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97回国会参議院1982/12/23

外務委員会 第1号

発言数
96
登壇者
15
会派数
4
開催日
1982/12/23

会議録

増田盛自由民主党

○委員長(増田盛君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  私、このたび外務委員長に選任されましたが、委員各位の御支援によりまして、公正、円満な委員会の運営に努め、責任を全ういたしたいと存じますので、何分よろしく御協力のほどをお願い申し上げます。     ─────────────

増田盛自由民主党

○委員長(増田盛君) 次に、安倍外務大臣及び石川外務政務次官から就任のあいさつがあります。安倍外務大臣。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) このたび外務大臣に就任をいたしました安倍晋太郎でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  現下、大変厳しい国際情勢のもとにありまして、わが国のかじ取りの任務を担う外交の使命はきわめて重大でございます。多くの困難に直面している世界が、近年飛躍的に発展したわが国に期待しておるところはきわめてまた大きいものがあるわけであります。  申すまでもなく、わが国は平和で安定した国際環境、発展する世界経済のもとでのみわが国の平和と繁栄が確保できると信じております。こうしたわが国の立場を十分に認識しつつ、わが国はその責任と役割りを果たしていかねばならないと考えております。特に、いまやわが国は単なる言葉だけでなくて、具体的行動をもってそれを示すことを要請をされておると思います。私としましては、わが国が世界の平和と繁栄のために、わが国の発展を確保していくために最大限の努力をしてまいる考えでございます。  本委員会の皆様方は、外交問題に精通され、多年にわたってこれに真摯に取り組んでこられたわけでございますが、皆様のよき御指導を得、また、御鞭撻を賜り、外務大臣としての重責を無事務めさしていただけるよう、皆様の御協力をお願いを申し上げましてごあいさつにかえる次第であります。(拍手)

増田盛自由民主党

○委員長(増田盛君) 石川外務政務次官。

石川要三自由民主党外務政務次官

○政府委員(石川要三君) このたび外務政務次官を拝命いたしました石川要三でございます。  ただいま大臣からお話がございましたように、ますます外交の重要なこの時期に外務政務次官の職をいただきまして、まことに身の引き締まるような気がするわけでございます。これからも誠心誠意、一生懸命努めてまいりたいと思いますが、何せ浅学非才でございますので、委員長初め先生方の特段の御指導、御鞭撻を切にお願いをいたしまして、はなはだ簡単でございますが、就任のごあいさつといたします。(拍手)     ─────────────

増田盛自由民主党

○委員長(増田盛君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。  現在、理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

増田盛自由民主党

○委員長(増田盛君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に安孫子藤吉君及び福田宏一君を指名いたします。     ─────────────

増田盛自由民主党

○委員長(増田盛君) 次に、調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、国際情勢等に関する調査を行うこととし、その旨の調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

増田盛自由民主党

○委員長(増田盛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

増田盛自由民主党

○委員長(増田盛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

増田盛自由民主党

○委員長(増田盛君) 次に、アメリカ合衆国の地先沖合における漁業に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件、日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件、以上三件を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。安倍外務大臣。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) ただいま議題となりましたアメリカ合衆国の地先沖合における漁業に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、現行日米漁業協定の有効期間が本年十二月三十一日に満了することにかんがみ、明年以降も米国の地先沖合いにおけるわが国の漁業を引き続き確保するため、米国政府との間で数次にわたる新たな漁業協定の締結のための交渉を経て、本年九月十日にワシントンにおいて、わが方大河原駐米大使と先方クロンミラー大使との間でこの協定に署名を行った次第であります。  この協定の主な内容としまして、米国政府は、米国が排他的漁業管理権を行使する生物資源に関し、毎年の総漁獲可能量、わが国に対する割り当て量等を決定し、また、その際、米国の法律で定められた諸要素を考慮することとなっております。さらに、わが国政府が米国の水産業の発展等について米国と協力すること、わが国政府はわが国の漁船がこの協定に基づいて発給される許可証の条件に従うこと等を確保するために必要な措置をとること、米国はこの協定の定める要件等の違反について取り締まりを行うこと等が定められております。  この協定の締結によりまして、明年以降においてもわが国の漁船が米国の地先沖合いで引き続き操業することが確保されることとなります。  よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。  次に、北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件及び日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件の二件につきまして、提案理由を御説明いたします。この二件は、それぞれ別個の案件ではありますが、経緯上も内容的にも互いに密接な関係にありますので、一括して御説明いたします。  昭和五十二年五月二十七日モスクワで署名されました北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定及び昭和五十二年八月四日に東京で署名されました日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴイエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間は、昭和五十二年末、昭和五十三年末、昭和五十四年末及び昭和五十五年末に署名された議定書によって延長されましたが、さらに昭和五十六年末にモスクワで署名された二つの議定書によって一年間延長されました。したがって、両協定の有効期間は、ともに本年十二月三十一日に満了しますので、政府は、ソ連邦政府との間にこの有効期間をさらに延長する議定書を締結するため、本年十一月二十四日以来東京において交渉を行いました。その結果、本年十二月六日に東京において、わが方本大臣と先方パブロフ駐日大使との間でこの二つの議定書の署名を行った次第であります。  この二つの議定書は、いずれも二カ条から成っており、それぞれ右に述べました協定の有効期間を明年十二月三十一日まで延長すること、両政府の代表者は明後年以降の漁獲の問題に関して明年十一月二十一日までに会合し協議すること等を定めております。  この二つの議定書の締結によりまして、一方では、わが国漁船がソ連邦の地先沖合いにおいて引き続き明年末まで操業することが確保されることとなり、他方では、わが国は、ソ連邦の漁船が明年においてもわが国の漁業水域においてわが国の法令に従って操業することを認めることとなります。漁獲割り当て等の実体的事項につきましては、両国の水産当局間の書簡にその詳細が掲げられておりますが、今回の交渉の結果、明年のわが方漁獲割り当て総量として本年と同じく七十五万トンを確保し、他方、ソ連邦に対する明年の漁獲割り当て総量につきましても、本年と同じく六十五万トンを定めた次第であります。  この二つの議定書の締結は、互いに相まって、日ソ両国の二百海里水域における円滑な漁業秩序を確保するものであると考えております。  よって、ここに、これらの議定書の締結について御承認を求める次第であります。  以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。

増田盛自由民主党

○委員長(増田盛君) 以上で趣旨説明は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

松前達郎日本社会党

○松前達郎君 ただいま説明がございました漁業三条約、日米、日ソ、ソ日、この三条約について、それに関連して質問をさしていただきたいと思います。ですから、条約という問題、これは国連等の条約も含めて質問さしていただきたいと思うんですが、まず最初に日ソ間の漁業協定に関して質問さしていただきたいと思います。  この日ソ間の漁業協定については、最近の協定のいわゆる会議等で結論が出るのが比較的どうもスムーズな状況にあるような感じを私持っておるわけなんですが、今回の交渉に当たって、例年行ってきた交渉の内容、状況と大きな相違点があったのかどうか、あるいは考えられる問題点が新たに出てきているのかどうか、その点もしかございましたら説明をしていただきたいと思います。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) お答えを申し上げます。  日ソ、ソ日の漁業関係につきましては、昭和五十二年にソ連邦の二百海里の設定に伴いますところの漁業の交渉が行われまして、その結果一定の漁業秩序ができてまいりまして、わが方の漁船がソ連邦の水域内におきまして操業いたします場合の割り当て量が七十五万トン、またソ連邦の漁船がわが国の水域において操業いたします場合のクォータが六十五万トンという体制ができて、最近までその秩序が保たれてまいったわけでございますが、最近になりまして、特に去年、ことしという二カ年間につきましては、その状況がやや変わってまいってきておるわけでございます。  それは何かと申しますと、わが方の漁船がソ側の水域におきまして操業をいたします場合には、七十五万トンのクォータをおおむね七〇%以上消化できるわけでございますけれども、ソ連側の漁船がわが方の水域で操業いたします場合にそのクォータの消化率が非常に落ちてきております。特に去年とことしは三〇%程度であるというふうに考えられます。われわれが交渉をいたしましたことしの交渉時点におきましては二〇%強という状況でございまして、この消化率の低下というものがソ連にとりまして非常に大きな問題になってきているということが新しい特徴でございます。このために、今回の交渉におきましては、ソ側はこのようなクォータの消化がむずかしいという理由を、わが方の水域における操業条件がきわめて厳しいがためにこのクォータが消化できないんだということを申してまいりました。そのために、十項目に及ぶきわめて厳しい操業条件の緩和の要求をわが方に出してまいったわけでございます。  これは、その内容から申しますと、日本海の水域をほとんど全面的に開放する、それからまた太平洋の水域におきましては、現在ありますところの操業条件を大幅に緩和するという内容でございまして、このような緩和の要求はわが方としてはのめないということで、非常に交渉が難航したという状況になっております。  これに対しまして、わが方が操業条件を緩和しない場合には対日漁獲割り当て量及びスケソウダラ等のクォータを大幅削減する、これは減船につながってくるような非常に深刻な問題でございます。さらにまた五百メーター以浅におけるわが国トロール漁船の操業を禁止するといったような、これは実態的にほとんど魚がとれなくなるという状況でございまして、このようなわが方の操業の条件をきわめて厳しくするということを対案として向こう側が持ち出すというようなことから、非常に厳しい交渉になったということが現状でございます。

松前達郎日本社会党

○松前達郎君 そうしますと、その交渉の段階でいまおっしゃいました十項目の条件緩和という申し入れ、これについては一応緩和しないで従前どおりということになりますか。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) この十項目の要求がございまして、ただいま申しましたように非常に大幅な操業条件の緩和ということでございまして、私どもとしましては、まず第一に、このような操業条件は過去における何回かの交渉におきまして十分に話し合いをし、もうぎりぎりいっぱいの操業条件になっている。また同時に、この操業条件はほとんど大部分がわが方の沿岸の漁船にも全く同様に課している条件でございまして、さような条件を緩和するということはわが方の漁船との対比においておかしいということ、そしてまた現に太平洋水域では、特にソ連側が欲しいと言っておりますイワシでございますが、これはわが方の漁船はほぼ同じような条件のもとに二百万トンからの漁獲を上げておりまして、さような意味ではクォータの消化率が達成できないのは操業条件のせいではないということ、それからさらにソ側の漁船の操業の状態を見てみますと、CPUEと申しますが、単位当たりの漁獲量は決して落ちていないわけでございます。むしろ、こちらに来ている船の数あるいはその操業に対しますところの漁獲努力量の投下というものが非常に不足しているということからソ側が漁獲量を上げられないという状態でありまして、これは操業条件ではない、問題ではないということをわが方は主張し、十項目につきまして強い態度でこれを拒否するという交渉をいたしたわけでございますが、先ほど申しましたように、これに対しましてソ側は、わが国の漁船がソ連邦の水域において操業する場合のクォータを、特にわが方が必要とするクォータを大幅に削減する、あるいは五百メーター以浅におけるわが方トロール漁船の操業禁止といったような操業の条件そのものをまた厳しくするということによりまして、わが方の漁船が減船をせざるを得ないような、そういう要求を突きつけてまいりましたので、双方鋭意交渉いたしまして、交渉はきわめて難航いたしたわけでございますが、私どもといたしましては、さような先方水域におけるわが方の漁船の操業を確保するという観点も含めまして、また同時にわが方の漁船、特に沿岸の漁船が、操業条件につきまして緩和をいたしました場合に影響を受けないように十分考慮をいたしまして、二つの条件につきまして、若干の条件でございますが、緩和をいたしまして妥結をしたということでございます。

