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97回国会衆議院1982/12/17

本会議 第7号

発言数
18
登壇者
7
会派数
6
開催日
1982/12/17

会議録

福田一無所属議長

○議長(福田一君) これより会議を開きます。      ────◇─────

保利耕輔自由民主党

○保利耕輔君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、昭和五十七年度一般会計補正予算(第1号)、昭和五十七年度特別会計補正予算(特第1号)、右両件を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。

福田一無所属議長

○議長(福田一君) 保利耕輔君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福田一無所属議長

○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。     ─────────────  昭和五十七年度一般会計補正予算(第1号)  昭和五十七年度特別会計補正予算(特第1号)

福田一無所属議長

○議長(福田一君) 昭和五十七年度一般会計補正予算(第1号)、昭和五十七年度特別会計補正予算(特第1号)、右両件を一括して議題といたします。  委員長の報告を求めます。予算委員長栗原祐幸君。     ─────────────  昭和五十七年度一般会計補正予算(第1号)及び同報告書  昭和五十七年度特別会計補正予算(特第1号)及び同報告書     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────     〔栗原祐幸君登壇〕

栗原祐幸自由民主党

○栗原祐幸君 ただいま議題となりました昭和五十七年度一般会計補正予算(第1号)及び同特別会計補正予算(特第1号)につきまして、予算委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。  この補正予算両案は、去る十一月三十日予算委員会に付託され、十二月十三日に提案理由の説明を聴取し、同日から本十七日まで五日間質疑を行い、その終局後、討論、採決をいたしたものであります。  まず、補正予算の概要について申し上げます。  一般会計予算につきましては、歳入において、当初予算に対し租税及び印紙収入の減収が避けられない見通しとなったため、これを六兆一千四百六十億円減額し、他方、建設公債五千二百億円、特例公債三兆三千八百五十億円、合計三兆九千五十億円の公債を追加発行するほか、税外収入で一千二百二十三億円の増収を見込んでおります。  歳出におきましては、災害復旧費の追加五千二百二十二億円、義務的経費の追加等六千九百八十六億円を計上するとともに、既定経費を三千二百五十四億円、予備費を一千二百億円それぞれ減額するほか、税収の減少に伴い地方交付税交付金について一兆六千九百五十七億円減額し、さらに定率繰り入れの停止により国債費を一兆一千九百八十四億円減額いたしております。  以上の結果、昭和五十七年度一般会計の総額は、歳入歳出とも、当初予算に対し二兆一千百八十七億円減額され、四十七兆五千六百二十一億円となります。  また、歳入のうち、公債金の総額は十四兆三千四百五十億円となり、その依存度は三〇・二%となることになります。  特別会計予算におきましては、一般会計予算の補正等に関連して、交付税及び譲与税配付金特別会計、治水特別会計など十六特別会計について所要の補正を行うこととしております。  次に、質疑のうち、主なるものについてその概要を申し上げます。  まず、「総理は、若いころから自主憲法制定に大変な情熱を燃やしてこられたが、今回の本会議の代表質問に対する答弁では、憲法改正を政治日程にのせることは考えていないと述べておられる。