、考え方があるわけでございます。一つの解釈をとった場合に、それが政治家の信念だと、あくまで貫かなければ、火にあぶられても変えないという人もあるでしょう。言うならば宗教的信念、哲学的信念のようにおっしゃる人もあるでしょうけれども、私は、社会科学というものはそんなものではない、いろんな解釈が成り立つ、そういうことであえて質問を試み、私は法務大臣になった途端に法務省の立場、検察の立場というものを考えて職責を尽くすというのが私の信念でございます。
○赤桐操君 この御答弁を聞いていて、国民の皆さん方は何とまあこれを受けとめられるであろうか、こう思って私はいま伺っておりました。そういう信念を持つ政治家もいるものかと、こうなるんですけれども、少なくとも私は国会議員の立場からの質問と法務大臣になってからの答弁が、憲法に違反するか違反しないかということを舌先三寸でもって変えていくような、そういうあなた論調というものは許されないと思うんですよ。国民の皆さん方も恐らくこれを聞いていて失望されていると思います。また同時に、これは中曽根総理の政治倫理の問題にも発展すると思うのでありまして、この点もひとつ私は大変遺憾に思うのでございます。ここにもまた政治というものは頭数、こういう私は認識が横たわっていると思うのであります。政治倫理の出発点で少なくとも総理と国民の間には大きな私は乖離がある、こういうように考えざるを得ないわけであります。 次に、行政改革の問題でお伺いをいたしたいと思います。 行政改革と財政再建の二つが現内閣の重要な施策であるということで、これをいま強力に推進しようとされております。この行政改革の問題でありますが、私の立場をはっきり申し上げますが、いま政府が進められようといたしておりまするこの行政改革については基本的に大きな欠陥が存在していると考えております。したがって、私はこの政府の考え方に対しましては賛成をする立場ではございません。反対の立場に立っておることを明らかにしておきたいと思います。 そこで、具体的にひとつ伺ってまいりたいと思いますが、各種答申がいままで出されてきております。この中で中央官庁の省庁の統廃合、あるいはまた省内の局の統廃合、特殊法人、認可法人、これらの改革、こういったものが目下作業中であると聞いておりますが、今日までの状況、これにつきまして行管庁長官から御説明を承りたいと思います。
○国務大臣(齋藤邦吉君) ただいまお尋ねの省庁の内部組織の問題、地方出先の問題等々につきましては、臨調のそれぞれの部会において目下慎重に審議が進められておる段階でございまして、恐らく近く部会から臨調の委員会の方に正式に報告書が出るというふうに予定をいたしておる次第でございます。
○赤桐操君 しかし、基本答申の中には一部具体的なものも出ておるでしょう。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 第三次答申の中には、省庁の統合問題に関連いたしまして、総合管理機能を強化するための省をつくったらどうであろうかといったふうな案が出ておりますが、その案についてもさらにまた臨調の委員会においてそれぞれ審議を進められることになっておりまして、三月の十五日、期限が切れるまでに最終答申が出るわけでございますので、その答申が出た段階において政府としての方針を決めようと、こういうことになっておるわけでございます。
○赤桐操君 そこで伺いたいと思うのでありますが、各種のいわゆる省庁の統廃合の問題でありますが、これらにつきましてはいずれも各省庁の意向を聴取しておるようであります。私の手元にも来ておりますが、大体これ、どんな動きでございますか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 臨調の各部会においてそれぞれ各省の意見も聞いておるということは承知いたしております。しかし、具体的にはまだ最終的に部会として決定はしてない、近く委員会の方に答申を出すようにしたいという手順だけは承知いたしておるわけでございまして、具体的な部局の問題については詳細は承知いたしておりません。
○赤桐操君 いや、そうでなくて、各省庁の回答ですよ。これは大体もう出ているんですね。その出たものを見ますと、これは大体統合については適切でない、非常に反対だと、こういう強いのが出てきておる。いずれにしても全体を通じまして積極的にやろうというような省庁はどこにもないというのが実態じゃないかと思うんですが、それでよろしいですか。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 各省の統合問題、すなわち総合管理庁をつくったらどうかといったふうな問題につきましては、最終答申で審議をいただきまして、それに対する対応を政府として決める、こういうことにいたしたいと考えております。 内部部局の問題につきましては、現在臨調において再編成をどうしたらいいだろうかということの各省の意見を聞きながら報告をまとめるということになるということを承知いたしております。
○赤桐操君 いずれも一番政府の足元になっておる各省庁の動きというのはみんな反対だということになっているわけであります。 さらに、具体的にもう一つ伺いたいと思うのでありますが、昨年の臨調答申の中で四、五点について伺いたいと思いますが、まず厚生大臣にお伺いいたしますが、国民健康保険の給付の一部を都道府県に負担させるという問題が一つありました。それから現行医療費の支払いの方式の問題についての検討の問題がありました。これらにつきましてはいずれも残されてきておるわけでありますが、どのような状態になっておるか、伺いたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) お答え申し上げます。 国民健康保険その他の費用を地方に任せるという問題の御指摘がございましたが、この問題につきましては関係省庁といま引き続き検討をしているところでございます。まだ結論が出ておりませんが、できるだけ早いうちに結論を出さなければならないものだというふうに考えておるところでございます。 医療費の問題につきましては、厚生省内に、医療を総合的に見直していかなければならない、医療の問題につきましてはいろんな問題がございますから、そういった総合的な対策を進めていこうということで推進本部をつくりまして、その中で鋭意進めているところでございます。
○赤桐操君 これはあなたは大臣としてイエスかノーか、その点ひとつ伺いたいと思うんですが。
○国務大臣(林義郎君) 国民健康保険その他の問題につきましてのいろんな地方の負担の問題というのはこれから進めていかなければなりませんが、各省庁との話し合いを十分これから進めていくということが前提でございますから、いま鋭意努力をしているところでございます。
○赤桐操君 ですから反対なんですか、賛成なんですか。
○国務大臣(林義郎君) 臨調の答申が出ておりますから、そういった方向で検討をする、こういうことでございます。
○赤桐操君 それでは、三つ目の問題として残されている問題の中では、教科書の無償制度の廃止の問題が入っておりますね。それから同じく文教関係では、育英関係の貸付金に対する、いままで利子がなかったけれども、これを利子をつけよう、こういう動きが出ておりますね。あるいは教職員の就職者に対しての返還の免除制度、こうしたものに対する撤廃、こういう文教関係の二つの問題がまだ残されておりますが、これについては文部大臣や大蔵大臣はどうお考えになっておりますか。
○国務大臣(瀬戸山三男君) お答えいたします。 臨調答申については、当内閣としては最大限の尊重をするという方針で向かっております。 文部省関係としても原則はそうでございますが、ただ、その制度の基本理念に関する問題については慎重に検討をしなければならないというのが総合的な立場でございまして、いまお話しの教科書無償制度というのは、軽々にこれを全廃するということには現在賛成しかねるという立場でございます。 それともう一つ何でしたかな。
○赤桐操君 育英関係、育英事業。
○国務大臣(瀬戸山三男君) これはいろいろ問題がありますから、ただ利子制度にするのが適当であるかどうかということを現在検討中でございますので、まだここで確たる御返事をする段階ではございません。
○赤桐操君 これは建設関係に入ると思いますが、自動車の重量税についても検討するということになっておりますが、建設大臣、大蔵大臣の御見解をひとつ伺いたいと思います。
○国務大臣(内海英男君) 自動車重量税は、第六次道路整備五カ年計画の財源措置として、損傷者負担等の理念のもとに創設されたものでございまして、運用上、税収の国分の八割相当額を道路整備費に充てるものとされております。その後、同様の趣旨により二回にわたり税率を引き上げてきておる次第でございます。このような税の経緯を踏まえ、第九次道路整備五カ年計画においては、自動車重量税を含む道路財源諸税の暫定税率を延長し、計画実施に必要な財源の相当部分をこれら道路財源諸税により確保したいと考えております。
○赤桐操君 大蔵大臣、どうですか。
○国務大臣(竹下登君) 内容につきましては、赤桐さんも御存じのとおりでありますし、建設大臣からもお答えがありましたが、私ども財政当局の立場から申し上げますならば、まさに今後予算編成の段階においてこれは決めていこうと、こういう考え方でございます。
○赤桐操君 いずれも明らかにされておりませんが、ともかくいまお尋ねしたそれぞれの各項目については、臨調答申に基づいて、基本姿勢の中で解決をしていこうというようにそれぞれ大変意欲を持っておられるようであります。 私は、やはりこれらの一連の関連を見まするというと、強く抵抗されるところについては、これはなかなかできない、そして弱いところに対しては、これはひとつ強引に実現をしていく、こういう姿勢が政府自体の中に見られるように私は思うのであります。要するにこれは、いまのそれぞれの御答弁の中ではあいまいな点がなされておりまするけれども、全体を貫く一つの流れとしては、強い抵抗のところに対してはできない、弱い面に対してはこれはもう強引に進めていく、こういう形が大変危惧されるわけであります。弱い者いじめの行政改革、こういう形になるのではなかろうかと私はどうも感ずるのでありますが、この点は総理大臣いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 行政改革は、簡素にして効率的な政府をつくろう、そして新しい近づきつつある時代に対応し得る新しい政府をつくる基礎づくりをやろう、そういうことが基本的な考え方でございます。したがいまして、相手が強いから弱いからといって、それによって手心を加えたりなさるべきものではない、あくまでもそういう基本目的に向かって公正な処理を行うべきものであると考えております。
○赤桐操君 いろいろと御答弁をいただいてまいりましたが、行革の問題については、中身やまた本当の厳しさというものについて具体的に国民の皆さん方に理解をされる、そういう一つ一つの理解の上に立って行われているという状態ではないと私は考える。いままでの空気を考えまするというと、行革さえやるならば財政再建もたちどころに、行政全般も非常に大きく変わっていくのだと、まるで魔法使いのつえでいろいろ魔法の術を施すというような観さえあったと私は思うのであります。こういった行革熱をあおる、そういう中だけでこれからの行革が推進されるということがあってはならないと私は思うのであります。少なくともこの点については総理大臣、前行政管理庁長官としてやってこられた総理のこれからのひとつお考えを明確にもう一遍再確認しておきたいと思うのです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 行政改革は、一言で申し上ぐれば、別の面から申しますと、高度成長以来水ぶくれにふくれ上がった政府機構、政府関係機関を縮減して、そして簡素効率的なものに組みかえていくという考え方、あるいは明治以来日本はややもすれば統制あるいは中央集権、そういうところから縦割り行政、縄張り争い、そういうような官庁の弊害が目について出てきておりますが、明治以来の、国が先に主導権を握って中央集権で縄張り争いをしながら物を進めていくという悪い風潮を是正して、そして地方を重んじた、地方自治の本旨に基づいた方向に地方制度、中央地方の関係も調整し直そう等々の考えに基づいて、できるだけ規制、統制を解除しつつ民間の活力を回復して、地方の活力も回復して新しい社会をよみがえらせようという考えに基づいて行わるべきものであると確信しております。
○赤桐操君 総理は大変能弁にいろいろのことを表現されておりますが、しかし現実にいま行われつつある状態というものは、私が先ほど来指摘したような状態になっていると思うのであります。したがって、こういう行政改革のあり方については厳しく私も指摘をいたしまして、質問を終わりたいと思います。 次に経済、景気問題についてただしたいと思うのでありますが、政府が十月二十九日に今年度経済見通しを五・二%から三・四%、さらに最近では三・一%に下方修正をいたしてきております。このひとつ詳しい状態、経緯につきまして御報告をまず伺いたいと思います。大蔵大臣、経企庁長官にひとつお願いいたします。
○国務大臣(塩崎潤君) お答え申し上げます。 今般、成長率五・二%を三・四%に下げました理由は、何と申しましても世界経済の急速な停滞によるものでございます。御案内のように、経済見通しは常にその年の七―九までの経済資料をもとといたしましてつくり上げるのでございますが、その後の世界経済の異常な停滞があった、しかもアメリカの高金利が低下しつつあったところが逆に反騰したというような事情がございます。それが輸出の不振につながりまして経済成長が予定のとおりまいらなかった、そのために下げたのでございます。これは日本だけじゃなくして、御案内のようにOECD諸国も大きな見積もり間違いがあった。一・二五%と見ておりました成長率を〇・五%というふうに七月に修正いたしましたが、近くまた一%程度の下方修正が行われる、こんなふうに聞いておるところでございます。
○赤桐操君 今年度の予算審議の際に、社会党は五十七年度の政府予算、政府経済の見通しについて、この見通しでは実現不可能ではないか、こういう基本的な考え方に立ちまして、この席で竹田、矢田部両氏からも厳しく指摘をいたしてまいりました。 その際に政府の姿勢はどうであったか。これについては中曽根総理も当時の行管長官として御存じであると思うのでありますが、少なくともその当時の状態で、河本経済企画庁長官の言明では、経済は激動期にある、この変化に機敏で適切な経済運営を進めることが経済成長の前提条件だと何回も繰り返されました。私もこのことを直接伺っております。年度初めから続いている経済の低迷、これに対しましてどのように機敏で具体的な対策が施されたか、この点についてひとつお示しを願いたいと思います。
○国務大臣(塩崎潤君) ただいま御指摘の点につきましては、私どもは、今度の三・四%の経済見通しはぜひとも達成したい、こんなような考え方を持ちまして、去る十月八日決定していただきました総合経済対策――さらに二兆七百億円の公共投資を中心といたしますところの、公共事業を中心といたしまする予算の施行を通じてこの見通しを達成したいと思っているところでございます。幸いにいたしましてアメリカの高金利も下がりぎみでございます。それに応じまして日本の円高の傾向も出てまいりました。さらにまた、日本の長期金利も低下しつつあるような状況でございます。これらの諸要素を政策の上に生かして、いま申しました三・四%の成長をぜひとも達成したい、こんなふうに考えているところでございます。
○赤桐操君 公共事業の前倒しであるとか、そういうことは特にやった政策だとは考えられないのでありまして、いまのお話の十月八日の景気対策六項目、二兆七百億円になりますか、これをこれからの景気の対策として大きくてこ入れにしていきたいと、こういう御答弁でありますが、事実上これは総裁選の空白がございまして実行されなかったと思うのですね、いままで。そのために、結局は非常に時期が外れてしまった、こういうことになるわけであります。地域によってはもう冷害期に入っておりまするし、そういうところでは恐らくこの恩恵に浴することもなかなかできないんじゃないか、政府の意図とは相反して半減しているのじゃないだろうか、こう考えるんですが、企画庁長官はこれをどう御認識になっていらっしゃいますか。
○国務大臣(塩崎潤君) 今度の総合経済対策の特徴は、御案内のように、財政投融資の弾力条項を活用する、あるいはまた国庫債務負担行為によって経済活動を活発ならしめるというような要素を織り込んでいるところでございます。 したがいまして、総合対策決定以来各省におきましては、このような弾力的な条項を発動しながら、いろいろ地域的な個所づけも考えながらその対策を着々と進めてきてまいったところでございます。もちろん予算を早期に成立さしていただくことが一番ありがたいことでございますが、このような弾力的な条項あるいは国庫債務負担行為の発動によって遅滞なくこの総合対策を着実に実行することによって経済見通しの成果を上げていきたいと、こんなふうに見られるところでございます。
○赤桐操君 いま私が質問いたしましたのは、少なくとも、経済対策閣僚会議の中で景気対策六項目について結論づけられてきていると、これに基づいて、いま後半のてこ入れをやるのだと、こう言われたので、しかし、これはもう時期外れであるし、実際問題として効果が上げられますかと、こう伺っただけのことなんです。それに対する御答弁を求めたわけなんですがね。
○国務大臣(塩崎潤君) 私は時期外れとは思わないわけでございます。いま申しましたような方向で努力することによって十分対処できる、こんなふうに申し上げたつもりでございます。
○赤桐操君 端的に伺いたいと思いますが、いろいろ経済見通しについていままでやってきておりますが、常に政府の見方というのは高かった、一般民間の場合においては大変低目に出してきている。政府はこれに対して、いろいろな言い方をとりながら、たとえば政府の五・二%成長に対して民間が平均で三・八と、こういう場合等においては、これこれこれこれの理由があるから五・二%の成長が正しいのだと、こういう釈明をしながら主張してきたわけでありますが、このいろいろな一連のてんまつを見るというと、今日までの経過の中では、どうも結果的には民間の予測の方が正しかったのじゃないか。また同時に、このことを冒頭から社会党が指摘しておったのでありますが、結局私どもが指摘した方が正しかったのじゃないだろうか、こういうように考えるのであります。要するに、私は、大変過剰な見通しといいますか、政治的な配慮が高過ぎる、そういう経済見通し、こういうところに大きな間違いがあったのではないかと思うのですが、長官、どうお考えになっていますか。
○国務大臣(塩崎潤君) 経済見通しが民間の見通しと違って相当な開きがある、おおむね高目に見ていて、それが実現ができないのではないかという御指摘でございます。 私どもは、政府のつくります経済見通しと民間各機関が行いますところの経済見通しとには本質的な差がある。それは多分に政策の評価あるいは円レートの見方に対する、経済要素に対する評価、このような点が違っているところもございますし、さらにまた、私どもは政策の目標として望ましき姿は示す必要がある、こんなようなことから私どもの経済見通しをつくっているところでございます。しかし、実現可能な線はもちろん考えているところでございまして、今回の修正は四十六年、四十八年、三度目ぐらいの大幅な修正でございまするけれども、これは先ほど申し上げましたように、世界経済の急速な変化によるものでございまして、OECDですら一・二五%の成長率を立てておりましたのが、一%程度の下方修正、このような世界経済の急速な変化、アメリカの高金利の反騰、こういった要素をどこの国も見通すことができなかったことによるものだ、大変遺憾でございますが、このように私どもは考えているところでございます。
○赤桐操君 要するに、そういういろんな条件というものを基礎にしながら、経済見通しというのはつけるわけですから、結局、結果的に誤ったことは間違いないと思うのですよ。その原因は何だと、こういうことになるわけであって、それは結局、政治的な配慮やいろいろ過剰な見積もりが原因だったのじゃないのか、こういうことを私は指摘しているわけで、そのことが大変大きな社会的な経済的な混乱を今日来しているのだということを指摘しているわけであります。したがって、経済の過大見通しの弊害について、これはもうやはり是正すべきだと思うのですね。そうして、本当の今後の対策はどうするのだということについての一つの姿勢というものを明確にすべきだと思いますが、長官、どうですか、この点は。
○国務大臣(塩崎潤君) 確かに、今回の大幅な修正は遺憾なことでございました。しかし、私どもは過大も過小も適当ではないと思います。さらにまた、経済見通しが税収の大幅な減をもたらしたと言われることも大変残念なことでございますが、やはり、しかし望ましい姿、さらにまた日本の成長力を引き出すだけの見通しをつくる必要がある。しかし、実現可能という限界は十分あることを承知しながら、そういった方向で経済見通しをつくるべきだと、こんなふうに考えております。
○赤桐操君 先に進みますが、余りいろいろの過大な見積もりをしては訂正しているというと、経済企画庁の存在が疑われることになりますので、この点、一つ申し上げておきたいと思うのです。 次に、内需型経済の転換についてはもう昨年から大変強く叫ばれてきている問題でありますが、そして、このことは少なくとも五十七年度経済運営の柱であったと思います。この点についてひとつ伺いたいと思うのでありますが、各部門ごとに当初見通しと改定見通しが非常に狂いが出てきておるわけでありますが、住宅建設、民間企業の設備投資、こうした問題についてまずひとつ関係大臣から御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(内海英男君) 新設住宅着工戸数につきましては、昭和五十一年度以来、年間百五十万戸前後で安定的に推移してまいりましたが、五十五年度に百二十一万戸と大幅に落ち込み、五十六年度も百十四万戸とさらに減少した次第でございます。本年度の新設住宅着工戸数につきましては、四月から十月までの累計で約七十一万戸と前年同期に比べ一万戸の減少でございました。最近四カ月間連続して前年同月を多少上回っておりますが、年度内累計では、ほぼ前年度並みの百十四万戸前後となるものと考えております。住宅建設の回復を図るためには、政府におきましては、昭和五十七年度に、住宅金融公庫を中心とした公的住宅金融の拡充、住宅土地税制の大幅な改正等の諸施策を講じてまいりますとともに、十月八日の総合経済対策におきまして、住宅金融公庫の貸付枠の追加、住宅改良の貸付限度額の引き上げ等の総合的な対策を講じているところであります。今後とも経済の安定的発展に資するためにも住宅建設の動向を勘案しながら住宅の新設、増改築、中古住宅流通の促進等について適切な対応を行ってまいりたいと考えております。
○赤桐操君 まず、住宅問題の点からひとつ伺いたいと思うのでありますが、これはことしのこの委員会でわが党からも質問をいたしております。建設目標百三十万戸、これは無理じゃないのかと、民間の伸び率あるいはまた実績見込み、こうした面から見ていってもまずこれは無理ではないだろうかと、こういうように質問をいたしておるわけであります。これに対する建設大臣の答弁は、潜在需要はもうあるに決まっておる、したがって、住宅価格と取得能力のこの乖離さえ埋めるならばこれは実現できるのだと、こういって答弁をされておることを私も承知いたしておりますが、潜在需要があるにもかかわらず住宅の建設は残念ながら伴ってまいっておりません。ほとんどいまとまっておるのじゃないのでしょうか。こういう状況の中で、取得能力を高める、その乖離を埋めるために政府は一体どういう具体的なことをやったのだと、何もしてないのじゃないんだろうか。あるいはまた、いま現状、この東京周辺の首都圏地域の状態を見ましても、どこの大都市でもマンションはほとんどもう滞貨の状態になっている。こういう状況の中で、一体これからどんな対策をとるならばこれらの当面する問題を解決することができるのだろうかと、このことについてひとつ伺いたいと思うのです。
○国務大臣(内海英男君) 住宅、宅地等の税制の見直しと、それから貸付限度額の引き上げといいますか、さらに土地の手当て、こういったものに積極的に対応していかなければ目標に到達するのはむずかしいのではないか。それにつきましては、いろいろ都市計画上の見直し作業等も勘案し、また都市再開発といったものとも組み合わせたような考え方で積極的に取り組んでまいらなければいかぬと、こう考えておるわけでございます。
○赤桐操君 ひとつ伺いたいと思うのですが、住宅問題で、いろいろと政策的な問題になると細かなものがたくさんありますが、それは避けますが、少なくとも前企画庁長官が答弁してきた内容は、乖離を埋めなければならない、所得とこの建設価格の乖離を埋めなければならない、これをやらなければ住宅建設は実現できませんと、こう言い切ってこられたと思うのであります。経済企画庁長官、いまどのようにこれはお考えになっておられますか。
○国務大臣(塩崎潤君) 住宅建設が内需拡大の中心的な政策であると、こんなふうに私は考えているところでございます。しかしながら、土地の問題、これらを含めて大変むずかしい問題があるために大変むずかしい状況でございますが、昨今の状況では、いろいろの見方はございまするけれども、住宅金融公庫の貸付枠の増大の傾向等が見られまして、私は、当初ほどの成績はまだ上げておりませんけれども、まず着実な住宅着工が進められている、なお今後とも内需拡大の精神から住宅については力を入れていくべきであろうと、こんなふうに考えております。
○赤桐操君 残念ながらいまの御答弁では政策努力として評価できる内容じゃないと私は考える。昨年から政府が答弁されてきた少なくとも基本的な問題を解決することにならないのじゃないですか。たとえば、金利を少しぐらいどうしたとか、それから期間を延ばしたとか、こういうことでもって何千万という価格のものを買うだけのそういうあれができますか、現実の問題として。これは私は不可能だと思う。こういうことに目を覆っていて、いわゆる小乗的な対策だけしかとらない、枝葉の対策しかとらない、これでは住宅建設は私はできないと思うのですね。そういう意味で政策努力がいま問われているのですよ、住宅建設については。それが実現されていかなければ潜在需要は大きく顕在化して建設へと向かわないと思うのですね。これは一建設省の問題だけではなくて政府の取り組む問題じゃないのですか。経済企画庁が中心となってお考えになるべき問題じゃないのですか。各省の枠を越えた大きな問題じゃないんですか、これは。そういうことを私は政策的にどういう御努力をお考えになっていますかと、こう伺ったわけなんですが、御答弁では残念ながら私は納得できない。
○国務大臣(塩崎潤君) 御指摘のように、経済摩擦を防止する意味におきまして内需拡大の経済政策は必要でございますが、その中心になるのはおっしゃるように私は住宅政策だと、こんなふうに私も評価するところでございます。確かにその手段として、金利あるいは財政の問題、これらについて選択の幅はございまするけれども、土地問題の根本的な解決、これらを中心としてやはり住宅政策を推し進めていく。住宅産業こそ私は日本の誇り得る産業になるような政策をこれは粘り強く長期にわたって進めていかなければならないと思っているところでございます。
○赤桐操君 新内閣の責任でこの大変大きな経済政策の柱とも言うべき、また国民の一番大きく熱望しておられる、期待をしている住宅不況のこの状態を克服して、持ちたい人に住宅が与えられていく、こういう状態にもっていくためにはこれはひとつ大きな努力が必要だと思います。総理、建設相のひとつ御答弁を願いたいと思いますが。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私も基本認識におきまして赤桐さんのおっしゃっていることが正しいような気がいたします。ただ、現在財政状況がこういう苦しい状況になっておりまして、その枠というものが限定されておるわけであります。その枠の中でいろいろ苦労もしていただいて、金利その他でいろいろなかげんもやっておるわけでございますが、しかし本格的に住宅政策を思い切って大きくやろうと思ったら、いまの枠をある程度はみ出して、そして金利や土地税制やら、何しろ土地問題というものが一番の基本にあると思いますので、いわゆる官僚的な発想を乗り越えた民間人的発想によらなければむずかしいだろうという感じはしておるのです。ただ、いまの財政上の諸問題がございますので、あなたの御意見もいろいろ参考にさせていただきたいと思っております。
○赤桐操君 次に設備投資の問題についてお伺いしたいと思うのでありますが、設備投資がこの予算委員会におきましては、七・七%の見込みが五十六年度実績の見込みで三倍以上で高過ぎるという質問に対しまして、前企画庁長官の答弁では、大企業も中小企業も投資意欲は強いのだと、従来の趨勢を回復するという、そういう見方をしているのだと、大変自信にあふれた答弁をされておったわけでありますが、投資意欲が強いにもかかわらずなぜ当初見通しの九分の一程度になってしまったのか、この点ひとつ伺いたいと思いますが。
○国務大臣(塩崎潤君) 御案内のように、設備投資は低迷状況でございますが、そのうちで低迷が一番ひどいのは中小企業でございます。この原因は、言うまでもなく昨今の経済の見通しに大変不安があるということでございます。売り上げが減少するような状況でございますから、中小企業の投資が大変激減した、この点は事実でございます。しかし一方、大企業は省エネ投資あるいは合理化投資、これらは多分に底がたいものがございます。しかしながら、金利低下の傾向も見られます。これらを政策的に利用いたしまして、中小企業の設備投資についても引き上げる方向で私どもは努力しなければならないと、こんなふうに考えております。
○赤桐操君 次に個人消費の問題で伺いたいと思うのでありますが、どうも総理府の統計の状態を見ても、あるいはまた私ども大型店や小売店、そういうところの各種中小企業の皆さんの意見を聞いてみてもこの点は大変悪い、こういうように私たちは感じております。この点について当初見通しと改定見通し、この関係をひとつ経企庁長官、明らかにしてください。
○国務大臣(塩崎潤君) 御案内のように、個人消質は所得と物価によって左右されるわけでございます。改定見通しではこの点を考慮いたしまして、大衆消費につきましては当初、名目では八・六%、実質では三・九%見ておりましたけれども、物価が大変落ちついてまいりました。そのために名目では七・六%、実質では四・五%、実質では〇・六ポイントの改定上昇を見たところでございます。今後、民間消費支出につきましては、所得の上昇あるいは輸出の回復、これらを通じてだんだんと堅調になってくるのではないか、こんなふうに見ているところでございます。
○委員長(土屋義彦君) 関連質疑を許します。対馬孝且君。