松前達郎日本社会党

○松前達郎君 日ソ間の漁業協定というのがある程度安定した内容といいますか、交渉の進展がわりと安定してきたということ、それに今回さらにソビエト連邦結成六十周年ということで、アンドロポフ書記長が発表したのによりますと、抑留船員二十九名ですか、この抑留船員に関して釈放を発表したという報道があるわけですが、これについては今後一体どういうふうに経過していくのか、その点お願いしたいと思います。

田中義具外務省大臣官房審議官

○政府委員(田中義具君) 一昨日、二十一日に在京ソ連臨時代理大使が欧亜局長を来訪しまして、ソ連に抑留されているすべての本邦漁船員を釈放する旨のソ連最高会議幹部会令を通報してまいりました。  今後、具体的な釈放の手続等については外交ルートを通じて措置がとられることになっておりまして、一刻も早く実際に釈放されるように希望しているところでございます。

松前達郎日本社会党

○松前達郎君 そうしますと、釈放についてなるべく早くそれが実現するように努力をすると。新聞によれば、年内にでも日本に帰ってこれるようにということも何か希望として申し出ているというようなことを聞きますが、それは事実ですか。

田中義具外務省大臣官房審議官

○政府委員(田中義具君) 年内にも実際に全漁船員が帰れるようにしてほしいということはソ連側にも伝えてございます。

松前達郎日本社会党

○松前達郎君 年内にその釈放が実現できれば、日本の慣習として家族と一緒に正月ということもあるわけですから、それひとつ努力を進めていただきたいと思うんですが、そういった釈放の件も含めて、最近のソビエトの外交姿勢というものについて見てみますと、この釈放が果たしてそれに相当するかどうかわかりません。これはただ単なるソビエト連邦結成六十周年というのを記念した恩赦だというふうに解釈するかもしれませんけれども、今度西側の方、ヨーロッパの方では核兵器の問題についてソビエトが新しい提案をしたと。新しい提案の中身は必ずしも新しくないものもあるわけですが、特に中距離ミサイル等についての提案もしている。書記長がかわって、新しい体制にソビエトが整備されたかどうか知りませんけれども、いずれにしてもアンドロポフ書記長になってからの外交姿勢というものは、外から見ると多少の変化をしているような気がいたしますが、これらについて、大臣せっかくおられますからひとつ御感想といいますか、これをお聞かせいただければと思います。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) アンドロポフ新政権ができまして、いろいろな面で何か多少融和的な空気が出ていることはこれは事実だと思います。  いまお話のような軍縮の呼びかけについてもそうですが、同時にまた中ソ関係を見ましても、中ソの外相会談であるとか、あるいは次官会談であるとか、中ソ関係にもいままでとは違った一つの雪解け的なムードといいますか、状況が起こっていることも見受けられるわけでございますし、また日本に対しましても、いま御審議をいただいておるこの漁業協定も非常に円満裏に締結をされたわけでありますし、同時に漁船員の釈放も早ければ年内に実行する、こういうことも見通されるわけでございますから、まあ全体としてはやはり新政権が生まれて一つの融和的な空気にあるわけですが、しかしこれが果たして、こういう路線がソ連のいわゆる世界政策として定着するといいますか、決まったのか、あるいはこれからどういうふうに動いていくのか、その辺のところはまだまだ状況を見ないとはっきりつかめないわけでございますが、せっかく新政権ができたわけでございます。私もパブロフ大使ともお目にかかっていろいろと日ソ間の問題についても話し合いをしたわけでございますが、わが国との関係もいたずらに対立ということじゃなくて、何としても隣国でありますから、友好関係を維持これを発展さしていきたいと、こういうことが私たちの考えでありますし、またソ連もそれを強く主張、要望しております。しかし、わが国との間では御承知のように領土問題、北方四島という領土問題が大きく横たわっておりますから、基本的にこの問題を処理する、それがなくては本当の平和条約が結ばれた真の友好関係の確立というところまではいかないわけで、私はパブロフ大使にも、せっかく新政権ができたので何とかこの領土問題について話し合う機会をぜひともひとつ与えてもらいたい、同時にまたグロムイコ外務大臣も今度は日本にぜひ来ていただいて、日ソ間の懸案の問題について私と話をしたいんだと、こういうことも実は申し入れたわけでございますが、ソ連としては、新しい政権のもとで日本に対しても相当積極的な姿勢をとっております。今度も永野ミッションが、非常にこれは大がかりですが、日本の経済界を引き連れてモスクワに行くということ、これに対してもソ連政府としては大歓迎ということでございますから、そういういい空気といいますか、これまでと違った何か前進させたいという空気は出てくるようにも思うわけですが、問題はやっぱり領土問題、この話し合いのきっかけをぜひとも私はこの機会につくらなきゃいかぬ、つくりたいものだと、こういうふうに実は考えておるわけであります。

松前達郎日本社会党

○松前達郎君 まあ政権が両方とも交代しているわけですが、政権といいますか人事の交代があるわけですけれども、それをきっかけにしていろいろといままでやりたくてもできないような問題についてもある程度進展をするというのは、これは外交上の一つのやり方かもしれません。しかし、いずれにしても余りぎくしゃくしていても、常に厚い壁があってもしようがないんで、やはりその点は今後努力をしていただいて、できるだけ円滑なあるいは円満なといいますか、解決ができるように、気の長い話かもしれませんが、しかしこれもやらなきゃいけない問題だと思うんですね、領土問題も含めて。まあそういうことで日ソの問題、これはこれから非常に重要な時期に入ってくるんじゃないかと思うんです。ですから、それについては安倍外務大臣に私大いに期待をいたしておるわけでありますから、ひとつその点も御推進の方をよろしくお願いいたしたい。  そこで、同じ条約なんですけれども、たとえば日本の外交などは国連中心ということをよく言われておるわけなんですが、国連における最終的な署名会議というのがつい最近あったわけなんですね。その国連海洋法条約の署名会議で、日本のとった態度というのは署名を見送ったというふうに報道されております。この見送った理由が一体どこにあるのか、それからさらに今後これはもう署名しないのかどうか、こういう点についてひとつ御所見をお聞かせいただきたいと思います。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) 今般御承知のように、ジャマイカで海洋法に関する国際会議が持たれたわけでございます。ここでわが国がこの海洋法条約の署名を見送ることにいたしました。これは新内閣としてこの条約について十分検討を行い、責任ある決定を行うにはなお若干の時間が必要と、こういうふうに判断をしたわけでございますが、しかし政府としましては、新海洋法条約を積極的に評価をいたしておりまして、これに署名すべきものであるというふうに基本的にこれは考えております。こうしたわが国の基本的立場は、ジャマイカ会議におきましても中川政府代表の一般演説の中で明確に確認をいたしておるわけでございます。ただ、基本的に賛成をいたしておりますが、いつこの署名をするかという具体的時期でございますが、これはもうできるだけ早く、早急に結論を出すべきものであると、こういうふうに考えておるわけでございます。

松前達郎日本社会党

○松前達郎君 署名する方向で考えているということだというふうに解釈いたしたいと思うんですが、これが皮肉られて、今度の総理のアメリカ訪問の時期以降になるだろうとかいろいろ言っている向きもあると思いますけれども、そうじゃなければいいんですけれども。  さらに国連総会を挙げますと、第一委員会で核兵器の凍結の決議案、これについてわが国は棄権をしている。たしか賛成が百五あって棄権が八カ国だと思いますが、日本の場合はやはり核に関しては非常にセンシティブな国であるし、経験も持っておるわけですね。ですから、国連を通じてこういったようなものについては積極的な態度で臨んでいくべきだと私は思うんですけれども、この棄権したのはどういう理由なのか、まさかそういうことはないと思いますが、あるいは将来の核導入の布石なのかどうか、その辺お聞かせいただければと思います。

安倍晋太郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(安倍晋太郎君) ちょっと基本的に私申し上げますが、今度核不使用決議案でわが国が棄権をしたことは、これは事実でございまして、わが国は御承知のように広島あるいは長崎といったようなところで原爆の洗礼を受けておりまして、お話のように全く核兵器というものに対しては、もう国民感情から見ましてもわが政府としてもきわめてセンシティブであることは御承知のとおりであります。そして、何としても世界で軍縮を実現しなければならぬというわが政府の意欲は、これはどこの国にも劣らないものである、こういうふうに考えておるわけでありますが、やはり核の問題を考えるときに、ただこれが約束だけで実効的措置が講ぜられなければ私は本当の意味がないんじゃないかと、こういうふうに考えておりますし、またやはり世界の安全保障というふうな立場も踏まえてこの問題に対しては現実的に処理をしなければならぬ、こういうふうにも思うわけでございます。そういう面で今回の決議案につきましては、これは軍縮委員会等で手続を決めておりますから、軍縮委員会等で十分今後論議ができるわけでありますし、また同時に、いわゆる核軍縮といったような具体的な実効ある措置というものが、そうした決議等できちっとなっていないというところに、わが方として実効ある措置というものを進めていくということが基本でございますから、そうした基本的な立場に立っていま申し上げたような態度に出たわけでございまして、具体的には政府委員の方から説明をいたさせます。

遠藤哲也外務省国際連合局外務参事官

○説明員(遠藤哲也君) いま大臣から御説明がございましたように、今回の核不使用の条約決議案は重点が軍縮委員会——これはジュネーブにある軍縮委員会、日本もメンバーでございますけれども、そこでこの条約案をたたき台にして今後検討しろと、こういう手続的な性格でございまして、そういうようないわゆる手続的な側面に注目いたしまして棄権した次第でございます。