これは、改憲の意思がなくなったということか、あるいは、中曽根内閣の続く間は改正しないということか」との趣旨の質疑があり、これに対し、中曽根内閣総理大臣から、「私個人としては改憲論者だが、いまは首相の地位にあり、国政全般を見きわめないといけないので軽々な発言はできない。しかし、憲法について大いに議論し、認識を深めてもらい、改正の是非について国民の判断が自然に醸成されてくることが望ましいと考えている。現在は、国民の世論がまだ十分に熟していないし、政府・自民党においても改正の準備が整っていない」旨の答弁がありました。  次に、人事院勧告の実施見送りについて、「人事院勧告制度は公務員の労働基本権制約の代償措置であり、長い間の経過にかんがみるとき、今回、給与勧告の実施を単に財政上の理由だけで凍結し、給与改善費を削除したことは、法律的にも手続上にも無理があり、憲法に違反する疑いがあると言わざるを得ない。よって、給与勧告実施見送りの決定を速やかに撤回し、勧告を完全に実施すべきではないか」との趣旨の質疑がありました。これに対し、中曽根内閣総理大臣から、「人事院勧告を完全実施に移した昭和四十五年当時においては、財政事情のいかんにかかわらず、この慣行を末永く守っていく決意を固めていた。その責任は、現在も痛感しているところである。しかしながら、現在、政府の置かれている立場をおくみ取りいただきたい。当面の人事院勧告については、各野党の質問に代表される意見も踏まえ、国会の判断を尊重し、十分検討いたしたい」旨の発言がありました。  次に、財政問題について、「政府の五十九年度赤字公債依存脱却の公約は、補正予算で約三兆四千億円の赤字公債を増発することにより、事実上破綻したことはだれの目にも明らかであるが、今後の財政再建はどういう方策で進めていくつもりか。新たな財政再建の大綱ともいうべきものを通常国会前に示すべきではないか。また、政府は増税なき財政再建の基本路線を踏襲すると言っているが、「増税なき」とはいかなる意味か」との趣旨の質疑に対し、政府から、「赤字公債の五十九年度脱却は、最近の財政状況全般を見ると数字的にきわめて困難となったが、この目標を取り払うと、安易に流れるおそれがあるので、これを念頭に置いて五十八年度予算の編成に取り組みたい。新しい財政再建の構想については、五十八年度予算編成の過程において各方面の意見を聞いて作成し、予算審議の参考に供したいと考えている。なお、五十八年度の予算については、目下、一般歳出の伸びをゼロにする方針で編成作業を進めている。「増税なき」の意味については、大型新税の導入は考えておらず、また、臨調答申では、国民の租税負担率を大きく変動させない範囲での多少の変化は認められているので、この範囲内で考慮することにする旨の答弁がありました。  以上のほか、政治倫理に関する諸問題、国債費の定率繰り入れ停止と償還財源、防衛費の枠組み、その他防衛問題、経済の現状並びに景気対策、その他国政の各般にわたって熱心な質疑応答が行われましたが、詳細は会議録により御承知願いたいと思います。  本日、質疑終了後、日本共産党から、昭和五十七年度補正予算二案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出され、趣旨説明が行われました。  次いで、補正予算二案及び動議を一括して討論に付しましたところ、自由民主党は、政府原案に賛成、動議には反対、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合は、いずれも政府原案及び動議に反対、日本共産党は、動議に賛成、政府原案に反対、新自由クラブ・民主連合は、政府原案及び動議に反対の討論を行いました。  引き続き採決を行いましたところ、日本共産党提出の動議は否決され、次いで、昭和五十七年度補正予算二案は、賛成者多数をもっていずれも可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────