○対馬孝且君 私は、いま個人消費の問題に関連をいたしまして、国民の最大願望であり、また消費不況と言われる庶民の財布のひもをどう安定をさせるか、このためには所得減税以外にないと、こういう方針はわれわれはたびたび主張もし、今年三月七日、福田議長見解のもとに、あの予算の収拾の条件としまして減税小委員会が設置をされました。この中で山中小委員長も四項目を整理されております。減税の必要性は各党与野党一致をいたしております。財源問題について改めて検討すると、大筋合意をされています。 そこでお伺いしたいのでありますが、少なくともこの各党合意というのは幹事長・書記長会談、当時の前宮澤官房長官がこの会談に出まして、この決定は尊重する、政府は、こういう態度を堅持しております。ところが、きょうの朝日新聞の報道にも明らかになりましたが、所得減税は五十八年度は盛り込まない、盛らぬ方針である、こういう態度を明らかにしておられます。この真意について明らかにしてもらいたいのでありますが、少なくとも与野党間の合意、議長見解、こういうことがあるとするならば、当然政府側としてもこれを――いまだに小委員会は中間報告であります、結論は出ておりません。そのやさきに政府側として、もし所得減税を行わない、この態度を決められたとするならば、与野党合意を踏みにじるものである、こう言わなければなりません。したがって、この考え方につきまして総理大臣と大蔵大臣から、五十七年度所得減税実施をすべきであり、「中長期的」という議長見解は五十八年度をも意味したものである、このように考えますので、この所得減税についての所見を国民の前に明らかにしてもらいたい、このことを申し上げます。
○国務大臣(竹下登君) いま対馬委員のおっしゃいました三月七日の議長見解に基づく小委員会、それの中間報告等、大筋そのとおりでございます。 政府といたしましては、私も幹事長・書記長会談に自由民主党を代表して出かけておったわけでございますが、いままで申しております言葉を整理いたしてみますと、いわゆる財政再建のめどが立って、そして減税問題についてのめどが立つまでの間は所得減税を行うような環境にないと、こういうことをずっと長い間主張してきたわけであります。しかし、議長見解に基づいて、その問題については、言ってみれば国会の方で預かってその結論を出してやろうと、こういうことに対しましては、その出る結論に対しては尊重をするのが当然のことでありますと、このような答えで進んできたわけであります。したがって、本日、私も朝日新聞の記事を見ましたが、その前提になりますいろいろな観測記事の中で、小委員会の結論が出ない可能性があるのではないか、こういうことが前提に置かれておるわけであります。しかし、政府といたしましては、国権の最高機関で小委員会で検討をなさっておる間、それに対して結論が出ないではないか、こういう予測を、予見をあらかじめ持つということはこれは非礼千万であるというふうに私は心得ております。 したがって、現在その小委員会の結論の推移を静かに見守っておりますと、こういうのが正確ないまの時点におけるお答えになるのではなかろうかというふうに整理をいたした次第であります。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大蔵大臣が御答弁申し上げたとおりでございます。
○対馬孝且君 見守っているということなのですが、かなりこれは政治判断が絡んでいる。五十八年度当初予算が見込まれなければ、来年は統一地方選挙、参議院選挙、この政治選挙目当ての補正をも含みであるというふうな意味のことを言われておりますけれども、私はそのことよりも大事なことは、見守っているというだけじゃなくて政府の決断にかかっている。与野党が一致してやるということでやっているんでありますから、問題はかかって総理大臣、大蔵大臣、政府の減税をやるかやらないかという決断にかかっているということを踏まえてこれからの対応に処してもらいたい、このことを強く申し上げておきます。
○赤桐操君 経済見通しの問題をいろいろと論議をしてきたわけでありますが、いままでの経済見通しについて大変欠陥があったということは企画庁長官も認めておられるようであります。同時にまた経済企画庁の存在さえも問われてきている、こういう事態にあることも間違いないと思います。これは要するに政治的判断や過剰見積もり、こうしたものが強過ぎたということである。それからまた国会論議が私ども建設的に野党がいろいろの提言をいたしておりますが、こういったものについてもほとんど耳をかさない、独善的な態度できている、これがまず第二の点だったと私は考える。こういう意味で、これからひとつこういった反省の上に立って新しく五十八年度の経済見通しの作成に当たるべきだと思いますが、長官のお考えを承っておきたいと思います。
○国務大臣(塩崎潤君) 経済見通しは、おっしゃるように実現可能な望ましい姿をあらわすべきであると思います。しかし、今回の修正は、先ほど申し上げましたように、異常なる世界経済の低迷によるものでございまして、日本だけ間違ったわけではありません。各国とも間違ったところでございますが、おっしゃるように、今後ともこのような遺憾な事実がないようにしたいと思っているところでございますが、五十八年につきましては、昨今の経済情勢を十分に織り込んで、五十八年度の予算編成に間に合うように着々と準備をいたしているところでございます。
○赤桐操君 次に、財政再建の問題で幾つか伺ってまいりたいと思います。 総理は、増税なし、五十九年の赤字国債脱却、これは鈴木内閣の公約でありましたし、中曽根総理はこれを継承するということで総理に就任をされたわけでございますが、この点よろしゅうございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 増税なき財政再建を基本線に維持してまいりたいと思っております。
○赤桐操君 財政再建の目標年次について、六十二年に延期されるあるいはこれもちょっと危ないんじゃないかというふうな動きがあるようでありますが、この点はいかがですか。
○国務大臣(竹下登君) いま赤桐委員おっしゃいましたのは、財政再建の目標年次、六十二年ということを仮説として申されましたのは、恐らく新経済五カ年計画の最終年度が六十二年になるので、したがって財政再建の赤字公債の脱却の期限をそれに一緒にするんじゃないかという考え方が前提にあろうかと思うのでありますが、いま私どもといたしましては、その目標年次をどこに置くかということは、これこそ五十八年度の予算編成をきっかけとしてこれから各方面の意見を聞きながら設定しなければならぬ課題であると、まだ六十二年というふうなことを念頭に置いておるわけではないと、こういうことを申し上げておきます。
○赤桐操君 続いて伺いますが、五十七年度については前代未聞の税収不足、六兆円を超える穴があいているわけでございます。これが引き金となりまして、財政の中期展望、これが実現できなくなってしまった。これも事実だと思います。 そこで、五十七年度の補正の状態を見まするというと、当初予算で約一兆八千億、この赤字国債の発行減額という政府の財政再建の方針が根本から崩れてしまうような三兆三千八百五十億円の赤字国債の追加発行、こういう問題が提起されております。しかし、いま申し上げてきたように、財政の中期展望が崩れてきている、こういう状態の中で、これからの一体見通しはどうなんだと、これがなくては私はこの論議はできないのじゃないのだろうかと、こう思うんです。中期展望の改定版が速やかに提出されるべきだと思うのであります。これは昨日も要求いたしておりましたが、この点はいかがでございますか。
○国務大臣(竹下登君) 財政の中期展望の問題でございます。これはまさに中期的な視点に立ちまして財政運営を進めていく上での検討の手がかりを示そうということで、従来もこれをお示し申し上げてまいりました。またこれは、年度予算審議に当たっての一つの資料としてお使いをいただいたわけでございます。したがって、現在の中期展望は、五十六年、五十七年度におきます税収の伸びの急激な鈍化によって影響を受けておるということは事実でございます。したがって、こうした状況を踏まえた新しい財政の中期展望をつくるということにしたいわけでありますが、何分にも将来の経済運営の基礎となります経済見通し、先ほど来御議論があっておりました、それから新経済計画の策定作業、これがいま進行中でございます。また現在、歳入歳出の推計のベースとなります五十八年度予算の編成作業が進行中でございますので、そういう検討状況等を見きわめながらその作成について検討をしてまいりたい。そこで、さらに申し上げておりますのは、五十八年度予算を御審議いただきます時期にこの中期展望なりというものについて御参考に供していただくようなめどで作業を進めたいと、こういうことであります。
○赤桐操君 まず赤字国債の問題でありますけれども、この脱却の問題では、最初は五十一年の二月、財政収支試算で五十五年度に赤字国債はゼロになりますと、こういう実は説明があった。約束がございました。それが今度五十三年度の財政収支試算では、赤字国債脱却が五十七年度に延びる、こういうことになってきた。五十四年の一月に国会に示された財政中期展望、この目標年次は五十九年度に延ばすことになっている、当時の説明でございまして、しかもこの政府説明については、これまでの単なる収支試算ではなくて、これは実行の裏づけのある中期展望なんだと、こういうように説明があり、こういうふれ込みで実は打ち出されたものであったと思います。ところが、これも破綻、そして六十二年ないしはもっと延びるかもしれぬ、こういうような動きが出てきている。これでは一体政府の出してきている資料をもとにしながら財政再建というものに私どもは取り組むことができるんだろうかどうなんだろうか、こういう問題が出てくるのではないでしょうか。こうした危機状態に置かれている財政の再建、これをいろいろと料理していくのにはそれなりの少なくとも計画書が提出されてこなければ、これに対する論議も発展しないと私は思うんですね。そういう意味において少なくとも中期展望の改訂版が必要だと。今度の補正の中でも大変大きな赤字国債の提起が出されておるわけですね。したがって、当初予算における赤字国債、補正の赤字国債、これは合わせれば三〇%を超えることになってしまうんですね。こういう状態で毎年続けていくのか、その日その日の暮らしをしていかなければならない、こういう状態になってきては、これは少なくとも財政再建に対するところの考え方としてはまとまってこないんじゃないか、こういうことを私は申し上げておるわけなんですが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 赤桐さんのこの中期展望に対する御見解と申しましょうか、御見識と申しましょうか、これは私にも理解のできるところでございます、基本的に。ただ、私ども申しておりますのは、世界経済がこれだけ不透明感の強い現状において、実際問題として私が大蔵大臣当時は、いわゆる収支試算それからその後中期展望、こういうある種の変化をもたらしておるわけでございますが、前提になる諸指標というものが容易につかみにくい、こういうところに私は非常にむずかしさがあると思うのであります。しかしながら、この補正予算審議に当たって出す状態にないことは事実でございますけれども、五十八年度予算審議、予算編成を終わりました後あるいは審議をいただくわけでございますが、それに対しての手がかりとして事によったらいろいろな前提、ケースAとかケースBとかいうことになろうかとも思われます。いま内部で研究をしておる最中でございますけれども、そういうものを御参考に供さなければならぬというふうには考えております。
○赤桐操君 この財政収支試算の時代というのは、歳出の膨張で大きな破綻の原因があったと私は思うのですね、計画書が狂った。今度の中期展望が出されてきてこの中でのいろいろの変化が出てきておるわけで、これは歳入の原因なんですよね。だから、前には歳出の原因で計画が破綻した、今度は歳入の原因で計画が破綻している、こういうようにこれは理解しなきゃならないと思うのですね。そうだとすれば原因が違うわけですね。これに対する処方せんも違ってこなきゃならぬ。その処方せんがなくてはこれは大体大蔵大臣無理ですよ、率直に申し上げまして。そんなその日暮らしの論議するなんていうことは許されない、こういうように私は考えるんですがね。
○国務大臣(竹下登君) いわゆるこの予算審議に当たって中期展望を出せと言われましても、これは私は無理だと思っております。これは来年度経済の見通しということすら、いままでの問答で私も聞いておりましたが、しかといま出す状態にないということからでございます。しかしながら、私も中期展望なりあるいは収支試算に対する赤桐委員の物の考え方は理解できるわけでございますので、どれだけの姿で参考に供することができるかということをしかとここで申し上げる自信はございませんが、その御見解をも踏まえながら五十八年度予算編成後の手がかりとしてまた予算審議の上の御参考に供するような努力は続けたい、こういうふうに思っております。
○赤桐操君 そうしますと、財政中期展望についてはきょう出せないということでありますが、これはひとつやっぱりこれが物の尺度でございますから、基準でありますから、これはひとつ至急に用意をしてもらいたい。 次に、六十二年度までこれは少なくともいろいろ動いていくのだろうと思いますが、増税なき財政再建を約束をされておるわけでありますから、少なくとも六十二年度までは増税はない、こう理解してよろしいわけですな、大蔵大臣、総理大臣。
○国務大臣(竹下登君) これはもう総理からお答えがございましたように、増税なき財政再建、これはまさに理念であると考えております。したがいまして、安易な増税を念頭に置いてはならないと、まず行政の簡素効率化、制度、施策の見直し、合理化、こういうところに努めてまいる、こういう考え方でございます。したがって、増税なき財政再建とは何ぞや、こういうことになりますと、私どもは今日臨時行政調査会の第三次答申にもいただいておりますところの当面の財政再建に当たって何よりまず歳出の徹底的削減によってこれを行うべきものであって、全体として租税の負担率の上昇をもたらすような税制上の新たなる措置を基本的にはとらないこと、こういう考え方で私は進めるべきであるというふうに考えております。
○赤桐操君 わかりました。いずれにしても増税なしでやるというように確認をいたします。 それから、大型新税の問題についてひとつ伺いたいと思うのですが、これは大蔵大臣は記者会見の際に、大型新税は全く念頭にないと、増収のための新税は考えておらないと言っておられますが、間違いございませんね。
○国務大臣(竹下登君) いま予算編成に当たりまして、新たなる大型新税というようなものは念頭にないと申したことは事実であります。いまもそのとおりでございます。
○赤桐操君 私が伺っておるのは、少なくとも財政再建の期間中は増税なき財政再建をやるのだと、こう言われておるわけですよ。だから新税もつくらないのだろうということも念を押しておるわけですよ。
○国務大臣(竹下登君) これは先ほど申し上げましたように、いわゆる租税負担率というようなものを守りながら、そして必然的に直間比率の見直し、こういうような検討が継続していくというのはこれは世の趨勢だと私は思っております。したがって、私がかねて申し上げておりますのは、いわゆる一般消費税(仮称)、そのような手法を財政再建にはとらない。ただこれは理論的にも消費一般に係る税制そのものを否定してはならぬということはよく五十四年以来ずっと申し上げておるところでありますが、それが直ちに大型新税を意味するというふうにお考えはいただかない方がいいのではないかというふうに思っております。
○赤桐操君 どうもよくわかりませんが端的に伺いたいと思いますが、一般消費税、売上税とか庫出税とかといろいろな名前で最近呼ばれてきておるようでありますが、そういった大型新税、こういうものはやらないと、財政再建期間中はやらないと、こういうように理解したいと思うのです。もっと端的に申し上げますが、所得税あるいはまた法人税等国税十八種類でございますか、あるようでありますが、これ以外のものはつくらないと、こう解釈してよろしいのですか。
○国務大臣(竹下登君) 世の中の推移がございますので、いわゆる既存税制以外の中でその目的を達したものとか、なかんずく租税優遇措置なんかそうであろうと思うのですが、新たに政策的必要の生ずるもの、これは出てまいりますので、今日の税目以外は未来永劫に手をつけませんと、これはちょっとやはり行政需要に対応する立場からして少しオーバーランになるんじゃないか、基本的な考え方は私は赤桐委員の考え方と別に違っていないような気がしております。
○赤桐操君 大蔵大臣の答弁はなかなかよく聞いていないとわからないところがあるのでありますが、まあ私の考え方と違わないというのですから間違いないと思いますが、少なくとも六十二年のところまでの間は、財政再建の期間中は増税もやらないし、いま私が念を押したような新税の設定もやらないと、このことだけひとつ確認をしておきたいと思いますがいかがでしょうか。私とあなたが違わないとおっしゃるのだから、違いませんと、こう言ってもらえばいいのですよ。
○国務大臣(竹下登君) 一つ一つ税目についての御指摘に対して、まあ何といいますか、一分一秒あるいは一センチ一ミリ違わない、こういう意味ではなく、基本的な委員の考え方には私も否定する立場にはないと、大変な御見識だと思って聞いておったと、こういうことであります。
○赤桐操君 大分、どうもいろいろ少し答弁の内容が、むずかしい内容で御答弁されておるようでありますから、私は端的に伺っておるのですが、とにかく六十二年の財政再建のときまでは、これは少なくとも増税もやらない、いま申し上げてきたような新税も設定しない、これはよろしいわけですね。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる六十二年と申されておりますのは経済五カ年計画の最終年度でございまして、それが財政再建のある種の目標年度ということは確定していないわけでございます。したがいまして、その前提をちょっと横へ置いていただくといたしますならば、いわば増税なき財政再建、これを理念として貫くことはもとよりでございますし、そうして徹底的な合理化をやって、その上で制度、施策の水準は絶対維持する必要がある、そういう行政需要に対して改めて受益とそして負担との関係を考えてみる必要があるいは出てくるかもしらぬ。いずれにいたしましても、経済動向を見ながら行財政のあり方と絡めて国民の選択を求めていく問題である、だから予算というのは歳入があり、歳出があり、そしてその大宗をなすものは税収であるということにおいていわゆる絶対ということは、私はこれは理論的にあり得ないのじゃなかろうか、こういうふうに考えておるわけで、すなわち消費一般に係る税制を否定してはならぬ、同じように絶対ということはあり得ないのではなかろうか、こういうふうに考えております。
○赤桐操君 私と基本的に変わりがないとおっしゃったから私は重ねて伺ったんですが、大分違いが出てきているように思うのですね。 そうすると、逆に伺いますが、新税の設定はあり得る、こう判断せざるを得なくなりますが、そうなんですか。そうすると、私とあなたの考え方には基本的に違いがあったということになるのですよ。
○国務大臣(竹下登君) これは、現在赤桐委員の念頭にあります物の考え方と、問答を繰り返しながら私が言っていることの間に大変な乖離があるとは率直に思わないのであります。ただ、行政需要にこたえていくためには、これはまあ歳出、それに必要となる歳入、その大宗をなすものは税制、こういうことを考えた場合に、税制の仕組みで絶対というものをつけていきますと、私はどなたが、あるいは日本社会党の政権になったといたしましても非常にむずかしい問題が出てくる。だから、基本的にそのおっしゃる趣旨は私なりには十分理解しておるわけであります。
○赤桐操君 いずれにいたしましても増税はすると言明されないし、さらにまた私の質問に対しての明確な、絶対ということはあり得ないというような物の言い方で、大変むずかしい御答弁のように聞きますが、いずれにいたしましても、財政再建期間中においては少なくとも増税ないしは新税の設定等についてはやらないという基本的な考え方については変わりがないと、こういうように確認をしたいと思います。 次に、給与の問題に入りたいと思うのでありますが、まず冒頭で伺いたいと思いますることは、この十二月の十一日に与野党の国対委員長会談で五項目にわたった仲裁裁定の実施をめぐる最終的な合意がなされたわけであります。この中でそれぞれ合意に基づいて作業が進められてきていると思いますが、一つ念のために伺っておきたいと思いますが、「政府をして期末手当の労使交渉が促進されるよう環境づくりに努力するものとする。」という一項目がございまするけれども、これは政府自体としてきちんとこの申し合わせのとおりに環境づくりに努力をしているのかどうなのか、労使の自主交渉がスムーズに取り運ばれるよう、そういう環境づくりをしているのかどうなのか、この点ひとつお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(大野明君) ただいまお尋ねの件につきましては、労使双方において円満に解決することを望んでおります。
○赤桐操君 私が質問していることは、円満に解決されることを望んでいるという、そういう質問をしているわけではないんです。少なくともこの五つの項目というものは国対委員長会談、各党の責任者が集まって決めたものなんです。これに基づいて政府が環境づくりに努力するようにするということも自民党が約束されているのです。その自民党政権のあなたが環境づくりの当事者じゃないのですか。いまの御答弁では私の質問に対する答弁ではないです。
○国務大臣(大野明君) ただいまの御質問の点でございますが、いずれにいたしましても、私どもがこの仲裁裁定の問題において努力をいたしてきて、そしてそのような結果になってきた。そして、いずれにいたしましても先ほどお答えしたように、その環境づくりということについて余り政府が介入することもいかがなものかと考えておりますので、御了承賜りたいと思います。
○赤桐操君 重ねて伺いますが、政府は介入しておりませんね、この団体交渉には。環境づくりというためには政府は介入してはならないとあなたいまおっしゃった、それは間違いありませんね。自主交渉を促進するように努力することが環境づくりなんですよ。したがって、これを阻害するような行為はしないと、こういうようにあなたの言明を受け取ってよろしいですね、それは。
○国務大臣(大野明君) すでに年末手当につきましては妥結をいたしておりまするし、また自主交渉につきましては、これに介入するということはございません。
○赤桐操君 年末手当や年度末手当について解決していないのですよ、現場の方は。あなた御存じないんでしょう。だから私はこういう質問をいましているのです。この各党合意の五項目が完全に、忠実に守られていないんじゃないか、逆に政府がこれに対して介入しているのじゃないかという懸念さえもあるから伺ったわけなんです。そういうことがないというならないでいいんですよ。はっきり御答弁願えばいいんですよ。
○国務大臣(大野明君) 年末手当はもうすでに解決いたしておりまするし、また、いずれにいたしましても、政府としては自主交渉の面においては介入することもございませんし、意思もございません。
○赤桐操君 そのことをひとつ私は確認をいたし、これからもひとつ環境づくりに政府みずからが努力をしてもらうことを希望いたしておきます。 次に、人勧の問題についてお伺いいたしたい。今回の補正予算の中に、当初予算の中で一%相当の予算が給与予算として設けられておった。これがこの補正予算の中では削られておる。これは一体どういうことであるのか。人事院勧告を勝手に政府自体がその都合でいろいろと操作することができるのかどうなのか、その根拠をひとつお示しいただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) これは、予算の関係は私の所管でございますが、各般の状況を考えて、もとより人事院勧告制度の根幹に触れ、そしてありとあらゆる手段を尽くし、そしてその後出たいわゆる見送りの結論と。そうなれば補正予算編成に際しては、その給与改善費の一%分がその限りにおいては減額に立てるべき費目の対象となると、こういうことでこれを減額補正をして御審議をいただいておると、こういうことになります。
○赤桐操君 少なくとも、これはいま大変やかましく論議されてきておりますが、人事院勧告というのは、国家公務員法によって団体交渉権、団体行動権――ストライキ権の一切を抑えられているその代償措置として設けられたものが人事院であり、いわば公務員法というのは制限と保護の二つから成り立っていると私は理解しております。そういう意味で、人事院がその任務を果たすために勧告を行ったわけでございます。国会の方にもまた政府の方にもこれは出ている、こういう性格のものだと思うのです。 ところが、人事院勧告を凍結する、あるいはまたこれを予算に盛らない、盛ってあったものまで削る、こういうことになるというと、それは少なくとも人事院勧告を実施しないということになるわけであって、これは私は法律的に見ていっても重大な問題だと思うのですが、この点、政府はどのようにお考えになっておりますか。
○国務大臣(竹下登君) これは去る九月二十四日の閣議決定で公務員給与に関する取り扱いについての御決定がなされたわけでございますが、一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける国家公務員の給与につきましては、八月六日に人事院勧告が行われたところであります。労働基本権の制約、良好な労使関係の維持等に配慮しながら検討を進めてまいりましたが、未曾有の危機的な財政事情のもとにおいて、国民的課題である行政改革を担う公務員が率先してこれに協力する姿勢を示す必要があることにかんがみまして、また官民給与の較差が百分の五未満であることなどを総合的に勘案してその改定が見送られたと、こういう決定に基づきましての予算措置を行ったわけであります。
○赤桐操君 いまのお答えは二つに分かれると思いますが、一つは財政難の関係からだと、もう一つは公務員が率先して給与についてのひとつ遠慮をしてもらうのだと、こういう考え方になると思うのでありますが、その財政難の方の問題については後で伺いますが、前段の少なくとも公務員にそういう措置をとることは本来できないことじゃないんですか、これは。総務長官、いかがですか。
○国務大臣(丹羽兵助君) ただいまの先生のお尋ねにお答えを申し上げますが、御指摘のように、人事院の給与勧告制度は、公務員の労働基本権を制約する場合に講じなければならない代償措置の一つと憲法上の評価が与えられておるのでありますから、この制度が実効を上げるよう、勧告を受けた国会及び政府において最大限の努力をしなければならないと考えております。
○赤桐操君 さらに、人事院総裁の勧告された立場からひとつ伺いたいと思います。
○政府委員(藤井貞夫君) 給与に関する人事院勧告というのは、これはいま先生もるるお述べになりましたように、公務員について労働基本権が制約をされておるということに対する代償措置でありまして、大変私は重要な制度になっておるというふうに思っております。したがいまして、このことは大方並びに国会、政府関係の御理解を得まして、だんだんとその完全実施の方向に動いてまいりまして、その結果、四十五年以来完全実施ということで制度的に定着したことになってきておるのであります。ただ、このしばらく三年間あたりは、一部に対して財政状況等の配慮から制約が加えられておりますが、これは私はあるべき姿ではないというふうに考えております。あくまで完全な実施をすることがたてまえでなければならぬという強い信念を持っております。 したがいまして、今度いろいろな政府として御事情がございましたにせよ、これが凍結あるいは見送りの措置が講ぜられるに至ったということは、人事院の立場としてははなはだ遺憾というふうに申さざるを得ません。ただ、この点については、内閣のみならず国会に対しても御勧告を申し上げておる事柄でございますので、国会におかれましてもいろんな角度から慎重に御審議を賜りまして、適切な御判断を賜りたいというのが私の念願でございます。
○赤桐操君 私は、少なくともこれは政府が諸外国へ行き、特にILO等におけるところの今日までのとってきた態度、あるいはまたヨーロッパ各国、世界の各国がこれを見詰めている、そういう実情等から考えるならば、これは少なくともそういう立場からしても実行されていかなければならない立場にあろうと思うのです。法律的には私はもう論議の余地はないと考えるのでありまして、総務長官もそういう答弁をされておりまするし、さらにまた人事院総裁はまさに勧告者としての責任ある決意を表明されておると思うのでありまして、これは少なくとも衆議院の方におきましても、わが党の大出質問に対する答弁として当時も出されておる。これは佐藤内閣時代であったと思いますが、出されておるわけでありまして、これもすでに衆議院で論戦が行われて明らかになっておるとおりであります。私は、これは実施することが少なくともたてまえであり、実施しないことは憲法違反にもこれはつながってくると、こういうことを指摘しておきたいと思います。 さらにまた、大蔵大臣に伺いますが、財源はあるのじゃないんですか。一%の金を残して、二千五百億か六百億の金を補てんすれば完全実施ができたのじゃないんですか。なぜ財源がないのですか。
○国務大臣(竹下登君) 財源があるかないかと、こういう問題でございます。一%が給与改善費として計上されておったことは事実であります。したがって、見送りという閣議決定に基づいてそれが減額補正をして御審議をいただいておる。 さらに、完全実施したならば三千億の金がかかるということについての財源はあるじゃないか、こういうことでございますが、これは現在、この補正予算を編成するに当たりましてもあらゆる角度から節減をかけまして、単なる公務員給与のみでなく、諸般の問題にすべて節減をかけて編成し直して出したこの苦心の策でございますので、別に財源があるではないかという議論に対して、いま財源があるなしの議論をするよりも、総合的にこのことの方向で物が固まったと、別途財源をそれは調達せよとおっしゃれば、赤字公債の増発であるとか、それはいろいろあろうかと思いますが、それらのことを総合的にこれはいま財源を調達してまでこれを行う環境にはないという決定に基づいて減額補正を御審議いただいておると、こういうことになろうかと思います。
○赤桐操君 どうも私はよくわからないんですが、少なくとも人事院が勧告したというこの人事院の存在というもの、しかも仲裁裁定と人事院が勧告したこの勧告との関係を見れば、これはもう……
○委員長(土屋義彦君) 赤桐君、時間が参りました。
○赤桐操君 少なくとも率直に申し上げて、大きな私は重みの差があると思うのですね。一方は労働者の意思が入っている、一方は労働者の意思は入らないで、国の資料に基づいて人事院がつくったものです。そうだとするならば、勧告というものは私は率直に言うなら仲裁よりも重みがあるものだと考えざるを得ない。なぜそれだけの重みをつけたか、それは労働三権を抑えつけているその代償措置として保障するための措置であったと思うのですね……
○委員長(土屋義彦君) 赤桐君、時間が参りました。
○赤桐操君 それを無視して、いまそういうことをするということは許されないと思う。このことをひとつ最後に申し上げて、私の質問を終わらしていただきたいと思います。(拍手)
○委員長(土屋義彦君) 以上で赤桐操君の質疑は終了いたしました。 午前の質疑はこれまでとし、午後一時まで休憩をいたします。 午前十一時五十一分休憩 ─────・───── 午後一時五分開会
○委員長(土屋義彦君) 予算委員会を再開いたします。 昭和五十七年度補正予算二案を一括して議題といたします。 岩動道行君の質疑を行います。岩動君。