松前達郎日本社会党

○松前達郎君 そういったわが国としての態度を決定する段取り、意思決定の方法といいますか、一番出先の皆さんがそこで決定するわけではないと思いますから、当然その内容を持ち帰ってしかるべきところで検討されて、その結果こうすべきだという結論を出してまた発表するという段取りだと私は思うんですけれども、その辺、一体外務省としてどこでどういうふうにされているのか、ちょっと私わからないものですからそれお聞かせいただければと思うんです。

都甲岳洋外務省大臣官房外務参事官

○政府委員(都甲岳洋君) 外務省としていろいろな政策決定を行います場合に、当然のことながら事項によっていろいろ違うわけでございますけれども、外務省の主管課が中心になりまして通常の場合には関係方面、関係各省及び省内の関係各課、局等と十分協議いたしまして一応の案をつくりまして、その結果をさらに各方面に諮り一応の対処方針というものをつくりまして、その素案を持って省内で順次決裁を得ていくというプロセスをたどっております。それで、もちろん省内での意思決定を見ましたときにそれが対処方針案となるわけでございますけれども、事柄の重要性によりまして、場合によりましては当然のことながら官邸、総理まで御決裁を得てその上で対処方針として固めるというのが通例でございますけれども、事柄によりましてはもちろん外務大臣までの決裁ということで対処する場合もございます。

松前達郎日本社会党

○松前達郎君 そうしますと、大臣あるいはその政権の意思といいますか、そういうものは結局重要なものだけに反映していく。省内でずっと討議をされて稟議をされるわけですね。そしてその結果として重要なものは外務大臣あるいは総理まで上がっていくというふうなことに解釈してよろしいですか。

都甲岳洋外務省大臣官房外務参事官

○政府委員(都甲岳洋君) 仰せのとおりでございます。

松前達郎日本社会党

○松前達郎君 その辺がどうも、大臣がほとんど関与されているんじゃないかと私は思っていたんですけれどもね、大体条約とかそういうものは比較的重要なものですから。まあその辺大体わかりました。なぜそんなことを言ったかというと、田中総理の裁判もあるわけですから、その辺の問題も。これと関連ありませんけれども。  しかし、意思決定というものは比較的これは国の代表的な、代表といいますか、最終的な意見でありますから、この辺ひとつ慎重にやらなきゃいけないと思っておるんです。  さてそこで、時間がもうほとんどないんですが、また漁業三条約に戻りまして一つだけ。さっきの拿捕の件なんですが、今回釈放するという発表があったわけですね、ソビエト側の。今日まで拿捕その他こういったようなトラブル、こういうものが一体どの程度起こっているのか、これについておおよそで結構です、内容をちょっとお聞かせいただきたいと思うんです。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) ただいまのお尋ねは日米と日ソと双方をお話し申し上げた方がよろしいかと思うんでございますが、まず、日米漁業協定につきましては昭和五十二年に米国の二百海里漁業水域の設定を受けまして、わが方もわが国漁船の二百海里水域における操業条件を定めた日米漁業協定が日米両国間で締結されたことに伴いまして、特に関係漁業者がこの協定を遵守するということが、将来のこの水域におけるわが国漁船の操業の安定ということに非常に重要であるということで、わが方も強くこれに指導取り締まりを行ってまいったわけでございます。  現在のところ、違反件数につきましては、数字的に把握されている拿捕件数を申し上げますけれども次のとおりでございます。  昭和五十三年が二件、五十四年六件、五十五年が八件、これがピークでございます。その後、五十六年が四件、五十七年三件ということで減少をしてきているというところでございます。  なお、違反の内容は現在までのところすべて漁獲物の過少報告、いわゆるアンダーロッグでございます。  それからソ連の水域でございますが、やはりこの水域におきましても漁業の違反につきましては国際協定の遵守ということでわが方も強く指導しているところでございますけれども、何分にもこの水域は小さな漁船がたくさん操業しておりますためにその件数がかなり多くなっております。昨年ではその件数が二百二十五件、賦課された罰金額が九億円余でございます。本年一月以降のものでは、十月末日までに報告されたもので二百四十六件、八億六千万円余でございます。  なお、違反の内容は操業日誌の記載の誤り等が半数で、そのほかこれはやや希有な問題でございますが、区域外操業というものが次いでおるという状況でございます。

松前達郎日本社会党

○松前達郎君 私は終わります。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 いま松前君によっておおむね問題点は三条約とも質問されましたが、この中で私は、外務省なり農林省なりの当事者の人たちが非常な苦心を重ねてその積み重ねの上に新しい外交の方向を、国際的な潮流の変化にもよりますけれども、具体的に成果を挙げたということは私は大変なこれは記録だと思うのであります。少なくとも外交の問題、防衛、経済というようなものを含んでこういうふうにきわめて具体的に現実的に相互の理解を求めながら話し合いを重ねるならば、困難な事柄であってもその難局を打開するという実例を示した点において、国際外交の中で非常に苦労している日本の外交史上において、私は特筆すべきものだと思うのであります。  松前君が慎重にやはり検討したように、日本の外交あるいはこれに伴う国際協力の姿勢というものはおのずからこういう一つ一つの具体的な事例の積み重ねによって私はこれから実のあるものになっていくのではないかと思うのです。  これに反して、あなたたちのいただいている総理大臣中曽根さんの言動は、世界の潮流、日本の外交当局なり、農林省なり、通産省なり、大蔵省なり、挙げて国際協調の方向へ同調していこうという努力とは逆ではありませんか。まだ中曽根さんは総理大臣になったばかりのほやほやでありますが、相当な自信家であります。しかし、こういう国際関係のむずかしい段階においては、あの人の国際感覚というものを私たちはいつも疑っているのであります。非常な疑問を投げておるのであります。  イラン革命の際においても、これは要らぬことかもしれませんが、あの人はあすこへ行って、あの王室と日本の王室は似ているから非常な緊密な関係を結ばなければならぬというような、皇室のことにまで言及して、政治に関与しない日本の皇室まで引っ張り出したのですが、あの後の状態は何ですか。石油の危機において、何よりも油を求めなけりゃならないというのでべらぼうに高い金で油を買ったのは中曽根さん的先見の明があるいはあったのかもしれませんが、その他の問題においては、もし中曽根発言をそのまま受けたならば日本はえらい目に遭ったと思うのです。取り返しのつかない目に遭ったと思うのです。  あの当時から見ると、中曽根さんも、大分本人は進化論的にだんだん進歩したというようなきのうあたりも生物学的な自己分析をやっていますが、どうも私の見るところ少しも進歩した跡がなく、ヒットラーが進軍ラッパを吹くごとく、この機会に、自民党から主として推戴された総理大臣として憲法改正を、改正論者として私はやるんだという発言は、いまだかつて日本の国会始まって以来、現行憲法、好むと好まざるとを問わず日本国憲法を遵守してこそ初めて総理大臣の慎重な態度というものが、一大臣あるいは一個人と違った重みがそこにあるんだと思いますが、この日本国憲法の精神を無視して、私は改憲論者であるという進軍ラッパの吹き方はこれは何事ですか。私は、異常な心理が中曽根さんのところにはわだかまっているのではないかと思います。病院にやって診察してみてください。  こういう、日本国における国会始まって以来、人もなげな一個のヒロイズムによって進軍ラッパを吹かれたのでは、木口小平のラッパとは違って国民は非常に迷惑をいたします。自民党にも私は見識ある人は多々あると思うのでありますが、こういう点において、私はあの参議院における答弁を聞くと同時に、これは国民主権のこの憲法並びにそれに基づいてつくられた最高機関としての日本の立法府を守るためには、中曽根さんを場合によっては罷免しなけりゃならぬという私は決意をして、すでに手続は社会党の執行委員会にゆだねてあります。しかし、今日積み重なる重大な問題が累積しているとき、総理大臣がそれらの問題には触れないで、いきなり憲法改正論者であるという放言は何事ですか。日本国憲法を遵守しない総理大臣のもとにおいて、われわれが国政を審議することができるでありましょうか。このような悪例を残すならば、日本の国会は中曽根ヒロイズムの中に、ナチス台頭期におけるところのムッソリーニのやり方よりもひどいやり方でもって国会が無視される危険性があるのであります。日本の総理大臣の言動は、今日においては世界のこの苦悩の真っただ中において、世界の心をかち得なければならないという重要な段階に、そのことを無視して中曽根進軍ラッパを許すならば、日本の国会はあってなきに等しいものになるのであります。私は、このことは私たちよりも彼を総理大臣に推戴した主力の自民党その他が襟を正して、私はみずからの不明を国民の前にさらさなければならないと思います。私は、この漁業問題に事かりて言うのではない。ソ連とアメリカのむずかしい懸案すらもこのごとく成果を上げられるという具体的事実が生まれたときに、隣りの中国が教科書問題でパートナーシップ、日本のことを腹から心配するがゆえに、近隣諸国をして軍国主義の道を歩むものとしての警戒を持たれては大変と思って、教科書問題をひっ提げて日本に物申したじゃありませんか。あれがパートナーシップです。アメリカに対する日本のパートナーシップも、アメリカに対して一も二も三も追従するようなパートナーシップでなく、今日の漁業三条約において示されたような、主張すべきものは主張し、言うべきものは言い、お互いに胸襟を開いて問題を片づけるというのが日本の外交の基本方針ではありませんか。この外交の基本方針と全く違う中曽根総理大臣のもとにおいて、外務大臣、あんたは大分慎重な方のようですが、果たして外務大臣としての任務を果たせるかどうか、このことを一度承ります。