福田一無所属議長

○議長(福田一君) 両件につき討論の通告があります。順次これを許します。山田耻目君。     〔山田耻目君登壇〕

山田耻目日本社会党

○山田耻目君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題になりました昭和五十七年度補正予算二案に対し、反対の討論をいたします。(拍手)  わが国経済は、依然として停滞が続いており、業種間、企業規模間、地域間の格差が一層拡大しており、国民の生活不安は高まっております。  最近の完全失業者は、政府統計でも百三十万人台を超え、社会、産業構造の変化の中で構造不況業種を中心に失業者がふえ続けているところでございます。ことに家計を支える人の失業が目立つだけでなく、新規学卒者の就職難、中高年者や婦人の雇用不安も深刻さを加えております。  中小零細企業は、国内需要の不振によって売り上げが伸び悩み、生産活動が低迷する一方で、大企業の進出や下請切り捨てなどにより、小規模企業ほど倒産が多発し、不況の影響により、いまや息切れ企業が目立っている実態でございます。  物価が安定しているとはいえ、所得税の課税最低限が五年間も据え置かれていることからくる名目所得の伸び率の二倍の速さでふえ続ける所得税の負担に加えて、社会保険料等の公共負担は家計を圧迫し、個人消費の支出を抑えるため、その結果は経済も好転しないという悪循環に陥っているのであります。  一方、世界的な不況の中で、輸出は伸びません。最近十カ月連続で減少を続けるという戦後最悪の状態にあります。その中で貿易摩擦の解決策は、わが国にとって打撃の大きなものとならざるを得ないことは、農産物の自由化問題一つ見ても明らかであります。  内外経済がかつてない困難な局面に直面している中で、財界主導の行政改革は、憲法の定める平和、福祉、分権をじゅうりんし、国民生活にすべての犠牲をしわ寄せしようとしてきており、当面する財政再建についても深刻な危機を深めていることが実情であります。  かかる諸情勢のもとで編成され提出された補正予算は、今日の課題の解決に何ら効果もなく、中曽根内閣の求める国民の信頼を得られるようなものとなっておりません。  第一に、今回の補正予算は、当初予算が経済見通しの水増しによる粉飾予算であったことを立証したものであります。政府の財政再建計画の完全な破綻をあらわしたものであります。  実質経済成長率を五・二%と過大に見積もり、税収を水増しし、軍事費を突出させた軍拡予算と財政再建を両立させた予算としたごまかしの財政運営が、もはや糊塗し得ない事態に立ち至ったことを示したものであります。  税収不足は六兆一千四百六十億円の巨額に上り、そのために国債が三兆九千五十億円も追加発行されるのであります。この結果、今年度の国債発行額は十四兆三千四百五十億円、国債依存度は三〇・一六%と三割台に逆戻りし、特例国債も七兆三千九十億円にふくらみ、財政再建どころか悪化する一方であり、自民党政府の経済財政運営の失敗のあらわれであります。(拍手)かかる予算を認めることはとうていできません。  第二に、この補正予算には、臨調行事路線に沿ったいわゆる政策的予算措置が含まれております。  一つは、人勧凍結による給与改善費の当初予算計上分六百七十億円の削減であります。これは当初予算で、公務員給与を四月から一%というわずかで不当な引き上げのための措置費すら不要経費として処理する、許しがたいものであります。‐  いま一つは、分割民営化による国鉄再建という名の実質的な国鉄つぶしにつながる国鉄再建監理委員会の設置関連費四千四百億円が新規に計上されていることであります。