○岩動道行君 最初に、中曽根総理にお伺いをいたします。 政治姿勢の問題でございますが、総理は鈴木政治の承継をしてやるということを予備選挙でも申され、またそのような姿勢で政権を担当されたと思いますが、鈴木政治の承継ということになりますと、一体どういうことをお考えになっているのか。鈴木政治は、行革あるいは参議院の全国区制度に対する歴史的な改革というようなことをなし遂げられたわけでございますが、これらの点についてどのようにお考えになっているのか、この点をまず伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、鈴木内閣の閣僚といたしまして、行政改革の担任を命ぜられまして一生懸命努力した次第でございます。特に、臨時行政調査会の発足に当たりましては、土光会長に鈴木総理とともにお出ましをいただきまして、臨時行政調査会はいま世紀の大事業に取り組んでおるところでございます。土光さんを初め臨時行政調査会の皆様方に対して、政府としてもその答申を最大限に尊重して実行しますと約束してきております。そういう意味におきまして、鈴木さん、私ともども責任を持っておるものでございます。鈴木さんが総理大臣をお引きになりましたので、行管長官をしておりました私がたまたま総理大臣の大役を引き受けさせていただきましたが、かかる意味におきまして行政改革を遂行していくという一番大事な政治課題を承継して実行していきたい、これが中心でございます。
○岩動道行君 鈴木内閣は時代の要請にこたえた行政改革等の大事業に着手をされて、その第一歩をすでに踏み出されたわけでございます。そういう意味において、日本の政治における大変大きな足跡を残されたと私は考えているところでございます。また、そのやめ方についても、きわめてさわやかな、鮮やかな出処進退をされた。こういう意味におきましても、日本の政治史に残る出処進退ではなかったかと高く評価をいたしたいと思います。 ところで、総理は予備選中に盛岡においでになって、原敬のお墓にお参りをされました。そのときにはどのような心境で、どういうことを心中に秘められたか、この機会にお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 原敬元総理大臣は、私が最も尊敬している日本の政治家の一人でございます。いわば政党政治を確立した大功績者ではないかと思うのでございます。その生涯を見ましても、何と申しますか、自分の信念を持って政治を断行され、大衆に愛されて、民衆政治家、頭が白いので白頭宰相と、そういうふうに言われました。 特に、原さんが山本権兵衛内閣に内務大臣をしておりましたときに、行政改革を思い切って内務大臣として断行されました。たしかあのときは日本の予算が六億数千方円ぐらいでありましたが、約九千万円ぐらいの歳出カットを年度中に実行しておるわけです。年度進行中にそのような大事業をやるということはなかなかむずかしいことであります。 そのほかに、例の陸海軍大臣現役武官制度というのを原さんと政友会の力でやりまして、それを改めまして、陸海軍大臣には予備役の陸海軍大中将までがなれるように広げたわけでございます。これはやはり政党政治家としての大事業でありまして、日本の民主政治を一歩前進させたと思うのであります。これを陸海軍大臣現役武官制にまた戻したのがたしか広田内閣でありますが、それがこの間の戦争への道につながる一つの有力な原因でもあった。陸海軍が大臣を出さないで内閣がつぶれる、そういうことがついにあの破局へ持っていく一つの要因であったということを考えますと、予備役まで拡充した原敬内務大臣は実に偉い人であったと思わざるを得ません。等々いろいろな面を見まして、政治家といたしましても、あるいは行革の大先輩といたしましても、民主政治を確立した方として非常に尊敬をいたしておりました。私お墓参りは二度目でございましたけれども、たまたま総理大臣になりましたので、原敬先輩のお墓の前にこうべをたれまして、民主政治家として自分も一生懸命やりますと。特にそれを念じた背景には、先般、自民党の調整の中に総裁総理を分離するという案がございました。私はそれに反対いたしまして拒絶したわけでございますが、やはり日本の政党政治というのは、政党の総裁が総理大臣になる、これが立憲制度開始以来の日本の伝統でありました。原敬先輩はその伝統を守ってこられたわけでありまして、私はそういう意味におきましても、憲政の常道をゆがめてはならぬという確信を持って自分の行動をしたものでございます。そういう感慨も持ちまして原先生のお墓参りをした次第でございますし、鈴木総理がまた盛岡からお立ちになって、同じような信念で行政改革を断行されまして、そしてそれを引き継ぎにおなりになりました。そういう点もあわせて感無量でお墓参りをしたという次第でございます。
○岩動道行君 まさに私もそういう心境であったことを推察するわけであります。特に私が伺うまでもなく、総理が、総総分離という案が自民党の中に起こったときに、毅然としてその案を断られて、そうして議会制民主主義、また議院内閣制度というものを守られたということは、りっぱなステーツマンとしての決断であったと私は高く評価をいたしたいと思います。 そこで、中曽根総理はとかく世の中ではタカ派だ、こういうイメージを持たれている。私は、それはいままでの総理就任以来のいろいろな機会のお話でそうではないとは思うのですが、しかし、まだそういうイメージがどうもつきまとっているのではないか、そういう点で私は総理は誤解を受けているのではないかというような感じもいたします。 そこで、私はまず総理に伺いたいのですが、総理の過去の体験と、そしてまたいろいろな機会を通しての哲学を体得されたと思うのでありますが、たとえば二・二六事件のときに総理は、軍人政治はいかぬな、こういう感慨を青年時代に強く持たれたという話も聞いております。あるいはまた海軍の主計時代に、古参の士官と戦争反対論をぶった、こういう話も聞いておるのでありますが、そこら辺に総理はどういう気持ちを持っておられたのか、そしてまた今日もそのような政治姿勢と申しますか、信念というものをお持ちか、この機会にお聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 二・二六事件の記憶、印象というものは非常に痛烈にございました。私がたまたま防衛庁長官を奉職しておりましたときに、三島由紀夫君が自衛隊に闖入したという事件が起こったわけです。私は、参議院で開会式が行われまして、終わって自分の事務所でモーニングを脱いでいるときにその第一報を聞きまして、別人が名前をかたったのじゃないかと思いましたが、しかしそのとおりであるということを聞いて、急遽防衛庁へ駆けつけまして直ちに感じましたことは、連動してはいかぬ、こういうときにはこれが正しいか正しくないかはっきり全軍に知らせる必要がある、全自衛隊に知らせる必要がある、そう思いまして、テレビ等を通じましてこのような暴挙は断じて許さぬ、民主主義を守るためにこれは糾弾すべきである、もちろん自分も三島君の本を読んで波の心情はよくわかるけれども、しかしこれは許せない、はっきりこれは許せないということを全軍にテレビ等を通じて示達したわけであります。 それも、あの二・二六事件のときに決起部隊に対して、当時の陸軍省あるいは軍事参議官等は、天聴に達して天皇が許しているのだとか、義軍であるとか、そういうようなデマらしいものが流れて、それがあの事件の解決を長引かせた。最後には、書き物によりますと、天皇が自分で立ち上がってやると言われたとまで書かれておりました。それはやはり、当時軍の中枢にあった人たちが意識が不分明であったからああいうことを起こしたということも考えられます。その印象がありましたものですから、直ちに、いいものはいい、悪いものは悪い、これは断じて悪いということを言って、ほかの部隊が連動するのを防止しよう、そう思ったのであります。 また、戦争中のお話を承りましたが、きょうは実は早川崇君の葬儀の日であります。私は彼と海軍の同期生でございまして、ちょうど十六年の八月に連合艦隊に配属になって、同じ六戦隊で、私は「青葉」という巡洋艦に乗り、早川君は「衣笠」という巡洋艦に乗った戦友同士でありますが、海軍は非常に寛大な気持ちがありまして、われわれ若い士官の言うことをよく聞いてくれたのであります。そのときに、古参の通信長をやっておりました、通信参謀を兼ねておった大尉と、たばこ盆を出せと言って、夜休憩の時間になりましてからデッキで大論争をやった記憶が実はあります。もう油がないから戦争以外にないとその方はおっしゃっておりましたが、私は絶対それはいかぬ、ドイツが勝つということでそっちへ相場を張ることは大間違いになる、そういうことで私はそれに対する批判と反対論を述べた記憶があります。それでもしかし海軍のその大尉や中枢部は別に怒りもしないでわれわれの議論を聞いてくれていたという、そういう非常に寛大なところがありまして、われわれをまた教育してくれたことを感謝しておる次第でございます。そういういろいろな体験をいたしまして、やはり民主主義がとうとい、言論の自由がとうとい、そういうことをしみじみと痛感しておる次第なのでございます。
○岩動道行君 そのような体験とそれから行動によって、中曽根総理は決していわゆるタカ派、軍国主義者ではない。むしろそのような軍国主義になることを極力避けなければいけない、そういう政治姿勢で今後も臨まれるという決意を伺いました。いわばセンチメンタルでない本物の平和主義者である、こういうふうに私は理解をいたしたいと思います。 そこで総理は、憲法問題については非常に明確な態度をとっておられます。自分は改憲論者であるということはきわめて明確に言われている。これはステーツマンとして堂々とした総理の御発言であると私は高く評価をいたしたいと思います。しかし、また一方において、それならば直ちに改憲の軌道を走るのかというと、それは政治日程にはのせない、こういうことでございますが、しかし憲法をよくするために、また時代に合うためには大いに検討し研究することはいいことだ、こういうお考えも示されました。私どもはまさにそのとおりでありまして、党においても憲法調査会が活動し、中間報告も出てまいりました。あるいは自主憲法期成議員同盟も活発に活動して、国民の理解を得るような行動をいたしております。 そこで私は、いま直ちに憲法を改正するために政府が何かやれということは申しませんが、やはり二十一世紀に向かって日本の憲法がどうあるべきかということについては真剣にだれもが検討しなければいけない、研究しなければならない。そういう意味において、各界各層の人を網羅した公正な憲法検討調査会というようなものを政府に設けることも、そろそろ検討してよろしいのではないかと考えておりますが、この点は私の提言として総理にも御検討を今後いただきたいと思いますので、どうかよろしく憲法問題についての真剣な態度をとっていただきたいとお願いを申し上げておきます。 次に、外交問題に移ってまいりたいと思いますが、総理は就任直後、直ちに電話でアメリカの大統領あるいはASEAN諸国の首脳にあいさつをされました。これはまことに鮮やかでみごとな首脳外交の第一歩であったと思います。今後国際情勢がきわめて困難な時代においては、やはり総理の直接の外交というものがきわめて大事でございます。もちろん安倍外務大臣が要らないとは申しておりません。大いにがんばっていただくわけでありますが、やはり首脳外交の時代でありますので、私はこの点について積極的に取り組んでいただきたいと思うわけでございます。 そこで、総理は訪米をされるわけでありますが、そのときに一番いいおみやげを持っていってもらったらどうかという人が私に申し出をしてまいりました。そのおみやげは何だと思いますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり正直に物を言うということじゃないかと思います。
○岩動道行君 コンニャクを持っていったらどうかという話であります。おわかりでしょうか。――つまり、農産物の自由化が大変大きな問題になっておりますが、総理の地元のコンニャクの自由化はどうだろうかと、これこそまさに自由化のあかしになるのではないかという話を私のところへ持ってきた人がありますので、この機会に御披露を申し上げておきます。御返事は要りません。 また、アメリカに行かれますと、防衛の問題あるいは経済摩擦の問題等、深刻にして重大な日米関係の問題が控えておりますが、この点について、総理はいろいろな約束もしてこられることになろうかと思いますが、どうか約束をした以上はこれを守る、こういうことで、したがって、約束は軽々にはできない、慎重にやらなければいけないということで、この日米首脳会談に臨む基本的な姿勢をまず伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回考えておりまする訪米は、物を約束したり交渉するという会議ではございません。そういう具体的な問題に関する商議ということは、私としてはやる考えはございません。それは、外務大臣レベル以下でやってもらいたいと思っております。やっぱり両国の最高指導者が話をするというこういう大事な場合には、国家と国家との関係でございますから、世界的なむずかしい事情のもとに、両国がどういうふうに協力して世界の問題や両国間の問題を打開し、あるいは協力していくかという、そういう話し合いを大局的見地にしてやっていきたいと思うのです。やはりどういう認識をお互いが持っているかという現状分析、また認識、これを話し合って、一致するものは一致させ、一致できないものは一致できないと認め合うことが大事でありましょうし、それについて、じゃ、どういう政策が次にお互い望ましいか、協力する分野はどの辺にあるかと、そういう話し合いをすることも大事でありましょうし、特に発展途上国の問題、あるいはアラブ・中近東問題等につきましてもわれわれは重大関心を持っておりまして、そういう問題についてもよく話し合ってみたいと考えておるところでございます。
○岩動道行君 総理の今後の外交日程でございますが、アメリカに訪問された後、通常国会が待っているわけでありますが、サミットが五月の末に予定をされております。それにおいでになるのは当然でございますが、その前に、たとえばASEAN諸国に訪問されて、そしてアジアの諸国と話し合いをし、そのような中においてサミットに臨むと、こういうお考えはないかどうか、お伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) ASEANは非常に大事な国々でございまして、私も就任早々電話でリーダーたちとお話し合いをいたしました。ASEAN等にもできるだけ事情が許せば早く伺いたいと思っております。しかし、これらの問題は、日本の国会の日程、あるいは先方の御都合等もございますので、外務当局におきましていまいろいろ研究していただいているという段階でございます。
○岩動道行君 ぜひそのような機会を早目におつくりいただきたいと思います。 また、先般ヨルダンのフセイン国王が来日をされました。総理も会談をされたわけでございますが、そのときの会談、差し支えない限りでお話しをいただき、また中東訪問もぜひ私はしていただきたい。通産大臣当時、オイルショックの第一次のときにも総理は中東を訪問しておられますが、今度は総理としてぜひ中東にも御訪問いただきたいのでありますが、この点についてもお伺いしておきます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 中東地域の問題につきましては、単に油の問題だけでなくして、世界政治の要衝としてかねがね関心を持っておった次第で、現在も同様でございます。 先般フセイン国王がおいでになりましたのは、フェズ憲章というものができまして、アラブの国々が対イスラエルに対する共同歩調を、初めて一致した線をつくり出したわけでございます。キャンプ・デービッドの合意には反対していたアラブの諸国も、フェズ憲章ではみんな一致した線ができたわけでございまして、それを持ってフセイン国王はソ連へ行き、中国へ行き、そして日本へ来ていただきました。その状況、主張をよくお聞きしたわけでございます。 私はその際にフセイン国王に対しまして、私はレーガン大統領の中東問題に対する提案を支持する、これは私の基本的立場です。しかし、フェズ憲章でアラブの諸国が一致した線を努力しておつくりになったことについては非常に敬意を表しております。いかにしてこのレーガン大統領の提案とフェズ憲章のラインとを調和させ、調整させるかというところに今後の世界の努力があると思いますと。それにつきましては、アラブの国々が一番いま御関心になっているのはウエストバンク――ヨルダン川の西部地域にイスラエルが入植をどんどんやって、続けているということでしょう。それがどんどん進むということになれば、パレスチナ民族が固有の権利に基づいて自主的な行動をとるということができなくなる、そういう点からも喫緊の問題としてこれは阻止しなければならない。そのためには、アメリカもいろいろそういう点については考えているようであるから、この際、PLOを説いて、そして、それらの国々がイスラエルの国家としての存在を承認したらどうだろうかと。それが先行するということがこれからこの問題を解決するに一番好ましい状態をつくり出すのではないだろうか、そういう態度が出ればアメリカも黙ってはいないでしょう。一番イスラエルに対して影響力を使い得るのはアメリカの立場であるから、そのことをヨルダンの国王陛下としてぜひお考えいただいてアラブの国々に御相談していただいたらどうでしょうかと、そういうことを私は申し上げたんです。ヨルダンのフセイン国王は、率直な話は初めて聞いた、そう言って非常に喜んでおられたようでした。そして、帰ってよく相談をしたいと言っておられました。 やはり、日本も世界政治には重大な関心を持っており、あの地域は日本にとっても非常に大切な地域でございますから、われわれの考えを申すべきことははっきり申し上げて、世界平和、あの問題解決の前進のためにわれわれも協力してまいらなければならぬと、そう思っておる次第でございます。
○岩動道行君 中東問題は単に油だけでなくて、まさに世界平和の核心をなす地域でございますので、積極的に日本の役割りを果たすように今後とも御努力をいただきたいと思います。 そこで、近いところでまず韓国でございますが、教科書問題等で両国の関係がいささか距離を置くようになりましたけれども、本日は日韓議員連盟、韓日議員連盟の合同総会が東京で開かれております。今後韓国に対する日本の対応の仕方、経済協力の問題、どうお考えになっておりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、先ほど日韓議員連盟合同総会第十回の会議に参上いたしまして、ごあいさつを述べてまいりました。先方の皆さんにも非常に喜んでいただきました。こういう年末の忙しいときに韓国からわざわざ日本においでいただいたということは、非常に感謝に値することでもありますし、御熱意に敬意を表しておる次第でございます。 日韓両国の関係には、教科書問題等の問題がございまして、一時波風が立ちましたけれども、両国の大乗的な見解によりまして一応解決を見ました。今後われわれが誠意をもって努力するということで、われわれもその努力を継続しておるところでございます。 先般、全斗煥大統領にも直接お電話をいたしまして、今後の両国関係を友好促進いたしましょうと申し上げましたら、全斗煥大統領からも大局的立場に立って両国の親善のために働きましょうと、そういうお話でありました。私は、一番近い国同士が一番仲がよくなるというのは最も望ましい状態で、自然な状態だと思っておるわけです。そういう意味におきましてわが国も努力もしますし、また韓国側におかれても努力されるように期待しておるところでございます。
○岩動道行君 次に、外務大臣にちょっと伺いたいのですが、先ほど中東問題について総理から基本的なお考えをいただきましたが、先般大使会議が開かれましたが、そのときに会議で出た主要な事項についてどういう話が出たのか、今後の中東政策にどういう考え方を持ったらいいのか、簡潔にひとつ政府の方から伺いたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 大使会議におきまして、現在いろいろと動いております中東の情勢につきまして、意見の率直な交換が行われたわけであります。 わが国としては、御承知のようにパレスチナ問題が中東においては非常に大きい問題ですが、パレスチナ問題についてはパレスチナ人の国家樹立を含む民族自決権というものを支持をいたしておりまして、レバノンにイスラエルが侵入した際も、そしてパレスチナ人が非常に困難な立場に立ったときも、御承知のように国連におきまして、あるいはまた大臣談話等でこのわが国の立場をはっきりと表明をいたしたわけでございますが、そうした基本的な立場に立って、いま総理からもお話がありましたフェズ憲章、あるいはまたアメリカのレーガン大統領の提案をめぐっていまの中東の動き、特にイスラエル、あるいはレバノンの動き、そういったものを中心に話し合いをいたしたわけでございます。その他、いま中東に関係するいろいろと世界的な問題、あるいはまたOPEC等も行われておりますが、そうした石油情勢、そうしたものを全体的にいろいろと話し合ったわけであります。
○岩動道行君 経済協力の問題について伺いますが、防衛面で日本の果たす役割りはきわめて国際的にも大きくなってはきておりますが、そこにはおのずから制約があると思います。 そこで、経済協力という点ではもっと日本は国際的な役割りを果たさなければならないと思いますが、今後政府開発援助等、そういうものを中心として政府はどのようにその経済協力を強化してまいるのか、拡充してまいるのか、この点について伺いたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 経済協力を進めるということは、わが国が平和国家として国際社会に貢献をしていく、こういう立場において非常に重要な、いわばわが国の最も重要な私は国策の一つであると、こういうふうに考えております。そういう中にあって、これまで歴代内閣が経済協力に対して積極的にこれを推進をしてまいりました。特にODA、いわゆる政府開発援助につきましては過去五年間の開発援助を今後一九八〇年から五年間にわたって倍増すると、こういうことを国際的にも約束をいたしまして、五十七年度予算にもそういう約束に基づいて、いわば予算の非常に厳しい中で特別な配慮がなされたわけでございますが、今後ともこの基本的な方向を積極的に、非常に厳しい財政の中であっても進めて、国際的にこの貢献を果たしていかなきゃならない、そういう考えであります。
○岩動道行君 この倍増ということは国際公約みたいなものになっているわけでございますので、ぜひ、厳しい軍律の中なれどと言うのじゃありませんが、厳しい財政の中においてぜひ十分な対応ができるように財政面からお考えをいただきたいと思いますが、この機会に大蔵大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) いわゆるODA五年間倍増と、こういうような一つの方針をもとより念頭に置いて、しかし厳しい財政状況下でございますので、聖域としての位置づけをする考えはありませんが、そういう先ほど申し上げましたことを念頭に置き、いまの岩動委員の議論等も念頭に置きながら予算編成に臨むことには変わりありません。
○岩動道行君 あわせて日本の外交陣営というものがきわめて人員においても貧弱でございまして、イタリーですら五千人の人員を抱えてやっておりますが、それが日本では三千台と、まだまだ足りないわけでございまして、このような点についてもぜひ強化をしてもらいたい。それが日本の国際的な役割りを果たし、また発言力を大きくしてまいる根幹であろうと思いますので、この点についても十分に御配慮をいただきたいことをこの機会にお願いを申し上げておきます。 そこで、直接外務省と関係があるようでないようなものですが、カントリーリスクということが最近言われてきております。これについて外務省、それから大蔵省も関係あり、また通産省も関係があるんですが、カントリーリスクというものをどのようにとらえておられるのか、それぞれのお立場でこの機会に基本的な考え方をお示しをいただきたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いま世界経済が非常に悪い中で、財政的にも行き詰まっておる国がたくさん出ております。いわゆるカントリーリスクの問題がいろいろと深刻な事態にもなりつつあると、こういうふうに判断をいたしておりますが、こうした世界の実態といいますか、カントリーリスクが起こりそうなそういう状況に対しましては、的確にこの情勢を把握をする、あるいは分析をしていくと、こういうことが最も大事であります。そういう立場に立って、外務省としましては在外公館、その他の情報網を通じまして、そうした情勢の把握、そしてこれら分析、そして、それについて各省庁、関係省庁等にもこれを連絡をいたしまして、日本として間違いのない方向でこれに対処していくと、こういう基本的な考え方のもとでこれに対応しておるわけであります。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる金融、カントリーリスクの問題、私どもに直接の関係のありますのは特定国等に対するいわゆる各国それぞれの立場においての金融、それに対する返済の不安、こういうような状態が若干出ておることも事実でございます。これらの対応の措置につきましては、もとよりIMF、世銀等々で逐次対応して、今日のところこれが大きな損失、大きな混乱を呼び起こすことのない形の中で何とか対応できるではないかと、こういう期待をしておる段階でございますが、十分いま外務大臣からのお答えにもありましたように、詳細な情報等をとっておって適切な対応の仕方が必要であるという原則は一緒であります。
○国務大臣(山中貞則君) カントリーリスクの問題は、これはただいま外務、大蔵両大臣より御答弁されたことに尽きるのでありますが、しかし、海外援助その他の実務となりますと、それを行う企業なり商社なりというようなものは、私どもがそのリスクのとらえ得た範囲をよく知らせて、そして無謀なことをしないように、あるいはまたリスクを承知の上でむちゃ――むちゃと言っていいかわかりませんが、余り進出を焦らないようにというような配慮が必要だろうと思います。しかしながら、なかなかカントリーリスクというのもいろいろ質がありますし、リスクのいかんによっては日本政府は全く何も対抗手段もなく、あるいはリスクに関与しようにもしようがない、結果、日本がそのカントリーリスクの危険な国に対して投資をしていた、あるいは金を貸していたという結果について知らされる立場にあります。 たとえば、中東のイラン・イラク紛争の余波を受けた際は、これはシャットル・アラブ川からホルムズ海峡、あのあたりをどうしても通らなければならない日本のプラント類その他、油のタンカーその他ですね、そういうもの等についてわれわれはそれをとめさせる手段もないし、それにまた対抗する手段も持っていない。したがって、日本の場合には戦争保険というものはいままでありませんでした。世界各国にある戦争保険というのを見ますと、その国が必ず積極的にか消極的にか戦争の当事者になっている場合、あるいはイギリスだけ例外でありますが、付近の死活につながる最も近隣の二カ国に対する二次的な賠償、戦争保険に応じているというような例は例外として、全部その国がその戦争に関係が直接出てきた場合に戦争保険というものが仕組まれております。 しかし、日本の場合は何らそのリスクを防ぐ手段もなく、対抗する手段もない状態でありますし、かといって、日本が敗退するべき場所でもない、敗退というのは撤収という意味ですね。そういうことで皆さん方と御相談して、ホルムズ海峡から入っていって川ごと、あるいはシャットル・アラブ川に入っている動けない船、そういうものに対しては特例として日本も会社の外に戦争保険を積む準備金みたいなものを認める制度を出発させたことは御記憶のとおりでありますが、まあこれは全然別な例であったかもしれませんが、しかし、そのような日本はどうしてもそういうカントリーリスクに対しては後を追わなければならない立場にある。そうすると、事前にそれをいかに察知して関係者を指導していくか、国家として行動していくかという情報の収集なり、判断の分析とか、そういうものが大変必要な立場の国であろうと、そういうふうに考えます。
○岩動道行君 そこで大蔵大臣に伺いたいのですが、メキシコとか、アルゼンチンとか、あるいはポーランドとか、かなり危なっかしい状態の国が出てまいりました。そういう国に対する日本の貸し付けがどれくらいになっているのか。そして、リスケジュールというような提案も出て、日本がこれにどう対応しているのか。あわせて一九三〇年代の金融恐慌などにはならないという考えはもちろんあるし、またそういう仕組みにもIMF等でなっていると思いますけれども、この上ともその点については十分な国際協調も必要であります。そういう点から大蔵省はどのような対応をするのか。 なお、この機会に、日本銀行総裁もお見えになっておりますので、万が一のことがあった場合には、日本銀行はこのような金融機関に対してはどういうような態勢で臨むのか。また、国際会議等にもたびたび出ておられますので、国際的に各国の中央銀行の総裁等がこういう問題をどう考えているのか、この機会にお示しをいただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) まず私から簡単に御説明申し上げます。 いま御指摘のように、メキシコ、アルゼンチン等々中南米諸国で債務累積問題が発生して、国際金融不安が起きるのではないかということを心配しておる。メキシコが六百十八億ドル、ブラジルが五百二十二億ドル、アルゼンチンが二百二十九億ドル、ベネズエラ二百二十五億ドル、あるいはポーランド等におきましては百三十二億ドル、こういういわゆる対外債権の残高があるわけであります。したがって、現在のところは、先ほども申し上げましたように、確かにそういう国が債務返済に困難を来たすという状態になっておることは事実でございます。この債務国側、そして債権国、IMF、これらの当事者がこれに適切に対応していくことによって、このことが大きな国際金融市場の混乱を招くことは避け得るというふうに期待しておるところでございます。 先般も日銀総裁はこれらの会合にも出席しておられますので、したがって、あの答弁の要求もあっておると思いますので、日銀総裁のお答えをお聞きいただければ幸いであります。
○参考人(前川春雄君) 国際金融不安が開発途上国の債務累積、あるいは高金利によって非常な苦境に立っておることはいまお話しのとおりございます。そういう国に対する貸付債権、これの回収性につきましては、もちろんそれぞれの貸し出しをいたしました金融機関のリスク負担ということになります。ただ、回収が遅延する、あるいは回収不能になるということによる資金的な対応、これは中央銀行として当然これに対して対応すべきものでございまするので、私どもとしてはそういう事態に対しましては資金的な対応はいつでもできる態勢をとっておるつもりでございます。 各国の対応、カントリーリスクにはいろいろの側面がございまするけれども、いま世界的な、国際的な面で考えられておりまするのは、これが国際信用秩序の破壊につながるということになりますると、非常に大きな影響を世界経済に与えまするので、そういうことにならないように極力努力するというのが共通の課題であるわけでございます。しかし、しょせんは債務国自身の経済政策を新しい事態に対応して変更していただかないといけない、調整政策の遂行をしていただかなければいけないということでございます。主としてそのためにはIMF、あるいは世界銀行から資金を供給する。しかし、その供給するに当たりましては、経済政策の変更を条件とするということでこの困難な事態に対処してまいろうというのがいまの各国の対応でございます。ただ、経済政策の調整を行いましても、その効果が出ますまでに時間がかかりまするので、その間は金融でつないでいくということでございまして、IMFの資金では不十分な分は各国の通貨当局、あるいは政府、あるいは市中銀行がそれぞれその資金の所要に応じて金融していくという対応をとっておるわけでございます。 そういうことで極力そういう国際信用秩序に影響が出ませんように努力してまいるつもりでございますが、一方そういう事態に対応いたしまして、IMFあるいは世銀の資金をふやすという必要もあるわけでございまするので、そういう点につきましてはIMFの増資を急いでやる。あるいはIMFの資金が一時的に不足する場合には、先進国からその資金を供給するということにつきまして、いま先進国同士あるいはIMFのメンバー国同士の間で、増資あるいは緊急融資対策というのを考慮中でございます。