石川要三自由民主党外務政務次官

○政府委員(石川要三君) ただいま戸叶先生の大変次元の高い御高説を拝聴いたしましたが、私は以前環境政務次官もしておりまして、たまたま環境問題でも戸叶先生の自然に対する基本的な考え方といいますか、哲学といいますか、そういうものを拝聴いたしまして、いささかなりとも大変私は敬意を表しているわけでありますが、そういう意味で、ただいまの御質問、御意見というものを拝聴してまいりました。  そこで、外務大臣がいまお留守でありますので、さらに政務次官の私が中曽根総理の憲法に対する基本的な考え方についての御答弁を申し上げるということは、やはりいささかちょっと門違いかと思いますし、申し上げられませんけれども、ただ、先生のいまの御高説の中で、当初やはり国際信頼というものは、国際間の信頼というものは具体的な一つ一つの問題に対する積み重ねというものの中から醸し出されるという、そういったようなことにつきましては私は全く同感であります。そういう中でこの複雑なむずかしい国際社会の中で、中曽根総理の今回のこの憲法に対する見解にいろいろと御高説を拝聴したわけでありますが、まあその点につきましては私ははなはだ失礼でございますが、中曽根総理が憲法を遵守しないというふうには私は受け取っていないわけであります。憲法は遵守するんだというふうに受けとめております。ただ、憲法に対するいろんな意見、こういうものは政治家としてこれはまた当然ではなかろうかという御趣旨につきましては私自身は同感であります。まあしかし、いずれにしましてもこういう国際情勢の中で外交というものは大変重要性を増した、その中での国のリーダーシップとしての総理の根本的な政治に対する、憲法に対する考え方というものは、これは重要な意味を持つわけでありますので、いまの先生のそういう御意見というものは私は率直に安倍大臣によくお伝えいたしまして、安倍大臣としてのお考えはまたいずれの日にか先生の方に御回答あろうかと思いますが、きょうはそういうところで回答にはなりませんけれども、大臣に先生の御意見をよく伝えるということで、私からのまあ答弁にさしていただきたいと、かように思うわけであります。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 政務次官としては誠意のある御回答かと思いますが、私は国家多事の折、重要問題が幾つか横たわっているときに、総理大臣が私は改憲論者でありますという冒頭発言というものは非常に不謹慎であって、日本の今日のむずかしい国家の中枢にある総理大臣としてはえらい不適格者を選んだなという感じを受けるのでありますが、あなたはどう感じますか、常識的に。

石川要三自由民主党外務政務次官

○政府委員(石川要三君) 私ども自由民主党は、総裁選挙の制度がございます。それには先に党員だけの間の予備選挙、そしてさらには本選挙というふうなそういうシステムをたどっていくわけでありますが、そういう民主的な方法によって党員の意思が表明されて今回中曽根総理というものが実現したわけでありますので、私は、その点につきましてはやはり一つの開かれた政党として当然のプロセスをたどって出現された中曽根内閣でありますので、それなりに党員としたらやはり協力もし、そして国民の期待にこたえていただくように最善の努力をしていただきたいと、こういう考えであります。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 えらい鬼っ子が生まれたもので、そのことは答弁しなくてもよろしゅうございます。  私は、前の鈴木総理大臣にも、総理がアメリカのレーガン大統領に最初にお目にかかりに行くという直前に質問をいたしました。その私の質問の趣旨は、日本国憲法は国連憲章を母体として生まれたものであって、国連憲章の精神が揺るがない限り、簡単に憲法改正はできなくできているんだという私の見解を述べて、答弁は要らないがと言って答弁を求めない質問をいたしました。それは、うっかり総理大臣が答弁をすると、自民党の方の改憲論者からひどい目に遭ってえらい動きのとれないようなところへ立ってしまうと鈴木さんのような良心的な思慮の深い人は困ると思ってでありますが、その後、天皇誕生日の日に宮中でお目にかかりましたら、答弁を求めなかった私に対する非公式な答えでありましょうが、前の鈴木総理大臣は、私が総理大臣でいる期間は憲法改正はいたしませんと明確に断言しました。この慎重な鈴木総理大臣とこの軽率きわまる中曽根さんとは、総理大臣としての言動においてはえらい隔たりがそこにあると思うのであります。やはりそういう意味において、一般国民に対して、改憲論者である中曽根さんは、立法府及び国民にみずからの主張を宣伝して挑戦したものとしか私たちには妥けとめられません。自分だけが勝手に憲法改正の必要を進軍ラッパで吹き、国民に黙っていろでは日本の議会政治は滅亡してしまいます。そういう意味において、この問題は断じて許すことはできません。私たちは生命を賭して議会政治を守らなきゃならない。中曽根さんの軽率を追及するのではない。少なくとも一国の総理大臣として選ばれる者の言動というものは国民を代表した慎重な言動でなければならないのを、それを行う能力のない総理大臣を相手に私たちは国政を論ずることはできないのであります。まず、自民党の方からこれはそれぞれ善処が起きるでしょうが、善処が起きなければ国会において国連憲章擁護並びに日本国憲法擁護——国民の中にほうはいとして国連擁護、日本国憲法擁護、憲法改正論者の思想反対という国民運動が起きることは当然の理です。どうぞしばらくぶりの護憲運動でありますから、果たして金と国会議員の数だけで力でまかり通れる、この内閣は国民の心を得ずしてまかり通ることができるかどうか、このことをひとつどういう形でもいいから伝えてください。私たちは委員会に所属しますが、いま日本の命運を決するような重大な問題に対しては、外務省の条約や何かにも関連があることであって、私たちは軽々率々に外務省の委員会運営のみに没頭できず、その基本的な問題を、いまこそ国会がここに存在するのだという意義を示すために私は明確化しておくことが必要だと思います。よって、委員長は別ですか、まあ政務次官は大臣を代表して来たんでしょうが、こんなことじゃあなた国政は運営できませんよ。あなたのやったみごとな条約もぱあになるかわかりませんよ、相手がぱあだから。

石川要三自由民主党外務政務次官

○政府委員(石川要三君) いずれにしましても、私は政務次官でありまして、中曽根総理の改憲に対するいろんな御意見、御批判というものにつきましては私は答える立場ではございません。きょうの先生の御意見は十二分にひとつ安倍大臣に伝達をしたい、このようなことだけを申し上げまして答弁とさしていただきます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 このたび妥結しました日ソ、ソ日の漁業暫定協定は、相互主義の立場の中からなかなか厳しい交渉の中で五年連続して七十五万トンの実績を確保できたということは、これは関係各位のお骨折りだと感謝しておりますが、この問題につきまして、北海道の関係者は今日ある結果を前々から非常に心配しておりました。というのは、昨年のあの交渉でソ連側に認めた日本海水域、すなわち積丹沖から津軽半島沖での操業でソ連船が姿を見せなかった。そのことが今回の交渉で相当影響をしてくるんじゃなかろうか、そういう危惧があったわけです。たとえば漁獲割り当ての削減問題だとか、あるいはソ連側が操業条件の緩和拡大等を持ってくるのではないか、そういうことが、非常にもう昨年のうちから心配されておった結果がそのとおりになったというような嫌いがあるわけであります。こういう点が一つ、ソ連がなぜ日本海沖のところに来なかったかというようなこともありますが、ともかく今回のソ連の要求してきた、先ほどお話がありました十項目を突きつけられて大分御苦労なさったということはわかるわけですが、その中でソ連に認めてきた二項目のこの要求理由はどういう理由なのか。それからもう一つは、日本側がこれをのんだ、認めたという理由ですね、そういったような問題について御回答を願いたいと思うんですがね。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 今回の交渉におきましては、先ほども御答弁を申し上げましたように、ソ連漁船の漁獲実績が昨年に引き続き非常に低調である、特にクォータの消化がなかなかできないということを申しまして、その原因がわが国水域における操業条件が非常に厳しいからであるという理由を述べまして十項目にわたる大幅な規制の緩和を要求してきたわけでございます。  この要求は、先ほど申し上げましたように日本海のわが国水域につきましては、去年の一部水域だけではなくてほぼ全面的に開放してほしいという要求でございましたし、また太平洋水域においても規制をほぼ全面的に撤廃するということに近いようなそういう要求であったことは事実でございます。このために、私どもといたしましてはわが国の水域における規制というのはこれまで日ソ間で長い年月話し合いをいたしまして形成されてきたものでありまして、これ以上の規制の緩和はできないということと、それからソ連漁船の実績が低調であるということは、むしろソ連漁船の漁獲努力量の不足にあるんだということを申しまして、ソ連の要求は受け入れられないということを強く申し、また粘り強く交渉をいたしたつもりでございます。  これに対しましてソ連側は非常に態度がかとうございまして、これが受け入れられない場合には対日クォータの大幅な削減、特にスケソウダラを中心としたわが方の有用な魚種につきましてのクォータをカットする、さらにはまた、先ほど申しましたような五百メーター以浅の水域における着底トロール漁業の全面禁止といったような実態的にも非常に厳しい要求を申してまいったわけでございます。  このようなことから非常に交渉は難航いたしたわけでございますけれども、最終的に私どもが判断をいたしましたことは、もしもクォータの削減といったようなことをいたしました場合には、わが方のソ連水域において操業する漁船、これは北海道の漁船が非常に多うございますけれども、これらの漁船の操業がまことに不安定になり、かつ減船という非常なつらい辛酸をなめなきゃならぬということを考えなければならない。また同時に、この規制の緩和につきましては、先ほど申しましたような二点につきまして緩和をいたすということをわが方の沿岸漁船の影響というものを慎重に考慮した上で決めまして、これらのもとにおきまして先方との間に話を妥結するということができたわけでございます。  この二点と申しますのは、太平洋の八小海区の一部につきまして着底トロール漁船の操業を七月と八月の二カ月間のみにつきまして操業を認めるということにいたしたことと、それから小笠原の水域でございますが、太平洋の十七海区の一部において試験的に二隻のマグロ船の操業を認めるということでございます。  なお、お尋ねのソ連漁船が昨年開放した水域につきまして操業いたさなかった理由でございますが、これにつきましてはわが方も先方に問いただしましたが、ソ連漁船が漁獲をしないという理由につきまして、先方は七月から十一月の半ばまで当該水域において調査をしたが、漁獲の対象となる魚群を発見できなかった。このために七月下旬に巻き網船十隻が二日間入ったけれども漁獲は得られなかったということを申しております。しかし、わが方の科学調査船の七月の調査によりますれば、この水域において漁獲対象となる魚群は確認されておるわけでございます。また、われわれとしては、ソ連漁船が日本海の自国二百海里水域内においてかなりのイワシを漁獲しているということも情報として得ておりますので、あえてわが水域で操業をする必要がなかったのではないかという推測も成り立つわけでございます。しかしながら、この問題につきましては昨年の交渉の結果、北海道の漁民を初め日本海の漁民の方々が非常に心配しておられるということも十分私ども念頭に置きまして、先ほど申しましたような十項目の中の非常に大きな部分がこの日本海の水域の全面開放ということになりましたけれども、この点は一歩も譲らず、当該水域における拡張は完全にいたさないということで交渉を妥結したということでございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 一応の説明はわからないわけではありませんけれども、日本海に昨年はやって今回は太平洋の方に持ってきた。こうやって状態を見ていきますと、だんだんとソ連側の操業区域が拡大されてきてわが国の沖合いが荒されていくんじゃないかという心配があるわけです。ソ連は日本海まで出漁しなくても去年の漁獲はイワシなんかとれたからというようなことであるんじゃなかろうかということを言われておりますが、ともあれ、そういうふうに今後またこの次の交渉なんかでは同じような意味でさらにまた日本海を広げてくる、太平洋をまた別の地域へ持ってくる。しかも、こういうふうな形になっていきますと追い込まれてまいります。そういうふうな点について非常に心配でならないわけです。この辺の点について今後折衝の段階において——確かに魚群の姿があったというものの、ソ連側の意図というものが那辺にあるのか、太平洋の方に持ってきたその意図というものは那辺にあるのかなという一つの危惧もあるわけです。この辺のことはどうなんです惧もあるわけです。この辺のことはどうなんですか。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 先生おっしゃいますように、確かにこのような形でわが方の沿岸におきますところの操業条件を逐次緩和するということにつきましては、私どもも本当に限度に来ているという感じがいたしておりまして、できるだけわが方としては、今後わが方二百海里水域、この操業条件を守るということで交渉の強い態度を示していかなければならぬというふうに考えておる次第でございます。特に来年以降の交渉におきましても、もしもクォータの消化率が上がってまいりますれば、ソ側としてもその態度をやわらげてくるということは考えられますけれども、もしもことしのような状況で続いてまいりました場合には、操業条件に問題ありとして、やはり厳しい交渉を来年また持たざるを得ないという事態が想定されるわけでございます。  さようなことから、今後あらかじめどのような対応を示すかということにつきまして十分検討いたして、今後の交渉に臨むことが必要であるというふうに考えますと同時に、またいずれにせよ世界の二大水産国でございますから、その間におきまして科学的な資源評価に基づきまして漁業資源の最大限の有効利用を図るという見地から、ソ側と十分に協議をいたしまして、わが方の漁業にできるだけの影響が出ない形で将来の交渉もまとめていかなきゃならぬという決意をしているわけでございます。  なお、日本海あるいは太平洋におきますところのソ側の要求が那辺にあるかというお尋ねでございますが、私どもとしましていろいろな交渉の過程を通じて感じましたことは、ソ側の食糧計画がございまして、特にたん白資源を漁業に仰ぐという傾向が非常に強くなってまいっておりますので、さような観点から日本海及び太平洋、つまり日本周辺水域における操業というものを安定的に確保するということがソ連の漁業者にとりまして至上命令になっているというふうに聞いておりまして、さような意味から、特にここにおける漁獲の重要性ということを考えましてこのような交渉態度に出てきたのではないかというふうに考えられます。もしも先生のお尋ねがそのほかの意図というようなことにあるとするならば、その点については私ども少なくとも漁業関係の交渉をやってまいりましたので、それ以外の意図につきましては私ども確たる心証を得ることはなかったわけでございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 政務次官どうですか。外務省としてはどうなんですか。時間がありませんので……。