これは補正予算の本来の性格を逸脱している措置と言っても過言ではありません。  特に、人勧凍結による公務員給与改善費の削減と改善の見送りは、政府の義務違反であります。民主主義のルールに反する暴挙であります。政労間の慣行を踏みにじり、ILO諸条約にも違反するという国際的常識にも反する反動的姿勢と断ぜざるを得ません。政府の考え方は、財政再建のために公務員が率先垂範をするというものですが、人道的に見て、人間を雇い働かせる雇い主、国家のすることではありません。許すことはできないのであります。(拍手)  財源不足と言われるが、会計検査院の七・九%の政府関係機関を調べただけで二百七十四億円の税金のむだ遣いがあると指摘されているように、経費の節減はそれらの支出をなくすことで処理すべきで、賃金カットなどは言語道断と言わざるを得ません。(拍手)今回の措置が労働者の賃金の全般的抑制、年金、恩給等、いわゆる弱者と言われる社会保障関係者の所得保障の後退など、国民総耐乏政策につながるものであり、かかる予算は全く認められません。(拍手)  第三に、景気対策として、災害復旧費を中心にした公共事業支出が計上されるとともに、公共事業関係の国庫債務負担行為の追加が行われておりますが、現在最も必要とされている所得減税が行われないことは、景気対策上最大の欠陥を持つ予算となっています。  当初予算審議をめぐって一兆円減税問題が論議され、今日に至っても決着を見ていませんが、減税実施の本来的責任は政府にあります。その決断を求められているにもかかわらず、なお逡巡していることは、経済政策上も片手落ちの対策と言わざるを得ません。  第四に、補正予算編成のために減債制度の根幹にかかわる措置が講ぜられております。  国債整理基金への定率繰り入れの停止による国債費の一兆一千九百八十五億円の削減は、戦後国債発行と並行して設けられた公債償還財源の確保を臨時的対応として取りやめるとするものでありますが、国債整理基金の資金状況は、余裕金残高が枯渇しつつある実情からすれば、一時的措置にとどまらないおそれが多分にあるのであります。国債に対する信用保証のための制度に対する今回の措置は、大量の国債発行と相まって国民の信頼を薄める結果となることは否めません。  第五には、地方財政への負担しわ寄せ補正が行われております。  税収の落ち込みによって地方交付税交付金が、一兆七千億円にも及ぼうとする減額が行われますが、これは地方税自体の落ち込み約一兆二千億円と重なり合って地方財政の負担を増大させる結果となります。これらの歳入不足に対しては、資金運用部資金からの借り入れと民間資金の借り入れでもって賄われようとしていますが、地方の借金であることには変わりありません。  当初予算において、国の公共事業費抑制のいわば肩がわりとして計画された地方単独事業の増加に加えて、さきの総合経済対策でも地方債による単独事業の追加が行われており、地方の借金は膨張させられてきております。  地方の時代を実現し、経済社会の活力を担うべき地方自治体を、かかる中央主導の政策で締めつけることは、時代に逆行する措置と考えざるを得ません。(拍手)  以上、主な反対理由を申し上げましたが、補正予算は中曽根内閣の今後の政治の方向を指し示す最初の予算でありますが、その内容は、勤労国民に厳しく、経済の先行きにも財政の立て直しにも何らの展望を持ち得るものとなっておりません。それはやがて示されるであろう来年度予算において、軍事大国化と国民生活圧迫の内容につながるものであり、内外両面から、わが国とわが国民を危険と不安のふちに引き込むことになることを指摘して、私の反対討論を終わります。(拍手)