○岩動道行君 どうか世界金融恐慌にならないように、十分な対応をお願いしておきたいと思います。 国際関係の問題にかかわりますので、この機会に在外邦人の選挙権の問題について伺いたいと思います。 在外邦人はもうすでにかなりの数になっておりますし、これらの数が大体どれくらいになっているのか。そしてまた、そういう人たちは基本的なそういう参政権というものを持って海外で勤務をしておるわけであります。あるいは居住しておるわけであります。したがいまして、こういう方に日本の国政に参画を直接させると、そして国際的な観点からも日本の政治に対するいろいろな意見もその機会に述べてもらうと、こういうことでもございますので、在外邦人の選挙権の問題について、ただいま政府の方ではどのように検討を進めておられるのか、まず外務大臣、そして自治大臣からも伺いたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 近年、在外邦人の数が著しく増加をいたしておりますし、また在外選挙の実現につきまして、これらの邦人の中で大変関心が高まっていることは事実であります。そういう観点から、外務省としましても自治省と話し合いを事務的にいま進めておる、どういうふうにしたらいいかということで進めておるわけでございますが、また一方におきましては、御承知のように自民党の選挙制度調査会におきましても、かなりこれは検討が進んでおりまして、私としましてもこの在外邦人の選挙につきましてはできる限り早い時期に成案が得られるように努力をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。目下、政府の中では、外務省と自治省で事務的に話し合いを進めておると、こういう段階であります。
○国務大臣(山本幸雄君) この問題は、ただいま外務大臣からお答えのように、自民党の選挙制度調査会の小委員会で検討中の問題でございます。そこでいろいろ問題点も出されておるようでありまして、なお検討を要する問題もあるようでありますけれども、事が選挙権という国民の基本的権利に関する問題だけに、私どもはこれを前向きにひとつ今後何とか実現のできるような方向で検討をしてまいりたいと、かように考えております。
○岩動道行君 ぜひこれは早急に成案を得て国会に提案されるように、心から願っておきます。 総理も在外邦人については重大な関心を持っておられると思いますので、この機会に総理の御決意も伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 憲法上、法律上、当然有権者である方々が、外国にたまたまおられると、そういう理由によって選挙権の行使が事実上不能であると、そういう状態は異常な状態でありまして、政府といたしましても速やかに解消する責任があると感じております。いま党におきましても、また政府部内におきましても、具体的にどういうふうにこれを打開するか、せっかく検討中でございまして、できるだけ早期に選挙権を行使できるような形に解決していきたいと思っております。
○岩動道行君 元KGBの職員だったというレフチェンコという人の日本における政治工作がアメリカの議会で証言され、またそれが新聞記者会見等で表に出てまいりました。このことは政府は一体どうとらえておるのか。どのように対応すべき問題であるのか。ことに証言の信憑性がどこまであるのか。そのことが日本のいろいろな政治家であるとか、あるいはその他民間の人々に大きな影響と、そしてまた人権の侵害にもなりかねないような内容でございますので、この点について政府の御見解をまず伺っておきたいと思います。
○国務大臣(後藤田正晴君) お答えを申し上げます。 今回のレフチェンコのアメリカ議会における証言、これは当該人物が四年半、長期にわたってKGBの職員として東京で勤務をしておったということでございますから、それの証言ですから、それなりの受けとめ方はしなければなるまいと、こう考えております。 ただ、こういう事件が起きますと、国内でいつもいろいろの騒ぎがあるんですが、これは私は余りいいことじゃない。やはり冷静に受けとめて、そして事態の推移を見ながら、この推移いかんによってはその段階でしかるべきけじめをつけなければならぬような事態になるかもしらぬと、こういうように私は考えておるんです。 ただ、一番基本は、やはり厳しい国際社会で、東京でソ連の工作員なるものがいろいろな活動をしておることは、これはもう過去の事例に徴しても事実なんですね。しかし、どうも海を隔てておるせいか、日本人全般にそういう認識が非常に乏しいということでございますから、やはり基本は、国の機密というものを扱う人、あるいはまたそれに触れることのできる立場の人、こういった方のそういう認識を高めるということが一番肝心だと。それからいま一つは、アメリカの発表で二百人もの日本のいわゆる指導者ですね、あたかもスパイの協力者といいますかね、エージェントというのか、手先というのか、こういう印象を与えられたということは、これは私はやはり重く見なければなるまいと思いますね。多くの方は恐らくやそういう事実はないと私は思うんですね。しからばそのときに、そういった人たちの人権の問題がございます。これをどのように考えればいいのか。いま一つは、そういうことはないと思うが、あるいは法に触れるような事実、日本には機密保護法なる一般法はありませんけれども、国家公務員法であるとか、あるいは防衛庁法であるとか刑事特別法ですか、それなりの単行の法律がございますから、これらに触れるような行為があれば、これはまた問題にならない事実だと私は思います。 いずれにせよ、私は現段階においては事態の推移を見ながら、政府としてはこれに対処をしていく、そして必要な段階が来るとするならば、その段階で適切な対応処置はとっていかなければならぬのではないかと、これが基本的な考え方でございます。
○国務大臣(秦野章君) お尋ねの件は、いまの官房長官のお答えと似たり寄ったりになりますけれども、法務大臣の立場としては、いま入手された材料というものは大変乏しいわけでございます。したがって、いまどうのこうのという対応というものは正直言ってないわけでございますが、事態の推移を見守り、第一にやはり基本的人権が守られるということが大事でございます。そういうものをどういうふうに対応していくかというようなことも、これは法務省だけじゃなくて、考えていかなければならぬ問題だと思いまするし、罰則に触れるような問題があるのかないのか、そういうこともまだよくわかりませんが、ありそうなら、そのことは検討せにゃならぬという検討をいま事務当局がしている程度でございます。
○岩動道行君 これは、日本がスパイ天国だなんて言われる一つの証左でもあろうかと思いますが、そこで、スパイ防止法はどうしろというような声もあちこちに出ておりますが、それはさておき、やはり日本の国益を守るように国民が対応しなければならないし、また一方において、このような事件を通して名誉を棄損されたというような場合には、どのようにしてこの名誉を回復できるのか、人権問題としても真剣に検討していただかなければなりませんが、政府としてもう一遍この問題についてお考えをお示しいただきたいと思います。
○国務大臣(後藤田正晴君) 先ほどお答えいたしましたように、基本的には人権を守っていく、同時に、日本人にとっては大変これは不名誉な事実でございますから、こういった関係で、だんだん事態の推移を見ながら、必要な段階になれば、政府としては私は適切な対応策はとっていかなきゃならぬと、かように考えております。
○岩動道行君 レフチェンコ氏が何か本でも書いて、人の名前が出てくるというようなことになればこれは大変問題でありますから、そういう場合には、その人を日本に証人喚問できるとかどうとか、いろいろな問題がかなり背景には深くあると思います。この問題については、私も私なりにいろいろな問題点、いろんな視点から検討し、また疑問点、質問したいこともございますが、時間もありませんので、改めてこの点については申し上げたいと思いまするし、また総理にも、そのような点については後日またお話を申し上げておきたいと思います。 そこで、防衛問題についてちょっと伺っておきたいと思います。 防衛費のGNP比一 %枠、これは今日まで五十一年の閣議において決められたことでありますが、現実の問題として防衛費を着実に国際的な役割りの立場から実行をしてまいるということになりますると、どうしてもこの一%ではおさまらない。しかも、一方においてGNPが必ずしも不況等によって伸びてこないということになりますと、おのずから現実の問題として一%という問題は突破せざるを得ない、こういう認識も出てくると思います。 そこで、その場合に歯どめは何かということも政府としても考えなければならない、われわれ自民党としても当然この問題は真剣に取り組んでいかなければならないと思っております。その点につきましては、まず防衛費の中身についてもう少し構成を考えてみる必要があるんではないか。人件費、糧食費に半分以上もとっていかれるというようなことで、本当に実のある効果的な防衛ができるのかどうか、やはり装備にもっと重点を置いた防衛費でなければならないとか、こういったような問題もございますので、その点についてどうお考えか、まず伺っておきたいと思います。
○国務大臣(谷川和穗君) まず最初に、今後の防衛費を考えるに当たっての基本的な考え方でございまするが、確かに石油ショックの直後から人件費、糧食費の高騰が、正面整備を中心といたしました、いま先生の御指摘の金額を押しつぶしてきておったことは事実でございます。しかしながら、現在やっておりますことは、わが方といたしましては防衛大綱の水準に一刻も早く近づけると、そういう意味で、来年度を初年度といたします五六中業で、五十八年度予算も概算つくってございます。 それから一%論争と申しますか、一%の枠の問題でございますが、すでに御案内のように、四次防までは閣議決定をいたしまして総額決めてございますが、五六中業は中期の見通しでございまして、そのときどきの経済情勢その他において防衛費を年度ごとに決めていくという形になってございます。そういう形で、確かにGNP比の中で、世界的な経済の低迷から、わが国の経済成長の度合いも鈍化はいたしておりますが、当面この五十一年の閣議決定の一%のラインを直ちに変えなきゃならないとは考えておりません。 なお、歯どめが必要だろうと、将来にかけてもしそういう状態になったら歯どめが必要であろうと、確かにそのとおりと存じております。この問題につきましては、いずれその事態が発生をいたしますまでの間に、防衛庁といたしましても、鋭意これは、そういう事態になるということになるようであれば考えていかなきゃならぬ問題であると、こう理解いたしております。
○岩動道行君 中曽根総理は、先日ウォールストリート・ジャーナルという雑誌ですか、そこでインタビューをされて、そして三海峡の封鎖能力の向上については、「すべてわが国の防衛の範囲内にある」と、こういう旨でお答えになっておられますが、この「すべてわが国の防衛の範囲内にある」ということになりますと、これは日米安保条約はもう要らないといいますか、その地域においては。そうじゃなくて、やはりそういう中で日本の分担する役割りということをお考えになっているのか、どうも自衛隊だけでやるような印象の言葉になっているようでありますが、この点について総理並びに防衛庁長官のお考えを伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) その意味は、わが国が行っております専守防衛の範囲内の仕事でありますと、そういう意味でございます。したがいまして、自衛隊がみずから自主的に守る、また情勢によっては、日米安保条約によりましてアメリカと共同して守る、そういう二つの場合も想定としてはあり得るわけであります。いずれにせよ、すべて専守防衛という範囲内においてこれを行うと、そういうことでございます。
○国務大臣(谷川和穗君) 三海峡の防備につきましては、幾つかの基本になる原則がございます。 一つは、わが国が武力攻撃を受けておるということ、つまり武力攻撃を受けない限りこの三海峡の防衛で直接出動することはございません。 なお、武力攻撃を受けたからといって、直ちにそれでは三海峡の封鎖ということが行われるかどうかは、そのときの状況によって判断されることでございまして、中立国船の通峡、あるいはわが国自体の船の通峡も考えなきゃなりませんので、そのときの事態によって判断をいたすことでございますが、真にやむを得ないという状態が発生いたしましたときには、自衛のため、必要最小限度の範囲の中で、もちろん敵性の艦艇の通峡を阻止するということは、当然これは考えられるわけでございます。そのときにどういう形で阻止するか、当然機雷封鎖ということもあり得ると思いますが、潜水艦、あるいは水上艦艇、あるいは航空機、こういったものを含めまして、わが国といたしましては、そういう事態の発生にも備えまして、鋭意目下防衛力の整備を行ってきておるわけでございます。 総理が、ウォールストリート・ジャーナルの記者との会見においてお述べになられました「すべてわが国の防衛の範囲内にある」という趣旨の御発言は、以上のような原則を踏まえての御発言であると私どもは理解をいたしております。
○岩動道行君 行政改革について伺いたいと思います。 総理は、行政改革の神様みたいに、あるいは場合によっては鬼みたいなかっこうで一生懸命おやりになるわけでございますが、鈴木前総理は政治生命をかけるという、きわめて重大な決意を持って臨まれました。この点について、総理の御決意はどうでございましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は行管長官時代より全身全力を傾倒して努力いたしますと申してまいりました。この考え方は現在も変わっておりません。
○岩動道行君 その当時は土光会長と討ち死にする覚悟でおやりになるということでございましたので、これはもう政治生命以上に、命をかけてと、こういうことでございますので、私は、その御決意をぜひ貫いていただきたい、この内閣の最大の使命の一つであろうと思います。 そこで、土光会長には私は心から敬意を払い、また御努力をいただかなければならないわけでございますが、今後の臨調の答申の進め方、どういう手順になっているのか、行管長官からこの機会に伺っておきたいと思います。
○国務大臣(齋藤邦吉君) 行政改革につきましては、総理がたびたびお答えいたしておりますように、最近の著しい経済社会の変化に対応してやっていかなきゃならぬと、このことは本当に緊急な国民的な課題と理解をいたしておりまして、臨調の答申を最大限尊重して実行に移すという決意でございます。 今日まですでに第一次、第二次答申出たわけでございますが、第一次答申は昨年行革関連法案ということで成立をし、第二次はことしの春成立をいたしたわけでございまして、目下は、第三次答申がことし出ましたので、それを実施するために行政改革大綱ということを閣議決定をしまして、この第三次答申の実行の段階に入っていると。まず第一に国鉄問題の改革促進のための法律案を先般国会に提案もいたしてございますし、さらにまた、今後は長期安定的な経営を必要とする年金問題について、公的年金の問題については関係各省御相談願いまして、次の通常国会に公的年金――国家公務員と三公社の共済年金の統合・一元化、まずその辺を第一着手として来年の春の国会に法案を提出したい、そうしてまた、国民年金や厚生年金等を中心とした年金の統合も来年じゅうに成案を得たいと、こういうふうに第三次答申の実行の順序を立てておるわけでございます。 さらにまた、臨調としてはそれだけで全部済んでおりませんので、行政機構の問題、出先機関の問題、それから許認可の問題等々が残されておりまして、これは目下関係部会でいま慎重に審議をされておりまして、そのうち臨調の方に報告がなされると思いまして、それが来年の三月の末に、三月中ごろに答申が出ると、それが最終の答申になるというふうな順序で進んでいくと、こういうふうに理解をいたしておるわけでございます。
○岩動道行君 そこで、行革に関連して、また、財政再建の立場から人勧の見送りということはまことにやむを得ない措置で、私どももまことに残念な措置でありますが、これはぜひ貫いていただかなければならない、そういう意味で補正予算も衆議院が財源を一%削って承認をされてきておるわけであります。したがって、これはぜひ予算の、国会の意思をそのまま続けるようにかたい決意で臨んでいただきたい。 ところで、地方公共団体はどのような対応をしているのか、これをひとつ自治大臣に伺っておきたいと思います。
○国務大臣(山本幸雄君) 地方公務員の給与は国家公務員に準ずるという給与準則があります。そういう原則にのっとって、今回の国家公務員の給与の見送りが決定されたのに伴って地方公務員も同じような措置を、要請しておるところでございますが、ただいまのところ私どものところに入っておる情報では、まださようなことを違った、国家公務員に準じないような方法で給与決定したという報告は聞いておりません。
○岩動道行君 もしも政府の方針と違ったような対応をした場合にはどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(山本幸雄君) 私どもは、いまおっしゃるようなことにはならないようにと、そういうことをしていただかないようにということを極力要請もし、さような措置をとっていただくようにということでお話をしておることなんで、さようなことで御承知おきを願いたい。
○岩動道行君 行政改革の最大のシンボル的な問題は国鉄再建でございます。この国会にも国鉄再建促進法案が出ておりますが、まだ全然審議に入っていないと、まことに嘆かわしいことでございます。一日も早くこの法案が成立をして国鉄の再建に踏み込まないと国民の信頼を失うことになる、大事な問題であろうと思います。しかしながら、この法案が通らないからといって怠けているわけにはいかないと思います。そこで、国鉄のまず経営の現況が一体どういうことになっているのか、この機会に国民に明らかにしていただきたいと思いますので、運輸大臣から御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(長谷川峻君) 岩動委員にお答えします。 国鉄再建法案についての御心配をいただきましたこと、ありがとうございます。まさに行政改革の目玉と言われ、また国民全体が非常に心配していることであります。 そこで、国鉄総裁もおりますけれども、私の方から国鉄の収支について御報告申し上げます。 五十七年度の予算によりますと、国鉄の収入は助成金を含め三兆九千九百七十八億円、一方、経費は五兆三千八百三十一億円でありまして、五十七年度の欠損は一兆三千八百五十三億円見込まれますが、その収入の中に助成金が七千百十八億円ありますから、差し引きますと実質欠損は二兆九百七十一億円であります。繰越欠損金は五十七年度に八兆九千七百二十一億円見込まれております。長期債務残高は五十七年度で十八兆四千四十億円と、こういうことでありますから、まさに国鉄再建は本当に解決しなきゃならぬ問題、もちろん法案が一日も早く皆さん方の御審議を得て可決し、これに具体的に対策に乗り出すことが望ましいのですが、昨日総理を本部長にして初会合を開いて、その間といえども国鉄の規律の問題、財産の処分の問題、いろんな問題について真剣に取り組まし、またその実績も見ているところでございます。
○岩動道行君 目を覆うばかりの状況でありまして、これはもう本当に早急に総理も真剣に取り組んでいただきたいと思います。 そこで、こういう状況の中で、国鉄はやはり毎日の営業をしていかなければならないんでありますが、五十八年度の資金調達の見通しはどうなっているのか、国鉄総裁に伺っておきたい。
○説明員(高木文雄君) まず、五十七年度につきましては、資金調達をする場合に、やはりどうも国鉄の現状及び将来に不安があるということがあって、債券の引き受け等につきましても従来より非常に抵抗感が強いといいますか、なかなか思うようにお借りできないという問題が起こっておりますけれども、まあしかし、いろいろ各方面に実情もお話しし、将来の方向についての臨調のお考え等も少しく詳しく御説明することによって、まあ御理解を得て、どうにか予算のときに御説明しましたような資金の調達が可能であるということで、苦労はいたしておりますけれども、どうにかやってきております。 五十八年度につきましては、いま予算編成の作業がだんだん進んでおるところでございますけれども、私どもはやはり今後何とか借りるお金を減らすということに最大の努力をしてまいりませんと、利子負担が全体の中で非常に大きな重圧になってまいりますので、一方において借入金を減らす努力をしながら、またしかしあらゆる方法を通じて、当面の運営に支障がないように調達をがんばってやっていきたい、何とかやれるだろうというふうに思っております。
○岩動道行君 相当の借金をしなければならないし、たとえば農中から借りているやつの振替の問題もいま起こっておるようですが、政府の保証でもなけりゃとても貸せないよと、こういう話も出ているわけです。これもやっぱり国鉄の経営の姿勢、職場の規律がああいうふうに乱れておったんじゃ、そんなところに金貸すわけにいかぬよ、だれか保証を立ててくれと、こういうことにもなりかねない。また、そういう実態になっていると思うので、この点は国鉄総裁もしっかりとやっていただかないと、なかなか金の貸し手が出てこないということになろうかと思います。 そこで、再建に関連して、莫大な長期債務があるわけでございますが、これは監理委員会ができたらそこで検討されると思いますが、やはりこれについてもある程度公的な助成がなければとうてい国鉄だけでは処理できないというような問題もあろうと思いますが、この点についての運輸大臣の基本的なお考えをこの機会に伺いたい。
○国務大臣(長谷川峻君) まさに国鉄は破局的状態でございます。そうでありますからして、国会にお願いして監理委員会法案を通過さしていただき、そしてその委員の方々によって従来臨調から出された答申等々を尊重されつつ、将来の経営、さらにいまのような長期債務の問題等々も、その一環の中において御検討いただきたい、こう思っております。
○岩動道行君 そういう状況の中においてこの問題に触れるのはいささかじくじたるものがございますが、新幹線、これは東北・上越新幹線は大宮で切れておるわけであります。したがって、その利用率というものは大変問題になっている。そこで、これは速やかにやはり大宮から上野、東京に結ぶことによって経営の改善もできる、新幹線も生きてくると、こういうふうに思いますが、この点について運輸大臣はどうお考えになっていますか。 なお、あわせて青函トンネルもでき上がります。これだけ投資をして、そのままほうっておくかどうかという問題もありますが、これについての御所見も伺っておきたい。
○国務大臣(長谷川峻君) 岩動委員も御利用されたと思いますが、東北新幹線、上越新幹線、なかなか評判はよろしゅうございます。 そこで、大宮以南の問題でございますが、なかなかいままで片づきませんでしたが、土地の問題等々も片づきましたので、五十九年度までには上野駅開通したいと、こう思っております。 もう一つ、青函トンネルの問題ですが、これは二、三日前新聞にも出ましたように、ようやく両方から掘り当てた。そして、その開通式なども来年の一月下旬などにやりたいという話もありますが、こういう問題についてはただいま臨調の方からも盛岡以北の問題、その他の問題等々は当面見合わせるという話もありますし、そういう御希望等々ありましても、これはまた党の方なり、いろんなところで御研究を願いたいと、こう思っているところであります。
○岩動道行君 景気問題に入りたいと思います。 まず経済企画庁長官、現在の景気はどのように認識をして、またこれにどう対応するか。 そしてまた、経済成長率の修正をしておられますが、これは大変遺憾だったという先ほどの答弁もありましたけれども、まさに遺憾であります。ということは、結局、希望を持つような政策は結構、その数字の設定も結構ですが、それに見合うような政策が伴わない。それが、五・二%が下がってしまう、大幅に狂ってしまうということにもなる。したがって、GNPの見方というのは、これは国の経済の運営の一つの大きな指針であります。そういう意味において、私は、むやみに大きな期待を抱かせて、そうしてどすんと落とすというようなことのないように、手がたいGNPを見て、そして国民がそれについていくと、むしろ一生懸命やることによって、GNPが予定よりもふえると、この方が国民に活力を与えることにもなろうかと、そういう意味において、手がたく見るべきではないかという気持ちで、この問題をまず長官に伺っておきたい。
○国務大臣(塩崎潤君) お答え申し上げたいと思います。 経済成長率の見方は過大でも過小でもあってはならないと思うところでございます。望ましい、しかも、実現可能な姿にしなければならないことはたびたび繰り返したところでございます。 現在の五・二%から三・四%にまで修正いたしましたこの下方修正については、先ほど来大変遺憾であることを申し上げましたが、何としても現在の経済の低迷は中小企業者を初め、国民の期待を大変損なっているものでございます。私どもは三・四%の成長率はぜひとも達成したい、そのためには補正予算を早く成立させていただいて、二兆七百億円の公共投資が一刻も早く実現して、三・四%の成長が実現できるようにしたいと考えているところでございます。 御案内の昨今の長期金利の低下の傾向、円高の傾向、さらにまたアメリカの高金利低下の傾向、英米諸国におきますところのインフレ率の低下、このような世界経済の好転を活用いたしまして、やはり国民が期待を持ち得るような経済成長を遂げていきたい、こんなふうに考えているところでございますし、そのことは昨今の民間の各機関の見通しでも、五十八年度にかけて回復は徐々に進んでいくであろうと、こんなような見通しが出ておることからおわかりのとおり、私は可能と考えるところでございます。 今後とも経済の見通しは、おっしゃるように、手がたくというよりも、むしろ過大でも過小でもいけない。やはり民間の経済を萎縮させない、いろいろの見通しにも影響いたしますところでございますから、萎縮させない、しかし、過大であって各方面にそごを来さないような方向の見通しをつくっていくべきであろうと、こう考えておりまして、五十八年度新経済計画におきますところの見通しも、このような考え方で進んでまいりたいと考えているところでございます。
○岩動道行君 日銀総裁に伺いますが、日本の現在の景気の状態、それに対応して金利がどうあるべきか、ことに公定歩合の引き下げに対する期待感というものがかなり強くなってきておりますが、これに対して総裁のお考えを率直に伺っておきたい。
○参考人(前川春雄君) 景気の現状は、ただいまお話がございましたように、停滞傾向を若干強めておろうかというところでございます。そういう中で金融政策を運営してまいります上におきましては、もちろん景気の問題、物価の問題、円相場の問題等総合的に判断して、機動的に運営してまいらなければいけないわけでございまするが、結論から先に申し上げますると、現在の状況から判断いたしまして、公定歩合の引き下げを行うべきであるという環境には私どもはまだなってないというふうに判断しております。 景気の問題とともに非常に重要な問題になっております円相場でございまするが、本年は年初から夏ぐらいにかけまして、夏から秋口にかけまして大変円安の方に振れました。私ども極力円高の方に動くようにいろいろ対応してまいりましたけれども、主として海外の高金利――アメリカを中心といたします高金利のために、日本との間の内外金利差が大きくなって資本の流出が大きくなり、円安の方向に非常に振れたわけでございます。十一月ぐらいからそういう事態も少しづつ改善をいたしまして、十一月一日には二百七十八円まで円が安くなりましたけれども、現在では二百四十五円ぐらいのところまで戻っておるわけでございます。ただ、こういう推移は私どもはむしろ極端な円安の修正局面であろうというふうに判断しております。そういう意味でこの修正の程度もまだ十分だとは言えないのではないか。年初来の為替相場の動き等から見ますると、私どもはいまの状態をもって円高だというふうにはなかなか判断できない。また、そういうふうな円安の修正もかなり急テンポに行われました。そういう意味で相場がここで安定した環境になったかどうかということは必ずしもまだ即断を許さない環境にあるというふうに思っております。 また、貿易摩擦に関連いたしまして、海外からの円相場に対する見方が非常に厳しくなっておるわけであります。そういう点も十分に配慮してまいらなければいけないところであろうかというふうに思います。 御質問のございました、金利というものをどういうふうに考えていくかということのお話がございました。いま国内の金利面では長期金利と短期金利の開きが非常に広くなっております。長期金利の方は、主として国債が大量に発行されるということから長期金利が高くなっておるわけでございます。そういうために、預金金利よりも長期金利の方が高いために預金に金が集まらないで、高い利回りの金融資産の方に金が行ってしまうという動きが出ておるわけでございます。この長期金利につきましては、国債を初めといたします債券の条件改定が近く行われまするので、いま申し上げましたような状況は若干改善されると思いまするけれども、そういう事態が改善された後、果たして短期、長期の金利の動きがどうなるかということを見きわめませんと、金利水準全体が下がるという効果を期待できるかどうか、必ずしもいまのところでは判断できないわけでごいます。そういう意味におきまして、いろいろいま申し上げましたような点を十分に、総合的に判断いたしまして対応すべきものであろうかというふうに思っております。 景気につきましては、いま先ほど申し上げましたように停滞傾向が続いておりますが、金融面から量的な面を見ますると、マネーサプライはかなり高い水準でございまして、名目成長率をはるかに超える伸び率を示しておるわけでございまするので、そういう面から景気の回復に支障があるというような状態ではないというふうに思います。いま私どもも金融緩和政策対応というものを続けてまいりますことが必要であろうかというふうに考えております。