石川要三自由民主党外務政務次官

○政府委員(石川要三君) 大変失礼いたしました。いまちょっとほかのことを考えておりまして、先生のこといま聞き落としちゃったものですから、大変どうも失礼いたしましたが……

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 時間がありませんのでね、審議官の方から。

田中義具外務省大臣官房審議官

○政府委員(田中義具君) われわれとしましては、外務省としましてもソ連の今後の出方等につきましては十分注意してまいりまして、もしその漁業以外にいろいろ、たとえば軍事的な見地とかその他の考慮も入れてソ連側のいろいろな要求が出てくるということになる場合には、それはあくまでもそういうことにならないように日本側の立場を貫徹するというふうにやっていく覚悟でございまして、今回の交渉でもそういう観点からも絶えず配慮しながら対応してきたわけでございますが、これまでのところのソ連側の動きというのは先ほど水産庁長官が御説明されたとおりの状況というようにわれわれも考えております。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 いろいろこの腹の奥底は何があるかということはわかりませんけれども、いずれにしましてもこういう状態で次回もまた中に入ってこない、操業してこないで、また新たなところを要求してくるというようなことになりますと、水産庁長官の答弁にありましたように、沿岸がいよいよ攻められて、日本漁業が全く閉鎖されるような形になるんじゃないか、その辺が非常に心配なものですから、これは十二分に今後のあり方として検討していかなきゃいかぬ問題だと思います。  政務次官、大臣のおかわりでございますので、ひとつよろしく御答弁の方はお願いいたします。

石川要三自由民主党外務政務次官

○政府委員(石川要三君) どうも大変失礼いたしました。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 それで、いま北方の問題等を含めての話でございますが、政務次官は北方領土の現地へ行ったことがございますか。

石川要三自由民主党外務政務次官

○政府委員(石川要三君) まだ本日まで行ったことがございません。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 大臣はどうかわかりませんけれども、この問題はやはり現地の実情を知るということが一番大事なことじゃないかと思います。よけいなことだと思いますけれども、また機会を見て行っていただくことがいいんじゃないかと思います。  ソ連のカメンツェフ漁業相が来日の決定を見ておりますが、日本側としてはこの二月にどんなふうな対応をなさっていくのか。もちろんこの漁業交渉の件も、長期的なものに切りかえていくような協定の話をしていくんじゃないかというふうに私は考えるわけですが、その辺のことをどのようにお考えになっておりますか。

田中義具外務省大臣官房審議官

○政府委員(田中義具君) カメンツェフ漁業相が来日した際の話し合う分野については、先生も御指摘のとおり、現在日ソ・ソ日漁業暫定協定の長期化の問題等が存在しておりまして、これらの懸案を中心に話し合いが行われることになるものと予想しております。そのほか、日ソ漁業協力の推進、日ソ・ソ日損害賠償処理の推進等についても話し合われることが考えられております。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 いままで閣僚の担当大臣が見えるということはなかなか容易なことじゃございませんし、またいいチャンスでございますので、この辺の点については、いまお話がありましたそれ以外の問題も山積しているのだと思いますが、その辺のことも承知の上だと思いますが、そのように、先ほどもお話がちょっとありましたけれども、ソ連の新政権にかわってから、先ほど大臣の答弁にありましたように、非常に緩和されているというような嫌いがあるというような答弁もありましたけれども、ソ連向けの鋼管輸出の融資が決まったこと、それから大臣が答弁をされておりました、二月には永野重雄日商会頭を団長として、その貿易経済代表団がソ連に行くというような、わが国のいままで続けてきた対ソ措置がこのまま続けていかれるのかどうなのか、その辺のことを本当は大臣にお伺いしたいんですけれども、先ほどお話がありましたし、その辺のことをひとつ念を押しておきたいと思いますが、どうでしょうか。

田中義具外務省大臣官房審議官

○政府委員(田中義具君) ソ連の新政権の動きにつきましては、これはアンドロポフ政権が成立して以来、われわれもその動きについては十分注意して見守っております。まだ何分にも政権が成立して間もない状況でして、特に対外関係、日ソ関係において従来と何らか変わった動きに出るのかどうかということについては、現在の時点ではっきりしたことはまだ見通すことはできませんが、新指導部としては従来の路線を継承していくという基本的な態度は明らかにしている現状でございます。そういう中で、わが国としてこれまでとってきた政策について特にこれを変更しなければならないというような状況にもないということでございまして、政府としてはこれまでどおり日ソの経済関係については、日ソ関係は政治、経済等の分野を含む全体としてとらえるべきであるというような考え方にのっとって、無原則な政経分離はとらないという態度を堅持している次第でございます。  御指摘の第七次大口径綱管の対ソ輸出問題につきましては、これは従来からも信用供与政策についての基本方針でありますケース・バイ・ケースで慎重に検討して供与を決めていくという線にのっとりまして、この問題についていろいろな角度から検討した結果、これについては問題がないという結論に達して、サプライヤーズクレジットの供与について政府としての方針を確定したということでございます。  それから永野ミッションにつきましては、これは民間のイニシアチブに基づくものでありまして、政府としてこれに関与しているということではございません。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 十一月のたしかあれは中旬ごろでしたかね、アメリカも対ソ経済制裁を緩和しているというふうになってきているわけでありますから、そういう意味から考えていきまして、確かに北方四島の問題はそのまま厳然とした事実でございますし、しかしだんだん緩和していく中において、そういう四島返還の問題も玄関口じゃなくて中へ入っていってどんどんやるべきときが、ソ連の新政権に対するこちら側のまた今後のあり方じゃなかろうかと、こう思うわけですね。その辺について大臣にもお伺いしようと思ったんですが、せっかく政務次官もおいででございますので、この辺のことはひとつ大臣によくお伝えを願ってもらいたいと思いますけれどもいかがですか。