福田一無所属議長

○議長(福田一君) 草川昭三君。     〔草川昭三君登壇〕

草川昭三公明党

○草川昭三君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題になりました昭和五十七年度補正予算二案に対し、反対の討論を行うものであります。(拍手)  最初に、中曽根総理に一言申し上げたいのであります。  この補正予算審議を通じて、中曽根内閣の政治姿勢がきわめて反国民的であることが浮き彫りにされました。いわゆる政治倫理の確立に後ろ向きの姿勢が明確となり、憲法改正、防衛費の対GNP一%の歯どめ問題、大型間接税の導入等の問題について、国民の望むところと逆行する言明や示唆が行われたことは、はなはだ遺憾と言わざるを得ません。(拍手)  以下、本補正予算案に反対する理由を簡潔に申し上げます。  その第一の理由は、財政再建計画を破綻させた政府の責任を見逃しにできないことであります。  五十七年度の租税・印紙収入は、政府の当初予算額より大幅に減収となり、国債発行額は三兆九千億円もの増発に追い込まれてしまいました。その結果、五十九年度に赤字公債から脱却する計画は完全に破綻しました。その政府の責任はきわめて重大と言わなければなりません。しかも、財政再建計画を破綻させながら、それにかわる財政再建計画は一切明示をしていないのであります。財政再建の破綻の責任をあいまいにする政府の態度は納得できるものではありません。  この際、私は、「増税なき財政再建」を大原則とした新たな中期財政再建計画の速やかな提出を求めるとともに、政府が画策をする大型間接税の導入に断固反対するものであります。  反対の第二の理由は、補正予算の景気対策がきわめて不十分であり、このままでは、さらに失業と倒産を増大させ、税収入を減収させかねないことであります。  政府は、実質経済成長率を当初の五・二%から三・四%と大幅に下方修正をしたものの、この程度の景気対策では、下方修正した三・四%の達成すらおぼつかないというのが実情と言わなければなりません。  事実、民間経済研究機関では、そのほとんどが二%台と予測をいたしております。仮に、実質経済成長が民間の予測のように二%台になるとするならば、失業者が百四十万人に及んでいる雇用状況や、危機ラインを突破した企業倒産をさらに悪化させることは必至であります。また、税収入も補正予算額よりも落ち込み、第二次補正の懸念すらあると言わなければなりません。実現性に乏しい経済財政運営を容認するわけにはまいらないのであります。  反対の第三の理由は、国民的要求となっている所得税減税を見送っていることであります。  所得税減税は、課税最低限の引き上げが五年間も見送られ、大幅に実質増税を強いられている勤労者の切なる願いでもあります。国民生活を守る上で、いまや所得税減税の実施は不可欠な要件と言っても過言ではありません。  所得税減税は景気対策上も重要であります。低迷を続ける個人消費は、ここへ来てさらに下降線をたどっており、減税による下支え対策は緊要となっております。国民的要求である所得税減税を見送った補正予算案は、とうてい認めることができないのであります。  反対の第四の理由は、国債整理基金への定率繰り入れを停止することであります。  政府は、近年、財政法を形骸化し、財政運営の節度を踏みにじってきました。それは、赤字国債の発行、法人税の年度区分の変更、歳入欠陥を国債整理基金からの借り入れで補てんしたことなどであります。国債整理基金への定率繰り入れの停止もその一環であり、赤字国債の借りかえにつながることは必至であります。国民に増税と福祉後退を迫りながら、財政の健全化に逆行する措置は認めがたいのであります。  反対する理由の最後は、人事院勧告の完全実施を行わず、見送ろうとしていることであります。  国家公務員の労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度を形骸化させる政府の態度は、絶対に認めることはできません。  さらに、政府が人事院勧告凍結を盾に年金制度の据え置きを画策することは、年金で老後生活を営んでいる弱い立場の人たちの生活を無視するもはなはだしく、断固反対するものであります。  また、政府は、五十八年度予算の財源として、外為会計の剰余金や補助貨幣回収準備資金を取り崩し、一般会計に繰り入れることを検討中とのことでありますが、これらの財源を利用すれば、人事院勧告の完全実施は可能であり、その実施を図るべきであります。  財政再建に名をかりて、負担を弱者にしわ寄せし、その一方で防衛費を増強し、GNPの一%の枠さえも外してしまおうとする政府の姿勢を国民が認めるわけがありません。  最後に、政府は、五十八年度予算編成に当たっては、本国会におけるわれわれの主張を十分に取り入れることを要望し、討論を終わります。(拍手)