○岩動道行君 財政から景気を刺激するというようなこと、あるいは回復に大きな寄与をするということが大変むずかしい、幅の狭い問題になっております。そうなってまいりますと、やはり金融政策というものは大変大きな役割りを果たす、したがって、金利政策もそのように有効なときに適切に、機敏に対応するということをぜひお考えをいただいて、国民経済の活性化にぜひ御配慮をいただきたいと思います。日銀総裁、結構でございます。 そこで、中小企業は大変苦しい状態にあります。あるいはまた基礎素材産業が大変苦境にあります。このような問題に対して、先般産構審の答申も出ました。そしてそのような基礎素材産業の構造改善をするためには独禁法との調整も必要である、こういう提案もなされておりますが、この辺についての通産大臣のお考えを聞きたいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) すべての産業をすべて国家が救済するということは、私は自由主義経済の中ではあってはならないことだと思うんです。しかしながら、わが国の基幹産業であって、しかも時の流れとか、電力事情とか、エネルギーコスト高に耐え切れないとかというようなことで、一例を申せばアルミ産業のごとき、アメリカの安い電力によって地金として日本にどんどん入ってきて、日本としてダンピングの提訴でもしようかと思ったんですが、そうダンピングはしてない。そうすると、ほっとけば七十万トン目標が五十万トンになり、現実に三十万トンになっていく。そうすると、アルミ産業はほっておけばなくなってしまうことになります、当然。しかし、日本の総合安全保障として考えて、アルミ産業というものは日本にはなくてもいいのかということを私は考えてみなければなりませんが、そうすると、やはり国内生産の一定の分は持っていなければならない。これは一つの例でございますが、ちょうどおっしゃいました産業構造審議会の圓城寺委員長の答申の中にも、八業種を中心にそれぞれ財政、税制、金融、そういう問題で再生、活性化、あるいはまた企業が単独で、一プラントではもうやっていけないような場合等は、設備の廃棄等を含めた統合というようなこと等についても政府の善処を促しておられる内容でありますが、さてそこで問題になりますのは、独占禁止法との関係が一部出てくるということであります。簡単に言いますと、話し合いをすること自体がいかぬというような表現にとられておりますカルテル、しかし、これは話し合いをしなくて業界全体の再生化が図れるか、活性化が図れるかの問題であり、あるいはまた、それに対して通産省は、行政指導のよしあしも言われますが、国家の問題として国会にもいずれ法律を出してお願いをしようとする堂々たる行為でありますから、私どもが責任を持って、たとえば大臣室で私が、指導をすることもそれはいけないことなのかということなども考えておりますが、まあ独占禁止法は大変自由な競争を持続させ、活力ある産業状態を維持させながら、結果的に豊富にして低廉、そして良質のものを供給していくというのが基本的な立場でありますから、生き残るためのやむを得ないそういう設備の廃棄、統合等については、独禁法の範囲の中の問題ではありますが、私どもとの間でよく話をして、国家的な見地から結論を見出していきたいと思います。 さらにいま一つは、恐らく結果的に企業集約をいたします場合の合併のシェアの問題でありますが、これは独禁法にもありませんし、政令にもないんです。ただ、亡くなられました高橋公取委員長時代に、二五%以上はだめだということを一方的に言われただけでありまして、これは公正取引委員会は行政機関ではありますが、完全に独立して職権を行使する立場のものであったにしても、やはりわが国の産業政策がなぜ二五%のシェア以下でなければならないのかという説明なり、納得なりというものは双方に合意を見ておりません。私はここらは、たとえば合同したときに、基礎素材産業の集約、整理合理化をやったときに、二六%になったら、そのことはもう独禁法の名のもとにおいて、公正取引委員会はすぐにノーと言うのかという問題等は、これは十分お互いに国益を考えるわけでありますから、国家的な見地から話し合うべき一つの例であろう、そういうふうに考えておりますので、余りぎすぎすしたことでなくて、話し合いをうまく進めて、結果、目的に沿うだけの法案が整うように目下努力中であります。
○岩動道行君 まさにその独禁法は企業を、あるいは産業を生かすも殺すも運用次第ということにもなると思いますが、そこで公取委員長、見えていたらこの点について伺いたいんです。
○政府委員(高橋元君) いま通産大臣からお答えがありましたわけですが、今回の基礎素材産業部門の対策につきましてかいつまんで申しますと、独禁法との関係では問題点は二つだと思います。一つはいま大臣からもお話のありました集約化の問題、一つは過剰設備の廃棄の問題であります。 これも考え方をあらまし申し上げますと、三つあろうかと思います。 第一は、企業が自主的に自己の責任で判断をして、創意工夫をもって経済を富ましていく、そのためには市場というものが、マーケットというものが完全でなくちゃいけないということでございます。ただいま問題は売り手であります基礎素材産業部門の方に目が移っておりますけれども、実は買い手であります中小企業に及ぶところの川下、それについても問題が非常にあるわけでございまして、マーケットが完全でなければ日本の経済はやはり完全にはいかないという点が、私どもが考えます第一の点でございます。 それから第二の点は、仮に何らかの共同行為、そのほか競争を制限する行為が必要であるということになりました場合でも、現在の私的独占禁止法の中に、不況カルテルなり、それから合理化カルテルなりという手法があるわけでございますし、いま通産大臣からお話のありました合併につきましても、実質的な競争の制限に至らない場合には、また企業が現に倒産しかかっているいわゆるフェーリングカンパニーである場合には、いろいろな実態に即した運用をしてきているわけであります。 第三の問題と申しますのは、国際的な問題であります。不況カルテルという制度は、二十八年以来日本の独禁法の中にあるわけでございますけれども、これは外国にほとんどその例を見ておりません。不況から脱出し、過剰設備を処理するときにカルテル的手法を用いるということは、欧米各国では考えておるところが少ないように思います。日本の不況カルテル、ただいま二つ認可をしているわけですが、その認可に際しましても、たとえばアメリカあたりから若干のクレームというのが出ておるわけでございまして、そういう広い国際経済の中で相当重要な地位を占めております日本の経済を、これから生かしていくためにどうしたらいいかというときに、やはり国際的な視野なり、観点なりというものが必要かというふうに思います。 いま申し上げましたのは、大まかな考え方でございますけれども、ただいままではまだ産構審の部会の御答申が出ただけでございますから、これから通商産業省とよく事務的に折衝いたしていきたいというふうに思います。
○岩動道行君 公取委員会というのは、経済の裁判所といいますか、独立機関でもございますが、しかし広い意味での行政機関でもございます。したがって、政府の政策、行政については、十分な協調とまたその立場を守りつつ日本経済の活力を十分に生かす、こういう観点から、今後とも対応していただきたい。十分な御協議を賜りたいと思います。 そこで、次の問題に移りますが、公共事業はやはり何といっても日本の経済を支える大きな柱でございますが、第九次道路五カ年計画もいま予算折衝の段階に入っておりますが、私どもは、この柱が日本経済に大きな役割りを果たすということ、そしてまた、その道路財源については、ぜひ一般財源化することなしに、特定財源の現行制度で対応していただきたいと考えておりますが、建設大臣の所見を伺いたい。
○国務大臣(内海英男君) 第九次道路整備五カ年計画の概要いかんということでございますが、道路は国民生活の向上と経済社会の健全な発展を図るために必要不可欠な社会資本でございます。しかしながら、わが国の近代的な道路整備の歴史は、ようやく四半世紀を数えるにすぎない現状でございまして、その整備の目標は、現在のところおおむね二分の一程度でございます。そのために、この五十八年度を初年度とする第九次五カ年整備計画を策定を進めておるわけでございます。 その内容といたしましては、地震、豪雨、豪雪などの災害に強い道路の整備、及び歩行者、自転車利用者の安全で快適な通行空間の確保、二つが、地方定住を促進するための効率的な地域道路網の整備、豊かで住みよい環境の形成を目指すバイパス、環状道路及び都市内道路の整備、四番目が、国の長期的繁栄を支えるための高規格な道路網の整備、五番目が、道路資産の保全と効率的運用のための維持管理の充実と、緊急課題に特に重点を置いて施策の推進を第九次道路整備計画で図ることにいたしております。 また、お尋ねの道路特定財源の問題につきましては、第一次整備計画から第八次までの道路整備五カ年計画の実施のためには、財源といたしまして揮発油税を特定財源として充当をしてまいりましたとともに、必要に応じ税率の引き上げを行うこと等によりまして、その財源を確保してまいってきたところでございます。これらの道路財源諸税は、受益者負担、損傷者負担の考えのもとに、道路利用者に特別の負担を求めているものでございます。現在、建設省では、現行の第八次道路整備五カ年計画に引き続き、五十八年度から六十二年度を計画期間とする第九次道路整備五カ年計画の策定を進めているところでございます。同計画におきましても従来と同様の方針により、国費及び地方費の相当部分を特定財源により確保してまいりたいと考えております。
○岩動道行君 次に、雇用の問題について、労働大臣、現況は大変厳しい状況で、来春の就職状況等も大変厳しい状況でありますし、またロボット化といったようなことも大きな影響が出てくるかもしれません。これに対する基本的な対応、それと、先般発足をいたしました全民労協、これに対する政府の評価を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(大野明君) お尋ねのまず第一点は、現況の雇用、失業状況ということであろうと思いますが、現在、何と申しましても景気の足取りというものが力強さを感じられないというようなことを反映いたしまして、労働力需給の緩和であるとか、失業者の増加であるとか、非常に厳しいと思っております。大体、完全失業者も昨年よりも十万人程度多い、あるいはまた、失業率も二・四%前後、また、現在の状況からいっても、これは求人の低下であるとか、あるいはまた求職者の増加であるというようなことで、有効求人倍率も〇・五八程度の水準で進んでおるということでございます。特にそういう厳しい中で今後考えなきゃならないのは、何といっても中高年の方々の問題であると同時に、いま先生御指摘の産業ロボット、あるいはまたOAの導入等による雇用への影響はどうなるかというようなことで、鋭意努力をし、また研究もいたしておるところでございます。 また、第二点目の問題につきましては、先般全民労協ができた、これはもう、民間労働組合が多年の懸案であったろうと思いますし、また、その間には紆余曲折もあったように聞いておりますけれども、民間組織労働者の約半数が加盟してここに結成を見たということは、わが国の労働運動史の中で非常に意義があるんではないかと考えております。今後の運動というようなものを十分に注目していきたいと考えておるところでございます。
○岩動道行君 財政問題に移りたいと思います。 まず、五十八年度の予算編成の基本的な考え方を大蔵大臣から伺っておきます。
○国務大臣(竹下登君) 五十八年度予算編成の基本的な考え方。まず、初閣議において総理から説示がございましたように、一般歳出を前年度同額にこれを抑制する、これがまず基本的な考え方の一つであります。なお二番目は、歳入面につきまして税外収入等極力これを工夫することによって、少なくとも補正後の公債発行額を下回るような公債発行にとどめていきたい、この二つであろうかと思います。
○岩動道行君 中期展望計画から見ると大変な落ち込みで、また歳出と歳入のギャップは大変大きいわけでありますが、それを埋めるのにまた国債の定率の繰り入れを五十八年度もやるのか、やらないのか。あるいはまた、歳出のカットはもちろん当然厳しくやるわけでありますが、私ども党の方としても、基本方針としては、一般歳出については前年度の歳出を下回る、それ以下にする、こういう厳しい方針を打ち出すために、いま鋭意検討を続けているところでございます。そういうことを踏まえて、歳出についての政府の厳しい考え方がどういうところにあるのか。 それからまた税外収入、これについて、たとえば貨幣の関係の問題であるとか、その他いろいろな項目があるわけでございますが、どのようなものが考えられるか、この辺をお示しいただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) きわめて端的な表現を用いるならば、第一の点におきましては、いま岩動委員が御指摘のように、考え方の基本にはいわゆる聖域というものを設けることなく、厳しい抑制措置を図っていきたい、こういうことであります。総理がお使いになります言葉の中に財政改革こういう言葉がございますが、すなわち歳出面において、いわゆる国の受け持つ分野、地方自治体の受け持つ分野、あるいは企業・個人が受け持つ分野、そのような点を洗い直しつつ、極力抑制してまいりたいと、このように考えております。 第二番目の税外収入の問題でございますが、いま委員御指摘になりましたように、いわゆる補助貨幣の取り崩しの問題でございます。これは、言ってみれば大蔵省内の議論の中にその結論が出る問題でございます、極言して申しますならば。他の税外収入につきましては、それぞれ各省の所管される分野との関係がございますので、それらにつきましてはいま鋭意個別な検討に熱心に入っておるという段階でございますので、個別のものをここで申し上げる段階にはやや時間がかかるのではないかと、このように思っております。
○岩動道行君 財政の将来展望についてもう少しその議論を深めてまいりたいと思っておりますが、時間がありませんので省略いたします。ただ、現在の日本の予算の構成上、税収というものは六〇%程度であります。よその欧米諸国を見ますと八〇%―九〇%であります。このような日本のきわめて異例な姿というものは何としても是正をしなければ、健全な財政というものは生まれてこない。これは一年や二年で直るものではないと思います。したがって、公債の発行についても、五十九年度赤字国債から脱却、これはきわめて困難という言葉はたびたび伺っておりますが、むしろ、もうできません、こういうことの気持ちで私どもは受けとめてまいりたいと思いますが、将来の展望について、この際大蔵大臣から伺っておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 恐らく、岩動委員はかねての御主張であります、いわゆる現実性のある財政再建の展望というようなことから解きほぐして所見を聞きたい、こういうお考えであったと思いますが、いずれにいたしましても、今後の財政再建の進め方につきましては、まず五十八年度予算を厳しい歳出削減を中心に編成をいたしますとともに、そうして今後の願望につきましては、それこそ経済五カ年計画等の作成等の問題がありますが、それらをも踏まえつつ、いよいよそれらをお示しするときには少なくともわれわれが予算編成を、財政再建を進めるための手がかりの一つであり、また本院において予算審議をしていただくための参考の資料に供することができるようなものをこれから鋭意作成をしてみたい、このように思っておるわけであります。かねての御主張の点を、御指摘の点を踏まえまして検討してまいる所存であります。
○岩動道行君 農業問題について一言伺います。 水田利用再編の第三期についてはどのような姿勢で臨まれるのか。また、あわせて農産物の自由化枠の拡大と国内農業との調和をどう図るか、経済摩擦の関係でこれは農林大臣と総理大臣に伺っておきたいと思います。
○国務大臣(金子岩三君) お答えします。 第三期についてはまだ時間がありますので、第二期が五十八年度までですから、五十九年度の予算の編成時期において検討をいたしたいと思います。 それから農産物のいわゆる自由化の問題でございます。いろいろわが国の農業の需給動向等を考えまして、これからの日本農業の健全な発展を確立するために自由化については慎重な態度で取り組んでまいります。
○国務大臣(中曽根康弘君) 農産物の輸入の自由化の問題については慎重に対処してまいるつもりでおります。
○岩動道行君 文部大臣に伺いますが、教科書問題の経過と措置、そして今後の検定の進め方について伺っておきたいと思います。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 教科書問題といいますと、例の中国、韓国との関係の問題ですね。
○岩動道行君 はい。そうです。
○国務大臣(瀬戸山三男君) これは岩動さん御承知のとおりで、本年の七月、追っかけてまた八月、中国及び韓国から、わが国の教科書の記述の問題、特に歴史教科書の前述について、過去における中国内におけるわが国の行い、また韓国内におけるわが国の行いの記述について、何と申しますか、承服しがたいというような意見が出てまいっておること、御承知のとおりでございます。そこで、これがいろいろこじれますと、近隣友好関係の諸国とのいざこざになるといけませんから、政府はわが国の立場、またわが国の教科書のあり方等を踏まえながら、周到にと申しますか、慎重に、しかも機敏に関係国との意思疎通を図りました。その結果、今年の八月の二十六日に歴史教科書についての官房長官談話を発表いたしたわけでございます。それで一応外交上の問題は大体の収拾を見たと、こういう結果でありますが、文部省としましては、この官房長官談話の趣旨を受けまして、九月十四日、教科用図書検定調査審議会に対しまして「歴史教科書の記述に関する検定の在り方について」という諮問をいたしました。審議会で慎重御審議の上、十一月十六日に考え方の答申をいただきました。 答申は、教科書検定において、わが国と韓国、中国を初めとする近隣のアジア諸国との過去における不幸な関係にかんがみ、これらの諸国の国民感情等にも今後一層配慮する必要があるとし、このため、検定の基準に国際理解と国際協調に係る事項を加える必要があるとしてあります。 そこで、この答申に基づきまして十一月二十四日、教科用図書検定基準を改正いたしました。 その改正の趣旨は、「近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること。」という検定基準の一項目を追加したわけでございます。そして、今回の検定基準に至る経緯及びその趣旨等について、教育委員会や学校等の教育関係者に対し周知を図るため、歴史教科書についての文部大臣談話を発表して、連絡をいたしてその措置をとると、こういうようにしておりますが、今後はこの基準の改定によりまして、いま申しましたような関係は検定の中でよく考える。ただし、昭和五十六年度検定いたしておりますものは一年繰り上げて来年度検定をする、かようなことでございます。
○岩動道行君 検定制度を堅持して大いにやってください。 そこで、エネルギー問題について若干伺いたいと思いますが、原油事情が大変緩和をして、いわば買い手市場であり、価格も下がっております。そういう中において、省エネルギー政策であるとか、あるいは代替エネルギー、原子力、石炭、LNG、こういったような大きな柱はぜひさらに促進をしていかなければならないわけでありますが、これについての基本的なお考えを伺っておきたいと思います。
○国務大臣(山中貞則君) 固体エネルギーから流体エネルギーへという歴史的な変換、もっともまだ石炭等はわが国では時に北海道の例のような犠牲者も出しながら自給度を維持しようと努力しているわけでありますけれども、しかし大勢はいかんともしがたいわけで、石油の輸入依存度を考えましても、わずか〇・〇一%ぐらいの生産しかないわが国として、今後の問題をどうしていくかについては、すでに代替エネルギー、新エネルギー等を含むそういう特別財源、特別会計的なものもつくって出発しておるわけであります。したがって、国民全体の消費に対する協力も相まって、現在の石油の輸入量は第一次石油ショック発生前の昭和四十五年ぐらいのところまで落ち込んでおります。もっとも、これは他面、税収の減をもたらしますので大変喜ばしいんですが困った点もありますけれども、そこでわれわれとしては、やはり水力、先ほど申しました石炭の安全にかつ積極的に努力をすること、水力、地熱、あるいは太陽熱、その他いろいろと知恵をしぼって、やはり依存度を七五から五〇へという目的を達成するためのスピードをさらに速めるとともに、将来のそういうものについていろいろ考えられますが、日本にとって最も得やすい代替エネルギー、新エネルギー、そういうようなもの等については、どうしても海外依存をしなければならないLNG等については、長期かつ安定的な供給のための努力、さらにまた一朝事あるときにばたぐる――ばたぐるという表現も変ですが、日本がばたばたしないで済むように、供給先、依存先を多方面化していくというような努力も考えながら、御指摘のようなしぼった方向で、行き先を明確にしつつ政治の努力もその方向に向かって集中していきたい、そのように考えます。
○岩動道行君 ぜひ緩むことなく代替エネルギー政策を促進していただきたいと思います。 時間もなくなりましたので、実は環境庁長官、科学技術庁長官にも伺いたいんでございますが、お許しをいただいて省略をさせていただきたいと思います。 郵政について一つだけ伺っておきたいと思います。 長距離通話料の引き下げの計画ができているようでございますが、これはぜひやっていただきたい。と同時に、市内通話料十円三分を十円二分にするという計画があるやに聞いておりますが、この件についてはいかがでございますか。
○国務大臣(桧垣徳太郎君) わが国の電話料は、近距離は大変割り安であり、遠距離は非常に割り高であるという特徴があったわけでございますが、遠距離通話料の引き下げということが利用者の側から大変強く求められてきておりまして、本年の八月以来その検討に当たっておったわけでございますが、去る十二月の七日に関係方面との意見調整を終えまして成案を得ましたので、次期通常国会に公衆電気通信法の改正を御審議いただきたいというふうに考えております。法案の成立を待ちまして遠距離通話料の引き下げをいたしたい。 内容としては、いま三百二十キロ以上の電話については三段階の料金が通用されておるわけでございますが、これを一律にいたしまして、最高六百円の通話料を四百円に引き下げる措置をとりたいというふうに思っておるわけであります。 実施の時期につきましては、法案の通過後、課金装置――料金の算定装置の取りかえをやらなきゃいかぬわけでございますので、若干の時間がかかりますので、大体明年の八月ごろになろうかと思っておるわけでございます。 市内通話料十円は、確かに諸外国に比べまして大変割り安になっておるわけでございますが、現在の電電公社の採算状態はしばらく黒字が続く見込みでもございますので、私としては当面、市内通話料の料金の改定は行わないというつもりでおるわけでございます。
○岩動道行君 公共料金の引き上げは慎重にお願いしたいと思います。 そこで、問題を先に進めますが、南極政策について、この際政府の所見を伺っておきたいと思います。 南極条約は一九九一年に効力を失うことになっております。そうしますと、領土権というものは、いままでは南極条約の加盟国は全部主張しないということでやってきておりますが、つまり、この点については人類共同の大陸であるかどうかという問題もございます。一方、領土権を主張している国もあるわけであります。日本とアメリカは領土権を主張してない。ソ連もそうだと思います。そういう中において期限がやがてやってまいります。 そこで、南極に関する国際的な空気というものを、まず最初に第一次南極の調査隊長である永田極地研所長から伺っておきたいと思います。
○参考人(永田武君) お答え申し上げます。 昭和三十二年に現在の昭和基地を建設いたしましてちょうどことしが二十五周年目に当たります。その間三年間中断いたしましたが、年々着実に研究の面もそれから昭和基地も進展いたしまして、ただいまでは昭和基地とみずほ基地の二カ所でございまして、目下三十四名の日本の隊員が越冬いたしております。 これまでの二十五年間におきまして、東経二十五度から四十五度、およそ経度で二十度の範囲から南極点を結びます扇状の地域、その地域も日本の国土の約二倍半ございますが、その地域は日本の科学的勢力範囲と申しますか、日本の研究及び調査が定着いたしております。この地域で気象、雪氷、海洋、あるいは岩石、地質構造、それからオーロラ現象、それから生物といった各部門につきまして着実な研究成果を上げてまいりました。米国とソ連のこの二つの国は、規模におきましても人員におきましても超大国でありますから別といたしますと、その他の国々に比べまして、わが日本国の研究業績は一、二を争うものかと自負いたしております。 ただ、そう申しますのは、科学的調査の情勢でございまして、南極で人間が住むという数ではただいま日本は三十四名と申しましたが、ソ連は約二百八十名、米国は百十名昨年越冬いたしております。アルゼンチンは二百名、オーストラリアは七十六名であります。イギリスですら五十五名越冬いたしておりますので、人間が住むということでは日本は必ずしも多いとは申せません。 研究におきまして、この二十五年間、初めの十五年は基礎的研究でございしたが、数年前から南極大陸の周辺におきます南大洋の海洋生物の資源という問題、それから南極大陸並びにその周辺の大陸棚におきます鉱物資源の開発の可能性という問題が大きく上がってまいりまして、わが国も含めまして南極の調査研究も、実際の基礎的な研究から漁業を考慮に入れた海洋生態学、生物生態学の研究、あるいは鉱物の存在を考慮に入れた地質構造の研究というふうに次第に実際面の基礎研究に向かいつつあるのが現状だと思います。 以上、お答え申し上げます。
○岩動道行君 厚い氷に覆われた大陸で資源戦争が静かに進んでいるわけであります。 そこで、効力の失効する先を考えて、この南極政策に関する基本的なこと、これは、観測事業が中断されたときに、中曽根総理と長谷川運輸大臣、お二人が日本の国会議員として初めて南極においでになり、そして観測事業を再開された、こういう非常に重要な役割りを果たしたお二人でございますが、この機会に総理から南極政策の基本について伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 南極大陸は学術上からも非常な貴重な地域でございます。そこで、世界の国々が集まりまして、人類の貴重な地域として共同の責任で保全しよう、こういうことで南極条約が成立いたしました。 特にこの中におきましては、南極を非核地域にする、核によって汚染されない地域にしよう、それから領土権を主張させない、そういうような人類共通の宝庫として、学術的宝庫として活用しようということで、いままで研究が進められてまいりまして、各国の研究所が兄弟のように手をつないで麗しい情景が展開されてきたところでございます。日本もその一員として昭和基地を建設をして貢献してまいりまして、学術的にも高く評価されてきております。 特に オーロラの研究等につきましてはかなり高い水準を持っておるわけであり、ロケットを南極で発射しているという特異性を持っておる国でもございます。 最近におきましては、いまのお話のように、資源との関連におきまして学術研究が進められてまいりまして、そういう点でも重要な地域になっておりますが、しかし、南極条約がつくられました初心、つまり人類共通の学術の宝庫としてこれを尊重し合っていく、そして、領土権やあるいは核の問題につきましては清浄な地域にしておこう、この考えは一貫してわが国は堅持してまいりたいと思う次第でございます。
○岩動道行君 質問をこれで終わりますが、暗いどん底にあるような日本の経済とか、その他の国際環境でございますが、日本の将来について総理はどのような展望を持ち、そして国民に自信を与え、あるいは希望を与え、また夢を持たせる、資源の足りない、少ない、あるいは無資源国と言われる日本ではございますが、人的資源というものはきわめて貴重であり、人的資源なくしてはすべてのことは進まない。そういう意味において、日本はきわめて優秀な民族、国家であります。これに高い教育と技術と、そして徳と、そして国際性を持たせる人材をつくっていくことこそ日本の将来の大きな展望に結びつくと思いますが……
○委員長(土屋義彦君) 岩動君、時間がまいりました。
○岩動道行君 総理のこのような日本の将来についてのお考えを伺って終わりたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) いま世界的に石油危機に基づく不況の底にありまして、どの国も非常に難渋しております。わが国もその国の一つではありますが、ほかの国に比べますればわが国の経済力は非常に強靱でありまして、この底力は、依然として底力として続きたくましくなっていっているものと思います。この底力があればこそ、私は日本の将来に向かってたくましい文化と福祉の国をつくろうということができるのであると確信しております。 この底力がどこからきているかという点を見ますと、地勢学的なわが国の位置という問題もございますけれども、長い二千年の間培われました日本人の精神性、あるいは文化の力、あるいは社会的結合力等々、あるいはさらに幾たびかいろんな問題、外国文明と遭遇しましたけれども、外国文明を常に飲み込んでこれを消化していくという強靱な日本の伝統的な文化的胃袋の力、非常に寛容な精神、しかも非常に進歩的な、常に前向きにひたむきに前進していくという日本人の進取、積極の精神、こういう伝統的な力がいまここで底力を発揮しているいわゆるファンダメンタルズであると思うのであります。こういう基礎的な諸条件を大切にして、さらにそれを培養しつつ、さらに新しい文明や世界の共通する問題について日本人が貢献し得るようにやっていきたいと思います。 ただ、ここで一番考えなきゃならないのは、国際的日本、世界の中の日本という自覚が依然として足りないということでございまして、日本人の外国に対するあこがれも結構でありますけれども、また一面におきましては、外国から日本が尊敬されるような世界的日本、国際の中に生きる日本という考え方に日本人全体がなって、そして外国からも尊敬を受ける国にますますしていかなければいけない、このように感じておる次第でございます。
○委員長(土屋義彦君) 以上で岩動道行君の質疑は終了いたしました。(拍手) ─────────────
○委員長(土屋義彦君) 次に、馬場富君の質疑を行います。馬場君。
○馬場富君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、五十七年度補正予算全般について質問いたします。 最初に、いま国会でまた国民の間でも大変問題になっております中曽根内閣の組織の問題について並びに政治姿勢について深い関心が寄せられておりますが、これについて質問をいたします。 最初に、最近政治家の政治倫理とあわせまして公務員の綱紀粛正が大変問題になっております。行政の乱脈ぶりが発覚し、公務員に対する国民の批判の声は高まり、公務員の綱紀粛正問題となって今日の行革の発端となったと思います。その後も公務員の不正事件は後を絶たなくて、国民のひんしゅくを買っております。国民の仕事をあずかる公務員の綱紀について、総理はどのようにお考えになっておるかお尋ねいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 公務員の皆様方に綱紀粛正を要求する前に、各閣僚以下いわゆる特別職の公務員等がまず率先垂範いたしまして国民の皆様に範たるように進退を心がけなければならぬと思っております。特に、政治家として、国会議員として、あるいはさらに閣僚、政務次官等として台閣に列し、あるいは公務を奉ずる者は、人様よりもさらに特別のそういう地位にあるわけでございますから、さらに重責、大きな責任を持っておるわけでございます。私生活はもとより、政治資金あるいは選挙、あらゆる場合を通じまして、いやしくも指弾されることがないように進退しなければならないと考えております。
○馬場富君 私は、ここで、公務員の不正経理については九十一回国会でわが党の矢野書記長が、これらの問題に対する政府の統一見解を要求したことについて、五十五年三月に大平内閣より三項目の統一見解が出されておりますが、この三項目について、官房長官から説明願いたいと思います。
○国務大臣(後藤田正晴君) お答えを申し上げます。 御指摘の、当時の統一見解、よく承知をいたしておりますが、中曽根内閣におきましても、この統一見解は守っていかなければならない、また、変更するいささかの理由もございません。さように考えております。
○馬場富君 この三項目の統一見解については、明確に、もう一遍確認する意味で、この席で読んで示していただきたいと思います。