石川要三自由民主党外務政務次官

○政府委員(石川要三君) 確かに国際情勢が非常に大きく変革をしつつあるわけで、特にソビエトの新体制下の中の動きというものが、先ほど来大臣や政府委員の方から申されたような方向で非常に進んでおることは感知できるわけでありますが、はっきりした一つの安定感としての動きまではまだつかめないというような状態の中で、いま御指摘のように、やはり外交というのはタイミングもありますので、そういう点でやっぱり適応な処置も当然これは必要ではないかと思いますので、いま先生の御指摘の御意見等は十分に私どもも意に置きながら、そしてまたきょうの御意見につきましては大臣に十二分にひとつ伝達をしていきたい、かように考えております。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 時間が余りありませんので、まだ問題点が大分あるんですが、日米漁業交渉の方に入りたいと思います。  報道によりますと、昨日か一昨日あたりに、漁獲割り当てが百十万トンに決まったような報道があります。昨年から比べますとこの辺は減少しているんじゃないかというふうにも思えるわけですが、いずれにしましても今回の日米新漁業協定が承認されたということに対しましては、水産業界では非常に安心をしているわけでありますが、しかしながら、この協定の内容を見ていきますと、四条なんかの問題、五条なんかの問題があります。漁獲割り当て量は米側が一方的に決めていく、あるいは割り当て方式も年間一括割り当てではなく——これは従来からやっておりましたけれども、協定本文の中に入れたというこういうふうな問題も、一つの方式が変わってきたこと、先ほど申し上げました漁獲量の問題につきましても、減った分は二月にふやすとかいうような話もちらりと耳に入っておりますけれども、それと同時に、今度はこの協定がおくれた一つの問題の中には捕鯨問題があるというふうにも言われておりますが、わが国が三年後の商業捕鯨全面禁止に対して、国際捕鯨委員会、IWCに異議の申し立てを行っていることを理由に、その理由で大分この協定の時期もおくれたんじゃないか、このように思うわけですが、この問題につきましても大変な将来の重要な課題になってくるわけであります。米国の様子等から考えていきましても、相当大きく将来影響されてくるんじゃないか、このように思うわけですが、その辺のところを御説明を願いたいと思います。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) まず、割り当てでございますが、まだ決まっておりません。鋭意目下斉藤審議官をアメリカに派遣しておりまして、折衝中でございます。  それから、条文の問題等につきましては外務省の方から御答弁があると思いますが、アメリカの基本的な漁業政策、さらには捕鯨の問題といったようなものにつきまして私から御答弁をさしていただきます。  まず、日米の漁業関係でございますが、基本的には約百二十万トンの漁獲量をこの水域で得ているわけでございまして、わが国にとりましては非常に重要な水域であることは論をまたないところでございます。  ただ、日米の漁業関係につきましては最近非常に厳しさを増してきているわけでございまして、特にアメリカ側は、いわゆるフィッシュ・アンド・チップス・ポリシーということを言っておるわけでございますが、対米協力をわが国に求める一方で、その協力の度合いに応じて対日割り当てを考えていくという考え方が非常に強くなってきているわけでございます。このほか、入漁料の引き上げの問題あるいは捕鯨問題等とも相まちまして、わが国の漁業に対しましてはアメリカの水域での問題がかなり大きくクローズアップしているということは事実でございます。  それから、また同時にこのようなアメリカ側の態度の基本には、いわゆるアメリカの水域の中でとれる魚はできるだけアメリカの漁業振興のために使いたいという気持ちがございまして、私どもに対しましても、やはり恒久的には、終局的にはと申しますか、外国の漁船はフェーズアウトと申しますか、できるだけアメリカの漁船でもってこの水域の資源を有効に活用するという態度を示唆してきているわけでございまして、さような点から、日米の漁業関係も決して楽観を許さない状況にあると言わざるを得ないと思っております。  しかし、わが国といたしましては、何と申しましても伝統的な漁獲実績というものを持っているわけでございまして、さような観点からクォータにいたしまして本年は百三十万トン余のクォータを受けておるわけでございます。かような伝統的漁獲実績はぜひ将来とも確保したい。また、そのような配慮を当然アメリカとしてはすべきであるということを主張いたしておるわけでございます。  それからまた第二に、日本と米国の間には一般的な友好関係があるわけでございますから、さような点も十分にアメリカとしては配慮をしてほしいということも申しております。  また特に、いわゆるフィッシュ・アンド・チップス・ポリシーにつきましては、われわれとしてはいわゆるスケソウダラの洋上買い付けという問題をことしは解決をいたしておりまして、また同時に、米国水産物輸出の約五〇%はわが国がこれを買っているという最大のマーケットであるという点も先方に十分に話をいたしまして、できる限りわが方としてはこの水域においてクォータを確保する、またそのために粘り強い交渉を続けまして米国水域での安定的な操業を確保するということで、政府としては今後とも対応してまいりたいというふうに考えるわけでございます。  特に、御懸念の捕鯨の問題でございますが、確かに今回の日米新漁業協定の締結に当たりまして、この問題が関連をしてきたということは事実でございます。いわゆる七月の国際捕鯨委員会におきますところの三年後の商業捕鯨の禁止につきましては、政府といたしましてはこれが科学的根拠が乏しいということ、また同時に、これがIWCの条約に必ずしもマッチしないということ、さらにはわが国の捕鯨あるいはその関連の産業に大きな影響を与えるという角度から、これに対しまして異議の申し立てを行ったわけでございますが、この異議の申し立てに関連いたしまして、特に反捕鯨団体勢力によりますところの新日米漁業協定の不承認あるいは対日漁獲割り当ての削減といったような問題が、いわゆる制裁措置として論議に上ってきたことは事実でございます。これに対しまして、いわゆるマグナソン・パックウッド法、これは対日割り当てに非常に大きな影響を及ぼすわけでございますが、この発動につきましては、直ちにこれを発動するということは法律的に無理であるという見解が米国においても有力であると聞いておりまして、今回の異議の申し立てによりまして直ちに同法が適用されるという可能性は、私どもはほとんどこれはないんじゃないかというふうに考えているわけでございますが、特に心配をいたしましたのは、この新日米漁業協定の不承認ということでございまして、これは業界の方も非常に心配をしておりまして、ようやくこれが先方の上下両院を通過いたしまして、わが方の国会での御審議を相まちまして協定が成立できますれば、この水域における安定的な操業が確保できるということで安心がいたせるわけでございます。  特に、この捕鯨の問題につきましては、わが方の立場、これは十分に先方に伝えてございまして、この異議申し立てを行いましたときに、この異議申し立ては三年後においてわが方の捕鯨を継続することを現時点において直ちに決定したわけではない、アメリカとの間では、また他の非捕鯨国の間では十分に話し合いをして、その結果、この問題を解決していきたいという意図を十分に表明いたしました。  また同時に洋上買い付け等は、もしもわが国の漁船が先方の水域に入れないということになりますと、当然アメリカ側の利益も非常に大きく害されるわけでございまして、アメリカの国内の業界の中でもこのGIFA、つまり日米新協定を承認しないということにつきましては大きな影響があるということで、世論が喚起されたような状況でもありました。かようなことから、わが方の鋭意働きかけによりまして、ようやく新日米の漁業協定が米国の議会で承認されたという経緯がございます。  われわれといたしましては、やはり捕鯨の基本的な問題がございますので、今後とも対日割り当てその他につきまして予断を許さない状況でございますが、先方にわが方の意図を十分説明し、また同時に、捕鯨の存続ということにつきましても十分腹に入れまして先方と話し合いを進めていくということが必要であるというふうに考えている次第でございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 外務省。

都甲岳洋外務省大臣官房外務参事官

○政府委員(都甲岳洋君) 先ほど宮崎先生から……

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 ちょっと時間がありませんのでね。

都甲岳洋外務省大臣官房外務参事官

○政府委員(都甲岳洋君) 協定の文面につきましてこれが厳しくなっているんではないかというお問い合わせがございましたので、簡単に御説明申し上げたいと思います。  四条、五条を中心としてのお尋ねでございましたけれども、四条は、基本的に従来の協定と同じような米国の水域内における最適生産量を決めて、米国がとれない部分を日本に割り当てるという基本的枠組みを決めたものでございます。この四条の中には、「各年定期的に」という表現が入っておりまして、分割割り当て方式の前提となるような表現がございますけれども、これにつきましては合意議事録の第三項を御参照いただければ、その中で年間割り当て予定量であるとか、割り当て予定日を早期に日本側に通知するというようなこととか、あるいは割り当てに当たっては柔軟に対応するというようなことが書き込まれておりまして、そういう意味では従来と余り変わらない対応を米側がしてくるということが予想されます。これはわが方に対する配慮の結果、また粘り強い交渉の結果このようなことが入ったわけでございます。  それから第五条は、ブロー法案という基本的に米国の水産業促進の見地から、厳しい内容の米国の国内法が通ったわけでございますけれども、それを前提としたものが第五条でございまして、これは他の横並びとの関係もございまして米側はこの存置を強く主張したわけでございます。  それで、第五条におきましては、対日割り当てを決めるに当たっては、この米国国内法に基づくいろいろな要因、関税障壁の程度であるとか、水産物輸入の程度であるとか、そのようなものを考慮するということが決められているわけでございますけれども、これも同様に合意議事録の第四項を御参照いただきますと、その中に、対日漁獲割り当ての決定に際しては、わが国漁船の過去の操業実績を考慮するというようなことであるとかあるいは相当期間漁業関係が安定して続くことが日米双方の利益になるというようなことが書き込まれておりまして、アメリカ側としては、伝統的な日本との漁業関係を十分に配慮した取り扱いを実際上行っていくということを合意議事録の中で確認しているわけでございます。このように協定の文面上は、先生御指摘のように、横並びとの関係あるいは対議会説明との関係もございましてやや厳しくなっておりますけれども、合意議事録とあわせてごらんいただきますと、全体としては従来どおりの取り扱いが可能になるような枠組みが確保できているという感じがいたしております。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 いまお話にありました合意議事録ですね。可能な限りだとかあるいは柔軟な対応だとかあるいは妥当な考慮を払うとかいう字句があるわけですね。これが将来どんなふうにでも解釈の仕方によっては変わってくるわけです。この辺のこと、いま御答弁がありましたように、厳重にひとついままでどおり以上の折衝ということが大事になってくるんだと思います。その辺私の方から申し上げておきたいと思います。それは私の方から要請をしておくだけで、時間がございませんから。  水産庁長官、先ほど御答弁の中で、確かに五十六年度米国では日本が一番、五〇%も輸出しているお客さまですよね。ですから、そういうふうな中で交渉をされたというお話もありますけれども、洋上買い付けというのは、これは大変なんですね。昨年が六万トンで、ことしは十二万トン、来年は話し合いでは二十万トン、さらに四十万トンぐらいまでの洋上買い付けをやろうというわけなんです。これはこちらの水産界としてはひとつも得策じゃないんです。全体のバランスをとりながらアンバランスを考慮しているわけでありますから、いずれにしましても、今後この沿岸漁業がアメリカにセーブされて減ってくる問題については、アメリカ自身もほかの国に漁獲を交渉して協定やって、それを認めていこうとしている、その分だけ日本も減っていくんじゃないかというようなことから考えていきますと、確かにアメリカの船でアメリカの物をとるのはあたりまえだと言いますけれども、実際問題として洋上買い付けというのは、船は持ってきてそこで買うんですから、うちの方とすればその中身が大分違ってくるわけです。そういった面から考えていきましても、こういう点で遠洋漁業が削減されていきますと、先ほどお話がありましたように、水産国日本という今後のわが国の水産沿岸漁業、水産漁業というものがどういうふうなことになるか、重要な課題が残されていると思うんです。この辺について本来ならば外務省からも、折衝の段階で、この話も含めて答弁願いたいんですが、時間がありませんのでひとつ長官の方から答弁願いたいと思います。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 確かに宮崎委員御指摘のとおり、洋上買い付けにつきましては、もしもこれが無限に拡大してまいります場合には、わが方の遠洋の漁業に大きな影響が出てくるということは事実でございます。しかし一方におきまして、先ほど申しましたようなアメリカ側のフィッシュ・アンド・チップス・ポリシーということから考えますると、やはりわが方がある意味では相互利益というものを対米の漁業関係の中にビルトインと申しますか、入れてまいらなければ、なかなか漁獲量が確保できないということがこれまた事実として存在するわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては相互利益の原則というものは一応とりますものの、基本的には、やはりわが方の遠洋漁業の漁船がアメリカ水域におきまして安定的に操業できるという状況を確保したその中において、この洋上買い付けというものも考えていくべきであるというふうに考えているわけでございまして、そこにはおのずから限度というものがあるというふうに考えているわけでございます。また特にこの洋上買い付けにつきましてはこのような形で進めていきますものの、採算ベースに乗らないものではこれはとうていわが方としてもこれを実施するわけにはまいらないわけであります。また同時にアメリカの漁業が十分にこなし得るような、そういう実行可能な範囲内でなければこれを実現することはむずかしいということでございまして、さような点でことしは先方と十分に話し合いも行いまして、また民間の業界も先方の業界と話し合うといったようないろいろな場を持ちまして、ことしはこの洋上買い付けは採算ベースに乗らないという状況ではなくなってきつつあるというふうに考えているわけでございます。