福田一無所属議長

○議長(福田一君) 木下敬之助君。     〔木下敬之助君登壇〕

木下敬之助民社党・国民連合

○木下敬之助君 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和五十七年度一般会計補正予算及び同特別会計補正予算に対し、一括して反対の討論を行うものであります。(拍手)  わが国経済は、昨年度、七年ぶりの低成長に陥ったわけでありますが、これは、世界不況の余波による側面もあるとはいえ、まさに政府の対応の拙劣さが招いた政策不況と言わなければなりません。  今年七月から九月期のわが国経済は、前期比〇・六%、年率換算二・五%という低い実質成長率を示すにとどまっております。さらに、十月以降においても景気の先行きについて懸念すべき多くの材料を抱えており、早急に景気浮揚のための積極的かつ総合的な経済対策が講ぜられるべき事態に立ち至っているのであります。  これに対し、政府は十月八日、災害復旧事業など総事業規模で二兆七百億円となる六項目の経済対策を決め、そのうちの一部が本補正予算に計上されたところであります。  しかし、この政府の対策は規模も小さく、来年度予算の先食いや地方へのしわ寄せをするなど、見せかけの内容が多く、現在の深刻な不況に対してはきわめて不十分なものであり、きわめて遺憾であります。これでは、政府が下方修正した三・四%の実質成長率の達成さえ望むべくもありません。特に、勤労者や中小企業者が切望していた所得減税が見送られ、中小企業に対する投資減税の実施が先送りにされたことは、わが国経済の発展と国民生活の安定に目を向けない政府の姿勢をまざまざと見せつけたものであり、とうてい国民の納得が得られるものではありません。(拍手)  現在講ぜられるべき景気対策は、所得減税、中小企業投資減税など約二兆円の減税の実施、住宅取得控除の充実などの住宅対策の追加、中小企業承継税制の確立、きめ細かな不況産業対策の実施などであるにもかかわらず、政府が経済、財政についての今後の展望を全く示すことなく、今回のような不十分な景気対策でお茶を濁そうとする姿勢を続ける限り、企業経営者の先行き不安感は払拭できず、わが国経済の活力はますます衰退していくばかりであります。これら諸点について、政府の猛省を促してやみません。  次に、本補正予算に盛り込まれている国債費のうちの定率繰り入れ等の停止についてでありますが、この定率繰り入れ等の停止は、予算委員会においてわが党委員が示したとおり、目先の国の財政の苦しさをしのぐには役立つとはいえ、それは後年度に負担を先送りしただけのことであり、本質的には財政再建に何ら貢献するものではないのであります。  この問題を先送りして将来に禍根を残す苦肉の策とも言うべき定率繰り入れの停止は、歳出の縮減への努力を鈍化させ、ひいては国債発行の歯どめ、すなわち、財政の節度を失わせるおそれがきわめて強く、たとえわが国財政が背に腹はかえられないという窮迫した状態にあるとはいえ、絶対に容認させるべきものではないことを強く申し述べる次第であります。(拍手)  いま一つ、本補正予算案に反対する大きな理由は、国家公務員の給与に関する人事院勧告制度を無視し、約一%の給与改善費を不用額として削除し、給与引き上げを見送ったことであります。  言うまでもなく、人事院勧告制度は、憲法で保障された国家公務員の労働基本権を制約する代償として設けられたものであり、政府は完全実施のため最大限の努力をする義務を負うものであります。これを単なる財政的理由により見送ることは、政府みずから公務員の給与決定の基本ルールを否定するものであると言わなければなりません。(拍手)  まず政府が行うべきことは、むだな仕事や行政機構を整理し、公務員定数を大幅に削減し、それによって総人件費を抑制することであります。それが臨調答申の真意であります。これがうまくできないからといって、公務員全体の給与引き上げを見送るということは本末転倒であり、行政改革とは無縁の不当な措置であると言わざるを得ません。  さらに、政府の今回の措置は、民主的労働運動の基本理念にのっとり、法と秩序を守りながら職務遂行に専念し、国民的課題である行政改革に率先してこたえるべく努力してきたまじめな良識ある公務員の同士を、はなはだしく裏切るものであります。(拍手)しかるに、政府みずから労使間の約束を破ることは、違法ストなど法に反した行動をも正当化する根拠を与えることにもなりましょう。われわれは断じて承服できません。  以上、申し述べましたとおり、本補正予算案は、わが国経済の実情と、国民が国政に対し求めている切実な要求とを無視したものであり、わが党はこれに強く反対し、私の反対討論を終わります。(拍手)