○政府委員(角田禮次郎君) 便宜私が読み上げますのでお許しを願いたいと思います。 一、御指摘のいわゆる空出張等の不正経理に随伴して、公務員がその職務に関し虚偽の内容の公文書を作成しこれを行使した場合には、虚偽公文書作成同行使罪が成立し得る。 二、刑事訴訟法第二百三十九条はその第二項において「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」と定めているので、右の要件を満たす場合には、原則として公務員には告発義務が課せられていると言える。 三、政府としては、官公庁等における空出張等予算の不正経理の根絶を図ることとし、すでに昨年十一月二十六日に各省庁間でこのための具体的な申し合わせを行い、これを実施しているところであるが、今後ともその徹底を図り、国民の信頼の回復に努めてまいる所存である。 以上でございます。
○馬場富君 ただいま読み上げてもらったのが公務員の不正経理に対する政府の統一見解であります。中曽根総理は継承され、尊重されると思いますが、この統一見解に対して、中曽根総理の確たるお気持ちを聞かしていただきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) この統一見解を遵守してまいります。
○馬場富君 次に、法務大臣と、あわせて文部大臣にもとの統一見解に対する決意をお伺いいたします。
○国務大臣(秦野章君) 国家公務員は国民全体の奉仕者であるから、清廉公正に身を処すべきは当然でございます。いやしくも世人の批判を受けるようなことがないように、その綱紀の厳正な保持に努めるべきものと考えます。
○馬場富君 いや私の聞いているのは、この統一見解を厳守されるかどうか聞いてるんですよ。
○国務大臣(秦野章君) 当然に厳守すべきものと考えます。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 御指摘の五十五年の政府の統一見解は、当然に遵守すべきものと思っております。
○馬場富君 ではお尋ねいたしますが、今年に入ってから、文部省だけでも文化庁の汚職、秋田大学医学部の不正な経理、あるいは管理局の空出張、九産大の補助金問題等が挙げられておりますが、文部大臣は、これについてしっかりと御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 従来から、公務員の綱紀粛正については厳に慎むようにしておるわけでございますが、御指摘のような遺憾な事態が起こりましたこと、まことに申しわけない事態であると反省をいたしております。 それについては、それぞれ調査の上、法規に従って、処分するものは処分をいたしておるということでございますが、さらに、改めて次官通達をもって各部局に綱紀の粛正、経理の厳正等を通達しておる、こういう状態でございます。
○馬場富君 私は、いまの文部省の不正問題について内容を聞いておるんです。おわびの言葉を聞いておるんじゃないです。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 事態の内容については事務当局からお答えさせていただきます。
○政府委員(阿部充夫君) お答えを申し上げます。 文部省管理局教育施設部におきまして、昭和五十六年度の決算検査報告において指摘されましたように、旅費の経理につきまして適正を欠く事実があったことはまことに遺憾なことでございます。深くおわびを申し上げる次第でございます。 旅費の経理を不適正に行いました金額は、総額にいたしまして昭和五十五、五十六両年度にわたりまして五百六十万円余りということになっておりまして、これらの資金を深夜勤務者の場合の交通費でございますとか、あるいは夜食費に二百五十万円余り、それから出張日数を一日つけ増しをしたというケースで三十三万円が使用されておりまして、ほかは緊急出張のための旅費の仮払い資金として保有され利用されておったということでございます。このような事実が判明いたしましたので、不適正に経理いたしました資金につきましては、去る十月五日、責任のある課長から全額を国庫に返納をいたしまして、また十月十五日付をもちまして両課長について懲戒、それから部長その他の関係者につきまして文書訓告の処分を行ったところでございます。 なお、このたびの事態の発生にかんがみまして、部内の綱紀粛正につきまして、十月二十七日、事務次官名をもって一層の趣旨の徹底を図ったわけでございますが、今後このような不祥事が生じないよう予算の適正な執行に努め、綱紀の粛正を厳正に期してまいりたいと考えております。
○馬場富君 時間がありませんので、ほかの件につきましてはこれはまた後日にしまして、いま当局が説明されましたこの公務員の空出張の件については会計検査院が調査されたようでございますが、その内容について検査院から説明願いたいと思います。
○説明員(竹尾勉君) 御説明いたします。 文部省教育施設部におきまして架空の名目による出張命令伺い、旅費請求書等関係書類を作成し、出張の事実がないのに出張したことといたしまして不正に旅費の支出を受けていたものが五十五年度三十一件、百九十七万余円、五十六年度四十九件、三百三十七万余円、両年度で八十件、五百三十四万円ございました。これら不正に支出を受けた旅費につきましては別途に経理いたしまして、二百五十七万余円を使用して、会計実地検査当時、五十七年七月に二百七十六万余円を保有しておりました。すでに使用したものの使途につきましては、当局では職員の飲食代、交通費等に使用したと説明しておりますが、領収書等によりその使途を確認できましたものは四十七万余円にすぎず、二百十万余円につきましては裏づけとなる資料がなく、その使途の確認が困難な状況でございました。 また、これとは別に、日額旅費の支給を受けて出張する職員の一部に対して、一出張につき一日ずつ出張日数をつけ増しした額が支給されたものが五十六年度に五十三件、三十三万円ございました。 以上、簡単でありますが、御説明を終わります。
○馬場富君 検査院にもう一遍お尋ねいたしますが、調査された中でこれらの空出張は個々の申請が正規の手続で、正規の文書できちっと行われておったかどうかお尋ねいたします。
○説明員(竹尾勉君) お答えいたします。 架空の名目により不正に旅費の支出を受けていたり、日額旅費の出張日数をつけ増ししたりした際、当事者はその手段といたしまして形式的に文部省所管旅費規則等によりまして、出張命令伺い、旅費概算及び精算請求書等の関係書類を様式にのっとって作成、整備いたしまして、所定の手順を踏んで手続をとっていたのは御指摘のとおりでございます。
○馬場富君 もう一遍ここで、文部省にこの件についての処理はどのようになされたか御説明願いたいと思います。
○政府委員(阿部充夫君) お答えいたします。 先ほど御報告をしたとおりでございますが、不適正に経理をいたしました資金につきましては全額を責任者から国庫へ十月五日に返納いたさせました。それから、それに関係をいたしました二人の課長につきましては十日十五日付をもちまして懲戒処分として戒告、それから部長その他の関係者につきまして文書訓告の処分を行っております。
○馬場富君 私は、この不正使用については、返せばよいとか、あるいは金額が小さいとか、こういう問題ではないと思います。 総理、いまお聞きのような事実でございますが、先ほどの統一見解を遵守されます立場から、この事件は統一見解の一項目の、公務員がその職務に関し虚偽の内容の公文書を作成しこれを行使した場合は、虚偽公文書作成同行使罪が成立し得ると、こういう見解がございますが、総理はこれに対してどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) このような綱紀の弛緩した事件が起きましたことは、まことに申しわけなく、遺憾に存ずる次第でございます。 その処理につきましては、先ほどの三項目に該当すると思われますが、具体的な処分につきましては、関係当局に任せて善処させたいと思います。
○馬場富君 善処ではいけません。総理もまた法務大臣も文部大臣も、いまこの国会の席上で約束されたわけでございますから、これに対してはやはりしっかりとその立場に立ってよく調査されて、この議会中に一つは私の方に報告をされることを委員長にお願いしたいと思いますが、よろしくお取り計らいいただきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) そのように取り計らいたいと思います。
○馬場富君 私は、この問題を取り上げましたのは、先ほど説明のありましたように、これらの不正経理について、かつて五十四年に国を挙げて根絶に取り組んだわけでございます。この事件は、そのやさきの五十五年、五十六年度において行われております。私は、余りにも無神経であり、公務員が組織ぐるみの不正は個々には罰せられないと、空出張はみんなでやればこわくないと、こういう余りにもひどいことではないかと、余りにも国民をばかにしたことじゃないかと、こういう点について再度総理の私は責任をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど申し上げましたとおり、そのような三原則を立てまして、そしてその後にいまのような事態が起こりましたことは、まことに申しわけなく遺憾に存じます。 ただいまも申し上げましたように、文部省にこの処理につきまして、その三原則を尊重してやるように検討させたいと思っております。
○馬場富君 じゃ、その点についてはしっかりとお願いいたします。 次に、政治倫理について質問をいたします。 辞職勧告。あるいは証人喚問等の動きが国会で行われておりますが、最近国民の間では、会社では悪いことをすると首になると、また公務員にも服務規程があると。だが、高級官吏である総理や大臣や閣僚にはこの規定がないのかという声を聞きます。これについて私も調べてみましたら、実は国家公務員法の規定が適用されるまでの官吏の任免に関する法律というのがございました。そのために官吏服務紀律というものもございました。これについて総理大臣はどのように御存じですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 官吏服務紀律は、戦争前、たしか太政官の達しで初めできまして、それがずっと戦争前まで続いておりまして、戦争後は、直後に大改正が行われて、いわゆる官吏服務紀律としてそのまま生かされてきておる、このように心得ております。
○馬場富君 法務大臣はいかに御理解ですか。
○国務大臣(秦野章君) いま総理が御説明になったような太政官布告以来の官吏の服務紀律というものは、基準として今日まで脈々と生きていると思います。
○馬場富君 この法律については総理府の所管であると思いますので、総務長官は、この紀律についての第八条を読み上げていただきたいと思います。
○政府委員(藤井良二君) 大臣にかわって読み上げさしていただきたいと思います。 官吏服務紀律の第八条でございます。「官吏ハ本属長官ノ許可ヲ得ルニ非サレハ其職務ニ関シ慰労又ハ謝儀又ハ何等ノ名義ヲ以テスルモ直接ト間接トヲ問ハス総テ他人ノ贈遺ヲ受クルコトヲ得ス」「②官吏外国ノ君主又ハ政府ヨリ授与セントスル所ノ勲章栄賜俸給並贈遺ヲ受クルニハ内閣ノ許可ヲ要ス」。 以上でございます。
○馬場富君 ここで法制局長官にお尋ねいたしますが、この法律の精神と、あるいはこの官吏とは現在いかなる官職のお方が該当するか、御説明いただきたいと思います。
○政府委員(角田禮次郎君) 官吏服務紀律の精神とは何かというお尋ねでありますが、同紀律の第一条にも規定されているように、官吏は国民全体の奉仕者として国民の負託にこたえて職務に誠実に精励しなければならないというのが官吏服務紀律の精神であろうと思います。 それから第二の御質問の、ここで言う官吏とは何かということでございますが、これは、現在一般職の職員については御承知のように国家公務員法の規定がすでに施行されておりますので、一般職の職員には該当はございません。したがって、若干の特別職の職員についてこの服務紀律が適用されるわけであります。たとえば内閣総理大臣、国務大臣、それから政務次官あるいは宮内庁長官とか、そういう若干の特別職がここで言う官吏に該当するわけでございます。
○馬場富君 ここで第八条の本属長官とはどなたかということと、それからもう一つは、この法律、紀律には公務員と同じく時効がないと聞いておりますが、その点はどうかという点と、それから、この法律は必ずいまも生きてこの存在があると、この点についての御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(丹羽兵助君) 馬場先生のお尋ねにお答えさしていただきます。 ただいまのお尋ねの件でございますが、この法律に基づきましては、特別職の公務員の一部についてはなお効力を有しておると承知をいたしております。 なお、その特別職を言えということでございますから申し上げまするが、内閣総理大臣、国務大臣、政務次官、秘書官、宮内庁長官、侍従長、私の承知しておるのはそれだけでございます。 以上でございます。
○政府委員(角田禮次郎君) 第一の御質問の本属長官とは何かということについては、大体任命権者というふうに理解してよろしいかと思います。 それから第二の時効につきましては、これは、官吏服務紀律は別に刑罰そのものを規定しておりませんから、時効の規定はございません。したがいまして、特別に非違が重いというようなときには、かなり古い事件についても、それ相当の処分の対象に当たるもの、そういうものがあれば処分し得るということが言えると思います。 それから第三の御質問は、若干理解できませんでしたけれども、この官吏服務紀律が全体として効力が今日あるかという御質問であったように聞き取りましたが、それは冒頭、委員も言われましたとおり、一応昭和二十二年の十二月三十一日で効力が切れておりますけれども、御承知の法律百二十一号というものによって「従前の例による。」ということで、先ほど申し上げましたような若干の特別職については今日なお適用されている。そういう意味では生きているということになるわけでございます。
○馬場富君 もう一点落としておるわけですが、この八条で言う本属長官とは、現内閣だとどなたかということです。
○政府委員(角田禮次郎君) 閣僚について言えば、内閣総理大臣がそれに当たると思います。
○馬場富君 では中曽根内閣総理大臣にお尋ねいたしますが、こういうやはり紀律、法律がございます。それはいま説明のような範囲に及ぶわけでございますが、いま国会で辞職勧告等で問題となっております佐藤孝行議員に対しましては、総裁はこの規定からいったならば処置にやはり応ずべきだという見解を持つべきですが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 官吏服務紀律は特別職の公務員に適用されるということでございます。もしその人が、その政務次官在職中という場合にはそれに該当いたしますし、また、過去においてそれに該当しておったということも、それは引き続いて効力のあることであると、そう感じております。 しかし一面におきまして、また議員としての立場がございまして、選挙民との間で代表者として国会を構成する重要な機能を営んでおるわけでございます。前から申し上げますように、国会は主権を構成する大事な立法府でございまして、しかも国権の最高機関と言われておるところでございます。それを主権を構成するという重要な機能を営むにつきましては、選挙民とそれから被選挙権者との間の選挙という行為によって、それが法的に形成されてきておるわけでございますが、その大事な国権の最高機関を構成するという、そういう機能を、本人の意思によらずして第三者が切断し得るかどうかという問題に該当してきております。 私は、その点につきましてはいろいろ御議論があるところであると思いますけれども、こういう問題は第三者が強制するよりも、これは本人がみずから決断すべきものである、あるいは選挙民の判定にゆだぬべきものである、そのように感じておるのでございます。
○馬場富君 それは総理、おかしいじゃないですか。服務紀律があり、そういう法律がある。それで、それを総理は遵守すると言っておきながら、片や、その方がそれに該当するという場合に、その本属長官である総理は、これに対して何がしかのことをきちっとしなきゃならぬ私は責任があると思う。それを国会議員だからいいというような、そんなことは私は通らないと思うのです。 ここで私はもう一点、それじゃ総理が先ほどおっしゃいましたが、広く人材主義で閣僚を総理は登用されました。この法律を守る立場であれば、加藤国土庁長官については、現在この中にまともに該当しています。この点についてはどうでしょうか。
○政府委員(角田禮次郎君) ちょっと、誤解があるといけないと思いますので補足いたしますが、ある特定の方が、政務次官当時に何らかの非違があったとしても、その方が政務次官をすでにやめられて、その後現在の官職に仮におつきになっても、現在の官職自体には別に、官職在職中に別に非違がなければこの八条の規定が適用になるわけではございません。 それから同時に、また別の例でございますけれども、現在国会議員でいらっしゃる方が仮におられるとしても、その国会議員には初めからこの官吏服務紀律は適用にはなりませんから、その点は先ほどの私の説明が若干舌足らずであったかと思いますので補足させていただきます。
○馬場富君 私はそんなことを聞いておるのじゃない。総理に、加藤国土庁長官を総理は任命になりました。これは現在の閣僚でございます。私は、この紀律からいったらこれは当然該当するから、総理は前に一応考えるべきじゃなかったかと、このことを聞きたいのです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 官吏服務紀律に該当するかどうか私は疑問の余地があると思っております。 また、本院において私はすでに申し上げましたとおり、加藤君はわが自由民主党の中におきましても八面六臂の活躍もし、また、非常な誠実勤勉に国会議員としての職務も果たして、それはわが自由民主党員万人が認めるところでございます。この人材がこのような事態のもとに埋もれてしまうということはいかにも惜しい。やはりチャンスを与えてあげて、そして世の中でそれを評価していただきたい。そういう政治家としての気持ちから、また、政党人としての気持ちからこのような措置をとっておるものでございます。
○馬場富君 では、加藤国土庁長官に、この服務紀律についてどのようにお考えかお尋ねいたします。
○国務大臣(加藤六月君) 先ほど法制局長官が述べました見解と軌を一にするものでございます。
○馬場富君 そういう、紀律がありながら紀律に該当するかわかりませんと、こういうような紀律や法律なら私は意味がなくなってしまうと思う。国民が大きな疑問を持ち、国会でも論議されておる以上、やはりそういう紀律があるということをはっきりと国民に理解してもらって、そして、こういう紀律のもとに私たちはしっかりやっていくのだと、こういう姿勢があってこそ国民は私は納得できると思う。国会議員だから、あるいは法律の見解はこうだからというようなことでは私は絶対に納得できません。やはりそういう立場からいっても、私は国民の前でも、このような規定や紀律もあることでございますので、しっかりとやはりこれに対する喚問等には応じるべきだと考えますが、総理、重ねて御答弁を賜りたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 議院証言法の問題につきましては、各党でいろいろいま御商議願っておるところでございまして、一日も早くこれを決着さしていただきたいと念願いたしております。その結果、本人がどういう行動に出るか、それは本人に尋ねてみたいと思います。
○馬場富君 重ねてもう一遍総理に。この服務紀律を今後も総理はしっかりとお守りになる気かどうか、もう一遍再確認します。
○国務大臣(中曽根康弘君) 官吏服務紀律は厳格に厳守してまいりたいと思います。
○馬場富君 次に、ロッキード裁判についての質問をいたします。 最初に、指揮権発動についてでございますが、憲法第六十五条「行政権は、内閣に属する。」、同六十六条三項には「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」ということがございますが、この指揮権の発動問題について中曽根総理は当然事前に法務大臣から連絡があるはずだと、そういう見解をこの前もお述べになっておりましたが、そのときには発動しないようにするという、この点についてはどのように考えてみえますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) いわゆる指揮権は法務大臣のみが持っておるものでございまして、内閣総理大臣が持っているものではございません。どういう事件にどういう態様で問題が起き、処理されるか、全くこれはまだ仮定の問題でございますので、一般論を申し上げるより仕方がないと思います。 もし仮にそういうような事態が起きた場合には、法務大臣はあるいは私のところへ相談に来るかもしれません。そのときにはその事件の内容等をよく検討して、自分の考えをまとめ、また法務大臣に対して私の考えを伝えたいと思います。
○馬場富君 法務大臣にお尋ねいたします。 指揮権の発動をするようなときには事前に総理と相談が、あるいは指示を仰ぐ、そういう考えがあるかどうかということをお尋ねいたします。
○国務大臣(秦野章君) お答えいたします。 仮に――そういうことはほとんどないと思いますけれども、仮にそういうことがあれば当然、重要な問題ですから、総理の御指示、御相談を申し上げることは当然だと考えます。
○馬場富君 先ほど総理が指揮権発動は法務大臣の固有の権限であると、こうおっしゃいましたが、法務大臣は総理の指示に従う必要はないと、こう考えてそういう行動をされる場合もありますか。
○国務大臣(秦野章君) 中曽根内閣の一員として、そういうような事態は全く予想しておりません。
○馬場富君 では次に、検事総長は法務大臣請訓が行われることになっておりますが、これについて説明されたいと思います。
○政府委員(前田宏君) いまお尋ねの請訓というのは、検事総長が一定の場合に法務大臣の指揮を求めるといいますか、仰ぐといいますか、そういうことを指しているのだろうと思います。 私どもの運用といたしましては、まあ内部のことでございますが、一定のごく限られた事件、これは罪の種類で決めておるわけでございますが、そういうものにつきましては、その処分をする前に大臣の指揮を受けるというふうに決めておるわけでございまして、そのことをお尋ねであろうかと思います。
○馬場富君 国会議員の逮捕その他将来政治問題化することが予想されるような事件はその請訓規程の中にありますか。
○政府委員(前田宏君) 先ほども申し上げましたように、ごく限られた罪種のものにつきまして、処分の前に大臣の指揮を求めるということでございまして、たとえば例を申しますと、そういうことはほとんどございませんが、全くと言うほどないわけでございますが、内乱罪であるとか外患罪であるとか、そういうごく一部の犯罪を列挙してそれについてそういう手続を定めているわけでございます。
○馬場富君 重ねて聞きますが、検事総長は、将来政治問題化することが予想されるような事件については、国会における検察権の代表者である法務大臣に対し、折に触れて積極的に報告を行うというような状況になっておるようでございますが、この点はどうでしょうか。
○政府委員(前田宏君) 法務大臣は法務行政の責任者でございますから、法務、検察の中でどういうことが現に起こっておってどういうふうに運んでいるかということをお知りになる立場にあるわけでございます。したがいまして、法務大臣が承知しておくべき事項につきましては、私ども事務的に連絡を受けて、必要に応じて随時御説明を申し上げるということでございます。
○馬場富君 次に、法務大臣は個々の事件について検事総長に対して捜査の打ち切り、起訴、不起訴、起訴猶予あるいは公訴の取り消し、求刑の内容あるいは控訴及び取り下げ、上告及び取り下げ等の指揮も当然できるように私たちは理解をしておりますが、刑事局長この点はどうでしょうか。
○政府委員(前田宏君) 検察庁法という法律がございまして、その規定の上で、具体的な事件に関しましては検事総長のみを指揮できるということになっておるわけでございます。したがいまして、具体的事件の処理に関しましてもろもろのことがあるわけでございますから、理論的にはそういういまおっしゃいましたことも指揮の対象になり得るということでございますが、それはいわば法理論の問題でございます。
○馬場富君 法務大臣が具体的な事件に関して指揮をした場合、検事総長がこれを不服なものと考えた場合にどのような措置がされるかということと、それはやはり法務大臣の指揮のもとに従うか、この点についてお尋ねをします。
○政府委員(前田宏君) これも一般的なお尋ねであろうというふうに理解してのお答えでございますが、それぞれケース・バイ・ケースでございますから、従う場合もございましょうし従わない場合もあるということしか一般的には申し上げられないわけでございます。
○馬場富君 では、ここで秦野法務大臣にお伺いいたしますが、あなたは元法務大臣の稻葉さんの著書である「鮎釣り海釣り」という本を読んだことがございますか。
○国務大臣(秦野章君) 読んだことはございません。
○馬場富君 それでは私が、今日のこの事件のことについて非常に関係がありますから読んでみますが、ちょうど稻葉法務大臣が田中総理の逮捕のときの模様がここに書かれております。 「大臣ですか、安原です。本日正午過ぎから三時まで、検事総長以下、検察首脳会議を開きました。前総理田中角栄に対する逮捕状を裁判所に本日中に請求したいとのことですが、大臣のご許可を頂きたいのであります。逮捕は明朝七時を期しているそうです」という。 「ついにそこまできたか。迷惑千万だが、罪名は何か」 「外為法違反です」 「外為!」 「ええ、しかし収賄容疑充分で、取調べが進めば収賄の起訴もすることになるでしょう。裁判所に請求するのに説明しやすい罪名で、というわけでございます」 「逮捕はしたが取調べのあげく、駄目だったなんてことはないでしょうな。収賄で起訴する自信、そして公判維持の自信は充分あるかね」「検察首脳陣の慎重な検討の結果ですから」 ひと息入れて咄嗟の決断をした。 「よろしいでしょう。やむを得ませんな」 「ご許可頂けますか」 「許可しないというわけにも参らんでしょう。私は予定通り今夜の夜行で帰りましょう」 以上が刑事局長と私との田中逮捕関係の電話のやりとりである。 三木首相その他、党や政府首脳には、明朝、東京渋谷の借家に着いた後、七時以降に知らせる決心を固め、法相の職務権限において処置することにしたのである。私一人の責任であり、事前に知っていたという意味での共同責任者たる閣僚や党三役などがあったんでは、かえってご迷惑だろうと瞬間的に気付いたからである。 指揮権を使って「逮捕状請求不許可」「捜査打切り」で、臭いものにふたをするということは全然思いもよらなかった。この事件始まって以来、検察陣に対する政治干渉は一切やらないという、一貫した私の決意だったからだ。秩序維持と人権尊重を職務とする役所たる法務省の長官として、そんなことは出来るわけがないからである。 このように実は稻葉さんは本の中で言っておりますが、ロッキード事件の被告の田中元総理の逮捕のときの稻葉前法務大臣の心境が私は出ておると思いますが、秦野法務大臣はこのお気持ちをどのようにとられますか。
○国務大臣(秦野章君) 稻葉法務大臣の心境をどう思われるかといっても、いま裁判係属中でございますから、裁判係属中の事件についていま私がとかくのことを申し上げることは適当ではない、こう考えておりますので、御了承願いたいと思います。
○馬場富君 では次に、もう時間がございませんので、補正予算の点についてお尋ねいたします。 五十七年度補正予算につきましては、非常に異例ずくめの予算でございます。まず、税収不足が六兆一千億、当初見積もりの一七%にも及ぶような実は税収不足でございます。それからまた、赤字国債増発も史上最大のものになっておりますし、また、その上に国債整理基金の繰入停止あるいは地方交付税の減額あるいは人勧凍結あるいは社会保障関係の削減と、いろんな面で史上初めてだというものが大変多いわけでございますが、この一つ一つを私見てみまして、今後の日本の方向性にとってきわめて重大なことが私は実は盛り込まれておる、こう考えますが、中曽根総理の率直な意見を承りたいのであります。
○国務大臣(中曽根康弘君) 御指摘の性格があると思います。この補正予算の中には、過去の行為の後始末という部面とそれから将来に向かって景気あるいは住宅政策、災害等々の処理と、二つの性格がございますが、六兆一千億に及ぶ歳入欠陥が生まれたということもこれは大きな事態でございますし、それを処理するためあるいは財政上の諸問題等から公務員の皆様方に、人事院勧告を見送るという方針を内閣がつくりましてがまんしていただいているということもまた非常に大きな事態で、われわれは責任を感じておるところでございます。
○馬場富君 では、大蔵大臣にお尋ねいたしますが、この六兆一千億に上る巨額な税収不足というのは、どういう原因で起こったのか説明願いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 六兆一千億の税収減、これの原因は何か。端的に申しますと、いわゆる不透明な国際経済のまれに見る停滞、これに左右された、このように基本的には言わざるを得ないというふうに思います。
○馬場富君 この中で、 今回は国債整理基金が実は繰り入れの停止が行われておりますが、これも異例でございますけれども、この点について御説明願いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 御指摘のように、定率繰り入れの停止、これはまさに五十七年度の困難な財政事情にかんがみましてそして国債整理基金の資金繰り上、公債の償還に支障のないということからやむを得ずこれを行ったことでございます。したがって、減債制度そのものを廃止すると、こういう考えではございません。
○馬場富君 いま大蔵大臣の答弁を聞いておりますと、いままで整理基金を設けてきた意味がどこにあるかということが非常に疑問になってきますが、赤字ができるような財政だから、信用のために基金というのはなお持たなけりゃいかぬじゃないか、またそういうことを崩してはいかぬじゃないかと、こう思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 私は、いま御指摘のとおり、国債整理基金の創設の趣旨、これは昭和四十一年十二月二十六日の財政制度審議会の報告に基づいたものであります。 これはいま御指摘にあったとおりでありまして、公債政策の健全な運用を図るために公債の償還財源調達の仕組みをまず確立すること。それから制度確立の意義と効果につきましては、一つには公債政策に対する国民の理解と信頼を確保すること、二番目には財政の膨張、国債残高の累増に対する間接的歯どめとして働くこと、三番目には財政負担の平準化の効果を持つこと、四番目には国債整理基金に滞留する資金によって国債の市価維持の機能を果たし得ること。これが設けられた趣旨であるというふうに理解しております。
○馬場富君 私は、いままでの国債整理基金の役目というのはやはり非常に大きい力を持っておったと思います。だから、このような制度を崩すようなことになれば、私はこれにかわる新たな信用制度というのを考えなければ、これは国民に相済まぬと思うわけですが、この点どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) まさに御説明申し上げましたように、緊急やむを得ざる措置としてとった措置でございますので、現実、減債制度そのものを否定するものではない、こういう精神は今後とも貫きたいと、このように考えております。
○馬場富君 じゃ重ねてお尋ねしますが、五十八年度においても同様な措置を行うようであれば、やはり国債に対する国民の信用度というのは、なお一つは、落ちてくるわけですが、このようなことはどのようにお考えですか。