宮崎正義公明党

○宮崎正義君 時間が参りましたのでこれでやめますけれども、一言だけ。  日ソ、ソ日の方の問題で先ほどお話がありました、質問もありましたけれども、拿捕された方々を釈放されるということでありますが、もうすでに一人、きのうですか、二十二日の午前中に釈放の第一人者が出たということなんですが、これは先ほどお話もありましたように、正月に間に合うようにさらに努力をしていただきたいことを要請をして終わります。

下田京子日本共産党

○下田京子君 最初に日ソ、ソ日の協定の問題でお尋ねしたいんですが、ことしも、今回も漁獲量は前年並みに抑えたと。いろいろ苦労もされたと思うんですけれども、新たに昨年の場合には日本水域の一部を開放するということで、ことしは十項目にわたって新たな水域拡大の条件が出されてきた。一つは三陸沖の一部水域それから小笠原の一部水域ということを認めたわけですね。こういう形で年々譲歩していくということが、果たして本当に日本の沿岸漁民の、沖合い漁民の利益を守っていく上でどうなのかという点が非常に心配なわけなんですけれども、今後こういったことを続けていくべきではないと思うんで、その点の御意見といいますか、お聞きしたいわけです。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) 今回の交渉に当たりましてソ側は十項目の操業条件の大幅緩和という要求をしてまいりまして、これに対応いたしまして、私どもは先ほど申しましたように、これ以上沿岸の水域の操業条件を緩和できないということを強く主張してまいったわけでございますが、クォータの確保、特にソ側水域におけるわが方漁船の操業の安定ということも配慮いたしまして、沿岸の漁船あるいは沖合いの漁船にほとんど影響がないということを十分に考慮いたしまして、二点だけ若干の譲歩をいたして今回の交渉をまとめたわけでございます。  しかしながら、私どもの基本的な気持ちといたしましては、今回の交渉におきましても強く先方に申しましたように、沿岸の漁業に影響を及ぼすということは非常に問題があるという基本的な気持ちを持っておりまして、わが方の水域における操業条件の緩和というものはできるだけこれを避けたいということで、将来とも交渉してまいらなきゃならぬというふうに考えております。さような意味では、クォータの消化率がソ側が悪いといった場合に、今後やはり同じような要求を出してまいるということもございますけれども、これに対しましては、今回とりました考え方と同じように強く沿岸の漁業を主体に考えていくということで対処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 ただいまのお話の方向で、大変だと思うんですが、やっていただきたい。  ただ、ほとんど影響がないということでございましたけれども、この御認識は果たしてどうなんだろうかなと思うわけです。関係する方々にお尋ねしましたところが、三陸沖の場合にいままでは七、八月を除いていたわけですね。この七、八月はどういう漁期になるのかと聞きましたところが、スケソウが春先に産卵したもの、それを七、八月には稚魚を保護していくという点での大変重要な意味も持っていると、こういうお話でした。それからまた、小笠原沖合いなんかでも全国の近海カツオ・マグロ漁業協会の皆さん方はやっぱり問題を指摘しているわけですので、これは御答弁を求めませんけれども、ほとんど影響がないという御認識を改めて、そういう日本の沿岸、沖合いの状況というものを、資源の調査も含めましてきちっと押さえた上で相手に交渉をしていくという態度が必要ではないかという点で、問題の指摘だけしておきたいと思います。  第二番目に、日米の漁業協定の問題なんですけれども、外務省にお尋ねしますが、協定の第五条、いろいろ問題になっているところでございますが、この中で「合衆国政府は、合衆国の法律で定められた諸要素をその決定の基礎とする。」というふうに書かれてあるわけです。ということは、合衆国の法律で定められた、つまりいままでのマグナソン法はもとより、この十二月の二十日、二十一日ですか、米国の下院議院、両方で通りましたマグナソン法修正と呼ばれている法律、それからまた九月の三十日ですか、下院のブロー議員が提出されて、まだこれは討議されていないようですけれども、EEZ法というのが出てきているわけです。また次に何が出てくるかわかりませんが、そういったことすべてが盛り込まれるというふうに承知しているわけなんですが、念のためにお聞かせください。

都甲岳洋外務省大臣官房外務参事官

○政府委員(都甲岳洋君) 先生御指摘のように、第五条におきましては合衆国の法律で定められた諸要素を漁獲量の決定に当たっては基礎とするということが書かれておりますけれども、この法律は特に特定しておりませんので、現存の法律及び今後の法改正も含み得るという解釈に当然なるわけだろうと思います。ただ、ここにおきまして当然予想しておりますのは、マグナソン漁業保存管理法の諸規定を中心としたものでございまして、一般的に沿岸国が管轄権を有しております漁業資源につきまして、沿岸国がその法律でいろいろな諸要素を決めていき、そのもとにおいて漁獲を外国に認めるという考え自体は、今回採択されました海洋法条約においても盛られている考えでございますので、その方向でこの五条が規定されたことはある程度やむを得ないことではないかと考えております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 私はやむを得ないとかどうこうということを聞いているわけじゃありませんで、そういうことが含まれるというのは事実なわけですよね。  そこで、水産庁にお尋ねしたいんですけれども、先ほども長官がお話になりましたが、日米の問題では大変厳しい状況になってきていると。とりわけ対米協力のその度合いを見てやるんだというふうなお話になっていることが出たわけです。ですから、いま外務省からお話があったような、協定の中でいままでのマグナソン法が一般的にベースになっていますよということだけではいかないわけなんですね。とりわけまだ提案されていて通ってはおりませんけれども、次の国会、来年度ではぜひ通したいというお話を承っておりますが、EEZという法律なんです。これは九月の三十日にブロー議員が下院に上程されたときのスピーチでこういうことを述べられているんですね。大きく言うと三点ですけれども、第一は、「漁業資源は米国漁業者の利益が最大となるように利用されるべきである。」と、それから二つ目には、「余剰資源は、当然の権利として外国に与えられるといったものではない。」と。いままでは与えなければならないと言ったのが、与えなくてもいいんだというかっこうになっているわけですね。三つ目に、「まぐろ類は高度回遊性魚類として主権的及び排他的権利の及ぶ対象から除外している。」  こういう主な三点の問題について指摘しているということになってるわけです。これがもし通っていきますと大変大きな問題になるわけでありまして、そういう点でのEEZ法なるものの問題点をどのように御認識されているのか、簡単にお答えいただきたい。

松浦昭水産庁長官

○政府委員(松浦昭君) いわゆるEEZ法のお尋ねと思いますが、九月三十日にブロー議員から下院に提出されまして、同日スチーブンス議員より同様の法案が上院にも提出され、現在審議が行われていると承知しております。  この法案の漁業関係についての主な内容でございますが、一つは、現行の二百海里法が漁業保存水域の生物資源に対しまして排他的漁業管理権を行使する旨を規定しているのに対しまして、今回の法案は排他的経済水域の生物資源に対し主権的権利及び排他的漁業管理権を行使する旨字句修正を行うことによりまして、米国の漁業資源に対する管轄権をより強化するということになっていると思います。  それから第二は、米国の二百海里水域内における漁業資源を第一義的に米国漁業により利用するということを明確化することを目的といたしまして、現在の二百海里法の関連条項に所要の改正を加えようとしているというふうに考えられます。この点につきましてはやや抽象的な内容でございますけれども、実際の米側の運用によりましてはわが方の漁業への影響が予想されますので、具体的ケースにつきまして米側と十分に協議し、処置をしていかなきゃならぬというふうに考えている次第でございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 いまの御説明のとおりで、外務省、これは大変だと思うんです。  それで、さっきのやっぱりお話にもありましたが、米側の政府高官なんかも、この四、五年の間に基本的には外国船を締め出していきたいと、こういう考え方も基本に持っているわけですね。そういうことを踏まえた上でやりませんと、この第五条の中にこういうことが明記されたということはやむを得ないということではなくて、やっぱり問題なんだという御認識のもとにおやりになりませんと大変だということを私はあえて指摘しておきたいと思うんです。そういう御認識で今後もおやりいただきたいという点で一言お聞かせください。

都甲岳洋外務省大臣官房外務参事官

○政府委員(都甲岳洋君) 先生御指摘の点につきましては、当然のことながら日本政府といたしましても国際法上一つの原則となりつつある二百海里水域内における外国漁船の漁獲について、いわゆる余剰原則という基本的な大きな方向にのっとった処理がなされるということは十分にこれを注意して処理していきたいと考えております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 関連して、先ほどのその対米協力の度合いに応じてだということになりますから、この日米漁業協定の今後の推移も含めた形で、いま大変問題になっております日米貿易摩擦問題、これについてお尋ねしたいわけです。最初に農水省の方にお聞きしたいと思いますけれども、見えてますね。  きょう何か閣僚会議等で関税の問題等についても協議だということを言っておりますけれども、すでにアメリカの下院でローカルコンテント法が通っておると。それからまた十七日にワシントンでの日米農産物協議が行われた際に、一週間以内にガットの提訴をするんだと、結論を出したいんだと、こういうことも言ってきております。アメリカ側の態度としては、市場開放要求の中で自由化以外には耳をかさぬという態度に出ているわけですね。そういうことに対しまして日本の方はどうかと言えば、これを逆に受けた形で二十日でしたか、稲山経団連会長らが、財界四団体ですか、そろいまして自民党の二階堂幹事長ら四役にお会いしているわけですね。その中で、オレンジと日本の経済を刺し違えるようなばかなまねをするなと、こんな強い圧力もかけてきているわけですが、こういう中にあって、従来から農水省としては自由化はできないんだといって毅然として交渉にも臨んできたと承知しているわけなんですが、いまガット提訴という方針を受ける中でもこの方針、つまり自由化は認められないという態度で毅然として対応いただけると信じているわけですが、いかがでしょう。