福田一無所属議長

○議長(福田一君) 辻第一君。     〔辻第一君登壇〕

辻第一日本共産党

○辻第一君 私は、日本共産党を代表し、補正予算二案に対し、反対の討論を行います。(拍手)  補正予算審議を通じて明らかになった最大の問題は、中曽根内閣が清潔、公正とはまさに百八十度異なった位置を占めているという厳然たる事実であります。  この神聖な議場で、ロッキード事件の刑事被告人と大臣席から身を乗り出してにこやかに握手を交わすような人物を、事もあろうに法務大臣に据え、そればかりか、この人物の公然たる指揮権発動発言を懸命に弁護する中曽根総理に、国民が一体何を期待できるでしょうか。補正予算の内容を論ずる以前に、それを編成する内閣のあり方そのものが問われているのであります。(拍手)  以下、反対理由を具体的に述べます。  第一は、この補正予算がすでに耐えがたいまでになっている国民生活に新たな困難をもたらすことであります。  労働者はもちろん、深刻な消費不況に悩む商店、中小企業や農林漁業に働く人々の補正予算への期待は物のみごとに裏切られました。国民が強く願った一兆円減税は夢と消え、それどころか、六百万人の労働者に直接重大な打撃を与える人事院勧告凍結方針をあくまでも貫き、さらに、私学助成、国立大学校費、社会福祉施設建設費、児童保護費、中小企業対策費などの国民生活関連事業を軒並みばっさりと削っているのであります。  人勧凍結は憲法が保障する労働基本権を剥奪した上に、人勧制度をその代償措置だとしてきた従来の政府の公式見解をも踏みにじる、二重の意味での憲法違反であります。(拍手)これは、政府委員である人事院総裁が、並みいる閣僚の面前で、政府の措置は遺憾千万と言い切ったほど不当きわまる暴挙であります。(拍手)  しかも政府は、人勧凍結を突破口として、お年寄りや障害者、母子家庭のぎりぎりの願いである年金、恩給の物価スライドさえ停止して、福祉全面切り捨てにいよいよ乗り出そうとしております。  私は、このような憲法無視、国民敵視の中曽根内閣の姿勢を怒りを込めて糾弾するものであります。(拍手)  さらに、総理並びに大蔵大臣が、税の直間比率の見直しは将来の重要課題だと述べたことは、明らかに悪名高い一般消費税型の大型間接税の五十九年度導入を意識したものであり、絶対に許すことができません。(拍手)  反対する第二の理由は、この補正予算が一兆七千億円に上る史上初めての地方交付税年度内減額を強行し、新たな地方財政危機を引き起こそうとしているからであります。  とりわけ全国の地方自治体の強い反対を無視し、本年度交付金中一千五百二十四億円を一方的に削減し、地方公務員にも給与凍結を強制しようとしていることは、地方自治権へのあからさまな挑戦であり、断じて見逃すことができない問題であります。(拍手)  反対の理由の第三は、今回の補正によって財政の破局的危機がさらに深められることであります。  財政再建のかけ声とはうらはらに、三兆九千億円に上る空前の国債大増発によって、五十九年度赤字国債ゼロという前内閣の政治生命をかけた公約は完全に吹っ飛び、現内閣はそれにかわる目標さえ提示し得ないではありませんか。  当初予算に対し、わが党は、それが税収を異常に過大見積もりした粉飾予算であり、根本的に見直すべきだと繰り返し繰り返し警告したではありませんか。この警告を無視し、わが国財政史上に類を見ない大失態を演じた責任は、鈴木前首相とともに当時副総理格を自認していた中曽根現総理が連帯して負うべきであることは言うまでもありません。(拍手)この重大な責任にほおかぶりする中曽根総理に、財政を語る資格はもはやないと言うべきであります。  反対する理由の第四は、国民にとって百害あって一利ない軍事費や大企業補助金などの聖域が、今回もまたほとんど手つかずで残されていることであります。  そればかりか総理は、来年度、軍事費の七%台の伸びを確保することがアメリカの期待にこたえる道だと公言し、さらにはGNP一%の枠さえも撤廃する意向を示しました。これらの発言は、重大な疑惑があるにもかかわらず、政財官癒着の白島石油備蓄基地計画をあくまで推進しようとする態度とともに、中曽根総理の言う思いやりの政治がまさにレーガン政権と財界にのみ向けられたものであることを、改めて明らかにしたものであります。(拍手)  以上述べた補正予算の反国民的性格は、決して今回限りのものではありません。それは来年度予算編成の中でさらに拡大されることが確実であります。  中曽根総理がみずから改憲論者であると明言し、内閣首班としての立場と自民党総裁としての立場をあくどく使い分け、憲法改悪の諸準備を推進する意図を公然と表明しているだけに、私は財政政策に見られる反動化の進行に強い危倶を抱かざるを得ないのであります。(拍手)  以上、補正予算二案に断固反対し、国民生活の防衛、日本の平和と安全、行財政の民主的再建のために奮闘する日本共産党の決意を表明し、反対討論を終わります。(拍手)

福田一無所属議長

○議長(福田一君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────

福田一無所属議長

○議長(福田一君) 両件を一括して採決いたします。  両件の委員長の報告はいずれも可決であります。両件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

福田一無所属議長

○議長(福田一君) 起立多数。よって、両件とも委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)      ────◇─────

福田一無所属議長

○議長(福田一君) 本日は、これにて散会いたします。     午後十一時四十二分散会

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