○国務大臣(竹下登君) この問題につきましては、厳しい財政事情下にございます。しかし、本来国債整理基金が創設されたその趣旨は害してならないという精神を貫きつつも、五十八年度予算編成の過程において決めなければならない問題だと、いま検討中であるというしか答えようがございません。
○馬場富君 いま大臣は、償還については差し支えないような、そういう管理体制でいっておるという御説明でございましたが、私は、大きくこの問題は崩れてきておる。昨年と今年について二回でございますし、これが崩壊するようなことがあったならば、これは大変なことでございます。政府は今後のこの償還財源についてどのようになさるおつもりか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる五十九年度以降、今後どうするかと、こういうことでございます。 五十八年度の定率繰り入れにつきましては、いまお話し申し上げましたとおり、五十八年度予算編成の過程で、五十六年度決算処理に伴います同基金への繰り戻しの問題と一緒に五十八年度財政事情を踏まえて検討中と、こういうふうに申し上げたわけであります。すなわち、まだ結論を得るには至っておりませんと、このように申しました。 そこで、将来の公債償還の問題というような問題につきましては、これは今後、中長期的視点に立ちまして、そして今後の財政運営や国債管理政策のあり方など、それこそ幅広く各方面の意見を聞きながら検討してまいりたいと、このように考えております。
○馬場富君 五十八年度の、結局、この取り扱いの問題でございますが、いまよくわからぬということですけれども、大臣としてはそれはやる方向性か、それともこれは絶対行わないと、こういう点についての進路だけを教えていただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 先ほど申し上げましたように、この五十八年度の予算編成の過程におきましては、御存じのように、五十六年度決算処理に伴いましてお借りいたしましたものの同基金への繰り戻しの問題が出てくるわけであります。まあ一過性と言えば一過性でございますが、それと合わして検討をするということでございますので、重ねて申し上げるようでございますが、まだ結論を得るには至っておりません。
○馬場富君 この補正予算の中で、今国会で非常に問題になった人事院勧告の問題につきまして少々お尋ねいたします。 先般、衆議院で与野党合意が見られまして、この点については一応理解をいたしておりますけれども、五十七年度実施について、一つは、どのようなスケジュールでこの実施が考えられておるか、御説明願いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) この申し合わせが行われました五十七年度の問題については、これは国権の最高機関たる国会で与野党の合意において話し合いが行われる、今後も引き続きと、こういう段階でございますので、やはり政府の立場からは、現在、率直に申しますと、その推移を見守っておると、こういう答えが限度ではなかろうかなと、このように思っております。
○馬場富君 いや、これはやはりこのような事態に対応する意味で、早急に給与改定法の提出とともに第二次補正等も考えるべきではないかと、こういうふうに考えますが、この点、総理と大蔵大臣の見解をお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) そのいわゆる結論が出て、財源対策を第二次補正の問題で検討しろとかいうような、いわば今日の時点においてその仮定の事実に基づいてお答えをすることは、財政当局の立場としてこれはできないことだというふうに思います。 そこで、強いておまえの考えを述べろと、こう言われますならば、各党の協議の結果、私どもが考えておりますと同じような結論が出ることを心から期待申し上げておると、こういうことになろうかと思うのでございます。
○国務大臣(中曽根康弘君) この問題につきましては、各党間でいまお話し合いが継続中でございまして、 〔委員長退席、理事長谷川信君着席〕 各党の御趣旨等も踏まえ、かつまた各党間の話し合いがどういう決着に落ち着くか、見守っておる次第でございます。
○馬場富君 総理に一言。 その与野党間の合意については、間違いなくそれは総理もこのように理解してみえますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) ただいま申し上げましたように、各党間の折衝がどういう線に落ち着くか見守っておると、こういう次第でございます。
○馬場富君 大蔵大臣にお尋ねしますが、五十八年度の実施については、大蔵大臣は、やはり当初予算にはむずかしいような見解が報道等で出ていますけれども、ここらあたりの見解はどうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 各党の話し合いの推移を見守っておると。この問題を外に置いての私の今日までの見解といたしましては、いわゆる五十七年度人事院勧告が見送りということが決定したと、こういうことになれば、五十八年度、一般論としまして申し上げることは、この給与の計上は従前どおり、もとより定昇に伴う増額はございますけれども、組むべきではなかろうか。 さらに、いわゆる給与改善費の問題に論及なさっておるといたしますならば、これが従来からの経緯等を考えてみまして、これはいかに取り扱うべきかという問題、財政事情自体から見ればその余裕があるとは言えない。が、今日までの経過がございますので、いかに取り扱うかということについては、これこそ五十八年度予算編成の過程において決めなきゃならぬ問題である。が、環境としてはそれらを計上する余裕があるとは言えない、こういうふうに考えております。
○馬場富君 従来は、これは間違いなく当初予算に組まれて、はっきりと働く人たちに誠意を示した予算であったわけですけれども、この点は従来の事実をお守りになりますかどうですか。
○国務大臣(竹下登君) これは昭和四十四年度予算におきまして給与改善費が設けられたわけでございます。予算の費目におきましてはこれは給与費でございますが、その説明の中に給与改善費という言葉が使われておるわけであります。 当時の情勢を見ますと、いわゆる高度経済成長期という背景の中において、この一定額を、給与費に改善のためのものを計上したと、そういうことになるわけです。それがその後の財政軍情の中でこの比率が年々低下してまいっております。したがって、ことしの場合見送りが決定したということで補正予算で減額補正をお願いしたと、こういうことになり、そうして予算編成作業の中で給与改善費というものがあらかじめ計上されるべきものであるか、あるいはそれはやはり人事院勧告というものが出た段階で考えるべきものか。こういうことには、この給与改善費をめぐる本院において何回も古い先生方からも議論されて今日まで来ておりますので、それらを私も精読をいたしておりますが、きょうのようなこうした問答を重ねながら、そして政府部内で計上するか否かを結論を出さなければならぬ。ただ、それをできる環境にございますと、純財政的見地から言えばそれを断言するような状態にはない、こういうことであろうと思います。
○馬場富君 それでは、この人事院勧告は、御存じのように労働基本権の代償として設けられた措置でございますが、この勧告ということについては大蔵大臣は尊重されますか。
○国務大臣(竹下登君) 勧告は、昭和二十二年のいわゆる政令からこの法律になりましたずっと歴史的経過から見ても、それから本院でもたびたび議論をなされておりますように尊重すべきものであると、この姿勢には変わりございません。政府の一員として変わりございません。
○馬場富君 この人事院勧告については本年度の実施、あわせて来年度の予算計上等を強く要望いたしまして次の質問に移ります。 次に、景気問題についてお尋ねいたします。景気の現状は、アメリカの高金利の低下などで若干政策の自由度ができてきたようでございますけれども、OECDの経済見通しの下方修正等に見られるように、世界経済の回復は一段とおくれ、縮小化に向かっております。また内需は非常に盛り上がりを欠いておりますし、七月に河本前企画庁長官が二番底と言われましたけれども、このままの状況がなお深刻に続いておるというのが現状ではないかと思いますが、政府並びに日銀総裁の景気判断についてお尋ねいたします。
○国務大臣(塩崎潤君) 景気の、あるいはまた経済の現状につきましては、ここでたびたび申し上げました。足踏み的な状態と一言に言われるところでございますが、五・二%の成長率を三・四%に下方修正したあの目標は、私どもは達成可能と考え、政府も民間も全力を上げるべきだと考えるところでございます。 最近の金利低下の傾向、さらにまたアメリカにおきますところのインフレの低下、高金利の低下の傾向、円高の傾向、これらの下方修正した後に生じました経済事情を十分にまた活用いたしまして経済成長を図っていきたい、こんなふうに考えているところでございます。
○参考人(前川春雄君) 景気の現状判断でございますが、このところ、私ども夏ごろ判断しておりました状態よりはどうも景気全体の停滞傾向が強まっておるというふうに思います。これは国内の需要項目ばかりでなしに、海外の状況も世界同時不況というような言葉が当てはまるかと思うような状態でございます。 〔理事長谷川信君退席、委員長着席〕 したがいまして、日本の輸出もここのところ余り伸びないということが大きく響いておるわけでございます。 ただ、これから先でございますが、インフレ率はずっと下がってまいりましたので、そういう点から考えますと、実質的な所得、実質的な消費というものはこれから伸びることが十分期待できると思います。また、海外の状況もいままでよりは来年は少しずつよくなるであろうというふうにも考えられまするので、そういうふうな環境からまいりますると景気がさらにどんどん悪くなるというふうには思っておりません。 また、日本の国内企業の企業収益状況も、企業の経営努力、減量経営の努力によりまして、収益状況につきましては、余りよくはございませんけれども、まだそこそこの収益を維持できておるということもございまするので、そういう面から見ましても景気がさらにどんどん悪くなるというふうにはいまのところは判断しておりません。ただ、なかなか内外の環境が非常に厳しいわけでございまするので、景気の状況については十分慎重に見てまいる必要があると思います。
○馬場富君 続いて日銀総裁にお伺いいたしますが、アメリカの公定歩合が下げられました。このことから、やはり日本の公定歩合についても下げ日程が一つは日程に上っておるというような状況が言われておるわけでございますが、この点についてどうでしょうか。
○参考人(前川春雄君) アメリカの金利は、過去三年間二けたの高金利が続いておったわけでございまするが、アメリカのインフレ率がだんだん下がってまいりまするのに対応して、金利も逐次引き下げられつつあることは御指摘のとおりでございます。 ただ、このアメリカの金利が高いことによって日本の金利との金利差が大きい。そのために国際収支上長期資本の流出が非常に大幅になりまして、円安の大きな背景であったことは御承知のとおりでございます。この円安の状態というのは、日本の企業収益にも非常に大きな悪影響を及ぼしてきておったわけでございまして、これが企業の景気マインドにも悪い方に作用しておったわけでございます。そういう意味で円相場が、円安ではなくて円安が修正される過程にはございまするけれども、これからも円高の方向に進んで安定していくことが必要であるというふうに判断しております。 そういう点から申しますると、アメリカの金利は確かに下がってはまいりましたけれども、まだ日本の金利との間には金利差もあるわけでございまするので、そういう点から考えまして、円相場に対する影響というものは十分に配慮してまいらないといけないのではないかというふうに判断しております。
○馬場富君 この公定歩合については、西独もやはり引き下げを行っております。それから、先日総理はこの公定歩合の引き下げを一つは行うような考えも表明しておる報道も出ておりますが、この点、日銀総裁どうでしょうか。
○参考人(前川春雄君) 西独が公定歩合、金利の低下を図っておることは御指摘のとおりでございます。ヨーロッパの景気が非常に悪い、しかも失業が非常に多い状態でございまするので、景気の回復を図るのに懸命の努力をしておるわけでございまするが、一方、西独の金利もアメリカの高金利に対応して余り金利差が大きくなりまするとドイツマルクの為替相場が安くなる、それが国内の物価にも悪い影響があるということから、西独の金利の引き下げもきわめて慎重でございまして、小幅に漸次為替相場の状態を見ながら慎重に対応しておるわけでございます。 ほとんど、現在のところでは公定歩合の水準では日本と同じくらいのところへ参りましたけれども、まだ市中金利の状態では日本よりちょっと高いかなというふうな感じでございます。よその国が下げたから日本も下げるという、それだけではなかなか判断できませんので、公定歩合の変更、金利政策の変更につきましては為替相場、物価あるいは景気その他を総合的に判断いたしまして対応していく必要があるというふうに思います。 総理の公定歩合に対するお考えにつきましては、私、直接伺っておりませんので、私からお答えをすることは適当でないというふうに思っております。
○馬場富君 日銀総裁は、公定歩合についてはそれではいまの世界の環境、また、いま日本の経済状況から推して、下げるべきかどうかという判断についてもう一遍そこの点をお願いします。
○参考人(前川春雄君) 金融政策の運営は、いま申し上げましたようないろいろの状況を総合的に判断いたしまして、機動的かつ適切に運営していくべきものであるというふうに思います。 ただ、いまの為替あるいは物価、景気全体あるいは海外の事情等を総合的に判断いたしますと、私どもの判断では公定歩合をここで引き下げるべきであるという環境にはないというふうに判断しております。
○馬場富君 ここで、政府は十一月に当初経済の見通しの改定をされました。この当初と改定についての寄与度を中心に各項目について説明願いたいと思います。
○国務大臣(塩崎潤君) 御指摘のように五・二%から三・四%に下方修正いたしましたが、その内訳は大きく申しまして内需を四・一%と見ておりました寄与度を三・四%と修正したわけでございます。外需につきましては一・一%の寄与度と見ておりましたが、これを〇%。つまり内需だけで三・四%の成長を見た、その中で一番大きな項目は個人消費支出であり、その次は政府の支出でございます。
○馬場富君 三・四%成長に改正されましたが、その中で内需が一〇〇%、同じく三・四を示しておりますが、このような内需の達成というのは果たして現段階では可能なのかどうか、この点について経企庁長官と中曽根総理にお尋ねしておきます。
○国務大臣(塩崎潤君) このことはたびたびお話し申し上げましたように、三・四%が可能であるかと言えば、いま申しました内需の消費支出、さらにまた政府の支出の寄与度が達成可能だと、こういう意味でございます。 ともかくも、これまで日本経済を大きく成長せしめましたものは輸出と民間の企業設備投資でございました。今後は輸出に政策的に期待することはなかなかむずかしい状況であることは御案内のとおりでございます。私どもは内需によって経済成長を図っていく、このことに重点を置いてまいるべきでございますし、私はいま申しました見通しは達成可能と考えているところでございます。
○馬場富君 総理が見えませんので、日銀総裁にいまの点につきまして三・四%の内需達成ということの御見解をお尋ねします。
○参考人(前川春雄君) 内外の状況の見通しを立てることが非常に困難な状況でございまするので、なかなか的確には判断しにくい環境にございます。 ただいま企画庁長官がおっしゃったように、苦しい、むずかしい環境の中ではございまするけれども、政府の施策が先日、十一日に策定されました景気対策でございますか、ああいう対策の遂行が行われることによって成長目標につきましても達成することはやさしいことではないけれども、不可能だとは必ずしも思っておりません。
○馬場富君 五十五年度の成長率は三・八%でございました。そのうちの内需の寄与度はわずか〇・六%でした。五十六年度の二・八%のうちの内需は一%でございました。それは、いま環境等も昨年から比べればなお深刻な状況下にありながら、急に三・四%の内需の伸びが果たしてこれが実は見込めるかどうか、これはもうだれでも疑問に思うわけです。この点どうでしょうか。
○国務大臣(塩崎潤君) お答え申し上げます。 いま日本銀行総裁も裏打ちしていただいたようでございまして、なかなか困難な状況だが、不可能とは考えない、こういうお話がございました。私は二兆七百億円の公共投資の追加支出、このような総合経済対策を着実に実施することによって可能である。さらにまた、その後の新しく生じました状況でございます金利低下の傾向、あるいはまた円高の傾向、これらの状況を加味すれば、私は民間、政府との努力相まって可能と考えるものでございます。
○馬場富君 いま企画庁長官は、昨年やはりこの場であの予算委員会のときに政府が、景気がどん底に落ち込んで六兆一千億もの財政欠陥が出た、そのもとの当初予算の審議のときに、いま経企庁長官がおっしゃったような、同じようなことを政府の皆さん方おっしゃいました。だが結果としてはこのような大きい欠陥を招き、いま日本経済の中は不況に実は追われております。こんなことは、私たちとしてそれは理解できよといったって非常に無理な話です。 ここでちょうど総理が見えましたので、成長寄与度の中の一〇〇%を内需で持っていくという三・四%の達成というのは、総理自信がありますかどうですか、お尋ねいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) ただいま臨時国会で御審議願っておりまする総合経済対策、これらを可及的速やかに成立せしめて、それらに盛られました経費を使い、全力を尽くして三・四%を達成したいと思っております。私は必ずしもそう楽観はしておりません。しかし、日銀総裁も申されましたように、海外事情はやや好転しつつある情勢でもございますので、これらの総合的な努力を重ねれば可能であると考えておるわけであります。
○馬場富君 もう一遍企画庁長官にお尋ねしますが、当初予算で国民は、あなた方の出した実はこの目標にだまされたわけです。それを約半額みたいに成長率は下がったわけです。それに見積もった関係で行われた政府予算もそうだが、また、地方財政もそうだが、あらゆるものがみんな狂ってきてしまったわけですよ。そういうことで、ただ、目標だから三・四%の内需は達成できるというようなことでは理解できませんが、本当にこの三・四%を国民の前で達成できるかどうか、企画庁長官、はっきりとした答弁願いたい。
○国務大臣(塩崎潤君) 五・二%の成長率を三・四%に修正いたしました理由につきましては、たびたびここで申し上げましたように、その見通しをつくりましたとき以降に生じました世界経済の低迷、しかもまた、低下傾向にあったアメリカの高金利がまた反騰したというような予想外の事実が生じたために、日本の輸出が停滞してきた。輸出に依存しておりました成長率が下がったがために、いま申しましたように一・一%の成長率がなくなったがために、全般的な波及効果をあわせて三・四%に下がって、大変残念に思うところでございます。 これは日本だけではございません。OECD諸国もこのような予測は意外だったとみえまして、先般七月には一・二五%の成長率を〇・五%に下方修正する。これは七月でございましたが、十二月にはこれは恐らくマイナス成長率になるのではないか、恐らく世界各国とも、いま馬場委員のおっしゃるように、どこの国でもおしかりを受けているのじゃないかと思うんでございますが、私は、外国がやっておるからいいという意味ではありません。そのような予想外の事実が生じた。しかし、私どもはその事実を十分加味して、いま申しましたように、修正したところでございます。そして、皆様方のまた御叱咤、御激励を受けて、ぜひとも見通しどおりの成長率を達成して、国民の期待にこたえたいと思うところでございます。
○馬場富君 決意ばかりではだめですよ。 そこで、私はお尋ねしますが、この三・四%の内需の中の、私が計算してみますと、七〇%以上は個人消費の上昇で支えるということになっておるわけです。しからば個人消費を喚起するのはどういう施策があるか、これをお尋ねします。
○国務大臣(塩崎潤君) 個人消費の支出の成長と申しますか、伸び率は、御案内のように、所得の高くなることと、さらにまた、消費者物価の安定、この二つの相関関係にあることは御案内のとおりでございます。 当初の見込みでは四・七%と見ておりましたところの消費者物価指数が、昨今の状況では大変落ちついてまいりまして三%程度になったこと、これが相当な実質の伸びに貢献した。それが消費支出の伸びに反映しておると考えていただいて、私は結構じゃないかと思うところでございます。
○馬場富君 個人消費というのはいわゆる可処分所得の増大じゃございませんか。それじゃ、この可処分所得の増大というのはどういう要素を上げたら増大しますか。
○国務大臣(塩崎潤君) 可処分所得の増加は、もうこれは馬場委員御案内のとおり、経済全般の活動の増加によって雇用者を初め、国民の所得が増加することによって、消費性向は余り変わらないと思いますが、消費が必然的にふえてくる。このことによって消費支出は伸びると思うのでございますが、先ほど申し上げました物価の関係も考慮しなければならないと思います。
○馬場富君 国民の所得の増大というのは、ではどういうことをすることなんですか、政策的には。もう一遍しっかりと答弁してください。
○国務大臣(塩崎潤君) これは国民経済各部門における活動の上昇によりまして雇用所得がふえるということが中心になろうかと思います。そのことは御案内のように、企業においての、もちろん企業活動の活発化、設備投資の増加、これらの経済全般の活動によって所得がふえてくることが、私は最大の消費支出の伸びの原因だと思っております。
○馬場富君 それは公共事業だとかあるいは金融効果もございますけれども、可処分所得の増大ということを考えれば、もうわれわれが第一に考えなきゃならぬのは、国民生活を豊かにするためには減税やベースアップを考えることじゃないのですか、そこら要素の中に入っていませんか。
○国務大臣(塩崎潤君) もちろん減税もベースアップも国民消費支出の伸びに関係することは言うまでもございません。しかしながら、単純な消費支出の増加がそれで生ずるということも可能でございますけれども、一方、また、減税には財政上の問題が裏にあって、その財政上の問題がまた消費支出の伸びあるいは所得の伸びに大きく関係してむずかしい問題があることはもう御案内のとおりでございます。
○馬場富君 私は、それをやるためにむずかしい問題を聞いておるのじゃないんです。個人消費を高めていくためには可処分所得の増大が必要だと、可処分所得の増大というのはどういうことをやることなんだと、そういうことを聞いているんです。 それで、いま私は減税やベースアップはだれが聞いたってこれはあたりまえのことじゃありませんか。そんなことを言わずにおいて、そんな逃げ口上ばかり言っておってはかないませんよ。こういう効果が上がることを、現在の予算の中では減税は行いません、人勧は凍結します、恩給、年金は引き上げませんと、こう言って果たして個人消費が内需三・四%の中の七〇%も占めるような数字が達成できますか、この点お伺いします。
○国務大臣(塩崎潤君) この三・四%に下方修正しました際には、いま申しました減税をしないことも、さらにまた人勧の凍結の影響も十分織り込んで作成したところでございます。
○馬場富君 同じ質問ばかり繰り返しておっても、時間になりますから次に行きますが、最後に、いま個人消費の中でも一番やはり大きい項目を占める減税という問題ですが、これは御存じのように景気をやはり回復するためにも必要でございます。それから、従来から問題になっております不公平税制を改革するにも必要でございます。それから、あわしましてやはり生活防衛のためにもこれは何が何でもやらなきゃならぬ問題でございます。 この所得減税の実施につきましては、一応やはり了解はされておりますけれども、この問題につきまして私たちはぜひ年度内実施を実は求めるわけでございますが、総理、この点につきましてはいかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) これは重ねて申し上げるようでございますが、いわゆる所得税減税を実施する考え方というものは、今日、財源問題をも含めて与野党合意の結論が得られればこれを尊重してまいりたいということに尽きると思うんであります。 ただ、本院におきまして五十七年四月五日、植木前委員長の御提案で、所得税・住民税減税問題に関する参議院予算委員会決議、そうして五十七年の四月五日、また参議院議長発言というものが出ておりますので、「今後とも十分な話し合いを続けられ、充実した審議と円満な議会運営ができますようご協力のほどをお願いいたします。」、その前段に、減税問題等を「具体化する為の検討の場については、各党で早急に協議決定するものとする。」、こういうことがございますので、それも尊重をしていく念頭にあることは事実であります。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大蔵大臣がお答えしたとおりでございます。
○馬場富君 総理にもう一遍重ねて。 総理が所信表明演説で、「「思いやりの心」と「責任ある実行」」ということをおっしゃいましたが、あの補正予算一つ見ましても、あなたが所信表明でおっしゃったそれとは正反対の状況じゃないかと、政府は思いやりをやってほしいと国民に求めておるじゃないですか。また、「責任ある実行」についても、国民に無責任な負担を押しつけようとしているじゃありませんか。こういう点重ねて総理に、この思いやりと責任ある答弁を、ひとつこの減税について再質問します。
○国務大臣(中曽根康弘君) ここ数年間減税を、特にサラリーマンの皆さん方に対してはやっておりませんし、でき得べくんば減税をやるのが適当であると私個人は考えておるのであります。そういう気持ちではおりますけれども、財源問題という大きな問題にぶち当たりまして、それで衆議院大蔵委員会におきまする小委員会におきましても、その財源問題にぶち当たっているためになかなか議論がおまとまりにならないで今日まできておると思うのでございます。そういうような情勢のもとに、政府もこの大蔵委員会やあるいは各党の皆様方のお話し合いの帰趨を見守っておるという状態でおるのでございますので、どうぞ御了承をお願いいたしたいと思う次第でございます。
○馬場富君 じゃ秋に移りますが、この景気の中で特に政府が本年度予算の中で、景気対策として行ったのは公共事業の前倒しだけでございます。これも大きい効果が上がると思ったが、現状では余り効果が上がっておりません。その中で、この公共事業の、いわゆる投資効果ということをよく見てみますと、その中には公共事業の中で用地費が二〇%を占めております。そのためにその効果というのが半減されてきておるわけです。そのために行革だとかあるいは景気浮揚を考えるという、そういう立場からやはり極力用地費の少ないような公共事業を、景気対策のときには、また下降をたどっておる今日の状況の中ではせなきゃならぬと、このように考えるわけですが、建設大臣この点はいかがでしょうか。
○国務大臣(内海英男君) 公共事業が、現在のような経済情勢のもとにおきましては、景気の維持、拡大と、こういった方面にも十分配慮をする必要があると考えております。公共事業の執行に当たりましては、御指摘のような点を十分に配慮して今後とも努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
○馬場富君 じゃここで一、二点、公共事業の用地買収の問題についてひとつお尋ねいたします。 最近東京から新潟に向かって上越新幹線あるいは関越自動車道路等が行われまして、大きな公共事業が推進されております。その中で、関越自動車道の予算の中で用地費というのは何%を占めておるか、御説明願いたいと思います。
○政府委員(沓掛哲男君) お答えいたします。 いま関越自動車道そのものの数値をここに持ち合わせておりませんが、道路全般について申し上げますと、第八次道路整備五カ年計画の実績では用地比率が約二二%となっております。第九次道路整備五カ年計画ではそれを約二一%というふうに予想いたしております。関越自動車道については、東京の近くでは四〇%台、それから群馬県、新潟県境付近では十数%という数値になっております。
○馬場富君 私はそういう土地買収等の問題もありまして、道路の関係の調査を進めておりましたらこんなことがございました。 国鉄は、この関越自動車道が新潟に入る地点の湯沢町の土樽という駅付近の土地を町の要請で売りましたね。その売った契約の月日、目的、面積、坪当たりの単価、金額、種目、売買の状況について説明していただきたいと思います。
○説明員(高木文雄君) いまお話の上越線の土樽駅付近の用地の払い下げでございますが、契約年月日は四十九年の九月六日、売却面積は二万三千六百四十四平方メートル、売却価格は七百二十四万円、したがいまして、平均平米当たり単価は三百円超でございます。契約の相手方は湯沢町長、湯沢町がこれをどういうふうに使うかということにつきましては、売ってほしいというお申し出の書類では駅前広場あるいは駐車場をつくりたいということであったわけでございます。
○馬場富君 その用地の種目やあるいは坪単価等も説明していただきたいと思います。
○説明員(半谷哲夫君) 単価につきましては、先ほど総裁申し上げましたように、平米当たり三百六円が平均した単価でございます。 それから、種目はこれは元鉄道林のところをすでに伐採してありまして、谷地といいますか、荒れ地といいますか、そういったものであります。国鉄用地でありますけれども、そういった状況の土地でございます。それとあと……。
○馬場富君 坪単価。
○説明員(半谷哲夫君) 坪単価は、平米三百六円でありますから、坪に直しますと千円弱ということになるかと思います。国鉄の地目としましては、山林、雑種地と原野という地目になっております。
○馬場富君 次に、いま説明されました同じ土地を、道路公団は関越自動車道の道路用地として湯沢町から買いましたね。やはり同じく契約の目的、年月日、面積、坪当たり単価、金額、種目、売買の状況について説明願います。
○政府委員(沓掛哲男君) お答えいたします。 日本道路公団は五十二年三月末に二万一千四百三十二平米を一億七百十六万円で購入いたしております。平米当たりに直しますと約五千円でございます。地目は、宅地見込み地として、不動産鑑定士の評価等を参考として評価いたしております。
○馬場富君 坪単価。
○政府委員(沓掛哲男君) これ三・三倍ですから、一万六千五百円。
○馬場富君 驚きましたね。一、二年の間に坪単価が千円から約一万七千円、約十倍に上がっております。 次に、鉄建公団は、この国鉄から湯沢町へ、湯沢町から道路公団へと土地が売買されたころ、あの大清水トンネルを掘っている土砂をこの土地に埋めました。この契約の中での期間と補償について運輸大臣は説明されたい。
○政府委員(永光洋一君) 鉄建公団はいま上越新幹線の大清水トンネルからのズリを捨てることによります地価の低下に対しまして、四十九年、五十年にかけまして補償金を湯沢町に五百二十二万円支払ったと聞いております。
○馬場富君 これはまた再度驚きました。鉄建公団が土砂を埋める補償費をこれに払ったわけですから、これは土地代から引きますと、町に渡した補償費を引きますと実に二十倍にもなります。この関越自動車道路の湯沢―月夜野間の道路計画がどのように進められたか。基本計画、整備計画、施工命令、路線発表等について地元の地建あるいは新潟県等の打ち合わせ等も含めまして建設大臣からそのときの模様を説明願います。