重田勉農林水産省経済局国際部貿易関税課長

○説明員(重田勉君) 農産物の市場開放問題につきましては、農林水産省といたしまして、国内農畜産物の需給動向等を踏まえましてわが国の農畜産物の健全な発展と調和のとれた形で行われることが基本的に重要であるというふうに考えております。この観点からいたしまして、農産物貿易につきましての日米協議等におきましても、わが国の農畜産業の実情、またこれまでの農畜産物につきましてのわが国がとってまいりました市場開放措置につきまして米側に十分説明をいたしまして、その理解を得ながら自由化要求に応ずることなく適切に対処していきたいというふうに考えております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 外務省にお尋ねしたいんですが、そういうことで自由化要求には応じないことを基本にしながらやるということですが、松永審議官がきのうお帰りになっていると思うんですけれども、米国の方で米側の日本に対するイメージが大変厳しくなってきていることを痛感したと、またお帰りになりまして、思い切った開放措置を打ち出さなければならない、こういうことをお話されていると思うんです。新聞報道によりますと、牛肉、オレンジ、たばこ、チョコレートなどの自由化や関税引き下げなどで日本側が痛みを感ずるほどの思い切った措置をとる必要がある、こういうことで強調もされていると聞いているわけなんですけれども、こういう形でいまの牛肉、オレンジの自由化ということを認めるのかどうか、それから二つ目に、この農産物の交渉問題につきまして前内閣の田澤農水大臣は、農水省が窓口となって農水省が責任を持って対応するんだというふうにおっしゃっていたわけなんですけれども、このルールというものは今日にあっても守っていくのかどうなのか、変更するつもりなのか、この二点、ちょっと聞かしてください。

妹尾正毅外務省経済局次長

○説明員(妹尾正毅君) お答え申し上げます。  ただいま松永外務審議官がアメリカでいろんな関係者と話をしてまいりました結果の印象を何らかの形で何らかの場で述べたのが報道された、恐らくそれをごらんになってのことと存じます。私、正確に松永外務審議官がどういう説明をいたしましたか聞いておりませんのでその点は私存じませんけれども、ただ、アメリカの日米貿易摩擦問題、それに関連して農産物の市場開放問題についてのアメリカの空気は大変厳しいということは私どもも松永外務審議官からも聞いておりますし、そのほかいろいろな形で聞いているわけでございます。したがいまして、ただいま御指摘がありましたような農産物の市場開放問題、ちなみにチョコレート等は関税の問題ということで提起されているわけでございますが、こういう農産物の市場開放問題についてはアメリカの空気が非常に厳しいということを十分踏まえながら対処していく必要があると考えております。もちろんアメリカの事情は事情で、日本の事情はまた別の事情であるわけでございまして、アメリカの要求していることをそのまま、あるいはアメリカの希望することをそのまま直ちに実施するのが日本政府として適当な政策であるかどうか、これはまた全然別の問題でございまして、その対米関係、それからわが国にとっての自由貿易、特に問題はアメリカで保護主義的な動きが強くなっているということでございますから、保護主義的な動きが広まるのを防ぐというのはわが国の経済的利益という点から考えると非常に重要なものでございますから、そういう点も十分踏まえ、かつ日本の農業の立場というものも踏まえまして適切な対策を講じていく必要があるというふうに考えております。  それから、ただいま田澤前大臣の農産物の問題につきましての交渉の窓口のお話がございましたが、田澤大臣がおっしゃいましたのは、国内的には農林省が中心になって責任を持ってかつ関係省と協議しながら対策を決めていくということでございます。対外的には、第一義的には対外折衝を扱っておりますのは外務省でございますので、農林省とよく御相談しながら日本政府全体として遺漏のないような形でアメリカ等との話を進めていくべきであると考えておりますし、いままでもそういうふうにやってきているつもりでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 時間がなくなって残念なんですけれども、いまの質問に対して、思い切った開放措置というのは牛肉、オレンジの自由化を指しているのかどうか明確にお答えがなかったわけですが、非常にアメリカのやり方が不公平だということについては承知していると思うんですが、あえて一言申し上げておきますと、ガットの理事会で現にいま見直しの作業部会がやられておりますが、ウエーバー品目の問題ですね、現にアメリカが輸入制限をそういう形で行っている落花生、その品目の一つですね、これを日本にも要求していると。それからまた食肉輸入法なんかで実質的な制限を行っている問題もあって牛肉については豪州から輸入を自主規制させておりますし、それから砂糖なんかにつきましても、ECから輸入制限をやったために大幅削減云々ということで、これも二十二条のガットの協議に持ち込まれているということも承知してると思うんです。そういうことで、アメリカ自体が輸入制限の特別な法律を持っているだけでなくて、現に制限を行っているという事態、そういう状況の中にありまして、昨年十月でしたか、下院の歳入委員会の貿易小委員会の中でギボンズ下院議員がブロック農務長官に向かってこう話されているわけですね。「アメリカ自身が農産物輸入制限を持っているということは、アメリカの通商上のパートナーに対して自由貿易の説教をする時に迫力を減殺しているのではないか」と。そういうふうに言いましたところが、ブロック農務長官も、「確かにおっしゃる通り問題なのであります」と、こういう状態になっているわけですね。また、安倍外務大臣がかつて通産大臣当時に、そういうことを逆に指摘しながら、日本のオレンジ、牛肉自由化等も含めてこれは応ぜられないということを基本にしながら対応を迫っていく、こういうふうに話されているわけで、そういう点からしかと解決の方向でやられるのかどうか、再度お聞かせいただきたいと思います。

妹尾正毅外務省経済局次長

○説明員(妹尾正毅君) お答え申し上げます。  まず最初に、松永外務審議官の発言についての報道でございます。  私は、先ほど申し上げましたとおり、正確に松永外務審議官がどういう形の意見を述べられたか承知しておりませんが、私は、松永外務審議官が現時点で牛肉、オレンジを自由化すべきであるということをプレスに言ったということは聞いておりません。  それからただいま御指摘の点でございますが、私どももアメリカの農産物についてのガットのウエーバー、それから食肉輸入法による制限の可能性というか、そういう規定を持っているということは十分承知しておりますし、米側から日本の農産物輸入についての批判的な言論が見られます場合、この点については米側でもそういうことをやっているのだ、農産物については各国それぞれ事情があるのだということは十分説明してきているつもりでございます。今後とも必要に応じて日本側の事情を説明すると同時に、アメリカ側の事情についても日本から指摘すべきと思われる点は指摘していくつもりであることには変わりございません。  それで、ただいまお話しの日本側の輸入の問題につきましては、米国にそういう法律があるあるいはウエーバーをとっているということ、そういうことは別といたしまして、日本として全体としてどういうふうに市場開放を進めていったらいいかということの一環として考えていくべきであるというふうに考えております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 時間が来ましたから一言だけ。  言うべきことは言う、しかし、なおかつ牛肉、オレンジの自由化やむなしで応じたなんていうことがないように。それと、松永審議官の役割りというのはあくまでも環境づくりだということで、一月の総理訪米前にいろいろと出向いてお話しされてきているわけです。ですから、審議官個人のお話ということじゃなくて、外務省全体がいろいろ農水省とか関係するところと協議をおやりになっているわけですから、そういうことも承知していないとか、聞いていないとかということじゃなくて、もう少ししかとした立場でやっていただきたいということを重ねて言っておきたいと思いますし、大臣にその旨伝えていただきたい。  以上で終わります。

増田盛自由民主党

○委員長(増田盛君) 以上で質疑は終局したものと認めます。  午後零時十分に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時十五分休憩      ─────・─────    午後零時十分開会

増田盛自由民主党

○委員長(増田盛君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  この際、稲嶺前委員長からごあいさつがございます。稲嶺一郎君。

稲嶺一郎自由民主党

○稲嶺一郎君 ごあいさつを申し上げたいと存じます。  私の任期中に大変皆さんにはお世話になりました。その間いろいろのことがございましたが、十分職責を発揮することができまして、これも皆さんのおかげだと存じまして厚く御礼を申し述べる次第でございます。どうもありがとうございました。(拍手)     ─────────────

増田盛自由民主党

○委員長(増田盛君) 次に、アメリカ合衆国の地先沖合における漁業に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件、日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件、以上三件を便宜一括して議題といたします。  三件につきましては、休憩前にすでに質疑を終局いたしておりますので、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願いたいと思います。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  アメリカ合衆国の地先沖合における漁業に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

増田盛自由民主党

○委員長(増田盛君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、北西太平洋のソヴィエト社会主義共和国連邦の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

増田盛自由民主党

○委員長(増田盛君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の有効期間の延長に関する議定書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

増田盛自由民主党

○委員長(増田盛君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

増田盛自由民主党

○委員長(増田盛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

増田盛自由民主党

○委員長(増田盛君) これより請願の審査を行います。  第一〇三号日米安保条約の廃棄等に関する請願外七十一件を議題といたします。  まず、専門員から説明を聴取いたします。山本専門員。

山本義彰参議院常任委員会専門員(外務)

○専門員(山本義彰君) 今国会中外務委員会に付託されました請願は、お手元の表のとおり全部で七十二件でございます。  まず、一〇三号は、日米安保条約の廃棄、核兵器禁止国際協定の締結、日本の核基地の撤去等を要請するものであり、次の三七六号外十一件は、核兵器禁止国際協定の締結促進と国内外のすべての核基地、核部隊の撤去を要請するものであります。  次に、五一四号外四十六件は、平和憲法を守り、核兵器禁止・全面軍縮に向け努力されたいというものであり、次の一〇四六号は、日米軍事同盟の廃棄と核兵器禁止国際協定の早期実現を要請するものであります。  次に、一五五号外四件は、日韓首脳会談の開催中止、安全保障を目的とした六十億ドルの対韓援助の取りやめ、金大中事件の政治決着の撤回等を要請するものであります。  次に、一九九号は、ILOの婦人関係条約の批准と婦人差別撤廃条約の早期批准を要請するものであり、次の二四九号外三件は、国籍法等国内法の見直しを行って婦人差別撤廃条約を早期に批准されたいというものであります。  最後の二五七号は、国連を強化発展させ究極的には世界連邦を建設することを国の基本方針とし、その早期達成を世界に呼びかけること、参議院において世界連邦建設に関する決議を速やかに行うこと等を要請するものであります。  以上でございます。

増田盛自由民主党

○委員長(増田盛君) 以上で説明は終わりました。  これらの請願につきましては、理事会におきまして協議いたしましたところ、第一九九号婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約等の早期批准に関する請願、第二四九号婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の早期批准に関する請願外三件は議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものとし、第一〇三号日米安保条約の廃棄等に関する請願外六十六件は保留とすることに意見が一致いたしました。  この理事会の協議のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

増田盛自由民主党

○委員長(増田盛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

増田盛自由民主党

○委員長(増田盛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十九分散会

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