○政府委員(沓掛哲男君) 御説明いたします。 基本計画は、昭和四十五年六月国土開発幹線自動車道建設審議会の議を経て、内閣総理大臣が先生御指摘の区間について決定いたしております。続きまして昭和四十七年六月に同審議会の議を経まして運輸大臣及び建設大臣が整備計画を定めております。そして同日建設大臣は道路公団に施工命令を出しております。道路公団は工事実施計画書を作成すべく諸調査を始めたわけでございますが、この期間の四十九年九月にいま問題の土地が町から国鉄に売られております。道路公団は工事実施計画書を作成して昭和五十年十月九日に認可申請を上げてきておりまして、これを建設大臣が許可いたしまして、道路公団は現地におきまして昭和五十年十月十七日路線発表を行っております。 その後地元説明を行い用地買収に入るわけでございますが、この用地買収そのものは公団が新潟県に委託して実施しておるものでございます。
○馬場富君 いまお聞きしますと、国鉄が町に売り、町が道路公団に売った時点では、現地ではやはりこの道路計画がはや進められておったわけでございます。 次に国土庁にお尋ねいたしますが、この売買の行われた四十九年、五十年、五十一年、五十二年のこのころの付近の宅地並びに山林等の土地価格の推移を説明いただきたいと思います。
○政府委員(小笠原正男君) 新潟県湯沢町は当時から今日に至るまで地価公示法の対象地域ではございませんので、公示価格はございません。しかしながら、昭和五十年に創設をされました国庫補助によります都道府県地価調査制度によりまして昭和五十年からやっております新潟県地価調査によってみますと、湯沢町の土樽の中に住宅地二カ所、林地一カ所の規準地が設定をされております。この価格を申し上げますと、越後中里の駅に近い大字土樽字関下というところにある既存の住宅地でございますが、五十年、五十一年、五十二年とも一平方メートル一万七千六百円ということで三年間据え置きというふうになっております。それから岩原スキー場ですか、停車場の近くにあります大字土樽字下中子字にある既存の住宅地につきましても昭和五十年、五十一年、五十二年いずれも一万二百円ということで三年間据え置きになっております。それから森林取引の参考にいたしますための人工林の素地の標準地がもう一つございまして、中里の駅からちょっと入ったところでございますが、五十年、五十一年、五十二年とも十アール当たり百十万円ということで据え置きでございます。 なお、この地域に比較的近いところ、たとえば地価公示のあります十日町市におきましては四十九年から五十年にかけまして若干下落する。それから五十一、五十二年まで据え置きのところが多うございます。
○馬場富君 いま国土庁で説明のように地価相場はほとんど上がっておりません。また、この時期は下がった時期でございます。私はこの調査をいたしまして、この問題が余りにもよくでき過ぎておると思います。その点で大きな疑問を抱いたわけでありますが、この点についてまず国鉄から御説明願いたいと思います。
○説明員(高木文雄君) 私どもはかなり全国に不用地を持っておりまして、現在経営が全体として非常にぐあい悪いわけでございますので、用地の売却を急いでおります。その場合に、評価につきましても御指摘のようなことが起こってはいけないというたてまえで、原則として評価委員の専門家にお願いをいたしまして評価をいたしまして、それをベースにして評価額を決めているということでございまして、手続的には問題が起こらないように相当慎重にやっているわけなんでございますが、もともと公共団体に土地を売るという場合につきましては、いわば駅前の整備というようなことがございますから、やはり適正価格で売るという前提ではございますけれども、ぜひ駅の前を整備したいということであれば、それ以上高く売るわけにもまいらぬということでございまして、結果としてそれがえらく高く他の方の手に入ったということになりますと、大変気持ちの上においては公共団体に言ってみれば利益が及んだということになるわけでございますけど、しかし、さて具体的にどういう価格で売ったらいいかということになりますと、いまのような方法以外にはちょっと考えられないわけでございますし、転売をとめるというようなことになりますと非常にいろんな問題が起こってまいりますので、公共団体に売ります場合には特に用途指定というようなことは行っていないわけでございまして、全国の売っております件数が非常に多いだけに、御指摘のようなことが起こることについては非常に苦慮いたしておりますが、同時に、また一定基準に基づく処分であればどんどんと進めていかざるを得ないというふうに考えておるわけでございまして、しかし過去におきましても、一度市町村に売りましたものが転売をされたという事例もありまして、相当神経はとがらしておりますけれども、制度としてはいまのようなやり方のままでやらしていただきたい。ただ、注意は大いに払っていかなきゃならぬというふうに考えておるわけでございます。
○馬場富君 次に、道路公団についてこの点御説明願いたいと思います。
○参考人(高橋国一郎君) ただいまの日本道路公団におきます用地取得に伴う損失補償について申し上げますが、ただいまの件につきましては、昭和三十七年六月閣議決定の「公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱について」の趣旨に沿いまして制定いたしました日本道路公団の行う用地取得に伴う損失補償基準を定める規程というものによりまして補償を行っているわけでございます。当該土地につきましては、不動産鑑定士三名から聴取いたしました不動産鑑定評価を参考といたしまして、取引事例比較法を用いまして、湯沢町内のおのおのの現況地目ごとに近傍類地の取引価格のうち正常な取引価格と、取得する土地の位置、形状、環境等、土地価格形成上の諸要因等を総合的に比較考慮いたしまして、現況に応じて、宅地見込み地については一平方メートル当たり五千円と決定したものでございます。 以上のようなことでございまして、私どもといたしましては、従来、少なくとも土地鑑定者を三名以上入れまして土地を鑑定をしていただき、それをもとにいたしまして価格を、近傍類地の価格を調べまして決定するという方法をとっておるわけでございます。
○馬場富君 いま両者の説明を聞いておりますと、両方ともどく当然のことで売ったとおっしゃっておりますけれども、その間には本当に二年そこそこの間で、しかも、もうそこに建設省の道路計画では明らかに関越自動車道路があくと、こういうことがほぼ判明しておるような状況の中で、それが本当に十七倍にも地価がなって売れると、こういうことはどういう説明があっても実は理解できません。両方の、結局問題を聞いておればごもっともだというようにあなたたち説明なさっておりますけれども、ことで私は、町だって地方公共団体が国の施設に協力することは当然でございますけれども、何でもかんでも安く買い、高く売ればという、こんなことではないわけだと思いますので、この地方に対して自治省はどのように考えてみえますか。
○政府委員(石原信雄君) お答えいたします。 湯沢町のただいま御指摘の件でございますが、取得時におきましては、山林原野としての評価に基づいて不動産鑑定士の評価を基礎にそれぞれ適正に取得されております。また、売却時におきましては、宅地としての評価がなされております。この土地は、当初は山林原野で平地でございましたが、その後、トンネルの廃土をそこに捨てまして、土地の形状が宅地になったというようなことで評価も大幅に上がったのではないかと、このように考えられます。 私ども地方当局にお尋ねしたわけでありますが、取得時に当たりましても、また売却時におきましても、手続的にはそれぞれ適正な評価に基づいて行われております。結果として、このような大きな差が出たものと考えております。まあ、公共団体の財政運営に当たりましては、取得に当たりまして、できるだけ適正な価格で、できるだけ安く買うというのが財政運営の原則であります。また、売却に当たりましては、やはり適正な時価で、客観的な価格によって処分すると、こういう原則でありまして、私は地方当局がこのような値上がりを見越して取得したというようなことはないと思います。公共団体でありますから、それぞれ財政運営は適正になされなきゃならないし、また今回もなされたものと思っておりますが、いずれにいたしましても、今後におきましても、買う場合も売る場合もそれぞれ適正になされるように指導してまいりたいと、このように思います。
○馬場富君 そんな答弁では理解できません。自治大臣はしかとこの点について地方当局を調べて、後日その問題についての十七倍のいきさつについて明確に委員長、報告をお願いしたいと思いますが。時間がありませんので、私は本当にこの問題を取り上げたのは、こんなことをやっておって、行政改革、財政再建、景気対策と言ったってどうしようもないと思うんです。いかなる弁明があろうとも、いま説明されたことは事実でございます。しかも関係は、国鉄、町、道路公団、鉄建公印、ともに道路や輸送の関係の公の団体でございます。国の計画で進められた注目の高速道路が、お互いに国の施策でございますので、そういう点からいけば、このことを真剣に国の施策である行革、財政再建、国民のための財政を考えたら、もっともっと行政のために効果のある土地売買ができたことは当然だとわかり切っておることです。だから、私はこの問題については、またたくさんの資料もありますので、時間がございませんのでここで切って、今後追及してまいりますけれども、関係大臣である建設大臣、運輸大臣の、ひとつは御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(内海英男君) 今後とも厳重に指導してまいりたいと考えております。
○国務大臣(長谷川峻君) 私の方も経過的にはいろいろ不動産鑑定士とかいろんなことを使っておるようでありますが、そういう変化については十分に慎重に研究してまいりたいと、こう思っています。
○馬場富君 いまのような答弁では納得できません。考えてみなさい。国鉄はもう明らかにその前を関越自動車道路が通ることはわかった時点で、もう千円以下の雑地で結局これを売買したということについても、これはやはり国鉄であればそういうことについての売買について真剣にこの財産を効果的に考えようとしたら当然考えられたわけです。それから、道路公団だって同じことが言えるわけです。自分たちがやはりつくる道路は国民のための税金によって行われると、そうした場合にこれは国民のためにもっと効果のあるような買いかえを考えたならば、もうほんの一年やそこらあたりの問題時点なら、土地台帳を見たって国鉄の所有地であったということや価格が幾らだったかということははっきりとしておるのです。こんなことがお互いに公のことでやっておるあなた方がわからなかったというようなことは、これは本当にもう行政改革そのものが私は心配になってくる、こんなことでは。もう一遍しっかりとした答弁を願いたい。
○国務大臣(長谷川峻君) 御質問の御趣旨に沿って厳重に監督し、行政のそごを来さないようにやりたいと思っております。
○国務大臣(内海英男君) 御指摘の趣旨に沿いまして、厳重に今後とも監督、指導に努めてまいります。
○馬場富君 今後も私はこの問題についてしっかりと、資料がございますから、追及いたします。 総理、いまお聞きのような状況でございます。本当に国を挙げて一生懸命いま財政を考え行革を考えておるときに、現場で国鉄や道路公団や地方がこんなような効果の悪いやはり財政の取り組み方をしておったとしたら、これは幾ら行革をやろうたって全然だめでございませんか。総理の見解をお尋ねいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) いま問答をお聞きいたしておりまして、ともかく十七倍というのは高過ぎると、国鉄が売り方が下手だったのか、あるいは町が買い方がうまかったのか、あるいは道路公団の方が買うについて値をたたくことを忘れたのか、ともかく商売っ気を忘れた感じで、その三者の間に土地が移動していったような感じがいたします。そこを馬場委員はおつきになっておるのだろうと思います。これが民間であったならばこういう安易なことはやらないだろうと、恐らく自分の金を出すという場合にはもっと真剣勝負をみんなやるだろうと、そういう御指摘だろうと思います。その辺はよくひとつ関係各省庁で調べさして、そして納得のいくような処置を今後ともさしていきたいと思っております。
○馬場富君 では、この問題はことに一つは終わりまして、次に行革と財政再建について、これは中曽根総理がやはりこの国会論議の中でもあなたのやはり中曽根内閣の優先的な私は課題だと考えますが、これをもう一遍確認いたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 増税なき財政再建という基本線を維持いたしまして、今後とも努力を継続するつもりでおります。
○馬場富君 行政改革を行い財政再建を必ずやるというのは前鈴木内閣の実は方針でございましたし、このために命をかけると言われましたが、いつの間にかどこかへ行ってしまわれました。結果として残ったのは不況と財政破綻があっただけでございます。これでは国民はだまされたようなものでございます。わかりやすい政治というのを総理は志向されておりますけれども、どうかこの行政改革と財政再建という問題を国民の皆さん方にお茶の間で話しかけるように、わかりやすく説明してもらいたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 行政改革と財政再建は一応は別ものなのでございます。 行政改革の方は、いわゆる国家の統治権――立法、司法、行政とあります中の行政の改革でございまして、これには外交も、社会福祉も、あるいは教育も、防衛もみんな入るわけでございます。その改革でいかにして簡素で効率的な政府をつくるか、未来に向かって耐え得るいい政府をつくるかというのが行政改革で、一言で言えば高度経済成長以来、水ぶくれになったものを削減して、また許可、認可等もできるだけ簡素にして民力を爆発的に動き出させるような方向に持っていこう、これが行政改革で、財政はその一部に入るわけであります。 財政再建の方は、今度は財政の均衡を目指して再建を講ずる。そういうことで、一応は別でありますが、しかし財政窮乏というものが一面において行政改革を促進する刺激剤になってきておる、行政改革を一生懸命やれば、結果的には簡素にして効率的な政府をつくるということですから、むだの金が要らなくなって財政再建にも役立つ、そういう形になって、そこでつながっておるわけでございます。 今回、補正予算その他におきましても、あるいは人事院勧告の問題につきましても、ともかくいろいろ皆様方に御迷惑をおかけいたしておりますが、これはある意味におきましては財政再建の途上の大きな仕事の一環であります。 行政改革の方は、いま臨時行政調査会におきまして、いよいよ第四次答申と申しますか、第三次答申に次ぐ中央政府、あるいは地方出先機関、あるいは地方公務員問題、あるいは補助金の削減問題、そういうような機構問題等にも取り組んでおりまして、いま分科会あるいは専門委員におきまして部会でやっていただいておるわけでございます。それらのことが出、あるいはさらに国鉄、電電、専売公社等の三公社五現業、そのほか特殊法人等の改革問題等も出てまいりまして、ここで簡素効率的な政府関係機関あるいは政府をつくるということが次の大きな責任になってくるわけでございます。そういう順路でいまおのおのが流れて、同行しながら進んでおるし、またある意味においては刺激し合いながら進んでおる、こういう状態でありまして、相ともどもいま全力をふるって努力しておるところです。 また、特に五十八年度予算の編成につきましては、大蔵当局がいま必死の努力をいたしておりまして、ゼロシーリングというところまで御協力を願っておるわけです。昨年は約一・八%の予算、一般会計の伸びでございましたが、五十八年度はゼロというところで、省によってはマイナスに当然なるということが出てまいります。 そういうことで、未曾有の努力をいま各省庁と大蔵省との間でやっていただいておるのでございまして、そういうような行政改革及び財政再建というものがいま徐々に前進を開始しているということを御了解をお願いいたしたいと思うのであります。
○馬場富君 ここで、鈴木内閣の当時によく言われた財政再建即行政改革、財政再建、行政改革は表裏一体だとか、あるいは財政再建は行革の突破口であるという、こういう問題をいま私はずっと見ておりまして、これらの問題についてはずいぶん矛盾があるのではないか、この点総理どうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) いま申し上げましたように、また私が行管庁長官時代に申し上げてまいりましたように、行革と財政再建は一応は別のものですと、去年の十二月、私、はっきりまず申し上げたと思います。それから以後、ずっと申し上げてきた線でございます。 しかし、この財政再建というものが機縁で行革が進められておるということも事実であり、行革を断行することによって財政再建が助かってくるということも事実でありまして、そういう関係で、いま相こもごも努力し合っておるということで御了解願いたいと思うんです。
○馬場富君 それでは、確認いたしますが、財政再建と行政改革とは同次元のものではない、別個にやはりこれは取り組むべきものだ、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 別個のものでございます。しかし、おのおのが刺激し合い影響し合っておのおのがまた効果を上げつつあるという性格のものでもございます。
○馬場富君 では、鈴木総理の言われた一体とか、表裏一体というようなことは、これは一つは違っておった、こう私は理解するわけでございますが、ここで財政再建という目標につきましては、国民が、政府のその目標に対して、所得減税を見送られ、あるいは社会保障を打ち切られ、公共料金の値上げに耐えながら今日までがんばってきたわけですけれども、政府は、この間あたりの答弁をお聞きしておりますと、財政再建は困難だという、こういう問題が出ておりますが、これは政治責任が最も重大だ、私はこう考えます。これについて具体的にどのようになさるのか、ここでしっかり聞かしてもらいたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 確かに財政再建の一つのめどとして申し上げておりました五十九年度特例公債からの脱却、これはきわめて困難と言わざるを得ない、このように申し上げたわけであります。 したがって、財政再建というものは、先ほど総理の御答弁にありましたが、歳入、歳出が均衡がとれて、しかもそれが健全な姿になるべきものである、しかしながら今日の時点でまずめどとして考えるものはいわゆる特例公債からの脱却である、それに対してもろもろの努力をされてきたわけでありますが、この年度の達成は困難になった。したがって、私どもといたしましては、まず五十八年度予算編成というものをこのスタート台としよう、そこで先ほどの御答弁のごとく、昨年有史以来一・八%、こういう厳しい査定のもとに一般歳出の伸び率が抑えられたわけでありますが、これをさらにゼロにして、それをもってこの財政再建のスタート台としていこう。したがって、これからのもろもろの見通し等につきましては、まず予算編成をやって、その中でいろいろな御審議をいただく糧となるような資料等も整えながら進めていきたい、このように考えております。
○馬場富君 ここで総理に一言。 総理のおっしゃる増税なき財政再建の増税なきということがどうも非常に疑問になってきたわけでございますが、いろんな説明等を聞いておりますと、財政再建はいまむずかしいということでストップしてしまった、一服しておるわけでございますが、増税なきだけが宙に浮いてひとり歩いておるという感じを受けるわけですが、このひとり歩きの増税について、大蔵省等では税収見積もりの達成は政府の責任であるから、そのための増収策は増税ではないという、このような珍説が出ておるという話ですが、このことだけしかと確認しておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる増税なき財政再建とは、これは、ここで増税なき財政再建とは、当面の財政再建に当たっては何よりもまず歳出の徹底的削減によってこれを行うべきであって、全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらない、こういうことを意味しておるわけであります。
○馬場富君 この点について、総理、増税なき行政改革の増税なきとは、今後やはりそういうものについての増収についても増税と、この問題についてどのように考えますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) いま大蔵大臣がお述べになりましたのは、臨調の報告に書いてある増税なき財政再建という定義を申し上げたのでございまして、われわれは臨調の答申を尊重して、その線を守っておるわけでございます。 新しい租税をやらないということは、反面におきまして自然増で出てくるものは増税とは言えない、そういう解釈が成立する、そう心得ております。
○馬場富君 では大蔵大臣、国民の租税負担率に変化を与えなければ直間比率を見直すことは増税ではないと言われておりますが、この点はどうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) ことで租税負担率とは全体としての租税負担率、御案内のように対国民所得比のことでございますので、増税とはこの負担率の上昇をもたらすような税制上の新たなる措置ということでございますので、したがって、たとえば直間比率の見直しというような問題はここで言う増税には入らないと、このように理解をしております。
○馬場富君 次に、五十七年度の予算の中で防衛費の伸びについて質問いたします。 この防衛費の伸びについてどのようにお考えかお尋ねいたします。
○国務大臣(谷川和穗君) ただいまのは五十八年度の概算要求についてと存じましてお答えを申し上げます。 伸びだけで申し上げますと、実を出しますと防衛庁の予算の中の概算要求の七五%は俗に言う義務経費でございまして、この両方で伸び率が六・八%程度になります。それを含めまして全体で七・三四六%の概算要求の伸びを要求中でございます。
○馬場富君 これまで防衛費については困難な財政事情の中で防衛費だけは聖域化するという、こういうことが政府にありまして、国民感情からもこれは許されないという状況でございますが、総理は防衛費に対してどのような扱いを考えてみえるか、国民感情からも防衛費を伸び率ゼロに、もしくは大幅抑制するという考え方でわれわれは臨んでほしいと、こう考えるわけですが、この点どうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 予算編成の際におきましては防衛費といえども聖域扱いはいたしません。大蔵省におきましても厳重に査定をしておるところでございます。 しかし、また一面におきまして日米安保条約等によりまして米国と相互防衛の約束もし、実行もし、運営されておるところであり、また鈴木前首相はレーガンさんとの会見において、鈴木・レーガン会談、共同声明を出して防衛力を次第に強くしていくという国際約束もしておるわけでございます。また、日本の防衛自体も考えてみますと、最近の世界情勢の大きな変化やその他も考えてみますと、必要最小限度の防衛力はみずから備え、またみずからの戦略も持ち、そしてアメリカと提携しつつ防衛を全うしていくという時代に入っておるわけでございます。したがいまして、必要最小限度のぎりぎりの線にしぼりまして防衛力を査定してもらっております。しかし、結果的に見ましてこの国際的ないろいろな関係やあるいは兵器等の進歩、発達等によりましてある程度経費が増高してくることは、しのびがたいことではございますが、やむを得ないことであります。結果につきましては五十八年度予算編成で他の経費とのバランスでどういうふうになってくるか、もうしばらくお待ちを願いたいと思う次第でございます。
○馬場富君 最近アメリカ議会では日本の防衛力増強要求が相次いで行われております。こうした性急かつ圧力的な米議会政府の要求は国民の対米不信を招くことではないかと私たちは危惧するわけでございますが、総理は米国の世論をどのようにお受けとめですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 米上院において決議が行われましたが、これは日本に対する期待のあらわれであると考えており、そのような決議がアメリカ議会において行われたことはわれわれも関心を持っておかなければならぬことであると思っております。しかし、日本の防衛は日本人の仕事でありまして、日本は自主的判断に立ち、自分たちの考えに従って防衛政策をつくり、実行していくべきものであると考えております。
○馬場富君 来年早々訪米されるそうでございますが、この防衛費の問題については米国とどのような考えで対処されますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本の防衛は日本人の仕事であります。しかし、日本単独では日本を防衛することはできない状態でございますから、日米安全保障条約によってアメリカと相互提携をしながら憲法の範囲内で専守防衛の線に立って守っておるところでございます。 この問題につきましても、アメリカ側の意見も聞き、われわれの意見も言う。それは外交政策や経済政策と同じように、その一環としていろいろ隔意なき懇談をしてみたいと思っておる次第であります。しかし、やはり日本には日本の憲法とそれから国防の基本方針というものが厳としてあります。このようなものはわれわれとしては守っていかなければならぬと思っております。
○馬場富君 国会でもずいぶん問題になりました防衛費のGNPの一%以内については現在は変更ないと総理はおっしゃいましたが、将来についてははっきりと明示されておりませんが、この一%を将来このまま守れるのか、それとも超えることもあり得るか、この見解をお尋ねいたします。
○国務大臣(谷川和穗君) ただいまのところ、少なくとも五十八年度予算の中におきましては閣議決定の一%を守り切り得ると、こう判断をいたしております。 なお、五十九年度以降につきましては、経済の動向、それから防衛費そのものが実はこれ閣議決定事項でございませんで、その都度の、経済情勢その他によって毎年予算で検討することになっておりますので、いまただいまこの場所では何とも申し上げられません。
○国務大臣(中曽根康弘君) 三木内閣のころ、昭和五十一年に当面一%以内という自己限定をいたしまして、歴代政府これを守ってきたところであり、現内閣におきましてもこれを守っていきたく努力していきたいと思っております。 しかしまた、われわれがいま一面に考えておりますことは、防衛計画の大綱をなるたけ早期に達成するということであります。一%を守るという閣議決定と、それから防衛計画の大綱を早期に達成するというわれわれの方針と、これがどういうふうにかみ合っていくかという問題がございます。やはり国防という問題を考えますと防衛計画の大綱を早期に達成する、早期と申しましても他の経費とのバランス、そのほかも当然考えていくべきではございますが、その関係がどういうふうな線をたどっていくかということは、そのときの予算編成の方針あるいはいわゆるGNPの大きさがどういうふうに変化していくか等々にもよって移動してくるものでございまして、いまのところいつどうなるかという予測は立て得る状況ではございません。しかし、五十八年度に関する限りはこれは一%以内で行われることはまずできると、そう考えております。
○馬場富君 このGNP一%は、これは防衛力増強に対する歯どめの野党と政府との大事な約束でございます。これはしっかりと守っていただきたいと、こう考えますが、総理、重ねて御答弁をお願いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 閣議決定がそういう線で当面これを守るということを五十一年に決めたわけでございますから、現内閣におきましてもできるだけ守るように努力してまいりたいと思っております。
○馬場富君 次に、GNPの一%については五六中業期間中には突破することもあるというような見解が出ておりますが、この点はどうでしょうか。
○国務大臣(谷川和穗君) これも先ほど御答弁申し上げましたように、今後の経済の動向で大きく影響がございます。したがいまして、その方がまずどういうふうな状態になるかによっても違いますが、なお、先ほど申し上げさしていただきましたように、五六中業というものそのものは四次防などと違いまして閣議決定をいたした総枠ではございません。これはその都度の予算の編成のときのめどにいたしておるものでございますので、五十九年度以降どういうような形で予算の概算を要求していくかによってもまた違ってくるものでもございます。 以上のような形でお答えをさしていただきます。
○馬場富君 国防会議で了承されました五六中業に対する五年間のいろんな主要装備等の計画につきまして、これを総理は達成するという方針かどうか、お尋ねいたします。
○国務大臣(谷川和穗君) 先ほど総理から御答弁いただきましたように、私どもといたしましては防衛大綱の水準を一日も早く達成をさせたい、これを基本に考えておりますので、国防会議の了承もいただいておりまするこの五六中業の達成につきましては、この際、財政の非常に厳しい時期ではございますが、防衛庁といたしましては鋭意この実現に努力をいたしたいと、こう考えております。
○馬場富君 同じように防衛問題ではいつも論議が出ております防衛大綱の見直しについては、総理は現在どのようなお考えでございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) ともかく、現存しておりまする防衛計画の大綱を早期に達成するというのが現内閣の方針でございます。
○馬場富君 ことで、総理の訪米に際して非常に懸念されております米国への軍事技術供与の問題がございますが、これについて総理からしっかりと御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) この問題は、防衛技術と申しますか、それに関する三原則、それから政府の統一見解というものがすでにございます。また、一面におきましては日米安全保障条約によりまして相互協力をするということもございます。この間をどういうふうに調整するか、いま関係各省におきまして詰めの作業をやらしておる最中でございまして、これが決定するまでお待ちを願いたいと思う次第であります。
○馬場富君 武器輸出三原則について、これに対しての見解はどうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 三原則を守るという方針は現内閣においても変わりはございません。
○馬場富君 この問題につきまして、武器輸出の禁止については国会の決議がございますが、対米軍事技術供与は、これについて国会決議をどのように考えていくかということについて、この問題について総理がこの武器輸出の禁止とあわしてどう考えるか。
○委員長(土屋義彦君) 馬場君、時間でございます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 国会決議は、もとより尊重すべきものと心得ております。
○馬場富君 いいです。
○委員長(土屋義彦君) 以上で馬場富君の質疑は終了いたしました。(拍手) 明日は午前十時に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時四十五分散会